東京の私大新入生の仕送り額、平均額は低水準でも住居費は増加。家賃は8割近く!?

東京私大教連が公表した「2023年度 私立大学新入生の家計負担調査」によると、私大生への仕送りの額は低水準にとどまっている一方で、家賃などの住居費の負担は増えているという。入学にかかる費用も上がりつつあるというので、調査結果を詳しく見ていくことにしよう。

【今週の住活トピック】
「2023年度 私立大学新入生の家計負担調査」を公表/東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)

「受験から入学までの費用」は過去最高を更新

東京私大教連の調査の対象は、首都圏(1都3県)の私立大学・短期大学13校に2023年度に入学した新入生の家庭。受験から入学までの費用は、自宅通学者が162万3181円(前年度比で1万901円増額)、自宅外通学者が230万2181円(前年度比で4万6801円増額)となり、いずれも過去最高額となった。

特に自宅外通学者では、物価高による「生活用品費」の支出増が大きく、「家賃」や「敷金・礼金」の住居費も上昇している。一方、「受験費用」は1万1500円減額となり、受験校数を減らすなどで費用を抑えていることがうかがえる。

■受験から入学までの費用(住居別)

受験から入学までの費用(住居別)

(出典:東京私大教連「2023年度 私立大学新入生の家計負担調査」より転載)

仕送りの平均月額は8万9300円、家賃の平均月額は6万9700円

自宅外通学の場合、「仕送り額」の平均月額は8万9300円。最近はおおむね横ばいで推移している。(5月は入学直後の新生活や教材の準備で費用がかさむため、6月以降の仕送り額で平均を算出している。)

ところが、「家賃」は上がり続けている。平均月額は6万9700円で、前年より2400円増え、過去最高となった。その結果、年々「仕送り額」と「家賃」の差が縮まり、仕送り額から生活費に充てられる金額が減少する形となっている。平均月額の差額は1万9600円なので、30日で割ると約653円となり、おおむね1日653円で生活することになる。なかなか厳しい状況だ。

■「6月以降の仕送り額(月平均)と「毎月の家賃」の推移 ~月平均の仕送り額は8万9300円

「6月以降の仕送り額(月平均)と「毎月の家賃」の推移 ~月平均の仕送り額は8万9300円

(出典:東京私大教連「2023年度 私立大学新入生の家計負担調査」より転載)

さらに、仕送り額の平均月額に占める家賃の平均月額の割合を見ると、実に78.1%を占め、過去最高の比率になった。

■「6月以降の仕送り額(月平均)に占める「家賃の割合」の推移 ~仕送り額に占める家賃の割合は8割に迫る

「6月以降の仕送り額(月平均)に占める「家賃の割合」の推移 ~仕送り額に占める家賃の割合は8割に迫る

(出典:東京私大教連「2023年度 私立大学新入生の家計負担調査」より転載)

筆者はこのコーナーで、2016年にも同じ調査結果を取り上げた(「首都圏の私大生の平均家賃は6万1200円、どんな物件がある?」)が、2015年度の調査結果(70.6%)について書いていたので、「仕送り額に占める割合は初めて7割を超えることとなった。」としている。それからさらに上昇して、2023年度には8割近くにまで達しているのだ。

では、家賃の平均月額6万9700円で東京の賃貸を探すことを考えてみよう。SUUMOで東京都の家賃相場情報を見てみる(2024年4月10日更新情報)と、ワンルームなら23区内でも家賃相場が7万円を切る区があることがわかった。中野区、杉並区、北区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区だ。このほかの区でも、築年数が古かったり駅から距離があったりする物件なら、7万円を切る家賃のものが見つかるかもしれない。1K/1DKの広さで家賃相場が7万円を切るとなると、23区にはなかったが、立川市、武蔵野市、三鷹市、調布市を除いた東京都下の地域が該当した。

都心部から少し離れれば、希望の家賃や広さの賃貸が探せる状況ではあるようだ。ただし、セキュリティーがしっかりしているとか、宅配ボックスが欲しいなどの条件をつけていくと家賃は上がっていく。物件探しには、優先順位をしっかりつける必要があるだろう。

●関連サイト
東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)「2023年度 私立大学新入生の家計負担調査」

入居者のための食堂、昼・夕食500円、朝食はなんと100円! 「トーコーキッチン」開店から9年目。入居者希望増、書籍化など、さらにすごいことになってた!

手づくりの食事を朝100円、昼・夕500円のワンコインで毎日提供する、賃貸物件の入居者のために不動産会社が運営する食堂「トーコーキッチン」。2015年のオープン以降、「街の一角に自分たち専用の食堂がある」という安心感を味わえる魅力的な仕組みによって、賃貸物件への入居希望者が増えるとともに、多くの注目を集め続けています。食堂「トーコーキッチン」のある淵野辺(神奈川県相模原市)を訪れ、8年間の変化について聞きました。

「きっかけは、ご家族から聞こえてきた食事への心配の声でした」

「トーコーキッチン」は、神奈川県相模原市の不動産会社・東郊住宅社が運営する入居者のための食堂。JR横浜線・淵野辺駅から徒歩2分ほどの商店街に立地しています。東郊住宅社は40年以上にわたりJR横浜線・淵野辺駅周辺にあるアパート、マンションなど賃貸物件を管理している、地域密着型のいわゆる「街の不動産屋さん」。

淵野辺には、3つの大学(青山学院大学、麻布大学、桜美林大学)が点在しており、東郊住宅社の管理する物件では1人暮らし用のワンルームが6、7割を占め、そのうちの8割ほどに学生が入居しています。

淵野辺駅から徒歩2分。トーコーキッチンはこんな商店街の一角にあります(写真撮影/片山貴博)

淵野辺駅から徒歩2分。トーコーキッチンはこんな商店街の一角にあります(写真撮影/片山貴博)

ガラス張りで、通りから店内が見えます(写真撮影/片山貴博)

ガラス張りで、通りから店内が見えます(写真撮影/片山貴博)

トーコーキッチン店内。午後のティータイム。大学は春休みに入り、普段、大勢来店する学生さんたちは数人見かけるだけでした(写真撮影/片山貴博)

トーコーキッチン店内。午後のティータイム。大学は春休みに入り、普段、大勢来店する学生さんたちは数人見かけるだけでした(写真撮影/片山貴博)

そうした学生を始めとする入居者のために、トーコーキッチンでは朝8時から夜8時まで毎日、朝食を100円、昼食・夕食を500円という格安価格で提供しています。朝・昼・夕食はそれぞれ栄養バランスを考えてつくられた日替わり&週替わり定食、カレーライス500円やキッズプレート300円、コーヒー・紅茶・ルイボスティー100円、サイドメニュー50円といったメニューがそろいます。

一番人気は「ハヤシ社長」500円。池田さん考案のハヤシライスです(写真撮影/片山貴博)

一番人気は「ハヤシ社長」500円。池田さん考案のハヤシライスです(写真撮影/片山貴博)

「カレー会長」は東郊住宅社を創業した先代社長がこよなく愛したスープカレー。先代の奥様のレシピだそうです(写真撮影/片山貴博)

「カレー会長」は東郊住宅社を創業した先代社長がこよなく愛したスープカレー。先代の奥様のレシピだそうです(写真撮影/片山貴博)

これが100円の朝食。しかも税込みです。「朝食はさすがに赤字です」と池田さん(写真撮影/片山貴博)

これが100円の朝食。しかも税込みです。「朝食はさすがに赤字です」と池田さん(写真撮影/片山貴博)

日替わり定食500円。この日はプルコギ定食でした。ご飯は白米と五穀米から選べます。特に豚汁が美味!(写真撮影/片山貴博)

日替わり定食500円。この日はプルコギ定食でした。ご飯は白米と五穀米から選べます。特に豚汁が美味!(写真撮影/片山貴博)

注文票を自分で記入してカウンターに渡すシステム(写真撮影/片山貴博)

注文票を自分で記入してカウンターに渡すシステム(写真撮影/片山貴博)

食堂を利用できるのは、東郊住宅社が管理している賃貸物件の入居者およそ3000人、物件オーナー約200人、関係協力者、同社社員など。借りている自分の部屋のカードキーで食堂に入るシステムで、鍵の保有者と同行すれば家族や友人も一緒に入店できます。部屋探し中の人も食堂の利用体験ができるほか、近隣に暮らす人も興味があれば1度は利用することが可能だそうです。

「ここを立ち上げたきっかけは、新たに一人暮らしを始める学生さんのご家族から聞こえてきた、食事に対する心配の声でした」と当時を振り返る東郊住宅社社長の池田峰さん。「初めての一人暮らし。偏らずにしっかり栄養をとれる食生活が送れるのか」という親心に対し、そうした心配や不安を入居者サービスの一つとして解決できないかと考え始めたことが第一歩だったそうです。

トーコーキッチンをつくるに至った経緯や思い、その後の影響、食堂での日常風景については、当サイトの記事(「入居者のための食堂」が魅力的すぎ!朝食100円、昼食・夕食が500円で食べられるワケ(2017年1月25日掲載))に詳しいので、ぜひご参照を。

トーコーキッチンの魅力的な仕組みに、「自分の家の近くにもこうした入居者向け食堂があればいいのに」「こんな不動産屋さんがあるなんて、淵野辺ってすてきな街だな」などと、記事の反響も大きかったことを覚えています。

「おかげさまで入居率99%超に」。8カ月も前に入居予約が入るほど!

トーコーキッチンは、入居希望者や物件オーナー、賃貸不動産業界にとどまらず、マスコミや世の中からも数多くの注目を集めました。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、WEBマガジンなど100を超えるメディアで紹介されたことがあり、目にした人も多いのではないでしょうか。

立ち上げから丸8年が経ち、この間にどんな反響や変化が起こったのか、池田さんに聞きました。

東郊住宅社社長・池田峰さん。東郊住宅社のオフィスから徒歩約10分のトーコーキッチンには1日数回訪れて、入居者との交流を図っています(写真撮影/片山貴博)

東郊住宅社社長・池田峰さん。東郊住宅社のオフィスから徒歩約10分のトーコーキッチンには1日数回訪れて、入居者との交流を図っています(写真撮影/片山貴博)

「トーコーキッチンの存在が物件選びの1つの動機となって、入居希望者が増え、おかげさまで今では入居率が99%を超えるまでになりました」と池田さん。

2018年時点の神奈川県の空室率が20.1%(※1)=入居率79.9%という数字から考えると、驚異的な高さです。
※1:公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会「民間賃貸住宅(共同住宅)戸数及び空き戸数並びに空き室率の推計」(2018年算出)より

トーコーキッチン以前から、同社管理物件の入居率は95~96%と他に比べて高かったそうですが、今や100%近い割合に。トーコーキッチンのない2015年以前にも高い入居率を保っていたのは、先代が社長時代に導入した「敷金0」「礼金0」「退去時の修繕義務なし(入居者の過失での修繕を除く)」「水漏れや鍵の紛失などの緊急事態に24時間対応」という、先進的な契約条件があったため。そこに食の提供という入居者サービスが加わったことで、「トーコーキッチンがあるから淵野辺に住みたい」「1人暮らしをする子どものために食事環境が安心な東郊住宅社の物件を選びたい」という人が増えたといいます。

「部屋が空いたらすぐに入居希望が入るというありがたい状況です。空く予定がなくても『空いたら入居したい』という方がたくさんいらっしゃいます。昨年はとうとう、引越しシーズンの8カ月も前の6月に、『大学入学で1人暮らしをするので、今から入居の予約はできますか』という問い合わせまで入ることに。新記録ですね。その時点で進学する大学が決まっていない状況だと思うのですが、実際には、淵野辺から片道1時間以上をかけて通学する学生さんもいらっしゃいます」(池田さん)

「学生の入居者さんに関していうと、以前は淵野辺にある3校が近いことから、その学生さんたちがほぼ10割を占めていました。しかし、トーコーキッチン開設以後は、他エリアの大学の学生さんも入居されるようになり、今では2割ほどを占めるまでになりました」と池田さん。

淵野辺駅は新宿や渋谷など都心へ行くには乗り換えが必要で、停車する電車は各駅停車のみ。決して交通アクセスが便利とはいえない街。「乗り換え必須なのにその2割の学生さんたちが、淵野辺に暮らすことを選んでくれたのは、トーコーキッチンがもたらす食の安心感を評価していただいているからなのでしょう」(池田さん)

淵野辺駅北口から見た駅前商店街の様子(写真撮影/片山貴博)

淵野辺駅北口から見た駅前商店街の様子(写真撮影/片山貴博)

桜美林大学のキャンパスは淵野辺駅に隣接(写真撮影/片山貴博)

桜美林大学のキャンパスは淵野辺駅に隣接(写真撮影/片山貴博)

「社会人の方もご高齢の方も、安心な淵野辺暮らしを選んでくれています」

学生以外の入居者も増えたそうです。
「リモートワークが一般化したことで、別の地域から淵野辺に拠点を移した社会人の方がとても増えました。オンラインでのつながりはあるけれど、やはりリアルなコミュニケーションの場があるのは良いということのようです。

また、ご高齢の親御さんを、淵野辺近辺に暮らす子世帯が自宅近くに呼び寄せて、という方々も増えました。たまに顔を合わせられるくらいの近居なら安心。さらに日々の食事はトーコーキッチンがあるからますます安心、というわけです」(池田さん)

入居希望の大きな動機と考えられるトーコーキッチンですが、すべての入居者が食堂を頻繁に利用するわけではなく、常連さんは3割くらいだそう。常連さんにとっても時々利用する人にとっても、「お茶1杯だけでもずっといていいですよ」という姿勢があることで、入居者にとってのサードプレイス(自宅でも職場でもない、居心地の良い第3の場所)的な場所として活用されています。

また、池田さんは1日数回顔を出して、「味はどう?」「部屋で困ったことはない?」と入居者と交流しています。「日本一『味はどう?』って聞いている不動産屋」と自負する池田さん。そうした日々のコミュニケーションも淵野辺で暮らす安心感につながっているのだと思います。

ランチ中の学生さんに気さくに話しかける池田さん(写真撮影/片山貴博)

ランチ中の学生さんに気さくに話しかける池田さん(写真撮影/片山貴博)

笑顔が素敵な食堂スタッフのみなさん(写真撮影/片山貴博)

笑顔がすてきな食堂スタッフのみなさん(写真撮影/片山貴博)

「賃貸物件はすべて自社管理。だからこそ入居者さんに喜んでいただける」

東郊住宅社は賃貸借契約の仲介に加え、取り扱うすべての物件管理及び入居者管理(家賃の入金管理をはじめ、共用部の清掃や不具合の修繕、植栽の手入れなど)を行っています。仲介だけお願いしたいというオーナーの要望には対応していません。「不動産は管理が重要だと考えています。専任で管理をさせていただくからこそ、入居者さんに喜んでいただける仕事がまっとうできると思っています」と池田さん。

以前は1600室ほどだった物件数が、この8年間で1900室に迫るまでになりました。
「当社の管理手数料は物件によって家賃の5~8%と、他の不動産管理会社に比べると安くはない費用をオーナーさんからいただいています。にもかかわらず、『自分の所有物件もトーコーキッチンが使える物件にしたい』と、今までお取引のなかった近隣の物件オーナーさんから興味や共感を持っていただき、管理のご依頼が増えました。さらに、『トーコーキッチンが使える賃貸物件を所有したい』という物件購入の相談も年々増え、現在30人以上のオーナー希望者さんがいらっしゃいます」

こうした動きは、食の提供サービスの存在によって安定した入居率の維持が保てるという、高い付加価値が得られることも含め、物件オーナーが東郊住宅社の物件管理に対する姿勢に大きな信頼を寄せていることをうかがわせます。

「ただ、対象となるのは当社から車で30分圏内の物件です。小さな不動産会社にとって、何かあれば夜中でも駆けつけられる距離の上限だからです。そのため、ご要望があっても場所によってはお断りせざるをえないこともあります」(池田さん)

入居者に寄り添う姿勢は緊急時だけではありません。
2020年には、入居者の困りごとを解決する家事代行サービス「ゴーヨーキーキー」もスタート。5分100円からという利益度外視の安心サービスです。こちらも当サイトの記事(不動産屋さんが家事代行!? 電球交換、虫駆除などのお悩みに5分100円で)に詳しいので、ご覧ください。

日常的に物件状態を把握し、入居者との交流を保ち、食事や家事のサポートの提供によって暮らしの安心を生み出していく。淵野辺で賃貸ライフを送る人にとって、東郊住宅社そのものが街の頼もしい存在となっている状況がわかります。

「入居者用食堂を導入した不動産会社も新たに登場!」

池田さんは以前の取材で「このビジネスモデルの特許取得を勧めてくださる方もいますが、アイデアで儲けるつもりはありません。皆さんの賃貸ライフを楽しくできたらうれしいので、逆に、どんどんまねして導入してくれる不動産屋があればいいと思いますね」と語っていましたが、その後、トーコーキッチンのような入居者向け食堂を立ち上げた企業は登場したのでしょうか。

「私の知る限りでは1社あります。その不動産会社から、同じシステムを取り入れたいと相談を受け、ノウハウをお伝えしたり食堂研修を受け入れたりとご協力させていただきました。現在、既に入居者専用食堂を運営されています」(池田さん)。

「どんどんまねしてもらえれば」という池田さんの言葉とは裏腹に、わかっている限りで同じサービスを導入した企業は1社だけということに意外な気がしました。他にも「実はわが社も」という会社もあるのかもしれませんが……。

しかし、逆に考えると、ここまで入居者・オーナー双方に喜ばれるサービスを追求し継続するというのは、実はとてもハードルが高いこと。誰もが真似できることではないとも感じます。利益度外視の入居者サービスとしての食堂運営、取り扱い物件はすべて自社で管理するなど、入居者が暮らしやすい環境をつくり出していく徹底した企業姿勢を持つからこそ、こうした全方位的に喜ばれるサービスが維持できているのでしょう。

