移住や二拠点生活は“コワーキングスペース”がカギ! 地域コミュニティづくりの拠点に

新型コロナウイルス感染症拡大にともない、テレワークが急速に浸透した。地方移住への関心も高まっているなかで注目を集めているのが、全国で数を増やしている地方のコワーキングスペース。働く場所としてだけでなく、地域コミュニティの拠点や移住相談の場としての側面もあるようだ。
長野県富士見町にある「富士見 森のオフィス(以下「森のオフィス」)」運営者の津田賀央さんにお話を伺った。

移住者がいても、「つながり」がなければ何も生まれない

「富士見 森のオフィス」は、2015年12月、八ヶ岳の麓・長野県富士見町にオープンした複合施設だ。コワーキングスペースを中心に、個室型のオフィスや会議室、さらには食堂やキッチン、シャワールーム、森に囲まれた庭やBBQスペースも備える。2019年には宿泊棟「森のオフィスLiving」もオープン。サテライトオフィスやテレワーク拠点として、また地域住民の“公民館”的スペースとして、都市部と富士見を行き来する人・地域に暮らす人をつなぐ拠点になっている。

富士見町が進める移住促進施策「テレワークタウン計画」の一貫としてオープンした施設だが、当初、計画内にコワーキングスペースのオープン予定はなかったという。

一軒家を事業主へ安価に貸し出すなどの施策を中心としていた当初の計画に対し、「人と人のつながりを生む場」の必要性を主張し、具体的なプランを提案したのが、当時はまったく富士見町と無縁だった津田さんだ。

津田賀央さん Route Design合同会社代表。2015年、富士見町に家族で移住。週に3日は東京を拠点に活動する二拠点生活者。「森のオフィス」の運営をはじめ、コミュニティー・スペース立ち上げのコンサルティングや地域商品の企画開発などさまざまなプロジェクトに携わる(画像提供/津田賀央さん)

津田賀央さん
Route Design合同会社代表。2015年、富士見町に家族で移住。週に3日は東京を拠点に活動する二拠点生活者。「森のオフィス」の運営をはじめ、コミュニティー・スペース立ち上げのコンサルティングや地域商品の企画開発などさまざまなプロジェクトに携わる(画像提供/津田賀央さん)

「良い計画だけど、まだあまり本格化してなさそうだな、と思ったんです。せっかく移住してきた人がいても、その地域でつながりができなければ何も生まれないだろうなと」(津田さん)

津田さん自身は神奈川県横浜市の出身だ。都内の大手企業でオフィスワークをしていたが、リンダ・グラットンの著書『ワークシフト』を読んで「働き方」についての考えが変わった。「これからはどこにいても働ける時代が来る」と直感した。

移住を検討していた最中、富士見町のテレワークタウン計画を知り、その数十分後には担当者へ連絡。津田さんの提案は富士見町の担当者に歓迎され、プロジェクトリーダーとしての参画が決まった。

八ヶ岳の麓にある「森のオフィス」。元は大学の保養所だったそう(画像提供/津田賀央さん)

八ヶ岳の麓にある「森のオフィス」。元は大学の保養所だったそう(画像提供/津田賀央さん)

「森のオフィス」で「つながり」が生まれる理由

「森のオフィス」オープンから5年。当初はWEBデザイナーなどクリエイターが多かった利用者の層も、今はかなり多様になっているという。

「フリーランスの方だけでなく、会社員の方も増えていますね。プログラマー、エンジニア、デイトレーダー、事務、会計、プロジェクトマネージャー、大学の研究者やアウトドアのアクティビティスクール運営者などもいらっしゃいます」(津田さん)

単に作業場として活用している人もいるが、やはり「つながりを求めて」来る人が多いそう。
「漠然と“何かやりたい”“面白い人とつながれたら”という気持ちを持って来られている方、この場を利用して自分の人生に前向きな変化を生み出したい、というメンタリティを持った方が多い印象です」(津田さん)

