「SUUMO住みたい街ランキング2024」横浜が全世代で1位に!抜群の生活環境と市の取り組み強化で「子育て世代に選ばれる街」へ

リクルートが、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)在住の20歳~49歳の男女9335人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2024」を発表。今回は、”住みたい街”1位に輝いた「横浜」(神奈川県)にフォーカスし、街の魅力を探ります。

市を挙げて「子育てしたいまち ヨコハマ」を目指す

1位に輝いたのは「横浜」。7年連続の総合1位に加え、今回は「男女別・年代・ライステージ」すべてのカテゴリーで1位となりました。特に、子育て世帯(夫婦+子ども)のポイントが大きくアップ。若いファミリー層からの支持を集めています。

横浜市

横浜市

その背景にあるのは、近年の横浜市による子育て関連施策の強化。2022年12月に取りまとめられた「横浜市中期計画2022~2025」では、横浜市として初めて子育てを軸とした基本戦略「子育てしたいまち 次世代を共に育むまち ヨコハマ」が策定されました。これにより、今後さらに子育て世帯向けの施策が充実していくものと考えられますが、すでに実現、あるいは具体的な計画が進んでいるものもあります。

たとえば、2023年8月からの中学3年生までの医療費無料化です。ほかにも、2023年6月から新たに2つの施策がスタートしています。

・「はじめてのおあずかり券」無料クーポン配付開始
2023年4月1日以降に生まれた児童がいる世帯を対象に、市内の一時預かり施設を無料で体験できる電子クーポンを配付。対象児童1人につき24時間まで(※30分単位)

・「横浜子育てサポートシステム」無料クーポン配付開始
同じく、2023年 4月1日以降に生まれた児童がいる世帯が対象。地域で子どもを預け合う会員制・有償の支え合い活動「子サポdeあずかりおためし券」を配付。対象児童1人につき8時間まで無料で預かりを利用できる。また同年7月からは利用料を1時間800円から500円に改定

これらはいずれも、一時預かり施設や支援サービスの利用ハードルを下げ、便利さや施設の雰囲気などを知ってもらうための施策。その後の継続的な利用につなげ、子育て世帯に時間的・精神的なゆとりを持ってもらうことを目的としています。

市では、この「子育てにおける時間的・精神的なゆとり」を施策の柱にしていて、出産直後はもちろん、子どもが小学校・中学校に上がってからのサポートにも注力。市内にある小学生の放課後の預かり所(放課後キッズクラブ、放課後児童クラブ)の数は政令市で最も多く、2024年の7月からは、夏休みの昼食提供をモデル実施します。2026年4月からは、市立中学校で“みんなで食べる中学校給食”もスタート予定です。子どもたちの成長を支えるため、市の中学校給食専任の栄養士が献立を作るとともに、アレルギー代替食などの提供も検討されています。

また、2024年度の目玉施策の一つとして「子育て応援サイト・アプリ」のリリースも予定。産前・産後の手続きがスマホ一つで可能になり、負担を軽減するほか、アプリを通じ子育て世帯が必要とする情報も発信されていく予定です。

・「子育て応援サイト・アプリ」2024年6月末より
1、さまざまな行政手続きがアプリから可能に。わざわざ区役所へ行く手間や書類記入の手間を軽減(はじめは、妊娠・出産期の手続きを中心にスタートし、順次拡大)。
2、子育て世帯が知りたい情報をアプリ内に集約。地域のイベントや、必要な予防接種の情報など(利用者の住所や子どもの年齢、興味関心に応じた手続きやイベントの情報など)が届く。
3、その他、電子母子手帳や施設検索などの機能を搭載する予定。

さらに、10月からは出産費用の独自助成(最大9万円)もスタートし、安心して出産できる環境の充実が図られます。

こうした施策の影響もあってか、横浜市が実施している市民意識調査でも「子どもを安心して育てられる街」としての期待感が大きく上昇。2023年度の調査では「今後の横浜がどのようなまちになればよいと思うか」という問いに対して、「子どもを安心して育てられる」との回答が44.0ポイントと前回の24.6ポイントに比べ19.4ポイントも増加しています。

もちろん、これは市の取り組みに対する評価を直接的に反映したものではありません。ただ、横浜市としても子育て環境にまつわる市民の関心が高まっていることは十分に承知しているといい、今後のさらなる施策強化が期待できそうです。

他ジャンルの注目施設が続々と誕生

市の施策だけでなく生活環境の良さ、海辺のスケールの大きな自然環境や公園の数、遊び、ショッピング、グルメ、文化的な体験など、あらゆるものを兼ね備えるマルチな魅力は横浜の大きな特徴です。2020年から2024年にかけては、横浜駅・みなとみらい駅・桜木町駅周辺で大型商業施設の開業やリニューアル、さらには映画館やプラネタリウム、ギャラリー、アリーナといったカルチャー・エンタメ施設も相次いで開業しています。

「JR横浜タワー」(2020年6月開業)。2つの商業施設とシネマ、トークショーなどのイベントも開催されるアトリウムで構成。屋上広場「うみそらデッキ」からは、横浜港や横浜ベイブリッジを一望できる

「JR横浜タワー」(2020年6月開業)。2つの商業施設とシネマ、トークショーなどのイベントも開催されるアトリウムで構成。屋上広場「うみそらデッキ」からは、横浜港や横浜ベイブリッジを一望できる

「JR横浜鶴屋町ビル」(2020年6月開業)。商業施設の「CIAL横浜ANNEX」「ジェクサー・フィットネス&スパ24横浜」「JR東日本ホテルメッツ 横浜」のほか、小規模認可保育所も入る。歩行者デッキ「はまレールウォーク」で、JR横浜駅きた西口・JR横浜タワーと接続

「JR横浜鶴屋町ビル」(2020年6月開業)。商業施設の「CIAL横浜ANNEX」「ジェクサー・フィットネス&スパ24横浜」「JR東日本ホテルメッツ 横浜」のほか、小規模認可保育所も入る。歩行者デッキ「はまレールウォーク」で、JR横浜駅きた西口・JR横浜タワーと接続

「横浜赤レンガ倉庫」(2022年12月リニューアル)。新コンセプトに「BRND NEW “GATE”」を掲げ、開業してから初めてのリニューアル。新規出店25店舗を含む66店舗がそろい、フードコートも拡充された

「横浜赤レンガ倉庫」(2022年12月リニューアル)。新コンセプトに「BRND NEW “GATE”」を掲げ、開業してから初めてのリニューアル。新規出店25店舗を含む66店舗がそろい、フードコートも拡充された

「横浜コネクトスクエア」(2023年4月開業)。みなとみらいの中心エリアに誕生した、エリア最大級の複合ビル。低層部の商業施設、高層部のオフィスからなる。桜木町駅からペデストリアンデッキで一体化

「横浜コネクトスクエア」(2023年4月開業)。みなとみらいの中心エリアに誕生した、エリア最大級の複合ビル。低層部の商業施設、高層部のオフィスからなる。桜木町駅からペデストリアンデッキで一体化

「CeeU YOKOHAMA」(2023年12月開業)。スーパーマーケットの「イオンフードスタイル横浜西口店」をはじめ、24の専門店で構成。9階には各種クリニックやストレッチ、リラクゼーションサロンなどが集まる

「CeeU YOKOHAMA」(2023年12月開業)。スーパーマーケットの「イオンフードスタイル横浜西口店」をはじめ、24の専門店で構成。9階には各種クリニックやストレッチ、リラクゼーションサロンなどが集まる

これ以外にも、横浜駅きた西口では43階建のタワーに飲食店や子育て支援施設、ホテル、住宅などが入る「THE YOKOHAMA FRONT」が2024年3月に竣工。エンタメ系では、世界最大級の音楽特化型アリーナ「Kアリーナ横浜」が2023年9月に開業し、2024年春にはMARK IS みなとみらいに複合型映画館「ユナイデッドシネマ・みなとみらい」が、同じく2024年4月にはスポーツの国際大会やコンサート、大規模イベントなどに使われる「横浜BUNTAI」がオープン。挙げればキリがないほど、次から次へと注目のスポットが生まれ続けるエリアは全国を見渡しても稀です。

国内外の大企業が横浜を選ぶワケ

さらに、今の横浜は「働く場所」としての魅力も高まっています。今回の住みたい街ランキングでは、「横浜の街の魅力(住みたい理由)」として「魅力的な働く場や企業がある」がトップに。

実際、近年は自動車関連をはじめ横浜に本社機能を移す企業が増加。2022年にはいすゞ自動車が横浜ゲートタワーに本社を移転。2024年には独ボッシュの日本法人が横浜に新社屋を建設し、各地に点在する研究拠点もそこに集約される予定です。また、2019年の京セラ、2020年の村田製作所、2021年のソニー、2022年のLGなど、エレクトロニクスメーカーが研究開発施設を構える動きも目立っています。

横浜のビジネス環境が国内外から評価される理由は、東京都心や羽田空港へのアクセスの良さ、また、採用環境の良さが挙げられます。横浜市の人口は約376万人で、基礎自治体のなかで国内最多です。とりわけ、技術者・研究者の数が多く、令和2年の国勢調査では16万4920人で、政令市ナンバーワン。東京工業大学など理工系の大学も市内に9校と多く、特に技術部門の人材採用に課題を抱える企業にとっては魅力的です。さらに、企業立地促進条例など企業の進出を支援する市の制度も充実しています。

ちなみに、新たに横浜市が積極的な誘致を進めているのは、子育てに関連する商品やサービスを手掛ける企業。この点からも、市全体として「子育てしやすい街」を目指していることが伺えます。

2022年3月、みなとみらいにオープンした「YUMESAKI GALLERY(ユメサキギャラリー)」

2022年3月、みなとみらいにオープンした「YUMESAKI GALLERY(ユメサキギャラリー)」

また、みなとみらい地区に拠点を構える企業には、一部をギャラリーやミュージアムとして街に開放しているところが多いのも特徴のひとつ。横浜市と地域のルールのなかで、単にオフィスを構えるだけでなく「企業と街の人との交流を生むスペース」などの賑わいを生み出す空間を設けています。こうした取り組みが、他にはない街の特徴を生み出しているようです。

もともとの環境の良さに加え、次々と生まれる注目スポット、さらに、市の施策を含めた子育て環境の充実ぶりに、働く街としての魅力まで加わった近年の横浜。イメージだけでなく実力を伴った人気であることがうかがえます。「住みたい街ナンバーワン」に選ばれ続けるのも、当然といえるかもしれません。

●関連サイト
SUUMOリサーチセンター「SUUMO住みたい街ランキング2024 首都圏版」プレスリリース

「SUUMO住みたい街ランキング 関西版」明石3位で人気揺るがず。充実した子育てサービス、恵まれた風土で支持集める

「SUUMO住みたい街ランキング 関西版」で、昨年から総合順位3位をキープし、高い支持を得ている自治体が兵庫県「明石市」だ。子育てサービスが充実していることは全国的にも有名だろう。瀬戸内海のおだやかな気候と、自然環境に恵まれた明石での生活に注目だ。

所得制限なし! 子育て支援施策が充実した明石市

兵庫県明石市は「住みたい自治体ランキング」で昨年に続き3位となるとともに、「住みたい街(駅)ランキング」でも明石駅(JR山陽本線)が過去最高の16位にランクイン。こうした人気を集める大きな要因が子育てに関する自治体サービスの充実だ。所得制限のない無償化施策だけでも①子ども医療費の無償化、②第2子以降の保育料の完全無料化③0歳児の見守り訪問「おむつ定期便」、④中学校の給食費無料化、⑤公共施設の入場料無料化の5つの政策が実施されている。他にも、市内の公立幼稚園での給食、高校生世帯への児童手当など、将来を担う子どもたちのための支援が豊富だ。さらに、保育士へ向けての「保育士定着支援金」を実施、採用後7年間で最大160万円の支援金を直接支給することで、毎月の家賃負担をサポートし、保育士が明石に定着するような補助を行っている。
その結果、明石市の人口は2023年地点で30万人を超えており、11年連続で増加している。子育て世代の転入が増えていることからも、施策の効果がうかがえる。
ただ、人気の背景は行政の施策だけではなく、明石市がそもそも持っていた魅力にも大きな要因があるように思える。次章で紹介していこう。

明石市松江の海岸線。子どもたちと遊ぶことができる海がすぐそばにあることも明石市の魅力(写真撮影:井村幸治)

明石市松江の海岸線。子どもたちと遊ぶことができる海がすぐそばにあることも明石市の魅力(写真撮影:井村幸治)

おだやかで過ごしやすい街、明石

兵庫県の南部に立地する明石は、おだやかな気候に恵まれている地域である。関西の人口5万人以上の都市部では降水量は最も少なく、日照時間も長い。さらに、県内で2番目に晴れの日が多く、年間降水量も1000ミリ程度だ。おおよその最高気温が33度から35度、最低気温がマイナス6度から4度で、年間の平均気温は14度から15度、と、一年を通して快適に住むことが可能な気候だ。地形的には平坦な場所が多く、古くから疏水やため池を利用した治水事業も行われている。
また、瀬戸内海の自然環境にも恵まれている。林崎・松江海水浴場、藤江海岸海水浴場、江井ヶ島漁港や住吉公園といったスポットが海岸沿いにならび、子どもたちと一緒に海水浴や水遊びを楽しめる。明石海峡大橋や淡路島を望む景色は何時間でも眺めていられそうだ。
これほど綺麗な海岸に、徒歩や自転車でも遊びにいくことができる街は関西でも少ない。釣りやキャンプ、マリンスポーツを家族で楽しめる街であることも人気の秘密なのだと思う。

明石市松江の松江公園

明石市松江の松江公園

明石市松江の松江公園。海の透明度がとても高い海岸。周辺にはカフェや駐車場、トイレも整備されている(写真撮影:井村幸治)

一方で、瀬戸内海を使った交通の要衝として万葉集の時代からの歴史を持ち、江戸期以降は明石城を中心に城下町として栄えた明石には寺社仏閣や古墳も点在している。日本酒造りの蔵元も多く、見学や直売を楽しむことができる。JR明石駅前の魚の棚商店街(うおんたな)には地魚を安く提供してくれる飲食店もたくさん並んでいる。大人も楽しめる街でもある。

明石市魚住の魚住住吉神社

明石市魚住の魚住住吉神社

明石市魚住の魚住住吉神社。目の前の海岸に向いて社殿が立ち、能舞台もある。公園も併設され子どもたちが遊んでいた(写真撮影:井村幸治)

JR明石駅前の魚の棚商店街(うおんたな)。昼飲みを楽しめる飲食店も多く、週末は行列も(写真撮影:井村幸治)

JR明石駅前の魚の棚商店街(うおんたな)。昼飲みを楽しめる飲食店も多く、週末は行列も(写真撮影:井村幸治)

住んでみてわかる居心地の良さ

明石市は、住んでみることではじめてわかる魅力も多い街だ。JR東海道線と山陽電鉄本線が並行して東西を結び大阪や神戸へのアクセスも良好、JR明石駅から三ノ宮駅までは新快速で約15分、大阪までは新快速で37分だ。西明石駅から山陽新幹線を利用すればビジネスや旅行にも便利だ。
日本の桜100選の明石公園や、大型遊具のある石ケ谷公園など大小合わせて400カ所の以上の公園があり、ふらりと遊ぶことのできる公園が身近にあるのも魅力のひとつ。近年ではため池の跡地を再利用し、「みんなにやさしい」をコンセプトにした「17号池魚住みんな公園」が令和5年4月29日にオープン。子どもから高齢者までのびのび体を動かせる運動公園で、たくさんの親子連れで賑わっている。
明石市では今後、防災拠点ともなる市役所新庁舎の建設や市民病院の再整備、道路整備などのインフラ再構築も検討されている。まだまだ伸びしろのある街といえそうだ。

17号池魚住みんな公園

17号池魚住みんな公園

2023年にオープンした「17号池魚住みんな公園」。遊具や球技場もあり、たくさんの親子連れで賑わっている(写真撮影:井村幸治)

明石公園。さくら名所100選に選ばれており、春先は桜が綺麗だ(画像:PIXTA)

明石公園。さくら名所100選に選ばれており、春先は桜が綺麗だ(画像:PIXTA)

明石市立天文科学館。日本標準時子午線上に立つ、「時と宇宙」をテーマとした博物館で、遠足などで訪れる人も多い(写真撮影:井村幸治)

明石市立天文科学館。日本標準時子午線上に立つ、「時と宇宙」をテーマとした博物館で、遠足などで訪れる人も多い(写真撮影:井村幸治)

子育て施策の充実で知られている明石は、恵まれた風土と地理的要因で、古代から連綿と人々の暮らしが営まれてきた街でもある。瀬戸内海の美しい自然に身近に触れあえる暮らしと、快適な生活利便性も得られることもその人気の背景にある。もともとのポテンシャルを考えると、今後も人気を集めることは間違いなさそうだ。

「SUUMO住みたい街ランキング2024」大宮が吉祥寺を抑え初の2位に! 遊び・買い物環境だけじゃない、教育・交通利便性も大進化していた

リクルートが、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)在住の20歳~49歳の男女9335人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2024」を発表。今回は、”住みたい街といえば”の代名詞的な存在だった吉祥寺をおさえ2位になった埼玉県「大宮」にフォーカスし、街の魅力を探ります。

駅周辺の商業施設に1000以上の店舗が集まる

吉祥寺を抑え、初の2位に輝いた大宮。埼玉県勢としても過去最高順位となりました。特に評価されているポイントは、買い物環境、遊ぶ環境の充実ぶり。「街の魅力(住みたい理由)」として、最も多くのポイントを集めたのも「文化・娯楽施設が充実している(映画館、劇場、美術館、博物館など)」(62.3%)で、以下「ショッピングモールやデパートなどの大規模施設がある」(61.5%)、「街に賑わいがある」(57.8%)と続きます。

大宮駅前

大宮駅前

大宮駅内・駅周辺だけでも「ルミネ1・2」「エキュート大宮」「大宮アルシェ」「そごう大宮店」「高島屋大宮店」「大宮マルイ」「大宮西口DOMショッピングセンター」があるという買い物天国ぶり。さらに、大宮の隣駅、さいたま新都心駅に直結する「コクーンシティ」を含めた8つの商業施設の総店舗数は1000店を超えます。

買い物だけでなく、駅から直径2km圏に「飲食街(南銀座・北銀座)」、「ライブスポット(さいたまスーパーアリーナ)」、「公園(大宮公園・大宮第二公園)」、「神社(氷川神社)」など、さまざまな要素が凝縮。
古着屋ストリートとして知られる「一の宮通り」や、ケヤキ並木が美しい「氷川参道」など、個性豊かな通りも魅力的です。

氷川神社

氷川神社

また、実はサウナ・スパも質量ともに充実していて、「おふろcafé utatane」や「美楽温泉 SPA HERBS」などの人気施設に加え、2023年4月には大宮駅徒歩4分の場所に個室サウナとワーキングスペース、カフェが融合した「ととのい+」もオープンしました。

そして、大宮といえばやはり「東日本の玄関口」と称される、鉄道交通の利便性の高さが光ります。新幹線だけでも6路線が乗り入れ、通勤、通学だけでなく、旅行・出張にも便利なアクセス環境。2024年3月には北陸新幹線の金沢~敦賀駅間が開業し、大宮駅から福井駅や敦賀駅まで乗り換えなしで移動できるようになりました。

「中学生以下の子どもを持つファミリー」に選ばれ続ける大宮

大宮は埼玉県の県庁所在地である「さいたま市」に属していますが、さいたま市の大きな特徴の一つが「ファミリー層から選ばれている」ことです。じつは、さいたま市は0歳~14歳の転入超過数(転入数から転出数を引いた数)が全国最多。2015年から2023年まで9年連続で1位と、14歳以下の人口増加が続いています。これはつまり、「中学生以下の子どもを持つファミリー」が数多く転入していることの現れです。

子育て世帯の増加に伴い、さいたま市も受け入れ対策を講じてきました。まず、高まる保育需要に対応するため、ここ数年は特に保育施設の整備に注力。平成29年(2017年)の304施設から令和5年(2023年)は513施設と、7年間で1.7倍以上に。定員数も1万9388人から3万788人に増加しています。こうした施設の拡充に加え、保育コンシェルジュなどの相談支援にも力を入れた結果、2022年から待機児童数0人を実現しました。

大宮

大宮駅

子育て世帯にとっては、さいたま市の教育環境も魅力。義務教育レベルでは、特に英語教育の充実ぶりで知られています。さいたま市独自の英語教育「グローバル・スタディ」は、全ての市立小・中学校で、9年間一貫したカリキュラムのもと英語を教えるというもの。これにより、中学3年生時点で英検3級相当の学力を有している子どもの割合が全国1位の86.6%に(※文部科学省「令和4年度 英語教育実施状況調査」より)上るなど、目覚ましい成果が生まれています。

中学3年生時点で英検3級相当の学力を持つ生徒は86.6%

中学3年生時点で英検3級相当の学力を持つ生徒は86.6%。全国の政令都市でも突出して高い数字だ

東京から埼玉へ移転する企業が増加中

近年では、さいたま市のビジネス環境にも大きな注目が集まっています。ここ10年間(2013年~2022年)の企業の転入超過数は、神奈川県に次ぐ全国2位。特に、東京都から埼玉県に移転する企業が多く見られます(※帝国データバンク発表「埼玉県・本社移転企業調査」(2013年~2022年)より)。

さいたま市

さいたま市

多くの企業にとって、大宮の交通利便性は大きなメリット。また、さいたまエリア(埼玉県中心部)は東京23区に比べてオフィス賃料も手頃です。
加えて人材採用の面でも、さいたま市には大きな利点が。市による将来推計人口は2035年まで増え続け、2050年時点でも現在と同程度の人口水準を維持できる見通しです。

これらの魅力に加え、近年は大宮駅周辺で再開発が進み、大型のオフィスビルが増加中。駅近に快適なオフィス環境が整備されることで、ますます企業移転が加速すると見込まれます。

駅の近くで進む大型再開発にも期待

大宮駅周辺の再開発は企業のオフィス需要を満たすだけでなく、街にさらなる活気を呼びます。たとえば、駅東口では2022年4月に、市民ホール、集会場、商業施設、クリニック、オフィスなどから成る「大宮門街(おおみやかどまち)」が誕生しました。大宮駅前に新たな人の流れを生み、そのにぎわいを氷川参道へと結ぶ。そんな、駅と街をつなぐ結節点としての役割も担っています。

「大宮門街」。1階から6階にショップやレストラン、4階から9階には「RaiBoC Hall(市民会館おおみや)」が入り、コンサートや演劇、各種イベントなどに幅広く利用される

「大宮門街」。1階から6階にショップやレストラン、4階から9階には「RaiBoC Hall(市民会館おおみや)」が入り、コンサートや演劇、各種イベントなどに幅広く利用される

大宮門街に隣接するエリアでは、新たな再開発事業「大宮駅東口大門町3丁目中地区第一種市街地再開発事業」が、2023年12月に都市計画決定。100mの高層ビルに高規格のオフィス、店舗、銀行、緑溢れるオープンスペースなどを整備する計画で、一帯の風景が大きく変わりそうです。

一方、駅西口では2023年5月に「大宮ソラミチKOZ」、2024年3月27日に「アドグレイス大宮」という民間大型複合ビルが誕生。今後も、ソニックシティビルの北側のエリア約5.6haについて、機運の高まったところから段階的に整備を進めていくまちづくりの方針を定めています。2024年7月にはその第一弾として、住宅、オフィス、店舗から成る「大宮サクラスクエア」が誕生予定。これを皮切りに、これから数年にわたって開発ラッシュが続く発展性や、それに伴う期待感も、大宮に人気が集まる大きな理由の一つといえそうです。

2024年7月に誕生予定「大宮サクラスクエア」

2024年7月に誕生予定「大宮サクラスクエア」

大宮が初めてTOP10入りしたのは2018年。2022年には初めてTOP3に、そして今回は初の2位と、少しずつ着実に順位を上げています。

東京都心部と同等以上の交通・生活利便性がありながら、遊びや文化、自然、ビジネス環境にも恵まれ、なおかつ住宅コストも手頃で、再開発による今後の発展まで見込める大宮。知名度ではなく、住み心地や街の魅力、将来性に対する純粋な評価が、この順位に現れているといえそうです。

●関連サイト
SUUMOリサーチセンター「SUUMO住みたい街ランキング2024 首都圏版」プレスリリース

「SUUMO住みたい街ランキング2024関西版」ビジネス街・本町にファミリー・シングル層ともに急増で店舗も賑わう! なにわ筋線の整備にも期待

「SUUMO住みたい街ランキング2024関西版」では総合13位、得点ジャンプアップしたランキングでは3位に食い込んだのが地下鉄御堂筋線、四つ橋線、中央線の「本町」駅だ。大阪のビジネスの中心地として多くの企業が進出し、オフィス街として捉えられていた本町だが、近年は住みたい街としても注目を集めている。

関西圏で人口増加率が最も高くなっている大阪市中央区

大阪市中央区に立地する本町駅は、地下鉄御堂筋線や四つ橋線で大阪の中心地・キタやミナミとも直結する一方、交差する地下鉄中央線を利用すれば「2025年大阪・関西万博」のアクセスとなる新駅「夢洲」駅とも一本で結ばれるなど、交通アクセスも抜群のエリア。本町駅周辺はオフィスだけでなく文化・娯楽施設や大規模商業施設も充実、御堂筋沿いには高級車やハイブランドのショップが並んでいる。煌びやかで華やかな街といったイメージが強いが、実は別の顔も持っている街だ。
それが「住まう街」としての顔。大阪市中央区は関西2府4県の中で人口増加率、15歳未満の人口増加率がともにナンバー1となっている。小学校の児童数も2011年の2189人から2023年は3854人と急増している。子供を持つファミリー層が急激に増加しているのだ。

中央区の0~14歳の人口

この人口の増加の背景には、本町駅を囲む西区・中央区での住宅供給増加がある。中央区では2019年から2023年の間に約6000戸の新築分譲マンション供給があった。古いオフィスビルなどが建て替えられマンションに生まれ変わっている姿をあちこちでみることができる。住宅供給に伴い人口増も見込めることから、コンパクトなスーパーやベーカリー、ドラッグストアなど毎日の生活に必要な店舗の出店も相次いでいる。
魅力的な企業が存在し働く場としての魅力を持つ街に、住まう場としての選択肢・住宅が提供されることで、若い世代を含めて多くの人たちから注目を集めているのだ。「2024住みたい街ランキング関西版」で本町を選択した人たちの理由としても「仕事のできる施設がある」、「不動産の資産価値が高そう」、「魅力的な働く場や企業がある」といったポイントが上位に挙げられている。

大阪市中央区一戸建て・分譲マンション戸数

子どもの教育環境整備が進められ、市内には公立小中一貫校を新設

人口が増加、特に15歳以下人口が増えている大阪市中心部では、市による子育て支援施策が行われている。中でも、保育所等を利用したくても利用できない待機児童の解消と小学校活性化に着目したい。
以前の大阪市では待機児童の数が多く、平成24年(2012年)地点で抱えている待機児童の数が600人を超えていた。そこで市は、待機児童を含む利用保留児童の解消を最重要施策として位置づけ、待機児童解消特別チームを立ち上げ、さまざまな施策を組み合わせながら待機児童の解消に取り組んできた。例えば、保育所の入所枠拡大や保育の無償化だ。民間のマンションにも保育所を併設した物件が設置されている。現在も「大阪市こども・子育て支援計画(第2期)」が実施中で、医療費の助成や保育料無償化の年齢層の拡大などが進んでいる。
また急増する児童・生徒対策として本町エリアからも近い北区中之島に「中之島小中一貫校」が2024年4月に開校される。北区中之島と堂島の児童は就学可能で、その他の市内エリアからも抽選ではあるが入学が可能。本町エリアである中央区、西区には小中一貫校はまだ存在していないため、今後の計画に期待したい。

中之島小中一貫校

中之島小中一貫校

建設工事が進められている「中之島小中一貫校」(写真撮影:井村幸治)

人口増加にあわせ、商業施設の営業スタイルも変化

本町周辺は商都・大阪の中心地でもあり、明治時代からのレトロビルや商業施設が残るエリアでもある。例えば、船場センタービル、通称「せんびる」は1970年に大阪万国博覧会の開催に合わせて建設された合計10棟が東西におよそ1000m連なる建物で、地下には地下鉄中央線、地上は中央大通り、上空は市道築港深江線と阪神高速道路が通る特殊な施設だ。平成27年(2015年)の改修工事によって外観を一新し、新たな本町のランドマークとなった。「せんびる」は、オフィスやビジネス来訪者をメインのターゲットとしていたため飲食店街は土日祝は営業しない店が多かった。しかし、住民の増加や集客増加によって飲食ニーズが増えたことで2021年から土日祝日も営業する店鋪がほとんどに。本町周辺のオフィス街の飲食店舗でも、週末営業をする店が増えている。

船場センタービル

船場センタービル

高速道路の高架下にある船場センタービルはファッション関係の小売店や卸売店が多数入居している(写真撮影:井村幸治)

御堂筋沿いでは2019年には大丸心斎橋店がリニューアルオープン、2020年には心斎橋PARCOがオープン。ファッションフロアや日本の伝統やものづくりを感じるフロアだけではなく、ポケモンといった日本のポップカルチャーに特化したフロアを設けることで、老若男女を引き込む場所へと進化を遂げた。さらに、日常的に利用するスーパーやアカチャンホンポの大型店もあるなど、子育てや日常生活にも困ることはないだろう。

中央通り沿いにある「アカチャンホンポ」。商店街は飲食店も多数あり日常生活にも便利な街。すぐそばにはタワーマンションも見える。(写真撮影:井村幸治)

中央通り沿いにある「アカチャンホンポ」。商店街は飲食店も多数あり日常生活にも便利な街。すぐそばにはタワーマンションも見える。(写真撮影:井村幸治)

充実した交通インフラ、なにわ筋線の計画にも注目

現在工事が進められている「なにわ筋線」は、うめきた(大阪)地下駅(2023年春に「大阪駅」として開業)と、JR難波駅および南海本線の新今宮駅をつなぐ新たな鉄道路線。関西高速鉄道が鉄道施設を整備・保有し、JR西日本および南海電鉄が鉄道施設を使用して旅客営業する新路線で2031年春の開業が予定されている。本町エリアには地下鉄中央線と連絡する「西本町駅」が新設予定だ。なにわ筋線の整備により、関西国際空港や新大阪駅へのアクセス性の向上、鉄道ネットワークの強化、大阪の南北都市軸の強化などの効果が図られる。
また、先に述べたように、地下鉄中央線は「2025年大阪・関西万博」会場とも直結する。夢洲はその後、統合型リゾート「大阪IR」が計画されているエリアでもある。こうした交通網の充実により、本町エリアへの注目度はさらに増していく可能性が高いだろう。

本町エリアはすでに住みたい街としての魅力を、充分に高めてきている。これからも、交通網の整備、既存建築物の集約や大規模な再開発によってその集客力や注目度はさらに高まる可能性が高い。今後のランキングの結果にも注目したい。

「SUUMO住みたい街ランキング2024」秋葉原が20位も急上昇! 空前のエンタメブームにおしゃれ・個性派店舗の充実で「暮らせる街」大進化

リクルートが、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)在住の20歳~49歳の男女9335人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2024」を発表。今回は、前回から20位と脅威のジャンプアップを果たした「秋葉原」にフォーカスし、街の魅力を探ります。

「働く街」としての評価が上昇

過去最高位の29位にランクインした秋葉原。昨年の49位から20も順位を上げ、昨年から「得点ジャンプアップした街(駅)」のランキングでも2位と飛躍しました。

得点ジャンプアップ(駅)ランキング

性別、年代別、ライフステージ別の内訳では、男性の支持が8割と圧倒的。特に30代男性、シングル男性から多くの支持を集めています。また、前回調査に比べ「子どものいない共働き夫婦」からの得票も増加しました。

「秋葉原」性年代別・ライフステージ別得票シェアの推移

秋葉原といえば、やはり「サブカルチャーの街」というイメージ。しかし、今回の調査で秋葉原を支持した人が挙げた「街の魅力(住みたい理由)」を見てみると、現在のアキバの意外な一面も浮かび上がってきました。

街の魅力の1位は「仕事のできる施設がある(コワーキングスペースやカフェなど)」、2位は「魅力的な働く場や企業がある」と、いずれも秋葉原のビジネス環境が高く評価されていることが分かります。

「秋葉原」街の魅力(住みたい理由)TOP10

秋葉原

秋葉原

一方で、5位「文化・娯楽施設が充実している(映画館、劇場、美術館、博物館など)」、6位「学びや、趣味の施設がある(稽古事・カルチャースクールなど)」など、サブカルの街らしい項目も上位に。また、7位は「周囲の目を気にせず自由な生活ができる」。オタクやインバウンド(訪日客)まで幅広く受け入れる、街の懐の深さがうかがえます。

秋葉原駅徒歩10分圏内にスーパーが充実

仕事、遊び環境の充実ぶりに対し、生活の場としてのイメージは薄い秋葉原ですが、じつは秋葉原駅周辺はたくさんのスーパーがあり、静かな住宅地が点在しています。

たとえば、「肉のハナマサ秋葉原店」(24時間営業)や「ライフ神田和泉町店」(9:30~24:00)、「オリンピック淡路町店」(9:00~21:00)、「ピーコックストア神田妻恋坂店」(8:00~23:00)は、いずれも秋葉原駅から徒歩10分程度。小型食品スーパー「まいばすけっと」も各所に点在しています。

秋葉原駅周辺はたくさんのスーパーがあり、静かな住宅地が点在

秋葉原駅周辺はたくさんのスーパーがあり、静かな住宅地が点在

JR高架下の商業施設「CHABARA」には、“食のテーマパーク”がコンセプトの「しょくひんかん」があり、全国から厳選した約4000のご当地グルメアイテムがそろっています。なお、同じ高架下には、クリエイターのアトリエやギャラリー、ものづくりをテーマにしたショップなど全52店舗からなる「2k540 AKI-OKA ARTISAN」、オーディオ、カメラ、ホビーなどのショップが集まる「SEEKBASE」も。日常使いのお店だけでなく、趣味の世界を探求できる場所、ひとひねり加えた個性豊かなショップが充実しているのもアキバの魅力です。誰もが知る商業施設ではなく、サブカルチャーや職人の街といわれてきたルーツにちなんで独自のコンセプトを打ち出した空間は、ここに来なければ得られない体験ができ、遊びに来る人・働く人・暮らす人をも飽きさせません。

「2k540 AKI-OKA ARTISAN」。高架下にショップ、アトリエ、ギャラリー、飲食施設が並ぶ

「2k540 AKI-OKA ARTISAN」。高架下にショップ、アトリエ、ギャラリー、飲食施設が並ぶ

2023年4月、JR山手線・秋葉原駅の高架下に誕生した「キャンプ練習場」。都心の高架下でテント設営やキャンプ飯など、キャンプの練習体験ができる

2023年4月、JR山手線・秋葉原駅の高架下に誕生した「キャンプ練習場」。都心の高架下でテント設営やキャンプ飯など、キャンプの練習体験ができる

「SEEKBASE AKI-OKA MANUFACTURE」。ここでしか出会えないプロダクトや食の専門店が集結

「SEEKBASE AKI-OKA MANUFACTURE」。ここでしか出会えないプロダクトや食の専門店が集結

アニメ・トレカ、空前のブームにより子どもも楽しめる街に

そして今、秋葉原を熱くしているのが、アニメとトレーディングカード。アニメ産業市場(ユーザーが支払った金額を推定した広義のアニメ市場)は2017年に初めて2兆円を突破し、2022年は2兆9277億円と5年で約1.5倍の市場規模に成長(出典/一般社団法人日本動画協会「アニメ産業レポート2023」)。また、「カードゲーム・トレーディングカードゲーム」も2022年の市場規模は前年比32.2%増で2348億9100億円となりました。

一般社団法人日本玩具協会調べ「玩具市場規模調査結果」より

一般社団法人日本玩具協会調べ「玩具市場規模調査結果」より

もともと人気のあった『ポケモンカードゲーム』に加え、『ONE PIECEカードゲーム』など新しいゲームも登場し、秋葉原にはこれらトレカを扱うショップが月に複数軒のペースで開店しています。これらのコンテンツにより、秋葉原は子どもたちにも楽しめる場所に変貌しつつあります。

成人男性のイメージが強かったメイド喫茶にも、子どもに人気のキャラメニューと子ども料金を設け、家族連れで楽しめる場所も誕生。オタク・マニアと呼ばれたアキバは、尖りつつも裾野を広げ、さまざまな人を受け入れる街に変貌していく過程といえるかもしれません。

駅前にはオフィスビルも増え、「働く街」としてのイメージも定着しつつある

駅前にはオフィスビルも増え、「働く街」としてのイメージも定着しつつある

「mAAch ecute 神田万世橋」。ショップ、カフェ、アート空間が並ぶ

「mAAch ecute 神田万世橋」。ショップ、カフェ、アート空間が並ぶ

秋葉原という街は戦後の闇市からはじまり、電気街、サブカルの発信地と、変化を繰り返しつつ発展を遂げてきました。そして、改めて今の街を見つめてみると、驚くほど多彩な顔を持っていることに気付かされます。次々と新しい魅力を備え、アップデートされ続ける。そんな秋葉原の、これからにも注目です。

