キャンピングカーをリノベで「動く別荘」に! 週末バンライフで暮らしながら家族と九州の絶景めぐり

キャンピングカー、バンライフなど、車と住まいが一体化したライフスタイルが注目を集めています。そんなトレンドの影響もあってか、リノベーションオブ・ザ・イヤー2023で特別賞を受賞したのがキャンピングカーをリノベした「動く家」です。キャンピングカーをリノベしたら、一体どのような住まいになったのでしょうか。施主と設計を担当した建築士に話を聞いてみました。

中古のキャンピングカーをリノベしてできた「動く家」

今回の「動く家」プロジェクトの施主・川原一弘さんは、サーフィンやキャンプを趣味としていて、もともとハイエースを所有していました。ただ、コロナ禍もあって自由に移動できず不便さを感じていたため、別荘またはハイエースへの買い替えを検討していましたが、偶然、中古のキャンピングカーを発見しました。

もともと、熊本を中心にリノベーションや店舗デザインなどを幅広く手掛けていた会社ASTERの社名を知っていた川原さんは、すぐに会社宛にメールを送り、相談したといいます。

「状態のいいキャンピングカーがあるのですが、これをリノベできますか」。すると、わずか10分後にメールで「できますよ!」と即答が。このレスポンスに後押しされ、キャンピングカーを購入したのです。2022年3月3日のことでした。

30年前に製造されたキャンピングカー。横顔がりりしい!(写真提供/ASTER中川さん)

30年前に製造されたキャンピングカー。横顔がりりしい!(写真提供/ASTER中川さん)

車は1993年製造、建物でいうと築30年、広さは8平米のワンルーム。キッチン・バス・トイレと運転席がついていて、昨今、都心部で話題になっている「激狭ワンルーム」と同程度といってもいいかもしれません。

「せっかくのキャンピングカーなので、単なる改装で終わらせるのは惜しいと思いました。居住性を高めて『動く家』にするのはどうだろう、という案を川原さんに提案したところ『よいですね』と話がまとまりました。キッチン・トイレ・シャワーは十分に動くためそのままで、位置などの変更も行っていません」と話すのは、設計を担当したASTERの中川正太郎さん。

既存の駆体のギミック、良さは残しつつ、価値を高めるのは「リノベ」の得意とするところです。車の改装では終わらせずに「家」「別荘」のように使える空間をつくる、そんなプランニングが固まりました。

居住性を高めるのは素材感。住宅用の無垢材、家具屋のソファを採用

「動く家」にするということは、すなわち「居住性を高める」こと。そのため、プランニングでは手触り、心地よさなど素材感を活かすことにしようと思い至ったといいます。

リノベ前の写真。これはこれで味があります(写真提供/ASTER中川さん)

リノベ前の写真。これはこれで味があります(写真提供/ASTER中川さん)

リノベ前の写真。室内から運転席を見たところ(写真提供/ASTER中川さん)

リノベ前の写真。室内から運転席を見たところ(写真提供/ASTER中川さん)

「内装の雰囲気の参考にするため、キャンピングカーショーを訪れるなどし、かなりの数のキャンピングカーを見学しました。そのなかで気がついたのは、家らしさというのは、やはり素材ということ。自動車改装用パーツで木っぽい見た目にするのは容易ですが、やっぱりどこか工業用部品なんです。ですから、今回は住宅用の建材を使おうと。床や壁にはたくさん木材を使っていますが、突板(スライスした天然木をシート状にして加工したもの)を貼っていますし、塗装も住宅用、照明はダウンライトです。ソファなども車用ではなくて家具屋さんに依頼しました」と中川さん。

ソファベッドは折りたたみ式で、ベッドのように広げたところ。間接照明がおしゃれ(写真提供/ASTER中川さん)

ソファベッドは折りたたみ式で、ベッドのように広げたところ。間接照明がおしゃれ(写真提供/ASTER中川さん)

ソファベッドをソファとテーブルを囲む椅子にした状態(左)とベッドにした状態(右)の間取図。バス・キッチン・トイレ。動線も考えられた、まさに家(写真提供/ASTER中川さん)

ソファベッドをソファとテーブルを囲む椅子にした状態(左)とベッドにした状態(右)の間取図。バス・キッチン・トイレ。動線も考えられた、まさに家(写真提供/ASTER中川さん)

狭い空間だからこそ、目に入るもの、手や足で触れるものの素材感が大事というのは、わかる気がします。また、空間がコンパクトになることから、省スペースで小さく作られていることが多い船舶用パーツを採用したとか。

「施工に関しては、普通の住宅のリノベとほぼ同様の工程です。残せる部分は残しつつ、施工する床やソファなど既存のものは剥がしています。床はヘリンボーン(角が90度になっている貼り方)なので、座席と接する面など、細かな部分は職人さんも苦労したと思います」(中川さん)

床のヘリンボーンを貼っているところ。車だと思えないですね(写真提供/ASTER中川さん)

床のヘリンボーンを貼っているところ。車だと思えないですね(写真提供/ASTER中川さん)

こうしてみると手仕事でできているのがわかります(写真提供/ASTER中川さん)

こうしてみると手仕事でできているのがわかります(写真提供/ASTER中川さん)

施工にかかったのは約1カ月半、費用は130万円ほど。通常、リノベーションでは職人さんが現地に赴いて作業を行いますが、そこは車なので、なんと職人さんの庭に移動してきて作業をしたそう。大工さんも家ではなく車に施工するとは、きっと貴重な機会になったことでしょう。

車内に船舶用の照明を採用するなど、狭くても快適に暮らせる工夫が凝縮(写真提供/ASTER中川さん)

車内に船舶用の照明を採用するなど、狭くても快適に暮らせる工夫が凝縮(写真提供/ASTER中川さん)

窓の景色が移ろう、動く城のような最強の可動産が完成!

完成した住まいは、常に移動して窓から景色が動いていく「動く城」のよう。出来上がりについて施主の川原さんは、「最強の可動産ができた!」と表現します。

この車からの眺め、そのままロードムービーに使えそう(写真提供/ASTER中川さん)

この車からの眺め、そのままロードムービーに使えそう(写真提供/ASTER中川さん)

「動線がスムーズなので、寝る、着替える、くつろぐ、収納からモノを出す、といった行動が家と同じ感覚でできています。目的地についてもキャンプ設営は不要ですし、着替えやシャワー、トイレの場所を探すといった行動にストレスがなく、滞在時間を思う存分、アクティビティに使えます。運転席にロールスクリーンがあるので、下ろして映画を見たりもしています。2人の子どもたちはゲームをしたり、家となんら変わらないくつろぎ方をしていますね。窓から景色がキレイなんですけど、まったく見ていないという……」(川原さん)

キッチンでコーヒーを淹れるだけで、至福のひととき(写真提供/ASTER 中川さん)

キッチンでコーヒーを淹れるだけで、至福のひととき(写真提供/ASTER 中川さん)

ロールスクリーンを下ろしてゲーム中。川原家のお子さんになりたい(写真提供/川原さん)

ロールスクリーンを下ろしてゲーム中。川原家のお子さんになりたい(写真提供/川原さん)

