部屋探し、内見数は「3件」が最多

(株)アルティメット総研は、このたび「部屋探しと入居後のトラブル対策に関する意識調査」を行った。調査は2019年1月17日~2019年2月20日、同社運営サイト『ウチコミ!』の入居希望者会員を対象に実施。372名より回答を得た。部屋の内見をする際、どちらのケースが多いですか?では、「一度不動産会社へ行ってから内見」が64%、「直接現地で待ち合わせて内見」が36%。「一度不動産会社へ行ってから内見」が従来の部屋探しにおける慣習だったが、インターネット等の普及により、ネット上で問い合わせをし、現地で待ち合わせて内見をするという人が増えているようだ。

部屋探しで訪問した不動産会社の店舗数をみると、最も多いのは「1件」で32%。次いで「2件」29%、「3件」22%、「4件以上」10%、「0件」7%と続く。部屋を決めるまでに内見した物件数は、「3件」が最多で30%。「6件以上」21%、「2件」14%、「1件」12%、「4件」8%の順。「0件(内見はしなかった)」という人も7%いた。

入居後のトラブルとして、鍵の故障や紛失で部屋に入れなかったことはありますか?では、「ある」18%、「ない」82%。お風呂やトイレの水が出ない、詰まった経験がありますか?では、「経験はない」74%、「経験がある」26%。何らかのトラブルに遭遇してしまう方が少なからずいるようだ。

ニュース情報元:(株)アルティメット総研

ペットの室内飼い、飼い主6割以上が「蓄積臭」を実感

パナソニック(株)は、住宅の変化などにより注目が集まっているペットの「室内飼い」に着目し、このたび「室内ペットの蓄積臭」をテーマにアンケート・調査を行った。調査は2019年2月20日(水)~2月22日(金)、インターネットで実施。現在室内でペットを飼育しており、ニオイが気になったことがある人500名を対象に行った。

飼育歴が長くなるにつれて家の中のペット臭は蓄積していくと思いますか?では、64%が「蓄積していると思う」と回答。多くの飼い主が室内ペットの「蓄積臭」を感じていることが分かる。

ニオイの強さを他のものに例えてもらうと、「生乾きの衣類のニオイ」(21%)、「公衆トイレの中のニオイ」(15%)などが挙がった。飼っているペットや年数にも左右されるとはいえ、室内のペット臭を不快なニオイだと感じている人は少なくないようだ。

室内のペット臭対策の現状については、「対策を始めてから現在まで途切れることなく継続している」と答えた人は34%と、約3人に1人。一方で、「対策をやめた時期がある」または「対策をしたことはあるが、現在は対策していない」と答えた人は、約半数(47%)に上った。対策をやめてしまった人の理由で最も多かったのは「ペット臭に慣れた」「面倒になった」で、共に47%。「ニオイが取れず諦めた」(30%)、「お金の余裕がなくなった」(9%)などの回答もあった。

また、室内のペットのニオイが原因でトラブルを経験した飼い主も少なくないようだ。具体的には、「蓄積臭」を感じている人318名のうち、「人を家に招いたときにニオイを指摘された」経験がある人が約4人に1人(26%)。「ニオイがついたままの服で外出してしまった」という人も約5人に1人(22%)に上っている。

ニュース情報元:パナソニック(株)

7割強が「老後への備えなし」

日本法規情報(株)(東京都新宿区)はこのたび、「老後の意識に関するアンケート調査」を行った。調査は2018年11月12日~11月26日に実施。620人(男性305人、女性315人)から回答を得た。それによると、自分の老後に不安を抱いていますか?では、「はい」が87%、「いいえ」が13%。およそ9割の人が自分の老後に不安を抱いている結果となった。しかし、老後に向けて何かを備えていますか?では、「はい」が26%、「いいえ」が74%という結果で、老後に対し不安を抱いている人が多いにも関わらず、過半数の人は老後に向けて何も備えていないようだ。

相続や年金問題など、老後に起こりやすいとされるトラブルに巻き込まれたことがありますか?では、「経験がある」は6%、「自分はないが、身の回りで聞いたことはある」は26%、「自他共にない」は68%。「経験がある」「自分はないが、身の回りで聞いたことはある」の2項目を合わせると32%になり、およそ3人に1人がトラブルに巻き込まれたことがあるようだ。

実際に起きたトラブルの内容としては、「相続」が62%、「不動産」が14%、「病気・入院・介護」が8%、「生活費」が8%、「終活(葬儀やお墓など)」が5%、「その他」が3%。相続が大半を占めており、どのトラブルも時間や労力を要するものであるようだ。

また、そのトラブルに関して解決したかどうかでは、「解決もして、その内容に納得もしている」は30%で、「解決はしたが、その内容に不満がある」は32%、「解決していない」は38%だった。「解決はしたが、その内容に不満がある」と「解決していない」の2項目を合わせると70%となり、トラブルの解決結果に対して依然として不満を抱えている人が大半のようだ。

ニュース情報元:日本法規情報(株)

家賃は安い? 心霊現象はある? 事故物件住みます芸人にほんとのところを聞いてみた

テレビ番組の企画をきっかけに、2012年から6軒もの事故物件に住み続けている「事故物件住みます芸人」の松原タニシさん。「家賃は安いの?」といった疑問から、「室内はキレイ?」「心霊現象は起こるの? 怖くない?」といった、住んでみないと分からないアレコレ、今後も事故物件に住みたいかまで、聞いてきました。
大阪、千葉、東京の事故物件で暮らすが、家賃は思ったほど安くない

自殺や他殺、病死や孤立死など、なんらかの理由で人が亡くなった物件を指すことが多い「事故物件」。こうした事故物件は、「なんとなく怖そう」「家賃が安そう」といったイメージが先行しがちです。SUUMOジャーナルが2018年に実施した事故物件に関する調査でもそのイメージを聞いてみると、「家賃が安い」と「怖い・不気味」が7割を超え、「心理現象がありそう」(43.3%)がトップ3という結果でした。

「家賃が安い」「怖い・不気味」とイメージする人が圧倒的に多かった(出典/SUUMOジャーナル編集部)

「家賃が安い」「怖い・不気味」とイメージする人が圧倒的に多かった(出典/SUUMOジャーナル編集部)

実際にはどうなのでしょうか。まずは、家賃の安さから聞いてみました。

「まず、家賃の安さですが、イメージほど安くないです。例えば月15万円が7万円の半額になることはほとんどない。たいていは月1~2万円、安くなっている程度です。築年数が経過している古い物件だと、もともとが安くて5万円が3万円になっていることがありますね。ただ、初期費用は安くなっていることが多いです。敷金・礼金、ともにゼロだとか」といいます。そのため、お金がなく、生活にかける費用を抑えたいという人、人と違う経験をしてみたい人にはオススメだといいます。

「夢があるとか、仕事に打ち込みたい人は、家に帰って寝るだけの生活になりますよね。だから、家に気をつかう余裕がないし、部屋を癒やしの空間にしたいと思わなければ(笑)、事故物件はいい選択肢だと思います」と語るタニシさん。

では、多くの人が気になるであろう「心霊現象」については、どうでしょうか。松原タニシさんが本やトークライブなどでは、体験した心霊現象などを披露していますが、すべて実話なのでしょうか。

「本に書いてあることやライブで話していることは、実際にあったできごとです。でも、心霊現象というか、明らかに奇妙な映像が撮れたり、いろいろと変な体験をしたのは1軒目くらい。それ以降の部屋でそんなに毎日変なことは起きないですね。ただ、ロケで僕の部屋に訪れた霊感のある人が入りたくないと騒ぎになったり、僕自身が体に不調をきたすことはありました」とあっけらかんな様子。

また、ラップ音などの心霊現象についても、実際に暮らしていると慣れていくのだそう。

「はじめの一週間は、『あ、暮らしはじめて今日で一週間経過したな』って思って、やっぱり意識しているんですけど、二週間目から数えるのをやめて、1カ月くらい経過すると、『あ、音、鳴っているな、もうええわ!』ってなる(笑)」。ちなみに、たくさんの心霊現象は経験したものの、まだ「見た」ことはないのだとか。「だからこそ、一度、幽霊を見たいんですよ~」と熱く(?)語ってくれました……。いえ、聞いているだけでおなかいっぱいです。

自殺、孤立死、殺人……。事故物件の内容により気をつけるポイントは?

