住宅購入検討者の4割近くが将来的な売却や賃貸を検討!柔軟に住み替えるスタイルが広がるか?

リクルートのSUUMOリサーチセンターが「『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)」を公表した。この調査では、住宅の買い時感や住宅検討状況、住宅に関する意識などを聞いている。調査結果の推移を見ると、消費者の意識の変化がうかがえるので、詳しく見ていくとしよう。

【今週の住活トピック】
「住宅購入・建築検討者』調査(2023年)」公表/リクルート

検討している一戸建てとマンション、新築と中古が同率に

調査は、2023年12月に、首都圏、東海圏、関西圏と政令指定都市のうち札幌市、仙台市、広島市、福岡市に住む、20歳から69歳の男女で、過去1年以内に住宅の購入・建築、リフォームについて具体的に検討した人を対象に行われた。

検討している住宅の種別(複数回答)は、「注文住宅」が過半数の56%で、「新築一戸建て」31%、「中古一戸建て」31%、「新築マンション」30%、「中古マンション」30%、「リフォーム」16%となっている。一戸建てもマンションも、経年で見ると中古検討率がじわじわと上がっており、新築と中古が同率となっているのが、今回の特徴だ。

「一戸建てか、集合住宅(マンション)か」を聞く(単一回答)と、「ぜったい」と「どちらかといえば」の合計で、「一戸建て派」が58%、「集合住宅派」が22%と一戸建て派が優勢に。「どちらでもよい」は20%だった。

48%が「買い時と思っていた」と回答、その理由は?

さて、住宅購入環境にさまざまな変化が生じている。都心部のマンションを中心に価格が上昇していることに加え、長期固定型の住宅ローンの金利がじわじわと上昇している。集計対象数6007人のうち、住宅購入・検討者は4240人(賃貸検討者が1767人)。この人たちは、「買い時」と思っているのだろうか?

調査で「買い時だと思っていたかどうか」聞いたところ、48%が「思っていた」(とてもそう思っていた12%+ややそう思っていた36%)、20%が「思っていなかった」(まったくそう思っていなかった6%+あまりそうは思っていなかった14%)となり、買い時の割合が前年(2022年調査)の44%から48%に増加した。

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

ちなみに、「買い時だと思った理由」については、「これからは、住宅価格が上昇しそう」がTOPの45%だった。2位は「いまは、住宅ローン金利が安い」の33%、3位は「いまは、いい物件が出ていそう」の30%だった。

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

買い時と思う理由について、少し考えてみよう。2024年3月に日銀がマイナス金利を解除するなど、調査時点よりも金利のある時代が近づいている。金利について、いま調査をしたら、「金利が上がりそうだから」といった理由が上位に入るのかもしれない。また、住宅価格が高くなっているので、住宅の売り時と判断している人が多いと考えられる。中古の物件が市場に出回ることで、「いい物件が出ていそう」という環境になるかもしれない。

では、今後の住宅価格についてはどうだろうか?価格が上がり続けているのは都心部の住宅なので、それほど上がっていない地域と上がり続けている地域がある状況なのだが、残業時間を規制する2024年問題が拍車をかけて、建設業界の人手不足による建設費の上昇が続いている。流通業界も同様なので、建築資材を運送する費用も上がるなど、住宅の建設費用に下がる要因が見当たらない。したがって、「住宅価格が上昇しそう」な環境は、まだ続くといえるだろう。

住み続けるよりも柔軟に住み替える考え方に変化?

今回の調査の特徴といえるのが、「買い替え」層が増えていることだ。「初めての購入、建築」が63%と最も多いものの、持ち家を売却して新しい家を購入、建築する「買い替え」が年々増えて、2023年調査で29%に達した。もちろん、住宅価格が高くなっているため、売りやすい市場になっていることもあるが、どうやらそれだけではないようなのだ。

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

次に特徴的なのが、「将来的に売却を検討している」層が増えたことだ。「永住意向」が44%と半数近くを占めるものの、売却を検討したり、賃借を検討している層が合わせて38%になっている。購入、建築を検討しているときから、いずれキャッシュ化しようと考えている人が増えているわけだ。

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)※2021年以前は調査なし

では、そう考えている人たちが、売却や賃貸に出すタイミングをどう考えているのだろう?
「土地や不動産の価格が上がったら」、「家が老朽化したと感じたら」、「他に欲しい物件が出たら」といったタイミングを想定している人が増えた一方、「定年退職」などは減っている。

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)※2021年以前は調査なし

かつては、マイホームが老朽化したらリフォームして住み続け、家族構成の変化など状況が変わったときに売却するという流れだったが、近年は、価格が上がったり、欲しい物件が出たりしたタイミングや、老朽化でリフォームをする前のタイミングで、売却するという考え方に変わっているようだ。

住宅購入を取り巻く環境にも変化が生じているが、住宅を購入、建築する消費者側の意識にも変化が生じている。住み続けることにこだわらず「柔軟に住み替える」スタイルが広がりつつあるので、住宅の流通市場をより整備して、売り買いのしやすい環境をつくっていくことが求められるだろう。

●関連サイト
リクルート「『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)」

実家じまい、母の民芸コレクション数千点の譲渡会を父が設計した自宅で開催。新しい物語を次世代につなぐ 二部桜子さん

多くの人が気になる「実家の片づけ」。挿花家でエッセイストの母と建築家の父のもとに生まれた料理家の二部桜子(にべ・さくらこ)さんは、両親が世界中で集めた膨大な民芸品などのコレクションを次世代につなごうと、実家を開放して譲渡会を実施。遠方からも人が訪れて盛況に! 実家じまいとしてはもちろん、自身の今後についても多くの気づきが得られたというその経験について、二部さんにお話を伺いました。

暮らしも注目された母・二部治身さん。世界を旅して集めた民芸品が大量に

コンクリート打ちっ放しの天井の高い建築。広大な空間を埋め尽くすように、おびただしい数の器や古道具が並ぶ。「ちょっとした骨董市の物量ですよね」と二部桜子さんも笑うが、一家庭のコレクションとは思えないスケールだ。

フリマ形式の譲渡会「Recollection - 回想の記録 -」の様子(画像提供/鮫島亜希子さん)

フリマ形式の譲渡会「Recollection – 回想の記録 -」の様子(画像提供/鮫島亜希子さん)

ここは桜子さんが育った東京都八王子市郊外の家。母である挿花家でエッセイストの二部治身(にべ・はるみ)さんは、建築家の夫・誠司(せいじ)さんとともに桜子さんと弟を育てながら、約100坪もの敷地で花と野菜をつくり、四季の草花を愛でてきた。「暮らし系」という言葉が生まれるずっと以前の80年代後半から、自然とともに生きる治身さんのライフスタイルは数々の女性誌や著作で紹介され、全国に多くのファンを生んだ。

二部桜子さん。アメリカの大学で美術を学んだのちアパレル企業に勤め日米を行き来する。2017年、東京都台東区蔵前に「SHUNNO KITCHEN」スタジオを開設し、旬の野菜を軸とした料理教室やケータリング、レシピ開発を行う(写真撮影/片山貴博)

二部桜子さん。アメリカの大学で美術を学んだのちアパレル企業に勤め日米を行き来する。2017年、東京都台東区蔵前に「SHUNNO KITCHEN」スタジオを開設し、旬の野菜を軸とした料理教室やケータリング、レシピ開発を行う(写真撮影/片山貴博)

「母は高校生のころから骨董を集めていたほど器や雑貨が大好き。タイへの新婚旅行を機にアジアの魅力に目覚め、さまざまな国を訪れては現地の民芸品を山のように持ち帰っていました」と桜子さんは振り返る。「アジアやアフリカの民芸品が持つ、素朴でどこか不完全な美しさが好きだったようです。父も収集癖があり、夫婦で好みも一致していたので、二人で競うようにものを集めていました」

生活道具のみならず、イスなどの家具や壺などもコレクションしていた(画像提供/鮫島亜希子さん)

生活道具のみならず、イスなどの家具や壺などもコレクションしていた(画像提供/鮫島亜希子さん)

アジアやアフリカのオブジェやマスクも(画像提供/鮫島亜希子さん)

アジアやアフリカのオブジェやマスクも(画像提供/鮫島亜希子さん)

治身さんが現役のころは雑誌などの撮影用小道具のリース業も少なかった時代。仕事に使えるようにと集めていた部分もある。1999年に建て替えられたこの家も、治身さんの仕事の撮影にも使えるようにと誠司さんが設計したもの。「だからデザイン性は高いんですけれど、底冷えするように寒かったり、段差が多かったり。敷地も広すぎて、高齢の夫婦が暮らすには厳しくて」

両親とも実家を手放して小さく暮らすことを検討していたが、2021年に誠司さんが他界してしまう。治身さんは桜子さん夫妻と暮らすことになり、いよいよ実家じまいを行うこととなった。

仲間の力を借りながら、楽しんで準備した自宅での譲渡会が大反響

そうして始まった二部家の実家じまいだが、当初は明らかに不要なものも膨大にあったという。
「まずは不要品を処分するのがいちばん大事だと思います。体力の必要な作業ですが、海外に住む弟も帰国時にやってくれました。とはいえあまりに物量が多かったので、この最初の段階ですべてを要・不要に分けたわけではないんです。判断に迷うグレーゾーンを残しつつも、明らかな不用品やゴミを処分できたことで気持ちにゆとりができ、友人にも手伝いに来てもらいやすくなりました」

残されたのは、大量の民芸コレクション。業者に買い取りを依頼することも頭をよぎったが、せっかくなら友人に譲りたいと桜子さんはひらめいた。「アパレル業が長かったこともあり、器やインテリアが好きな友人が多いんです。話してみたら“おもしろそう!”と言ってくれて」。そうしてまずは友人知人限定で、フリマ形式の譲渡会を行うことにした。

治身さんが高校時代から集めていたデッドストックの器たちも販売された(画像提供/鮫島亜希子さん)

治身さんが高校時代から集めていたデッドストックの器たちも販売された(画像提供/鮫島亜希子さん)

フリマで難しいのが値付けだろう。「母も値段までは覚えていなかったので、骨董屋さんに出かけて値ごろ感を確かめたり、画像検索で由来や価格を調べたり。通常の骨董品店よりはかなりお得な値段に設定しました」

友人の手も借りながら準備を進め、2022年8月と9月の4日間で「Recollection – 回想の記録 -」として譲渡会を実施。「告知はInstagramの個人アカウントのみで、友人とその友人のみの予約制に。中には影響力のある友人もいたので拡散力がすごくて」。予想以上の反響があり、約1500点が新たな持ち主のもとに旅立った。

世界各国からかごやザルを背負って持ち帰った治身さんは「かご長者」とあだ名されたほどのかご好き(画像提供/鮫島亜希子さん)

世界各国からかごやザルを背負って持ち帰った治身さんは「かご長者」とあだ名されたほどのかご好き(画像提供/鮫島亜希子さん)

好評を受けて、10・11月には一般客にも予約枠を開放することに。「リテールビジネス(BtoCのビジネス)に携わっている友人たちがいろいろアドバイスをくれて。当初は“この引き出しの中はいくら”みたいな値付けでしたが、知らない人への販売なら一つひとつ値段を書いたほうが会計がスムーズだよとか。”このコーナー売れ行きがよくないね”と友人がささっとディスプレイを直してくれたとたん、驚くほど売れたりも」

明治~昭和の和食器もセンスよくディスプレイして販売(画像提供/鮫島亜希子さん)

明治~昭和の和食器もセンスよくディスプレイして販売(画像提供/鮫島亜希子さん)

手伝ってくれた友人たちとはいつしか“実家フェス”の通称が定着。「”せっかくならお茶ができたらいいよね”と、友人が和室で抹茶を立てて、私のお菓子とお出ししたり。そうやって仲間とアイデアをふくらませるのが楽しかった」。まるで学園祭のような自由さをベースに、ビジネススキルと創造力を持ち寄って準備したこのイベントには、北海道や石川県など遠方も含めのべ数百人が訪れ、総計5000点ほどを譲渡できたという。

2023年10月には「Recollection-回想の記録-エピローグ」として、治身さんの著書のレシピを再現した食事会も実施。「譲渡会で、父が建てた建築をみなさんに見ていただけたのも嬉しかったんです。せっかくだから記録に残そうと、母の料理をつくって父と母が元気だった頃の二部家を再現して、友人である写真家の鮫島亜希子さんに撮ってもらいました」

和気あいあいと和やかな食事会の様子。このときのコレクションは"お気持ち"価格で譲渡し、ウクライナの動物支援団体に寄付も行った(画像提供/鮫島亜希子さん)

和気あいあいと和やかな食事会の様子。このときのコレクションは”お気持ち”価格で譲渡し、ウクライナの動物支援団体に寄付も行った(画像提供/鮫島亜希子さん)

顔の見える使い手へ譲る喜びが、愛したものを手放す寂しさを和らげる

業者の買い取りより手間や時間はかかっても、ものの行く末がわかるのが嬉しいと桜子さん。「友人のおうちに遊びに行ったら、うちで活躍していたものにまた出合えたり。おうちで使う様子をInstagramに上げてくれる人もいて、両親の愛したものたちの新しい物語が始まるのだと実感できました」

来場した友人たちが購入物をインスタにアップ。「みなさんのセレクトが見ていて楽しくて」と桜子さん(画像提供/左から、@hirokoinabaさん、@mamimori8さん)

来場した友人たちが購入物をインスタにアップ。「みなさんのセレクトが見ていて楽しくて」と桜子さん(画像提供/左から、@hirokoinabaさん、@mamimori8さん)

治身さんもイベントの様子に感激。「ものを手放すから、と悲しむ様子が全くなくて。自分のコレクションがお店みたいにキレイに並べられて“やっぱりこれ素敵よね”なんて喜んだり。自分が好きで手に入れたものを、みなさんが楽しそうに選んで譲り受けていく姿がすごく嬉しかったようで、いい親孝行ができました」

もちろん治身さん自身が手離したくない宝物はキープ。桜子さんも、手元で大切にしたいものたちを自宅やスタジオで愛用している。

水屋箪笥はクリーニングして、桜子さんの「SHUNNO KITCHEN」スタジオで愛用(写真撮影/片山貴博)

水屋箪笥はクリーニングして、桜子さんの「SHUNNO KITCHEN」スタジオで愛用(写真撮影/片山貴博)

風格あるベンチも実家からスタジオに。桜子さんの愛犬・アズキちゃんも心地よさそう(写真撮影/片山貴博)

風格あるベンチも実家からスタジオに。桜子さんの愛犬・アズキちゃんも心地よさそう(写真撮影/片山貴博)

古い実験用漏斗をランプシェードに。「たまたま訪れたアンティークショップで、こんなふうに漏斗を照明にしているのを発見。そのお店にお願いして照明にしてもらいました」(写真撮影/片山貴博)

古い実験用漏斗をランプシェードに。「たまたま訪れたアンティークショップで、こんなふうに漏斗を照明にしているのを発見。そのお店にお願いして照明にしてもらいました」(写真撮影/片山貴博)

買い手がつかなかったランプシェードもスタジオで活躍(写真撮影/片山貴博)

買い手がつかなかったランプシェードもスタジオで活躍(写真撮影/片山貴博)

これからの“もの”との付き合い方を考えるきっかけにも

二部家の実家じまいは、かなり特別なケースかもしれない。でも桜子さんのアイデアと行動力があったからこそ譲渡会は実現でき、成功につながった。「思いついたら後先考えず突っ走るタイプ。料理の仕事もずっとやりたいと言っていたけれど、この物件との運命的な出合いがあって、会社を辞めるより先に契約したことで現実化したんです。今回のイベントも、アイデアを周囲に伝えることで現実のものになりました」

窓の前に咲く満開の桜に、自分の名前との運命的な符合を感じて契約したスタジオ。「譲渡会で知り合った人たちが一緒に料理教室に来てくれたりと、嬉しいご縁も生まれています」(写真撮影/片山貴博)

窓の前に咲く満開の桜に、自分の名前との運命的な符合を感じて契約したスタジオ。「譲渡会で知り合った人たちが一緒に料理教室に来てくれたりと、嬉しいご縁も生まれています」(写真撮影/片山貴博)

周囲の人を巻き込んだのも成功の秘訣。
「一人では絶対に無理でした。最初に不要品処分を弟がやってくれたことが突破口になったし、アパレルの仕事の友人や、料理の仕事を通してつながった暮らしに関心の高い友人が助けてくれたからこそ実現しました」

また、今回のイベントを経験して学んだこともある。
「次の世代が使いたいと思える“いいもの”だからこそ譲ることができたんですよね。自分がものを選ぶ際にも、単に便利で安価だからというのではなく、次の世代にも引き継げるものを選ぶことが大切だと痛感しました」

両親が愛用していたハンス・J・ウェグナーデザインの「Yチェア」もそのひとつ。「実家で使い込まれて、かなり傷んでいたんですが、クリーニングに出したらいい味わいを残しつつきれいになって。いいものだからこそ、こうして修繕しながら長く使えるんですよね」

二部家のダイニングで活躍していたYチェア。脚ががたつき、ペーパーコードの座面もボロボロだったが家具のクリーニングに出して風格ある姿に(写真撮影/片山貴博)

二部家のダイニングで活躍していたYチェア。脚ががたつき、ペーパーコードの座面もボロボロだったが家具のクリーニングに出して風格ある姿に(写真撮影/片山貴博)

高齢になり、広すぎる家や多すぎるものの扱いに困っていた両親の姿を見て、年齢に応じてものとの付き合い方を見直す必要性にも気づいたという。
「70歳くらいになったら新たなライフステージの準備として、またフリマをやろうかと仲間と話しているんです。そのためにも“20年後、次の使い手に引き継げるか”を、もの選びの指針として大切にしていきたいです」

桜子さんが陶芸作家の久保田由貴さんと一緒に考案した器のセット。これも大切に使って次世代につなぎたいと考えているもの(写真撮影/片山貴博)

桜子さんが陶芸作家の久保田由貴さんと一緒に考案した器のセット。これも大切に使って次世代につなぎたいと考えているもの(写真撮影/片山貴博)

桜子さんのご両親が美しいと思えるものだけを集めていたからこそ、次の使い手につながるという幸せな展開は実現した。特別なケースだと思われがちな二部家の実家じまいだが、サステナビリティが重視される時代に、“次の使い手に引き継げるか”は、誰もが実践したいもの選びの基準と言えるだろう。また次の使い手へ引き継ぐための自宅フリマや譲渡会も、新しい実家じまいのアイデアとして参考になるはずだ。

●取材協力
「SHUNNO KITCHEN」主宰 二部桜子さん
Instagram

残価設定型の住宅ローンってどんなもの?メリットや注意点などをわかりやすく解説

パナソニックホームズが、一般社団法人移住・住みかえ支援機構が開発した長期優良住宅対象の残価設定型住宅ローンについて、楽天銀行との提携を経て、返済期間が最長40年の「楽天銀行オプション付加型残価設定住宅ローン」の取り扱いを開始すると公表した。残価設定の住宅ローンとは、一体どんなものなのだろう?

【今週の住活トピック】
楽天銀行と返済期間最長40年の残価設定型提携住宅ローン取り扱いを開始/パナソニック ホームズ

住宅ローンにおける残価設定のローンとは?

住宅ローンでは耳慣れないローンだが、カーローンではよく耳にする「残価設定型ローン」。車の購入の際に、あらかじめ将来の下取り価格を設定して、車両価格から下取り価格(残価)を差し引いた金額に対してローンを組む方法のことだ。

では、住宅版ではどうなるのか?
パナソニックホームズの残価設定型住宅ローンは、移住・住みかえ支援機構(以下「JTI」)が提供する「残価設定型住宅ローン」を利用するもので、通常の住宅ローンに、「返済額軽減オプション」と「買取オプション」という二つのオプションを付ける形になる。

大雑把に言うと、通常のローン返済をする途中で、あらかじめ決められたオプションが行使できる時点で、返済額は大幅に減るが終身でローン返済を続けるか、住宅ローンの残高と同額で買い取ってもらうかを選べる、といったものだ。残価設定時期などはJTIが決める。

したがって、JTIが大きな役割を果たすことになるので、JTIが残価設定型住宅ローンの仕組みを提供する背景について見ていこう。

JTIが残価設定型住宅ローンを提供する背景は?

JTIは国土交通省の支援を受けて設立した、持ち家を長く活用してもらうことを目的とした一般社団法人。シニア層が使わなくなった住宅を子育て世代に向けて転貸する「マイホーム借上げ制度」などを提供している。

2021年に住生活基本計画の見直しが行われた際に、「ライフスタイルに合わせた柔軟な住替えを可能とする既存住宅流通の活性化」のため、残価設定ローンを含む多様な金融商品を活用することが盛り込まれた。これを契機に、JTIが、維持管理体制の充実した事業者が施工する認定長期優良住宅について、将来の残価を保証する仕組みを開発した。これが、残価設定型住宅ローンだ。

したがって、残価設定型住宅ローン対象となるのは、国の認定を受けた「長期優良住宅」で、施行する事業者も指定されたハウスメーカーに限られるので、対象は一戸建てになる。また、取り扱いができる金融機関も、現時点で指定されているのは、日本住宅ローン、三菱UFJ銀行、楽天銀行だ。

※長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅。長期に使用するための構造及び設備を有していること、維持保全の期間や方法を定めていることなどが求められる。

残価設定型住宅ローンの仕組みをもっと詳しく

残価設定型住宅ローンについて、下の概念図でもう少し詳しく見ていこう。

例えばJTIが残価設定月を20年後に設定した場合、通常の住宅ローンの返済をしていくが、30歳で借りて50歳で残価設定月に達したら、リバースモーゲージ(死亡時に担保不動産を処分して残債を返済する住宅ローン)の仕組みを使った「返済額軽減オプション」を選ぶ(左側)か、その時点のローン残高の額で買い取ってもらう「買取オプション」を選ぶ。また、「返済額軽減オプション」を選んだ場合でも、途中で「買取オプション」を行使することもできる(右側)。

出典:パナソニック ホームズのリリースより

出典:パナソニック ホームズのリリースより

まず、「返済額軽減オプション」について見ていこう。「1」では通常の住宅ローンの返済となるが、残価設定月以降にオプションを行使すると、元金の返済額をJTIの保証する残価に合わせることで返済額を大幅に軽減する「新型リバースモーゲージ」に切り替わる。借り入れから50年経つと元金の返済がなくなり、51年目以降は利息のみの返済となる。そのため、「2」、「3」と段階的に返済額が減る形になる。

次に、「買取オプション」について。残価設定月に行使した場合は、その時点の住宅ローン残高と同額で、また返済額軽減オプション選択後に行使した場合は、新型リバースモーゲージの残高と同額で、JTIが買い取る形となる。

残価設定型住宅ローンのメリットやデメリットは?

残価設定型住宅ローンのメリットは、長期間返済する中でいくつかのリスクを回避できることにある。例えば定年後に想定したよりも収入が減ってしまった場合でも、「返済額軽減オプション」によって、返済額を抑えることができる。

また、一定期間住んでから売却しようとしたとき、住宅市況が悪化して売却額では住宅ローンの残債を返せないといったときでも、残債と同額で売却できるので、ローンから解放される。住宅市況が良好で高く売れるときは、自身で売却した額で住宅ローンを完済すればよい。

このように、住宅ローンによって自由な住替えを妨げられることがなくなるのだが、注意点もある。

「返済額軽減オプション」を行使した場合、当初の住宅ローンに付帯した団体信用生命保険は終了し、以降は団体信用生命保険に加入できない。また、終身で返済することになり、当初の住宅ローンよりも利息を多く払う場合もある。

なお、認定長期優良住宅は、長期使用ができるように認定計画に沿ったメンテナンスを継続的に行うことが求められる。そのため、一般的な住宅よりも点検や補修費用などがかかってしまうことも、理解しておきたい。

社会的に見ると、残価設定型住宅ローンを利用した住宅は、いずれのオプションでも、最終的にはJTIに帰属するので、良質な住宅が空き家になることはない。こうしたメリットもある残価設定型住宅ローンだが、利用できる住宅(事業者)や金融機関が限られるので、どの住宅でも利用できるわけではない。とはいえ、ローンを利用する側にとって、多様な選択肢の一つになるので、こうした住宅ローンがあることを知っておいてほしい。

●関連サイト
パナソニック ホームズ「楽天銀行と返済期間最長40年の残価設定型提携住宅ローン取り扱いを開始」
移住・住みかえ支援機構「残価設定型住宅ローン利用者フォーラム」

内窓DIYで室温10度も断熱できる省エネ対策。ホームセンターで買えるお手軽キットでも可能

「夏暑く、冬寒い」「結露ができて不快」、こうした住まいの問題を解決するには、どうやら「窓」の改修がいいらしい、ということが知られるようになりました。とはいえ、どのくらい効果があるの?DIYで手軽にできない?などの疑問はつきないはず。そうした疑問や悩みを解消してくれる「断熱改修はじめの一歩」ワークショップが長野県で開催されました。子どもも参加OK、ホームセンターで買える簡易的な内窓キットと最低限の工具だけを使って内窓のDIYをしよう! という一見お手軽な内容にも関わらず完成した内窓をつけたところ、なんと10度も表面の温度差が生まれるという驚きの結果に。その様子をレポートします。

内窓をDIYで自作してみたい!長野県全域から希望者殺到!

「断熱改修はじめの一歩」という講演会とDIYワークショップが開催されたのは、長野県上田市。二部構成で、一部は断熱推進イニシアチブ合同会社の木下史朗さんによる講演、現役の建具職人でもある有限会社クボケイの窪田智文さんのミニレクチャー、二部は市販されている内窓キットを使ってのDIYワークショップというもの。主催は長野県上田地域振興局で、運営にあたるのがNPO法人上田市民エネルギーです。

近年、内窓をDIYで作成できる「内窓キット」がホームセンターなどで購入できるようになっています。今回のワークショップではこの「内窓キット」を用いて、建具職人を講師に招いて、内窓を実際につくるという試みです。ちなみに、必要な道具は差し金や鉛筆、カッターなどの身近なものばかり。DIYの心得がなくとも誰でもできるといいます。

一部の講演会には上田市在住の方だけでなく、長野県内各地から約60名が参加し、二部のワークショップの定員20名はわずか数日で満員になったとか。想像以上の関心の高さに圧倒されますが、長野県上田市は冬の寒さはもちろん、夏はびっくりするほど暑くなるそう。

「全国的に暑かった2023年ですが、上田では全国最高の38.4度を記録したこともあるほど。とにかく夏は暑いんです。さらに冬は寒いため、二酸化炭素削減にも健康面でも、建物の省エネ性能向上が必須なんです」と話すのは上田市民エネルギーで理事長を務める藤川まゆみさん。

長野県はこうした自然の厳しさを背景に、住まいや建物の省エネルギー性向上を推進しており、上田高校や白馬高校など複数の県立高校で高校生が企画運営する断熱ワークショップを支援しています。また、こうした学生の断熱に関する取り組みがニュースになることも多く、それを見聞きした保護者をはじめ、一般世帯にも関心が広がっているようです。すばらしい流れですね。

■関連記事:
白馬村から雪が消える?! 長野五輪スキー会場も直面の気候変動問題、子ども達の行動で村も変化

断熱改修の初心者に向けて。講演会でしっかりと知識を身に付ける!

まず一部は「断熱改修はじめの一歩」と題して、断熱推進イニシアチブの木下史朗さんが、自宅のサーモグラフィ画像をあげつつ、自宅や軽井沢の高性能賃貸「六花荘」を建てたこと、軽井沢の空き家を性能向上リノベさせたエピソードを紹介。

木下さんが断熱に目覚めるきっかけとなった家の寒さ。室内だが窓枠の表面温度は1度(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

木下さんが断熱に目覚めるきっかけとなった家の寒さ。室内だが窓枠の表面温度は1度(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

高性能賃貸「六花荘」をサーモグラフィカメラで撮影。もっとも冷たいのは牛乳。室温は20度程度に保たれており、裸足でも大丈夫な暖かさに(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

高性能賃貸「六花荘」をサーモグラフィカメラで撮影。もっとも冷たいのは牛乳。室温は20度程度に保たれており、裸足でも大丈夫な暖かさに(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

木下さんが実際に性能向上リノベをした物件。改修前はUa値0.94でしたが改修後は Ua値0.28と大幅に性能向上(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

木下さんが実際に性能向上リノベをした物件。改修前はUa値0.94でしたが改修後は Ua値0.28と大幅に性能向上(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

加えて、日本の既存住宅のうち、1999年の省エネ基準(2025年義務化予定)に達しているのがわずか1割程度しかないこと、建築物が断熱されていないため多くのエネルギーを無駄にしていること、断熱性能をあげるにはまず「窓」が大切であることを説明していきます。実体験+データを交えての話はリアリティがあるうえ、建築士ではなく、ひとりの住まい手としての体験から得た話となっており、非常にわかりやすいものとなっていました。

また、現在は「先進的窓リノベ事業」「長期優良住宅リフォーム推進事業」「信州健康ゼロエネ住宅(リフォーム)」といった助成制度があること、省エネ性能が高いものほど補助額が高いこと、今ある窓の内側にもう一枚窓をつくる工法、今ある窓枠を壊さず新しい窓に交換する工法があることなども紹介されていました。

上田高校の断熱改修ワークショップの施工前

上田高校の断熱改修ワークショップの施工前と施工後(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

上田高校の断熱改修ワークショップの施工前と施工後(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

断熱材を入れたところはオレンジで15度になっているが、入っていないところは紫色で7.6度。表面の温度差7.4度!(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

断熱材を入れたところはオレンジで15度になっているが、入っていないところは紫色で7.6度。表面の温度差7.4度!(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

参加者には子育て世帯が多いのかと思いきや、年配世代も多数参加していました。築年数が経過した住まいは無断熱、または断熱性の低い住まいが多いので、当たり前といえば当たり前かもしれません。講演のあとには、断熱材の主な材質とその特徴の違いについての質問が飛び出すなど、講演者・参加者のみなさんの本気度合いに圧倒されます。

建具職人によるDIYのコツ。成否の鍵を握るのは採寸と裁断

その後、二部でも登場する現役の建具職人・窪田智文さんが登壇し、ホームセンターで販売されている内窓キットを使って内窓を作成するコツを話してくれました。窪田さんは2012年の技能五輪全国大会家具部門で銅メダルに輝き、現在でも建具と家具を担当する現役の建具職人です。今までも上田高校などの断熱ワークショップを手伝っているそうですが、地元にこうしたトップクラスの職人さんがいて、協力を得られるのは大変貴重です。

窪田さんによるDIYのミニレクチャー。みなさん熱心にメモをとっていらっしゃいます(写真撮影/嘉屋恭子)

窪田さんによるDIYのミニレクチャー。みなさん熱心にメモをとっていらっしゃいます(写真撮影/嘉屋恭子)

窪田さんによると、ホームセンターでも内窓のDIYキットの取り扱いは増えているとのこと。DIYキットの内容は(1)窓枠に貼るレール、(2)サッシにあたるフレームのセットで、価格は2000~4000円程度。これに加えて、窓ガラスに相当するポリカーボネートを購入し、1窓約1万円程度でできるそう。

既存の窓に加えて、内窓を1枚つけると空気層ができます。空気は熱を伝えにくい性質をもっているため、冬は暖かく、夏は涼しくなる、これが内窓での断熱性が向上する理由です。
内窓のDIYを成功させるにはいくつかコツがあるそうですが、要約すると以下になります。

(1)既存の窓枠をしっかり採寸する
・定規はしっかりした材質で、まっすぐ良いものを使う
・レーザー計測器もあるが、自分でもしっかり確認を
・幅や高さだけでなく、真ん中の高さ、斜めもしっかり測る
(築年数が経過した物件はたわんでいることがあるため、たわんでいたら要補正)

(2)窓にあたるポリカーボネート板をまっすぐ裁断する
・ポリカーボネート板を、計測したサイズどおりに、まっすぐ切ること
・一度に切ろうとするのではなく、表面に筋をつけていき、徐々に裁ち落とす
・自分で切るのが難しい人はホームセンターのカットコーナーで依頼するとよい(ホームセンターにもよるが、1カット100円以内)

また、窓が大きいほど採寸・裁断が難しくなるため、まずは小さな窓からはじめてみて、成功したら次の窓をすすめるとよい、とアドバイスしていました。

温度差10度! 部屋の体感はぐっと暖かくなった

そしていよいよ二部のワークショップへ。今回は上田地域振興局が入る上田合同庁舎3階の会議室の内窓合計14枚を作り、その後も使っていく計画です。市民参加で公共建築物の断熱性が向上できるのは、とても有意義な取り組みですよね。何しろ(1)ワークショップの場として活用でき、(2)設計施工費用を抑えることができる、(3)建物の省エネ性能が高まる、(4)内窓を知らなかった人も目にすることができ、興味が湧く、など一石四鳥にもなるからです。

講師となる窪田さんに加え、木下さん、小さなお子さんはもちろん、高校生、大人など幅広い世代の参加者がいっしょに作業をしていきます。まずは安全のためにラジオ体操を行いますが、同じ空間で体操をするとぐっと気持ちの距離が縮まり、和やかな雰囲気になります。

また、SUUMOジャーナル編集部員も人生初のDIY体験で参加しましたが、「取材じゃなければ、人生で一度もDIYをしないと思う」というタイプだそう。興味はあるものの、なかなか腰が重い。これは、多くの人が同じ気持ちになるのではないでしょうか。

そんなDIYスキルも事情も異なる参加者が力を合わせ、完成したのが14枚の内窓です。まずは完成したところからご覧ください。下の写真でいうと、右の白枠が設置した内窓、左の結露しているのが既存の窓です。

窓にさわって温度の違い感じるお子さん。既存の窓は冷たく結露していますが、内窓はひんやりとせず温かい!(写真撮影/嘉屋恭子)

窓にさわって温度の違い感じるお子さん。既存の窓は冷たく結露していますが、内窓はひんやりとせず温かい!(写真撮影/嘉屋恭子)

完成した14枚の内窓をはめこんだ様子。内窓と既存の窓、その表面温度差10度にも(写真撮影/嘉屋恭子)

完成した14枚の内窓をはめこんだ様子。内窓と既存の窓、その表面温度差10度にも(写真撮影/嘉屋恭子)

内窓をつけたところ。サーモグラフィカメラで撮影すると17度と温かくなっています(写真撮影/嘉屋恭子)

内窓をつけたところ。サーモグラフィカメラで撮影すると17度と温かくなっています(写真撮影/嘉屋恭子)

既存窓を撮影するとなんと7度。そばによるとひんやりとした冷気を感じます(写真撮影/嘉屋恭子)

既存窓を撮影するとなんと7度。そばによるとひんやりとした冷気を感じます(写真撮影/嘉屋恭子)

取材日は最高気温5度、外はみぞれ交じりの天気でしたが、内窓はつけるとその表面温度は17度に。手のひらでさわるとより温かさを実感します。約2時間でここまででき、さらに直後で冷やされていないとはいえ表面温度にこんな変化があるとは。まさに感動!のひとことです。

内窓DIYするなら、ホームセンターのカットサービスを活用すると簡単に!

ここであらためて、どのようなプロセスで進められていったのか紹介します。

<使う道具>
内窓キット 14枚分
ポリカーボネート板 14枚分
軍手、差し金、鉛筆、カッターなど

<ワークショップの流れ>
(1)窓レールにあたるパーツの切り落とし
(2)窓レールにあたるパーツを貼る
(3)フレームパーツを切り落とし
(4)ポリカーボネート板を切り落とす
(5)フレームをはめ、フィルムを剥がす
(6)完成した窓を窓枠にはめる

こうしてみると、特別な道具は使わず、材料を切断して貼ったり、枠にはめていったりと、難しい作業はしていません。ただ、やっぱりそこは初対面の人との共同作業になるので、談笑しつつ手探りで作業を進めていきます。

(1)指示にしたがって窓枠になるパーツを指定のサイズに裁ち落とす(写真撮影/嘉屋恭子)

(1)指示にしたがって窓枠になるパーツを指定のサイズに裁ち落とす(写真撮影/嘉屋恭子)

(2)カットした窓枠を両面テープで貼って固定しているところ(写真撮影/嘉屋恭子)

(2)カットした窓枠を両面テープで貼って固定しているところ(写真撮影/嘉屋恭子)

既存の窓枠の手前、白い樹脂が貼り付けた内窓のレール部分になります(写真撮影/嘉屋恭子)

既存の窓枠の手前、白い樹脂が貼り付けた内窓のレール部分になります(写真撮影/嘉屋恭子)

(4)ポリカーボネート板を規定のサイズに裁断していきます(写真撮影/嘉屋恭子)

(4)ポリカーボネート板を規定のサイズに裁断していきます(写真撮影/嘉屋恭子)

カットできたポリカーボネート板にフレームをはめこんでいきます(写真撮影/嘉屋恭子)

カットできたポリカーボネート板にフレームをはめこんでいきます(写真撮影/嘉屋恭子)

最後にフィルムを剥がして完成(写真撮影/嘉屋恭子)

最後にフィルムを剥がして完成(写真撮影/嘉屋恭子)

白いフレームがDIYで作った内窓です。1面ですが、達成感と充実感が湧き上がります(写真撮影/嘉屋恭子)

白いフレームがDIYで作った内窓です。1面ですが、達成感と充実感が湧き上がります(写真撮影/嘉屋恭子)

参加されたみなさんに感想を聞きましたが、「実際にできるか不安だったが、楽しかった」「プロの技がすごいなと思った」などの感想が。なかには「DIYはあきらめてプロに依頼しようと思いました」「ホームセンターで切断してもらって、はめるだけならできるかも」との声も。確かにホームセンターで「裁断」までしてもらえていれば、ぐっと家庭でも取り入れやすいと思いました。

筆者は窪田さんのキズをつけないコツ、四隅のサイズを少しずつ調整していく仕事の確かさ、身のこなしなどが印象に残りました。なかなか見られない建具職人の仕事ぶりは、まさに眼福です。

さらに今回、DIY初体験だった編集部員はDIYに開眼したらしく、黙々とポリカーボネート板を切り落としていました。「無心になれていい。モノをつくる達成感がふつふつと湧いてくる」とのこと。DIYは無縁と思っていても、目の前で一つの形になっていく、クリエイトする喜びはやっぱり人の心に訴えかけるものがあるようです。

主催した長野県上田地域振興局環境課の上原さんによると、企画の背景を「地球温暖化対策として、やはり窓がよいということを聞いて、今回のワークショップを企画しました。想像以上に反響があり、関心の高さを実感しました。また、実際に手を動かすなかで得られたものは大きいですし、何よりみなさん進むとにこにこしてらして。身近なところから環境負荷を減らすとともに、住まいが快適になればうれしいですね」と話していました。

今回の講演とワークショップ、大きな反響もあったようなので今後、上田だけでなく、長野県全域に広がっていくかもしれません。こうした「断熱改修」の流れが、日本全国の津々浦々に広がっていったらいいのに、そう願わずにはいられません。

●取材協力
・長野県上田地域振興局環境課
・NPO法人上田市民エネルギー
・断熱推進イニシアチブ
・有限会社クボケイ

2023年の一戸建て市場を総括。新築の一戸建ての価格は上昇するも面積は縮小気味?