●関連サイト
SUUMOリサーチセンター「SUUMO住みたい街ランキング2024 首都圏版」プレスリリース

「SUUMO住みたい街ランキング2024関西版」尼崎が穴場な街から人気の街に!再開発から10年余り子育て世帯の流入、支援も豊富に

兵庫県の南東部に位置し、大阪府と接している尼崎市。「SUUMO住みたい街ランキング2024関西版」では自治体ランキングの総合順位で過去最高の19位にランクイン。特にシングル男性では8位、夫婦のみ世帯では16位と若い世代からの人気が高まっている。その要因を探ってみよう。

大阪駅まで最短で6分、非常に便利な交通アクセスが魅力

通称「あま」、電話番号の市外局番は「06」と大阪市と同じで、他地域の人からは「大阪じゃないの?」といわれる尼崎市であるが、れっきとした兵庫県の街。市内は東西に、北から阪急神戸線、JR東海道線、阪神本線の3線が並行して通っている。JR尼崎駅から大阪駅までは一駅6分(新快速)、阪神尼崎駅から大阪梅田駅も一駅7分(直通特急)と大阪とは至近。JR尼崎駅からは東西線を利用すれば北新地や京橋へも直通、阪神尼崎駅から阪神なんば線を利用すれば大阪難波や奈良方面までも直通と、非常に便利な交通アクセスをもつ街でもある。
2023年のプロ野球日本シリーズでは阪神とオリックスが対決し、それぞれの本拠地「阪神甲子園球場」と「京セラドーム大阪」を阪神なんば線が結ぶことから「なんば線シリーズ」とも呼ばれた。尼崎市はその中間に位置しており、市内各地でも非常に盛り上がった。「2024住みたい自治体ランキング」でも尼崎の魅力として「いろいろな場所に電車・バスで移動しやすい」という項目が2位に挙げられているが、通勤・通学やショッピングはもちろん、エンターテインメントや余暇を楽しむためも便利な街であることが評価されているのかもしれない。
また、尼崎は市内全体が平坦で道路網も整備されたコンパクトシティという特徴をもち、自転車の利用にも適している。市も事故防止のルール指導、駐輪場整備、自転車道の整備、盗難防止対策などを実施。積極的に自転車を安全・安心・快適に利用できるまちづくりを進めている。さらに、3路線をタテに結ぶように路線バスが尼崎全体をカバーしているため、南北の交通アクセスも良好だ。

JR尼崎駅は東西線と宝塚線が分岐する交通の要所(写真/PIXTA)

JR尼崎駅は東西線と宝塚線が分岐する交通の要所(写真/PIXTA)

駅周辺の再開発が起爆剤となり、住宅供給も活発に

「2024住みたい街ランキング」では、尼崎市の一番の魅力として挙げられているのが「コストパフォーマンスがよく便利なお店や飲食店がある」というポイント。また同ランキングで発表している、交通利便性や生活利便性が高いのに家賃や物件価格が割安なイメージがある駅を選ぶ「穴場だと思う街(駅)ランキング」でも、上位10位までの中に尼崎市にある駅が3駅(4位/阪神本線尼崎駅、7位/JR東海道本線尼崎駅、10位/阪急神戸線塚口駅)もランクインしている。古くからの商店街が残り、人情味溢れるやりとりが楽しめる街である一方、再開発により尼崎市内の主要駅の周辺エリアが整備されていることがこれらの評価に寄与しているといえるだろう。
たとえば、キリンビール尼崎工場の跡地があったJR尼崎駅周辺には、百貨店やあまがさきキューズモールが入る複合施設が整備されており、駅とはペデストリアンデッキで直接繋がっていることもあり非常に便利だ。駅の周辺では高層マンションを中心とした住宅が立ち並び若い子育て世帯の流入につながっている。

JR尼崎駅前、再開発により誕生した複合商業施設。周辺には医療施設なども整備されている(写真撮影:井村幸治)

JR尼崎駅前、再開発により誕生した複合商業施設。周辺には医療施設なども整備されている(写真撮影:井村幸治)

JR尼崎駅の周辺では分譲マンションも立ち並んでいる(写真撮影:井村幸治)

JR尼崎駅の周辺では分譲マンションも立ち並んでいる(写真撮影:井村幸治)

また市内ではJR塚口駅の駅前で工場敷地の再開発により、都市型のコンパクトシティ「ZUTTOCITY」が整備され、マンションと一戸建てあわせて1200戸以上の住宅と商業施設のほか、道路や公園が誕生している。今後の予定では、阪急神戸線の武庫之荘駅と西宮北口駅間に新駅(武庫川新駅(仮称))設置の計画もある。
こうした駅を核とした再開発が進むことで、市内だけでなく広域からの注目を集めるようになっている。その結果、尼崎市内での住宅は一戸建て・マンションとも安定した供給が続いている。既存ストックを地域の資源として活かし、守り、育てることで都市空間の質の向上を図り、持続可能な都市をめざすという市の都市計画が反映されたまちづくりが行われているといえるだろう。

尼崎市の新築一戸建ての着工数および新築分譲マンションの供給戸数の推移

ファミリー世帯も注目、安全で過ごしやすい街へ

「尼崎は便利だけど、治安はどうなの?」と思う方もいるだろう。尼崎市では治安の悪いイメージを払拭するための取り組みも積極的に行っている。たとえば、街頭犯罪防止の取り組みとして、ひったくり現場表示板の掲示、「青パト」を使った防犯パトロールの強化、警報器付きロック装置を付けたダミー自転車を活用する盗難対策「Alar-mmy.(アラーミー)」などの施策だ。結果、刑法犯認知件数は、取り組み前の平成24年(2012年)と比べ、9年間で約63%減少している。令和5年度(2023年度)には市内にあった暴力団事務所もゼロになり、安心して暮らすことができる街へと生まれ変わっている。
子ども向けの施設の開発も進んでおり、2022年には関西初のキッズパーク「モーヴィあまがさき」がオープンした。ボートレース尼崎の一部を活用した親子の遊び場で、発達段階に応じて分けられたゾーンで思い切り身体を動かすことができる場所だ。ボーネルンド社や行政が協働し子ども向けのスペースやイベントを開催しており、なかなか予約が取れないほどの人気となっている。

ボートレース尼崎に隣接する水明公園では思い思いに遊ぶ親子連れの姿も(写真撮影:井村幸治)

ボートレース尼崎に隣接する水明公園では思い思いに遊ぶ親子連れの姿も(写真撮影:井村幸治)

また、2025年3月には阪神大物駅に近接する小田南公園の整備によって、阪神タイガースのファーム施設を中心とした「ゼロカーボンベースボールパーク」が誕生する予定。ベースボールファンだけでなく、家族で楽しめる憩いの場としても注目を浴びそうだ。

豊富な種類の子育て支援、安心して暮らすことのできる環境

その他にも、尼崎市では子育てを世代に向けたさまざまな施策も実施している。たとえば乳幼児等医療費助成制度により、就学前の児童は通院費の自己負担が不要となる。さらに、高校生までは入院費の自己負担も不要だ。また妊娠、出産、育児に関する不安や困りごとなど、すべての妊婦や子育て世帯に寄り添い必要な支援につなぐ「伴走型相談支援」と、出産育児関連用品の購入や子育てサービス等の負担軽減を図る「経済的支援(出産・子育て応援給付金)」を一体的に実施している。他にも市内には「すこやかプラザ」「つどいの広場」が設置されており、子育て中の親子が気軽に集まって仲良く遊んだり、お母さんやお父さんが情報交換や交流を行うことのできる場を提供。アドバイザーによる子育て相談や、子育てに関する講習・イベントも開催されている。

街全体としては高齢化が進んでいるものの、駅周辺の再開発が進みマンション供給も増加したことから若い世代も増えている尼崎。高い利便性とコストパフォーマンスの良さは今後も評価されていくだろう。治安や子育てに対する取り組みも充実してきており、さらに注目度はアップしていく可能性が高い。

「SUUMO住みたい街ランキング2024」練馬が注目度急上昇! レトロ飲食店街、巨大公園、人気エンタメ施設、温浴施設など、一日遊べるリゾートみたいな街だった!

リクルートが、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)在住の20歳~49歳の男女9335人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2024」を発表。今回は、世界的人気のエンタメ施設が誕生し、注目度が急上昇している「練馬」にフォーカスし、街の魅力を探ります。

「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 メイキング・オブ・ハリー・ポッター」がオープン

前回の63位から過去最高位の48位にランクアップした西武池袋線・都営大江戸線の練馬駅。昨年から「得点がジャンプアップした駅」のランキングでは5位、「穴場な街」ランキングでは4位と、街に対する注目が高まっていることがうかがえます。
性別・年代別・ライフステージ別の内訳では、前年に比べ「男性20代」「女性40代」「シングル世帯」からの支持が伸びました。

「SUUMO住みたい街ランキング2024」練馬が注目度急上昇! レトロ飲食店街、巨大公園、人気エンタメ施設、温浴施設など、一日遊べるリゾートみたいな街だった!

練馬

練馬に関心が寄せられている要因として、まず挙げられるのは「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 メイキング・オブ・ハリー・ポッター」の存在。2023年6月16日、アジア初の「ハリー・ポッター」スタジオツアーとして「としまえん」の跡地にオープンしました。ちなみに、ロンドンのスタジオツアーは、オープンから10年以上が経った現在でも予約が困難という人気施設です。

スタジオツアー東京では、ホグワーツ魔法魔術学校の象徴的な大広間、ダイアゴン横丁、禁じられた森といった物語の世界を体感できるほか、魔法動物に遭遇したり、豪華な衣装を鑑賞できます。

地域の人々や国内の観光客のほか、訪日外国人からの関心も高く、国内最大級のインバウンド総合メディア「訪日ラボ」を運営する株式会社movが発表した「インバウンド人気観光地ランキング」では、東京ディズニーランドなどを抑え2位に。街に新たな人の流れを呼び込む起爆剤になっています。

練馬城址公園

練馬城址公園

また、2023年5月には、同じ「としまえん」の跡地を中心に「練馬城址公園」も一部開園。園内の中心を流れる石神井川沿いの「川辺の散策ゾーン」、四季折々の花が咲き、イベントが開催される「花のふれあいゾーン」、「エントランス交流ゾーン」などが整備されています。今後も段階的に整備され、全面開園は2029年を予定。交流・憩いのスペースとしての魅力はもちろん、広域防災拠点としても、地域住民にとっては頼もしい存在です。

周辺には、「豊島園 庭の湯」や「ユナイテッド・シネマ としまえん」などの人気スポットもあり、一帯は1日過ごせるリゾートエリアに進化中です。

「豊島園 庭の湯」。1200坪の日本庭園を擁する都内最大級のスパ施設。天然温泉、バーデプール、サウナ、食事処などがあり、1日中楽しめる

「豊島園 庭の湯」。1200坪の日本庭園を擁する都内最大級のスパ施設。天然温泉、バーデプール、サウナ、食事処などがあり、1日中楽しめる

緑豊かな環境と気軽に農業を体験できる環境

練馬区の大きな特色の一つに挙げられるのが、緑豊かな環境です。区域に占める樹木などの割合を示す緑被率は23区でも上位で、区立公園などの面積も年々増加。2014年から2022年までの9年間で、10haも広がっています。

また、東京23区でありながら農地が多いことでも知られています。区民農園など農業を体験できる施設も増加中で、2022年の段階で87施設に。2023年には種まきから収穫まで体験できる「高松みらいのはたけ」も開設されるなど、区民が農業に親しむための取り組みに力を入れています。

「高松みらいのはたけ」

「高松みらいのはたけ」

一方で、練馬駅南口には「練馬三角地帯」と呼ばれる飲食店街も。安くて美味しい飲食店が密集しています。人気居酒屋の「春田屋」や、町中華の「小姑娘」など、昼飲みでにぎわうお店も多数あり、レトロな下町的な雰囲気とともにさまざまな世代に愛されています。

練馬三角地帯

練馬三角地帯

手厚い子育て施策も魅力

子育て環境に目を向けると、練馬区では直近9年間で保育定員数を8500人拡大。2021年から3年連続で待機児童ゼロを達成しています。2016年には全国初となる区独自の幼保一元化施設「練馬こども園」を創設。現在24園で実施し、定員は1869人(令和5年4月1日時点)。「3歳からは預かり保育のある幼稚園に通わせたい」という保護者のニーズに対応し、共働き家庭などからも利用されています。

同じく2016年には、小学校の放課後に児童が図書室などで読書や自主学習ができる「ひろば事業」と学童運営を一体化した「ねりっこクラブ」もスタート。年々、実施校数と定員枠を増やし、2023年時点で区内の全65校中52校で実施。定員枠は7012人に達するなど、小学生の居場所をしっかりと用意しています。

他にも、新宿から10km圏の駅のなかでは家賃が2番目に安い穴場感、2040年まで人口の増加が見込まれている将来性の高さなど、ポジティブな指標も多い練馬。もともとの住み心地の良さに加え、休日を過ごす街としての魅力が強化されたことで、ますます人気が高まっていくことは間違いなさそうです。

シングル向け家賃、カップル・ファミリー向け家賃

【調査対象物件】駅徒歩15分以内
シングル:築年数35年以内の10平米以上~40平米未満(1R,1K,1DK)の物件(定期借家を除く) ファミリー:築年数35年以内の50平米以上~80平米未満の物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2023/8/1~2023/10/31
【家賃の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(マンション/アパート)の管理費を含む月額賃料から中央値を算出

●関連サイト
SUUMOリサーチセンター「SUUMO住みたい街ランキング2024 首都圏版」プレスリリース

「SUUMO住みたい街ランキング2024 関西版」3年連続1位の梅田、ビジネスの中心地から”暮らす街”に! タワマン供給で街が広がる

「SUUMO住みたい街ランキング2024 関西版」で、3年連続で総合1位を獲得している駅が、「梅田(※)」駅だ。大阪のビジネスの中心地として多くの企業が進出し、複数の商業施設が立ち並び賑わいを見せている梅田周辺だが、近年は再開発により住宅供給も増加。都心に住むことに対する関心が高まっている。

※「SUUMO住みたい街ランキング2024 関西版」では、地下通路や連絡通路で接続している駅は同駅として集計しており、梅田駅には、大阪駅、大阪梅田駅、東梅田駅、西梅田駅、北新地駅の得点も含む

拡大する「うめだ」。遊ぶ・働くだけでなく住む場所としても進化

大阪市北区にある梅田駅を中心とする「キタ」は、関西随一の繁華街だ。JR大阪駅をはじめ、阪急、阪神、大阪メトロといった複数路線が乗り入れているターミナル駅でもあり、ビジネスマンや観光客、買い物客で賑わっている。ビジネス・商業の街としてのイメージが先行する梅田だが、近年の開発で住宅供給が増えており、資産価値としての面が注目されつつある。直近10年間でも広い意味で梅田エリアとされる大阪市北区・福島区で約1万5000戸の分譲マンションが供給されている。

高層ビルが立ち並ぶ大阪駅の周辺(撮影:井村幸治)

高層ビルが立ち並ぶ大阪駅の周辺(撮影:井村幸治)

現在、うめきた2期地区開発事業の要である「グラングリーン大阪」は、オフィス、ホテル、中核機能、商業施設、都市公園、住宅が揃う複合的な場所として工事が進められている。一部は住宅として供給される予定で、分譲マンション「グラングリーン大阪THE NORTH RESIDENCE」は最高価格25億円の住戸が誕生することで話題となった。
実際、大阪市北区の人口はここ数年で特に増加しており、今後も増加が見込まれる。「住みたい街ランキング2024」で梅田を選択した人たちの理由としても「仕事のできる施設がある」、「不動産の資産価値が高そう」、「今後、街が発展しそう」といったポイントが上位に挙げられている。仕事や買い物をする場としてのイメージが強かったが、他の人気上位の駅に比べ若い世代を中心に注目を集めており、都心に住まうことの現実味が増していると考えられる。

グラングリーン大阪の工事現場。話題の分譲マンションも姿を見せ始めている。左側のタワーマンションはグランフロント大阪の街区(撮影:井村幸治)

グラングリーン大阪の工事現場。話題の分譲マンションも姿を見せ始めている。左側のタワーマンションはグランフロント大阪の街区(撮影:井村幸治)

グラングリーン大阪の工事現場。オフィスやホテルが入居する複合ビル工事が進められている。正面奧のタワーマンション群は福島区に位置する(撮影:井村幸治)

グラングリーン大阪の工事現場。オフィスやホテルが入居する複合ビル工事が進められている。正面奧のタワーマンション群は福島区に位置する(撮影:井村幸治)

「SUUMO住みたい街ランキング2024関西版」梅田が西宮北口と大差で3年連続1位に! 本町、尼崎も躍進

充実した子育て環境、公立小中一貫校も4月に開校

人口増加とともに、ファミリー世帯も増加しているため、大阪市は子育て環境の改革に積極的に取り組んでいる。中でも、待機児童の解消に向けた取り組みに注目だ。大阪市では待機児童数も多く、平成24年時点では600人を超えていた。そこで市は、さまざまな施策を組み合わせながら待機児童の解消に取り組んできた。保育所の入所枠拡大を行う中で、大規模な民間マンションにも保育所の整備が進められている。他にも、子育て世帯の経済的負担を軽減するとともに、子どもたちの学力や学習意欲、個性や才能を伸ばす機会を提供するため、市内在住の小学5年生から中学3年生の約5割を対象として学校外教育にかかる費用を助成する事業などが実施されている。
さらに、「大阪市立中之島小中一貫校」が2024年4月に新たに開校される。景観と調和したデザインの外観で、グラウンドやプール、体育館などを含む学校機能をコンパクトにまとめた校舎となっている。通学対象となるのは梅田に近接する堂島と中之島エリアだが、市内からは入学応募が可能だ(応募多数の場合は抽選となる)。

大阪市立中之島小中一貫校の校舎(撮影:井村幸治)

大阪市立中之島小中一貫校の校舎(撮影:井村幸治)

開発が進む商業施設と、街並みの変貌への期待感が高まる

梅田周辺は、従来からオフィスと商業施設が集約された街であったが、近年は再開発やリニューアルが進められており街並みは変化し続けている。うめきたの開発はその最たる例だ。2023年には、大阪駅うめきた新駅(うめきたエリア)として地下ホームが開業。約91,000平米の敷地全体のうち約半分の約45,000平米が公園という緑豊かな空間であるグラングリーン大阪は、うめきた公園を中心にビジネスから観光まで幅広いニーズを担う南街区、イノベーティブなライフデザインを実現する北街区と、3つのエリアに分かれている。

グランフロント大阪は大阪の顔として、すっかりおなじみになった(撮影:井村幸治)

グランフロント大阪は大阪の顔として、すっかりおなじみになった(撮影:井村幸治)

うめきたの先行開発区域であるグランフロント大阪は2013年のまちびらき以来、梅田の新たな顔として多くの市民に親しまれている。周辺にはルクア、大丸、阪急、阪神など百貨店や若者向けの商業施設が揃い、2022年に阪神百貨店が全面リニューアルした。さらに、JR線路をはさんでグラングリーン大阪の南側にある郵便局の再開発JPタワー大阪は2024年3月竣工、7月に開業予定で、KITTE大阪として飲食店や商業施設も多数誘致される予定だ。若年層はもちろん多世代を惹き付ける集客力はさらに高まっていきそうだ。

KITTE大阪

KITTE大阪

KITTE大阪は2024年7月に開業予定で主要テナントの顔ぶれも発表されている(撮影:井村幸治)

梅田エリアは、従来のイメージとして確立されていた、働く場・遊ぶ場としてのイメージに加え、大規模なマンションの開発により、住まう場としてのイメージを獲得しつつある。グラングリーン大阪が開業すれば街なかに森のある新しい街が誕生することになる。今後の発展からも目を離せないだろう。

「SUUMO住みたい街ランキング2024」で北千住の注目度がアップ! 「穴場の街」7年連続1位から人気タウンへ、背景に大学連携の取り組み

リクルートが、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)在住の20歳~49歳の男女9335人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2024」を発表。今回は、7年連続で「穴場の街」1位に君臨し、今回は総合順位アップも果たした「北千住」にフォーカスし、人気の秘密を探ります。

「穴場の街」7年連続トップ

「穴場な街」ランキング7年連続1位の北千住。「住みたい街」の総合順位も昨年の28位から23位に上昇しました。特に、「20代(18位)」「シングル男性(15位)」「夫婦のみ世帯(15位)」から多くの支持を集め、前回調査に比べて「共働き夫婦世帯」「夫婦+子ども世帯」の得票も増えるなど、幅広い層から推されていることが分かります。

北千住駅前

北千住が穴場たる所以は、交通利便性、生活利便性が高いわりに住宅コストを抑えられる点。たとえば、築40年未満のファミリー向け中古マンションの価格相場は4980万円。東京駅から15km圏内の駅では圧倒的に手頃で、住みたい街ランキング上位30位までのなかでは断トツの安さです。

中古マンション 築40年未満の カップル・ファミリー向けの価格相場ランキング

【調査対象物件】駅徒歩15分以内、築40年未満の40平米以上、80平米未満の物件(敷地権利は所有権のみ)
【データ抽出期間】2023年8月1日~10月31日
【家賃の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンションの物件価格(3億円以下)の中央値を算出

一方、賃貸物件もシングル向けの家賃相場が7万8000円、カップル・ファミリー向けは14万7000円で、こちらも住みたい街ランキング上位50位までで東京駅まで10km圏内で比較してみると、かなり割安です。

住みたい街50位以内かつ 東京駅から10km圏内の駅の家賃

【調査対象物件】 駅徒歩 15 分以内 シングル :築年数35年以内の10 平米以上~40 平米未満(1R,1K,1DK)の物件(定期借家を除く) ファミリー:築年数35年以内の50 平米以上~80 平米未満の物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】 2023/8/1~2023/10/31
【家賃の算出方法】上記期間で SUUMO に掲載された賃貸物件(マンション/アパート)の管理費を含む月額賃料から中央値を算出

また、商店街には激安の惣菜店、駅前の飲み屋横丁には、いわゆる「せんべろ」の居酒屋が点在しているほか、駅周辺には日常使いのスーパーも多いなど、あまりお金をかけずに生活できる環境は大きな魅力です。

駅前の飲み屋横丁

12年間で5つの大学が開校

北千住の街が大きく変わるきっかけになったのが、大学の誘致。足立区では2000年に放送大学が綾瀬から北千住にある「学びピア21」へ移転したのを皮切りに、2006年に「東京藝術大学」の千住キャンパス、2007年に「東京未来大学」、2010年に「帝京科学大学」、2012年に「東京電機大学」と12年間で5つの大学が誕生。現在では、北千住駅周辺で合計1万5000人(※)の学生が通っています。

※谷塚駅が最寄りの文教大学東京あだちキャンパス 学生約2000名を加えると足立区では約1万7000人

実は、現在の東京電機大学がある場所はもともとマンションの建設が検討されていたといいます。しかし、一過性でない人の流入を目指し、計画を変更して大学の誘致へと舵を切りました。その結果、駅周辺には大学生を中心に常に若者たちの活気が生まれ、そこから少し離れた川沿いの自然豊かな環境に住宅が整備されるという、バランスの良いまちづくりがなされています。

大学のチカラを街のチカラに

特筆すべきは、大学を誘致して終わりではなく、大学と区が積極的に連携し街の活性化につなげている点。足立区役所のシティプロモーション課では、大学側との窓口になる担当者を複数配置し、6つの大学全てと連携事業を実施しています。たとえば、大学構内で小・中学生向け講座を実施したり、大学生と未就学児、小中学生がコミュニケーションをとれる機会をつくることで、子どもたちの大学や研究への関心を高めたり。他にも、街の人が参加できる大人向けの講座を開いたり、芸大コンサートに地域の人を招待したり、帝京科学大学で高齢者向けの認知症に関する講座を実施したりと、全ての年代にフィットする講座を用意。2023年は153の連携授業を実施しています。

また、東京藝大と足立区、NPOによる「昔まち千住の縁」は、十数年前から続く街中アートプロジェクト。”音”をテーマとした多種多様なプログラムを展開していて、これをきっかけに複数のアートスポットが区内に誕生。「千住=アートの街」をイメージづけると同時に、アーティストと学生、住民同士の交流につながるなど、さまざまな波及効果が生まれています。

【せんつく】……「つくる」と「学ぶ」がテーマの交流拠点。建築家の青木公隆さんを中心に2つの空き家をリノベーションし、飲食店やパン教室、整体、学習塾などが活動するほか、イベントやハンドメイドなどのワークショップも行われている

【せんつく】……「つくる」と「学ぶ」がテーマの交流拠点。建築家の青木公隆さんを中心に2つの空き家をリノベーションし、飲食店やパン教室、整体、学習塾などが活動するほか、イベントやハンドメイドなどのワークショップも行われている

【仲町の家】……千住大橋の建設に尽力した石出掃部介吉胤(いしでかもんのすけよしたね)の子孫が守ってきた日本家屋と庭を活かした文化サロン。展覧会や音楽イベントなどが行われる

【仲町の家】……千住大橋の建設に尽力した石出掃部介吉胤(いしでかもんのすけよしたね)の子孫が守ってきた日本家屋と庭を活かした文化サロン。展覧会や音楽イベントなどが行われる

10年以上におよぶ「教育」への取り組み

ここ10年あまり、足立区が特に力を注いできたのが「教育」への取り組み。全国でも珍しい「学力定着推進課」を設置し、「誰一人取り残さない」をキーワードに子どもたちの学習を手厚くサポートしてきました。個々の学力に合わせたフォローはもちろん、成績上位でありながら家庭の事情等で塾に行けない中学3年生を対象に民間教育事業者を活用した「足立はばたき塾」を開校するなど、子どもが学ぶ機会を失わないための取り組みに注力しています。

その際たるものが、2023年度からスタートした「返さなくていい奨学金」。成績優秀でも家計的に進学が難しい子どもに対し、大学等に在学する期間(正規の修業年限)について、返済不要の奨学金を給付するというものです(40人まで)。他にも、中学1年生を対象にした勉強合宿、放課後や夏休み期間を利用し前年度のつまずきを解消する個別補習なども。

これら、区独自の学力向上支援策は着実に実を結びつつあります。2023年の「学習定着度調査(※前学年における学習内容の定着状況を把握するための調査)」では、中1、中2の英語と中3の数学を除く、ほとんどの学年・科目で全国平均を上回りました。

荒川・隅田川沿い

もともとの住みやすさ、荒川・隅田川沿いの環境の良さに加え、十数年にわたる区の取り組みが実り始めたことで、じわじわと人気が高まってきた北千住。今回の「住みたい街」の総合順位でも23位と、TOP20以内をうかがう位置にまできています。もはや「穴場の街」ではなく、その魅力が多くの人に認知されつつあることの証といえるかもしれません。

●関連サイト
SUUMOリサーチセンター「SUUMO住みたい街ランキング2024 首都圏版」プレスリリース

「SUUMO住みたい街ランキング2024関西版」梅田が西宮北口と大差で3年連続1位に! 本町、尼崎も躍進

リクルートは関西圏(大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県)に居住している20歳〜49歳の4600人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2024年関西版」を発表した。
どのような街がランクインしたか、結果と併せて街の魅力を探ってみた。

TOP3は3年連続1位「梅田」、2位「西宮北口」、3位「神戸三宮」

1位は大都心部「梅田」、2位は阪神間の人気の街「西宮北口」、3位は神戸市の玄関口「神戸三宮」だった。
トップ3は2022年から3年連続で同じ位置をキープしたが、今年際立ったのが1位の「梅田」の強さだ。2位の「西宮北口」と約300点もの差をつけており、「得点がジャンプアップした街ランキング」でも昨年から100点以上も得点を伸ばして1位に。
「梅田」の人気の高まりがはっきりと結果に出た。

住みたい街(駅)ランキング [1位~20位]

得点がジャンプアップした街(駅)ランキング[1位~10位]

梅田人気はうめきた開発の期待感や高い資産価値が決め手に

「梅田」の人気の背景には、西日本最大のターミナル「JR大阪駅」北側の再開発「うめきた」による街の発展がある。「グランフロント大阪」が誕生した1期開発に続いて「うめきた2期(グラングリーン大阪)」が進行しており、今年9月には一部先行街開きをする予定だ。

グランフロント大阪(写真/PIXTA)

グランフロント大阪(写真/PIXTA)

中でも特に期待が寄せられるのが、大阪駅と直結する都市公園「うめきた公園」の誕生だろう。関西最大のビッグターミナルであるJR大阪駅前に、広大な芝生広場や、美しい曲線を描く大屋根のイベントスペースを設けた巨大公園が姿を現す。周辺にはホテルやオフィスビル、タワーマンションなども続々開業するという、心躍らされる都市プランだ。
住みたい理由としてあげられる街の魅力は、働く場にとどまらない街のにぎわい、文化娯楽施設の充実などだ。
「梅田」を「西宮北口」と年代別で比較すると、20代の支持率が突出して高いのもうなずける。
ビジネスや商業のイメージが強い「梅田」だが、うめきたエリア再開発の波及効果や福島方面や中津方面の再開発により住宅供給が増加。直近10年間でも大阪市北区・福島区で1万5000戸以上の分譲マンションが供給された。
近年、若い人の間で住宅を資産価値として見る層が増えており、住むイメージが希薄だった梅田エリアも、都心居住への憧れの強さに後押しされ、“働き、暮らす街”として魅力を増していると考えられる。

街の魅力項目トップ10 梅田駅

年代別上位3駅の得票率

同時にアンケートをとった「穴場だと思う街(駅)」でも「梅田」が昨年の2位から1位に上昇した。
「梅田」と「穴場」のイメージがマッチしない印象だが、ハイブランドの店舗から昔ながらの飲食街まで多様な顔があることが、“住む街としても見逃せない”という穴場感につながっているのかも。

穴場だと思う街(駅)ランキング

ほかにも得点を上げた街を見てみたい。
「江坂」は昨年の11位から8位にランクインした(310点→342点)。
「江坂」は大阪中心部のオフィス街に直結する大阪メトロ御堂筋線にあり、新幹線停車駅「新大阪」や「梅田」「淀屋橋」に乗り換えなしで行ける。
また、阪急京都線「烏丸」は昨年の15位から12位に(238点→270点)、「本町」は18位から13位(216点→256点)に大きく順位を上げている。
それぞれ京都市、大阪市の中心エリアにあり、商業施設やオフィスが集まる華やかな街だ。
これらの結果を見ても、都心への交通アクセスの良さや商業施設の充実など、利便性の高い街に人気が集まっていることがわかる。

「住みたい自治体」は「西宮市」「大阪市北区」がトップ2

アンケートでは「住みたい自治体」についても尋ねた。
1位は「西宮市」。以下「大阪市北区」、「明石市」、「大阪市天王寺区」、「大阪市中央区」と続いた。

住みたい自治体ランキング [1位~20位]

得点ジャンプアップした自治体ランキング[1位~10位]

「住みたい街ランキング」でトップ2だった街の自治体「西宮市」「大阪市北区」がやはり1位、2位を獲得した。
1位から5位までが昨年と同じ順位だが、昨年との得点差を見ると「大阪市北区」が130点(997点→1127点)と、他の自治体に比べて突出して大きい。
一方、手厚い子育て施策で注目を集める「明石市」は今年も3位をキープし、依然として高い支持を得ている。

「梅田」が利便性や都心への憧れ、資産価値の高さを背景にしているのに対し、「明石市」は市民目線のサービスで注目を集めた。
「明石市」の街の魅力項目には「子育てに関する自治体のサービスが充実している」だけでなく、「介護や高齢者向けのサービスが充実している」「公共施設が充実している(図書館、コミュニティセンター、公民館など)」など、子育て以外の自治体の施策や生活環境の充実も挙げられる。

明石駅前。大規模商業施設だけでなく、近くに公共施設や商店街がある(画像提供/明石市役所)

明石駅前。大規模商業施設だけでなく、近くに公共施設や商店街がある(画像提供/明石市役所)

明石駅前。大規模商業施設だけでなく、近くに公共施設や商店街がある(画像提供/明石市役所)

明石駅前。大規模商業施設だけでなく、近くに公共施設や商店街がある(画像提供/明石市役所)

年代・ライフステージでは、夫婦+子ども世帯の支持(2位)だけでなく、夫婦のみ世帯(3位)、女性20代・30代(2位)、男性20代・30代(5位)と子育てファミリー以外のさまざまな層からも高く注目されている。
また、「メディアによく取り上げられて有名」という声も多く、自治体の発信力も地元以外でも住みたいと思う人が増える要因になっているようだ。

■関連記事:
子育て支援の“東西横綱”千葉県流山市と兵庫県明石市、「住みたい街ランキング」大躍進の裏にスゴい取り組み

おしゃれなオフィス街「本町」が大躍進本町の風景(写真/PIXTA)

本町の風景(写真/PIXTA)

「本町」は住みたい街ランキングで昨年の18位から13位へとランクアップ。得点ジャンプアップした街ランキングでも40点も得点を伸ばし3位となった。
「本町」のある「大阪市中央区」は自治体総合ランキングで6位となり、特に男性40代、シングル男性、シングル女性では3位の高順位に。

街の魅力として「魅力的な働く場」や「雰囲気やセンスのいい飲食店やお店」などがあり、最先端のおしゃれな街という印象で捉えられていることが分かる。
大阪市中央区は2府4県の中でも人口増加率、15歳未満の人口増加率がともにナンバー1。小学校の児童数も10年前の3000人未満から4000人に届きそうな数に。本町駅周辺は中央区・西区ともに小型の分譲マンション供給が続いており、この5年間で中央区だけで約6000戸以上増えたことが人口増の要因となっている。
1975年の万博開催年に建てられた「船場センタービル」はコロナ禍の中、2021年から土日の営業を開始。地域住民が増えていることで飲食店などがにぎわいを見せている。

梅田に隣接しているのに割安な家賃相場。新築マンションの供給進む「尼崎市」JR尼崎駅前の様子(写真/PIXTA)

JR尼崎駅前の様子(写真/PIXTA)

「尼崎市」は「住みたい自治体」総合順位で過去最高位の19位にランクイン。特にシングル男性で8位に食い込み、夫婦のみの世帯も16位と高支持を得た。ファミリーよりもシングルやカップルからの支持が厚い傾向が見られる。
JR「尼崎」駅は「住みたい街ランキング」では31位だが、「得点がジャンプアップした街」では9位に躍進を遂げた。

JR尼崎駅は大阪駅まで新快速で1駅6分、東海道本線、福知山線、東西線が乗り入れ、交通利便性の高さでは関西屈指。その割に家賃相場が割安なのも魅力のひとつといえる。

住みたい理由として「コストパフォーマンスが良い」「物価が安い」「電車やバスでさまざまな場所に行きやすい」「街に賑わいがある」など、交通利便性や物価といった実質的な側面が評価されている。

尼崎市全体では高齢化が進むものの再開発で美しく整備されたJR尼崎駅周辺を中心にマンションの供給が続き、周辺エリアからの流入も多い。
子ども向け施設として最近注目を集めているのが、2022年に「ボートレース尼崎」場内にオープンした関西初のキッズパーク「モーヴィあまがさき」。ボーネルンド社や行政が共同で子ども向けのイベントを開催しており、なかなか予約がとれないほどの人気だという。

市も子育て支援に力を入れており、子どものうちから健康に関心を持つよう11歳と14歳を対象に「尼っこ検診」を実施。定住・転入促進情報発信サイト「AMANISM(アマニスム)」やSNSを使った情報発信など、独自の取り組みで住みやすさをアピールしている。

2024年の「住みたい街ランキング」では、「梅田」が圧倒的に強かった。得点ジャンプアップランキングでも1位となり、人気の高まりは現在進行形だ。
また、「尼崎」や「本町」など、梅田から10分圏内の街も躍進が目立つ。

コロナ禍を抜け出した今、関西圏では都心の利便性と華やぎが一層求められるようになったと思える。
一方、「明石市」のように、市民目線の施策や地道な街づくりにより人口を増やしている自治体もある。
うめきたエリアの再開発などで都心部が今後さらに整備されていく中、人々が「住みたい」と思う街がどう変化していくか、注目していきたい。

●関連サイト
・SUUMOリサーチセンター「SUUMO住みたい街ランキング2024 関西版」プレスリリース

「SUUMO住みたい街ランキング2024関西版」梅田が西宮北口と大差で3年連続1位に! 本町、尼崎も躍進

リクルートは関西圏(大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県)に居住している20歳〜49歳の4600人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2024年関西版」を発表した。
どのような街がランクインしたか、結果と併せて街の魅力を探ってみた。

TOP3は3年連続1位「梅田」、2位「西宮北口」、3位「神戸三宮」

1位は大都心部「梅田」、2位は阪神間の人気の街「西宮北口」、3位は神戸市の玄関口「神戸三宮」だった。
トップ3は2022年から3年連続で同じ位置をキープしたが、今年際立ったのが1位の「梅田」の強さだ。2位の「西宮北口」と約300点もの差をつけており、「得点がジャンプアップした街ランキング」でも昨年から100点以上も得点を伸ばして1位に。
「梅田」の人気の高まりがはっきりと結果に出た。

住みたい街(駅)ランキング [1位~20位]

得点がジャンプアップした街(駅)ランキング[1位~10位]

梅田人気はうめきた開発の期待感や高い資産価値が決め手に

「梅田」の人気の背景には、西日本最大のターミナル「JR大阪駅」北側の再開発「うめきた」による街の発展がある。「グランフロント大阪」が誕生した1期開発に続いて「うめきた2期(グラングリーン大阪)」が進行しており、今年9月には一部先行街開きをする予定だ。

