いくえみ綾らレジェンド漫画家12名、名作を生んだ住まい秘話にときめきが止まらない!『少女漫画家「家」の履歴書』

青池保子、一条ゆかり、庄司陽子、山岸凉子、美内すずえ、いくえみ綾といった少女漫画家の名前を聞いて、「なつかしい!」「夢中で読んだ!」と思う人は多いはず。そんな少女漫画家たちに、住まいを軸に半生を語ってもらったのが『少女漫画家「家」の履歴書』(文藝春秋、週刊文春編)です。レジェンド少女漫画家への取材時のエピソードなど、本が完成するまでの舞台裏を文春新書編集部に聞きました。

庄司陽子先生からの直電も! 読者からも熱いお便りが届く

才能あふれる若き漫画家たちが次々と登場し、少女漫画界に新しい風を吹き込んでいた1970年代。『少女漫画家「家」の履歴書』(文藝春秋、週刊文春編)は、そんな70年代にデビューした少女漫画家の半生と住まいを振り返る一冊です。もともとは、2004年から2021年の「週刊文春」に掲載されたものでしたが、この春、新書になって刊行となりました。少女漫画を読んで大きくなった筆者としては、すぐに飛びついてしまいましたが、同じような人は多かったようです。

表紙・裏表紙には不朽の名作12冊の書影が並ぶ『少女漫画家「家」の履歴書』(文藝春秋、週刊文春編)

表紙・裏表紙には不朽の名作12冊の書影が並ぶ『少女漫画家「家」の履歴書』(文藝春秋、週刊文春編)(画像提供/文春新書編集部)

「発売前から書店員さんを中心に『水野英子、青池保子、一条ゆかり、美内すずえ、庄司陽子、山岸凉子、木原敏江、有吉京子、くらもちふさこ、魔夜峰央、池野恋、いくえみ綾と名前が並んでいるだけでワクワクする』とSNSで話題にしていただきましたが、発売後も読者がどんどん書影とともに感想を紹介してくれ、口コミが広がっていくのを実感しました」と話すのは編集を担当した文春新書編集部・池内真由さん。

実際、編集部には3枚以上にわたる長文の手紙が届くこともあるそうで、少女漫画を心の支えにしていた人はたくさんいるようです。しかも本書の発売後には、なんと庄司陽子先生から直接、池内さんにお電話がかかってきたそう。

「1度目は電話をとれず、2度目に『知らない番号だな……』とおそるおそる出てみたら『庄司陽子です』と! にわかに信じられなくて、先生には申し訳ないのですが、お名前を聞き直してしまいました(笑)。『大変いい思い出になりました。どうもありがとう』と仰ってくださって。私にとってはレジェンドの先生が、ただただ感謝を伝えるためだけに電話をしてくださったことに感動してしまいました。それが自分にとっては一番の『反響』かもしれません」

なんでしょう、そのエピソードだけで、なんだか胸がいっぱいになります。

(画像提供/文春新書編集部)

(画像提供/文春新書編集部)

取材OKがもらえるのは3人に1人! 鮮明な記憶に仰天!

それにしても、掲載されている少女漫画家の先生方は大御所のみなさまばかり。取材交渉も大変なのではないでしょうか。

「『家』というプライベートな話を扱うので、漫画家に限らず3人に依頼してようやく1人に受けていただけるかという企画なんです。何人もの編集者が関わっているので、それぞれ取材を快諾してもらうまでの難しさはあったと思います。残念ながら私は雑誌連載時の取材には同行していないのですが、取材をしてみると、さすが漫画家の先生方は記憶力バツグンで、次から次へと映像的なイメージが浮かぶように話してくださったと聞いています。一流の漫画家はこんなにも映像的な記憶力が優れているのかと思うほどだったと。青池保子先生はあらかじめ大きな方眼紙に手ずからご生家の間取り図を描いてくださって、担当編集者は家宝にしているそうです(笑)」

(画像提供/文春新書編集部、(c)市川興一)

(画像提供/文春新書編集部、(c)市川興一)

やはり絵を扱うプロだけあって、間取りや住まいへの解像度、理解度は並外れたものがあるようです。インタビューで衝撃を受けたのは、凉子先生。なんとエプロン姿で表れたといいます。

「山岸先生といえば“天才肌”で“知的”で“クール”。先生の描く『青青の時代』の日女子(卑弥呼)や『馬屋古女王』のようなミステリアスで威厳のある女性の姿を想像していました。ただ、実際には白を基調としたモダンな建築のお家の玄関に、エプロン姿で出迎えてくださって。自らセレクトした美味しいケーキと紅茶を振る舞っていただき、誌面に載せきれないほどの怪奇現象をお伺いしました。特に、幼少期に育った北海道の社宅や初めて建てた洋館での怪奇現象が本当に怖かったです」

(画像提供/文春新書編集部、(c)市川興一)

(画像提供/文春新書編集部、(c)市川興一)

作品さながらの怪奇現象を聞けるなんて、うらやましい……。ただ、エプロン姿でありながらも、同時代を生きる人たちのはるか先を見据えているような雰囲気があり、まるで“生きている厩戸皇子”だと思ったそう。

一輪のバラにすら書き手の表現力があらわれる

本書は表紙だけでなく、随所にバラがあしらわれているのも特徴的です。そうですよね、1970年代の少女漫画といえばバラです。かたい中身が多い新書の装丁では、少し珍しい印象です。

「たくさんの編集者の漫画愛が詰まってできた一冊なので、それが無事に届くようにと思っていました。文藝春秋社の新書の読者層はどちらかというと男性が多いので、少女漫画を読んできた女性は少ないのではないかと思っていたからです。そこで、70年代を想起させるようなバラで表紙を飾ろうと当初から思っていたのですが、たった一輪のバラでも、無料のイラストでは全然70年代の雰囲気が出ないんですよ」(池内さん)

そこで、バラのイラストを笹生那実さん(『薔薇はシュラバで生まれる』(イースト・プレス))に書き下ろしていただいたそう。笹生さんは美内すずえさんや山岸凉子さんのもとでアシスタントをされていた経験の持ち主で、このバラであれば、時代の空気までも伝えられると確信したといいます。

(画像提供/文春新書編集部、(c)笹生那実)※誌面よりトリミング

(画像提供/文春新書編集部、(c)笹生那実)※誌面よりトリミング

「バラ一つとってもそうなのですから、一冊の漫画ができ上がるまでに、漫画家、アシスタント、編集者の方々が注ぎ込む労力はハンパなものじゃないですよね。だから人の心を揺さぶることができるんだと思いました」

そうですよね、先人たちが文字通り「心血注いでできた」少女漫画だからこそ、今のように後進が続いているのだと思います。では、先生方からの原稿への赤字(間違いを正す指示書き)も厳しいものがあったのでしょうか。

「漫画家はセリフを書くプロでもありますから、赤字も面白かったです。さらに新たな要素が加わったり言葉のリズムが生き生きとした会話になったり。今回は連載時に加えて近況を『追伸』という形でメッセージをいただいています。どんな内容かは、ぜひ本書で確かめていただきたいです」
たしかに!! 追伸の内容、くすりとさせられました。あれは先生方からの赤字だったんですね……。

女性が漫画を描く道を切り開き、理想の家を建てた

それにしても、本書では女性漫画家それぞれの歩みのようで、日本の女性が社会に出て働けるようになった足跡とも重なります。

「そうですね、本書に登場するのは、魔夜峰央先生をのぞく11名が女性です。水野英子先生を皮切りに年齢の違う12人の漫画家の半生を見ていくことによって、『女性が漫画を描く』という道を切り拓き、その姿に憧れて新たな女性漫画家が生まれていったという時代の変遷を感じ取れると思います。結果として女性漫画家は、当時の働く女性の中でも飛び抜けた富を得て経済的に自立し、理想の家を建てるまでになりました」

個人的には新築マンションを購入し、3LDKを1Lにリノベーションしたいくえみ綾先生の話が印象的です。その時なんと20歳(!)。あまりの若さから施工業者に「あなたが買うんじゃないんですよね?」と言われ、お父様が「いえこの子が買うんです」と言い返したとか。伝説ですよね……。その他先生方の家を建てるとき、買うときのエピソードもまた個性があって、痛快すぎます。こだわりをつめこんだ注文住宅を建てるだけでなく、今でいうニ拠点生活をしていたり、ホテルで缶詰になって仕事をしていたり、アシスタントとのシェア生活だったりと、さまざまな住まい方のバリエーションが出てきます。やはり少女漫画家にとって「家」は特別な場所なのでしょうか。

「漫画家の場合、自宅が仕事場であることも多く、仲間たちと切磋琢磨した『戦場』でもあります。取材前は、家は傑作が生まれた『舞台裏」だと思っていました。ただ、山岸凉子先生に『あの頃 わたしは あの家で マンガ家になろうと 足掻(あが)いていた』と帯に書いていただき、随分と狭い考えだったと反省しました。12人のレジェンドたちがまだ何者でもなかった時の原体験。それを与えてくれたのが『家』なのだなと。彼らが何者でもない時に、何をみていたのか。どんな家で、家族とどんな時間を過ごしたのか。つまり、『世界をどのように見てきたか』、その視点こそが漫画家としての根っこになっているんだと気付かされたんです。そんな奥行きのあるコピーをわずか2行で書いてしまうんですから、すごいですよね」

(画像提供/文春新書編集部)

(画像提供/文春新書編集部)