実際に、この場からは3年間で120以上のプロジェクトが生まれている。
元マスコミ系企業に勤めていた人と動画クリエイターがつながって、八ヶ岳のローカルメディアをつくるチームが立ち上がったり、お弁当屋さんをやりたいという利用者がコワーキングスペース内のキッチンで営業をはじめたり。さらにその人と農家やデザイナーがつながってビジネスが広がっていったケースもあるとのこと。

利用者の変化に合わせ、津田さんは「つながり」のつくり方も日々考え続けている。
「会社員の中には副業が禁止されていて、プロジェクトへの参加が難しい方もいます。今後はライフワークや趣味をベースにつながれるような取り組みもしていきたいですね」(津田さん)

(画像提供/津田賀央さん)

(画像提供/津田賀央さん)

「森のオフィス」のアウトドアスペース。BBQやマルシェなどのイベントも催される(画像提供/津田賀央さん)

「森のオフィス」のアウトドアスペース。BBQやマルシェなどのイベントも催される(画像提供/津田賀央さん)

広告はほとんど利用しておらず、利用者は口コミで集まってくるという。

「“共感”がベースにあると思います。森のオフィスがはじまった2015年当時は、二拠点居住やリモートワークがまだまだ珍しいものでした。身近な例が無いから、想像もしづらかったと思います。なので、僕自身が森のオフィスを通じて実現したいワークスタイル、ライフスタイルを体現してきたつもりです。最初はそれに共感する人が集まってきてくれて、その人がまた新しい人を連れてきてくれた。

共感が共感を呼んで、人が人をつれてきた。結果、さまざまな知恵やスキルが集まって、プロジェクトを生み出せるようになった。そのプロジェクトを起点に、さらにつながりが広がって、深くなっていく。そんな風に、コミュニティが大きくなっていきました」(津田さん)

利用者同士をつなぐ仕掛けや仕組みがあるのだろうか。そう津田さんに尋ねると、「仕組みと言えるものはないんですよね」と笑う。

「森のオフィス」のコワーキングスペース(画像提供/山田智大さん)

「森のオフィス」のコワーキングスペース(画像提供/山田智大さん)

「かなり地道で属人的ですが、スタッフが意識して“仲人さん”をしているんです。移住促進を目的につくられた施設なので、『どこから来たんですか』とか『ご家族は?』とか、会話の中で利用者のプロフィールを聞いて、会員同士の共通点を見つけるようにしている。例えば『カレーが好き』と聞けば、『誰々さんもカレー好きって言っていましたよ』と伝えるとか、とにかくつながるきっかけをつくるようにしています」(津田さん)

もともとつながりを求めてやってくる人が多いが、なかでも縁を広げていける人に特徴があるとすれば、「特技と強い好奇心を持っている人」、特に後者が重要だと津田さんは語る。

「例えば、オフィスの利用者に元大手PCメーカーの修理エンジニアの方がいるんですが、すごい人気者なんですよ。PCやデジタル機器で何か困ったことがあるとみんな彼に聞くから。
でもそれだけじゃなくて、相談に乗るときに一緒にごはんを食べたり、修理するときに家に遊びに行ったり、逆に招いたり、その機会を活かしている。相手に対する興味を持って接しているんですよね。その方は移住して半年ほどで本当にいろんな方とつながって、今では森のオフィスにその方を訪ねて来る方もいらっしゃいます」(津田さん)

地方は「働く場と生活の場が同じ」。だから関係が育ちやすい

「森のオフィス」のように、個性的なコワーキングスペースは長野県内だけでも増えているという。津田さんがいくつかの例を教えてくれた。

まずは塩尻エリアにある『スナバ』。イノベーション創出を主目的とした施設で、『森のオフィス』より、「ビジネスを生み出す」という色が強い印象だ。長野県が進める移住支援制度「おためしナガノ」とも連携しており、実際に「スナバ」を利用してビジネスを進める移住者もいる。
「行政職員の方が運営しているコワーキングスぺ―スですが、いい意味で“行政っぽさ”を裏切る柔軟さがあって、素敵なコミュニティが生まれているようです」(津田さん)

「スナバ」のコワーキングスペース(画像提供/スナバ)