ただ、ひと口に事故物件といっても、自殺や他殺、孤立死、病死など、さまざまな種類があります。SUUMOジャーナルの調査で事故物件の内容による検討度合いを聞いたところ、内容によって検討度は大きく変わります。該当の部屋であっても自然死や病死であれば住むことを検討すると答えた人が約半数。さすがに該当の部屋で自殺や他殺があった場合には3割に届きませんでしたが、少数ながら検討する人はいて、需要はあるようです。

隣や上下階、同じ建物内など、該当の部屋でなければ「検討する」という人がそれぞれ約4割いた(出典/SUUMOジャーナル編集部)

隣や上下階、同じ建物内など、該当の部屋でなければ「検討する」という人がそれぞれ約4割いた(出典/SUUMOジャーナル編集部)

では、事故物件の内容によって住むうえでの注意点などはあるのでしょうか。

「自殺に関しては、全然、珍しくもないですし、慣れます。また、自殺の部屋の場合、死後すぐに発見されることが多いので、部屋の状態もよい場合が多いです。ただ、孤立死の場合は死後の発見が遅くなることも多いですし、もともとゴミがあふれていたりすると、虫が湧いていたり、ニオイなどもします。脱臭などで対策しても限界がある場合もあります……」と経験をあかしてくれました。

一方で、「他殺」が発生した事故物件は注意したほうがいいといいます。

「自分も経験しましたが、部屋に戻ってくることがあるんですよね、罪を犯した人が。刑罰にもよりますが、数年で出てくる場合もありますし、その人が知っている部屋になるので、やっぱり遭遇したときの怖さがあると思います」といい、心霊現象そのものよりも、生きている人間のほうが「怖い」というリアルを教えてくれました。

お仕事でなくても、事故物件に住んでみたいのですか?という質問にも、「住みたいですね、ここまで来たら、幽霊を見たいし、廃墟にも住んでみたいです。廃村にも興味が出てきました」と新しいジャンルにも意欲をみせるタニシさん。

「事故物件で暮らしているとね、人って死ぬよな、って当たり前のことに気がつくんですよ。人が死ぬっていいますけど、その人生があったこと、ストーリーがあるのを感じるんですよ。人生は限りあるし、明日があることも当たり前じゃない。限りある生命のうちに、いろんなところに住み、いろんな経験がしたい」と教えてくれました。

ホラーの特殊メイクそのままで、イベント後に駆けつけてくだったタニシさん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

ホラーの特殊メイクそのままで、イベント後に駆けつけてくだったタニシさん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

事故物件に住むと、人の死を当たり前のこととして受け入れられるように

ここまで豊富なネタがあると、異性にモテそうですが、そのあたりはどうなのでしょうか。

「まず、事故物件に暮らしていますっていうと、初対面でも盛り上がりますね。話題にも困らないですし、興味を持ってもらえることは多いです。ただ、実際に部屋に来るってなると別で、敬遠されてしまいます。モテにはつながらないかな」とさみしそう。では、タニシさん自身が、事故物件で暮らしてきたメリットはどこにあるのでしょうか。

「事故物件に住めたっていう、自信を得られるところでしょうか。これから先、一人暮らし世帯も増えているので自宅で亡くなる人も増えるでしょうし、多くの人が避ける事故物件を避けずにあえて突っ込んでいくことで、何かをクリアしていくというか、人の死を当たり前のこととして受け入れられるような気がします」とタニシさん。

事故物件に暮らしていると心が休まらないので、外出することが多くなりますと笑うタニシさんですが、事故物件には、そこで暮らした人たちのエピソードが色濃く詰まっています。もしかしたら、事故物件で暮らすということは、人間の光のあたる部分も見えない影の部分も、まるごと受け入れる、ということなのかもしれません。

スーモと共演するのが楽しみだったというタニシさん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

スーモと共演するのが楽しみだったというタニシさん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

●取材協力
・松原タニシさん Twitter
1982年生まれ、神戸市出身。テレビ番組の企画で事故物件に住むようになり、「事故物件住みます芸人」として数々の事故物件に住み続けている。2018年には実体験と実話をもとにした「事故物件怪談 恐い間取り」(二見書房)を上梓。全国の怪談やトークショー、インターネット配信などにも出演中。

入居者トラブルのトップは「家賃滞納・入金の遅れ」、12.4%が強制退去

(株)オーナーズ・スタイル(東京都中央区)は、賃貸経営情報誌「オーナーズ・スタイル」首都圏版の読者3万8,000名を対象に、「これまで起きた入居者トラブルについてのアンケート調査」を行った。調査時期は2018年3月。有効回答数は928。それによると、これまでに起きた入居者トラブルで最も多いのは「家賃滞納・入金の遅れ」で38.3%。そのうちの約1/3、12.4%が強制退去という結果となっているようだ。「退去時の敷金返還でもめた」も20.6%と、金銭トラブルは賃貸経営において代表的な障害であることが分かる。

次いで「室内の汚損」が30.8%、「ゴミ出しマナーが守られない」が29.3%と続く。「廊下などの共用部に物を置かれた」「集合ポスト付近のチラシ等の散乱」「ペット不可なのにペットを飼われた」なども上位で、ルールを守らない入居者への悩みは日常的なものと言える。

また、4.7%の大家が「入居者の孤独死」を、4.6%が「入居者の逮捕」を経験しているという。「入居者が反社会勢力だった」というケースも実数にして18件あった。

ニュース情報元:(株)オーナーズ・スタイル

国土交通省、サブリース契約に関するトラブルで注意喚起

建物所有者からアパートなどの賃貸住宅を一括して借り上げ、入居者に転貸する「サブリース」において、賃料減額をめぐるトラブルなどが多発している。そこで国土交通省と消費者庁が連携し、サブリース契約を検討している方、及びサブリース住宅に入居する方に対して、注意喚起を行った。サブリース契約は、一定の賃料収入が見込めることや、管理の手間がかからないことなど、オーナーにとってメリットがある一方、「家賃保証」と謳われていても、入居状況の悪化や近隣の家賃相場の下落により賃料が減額する可能性がある。また、「30年一括借り上げ」と謳われていても、契約書でサブリース業者から解約することができる旨の規定がある場合は、契約期間中であっても解約される可能性があり、賃貸住宅の老朽化等により修繕費用が必要になることなどもある。これらのことから、賃貸住宅のローン返済も含めた事業計画やリスクについて、オーナー自らが十分理解してから契約するよう注意喚起している。

