入居者のための食堂、昼・夕食500円、朝食はなんと100円! 「トーコーキッチン」開店から9年目。入居者希望増、書籍化など、さらにすごいことになってた!

手づくりの食事を朝100円、昼・夕500円のワンコインで毎日提供する、賃貸物件の入居者のために不動産会社が運営する食堂「トーコーキッチン」。2015年のオープン以降、「街の一角に自分たち専用の食堂がある」という安心感を味わえる魅力的な仕組みによって、賃貸物件への入居希望者が増えるとともに、多くの注目を集め続けています。食堂「トーコーキッチン」のある淵野辺(神奈川県相模原市)を訪れ、8年間の変化について聞きました。

「きっかけは、ご家族から聞こえてきた食事への心配の声でした」

「トーコーキッチン」は、神奈川県相模原市の不動産会社・東郊住宅社が運営する入居者のための食堂。JR横浜線・淵野辺駅から徒歩2分ほどの商店街に立地しています。東郊住宅社は40年以上にわたりJR横浜線・淵野辺駅周辺にあるアパート、マンションなど賃貸物件を管理している、地域密着型のいわゆる「街の不動産屋さん」。

淵野辺には、3つの大学(青山学院大学、麻布大学、桜美林大学)が点在しており、東郊住宅社の管理する物件では1人暮らし用のワンルームが6、7割を占め、そのうちの8割ほどに学生が入居しています。

淵野辺駅から徒歩2分。トーコーキッチンはこんな商店街の一角にあります(写真撮影/片山貴博)

淵野辺駅から徒歩2分。トーコーキッチンはこんな商店街の一角にあります(写真撮影/片山貴博)

ガラス張りで、通りから店内が見えます(写真撮影/片山貴博)

ガラス張りで、通りから店内が見えます(写真撮影/片山貴博)

トーコーキッチン店内。午後のティータイム。大学は春休みに入り、普段、大勢来店する学生さんたちは数人見かけるだけでした(写真撮影/片山貴博)

トーコーキッチン店内。午後のティータイム。大学は春休みに入り、普段、大勢来店する学生さんたちは数人見かけるだけでした(写真撮影/片山貴博)

そうした学生を始めとする入居者のために、トーコーキッチンでは朝8時から夜8時まで毎日、朝食を100円、昼食・夕食を500円という格安価格で提供しています。朝・昼・夕食はそれぞれ栄養バランスを考えてつくられた日替わり&週替わり定食、カレーライス500円やキッズプレート300円、コーヒー・紅茶・ルイボスティー100円、サイドメニュー50円といったメニューがそろいます。

一番人気は「ハヤシ社長」500円。池田さん考案のハヤシライスです(写真撮影/片山貴博)

一番人気は「ハヤシ社長」500円。池田さん考案のハヤシライスです(写真撮影/片山貴博)

「カレー会長」は東郊住宅社を創業した先代社長がこよなく愛したスープカレー。先代の奥様のレシピだそうです(写真撮影/片山貴博)

「カレー会長」は東郊住宅社を創業した先代社長がこよなく愛したスープカレー。先代の奥様のレシピだそうです(写真撮影/片山貴博)

これが100円の朝食。しかも税込みです。「朝食はさすがに赤字です」と池田さん(写真撮影/片山貴博)

これが100円の朝食。しかも税込みです。「朝食はさすがに赤字です」と池田さん(写真撮影/片山貴博)

日替わり定食500円。この日はプルコギ定食でした。ご飯は白米と五穀米から選べます。特に豚汁が美味!(写真撮影/片山貴博)

日替わり定食500円。この日はプルコギ定食でした。ご飯は白米と五穀米から選べます。特に豚汁が美味!(写真撮影/片山貴博)

注文票を自分で記入してカウンターに渡すシステム(写真撮影/片山貴博)

注文票を自分で記入してカウンターに渡すシステム(写真撮影/片山貴博)

食堂を利用できるのは、東郊住宅社が管理している賃貸物件の入居者およそ3000人、物件オーナー約200人、関係協力者、同社社員など。借りている自分の部屋のカードキーで食堂に入るシステムで、鍵の保有者と同行すれば家族や友人も一緒に入店できます。部屋探し中の人も食堂の利用体験ができるほか、近隣に暮らす人も興味があれば1度は利用することが可能だそうです。

「ここを立ち上げたきっかけは、新たに一人暮らしを始める学生さんのご家族から聞こえてきた、食事に対する心配の声でした」と当時を振り返る東郊住宅社社長の池田峰さん。「初めての一人暮らし。偏らずにしっかり栄養をとれる食生活が送れるのか」という親心に対し、そうした心配や不安を入居者サービスの一つとして解決できないかと考え始めたことが第一歩だったそうです。

トーコーキッチンをつくるに至った経緯や思い、その後の影響、食堂での日常風景については、当サイトの記事(「入居者のための食堂」が魅力的すぎ!朝食100円、昼食・夕食が500円で食べられるワケ(2017年1月25日掲載))に詳しいので、ぜひご参照を。

トーコーキッチンの魅力的な仕組みに、「自分の家の近くにもこうした入居者向け食堂があればいいのに」「こんな不動産屋さんがあるなんて、淵野辺ってすてきな街だな」などと、記事の反響も大きかったことを覚えています。

「おかげさまで入居率99%超に」。8カ月も前に入居予約が入るほど!

トーコーキッチンは、入居希望者や物件オーナー、賃貸不動産業界にとどまらず、マスコミや世の中からも数多くの注目を集めました。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、WEBマガジンなど100を超えるメディアで紹介されたことがあり、目にした人も多いのではないでしょうか。

立ち上げから丸8年が経ち、この間にどんな反響や変化が起こったのか、池田さんに聞きました。

東郊住宅社社長・池田峰さん。東郊住宅社のオフィスから徒歩約10分のトーコーキッチンには1日数回訪れて、入居者との交流を図っています(写真撮影/片山貴博)

東郊住宅社社長・池田峰さん。東郊住宅社のオフィスから徒歩約10分のトーコーキッチンには1日数回訪れて、入居者との交流を図っています(写真撮影/片山貴博)

「トーコーキッチンの存在が物件選びの1つの動機となって、入居希望者が増え、おかげさまで今では入居率が99%を超えるまでになりました」と池田さん。

2018年時点の神奈川県の空室率が20.1%(※1)=入居率79.9%という数字から考えると、驚異的な高さです。
※1:公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会「民間賃貸住宅(共同住宅)戸数及び空き戸数並びに空き室率の推計」(2018年算出)より

トーコーキッチン以前から、同社管理物件の入居率は95~96%と他に比べて高かったそうですが、今や100%近い割合に。トーコーキッチンのない2015年以前にも高い入居率を保っていたのは、先代が社長時代に導入した「敷金0」「礼金0」「退去時の修繕義務なし(入居者の過失での修繕を除く)」「水漏れや鍵の紛失などの緊急事態に24時間対応」という、先進的な契約条件があったため。そこに食の提供という入居者サービスが加わったことで、「トーコーキッチンがあるから淵野辺に住みたい」「1人暮らしをする子どものために食事環境が安心な東郊住宅社の物件を選びたい」という人が増えたといいます。

「部屋が空いたらすぐに入居希望が入るというありがたい状況です。空く予定がなくても『空いたら入居したい』という方がたくさんいらっしゃいます。昨年はとうとう、引越しシーズンの8カ月も前の6月に、『大学入学で1人暮らしをするので、今から入居の予約はできますか』という問い合わせまで入ることに。新記録ですね。その時点で進学する大学が決まっていない状況だと思うのですが、実際には、淵野辺から片道1時間以上をかけて通学する学生さんもいらっしゃいます」(池田さん)

「学生の入居者さんに関していうと、以前は淵野辺にある3校が近いことから、その学生さんたちがほぼ10割を占めていました。しかし、トーコーキッチン開設以後は、他エリアの大学の学生さんも入居されるようになり、今では2割ほどを占めるまでになりました」と池田さん。

淵野辺駅は新宿や渋谷など都心へ行くには乗り換えが必要で、停車する電車は各駅停車のみ。決して交通アクセスが便利とはいえない街。「乗り換え必須なのにその2割の学生さんたちが、淵野辺に暮らすことを選んでくれたのは、トーコーキッチンがもたらす食の安心感を評価していただいているからなのでしょう」(池田さん)

淵野辺駅北口から見た駅前商店街の様子(写真撮影/片山貴博)

淵野辺駅北口から見た駅前商店街の様子(写真撮影/片山貴博)

桜美林大学のキャンパスは淵野辺駅に隣接(写真撮影/片山貴博)

桜美林大学のキャンパスは淵野辺駅に隣接(写真撮影/片山貴博)

「社会人の方もご高齢の方も、安心な淵野辺暮らしを選んでくれています」

学生以外の入居者も増えたそうです。
「リモートワークが一般化したことで、別の地域から淵野辺に拠点を移した社会人の方がとても増えました。オンラインでのつながりはあるけれど、やはりリアルなコミュニケーションの場があるのは良いということのようです。

また、ご高齢の親御さんを、淵野辺近辺に暮らす子世帯が自宅近くに呼び寄せて、という方々も増えました。たまに顔を合わせられるくらいの近居なら安心。さらに日々の食事はトーコーキッチンがあるからますます安心、というわけです」(池田さん)