前回(「2023年のマンション市場を総括。新築・中古マンションの価格推移と供給戸数を徹底解説!」)に続き、2023年の住宅市場を総括したい。今回は、東京カンテイが公表した「マンション・一戸建て住宅データ白書 2023」から、三大都市圏の新築・中古一戸建て市場ついて見ていくことにしよう。

【今週の住活トピック】
「一戸建て住宅データ白書 2023」を公表/東京カンテイ

2023年三大都市圏の新築・中古一戸建ての平均価格は総じて前年より上昇

新築マンションの価格高騰が指摘され、中古マンションの価格も新築に誘導されるように上昇している。上昇に鈍化傾向が見られるが、手が届きにくい状況となっている。では、一戸建ての市場はどうなっているのだろう?
東京カンテイが公表した新築・中古一戸建てデータで、三大都市圏の状況を見ていこう。

東京カンテイ「一戸建て住宅データ白書2023」

東京カンテイ「一戸建て住宅データ白書2023」

まず、2023年の首都圏の新築一戸建ての平均価格は4769万円で前年より5.4%上昇した。「2015年の調査開始以来最高額を3年連続で更新した」という。近畿圏でも前年より3.8%アップして3680万円になり、こちらも上昇が続いている。また、中部圏でも前年より0.6%アップの3417万円となり、「調査開始以降8年連続で上昇している」という。

三大都市圏ともに新築一戸建ての平均価格は上昇を続けているが、前年と比べると上昇率は縮小しているのが特徴だ。また、価格の上昇に対して、土地面積や建物面積の平均は、わずかながら縮小する傾向が見られる。

次に、中古一戸建てに目を向けよう。2023年の首都圏の中古一戸建ての平均価格は4016万円で、前年より2.5%上昇した。近畿圏では2589万円(前年2.8%上昇)、中部圏では2447万円(2.3%上昇)と、新築一戸建て同様に、三大都市圏ともに価格は上昇している。ただし、前年からの上昇率については、首都圏では大幅に縮小(10.2%→2.5%)、近畿圏では縮小(5.3%→2.8%)、中部圏では拡大(1.4%→2.3%)と、動きがそれぞれ異なっている。

一方、三大都市圏ともに中古一戸建ての平均価格は上昇を続けているが、平均の土地面積や建物面積は拡大している。新築一戸建てが面積を小さくしているのとは、逆の動きだ。

新築一戸建ての建物面積は100平方メートル未満のシェアが増加

一戸建ての面積について、さらに詳しく見ていこう。首都圏の例となるが、建物面積の面積帯シェアの推移を見よう。

東京カンテイ「一戸建て住宅データ白書2023」(首都圏)

東京カンテイ「一戸建て住宅データ白書2023」(首都圏)

首都圏の建物面積帯を見ると、新築一戸建てで100平方メートル未満(80平米未満・80平米台・90平米台)のシェアが増えているのが顕著で、近畿圏でも中部圏でも、面積の小さな一戸建てのシェアが拡大する同様の傾向が見られる。

一方、中古一戸建てでは、面積帯の推移に新築ほどの大きな変化は見られないが、建物面積120平方メートル以上のシェアが増えているのが特徴。この点も、近畿圏や中部圏で同様の傾向が見られる。広い一戸建てを探すなら、中古一戸建ての方が見つけやすいという状況のようだ。

新築一戸建てで面積が小さくなるのは、新築特有の要因がある。例えば、分譲事業者が広めの一戸建ての土地を取得した場合に、2区画や3区画などと区分けして、小さな一戸建てを建てて売るからだ。首都圏の新築一戸建てで顕著なのだが、土地面積で「50平米以上80平米未満」と「80平米以上100平米未満」のシェアが大きく拡大していることから、そうしたことがうかがえる。土地の仕入れ値が上がり、コンパクトにして購入希望者の買いやすい価格に抑える傾向が見て取れる。

一戸建てはマンションに比べて市場は安定している!?

最後に、2023年の一戸建ての市場をマンション市場と比較して見ていこう。東京カンテイでは、参考資料(マンションデータがまだ確定していないため)として、三大都市圏の2023年のマンション市場の結果も紹介している。

東京カンテイ「一戸建て住宅データ白書2023」

東京カンテイ「一戸建て住宅データ白書2023」

マンション、特に新築マンションを見ると、価格の上昇レベルでかなりばらつきがある。新築マンションの供給戸数が近年減少しているため、例えば東京23区で高額で大規模な新築マンションが売り出されると、その影響で平均価格を強く押し上げるといった現象が起きている。価格が乱高下しているわけではなく、国内外から居住・投資目的で需要がある特定エリアでの価格上昇が顕著なのだ。

一方、一戸建ては、投資目的の需要はあまりないので、供給戸数や価格は比較的安定している。それでも新築・中古ともに価格が上昇しているマンションから、面積の広い一戸建てを志向する傾向もあり、価格が上昇気味という状況と見てよいだろう。

なお、東京カンテイによると、新築マンションの供給エリアは変わらずに駅近での供給が多く、新築一戸建ては首都圏と中部圏で駅徒歩10分から15分へと変化する状況が見られたという。これは最寄駅からの距離へのこだわりがマンションのように強くはなく、一戸建てならではの住環境の立地で供給をしているからだと指摘している。なお、「近畿圏は駅間が短く最寄駅からの所要時間が相対的に近くなる圏域」という特徴があるという。

さて、2023年の住宅市況はおおむね好調で、価格の上昇傾向が続いている。とはいえ、富裕層や投資目的の需要が価格上昇を受け入れていることから、価格が大きく変動するマンションとは異なり、一戸建ての価格上昇は上昇率が縮小するなど、落ち着きを見せつつある。ただし、新築一戸建てについては、価格上昇を面積の縮小で軽減する傾向も見られる。

2024年から新築住宅は省エネ基準適合住宅でないと住宅ローン控除が適用されないなど、省エネ性能を強化する動きもある。2024年4月からは、広告する際に省エネ性能ラベルを表示することが努力義務になるので、一戸建てを選ぶ際にも省エネ性能のレベルに注目してほしい。

●関連サイト
東京カンテイ「Kantei eye 118(マンション化率/マンション・一戸建て住宅データ白書)」

省エネ先進県・鳥取、中古住宅の省エネ性能を資産価値として評価! 「築22年以上の住宅も価値がゼロにならない」評価法を来年4月スタート

住宅は築22年以上になると価値がゼロになる――。そんな古い慣習を日本からなくしてしまうかも知れない委員会が今、鳥取県で開かれています。その名は「鳥取県版住宅性能等評価指針策定検討委員会」。高気密・高断熱の住宅価値が高まる評価プログラムづくりを目的にしたもので、別に古い慣習を打ち破ってやろうという、血気盛んな人々の集まりではありません。鳥取県が、県民の豊かで健康な暮らしのために、設置した委員会です。

始まりは国の基準より高い高断熱・高気密の住宅促進から

同委員会を紹介する前に、まずは鳥取県がこれまでに取り組んできた住宅に関する施策について説明しておく必要があります。

令和2年(2020年)から、鳥取県は「とっとり健康省エネ住宅普及促進事業」をスタートさせました。独自に国の基準より高い、家の「断熱」と「気密」の性能基準「NE-ST」を設け、NE-STを満たす家づくりを推奨・助成するという事業です。

■関連記事:
「日本の省エネ基準では健康的に過ごせない」!? 山形と鳥取が断熱性能に力を入れる理由

ちなみに「寒い北海道や東北地方でもない鳥取県がなぜそこまで?」と思う人もいるかもしれませんが、同県のシンボルである大山(だいせん)にスキー場があるように、冬になれば雪が積もる地域です。そして2014年時点(※)では、冬季の死亡増加率割合が全国の都道府県でワースト16位だったのです。

※慶応大学の伊香賀教授が、厚生労働省の2014年人口動態統計に基づいて月平均死亡者数を比較し、冬季(12月~3月)死亡増加率を算出(出典/慶應義塾大学 伊香賀研究室提供資料)

だいせんホワイトリゾート(写真/PIXTA)

だいせんホワイトリゾート(写真/PIXTA)

死因のすべてが、冬に多いヒートショックによって引き起こされる心疾患や脳血管疾患等とはいいませんが、少なくとも家の断熱・気密性能を高めれば、こうした疾患を防ぎやすくなります。

こうして始まった新築住宅へのNE-STの認定制度。「国の基準より高い」と述べましたが、ではどれくらい高いのかというと、下記表のとおりです。

(出典/鳥取県庁公式ホームページ「とりネット」)

(出典/鳥取県庁公式ホームページ「とりネット」)

※断熱性能(UA値):建物内の熱が外部に逃げる割合を示す指標。値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネ性能が高い
※気密性能(C値):建物の床面積当たりの隙間面積を示す指標。値が小さいほど気密性が高い
※ZEHは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略。断熱化による省エネと太陽光発電などの創エネにより、年間の一次消費エネルギー量の収支をプラスマイナス「ゼロ」にする住宅をいう

令和2年7月からNE-ST認定住宅の助成が始まりましたが、鳥取県住宅政策課企画担当の槇原章二さんによれば「初年度である令和2年(2020年)度は、新築の木造一戸建てにおけるNE-ST認定住宅の割合は約14%でした。それが令和4年度(2022年4月~2023年3月)には約31%まで伸びています」。つまり、施主の3人に1人はNE-STを建てたことになります。

またNE-STを建てるには県に登録された工務店等に依頼しなければなりませんが、「現在は県内の住宅供給者の約8割がNE-STの登録事業者です」(槇原さん)。要するに、認定されていない事業者を探すほうが難しいほどになっています。

新築だけでなく既存住宅に対しても認定&補助金制度を拡充

もちろん、住宅は新築ばかりではありません。既存住宅に対してもNE-ST同様の高断熱・高気密化のリフォームを促す「とっとり健康省エネ住宅改修支援事業補助金」制度が令和4年(2022年)7月から始まりました。

こちらは、上記「NE-ST」の「T-G1」基準同等の断熱リフォームを行った既存住宅を「Re NE-ST」認定住宅として助成するだけでなく、住宅の一部のみ「T-G1」基準同等の断熱リフォーム(ゾーン改修)を施したり、国の省エネ基準をクリアする断熱リフォーム(国省エネ基準改修)を行った場合のみでも、県が助成してくれる制度です。

工事費および補助金額の高い順に“「Re NE-ST」>ゾーン改修>国省エネ基準改修”となる(出典/鳥取県庁住宅政策課)

工事費および補助金額の高い順に“「Re NE-ST」>ゾーン改修>国省エネ基準改修”となる(出典/鳥取県庁住宅政策課)

「住宅全体をRe NE-ST基準まで引き上げるには、やはり家全体を改修すると費用がそれなりにかかります。そこで、予算やライフスタイルに応じた省エネ改修がしやすいようにしました」(槇原さん)

例えば「子育てを終えて今は夫婦2人で暮らしているので、2階はあまり使っていない」といった場合などは、老後の快適な暮らしを考えて、普段生活をする1階だけRe NE-ST基準まで改修して費用を抑える「ゾーン改修」を選ぶことができます。

さらに賃貸住宅についても、NE-STの基準を満たせば、新築・改修を問わず賃貸住宅のオーナーに対して助成が施されます。

「健康的な暮らし」の好サイクルを「古い慣習」が阻んでいた!?

確かに、こうやっていけば鳥取県民が豊かで健康的に暮らせそうです。とはいっても、新築でもリフォームでも、性能の高い家を建てようとするとそれなりに費用はかさみます。施主にとっては、この先の暮らしに“投資”することになります。

ところが現状の建物の評価方法では、木造住宅の場合、築22年で価値がゼロになってしまいます。税法上の木造住宅の減価償却年数が22年なのですが、この数字が建物の評価にも慣習的に使われるようになったためだといわれています。

つまり、せっかくお金をかけて快適な自宅を建てた(あるいはリフォームした)としても、22年たてば何もしていない住宅と価値が同じだと評価されてしまうのです。これでは費用のかかるNE-STを建てたり、Re NE-ST改修を行おうという意欲を削ぎかねません。

「従来の建物の評価方法は、築年数と床面積で評価され、性能や改修が評価されにくかったのですが、例えばアメリカでは、改修などの投資が資産価値に反映されます。」(槇原さん)

国土交通省「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル平成25年度報告書」より。アメリカでは住宅投資額の累計(グラフの赤い折れ線グラフ)と住宅資産額(青い棒グラフ)が比例しているのに対し、日本では比例していないことが一目瞭然。アメリカと日本の差額を国土交通省は「失われた500兆円」と表現している(出典/国土交通省「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル 平成25年度報告書(案)」)

国土交通省「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル平成25年度報告書」より。アメリカでは住宅投資額の累計(グラフの赤い折れ線グラフ)と住宅資産額(青い棒グラフ)が比例しているのに対し、日本では比例していないことが一目瞭然。アメリカと日本の差額を国土交通省は「失われた500兆円」と表現している(出典/国土交通省「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル 平成25年度報告書(案)」)

上記の国土交通省がまとめた報告書「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル平成25年度報告書」の資料では、アメリカでは「大規模なリフォーム投資も住宅投資・資産額に反映」されているのに対し、日本はリフォームしてもそれが「住宅投資・資産額に織り込まれ難い」と指摘しています。

「これでは、何をやっても築22年で価値がゼロになる住宅を建てるために、多くの人が35年ローンを組んでいることになってしまいます」(槇原さん)

費用をかけただけ住宅の価値を高める「鳥取県版評価法」

NE-ST/Re NE-STを推進したい鳥取県としては、こうした現状の評価方法を何とか変えられないかと考えるのは当然の流れ。そこで集められたのが冒頭の、「鳥取県版住宅性能等評価指針策定検討委員会」というわけです。

(写真提供/鳥取県)

(写真提供/鳥取県)

委員長には、NE-ST基準の設定以来携わっている慶応義塾大学の伊香賀俊治教授が就任。また優良住宅部品(BL部品)認定事業や、住宅の部品・部材等の評価・試験などを行っているベターリビング住宅・建築評価センターの斉藤卓三氏といった面々が加わっています。

なかでも注目したいのは、鳥取県宅地建物取引業協会長の長谷川義明氏と全日本不動産協会鳥取県本部長の細砂修二氏というように、実際に住宅の売買を担う不動産業界の大手2団体からも参画を得ていることです。せっかく評価プログラムを作成しても、それを使ってもらわなければ意味がありません。その点、大手2団体が委員会として推進していく立場であることは、大きな意味を持っているといえます。

同委員会が鳥取県とともに目指すのは、下記のような独自の「鳥取県版評価法」です。

従来評価法と鳥取県版評価法の比較

鳥取県版では、従来は評価されにくかったリフォームや住宅の性能についても評価できるようにしようと考えている

上記表内にある「目標使用年数」とは、従来の減価償却年数に変わるものと捉えるとわかりやすいでしょう。例えば木造(木造軸組工法)の場合、旧耐震基準で建てられた住宅の躯体の目標使用年数を40年とし、新耐震基準なら50年、2000年耐震基準(※)なら60年、という具合に、耐震性の高い住宅は資産価値が高いことを示す「目標使用年数」を定めていくのです。

※2000年耐震基準とは、阪神・淡路大震災で多くの木造住宅が倒壊したことから、特に木造軸組工法に関して厳しい基準を設けた耐震基準のこと。現行の耐震基準とよく呼ばれている。

従来評価法と鳥取県版評価法の経年による評価の違いのイメージ

上記は、従来の評価法なら22年で価値がゼロになるが、新築時に性能の高い住宅を建てれば60年で価値がゼロになることを示す。またリフォームやインスペクション(建築士や住宅診断士などの専門家が、住宅の劣化レベルなどを診断すること)によってはさらに価値が長く残る(出典/鳥取県版住宅性能等評価指針策定検討委員会(第1回)資料)

上記は、従来の評価法なら22年で価値がゼロになるが、新築時に性能の高い住宅を建てれば60年で価値がゼロになることを示す。またリフォームやインスペクション(建築士や住宅診断士などの専門家が、住宅の劣化レベルなどを診断すること)によってはさらに価値が長く残る(出典/鳥取県版住宅性能等評価指針策定検討委員会(第1回)資料)

また上記を見れば、住宅の性能を高める投資(初期投資費用やリフォーム費用)を行うほど、資産の“延命”が図られることがわかると思います。

下記を見れば「お金をかけて性能・品質のよい家を建てると、資産価値が高まる」ことがよりイメージしやすいでしょう。

評価のイメージ(築12年の木造住宅(木造軸組工法)の場合)

上記表のように、水まわり設備や電気設備なども評価の対象だ。また台所設備に表の普及品より性能の高い高級品を備えていると、住宅の価値に反映される仕組みになっている(出典/鳥取県版住宅性能等評価指針策定検討委員会(第1回)資料)

上記表のように、水まわり設備や電気設備なども評価の対象だ。また台所設備に表の普及品より性能の高い高級品を備えていると、住宅の価値に反映される仕組みになっている(出典/鳥取県版住宅性能等評価指針策定検討委員会(第1回)資料)

上記表内の「残存年数」とは、「目標年数(目標使用年数)」から築年数を引いた数字になります。例に取り上げられているのは、2000年耐震基準で建てられた築12年の木造住宅ですから、目標使用年数60年-築年数12年=48年が「残存年数」となります。

また「グレード補正率」とは、グレードの高い装備の場合は価値が高いと評価されるようにした指標で、例えば表内では壁に普及品のビニルクロスが使用されているので、グレード補正率は100%ですが、高級な壁クロスの場合は割増しするなどして、その価値の高さが評価額に反映されるようになります。

ちなみに、実際にある住宅を鳥取県でシミュレーションしてみたところ、下記のように実勢価格と大きなズレはないものの、微妙な差がありました。

実勢価格との差額

いずれも仕様は中級品とし、リフォーム履歴はなしとしてシミュレーションした場合

この差額について槇原さんはこう話します。「実際に取引される価格は建物だけでなく、周囲環境など立地の条件や、これまでの販売実績などから建物価格が算出されるでしょから、鳥取県版評価法よりも高かったり、低かったりしているのだと思います」

別の見方をすれば、現状は築22年以上の建物の価値はゼロ、あとは立地と、ここならこれくらいで売れるだろうという、買い手と売り手の間に立つ不動産会社の“長年の経験値”から価値が決まっているということ。ですから売り手も買い手も、本当にこの金額が適正なのか、判断しようがありません。

しかし鳥取県版評価法を使うと、しっかりと建物の価値を売り手/買い手が理解した上で、立地条件を考慮して、両者も納得の、少なくとも売り手としてはわが家の価値を把握した上で売りに出すことができます。

今後の鳥取県版評価法を定める流れとしては、建築や不動産などの関係団体と鳥取県でコンソーシアムを組織し、実務者によるワーキングを開催して、そこで評価の指針や評価プログラムなどを詰めていきます。それを元に今度は先の委員会に諮り、最終的にコンソーシアムが定めていくというイメージです。

また、こうした鳥取県版評価法を実際に不動産会社に使ってもらえるよう、なるべく簡単に操作できる評価システムを用意しなければなりませんが、それは一般社団法人建物評価研究機構の「THK住宅査定システム」をベースに同機構と県及び関係団体の協働により製作します。

県民が健康に暮らすようになれば鳥取県は実入りが増える!?

こうして見てくると、鳥取県の取り組みは、国が行っても不思議ではない内容です。確かに県民のために性能の高い住宅を普及させたい、そのためには性能の高い住宅をきちんと評価できる仕組みが必要だ、というのはわかりますが、だからといって、なぜ鳥取県がここまで行うのでしょうか。

「まず1つは、NE-ST/Re NE-STが普及することで地場産業が活性化するため、県としては税収の増加につながります。リフォームでいうと、従来は100万~200万円のリフォーム費用が多いイメージでしたが、Re NE-ST認定住宅の平均工事費はだいたい2000万円くらいです。昨年から始まったばかりなので、まだ事例件数は10件ほどですが、こういった大規模なリフォームにより市場が拡大してきていることは大きいと思います」(槇原さん)

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

しかも、新築と比べてリフォームに携わる事業者は県内企業が多いので、より地場産業の活性化につながりやすいそうです。それに、高断熱・高気密の住宅で多くの県民が暮らせるようになれば、長い目でみると医療費の削減にも繋がるのではないでしょうか。

「また、空き家問題の解消にもなるのではないかと期待しています。現在は、子どもが成長して家を離れても、たいていは夫婦2人であまり使わない2階を抱えたまま、最後まで暮らします。なぜなら従来の評価方法では、たとえNE-ST認定住宅だったとしても思うような金額にならないので、移り住むことは難しいからです」(槇原さん)

しかし、鳥取県版評価法によって資産価値が高まれば、自宅の売却益を元手に老後の2人の生活に合った住宅に移り住むことができるかもしれません。

「一方の買い手としては、新築住宅はハードルが高いといった若い世代が考えられます。これから子育てなどでお金がかかるため、なるべく出費を抑えたい彼らが、NE-STの中古住宅の購入や、中古住宅を買ってRe NE-STするなら、と考えてくれるかもしれません」(槇原さん)

そんな風に、ライフステージに応じた住み替えが進んで行くのでは、と槇原さんは期待しています。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

「さらに、こうして住宅の寿命が延びることで、解体による廃棄物の抑制につながれば、SDGsでもあると思います」(槇原さん)

こうした鳥取県の取り組みに対し、既に全国の工務店などから問い合わせが多数あるそうです。「やはり性能の高い住宅をつくっている事業者は、自分たちの仕事をしっかりと評価してほしいと思っているのではないでしょうか」(槇原さん)

なかには「指針にはこんなことを盛り込んでほしい」など、メッセージを寄せる工務店もあるのだとか。これを機に各地で工務店レベルからのボトムアップが起これば、他県でも鳥取県同様の施策が行われるかもしれません。「他県で鳥取県版評価法を使いたい場合は、建物評価研究機構のシステムが使用できます」(槇原さん)。そうなれば、全国から「築22年以上だから価値はゼロになる」という古い慣習が消える日も近いのではないでしょうか。

鳥取県では来年の4月から鳥取県版評価法の運用を開始する予定。果たして古い慣習の消滅が始まるのでしょうか? 期待を込めて注目しましょう。

●取材協力
鳥取県
●関連サイト
鳥取県建築物環境総合性能評価システム「CASBEEとっとり」

中古住宅買取再販市場は2030年に22%増の5万戸へ。市場拡大の理由とは?買取再販物件の購入ポイントも解説!

矢野経済研究所が、国内の中古住宅買取再販市場の市場規模を調査し、将来展望を明らかにした。今後も市場は拡大基調で推移し、2030年には2022年比で22.0%増の5万戸になると予測している。買取再販物件が人気を博しているのはどういった理由なのだろう。

【今週の住活トピック】
「中古住宅買取再販市場に関する調査(2023年)」(2023年10月5日発表)を実施/株式会社矢野経済研究所

中古住宅買取再販市場は堅調に推移し、今後も拡大する見通し

「買取再販」とは、中古住宅を事業者が買い取って、リフォームやリノベーションを実施したうえで、事業者が売主となって再度販売するもの。株式会社矢野経済研究所が、こうした中古住宅買取再販の市場規模(成約戸数ベース)を調査した。

それによると、国内の中古住宅買取再販市場は、新築住宅価格が高止まりしていることもあり、新築と比較して相対的に割安な中古住宅の需要が増えていることから、2022年は堅調に推移しているという。2023年の中古住宅買取再販市場の規模は、前年比2.4%増の4万2000戸と予測。2030年には5万戸になると予測した。

同研究所は、市場が拡大する主な要因として、「住宅ローン金利で低金利を前提とした緩やかな上昇が見込まれること」や、「住宅取得時の税制優遇措置の継続」など、良好な住宅取得環境が継続する見通しであることを挙げた。買取再販物件への需要も堅調に増加し、中古住宅が在庫として増えていくことも拡大要因としている。

中古住宅買取再販市場規模推移と予測

中古住宅買取再販市場規模推移と予測(出典:矢野経済研究所「中古住宅買取再販市場に関する調査(2023年)」を参考に弊社でグラフ作成)

中古住宅の買取再販物件に需要が高まる理由は?

さて、新築住宅の価格が高騰して高止まりしているので、中古住宅の需要が高まるのは分かるが、中古住宅の中でも買取再販物件の需要が高まるのはなぜだろうか。

築年数の経過した「古い住宅」は、今の住宅より性能が低かったり、老朽化が進んでいたりするので、その分低価格になる。個人が買う場合は、性能を確認してどこをどうリフォームするのかすぐに判断するのが難しく、トータルでいくらかかるか分からないということがある。

一方、不動産会社などの事業者であれば、数多くの売買やリフォームの経験から、いくらで買ってどの程度のリフォームをしたうえで、いくらで売り出せば売れるか、すぐに判断することができる。また、リフォームする際には、多くの人が好むように、現在の新築住宅と同じような間取りや設備仕様で仕上げることが多い。

買う人にとっては、判断が難しい築年数の経過した中古住宅よりも、新築並みにリノベーションされた買取再販物件のほうが、手軽で費用が明確というメリットがある。自分でこだわりを持ってリフォームをしたいという人は別だが、リフォームにかかった費用もまとめて住宅ローンの対象となり、引き渡し後すぐに入居ができるなど、多くのメリットを感じる人もいるだろう。

中古住宅の買取再販物件は多様になっている

事業者側にとっても、大量発注してリフォーム工事の費用を抑えることができるので、利益を上乗せしても個人が買いやすい価格で売ることができる。とはいえ、1戸ずつ判断してリフォームしていくので、手間のかかるビジネスモデルではある。そのため、以前は、買取再販の専業事業者を中心に展開していた。

また、一戸建てはマンションに比べて、土地や住宅の形状、建て方などの個別性が高く、買取再販が難しいとされていた。例えば、「浴槽を取り外したらシロアリの食害で損傷していた」というような事例も多く、隠れた部分の損傷具合が表から見て分かりづらいという側面もあるからだ。そのため、マンションの買取再販専業事業者が多かったが、一戸建ての専業事業者も登場し、それに伴い買取再販物件も増えてきた。

最近では、デベロッパーやハウスメーカーなど新築に力を入れていた事業者が、買取再販事業に参入する事例が増えている。というのも、人口や世帯数が減少するなか新築住宅市場が縮小すると言われているうえ、既存の住宅をリノベーションすることは、建て替えて新築するよりもCO2の排出量や廃棄物を削減できるので、『脱炭素社会』や『SDGs』について寄与することができる、といった背景があるからだ。

その結果、一般的な古いマンションや一戸建てだけでなく、都心部の高額マンションや一戸建てなども買取再販の対象になり、多様な物件が市場に出る環境が整いつつある。

買取再販の中古住宅を選ぶ際の注意点

実際に住宅市場で物件を選ぶ際には、買取再販ではなく、リノベーション物件などと記載されることが多い。

一般的に「リフォーム」は新築当時の状態に改修すること、「リノベーション」は今の生活水準に応じて性能を引き上げる改修をすることといわれている。しかし、これらの違いは明確ではなく、混在して使われることも多い。

つまり、「リノベーション住宅」として販売されているものが、必ずしも性能を引き上げているとは限らず、内装だけを改修して見栄えをよくし、リノベーション済みと説明している場合もある。逆に「リフォーム済み」という記載でも、性能を引き上げた改修がされている場合もある。

特に、構造に関する部分や給排水管などの設備については、表面を見ただけでは分からないので、改修前はどういった状態で、どの部分をどのように改修したかを確認することが大切だ。隠れた部分までしっかり改修されていないと、住み始めてから想定外の不具合が生じるリスクもある。改修箇所の履歴を残し、一定期間の保証を付ける事業者なら安心だろう。

自分で改修内容まで確認することにハードルを感じるという人は、(一社)リノベーション協議会の「適合リノベーション住宅」かどうかを目安にする方法もある。建物検査をしたうえで改修工事を行い、その履歴を保管したり、改修箇所に一定の保証を付けたりしている。また、数は少ないが、国土交通省が定める「安心R住宅」かどうかをチェックする方法もある。

※安心R住宅とは、国土交通省が定めた基準を満たした住宅であり、リフォームについて情報提供が行われる(リフォーム済みかリフォーム工事提案書付き)中古住宅。

中古住宅を自分好みにリフォームするのを醍醐味に感じる人もいれば、プロのお勧めでリフォームされた住宅を買うのがよいと感じる人もいる。ある程度長く住むマイホームなのだから、自分に合った買い方をするのがよいだろう。ただ、市場における選択肢が増えることは、買い手にとっては喜ばしいことなので、多様な買取再販物件が市場に出回るとよいと思う。

●関連サイト
(株)矢野経済研究所「中古住宅買取再販市場に関する調査(2023年)」(2023年10月5日発表)

2024年4月スタートの新制度は、住宅の省エネ性能を★の数で表示。不動産ポータルサイトでも省エネ性能ラベル表示が必須に!?

不動産情報サイト事業者連絡協議会や国土交通省などによる、「省エネ性能表示制度で住宅の省エネ化は進むのか?」記者発表会が開催された。2024年4月から始まる「省エネ性能表示制度」に関する説明会ではあるが、国の制度について、アットホーム、LIFULL HOME’S、SUUMOの主要不動産ポータル事業者が深くかかわっていることに、実は意味があるのだ。

2024年4月から始まる「省エネ性能表示制度」とは?

新しい「省エネ性能表示制度」とは、「販売・賃貸事業者が建築物の省エネ性能を広告等に表示することで、消費者が建築物を購入・賃借する際に、省エネ性能の把握や比較ができるようにする制度」だ。

改正建築物省エネ法に基づき、省エネ性能表示制度を強化し、表示すべき事項などを定めることなどになっていたが、国土交通省では「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」を設置して、省エネ性能の表示ルールなどについて検討を重ねてきた。それを踏まえて作成されたのが、9月25日に公表したばかりの「建築物の省エネ性能表示制度のガイドライン等」だ。

このガイドラインの概要に沿って、国土交通省の住宅局参事官付課長補佐・池田亘さんから、制度に関する説明があった。そのポイントを整理しよう。

・開始時期:2024年4月 (これ以降に建築確認申請を行う新築および再販売・再賃貸される物件)
・努力義務になること:広告する際に省エネ性能ラベルを表示する
・対象:住宅や建築物を販売・賃貸する事業者 (物件の売主や貸主、サブリース事業者など)
・罰則:従わない場合は、国が勧告等を行う (既存建築物は勧告等の対象にならない)
・目的:省エネ性能を示すラベルや評価書を発行し、消費者が省エネ性能の把握や比較ができるようにする

該当する物件については、「省エネ性能ラベル」と「エネルギー消費性能の評価書」が発行されることになる。

発行される「省エネ性能ラベル」と「エネルギー消費性能の評価書」とは?

「省エネ性能ラベル」と「エネルギー消費性能の評価書」を発行するには、「自己評価」と「第三者評価」のいずれかで行う。販売・賃貸事業者側が国の指定するWEBプログラムなどを使って、評価を行うのが「自己評価」。第三者評価機関に評価を依頼するのが「第三者評価」で、その場合は、省エネルギー性能に特化した評価・表示制度である「BELS(ベルス)」を使うとされている。

では、まず「省エネ性能ラベル」について説明しよう。その特徴は3つある。

(1)エネルギー消費性能が星の数で分かる
国が定める省エネ基準より消費エネルギーが少ないほど、星の数が増える。省エネ基準に適合していれば★1つ。それより10%削減するごとに、★が1つずつ増える計算だ。ただし、エネルギーを使っても、太陽光発電などで補えばさらに削減できるので、★4つ以上は再生エネルギー設備がある場合に付けられる。そのため、★4つからは★が光るようなデザインになっているのだ。
※なお、再エネ設備の有無や削減率により、光らない★が4つのケースや3つ目以下で光る★が付くケースもある。

(2)断熱性能が数字で分かる
「建物から熱が逃げにくく、日射しなどの外からの熱が入りにくい」ほど数字が大きくなる。国が定める省エネ基準に適合していれば「4」、ZEH(ゼッチ)水準に達していれば「5」になる。
※ZEH水準とは省エネ基準適合住宅より、一次エネルギー消費量が20%以上削減(再生エネルギーを除く場合)されたもの

(3)目安光熱費が金額で分かる
その住宅の省エネ性能であれば、電気やガスなどの年間消費量がどの程度になるか計算し、エネルギー単価をかけて算出した年間光熱費が目安として表示される。ただし、家族が何人でどんな暮らし方をするかで、実際に使う光熱費は異なるため、あくまで目安としての金額だ。

なお、(3)の目安光熱費は任意項目なので、表示される場合もされない場合もある。表示されていないからといって、義務に反しているわけではない。

住宅(住戸)の省エネ性能ラベルに記載される内容(国土交通省の資料より)

住宅(住戸)の省エネ性能ラベルに記載される内容(国土交通省の資料より)

次に、「エネルギー消費性能の評価書」だが、これは省エネ性能ラベルの内容を詳しく解説した書類だ。評価書は消費者に渡されるので、必ず保管しよう。例えば、住宅を購入してその後に売却する場合に、評価書があれば(仕様を変更していないなど、省エネ性能が維持されていることが条件)、売る際の広告でもラベルが使用できる。

不動産ポータルサイトでも省エネ性能ラベルが掲載される

さて、この記者発表会を不動産情報サイト事業者連絡協議会(略称RSC)が運営しているのには理由がある。住宅を探す際に、不動産情報サイトの不動産広告を見る人が多い。国が表示方法などを決めてから対応したのでは遅くなるし、どのように消費者に届けた方が浸透するかなどの助言の機会もあったほうがよい。ということもあって、国土交通省の検討会には、SUUMO編集長・SUUMOリサーチセンター長の池本洋一さんが委員として参加している。

不動産ポータル事業者では、不動産情報サイトの信頼性を保持するために、RSCという組織で、連携をしている。現在6事業者が加盟しているが、理事会社がアットホーム、LIFULL HOME’S、SUUMOの運営会社で、池本さんはRSCの監事も務めている。

RSCでは、2019年から省エネ性能の表示はどうあるべきか検討してきたというが、幹事会社3社の不動産情報サイトで2024年4月から省エネ性能ラベルを広告表示する、共通ルールを策定しているところだ。

SUUMOにおけるインターネット広告への掲載例

SUUMOにおけるインターネット広告への掲載例

例えば、新築マンションでは、「住棟ラベル」(共同住宅の住棟全体の性能を表示するものであるなどの注釈の表記必須)を掲載し、新築一戸建てでは、販売戸数1戸なら「住戸ラベル」、多棟販売なら「代表住戸ラベル」(特定の住戸の性能を示すものであるなどの注釈表記必須)を、賃貸では「住戸ラベル」を掲載することなどを検討しているという。

実際の光熱費とズレがあっても目安光熱費を表示してほしい

省エネ性能ラベルでは、★の数で性能の高さが分かるようになっている。目安光熱費はあくまで目安なので、実際に光熱費がその金額にはならない。それでも、消費者は目安光熱費の表示を希望しているという。

リクルートの調査によると、ズレが生じることを考慮しても、「目安光熱費と星印表示どちらもあったほうが良い」が44.8%、「目安光熱費のみあれば良い」が29.3%となり、「星印表示のみあれば良い」の18.3%を大きく引き離した。

プレス説明会の資料より

プレス説明会の資料より

消費者に届くまでに関与する工程が多く、消費者まで届けることが課題

制度は2024年4月にスタートするが、課題もある。売買に詳しい松浦翼さん(アットホーム)と賃貸に詳しい加藤哲哉さん(LIFULL HOME’S)は、ラベルや証明書が発行されてから、その物件の広告としてラベルが消費者に届くまでの間に、多くの関係者が関わり、さまざまなシステムやツールを経由して情報が伝達されるため、システム改修の必要性や人為的な問題により、せっかくの情報が消費者に伝わらないリスクを指摘した。

省エネ性能表示の努力義務の対象となるのは、販売・賃貸事業、つまり売主や貸主、サブリース事業者などだが、実際に広告を出すのは不動産の仲介事業者や賃貸管理事業者になる。そのため、こうした間を取り持つ関係者がラベルなどの情報をきちんと伝達しないと、消費者にデメリットとなるだけでなく、仲介や入居者募集を依頼した売主や貸主が国から勧告を受けることにもなる。

また、広告への表示を努力義務としているが、評価書を受け取る消費者にその内容が説明されるのが望ましい。それを担うのも、直接消費者と接する仲介事業者や賃貸管理事業者になるので、関係者すべてにこの制度への理解を深めてもらう必要があるのだ。

さて、国は2050年のカーボンニュートラルに向けて、段階的に省エネ性能の基準を引き上げる予定だ。基準が変わったり新しい制度ができたりすると、省エネ性能を評価する基準も複雑になっていく。専門知識のない消費者がそれらを理解することは難しいので、住宅を選ぶ際に★の数や目安光熱費を見比べることは、性能を知るのに大いに参考になる。業界を挙げて、消費者に分かりやすく伝えることに取り組んでほしいものだ。

●関連サイト
建築物の省エネ性能表示制度のガイドライン等を公表/国土交通省
築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度(国土交通省特設サイト)

9月に多く発生する大型台風。その大雨から雨漏りを防ぐには?チェックすべき項目を紹介

2023年も、異常気象が猛威を振るっている。世界的な海面水温の上昇との関連も指摘され、酷暑の一方で大型台風や線状降水帯などによる被害も生じている。9月は、大型台風が発生するリスクが高まる時期でもある。住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」をホームページに掲載し、注意を呼び掛けている。

【今週の住活トピック】
「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」を掲載/住宅リフォーム・紛争処理支援センター

頻発する線状降水帯への危機感は感じるが、対策はしないという人も

「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」を見る前に、一条工務店が発表した「防災に関する意識調査2023」の結果を見ていこう。地震に関する調査と水害に関する調査をまとめているが、“水害”については、どんな結果が出ているのだろうか。

まず、「線状降水帯による大雨の可能性がある場合、大雨警報などに先駆けた発表で、早期の備えを促すために、半日程度前から 6 時間前までに気象情報で発表しているのを知っていますか」と聞いたところ、49.1%、約半数が「知らない」と回答した。

気象庁のホームページには、“「顕著な大雨に関する気象情報」の発表基準を満たすような線状降水帯による大雨の可能性がある程度高いことが予想された場合に、半日程度前から、気象情報において、「線状降水帯」というキーワードを使って呼びかけます。”とあり、呼び掛け例として以下のようなものを紹介している。

出典:気象庁「線状降水帯に関する各種情報」より転載

出典:気象庁「線状降水帯に関する各種情報」より転載

次に調査で、「お住まいの地域で線状降水帯が発生すると予報された場合、危機感を感じて何らかの対策を取りますか」と聞くと、「危機感を感じるが対策はしない」という人が38.8%、「危機感を感じない」という人が6.1%いることが分かった。

出典:一条工務店「防災に関する意識調査2023」

出典:一条工務店「防災に関する意識調査2023」

長時間の大雨が予測される場合には、まず自宅から出ないこと、一戸建ての場合は2階以上で崖や斜面から離れた部屋に移動すること、「避難指示」などの避難情報が出された場合は早めに避難所へ行くなどが求められる。

住宅には雨漏りのリスクがあるが、後から対策することが難しい

さて、長時間の大雨で自宅に留まったとして、雨漏りがするようであれば心もとない。

住宅リフォーム・紛争処理支援センターが掲載した「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」によると、「住宅は、屋根や壁の部材、窓(サッシ)、玄関扉など、いろいろな部材・部品が集まってできており、それぞれ素材が異なる部材・部品を組み合わせているため、継ぎ目の雨水侵入対策がしっかりしていないと雨漏りが生じる場合がある」という。特に近年は、局地的な大雨などの発生回数が増加傾向にあるため、さらに雨漏りへの注意が必要だとしている。

一方で、雨漏りが発生した場合の原因の特定が難しいことから、住宅を建築したり取得したりする段階で、雨漏りリスクを意識することが大切だと強調している。

では、雨漏りはどこで発生するのだろうか?同センターが、木造新築住宅での「瑕疵保険の事故情報※」を分析したところ、サッシまわりなどの「外壁開口部」、「外壁面」、「勾配屋根や天窓」からが多くなっている。
※瑕疵保険(かしほけん)とは、住宅の検査と保証がセットになった保険制度。保険対象となる部分に起因する事故情報のデータベースを利用

出典:住宅リフォーム・紛争処理支援センター「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」住宅取得者向け資料より転載

出典:住宅リフォーム・紛争処理支援センター「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」住宅取得者向け資料より転載

サッシや天窓の枠の部分は外壁や屋根との継ぎ目ができる部分であり、外壁自体は常に雨にさらされる部分だ。こうした部分に雨漏りリスクがあることをまずは知っておこう。

「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」で詳しくチェック

「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」の住宅取得者向け資料には、雨漏りリスクの高い6カ所について、リスク低減のアイデアを紹介している。その6カ所とは、(1)モルタルの外壁、(2)窓(サッシ)、(3)片流れ屋根の頂部、(4)屋根の側端部、(5)屋根と外壁が接する部分、(6)天窓(トップライト)。例えば、(1)のモルタルの外壁については、次のように説明している。

出典:住宅リフォーム・紛争処理支援センター「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」住宅取得者向け資料より抜粋転載

出典:住宅リフォーム・紛争処理支援センター「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」住宅取得者向け資料より抜粋転載

それぞれの箇所については専門的になるので、ぜひ直接資料を確認してほしい。自身で雨漏りのリスクと防ぐアイデアを理解することのほか、住宅の設計者や販売事業者などに、この資料の内容を見せて、きちんと設計施工されるか説明を求めるという使い方もあるだろう。

マンションなら雨漏りはしないかというと、そうでもない。筆者が住むマンションで、大雨の翌日、1階で共用廊下を見上げたら、廊下のコンクリートの下部(見上げた階からは天井部)がふくらんでいた。雨水がたまった証だ。ただし、大規模修繕工事の際に防水工事を行って修復された。

このようにマンションであれば、管理組合が建物診断や大規模修繕を行うが、一戸建ての場合は自身でチェックして補修する必要がある。建てたときに注意を払うだけではなく、雨どいが落ち葉などでつまらないように掃除をしたり、住宅の窓まわりの継ぎ目のシーリング材に破損が見られたら修復したりといった、メンテナンスを行うことも忘れないようにしたい。

●関連サイト
住宅リフォーム・紛争処理支援センター「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」住宅取得者向け資料
一条工務店「防災に関する意識調査2023」

「不動産価格は上がっていく」と思う人が過去最高の42%に!「今が売り時」と思う人も8割超

住宅ローンの金利上昇への圧力が高まるなか、野村不動産ソリューションズが「住宅購入に関する意識調査(第25回)」を実施した。その結果を見ると、売り時と考える人が多い一方で、買い時だと考える人も多いことが分かった。どんな住宅市況になっているのだろうか?

