【JR中央線】家賃相場が安い駅ランキング2023年(東京-高尾32駅)。TOP3は多摩地域でALL5万円台!

JR山手線と並んで東京を代表する路線の一つ、JR中央線。そのうち東京都内に位置する駅は、東京駅から高尾駅の全32駅。そんなJR中央線・東京都内32駅の一人暮らし向け賃貸物件(10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DK)の家賃相場を調べてみた。都内と言っても千代田区から八王子市まで、約53kmにわたる沿線の環境はさまざま。同じ路線であっても家賃相場は駅によって違いがありそう……。実際はどうなのか、さっそくランキングをチェックしよう。

JR中央線沿線(東京都内)の家賃相場が安い駅ランキング

順位/駅名/価格相場/所在地
1位 西八王子 5.30万円(東京都八王子市)
1位 高尾 5.30万円(東京都八王子市)
3位 日野 5.80万円(東京都日野市)
4位 西国分寺 5.90万円(東京都国分寺市)
5位 国立 6.00万円(東京都国立市)
6位 国分寺 6.28万円(東京都国分寺市)
7位 東小金井 6.50万円(東京都小金井市)
7位 豊田 6.50万円(東京都日野市)
9位 八王子 6.60万円(東京都八王子市)
10位 武蔵小金井 6.70万円(東京都小金井市)
11位 武蔵境 7.00万円(東京都武蔵野市)
12位 西荻窪 7.50万円(東京都杉並区)
13位 阿佐ケ谷 7.70万円(東京都杉並区)
13位 吉祥寺 7.70万円(東京都武蔵野市)
15位 三鷹 7.80万円(東京都三鷹市)
15位 立川 7.80万円(東京都立川市)
17位 荻窪 8.00万円(東京都杉並区)
18位 高円寺 8.20万円(東京都杉並区)
19位 中野 8.80万円(東京都中野区)
20位 東中野 8.90万円(東京都中野区)
21位 大久保 9.80万円(東京都新宿区)
22位 東京 11.05万円(東京都千代田区)
23位 代々木 11.40万円(東京都渋谷区)
24位 御茶ノ水 11.50万円(東京都千代田区)
25位 市ケ谷 11.55万円(東京都千代田区)
26位 水道橋 11.60万円(東京都千代田区)
27位 神田 11.70万円(東京都千代田区)
28位 四ツ谷 11.80万円(東京都千代田区)
28位 新宿 11.80万円(東京都新宿区)
30位 飯田橋 12.00万円(東京都千代田区)
31位 信濃町 12.50万円(東京都新宿区)
32位 千駄ケ谷 12.60万円(東京都渋谷区)

【JR中央線】中古マンション価格相場が安い駅ランキング2023年版(東京-高尾32駅)。吉祥寺が新宿よりも高額に

東京都の多摩地域にある3駅が、家賃相場5万円台でトップ3入り

中央線自体は「中央本線」と呼称を変えながら東京駅を出てから神奈川県、山梨県、さらに長野県へとつながる長い路線だ。今回の調査では、東京都内にある全32駅を対象にしてランキングしている。そして最も一人暮らし向け賃貸物件(10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DK)の家賃相場が安かったのは、八王子市に位置する西八王子駅で家賃相場は5万3000円。法政大学の多摩キャンパスと結ばれたバスが発着していたり駅から約3km北に工学院大学の八王子キャンパスがあったり、周辺地域に大学も点在していることから学生向けの賃貸物件も豊富なエリアだ。

西八王子駅前の風景(写真/PIXTA)

西八王子駅前の風景(写真/PIXTA)

1位・西八王子駅の周辺にはコンビニやスーパー、ドラッグストアがあり、ふらっと立ち寄れるチェーン系の飲食店も複数。1駅隣の八王子駅(9位・家賃相場6万6000円)には大型のショッピングモールや家電量販店もあり、ショッピングにも出かけやすい。買い物環境でいえば八王子駅のほうが便利ではあるが、西八王子駅のほうが家賃相場は1万3000円も低い点は魅力だろう。JR中央線の快速に乗れば、1時間弱で新宿駅に行くこともできる。ちなみに新宿駅の家賃相場は11万8000円で、ランキングは全32駅中28位。西八王子駅から電車で1時間弱離れると、家賃相場が6万5000円もアップするわけだ。

JR中央線の東京都内の駅のうち最西端に位置する、八王子市の高尾駅も家賃相場5万3000円で同額1位にランクインした。JRの駅舎の南側には京王高尾線・京王高尾駅もあり、2路線を利用可能だ。しかし駅利用者以外が線路の北側~南側を行き来する場合は入場券を購入して改札内を通るか、大きく迂回しなければならない点がネックで、南北自由通路の整備が計画されている。当初想定より工事費が肥大化し計画の見直しが行われたため「2026年度以降の早期着工」とのこと。少し先ではあるが、北口駅前広場の整備も行われるそうなので楽しみに待ちたい。

高尾駅(写真/PIXTA)

高尾駅(写真/PIXTA)

そんな高尾駅周辺は2路線が乗り入れていることもありコンビニやスーパー、飲食店などの商店が充実。駅東側には八王子市最大級のショッピングセンター「イーアス高尾」があり、ファッション、雑貨、家電のショップや書店、100円ショップなど多彩な店舗が並んでいる。駅から南にバスで約5分の場所には拓殖大学のキャンパスがあり、西八王子駅同様に学生向けの賃貸物件も建っている。東京方面に向かう快速・中央特快いずれも大半が高尾駅始発の列車のため、座って乗車しやすいのもうれしいところ。新宿駅までは快速なら1時間少々、中央特快なら50分弱で到着できる。

3位は日野市の中心部にある、日野駅で家賃相場は5万8000円。新選組の副長・土方歳三の出身地としても知られ、線路の東側には「新選組のふるさと歴史館」や新選組の支援者・佐藤彦五郎の屋敷だった日野宿本陣の建物など歴史を伝える施設が点在している。駅周辺にはコンビニやスーパー、100円ショップといった日常生活を支える商店がそろい、ラーメンやハンバーガーなどファストフードの店舗も。駅から北に10分ほど歩くと多摩川の河川敷が広がっているので、散歩やランニングに出かけてもいいだろう。また、新宿駅までの所要時間は快速で50分弱、中央特快だと35分ほどだ。

日野駅前の様子(写真/PIXTA)

日野駅前の様子(写真/PIXTA)

23区内で最安は西荻窪駅。最も高いのは東京、新宿ではなく……?

都内にあるJR中央線の駅では最西端にあたる1位・高尾駅の近隣に位置する駅は、家賃相場がおおむね5万円台~6万円台に収まっている。しかし3位・日野駅(家賃相場5万8000円)と5位・国立駅(同6万円)の間に位置する立川駅は家賃相場が7万8000円と突出して高く、15位にランクインした。高尾駅から5駅目にある、立川駅の周辺はどんな街並みだろうか。

立川駅(写真/PIXTA)

立川駅(写真/PIXTA)

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立川市に位置する立川駅は中央線のほかに青梅線や南武線、さらに山梨県や長野駅に向かう特急列車や、成田空港直結の成田エクスプレスといったJR各線が乗り入れているうえ、駅舎をはさむように多摩モノレールの立川北駅と立川南駅もある。JR中央線の駅では新宿駅、東京駅に次いで乗車人数が多い(2022年度)、東京多摩地域で屈指のターミナル駅だ。新宿駅まではJR中央線の快速で40分ほど、通勤快速で35分ほど。改札の内外に店舗がある「エキュート立川」をはじめ、「グランデュオ立川」や「ルミネ立川」、伊勢丹や高島屋など、ペデストリアンデッキで結ばれた駅の北側にも南側にも大型商業施設が立ち並んでいる。駅の北西方面には広大な「国営昭和記念公園」が広がり、自然に親しみやすい環境という点も魅力だろう。

国営昭和記念公園(写真/PIXTA)

国営昭和記念公園(写真/PIXTA)

さて、JR中央線は八王子市の高尾駅から東京方面に向かうと、日野市、立川市……と東京市部を走った後に杉並区、中野区……と東京23区に入って千代田区の東京駅にたどり着く。23区内にあるのは全32駅中18駅で、そのうち最も家賃相場が安かったのは12位・西荻窪駅の7万5000円だ。杉並区に位置しており、23区内では最も高尾駅寄りの駅でもある。とはいえ快速に乗れば新宿駅まで15分ほどの近さ。西荻窪駅から4駅目の中野駅から先で進路を変える、東京メトロ東西線快速に直通の列車も停車するため高田馬場駅や飯田橋駅、大手町駅、さらには浦安駅や西船橋駅など千葉県内にも1本で行くことができる。

西荻窪駅の改札前には紀ノ国屋系列のスーパー、その先の高架下には「西荻マイロード商店街」が続いており、駅周辺にも複数のコンビニやスーパーがあって飲食店も充実。個性的な書店・古書店やアンティークショップが豊富だったり、クラフトビール醸造所併設の飲み屋があったり、気になる個人商店が点在しているのも魅力。好みの店を探して、ぶらりと散歩をするのが楽しい街だ。

西荻窪の飲み屋街(写真/PIXTA)

西荻窪の飲み屋街(写真/PIXTA)

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ここまでは家賃相場の安さに注目して駅をピックアップしてきたが、最後に最も家賃相場が高い駅も見てみよう。それは東京駅でも新宿駅でもなく、千駄ケ谷駅。家賃相場は12万6000円で、1位・西八王子駅より7万3000円も高い結果となった。駅自体は渋谷区に位置しているが新宿区との区境に近いロケーション。駅北側には「新宿御苑」が広がり、南側には「東京体育館」や「国立競技場」と「明治神宮外苑」が広大な面積を占めている。さらに「東京体育館」の隣接地には津田塾大学、駅東側には慶應義塾大学のキャンパスもあり、そうした大型施設の合間に住宅が広がるような街並みだ。

コンビニはあちこちに点在しており、千駄ケ谷駅から徒歩10分ほどの東京メトロ副都心線・北参道駅近くに行くと安さが自慢のスーパーも。千駄ケ谷駅の近くには都営大江戸線・国立競技場駅があったり、代々木駅や新宿駅の周辺にも徒歩15分~20分で行けたりと、便利な環境であることは確か。今回判明した家賃相場と駅周辺の環境を考えあわせつつ、自分好みの住まい探しに取り組んでほしい。

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●駅順のランキング

駅順のランキング

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている中央線沿線の駅(掲載物件が20件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2023/4~2023/9
【家賃の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンションのうち普通借家契約の物件のみ)の管理費を含む月額賃料から中央値を算出(3万円~18万円で設定)
※記載の分数は、駅内および、駅間の徒歩移動分数を含む
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している

【JR中央線】中古マンション価格相場が安い駅ランキング2023年版(東京-高尾32駅)。吉祥寺が新宿よりも高額に

東京の主要路線の一つ、JR中央線。中央線自体は「中央本線」と呼称を変えながら東京駅を出てから神奈川県、山梨県、さらに長野県へとつながる長い路線だ。そのうち東京都内に位置する駅は、東京駅から高尾駅までの全32駅。そんなJR中央線・東京都内32駅の中古マンションの価格相場を調査した。専有面積50平米以上~80平米未満のカップル・ファミリー向け物件の、価格相場を安い駅順にランキングした結果がこちら!

JR中央線沿線(東京都内)の中古マンション価格相場が安い駅ランキング

順位/駅名/価格相場/駅所在地
1位 西八王子 2824.5万円(東京都八王子市)
2位 日野 2980万円(東京都日野市)
3位 豊田 3930万円(東京都日野市)
4位 八王子 3950万円(東京都八王子市)
5位 国立 4480万円(東京都国立市)
6位 西国分寺 4730万円(東京都国分寺市)
7位 国分寺 4980万円(東京都国分寺市)
7位 立川 4980万円(東京都立川市)
9位 武蔵小金井 5499万円(東京都小金井市)
10位 東小金井 5540万円(東京都小金井市)
11位 高円寺 5985万円(東京都杉並区)
12位 西荻窪 6515万円(東京都杉並区)
13位 武蔵境 6630万円(東京都武蔵野市)
14位 阿佐ケ谷 6980万円(東京都杉並区)
15位 三鷹 7195万円(東京都三鷹市)
16位 大久保 7280万円(東京都新宿区)
17位 中野 7680万円(東京都中野区)
18位 東中野 7698万円(東京都中野区)
19位 荻窪 7780万円(東京都杉並区)
20位 新宿 8500万円(東京都新宿区)
21位 吉祥寺 8635万円(東京都武蔵野市)
22位 御茶ノ水 8990万円(東京都千代田区)
23位 水道橋 1億180万円(東京都千代田区)
24位 飯田橋 1億890万円(東京都千代田区)
25位 信濃町 1億980万円(東京都新宿区)
26位 四ツ谷 1億990万円(東京都新宿区)
27位 代々木 1億1360万円(東京都渋谷区)
28位 市ケ谷 1億1500万円(東京都千代田区)
29位 千駄ケ谷 1億2700万円(東京都渋谷区)
※東京駅、神田駅、高尾駅は調査条件に満たないため除外

トップ3には八王子市~日野市より3駅がランクイン

東京駅や新宿駅など、東京を代表する駅が沿線に並ぶJR中央線。毎年調査する「SUUMO住みたい街ランキング 首都圏版」でも、2018年より6年連続で「住みたい沿線ランキング」の4位に輝く人気の路線でもある。それだけに沿線の物件価格も高そう……。東京駅から離れると価格も下がりそうだが、果たしてリーズナブルに住まい探しができる駅はどこなのかを調査してみた。

西八王子駅北口(写真/PIXTA)

西八王子駅北口(写真/PIXTA)