「トーコーキッチンへようこそ!」

トーコーキッチンへの思いを綴った著書『トーコーキッチンへようこそ!』(虹有社)を昨年2023年10月に上梓した池田さん。「ご縁があってこうして1冊にまとめることができました。著書を手にしてくださることで淵野辺に興味を持っていただく機会もさらに増えました」(池田さん)

「お部屋探し帰りのお客様が手に取ってくださり、有隣堂淵野辺店のビジネス書ランキングで週間1位になったことも!」(写真撮影/片山貴博)

「お部屋探し帰りのお客様が手に取ってくださり、有隣堂淵野辺店のビジネス書ランキングで週間1位になったことも!」(写真撮影/片山貴博)

「以前、部屋探しに来られた大学進学予定のお客様から、『実は高校の進路の先生から、暮らすなら東郊住宅社のある淵野辺がいいと勧められて、今日ここに来ました』とお聞きして驚いたこともありました。遠く離れた地の方々にも広く認知されつつあることが、ものすごくありがたいです」(池田さん)

入居者の増加とともに利用者も増え、トーコーキッチンの売り上げも上がっているそうですが、売り上げが上がればその分の利益は良い食材を購入することに還元させているそう。「前年同月比で110%の売り上げアップを目標にしています。新型コロナが5類に移行した月は130%アップ、昨年著書を上梓した後は140%アップとなった月も。ありがたいことに徐々にお客様は増えています」

利益を追求しない入居者サービスの食堂が、それまで関心のなかった淵野辺に人を呼び寄せ、食堂利用者が増えることで食材やメニューが充実するという好循環。全方位に喜ばれるトーコーキッチンそのものが、ある意味広告としての機能を持ち、「住みたい街ランキング」に一度も登場したことのない街に人を引きつけているのです。

「トーコーキッチンを立ち上げてからずっと、毎日の仕事が楽しくて楽しくて。それに、入居者さんや離れて暮らすご家族、物件オーナーさん、そうした皆さんにこんなにも喜んでいただけるということは、トーコーキッチンをやっていなければわからないままだったでしょうね」と、ニコニコの笑顔で語る池田さん。

住む人の安心や喜びを常に考えている不動産屋さんの存在は、淵野辺という街を輝かせているのではないかと感じました。

8年でだいぶ年季が入りました(写真撮影/片山貴博)

8年でだいぶ年季が入りました(写真撮影/片山貴博)

小さなお客様からの「ごちそうさまでした」「おいしかったよ」の可愛いメッセージが(写真撮影/片山貴博)

小さなお客様からの「ごちそうさまでした」「おいしかったよ」のかわいいメッセージが(写真撮影/片山貴博)

●取材協力
東郊住宅社「トーコーキッチン」
『トーコーキッチンへようこそ!』(虹有社)

一人暮らしで買った家具、人気の家具ショップビッグ3とは?家具への意識はどう変化している?

クレアスライフが、自社が運営するマンションに住んでいる一人暮らし中の男女599人に、インテリア・収納に関するアンケートを実施した。一人暮らしの家具はどこで何を買うかがテーマなのだが、どこでどんな家具を買ったのだろうか?詳しく見ていくことにしよう。

【今週の住活トピック】
都内599人にインテリア・収納に関するアンケート調査を実施/クレアスライフ

入居後に購入した家具のトップは、「カーテン・ブラインド」

最近、一人暮らしでInstagramなどのSNSを参考に、インテリアにこだわる人が多いという調査結果をよく見かける。筆者も「コロナ禍でインテリアへの関心が高まる!20代から50代まで幅広い層がインスタを参考に」や「Z世代の一人暮らしの特徴って? 重要なのは家賃、インテリアは”映える”韓国風がトレンド」といった記事を書いた。

今回は、家具はどこで何を買うかを調査した結果を見ていきたい。まず「今住んでいる住居に入居した際に新しく購入した家具があれば、何を購入したか」を聞いている。その結果、上位には「カーテン・ブラインド」(16.5%)、「ベッド」(14.6%)、「テーブル」(12.4%)が挙がった。

出典/クレアスライフ「インテリア・収納に関するアンケート調査」より転載

出典/クレアスライフ「インテリア・収納に関するアンケート調査」より転載

引っ越し後に購入したもののTOPに挙がることが多いのが、「カーテン・ブラインド」だ。住居によって、窓の形や大きさが異なるため、持っているものでは合わないことが多いからだ。といっても、近年は街を歩いていると、窓に何もかけていない住宅を多く見かけるようになった。16.5%という数値は思ったよりは多くないのだが、近年のそうした影響を受けてのことではないかと思う。

逆に意外だったのが、「照明」が5.1%と少ないことだ。住宅を買う場合は自身で照明を設置することが多いが、賃貸の場合は、照明は貸主側で取り付けている場合もあれば、借主が自身で手配してつける場合もある。今回の調査では、貸主側で設置済みの場合が多いということだろう。

一人暮らしの人気家具ショップ、ニトリ・無印良品・IKEA

次に、「今住んでいる住居に入居した際に新しく購入した家具があれば、どこのインテリアショップで購入したか」を聞いている。その結果を見ると、圧倒的に人気が高いのは「ニトリ」(34.4%)だ。性別・年代別に分析した結果を見ると、ニトリは、そのなかでも特に男性に人気が高いことが分かる。

出典/クレアスライフ「インテリア・収納に関するアンケート調査」より転載

出典/クレアスライフ「インテリア・収納に関するアンケート調査」より転載

出典/クレアスライフ「インテリア・収納に関するアンケート調査」より転載

出典/クレアスライフ「インテリア・収納に関するアンケート調査」より転載

どうやら、ニトリと無印良品、IKEAは3大人気家具ショップということになりそうだ。たしかに、シンプルなデザインで、リーズナブルな価格という共通点がある。ただし、それぞれに違いもある。

ニトリと無印良品は、日本の企業で全国に店舗数が多いという共通点があるが、無印良品の方がよりナチュラルなデザインで、価格はニトリより高めという印象だ。また、IKEAは北欧スウェーデン発祥で、よりおしゃれなデザインが特徴。郊外に大型店舗が多く、まとまった数のものを安く売るというスタイルなので、車のあるファミリーのほうが好むのかもしれない。

また、20代・30代の女性では、よりデザイン性の高い「Francfranc」の購入者も多いので、おしゃれなものを好む傾向があるといえそうだ。

さて、今回の調査結果で挙がった家具ショップのなかで、「LOWYA」(ロウヤ)と「KEYUCA」(ケユカ)は筆者には馴染みの薄いブランドだ。LOWYAもKEYUCAも、日本企業が2000年代にオープンしたブランド。LOWYAはオンライン販売が中心で、KEYUCAは東京都や神奈川県を中心に全国に店舗をもつ。いずれも、シンプルでリーズナブルという点で、ビッグ3と共通している。

手軽なDIYもインテリアには必要?

さて、「部屋のリフォームや家具作りなどのDIYに興味があるか」聞いたところ、過半数の52.6%がある(「興味関心があり、実践している」6.2%+「興味関心があり、今後やりたいと思っている」9.8%+「興味関心があるが、賃貸なのでできないと思っている」36.6%)と回答している。

現在行っている、あるいは今後行いたいDIYがどんなものかを聞くと、「収納を作る」が最多の30.1%で、次いで「剥がせる壁紙を貼る」20.3%、「置き敷きできる床材を使用する」19.4%の順となった。

出典/クレアスライフ「インテリア・収納に関するアンケート調査」より転載

出典/クレアスライフ「インテリア・収納に関するアンケート調査」より転載

ポイントは、賃貸でも可能という点だ。特に、「剥がせる壁紙」と「置き敷きできる床材」は、賃貸でもできるDIYニーズに応えて、DIY商材が豊富になってきたもの。賃貸の退去時に、貼った壁紙を剥がしたり、敷いた床材をはずしたりすればいいので、原状回復を気にせずにDIYで自分らしく部屋を演出できる。

収納も、独立した収納ボックスなどを組み立てて設置するだけでなく、最近は壁にピンで止めるだけで飾り棚になる商品もある。実はマイホームではあるが筆者も、DIYに自信がないので、無印良品のピンで取り付ける飾り棚を付けた。といっても、飾っているのは好きな落語家のサイン入り色紙なのだが…。

対面型キッチンの上部の空間に飾り棚を取り付けた(筆者撮影)ちなみに、左から三遊亭兼好、春風亭一之輔、桃月庵白酒

対面型キッチンの上部の空間に飾り棚を取り付けた(筆者撮影)ちなみに、直筆色紙は左から三遊亭兼好、春風亭一之輔、桃月庵白酒

調査結果を見ると、20代・30代が多い一人暮らしの場合、高級で高価格な家具ではなく、シンプルで低価格な家具を購入する人が多いということが分かる。一人暮らしの部屋はそれほど広さがないので、テーブルで仕事も食事もするのかといった暮らし方を考慮したり、収納スペースを考慮して収納付きのベッドにしたりと、さまざまな工夫が必要だろう。

最近は、インスタ映えするインテリアのコーナーを設けるなどのニーズもあるようなので、自身のセンスを見せるためにも、家具やインテリアにこだわったり、自分らしいDIYを行ったりすることも大切になる。さて、あなたはどんな家具を選ぶのだろうか?

●関連サイト
クレアスライフ「都内599人にインテリア・収納に関するアンケート調査を実施」

2023年は郊外ファミリー賃貸で賃料が上昇!? 国分寺など上昇した駅のデータとともに解説

長谷工ライブネットは、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の沿線・駅別の賃料相場を分析し、「首都圏賃貸マンション賃料相場マップ 2023 年版」を完成させた。その結果からは、「特に郊外のファミリー賃貸で大幅上昇の傾向が見られた」という。詳しく見ていこう。

【今週の住活トピック】
「首都圏賃貸マンション賃料相場マップ2023年版」が完成/長谷工ライブネット

首都圏でファミリー向け賃貸マンションの需要が高まる!?

「首都圏賃貸マンション賃料相場マップ 2023 年版」は、間取りタイプをシングル(25平米)・コンパクト(40平米)・ファミリー(60平米)の 3タイプに分類し、沿線・駅別の賃料相場を同社独自の分析調査によりまとめたもの(対象:95沿線、延べ1,030駅)

タイプ別の賃料相場について、前年との比較で駅別に変動率を算出してまとめた結果、首都圏全体では「上昇」(やや上昇・上昇・大幅上昇)の割合がシングル37%、コンパクト47%、ファミリー51%を占め、面積が広いタイプほど上昇の割合が高い結果になった。なかでも埼玉県と千葉県では、ファミリータイプで「大幅上昇」(グラフの赤い帯部分)が20%を超えるなど、大幅上昇が目立つ。

出典/長谷工ライブネット「首都圏賃貸マンション賃料相場マップ2023年版」より転載

出典/長谷工ライブネット「首都圏賃貸マンション賃料相場マップ2023年版」より転載

エリア別・タイプ別で見ると状況はそれぞれ異なるので、詳しく見ていこう。

東京23区では、シングル、コンパクト、ファミリーともに低下(やや低下・低下)よりも上昇の割合のほうが大きく、なかでもファミリータイプでの上昇傾向が大きいという点で、首都圏全体と同じ傾向にある。
東京都下のシングルだけは、低下の割合のほうが上昇より大きいのが特徴だ。が、都下でもファミリータイプでは上昇傾向が見られる。神奈川県は、首都圏のなかでは他のエリアよりは変動が小さい。
埼玉県と千葉県では、コンパクトタイプの上昇割合が最も大きいのが特徴。シングルタイプの上昇割合も、他の都県より大きいが、ファミリータイプについては「大幅上昇」の割合が大きいのが目立つ。このことから、埼玉県と千葉県は賃貸相場が上昇傾向にあるが、特にファミリータイプが特定のエリアで大幅に上昇していると推測できる。

出典/長谷工ライブネット「首都圏賃貸マンション賃料相場マップ2023年版」より転載

出典/長谷工ライブネット「首都圏賃貸マンション賃料相場マップ2023年版」より転載

国分寺、さいたま新都心、千葉中央のファミリータイプ賃料が大幅上昇

次に、エリア別に賃料のランキング1位を紹介しよう。

■エリア別賃料相場ランキング(1位を抜粋)

●東京23区
シングルタイプ(25平米)表参道(東京メトロ)147,000円コンパクトタイプ(40平米)神谷町(東京メトロ)265,000円ファミリータイプ(60平米)※同率1位表参道(東京メトロ)379,000円外苑前(東京メトロ)379,000円●東京都下
シングルタイプ(25平米)吉祥寺(JR・京王)102,000円コンパクトタイプ(40平米)三鷹(JR)147,000円ファミリータイプ(60平米)国分寺(JR)238,000円●神奈川県
シングルタイプ(25平米)武蔵小杉(JR・東急)103,000円コンパクトタイプ(40平米)馬車道(みなとみらい)155,000円ファミリータイプ(60平米)馬車道(みなとみらい)278,000円●埼玉県
シングルタイプ(25平米)川口(JR)88,000円コンパクトタイプ(40平米)大宮(JR他)129,000円ファミリータイプ(60平米)さいたま新都心(JR)235,000円●千葉県
シングルタイプ(25平米)浦安(東京メトロ)87,000円コンパクトタイプ(40平米)柏の葉キャンパス(つくばEX)127,000円ファミリータイプ(60平米)千葉中央(京成)188,000円

このなかでも、東京都下の「国分寺」(前年2位)、埼玉県の「さいたま新都心」 (前年2位)、千葉県の「千葉中央」 (前年7位)のファミリータイプが、大幅上昇によってそれぞれ 1 位にランクアップした。この理由として「分譲マンションの一部が賃貸された影響で賃料が大幅上昇した」のだという。

埼玉県と千葉県では、ほかにもファミリータイプで大幅上昇した駅がある。埼玉県では「北浦和」(前年8位→5位)、「所沢」(前年9位→5位)、「和光市」(前年12位→7位)、「与野」(前年14位→9位)、千葉県では「松戸」(前年13位→7位)、「柏」(前年16位→8位)だ。

首都圏のファミリータイプで賃料が上昇する背景は?

筆者は、SUUMOジャーナル1月25日公開の記事で「東京都23区のファミリータイプの賃貸住宅が活況。就業環境や働き方の変化が影響?」を執筆した。このときは、三菱UFJ信託銀行が公表した「2022年度 賃貸住宅市場調査」(2022年秋時点)の結果を参照した。

ファミリータイプについては、東京23区と首都圏(東京23区を除く)は、現状も半年後の予測も稼働率と賃料は好調だった。その理由として、2つの要因を挙げた。

まず、マンションの価格が上昇しているため、購入を考えた場合に手が届きにくいこと。次に、ユーザーの志向が住宅の広さや部屋数を求めるようになったこと。これは在宅勤務やオンライン授業などの影響でおうち時間が長くなったことなどが影響している。その結果、広さと駅からの利便性を求めて、手の届く住まいとして、ファミリータイプの賃貸マンションへの需要が高まったと分析した。

こうした状況は今も継続している。さらに、長谷工ライブネットが指摘した分譲マンションの一部が賃貸されているということも加わって、好立地で手が届きやすい賃料のファミリータイプの需要が高いと見てよいだろう。

さて、近年は首都圏のファミリータイプの賃貸需要が高くなっているが、今後も続くのだろうか?住宅の需要はさまざまな要因で変わる。コロナ禍を経て日常生活が戻りつつあるので、就業状況や収入などが改善される方向に進んでいる。また、テレワークは一定レベルで定着しつつある。一方で、住宅ローンの金利上昇リスクが高まっているので、住宅の購入環境が変わる可能性も考えられる。さらには、感染拡大の可能性がなくなったわけではない。

その時々で、最適の住まいを選ぶということになるので、どういった住まいに需要が高まるかは予測しづらい状況になっている。

●関連サイト
長谷工ライブネット/「首都圏賃貸マンション賃料相場マップ2023年版」が完成

Z世代の一人暮らしの特徴って? 重要なのは家賃、インテリアは”映える”韓国風がトレンド

Z世代(1995年以降生まれの若年層)を対象としたシンクタンク組織「Z総研」が、Z世代の女性を対象とした「一人暮らし」に関する意識調査を行った。それによると、Z世代の女性の約8割が一人暮らしをしたいと思っているという。そこで、Z世代の一人暮らしの特徴を見ていくことにしよう。

【今週の住活トピック】
「Z総研トレンド通信Vol.18『一人暮らし編』」を発表/N.D.Promotion

Z世代の多くが「一人暮らしをしてみたい」、重視するのは「家賃」と回答

Z世代が研究の対象となるのは、彼らが生まれた時からデジタルデバイスやインターネット、SNSといった環境が身近にあった「デジタル・ネイティブ世代」で、これまでの世代とはその特徴が異なるからだ。

さて、Z総研が全国のZ世代の女性301人に「一人暮らしをしてみたいと思うか」と聞いたところ、「現在している」が6.6%、「してみたい」が80.4%で、「してみたくない」の13.0%を大きく上回った。

物件を探す際に重視したい条件としては、「家賃」がダントツの82.4%で、次いで、「最寄り駅からの距離」(32.6%)、「間取り」(28.6%)となった。以前に別の調査で、一人暮らしのZ世代に同様の質問をした結果でも、家賃がダントツで、交通アクセスと間取りが並んだので、やはりなによりも「家賃重視」なのだ。

“映え”を気にするZ世代ならでは!賃貸アプリに内装の写真の多さを求める

一人暮らしの物件を探す際には、賃貸アプリを使うのだろうが、「何を求めるか」にZ世代女子の特徴が表れた。回答結果は次のようなものだ。

賃貸アプリ(サイト)に求めることはなんですか?

