令和5年度補正予算で住宅の取得やリフォームでおトクに!補助金や優遇制度を先取り解説!キーワードは子育てと省エネ住宅

令和5年度補正予算について、概算が閣議決定した。国土交通省関係の補正予算の中から、住宅・不動産に関するものを中心に、どういった政策があってどのような優遇が受けられるようになるのかを見ていこう。キーワードは「子育て」と「省エネ住宅」だ。

【今週の住活トピック】
令和5年度国土交通省関係補正予算の概要について/国土交通省

「子育てエコホーム支援事業」に2100億円

国土交通省では、「エネルギーコスト上昇に対する経済社会の耐性の強化」として、「質の高い住宅ストック形成に関する省エネ住宅への支援」に2100億円を充てる。この支援事業は「子育てエコホーム支援事業」という名称となった。

「子育てエコホーム支援事業」は全く新しい事業というわけではない。「こどもみらい住宅支援事業」(令和3年度補正予算542億円、令和4年度予備費等600億円)、「こどもエコすまい支援事業」(令和4年度補正予算1500億円、令和5年度当初予算209.35億円)が、いずれも予算に達して早期に受付を終了したことを受けたものだ。予算を拡大し、適用条件などを変更しているので、以前の支援事業と同じ条件ではないことに注意が必要だ。

「子育てエコホーム支援事業」は、以前の支援事業と同様に、子育て世帯または若者夫婦世帯による(1)省エネ性能の高い住宅の新築と(2)住宅の一定のリフォームが対象。ただし、補助額とその条件が少し異なる。

■子育てエコホーム支援事業の補助対象 (下線部が前回の支援事業と異なる点)
(1)子育て世帯または若者夫婦世帯による省エネ性能の高い住宅の新築(注文住宅/新築分譲住宅の購入)
長期優良住宅の場合【補助額】100万円/戸
ZEH住宅の場合  【補助額】80万円/戸
※1:「子育て世帯」は、18歳未満の子どもがいる世帯、「若者夫婦世帯」は、いずれかが39歳以下の夫婦世帯
※2:ZEH住宅とは強化外皮基準かつ再エネを除く一次エネルギー消費量▲20%に適合するもの

(2)住宅の一定のリフォーム
【必須工事】住宅の省エネ改修
【任意工事】子育て対応改修、バリアフリー改修、空気清浄機能・換気機能付きエアコン設置工事等
【補助額】リフォーム工事内容に応じて定める額
【上限額】
子育て世帯または若者夫婦世帯:上限30万円/戸
※長期優良住宅リフォームの場合は上限45万円/戸、子育て世帯・若者夫婦世帯が既存住宅購入を伴う場合は上限60万円/戸
その他の世帯:上限20万円/戸
※その他の世帯が長期優良住宅リフォームを行う場合は上限30万円/戸

いずれも、事前に登録した事業者により、閣議決定日の2023年11月2日以降に工事に着工したものが対象で、補助金の申請は事業者が行うものとされている。

3省が連携して、住宅の省エネ化への支援を強化

住宅の省エネ化に対する補助事業は、国土交通省だけではない。現在も、国土交通省と経済産業省、環境省の連携による「住宅省エネ2023キャンペーン」が実施されており、「こどもエコすまい支援事業」以外の事業はまだ補助金の申請を受け付けている。こちらも、「住宅省エネ2024キャンペーン」が予定されているが、新しいキャンペーンも少し内容が変わる。

■住宅省エネ2024キャンペーンの対象
住宅の省エネリフォーム等を支援する補助制度で、住宅の省エネ改修、断熱窓への改修、高効率の給湯器の導入支援の補助制度をワンストップで利用可能とするもの。

(1)断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業(先進的窓リノベ事業の後継)
高断熱窓の設置:【補助額】工事内容に応じて定める額(補助率1/2相当)上限200万円/戸

(2)高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金(給湯省エネ事業の後継)
高効率給湯器の設置:【補助額】高効率給湯器の機器・性能ごとに定める額

(3)既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業(新規事業)
既存賃貸集合住宅におけるエコジョーズ等の取り替え

(4)子育てエコホーム支援事業

なお、子育てエコホーム支援事業で定める必須の省エネ改修を行うだけでなく、キャンペーンの(1)~(3)のいずれかの工事を行った場合でも、(4)の任意工事が支援事業の対象となり、複数の支援事業を申請する場合は一つの窓口で申請できるなどの連携が行われる。

子育て世帯を応援する【フラット35】子育てプラスを新設

令和5年度補正予算については、「こどもまんなかまちづくり」の実現に向けた子育てにやさしい住まいの支援として、子育て世帯を応援する【フラット35】子育てプラスの新設を挙げている。これは、子どもの人数に応じて【フラット35】※の金利の引き下げをするもの。
※【フラット35】は民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する長期固定型の住宅ローン

対象は、借入申込時点で、子育て(同居する孫を含む)世帯または若者夫婦(同性パートナー含む)世帯で、借入申込年度の4月1日に子どもの年齢が18歳未満または夫婦いずれかが40歳未満、などとなる。

【フラット35】の金利が引き下げられる【フラット35】Sなど※は、ポイントによって引き下げ幅が変わる仕組みになっているが、これに「子育てプラス」の以下のポイントが加算される形となる。
※【フラット35】Sのほかにも、管理・修繕に関する「維持保全型」、エリアに関する「地域連携型」などの金利引き下げ制度がある

○「子育てプラス」によるポイント
・若年夫婦世帯または子ども1人世帯:1ポイント
・子ども2人世帯:2ポイント
・子ども3人世帯:3ポイント
・子どもN人世帯:Nポイント

既存のそれぞれに与えられたポイントに「子育てプラス」のポイントを加算し、合計ポイントによって最終的な金利の引き下げ幅が決まる。1ポイントごとに5年間年0.25%の金利引き下げとなる。
※ただし、「子育てプラス」を利用しない場合は4ポイントまでが上限となる。

○「子育てプラス」を利用した場合の金利引き下げ例
1ポイント~4ポイントの場合、「当初5年間」1ポイントごとに年0.25%ずつ引き下げる(最大で当初5年間年1.00%引き下げ)
5ポイント~8ポイントの場合、さらに「6~10年目まで」1ポイントごとに年0.25%ずつ引き下げる(最大で当初10年間すべてで年1.00%引き下げ)
9ポイント以上の場合、さらに「11~15年目」も1ポイントごとに年0.25%ずつ引き下げる

この新しいポイント制度は、令和5年度補正予算が成立し、住宅金融支援機構が告知する適用開始日の資金受け取り分から適用される。ポイント制度についてはかなり複雑なので、住宅金融支援機構の案内などで確認してほしい。

なお、今回紹介した支援事業はすべて、国会で令和5年度補正予算が成立することが前提であり、まだ正式に決定しているわけではない。また、ここで説明したことのほかにも詳しい条件が定められているので、実際に利用したいと思う人は、告知サイト等でしっかり確かめてほしい。

●関連サイト
「子育てエコホーム支援事業」
新たな住宅の省エネ化への支援 「子育てエコホーム支援事業」の事業の内容を公開します!
「住宅省エネキャンペーン2024」
住宅の省エネ化への支援強化に関する予算案を閣議決定!~国交省・経産省・環境省が連携して取り組みます!~
「【フラット35】子育てプラス」
子育て世帯を応援する【フラット35】子育てプラス(仮称)が新登場

新築・中古マンションの価格は平均年収の10倍以上に上昇?エリア別に詳しく解説

東京カンテイの調査結果によると、2022年のマンションの年収倍率(全国平均)は、新築マンションで9.66倍、築10年の中古マンションで7.27倍になり、いずれも前年度より0.73拡大したという。気になるのは首都圏、特に東京都だ。マンションはどこまで遠くに行くのだろう?

新築マンションで13、中古マンションで5の都道府県で年収倍率が10倍超えに

東京カンテイが算出した都道府県別の年収倍率は、“マンションの買いやすさ”を検証するためのもの。都道府県ごとに「2022年に分譲された新築マンションの平均価格(70平米換算)」と「2022年における築10年の中古マンションの平均価格(70平米換算)」が、平均年収※の何倍に相当するかを割り出したもの。
※内閣府発表の「県民経済計算」を基に平均年収を予測した数値

新築マンションの年収倍率は、全国平均で9.66倍となり、前年から0.73拡大した。最も倍率が高いのは東京都の14.81倍、次いで京都府の13.66倍、最も低いのは徳島県の7.35倍だった。東京カンテイによると、「全国的に平均年収が低下する中でも圏域を問わず高額な物件の供給が続いている」ことが、背景にあるという。

年収倍率が10倍を超えるのは、北から北海道10.98倍、青森県11.26倍、岩手県10.56倍、埼玉県12.38倍、東京都14.81倍、神奈川県12.42倍、石川県11.14倍、静岡県10.70倍、京都府13.66倍、大阪府12.45倍、奈良県10.52倍、鹿児島県10.13倍、沖縄県11.59倍の13都道府県だった。最も倍率の低い徳島県でも、新築マンションを買うには年収の7.35倍が必要という計算になり、新築マンションの価格は全国的に手が届きにくい状況にある。

一方、築10年の中古マンションの年収倍率は、全国平均で7.27倍となり、前年より0.73拡大した。これにより、2008年の集計開始以来で初の7倍台に達した。最も倍率が高いのは東京都の14.49倍、次いで京都府の11.35倍、最も低いのは富山県の4.31倍だった。東京カンテイによると、「全域的に拡大した首都圏や近畿圏がけん引する形で全国平均はさらに押し上がる結果となった」という。

築10年の中古マンションで年収倍率が10倍を超えるのは、北から埼玉県10.87倍、東京都14.49倍、神奈川県10.43倍、京都府11.35倍、大阪府10.45倍の5都府県。中古マンションといえども、都市部では手が届きにくい状況にある。ただし、年収倍率が5倍台以下になるのは、茨城県5.92倍、群馬県5.68倍、新潟県5.31倍、富山県4.31倍、福井県5.94倍、三重県5.42倍、鳥取県5.25倍、島根県5.57倍、山口県5.07倍、徳島県5.92倍、香川県5.05倍、愛媛県5.52倍、佐賀県5.20倍の13県あり、新築マンションよりも価格的に手が届きやすいことは間違いないだろう。

東京都の年収倍率は、新築マンションも中古マンションも14倍台に

新築と中古の年収倍率の開きは、前年も2022年も2.39で変わっていない。全国的に平均年収が前年より下がったのに対して、新築も中古も全国的に価格(70平米換算)が上がったという構図だ。

マンションの最大供給エリアである首都圏に絞って見てみよう。
新築マンションでは、千葉県を除いて1都2県が過去17年間で最高値を記録した。特に埼玉県と神奈川県で、前年より大きく倍率が拡大した。東京都が小幅な拡大だったのは、平均年収が上がっていることも影響している。片や中古マンションでは、首都圏1都3県ともに前年より倍率が拡大した。首都圏全域で中古マンション価格が上昇したということだろう。