【今週の住活トピック】
「住宅購入に関する意識調査(第25回)」を実施/野村不動産ソリューションズ

「不動産価格は上がると思う」が調査開始以来最高に

調査対象は、不動産情報サイト「ノムコム」会員(購入検討者を中心としたWeb会員)で、有効回答数は1964人。調査は、2023年7月3日~16日に実施された。

日本銀行の植田和男新総裁は従来路線を引き継いできたが、国債を買い入れて長期金利の上昇を抑制する水準を従来の0.5%から1.0%に引き上げると発表したのは、第5回日銀金融政策決定会合後の7月28日のことだ。これにより、長期金利の上昇可能性が高まったのだが、それより前に調査が実施されていることを念頭に置いてほしい。

まず、「今後の不動産価格はどうなると思うか」を聞いたところ、「上がると思う」が42.0%に達し、前回(2023年1月調査)より大きく増加した。2011年の調査開始以降で最も高いという。「下がると思う」は17.9%だった。物価の上昇を実感するなか、建材費や人件費なども上がるので不動産価格も上がると考えたようだ。

出典/野村不動産ソリューションズ「住宅購入に関する意識調査(第25回)」より転載)

出典/野村不動産ソリューションズ「住宅購入に関する意識調査(第25回)」より転載)

今は「売り時」であり「買い時」でもある!?

住宅価格が上がっていることで、「売り時」と感じる人も多いようだ。「不動産は売り時だと思うか」と聞いたところ、「売り時だと思う」が22.6%、「どちらかと言えば売り時だと思う」が59.6%で、合わせて82.2%が売り時だと思っていた。

出典/野村不動産ソリューションズ「住宅購入に関する意識調査(第25回)」より転載)

出典/野村不動産ソリューションズ「住宅購入に関する意識調査(第25回)」より転載)

その理由は、「不動産価格が上がったため」(77.4%)と「今なら好条件での売却が期待できるため」(52.4%)が過半数を占めた。

次に、「不動産は買い時だと思うか」と聞いた結果は、「買い時だと思わない」が48.1%と最多だったが、前回より減少した。また、買い時だと思う人(「買い時だと思う」8.8%+「どちらかと言えば買い時だと思う」24.3%)は33.1%になり、前回より増加した。

出典/野村不動産ソリューションズ「住宅購入に関する意識調査(第25回)」より転載)

出典/野村不動産ソリューションズ「住宅購入に関する意識調査(第25回)」より転載)

「売り時」かどうか、判断する指標は?

さて、住宅を高く売りたいと思うなら「住宅価格が高止まりしている」ときか、「住宅価格が下落に転じた」ときがよい。「高止まり」のタイミングなら安心して売ることができるし、「価格が下がり続ける」タイミングならできるだけ早く売ったほうがよい。逆に「価格が上昇し続ける」なら、様子見をしてもっと上がったタイミングで売ったほうがよいわけだ。

ただし売り時かどうかは、住宅価格だけでなく、需給バランスも重要だ。売る側から見れば、競争相手となる売り手が少ないか、買い手が多い方が有利だからだ。買い手が多いかどうかの条件はいろいろあるが、住宅ローンの金利が低いこと、優遇税制などが多いことなど、購入環境が好条件であることも大きな要因となる。

今回の調査対象者は、住宅価格が横ばいと見る人が29.7%で、まだ上がると見ている人が42.0%と多いが、大きく上がり続けるというよりは、わずかに上がっていくと見ているのだろう。そこで、価格が高止まりに近いことや購入環境が良好なことから、売り時と判断している人が多いのではないか。

「売り時」か「買い時」か、今後はどうなる?

では、今の住宅市況はどうなっているだろうか。

住宅市況は立地条件によっても異なるが、一例として、東日本不動産流通機構の四半期ごとの「首都圏不動産流通市場の動向(2023年4~6月)」のデータから傾向を見ていこう。首都圏の中古マンションの新規登録件数は増えているので、売り手は増えていることになるが、成約に至った件数は2021年を山場に2022年以降は少し落ち着きを見せている。つまり2021年は売り手市場だったが、次第に需給バランスが変わりつつある。ただしまだ買い手は多いので、首都圏の中古マンションの価格は上がり続けている。首都圏の中古一戸建ても、おおむね似たような傾向が見られる。

では、今後の需給バランスはどうなるのだろう。

気になるのは、住宅ローンの金利の動向だ。特に、長期金利はいずれ上がる可能性がある。好景気に転じれば、変動金利も上がっていく。住宅ローンの金利が上昇すれば、利息が増え、借りられる額が減少するので、住宅購入意欲の減退につながる。つまり、買い手が減ることで需給バランスは大きく崩れる可能性がある。

とはいえ、今すぐ金利が上がるわけではないので、金利上昇気配を感じて駆け込みで購入する人も出るだろう。どのタイミングでどのような上がり方をするかで、買い手の動きも変わってくるので、注視が必要だ。

超低金利が長期間継続したことで、住宅ローンの金利はいつも低いと思いがちだが、今後は住宅ローンの金利も、売り手や買い手の動きも、住宅価格の動向も変わる可能性がある。そのことを頭に入れて、マネープランや購入する住宅の条件などを、きちんと整理しておくとよいだろう。

●関連サイト
・野村不動産ソリューションズ「住宅購入に関する意識調査(第25回)」を実施
・東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2023年04~06月)」

タイならでは塀囲みのまち「ゲーテッド・コミュニティ」って? クリエイター夫妻がリノベ&増築したおしゃれなおうちにおじゃまします 

個性を大切にした暮らし方や働き方って、どんなものだろう。
その人の核となる小さなこだわりや、やわらかな考え方、暮らしのTipsを知りたくて、これまで4年かけて台湾や東京に住む外国の方々にお話を聞いてきました。

私の中でここ数年はタイのドラマや音楽、文化などが沸騰中。国内外の移動ができるようになったタイミングでバンコクに飛び、クリエイターや会社員など3名の方のご自宅へ。センスのいいインテリアと、無理をしない伸びやかな暮らし方、まわりの人を大切にする愛情深さ、仕事に対する考え方などについてたっぷり伺います。

第2回は、タイ人で帽子ブランド「Palini」デザイナー&オーナーと、バンコクの超人気ヴィンテージ&アート&クラフトイベント「Made By Legacy」のベンダーリノベーション担当という二足の草鞋を履いた、Benzさん(ベンツさん・34歳)を訪ねました。

BenzさんとAui(ウイ)さん、そして愛犬のKale(ケール)(写真撮影/Yoko Sakamoto)

BenzさんとAui(ウイ)さん、そして愛犬のKale(ケール)(写真撮影/Yoko Sakamoto)

緑豊かなゲーテッド・コミュニティゲーテッド・コミュニティの内部(写真撮影/Yoko Sakamoto)

ゲーテッド・コミュニティの内部(写真撮影/Yoko Sakamoto)

タイの首都、バンコク出身のBenzさんは、ガールフレンドのAui(ウイ)さん、犬のKaleとともに、郊外のゲーテッド・コミュニティ(タイ人はムーバーンと呼ぶ。Villageの意)内の一戸建てで暮らしています。Benzさんが築18年で広さ213平米の中古一戸建て(2LDK)を500万B(※当時のレートで約1700万円)で購入したのは2年前のこと。タイでは一般の住宅は建物や土地に手を入れることに対する自由度が比較的高く、購入後に敷地内に2階建ての離れを建てました。

中古一戸建ての母屋はおもに住居で、1階はLDKとトイレ、2階は寝室とバスルーム、ショールームがあります。離れの1階は自身が運営している帽子ブランド「Palini」のアトリエとして使用しています(2階は現在使用していません)。

母屋2階のショールームスペース (写真撮影/Yoko Sakamoto)

母屋2階のショールームスペース (写真撮影/Yoko Sakamoto)

大量にある帽子類は、スタッキングできるコンテナを使って収納(写真撮影/Yoko Sakamoto)

大量にある帽子類は、スタッキングできるコンテナを使って収納(写真撮影/Yoko Sakamoto)

ゲーテッド・コミュニティは、バンコク近辺でよく見るスタイルの住居です。一定区画を管理会社などが買い取ってぐるりと塀で囲み、出入口にセキュリティブースを設置。出入りする人や車を監視・管理する、私設の村のようなものです。

ゲーテッド・コミュニティの入口。ガードマンが常駐している(写真撮影/Yoko Sakamoto)

ゲーテッド・コミュニティの入口。ガードマンが常駐している(写真撮影/Yoko Sakamoto)

Benzさんらが住まうバンコク北東部にあるゲーテッド・コミュニティは、敷地内を駆けまわるリスの姿を見かけるほど緑豊か。約400世帯が生活していて、プールやジムもあり、近所の方々との交流もさかん。ゲート内で、ひとつのコミュニティが確立しています。

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

子どもが遊べる公園やバスケットボールコートもある(写真撮影/Yoko Sakamoto)

子どもが遊べる公園やバスケットボールコートもある(写真撮影/Yoko Sakamoto)

利便性より心地よさを重視して

都市部に住む若い二人の住居としては、多くの選択肢があります。若者ならば利便性を優先して、バンコク中心部のコンドミニアムやアパートを購入したり、借りたりして住むイメージがあります。なぜ、落ち着いた郊外の一戸建てを選んだのでしょうか。

直線的なラインが美しい建物外観 (写真撮影/Yoko Sakamoto)

直線的なラインが美しい建物外観 (写真撮影/Yoko Sakamoto)

「かつてサトーンエリア(※バンコク中心部。オフィス街に近く、大使館などが集まる閑静な高級住宅地)にあった実家は、4階建てのタウンハウスでした。通っていた小学校や病院は近かったものの、構造上、家の中が暗いのが好きじゃなかった。だから、どうしても明るい家に住みたかったのです。

たっぷり光が入るリビング(写真撮影/Yoko Sakamoto)

たっぷり光が入るリビング(写真撮影/Yoko Sakamoto)

各部屋のあちこちに窓が配されている(写真撮影/Yoko Sakamoto)

各部屋のあちこちに窓が配されている(写真撮影/Yoko Sakamoto)

キッチンにも陽の光がたっぷり(写真撮影/Yoko Sakamoto)

キッチンにも陽の光がたっぷり(写真撮影/Yoko Sakamoto)

それで家を買おうと思い立って、6カ月で50軒ほど内見しました。人生で一番の買い物ですね。なぜ新築にしなかったかというと、この家の外観と構造が好きだと思ったから。タイの一戸建ては、一般的に建物の前面に庭がありますが、この家は庭が建物の後ろにあって、そこも良かった。ゲーテッド・コミュニティは緑が多く、自分で木を植えなくていいのも気に入った点でした。

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

もう少しバンコク中心部に近い場所にも同じ会社のゲーテッド・コミュニティがありましたが、そちらは値段がもっと高くて、タウンハウス(*長屋のように横の家とつながっていて4階程度までの低層な建物)で、周囲の道路の渋滞が酷かったため選びませんでした」

玄関外にヴィンテージのロッカーを置き、シューズボックスに (写真撮影/Yoko Sakamoto)

玄関外にヴィンテージのロッカーを置き、シューズボックスに (写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

少し脱線しますが、タイの人は多くが持ち家で、住居を購入する動機は、
1. 学校や子どもの生活環境に合わせて引越す
2. 経済的に余裕ができると、狭い家から住み替える
3. 人に貸したり民泊にするなどビジネスのため
終の棲家という感覚は希薄なのだそうです。

さて、話を戻しましょう。
「ここはバンコクの中心部から、高速道路も使って車で40分。将来電車が通る計画があり、そうするとより便利になります。
この家を紹介してくれたのは、私が働いていたストリートファッション誌『Cheeze Magazine』で広告の仕事をしている先輩で、その人自身やミュージシャンなど、クリエイティブ系の有名な人も住んでいます。仕事柄、しょっちゅう外に出ないから、郊外でOKというのもありますね」

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

実家での同居を経て、アトリエを兼ねた一戸建てへ

Benzさんはもともと、有名ストリートカルチャー誌『CHEEZELOOKER』で4年間ファッションコラムニストとスタイリストをしていて、そこで会計の仕事をしていたAuiさんと出会いました。その後、8年前に2人でブランドを立ち上げました。

ガラスをはめて、階段や廊下にも採光を(写真撮影/Yoko Sakamoto)

ガラスをはめて、階段や廊下にも採光を(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

ショールームスペースの一角にはミシンも置かれている(写真撮影/Yoko Sakamoto)

ショールームスペースの一角にはミシンも置かれている(写真撮影/Yoko Sakamoto)

今の家に住む前は、Benzさんのお兄さんが結婚して他の家に移ったため、Benzさんの実家の3階をオフィス・4階を倉庫にし、AuiさんもBenzさん一家とともに実家に住んでいました。でも、イベントなどに出店するたびに上階から荷物を下ろすのは大変で。住まいとワークプレイスを整えるために、家探しを始めたそうです。

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

手前が増築したアトリエ棟。ちょうどいい距離感です(写真撮影/Yoko Sakamoto)

手前が増築したアトリエ棟。ちょうどいい距離感です(写真撮影/Yoko Sakamoto)

「ゲーテッド・コミュニティに母屋となる一戸建てを購入し、別棟を建てて、母屋と別棟の2階をベランダで繋げました。家の中は400万B(※当時のレートで約1370万円)を費やして丸ごとリノベーション。私たちは10年一緒にいて考えも似ているから、家づくりでぶつかることはなかったです。でも、リフォームを担当してくれた、ホテルなどのインテリアデザインの仕事をしている弟とは、時には意見が合わなかったりもしました」

母屋二階と離れはベランダを通じてつながっている。奥はいまだ開発中の土地(写真撮影/Yoko Sakamoto)

母屋二階と離れはベランダを通じてつながっている。奥はいまだ開発中の土地(写真撮影/Yoko Sakamoto)

実家にあった家具をリメイクシャワースペースの床材もおしゃれ(写真撮影/Yoko Sakamoto)

シャワースペースの床材もおしゃれ(写真撮影/Yoko Sakamoto)

Benzさんもとてもお気に入りだというバスルームは、私がこれまで見たバスルームの中で一番と思えるほど美しいデザインでした。では、インテリアについてはどうでしょう。
「服や雑貨などは、中にしまわれている状況が自分には好ましい。だから、服もたくさん持っているけど、全てクローゼットにしまってあります。服がカラフルな分、インテリアはシックな色合いがいいですね。

寝室のバスルームに近い壁一面には、しっかり収納量があるクローゼットが(写真撮影/Yoko Sakamoto)

寝室のバスルームに近い壁一面には、しっかり収納量があるクローゼットが(写真撮影/Yoko Sakamoto)

キッチンの作業台下にうつわや水を入れて(写真撮影/Yoko Sakamoto)

キッチンの作業台下にうつわや水を入れて(写真撮影/Yoko Sakamoto)

家電類をソファ裏など見えないところに置いて生活感を排除(写真撮影/Yoko Sakamoto)

家電類をソファ裏など見えないところに置いて生活感を排除(写真撮影/Yoko Sakamoto)

テレビ類のリモコンも、定位置を決めつつ隠してある(写真撮影/Yoko Sakamoto)

テレビ類のリモコンも、定位置を決めつつ隠してある(写真撮影/Yoko Sakamoto)

キッチンの古いテーブルは、キッチンの天板と素材をそろえてリメイクしました。椅子もジム・トンプソン(※タイの老舗高級シルクメーカー)の生地に張り替え。革張りのソファも置いています。家具はどれも、実家で使っていたものです。

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

特にヴィンテージラバーというわけではなくて、デザインが好きなら買う、という感じです。その時の変化に従って、選ぶものも変わっていきます。インテリアも自分と同じで、一緒に育っていくものだから。

敷地内にオフィスを建てて、リノベーションにもお金をかけたから、この先もずっと住み続けたいと思っています。

寝室(写真撮影/Yoko Sakamoto)

寝室(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

複数の仕事の切り替えと時間配分

美しい建物と、すっきりした心地いいインテリア。クリーンであたたかみのある家自体にも惹かれますが、複数の仕事を持っているBenzさんの、時間配分や気持ちの切り替えにも興味を持ちました。
「私は1日のスケジュールを、かなりしっかり計画するタイプで、ルーティンを決めています。朝と午後2時半にコーヒーを淹れるのが私たちの日課で、淹れるのは私が担当。彼女が料理をつくって、掃除は二人でやります。

コーヒーは一日二回淹れます(写真撮影/Yoko Sakamoto)

コーヒーは一日二回淹れます(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

1週間の計画も立てていて、まず火~木曜は自宅アトリエで『Palini』の仕事をします。ビジネスタイムは10~16時。イマジネーションに関する仕事なので、5時間で十分です。

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

アトリエには2人のスタッフThipさんとGiftさんが出入りしていて、なぜ2人かというと、私たちと毎回車で昼食を食べに出るから計4人が都合いい。そして、仕事を終えたらジョギング。時にはそれが犬の散歩を兼ねていたりもします。

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

スタッフが母屋二階で撮影中(写真撮影/Yoko Sakamoto)

スタッフが母屋二階で撮影中(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

金・土は、大人気イベント『Made By Legacy』(バンコクのお洒落な人がこぞって訪れる年1回開催のイベントで、ヴィンテージの家具や洋服の販売や、ライブも。そのほかに『Madface Food Week』、『the MBL Worldwide Open House』といったイベントもオーガナイズしている)の仕事でオフィスへ。オフィスへの所要時間は車と電車で50分ほどです。

二つの仕事を持っていますが、ブランドはこれからどうしていくかという方向性も含めて、自分が考えることが多い。そして、イベントは大人数グループの一員。それぞれ役割が違うから、自然と切り替えができています」

家族との時間も大切に(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

「日・月曜が休日で、日曜は家にいて掃除や片付けをする。そして、月曜は車で30分のブンノンボンガーデンへ行きます。湖もある大きな公園で、通常バンコク中心部の公園は犬は入れませんが、ここはペット可なうえにキャンプもできる。イスだけ持参して、コーヒーを淹れたりしています。

そのほか、週に1回、仲間とフットボールやバスケットボールをしたり、飲みに行ったりします。親とは日曜日に会っていますね。私は三人兄弟の真ん中で、兄はバンコク東側にある新興住宅地のバンナー地区に、弟はこの近くに新築の一戸建てを持っていて、親はタウンハウスを売却して弟のところに同居しています。だから、日曜日は弟の家で食事したり、家族がここに来たり、レストランに行ったり、家族と一緒にすごしていますね」

タイの方は家族や親しい人とのつながりがとても濃いと聞いていましたが、若いお二人も例外ではなく、ご家族との時間をしっかり取っていました。

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

・お気に入りのYou Tube(インテリア):Open Space
・日本人のモーニングルーティーンの動画を見るのも好き。

そして、Benzさんは高校生のころから、現在・将来の展望や計画表まで、ノートにあらゆることを書き出しています。

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

「でも、書いてあることは単なる計画だから、お酒を飲んだりして守れなくてもOK。人生は変化するから、計画も変わることもあるよね」
きちんと決めつつ、変化には柔軟に対応する。すぐに真似したい、物事や人生への向き合い方ですね。

●取材協力
・Benzさん
・Auiさん
・Palini

タイならでは塀囲みのまち「ゲーテッド・コミュニティ」って? クリエイターカップルがリノベ&増築したおしゃれなおうちにおじゃまします 

個性を大切にした暮らし方や働き方って、どんなものだろう。
その人の核となる小さなこだわりや、やわらかな考え方、暮らしのTipsを知りたくて、これまで4年かけて台湾や東京に住む外国の方々にお話を聞いてきました。

私の中でここ数年はタイのドラマや音楽、文化などが沸騰中。国内外の移動ができるようになったタイミングでバンコクに飛び、クリエイターや会社員など3名の方のご自宅へ。センスのいいインテリアと、無理をしない伸びやかな暮らし方、まわりの人を大切にする愛情深さ、仕事に対する考え方などについてたっぷり伺います。

第2回は、タイ人で帽子ブランド「Palini」デザイナー&オーナーと、バンコクの超人気ヴィンテージ&アート&クラフトイベント「Made By Legacy」のベンダーリノベーション担当という二足の草鞋を履いた、Benzさん(ベンツさん・34歳)を訪ねました。

BenzさんとAui(ウイ)さん、そして愛犬のKale(ケール)(写真撮影/Yoko Sakamoto)

BenzさんとAui(ウイ)さん、そして愛犬のKale(ケール)(写真撮影/Yoko Sakamoto)

緑豊かなゲーテッド・コミュニティゲーテッド・コミュニティの内部(写真撮影/Yoko Sakamoto)

ゲーテッド・コミュニティの内部(写真撮影/Yoko Sakamoto)

タイの首都、バンコク出身のBenzさんは、ガールフレンドのAui(ウイ)さん、犬のKaleとともに、郊外のゲーテッド・コミュニティ(タイ人はムーバーンと呼ぶ。Villageの意)内の一戸建てで暮らしています。Benzさんが築18年で広さ213平米の中古一戸建て(2LDK)を500万B(※当時のレートで約1700万円)で購入したのは2年前のこと。タイでは一般の住宅は建物や土地に手を入れることに対する自由度が比較的高く、購入後に敷地内に2階建ての離れを建てました。

中古一戸建ての母屋はおもに住居で、1階はLDKとトイレ、2階は寝室とバスルーム、ショールームがあります。離れの1階は自身が運営している帽子ブランド「Palini」のアトリエとして使用しています(2階は現在使用していません)。

母屋2階のショールームスペース (写真撮影/Yoko Sakamoto)

母屋2階のショールームスペース (写真撮影/Yoko Sakamoto)

大量にある帽子類は、スタッキングできるコンテナを使って収納(写真撮影/Yoko Sakamoto)

大量にある帽子類は、スタッキングできるコンテナを使って収納(写真撮影/Yoko Sakamoto)

ゲーテッド・コミュニティは、バンコク近辺でよく見るスタイルの住居です。一定区画を管理会社などが買い取ってぐるりと塀で囲み、出入口にセキュリティブースを設置。出入りする人や車を監視・管理する、私設の村のようなものです。

ゲーテッド・コミュニティの入口。ガードマンが常駐している(写真撮影/Yoko Sakamoto)

ゲーテッド・コミュニティの入口。ガードマンが常駐している(写真撮影/Yoko Sakamoto)

Benzさんらが住まうバンコク北東部にあるゲーテッド・コミュニティは、敷地内を駆けまわるリスの姿を見かけるほど緑豊か。約400世帯が生活していて、プールやジムもあり、近所の方々との交流もさかん。ゲート内で、ひとつのコミュニティが確立しています。

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

子どもが遊べる公園やバスケットボールコートもある(写真撮影/Yoko Sakamoto)

子どもが遊べる公園やバスケットボールコートもある(写真撮影/Yoko Sakamoto)

利便性より心地よさを重視して

都市部に住む若い二人の住居としては、多くの選択肢があります。若者ならば利便性を優先して、バンコク中心部のコンドミニアムやアパートを購入したり、借りたりして住むイメージがあります。なぜ、落ち着いた郊外の一戸建てを選んだのでしょうか。

直線的なラインが美しい建物外観 (写真撮影/Yoko Sakamoto)

直線的なラインが美しい建物外観 (写真撮影/Yoko Sakamoto)

「かつてサトーンエリア(※バンコク中心部。オフィス街に近く、大使館などが集まる閑静な高級住宅地)にあった実家は、4階建てのタウンハウスでした。通っていた小学校や病院は近かったものの、構造上、家の中が暗いのが好きじゃなかった。だから、どうしても明るい家に住みたかったのです。

たっぷり光が入るリビング(写真撮影/Yoko Sakamoto)

たっぷり光が入るリビング(写真撮影/Yoko Sakamoto)

各部屋のあちこちに窓が配されている(写真撮影/Yoko Sakamoto)

各部屋のあちこちに窓が配されている(写真撮影/Yoko Sakamoto)

キッチンにも陽の光がたっぷり(写真撮影/Yoko Sakamoto)

キッチンにも陽の光がたっぷり(写真撮影/Yoko Sakamoto)

それで家を買おうと思い立って、6カ月で50軒ほど内見しました。人生で一番の買い物ですね。なぜ新築にしなかったかというと、この家の外観と構造が好きだと思ったから。タイの一戸建ては、一般的に建物の前面に庭がありますが、この家は庭が建物の後ろにあって、そこも良かった。ゲーテッド・コミュニティは緑が多く、自分で木を植えなくていいのも気に入った点でした。

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

もう少しバンコク中心部に近い場所にも同じ会社のゲーテッド・コミュニティがありましたが、そちらは値段がもっと高くて、タウンハウス(*長屋のように横の家とつながっていて4階程度までの低層な建物)で、周囲の道路の渋滞が酷かったため選びませんでした」

玄関外にヴィンテージのロッカーを置き、シューズボックスに (写真撮影/Yoko Sakamoto)

玄関外にヴィンテージのロッカーを置き、シューズボックスに (写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

少し脱線しますが、タイの人は多くが持ち家で、住居を購入する動機は、
1. 学校や子どもの生活環境に合わせて引越す
2. 経済的に余裕ができると、狭い家から住み替える
3. 人に貸したり民泊にするなどビジネスのため
終の棲家という感覚は希薄なのだそうです。

さて、話を戻しましょう。
「ここはバンコクの中心部から、高速道路も使って車で40分。将来電車が通る計画があり、そうするとより便利になります。
この家を紹介してくれたのは、私が働いていたストリートファッション誌『Cheeze Magazine』で広告の仕事をしている先輩で、その人自身やミュージシャンなど、クリエイティブ系の有名な人も住んでいます。仕事柄、しょっちゅう外に出ないから、郊外でOKというのもありますね」

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

実家での同居を経て、アトリエを兼ねた一戸建てへ

Benzさんはもともと、有名ストリートカルチャー誌『CHEEZELOOKER』で4年間ファッションコラムニストとスタイリストをしていて、そこで会計の仕事をしていたAuiさんと出会いました。その後、8年前に2人でブランドを立ち上げました。

ガラスをはめて、階段や廊下にも採光を(写真撮影/Yoko Sakamoto)

ガラスをはめて、階段や廊下にも採光を(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

ショールームスペースの一角にはミシンも置かれている(写真撮影/Yoko Sakamoto)

ショールームスペースの一角にはミシンも置かれている(写真撮影/Yoko Sakamoto)

今の家に住む前は、Benzさんのお兄さんが結婚して他の家に移ったため、Benzさんの実家の3階をオフィス・4階を倉庫にし、AuiさんもBenzさん一家とともに実家に住んでいました。でも、イベントなどに出店するたびに上階から荷物を下ろすのは大変で。住まいとワークプレイスを整えるために、家探しを始めたそうです。

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

手前が増築したアトリエ棟。ちょうどいい距離感です(写真撮影/Yoko Sakamoto)

手前が増築したアトリエ棟。ちょうどいい距離感です(写真撮影/Yoko Sakamoto)

「ゲーテッド・コミュニティに母屋となる一戸建てを購入し、別棟を建てて、母屋と別棟の2階をベランダで繋げました。家の中は400万B(※当時のレートで約1370万円)を費やして丸ごとリノベーション。私たちは10年一緒にいて考えも似ているから、家づくりでぶつかることはなかったです。でも、リフォームを担当してくれた、ホテルなどのインテリアデザインの仕事をしている弟とは、時には意見が合わなかったりもしました」

母屋二階と離れはベランダを通じてつながっている。奥はいまだ開発中の土地(写真撮影/Yoko Sakamoto)

母屋二階と離れはベランダを通じてつながっている。奥はいまだ開発中の土地(写真撮影/Yoko Sakamoto)

実家にあった家具をリメイクシャワースペースの床材もおしゃれ(写真撮影/Yoko Sakamoto)

シャワースペースの床材もおしゃれ(写真撮影/Yoko Sakamoto)

Benzさんもとてもお気に入りだというバスルームは、私がこれまで見たバスルームの中で一番と思えるほど美しいデザインでした。では、インテリアについてはどうでしょう。
「服や雑貨などは、中にしまわれている状況が自分には好ましい。だから、服もたくさん持っているけど、全てクローゼットにしまってあります。服がカラフルな分、インテリアはシックな色合いがいいですね。

寝室のバスルームに近い壁一面には、しっかり収納量があるクローゼットが(写真撮影/Yoko Sakamoto)

寝室のバスルームに近い壁一面には、しっかり収納量があるクローゼットが(写真撮影/Yoko Sakamoto)

キッチンの作業台下にうつわや水を入れて(写真撮影/Yoko Sakamoto)

キッチンの作業台下にうつわや水を入れて(写真撮影/Yoko Sakamoto)

家電類をソファ裏など見えないところに置いて生活感を排除(写真撮影/Yoko Sakamoto)

家電類をソファ裏など見えないところに置いて生活感を排除(写真撮影/Yoko Sakamoto)

テレビ類のリモコンも、定位置を決めつつ隠してある(写真撮影/Yoko Sakamoto)

テレビ類のリモコンも、定位置を決めつつ隠してある(写真撮影/Yoko Sakamoto)

キッチンの古いテーブルは、キッチンの天板と素材をそろえてリメイクしました。椅子もジム・トンプソン(※タイの老舗高級シルクメーカー)の生地に張り替え。革張りのソファも置いています。家具はどれも、実家で使っていたものです。

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

特にヴィンテージラバーというわけではなくて、デザインが好きなら買う、という感じです。その時の変化に従って、選ぶものも変わっていきます。インテリアも自分と同じで、一緒に育っていくものだから。

敷地内にオフィスを建てて、リノベーションにもお金をかけたから、この先もずっと住み続けたいと思っています。

寝室(写真撮影/Yoko Sakamoto)

寝室(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

複数の仕事の切り替えと時間配分

美しい建物と、すっきりした心地いいインテリア。クリーンであたたかみのある家自体にも惹かれますが、複数の仕事を持っているBenzさんの、時間配分や気持ちの切り替えにも興味を持ちました。
「私は1日のスケジュールを、かなりしっかり計画するタイプで、ルーティンを決めています。朝と午後2時半にコーヒーを淹れるのが私たちの日課で、淹れるのは私が担当。彼女が料理をつくって、掃除は二人でやります。

コーヒーは一日二回淹れます(写真撮影/Yoko Sakamoto)

コーヒーは一日二回淹れます(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

1週間の計画も立てていて、まず火~木曜は自宅アトリエで『Palini』の仕事をします。ビジネスタイムは10~16時。イマジネーションに関する仕事なので、5時間で十分です。

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

アトリエには2人のスタッフThipさんとGiftさんが出入りしていて、なぜ2人かというと、私たちと毎回車で昼食を食べに出るから計4人が都合いい。そして、仕事を終えたらジョギング。時にはそれが犬の散歩を兼ねていたりもします。

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

スタッフが母屋二階で撮影中(写真撮影/Yoko Sakamoto)

スタッフが母屋二階で撮影中(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

金・土は、大人気イベント『Made By Legacy』(バンコクのお洒落な人がこぞって訪れる年1回開催のイベントで、ヴィンテージの家具や洋服の販売や、ライブも。そのほかに『Madface Food Week』、『the MBL Worldwide Open House』といったイベントもオーガナイズしている)の仕事でオフィスへ。オフィスへの所要時間は車と電車で50分ほどです。

二つの仕事を持っていますが、ブランドはこれからどうしていくかという方向性も含めて、自分が考えることが多い。そして、イベントは大人数グループの一員。それぞれ役割が違うから、自然と切り替えができています」

家族との時間も大切に(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

「日・月曜が休日で、日曜は家にいて掃除や片付けをする。そして、月曜は車で30分のブンノンボンガーデンへ行きます。湖もある大きな公園で、通常バンコク中心部の公園は犬は入れませんが、ここはペット可なうえにキャンプもできる。イスだけ持参して、コーヒーを淹れたりしています。

そのほか、週に1回、仲間とフットボールやバスケットボールをしたり、飲みに行ったりします。親とは日曜日に会っていますね。私は三人兄弟の真ん中で、兄はバンコク東側にある新興住宅地のバンナー地区に、弟はこの近くに新築の一戸建てを持っていて、親はタウンハウスを売却して弟のところに同居しています。だから、日曜日は弟の家で食事したり、家族がここに来たり、レストランに行ったり、家族と一緒にすごしていますね」

タイの方は家族や親しい人とのつながりがとても濃いと聞いていましたが、若いお二人も例外ではなく、ご家族との時間をしっかり取っていました。

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

・お気に入りのYou Tube(インテリア):Open Space
・日本人のモーニングルーティーンの動画を見るのも好き。

そして、Benzさんは高校生のころから、現在・将来の展望や計画表まで、ノートにあらゆることを書き出しています。

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

(写真撮影/Yoko Sakamoto)

「でも、書いてあることは単なる計画だから、お酒を飲んだりして守れなくてもOK。人生は変化するから、計画も変わることもあるよね」
きちんと決めつつ、変化には柔軟に対応する。すぐに真似したい、物事や人生への向き合い方ですね。

●取材協力
・Benzさん
・Auiさん
・Palini

スニーカー600足が部屋にズラリ! 業界30年の高見薫さんに聞く美しい収納術とストリートファッションの奥深き歴史

床から天井まで壁面いっぱいに、ずらりと並べられたスニーカー。色とりどりの600足に囲まれた空間は、美術館のようでもある。その部屋の主は、ナイキやデッカーズなどで30年にわたりスニーカーのセールスに従事してきた高見薫さん。高見さんの仕事の履歴、そしてスニーカーの歴史が詰まった「スニーカー部屋」を拝見しながら、美しく収納するためのポイントやこだわりを伺った。

ファッションアイテムとしてのスニーカー史

高見薫さんは1991年にナイキジャパンに新卒入社。96年にはナイキショップの立ち上げなどにも携わった。2018年からはデッカーズジャパンに転職し、同社が取り扱う「UGG(R)」のスニーカーのセールスを担当している。

千葉県にある高見さんの自宅の一室には、三面の壁に600足が並ぶ「スニーカー部屋」がある。1990年代から現在までのスニーカーの歴史、高見さんの仕事履歴が詰まった、圧巻の空間だ。

床から天井まで全面を使った壁面棚に、美しく並ぶ600足。これでも全部ではないという。ここに収まらないぶんは玄関などに収納されている(写真撮影/小野奈那子)

床から天井まで全面を使った壁面棚に、美しく並ぶ600足。これでも全部ではないという。ここに収まらないぶんは玄関などに収納されている(写真撮影/小野奈那子)

高見薫さん。ナイキ時代は新モデルやコラボ商品の販売戦略の企画など、さまざまなプロジェクトに従事。現在はデッカーズジャパンに所属し、同社のスニーカー戦略を推進している(写真撮影/小野奈那子)

高見薫さん。ナイキ時代は新モデルやコラボ商品の販売戦略の企画など、さまざまなプロジェクトに従事。現在はデッカーズジャパンに所属し、同社のスニーカー戦略を推進している(写真撮影/小野奈那子)

――ものすごい数ですね。これだけのスニーカーをコレクションするようになったきっかけは何だったのでしょうか?