また国土交通省では、賃貸住宅管理業の適正化を図るため、平成23年から任意の登録制度として賃貸住宅管理業者登録制度を実施している。同制度では、サブリースを含む賃貸住宅管理業の遵守すべきルールを設けており、登録業者はこのルールを守らなければならない。契約の相手方が登録制度に登録しているかをサブリース契約をする場合の判断材料にしてほしいとしている。

サブリース住宅に入居する方においても、オーナーとサブリース業者の原賃貸借契約が終了すると、サブリース業者と入居者との契約も終了し、退去しなければならない場合があること、入居者が前払い分の賃料をサブリース業者に支払っていたとしても、オーナーに対して二重に支払わなければならない場合もあることなどがあるため、入居に当たっては、オーナーとサブリース業者の地位の承継に関する契約内容などを確認することが大切としている。

ニュース情報元:国土交通省

国土交通省、サブリース契約に関するトラブルで注意喚起

建物所有者からアパートなどの賃貸住宅を一括して借り上げ、入居者に転貸する「サブリース」において、賃料減額をめぐるトラブルなどが多発している。そこで国土交通省と消費者庁が連携し、サブリース契約を検討している方、及びサブリース住宅に入居する方に対して、注意喚起を行った。サブリース契約は、一定の賃料収入が見込めることや、管理の手間がかからないことなど、オーナーにとってメリットがある一方、「家賃保証」と謳われていても、入居状況の悪化や近隣の家賃相場の下落により賃料が減額する可能性がある。また、「30年一括借り上げ」と謳われていても、契約書でサブリース業者から解約することができる旨の規定がある場合は、契約期間中であっても解約される可能性があり、賃貸住宅の老朽化等により修繕費用が必要になることなどもある。これらのことから、賃貸住宅のローン返済も含めた事業計画やリスクについて、オーナー自らが十分理解してから契約するよう注意喚起している。

また国土交通省では、賃貸住宅管理業の適正化を図るため、平成23年から任意の登録制度として賃貸住宅管理業者登録制度を実施している。同制度では、サブリースを含む賃貸住宅管理業の遵守すべきルールを設けており、登録業者はこのルールを守らなければならない。契約の相手方が登録制度に登録しているかをサブリース契約をする場合の判断材料にしてほしいとしている。

サブリース住宅に入居する方においても、オーナーとサブリース業者の原賃貸借契約が終了すると、サブリース業者と入居者との契約も終了し、退去しなければならない場合があること、入居者が前払い分の賃料をサブリース業者に支払っていたとしても、オーナーに対して二重に支払わなければならない場合もあることなどがあるため、入居に当たっては、オーナーとサブリース業者の地位の承継に関する契約内容などを確認することが大切としている。

ニュース情報元:国土交通省

住まいのトラブル調査【購入編】居住中に起こったトラブル、どこに相談した?

住まいのトラブル調査。購入編の第2弾は居住中や、リフォーム、リノベーションでの具体的なトラブル内容の紹介と、相談相手についてです。知っておけば、たとえトラブルに巻き込まれても落ち着いて対応できそうですね!
居住中のトラブルは、「雨漏り」や「騒音」 リフォームでは「高額請求」など

前回、物件探しや契約時、建設中、内覧の具体的なトラブルを取り上げましたが、今回は実際に住んでから、そして購入物件ならではのリフォーム、リノベーション時のトラブルについてご紹介します。

【居住中】
・外壁塗装が剥がれてきて困った(28歳・女性)
・隣に越してきた人が飼う意思もないのに野良猫に餌をやって居ついてしまい、飼い犬の餌の横取りをしたり、けがを負わさせられた(38歳・女性)
・隣に住む人からの嫌がらせ。子どもが夜中に泣いたりぐずったりしたときに、壁を叩いて威嚇されたり、ベランダ越しに暴言を言われた(47歳・男性)
・暴風雨のときに雨漏りするようになった。管理組合がきちんと対処せず、いつまでたっても修繕しない(47歳・男性)
・隣で炭を使ったバーベキューをしていて、洗濯物等に肉のにおいがついた(事前に断りなし)(57歳・男性)

【リフォーム・リノベーション時】
・入居前にフロアコーティングしたら、フローリングが傷ついた(37歳・女性)
・見積もりよりも高額な請求をされた(59歳・女性)
・塗装忘れや外壁の破損などが見つかった(50歳・女性)
・リフォームをするために家の中の壁をはがしたら、雨漏り箇所が見つかった。雨漏りの原因が最初に建てた時点でのやり忘れだったと思われるが、築年数がたっていたため、建設会社の免責となった(47歳・女性)
・管理組合への申請が遅れたため、入居までに間に合わず、土日も対応してもらった(52歳・男性)
・屋上工事の際に雨漏りがした(51歳・男性)

特に居住中のトラブルはコメントが多く、騒音や生活マナーなどのトラブルが挙げられました。リフォーム、リノベーションに関しては、見積もりと異なる請求や工事の遅れ、作業ミスなどのトラブルが多いようです。

トラブル時に相談するのは「家族、知人、友人」に次いで、「管理組合」「建設会社」

トラブルに巻き込まれたとき、みんなはどう行動しているのでしょうか。実際にトラブルにあった人に、トラブルや困ったことについてどこかに相談したか聞いたところ、「家族、知人、友人」に相談した人が34.7%、「管理組合、管理会社」が30.6%、「建築会社、施工会社」23.1%となりました。

トラブルの際には、まず家族や知人、友人など、気の許せる人に相談する人が多く、相談した結果、トラブルの内容によって管理組合や管理会社、建築会社、施工会社に相談しているのかもしれません。

トラブル内容により解決可能な相談相手が異なる。誰に相談するかを見極めるのも重要(出典/SUUMOジャーナル編集部)

トラブル内容により解決可能な相談相手が異なる。誰に相談するかを見極めるのも重要(出典/SUUMOジャーナル編集部)

また、そのトラブルが解決した人は6割を超えていました。トラブルにあっても、然るべき相手に相談をすれば、トラブルを最小限にできたり、解決できるため、一人で悩むのではなく誰かに相談することから始めてみることが重要なようです。

トラブルを経験した人の6割以上が解決したと回答(出典/SUUMOジャーナル編集部)

トラブルを経験した人の6割以上が解決したと回答(出典/SUUMOジャーナル編集部)

相談しなかった理由は「面倒だったから」「当事者だけで解決しようと思ったから」

一方、Q4で「どこにも相談しなかった」と回答した人は19.0%いました。トラブルに遭ったにもかかわらず、誰にも相談しなかったという人の理由で一番多かったのは「面倒だったから」(28.6%)、次いで「当事者だけで解決しようと思ったから」(25.0%)、「相談先が分からなかったから」(21.4%)でした。

誰にも相談をしなくても問題が解決することはあるかもしれませんが、誰かに相談すると、問題解決への近道を教えてもらえたり、実際に問題を解決してもらえたりと、プラスになることが多いはず。誰に相談していいか分からない場合には、まず家族、知人、友人に相談したり、インターネットで同じようなトラブルに遭った事例を探してみるといいでしょう。また、過去に住まいを購入している人にアドバイスをもらうのもよさそうですね。

トラブルに遭う前に、トラブル回避のためのアドバイスをもらうのも重要ですが、それでもトラブルに巻き込まれることはあり得ます。万が一トラブルにあってしまったら、誰かに相談することで解決する確率がぐっと上がるようなので、一人で抱え込んで悩むのではなく、まずトラブル内容を誰かに相談してみて。それが解決への第一歩となるはずです。

●調査概要
・[住まいのトラブル調査 購入編]より
・調査期間:2018年3月12日~13日
・調査方法:インターネット調査(ネオマーケティング)
・対象:全国の購入物件(一戸建てまたはマンション)にお住まいの20歳~59歳の方
・有効回答数:男女600名(新築一戸建て150名、中古一戸建て150名、新築マンション150名、中古マンション150名)

住まいのトラブル調査【購入編】購入物件で一番多いトラブルは「近隣トラブル」!