グランフロント大阪(写真/PIXTA)

グランフロント大阪(写真/PIXTA)

中でも特に期待が寄せられるのが、大阪駅と直結する都市公園「うめきた公園」の誕生だろう。関西最大のビッグターミナルであるJR大阪駅前に、広大な芝生広場や、美しい曲線を描く大屋根のイベントスペースを設けた巨大公園が姿を現す。周辺にはホテルやオフィスビル、タワーマンションなども続々開業するという、心躍らされる都市プランだ。
住みたい理由としてあげられる街の魅力は、働く場にとどまらない街のにぎわい、文化娯楽施設の充実などだ。
「梅田」を「西宮北口」と年代別で比較すると、20代の支持率が突出して高いのもうなずける。
ビジネスや商業のイメージが強い「梅田」だが、うめきたエリア再開発の波及効果や福島方面や中津方面の再開発により住宅供給が増加。直近10年間でも大阪市北区・福島区で1万5000戸以上の分譲マンションが供給された。
近年、若い人の間で住宅を資産価値として見る層が増えており、住むイメージが希薄だった梅田エリアも、都心居住への憧れの強さに後押しされ、“働き、暮らす街”として魅力を増していると考えられる。

街の魅力項目トップ10 梅田駅

年代別上位3駅の得票率

同時にアンケートをとった「穴場だと思う街(駅)」でも「梅田」が昨年の2位から1位に上昇した。
「梅田」と「穴場」のイメージがマッチしない印象だが、ハイブランドの店舗から昔ながらの飲食街まで多様な顔があることが、“住む街としても見逃せない”という穴場感につながっているのかも。

穴場だと思う街(駅)ランキング

ほかにも得点を上げた街を見てみたい。
「江坂」は昨年の11位から8位にランクインした(310点→342点)。
「江坂」は大阪中心部のオフィス街に直結する大阪メトロ御堂筋線にあり、新幹線停車駅「新大阪」や「梅田」「淀屋橋」に乗り換えなしで行ける。
また、阪急京都線「烏丸」は昨年の15位から12位に(238点→270点)、「本町」は18位から13位(216点→256点)に大きく順位を上げている。
それぞれ京都市、大阪市の中心エリアにあり、商業施設やオフィスが集まる華やかな街だ。
これらの結果を見ても、都心への交通アクセスの良さや商業施設の充実など、利便性の高い街に人気が集まっていることがわかる。

「住みたい自治体」は「西宮市」「大阪市北区」がトップ2

アンケートでは「住みたい自治体」についても尋ねた。
1位は「西宮市」。以下「大阪市北区」、「明石市」、「大阪市天王寺区」、「大阪市中央区」と続いた。

住みたい自治体ランキング [1位~20位]

得点ジャンプアップした自治体ランキング[1位~10位]

「住みたい街ランキング」でトップ2だった街の自治体「西宮市」「大阪市北区」がやはり1位、2位を獲得した。
1位から5位までが昨年と同じ順位だが、昨年との得点差を見ると「大阪市北区」が130点(997点→1127点)と、他の自治体に比べて突出して大きい。
一方、手厚い子育て施策で注目を集める「明石市」は今年も3位をキープし、依然として高い支持を得ている。

「梅田」が利便性や都心への憧れ、資産価値の高さを背景にしているのに対し、「明石市」は市民目線のサービスで注目を集めた。
「明石市」の街の魅力項目には「子育てに関する自治体のサービスが充実している」だけでなく、「介護や高齢者向けのサービスが充実している」「公共施設が充実している(図書館、コミュニティセンター、公民館など)」など、子育て以外の自治体の施策や生活環境の充実も挙げられる。

明石駅前。大規模商業施設だけでなく、近くに公共施設や商店街がある(画像提供/明石市役所)

明石駅前。大規模商業施設だけでなく、近くに公共施設や商店街がある(画像提供/明石市役所)

明石駅前。大規模商業施設だけでなく、近くに公共施設や商店街がある(画像提供/明石市役所)

明石駅前。大規模商業施設だけでなく、近くに公共施設や商店街がある(画像提供/明石市役所)

年代・ライフステージでは、夫婦+子ども世帯の支持(2位)だけでなく、夫婦のみ世帯(3位)、女性20代・30代(2位)、男性20代・30代(5位)と子育てファミリー以外のさまざまな層からも高く注目されている。
また、「メディアによく取り上げられて有名」という声も多く、自治体の発信力も地元以外でも住みたいと思う人が増える要因になっているようだ。

■関連記事:
子育て支援の“東西横綱”千葉県流山市と兵庫県明石市、「住みたい街ランキング」大躍進の裏にスゴい取り組み

おしゃれなオフィス街「本町」が大躍進本町の風景(写真/PIXTA)

本町の風景(写真/PIXTA)

「本町」は住みたい街ランキングで昨年の18位から13位へとランクアップ。得点ジャンプアップした街ランキングでも40点も得点を伸ばし3位となった。
「本町」のある「大阪市中央区」は自治体総合ランキングで6位となり、特に男性40代、シングル男性、シングル女性では3位の高順位に。

街の魅力として「魅力的な働く場」や「雰囲気やセンスのいい飲食店やお店」などがあり、最先端のおしゃれな街という印象で捉えられていることが分かる。
大阪市中央区は2府4県の中でも人口増加率、15歳未満の人口増加率がともにナンバー1。小学校の児童数も10年前の3000人未満から4000人に届きそうな数に。本町駅周辺は中央区・西区ともに小型の分譲マンション供給が続いており、この5年間で中央区だけで約6000戸以上増えたことが人口増の要因となっている。
1975年の万博開催年に建てられた「船場センタービル」はコロナ禍の中、2021年から土日の営業を開始。地域住民が増えていることで飲食店などがにぎわいを見せている。

梅田に隣接しているのに割安な家賃相場。新築マンションの供給進む「尼崎市」JR尼崎駅前の様子(写真/PIXTA)

JR尼崎駅前の様子(写真/PIXTA)

「尼崎市」は「住みたい自治体」総合順位で過去最高位の19位にランクイン。特にシングル男性で8位に食い込み、夫婦のみの世帯も16位と高支持を得た。ファミリーよりもシングルやカップルからの支持が厚い傾向が見られる。
JR「尼崎」駅は「住みたい街ランキング」では31位だが、「得点がジャンプアップした街」では9位に躍進を遂げた。

JR尼崎駅は大阪駅まで新快速で1駅6分、東海道本線、福知山線、東西線が乗り入れ、交通利便性の高さでは関西屈指。その割に家賃相場が割安なのも魅力のひとつといえる。

住みたい理由として「コストパフォーマンスが良い」「物価が安い」「電車やバスでさまざまな場所に行きやすい」「街に賑わいがある」など、交通利便性や物価といった実質的な側面が評価されている。

尼崎市全体では高齢化が進むものの再開発で美しく整備されたJR尼崎駅周辺を中心にマンションの供給が続き、周辺エリアからの流入も多い。
子ども向け施設として最近注目を集めているのが、2022年に「ボートレース尼崎」場内にオープンした関西初のキッズパーク「モーヴィあまがさき」。ボーネルンド社や行政が共同で子ども向けのイベントを開催しており、なかなか予約がとれないほどの人気だという。

市も子育て支援に力を入れており、子どものうちから健康に関心を持つよう11歳と14歳を対象に「尼っこ検診」を実施。定住・転入促進情報発信サイト「AMANISM(アマニスム)」やSNSを使った情報発信など、独自の取り組みで住みやすさをアピールしている。

2024年の「住みたい街ランキング」では、「梅田」が圧倒的に強かった。得点ジャンプアップランキングでも1位となり、人気の高まりは現在進行形だ。
また、「尼崎」や「本町」など、梅田から10分圏内の街も躍進が目立つ。

コロナ禍を抜け出した今、関西圏では都心の利便性と華やぎが一層求められるようになったと思える。
一方、「明石市」のように、市民目線の施策や地道な街づくりにより人口を増やしている自治体もある。
うめきたエリアの再開発などで都心部が今後さらに整備されていく中、人々が「住みたい」と思う街がどう変化していくか、注目していきたい。

●関連サイト
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福岡県・福岡市「住みたい街ランキング2023」駅1位は博多! 沿線は「西鉄天神大牟田線」に注目集まる

リクルートより「SUUMO住みたい街ランキング2023福岡県版/福岡市版(駅/自治体)」が発表された。福岡県在住の20歳〜49歳の男女1,600人にアンケート調査を行ったものだ。前回の2020年と比べてどんな変化があったのかも併せて紹介。約3年間での福岡の街の変化についても考察してみたい。

2023年「住みたい街(駅)」ランキングは、JR鹿児島本線「博多」が第1位!福岡県 住みたい街(駅)ランキング

福岡市の「博多」と北九州市の「小倉」がワンツートップ!
※今回の調査(2023年)では2020年調査と集計方法を変更しており、変更のあった対象駅。2023年は一定ルールのもと乗換可能な駅は駅名や路線が異なっても同一駅として得点を合算している

2023年の「住みたい街(駅)」ランキングでは「博多」駅が第1位を獲得した。九州の玄関口と言われる「博多」駅周辺は、福岡市による再開発プロジェクト「博多コネクティッド」によって、大きく変化している注目のエリアだ。

その一例が、以前はビジネス街が中心で落ち着いた印象であった「博多駅筑紫口」側の活況である。エリアのシンボルである「都ホテル博多」もプロジェクトのひとつとして2019年にリニューアル。最上階に天然温泉の屋外プールやスパ施設、2階には一般客も入りやすいレストランを有した“おしゃれなスポット”として認知されている。「博多」駅とも地下通路で直結され、今後ますます注目を集めそうだ。

博多駅筑紫口の「都ホテル博多」(写真/PIXTA)

博多駅筑紫口の「都ホテル博多」(写真/PIXTA)

ほかにも「博多」駅より延伸された屋根付きペデストリアンデッキで直結し、人気ベーカリーやおしゃれなイタリアンバルが入ったオフィスビル「博多深見パークビルディング(2021年2月完成)」、屋外広場やカフェバーを有し旧博多スターレーン跡地に誕生した「博多イーストテラス(2022年8月完成)」などが続々と誕生している。

福岡県の「穴場だと思う街(駅)」ランキングも「博多」が1位! 福岡県の総合ランキング24位「春日原」は10位に福岡県 穴場だと思う街(駅)ランキング

※今回の調査(2023年)では2020年調査と集計方法を変更しており、変更のあった対象駅。2023年は一定ルールのもと乗換可能な駅は駅名や路線が異なっても同一

駅として得点を合算している「交通利便性や生活利便性が高いのに家賃や物件価格が割安なイメージがある駅」という意味合いで、福岡県の「穴場だと思う街(駅)」を調査。その結果は「住みたい街(駅)」と同じく、「博多」駅が1位だった。

九州の玄関口である「博多」駅は福岡県のJR在来線・地下鉄が乗り入れ、福岡空港へも地下鉄で5~6分と、その利便性はいわずもがな。一方で駅から少し離れた徒歩圏内にはマンションやアパートが点在し、博多駅南や堅粕(かたかす)方面には家賃に値ごろ感のある物件も豊富。専門学校が多いので、学生が住める街であるのも「穴場の街」感をUPさせたポイントだ。

イルミネーションがきれいな博多駅(写真/PIXTA)

イルミネーションがきれいな博多駅(写真/PIXTA)

「住みたい街(駅)」では24位でありながら、「穴場の街(駅)」では10位と順位をあげてきたのは春日市の「春日原」駅。急行停車駅なので、西鉄天神大牟田線「福岡(天神)」駅からのアクセスは約9分。2024年には西鉄の高架化とそれにともなう駅周辺の再開発が完了。新しい街に生まれ変わる。

また、住宅価格の高騰が続く福岡市に比べて、家賃や住宅価格に値ごろ感があるのもうれしいところ。「春日原」駅から徒歩6分の「イオン大野城」には映画館もあるなど、施設面の充実もうれしいところだ。

「住みたい沿線」ランキング第1位は「JR鹿児島本線」、2位は「西鉄天神大牟田線」福岡県 住みたい沿線ランキング

「西鉄天神大牟田線」の人気の上昇にも注目

「住みたい沿線」ランキングでは、「JR鹿児島本線」と「西鉄天神大牟田線」が地下鉄各路線をおさえて、1位と2位に。特に近年住宅地として注目が集まるのは、福岡市の南部から南に延びる「西鉄天神大牟田線」で、なかでも沿線の「大橋」駅は「住みたい街(駅)」ランキングで2020年の9位から6位に順位を伸ばしたほどの人気ぶりである。

西鉄大牟田線「大橋」駅(写真/PIXTA)

西鉄大牟田線「大橋」駅(写真/PIXTA)

西鉄天神大牟田線の特急・急行が停車する「大橋」駅。「西鉄福岡(天神)駅」から5分程度と中心部へのアクセスの良さで人気があり、駅構内の「レイリア大橋」にはスーパーマーケットから、居酒屋、カフェ、ベーカリーなど飲食店、ファッション、生活雑貨、書店などの生活に欠かせない店舗がそろう。また、2022年にオープンした「ららぽーと福岡」へも「大橋」駅から直通バスが出ており10分程度でアクセスできることで、さらに人気が増したと思われる。

福岡県「住みたい自治体」ランキングでは「福岡市南区」「福岡市城南区」「北九州市小倉南区」の順位がアップ

福岡県 住みたい自治体ランキング

福岡県「住みたい自治体」ランキング1位は「福岡市博多区」。僅差で2位の「福岡市中央区」が続く形となった。

4位に順位をあげた「福岡市南区」は、注目の街(駅)の「大橋」駅が中心地のエリア。2023年4月、南区民の憩いの場所だった油山市民の森・油山牧場が、複合体験型アウトドア施設「ABURAYAMA FUKUOKA」にリニューアル。おしゃれなキャンプエリアも登場し、福岡市民からも注目される存在となった。「大橋」駅から「ABURAYAMA FUKUOKA」へは車で20分ほど。身近な場所に自然あふれる施設があるのも住環境としてこの上ないぜいたくだ。

「大橋」駅からも車で20分の「ABURAYAMA FUKUOKA」(写真/PIXTA)

「大橋」駅からも車で20分の「ABURAYAMA FUKUOKA」(写真/PIXTA)

8位に順位を上げた「福岡市城南区」は、地下鉄七隈線が博多駅まで延伸したことが大きい。天神方面・博多駅方面へのダブルアクセスがかない、交通の利便性がUP。福岡大学のお膝元「七隈」駅や落ち着いた住宅地である「梅林」駅周辺も注目が集まる存在となっている。

「小倉南区」はその郊外にカルスト台地が広がる平尾台があり、自然豊かなエリア。こちらも「ABURAYAMA FUKUOKA」同様に、身近なエリアで気軽にキャンプが楽しめるので、ファミリー層から認知や支持を集めているのかもしれない。

小倉南区の平尾台には美しいカルスト台地が広がる(写真/PIXTA)

小倉南区の平尾台には美しいカルスト台地が広がる(写真/PIXTA)

福岡市「住みたい街(駅)」ランキングは10位の「香椎」に注目。「住みたい自治体ランキング」1位は「福岡市中央区」福岡市民 住みたい街(駅)ランキング

※今回の調査(2023年)では2020年調査と集計方法を変更しており、変更のあった対象駅。2023年は一定ルールのもと乗換可能な駅は駅名や路線が異なっても同一駅として得点を合算している

福岡市民「住みたい街(駅)」ランキングで年々順位を上げているのは「香椎」駅だ。福岡市東区の中心地である「香椎」駅は、駅入口の朱色の大きな鳥居が象徴しているとおり、古くから親しまれ今も参拝者で賑わう「香椎宮」と共に発展した街。

福岡市東区民に愛される香椎宮(写真/PIXTA)

福岡市東区民に愛される香椎宮(写真/PIXTA)

駅周辺は、1999年から続いた大規模な再開発が完了しており、駅前ビル、道路、ロータリーが整備され、歩道は広く歩きやすくなった。また、「JR香椎」駅と「西鉄香椎」駅は徒歩2~3分と乗換可能な距離。隣駅の「千早」駅もJRと西鉄が乗り入れており、交通の利便性が非常に良い立地である。

福岡市民 住みたい自治体ランキング

さらに福岡市民「住みたい自治体ランキング」では「香椎」駅のある「福岡市東区」は第3位に浮上。福岡県「住みたい自治体」ランキング4位だった「福岡市南区」も同じく順位をあげ、福岡県民・市民の両方から「住みたい」と思われていることが分かった。

今後も、福岡市が中心とはなるが「天神ビックバン」「博多駅コネクティッド」「九州大学跡地の開発」など、さらなる開発が続いていく福岡県。これから人々の注目がどの街に集まり、どのように「住みたい街」が変化していくのか興味深く観察を続けていきたい。

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SUUMO住みたい街ランキング2023 福岡県版/福岡市版

北海道・札幌市「住みたい街ランキング」駅1位は札幌! 新球場開業で注目の北広島も上位にランクイン

リクルートは「SUUMO住みたい街ランキング 2023 北海道版/札幌版」を発表。3年ぶりに発表された今回の「住みたい街ランキング」ではどのような街がランクインしているのか。ランキングの結果と共に、ランクインした街の魅力を見ていこう。

「住みたい街(駅)」は北海道版、札幌版共に「札幌」が1位

今回取り上げる「住みたい街ランキング」は、北海道に居住している20歳~49歳を対象に、今後「住んでみたいと思う街(駅)」などを調査したもの。北海道民、札幌市民が「住んでみたい」と憧れる街のランキングだ。

北海道 住みたい街(駅)ランキング

※→2020年より特典を合算しはじめた/合算方法が変わった駅の集計結果

札幌市 住みたい街(駅)ランキング

※→2020年より特典を合算しはじめた/合算方法が変わった駅の集計結果
**→名称が同じ複数の駅を2020年より別の駅として集計した結果

前回2020年の調査結果に引き続き、2023年の「住みたい街(駅)ランキング」では、北海道版、札幌版共に北海道最大のターミナル駅「札幌」が1位に選ばれた。3位も北海道版、札幌版共に「大通」がランクインしているが、札幌や大通といえば、言わずと知れた札幌都心。都心ならではの高い交通利便性、生活利便性はもとより、大通公園などが身近で、暮らしの中に緑も感じられるという住環境も“住む街”として魅力的なポイントだ。

それに加え、札幌から大通、すすきのといった都心部では2030年度末の北海道新幹線延伸開業に向け、再開発やビルの建て替えなど複数のプロジェクトが進行中で、狸小路に今年7月にオープンした「moyuk SAPPORO」に続き、今秋にはすすきのに「COCONO SUSUKINO」も開業予定だ。

札幌都心部では再開発やビルの建て替えなど複数のプロジェクトが進行中(画像/PIXTA)

札幌都心部では再開発やビルの建て替えなど複数のプロジェクトが進行中(画像/PIXTA)

札幌駅周辺も、北口では「さつきた8・1」が2024年春のグランドオープンを控え、南口ではエスタ跡地に超高層複合ビルが2028年度竣工を予定している。札幌都心部はもともと「住みたい街」として圧倒的な人気を誇るエリアだが、今後の街の進化は、訪れる人だけでなく住む人からも期待や注目を集めている。

北海道全体のランキングでは「新札幌」「桑園」「北広島」がランクアップ

そのほかのトップ10に選ばれた街を見てみると、「北海道 住みたい街(駅)ランキング」では、札幌市内の街だけでなく、過去のランキングでも上位に選ばれていた2位の「函館」、6位の「旭川」、10位の「五稜郭」など、道内外から広く人が訪れる知名度の高い街が安定のランクイン。札幌市内についても、成熟した住宅地として人気の「円山公園」が5位に選ばれた。

一方で、前回のランキングでは5位の「新札幌」が4位に、9位の「桑園」が7位にランクアップし、圏外だった「北広島」は今回8位と、トップ10入りを果たしている。

今回4位の「新札幌」は2018年からスタートした再開発で、大学や専門学校、医療施設やホテル、タワーマンションなどが誕生。2023年11月には商業施設「BiVi」が開業予定で、ついに新しい街「マールク新さっぽろ」がまちびらきを迎える。大規模な再開発で街の魅力も注目度もアップした。

7位の「桑園」は札幌駅の1駅隣の駅で、終電後もタクシーや自転車などで帰宅しやすい都心との距離感。札幌競馬場の最寄駅で北海道大学も近いため、にぎわいのある駅ではあるが、街自体は比較的閑静な住宅街の雰囲気だ。

桑園駅(画像/PIXTA)

桑園駅(画像/PIXTA)

駅のそばにはイオンやホーマックなどがあり、日常の買い物をしやすい住環境。駅から徒歩圏の札幌市中央卸売市場場外市場では新鮮な食材が手に入るのもうれしい。さらに、駅近くに市立札幌病院がある点も、暮らす街として安心感につながるポイントだ。

最近では駅周辺におしゃれな雑貨店や飲食店、スイーツ店などが増えてきているという街の変化も、住みたい街としてランクアップした理由の一つとして挙げられるだろう。

そして今回8位にランクインした「北広島」はもともとベッドタウンとして発展してきた街だが、2023年3月に「北海道ボールパークFビレッジ」が開業し一気に注目度が高まった。「北海道ボールパークFビレッジ」には北海道日本ハムファイターズの新たな本拠地となる新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」をはじめ、宿泊施設やショッピング・飲食施設などが集結。施設開業による注目度アップに伴い、公示地価や基準地価でも変動率トップとなり話題になっている。今後北広島駅前では再開発も予定されており、引き続き、街の盛り上がりから目が離せない。

新球場の「エスコンフィールドHOKKAIDO」。野球ファンだけでなく、多くの人が集まる憩いの場となっている(画像/PIXTA)

新球場の「エスコンフィールドHOKKAIDO」。野球ファンだけでなく、多くの人が集まる憩いの場となっている(画像/PIXTA)

札幌市のランキングでは「北24条」が2018年以降で最高位の8位に。「平岸」もトップ10入り

「札幌市 住みたい街(駅)ランキング」は、全体的に前回のランキングの顔ぶれから大きな変化はないが、「北24条」は2018年以降で最高位の8位にランクアップ。前回12位だった「平岸」は10位という結果となった。

8位の地下鉄南北線「北24条」駅にはバスターミナルが併設されており、札幌都心部だけでなく、空港などへのアクセスも便利。駅周辺には飲食店が充実しており、にぎやかな繁華街の一面を持つ一方、周辺には落ち着いた住宅地が広がる。札幌市北区役所や区民センターをはじめ、官公署や公共機関も集中しており、日常に必要なものが身近に整う暮らしやすさは魅力的だ。

そして、10位にランクインした同じ地下鉄南北線の「平岸」駅も札幌や大通まで地下鉄で直通。駅近くの総合病院「KKR札幌医療センター」は救急などいざという時に心強い存在だ。豊平川も身近で、周辺には大小の公園が点在しており、子育てファミリーにも人気が高い。

ちなみに、「北24条」駅が位置する「札幌市北区」は、実は「住みたい自治体ランキング」で、北海道版、札幌市版共に2位にランクイン。圧倒的1位は「住みたい街(駅)ランキング」上位の「札幌」「円山公園」「大通」などが位置する「札幌市中央区」だが、「平岸」駅がある「札幌市豊平区」も北海道版のランキングでは3位、札幌市版では4位と上位に選ばれている。

北海道 住みたい自治体ランキング

札幌市 住みたい自治体ランキング

住みたい沿線ランキングでは天候の影響を受けにくい地下鉄が人気

ここまでは住みたい街(駅)や自治体のランキングを見てきたが、「住みたい沿線」のランキングに目を移してみよう。

北海道 住みたい沿線ランキング

「住みたい沿線ランキング」では1位「地下鉄東西線」、2位「地下鉄南北線」と、雨や雪など天候の影響を受けにくい地下鉄が上位に選ばれた。

札幌市内を走る地下鉄は東西線、南北線、東豊線の3路線あるが、1位の「地下鉄東西線」は西区に位置する宮の沢駅から厚別区の新さっぽろ駅までを結ぶ路線だ。東西線沿線の街というと、憧れの住宅街として知名度の高い「円山公園」や西区の中心的な街である「琴似」などがあり、「北海道 住みたい街(駅)ランキング」の上位にもランクインしている。

そして2位の「地下鉄南北線」は北区の麻生駅から南区の真駒内駅を結んでおり、さっぽろ、大通、すすきのといった都心の主要駅をすべて通る路線。沿線の街では、「大通」に加え、始発駅の「麻生」や、前述した「北24条」、「平岸」などが「札幌市 住みたい街(駅)ランキング」トップ10に選ばれている。

なお、もう1本の地下鉄路線、地下鉄東豊線をおさえ上位にランクインしたのは「JR函館本線」と「JR千歳線」だ。どちらのJR線も札幌駅を通り、3位の「JR函館本線」は今回住みたい街ランキングで上位に入る「函館」や「旭川」、「五稜郭」なども結ぶ路線。4位の「JR千歳線」は新千歳空港駅へのスムーズなアクセスが魅力だ。

「JR函館本線」「JR千歳線」沿線の駅が、穴場だと思う街(駅)ランキングの上位を独占

「JR函館本線」と「JR千歳線」については、住みたい街ランキングと同時に集計した「北海道 穴場だと思う街(駅)ランキング」のトップ5を独占するという結果になっているのも興味深い。

北海道 穴場だと思う街(駅)ランキング

この「穴場だと思う街(駅)ランキング」は交通利便性や生活利便性が高いのに、家賃や物件価格が割安なイメージがある駅を調査したもの。

上位5位はすべてJR函館本線、JR千歳線沿線の駅で、1位の「札幌」、2位の「新札幌」、3位の「北広島」、4位の「桑園」は前述した通り、どの街も「住みたい街ランキング」で上位にランクインし、再開発や、新施設・新店舗の誕生などで注目を集める街ばかりだ。

そんな中、「住みたい街ランキング」では23位の「手稲」が「穴場だと思う街(駅)ランキング」では4位に選ばれているが、「手稲」は札幌市手稲区に位置する街。札幌駅まで直通で、快速エアポートも停車し、都心部や空港へのアクセスがスムーズだ。また、手稲山に近く大自然を身近に感じられる住環境で、隣接する小樽市に足を延ばせば、海のレジャーも気軽に楽しむことができる。さらに、札幌市内という立地ながら、比較的家賃相場も抑えられており、交通利便性の高さや恵まれた住環境を考えると、まさに穴場の街と感じる人も多いだろう。

札幌市手稲区の前田森林公園(画像/PIXTA)

札幌市手稲区の前田森林公園(画像/PIXTA)

今回紹介したどのランキングも、「札幌」の圧倒的な人気の高さをあらためて思い知らされる結果となっていたが、そのほかにも、「円山公園」や「函館」など、知名度やブランド力のある街が安定的に高く支持されているという点も目を引いた。

そして同時に、今回のランキングからは「北広島」「新札幌」「平岸」など、再開発で進化する街への期待値の高さも伺えた。年月をかけて確立された街の個性が人を惹きつけるということもあるが、街の変化、変容というものも、この街で暮らしてみたいと思わせる重要なファクターになっているようだ。

今後は人気の札幌都心部で再開発が加速していくが、都心部の進化と共に、北海道民、札幌市民の「住みたい街」がどのように変化していくのか、引き続き注目していきたい。

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SUUMO住みたい街ランキング2023 北海道版/札幌市版

広島県・広島市「住みたい街ランキング2023」駅1位は再開発進む広島駅! 尾道、天神川、五日市がランクアップの背景は?

「住みたい街ランキング」広島県版/広島市版が3年ぶりに発表された。広島駅周辺の再開発や広島市中区のサッカースタジアムの建設など、大きな開発案件が進行中の広島。ここ数年内の完成を控えた開発が多く、工事が着々と進むなか、住民の期待値も増している。そんな中での調査で、広島に暮らす人が「住みたい街」として挙げたのはどんな街なのか、調査の詳細をチェックしてみよう。

「住みたい街(駅)ランキング」、新駅ビルが2025年春に完成予定の広島駅が1位に! 

広島県 住みたい街(駅)ランキング

「住みたい街(駅)ランキング」で、2位以下に大差をつけて1位になったのは広島駅。現在、駅ビル及び駅前広場の工事が行われており、2025年には新駅ビルがお目見え予定だ。2階部分に広島電鉄の路面電車が高架で乗り入れる計画で、それに伴って駅前大橋を直進する新たな鉄道路線も整備中。完成後には駅前の風景は大きく様変わりしそうだ。

工事が進む広島駅南口の様子。奥がホテル棟で、手前の低い建屋の横に、路面電車が乗り入れる部分がつくられる。2023年3月撮影(画像/PIXTA)

工事が進む広島駅南口の様子。奥がホテル棟で、手前の低い建屋の横に、路面電車が乗り入れる部分がつくられる。2023年3月撮影(画像/PIXTA)

建て替え後の広島駅新駅ビルと南口広場、路面電車「駅前大橋線」のイメージ(画像/JR西日本) ※完成予想図(パース)は計画時・完成前イメージのため、実際とは異なる場合がある

建て替え後の広島駅新駅ビルと南口広場、路面電車「駅前大橋線」のイメージ(画像/JR西日本) ※完成予想図(パース)は計画時・完成前イメージのため、実際とは異なる場合がある

広島駅はJRの山陽新幹線と山陽本線、可部線、芸備線、さらには広島電鉄の各路線が乗り入れるターミナル。広島空港方面へのリムジンバスを始め、各方面への高速バスや路線バスの起点でもあり、駅の北側には、山陽自動車道に接続する広島高速5号線の整備も進む。まさに広島の陸の玄関口だ。

さらに、駅前の「エールエールA館」には中央図書館の移転計画があり、駅東側のフタバ図書跡地にはアパホテルによる高層ホテル、駅の北側では住友不動産ほかによるマンションや商業施設などの複合施設の計画も発表されている。新駅ビルにはホテルやシネコン、商業施設や駐車場なども予定されており、広島駅周辺の暮らしはますます充実したものになりそうだ。

広島駅は広島東洋カープの本拠地、Mazda Zoom-Zoomスタジアムの最寄駅でもある(画像/PIXTA)

広島駅は広島東洋カープの本拠地、Mazda Zoom-Zoomスタジアムの最寄り駅でもある(画像/PIXTA)

天神川や五日市など、商業施設が充実した街がランクアップ

2位は広島県第2の都市である福山の中心駅・福山駅、3位は複数の鉄道路線やバスターミナルを要する横川駅で、広島駅同様、前回ランキングからの変化はない。4位以下を見てみても、顔ぶれには大きな変化はないが、そんな中でも、「天神川」は5位から4位、「尾道」は7位から6位、「五日市」は10位から8位に順位を上げている。

4位の天神川駅は広島駅の隣駅で、自治体サービスや子育て施設の充実などでも注目度の高い、安芸郡府中町の入口となる駅。街の中心部には路面店の商業施設も多いほか、駅から歩いて行ける場所に、広島県内最大級の規模となるイオンモール広島府中があるのも人気の理由のひとつだろう。

6位の尾道は広島の人気観光地のひとつで、尾道水道を見下ろす傾斜地に広がる坂の街。移住者の受け入れにも力を入れており、県内外からの移住者が、古い建物をリノベーションして新たな店を開くケースも多い。近年はしまなみ海道を目指すサイクリストの拠点としても有名で、サイクリスト向けのホテルを備えた商業施設も人気を集めている。「住んでみたい」という気持ちを刺激する、個性のある街だ。

尾道水道に面した倉庫を改装してつくられた商業施設「ONOMICHI U2」(画像/PhotoAC)

尾道水道に面した倉庫を改装してつくられた商業施設「ONOMICHI U2」(画像/PhotoAC)

8位の五日市駅は広島市佐伯区の中心駅で、広島駅までは山陽本線で15分。広島造幣局前のコイン通りや国道2号線沿いなど、エリア内にはスーパーや飲食店など商業施設が充実し、石内地区のアウトレットモールや、西区のアルパーク、LECTといった大型ショッピングモールも利用圏。八幡川沿いの豊かな自然も身近にあり、利便性と環境のよさが共存する、暮らしやすい街だ。

広島造幣局では毎年「花のまわりみち」で、八重桜を中心とした敷地内の桜を公開している(画像/PIXTA)

広島造幣局では毎年「花のまわりみち」で、八重桜を中心とした敷地内の桜を公開している(画像/PIXTA)

このほか、20位までにランクインしている新井口や廿日市、下祗園、緑井なども、大規模な商業施設が存在するエリア。日々の買い物のしやすさがイメージできることが、住みたいと感じるベースのひとつになっているようだ。

「住みたい自治体ランキング」では、再開発が加速する「広島市中区」が1位に

広島県 住みたい自治体ランキング

「住みたい自治体」のランキングを見てみると、広島市中区がダントツの1位に。そのほか、ランキング上位の自治体の顔ぶれは、前回調査から大きな変化は見られない。

広島市中区は、行政機関や商業施設が集中する、広島の最中心部となるエリアだ。なかでも、紙屋町・八丁堀エリアは国が定める「都市再生緊急整備地域」に指定され、戦後以来の老朽化したビルの建て替えや、周辺の再開発が加速している。

基町の市営駐車場周辺では、広島商工会議所の移転に伴い、地上31階となる複合ビルが計画されている。広島YMCA周辺でもビル3棟の再開発、本通り商店街の入口付近でも、商店街を挟んで南北に2棟のビルを建てる計画が上がるなど、ビル開発の話題は尽きない。

広島サンモール周辺や、天満屋八丁堀ビルや広島三越を含むエリアの再開発、この夏に閉館するそごう広島店新館のその跡等、歴史ある商業施設にも再開発の動きがあり、市内中心部はこの後も大きく姿を変えていくことになりそうだ。

新サッカースタジアムが2024年開業! 街なかでの過ごし方に変化も

さらに、今広島の人の大きな関心の的となっているのは、中区基町エリアで工事が進む、新しいサッカースタジアムだろう。広島東洋カープが新スタジアムの建設後に大きく人気を伸ばした実績もあり、ワールドカップで熱を帯びたサッカー人気を加速し、サンフレッチェ広島の盛り上がりに期待する声は大きい。

スタジアムと併せて、隣接の広場エリアの整備や、旧太田川沿いの水辺活用なども計画されており、試合のある日だけでなく、普段から市民が気軽に利用できるスポットとして、注目が高まっている。

中央公園に計画されている新サッカースタジアムと広場エリア(画像/広島市)※完成予想図(パース)は計画時・完成前イメージのため、実際とは異なる場合がある

中央公園に計画されている新サッカースタジアムと広場エリア(画像/広島市)※完成予想図(パース)は計画時・完成前イメージのため、実際とは異なる場合がある

また、一足先に2023年3月には、旧広島市民球場跡地に、イベント広場を中心とする「ひろしまゲートパーク」がオープン。旧広島市民球場の記憶を継承しつつ、オープンエアでも楽しめるカフェや飲食店、ストリートスポーツを楽しめるエリアや、築山などで遊べるこどもひろば等も整備され、イベントのない日でも、気軽に出かけて気軽に遊ぶ、新しい外遊びのスタイルが定着しつつある。

さらに、広島城の三の丸エリアにも新たな商業施設の計画があり、これらの施設はペデストリアンデッキで繋がっていく。広島市中区に広がる、この中央公園周辺エリアが、広島の街なかの過ごし方に大きな影響を与えることは間違いなさそうだ。

変わりゆく街なかのの風景の中で、古い街並みの残るエリアに“穴場”イメージ

広島県 穴場だと思う街(駅)ランキング

ランキングでは、交通利便性や生活利便性が高いのに家賃や物件価格が割安なイメージがある駅についても調査している。結果、1位となったのは横川駅。総合順位でも3位にランクインしている、交通アクセスのよい街だ。

利便性の良さの一方で、横川駅周辺には歴史ある商店街が今も存在しており、人情味のあるコミュニティが息づく。ハロウィンに行われる「ゾンビナイト」や、梯子酒イベント、川沿いのマルシェのように、商店街などが中心となって行われるイベントもあり、独自の文化が根付く街でもある。

駅の北側や、広瀬北町、中広町といった周辺エリアには、中心部に近い割にまだまだ古い建物も多く残る。まとまった土地の少ない広島の中心部にあって、宅地やマンション化などに余力を残しているイメージがあることも、“穴場”と考えられるポイントかもしれない。

同様に5位の海田市も、山陽本線または呉線の2路線利用ができ、広島から約9分の交通アクセスのよい駅。瀬野川沿いの美しい自然や、「かいた七夕さん」など街独自のお祭りもあり、西国街道沿いの古い街並みも面影を残している。隣接する安芸郡府中町で宅地などの流通が少なくなっているなか、暮らしやすく、宅地・住宅開発にポテンシャルを感じる街として、認知されているようだ。

2024年以降、続々と大きな開発案件が完成を迎える広島。交通利便性の向上や、買い物する楽しさ、外遊びの新たな可能性など、広島の街暮らしはより一層充実したものになりそうだ。一方で、大型ショッピングモールのある街など、日々の買い物のしやすさも「住みたい街」のポイント。宅地やマンション、一戸建てなどを検討する際は、開発の中心地から少しだけ離れたエリアまで範囲を広げることで、買い物の利便性を確保し、開発の恩恵を受けられる選択肢を増やして、住まい探しができるかもしれない。

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SUUMO住みたい街ランキング2023 広島県版/広島市版