高見:確かにすごい数なんですけど、私はコレクターっていうわけじゃないんですよ。

――どういうことでしょうか?

高見:好きで集めている方には失礼かもしれないですけど、私の場合は集めているというより「集まっちゃった」というほうが正しくて。30年間、ずっとスニーカーに近い仕事をしてきたので、必然的にこれだけの数になってしまいました。セールスの仕事をやっていると、その時々で会社が推していく商品のことを知っておかないといけないじゃないですか。だから自分でも買って履いてみたりしているうちに、どんどん増えていったんです。

「集まっちゃった」とはいえ、一足一足に対する思い入れは強いという(写真撮影/小野奈那子)

「集まっちゃった」とはいえ、一足一足に対する思い入れは強いという(写真撮影/小野奈那子)

――そのスタンスは少し意外でした。

高見:みんなに不思議って言われますね。ただ、そもそも私がナイキジャパンに新卒入社した1991年って、スニーカーをファッションで履くという感覚がなかったんですよ。当然、今のようにコレクションする人も少なくて。当時はいわゆるスニーカーブームがくる前で、会社もあくまでスポーツシューズとして売っていました。

高見さんがナイキに入社した1991年に発売された「エア マックスBW」(写真は復刻)。入社年度に出た最高峰モデルの一つということで、高見さんにとって思い入れの深い一足だという(写真撮影/小野奈那子)

高見さんがナイキに入社した1991年に発売された「エア マックスBW」(写真は復刻)。入社年度に出た最高峰モデルの一つということで、高見さんにとって思い入れの深い一足だという(写真撮影/小野奈那子)

――1996年に「エア マックス95」が大ブレイクし、スニーカーブームが起こる少し前あたりから、何となくスニーカーがストリートファッション系の雑誌にも取り上げられるようになったと記憶しています。

高見:そうですね。大きなきっかけの一つが1992年のバルセロナオリンピックです。アメリカの男子バスケットボール代表が「ドリームチーム」と呼ばれる最強チームを結成し、そこから「バッシュブーム」が起こります。そうした動きと、アメリカのファッションやヒップホップなどの文脈も相まって、スニーカーがファッション誌に掲載されるようになりました。

――そこからスポーツシーン以外でもスニーカーを普段履きするカルチャーがじわじわ広がって、「エア マックス95」の登場によって一気にブレイクすると。

高見:「エア マックス」というのはナイキのスニーカーの最高峰のシリーズとして、1987年から新作が毎年のように発売されていました。そのなかで、たまたまブームになったのが95年モデル。スタイリストさんが気に入ったのか、当時、芸能人の方がテレビなどでよく95マックスを履いていたんですよ。それを見た視聴者の間で「あの靴はなんだ!」となり、1996年に大ヒットするという。

じつは同じ96年にナイキショップがオープンするんですけど、開店と同時に95マックスを求めるお客様が殺到しました。なかにはオープン予定日の1カ月前から並ぶ人もいたりして。

左側の棚に並んでいるのが「エア マックス95」。発売当初の貴重なモデルもある(写真撮影/小野奈那子)

左側の棚に並んでいるのが「エア マックス95」。発売当初の貴重なモデルもある(写真撮影/小野奈那子)

――当時の熱狂ぶりはよく覚えています。「エアマックス狩り」なんて事件も起こるほどの社会現象になりましたよね。

高見:ただ、当時はブームが加熱しすぎて「ナイキだったら何でもいい」みたいな人も増えたんですよ。それで、ひと通り商品がお客様に行き渡るとブームが一気に萎(しぼ)んでしまいます。1998年あたりから急激に失速しましたね。

それからは会社も「もう一度しっかりスポーツシューズとしてアプローチしていこう」という方向に向かうんですけど、一方で「せっかく新しいお客様を獲得できたのだから、本格的にファッションアイテムとして仕掛けていこう」という声もあって、2000年前後くらいからスニーカーをスポーツとファッションの両輪で展開していく動きが出てきます。その後、2010年くらいになると、他社ブランドでもスポーツ仕様と普段履きのスニーカーをはっきり区別して売るようになっていきましたね。

1996年に発売された「エア リフト」。つま先部分が足袋のように分かれているのが特徴。高見さんは2000年ごろ、よくこれを履いて出社していたそう。「靴下なしで履けてラクなので愛用していましたね。社割で安かったのもあって、たくさん買いました(笑)」(写真撮影/小野奈那子)

1996年に発売された「エア リフト」。つま先部分が足袋のように分かれているのが特徴。高見さんは2000年ごろ、よくこれを履いて出社していたそう。「靴下なしで履けてラクなので愛用していましたね。社割で安かったのもあって、たくさん買いました(笑)」(写真撮影/小野奈那子)

――確かに、ある時期からシューズ専門店でも、スポーツ用とファッション用のスニーカーのコーナーが分かれるようになりました。

高見:そうですよね。それが2010年代までの動きです。ちなみに、最近では小規模なブランドもスニーカーやスポーツシューズに参入するようになりました。ひと昔前まではナイキやアディダスといった、いくつかの大手しかやっていなかったんですけど、今はそれこそ私が所属するデッカーズジャパンが取り扱う「UGG(R)(アグ)」や「HOKA(R)(ホカ)」だったり、「Salomon(サロモン)」「On(オン)」など、さまざまなブランドがスニーカーやランニングシューズを手掛けるようになっています。

「UGG CA805 Zip」。それまでブーツのイメージが強かったUGG(R)が、本腰を入れて開発したスニーカー。2018年にデッカーズジャパンに入社した高見さんがセールスを担当し、一時期はこればかり履いていたのだとか(写真撮影/小野奈那子)

「UGG CA805 Zip」。それまでブーツのイメージが強かったUGG(R)が、本腰を入れて開発したスニーカー。2018年にデッカーズジャパンに入社した高見さんがセールスを担当し、一時期はこればかり履いていたのだとか(写真撮影/小野奈那子)

高見:多様なブランドの参入と技術の進化により、デザインのバリエーションも広がっています。よりファッショナブルになっていて、洋服に合わせる楽しみも広がっていると思いますよ。

UGGの最新スニーカー「CA805V2 Remix」。スリッポンのように軽やかな履き心地が特徴。初代モデルから5年でデザインも大幅に進化している(写真撮影/小野奈那子)

UGGの最新スニーカー「CA805V2 Remix」。スリッポンのように軽やかな履き心地が特徴。初代モデルから5年でデザインも大幅に進化している(写真撮影/小野奈那子)

600足を収納する「スニーカー部屋」のつくり方

――この家に引越してくる前は、どのようにスニーカーを保管していましたか?

高見:以前は実家近くの団地で一人暮らしをしていたんですけど、スニーカーは箱に入れて天井の高さまで積んでいました。少し大きめの地震がくると一気に倒れて悲惨なことになっていましたね。それに加えて、トランクルームも2つ借りていました。ですから、今みたいにすぐに取り出せる状態ではなかったです。

ただ、この家を買ったのはスニーカーのためというわけではありません。結婚して夫が私の部屋に越してきて、夫婦ともに物が多いから生活スペースが激狭になってしまったんです。通路も片側通行でしか通れないくらい狭くて……。

そんな生活から抜け出したくて引越しを考えていた時に、たまたまこの一戸建てが売りに出ているのを見つけました。それで、せっかく買うならスニーカーをちゃんと保管できるように、一部をリフォームしようと考えたんです。建築士さんに相談したところ、元のオーナーが2人の息子さんの部屋として使っていたスペースを、スニーカー部屋に変更しようということになりました。

もともとは壁で仕切られていたスペースを一つの空間にリフォーム。3つの壁全面に、新たにスニーカー専用棚を設けた(写真撮影/小野奈那子)

もともとは壁で仕切られていたスペースを一つの空間にリフォーム。3つの壁全面に、新たにスニーカー専用棚を設けた(写真撮影/小野奈那子)

――壁面棚をつくるにあたって、建築士さんに要望したことはありますか?

高見:とにかくできるだけ多くの靴を並べられるようにしてくださいと。最初は箱ごと棚に収納する案もあったんですけど、そうするとお店のストックルームみたいになっちゃって全然面白くないじゃないですか。だから裸のまま並べちゃおうと。剥き出しだと埃が溜まったりもするんですけど、私はコレクターではないからか、あまりそのへんは気にならなくて。

一つひとつの棚板の高さを変えることも可能。高見さんは一番高い靴の縦幅に合わせて棚板の位置を統一している(写真撮影/小野奈那子)

一つひとつの棚板の高さを変えることも可能。高見さんは一番高い靴の縦幅に合わせて棚板の位置を統一している(写真撮影/小野奈那子)

壁面棚の両サイドには鏡を設置し、無限にスニーカーが並んでいるように見せる遊び心も(写真撮影/小野奈那子)

壁面棚の両サイドには鏡を設置し、無限にスニーカーが並んでいるように見せる遊び心も(写真撮影/小野奈那子)

高見:あと、これは建築士さんから勧められたんですけど、棚の材料は北海道のチーク材を使っています。とても綺麗な木材ですし、スニーカーも映えるだろうということで。北海道から輸送しなきゃいけないので高いんですけどね。

――スニーカーのコンディションを保つという点でも、やはり天然木を使った棚のほうがいいのでしょうか?

高見:そうですね。スチールラックなどに置いている人も多いと思いますが、金属は錆びる可能性があるので、靴にとってはあまりよくありません。

それから、スニーカーのコンディションを保つためには、部屋の空気の状態にも気を配る必要があります。なるべく空気を循環させることと、湿度が高くなりすぎないこと。空気が湿っていると、靴がどんどんベタベタになってくるんです。この部屋では、空調でなるべく一定のコンディションをキープできるようにしています。

――ちなみに、ずっと置いておくよりも、たまには履いたほうがよかったりしますか?

高見:はい。履かないと逆に駄目になりやすいです。置きっぱなしにしていると空気中の水分がスニーカーに溜まっていき、ミッドソール部分の素材が加水分解を起こしてしまうんです。すると、靴底からボロボロと崩れてしまう。それを防ぐにはたまに履いてあげて、身体の重力を利用して水分を抜くことが必要です。私もここにあるスニーカーはただ飾るだけじゃなくて、なるべく履くようにしていますよ。

(写真撮影/小野奈那子)

(写真撮影/小野奈那子)

グループ分けで美しく。思わず眺めたくなる棚に

――上から下まで、とても美しくスニーカーが並んでいますが、飾る時のコツやポイントがあれば教えてください。

高見:私の場合は、持っているスニーカーをグループ分けするところから始めました。まずは「ランニングシューズ」「バスケットシューズ」といった感じで大まかに分類し、そこからさらに細かく種類を分けます。あとは年代別だったり、シンプル系・派手系みたいな形でグループを分けていきました。そのうえで、エクセルで作った棚の図面に、何をどこに入れるか入力しながらシミュレーションしましたね。

実際に棚に置く時には、薄い色から濃い色の順番に並べたり、背が低い順から並べたりと、なるべく美しく見えるように意識しました。このあたりはナイキで学んだ陳列の法則みたいなものを取り入れています。

靴の種類ごとに分けた上で、デザインが派手なコーナー、シンプルなコーナーなど、なんとなくグループをつくるだけでも見栄えがよくなる(写真撮影/小野奈那子)

靴の種類ごとに分けた上で、デザインが派手なコーナー、シンプルなコーナーなど、なんとなくグループをつくるだけでも見栄えがよくなる(写真撮影/小野奈那子)

――ここまで美しく飾られていると、もはやスニーカーというよりインテリアのようです。眺めているだけで楽しくなりますね。

高見:私自身はあまりインテリアという感覚はないのですが、眺めるのは楽しいですね。やはり、一つひとつに思い入れがあるので。「これは、あそこに行った時に買ったよな」とか、「これを履いていた時、仕事大変だったな」とか、いろんなことを思い出します。

――この部屋は、高見さんの歴史そのものなんですね。

高見:そうですね。ですから、一般的なコレクターの方とは違う感覚なんでしょうけど、全てのスニーカーに愛着があります。もともとは狭い空間から逃げるために家を買い、やむにやまれずリフォームした部屋ですが、今となっては懐かしい思い出にひたれる大切な場所になりましたね。

●取材協力
UGG(R)/デッカーズジャパン

住宅購入者の関心が高いワードはやはり【フラット35】、「住宅ローン減税」!購入時に知るべき制度も解説

リクルートが「『住宅購入・建築検討者』調査(2022年)」を公表した。この調査では、住宅の購入や建築を検討するうえで、知っておきたい制度などについての理解・関心度も聞いている。その結果、理解・関心度の高いワードの多くが、住宅ローンや減税に関するものだということが分かった。

【今週の住活トピック】
「住宅購入・建築検討者」調査(2022年度)公表/リクルート

住宅購入・建築検討者は一戸建て派が多数を占める

調査は、首都圏、東海圏、関西圏の三大都市圏と政令指定都市のうち札幌市、仙台市、広島市、福岡市に住む、20歳から69歳の男女で、過去1年以内に住宅の購入・建築、リフォームについて具体的に検討した人を対象に行われた。

検討している住宅の種別(複数回答)は、「注文住宅」が過半数の56%で、「新築一戸建て」32%、「中古一戸建て」29%、「新築マンション」32%、「中古マンション」26%、「(現在住む家の)リフォーム」15%となっている。「一戸建てか、マンションか」を聞く(単一回答)と、「ぜったい」と「どちらかといえば」の合計で、「一戸建て派」が63%、「マンション派」が22%と、一戸建て派が多数を占める結果となった。

また、検討している物件に、「永住する」と考えているのは45%、「将来的に売却を検討している」のは24%、「将来的に賃借を検討している」のは5%だった。

過半数が名前も内容も知っている、【フラット35】、「リノベーション」、「住宅ローン減税」

この調査では、「税制・優遇制度などへの理解・関心」について、詳しく聞いている。聞いた税制・優遇制度は、「今後創設予定の税制・優遇制度」、「住宅購入に関する税制・優遇制度」、「住宅購入に関する金利・補助金」、「物件の構造・仕様、取引、他に関するもの」に大別され、それぞれ複数項目を聞いている。

その項目の中で、「言葉も内容も知っている」と回答した割合(以降は、「認知度」と表記)の多いものを挙げてみよう。

■認知度の高い項目(上位10項目)

順位制度名等認知度1【フラット35】75%2リノベーション63%3住宅ローン減税※56%4【フラット35 S】46%4空き家バンク46%6固定資産税の減額措置45%6スマートハウス45%8贈与税の特例42%9認定長期優良住宅41%10住宅リフォームの減税制度40%※住宅ローン減税については、さらに細かく聞いているが、順位としては省略した。
リクルート『住宅購入・建築検討者』調査(2022年度)を基に筆者が作成

認知度の上位には、住宅ローンと減税に関するものが多く入っているのが目立つ。ローンと税金は多くの人に関係するだけに、認知度が高くなっているのだろう。ちなみに、認知度が低かったのは、「BELS」(23%)や「安心R住宅」(25%)だった。

【フラット35】と「住宅ローン減税」のどこまで知っている?

この調査では、回答者に対して言葉とその内容について説明文を提示し、そのうえで、知っているかどうか聞いている。その説明について、紹介しておこう。

まず、1位の【フラット35】と4位の【フラット35 S】。

【フラット35】全期間固定金利の住宅ローンである【フラット35】において、2023年4月よりすべての住宅について、省エネ基準への適合を求める制度の見直しが行われる。【フラット35 S】一定の基準を満たした住宅を取得する場合、一般の住宅より金利を引き下げる制度。

住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する【フラット35】だが、ポイントは、2023年4月以降は省エネ基準に適合していないと利用できないことだ。金利を引き下げる優遇制度である【フラット35 S】は、すでにZEHなど省エネ性の高い住宅ほど金利が優遇される仕組みに変わっている。

2位の「住宅ローン減税」については、「返済期間10年以上の住宅ローンを利用して住宅を購入した場合に、住宅ローン残高の0.7%を所得税等から控除」と概要を説明しており、認知度は56%になっている。実は、調査ではさらに細かく聞いている。

【住宅ローン減税×環境性能】環境性能の優れた住宅では、減税の対象となる借入限度額が上乗せになる。【住宅ローン減税×中古OK】新耐震基準適合住宅(1982年以降に建築された住宅と定義)であれば、住宅ローン減税が適用される。【住宅ローン減税×増改築OK】自宅の増改築でも基準を満たせば、住宅ローン減税が適用される。【住宅ローン減税×新築床面積】2023年末までに建築確認を受けた新築住宅であれば、床面積が40平米以上50平米未満でも適用される。(それより以前は床面積50平米以上で適用対象)【住宅ローン減税×耐震改修】新耐震基準を満たさない中古でも、取得後一定期間内に耐震改修して基準を満たせば、住宅ローンが適用される。

いずれについても、認知度は46%~51%と高く、住宅ローン減税については細かい適用条件まで理解している人が多いことがわかる。

リノベーションなど認知度の高いワードを再確認

以下、上位に挙がった項目について、説明していこう。

リノベーション既存の建物に大規模な改修工事を行い、用途や機能を変更して性能を向上させたり付加価値を与えること。空き家バンク地方自治体が、空き家の賃貸・売却を希望する所有者から提供された情報を集約し、空き家をこれから利用・活用したい方に紹介する制度。空き家対策の一つとして注目されている。固定資産税の減額措置2024年3月末までに新築住宅を取得した場合、固定資産税が3年間(マンション等の場合は5年間)、2分の1に減額される。スマートハウス太陽光発電システムや蓄電池などのエネルギー機器、家電、住宅機器などをコントロールし、エネルギーマネジメントを行うことで、家庭内におけるエネルギー消費を最適化する住宅。贈与税の特例住宅取得等資金として、子や孫が親や祖父母から贈与を受ける場合、通常の住宅で500万円、省エネ等住宅で1000万円まで贈与税が非課税になる。認定長期優良住宅耐震、省エネ、耐久性などに優れた住宅である長期優良住宅と認定されると、所得税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税が軽減される。(住宅ローン減税では借入限度額が上乗せされる)住宅リフォームの減税制度耐震改修、バリアフリー対応、省エネ対応、三世代同居対応、長期優良住宅化対応の工事を行うと所得税等の控除がある。リクルート『住宅購入・建築検討者』調査(2022年度)を基に筆者が作成

少し補足説明をしておこう。
「リノベーション」については明確な定義がないのだが、住宅業界では一般的に、劣化した部分を建築当時の水準に改修するだけでなく、今の生活に合うように機能を引き上げる改修を行うことをいう。そのため、大規模な改修工事になることが多い。

「空き家バンク」は、かつては自治体ごとに公開しているホームページを見に行くしかなく、使いづらいものだったが、いまは民間の不動産ポータルサイトによって統一した内容で全国の空き家が探せるようになっている。

「スマートハウス」は、一般的にHEMS (home energy management system) と呼ばれる住宅のエネルギー管理システムで、家庭の電気などのエネルギーを一元的に管理する住宅のこと。IT技術を活用した住宅としてはほかに、IoT住宅(アイオーティー住宅。インターネットで住宅設備や家電などをつなげてコントロールできる住宅)などもある。IT技術によって、今後も多くのものがホームネットワークでつながり、安心安全や健康などの住生活の向上も期待されている。

ほかは、主に減税に関する項目が上位に挙がった。いずれも期限付きの減税制度となっている。期限がくると延長されるか、縮小されるか、終了するかになるので、注意が必要だ。

知っておきたい「新築住宅の省エネ基準適合義務化」と「インスペクション」

最後に、認知度が高くはなかったが、知っておきたい項目について紹介したい。それは「2025年新築住宅の省エネ基準適合義務化」(26%)と「インスペクション(建物状況調査)」(32%)だ。

新築住宅、特に一戸建てのような小規模な建築物にも、省エネ基準への適合が義務化されることになっている。適合義務化は、2030年までにZEH水準まで引き上げる予定となっている。こうした新築住宅への義務化によって、既存の住宅と省エネ性能に開きができる点も押さえておきたい。

「インスペクション」(32%)はもっと認知度が高いと思っていたので、少し意外に思った。中古住宅の売買において、宅地建物取引業者は、建物状況調査の事業者をあっせんするかどうかや、対象の住宅が建物状況調査を行っているかどうかなどを伝えることになっている。建物の状態はしっかり把握しておきたいものなので、認知度が上がることを期待したい。

さて、説明文が簡単に記載されていたとしても、「言葉も内容も知っている」というレベルは人それぞれだろう。何となく分かっているというレベルから、適用条件や期限まで正確に把握しているレベルまでさまざまある。実際に制度を利用しようとするときには、正確に理解していることが求められるので、この機会にぜひ各制度への理解を深めてほしい。

●関連サイト
リクルート「住宅購入・建築検討者」調査(2022年度)

「品川駅」まで60分以内、新築&中古一戸建ての価格相場が安い駅ランキング 2021年版

一戸建て住宅を購入する際、暮らしやすさを左右する周辺環境は気になるところ。また、通勤時やおでかけにあたって交通の便がよい立地かどうかも選ぶ決め手の一つだろう。とはいえ職場がある都心周辺だと物件の価格帯が高いし、テレワークが普及した今、職場への近さばかりでなく落ち着いて住める住環境も重視したい……。そんな人に向け、今回は「品川駅まで60分以内」のエリアに絞って一戸建て住宅の価格相場を調査してみた。さまざまなオフィスが集まる品川駅は、山手線をはじめとするJR各線に加え京浜急行本線、東海道新幹線が通り、さらに将来的にはリニア中央新幹線の開業も予定されている。そんな品川駅までアクセスしやすく、さらにリーズナブルに住める街はどこなのか? 新築&中古それぞれの一戸建て住宅の価格相場が安い駅トップ10を一挙ご紹介!
●品川駅まで60分以内の価格相場が安い駅

【新築一戸建て編】TOP11駅
順位/駅名/価格相場/土地面積中央値/建物面積中央値
(主な路線/所在地/品川駅までの所要時間/乗り換え回数)
1位 北小金 3140万円 土地108.92平米 建物96.67平米
(JR常磐線/千葉県松戸市/48分/1回)
2位 相模大塚 3285万円 土地70.66平米 建物104.83平米
(相鉄本線/神奈川県大和市/50分/2回)
3位 北柏 3290万円 土地114.98平米 建物100.60平米
(JR常磐線/千葉県柏市/51分/1回)
3位 天王台 3290万円 土地130.05平米 建物106.66平米
(JR常磐線/千葉県我孫子市/53分/0回)
5位 上尾 3380万円 土地105.34平米 建物90.67平米
(JR高崎線/埼玉県上尾市/54分/0回)
5位 新田 3380万円 土地95.54平米 建物102.22平米
(東武伊勢崎線/埼玉県草加市/49分/2回)
7位 薬園台 3399万円 土地110.15平米 建物104.33平米
(新京成電鉄/千葉県船橋市/52分/1回)
8位 さがみ野 3480万円 土地84.67平米 建物99.36平米
(相鉄本線/神奈川県海老名市/51分/2回)
8位 新井宿 3480万円 土地100.05平米 建物90.99平米
(埼玉高速鉄道/埼玉県川口市/54分/1回)
8位 追浜 3480万円 土地87.63平米 建物96.45平米
(京浜急行本線/神奈川県横須賀市/45分/1回)
8位 飯山満 3480万円 土地110.00平米 建物103.58平米
(東葉高速鉄道/千葉県船橋市/50分/2回)

【中古一戸建て編】TOP11駅
順位/駅名/価格相場/土地面積中央値/建物面積中央値
(主な路線/所在地/品川駅までの所要時間/乗り換え回数)
1位 みずほ台 3390万円 土地103.69平米 建物98.27平米
(東武東上線/埼玉県富士見市/55分/2回)
2位 南太田 3400万円 土地61.44平米 建物93.97平米
(京浜急行本線/神奈川県横浜市南区/34分/1回)
3位 踊場 3490万円 土地104.00平米 建物95.71平米
(横浜市営地下鉄ブルーライン/神奈川県横浜市泉区/37分/1回)
4位 西大宮 3590万円 土地121.23平米 建物100.92平米
(JR川越線/埼玉県さいたま市西区/58分/1回)
5位 上星川 3680万円 土地107.14平米 建物98.54平米
(相鉄本線/神奈川県横浜市保土ケ谷区/35分/2回)
6位 竹ノ塚 3898万円 土地88.29平米 建物85.91平米
(東武伊勢崎線/東京都足立区/41分/2回)
7位 北綾瀬 3930万円 土地67.91平米 建物89.41平米
(東京メトロ千代田線/東京都足立区/41分/1回)
8位 京成立石 3980万円 土地63.82平米 建物79.90平米
(京成押上線/東京都葛飾区/37分/0回)
8位 希望ヶ丘 3980万円 土地107.09平米 建物96.39平米
(相鉄本線/神奈川県横浜市旭区/42分/1回)
8位 弘明寺 3980万円 土地66.83平米 建物96.05平米
(横浜市営地下鉄ブルーライン/神奈川県横浜市南区/40分/1回)
8位 鉄道博物館 3980万円 土地95.00平米 建物104.74平米
(埼玉新都市交通伊奈線/埼玉県さいたま市大宮区/55分/1回)

「新築」編は商業施設充実の街から緑豊かな街まで多彩な顔ぶれ

「新築一戸建て」ランキングの1位は、千葉県松戸市に位置するJR常磐線各駅停車・北小金駅で価格相場は3140万円。4駅先の松戸駅でJR上野東京ライン直通のJR常磐線快速に乗り換えると、品川駅まで乗り換え1回・計約48分で行ける。北小金駅周辺は水戸街道の宿場町・小金宿として江戸時代から栄え、一帯には歴史ある建物も残されている。駅から北へ10分ほど歩くとアジサイの美しさで知られる「本土寺」が、そして南へ7分ほど歩いた小学校の裏手には樹齢約320年と言われるしだれ桜が迎える「東漸寺(とうぜんじ)」がたたずんでおり、どちらの古刹も紅葉が見事なことでも評判だ。

本土寺(写真/PIXTA)

本土寺(写真/PIXTA)

北小金駅南口側にはペデストリアンデッキ(高架歩道)が整備され、複合商業ビル「ピコティ北小金」の西館・東館に直結。西館には保育所や飲食店があり、東館はスーパーの「イオン北小金店」を核として日用品に服飾品、100円ショップやスポーツクラブなど多彩な店舗をそろえている。駅北口前にもスーパーがあるほか、「本土寺」へ向かう参道沿いに米や酒の個人商店や飲食店も点在。また、駅の半径約500m圏内に小学校が3軒あるのも特徴的。それだけ子育て世代が住む街なのだろう。北小金駅を通るJR常磐線各駅停車は終点の北千住駅から先は東京メトロ千代田線に直通運転されており、大手町駅や赤坂駅、表参道駅などへ乗り換えせずに行ける点も魅力だ。

2位は神奈川県大和市に位置する相鉄本線・相模大塚駅で、価格相場は3285万円。1駅隣の大和駅で特急に乗り換えて横浜駅に行き、さらにJR東海道本線に乗ると品川駅まで乗り換え2回・計約50分。所要時間が多少は増えるものの、相模大塚駅から相鉄本線の急行で直に横浜駅へ向かい、そこからJR東海道本線を利用する乗り換え1回のルートでも品川駅まで1時間以内にアクセスできる。また、隣接する大和駅には新宿方面へ向かう小田急線も通っており、大和駅経由で乗り換え1回、1時間前後で新宿駅に行くことも可能だ。

さがみ野駅(写真/PIXTA)

さがみ野駅(写真/PIXTA)

相模大塚駅から大和駅とは反対方面に1駅行くと8位・さがみ野駅がある。価格相場から予想されるように、さがみ野駅には駅ビルもあり相模大塚駅よりも買い物環境は整っているようにも思える。しかし相模大塚駅も徒歩5分圏内にドラッグストアとスーパーがあるので、日常の買い物には困らない。もう少し歩くとJAの直売所もあり、新鮮な野菜を手に入れることもできる。駅から北に10分ほど歩くと「泉の森」へ。引地川源流域の大和水源地を中心にした広大な森には多彩な植物や野鳥が息づき、園内にはキャンプ場や郷土民家園も。この「泉の森」から引地川沿いに南下すると、滝が流れる親水広場や花木園を備えた公園「ふれあいの森」が広がっている。自然を身近に感じながらのびのびと暮らせる魅力的な環境と言えるだろう。ただ、駅の北側にはこうした広大な森があり、そして駅の南側は米軍基地が大きな面積を占めているため、駅近辺の住宅地は限られている。

上尾駅東口の風景(写真/PIXTA)

上尾駅東口の風景(写真/PIXTA)

1位は千葉県、2位は神奈川県の駅だったが、トップ10には埼玉県の駅もランクイン。価格相場が3380万円で5位になったJR高崎線・上尾駅は埼玉県上尾市の中心地で、駅からまっすぐ伸びる通りを8分ほど歩いた場所には市役所も。品川駅に行くには、JR上野東京ライン直通のJR高崎線に乗ると約54分で到着する。また、JR高崎線は新宿方面に向かうJR湘南新宿ラインとの直通運転もされており、上尾駅から新宿駅まで乗り換えることなく約45分で行くことも可能だ。

上尾駅の周辺は商業施設が充実している。100円ショップと飲食店が入った駅ビル「イーサイト上尾」があるほか、駅東口のペデストリアンデッキはスーパーやドラッグストアなどの店舗と公共施設・住宅の複合ビル「A-Geo タウン」や、「丸広百貨店 上尾店」に直結。駅西口側にはイトーヨーカドーを核とするショッピングモール「ショーサンプラザ」や総合病院もあるなど、日常生活に必要なものは駅周辺に備わっている。駅を中心にした商業エリアを越えると、一戸建てや集合住宅の合間に学校や幼稚園が点在する住宅街。そして住宅街を越えた駅から車で10分圏内には、プールや釣り堀を備えた「さいたま水上公園」や、ショッピングモールの「イオンモール上尾」と「アリオ上尾」、ホームセンター、家電量販店までそろう便利な環境だ。

「中古」編は品川駅まで40分前後の駅も多数ランクイン

「中古一戸建て」ランキングの1位は、埼玉県富士見市に位置する東武東上線・みずほ台駅。価格相場は3390万円で、「新築一戸建て」編の1位よりも250万円高かった。東武東上線の池袋駅を経由して、JR埼京線とJR山手線を乗り継ぐと品川駅までは約55分。池袋駅までは東武東上線の準急に乗って約26分で行くことができる。みずほ台駅は東口にも西口にもスーパーが入った駅ビルがあるうえ、駅周辺にもスーパーが複数。そして東口の駅ビルにはファストフード店やカフェ、西口の駅ビルには100円ショップが入っており、駅前には飲食店もあるので、コンパクトな範囲で買い物も食事も楽しめる。そんな駅前からしばらく歩くと住宅街へ。高層の建物はあまりなく、農地も点在する落ち着いた街並みだ。住宅の合間には複数の小中学校や幼稚園、保育園、学習塾もあるので、子育て世代のファミリーが多く住んでいるようだ。

常照寺(写真/PIXTA)

常照寺(写真/PIXTA)

2位は神奈川県横浜市南区の京浜急行本線・南太田駅で、価格相場は3400万円。京浜急行本線で横浜駅までは4駅・約8分、そこからJR東海道本線に乗り換える。すると品川駅までの所要時間はトップ10で最短の約34分だ。南太田駅の北側には「太田の鬼子母神さま」と呼ばれる「常照寺」の境内が広がっている。ここの鬼子母神像は8代将軍徳川吉宗のころには大奥に祀られていたものだそうで、現在その本尊を祀る大本堂の見事な造りも見ものだ。駅西側には市立横浜商業高校と県立横浜青陵高校があり、駅から北東へ歩いて3分ほどの「ドンドン商店街」で例年の夏に開催される縁日では、両高校の生徒も手伝いとしてひと役買っているのだそう。この商店街に青果店や精肉店、手づくりおむすび店や飲食店が並んでいるほか、駅南側にもスーパーやドラッグストア、飲食店がある。また、駅前を通る県道218号・平戸桜木道路を東へ進むと、自転車なら15分ほどで横浜のみなとみらいエリアへ。見どころ豊富な人気エリアまで気軽に行ける立地も魅力だ。

トップ10を見てみると埼玉県または神奈川県の駅が大半を占めていたが、東京都の駅も3駅ランクインしている。その一つ、東京都葛飾区に位置する8位の京成押上線・京成立石駅は品川駅まで乗り換えせずに、約37分で行くことができる。品川駅に京成押上線は通っていないが、京成立石駅を出た京成押上線は4駅先の押上駅で都営浅草線に、さらにそこから13駅先の泉岳寺駅で京成急行本線に、それぞれ直通運転されているため乗り換え不要というわけだ。道中の都営浅草線区間内にある浅草駅や日本橋駅、新橋駅へも1本で行くことが可能だ。そんな京成立石駅周辺にはかつて多くの町工場があり、そこで働く人に向けた居酒屋や食堂が密集していた。現在も駅前の立石仲見世通りの商店街では、昭和レトロな風情を漂わせる飲食店が営業中だ。商店街には手づくりの餃子や揚げ物など、それぞれに個性豊かな品を扱う総菜店も点在し、日々の食事の支度をサポートしてくれる。

立石仲見世(写真/PIXTA)

立石仲見世(写真/PIXTA)

こうしたどこか懐かしさ漂うこの街も、変化の時を迎えている。京成立石駅を中心にした四ツ木駅~青砥駅間では2023年3月の完成を目指して連続立体交差事業が進行中で、工事にともなって飲み屋街の一部店舗は閉店に。しかし駅の高架化により高架下空間が有効活用できるほか、11カ所の踏切がなくなることで線路が分断していた市街地が一体化する効果も見込まれている。さらに駅の北口と南口、両方の再開発にも着手。北口には駅前広場が整備され、広場の西側には住宅と商業施設からなる35階建ての複合ビル、東側には公共・公益施設や商業施設が入る13階建てのビルが2028年度内に誕生予定だ。さらに南口には地上125mにおよぶ住宅・商業施設の複合ビルが2024年度に竣工予定だそう。今後の数年間で世帯数がぐっと増え、街の活気も高まっていくだろう。

●調査概要
【調査対象駅】品川駅まで電車で60分圏内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】
駅徒歩15分圏内、物件価格相場3億円以下、築年数40年未満、敷地権利は所有権のみ
■新築戸建て:新築物件(築1年以上の未入居物件を含む)
■中古戸建て:築15年以内
【データ抽出期間】2021/2~2021/4
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、朝7時30分~9時の検索結果から算出(2021年5月31日時点)。所要時間は該当時間帯で一番早いものを表示(乗換時間を含む)
※記載の分数は、駅内および、駅間の徒歩移動分数を含む
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
※ダイヤ改正等により、結果が変動する場合がある
※乗換回数が2回までの駅を掲載

梅田駅まで60分以内、新築・中古の一戸建て価格相場が安い駅ランキング 2021年版

2021年3月、リクルート住まいカンパニーより発表された「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」で「住みたい街」2位に輝いた大阪府・梅田駅。1位になった西宮北口駅と共に、1位・2位はなんと2013年より9年連続で同じ街が選出される結果となった。不動のツートップの一翼を担う梅田は、関西圏屈指の都市として発展してきた。駅周辺は商業施設やオフィスビルが林立し、住みたい街としても支持されてはいるものの、都市計画的に多くは商業地域に設定されており、一部、マンションとなっている以外は、宅地として利用されているスペースはかなり限られている。地価や物件価格の高さも考えても、新たに一戸建てを構えるのはなかなか難しいだろう。そこで今回は人気の街・梅田から電車で60分圏内にある、一戸建ての価格相場が安い駅を調べてみた。築1年未満の「新築編」と築1年以上~築15年未満の「中古編」、それぞれの価格相場が安い駅トップ10をご紹介しよう。●梅田駅まで60分以内の価格相場が安い駅TOP10
【新築一戸建て編】
順位/駅名/価格相場/土地面積中央値/建物面積中央値
(沿線/所在地/梅田駅までの所要時間/乗り換え回数)
1位 富田林(とんだばやし) 2290万円 102.71平米 94.39平米
(近鉄長野線/大阪府富田林市/49分/2回)
2位 千代田(ちよだ) 2380万円 112.86平米 99.78平米
(南海高野線/大阪府河内長野市/51分/2回)
2位 滝谷(たきだに) 2380万円 108.28平米 100.72平米
(南海高野線/大阪府富田林市/49分/2回)
2位 法隆寺(ほうりゅうじ) 2380万円 115.60平米 97.20平米
(JR関西本線/奈良県斑鳩町/44分/1回)
5位 高鷲(たかわし) 2480万円 114.68平米 95.58平米
(近鉄南大阪線/大阪府羽曳野市/35分/2回)
5位 平群(へぐり) 2480万円 130.17平米 102.06平米
(近鉄生駒線/奈良県平群町/52分/2回)
7位 北信太(きたしのだ) 2490万円 104.76平米 93.45平米
(JR阪和線/大阪府和泉市/45分/2回)
8位 恵我ノ荘(えがのしょう) 2570万円 112.17平米 97.60平米
(近鉄南大阪線/大阪府羽曳野市/33分/2回)
9位 萩原天神(はぎはらてんじん) 2580万円 87.78平米 90.66平米
(南海高野線/大阪府堺市東区/44分/2回)
10位 額田(ぬかた) 2585万円 135.76平米 98.96平米
(近鉄奈良線/大阪府東大阪市/41分/2回)

【中古一戸建て編】
順位/駅名/価格相場/土地面積中央値/建物面積中央値
(沿線/所在地/梅田駅までの所要時間/乗り換え回数)
1位 高安(たかやす) 2465万円 81.91平米 90.18平米
(近鉄大阪線/大阪府八尾市/37分/2回)
2位 恩智(おんぢ) 2500万円 89.11平米 87.88平米
(近鉄大阪線/大阪府八尾市/40分/2回)
3位 忍ケ丘(しのぶがおか) 2580万円 100.92平米 99.48平米
(JR片町線/大阪府四條畷市/32分/1回)
4位 若江岩田(わかえいわた) 2635万円 83.46平米 92.54平米
(近鉄奈良線/大阪府東大阪市/36分/1回)
5位 弥刀(みと) 2680万円 75.87平米 99.63平米
(近鉄大阪線/大阪府東大阪市/34分/2回)
6位 瓢箪山(ひょうたんやま) 2840万円 104.36平米 106.94平米
(近鉄奈良線/大阪府東大阪市/36分/2回)
7位 萱島(かやしま) 2850万円 82.99平米 100.19平米
(京阪本線/大阪府寝屋川市/22分/1回)
8位 寝屋川市(ねやがわし) 2880万円 99.70平米 104.08平米
(京阪本線/大阪府寝屋川市/25分/1回)
8位 香里園(こうりえん) 2880万円 91.53平米 100.59平米
(京阪本線/大阪府寝屋川市/28分/1回)
10位 光善寺(こうぜんじ) 2980万円 105.50平米 101.65平米
(京阪本線/大阪府枚方市/32分/1回)
10位 花園町(はなぞのちょう) 2980万円 67.17平米 93.15平米
(大阪メトロ四つ橋線/大阪府大阪市西成区/14分/1回)

「新築編」は大阪と奈良、両方の中心地に出やすい駅も上位に

まずは梅田駅から60分圏内にある、新築一戸建ての価格相場が安い駅から見ていこう。1位は近鉄長野線・富田林駅で価格相場は2290万円。駅周辺にはスーパーや家電量販店、ドラッグストアに100円ショップ、子ども用品店……と多彩な店舗があり、車がなくても買い物しやすそう。また駅から南へ徒歩10分ほどの富田林寺内町には、江戸中期から昭和初期に建築された商家や町家が残されている。国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された街を歩くと、タイムスリップしたかのようだ。古い蔵や家屋を利用したショップや飲食店もあり、休日に訪れるのも楽しそう。寺内町を抜けた先には、河川敷が公園として整備された石川が流れている。暮らしに便利な商業施設と、日常の気分転換になる歴史・自然スポットの両方を兼ね備えている。

富田林寺内町の町並み(写真/PIXTA)

富田林寺内町の町並み(写真/PIXTA)

2位には価格相場が同額の2380万円となった3駅がランクイン。南海高野線で隣接する千代田駅と滝谷駅、そしてJR関西本線・法隆寺駅だ。そのうちの一つ、南海高野線・千代田駅は、駅が位置する大阪府河内長野市内でもいち早く宅地開発が進んだという住宅地。街並みを見ると大型マンションよりも一戸建て住宅のほうが多い様子。駅前には2軒のスーパーが点在するほか、駅の東西に延びる「千代田あいあい通り」の周辺には銀行、郵便局、青果店や文房具店などの個人商店からコンビニ、多彩な飲食店までさまざまに建ち並んでいる。この通りを西へ進んでいくと、「寺ヶ池公園」に到着。広々とした池を中心に美しく整備された園内には、滑り台などの遊具がある広場や、季節の花が彩る散策路、夏にオープンするプールもあり、地域の憩いの場となっている。

千代田駅と同じく2位になったJR関西本線・法隆寺駅は、駅名から推察されるように奈良県に位置している。駅から「法隆寺」の玄関口・南大門までは歩いて20分ほど。南大門の先は金堂や五重塔、夢殿をはじめとした貴重な建造物群や文化財の宝庫。世界文化遺産に指定された古刹を身近に感じて暮らせるとは、なかなか贅沢な街と言える。駅周辺には観光客にも利用される飲食店やショップがあるほか、スーパーやドラッグストア、JAの農産物直売所といった暮らしに根差した商店も。梅田駅までは乗り換え1回・約44分だが、同じく大阪を代表する駅である天王寺駅まではJR関西本線の区間快速で2駅・約23分。また、天王寺とは逆方面に向かうJR関西本線の快速に乗れば、奈良駅までは2駅・約11分で行くことが可能。大阪と奈良、両方のベッドタウンの役割を担える街と言えるだろう。

法隆寺(写真/PIXTA)

法隆寺(写真/PIXTA)

「中古編」は梅田駅の北東方面、京阪本線沿線に注目!