「スナバ」のコワーキングスペース(画像提供/スナバ)

続いて松本の『SWEET WORK』。「パンの香りのするコワーキング」というキャッチコピーの通り、老舗ベーカリーが運営している。会員はパン食べ放題、というこちらもユニークな施設だ。利用者は国籍も職業もさまざまだが、懇親会などのイベントもあり、会員同士の雑談からゆるやかなコミュニティが生まれている。

都内のコワーキングスペースづくりにも携わる津田さんは、地方と都市部それぞれのコワーキングスペースの違いを「働く場と生活の場の距離」だと話す。

「地方は働く場と生活の場がほぼ同じなんですよね。利用者同士の家も近い。外食の選択肢も限られるから、行った先で知り合いに会うし、誰かの家で食べることも多い。家をリフォームしたいとか、田んぼを探しているとか、利用者同士が生活の相談で仲良くなることも多いです。だから関係の育ち方に違いが出るんじゃないでしょうか。

都市部のコワーキングスペースで働いた後に一時間半かけて自宅に帰るのとは違う。地方のコワーキングスペースは“生活”そのもの。“生活の場”と“仕事の場”の“顔が同じ”なんです。

だからこそ、地方でつながりをつくりたいと思ったら、コワーキングスペースを使うことが突破口になるのかもしれないですね」(津田さん)

異なる背景やスキルを持つ仲間をつくり、自分を変化させる

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、「森のオフィス」も一時休館せざるを得なくなった。その時は「今までつくった文化がなくなってしまうのではと不安になった」という津田さん。しかし5月の運営再開後、新規登録者や見学者、移住相談の問い合わせは増えているそう。結果的に“時代が追い付いた”ということなのかもしれない。

「“人生100年時代”と言われています。寿命が延び、働く期間が長くなるなかで、僕たちの世代は60代・70代になっても、新しいスキルを身に付けないといけない。そのためには、自分自身がこれまで持っていた慣習や常識を都度捨てて、“次”に向き合う必要がある。でも、ひとりだと難しいですよね。
そんなときに、同じ意思を持ちながらも自分とは違うバックグラウンドやスキルを持った仲間がいることで、自分を変化させやすくなると思うんです。

実際、富士見に移住してくる方も、ひと昔前みたいに“仕事をリタイアして余生を過ごす”みたいな方ばかりではないです。“人生100年時代”に、連続的に自分を変えていかないといけないなかで、刺激を求めてやってくる人が増えていると感じます。自分や周囲の既成概念から脱するという意味でも、移住は良い方法なんじゃないでしょうか。

僕自身も、仕事と生活を軸に、既成概念や慣習を疑って、変化を促す取り組みを続けることで、自分自身を変え続けたい。そんな思いで、『森のオフィス』の運営を続けていきたいと思っています」(津田さん)

「森のオフィス」の外庭を使った“アウトドアオフィス”での会議風景(画像提供/津田賀央さん)

「森のオフィス」の外庭を使った“アウトドアオフィス”での会議風景(画像提供/津田賀央さん)

地方コワーキングスペースを「きっかけ」に

地方では、「暮らし」と「仕事」が同じ空間にある。だからこそ、コワーキングスペースという存在が地域とつながる突破口になりうる。
少し前まで、「仕事の刺激(都会)」と「豊かな生活環境(地方)」はトレードオフの関係と捉えられていたように思う。だが、状況は変わってきた。「森のオフィス」のような場を活用することで、どちらも手に入れることは可能になりつつある。
気になる地域と関係を持ちたい、何か新しいことにチャレンジしてみたいという人は、こうした場を活用することから始めてみるのも良いかもしれない。

●取材協力
富士見 森のオフィス
スナバ

「人間は自然の一部」。八ヶ岳で体験型教育を推進する古川和女史のデュアルライフ あの人のお宅拝見[11]