(出典/N.D.Promotion「Z総研トレンド通信Vol.18『一人暮らし編』」より転載)

通常は不動産のポータルサイトに、「掲載物件が多い」(62.1%)ことを求める。テレビCMでも掲載数ナンバーワンなどとアナウンスしているのは、そのためだろう。検索サイトなので、もちろん検索のしやすさ、例えば「細かく条件設定できる」(51.5%)ことなども重視される。ところが、それらを上回って最多だったのが「内装の写真の豊富さ」(75.4%)だ。やはり“映え”を気にする世代ならではのことだ。

当サイトで、「コロナ禍でインテリアへの関心が高まる!20代から50代まで幅広い層がインスタを参考に」 という記事を書いたが、20代以下はインテリアへのこだわりが強く、インテリアの参考にするのは圧倒的に「Instagram」で、次いで「YouTube」だった。インテリアのこだわりが、室内の画像情報を重視することにつながっているのだろう。

インテリアにこだわるけど、落ち着いた色合いを好む

さて、この調査で筆者が最も印象に残ったのが、「一人暮らしの理想のインテリアテイスト」を質問した結果だ。筆者の記憶をたどると、インテリアで根強い人気のテイストは、「北欧風」だ。北欧のスウェーデン発祥の家具メーカー「IKEA」の人気が高いのはそのためだ!と思っていた。

ところが、Z世代の回答を見て驚いた。「北欧」はわずか2.0%。「シンプル」(36.5%)と「韓国風」(26.9%)の人気が極めて高いのだ。

一人暮らしの理想のインテリアテイストを教えてください

(出典/N.D.Promotion「Z総研トレンド通信Vol.18『一人暮らし編』」より転載)

Z総研によると、「ホワイト基調のふわふわした女の子みたいな部屋が理想。YouTubeでインフルエンサーのお部屋紹介動画を見るのも好きで、実際に同じインテリアを購入した」(18歳/高校3年生)、「木の素材が好きでウッド調でシンプルなお洒落カフェのようなお部屋にしたい。自分好みにDIYするのも興味がある」(16歳/高校1年生)といったコメントがあったという。

「韓国風」ってどんなテイストなのだ?

ところで、「韓国風」とはどんなテイストなのだろうか? 「中国風」や「アジアンテイスト」などはわかる。が、「韓国風」とはどんなものかよくわからなかったので、SUUMO編集部のZ世代の編集者に聞いてみた。

彼女によると、「韓国風インテリアは、主に白やアイボリー、素材はウッドなどを基調としているため、あまり派手さはないものの、形状などが個性的で女性が好むアイテムが多い印象」だという。

それを聞いて自宅を見回すと、ダークブラウンの家具が多い。仕事用に最近購入した、無印良品の引き出しボックスだけがアイボリーだ。時代に遅れないように、韓国風をもっと意識しようと思う筆者だった。

ちなみに、「一人暮らしする際に買いたい憧れのインテリアブランド」については、「Francfranc」(38.5%)と「IKEA」(34.9%)の人気が高く、次いで「無印良品」(12.0%)や「ニトリ」(7.6%)となった。いずれも、豪華なインテリアではなくナチュラルなインテリアで、リーズナブルなブランドが多く挙がったのが特徴だ。

一人暮らしする際に買いたい憧れのインテリアブランドはありますか?

(出典/N.D.Promotion「Z総研トレンド通信Vol.18『一人暮らし編』」より転載)

IKEAといえば、北欧テイストではないのか?と思い、インターネットで「IKEA」×「韓国風」で検索してみると、IKEAの韓国風インテリア事例が出るわ出るわ。ほかの組み合わせでも同様で、どのブランドも韓国風を意識してインテリアの商品開発を行っているようだ。

さて、Z世代はデジタルネイティブで、SNS映えを気にする世代である一方、日本の好景気を知らない堅実な世代でもある。一人暮らしをするにしても、無理のない家賃を意識し、シンプルでリーズナブルなインテリアではありながら、自分の個性が表現できるものを選んで購入するといった像が浮かび上がる。

近年は、コロナ禍の影響で自宅にいる時間も長くなっている。Z世代それぞれにとって居心地の良い住まいを選んで、快適な一人暮らしをしてほしいものだ。

●関連サイト
N.D.Promotion「Z総研トレンド通信Vol.18『一人暮らし編』」

台湾女子の一人暮らしin西荻窪。インテリアやライフスタイルにも個性あり!

エッセイスト柳沢小実が、気になる人のお部屋と暮らしをのぞきにいくシリーズ。第2回目は、台湾・高雄出身で東京在住の郭晴芳(ハル)さんのご自宅へお邪魔しました。

ハルさんは台湾の大学を卒業した後、約15年前に日本の大学院に留学してそのまま就職。現在は、カルチャー系ウェブメディアを運営する会社でプロデューサーをしています。コロナ禍前は日本国内や台湾中を飛び回る日々を送っていました。この数年でどのような変化があったのでしょうか。

Instagramで知り合ってはや数年。最もアクティブな友人

母国語である中国語に加えて日本語も堪能なハルさんは、アジアのクリエイティブシティガイドのディレクターをはじめ、コンテンツ制作やイベントの企画、プロモーション全般も担う、“ひとり広告代理店”のような人。

会社経由のみならず個人でも仕事を受けていて、2021年に高円寺の銭湯「小杉湯」で行われた台北の温泉博物館「北投温泉博物館」のプロモーションイベント、「歡迎光臨 小杉湯的台湾北投」も話題になりました。このイベントでは、台湾のアイテムが購入できるマーケットやトークイベント、ライブ、台湾映画の上映などが行われて大好評。こんこんと湧き出る好奇心と柔軟な発想力、センスの良さで、ますます仕事の幅を広げています。
私とハルさんの出会いは、6年以上前にInstagram経由で私が声をかけたこと。そこから仲良くなり、日本や台湾で頻繁に会うようになりました。もしかすると、家にこもりがちな私といちばん遊んでくれている人かも。遊ぶとはいっても、たいてい散歩して古道具屋や喫茶店に一緒に入るくらいで、あとはイベントに行ったり、ごはんを食べたり。そしてたまに、お互いの家でご飯や梅酒をつくったりしています。

台湾に住むハルさんの友人が二人宛の荷物を私のところに一緒に送ってくれたので、取材で会うついでにハルさん宅にお届け(写真撮影/相馬ミナ)

台湾に住むハルさんの友人が二人宛の荷物を私のところに一緒に送ってくれたので、取材で会うついでにハルさん宅にお届け(写真撮影/相馬ミナ)

形にとらわれない身軽な暮らしぶりは学ぶところが多く、いつか彼女の暮らしや考え方を紹介したいとずっと思っていました。

西荻窪の、繁華街と住宅地の間にある古いマンションに住む

ハルさんの自宅は、西荻窪駅(東京都杉並区)からほど近いところにある築50年ほどのマンション。商店街と住宅地の境目に立つ、愛らしい建物です。部屋の間取りは1Kで、広さはゆったりとした一人暮らしサイズの約39平米。もともとは3部屋が縦に連なるつくりでしたが、リフォームによって2部屋に変えられていて、DKと寝室+リビングとしてゆるやかにゾーン分けできる、住みやすそうな、いい間取りです。

縦に連なる二部屋は、もともとはめてあった間のドアを外して広々と(写真撮影/相馬ミナ)

縦に連なる二部屋は、もともとはめてあった間のドアを外して広々と(写真撮影/相馬ミナ)

ベッドははじめ窓辺に置いていたけれど、朝明るすぎたためにソファと置き替え(写真撮影/相馬ミナ)

ベッドははじめ窓辺に置いていたけれど、朝明るすぎたためにソファと置き替え(写真撮影/相馬ミナ)

ここは日本に来てから5軒目の部屋。最初は日本語学校の寮、その後は荻窪、阿佐ヶ谷、西荻窪、そしてまた今回の西荻窪。ずっと中央線沿線に住んでいます。

「古いものや、古いマンションが好き。新しい物件は間取りが似たり寄ったりだけど、この部屋は間取りがオープンで、フレキシブルに使えるのがいい。それが古い物件が好きな理由です。当初は角部屋を探していましたが、そうでなくても二面に窓があって明るいです。
押し入れはクローゼットにリフォームされていて使いやすいですし、キッチンとトイレのタイルや壁の色も、入居時に自分で好きなものを選ぶことができました。

駅から近いと周辺がにぎやかだけど、ここは商店街の端の住宅地に入るところだから静か。窓を開けても外から見えないので、ベランダを縁側のように使っています」

築年数が経っている物件は、建物はレトロで愛らしい一方で、室内は水まわりを中心にこざっぱりとリフォームされていることも。管理状態が良い物件を選べば、同じ予算で築浅物件より駅近や広い部屋に住めたりするケースもあり、メリットも大いにあります。

カメラマンの友人とDIYでつくったキッチンカウンター(写真撮影/相馬ミナ)

カメラマンの友人とDIYでつくったキッチンカウンター(写真撮影/相馬ミナ)

岡山出身の陶芸家・加藤直樹さんの急須(写真撮影/相馬ミナ)

岡山出身の陶芸家・加藤直樹さんの急須(写真撮影/相馬ミナ)

好きで選んだものを使うのが、とびきり嬉しい(写真撮影/相馬ミナ)

好きで選んだものを使うのが、とびきり嬉しい(写真撮影/相馬ミナ)

ハルさんは、コロナ禍のかなり早い時期に完全テレワークになりました。本社オフィスも早々になくなったため、全く出社せず自宅で働く形態に。生活環境の向上のために、広い部屋に引越したり、東京を離れた同僚もいて、自身も同じ西荻窪内で引越しをしました。

新しい部屋を一からつくるのはやはり心躍るもので、友人に手伝ってもらってキッチンのカウンターを製作したり、古い家具を探してインテリアの配置を考えたり、これまでは苦手でほとんどしていなかった料理に挑戦したり(台湾では外食文化が発達していて、特に都市部に暮らす若い世代は自宅で料理をつくる習慣がほとんどないのです)。ずっと外での楽しみがあったのが180度転換して、家で過ごすことが楽しく思えてきたそうです。

家にいるときはソファで仕事をしたりすることも。お気に入りの場所(写真撮影/相馬ミナ)

家にいるときはソファで仕事をしたりすることも。お気に入りの場所(写真撮影/相馬ミナ)

外食メインだったのが、毎日一食は自炊するように

ハルさんの本棚は、同年代のカルチャー好きな日本人とほぼ一緒。また、作家ものの雑貨やうつわ、洋服などが好きで、インテリアにエスニックなテイストを取り入れるのも上手。〇〇系とくくれないところに、個性が出ています。

「考えずに置いているだけ」が、いい塩梅に(写真撮影/相馬ミナ)

「考えずに置いているだけ」が、いい塩梅に(写真撮影/相馬ミナ)

絵本作家の友人渡邊知樹さんの絵が描かれた紙袋などが無造作に掛けられている(写真撮影/相馬ミナ)

絵本作家の友人渡邊知樹さんの絵が描かれた紙袋などが無造作に掛けられている(写真撮影/相馬ミナ)

「ものを直感で選ぶから、どんどん増えています。買うときに、家に合うかは考えない。無機質な質感のものが苦手で、基本的に古いものが好き。クリエーターの友達の作品や、海外のものに惹かれます」

ハルさんのものの選び方は、ミニマリスト寄りで引き算系、使い道や収納まであらかじめ熟考しないと手に取れない私にとっては、ただただ羨ましい。頭で考えすぎずに、偶然性を楽しんでいてとても素敵です。

(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

そんなハルさん、コロナ前は台湾の同年代の友人たちと同様に、家で料理をほとんどしていませんでした。それが、コロナ禍で数年間台湾に帰れなくなったために、恋しい台湾料理を自分でつくるようになり、おうち時間も楽しむ人に大変身。好きなうつわを使いたくて、毎日昼か夜のどちらかは家でつくって食べる生活になったそうです。台湾の屋台料理の鹽酥鶏(鶏のから揚げと素揚げした野菜にスパイスをかけた料理)をつくってもてなしてくれたこともありました。

「二食も外食するとお金がかかるので、一食は自炊してもう一食は外というサイクルになりました。夜は家で食べることが多くなったかな。放っておいても料理がつくれる台湾の電気調理器、“電鍋”を買おうかと思っています」

ほとんど出しっぱなし、そこがいい(写真撮影/相馬ミナ)

ほとんど出しっぱなし、そこがいい(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

入居時に選んだスモーキーなブルーのタイルが効いている(写真撮影/相馬ミナ)

入居時に選んだスモーキーなブルーのタイルが効いている(写真撮影/相馬ミナ)

とにかく西荻窪の街が好き。お店を家のように使っています

「引越してから自宅に置くワークデスクを探していた時に、家の目の前のカフェで仕事ができると知りました。お茶代だけでコワーキングスペースを利用できて、オンライン用の打ち合わせ空間も用意されているので、今は週3日くらいそこで仕事をしています。
リモート生活になってから、これまで以上にオンとオフの切り替えをしなくなりました。仕事と仕事の合間に好きなことをしていて、もちろんその逆もあります。西荻窪はお店が多いから、お昼時になったら外に出て、お店でごはんを食べてそのまま外で仕事をしたり、おにぎりを買ってきたり。フレキシブルに暮らせる街です」

台湾のデザート“愛玉子(オーギョーチ)”をその場でつくってふるまってくださいました(写真撮影/相馬ミナ)

台湾のデザート“愛玉子(オーギョーチ)”をその場でつくってふるまってくださいました(写真撮影/相馬ミナ)

種子を水の中で揉むとゼリー状に。甘酸っぱいシロップをかけていただきます(写真撮影/相馬ミナ)

種子を水の中で揉むとゼリー状に。甘酸っぱいシロップをかけていただきます(写真撮影/相馬ミナ)

西荻窪は、喫茶店や小さな飲食店がひしめく街。自然と繰り返し通う店ができて、お店の人とのコミュニケーションも楽しい。人のあたたかみと優しさを感じます。

台湾の人は、職場の近くや都会に住むことを好み、外に開いているイメージです。喫茶店で息抜きしたり、近くの店をオフィスのように利用したり、内と外の使い分けがとても上手。家の延長に街があって、街の中に家がある。だから、住宅地にばかり住んできて、内と外を明確に線引きして考えがちな私にとって、彼女の視点はとても新鮮でした。

●西荻窪のお気に入りのお店
・オーケストラ(カレー)
・どんぐり舎(喫茶)
・FALL(雑貨) 毎週展示が変わります

一人掛けのソファが特等席(写真撮影/相馬ミナ)

一人掛けのソファが特等席(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

ハルさんはコロナ禍を経て、住まいの基準や条件が大きく変わったといいます。出勤がなくなったこともあり、利便性以上に広さや環境を重視するように。家賃も高いので、将来的には都心から1~1.5時間くらいのエリアで二拠点生活をすることも考えているそうです。

私のまわりでも、都市部から離れる人や二拠点生活をする人が年々増えています。暮らしや働き方、住まいに対する価値観の変化は、この先新しいかたちになることはあれ、元には戻らないのではないでしょうか。私自身は持ち家なので簡単に居住地を変えることはできませんが、それでも暮らし方をアップデートし続けたいという気持ちは持ち続けていて。まずは、ハルさんのように直感を大切にして、心の声に素直になってみます。

(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

●取材協力
ハルさん
Instagram @patsykuo
『日青糸且HARU GUMI』@haru__gumi

知的障がい者の一人暮らしをサポート。24時間体制の介助「パーソナルアシスタンス」とは?