最も中古マンション(専有面積50平米以上~80平米未満)の価格相場が安かったのは、八王子市に位置する西八王子駅で価格相場は2824万5000円。JR横浜線やJR八高線も乗り入れる八王子市の中心地、4位・八王子駅(価格相場3950万円)に比べると、西八王子駅周辺は落ち着いた住宅街の趣がある。とはいえ線路を挟んで北側にも南側にもスーパーやドラッグストア、気軽に利用できるチェーン系の飲食店が複数あり、暮らしやすそうな街並みだ。

西八王子駅から歩いて20分弱の場所に八王子市役所があるのも何かと便利だろう。1駅隣の八王子駅に出れば大型のショッピングモールも利用できるほか、駅から北に車で15分ほどの場所に「イオンモール八王子インターチェンジ北(仮)」が2025年春に開業予定という嬉しい情報も。また、通勤時間帯の7時台~8時台はJR中央線快速が10分未満の間隔で運行されており、新宿駅まで約56分、東京駅まで約1時間11分で行くことができる。新宿駅の価格相場(20位・8500万円)と見比べると、この程度の所要時間であれば都心部に通勤する人にとっても西八王子駅は住まいの候補地としてアリではないだろうか。

市民の森スポーツ公園(写真/PIXTA)

市民の森スポーツ公園(写真/PIXTA)

2位には日野市の中心部にある、日野駅が価格相場2980万円でランクイン。駅周辺には市役所や市立図書館、広々とした「市民の森スポーツ公園」、トレーニングルームを備えた「市民の森ふれあいホール」といった市の施設が点在。新選組の副長・土方歳三の出身地としても知られ、駅から徒歩15分圏内には「新選組のふるさと歴史館」や、新選組の隊員たちが稽古に励んだ剣術道場があった甲州街道・日野宿本陣の建物も。そうした歴史を伝える施設を抱える街ではあるが、駅前には複数のスーパーやドラッグストアもあり住宅地らしい雰囲気。駅から北に10分ほど歩くと多摩川の河川敷に出るので、息抜きにのんびりと散歩をするのも気持ちよいだろう。

豊田駅北口(写真/PIXTA)

豊田駅北口(写真/PIXTA)

3位にランクインしたのは、1位・西八王子駅と2位・日野駅の間に位置する豊田(とよだ)駅。こちらも日野市に位置しているが、価格相場は日野駅よりもグッと上がって3930万円。豊田駅南口側では街の再整備が進行中で新築マンションも誕生しており、そうしたことも価格相場に影響しているかもしれない。駅の北口側には、食料品店はもちろんグルメやファッション、生活雑貨、家電など多彩なショップがひしめく「イオンモール多摩平の森」があり、たいていの買い物はここで済ませられるだろう。大規模な新築マンションも登場している。また、東京方面行きのJR中央線快速は豊田駅始発の便もあり、座って通勤・通学できる点も魅力。新宿駅まで50分弱、東京駅までは1時間少々で行くことが可能だ。

実は新宿駅より武蔵野市のアノ駅のほうが価格相場が高いと判明

JR中央線で最も東京駅から離れている高尾駅は今回ランク外となったが、高尾駅から東京方面に進むと西八王子駅(1位)~八王子駅(4位)~豊田駅(3位)~日野駅(2位)という順で駅が続いている。つまりトップ4には高尾駅に近い4駅がランクインしており、「東京駅から遠いほど価格相場が安そう」というイメージ通りの結果だろう。5位以下もおおむね価格相場は高尾駅に近い駅ほど安く、東京駅に近づくほど高くなっている。そんな傾向があるなかで異色の存在と言えるのが、21位の吉祥寺駅だ。

吉祥寺駅(写真/PIXTA)

吉祥寺駅(写真/PIXTA)

武蔵野市に位置する21位・吉祥寺駅は高尾駅から13駅目、東京駅からだと18駅目。にもかかわらず価格相場は8635万円で、東京駅から10駅目の20位・新宿駅(価格相場8500万円)よりも高い結果となったのだ。吉祥寺駅は「SUUMO住みたい街ランキング2023 首都圏版」では前年調査に引き続いて2位に選ばれており、JR中央線沿線の駅では一番人気の街。特に「夫婦+子ども世帯」からの支持が高く、まさに今回調査した「カップル・ファミリー向け物件(専有面積50平米以上~80平米未満)」の購買層に人気があると言えよう。そんな需要の高さが、価格相場にも表れたようだ。

吉祥寺駅にはJR中央線のほかに京王井の頭線が乗り入れ、駅周辺は東京多摩地区でも屈指の繁華街。駅ビル「アトレ吉祥寺」をはじめとする大型商業施設からアーケード商店街の「吉祥寺サンロード商店街」「吉祥寺ダイヤ街」、さらに細い路地にまで多彩なショップや飲食店がひしめき、多くの人でにぎわっている。一方で駅から南に5分も歩けば「井の頭恩賜公園」へ。ボートが浮かぶ池をたたえた園内は緑豊かで、駅前の喧騒を忘れる憩いの空間。隣接地には動物園や遊具広場がある「井の頭自然文化園」や、「三鷹の森ジブリ美術館」もある。商業エリアや公園の周辺には静かな住宅街が広がり、都会的な便利さも、のどかな環境も兼ね備えている点が吉祥寺の人気の理由かもしれない。

もう1駅、杉並区にある11位・高円寺駅にも注目したい。駅の立地としては14位・阿佐ヶ谷駅(価格相場6980万円)と17位・中野駅(同7680万円)に挟まれているが、高円寺駅の価格相場は5985万円と両隣の駅と比べてだいぶリーズナブル。JR中央線の快速は平日のみ停車する駅ではあるが、それは阿佐ヶ谷駅も同様だ。JR中央線快速に乗れば新宿駅まで約7分、東京駅まで約22分という近さでありながら、周辺駅よりも価格相場が安い高円寺の駅周辺の様子を見てみよう。

高円寺駅前、高円寺純情商店街(写真/PIXTA)

高円寺駅前、高円寺純情商店街(写真/PIXTA)

高円寺は駅周辺で毎年8月に「東京高円寺阿波おどり」が開催される街として知られ、駅の発車メロディーも阿波おどりのおはやしをアレンジしたもの。北口の「高円寺純情商店街」、南口の「高円寺パル商店街」をはじめ駅周辺には複数の商店街が広がり、食料品店から若者に人気の個性的なお店まで多彩な店舗が軒を連ねている。2020年には高円寺駅~阿佐ヶ谷駅間の高架下に「al:ku(アルーク)阿佐ヶ谷」が誕生。カフェやベーカリーのほかに幼児園や体操教室など子ども向けの施設も入っているのは、ファミリー層が暮らす街らしいところだろう。

人出も多くにぎわいがあるが、大型の商業ビルではなく小規模店舗が並ぶ街なので親しみやすい下町風情が漂う。都心に近いわりには価格相場が控えめで、地元民に親しまれる商店街が元気な高円寺はJR中央線沿線の穴場駅と言えそうだ。

さて今回調査したJR中央線では、東京駅~大月駅(山梨駅)間を走る快速列車に2階建てグリーン車を導入する計画が進行中。2024年度末以降の導入予定で、現状の10両編成にグリーン車2両を連結するのだとか。運賃とは別にグリーン車料金が必要だが、先ごろ報道公開された車両内部を見るとリクライニングシートにコンセントも付いてなかなか快適そう。JR中央線快速は混雑率が高い路線だが、グリーン車を利用すれば確実に着席できるのが嬉しいところ。導入後はさらに、「住みたい街」としてJR中央線沿線の人気が高まりそうだ。

●駅順の価格一覧

駅順の価格一覧

※東京駅、神田駅、高尾駅は調査条件に満たないため除外

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている中央線沿線の駅(掲載物件が20件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】
駅徒歩15分圏内、物件価格相場3億円以下、築年数35年未満、敷地権利は所有権のみ
専有面積50平米以上80平米未満
【データ抽出期間】2023/4~2023/9
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
※記載の分数は、駅内および、駅間の徒歩移動分数を含む
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している

”銭湯図解”で銭湯建築や人の営み描く。映画『湯道』看板娘モチーフになった塩谷歩波さん、「小杉湯」番頭経てホテルやサウナ等も図解する画家・文筆家に

塩谷歩波さんは、銭湯の建物内部を俯瞰図で描く「銭湯図解」シリーズがSNSで人気を博し、刊行した著書が話題沸騰! 銭湯図解とは、銭湯を観察しメジャーなどでさまざまな部分を測量、スケッチに落とし込んでいくもの。塩谷さんの半生はドラマ化(2022年『湯あがりスケッチ』)され、2023年2月23日に自身がモチーフになったキャラが登場する映画『湯道』(企画・脚本:小山薫堂、主演:生田斗真)が公開されます。学生時代、建築を専攻し、設計事務所、高円寺(東京都杉並区)の銭湯「小杉湯」の番頭兼イラストレーターを経て、画家・文筆家へ。建築を描くことで見えてきたものとは。図解イラストを解説しながらたっぷり話していただきました。

画家・文筆家の塩谷歩波さん。現在は、銭湯以外の絵の仕事も注目されている(写真撮影/三浦えり)

画家・文筆家の塩谷歩波さん。現在は、銭湯以外の絵の仕事も注目されている(写真撮影/三浦えり)

銭湯での人のふるまい、美しいと思った瞬間を伝えたい

――銭湯図解からは、建物の構造だけでなく、インテリアや小物までが細かく描かれています。銭湯を図解しようと思ったきっかけを教えてください。

塩谷歩波さん(以下、塩谷):「銭湯ってめっちゃいいじゃん」という純粋な気持ちですね。

銭湯に出合ったのは、当時勤めていた設計事務所を体調不良で休職していたころ。半分鬱のような状態で、同期の人と比べると自分が恥ずかしい人間であるように感じ、同世代の人と話すのがとても怖かったんです。ちょっと人間不信になっていました。

そういうときに銭湯で会う人たちは、自分の日常では絶対出会わない人が多くて。おばあちゃんと裸で知り合うことってないですよね。それが自分にとっては、いい非日常感で、日常から離れていたからこそ、違う人間になることができた。おばあちゃんに突然話しかけられても、ドラマや映画で見た番頭さんのように快活に話すことができました。自分が銭湯の一員になったように感じて、すごく癒やされたんですよね。まだ銭湯に行ったことのない友人に魅力を伝えるために描いたのが初めての銭湯図解でした。

初めて描いた銭湯図解には、友人に向けて寿湯のおすすめポイントが書かれている(画像提供/塩谷歩波さん)

初めて描いた銭湯図解には、友人に向けて寿湯のおすすめポイントが書かれている(画像提供/塩谷歩波さん)

高円寺にある小杉湯の銭湯図解。湯船に漬かる人、着替える人、昭和を感じるレトロなインテリアもいい(画像提供/塩谷歩波さん)

高円寺にある小杉湯の銭湯図解。湯船に漬かる人、着替える人、昭和を感じるレトロなインテリアもいい(画像提供/塩谷歩波さん)

洗い場で背中を流し合う人たち。湯けむりやほっとした息づかいまで聞こえてきそう!(画像提供/塩谷歩波さん)

洗い場で背中を流し合う人たち。湯けむりやほっとした息づかいまで聞こえてきそう!(画像提供/塩谷歩波さん)

『銭湯図解』(2019年2月刊行)は多数のメディアに取り上げられた。2022年には、エッセイ本も出版(画像提供/中央公論新社・双葉社)

『銭湯図解』(2019年2月刊行)は多数のメディアに取り上げられた。2022年には、エッセイ本も出版(画像提供/中央公論新社・双葉社)

――銭湯図解には、多くの人物も描かれていますね。銭湯でくつろぐ人物の絵を見ると、湯けむりや窓からの光、露天の風まで感じられます。

塩谷:銭湯でほっとして、目をほかに向けてみると、そこでの人の触れ合いがすごく愛おしく思えて。おばあちゃん同士が背中を流し合いながら話している姿はどこか癒やされるものがありました。当時、銭湯好きの方がブログやTwitterで銭湯について書いたものはありましたが、カラン(蛇口)の数や浴室の温度などデータ的な紹介が多かったんです。銭湯での人のふるまいや、私が美しいと思った瞬間が語られていないのはもったいないと思いました。

銭湯図解は緻密な表現が魅力(画像提供/塩谷歩波さん)

銭湯図解は緻密な表現が魅力(画像提供/塩谷歩波さん)

番台のある待合所、男女の脱衣所、浴室などが一望できる(画像提供/©2023映画「湯道」製作委員会)

番台のある待合所、男女の脱衣所、浴室などが一望できる(画像提供/©2023映画「湯道」製作委員会)

機能を兼ね備えたデザイン、地域性、文化性、銭湯建築は面白い

――Twitterなどではどのような反響がありますか?

塩谷:最初のころは、銭湯ファンの方から、「銭湯の良いところが描かれていてスゴイ」と再現性を言われることが多かったですね。建築ファンの人からは、「銭湯に建築的な面白さがあったんだ」という驚きの声が寄せられました。学校の授業でも、建築の本でも、建築の目線から銭湯が語られることってまずなかったんです。銭湯のような大衆的な建物を絵におこしてみることに、意外と価値があると気づいた人が多かったです。機能を兼ね備えたデザインで、時代や場所によって浴槽の形が違うなど、文化性、地域性があるところが面白いんですよ。

あとは、「すごく癒やされる」という声もありました。自分が同じような経験をしたので、心が疲れている人からのコメントがいちばん嬉しかったですね。私と同じようにあの風景に癒やされる人がいるんだなと。

――設計事務所から高円寺の銭湯「小杉湯」に「番頭兼イラストレーター」として転職した後、アトリエエンヤを立ち上げ、小杉湯を退職してから画家として独立されています。振り返って、銭湯図解はどのようなものだったと思いますか?