私が知り合ったころの古川和(カズ)さんは、主婦から起業して体験型科学教育『リアルサイエンス』を、科学者の秋山仁氏らと子ども向けに行っていました。最近は「大人向けに、企業のチームビルディングなんかもやってるのよ!」と、相変わらずアクティブな姉御の行動力に驚くばかり。東京とのデュアルライフを楽しむ、八ヶ岳麓のお宅へ伺って話を聞くことにしました。連載【あの人のお宅拝見】
「月刊 HOUSING」編集⻑など長年住宅業界にかかわってきたジャーナリストのVivien藤井が、暮らしを楽しむ達人のお住まいを訪問。住生活にまつわるお話を伺いながら、住まいを、そして人生を豊かにするヒントを探ります。「アメリカで衝動買いした家具を置くために建てたような家」!?

和(カズ)さんの本宅は東京で、八ヶ岳の麓・大泉町に別荘を建てられたのは約20年前。子ども2人の子育て時代から山登りが好きで、野外活動教育の仲間もいるこの辺りが気に入っていたそうです。
今回も東京で午前中の仕事を終えてから車を走らせ、15時過ぎにこの取材。日常的に行ったり来たりとデュアルライフ(二地域居住)を楽しむアクティブな61歳は、私の憧れです。

クリームイエローに赤のトリムが映える大屋根の外観。取材日は曇りで冴えなかったので、青空の写真を送ってもらいました!(写真撮影/古川和さん)

クリームイエローに赤のトリムが映える大屋根の外観。取材日は曇りで冴えなかったので、青空の写真を送ってもらいました!(写真撮影/古川和さん)

八ヶ岳の家はフィンランドメーカー『ホンカ・ジャパン』のログハウス。山小屋のような丸太組みのログと違って、角型ログで、モダンな雰囲気。断熱性は北欧仕様なので秋冬は冷え込む八ヶ岳でも問題なし。

大きな家の小さな玄関、個性的なデザインは童話の世界のよう(写真撮影/片山貴博)

大きな家の小さな玄関、個性的なデザインは童話の世界のよう(写真撮影/片山貴博)

玄関を入った先に広がる、吹抜けの大空間リビングでお話を伺うことにしました。

ログの構造壁にタイルの床、赤い薪ストーブのある吹抜けのリビング(写真撮影/片山貴博)

ログの構造壁にタイルの床、赤い薪ストーブのある吹抜けのリビング(写真撮影/片山貴博)

私の隣にはアインシュタインの人形が鎮座。アメリカの友人からプレゼントされたそう(写真撮影/片山貴博)

私の隣にはアインシュタインの人形が鎮座。アメリカの友人からプレゼントされたそう(写真撮影/片山貴博)

「やっぱりログだから、内装の木肌が柔らかいし香りも良いのよね。20年たったけど」

お子様も独立され、ますます活動的な和さん。私はテニスでもご一緒し、パワフルなプレーに圧倒されています!(写真撮影/片山貴博)

お子様も独立され、ますます活動的な和さん。私はテニスでもご一緒し、パワフルなプレーに圧倒されています!(写真撮影/片山貴博)

20年前と言えば2人のお子様もまだ10代のころ、40歳そこそこで別荘を持つ余裕に驚き……。
「そういうことでも無いのよ!子どもにも良い場所とは思っていたけれど。実はアメリカの友達が家を売るときに、家具を処分するって言うから『私が買う!』って言っちゃって(笑)。しばらく、置く場所もなくアメリカの倉庫で保管してて、やっとここに置ける家が建てられたの」

イエローがアクセントカラー。壁には絵画より、窓の景色

旦那さまの赴任地だった米国バークレーの友人から買った、お気に入りの家具が10点以上。
「特にこのイタリア製テーブルのデザインが斬新で気に入ったの。このイエローが、インテリアのテーマカラーになりました」

イタリアンモダンのテーブルに合わせたイエローの椅子、右奥にはイエローの冷蔵庫をあえてキッチンの外、斜めに置いてフォーカルポイントに(写真撮影/片山貴博)

イタリアンモダンのテーブルに合わせたイエローの椅子、右奥にはイエローの冷蔵庫をあえてキッチンの外、斜めに置いてフォーカルポイントに(写真撮影/片山貴博)