宮城県・仙台市「住みたい街ランキング2023」、上位キーワードは「アクセス・子育て・将来性」

2023年、リクルートが3年ぶりに「住みたい街ランキング」の宮城県版/仙台市版を発表。アンケートは、宮城県に居住している20代~40代の男女1,000人を対象に実施したもの。ランキングと併せて評価された理由、背景などを、杜の都に生まれ育ち、宮城をこよなく愛する筆者と共に見ていこう。

2023年「住みたい街(駅)」も、1位は仙台、2位は長町

まずは「SUUMO住みたい街ランキング2023 宮城県版/仙台市版」の結果のうち、「住みたい街(駅)」を、宮城県全体、仙台市全体の両面から紹介する。

宮城県 住みたい街(駅)ランキング

仙台市 住みたい街(駅)ランキング

宮城県版・仙台市版ともに「住みたい街(駅)」の1位は「仙台」。「働く、遊ぶ、学ぶ、住む、憩う、潤う」が融合した都市機能と自然のバランスの良さが「住みたい」につながっている。2020年のランキングも、宮城県版・仙台市版ともに1位は東北の顔となる「仙台」で、2位は仙台南の副都心「長町」で不動の人気だ。

東北の玄関口 JR仙台駅(写真/PIXTA)

東北の玄関口 JR仙台駅(写真/PIXTA)

上昇がめざましいのは、宮城県版、仙台市版共に順位を上げた「北仙台」。同駅から仙台市地下鉄南北線でひと駅隣の「北四番丁」も、安定した人気だ。「北仙台」「北四番丁」については、以降で解説する。

宮城県版で2020年に17位から9位にランクアップした「古川」は、JR仙台駅から東北新幹線でひと駅、所要時間12~13分、高速バスも利用でき通勤圏だ。

仙台市版で9位の「五橋」は2018年以降最高位となった。2023年4月に、仙台市地下鉄南北線「五橋」駅から徒歩1分に東北学院大学五橋キャンパスが開校。その影響で周辺の商店街、賃貸物件のマンション、アパートの動きも活況を呈し、地価も上昇傾向にある。

また宮城県版で、前回ランク外から大きく飛躍したのが11位の「小鶴新田」、12位の「多賀城」、14位の「宮城野原」で、いずれもJR仙石線沿線の駅だ。

沿線別の「住みたいランキング」は以下の通り。

宮城県 住みたい沿線ランキング

沿線別は、1位は「仙台市地下鉄南北線」、2位は「仙台市地下鉄東西線」と仙台市地下鉄がツートップ。仙台市地下鉄は仙台市民の通勤・通学・外出の大事な足になっている。

2015年に開業した仙台市地下鉄東西線の東の起点、荒井駅(写真/PIXTA)

2015年に開業した仙台市地下鉄東西線の東の起点、荒井駅(写真/PIXTA)

駅から徒歩10分以内の「駅近」物件は購入・賃貸ともに人気を集めているが、仙台市地下鉄駅は特に人気だ。

仙台市に次ぐ「住みたい自治体」は仙台市のベッドタウン、名取市・富谷市

宮城県 住みたい自治体ランキング

仙台市 住みたい自治体ランキング

宮城県・仙台市別のランキングだが、1位~7位まで順位は同じ。仙台市の5区「仙台市青葉区」「仙台市宮城野区」「仙台市太白区」「仙台市泉区」「仙台市若林区」が上位5位を占める。

続くのが、仙台市に隣接するベッドタウン、名取市、富谷市。名取市は、東北最大の国際空港のある街で、海、川、山が近く広い公園もあり、街並みが整然として美しい。イオンモール名取にある子育て支援拠点「cocoI’ll(ここいる)」をはじめ、子育て・子どもを支援する施設やイベントが充実しているほか、春まつり、夏まつり、秋まつりと名取3大祭りを開催するなどイベントが多い。

富谷市は、2023年度から公立の小・中学校の学校給食を完全無償化。2023年6月に江戸時代に宿場町の物流を支えた荷宿を活用したビジネス交流ベース「荷宿-NIYADO」がオープン。公園のような雰囲気の富谷市営墓地とパークゴルフ場が隣接する「(仮称)やすらぎパークとみや」が大亀山森林公園近くに2024年度にオープン予定。さらに、市民の声を取り入れ、図書館をはじめ、スイーツステーション、児童屋内遊戯施設、公民館といったさまざまな機能を集約した「富谷市民図書館等複合施設」が2027年度中開館予定と、子どもからシニア世代まであらゆる世代が生きがいをもって暮らせるまちづくりを目指し、さまざまな計画が進行している。

2020年にランク外から10位にランクインした宮城郡利府町も注目だ。詳細は後述する。

「住みたい」あこがれ誘う都心近接の「北仙台」「北四番丁」

前述のとおり、「住みたい街・駅」のランキングで上昇がめざましかったのが「北仙台」だ。宮城県版で2020年の9位から5位に、仙台市版では7位から3位と2018年以降最高位にジャンプアップ。「北仙台」はJR「仙台」駅から約5分と都心に近く、JR、仙台地下鉄、バスの3つの公共交通機関が利用でき交通の利便性が高い。駅前には24時間営業のスーパーもあり、日常生活施設が整い、住宅地としても古くから人気が高い。交通・生活利便性が高いのに家賃や物件価格が割安なイメージがある「宮城県 穴場だと思う街(駅)ランキング」の3位にもランクインしている。

宮城県 穴場だと思う街(駅)ランキング

JR北仙台駅(写真/PIXTA)

JR北仙台駅(写真/PIXTA)

付近には1960年代から存在した横丁「仙台浅草」のような懐かしい商店街や数百年の時を超えて街を見守る古刹、北山五山が残る一方、こだわりの生活雑貨や生鮮食品などを揃えたセレクトショップ「眞野屋」、パン屋、カフェなど洗練された店が点在。クリニックや金融機関なども充実している。

禅寺、北山五山のひとつで紫陽花の名所。資福寺(写真/PIXTA)

禅寺、北山五山のひとつで紫陽花の名所。資福寺(写真/PIXTA)

伊達政宗公を祀る青葉神社。5月の青葉まつりのメイン会場となる(写真/PIXTA)

伊達政宗公を祀る青葉神社。5月の青葉まつりのメイン会場となる(写真/PIXTA)

同駅から仙台市地下鉄南北線でひと駅隣の「北四番丁」も、宮城県版では12位から10位にランクアップ、仙台市版では変わらず8位で安定した人気だ。「北仙台」と同じく、「北四番丁」は、いずれも仙台市役所、宮城県庁、青葉区役所が集まる官公庁エリア、東北随一のショッピングゾーン・一番町四丁目買物公園、JR仙台駅への距離が近く、地下鉄やバスはもちろん、道が平坦で歩道が整備されているため、自転車利用もスムーズだ。

地下鉄北四番丁駅(写真/PIXTA)

地下鉄北四番丁駅(写真/PIXTA)

特徴的なのは、昔ながらのお屋敷町で、文教エリアとして教育熱心なファミリーに支持されている上杉地区に隣接。イチョウ並木の新緑、紅葉が美しい愛宕上杉通、四季折々の自然やイベントが楽しめる勾当台公園や定禅寺通り、仙台三越へは、散歩がてら歩いて行ける距離。さらに、東北大学農学部雨宮キャンパス跡地には、医療・福祉施設地区に仙台厚生病院が移転、2024年開院予定、商業施設地区には大型商業施設が建設予定、マンションが建設中で、今後の発展が期待される。

宮城県庁と官公庁エリアの憩いの場、勾当台公園(写真/PIXTA)

宮城県庁と官公庁エリアの憩いの場、勾当台公園(写真/PIXTA)

仙台都心からは離れるが、「小鶴新田」駅は、「住みたい街(駅)」ランキングで順位が飛躍。宮城県版では、2020年のランク外から11位、仙台市版では27位から15位に上がった。JR仙石線に2004年に開業して以来、住宅地が広がり、新築マンションが増えて、住宅地として人気が定着。駅周辺には大型スーパーマーケットなど日常生活施設が充実し、住宅地の中心には子どもが走り回れる広い「新田東中央公園」もある。近隣の「仙台市新田東総合運動場 元気フィールド仙台」には、仙台市民球場、宮城野体育館、温水プール、ボルダリング施設、アーチェリー場などさまざまな運動施設があり、気軽に利用できるスポーツプログラムが開催されている。

元気フィールド内 仙台市民球場(写真/PIXTA)

元気フィールド内 仙台市民球場(写真/PIXTA)

「住みたい街(駅)」でランク上昇の「利府町」は子育て支援が充実

「SUUMO 住みたい自治体ランキング2023」で、2020年にランク外から10位にランクイン、過去最高順位を得た宮城郡利府町は、仙台市の北東部に立地。JR利府駅からJR仙台駅までは、東北本線で20分弱とアクセスしやすい。

JR利府駅(写真/PIXTA)

JR利府駅(写真/PIXTA)

2棟に分かれた東北最大級の「イオンモール新利府」をはじめ商業施設が充実。波が穏やかで表松島と呼ばれる海に面し、陸から海に突き出た天然の桟橋「馬の背」など、ビュースポットが点在。

利府町の赤沼、櫃ヶ沢の馬の背(写真/PIXTA)

利府町の赤沼、櫃ヶ沢の馬の背(写真/PIXTA)

大きな特徴は、子育て支援にも力を入れていること。0歳から18歳年度末までの子ども医療費を所得制限なしで全額助成(保険診療分の自己負担額)、子育てに必要なベビーベッド、ベビーバス、ベビーシートの無料貸し出し、赤ちゃん絵本セットの配布、小・中学校の新1年生全員に学校で使う運動着の無料支給、小学校6年生・中学校3年生の学校給食費無料化など、独自の子育て事業を実施していることも支持されている。

オフにファミリーで出掛けられる大型公共施設も充実。図書館や多目的ホールを要する利府町文化センター(リフノス)や、東京五輪のサッカー公式開場にもなった宮城スタジアム(キューアンドエースタジアムみやぎ)、アーティストのライブなどの大型イベントが行われる「セキスイハイムスーパーアリーナ(宮城県総合運動公園総合体育館)」などを有する「グランディ・21(宮城総合運動公園)」などがあり、アクティブな日常を過ごせる。

キューアンドエースタジアムみやぎ(写真/PIXTA)

キューアンドエースタジアムみやぎ(写真/PIXTA)

「SUUMO住みたい街ランキング2023 宮城県版/仙台市版」の結果を見ると、2020年と変わらず、仙台市地下鉄、JR東北本線、JR仙石線沿線の駅、アクセスの良い都心が上位にランクインしているのが分かる。また、子育て支援が充実している街、再開発計画があり、これからの将来性が期待できる街は住みたいというあこがれ、ニーズが高く、今後も目が離せない。

●関連ページ
SUUMO住みたい街ランキング2023 宮城県版/仙台市民版

愛知「住みたい街ランキング2023年版」不動の1位は名古屋! NHK大河ドラマ『どうする家康』影響で三河エリアに熱視線

2023年、リクルートが3年ぶりに「住みたい街ランキング」の愛知県版を発表。再開発や再整備が盛んで、注目の施設の開業など、都市部を中心に変化が著しい愛知。今年はNHK大河ドラマ「どうする家康」の影響もあり、三河エリアへも熱い視線が注がれている。愛知ではどんな街が上位なのか? 人気の理由も探りながら、愛知県春日井市生まれ、名古屋に住み続けて19年目の筆者と共に見ていこう。

2023年「住みたい街(駅)」1位は、暮らしやすい街へ進化中の「名古屋」

愛知県 住みたい街(駅)ランキング

今回の「住みたい街」(自治体・駅)ランキングは、愛知県内の街(自治体・駅)について、愛知県在住の20~49歳の男女2000人に「住みたい街」についてアンケートを実施した結果をランキングしたもの。
県内居住者から見て、住んでみたいと思われている憧れの街がランクインしていると言える。

「住みたい街」(駅)の1位から3位までは、前回2020年に実施した時と同じ結果に。不動の1位は、2018年のランキングから変わらず「名古屋」!

「名古屋」の高い人気は、2027年のリニア開業を見据え、再開発が進んでいることが挙げられる。また近年、名古屋駅前の再整備計画が発表されており、今後は駅東西に広場を整備予定だ。駅西側駅前広場にはイベントなども行われるスペースをつくる再整備計画があり、期待が高まる。

中央コンコースから地下街で「大名古屋ビルヂング」や「ミッドランドスクエア」に繋がる駅東側は、地上ロータリー交差点の改良や、歩行者空間の整備などが予定されている。ロータリーのランドマークになっていたモニュメント「飛翔」は昨年撤去され、広場開設に向けて整備が進行中だ。

ロータリーのモニュメント「飛翔」は昨年撤去され、現在は広場開設に向けて整備が進んでいる(写真/PIXTA)

ロータリーのモニュメント「飛翔」は昨年撤去され、現在は広場開設に向けて整備が進んでいる(写真/PIXTA)

数年前までは商業的な街という印象が強かった「名古屋」だが、近年変化が著しい。2021年には、名鉄百貨店メンズ館地下1階に、高級スーパー「紀ノ国屋」が中部地区初出店し話題に。また同年、駅徒歩約12分のノリタケ工場跡地に、商業施設と住宅、オフィスからなる複合施設「イオンモールNagoya Noritake Garden」が開業して、食品や日用品の買い物の場が充実した。この「イオンモールNagoya Noritake Garden」は、緑豊かな「ノリタケの森」の敷地内に立ち、1階から2階に繋がる大型書店「TSUTAYA BOOKSTORE」と、3階にある「コニカミノルタ プラネタリウム満天NAOGOYA」が話題に。子連れファミリーが訪れやすい街へと進化している。

3位には、名古屋市外から東三河の中心都市「豊橋」がランクイン

それでは、2位以下のランキング上位の街についても見ていこう。

2位「金山」は「名古屋」の隣の街で、交通利便性の良さに高い支持が集まる。金山駅は、JR2路線と名鉄線、地下鉄2路線が乗り入れる総合駅だ。名鉄線は刈谷市や三河方面へも運行し、豊田や岡崎方面にも通勤がしやすいほか、中部国際空港との直行便「ミュースカイ」も発着する。駅前の商業施設「アスナル金山」は2020年にリニューアルし、市内の人気ベーカリーや回転寿司店などが登場。また、駅直結の「ミュープラット金山」にはカフェや雑貨店が入るほか、駅の北側には地下1階、地上3階建の「イオン金山店」があり、食料品や日用品も手に入れやすく便利だ。

金山駅周辺(写真/PIXTA)

金山駅周辺(写真/PIXTA)

名古屋市外からランクインした3位「豊橋」は、愛知県の南東部に位置する東三河の中心都市で、東海道新幹線が停車する。市内の移動には路面電車が活躍していて、夏の「納涼ビール電車」と、名産のちくわも楽しめる冬の「おでんしゃ」は人気企画だ。2021年、駅前に食・健康・学びをテーマにした複合施設「em CAMPUS(エムキャンパス)」が開業。食材マーケットや飲食店、住居、行政窓口を備えるほか、2・3階にはカフェを併設した「豊橋市まちなか図書館」があり、住民の憩いの場となっている。また、市内には「のんほいパーク」の愛称で知られる豊橋総合動植物公園をはじめ、緑豊かな公園が点在。遠州灘に面した伊古部海岸はサーフィンスポットで、アカウミガメの産卵場所でもある。自然に恵まれ、レジャーや山海の幸を気軽に楽しめるという魅力がある。ちなみに「豊橋」は、「穴場だと思う街(駅)ランキング」では1位に選ばれている。

「のんほいパーク」こと豊橋総合動植物公園(写真/PIXTA)

「のんほいパーク」こと豊橋総合動植物公園(写真/PIXTA)

市内では、都会的な雰囲気と利便性を持ち合わせた東山線沿線の街が人気

4~6位の「栄」「覚王山」「星ヶ丘」は、全て地下鉄東山線沿線の街。東山線は、名古屋市で最初に開業した地下鉄路線であり、市内を東西に横断する。「名古屋」にも直通なので人気が高く、「住みたい沿線ランキング」でも2位にランクインしている。

愛知県 住みたい沿線ランキング

4位「栄」は、「住みたい自治体ランキング」1位の名古屋市中区に位置。2020年、栄~久屋大通駅間に公園と商業施設が一体化した「RAYARD Hisaya-odori Park(レイヤード ヒサヤオオドオリ パーク)」がオープンして、一帯がリニューアル。久屋大通公園沿いに、およそ40軒のグルメやファッションの店舗が集まる。エリア内に5つある「ヒロバ」では度々イベントが行われ、トレンドを発信している。

「RAYARD Hisaya-odori Park(レイヤード ヒサヤオオドオリ パーク)」(写真/PIXTA)

「RAYARD Hisaya-odori Park(レイヤード ヒサヤオオドオリ パーク)」(写真/PIXTA)

同時に地下街の「セントラルパーク」も改装され、スーパーなどが集まる食物販ゾーンが誕生。休日にテイクアウトグルメを楽しんだり、平日の仕事帰りに食材などの買い物を済ませたりと、暮らす街としても選択肢が広がった。2022年には、マルエイ跡地に食に関する商業施設「マルエイガレリア」が開業し、関西発のスーパー「パントリー」や、市内最大級の無印良品が開業して話題に。今後も「中日ビル」の建て替えや「(仮称)錦三丁目25番街区計画」といった大規模複合施設建設の計画が控え、ますますにぎわいそうだ。

「マルエイガレリア」(写真/PIXTA)

「マルエイガレリア」(写真/PIXTA)

5位「覚王山」と6位「星ヶ丘」は、共に「住みたい自治体ランキング」で2位となった名古屋市千種区に所在。

愛知県 住みたい自治体ランキング

「覚王山」は、昨年「SUUMO住み続けたい街ランキング愛知2022」で住民から選ばれ、1位に輝いた街。シンボルは覚王山日泰寺で、駅を出るとすぐに400mほどの参道が続き、商店街が広がる。レトロな雰囲気の食堂などのほか、東海発祥のドーナツ店やパティスリー「シェ・シバタ名古屋」といった人気店も軒を連ね、新旧の良さが合わさる街だ。住民も街の魅力として「雰囲気やセンスのいい、飲食店やお店がある」という項目を上位に挙げている。

6位「星ヶ丘」は、駅前にファッションやグルメが楽しめる商業施設「星が丘テラス」や「星ヶ丘三越」があり、買い物環境が抜群。季節ごとの装飾が美しい「星が丘テラス」は、フォトスポットとしても人気に。また、周辺に大学が多い文教地区でもある。周囲は自然にも恵まれ、東山動植物園星が丘門に近く、休日は家族連れでにぎわう。

・関連記事:愛知「住み続けたい街ランキング2022年版」住民評価1位は名古屋市おさえ長久手市!

順位が上がった街から、「交通利便性」と「職住近接」のニーズが見えてくる

7位「刈谷」、8位「大曽根」、9位「岡崎」は、いずれも2020年から順位がアップ!

愛知県 穴場だと思う街(駅)ランキング

特に「大曽根」は2020年の16位から8位へ、大きく順位を上げた。「愛知県穴場だと思う街(駅)」ランキングでも3位になるなど、注目度が高い。「大曽根」は名古屋市東区と北区にまたがる街で、大曽根駅からはJR、名鉄、地下鉄に加え、ガイドウェイバス「ゆとりーとライン」の4路線を利用可能。名古屋都市部だけでなく、瀬戸市や春日井市方面へもアクセスしやすい。さらに、市バスの路線も充実している。2020年、名鉄瀬戸線の駅構内に商業施設「ミュープラット大曽根」が併設され、「からみそラーメンふくろう食堂」など17店舗がオープンして便利に。また、徒歩圏内にスーパーを含む「メッツ大曽根」や、朝市を開催する商店街「オゾンアベニュー」が集まり、1駅隣には「イオンモールナゴヤドーム前」もあるなど、生活利便性の高さは抜群。一方で、駅南口方面には住宅街が広がり、徒歩約10分の距離に公園を併設した庭園「徳川園」があり、四季や自然も身近に感じられる。

7位「刈谷」、9位「岡崎」は、共に愛知県の三河エリアに位置する市。
デンソーやアイシン、豊田自動織機などトヨタ系企業の本社が多く、関連企業に勤める人からの職住近接ニーズも高い「刈谷」。県内屈指のスポーツタウンで、刈谷市をホームタウンとするスポーツチームは、バスケットボール、バレーボール、ソフトボール、ラグビー…など多岐にわたる。刈谷総合運動公園敷地内にある「ウイングアリーナ刈谷」は、男子バスケットボールチーム「シーホース三河」のホームアリーナ。トラックとフィールドからなる陸上競技場「ウェーブスタジアム刈谷」も併設され、各施設は大会などがない日は一般利用も可能。プロ仕様の本格的なエリアで、老若男女がスポーツを楽しむ姿が見られる。また、全国有数の財政力を誇る街でもあり、駅から市内の公園など主要な施設を回る公共施設連絡バス「かりまる」は、なんと無料で乗ることができる。さらに、「刈谷ハイウェイオアシス」や「刈谷市交通児童遊園」といった遊園地さながらの公園があり、乗り物が100円前後と、格安価格で遊べる。

「刈谷ハイウェイオアシス」(写真/PIXTA)

「刈谷ハイウェイオアシス」(写真/PIXTA)

NHK大河ドラマ「どうする家康」で注目が高まる「岡崎」は、徳川家康の生誕地である岡崎城や、八丁味噌の産地として知られる。「名古屋」まで名鉄とJRで30分の距離で、三菱自動車などの自動車関連工場と、関連企業に従事する人が多い。公共施設が充実し、市内中心部にある図書館交流プラザ「Libra」は、「愛知まちなみ建築賞」を受賞した建物内に豊富な蔵書を収容。館内には岡崎出身のジャズ愛好家、内田修氏が寄贈したジャズコレクション展示室があり、貴重な音源を楽しめる。市内には大きな公園も点在し、遊園地のある「南公園」では、100円以下で楽しめる乗り物が多数。また、「東公園」の動物園ではアジアゾウなどが見られるが、入園料は無料!教育にも注力し、愛知県立岡崎高等学校は、難関大学合格者を多数輩出する公立高校として全国的にも注目を集めている。

近年は名鉄「東岡崎」駅周辺で再開発が進み、2019年には駅直結の複合施設「オト リバーサイドテラス」が誕生。また、2023年度中には南口に地上3階建の駅ビルが竣工し、今後は北口にも商業施設やオフィスを備えた地上8階建のビルを建設予定だ。「東岡崎」は街のランキングも前回20位から15位へとアップしている。

今回の「愛知県住みたい街(駅)ランキング」では、名古屋都市部の街に加え、豊かな自然や文化を享受でき、再整備などで利便性が高まった三河エリアの都市もランクインした。「岡崎」と同じく三河の中核都市である「豊田市」も、前回33位から12位にランクアップしている。

特に、ピックアップしたランキング上位の街は、近年暮らしやすさや景観の良さがアップし、トレンド感も加わって、惹かれる魅力がたっぷり。

みんなの声を集めた「住みたい街ランキング」からは、今後の街の進化への期待感と、「忙しい毎日の中、プラスアルファの楽しみがある街で暮らしたい」という現代のニーズが見えてくるようだ。

●関連ページ
・SUUMO住みたい街ランキング2023 愛知県版/名古屋市版

「住みたい街ランキング2023関西版」自治体では明石市・草津市が大躍進。駅は梅田が西宮北口を引き離し断トツ1位に!

リクルートは関西圏(大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県)に居住している20歳~49歳の4600人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2023関西版」を発表した。さて今年の順位は?

TOP3は昨年同様1位「梅田」、2位「西宮北口」、3位「神戸三宮」

まず、今年の「2023年の住みたい街(駅)ランキング」の結果を紹介しよう。
TOP3は1位が関西ナンバーワンの都心「梅田」、2位が盤石の人気を誇る阪神間の街「西宮北口」、3位が神戸市の玄関口「神戸三宮」だった。
順位は昨年(2022年)と同じだが、1位と2位の得点差は122点と昨年より広がっており、「梅田」の人気の高まりがより顕著となった。

関西住みたい街(駅)ランキング

20位までに目を向けると、滋賀県の「草津」が7位にランクインし、2018年以降の最高位を獲得した。
「京都河原町」「心斎橋」も過去最高位に。それぞれ京都市、大阪市の中心エリアにあり、商業施設が集積する華やかな街。大都市の利便性を存分に享受できるのが共通した魅力だ。

「梅田」の圧倒的な強さは、資産価値重視の傾向が背景に

2位と得点差を大きく広げて断トツ1位となった「梅田」は、昨年の得点と比べても82点もポイントアップしている。
街の魅力項目では、「働く場として」「街の賑わい」などのほか、「不動産の資産価値が高そう」が上位にあげられた。
別途SUUMOで行った「住まいの価値観に関する調査」では、若い世代ほど住宅の資産性を重視し、そのときに自分に合った選択で住み替えたいと考える傾向がある。現在、梅田周辺は「うめきた2期地区開発プロジェクト」が進み、関空直結のJR「うめきた新駅」が今年3月開業など、資産価値の面で高いポテンシャルを持つ。
本来、ビジネスや商業のイメージが強い梅田だが、JR大阪駅北側「うめきた」エリアの再開発による活性化で住宅供給も増加。直近の5年間でも徒歩15分圏内で3000戸以上の分譲マンションが供給された。
住宅の増加や、資産価値重視の傾向が、住む対象として大きな注目を集める背景となっているのだろう。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

得点がジャンプアップした街(駅)ランキング

さらにTOP50の中で大きく得点を上げた街を見てみよう。
神戸三宮(+49点、3位→3位)、十三(+37点、123位→68位)、中津(+36点、48位→32位)など、都心部の注目度の高さがうかがえる。
一方、「嵐山」(+60点、25位→13位)、「伏見桃山」(+29点、146位→81位)、御影(+29点、30位→24位)、箕面(+29点、33位→25位)なども順位を上げた。都心へのアクセスが良い上、緑豊かな自然環境にも恵まれた近郊の街も支持を集める結果となった。

「住みたい自治体ランキング」では明石市が初のトップ3入り

アンケートでは「住みたい街(駅)」とともに「住みたい自治体」についても尋ねた。ランキングに合わせて、昨年から得点がジャンプアップした注目の自治体のトピックスにふれていこう。

関西住みたい自治体ランキング

得点がジャンプアップした自治体ランキング

1位は昨年に引き続き「兵庫県西宮市」、2位が「大阪府大阪市北区」。3位は昨年の6位から大きくランクアップした「兵庫県明石市」だ。得点も昨年から131ポイントアップ。自治体の中で最も得点を伸ばした。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

近年の明石市の人気には目を見張るものがある。
明石市を支持したのは、「夫婦+子ども世帯」「女性総合」「女性30代」が多く、「シングル女性」「シングル男性」でも過去最高位を獲得。
街の魅力を尋ねると、全国的にも有名な「子育てサービスの充実」のほか、「メディアに良く取り上げられて有名」「今後街が発展しそう」などの回答が多かった。行政の独自施策とメディアへの発信力がランクアップに功を奏したとも言えそうだ。(子育て支援の“東西横綱”千葉県流山市と兵庫県明石市、「住みたい街ランキング」大躍進の裏にスゴい取り組み)
明石市への投票は関西出身者では昨年の4位から3位にアップだが、関西圏以外の出身者でみると昨年の17位から5位と、大幅に上昇した。話題をきっかけに関西に地縁の薄い人からも注目を集めるようになってきており、さらなる人口増が期待される結果となった。

また、「子育てに関する自治体サービスが充実している」の項目で明石市に次いで2位となったのが、「住みたい自治体」で24位にランクインした箕面市。昨年からの得点ジャンプアップランキングでも5位に入っている。
18歳以下の子どもの医療費無料(親の所得制限なし)や、通学路や公園の防犯カメラ設置やコミュニティバス「オレンジゆずるバス」の運行など、子育てや防犯、福祉などのサービスが充実した街だ。
一方、街づくりの面でも、大阪大学箕面キャンパスが2023年度開業予定の「箕面船場阪大前駅」に移転し、周辺には図書館や芸術劇場なども誕生予定。「みのおキューズモール」と繋がる「箕面萱野駅」も2023年度に開業予定と、今後の資産価値上昇への期待も膨らみそうだ。

箕面萱野駅(写真/PIXTA)

箕面萱野駅(写真/PIXTA)

若い世代の人気を集めた華やかな街、大阪市天王寺区。働き暮らす街として存在感を高める草津市

大阪市天王寺区は昨年の7位から今年は4位に。年代・ライフステージ別では20代で2位、20代男性では1位と若い世代から人気を集める結果となった。得点ジャンプアップランキングでも明石市に次ぐ2位。主な理由に「文化・娯楽施設の充実」や「街に賑わいがある」などがあげられ、華やかな印象の街として人気を集めていることがわかる。
天王寺区には2014年に「あべのハルカス」がオープンし、翌2015年には天王寺公園にサッカーコートやレストラン、カフェなどの施設を備えた「てんしば」エリアがオープン。その後も「てんしばi:na」など、新しい施設の誕生が相次いだ。“楽しく暮らせる街”の顔が人々の心をつかんだようだ。

てんしばi:na(写真/PIXTA)

てんしばi:na(写真/PIXTA)

「住みたい自治体ランキング」で初のトップ10入りした草津市。「住みたい街ランキング」でも昨年より順位を上げ7位にランクイン、得点ジャンプアップランキングでも前述の箕面市に次ぐ6位に食い込んでいる。
草津市は再開発により大型商業施設を整備。草津駅を核とする発展への期待に加えて、琵琶湖畔の美しい景観や、JRで京都や大阪と直結する交通アクセスの良さなども魅力だ。
街の魅力が広く認知されるととともに、人口増加も顕著に。草津市のある滋賀県は転入超過数が全国で8番目、関西2府4県では1番多く、中でも草津市は大津市に次ぐ転入超過数だ。立命館大学をはじめとする産官学連合による製造業の発展などの成果もあり、働き暮らす街としての存在感を増しているといえるだろう。

派手さはなくても魅力ある街の登場に期待

2023年の「住みたい街ランキング」では、「梅田」が圧倒的人気を集めた。また、「神戸三宮」「十三」「中津」「なんば」なども大きく得点を伸ばし、大都市中心部の人気の高まりが顕著となった印象だ。
一方、大きく躍進した郊外の街もある。子育て施策を中心とするサービスが全国的な話題となり人口増を実現した「明石」、再開発で評価を高めた「草津」などだ。どちらも街の整備や市民目線の施策の充実に取り組み、地道に成長してきた結果と言えそうだ。
大都市やブランド的な街だけでなく、派手さや知名度はなくても魅力のある街がこれからも登場してほしいと感じる。

●関連リンク
「SUUMO住みたい街ランキング2023 関西版」プレスリリース

「住みたい街ランキング2023」発表! 大宮と浦和で明暗、新宿が注目の理由とは?

リクルートが、 首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)に居住している20歳~49歳の1万人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2023」を発表した。ランキングの結果も気になるが、なぜこの街が?という要因も気になるところだ。今回のランキングで注目の街を紹介していこう。

【今週の住活トピック】
「SUUMO住みたい街ランキング2023 首都圏版」を発表/リクルート

住みたい街ランキング2023は、TOP4までは変わらず

さっそく、2023年の住みたい街(駅)ランキングの結果を紹介しよう。「横浜」が首位を、「吉祥寺」が2位を堅持し、昨年3位に食い込んだ「大宮」がその位置をキープし、「恵比寿」が4位を死守するなど、TOP4は2022年と同じ顔触れとなった。

住みたい街(駅)総合ランキングトップ10(首都圏全体/3つの限定回答)(出典:リクルート)

住みたい街(駅)総合ランキングトップ10(首都圏全体/3つの限定回答)(出典:リクルート)

TOP10で注目したいのは、まず「鎌倉」の躍進だ。もともと歴史のある良好な住宅地として人気があったが、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の影響もあってのことか。次の注目点は、「新宿」「池袋」「渋谷」「東京」のターミナル駅がランクアップしていることだ。常に再開発などのプロジェクト案件があり、いずれも話題を集める街だ。

また、11位~25位までを見ると、顔触れは同じようだが順位が少し入れ替わっている。品川や表参道などの都心の街がランクダウンし、舞浜や船橋、立川など郊外の人気駅がランクアップしている印象を受ける。都心の低迷と郊外の上昇の傾向は、2022年も見られた現象なので、コロナ禍で、自分が暮らしている街から近い街が再評価される傾向が続いているようだ。

11位以下では「舞浜」(17位)、「みなとみらい」(26位)、「有楽町」(27位)、「所沢」(30位)、「和光市」(31位)、「新浦安」(37位)、「守谷」(47位)が過去最高位になっている。

住みたい街(駅)総合ランキング11位~25位(首都圏全体/3つの限定回答)(出典:リクルート)

住みたい街(駅)総合ランキング11位~25位(首都圏全体/3つの限定回答)(出典:リクルート)

明と暗に分かれた「大宮」と「浦和」。その違いは?

それにしても、「浦和」(12位)が昨年の5位からTOP10外までダウンしたのは意外だった。SUUMO編集長・池本洋一さんの分析によると、20代・30代のランキングで吉祥寺を抑えて初の2位になるなど、注目度を集めた大宮に対して、広域からの注目度が低かったのが浦和だという。

「大宮」については、池本さんが「コンパクト東京?」と呼ぶほど、若者が魅力を感じる街の賑わいがあるのだそうだ。

SUUMO住みたい街ランキング2023首都圏版 記者発表会資料(出典:リクルート)

東京と大宮の比較(出典:リクルート)

まず、駅周辺の商業施設に東京にしかなかった店が進出している。次に、氷川神社のある大宮公園からコクーンシティをつなぐ「氷川参道」の周辺に活気がある。街路樹に沿って個性的な店が並び、集客力のある「さいたまスーパーアリーナ」や「NACK5スタジアム大宮」なども隣接している。駅周辺には飲食店の多い通りもある。これが近くに凝縮しているので、コンパクトな東京のようだというのだ。

一方、「浦和」は、大宮が埼玉県内外の広域から票を集めている(地元のさいたま市からの投票シェアは23.8%)のに対して、地元の投票シェアが43.4%であるなど、地元の人気に支えられている感が否めない。加えて、浦和駅西口の駅前再開発が進行中であるため、当初あった地元の個人商店が立ち並ぶ商店街がなくなり、一時的に賑わいが減っていること、大宮に比べて賃料が高いことなどが影響しているのではないかというのが、池本さんの分析だ。再開発事業は2026年6月竣工予定だというので、今後に注目したい。

「新宿」は、コロナ禍からの復調の象徴か?

次に注目したいのが、「新宿」だ。2023年にTOP5に入る躍進を見せたが、その原動力となっているのが「シングル男性」だ。ライフステージ別の内訳を見ると、新宿に投票したのはシングル男性が44.9%を占めている。シングル男性のシェアが、1位横浜は22.1%、2位吉祥寺は20.7%、3位大宮は24.0%であることと比べても、突出して高い。

ランキングTOP10のライフステージ別内訳(出典:リクルート)

ランキングTOP10のライフステージ別内訳(出典:リクルート)

もともとコロナ前の2019年のランキングでは、新宿は5位だった。2023年にコロナ禍から復調したと言ってよいだろう。SUUMOによると、新宿の街の魅力項目として高かったのは、「魅力的な働く場や企業がある」「文化・娯楽施設が充実している」「仕事のできる施設(コワーキングスペースやカフェなど)がある」などで、電車バスで行きやすいなど交通利便も上位に挙がった。たとえば、センスの良い飲食店やお店の魅力度が高い「恵比寿」などと比べると、働く・遊ぶ・買う+交通利便など多様な魅力をもつことが、コロナ禍からの復調が進んだ要因だといえるだろう。

特徴(個性)のある街はやっぱり強かった

上位以外で注目の街として、「流山おおたかの森」と「所沢」を挙げておこう。

千葉県としてのランキングでは、2位:舞浜、3位:船橋、4位:柏、5位:千葉を抑えて、1位に躍り出たのが「流山おおたかの森」だ。その魅力項目TOP10を見ると明らかなように、「子育て」や「教育環境」の高さが目立つ。

一方の「所沢」は2022年の48位から2023年には30位に急上昇しただけでなく、「穴場だと思う街(駅)ランキング」でも4位に入るなど、その躍進ぶりが注目される。所沢の魅力項目TOP10も明確だ。「住居費の安さ」「コスパのよさ」「生活上の利便性」など、暮らしやすさが目立つ。所沢駅直結の商業施設「グランエミオ所沢」の完成に加え、2024年秋にも大規模商業施設が完成する予定で、街の発展への期待値も躍進の要因になっているようだ。

「流山おおたかの森」と「所沢」の街の魅力項目TOP10(出典:リクルート)

「流山おおたかの森」と「所沢」の街の魅力項目TOP10(出典:リクルート)

横浜や大宮、新宿に比べて多様な魅力要素がないものの、「商店街」と「公園」、「知名度」といった強力な要素があることが、吉祥寺に根強い人気がある理由だろう。その街ならではの魅力的な個性のある街は、やっぱり強いということだ。

さて、当サイトで昨年「住みたい街ランキング2022」について記事を書いたとき、最後に、「『鎌倉殿の13人』が始まり、来年のランキングで鎌倉が急上昇するような気がする」と書いた。結果は、急上昇というほどではないが、10位から8位にランクアップした。メディアで取り上げられる機会が増えて、鎌倉のもつ歴史的な背景が広く伝わったからだろう。来年も、街の魅力がしっかりと広域に伝わった街が、ランクアップすることだろう。

●関連サイト
「SUUMO住みたい街ランキング2023 首都圏版」

住み続けたい街ランキング関西2022発表! 駅1位は夙川おさえ山陽電鉄・人丸前(明石市)。自治体1位は?