特に年収倍率が、新築マンション(14.81倍)と中古マンション(14.49倍)ではほとんど差がない、東京都に注目だ。新築マンションの年収倍率は想定できたが、中古マンションの年収倍率がここまで上がるとは驚きだ。東京都や京都府などでは、マイホームとして買う層だけでなく、投資目的や海外組が買う事例が多いことも影響しているのだろう。

●首都圏の年収倍率
■新築マンション

都道府県2022年2021年年収倍率平均年収
(万円)70平米価格
(万円)年収倍率平均年収
(万円)70平米価格
(万円)埼玉県12.384505.57011.044725.213千葉県9.774814.7019.075034.563東京都14.815788.56114.695708.373神奈川県12.424725.86410.055535.555首都圏12.474956.17411.295255.926

●首都圏の年収倍率
■中古マンション

都道府県2022年2021年年収倍率平均年収
(万円)70平米価格
(万円)年収倍率平均年収
(万円)70平米価格
(万円)埼玉県10.874504.8928.124723.832千葉県8.324814.0006.045033.037東京都14.495788.37313.355707.612神奈川県10.434724.9247.755534.285首都圏11.214955.5478.945254.692出典:東京カンテイ「都道府県別 新築・中古マンション価格の年収倍率 2022」より抜粋して編集部で作成実際に買った人の年収倍率は現実的な範囲

年収倍率だけ見ると、一部の地域を除いて、新築も中古もマンション購入のハードルが高くなったという印象を受ける。上記の年収倍率は、世帯年収(2022年首都圏平均495万円)で計算している。

実際にどの程度の年収倍率でマンションを買っているかに関しては、住宅金融支援機構の「2022年度フラット35利用者調査」で見ていこう。長期間固定金利の住宅ローン【フラット35】を利用して住宅を取得した人の世帯年収や年収倍率は、次のようになっている。

●「2022年度フラット35利用者調査」の結果
■新築マンション

年収倍率世帯年収購入価額全国7.2844.2万円4848.4万円首都圏7.8821.6万円5327.7万円近畿圏7.3832.0万円4973.9万円東海圏6.4909.6万円4434.9万円その他地域6.2872.9万円4018.5万円

■中古マンション(築年限定なし)

年収倍率世帯年収購入価額全国5.9621.5万円3156.9万円首都圏6.3637.8万円3518.0万円近畿圏5.7562.0万円2775.6万円東海圏4.8578.7万円2220.7万円その他地域4.9670.8万円2546.6万円出典:住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」より抜粋して筆者作成

実際にマンションを買っている人で見ると、やはり年収倍率は新築マンションで6~7倍、中古マンションで5倍前後と、現実的な範囲で買っている。買った人の世帯年収はそれなりに高いので、世帯年収が500万円を切る世帯では、マンションは遠い存在になっているかもしれない。

さて、“買いやすさ”の指標である年収倍率は上昇が続いている。ここにきて、住宅ローンの長期固定金利が上昇局面に移りつつある。マンションを買おうとしている人には厳しい環境にあるが、こうした時は背伸びをしないで、自分たちの世帯年収に見合う、長期的に無理なく返済できるマンションを探すことをお勧めする。新築マンションやリノベーション済みの中古マンションの性能は、以前より高くなっているという側面もあるので、価格だけでなく、それに見合う住宅性能であるかも見てほしい。

●関連サイト
東京カンテイ「都道府県別 新築・中古マンション価格の年収倍率 2022」
住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」

国土交通省の令和6年度予算要求、住宅施策は何が変わる?施策概要を解説

国土交通省が令和6年度予算の概算要求の概要を公表した。まだ要求した段階で決定したものではないが、国土交通省がどんなことに力を入れようとしているのかが分かる。その中から、住宅に関することをピックアップして、見ていくこととしよう。

【今週の住活トピック】
令和6年度予算概算要求概要等を公表/国土交通省

新築・既存住宅の省エネ化の推進や中古住宅流通・リフォーム市場の活性化などに予算を充てる

国土交通省の令和6年度の予算では、(1)「国民の安全・安心の確保」、(2)「持続的な経済成長の実現」、(3)「個性をいかした地域づくりと分散型国づくり」に重点を置いている。

(1)「国民の安全・安心の確保」では、自然災害の激甚化・頻発化に対応する強靭な国土づくりを掲げている。住宅関連について見ると、以前から行っている「密集市街地対策や住宅・建築物の耐震化」や近年多く発生している土砂崩れの要因ともなる「盛土の安全確保対策」を推進するとしている。

(2)「持続的な経済成長の実現」における住宅関連の主眼は、「ZEH・ZEBの普及や木材活用、ストックの省エネ化など住宅・建築物の省エネ対策等の強化」となる。また、住宅にも関係がある、建設業の「2024年問題※」の解決に向けた支援をするとしている。
※2024年4月から時間外労働の上限規制が建設業に適用されることで、さまざまな影響が生じること

(3)「個性をいかした地域づくりと分散型国づくり」では、「多様な世帯が安心して暮らせる住宅セーフティネット機能の強化」や「既存住宅流通・リフォーム市場の活性化」が住宅関連の項目と言えるだろう。加えて、「空き家対策、所有者不明土地等対策及び適正な土地利用等の促進」や「地方への人の流れを創出する移住等の促進」もテーマに掲げている。

また、岸田政権はこども・子育て政策に力を入れていることから、「こどもまんなかまちづくり」を推進するとして、「子育て世帯等に対する住宅支援の強化」や「通学路等の交通安全対策の推進」にも予算を充てるとしている。

こども・子育てへの支援内容とは?

次に、具体的な支援内容について、国土交通省住宅局の予算概算要求概要で見ていこう。詳しく見ると、おおむね継続または拡充となっているので、2023年度の支援策が2024年度にも継続され、一部の内容が見直されるということになりそうだ。

子育て世帯等に対する住宅取得支援の強化としては、「【フラット35】の金利引き下げ」が挙がっている。これは、【フラット35】のなかでも、「【フラット35】地域連携型」によるもの。地域連携型とは、地方公共団体がそれぞれ該当する住宅取得に関する補助金などの財政的支援を行っている場合に、併せて【フラット35】の金利を引き下げるもの。つまり前提として、地方公共団体が子育て支援策を設けている場合に限られる。残念ながら東京都は、首都圏でも神奈川県や千葉県に比べると子育て支援をしている区市が少なく、2023年4月時点の資料によると、台東区、墨田区、福生市、多摩市、奥多摩町となっている。

【フラット35】の金利引き下げ制度については、2023年4月に見直しが図られた。地域連携型で「子育て支援」と「空き家対策」については、返済当初10年間、0.25%の金利を引き下げる形になっている。また、【フラット35】地方移住支援型では、当初10年間、0.3%の金利引き下げとなる。省エネ性の高い住宅の場合に金利を引き下げる「【フラット35】S」などと組み合わせると、さらに金利が引き下げられる仕組みだ。これらは、2023年度の制度なので、2024年度も予算をつけて継続すると考えられる。金利の引き下げ幅については、2024年度でどうなるか見守りたい。

また、「子育て支援型共同住宅推進事業」という補助制度もある。マンションなどの共同住宅で、子どもの安全・安心や快適な子育て等に配慮した改修などを行った場合に補助金を出す事業だ。今住んでいる分譲マンションの住戸で、子育て中の区分所有者などが、条件に該当するリフォームを行うと、2023年度の場合は、補助対象事業費の3分の1までで上限100万円の補助金が交付される。2024年度は、この補助制度を拡充する予算を要求している。

子育て支援型共同住宅推進事業の拡充を要求(現行制度の概要)/令和6年度「住宅局関係予算概要要求概要:国土交通省住宅局」より抜粋

子育て支援型共同住宅推進事業の拡充を要求(現行制度の概要)/令和6年度「住宅局関係予算概算要求概要:国土交通省住宅局」より抜粋

住宅のリフォームへの支援策とは?

住宅のリフォームに関する補助金の制度もいくつかある。省エネリフォームや長期優良住宅化リフォームについての支援制度などだ。

たとえば「住宅エコリフォーム推進事業」では、省エネ診断や省エネ設計、省エネ改修(または建て替え)の費用に対して、上限枠まで補助金が交付される。2023年度の事業では、省エネ基準適合レベルなら30万円(交付対象費用の4割まで)、ZEHレベルなら70万円(交付対象費用の8割まで)を限度に補助金が交付されるものだったが、すでに予算枠に達してしまい受付を終了している。2024年度の予算要求では拡充となっているので、より多くの件数に対応できるように予算枠を増やす考えなのだろう。

また、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」では、所定のリフォームを行った場合に、工事費用の3分の1を限度に、100万円(長期優良住宅(増改築)認定を取得する場合は200万円)まで補助金が交付される。ただし、若者・子育て世帯が工事を実施する場合や既存住宅を購入して工事を実施する場合などでは上限額が50万円加算される。この事業については、2024年度に継続する予算要求をしている。

長期優良住宅化リフォーム推進事業の継続を要求(現行制度の概要)

長期優良住宅化リフォーム推進事業の継続を要求(現行制度の概要)

対象が限られたり、申請や受領が事業者となったりするものも含めて、補助金などの支援策はほかにも数多くあり、継続や延長、拡充などの予算要求がされている。

なお、令和6年度予算概算要求概要の公表と同時に、令和6年度国土交通省税制改正要望事項についても公表されている。税制改正要望についても、期限切れを迎える減税制度の延長が多いが、住宅のリフォームに関する減税制度で、現行の「耐震」「バリアフリー」「省エネ」「三世代同居」「長期優良住宅化」のリフォームに加え、「子育て対応」に関するリフォームを加えるように要望している。

2024年度のこども・子育て政策については、目新しいものはないが、地道に予算や税制の要望をしているという印象を受けた。

●関連サイト
国土交通省 令和6年度予算概算要求概要等を公表(令和5年8月24日)
国土交通省「令和6年度予算概算要求概要」
「令和6年度国土交通省税制改正要望事項」

住宅購入者の関心が高いワードはやはり【フラット35】、「住宅ローン減税」!購入時に知るべき制度も解説

リクルートが「『住宅購入・建築検討者』調査(2022年)」を公表した。この調査では、住宅の購入や建築を検討するうえで、知っておきたい制度などについての理解・関心度も聞いている。その結果、理解・関心度の高いワードの多くが、住宅ローンや減税に関するものだということが分かった。

【今週の住活トピック】
「住宅購入・建築検討者」調査(2022年度)公表/リクルート

住宅購入・建築検討者は一戸建て派が多数を占める

調査は、首都圏、東海圏、関西圏の三大都市圏と政令指定都市のうち札幌市、仙台市、広島市、福岡市に住む、20歳から69歳の男女で、過去1年以内に住宅の購入・建築、リフォームについて具体的に検討した人を対象に行われた。