ほかには、アメリカンBIGサイズのベッドが2階の寝室にありました。窓もベッドに合わせたデザインです。

私もここに泊めていただきましたが、おばさんでもお姫様気分(写真撮影/片山貴博)

私もここに泊めていただきましたが、おばさんでもお姫様気分(写真撮影/片山貴博)

「絵画も好きだけど、この家は壁に絵を掛けていないの。窓にカーテンをせず、窓枠を額縁にした外の景色が絵の代わり」
朝から夜、春夏秋冬。刻々と変化する景色を眺め、過ごす豊かさがここにはあるようです。

和さんが撮った、窓からの富士山や紅葉。一時として同じ景色は無い、自然の醍醐味(だいごみ)(写真撮影/古川和さん)

和さんが撮った、窓からの富士山や紅葉。一時として同じ景色は無い、自然の醍醐味(だいごみ)(写真撮影/古川和さん)

八ヶ岳界隈に住まう、クラフト&アクティブな人々も魅力

子育て主婦だった和さんは、35歳のときにNPO法人『Teaching Kids to Love the Earth』を立ち上げ、体験型学習を実践してこられました。
「アメリカ在住のころはヨセミテへキャンプに行ったり、東京では多摩川で網を投げて魚を獲ったり。子どもと遊ぶのも本格的、自然の中で育つと人への優しさが備わるものよ」
人間も自然の一部だと理解できるようになると、子どもも大人も物の見方が変わるということです。

赤い薪ストーブがリビングのアイコン。床暖房もあるが、薪を焚くと朝までホンワカと暖かい(写真撮影/片山貴博)

赤い薪ストーブがリビングのアイコン。床暖房もあるが、薪を焚くと朝までホンワカと暖かい(写真撮影/片山貴博)

「八ヶ岳界隈はすてきなお店や、面白い人が多くてね。とてもすてきなご夫婦が営まれているインテリアのお店があるの!」と、和さんお気に入りの北欧ヴィンテージ家具ショップが『SKOGEN』。
そのワークショップに参加してつくったペーパーコード編みの椅子が、暖炉の前に2脚(旦那さまと1脚ずつ作製)。

「薪をくべるときに座るとちょうどいい高さなの」。トレーを置くと、サイドテーブルとしても使える優れもの!(写真撮影/片山貴博)

「薪をくべるときに座るとちょうどいい高さなの」。トレーを置くと、サイドテーブルとしても使える優れもの!(写真撮影/片山貴博)

インテリアや手づくりが大好きな和さん。この家を建てるときも、自分で建材・設備を選びにショールームへかなり足を運んだそう。

2階のトイレには、和さんが探して来たパステル色のタイルが貼られていた(写真撮影/片山貴博)

2階のトイレには、和さんが探して来たパステル色のタイルが貼られていた(写真撮影/片山貴博)

「ほかにも東京から移住されたご夫婦で、きれいな畑をやっているお友達がいてね。今日も来る前に寄ったら、いろいろと採れたての野菜を下さったの」

早速、頂いた野菜をダイニングテーブルで並べ始め……(写真撮影/片山貴博)

早速、頂いた野菜をダイニングテーブルで並べ始め……(写真撮影/片山貴博)

八ヶ岳らしいグリーン・アレンジメント完成! 器は人気のプリンセス社(オランダ)ホットプレート(写真撮影/片山貴博)

八ヶ岳らしいグリーン・アレンジメント完成! 器は人気のプリンセス社(オランダ)ホットプレート(写真撮影/片山貴博)

ダイニングルームには、大人数が座れる大きなテーブル。「ここで企業研修をすることもあるの。自炊もチームビルディングの一環」

10人くらいはゆったり座れるテーブル。ここからも、外の緑が目に入る開放的なダイニング(写真撮影/片山貴博)

10人くらいはゆったり座れるテーブル。ここからも、外の緑が目に入る開放的なダイニング(写真撮影/片山貴博)