住まいのトラブル調査シリーズ。賃貸編に続き、購入編です。賃貸住宅とトラブル内容は異なるのか、トラブルにあったことのない人はどんな回避法を行ったのかなどを紹介します。また、物件探しや契約時、内覧までの期間に経験した具体的なトラブル内容を大公開。賃貸編との違いもチェックしてみてくださいね。
購入物件では「近隣トラブル」がトップ

前回の賃貸編では、「物件の欠陥や設備の故障などのトラブル」(67.7%)がトップ、次いで近隣トラブル(61.0%)が多い結果だったトラブル内容。購入物件の場合には、どのような結果となるのでしょうか。

結果は、「近隣トラブル」(14.8%)が1位、「物件の欠陥や設備の故障などのトラブル」(10.7%)が続きました。購入物件の場合、町内会への参加やゴミ出しなど、周囲のご近所さんと付き合いややりとりが多くなります。そのため、賃貸物件では2位だった近隣トラブルが購入物件ではトップなのかもしれません。また、物件の欠陥、設備の故障に関しては、購入物件は事前によく確認してから契約に至ることが多いので、賃貸物件よりも数が少ないのでしょう。
その他、購入物件ならではのリフォームやリノベーションでのトラブルも6.2%ありました。

トラブルのなかでは近隣トラブルが1位だが、各項目「経験したことがない」と回答した人が8割を超えた(出典/SUUMOジャーナル編集部)

トラブルのなかでは近隣トラブルが1位だが、各項目「経験したことがない」と回答した人が8割を超えた(出典/SUUMOジャーナル編集部)

一方、「トラブルを経験したことがない」と回答した人に、トラブル回避のために気を付けていたことを聞いてみると、以下のようなコメントが挙げられました。

【購入前に気を付けたこと】
・購入前に、マンションに住んでいる人がどのような人なのかなど情報収集を行った(55歳・男性)
・住宅関係の知人にいろいろアドバイスをもらった。防犯対策にも気をつけたい(49歳・男性)
・トラブルについて、ネットで調べた(45歳・男性)
・口頭でやり取りしない、必ず文書で残す(50歳・女性)
・信頼できる会社、信頼できる担当者と交渉した(47歳・女性)
・購入するときに、その土地柄、雰囲気などを不動産会社に聞き、理解した上で購入を決めた(44歳・女性)

【購入後に気を付けたこと】
・近所付き合いは、こまめにする(54歳・男性)
・日ごろから顔を合わせたら挨拶をしておく(46歳・男性)
・夜はテレビの音を小さめにしたり、子どもに騒がないように言い聞かせていた(37歳・男性)
・事前にご近所に挨拶回りをした(58歳・女性)
・多少のことは我慢する。生活音などに気を付ける(54歳・女性)
・近所の人に不快な思いをさせないように騒音やペットの臭いなど 気を付けている(47歳・女性)

物件探し、契約時、内覧でのトラブルは「納期遅れ」「施工ミス」など

どんなシチュエーションにおいてもトラブルは起こり得ますが、物件探しや契約時、建設中、内覧のトラブルは、事前に知っておけば防ぐこともできそう。具体的にどんなトラブルがあったのかチェックしてみましょう。

【物件探しのとき】
・近隣建物やその付近で、違法建築で建築中のものがあった(54歳・男性・新築マンション)
・希望の物件を紹介してくれなかった(49歳・男性・中古マンション)
・マンション購入を決めて、手続き中に売り切れたということが何度かあった(34歳・女性・中古マンション)

【ローン契約、物件契約時】
・ローン仮審査の時仲介業者が報告を怠ったため延期になった(40歳・男性・中古マンション)
・地下埋設物処理(57歳・男性・中古一戸建て)
・10年以上働いていると思っていたが、ローンを組む段階で実際は10年以内だったので、予定していたローンの審査が通らなかった(49歳・女性・新築マンション)

【建設中】
・隣地の所有者にある権利を主張された(49歳・男性・新築マンション)
・工程の遅れで、子どもの進学に影響があった(48歳・男性・中古一戸建て)
・境界の塀をつくるのに、合意が得られなかった(58歳・女性・中古一戸建て)

【内覧のとき】
・カウンターキッチンにひびが入っていた(58歳・男性・新築マンション)
・排水が漏れた(52歳・男性・新築一戸建て)
・造り付けの棚がゆがんでいた(37歳・女性・新築マンション)

購入物件では、物件探しから始まり、契約、建設、内覧まで、実際に住むまでにいくつもの工程があるため、トラブルが起こる確率も賃貸物件よりも高くなる可能性があります。しかし、実際に起こったトラブルを事前に知っておくことで避けられるトラブルも多いはず。これから物件購入を検討されている方は、今回のトラブル事例を参考にして、面倒なトラブルに巻き込まれることがないよう、快適な新生活のスタートに役立ててくださいね。

●調査概要
・[住まいのトラブル調査 購入編]より
・調査期間:2018年3月12日~13日
・調査方法:インターネット調査(ネオマーケティング)
・対象:全国の購入物件(一戸建てまたはマンション)にお住まいの20歳~59歳の方
・有効回答数:男女600名(新築一戸建て150名、中古一戸建て150名、新築マンション150名、中古マンション150名)

自治体によって違う! 「ごみ出しのルール違反」はトラブルの元 賃貸管理のプロに聞く[10]

ご近所に対する不満として登場することが多い「ごみ出しのマナー」。実は、ごみに関するクレームを言ってくる方のほとんどは匿名です。他人の捨てたごみに関して、誰が捨てたか監視したり、中身をチェックしたりすることに抵抗のある方が多い証拠だと思いますが、クレームを言う側の「口うるさい人だと思われたくない」という気持ちがこの問題を厄介にしています。
みんなが嫌な思いをしないためにも、どんなときにごみに関するクレームが発生するのかを学び、予防に努めるのが得策だと思います。それでは、実際に発生したごみクレームの事例を見ていきましょう。

【連載】賃貸管理のプロに聞く
賃貸仲介・管理の現場に20年以上携わっているプロが、賃貸物件に住む人から相談の多い事例と解決方法をご紹介する連載です。ごみ出しのクレームが発生する理由は、自治体ごとにルールが違うから