検討している住宅の種別(複数回答)は、「注文住宅」が過半数の56%で、「新築一戸建て」32%、「中古一戸建て」29%、「新築マンション」32%、「中古マンション」26%、「(現在住む家の)リフォーム」15%となっている。「一戸建てか、マンションか」を聞く(単一回答)と、「ぜったい」と「どちらかといえば」の合計で、「一戸建て派」が63%、「マンション派」が22%と、一戸建て派が多数を占める結果となった。

また、検討している物件に、「永住する」と考えているのは45%、「将来的に売却を検討している」のは24%、「将来的に賃借を検討している」のは5%だった。

過半数が名前も内容も知っている、【フラット35】、「リノベーション」、「住宅ローン減税」

この調査では、「税制・優遇制度などへの理解・関心」について、詳しく聞いている。聞いた税制・優遇制度は、「今後創設予定の税制・優遇制度」、「住宅購入に関する税制・優遇制度」、「住宅購入に関する金利・補助金」、「物件の構造・仕様、取引、他に関するもの」に大別され、それぞれ複数項目を聞いている。

その項目の中で、「言葉も内容も知っている」と回答した割合(以降は、「認知度」と表記)の多いものを挙げてみよう。

■認知度の高い項目(上位10項目)

順位制度名等認知度1【フラット35】75%2リノベーション63%3住宅ローン減税※56%4【フラット35 S】46%4空き家バンク46%6固定資産税の減額措置45%6スマートハウス45%8贈与税の特例42%9認定長期優良住宅41%10住宅リフォームの減税制度40%※住宅ローン減税については、さらに細かく聞いているが、順位としては省略した。
リクルート『住宅購入・建築検討者』調査(2022年度)を基に筆者が作成

認知度の上位には、住宅ローンと減税に関するものが多く入っているのが目立つ。ローンと税金は多くの人に関係するだけに、認知度が高くなっているのだろう。ちなみに、認知度が低かったのは、「BELS」(23%)や「安心R住宅」(25%)だった。

【フラット35】と「住宅ローン減税」のどこまで知っている?

この調査では、回答者に対して言葉とその内容について説明文を提示し、そのうえで、知っているかどうか聞いている。その説明について、紹介しておこう。

まず、1位の【フラット35】と4位の【フラット35 S】。

【フラット35】全期間固定金利の住宅ローンである【フラット35】において、2023年4月よりすべての住宅について、省エネ基準への適合を求める制度の見直しが行われる。【フラット35 S】一定の基準を満たした住宅を取得する場合、一般の住宅より金利を引き下げる制度。

住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する【フラット35】だが、ポイントは、2023年4月以降は省エネ基準に適合していないと利用できないことだ。金利を引き下げる優遇制度である【フラット35 S】は、すでにZEHなど省エネ性の高い住宅ほど金利が優遇される仕組みに変わっている。

2位の「住宅ローン減税」については、「返済期間10年以上の住宅ローンを利用して住宅を購入した場合に、住宅ローン残高の0.7%を所得税等から控除」と概要を説明しており、認知度は56%になっている。実は、調査ではさらに細かく聞いている。

【住宅ローン減税×環境性能】環境性能の優れた住宅では、減税の対象となる借入限度額が上乗せになる。【住宅ローン減税×中古OK】新耐震基準適合住宅(1982年以降に建築された住宅と定義)であれば、住宅ローン減税が適用される。【住宅ローン減税×増改築OK】自宅の増改築でも基準を満たせば、住宅ローン減税が適用される。【住宅ローン減税×新築床面積】2023年末までに建築確認を受けた新築住宅であれば、床面積が40平米以上50平米未満でも適用される。(それより以前は床面積50平米以上で適用対象)【住宅ローン減税×耐震改修】新耐震基準を満たさない中古でも、取得後一定期間内に耐震改修して基準を満たせば、住宅ローンが適用される。

いずれについても、認知度は46%~51%と高く、住宅ローン減税については細かい適用条件まで理解している人が多いことがわかる。

リノベーションなど認知度の高いワードを再確認

以下、上位に挙がった項目について、説明していこう。

リノベーション既存の建物に大規模な改修工事を行い、用途や機能を変更して性能を向上させたり付加価値を与えること。空き家バンク地方自治体が、空き家の賃貸・売却を希望する所有者から提供された情報を集約し、空き家をこれから利用・活用したい方に紹介する制度。空き家対策の一つとして注目されている。固定資産税の減額措置2024年3月末までに新築住宅を取得した場合、固定資産税が3年間(マンション等の場合は5年間)、2分の1に減額される。スマートハウス太陽光発電システムや蓄電池などのエネルギー機器、家電、住宅機器などをコントロールし、エネルギーマネジメントを行うことで、家庭内におけるエネルギー消費を最適化する住宅。贈与税の特例住宅取得等資金として、子や孫が親や祖父母から贈与を受ける場合、通常の住宅で500万円、省エネ等住宅で1000万円まで贈与税が非課税になる。認定長期優良住宅耐震、省エネ、耐久性などに優れた住宅である長期優良住宅と認定されると、所得税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税が軽減される。(住宅ローン減税では借入限度額が上乗せされる)住宅リフォームの減税制度耐震改修、バリアフリー対応、省エネ対応、三世代同居対応、長期優良住宅化対応の工事を行うと所得税等の控除がある。リクルート『住宅購入・建築検討者』調査(2022年度)を基に筆者が作成

少し補足説明をしておこう。
「リノベーション」については明確な定義がないのだが、住宅業界では一般的に、劣化した部分を建築当時の水準に改修するだけでなく、今の生活に合うように機能を引き上げる改修を行うことをいう。そのため、大規模な改修工事になることが多い。

「空き家バンク」は、かつては自治体ごとに公開しているホームページを見に行くしかなく、使いづらいものだったが、いまは民間の不動産ポータルサイトによって統一した内容で全国の空き家が探せるようになっている。

「スマートハウス」は、一般的にHEMS (home energy management system) と呼ばれる住宅のエネルギー管理システムで、家庭の電気などのエネルギーを一元的に管理する住宅のこと。IT技術を活用した住宅としてはほかに、IoT住宅(アイオーティー住宅。インターネットで住宅設備や家電などをつなげてコントロールできる住宅)などもある。IT技術によって、今後も多くのものがホームネットワークでつながり、安心安全や健康などの住生活の向上も期待されている。

ほかは、主に減税に関する項目が上位に挙がった。いずれも期限付きの減税制度となっている。期限がくると延長されるか、縮小されるか、終了するかになるので、注意が必要だ。

知っておきたい「新築住宅の省エネ基準適合義務化」と「インスペクション」

最後に、認知度が高くはなかったが、知っておきたい項目について紹介したい。それは「2025年新築住宅の省エネ基準適合義務化」(26%)と「インスペクション(建物状況調査)」(32%)だ。

新築住宅、特に一戸建てのような小規模な建築物にも、省エネ基準への適合が義務化されることになっている。適合義務化は、2030年までにZEH水準まで引き上げる予定となっている。こうした新築住宅への義務化によって、既存の住宅と省エネ性能に開きができる点も押さえておきたい。

「インスペクション」(32%)はもっと認知度が高いと思っていたので、少し意外に思った。中古住宅の売買において、宅地建物取引業者は、建物状況調査の事業者をあっせんするかどうかや、対象の住宅が建物状況調査を行っているかどうかなどを伝えることになっている。建物の状態はしっかり把握しておきたいものなので、認知度が上がることを期待したい。

さて、説明文が簡単に記載されていたとしても、「言葉も内容も知っている」というレベルは人それぞれだろう。何となく分かっているというレベルから、適用条件や期限まで正確に把握しているレベルまでさまざまある。実際に制度を利用しようとするときには、正確に理解していることが求められるので、この機会にぜひ各制度への理解を深めてほしい。

●関連サイト
リクルート「住宅購入・建築検討者」調査(2022年度)

Z世代は「新築」「一戸建て」がお好き? 駅からの近さより広さ重視の結果に

パナソニック ホームズが、若年者(Z世代)を含む住宅購入検討層や将来的な購入検討層を対象に、「住まいに対する意向調査」を実施した。そのなかでも特に「結婚と住まいの意向についてのアンケート」(リリース資料の図7~13が対象)を中心に、Z世代ならでは住まい観について見ていくことにしよう。

【今週の住活トピック】
「住まいに対する意向調査」を実施/パナソニック ホームズ

Z世代は一戸建てのマイホームがお好き?

この調査では、住宅購入の潜在的もしくは将来の顧客層と考えられる、15歳から49歳の独身男女に、「結婚したらどこに住みたいか」を聞いている。その結果は、圧倒的に「一戸建ての購入」を選んだ人が多数を占めた。とりわけZ世代(この調査では15歳から25歳と定義)では、他の年齢層が4割ちょっとであるのに対して56.0%が、一戸建ての購入を選んでいる。

図 7 結婚したらどこに住みたいですか。

出典:パナソニック ホームズ「住まいに対する意向調査」

どの種類の住宅に住みたいかを聞いた調査は過去にも多くあり、賃貸より購入、マンションより一戸建てが多いのが一般的だ。しかし、Z世代では一戸建ての購入を希望する人が極めて多いという点が大きな特徴といえるだろう。

次に、「住宅を購入するとしたら、何を優先するか」を聞いたところ、どの年齢層でも、1位が「立地が良い」、2位が「ローンの返済に無理がない」、3位が「新築であること」、4位が「資産価値があること」となった。

図 8 住宅を購入するとしたら、何を優先しますか。

出典:パナソニック ホームズ「住まいに対する意向調査」

ただし、他の年齢層と違い、Z世代で目立つのが、「新築であること」の比率の高さだ。2位の「ローンの返済に無理がない」(24.9%)とほぼ同等に「新築であること」(24.2%)を選んでいるのだ。

Z世代などの若年層は「新築」住宅がお好き?

実は、同時期に公表された、リクルートの「住宅購入・建築検討者」調査 (2022年)でも、似たような傾向が見られた。リクルートの調査は、過去1年以内に住宅の購入・建築やリフォームを検討した20歳から69歳の男女を対象にしている。独身に限っていないこと、より住宅への関心が高い層であるといった違いがあることを前提としてほしい。

こちらの調査では、ストレートに新築が良いか中古が良いかを聞いている。その結果、新築派が全体で68%になっているが、20代で見ると「ぜったい新築」が35%と新築への意向が他の年齢層より高いことが分かる。

新築・中古意向

出典:リクルート「住宅購入・建築検討者」調査 (2022年)

どちらの調査結果を見ても、若年層ほど「新築派」が多数を占めている。理由が確認できないのでよく分からないが、かつては若年層ほど新築へのこだわりが弱く、古着文化などに見られる中古を上手に活用するといった傾向が見られたのだが、今はそうではないことがはっきりした結果だ。

Z世代などの若年層は「近さ」よりも「広さ」を選ぶ?

