あの選手村跡地のHARUMI FLAGにシェアハウス登場!共用施設の充実ぶりに驚き!?見学会へ潜入

選手村跡地のビッグプロジェクトとして話題となる「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」。先行して、分譲マンションの販売が行われたが、賃貸住宅街区にある賃貸住宅の募集も始まった。通常の賃貸に加えてシェアハウスもあり、シェアハウスを運営するリビタによるプレス向けの見学会が開催されたので参加した。

HARUMI FLAGには約13haの広さに24棟、住宅は全5632戸

先行して販売された新築マンションに話題が集中したが、HARUMI FLAGには3つの分譲住宅街区(SEA VILLAGE・SUN VILLAGE・PARK VILLAGE)に4145戸の新築マンションがあるほか、賃貸住宅街区(PORT VILLAGE)に1487戸の賃貸住宅(シェアハウス他含む)がある。このほか教育・保育施設や商業施設があるのだが、約13haの広大な土地なので、それぞれの棟がゆったりとした住棟配置になっている。

その賃貸住宅街区にはA~Dの4棟のマンションが建ち、一般的な賃貸住宅だけでなく、シニア住宅やケアレジデンス(サービス付き高齢者向け住宅)も提供されている。そのD棟の7~9階の一角が「シェアプレイス HARUMI FLAG」になる。

実は筆者は、東京2020パラリンピックのフィールドキャストとして、選手村でボランティアをしていたので、HARUMI FLAGは懐かしい場所でもある。賃貸住宅街区の選手たちを担当したことも何度かあり、カウンターでさまざまな対応をしたほか、選手団の鍵の受け渡しを確認したり選手を故障対応スポットまで案内したりと、いろいろな思い出がある。ただ、とにかく広いので、担当する街区の見回りをするだけでも時間がかかったと記憶している。

東京2020の選手村だったと記載されたサインボードもある(筆者撮影)

東京2020の選手村だったと記載されたサインボードもある(筆者撮影)

共用施設が充実のシェアプレイス HARUMI FLAG

さて、シェアプレイスとは、リビタのシェア型賃貸住宅で、共用施設が充実しているのが特徴だ。このシェアプレイス HARUMI FLAGでも、8階と9階に2層吹き抜けの共用施設がある。

「シェアプレイス HARUMI FLAG」公式サイトより

「シェアプレイス HARUMI FLAG」公式サイトより

2層はそれぞれ階段で行き来でき、8階には大きなキッチンのあるシェアラウンジが2カ所とシアタールームがある。

シアタールーム(左)とシェアラウンジA(右)(筆者撮影)

シアタールーム(左)とシェアラウンジA(右)(筆者撮影)

シェアラウンジB(筆者撮影)

シェアラウンジB(筆者撮影)

9階には、ソファや腰かけのあるシェアラウンジCがあり、海を臨むバルコニーに出ることもできる。

9階バルコニー(筆者撮影)

9階バルコニー(筆者撮影)

シェアプレイス HARUMI FLAGならではの特徴が、賃貸住宅街区にある他の住棟の共用施設も利用できることだ。8・9階の施設に加え、A棟の大浴場、C棟のフィットネスルームやワークスペースも無料で利用できる(他に有料のパーティルーム等の施設もある)ので、ここまで共用施設が充実しているシェアハウスはめったにないだろう。

2層吹き抜けで開放感のある共用施設(筆者撮影)

2層吹き抜けで開放感のある共用施設(筆者撮影)

いちいち外に出るのは面倒だと思ったが、地下でつながっていて他の住棟に行き来できるのだという。残念ながら見学はできなかったが、雨が降っていても気にせず大浴場に行けるなら、風呂好きの筆者は毎日通うだろうと思った。

シャワーブース付のワンルームタイプのほか、ユニット型も

次に居室だが、個室型(ワンルーム)が58室、ユニット型(まとめ借り)が13ユニット(56室)の計114室。個室型の面積は25.01平米~28.46平米、インターネット(無料)とエアコン、照明が設置済みで、シェアハウスには珍しく各戸にシャワーブースがある。賃料は11万4000円~12万6000円(予定)と共益費1万円(水道・光熱費は個別契約)だ。

リビタのプレスリリースより転載

リビタのプレスリリースより転載

個室型(筆者撮影)

個室型(筆者撮影)