こうして動く城に家族を乗せて、サーフィンや釣り、キャンプに行ったり、初日の出を屋根の上で見たりと、すっかり家族の居場所になっているといいます。ご近所にも評判で、同級生が内見(?)するということも多いとか。

生活に必要なインフラでいうと、電気は大型のポータブルバッテリーを搭載、上水は大きめの給水タンク、下水も汚水タンクがあるため、「家」と変わらない快適さをキープ。断熱材はもともと入っているため今回は手をつけていませんが、現状、エアコン1台で冬も夏も快適に過ごせるといいます。そこはさすが断熱先進国ドイツ製!といったところでしょうか。

一方で、キャンピングカーはそのものが大きいので運転では注意が必要なこと、事前に駐車するスペースを調べておくこと、目的地までの道路が細すぎないか、という点に注意しているそう。もう一つ、気を付けている点として、家の生活感を持ち込まないことをあげてくれました。

お子さんたちのものは極力、厳選して持ち込んでいます(写真提供/川原さん)

お子さんたちのものは極力、厳選して持ち込んでいます(写真提供/川原さん)

「子どもがいるとどうしても、住空間に生活感がにじみでてしまいますよね。せっかくおしゃれにつくってくれたので、この世界観を壊さないように、大人のインテリア空間にするよう、努めています」(川原さん)

ああ、わかります、その気持ち。子どもと一緒の空間は好きなんだけれども、たまには生活感のない大人の空間にいたい……。「動く家」はそんな大人の切なる願いも叶えてくれたようです。

家や住宅ローンのように「動かせないもの」に囚われない生き方を提案したい

今回の「動く家」、現在、乗れているのはほぼ週末といいますが、川原さんがもっとも魅力を感じたのは、「家が自分についてくる、自分本意の生き方ができること」だといいます。

「私たちが暮らす九州は、風光明媚な場所が多くて、阿蘇、天草、鹿児島、大分、宮崎など、自然そのもの、移動そのものが楽しいことが多いんです。『動く家』があれば、ドライブに出かけてそのまま夜空を眺めたり、美しい景色を見て、気に入ったら長く滞在したりと、自由に暮らすことができる。時間通りに動くというより、自分に合わせて家がついてくる、そんな生き方を可能にすると思いました」

窓の向こうに広がる絶景! キャンピングカーで九州を巡るのを夢見ている人は多いのでは(写真提供/川原さん)

窓の向こうに広がる絶景! キャンピングカーで九州を巡るのを夢見ている人は多いのでは(写真提供/川原さん)

動く家。ドライブだけでもしてみたい(写真提供/ASTER中川さん)

動く家。ドライブだけでもしてみたい(写真提供/ASTER中川さん)

設計を担当した中川さんも、手応えを感じているようです。
「弊社の『マンション』『一戸建て』『賃貸』というメニューに『車』という領域を増やしたいくらい。一軒家+離れや応接間のような感覚で、車の空間を使ってみたいという人は多いと思います」と話します。確かにテレワークスペース、家族の避難場所などとして、十分に「ほしい」という人はいることでしょう。

ともすると、私たちは、家や住宅ローンという「重いもの」に縛られがちですが、「動く家」はそうした重たさや、「動かせない」という思い込みを追い払ってくれる存在です。

「老後のためにと今まで積み立ててきた有価証券を取り崩さず、担保に入れて資金調達するスキームを組むことで月々の返済負担をなくし、目先を楽しむことを実現しています。今、老後や将来のためにといって貯蓄や投資にまわす人は多いですが、死ぬときにお金はもっていけません。やりたいことを我慢するのではなく、きちんと暮らしとやりたいことは両立できるんだよという、事例になっていけたらいい」と話す川原さん。

キャンピングカーやバンライフが広がりはじめたものの、「いいなあ」「やってみたい」という人は多いはず。ただ、移動する車窓のように、人生は移ろいゆき、変化していくもの。「定年後に」「ゆくゆくはキャンピングカーで」と憧れるのではなく、実はすぐにでも動き出すことが大切なのもしれません。

●取材協力
ASTER
ASTERのInstagramアカウント

「平屋の多い都道府県」ランキング1位は沖縄じゃない!? TOP10を九州が席巻、新築半分以上が平屋の県とは?

「今、平家が空前のブーム」この言葉にピンときますでしょうか? SUUMOでは、2023年のトレンドワードとして、「平屋回帰」「コンパクト平屋」という言葉を発表しました。比較的地価の高い都会に暮らす人には、平屋が建てられるような条件はなかなかそろうわけもなく、その人気は実感しようもありません。ところが、全都道府県の新築一戸建て(※注)の平屋率を調査してみると、都会暮らしの人には想像もできないような意外な事実が……。都道府県別であまりにも違う平屋事情を見ていきましょう。

九州で高い平屋率。宮崎県、鹿児島県では新築一戸建ての半分以上が平屋

SUUMOが2023年のトレンドワードとして「平屋回帰」「コンパクト平屋」という言葉を発表した背景には、最近の平屋のニーズの大きな変化があります。現在ブームになっている平屋は、建物面積で15坪(約50平米)から25坪(約83平米)くらい、間取りは1LDK~2 LDK位のコンパクトなもの。適度な大きさで動線が効率化されていること、価格の手ごろさから、子どもが独立して2階部分を持て余しているシニア夫婦、一人暮らしや一人親世帯など、さまざまな世帯で平屋が選ばれており、2022年に着工された新築の一戸建て住宅(※注)のうち、約7件に1件は平屋になっています。
それでは、気になるランキングはどのような結果になっているのでしょうか。

※注 記事中の「一戸建て」と「平屋率」の定義=国土交通省が発表している建築着工統計調査より、居住専用住宅の建築物の地上階数1階~3階の総棟数のうち、地上階数1階の棟数の割合を集計し「平屋率」としている。構造は木造・鉄骨造など全構造の合計。3階建てまでの居住専用住宅には、アパートやマンションなどの集合住宅も含むため、すべてが一戸建てではないが、本記事では便宜上一戸建てとしている。1階建ての集合住宅は非常に出現率が低いため、実際の新築一戸建ての平屋率は本記事の試算より高くなると考えられる(本記事内共通)

都道府県別平屋率1位~20位

都道府県別色見表

都道府県別平屋率21位~47位

出典:国土交通省 『建築着工統計調査 / 建築物着工統計』※注に記載の通り

なんと、1位の宮崎県、2位の鹿児島県は2022年に着工された3階建て以下の新築住宅のうち、過半数以上が1階建て、つまり平屋です。九州地方は福岡県を除くすべての県で平屋率3割を超え、上位10位以内にランクイン。続く平屋率が20%を超える20位までの上位グループには、香川県、愛媛県などの四国勢、群馬県、茨城県、栃木県の北関東勢が並びます。全国最下位の東京は1.4%と、新築約71件に1件の割合。そりゃ都内では見かけないはずです。上位の地域はもともと平屋率が高かったことに加え、前述の世帯の少人数化や、家事動線の良さ、冷暖房がワンフロアで完結するため光熱費が低く済むこと、さまざまなメリットが認知され、この8年の間に平屋率は150%~250%ほど上がっています。

■関連記事:
2023年住宅トレンドは「平屋回帰」。コンパクト・耐震性・低コスト、今こそ見直される5つのメリットとは?