入居希望の大きな動機と考えられるトーコーキッチンですが、すべての入居者が食堂を頻繁に利用するわけではなく、常連さんは3割くらいだそう。常連さんにとっても時々利用する人にとっても、「お茶1杯だけでもずっといていいですよ」という姿勢があることで、入居者にとってのサードプレイス(自宅でも職場でもない、居心地の良い第3の場所)的な場所として活用されています。

また、池田さんは1日数回顔を出して、「味はどう?」「部屋で困ったことはない?」と入居者と交流しています。「日本一『味はどう?』って聞いている不動産屋」と自負する池田さん。そうした日々のコミュニケーションも淵野辺で暮らす安心感につながっているのだと思います。

ランチ中の学生さんに気さくに話しかける池田さん(写真撮影/片山貴博)

ランチ中の学生さんに気さくに話しかける池田さん(写真撮影/片山貴博)

笑顔が素敵な食堂スタッフのみなさん(写真撮影/片山貴博)

笑顔がすてきな食堂スタッフのみなさん(写真撮影/片山貴博)

「賃貸物件はすべて自社管理。だからこそ入居者さんに喜んでいただける」

東郊住宅社は賃貸借契約の仲介に加え、取り扱うすべての物件管理及び入居者管理(家賃の入金管理をはじめ、共用部の清掃や不具合の修繕、植栽の手入れなど)を行っています。仲介だけお願いしたいというオーナーの要望には対応していません。「不動産は管理が重要だと考えています。専任で管理をさせていただくからこそ、入居者さんに喜んでいただける仕事がまっとうできると思っています」と池田さん。

以前は1600室ほどだった物件数が、この8年間で1900室に迫るまでになりました。
「当社の管理手数料は物件によって家賃の5~8%と、他の不動産管理会社に比べると安くはない費用をオーナーさんからいただいています。にもかかわらず、『自分の所有物件もトーコーキッチンが使える物件にしたい』と、今までお取引のなかった近隣の物件オーナーさんから興味や共感を持っていただき、管理のご依頼が増えました。さらに、『トーコーキッチンが使える賃貸物件を所有したい』という物件購入の相談も年々増え、現在30人以上のオーナー希望者さんがいらっしゃいます」

こうした動きは、食の提供サービスの存在によって安定した入居率の維持が保てるという、高い付加価値が得られることも含め、物件オーナーが東郊住宅社の物件管理に対する姿勢に大きな信頼を寄せていることをうかがわせます。

「ただ、対象となるのは当社から車で30分圏内の物件です。小さな不動産会社にとって、何かあれば夜中でも駆けつけられる距離の上限だからです。そのため、ご要望があっても場所によってはお断りせざるをえないこともあります」(池田さん)

入居者に寄り添う姿勢は緊急時だけではありません。
2020年には、入居者の困りごとを解決する家事代行サービス「ゴーヨーキーキー」もスタート。5分100円からという利益度外視の安心サービスです。こちらも当サイトの記事(不動産屋さんが家事代行!? 電球交換、虫駆除などのお悩みに5分100円で)に詳しいので、ご覧ください。

日常的に物件状態を把握し、入居者との交流を保ち、食事や家事のサポートの提供によって暮らしの安心を生み出していく。淵野辺で賃貸ライフを送る人にとって、東郊住宅社そのものが街の頼もしい存在となっている状況がわかります。

「入居者用食堂を導入した不動産会社も新たに登場!」

池田さんは以前の取材で「このビジネスモデルの特許取得を勧めてくださる方もいますが、アイデアで儲けるつもりはありません。皆さんの賃貸ライフを楽しくできたらうれしいので、逆に、どんどんまねして導入してくれる不動産屋があればいいと思いますね」と語っていましたが、その後、トーコーキッチンのような入居者向け食堂を立ち上げた企業は登場したのでしょうか。

「私の知る限りでは1社あります。その不動産会社から、同じシステムを取り入れたいと相談を受け、ノウハウをお伝えしたり食堂研修を受け入れたりとご協力させていただきました。現在、既に入居者専用食堂を運営されています」(池田さん)。

「どんどんまねしてもらえれば」という池田さんの言葉とは裏腹に、わかっている限りで同じサービスを導入した企業は1社だけということに意外な気がしました。他にも「実はわが社も」という会社もあるのかもしれませんが……。

しかし、逆に考えると、ここまで入居者・オーナー双方に喜ばれるサービスを追求し継続するというのは、実はとてもハードルが高いこと。誰もが真似できることではないとも感じます。利益度外視の入居者サービスとしての食堂運営、取り扱い物件はすべて自社で管理するなど、入居者が暮らしやすい環境をつくり出していく徹底した企業姿勢を持つからこそ、こうした全方位的に喜ばれるサービスが維持できているのでしょう。

「トーコーキッチンへようこそ!」

トーコーキッチンへの思いを綴った著書『トーコーキッチンへようこそ!』(虹有社)を昨年2023年10月に上梓した池田さん。「ご縁があってこうして1冊にまとめることができました。著書を手にしてくださることで淵野辺に興味を持っていただく機会もさらに増えました」(池田さん)

「お部屋探し帰りのお客様が手に取ってくださり、有隣堂淵野辺店のビジネス書ランキングで週間1位になったことも!」(写真撮影/片山貴博)

「お部屋探し帰りのお客様が手に取ってくださり、有隣堂淵野辺店のビジネス書ランキングで週間1位になったことも!」(写真撮影/片山貴博)

「以前、部屋探しに来られた大学進学予定のお客様から、『実は高校の進路の先生から、暮らすなら東郊住宅社のある淵野辺がいいと勧められて、今日ここに来ました』とお聞きして驚いたこともありました。遠く離れた地の方々にも広く認知されつつあることが、ものすごくありがたいです」(池田さん)

入居者の増加とともに利用者も増え、トーコーキッチンの売り上げも上がっているそうですが、売り上げが上がればその分の利益は良い食材を購入することに還元させているそう。「前年同月比で110%の売り上げアップを目標にしています。新型コロナが5類に移行した月は130%アップ、昨年著書を上梓した後は140%アップとなった月も。ありがたいことに徐々にお客様は増えています」

利益を追求しない入居者サービスの食堂が、それまで関心のなかった淵野辺に人を呼び寄せ、食堂利用者が増えることで食材やメニューが充実するという好循環。全方位に喜ばれるトーコーキッチンそのものが、ある意味広告としての機能を持ち、「住みたい街ランキング」に一度も登場したことのない街に人を引きつけているのです。

「トーコーキッチンを立ち上げてからずっと、毎日の仕事が楽しくて楽しくて。それに、入居者さんや離れて暮らすご家族、物件オーナーさん、そうした皆さんにこんなにも喜んでいただけるということは、トーコーキッチンをやっていなければわからないままだったでしょうね」と、ニコニコの笑顔で語る池田さん。

住む人の安心や喜びを常に考えている不動産屋さんの存在は、淵野辺という街を輝かせているのではないかと感じました。

8年でだいぶ年季が入りました(写真撮影/片山貴博)

8年でだいぶ年季が入りました(写真撮影/片山貴博)

小さなお客様からの「ごちそうさまでした」「おいしかったよ」の可愛いメッセージが(写真撮影/片山貴博)

小さなお客様からの「ごちそうさまでした」「おいしかったよ」のかわいいメッセージが(写真撮影/片山貴博)

●取材協力
東郊住宅社「トーコーキッチン」
『トーコーキッチンへようこそ!』(虹有社)

2023年は郊外ファミリー賃貸で賃料が上昇!? 国分寺など上昇した駅のデータとともに解説

長谷工ライブネットは、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の沿線・駅別の賃料相場を分析し、「首都圏賃貸マンション賃料相場マップ 2023 年版」を完成させた。その結果からは、「特に郊外のファミリー賃貸で大幅上昇の傾向が見られた」という。詳しく見ていこう。

【今週の住活トピック】
「首都圏賃貸マンション賃料相場マップ2023年版」が完成/長谷工ライブネット

首都圏でファミリー向け賃貸マンションの需要が高まる!?