塩谷:自分が絵を仕事にする可能性をつかんでくれた、そういう絵だったと思います。まさか自分が絵を専門に描く仕事をするとは夢にも思ってみませんでした。銭湯図解によって私の人生は大きく変わりました。小杉湯にいたころは、運営する立場から銭湯を見ていましたが、今はいち銭湯ファン。銭湯に行くのは一週間に一回程度になりました。東京だけでなく旅先の銭湯もすごく面白いんです。これからもいい銭湯があれば、伝えていきたいと思っています。

小杉湯の浴室。湯気を抜くために天井が高くつくられている。これほど高い天井の建物は、今は建築するのが難しいという(画像提供/塩谷歩波さん)

小杉湯の浴室。湯気を抜くために天井が高くつくられている。これほど高い天井の建物は、今は建築するのが難しいという(画像提供/塩谷歩波さん)

銭湯でのイベントで講演をする塩谷さん。なんと小杉湯では、著書『銭湯図解』1000冊を完売。本を片手に銭湯巡りをする人も現れた(画像提供/塩谷歩波さん)

銭湯でのイベントで講演をする塩谷さん。なんと小杉湯では、著書『銭湯図解』1000冊を完売。本を片手に銭湯巡りをする人も現れた(画像提供/塩谷歩波さん)

制作に1枚1カ月かかることも。角度をつけて建物内部を俯瞰的に描く

――図解に用いられている図法について教えてください。どういう意図で用いられているのでしょうか。

塩谷:アイソメトリックという建築図法で、角度をつけて建物内部を俯瞰的に描いています。本来は三方の軸がそれぞれ等しい角度で見えるように立体を投影するものが多いのですが、「銭湯図解」では、それぞれの銭湯によって、「どこを見せたいか」を考えて、角度や断面の表現を調整しています。例えば、脱衣所の人物も番台も見せたい場合、間の壁を切り抜いて、両方を見せています。

要所で壁を切り抜いて、番台や待合所の雰囲気、脱衣所や浴室を1枚の絵で表現(画像提供/塩谷歩波さん)

要所で壁を切り抜いて、番台や待合所の雰囲気、脱衣所や浴室を1枚の絵で表現(画像提供/塩谷歩波さん)

映画『湯道』の銭湯「まるきん温泉」の下書き。映画では架空の銭湯なので、資料を参考にしたが、本来は、取材に行き、実測データを元に縮尺を決めて用紙に下書きする(画像提供/塩谷歩波さん)

映画『湯道』の銭湯「まるきん温泉」の下書き。映画では架空の銭湯なので、資料を参考にしたが、本来は、取材に行き、実測データを元に縮尺を決めて用紙に下書きする(画像提供/塩谷歩波さん)

人物の表情はペン入れの際、さらに細いペンで描き込む。銭湯図解ににぎわいが生まれる瞬間(画像提供/塩谷歩波さん)

人物の表情はペン入れの際、さらに細いペンで描き込む。銭湯図解ににぎわいが生まれる瞬間(画像提供/塩谷歩波さん)

透明水彩で着彩。玄関でお客さんに対応している『湯道』の主人公・三浦史朗(生田斗真)の姿も(画像提供/塩谷歩波さん)

透明水彩で着彩。玄関でお客さんに対応している『湯道』の主人公・三浦史朗(生田斗真)の姿も(画像提供/塩谷歩波さん)

建物には、人の行動がデザインされている

――最近では、高円寺や西荻窪にある店舗や全国のホテル、ゲストハウス、サウナなどの建築図解も描かれています。きっかけは?

塩谷:2019年に書籍『銭湯図解』を刊行した後、銭湯以外の建物を描きたいと思い、2020年にアトリエエンヤという屋号を掲げてお仕事でほかの建物も描くようになりました。高円寺の酒場兼古本屋の「コクテイル書房 図解」を描いたのは、書籍を出した直後ですね。当時、高円寺に住んでいて、街への愛情が高じた結果、高円寺の中で一番魅力的な建物であるコクテイル書房を描きたくなったんです。

建物は古く、オーナーがDIYしている箇所がたくさんあって、「これ何ですか?」って聞くとひとつひとつにストーリーがあるんです。絵を描くことで、そこの人たちの歴史を感じられるのがいいなと思いました。

高円寺にあるコクテイル書房の1階の図解。拾ってきた流木が天井に吊るされているなど、店主の趣味が反映された空間が面白い(画像提供/塩谷歩波さん)

高円寺にあるコクテイル書房の1階の図解。拾ってきた流木が天井に吊るされているなど、店主の趣味が反映された空間が面白い(画像提供/塩谷歩波さん)

――街や店舗を描くとき、銭湯を図解するときと違った発見はありましたか。

塩谷:人が服を着ていることですかね(笑)。また、街や建物によって人の動き方って全然違うんですよ。自分で建物を設計していたときに、建物によって、人のふるまいが変わることに一番興味があったんです。行動をデザインした建物が好きなんです。そういう建物は、描きながら、オーナーや設計者の意図が伝わってきて感動します。描いていて楽しい所ですね。

塩谷さんが愛する西荻窪の路地(画像提供/塩谷歩波さん)

塩谷さんが愛する西荻窪の路地(画像提供/塩谷歩波さん)

街歩きでふらっと入った西荻窪の居酒屋「しんこぺ」のホットケーキを描いた絵がTwitterでバズり、期間限定メニューが定番の人気メニューに(画像提供/塩谷歩波さん)

街歩きでふらっと入った西荻窪の居酒屋「しんこぺ」のホットケーキを描いた絵がTwitterでバズり、期間限定メニューが定番の人気メニューに(画像提供/塩谷歩波さん)

カウンターでホットケーキが出てきたときの塩谷さんの感動が絵から伝わってくる(画像提供/塩谷歩波さん)

カウンターでホットケーキが出て来た時の塩谷さんの感動が絵から伝わってくる(画像提供/塩谷歩波さん)

高円寺や西荻窪の建物を描くことで、人の動きが見えてくる

――描いていて面白いのはどんな街?

塩谷:ガイドブックに載っていない路地がある、歩いて楽しい街ですね。高円寺は、雑多な感じで「東京のインド」と言われたりするんですけど、全然整備されていない街全体のカオスな感じがいい。西荻窪は、趣味が高じてお店をやっている人が多くて、お店はオーナーの城。建物にオーナーの世界観があって、街全体よりひとつひとつが面白いんです。

西荻窪の日本茶スタンド「Saten」。現代的な建物に和の意匠を取り入れている(画像提供/塩谷歩波さん)

西荻窪の日本茶スタンド「Saten」。現代的な建物に和の意匠を取り入れている(画像提供/塩谷歩波さん)

緑色は抹茶をイメージした色。カウンターの奥にあるオレンジの壁は、「床の間」風コーナー。左のテラスにいるフレンチブルドッグを連れた人は実在する常連さん(画像提供/塩谷歩波さん)

緑色は抹茶をイメージした色。カウンターの奥にあるオレンジの壁は、「床の間」風コーナー。左のテラスにいるフレンチブルドッグを連れた人は実在する常連さん(画像提供/塩谷歩波さん)

描くことで、自分の好きなことをより深く理解できる

――2023年2月21日から、個展が開催され、23日から映画「湯道」が公開されます。見どころを教えてください。

塩谷:映画に登場する「まるきん温泉」は、形としては京都にありそうな銭湯です。企画・脚本の小山薫堂さんも温泉・銭湯好きなので、今までの記憶の中から、好きな銭湯を繋ぎ合わせたのでしょうね。監督や映画スタッフとつくりあげた理想の銭湯を感じてみてください。

『湯道』2月23日(木・祝)全国東宝系にて公開(画像提供/©2023映画「湯道」製作委員会)

『湯道』2月23日(木・祝)全国東宝系にて公開(画像提供/©2023映画「湯道」製作委員会)

撮影後に描いた「湯道」に登場する銭湯「まるきん温泉」(画像提供/©2023映画「湯道」製作委員会)

撮影後に描いた「湯道」に登場する銭湯「まるきん温泉」(画像提供/©2023映画「湯道」製作委員会)

塩谷:「まるきん温泉」の銭湯図解を描くのがとても面白かったんです。「まるきん温泉」は、セットでつくった架空の銭湯。資料から読み解く謎解きみたいで。実在しない建物も描けるんだなと気づきました。

個展では、実在しない建物の図解作品を展示します。テーマは、「家」。家はなじみ深いですが、隣の家って見たことありませんよね。同じ間取りなのに全然違う世界が広がっている。その人が考えていることが知らず知らず広がっている。面白さもあるけど怖さもある。そういうものが「家」じゃないかと思っています。

原画販売も初めて行う。5作品のひとつ、おばけの家。おばけには足がなく透けるので階段も扉もない(画像提供/塩谷歩波さん)

原画販売も初めて行う。5作品のひとつ、おばけの家。おばけには足がなく透けるので階段も扉もない(画像提供/塩谷歩波さん)

――街歩きや店舗を見るとき、どんな所に目を向けるとよいですか?

塩谷:アイソメトリックで描くことは建築の知識がないと難しいと思いますが、街や建物のどういう空間でどう人が動いているかよく見ると、さまざまな気づきがあります。建物の素敵な所をスマホで撮って終わりではなく、スケッチでも文章でもほかの表現に落とし込んでみると、何で好きと思ったのか、より深く理解できます。

――塩谷さんとって「描く」のはどういった意味をもつ行為でしょうか。

塩谷:描いていると、自分がなぜこの建物が好きなのか再確認できます。下書きしながら、この建物はこんなに面白く見えるんだなあって。色を塗ったり、人物を入れると、絵の中で世界ができていく。描けば描くほど豊かな世界になっていく。完成までワクワク感を抱えていますね。

絵は、自分をこの場所に連れてきてくれた大事なものであると同時に、描き続けるのが辛いときもある。好きとか嫌いとかを超えて、離れられない。表現をする人は同じことを言うと思います。寺社仏閣や教会、世界遺産の建物、民家、古いホテルや民宿、純喫茶、海外の建物……描いてみたいものがたくさんあるんです。これからも、人のふるまいや美しい瞬間を感じられる絵を描いていきたいです。

アトリエからは、試行錯誤を繰り返した創作の様子が伝わってくる。今年の秋口まで仕事はいっぱい(画像提供/塩谷歩波さん)

アトリエからは、試行錯誤を繰り返した創作の様子が伝わってくる。今年の秋口まで仕事はいっぱい(画像提供/塩谷歩波さん)

図解を描いた塩谷さんの思いを伺い、「なんかいいな」と感じていた建物がどういう思いでつくられているのか考えを巡らせたり、人の動きを観察するのが、面白く感じてきました。自分が住んでいる街や街歩きがもっと楽しくなりそうです。

●取材協力
塩谷歩波(Twitter)

●映画公開情報
『湯道』
2月23日(木・祝)全国東宝系にて公開
企画・脚本:小山薫堂(『おくりびと』)
監督:鈴木雅之(『HERO』シリーズ、『マスカレード』シリーズ)
音楽:佐藤直紀
出演:生田斗真、濱田岳、橋本環奈 ほか
©2023映画「湯道」製作委員会

Twitter

JR中央線(東京都内)、家賃相場が安い駅ランキング 2022年版

JR山手線と並んで東京を代表する路線といえるJR中央線。そのうち東京都内に位置する駅は、東京駅から高尾駅まで全32駅ある。沿線には大学のキャンパスも多く、東京駅や新宿駅といった都心のビジネス街もあるため、学生やビジネスマンの一人暮らしにも人気の路線だ。そんなJR中央線のシングル向け物件(専有面積10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DK)の家賃相場を調査! 東京都内32駅の家賃相場が安い駅ランキングを見ていこう。

JR中央線(東京都内)の家賃相場が安い駅ランキング

順位/駅名/家賃相場(駅の所在地)
1位 高尾 4.60万円(東京都八王子市)
2位 西八王子 5.10万円(東京都八王子市)
3位 日野 5.30万円(東京都日野市)
4位 西国分寺 5.50万円(東京都国分寺市)
5位 国立 5.60万円(東京都国立市)
6位 東小金井 6.00万円(東京都小金井市)
6位 豊田 6.00万円(東京都日野市)
8位 国分寺 6.10万円(東京都国分寺市)
9位 八王子 6.30万円(東京都八王子市)
9位 武蔵小金井 6.30万円(東京都小金井市)
11位 武蔵境 6.70万円(東京都武蔵野市)
12位 三鷹 7.10万円(東京都三鷹市)
13位 阿佐ケ谷 7.15万円(東京都杉並区)
14位 吉祥寺 7.60万円(東京都武蔵野市)
14位 西荻窪 7.60万円(東京都杉並区)
16位 立川 7.70万円(東京都立川市)
16位 荻窪 7.70万円(東京都杉並区)
16位 高円寺 7.70万円(東京都杉並区)
19位 中野 8.20万円(東京都中野区)
19位 東中野 8.20万円(東京都中野区)
21位 大久保 9.40万円(東京都新宿区)
22位 御茶ノ水 11.00万円(東京都千代田区)
22位 東京 11.00万円(東京都千代田区)
24位 四ツ谷 11.30万円(東京都千代田区)
25位 代々木 11.49万円(東京都渋谷区)
26位 市ケ谷 11.70万円(東京都千代田区)
27位 水道橋 11.80万円(東京都千代田区)
28位 神田 11.90万円(東京都千代田区)
29位 信濃町 12.10万円(東京都新宿区)
30位 新宿 12.40万円(東京都新宿区)
31位 飯田橋 12.50万円(東京都千代田区)
32位 千駄ケ谷 13.25万円(東京都渋谷区)