続いては中古一戸建ての価格相場が安い駅をチェック。1位は近鉄大阪線・高安駅で価格相場は2465万円。例年この駅併設の車庫を会場に、新型車両の展示などを行う「きんてつ鉄道まつり」が開催されることでも鉄道ファンには知られた駅だ。駅を出て西へ2分ほど歩くと、南北に流れる玉串川が見えてくる。この川沿い5kmほどにわたって約1000本のソメイヨシノが植栽されており、春の開花期は見事な景観に。川のほとりに点在する「あずまや」や公園とあわせて、地元住民の憩いの場となっている。駅から玉串川、さらにその先の中学校へと向かう通り一帯は商店街。食料品店や飲食店、クリニックなどが点在し、JAの農産物直売所では採れたての野菜や果物が手に入るのもうれしいところだ。

玉串川の桜(写真/PIXTA)

玉串川の桜(写真/PIXTA)

高安駅から近鉄大阪線で南に1駅、3分ほど乗車すると2位の恩智駅へ。玉串川沿いの桜並木は恩智駅前まで続いており、高安駅前から桜並木の下を15分ほど歩くと恩智駅前にたどり着く。1位と2位の駅はさほど離れていないこともあり、恩智駅の価格相場は1位から微増の2500万円だ。高架化された恩智駅の1階部分にはスーパーが入っているほか、駅前には書店や飲食店が並ぶアーケード商店街も。また、駅から徒歩約10分の場所には、2019年にオープンしたショッピングモール「アクロスプラザ八尾店」がある。スーパーに家電量販店、焼き肉や回転ずしなどの飲食店、さらに100円ショップや「ユニクロ」など21施設が営業中。ここなら日常生活に必要なものがまとめ買いできるだろう。

3位はJR片町線・忍ケ丘駅で価格相場は2580万円。大阪府四条畷(しじょうなわて)市内で唯一の駅(お隣の四条畷駅は大東市)で、徒歩10分少々の場所にある市役所の最寄駅でもある。駅名の由来になったのは、駅から西へ10分弱歩くとたどり着く「忍岡古墳」。墳丘上に神社が鎮座しており、竪穴式石室を見学することもできる。そんな歴史ある土地も、現在は落ち着いた住宅地。駅周辺にはさまざまな飲食店や複数のスーパーが点在し、住民の多さをうかがわせる。さらに駅から西へ徒歩なら20分少々、バスに乗れば約10分で「イオンモール四条畷」へ。スーパー、家電量販店から服飾・雑貨店や飲食店、さらには映画館まであり、日々の買い物に、休日の家族のおでかけ先に、と地域住民に活用されている。

中古一戸建てランキングは7位の萱島駅、同額8位の寝屋川市駅と香里園駅、10位の光善寺駅にも注目したい。この4つの駅はいずれも京阪本線の沿線で、萱島駅(7位)~寝屋川市駅(8位)~香里園駅(同額8位)~光善寺駅(10位)の順に連続している。電車ならそれぞれの駅より京阪本線で淀屋橋駅へ行き、大阪メトロ御堂筋線に乗り換える。すると乗り換え1回で梅田駅に行くことができる。

4駅のうち最も梅田駅寄りで、最も価格相場が安かった7位・萱島駅は、寝屋川の川面をまたぐような造りの高架駅となっており、ホームと屋根を突き抜けてクスノキの大木が茂る不思議な光景を目にできる。このクスノキは駅前にある萱島神社のご神木で、推定樹齢は700年。駅拡張時もご神木を切り倒さなくて済むように、クスノキを避けて囲うような構造のホームにしたのだそう。寝屋川をはさんで駅の西と東にはそれぞれ商店街やスーパーがあり、地域住民の暮らしを支えている。駅から東へ25分ほど歩くと3位・忍ケ丘駅からも行ける「イオンモール四条畷」に到着する。萱島駅と忍ケ丘駅は路線こそ違うものの、直線距離だと3.5kmほどしか離れていない。

萱島駅(写真/PIXTA)

萱島駅(写真/PIXTA)

駅の位置関係を見てみると、光善寺駅(10位)から見て南に香里園駅(8位)~寝屋川市駅(同額8位)~萱島駅(7位)と並んでおり、萱島駅の東方に忍ケ丘駅(3位)がある。「L」の字形に点在するこの5駅はいずれも梅田駅の北東方面に位置し、梅田駅まで乗り換え1回、約22分~32分という好ロケーション。梅田駅への利便性重視でしかも安く中古一戸建てを探す際は、まずこの5駅があるエリアに狙いを定めてもよいかもしれない。

今回は梅田駅を基点にして一戸建ての価格相場が安い駅を調査したが、新築と中古ではトップ10の顔ぶれがまったく違う結果となった。「中古編」のランキングで注目した忍ケ丘駅(3位)、萱島駅(7位)、寝屋川市駅と香里園駅(同額8位)、光善寺駅(10位)の5駅も、「新築編」のランキングではトップ10圏外。光善寺駅の20位が最高位であり、「中古編」3位の忍ケ丘駅にいたっては新築編では63位にとどまっている。ひと口に「一戸建て」と言っても、新築か中古かで価格相場がお得な街は変わってくるようだ。

●調査概要
【調査対象駅】梅田駅まで電車で60分圏内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】
駅徒歩15分圏内、物件価格相場3億円以下、敷地権利は所有権のみ
■新築戸建て:新築物件(築1年以上の未入居物件を含む)
■中古戸建て:築15年以内
【データ抽出期間】2020/11~2021/1
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、朝7時30分~9時の検索結果から算出。所要時間は該当時間帯で一番早いものを表示(乗換時間を含む)
※記載の分数は、駅内および、駅間の徒歩移動分数を含む
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
※ダイヤ改正等により、結果が変動する場合がある
※乗換回数が2回までの駅を掲載

「横浜駅」まで60分以内、新築・中古の一戸建て価格相場が安い駅ランキング 2021年版

テレワーク(リモートワーク)が昨年から急激に広まったことで、「通勤に便利な都市部」という立地にこだわらない住まい探しをする人も増えている様子。そこで今回は横浜駅まで「60分圏内」にある、一戸建ての価格相場を紹介したい。横浜駅まで30分圏内ではなく60分圏内という区切りだと、「職場までちょっと遠いかな……」とこれまで注目していなかった街もあるはず。しかしそうしたエリアにも、自分好みの街があるかもしれない。さっそく築1年未満の「新築編」と築1年以上・築15年未満の「中古編」、それぞれの価格相場が安い駅TOP10をチェックしていこう。●横浜駅まで60分以内の価格相場が安い駅TOP10
【新築一戸建て編】
順位/駅名/価格相場/土地面積中央値/建物面積中央値
(沿線/所在地/横浜駅までの所要時間/乗り換え回数)
1位 入谷 2480万円 土地100.32平米 建物95.58平米
(JR相模線/神奈川県座間市/39分/1回)
2位 衣笠 2890万円 土地109.61平米 建物96.05平米
(JR横須賀線/神奈川県横須賀市/48分/0回)
3位 寒川 2930万円 土地108.54平米 建物95.33平米
(JR相模線/神奈川県寒川町/39分/1回)
3位 香川 2930万円 土地106.44平米 建物94.39平米
(JR相模線/神奈川県茅ヶ崎市/36分/1回)
5位 かしわ台 3180万円 土地103.69平米 建物96.39平米
(相鉄本線/神奈川県海老名市/29分/1回)
5位 三浦海岸 3180万円 土地116.92平米 建物99.35平米
(京急久里浜線/神奈川県三浦市/45分/0回)
7位 宮山 3235万円 土地169.78平米 建物102.05平米
(JR相模線/神奈川県寒川町/42分/1回)
8位 桜ヶ丘 3280万円 土地100.11平米 建物93.98平米
(小田急江ノ島線/神奈川県大和市/26分/1回)
9位 座間 3285万円 土地121.70平米 建物99.34平米
(小田急小田原線/神奈川県座間市/36分/1回)
10位 さがみ野 3480万円 土地100.12平米 建物98.53平米
(相鉄本線/神奈川県海老名市/26分/1回)

【中古一戸建て編】
順位/駅名/価格相場/土地面積中央値/建物面積中央値
(沿線/所在地/横浜駅までの所要時間/乗り換え回数)
1位 かしわ台 3030万円 土地104.93平米 建物96.13平米
(相鉄本線/神奈川県海老名市/29分/1回)
2位 港南中央 3380万円 土地85.70平米 建物86.75平米
(横浜市営地下鉄ブルーライン/神奈川県横浜市港南区/15分/1回)
3位 東林間 3444万円 土地104.57平米 建物97.44平米
(小田急江ノ島線/神奈川県相模原市南区/31分/1回)
4位 小田急相模原 3494万円 土地100.10平米 建物99.91平米
(小田急小田原線/神奈川県相模原市南区/40分/2回)
5位 上大岡 3655万円 土地65.90平米 建物94.13平米
(京急本線/神奈川県横浜市港南区/8分/0回)
6位 上星川 3775万円 土地109.54平米 建物96.75平米
(相鉄本線/神奈川県横浜市保土ケ谷区/10分/1回)
7位 三ツ境 3780万円 土地109.29平米 建物99.14平米
(相鉄本線/神奈川県横浜市瀬谷区/19分/0回)
7位 弘明寺 3780万円 土地64.46平米 建物93.02平米
(京急本線/神奈川県横浜市南区/13分/0回)
9位 二俣川 3790万円 土地91.20平米 建物97.45平米
(相鉄本線/神奈川県横浜市旭区/12分/0回)
10位 小田栄 3880万円 土地54.23平米 建物89.66平米
(JR南武線/神奈川県川崎市川崎区/23分/2回)

新築一戸建てのトップ10にはJR相模線沿線が4駅ランクイン

ランキングを見て分かる通り、横浜駅まで60分以内の条件でランキングしたものの、所要時間が50分を超える駅は一つも入ってきておらず、中古に至ってはすべて40分以内、20分以下の駅も多く登場している。東京都心の場合、同心円状に価格が安くなっていくのに対して、横浜駅を起点に価格で検討すると、さまざまなエリアに選択肢があるということだ。
「新築一戸建て編」の1位はJR相模線・入谷(いりや)駅。東京都内にも同名の駅があるが、こちらは神奈川県座間市に位置している。田園風景の中にぽつんとある無人駅で、1駅隣にある海老名駅の駅前の発展ぶりに比べると「1駅しか違わないのに、こんなにのどかなの!?」と驚かされる。しかし線路をまたぐ県道46号を北東へ進み、駅から徒歩7~8分ほどの座間警察署あたりまで出ると商業エリアに。スーパーやドラッグストア、書店、ディスカウントストアの「ドン・キホーテ」、休日の癒やしにうれしい温浴施設などが集まっている。

海老名駅(写真/PIXTA)

海老名駅(写真/PIXTA)

さらに座間警察署から10分ほど歩くと、9位にランクインした小田急小田原線・座間駅へ。1位・入谷駅~9位・座間駅間は歩いて15分少々といった近さながら、価格相場は入谷駅のほうが805万円も安い。先ほど述べた通り入谷駅周辺には田園風景が広がっているため“駅近”物件の数自体が少なく、その点が価格相場の安さにつながっているのかもしれない。しかし入谷駅に加え座間駅も利用しやすく、自然を身近に感じる環境でもあると考えると、入谷駅周辺で住まい探しをするのもアリだろう。入谷駅から横浜駅に向かうにはまず海老名駅に行き、相鉄本線の特急に乗り換えると計39分で到着する。相鉄本線の海老名駅~横浜駅間には、5位・かしわ台駅、10位・さがみ野駅も含まれている。

トップ10には、1位・入谷駅を含めてJR相模線の駅が4駅ランクインしていた。JR相模線はJR横浜線や京王相模原線も通る橋本駅から南へ延び、海近くの茅ヶ崎駅まで18駅を結ぶ路線。入谷駅から南に進むと海老名駅、厚木駅があり、厚木駅から4駅隣が7位・宮山駅、続いて3位・寒川駅、同額3位・香川駅という順に続いている。香川駅から2駅隣が茅ヶ崎駅で、そこからJR東海道本線に乗って約35分で横浜駅に到着する。

香川駅(写真/PIXTA)

香川駅(写真/PIXTA)

ランクインしたJR相模線の駅のうち、最も南側に位置する3位・香川駅の周辺はどんな様子だろうか。駅周辺は住宅街で、駅西側の駅前通りには個人商店がある。その先にはスーパーや、子育て支援センターを併設した香川市役所出張所も。保育園や幼稚園もあるので、小さな子どもがいるファミリー層にもうれしい環境だ。駅から西に歩くこと5分ほど、小出川を越えて中原街道に出るとディスカウントストアや飲食店、コンビニが並んでいる。さらに西には田畑が広がっており、全体的に見ると駅周辺は静かに暮らせる街といった趣だ。

香川駅から2駅隣の茅ヶ崎駅まで行けばショッピングモールや観光客にも人気の飲食店などがあり、茅ヶ崎駅を出てサザン通り商店街を南下すると夏は海水浴客でにぎわう浜辺「サザンビーチちがさき」にたどり着く。このあたりはサーファーにも人気がある湘南エリア。サーフィンが趣味の人や、海を身近に感じて過ごしたい人に、香川駅は住まいの候補地としていいかもしれない。

茅ヶ崎の海(写真/PIXTA)

茅ヶ崎の海(写真/PIXTA)

中古一戸建てを探すなら、新宿にも出やすい相鉄線沿線に注目

「中古一戸建て編」の1位は相鉄本線・かしわ台駅。「新築一戸建て編」の5位にもランクインした駅だ。特急は停まらないが、急行、通勤急行、快速などは停車する。急行なら乗り換えせずに横浜駅まで8駅・33分。より急いで横浜駅に向かいたい場合は、3駅先の大和駅で特急に乗り換えると29分で到着できる。

線路を挟んでかしわ台駅の北側には海老名市立の中学校、南側には小学校があるほか、消防署や総合病院も駅の近く。駅から5分ほど歩くとスーパーのほかにドラッグストアや100円ショップ、衣料品店の「しまむら」にスーパー銭湯、さらに保育園が集まるエリアがあり、一度にいろいろと用事を済ませたり、一日楽しんだりすることができそうだ。遊べる広場に加えて屋内プールやトレーニング室も備えた「海老名市北部公園」をはじめ、周辺には大小の公園も点在。両隣の駅、海老名駅やさがみ野駅ほどには駅前に商業施設が多くはないが、生活環境は十分に整っている。

1位・かしわ台駅を含め、トップ10には相鉄本線の駅が4駅ランクイン。かしわ台駅から横浜駅方面に向かって乗車すると、7位・三ツ境駅、9位・二俣川駅、6位・上星川駅という順で駅が並んでいる。この相鉄本線は2019年よりJR線との相互直通運転が開始した。二俣川駅の2駅隣、上星川駅の1駅前に位置する西谷駅よりJR直通線(相鉄新横浜線)に分岐し、そのまま乗っていると大崎駅や恵比寿駅、渋谷駅、新宿駅まで1本で行くことができる。1位・かしわ台駅、7位・三ツ境駅、9位・二俣川駅はJR直通の列車も停車するため、この3駅は横浜駅のみならず新宿駅にも乗り換えせずに行けるというわけだ。さらに相鉄本線は2022年度中に東急東横線・目黒線との相互直通運転も開始予定。ますます便利になる相鉄本線の沿線は、住む街として今後の注目度がアップしそうだ。

上大岡駅(写真/PIXTA)

上大岡駅(写真/PIXTA)

さてトップ10のうち、5位の京急本線・上大岡駅も取り上げたい。注目ポイントは、横浜駅まで1本なうえに特急に乗れば8分という近さ。「横浜駅まで60分圏内」という条件で調査したにもかかわらず、これほど横浜駅に近い駅が物件の価格相場の安さで5位になるとは少々意外だろう。価格相場が安いのは、横浜駅に近くても不便だからということもない。上大岡駅に直結して京急百貨店や家電量販店があり、駅前にはショッピングモールや映画館も。繁華街と言えるにぎわいだ。しかし駅前の商業エリアを越えると住宅地が広がり、日常使いできるスーパーやドラッグストア、小中学校や保育園もあり、住む街としても申し分ない。自然の豊かさを望む人にとっては好みから外れるかもしれないが、「やっぱり便利な環境がいい」という場合は注目の駅といえるだろう。

2つのランキングを振り返ってみると、「新築一戸建て編」は価格相場が約2500万円~約3500万円で横浜駅までの所要時間は40分前後のエリアが多かった。「中古一戸建て編」は価格相場が約3000万円~約3900万円で横浜駅までの所要時間は最短で8分(5位)、最長でも40分(4位)で、思いのほか近場のエリアがランクインしていた。

横浜駅の近隣エリアはすでに宅地として利用されていて新築を建てるスペースの確保も難しいだろうし、中古物件を視野に入れて探すと好みの物件を見つけやすいかもしれない。一方で横浜駅から40分ほど離れたエリアなら、新築物件を建てる土地が残されており、郊外のため価格相場が下がるというメリットもある様子。横浜駅から離れるものの価格相場が安めのエリアの新築一戸建てか、横浜駅に近いぶん価格相場は高めの中古一戸建てか……、どちらも魅力的で悩ましいが、自分たちの暮らし方や好みに応じて探していきたい。

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている横浜駅まで電車で60分圏内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】
駅徒歩15分圏内、物件価格相場3億円以下、築年数40年未満、敷地権利は所有権のみ
■新築戸建て:新築物件(築1年以上の未入居物件を含む)
■中古戸建て:築15年以内
【データ抽出期間】2020/8~2020/10
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された一戸建て価格から中央値を算出
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、朝7時30分~9時の検索結果から算出(2020年11月30日時点)。所要時間は該当時間帯で一番早いものを表示(乗換時間を含む)
※記載の分数は、駅内および、駅間の徒歩移動分数を含む
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
※ダイヤ改正等により、結果が変動する場合がある
※乗換回数が2回までの駅を掲載

コロナ影響でどうなる? 2021年の不動産市場の行方

2020年は新型コロナウイルスが、日本はもちろん世界中を席巻。多くの国で感染者数・死者数が爆発的に増加する中、日本では相対的に見れば影響は大きくなく、各国がロックダウン(都市封鎖)といった厳しい措置を複数回にわたってとる中、「緊急事態宣言」といった相対的に緩やかな措置でした。

こうしたなか欧州や米国の大都市部ではコロナで不動産取引に急ブレーキ。例えばニューヨークなどでは中心部から都市郊外へと大移動する流れが発生、中心部の取引が激減し、郊外の売買・賃貸市場が活発化しました。

コロナ禍でも利便性を重視する傾向が強まる日本

一方日本では都心部・都市部から都市郊外・地方へ移住といった動きは限定的でした。不動産情報検索サイトによれば、昨年4~5月の緊急事態宣言中には検索範囲が郊外や地方物件へと拡大し、情報閲覧や資料請求なども増加したものの、緊急事態宣言が解かれるとその傾向も弱まっていったとのこと。むしろ「密を避けるため公共交通の利用を極力避けたい」「通勤時間のムダを削減したい」などの理由から、通勤や買物利便性を重視する傾向が強まり、折からの低金利も手伝って「都心」「駅前・駅近」「大規模」「タワー」などのワードに代表される、比較的高額な物件の取引が活発です。 また都市郊外では2~3LDKの賃貸から4LDKの新築中古一戸建てに引越すといった動きも活発化。住宅市場全体が年々縮小を続ける中、コロナ後に顕著に見られた動きはこうしたものです。

昨年の緊急事態宣言中には日経平均株価も一時、1万6000円台へと大暴落し、各地の不動産取引数も前年比40~50%減となったものの「投げ売り」は起きず価格に大きな変化は見られませんでした。2008年のリーマン・ショック時には多くの新築マンション・一戸建ての事業者が千万単位の値引き販売をして在庫処分を進め、それでも持ちこたえることができず多くが破綻、中古市場もつられて暴落しました。

2021年の不動産市場は「3極化」がますます加速

翻って2020年5月25日、緊急事態宣言が解除されると、それまで滞留していた需要を補って余りある需要が噴き出す形で都市部の不動産取引は新築・中古・マンション・一戸建てのいずれも急回復しています。とりわけ東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷区)などの中古マンション成約平米単価はここまで一貫して上昇基調にあります。また新規売出しが少ないことも手伝って在庫も減少していることから、さらなる上値圧力すら感じられるといった状況です。

都心3区中古マンションの「在庫数」と「成約単価」

また他の先進国に比して日本の不動産は相対的に割安感があり、コロナの影響が小さく海外投資家にも注目されており、今後分かっているだけでも兆円単位のマネーが流入する見込み。ただしこうした動きは都心部・大都市部が中心で、2021年の不動産市場は「3極化」がますます加速する一年となりそうです。全国レベルで見れば、2019年10月の消費税増税以降、新築・中古・マンション・一戸建てとも取引は低調でした。

2021年はいきなり1都3県(東京都・神奈川・埼玉・千葉県)を対象とした「緊急事態宣言」がスタートしましたが、昨年大きく下落した日経平均とは異なり、目立った株価の反応はありません。また前回は新築マンションのモデルルームが閉鎖されたり、工事現場がストップしましたが、現在では多くのモデルルームや工事現場においてコロナ対応が進んでおり、前回のような滞りは起きにくくなっています。したがって今回も、緊急事態宣言中において取引数がマイナスに振れることはあっても、投げ売りによる価格下落も起こりにくく、緊急事態宣言が解除された後の取引は通常運転に戻るでしょう。もちろんそのゆくえはコロナ次第であり、現在予定されている2月7日までの緊急事態宣言が大幅に長引くようなことになればその限りではありません。

つまり、日経平均株価が安泰である限り「都心・大都市部」「駅前・駅近」「大規模」「タワー」といったワードに代表される好立地かつ高額物件や郊外で値ごろ感のある新築・中古・マンション・一戸建てなどは好調で、一方で「立地に難のあるもの」はことごとく厳しいといったことになりそうです。

住宅は長期的にニーズのある物件を吟味した上で取得することが大切

「日経平均株価」 と 「都心3区中古マンション成約平米単価」

定量的なデータこそありませんが、史上最高値を更新し続けているビットコインやイーサリアムといった仮想通貨や、コロナ後に大幅上昇した株式を売って不動産購入の頭金にしたという話もちらほら聞くようになりました。加えて歴史的な低金利は続いており、形式的には1980年代後半のバブル経済に近い状況と言えるでしょう。実体経済とは無関係に株や不動産などの資産価格が上昇し「上がるから買う」「買うから上がる」を繰り返す「期待」がバロメータとなり、天井が見えない資産バブルが発生するといった流れです。

時限的に控除期間が10年から13年に延長されている住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)をはじめとする各種の税制優遇は昨年に続き適用される見込み、そして何より低金利と、住宅取得環境は整っていると言えます。一方で長期的に見れば人口・世帯数減が必至な日本において住宅需要全体がしぼむ中、利便性や災害可能性を考慮した立地、耐震性や省エネ性など建物の基本性能など長期的にニーズのある物件を吟味した上で選択する、といった慎重姿勢も求められることになるでしょう。

中古住宅買取再販市場が急成長!その理由は?メリットや注意点は?

矢野経済研究所が、中古住宅買取再販市場の市場規模を予測した。住宅市場の縮小が懸念されるなか、中古住宅買取再販市場については大幅に拡大すると予測している。市場はなぜ大きく成長するのだろう?中古住宅買取再販市場について深掘りしていこう。【今週の住活トピック】
「中古住宅買取再販市場に関する調査(2019年)」を発表(2020年1月7日)/(株)矢野経済研究所中古住宅買取再販市場は、2025年には2018年の約4割増に拡大する

矢野経済研究所が国内の中古住宅買取再販市場を調査したところ、2018年の市場規模は成約件数ベースで3万2500戸(中古戸建と中古マンションの合計戸数)と推計した。これが2025年になると、成約件数ベースで4万5000戸になり、2018年比で38.5%増にまで拡大すると予測している。

中古住宅買取再販市場規模推移と予測(出典:矢野経済研究所「中古住宅買取再販市場に関する調査(2019年)」より転載)

中古住宅買取再販市場規模推移と予測(出典:矢野経済研究所「中古住宅買取再販市場に関する調査(2019年)」より転載)

同社はその理由をいくつか挙げている。
「新築よりも比較的販売価格が割安な中古住宅に対する消費者需要の増加がある」
「従前からの主力事業者である中小不動産会社のほか、大手デベロッパーやその系列不動産会社なども新規参入しており、市場が活性化している」
「リフォーム・リノベーションを必要とする築年数の経過した住宅ストック数(既築住宅数)の増加を背景に中古住宅買取再販物件の供給は必然的に増える」

そもそも中古住宅買取再販って?市場が拡大する理由は?

さて、中古住宅買取再販市場について、もう少し詳しく見ていこう。

「買取再販」とは、中古住宅を事業者が買い取って、リフォームやリノベーションを実施したうえで、事業者が売主となって再度販売するもの。

築年数の経過した「古い住宅」は、今の住宅より性能が低かったり、老朽化が進んで見栄えが悪かったりする。個人が売主の場合は、リフォームして売り出すと費用がいくらかかるか分からないし、時間も手間もかかるので、改修しないで安く売り出すことが多い。

一方、一般の個人と違って事業者であれば、大量発注することでリフォームコストを抑えたり、改修内容をパターン化することで工期を短くしたりできる。こうして新築住宅に近い状態にして売り出せば、性能や見栄えなどの不安も解消されるうえ、新築住宅より割安な価格なので、買い手を見つけやすくなる。

事業者が、個人の中古住宅を安く買って、改修費用を抑え、新築住宅より割安な価格で売ることで、利益を出すというビジネスモデルだ。事業者だけでなく、リフォームなどへのハードルが高い売主にとっても、リフォーム済みで安心して購入できる買主にとっても、メリットのあるビジネスモデルなので、国土交通省なども税制優遇等で支援をしている。

買取再販の中古住宅を買うときに注意することは?

では、こうした買取再販の中古住宅を購入する場合に、どんなメリットや注意点があるだろうか?

冒頭の買取再販の説明の際に、「リフォーム・リノベーションを実施」と書いた。一般的に「リフォーム」は新築当時の性能に改修すること、「リノベーション」は今の生活水準に応じた性能を引き上げる改修をすることといわれている。しかし、これらの違いは明確ではなく、混在して使われることも多い。

つまり、「リノベーション住宅」として販売されているものが、必ずしも性能を引き上げているとは限らず、内装だけを改修して見栄えをよくし、リノベーション済みと説明している場合もある。逆に「リフォーム済み」という説明でも、性能を引き上げた改修がされている場合もある。

特に、構造に関する部分や給排水管などの設備については、表面を見ただけでは分からないので、どこまで改修されているかを確認することが大切だ。具体的に、改修前はどういった状態で、どの部分をどこまでどのように改修したかを確認しておかないと、住み始めてから想定外の不具合が生じるリスクもある。改修箇所の履歴を残し、一定期間の保証を付ける事業者なら安心だろう。

自分で改修内容まで確認することにハードルを感じるという人は、(一社)リノベーション協議会の「適合リノベーション住宅」かどうかを目安にする方法もある。建物検査をしたうえで改修工事を行い、その履歴を保管したり、改修箇所に一定の保証を付けたりしている。また、数は少ないが、国土交通省が定める「安心R住宅」かどうかをチェックする方法もある。

買取再販の中古住宅を買うと資金計画がラク

一方、買取再販の中古住宅は、資金計画の点でもメリットがある。

買主が自らリフォームする場合、中古住宅の購入費用とリフォーム費用をそれぞれ捻出することになり、資金計画が複雑になる。中古住宅+リフォーム一括で借りられる住宅ローンもあるが、中古住宅の契約時点でリフォーム工事の見積もりが確定している必要があるので、スピード感が求められるというハードルがある。また、中古住宅を取得した後リフォーム中でも、購入費用のローンの返済が始まるなど、資金計画の面では検討事項が多くなり、かなり複雑な判断をしていくことになる。

買取再販の中古住宅であれば、リフォームプランを自分で決めることはできないが、まとめて住宅ローンが利用できるので、資金計画が立てやすいメリットがある。

ただ、売主が事業者になるので、消費税が課税される。その反面、住宅ローン控除の拡充やすまい給付金、次世代住宅ポイントなどの対象になるので、それは相殺されると考えてよいだろう。

筆者は中古住宅を購入するなら、築年数がそれほど経っていない場合も含めて、住宅の状態に応じたリフォーム・リノベーションを行うことをオススメしている。古い住宅であれば性能を引き上げることで快適に暮らせるし、まだ新しい住宅でも壁紙を変えるなどで自分らしさを取り込めば愛着を一層感じることができる。

リフォームにこだわりがあるなら、自らプランをつくることを選べばよいし、それほどこだわりがないなら、買取再販住宅を選ぶという選択肢もある。ただし、市場が成長しているとはいえ、中古住宅市場に占める買取再販住宅の割合はまだそれほど多くない。消費者の選択肢が増えるように、さらなる成長を期待したいものだ。

7月の首都圏中古マンション、成約件数は前年比3.0%増加

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)はこのたび、首都圏(1都3県)における2019年7月度・不動産流通市場の動向を発表した。
それによると、7月の首都圏中古マンション成約件数は、前年比3.0%増加の3,233件、6月に続いて前年同月を上回った。成約m2単価は同2.6%上昇の53.51万円/m2、成約価格も同2.4%上昇し3,442万円、ともに6ヶ月連続で前年同月を上回った。専有面積は同0.2%減少の64.34m2だった。

中古戸建においては、成約件数は前年比2.7%減少の1,158件、9ヶ月ぶりに前年同月を下回った。成約価格は同1.8%減少の3,168万円、4ヶ月ぶりに前年同月を下回った。土地面積は同1.2%減少の142.99m2、建物面積は同3.0%減少の103.96m2だった。

ニュース情報元:東日本レインズ

7月の首都圏中古マンション、成約件数は前年比3.0%増加

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)はこのたび、首都圏(1都3県)における2019年7月度・不動産流通市場の動向を発表した。
それによると、7月の首都圏中古マンション成約件数は、前年比3.0%増加の3,233件、6月に続いて前年同月を上回った。成約m2単価は同2.6%上昇の53.51万円/m2、成約価格も同2.4%上昇し3,442万円、ともに6ヶ月連続で前年同月を上回った。専有面積は同0.2%減少の64.34m2だった。

中古戸建においては、成約件数は前年比2.7%減少の1,158件、9ヶ月ぶりに前年同月を下回った。成約価格は同1.8%減少の3,168万円、4ヶ月ぶりに前年同月を下回った。土地面積は同1.2%減少の142.99m2、建物面積は同3.0%減少の103.96m2だった。

ニュース情報元:東日本レインズ

中古一戸建て平均価格、首都圏は2ヵ月連続上昇

(株)東京カンテイは8月8日、2019年7月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」を発表した。敷地面積100m2~300m2、最寄り駅から徒歩30分以内かバス20分以内、木造で土地・建物ともに所有権の物件を調査したもの。
それによると、7月の首都圏中古一戸建て平均価格は、前月比+1.7%の3,409万円、2ヵ月連続で上昇した。都県別では、東京都は同-4.2%の5,214万円と反転下落。神奈川県は同+3.0%の3,697万円と2ヵ月連続上昇。千葉県は同+2.2%の2,139万円と4ヵ月ぶりに上昇。埼玉県は同+1.8%の2,459万円と3ヵ月連続上昇。首都圏では東京都で下落した以外はいずれも上昇し、首都圏の平均値を上昇させた。

近畿圏の平均価格は、同-5.8%の2,496万円と3ヵ月ぶりに反転下落。主要府県別では、大阪府は同-0.1%の2,693万円と反転下落。兵庫県は同-8.8%の2,433万円と3ヵ月ぶりに反転下落。京都府は同-6.5%の3,393万円と反転下落。近畿主要3府県では、2府1県すべてで反転下落した。

愛知県の平均価格は、同+1.4%の2,835万円と2ヵ月連続上昇。中部圏全体では同-1.7%の2,194万円と4ヵ月連続下落。福岡県においては同-5.3%の2,013万円、3ヵ月ぶりに反転下落。前年同月比も-1.5%と再びマイナスの水準に戻った。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

4~6月期の首都圏中古マンション、成約価格は前年比1.0%上昇

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)はこのたび、首都圏(1都3県)の2019年4~6月期・不動産流通市場の動向を発表した。
それによると、4~6月期の首都圏中古マンション成約件数は、前年比+3.6%の9,679件、3期連続で前年同期を上回り、4~6月期の件数としては1990年5月の機構発足以降、過去最高となった。

成約m2単価は同+1.9%の52.67万円/m2で、13年1~3月期から26期連続で前年同期を上回った。成約価格も同+1.0%の3,365万円と、12年10~12月期から27期連続で前年同期を上回った。専有面積は同-0.8%の63.88m2で、1~3月期に続いて前年同期を下回った。