リクルートが関西圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、滋賀県、和歌山県)に居住している人を対象にWEBアンケートを実施した「SUUMO住民実感調査2022 関西版」を発表した。この調査は「住んでいる街(駅・自治体)に住み続けたいかどうか」を聞いたもの。住んでいる人に愛され、将来もずっと住み続けたいと思われているのはどんな街なのか。詳細を見てみよう。

「住み続けたい自治体」は芦屋市、西宮市、箕面市がトップ3に

アンケートは「住み続けたい自治体」と「住み続けたい駅」の2つについて尋ねた。それぞれ「子育てに関する自治体サービスが充実している」「今後街が発展しそう」「地域に顔見知りや知り合いができやすい」などさまざまな観点で、魅力項目を点数化した。
毎年発表している「住みたい街ランキング」は“住んでみたい”という憧れの要素が大きいが、「住み続けたい街」は居住者が感じるリアルな声が反映されている点が大きな違いだ。

まず、「住み続けたい自治体ランキング」を見てみよう。
トップ2は兵庫県の芦屋市、西宮市と、全国的なブランド力のある自治体が上位を占めた。

自治体ランキング TOP20

1位の芦屋市は、阪神間の閑静な住宅街として有名だ。魅力項目で「街の住民がその街のことを好きそう」が1位になったのもうなずける。
2位の西宮市も阪神間に位置し、「2022年住みたい街ランキング関西版自治体編」で今年も1位を獲得。年代別調査でも20代から70代以上まで全世代でトップ10入りした。
多くの人が憧れる理由が住んでいる人の実感値にしっかり裏打ちされていることがわかる。

西宮市(写真/PIXTA)

西宮市(写真/PIXTA)

ベスト20には、4位福島区、7位天王寺区、9位北区、13位阿倍野区、18位西区と大阪市内の5区が名を連ねた。いずれもマンション供給が多く、人口が急増している大阪市の中心地域だ。
神戸市では6位灘区、10位東灘区、11位中央区とベスト20位に3区がランクイン。また、京都府では8位京都市中京区、16位長岡京市、17位京都市左京区が入った。
大阪、神戸、京都とも、各都市の中心部やその近くに位置し、利便性の高い自治体が上位に並ぶ結果となった。

恵まれた自然環境や交通アクセスの良さで郊外の自治体も20位以内にランクイン

注目したいのは、中心地から離れた郊外も上位に登場している点。5位の奈良県北葛飾郡、16位の京都府長岡京市などだ。
北葛飾郡は馬見丘陵公園など広い公園や古墳が集まる穏やかな環境ながら、難波・天王寺方面へのアクセスが良い。長岡京市も竹林や筍で知られる自然環境が身近にあり、JR長岡京駅、阪急京都線長岡天神駅が利用できて京都の中心部や大阪方面への利便性が高い。「自然豊かな環境+都心へのアクセスの良さ」が郊外に「住み続けたい」と思わせるキーポイントのようだ。

馬見丘陵公園(写真/PIXTA)

馬見丘陵公園(写真/PIXTA)

新駅誕生や市民目線の施策で箕面市が3位に

ここからは3位以下で注目したい街を紹介しよう。
3位の大阪府箕面市は2023年度に北大阪急行延伸に伴い2つの新駅「箕面船場阪大前」「箕面萱野」駅が誕生する予定。延伸が完了すれば、大阪メトロ「梅田」駅まで約30分以内で結ばれる見通しで、箕面市から大阪市内へのアクセスが良くなることに期待値も高い。「子育てに関する自治体サービスが充実している」、「防犯対策がしっかりしており治安が良い」でも高評価を得た。同市では全ての市立小中学校の通学路及び公園に防犯カメラを設置。市が設置費用の一部を補助して自治会が設置した台数を含めると約2000台(令和4年9月時点)の防犯カメラが運用されており、犯罪抑止効果を高めるとともに、実際に早期の犯人検挙に繋がっているという。また、高齢者や障害者の交通サポートを低負担で提供。高齢者への火災警報器や紙おむつ給付など手厚いサービスも実施しており、「介護や高齢者向けサービスなどが充実している」を高く評価した人も多かった。

箕面萱野駅予定地(写真/PIXTA)

箕面萱野駅予定地(写真/PIXTA)

4位の大阪市福島区はこの10年あまりで新築マンション供給が相次ぎ人口も増加。もともと飲食店などが集積した繁華街のイメージが強いが、イオンをはじめスーパーマーケットが27もあり、生活上の用事を効率的に済ませられるのが評価のポイントになった。隣接する北区で進む「うめきた2期開発」の波及効果があり、発展への期待も大きそうだ。

5位の奈良県北葛飾郡は、“郡”といっても王子駅(JR関西本線、JR和歌山線、近鉄生駒線)を要する交通の要所。難波・天王寺方面へのアクセスが良く、駅周辺に「リーベル王子」など商業施設が充実している。自然環境に恵まれ交通利便性の良いことが、やはり大きな魅力だ。

府県別の自治体ランキングで兵庫県赤穂市や滋賀県守山市がトップ10入り

総合ランキングのほかに府県別ランキングの集計も行った。

居住府県別 住み続けたい自治体ランキング 大阪府

居住府県別 住み続けたい自治体ランキング 兵庫県

居住府県別 住み続けたい自治体ランキング 京都府

居住府県別 住み続けたい自治体ランキング 滋賀県

居住府県別 住み続けたい自治体ランキング 奈良県

居住府県別 住み続けたい自治体ランキング 和歌山県

大阪府では大阪市中心部と箕面市、吹田市、高槻市、豊中市の北摂エリアが上位を占めた。
兵庫県では阪神間と神戸市内が支持を集めたが、7位明石市のほか岡山県との県境に位置する赤穂市が10位に。同市は千種川が瀬戸内海に注ぐ城下町。新快速電車でJR播州赤穂駅から神戸まで直通70分と時間はかかるが、住む人たちは美しい自然や街並み、穏やかな環境に、都会の利便性以上の価値を感じているようだ。
奈良県は難波・天王寺・生駒にアクセスの良い北葛城郡王寺町が1位になり、広陵町も3位にランクイン。どちらも宅地や一戸建ての分譲が多く人口が増え続けているが、公園や古墳などが多く豊かな環境を享受できる点が魅力となっている。
滋賀県の1位、守山市はもりやまエコパーク交流拠点やびわこ地球市民の森、温泉施設ができて人気が復活。和歌山県有田市は結婚する人に住宅関連費用を最大30万円、出産祝金や入学祝金など最大で約200万円の支給で移住を促進している。
魅力的な新施設の創出や市民目線の施策により、県の中心地を抜いて1位を獲得した自治体があるのも興味深い。

「住み続けたい駅ランキング」では人丸前が1位に。子育て項目では明石市の駅が上位を占める

住み続けたい駅ランキング TOP20

次に「住み続けたい駅ランキング」を見ていこう。
驚くのは、阪神間の夙川や苦楽園口、京都の烏丸御池など人気の高い駅を抑えて明石市の人丸前が1位を獲得したこと。
人丸前は山陽電鉄本線の駅で、北には日本標準子午線で知られる明石市立天文科学館、南方面には海水浴場や芝生の広場などのある大蔵海岸公園が広がるのどかな駅だ。明石市といえば、おむつ定期便や第2子以降の保育料の完全無料化など手厚い子育て支援で注目され、「子育てに関する自治体サービスが充実している自治体ランキング」で1位を獲得している。人丸前は「公共施設が充実している」でも7位。明石海浜プールや天文科学館、文化博物館などは年齢によって無料となり、身近に利用できる施設が多いのも魅力だ。
「子育て環境が充実している駅ランキング」ではほかにも同じ山陽電鉄の東二見が3位、西新町が4位、魚住が7位、大久保が8位、明石が10位と、明石市内の6駅がトップ10に並び、子育ての項目で圧倒的な強さを見せている。

2位の「さくら夙川」、3位の「夙川」、4位の「苦楽園口」は「住み続けたい自治体」2位の西宮市内にある駅。いずれも徒歩10分程度で行けるほど近接し、生活圏はほぼ同じだ。桜並木が美しい夙川公園があり、人気の阪急西宮ガーデンズも普段使いできる。大阪・神戸どちらにも電車で20分程度。魅力がバランス良く満たされている。
上位20位までに西宮市から8駅がランクインし、同市の強さも顕著となった。

5位の「姫松」は大阪市阿倍野区南西部の阪堺電気軌道上町線の駅で、大阪市住吉区北西部にかけて帝塚山と呼ばれる古い住宅地が広がる。学校が多い文教地区で、街の魅力項目の「教育環境が充実している」でも5位にランクインするなど、子育て層に人気が高い。

ターミナル駅の隣駅+再開発で阪急電鉄今津線の阪神国道がトップ10入り

人丸前と並び、これまで注目度が高くなかったがトップ10入りしたのが9位の阪急電鉄今津線阪神国道。西宮北口駅の1駅南にあり、人気の商業施設阪急西宮ガーデンズにも約1kmと徒歩圏。駅の東側の元アサヒビール工場跡地では公園を核とした大規模な再開発が予定され、新病院の建設も計画。「ターミナル駅の隣駅」「再開発による発展の期待」で高評価につながったようだ。

阪神国道駅(写真/PIXTA)

阪神国道駅(写真/PIXTA)

リクルートが毎年発表している「関西 住みたい街(駅)ランキング」の2022年版で1位を獲得した梅田は、今回の「住み続けたい駅ランキング」では50位以内に入っていない。「住みたい……」で2位だった西宮北口も「住み続けたい駅……」では13位と意外な結果だった。
梅田も西宮北口も交通アクセス、買い物利便性が高いターミナル駅。多くの人が「住んでみたい」と思う街だが、ずっと住み続けたいと思わせるには、子育て環境や高齢者サービス、静かで落ち着いた住環境など違った魅力が不可欠なのかもしれない。
住んでみなければ分からない実感を反映したこのランキングを参考に、本当の住みやすさとは何かを考えてみたい。

●関連サイト
「SUUMO住民実感調査2022 関西版」2022年住み続けたい街(自治体/駅)ランキング

子育て支援の“東西横綱”千葉県流山市と兵庫県明石市、「住みたい街ランキング」大躍進の裏にスゴい取り組み

2022年3月に発表された「SUUMO住みたい街ランキング2022」において、首都版で得点が最も伸びた街(自治体)に選ばれた千葉県流山市と、関西版で子育て世代の投票を特に集めた兵庫県明石市。共に子育てサービスが充実し、子育て環境が充実している点が支持につながりました。全国初の支援を次々と打ち出している流山市と明石市では、どのように子育てができるのでしょうか。子育て支援の最新事情を取材しました。

“「母になるなら、流山市。」「父になるなら、流山市。」”から12年、定着した駅前送迎ステーション、保育園数は5倍に

「住みたい街ランキング2022首都圏版」の、昨年より得点がジャンプアップした自治体ランキングで1位を獲得した流山は、自然豊かな住宅都市。つくばエクスプレス快速で秋葉原駅まで約20分。そのほか市内には、JR武蔵野線、常磐線、東武野田線、流鉄流山線など5線11駅があり、バス網も整備されています。流山おおたかの森駅前には、大型ショッピングモールや子育て支援施設、公園が充実。駅前に多くを集結させ、時間効率性をアップしたことで子育て世代や共働きカップルの得点が高い結果になりました。

流山おおたかの森駅前。2022年春開業したCOTOE(コトエ)は、約40店舗が入居する複合商業施設。保育所や学習塾が入ったこもれびテラスも近くにある(画像提供/流山市役所)

流山おおたかの森駅前。2022年春開業したCOTOE(コトエ)は、約40店舗が入居する複合商業施設。保育所や学習塾が入ったこもれびテラスも近くにある(画像提供/流山市役所)

流山グリーンフェスティバルの様子。春には住宅街で個人邸のオープンガーデンが催される(画像提供/流山市役所)

流山グリーンフェスティバルの様子。春には住宅街で個人邸のオープンガーデンが催される(画像提供/流山市役所)

流山が子育て家族の街として注目されたのは、「母になるなら、流山市。」「父になるなら、流山市。」のキャッチフレーズで2010年から展開された市のプロモーション活動です。2007年から開始されていた駅前保育送迎ステーション(保護者それぞれで保育園に子どもを送らなくても、駅前のステーションにまで送っていけば、そこから市内各所の保育園に送迎してくれる仕組み)も注目を集めました。流山市の子育て支援のサービスや支援を続けるなかでの課題、新しい子育て支援について、流山市マーケティング課河尻和佳子さんに伺いました。

「当時全国に先駆け開設した駅前保育送迎ステーションは、現在も稼働しています。2022年3月の利用児童は131名。『通勤前後に子どもを送り出せて時短になる』と保護者に好評ですが、実は徐々に利用者は減っています。理由は保育園の定員が入園を希望する児童数に追いついてきたためです。駅前保育送迎ステーションはもともと家の近くの保育園に預けられず、離れた園に空きはあっても待機児童になってしまうのを解消する目的ではじめた施策なので、保育園数が増えて利用者が減ることは目標に近づいていると言えます」(河尻さん)

駅前保育送迎ステーション。おおたかの森駅前、南流山駅前で児童を預けられる。通勤に使う駅で送り迎えができるので、通勤している共働き世帯に好評のサービスだ(画像提供/流山市役所)

駅前保育送迎ステーション。おおたかの森駅前、南流山駅前で児童を預けられる。通勤に使う駅で送り迎えができるので、通勤している共働き世帯に好評のサービスだ(画像提供/流山市役所)

保育園数は、10年余で5倍になり、定員も4倍強に増加。大規模な共同住宅等を建設する場合、事業者に保育所の設置を要請しています。今後、子どもたちが通うための小学校の新設も予定されているそうです。

流山市がさまざまな子育て支援策を打ち出し始めたのは、井崎義治市長が就任した2003年以降。流山市では今後住民の高齢化が進行し、将来、市の財政が厳しくなるリスクがありました。そこで、共働きが多い若い世代への子育て環境の整備を行い、移住者を呼び込み、少子高齢社会を支えようと考えたのです。全国初のマーケティング課を市役所に創設し、首都圏の子育て世代をターゲットにインターネット等でプロモーション活動をしたところ、「自分に語り掛けてくるようだ」と30代~40代の子育て世代から予想以上の反響がありました。

「流山市の人口は、10年間で約3.8万人増えています。年齢別人口でみると35~39歳代の人口が伸びており、その多くが首都圏からの移住者です。4歳以下の子どもの数も増え、合計特殊出生率は1.55。人口増加はつくばエクスプレス開業の効果もありますが、子育て施策が注目され、メディアでの露出が増え、知名度やイメージが向上したことも大きいと感じています」(河尻さん)

オンラインコミュニティNの研究室や女性創業支援で、自己実現をバックアップ

移住してきた子育て世代が街に定着している流山市では、今後、どのような支援が求められていくのでしょうか。

「日本の人口が減り続けるなかで、流山市の人口増加は2027年がピークと推計しています。今後も魅力ある街として共働きの子育て世代に選ばれるには、子育て環境の整備だけでは足りません。『子育てしながら、なりたい自分になれるまち』を目指し、そのきっかけの場づくりなどをしていきます」(河尻さん)

商工振興課では、女性の創業・起業支援として創業スクールを開講。100人以上に及ぶ卒業生の中には、創業のほか、NPO団体や街のコミュニティを立ち上げる人もいます。民間のシェアサテライトオフィスTrist(トリスト)は、都内に通勤していた子育て女性によって「地元でスキルを活かした仕事をしたい女性を応援する」ために設立されました。現在は、市内2拠点でリモートワークの場として、企業と一緒に復職プログラムを開発したり、利用者同士のコミュニティもつくられています。

講師を迎えて開講される創業スクールの授業風景(画像提供/流山市役所)

講師を迎えて開講される創業スクールの授業風景(画像提供/流山市役所)

2022年度の募集パンフレット。募集を開始すると2日で定員が埋まる盛況ぶり(画像提供/流山市役所)

2022年度の募集パンフレット。募集を開始すると2日で定員が埋まる盛況ぶり(画像提供/流山市役所)

さらに市民の「やってみたい」を形にするため、2022年1月末から、市民のためのオンラインコミュニティ「Nの研究室」が開設されました。

「アイデアの提案や仲間探しの場になればと企画しました。コメント欄では、2カ月で80人強の市民が参加し活発な意見交換が行われています。『虫が苦手なママのための昆虫教室』や『市内の名所で家族写真を撮るサービス』などの発案がプロジェクト化に向け進行しています」(河尻さん)

当初否定的なコメントが増える可能性を案じていたが、熱い議論が交わされ「面白そう」と市外から参加する人も(画像提供/流山市役所)

当初否定的なコメントが増える可能性を案じていたが、熱い議論が交わされ「面白そう」と市外から参加する人も(画像提供/流山市役所)

実際に、流山市に移住し、子育てをしている田中さん(専業主婦・30代)に、流山市の住み心地を取材しました。田中さんが夫と共に約3年間暮らしたアメリカ・ニューヨークから、里帰り出産のため愛知県の実家に戻ったのが2020年の1月ごろ。出産を経て6月に流山市へ引越し、1か月後に帰国した夫と家族3人で暮らしています。流山市へ移住した理由は、都心に出やすく、夫の通勤に便利なこと、徒歩圏内に商業施設や公園がたくさんあることが決め手でした。

「児童センターや支援センターを積極的に活用しています。月ごとにさまざまなイベントがあり、子どもは喜んで通っています。最新の子育て情報を知ることができるLINE配信も便利です」(田中さん)

コミュニティのイベントで娘を遊ばせる田中さん。「まわりのお母さんたちが子どもの成長を一緒に見届けてくれることがうれしい」と話す(画像提供/田中さん)

コミュニティのイベントで娘を遊ばせる田中さん。「まわりのお母さんたちが子どもの成長を一緒に見届けてくれることがうれしい」と話す(画像提供/田中さん)

田中さんは、NY mom’sナガレヤママムズという3歳以下の子どもをもつ母が参加できるコミュニティの3期目の運営に携わりました。昨年度の流山マムズ参加人数は、約90名。活動内容は、Facebookでの情報交換、月に一度の交流会、季節のイベント、月に数回少人数で集まる会、部活動(英語部、絵本部、ダンス部、ホームパーティー部などです。流山市に移住して間もない母親の加入が多く、情報交換の場になっているそうです。

田中さんの流山市の子育て支援についての満足度は、10点満点中8点。

「流山市は新しい保育園がたくさんでき、駅前保育送迎ステーションなど働くお母さんのための選択肢がたくさんあるのが良いですね。私は専業主婦なので、幼稚園ももっと充実させていただけたらうれしいなと思います」(田中さん)

自己実現の満足度を訪ねると、「料理が苦手なので8点くらいですが、10点を目指しています!」と明るく答えてくれました。

所得制限なく5つの無料化を続ける明石市。すべての子育て世代に支援を明石城跡につくられた明石公園では、週末にマルシェが催されることも(画像提供/明石市役所)

明石城跡につくられた明石公園では、週末にマルシェが催されることも(画像提供/明石市役所)

面積約50平方kmの兵庫県明石市は、目の前に明石海峡や淡路島を望む、海に面した街です。明石市では、2011年の泉房穂市長就任以降、「子どもを核としたまちづくり」を掲げてきました。「住みたい街ランキング2022関西版」では、夫婦+子育て世帯を対象にしたランキングで明石市として10位、明石駅は過去最高の7位。兵庫県民ランキングにおいては、初のベスト5入りと支持を集めました。明石市の子育て支援について、明石市役所に取材しました。

明石市の無料化施策の特徴は、現金を配るのではなく、サービスを提供すること。しっかり子どもに支援を届けていくために、今すでに発生している公共サービスを無料にしています。例えば、『おむつ定期便』では、経済的負担の軽減に加え、毎月支援員が家庭を訪問することで必要な支援につなげています。さらに、親の所得に関わらず、すべての子どもたちにサービスを届けるため、5つの無料化はすべて所得制限なしで提供されています。

【明石市独自である子育て支援の5つの無料化】※すべて所得制限、自己負担なし

1. こども医療費
2013 年より、中学3年生までの医療費を無料化。さらに 2021年に対象を高校 3 年生まで拡大
2. 中学校給食費
すべての市立中学校で提供している給食を、2020 年から無償化
3. 保育料
2016年から、第2子以降の保育料の完全無料化
4. 公共施設の入場料
天文科学館(市内外問わず高校生以下)、明石海浜プール(市内在住・在学の小学生以下)など
5. おむつ定期便
2020年より、子育て経験がある見守り支援員(配達員)が、0 歳児の赤ちゃんがいる家庭に紙おむつなどを直接お届け

おむつ定期便では、おむつを渡すだけでなく、子育て経験のある支援員が相談にのってくれる(画像提供/明石市役所)

おむつ定期便では、おむつを渡すだけでなく、子育て経験のある支援員が相談にのってくれる(画像提供/明石市役所)

市内に5カ所あるあかし子育て支援センターでは、就学前の子どもが入り混じって遊ぶ(画像提供/明石市役所)

市内に5カ所あるあかし子育て支援センターでは、就学前の子どもが入り混じって遊ぶ(画像提供/明石市役所)

ボールプールや滑り台、読み聞かせのできる図書コーナーもある(画像提供/明石市役所)

ボールプールや滑り台、読み聞かせのできる図書コーナーもある(画像提供/明石市役所)

長年子育て支援を継続した結果、定住人口は9年連続で増加し、2020年の国勢調査で30万人を超え過去最高に。25~39歳の子育て層が増加しており、0~4歳人口も増えています。合計特殊出生率は、2020年統計時に1.7に上昇しました。人口が増えるとともに、明石駅の公共施設がさらに充実し、商業施設、商店街ににぎわいが生まれ、市外からも人が集まるように。交流人口が増加し、商業地地価も毎年上昇しています。

明石駅前。大規模商業施設だけでなく、近くに公共施設や商店街がある(画像提供/明石市役所)

明石駅前。大規模商業施設だけでなく、近くに公共施設や商店街がある(画像提供/明石市役所)

明石駅前。大規模商業施設だけでなく、近くに公共施設や商店街がある(画像提供/明石市役所)

明石駅前。大規模商業施設だけでなく、近くに公共施設や商店街がある(画像提供/明石市役所)

人口が増加してからも、次々と新しい子育てサービスを実施。2020年9月に市内全公立幼稚園で給食をスタート(副食費は無料)したり、離婚前後の子どもを支援したり、さまざまな施策を行っています。離婚前後の養育支援では、面会交流のコーディネートのほか、2020年7月~2021年3月に、養育費の不払いがあった際、市が支払い義務者に働きかけを行い、不払いが続く場合に1か月分(上限5万円)の立て替えを行いました。「子どもに会えて成長を確認できてうれしい」「養育費がちゃんと支払われるようになった」と利用者から感謝の声が寄せられたそうです。

すべての子どもをまちのみんなで応援することが、まちの未来をつくる

明石市では、全小学校区に子ども食堂を配置していますが、運営団体は、まちづくり協議会や民生児童委員協議会、地区社会福祉協議会、ボランティア団体など住民主体の活動です。2020年度の子どもの利用者は、3916名でした。

食材は、地産地消にこだわり、管理栄養士によるバランスのとれた食事を提供したり、団体によって様々な工夫をしている(画像提供/明石市役所)

食材は、地産地消にこだわり、管理栄養士によるバランスのとれた食事を提供したり、団体によって様々な工夫をしている(画像提供/明石市役所)

小学校内や公民館、民間施設などで実施され、ボランティアによって運営されている(画像提供/明石市役所)

小学校内や公民館、民間施設などで実施され、ボランティアによって運営されている(画像提供/明石市役所)

また、街づくりの一環としてはじまった「本のまちづくり」は、子どもたちのこころの豊かさを育むことにつながっています。2017年に、子育て施設などが入る明石駅前ビルに移設オープンした、あかし市民図書館を中心に、「いつでも、どこでも、だれでも手を伸ばせば本に届くまち」を掲げ、さまざまな取り組みを行っています。

2017年からは、4か月児健診時に絵本2冊と読み聞かせ体験をプレゼントする『ブックスタート』、2018年から、3歳6か月児健診時に絵本1冊のプレゼントと読み聞かせのアドバイスを行う『ブックセカンド』を開始しました。2020 年の 4 月~5 月に未就学児を対象に実施した『絵本の宅配便』では、コロナ禍で外出自粛を余儀なくされた子どもと保護者がいつもと変わらず楽しい時間を過ごせるよう、絵本を各家庭まで配送。利用者には大変喜ばれ、多くのお礼のお手紙が図書館に寄せられたそうです。こうした取り組みが評価され、「Library of the Year2021」において、あかし市民図書館が優秀賞とオーディエンス賞をダブル受賞しました。

移動図書館車の「めぐりん」で本を選ぶ子どもたち。大小2台の移動図書館車が市内を巡回して本を届け、子どもが本に接する機会を市がたくさん提供している(画像提供/明石市役所)

移動図書館車の「めぐりん」で本を選ぶ子どもたち。大小2台の移動図書館車が市内を巡回して本を届け、子どもが本に接する機会を市がたくさん提供している(画像提供/明石市役所)

すべての子どもを街のみんなで支えるという、明石市が進める子どもを核とした街づくり。無償化するだけでなく、子ども食堂での見守りや面会交流支援など、寄り添う支援を行うことで、安心して子育てができる環境をつくっていると感じました。

それぞれ独自のサービスで支持を集めている流山市と明石市。ふたつの街づくりで共通するのは、子育て世代のニーズに応えられるように、常に変わり続けていること、子どもと一緒に自分の未来が描けることでした。

●取材協力
・流山市役所
・明石市役所

「SUUMO住みたい街ランキング2022関西版」、大阪市中心部人気が高まる。郊外は明石などが再開発+子育て施策で人気アップ

リクルートは関西圏(大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県)に居住している20歳~49歳の4600人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2022関西版」を発表した。今年はどんな順位になったのだろう。

昨年から順位逆転。1位は「梅田」、2位は「西宮北口」

まず「2022年の住みたい街(駅)」ランキングの結果を紹介しよう。
TOP3では4年連続1位を堅守していた「西宮北口」と2位の「梅田」が逆転。トップになったのは関西ナンバーワンの大都市「梅田」だった。
神戸市の中心地「神戸三宮」は今年も3位に。

住みたい街(駅)ランキング1位~20位

本年度より、集計方法を変更しており、上記の表の見方および、注意点については本記事末に表示。

4年ぶりに1位となった「梅田」。周辺ではJR大阪駅北側「うめきた2期地区開発プロジェクト」が進み、関空に直結するJR新駅が2023年に誕生予定など、再開発とともに将来への期待感の高まりが感じられる。

梅田駅周辺の風景(写真/PIXTA)

梅田駅周辺の風景(写真/PIXTA)

一方、盤石の人気を誇ってきた「西宮北口」だが、約10年ほど前から駅周辺の人口増加が落ち着いていた。対して梅田駅のある大阪市北区は5年で1割増程度のペースで人口増加を続けている。そのことからも人気の逆転現象がうかがえる。

若い世代の支持を集め、大阪市内中心部の人気が顕著に

TOP20に注目すると、「本町」「心斎橋」が初トップ20入りを果たした。
得点を見ても、「なんば」(+90点)「梅田」(+79点)「福島(22位)」(+66点)「本町」(+41点)など大阪市の中心部が昨年より急上昇。都心人気の高まりが顕著な結果となった。
ちなみに「梅田」は男女ともに20代で1位。「本町」は20代女性でベスト10に入るなど、若い世代からの支持が高いことがわかる。

梅田エリアに隣接する「福島」は「うめきた2期」の波及効果で人気が上昇。初トップ20入りした「本町」は、西区と中央区のほぼ境目。両区ともタワーマンションの相次ぐ誕生や靭(うつぼ)公園、大坂城公園など都心部でも緑豊かな環境とあって、子育て層が流入。このため「本町」のある中央区は15歳未満人口が大幅に増加している。

本町の街並み(写真/PIXTA)

本町の街並み(写真/PIXTA)

一方、「岡本」(8位→12位)「芦屋川」(13位→19位)などブランドイメージの強い阪神間の住宅地がやや順位を下げている。
共働き世帯率が上がり、新築マンションを中心とする大阪市内の住宅供給が増えたことから、大阪市内中心部の居住ニーズが高まった結果だろう。

関西圏はコロナ禍でも郊外より都市部

2年前から続くコロナ禍で、郊外への注目度が上がったことは報道でも伝えられている。首都圏の住みたい街ランキングは郊外人気が顕著な結果となった。
ところが、関西では逆に都市部への注目度が一層増す結果に。なぜか。
関西は首都圏に比べてテレワーク率が低いことが理由のひとつにあげられる。また、生まれ育った地域に住み続けている人が多いことや、通勤時間が首都圏ほど長くないことなどから、コロナ禍でも生活スタイルを変える人が少なかったためではないだろうか。

「明石」がランクアップした理由とは?

一方、都心部以外で大きくランクアップし、初のベスト20入りしたのが「明石」(27位→16位)。
「住みたい自治体」でも明石市は過去最高の6位となり、関西全体で最も得点を伸ばした(+123点)。

住みたい自治体ランキング(1位~20位

明石がこれほどランクアップしたのはなぜだろう。
明石市は神戸市など周辺エリアからファミリー層が流入し、2020年の国勢調査では人口増加率が全国62中核市で1位になっている。
明石駅周辺で長年進められていた再開発が完成し、大型商業施設や子育て支援などの公共施設、タワーマンションが整備されたことに加え、子ども医療費の無料化、第2子以降の保育料無料化、中学校の給食の無償化など市が子育て支援の施策を次々に打ち出し、ファミリー層を引きつけているようだ。
投票した理由として、駅周辺のショッピングモールや商店街の利便性、緑豊かな明石公園など、派手ではないが暮らしやすさを評価する人が多かった。
また、明石市に投票した人のうち、神戸市・明石市以外の兵庫県に住む人が半数近くを占めた。子育て支援の取り組みなど、市民目線の自治体の施策が、他都市から新住民を呼び込む大きな要因となっていることがわかる。

明石市(写真/PIXTA)

明石市(写真/PIXTA)

「住みたい自治体」では、草津市(+43点)、姫路市(+58点)も得点が急上昇した。
草津市の中心部である「草津」や「南草津」は、再開発により大型商業施設を整備。両駅を核とする地域発展への期待に加えて、琵琶湖畔の景観に恵まれた住宅地の美しさや、JRで大阪と直結する交通アクセスの良さなどにより、不動産価値上昇への期待などが高支持の理由だろう。
「姫路市」も駅周辺の再整備で駅前に大型商業施設が整備。大ホールのある姫路市文化コンベンションセンターやはりま姫路総合医療センターなどの大型施設のオープンが相次ぎ、駅周辺が目覚ましい発展を見せている。

明石市、草津市、姫路市はいずれも再開発・大型整備が完成したことで街が美しく整備され、生活の利便性を増した。さらにJR新快速電車の停車駅で大阪や神戸、京都への通勤が可能なことなどが、共通した魅力といえる。

再開発で変化した姫路駅前(写真/PIXTA)

再開発で変化した姫路駅前(写真/PIXTA)

ブランドより実利性が重視される傾向

住みたい街2022を見ると、若い世代の都心部人気の高まりとともに、郊外でも子育てしやすい住環境や自治体の施策が評価に影響していることを感じた。
明石市がその典型だが、高槻市(+40点)も医療施設や教育環境の充実が支持を集めており、姫路市も文化・娯楽施設や学びの施設充実で評価を高めている。
従来からのイメージやブランド力だけでなく、実利面でも住みやすさに注目が集まっている印象をもつ。今後、西宮北口のような住みたい街ランキング上位の常連となる街が新たに登場するかもしれない。今後の結果が楽しみだ。

■関連ページ
>「SUUMO住みたい街ランキング2022 関西版」
>住みたい街ランキング トップページ

■記事中に紹介しているランキング表について
・調査対象は関西2府4県(大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県)に住む20代~40代の男女4600人。調査は2022年1月に実施。最も住みたい街(駅・自治体)から3位までを投票し、最も住みたい街を3点、2番目に住みたい街を2点、3番目に住みたい街を1点として集計している。
・本年度より、集計方法を「※注」のように変更している。
※注:本年度より、「駅すぱあと路線図」において、複数の駅が、地下通路や連絡通路でつながっている場合には同じ駅として集計している。表中の※印は本年度より得点を合算している駅で、先頭に表記している駅を代表して表示している。以下が合算している対象駅
※1:梅田 大阪 大阪梅田 東梅田 西梅田 北新地
※2:神戸三宮 三ノ宮 三宮 三宮・花時計前
※3:なんば 難波 大阪難波 JR難波
※4:天王寺 天王寺駅前
※5:神戸 高速神戸 ハーバーランド
※6:烏丸 四条
※7:明石 山陽明石
※8:心斎橋 四ツ橋

「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」TOP30の家賃相場は?

リクルートでは3月17日、関西(大阪府・京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県・和歌山県)に居住している人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」を発表した。総合1位になったのは、4年連続で西宮北口駅。また2位から4位までのランキングも、4年連続同じ顔ぶれになった。今回は、このランキングTOP30のうち、上位10位の街をいくつかピックアップして深掘り。根強い人気の理由を探ってみる。
「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」TOP30の駅の家賃相場

順位/駅名/家賃相場(代表的な路線名/駅の所在地)
1位 西宮北口6.00万円(阪急神戸線/兵庫県西宮市)
2位 梅田 7.55万円(地下鉄御堂筋線/大阪府大阪市北区)
3位 神戸三宮7.15万円(阪急神戸線/神戸市中央区)
4位 なんば 6.95万円(地下鉄御堂筋線/大阪府大阪市中央区)
5位 天王寺 6.70万円(大阪府御堂筋線/大阪府大阪市天王寺区・阿倍野区)
6位 夙川 5.70万円(阪急神戸線/兵庫県西宮市)
7位 千里中央5.80万円(北大阪急行/大阪府豊中市)
8位 岡本 5.60万円(阪急神戸線/兵庫県神戸市東灘区)
9位 京都 6.30万円(JR東海道線/京都市下京区)
10位 江坂 7.25万円(地下鉄御堂筋線/大阪府吹田市)
11位 草津 5.70万円 (JR東海道本線/滋賀県草津市)
12位 宝塚 6.20万円 (阪急宝塚線/兵庫県宝塚市)
13位 芦屋川 6.30万円(阪急神戸線/兵庫県芦屋市)
14位 大阪 7.45万円(JR大阪環状線/大阪府大阪市北区)
15位 京都河原町 6.50万円(阪急京都線/京都府京都市下京区)
16位 桂 5.35万円(阪急京都線/京都府京都市西京区)
17位 嵐山 4.05万円(阪急嵐山線/京都府京都市右京区)
18位 御影 5.50万円(阪急神戸線/兵庫県神戸市東灘区)
19位 新大阪 6.78万円(地下鉄御堂筋線/大阪府大阪市淀川区)
20位 高槻 6.10万円(JR東海道本線/大阪府高槻市)
21位 神戸 6.60万円(JR東海道本線/兵庫県神戸市中央区)
22位 本町 7.60万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪府大阪市中央区)
23位 高槻市 6.00万円(阪急京都線/大阪府高槻市)
24位 烏丸御池 6.40万円(地下鉄烏丸線/京都府京都市中京区)
25位 烏丸 6.50万円(阪急京都線/京都府京都市下京区)
26位 姫路 6.00万円(JR山陽本線/兵庫県姫路市)
27位 明石 5.55万円(JR山陽本線/兵庫県明石市)
28位 南草津 5.50万円(JR東海道本線/滋賀県草津市)
29位 心斎橋 7.30万円(地下鉄御堂筋線/大阪府大阪市中央区)
30位 豊中 5.20万円(阪急宝塚線/大阪府豊中市)
30位 西宮 6.10万円(JR東海道本線/兵庫県西宮市)

利便性抜群の西宮北口、家賃のお手ごろさも魅力のひとつ西宮北口駅周辺の風景(写真/PIXTA)

西宮北口駅周辺の風景(写真/PIXTA)

総合1位は西宮北口駅。総合1位は4年連続で、「シングル女性」と「夫婦のみの世帯」「夫婦+子ども世帯」のライフステージ別のランキングでも首位になり、安定の人気ぶりだった。

関西の最大ターミナルである梅田へのアクセスへの良さに加え、最寄りである阪急電鉄は住宅開発とともに発展してきたという歴史的背景もあり、沿線は住環境の整備が進んでいる。西宮北口駅は、阪神大震災後の再開発のほか、阪急西宮スタジアム跡地を活用した「阪急西宮ガーデンズ」などの大規模商業施設が充実。阪急沿線ならではの阪急百貨店のほか、学生や若い世代から目の肥えた年配の方まで満足できるおしゃれなお店も多い。

一方で今年は「穴場だと思う街(駅)ランキング」でも、西宮北口駅は3位に。昨年の6位、一昨日の5位から順位を上げている。西宮北口の家賃相場は、6.00万円。交通や生活利便性の高さに対し家賃や物件価格、さらには買い物や飲食などの日常生活に関わる物価も含めてコストパフォーマンスのいい街であるとの認識が強くなっていることがうかがえる。

また、阪神大震災の記憶が残るこの近辺の住民の中では今も、家を選ぶとき、高層階では非常時に水を運ぶことができるのかなど、災害時のことを考慮する人も多い。西宮北口は従来、子育て環境のよさがその人気の大きな要因だったが、新型コロナウイルスの影響を受けた今年のランキングでは、こうした非常時にも、遠出をしたりせずとも近場で必要な用事をすませることができる便利さが、大きく評価されたようにも思われる。

夙川駅(写真/PIXTA)

夙川駅(写真/PIXTA)

夙川駅は、2年連続の6位。夙川駅は、テレワーク実施者によるランキングでは3位に入っている。

1位の西宮北口駅とともに所在地である兵庫県西宮市は、「住みたい自治体」ランキングで3年連続1位。夙川と西宮北口は隣駅で、特急の停車駅だ。梅田方面にも神戸方面にもアクセスがよく、商業施設やおしゃれな飲食店も充実しているが、「日本桜名所100選」にも選ばれている夙川河川敷の桜並木の存在もあり、緑の豊かな印象も受ける。交通や生活利便性の高さと“都会”すぎない環境を両立できることは、ともすれば気持ちがふさぐこともあるテレワーク勤務のうるおいにもなってくれるだろう。

江坂駅(写真/PIXTA)

江坂駅(写真/PIXTA)

10位の江坂駅は、大阪の大動脈である大阪メトロ御堂筋線沿線で、2位の梅田駅には約11分とすぐ。駅の周りはにぎやかな繁華街で、飲食店もかなり充実しており、遅い時間に帰る人にも便利なことから、大阪に転勤してきたビジネスパーソンなら、周囲から家探しの場所として真っ先におすすめされたという人も多い。

穏やかな気候で暮らしやすい草津、今後の開発も期待の高槻草津駅前(写真/PIXTA)

草津駅前(写真/PIXTA)

11位の草津駅は、滋賀県民が選ぶ住みたい街(駅)ランキングではトップ。穴場だと思う街ランキングでも、昨年の11位から大きく浮上し2位になっている。

新快速の停車駅で、大阪駅まで1時間以内、京都駅まで30分以内で直通している。所在地である草津市の玄関口で、商業施設などの充実ぶりが滋賀県のなかでは屈指の繁華街だ。東海道新幹線を利用する人なら、冬になると滋賀県は米原あたりの降雪で新幹線が停車したといったことを耳にすることが多いが、草津市は県南部に位置するため、雪は比較的少なく。一方で夏は涼しく、穏やかな気候で知られている。暮らしやすさは間違いないだろう。

高槻駅前(写真/PIXTA)

高槻駅前(写真/PIXTA)

20位の高槻駅は、大阪駅と京都駅までともに約15分と、交通アクセスは抜群だ。23位の高槻市駅とは、駅間距離が約700mで、間に暮らせば実質、JRと阪急の2路線が利用できる。

駅周辺は百貨店など商業施設が充実するほか、高槻市までの間にはアーケードの商店街「高槻センター街」もあり、生活利便性も高い。また、駅前にある関西大学 高槻ミューズキャンパスの中には児童図書館があるほか、2019年に開業した弥生時代の遺跡を活かした「安満遺跡公園」など公園の数も多く、親子が安心して遊べるスポットにも事欠かない。

現在、JR京都線(東海道本線)高槻駅と隣の島本駅の間で新駅の開発が検討されている。それとともに周辺エリアの市街地整備も計画されているほか、2023年度に全線開通予定の新名神高速道路のインターチェンジに付随する道路などの事業化などが予定されており、今後さらに交通や生活の利便性向上が見込まれている。どのように発展していくのか楽しみな街だ。

コロナ禍で生活に否応無しに大きな変化がもたらされることになったが、変化の中で得たこれまでにない観点から、住んでいる街や住みたい場所の新たな魅力が発見されることもある。部屋探しの際に、自分が何を重視するか。それを改めて見極めることが、長く満足して住める部屋が見つかることにつながるのかもしれない。

●調査概要
【調査対象駅】「SUUMO住みたい街ランキング 関西2021」TOP30の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2020/12~2021/2
【家賃の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む月額賃料から中央値を算出(3万円~18万円で設定)
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している

「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」TOP30の中古マンション価格相場は?