やはり、時代をつくった稀代の少女漫画家は違いますね。もっと他の先生のお話や続編にも期待しているのですが、予定はあるのでしょうか。

「個人的には続編を出せたらいいなと思っています。今後も順調に売れてくれればですが……(笑)。本書が出てから『この漫画家に取材してほしい』というメッセージをいただきましたし、こちらとしても出ていただきたくてアプローチをしている先生方もいらっしゃいます。特に里中満智子さんはぜひご登場いただきたい方の一人です」と語ってくれました。

本書を読んで、久しぶりに少女漫画を読んでいたころのときめきを思い出しました。大人になると家は、広さや家賃、価格、駅徒歩、設備などの情報に目を奪われがちですが、実は住まい探しに大切なのは、「幼き日の憧れ」や「ときめき」かもしれません。

●取材協力
文藝春秋

トラックで家を運ぶ!移動しながら好きな空間で暮らすSAMPOの新提案

住まいは土地から離れられないものゆえ、『動かせない』を意味する「不動産」と言われてきました。でも、もしかしたら「住まいは動く」「人とともに動く」のは、今後、当たり前になるかもしれません。新しい暮らしとして最近注目されている、タイニーハウス、DIY、バンライフをはじめとする移動する暮らしの、“いいとこ取り”がぎゅっとつまった建築集団「SAMPO」の「モバイルハウス」などの取り組みをご紹介しましょう。
移動できて、コンパクト、その人らしい住まいをつくる試み

おしゃれな人が集う三軒茶屋の住宅街の一角、味わいのある一軒家と隣接するコンテナと緑の建造物が目を惹きますが、ここが建築集団「SAMPO」のハウスコアです。

一戸建ての住宅街に現れるハウスコア。普通の住まいとは異なる趣があり、思わずと足を止めたくなるはず(写真撮影/嶋崎征弘)

一戸建ての住宅街に現れるハウスコア。普通の住まいとは異なる趣があり、思わずと足を止めたくなるはず(写真撮影/嶋崎征弘)

左部分のコンテナと手前の緑の個室(モバイルセル)は移動できて居住できる部屋。茶色と黒が建物でハウスコア。内部は窓や通路でつながっていて、行き来可能です(写真撮影/嶋崎征弘)

左部分のコンテナと手前の緑の個室(モバイルセル)は移動できて居住できる部屋。茶色と黒が建物でハウスコア。内部は窓や通路でつながっていて、行き来可能です(写真撮影/嶋崎征弘)

「SAMPO」が提案するのは、軽トラックに搭載できるサイズの個室「MOC(モバイルセル)」で、一つの場所にとらわれない暮らしです。キッチンやバス、トイレといった水まわりは「HOC(ハウスコア)」に接続することで対応します。三茶のケースでは、写真の右側の一戸建て(茶色・黒の建物)がハウスコアにあたります。このハウスコアに住民票をおいて、郵便物などを受け取ることも可能です。モバイルセルは所有者の個性を大切にしたデザインで、コンパクトながらも快適な空間をDIYで一緒につくり出します。この暮らし方であれば、人も住まいも、いつでも心地よく、自由に動くことが可能になります。

コンテナ側から見た接続したモバイルセルの様子。コンテナに小さなドアがついていて、開閉します(写真撮影/嶋崎征弘)

コンテナ側から見た接続したモバイルセルの様子。コンテナに小さなドアがついていて、開閉します(写真撮影/嶋崎征弘)

モバイルセルの内部。大人2人が眠れて暮らせるサイズ。用途はさまざまで、音楽スタジオにした例も。これが軽トラに搭載できるってすごい!(写真撮影/嶋崎征弘)

モバイルセルの内部。大人2人が眠れて暮らせるサイズ。用途はさまざまで、音楽スタジオにした例も。これが軽トラに搭載できるってすごい!(写真撮影/嶋崎征弘)

コンテナ内部の住まい。こちらはSAMPOを主宰する村上さん夫妻が暮らしている部屋。おしゃれ!!(写真撮影/嶋崎征弘)

コンテナ内部の住まい。こちらはSAMPOを主宰する村上さん夫妻が暮らしている部屋。おしゃれ!!(写真撮影/嶋崎征弘)

考え方はシェアハウスと同じ。動く住まいの構想は100年以上前から

ちょっと今までの住まい方とあまりにも異なるのでびっくりしてしまいますが、このSAMPOの主宰者の一人の塩浦一彗さんによると、何も難しいことはないですよ、と言います。

塩浦一彗さん(写真撮影/嶋崎征弘)

塩浦一彗さん(写真撮影/嶋崎征弘)

「シェアハウスは個人が過ごす部屋と、バス・トイレ・キッチンなどの共用部分から成り立っていますよね。その部屋が『DIYでつくって、可動する』だけ。ごくごくシンプルなんですよ」と笑いながら解説します。そのため、ハウスコアの建物提供者となる大家さん、モバイルセルとの所有者の不動産契約なども、すべてシェアハウスと同様の手続きをとっているといいます。そうか……部屋が動くシェアハウスといえば理解も早いですね。

現在、拠点となるハウスコアは日暮里など都内に複数箇所あり、モバイルセルは今まで40人以上とつくってきたといいます。

日暮里のハウスコア(写真提供/SAMPO)

日暮里のハウスコア(写真提供/SAMPO)

(写真提供/SAMPO)

(写真提供/SAMPO)

「2016年に移動できる住まいの構想を僕と村上で考えていた当初はなんのコネもなかったのですが、おもしろい人がおもしろい出会いをつくって、またそれが人を呼んで、翌日にまた違う展開があって……というかたちで広がっていきました」(塩浦さん)
もともとイギリスの大学で建築を学んでいた塩浦さんによると、住まいをコンパクト&移動するという発想は自動車が誕生した直後から、主に米国で提唱されてきたといいます。

「今までは技術的に可能であっても、人々の住まい方や思想がついて来ませんでした。ただ、世界中の都市部の地価が高騰し、若い世代ほど暮らすことが難しくなっている。そのため、モバイルな暮らし、タイニーハウスが世界中の都市部で脚光を集めています。建築というより思想が先に変わりはじめたと言ったほうがいいかもしれません」(塩浦さん)

アトリエにあるキッチンとDJブース。食や音楽などライフスタイルや文化を大切にする塩浦さんたちの個性があふれています(写真撮影/嶋崎征弘)

アトリエにあるキッチンとDJブース。食や音楽などライフスタイルや文化を大切にする塩浦さんたちの個性があふれています(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

モバイルセルは、“共につくる体験”を売っている

「モバイルセルは世界の都市部の住宅難に対する一つの答えでもあります。日本でも35年の住宅ローンを背負うというのは人生の足かせになってしまうし、何より幸せそうに見えない。経済的に豊かになったはずなのに、幸せを感じられないのはなぜかと、依然からずっと疑問に思っていました。もっと身軽であれば、決断できること、チャレンジできることもあるはず」と力説します。

そのために大切なのは、住まいを買う・借りるという、消費者のスタンスから脱却して、「つくる」ことが大切だと考えているそう。

「現在、村上と他の会社で “キャラメルポッド”という名称で500万円のキャラメルのおまけにコンテナハウスとモバイルセルがドッキングしているタイプのものを販売していますが、キャラメルを買うくらいの感覚で部屋を買ってほしいからという意味も含めて名前をつけたんですよ。ただ、販売するとはいえ、完全なできあがったパッケージ商品を売るという感覚ではありません。所有希望者と対話しながら、一緒に空間を模索していく感じでしょうか。一人ひとり、モバイルのなかで何がしたいのか、最小限の空間で何ができるのか、その過程が大事なんです」と話します。
これは……「家を売る」というよりも、「家をつくる」という共同体験を販売しているのかもしれません。

シンガポール政府と共にSAMPOを支援している会社から依頼があり、商業施設とモバイルの生活空間の可能性を追求するプロジェクトに参画しています(写真撮影/嶋崎征弘)

シンガポール政府と共にSAMPOを支援している会社から依頼があり、商業施設とモバイルの生活空間の可能性を追求するプロジェクトに参画しています(写真撮影/嶋崎征弘)

災害の多い日本だからこそ広がる、モバイルセルの可能性

「それにモバイルセルを自分たちの手でつくれるようになると、すごく生き抜く自信がつくんですよ。軽トラと数十万円あれば、とりあえず家で雨露がしのげるって思うと、不確実な時代のサバイバルスキルとしてはとても有効だと思うんです」と塩浦さん。ここまで思うようになったのには、理由があります。

「モバイルセルの原点は、3.11の東日本大震災の体験にあります。当時、日本にいることに危険を感じ、震災発生の2日後にイタリアに渡ることになって、そこで高校を卒業しました。その後ロンドンの大学で学んで、日本に帰国。日本は小さいものを愛でる文化、茶室もあるし、モバイルな住まいととても相性がいいんです。現在も、モバイルセルのワークショップ形式でイベントを企画したり、学生と話す機会も多いんですが、今後はもうちょっと災害発生時の可能性を広げていけたら」と話します。

確かに災害発生時にモバイルセルがあったら、被害の甚大な場所に必要な台数分、配置すればいいですし、安全な場所に移動・避難ができます。建設にも解体にも時間とお金のかかる現状の仮設住宅よりも、こうした「モバイルセル」のほうが機動力もあり、有効な気がします。

また、個人としても、非常時に安心できる「巣」「家」をつくるスキルがあるって、それだけで、こう心強い気持ちになるのは、分かる気がします。すごく原始的な活力で、生き抜く力なのかもしれません。ただ、もともと、塩浦さん自身は、DIYの経験もほとんどなかったといい、やるなかでスキルを身に着けていったそう。
「DIYのほかに、料理やアクセサリーもつくりますし、音楽環境を整えたり、本を出版したり……、いろんなスキルを持つ人が周囲にいるので助けたり、助け合ったりして、今に至ります。やっぱり経験することで何かが生まれるし、触発される。何かをつくりたい、生み出したいって、本能に近いんだと思います」(塩浦さん)