重度の知的障がいと自閉症をもちながらも、都内でアパートを借り、1人暮らしをする岡部亮佑さん。自分らしい生活ができる理由は、公的な制度の利用に加え、本人の自己選択に基づき、24時間体制でサポートするパーソナルアシスタントの存在。とある平日に同行し、アシスタントチームのマネージャーである中田了介さんと、亮佑さんの父親で社会福祉学者の岡部耕典さんにお話を聞きました。

将来の自立を考え、11歳から介助者のいる暮らしをスタート

日本の人口の7.4%(936.6万人)に当たる障がいがあるとされる人のなかで、知的にハンディを負う人は108.2万人。障害者手帳を有する65歳未満の知的障がい者は96.2万人ですが、そのうち81%が親や兄弟・姉妹をはじめとした同居者、また14.9%がグループホームといった施設に住んでおり、1人暮らしをする人は、わずか3%にとどまっています(2016年 厚生労働省 生活のしづらさなどに関する調査)。
そんななか、岡部亮佑さん(以下、亮佑さん)は重度の知的障がいと自閉症をもちながら24時間体制で介助者の力を借り、自立した生活をしています。

通所施設から帰宅中の岡部亮佑さん(右)とパーソナルアシスタントの中田了介さん(左)(写真撮影/田村写真店)

通所施設から帰宅中の岡部亮佑さん(右)とパーソナルアシスタントの中田了介さん(左)(写真撮影/田村写真店)

亮佑さんは赤い洋服が好きで、自分で選ぶことも。休日は自立生活センターの仲間とプールや川で遊んだり、パーソナルアシスタントと公園や銭湯に行ったりして過ごします(写真撮影/田村写真店)

亮佑さんは赤い洋服が好きで、自分で選ぶことも。休日は自立生活センターの仲間とプールや川で遊んだり、パーソナルアシスタントと公園や銭湯に行ったりして過ごします(写真撮影/田村写真店)

今年28歳になる亮佑さんが、実家を離れて1人暮らしを始めたのは、学校生活を終える18歳のときのこと。しかし、それ以前から介助者が身近にいる日々を送っていました。背景には、ご両親の考えがあります。
「常に見守りが必要で、集団生活でストレスを抱えがちな息子の将来を思えば、早い段階で自立を支えてくれる人を見つけ、環境を整えたほうがいい」と、小学校5年生のときから平日は放課後から夕食までの約4時間、休日は丸1日を介助者と過ごしてきたのです。
常時8人ほどが交代で訪れていたため、大人に差しかかるころには、本人の意思をくんだ上で適切に対応できるチームがつくられていました。
ハンディを負う当事者が、主体性をもって生活するべくアシスタントを育て、サービスを利用していくことを“パーソナルアシスタンス”といい、北欧やイギリス・カナダなどでは一般的です。亮佑さんは、まさにその概念を日本で体現しているといえます。

本人の意思を尊重しつつ、リスクを回避するのもアシスタントの役割

平日は通所施設、土日はプライベートの時間を過ごす亮佑さん。現在、かかわっているパーソナルアシスタント(以下、アシスタント)は、全て当初から契約している自立生活センター「特定非営利活動法人 グッドライフ」のスタッフです。
「自立生活センター」とは、障がいのある当事者が中心になり、地域生活をかなえるための各種サービスや情報提供などを行う民間機関のこと。中田了介さんが亮佑さんのアシスタントチームのマネージャーとなり、自身もアシスタント業務に入りながら、全体のスケジュール調整や課題解決を図っています。
中田さんは、亮佑さんが介助者利用を開始したころからのメンバー。付き合いは17年にもなると言います。
ある平日の2人に同行させてもらいながら、お話を伺いました。

高校時代の同級生が介護の専門学校に通っていたことから関心をもち、介護福祉士になった中田さん。最初は老人ホームでキャリアを積んでいましたが、先輩に誘われ自立生活センターで仕事をするように(写真撮影/田村写真店)

高校時代の同級生が介護の専門学校に通っていたことから関心をもち、介護福祉士になった中田さん。最初は老人ホームでキャリアを積んでいましたが、先輩に誘われ自立生活センターで仕事をするように(写真撮影/田村写真店)

亮佑さんの日常でアシスタントがつかないのは、通所施設の間だけ。この日は施設終了時間の16時に中田さんが訪れ、ともに自宅に向かいました(写真撮影/田村写真店)

亮佑さんの日常でアシスタントがつかないのは、通所施設の間だけ。この日は施設終了時間の16時に中田さんが訪れ、ともに自宅に向かいました(写真撮影/田村写真店)

自閉症には「言葉のやりとりの難しさ」「特定のものごとへの強いこだわり」といった、共通して見られがちな傾向があるものの、一人ひとりで個性や人となりはさまざまです。亮佑さんの場合は好きなことが明確で、常にやりたいことがいっぱい。中田さんはパーソナルアシスタントとして、本人の自己決定に基づいてサポートしていきますが、ただ、時としてそうでない場面が出てくると言います。

「例えば本人の嗜好のまま食事をすると、ソースを大量にかけたり、甘いジュースをとことん飲んだりしてしまうことが。『健康を害しても好物だから構わない』と納得しているならよいですが、そうではありません。ぎりぎりまで尊重しますが、『これは止めておこう』と促すこともあります」(中田さん)

帰り道が、毎回同じだと執着が生まれてしまうことや、その時々で調子に違いがあるため、アシスタントが臨機応変に変えます。亮佑さんが中田さんに腕を添えるのは比較的、状態が優れないときですが「この人は大丈夫」と感じている証しでもあります(写真撮影/田村写真店)

帰り道が、毎回同じだと執着が生まれてしまうことや、その時々で調子に違いがあるため、アシスタントが臨機応変に変えます。亮佑さんが中田さんに腕を添えるのは比較的、状態が優れないときですが「この人は大丈夫」と感じている証しでもあります(写真撮影/田村写真店)

自動販売機の前で清涼飲料水の見本を指さし、飲みたいことを示す亮佑さん。何本も欲しいと伝えますが、促されて1本に。リュックから財布を取り出し、中田さんがお金を払います(写真撮影/田村写真店)

自動販売機の前で清涼飲料水の見本を指さし、飲みたいことを示す亮佑さん。何本も欲しいと伝えますが、促されて1本に。リュックから財布を取り出し、中田さんがお金を払います(写真撮影/田村写真店)

亮佑さんには感覚が繊細なところがあり、人の騒がしい声などを聞くと、調子が傾いて行動が落ち着かなくなることが。また、マンホールを踏んだり、水に触れたりするのを好むため、道端で見掛けると突進しそうになることもあります。放っておくと社会生活の輪から外れてしまうため、これを制して周囲の人と調和できるようにすることもアシスタントの役割です。

公園は、帰りによく立ち寄る場所。この日はたまたま居合わせたお子さんとともにブランコをこぎました(写真撮影/田村写真店)

公園は、帰りによく立ち寄る場所。この日はたまたま居合わせたお子さんとともにブランコをこぎました(写真撮影/田村写真店)

「行動の傾向が目立ちやすく、変わった人に映るかもしれませんが、『やりたいな』と思うことをしているのはみんなと同じ。亮佑さんの場合は『赤信号で渡らない』など、基本的なルールをわかっていますが、障がいの内容は本当に人それぞれです」(中田さん)(写真撮影/田村写真店)

「行動の傾向が目立ちやすく、変わった人に映るかもしれませんが、『やりたいな』と思うことをしているのはみんなと同じ。亮佑さんの場合は『赤信号で渡らない』など、基本的なルールを分かっていますが、障がいの内容は本当に人それぞれです」(中田さん)(写真撮影/田村写真店)

今日は公園に約40分滞在。最後は中田さんもブランコに参加。自閉症の人は「同調」を好むところがありますが、「合わせなくては」と苛立ちになり得るため、偏り過ぎないことが大切と言います(写真撮影/田村写真店)

今日は公園に約40分滞在。最後は中田さんもブランコに参加。自閉症の人は「同調」を好むところがありますが、「合わせなくては」と苛立ちになり得るため、偏り過ぎないことが大切と言います(写真撮影/田村写真店)

公園を出たら、手袋とゴミ袋を買いにホームセンターへ。亮佑さんが要求しなくても生活のなかで必要になる日用品は、前日のアシスタントがノートに書き込み、翌日の担当者が買うようにしています(写真撮影/田村写真店)

公園を出たら、手袋とゴミ袋を買いにホームセンターへ。亮佑さんが要求しなくても生活のなかで必要になる日用品は、前日のアシスタントがノートに書き込み、翌日の担当者が買うようにしています(写真撮影/田村写真店)

時間をかけてきたからこその、当事者とアシスタントの心地いい関係

当事者の身の回りでできないことに対し、介助者がどうかかわっていくかは、事業所によって考えが異なります。自立の一環として一緒に取り組む人もいますが、亮佑さんのアシスタントチームでは、本人が関心の無いことは無理強いしない方針。例えば食事は基本的に食べたいものがあるのでそれに沿いますが、掃除や洗濯・日用品の買い足しは、完全にアシスタントが行います。

「ただ、はっきり『する・しない』の線引きをしているわけではなく、そのときの状況を見た上で長年の感覚に頼ることが多いです。毎日の洋服選びや休日に出掛けるスポットなどは、日ごろから本人の親しんでいるものがわかるので、自然と答えが落ち着きます」(中田さん)

これは亮佑さんとアシスタントチームが17年の月日のなかで、心地よいあり方を育んできたからこそ。
一方で、入所施設やグループホームだと、こうはいかないと話します。

本人の好みで自炊をすると味つけが偏りがちなため、最近は外食が中心。「食事、何にしようか」と中田さんが聞くと「うどん、ポテト」と亮佑さんが言い、これらがそろう回転寿司店へ(写真撮影/田村写真店)

本人の好みで自炊をすると味つけが偏りがちなため、最近は外食が中心。「食事、何にしようか」と中田さんが聞くと「うどん、ポテト」と亮佑さんが言い、これらがそろう回転寿司店へ(写真撮影/田村写真店)

「施設ではどうしても複数の入居者を1人のスタッフで見るため、後回しになることが出てきます。以前いたグループホームで、たまたま1対1で入居者を見るようになった時期があるのですが、自由に過ごせることで穏やかになり、知らなかった一面が見えてきた方がいました。異動の多い施設だとなおさら、一人ひとりとじっくり向き合い、理解していくのは難しいでしょう。一概に1人暮らしがよいとは言いませんが、違いはあると思います」(中田さん)

築約30年・2DKのアパートは自分名義で借りたもの。お茶を入れ、絵を描き、音楽を聴き、ゲームをしてと、帰宅後もやりたいことがたくさん。ただ本人ができることが必ずしも安全とは限らないため、中田さんは常に注意をめぐらせています(写真撮影/田村写真店)

築約30年・2DKのアパートは自分名義で借りたもの。お茶を入れ、絵を描き、音楽を聴き、ゲームをしてと、帰宅後もやりたいことがたくさん。ただ本人ができることが必ずしも安全とは限らないため、中田さんは常に注意をめぐらせています(写真撮影/田村写真店)

頸椎損傷やALSの人の在宅介護をしたこともある中田さん。亮佑さんが就寝中、隣で横になりますが、少しの気配で起きることができると言います(写真撮影/田村写真店)

頸椎損傷やALSの人の在宅介護をしたこともある中田さん。亮佑さんが就寝中、隣で横になりますが、少しの気配で起きることができると言います(写真撮影/田村写真店)

各種制度の利用に加え、息子のよき支援者をつくることに尽力

1人暮らしがすっかり板についている亮佑さんですが、どうやってここまでの土台を築いてきたのでしょう。
父親であり、社会福祉学者でもある岡部耕典さんにお話を聞きました。

早稲田大学教授で福祉社会学・障害学を専門とする岡部耕典さん。これまで障がい者政策・制度改革にも携わっていました(写真提供/岡部さん)

早稲田大学教授で福祉社会学・障害学を専門とする岡部耕典さん。これまで障がい者政策・制度改革にも携わっていました(写真提供/岡部さん)

現在、亮佑さんの生活支援は夜間を含む介護(重度訪問介護)と施設への通所(生活介護)、生計は「障害年金」「特別障害者手当」「東京都重度心身障害者手当」で成り立っています。岡部さんご夫妻は、自分では環境を整えられない息子の親として、資金面の基盤を用意するだけでなく、自立を支えてくれる支援者をつくることに力を入れてきました。
重度訪問介護とは、重度の肢体不自由者もしくは行動上著しい困難がある知的障がい者および精神障がい者が、生活全般にわたる介護を受けられる制度のこと。認定された事業所であればどこでも利用できますが「パーソナルアシスタンスの考えに理解があること」「丸1日のサポートに対応できること」を重視すると、おのずと見えてきたのは自立生活センターだったと言います。
ただ、長時間の重度訪問介護制度を使うのは、地域によっては壁が高いのだとか。

「自治体によって姿勢が異なるため、きちんとコミュニケーションを取り、利用する側の意志を伝えていくことが必要です。例えば依頼する予定の事業所と、一緒に相談や申請に行くのもよいでしょう。自立生活センターなど、重度訪問介護の制度を熟知し、手続きに慣れている事業所もあります」(岡部さん)

いずれにしても地域で暮らすようにしたいとなったら「うちの子どもにできるはずがない」と思い込まず、重度訪問介護を利用した自立生活を選択肢に入れてみたらよいのでは、と話します。

「まずは、できるだけ早い段階から短時間でも介助者を利用してみて、本人が慣れていくこと。当事者を理解し、相談に乗り、ともに励んでくれるアシスタントを事業所と一緒につくり上げていくことが大事ではないでしょうか」(岡部さん)

思いがけないことを経験しながらも、自分らしい生活を営んでいく

今、亮佑さんが住むのは1人暮らしを始めて2軒目の物件。通所施設に近く、より静かな環境を求めて住み替えを決めたものの、希望するエリアで不動産会社から紹介してもらえたのは2軒だけ。部屋探しには、ままならない現実があると言います。また、道端などで人と接触したとき、一方的に非があるとされるケースも少なくないそうです。

「だからといって特別扱いされるのも違っていて、仮に迷惑をかけたならほかの人たちと変わらない対応をしてほしいと思うんです。そうすることで当たり前のように社会になじんでいけるのではないでしょうか」(中田さん)

中田さん自身、自閉症の人と接したのは亮佑さんが初めてで、言葉の少ないところに最初は躊躇したとか。しかし、今では意思疎通が図れないとは、まったく思わないと言います。

「たまに『何でこんなことにこだわるの?』と思って『あっ、そうか』と気付くんです。そのくらい自閉症であることを忘れています(笑)。
当事者と介助者は相性がありますし、もちろん役割を担っているので大変な場面もあります。でも1人と長く付き合うと、よく知った仲になるだけにラクでいられるんです。いろいろなところに出掛けると楽しいですし、『気持ちが通じ合った』『うれしいことが伝わった』と思える瞬間があるのが、この仕事のよさ。亮佑さんからたまに新しい言葉を聞けることがあり、日々の発見も面白いです」(中田さん)

亮佑さんは絵が得意で、国立新美術館で作品を展示するほか、都内のアート展で佳作を取ったことも。「フリーハンドで正確な直線や真円を描けるのですが、直に目にすると本当にすごいと感じます」(中田さん)(写真撮影/田村写真店)

亮佑さんは絵が得意で、国立新美術館で作品を展示するほか、都内のアート展で佳作を取ったことも。「フリーハンドで正確な直線や真円を描けるのですが、直に目にすると本当にすごいと感じます」(中田さん)(写真撮影/田村写真店)

「自閉症や知的障がいとされる人は、街のあちこちにいます。確かに触れたことのない言動を目の当たりにすると、驚いて『何かされるのでは』と感じるかもしれませんが、アシスタントが一緒であればまず大丈夫でしょう。どうあるべきかの答えはないかもしれません。でも、まずは知ってほしいと思います」(岡部さん)

最後に、これからの亮佑さんの暮らしの課題を問うと、中田さんは「今は十分な生活ができていて、これ以上はないほどだと思うので、現状維持かなと。この状態を長く続けられたらと、切に願います」と話しました。

ただただ自分らしく暮らしを営む。そうであることの意味がここにあるのかもしれません。

eryの部屋探し~理想の部屋に出会うまで~

新生活がスタートするこの季節。進学や就職で一人暮らしを始める人も多いのでは?でも、初めての一人暮らしは分からないことだらけ……。部屋探しって何から始めるの?どんなふうに進めればいいの?
そんなあなたもこの漫画を読めばなんとな~く部屋探しの流れがつかめる!(はず……!)
26年間の実家暮らしを経て、初めての一人暮らしをしようと考えているイラストレーターのeryさんが実際に部屋探しをした様子を漫画にしてくれました。eryの部屋探し1

eryの部屋探し2

eryの部屋探し3

eryの部屋探し4

eryの部屋探し5
※部屋の内見など実際の部屋探しは2020年2月上旬に行いました

eryery
1994年生まれ。東京在住。イラストレーター・アーティスト。
広告制作会社でグラフィックデザイナーとして3年間勤務の後、独立。
イラストやグラフィックデザインを中心に、トラックメーカーとしても活動中。

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孤独死の増加で「遺留品処分」問題への危機感高まる

賃貸に住む一人暮らしの人が亡くなった後の遺留品の処分について、親族と連絡が取れず、多額の費用や時間・手間がかかることや相続権によるトラブルなどで撤去が難しいことが問題になっています。実際にどのような問題が起こっているのか、また孤独死の現状や遺留品処分の最適な解決方法とは?

「この問題に対して非常に危機感をもっている」という、単身者の自立や生活支援のサポートなどを行うNPO法人、抱樸(ほうぼく)の奥田知志さんにお話を聞きました。

単身世帯の増加で「孤独死」が年々増えている!

長寿化や核家族化の影響で単身世帯が増え、それにともない孤独死の件数も年々増えています。また、一般的に「孤独死」という言葉を聞くと身寄りのない高齢者をイメージしますが、奥田さんによると60歳以下の孤独死も増えているそうです。

東京都福祉保健局東京都監察医務院「東京都23区内における一人暮らしの者の死亡者数の推移」(内閣府の資料より引用)

東京都福祉保健局東京都監察医務院「東京都23区内における一人暮らしの者の死亡者数の推移」(内閣府の資料より引用)

「東京都の監察医務院の調査では、東京23区で65歳以上の孤独死は2015(平成27)年時点で3127件にのぼります。調査が開始された2003(平成15)年時点で1451件ですから、12年の間で2倍以上になっているのです。

また、全年代の一人暮らしの死亡者数のうち60歳以上の高齢者の割合が6割以上になりますが、逆に言えば、4割に近い割合で60歳未満の人がいるということです」(奥田さん、以下同)

お話を聞かせていただいた抱樸の理事長、奥田知志さん(画像/抱樸)

お話を聞かせていただいた抱樸の理事長、奥田知志さん(画像/抱樸)

東京都23区内における一人暮らしの人の自宅での死亡者数と年代別割合(日本少額短期保険協会「第4回孤独死原状レポート」(2019年)より抜粋)

東京都23区内における一人暮らしの人の自宅での死亡者数と年代別割合(日本少額短期保険協会「第4回孤独死原状レポート」(2019年)より抜粋)

一人で亡くなった人のうち10%程度は40代、15%以上が50代と聞くと、40代の筆者はドキッとしてしまいます。万一、自分が単身になったとき、頼ることができる公的なサポートなどはあるのでしょうか。

「単身者、特に住宅の確保に支援が必要な人をサポートする機関としては居住支援法人があり、その主な仕事は次の3つです。1つ目は住宅と住宅を必要としている人とを”マッチング”すること、2つ目が家賃を滞りなく支払うための”債務保証”、3つ目が”生活支援”です。

マッチングや債務保証はすでに不動産業や賃貸保証会社など、ビジネスとしても社会的な体制が確立していますが、生活支援において、特に”死”にまつわる看取り・葬儀・死後事務などはこれまで“家族の仕事”とされてきました。そのため、身寄りのない人が死に直面したときに家族機能の代わりになるものが十分に整備されていない現状があります」

孤独死で困ることの1つが「遺留品処分」

たしかに、もし家族がいないと考えると、自分の看取りや葬儀、死後事務を一体誰に頼んでおけばいいのか、分かりませんね……。住まいについて言えば、大家さんに対応してもらうようなことも生じるのでしょうか。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

遺留品の処分が大きな問題に(写真提供/抱樸)