中古戸建においては、4~6月期の成約件数は前年比+3.9%の3,387件、4期連続で前年同期を上回った。成約価格は同+0.7%の3,132万円と、ほぼ横ばい。土地面積は同+1.1%の148.16m2、建物面積は同-0.6%の104.83m2だった。

ニュース情報元:東日本レインズ

中古一戸建て価格、首都圏は4ヵ月ぶりに上昇

(株)東京カンテイは7月11日、2019年6月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」を発表した。敷地面積100m2~300m2、最寄り駅から徒歩30分以内かバス20分以内、木造で土地・建物ともに所有権の物件を調査したもの。それによると、6月の首都圏中古一戸建て価格は、前月比+4.1%の3,351万円と4ヵ月ぶりに反転上昇した。都県別では、東京都が同+6.1%の5,445万円で3ヵ月ぶりに反転上昇。神奈川県は同+3.4%の3,590万円と上昇。千葉県は同-3.0%の2,092万円で3ヵ月連続下落。埼玉県は同+1.1%の2,415万円で2ヵ月連続上昇した。

近畿圏は前月比+4.3%の2,649万円と2ヵ月連続上昇。主要府県別にみると、大阪府は同+2.4%の2,697万円で連続上昇。兵庫県は同+2.5%の2,668万円で連続上昇。京都府は同+9.8%と大きく上昇し、3,630万円と反転上昇した。

愛知県は前月比+4.4%の2,797万円で3ヵ月ぶりに反転上昇。中部圏全体では同-0.8%の2,233万円と3ヵ月連続下落。福岡県は同+7.5%の2,125万円と2ヵ月連続上昇した。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

首都圏中古マンション、6月の成約件数は前年比5.2%増

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は7月10日、首都圏の2019年6月度・不動産流通市場動向を発表した。それによると、6月の首都圏中古マンション成約件数は、前年比5.2%増加の3,490件となった。成約m2単価は同1.6%上昇の52.75万円/m2、成約価格も同1.3%上昇し3,361万円、ともに5ヶ月連続で前年同月を上回った。専有面積は同-0.4%の63.73m2だった。

中古戸建においては、成約件数は同3.9%増加の1,234件、8ヶ月連続で前年同月を上回った。成約価格は同0.4%上昇し3,111万円、ほぼ横ばいながら3ヶ月連続で前年同月を上回った。土地面積は同±0.0%の147.75m2と横ばい。建物面積は同-0.4%の105.57m2となった。

ニュース情報元:東日本レインズ

首都圏中古マンション、成約件数は5ヶ月ぶりに減少

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は6月10日、首都圏(1都3県)における2019年5月度・不動産流通市場の動向を公表した。
それによると、5月の首都圏中古マンション成約件数は、前年比で1.3%減少し2,749件、5ヶ月ぶりに前年同月を下回った。成約m2単価は同1.4%上昇の51.80万円/m2、成約価格も同0.6%上昇し3,325万円と、ともに4ヶ月連続で前年同月を上回った。専有面積は同0.8%減少の64.19m2だった。

中古戸建においては、成約件数は同0.7%上昇の980件と、ほぼ横ばいながら7ヶ月連続で前年同月を上回った。成約価格は同1.6%上昇し3,183万円、4月に続いて前年同月を上回り、前月比も上昇した。土地面積は同3.9%上昇の148.10m2、建物面積は同0.5%上昇の105.49m2となった。

ニュース情報元:東日本レインズ

中古一戸建て平均価格、首都圏は全体的に弱含み

(株)東京カンテイは6月10日、2019年5月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」を発表した。敷地面積100m2~300m2、最寄り駅から徒歩30分以内かバス20分以内、木造で土地・建物ともに所有権の物件を調査したもの。それによると、5月の首都圏中古一戸建て平均価格は、前月比-0.2%の3,219万円と3ヵ月連続で下落した。都県別では、東京都は同-0.7%の5,132万円と2ヵ月連続下落。神奈川県は同±0.0%の3,473万円と横ばい。千葉県は同-0.1%の2,157万円と2ヵ月連続下落。埼玉県は同+0.2%の2,389万円と3ヵ月ぶりに反転上昇した。首都圏は全体的に弱含み傾向。

近畿圏の平均価格は、同+1.0%の2,541万円と反転上昇。主要府県で見ると、大阪府は同+1.4%の2,634万円と反転上昇。兵庫県は同+1.0%の2,603万円と反転上昇。京都府は同-0.1%の3,306万円と反転下落。近畿主要3府県では、大阪府と兵庫県では反転上昇したが、京都府は僅かな下落に転じた。

愛知県の平均価格は、同-1.1%の2,678万円と2ヵ月連続下落。中部圏全体でも同-0.5%の2,252万円と2ヵ月連続下落した。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

首都圏中古マンション、成約件数は前年比6.3%増加

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は、このたび首都圏(1都3県)の2019年4月度・不動産流通市場の動向を発表した。それによると、首都圏の中古マンション成約件数は、前年比で6.3%増加し3,440件、4ヶ月連続で前年同月を上回り、4月としては1990年5月の機構発足以降、過去最高となった。成約m2単価は同2.4%上昇の53.29万円/m2、成約価格も同1.0%上昇し3,399万円、ともに3ヶ月連続で前年同月を上回った。専有面積は同マイナス1.3%の63.80m2だった。

中古戸建においては、成約件数は前年比6.6%増加の1,173件、6ヶ月連続で前年同月を上回った。成約価格は同0.4%上昇の3,111万円と、ほぼ横ばいながら4ヶ月ぶりに前年同月を上回った。土地面積は同マイナス0.2%の148.65m2、建物面積は同マイナス1.8%の103.51m2となっている。

ニュース情報元:東日本レインズ

中古一戸建て価格、首都圏は2ヵ月連続で大きく下落

(株)東京カンテイは5月13日、2019年4月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」を発表した。敷地面積100m2~300m2、最寄り駅から徒歩30分以内かバス20分以内、木造で土地・建物ともに所有権の物件を調査したもの。
それによると、4月の首都圏中古一戸建て平均価格は、前月比-11.6%の3,224万円と、2ヵ月連続で大きく下落した。東京都は同-11.7%の5,170万円で3ヵ月ぶりに反転下落し、2018年2月以来の低水準となった。神奈川県は同-4.7%の3,474万円で3ヵ月連続下落。千葉県は同-4.8%の2,159万円と6ヵ月ぶりに反転下落。埼玉県は同-5.7%の2,385万円と2ヵ月連続下落した。

近畿圏の平均価格は、前月比-4.8%の2,516万円と反転下落。大阪府は同-11.3%の2,598万円と大きく反転下落。兵庫県は同-1.5%の2,577万円と連続下落。京都府は同+3.5%の3,310万円と3ヵ月ぶりに反転上昇。近畿圏全体としては依然弱含んでいる。

愛知県の平均価格は、前月比-7.2%の2,708万円と反転下落。中部圏全体でも同-1.0%の2,263万円と反転下落。福岡県は同-13.7%の1,928万円と大きく反転下落した。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

1~3月期の首都圏中古戸建て、成約件数は前年比4.9%増

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は4月17日、首都圏における2019年1~3月期・不動産流通市場の動向を公表した。それによると、1~3月期の首都圏中古マンション成約件数は、前年比3.9%増の10,268件、18年10~12月期に続いて前年同期を上回り、四半期の件数としては1990年5月の機構発足以降、過去最高となった。

成約m2単価は前年比2.8%増の53.07万円/m2、13年1~3月期から25期連続で前年同期を上回り、成約価格も前年比2.2%増の3,435万円と、12年10~12月期から26期連続で前年同期を上回った。専有面積は前年比0.5%減の64.73m2、8期ぶりに前年同期を下回った。

中古戸建においては、1~3月期の成約件数は前年比で4.9%増加し3,292件、3期連続で前年同期を上回った。成約価格は前年比3.9%減の3,112万円、18年10~12月期に続いて前年同期を下回った。土地面積は前年比0.7%減の144.82m2、建物面積は前年比1.4%減の104.60m2となった。

ニュース情報元:東日本レインズ

2018年の首都圏中古マンション、成約件数は過去最高

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)はこのほど、首都圏における2018年度(2018年4月~2019年3月)の不動産流通市場の動向を公表した。それによると、2018年度・首都圏中古マンション成約件数は、前年度比1.2%増の37,601件、2年ぶりに前年度を上回った。また、2016年度の37,446件を上回り、過去最高となっている。成約物件の1m2当たり単価は、首都圏平均で52.00万円(前年度比2.7%増)で、6年連続上昇した。

首都圏中古戸建住宅においては、成約件数は前年度比2.5%増の12,873件、2年ぶりに前年度を上回った。成約物件価格は首都圏平均で3,111万円、横ばいで推移している。

首都圏新築戸建住宅は、成約件数5,486件(前年度比4.0%増)で、2年ぶりに前年度を上回った。また、2016年度の5,341件を上回り過去最高。成約物件価格は首都圏平均で3,484万円(前年度比0.6%下落)、2年連続で前年度を下回った。都県・地域別に見ると、東京都区部、埼玉・千葉両県を除く各都県・地域で下落している。

首都圏土地(100~200m2)の成約件数は、前年度比5.4%増の6,162件、2年ぶりに前年度を上回った。2016年度の6,112件を上回り過去最高。成約物件の1m2当たり単価は、首都圏平均で20.09万円(前年度比1.5%上昇)と2年連続で前年度を上回り、8年ぶりに20万円台となった。

ニュース情報元:東日本レインズ

首都圏中古マンション成約価格、前年比3.6%上昇

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は、4月10日、首都圏(1都3県)における2019年3月度・不動産流通市場の動向を公表した。それによると、3月の首都圏中古マンション成約件数は、前年比で7.8%増加し4,117件、3ヶ月連続で前年同月を上回った。成約m2単価は同3.6%上昇の53.96万円/m2、成約価格も同3.6%上昇し3,490万円、ともに2月に続いて前年同月を上回った。専有面積は横ばいの64.67m2だった。

中古戸建においては、成約件数は前年比で6.0%増加し1,350件、5ヶ月連続で前年同月を上回った。成約価格は同2.8%下落の3,182万円、3ヶ月連続で前年同月を下回った。土地面積は同0.4%下落の145.95m2、建物面積は同1.6%下落の104.85m2だった。

ニュース情報元:東日本レインズ

中古一戸建て価格、首都圏は4ヵ月ぶりに下落

(株)東京カンテイは4月8日、2019年3月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」を発表した。敷地面積100m2~300m2、最寄り駅から徒歩30分以内かバス20分以内、木造で土地・建物ともに所有権の物件を調査したもの。それによると、3月の首都圏中古一戸建て価格は、前月比-2.5%の3,649万円と4ヵ月ぶりに下落した。都県別では、東京都は+3.2%の5,856万円と2ヵ月連続上昇。神奈川県は-9.2%の3,645万円と2ヵ月連続下落。千葉県は+0.4%の2,267万円と5ヵ月連続上昇。埼玉県は-6.1%の2,530万円と4ヵ月ぶりに下落。東京都と千葉県が連続上昇する一方、神奈川県は連続下落し、埼玉県も反転し弱含んだ。

近畿圏の平均価格は、前月比+3.1%の2,642万円と反転上昇。大阪府は+11.5%の2,929万円と大きく反転上昇。兵庫県は-5.8%の2,615万円と反転下落。京都府は-3.7%の3,197万円と2ヵ月連続で下落した。近畿主要3府県では、大阪府では大きくプラスに振れたものの、兵庫県は反転下落、京都府は連続下落している。

愛知県の平均価格は、+6.2%の2,917万円で3ヵ月ぶりに上昇。中部圏全体でも+2.6%の2,287万円と反転上昇した。福岡県の平均価格は+6.8%の2,233万円、3ヵ月ぶりの上昇となった。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

首都圏中古マンション、成約価格は再び上昇

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)はこのほど、首都圏(1都3県)における2019年2月度・不動産流通市場の動向を発表した。 それによると、2月の首都圏中古マンション成約件数は、前年比+1.8%の3,484件、1月に続いて前年同月を上回った。成約m2単価は同+3.8%の53.16万円/m2、成約価格は同+3.6%の3,473万円と、ともに下落した1月から再び上昇に転じた。専有面積は同-0.2%の65.34m2と、ほぼ横ばいながら1月に続いて前年同月を下回った。

中古戸建の成約件数は、前年比+6.2%の1,080件、4ヶ月連続で前年同月を上回った。成約価格は同-2.0%の3,124万円、1月に続いて前年同月を下回った。土地面積は同+1.3%の147.70m2、建物面積は同+0.4%の105.43m2となった。

ニュース情報元:東日本レインズ

中古一戸建て価格、首都圏は3ヵ月連続上昇

(株)東京カンテイは3月7日、2019年2月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」を発表した。敷地面積100m2~300m2、最寄り駅から徒歩30分以内かバス20分以内、木造で土地・建物ともに所有権の物件を調査したもの。それによると、2月の首都圏中古一戸建て価格は、前月比+0.8%の3,741万円と3ヵ月連続で上昇した。都県別でみると、東京都は+0.2%の5,674万円と反転上昇。神奈川県は-2.1%の4,014万円と反転下落。千葉県は+2.0%の2,259万円と4ヵ月連続上昇。埼玉県は+5.8%の2,694万円と3ヵ月連続上昇。首都圏では神奈川県のみ反転下落して弱含んだ。

近畿圏の平均価格は、前月比-1.7%の2,563万円で反転下落。大阪府は-0.8%の2,627万円で反転下落。兵庫県は+5.8%の2,777万円と3ヵ月ぶりに反転上昇。京都府は-10.3%の3,320万円と大きく反転下落した。近畿主要3府県では、大阪府と京都府がともに反転下落したが、兵庫県は強含んだ。

愛知県の平均価格は前月比-8.6%の2,746万円で2ヵ月連続下落。中部圏全体でも-8.1%の2,229万円と3ヵ月ぶりに下落となった。福岡県は-0.1%の2,090万円で、2ヵ月連続下落した。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

首都圏中古マンション成約価格、73ヶ月ぶりに下落

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)はこのたび、首都圏(1都3県)における2019年1月度・不動産流通市場の動向を発表した。1月の首都圏中古マンション成約件数は、前年比で1.0%増加し2,667件となった。成約m2単価は同マイナス0.3%の51.46万円/m2、成約価格は同マイナス1.9%の3,294万円で、ともに2012年12月以来73ヶ月ぶりに前年同月を下回った。専有面積は同マイナス1.7%の64.02m2と、5ヶ月ぶりに前年同月を下回った。

中古戸建の成約件数は前年比で1.9%増加し862件、3ヶ月連続で前年同月を上回った。成約価格は同マイナス7.9%の2,988万円。土地面積は同マイナス3.6%の139.43m2、建物面積は同マイナス3.4%の103.16m2だった。

ニュース情報元:東日本レインズ

首都圏中古マンション成約価格、73ヶ月ぶりに下落

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)はこのたび、首都圏(1都3県)における2019年1月度・不動産流通市場の動向を発表した。1月の首都圏中古マンション成約件数は、前年比で1.0%増加し2,667件となった。成約m2単価は同マイナス0.3%の51.46万円/m2、成約価格は同マイナス1.9%の3,294万円で、ともに2012年12月以来73ヶ月ぶりに前年同月を下回った。専有面積は同マイナス1.7%の64.02m2と、5ヶ月ぶりに前年同月を下回った。

中古戸建の成約件数は前年比で1.9%増加し862件、3ヶ月連続で前年同月を上回った。成約価格は同マイナス7.9%の2,988万円。土地面積は同マイナス3.6%の139.43m2、建物面積は同マイナス3.4%の103.16m2だった。

ニュース情報元:東日本レインズ

首都圏新築一戸建て価格、前年比1.8%上昇

(株)東京カンテイはこのたび、「一戸建て住宅データ白書 2018」を発表した。これは、2018年の一戸建て住宅の新築・中古市場動向を総括したもの。それによると、2018年の首都圏・新築一戸建ての平均価格は4,069万円で、2017年の3,999万円と比べ+1.8%上昇した。平均土地面積は前年比-0.3%の115.1m2、平均建物面積は-0.5%の98.3m2とほぼ横ばい。一方、中古一戸建ての平均価格は3,485万円で、2017年の3,337万円と比べ+4.4%と比較的大きく上昇した。平均土地面積は前年比-1.0%の129.4m2、平均建物面積は+0.2%の101.3m2と、それぞれほとんど変動がなかった。

近畿圏の新築一戸建て平均価格は3,073万円、2017年の2,982万円と比べ+3.1%上昇した。平均土地面積は前年比-1.1%の120.3m2、平均建物面積は+0.3%の100.6m2と大きな変化はない。中古一戸建ての平均価格2,321万円で、2017年の2,191万円と比べ+5.9%上昇。平均土地面積は前年比+0.6%の127.7m2、平均建物面積は+0.8%の102.8m2だった。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

中古一戸建て価格、東京都は半年ぶりに下落

(株)東京カンテイは2月7日、2019年1月「中古木造一戸建て住宅平均価格」を発表した。敷地面積100m2~300m2、最寄り駅から徒歩30分以内かバス20分以内、木造で土地・建物ともに所有権の物件を調査したもの。それによると、1月の首都圏中古一戸建て価格は、前月比+2.6%の3,711万円で2ヵ月連続上昇した。東京都は-2.3%の5,660万円と6ヵ月ぶりに反転下落。神奈川県は+7.4%の4,099万円と3ヵ月ぶりに反転上昇。千葉県は+2.1%の2,214万円と3ヵ月連続上昇。埼玉県は+2.9%の2,547万円と2ヵ月連続上昇。東京都が半年ぶりに下落に転じたが、千葉県と埼玉県は連続上昇し、神奈川県も反転上昇した。

近畿圏の平均価格は、前月比+2.8%の2,607万円で反転上昇。大阪府は+2.3%の2,648万円と3ヵ月ぶりに反転上昇。兵庫県は-0.3%の2,624万円と2ヵ月連続下落。京都府は+8.8%の3,701万円と大きく反転上昇した。

愛知県の平均価格は-1.3%の3,003万円と反転下落。中部圏全体では+3.8%の2,426万円と2ヵ月連続で上昇した。福岡県の平均価格は-4.0%の2,092万円と5ヵ月ぶりに下落した。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

首都圏中古マンション成約件数、5期ぶりに前年同期を上回る

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は1月22日、首都圏における2018年10~12月期・不動産流通市場の動向を発表した。それによると、10~12月期の首都圏中古マンション成約件数は、前年比3.2%増加の9,308件と5期ぶりに前年同期を上回った。成約m2単価は前年比0.9%増加の51.24万円/m2、13年1~3月期から24期連続で前年同期を上回った。成約価格も前年比2.2%上昇し3,316万円、12年10~12月期から25期連続で前年同期を上回った。専有面積は前年比1.3%増加の64.71m2と、7期連続で前年同期を上回った。

中古戸建の成約件数は、前年比5.0%増加の3,242件、7~9月期に続いて前年同期を上回った。成約価格は前年比1.9%下落の3,075万円で5期ぶりに前年同期を下回った。土地面積は前年比1.2%下落の146.50m2、建物面積は前年比0.4%下落の105.77m2でほぼ横ばい。

ニュース情報元:東日本レインズ

2018年の首都圏中古マンション、成約価格は6年連続上昇

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は1月22日、首都圏における2018年(2018年1~12月)の不動産流通市場の動向を発表した。それによると、2018年の首都圏中古マンション成約件数は、前年比0.3%減の37,217件と、4年ぶりに前年を下回った。成約物件の1m2当たり単価は、首都圏平均で51.61万円(前年比3.2%上昇)で、6年連続上昇。すべての都県・地域で上昇している。成約物件価格は3,333万円(前年比4.3%上昇)で6年連続上昇。成約物件の平均専有面積は64.60m2(前年比1.1%拡大)、2年連続で拡大した。平均築年数は21.00年(前年20.70年)で経年化が進んでいる。

中古戸建住宅の成約件数は、前年比0.2%減の12,718件でわずかに減少し、2年連続で前年を下回った。成約物件価格は首都圏平均で3,142万円(前年比2.3%上昇)と4年連続で上昇。成約物件の平均土地面積は145.76m2(前年比1.3%縮小)、建物面積は105.82m2(同0.1%拡大)となっている。

新築戸建住宅の成約件数は5,266件(前年比2.7%減)で4年ぶりに前年を下回った。成約物件価格は首都圏平均で3,468万円(前年比2.0%下落)と、3年ぶりに前年を下回る。土地(100~200m2)においては、成約件数は5,962件(前年比0.5%増)。成約物件の1m2当たり単価は、首都圏平均で19.97万円(前年比1.8%上昇)で、3年連続で前年を上回った。

ニュース情報元:東日本レインズ

12月の首都圏中古マンション、成約価格は前年比1.8%上昇

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)はこのたび、首都圏(1都3県)における2018年12月度・不動産流通市場の動向を公表した。 それによると、12月の首都圏中古マンション成約件数は、前年比-0.8%の2,987件となった。成約m2単価は前年比+0.9%の52.41万円/m2、成約価格は+1.8%の3,380万円と、ともに2013年1月から72ヶ月連続で前年同月を上回った。専有面積は前年比+0.9%の64.50m2と、4ヶ月連続で前年同月を上回った。

中古戸建においては、成約件数は前年比+7.3%の1,099件、11月に続いて前年同月を上回った。成約価格は前年比+0.5%の3,151万円と、4ヶ月ぶりに前年同月を上回った。土地面積は前年比+4.6%の150.66m2、建物面積は前年比+0.4%の106.43m2だった。

ニュース情報元:(公財)東日本不動産流通機構

中古一戸建て価格、首都圏は安定・近畿圏は下落

(株)東京カンテイは1月10日、2018年12月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」月別推移を発表した。
これは敷地面積100m2~300m2、最寄り駅から徒歩30分以内かバス20分以内、木造で土地・建物ともに所有権の物件を調査したもの。

それによると、12月の首都圏中古一戸建ての平均価格は、前月比+0.9%の3,618万円で反転上昇した。都県別でみると、東京都は+1.8%の5,793万円で5ヵ月連続上昇。神奈川県は-1.0%の3,816万円で連続下落。千葉県は+2.1%の2,168万円で連続上昇。埼玉県は+5.2%の2,475万円で反転上昇した。全体的には首都圏は安定基調となっている。

近畿圏の平均価格は、前月比-4.3%の2,537万円で3ヵ月ぶりに下落。大阪府は-5.0%の2,588万円で2ヵ月連続下落。兵庫県は-4.5%の2,632万円で反転下落。京都府は-7.4%の3,401万円で大きく反転下落した。近畿主要3府県では、いずれの府県も明確に下落傾向を示している。

愛知県の平均価格は+14.7%と大きく上昇し3,044万円。中部圏全体では+7.5%の2,337万円で3ヵ月ぶりに上昇した。福岡県の平均価格は+8.0%の2,179万円で4ヵ月連続上昇。前年同月比は+24.4%と、25%近く上昇している。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

11月の首都圏中古マンション、成約価格は前年比2.9%上昇

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は12月10日、首都圏における2018年11月度・不動産流通市場の動向を公表した。それによると、11月の首都圏中古マンション成約件数は前年比プラス11.1%の3,225件と、2ケタの増加となった。成約m2単価は前年比で1.2%上昇し50.82万円/m2、成約価格は同2.9%上昇し3,297万円と、ともに2013年1月から71ヶ月連続で前年同月を上回った。専有面積は前年比プラス1.7%の64.87m2だった。

中古戸建においては、成約件数は前年比で9.9%増加し1,076件。成約価格は前年比で1.5%下落し3,121万円と、3ヶ月連続で前年同月を下回った。土地面積は前年比マイナス5.6%の146.55m2。建物面積は前年比マイナス1.8%の105.22m2となった。

ニュース情報元:東日本レインズ

中古一戸建て価格、首都圏は4ヵ月ぶりに下落

(株)東京カンテイは12月6日、2018年11月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」月別推移を発表した。調査対象は敷地面積100m2~300m2、最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内、木造で土地・建物ともに所有権の物件。

それによると、11月の首都圏中古一戸建て平均価格は、前月比-2.0%の3,587万円と4ヵ月ぶりに下落した。都県別では、東京都は+1.3%の5,690万円と4ヵ月連続上昇。神奈川県は-1.9%の3,853万円と3ヵ月ぶりの反転下落。千葉県は+1.1%の2,124万円と反転上昇。埼玉県は-4.3%の2,353万円と3ヵ月ぶりの下落。首都圏は神奈川県と埼玉県で弱含み、東京都と千葉県は上昇した。

近畿圏の平均価格は前月比+2.2%の2,650万円と2ヵ月連続上昇。大阪府は-1.7%の2,724万円と反転下落。兵庫県は+5.9%の2,757万円と3ヵ月ぶりに反転上昇。京都府は+0.5%の3,671万円と小幅ながら連続上昇。近畿主要3府県では大阪府は反転下落したが、兵庫県では上昇に転じ、京都府も連続上昇した。

愛知県の平均価格は-7.6%の2,653万円と4ヵ月ぶりに反転下落。中部圏全体では-5.1%の2,174万円と2ヵ月連続下落した。福岡県の平均価格は+0.7%の2,018万円。前年同月比は+20.0%と、前年比較では2割上昇している。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

首都圏の中古一戸建て価格、3ヵ月連続上昇

(株)東京カンテイは11月20日、2018年10月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」月別推移を発表した。これは、敷地面積100m2~300m2、最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内、木造で土地・建物ともに所有権の物件を調査したもの。それによると、10月の首都圏中古一戸建て価格は、前月比+3.5%の3,659万円と3ヵ月連続上昇した。都県別では、東京都は+3.5%の5,617万円と3ヵ月連続上昇。神奈川県は+0.8%の3,926万円と連続上昇。千葉県は-4.8%の2,100万円と4ヵ月ぶりの反転下落。埼玉県は+2.5%の2,458万円と2ヵ月連続の上昇となった。首都圏では千葉県が弱含んだが、他の都県はいずれも上昇した。

近畿圏の平均価格は、前月比+3.0%の2,593万円と反転上昇。大阪府は+3.2%の2,770万円と反転上昇。兵庫県は-0.5%の2,604万円と2ヵ月連続で下落。京都府は+6.9%の3,653万円と反転上昇した。近畿主要3府県では、兵庫県は下落したものの、他の2府は反転上昇し強含みとなった。

愛知県の平均価格は+1.3%の2,871万円と3ヵ月連続上昇。中部圏全体では-1.7%の2,290万円と3ヵ月ぶりに下落した。福岡県の平均価格は前月比+3.9%の2,003万円。前年同月比でも+16.3%と大きく価格が上昇している。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

料理家のキッチンと朝ごはん[1]後編 調理実習台が主役。道具・器は長く使えるいいものだけを集めた

スタイリングもこなす料理研究家として、雑誌や書籍でさまざまなお菓子のレシピを提案している桑原奈津子さん。前回は、定番の朝ごはんとそのつくり方についてお聞きしました。今回は、桑原家のキッチンと、愛用している調理道具や器について、お話を伺います。【連載】料理家のキッチンと朝ごはん
料理研究家やフードコーディネーターといった料理のプロは、どんなキッチンで、どんな朝ごはんをつくって食べているのでしょうか? かれらが朝ごはんをつくる様子を拝見しながら、美味しいレシピを生み出すプロならではのキッチン収納の秘密を、片づけのプロ、ライフオーガナイザーが探ります。築55年の戸建をリノベーション。月日を経て味わいを増すキッチン

「工場や学校っぽい雰囲気が好き」だという桑原さん。キッチンツールや家具なども、無駄な装飾を省いた業務用のものが好みだそうです。けれども、桑原さん宅のキッチンは「業務用」という言葉からイメージされる無骨さとは無縁の、あたたかみのある雰囲気。

窓枠には、自家製の梅干しやフルーツのシロップ、空き瓶や保存容器などをディスプレイするように並べて収納。インテリアとしてキッチンになじんでいます(写真撮影/嶋崎征弘)

窓枠には、自家製の梅干しやフルーツのシロップ、空き瓶や保存容器などをディスプレイするように並べて収納。インテリアとしてキッチンになじんでいます(写真撮影/嶋崎征弘)

あたたかな日が差し込むダイニングスペースには、雑種のキップル(左)、ハチワレ猫の小鉄(右)、黒猫のクロ(出演拒否)のふかふかベッドが仲良く並んでいました(写真撮影/嶋崎征弘)

あたたかな日が差し込むダイニングスペースには、雑種のキップル(左)、ハチワレ猫の小鉄(右)、黒猫のクロ(出演拒否)のふかふかベッドが仲良く並んでいました(写真撮影/嶋崎征弘)

12年前にリノベーションした築55年の一戸建ての窓枠や柱などを、当時のまま残していることが、ぬくもりを感じさせる一因のようです。そこに、てらいのないスタイリングを得意とする桑原さんの手が加わることで、甘すぎないけれども穏やかでほっとする、独自の世界観が築き上げられていました。

「クリナップ」の調理実習台。大勢で使うことを前提でデザインされたシンクは、手前からでも横からでも洗い物ができる仕様。作業台下の収納スペース奥側にはボウルなどの調理道具、手前には「無印良品」の密閉ボックスを並べ、小麦粉や砂糖のストックを収納(写真撮影/嶋崎征弘)(写真撮影/嶋崎征弘)

「クリナップ」の調理実習台。大勢で使うことを前提でデザインされたシンクは、手前からでも横からでも洗い物ができる仕様。作業台下の収納スペース奥側にはボウルなどの調理道具、手前には「無印良品」の密閉ボックスを並べ、小麦粉や砂糖のストックを収納(写真撮影/嶋崎征弘)

桑原家の家具やキッチンツールの大半は、素材がステンレスもしくは木、色は白でそろえられています。すべてのものを同じタイミングで集めたわけではないのに、素材感や色が統一されているから、ものを出しっぱなしにした「オープン収納」を取り入れていても、キッチン全体がすっきりと、まとまって見えます。

ステンレス製キッチンと調和する、淡いグレーの背面カウンターは「校庭にあった水飲み場のイメージ。小石を混ぜて固めたセメントを、職人さんが手作業で研ぎ上げてくれました」。使い込むほど味の出る素材です(写真撮影/嶋崎征弘)

ステンレス製キッチンと調和する、淡いグレーの背面カウンターは「校庭にあった水飲み場のイメージ。小石を混ぜて固めたセメントを、職人さんが手作業で研ぎ上げてくれました」。使い込むほど味の出る素材です(写真撮影/嶋崎征弘)

「調理台にも背面カウンターにも引き出しが少ないので、新たに引き出し付きのワゴンを買い足しました。仕事場っぽい雰囲気にしたかったので、家具より工具入れが合うのではないかと思って、ネットで探しました。キッチンまわりの細々としたものを整理するのにとても便利ですよ」

「トラスコ」の「エースワゴン」にスパイスやカトラリー、トングなどを収納。同行のカメラマンさんいわく、「フォトスタジオでもよく使われているスチールワゴンです。ぼくもほしい」そうです(写真撮影/嶋崎征弘)

「トラスコ」の「エースワゴン」にスパイスやカトラリー、トングなどを収納。同行のカメラマンさんいわく、「フォトスタジオでもよく使われているスチールワゴンです。ぼくもほしい」そうです(写真撮影/嶋崎征弘)

最初にリノベーションを行ったのは12年前ですが、その後も少しずつ手を加え続けている桑原家。「収納スペースの中に取り付ける予定だった固定式の棚板は、あえて2年ほど設置しなかったんです。実際に使ってみて、ここだと確信できてから取り付けを依頼しました」。3年前には、本格的な修繕工事も実施。当時予算の都合などもあり、建築家と相談のうえ後回しにしていた外壁や屋根などに手を加えたそうです。

ウォールナットのダイニングテーブルは190 x 100cm。テーブルに合わせた6脚のチェアはすべてデザイン違い。アメリカの工場用の照明は、アンティークショップで見つけたもの(写真撮影/嶋崎征弘)

ウォールナットのダイニングテーブルは190 x 100cm。テーブルに合わせた6脚のチェアはすべてデザイン違い。アメリカの工場用の照明は、アンティークショップで見つけたもの(写真撮影/嶋崎征弘)

ダイニングテーブル背面に置いた白い飾り棚は、桑原さんが大学生のときに買ったもの。「薬棚のようなたたずまいが気に入っています」。前面がガラス扉なので、美しいコーヒーカップやティーポットなどを飾りながら収納(写真撮影/嶋崎征弘)

ダイニングテーブル背面に置いた白い飾り棚は、桑原さんが大学生のときに買ったもの。「薬棚のようなたたずまいが気に入っています」。前面がガラス扉なので、美しいコーヒーカップやティーポットなどを飾りながら収納(写真撮影/嶋崎征弘)

気に入ったものを長く大切に使うことで、自然と生まれた”統一感”

前回、桑原さんが朝ごはんをつくる際に使用したキッチンツール一式はこちら。「気に入ったものは長く使うほうです。ゆで卵をつぶすのに使ったザル、野菜の水切りに使ったサラダスピナーは、わたしの実家で使っていたものを譲り受けました。20~30年以上前のものなので、残念ながらメーカーや商品名は分かりません……」

画像の上、2本は「ウェンガー」のブレッドナイフとスナックナイフ。右のゴムベラは、継ぎ目のない一体型を愛用。中央の小さなボウルは調味料や食材をちょこっと入れるのに便利なので、たくさん持っているそうです(写真撮影/嶋崎征弘)

画像の上、2本は「ウェンガー」のブレッドナイフとスナックナイフ。右のゴムベラは、継ぎ目のない一体型を愛用。中央の小さなボウルは調味料や食材をちょこっと入れるのに便利なので、たくさん持っているそうです(写真撮影/嶋崎征弘)

朝ごはんに合わせる水出しコーヒーは多めにつくって、冷蔵庫にストックしているとのことでしたが、「紅茶も多めに淹れて、冷蔵庫にストックしています。水出しコーヒーと同じように、アイスで飲みたいときはそのまま、ホットで飲みたいときは電子レンジで温めればいいだけなので手軽ですよ」。

コーヒーは「KINTO」のジャグに、紅茶は「HARIO」のティーサーバーにストック。コーヒーはストックを切らさないようジャグを2本使い、「1本がなくなりそうになったら、もう1本つくるようにしています」(写真撮影/嶋崎征弘)

コーヒーは「KINTO」のジャグに、紅茶は「HARIO」のティーサーバーにストック。コーヒーはストックを切らさないようジャグを2本使い、「1本がなくなりそうになったら、もう1本つくるようにしています」(写真撮影/嶋崎征弘)

水出しコーヒーは「iwaki」のウォータードリップサーバーで抽出しています。「サーバーの大きさが400mlちょっとなので、1本のジャグに2回分入れています。1回の抽出に4時間、2回だと8時間。時間はかかりますが、放っておくだけでできるので手間はかかりません」

お取り寄せしているコーヒー豆を、その都度「Bodum」のグラインダーで挽いて水出ししているそうです。時間をかけて抽出するため、苦みやエグみの少ない、さっぱりとまろやかなコーヒーが淹れられます(写真撮影/嶋崎征弘)

お取り寄せしているコーヒー豆を、その都度「Bodum」のグラインダーで挽いて水出ししているそうです。時間をかけて抽出するため、苦みやエグみの少ない、さっぱりとまろやかなコーヒーが淹れられます(写真撮影/嶋崎征弘)

「業務用」のキッチンツールのなかにも、桑原さんのお気に入りアイテムがあるそうです。例えば、あちこちで少しずつ集めたステンレスのメジャーカップは「計量するだけでなく、水分の多いものをすくったり、小さなボウル代わりに使ったり。多用途に使えるので便利です。無駄のないデザインで、見た目がシンプルなところも気に入っています」

お気に入りのメジャーカップの奥にあるスケールも業務用。「感度が高いので計量スピードが早く、精度も高いんですよ。業務用なので丈夫で、とても古いものですがまだまだ現役。壊れる気配はありません」(写真撮影/嶋崎征弘)

お気に入りのメジャーカップの奥にあるスケールも業務用。「感度が高いので計量スピードが早く、精度も高いんですよ。業務用なので丈夫で、とても古いものですがまだまだ現役。壊れる気配はありません」(写真撮影/嶋崎征弘)

砂糖・塩を入れている容器も業務用です。ステンレスふたの内側にある凸部分を本体ケースにひっかけると、ふたを開けたままにできるというスグレモノ(写真撮影/嶋崎征弘)

砂糖・塩を入れている容器も業務用です。ステンレスふたの内側にある凸部分を本体ケースにひっかけると、ふたを開けたままにできるというスグレモノ(写真撮影/嶋崎征弘)

工場や学校っぽい雰囲気が好きだとは言っても、「実用的なもの」ばかりではない桑原さんのキッチン。トースターの上に置かれた木製トングは、「はさみ型なのでトーストしたパンをはさみやすいんですよ。トングでトースターから取り出したパンは、木製トレーの上に置くと、溝にパンくずが落ちて散らからない仕組みなんです。かわいらしくて、いいでしょう(笑)」と、おちゃめに語ってくれました。

トーストだけでなく、お菓子やサラダをはさむのにも使いやすいという木製トング。よくあるステンレス製のトングよりあたたかみがあるので、テーブルにそのまま出してもスタイリングの邪魔になりません(写真撮影/嶋崎征弘)

トーストだけでなく、お菓子やサラダをはさむのにも使いやすいという木製トング。よくあるステンレス製のトングよりあたたかみがあるので、テーブルにそのまま出してもスタイリングの邪魔になりません(写真撮影/嶋崎征弘)

大好きな器を大事に収めるために設計した、天井まである大型収納

料理研究家という職業柄、桑原さんはたくさんの食器やグラス、スタイリング小物などをお持ちです。にもかかわらず、そういったものが出しっぱなしになっていないのは、シンク横に造り付けた大型タワー収納のおかげ。よく使う食器や調理道具はシンクのすぐ横の棚にまとめ、あまり使わない雑貨類は上の棚に保管しているそうです。

使用頻度の低いお菓子の型や木製トレーなどは、左側の棚に。スタイリング用に保管しておきたい小物のほか、あまり使わないホットプレートやたこ焼き機などは上段に収納。明確にゾーニングされていました(写真撮影/嶋崎征弘)