アクセサリー工房の一角。建築にアクセサリー、音楽とちょっと才能があふれすぎ(写真撮影/嶋崎征弘)

アクセサリー工房の一角。建築にアクセサリー、音楽とちょっと才能があふれすぎ(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

一方、現在のアトリエは、7月に予約制の店舗(古着・骨董・アクセサリーのスタジオ)としてもオープンするそう。職住融合、モバイルハウスといっても、少し前までは絵に描いた餅だと思っていましたが、若い世代は、時代に即したかたちで適切にアップデートしていくんですね。自然災害や住まいの領域でも課題は山積みですが、若い才能が世界をより良く変えていくのかもしれません。

●取材協力
SAMPO

レオナルド・ダ・ヴィンチの”最後の館”。クリエイティブが息づく住まい 偉人のお宅訪問1

イタリア・ルネッサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチ。彼が晩年を過ごしたクロ・リュセ館がフランス中部の町アンボワーズにあります。現在はカルチャーパークになっていて、生前の暮らしぶりと、天才的な創造力を体感できることができます。連載名:偉人のお宅訪問
長い歴史のなかで、多くの芸術家たちを生み出してきたフランス。この国には、その歴史の分だけ偉人たちが暮らした痕跡がそこかしこに残っています。なかには、彼らが暮らした「住まい」がそのまま残されている場合も少なくありません。この連載では、そんな偉人たちの住まいに訪問し、作品の背景にあった暮らしや人柄に迫ります。外出制限中のルーブル美術館で、ダ・ヴィンチ作品に会いに行った

今、パリは2回目の外出制限中です。劇場や美術館は徐々に開かれていくようですが、12月中旬まで飲食店以外は全て閉鎖が続く予定です。
数カ月前、1回目の外出制限後の6月に、例年は海外からの観光客でにぎわう美術館がすいているというので、ルーブル美術館のへ数回足を運びました。ダ・ヴィンチの<モナ・リザ>をゆっくり鑑賞したかったから。いつも<モナ・リザ>は人だかりで、押し合いながら絵の前にみんなが行こうとし、ごった返していました。しかし、コロナ対策でロープで仕切られた列に並び、先頭まで来ると<モナ・リザ>と自撮りできる距離(2mぐらい)でゆっくりと見ることができるのです。
この他にも、ルーブル美術館には<聖アンナと聖母子><洗礼者聖ヨハネ>が展示されて、映画化もされた小説『ダ・ヴィンチ・コード』や、去年の「ダ・ヴィンチ没後500年記念展」の大盛況も記憶に新しく、ダ・ヴィンチはルーブル美術館になくてはならない画家の代表なのです。

人がまばらなルーブル美術館の館内(写真撮影/Maiko Matsunaga)

人がまばらなルーブル美術館の館内(写真撮影/Maiko Matsunaga)

パリからダ・ヴィンチ最後の3年間を過ごした王家の館へ

イタリア・ルネッサンスの巨匠の絵が、しかも代表作中の代表<モナ・リザ>が、なぜフランスにあるのだろう?そういえばダ・ヴィンチの晩年住んだ館があったはず!と思い立ち、ロワール川畔りの街アンボワーズのクロ・リュセを訪ねることにしました。

パリ・オーストリッツ駅からTERという長距離郊外電車に乗ります。フランスの新幹線TGVはサン・ピエール・デ・クロップ駅で乗り換えがあるので、アンボワーズ駅まで直通のTERがオススメです。パリを出発して15分もすると景色は畑ばかりになります。この景色を見るたびに、フランスは農業大国なんだと実感するのです。季節が春ならば一面黄色の菜の花畑が続きます。乗っている時間は2時間あまりですが、TERは運が良ければ客席がコンパートメントタイプ(車内が個室のように仕切られており向かい合わせに席が設置されている)の列車に乗ることができ、昔にタイムトリップしたような錯覚を覚え、ますます気分が盛り上がります。

オーストリッツ駅を出発して数十分で畑一面の景色に(5月春の景色)。延々と続く畑の中を南下してフランスの真ん中に向かう(写真撮影/松永麻衣子)

オーストリッツ駅を出発して数十分で畑一面の景色に(5月春の景色)。延々と続く畑の中を南下してフランスの真ん中に向かう(写真撮影/松永麻衣子)

国王フランソワ一世に迎えられ、過ごした町アンボワーズアンボワーズは雄大に流れるロワール川のあたり。この眺めをダ・ヴィンチも見たかと思うと不思議な気持ちになる(写真撮影/松永麻衣子)

アンボワーズは雄大に流れるロワール川のあたり。この眺めをダ・ヴィンチも見たかと思うと不思議な気持ちになる(写真撮影/松永麻衣子)

アンボワーズ駅に到着し、岩山を見上げると歴代のフランス王が住んでいた「アンボワーズ城」がそびえています。約500年前の1516年、フランソワ1世がダ・ヴィンチを「王の最高の画家、エンジニア、建築家」として迎え入れました。その時のイタリアからの荷物に<モナ・リザ><聖アンナと聖母子><洗礼者聖ヨハネ>今ではルーブル美術館に展示されているその3点が入っていたのです。
その後3年間、ダ・ヴィンチは人生の幕が降りるまで、クロ・リュセで王のために発明などの多くの仕事をしていきます。
そこには、彼から現代の私たちへの問いかけや、生活のヒントがちりばめられていました。
あの名画を描いた巨匠は一体どんな館に住んでいて、どんな偉業を成し遂げたのか?と、ダ・ヴィンチに想いを馳せながら、駅からクロ・リュセへ続く細い坂道を登って行きます。坂の頂上に門があり、そこをくぐって敷地内に入るとなだらかな下り坂の芝生の庭園が広がり、左手にダ・ヴィンチが住んだ館、右手にカフェやミュージアムグッズの売られているショップと自家菜園があります。

駅からレストラン街を抜けると長い塀が現れます。しばらく坂を登るとクロ・リュセの入り口(写真撮影/Manabu Matsunaga)

駅からレストラン街を抜けると長い塀が現れます。しばらく坂を登るとクロ・リュセの入り口(写真撮影/Manabu Matsunaga)

古いヨーロッパ建築の例にもれず、城塞として使われたこともあるクロ・リュセ。回廊から入り口を見張ることができるようになっている。館内の見学はこの回廊からダ・ヴィンチの寝室に入っていく(写真撮影/Manabu Matsunaga)

古いヨーロッパ建築の例にもれず、城塞として使われたこともあるクロ・リュセ。回廊から入り口を見張ることができるようになっている。館内の見学はこの回廊からダ・ヴィンチの寝室に入っていく(写真撮影/Manabu Matsunaga)

当時のルネッサンス様式のインテリアを再現

もともと王のお気に入りの料理人のために整えられた館であり、その後王家のサマーハウスとして使われていたクロ・リュセ。その後、迎え入れられたダ・ヴィンチの寝室は2階にあって、その窓からはアンボワーズ城を眺めることができます。部屋の配置一つ取っても、フランソワ1世はダ・ヴィンチを父のように慕っていたという二人の絆の強さを感じることができます。
高い天井や、部屋の壁には冷気を防ぐために掛けられたというタピ(絨毯)も他のシャトーでよく見かける当時の特徴や工夫です。ダ・ヴィンチの寝室は外壁と同じ赤レンガの壁、床や家具も同系色でまとめられ、ルネッサンス様式の天蓋付きベッドやシンメトリーのデザインのチェストなどが置かれています。当時を再現しているそう。
私にとって、ここでダ・ヴィンチを理解することは高貴な娯楽。約500年も前なのに、とてもダ・ヴィンチを近くに感じ、理解することができるこの空間にいると、「最も高貴な娯楽は、理解する喜びである」という言葉が胸に迫ってきます。そして、ここで生活をし息を引き取ったことをリアルに感じることができるのでした。

ダ・ヴィンチの寝室からは、岩山の頂上にそびえる王の住む城が見える(写真撮影/Manabu Matsunaga)

ダ・ヴィンチの寝室からは、岩山の頂上にそびえる王の住む城が見える(写真撮影/Manabu Matsunaga)

1519年5月2日、この寝室で67年の生涯を閉じた。天蓋付きベッドやシンメトリーの家具などダ・ヴィンチが暮らしていた当時をしのばせるルネッサンス様式の物が置かれている(写真撮影/Manabu Matsunaga)

1519年5月2日、この寝室で67年の生涯を閉じた。天蓋付きベッドやシンメトリーの家具などダ・ヴィンチが暮らしていた当時をしのばせるルネッサンス様式の物が置かれている(写真撮影/Manabu Matsunaga)

寝室と同じ2階にはダ・ヴィンチが多方面の多くの作品のアイデアを生んだ部屋もある(写真撮影/Manabu Matsunaga)

寝室と同じ2階にはダ・ヴィンチが多方面の多くの作品のアイデアを生んだ部屋もある(写真撮影/Manabu Matsunaga)

1階に降りると子どもを亡くしたアンヌ・ド・ヌーブ(王シャルル8世の妻)のためにつくられた礼拝堂がある。ブルーのアーチの天井にはダ・ヴィンチの弟子による4つのフレスコ画が描かれている。その中の一つが<Virgo Lucis/光の聖母>(写真撮影/Manabu Matsunaga)

1階に降りると子どもを亡くしたアンヌ・ド・ヌーブ(王シャルル8世の妻)のためにつくられた礼拝堂がある。ブルーのアーチの天井にはダ・ヴィンチの弟子による4つのフレスコ画が描かれている。その中の一つが<Virgo Lucis/光の聖母>(写真撮影/Manabu Matsunaga)

現在のBIOブームはダ・ヴィンチの予言だったのか?