熊本地震をきっかけに、揺れに強い平屋の関心が増加。地域独特の気候も影響

では、どうしてこんなに九州で平屋率が高いのか?熊本県で注文住宅を中心に手掛ける工務店、グッドハート株式会社の営業・宮本紬麦さんに聞いてみました。

「同じ九州地方でも地価が高い福岡が上位に入っていないことからも、まず、土地が比較的安く手に入ることが大きいと思います。さらに九州は日常の移動はほとんどが車で平置き3台の駐車場を希望される方がとても多く、ご家族で3台乗るケース、ご家族2台に来客用、という方も多くいらっしゃいます。それから、熊本では、2016年の熊本地震をきっかけに、平屋を希望される人がぐっと増えました。建物が自らの重みでつぶれている様子を目の当たりにして、2階の重みがなく、地震の揺れに強い平屋に、より注目が集まったのです。家が倒壊して建て替えが必要になった人だけでなく、初めてマイホームを持たれる方も、これから建てるなら地震に強い構造がとりやすい平屋がいいと希望される方が増えました」

(写真提供/グッドハート)

(写真提供/グッドハート)

実際、熊本県で震災後に平屋を希望する人が増えたことは話題になっていたそうです。一方、災害といっても、近年多い水害においては、高い建物に避難する必要があり平屋は不利です。ただ、いつ来るかわからない地震に比べ、水害は何日か前から予測でき、早めに避難をすれば命は守れることを考えると、まずは日常の生活のしやすさと、予測不能な有事を優先するというのは合理的です。

台風・火山噴火、地域独特の気候が平屋率にも影響

また、宮崎県、鹿児島県を中心に注文住宅・分譲住宅を手掛ける万代ホームのハウジングアドバイザー西原礼奈さんは、以下のように話します。

「宮崎、鹿児島は、以前から建売住宅やモデルハウスも平屋で建てることが多く、2階建にする場合でも総2階(※1)でなく、一部分だけや、中2階(※2)を取り入れる程度です。これには台風や桜島の噴火などの影響があると思います。壁面は低いほど台風の強風に耐えられます。火山灰が降ってくる地域では、屋根に積もった灰の掃除なども雨どいを守るためには必要で、平屋は高い建物に比べ対処しやすいのです」

(写真提供/万代ホーム)

(写真提供/万代ホーム)

熊本大学 大学院で建築構造・防災建築を研究している友清衣利子教授も、「台風が多い九州は、耐風性の観点から、住宅の高さや屋根の勾配を低く設計する傾向にあります」とコメント。

「九州では、屋根の対策のほかにも、雨戸やシャッターなどで窓やドアなどの開口部を守る建築上の工夫がされているのが一般的です。
さらに、2018年と2019年の台風被害をきっかけに、住宅の耐風性が着目されるようになったと実感しています。国土交通省が屋根の留め付けなどの対策を発表していますが、それらが世の中で反映され、変わっていくのはこれからだと思います」(友清教授)

では、台風と平屋の関係について、気象庁が発表している1951年以降の都道府県別、台風の上陸数上位ランキングを見てみましょう。

※1.総2階/1階部分と2階部分がほぼ同じ面積となる建て方。直方体のような形になる
※2.中2階/階と階の中間に設けられる床部分のことで、スキップフロアともいう。平屋の場合の中2階は、2階がなくロフトのような形状となる

台風の上陸が多い都道府県ランキング

出典/気象庁ホームページ 台風の統計・資料より 統計期間:1951年~2023年第1号台風まで

最も台風の上陸数が多かったのは平屋率2位の鹿児島県、続いて長崎県、宮崎県、熊本県も平屋率が高く、台風の影響を受けやすい地域で平屋率が高いことは明らかです。

ここで疑問が。台風といえば、沖縄県が上位のランキングに入っていないのはどうしてでしょう。気象庁の解説をよく見ると、「上陸」の定義は台風の中心が「北海道、本州、四国、九州の海岸線に達した場合」。小さい島や半島を横切って短時間で再び海に出る場合は「通過」、そして、沖縄県、鹿児島県の奄美地方のいずれかに近づいた(各気象官署等から300 km以内)場合は「沖縄・奄美に接近」と、「接近」という分類になるため、この地域には台風の「上陸」と定義される事象が存在しないようです。

そんな台風の通り道、沖縄といえば、イメージするのは低く構えた赤瓦屋根の平屋に風よけの石垣やブロック塀、屋敷林の伝統的な家。さぞかし平屋率は高かろうと見てみると全国3位。ただ、2014年から2022年の8年の間に平屋率は47.4%から41.7%にダウンしています。ほとんどの都道府県が8年間で平屋率が大きくアップする中、これは何故なのでしょうか。

沖縄の住宅(写真/PIXTA)

沖縄の住宅(写真/PIXTA)

台風接近の多い沖縄県の平屋率がダウンしている理由には、独自の住宅文化とその変化があった!

前出の都道府県別平屋率を全国と沖縄県について住宅の建て方(構造)別に集計してみました。

全国と沖縄県の構造別着工棟数の割合(2014年と2022年の比較)

全国と沖縄県の構造別平屋割合(2014年と2022年の比較)

構造別の着工棟数割合を見ると全国では圧倒的に木造の比率が高く約9割。これはどの都道府県でも同じ傾向です。ところが、沖縄は鉄筋コンクリート造(RC造)、コンクリートブロック造の比率が高く、木造比率は2014年時点で14% と低い、独特な住宅文化を持っています。沖縄県は全国の中でも比較的森林比率が低く、特に木材の生産目的で苗木を植えるなどして人が手を加えている「人工林」の割合は全国一低いのです。

そのため、貴重な木材を再利用しながら家を住み継いでいく「貫木屋(ぬちやー)」という独特の工法が古くから受け継がれてきました。戦後の復興では伝統的な工法でない木造住宅が一時的に増えますが、多湿な気候に合わず白アリ被害が拡大したこと、度重なる台風被害を受けたことからRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)やコンクリートブロック造のニーズが高まっていったことがこの独特な住宅文化の背景です。

ところが近年、コンクリート価格の高騰、本州からのハウスメーカーの進出、木造住宅の工法や建材、防蟻処理の進化などにより木造住宅の割合が急速に増えてきました(2014年14.0%→2022年38.6%)。これら、増加してきた木造住宅が平屋ではなく2階建て以上で建てられていること(木造の平屋率2014年30.9%→2022年16.5%)が、沖縄県の平屋率ダウンの要因です。

■関連記事:
沖縄の家、台風や災害に負けない家づくりを現在・過去に学ぶ

岩手・宮城でも平屋率ダウン、福島県で横ばいとなっている背景には東日本大震災の影響が

沖縄と同じく、平屋率が2014年より下がっている県がほかにもあります。
岩手県 2014年 16.0% →2022年 15.7%
宮城県 2014年 13.6% →2022年 8.8%
また、福島県も 2014年 14.7% →2022年 15.4%と、平屋率はほぼ横ばいです。