ランキング上位は東京西部の駅がずらり。都内最西端の高尾駅が1位に

JR中央線は「中央本線」と呼称を変えながら東京都から神奈川県、山梨県、長野県……と続く長い路線。東京駅~高尾駅間の東京都内だけでも走行距離は53km以上におよび、沿線の家賃相場もさまざまだ。シングル向け物件(専有面積10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DK)の家賃相場が最も安かったのは、八王子市に位置する高尾駅で家賃相場は4万6000円だった。

高尾駅(写真/PIXTA)

高尾駅(写真/PIXTA)

1位・高尾駅はJR中央線のうち東京都内の最西端。しかし通勤特快に乗れば新宿駅まで4駅・約47分、東京駅まで8駅・約1時間1分と、思いのほか早くたどり着く。ほとんどの便が高尾駅始発なので、座りやすい点も魅力だ。高尾駅には京王高尾線も乗り入れており、駅にはスーパーや書店、飲食店などを抱えるショッピングモールが併設されている。駅南口を出て東に進むと、100円ショップやスーパー、ホームセンターがあり、さらにその先には多彩な店舗がそろうショッピングモール「イーアス高尾」も。ファストフード店やリーズナブルな食堂など、一人でふらりと入りやすい飲食店が駅周辺に点在している点もうれしいところ。駅の南口側と北口側を行き来するには大きく迂回する必要がある点がネックだが、南北を通り抜けできる自由通路の整備計画もあるそう。当初計画より進ちょくは後ろにずれ込んでいるようだが、完成すればより便利になるだろう。

2位は高尾駅の1駅隣にある西八王子駅で、家賃相場は5万1000円。駅には「セレオ西八王子」が併設され、食料品店やドラッグストア、飲食店が営業中。駅の北口側と南口側どちらにも複数のコンビニが点在し、南口から徒歩3分ほどの場所にはスーパーや100円ショップなどを備えた「コピオ西八王子駅前」がある。一人暮らしの日常の買い物には十分な環境と言えるだろう。また、駅周辺はファストフード店や居酒屋など気軽に行ける飲食店も充実しているうえ、「ラーメン激戦区」とも言われるラーメン店の密集地域でもある。刻み玉ねぎのトッピングが特徴的な「八王子ラーメン」の人気店をはじめ個性豊かなラーメン店が豊富なので、休日ごとに食べ歩いても楽しそうだ。

西八王子駅前の風景(写真/PIXTA)

西八王子駅前の風景(写真/PIXTA)

3位は家賃相場5万3000円の日野駅がランクイン。かつては甲州街道の宿場町として栄えた街で、現在は日野市を代表する駅の一つでもある。南北に走る線路の東側と西側に複数のスーパーやコンビニ、ドラッグストアがあり、日常使いできる飲食店も。バス乗り場やタクシープールがある駅前には交番もあり、安心感を高めてくれる。大型商業施設はないものの、ショッピングモールや家電量販店、映画館もある立川駅(16位・家賃相場7万7000円)まで1駅。平日は自然を感じられる多摩川の河川敷にも近くて落ち着いた街並みの日野で過ごし、休日はお隣の立川で遊ぶ……という暮らし方もいいだろう。JR中央線の快速と通勤特快を乗り継げば、日野駅から新宿駅まで約36分、東京駅までは約50分で行くことが可能だ。

日野駅前(写真/PIXTA)

日野駅前(写真/PIXTA)

都心に近いほど家賃は高め。安く住むには「人気駅の近隣駅」に注目!

JR中央線沿線には都内でも知名度の高い駅が数々あるが、なかでも住む街として人気なのは武蔵野市に位置する14位・吉祥寺駅だろう。リクルート住まいカンパニーが毎年調査する「SUUMO住みたい街ランキング(首都圏版)」では、2018年~2021年は3位、2022年は2位に輝いている。商業施設が充実し、少し歩けば緑豊かな井の頭恩賜公園もある吉祥寺は人気なのも納得だ。しかし家賃相場は7万6000円と、ランキングトップ3に比べるとやはり高め。そんなときは便利な街の恩恵にあずかりつつも家賃が抑えられる、吉祥寺にほど近い駅に住むのも一案だ。たとえば吉祥寺駅から高尾方面へ2駅目、武蔵境駅などいかがだろう。

武蔵境駅前(写真/PIXTA)

武蔵境駅前(写真/PIXTA)

武蔵野市にある武蔵境駅は、家賃相場が6万7000円で11位にランクイン。吉祥寺駅まではJR中央線快速で約5分、自転車でもほぼ平坦な道を走って15分ほど。さらに新宿駅まで約24分、東京駅までは約37分で行くことができる。そんなアクセスのよさだけではなく、武蔵境駅周辺の街並みも魅力的。駅にはスーパーやドラッグストア、飲食店が店を構える「nonowa 武蔵境」が併設され、駅西側高架下の「ののみちサカイ」にも店舗が軒を連ねている。また、武蔵境駅には西武多摩川線も乗り入れており、そちらの駅側には飲食店やスーパーを備えた「エミオ 武蔵境」がある。さらに南口にはショッピングモール「イトーヨーカドー武蔵境」、北口には武蔵野市役所の出張所や屋上にグランピングBBQ施設が入った官民連携の複合施設「QuOLa」も。個人商店が並ぶ商店街も広がる暮らしやすい環境でありながら、家賃相場は吉祥寺駅より9000円も低いのだ。

さて「人気の駅の近くに住み、家賃を抑えつつ便利に暮らす」方式を新宿駅にも応用してみよう。新宿駅は30位にランクインしており、家賃相場は12万4000円。ここからなるべく近くて家賃相場が低い駅としては、19位・東中野駅をピックアップしたい。家賃相場は8万2000円で、新宿駅よりも4万2000円も安いとの調査結果が出ている。新宿駅まではJR中央・総武線(各駅停車)で2駅・約4分、自転車なら12分ほどでたどり着く。この程度なら、ぶらりと出かけやすい距離感と言えるだろう。東中野駅には都営大江戸線も通っており、駅から北へ5分ほど歩くと東京メトロ東西線・落合駅を利用することも可能だ。

東中野駅周辺(写真/PIXTA)

東中野駅周辺(写真/PIXTA)

東中野駅にはスーパーやカフェ、書店などが入った駅ビル「アトレヴィ東中野」が併設されている。駅西口には再開発により2015年に誕生した駅前広場が広がり、27階建てのマンションがそびえ立つ。そして東口側に見えるのは、2005年に誕生した再開発エリア「ユニゾンスクエア」にある高層マンションだ。駅前には高層ビルばかり建ち並ぶかというとそんなことはなく、昔ながらの親しみやすい商店街もあるのが東中野の魅力。あれこれとまとめ買いできるスーパーも点在しているが、フランス料理の惣菜店など個性豊かな個人商店をめぐるのもおすすめだ。映画やテレビのロケ地にもなった昭和レトロな飲食店街「東中野ムーンロード」で、ちょっとディープな夜を過ごすのも楽しそう。そんな新旧の街が融合した東中野にはここ数年でも大型マンションが複数誕生しており、2024年にも25階建てマンションが竣工予定。今後も魅力ある街として、さらに発展していきそうだ。

●JR中央線(東京都内)の家賃相場が安い駅ランキング ※駅の並び順
JR中央線(東京都内)の家賃相場が安い駅ランキング

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている中央線沿線(東京都内)の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2022/8~2022/10
【家賃の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む月額賃料から中央値を算出(3万円~18万円で設定)
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している

JR中央線(東京都内)、中古マンション価格相場が安い駅ランキング 2022年版

JR山手線と並んで東京を代表する路線といえるJR中央線。中央線自体は「中央本線」と呼称を変えながら東京駅を出てから神奈川県、山梨県、さらに長野県へとつながる長い路線だ。そのうち東京都内に位置する駅は、東京駅から高尾駅の全32駅。そんなJR中央線・東京都内32駅の中古マンションの価格相場はどんなものか? 専有面積50平米以上~80平米未満の中古マンションの価格相場ランキングをご紹介しよう。

中央線(東京都内)沿線の中古マンション価格相場が安い駅ランキング

順位/駅名/価格(駅所在地)
1位 西八王子 2730万円(東京都八王子市)
2位 日野 3930万円(東京都日野市)
3位 八王子 3939万円(東京都八王子市)
4位 豊田 3998万円(東京都日野市)
5位 国立 4725万円(東京都国立市)
6位 立川 4880万円(東京都立川市)
7位 東小金井 4980万円(東京都小金井市)
8位 武蔵小金井 5390万円(東京都小金井市)
9位 西国分寺 5580万円(東京都国分寺市)
10位 国分寺 5680万円(東京都国分寺市)
11位 武蔵境 5980万円(東京都武蔵野市)
12位 三鷹 5990万円(東京都三鷹市)
13位 阿佐ケ谷 6698万円(東京都杉並区)
14位 高円寺 6880万円(東京都杉並区)
15位 西荻窪 6980万円(東京都杉並区)
16位 荻窪 7130万円(東京都杉並区)
17位 大久保 7190万円(東京都新宿区)
18位 中野 7380万円(東京都中野区)
19位 東中野 7494.5万円(東京都中野区)
20位 新宿 8080万円(東京都新宿区)
21位 御茶ノ水 8199万円(東京都千代田区)
22位 神田 9140万円(東京都千代田区)
23位 代々木 9180万円(東京都渋谷区)
24位 信濃町 9480万円(東京都新宿区)
25位 水道橋 9830万円(東京都千代田区)
26位 四ツ谷 1億480万円(東京都千代田区)
27位 千駄ケ谷 1億500万円(東京都渋谷区)
28位 市ケ谷 1億980万円(東京都千代田区)
29位 飯田橋 1億1000万円(東京都千代田区)
※東京、吉祥寺、高尾の各駅は調査対象物件数が10件以下のためランク外

TOP3には自然も感じられる多摩地域の3駅がランクイン

リクルート住まいカンパニーが毎年調査する「SUUMO住みたい街ランキング(首都圏版)」では、JR中央線は2018年から5年連続で「住みたい沿線ランキング」の4位に輝く人気の路線。人気が高いと沿線にある物件の価格もアップしがちだが、広範囲にわたる路線だけあって駅ごとの価格相場の開きが大きいことが調査により判明した。

最も安かったのは八王子市にある西八王子駅で、価格相場は2位より1200万円も安い2730万円だった。中央線の都内最西端の駅である高尾駅の一つ手前に位置し、JR中央線の快速と通勤特快を乗り継ぐと新宿駅まで約48分、東京駅までは約1時間2分で到着する。

西八王子駅(写真/PIXTA)

西八王子駅(写真/PIXTA)

1位・西八王子駅には生鮮食料品を扱う「市場館」と飲食店やドラッグストアなどが並ぶ「生活館」からなる「セレオ西八王子」が併設されている。駅周辺には多彩な飲食店が点在し、深夜1時まで営業するスーパーがあるのも便利なところ。また、駅南口から徒歩3分ほどの場所には、スーパーをはじめ100円ショップやドラッグストア、ベーカリーやクリニックなどを備えた「コピオ西八王子駅前」が2021年10月にオープンした。駅北口から7~8分も歩けば、南浅川の河川敷へ。川沿いには散策やサイクリングにぴったりな「浅川ゆったりロード」が整備され、春は桜並木が沿道を美しく彩ってくれる。日常の買い物に便利な施設がそろい、自然も身近に感じて暮らせるうえに価格相場も安い西八王子は、穴場の駅と言えそうだ。

2位は日野駅で、価格相場は3930万円。日野市を代表する駅の一つであり、駅の約15分圏内には市役所や市立図書館、広々とした「市民の森スポーツ公園」、トレーニングジムを備えた「市民の森ふれあいスポーツホール」といった市の施設が点在している。かつては甲州街道の宿場町として栄え、駅から10分ほど歩くと都内に現存する唯一の本陣である「日野宿本陣」の見学も可能だ。また、新選組の副長・土方歳三の出身地としても知られ、「新選組のふるさと歴史館」もあるなど歴史好きにはそそられる街だろう。

日野宿本陣(写真/PIXTA)

日野宿本陣(写真/PIXTA)

日野駅前に目を向けると飲食店が並んでいるほかスーパーやドラッグストアも複数あり、日常の買い物にも困らない。駅から北へ10分ほど歩くと、のどかに流れる多摩川が見えてくる。土手には緑が茂り、西方を見ると遠くに奥多摩の山影も見える。休日にぶらりと散歩をして、自然あふれる風景を眺めつつ気分転換するのもいいだろう。

3位には、1位・西八王子駅よりも1駅東京方面にある八王子駅がランクイン。価格相場は3939万円だった。八王子市はもちろん東京多摩地域を代表する駅であり、町田・横浜方面と結ばれたJR横浜線も乗り入れている。八王子駅から徒歩5分ほどの場所には京王線・京王八王子駅もあり、駅周辺は大にぎわい。JRと京王線の駅舎ともに商業施設が入った駅ビルがあるほか、ショッピングモールをはじめとした大型商業ビルが駅前に建ち並んでいる。一方で駅前の喧騒を離れると、西八王子駅周辺から「浅川ゆったりロード」が延びる浅川や、湧水が流れる谷や森と遊具広場を備えた「小宮公園」も。都市部の便利さと多摩地域らしい自然が共存する街並みと言える。JR中央線の通勤特快の停車駅なので、新宿駅まで約40分、東京駅まで約54分で行ける点も魅力だ。

八王子駅北口(写真/PIXTA)

八王子駅北口(写真/PIXTA)

浅川ゆったりロード(写真/PIXTA)

浅川ゆったりロード(写真/PIXTA)

再開発で街が様変わりしつつある、あの駅は何位?