「首都圏賃貸マンション賃料相場マップ 2023 年版」は、間取りタイプをシングル(25平米)・コンパクト(40平米)・ファミリー(60平米)の 3タイプに分類し、沿線・駅別の賃料相場を同社独自の分析調査によりまとめたもの(対象:95沿線、延べ1,030駅)

タイプ別の賃料相場について、前年との比較で駅別に変動率を算出してまとめた結果、首都圏全体では「上昇」(やや上昇・上昇・大幅上昇)の割合がシングル37%、コンパクト47%、ファミリー51%を占め、面積が広いタイプほど上昇の割合が高い結果になった。なかでも埼玉県と千葉県では、ファミリータイプで「大幅上昇」(グラフの赤い帯部分)が20%を超えるなど、大幅上昇が目立つ。

出典/長谷工ライブネット「首都圏賃貸マンション賃料相場マップ2023年版」より転載

出典/長谷工ライブネット「首都圏賃貸マンション賃料相場マップ2023年版」より転載

エリア別・タイプ別で見ると状況はそれぞれ異なるので、詳しく見ていこう。

東京23区では、シングル、コンパクト、ファミリーともに低下(やや低下・低下)よりも上昇の割合のほうが大きく、なかでもファミリータイプでの上昇傾向が大きいという点で、首都圏全体と同じ傾向にある。
東京都下のシングルだけは、低下の割合のほうが上昇より大きいのが特徴だ。が、都下でもファミリータイプでは上昇傾向が見られる。神奈川県は、首都圏のなかでは他のエリアよりは変動が小さい。
埼玉県と千葉県では、コンパクトタイプの上昇割合が最も大きいのが特徴。シングルタイプの上昇割合も、他の都県より大きいが、ファミリータイプについては「大幅上昇」の割合が大きいのが目立つ。このことから、埼玉県と千葉県は賃貸相場が上昇傾向にあるが、特にファミリータイプが特定のエリアで大幅に上昇していると推測できる。

出典/長谷工ライブネット「首都圏賃貸マンション賃料相場マップ2023年版」より転載

出典/長谷工ライブネット「首都圏賃貸マンション賃料相場マップ2023年版」より転載

国分寺、さいたま新都心、千葉中央のファミリータイプ賃料が大幅上昇

次に、エリア別に賃料のランキング1位を紹介しよう。

■エリア別賃料相場ランキング(1位を抜粋)

●東京23区
シングルタイプ(25平米)表参道(東京メトロ)147,000円コンパクトタイプ(40平米)神谷町(東京メトロ)265,000円ファミリータイプ(60平米)※同率1位表参道(東京メトロ)379,000円外苑前(東京メトロ)379,000円●東京都下
シングルタイプ(25平米)吉祥寺(JR・京王)102,000円コンパクトタイプ(40平米)三鷹(JR)147,000円ファミリータイプ(60平米)国分寺(JR)238,000円●神奈川県
シングルタイプ(25平米)武蔵小杉(JR・東急)103,000円コンパクトタイプ(40平米)馬車道(みなとみらい)155,000円ファミリータイプ(60平米)馬車道(みなとみらい)278,000円●埼玉県
シングルタイプ(25平米)川口(JR)88,000円コンパクトタイプ(40平米)大宮(JR他)129,000円ファミリータイプ(60平米)さいたま新都心(JR)235,000円●千葉県
シングルタイプ(25平米)浦安(東京メトロ)87,000円コンパクトタイプ(40平米)柏の葉キャンパス(つくばEX)127,000円ファミリータイプ(60平米)千葉中央(京成)188,000円

このなかでも、東京都下の「国分寺」(前年2位)、埼玉県の「さいたま新都心」 (前年2位)、千葉県の「千葉中央」 (前年7位)のファミリータイプが、大幅上昇によってそれぞれ 1 位にランクアップした。この理由として「分譲マンションの一部が賃貸された影響で賃料が大幅上昇した」のだという。

埼玉県と千葉県では、ほかにもファミリータイプで大幅上昇した駅がある。埼玉県では「北浦和」(前年8位→5位)、「所沢」(前年9位→5位)、「和光市」(前年12位→7位)、「与野」(前年14位→9位)、千葉県では「松戸」(前年13位→7位)、「柏」(前年16位→8位)だ。

首都圏のファミリータイプで賃料が上昇する背景は?

筆者は、SUUMOジャーナル1月25日公開の記事で「東京都23区のファミリータイプの賃貸住宅が活況。就業環境や働き方の変化が影響?」を執筆した。このときは、三菱UFJ信託銀行が公表した「2022年度 賃貸住宅市場調査」(2022年秋時点)の結果を参照した。

ファミリータイプについては、東京23区と首都圏(東京23区を除く)は、現状も半年後の予測も稼働率と賃料は好調だった。その理由として、2つの要因を挙げた。

まず、マンションの価格が上昇しているため、購入を考えた場合に手が届きにくいこと。次に、ユーザーの志向が住宅の広さや部屋数を求めるようになったこと。これは在宅勤務やオンライン授業などの影響でおうち時間が長くなったことなどが影響している。その結果、広さと駅からの利便性を求めて、手の届く住まいとして、ファミリータイプの賃貸マンションへの需要が高まったと分析した。

こうした状況は今も継続している。さらに、長谷工ライブネットが指摘した分譲マンションの一部が賃貸されているということも加わって、好立地で手が届きやすい賃料のファミリータイプの需要が高いと見てよいだろう。

さて、近年は首都圏のファミリータイプの賃貸需要が高くなっているが、今後も続くのだろうか?住宅の需要はさまざまな要因で変わる。コロナ禍を経て日常生活が戻りつつあるので、就業状況や収入などが改善される方向に進んでいる。また、テレワークは一定レベルで定着しつつある。一方で、住宅ローンの金利上昇リスクが高まっているので、住宅の購入環境が変わる可能性も考えられる。さらには、感染拡大の可能性がなくなったわけではない。

その時々で、最適の住まいを選ぶということになるので、どういった住まいに需要が高まるかは予測しづらい状況になっている。

●関連サイト
長谷工ライブネット/「首都圏賃貸マンション賃料相場マップ2023年版」が完成

東京都23区のファミリータイプの賃貸住宅が活況。就業環境や働き方の変化が影響?

三菱UFJ信託銀行が、資産運用会社や不動産管理会社などの24社に対して、「2022年度 賃貸住宅市場調査」(2022年秋時点)を実施し、その結果を発表した。それによると、「東京23区ではファミリータイプのリーシングが好調」だという。詳しく見ていこう。

【今週の住活トピック】
【新レポート発行】独自調査「2022年度 賃貸住宅市場調査」を発行/三菱UFJ信託銀行

ファミリー向け賃貸住宅の需要が高まる!?

2023年1月17日の日経新聞の「ニュースぷらす」欄で、「分譲高騰 ファミリー向け賃貸に需要」という見出しが躍った。ファミリー向け(広さ50~70平方メートル以下)の賃貸住宅の平均募集賃料が上昇しているのだという。

同じ週にリリースされた、三菱UFJ信託銀行の「2022年度 賃貸住宅市場調査」でも、ファミリータイプの好調ぶりが指摘されている。東京23区や首都圏において、ファミリータイプのリーシング(不動産の賃貸を支援する業務)のDI【=(ポジティブな回答の割合-ネガティブな回答の割合)×100)】が大きくプラスになっているからだ。

エリア別のリーシング環境

(注) 1. 本調査におけるDIは、「(ポジティブな回答の割合-ネガティブな回答の割合)×100」と定義します。
2. 「ダウンタイム」とは、前テナントの契約終了から新テナントの契約開始までの空室期間を指します。
エリア別のリーシング環境(出典/三菱UFJ信託銀行「2022年度 賃貸住宅市場調査」より転載)

東京23区のファミリータイプの稼働率DIは41.0、テナント入れ替え時の賃料DIは28.7、半年後の予想でも稼働率DIは30.1、入れ替え時の賃料DIは24.8と大きくプラスとなり、ポジティブな回答が多かったことがわかる。東京23区を除く首都圏でも、同様の傾向が見られ、好調ぶりがうかがえる。ただし残念ながら、名古屋市のファミリータイプでは大きくマイナスになっている。

同行では、テレワークの普及等によって広い間取りを求める動きも影響してか、23区のファミリータイプの稼働率や賃料、ダウンタイム(空室期間)が改善し、半年後もその傾向が続くと見ている。一方、名古屋市では、エリアや物件による差があるものの、入れ替え時の賃料が低下、ダウンタイムが長期化し、広告費を増やしてリーシングを強化する市場が当面続くとしている。

ファミリー向け賃貸住宅に需要が高まる理由

では、特に首都圏でファミリータイプの賃貸住宅需要が高まる要因はなんだろう?考えられる要因はいくつかある。まず、マンションの価格が上昇しているため、購入を考えた場合に手が届きにくいことがあげられる。不動産経済研究所が公表した「首都圏マンション市場予測」によると、2022年1月~11月の新築マンションの平均価格は、首都圏で6465万円、東京23区に至っては8230万円となっている。中古マンションでも価格は上昇し、東日本レインズが公表した「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」によると、2022年の首都圏の成約平均平米価格は67.24万円(70平米換算で4707万円)、23区では100.32万円(70平米換算で7022万円)だった。

さらに、当サイトでも何度か記事にしたが、コロナ禍で自宅にいる時間が長くなり、住まいに多くの機能を求めるようになり、ユーザーの志向が住宅の広さや部屋数を求めるようになったこともあげられる。その結果、一戸建て志向が高まったといわれているが、賃貸物件で一戸建ては数が少なく、購入する場合は駅から離れた場所や郊外に供給が多いため、利便性を重視するとファミリータイプの賃貸マンションなどに落ち着く、といったこともあるだろう。

また、コロナ禍で雇用環境が悪化するなど、収入安定への不安なども、購入に待ったをかける要因になり、まずはより広い、あるいは性能の高い賃貸住宅へ引越すという流れも考えられる。

日本の若者は都心志向が強い?