市区町村別の人口や着工戸数の変化を見てみると、東日本大震災直後は、被害の大きかった地域の住宅再建が進み、それらの地域は比較的土地区画が広く平屋が建てやすかったのに対し、近年は人口も住宅需要も都市部に集中してきており平屋という形態がとりにくくなっていること、また、宮城県の都市部では新築マンション供給が増加しており、平屋志向が強い高齢者がそれらも選択肢に入れていること等の要因が考えられます。

割高とされていた平屋の価格は2階建て並に。メンテナンスしやすさも魅力(写真撮影/片山貴博)

(写真撮影/片山貴博)

このように、都道府県によって事情は違えど、全国的にはますますシェアが高まる平屋は、その家事動線の良さ、地震や風などへの強さ、コンパクトなことで光熱費を抑えられることなど時代に合った魅力が多く、検討してみたいと思っている人も多いかと思います。ただ、私がかつて工務店に取材した際には、例えば100平米の平屋を、1階50平米、2階50平米の総2階建てと比べた場合、建築コストは1.2倍程度と割高になる、と聞いたことがあります。理由は、平屋は基礎部分や屋根の面積が大きいことによる材料費や施工費の増加。実際今もそうなのでしょうか?

「施工方法や工務店によって一概には言えませんが、当社の場合では、同じ面積ならば平屋も2階建てもほとんど坪単価は変わりません。確かに屋根や基礎の大きさは平屋の方が大きいのですが、平屋の場合、工事用の足場が低く済むこと、高所作業が減ることで建物の施工費が安く済むんです。メンテナンスにおいても、約10年ごとに必要な壁の塗り替えも大きな足場作りは不要ですし、屋根修理にも同じことが言えます。また近年注目が集まっている太陽光パネルは、床面積に対して屋根が広い平屋は広く置くことができ、発電できる量において有利です」とグッドハート宮本さん。

建設作業現場での事故を無くすために建設現場には「労働安全衛生規則」という詳細なルールを守ることが義務付けられているのですが、墜落・転落防止のための足場の作り方や管理については法改正がたびたび行われており、今後もさらに強化される予定です。
このような変化がある中で、平屋は割高とは限らなくなってきているんですね。

ちなみに、SUUMOジャーナルの人気記事ランキングでも、4月~6月は平屋の実例記事の数々が上位を占拠しました。東京にいると、平屋の人気は実感しがたく、実例紹介を始めてからの反響の多さには本当に驚きました。地域独特の住宅文化は気候や時代の影響も強く受けていることがわかり、私たちもさまざまな情報をアップデートしていかねばと強く実感した取材でした。

●取材協力
・グッドハート
・万代ホーム
・熊本大学大学院 先端科学研究部 物質材料科学部門 建築構造・防災分野 友清 衣利子教授

●関連サイト
・林野庁ホームページより都道府県別森林率・人工林率(平成29年3月31日現在)

高齢化率30%の北九州市が居住支援のフロントランナーに。官民連携の理想モデルが全国で話題 市&NPO抱樸インタビュー

高齢者や生活困窮者の住宅確保と自立支援を一体的に進めるため、厚生労働省と国土交通省が連携して取り組む『地域共生社会づくりのための「住まい支援システム」構築に関する調査研究事業』実施自治体として、2022年度まで選定された全国5市の1つ、福岡県北九州市。かつて北九州工業地帯の中核として繁栄したこの街は、今は全国の政令指定都市の中で最も高い30%を超える高齢化地域となりました。同時に単身・高齢世帯は、オーナーや不動産会社が物件の提供を拒否する対象となりやすいことから、住宅確保問題の課題先進地域となっています。

事業実施自治体として選出された背景には、ホームレスや居住困難を抱える人たちに寄り添い尽力してきたNPO法人や困窮者問題に取り組む民間の不動産会社の存在と、行政との連携・協働体制がありました。全国から注目されるようになるまでの軌跡や北九州市における居住支援の今、そして今後の課題を当事者の皆さんに聞きました。

高齢化とともに拡大した「住まいの確保に困難を抱える人たち」

北九州市 建築都市局 住宅計画課の尋木さやかさんと樋口泰輔さん(取材当時、現在は別部署に異動)によると「北九州市において住まいの確保に配慮が必要な人の中でも特に増加しているのが、高齢者」だと言います。高齢者の単身世帯や夫婦のみで暮らしている世帯は市内に11万世帯を超え、高齢者のいる世帯の60%以上に達し、今後も増加が見込まれます。

「また、障がいがある人のうち、知的障がいと精神障がいのある人が2017年以降はおよそ2万6000人を数え、少しずつ増加傾向にあります。その一方で、市営住宅の世帯数に占める割合は2022年度末現在で全国の政令市平均の約2倍、管理戸数にして約3万2000戸程度あるものの、将来的な世帯数の減少予測などを踏まえ、2055年までに約2万戸まで減らす計画が進行中です」(北九州市 樋口さん)

北九州市の高齢者は年々増え続け、特に単身世帯や夫婦のみの世帯が増加している。また、障がいのある人の数自体は横ばいだが、知的障がいのある人、精神障がいのある人は増加傾向にある(資料提供/北九州市)

北九州市の高齢者は年々増え続け、特に単身世帯や夫婦のみの世帯が増加している。また、障がいのある人の数自体は横ばいだが、知的障がいのある人、精神障がいのある人は増加傾向にある(資料提供/北九州市)

市営住宅を減らしていくためには、すでに十分存在している民間の賃貸住宅への入居を増やしていくことも必要です。しかし、賃貸オーナーや管理会社の中には、孤独死や近隣トラブルなどを懸念し、高齢者や障がい者などの受け入れに消極的なところも少なくありません。市営住宅に安価で入居できていた人たちが、新たに居住困難に陥ることがないよう、貸し手の不安を軽減しながら、民間の賃貸住宅に入居しやすくなるような支援がますます必要です。

国のモデル事業に指定された、北九州市の居住支援とは

北九州市は、厚生労働省と国土交通省が行う『地域共生社会づくりのための「住まい支援システム」構築に関する調査研究事業』実施自治体に選定されています(他に2022年度までに選定されたのは神奈川県座間市、兵庫県伊丹市、宮城県岩沼市、石川県輪島市)

「2012年には、北九州市・居住支援団体・不動産関係団体からなる『北九州市居住支援協議会』を設立し、居住支援の体制をつくってきました。さらに市内の不動産会社に呼びかけ、高齢者や障がいのある人が安心して賃貸住宅を探せるよう協力する不動産会社を『住まい探しの協力店』として登録しています。住まい探しの協力店は高齢者世帯・障がい者世帯であることを理由に入居を拒むことはありません」(北九州市 尋木さん)

住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進を図るために、2012年に北九州市・居住支援団体・不動産関係団体からなる北九州市居住支援協議会が設立された(資料提供/北九州市)

住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進を図るために、2012年に北九州市・居住支援団体・不動産関係団体からなる北九州市居住支援協議会が設立された(資料提供/北九州市)

さらに北九州市では、居住支援協議会と居住支援法人とがより密接に連絡・連携を図るため、2022年2月に「居住支援法人連絡協議会」を設置しており、2022年度から会長及び副会長が委員として正式に居住支援協議会に参加しています。