シェアプレイス HARUMI FLAGならではのユニット型は、法人の社宅向けだ。74.63平米~92.09平米の広さに、約10平米の鍵付き部屋が4室または5室あり、キッチンとトイレ(2台)、洗面台(2台)、シャワーブース(2台)を共同で使う。居室にはエアコンのほか冷蔵庫や脚付きマットレス、デスク・チェアなどが設置済み。単身者の社員などが共に暮らす形となる。

また、リビタのシェアプレイスの特徴は、多世代・多業種のコミュニティ形成にある。居室が充実するほど、共用施設での触れ合いが少なくなりがちだが、共用施設を活用したコミュニティ形成のための活動をシェアプレイス居住者に向けて開催していく計画だ。そのために「エディター制度」を仕掛けている。

当初の賃料などを軽減する代わりに、共用施設でイベントの企画やシェア暮らしの魅力発信をしてもらう多様な人材をエディターとして募集した。当初4人の計画だったが、6倍以上の倍率となり多様な人材が応募してきたこともあって、枠を6人に増やし、3月から活動が開始されるという。

D棟のエントランスホールはなかなか豪華だ(筆者撮影)

D棟のエントランスホールはなかなか豪華だ(筆者撮影)

D棟の外観。一部形状の異なっている部分がシェアプレイスの共用施設。住棟ごとの間隔は広く取られている(筆者撮影)

D棟の外観。一部形状の異なっている部分がシェアプレイスの共用施設。住棟ごとの間隔は広く取られている(筆者撮影)

まだ開発中の部分もあるが、BRTの選手村ルートが2月1日から開通

シェアプレイス HARUMI FLAGは2月1日から入居可能だ。HARUMI FLAG全体としては、タワー棟(工事中)を除き入居が始まっているものの、現在工事を行っている施設もある。街として完成するにはまだ時間がかかるが、交通アクセスは良くなる。

いよいよ東京BRTの選手村ルートが2月1日から開通するのだ。JR新橋駅から「HARUMI FLAG(晴海五丁目ターミナル)」停留所を結ぶもので、東京都によると乗車時間は11分となっている。既存のBRTと合わせると、虎ノ門ヒルズから国際展示場までカバーすることになる。今後も延伸などの予定があると聞く。

なお、BRTとは「Bus Rapid Transit」(バス高速輸送システム)の略で、連節バスの採用などで通常のバスより輸送力高めたもの。

筆者が見学したときにはまだBRTが開通していなかったので、都営地下鉄大江戸線「勝どき」駅からかなり歩くことになった。BRTならもっと楽に往復できたのにと、ちょっと残念な思いがした。

「HARUMI FLAG」については、その規模感や立地条件などから、人によっては好き嫌いがあるかもしれない。ただ、シェアハウスという形態から見ると、これだけ共用施設が充実しているものはないだろう。共用施設の大きな窓からの眺めもシェアプレイス HARUMI FLAGならではのものだ。こうしたことをどう評価するかは、人それぞれだろう。

●関連サイト
リビタのプレスリリース:コミュニティがある住まいで、「フラグ」に溢れる暮らしを提案|『シェアプレイス HARUMI FLAG』2024年1月オープン
「シェアプレイス HARUMI FLAG」公式サイト
東京BRT 「2/1(木)~選手村ルート運行開始について」

512戸の賃貸タワーマンション「プラザタワー勝どき」で防災イベント!消防署・警察署協力ならではの幅広いメニューに子どもも興味津々!

不動産業や海運業を行う乾汽船(いぬいきせん)が所有し、東急住宅リースが賃貸管理を行う、賃貸マンション「プラザタワー勝どき」で、大掛かりな防災イベントを開催すると聞いて、見学させてもらった。大掛かりに開催できるのは、東京消防庁臨港消防署と警視庁月島警察署が全面協力をしていることで、防災メニューが豊富になっているからだ。

防災イベントは512戸の「安否確認訓練」でスタート!