一方、シングルタイプについては、東京23区でもファミリータイプほどの大きなプラスはなかったものの、半年後の予想で稼働率のDIが20.8となっている。コロナ禍で東京都からの転出者が増えて一時的に人口が減少したが、「東京都における就業環境の回復や人口の転入超過拡大への期待等が影響」して、稼働率の改善を見込む回答者が多い可能性があるという。

さて、シービーアールイーが、「ジャパンレポート-Live Work Shop 2023年1月」という特別レポートを公表した。それによると、他の国と比較した場合に日本では賃貸志向が強いものの、その一方で、引越し頻度は他国より低い傾向にあるという。また、日本では「若い世代ほど引越しの意向が強く(Figure13)、『他の都市の中心部』に行きたい(Figure14)と考えている」という。特に、Z世代(18~25歳)でこの傾向は顕著だ。このレポートでは、都心志向が強いのは「就労機会が都市部、特に首都圏に集中していることがその理由だと考えられる」と分析している。

出典:シービーアールイー「ジャパンレポート-Live Work Shop 2023年1月」

出典:シービーアールイー「ジャパンレポート-Live Work Shop 2023年1月」

就業環境や働き方が賃貸住宅市場に影響

また、三菱UFJ信託銀行の調査では「今後1年間のリーシングマーケット全体に与える影響が大きいと考える項目」についても聞いている。「個人の就業環境や収入の増減」が最多となり、「テレワーク等の働き方の変化」、「新型コロナウイルス等の感染拡大の状況」が続く結果となった。感染状況はもちろんだが、それよりも就業環境や働き方が、賃貸住宅市場に大きく影響するということだ。

今後1年間のリーシングマーケット全体に与える影響が大きいと考える項目

(注) 1位:2pts 2位:1ptsとして計算し、合計値を集計しました。合計ptsは68ptsでした。
今後1年間のリーシングマーケット全体に与える影響が大きいと考える項目(出典/三菱UFJ信託銀行「2022年度 賃貸住宅市場調査」より転載)

こうして見ていくと、就業環境や働き方は、人が移動したり、マイホームを購入するか賃貸にするか分かれたりといった、生活拠点となる住宅に与える影響が大きいことがわかる。住宅市場を見るうえでは、住宅の賃料や価格、住宅ローンの金利だけでなく、労働環境にも注意を払う必要がありそうだ。

●関連サイト
三菱UFJ信託銀行【新レポート発行】独自調査「2022年度 賃貸住宅市場調査」
シービーアールイー「ジャパンレポート-Live Work Shop 2023年1月」

【ファミリー編】横浜駅まで30分以内、中古マンション価格相場が安い駅ランキング 2019年版

リクルート住まいカンパニーによる「住みたい街ランキング2019 関東版」の調査で、住みたい街の1位に輝いた横浜駅。そんな横浜駅に電車で30分以内にアクセスできる、カップル向け中古マンションの価格相場が安い駅を前回は紹介した。今回は専有面積70平米以上~100平米未満のファミリー向けタイプに条件を絞って、価格相場が安い駅TOP10をランキング。さっそく結果を見ていこう。●【ファミリー編】横浜駅まで30分以内の価格相場が安い駅TOP10
順位/駅名/価格相場(沿線/所在地/横浜駅までの所要時間)
1位 かしわ台 1780万円(相鉄本線/神奈川県海老名市/27分)
2位 六浦 1990万円(京急逗子線/神奈川県横浜市/25分)
3位 京急田浦 2140万円(京急本線/神奈川県横須賀市/27分)
4位 さがみ野 2150万円(相鉄本線/神奈川県海老名市/25分)
5位 踊場 2280万円(横浜市営地下鉄ブルーライン/神奈川県横浜市/21分)
6位 京急富岡 2535万円(京急本線/神奈川県横浜市/16分)
7位 相模大塚 2580万円(相鉄本線/神奈川県大和市/23分)
8位 追浜 2590万円(京急本線/神奈川県横須賀市/25分)
9位 小机 2650万円(JR横浜線/神奈川県横浜市/16分)
10位 鶴ヶ峰 2739.5万円(相鉄本線/神奈川県横浜市/9分)

カップル編でも1位になった、かしわ台駅がファミリー編でも1位に

1位は相鉄本線・かしわ台駅。見出しでも触れたが、前回紹介したカップル編ランキングでも1位となっており、横浜駅周辺の住まい探しでは要チェックのエリアと言えそうだ。今回調査の基点にした横浜駅の価格相場は5580万円だったが、かしわ台駅は1780万円で、なんと横浜駅の3分の1以下!駅周辺には住宅地が広がり、保育園や小中学校もあるファミリー向きの街並みだ。
また、駅が位置する海老名市は、中学生以下の子どもの通院・入院医療費を市が負担してくれる点も、子育て世代には魅力だろう。駅から徒歩約15分圏内である他地域の制度を見てみると、綾瀬市は海老名市同様の医療費助成があり、座間市では1歳以上の場合は保護者の所得制限付きではあるものの0歳~中学生の医療費助成を行っている。

2位は京急逗子線・六浦(むつうら)駅で価格相場は1990万円。横浜市で最も南に位置するのがこの駅で、駅から南西に進むと逗子市、南東に進むと横須賀市に入る。駅周辺には住宅が立ち並んでいるが、車で15分ほど東へ向かうと海に面した野島公園に到着。バーベキュー場やキャンプ場、房総半島を望む展望台があり、休日に家族で遊びにでかけてもよさそうだ。

野島公園内の小道(写真提供/PIXTA)

野島公園内の小道(写真提供/PIXTA)

六浦駅から1駅北上し、京急本線に乗り換えてから2駅南下すると3位の京急田浦駅へ。駅の西側には自然豊かな南郷公園が広がり、国道16号が通る駅東側には商店が立ち並んでいる。駅前には警察署があり、市民の安全を守っている点が心強い。京急本線に乗ると横浜駅のほか、品川駅までも1本で行ける点も魅力だろう。

ちなみに3位・京急田浦駅が位置する横須賀市は、前出の海老名市同様に中学生以下の通院・入院医療費を市が負担してくれる。

横浜駅から約10分で価格相場が約2840万円ダウンする駅も!

今回のTOP10には横浜市、海老名市、横須賀市、とさまざまなエリアの駅が並んだ。大和市から唯一ランクインしたのが、7位の相鉄本線・相模大塚駅。急行に乗ると最短約23分で横浜駅に到着する。駅の北側、徒歩約5分圏内にスーパーやホームセンター、ドラッグストアが集まっており、日常生活の買物に便利。周辺は公園も多く、約600種の植物と約50種の野鳥が生息する「泉の森」も駅から徒歩15分ほどで行ける。自然豊かな地で子育てしたいファミリーにはうってつけだ。

TOP10のうち、横浜駅までの所要時間が最短だったのは10位の相鉄本線・鶴ヶ峰駅。快速に乗ると横浜駅までは2駅・約9分だ。駅南口直結の「ココロット鶴ヶ峰」には、スーパーやドラッグストア、クリーニング店、飲食店に保育園までそろっている。駅北側にもスーパーや100円ショップ、飲食店など店舗が多く、生活しやすい環境と言える。また、駅からバスに乗って約15分で「よこはま動物園ズーラシア」に行くことができるので、休日に家族で訪れるのも楽しそう。

よこはま動物園ズーラシアのサル(写真提供/PIXTA)

よこはま動物園ズーラシアのサル(写真提供/PIXTA)

今回ランクインした駅は、いずれも価格相場が横浜駅の2分の1以下だった。10位の鶴ヶ峰駅は、約9分離れるだけで横浜駅より価格相場が2840万円も下がるという驚きの結果である。横浜駅の価格相場の高さは街の魅力や需要の高さの証拠でもあるが、横浜から30分離れるが、物件の購入金額を半額に抑えられるのならば、横浜駅だけに限定せず物件探しの範囲を広げる価値はあるのではないだろうか。

住まいがある街の魅力や便利さ、知名度を重視するか、多少は職場から離れても物件価格を抑えたぶんのお金を生活に回してゆとりをもつか……。それぞれのライフスタイルや価値観に照らし合わせて検討するのがいいだろう。

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている横浜駅まで電車で30分以内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、築年数40年未満、物件価格3億円以下、専有面積70平米以上100平米未満の物件(敷地権利は所有権のみ)
【データ算出期間】2018/10/1~2018/12/31
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、平日の日中時間帯の検索結果から算出(乗換なし)
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している

首都圏コンパクトマンション、戸数・シェアともに4年連続上昇

(株)不動産経済研究所はこのたび、「首都圏コンパクトマンション供給動向」を発表した。コンパクトマンションとは、住戸専有面積が30m2以上50m2未満で、ワンルームマンションとファミリータイプマンションの中間に位置する物件のこと。
それによると、2018年(1~12月)の首都圏発売は3,237戸で、全発売戸数3万7,132戸に占めるシェアは8.7%だった。2017年の2,697戸、シェア7.5%に比べると、戸数は540戸の増加、シェアは1.2ポイントアップ。戸数、シェアともに2015年以降4年連続で上昇した。

エリア別でみると、都区部2,597戸(全発売戸数に占めるシェア16.3%)、都下102戸(同2.8%)、神奈川県286戸(同3.5%)、埼玉県96戸(同2.2%)、千葉県156戸(同3.1%)と、都区部では全供給の16.3%をコンパクトマンションが占めている。また、市区別の供給上位は中央区(355戸)、台東区(238戸)、江東区(216戸)、渋谷区(204戸)、文京区(202戸)だった。

価格は高値が続き、2018年は平均4,439万円。前年同期の4,256万円と比べると183万円、4.3%上昇している。エリア別では、都区部4,645万円(前年同期比4.3%上昇)、都下3,833万円(同11.5%上昇)、神奈川県3,813万円(同7.0%上昇)、埼玉県3,386万円(同16.2%上昇)、千葉県3,194万円(同20.1%上昇)と、全エリアで上昇している。