遺留品の処分が大きな問題に(写真提供/抱樸)

「大家さんにとってまず必要なこととして考えられるのが“家賃や共益費の滞納分を誰に払ってもらうのか”ということと“原状回復をどうするのか”の2つだと思います。ご存じの通り住居内で死亡された場合、その住居は”事故物件”として扱われ、しばらくの間、入居者の募集が厳しくなります。

よく孤独死の問題として取り上げられるのはその2つですが、見落とされがちなのが”残置物・遺留品の処分”です」

実際に私も家族のいない人が亡くなった場合、その人が残した物を誰がどのように処理していくのか想像がつきません……。

「日本少額短期保険協会が行った調査では、孤独死の際に大家さんに生じた損害額が明らかになっています。原状回復にかかった費用の平均が約36万円ですが、残置物処理にも平均で約21万円程度かかっているのです」

日本少額短期保険協会「第4回孤独死原状レポート」より抜粋

日本少額短期保険協会「第4回孤独死原状レポート」より抜粋

大家さんの管理次第で、遺族から訴えられることも

21万円! それは大家さんにとっても大きな負担です。さらに奥田さんは、残置物処理については費用の問題だけではなく、相続の権利が最もトラブルになる原因だといいます。

「相続人がはっきりしない場合でも、第三者である大家さんが亡くなった人の物を勝手に処分をすることはできません。それは使い古した家財道具など財産としての値打ちがほとんどないものでも同じです。そのため、相続人が見つからない場合、大家さんが家庭裁判所に申し立てをすることで相続財産管理人を選任する制度があります。ところが、この制度を利用するには、与納金として80万~100万円が必要です。また最終的に遺留品を国庫に引き継ぐまで平均で10カ月程度を要するため、その間の残置物の保管や管理・運搬費用も、大家さんにとっては大変な負担となります」

相続財産管理人選任のフロー。予納金が必要なうえ、国庫に引き継ぐまで10カ月程度かかるなど、大家さんの負担は重い(画像提供/三好不動産)

相続財産管理人選任のフロー。予納金が必要なうえ、国庫に引き継ぐまで10カ月程度かかるなど、大家さんの負担は重い(画像提供/三好不動産)

さらに奥田さんによると、実際に、ある不動産会社がオーナーの物件で、遺族に残された相続権がもとでトラブルになった事例などがあるといいます。

「一人暮らしの人が亡くなり、会社の倉庫で残置物を管理していたのですが、遺族が見つからず半年ほど経過したタイミングで処分をしたそうです。ところが、その後に現れた遺族が、財産を無断で遺棄したとして不動産会社に対して訴訟を起こしました。残置物の中には、思い出の品など値段を決めにくいものもあり、賠償金の請求は500万円近くにもなったそうです」

現在の法律では、本人が亡くなる前に死後の処分を承諾していただけでは財産の相続権はなくなりません。奥田さんは「一定の期間をもって公的な管理に移行することが法改正等によって認められない限り、残置物処理の問題は解決しないだろう」と言います。

法や政治が行き届かない部分を埋める、NPOの取り組み

このように現在、残置物処理の問題は本質的な解決が非常に難しい状況にあります。国会では既に遺留金について質疑がなされていたり、2017年1月には国土交通省が全国の都道府県に対して公営住宅で亡くなった単身者の残置物への対応方針を策定するよう通知したりしています。けれども、民間賃貸住宅について実行力のある法改正が行われるにはまだまだ時間がかかりそうです。

そうした国や自治体の法制度が行き届かない“穴”を埋めるべく、抱樸では独自で自立のサポートや互助の仕組みを設けています。

「抱樸の自立生活サポートセンターでは、ホームレスの方を中心に自立、介護、そして最後の看取りまでサポートしています。

抱樸では、自立支援住宅の提供などを通じて、「ハウス=経済的貧困」と「ホーム=社会的孤立」の両面から支援をしている。写真はお弁当配布時の様子(画像/抱樸)

抱樸では、自立支援住宅の提供などを通じて、「ハウス=経済的貧困」と「ホーム=社会的孤立」の両面から支援をしている。写真はお弁当配布時の様子(画像/抱樸)

また、亡くなった後にお葬式をやってくれる家族がいない人のために、月500円で入会することができる互助会も運営しています。万一のことがあったときには、互助会が家族の代わりにお葬式を執り行うのです。家の片付けや遺留品の処分は、ボランティアの人たちで行います。それでもやはり、処分後に遺族が現れて相続権を主張されるようなことがあれば、トラブルになりかねないでしょうね」

身寄りのない人を家族に代わって葬儀を行ったりする活動もしている(写真/抱樸)

身寄りのない人を家族に代わって葬儀を行ったりする活動もしている(写真/抱樸)

単身者でも安心して住み続けられる未来のために

これらの問題を解決して、単身者の人でも安心して住み続けるためにはどのようにすればいいのでしょうか。改めて奥田さんの考えを聞きました。

「現在、行政で行われている空き家の撤去や休眠預金の活用等は本来、個人の財産であるものを公共性の観点から行政が手を入れられるように法制度を改定したものです。同様に残置物についても同じような手続きが取れるようにしないと、関連するさまざまな問題が放置されたままの状態になります。

多くの人にとって他人事ではなく、この問題に関心をもってもらい、国や自治体の具体的な施策につながることを望みます」

たしかに奥田さんのいう通り、訴訟リスクや処理費用の負担を大家さんだけに委ねている現状では、単身者に家を貸したくないと考える大家さんは少なくないでしょう。この状態が続けば、現在でも住宅の確保が難しい身寄りのない人や高齢者、障がい者、外国人などの人たちが一層困窮する可能性があります。

特に家族のいない単身者であれば、住む場所を失ってさらに孤立を深めることになりかねません。残置物の問題は単体の問題だけではなく、住宅確保や生活保護の問題にも、影響していく可能性があるのですね。

単身者、つまり「ひとり暮らし」になる可能性は誰にとっても無縁ではないでしょう。実際に私も将来、親がどちらか亡くなってしまったら、兄弟や子どもと疎遠になってしまったら、と考えると自分や家族のことが不安になります。

将来の不安を払しょくするために私たちができることは、まずは現在起こっている問題に興味をもち、市民として有権者として積極的に声を上げることかもしれません。

●取材協力
・抱樸

狭くても快適テレワーク! 暮らし系YouTuberに学ぶ「集中できる部屋」のつくり方

望むと望まざるとに関わらず、突然始まったテレワーク。正直、自分の部屋ではなかなか集中できない。でも、部屋が狭いので工夫のしようがない……。そんな方のために今回お話を聞いたのは、チャンネル登録者数16万人超の人気YouTubeチャンネル『OKUDAIRA BASE』で、「暮らしの楽しさ」をテーマに発信している奥平眞司さん、26歳。1DKの部屋で暮らす奥平さんは、オン・オフを切り替えるためにどのような工夫をしているのでしょうか? 狭くても仕事に集中できる、自室にいるのが楽しくなる部屋づくりの考え方を伺いました。

「10分家事」で1日9時間の集中力をキープ

YouTuberの奥平さんは、毎朝5時に起き、1時間かけてつくった朝食を食べたあと、7時から動画の撮影・編集作業などの仕事を始めます。お昼休憩を挟んで17時に仕事を終えるため、1日9時間、この部屋でYouTube動画の撮影・編集業務を行っていることになります。動画の編集やデザイン画の作成などで、一日中デスク作業という日もあるそうです。

「自室では仕事に集中できない」という人も多いなか、奥平さんは生活のメリハリをつけるためにどんなことを心がけているのでしょうか?

「何時に何をするかはざっくりと決めています。朝は5時に起きて、朝食をつくり、お昼をちゃんと食べて、ランニングに行く、というようにある程度決めておくと、1日の中でオン・オフがはっきりします」

奥平さんの朝食の写真

毎朝の朝食づくりは欠かさない(写真提供/奥平眞司さん)

忙しいとつい食事をおろそかにしてしまったり、夜更かしをしてしまいがちなもの。仕事が長引いてオン・オフが曖昧になってしまう……奥平さんはそんなことはないのでしょうか?

「今ノってるから、このまま最後までやっちゃいたい!みたいなときはありますよ(笑)。でも、仕事は細切れにした方が全体の集中力は高まると思うんです。僕は休むときはパッと切り替えますね。長時間座ると体にもあまり良くないですし。30分に1回は立ち上がって、10分以内でできる家事をするようにしています」

10分以内でできる家事とは?

「棚の上のホコリを拭いたり、植物に水をやったり、フローリング用ワイパーで床掃除をしたり。コーヒーを一杯入れたりもしますね」

植物の手入れをする奥平さんの写真

仕事は細切れにして合間に10分でできる家事をすることで、こまめにオン・オフを切り替えて仕事への集中力を維持している(写真提供/奥平眞司さん)

確かに、一気に掃除をしようと思うとなかなか腰が上がりませんが、細切れの家事なら、それほど負担は大きくなさそうです。そもそも、奥平さんはなぜ家事に積極的なのですか?

「今は家事が好きですけど、もともとは嫌いでした。特に実家で暮らしていたときは、4人兄弟なので量が多いのもあって、洗濯もお皿洗いも大嫌いで。でも一人暮らしを始めてからは、どうしたら家事を好きになるかなって考えたんですよね。家事は絶対にやらないといけないことなので、それを少しでも楽しくできたらいいんじゃないかって。それで道具にこだわり始めたら、家事を好きになり始めました」

例えばどんな道具にこだわると良いでしょうか?

「お皿洗いが嫌いなら、スポンジにこだわってみるとか。『こんな風に落ちるんだ!』という発見があります。掃除も、掃除機をフローリング用ワイパーに変えたら、綺麗になるのが楽しくて床掃除が好きになりましたね。道具によって、僕は変わってきたと思います」

こだわりの掃除道具の写真

奥平さん愛用の掃除道具(写真提供/奥平眞司さん)

家事はできるだけやりたくないけど、絶対にやらないといけないこと。まずはそれを受け入れて、どうやったら楽しくなるかを考える。その過程で得られる発見や気づきが、テレワークの休憩でできる「10分家事」を楽しくするポイントのようです。

「モノがモノを呼ぶ」一人暮らしでもデスクはすぐ片付ける

テレワークに集中するために、部屋づくりではどんな工夫をしたら良いのでしょうか? 奥平さんの工夫について聞いてみました。

「僕は陽が当たった方が集中できるので、ワークスペースは窓側に設置しています。デスクの位置はいろいろ試したのですが、壁に机をつけた方がいいかなと。デスクの向こう側が見えるといろんな情報が入ってきて、気になっちゃうんですよね。それから、ディスプレイ以外にデスクに置くものはキーボードとトラックパッドだけ。終わったらちゃんと片付けてゼロの状態に戻すようにしています」

奥平さんのデスクの写真

試行錯誤した結果たどりついたベストポジション。仕事に集中できるように、デスクの上には必要なもの以外は置かない(写真提供/奥平眞司さん)

自宅で仕事をしていると「どうせ明日も使うし」と思ってデスクの上にはつい色々と出しっぱなしにしてしまいそうなものですが、なぜ毎回片付けるのですか?

「うーん……これは僕の考えなんですけど、モノがあると、そこにモノが溜まっていく傾向ってあると思うんですよ。『モノがモノを呼ぶ』じゃないですけど。例えば、テーブルの上にコップやリモコンを出しっ放しにしていると、その周りにチラシや新聞がどんどん溜まっていきませんか? 実家暮らしのときはそれが頻繁に起こっていて(笑)」

モノがモノを呼ばないように、デスクだけでなく、台所も含めて全ての場所で出したものは都度片付けるようにしている奥平さん。だからこんなに整理整頓がされているんだ……。

そういえば奥平さんの部屋には、「モノ自体」が少ないように思います。

「モノが多いと、考えることが増える気がするんです。何か目に入るだけでも、色々と気になってしまって。4年前にこの部屋に来たときはモノがたくさんあったんですけど、当時と比べると集中力が全く違います。環境は大事ですね」

部屋の動線が見える写真

(写真提供/奥平眞司さん)

奥平さんの部屋は動線もスッキリとしていて、移動にストレスがありません。

ところが気になったのは、ソファやハンガーラックなど、一部の家具を斜めに配置していること。本来、狭い部屋でできるだけ広々と過ごしたいと思ったら、家具は壁にぴったりとつけるものでは?

理由を聞くと、「背中が若干曲線になっているソファだったので、形に合わせて配置してみました」とのこと。部屋に合わせて家具を選ぶのではなく、気に入った家具を限られたスペースの中でどう活かすかを考えているようです。

「気に入ったものがある空間ってくつろげますよね」

そうほほ笑む奥平さん。気に入ったものを選び、自分の部屋に置く。当たり前のようですが、一番身近な家具でさえ、私たちは大量生産品の中から妥協して選んでしまいがちです。

「妥協した買い物って、良くないと思うんです。『100%気に入ってるわけじゃないけど、まぁいいか』と思って買うとか。昔は妥協して百円ショップでコップをたくさん買っていたりしたんですけど、結局使わなくなってしまって。ちゃんと使い続けるためにも、愛着があるものを選ぶのは大切だと思います。少し高くても、本当にほしいと思ったら少しずつお金を貯めて買います」

奥平さんが購入したものの写真

物を選ぶ過程も好きだと語る奥平さん。欲しいものがあったら、ネットやお店で徹底的にリサーチするという(写真提供/奥平眞司さん)

自分の部屋に「お気に入りモノ」はある?

奥平さんは、子どものころから居心地の良い空間を求め、試行錯誤を重ねてきたそう。

「弟と2人で一部屋だったので、狭い空間でどうしたら2人が心地よく暮らせるか、ずっと考えていました。2段ベッドの位置を変えたり、弟と自分の空間の間に布で仕切りをつけたりして、しょっちゅう模様替えしていましたね」

一人暮らしを始めたてのころは、勉強スペースをつくるためにDIYでカウンターテーブルを自作したこともあります。

「でも高さが合っていなくて、全然集中できませんでした(笑)。いろいろと試行錯誤してみないと、最適なレイアウトは見つからないと思います」

すでに部屋を「休むための空間」「寝るための空間」としてつくってしまった人は、どうすれば奥平さんのように集中できる部屋をつくれるのでしょうか?

「う~ん、もしかしたら、レイアウトどうこうと言うよりも、お部屋に対する愛着がないのかもしれないですね。部屋をちょっとでも好きになれたら、その場所にいたいじゃないですか。好きな空間で仕事をしたいと思うから、カフェに行く人もいますよね。それと同じで、自分の部屋を好きになれるように環境をつくってみたらいいんじゃないでしょうか。例えば、『ダイニングテーブルで仕事をしてるから集中できない』と思ってるかもしれないけど、集中できない原因はそのテーブル自体を気に入っていないことにあるのかも。僕は作業をするときに使っているこのデスクも、今座っているロッキングチェアも、心の底から気に入っています」
お気に入りのモノが、居心地の良い部屋をつくる。

自分の部屋に、果たしてお気に入りのモノはいくつあるでしょうか? もしかして、妥協して買ったものだらけ?「愛着の持てる部屋かどうか」という観点で部屋を眺めてみると、集中できない原因が見つかるかもしれません。

奥平さんお気に入りの道具の写真

お気に入りのモノをそろえることで自分の部屋が好きになり、居心地のいい空間になっていく(写真提供/奥平眞司さん)

でも、もっと広い部屋だったら、お気に入りのモノをいろいろ置ける気がするんです……。そんな本音を伝えると、奥平さんはこう答えてくれました。

「僕は今も広いとは言えない部屋なんですけど、狭い部屋って面白いなと思っていて。広かったら全てが解決するじゃないですか。家具だって置けちゃうし、スペースも自由に取れる。でも狭いということは、家具の配置を真剣に考えるので、その分、自分と向き合わないといけないですよね。狭いから楽しめないのではなく、狭いからこそ、いろんな楽しみ方ができるんじゃないかなと思います」

狭い部屋だからからこそ、自分と向き合える。
そしてお気に入りのモノを集めた愛着の持てる部屋ならば、そこでの仕事に集中できる。

自室で過ごす時間が多い昨今、逆転の発想ともいえる奥平さんのこの考え方を、実感を伴って理解できる人も多いのではないでしょうか。
集中するためのグッズやレイアウトをあれこれ試してみるよりも、まずは「愛着を持てる部屋づくり」から始めてみるのもいいかもしれません。

奥平 眞司
YouTubeチャンネル「OKUDAIRA BASE」主宰。愛知県出身。福祉系大学卒業後、桑沢デザイン研究所夜間部にて空間デザインを学ぶ。料理やDIY、物選び、整理整頓、家族や友人を招いてのもてなし、一人キャンプや旅行など、自分の時間をとことん楽しむ方法をYouTubeにて配信。動画制作、キッチンツールのデザインなども行っている。次世代YouTuberの育成プログラム「YouTube NextUp2019」に選出。チャンネル登録者数約12万人、総視聴回数約1,200万回。
OKUDAIRA BASE

奥平さんの著書の表紙の画像『OKUDAIRA BASE 自分を楽しむ衣食住 25歳、東京、一人暮らし。月15万円で快適に暮らすアイデアとコツ』(誠文堂新光社)
奥平さんが運営する、YouTubeチャンネル「OKUDAIRA BASE」による初の著作。奥平さんの暮らし方や時間の使い方、それらの背後にある考え方を中心に、これまで動画では紹介してこなかった、YouTuberとしての仕事、家族のこと、お金のこと、将来のことも紹介。お金をかけず、自分らしく暮らすためのヒントがつまった一冊。

首都圏の単身生活者、「持ち家」志向は約7割

(株)FJネクストは、首都圏の単身生活者を対象に「ひとり暮らしの“モノ持ちと節約”意識」アンケートを行った。調査は2019年2月22日~24日、インターネットで実施。首都圏在住で、ワンルームに住む独身・ひとり暮らしの20代・30代男女計400人に行った。モノを持つ生活、持たない生活のどちらを志向していますか?では、“モノを持つ”派(「持つ生活」19.8%+「どちらかといえば持つ生活」35.0%)が過半数の54.8%。ただし、“持たない”派(「どちらかといえば持たない生活」34.3%+「持たない生活」11.0%)も4割超(45.3%)で、両者の差は10ポイント弱とほぼ半々に分かれたといえる。