さて、パナソニック ホームズの調査結果に戻ろう。「住宅を購入しようとして、費用が足りなかったら」という質問で選んだ選択肢も年齢層によって違いが見られた。年齢が高くなるほど、購入をあきらめて賃貸にすることを選ぶ比率が高くなる。一方、Z世代で顕著なのが「遠くにしても良い」という選択だ。他の年齢層では、「狭くしても良い」のほうが「遠くにしても良い」を上回っているが、Z世代だけは狭さよりも遠くを選んでいるのが大きな特徴だ。

図 9 住宅を購入しようとして、費用が足りなかったらどうしますか。

出典:パナソニック ホームズ「住まいに対する意向調査」

この傾向は、リクルートの調査結果でも見られる。こちらはストレートに、広さか駅からの距離かを聞いているが、若い年齢層ほど、駅からの距離派が減って、広さを優先する傾向が強くうかがえる。

広さ・駅からの距離の意向

出典:リクルート「住宅購入・建築検討者」調査 (2022年)

パナソニック ホームズでは、Z世代が、費用が不足していれば遠くても狭くても良いので、新築の一戸建てを購入したいという傾向がうかがえることから、「自分の時間やプライベートを大切にするとされるZ世代は、心地よく快適に過ごせて、共同住宅と比べて比較的近隣に気を使わなくて良い空間を新築一戸建てに求めているのかも知れない」と分析している。

一方、リクルートのSUUMO副編集長の笠松美香さんは「Z世代は、親元で暮らしている人も多く、自分で住まい探しを経験した人は他の世代に比べて少ないと推察されます。どうしても住まいのイメージが実家や友人・親戚の家などの生活感あふれるタイプと、メディアやSNSで見かけるピカピカでおしゃれなものと両極端なイメージになっているのではないでしょうか。だとすると、『新築じゃない家はキレイじゃない』と思いこんでしまっている人も多いのではないかと思いました。中古物件もリフォームすれば新築のような見た目になることを、住まい探しの経験を積んでいくほど認知していくので、年齢が上がっていくことで、中古でもキレイにできるし安い、といったようにコストと天秤にかけて許容していく層が増えていくのではないでしょうか。住まいは一生必要なものだけに、個人の住まい観も、一生アップデートされていくものだと思います」などと考察していただけるとうれしい。

パナソニック ホームズの調査対象である、独身のZ世代(15~25歳)はまだ具体的に住宅の購入を検討している人は少ないと思うが、リクルートが調査した20代でも似たような傾向が見られた。ということは、これから先に住宅購入を検討する世代では、新築志向、広さ志向が強いということは考慮すべき点だ。

一方、これまでは中古住宅をリノベーションして再販する事業者が少なかったが、取り組みを強化する事業者が増えている。新築ではないが、リノベーションによって新築並みの中古一戸建てが増えれば、若年層の有効な選択肢になるのではないだろうか。

●関連サイト
パナソニック ホームズ「住まいに対する意向調査」
リクルート「『住宅購入・建築検討者』調査(2022年)」

9割超が「省エネ住宅を選びたい」、背景に光熱費高騰。2025年省エネ基準義務化前に【フラット35】も適用要件を改定

物価高、とりわけ光熱費の高騰が家計に大きな影響を与えている。電気代が2倍以上になった家庭もあるといった調査結果もある。その影響からか、省エネ住宅への関心が高まっているという。詳しく見ていこう。

【今週の住活トピック】
「環境と住まいに関する意識調査」結果を発表/一条工務店

電気代の高騰が家計を圧迫している現状

一条工務店が、2023年2月に全国の男女750名を対象に「環境と住まいに関する意識調査」を実施した。「現在、電気代の高騰が家計を圧迫していると感じますか?」と聞いたところ、実に96.9%が「感じる(とても感じる65.6%+やや感じる31.3%)と回答した。電気代の高騰が、ほとんどの家庭の家計に影響を与えていることになる。

MILIZEとTEPCO i-フロンティアズが合同で、2023年2月に実施した「家計の管理に関する調査」(調査時期:2023年2月、調査対象:20~59歳の男女2000名)の結果を見ても、「値上がりを実感したもの」として挙がったのは、「食品」(66.6%)や「ガス」(45.0%)を抑えて、「電気代」が70.6%と1位になった。

日本トレンドリサーチとナチュラルハウスが共同で、2023年3月に実施した「電気代に関するアンケート」では、「2023年1月と昨年1月を比べて、電気代がどうなったか」を聞いている。

2人暮らしの回答結果では、最も多かったのが「昨年より1.1~1.3倍ほど高い」、次いで「昨年より1.4~1.7倍ほど高い」だった。「2倍以上」という回答も一戸建てで4.6%、マンションで2.9%おり、電気代の高騰ぶりがうかがえる結果となった。

出典:日本トレンドリサーチとナチュラルハウスの共同で実施した「電気代に関するアンケート」(調査時期:2023年3月、調査対象:一戸建てまたはマンションに住んでいる男女1341名)

出典:日本トレンドリサーチとナチュラルハウスの共同で実施した「電気代に関するアンケート」(調査時期:2023年3月、調査対象:一戸建てまたはマンションに住んでいる男女1341名)

電気代が家計を圧迫する結果、冷暖房を我慢するようなことがあると、ヒートショックなどの健康被害につながってしまう。一条工務店の調査で、「電気代が高すぎるために冷暖房を我慢する等、快適さを犠牲にすることがありますか?」と聞いた結果、79.2%がある(「よくある」30.1%+「時々ある」49.1%)と回答した。由々しき事態だ。

出典:一条工務店「環境と住まいに関する意識調査」

出典:一条工務店「環境と住まいに関する意識調査」

97.5%もの人が、省エネ住宅を選びたいと思うと回答

実は、光熱費の高騰により、省エネ住宅への関心が高まっている。一条工務店の調査で、「今後、新たに家を購入する場合、省エネ住宅(※)を選びたいと思いますか?」と聞いた結果、77.5%が「とてもそう思う」と回答しており、「ややそう思う」(20.0%)を加えた97.5%が省エネ住宅を選びたいと思っていることになる。
※調査では、省エネ住宅を「家庭の消費エネルギーを抑えるための設備の設置や施工を行った住宅」と定義

出典:一条工務店「環境と住まいに関する意識調査」

出典:一条工務店「環境と住まいに関する意識調査」

なかでも、20代と30代でその割合が高くなっている。では、省エネ住宅を選びたいと思う理由はどういったことだろう。

省エネ住宅を選びたいと回答した人に、次のグラフ図の4つの項目がそれぞれどの程度、省エネ住宅を選びたい理由として当てはまるか答えてもらったところ、「昨今、光熱費が高くなったから」が最も強い理由で、次いで「夏は暑く冬は寒いなど、住環境の面で今の家が快適に過ごせないから」となった。

出典:一条工務店「環境と住まいに関する意識調査」

出典:一条工務店「環境と住まいに関する意識調査」

2025年には、省エネ住宅が当たり前になる

さて、省エネ住宅と一口に言っても、きちんと定義がある。

住宅の省エネ基準については、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」で定められている。この基準に適合した住宅を「省エネ基準適合住宅」といい、省エネ住宅とは、原則としてこの省エネ基準適合住宅を指すことになる。

建物の天井や壁・床を断熱材でしっかりおおうことで、住宅の断熱性が上がる。この断熱性能は、法律の改正によって次第に引き上げられている。住宅の性能を統一基準で示すのが「住宅性能表示制度」で、法改正により省エネ基準が引き上げられるごとに、新築時に求められる最低限の「断熱性能等級」も2→3→4と引き上げられてきた。

一方、住宅で生活すると冷暖房設備を使ったり給湯器を使ったりして、エネルギーを消費する。エネルギーをできるだけ消費しない、効率の良い設備を使うことでも、住宅の省エネ性が高まる。そこで加わった住宅の性能が「一次エネルギー消費量等級」で、現行の省エネ基準では等級4が求められている。

どういった仕様なら等級4を達成するかは、東京と北海道のような寒冷地とでは異なる。その地域に応じた「断熱性能等級4」と「一次エネルギー消費量等級4」を満たす住宅が、省エネ基準適合住宅となる。

実は、住宅のような小規模な建築物は、今現在は省エネ基準に適合させることを推奨しているものの、義務とまではされていない。ただし、2025年には義務化される予定で、そうなると新築住宅はすべて省エネ住宅ということになる。

注意したいのが、これに先駆けて、全期間固定金利型の住宅ローンである【フラット35】の適用要件が変わることだ。2023年4月以降の設計検査申請分から【フラット35】の新築住宅の技術基準が省エネ基準適合住宅となる。つまり、省エネ基準を満たしていない新築住宅は【フラット35】が使えなくなる。そうはいっても、今の新築住宅の大半は省エネ基準を満たしているので、使えないという新築住宅はかなり限定されるはずだが、注意したい点だ。

新築住宅と中古住宅で省エネ性に差が生じる

新築住宅では、省エネ基準を満たす省エネ住宅が当たり前になる一方で、すでに建築された中古住宅は、建築当時の省エネ基準を満たせばよかったので、現行の省エネ基準を満たす住宅はあまり多くはないと言えるだろう。

省エネ基準は、実は2030年までに「ZEH(ゼッチ)基準」(断熱性能等級5と一次エネルギー消費量等級6)に引き上げられる予定だ。新築住宅を供給するデベロッパーは、すでにZEH基準への取り組みを始めているので、今後はますます新築と中古の省エネ性に差が出ることになる。

となると、先の調査のように「省エネ住宅を選びたい」と思う人は、新築住宅を選ぶか、中古住宅を省エネ改修することを選ぶか、といった選択をすることになる。省エネ性の高い住宅にするには一定のコストもかかるが、光熱費の削減や夏は涼しく冬は暖かい住環境になるというメリットが得られるので、長い目で見て考えてほしい。

●関連サイト
一条工務店「環境と住まいに関する意識調査」
MILIZE・TEPCO i-フロンティアズ「家計の管理に関する調査」
日本トレンドリサーチ・ナチュラルハウス「電気代に関するアンケート」
ナチュラルハウス 会社HP

住宅ローン「変動型」利用者が減少傾向に。金利上昇リスクを抑えるには?

住宅金融支援機構が発表した「住宅ローン利用者の実態調査結果(2022年10月調査)」によると、増加していた「変動型」の利用者が減少に転じたという。それでもなお、約7割が変動型を利用している。金利が上昇した場合、変動型を利用していても問題はないのだろうか?