そしてダイニングの奥には、コンサバトリー(サンルーム)もあります。

「ここは朝、気持ちいいのよー」。朝日が入る、東側にあるコンサバトリー(写真撮影/片山貴博)

「ここは朝、気持ちいいのよー」。朝日が入る、東側にあるコンサバトリー(写真撮影/片山貴博)

食器も好きな和さんコレクションで、朝食風にセットしてもらった(写真撮影/片山貴博)

食器も好きな和さんコレクションで、朝食風にセットしてもらった(写真撮影/片山貴博)

和さん自身がそうであるように、八ヶ岳界隈にはアクティブに何かをするために住まう人が多いよう。そんな活力のあるコミュニティーが、この避暑地ならではだなぁ……と感じました。

老若男女、グローバルな出会いの場になればという想い

海外の子どもたちが環境体験学習を行うのに、ここを拠点にすることもあるようで、こんな色紙を発見。

このお宅のデッキにあふれる子どもたち。つづられた感謝の言葉が並ぶ(写真撮影/片山貴博)

このお宅のデッキにあふれる子どもたち。つづられた感謝の言葉が並ぶ(写真撮影/片山貴博)

色紙の写真は、このデッキ。ハンモックも気持ち良さそう(写真撮影/片山貴博)

色紙の写真は、このデッキ。ハンモックも気持ち良さそう(写真撮影/片山貴博)

「外国人をお招きすることもあるので、一応和室もね」、2階の和室には野点(のだて)の茶道具も収められています。

琉球畳に和紙のランプでモダンな和室。洋風窓も意外と調和(写真撮影/片山貴博)

琉球畳に和紙のランプでモダンな和室。洋風窓も意外と調和(写真撮影/片山貴博)

今回敷地内に、以前来たときには無かった物体や小屋が増築されていました(!?)。

高さ3mの壁、これを道具無しにチームで協力して全員登り切るという課題用

高さ3mの壁、これを道具無しにチームで協力して全員登り切るという課題用

シーソー、複数人が乗ってバランスを取るもの(写真撮影/片山貴博)

シーソー、複数人が乗ってバランスを取るもの(写真撮影/片山貴博)

「これも体験学習のひとつ。大人も子どもも自然のなかで身も心も鎧を脱ぎ捨てて、ひとりではできないことを助け合いながら達成する。人それぞれ得意不得意があって当然、お互いの理解が深まっていくのがチームビルディング」
子どもたちも、そんな体験から“多様性”を肌で実感することになるのだそう。

「今日は曇っていて残念ね」と空を眺めながら、「今度はここでテニス合宿するから、いらっしゃいよ!」と誘ってくれた(写真撮影/片山貴博)

「今日は曇っていて残念ね」と空を眺めながら、「今度はここでテニス合宿するから、いらっしゃいよ!」と誘ってくれた(写真撮影/片山貴博)

八ヶ岳のお住まいも拡張するなか、「今度は東京の家を建て替える計画をしたいの! いつか娘が子育てするのなら二世帯住宅にしたいと思って。子どもも大人も一緒に勉強できるような書斎をつくりたい、天井まで書棚があってハシゴに登って本を取るような……」と、目を輝かせる和さん。その夢は、いくつになっても尽きることが無さそうです。

古川 和
八ヶ岳エナジェティック倶楽部代表
1957年大阪府生まれ。東京都在住、結婚・子育てを経て1992年子どもの環境教育、科学教育の会Teaching Kids to Love the Earthを起業。2000年一橋大学大学院國際企業戦略研究科(非常勤講師)。後に、アクションラーニング研究所を立ち上げ、企業のチームビルディング研修を実施。カリフォルニア大学バークレー校の体験型の科学教育の手法を日本に普及し、NPO法人体験型科学教育研修所を立ち上げ2016年まで活動。2017年より株式会社EHRのエグゼクティブコンサルタント。(文部科学省政策評価有識者会議メンバー、東京学芸大学監事(非常勤)など)。
趣味はテニス、俳句、茶道、美術鑑賞と幅広く、多彩な人脈を持つ。座右の銘:格物致知
株式会社EHR
北欧家具「SKOGEN」