北九州市では、居住支援法人の存在をより多くの不動産会社やオーナーに届け、理解を深め、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居に協力を得られるよう、動画やリーフレットによる普及啓発活動も行っている(画像提供/北九州市)

北九州市では、居住支援法人の存在をより多くの不動産会社やオーナーに届け、理解を深め、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居に協力を得られるよう、動画やリーフレットによる普及啓発活動も行っている(画像提供/北九州市)

NPOが行政に提言。「行政がやるべきこと」と「民間がやるべきこと」

市民協議会の発足などを先導してきた NPO法人の抱樸は、低所得層や高齢者への支援活動を行ってきました。

しかし、かつては、低所得者や高齢者、障がい者などへの福祉的な支援や対応について、抱樸と北九州市の福祉部門の間で意見がぶつかることもあったそう。転機となったのは、2003年に抱樸から「行政がやるべきこと」と「民間がやるべきこと」を提言書としてまとめて行政(北九州市)に提出したことだったといいます。

これを機に、行政と民間の協働が本格的に始まります。

「私たち抱樸は、最初にアパート5部屋を借り上げて、低所得者や障がいのある人が社会への自立を目指していくための『自立支援住宅』をつくりました。民間の団体がスピードをもって実践してみせた結果、その3年後に北九州市は自立支援住宅を参考に、50床を有し、24時間支援員を配置し、朝・昼・夕の3食を提供する『ホームレス自立支援センター』を立ち上げたのです。

民間だけでこれだけの規模の施設をつくることはとてもできません。行政ができることと民間ができることは違うので、これからの住宅問題においても、その間をどう繋げていくかの議論が重要になってくると思います」(抱樸 奥田さん)

北九州市が立ち上げたホームレス自立支援センター。抱樸に委託する形で運営されているが「ここまでの規模の支援施設を民間だけの力で立ち上げることは難しい、行政との協働が必要だ」と奥田さんは語る(資料提供/抱樸)

北九州市が立ち上げたホームレス自立支援センター。抱樸に委託する形で運営されているが「ここまでの規模の支援施設を民間だけの力で立ち上げることは難しい、行政との協働が必要だ」と奥田さんは語る(資料提供/抱樸)

2017年以降、支援の実務を担う抱樸は、居住支援の枠組みを作る組織「北九州市居住支援協議会」に、居住支援法人としてオブザーバー参加。行政と民間の繋ぎ役として、新しい一歩を踏み出します。さらに2019年ごろからは福祉部門だけでなく、北九州市の住宅部門とも協働するようになりました。北九州市内の居住支援法人の代表として行政と民間を繋ぐ役割を果たし、現在、奥田さんは先に紹介した「北九州市居住支援法人連絡協議会」の会長としても活動を続けています。

地域の不動産会社との連携で、民間の賃貸住宅を提供しやすくなる仕組みづくり

さらに抱樸は、先で紹介した「自立支援住宅」を皮切りに、社会生活に困難を抱える人たちの状況に応じたさまざまな形態の住まいを提供してきました。自分で生活できる人に対しては入居できる住宅の提供を、生活の支援が必要な人には24時間生活支援付きの共同居住施設を運営しています。

しかし、奥田さんは「高齢者や障害のある人、ひとり親家庭など、住まいを必要とする人が多様化するなか、多くの人に必要なのは、ただ家を提供するのではなく、社会とのつながりを支援する住宅と暮らしの一体型支援」だと考えています。そこで行き着いたのが、「地域居住型」の居住支援でした。

抱樸が行っている居住支援。利用者の状況によって提供する支援も変わるが、図のBのような、住宅と一部見守りや互助支援で社会参加を支える「地域居住型」のニーズが高まっているという(画像提供/抱樸)

抱樸が行っている居住支援。利用者の状況によって提供する支援も変わるが、図のBのような、住宅と一部見守りや互助支援で社会参加を支える「地域居住型」のニーズが高まっているという(画像提供/抱樸)

地域居住型の住宅支援は、住まいの確保に困難を抱える人たちが一般の民間賃貸住宅に入居し、地域に見守られながら支援を受けて暮らしていくものです。この形態を維持しながら運営し続けるためには、人手もお金も必要です。また、民間企業の理解や協力も欠かせません。

北九州市で不動産業を営んでいる田園興産は、1981年ごろから北九州市内でワンルームマンションを中心に住宅を供給している会社です。田園興産の代表・田園直樹さんは、抱樸から「住宅の確保に配慮が必要な人が入居できる住宅を提供してもらえないか」との相談に、自社の所有する築30年超えのマンション60室を「家賃は通常家賃の6割、入居者が入ってからの家賃支払い」という条件で、抱樸にサブリース(一括借り上げ)形態で物件を貸すことにしました。

「本来、サブリースは、管理者が複数の住戸を一括で借り上げてオーナーに定額の家賃を支払う方式なので、空き部屋が出ると管理者(このケースでは抱樸)がリスクを負うことになります。田園さん(オーナー)が居住支援に対して理解があり、抱樸にとってリスクの小さい条件設定をしてくれたおかげで、公的な資金に頼らずに支援費を出すことができるようになりました。3万円の家賃の物件を抱樸が2万円で借り上げ、その差額が入居者の生活支援を行うスタッフの人件費などに充てられています」(抱樸 奥田さん)

これにより抱樸では、性別や年齢、収入などにかかわらず、多様な人たちを受け入れることができるようになりました。

プラザ抱樸など借上型支援付住宅は、抱樸が家主(オーナー)からマンションを借り受け、入居者に部屋を提供するサブリース型。入居者が支払う家賃から、見守りなどの支援費用が充てられる(画像提供/抱樸)

プラザ抱樸など借上型支援付住宅は、抱樸が家主(オーナー)からマンションを借り受け、入居者に部屋を提供するサブリース型。入居者が支払う家賃から、見守りなどの支援費用が充てられる(画像提供/抱樸)

しかし、この破格の条件は、企業の事業として成立するのでしょうか。

「奥田さんから物件を貸してほしいとお話をいただいたのはちょうど、建設時の融資の返済が終わった時期です。マンションが古くなり空室も多くなっていたため、そのままで部屋の状態が悪くなっていくよりも、どなたかに住んでもらったほうが良いと考えました。借金の返済が終わっていたので、『6割の家賃』でも『入居してから家賃発生』でも当社が損をすることはなく、事業として問題はなかったのです」(田園興産 田園さん)

ただし「田園興産のような会社は稀有」だと奥田さんは話します。一般的な物件の管理契約では、オーナーの考えや、すでに入居している人たちへの配慮などにより、入居できる人が限られてしまう可能性もあります。そのため抱樸は、一括借り上げのマスターリースという方法を選択することで、審査を自分たちで行い、オーナーの意志に大きく影響されずに住まいを必要とする人が入居できるようにしたのです。

見守り支援付き住宅「プラザ抱樸」は、先の画像で「B2.借上型支援付地域居住」として運営しているもの。抱樸が一括で借り上げて管理することで、オーナーの意志に影響されることなく、どのような人でも入居できるようになった(画像提供/抱樸)