【今週の住活トピック】
「住宅ローン利用者の実態調査結果(2022年10月調査)」を発表/住宅金融支援機構

「変動型」が減少し、「固定期間選択型」と「全期間固定型」が増加

まず、住宅ローンの金利タイプについておさらいしておこう。35年などの返済期間を通して金利が固定される「全期間固定型」、当初の3年や5年、10年などの選択した一定期間だけ金利が固定される「固定期間選択型」、半年ごとに金利が見直される「変動型」の3タイプがある。今のような低金利の局面において、全期間固定型は変動型よりも金利が高く設定されている。

次に、調査対象者や時期を確認しよう。調査対象は、2022年4月~9月の間に住宅ローンを借りた1500件で、調査は2022年10月~11月に実施された。金融緩和策を維持してきた日本銀行が、長期金利の変動許容幅を従来の0.25%程度から0.5%程度に広げ、実質の利上げかといわれたのが、2022年の年末のこと。これにより、いよいよ金利上昇が現実的になってきたと指摘されたのだが、これよりも前に住宅ローンを借りた人に調査を実施したことになる。

では、調査結果を見ていこう。今回の調査で注目されたのは、「変動型」が減少したこと。代わって「固定期間選択型」や「全期間固定型」が増加した。それでも、69.9%が変動型を選んでいる。やはり、変動型の低金利に魅力を感じるということだろう。

利用した金利タイプ

利用した金利タイプ(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果(2022年10月調査)」)

低金利のメリットを活かしたい人が多いなか、金利の上昇リスクを抑えたいと考えて、全期間固定型や固定期間選択型を選んだ人が以前より増えたのだろう。

実際に「今後1年間の住宅ローンの金利見通し」を聞いた結果は、「現状より上昇する」が41.7%になり、前回調査(2022年4月調査)の39.2%よりわずかに増えた。特に、全期間固定型を選んだ人では、上昇するという回答が、前回の45.1%から今回の52.7%に増加している。変動型より金利は高く設定されているものの、低金利のいまのうちに全期間の金利を固定してしまおうと考えた人もいたのだろう。

変動型を選んだ約7割のなかでも、金利上昇に強い人、弱い人がいる

調査時期よりも現時点のほうが、金利上昇が現実的になっている。実際に、全期間固定型の代表となる【フラット35】の最頻金利※は、2023年3月時点で、5カ月連続で上昇した。変動型はまだまだ金利が上昇する気配はないが、長期に金利を固定するものは少し上がっているのだ。
※※最頻金利とは、取扱金融機関が提供する最も多い金利のこと

つまり、これから考えるべきリスクは金利が上昇することで、利息が増え、毎月の返済額(ボーナス時加算も併用していればその返済額も)が増えてしまうことだ。返済額が増えても、家計に支障がない人もいれば、それによって返済が難しくなる人もいるだろう。

まず気になる点、その1は「融資率」だ。住宅価格(注文住宅なら建築費用)の何割を住宅ローンで充当するかで、頭金を1割入れていれば、9割が住宅ローンとなる。調査結果を見ると、変動型を選んだ人が最も多いのが「90%超100%以下」ということだ。さらに「100%超」つまり、住宅価格だけでなく諸費用分まで借りた人でも、変動型を選んだ人が多いのも気になる。

融資率

融資率(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果(2022年10月調査)」)

融資率90%超で変動型を選んだ理由が、低金利の変動型でなければそこまで借りられなかったという人は、要注意だ。

例えば、毎月12万円の返済(年間返済額144万円)で住宅ローンを35年返済で借りるとする。変動型(金利0.45%で試算)なら、借入可能額は4662万円だが、全期間固定型(金利1.45%で試算)なら借入可能額は3950万円に下がる。毎月12万円の返済で4500万円を借りたい場合は、変動型などの低金利のものしか選択できないということになる。

もちろん、月々の家計に余力があれば、金利上昇に伴う返済額の増加の影響は少ない。その意味では、気になる点、その2は「返済負担率」となる。返済負担率とは、年収に対して年間の住宅ローンの返済額が何%になるかを表すものだ。

一般的に住宅ローンでは、年収が高くなるほど、高い返済負担率でも借りられるようになる。例えば、先ほどの事例(毎月返済額12万円)では、年収600万円の人なら、返済負担率は24%なので問題はない。これに対して、年収400万円の人だと返済負担率が36%まで上がるので、金融機関側から借入額を減らして毎月の返済額を抑えるように求められることになる。

返済負担率

返済負担率(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果(2022年10月調査)」)

調査結果を見ると、多くの人が返済負担率10%超から25%以内の安全圏で借りている。が、年収400万円以下の人で返済負担率25%~30%だったり、高年収でも支出の多い家計で返済負担率が35%超だったりすると、支出の削減が難しい場合もあるので、金利上昇に伴う返済額の増加の影響が大きくなるだろう。

金利上昇リスクに対して具体策をもとう

そして最も気になる点、その3が「金利上昇リスクへの対応を考えていない」場合だ。調査結果を見ると、変動型を借りている人で、金利上昇で返済額が増加した場合の対応について「見当がつかない、わからない」という人が20.7%もいる。

金利上昇に伴う返済額増加への対応

金利上昇に伴う返済額増加への対応(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果(2022年10月調査)」)

資金に余力があって、返済を継続できる(31.6%)、全額完済できる(13.6%)なら問題はない。また、「一部繰り上げ返済をする」(24.5%)という人も多いのだが、元金の一部を繰り上げて返済するので、そのための資金が必要になる。「借り換え」(9.0%)も同様で、相応の諸費用がかかる。貯金に余裕がなくて融資率9割超という人には、難しい対応策かもしれない。

また、金利上昇のために変動型から借り換える場合、借り換え先の金利も上昇しているはずだし、一般的に変動型よりも先に長期間金利を固定するタイプが上がっていくので、金利上昇に気づいたときには、すでに借り換え先の金利も上がっていてリスク回避の効果がないという場合もあるだろう。

変動型は金利が上昇しても急激に返済額は増えないけれど…

急激に金利が上昇したバブル期のときに導入されたのが、変動型の5年ルールだ。急激に返済額が増加するのを抑えるために、金利が上昇して利息が増えても、返済額の設定見直しは5年おきとし、返済額を増やす場合でも1.25倍までに制限するというもの。今でもこのルールを適用する金融機関は多い。

したがって変動型で金利が上昇した場合でも、このルールによって、急激に返済額が増える事態にはならない。しかし、返済額が増えないだけで、支払うべき未払い利息は残る。元金も減らないため、トータルの利息はどんどん積み上がることになる。

住宅ローンは35年間などの長期間にわたって返済するものだ。自分や共に住宅ローンを借りたパートナー、あるいは勤務先の事業などによって、収入が想定より減ってしまうリスクもあるので、目いっぱい借りてしまうことに注意したい。さらに、金利上昇リスクが高まる状況なので、これから借りる人はぜひ、金利が上昇したときにどう対応するかを考えて、住宅ローンを選ぶようにしてほしい。

●関連リンク
「住宅ローン利用者の実態調査結果(2022年10月調査)」(住宅金融支援機構)

【フラット35】同性パートナーの申込み、今年から可能に。必要書類、住宅ローンの返済方法は?

住宅ローンの商品内容は、その時々のニーズに応じて見直される。全期間固定金利型ローンの代表格【フラット35】も例外ではない。2023年1月から同性パートナー同士で、【フラット35】が借りられるようになった。どんな仕組みなのだろうか?詳しく見ていこう。

【今週の住活トピック】
【フラット35】2023年1月から同性パートナーと連帯債務で申し込み可能に/住宅金融支援機構

同性パートナーとでも住宅ローンを利用できるようにする動きに

同性パートナーでも、単独で住宅ローンを借りて住宅を購入する場合は、あまり問題にならない。しかし、協力してお金を出し合って購入しようとすると、親子や婚姻関係のある夫婦であれば、それぞれで住宅ローンを借りる「ペアローン」や2人の収入を合算して借りる「収入合算」などの仕組みが利用できるのに、婚姻関係が結べない同性カップルの場合は、こうした仕組みを利用できないことも多い。

また、どちらかが単独で住宅ローンを借りて購入し、実際には2人の収入から返済していく場合には、問題が生じてしまう。住宅ローンを借りていない人が出した返済分が、家賃として出されたものなら「不動産所得」として、資金援助として出されたものなら「贈与」として、いずれも借りた人の課税対象になる可能性があるからだ。

こうしたことから、同性パートナーでも住宅ローンを借りられるようにしようという動きになり、ペアローンや収入合算の対象となる「配偶者」の定義に同性パートナーを含めるという形で、同性カップル向けの住宅ローンを取り扱う金融機関が増えている。

【フラット35】で同性パートナーと借りる仕組みは?

では、【フラット35】の場合を見ていこう。

【フラット35】とは、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携し、提供している住宅ローンで、35年などの長期間にわたって金利が変わらないのが特徴。提携先の民間金融機関によって、実際に借りるときに適用される金利や融資手数料は異なる。

同性パートナー同士で【フラット35】を利用するには、地方公共団体の「パートナーシップ証明書」や同性パートナーに関する合意契約に係る公正証書などの書類が必要だ。これは【フラット35】に限らず、多くの金融機関で共通する条件だ。

■主な必要書類(次の1または2いずれかの書類)
出典/住宅金融支援機構HPトピックスより転載)

出典/住宅金融支援機構HPトピックスより転載

【フラット35】を利用する場合は、同性パートナーで「収入合算」が利用でき、住宅ローンの申込者に収入を合算する人は「連帯債務者」となる。加えて、2人とも団体信用生命保険に加入できる「夫婦連生団信(デュエット)」を利用できるのが、大きな特徴だ。

2人で協力して住宅ローンを返済する方法はいくつかある

夫婦であれ、同性カップルであれ、2人で協力して住宅ローンを借りる方法はいくつかある。どういった場合に利用できるかは、金融機関によっても異なる。

近年増えている「ペアローン」は、同一物件に対して2人がそれぞれ住宅ローンを借りるものだが、【フラット35】では利用できない。

次に、民間金融機関の多くが収入合算で採っているのが「連帯保証」で、ローンを申し込んでお金を借りる人(債務者)の連帯保証人となる仕組みだ。この場合の連帯保証人は、万一のときには返済の義務を負うが、返済するのはあくまで債務者なので、住宅ローン控除や団体信用生命保険の対象にならない。

【フラット35】の場合は、収入合算で「連帯債務」とする借入方法としている。連帯債務者は、債務者と同等に返済する義務を負う。一般的に、住宅ローン控除の対象になるが、団体信用生命保険の対象にならない事例が多いのだが、同性パートナーが連帯債務者となる場合も「夫婦連生団信(デュエット)」を利用することができるようになった。どちらか一方が亡くなった場合に、残りの住宅ローンが保険金で返済されるので安心だ。ただし、デュエットを利用する場合は、金利上乗せの形で追加の保険料相当費用を支払うことになる。

このように、2人で協力してローンを借りるにはいくつか方法がある。一般的な方法を下表にまとめたので、借り方の違いを理解して、金融機関に詳しい条件を確認するのがよいだろう。

■2人で協力して住宅ローンを借りる方法

※金融機関が夫婦連生団体信用生命保険(【フラット35】では「デュエット」)を用意している場合は連帯債務者も加入できる。「2人で協力して住宅ローンを借りる方法」筆者作成

※金融機関が夫婦連生団体信用生命保険(【フラット35】では「デュエット」)を用意している場合は連帯債務者も加入できる。「2人で協力して住宅ローンを借りる方法」筆者作成