2021年3月、リクルート住まいカンパニーより「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」が発表された。関西圏(大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県)に居住している人を対象に、「今後、住んでみたい街(駅)」を調査する毎年恒例のこのランキングは、今回で12回目に。その結果も気になるが、上位になった人気の街の物件はいくらくらいなのかも知りたいところ。そこで、それぞれの街の中古マンションの価格相場も調べてみた。住みたい街ランキングの結果および、各街の価格相場を一挙にご紹介する。●「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」TOP30の駅の中古マンション価格相場
順位 駅名 価格相場(沿線/駅所在地)
1位 西宮北口 4585万円(阪急神戸線/兵庫県西宮市)
2位 梅田 5090万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪府大阪市北区)
3位 神戸三宮 3880万円(阪急神戸線/兵庫県神戸市中央区)
4位 なんば 4330万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪府大阪市中央区)
5位 天王寺 4380万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪府大阪市天王寺区)
6位 夙川 3880万円(阪急神戸線/兵庫県西宮市)
7位 千里中央 3965万円(北大阪急行電鉄/大阪府豊中市)
8位 岡本 3185万円(阪急神戸線/兵庫県神戸市東灘区)
9位 京都 3980万円(JR東海道本線/京都府京都市下京区)
10位 江坂 3380万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪府吹田市)
11位 草津 3480万円 JR東海道本線/滋賀県草津市)
12位 宝塚 2980万円 阪急宝塚線/兵庫県宝塚市)
13位 芦屋川 3580万円(阪急神戸線/兵庫県芦屋市)
14位 大阪 5830万円(JR大阪環状線/大阪府大阪市北区)
15位 京都河原町 5130万円(阪急京都線/京都府京都市下京区)
16位 桂 ※(阪急京都線/京都府京都市西京区)
17位 嵐山 ※(阪急嵐山線/京都府京都市右京区)
18位 御影 3880万円(阪急神戸線/兵庫県神戸市東灘区)
19位 新大阪 3280万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪府大阪市淀川区)
20位 高槻 4780万円(JR東海道本線/大阪府高槻市)
21位 神戸 3130万円(JR東海道本線/兵庫県神戸市中央区)
22位 本町 5295万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪府大阪市中央区)
23位 高槻市 4540万円(阪急京都線/大阪府高槻市)
24位 烏丸御池 5780万円(京都市営地下鉄烏丸線/京都府京都市中京区)
25位 烏丸 5340万円(阪急京都線/京都府京都市下京区)
26位 姫路 2639万円(JR山陽本線/兵庫県姫路市)
27位 明石 2880万円(JR山陽本線/兵庫県明石市)
28位 南草津 2939万円(JR東海道本線/滋賀県草津市)
29位 心斎橋 4980万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪府大阪市中央区)
30位 豊中 2480万円(阪急宝塚線/大阪府豊中市)
30位 西宮 3698万円(JR東海道本線/兵庫県西宮市)
※桂駅(16位)と嵐山駅(17位)は中古マンション価格相場の調査条件(下記)を満たさなかったため価格相場算出せず
※複数路線が乗り入れている駅は、「住みたい街ランキング」回答時に選択された路線のうち最も多い得点を獲得した路線名を表示

9年連続1位、不動の人気を誇る「西宮北口駅」の価格相場は4585万円!

今回調べたのは、「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」のトップ30の駅それぞれから徒歩15分圏内にある、専有面積50平米以上~80平米未満の中古マンションの価格相場。人気の街の価格相場はいかほどなのか、さっそく見ていきたい。

西宮北口駅周辺の風景(写真/PIXTA)

西宮北口駅周辺の風景(写真/PIXTA)

「住みたい街」トップ4は4年連続で同じ顔ぶれという結果になっている。なかでも1位に輝いた阪急神戸線・西宮北口駅は、2013年より連続で1位という不動の人気ぶり! 中古マンションの価格相場は4585万円とトップ30の中でも高めで、手が届きやすいわけではない様子。それでも支持される理由はどこにあるのだろう。西宮北口駅は大阪の中心地である梅田(阪急電鉄・大阪梅田駅)まで約15分、神戸の中心地である神戸三宮駅まで特急で約14分、という好立地。家族で大阪方面と神戸方面に分かれて通っている人や、関西圏内で広く転勤の可能性がある人にとっても好都合だ。しかも駅周辺自体も栄えており、西日本屈指の規模を誇るショッピングモール「阪急西宮ガーデンズ」をはじめ「アクタ西宮」「プレラにしのみや」など、大型の商業施設や、商業施設とマンション、公共施設の複合ビル、さらには「兵庫県立芸術文化センター」などの文化施設などが集結している。

梅田駅(写真/PIXTA)

梅田駅(写真/PIXTA)

2位は大阪メトロ御堂筋線・梅田駅。大阪を代表する駅だけあり、中古マンションの価格相場は1位・西宮北口駅よりもさらに高い5090万円だった。梅田駅のすぐ近くにはJR大阪駅や、阪神電鉄と阪急電鉄の大阪梅田駅、大阪メトロの谷町線・東梅田駅と四つ橋線・西梅田駅、さらにJR東西線・北新地駅もあり、さまざまな方面にアクセスしやすい環境だ。駅周辺には大型の商業施設やオフィスビルが林立し、働く街としても遊んだりショッピングしたりする街としても人気が高い。かねてからの再開発に加え、「阪神百貨店梅田本店」の建て替えプロジェクトも着々と進行中で、今年の秋には百貨店ゾーンがグランドオープン予定。オフィスゾーンを含む「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」としての全面開業は2022年春を予定しており、「梅田圏」はますます拡大中。今後も梅田の注目度は高まっていきそう。

三宮の街並み(写真/PIXTA)

三宮の街並み(写真/PIXTA)

3位は阪急神戸線・神戸三宮駅で、価格相場は1位や2位と比べるとややリーズナブルに思える3880万円。神戸高速線と阪神本線の「神戸三宮駅」もあるほか、駅名が微妙に異なるものの神戸市営地下鉄西神・山手線とポートアイランド線の「三宮駅」と、JR東海道本線の「三ノ宮駅」、神戸市営地下鉄海岸線の「三宮・花時計前駅」もほぼ同じ場所にあり、神戸の鉄道網の要と言える街だ。駅周辺は多彩な商業施設が建ち並ぶ都市の様相を見せつつ、駅南側には神戸港、駅北側には山並みを背にした北野異人館街が広がり、海や山も身近に感じられる点も魅力だろう。また、今年4月には神戸三宮駅に直結する「神戸三宮阪急ビル」が開業予定。地上29階建ての同ビル内にはホテルやオフィス、商業施設「EKIZO神戸三宮」がオープンするそうで、ますます多くの人でにぎわう駅となるだろう。

なんば駅前(写真/PIXTA)

なんば駅前(写真/PIXTA)

続いて4年連続で4位となった、大阪メトロ御堂筋線・なんば駅も見てみよう。価格相場は1位・西宮北口駅よりやや低い4330万円。大阪メトロの御堂筋線のほかに四つ橋線と千日前線、南海電鉄の南海本線と高野線が通り、さらに近鉄難波線と阪神なんば線の「大阪難波駅」、JR関西本線の「難波駅」も近隣しており、1位~3位の駅と同様に交通の便がよい環境。駅周辺には「ミナミ」と呼ばれる大阪でも屈指の繁華街が広がっており、観光客にもよく利用される駅の一つ。華やかな商業施設ばかりではなくマンションも数多く建ち並び、日常使いされるスーパーやコンビニ、大衆食堂も。活気ある繁華街であると同時に、暮らす街としても親しまれている。

「住みたい街」として人気が高いほど価格相場が高いとは限らない

「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」は、大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県に位置する駅から住みたい街(駅)を選択してもらっている。しかし1位~4位をはじめ、トップ30にランクインしたのは兵庫県、大阪府、京都府の駅がほとんどだった。そうしたなかで滋賀県の駅も2駅ランクインを果たした。それは11位・草津駅と28位・南草津駅。両駅はJR東海道本線の隣り合う駅で、直線距離だと2.5kmほどしか離れていない。ではこの草津駅とは、どんな街なのだろう。

草津駅前(写真/PIXTA)

草津駅前(写真/PIXTA)

草津駅を含む区間のJR東海道本線は「琵琶湖線」の愛称でも呼ばれており、草津駅の約4km西側には琵琶湖が広がっている。駅東口側には「近鉄百貨店」や、飲食店街やスーパーも備えたショッピングモール「Lty932・ガーデンシティー草津」があり、南草津駅へ向かう中間地点には市役所も。草津駅の西口側にも大型ショッピングセンター「エイスクエア」があるなど、草津市の中心地と言える活気ある街並みだ。JR東海道本線の新快速に乗れば京都駅までは約22分で行くことが可能。大津市や草津市など滋賀県内で働く人に加え、京都、大阪に通勤する人にとっても住む街として支持されている。

さて今回記載したランキングは「住みたい街」の人気順であり、いつもの中古マンションの価格相場の安い順ではない。ではトップ30の駅のうち、価格相場が最も低い駅はどこかを見てみよう。それは30位にランクインした、阪急宝塚線・豊中駅で価格相場は2480万円。先述したトップ4の駅とは違って同駅を通る路線は1本のみで、この点が価格相場の低さにつながっているとも考えられる。交通の便で言えば複数路線を利用できる駅にかなわないかもしれないが、駅に直結して飲食店や服飾・雑貨店、スーパーなどを備えた複合施設「エトレ豊中」があるなど、暮らしやすそうな街並み。また、駅の約2km西側には大阪国際空港(伊丹空港)があり、飛行機を利用しやすい環境でもある。

豊中駅前(写真/PIXTA)

豊中駅前(写真/PIXTA)

一方で最も価格相場が高かったのは、14位にランクインしたJR大阪環状線・大阪駅で5830万円。1位の梅田駅とほぼ同じ立地ながら、大阪駅を中心にした徒歩15分圏内の価格相場で比較すると梅田駅よりも740万円価格は高くなった。物件の駅からの徒歩分数を算出する方法は、駅のどこかの出口から80mで1分。梅田駅、大阪駅それぞれに出口はたくさんあり、徒歩15分圏内と言える範囲も異なっているため両者に差が出たようだ。とはいえ、梅田駅も大阪駅も同じ「梅田圏」、どちらの駅も利用可能な駅として表示している物件がほとんどなので、この広い圏内で見たときに、存在している物件の広さや価格にも幅があるということだろう。つまり梅田駅~大阪駅周辺の中古マンションは、幅広い選択肢があるので、物件を探す際は築年数や、立地条件など一つ一つ丁寧に見比べよう。

今回「住みたい街」の価格相場を調べてみたところ、必ずしも人気上位の街(駅)ほど価格相場が高いわけではないことが分かる。例えば「住みたい街」8位の阪急神戸線・岡本駅は、1位の西宮北口よりは神戸方面寄り、神戸三宮よりは手前の東灘区にあり、閑静な住宅街として人気だ。上位にランクインしている商業地域を多く含む街に比べ、住宅として選ばれる分、価格は控えめ。今回紹介したトップ30のうち8番目に低く、人気の高さの割にはリーズナブルに感じられるだろう。「人気の街だからきっと物件も高いだろう……」と決めつけず、気になる街があるなら一度はどんな物件があるのか、価格帯はどれほどなのかを調べてみたほうがよさそうだ。

●調査概要
【調査対象駅】「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」TOP30の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】
駅徒歩15分圏内、物件価格相場3億円以下、築年数35年未満、敷地権利は所有権のみ
カップル・ファミリー向け:専有面積50平米以上80平米未満
【データ抽出期間】2020/12~2021/2
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
※記事中の所要時間は7時30分~9時30分で駅探を使って検索した結果を記載

2021年の「住みたい街」、埼玉県が大躍進!コロナ禍で目覚めた地元愛?

リクルート住まいカンパニーでは、 関東圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)に居住している20歳~49歳の7000人が回答した「SUUMO住みたい街ランキング2021 関東版」を発表した。調査時期が2021年1月のコロナ禍であるが、ランキングに変動はあったのだろうか?【今週の住活トピック】
「SUUMO住みたい街ランキング2021 関東版」を発表/リクルート住まいカンパニーコロナ禍の住みたい街ランキング2021は、「横浜」が無敵の強さを見せる

さて、2021年の住みたい街(駅)ランキングの結果は、1位「横浜」、2位「恵比寿」、3位「吉祥寺」とTOP3は4年続けて同じ顔触れとなり、安定した人気を誇る結果となった。なかでも、横浜は各世代・各ライフステージから幅広い支持を集め、得点で2位以下を大きく突き放す強さを見せた。

住みたい街(駅)総合ランキングトップ20(関東全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

住みたい街(駅)総合ランキングトップ20(関東全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

コロナ下の調査ということで、筆者はランキングに変動があるかどうか気になっていた。というのも、コロナ下では郊外の街に人気が出ているという話題が多く、郊外の街で躍進があるのではないかと思っていたからだ。

しかし、ランキング上位に大きな顔ぶれの変動はなかった。複数路線が利用できるターミナル駅が上位に並び、にぎわいや利便性の高い街が顔をそろえたという印象だ。とはいえ、今回のランキングで注目したい点もある。近年着実に順位を上げている「さいたま新都心」や20位以内に躍り出た「舞浜」、「桜木町」など、埼玉県や千葉県、神奈川県の人気の街が、ランキングを上げている点だ。前年20位以内からランキングを下げたのは、「二子玉川」と「赤羽」なので、3県の人気の街が東京都の街を抑えたわけだ。

ほかに、2020年では得点60点未満のためにランキング圏外だった街で、2021年にランキングに入った街にも注目したい。85位の「逗子・葉山」、116位の「志木」、129位の「本郷三丁目」、132位の横浜「山手」、136位の「大森」、138位の「根津」、141位の「聖蹟桜ヶ丘」、同「ふじみ野」、147位の「朝霞台」、150位の「西日暮里」、155位の「ユーカリが丘」、160位の「蒲田」、同「中央林間」、163位の「武蔵小金井」、170位の「菊名」だ。

広域での知名度がやや低くちょっと地味な印象があるが、住み心地がよい街が見直され、数多くランキングに入ってきたということだろう。ちなみに、新駅「高輪ゲートウェイ」は64位だった。

自虐で知られる埼玉県の街が、住み心地のよさで躍進の気配

前年のランキングでは、「大宮」、「浦和」、「さいたま新都心」のさいたま市中核エリアの躍進が注目された。2021年でも、さいたま市中核エリアの躍進が続いたことに加え、33位の「和光市」、34位の「川口」、44位の「所沢」が過去最高順位を記録するなど、埼玉県勢が大躍進を見せた。

SUUMO編集長・池本洋一さんがランキングの記者発表会で説明したところによると、1都4県全体や埼玉県民から「埼玉票」が集まったからだという。特に注目したいのは、これまでは自県以外に投票していた埼玉県民が、自県にこれまでより多く投票したことだ。

埼玉県民が自県に投票した比率を見ると、過去4年で最高の55.4%に達している。その一方で、東京都民が自都に投票した比率は過去4年で最低の84.0%だった。埼玉県民が自県を見直して投票したのに対して、東京都民の票は他県に流れたというわけだ。

自県から自県への投票を集計した比率(出典:リクルート住まいカンパニー)

自県から自県への投票を集計した比率(出典:リクルート住まいカンパニー)

さらに、池本さんの分析によると、「その街を魅力的だと思う」項目で、浦和やさいたま新都心、川越では「街の住民がその街のことを好きそう」が、さいたま新都心や和光市では「人からうらやましがられそう」が、上昇したが、これらの項目は埼玉県民が東京都の街を選ぶ際に上位になる項目だという。

つまり、以前は東京都の街に憧れとして感じていた魅力を自県の街に感じるようになった、といった変化が起きて、自県の街に投票したと考えられるわけだ。

地元に長く滞在し、改めて住み心地のよさを感じるなど、コロナ禍による変化という側面もあるのかもしれない。埼玉県といえば、過激な「埼玉ディスり」で話題を呼んだ映画『翔んで埼玉』が思い浮かぶ。タモリが「ダサイタマ」という表現を広めたのに始まり、筆者の好きな落語でも三遊亭円丈師匠が「悲しみは埼玉に向けて」という新作落語を作ったりと、自虐ネタで知られる埼玉だが、どうやら埼玉県民は、自県をリスペクトするようになったようだ。

コロナ禍を受けて「理想的な街」に求めるのは、医療施設の充実

また、ランキングでは「今後の注目される街」も発表され、「錦糸町(東京都墨田区)」、「聖蹟桜ヶ丘(東京都多摩市)」、元住吉(神奈川県川崎市中原区)」となった。

これらの街が上位に選ばれたのは、コロナ禍の変化が関係している。「新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、回答者にとっての理想的な街の条件が変化した度合い」を「とても意識するようになった」~「ほとんど意識しなくなった」の5段階評価で尋ね、「とても意識するようになった」と「やや意識するようになった」の回答率の合計で、理想的な街の条件のランキングを行ったところ、次のような結果になった。

コロナ影響による「理想的な街」への意識変化TOP10(関東全体/単一回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

コロナ影響による「理想的な街」への意識変化TOP10(関東全体/単一回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

1位は病院や診療所などの「医療施設の充実」だ。コロナ感染者が入院できずに、自宅療養を強いられた事例が多かったことなどが影響しているのだろう。次に、「一回の外出で複数の用事を済ませられる」、「歩ける範囲で日常のものはひととおり揃う」、「徒歩や自転車での移動が快適だ」など、地域の暮らしの利便性を重視する項目も上位に挙がった。一方、憧れ系の項目は下位になった。

なお、記者発表会では、俳優の磯村勇斗さんやタレントの若槻千夏さんも登壇した。緑の丸っこいSUUMOくんも応援に表れ、いつも緑のネクタイをしている池本さんに色を添えるように、ゲストの二人も緑のファッションでご登場。

埼玉県出身の若槻さんは、「大宮が目黒の上に来た」、「ランキングに埼玉の多くの街が入っている」と埼玉躍進に喜びを見せた。また、今住んでいる「渋谷」の魅力についても語った。一方、磯村さんは井の頭公園や美味しいカレー屋がある「吉祥寺」に注目し、「スーパーが近くにあるか」「落ち着けるカフェがあるか」などを住みたい街の条件にしていると語った。

また、サウナアンバサダーをしている磯村さんには、池本さんが自然豊かでグランピングもできる「飯能」をおススメしていた。

さて、2021年のランキングの結果は、前年のランキングと大きく変わったという印象はあまり受けなかった。しかし、コロナ禍というまれな事態を経験したわれわれは、間違いなく今後住む街を選ぶ際の見方を変えるだろう。これからのランキングにそれが表れるのかどうか、来年のランキングにも注目したい。

2020年「SUUMO住みたい街ランキング」関西版発表! 1位「西宮北口」の人気はさらに強固に

リクルート住まいカンパニー(本社:東京都港区 代表取締役社長:淺野 健)は、関西圏(大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県)に居住している20歳~49歳の4600人を対象にインターネットによるアンケート調査を実施。「SUUMO住みたい街ランキング2020関西版」を発表した。果たして、どんな結果となったのだろう。
トップ4の順位は、3年連続1位「西宮北口」、2位「梅田」、3位「神戸三宮」、4位「なんば」住みたい街(駅)ランキング トップ10(出典:リクルート住まいカンパニー) ※複数路線が乗り入れしている駅の「代表的な沿線名」は、回答時に選択された路線のうち最も多い得点を獲得した路線を記載

住みたい街(駅)ランキング トップ10(出典:リクルート住まいカンパニー)
※複数路線が乗り入れしている駅の「代表的な沿線名」は、回答時に選択された路線のうち最も多い得点を獲得した路線を記載

SUUMO「住みたい街(駅)ランキング2020 関西版」の結果は、1位「西宮北口」、2位「梅田」、3位「神戸三宮」、4位「なんば」と、3年連続でトップ4の順位に変動は無かった。

順位に変化はなかったが、得点を見ると「西宮北口」はこの3年で着々と伸ばし続けており、人気の高さは、さらに盤石なものとなっている。年代別「住みたい街(駅)ランキング」においても、20代から40代すべての年代で1位となっており、幅広い世代から支持されているのが分かる。西宮北口は大阪と神戸三宮のあいだに位置し、2018年11月に「阪急西宮ガーデンズ」が大規模な増床を果たしたことで一層「商業の集積地」という印象を強くした。交通利便と商業利便が合致した最たる場所と言える。

住みたい街(駅)年代別ランキング トップ10(出典:リクルート住まいカンパニー)

住みたい街(駅)年代別ランキング トップ10(出典:リクルート住まいカンパニー)

西宮北口ブランドの威光は、周辺駅にまで及んでいる。「穴場だと思う駅ランキング」では、ひとつ隣の駅「武庫之荘」が12位から4位へ躍り出た。まさに「人気の西宮北口に最も早くアクセスできる穴場駅」だ。

4位「なんば」は前年からポイントアップ。大阪を縦に貫く「なにわ筋線」への期待値か(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

西宮北口同様、前年より得点を伸ばしたという点で4位の「なんば」にも注目したい。
確かに、このところのなんばには目を見張る動きがある。なんばと将来「うめきた」エリアに誕生する新駅を結ぶ鉄道路線「なにわ筋線」が2020年2月28日に工事施行を認可されたのだ。ミナミとキタを新しい鉄道路線が縦貫するとなれば、関西の鉄道ネットワークの歴史は大きく変わる。関西国際空港や新大阪駅へのアクセス性が向上するなど、なんばの交通利便性はさらに価値が高いものとなるはずだ。
西宮北口と同じく交通利便と商業利便が絶妙にマッチしており、なにわ筋線の開通により、今後さらに「使えるエリアになる」と将来性が見込まれる。その点も評価されて得点を伸ばしたのではないだろうか。

再開発が進み、ファミリー層の人気を獲得した「天王寺」

5位以下を見てみると、2019年から順位を上げたのが8位から5位に上がった「天王寺」、10位から7位の「千里中央」、9位から7位(千里中央と同率)の「江坂」。

初のトップ5入りを果たした「天王寺」は、2015年に幕を開けた駅北側の再開発が引き続き進み、緑地が多くなって風景ががらりと変わった印象がある。近鉄不動産と大阪市が共同で取り組む「天王寺動物園ゲートエリア魅力向上事業」の一環として、天王寺動物園の退園口に2019年11月、約5000平方メートルの広さを擁する「てんしば i:na(イーナ)」がオープン。バーベキューが楽しめるなど、天王寺北側は都会のオアシス的な存在となっている。ライフステージ別の住みたい街ランキングでも夫婦+子ども部門で15位から8位へ急上昇しており、ファミリー層からの支持率がひときわ上がった街だと言えるだろう。

天王寺駅(写真/PIXTA)

天王寺駅(写真/PIXTA)

「千里中央」「江坂」が躍進! 北大阪急行の延伸で大阪北部に注目が集まる千里中央の街並み(写真/PIXTA)

千里中央の街並み(写真/PIXTA)

7位の「千里中央」は「穴場だと思う街(駅)ランキング」でも13位から3位へ華々しくジャンプアップ。男女別の住みたい街ランキングでは、女性部門で14位から6位へ、年代別のランキングでは、20代で13位から10位へと駆けあがるなど、千里中央はいま関西でもっとも熱い視線が注がれる駅のひとつだと言っても過言ではないだろう。老朽化した駅前複合ショッピングセンター「千里セルシー」を解体し、隣接する「千里阪急」とともに巨大商業施設の建設が計画されている点も人気上昇の追い風になりそうだ。昭和の時代に「日本初のニュータウン」として庶民から羨望の視線を浴びた“センチュー”が、令和に再びニュータウンとして甦ろうとしている。

もうひとつ、千里中央の順位が上昇することとなった発端と考えられるのが、「北大阪急行電鉄の延伸」だ。昭和の大阪万博と同じ年に開業し、 50 周年を迎えた北大阪急行。2023年度に、これまでは始発/終着駅だった「千里中央」から大阪府の箕面(みのお)市まで延伸開業する予定だ。新しく敷かれる鉄道の沿線には大阪大学の新キャンパスをはじめ、「子育て」を核とした複合公共施設などの建設が進んでいる。完成すれば、千里中央には今後より多くの人口流入が見込まれるだろう。

Osaka Metro御堂筋線の北部の始発/終着駅である「江坂」の順位があがっているのも、北大阪急行延伸の影響が強いと考えられる。江坂はOsaka Metroと北大阪急行との相互乗り入れ駅でもあり、今後は交通利便性アップの恩恵をさらに受けることとなる。北大阪急行の延伸は江坂にとって大型複合商業施設「みのおキューズモール」と直結するという商業利便という面においてもメリットが大きい。Osaka Metro御堂筋線は終電時間の延長も計画されている。実施されれば終着駅である江坂はますます住みやすい駅になるはずだ。

江坂駅周辺の風景(写真/PIXTA)

江坂駅周辺の風景(写真/PIXTA)

「穴場だと思う街(駅)ランキング」は、尼崎市の街が4つランクイン!

「穴場だと思う街(駅)ランキング」の1位は、前年と同じく「尼崎」。順位は変わらないが得点は21ポイント増えており、「穴場な街といえば尼崎」という印象がさらに強化された感がある。阪神本線の駅としてランクインしているが、麒麟麦酒工場跡地が再開発されて以来、阪神のみならずJRも含めた尼崎圏全体のイメージそのものがクリーンアップされたのだろう。駅近なマンションの供給も増えつつ、それでいて価格は比較的抑えられているのも魅力的だ。

穴場だと思う街(駅)ランキング トップ10(出典:リクルート住まいカンパニー)

穴場だと思う街(駅)ランキング トップ10(出典:リクルート住まいカンパニー)

2位の「塚口」、12位から4位へ跳ね上がった「武庫之荘」、圏外から一気に8位へ票を伸ばした「園田」も尼崎市の街(駅)だ。2019年に発表された人口動態調査によると尼崎市は9年ぶりに人口が増加している。また、平成最後に「尼崎城」が築城されるなど、話題に事欠かない。今後は「穴場な街(駅)」の尼崎が、「住みたい街(駅)ランキング」へとステージを移していくのか注目したい。

13位から7位へランクアップしたのは、桂離宮など歴史遺産が数多く遺る京都西部の玄関口「桂」。阪急京都線と嵐山線の2路線が乗り入れており、京都河原町まで10分、大阪梅田まで特急で34分でアクセス可能。交通利便性が高い街でありながら、「碁盤の目」と呼ばれる家賃が下がりにくいエリアから微妙に外れており、繁華街に近いにもかかわらず比較的住宅開発が進んでいるのも、好感をいだかれた要因だろう。

昨年の圏外から8位へ急上昇したのが兵庫県の「明石」。子育て世代への施策を打ち出し、先ごろは紙おむつや粉ミルクなどを無料宅配する支援制度の予算案が可決されるなど、ファミリー層を魅了する点が多い街だ。ライフステージ別の「住みたい街(駅)ランキング」でも、夫婦+子ども部門で26位から18位へ順位をあげており、子育て支援の取り組みは如実に功を奏しているのが分かる。JR新快速で三ノ宮まで15分、大阪まで37分という交通利便性があり、海や山など自然に囲まれながらも駅前再開発により商業利便性も十分。家賃も阪神間と比較すると安い。2013年から明石市の人口が増え続けているのもそのためだろう。

「SUUMO住みたい街ランキング2020 関西版」の結果をひもといてみると、夙川や岡本、御影など以前から人気でブランドイメージが強い街がランクをやや下げているのに対して、天王寺や千里中央のように交通利便性と商業利便性があり、安価で家族で楽しめる緑地帯がある実利性が高い街の人気があがっているように感じた。来年の結果はどうなるのだろう。引き続き、注目していきたい。

今年から「住民に愛されている街」も発表!「SUUMO住みたい街ランキング 2020関東版」 記者発表会レポート

2020年3月3日、リクルートGINZA8ビルにて行われた「SUUMO住みたい街ランキング 2020関東版」 記者発表会の模様をSUUMOジャーナル編集部がレポート! 記者発表会は2部構成となり、第1部では池本SUUMO編集長が今年のランキングの傾向について語った。今回は「住みたい街ランキング」に加え、新たに「住民に愛されている街ランキング」も新設、住みたい街と住民に愛されている街との顔ぶれの違いについても解説している。第2部では、タレントのSHELLYさん、芸人のEXITさんが登壇し、新設された「住民に愛されている街ランキング」をテーマにトークショーを実施した。
「住みたい街ランキング」では、「横浜」が3年連続1位に!

2020年の住みたい街ランキングは、「横浜」が3年連続1位に輝いた。「交通利便性」、「商業施設・文化娯楽施設」、「資産性」の魅力度が上昇したことが、各世代、各ライフステージから幅広く人気を集めたようだ。

住みたい街ランキング 2020関東版

「横浜駅周辺は長きに渡り再開発が続いていることから、日本の“サグラダ・ファミリア”と呼ばれることも。その再開発もまもなく収束を迎えようとしています。かつて“馬の背”と呼ばれていた横浜駅西口の中央通路とダイヤモンド地下道を繋ぐ地下連絡通路がフラットになったことや、『アソビル』の開業など子育てファミリー層向けの商業施設が充実したこと、オフィスビル建設ラッシュで、より“働ける街”になったことで、さらに魅力的な街になっていることが要因として挙げられます」(池本編集長、以下同)

魅力を感じる項目

横浜以外にも上位にランクインしている街の全体傾向としては、大規模な商業施設がある利便性の高さや、メディア露出が多く、人・モノ・カルチャーが魅力的であることが挙げられた。

通勤アクセス良好の赤羽・さいたま市がアツイ!

今年のランキングでは、昨年に引き続き4位をキープした「大宮」をはじめ、「赤羽」(17位)、「浦和」(10位)、「さいたま新都心」(19位)の上昇に着目し、これらの駅の共通点として、「勤務地へのマルチアクセス」と「リーズナブルな家賃」を挙げた。

住みたい街ランキング 2020関東版

「勤務地を起点に住まいを選ぶケースが多いのですが、2018年から東京駅周辺と渋谷駅周辺にオフィスビルが増えたことから、東京方面、新宿方面の双方向へ直通でアクセスが可能な『上野東京ライン』、『湘南新宿ライン』沿線駅は通勤にも利便。さらにファミリータイプの平均家賃を見てみると、例えば『大宮』は10.8万円(※1)で、同じ距離圏の『横浜』は『大宮』の約1.5倍、柏はほぼ同等ではあるものの新宿方面のアクセスが悪い。東京方面と新宿方面のマルチアクセスが可能で、比較的リーズナブルな家賃で住めることがメリットになっています」

マルチアクセス×家賃の安さ

「大宮」、「浦和」、「さいたま新都心」のあるさいたま市は、英語が全国トップの学力であることや、15歳までの転入超過人数(※2)が全国1位と子育て世帯の転入が多いなど、学校教育への信頼が高いことも人気の理由の一つに。また、「赤羽」は、「せんべろ」で知られるディープな飲み屋街だけでなく、おしゃれな飲食店が増えて女子受けもする街に変わってきたことや、さまざまなメディアで紹介されて注目を集めたこと、大学のキャンパスが新設されたことにより若者層の利用が増加したことなどが挙げられた。

※1:[ ]内は、 ファミリー向け(3LDK/4K~)の賃料相場 /SUUMO調べ
※2:転入超過人数=転入者ー転出者

渋谷再開発により周辺エリアの人気UP! 穴場だと思う街は「北千住」が不動の1位に

「中目黒」(9位)、「表参道」(15位)、「三軒茶屋」(28位)といった、渋谷周辺エリアの順位も上昇傾向に。

渋谷駅周辺のランキングの2018年からの推移

渋谷駅周辺のランキングの2018年からの推移

「渋谷スクランブルスクエアをはじめ大型商業施設が次々にオープンしたことや、渋谷駅のホーム移転など渋谷駅周辺の再開発により利便性も向上。また、再開発に伴い新規・移転で渋谷にオフィスを構える企業も増加し、100年に一度といわれる『再開発』と『オフィス集結』によって、渋谷にアクセスしやすい周辺駅の居住ニーズが高まっているのも今年の特徴です」

また、交通利便性や生活利便性が高いのに家賃や物件価格が割安なイメージがある「穴場だと思う街ランキング」では、「北千住」が3年連続1位となり、「川口」が3位にランクアップした。

新設「住民に愛されている街ランキング」は、「片瀬江ノ島」がトップ! 「住みたい街」とは異なる顔ぶれに

「住みたい街」とは別に、実際に住んでいる人の街への好意度について、今年新たに「住民に愛されている街ランキング」を発表した。上位は1位片瀬江ノ島、2位馬車道、3位みなとみらい、4位代官山、5位千駄ヶ谷というラインナップで、「住みたい街ランキング」とは全く違った顔ぶれとなった。

住民に愛されている街ランキング/住民に愛されている街ランキング

「『住みたい街ランキング』の上位はJR沿線駅やターミナル駅が多く、一方で『住民に愛されている街ランキング』上位は私鉄沿線駅や各駅停車駅が多い傾向となり、全く顔ぶれが異なる結果となりました。双方に共通しているのは人からうらやましがられそうなイメージのあるエリアであることや、資産価値がありそうなエリアという点。『住みたい街』は、大型商業施設や文化娯楽施設が充実しているなど利便性の高さがポイントになっていますが、『愛されている街』では、その街独自のカルチャーを感じたり、景観の心地良さ、関わっていたいコミュニティであることが重要視されているようです」

オープンマインドな人が多く、住民による地域イベントなど魅力的なコミュニティが充実

1位の「片瀬江ノ島」をはじめ、「鵠沼」(8位)、「鵠沼海岸」(10位)のエリアは出張野菜販売会やヨガ教室、ワークショップなど、趣味や地元イベントなどを通じた住民の交流が非常に盛んで、気軽に参加できるコミュニティが充実。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

「江の島・鵠沼エリアには、海が好きで街のカラーを理解した上で移住してくるので、地域になじみやすい。新しいことに対する抵抗感があまりないオープンマインドな人が多く、単身者でも地元の店やイベントなどを通じて顔見知りになれたり、ホームパーティーなどで親交を深める文化もあります。また、身近に海という自然があることでのびのびと子育てができるのも魅力で、教育に関しても中学受験をあまりしないケースが多いと聞きます。それに加え、行政サービスが充実している点もメリットに感じている人が多いのではないでしょうか」

新旧が混在した街独自の美しい景観を楽しめる

「馬車道」(2位)や「みなとみらい」(3位)などのエリアは、歴史を感じるクラシカルな建物と先進的な高層ビルの新旧入り混じったハーバービューという自慢の景観があり、都市のお散歩が楽しめる魅力がある。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

「5位の『千駄ヶ谷』も同様に新旧が混在した街で、街路樹や公園が多いことや、ヴィンテージマンションが多く、その1階はセンスのいい店舗になっていることから、ヨーロッパの街並みを彷彿とさせる景観がみられる一方で、神宮前方面の昔ながらの商店街には個性的な店が集積していたりと、街並みに良いリズムを与えています」

その街ならではの独自のカルチャーに魅了される

「代官山」(4位)、「麻布十番」(6位)「牛込神楽坂」(14位)「代々木上原」(13位)などのエリアは、その街ならではともいえる独自の店があり、地域を愛する魅力的な人と会えるのが魅力的。

4位 「代官山」 6位 「麻布十番」 14位 「牛込神楽坂」 13位 「代々木上原」

「小道でおしゃれな店と出会える『代官山』や、外国文化と江戸文化が交差する『麻布十番』など、その街ならではのカルチャーに魅了された人たちが愛着をもつのかもしれません」

地元は落ち着いたコミュニティ、買い物はにぎやかな隣駅が一番住みやすい!?