ベジタリアンだったダ・ヴィンチの言葉<少しの飲酒、健康的な食事、そして適切な睡眠はあなたの健康を保つでしょう>は、まるで現在の空前のBIOブームを予言していたよう。フランスで暮らし、現状目の当たりにしている私も、深く頷くことができる言葉です。

ここ数年、フランスでは健康への意識がものすごく高くなり、BIO食品しか口にしない人、肉や魚を食べないベジタリアンやヴィーガンがとても増えています。外出制限中のパリは、家から半径1km以内、1時間以内の必要な買い物は許されていました。私の家の周りを見回してみたら、半径1km以内にBIOショップが8軒もできていて、増え続けている状態です。

ベジタリアンやヴィーガンは、化学調味料(ブイヨンなどの旨味)や白い砂糖などは使わない代わりに、スパイスをとても上手に使います。ダ・ヴィンチも、コショウやカカオやシナモンといったスパイスを、薬効を考慮しながら食事に使っていたそう。ほかにも、館の庭に畑をつくり、ハチ蜜をつくり、といったふうに、健康や食へのこだわりも相当なものだったようです。

キッチンの大きなテーブルの上にはワインキャラフや香辛料が置かれ、暖炉の横にはイタリアのテラコッタ(素焼き)を連想させるポットがたくさん並べられていて、とっても素敵。私ならこのポットに何を入れるだろう?お米かな?と想像するのも楽しかったです。

1471年に国王ルイ11世の料理人のための館だったため、キッチンがとても広く機能的だったそう。食に対しての意識が高かったレオナルド・ダ・ヴィンチは改装なしでここを使い続けた(写真撮影/Manabu Matsunaga)

1471年に国王ルイ11世の料理人のための館だったため、キッチンがとても広く機能的だったそう。食に対しての意識が高かったレオナルド・ダ・ヴィンチは改装なしでここを使い続けた(写真撮影/Manabu Matsunaga)

香辛料を好んだダ・ヴィンチ、キッチンの物は当時を忠実に復元しいてる。「スープが冷めるから」という理由で、キッチンの暖炉の近くで食事をとることも多かった(写真撮影/Manabu Matsunaga)

香辛料を好んだダ・ヴィンチ、キッチンの物は当時を忠実に復元しいてる。「スープが冷めるから」という理由で、キッチンの暖炉の近くで食事をとることも多かった(写真撮影/Manabu Matsunaga)

発明家としてのダ・ヴィンチを体験できる野外博物館と植物園

クロ・リュセの庭では、画家だけではなく発明家、建築家でもあったダ・ヴィンチを知ることができます。彼の発明品の実物大が置かれていて、実際に乗ったり手に取ったりすることができるカルチャー・ランドにもなっています。

植物園の木に吊るされた半透明の布にはレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた解剖学デッサンが印刷されている(写真撮影/Manabu Matsunaga)

植物園の木に吊るされた半透明の布にはレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた解剖学デッサンが印刷されている(写真撮影/Manabu Matsunaga)

こちらは建築家と都市工学の設計図。この他にモナ・リザや自画像なども半透明の布に印刷されて木に吊るされている(写真撮影/Manabu Matsunaga)

こちらは建築家と都市工学の設計図。この他にモナ・リザや自画像なども半透明の布に印刷されて木に吊るされている(写真撮影/Manabu Matsunaga)

その横には林と庭園があり、木の枝には彼の世界観を薄布の垂れ幕で飾ってあったり、どこからか彼の格言が音声で聞こえてきたりします。例えば「猫科の一番小さな動物、つまり猫は、最高傑作である」「目は魂の窓である」「質素であることは最も素敵なことだ」「最も高貴な娯楽は、理解する喜びである」「このところずっと、私は生き方を学んでいるつもりだったが、最初からずっと、死に方を学んでいたのだ」など、心に響く言葉がたくさん。その中で最も有名であり、私も好きな彼の格言が「充実した一日が幸せな眠りをもたらすように、充実した一生は幸福な死をもたらす」です。そんなふうに生きてみたいと思いながら、駅までの帰り道、ダ・ヴィンチが眠るチャペルがあるというアンボワーズ城を見上げました。

館の地下室にはダヴィンチが発明した設計図や模型が展示されている。空を飛ぶためのプロペラや戦車の軍事模型や発明など、見れば見るほど精密に設計されている(写真撮影/Manabu Matsunaga)

館の地下室にはダヴィンチが発明した設計図や模型が展示されている。空を飛ぶためのプロペラや戦車の軍事模型や発明など、見れば見るほど精密に設計されている(写真撮影/Manabu Matsunaga)

野外博物館にあるプロペラ機の実物大模型は、ぶら下がってうんていのように回って遊ぶことができる(写真左)軍事関係の実物大模型の戦車。中に入って取っ手を回すと回転する仕組み(写真右)(写真撮影/Manabu Matsunaga)

野外博物館にあるプロペラ機の実物大模型は、ぶら下がってうんていのように回って遊ぶことができる(写真左)軍事関係の実物大模型の戦車。中に入って取っ手を回すと回転する仕組み(写真右)(写真撮影/Manabu Matsunaga)

庭園内の川で足こぎボートも体験できる。後ろ手で舵を取り、水車と同じ原理で設計された足こぎはかなり疲れました(写真撮影/Manabu Matsunaga)

庭園内の川で足こぎボートも体験できる。後ろ手で舵を取り、水車と同じ原理で設計された足こぎはかなり疲れました(写真撮影/Manabu Matsunaga)

そびえ立った山の上にある村に物資を運ぶための都市開発の発明品。重いものを巻き上げることができ、大きな石も簡単に持ち上げられる(写真撮影/Manabu Matsunaga)

そびえ立った山の上にある村に物資を運ぶための都市開発の発明品。重いものを巻き上げることができ、大きな石も簡単に持ち上げられる(写真撮影/Manabu Matsunaga)

館から野外博物館へ行く途中にある橋。小川の下を船が通るときに橋が移動するような設計(写真撮影/Manabu Matsunaga)

館から野外博物館へ行く途中にある橋。小川の下を船が通るときに橋が移動するような設計(写真撮影/Manabu Matsunaga)

植物園の池に架けられたレオナルド・ダ・ヴィンチ設計の二重橋は、イタリアのペスト流行を受けて発明された。家畜用の通路と人間用の通路と分けて衛生面を強化するためだったとか(写真撮影/Manabu Matsunaga)

植物園の池に架けられたレオナルド・ダ・ヴィンチ設計の二重橋は、イタリアのペスト流行を受けて発明された。家畜用の通路と人間用の通路と分けて衛生面を強化するためだったとか(写真撮影/Manabu Matsunaga)

(文/松永麻衣子)

Le Château du Clos Lucé シャトー・クロ・リュセ 
住所 2, rue du Clos Lucé 37400 Amboise Val de Loire
電話 +33(0)2 47 57 00 73

「垂水」駅北側の再開発事業、神戸市が都市計画決定

野村不動産(株)が事業協力者として参画する「垂水中央東地区第一種市街地再開発事業」が、7月4日、神戸市より都市計画決定の告示を受けた。同事業は、神戸市垂水区の中心であるJR・山陽電鉄「垂水」駅の北側で行われる再開発事業。地区内には狭小な敷地が多く、老朽化した木造建物が密集しているため、再開発の実現を目指してまちづくり活動が進められてきた。

同事業では、駅前の低利用地の高度利用と都市機能の更新を行い、商業施設の整備や居住機能の集積を図る。また、建物の耐火・耐震化により防災性を向上させ、歩道状空地の整備により歩行者空間を確保する。

施行区域は垂水区神田町3番(一部)5番6番7番の約0.7ha。2020年度に本組合設立認可、2021年度に権利変換計画認可、本体工事着工、2024年度に竣工の予定。

ニュース情報元:野村不動産(株)

「第5回 学生住宅デザインコンテスト」作品募集スタート

毎日新聞社が主催する「第5回 学生住宅デザインコンテスト」の作品募集が始まった。このコンテストは、建築業界を目指す学生を対象に行っているもの。建築界の未来を担う人材の育成・支援を目的としている。

第5回目の開催となる今回のテーマは、「やわらかい木造の住まい」。木がなんであるかということを肌で感じられるような、新しい木造住宅のアイデアを募集する。

審査は、東京都市大学教授・手塚貴晴氏、青山学院大学教授・黒石いずみ氏など、有識者が行い、グランプリ(1点、賞金30万円)、準グランプリ(1点、賞金15万円)などを決定する。一部受賞作品は、商品化も検討されるという。

締切は2019年9月2日(月)。結果発表は同年10月中旬の予定。

ニュース情報元:毎日新聞社

駅近の定義、平均は「徒歩8.2分」

住まい選びなどで重要視される駅からの所要時間。「駅近」とよく耳にするが、「駅近」に対する定義は特にない。そこで、リビン・テクノロジーズ(株)は、「駅近は徒歩何分までか」についてアンケート調査を行った。

調査は2019年5月16日~6月5日、首都圏在住の20歳以上の男女を対象にインターネットで実施。180人より回答を得た。

「駅近」は駅から徒歩何分までですか?では、最も多いのは「徒歩10分」で31.1%。「徒歩5分」が25.0%で続く。「徒歩16分以上」も10.0%いて、アンケート全体の平均は「徒歩8.2分」だった。