これまで連載では、ご近所トラブルが発生しやすいのは「新しく引越してきたタイミング」であると書いてきましたが、「ごみ出し」に関するトラブルも同じです。

これは、ごみ出しのルールが自治体ごとに違うことが大きな原因となっていると思います。

まず多いのは、分別の間違いによるご近所トラブルです。ごみの分別に関しては、分別するごみの種類が多い地域と少ない地域との差がかなりあるため、きちんと分別しているつもりでも実は間違っていることが多々あります。

東京23区で見ても、例えば足立区は「燃やすごみ、燃やさないごみ、資源ごみ、粗大ごみ」の4種類の分別で、資源ごみは「古紙、びん、缶、ペットボトル」に分かれており、新しく引越してきた人にも比較的分かりやすくなっています。

一方で、リサイクルに力を入れている練馬区では、一般的な分類に加えて、古着・古布や使用済み食用油、なべやフライパンなどを区立施設で回収していたり、携帯電話などの有用金属をリサイクルしたり、家庭用のインクカートリッジをプリンターメーカーと協力してリサイクルするなどしています。なんと、在宅医療で出る注射針まで薬局で回収していると言うから、その意識の高さに驚きです。

例えば練馬区から足立区への引越しならば問題は起こりにくいのですが、逆のケースだった場合どうでしょうか。今までと同じように分別して出していたら当然目立ってしまいますし、回収されずに集積所に残されればクレームの原因になってしまいます。

「ごみ出しをする時間」にもルールが!

完璧にごみを分別してもクレームになってしまうケースもあります。その原因は、ごみ出し時間のルール違反でした。

分別のルールだけでなく、ごみを出してよい時間帯も各自治体で異なります。ある方は「前日の夜に出してよい地域」から「当日の朝にしか出してはいけない地域」へと引越ししたため、夜にごみを出してご近所の方に見咎められてしまいました。

また、最近は24時間ごみ出し可能なマンションが人気ですが、比較的規模が大きく管理費も高めのマンションでないと導入は難しいものです。こういう便利なマンションに慣れていて、その感覚のまま地方転勤などで24時間ごみ出しができない賃貸に引越したケースなどは、ご本人も大変かもしれません。

なぜなら24時間ごみ出し可能な物件は、入居者さんがマンション専用のごみ庫に出したごみを、収集日に合わせて作業員の方が表に出してくれており、間違った分別をやり直してくれる場合もあるから。

そんな至れり尽くせりの暮らしに慣れてしまっているためか、ごみ出しに関してあまり知識が無い、といったケースもあるのです。するとごみ出しの時間に決まりがあることを知らなかったり、知っていても「ちょっとくらいいいか」と夜中に出してしまったりしてトラブルになることがあります。

夜にごみを出したらだめなのはなぜ?

では、なぜごみを夜のうちに出してはいけない地域や物件があるのでしょうか。それにはいくつか理由があります。

生活スタイルが多様化して暮らしのサイクルが人によって異なるため、ごみを出したい時間も人それぞれ。ただでさえ一週間のうち半分以上が何らかのごみ収集の日に当たるのに、みんなが自由な時間にごみを出してしまうと、ごみ集積所はいつでもごみがあるような状況になってしまいます。

割れ窓理論(割れた窓をそのままにしていると、そこにはごみが捨てられ、環境が悪化し、犯罪が増える)をご存じの方も多いと思いますが、われわれ管理会社の経験から言っても「ごみがさらなるごみを呼ぶ」という法則が確かにあると感じています。ごみが常にある状態にしておくと、不法投棄が増え、周辺が汚れ、環境が悪化していくのです。

また、地域によっては長時間置いておくと猫やカラスに荒らされてしまうこともあります。もっと困ることには、長時間置かれているごみは放火の原因にもなるのです。周辺の住環境を保つためにも、ごみ集積所の近くに住んでいる人の安全のためにも、ごみ出しの時間帯はきちんと守りたいものです。

本当に迷惑なのは不法投棄!!

これまで小さなルール違反の話をしてきましたが、私たち管理会社が一番困っているのは、「粗大ごみの不法投棄」です。

不法投棄されやすい賃貸住宅では防犯カメラを設置したり、ごみストッカーを設置したりして捨てられにくくするなどの対策を取っています。本来は賃貸住宅の住環境を安全に保つための防犯カメラが、入居者さんへの疑いの目として利用されることはとても残念ですが、物件によっては入居者さん自身による不法投棄が多いところがあることも事実なのです。

不法投棄が頻発するのは引越しで退去するタイミングが多いため、防犯カメラを見てみるとせっせと粗大ごみを運んでいる引越し予定の人が映っていることがあります。また、普段から不法投棄を苦々しく思っている入居者さんからの目撃証言で犯人が発覚したりもします。

犯人が発覚したらもちろん注意するわけですが、粗大ごみは事前申し込み制の自治体が多く、申し込んでから回収までに数週間掛かる場合もあり、「引越し日に間に合わなかったのでつい……」と言われることもしばしば。注意されて嫌な思いをしないためにもきちんと正規の捨て方で捨ててほしいものです。

また、引越し当日に粗大ごみ回収の業者さんを呼んで、「値段が高すぎる!」とトラブルになっている人を時折見かけます。急ぎで依頼したいときは、自治体の粗大ごみ受付センターに一度相談してみましょう。もしくは私たち管理会社に事前に連絡をいただければ、リフォーム業者さんに粗大ごみ回収を依頼できる場合もあります。しかし、いずれの場合も自治体の回収より高額になりますので、前もって計画を立てて粗大ごみを捨てるのが一番です。

【画像1】粗大ごみを運ぶ住人(イラスト/藤井昌子)

【画像1】粗大ごみを運ぶ住人(イラスト/藤井昌子)

ごみをきちんと分別してルールを守っている人は、少しでも違反をしている人のことをとても厳しく見ているケースが多いように感じるかもしれません。しかし、ごみ出しのマナー違反は他の入居者さんやごみ集積所を共有している近隣の方に迷惑を掛ける行為なので、怒るのも無理はないと感じます。

なぜなら、ひどい状態が続けば、何らかの対策を取らざるを得なくなり、管理費が値上げになってしまう可能性もあるのです。また、ごみ集積所が回収されないごみでいっぱいの物件は、入居募集をしても決まりにくく、物件自体の価値も下がってしまうため、大家さんやわれわれ管理会社にとっても本当に困る行為です。

お互いに気持ちよく暮らすために、お住まいの地域や物件のルールをしっかり確認して、きちんとごみを出してくださいね。

谷 尚子谷 尚子 賃貸住宅での暮らし応援団
独立系の賃貸管理会社ハウスメイトパートナーズに勤務。仲介・管理の現場で働くこと20年超のキャリアで、賃貸住宅に住まう皆さんのお悩みを解決し、快適な暮らしをお手伝い。金融機関・業界団体・大家さんの会等での講演多数。大家さん・入居者さん・不動産会社の3方良しを目指して今日も現場で働いています。●「賃貸管理のプロに聞く」記事一覧
・賃貸管理のプロに聞く[1] 入居後のトラブルで一番多い「騒音」問題の解決方法とは
・賃貸管理のプロに聞く[2] 一人暮らしの女性必見!「のぞき・ストーカー・痴漢被害」を防ぐ方法とは
・賃貸管理のプロに聞く[3] 意外と多い「漏水」被害。被害者、加害者になったらどうする?
・賃貸管理のプロに聞く[4] こっそり飼育は必ずバレる! ペットクレームあるある&解決法
・賃貸管理のプロに聞く[5] 火事になってからでは遅い! 賃貸暮らしの人に必要な防災の知識とは
・賃貸管理のプロに聞く[6] 誰もが避けたい「ご近所トラブル」。発生にはお決まりのタイミングが!?
・賃貸管理のプロに聞く[7] 住人の“暗黙ルール”を見極めよ! 駐輪場でのトラブルを防ぐコツとは
・賃貸管理のプロに聞く[8] 他人にとっては非常識!? 「バルコニー」はトラブルの種だらけ
・賃貸管理のプロに聞く[9] 私物を放置していない? 「共用廊下」でクレームが起こるメカニズム