使用頻度の低いお菓子の型や木製トレーなどは、左側の棚に。スタイリング用に保管しておきたい小物のほか、あまり使わないホットプレートやたこ焼き機などは上段に収納。明確にゾーニングされていました(写真撮影/嶋崎征弘)

冷蔵庫のサイズに合わせて造り付けているため、収納スペースの奥行きは約70cmと深めです。奥行きが深いと食器棚としては扱いづらいものなのですが、桑原さんは手前に使用頻度の高いもの、奥側に使用頻度の低いものを収めることで、使い勝手をよくしていました。収めるものの高さに合わせて、棚板の幅が微調整されていることも、ものの探しやすさ、出し入れしやすさに直結しています。

グラス、マグ、平皿、小鉢、汁椀など、ジャンルごとにざっくり分類。お皿は似たサイズごとに重ねて収納しています。ココットや小さいグラスなど、こまごましたものはプラスチックのかごにまとめて取り出しやすく(写真撮影/嶋崎征弘) 

グラス、マグ、平皿、小鉢、汁椀など、ジャンルごとにざっくり分類。お皿は似たサイズごとに重ねて収納しています。ココットや小さいグラスなど、こまごましたものはプラスチックのかごにまとめて取り出しやすく(写真撮影/嶋崎征弘) 

「収納スペースがいっぱいなので、以前ほど食器を買わなくなりました。最近はお気に入りのショップに出かけても、見るだけのことが多いです。今使っているものが割れたり、欠けたりしたら、その分は買っていいことにしているんですが、食器って意外と丈夫で長持ちするんですよね(笑)。うちにあるものは、気がつくとどれも長いこと使っているものばかり。使い込むうちに愛着が増すように感じます」

「食器はまとめてそろえず、一枚ずつ集めてもいい」という桑原さん。おすすめは、「お皿なら、白い陶器のもの。磁器よりもあたたかみがあり、使うほどに味がでます。パスタでもカレーでも、おでんでも煮物でも、フルーツでも合いますよ」(写真撮影/嶋崎征弘)

「食器はまとめてそろえず、一枚ずつ集めてもいい」という桑原さん。おすすめは、「お皿なら、白い陶器のもの。磁器よりもあたたかみがあり、使うほどに味がでます。パスタでもカレーでも、おでんでも煮物でも、フルーツでも合いますよ」(写真撮影/嶋崎征弘)

グラスのおすすめは、「うすはりほど薄くないシンプルなタンブラーや、背の低いロックグラスのようなタイプが使いやすいと思います。ビールでもワインでも、お茶でもジュースでも、違和感なく使えます」(写真撮影/嶋崎征弘)

グラスのおすすめは、「うすはりほど薄くないシンプルなタンブラーや、背の低いロックグラスのようなタイプが使いやすいと思います。ビールでもワインでも、お茶でもジュースでも、違和感なく使えます」(写真撮影/嶋崎征弘)

よいものを長く大切に使いたいという想いが深い桑原さん。お母様から譲り受けたもの、大学生のころに買ったもの、アンティークショップで出合ったもの。桑原さんのキッチンには、時間をかけて集めたお気に入りがあふれていました。そのアプローチは、何年にもわたって手をかけ続ける家づくり、キッチンづくりにも表れています。

桑原さんのキッチンや愛用品を拝見し、そのお話を聞くにつれ、改めて「家づくりは急がなくていい」「いきなりゴールを目指さなくていい」のだと感じました。少しずつ積み重ねながら、時とともに味わいを増していく桑原家。ここから紡ぎ出される、素朴ながらも研ぎ澄まされたおいしいお菓子のレシピを、これからも楽しみにしています。

●前編はこちら
料理家のキッチンと朝ごはん[1]前編 オープン収納で取り出しやすく。桑原奈津子さんのサンドイッチレシピ●取材協力
桑原奈津子さん
広島市生まれ。幼少期をベルギーで過ごす。大学卒業後、カフェのベーカリー・キッチンを経て、大手製粉会社に入社。製菓・製パンメーカーへの試作・商品化に数多く携わる。その後、外資系の加工でん粉メーカーで研究職に従事。2004年独立、フリーの料理家に。著書に『小麦粉なしでかんたん、やさしい。お菓子とパン』(主婦と生活社)、『いっぴきとにひき』(大福書林)など多数。
>HP >Twitter >Instagram

料理家のキッチンと朝ごはん[1]後編 調理実習台が主役。道具・器は長く使えるいいものだけを集めた

スタイリングもこなす料理研究家として、雑誌や書籍でさまざまなお菓子のレシピを提案している桑原奈津子さん。前回は、定番の朝ごはんとそのつくり方についてお聞きしました。今回は、桑原家のキッチンと、愛用している調理道具や器について、お話を伺います。【連載】料理家のキッチンと朝ごはん
料理研究家やフードコーディネーターといった料理のプロは、どんなキッチンで、どんな朝ごはんをつくって食べているのでしょうか? かれらが朝ごはんをつくる様子を拝見しながら、美味しいレシピを生み出すプロならではのキッチン収納の秘密を、片づけのプロ、ライフオーガナイザーが探ります。築55年の戸建をリノベーション。月日を経て味わいを増すキッチン

「工場や学校っぽい雰囲気が好き」だという桑原さん。キッチンツールや家具なども、無駄な装飾を省いた業務用のものが好みだそうです。けれども、桑原さん宅のキッチンは「業務用」という言葉からイメージされる無骨さとは無縁の、あたたかみのある雰囲気。

窓枠には、自家製の梅干しやフルーツのシロップ、空き瓶や保存容器などをディスプレイするように並べて収納。インテリアとしてキッチンになじんでいます(写真撮影/嶋崎征弘)

窓枠には、自家製の梅干しやフルーツのシロップ、空き瓶や保存容器などをディスプレイするように並べて収納。インテリアとしてキッチンになじんでいます(写真撮影/嶋崎征弘)

あたたかな日が差し込むダイニングスペースには、雑種のキップル(左)、ハチワレ猫の小鉄(右)、黒猫のクロ(出演拒否)のふかふかベッドが仲良く並んでいました(写真撮影/嶋崎征弘)

あたたかな日が差し込むダイニングスペースには、雑種のキップル(左)、ハチワレ猫の小鉄(右)、黒猫のクロ(出演拒否)のふかふかベッドが仲良く並んでいました(写真撮影/嶋崎征弘)

12年前にリノベーションした築55年の一戸建ての窓枠や柱などを、当時のまま残していることが、ぬくもりを感じさせる一因のようです。そこに、てらいのないスタイリングを得意とする桑原さんの手が加わることで、甘すぎないけれども穏やかでほっとする、独自の世界観が築き上げられていました。

「クリナップ」の調理実習台。大勢で使うことを前提でデザインされたシンクは、手前からでも横からでも洗い物ができる仕様。作業台下の収納スペース奥側にはボウルなどの調理道具、手前には「無印良品」の密閉ボックスを並べ、小麦粉や砂糖のストックを収納(写真撮影/嶋崎征弘)(写真撮影/嶋崎征弘)

「クリナップ」の調理実習台。大勢で使うことを前提でデザインされたシンクは、手前からでも横からでも洗い物ができる仕様。作業台下の収納スペース奥側にはボウルなどの調理道具、手前には「無印良品」の密閉ボックスを並べ、小麦粉や砂糖のストックを収納(写真撮影/嶋崎征弘)

桑原家の家具やキッチンツールの大半は、素材がステンレスもしくは木、色は白でそろえられています。すべてのものを同じタイミングで集めたわけではないのに、素材感や色が統一されているから、ものを出しっぱなしにした「オープン収納」を取り入れていても、キッチン全体がすっきりと、まとまって見えます。

ステンレス製キッチンと調和する、淡いグレーの背面カウンターは「校庭にあった水飲み場のイメージ。小石を混ぜて固めたセメントを、職人さんが手作業で研ぎ上げてくれました」。使い込むほど味の出る素材です(写真撮影/嶋崎征弘)

ステンレス製キッチンと調和する、淡いグレーの背面カウンターは「校庭にあった水飲み場のイメージ。小石を混ぜて固めたセメントを、職人さんが手作業で研ぎ上げてくれました」。使い込むほど味の出る素材です(写真撮影/嶋崎征弘)

「調理台にも背面カウンターにも引き出しが少ないので、新たに引き出し付きのワゴンを買い足しました。仕事場っぽい雰囲気にしたかったので、家具より工具入れが合うのではないかと思って、ネットで探しました。キッチンまわりの細々としたものを整理するのにとても便利ですよ」

「トラスコ」の「エースワゴン」にスパイスやカトラリー、トングなどを収納。同行のカメラマンさんいわく、「フォトスタジオでもよく使われているスチールワゴンです。ぼくもほしい」そうです(写真撮影/嶋崎征弘)

「トラスコ」の「エースワゴン」にスパイスやカトラリー、トングなどを収納。同行のカメラマンさんいわく、「フォトスタジオでもよく使われているスチールワゴンです。ぼくもほしい」そうです(写真撮影/嶋崎征弘)

最初にリノベーションを行ったのは12年前ですが、その後も少しずつ手を加え続けている桑原家。「収納スペースの中に取り付ける予定だった固定式の棚板は、あえて2年ほど設置しなかったんです。実際に使ってみて、ここだと確信できてから取り付けを依頼しました」。3年前には、本格的な修繕工事も実施。当時予算の都合などもあり、建築家と相談のうえ後回しにしていた外壁や屋根などに手を加えたそうです。

ウォールナットのダイニングテーブルは190 x 100cm。テーブルに合わせた6脚のチェアはすべてデザイン違い。アメリカの工場用の照明は、アンティークショップで見つけたもの(写真撮影/嶋崎征弘)

ウォールナットのダイニングテーブルは190 x 100cm。テーブルに合わせた6脚のチェアはすべてデザイン違い。アメリカの工場用の照明は、アンティークショップで見つけたもの(写真撮影/嶋崎征弘)

ダイニングテーブル背面に置いた白い飾り棚は、桑原さんが大学生のときに買ったもの。「薬棚のようなたたずまいが気に入っています」。前面がガラス扉なので、美しいコーヒーカップやティーポットなどを飾りながら収納(写真撮影/嶋崎征弘)

ダイニングテーブル背面に置いた白い飾り棚は、桑原さんが大学生のときに買ったもの。「薬棚のようなたたずまいが気に入っています」。前面がガラス扉なので、美しいコーヒーカップやティーポットなどを飾りながら収納(写真撮影/嶋崎征弘)

気に入ったものを長く大切に使うことで、自然と生まれた”統一感”

前回、桑原さんが朝ごはんをつくる際に使用したキッチンツール一式はこちら。「気に入ったものは長く使うほうです。ゆで卵をつぶすのに使ったザル、野菜の水切りに使ったサラダスピナーは、わたしの実家で使っていたものを譲り受けました。20~30年以上前のものなので、残念ながらメーカーや商品名は分かりません……」

画像の上、2本は「ウェンガー」のブレッドナイフとスナックナイフ。右のゴムベラは、継ぎ目のない一体型を愛用。中央の小さなボウルは調味料や食材をちょこっと入れるのに便利なので、たくさん持っているそうです(写真撮影/嶋崎征弘)

画像の上、2本は「ウェンガー」のブレッドナイフとスナックナイフ。右のゴムベラは、継ぎ目のない一体型を愛用。中央の小さなボウルは調味料や食材をちょこっと入れるのに便利なので、たくさん持っているそうです(写真撮影/嶋崎征弘)

朝ごはんに合わせる水出しコーヒーは多めにつくって、冷蔵庫にストックしているとのことでしたが、「紅茶も多めに淹れて、冷蔵庫にストックしています。水出しコーヒーと同じように、アイスで飲みたいときはそのまま、ホットで飲みたいときは電子レンジで温めればいいだけなので手軽ですよ」。

コーヒーは「KINTO」のジャグに、紅茶は「HARIO」のティーサーバーにストック。コーヒーはストックを切らさないようジャグを2本使い、「1本がなくなりそうになったら、もう1本つくるようにしています」(写真撮影/嶋崎征弘)

コーヒーは「KINTO」のジャグに、紅茶は「HARIO」のティーサーバーにストック。コーヒーはストックを切らさないようジャグを2本使い、「1本がなくなりそうになったら、もう1本つくるようにしています」(写真撮影/嶋崎征弘)

水出しコーヒーは「iwaki」のウォータードリップサーバーで抽出しています。「サーバーの大きさが400mlちょっとなので、1本のジャグに2回分入れています。1回の抽出に4時間、2回だと8時間。時間はかかりますが、放っておくだけでできるので手間はかかりません」

お取り寄せしているコーヒー豆を、その都度「Bodum」のグラインダーで挽いて水出ししているそうです。時間をかけて抽出するため、苦みやエグみの少ない、さっぱりとまろやかなコーヒーが淹れられます(写真撮影/嶋崎征弘)

お取り寄せしているコーヒー豆を、その都度「Bodum」のグラインダーで挽いて水出ししているそうです。時間をかけて抽出するため、苦みやエグみの少ない、さっぱりとまろやかなコーヒーが淹れられます(写真撮影/嶋崎征弘)

「業務用」のキッチンツールのなかにも、桑原さんのお気に入りアイテムがあるそうです。例えば、あちこちで少しずつ集めたステンレスのメジャーカップは「計量するだけでなく、水分の多いものをすくったり、小さなボウル代わりに使ったり。多用途に使えるので便利です。無駄のないデザインで、見た目がシンプルなところも気に入っています」

お気に入りのメジャーカップの奥にあるスケールも業務用。「感度が高いので計量スピードが早く、精度も高いんですよ。業務用なので丈夫で、とても古いものですがまだまだ現役。壊れる気配はありません」(写真撮影/嶋崎征弘)

お気に入りのメジャーカップの奥にあるスケールも業務用。「感度が高いので計量スピードが早く、精度も高いんですよ。業務用なので丈夫で、とても古いものですがまだまだ現役。壊れる気配はありません」(写真撮影/嶋崎征弘)

砂糖・塩を入れている容器も業務用です。ステンレスふたの内側にある凸部分を本体ケースにひっかけると、ふたを開けたままにできるというスグレモノ(写真撮影/嶋崎征弘)

砂糖・塩を入れている容器も業務用です。ステンレスふたの内側にある凸部分を本体ケースにひっかけると、ふたを開けたままにできるというスグレモノ(写真撮影/嶋崎征弘)

工場や学校っぽい雰囲気が好きだとは言っても、「実用的なもの」ばかりではない桑原さんのキッチン。トースターの上に置かれた木製トングは、「はさみ型なのでトーストしたパンをはさみやすいんですよ。トングでトースターから取り出したパンは、木製トレーの上に置くと、溝にパンくずが落ちて散らからない仕組みなんです。かわいらしくて、いいでしょう(笑)」と、おちゃめに語ってくれました。

トーストだけでなく、お菓子やサラダをはさむのにも使いやすいという木製トング。よくあるステンレス製のトングよりあたたかみがあるので、テーブルにそのまま出してもスタイリングの邪魔になりません(写真撮影/嶋崎征弘)

トーストだけでなく、お菓子やサラダをはさむのにも使いやすいという木製トング。よくあるステンレス製のトングよりあたたかみがあるので、テーブルにそのまま出してもスタイリングの邪魔になりません(写真撮影/嶋崎征弘)

大好きな器を大事に収めるために設計した、天井まである大型収納

料理研究家という職業柄、桑原さんはたくさんの食器やグラス、スタイリング小物などをお持ちです。にもかかわらず、そういったものが出しっぱなしになっていないのは、シンク横に造り付けた大型タワー収納のおかげ。よく使う食器や調理道具はシンクのすぐ横の棚にまとめ、あまり使わない雑貨類は上の棚に保管しているそうです。

使用頻度の低いお菓子の型や木製トレーなどは、左側の棚に。スタイリング用に保管しておきたい小物のほか、あまり使わないホットプレートやたこ焼き機などは上段に収納。明確にゾーニングされていました(写真撮影/嶋崎征弘)

使用頻度の低いお菓子の型や木製トレーなどは、左側の棚に。スタイリング用に保管しておきたい小物のほか、あまり使わないホットプレートやたこ焼き機などは上段に収納。明確にゾーニングされていました(写真撮影/嶋崎征弘)

冷蔵庫のサイズに合わせて造り付けているため、収納スペースの奥行きは約70cmと深めです。奥行きが深いと食器棚としては扱いづらいものなのですが、桑原さんは手前に使用頻度の高いもの、奥側に使用頻度の低いものを収めることで、使い勝手をよくしていました。収めるものの高さに合わせて、棚板の幅が微調整されていることも、ものの探しやすさ、出し入れしやすさに直結しています。

グラス、マグ、平皿、小鉢、汁椀など、ジャンルごとにざっくり分類。お皿は似たサイズごとに重ねて収納しています。ココットや小さいグラスなど、こまごましたものはプラスチックのかごにまとめて取り出しやすく(写真撮影/嶋崎征弘) 

グラス、マグ、平皿、小鉢、汁椀など、ジャンルごとにざっくり分類。お皿は似たサイズごとに重ねて収納しています。ココットや小さいグラスなど、こまごましたものはプラスチックのかごにまとめて取り出しやすく(写真撮影/嶋崎征弘) 

「収納スペースがいっぱいなので、以前ほど食器を買わなくなりました。最近はお気に入りのショップに出かけても、見るだけのことが多いです。今使っているものが割れたり、欠けたりしたら、その分は買っていいことにしているんですが、食器って意外と丈夫で長持ちするんですよね(笑)。うちにあるものは、気がつくとどれも長いこと使っているものばかり。使い込むうちに愛着が増すように感じます」

「食器はまとめてそろえず、一枚ずつ集めてもいい」という桑原さん。おすすめは、「お皿なら、白い陶器のもの。磁器よりもあたたかみがあり、使うほどに味がでます。パスタでもカレーでも、おでんでも煮物でも、フルーツでも合いますよ」(写真撮影/嶋崎征弘)

「食器はまとめてそろえず、一枚ずつ集めてもいい」という桑原さん。おすすめは、「お皿なら、白い陶器のもの。磁器よりもあたたかみがあり、使うほどに味がでます。パスタでもカレーでも、おでんでも煮物でも、フルーツでも合いますよ」(写真撮影/嶋崎征弘)

グラスのおすすめは、「うすはりほど薄くないシンプルなタンブラーや、背の低いロックグラスのようなタイプが使いやすいと思います。ビールでもワインでも、お茶でもジュースでも、違和感なく使えます」(写真撮影/嶋崎征弘)

グラスのおすすめは、「うすはりほど薄くないシンプルなタンブラーや、背の低いロックグラスのようなタイプが使いやすいと思います。ビールでもワインでも、お茶でもジュースでも、違和感なく使えます」(写真撮影/嶋崎征弘)

よいものを長く大切に使いたいという想いが深い桑原さん。お母様から譲り受けたもの、大学生のころに買ったもの、アンティークショップで出合ったもの。桑原さんのキッチンには、時間をかけて集めたお気に入りがあふれていました。そのアプローチは、何年にもわたって手をかけ続ける家づくり、キッチンづくりにも表れています。

桑原さんのキッチンや愛用品を拝見し、そのお話を聞くにつれ、改めて「家づくりは急がなくていい」「いきなりゴールを目指さなくていい」のだと感じました。少しずつ積み重ねながら、時とともに味わいを増していく桑原家。ここから紡ぎ出される、素朴ながらも研ぎ澄まされたおいしいお菓子のレシピを、これからも楽しみにしています。

●前編はこちら
料理家のキッチンと朝ごはん[1]前編 オープン収納で取り出しやすく。桑原奈津子さんのサンドイッチレシピ●取材協力
桑原奈津子さん
広島市生まれ。幼少期をベルギーで過ごす。大学卒業後、カフェのベーカリー・キッチンを経て、大手製粉会社に入社。製菓・製パンメーカーへの試作・商品化に数多く携わる。その後、外資系の加工でん粉メーカーで研究職に従事。2004年独立、フリーの料理家に。著書に『小麦粉なしでかんたん、やさしい。お菓子とパン』(主婦と生活社)、『いっぴきとにひき』(大福書林)など多数。
>HP >Twitter >Instagram

料理家のキッチンと朝ごはん[1]前編 オープン収納で取り出しやすく。桑原奈津子さんのサンドイッチレシピ

パンケーキやショートブレッド、ビスケットなど、さまざまな”粉”を使ったお菓子のレシピを提案する料理研究家、桑原奈津子さん。デザイナーの夫と、雑種のキップル、黒猫のクロ、ハチワレ猫の小鉄と暮らす桑原さんのキッチンで、朝ごはんについて伺いました。【連載】料理家のキッチンと朝ごはん
料理研究家やフードコーディネーターといった料理のプロは、どんなキッチンで、どんな朝ごはんをつくって食べているのでしょうか? かれらが朝ごはんをつくる様子を拝見しながら、おいしいレシピを生み出すプロならではのキッチン収納の秘密を、片づけのプロ、ライフオーガナイザーが探ります。平日の朝はおかず系とおやつ系、2種類のサンドイッチを定番に

レシピの提案だけでなく、スタイリングも自らこなす料理研究家として、雑誌や書籍で活躍する桑原さん。12年前、築55年の一戸建てをリノベーションした自宅兼スタジオにお邪魔した私たちを、桑原さんと共に迎えてくれたのは、雑種のキップルでした。

キップルは桑原さんの著書にもたびたび登場する有名犬。『パンといっぴき』『パンといっぴき 2』(パイインターナショナル)といった書籍のほか、ツイッター(@KWHR725)でも、そのかわいい姿が見られます(写真撮影/嶋崎征弘)

キップルは桑原さんの著書にもたびたび登場する有名犬。『パンといっぴき』『パンといっぴき 2』(パイインターナショナル)といった書籍のほか、ツイッター(@KWHR725)でも、そのかわいい姿が見られます(写真撮影/嶋崎征弘)

桑原家の平日の朝ごはんは、サンドイッチが定番だそうです。「野菜をたっぷり使ったおかず系サンドイッチと、ジャムやバターを使った甘いおやつ系サンドイッチ。2種類つくることが多いです。おかず系とおやつ系、両方あると、飽きずに楽しめますよ」と桑原さん。

今回は、おかず系として「ブロッコリースプラウトとバジルの卵チーズサンド」、おやつ系として「ピーナツバター・ジャムサンド」のつくり方を教えていただきました。

桑原さんはいつも、使う食材をすべて作業台に並べてから、朝ごはんをつくり始めるそうです。「調理中に、何度も冷蔵庫と作業台を行ったり来たりしなくていいので、無駄なく動くことができますよ」(写真撮影/嶋崎征弘)

桑原さんはいつも、使う食材をすべて作業台に並べてから、朝ごはんをつくり始めるそうです。「調理中に、何度も冷蔵庫と作業台を行ったり来たりしなくていいので、無駄なく動くことができますよ」(写真撮影/嶋崎征弘)

桑原さん家のピーナツバターサンドは組み合わせを楽しむ

「ピーナツバター・ジャムサンド」

<用意するもの(各2人分。分量のないものは、お好みの量を)>
・食パン 2枚
・ピーナツバター
・マーマレード

まずは「ピーナツバター・ジャムサンド」からスタート。つくり方はとっても簡単。食パン一枚にピーナツバターを、もう一枚にマーマレードをぬって重ねるだけ。「マーマレード以外のジャムでもおいしいですよ。今の季節なら、わたしは栗のジャムとローストくるみをあわせるのも好きです」

ピーナツバターは、粒が残ったクランチタイプがおすすめ。桑原さんが今使っているのは、原材料の90%以上がピーナツという「ホームプレート ピーナッツバター」。成城石井などで手に入ります(写真撮影/嶋崎征弘)

ピーナツバターは、粒が残ったクランチタイプがおすすめ。桑原さんが今使っているのは、原材料の90%以上がピーナツという「ホームプレート ピーナッツバター」。成城石井などで手に入ります(写真撮影/嶋崎征弘)

桑原家では、朝ごはん用の食パンはホームベーカリーで焼いているそうです。「ふたり家族なので、一斤で2日分の朝ごはんになります」。小麦粉、塩、砂糖、バター、牛乳、ドライイーストでつくるシンプルなパンだそうですが、粉の配合にはこだわりが。「国産小麦の『春よ恋』だけではボリューム不足だと感じるので、外国産の『カメリア』と半々くらいにブレンドしています」

桑原さん家の卵チーズサンドは具材モリモリがポイント!

「ブロッコリースプラウトとバジルの卵チーズサンド」

<用意するもの(各2人分。分量のないものは、お好みの量を)>
・食パン 2枚
・スライスチーズ 2枚(桑原さんは、白カビチーズ「トランシュ・ドゥブリー」を使用)
・ブロッコリースプラウト 25g
・バジルの葉 10枚
・ゆで卵 2個
・ピクルス 1本
・粒マスタード 小さじ1
・マヨネーズ 20~30g
・バター
・胡椒

もうひとつは、「ブロッコリースプラウトとバジルの卵チーズサンド」。まず、食パンに、室温でやわらかくしたバターをぬります。

2日に一度の高頻度でパンを焼くため、ホームペーカリーは背面カウンターに出しっぱなしに。その隣にはスタンドミキサーが置かれていました。どちらも本体の色を「白」で統一することで、出しっぱなしでもすっきり見えます(写真撮影/嶋崎征弘)

2日に一度の高頻度でパンを焼くため、ホームペーカリーは背面カウンターに出しっぱなしに。その隣にはスタンドミキサーが置かれていました。どちらも本体の色を「白」で統一することで、出しっぱなしでもすっきり見えます(写真撮影/嶋崎征弘)

次に、ゆで卵をつぶします。「エッグスライサーを使ってみじん切りにすることもありますが、今回は粗めのザルでこします。同じ食材でも、食感が違うと味の印象も変わるんですよ」。そう話しながら、作業台下のオープン棚から、ひょい!とボウルを取り出す桑原さん。

ステンレス製の大・中・小サイズのボウルは重ねて収納。その右手にはミニサイズのボウル、左手にはサイズ違いのザルが収納されています(写真撮影/嶋崎征弘)

ステンレス製の大・中・小サイズのボウルは重ねて収納。その右手にはミニサイズのボウル、左手にはサイズ違いのザルが収納されています(写真撮影/嶋崎征弘)

奥側はコの字ラックでかさ上げし、ガラス製のボウルなどを収めています。右奥にはボックスにひとまとめにした液体調味料が。のぞきこめばどこになにがあるか一目瞭然の、作業効率のよい収納スタイルです(写真撮影/嶋崎征弘)

奥側はコの字ラックでかさ上げし、ガラス製のボウルなどを収めています。右奥にはボックスにひとまとめにした液体調味料が。のぞきこめばどこになにがあるか一目瞭然の、作業効率のよい収納スタイルです(写真撮影/嶋崎征弘)

ボウルに目の粗いザルを引っ掛け、ゴムベラでゆで卵を押しつけるようにしてこしたら、さっと振り向き、背面のカウンターに出しっぱなしにしている業務用クッキングスケールに、ゆで卵の入ったボウルをのせる桑原さん。計量しながら、マヨネーズをボウルに直接絞り出します。

硬くて荒い網目のザルを使い、短く持ったゴムベラでゆで卵をつぶします。ザルでこしたゆで卵は、まるでミモザのようにかわいらしい。「ふわっとした食感が楽しめますよ」(写真撮影/嶋崎征弘)

硬くて粗い網目のザルを使い、短く持ったゴムベラでゆで卵をつぶします。ザルでこしたゆで卵は、まるでミモザのようにかわいらしい。「ふわっとした食感が楽しめますよ」(写真撮影/嶋崎征弘)

続いて、瓶入りマスタードをすくうためのスプーンを取り出したのは、水切りかご。「頻繁に使うものは、洗ったあと水切りかごに入れっぱなしです(笑)」という桑原さんの発言に、なぜだか親近感を感じてしまう……。

洗ったカトラリー類は、水切りかご横に引っ掛けた付属のステンレスのカップに入れておきます。カップを作業台側にひっかけておけば、調理中でも片手でさっと取り出せます(写真撮影/嶋崎征弘)

洗ったカトラリー類は、水切りかご横に引っ掛けた付属のステンレスのカップに入れておきます。カップを作業台側にひっかけておけば、調理中でも片手でさっと取り出せます(写真撮影/嶋崎征弘)

先ほどバターをぬった食パンに粒マスターをのばしてスライスチーズをのせ、その上にマヨネーズを加えて混ぜたゆで卵ペーストをのせます。

ゆで卵をつぶすとき、調味料を混ぜるとき、卵ペーストをぬり広げるとき。すべて同じゴムベラを使えば、洗い物が減らせます。朝の貴重な時間を無駄にしない、小さな工夫(写真撮影/嶋崎征弘)

ゆで卵をつぶすとき、調味料を混ぜるとき、卵ペーストをぬり広げるとき。すべて同じゴムベラを使えば、洗い物が減らせます。朝の貴重な時間を無駄にしない、小さな工夫(写真撮影/嶋崎征弘)

作業台からまた振り向いて、背面カウンター上のナイフスタンドからナイフを、その横のツールスタンドから菜ばしを取ります。菜ばしでピクルスを瓶から取り出してまな板に置き、ナイフで半分にカット。

壁面に取り付けるマグネット式のナイフラックも検討したものの、「常に刃が見えているのが怖くて(笑)」。代わりに、ワンアクションで出し入れできる竹製のナイフスタンドを採用(写真撮影/嶋崎征弘)

壁面に取り付けるマグネット式のナイフラックも検討したものの、「常に刃が見えているのが怖くて(笑)」。代わりに、ワンアクションで出し入れできる竹製のナイフスタンドを採用(写真撮影/嶋崎征弘)

卵ペーストの上にカットしたピクルスを並べたら、洗ってサラダスピナーでしっかり水切りしたブロッコリースプラウトをのせます。その上に、お好みでマヨネーズをしぼって、バジルをのせます。もちろんバジルも、洗ってしっかり水切りするのが、水っぽくならない秘訣。「サラダスピナーは朝も晩もよく使う道具なので、あえてしまいこまず、たいてい作業台の上に出しっぱなしにしています」

ブロッコリースプラウトはパンではさむとかさが減るので、「盛りすぎかな?」と思うくらい多めにトッピングするのがポイント。バジルが苦手なら、なくてもOK(写真撮影/嶋崎征弘)

ブロッコリースプラウトはパンではさむとかさが減るので、「盛りすぎかな?」と思うくらい多めにトッピングするのがポイント。バジルが苦手なら、なくてもOK(写真撮影/嶋崎征弘)

最後に、もう一枚の食パンをのせ、上から優しくぎゅっと抑えたら、「ブロッコリースプラウトとバジルの卵チーズサンド」の出来上がりです。

夫婦の食べる時間に合わせ、半分は朝ごはん、もう半分は昼ごはんに

完成した二種類のサンドイッチは、夫婦二人分。桑原さんの朝ごはんと、夫の昼ごはんになるそうです。「夫は朝、あまり食欲がないので、コーヒーと果物といった軽いものを別に用意しています。夫用のサンドイッチはラップで包んで保冷バッグに入れ、お弁当にしています」。そう話しながら桑原さんは、作業台横にある電子レンジ台の下から、するっとラップを取り出しました。

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ラップの収納場所は、出来上がったサンドイッチを包むとき、作業台から一歩も動かずに取り出せる絶妙な配置。電子レンジ下なので、温めたい食品にラップをかけるのにも便利(写真撮影/嶋崎征弘)

ラップの収納場所は、出来上がったサンドイッチを包むとき、作業台から一歩も動かずに取り出せる絶妙な配置。電子レンジ下なので、温めたい食品にラップをかけるのにも便利(写真撮影/嶋崎征弘)

半分にカットしたおかず系サイドイッチとおやつ系サンドイッチをそれぞれラップで包んだら、夫のお弁当が完成。ご自身のサンドイッチは、お皿にのせて食卓へ。

食器類の大半は作業台横に造り付けた収納スペースにまとめているため、お皿を取り出して盛り付ける動きもスムーズ。奥行きがある棚の手前によく使う器、奥にあまり使わない器を配置(写真撮影/嶋崎征弘)

食器類の大半は作業台横に造り付けた収納スペースにまとめているため、お皿を取り出して盛り付ける動きもスムーズ。奥行きがある棚の手前によく使う器、奥にあまり使わない器を配置(写真撮影/嶋崎征弘)

朝ごはんに合わせる定番の飲み物は、水出しコーヒー。「夫とわたしで、それぞれコーヒーを飲むタイミングが違うので、一度に800mlくらいを水出しして、常に冷蔵庫にストックしています」。暑い季節なら冷蔵庫からそのまま取り出してアイスコーヒーとして、寒い季節は電子レンジで温めてホットコーヒーとして飲むそうです。

お気に入りのコーヒー豆は、鎌倉にある「カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ」のもの。お店のウェブショップで、中深煎りと深煎りのものを選んで1kgくらいまとめて購入しているそうです(写真撮影/嶋崎征弘)

お気に入りのコーヒー豆は、鎌倉にある「カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ」のもの。お店のウェブショップで、中深煎りと深煎りのものを選んで1kgくらいまとめて購入しているそうです(写真撮影/嶋崎征弘)

朝ごはんづくりに悩む時間が減らせる、メニューの柔軟なルール化

桑原さんが食卓に座り、「いただきまーす」の瞬間、どこからともなく近づいてきたのは、もちろんキップル。「パンが大好きなので、朝ごはんの準備ができると、自然と近くにやってきます」。書籍やツイッターで紹介されているとおりのキップルと桑原さんの朝ごはんの風景は、見ているだけでほのぼのと癒やされるものでした。

里親募集サイトを通して、生後3カ月くらいで桑原家にやってきたキップルは、現在12歳。「保護犬の存在と雑種犬の魅力を伝えられたらと思って、ツイッターにキップルの写真を投稿しはじめました」(写真撮影/嶋崎征弘)

里親募集サイトを通して、生後3カ月くらいで桑原家にやってきたキップルは、現在12歳。「保護犬の存在と雑種犬の魅力を伝えられたらと思って、ツイッターにキップルの写真を投稿しはじめました」(写真撮影/嶋崎征弘)

「朝ごはん」というと、毎朝、違うものを用意しなくては!と意気込んでしまい、キッチンに立つのが憂うつになることも。桑原さんのように、「平日はサンドイッチが定番。そのときどきで、具材を変える」と、あらかじめ柔軟なルールを決めておけば、「朝、なにをつくろうか?」と悩む時間を減らせそうです。

また、よく使うものは出しっぱなしにしたり、扉のないオープン棚を活用したりといった桑原家のキッチン収納のスタイルは、料理が苦手、片づけが面倒なわたしのようなタイプは積極的に見習いたい考え方です。いちいちものを取り出す手間、収める手間がかからないだけでも、料理がうんとラクになる可能性があります。

おでこのハチワレ模様がかわいい小鉄。カメラ目線で次々とポーズを決めてくれるキップルと違って、なかなかカメラのほうを向いてくれなかったのですが、最後はこのとおり。特別大サービスです((写真撮影/嶋崎征弘)

おでこのハチワレ模様がかわいい小鉄。カメラ目線で次々とポーズを決めてくれるキップルと違って、なかなかカメラのほうを向いてくれなかったのですが、最後はこのとおり。特別大サービスです((写真撮影/嶋崎征弘)

今回は、気分よくぱぱっとつくって、おいしく食べるための桑原さんの朝ごはんとキッチンの工夫をご紹介しました。次回は、桑原さん愛用のキッチンツールや器などについて、お話を伺います!