続いて4位以下の注目の駅も見ていこう。まずは3998万円で4位にランクインした、日野市に位置する豊田(とよだ)駅。先行して再整備された駅北側に続き、現在は駅南側で街の再整備が進行している。駅の南側を流れる浅川手前までの約87haにわたる土地の区画整理を行い、歩道の幅を広げるなどの生活主要道路の整備や、公園の整備などが行われている状況だ。

豊田駅周辺(写真/PIXTA)

豊田駅周辺(写真/PIXTA)

豊田駅南の土地区画整理事業の完了は2028年度の予定だが、すでに整然とした街並みへと変化がみられ、2023年度には南口駅前広場の本整備も予定されるなど着々と生まれ変わりつつある。現状でも駅北側に「イオンモール多摩平の森」や市立の総合病院があって暮らしやすいが、今後はより魅力的な街になると期待できそう。

もう1駅、18位にランクインした中野区の中野駅をピックアップ。中野駅は「SUUMO住みたい街ランキング2022(首都圏版)」で「住みたい街」19位、「穴場だと思う街」22位に選ばれている。価格相場は7380万円とトップ3に比べるとグッとアップ。しかし「穴場=街の利便性のよさを考えると物件価格が割安に思える」として名前が挙がるだけに、住みやすい様子。どんな街か見てみよう。

18位・中野駅はJR中央線快速の停車駅で、朝8時台はほぼ2~3分間隔で東京方面行きの快速が発車。新宿駅まで約5分、東京駅までは約19分で行くことができる。また、東京メトロ東西線の始発駅でもあり、飯田橋駅や大手町駅、葛西駅へもアクセスしやすい。駅周辺には個性的なテナントが軒を連ねる「サブカルの聖地」として知られる商業施設「中野ブロードウェイ」や、220m以上続くアーケード商店街「中野サンモール」などの商業施設が豊富で、生活する街・遊ぶ街として愛されてきた。

中野ブロードウェイ(写真/PIXTA)

中野ブロードウェイ(写真/PIXTA)

また、ここ10年ほどは働く街としての注目度も上昇。2012年に駅北西側に再開発エリア「中野四季の都市(なかのしきのまち)」が街びらきを迎え、オフィスビルの中野セントラルパークや大型公園、大学のキャンパスなどが誕生した。そして駅周辺の再開発はまだまだ進行中だ。中野四季の都市の一角では区の新庁舎が建設中で、2023年度内に完成予定。駅北側に建つ街のランドマーク「中野サンプラザ」は2023年7月に閉館の後、オフィスやホテルなどの複合施設に建て替えが予定されている。さらに駅南側でも駅前広場の整備、業務・商業・住宅の複合ビルの建設などを計画。2029年度の完了を目指す街づくり事業により、中野駅周辺は一大転換期を迎えているのだ。

中野サンプラザ周辺(写真/PIXTA)

中野サンプラザ周辺(写真/PIXTA)

さて、今回のランキングを振り返ってみると、東京駅から近い順に神田駅~代々木駅の9駅が21位~29位、新宿駅~武蔵境駅の10駅が11位~20位、東小金井駅~西八王子駅の10駅が1位~10位にランクインしている(※調査条件を満たさない東京、吉祥寺、高尾の各駅を除外)。「東京駅から遠いほど価格相場が安い」という、大方の予想を裏切らない結果と言えるだろう。

ちなみに東京駅に最も近い22位・神田駅は価格相場9140万円で、ランキング中で最も遠い1位・西八王子駅は2730万円と、その差は6410万円。しかし遠いと言っても西八王子駅~東京駅は1時間少々で、前述の通り西八王子駅周辺の生活環境も整っている。都心部への近さばかりにとらわれないほうが、自分の暮らしにあった住まいが見つかるかもしれない。

●駅順の価格一覧
※東京、吉祥寺、高尾の各駅は調査対象物件数が10件以下のためランク外

※東京、吉祥寺、高尾の各駅は調査対象物件数が10件以下のためランク外

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている中央線(東京都内)沿線の駅掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】
駅徒歩15分圏内、物件価格相場3億円以下、築年数35年未満、敷地権利は所有権のみ、専有面積50平米以上80平米未満
【データ抽出期間】2022/8~2022/10
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している

屋根の上には中央線! 高架下の学生向け賃貸「中央ラインハウス小金井」完成から2年、コロナ禍での住み心地

2020年3月、JR中央線東小金井駅から武蔵小金井駅間の高架下に建設された、学生向け賃貸住宅「中央ラインハウス小金井」。JR中央線の高架下を敷地としていること、3人の有名建築家が各棟を設計、専用カフェテリアでの食事付き、などが話題となった。現在、入居開始から3年目。コロナ禍をまともに受けつつ、どのように学生たちが過ごしているのか、お話を伺った。

中央線の高架下の有効活用が「食事付き学生専用マンション」

「入居開始後、最初の入居者は地方出身の1年生(当時)がほとんどでした。新築の「デザイナーズマンション」であることに加え、管理人がいて学生専用である安心感、朝夕の食事付きであることも親御さんからの支持が大きいです。いわゆる学生寮に比べればプライベートな居住空間はしっかり確保され、門限もない自由さもいいようです」と当物件の管理運営を担っている株式会社学生情報センター 広報室の寺田律子さん。

周辺には商店街も。そもそもここに学生向け賃貸住宅が計画されたのは、中央線の高架化に伴い生まれた土地の有効活用という観点から。多くの大学に通学できる利便性から、法政大学、東京農工大学、国際基督教大学はじめ約30校の学生が暮らしている(写真撮影/桑田瑞穂)

周辺には商店街も。そもそもここに学生向け賃貸住宅が計画されたのは、中央線の高架化に伴い生まれた土地の有効活用という観点から。多くの大学に通学できる利便性から、法政大学、東京農工大学、国際基督教大学はじめ約30校の学生が暮らしている(写真撮影/桑田瑞穂)

高架下かつ第一種低層住居専用地域で、「寄宿舎」カテゴリによる建築確認申請により建設をしているため、共同施設が必要になる。当物件には食堂があり、おのずと目玉は学生専用カフェテリアに。平日の朝と夕に、管理栄養士監修のボリューム感ある食事は「美味しい」と評判だ。さらに、専用カフェテリアが営業しない週末は自炊も。専用部分にキッチンがない学生は共用キッチンで調理をする。

メニューの一例(写真は夕食)。食事は朝食・夕食の提供で1万7600円/月(税込)。提供時間は月~金曜の7時~9時、18時~21時 (画像提供/JR中央線コミュニティデザイン)

メニューの一例(写真は夕食)。食事は朝食・夕食の提供で1万7600円/月(税込)。提供時間は月~金曜の7時~9時、18時~21時 (画像提供/JR中央線コミュニティデザイン)

外から中が見える、開放的なカフェテリアは居住する学生専用。近所の住民の方から「これは何?」と聞かれることも多いとか(写真撮影/桑田瑞穂)

外から中が見える、開放的なカフェテリアは居住する学生専用。近所の住民の方から「これは何?」と聞かれることも多いとか(写真撮影/桑田瑞穂)

高架下ということで騒音や揺れが気になるのでは、とイメージする人は多そうだが、実際はほとんど気にならない。
C棟に住むAさん(大学3年・男性)は、「むしろ、昔から鉄道が好きで、高架下のマンションということでがぜん興味を覚えました。都市学にも興味があり、こんな新しい土地活用は、恰好のネタにもなると思いました。暮らすのは一番の実践です」と話す。

棟は3通り。専用部分はミニマムに。共用スペースをシェア

実際の部屋や共用スペースを案内していただいた。
各部屋専有部は10~15平米とコンパクトだが、机やベッド、収納などが備え付けられ、洗濯機や冷蔵庫など家電も付いている(棟によって内容は異なる)。必要最低限の荷物で生活が始められるとあって、地方から上京する新1年生に人気の物件だ。

共用部を通らず入室でき、2住戸ごとにオートロックがあるなど、最も独立性の高い「C棟」(写真撮影/桑田瑞穂)

共用部を通らず入室でき、2住戸ごとにオートロックがあるなど、最も独立性の高い「C棟」(写真撮影/桑田瑞穂)

C棟の部屋は13.04~15.94平米で、ロフト、キッチン、浴室付きが最も人気が高い(写真撮影/桑田瑞穂)

C棟の部屋は13.04~15.94平米で、ロフト、キッチン、浴室付きが最も人気が高い(写真撮影/桑田瑞穂)

勉強や食事などができるコミュニティスペースを併設している「L棟」(写真撮影/桑田瑞穂)

勉強や食事などができるコミュニティスペースを併設している「L棟」(写真撮影/桑田瑞穂)

L棟の部屋は10.75~11.36平米(写真撮影/桑田瑞穂)

L棟の部屋は10.75~11.36平米(写真撮影/桑田瑞穂)

L棟にある共用キッチン(写真撮影/桑田瑞穂)

L棟にある共用キッチン(写真撮影/桑田瑞穂)

コインランドリー(写真撮影/桑田瑞穂)

コインランドリー(写真撮影/桑田瑞穂)

最も天井の高い「H棟」(10.44~11.59平米)。シャワーユニットとロフト付き。冷蔵庫付き(画像提供/JR中央線コミュニティデザイン)

最も天井の高い「H棟」(10.44~11.59平米)。シャワーユニットとロフト付き。冷蔵庫付き(画像提供/JR中央線コミュニティデザイン)

ロフトから見たH棟の部屋(画像提供/JR中央線コミュニティデザイン)

ロフトから見たH棟の部屋(画像提供/JR中央線コミュニティデザイン)

コロナ禍で交流イベントが白紙に。現在は少しずつ挑戦中

「共用部を充実させることで、付加価値を付けられたらと考えています。当初は、さまざまなイベントを提供することで、自然と交流を生み出す手伝いもできたらと考えていました」と寺田さん。というのも、多くの学生専用マンションを手掛けてきた同社は、これまでウェルカムパーティーやゲーム大会、ハロウィーンイベントなど、さまざまな仕掛けで、入居する学生たちの交流を促してきた実績があったからだ。

しかし、完成と同時にコロナ禍に。当然、さまざまなイベントは白紙になった。新入生も突如すべての授業がオンラインになるなか、実家にも帰れないという状況が続いた。前出のAさんも「最初の3カ月間は、初めての一人暮らしとコロナ禍のダブルで精神的につらかったです」と思い返す。

ただし、この学生向け賃貸住宅なら、会話を通しての交流は難しくても、同じ建物内に人がいる安心感や自分の部屋以外のスペースを使えるメリットがある。
「共用スペースで料理をしていれば、当然他の学生と同じ時間に料理したりすることがあるので、そこで会話をして顔見知りになっていくことができました」とH棟の住民の学生Sさん(大学2年・男性)

「感染状況をみながら、イベントも少しずつ再開しました。例えば、カフェテリアでスタッフが楽器を演奏するイベントなどを試みました」と当物件の事業開発主体であり、沿線のコミュニティを創発する株式会社JR中央線コミュニティデザインの山口剛さん。パーティーは無理だが、音楽を通して自然とそこに居る人たちの一体感が増す仕掛けだ。

6月にカフェテリアで行われた音楽イベント。スタッフがアコースティックギターとバイオリンを奏でて(画像提供/JR中央線コミュニティデザイン)

6月にカフェテリアで行われた音楽イベント。スタッフがアコースティックギターとバイオリンを奏でて(画像提供/JR中央線コミュニティデザイン)

学生自ら企画に参加。東京五輪の観戦イベントも

学生が自ら企画したイベントもある。前出のSさんは、東京五輪のサッカー戦をカフェテリアで一緒に観戦するイベントを担当した。

「せっかく、ただのアパートではなく学生マンションに住んでいるので、他の学生とも気軽に交流できる環境をつくりたいと思ったんです。一緒に企画したり、実際に来てくれた人と話している中で、他の大学の話を聞いたり、北から南まで出身地がバラバラで、故郷の話を聞いたり、すごく面白かったんです。もともとは部屋の美しさと食堂があったことで決めた物件ですが、いろんなバックグラウンドを持つ学生が集まっている良さを実感しました」(Bさん)

シェア工作室で地域にも開かれた場所に

そして、住人の学生だけでなく地域にも開かれた交流の場となっているのが、ナレッジルームだ。さまざまな工具、道具が用意されているため、材料を持ち込んでDIYをしたり、不用品を分解してつくるアートを楽しむこともできる。入居している学生のなかには、壊れていたものを自分で直したり、自分の部屋用にと棚や箱などぴったりサイズのものをDIYする人も。

「何をするかは自分で決める」が基本だが、小さなワークショップを開催することもある。小学生でも、初回のみ保護者の同伴が必要だが、保護者の許可があれば小学生だけで利用することも可能だ。
「ここは高架下で多くの方が“ここは何だろう”と思う場所。その注目度を活かして、学生だけでなく、地域の皆さまにも自然に交流が生まれる場所になったら理想的だなと思っています」と山口さん。

毎週月・火曜13時~18時、日曜10時~15時(不定期)にオープン。クリエイティブ・フィールドVIVISTOPを運営するVIVITA JAPAN(株)のスタッフに相談もできる(写真撮影/桑田瑞穂)

毎週月・火曜13時~18時、日曜10時~15時(不定期)にオープン。クリエイティブ・フィールドVIVISTOPを運営するVIVITA JAPAN(株)のスタッフに相談もできる(写真撮影/桑田瑞穂)

あらゆる工具のほか、ミシンやロックミシン、カッティングマシーン、シルクスクリーンなどが準備されている(写真撮影/桑田瑞穂)

あらゆる工具のほか、ミシンやロックミシン、カッティングマシーン、シルクスクリーンなどが準備されている(写真撮影/桑田瑞穂)