住むなら駅から徒歩何分までが許容範囲ですか?では、「10分」が最も多く40.0%。「15分」(23.9%)、「5分」(12.2%)、「16分以上」(7.8%)と続き、平均は「10.2分」だった。駅近=徒歩圏内と考えている人が多いようだ。

駅からどのくらい離れると遠くて住めないと思いますか?では、最も多かったのは「20分」で29.4%。「15分」(17.8%)、「26~30分」(12.8%)、「31~35分」(9.4%)、「10分」(7.2%)と続き、全体の平均は「23.5分」だった。

ニュース情報元:リビン・テクノロジーズ(株)

災害時のライフライン、停電経験者は7割

(株)住環境研究所は、このたび「防災・災害意識と住まい調査」を実施し、その結果を発表した。この調査は、5年以内に戸建持家を取得した方で“被災経験がある方”、および住宅取得計画者で“被災経験がある方”を対象に、災害についての実態を調査し、今後の災害に備える住まいのあり方を探ったもの。調査は2019年2月28日~3月4日、インターネットで実施。サンプル数は1,403件。

それによると、被災した際に停電を経験した方は全体の70%にのぼった。災害別の内訳は「地震被害」で85%、「水害被害」で69%、「台風被害」で69%。また、断水を経験した方は全体で43%だった。内訳は「地震被害」で64%、「水害被害」で43%、「台風被害」で29%。被災時にライフライン関連がストップする状況が多く発生していることがわかる。

災害時に困ったことでは、「家の片付け、掃除」が26.6%でトップ。「停電、計画停電などで自宅の電気が使えない」(25.7%)、「食料の入手」(25.0%)、「飲み水の入手」(23.3%)、「自宅の水洗トイレが使えない」(23.2%)が続く。住まいのライフラインに関して備えが難しいことが伺える。

“被災経験がある”住宅取得計画者に、災害に対応する住まい(建物、設備)への配慮の要望を聞くと、建物への要望は、地震対策として「倒壊しない強固な構造」(78.2%)、「揺れによる室内の被害を抑える配慮」(74.8%)がある。台風対策としては「飛来物に対する配慮がある(窓にシャッター等)」(69.9%)、「飛散に対する配慮がある(屋根の固定方法等)」(68.9%)が、高い要望として挙がっている。

設備への要望としては、停電対策として「太陽光や蓄電池などにより最小限の生活が行える」(51.0%)、「電気のみに頼らない、ガスも併用した設備」(47.6%)、「大容量蓄電池などにより普段通りの生活が行える」(45.1%)があった。

ニュース情報元:(株)住環境研究所

二地域居住、約6割が「興味ある」

(公社)全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)と、(公社)全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)は、このたび「住まい方の意識トレンド調査」の結果を公表した。
この調査は、いまの社会環境を含めた住まいに関して、生活者の思考とニーズを把握することを目的に行ったもの。調査は2019年1月24日~1月28日、インターネットで実施。20歳以上の男女2,400名から回答を得た。

あなたの住まいの環境で、最も重視するものは何ですか?では、「買い物施設や病院など利便施設の充実」が38.5%と最も多く、次いで回答の多かった「通勤のしやすさ」(18.8%)と「治安」(17.1%)に比べて倍以上のスコアであることから、生活のしやすさが最も求められていることがわかった。

将来、都市部と地方のどちらに住みたいですか?では、「都市部」が59.0%、「地方」が41.0%とやや都市部が地方を上回った。性別による差異は見られなかったが、年代別では20代、居住区分別では3世帯以上の2つの属性で「地方」が「都市部」を上回った。

また、平日は都市部、週末は地方で暮らすスタイルの二地域居住(週末移住)については関心が高いようで、約6割が「やりたい」あるいは「興味はある」と回答している。特に20代の関心が高く、「可能ならやりたい」「是非やりたい」の割合が他の年代と比べて高い。

住居を選ぶ際にリノベーション済みの戸建てやマンション、アパートへの抵抗はありますか?では、「全く抵抗ない」が27.6%、「少し抵抗はあるが、検討できる」が35.7%と、あわせて半数以上がリノベーション済みの物件に対して前向きであることがわかった。年代別では特に20代が抵抗が少ない一方で、30代は「絶対に検討したくない」割合が16.6%と全年代で最も高かった。

ニュース情報元:全宅連

ミレニアル世代、「結婚する前に同居」が多数派

(株)ジャパンネット銀行(東京都新宿区)はこのたび、ミレニアル世代とその親世代を対象に「住まいと暮らし」に関する意識・実態調査を行った。調査は2019年1月24日~1月28日にインターネットで実施。ミレニアル世代(18~25歳)の有職者男女300名、親世代(18~25歳の子どもを持つ40~59歳)の有職者男女300名より回答を得た。

居住環境を決めるうえで重視することは、「買い物に便利な立地であること」(ミレニアル世代:79%、親世代:80%)、「最寄りの駅やバス停から近いこと」(ミレニアル世代:65%、親世代:68%)のツートップは世代問わず共通していた。しかし、ミレニアル世代では「飲食店が多いこと」を挙げた人が32%と約3人に1人にのぼったが、親世代で同じ回答をした人はわずか7%。また、「都市の中心部であること」と回答したミレニアル世代は33%である一方、親世代では17%にとどまるなど、価値観の違いがみられる項目も見受けられた。

住まいを決めるうえで重視することについては、「住宅の性能がよいこと」(ミレニアル世代:69%、親世代:66%)はいずれの世代でも最多。その他の項目では、「住宅の内装が好みである(または自分で選べる)こと」を選んだ人の割合はミレニアル世代が約6割(56%)であるのに対して親世代は47%。「気軽に住み替えができること」の割合はミレニアル世代が約6人に1人(16%)で親世代が5%と、それぞれ10ポイント前後の差がみられた。

また、パートナーとは結婚する前に同居をしましたか(または同居したいと思いますか)?では、ミレニアル世代では「結婚する前に同居した(または同居したいと思う)」が57%で多数派に対し、親世代では「結婚する前に同居しなかった(または同居したいと思わない)」が79%と多数派。パートナーと暮らしはじめるタイミングについては、世代間で大きなギャップがあるようだ。

さらに、ミレニアル世代においては「結婚前後問わず同居はしない、またはパートナーはいらない」と答えた人も約3割(28%)。パートナー自体を不要とする人も含め、パートナーとの同居を望まないミレニアル世代は少なくないようだ。

持ち家や賃貸などにとらわれない、新しい暮らし方に興味はありますか?では、ミレニアル世代の約6割(57%)が「ある」と回答。親世代で同じ回答をした割合は37%だった。

ニュース情報元:(株)ジャパンネット銀行

住まいの不満、トップは「築年数が古く、傷んでいる」

リビン・テクノロジーズ(株)はこのたび、30歳以上の男女を対象に「住まいの不満」に関する調査を行った。調査は2018年12月12日~2019年1月15日、インターネットで実施。519人より回答を得た。それによると、住まいの種類は「注文住宅」が41.4%、「建売住宅」が13.5%、「中古戸建て」が23.7%、「新築分譲マンション」12.3%、「中古分譲マンション」9.1%だった。住まいの満足度をみると、「とても満足している」は全体で29.7%、「まあ満足している」は54.1%、「あまり満足していない」12.1%、「まったく満足していない」4.1%という結果。

それぞれの居住者に不満点を回答してもらったところ、最も多かった回答は「特に不満な点はない」で63.6%。その中でも多かった不満点を挙げると、「築年数が古く、傷んでいる」が最多で19.8%。「広過ぎて掃除などが大変」14.1%、「収納が少ない」10.6%と続く。

それぞれの居住者ではどうなのかみると、注文住宅では「広過ぎて掃除などが大変」が18.1%で1位。「築年数が古く、傷んでいる」14.0%、「固定資産税が高い」9.3%と続く。建売住宅では、同率1位が「広過ぎて掃除などが大変」「収納が少ない」で各12.9%。3位に「日当たりが悪い」が11.4%で続く。

新築分譲マンションにおいては、1位「収納が少ない」25.0%、2位「結露が凄い」17.2%、同率3位が「固定資産税が高い」「狭い」「湿気が多く、カビができやすい」「ベランダやバルコニーが狭い」で各7.8%。中古分譲マンションでは、同率1位が「築年数が古く、傷んでいる」「水回りが古い」で各21.3%、3位「狭い」で19.1%だった。

ニュース情報元:リビン・テクノロジーズ(株)

中高年の住まい、「今よりコンパクトな家に住みたい」が多数

積水化学工業(株)住宅カンパニーの調査研究機関である(株)住環境研究所は、「中高年の生活・住まいに関する意識調査」を実施した。調査は50代以上の既婚・男女を対象に、2018年9月にインターネットで実施。1,180件の回答を得た。また、2000年の調査と比較し時系列変化等を捉えた。
「夫婦といえども一人の時間がほしい、それでこそ仲良く暮らせる」(A)と、「会話があってこそ分かり合える、共有の時間を多く持ちたい」(B)の、どちらの考えに近いですか?では、2000年の調査ではA系統(「ほとんどAの意見」と「Aに近い」の合計)が39%、B系統(「ほとんどBの意見」と「Bに近い」の合計)が35%と比較的均衡していたが、今回の調査ではA系統は51%、B系統は16%となり、A系統の方が3倍以上も多かった。「夫婦といえども一人の時間が欲しい」という考えの方が増加しているようだ。