「プラザタワー勝どき」は、地上43階で総戸数512戸の大規模なタワーマンションだ。

賃貸タワーマンション「プラザタワー勝どき」外観(筆者撮影)

賃貸タワーマンション「プラザタワー勝どき」外観(筆者撮影)

今回の防災イベントは、「安否確認訓練」からスタートした。安否確認訓練とは、地震などの災害に見舞われたときに、居住者の被災状況を確認すること。このマンションでは事前に「無事」(黄色)「要救助」(赤色)などと記載したカードを配り、ドアノブに配布されたカードのいずれかをかける形を取っている。その状況をフロアごとに見て回り、各戸の「無事」「救助」「未貼付」を記録して、とりまとめて全戸の状況を把握するわけだ。

さて、防災対策本部(冒頭の写真参照)の準備ができると、館内放送で「訓練です」と伝えた後に、無事であれば黄色のカードを、救助が必要であれば赤色のカードをドアノブに掛けるようにとアナウンスが流れた。次に、事前に居住者から募集した“集計報告ボランティア”の方々に、担当するフロアの用紙をはさんだボードを渡し、担当フロアに行ってもらう。ボードは10個あり、43階までのフロアを10ブロックに分けて、担当フロアを振り分けている。

筆者もその様子を見ようと、一番にスタートした組に付いていった。もちろん、災害時を想定しているので、エレベータは使えない。階段を上がっていくことになると分かっていたものの、5階までの100段でかなり息が上がる。付いていこうとしている組は何階まで行くのか聞いてみたら、「43階です」と言われ、ギブアップ。一番低い階は9階からと聞いて、その組を待つことにした。

9階から5階を担当する組は、女性2人と子ども2人の4人組。応募した理由を聞くと、「前回は見ていただけだったが、子どもが大きくなって確認作業ができると思い、今回初めて集計報告ボランティアに応募した」という。1戸ごと玄関を見て、9階の1号室は無事の欄に✓、2号室は未貼付の欄に✓といったように記入していく。9階が終わると、また階段で降りて、8階を同じように回る。付いて見た限りは、半分以上がいずれかのカードをかけているという印象だ。

左:無事ですカードがドアノブのかかっている 右:1戸ずつ確認しながらシートに記入していく(筆者撮影)

左:無事ですカードがドアノブのかかっている 右:1戸ずつ確認しながらシートに記入していく(筆者撮影)

その集計作業を見ようと、一足先に1階の防災対策本部まで戻った。しばらくすると、最初にスタートした、43階~41階の組が確認を終えて戻ってきた。対策本部がその記入結果を見て、集計したり、ホワイトボードに書き込んだりしていく。

担当フロアの確認が終わって防災対策本部に結果を報告する(筆者撮影)

担当フロアの確認が終わって防災対策本部に結果を報告する(筆者撮影)

「早かったですね」と43階組の二人に筆者が声をかけると、一番乗りを目指してダッシュでやったのだという。ボランティアに応募したのは、その日が空いていたし運動になると思ったからという、エネルギッシュな若者らしい答えだった。

筆者が同行した9階~5階の組も含めて、続々と残りの組も報告にやってくる。同行した子どもに感想を聞くと、「ちょっと疲れちゃった」と。9階から5階まで同じ作業を繰り返すので、子どもには飽きてしまうことなのかもしれない。

きて、その集計結果がまとまって結果が公表される。集計に要した時間は36分、512戸の掲示率は51.7%だった。

集計結果。この右側には全住戸の状況が一覧になって掲示されている(筆者撮影)

集計結果。この右側には全住戸の状況が一覧になって掲示されている(筆者撮影)

スタンプラリーなど、多彩なメニューで楽しく参加できる工夫

実は、賃貸マンションであっても一定数以上の居住者がいる場合は、オフィスビルや分譲マンションと同様に、防火管理者を置いて、避難訓練などを行う必要がある。とはいえ、512戸となると訓練も大変なことだ。大勢が参加しないと訓練の意味がないが、賃貸居住者の防災意識は長く住み続ける分譲マンション住民よりは低くなりがち。そこで、参加しやすい工夫が必要となる。

「ぼうさいさい2023」と名付けられた防災イベントの内容を見ると、スタンプラリーや24キログラムの水を担いで屋上ヘリポートまで駆け上がる競争などが用意されている。ほかにも、消防署や警察署による訓練メニューもあり、なかなか充実している。

筆者が見た限りで最も参加者が多いように思ったのは、警察官の帽子や制服を着るコーナーだ。子どもに帽子や制服を着せて、親が写真を撮る姿が途切れることなく続いていた。ほかにも、消防車や白バイに乗る子どもの姿も多く見られた。小さな子どもでも気軽に参加できるからだろう。

「ぼうさいさい2023」のタイムテーブル(筆者撮影)

「ぼうさいさい2023」のタイムテーブル(筆者撮影)

スタンプラリーのメニューも多彩(筆者撮影)