さて、共働きが当たり前になり、また、LGBTへの理解も深まっている時代だ。こうした時代の要請にこたえて、住宅ローンも変化している。選択肢は豊富にあるので、自分たちに合う住宅ローンを選んで、賢く住宅を購入してほしい。

●関連サイト
【フラット35】2023年1月から同性パートナーの方とも連帯債務でお申込みいただけます。

8月の【フラット35】金利、3カ月連続低下

(独)住宅金融支援機構はこのたび、2019年8月の住宅ローン【フラット35】等の金利を発表した。それによると、【フラット35】の融資率9割以下は1.170%~1.870%(前月1.180%~1.870%)、融資率9割超は1.610%~2.310%(同1.620%~2.310%)、最低金利は3カ月連続低下となった。

【フラット20】は、融資率9割以下が1.110%~1.810%(同1.120%~1.810%)、融資率9割超が1.550%~2.250%(同1.560%~2.250%)。【フラット50】は、融資率9割以下が1.520%~2.020%(同1.590%~2.090%)、融資率9割超が1.960%~2.460%(同2.030%~2.530%)と、それぞれ金利は低下している。

ニュース情報元:(独)住宅金融支援機構

4~6月の【フラット35】、申請戸数は微増

(独)住宅金融支援機構はこのたび、2019年4月から6月までの【フラット35】の申請戸数、実績金額等を発表した。
それによると、4月から6月までの【フラット35(全体)】の申請戸数は対前年同期比で102.5%の3万901戸と微増した。実績戸数は1万9,896戸(前年同期比1.8%減)、実績金額は5,893億2,241万円(同0.8%増)。

【フラット35(買取型)】の申請戸数は対前年同期比で99.9%の2万7,311戸と横ばい。借換えを除くと対前年同期比で103.0%の2万6,180戸と微増した。

【フラット35(保証型)】の申請戸数は、対前年同期比129.0%の3,590戸で増加、【フラット35】全体の申請戸数に占める割合も9.2%から11.6%に上昇した。

ニュース情報元:(独)住宅金融支援機構

【フラット35】金利、2カ月連続で低下

(独)住宅金融支援機構は7月1日、2019年7月の住宅ローン【フラット35】等の金利を発表した。
それによると、【フラット35】の融資率9割以下は1.180%~1.870%(前月1.270%~1.960%)、融資率9割超は1.620%~2.310%(同1.710%~2.400%)で、2カ月連続低下した。

【フラット20】は、融資率9割以下が1.120%~1.810%(同1.210%~1.900%)、融資率9割超が1.560%~2.250%(同1.650%~2.340%)。【フラット50】は、融資率9割以下が1.590%~2.090%(同1.670%~2.170%)、融資率9割超が2.030%~2.530%(同2.110%~2.610%)と、それぞれ金利は低下している。

ニュース情報元:(独)住宅金融支援機構

【フラット35】金利、3カ月ぶりに低下

(独)住宅金融支援機構はこのたび、2019年6月の住宅ローン【フラット35】等の金利を発表した。それによると、【フラット35】の融資率9割以下は1.270%~1.960%(前月1.290%~1.970%)、融資率9割超は1.710%~2.400%(同1.730%~2.410%)で、最低金利は3カ月ぶりに低下した。

【フラット20】の融資率9割以下は1.210%~1.900%(同1.230%~1.910%)、融資率9割超は1.650%~2.340%(同1.670%~2.350%)。【フラット50】は、融資率9割以下が1.670%~2.170%(同1.680%~2.180%)、融資率9割超が2.110%~2.610%(同2.120%~2.620%)と、それぞれ金利は低下している。

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5月の【フラット35】金利、6カ月ぶりの上昇

(独)住宅金融支援機構はこのたび、2019年5月の住宅ローン【フラット35】等の金利を発表した。それによると、【フラット35】の融資率9割以下は1.290%~1.970%(前月1.270%~1.960%)、融資率9割超は1.730%~2.410%(同1.710%~2.400%)と、最低金利が6カ月ぶりの上昇となった。

【フラット20】も上昇し、融資率9割以下は1.230%~1.910%(同1.210%~1.900%)、融資率9割超は1.670%~2.350%(同1.650%~2.340%)。

【フラット50】は、融資率9割以下が1.680%~2.180%(同1.670%~2.170%)、融資率9割超が2.120%~2.620%(同2.110%~2.610%)と、こちらも上昇している。

ニュース情報元:(独)住宅金融支援機構

2018年度【フラット35】、申請戸数は前年比5.2%減

(独)住宅金融支援機構はこのたび、2019年1月から3月及び2018年度【フラット35】の申請戸数、実績金額等を発表した。それによると、2019年1月から3月の【フラット35】全体の申請戸数は2万7,088戸(前年同期比5.7%増)、実績戸数は2万3,386戸(同0.2%増)、実績金額は7,007億8,420万円(同2.7%増)。そのうち【フラット35(買取型)】の申請戸数は2万3,534戸(同0.6%増)、実績戸数2万490戸(同6.1%減)、実績金額6,187億5,726万円(同3.2%減)となった。

また、2018年度【フラット35】全体の申請戸数は11万4,665戸(前年比5.2%減)、実績戸数は8万5,674戸(同7.3%減)、実績金額は2兆5,151億3,236万円(同5.2%減)。そのうち【フラット35(買取型)】の申請戸数は10万1,394戸(同9.4%減)、実績戸数7万6,972戸(同12.1%減)、実績金額2兆2,731億7,382万円(同9.6%減)。【フラット35】全体の申請戸数は減少しているが、これは【フラット35(買取型)】における借換えの利用が減少したことが要因であり、借換えを除いた申請戸数は対前年度比100.4%と横ばいの状況。

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4月の【フラット35】、金利は横ばい

(独)住宅金融支援機構は4月1日、2019年4月の住宅ローン【フラット35】等の金利を発表した。【フラット35】の融資率9割以下は1.270%~1.960%(前月1.270%~1.960%)、融資率9割超は1.710%~2.400%(同1.710%~2.400%)と、3月から変化なし。
【フラット20】は低下し、融資率9割以下が1.210%~1.900%(同1.220%~1.910%)、融資率9割超が1.650%~2.340%(同1.660%~2.350%)。

【フラット50】の金利は3月と変わらず、融資率9割以下が1.670%~2.170%、融資率9割超が2.110%~2.610%となっている。

ニュース情報元:(独)住宅金融支援機構

【フラット35】金利、4カ月連続低下

(独)住宅金融支援機構はこのたび、2019年3月の住宅ローン【フラット35】等の金利を発表した。【フラット35】は、融資率9割以下が1.270%~1.960%(前月1.310%~1.960%)、融資率9割超が1.710%~2.400%(同1.750%~2.400%)となり、最低金利が4カ月連続低下した。【フラット20】においては、融資率9割以下が1.220%~1.910%(同1.250%~1.900%)、融資率9割超が1.660%~2.350%(同1.690%~2.340%)となり、最低金利は低下したが最高金利は上昇している。

【フラット50】は融資率9割以下が1.670%~2.170%(同1.690%~2.190%)、融資率9割超が2.110%~2.610%(同2.130%~2.630%)と、最低金利・最高金利ともに低下した。

ニュース情報元:(独)住宅金融支援機構

【フラット35】金利、3カ月連続低下

(独)住宅金融支援機構はこのたび、2019年2月の住宅ローン【フラット35】等の金利を発表した。【フラット35】は、融資率9割以下が1.310%~1.960%(前月1.330%~1.960%)、融資率9割超が1.750%~2.400%(同1.770%~2.400%)となり、最低金利が3カ月連続低下した。
【フラット20】は、融資率9割以下が1.250%~1.900%(同1.260%~1.890%)、融資率9割超が1.690%~2.340%(同1.700%~2.330%)。前月と比べると最低金利は低下したが、最高金利は僅かに上昇している。

【フラット50】の融資率9割以下は1.690%~2.190%(同1.720%~2.220%)、融資率9割超は2.130%~2.630%(同2.160%~2.660%)と、最低金利・最高金利ともに低下している。

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【フラット35】申請戸数、買取型は減少・保証型は増加

(独)住宅金融支援機構はこのたび、2018年10月~12月の住宅ローン【フラット35(買取型)】及び【フラット35(保証型)】の申請戸数、実績金額等を発表した。
それによると、【フラット35(買取型)】の申請戸数は2万5,599戸(前年同期比9.1%減)、実績戸数は1万9,140戸(同12.6%減)、実績金額は5,637億9,597万円(同10.7%減)。【フラット35(保証型)】の申請戸数は3,546戸(同57%増)、実績戸数2,282戸(同72.4%増)、実績金額641億124万円(同72.4%増)となった。

買取型の申請戸数は、借換えの利用が減少したことにより、対前年同月比で減少してるが、借換えを除いた申請戸数は対前年同期比で98.9%と、ほぼ横ばい。保証型の申請戸数は、対前年同期比で増加しており、【フラット35】全体の申請戸数に占める割合も7.4%(2017年10月~12月期)から12.2%(2018年10月~12月期)に上昇している。

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【フラット35】金利、2カ月連続低下

(独)住宅金融支援機構はこのたび、2019年1月の住宅ローン【フラット35】等の金利を発表した。【フラット35】の金利は、融資率9割以下が1.330%~1.960%(前月1.410%~2.070%)、融資率9割超が1.770%~2.400%(同1.850%~2.510%)で、2カ月連続低下した。
【フラット20】(借入期間20年以下)は、融資率9割以下が1.260%~1.890%(同1.320%~1.980%)、融資率9割超が1.700%~2.330%(同1.760%~2.420%)。【フラット50】(借入期間36年以上50年以下)においても、融資率9割以下は1.720%~2.220%(同1.770%~2.270%)、融資率9割超は2.160%~2.660%(同2.210%~2.710%)と、金利は低下している。

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住宅ローンが資金使途のグリーンボンドを発行、住宅金融支援機構

(独)住宅金融支援機構は、国内では初の事例となる住宅ローン債権の買取代金を資金使途とするグリーンボンド(通称:住宅金融機構グリーンボンド)を、2019年1月に発行すると発表した。
グリーンボンドは、再生可能エネルギーの活用や省エネルギー性の向上といった環境改善効果のある事業(グリーンプロジェクト)の資金を調達するために発行される債券のこと。

今回発行するグリーンボンドは、【フラット35】Sの技術基準を満たす住宅のうち「省エネルギー性に優れた新築住宅」を対象としている。発行年限は20年。発行額は未定。条件決定時期は2019年1月中旬の予定。

ニュース情報元:(独)住宅金融支援機構

12月の【フラット35】金利、5カ月ぶりに低下

(独)住宅金融支援機構は3日、2018年12月の住宅ローン【フラット35】等の金利を発表した。それによると、【フラット35】(返済期間21年以上35年以下)の金利は、融資率9割以下が1.410%~2.070%(前月1.450%~2.070%)、融資率9割超が1.850%~2.510%(同1.890%~2.510%)で、最低金利が5カ月ぶりに低下した。