家族に関する意識調査として、「家庭では家族一人ひとりの生活を尊重したい」(A)、「家庭では家族のまとまりを第一に大切にしたい」(B)のどちらを希望しますか?では、今回の調査ではA系統が46%、B系統は27%となった。2000年の調査(A系統29%、B系統54%)と比較すると、独立志向が強まっていることが分かる。

子どもに関する意識については、「子どもは社会人になったら自立べきだ(家を出るべきだ)」(A)、「子どもが結婚してもできればいっしょに(近くで)暮らしたい」(B)のどちらの考えに近いかを探ったところ、今回の調査ではA系統が50%、B系統は13%だった。2000年の調査(A系統40%、B系統32%)と比較すると、親子間においても独立志向が強まっていることが分かる。

「今の家は大きすぎる、もっとコンパクトな家に住みたい」(A)と、「今の家は狭すぎる、もっと広い家に住みたい」(B)のどちらの考えか?では、「どちらともいえない」が多くを占めたが、A系統が20%、B系統は16%となり、住まいを縮小する希望が多いと言える。住居形態別では、特に持家戸建て層では住まいの縮小希望が多い傾向にある。

ニュース情報元:積水化学工業(株)

中高年の住まい、「今よりコンパクトな家に住みたい」が多数

積水化学工業(株)住宅カンパニーの調査研究機関である(株)住環境研究所は、「中高年の生活・住まいに関する意識調査」を実施した。調査は50代以上の既婚・男女を対象に、2018年9月にインターネットで実施。1,180件の回答を得た。また、2000年の調査と比較し時系列変化等を捉えた。
「夫婦といえども一人の時間がほしい、それでこそ仲良く暮らせる」(A)と、「会話があってこそ分かり合える、共有の時間を多く持ちたい」(B)の、どちらの考えに近いですか?では、2000年の調査ではA系統(「ほとんどAの意見」と「Aに近い」の合計)が39%、B系統(「ほとんどBの意見」と「Bに近い」の合計)が35%と比較的均衡していたが、今回の調査ではA系統は51%、B系統は16%となり、A系統の方が3倍以上も多かった。「夫婦といえども一人の時間が欲しい」という考えの方が増加しているようだ。

家族に関する意識調査として、「家庭では家族一人ひとりの生活を尊重したい」(A)、「家庭では家族のまとまりを第一に大切にしたい」(B)のどちらを希望しますか?では、今回の調査ではA系統が46%、B系統は27%となった。2000年の調査(A系統29%、B系統54%)と比較すると、独立志向が強まっていることが分かる。

子どもに関する意識については、「子どもは社会人になったら自立べきだ(家を出るべきだ)」(A)、「子どもが結婚してもできればいっしょに(近くで)暮らしたい」(B)のどちらの考えに近いかを探ったところ、今回の調査ではA系統が50%、B系統は13%だった。2000年の調査(A系統40%、B系統32%)と比較すると、親子間においても独立志向が強まっていることが分かる。

「今の家は大きすぎる、もっとコンパクトな家に住みたい」(A)と、「今の家は狭すぎる、もっと広い家に住みたい」(B)のどちらの考えか?では、「どちらともいえない」が多くを占めたが、A系統が20%、B系統は16%となり、住まいを縮小する希望が多いと言える。住居形態別では、特に持家戸建て層では住まいの縮小希望が多い傾向にある。

ニュース情報元:積水化学工業(株)

LGBTの住まい探し、居心地の悪さを経験したのは「住宅購入」で31.1%

(株)リクルート住まいカンパニー(東京都港区)はこのたび、「SUUMO『LGBTの住まい・暮らし実態調査2018』」を実施し、その結果を発表した。調査対象は20~59歳の男女でLGBTを自認している方。調査は2018年8月3日(金)~8月10日(金)にインターネットで実施。有効回答数は362人。

それによると、自身のセクシュアリティをカミングアウトした経験があると答えた割合は54.1%だった。セクシュアリティ別だと、「レズビアン」が67.3%と一番高い。年代別では、20代が62.2%と一番高く、年齢が低いほうがカミングアウトしている人が多い傾向。カミングアウトをした対象は「同性の友人」が36.7%で最も多く、「異性の友人」(22.1%)、「親」(18.8%)と続いた。

また、集団生活の中で偏見や差別的な言動を受けた経験や不快感を持ったことがあると答えた割合は、全体では41.2%。セクシュアリティ別では「ゲイ」が55.1%と最も高く、次いで「レズビアン」が48.1%だった。

現在の住まいにおいては、「賃貸アパート・マンション」が36.7%で最も多い。持ち家(自己所有)比率は、セクシュアリティ別では「ゲイ」が40.4%で最も高く、ついで「トランスジェンダー」(32.9%)、「レズビアン」(27.0%)と続く。

住まい探しで、セクシュアリティが原因で困難や居心地の悪さを経験したことがあると答えた比率は、「賃貸住宅探し」で28.7%、「住宅購入」で31.1%。日常生活でセクシュアリティが原因で困難や居心地の悪さを経験したことがある項目は、「結婚式」が33.3%で最も高く、ついで「旅行」(30.6%)、「会食」(30.4%)だった。

LGBTに向けた施策・商品についての認知度では、「同性カップルのパートナーシップ登録や証明書発行を行う自治体があること」が53.6%で最も高く、ついで「国・地域によっては、同性同士の結婚が認められていること」が52.5%。「同性カップルで共同で組める住宅ローン商品があること」への認知は26.8%だった。

ニュース情報元:(株)リクルート住まいカンパニー

神田に食住業一体のコミュニティビル、安田不動産

安田不動産(株)(東京都千代田区)は、食住業が一体となったコミュニティビル「錦町ブンカイサン」(千代田区神田錦町)を7月23日(月)にグランドオープンする。同プロジェクトは、築39年のビルをリニューアルしたもの。プラットフォームサービス(株)(東京都千代田区)を事業主体、ハバタク(株)(東京都千代田区)を企画運営者として、千代田区神田錦町に本社を構える3社が連携を図りながら事業化を行った。

1~2階は「食べられるミュージアム」をコンセプトに地方の生産者との繋がりを活かした食堂を、3階は「農耕型コワーキングスペース」として、起業家を対象とした会員制コワーキングスペースを設置した。

4~5階は「農耕型レジデンス&ラウンジ」(名称:「住まいは錦上へ」)。起業準備中・初期段階の起業家が、職住近接環境で事業創造に集中できる住宅機能を備える。

ニュース情報元:安田不動産(株)

本当に住みやすい街(関西)、トップはJR神戸線「尼崎」

アルヒ(株)(東京都港区、以下 ARUHI)は、同社のデータを基に住宅専門家が厳選した2府1県(大阪府、京都府、兵庫県)の“本当に住みやすい街”TOP10を決める、「ARUHI presents 本当に住みやすい街大賞2018 in 関西」を開催し、その結果を発表した。
2府1県でARUHI住宅ローンを利用する方の融資実行件数(2017年3月から2018年2月までの1年間、借換除く)を町名単位で集計。これらのデータを基に、住環境・交通利便・教育環境・コストパフォーマンス・発展性の5つの基準を設定し、住宅や不動産の専門家が参画する選定委員会による公平な審査のもと“本当に住みやすい街“を選定した。

それによると、1位に選ばれたのはJR神戸線「尼崎」。大阪駅まで新快速で5分、新大阪11分と大阪中心地にアクセスが良い点、駅に併設してQ’s MallやOASISといった大規模商業施設があり、買い物に便利な環境であること、また、大阪中心地に近い住宅エリアとして生まれ変わりつつあり、その注目度の高さから家族暮らしに最適な街であると評価され、第1位に輝いた。

2位には、大阪地下鉄御堂筋線「本町」がランクイン。オフィス立地の淀屋橋、商業立地の心斎橋に挟まれた発展性の高いエリアである点、校区となる小学校では1年生の生徒数が6年生の倍以上と近年居住者人口が増加していることなど、便利な都心部にあって今後住宅街としても期待できる人気上昇中の街であると評価された。

3位はJR山陰本線「二条」。生活環境が整った街並みと古都の佇まいを合わせ持つ今昔融合した歴史ある街であることが高く評価された。

4位には、自然豊かで良好な住環境、初めてマイホームを購入する方にも手が届く価格帯の、神戸市営地下鉄「学園都市」がランクイン。5位には、城跡や酒蔵が残る歴史ある景観もあり、教育環境が整った穏やかでコンパクトな街、阪急伊丹線「伊丹」が選ばれた。

ニュース情報元:アルヒ(株)

三大都市圏の20代、約4人に1人が地方移住に強い関心

国土交通省は6月26日、「平成29年度国土交通白書」を公表した。「国土交通白書」は、毎年度、同省の施策全般に関する年次報告として閣議配布し公表しているもの。今年は、約5,000サンプルを対象に国民意識調査を実施、「働き方」「楽しみ方」「動き方」「住まい方」に分けて分析した。

それによると、「働けるうちは、できるだけ働きたい」と考える就労意欲は、20代で32.1%、30代で37.9%、40代で39.0%、50代で40.6%、60代で65.7%、70代で72.5%と、年代があがるにつれて高くなる傾向。働く上で重視することは年代によって多様で、20~40代は「給与・賃金」、50~70代は「仕事のやりがい」を最も重視している。

また、働き方を変えるためには、「意識改革」、「テレワークやフレックスタイム制等労働時間や場所の多様化」が特に求められており、次に「高齢者、女性等の多様な人材の就業促進」や、「キャリアを継続できる人事制度」、「技術革新による仕事の効率化」等があげられる。