今回の愛される街調査では、「下北沢」(67位)より「東北沢」(7位)が上位に、「自由が丘」(40位)より「緑が丘」(9位)「奥沢」(15位)が上位にランクイン。
「これらの駅は商業集積駅の小さな隣駅なので買い物など日常生活には困らず、地元は駅近で落ち着いたコミュニティの中で暮らせるというメリットがあります。住宅地としての歴史や誇りを住民が伝承しているエリアでもあり、お祭りや町内会の活動が盛んで、住民の方々が『自分たちの街は、自分たちで良くしていこう!』と主体的に関わっています」と、愛される理由を解説。

最後に、「今回、私たちが発表した2つのランキングのもつ意味は、今後人口が減少してく中、各自治体が人口ビジョンに対する打ち手を考える際に、『住みたい街ランキング』は今後新しい住民が流入してくる期待値を推し測る指標として、そして今回新設した『住民に愛される街ランキング』は、さらに街としての魅力を高め、流入してきた住民を定着させるための指標となればと考えています。この両面を見ることで、街の魅力をトータルで表現できるようになると思っています」と語った。

「住民に愛されている街」にまつわるエピソードや、注目している街についてトークセッションも!

そして、第2部にはゲストにタレントのSHELLYさん、芸人のEXITさんが登壇し、池本編集長と共に、新設された「住民に愛されている街ランキング」をテーマにトークショーを実施。
上位にランクインした街の中で利用したことのある駅やそこでの思い出を尋ねたところ、SHELLYさんは「横浜が地元なので、『馬車道』や『みなとみらい』が上位なのがうれしいですね! 地元民からしてもこのエリアはわざわざお出かけしていく街のイメージで、憧れが強い。初デートはみんな、みなとみらいでしたよ(笑)」と地元ならではのエピソードを語り、「代官山」を挙げたEXITのお二人は、「本が充実しているので、蔦屋書店にはよく行きます」(兼近さん)、「通っているエステサロンがあり、美容の街のイメージですね」(りんたろー。さん)と意外な一面(?)を披露。

「東北沢」や「緑が丘」、「奥沢」などの商業集積駅の隣駅が人気傾向という話題では、「昔、東北沢の近くのエリアに住んでいたんですが、同時利用できる駅が多くて、住んでみたら静かな街で住みやすかったですね」とりんたろー。さんが住み心地について語ってくれた。

今後気になる街や住む街を選ぶときの条件について伺ってみると、「最近気になっているのは、元町や石川町エリア。商店街がどんどんおしゃれになっているので、これから人気が出そうだなと思います。実際に住む街を選ぶときは、今は小さい子どもがいるので駅にエレベーターがあることはマスト条件ですね。子どもがいても温かく受け入れてくれるお店がたくさんある街だと安心ですし、スーパーや雨の日にも遊びに行ける児童館が近くにあるかどうかもポイントになります」(SHELLYさん)と、2児の母親ならではのご意見も。

今まで知らなかった駅名や、その街が愛される理由を池本編集長にレクチャーされながらトークが弾み、「これから上京するという方はぜひこのランキングを参考にしてもらいたい」(SHELLYさん)、「引越しを考えていたので、自分にとっても参考になった」(りんたろー。さん)という感想に対し、兼近さんは「今度は両国でSUUMO(相撲)部屋に住もうと思います」と会場の笑いを誘い、和やかなイベントとなった。

2020年の「住みたい街」TOP3は不動。「住民が好きな街」1位は意外な海辺の街!

リクルート住まいカンパニーは、 関東圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)に居住している20歳~49歳の7000人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2020関東版」を発表した。TOP3は3年続けて同じ街となったが、上昇した街もある。さらには新たに「住民が好きな街ランキング」も発表された。1位になったのはどこだろうか?【今週の住活トピック】
「SUUMO住みたい街ランキング2020関東版」を発表/リクルート住まいカンパニー住みたい街ランキング2020のTOP3位は不動の「横浜」「恵比寿」「吉祥寺」

2020年の住みたい街(駅)ランキングの結果は、1位「横浜」、2位「恵比寿」、3位「吉祥寺」とTOP3は3年続けて同じ顔触れとなり、安定した人気を誇る結果となった。

100年に一度の再開発といわれ、今注目の「渋谷」はどうだっただろう?大型商業施設が次々と開業し、銀座線の駅の移転やIT企業の本社移転など、話題には事欠かなった。筆者は「渋谷」が10以内に食い込んでくると思ったが、結果は11位と思ったよりも上昇しなかった。といっても、渋谷周辺の街が上昇しているのが面白いところだ。具体的には、「表参道」が20位から15位、「三軒茶屋」が37位から28位、「青山一丁目」が64位から40位、「広尾」が56位から42位など、渋谷単体ではなく周辺一帯で人気が高まっていることが分かる。

人気の「恵比寿」に加え、8位→7位→5位と上昇している「目黒」も合わせて、山手線南西エリアは、花見の名所もおしゃれなショップもある、人気ブランドエリアの地位を確保しているようだ。

住みたい街(駅)総合ランキングトップ30(関東全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

住みたい街(駅)総合ランキングトップ30(関東全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

ランキング上昇の注目の街は、「さいたま新都心」などのさいたま市中核エリア

2019年のランキングでも注目されたのが、さいたま市中核エリアだ。居住環境を整え、観光の拠点施設も擁するさいたま市だが、2020年でも4位の「大宮」、10位の「浦和」と安定した人気を見せた。昨年、浦和の躍進については、SUUMO編集長池本洋一さんの地元ということで忖度されたのではないかという噂が立ったが、どうやらその実力は本物のようだ。

実は「大宮」は4位を維持した形だが、男性と20代ではあの「吉祥寺」を抜いて3位になっている。女性でも票が伸びているのが特徴だ。首都圏から東日本への玄関口であり、駅の東口・西口ともに再開発が進行しているなど街が活性化しているという背景もある。

さらに注目したいのが「さいたま新都心」。29位→23位→19位と着実に順位を上げている。そもそもさいたま新都心が誕生したきっかけは、1986年に第4次首都圏基本計画として浦和・大宮地区が業務核都市に指定されたこと。さいたま新都心駅を開業し、政府機関の移転や「さいたまスーパーアリーナ」がオープンしたのは2000年のことだ。

こうしてビジネスの拠点都市となったさいたま新都心だが、「さいたま赤十字病院」や「埼玉県立小児医療センター」が開院し、医療の拠点ともなった。また、「コクーンシティ1・2・3」の大型ショッピングモールもあり、居住環境も整っている。総戸数1000戸の大型マンション「SHINTO CITY」の登場で注目度も高まっている。

ランキング発表会での池本さんの説明によると、「大宮」、「浦和」、「赤羽」、「さいたま新都心」の上野東京ライン、湘南新宿ラインが並走する4駅がそろってトップ20に入ったことについて、「東京方面、新宿方面の双方向へ直通でアクセスが可能」で、かつ「物件価格・家賃の割安」があることが人気の背景にあるという。さらに、さいたま市で教育環境が整っていることも、押上効果が大きいのだそうだ。

「行きたい街」ではなく「住みたい街」になるには、街のイメージやアピール力に加え、交通や買い物の利便性や居住環境が整っていることなども大きな要因となっているわけだ。

「SUUMO 住みたい街ランキング 2020関東版 記者発表会」資料より(出典:リクルート住まいカンパニー)

「SUUMO 住みたい街ランキング 2020関東版 記者発表会」資料より(出典:リクルート住まいカンパニー)

住んでいる人が回答!住民が好きな街ランキング1位は、「片瀬江ノ島」

今回のランキング発表では、新たなランキングが加わった。これまでのランキングは、あの街に住みたい、住んでみたいと思うかどうかだった。いわば“自由投票”といってよいだろう。住んだことがある人の実感値とは異なる場合もあるだろう。

新たなランキングは、「お住まいの街が好きか?」と住民に聞いている。いわば“限定投票”だ。SUUMOでは「住民に愛されている街」と呼んでいた。

住民が好きな街(駅)ランキング(関東全体)(出典:リクルート住まいカンパニー)

住民が好きな街(駅)ランキング(関東全体)(出典:リクルート住まいカンパニー)

上位の顔ぶれを見ると、意外に小さな街が多いことに気づく。それもそのはずだ。住宅地でないと多くの住民はいない。“全国区”ではないが、その地域では知られた住宅地、いわば“地方区”のトップが並んだという印象だ。

「住民が好きな街」は、歴史ある住宅地が多くランキングされていること、ランドマークや個性的な街並みを持つ街が入っていることなど、「住んでみたい街」とは異なる特徴がある。

池本さんの説明によると、住民に愛される街には次の3つの特徴があるという。
(1)魅力的なコミュニティ(片瀬江ノ島、鵠沼、鵠沼海岸)
(2)街独自の景観(馬車道、みなとみらい、千駄ヶ谷)
(3)ローカルカルチャー(代官山、麻布十番、牛込神楽坂、代々木上原)

(2)自慢の景観があり、都市のお散歩が楽しめる「街独自の景観」と(3)その街独自の店があり、地域愛のある魅力的な人と会える「ローカルカルチャー」については、筆者も感じたが、(1)趣味や地元イベントなどを通じた住民同士の交流が盛んな「魅力的なコミュニティ」については、盲点だった。

特に1位の「片瀬江ノ島」は、住宅地というより海辺の街という印象が強いが、海好きが集まる独特のコミュニティが形成され、のびのびと子育てできる環境なども評価されているという。

たしかに住民に愛されるには、愛着を感じる魅力的なコミュニティが何よりも強い要因になるだろう。

「住みたい街」と「住民が好きな街」では違いがあるなど、興味深い点も多い今回のランキングだった。ただいずれも、生活利便性が高くブランドのある街だという点は共通している。商業施設や文化娯楽施設が欲しいのか、街独自の文化が欲しいのかが、人によって違う点だろう。
さて、あなたならどの街を1位に挙げるだろうか?

リトル・コリアだけじゃない! “ごちゃ混ぜ”多国籍タウン、新大久保の最新事情

リトル・コリアとして有名な新大久保。しかし、東京には西葛西の「リトル・インディア」、高田馬場の「リトル・ヤンゴン」、竹ノ塚の「リトル・マニラ」など、「リトル〇〇」と呼ばれる街がいくつもある。

しかも、新大久保はもはや韓国人だけでなく、さまざまな国から人が集い、コミュニティを形成している“ごちゃ混ぜ”タウンになっている。今回は、そんな新大久保に深く潜入し、取材を続けている室橋裕和さん(45歳)に街の最新事情を教えてもらった。

新大久保駅の北口、日本語はほとんど聞こえない室橋裕和さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

室橋裕和さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

室橋さんは今年5月、日本で暮らす外国人のコミュニティを取材し、彼らの暮らしに迫ったルポ、『日本の異国 在日外国人の知られざる日常』(晶文社)を出版している。

練馬の「リトル・モンゴル」、池袋の「リトル・ダッカ」など、意外な街の意外なコミュニティも紹介(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

練馬の「リトル・モンゴル」、池袋の「リトル・ダッカ」など、意外な街の意外なコミュニティも紹介(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

集合は新大久保駅の北口。日本語はほとんど聞こえない。目を閉じて音だけ聞いていると、アジアのどこかの街を旅行で訪れたような気になる。

室橋さんが歩き出す。

「来年春に大久保エリアのことを書いた本を出版する予定でして、その取材も兼ねて2年前にこの近所に引越したんです。今はネパール系、ベトナム系の方がずいぶん増えましたね」

冒頭の、通りに室橋さんが立っている写真は、室橋さんが「新大久保の中でもごちゃごちゃ感がある通りのひとつ」と称する一角。最近できた中国料理屋の店頭には水槽が置かれ、ザリガニが元気に泳いでいる。もちろん、食用だ。

食べ方は茹でたり蒸したりといろいろ。中国の中でも東北地方の方が多く進出してきているという(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

食べ方は茹でたり蒸したりといろいろ。中国の中でも東北地方の方が多く進出してきているという(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「通りの奥に専門学校や語学学校がいくつかあって、若者はそこにみんな通っています。夕方の今ごろは学校が終わってアルバイトに行く時間帯ですね」

ネパール人の夫とベトナム人の妻が切り盛りする「新大久保アジア屋台村」。外から店内が見えるため、入店しやすい(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

ネパール人の夫とベトナム人の妻が切り盛りする「新大久保アジア屋台村」。外から店内が見えるため、入店しやすい(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

ここで、室橋さんがアジアンフード店の前に置かれた袋麺を手に取った。

「これは『ハオハオ』といって、ベトナムで売り上げナンバーワンのインスタント麺。最近、日本への輸入が始まったんです」

製造元は日本の食品メーカー、エースコック。いわば、逆輸入という形だ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

製造元は日本の食品メーカー、エースコック。いわば、逆輸入という形だ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

さらに、なぜか日本食の弁当も。「売れるなら何でも売ってやろう」という貪欲さを感じる。

ランチの売れ残りだろうか、値下げがうれしい。漢字の間違いはご愛嬌(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

ランチの売れ残りだろうか、値下げがうれしい。漢字の間違いはご愛嬌(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

500円ランチはこの辺りの相場、ギリギリで価格競争をしている

今日は2軒の飲食店を回る。1軒目はネパール料理店の「ラトバレ」。

2015年12月にオープン。「リトル・カトマンズ」のシンボル的存在だ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

2015年12月にオープン。「リトル・カトマンズ」のシンボル的存在だ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

店内に入ると、BGMはしっとりとしたネパール音楽。

「ランチが安くて美味しいので時々食べに来るんです。この辺で働いているネパール人も『ここがいちばんおいしい』と言います。日本人客はほとんどいなくて、異国情緒が味わえるお店」

ランチメニューは16時まで。間に合った。さて、何をいただこうか(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

ランチメニューは16時まで。間に合った。さて、何をいただこうか(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

注文したのはチキンカレー、ダルカレー、タルカリ、ライス、アチャルが付いた「Aセット」(500円)とネパール風蒸し餃子の「モモ」(600円)。

「ネパール語で豆は『ダル』、ご飯は『バート』。このセットは『ダルバート』というあちらの定食です」

おっと、ずいぶん安くないですか?(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

おっと、ずいぶん安くないですか?(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「500円ランチはこの辺りの相場ですね。ギリギリの採算で価格競争をしているんだと思います」

先述したように「リトル〇〇」は各地にある。なぜ、その街に外国人のコミュニティが生まれたのか。室橋さんによれば、「いろんなケースがありますが、確実に言えるのは誰か一人、頼れる人物がいるということ」

新大久保のネパール人コミュニティでいえば、ネパール語新聞『ネパリ・サマチャー』の編集長、ティラク・マッラさんだという。この辺りのネパール人の父親的存在で、「彼がいるなら俺らも安心して暮らせるな」と人が集まってくる。

大久保エリアの食材店に置いてある『ネパリ・サマチャー』。以前は週刊だったが、現在は隔週刊に(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

大久保エリアの食材店に置いてある『ネパリ・サマチャー』。以前は週刊だったが、現在は隔週刊に(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

こんな話も聞けた。

「一時期、技能ビザの中のコックという資格でネパール人がたくさん入って来ました。しかし、さすがに多すぎるだろうというのと、書類を偽造する業者がネパールでたくさんいることが発覚したんです」

こうした余波で、ここ1、2年はネパール人に対してコックとしての入国ビザは下りていない。

百人町は下級武士の屋敷の区割りが当時のまま残っている

本場のネパール料理に舌鼓を打ったところで、再び散策スタート。室橋さんが立ち止まる。

「ここはタイの弁当屋で美味しい。手づくりのスイーツも人気で、すぐに売り切れます」

ボリュームがある上に、ここも安い。そして、タピオカはタイでも大流行中なのだ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

ボリュームがある上に、ここも安い。そして、タピオカはタイでも大流行中なのだ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

今、我々が歩いている百人町は、かつて「鉄砲百人組」と呼ばれる下級武士の屋敷が並んでいた。その区割りが当時のまま残っているため、道は細くて狭い。

「この辺はネパール、ベトナムゾーンで、台湾と中国が少し。韓国はあまりない。ベトナム料理屋では、そろそろ『山羊鍋始めました』という貼り紙が出る時期ですね」

東京媽祖廟の前を通りかかった。これは航海と経済の女神様を祀る建物で、台湾華僑にとっては心の拠り所だ。

残念ながら入れなかった。「たしか、日曜日は入れるはず」と室橋さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

残念ながら入れなかった。「たしか、日曜日は入れるはず」と室橋さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

ペルー人のシェフがいる「ペルー南米酒場」もオススメだという。

「ちょっと高いけど美味しいですよ。このビルのテナントもごちゃごちゃで、上階には住んでいる人もいて、コインランドリーがあります」

カラオケ、和食、ショットバー、そしてペルー(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

カラオケ、和食、ショットバー、そしてペルー(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「戦争で焼け野原になった大久保エリアの土地を買い始めたのが韓国人や台湾人。ほどなくして、ロッテのガム工場もできて労働者が集まる場所になった。戦後の復興の中、新宿で働く韓国人や台湾人の後背地として栄えた街なんです」

ベトナム人の女の子たちも来ているから味も保証付き

大久保通りを渡ったところで、テイクアウトのケバブ屋を発見。そう、トルコもアジアの一員だ。

23時まで営業している「SARAY 大久保店」(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

23時まで営業している「SARAY 大久保店」(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「人気のケバブ屋です。美味しいし、店員がものすごくフレンドリー。トルコ人とネパール人が日本語でずっと喋っているんです」

歩くごとに、さまざまな人種と料理の匂いが混じり合う。

「長年ニューヨークで暮らしていた日本人の知人を連れてきたら、『ニューヨークみたい』だと言っていましたね」

お次はバインミー専門店。ベトナムのサンドウィッチだ。

ハノイの実家もバインミー専門店だというオーナーが開いた「BAMI OISHI」。(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

ハノイの実家もバインミー専門店だというオーナーが開いた「BAMI OISHI」。(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「とにかく、量がすごい。現地でもこんなに多くないですよ。ベトナム人の女の子たちも来ているから味も保証付きでしょう」

実家のバインミー専門店の味を忠実に再現している(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

実家のバインミー専門店の味を忠実に再現している(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

勢いで購入したのは具がぎっしり詰まった特大サイズの「たっぷり」(700円)。

見よ、圧倒的なボリュームを。パテやハムも厨房内で手づくりしている(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

見よ、圧倒的なボリュームを。パテやハムも厨房内で手づくりしている(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

最終目的地の「イスラム横丁」は雑多な外国人エリア

さらに、散策は続く。

タマネギもジャガイモも安すぎやしませんか?(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

タマネギもジャガイモも安すぎやしませんか?(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「土地柄、外国人専門の不動産屋も多いですね。家賃は決して安いわけじゃないけど、新宿駅の隣なのでそこそこの値段。でも、この大久保エリアですら外国人に貸してくれる大家さんは全体の2割ぐらいしかいないのが現状です」

しかし、最近は外国人にも貸す賃貸オーナーも少しずつだが増えてきているという(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

しかし、最近は外国人にも貸す賃貸オーナーも少しずつだが増えてきているという(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

大久保エリアをぐるりと一周した。最終目的地はディープな「イスラム横丁」だ。

「イスラムオンリーというわけではなく、要するに雑多な外国人エリア。インド人オーナーの食材店、『グリーンナスコ』が中心的なスポットです。品ぞろえが豊富でラマダンの期間は特売セールで安くなります」

1階は食材売り場、上階にはモスクもある(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

1階は食材売り場、上階にはモスクもある(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「イスラム教徒はお酒禁止だけど、日本ではみんなバンバン飲んでいますね。でも、ここのモスクのボスは厳格なので1階でお酒は売っていません」

1階の食材売り場では日本語がほとんど見当たらない(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

1階の食材売り場では日本語がほとんど見当たらない(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

路地の奥には鮮魚店があった。

ネパール人に人気の「大間水産」。ネパールには海がないため、淡水魚の味に近いボラが人気だという(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

ネパール人に人気の「大間水産」。ネパールには海がないため、淡水魚の味に近いボラが人気だという(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「ちょっと、これ見て」と室橋さんから声がかかる。指を指す先を見ると、赤魚の粕漬け16枚が800円で売られていた。

安すぎる謎の価格設定(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

安すぎる謎の価格設定(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「ちなみに、大久保エリアでは送金業者がコンビニより多いんです。一気に増えたのは、ここ5年間ぐらい。日本の銀行経由で送るより手数料がずっと安い。それ以前は非合法の地下送金を利用するしかなかった」

店によってネパール特化、バングラディシュ特化など、専門分野があるそうだ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

店によってネパール特化、バングラディシュ特化など、専門分野があるそうだ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

1カ月前に来日したばかりの店員と日越交流が始まった

新大久保ツアーのゴールは「ベトナムフォー」という名のベトナム料理店。

「ベトナム料理店は当たり外れが激しいけど、ここは一番のおすすめ。ランチタイムはベトナム人の学生であふれ返って学食みたいになるんですよ」

本場のベトナム料理が楽しめる有名店(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

本場のベトナム料理が楽しめる有名店(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

階段を上って入店すると、メロウでスローテンポな歌声が聴こえてきた。今回のツアーでは国ごとのご当地ソングが流れるBGMもムードを高めてくれる。

かなり広い店内。窓からはイスラム横丁を見渡せる(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

かなり広い店内。窓からはイスラム横丁を見渡せる(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

ベトナム風お好み焼きの「バインセオ」(1100円)、「豚肉のレモングラス巻き焼き」(870円)、そして「ハス茶」(500円)を注文。

運ばれてきた「バインセオ」を見て、室橋さんが「おお、こんなにでかかったか」と声を上げる。

「豚肉のレモングラス巻き焼き」はベトナムの定番料理(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「豚肉のレモングラス巻き焼き」はベトナムの定番料理(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

室橋さんがベトナム語で女性店員に話しかけると、「おお、すごいねえ」という反応。

ここから日越交流が始まった(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

ここから日越交流が始まった(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

ひとしきりの会話が終わって、室橋さんに「何を話していたんですか?」と聞いた。

「最初、ベトナム語で『ありがとう』と言いました。彼女はちょっと前にイオンモールができたホーチミン近郊の街の出身で、1カ月前に日本に来たばかりだそうです」

いろんな国の人たちとの関係ができたから、正直、離れづらい

心温まる交流を目にしたところで、濃密な新大久保ツアーは終了。

2015年の調査によれば、大久保・百人町エリアに住む外国人人口は約1万3000人。外国人比率は3割を超えている。もちろん、これに別の街からやってくる外国人を加えれば、相当な数になるはずだ。そんな新大久保は姿を変えながら、常に新しいコミュニティが生まれている街だった。

今回ガイド役を引き受けてくれた室橋さんは、埼玉県入間市の出身。大学時代からバックパッカーとしてアジア全域の旅を続けてきた。自身では「入間が何もない街だったから世界を見たいと思ったんでしょうね」と振り返る。

さらに、2005年にはタイに移住。10年間住んだのち、4年前に帰国した。来年の春には新大久保取材の集大成としての書籍が出る。ひと区切り付くわけだが、またどこかに移住するのだろうか。

タイに住んでいたころの室橋さん(写真提供/室橋さん)

タイに住んでいたころの室橋さん(写真提供/室橋さん)

「そういう気持ちもありますが、この街でのいろんな国の人たちとの関係がだいぶできちゃって。毎週月曜日はヒンズー教徒の集まりに誘われたりとか。気を使わないで暮らせる街だから居心地がいい。正直、離れづらいです」

ベトナムの旧正月にはベトナム人の女性がアオザイを着て街の風景を彩る。ネパールのダサインというイベントの時期にはネパール人が浮き足立つ。新大久保で暮らすということは、日本にいながらにしてアジアを旅しているようなものなのかもしれない。

●取材協力
室橋裕和さん
アジア専門の記者、編集者。元週刊誌記者で、元タイ在住10年。現在は新大久保に住み、アジア関連、日本の中のアジア関連、新大久保情報を発信している。著書に晶文社刊「日本の異国」がある。新聞やWebメディアでの連載も持つ。
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首都圏スーパーマーケットの戦略。地元で愛されるための裏側とは

住まい選びでは、家そのものだけでなく、公園やスーパー、病院など周辺環境も重要な要素のひとつ。お気に入りのスーパーがあるとその街に住みたくなったり、街に愛着が湧いたりしますよね。今回は、暮らしを楽しくしてくれる首都圏の「ご当地スーパー」とその特色をテレビ番組『マツコの知らない世界』(TBS系)にも出演した「スーパーマーケット研究家」の菅原佳己さんに聞いてきました。
スーパーの注目ポイントは、お惣菜とポップ広告

スーパーと聞いて、あなたが思い浮かべるのはどのお店でしょうか。小売業界の売上高ではおなじみの「イオン」が首位を走り、ついでセブン&アイHDの「イトーヨーカドー」が追うという構図になっています。ただ、スーパーマーケット研究家の菅原佳己さんによると、大手はもちろん、全国津々浦々、その土地で愛されている「ご当地スーパー」は今も元気で、そこには「生産するメーカー、販売するスーパー、購入する消費者」、それぞれの歴史と文化がつまっているのだそう。

「一見、ネットが日本各地の情報を網羅しているよう思えますが、まだまだ知られていない食品や食材があるもの。だから、各スーパーの目利きバイヤーは、いつも新しいものを我先に見つけて販売してやろう、新しい食べ方や食材を提案しようと考えているんです。スーパーは、そうした熱意や思いがあるほど面白い」とその魅力を明かします。

「スーパーマーケット研究家」の菅原佳己さん(写真提供/菅原佳己さん)

「スーパーマーケット研究家」の菅原佳己さん(写真提供/菅原佳己さん)

そんな各バイヤーの努力をダイレクトに感じられるのが、「お惣菜とポップ広告」だと言います。

「食品以外の衣料品なども扱う総合スーパーの売上は苦戦していますが、食品を中心に扱うスーパーの中には売上好調の店も少なくありません。カギを握っているのはお惣菜です。各社、メニューはもちろん価格、品質で差別化をはかり、惣菜の割合は年々大きくなっています」(菅原さん)

惣菜がアツい理由は、ひとり暮らしや夫婦共働きが増え、「中食」というライフスタイルが定着したこと。確かに以前の「スーパーのお惣菜」といえば、揚げ物が中心で、手抜きというイメージが強かったのですが、今は、「ヘルシー」で「おしゃれ」、さらに「美味しい」のだとか。筆者もですが、とかく子育てしているお母さん・お父さんに時間の余裕はありません。「食事づくりのために家族がイライラするくらいなら、お惣菜を買って、ニコニコ過ごそう」と考える人が増えているのでしょう。ゆえに「惣菜を制するものは、スーパーを制す」という状況になっているのだそう。そしてもう一つのカギは「ポップ広告」。

「とにかく、今、普通に商品を並べていてもモノは売れません。だから、モノがうまれた背景、ドラマを伝える必要がある。例えば、地元の農家が育てたこだわり野菜を扱う、山梨県八ヶ岳の麓のスーパー『ひまわり市場』では、くすっと笑えて、へーとためになるポップが、商品のファンを増やすきっかけになっています」(菅原さん)。なるほど、情報を伝えるだけでなく、思いを伝えるから「買ってみようかな」という行動になるんですね。

菅原さんの9選。首都圏・近郊の注目ご当地スーパーは?

規模には大小の差はあれど、個性あふれる店舗がひしめく首都圏で、今、菅原さんが注目している特徴的なスーパーをご紹介していきましょう。

惣菜で強さを見せる「サミット」(本社・東京都杉並区/東京中心に115店舗展開)
「お惣菜に注力していて、どれも内容・価格・味ともにバランスがよいものばかり。毎年、スーパーマーケットトレードショーで開催される『お弁当・お惣菜大賞』で入賞を果たしている実力派。30種類以上ある揚げ物もクオリティが高く、美味しいですよ」

サミットの三元豚とんかつ(写真提供/菅原佳己さん)

サミットの三元豚とんかつ(写真提供/菅原佳己さん)

おしゃれで気の利いている「成城石井」(本社・神奈川県横浜市/171店舗展開)
「元・一流レストランのシェフらが開発したエスニックな惣菜、流行を先取りしたスイーツは、毎日、彼ら自身が調理もする本格的なシェフの味。品ぞろえも価格帯、バリエーションもとにかく『さすが』のひとこと。来客があっても、慌てないですみますよね。スーパーとレストランを融合させたグローサラントという新業態も注目です」

成城石井のモーモーチャーチャー(写真提供/菅原佳己さん)

成城石井のモーモーチャーチャー(写真提供/菅原佳己さん)

元祖スーパーマーケット「紀ノ国屋」(本社・東京都新宿区/9店舗展開)
「日本で初めて、アメリカンタイプのレジとカートを導入して、スーパーマーケットの業態を始めたのがこの紀ノ国屋。青山の本店にいくと『ああ、これが元祖スーパーの紀ノ国屋……』と感慨に浸れます。各国の食材のほか、ロゴ入りのオリジナルグッズも充実していて、お土産にもオススメです」

パスポートなしで行ける海外「ナショナル麻布スーパーマーケット」(本社・東京都港区/3店舗展開)
「日本とは違うスーパーの空気が流れているのが、ナショナル麻布です。1階の食品だけでなく、2階は本場のハロウィン、クリスマスなどのパーティーグッズが満載。日本のスーパーでは見かけない珍しい商品がそろっていて、外国に行ったよう。各国大使館が近隣にあり、お客さんも国際色豊か。海外旅行にでかけた気分になりますよ!」

ナショナル麻布スーパーマーケット(写真提供/菅原佳己さん)

ナショナル麻布スーパーマーケット(写真提供/菅原佳己さん)

(写真提供/菅原佳己さん)

(写真提供/菅原佳己さん)

会長のイチオシに注目。勢いのある「OKストア」(本社・神奈川県横浜市/108店舗展開)
「商品点数を絞り、毎日低価格の『EDLP(Every Day Low Priceの略。特売はせずに毎日低価格)路線』で多くのファンから支持されています。商品の状況を報告する独自のポップ『オネストカード』の存在も信頼獲得につながっています。惣菜も充実していて、パンは店舗で生地からつくっているほか、大きなピザがワンコイン以下(税抜き価格)! でも、チープな感じがしません。個人的には『会長のオススメ』商品がハズレがなく好きです」

会長のおすすめ品(写真提供/菅原佳己さん)

会長のおすすめ品(写真提供/菅原佳己さん)

商品の状況を報告するオネストカード(写真提供/菅原佳己さん)

商品の状況を報告するオネストカード(写真提供/菅原佳己さん)

大きなピザ(写真提供/菅原佳己さん)

大きなピザ(写真提供/菅原佳己さん)

さいたまで独自路線を貫く「ヤオコー」(本社・埼玉県川越市/172店舗展開※グループ店含む)
「もともと、惣菜に注力していた埼玉県のスーパー。お惣菜の味を均一にせず、地元のお母さん方が食べ慣れた味をということで、北部と南部で少しずつ味が異なることで、埼玉の地域に根ざして愛されてきました。埼玉を中心に千葉や東京郊外などで展開。おはぎとからあげの美味しさには定評があり」

ヤオコーのおはぎ(写真提供/菅原佳己さん)

ヤオコーのおはぎ(写真提供/菅原佳己さん)

商社の総合力が光る「業務スーパー」(本社・兵庫県加古郡/838店舗展開※フランチャイズ含む)
「その名の通り、業務用食品を多く扱いますが、神戸物産という商社が運営しているため、よく見ると直輸入の世界の名品に出会えます。おうちカフェにも使えそうなフレンチフライやワッフルも本場ベルギーの冷凍食品で、味も姿もトレビアン。コストカットのためにパッケージは簡素で大容量。冷凍品なら日持ちするので、冷凍庫をキレイにしてから買いに行くといいでしょう」

かつてスーパーといえば、安さで勝負する「価格競争」のイメージが強かったのですが、最近では「時短」「手抜き感がない」「毎日の食卓がちょっと楽しくなる」という意味で、家庭のご飯をサポートする企業という側面もあるんですね。また、ときには日常から抜け出し、「逗子や羽村など郊外にも独自の魅力で惹きつけるスーパーがあるので、ぜひ訪れて」と菅原さんは続けます。

湘南にこの店あり!「スズキヤ」(本社・神奈川県逗子市/12店舗展開※グループ店含む)
「神奈川県の逗子を中心に湘南、鎌倉に店舗を構えるスーパー。多くの著名人や文化人など昔からの顧客を満足させてきたのは、素材の良さだけでなく、丁寧な仕事の中身と言えます。ひとつひとつの目玉を取り除いた春のホタルイカ、パックのなかでバラの花のように華やかに盛り付けられているスモークサーモンの美しさは秀逸。今でいうSNS映えを先取りしているかたちですよね。逗子や葉山、鎌倉のメーカーと共同で開発したプライベートブランド商品はここでしか買えませんし、絶品です」

目玉を取り除いたホタルイカ(写真提供/菅原佳己さん)

目玉を取り除いたホタルイカ(写真提供/菅原佳己さん)

見た目も美しいスモークサーモン(写真提供/菅原佳己さん)

見た目も美しいスモークサーモン(写真提供/菅原佳己さん)

ここでしか買えないオリジナル商品も多数、そろえる(写真提供/菅原佳己さん)

ここでしか買えないオリジナル商品も多数、そろえる(写真提供/菅原佳己さん)

羽村に引越したい「福島屋」(本社・東京都羽村市/5店舗展開※グループ店含む)
「東京都心から1時間ちょっとかかりますが、この店のためだけに羽村に行く価値ありです! 福島屋は『家庭の食を豊かに』を合言葉に、お惣菜はどれも手づくり、無添加です。無農薬で育てた自然栽培の野菜や果物、全国各地の絶品や、生産者とつくったオリジナル商品など、こだわりの逸品ばかり。月2回しか入荷しない幻の要冷蔵醤油『きあげ』、素材のよさがしみじみ美味しい『おむすび』など、魅力を挙げたらきりがありません!」

食べた人は感動すると評判。福島屋のおにぎり(写真提供/菅原佳己さん)

食べた人は感動すると評判。福島屋のおにぎり(写真提供/菅原佳己さん)

スーパーの競争が激しさを増す首都圏近郊エリアに注目

最後にスーパー激戦区としてオススメのエリアを聞きました。

「23区は大型スーパーに適した土地はもう少なく、再開発でマンションの1角に出店するか、もしくはミニスーパーの形態になります。だから今、スーパー激戦区になっているのが、準郊外といわれるエリアです。例えば、調布~仙川。ライフ、クイーンズ伊勢丹、成城石井、いなげや、マルエツ、食品館あおば、ヤオコーなどバラエティ豊かなスーパーが目白押しです。こうした準郊外は人口流入が続き、新しい業態にもチャレンジしやすいんでしょう。また、八潮~草加にはイトーヨーカドー、西友、ベルク、マルエツ、ヨークマート、マルコーなどの千葉・埼玉・東京の有力スーパーが勢ぞろいしています。スーパーの競争が激しいエリアに住むということは多種多様な食材との出会いがあなたを待っているということ。毎日の、スーパーの買い物も楽しくなるのではないでしょうか」

スーパーはいつものところでいいやと慣れている店・同じ店に行きがちです。
もちろん、大手のスーパーは安心感がありますが、地域ならではの店、普段、行かないお店にいくとまた発見があるはず。もちろん上記のような競争の激しい、スーパー巡りを楽しめる地域を選ぶのも楽しいですね。スーパーで思わぬ発見・出会いがあると、一日がちょっとだけ得した気分で過ごせるに違いありません。