【フラット20】(返済期間20年以下)は、融資率9割以下が1.320%~1.980%(同1.350%~1.970%)、融資率9割超が1.760%~2.420%(同1.790%~2.410%)で、最低金利は低下したが最高金利は上昇した。

【フラット50】(返済期間36年以上50年以下)においては、融資率9割以下が1.770%~2.270%(同1.810%~2.310%)、融資率9割超が2.210%~2.710%(同2.250%~2.750%)と、最低金利・最高金利ともに低下した。

ニュース情報元:(独)住宅金融支援機構

【フラット35】、最低金利が3か月連続上昇

(独)住宅金融支援機構は1日、2018年11月の住宅ローン【フラット35】等の金利を発表した。それによると、【フラット35】(返済期間21年以上35年以下)の金利は、融資率9割以下が1.450%~2.070%(前月1.410%~2.070%)、融資率9割超が1.890%~2.510%(同1.850%~2.510%)で、最低金利が3か月連続で上昇した。

【フラット20】(返済期間20年以下)は、融資率9割以下が1.350%~1.970%(同1.330%~1.990%)、融資率9割超が1.790%~2.410%(同1.770%~2.430%)で、最低金利は上昇したが最高金利は低下している。

【フラット50】(返済期間36年以上50年以下)においては、融資率9割以下が1.810%~2.310%(同1.770%~2.270%)、融資率9割超が2.250%~2.750%(同2.210%~2.710%)と、最低金利・最高金利ともに上昇した。

ニュース情報元:(独)住宅金融支援機構

【フラット35】申請戸数、買取型が減少

(独)住宅金融支援機構は10月26日、平成30年7月~9月の【フラット35】申請戸数等を発表した。それによると、【フラット35】(買取型)の申請戸数は2万4,909戸(前年同期比15.1%減)、実績戸数は1万8,566戸(同14.1%減)、実績金額は5,464億7,452万円(同11.2%減)。【フラット35】(保証型)の申請戸数は3,387戸(前年同期比48.6%増)、実績戸数2,040戸(同85.8%増)、実績金額553億3,597万円(同73.2%増)。

買取型の申請戸数は、対前年同期比で減少。これは今年度発生した災害の影響を受けた地域において、申請戸数が25%程度減少したことが要因の一つとして考えられる。保証型の申請戸数は、対前年同期比で増加。【フラット35】全体に占める割合も7.2%(平成29年7月~9月期)から12.0%(平成30年7月~9月期)に上昇している。

ニュース情報元:(独)住宅金融支援機構

【フラット35】金利、2か月連続上昇

(独)住宅金融支援機構は1日、2018年10月の住宅ローン【フラット35】等の金利を発表した。
それによると、【フラット35】(返済期間21年以上35年以下)の金利は、融資率9割以下が1.410%~2.070%(前月1.390%~2.020%)、融資率9割超が1.850%~2.510%(同1.830%~2.460%)と、2か月連続で上昇した。

【フラット20】(返済期間20年以下)も上昇し、融資率9割以下が1.330%~1.990%(同1.310%~1.940%)、融資率9割超が1.770%~2.430%(同1.750%~2.380%)。【フラット50】(返済期間36年以上50年以下)も、融資率9割以下が1.770%~2.270%(同1.750%~2.250%)、融資率9割超が2.210%~2.710%(同2.190%~2.690%)と上昇した。

ニュース情報元:(独)住宅金融支援機構

9月の【フラット35】金利、3カ月ぶりに上昇

(独)住宅金融支援機構は3日、2018年9月の住宅ローン【フラット35】等の金利を発表した。それによると、【フラット35】(返済期間21年以上35年以下)の金利は、融資率9割以下が1.390%~2.020%(前月1.340%~2.070%)、融資率9割超は1.830%~2.460%(同1.780%~2.510%)で、最低金利が3カ月ぶりに上昇した。

【フラット20】(返済期間20年以下)は、融資率9割以下が1.310%~1.940%(前月1.290%~2.020%)、融資率9割超が1.750%~2.380%(同1.730%~2.460%)。【フラット50】(返済期間36年以上50年以下)は、融資率9割以下が1.750%~2.250%(同1.700%~2.200%)、融資率9割超が2.190%~2.690%(同2.140%~2.640%)。

ニュース情報元:(独)住宅金融支援機構

【フラット35】利用者、30歳代は42.9%

(独)住宅金融支援機構はこのほど、2017年度「フラット35利用者調査」の結果を発表した。住宅ローン【フラット35】を利用した方の属性、住宅の概要等に関して、2017年4月から2018年3月までに買取り又は付保の承認を行った案件(借換えに係るものを除く)のうち77,964件(2016年度:76,101件)について集計したもの。

それによると、利用者の年齢は全体で30歳未満が14.3%、30歳代が42.9%、40歳代が25.1%、50歳代が10.8%、60歳以上が7.0%。マンション購入のための利用をみると、30歳未満が10.2%、30歳代が36.4%、40歳代が26.9%、50歳代が16.2%、60歳以上が10.4%。マンション購入のための60歳以上の割合が、調査開始以来(2004年度開始)初めて1割を超えた。

中古戸建の平均築年数は長期化が進み、2017年度は18.9年(前年度から0.7年長期化)となった。2011年度以降、築年数20年超の構成比の増加が続いており、足下では4割を超えている。中古マンションの平均築年数も長期化が進み、2017年度は22.4年(前年度から1.1年長期化)。2010年度以降、築年数20年超の構成比の増加が続いており、2017年度は5割を超えている。

注文住宅の戸当たり床面積(全国平均)は、128.2m2(前年度129.4m2)と前年度より減少。最大は山形県の141.6m2、最小は山口県の115.5m2。マンションの戸当たり床面積(全国平均)は68.5m2(前年度70.6m2)と前年度より減少。最大は茨城県の84.5m2、最小は東京都の61.9m2だった。

注文住宅の戸当たり建設費(全国平均)は、3,356万円(前年度3,312万円)と上昇。最高は東京都の3,936万円、最低は鹿児島県の2,824万円。マンションの戸当たり購入価額(全国平均)も上昇し、4,348万円(前年度4,267万円)。最高は東京都の5,205万円、最低は愛媛県の2,496万円だった。

ニュース情報元:(独)住宅金融支援機構

【フラット35】、3ヶ月ぶりに金利低下

(独)住宅金融支援機構は2日、2018年7月の住宅ローン【フラット35】等の金利を発表した。
それによると、【フラット35】(返済期間21年以上35年以下)の金利は、融資率9割以下が1.340%~2.010%(前月1.370%~2.010%)、融資率9割超が1.780%~2.450%(同1.810%~2.450%)で、最低金利は3ヶ月ぶりに低下した。

【フラット20】(返済期間20年以下)は、融資率9割以下が1.290%~1.960%(前月1.310%~1.950%)、
融資率9割超が1.730%~2.400%(同1.750%~2.390%)。最低金利が0.020%低下、最高金利が0.010%上昇している。

【フラット50】(返済期間36年以上50年以下)は、融資率9割以下が1.700%~2.200%(前月1.730%~2.230%)、融資率9割超が2.140%~2.640%(同2.170%~2.670%)で、最低金利と最高金利ともに0.030%低下した。

ニュース情報元:(独)住宅金融支援機構

6月の【フラット35】、最低金利が0.020%上昇

(独)住宅金融支援機構は1日、2018年6月の住宅ローン【フラット35】等の金利を発表した。それによると、【フラット35】(返済期間21年以上35年以下)の金利は、融資率9割以下が1.370%~2.010%(前月1.350%~2.010%)、融資率9割超が1.810%~2.450%(同1.790%~2.450%)で、最低金利が0.020%上昇した。

【フラット20】(返済期間20年以下)は、融資率9割以下が1.310%~1.950%(前月1.300%~1.960%)、融資率9割超が1.750%~2.390%(同1.740%~2.400%)。最低金利が0.010%上昇、最高金利が0.010%低下した。

【フラット50】(返済期間36年以上50年以下)は、融資率9割以下が1.730%~2.230%(前月1.730%~2.230%)、融資率9割超が2.170%~2.670%(同2.170%~2.670%)で前月と変わらなかった。

ニュース情報元:(独)住宅金融支援機構

平成29年度の【フラット35】、申請戸数は11万1,936戸

(独)住宅金融支援機構は4月24日、平成30年1月~3月分及び平成29年度分【フラット35】の申請戸数等を発表した。それによると、平成30年1月~3月分【フラット35】(買取型)の申請戸数は2万3,387戸(前年同期比20.2%減)、実績戸数は2万1,819戸(同18.2%減)、実績金額は6,391億795万円(同16.0%減)だった。【フラット35】(保証型)は、申請戸数2,242戸(同23.5%増)、実績戸数1,520戸(同86.0%増)、実績金額434億6,761万円(同79.8%増)となっている。

また、平成29年度分【フラット35】(買取型)の申請戸数は11万1,936戸(前年同期比19.8%減)、実績戸数は8万7,551戸(同24.6%減)、実績金額は2兆5,156億1,541万円(同21.4%減)。【フラット35】(保証型)は、申請戸数9,048戸(同66.7%増)、実績戸数4,856戸(同252.4%増)、実績金額1,382億5,676万円(同240.8%増)だった。

ニュース情報元:(独)住宅金融支援機構

全期間固定金利型ローン【フラット35】、2018年4月から何が変わった?

全期間固定金利型ローンの代表格【フラット35】。実は、年度ごとに、制度の見直しなどを行っている。これまでと同じと思っていると条件が変わっていて、自分にとってプラスになったりマイナスになったりする場合もある。2018年度からの変更点を見ていこう。【今週の住活トピック】
「【フラット35】2018年4月の主な制度変更事項のお知らせ」を発表/住宅金融支援機構【フラット35】の借入対象となる費用が拡充される

まず、【フラット35】の基本的な特徴をおさらいしておこう。

住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して、ユーザーに提供している住宅ローンで、35年などの長期間にわたって金利が変わらないのが特徴だ。提携先の民間金融機関によって、実際に借りるときに適用される金利や融資手数料が異なる点が注意点だ。また、【フラット35】の技術基準に適合している住宅でないと、借りることはできない。ただし、保証人が不要なので、保証会社に支払う保証料がかからない。2017年10月以降に申し込む場合は、団体信用生命保険が付帯される(団体信用生命保険の加入の有無や加入する種類によって金利は異なる)。

これが【フラット35】の基本的な特徴だが、実は意外に種類が多い。融資対象や返済期間などによって、金利が異なるので、ベースとなる種類を見ていこう。

返済期間が21年以上35年以下で利用できるのが【フラット35】だ。金利は、融資率(借入額/住宅の建設費・購入価額)で異なり、2018年4月時点の金利で見ると次のようになる。提携先の金融機関によって金利や融資手数料が異なるので、適用される金利に幅ができる。

【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下

【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下

年齢が高い、借入額が少ないなどの理由で返済期間を短くする場合は、さらに金利が下がる。これを【フラット20】と呼び、金利は次のようになる。

【フラット20】 借入期間:15年以上20年以下

【フラット20】 借入期間:15年以上20年以下

「長期優良住宅」などの品質が優れた住宅の場合であれば、35年を超えた返済期間(最長50年)を設定できる。ただし、金利は高くなる。これを【フラット50】と呼び、金利は次のようになる。

【フラット50】 借入期間:36年以上50年以下

【フラット50】 借入期間:36年以上50年以下

中古住宅を購入してリフォームしてから居住するという場合には、リフォーム費用も借りられる【フラット35(リフォーム一体型)】も利用できる。リフォーム前の住宅が【フラット35】の技術基準を満たさない場合でも、リフォームすることで【フラット35】の技術基準を満たせば利用できるようになる。金利は【フラット35】(返済期間が20年以下の場合は【フラット20】)と同じだ。

ただし、【フラット50】や【フラット35(リフォーム一体型)】は、取り扱っていない金融機関もあるので、注意が必要だ。

以上が基本的な【フラット35】の種類だ。適用される金利は、毎月見直される。
で、2018年4月以降の変更点は、借入対象費用が拡充されることだ。

具体的には、印紙代や仲介手数料、火災保険料、ホームインスペクション(住宅診断)にかかる費用、登記に関する司法書士報酬・土地家屋調査士報酬、融資手数料などが融資対象となる。頭金を1割入れて融資率9割以下にしたいが、もう少し借りたいという場合には朗報だろう。ただし、住宅価額も諸費用も借りられるだけ借りようとすることは、借り過ぎで返済が困難になる危険性もあるので、あまりお勧めできない。

金利引き下げタイプの【フラット35】の変更点は?