コンパクトマンションの供給を売主別に見ると、2018年に最も供給を行ったのは住友不動産で、381戸だった。2位は266戸のモリモトで、首位の住友不動産と115戸の差。3位は明和地所で250戸、4位は日神不動産220戸、5位はオープンハウス・ディベロップメント214戸が続く。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

【ファミリー編】品川駅まで30分以内・中古マンション価格相場が安い駅ランキング

JRの新しい駅「品川新駅(仮)」の建設をはじめとする再開発が進められ、注目が集まる品川駅周辺。そんな品川駅まで30分圏内にある中古マンションの価格相場を、前回、前々回と2回にわたりお届けした。今回は品川駅編の最終回、専有面積70平米以上~100平米未満のファミリー向け中古マンションの価格相場を調査。これまで紹介したシングル向け、カップル向けとランクインした駅に違いはあるのか? さっそく調査結果を見てみよう。
●品川駅まで30分以内の物件相場が安い駅TOP12
順位/駅名/価格相場(沿線/所在地/品川駅までの所要時間)
1位 保土ヶ谷 2990万円(JR横須賀線ほか/神奈川県横浜市/25分)
2位 東戸塚 3780万円(JR横須賀線ほか/神奈川県横浜市/30分)
3位 新小岩 3980万円(JR総武線/東京都葛飾区/22分)
4位 新川崎 4350万円(JR横須賀線ほか/神奈川県川崎市/13分)
5位 川崎 4575万円(JR京浜東北線ほか/神奈川県川崎市/9分)
6位 平和島 4675万円(京急本線/東京都大田区/7分)
7位 鶯谷 4680万円(JR山手線ほか/東京都台東区/20分)
8位 京急川崎 4690万円(京急本線ほか/神奈川県川崎市/11分)
9位 市川 4980万円(JR総武線/千葉県市川市/28分)
9位 東神奈川 4980万円(JR京浜東北線ほか/神奈川県横浜市/24分)
9位 蒲田 4980万円(JR京浜東北線ほか/東京都大田区/10分)
12位 立会川 5055万円(京急本線/東京都品川区/5分)

JR横須賀線の隣り合う駅が1位と2位にランクイン

中古マンションの価格相場が最も安かったのは、JR横須賀線で横浜駅の次の保土ヶ谷(ほどがや)駅。専有面積40平米以上~70平米未満の物件を対象にした、前回調査のカップル編でも1位になった駅だ。品川駅に出やすいエリアで中古マンションを探す場合、まず保土ヶ谷駅は要チェックと言えそうだ。

2位は横浜駅から出て保土ヶ谷駅の次の駅となるJR横須賀線・東戸塚駅。駅周辺にはスーパーやショッピングモールなど大型の商業施設が立ち並び、中古マンションの物件数も今回ランクインしたトップ12の駅で最も充実している。

3位はJR総武線・新小岩駅。駅南口側には全長約420mにわたるアーケード商店街が広がり、約140店舗が元気に営業する一帯は東京の下町風情が漂っている。食料品店からドラッグストア、ファストフードなどの飲食店までそろうので、ここに来れば日々の買物をひと通り済ませられるだろう。

新小岩駅(写真/PIXTA)

新小岩駅(写真/PIXTA)

中古マンションの広さによって、狙い目の駅は変わってくる!?

さて、前回のカップル編と見比べると、1位だけではなくランキング上位陣の顔ぶれは似通った結果となっている。2位のJR横須賀線・東戸塚駅はカップル編で4位、3位のJR総武線・新小岩駅はカップル編でも3位にランクインしていた。

そんななか、4位のJR横須賀線・新川崎駅はカップル編、シングル編ともに上位にはランクインしていない。新川崎駅の東側には2015年~2016年に誕生した商業施設「新川崎スクエア」と47階建てタワーマンションがある。これらの建物を眺めつつ歩行者用通路を進むと、JR南武線・鹿島田駅にたどり着く。両駅間は6分ほどで行き来できるので、行先に応じて使い分けると便利だろう。

9位のJR京浜東北線・東神奈川駅もカップル編とシングル編にはランクインしなかった駅。駅の東口側には京急本線・仲木戸駅があり、両駅は歩行者用通路で結ばれている。両駅の間にはスーパーや惣菜店などをテナントに抱えた「シァルプラット東神奈川」があるほか、駅西口側にもスーパーやショッピングモールが点在。また、東神奈川駅からJR京浜東北線で1駅先は横浜駅なので、休日にふらりと家族で横浜に遊びに行きやすい環境だ。

東神奈川駅の中古マンション価格相場は4980万円、横浜駅は5950万円となっており、1駅違うだけで約1000万円も価格相場に開きがあった。

横浜みなとみらい(写真/PIXTA)

横浜みなとみらい(写真/PIXTA)

ちなみに今回調査の起点駅とした品川駅から徒歩15分以内にある、ファミリー向け中古マンションの価格相場は8280万円。それに比べると、1位・保土ヶ谷駅の相場は5290万円も安いという驚きの結果となった。12位の立会川駅でさえ、品川駅と比べると3000万円以上も相場が安い。「品川駅から電車で30分以内の場所」を近いと見るか遠いと見るかは人それぞれだが、30分の時間差で3000万円以上も価格が異なるならば、住まいの候補地として一考する余地はあるだろう。

また、3回にわけて広さ別に価格相場を見てきたが、カップル編とファミリー編のランキングが似通っていた一方で、シングル編とファミリー編ではランクインした顔ぶれはだいぶ異なっていた。シングル向けの物件が安いエリアだからといって、ファミリー向けの広さの物件も安いとは限らない点も頭に入れておくとよさそうだ。

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている品川駅まで電車で30分以内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、築年数40年未満、物件価格3億円以下、専有面積70平米以上100平米未満の物件(敷地権利は所有権のみ)
【データ算出期間】2018年4⽉1⽇~2018年6⽉30⽇
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、平日の日中時間帯の検索結果から算出(乗換なし)
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している

【ファミリー編】渋谷駅まで30分以内・中古マンション価格相場が安い駅ランキング

前回に続いて、渋谷駅まで30分以内にある中古マンションの物件相場をランキング。今回は専有面積70平米以上~100平米未満に絞った、ファミリー向けの中古マンションの物件相場が安い駅にフォーカスする。ちなみに渋谷駅の同条件における物件相場は9315万円と、人気の街だけあってやはり都内でも高め! ランクインした駅と渋谷駅の物件相場の差にも注目しつつ、トップ10を見ていきたい。●渋谷駅まで30分以内の物件相場が安い駅TOP10(11駅)
順位/駅名/価格相場(沿線/所在地/渋谷駅までの所要時間)
1 久地 3260万円(JR南武線/神奈川県川崎市/29分)
2 京王多摩川 3594.5万円(京王相模原線/東京都調布市/29分)
3 戸田公園 3680万円(JR埼京線/埼玉県戸田市/26分)
4 上板橋 3780万円(東武東上線/東京都板橋区/28分)
5 地下鉄赤塚 3880万円(東京メトロ有楽町線・副都心線/東京都練馬区/29分)
6 町屋 3980万円(東京メトロ千代田線/東京都荒川区/30分)
6 鷺沼 3980万円(東急田園都市線/神奈川県川崎市/28分)
8 向ヶ丘遊園 3990万円(小田急線/神奈川県川崎市/24分)
9 大倉山 4180万円(東急東横線/神奈川県横浜市/29分)
9 平間 4180万円(JR南武線/神奈川県川崎市/26分)
9 津田山 4180万円(JR南武線/神奈川県川崎市/27分)

「カップル編」「ファミリー編」共通で1位だった久地駅は要チェック

最も物件相場が安かったのは、JR南武線・久地駅。前回の「カップル編」ランキングでも久地駅が1位だった。ファミリー向け物件の価格相場は3260万円。なんと渋谷駅と比べて6055万円もダウンという驚きの結果! 久地駅~渋谷駅は所要時間が約29分だが、これほど価格差があれば渋谷駅にアクセスしやすい住まい候補地として検討に値するだろう。

2位以下も1位ほどではないにしろ、渋谷駅に比べるとリーズナブルな物件相場の駅が並んでいる。2位の京王相模原線・京王多摩川駅は、物件相場が渋谷駅よりも5700万円以上ダウン。駅の南には多摩川が流れるのどかな環境で、周辺には大型商業施設はないものの、商業ビルが立ち並ぶ調布駅まで1駅で行ける。また、京王線の区間急行や特急を乗り継ぐと新宿駅まで約22分で行けるのも魅力だ。

3位はJR埼京線・戸田公園駅で、物件相場は渋谷駅より6535万円ダウン。スーパーやドラッグストア、雑貨店、飲食店などが入った商業ビル「ビーンズ戸田公園」が駅に直結しており、日々の買物に困らない。駅南側には荒川が流れ、河川敷を舞台にした夏の花火大会の際には多数の人が押し寄せる。探してみると花火ビューの中古マンションも見つかるかもしれない。

戸田公園(写真/PIXTA)

戸田公園(写真/PIXTA)