将来、自分の家(集合住宅、一戸建)、自分の車を持ちたいとお考えですか?では、家については「持ちたい」が67.8%、「すでに所有している」が1.5%と、“持ち家志向”の人は約7割(69.3%)だった。男女別でも同様の傾向がみられた。一方、車については「持ちたい」(48.5%)、「持ちたくない」(43.8%)が拮抗。「持ちたい」は半数に届かず、昨今の“若者の車離れ”をある程度裏付ける結果となった。

普段から節約・倹約を意識していますか?では、「とても意識している」31.5%、「ある程度意識している」50.0%を合わせて約8割(81.5%)が節約・倹約を普段から意識している。費用面で実際に心掛けている節約・倹約トップ5は「食費」(70.9%)、「外食代」(53.4%)、「飲み代」(41.4%)、「電気代」(36.8%)、「衣類代」(35.0%)で、飲食に関するものが上位となった。

節約・倹約のために実践している生活行動は、「自炊する」がトップで61.0%。「クーポン・割引券を使用する」(54.3%)、「衝動買いをしない」(51.5%)、「モノを大切に扱う」(42.0%)、「家計簿をつける」(40.2%)が続いた。

ニュース情報元:(株)FJネクスト

ひとり暮らし女性、交際費等予算は毎月平均44,799円

(株)エイブルホールディングスは、このたび「ひとり暮らし女性と実家暮らし女性の恋愛事情」をテーマにアンケート調査を行った。調査は2018年12月28日~2019年1月3日、インターネットで実施。国内在住10代~20代の女性914名(実家暮らし507名、ひとり暮らし407名)より回答を得た。

それによると、現在恋人がいると回答したのは「ひとり暮らし女性」で46%、「実家暮らし女性」で34%と、「ひとり暮らし女性」のほうが1割以上高かった。

恋人と過ごす場所で多いのは?では、1位は「ひとり暮らしの自分の家」で39%。次いで「ひとり暮らしの彼の家」28%と、どちらかのひとり暮らしの家で過ごすカップルが多い。「ひとり暮らし女性」は、恋人と過ごす際にも自宅に招くことが可能であったり、自宅で手料理を振舞えたり、実家特有の門限もなく、恋愛に有効であるようだ。

美容費・ファッション費・交際費の予算は、毎月の合計予算が「ひとり暮らし女性」は平均44,799円に対し、「実家暮らし女性」は平均39,009円と月間5,790円、年間ではおよそ70,000円近い差があった。内訳をみると、ファッション費は大差ないものの、交際費ではおよそ4,000円程多くひとり暮らし女性の方が使用していることが分かった。「ひとり暮らし女性」のほうが恋愛にも前向きで、オシャレや友だちとの交際費にも積極的にお金を使うようだ。

ニュース情報元:(株)エイブルホールディングス

女性の一人暮らし、「ご近所トラブルに巻き込まれた」18.1%

日本情報クリエイト(株)は、このたび「女性の一人暮らし」に関する意識調査を行った。調査は2019年2月14日(木)~2月15日(金)にインターネットで実施。全国20代~50代の女性1,306人から回答を得た。
それによると、物件を選ぶ際の決め手は「通勤・通学に便利」(34.8%)や「賃料」(32.2%)を重視するという回答が多かった。一人暮らしを始めるきっかけとしては、就職や転職を理由とした女性が過半数を占め、給与や勤務場所に合わせて部屋選びをする傾向がみてとれる。

ご近所トラブルに巻き込まれたことはありますか?では、「はい」が18.1%と、5人に1人近い割合でトラブルに巻き込まれた経験があるようだ。巻き込まれたトラブルは「騒音」が断トツのトップで66.9%。次いで「町内会・マンション組合問題」7.4%、「ゴミ出しのマナー」6.9%と続く。

近隣からの音で迷惑だと感じるのは「お酒を飲んで夜中まで騒いでいる声」27.5%、「足音」23.3%、「乱暴なドアの開閉音」16.4%など。近隣の騒音に頭を抱えている女性の割合は非常に高いようだ。

騒音に対してどのような対策を行いましたか?では、半数以上(54.4%)の方が「なにもしなかった」と回答。次いで、「大家さんや管理会社に連絡した」という回答があるものの、約3割(30.9%)と少なく、対策をしても効果がないと思い我慢している方が多いようだ。

ニュース情報元:日本情報クリエイト(株)

平成生まれの独身者、今後も「おひとり様生活を続けたい」47.6%

(株)FJネクストはこのほど、ひとり暮らしをしている平成生まれの独身者を対象に、「おひとり様生活」に関するアンケート調査を実施した。調査は平成30年11月15日~18日にインターネットで実施。20代男女400人から回答を得た。
それによると、おひとり様生活のメリットは、「時間を自由に使える」が最多で73.5%。次いで「他人に干渉されない」が62.3%。自由で気ままな生活に喜びを感じている結果となった。一方デメリットは、「食生活が乱れる」が最多で44.0%。「人と話をしなくなる」24.5%、「特にない」17.5%が続く。メリットと違い、デメリットは人それぞれのようだ。

独身・一人暮らしの生活を楽しんでいますか?では、全体では「大いに楽しんでいる」(43.5%)、「ある程度楽しんでいる」(44.8%)を合わせた“楽しんでいる”との回答が約9割(88.3%)となった。男女別でみると、男性の方が「大いに楽しんでいる」の割合がやや高く、男性46.0%、女性41.0%となっている。

今後もおひとり様生活を続けたいですか?では、「続けたい」(「一生続けたい」+「できれば長く続けたい」)が47.6%、「続けたくない」(「あまり続けたくない」+「すぐにでもやめたい」)が52.6%で、「続けたくない」がわずかに上回った。

それぞれの理由を見ると、「続けたい」人は、「楽しいから」「楽だから」「気楽」「自由に生きたい」「時間を自由に使えるから」など、「楽」を挙げる人、「自由」を挙げる人が多く、回答者の4割強(45.7%)を占めた。一方、「続けたくない」人は、「結婚したい」を理由に挙げる人が多く、これと関連する「家庭を持ちたい」「子どもが欲しい」「一生独身はいや」も合わせると、「結婚」を意識している人が回答者全体の4割(40.0%)を占めている。

ニュース情報元:(株)FJネクスト

一人暮らしの準備費用(家電)、「5万円~10万円未満」が最多

アイリスオーヤマ(株)はこのたび、一人暮らしに関するアンケート・調査を行った。調査期間は2018年11月14日~12月7日。953名から回答を得た。それにると、過去に一人暮らしをしていた経験がある方を含め、一人暮らしをしたことがある方は全体の68%(651名)。そのうち、188名が現在も一人暮らし中と回答した。

一人暮らしを始める一番のきっかけは「進学・就職で、実家から通えなくなった」で30.2%。「自分の時間を自由に使いたかった」24.5%が続く。遠方の学校や会社に行くために、実家を離れるパターンが多いようだ。

また、通える距離であっても、新生活のタイミングで一人暮らしに乗り出す方も一定数いる。「猫と暮らしたかったから」(女性・30代)、「猫を飼うことに反対されたから」(女性・50代)など、猫と暮らすために一人暮らしをスタートしたという回答も目立った。

一人暮らしの準備費用(家電)として一番多かったのは「5万円~10万円未満」で23%。次いで「10万円~15万円未満」21%、「20万円以上」15%。「自分で買ったものはない」という回答も12%あり、10人に1人以上が、家電を自分で買わずに手に入れているようだ。

一人暮らしの困りごと(複数回答)としては、「収納スペースがない」が14.5%でトップ。「家賃が高い」13.3%、「家事が面倒くさい」11.8%、「ものさびしい」8.5%、「部屋が狭い」8.0%などが続く。

ニュース情報元:アイリスオーヤマ(株)

平成最後のクリスマス、若者の過半数が「ひとりで過ごす予定」

(株)レオパレス21(東京都中野区)は、全国のひとり暮らしをしている18~29歳までの男女計600名(男女各300名)を対象に、「ひとり暮らしとクリスマスに関する意識・実態調査」を行った。調査時期は2018年12月7日(金)~12月11日(火)。調査方法はインターネット。それによると、平成最後のクリスマスをひとりで過ごす予定の人は56.2%と過半数を上回る結果となった。さらにそのうち、72.1%の方がクリスマスをひとりで過ごすことを「寂しいと思わない」と回答している。

ひとりで過ごすと回答した方の過ごし方は、「TV鑑賞」が26.4%、「ゲーム」が24.0%と、半数近くが自宅などでゆっくりとマイペースに過ごすようだ。また、「寂しいと思わない」理由については、「クリスマスだからといって普段と変わらないから」が64.6%で最多だった。

クリスマスにデートしていた相手に告白されたら受け入れますか?では、男性では63.3%の方が、女性では53.7%の方が受け入れると回答。クリスマスに告白される場合の理想のシチュエーションとしては、「レストラン」(25.5%)を抑えて、「自宅」(28.3%)が1位だった。告白される場所は特別なシチュエーションでなくとも良いと考える方が多いようだ。

平成最後のクリスマスを一緒に過ごしたい芸能人は誰ですか?では、男性芸能人は「田中圭さん」が1位を獲得。2位に「嵐」、同率3位で「みやぞんさん」「山崎賢人さん」「福山雅治さん」がランクインした。「田中圭さん」を挙げた理由には、「ドラマを見て面白かったので」「かっこよくて面白い」などがあり、かっこよさに加えて面白さが支持を集めているようだ。

女性芸能人では「新垣結衣さん」が今年も1位となり、安定の人気をうかがわせた。2位は「有村架純さん」、3位は「吉岡里帆さん」の順。「新垣結衣さん」を挙げた理由には、「一緒にいて明るくなれそうだから」や「一緒だと楽しめそうだから」といった回答があった。かわいさと同時に人柄や明るさが支持されているようだ。

ニュース情報元:(株)レオパレス21

駅よりスーパー、無料Wi-Fiと宅配ボックスを重視 今どきの学生ひとり暮らし事情

学生用マンションでひとり暮らしをする人は、「『駅』より『スーパー』が近くに欲しい」と思っている。そんな調査結果を学生情報センターが発表した。「毎日利用する駅より、スーパーなのか…」と個人的に意外に思ったので、調査結果を詳しく見ていくことにした。【今週の住活トピック】
「ナジックひとり暮らし学生 実態調査2018」の結果を発表/学生情報センターひとり暮らしの学生は、素直に両親に感謝している!?

まず、「ひとり暮らしをしてよかったこと」(複数回答)を聞いた結果を見よう。

1位は「時間を自由に使える」(87.0%)だ。親の目の届かない場所で時間を自由に使える半面、自分で家事(「洗濯」56.0%、「掃除」46.2%、「料理」41.1%、「家計管理」24.1%)をするようになったという回答も多く、結果的に2位の「生活力がついた」(61.7%)と感じているわけだ。何でも自分でやるようになったからこそ、3位の「両親に感謝するようになった」(58.2%)につながっているのだろう。

逆に「ひとり暮らしで困ること」(複数回答)の1位は「病気になったとき」(68.4%)。身体もつらいし心細いしで、さぞかし不安なことだろう。日々の食事は弁当や総菜で済ませたり外食が増えたりして、2位の「栄養のバランスが悪くなる」(54.4%)とも感じている。

駅より、学校より、コンビニより、スーパーが近くに欲しい

次に、部屋選びについて見ていこう。

「重視したほうが良い利便性」(複数回答)の1位は、なんと「スーパーが近くにある」(76.9%)だった。2位の毎日利用する「駅」(67.4%)より、3位の通学する「学校」(54.7%)より、4位の「コンビニ」(54.1%)より「スーパー」が近くに欲しいというのだ。

部屋を選ぶとき、重視したほうが良い利便性(複数回答)(出典/学生情報センター「ナジックひとり暮らし学生 実態調査2018」より転載)

部屋を選ぶとき、重視したほうが良い利便性(複数回答)(出典/学生情報センター「ナジックひとり暮らし学生 実態調査2018」より転載)

スーパーが選ばれる理由については調査結果では分からないが、今どきの若者世代は「コスパ=経済合理性」を重視する傾向が強いと聞く。ネット社会で育ち通販で買い物をする彼らは、買い物も合理的に時間をかけずにしたいと思うのだろう。そういう点でスーパーは、コスパがよく、品ぞろえが豊富なのでいろいろな店を回る時間も省ける。学生にとっては、筆者が思うよりスーパーの存在価値は高いのかもしれない。

「無料Wi-Fi」「オートロック」「宅配ボックス」が三種の神器になる日が来る?

「家賃が多少高くなっても部屋に欲しい設備・サービス」(複数回答)を見ていこう。

家賃が多少高くなっても部屋に欲しい設備・サービス(複数回答)(出典/学生情報センター「ナジックひとり暮らし学生 実態調査2018」より転載)

家賃が多少高くなっても部屋に欲しい設備・サービス(複数回答)(出典/学生情報センター「ナジックひとり暮らし学生 実態調査2018」より転載)

この質問をする調査結果はこれまでも多くあり、1位の「バス・トイレ別」(63.3%)と5位の「独立洗面台」(36.7%)は常に上位に来る項目だ。バス・トイレ一体型のユニットタイプは好まれないということだ。

そこで、注目したいのが2位の「無料Wi-Fiサービス」(44.9%)だ。3位の「大きな収納スペース」(39.9%)や4位の「オートロック」(37.0%)、6位の「宅配ボックス」(31.0%)も常に上位に来る項目だが、無料Wi-Fiは急上昇しているという印象がある。片時もスマホを離さない、今の若者世代らしい結果か。

今後は、無料Wi-Fi、オートロック、宅配ボックスが部屋選びの三種の神器になるのかもしれない。部屋を提供する大家さんたちも、こうした学生ニーズに応えていく必要があるだろう。

今回の調査結果で面白いと思った結果がもう一つある。ひとり暮らしで困ることの7位に「虫が出たとき」(31.3%)が挙がったこと。かくいう筆者もゴキブリが大の苦手。親の世代になった今でも、ゴキブリと目が合うとフリーズしてしまう。たかが虫、されど虫。なんとなく気持ちは分かる。

学生のひとり暮らし、「宅配ボックス」希望者が約3割

東急不動産ホールディングスグループの(株)学生情報センター(京都市下京区)は、このたび、同社が管理運営するマンションの入居学生を対象に、ひとり暮らしに関する実態調査を行った。調査時期は2018年6月。調査方法はインターネット。回答数は316名。
それによると、ひとり暮らしをして良かったこととしては「時間を自由に使える」が87.0%でトップ。「生活力がついた」が61.7%で続く。また、34.2%が「同居する家族に気を遣わなくてもよい」と親離れをしつつも、58.2%が「両親に感謝するようになった」と、親のありがたみを感じるようになった人が多い様子がうかがえる。「自分で洗濯するようになった」56.0%、「自分で掃除するようになった」46.2%、「自分で料理するようになった」41.1%と、約半数が家事を体験している。

ひとり暮らしで困ることのトップは「病気になったとき」で68.4%。「栄養のバランスが悪くなる」54.4%、「外食が多くなる」30.1%、「料理」18.7%など、食事に関する心配事が多い。「虫が出たとき」との回答が31.3%あった。

部屋を選ぶとき重視したほうが良いと思うのは「スーパーが近くにある」が最多で76.9%。「駅の近く」(67.4%)、「学校の近く」(54.7%)、「コンビニが近くにある」(54.1%)が続く。利便性を重視して部屋を選ぶ傾向がみてとれる。

家賃が多少高くなっても部屋に欲しい設備・サービスとしては、「バス・トイレ別」(63.3%)を希望する学生が3人に2人と最多。次いで、「無料Wi-Fiサービス」(44.9%)、「大きな収納スペース」(39.9%)、「オートロック」(37.0%)の順。「独立洗面台」(36.7%)、「室内洗濯機置き場」(27.8%)など、水回りの環境にこだわる学生も多い。また、「宅配ボックス」を希望する学生が約3割(31.0%)。ネットショップの利用や親元からの差し入れなど、宅配便の利用が増えている様子がうかがえる。

ニュース情報元:(株)学生情報センター

IoT賃貸住宅に「住んでみたい」46.8%

(株)レオパレス21(東京都中野区)は、このたび「若手社会人のひとり暮らし」に関する意識・実態調査を行った。調査対象は、ひとり暮らしをしている入社5年目までの社会人の男女(未婚)。調査時期は2018年5月14日(月)~5月16日(水)。調査方法はインターネット。サンプル数は600。

ひとり暮らしを始めてから親に対する意識はどのように変わりましたか?では、「感謝の気持ちを持つようになった」(47.0%)や「親の苦労がわかるようになった」(44.8%)との回答が40%を超えた。親との距離感については、「ちょうど良い距離感を保てるようになった」(37.5%)との回答がある一方、「自分が“親離れ”できていないことがわかった」(17.2%)、「親が“子離れ”できていないことがわかった」(9.8%)との回答もあった。

ひとり暮らしで困ったことは、「食事」(46.5%)、「掃除」(29.5%)、「体調管理」(29.2%)が上位を占めた。「孤独」(19.0%)を挙げた方も5人に1人いた。

身の回りのものがインターネットでつながる「IoT賃貸住宅」に住んでみたいですか?では、「ぜひ住んでみたい」(17.3%)、「住んでみたい」(29.5%)を合わせて、約半数(46.8%)が「住んでみたい」と回答した。「IoT賃貸住宅」のために現在の家賃にプラスしていくら払ってもよいですか?では、「1,000円以下」(22.8%)、「5,000円」(22.4%)、「3,000円」(21.7%)との回答が上位を占めた。