それってリフォーム詐欺かも…? 悪徳業者の手口と対抗策

心躍るリフォーム。その一方で昨今は、悪徳会社による「リフォーム詐欺」も世の中を騒がせています。 詐欺に巻き込まれないまでも、業者の見極め方やいざというときの解決策を知りたいところ。欠陥住宅問題やトラブル解決に取り組む「NPO法人 建築Gメンの会」理事長の大川さんにポイントを伺いました。
耐震、床下、屋根など次々と契約を迫る。こんな事例があるので注意!

詐欺事例のなかでは、「次々詐欺」といわれる手口が非常に多いという大川さん。いくつかの事例を紹介します。

<ケース1>点検しますという訪問で床下を見て「湿気がすごい」などと言って不安をあおり、本来ならば必要のない工事の契約を勧めてくる。その契約がとれると、次は屋根、外壁、小屋裏を見て、同じ手口で次々と工事の契約を勧めてくる。検査の結果、通常の2~3倍の工事費を支払ってしまった(建設業法による建設業登録不要な500万円未満の工事となるよう、複数回に分けて契約させる手口)

<ケース2>「近所を回っているのですが、床下のシロアリ検査を無料でしますよ」と訪問。「さらに屋根の瓦が傾いているのが気になります」などといって、このままだと雨漏りするので屋根全体を工事したほうがいいと言われ、つい流れで即日契約。

また、工事自体は行っているので一見正当性があるように見えるが、不合理な工事やずさんな工事をされてしまうこともあるという。なかには感情に訴えてくる手法もあるとのことです。

<ケース3>外壁の補修が必要という名目で訪問。塗装も行ったがその後の第三者検査の結果、塗装の質が悪かったり、養生の仕方が雑で、塗料があちこちに飛散。また鍵穴が塗料で埋まっていたり、ドアまで塗装されて開かなくなったり。加えて床下の換気効率を上げなくては腐るといわれたものの、調湿材を敷きこむ工事をされ、逆にその調湿材が湿気をため込んでしまい換気効率がダウン。結局別業者に依頼することに。

<ケース4>複数人で業者が訪問。屋根や外壁などのリフォームを提案し、その場で大まかな見積もりを提示。「高すぎる」と断ったところ、その場で一人が「上の者を説得します」と電話。その間、別の人間が家主に家の思い出などを聞き、いい人をアピール。その後電話をしていた業者が「金額をこれだけ抑えられました!説得できましたよ」と努力をアピール。まあそれならと契約書にサインしてしまい、必要のない工事や相場より高い工事を行う。

【画像1】ひび割れや塗装はげなど外から見て分かるような家は、悪徳業者に口実をつくられやすく狙われやすい(写真/PIXTA)

【画像1】ひび割れや塗装はげなど外から見て分かるような家は、悪徳業者に口実をつくられやすく狙われやすい(写真/PIXTA)

あやしい業者かどうかを見極めるには

もしも悪徳リフォーム業者が接触を図ってきたら……。どんな業者があやしいのか、見極めのポイントを教えてもらいました。

<1>いきなり訪問してくるリフォーム業者
突然訪問が多い。まったく心当たりのない業者の訪問には、話に乗らず、できるだけ家に入れないことが肝心。

<2>その日のうちに見積もり、契約を迫ってくる
悪徳業者は工事の既成事実をつくるために即日契約、次の日に工事開始と急いでくる。話を聞いて建物を見せてしまっても、契約までには検討期間を設けるのが防衛手段に。

<3>その場で「耐震診断を行う」「見積もりを出す」などと言い出したら疑うべし!
もちろんリフォーム業者によるが、本来はその場ですぐにできるものではないので、できる、出すと言ったら悪徳業者の確率が高い。

アポなし訪問の業者の全てが悪徳とは言い切れないが、やはり「いきなり訪問販売をしてくる業者」には注意をしたほうがよさそうです。

また悪徳リフォーム業者に引っかかりやすい人の特徴として大川さんは次のように話します。
「高齢者のみの世帯(特に独居高齢者)がターゲットになることが多いですね。こうした方々は築年数の古い家に住んでいて、自分で自由に使えるお金を持っていることが多い。オレオレ詐欺などもそうですが、やはり高齢者を狙ってくる率が高いです。また子ども世帯が遠方に住んでいて疎遠だと、相談もしにくく、子どもが訪れたところ、詐欺工事がすでに行われていたというケースも多いです。独居が長かったりすると人情にもほだされやすいですね。防衛するためには、家族はもちろん、普段から隣近所とコミュニケーションをとり、誰かに相談できる体制をつくっておくことが大切だと思います」

だまされた!と思ったら、どこに相談すればよい?

「公的な相談機関が第一歩だと思います。例えば公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター、消費生活センターですね。こうした機関は無料相談を受け付けていたり、検査を行える建築士や消費者被害に詳しい弁護士をあっせんしてくれるなどの対応をしてくれます」(大川さん)

またいざ訴訟となる場合、法的な観点から直接弁護士に相談するのも手。クーリングオフ制度も使えるので、適用される内容や期限なども聞いておきたいところです。さらに建築目線で工事が適当かどうかを素人が判断するのは難しいので、信頼できそうなリフォーム業者に相談するのもひとつの手段です。さらに建築Gメンの会のような、専門家の視点で検査や技術的な側面から工事を評価できる建築士も相談に乗ってくれます。

「とにかくあやしい、だまされたかも、と思ったらなるべく早く相談するのが大切です。前述したとおり、悪徳業者は契約から工事までが早いです。工事の既成事実をつくられたり、工事完了して逃げられたりしたら厄介になります」

【画像2】NPO法人建築Gメンの会理事長・棲建築事務所代表取締役 大川照夫さん(写真撮影/山口俊介(BREEZE))

【画像2】NPO法人建築Gメンの会理事長・棲建築事務所代表取締役 大川照夫さん(写真撮影/山口俊介(BREEZE))

誰しも思い入れのある住まい。長く快適に暮らすためのリフォームはとても大切。そこに付け込んでくるような悪徳な業者に引っかかって悲しい思いをしないためにも、ぜひ今回上げたポイントを参考に、被害にあわないよう心掛けたいところです。特に高齢者をターゲットにすることが多いということで、自分だけでなく親のことも考えて、注意しておくことが必要になるのではないでしょうか。

●取材協力
・一級建築士/NPO法人建築Gメンの会理事長/棲(すみか)建築事務所代表取締役 大川照夫さん

私物を放置していない? 「共用廊下」でクレームが起こるメカニズム 賃貸管理のプロに聞く[9]

共用部の使い方で嫌でも目についてしまうのが共用廊下や階段です。

私たち管理会社にも苦情が多く寄せられる部分なのですが、すぐには対処できないのが実は厄介なところ。なぜなら、騒音や自転車が止められないなどの問題と違い「今自分に直接迷惑がかかって困っている」というよりは、「危険な気がする」「見ていて何となく不愉快」というレベルから発展していくことが多いからです。

今回は共用廊下にまつわるクレームの発生と、そのクレームが悪化するメカニズムまで見ていきましょう。【連載】賃貸管理のプロに聞く
賃貸仲介・管理の現場に20年以上携わっているプロが、賃貸物件に住む人から相談の多い事例と解決方法をご紹介する連載ですそもそも、共用廊下に私物を置いてもいいの?