トップ10のなかでも注目は南武線

トップ3だけ見ても神奈川、東京、埼玉と駅のエリアはバラバラで路線もさまざま。4位以下も多彩な路線が入り乱れてランクインしている。唯一、複数駅がランクインしたのはJR南武線で、1位・久地駅と9位の平間駅と津田山駅が該当。9位の平間駅と津田山駅は物件相場が同額の4180万円で、渋谷駅との価格差は5135万円だった。

久地駅の1駅隣に位置する津田山駅は、駅のすぐそばに小学校がある珍しい環境。近くには泥遊びができるアスレチック広場や屋内運動場を備えた「川崎市子ども夢パーク」があり、周辺には住宅地が広がっている。子育て世代に住みやすい環境と言えそうだ。津田山駅から6駅先が平間駅という位置関係。平間駅は渋谷駅へ向かう東急東横線との乗換駅、武蔵小杉駅から2駅目。駅周辺には大型ドラッグストアやスーパーがあるほか、駅前の通り沿いにベーカリーや生花店、クリーニング店などが並ぶ商店街もある。

トップ10中で最も渋谷駅からの所要時間が短かったのは、8位の小田急線・向ヶ丘遊園駅。同駅は前回の「カップル編」では10位にランクインしていた。駅周辺は住宅地で、スーパーや100円ショップなど暮らしに必要な施設もそろっている。また、駅南側には自然豊かな生田緑地が広がり、「川崎市岡本太郎美術館」をはじめ緑に包まれて科学館や工芸館といった文化施設が点在。休日のリフレッシュ場所にもこと欠かない環境だ。

向ヶ丘遊園駅前通り(写真/PIXTA)

向ヶ丘遊園駅前通り(写真/PIXTA)

前回「カップル編」と今回の「ファミリー編」を見比べると、共通してトップ10入りしたのは1位・久地駅、4位・上板橋駅、8位・向ヶ丘遊園駅のみで、11駅中8駅が違う駅という結果だった。中古マンションの広さによって、どのエリアの物件相場が安いのかが変わってくるので、住まい探しのときは注意が必要そうだ。

また、渋谷駅は複数路線が乗り入れるターミナル駅だが、トップ10中だと渋谷駅も通る路線はJR埼京線(3位・戸田公園駅)、東急田園都市線(6位・鷺沼駅)、東急東横線(9位・大倉山駅)のみという点にも注目したい。「渋谷駅から30分以内」というアクセスのよさを求めると、乗り換えなしの路線に絞って探したくなる。しかし、今回の結果を見ると、たとえ乗り換えがあっても所要時間が短く、物件相場がお得なエリアはこんなにあるということが判明した。視野を広げて住まい探しをしたほうが、いい物件が見つかるかもしれない。

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている渋谷駅まで電車で30分以内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、築年数40年未満、物件価格3億円以下、専有面積70平米以上100平米未満の物件(敷地権利は所有権のみ)
【データ算出期間】2018年3⽉1⽇~2018年5⽉31⽇
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、平日の日中時間帯の検索結果から算出(乗換回数は問わない。乗換ありの場合は乗換時間を含む)
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している

【カップル編】渋谷駅まで30分以内・中古マンション価格相場が安い駅ランキング

JR各線をはじめ、東京メトロの3路線、東急東横線・田園都市線、京王井の頭線が通る渋谷駅は都内屈指のターミナル駅。駅周辺では再開発が進行中で、今後さらなる発展が見込まれることもあり、住宅の相場は都内でも高めの部類。そんな人気エリア・渋谷駅まで30分以内の中古マンションの価格相場を調査! 駅徒歩15分圏内にある、専有面積40平米以上~70平米未満の物件を対象にした、カップル向け中古マンションの物件相場が安い駅トップ10を紹介する。ちなみに基点駅とした渋谷の物件相場は5980万円。ここから30分以内に範囲を広げるとどれほど安く住めるのか? さっそく見ていこう。●渋谷駅まで30分以内の物件相場が安い駅TOP10(11駅)
順位/駅名/価格相場(沿線/所在地/渋谷駅までの所要時間)
1位 久地 2485万円(JR南武線/神奈川県川崎市/29分)
2位 上板橋 2550万円(東武東上線/東京都板橋区/28分)
3位 成増 2780万円(東武東上線/東京都板橋区/24分)
4位 志村坂上 2830万円(都営三田線/東京都板橋区/29分)
5位 中村橋 2880万円(西武池袋線/東京都練馬区/29分)
5位 和光市 2880万円(東武東上線ほか/埼玉県和光市/27分)
7位 登戸 2890万円(JR南武線ほか/神奈川県川崎市/22分)
8位 板橋本町 2900万円(都営三田線/東京都板橋区/25分)
9位 川口 2955万円(JR京浜東北線/埼玉県川口市/26分)
10位 向ヶ丘遊園 2980万円(小田急線/神奈川県川崎市/24分)
10位 宮崎台 2980万円(東急田園都市線/神奈川県川崎市/24分)

渋谷駅から約29分離れると3495万円もダウン!

1位は渋谷駅から約29分のJR南武線・久地(くじ)駅で、中古マンション物件相場は2485万円。物件相場が5980万円だった渋谷駅から30分弱離れると、3495万円も安くなるわけだ。久地駅周辺はのどかな住宅地で大型商業施設はないものの、スーパーや商店街はあるので生活には困らない環境。駅前から10分ほど北に歩くと多摩川が流れている。駅前の府中街道を西へ車で約5分走ると「川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム」や自然豊かな生田緑地があり、休日も楽しく過ごせそうだ。

生田緑地ばら苑(写真/PIXTA)

生田緑地ばら苑(写真/PIXTA)

久地駅からJR南武線で2駅目が7位・登戸(のぼりと)駅。こちらは小田急線も通っており、物件相場は久地駅より約400万円アップの2890万円となっている。小田急線代々木上原駅~登戸駅の複々線化による2018年3月のダイヤ改正で、登戸駅から快速急行に乗ると新宿駅まで3駅・約18分という早さに! この複々線化で通勤・通学ラッシュも和らいだと評判でもあり、登戸駅は狙い目だろう。

また、登戸駅から1駅の小田急線・向ヶ丘遊園駅が10位にランクイン。登戸駅から歩いても10分ほどしか離れていないが、物件相場は登戸駅より90万円アップの2980万円だった。向ヶ丘遊園駅から小田急線・通勤急行を利用すれば新宿駅まで4駅・約20分。向ヶ丘遊園駅も登戸駅も、渋谷駅まで30分以内であることに加え、新宿駅へのアクセスのよさも魅力だ。

新宿や池袋にも行きやすい便利な駅もランクイン

上記で取り上げた1位・久地駅、7位・登戸駅、10位・向ヶ丘遊園駅と、同じく10位の宮崎台駅はいずれも神奈川県川崎市。トップ11駅中の4駅が、渋谷駅の西南部という結果だった。残りの7駅はというと、渋谷駅の北部~北西部に点在していた。そのうち4駅は東京都板橋区に集中している。

東京都板橋区に位置するのは、2~4位と8位の駅。2位・上板橋駅と3位・成増駅は東武東上線で3駅の位置関係、4位・志村坂上駅と8位・板橋本町駅は都営三田線で2駅という位置関係でそれぞれ接近している。東武東上線沿線ならば渋谷に並ぶ繁華街の池袋駅まで1本、都営三田線沿線ならオフィス街である大手町駅まで1本で行けるのが魅力だろう。

東京・丸の内(写真/ PIXTA)

東京・丸の内(写真/ PIXTA)

また、5位・和光市駅は所在地としては埼玉県和光市だが、列車なら東武東上線で成増駅から1駅目というロケーション。東京メトロ有楽町線・副都心線が乗り入れる駅でもあり、副都心線直通の列車に乗ると乗り換えなしで渋谷に行くことができる。

さて、今回トップ10の駅はいずれも物件相場が2000万円台に収まった。つまり渋谷から電車で30分の範囲にまで住まい探しの条件を広げれば、渋谷駅の相場より3000万円以上も手ごろな物件を探すのは難しくないということ。新宿駅や池袋駅など、渋谷駅以外の都心部へのアクセスがいい駅も多く、単に安いだけではなくて住まいの候補地として検討する価値がある駅がランクインしたといえるだろう。

次回は渋谷駅から30分以内にある、専有面積70平米以上~100平米未満に絞った、ファミリー向けの中古マンションの物件相場ランキングを紹介する。どんな駅がランクインするか、お楽しみに。

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている渋谷駅まで電車で30分以内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、築年数40年未満、物件価格3億円以下、専有面積40平米以上70平米未満の物件(敷地権利は所有権のみ)
【データ算出期間】2018年3⽉1⽇~2018年5⽉31⽇
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、平日の日中時間帯の検索結果から算出(乗換回数は問わない・乗り換え時間を含む)
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している