居住地域に対する不安としては、三大都市圏では18.9%、政令市・県庁所在地・中核市で17.3%、5万人以上市町村で25.2%、5万人未満市町村では27.8%が「住民の高齢化や減少によりコミュニティの維持が不安」をあげている。「公共交通が減り自動車が運転できないと生活できない」では、三大都市圏で11.7%、政令市・県庁所在地・中核市で23.7%、5万人以上市町村で37.7%、5万人未満市町村では44.3%という結果。

地方移住推進への希望を三大都市圏でみると、20代24.8%、30代13.6%、40代12.1%、50代14.6%、60代12.1%という結果。20代の約4人に1人が、特に地方移住に関心があるようだ。

ニュース情報元:国土交通省

都内在住20代、男性約4割・女性約3割が一人暮らし

(株)テスティー(東京都中央区)は、このたび東京都内在住の20代男女434名(男性134名、女性300名)を対象に、「住まいに関する調査」を行った。調査期間は2018年3月27日(火)~4月2日(月)。
それによると、現在の居住状況については、20代男性の44.8%、20代女性の28.8%が「一人暮らし」と回答。女性よりも男性の方が一人暮らしの割合が高いようだ。「実家暮らし」と回答した人は20代男性で35.1%、20代女性で37.3%、「その他」と回答した人は20代男性で20.1%、20代女性で34.4%だった。「その他」の内訳としては、「同棲」や「ルームシェア」「家族と同居」といった回答が挙がった。

「一人暮らしをしている」と回答した20代男性(87名)と20代女性(170名)が「部屋探しで特に重視する条件」は、男女ともに「家賃」との回答が最も多く、男性で79.3%、女性で77.6%だった。一方、男女で差異が見られた回答もあった。「セキュリティ」は男性で12.6%だったのに対し、女性で23.5%。女性は男性に比べて防犯面も部屋選びの基準となっていることがうかがえる。一方、男性は「駐輪場・駐車場」と「防音性」を重視しており、女性と比べると約2倍近く高い結果となった。

「住みやすそうな街」としては、順位の違いはあれど、男女ともに「吉祥寺」「池袋」「中野」がトップ3内にランクインした。その他、「三軒茶屋」「自由が丘」「武蔵小杉」といった東急線沿線の駅名や、「恵比寿」「下北沢」「高円寺」といった回答も多く挙がった。

「住んでいたらモテそうな街」としては、男女ともに「六本木」が第1位。選んだ理由は、「芸能人が住んでいそうでお金持ちなイメージだから(21歳女性)」「家賃が高そうだし、住んでいたらステータスが上がりそう(25歳女性)」など、高級感を理由とする声が目立つ。また、「六本木」に次いで「自由が丘」と「恵比寿」との回答も多かった。「おしゃれなイメージ」「トレンドの街」などが理由のようだ。

ニュース情報元:(株)テスティー

人生の最期は「今の家で住み続けたい」55%、「介護ホームなどに移り住みたい」39% 

willbeシニア総合研究所は、「この先の人生の過ごし方(やりたいこと)」「将来の不安」「今後の住まい」というテーマで、シニアを対象に自由記述に重点を置いたアンケート調査を行った。調査時期は2017年12月~2018年1月。有効回答者数は353人(年齢40~83歳、平均年齢63.8歳、男性130人、女性223人)。
それによると、この先の人生の過ごし方(やりたいこと)では、トップ3は「趣味や旅行」(38%)、「働き続けたい」(34%)、「世の中の役に立ちたい」(32%)だった。また、将来を考える上で「不安」に感じていることのトップ3は「健康」(38%)、「経済的不安」(23%)、「特になし、気にしない」(15%)。

人生の最期はどこで暮らしたいですか?では、「一人になっても今の家で住み続けたい」が一番多く全体の55%。次いで「シニア住宅・介護ホームなどに移り住みたい」が39%。

「一人になっても今の家で住み続けたい」理由(自由記述)には、
●『住み慣れた家でいかに快適にすごせるかを工夫し、出来る限り自分の生きている時間を積み重ねて終の棲家としたい。』(女性、58歳)
●『一人になったからといっても、健康や老いのために無理にならない限りは、自宅で今の生活を続けたい。』(女性、60歳)
●『人生のルーツ、生まれ育った土地、その土地の人こそが一番の財産です。』(男性、66歳)
●『子供を育て、親を見送り、最愛の妻と暮らし、庭の木も自分と共に育ち、可愛かった犬も眠る庭とこの家、移る理由がみつからない。』(男性、72歳)
などがあった。

また、「シニア住宅・介護ホームなどに移り住みたい」理由は、「その方が安心だし、気楽だから」(48%)、「子供や親戚に迷惑をかけたくないから」(39%)、「頼る身寄りがないから」(17%)の順。

自由記述には、
●『出来る事は自分でやり、仲間達の元で緊張感をもちながら自分らしく生活したい。』(女性、53歳)
●『仲間ができると思う。』(女性、66歳)
●『気の合う独り身の友人とシェアハウス暮らしがしたい。』(女性、52歳)
●『自分の身は自分で始末をつけたい。』(男性、65歳)
●『10~20年後には、高齢者は集団生活せざるを得なくなると思う。』(男性、55歳)
などがあった。

ニュース情報元:willbeシニア総合研究所

一人暮らしの家賃、平均は「6.02万円」

(公社)全国宅地建物取引業協会連合会と(公社)全国宅地建物取引業保証協会は、この度、平成29年度における「一人暮らしに関する意識調査」の結果を公表した。調査期間は平成30年1月26日~1月29日。調査方法はインターネット。調査対象は18歳以上の個人男女。有効回答数は2,800人。「現在一人暮らしをしている」(1,374名)、「今後一人暮らしをしたい/予定がある」(1,426名)の2層を対象とした。

それによると、現在の住まいのタイプは、1位「3LDK以上」で28.7%、過去の調査と同様最も多かった。2位は「1K」で13.2%、3位は「ワンルーム」で8.8%、4位は「1LDK」で8.1%、5位は「2LDK」で7.9%、「間取りがわからない」は12.4%だった。「18~29歳 現在一人暮らし」層は、「ワンルーム」「1K」といった部屋数の少ない住居に住んでいる人が多い。

現在住んでいる住居の家賃は、1位「5万円台」で18.5%、2位「6万円台」18.2%、3位「4万円台」17.7%、4位「3万円台」10.4%、5位「7万円台」10.4%。平均は「6.02万円」だった。「現在一人暮らし」層は、部屋数の少ない家(部屋)に住んでいることもあり、平均家賃は相対的に安い。

家賃以外で「建物」について重視するポイント(複数回答)は、1位「間取りの広さ」で63.7%、2位「日当たり」52.7%、3位「築年数」41.7%、4位「耐震性(木造、鉄骨等の構造)」38.6%、5位「セキュリティ」38.4%。「間取りの広さ」「日当たり」「築年数」が三大重視要素のようだ。また「今後一人暮らし意向あり」層は、「現在一人暮らし」層よりも「耐震性」と「セキュリティ」を重視する傾向。

家賃以外に「環境」について重視するポイント(複数回答)は、1位「コンビニ・スーパーなどの有無」で63.0%、2位「駅が近い」55.5%、3位「学校・職場に近い」41.5%、4位「静けさ」32.0%、5位「医療機関の有無」27.1%。部屋探しにおける「環境」のキーワードは、“買い物の利便性”と“距離の利便性(駅、学校・職場)”のようだ。18~29歳の若い年齢層は「学校・職場に近い」を重視するが、年齢が上になると「静けさ」「公園などの自然環境」を重視する傾向。

ニュース情報元:(公社)全国宅地建物取引業協会連合会

住まいの耐震診断、51.5%が実施していない、内閣府調べ

内閣府はこのほど、「防災に関する世論調査」の結果を公表した。調査時期は平成29年11月16日~11月26日。調査員による個別面接聴取法で実施。有効回収数(率)は1,839人(61.3%)。
自然災害の被害に遭うことを具体的に想像したことがありますか?では、「地震」を挙げた方の割合が81.0%と最も高く、以下、「竜巻、突風、台風など風による災害」(44.2%)、「河川の氾濫」(27.0%)、「津波」(20.4%)などの順。「想像したことがない」と答えた方の割合は11.1%だった。

大地震が起こったとしたら、どのようなことが心配ですか?では、「建物の倒壊」が72.8%と最も高く、以下、「家族の安否の確認ができなくなること」(61.3%)、「食料、飲料水、日用品の確保が困難になること」(57.3%)、「電気、水道、ガスの供給停止」(53.9%)、「家具・家電などの転倒」(50.3%)などの順。都市規模別に見ると、「家族の安否の確認ができなくなること」、「電気、水道、ガスの供給停止」を挙げた方の割合は中都市で高くなっている。

住まいの「耐震診断」についての質問では、「耐震診断を実施している」とする方の割合が28.3%(「すでに耐震診断を実施しており、耐震性を有していた」24.9%+「すでに耐震診断を実施しており、耐震性が不足していた」2.0%+「すでに耐震診断を実施したが、結果についてはわからない」1.4%)、「耐震診断を実施していない」とする方の割合が51.5%(「耐震診断をしていないが、今後、実施する予定がある」3.5%+「耐震診断をしていないが、今後、実施する予定はない」17.7%+「耐震診断をしていないが、今後の実施予定はわからない」30.4%)、「わからない」と答えた方の割合が20.2%。

大地震が起こった場合に備えて、どのような対策をとっていますか?では、「自宅建物や家財を対象とした地震保険(地震共済を含む)に加入している」が46.1%、「食料や飲料水、日用品などを準備している」が45.7%、「停電時に作動する足元灯や懐中電灯などを準備している」が43.3%、「家具・家電などを固定し、転倒・落下・移動を防止している」が40.6%、「近くの学校や公園など、避難する場所を決めている」が38.8%などの順。「特に何もしていない」と答えた方の割合は10.4%だった。