マンションやアパートの共用廊下に、私物を置く方がいらっしゃいます。遭遇することが多いのは、子ども用のベビーカーやおもちゃ、キックボードや自転車など。大人が使うものだと、レジャーに使う道具や、車や自転車関連の道具など。傘立てや植木鉢などを置いている方も見かけます。室内に置くには場所を取ったり汚れたりする、という種類のものが共用廊下に置かれがちです。

そもそも共用廊下に私物を置いていいのかと言うと、答えはNOです。消防法や自治体の火災予防条例にも規定があるため、消防署の査察や消防用設備等点検の際に、「共用廊下や階段に置いている物を撤去してください」と指摘されることがあります。地震や火災が発生した際に避難の邪魔になったり、火が燃え移って避難路がふさがれたりすることがないようにするためです。

邪魔にならないなら、私物を置いてもいいの?

では、避難の邪魔にならなければ私物を置いてもいいのでしょうか。

「傘立てや自転車の空気入れなど小さなものをちょっと置くくらいなら、うるさく言わなくてもいいのでは?」と思う方も多いと思います。玄関ドアが廊下から少し奥まっている建物などは、そこにものを置いても廊下自体の幅には関係なく、避難の邪魔にはならないように思えますよね。

しかし、いざ火災が発生すると、そこに置いたものが廊下側に倒れないとも限りません。照明が消えて暗くなったり煙が充満したりするなかで、誰かがそれにつまずいてけがをしたり、逃げ遅れてしまったりしたとしたら、それはとても大きな問題です。

それなら、エアコンの室外機置場などの上に、廊下側にはみ出さないように倒れないものを置いた場合や、一番端の部屋で廊下部分が他の方の避難通路になっていない場合は、専用スペースとしてものを置いてもよいのでは? と思う人もいるでしょう。

実はこれもNGです。これはこれで「見苦しい」と感じる方や「子どもが触ったら危ない」と心配する方からクレームが来ることがあります。

そもそも、クレームが発生していなかったとしても、共用部分の使い方に決まりがある場合はNGです。たいていの賃貸借契約書には、階段や共用廊下に物を置くことを禁止する条文が入っています。気になった方は、チェックしてみましょう。

「もうちょっと……」、が思わぬクレームに発展

クレームを言って来られる方の話をお聞きすると、たいていの方は「前々から気になっていたが、だんだん置かれるものが増えてきた」とか、「ずっと放置されているので汚い、不要なごみを放置しているのではないか」などと仰います。

私の過去の経験で「これはさすがに見苦しいし非常識だ」と思ったのは、共用廊下で洗濯物を干していた方です。現場に見に行くと、廊下の手すりだけでなく廊下に面している共用階段の手すりにまで洗濯物がずらり。手すりだけでは足りなかったのか、エレベーター前の広くなっているスペースに物干しざおが渡してあり、運動靴までぶら下がっている始末です。

【画像1】共用廊下に洗濯物を干す居住者(イラスト/藤井昌子)

【画像1】共用廊下に洗濯物を干す居住者(イラスト/藤井昌子)

クレームを言って来られた方にお聞きしたら、最初は部屋の前だけに干されていたのが、日を追うごとにだんだんと洗濯物が増えてきて今の状態になったとか。「恥ずかしくて晴れた日には人を呼ばないようにしている」と言われてしまいました。

これでは、もし募集中の空室を見に来た方がいても決まるわけがありませんので、安全の問題だけでなく、大家さんの賃貸経営にも迷惑がかかることになります。

こんなにひどい例にはめったに遭遇しませんが、共用廊下に物を置いていてご近所からクレームになるときには“ある傾向”があります。それは、「注意されないし、もう少しくらい大丈夫かな?」と少しずつ置くものを増やしたり、使わないまま放置したりと“行為がエスカレート”してきたときです。悪気なくやってしまう方がほとんどなので、廊下に置いてあったものを片付けて「すみませんでした」と謝って終わらせたいですよね。

しかしながらクレームを言って来られる側は「うるさいと思われると嫌なので、自分が苦情を言ったと相手に分からないようにしてほしい」と匿名を希望される場合がほとんど。注意された方は誰に言われたのか分からず謝ることすらできません。

同じ階にお住まいの方から不快に思われていたのに、その相手が誰だか分からないというのはやはり気分が良いものではありませんよね。共用廊下に私物を置いている方は、他人から指摘される前に、わが身を振り返り、気を付けたいものです。

安心安全快適な住環境は、みんなでつくるもの

「ちょっとだけ」の気持ちで置いたものを他の人が見て「あのうちも置いているから私も置こう」と置く人が増え、「注意されないからもう少しくらい増えても大丈夫だろう」と置く量も増えていくのが、この問題の悪化のメカニズムです。

そして、われわれ管理会社がとても困るのが、私物の放置を注意したときに、「今までもずっと置いていたのに今さら注意されるのはおかしい」と言われたり、「あの人も私物を置いているのに私だけ注意されるのはずるい」と反論されてしまったりすることなのです。

共用廊下や階段に私物を置かないのは、お住まいになる方全員の安全のためや、住環境を守るためなので、おかしい、ずるいという議論になるとわれわれも本当に困ってしまいます。

置くものの種類や量や置いている期間について、どこまでが良くてどこからがダメかという決まりをつくるのは本当に難しく、入居者さん同士でクレームになった場合は、われわれも「全てダメですよ」と言わざるを得なくなります。

共用廊下は日常的に目に付きやすい部分なので、自分は普通に使っているつもりでも、もしかしたら苦々しく思っている人がいるかもしれません。

心当たりのある方はクレームになっていないうちに気をつけていただけると、ご自分も嫌な思いをしなくて済むと思います。逆に、他の人の置いている荷物が増えたり起きっぱなしになっていたりしていることに気がついた方は、ひどくなってからでは解決に時間がかかってしまうので、ぜひお早めに管理会社や大家さんに教えてくださいね。

お互いが節度をもって暮らすこと、そして、自分は良くても他人の迷惑になったり不快に思われたりする可能性があるという視点をもつことが、共同住宅で気分良く暮らす秘訣だと思います。

谷 尚子谷 尚子 賃貸住宅での暮らし応援団
独立系の賃貸管理会社ハウスメイトパートナーズに勤務。仲介・管理の現場で働くこと20年超のキャリアで、賃貸住宅に住まう皆さんのお悩みを解決し、快適な暮らしをお手伝い。金融機関・業界団体・大家さんの会等での講演多数。大家さん・入居者さん・不動産会社の3方良しを目指して今日も現場で働いています。●「賃貸管理のプロに聞く」記事一覧
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・賃貸管理のプロに聞く[8] 他人にとっては非常識!? 「バルコニー」はトラブルの種だらけ