見守り支援付き住宅「プラザ抱樸」は、先の画像で「B2.借上型支援付地域居住」として運営しているもの。抱樸が一括で借り上げて管理することで、オーナーの意志に影響されることなく、どのような人でも入居できるようになった(画像提供/抱樸)

今後は「支援付き住宅」ではなく、「住宅付き支援」が必要

奥田さんは、今後の居住支援は、福祉と住宅の連携がますます必要になってくるといいます。

「福祉に携わっている人は、不動産の取引や法制度についてよく知らない人が多く、不動産業界の人は福祉のことをほとんど知りません。お互いの領域を勉強していかないと、理解し合うことができずに話が進まなくなってしまいます。

そして、机上の会議や勉強会を行うのではなく、いま目の前の困っている人にどう対応するか、実際に動いていくことが大事です」(抱樸 奥田さん)

また、日本の社会保障制度は、家族がいてその支えがあることが前提となっていますが、実際は総世帯のおよそ40%が、いざというときに支える家族や相談できる相手がいない単身世帯です。

日本の医療や介護といった社会保障制度は家族がいることが前提だが、現在は40年前とは違い、総世帯数のおよそ40%が単身世帯というのが現実(画像提供/抱樸)

日本の医療や介護といった社会保障制度は家族がいることが前提だが、現在は40年前とは違い、総世帯数のおよそ40%が単身世帯というのが現実(画像提供/抱樸)

この現状を踏まえ、奥田さんは今後の居住支援のあり方に関しても提言します。

「これからの居住支援は、身内に頼れない単身者を社会とどうつなげていくかを真剣に考えなければなりません。これまで当たり前のように家族が担ってきた機能をこれからは社会が担う『家族機能の社会化』を目指すべき、というのが私の考えです。これからは私たちのような第三者が単身者と社会とをつなぐ役目を果たしながら、新しい民間のあり方や制度が必要とされています」(抱樸 奥田さん)

家族や企業の支援が前提の従来の日本型社会保障制度では成り立たなくなっている。家族や企業の支援が受けられない人たちを取りこぼさない、新しい支援や制度が必要(画像提供/抱樸)

家族や企業の支援が前提の従来の日本型社会保障制度では成り立たなくなっている。家族や企業の支援が受けられない人たちを取りこぼさない、新しい支援や制度が必要(画像提供/抱樸)

「住まいにおいては、これまでのように生活支援と住宅をセットにした『支援付き住宅』だけではなく、切れ目のない伴走型の支援の中でその時々に合わせた住まいを提供する『住宅付き生活支援』という考え方へのシフトが必要です。その実践のためにはより多くの低廉な民間賃貸住宅が必要で、先のサブリース形態やオーナーさんが福祉部分をアウトソースするような形が有効に働くと考えます。不動産会社、とくに管理会社にとってこれはビジネスチャンスにもなり得るのではないでしょうか」(抱樸 奥田さん)

奥田さんの言葉に、居住支援と福祉は決して別々に考えることはできないことを改めて認識しました。

住まいの確保に困難を抱える人たちの支援を定めた住宅セーフティネット法を、空き家や空室を活用し減らすための法律と捉える自治体も多いようですが、居住支援とは、住まいを提供するだけのものではありません。社会的な孤立や孤独をどう防ぐかが、奥田さんが目指す「助けを必要としている人が『助けて』と言える、助け合える街。誰もが一人にならない、誰もが安心して暮らせる街」を実現する鍵となるのではないでしょうか。

そのためには行政がつくる土台を前提に、支援が必要な人たちに寄り添い、継続して支援するNPO法人や民間企業が果たす役割は大きいと感じました。

特に高齢化と単身化が進む日本で、これまで身内が担ってきたケアを支援や制度でどうカバーしていくのか、住宅付き生活支援型の居住支援が全国規模で実現する日が来るのか、北九州市の居住支援、今後の展開にも目が離せません。

●取材協力
・北九州市
 北九州市居住支援協議会
 居住支援法人に関する情報提供
・NPO法人 抱樸
・株式会社田園興産

おんせん県なのに温泉ナシの豊後大野市。サウナ嫌いが移住したら、なぜか九州一の「サウナのまち」になっちゃった話 高橋ケンさん

大分県といえば「日本一のおんせん県」をうたっているが、豊後大野市(ぶんごおおのし)には温泉が、ない。その状況を逆手にとり、2021年に「サウナのまち」を宣言した。現在、官民一体となってサウナを盛り上げている。
鍾乳洞サウナ、清流に“ドボン”できるサウナなど、自然の地形を活かしたアウトドアサウナが市内だけで5カ所。バラエティの豊かさからSNSなどで注目を集め、県内外のサウナーたちがこぞって足を運んでいる。
この「サウナのまち」の仕掛け人が、宿泊施設「LAMP豊後大野」支配人であり、アウトドアサウナ協議会「いいサウナ研究所」所長でもある高橋ケンさんだ。茨城県守谷市出身、東京都内での仕事を経て、豊後大野市に移住した高橋さん。豊後大野での暮らしなどについて、移住のリアルな話を伺った。

「REBUILD SAUNA」、宿泊施設「LAMP豊後大野」支配人の高橋ケンさん。豊後大野市内に点在するアウトドアサウナをとりまとめる協議会「いいサウナ研究所」の所長でもある(写真撮影/衞藤克樹)

「REBUILD SAUNA」、宿泊施設「LAMP豊後大野」支配人の高橋ケンさん。豊後大野市内に点在するアウトドアサウナをとりまとめる協議会「いいサウナ研究所」の所長でもある(写真撮影/衞藤克樹)

“サウナ嫌い”から開眼。3年で九州一アウトドアサウナの多い地域に

東京の広告代理店、株式会社LIGの地方創生チームのメンバーだった高橋さんが豊後大野市に足を踏み入れたきっかけは、大分県での移住定住イベント。そこからあれよあれよという間に山あいにある廃校跡地の委託事業を任され、2017年に宿泊施設「LAMP豊後大野」を開業。自身も移住することになった。

元小学校跡地に立つ宿泊施設LAMP豊後大野。木組の外観はドイツ建築の雰囲気が漂う(写真撮影/衞藤克樹)

元小学校跡地に立つ宿泊施設LAMP豊後大野。木組の外観はドイツ建築の雰囲気が漂う(写真撮影/衞藤克樹)

看板には、豊後大野の特徴でもある祖母傾国定公園の山々が描かれている。「REBUILD SAUNA」は施設内に設置されている(写真撮影/衞藤克樹)

看板には、豊後大野の特徴でもある祖母傾国定公園の山々が描かれている。「REBUILD SAUNA」は施設内に設置されている(写真撮影/衞藤克樹)

日光がたっぷり入り込む明るい施設内。手づくりのガーランドほか、アート作品などが散りばめられ、ぬくもりのある雰囲気を演出している(写真撮影/衞藤克樹)

日光がたっぷり入り込む明るい施設内。手づくりのガーランドほか、アート作品などが散りばめられ、ぬくもりのある雰囲気を演出している(写真撮影/衞藤克樹)

「当時はサウナ嫌いだったんです」と話す高橋さんが、なぜ現在は、まちのアウトドアサウナ施設をとりまとめる協議会「おんせん県いいサウナ研究所」所長にまでなったのか。そのはじまりは移住3年目の2018年、宿泊施設にお客さんを呼ぼうと、必死で集客方法や宣伝方法を模索していた時期だった。