AIスピーカーの音声アシスタントをお願いしたい異性の有名人は誰ですか?では、男性は「高橋一生さん」、「玉木宏さん」、「福山雅治さん」が同票で1位。3名ともに「声が印象的」「低音ボイスに惹かれる」との理由が多く挙がっている。4位には「斎藤工さん」がランクインした。

女性では「広瀬すずさん」が1位。理由としては「(声で)部屋の居心地がよくなりそう」「かわいらしい声だから」等が挙がっている。2位は「石原さとみさん」で、「癒されるから」「好きな女優、ファンだから」との理由。3位は「新垣結衣さん」、「有村架純さん」の2名が同票でランクイン。「毎日が楽しくなりそう」「声が柔らかくて癒される」等の回答があった。

ニュース情報元:(株)レオパレス21

【シングル編】新宿駅まで30分以内・中古マンション価格相場が安い駅ランキング

住まい探しをするときの条件はさまざまあるが、立地も重要なポイントのひとつ。日々繰り返される通勤・通学や、買い物や遊びに出かける際の利便性は生活の質を大きく左右する。その点、都内屈指のターミナル駅である新宿駅にアクセスしやすい立地なら何かと便利だろう。そこで、新宿駅まで30分圏内にある中古マンションの価格相場を調査。シングル、DINKS、ファミリー、それぞれに適した広さの物件にわけて、価格相場が安い駅トップ10をランキングしてみた。今回は駅徒歩15分圏内にある、専有面積20平米以上~40平米未満の物件を対象にした、シングル向け中古マンションの物件相場が安い駅トップ10を紹介しよう。

●シングル向け 新宿駅まで30分圏内の物件相場が安い駅TOP10駅
(順位/駅名/価格相場(沿線/所在地/新宿駅までの所要時間)
1位 大島 1090万円(都営新宿線/東京都江東区/24分)
2位 小竹向原 1480万円(東京メトロ有楽町線ほか/東京都練馬区/17分)
3位 西川口 1485万円(JR京浜東北線/埼玉県川口市/23分)
4位 桜台 1570万円(西武池袋線/東京都練馬区/19分)
5位 練馬 1630万円(西武池袋線ほか/東京都練馬区/17分)
6位 中村橋 1699万円(西武池袋線/東京都練馬区/23分)
7位 中板橋 1719万円(東武東上線/東京都板橋区/19分)
8位 新桜台 1720万円(西武有楽町線/東京都練馬区/19分)
9位 大山 1730万円(東武東上線/東京都板橋区/17分)
10位 江古田 1765万円(西武池袋線/東京都練馬区/18分)
10位 新江古田 1765万円(都営大江戸線/東京都中野区/15分)

1位は1100万円以下! 急行も停車し、新宿まで1本で楽々

最も物件相場が安かったのは、2位に390万円も差をつけて1090万円という結果となった都営新宿線・大島駅。駅の北側はURの団地や小中高校が点在しており、マンションはどちらかというと南側に多く見られる。駅の北側・南側ともにスーパーや商店街があり、下町っぽさが残る落ち着いた住環境だ。新宿駅までの所要時間はランクインした11駅中で最も長い約24分だが、平日10時~16時台、土日祝7時~18時台に走る急行を利用すれば最短約17分で新宿に到着。通勤・通学の時間帯には利用できなくても、休日には急行でサッと新宿駅に出られるのは魅力的だろう。

2位は物件相場が1480万円の小竹向原(こたけむかいはら)駅がランクイン。同駅は東京メトロの有楽町線・副都心線が通っているほか、西武有楽町線の終点駅でもある。東京メトロ有楽町線・副都心線に乗るとわずか3駅で池袋駅に到着。そのまま有楽町線で進むと永田町駅や銀座一丁目駅へ、副都心線なら新宿三丁目駅や渋谷駅、横浜駅へ。池袋駅からJR埼京線に乗り換えれば新宿駅に出ることができ、多方面への交通の便がいい点が大きな魅力だ。

3位はトップ11駅中で唯一、東京都外に位置する埼玉県川口市のJR京浜東北線・西川口駅。駅に直結してショッピングセンター「ビーンズ西川口」があり、肉・魚・青果の専門店や惣菜店、書店などが利用できる。駅周辺には飲食店も豊富なので、「今日は料理したくない……」なんて日も帰宅途中に気軽に外食できるのがうれしいところ。ランクインした駅で唯一のJR線が走る駅でもあり、JR京浜東北線に乗ると1本で東京駅や新橋駅、品川駅、横浜駅にも行くことができる。

西川口駅(写真/PIXTA)

西川口駅(写真/PIXTA)

重視するのは安さ? それともアクセスの良さ? 新宿駅までの早さ重視なら新江古田駅

トップ11駅中で新宿駅までの所要時間が最短だったのは、乗り換えせずに約15分で新宿駅に着く10位の都営大江戸線・新江古田(しんえごた)駅。駅前にはスーパーとドラッグストアがあり、日用品や食料の買物はここで済ませられるだろう。駅から北に約10分歩くと、同じく10位の西武池袋線・江古田(えこだ)駅にたどり着く。池袋駅に出るなら江古田駅から西武池袋線を利用し、新宿駅なら新江古田駅から都営大江戸線……、と行き先に応じて2路線を使い分けてもよさそうだ。

1位と10位では物件相場に675万円もの開きがあった今回のランキング。新宿駅までの所要時間がそれぞれ約17分だった2位・小竹向原駅(物件相場1480万円)、5位・練馬駅(同1630万円)、9位・大山駅(同1730万円)の3駅でも物件相場は異なっており、新宿駅までの所要時間と物件相場が比例するわけではない結果となった。

所要時間が同じなら、とにかく安いほうがいいのか、街の環境を優先するのか、物件自体の質にこだわるのか……。「中古マンション選びは失敗したくない!」と慎重になるあまり、自分なりの判断基準が定まっていないと延々と悩み続けることになりそうだ。物件探しをする前に一度、物件に求める優先順位を決めておくといいかもしれない。

さて、シングル向け情報を紹介した今回に続き、次回はDINKS向けに専有面積40平米以上・70平米未満の中古マンションの物件相場ランキングを紹介したい。

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている新宿駅まで電車で30分以内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、築年数40年未満、物件価格3億円以下、専有面積20平米以上40平米未満の物件(敷地権利は所有権のみ)
【データ算出期間】2017年3⽉1⽇~2018年2⽉28⽇
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、平日の日中時間帯の検索結果から算出(乗換回数は問わない)
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している

一人暮らしの良さ、「自由」「家族のありがたみが分かった」、SUUMO調べ

4月は、初めての一人暮らしをスタートさせた、という人も多い時期。実家暮らしの時には気付かなかった「一人暮らしの良さ」を実感しているという人も…。
そこで(株)リクルート住まいカンパニーが運営する不動産・住宅サイト『SUUMO(スーモ)』は、「一人暮らしをしてよかったこと」をテーマにアンケート調査を行い、結果を「SUUMOなんでもランキング」としてまとめた。

【調査概要】
●調査時期:2017年10月4日~2017年10月5日
●調査対象者:全国の20~59歳までの男性138名・女性97名
●調査方法:インターネット
●有効回答数:235

【調査結果】
Q.一人暮らしをしてよかったことは?(複数回答可)
1位:好きなときに好きなことができる 34.0%
2位:親のありがたみがわかった 21.7%
2位:自由な時間が増えた 21.7%
4位:親からの干渉がない 17.0%
5位:恋人を気軽に呼べる 14.5%
6位:帰宅時間が自由 14.0%
7位:自立できた 11.9%
8位:家事をやるようになった 10.6%
9位:友達を気軽に呼べる 9.8%
9位:部屋を自由に使える 9.8%
※上位9位まで表示

1位は「好きなときに好きなことができる」(34.0%)。「朝遅くまで寝ていたり、夜遅くまで起きていても気兼ねしないで過ごせる」ほか、「起きる時間、食事の時間も自由になった」「誰にも干渉されずに自分勝手にできる」など、自分のペースで生活ができることへのうれしいコメントがズラリと並んだ。

2位は同率で「親のありがたみがわかった」「自由な時間が増えた」(21.7%)。親のありがたみに関しては、「家事の大変さが分かった」「ご飯があるありがたみが分かった」など、親への感謝が多く見られた。自由な時間に関しては、「趣味に、自由に時間やお金を使える。文句を言われない」など、何をしても干渉されない自由を手に入れたことが大きい様子。

4位は「親からの干渉がない」(17.0%)。これも一人暮らしのメリットのひとつ。「なんでも自分で決めて実行できる」「親が過保護でうるさかったから」などの声が挙げられた。

5位は「恋人を気軽に呼べる」(14.5%)。「実家では家族に気兼ねするから」「自分の部屋がなかったから」などのコメントがあった。

自由時間を謳歌できる、マイペースに時間を使えるなど、一人暮らしにメリットはたくさんあるが、今まで親がやってくれていた家事を自らやらなければいけなくなったり、朝誰も起こしてくれなかったり、お金のやりくりをしなければならなかったり、家族のありがたみを感じることも多い。一人暮らしを経験すると、次に実家に帰省するときには、家族に「いつもありがとう」と素直に言えるようになるのかもしれない。

【主なコメント】
●好きなときに好きなことができる:お風呂の時間を気にしない。(32歳・女性)
●親のありがたみが分かった:親に守られていたんだなあと認識できた。(59歳・女性)
●自由な時間が増えた:自分の趣味に熱中できる。(24歳・男性)
●親からの干渉がない:実家住まいのときは門限があった。(29歳・女性)
●恋人を気軽に呼べる:実家では家族に気兼ねするから。(53歳・女性)
●帰宅時間が自由:何時に帰ってくるの?などといわれないので楽。(41歳・女性)
●自立できた:自分で考え、自分で行動するしかない。(59歳・男性)
●家事をやるようになった:節約の為お弁当をつくるようになった。(44歳・女性)
●友達を気軽に呼べる:家族がいると気を使うから。(43歳・女性)
●部屋を自由に使える:自分の好きなようにレイアウトができる。(57歳・男性)

「SUUMOなんでもランキング」コーナー:住まいに関する様々なテーマについてアンケートを実施し、結果をまとめた記事を隔週で発表。

買いすぎ?持たなすぎ?一人暮らしで「お皿」は何枚あればいいの? 

一人暮らしなら自炊をする人もしない人も、「お皿」をはじめとした食器類は必ず持っているはず。また、食器類が好きな人ならたくさん買いたい気持ちがあると思いますが、しまう場所を考えるとためらってしまいそうです。そこで収納の専門家に、一人暮らしの人におすすめなお皿の選び方としまい方、そして最低限そろえておきたい食器についてうかがいました。
一人暮らしにしてはお皿が多いような気がする……どうしてこうなった?

筆者は一人暮らし歴・約四半世紀。雑貨好きで、食器を見るのももちろん好きですが、買い控えるようにしています。なぜなら、いまの部屋には吊戸棚とキッチン下のシンクくらいしか収納場所がないから。ワゴンを置いてみたり、かっこいいカップボードにあこがれたりした時期もありましたが、いまは持っている食器を吊戸棚とキッチン下のシンクにむりやり重ねて収めている状況です。

そもそも、一人暮らしを始める大学入学時に、母が「食器は五脚セットが基本だから……」とおそろいの柄の形違いの食器を買い与えてくれたので、もともとわりと多く持っているのです。「小さなボウル」「お茶碗」「平皿・小」「平皿・大」「カレー皿」……これらがそれぞれ5枚ずつあるので、もういりません。たしかに、学生時代は友人が来て急に宴会になっても困ることはありませんでした。

我が家の食器。しかし、日々使うのは、このなかの数枚だけ……(写真撮影/近藤智子)

我が家の食器。しかし、日々使うのは、このなかの数枚だけ……(写真撮影/近藤智子)

しかし、恥ずかしながら、たくさん食器類を持っていると「すぐに片づけなくても新しいものがある」と考えてしまいます。洗い物をしなくても、次々と新しく使えるものが出てくる……困ったものです。

そのほかにも、ちょっとしたプレゼントでもらったマグカップやグラス、やめておけばいいのにシールを集めてもらったお皿などが、雑然として我が家のキッチンまわりを占領しています。はたして、これで本当によいのでしょうか。

ちなみに、筆者は料理が苦手です。だから、食器はそんなに必要ないのですが、それぞれに思い入れもあり、捨てるには勇気がいります。

周りの一人暮らしの人にも「持っているお皿の枚数」を聞いてみた

ほかの一人暮らしの人はどのくらい食器類を持っているのでしょうか。

同じく25年ほど一人暮らしの40代独身の友人(女性)に聞いてみると、自炊をすることが多い彼女は「40枚くらい持っている」とのこと。ほかに「カップやお湯のみ、ソーサーなどが25個くらいある」のだそうです。

一方、気が向いたときにしか自炊をしない40代独身の男性の友人は、持っているお皿は10枚に満たないとのことでした。お茶もジュースも温・冷関係なく愛用のマグカップで飲むため、カップも2つくらいと食器の保持数がとても少ないようです。

さらにそれを上回るのが、家で一切自炊をしない50代独身の知人男性でした。それでもお酒のつまみ用に2~3枚はあるとのこと。一方で、お酒やコーヒーが好きなため、マグカップやビアマグなどの酒器は使い分けられるように5個ほど所持しているそうです。

そのほか、首都圏で一人暮らしをしている20~30代の知人男女数人にも聞いたところ、やはり料理好きな人は食器を多く所持し、料理をしない人は少ないという結果に。大半の人が、2枚セット(2個セット)で購入するパターンが多く、「いいな」と思ったものを買って増やしていくようです。

ただ、持ち家でないかぎり、やはり収納が難しいとの声も。一人暮らしを始める場合、まずどのようなものを買っておけばよいのか、整理収納アドバイザーで整理収納教育士のおさよさんにお話しをうかがいました。

収納の観点から見た「一人暮らしで必要なお皿」とは

おさよさんのお話では、必要最低限な食器のレパートリーは以下のとおりとのこと。
「一人暮らしで、食事を自宅で食べるお客様が頻繁に来ないと想定して、これくらいあると普段づかいにも収納にも困らないと思うものを選びました」(おさよさん)

・お茶碗
・汁椀
・サラダ用のガラスボウル
・直径21cmのプレート(汁ものも大丈夫なもの)
・グラタンなどオーブン対応の耐熱皿
・直径16cm程で取り皿等に使える平皿と深皿
・麺や丼もの用の大鉢
・副菜用の小鉢

なるほど、毎日自炊するとしてもこれだけで十分足りそうです。しかし、お客様が来たときのことを考えると、これでは食器の数が足りないような気が……。

お客様用の食器について、おさよさんは「お客様にお出しする湯のみやグラスなど、いつもどれくらい来るかによって準備しておくとよいと思います」とのこと。「もしお客様がたくさん来ることになったときは、楽しいデザインの紙コップなども今はたくさん売られています。都度購入すればそれで十分」と話してくださいました。

なるほど、いまは安くて見た目のよい使い捨て食器が手軽に入る時代。必要に応じて気軽に考えればよさそうですね。

日ごろ使う分だけそろえておいて、お客様の分は使い捨てのものをその都度購入で十分(画像提供/PIXTA)

日ごろ使う分だけそろえておいて、お客様の分は使い捨てのものをその都度購入で十分(画像提供/PIXTA)

それでも、食器が好きすぎて「つい買っちゃった」ということもあるかもしれません。そんなときはどうすればよいのでしょうか。

「以前、収まりきらないくらいの食器を所有して食器だらけになったお宅を拝見したことがありました。そのときはコレクション用の貸し倉庫をおすすめしましたが、家賃を払って得ている自分の空間の一部を食器にも提供して、日々コストがかかるということは考えておきたいですね。そのためにも、自分の家にある収納はどれくらいかを把握して買いそろえることが大切です」

食器収納のポイントは「一軍・二軍・三軍に分ける」

では最後に、一人暮らしの観点から見た食器収納のキホンもうかがっておきましょう。

まずは、「食器を収納する」際にいちばん気をつけたいポイントについて。「食器も、一軍、二軍、三軍と、使用頻度別にまとめてから収納していくとよいですよ」とおさよさんは言います。

一軍は「毎日使うお茶碗、汁椀等」、二軍は「毎日の料理に応じて使うもの」、三軍は「年に1回程度しか使わないイベント用のお皿等」になるようです。

「よく使う一軍の食器はサッと取り出しやすいように、トレイなどにひとまとめにしておくとよいと思います。わざわざ収納せず、オープンタイプの棚にトレイごと置いて布巾をかけるだけでも可。出したり、洗ったり、しまったりが多いので、乾燥もしやすいです」(以下、おさよさん)

また、「三軍は食器棚なら取り出しにくい上棚や、奥行きがあるなら奥のデッドスペースなど、普段は使いづらいと思う場所を活用するとよいですね」とのことでした。

それでも食器にはいろいろな形がありますが、上手に収納するにはどのようにすればよいのでしょうか? 

「大きさごとに収納しましょう。だいたい同じサイズの食器でまとめて収納するとスッキリ収まります。並べるときに濃い色から薄い色へなど、色にも気を配れば見た目もきれいになりますよ」

食器の色もそろえると、見た目もよく、収納もすっきりとした印象に(画像提供/PIXTA)

食器の色もそろえると、見た目もよく、収納もすっきりとした印象に(画像提供/PIXTA)

一人暮らしでキッチンまわりの収納が少なかったり、食器棚がなかったりする場合は、我が家のようにキッチンのシンク下などを食器収納として使うことが多いと思います。そんな狭いスペースでも、有効活用する方法はあるのでしょうか?