他人にとっては非常識!? 「バルコニー」はトラブルの種だらけ 賃貸管理のプロに聞く[8]

共用部なのに、ついつい「自由に使っていい場所」と思ってしまいがちなのがバルコニー。以前この連載で、「避難通路なので邪魔になるところに物を置いてはいけない」という話をしましたが、それ以外にもバルコニーの使い方がトラブルの元になるケースがいっぱいです。実際に発生したクレームの事例から、ご近所トラブルを未然に防ぐ方法を学びましょう。【連載】賃貸管理のプロに聞く
賃貸仲介・管理の現場に20年以上携わっているプロが、賃貸物件に住む人から相談の多い事例と解決方法をご紹介する連載です使うも使わないも自由じゃないの? バルコニーの盲点とは

バルコニーは「頻繁に出る」という人と「全く出ない」という人にはっきり分かれます。まずは、「全く出ない」タイプの入居者さんのお部屋で実際に起こったトラブル事例をご紹介します。

台風で大雨が降った日のこと、管理会社の24時間コールセンターに一本の電話がかかってきました。窓から雨の様子を見ようとしたら、バルコニーに大量の水がたまって今にも部屋の床の高さまで届きそうな状況とのこと。このまま水が部屋に入ってきてしまったら大変です。排水不良が起こっていることは間違いないので、急いで建築図面を調べました。すると、そのマンションのバルコニーには、排水ドレン(雨水などを排水する管や溝のこと)が全部屋になく、同じフロアに2カ所だけあることが分かりました。該当するお部屋の方にお電話しましたがつながらなかったため、空室だった隣の部屋から覗いてみることにしました。

なんと、ものすごい量の枯葉とほこりが絡み合って排水ドレンをふさいでいたのです。取り急ぎ、持って行った傘を隔壁版の隙間から突っ込み、柄(え)の部分で詰まっているものをかき出しました。すると、ゴーッ! と勢いよく、そのフロアのバルコニー全体にたまっていた水が流れ出し、床上浸水を防ぐことができました。

翌日、排水ドレンのある部屋の方とお話をすると、バルコニーには入居してから一度も出たことがなく、まさかそんなに枯葉やゴミがたまるとは思っていなかったとのことで、大変驚いていらっしゃいました。

ここまでひどいケースは滅多にありませんが、バルコニーの掃除を怠っている人がいると、雨が降ったときに水がたまり、ゴミやタバコの吸い殻がプカプカと流れてくる、という苦情が時折出てきます。自分の部屋のベランダやバルコニーに排水ドレンがある方は、ときどき掃除をするようにしてくださいね。

晴れた日には布団を干したい! でも、まさかのクレームが……!

天気のいい日は「バルコニーに布団を干したい!」という方が多いはず。また、限られたバルコニースペースなので、物干し竿だけでなく、バルコニーの手すり部分を使って、布団を干すという方もいると思います。でも、これが原因でクレームになることがあるのです。

あるとき、「上の部屋の方の布団の干し方が我慢ならない」という内容の電話がかかってきました。「まずは写真を見てほしい」と言われたので見てみると、なんと上階から垂れ下がった毛布が柄もはっきり分かる状態で写っていました。上階の方は毛布を太陽にたくさん当てたいがために、ぎりぎりまで垂らしていたのでしょう。

すぐに上の方にお話をしました。最初はピンと来ていないようでしたが、写真をお見せしたら納得され、下の方に謝罪して事態は収まりました。

干し方に関していうと、布団たたきによる音やほこりもクレームになります。最近では「布団をたたいても意味がない」という説もあり、「布団をたたく」という行為は、人によって常識が大きく違うようです。引越したばかりのときは、周りに住んでいる人の布団の干し方をチェックしてから行うのが無難だと思います。

その他、布団干し自体が禁止されていたり、禁止とまでは行かなくても非常識な行為であると思っている人が多い地域や物件もあります。私の経験では、港区や目黒区などいわゆるおしゃれなエリアに多いルールや慣習のようです。他のエリアから引越してきて布団を干したら、大家さんや近隣の方から「みっともない!」とクレームを言われたという話しも時々聞きます。

布団だけではありません。洗濯物についても過去に一度だけですが「派手な色のTシャツを外から見えるように干すなんて、お宅の管理しているマンションの住人は何を考えているのか!」と、近隣にお住まいの方から怒られたこともあります。

私たち管理会社は、そういった特殊なルールがある賃貸物件に入居する方には事前に説明するようにしています。しかし、説明を受けた本人以外のご家族が、悪気なく布団を干してしまうケースもあります。入居規則はご家族全員で共有するようにしてくださいね。

タバコの煙に、ゴキブリも!? ほかにもあるクレーム事例

ほかには、タバコに関するクレームも多いです。煙の臭いが洗濯物や布団につく、煙が換気口から室内に入ってきて迷惑、タバコの吸い殻が隣のバルコニーから転がってくるなど、パターンはさまざま。喫煙者は、隣のバルコニーに洗濯物や布団が干されてないか、赤ちゃんがいるご家族ではないかなどに気を配っておいたほうが無難です。お隣と顔を合わせたときに、「バルコニーでタバコを吸うことがありますが、何か気になることがあれば言ってくださいね」などと声をかけておくのもご近所トラブルを防ぐいい方法です。

【画像1】バルコニーでタバコを吸う男性(イラスト/藤井昌子)

【画像1】バルコニーでタバコを吸う男性(イラスト/藤井昌子)

その他には、バルコニーに出しているペットの鳥かごから羽が飛んで来て汚いというクレームや、上階の人が植物の水やりをする度に、その水が下階に垂れて迷惑している、などのクレームもきます。段ボールを捨てるのが面倒でバルコニーにためている人がいたときは、段ボールが雨で湿ってゴキブリが大量発生したことも。

引越しのときに処分しきれなかった家具などの不要物を、バルコニーにぎっしり置いていたご家族は、「これではいざと言うときに非難はしごが使えない! 命の危険があるのになんて非常識な家族なんだ!」と上階の方に言われ、引越し早々にもかかわらず、気まずくなって早々に退去されてしまったこともあります。

これまでクレームになりうる事例を挙げてきましたが、クレームを言った方が神経質になりすぎているケースももちろんあります。困ったことがあるときは、ぜひ私たち管理会社に相談してくださいね。

「バルコニーの広さが気に入ってお部屋を決めた」と言われると、私たち管理会社や大家さんはうれしいものですが、実はバルコニーはクレームになりやすい場所です。

それは、バルコニーを大切な空間として使う方もいれば、ごみや不要物の置き場と考える方もいるように、きっと感覚の違いが現れやすい場所だからなのでしょう。「自分の常識と他人の常識は違う」という意識をもつことが、ご近所トラブルを防ぐ第一歩だと、管理会社の仕事をするなかで日々感じています。

谷 尚子谷 尚子 賃貸住宅での暮らし応援団
独立系の賃貸管理会社ハウスメイトパートナーズに勤務。仲介・管理の現場で働くこと20年超のキャリアで、賃貸住宅に住まう皆さんのお悩みを解決し、快適な暮らしをお手伝い。金融機関・業界団体・大家さんの会等での講演多数。大家さん・入居者さん・不動産会社の3方良しを目指して今日も現場で働いています。●「賃貸管理のプロに聞く」記事一覧
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