●取材協力
桑原奈津子さん
広島市生まれ。幼少期をベルギーで過ごす。大学卒業後、カフェのベーカリー・キッチンを経て、大手製粉会社に入社。製菓・製パンメーカーへの試作・商品化に数多く携わる。その後、外資系の加工でん粉メーカーで研究職に従事。2004年独立、フリーの料理家に。著書に『小麦粉なしでかんたん、やさしい。お菓子とパン』(主婦と生活社)、『いっぴきとにひき』(大福書林)など多数。
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首都圏の中古戸建、成約価格は前年比5.0%下落

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は11月12日、首都圏における2018年10月度・不動産流通市場の動向を公表した。それによると、10月の首都圏中古マンション成約件数は前年比マイナス0.2%の3,096件と、ほぼ横ばいながら3ヶ月ぶりに前年同月を下回った。成約m2単価は前年比プラス0.8%の50.57万円/m2、成約価格は同2.0%上昇の3,275万円、ともに2013年1月から70ヶ月連続で前年同月を上回った。専有面積は前年比プラス1.2%の64.76m2だった。

中古戸建においては、成約件数は前年比1.7%減少の1,067件。成約価格は前年比5.0%下落の2,951万円と、9月に続いて前年同月を下回った。土地面積は前年比マイナス2.7%の142.16m2、建物面積は前年比プラス0.2%の105.65m2だった。

ニュース情報元:東日本レインズ

7~9月期の首都圏中古マンション、成約価格は前年比3.7%上昇

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)はこのたび、首都圏における2018年7~9月期の不動産流通市場の動向を発表した。 それによると、首都圏中古マンションの7~9月期の成約件数は、前年比で1.2%減少し8,686件、4期連続で前年同期を下回った。成約m2単価は前年比3.3%上昇し51.85万円/m2、13年1~3月期から23期連続で前年同期を上回った。成約価格も前年比で3.7%上昇し3,324万円と、12年10~12月期から24期連続で前年同期を上回った。専有面積は前年比プラス0.4%の64.11m2でほぼ横ばいだった。

中古戸建住宅においては、7~9月期の成約件数は前年比で2.4%増加し3,078件と、7期ぶりに前年同期を上回った。成約価格は前年比で2.2%上昇し3,148万円、4期連続で前年同期を上回った。土地面積は前年比マイナス2.5%の144.09m2となり、建物面積は前年比マイナス0.3%の105.90m2とほぼ横ばいだった。

ニュース情報元:東日本レインズ

中古一戸建て価格、首都圏は連続上昇

(株)東京カンテイは10月10日、2018年9月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」月別推移を発表した。
これは、敷地面積100m2~300m2、最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内、木造で土地・建物ともに所有権の物件を調査したもの。

それによると、9月の首都圏中古一戸建て価格は、前月比+4.6%の3,534万円と2ヵ月連続で上昇した。東京都は+1.1%の5,426万円と2ヵ月連続上昇。神奈川県は+7.2%の3,896万円と反転上昇。千葉県は+0.4%の2,206万円と3ヵ月連続で上昇を維持。埼玉県は+3.5%の2,398万円と反転上昇。首都圏では1都3県すべてで前月比上昇となった。

近畿圏の平均価格は、前月比-3.2%の2,518万円と反転下落。大阪府は-0.3%の2,683万円と僅かながら反転下落。兵庫県は-3.4%の2,618万円と反転下落。京都府は-12.2%の3,416万円と8月の大幅上昇の反動から大きく下落に転じた。近畿主要3府県では、いずれも反転下落となった。

愛知県の平均価格は+0.8%の2,834万円と2ヵ月連続上昇。中部圏全体でも+0.6%の2,329万円と2ヵ月連続で上昇した。福岡県の平均価格は前月比+10.7%と大きく反転上昇し、1,927万円となった。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

首都圏中古マンション成約価格、前年比2.0%上昇

(公財)東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ)は10月10日、首都圏における2018年9月度・不動産流通市場の動向を公表した。それによると、9月の首都圏中古マンション成約件数は前年比+0.7%の3,244件と、ほぼ横ばいながら8月に続いて前年同月を上回った。成約m2単価は前年比+1.4%上昇の51.39万円/m2、成約価格は前年比2.0%上昇し3,292万円、ともに2013年1月から69ヶ月連続で前年同月を上回った。専有面積は前年比+0.6%の64.06m2だった。

中古戸建においては、成約件数は前年比+0.3%とほぼ横ばいで1,090件。成約価格は前年比-2.3%の3,044万円と、17年8月以来13ヶ月ぶりに前年同月を下回った。土地面積は前年比+0.3%の141.50m2、建物面積は前年比-2.0%の104.08m2だった。

ニュース情報元:東日本レインズ

8月の首都圏中古マンション、成約価格は前年比2.5%増

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は9月10日、2018年8月度・首都圏(1都3県)の不動産流通市場動向を発表した。

それによると、首都圏中古マンション成約件数は前年比1.7%増の2,303件で、4ヶ月ぶりに前年同月を上回った。成約m2単価は前年比3.2%増の52.10万円/m2、成約価格は同2.5%増の3,318万円、ともに2013年1月から68ヶ月連続で前年同月を上回った。専有面積は前年比0.7%減の63.67m2だった。

中古戸建の成約件数は前年比0.7%減の798件と、ほぼ横ばいながら3ヶ月ぶりに前年同月を下回った。成約価格は前年比7.4%増の3,173万円、12ヶ月連続で前年同月を上回った。土地面積は前年比3.4%減の146.70m2、建物面積は前年比0.9%増の106.42m2とほぼ横ばいだった。

ニュース情報元:東日本レインズ

中古一戸建て価格、首都圏・近畿圏は3カ月ぶりに反転上昇

(株)東京カンテイは9月6日、2018年8月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」月別推移を発表した。

これは、敷地面積100~300m2、最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内、木造で土地・建物ともに所有権の物件を調査したもの。

それによると、首都圏の中古一戸建て価格は前月比+2.2%の3,380万円と3ヵ月ぶりに反転上昇した。都県別でみると、東京都は+2.6%の5,369万円と3ヵ月ぶりに反転上昇。神奈川県は-1.0%の3,633万円と3ヵ月ぶりに反転下落。千葉県は+6.2%の2,198万円と2ヵ月連続上昇。埼玉県は-5.4%の2,316万円と反転下落した。

近畿圏の平均価格は、前月比+6.6%の2,601万円と3ヵ月ぶりに反転上昇。大阪府は+5.2%の2,690万円と3ヵ月ぶりに反転上昇。兵庫県では+12.2%の2,709万円と反転上昇。京都府は+11.7%の3,889万円と3ヵ月ぶりに大きく反転上昇した。

愛知県の平均価格は+5.2%の2,811万円と反転上昇。中部圏全体でも+10.0%の2,314万円と大きく反転上昇した。福岡県の平均価格は前月比-14.8%と大きく下落し、1,741万円となった。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

中古一戸建て価格、首都圏は2ヵ月連続下落

(株)東京カンテイが発表した2018年7月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」月別推移によると、首都圏中古一戸建ての平均価格は、前月比-1.9%の3,308万円と2ヵ月連続で下落した。
都県別でみると、東京都は-5.2%の5,235万円と2ヵ月連続下落。神奈川県は+2.3%の3,670万円と2ヵ月連続上昇。千葉県は+1.3%の2,069万円と3ヵ月ぶりに反転上昇。埼玉県は+5.5%の2,449万円と反転上昇している。

近畿圏の平均価格は前月比-5.2%の2,441万円と2ヵ月連続下落。大阪府は-2.9%の2,556万円と2ヵ月連続下落。兵庫県は-6.7%の2,415万円と5ヵ月ぶりに反転下落。京都府は-5.4%の3,482万円と2ヵ月連続で下落した。

愛知県の平均価格は-4.8%の2,671万円と反転下落。中部圏全体でも-5.4%の2,104万円と反転下落した。福岡県の平均価格は前月比+11.0%と大きく上昇し2,044万円、3ヵ月ぶりに上昇に転じた。また、6ヵ月ぶりに2,000万円台となった。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

首都圏中古マンション、成約価格は前年比6.4%上昇

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が公表した2018年7月度・首都圏(1都3県)不動産流通市場動向によると、首都圏中古マンション成約件数は前年比で5.0%減少し3,139件、3ヶ月連続で前年同月を下回った。
成約m2単価は前年比で5.4%上昇し52.13万円/m2、成約価格は同6.4%上昇し3,362万円、ともに2013年1月から67ヶ月連続で前年同月を上回った。専有面積は前年比プラス1.0%の64.49m2だった。

また、7月の首都圏中古戸建住宅の成約件数は、前年比で6.7%増加し1,190件、6月に続いて前年同月を上回った。成約価格は前年比で2.9%上昇し3,227万円、11ヶ月連続で前年同月を上回った。土地面積は前年比で4.5%縮小し144.70m2、建物面積は前年比プラス0.5%の107.22m2とほぼ横ばい。

ニュース情報元:東日本レインズ

4~6月期の首都圏中古マンション、成約価格は前年比4.3%上昇

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は7月18日、首都圏における2018年4~6月期の不動産流通市場の動向を発表した。
4~6月期の首都圏中古マンション成約件数は、前年比で1.5%減少し9,339件、3期連続で前年同期を下回った。成約m2単価は前年比で3.7%上昇し51.70万円/m2、13年1~3月期から22期連続で前年同期を上回った。成約価格も前年比で4.3%上昇し3,331万円、12年10~12月期から23期連続で前年同期を上回った。専有面積は前年比プラス0.6%の64.43m2、ほぼ横ばいだった。

一方、4~6月期の首都圏中古戸建住宅の成約件数は、前年比で2.0%減少し3,261件、6期連続で前年同期を下回った。成約価格は前年比で3.8%上昇し3,109万円、3期連続で前年同期を上回った。土地面積は前年比マイナス1.4%の146.60m2、建物面積は前年比プラス0.2%の105.49m2とほぼ横ばい。

ニュース情報元:東日本レインズ

首都圏中古マンション、成約価格は前年比5.0%上昇

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は7月10日、2018年6月度・首都圏(1都3県)の不動産流通市場動向を公表した。それによると、首都圏の中古マンション成約件数は、前年比マイナス0.5%の3,317件と、5月に続いて前年同月を下回った。成約m2単価は前年比4.6%上昇の51.90万円/m2、成約価格は前年比5.0%上昇の3,320万円と、ともに2013年1月から66ヶ月連続で前年同月を上回った。専有面積は前年比プラス0.4%の63.97m2だった。

中古戸建の成約件数は、前年比で7.7%増加し1,188件、6ヶ月ぶりに前年同月を上回った。成約価格は前年比で5.5%上昇し3,099万円、10ヶ月連続で前年同月を上回った。土地面積は前年比で4.8%縮小し147.79m2、建物面積は前年比プラス0.4%の106.00m2だった。

ニュース情報元:東日本レインズ

中古一戸建て価格、首都圏は3ヵ月ぶりに下落

(株)東京カンテイは7月9日、2018年6月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」月別推移を発表した。
調査対象は敷地面積100m2~300m2。最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内。木造で土地・建物ともに所有権の物件。

それによると、6月の首都圏中古一戸建て価格は、前月比-0.2%の3,372万円と3ヵ月ぶりに下落。東京都は-3.9%の5,524万円と反転下落、神奈川県は+3.0%の3,586万円と反転上昇。千葉県は-0.8%の2,043万円と2ヵ月連続下落、埼玉県は-5.5%の2,322万円と反転下落。首都圏では東京都がやや強い下落を示し、千葉県や埼玉県で下落、神奈川県は上昇したが首都圏全体では僅かに弱含んだ。

近畿圏の平均価格は前月比-1.0%の2,574万円と反転下落。大阪府は-5.8%の2,633万円と大きく反転下落。兵庫県は+4.4%の2,589万円と4ヵ月連続上昇。京都府は-9.5%の3,682万円と大きく反転下落した。

愛知県の平均価格は+8.2%の2,805万円と3ヵ月ぶりに上昇。中部圏でも+3.0%の2,224万円と3ヵ月ぶりに上昇。福岡県は前月比-1.5%の1,841万円と2ヵ月連続下落。前年同月比でも-2.0%の下落となっている。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

5月の首都圏中古マンション、成約価格は前年比4.2%上昇

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は6月11日、2018年5月度・首都圏の不動産流通市場動向を公表した。それによると、首都圏中古マンション成約件数は、前年比6.6%減少の2,785件、3ヶ月ぶりに前年同月を下回った。成約m2単価は前年比3.2%上昇し51.07万円/m2、成約価格は前年比4.2%上昇し3,305万円、ともに2013年1月から65ヶ月連続で前年同月を上回った。専有面積は前年比プラス1.0%の64.72m2だった。

首都圏中古戸建の成約件数は、前年比マイナス11.5%の973件で2ケタ減となり、5ヶ月連続で前年同月を下回った。成約価格は前年比で3.1%上昇し3,133万円、9ヶ月連続で前年同月を上回った。土地面積は前年比マイナス1.6%の142.50m2、建物面積は前年比でほぼ横ばいの105.01m2だった。

ニュース情報元:東日本レインズ

5月の首都圏中古マンション、成約価格は前年比4.2%上昇

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は6月11日、2018年5月度・首都圏の不動産流通市場動向を公表した。それによると、首都圏中古マンション成約件数は、前年比6.6%減少の2,785件、3ヶ月ぶりに前年同月を下回った。成約m2単価は前年比3.2%上昇し51.07万円/m2、成約価格は前年比4.2%上昇し3,305万円、ともに2013年1月から65ヶ月連続で前年同月を上回った。専有面積は前年比プラス1.0%の64.72m2だった。

首都圏中古戸建の成約件数は、前年比マイナス11.5%の973件で2ケタ減となり、5ヶ月連続で前年同月を下回った。成約価格は前年比で3.1%上昇し3,133万円、9ヶ月連続で前年同月を上回った。土地面積は前年比マイナス1.6%の142.50m2、建物面積は前年比でほぼ横ばいの105.01m2だった。

ニュース情報元:東日本レインズ

中古一戸建て価格、首都圏は2ヵ月連続上昇

(株)東京カンテイは6月7日、2018年5月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」月別推移を発表した。調査対象は敷地面積100m2~300m2。最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内。木造で土地・建物ともに所有権の物件。

それによると、5月の首都圏中古一戸建て平均価格は、前月比+0.3%の3,378万円と2ヵ月連続上昇した。東京都は+6.5%の5,751万円と反転上昇。神奈川県は-4.3%の3,481万円と反転下落。千葉県は-3.9%の2,060万円と反転下落。埼玉県は+6.2%の2,458万円と反転上昇した。首都圏では東京都が再び上昇に転じ、神奈川県は反転下落、千葉県が反転下落、埼玉県では上昇し、首都圏全体ではプラスとなった。

近畿圏の平均価格は、前月比+6.7%の2,601万円と反転上昇。大阪府は+5.6%の2,794万円と3ヵ月ぶりの反転上昇。兵庫県は+3.1%の2,479万円と3ヵ月連続上昇。京都府は+17.9%の4,068万円と大きく反転上昇。近畿主要3府県ではいずれの府県も強い上昇傾向を示した。

愛知県の平均価格は-3.6%の2,592万円と2ヵ月連続下落。中部圏でも-1.7%の2,160万円と2ヵ月連続で下落した。福岡県は前月比-4.5%の1,869万円と3ヵ月ぶりに下落した。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

4月の首都圏中古マンション成約価格、前年比3.7%上昇の3,364万円

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は5月14日、2018年4月度・首都圏の不動産流通市場動向を公表した。それによると、首都圏中古マンションの成約件数は、前年比で2.3%増加し3,237件、3月に続き前年同月を上回った。成約m2単価は前年比3.3%上昇の52.04万円/m2、成約価格は前年比3.7%上昇の3,364万円と、ともに2013年1月から64ヶ月連続で前年同月を上回った。専有面積は前年比プラス0.4%の64.65m2だった。

首都圏中古戸建の成約件数は、前年比2.3%減少の1,100件、4ヶ月連続で前年同月を下回った。成約価格は前年比2.9%上昇の3,098万円、8ヶ月連続で前年同月を上回った。土地面積は前年比プラス1.8%の148.95m2、建物面積は前年比プラス0.3%の105.37m2だった。

ニュース情報元:東日本レインズ

首都圏の一戸建て価格、マンションと比べ安定推移

(株)東京カンテイはこのたび、一戸建て住宅の新築・中古市場動向を総括した「一戸建て住宅データ白書 2017」を発表した。
調査対象は、敷地面積50m2~300m2、最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内、木造であり土地・建物ともに所有権の物件。

それによると、新築一戸建ては、2017年に全国で11万6,287戸分譲された。2016年の10万9,043戸と比べ+6.6%増加している。首都圏は6万1,272戸分譲され、前年比+6.9%の増加。中古一戸建においては、2017年に全国で6万8,342戸流通し、2016年の6万5,089戸と比べ+5.0%増加した。首都圏では2017年に2万7,197戸が流通し、2016年の2万5,824戸と比べ+5.3%増加している。

2017年・首都圏における新築一戸建て住宅の一戸平均価格は3,999万円、2016年の3,949万円と比べ+1.3%上昇した。首都圏の新築マンション一戸平均価格は、2017年に5,544万円で前年比+9.0%上昇したことと比較すると、一戸建て価格は極めて安定推移していると言える。平均土地面積は前年比+0.6%の115.5m2、平均建物面積は+0.1%の98.8m2と、ともにほぼ変動していない。

また、2017年・首都圏における中古一戸建て住宅の一戸平均価格は3,337万円、2016年の3,298万円と比べ+1.2%の上昇。首都圏の中古マンション一戸平均価格は3,257万円で、+3.2%上昇したことと比べると、新築と同様に中古一戸建て価格も安定推移している。平均土地面積は前年比-0.7%の130.7m2、平均建物面積は-0.3%の101.1m2と、それぞれ僅かに縮小した。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

2017年の中古住宅購入者、リフォーム費平均は298.7万円

(株)ホームプロ(東京都中央区)は、「2017年 リフォーム実態調査」を行い、そのうち“中古住宅購入者”に絞った集計結果を発表した。対象はホームプロ利用者で「中古物件を購入した」「中古物件を購入予定」だった方。集計期間は2017年1月1日~12月31日。集計数は1,148サンプル。

それによると、中古住宅購入者がリフォームにかけた費用の平均は298.7万円だった。リフォーム実施者全体の平均218.5万円と比べると、約80万円高かった。物件種別では、マンションの平均費用が260.6万円、戸建住宅が362.3万円で、戸建住宅の方が約100万円高い。

中古住宅購入者がリフォームした物件の築年数は「築11~20年」が最も多く38.2%。「築21~30年」は27.2%、「築31年以上」は22.5%だった。リフォーム実施者全体と比べ、中古住宅購入者は築年数の浅い物件の割合が高いものの、築21年以上がほぼ半数、築31年以上が2割以上を占めている。

中古住宅購入者がリフォーム会社と工事契約までにかかった日数の平均値は61.0日で、リフォーム実施者全体(平均値71.6日)より10日短い。工事契約日からリフォーム工事が完了するまでにかかった日数の平均値は66.8日、リフォーム実施者全体(平均値60.6日)と比べて6日長かった。

ニュース情報元:(株)ホームプロ

1~3月期の中古マンション、成約価格は前年比6.8%上昇

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は、首都圏(1都3県)における2018年1~3月期・不動産流通市場の動向を発表した。それによると、1~3月期の中古マンション成約件数は、前年比で1.6%減少し9,884件、17年10~12月期に続いて前年同期を下回った。成約m2単価は前年比で4.8%上昇し51.65万円/m2、13年1~3月期から21期連続で前年同期を上回った。成約価格も前年比で6.8%上昇し3,361万円と、12年10~12月期から22期連続で前年同期を上回った。専有面積は前年比2.0%上昇の65.06m2だった。

中古戸建の成約件数は、前年比で5.5%減少し3,137件、5期連続で前年同期を下回った。成約価格は前年比で5.1%上昇し3,239万円、17年10~12月期に続いて前年同期を上回った。土地面積は前年比マイナス0.05%の145.78m2、建物面積は前年比プラス0.7%の106.12m2と、ほぼ横ばいだった。

ニュース情報元:東日本レインズ

17年の首都圏中古マンション、成約物件価格は5年連続上昇

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は4月17日、首都圏の2017年度(2017年4月~2018年3月)不動産流通市場の動向を発表した。
それによると、2017年度・首都圏中古マンションの成約件数は37,172件(前年度比0.7%減)で、3年ぶりに前年度を下回った。しかし、過去最高だった前年度に続き、37,000件台となっている。成約物件の1m2当たり単価は首都圏平均50.63万円(前年度比4.5%上昇)で、5年連続上昇し1994年度以来23年ぶりに50万円台。成約物件価格は3,253万円(前年度比5.7%上昇)で、m2単価と同様に5年連続で上昇し、3,200万円台。都県・地域別に見ても、すべての都県・地域で上昇している。

首都圏中古戸建の成約件数は12,560件(前年度比3.7%減)で、3年ぶりに前年度を下回った。成約物件価格は首都圏平均で3,111万円(前年度比2.5%上昇)と4年連続で上昇し、3,100万円台。成約物件を価格帯別に見ても、3,000万円以上の各価格帯で比率が拡大している。成約物件の平均土地面積は147.69m2(前年度比0.5%縮小)、建物面積は105.93m2(同0.3%拡大)。平均築年数は20.95年(前年度20.89年)だった。

首都圏土地(100~200m2)の成約件数は5,848件(前年度比4.3%減)で、3年ぶりに前年度を下回った。都県・地域別に見ると、神奈川県他(横浜・川崎以外)地域(および神奈川県全体)を除く各都県・地域で減少している。成約物件の1m2当たり単価は首都圏平均で19.79万円(前年度比2.6%上昇)。都県・地域別に見ると、千葉県と神奈川他地域(および神奈川県全体)を除く各都県・地域で上昇している。成約物件価格は2,874万円(前年度比2.8%上昇)で、3年連続で前年度を上回っている。

ニュース情報元:東日本レインズ

3月の首都圏中古マンション成約価格、前年比7.1%上昇の3,369万円

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は4月10日、2018年3月度・首都圏の不動産流通市場動向を公表した。
それによると、首都圏中古マンションの成約件数は、前年比で2.7%増加し3,819件、3ヶ月ぶりに前年同月を上回った。成約m2単価は前年比で5.7%上昇し52.11万円/m2、成約価格は前年比7.1%上昇し3,369万円と、ともに2013年1月から63ヶ月連続で前年同月を上回った。専有面積は前年比1.3%拡大の64.66m2だった。

中古戸建の成約件数は、前年比2.0%減少の1,274件、3ヶ月連続で前年同月を下回った。成約価格は前年比6.9%上昇の3,275万円、7ヶ月連続で前年同月を上回った。土地面積は前年比マイナス1.2%の146.50m2、建物面積は前年比プラス1.8%の106.57m2だった。

ニュース情報元:東日本レインズ

3月の中古一戸建て価格、東京都は5ヵ月ぶりに上昇

(株)東京カンテイは4月5日、2018年3月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」月別推移を発表した。調査対象は敷地面積100m2~300m2。最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内。木造で土地・建物ともに所有権の物件。

それによると、3月の首都圏中古一戸建ての平均価格は、前月比-1.6%の3,355万円と2ヵ月連続で下落した。都県別では、東京都は+5.8%の5,512万円と5ヵ月ぶりに上昇に転じた。神奈川県は-0.9%の3,566万円と2ヵ月連続下落。千葉県は-9.3%の2,143万円と3ヵ月ぶりに反転下落。埼玉県は+2.9%の2,485万円と4ヵ月連続上昇した。

近畿圏の平均価格は前月比+3.4%の2,547万円と反転上昇。大阪府は-2.7%の2,700万円と4ヵ月ぶりに下落。兵庫県は+1.5%の2,377万円と反転上昇。京都府は+30.1%の4,232万円と大きく反転上昇。京都府は2014年4月以降初めての4,000万円台となった。

愛知県の平均価格は+5.5%の2,815万円と反転上昇。中部圏でも+7.8%の2,372万円と反転上昇した。福岡県の価格は前月比+1.2%の1,939万円と反転上昇。前年同月比では+16.5%と大幅な上昇となっている。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

「中古住宅の購入に合わせて」リフォームするのは当たり前!?30代以下は自分好み重視

住宅リフォーム推進協議会では、住宅リフォームの実態を把握するために、毎年、リフォーム事業者に対してリフォーム工事が完了した住宅についてアンケートを実施している。平成29年度の特徴を見ると、リフォームの目的や工事の内容は世代間で大きく異なることがうかがえる。ここでは、30代以下のリフォームに注目して、詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
「平成29年度 第15回 住宅リフォーム実例調査」を報告/(一社)住宅リフォーム推進協議会30代以下のリフォームは「中古住宅購入に合わせて」も多数

リフォームの目的を施主の年代別にみると、「使い勝手の改善、自分の好みに変更するため」(=嗜好対応)が多いのだが、60代と70代以上に限ってみると、「住宅、設備の老朽化や壊れたため」(=老朽化対応)のほうが多くなる。

また、30代以下に限ってみると、「中古住宅の購入に合わせて」が他の年代より多いのが特徴だ。一戸建てで31.9%、マンションになると47.4%にも達する。さらに、一戸建ての場合(画像1)は「世帯人員の変更」や「三世代同居対応」、「相続等による所有者の入れ替え」や「空き家の活用」の割合が高くなるのも大きな特徴だ。

【画像1】施主の年齢別・リフォーム工事の目的(複数回答)一戸建てのみ(出典/住宅リフォーム推進協議会「平成29年度 第15回住宅リフォーム実例調査)」

【画像1】施主の年齢別・リフォーム工事の目的(複数回答)一戸建てのみ(出典/住宅リフォーム推進協議会「平成29年度 第15回住宅リフォーム実例調査」)

30代以下は嗜好性だけでなく、住宅の省エネ性を高めるリフォームにも積極的

次に、30代以下に着目してリフォームした工事内容についてみていこう。

マンションでは、建物の基本構造となる躯体(くたい)部分は共用部分として管理組合で管理することになる。そのため、個人ではリフォームできないので、おのずと内装のリフォームが中心となる。年代別で違いが目立ったのは、30代では「収納スペースの改善」が高いことくらいだ。

これ対して一戸建てでは、外壁や屋根、住宅の基礎部分、窓のサッシなど、一般的にマンションではリフォームできない構造的な部分もリフォームできる。加えて、マンションに比べると一戸建てのほうが、住宅個々の構造や仕様の違いが大きい。そうしたこともあってか、リフォーム工事の内容に年代別でかなり違いがみられる(画像2)。

30代以下では「内装の変更」や「住宅設備の変更」、「収納スペースの改善」、「居室の用途の変更」といった嗜好に対応したリフォームが他の年代より多く、「建具の変更」にまでこだわりが見られる点も興味深い。しかし一方では、「床暖房を含む冷暖房や給湯設備の設置交換」、「床・基礎への断熱材の設置」、「窓ガラス・サッシの改良」といった、省エネ性を高めるリフォームも積極的に行っていることが分かる。

このことは、画像1のリフォームの目的でも「省エネルギー化、冷暖房効率の向上等を図るため」で30代が高かったことと関係性がみられる。

【画像2】施主の年齢別・リフォーム工事の内容(複数回答)一戸建てのみ(出典/住宅リフォーム推進協議会「平成29年度 第15回住宅リフォーム実例調査」)

【画像2】施主の年齢別・リフォーム工事の内容(複数回答)一戸建てのみ(出典/住宅リフォーム推進協議会「平成29年度 第15回住宅リフォーム実例調査」)

30代以下では借入や補助金を活用する度合いも高い

30代以下の一戸建てリフォームでは、リフォーム工事の内容も多様。リフォーム費用についても、他の年代に比べて高額になる傾向がみられた。「1000万円超」で39.6%、「500万円超~1000万円以下」で28.6%と、他の年代より高額の割合が高く、合計すると500万円を超えたケースが68.2%にも達する。

ちなみに、30代以下のマンションリフォームでは、「100万円以下」が26.3%など、むしろ他の年代より安くなる傾向がみられた。

さて、リフォーム費用が高額になるほど、自己資金で払うのが難しくなる。金融機関から借り入れる比率が高くなるのも、30代以下の一戸建てリフォームの特徴だ。借入無しは42.9%と半数を切り、借入額が「1000万円超」(29.7%)、「500万円超~1000万円以下」(16.5%)と多くなっている。

最近は、中古住宅購入費用と合わせてリフォーム費用まで借りられる住宅ローンも増えてきたが、こうしたニーズに対応しているということだろう。

その一方で、30代以下は「住宅ローン減税」※を活用(利用率34.1%)したり、補助金を利用したりして負担を減らそうという行動もみられる。補助金の利用は30代以下が最も多く、一戸建てリフォームでみると補助金の額は「20万円以下」(12.1%)、「50万超~100万円以下」(3.3%)、「100万超~300万円以下」(5.5%)、「300万円超」(3.3%)とかなり高額の人もいることが分かる。

※住宅ローン減税とは、10年以上の住宅ローンを借りた場合、年末のローン残高の1%を10年にわたって控除される減税制度。ただし、利用するには適用要件がある

【画像3】施主の年齢別・補助金の金額 一戸建てのみ(出典/住宅リフォーム推進協議会「平成29年度 第15回住宅リフォーム実例調査」)

【画像3】施主の年齢別・補助金の金額 一戸建てのみ(出典/住宅リフォーム推進協議会「平成29年度 第15回住宅リフォーム実例調査」)

補助金については、地方自治体がそれぞれの課題に応じたさまざまな補助金制度を設けている。特に、耐震改修やバリアフリー化、省エネ化については補助金を設けている自治体も多い。また、国のほうでもZEH(ネットゼロエネルギー)住宅化や長期優良住宅化に対する補助金などを平成30年度も行う予定となっている。

さて、注目してきた30代以下のリフォームでは、中古住宅を購入したり相続したりしたときに行う場合も多く、自分好みや省エネ性にもこだわりが強いことが分かった。リフォーム工事の内容だけでなく、ローンを借りて減税制度を利用したり、補助金をもらったりと幅広く検討していることもうかがえる結果だった。

となると、リフォーム工事の内容はもちろん、ローンや減税、補助金に至るまで、多くの情報を集める必要がある。行おうとしているリフォーム工事が減税や補助金の対象になるかの判断やその手続きなどについても相談できる、頼りになるリフォーム事業者を選ぶことが大切になるだろう。

2月の首都圏中古マンション、成約価格は前年比6.4%上昇

(公財)東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ)は、このたび首都圏(1都3県)における2018年2月度・不動産流通市場の動向を発表した。それによると、首都圏中古マンションの成約件数は、前年比で1.1%減少し3,424件、1月に続いて前年同月を下回った。成約m2単価は前年比で3.9%上昇し51.19万円/m2、成約価格は前年比で6.4%上昇し3,353万円と、ともに2013年1月から62ヶ月連続で前年同月を上回った。

地域別の成約件数は、東京都区部と埼玉県、千葉県が前年比で減少し、埼玉県は5ヶ月連続で前年同月を下回った。成約m2単価は横浜・川崎市を除く各地域が前年比で上昇し、東京都区部は12年10月から65ヶ月連続で前年同月を上回った。

中古戸建の成約件数は、前年比マイナス13.3%の1,017件と、1月に続いて前年同月を下回った。成約価格は前年比で3.4%上昇し3,188万円、6ヶ月連続で前年同月を上回った。土地面積は前年比プラス0.6%の145.86m2、建物面積は前年比マイナス1.4%の104.98m2となった。

中古戸建の地域別成約件数は、すべての地域が前年比で減少し、東京都区部と多摩、埼玉県、神奈川県他は2ケタ減。成約価格は千葉県を除く各地域が前年比で上昇し、多摩は6ヶ月連続で前年同月を上回った。

ニュース情報元:東日本レインズ

2月の中古一戸建て価格、東京都は4ヵ月連続下落

(株)東京カンテイは3月8日、2018年2月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」月別推移を発表した。調査対象は敷地面積100m2~300m2。最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内。木造で土地・建物ともに所有権の物件。

それによると、2月の首都圏中古一戸建ての平均価格は、前月比-0.6%の3,409万円と反転下落した。都県別では、東京都は-7.4%の5,208万円と4ヵ月連続下落。神奈川県は-2.7%の3,598万円と反転下落。千葉県は+7.6%の2,362万円と2ヵ月連続上昇。埼玉県は+0.2%の2,415万円と僅かながら3ヵ月連続で上昇した。

近畿圏の平均価格は、前月比-0.1%の2,463万円と反転下落したが概ね横ばい。大阪府は+5.4%の2,776万円と3ヵ月連続上昇。兵庫県は-3.5%の2,341万円と反転下落。京都府は-13.9%の3,252万円と大きく下落に転じた。

愛知県の平均価格は-1.3%の2,669万円と5ヵ月ぶりに反転下落。中部圏でも-0.9%の2,200万円と5ヵ月ぶりに下落。福岡県は前月比-12.7%の1,916万円と急上昇した前月の反動から大きく反転下落した。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

2017年首都圏の中古マンション、成約物件の平均築年数は20.70年、東日本レインズ

(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)はこのほど、首都圏中古マンションおよび中古戸建住宅の成約・新規登録物件について、築年数(建築後経過年数)から見た2017年(1~12月)の動向を発表した。それによると、2017年首都圏の中古マンション成約物件の平均築年数は20.70年、新規登録物件は23.13年で、ともに前年に比べて上昇した。中古戸建住宅成約物件の平均築年数は20.99年と前年と比べて上昇、新規登録物件は22.06年とほぼ横ばい。

築年帯別構成比率は、中古マンション成約物件は、築5年以下の築浅物件、築25年超物件の比率が拡大。新規登録物件は、築5年以下の築浅物件、築11~15年、築25年超物件の比率が拡大した。中古戸建住宅の成約物件は築11~15年、築21~30年の比率が拡大。新規登録物件は、築5年以下の築浅物件、築11~15年、築21~25年の比率が拡大している。

築年帯別の物件属性では、中古マンション成約物件の平均価格は、築5年以下が5,000万円台、築6~15年が4,000万円台、築16~20年が3,000万円台、築21~25年が2,000万円台、築26年超が1,000万円台。中古戸建住宅においては、築20年以内が3,000万円台、築20年超が2,000万円台となっている。

ニュース情報元:東日本レインズ

1月の中古一戸建て価格、首都圏は神奈川の急上昇で前月比+12.6%、東京カンテイ

(株)東京カンテイは2月19日、2018年1月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」月別推移を発表した。調査対象は敷地面積100m2~300m2。最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内。木造で土地・建物ともに所有権の物件。

それによると、1月の首都圏中古一戸建ての平均価格は、前月比+12.6%の3,430万円と大きく上昇に転じた。都県別では、東京都は-5.9%の5,625万円と3ヵ月連続下落。神奈川県は+20.5%の3,698万円と急上昇、3,506万円と高額となっていた2017年3月の水準を超えた。千葉県は+3.9%の2,196万円と反転上昇。埼玉県は+5.5%の2,410万円と連続上昇した。

近畿圏の平均価格は、前月比+5.6%の2,466万円と反転上昇。大阪府は+5.6%の2,634万円と連続上昇。兵庫県は+5.7%の2,425万円と連続上昇。京都府は+16.6%の3,776万円と大きく上昇に転じた。

愛知県の平均価格は+3.8%の2,704万円と4ヵ月連続上昇。中部圏でも+5.4%の2,219万円と4ヵ月連続の上昇。福岡県は前月比+25.4%の2,195万円と2ヵ月連続上昇した。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

1月の首都圏中古マンション、成約価格は前年比7.0%上昇、東日本レインズ

(公財)東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ)はこのたび、首都圏(1都3県)における2018年1月度・不動産流通市場の動向を発表した。それによると、首都圏中古マンションの成約件数は前年比で7.7%減少し2,641件。成約m2単価は前年比で4.6%上昇し51.60万円/m2、成約価格は前年比で7.0%上昇し3,359万円、ともに2013年1月から61ヶ月連続で前年同月を上回った。専有面積は前年比で2.4%拡大し65.09m2だった。

地域別成約件数は、すべての地域が前年比で減少し、横浜・川崎市と神奈川県他、埼玉県は2ケタ減。成約m2単価は多摩と神奈川県他を除く各地域が前年比で上昇し、東京都区部は12年10月から64ヶ月連続で前年同月を上回った。

中古戸建の成約件数は、前年比マイナス0.1%の846件と、ほぼ横ばいながら前年同月を下回った。成約価格は前年比で4.6%上昇し3,245万円、5ヶ月連続で前年同月を上回った。土地面積は前年比プラス0.8%の144.59m2、建物面積は前年比プラス2.0%の106.82m2だった。

中古戸建の地域別成約件数は、東京都区部と横浜・川崎市を除く各地域が前年比で減少し、多摩は4ヶ月連続で前年同月を下回った。成約価格は横浜・川崎市と神奈川県他を除く各地域が前年比で上昇し、千葉県は6ヶ月連続で前年同月を上回った。

ニュース情報元:東日本レインズ

12月の中古一戸建て価格、首都圏は連続下落、東京カンテイ

(株)東京カンテイは1月17日、2017年12月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」月別推移を発表した。調査対象は敷地面積100m2~300m2。最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内。木造で土地・建物ともに所有権の物件。

それによると、12月の首都圏中古一戸建ての平均価格は、前月比-0.2%の3,047万円で連続下落となった。都県別では、東京都は-1.1%の5,979万円と連続下落。神奈川県は-2.4%の3,069万円と11月には8ヵ月ぶりに上昇に転じたが12月は再び下落。千葉県は-0.3%の2,114万円と5ヵ月ぶりに下落。埼玉県は+3.8%の2,284万円と反転上昇した。

近畿圏の平均価格は、前月比-2.4%の2,335万円と反転下落。大阪府は+1.2%の2,494万円と反転上昇。兵庫県は+6.1%の2,294万円と3ヵ月ぶりに上昇。京都府では-13.6%の3,239万円と大きく反転下落。近畿主要3府県では大阪府と兵庫県でともに反転上昇したが、京都府では大きく反転下落した。

愛知県の平均価格は+2.8%の2,604万円と3ヵ月連続上昇。中部圏でも+3.0%の2,105万円と3ヵ月連続の上昇。福岡県の平均価格は前月比+4.2%の1,751万円と3ヵ月ぶりに反転上昇した。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

12月の首都圏中古マンション、成約価格は前年同月比6.3%上昇、東日本レインズ

(公財)東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ)はこのたび、首都圏(1都3県)における2017年12月度・不動産流通市場の動向を発表した。首都圏中古マンションの成約件数は、前年同月比プラス0.6%の3,011件と、ほぼ横ばいながら3ヶ月ぶりに前年同月を上回った。成約m2単価は前年同月比4.3%上昇の51.94万円/m2、成約価格は前年同月比で6.3%上昇し3,320万円と、ともに2013年1月から60ヶ月連続で前年同月を上回った。専有面積は前年同月比1.9%拡大の63.92m2。

地域別成約件数は東京都区部と多摩、横浜・川崎市が前年同月比で増加し、多摩は4ヶ月連続で前年同月を上回った。成約m2単価は千葉県を除く各地域が前年同月比で上昇し、東京都区部は12年10月から63ヶ月連続で前年同月を上回った。

中古戸建の成約件数は、前年同月比で7.0%増加し1,024件、3ヶ月ぶりに前年同月を上回った。成約価格は前年同月比4.9%上昇の3,136万円、4ヶ月連続で前年同月を上回った。土地面積は前年同月比マイナス6.3%で143.98m2、建物面積は前年同月比プラス0.2%の106.02m2だった。

中古戸建の地域別成約件数は、東京都区部、埼玉県、神奈川県他が前年同月比で増加し、東京都区部と埼玉県は前年同月比で2ケタ増。成約価格は東京都区部と多摩、千葉県が前年同月比で上昇し、千葉県は5ヶ月連続で前年同月を上回った。

ニュース情報元:東日本レインズ

11月の中古一戸建て価格、首都圏は4ヵ月ぶりに下落、東京カンテイ

(株)東京カンテイは12月7日、2017年11月の「中古木造一戸建て住宅平均価格」月別推移を発表した。調査対象は敷地面積100m2~300m2。最寄り駅からの所要時間が徒歩30分以内かバス20分以内。木造で土地・建物ともに所有権の物件。

それによると、11月の首都圏中古一戸建ての平均価格は、前月比-2.6%の3,054万円と4ヵ月ぶりに下落に転じた。都県別では、東京都は-7.2%の6,044万円と大きく反転下落。神奈川県は+1.6%の3,146万円と8ヵ月ぶりに上昇。千葉県は+0.4%の2,121万円と4ヵ月連続上昇。埼玉県は-3.9%の2,200万円と反転下落した。

近畿圏の平均価格は、前月比+2.5%の2,393万円と反転上昇。大阪府は-2.3%の2,464万円と反転下落。兵庫県は-1.4%の2,163万円と連続下落。京都府では+9.5%の3,749万円と反転上昇した。

愛知県の平均価格は+1.2%の2,533万円と2ヵ月連続上昇。中部圏でも+2.1%の2,044万円と、2ヵ月連続の上昇。福岡県は前月比-2.4%の1,681万円と連続下落した。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