ある日、LIGの同僚で、のちに長野県信濃町でThe Sauna(LAMP野尻湖内)を立ち上げた野田クラクションべべーさんにサウナへ誘われた。「その時は、ただ熱いのを我慢するものだと何も魅力を感じていなかったんです」と振り返る。当然、野田さんの勧めを断ろうとしたが、あまりの熱意に負けて、「ウェルビー福岡」(福岡県福岡市)で初めてのサウナ体験をすることになった。

野田さんに言われるままにサウナの流儀(サウナ→水風呂→休憩)に従っていると、あきらかにこれまでと違う感覚、“ととのい”が訪れるのを感じた。大分への帰り道でも、自分の身体がまだポカポカと温かく、「サウナって温泉みたい」と気付いた。「案外サウナっていいものなんだな」。目からうろこだった。1人でサウナへ通う楽しみができた。

(写真撮影/衞藤克樹)

(写真撮影/衞藤克樹)

そこから高橋さんのサウナ熱は加速していく。

豊後大野の「カフェパラム」オーナーとサウナ話で意気投合し、カフェの前に流れる清流を水風呂代わりにするアイデアで大盛り上がり。2019年にはテントサウナを張ってイベント開催するに至り、大盛況となった。さらに、それがきっかけで2020年7月はLAMP豊後大野内にフィンランド式サウナ「REBUILD SAUNA」を建設。同年3月にアウトドアサウナを市内に増やすべくサウナ協議会「いいサウナ研究所」も立ち上げ、2021年には自治体を巻き込み市をあげて「サウナのまち宣言」をするに至った。

高橋さんがサウナにハマってから、わずか3年のできごとだ。

地域、カルチャー、資源をリビルドしたサウナを中心に展開

高橋さんが施設内につくった「REBUILD SAUNA」のサウナ小屋は、解体される長屋などの廃材を再利用し、本来捨てられてしまうものを利活用している。素人でもできる部分は、できる限りDIYした。

“再構築”と言う意味の「REBUILD」と名付けたのは、廃材活用をしているからだけではない。

尾平地区には、LAMP豊後大野のほか、鉱山事務所とおじいちゃん1人が住む住宅しかない。この地域の再生、自然を活かしたフィンランド式サウナの導入によって新しい文化を紡いでいきたい、という想いも込めている。

廃材の合板にボルトを打ち付けてつくったロゴ(写真撮影/衞藤克樹)

廃材の合板にボルトを打ち付けてつくったロゴ(写真撮影/衞藤克樹)

「REBUILD SAUNA」(写真撮影/衞藤克樹)

「REBUILD SAUNA」(写真撮影/衞藤克樹)

サウナ室(サ室)内。まだ九州では珍しい薪ストーブを使用。最大10名まで収容可能(写真撮影/衞藤克樹)

サウナ室(サ室)内。まだ九州では珍しい薪ストーブを使用。最大10名まで収容可能(写真撮影/衞藤克樹)

サウナ小屋のほか、広々とした外気浴スペースと、小学校のプールを活かした水風呂エリアがある。水風呂には、奥岳川の最上流部から水を引いている。透明度が高く、柔らかい水質は、温まった体をしっかり包み込み、キュッと肌を引き締めてくれる(写真撮影/衞藤克樹)

サウナ小屋のほか、広々とした外気浴スペースと、小学校のプールを活かした水風呂エリアがある。水風呂には、奥岳川の最上流部から水を引いている。透明度が高く、柔らかい水質は、温まった体をしっかり包み込み、キュッと肌を引き締めてくれる(写真撮影/衞藤克樹)

(写真撮影/衞藤克樹)

(写真撮影/衞藤克樹)

高橋さんは、職人さんから「大分県臼杵市の長屋が解体される」と聞き、自ら車を運転して資材をレスキューしに行った。廃材は、合板、トイレ、ライト、床材と、使えそうなものは全て利活用している(写真撮影/衞藤克樹)

高橋さんは、職人さんから「大分県臼杵市の長屋が解体される」と聞き、自ら車を運転して資材をレスキューしに行った。廃材は、合板、トイレ、ライト、床材と、使えそうなものは全て利活用している(写真撮影/衞藤克樹)

透きとおった豊後大野の清流。この水が水風呂へと流れている(写真撮影/衞藤克樹)

透きとおった豊後大野の清流。この水が水風呂へと流れている(写真撮影/衞藤克樹)

(写真撮影/衞藤克樹)

(写真撮影/衞藤克樹)

シシ麻婆(1,200円)とオロポ(450円)。シシ麻婆は大分県産のイノシシ肉とスパイスが絶妙に絡み合う一品。どちらもサウナ後の栄養・水分補給にはもってこいのメニューだ(写真撮影/衞藤克樹)

シシ麻婆(1,200円)とオロポ(450円)。シシ麻婆は大分県産のイノシシ肉とスパイスが絶妙に絡み合う一品。どちらもサウナ後の栄養・水分補給にはもってこいのメニューだ(写真撮影/衞藤克樹)

「自然を活かしたサウナは、やはりほかで真似できないところが魅力ですね。その土地の空気感、外気浴で感じる風、におい。すべてが違っているんですよね」と語る高橋さん。

それでも、九州のほかのエリアにも、人気のサウナは数多い。豊後大野市まで足を運んでもらうためにはもっと工夫が必要だと考えて、アウトドアサウナの数を増やすことを思い立つ。まちのサウナ協議会「おんせん県いいサウナ研究所」を設立し、市内でのアウトドアサウナの立ち上げの促進や地域ブランディングにも力を入れることにした。

市内の各サウナのオーナー同士のつながりができたおかげで、県外からもさまざまな趣向を凝らしたアウトドアサウナを存分に楽しもうとサウナのはしごを楽しむお客さんが来るようになった。まち単位での大規模イベント「サウナ万博」も定期開催できるようになり、例年チケットは完売。今年(2022年)10月22日にロッジ清川で開催される「第3回サウナ万博in豊後大野」も、多くのサウナーたちが当日を心待ちにしている状況だ。

現在は、フィンランドと姉妹都市を結ぶべく市へ提案もしている最中だという。

「おんせん県いいサウナ研究所」に加盟しているサウナのひとつ「稲積水中鍾乳洞サウナ」。水風呂代わりに鍾乳洞へとダイブできる(写真提供/おんせん県いいサウナ研究所)

「おんせん県いいサウナ研究所」に加盟しているサウナのひとつ「稲積水中鍾乳洞サウナ」。水風呂代わりに鍾乳洞へとダイブできる(写真提供/おんせん県いいサウナ研究所)

同じく「おんせん県いいサウナ研究所」加盟サウナ「Tuuli Tuuli」は、「REBUILD SAUNA」がきっかけで誕生した、カフェパラムのオーナーが運営するDIYサウナ。カフェの目の前に流れる清流が水風呂だ(写真提供/おんせん県いいサウナ研究所)