●取材協力
一般社団法人 全国ご当地スーパー協会

2019 「SUUMO住みたい街ランキング」関西版発表! 総合1位は引き続き「西宮北口」

株式会社リクルート住まいカンパニー(本社:東京都港区 代表取締役社長:淺野 健)は、関西圏(大阪府・京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県・和歌山県)に居住している20歳~49歳の男女4600 人を対象にインターネットによるアンケート調査を実施。「SUUMOみんなが選んだ住みたい街ランキング2019 関西版」を発表した。果たして、気になる順位は?
圧倒的な強さを見せる「西宮北口」。「夙川」「岡本」「京都」のランクアップにも注目住みたい街(駅)総合ランキングトップ10(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

住みたい街(駅)総合ランキングトップ10(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

住みたい街ランキング2019関西版のTOP3は「西宮北口」「梅田」「神戸三宮」

SUUMO「住みたい街(駅)」関西版ランキング2019のTOP3に輝いたのは、前年と変わらず第1位が「西宮北口」、続いて第2位「梅田」、第3位「神戸三宮」。順位は前年と同じであっても、注目すべきはその得点にある。上位3位の街はすべて前年より点数を伸ばし、人気がさらに高まっていることが分かる。年代別ランキングでも、どの世代でも同じ順位で、この3エリアが幅広い世代に支持されていることがうかがい知れる。

住みたい街(駅)年代別ランキングトップ10(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

住みたい街(駅)年代別ランキングトップ10(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

「阪急西宮ガーデンズ」のリニューアルでさらに好感度があがる「西宮北口」

兵庫県「西宮北口」には、昨年11月に開業10周年を迎えたショッピングモール「阪急西宮ガーデンズ」がある。現在、開業以来2度目となる大きな改装工事の計画が進み、特に駅と直結する新館は、関西学院大による小学生向けの放課後学習支援施設が開かれるなど、ファミリー世代を意識したテナントが目立つ。

また駅の高架下には新たに認可保育所が開所する予定だ。西宮市は関西「住みたい自治体ランキング」(SUUMO調べ)でも例年1位を獲得しており、人気の高さがうかがい知れる。

住みたい自治体ランキングトップ10(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

住みたい自治体ランキングトップ10(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

北ヤードの開発、相次ぐ周辺の新築マンション供給で拡大する「梅田」エリア

第2位「梅田」は現在、繁華街である曽根崎の小学校跡地にタワーマンションの建設が進んでいる。完成すれば56階建て、総戸数836というスケールとなる。分譲ではなく関西最大級の大型賃貸マンションで、「梅田駅まで徒歩5分圏内に住む」という生活が夢ではなくなる。他にも、中津、中崎町、福島など梅田駅周辺でも新築マンション供給が続いており、商業地域としてだけでなく、居住エリアとしての梅田圏も拡大してきている。

「梅田」のほか、地下鉄御堂筋線は「なんば」「天王寺」「江坂」と、直通する北大阪急行線「千里中央」も合わせるとTOP10に5駅がランクインした。地下鉄御堂筋線が大阪の、ひいては関西の背骨の役目を果たしている現況が見て取れる。

再整備計画の全容が見えはじめ、注目を集める「神戸三宮」

第3位は「神戸三宮」だ。この駅に降り立つたびに、街の様相が大きく変化していることに驚かされる。JR、阪急、阪神、地下鉄西神・山手線、地下鉄海岸線、ポートライナーと6つもの駅からなる三宮エリア。この6つの駅をひとつの街としてイメージづくりをするべく2015年に策定された「三宮・再整備基本構想」がいよいよ可視化できる状態となった。

また、「夙川」「岡本」のランクアップにも注目。「夙川」は昨年の6位から5位へ、「岡本」は昨年の8位から6位へ順位が上昇した。ともに阪急神戸線の駅であり、阪神間を代表する人気の閑静な住宅街だ。

第5位の阪急「夙川駅」の近くにはJR「さくら夙川」駅があり、また第6位の「岡本」には、阪急「岡本」駅からさほど離れていないJR「摂津本山」駅には駅ナカに多くのショップ群が開業。駅前広場も拡大し周辺整備された。岡本はもともと学生街ゆえに比較的家賃が安く、加えて南東約1キロ圏内に大手スーパーが軒を連ね、暮らしやすい。

インバウンド効果で再評価される「京都」

また、「嵐山」「烏丸」「京都」などが、観光ブームにより再認識された。一方、京都市内は地価が高騰し続けており、一般の人が住むには手が届きにくくなっている。その中で「桂」は市街地中心部からは離れるが、隣駅洛西口の京都府最大規模のイオンスタイル京都桂川ができ商業利便性が高い上に、大阪に約40分、京都には約10分と足回りが良く、住宅価格も手の届く範囲、ということが京都の地元民に支持されているようだ。

住みたい街(駅)総合ランキングトップ11~25(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

住みたい街(駅)総合ランキングトップ11~25(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

「明石」「尼崎」の躍進

11位以下で特筆すべきは、31位から21位と急上昇した「尼崎」と、同じく34位から25位の「明石」。このふたつの街に共通している点は、ファミリー層に対する行政サービスの充実。「尼崎」は保育所の増設や学力向上を図り、2016年からは3年連続で転入者が転出者をうわまわった。新築マンションの供給も多く、かつての工場地帯という印象は年々薄れていっている。

また、「明石」も近年「子どもを核にしたまちづくり」を掲げ、中学生までの医療費無料化や第二子以降の保育料無料化など子ども施策を次々と打ち出し、人口も出生率も上昇。このように行政サービスと「住みたい街」の順位は、やはり比例するようだ。

「穴場だと思う街」でも第1位の「尼崎」。「大国町」が24位から6位に大躍進[関西] 穴場だと思う街(駅)ランキング(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

[関西] 穴場だと思う街(駅)ランキング(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

続いては「穴場だと思う街(駅)」ランキングを見てみよう。

穴場だと思う街の1位に輝いたのは「尼崎」。前述のとおり「住みたい街」でも順位を上げた尼崎市は、今年1月24日、人口が9年ぶりに増加に転じたと発表。近年JR尼崎駅周辺はマンションや住宅の供給が増え、それにともない地元の小学校が増棟されるなど、さらに活性化している。市が進める教育や子育てに重点を取り組みが評価され、住みやすい街というイメージが定着したようだ。

滋賀県「草津」はタワーマンション「アトラスタワー草津」などの分譲マンションの供給が注目されている。

もっとも刮目すべきは24位から6位にまで昇進した「大国町」。大阪メトロ御堂筋線と四ツ橋駅の両方を利用することができ、「なんば」まで徒歩圏内と利便性の高さには定評がある。今年大規模なリニューアルが計画されている「なんばCITY」など、周辺はトレンド情報に事欠かない。

それにしても「穴場」というカテゴリーでさえ「西宮北口」が32位から第5位に食い込んでいる事実に驚かされる。ニシキタはそれだけ街が多面的で多様な魅力に富んでいるのだろう。

このように「住みたい街(駅)ランキング関西版」を見返してみると、鉄道の利便性に重きを置く傾向がさらに強まっているのではないかと考えられる。今年全線が開業したJR「おおさか東線」や2020年度に延伸の工事を終える予定の「北大阪急行線」が、今後ランキングにどのような変化をもたらすのか、注目したい。

2019年の「住みたい街」1位はどこ?横浜が守るか吉祥寺が返り咲くか

リクルート住まいカンパニーでは、 関東圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)に居住している20歳~49歳の7000人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2019 関東版」を発表した。前回(2018年)には横浜がTOPの座を奪ったが、2019年はどうなったのだろうか?【今週の住活トピック】
「SUUMO住みたい街ランキング2019 関東版」を発表/リクルート住まいカンパニー住みたい街ランキング2019は、吉祥寺と恵比寿を抑えて横浜が1位を堅持

さて、2019年の住みたい街(駅)ランキングの結果は、2018年に衝撃のセンター(?)を射止めた横浜が2019年も堅持する形となった。TOP3は、1位の「横浜」に次いで、2位「恵比寿」、3位「吉祥寺」となり、前年と同じ順位だった。

住みたい街(駅)総合ランキングトップ10(関東全体/3つの限定回答)(出典:SUUMO)

住みたい街(駅)総合ランキングトップ10(関東全体/3つの限定回答)(出典:SUUMO)

ただし、4位以下は顔ぶれが変わっている。埼玉県の大宮、浦和の順位が上昇し、神奈川県の鎌倉もTOP10入りを果たした。おしゃれで便利な街のイメージがある品川や目黒は順位を落とした。

ランキング全体を見回しても、都心部の街が順位を下げる一方で、都区部周辺の人気エリアが順位を上げる傾向が見られる。

その背景には、都心部の地価や住宅価格が上昇して、一般ユーザーには身近な存在ではなくなってきていることがあるだろう。それなら、地元の近くで住みやすく便利な街のほうがよいと考えても不思議はない。では、順位を上げた街を取り上げて、詳しく見ていくことにしよう。

ランキング上昇の陰に、地元からの支持あり。便利で住みやすい街を選ぶ兆し

急上昇した街をピックアップしてみると、東京都では「三鷹」(総合38位→16位、東京都16位→7位)、神奈川県では「相模大野」(総合59位→47位、神奈川県15位→9位)、埼玉県では「和光市」(総合42位→33位、埼玉県9位→5位)、千葉県では「千葉」(総合53位→28位、千葉県4位→1位)が大きく順位を上げた。

いずれも、住宅地として地元に人気の街だ。加えて、交通アクセスが良く、相模大野や千葉では駅ビルを中心に商業施設が開業するなど賑わいのある街となっている。

和光市は駅前の賑わいにはやや欠けるが、東京メトロ副都心線の開通や他の沿線との相互乗り入れで、始発に乗ってどこにでも行けるという点が魅力だ。もちろん、「和光市行き」を繰り返し耳にすることで知名度が上がった影響もあるかもしれない。

このように、必ずしも広範囲に知名度が高い街でなくても、地元に住む人の支持を集めることでランキングを押し上げる動きが見て取れる結果となった。

居住都県別の住みたい街(駅)ランキングTOP10(出典:SUUMO)

居住都県別の住みたい街(駅)ランキングTOP10(出典:SUUMO)

総合力で順位を上げた、つくばエクスプレス沿線とさいたま市中核都市

このほかにも、ランキング上昇で注目したいエリアがある。そのひとつが『つくばエクスプレス沿線』だ。

「つくば」(総合51位→35位)、「流山おおたかの森」(総合46位→41位)、「研究学園」(総合56位→46位)、「守谷」(総合68位→51位)、「柏の葉キャンパス」(総合圏外→90位)と軒並み順位を上げている。新線開業後開発が進み、いずれの駅周辺も街が急速に形成されているからだろう。

もう一つの注目エリアが、『さいたま市』だ。その中核都市である「大宮」(総合9位→4位)、「浦和」(総合10位→8位)、「さいたま新都心」(総合29位→23位)がランキング上位に食い込んでいる。

東京オリンピックの会場にもなる「さいたまスーパーアリーナ」、集客力のある大型複合商業エリア「コクーンシティ」を擁し、居住や観光の利便性向上を目指しているさいたま市。大宮市役所の移転、ホテルの新設、大型病院の誘致、新築マンションの供給ラッシュなどの話題には事欠かない。文教都市浦和の魅力も相まって、住み心地を向上させる整備が進むさいたま市の中核都市は、これまでで最高位のランキングを獲得するに至った。

また、「上野東京ライン」開業で、高崎線、宇都宮線が上野で乗り換えずに東京に行けるようになったことも、さいたま市の中核都市がランキングを押し上げた要因になっていると考えられる。東京駅周辺の八重洲・丸の内・日本橋などの再開発でオフィスビルが急増し、働く人の巨大集積場となっている。通勤アクセスの起点が変われば、住みたい街選びにも影響するはずだ。

穴場だと思う街から住みたい街へ、アクセスが良く便利で住宅相場の割安な街に注目!

住みたい街ランキングの中で、いつも注目している「穴場だと思う街ランキング」。1位「北千住」、2位「赤羽」、3位「和光市」、4位「大宮」までは、前回と同じ順位だった。

筆者が注目していた大規模な再開発が進む「海老名」は、神奈川県民のランキングでは3位に位置しているものの、知名度が周辺にまで広がっていないためか、総合ランキングでは26位→25位とほぼ横ばいだった。

穴場だと思う(交通利便性や生活利便性が高いのに家賃や物件価格が割安なイメージがある)駅ランキング(関東全体/3つの限定回答)(出典:SUUMO)

穴場だと思う(交通利便性や生活利便性が高いのに家賃や物件価格が割安なイメージがある)駅ランキング(関東全体/3つの限定回答)(出典:SUUMO)

2019年のランキングを見た印象としては、「都心部の憧れの街に住みたい」というニーズが減退し、より現実的な「近くでアクセスのよい賑わいのある街に住みたい」というニーズが強まっていると感じる。これは全国的な傾向のようで、「東京一極集中から郊外中核駅集中が起こっている」(SUUMOジャーナル編集部)という。

「住みやすい」という感情は人それぞれで異なるものだが、今や「交通アクセスが良く、街に賑わいがある」ことが最低条件になってきているようだ。

関西住みたい街ランキング、総合トップは3年連続「西宮北口」

(株)リクルート住まいカンパニーは、関西(大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県)に居住している人を対象に行ったWEBアンケート「みんなが選んだ住みたい街ランキング2018 関西版」を集計し、その結果を発表した。本調査の実施時期は2018年1月5日(金)~2018年1月22日(月)。有効回答数は4,600人。調査方法はインターネット。

それによると、総合ランキング1位は3年連続「西宮北口(阪急神戸線)」となった。2位も3年順位は変わらず「梅田(地下鉄御堂筋線)」がランクイン。3位には昨年7位から順位を上げ、「神戸三宮(阪急神戸線)」がランクインした。阪急神戸線は他に「夙川」が6位、「岡本」が8位となっており、TOP10に4駅がランクインしている。

■「住みたい街(駅)」ランキング(関西全体/3つの限定回答)
1位:西宮北口(阪急神戸線)
2位:梅田(地下鉄御堂筋線)
3位:神戸三宮(阪急神戸線)
4位:なんば(地下鉄御堂筋線)
5位:千里中央(北大阪急行)
6位:夙川(阪急神戸線)
7位:天王寺(地下鉄御堂筋線)
8位:岡本(阪急神戸線)
9位:江坂(地下鉄御堂筋線)
10位:草津(JR東海道本線)

交通利便性や生活利便性が高いのに家賃や物件価格が割安なイメージがある、穴場だと思う街ランキングでは、1位「塚口(阪急神戸線)」、2位の「尼崎(JR東海道本線)」、3位の「大津(JR東海道本線)」ともに駅周辺が再開発された駅、もしくは進行中の駅がトップ3にランクインした。傾向としては「東三国」「江坂」などの御堂筋線と、「塚口」「武庫之荘」「十三」などの阪急神戸線の駅で「梅田」により近い駅が多くランクインしている。

■穴場だと思う駅ランキング
1位:塚口(阪急神戸線)
2位:尼崎(JR東海道本線)
3位:大津(JR東海道本線)
4位:東三国(地下鉄御堂筋線)
5位:梅田(地下鉄御堂筋線)
6位:武庫之荘(阪急神戸線)
7位:江坂(地下鉄御堂筋線)
8位:天王寺(地下鉄御堂筋線)
9位:千里中央(北大阪急行)
10位:十三(阪急神戸線)、伊丹(阪急伊丹線)、明石(JR山陽本線)

住みたい自治体ランキング(総合)では、1位は「兵庫県西宮市」で3年連続のトップ。2位「大阪市北区」と3位「神戸市中央区」も3年連続順位に変化なし。大阪府では大阪市内3区の他に「吹田市」「豊中市」が、兵庫県では神戸市内2区の他に「西宮市」「芦屋市」、京都府では「京都市中京区」がTOP10入りしている。

■住みたい自治体ランキング(総合)
1位:兵庫県西宮市
2位:大阪府大阪市北区
3位:兵庫県神戸市中央区
4位:兵庫県神戸市東灘区
5位:大阪府大阪市中央区
6位:大阪府吹田市
7位:大阪府大阪市天王寺区
8位:京都府京都市中京区
9位:大阪府豊中市
10位:兵庫県芦屋市

ニュース情報元:(株)リクルート住まいカンパニー

2018年「住みたい街ランキング」関西版発表!上位にランクインした街の特徴は?

株式会社リクルート住まいカンパニー(本社:東京都港区 代表取締役社長:淺野 健)では、関西圏(大阪府・京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県・和歌山県)に居住している20歳~49歳の男女4600 人を対象にインターネットによるアンケート調査を実施。「みんなが選んだ住みたい街ランキング2018 関西版」を発表した。関東版と同様に、今年から調査方法を一部変更したということだが、果たして気になる順位は?
TOP3に兵庫県が2カ所ランクイン 開発が進む「梅田」にも注目

関西の「住みたい街(駅)ランキング」の第1位は4桁の票を獲得して圧倒的な強さを見せる「西宮北口」。次いで2位「梅田」、3位「神戸三宮」。TOP3に兵庫県が2カ所ランクインする結果となった。

住みたい街(駅)総合ランキングトップ10(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

住みたい街(駅)総合ランキングトップ10(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

住みたい街ランキング2018関西版の第1位は「西宮北口」

第1位に輝いたのは「ニシキタ」の愛称で親しまれる西宮北口。2位と419票もの差をあけ、ダントツの求心力を誇る。「住みたい街(駅) 年代別ランキング」でも20代、30代、40代のすべてで1位。世代ごとの評価に隔たりがないのが特徴。また兵庫県民のみならず大阪府民ランキングでも3位につけるなど他府県からの支持も厚い。「商業施設や交通が充実しており、行政の市民サービスもよい。実際に住んでいる人たちも住みやすいと言っている」(26歳 女性)といった回答も複数あり、実際のニシキタ居住者たちの高評価が、他都市へ伝播しているのも人気の一因なのだろう。

住みたい街(駅)年代別ランキングトップ10(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

住みたい街(駅)年代別ランキングトップ10(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

ニシキタ人気の理由としては、交通の利便性のよさをあげる人が多い。阪急神戸線の特急を使えば大阪の梅田と神戸三宮までともにおよそ15分で着き、宝塚へと向かう阪急今津線との乗り換えも可能なアクセスのよさは他府県民から見ても魅力。この阪急神戸線は今年から始まった「住みたい沿線ランキング」でも1位を獲得。西宮北口の人気と沿線そのものの人気が相乗効果を生んでいる。

「洗練・高級」というイメージもあるようだ。西宮北口ならではの「プチ・ハイソ感」が心惹かれるポイントといえるのではないだろうか。

住みたい沿線ランキングトップ5(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

住みたい沿線ランキングトップ5(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

さらに関西最大級の駅前ショッピングゾーン「阪急西宮ガーデンズ」をはじめとするバラエティに富んだ商業施設の数々と、新築マンションなどの住宅供給の多さから、住まいの選択肢が豊富であることが高いスコアの理由だと考えられる。「阪急西宮ガーデンズ」の隣には甲南大学の西宮キャンパス「CUBE西宮」をはじめ駅周辺には大学や予備校が集まり、西宮北口が20代にもニーズがある原因のひとつではないだろうか。

このように西宮北口周辺は商・住・遊の三つ巴な充実ぶりが広く知られることとなり、若いファミリー層の移住が増えたおかげで、2016年には駅北東の徒歩圏内に「西宮市立高木北小学校」が新設された。少子化が叫ばれる昨今において小学校が新設される例は極めて珍しいと、ニュース番組で報道されたほど。さらに西宮市は待機児童対策を重く見ており、2018年度は民間保育所の整備補助に約18億1300万円を計上すると発表した。「文教住宅都市」を宣言する同市の面目躍如だろう。

大規模な再開発によって、夢だった居住が現実味を帯びる「梅田」

「住みたい街ランキング2018関西版」の第2位に輝いたのは大阪の「梅田」。大阪最大の交通の要衝であり、かつ商業集積地区ゆえに「住みたい街2位」という結果を不思議に思う方がいるかもしれない。

しかしいま梅田は、かつての繁華街という概念を大きく変えようとしている。その要因が「うめきた」(梅田の北部)の新活用。

大阪市は、7月からコンペがスタートするJR大阪駅北側の再開発区域「うめきた2期」(大阪市北区)の全容を発表した。これによるとエリア内は「全面みどり化」、つまり植物を全域に行き渡らせる計画があるとのこと。「まちびらき」は2024年の夏と伝えられており、そう遠くない将来、梅田には広大で心地よい緑地が現れる。そしてきっとその風景は、これまでの梅田の心象とは大きく異なるものであるはずだ。

「うめきた2期」だけではない。いま梅田はかつてない規模の一大再開発が行われている。先行して建てられた「グランフロント大阪」や、1928年に完成し1世紀近い歴史をいだく「梅北地下道」を閉鎖して行う梅田貨物駅跡地を中心とした通称「梅田北ヤード」の工事など、梅田は緑にあふれたカルチャーシティへと変貌を遂げている過程にある。こういった潮流を受け、URをはじめ、梅田のイメージチェンジをアピールする媒体も増えた。加えてJR西日本、南海、阪急が乗り入れる「北梅田駅(仮称)」設置事業が幕を開けた。これら可視化した「梅田の変化感」が人々の胸を躍らせ、都市の成長に期待をいだくようになり、2位というよい結果になったのではないだろうか。

さらに同市の、こういったワクワクさせるムーブメントは、近隣の地域にも影響を及ぼしている。隣接する福島、中津、扇町などがこのごろは「梅田圏」として紹介される例が増え、そこで供給されるタワーマンションも梅田の名を冠した物件が少なくはない。こうして梅田と呼ばれるエリアがワイド化し、そのため「梅田に住む」「梅田で暮らす」ことが実現可能になった。梅田を選んだ理由に「利便性が良いところ。通勤、ショッピングなど困ることがない点。マイホーム購入したとしても価値を維持できそう」(35歳 女性)と、「梅田」という地名自体のブランド力を高く評価する意見もある。こういった街の声を受け、「梅田圏」は今後もますます拡張してゆくとみられる。

開港150年を迎え再び注目を集める「神戸三宮」

「住みたい街ランキング2018関西版」の第3位は「神戸三宮」。「阪神、JR、神戸市営地下鉄と、すべての交通網に近く、百貨店やスーパーも充実している」(49歳 男性)と交通・商業両面の便利さを魅力だとする回答が多かった。

ここも梅田と同じく、大規模な再開発が進行中だ。神戸市は昨年11月、JR三ノ宮駅のそばに高層ツインタワービルを建設する再整備基本計画を発表。このビルは西日本最大級のバスターミナルとしても機能し、バスによるネットワーク結節の要となる。神戸三宮を居住地に選べば、バスによって行動範囲は一気に拡大するのだ。そういった生活向上に役立つ情報のアウトプットが増えたことが第3位という人気につながったのではないか。

また、先ごろ三宮ターミナルビル内の商業施設「三宮OPA」が閉館し、建て替え工事が始まっている。さらに阪急も神戸三宮の「神戸阪急ビル東館」の着工をスタートさせた。こちらは地上29階、地下3階という、近畿地方の駅ビルでは屈指のスケールを誇るものとなる。数年後には神戸三宮のシーンはがらりと変わるだろう。

神戸三宮の強みは、港を擁するゾーンがあり、船便の入り口という役目を担う点にもある。神戸開港150周年を記念する数々のイベントによりマスコミ露出の回数が伸び、寄港・出港する豪華客船の数も増えた。海からのインバウンドの流れも次第に整い始めている。海外から見た「観光地」という側面では大阪や京都に後塵(こうじん)を拝していた感がある神戸が、いよいよ動きだした。

関西では再開発とアミューズメントが「住みたい街」を決めるポイントとなる

こうしてTOP3を振り返ってみると、関西では居住地を選択するにあたり、再開発計画やそれに伴うアミューズメント感が重要視されているのではないだろうか。大規模な再開発の構想があり、行政がそれを実施すると発表し、報道が広く伝えると、「そこに住む私」を夢想しやすくなるのかもしれない。

ならば4位にランクインしている「なんば」は、2018年に完成予定の「なんばスカイオ」や、なんば高島屋大阪店前に誕生する予定の新広場など、今年から来年にかけて話題に事欠かず、今後はいっそうのランク上昇が期待できそうだ。

「草津」一強の滋賀県と、票が分散する京都

ベスト10のなかで注目したいのが、京都を圧し10位となった滋賀県の「草津」。琵琶湖に面して自然が豊かで、かつ商業施設が拡充し、特に隣駅の「南草津」駅周辺の発展は著しい。草津市の人口も年々増加の一途をたどっている。

住みたい街(駅)居住府県別ランキングトップ10(滋賀県民/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

住みたい街(駅)居住府県別ランキングトップ10(滋賀県民/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

居住府県別ランキングにおいても1位が「草津」、2位が「南草津」と実質草津市の圧勝。滋賀県において草津は一強と呼んで大げさではない。

「通勤に便利で気候もよく、住みやすい。治安もよく、町並みもきれいですごしやすい。京都・大阪へのアクセスがよい」(48歳 男性)と、交通の利便性に対して満足度が高い。自家用車がないと暮らしに不便という印象が強い滋賀県だが、電車移動が比較的ラクな点が好評価につながっているようだ。京都・大阪へのアクセスなら県庁所在地・大津のほうが早いのでは? と思ってしまうが、大津だと県境に近すぎ、反対に滋賀県内への移動が不便になる可能性もある。そんな草津の「ちょうどよさ」が訴求力となったのかもしれない。

ひとつのエリアが強大な支持を得る滋賀県に対し、得票がばらける傾向にあるのが京都。居住府県別ランキングの1位は「桂」だが、ポイントは152と得票数はそこまで高くはない。

住みたい街(駅)居住府県別ランキングトップ10(京都府民/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

住みたい街(駅)居住府県別ランキングトップ10(京都府民/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

この結果は、京都府民が「住みたい」に挙げた場所がいかに分散しているかの証し。しかも1位となった桂は他都市の上位と違い、繁華街ではない。インバウンドの影響をさほど受けぬ、静かに時を刻む街だ。にぎわいよりも落ち着きを優先する京都府民の気質がランキングに表われている。それぞれに思い入れの深い場所が異なるため票が集中しないのだろうか。世界遺産を数多(あまた)有しながらも総合ランキングTOP10に一カ所も顔を見せないのはそのためなのかもしれない。

「穴場だと思う駅ランキング」の1位は昭和レトロな風情の「塚口」

「穴場だと思う駅ランキング」の1位に躍り出たのが「塚口」。兵庫県ではあるものの大阪「梅田」までわずか5駅。阪急神戸線でランクインしているが徒歩圏内にJR福知山線の同名駅があり、縦横のアクセスを可能にしている。さらに阪急伊丹線の始発駅。ターミナルとして申し分ない。

穴場だと思う(交通利便性や生活利便性が高いのに家賃や物件価格が割安なイメージがある)駅ランキング(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

穴場だと思う(交通利便性や生活利便性が高いのに家賃や物件価格が割安なイメージがある)駅ランキング(関西全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

「程よく都会ではない感じで公園などの緑も残っているところが住みやすい」(44歳 女)と、洗練されすぎていない光景に愛着をもつという回答が複数あった。なるほど駅前は昭和ムードがいまなお横溢(おういつ)し、その気取らなさにほっとする人も多いようだ。とはいえランドマーク的存在だった「塚口さんさんタウン3番館」が昨年秋、老朽化を理由に閉館となり、跡地に商住複合型マンションの建設予定が発表された。この街もまた未来へ向けて表情を変えつつある。「穴場」の1位に選ばれたのも、街の蘇生に期待をいだく人が少なくないからではないだろうか。

それにしても、「総合ランキング」でも「穴場だと思う駅」のランキングでも、TOP3に2カ所ずつランクインさせた兵庫県の強さに驚かされる。

関西のランキングをつぶさに見てゆくと、関西人はなんらかのニュース性がある街を居住地に選ぶ傾向があるのかもしれない。これから様相を変えようとしている街が現れれば、順位はいくらでも変動するに違いない。「住みたい街(駅)ランキング関西版」は、関西のうごめきが分かる俯瞰図でもある。

●参考
・2018年の結果を見る
「みんなが選んだ住みたい街ランキング2018 関西版」(PDF)/リクルート住まいカンパニー

住みたい街、「吉祥寺」「恵比寿」を抜いて「横浜」が総合トップに

(株)リクルート住まいカンパニーは、関東(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)に居住している人を対象に行ったWEBアンケート「みんなが選んだ住みたい街ランキング2018 関東版」を集計し、その結果を発表した。本調査の実施時期は2018年1月5日(金)~2018年1月18日(木)。有効回答数は7,000人。調査方法はインターネット。

それによると、総合ランキングは1位には昨年3位から順位を上げ「横浜(JR京浜東北線)」がランクインした。2位は昨年同様「恵比寿(JR山手線)」となり、昨年1位の「吉祥寺(JR中央線)」は3位に下降した。4位には「品川(JR山手線)」(昨年5位)、5位には「池袋(JR山手線)」(昨年7位)がランクインしている。

TOP10は、以下のような結果で、東京都から6駅、神奈川県から2駅、埼玉県から2駅がランクイン。山手線の駅がTOP10のうち5駅を占めた。

■住みたい街(駅)ランキング
1位:横浜(JR京浜東北線)
2位:恵比寿(JR山手線)
3位:吉祥寺(JR中央線)
4位:品川(JR山手線)
5位:池袋(JR山手線)
6位:武蔵小杉(東急東横線)
7位:新宿(JR山手線)
8位:目黒(JR山手線)
9位:大宮(JR京浜東北線)
10位:浦和(JR京浜東北線)

また、交通利便性や生活利便性が高いのに家賃や物件価格が割安なイメージがある、穴場だと思う街(駅)ランキングでは、1位「北千住(東京メトロ日比谷線)」、2位「赤羽(JR京浜東北線)」で、1位・2位ともに3年連続順位は変わらず。3位には「和光市(東武東上線)」(昨年9位)、4位には昨年48位から急上昇し「大宮(JR京浜東北線)」がランクインした。

■穴場だと思う駅ランキング
1位:北千住(東京メトロ日比谷線)
2位:赤羽(JR京浜東北線)
3位:和光市(東武東上線)
4位:大宮(JR京浜東北線)
5位:柏(JR常磐線)
6位:守谷(つくばエクスプレス)
7位:川口(JR京浜東北線)
8位:蒲田(JR京浜東北線)
9位:池袋(JR山手線)
9位:田端(JR山手線)

住みたい自治体ランキングにおいては、総合1位は「東京都港区」で3年連続のトップ。2位は「東京都世田谷区」、3位に「東京都千代田区」がランクイン。TOP10のすべてが東京23区となった。東京23区以外での上位は、11位に「横浜市中区」、12位に「鎌倉市」、13位に「さいたま市大宮区」、14位に「船橋市」がランクインしている。

■住みたい自治体ランキング
1位:東京都港区
2位:東京都世田谷区
3位:東京都千代田区
4位:東京都目黒区
5位:東京都文京区
6位:東京都渋谷区
7位:東京都新宿区
8位:東京都品川区
9位:東京都中央区
10位:東京都杉並区

ニュース情報元:(株)リクルート住まいカンパニー

2018年「住みたい街ランキング」1位は、東京都ではないあの街に!?

リクルート住まいカンパニーでは、 関東圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)に居住している20歳~49歳の7000人を対象に実施した「みんなが選んだ住みたい街ランキング2018 関東版」を発表した。人気の街として知られている吉祥寺や恵比寿を押しのけてTOPになったのは、なんと東京都の街ではなかった!【今週の住活トピック】
『SUUMO住みたい街ランキング2018 関東版』を発表/リクルート住まいカンパニー住みたい街ランキング2018は、横浜が1位!

今回は、調査方法を一部変更したということなので、過去のランキングとは単純に比較することはできないが、住みたい街(駅)ランキングのTOP3は、1位「横浜」、2位「恵比寿」、3位「吉祥寺」という結果となった。

【画像1】住みたい街(駅)総合ランキングトップ10(関東全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

【画像1】住みたい街(駅)総合ランキングトップ10(関東全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

顔ぶれよりも、その順位が驚きだ。TOPに躍り出たのは東京都の街ではなく、横浜だったからだ。もともと吉祥寺や恵比寿といった過去のランキングの常連に加えて、人気の高い横浜ではあったが、どういった点が評価されたのだろうか?

横浜を1位に挙げた人の理由を見ると、圧倒的に「交通のアクセスの良さ」と「何でもそろう買い物の便利さ」を挙げる人が多かった。

特に交通のアクセスは、ビッグターミナル駅として抜きん出ている。JRだけでも、東海道線、横須賀線、湘南新宿ライン、京浜東北線・根岸線、横浜線が走り、さらに京浜急行、東急東横線、相模鉄道、横浜市営地下鉄、みなとみらい線などの私鉄・地下鉄が集まるなど、横浜市内だけでなく首都圏全域に交通網を広げている。

また、みなとみらい線の乗り入れを契機に駅構内の通路も整備され、充実した商業施設が駅周辺に広がるなど、街が一大商圏を形成している。ほかにも、「オシャレ」や「洗練した」イメージのある横浜ブランドも強みで、「歴史を感じる」「観光に便利」といった声も多かった。

注目したいのは、横浜を選んだ人の居住地域の広がりだ。恵比寿や吉祥寺が、地元である東京都の人が6割以上を占めるのに対して、横浜は地元神奈川県の人は半数強にとどまり、東京都や埼玉県など他の都県から幅広い支持を集めたのが特徴だ。

【画像2】ランキング上位3位の街(駅)の居住都県別内訳(出典:リクルート住まいカンパニー)

【画像2】ランキング上位3位の街(駅)の居住都県別内訳(出典:リクルート住まいカンパニー)

他の都県から支持を集められる街がランキング上位に来る傾向も

2018年のランキングTOP10を見ても、同じような傾向が見られる。つまり、他の県に住む人から支持を得られたかどうかだ。

4位の「品川」は東京都(50.6%)だけでなく神奈川県(22.9%)からも、5位の「池袋」は東京都(58.1%)だけでなく埼玉県(24.9%)からも、アクセスの良さから厚い支持を集めている。

【画像3】他の県に住んでいる人からも支持を集めている4位の品川、5位の池袋(出典:リクルート住まいカンパニー)

【画像3】他の県に住んでいる人からも支持を集めている4位の品川、5位の池袋(出典:リクルート住まいカンパニー)

住みたいと答えた人の理由として、「どこにでも行ける交通アクセスの良さ」と「アミューズメントを含む商業施設の充実」が多いのだが、そこに知名度や話題性が加わることで、人気が高まるという図式のようだ。

一方で、9・10位の「大宮」と「浦和」は8割前後が地元の埼玉県で占めているが、「新幹線も停まる交通アクセスの良さ」(大宮)、「文教都市、落ち着いた住宅地の街並み」(浦和)といったその街ならではの住みたい理由が多く見られた。地元の人が高く評価する理由から圧倒的な支持を得て、ランクインしたと考えてよいだろう。

ちなみに、1都3県の住民がそれぞれ選んだ地元1位は、東京都民は、「吉祥寺」、神奈川県民は「横浜」、埼玉県民は「大宮」、千葉県民は「船橋」だった。

住みたい自治体は、TOP10すべてが東京都!?

住みたい街(駅)の総合ランキングでは、横浜が1位だが、「住みたい自治体」では、TOP10すべてが東京都の区になった。

住みたい街(駅)が交通利アクセスや商業利便が重視されるのに対して、行政市区を聞かれると住宅地かどうかが重視されるからではないだろうか。

【画像4】住みたい自治体ランキング(関東全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

【画像4】住みたい自治体ランキング(関東全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

また、「穴場だと思う街(駅)」では、「北千住」と「赤羽」が1位・2位となった。ブランド力はないが、交通アクセスや都心部との距離、商業施設の充実や成長性、家賃の割安感などが強みだ。

3位に入った「和光市」は1位・2位とはちょっと違い、始発駅という点が高く評価されたようだ。特に、東京メトロの有楽町線が副都心線に乗り入れ、東急東横線とも直通運転をするようになってからは、利便性が格段に向上した。都心部や横浜方面に座ったまま行ける狙い目駅というわけだろう。

【画像5】穴場だと思う(交通利便性や生活利便性が高いのに家賃や物件価格が割安なイメージがある)駅ランキング(関東全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

【画像5】穴場だと思う(交通利便性や生活利便性が高いのに家賃や物件価格が割安なイメージがある)駅ランキング(関東全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)

ところで、住みたい理由にサッカーチームの名前を挙げた人もいた。例えば、横浜や浦和、柏などだ。好きなチームの応援に行きやすいというのも、住みたい要因になるわけだ。地元愛につながるので、こういった理由で住みたいと思うのもよい選択だと思う。

さて、住みたい街の調査では、過去のランキングの影響も受けるようだ。その街を選んだ理由の中には、「ランキングに入っていたから」「○○が話題になっていたから」という声もわずかながらあった。知名度やイメージが重視される傾向は変わらずで、ランキングの結果や上位として紹介された街の報道などを通じて、それが知名度やイメージアップにつながるというスパイラルになっている点は気になるところだ。

住みたい街は、快適な暮らしを求めて選んでほしい。特定の趣味のある人、子育てを重視する人、家にいるのが好きな人……。それぞれの理由で快適だと思う街を探してみてはいかがだろうか。