【フラット35】は、その技術基準を満たさない住宅やワンルームマンションのような狭い住宅には利用できない。一方で、性能の高い住宅には、金利の引き下げなどの優遇措置を設けて、良質な住宅を増やそうとしている。

【フラット35】Sは、省エネ性や耐震性の高い新築住宅や中古住宅を取得する場合に、当初一定期間金利を引き下げる制度。2018年度(3月31日までの申込受付分)も継続され、【フラット35】、【フラット20】、【フラット50】、【フラット35(リフォーム一体型)】の適用金利から一定期間0.25%金利が引き下げられる。

【フラット35】S  ※金利Aプランは、長期優良住宅などのより高い性能を実現した場合に適用されるもので、金利引き下げ期間が10年間になる。

【フラット35】S ※金利Aプランは、長期優良住宅などのより高い性能を実現した場合に適用されるもので、金利引き下げ期間が10年間になる。

同様に、【フラット35】リノベと【フラット35】子育て支援型・地域活性化型も継続されるが、いくつか変更点がある。

【フラット35】リノベは、中古住宅を購入して一定の性能向上リフォームを行う場合(住宅事業者が性能向上リフォームを行った中古住宅を購入する場合も対象)に、当初一定期間金利を引き下げる制度。2018年4月1日~2019年3月31日申込受付分については、金利引き下げ幅が「▲0.5%」に縮小された。一方で、金利Bプランの省エネ基準に「開口部の断熱改修」などが加わり、利用対象が広がった。

【フラット35】子育て支援型・地域活性化型は、地方公共団体と住宅金融支援機構が連携して実施する住宅ローンで、地方公共団体による補助金交付などの財政的支援とあわせて、【フラット35】の金利を引き下げる制度。2018年度は、金利引き下げ幅はこれまでと同じ「▲0.25%」で、【フラット35】Sとの併用が可能。ただし、【フラット35】地域活性化型で「空き家活用」が加わった。いずれにせよ、対象となる地方公共団体が限られるので、「【フラット35】子育て支援型・地域活性化型を連携している地方公共団体」で、あらかじめ確認する必要がある。

金利引き下げタイプの【フラット35】は、それぞれに予算金額があるので早期に達する見込みとなった場合は受付が終了する可能性がある。また、【フラット35】リノベは取り扱っていない金融機関もある。などが注意点だ。

こうして見ていくと、【フラット35】を借りるにはいろいろな条件があって面倒、と思う人もいるかもしれない。でも、「今後支出が増える可能性があるので、金利を固定=毎月返済額を固定したい人」や「金利の上昇を気にせずにいたい人」などには、全期間固定金利型のメリットは大きい。

また、住宅の技術基準を確認する検査が入るので、住宅の品質を重視する人には安心材料になるし、借りる人の条件がオープンになっているので、勤務年数や形態、年収などに不安がある人にも借りやすい側面がある。詳しいことは不動産会社や金融機関に相談するとよいだろう。

「空き家購入、メリットとデメリットを知りたいです」 住まいのホンネQ&A(3)

誰もが知りたい住宅に関するさまざまな疑問について、さくら事務所創業者・会長の長嶋修氏にホンネで回答いただく本連載。第3回の質問は「空き家購入、メリットとデメリットを知りたいです」です。
新築マンション価格が高騰している一方、国内の空き家は増加の一途をたどり、社会問題になりつつあります。最近は、空き家のマッチングサイトなどがよくメディアに取り上げられるようになり、一般消費者が購入可能な手段も増えてきました。新築マンションが高騰しているいま、安く空き家を買えたら言うことなしのようにも思えますが、果たしてどんなメリットやデメリットがあるのか……? 注意すべき点や税制控除などについてもお話しいただきました。
社会問題化する「空き家」、高騰する新築マンション

総務省によれば日本の空き家は2013年時点でおよそ820万戸。2018年の現時点ではおそらく1000万戸を超える空き家があります。さらに日本はこれから本格的な人口減少と少子化・高齢化に見舞われるため、2033年には空き家が2000万戸、空き家率は30%を超えるとのシンクタンク試算もあります。エリアによっては「お隣りは空き家」といった時代が到来しそうです。

一方で新築マンションを中心とした住宅価格は高止まり。不動産経済研究所によれば、2018年2月の首都圏新築マンション価格平均は6128万円。東京都区部に至っては平均7223万円と、普通のサラリーマンが買える水準をはるかに超えている状態です。

こうしたなか「空き家をうまく活用しよう」といった動きも出始めています。全国の自治体が管理する空き家・空き地情報を集約した『LIFULL HOME’S 空き家バンク』(運営:株式会社LIFULL )や、空き家の売り手と買い手が直接交渉でき、物件価格0円の空き家なども紹介されている『家いちば』(運営:株式会社エアリーフロー)など。とはいえ、こうした取り組みもまだ端緒についたばかり。『家いちば』は2015年の開設から成約は20件程度と、まだまだ認知度も低くユーザーも少ないのが実情です。

空き家活用が進まない3つの理由

空き家活用がなかなか進まない理由にはさまざまなことが考えられますが、第一に「立地」の問題があります。自分がほしい場所にたまたま空き家があり、売りに出ていれば検討の余地がありますが、エリアをある程度限定すると、売りに出ている空き家はまだまだ少数です。「売ることも貸すこともせず、ただ放置されている空き家がたくさんある」というのが昨今の空き家問題の特徴なのです。

第二に「建物のコンディション」。家というものは、人が住まなくなってから時間が経過するほど傷んでいきます。その理由には大きく2つあり、一つは「換気」が行われないことで通風性が失われ、カビや結露を発生させてしまうこと。次に「雨漏り」や「水漏れ」など建物の不具合が発生しても、誰も気づかず放置され事態が悪化してしまうことです。

また空き家の多くには、庭や室内に、前居住者の「残置物」が残っていたりします。残置物とは、庭の物置きや植栽、室内の家具や生活道具一式などです。こうしたものは原則として買い手か売り手のどちらかの負担で処分するしかありませんが、それにも当然コストがかかります。

このように空き家活用は一般に、普通に新築や中古を買うより少しリスクが高く、手間がかかり面倒なのです。それでも、よりリーズナブルに家を手に入れたいという人にとっては、いい買い物になる可能性もあります。割安感のある空き家を買って、自分の思いどおりにリフォーム・リノベーションして暮らすことができればいいですね。

住宅ローン控除やフラット35の適用にはコストがかかる!?

では次に、購入者する側に立った際に使える控除などについて見ていきましょう。

まず住宅ローンを組む場合、新築から築20年以内の建物(マンションは25年以内)であれば「住宅ローン控除」が使えます。住宅ローン控除とは、ローン残高(年末時点)の1%分の所得税が10年間、戻ってくるものです。

空き家の場合、これよりも築年数が古いことが往々にしてあるでしょう。その場合に住宅ローン控除を利用する方法は2つあり、一つは「既存住宅売買瑕疵保険」に加入すること。保険期間は1年ないしは5年、支払い限度額は500万円ないしは1,000万円というのが一般的ですが、保険加入のためには一定の建物補修が必要など、コストがかかる要件があります。

もう一つは「耐震基準適合証明書」を取得する方法。こちらも、耐震診断やその結果に応じた耐震改修をする必要があるので一定のコストがかかります。

留意したいのが、中古住宅で『フラット35』や不動産取得税の減税制度などを利用したい場合です。フラット35については、『フラット35の適合証明書』が必要で、1981年5月31日以前に建築確認を取得した旧耐震の物件で制度を利用するには、『耐震基準適合証明書』の取得が必須。それに伴って、やはり耐震診断や改修コストは必要です。築20年以上の一戸建て・25年以上のマンションで不動産取得税の減免を受けるには先述の『耐震基準適合証明書』が必要です。

リフォームやリノベーションには補助金がもらえることも

一方でリフォームやリノベーションを行う場合には、国や自治体からさまざまな補助金が出ることもあります。例えば東京都豊島区では修繕工事に10万円、リフォーム工事に20万円を限度として補助金がもらえます(※適用にはいくつかの要件あり)。使えるものはうまく使っておきたいところ。こうした税制や補助金等に詳しいリフォーム・リノベーション事業者とお付き合いすることがお得に空き家を活用するコツとも言えるかもしれません。

いずれにせよ、購入前に建物のコンディションはよく調べておきたいもの。2018年4月からは住宅売買時に「インスペクション説明義務化」がスタートします。これは簡単に言うと、住宅の売主・買主に、建物の状況を調べるインスペクション事業者のあっせんの有無やその内容について説明するという制度です。

中古住宅取引時に、欧米では当たり前のように行われているホームインスペクション(住宅診断)を日本でも常識化し、中古住宅流通を促進させたいといった国の意志の表れですが、未来の日本では、中古住宅や空き家をうまく活用するというのは当たり前のことになっているでしょう。とはいえ日本ではまだこうした施策はまだ始まったばかり。制度をよく知った上で、インスペクションを依頼するホームインスペクターやリフォーム事業者をうまく見極めつつ、空き家活用にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

s-長嶋修_正方形.jpg長嶋 修  さくら事務所創業者・会長
業界初の個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクション(住宅診断)を行う「さくら事務所」を創業、現会長。不動産購入ノウハウの他、業界・政策提言や社会問題全般にも言及。著書・マスコミ掲載やテレビ出演、セミナー・講演等実績多数。【株式会社さくら事務所】