同じく「おんせん県いいサウナ研究所」加盟サウナ「Tuuli Tuuli」は、「REBUILD SAUNA」がきっかけで誕生した、カフェパラムのオーナーが運営するDIYサウナ。カフェの目の前に流れる清流が水風呂だ(写真提供/おんせん県いいサウナ研究所)

移住して変わった、自然への尊敬と危機意識

中学生の頃からずっと「山に住みたい」という夢を持ち続けていた高橋さん。まさか大分県に住むとは思ってもみなかったそうだが、実際に訪れてみると、豊後大野の棚田の美しさに感動したという。「田んぼに水がはられて、その水面に夕陽が映る。夜空を見上げれば、天の川の星群を肉眼で見ることができる。四季の移ろいも、気温の上がり下がりだけではない、植物の変化で感じることができる。そういうひとつひとつのことに感動してしまう、大分県の自然のスケール感に心震える毎日です」と笑う。

九州を代表する祖母傾山。豊後大野市は九州で唯一「ユネスコ・エコパーク」と「日本ジオパーク」の両方に認定された自然が豊かな地域。水源も多いせいか、濃緑の山の連なりがひたすらに広がっている(写真撮影/衞藤克樹)

九州を代表する祖母傾山。豊後大野市は九州で唯一「ユネスコ・エコパーク」と「日本ジオパーク」の両方に認定された自然が豊かな地域。水源も多いせいか、濃緑の山の連なりがひたすらに広がっている(写真撮影/衞藤克樹)

森林浴の森日本100選にも選ばれる川上渓谷。夏は川遊びをする人たちもちらほら(写真撮影/衞藤克樹)

森林浴の森日本100選にも選ばれる川上渓谷。夏は川遊びをする人たちもちらほら(写真撮影/衞藤克樹)

山でろ過されて澄みきった水。大分県内でも豊後大野の水質はいいと評判だ(写真撮影/衞藤克樹)

山でろ過されて澄みきった水。大分県内でも豊後大野の水質はいいと評判だ(写真撮影/衞藤克樹)

一方で、環境問題について考えることが多くなった。

「例えば自然災害。雨が降って斜面が崩れるってことが田舎では本当に起きるんです。その時に、前はこんなところから水が出てたかな?と上の方を見たら木が伐採されていたのを発見したこともある。いかに人間のエゴで自然が犠牲になっているかを実感せざるを得ないし、地域の過去・現在・未来を自然から感じることで、自分たちが今からどうしなきゃいけないのか?と向き合うことも多くなりました」

出身地の茨城では都市部で生活していた上に仕事は東京。そのため当時は気がつかなかった問題が見えてきた。高橋さんは今、この集落を守るために、自然を守りつつ、どうすれば子どもから高齢者までが住みやすい環境になるかを真剣に模索している。

豊後大野市の幸福度を上げたい

「大分県には、将来子どもたちのために自分たちは何を残せるかを考えている人、どのようにまちの課題を解決して、どんな未来を託すかを考えている仲間が結構います。そこがすごくいいなと思うし、それだけ、地域で生きるってことは、日本の未来に直結している問題と向き合っているなと自分自身で生活のなかでも感じます。

LAMP豊後大野のスタッフと談笑する高橋さん。スタッフはサウナ移住や地域おこし協力隊として働いている人たちが多く、この場所から独立して大分で働く人たちも多いそうだ(写真撮影/衞藤克樹)

LAMP豊後大野のスタッフと談笑する高橋さん。スタッフはサウナ移住や地域おこし協力隊として働いている人たちが多く、この場所から独立して大分で働く人たちも多いそうだ(写真撮影/衞藤克樹)

東京では、自分の半径何kmだけしか見なくても生活はしていける。けれども地域では、地域共同体で考える必要があります。行政のやることでみんなの暮らしがリアルに決まっちゃうので、税収が少なくなれば、余生をそこで過ごせなくなって、中心地に移動せざるを得ない、みたいなことが現実として起こりえる。この集落を残すためには、ここにいる人たち個人の考えや行動ひとつひとつが本当に大事なんだと意識するようになりました。

そんななかで、なぜサウナをやるのか。それは、単なるサウナが好きという気持ちだけにはとどまりません。豊後大野の教育と福祉を充実させ、子どもから高齢者までが幸福度の高いまちにしたいと思っているからです。そうすれば、きっとこの場所はなくならない。だからこそ、もっと地元と外部との接点が必要で、そこからいいものを取り入れていく必要がある。サウナはその外の世界とのきっかけづくりに位置しているんじゃないかなと思っています」

高橋さんが豊後大野市に移住してから7年が経つ。
移住のきっかけは、ただ仕事のためだった。だが現在は「自分たちが暮らすまちのために」と大きく視点、思考が変化し、地元の仲間と共にいかにまちの暮らしをよくするか、問題解決の糸口を探っている。

「地域に愛着を持つということは、それと共に問題をも一緒に共有をしていくということでもあります。移住を検討している人は、それをわずらわしいと思うかどうかを、実際に何度か移住候補先へと通って先輩移住者の声を聞いてフラットに判断することが大切だと思います」と高橋さんは話す。

地域の共同体として生きる上で直面する問題は、決して1人で解決するものでないことを高橋さんの話を聞いて感じた。移住の決め手は、自分自身が一歩前に踏み出すことはもちろん、地域にどのような人が住んでいて、どう一緒に生活をしていくのかまで目を向け、手を横に広げることが大切なのかもしれない。

高橋さんは今日も豊後大野の愛する景色を守るべく、アウトドアサウナのハブとしてカルチャーを広めている。

高橋さんお気に入りの景色(写真撮影/衞藤克樹)

高橋さんお気に入りの景色(写真撮影/衞藤克樹)

●取材協力
LAMP豊後大野
REBUILD SAUNA
おんせん県いいサウナ研究所

福岡「西新」駅直結の新商業施設、全テナントが決定

東京建物(株)と(株)プライムプレイスはこのたび、西新エルモールプラリバ跡地にて開発中のタワーマンション「Brillia Tower 西新」(福岡市早良区)に併設する新商業施設「PRALIVA(プラリバ)」の全テナントを決定した。
同施設は、福岡市営地下鉄「西新」駅徒歩1分(駅直結)に立地する地上4階・地下2階建。2019年夏に開業し、九州初出店を含む36店舗が集結する。全体開業は2021年春で、約40店舗になる予定。

B2FとB1Fは食品を中心としたフロア。京都で人気の老舗ベーカリー「GRANDIR(グランディール)」が九州初出店。ちょい飲みができる「博多とりかわ大臣 プラス」といった、立ち寄ることで日常の食卓に楽しみをプラスできる多彩な店舗構成を予定している。

1Fのメインエントランス横には、憩いの場となるカフェ「プロント」が出店。ステーショナリーやコスメを集約した「プラットインキューブ」や、ペット雑貨「P2DOG&CAT」など、幅広いニーズに寄り添った店舗構成とした。

2Fはサービスやカルチャーを集積させたフロアで、九州初出店のキッズスクール「My Gym」、様々なジャンルの書籍を取り揃える「くまざわ書店」が出店。3Fはワンフロアまるごと「無印良品」で、日々の生活を豊かにするアイテムを揃える。

ニュース情報元:東京建物(株)