ニュース情報元:内閣府

住まいの汚れ、気になるところトップは「換気扇、レンジフード」で43.0%、マイボイスコム調べ

マイボイスコム(株)は、2回目となる「住まいの汚れ」に関する調査を実施し、その結果を発表した。調査期間は2017年12月1日~5日。調査方法はインターネット。10,941件の回答を得た。それによると、普段の掃除の分担では、「主に掃除を担当する人が決まっており、ほとんどその人がする」が34.5%、「主に掃除を担当する人が決まっているが、一部、その他の人がやる」「場所ややり方など、家族や同居者で分担して行っている」が各10%台、「特に分担は決まっていない」が21.0%だった。

掃除の頻度は、「週2~3回」「週1回」が各2割強、「ほとんど毎日」は約15%。女性30代以上では「ほとんど毎日」が各20%台、「週1回以上」が8~9割と他の層より頻度が高い傾向。男性40代以上では「年に数回以下」が約15~16%みられる。

掃除をする人が、普段定期的に掃除をするところは、「浴室」「トイレ」「洗面所」「流し台、シンク」「フローリング、床の間」が5~6割で上位にあがっている。ほとんど掃除しないところは、「外壁、雨どいなど屋外」「天井」が各3割強、「換気扇、レンジフード」「部屋の壁や壁紙・クロス」「網戸」が各20%台。

住まいの汚れで気になるところは、「換気扇、レンジフード」(43.0%)が最も多く、「浴室」「トイレ」「キッチンの床や壁など」「ガス台、グリル」「排水口」が2~3割で続く。「換気扇、レンジフード」「キッチンの床や壁など」「ガス台、グリル」「浴室」「排水口」「窓ガラス、サッシ、カーテンレール」「網戸」は、女性30代以上で比率が高い。

ニュース情報元:マイボイスコム(株)

2018年住まいのトレンドは「育住近接」、リクルート住まいカンパニー

(株)リクルート住まいカンパニーは、このほど、2018年住まいのトレンド予測を発表した。2018年住まいのトレンドキーワードは「育住近接」。共働き世帯は増加の一途をたどり、「職住近接」といわれる都心志向、駅近志向が高まっている一方、利便性の高い人気エリアでは、保育園不足や周囲の住民との繋がり不足から生じる育児中の親の精神的・時間的負担が課題。そのようななか、保育園や学童保育施設などをマンションや団地内に設置する「育住近接」というトレンドが生まれている。

背景として、同社が行ったアンケートにおいて、保育園不足に伴い、保育園・学童が併設されているマンションなら駅から離れても妥協できると答えた人が約35%いたこと、また、今年10月には国土交通省が保育園不足が見込まれるエリアへの大規模マンション建設の際は、開発事業者に保育施設設置を要請するよう、地方公共団体宛に通知したことがある。

これらのことから、今後の住まい選びは、「職住近接」から「育住近接」に変化していくだろうと予測した。

ニュース情報元:(株)リクルートホールディングス

部屋の間取りや家具にも変化が起こる!? 専門家に聞いた“テレワーク”の可能性

情報通信技術(ICT)を活用し、場所や時間を有効活用できる柔軟な働き方「テレワーク」への関心が高まっています。2020年の東京オリンピック開会式の日にちなみ、今年7月24日には在宅勤務やモバイルワークなどの「テレワーク」を推奨する「テレワーク・デイ」が実施され、全国の922の企業や自治体がテレワークに取り組みました。なぜ今改めてテレワークが注目されているのか、今回はテレワークの専門家として、講演や講義も数多く行う株式会社テレワークマネジメント代表取締役の田澤由利さんにお話を伺いました。
もはや“特例”ではない! テレワークが広がる理由とは……

経済産業省や総務省、厚生労働省、国土交通省、内閣官房、内閣府が主体となり、今年から始まった「テレワーク・デイ」。IT・情報通信業だけでなく、サービス、製造などさまざまな企業や団体が参加しました。労働力人口の減少でどの企業も慢性的な人手不足に悩むなか、在宅でも仕事ができるテレワークへの関心が高まっているようです。

「今後さらに高齢化が加速し、親の介護で出社が難しくなる人もますます増えていくでしょう。テレワークというと、育児中のママやパパのための制度と考える人もいるかと思いますが、“期間限定”である育児に対して介護はいつまで続くか分かりません。誰にとってもひとごとではないと思います。
また、育児や介護に関係なく、テレワークによって出社にかかる時間のロスがなくなれば、できた時間を有効に活用することもできます。昨今終身雇用制度が揺らぐなか、個人のスキルアップのために勉強したり、副業をしたりするための時間を確保したいと考える人にとってもメリットは大きいのではないでしょうか。テレワークは何か特別な事情がある人のためのものではなく、みんなが自分の働き方を考える上で大切な制度なのではないかと思います」(田澤さん、以下同)

住まいから家の間取りまで!? テレワークで変わるのは働き方だけではない

また、テレワークが多くの人に浸透すれば “働き方”だけではなく、“住まい”にも大きな変化をもたらす可能性があるといいます。

「これまでの家探しは、通勤の利便性が重要な条件の一つでしたが、毎日会社に通う必要がなくなれば、住む場所の選択肢も広がります。『地方に住む』という発想も出てくると、都心に集中している人口も分散し、地方創生や待機児童解消にもつながります。パートナーの転勤によってどちらかが仕事を辞めざるを得ない状況になったり、単身赴任で家族がバラバラになったり……という状況も変わってくるかもしれません」

さらに、細かいところでは「部屋の間取り」や「家具の選び方」などにも影響があるのでは、と田澤さん。

「例えば、家族がいると自分だけの書斎を持つことはなかなか難しいと思いますが、テレワークが普及すれば狭くても仕事部屋として簡易的な書斎を家に設ける人が増えてくるかもしれません。また、リビングで作業する人に向けて、リビングに置いても違和感のないオフィスチェアなど、新しい家具が生まれる可能性だってある。椅子一つから住む場所まで、テレワークによってさまざまな変化が起きることが考えられます」

ICT技術の活用によって、テレワークならではの課題も解決

自身も20年近くテレワークをしてきたという田澤さん。代表を務める株式会社テレワークマネジメントでは、社員がオンラインチャットやテレビ会議などのICTツールを活用し、自分のライフスタイルに合わせたテレワークを実践しています。

【画像1】東京のオフィスにあるテレビ会議で、北海道のオフィスや奈良のテレワークセンターの様子を確認する田澤さん(左) (撮影/周東淑子)

【画像1】東京のオフィスにあるテレビ会議で、北海道のオフィスや奈良のテレワークセンターの様子を確認する田澤さん(左) (撮影/周東淑子)

今回のテレワーク・デイ参加者からは「職場とのコミュニケーションが難しい」「自宅での業務効率が落ちた」などの声も一部寄せられましたが、これらの課題に対して同社ではICTツールを活用し、解決を図っているそうです。

【画像2】色が付いた〇は“着席中”の社員を表し、実際は別の場所にいても、すぐにチャットや音声で連絡がとれる(テレワークマネジメント提供)

【画像2】色が付いた〇は“着席中”の社員を表し、実際は別の場所にいても、すぐにチャットや音声で連絡がとれる(テレワークマネジメント提供)

「例えば、うちでは職場でのコミュニケーションを円滑にするため、ウェブ上に“バーチャルなオフィス”を設けています。これで在宅勤務している人、各地のオフィスで働いている人の状況が一目で分かる。出勤している人をクリックすればチャットや音声で話しかけられるので、実際の職場にいるのと変わらず、コミュニケーションを取ることができます」

【画像3】タイムカードは「出勤/退勤」ではなく、「着席/退席」で管理。着席中はPCの作業画面が記録されるため「『着席』を押すと気持ちがピシッとします」との声も(テレワークマネジメント提供)

【画像3】タイムカードは「出勤/退勤」ではなく、「着席/退席」で管理。着席中はPCの作業画面が記録されるため「『着席』を押すと気持ちがピシッとします」との声も(テレワークマネジメント提供)

また、勤務状況はタイムカードで管理。席について作業を始める際に『着席』ボタン、仕事を中断するときや終業時に『退席』ボタンを押すことで、実質労働時間が分かるといいます。ちなみに、『着席』中は、PCの画面のキャプチャがランダムに記録されるため、作業の内容を把握することもできるといいます。

「われわれは『働いた時間はきちんと計りましょう』というスタンスで、所定労働時間はしっかり働いてもらうことを目標としています。『出社/退社』ではなく、『出席/退席』にすれば、少しお昼寝をしたいときや、子どものお迎えがあるときは『退席』を押すことで時間を管理できる。もし定時になって時間が足りなければ『子どもが寝てから1時間やります』ということも可能です。きちんと時間を管理すれば、みんな時間を意識した働き方ができるようになり、生産性も上がります」

今後ICTツールがさらに進化することにより、導入があまり進んでいない業界などにもテレワークが普及する可能性は十分にある、と田澤さん。

「人材不足は全ての業界に通じる問題ですので、企業には『今できない』ではなくて、『将来できるようにしよう』というビジョンが求められていくのだと思います」

働く人の暮らし方や生き方だけではなく、企業の人材不足や効率化などの課題を解決することにもなりうるテレワーク。東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年には、テレワークによって住まいや職場の様相はがらりと変わっているのかもしれません。

●取材協力
テレワークマネジメント