また、ナレッジルームで行われるイベントを学生が手伝うケースもある。
C棟に住むCさん(大学3年)は、「たまたま夏に募集があって、ヒマだったので参加しました。一般の来場者向けに、デイジーの種を空き缶で育てるプラントづくりを考案し、当日たくさんの方にレクチャーしました。緊張しましたがとても楽しくて、やってよかったですね。それきっかけで、スタッフの方と仲良くなり、たまに顔を出しています」と他にはない体験を楽しんだようだ。

正直、コロナ禍で、当初思うような交流の場が設けられていないのは事実だ。
「しかし、こちらの物件ではありませんが、オンラインを使ったe-スポーツ大会、有給のインターシップなど、新しい試みを実施しています。今後は学生さんたちもさまざまなイベントを企画する側から参加していただけたら面白いですね」(寺田さん)

できた当初は“高架下にできた学生寮”という珍しさで注目を集めた「中央ラインハウス小金井」。実は、中央線の高架化に伴い、学生向け賃貸住宅のほかにも、新たな商業施設、コワーキングスペース、保育園、クリニックなどが整備されている。つまり、駅の高架下という立地は、自然と地域住民が目にすることの多いロケーションなのだ。こうした特性を生かし、今後は、地域との交流も加速していくかもしれない。

現時点では、交流が入居の決め手になった学生はそれほど多くないが、今後は変わるかもしれない。就職活動において「自ら考え、自ら動いてきたか」を重視する傾向にある今、自分が暮らす場がその舞台になるのは絶好の機会だ。今後は「交流をしたいから」「イベントを自分で考えてみたいから」入居するという学生が増えるかもしれない。今後にも期待したい。

今回お話を伺った学生情報センター寺田律子さんと、JR中央線コミュニティデザインの山口剛さん(写真撮影/桑田瑞穂)

今回お話を伺った学生情報センター寺田律子さんと、JR中央線コミュニティデザインの山口剛さん(写真撮影/桑田瑞穂)

●取材協力
・中央ラインハウス小金井
・学生情報センター

仕事後にひとっ風呂!「小杉湯となり」で銭湯コミュニティを高円寺に

ワークスペースで根を詰めて仕事をしてから、30秒後には湯船でリフレッシュ――。そんな夢のような空間がある。舞台は若者に人気の街、東京・高円寺。昭和8年創業の人気銭湯、小杉湯の隣に誕生した「小杉湯となり」。

その狙いは? 利用料金は? 銭湯以外の売りは? ここを運営する株式会社銭湯ぐらしの代表・加藤優一さんに聞いた。
2階のワークスペースでガチの原稿を書く

小杉湯は高円寺駅北口から徒歩5分。

庚申通りを途中で左折します(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

庚申通りを途中で左折します(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

1日の平均利用客数は約300人。「終電で帰ってきた人にも利用してほしい」という思いから、営業時間は深夜1時45分までだ。

レトロな唐破風屋根が存在感を放つ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

レトロな唐破風屋根が存在感を放つ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

そして、その隣にあるのが一転モダンな外観の「小杉湯となり」。1階はカフェ、2階はワークスペース、3階は貸しスペースだ。2階の一角をちょいとお借りして、締め切りを過ぎたガチの原稿を書く。

建主は小杉湯、建築設計はT/Hが担当した(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

建主は小杉湯、建築設計はT/Hが担当した(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

2階では皆さん、黙々と仕事をしていらっしゃる。

これは……集中できるぞ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

これは……集中できるぞ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

原稿終了。合宿所のような雰囲気のおかげか、なかなかのものが出来上がった気がする。

番台の看板娘に470円を払って、いざ入浴

お次は、いよいよ銭湯タイムだ。下駄箱に靴を預けると、番台の看板娘に470円を払う。仕事道具以外は持ってきていないが、無料のレンタルタオルがあった。

「はーい、ごゆっくり」(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「はーい、ごゆっくり」(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

小杉湯には名物のミルク風呂、週替わり風呂、日替わり風呂、水風呂と温度と香りの違う4つの浴槽があり、わざわざ電車やバスに乗って遠方から訪れる客も多い。

「温冷交互浴」は小杉湯の代名詞(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「温冷交互浴」は小杉湯の代名詞(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

入浴後はロビーでくつろぐ。風呂上がりといえばビールだろう。

クラフトビールの品ぞろえがすごい……(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

クラフトビールの品ぞろえがすごい……(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

迷った末に大森山王ブルワリーの小杉湯限定ボトルにした。代表の町田佳路さんが自ら醸造している。

最高やないか……(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

最高やないか……(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

物語はここに建っていた風呂なしアパートから始まる

さて、時計の針をちょっと戻して「小杉湯となり」の話に戻す。

物語はもともとこの場所に建っていた風呂なしアパートから始まる。老朽化のために取り壊しが決まり、住民は次々に退去。それを機に「銭湯ぐらし」というプロジェクトがスタートした。

発起人は現・株式会社銭湯ぐらし代表の加藤優一さん(33歳)。あの「東京R不動産」の発起人がつくった設計事務所Open Aの社員でもあり、そこでは空き家の活用や全国の衰退したまちの再生などの仕事に携わっている。

小杉湯が好きすぎて、いまだに近所にある家賃3万円の風呂なしアパートに住んでいる(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

小杉湯が好きすぎて、いまだに近所にある家賃3万円の風呂なしアパートに住んでいる(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「取り壊しまで約1年。空き家にしておくのももったいないということで、小杉湯3代目の平松佑介さんに相談しました。最終的には、高円寺のクリエイターたちに声をかけることに。家賃0円で住める代わりに、銭湯に寄与する創作活動をしてもらうというプロジェクトを始めました」

こちらが在りし日の風呂なしアパート(写真提供/小杉湯となり)

こちらが在りし日の風呂なしアパート(写真提供/小杉湯となり)

「銭湯ぐらし」ではクリエイター同士による付かず離れずのコミュニティが生まれた。

共通点は「銭湯のある暮らし」を楽しんでいること(写真提供/小杉湯となり)

共通点は「銭湯のある暮らし」を楽しんでいること(写真提供/小杉湯となり)

コロナ禍の直前にプレオープンを果たすも……

アパート解体後も当時のメンバーらが中心になって、“銭湯込みでホッとできる開かれた場所づくり“を模索。その活動が2020年3月にプレオープンを果たした「小杉湯となり」として結実する。

1階はカフェ、2階はワークスペース、3階は貸しスペースになっている。
「スーパー銭湯はひとつの施設ですべてを完結させようとしています。でも、ここはあくまでも“拠点”。1日に1回、湯上りに小杉湯となりでリラックスしてそのあとちょっと飲みに行くとか。街に暮らすようなライフスタイルを定着させる場をつくりたいという思いがありました」

銭湯のような光が入る設計(写真提供/小杉湯となり)

銭湯のような光が入る設計(写真提供/小杉湯となり)

しかし、すぐにコロナ禍が到来。4月、5月は施設内営業をやめて、デリバリーとテイクアウトのみで対応した。

高円寺の飲食店とコラボした企画の一例(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

高円寺の飲食店とコラボした企画の一例(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

また、外出を控えている人たちのためにEC事業で「銭湯のあるくらし便」も始めた。「米ぬかやハーブなどの入浴セットで銭湯気分を味わってほしい」という試みだ。

捨ててしまう米ぬかなどを活用したお風呂のもとをお届け(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

捨ててしまう米ぬかなどを活用したお風呂のもとをお届け(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

自粛期間が終わったあとも、加藤さんはホッとできる場所をどうやって守っていくか悩んだ末、当面は会員制にして7月から再始動させることにした。月額2万円で各設備を使い放題というシステムだ(コロナが収束した後の運営方法や料金については、スタッフや会員と相談しながら決めていく予定)。

募集をかけると40名の枠はすぐに埋まった。現在は60名で運用している。1階はキッチン付きのカウンターとテーブル席、2階は畳を敷いた小上がりのワークスペース、3階はトイレ・シャワー完備の6畳間だ。

こちらは徐々に稼働を始めたころの1階の様子(写真提供/小杉湯となり)

こちらは徐々に稼働を始めたころの1階の様子(写真提供/小杉湯となり)

「最初は一人暮らしでフリーランスの人が集まるイメージ。でも、実際は夫婦ともにリモートワークになって家の中での居場所づくりが難しい方や、在宅育児等で息が詰まって気分転換をしたい女性などからも応募がありました」

男女比は半々ぐらい。純粋なコワーキングスペースというよりは、シェアキッチンでご飯をつくりに来る人や、風呂に入った後に昼寝して帰る人など、使い方は自由だ。加藤さんはここを「街の中にある、もう一つの家」と呼ぶ。

会員たちにも話を聞いてみよう。1階ではフリーランスデザイナーの男女が仕事をしていた。

スタバ感覚でコーヒーを飲みながら働いている(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

スタバ感覚でコーヒーを飲みながら働いている(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

男性(20代)が言う。

「ここを利用するのは気分転換ですね。拡張リビングというか。集中するときは2階、音を聞きながらの作業は1階と使い分けています。小杉湯ですか? 週に4、5回は入るかな。家にお風呂はありますけど(笑)」

会員の女性が手づくりのバスクチーズケーキを振る舞う

その時、キッチンから「バスクチーズケーキ食べたい人~?」という声。ほぼ全員が手を上げる。

スペインのバルが発祥のチーズケーキなんだそうですよ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

スペインのバルが発祥のチーズケーキなんだそうですよ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

彼女はイラストレーターのハラユキさんで、やはりここの会員。9月初旬から10月中旬にかけて小杉湯でスペインをテーマにしたイベントを開催するため、現地の料理を研究していた。

8月に『オラ!スペイン旅ごはん』を出版したばかり(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

8月に『オラ、スペイン旅ごはん』を出版したばかり(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

1階には駄菓子屋もあった。本当です。アルバイトのみずきさんが“経営”する「みずき屋」だ。

あ、伝説の「ペペロンチーノ」(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

あ、伝説の「ペペロンチーノ」(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「小杉湯に通っていたら、加藤さんに声をかけてもらって銭湯ぐらしに参加させてもらいました。駄菓子屋を開くのがずっと夢だったので、めっちゃ楽しい。今、大学3年生なんですが、コロナ禍で学科の実習ができないから、最近は主にここにいます(笑)」

今日は屋内のみだが、週末は軒下でマルシェを開催。ほかにもスタッフが自主開催するテイクアウトのカフェも人気だ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

今日は屋内のみだが、週末は軒下でマルシェを開催。ほかにもスタッフが自主開催するテイクアウトのカフェも人気だ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

掲示板で情報交換、ランチのおすすめマップも

さらに、屋内をもっと見て回ろう。加藤さんにあらためて案内してもらった。

掲示板では会員同士が情報交換(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

掲示板では会員同士が情報交換(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「平日ランチおすすめマップ」もうれしい(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「平日ランチおすすめマップ」もうれしい(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「2階には本棚を置きました。小杉湯関係者や高円寺の飲食店の人などが、それぞれの趣味のコーナーをつくっています」

中には銭湯ぐらしメンバーのお子さん「なっちゃん」の本棚も(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

中には銭湯ぐらしメンバーのお子さん「なっちゃん」の本棚も(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

銭湯のような“ゆるっ”としたコミュニティをつくりたい

最後に3階へ。ここは貸しスペースとして利用されている。

2階と比べて眺望が一段広がる(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

2階と比べて眺望が一段広がる(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

この辺りはそれほど高いビルがないので、抜け感が楽しめる。

「テラスにハンモックを入れたんですよ」とうれしそうな加藤さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「テラスにハンモックを入れたんですよ」とうれしそうな加藤さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

小杉湯の屋根越しに高円寺駅方面を望む(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

小杉湯の屋根越しに高円寺駅方面を望む(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「まずは会員制にして利用者にとって安心安全な場所をつくる。コロナが終息したら、どのように高円寺というまちに開いていくかをみんなで考えたいと思います」

芝生の養生が済んだら多目的に使える中庭(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

芝生の養生が済んだら多目的に使える中庭(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

小杉湯に入って印象的だったのは、脱衣場でも、洗い場でも、そして浴槽でも、利用客同士が細やかな互いへの気遣いを見せていたこと。銭湯は年代を超えた人々が集まる学校のようなものなのかもしれない。

「そうなんですよ。銭湯は顔は見たことがあるけど名前は知らないという関係性がある場所。あれぐらいの距離感を目指して、“ゆるっ”としたつながりのある場所をつくりたいです」

ほどよい距離感が心地いい。しかも、すぐ隣に皆さんが大好きな銭湯。芝生の養生が終わるころには“いつもの日々”が戻っていてくれますように。

●取材協力
小杉湯
小杉湯となり

JR中央線・快速停車24駅の家賃相場が安い駅ランキング 2020年版

「SUUMO住みたい街ランキング2020 関東版」の「住みたい沿線ランキング」で4位に入った、通称JR中央線。長野を通り愛知まで続く東西に長い中央本線のうち、東京都内は東京駅から高尾駅までの32駅。そのうち、「快速」が停車する24駅を今回は調査した。ワンルーム・1K・1DKの物件を対象にした、最新の家賃相場ランキングを発表! 人気路線沿いの街の特徴を紹介する。●JR中央線・快速停車24駅の家賃相場が安い駅ランキング
順位/駅名/家賃相場/駅の所在地
1位 西八王子 4.60万円(八王子市)
2位 高尾 4.85万円(八王子市)
3位 日野 5.50万円(野市)
4位 国立 5.60万円(国立市)
4位 西国分寺 5.60万円(国分寺市)
6位 八王子 6.10万円(八王子市)
6位 国分寺 6.10万円(国分寺市) 
6位 東小金井 6.10万円(小金井市)
9位 武蔵小金井 6.30万円(小金井市)
9位 豊田 6.30万円(日野市)
11位 武蔵境 6.80万円(武蔵野市)
12位 立川 7.10万円(立川市)
13位 三鷹 7.30万円(三鷹市)
14位 西荻窪 7.50万円(杉並区)
15位 吉祥寺 7.60万円(武蔵野市)
15位 阿佐ヶ谷 7.60万円(杉並区)
17位 荻窪 7.80万円(杉並区)
17位 高円寺 7.80万円(杉並区)
19位 中野 8.10万円(中野区)
20位 東京 11.58万円(千代田区)
21位 神田 11.80万円(千代田区)
22位 御茶ノ水 11.90万円(千代田区)
23位 新宿 12.15万円(新宿区)
24位 四ツ谷 12.50万円(新宿区)