スタンプラリーのメニューも多彩(筆者撮影)

筆者も体験!「蹴破り」「エレベータ閉じ込め」「煙」

さて、筆者が特に興味を持ったのは、「蹴破り」「エレベータ閉じ込め」「煙」の3つの体験だ。居住者でなくても参加できると聞いて、参加者に交じって体験してみた。

まずは「蹴破り体験」。火災のときの避難ルートは、一つは玄関からの避難。ただし、玄関に向かう方向で火災が発生しているときには、逆のベランダ側から避難することになる。ベランダが横に並ぶ形状のときには、隣戸の壁を蹴破って避難はしごのあるところまで行くことになる。この蹴破りが、意外に難しいと聞いたので、体験したかったのだ。

蹴破り体験。小さな子どもには蹴破りがなかなか難しい(筆者撮影)

蹴破り体験。小さな子どもには蹴破りがなかなか難しい(筆者撮影)

「蹴破り体験」の列に並んで、他の参加者のやり方を見ていると、小さな子どもでは力不足でなかなか蹴破れない。スニーカーではなくサンダル風の靴では特に難しそうだ。それでも、サッカーをしているという子どもは一度で穴を空けることができた。それを見て、筆者も思い切り蹴ったら、成功した。やはり避難時にはスニーカーだ。消防署の署員によると、壁に背を向けてかかとで蹴ると破れる場合もあるという。筆者の後の女性はかかとで成功していた。

蹴破り体験に筆者も挑戦(東急住宅リース撮影)

蹴破り体験に筆者も挑戦(東急住宅リース撮影)

次に、「エレベータ閉じ込め体験」へ。事前に衝撃があると言われたから冷静でいられたが、思いのほか衝撃が大きかった。その後は、連絡ボタンを押して外部と連絡を取る必要があるが、基本は中でドアが開くのを待つのだという。ほかの参加者に感想を聞いたところ、「衝撃が大きいのでびっくりしたが、災害時には冷静を心がけようと思う」「イメージトレーニングができた」といった声が返ってきた。

さらに、「煙体験」へ。消防署の署員から、煙は天井からたまっていくので低い姿勢で避難するのがよいと指導され、いよいよ煙が充満した通路に侵入。たしかに立ったまま見る景色としゃがんで見る景色では、見通しがかなり違う。避難を難しくする障害物として段ボールが置かれているが、立ったままではどこにあるかわかりづらい。段ボールを避けながら先に進むが、出口が見えないので距離感が分からない場所では相当な恐怖になるだろうと思った。

煙体験。左が立ったままの視線、右がしゃがんだ視線(筆者撮影)

煙体験。左が立ったままの視線、右がしゃがんだ視線(筆者撮影)

煙体験を終えた参加者に感想を聞いたところ、「見えにくかったけど、案外息はできた」「視界が悪いので段ボールが突然出てくるし、出口がどこにあるか分からないのが怖かった。白い煙だったが、黒い煙だともっと怖いと思う」。確かに白い煙で息はしやすかった。そこで再度、消防署員に煙について確認したら、体験なので無害の煙になっているが、実際の火災では煙もかなり熱く、燃え始めには有害な黒い煙が出るという。消火で水がかかると白い煙になるのだが、いずれも有害で息はしづらいのだという。こうした話を聞いたり、煙が充満する視界を体験したりして、心構えをしておくことが重要なのだと分かった。

ほかにも、AED(電気ショックを与えて正常なリズムに戻すための医療機器)訓練、消火器訓練などの防災に役立つメニューがあり、どれかひとつでも体験しておくと万一のときに役立つと思った。筆者も以前に、どちらも体験しているのだが、時間が経つと忘れてしまうので、繰り返し体験することが災害時に役立つと感じた。

AED訓練(筆者撮影)

AED訓練(筆者撮影)

消火器の使い方を体験する消火器訓練(筆者撮影)

消火器の使い方を体験する消火器訓練(筆者撮影)

自分が住む住戸を所有している分譲マンションでも、防災意識が高いとは限らない。自分たちで資産を守る役割の管理組合という組織のない、賃貸マンションであればなおさらだ。しかし、災害が発生した場合、近所の人たちと助け合って消火や救助に当たらないと、間に合わないということも多い。

タワーマンションであれば、エレベータが使えなくなる大変さを実感するだけでも、災害時の心構えが違うだろう。日頃の準備が災害時に大いに活きるものだ。