【ファミリー編】新宿駅まで30分以内・中古マンション価格相場が安い駅ランキング

住まい選びをする際、立地は重要なポイントのひとつ。そこで、都内屈指のターミナル駅・新宿駅まで30分圏内という交通の利便性がいいエリアにある、中古マンションの価格相場を調査! これまで2回にわたってシングル編、DINKS編を紹介してきたが、第3弾となる今回は駅徒歩15分圏内にある、専有面積70平米以上~100平米未満の物件を対象にした、ファミリー向けの中古マンションの物件相場が安い駅トップ10を紹介する。●ファミリー向け 新宿駅まで30分圏内の物件相場が安い駅TOP10駅
順位/駅名/価格相場(沿線/所在地/新宿駅までの所要時間)
1位 読売ランド前 2580万円(小田急小田原線/神奈川県川崎市/27分)
2位 与野本町 2680万円(JR埼京線/埼玉県さいたま市/29分)
3位 百合ヶ丘 2690万円(小田急小田原線/神奈川県川崎市/29分)
4位 京王稲田堤 2800万円(京王相模原線/神奈川県川崎市/25分)
5位 生田 2880万円(小田急小田原線/神奈川県川崎市/25分)
6位 稲城 2980万円(京王相模原線/東京都稲城市/29分)
7位 北戸田 2985万円(JR埼京線/埼玉県戸田市/25分)
8位 日野 3080万円(JR中央線/東京都日野市/30分)
8位 蕨 3080万円(JR京浜東北線/埼玉県蕨市/25分)
10位 戸田 3190万円(JR埼京線/埼玉県戸田市/23分)

DINKS編と合わせて見ると2人以上の世帯必見のエリアが明らかに

最も価格相場が安かったのは、小田急小田原線・読売ランド前駅。専有面積40平米以上~70平米未満の物件を対象に物件相場を調査した前回の「DINKS編」調査でも1位になっており、今回の結果も考え合わせると専有面積40平米以上~100平米未満の価格相場が安い物件を探すなら、まず読売ランド前駅はチェックしたほうがよさそうだ。

2位のJR埼京線・与野本町(よのほんまち)駅は、「DINKS編」では3位にランクインしていた。駅に直結してドラッグストアやスーパーなどが並ぶ「ビーンズ与野本町」が備わり、駅周辺には住宅街が広がっている。駅の1.5kmほど北東側にさいたま新都心駅が、また与野本町駅からJR埼京線に乗り2駅で大宮駅があり、そちらのほうへ行くと商業施設はより充実している。

与野本町駅(写真/PIXTA)

与野本町駅(写真/PIXTA)

1位と2位以外にも、「DINKS編」トップ10にランクインした駅がある。それは4位の京王相模原線・稲田堤駅(DINKS編は2位)、5位の小田急小田原線・生田駅(同5位)、7位のJR埼京線・北戸田駅(同4位)、10位のJR埼京線・戸田駅(同6位)。これらのエリアは、2人暮らし以上の世帯が新宿駅まで30分圏内で住まい探しをする際は要チェックだ。

駅前だけでなく隣接駅など周辺環境も暮らすうえでは要チェック

3位は小田急小田原線・百合ヶ丘駅。1駅新宿寄りには1位の読売ランド前駅、小田原方面に1駅進むと快速急行が停まる新百合ヶ丘駅がある。お隣の新百合ヶ丘駅のほうが住宅地として人気があり駅前も発展しているが、物件相場は4390万円と百合ヶ丘駅の1.6倍超! 一方で百合ヶ丘駅の周辺も生活に必要な施設はそろっているし、必要に応じて新百合ヶ丘駅にもすぐ行ける。物件相場を考えると、新百合ヶ丘駅よりも百合ヶ丘駅のほうが穴場といえるかもしれない。

新百合ヶ丘駅前(写真/PIXTA)

新百合ヶ丘駅前(写真/PIXTA)

8位になると3000万円台に突入する。8位は物件相場が同額の3080万円だったJR中央線・日野駅とJR京浜東北線・蕨(わらび)駅。両駅ともに駅前にはスーパーやドラッグストア、飲食店などの商業施設が充実し、日常の買い物に困らない環境。また、日野駅からJR中央線で高尾方面へ行った1駅目の豊田駅前には「イオンモール多摩平の森」が、蕨駅からバスで10分弱の場所には「イオンモール川口前川」がある。どちらも100店舗以上が入っており、こうした大型ショッピングモールがあるのは都心部とは違った魅力だろう。

さて、3回にわたって新宿駅まで30分圏内にある中古マンションの価格相場が安い駅ランキングをお届けしてきた。ランキングを振り返ると新宿までのアクセスを重視しつつお得な中古マンションを探すなら、シングル向けは1000万円台後半、DINKS向けは1900万円台~2300万円台、ファミリー向けは2500万円台~3000万円台の予算が目安となる様子。この価格帯を大きく上回る物件の場合は、築浅であるとか、新宿にとても近い立地であるなど、それに見合った魅力がある物件なのかをもう一度見直すといいだろう。

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている新宿駅まで電車で30分以内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、築年数40年未満、物件価格3億円以下、専有面積70平米以上100平米未満の物件(敷地権利は所有権のみ)
【データ算出期間】2017年3⽉1⽇~2018年2⽉28⽇
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、平日の日中時間帯の検索結果から算出(乗換回数は問わない)
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している

【ファミリー編】東京駅まで30分以内・中古マンション価格相場が安い駅ランキング

住宅は人生最大の買い物といわれている。家選びの判断軸はそれぞれだが、子どもがいる家庭は、子育ての環境や地域性に加え、実家との距離なども考慮する必要があるだろう。それに加え、通勤などの利便性も、高価な買い物には欠かせない大切な要素だ。

子育てと仕事の両立に便利な駅はどこなのか、日本の玄関口であるターミナル駅、東京駅へのアクセスから考えるべく、東京駅まで30分圏内の中古マンションの価格相場が安い駅をリサーチ。これまでシングル、DINKSと世帯のタイプ別に紹介をしてきたが、最後は3K以上の物件を対象としたファミリー向けトップ10を紹介する。
●ファミリー向け、東京駅まで30分以内の物件相場が安い駅TOP10
(順位/駅名/価格相場(沿線/所在地/東京駅までの所要時間)
1位 扇大橋 2285万円(日暮里・舎人ライナー/東京都足立区/約25分)
2位 東船橋 2380万円(JR総武線/千葉県船橋市/約30分)
2位 西新井大師西 2380万円(日暮里・舎人ライナー/東京都足立区/約30分)
4位 江北 2490万円(日暮里・舎人ライナー/東京都足立区/約28分)
5位 下総中山 2605万円(JR総武線/千葉県船橋市/約26分)
6位 栄町(東京) 2640万円(都電荒川線/東京都北区/約26分)
7位 四ツ木 2690万円(京成押上線/東京都葛飾区/約26分)
8位 西船橋 2780万円(JR総武線ほか/千葉県船橋市/約25分)
8位 西川口 2780万円(JR京浜東北線/埼玉県川口市/約29分)
10位 柏 2830万円(JR常磐線ほか/千葉県柏市/約30分)

1位は日暮里・舎人ライナーの扇大橋。同沿線駅は上位に3駅ランクイン

1位は、東京都足立区にある日暮里・舎人ライナーの駅、扇大橋。日暮里・舎人ライナーは2008年3月に開業した路線だ。沿線には都道58号線があるため、車でのお出かけには便利といえそう。荒川の河川敷も近く、のびのびした子育てをしたい家庭には魅力的。駅から近くに小学校も2校存在している。

【画像1】荒川に架かる扇大橋を通過中の日暮里・舎人ライナー(写真/PIXTA)

【画像1】荒川に架かる扇大橋を通過中の日暮里・舎人ライナー(写真/PIXTA)

8~10位の駅は、乗り換えがゼロ

子育て世帯が気になるのは、周囲の買い物施設の充実具合だろう。8位の西船橋駅は、駅ビルのほか、タイムセールの充実したスーパー「ベルクス」や駐車場完備の総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」など、子育てで便利なものの買い物がほぼまかなえそうな環境だ。

ファミリー層に人気の街なのか、調査対象物件数も100以上。JR総武線のほか、JR武蔵野線やJR京葉線、東京メトロ東西線、東葉高速鉄道と利用できる路線も多く、東京駅まで乗り換えがゼロなのは、通勤だけでなく休日に子連れで遊びに行くにも魅力的だ。

【画像2】西船橋駅(写真/PIXTA)

【画像2】西船橋駅(写真/PIXTA)

同じく8位で、埼玉県川口市の西川口駅も、乗り換えが不要。ランクインした駅のなかでは物件数が一番多く、150件以上掲載されている。駅直結の商業施設「ビーンズ西川口」や、24時間営業のスーパー「東武ストア」があり、買い物も便利。整備計画の浸透からか、現在は落ち着いた住宅街に変わりつつあるのに加え、飲食店も充実している。なかでも、本格的な中華料理店が多く、日本では珍しい郷土料理などが楽しめる店もある。

10位の柏も、西船橋や西川口よりはわずかに時間がかかるものの乗り換えがいらない駅。JR常磐線は快速、特急もとまるほか、東武野田線も乗り入れており、商業施設「柏高島屋ステーションモール」が直結している。ほかにも駅周辺には百貨店や家電量販店などのショップも集中しているほか、野菜の直売所などもあり、子どもの食にこだわりたい人には楽しみが見いだせそうだ。

また、スーパーサイエンスハイスクール指定校の千葉県立柏高等学校や、「医歯薬コース」がある中高一貫の千葉県立東葛飾高等学校など、特徴のある学校が近くにあることも、子どもの将来を考えると大きな魅力だろう。