製造業が盛んでありながら自然も豊か、家庭を持っても住み続けたい街

ランキング1位と2位は、ともに八王子市に所在する西八王子駅と高尾駅。高尾駅は通勤特快、西八王子駅は中央特快も利用できる。八王子市は、人口約56万人。東京都の市部では最大で、同市を中心とする広域多摩地域は、工業出荷額がシリコンバレーの2倍といわれ、製造業が盛ん。大手企業の研究所や大学などの研究機関も多い一方、人気観光地の高尾山に知られるように自然が豊かに残る。また地盤の強固な地域でもある。付近に勤務するビジネスパーソンにとって豊かな環境は、家庭を持ってもそのまま住み続けたい場所ともいえそうだ。

高尾駅(写真/PIXTA)

高尾駅(写真/PIXTA)

6位の八王子駅は、そんな八王子市のターミナル駅。JR八高線や、神奈川県方面へ向かうJR横浜線・根岸線のほか、八王子駅から徒歩約5分のところには京王線の京王八王子駅があり、こちらも利用できる。

駅前は南口に直結する「八王子オーパ」などの商業施設が充実している。また駅に隣接した東京都立産業技術研究センター八王子支所跡地では、再開発が進行中。産業交流拠点が2021年に完成予定だ。街並みが美しくなるとともに、地域の企業の取り組みに身近に触れることで、自分の住む街への愛着が増すかもしれない。

始発設定で座って通える! 公私ともに充実の生活を豊田駅北口(写真/PIXTA)

豊田駅北口(写真/PIXTA)

同率9位の豊田駅は、東京方面への始発になる列車がある。通勤や通学時の混雑する時間帯でも座って通うことができるのは大きな利点だろう。駅近くにはスターバックスやスポーツジムなども入っている商業施設「イオンモール多摩平の森」などがあり、日常の買い物にも便利だ。

駅が所在する日野市に本社をおくGEヘルスケア・ジャパンなど周辺には大きな企業も多い。一方で、多摩川などの自然も多く、落ち着いた雰囲気の街でもある。市と教育協会が運営する「ひの社会教育センター」では、子どもだけでなく大人も、そんな自然環境を存分に満喫できる野外体験活動なども行っている。公私ともに充実した生活を過ごせる地域なのかもしれない。

住みたい街ランキング常連がずらり。市民が温かみを感じられる街

13位以下は、「住みたい街ランキング」上位常連の街が並ぶ。その13位にランキングしている三鷹駅は、駅の南口は三鷹市、北口側は武蔵野市と自治体が異なっているユニークな立地。JR総武線や東京メトロ東西線も始発として乗り入れており、交通アクセスの良さは抜群。熱狂的ファンの多いスタジオジブリの「三鷹の森ジブリ美術館」が有名だ。

駅前の中央通りでは、夏の阿波おどりなどの大規模企画や、歩行者天国や手づくり品を売る「M-マルシェ」など、市民が温かみを感じることができるイベントが定期的に開かれている。一方、自然が豊かで街並みも閑静な雰囲気。周辺には、農業を営む人も多く、新鮮な野菜がお手ごろに手に入る直売所を見かけることも。暮らしにこだわる層にとっては、きっとその期待を裏切らない街だろう。
17位の高円寺は、特に若者からの人気も高い街。個性的な店構えや品ぞろえの古着屋の充実ぶりは有名だ。また、おしゃれな飲食店やライブハウスなどが非常に多く、デートや散策として遊びにくる街としても親しまれている。

高円寺純情商店街(写真/PIXTA)

高円寺純情商店街(写真/PIXTA)

そんな普段使いではない“尖った”お店が目立つと、住むのはいかがなものか、と思いがちだが、高円寺は昔ながらの情緒が残る商店街が充実した街でもある。戦前からある「高円寺純情商店街」や、南口から直結するアーケード街「パル商店街」、古着屋が並ぶ「ルック商店街」などのほかにも、ディープな店の連なりがあちこちにある。また、安売りの小売店やスーパーも充実しており、日常の買い物にはむしろお得、という面もある。

中央線沿線はいずれも個性的な街ぞろい。どこに住んでも楽しい日々を送れそうだが、だからこそ、自分が住居を決める際になにを重視しているのかが、より明確になりそうだ。自分が生活の上で求めているものが何か。中央線の駅にあてはめてみると、それが見つかるかもしれない。

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている中央線沿線の快速停車駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DKの物件(住戸名寄せあり、定期借家を除く)
【データ抽出期間】2020/2~2020/4
【家賃の算出⽅法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む⽉額賃料から中央値を算出
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載しています

JR中央線・快速停車駅の中古マンション価格相場が安い駅ランキング 2020年版

東京駅と高尾駅を約1時間10分で結ぶJR中央線快速。全24駅の停車駅のうち半数以上は八王子市や立川市といった東京都の市部に位置しており、都心と多摩地域をつなぐ大動脈として通勤・通学に多くの人が利用している。そんなJR中央線快速が停車する駅の価格相場を調査! 駅から徒歩約15分圏内にある、専有面積50平米以上~80平米未満の中古マンションの価格相場が安い駅を見ていこう。●JR中央線・快速停車駅の価格相場が安い駅ランキング
順位/駅名/価格相場(所在地)
1位 西八王子 1940万円(東京都八王子市)
2位 日野 2680万円(東京都日野市)
3位 八王子 2980万円(東京都八王子市)
4位 豊田 3435万円(東京都日野市)
5位 西国分寺 3599万円(東京都国分寺市)
6位 東小金井 3780万円(東京都小金井市)
6位 立川 3780万円(東京都立川市)
8位 国立 3989万円(東京都国立市)
9位 武蔵小金井 4290万円(東京都小金井市)
10位 武蔵境 4365万円(東京都武蔵野市)
11位 国分寺 4490万円(東京都国分寺市)
12位 高円寺 4830万円(東京都杉並区)
13位 荻窪 5480万円(東京都杉並区)
14位 三鷹 5580万円(東京都三鷹市)
15位 西荻窪 5690万円(東京都杉並区)
16位 阿佐ヶ谷 5880万円(東京都杉並区)
17位 中野 5980万円(東京都中野区)
18位 吉祥寺 5999万円(東京都武蔵野市)
19位 新宿 6535万円(東京都新宿区)
20位 御茶ノ水 6605万円(東京都千代田区)
21位 四ツ谷 8990万円(東京都新宿区)
※高尾駅、神田駅、東京駅は平均値を算出するための対象物件数に満たないため除外

1位・西八王子駅は、隣の駅よりも1000万円以上も価格相場が安い穴場

JR中央線快速が停車する24駅のうち、最も中古マンションの価格相場が安かったのは西八王子駅。価格相場は唯一の1000万円台で1940万円、2位より740万円も低かった。西八王子駅が位置するのは、JR中央線快速の終点である高尾駅(※調査条件を満たさずランク外)と3位・八王子駅の間。距離的にはさほど離れていない八王子駅と比べ、1000万円以上も価格相場が低いというのは驚きだ。

西八王子駅の北口側には駅ビル「セレオ西八王子」があり、食料品を扱う「市場館」とドラッグストアや飲食店などをテナントにした「生活館」が並んでいる。駅ビルを横目に東へ進むとスーパーもあり、日々の買い物は北口側でこと足りそう。南口側にはバスやタクシーが停車するロータリーを囲んで飲食店やコンビニ、保育園が並び、その先には住宅街が広がっている。

西八王子駅(写真/PIXTA)

西八王子駅(写真/PIXTA)

東京駅~高尾駅間の9駅にのみ停車するJR中央線の通勤特快の停車駅でもある3位・八王子駅に比べると、西八王子駅は都心へのアクセスに少々時間はかかる。とは言え、急ぐなら八王子駅で快速から通勤特快に乗り換える手もある。そう考えると、価格相場が八王子駅よりも1000万円も低い西八王子駅は、穴場と言えるかもしれない。

2位は日野駅で価格相場は2680万円。入母屋屋根をいただく民芸調の駅舎が特徴的で、1890年に開業してから今年で130周年を迎えた歴史ある駅だ。日野駅周辺はかつて甲州街道の宿場町・日野宿として栄えた街であり、新選組の副長・土方歳三や六番隊組長・井上源三郎の出身地でもある。現在も本陣の建物が残されていたり郷土資料館や新選組関連の資料館があったりと、歴史好きには興味深い街並みだろう。

日野駅周辺には飲食店や個人商店があるほか、スーパーも点在している。駅から北へ10分ほど歩くと多摩川が流れており、草地が広がる川辺をのんびり散歩しても気持ちよさそうだ。

4位には、2位・日野駅から高尾方面に1駅進んだ豊田(とよだ)駅がランクイン。豊田駅の価格相場は日野駅から755万円アップの3435万円、と両駅は近接しているわりに価格相場の開きは大きい結果となった。豊田駅の北口を出て5分ほど歩くと、2014年に開業した「イオンモール多摩平の森」に到着。スーパーの「イオン」をはじめ約110の専門店があり、ここに来れば家電からファッション、雑貨にグルメまで、暮らしに必要なショッピングが網羅できるだろう。

豊田駅周辺の街並みはというと、整備された街路樹が並んでおり、北口から徒歩約10分のところには湧水の川で水遊びができる「黒川清流公園」がある。南口から10分ほど歩けば浅川の河川敷が広がり、自然を身近に感じながら暮らせる環境だ。市立の幼稚園や小中学校、総合病院もあり、子育て世代が暮らす街としてもよさそうだ。

黒川清流公園(写真/PIXTA)

黒川清流公園(写真/PIXTA)

同じ路線なのに沿線の価格相場には7050万円もの開きがある結果に!

ランキングの11位までは東京都の市部、23区外にある駅が占めていた。23区内の駅で中古マンションの価格相場が最も安かったのは、12位にランクインした杉並区の高円寺駅。23区内の駅の中では安いとはいえ価格相場は1位・西八王子駅の2.5倍弱、4830万円だった。

高円寺駅周辺には北口に「高円寺純情商店街」、南口には「高円寺パル商店街」や「ルック商店街」、と大小の商店街が広がっていて活気がある。食料品や日用品のお店だけではなく、人気の飲食店や洋菓子店、古着や雑貨の店など商店の顔ぶれも多彩で、休日にぶらぶらと出歩くのが楽しい街並みだ。

高円寺純情商店街(写真/PIXTA)

高円寺純情商店街(写真/PIXTA)

12位以下は23区内の駅ばかりというわけではなく、14位には三鷹市の三鷹駅がランクイン。価格相場は5580万円だった。駅には駅ナカ商業施設「アトレヴィ三鷹」が併設されており、改札内外のビル1階~5階にかけてスーパーや飲食店、雑貨店などが並んでいる。駅周辺にも多彩な商業施設やスーパー、銀行、芸術劇場などが建ち並び、活気がある街並みだ。南口から徒歩15分ほどで「三鷹の森ジブリ美術館」や「井の頭恩賜公園」に行くこともでき、休日も近場で楽しく過ごせそう。

さてランキングを見ると、多少の入れ替わりはありつつも東京駅に近づくほど価格相場が上がっていくことが見て取れる。しかし18位・吉祥寺駅は、東京駅により近い荻窪駅や阿佐ヶ谷駅、中野駅を追い抜いて高い価格相場を記録。その額は5999万円。吉祥寺駅はリクルート住まいカンパニーが調査した「住みたい街ランキング2020関東版」では3位に輝いた人気の街だけあり、中古マンションの価格も高めになっているようだ。

多くの人を惹きつける吉祥寺の街の魅力はさまざま。大型商業施設が充実しているうえに庶民的な商店街もあり、その一方で駅から5分ほど歩けば「井の頭恩賜公園」があって豊かな緑を楽しむこともできる。また、JR線に加えて京王井の頭線も通っており、渋谷駅にも1本で行ける点も魅力だろう。

井の頭恩賜公園(写真/PIXTA)

井の頭恩賜公園(写真/PIXTA)

さて今回の調査では、高尾駅、神田駅、東京駅は調査対象となる物件数が条件に満たなかったためランキングから除外した。残る21駅中で価格相場が最も高かったのは、新宿区に位置する四ツ谷駅で8990万円! これは1位・西八王子駅だったら、中古マンションを4戸購入しても1000万円以上おつりがくる金額だ。東京駅~高尾駅間の営業キロは53.1kmあり、都心部から東京西部の多摩地域まで駅のロケーションも様変わりしていく。そのため価格相場も1位と21位で7050万円もの開きがあったのだろう。

通勤や通学で都心の駅を利用する場合、住む場所も都心部のほうが交通面で便利ではある。だが今回の調査からも分かるとおり、都心に行くほど物件の価格相場はアップする。多少の金額アップならともかく、7050万円も高くなると言われると「果たしてそれでも都心部に住むほうがいいのか?」と悩ましい。ならばJR中央線快速のように都心まで1本で行ける路線をまずは選び、沿線の価格相場と懐具合を相談しながら住む街を決める方法もアリだろう。