「引き出しがあるなら、そこにコップやグラス、小皿を収納。大きめの皿はシンク下用に売られている小さな棚等で空間を仕切り、整理収納しましょう。吊り棚があるなら、使用頻度の高いお茶碗、汁椀、サラダ用、よく使うマグカップのオープン収納に最適です」

食器という「うつわ」は見ていても使っても楽しいものですが、収納場所や使い道も必要です。お気に入りの一枚を生き生きとさせてあげるために、一人暮らしの自分の日常に、本当に必要かを考えることも大切ですね。

●取材協力
・おさよさん(整理収納アドバイザー・整理収納教育士)

一人住まいの新居で購入したもの1位、男性は冷蔵庫、女性はカーテン 処分したのは衣類

「この春から新生活をスタートさせた」という人も多いだろう。一人暮らしで新たに購入したものは、男女別で異なるといった調査結果を、FJネクストが発表した。調査対象は、引越し経験のある、首都圏のワンルームに単身入居している20代・30代の男女。彼らの新生活の実態は、どういったものなのだろう?【今週の住活トピック】
「ひとり住まいの『引っ越し事情』アンケート」結果を発表/FJネクスト初めての一人暮らしでは、7割が部屋決めに親の承認

初めての一人暮らしで、「部屋を決める際に親の承認を得たか」を聞いたところ、約7割(70.8%)が親の承認を得たと回答した。男女別でみると、親の承認を得たのは女性(74.5%)のほうが男性(67.0%)よりやや多い傾向にあった。

親の承認を得た理由などは聞いていないようだし、学生や新社会人として一人暮らしを始めるのと、すでに社会人になってから始めるのとでは違いもあるだろう。筆者が思うには、親の承認を得るのは、一人暮らしを始める際の初期費用や賃料などの一部を親が負担しているからではないだろうか? 特に、女性の一人暮らしの場合は、親が防犯面を気にして、援助してでもセキュリティーの高い部屋に住んでほしいと考える、ということもあるのだろう。

一人暮らしを始めるときに新たに購入したもの1位は、男性は冷蔵庫、女性はカーテン

一人暮らしを始めたとき、「部屋に備え付けるもので新たに購入したもの」を複数回答で聞いたところ、購入したものトップ3は、「冷蔵庫」(75.8%)、「カーテン、ブラインド」(74.8%)、炊飯器やレンジ等の「調理家電」(74.5%)となった。

Q.一人暮らしを始めたとき、部屋に備え付けるもので新たに購入したものは何ですか。(複数回答)(出典/FJネクスト「ひとり住まいの『引っ越し事情』アンケート」より転載)

Q.一人暮らしを始めたとき、部屋に備え付けるもので新たに購入したものは何ですか。(複数回答)(出典/FJネクスト「ひとり住まいの『引っ越し事情』アンケート」より転載)

ただし、男女でその順位は入れ替わる。プライバシー対策となるカーテンやブラインドを、女性は1位の84.5%が購入しているのに対し、男性は65.0%しか購入しておらず、その順位は5位まで下がる。光が入ったり出たりするのを遮ったり、中の様子を見えづらくする効用のあるカーテンやブラインドが、なくても問題ないと考える男性がけっこういるということだろう。

また、購入したもののなかでよく使用したもの、あまり使用しなかったものを聞いたところ、「最もよく使用したもの」は冷蔵庫や電子レンジ、「あまり使用しなかったもの」は炊飯器や掃除機、アイロンとなった。

Q.一人暮らしを始めたときに購入したものの中で、最もよく使用したもの、あまり使用しなかったものは何ですか。(自由回答)(出典/FJネクスト「ひとり住まいの『引っ越し事情』アンケート」より転載)

Q.一人暮らしを始めたときに購入したものの中で、最もよく使用したもの、あまり使用しなかったものは何ですか。(自由回答)(出典/FJネクスト「ひとり住まいの『引っ越し事情』アンケート」より転載)

その理由についての自由記述を見てみよう。
「冷蔵庫」をよく使用したのは『食料を安い時に買いだめすることができる』から。「電子レンジ」をよく使用したのは、『コンビニ飯に欠かせない』から。

一方、「炊飯器」をあまり使用しなったのは『ごはんを炊く機会があまりない』から。「掃除機」は『部屋が狭いのでいらなかった』から。「アイロン」は『かけるのが面倒、クリーニングに出す方が早い』から。などが挙がった。

通勤や通学をしながら、家で食事をつくるのか、洗濯や掃除はいつどのようにするのか、といったことを具体的にイメージしたうえで、家電製品を購入するのがよいようだ。

加えて、一般的な住まいには冷蔵庫や洗濯機の置き場所が用意されているが、炊飯器や掃除機などはどこに収納するか自分で考えないといけない。奥にしまってしまい、そのたびに出すのが面倒ということにもなりかねない。「購入したけどあまり使わないお荷物」にならないようにしたいものだ。

引越しのときには「衣類」を処分。処分方法はゴミに出す

「引っ越しの際、処分したもの」については、「衣服」「書籍」「靴」がトップ3となった。ためこむと意外にかさばるものばかりだ。特に、女性の場合は男性と比べて、衣類と靴の処分が多いのはもっともな点だろう。一方で、「処分したものはない」という物持ち派も約3割(29.8%)いた。

Q.引っ越しの際、処分したものは何ですか。(複数回答)(出典/FJネクスト「ひとり住まいの『引っ越し事情』アンケート」より転載)

Q.引っ越しの際、処分したものは何ですか。(複数回答)(出典/FJネクスト「ひとり住まいの『引っ越し事情』アンケート」より転載)

その処分方法については、「ゴミに出す」が83.6%と圧倒的に多いが、「人に譲る」ほかに、出張買取を利用したり、ネットオークションやフリーマーケットに出したりといった、“換金方法”を選択した人もいた。

さて、新居に引越して新鮮な気持ちで新生活をスタートする人も多いだろうが、「新鮮な気持ち」が続くのは、どのくらいまでだろう?調査結果では、約3割(28.1%)が1週間程度まで、大半(76.1%)は長くもって1カ月程度まで(1週間程度までを含む)と回答している。

今の新鮮な気持ちをこれからも忘れないようにして、新生活をがんばってほしい。

ひとり住まいの部屋探し、見学数は「3部屋」がトップ

(株)FJネクスト(東京都新宿区)は、引っ越しにまつわる様々な行動や意識について調査し、その結果を発表した。
対象は、1人暮らしを始めてから1回以上引っ越し経験のあるワンルーム単身入居者。調査期間は2018年2月16日~19日。調査方法はインターネット。回答数は400人。

引っ越し先の部屋を決めるまでに、何社ぐらいの不動産業者の実店舗を回りますか?では、全体では「1社」(34.5%)がトップ、次いで「2社」(27.0%)と、上位2つで約6割(61.5%)を占めた。「3社以上」(「3社」「4社」「5社以上」の合計)は2割程度(23.8%)に留まった。一方、店舗には行かない「0社」という回答が14.8%あった。知人・友人からの紹介のほか、近年ではインターネット上の不動産情報サイトが充実しており、部屋探しの重要な手段となっていることが伺える。

引っ越し先の部屋を決めるまでに、実際に何部屋見ますか?では、全体では「3部屋」(28.0%)が最も多く、次いで「5部屋」(18.0%)、「2部屋」(14.5%)の順。「1~3部屋」の合計は過半数(51.0%)に達し、「1~5部屋」の合計は8割(80.3%)を超えている。全体の平均値は「3.56部屋」で、3部屋前後を見て決定するというのが平均的な行動と言えそうだ。

一人暮らしを始めたとき、部屋を決める際に親の承認を得ましたか?では、親の承認を得た人は全体では約7割(70.8%)と多数派。男女別では、「得た」との回答は男性が約3人に1人(67.0%)であるのに対し、女性は約4人に3人(74.5%)で、女性の方が親の承認を「得た」人が多い傾向にある。

部屋を決める際、重視するポイントは何ですか?(複数回答)では、全体では「家賃」(74.8%)が断然のトップ。次に多かったのは「駅からの距離」(45.3%)で、「部屋の広さ」(41.5%)、「部屋の設備」(40.5%)を上回った。男女別では、両者トップの「家賃」の他に、男性は「部屋の広さ」(46.0%)、「部屋の設備」(42.0%)といった部屋そのものを重視するのに対し、女性は「駅からの距離」(50.0%)、「周囲の環境」(22.5%)、「セキュリティ」(24.0%)といった立地や環境面にも気を配る傾向がみられた。

ニュース情報元:(株)FJネクスト

一人暮らしの家賃、平均は「6.02万円」

(公社)全国宅地建物取引業協会連合会と(公社)全国宅地建物取引業保証協会は、この度、平成29年度における「一人暮らしに関する意識調査」の結果を公表した。調査期間は平成30年1月26日~1月29日。調査方法はインターネット。調査対象は18歳以上の個人男女。有効回答数は2,800人。「現在一人暮らしをしている」(1,374名)、「今後一人暮らしをしたい/予定がある」(1,426名)の2層を対象とした。

それによると、現在の住まいのタイプは、1位「3LDK以上」で28.7%、過去の調査と同様最も多かった。2位は「1K」で13.2%、3位は「ワンルーム」で8.8%、4位は「1LDK」で8.1%、5位は「2LDK」で7.9%、「間取りがわからない」は12.4%だった。「18~29歳 現在一人暮らし」層は、「ワンルーム」「1K」といった部屋数の少ない住居に住んでいる人が多い。

現在住んでいる住居の家賃は、1位「5万円台」で18.5%、2位「6万円台」18.2%、3位「4万円台」17.7%、4位「3万円台」10.4%、5位「7万円台」10.4%。平均は「6.02万円」だった。「現在一人暮らし」層は、部屋数の少ない家(部屋)に住んでいることもあり、平均家賃は相対的に安い。

家賃以外で「建物」について重視するポイント(複数回答)は、1位「間取りの広さ」で63.7%、2位「日当たり」52.7%、3位「築年数」41.7%、4位「耐震性(木造、鉄骨等の構造)」38.6%、5位「セキュリティ」38.4%。「間取りの広さ」「日当たり」「築年数」が三大重視要素のようだ。また「今後一人暮らし意向あり」層は、「現在一人暮らし」層よりも「耐震性」と「セキュリティ」を重視する傾向。

家賃以外に「環境」について重視するポイント(複数回答)は、1位「コンビニ・スーパーなどの有無」で63.0%、2位「駅が近い」55.5%、3位「学校・職場に近い」41.5%、4位「静けさ」32.0%、5位「医療機関の有無」27.1%。部屋探しにおける「環境」のキーワードは、“買い物の利便性”と“距離の利便性(駅、学校・職場)”のようだ。18~29歳の若い年齢層は「学校・職場に近い」を重視するが、年齢が上になると「静けさ」「公園などの自然環境」を重視する傾向。

ニュース情報元:(公社)全国宅地建物取引業協会連合会

新生活で隣に住んで欲しい芸能人、1位は「高橋一生さん」「石原さとみさん」

(株)レオパレス21はこのたび、「ひとり暮らしと新生活」に関する意識・実態調査を行った。対象は、この春に新生活をはじめる全国のひとり暮らしの18歳~29歳の未婚の学生200名、および異動、転勤、転職など新生活をはじめるひとり暮らしの20歳~39歳の未婚の社会人400名の合計600名。調査期間は2018年2月23日(金)~2月25日(日)。調査方法はインターネット。

新生活を機に新たに挑戦したいことは何ですか?(複数回答)では、1位は「ダイエット」で47.7%、「スポーツ」(45.0%)、「恋愛」(39.2%)、「友達づくり」(38.0%)、「料理」(38.0%)が上位の回答となった。また、30代男女では「婚活」(男性:30.6%、女性:32.6%)の回答が30%を超えるも、自由な恋愛を求める「恋愛」(男性:32.4%、女性:39.5%)志向が強いことも分かった。

新生活で新たに購入したい家電機器(複数回答)は、「パソコン」が1位で78.1%、次いで「テレビ」(64.8%)、「電子レンジ/オーブン」(62.5%)、「洗濯機」(62.0%)などが続く。また、家具や家電は新品がよいか、中古でもよいか?では、「新品がよい」(70.8%)との回答が多く、「新しい生活には新しい物を使いたい」「安心できる」などが理由として挙がっている。

春の新生活で隣に住んで欲しい芸能人は誰ですか?(自由回答)では、男性芸能人では「高橋一生さん」が1位、2位は「山崎賢人さん」、3位は「菅田将暉さん」。「高橋一生さん」を挙げた理由は「風邪の時など看病してくれそう」「頼りになるから」など、安心感を求める回答が多く、「山崎賢人さん」の理由には、「カッコいいから」「優しそう」、「菅田将暉さん」は「毎日が楽しくなりそう」「様々な特技、才能があるので友達になりたい」などの理由が並んだ。

女性有名人では、「石原さとみさん」が1位に。2位は僅差で「新垣結衣さん」、3位は「綾瀬はるかさん」の順。「石原さとみさん」の理由は男女ともに「かわいいから」「憧れ」「癒されるから」等の回答が多く、「新垣結衣さん」の理由には「かわいいから」「仲良くなれそうだから」等、「綾瀬はるかさん」には「元気になれそう」「幸せそうだから」などの回答があった。

ニュース情報元:(株)レオパレス21

一人暮らしで「あるある」と思うこと、トップは「親のありがたみが分かる」、千趣会調べ

(株)千趣会(大阪市)の通信販売事業ベルメゾンは、これから一人暮らしを始める人と、一人暮らしを始めて3年以内の20代男女を対象に、「一人暮らしの準備調査」を行った。
調査期間は2018年2月10日(土)~2月13日(火)。調査対象は全国の20歳代の男女計414名(男性207名、女性207名)。調査方法はインターネット。

それによると、一人暮らしに関して不安に思っていること(複数回答)は、「お金のやりくり」が72.1%と最も高く、特に女性(82.7%)の方が不安に思っていることがわかった。次いで「食生活が変わりそう」(51.0%)、「料理」(50.0%)、「寂しくなりそう」(42.3%)、「掃除」(41.3%)が続く。中でも男性は「洗濯」(42.3%)を不安に思っている人のポイントが「料理」(42.3%)と同位で、全体の3番目に上がった。女性は「防犯」(55.8%)、「寂しくなりそう」(53.8%)のポイントが高かった。

一人暮らしのアイテムを準備する際に不安に思っていること(複数回答)は、「費用がかかる」が87.5%と男女ともに最も高く、次いで「何が必要か分からない」(35.6%)、「適切な費用が分からない」(33.7%)の順。

一人暮らしをしている中で「あるある」と当てはまるもの(複数回答)は、「親のありがたみが分かる」が48.1%と最も高く、次いで「湯ぶねにつからなくなる」(45.8%)、「自炊にはまる」(44.8%)、「趣味を気兼ねなく思いきり楽しめる」(43.5%)と続く。

一人暮らしに必要な家具を購入した際の全体の予算と実際にかかった金額では、当初は67.7%が10万円未満を予算としていたが、実際に10万円未満に収まったのは57.1%。費用面では、予算外の出費があったことが分かる。

ニュース情報元:(株)千趣会

一人暮らしで「自炊をしている」56.6%、クリエイティブジャパン調べ

(株)クリエイティブジャパン(東京都豊島区)は、世界各国の歴史料理を再現するプロジェクト「音食紀行」と共同で、一人暮らしをしている方を対象に、自炊に関するアンケートを実施した。調査時期は2018年1月29日~30日。実施対象はアンケートサイト「ボイスノート」に登録している、一人暮らしをしている会員。集計は516人。

それによると、自炊を「している」と答えた方は56.6%、「時々する」が23.3%、「ほとんどしない」7.8%、「全くしない」12.4%という結果だった。

自炊することは節約になると思いますか?では、大半の約9割(89.8%)が「自炊する方が節約になる」と考え、自炊しない方の過半数である6割以上(64.9%)は「自炊しない方が節約になる」と考えていることが分かった。

また、包丁と電子レンジの所有状況については、自炊している人の約15%は包丁を所有しておらず、逆に自炊を全くしない人の約47%が包丁を持っていた。電子レンジについては、自炊をしている人の約32%が電子レンジを持っておらず、自炊を全くしない人の約53%が電子レンジを持っているという結果となった。

ニュース情報元:(株)クリエイティブジャパン

近年の一人暮らし、2K以上に住む傾向、アイリスオーヤマ調べ

アイリスオーヤマ(株)が運営する情報サイト“アイリス収納・インテリアドットコム”は、このたび、サイト会員を対象に「一人暮らしに関するアンケート」を実施した。調査期間は2017年10月26日~2017年11月23日。回答者数は1,779名(男性755名、女性1,024名)。

それによると、間取りは「1R(1K)」が37.1%(5~10年前:44.8%)、「1LDK」が17.8%(同32.5%)、「2K・2DK」が20.5%(同16.6%)、「3K・3DK」が9.1%(同2.6%)、「3LDK」6.7%(同3.1%)、「その他」8.8%(同0.5%)と、1R(1K)に住んでいる一人暮らしの割合は6割超えた。しかし5~10年前と比べると、近年一人暮らしをしている方の間取りは、2K以上の広い部屋に住む傾向で1R(1K)や1LDKの間取りを選ばない傾向にあるようだ。

また、目指すインテリアスタイルは、1位「シンプル系」43.6%、2位「北欧系」13.2%、3位「ナチュラル・カントリー系」12.0%、4位「和風系」10.8%、5位「モダン系」6.7%の順。10年前と変わらず、シンプル系・北欧系が人気で、4割の方がシンプルテイスト部屋になるよう目指しているようだ。

一人暮らしを始める前に買い揃えるもの【収納・インテリア編】では、1位「カーテン・ブラインド」14.7%、2位「衣類収納ケース」8.6%、3位「ベッド」と「照明」が同率で8.0%、5位「テレビ台」7.6%と、10年前と変わらず現在も一人暮らしを始める前には、カーテン・ブラインド、衣類収納ケース、照明を買う方が多数。また、新生活を始める前には、家具やインテリアをだいたい10万円未満内で一気に取り揃えるという方が多くいた。

ニュース情報元:アイリスオーヤマ(株)