子どもが小さいうちは、電車に乗ってのお出かけは子どもにとっては楽しい思い出となるが、親にとっては少し負担があるもの。だからこそ、主要駅まで乗り換えが不要な駅、または自家用車の所有に便利な駅は、子育て世帯にとって魅力的にうつるだろう。同じ東京駅から30分圏内でも、千葉から埼玉まで範囲は広い。子育てに重視するものの優先順位を吟味して、すてきな環境を探したいものだ。

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている東京駅まで電車で30分圏内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分圏内、築年数40年未満、専有面積100m2未満、3K以上の物件(敷地権利は所有権のみ)
【データ算出期間】2016年10⽉1⽇~2017年9⽉30⽇
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、平日の日中時間帯の検索結果から算出(乗換回数は問わない)
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している

代々木上原で家賃7万円。“普通の家賃”で都心に暮らす2組に話を聞いた

都心住まいにあこがれても、「家賃が高そう」と、都心で暮らすことを考えたことすらない人も多いのではないでしょうか。でも、探してみると意外に平均的な家賃で住める物件もあります。そこで、実際に都心にお住まいのかたに「意外と都心で暮らせるよ!」という体験談と部屋探しのアドバイスをうかがいました。

※平均的な家賃…一人暮らし世帯7万1000円、3人以上世帯11万円(出典:リクルート住まいカンパニー/2016年賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査【首都圏版】)
※都心…ここでは千代田区、品川区、渋谷区、新宿区、中央区、文京区、港区の7区を指します

「代々木上原」家賃7万円、一人暮らしのHさん

代々木上原に住むヘアメイクアーティストHさんは表参道のサロンに勤務する富山県出身の32歳。彼女の部屋のお家賃は、6.7万円にプラス0.3万円の管理費の計7万円。駅徒歩10分、代々木上原は坂が多いのですが、それほど気にはならないそうです。

Hさんは、下北沢の2DKでルームシェアをしたあと、2年後の更新タイミングで引越しをすることに。そのタイミングで出合ったのが、この代々木上原の物件です。すでに4年住み、つい先日2回目の更新を終えました。5年目に突入していることからも、なかなか気に入っている様子がうかがえます。

「渋谷駅まで、徒歩20分程度の距離なのに、わりと落ち着いた雰囲気です。緑も多くて静かな環境。物件探しのときは更新期限が迫っていて時間がなくあせっていたのですが、友人が紹介してくれた不動産屋さんが親切で、運よく気に入った物件が見つかりました」(Hさん、以下同)

引越しに当たってHさんが出した条件は「仕事で通う表参道に近い」「日当たりがよい」「建物がしっかりしていそうな『鉄筋・鉄骨』で、木造はNG」の3つが主なもの。ユニットバスで一口コンロ、洗濯機も外置き(ベランダ)ですが、それは仕方がないことと割り切っており、6.7万円と管理費3000円でこの物件なら文句はないと満足しているそうです。

【画像1】Hさんが勤務する表参道(写真/PIXTA)

【画像1】Hさんが勤務する表参道(写真/PIXTA)

築年数は30年と古めですが、リノベーションが施され、内装は白で統一されています。白熱灯の間接照明は特にお気に入りだそうです。これまでご近所づきあいや家そのものに関しては特にトラブルはありませんでしたが、一度だけねずみがはいってきた痕跡を見つけたことがあったそうです。直接遭遇はしませんでしたが、すぐに駆除業者を呼んで消毒と予防をしました。その後は痕跡もみつかりませんし、遭遇もしていませんが、怖い思い出になっているそうです。

「収納もたっぷりあります。3畳分あるロフトは、部屋とは区別してメイクの練習などのアトリエとして使っています。希望していた日当たりも3面採光で気持ちがいいです!」

今でも十分都心といえますが、“THE都心”への憧れの気持ちは尽きることがないようで「もっと都心に住みたい!」というHさん。表参道まで自転車通勤できる快適な毎日を過ごせているようです。

「北参道」家賃11万円、家族4人で暮らすNさん

副都心線北参道駅から徒歩7分、11万円の物件にお住まいのNさん(36歳)。ご主人と保育園に通うお子さま2人の4人で暮らしています。フリーのスタイリストとして働いていて、ご主人も同じ業界。昼間はお子さんを保育園に預けています。7階建ての3階にあるお住まいは1LDKで、広さは60m2弱、築年数は30年。住んで3年目とのこと。

以前は代々木にお住まいだったNさん、引越したきっかけは、「駐輪場」でした。「大きな地震があったときに駐輪場の屋根が壊れたのですが、大家さんは修復してくれず、駐輪場そのものがなくなることに。子育て世代の私たちに自転車は必須ですから、引越すしかありませんでした」(Nさん、以下同)

そのタイミングでNさんが2人目のお子さんを出産。上のお子さまを連れて遠方のご実家へと長期帰省している間にご主人があっという間に物件を決め、Nさん不在の間にお一人で引越し作業を敢行。その際、ご主人が決めた条件は「家賃」「間取り」「直感」という3つだったそう。「新居の要望を言う余裕もなかったのですが、なんとなく代々木の20万円の部屋と同じくらいのところを探してくれると思い込んでいました」

数カ月後、実家から帰ってきて新居にはじめて入ったHさん。外観に気になるところはないし、室内もリノベーションされていてきれいでした……が、「洗濯機は外置き、代々木の部屋にあった独立洗面台がないことに驚きました」

最初は憤ったものの、だんだんと慣れてきたそう。また、以前から9万円も家賃が下がったために、生活にはずいぶん余裕が出たといいます。「二人とも自営業(フリー)で、生活にあまりお金をかけるのは不安なので、ちょうどよいのかもしれません。今は不自由を感じなくなりました」

部屋数が少ないため、親子・夫婦喧嘩したときなども顔を合わせねばなりません。しかたなく一緒の布団で寝ることになるので、家族の距離が近くなり、以前よりもよりあたたかな生活ができているようです。

ところで、Nさんの部屋はどうして11万円という破格なのでしょうか。

不動産屋さんで20万円以下の物件を探していて11万円の部屋を見つけたご主人は、当初やはりすこし心配になったそう。実は、このお部屋は地方にお住まいのご高齢の方が、もともと投資用に購入した部屋。ただ、そこまで家賃収入に執着がなく家賃を安く設定しているとのこと。また、「住みやすいように」と床の張り替えなど、積極的にリフォームもしてくれるそうで、とてもいい大家さんに出会えたようです。

Nさんのマンションは管理員さんも古くから住んでいるご近所さんも親切だといいます。「いまだに回覧板があったり、ものをもらったりあげたりする」ような、古きよきご近所づきあいをしているそうです。

都心暮らしの一番のメリットは職場や目的地まで距離が近いこと。ネットショッピングでより生活が便利に

Hさんは都心暮らしについて「職場から近いのがいちばんです。自転車も使え、移動時間が短いし、タクシーを使っても安いです」とよさを教えてくれます。

Nさんは、もともとは都心で暮らすことを不便に感じていたようです。いちばん近いドラッグストアが人通りの多い竹下通りにあるなど、日常の生活に向かないと思っていたからです。ただ、いまはネットで日用品から食品までなんでも買えます。もともとは職場まで徒歩や自転車でいけることから都心に住み始めましたが、「都心でより便利に安く暮らせる時代が来た」とNさんは思っているそうです。

「どんな場所でも『住めば都』。意外とどこでも変わらない生活ができます。買い物するお店がなくても、ネットで探せます。それに、このあたりはタクシーの1メーター410円でどこでもいけますし、カーシェアリングを利用すれば子どもがいても移動が楽です。ママ友もたくさんいますが、みんな子育てに仕事にと、パワフルなのが都心。空気もみなさんが思っているほど悪くないですよ」(Nさん)

また、都心は意外と子どもを遊ばせやすいとも感じているそうです。「歩いていける国立競技場には子どもが自転車の練習をできる場所がありますし、代々木公園や新宿御苑も近いです。ただ、小さな公園など、家の近所に遊ぶ場所がないのがすこし不便かもしれません」(Nさん)

都心に普通の値段で住む 家探しのコツとは?

Hさんは「お部屋探しのコツは不動産屋さんと仲よくなること。不動産屋さんはやっぱり最新の情報をもっていて、仲よくなっておけばいち早く教えてくれます」と言います。

また、「妥協できる点とできない点を決め、優先順位をつけておきました。例えば私は同じユニットバスでも許せるタイプのものと許せないタイプのものがあったので、そういう細かいところまで決めて、たくさん見たほうがよいです。探せばあるので、あきらめない。よくばってもよいと思いますし、焦点を決めて探してみてください」とアドバイスしてくれました。

数年後にはお子さまの小学校入学に合わせて、勉強部屋確保のためにも引越そうと思っているNさん。ご夫婦での開業も予定されているそうですが、またこの近くに住むことになりそうです。都心の暮らしやすさを知っているからこそ、また都心へと引越したくなるのかもしれません。

探すのが難しいと思われがちな「都心の手ごろな部屋」。自分の譲れない条件を絞れば、希望の家賃に収まる物件は見つかりそうです。また、場所によっては静かな生活を送ることもできますし、ネットショッピングがより便利になり、日常生活にお金がかかり過ぎたり、日用品を買うお店がなくて不便ということも以前よりなくなってきたように感じます。都心に憧れをもっているかたは、都心暮らしを検討してみてもよいかもしれません。