●調査概要
【調査対象駅】JR中央線沿線の快速停車駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分圏内、築年数35年未満、専有面積50平米以上、80平米未満、物件価格相場3億円以下、敷地権利は所有権のみ
【データ抽出期間】2020/2~2020/4
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している

都内の中央線の駅、家賃相場が安い駅はどこ? 家賃相場全駅ランキング

人気の街や路線は数多くあれど、人気に比例して家賃は高くなるものだ。沿線内でどの駅がお手ごろなのか、お目当ての駅の周辺地域で価格がどう変わるかは部屋探しの際、必ずポイントになる。そこで、SUUMO「関東 住みたい街ランキング2019」で上位の街を多く有し「2019年の住みたい沿線ランキング関東版」でも4位のJR中央線を分析。ワンルーム・1K・1DKの物件を対象にした最新の家賃相場ランキングから、人気の街の実態を確認してみた。順位/駅名/家賃相場/駅の所在地
1位 西八王子 4.70万円 八王子市 
1位 高尾 4.70万円 八王子市
3位 日野 5.30万円 日野市
4位 国立 5.60万円 国立市
5位 西国分寺5.70万円 国分寺市 
6位 国分寺 6.00万円 国分寺市 
7位 八王子 6.10万円 八王子市
8位 東小金井 6.40万円 小金井市
9位 武蔵小金井 6.50万円 小金井市
10位 立川 6.70万円 立川市 
11位 武蔵境 6.80万円 武蔵野市
12位 豊田 6.85万円 日野市
13位 三鷹 7.00万円 三鷹市
14位 吉祥寺 7.40万円 武蔵野市
14位 西荻窪 7.40万円 杉並区
16位 阿佐ヶ谷 7.50万円 杉並区
16位 高円寺 7.50万円 杉並区
18位 中野 7.80万円 中野区
18位 荻窪 7.80万円 杉並区
20位 東中野 8.10万円 中野区
21位 大久保 8.80万円 新宿区
22位 水道橋 10.93万円 千代田区
23位 市ヶ谷 11.00万円 千代田区
23位 御茶ノ水 11.00万円 千代田区 
25位 四ツ谷 11.10万円 新宿区
26位 新宿 11.11万円 新宿区 
27位 信濃町 11.38万円 新宿区
28位 東京 11.40万円 千代田区
29位 代々木 11.50万円 渋谷区
30位 神田 12.10万円 千代田区 
31位 飯田橋 12.20万円 千代田区 
32位 千駄ヶ谷 12.30万円 渋谷区

住みたい街ランキング常連の街、にぎやかさか閑静さか

東西に長いJR中央線、正式名称中央本線のうち、東京都内に当たるのは東京駅から八王子市にある高尾駅まで。本記事で取り上げるのはこの区間にある32駅が対象だ。

1位は、八王子市が所在地の西八王子駅と高尾駅。東京駅からの所要時間は1時間を超えてしまうが、高尾駅は通勤特快などの各快速列車、西八王子は快速と中央特快が利用できる。都心への出社に少し時間はかかってしまうが、高尾駅は始発のため、車内は座って通勤できるのはメリットだ。ともに都内ではあるが、緑が豊かに残る街。郊外でののんびりした子育てと都心での勤務を両立させられるため、特にファミリー層は選択肢に入れたい地域だ。

中央線沿線でSUUMOで発表している「関東 住みたい街ランキング2019」でトップなのは、吉祥寺駅だ。2019年度版では3位だが、17年には1位にも輝いている同駅は、家賃ランキングでは西荻窪と同率の14位。通勤快速と快速などの停車駅で、JR中央線以外にも京王井の頭線と、中野駅から直通する東京メトロ東西線も利用でき、交通の利便性も抜群だ。

界隈はパルコやロフトなど大きな商業施設が多く、オシャレなお店にも事欠かない。一方で、駅北側には戦後の闇市から続くディープな飲食店街「ハモニカ横丁(ハーモニカ横丁)」や、初心者からコアなファンまで喜ばせる上演ラインナップの「吉祥寺シアター」もあり、年齢を問わず魅力的な街なのはよく知られている。シングルからファミリー層までどんな世帯でも満足させる街だが、あえて言うなら、遊びに来ても楽しい場所だけに常に街に多くの人があふれていることが気になる点だろうか。

吉祥寺駅の隣駅、三鷹駅も、住みたい街ランキングの上位常連だ。2019版の同ランキングでは16位で、本記事のランキングでは家賃も吉祥寺駅よりも少しお手ごろな13位。JR総武線も利用でき、東京メトロ東西線も乗り入れている。どちらも三鷹駅が始発のため、乗車時に座れる可能性が高いのはうれしいところだ。駅の所在地は三鷹市だが、駅の南口は三鷹市、北口側は武蔵野市と自治体が異なる。

三鷹の森ジブリ美術館があることで有名な街だが、同じく人気エリアである吉祥寺と比べると閑静で、その分ファミリー向けの印象。井の頭恩賜公園など大きな公園があるのは吉祥寺だが、三鷹駅南口からはその井の頭恩賜公園へ向かう川沿いの遊歩道が整備されている。

井の頭恩賜公園(写真/PIXTA)

井の頭恩賜公園(写真/PIXTA)

日常生活の買い物先になるスーパーや商店街なども充実しており、自然が多く残り、葉物野菜などをつくる農家も多く存在。そのため、直売所が街のあちこちにあり、新鮮な野菜を入手しやすいことも、食にこだわりたい世帯には大きなポイントだろう。

18位の中野駅は、中央特快や通勤快速などの停車駅。同率で18位の荻窪駅や、同じ中野区の東中野駅が20位のことを考えると、交通コスパが良いのは中野といえるだろう。

再開発進み、リノベ物件も充実

中野駅は漫画などのサブカルチャーの集積地である「中野ブロードウェイ」や、コンサートが行われる「中野サンプラザ」といった商業施設のイメージが強いが、北口にある大きな商店街「中野サンモール商店街」など、日常の買い物を安く済ませられる場所にも恵まれた下町の面も持ち合わせている。オシャレで手軽な価格の飲食店も充実している。

中野サンモール商店街(写真/PIXTA)

中野サンモール商店街(写真/PIXTA)

近年は再開発が進み、警察大学校の跡地に明治大学などの新キャンパスが開校。オシャレなライトアップが売り物の公園としても整備されている。その影響か、単身者向けの古い物件がリノベーションされて賃貸に出されるケースも増えており、特に女性にとっては目移りしてうれしい悩み、となりそうだ。

人気のある路線は、それだけの理由がある。率直にいってしまえば、沿線中のどの駅を選んでも、過ごしやすさと楽しさを満喫できそうだ。その中でどうやって部屋を選ぶかで、生活や人生の中で重視するものが可視化されそうなのも、部屋探しの大きな楽しみのひとつだろう。

●調査概要
【調査対象駅】中央線の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2019/2~2019/4
【家賃の算出⽅法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む⽉額賃料から中央値を算出(3万円~18万円で設定)
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している

東京都内の中央線の駅、家賃相場が安い駅ランキング 2019年

人気の街や路線は数多くあれど、人気に比例して家賃は高くなるものだ。沿線内でどの駅がお手ごろなのか、お目当ての駅の周辺地域で価格がどう変わるかは部屋探しの際、必ずポイントになる。そこで、SUUMO「関東 住みたい街ランキング2019」で上位の街を多く有し「2019年の住みたい沿線ランキング関東版」でも4位のJR中央線を分析。ワンルーム・1K・1DKの物件を対象にした最新の家賃相場ランキングから、人気の街の実態を確認してみた。順位/駅名/家賃相場/駅の所在地
1位 西八王子 4.70万円 八王子市 
1位 高尾 4.70万円 八王子市
3位 日野 5.30万円 日野市
4位 国立 5.60万円 国立市
5位 西国分寺5.70万円 国分寺市 
6位 国分寺 6.00万円 国分寺市 
7位 八王子 6.10万円 八王子市
8位 東小金井 6.40万円 小金井市
9位 武蔵小金井 6.50万円 小金井市
10位 立川 6.70万円 立川市 
11位 武蔵境 6.80万円 武蔵野市
12位 豊田 6.85万円 日野市
13位 三鷹 7.00万円 三鷹市
14位 吉祥寺 7.40万円 武蔵野市
14位 西荻窪 7.40万円 杉並区
16位 阿佐ヶ谷 7.50万円 杉並区
16位 高円寺 7.50万円 杉並区
18位 中野 7.80万円 中野区
18位 荻窪 7.80万円 杉並区
20位 東中野 8.10万円 中野区
21位 大久保 8.80万円 新宿区
22位 水道橋 10.93万円 千代田区
23位 市ヶ谷 11.00万円 千代田区
23位 御茶ノ水 11.00万円 千代田区 
25位 四ツ谷 11.10万円 新宿区
26位 新宿 11.11万円 新宿区 
27位 信濃町 11.38万円 新宿区
28位 東京 11.40万円 千代田区
29位 代々木 11.50万円 渋谷区
30位 神田 12.10万円 千代田区 
31位 飯田橋 12.20万円 千代田区 
32位 千駄ヶ谷 12.30万円 渋谷区

住みたい街ランキング常連の街、にぎやかさか閑静さか

東西に長いJR中央線、正式名称中央本線のうち、東京都内に当たるのは東京駅から八王子市にある高尾駅まで。本記事で取り上げるのはこの区間にある32駅が対象だ。

1位は、八王子市が所在地の西八王子駅と高尾駅。東京駅からの所要時間は1時間を超えてしまうが、高尾駅は通勤特快などの各快速列車、西八王子は快速と中央特快が利用できる。都心への出社に少し時間はかかってしまうが、高尾駅は始発のため、車内は座って通勤できるのはメリットだ。ともに都内ではあるが、緑が豊かに残る街。郊外でののんびりした子育てと都心での勤務を両立させられるため、特にファミリー層は選択肢に入れたい地域だ。

中央線沿線でSUUMOで発表している「関東 住みたい街ランキング2019」でトップなのは、吉祥寺駅だ。2019年度版では3位だが、17年には1位にも輝いている同駅は、家賃ランキングでは西荻窪と同率の14位。通勤快速と快速などの停車駅で、JR中央線以外にも京王井の頭線と、中野駅から直通する東京メトロ東西線も利用でき、交通の利便性も抜群だ。

界隈はパルコやロフトなど大きな商業施設が多く、オシャレなお店にも事欠かない。一方で、駅北側には戦後の闇市から続くディープな飲食店街「ハモニカ横丁(ハーモニカ横丁)」や、初心者からコアなファンまで喜ばせる上演ラインナップの「吉祥寺シアター」もあり、年齢を問わず魅力的な街なのはよく知られている。シングルからファミリー層までどんな世帯でも満足させる街だが、あえて言うなら、遊びに来ても楽しい場所だけに常に街に多くの人があふれていることが気になる点だろうか。

吉祥寺駅の隣駅、三鷹駅も、住みたい街ランキングの上位常連だ。2019版の同ランキングでは16位で、本記事のランキングでは家賃も吉祥寺駅よりも少しお手ごろな13位。JR総武線も利用でき、東京メトロ東西線も乗り入れている。どちらも三鷹駅が始発のため、乗車時に座れる可能性が高いのはうれしいところだ。駅の所在地は三鷹市だが、駅の南口は三鷹市、北口側は武蔵野市と自治体が異なる。

三鷹の森ジブリ美術館があることで有名な街だが、同じく人気エリアである吉祥寺と比べると閑静で、その分ファミリー向けの印象。井の頭恩賜公園など大きな公園があるのは吉祥寺だが、三鷹駅南口からはその井の頭恩賜公園へ向かう川沿いの遊歩道が整備されている。

井の頭恩賜公園(写真/PIXTA)

井の頭恩賜公園(写真/PIXTA)

日常生活の買い物先になるスーパーや商店街なども充実しており、自然が多く残り、葉物野菜などをつくる農家も多く存在。そのため、直売所が街のあちこちにあり、新鮮な野菜を入手しやすいことも、食にこだわりたい世帯には大きなポイントだろう。

18位の中野駅は、中央特快や通勤快速などの停車駅。同率で18位の荻窪駅や、同じ中野区の東中野駅が20位のことを考えると、交通コスパが良いのは中野といえるだろう。

再開発進み、リノベ物件も充実

中野駅は漫画などのサブカルチャーの集積地である「中野ブロードウェイ」や、コンサートが行われる「中野サンプラザ」といった商業施設のイメージが強いが、北口にある大きな商店街「中野サンモール商店街」など、日常の買い物を安く済ませられる場所にも恵まれた下町の面も持ち合わせている。オシャレで手軽な価格の飲食店も充実している。

中野サンモール商店街(写真/PIXTA)

中野サンモール商店街(写真/PIXTA)

近年は再開発が進み、警察大学校の跡地に明治大学などの新キャンパスが開校。オシャレなライトアップが売り物の公園としても整備されている。その影響か、単身者向けの古い物件がリノベーションされて賃貸に出されるケースも増えており、特に女性にとっては目移りしてうれしい悩み、となりそうだ。

人気のある路線は、それだけの理由がある。率直にいってしまえば、沿線中のどの駅を選んでも、過ごしやすさと楽しさを満喫できそうだ。その中でどうやって部屋を選ぶかで、生活や人生の中で重視するものが可視化されそうなのも、部屋探しの大きな楽しみのひとつだろう。

●調査概要
【調査対象駅】中央線の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2019/2~2019/4
【家賃の算出⽅法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む⽉額賃料から中央値を算出(3万円~18万円で設定)
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している