スニーカー600足が部屋にズラリ! 業界30年の高見薫さんに聞く美しい収納術とストリートファッションの奥深き歴史

床から天井まで壁面いっぱいに、ずらりと並べられたスニーカー。色とりどりの600足に囲まれた空間は、美術館のようでもある。その部屋の主は、ナイキやデッカーズなどで30年にわたりスニーカーのセールスに従事してきた高見薫さん。高見さんの仕事の履歴、そしてスニーカーの歴史が詰まった「スニーカー部屋」を拝見しながら、美しく収納するためのポイントやこだわりを伺った。

ファッションアイテムとしてのスニーカー史

高見薫さんは1991年にナイキジャパンに新卒入社。96年にはナイキショップの立ち上げなどにも携わった。2018年からはデッカーズジャパンに転職し、同社が取り扱う「UGG(R)」のスニーカーのセールスを担当している。

千葉県にある高見さんの自宅の一室には、三面の壁に600足が並ぶ「スニーカー部屋」がある。1990年代から現在までのスニーカーの歴史、高見さんの仕事履歴が詰まった、圧巻の空間だ。

床から天井まで全面を使った壁面棚に、美しく並ぶ600足。これでも全部ではないという。ここに収まらないぶんは玄関などに収納されている(写真撮影/小野奈那子)

床から天井まで全面を使った壁面棚に、美しく並ぶ600足。これでも全部ではないという。ここに収まらないぶんは玄関などに収納されている(写真撮影/小野奈那子)

高見薫さん。ナイキ時代は新モデルやコラボ商品の販売戦略の企画など、さまざまなプロジェクトに従事。現在はデッカーズジャパンに所属し、同社のスニーカー戦略を推進している(写真撮影/小野奈那子)

高見薫さん。ナイキ時代は新モデルやコラボ商品の販売戦略の企画など、さまざまなプロジェクトに従事。現在はデッカーズジャパンに所属し、同社のスニーカー戦略を推進している(写真撮影/小野奈那子)

――ものすごい数ですね。これだけのスニーカーをコレクションするようになったきっかけは何だったのでしょうか?

高見:確かにすごい数なんですけど、私はコレクターっていうわけじゃないんですよ。

――どういうことでしょうか?

高見:好きで集めている方には失礼かもしれないですけど、私の場合は集めているというより「集まっちゃった」というほうが正しくて。30年間、ずっとスニーカーに近い仕事をしてきたので、必然的にこれだけの数になってしまいました。セールスの仕事をやっていると、その時々で会社が推していく商品のことを知っておかないといけないじゃないですか。だから自分でも買って履いてみたりしているうちに、どんどん増えていったんです。

「集まっちゃった」とはいえ、一足一足に対する思い入れは強いという(写真撮影/小野奈那子)

「集まっちゃった」とはいえ、一足一足に対する思い入れは強いという(写真撮影/小野奈那子)

――そのスタンスは少し意外でした。

高見:みんなに不思議って言われますね。ただ、そもそも私がナイキジャパンに新卒入社した1991年って、スニーカーをファッションで履くという感覚がなかったんですよ。当然、今のようにコレクションする人も少なくて。当時はいわゆるスニーカーブームがくる前で、会社もあくまでスポーツシューズとして売っていました。

高見さんがナイキに入社した1991年に発売された「エア マックスBW」(写真は復刻)。入社年度に出た最高峰モデルの一つということで、高見さんにとって思い入れの深い一足だという(写真撮影/小野奈那子)

高見さんがナイキに入社した1991年に発売された「エア マックスBW」(写真は復刻)。入社年度に出た最高峰モデルの一つということで、高見さんにとって思い入れの深い一足だという(写真撮影/小野奈那子)

――1996年に「エア マックス95」が大ブレイクし、スニーカーブームが起こる少し前あたりから、何となくスニーカーがストリートファッション系の雑誌にも取り上げられるようになったと記憶しています。

高見:そうですね。大きなきっかけの一つが1992年のバルセロナオリンピックです。アメリカの男子バスケットボール代表が「ドリームチーム」と呼ばれる最強チームを結成し、そこから「バッシュブーム」が起こります。そうした動きと、アメリカのファッションやヒップホップなどの文脈も相まって、スニーカーがファッション誌に掲載されるようになりました。

――そこからスポーツシーン以外でもスニーカーを普段履きするカルチャーがじわじわ広がって、「エア マックス95」の登場によって一気にブレイクすると。

高見:「エア マックス」というのはナイキのスニーカーの最高峰のシリーズとして、1987年から新作が毎年のように発売されていました。そのなかで、たまたまブームになったのが95年モデル。スタイリストさんが気に入ったのか、当時、芸能人の方がテレビなどでよく95マックスを履いていたんですよ。それを見た視聴者の間で「あの靴はなんだ!」となり、1996年に大ヒットするという。

じつは同じ96年にナイキショップがオープンするんですけど、開店と同時に95マックスを求めるお客様が殺到しました。なかにはオープン予定日の1カ月前から並ぶ人もいたりして。

左側の棚に並んでいるのが「エア マックス95」。発売当初の貴重なモデルもある(写真撮影/小野奈那子)

左側の棚に並んでいるのが「エア マックス95」。発売当初の貴重なモデルもある(写真撮影/小野奈那子)

――当時の熱狂ぶりはよく覚えています。「エアマックス狩り」なんて事件も起こるほどの社会現象になりましたよね。

高見:ただ、当時はブームが加熱しすぎて「ナイキだったら何でもいい」みたいな人も増えたんですよ。それで、ひと通り商品がお客様に行き渡るとブームが一気に萎(しぼ)んでしまいます。1998年あたりから急激に失速しましたね。

それからは会社も「もう一度しっかりスポーツシューズとしてアプローチしていこう」という方向に向かうんですけど、一方で「せっかく新しいお客様を獲得できたのだから、本格的にファッションアイテムとして仕掛けていこう」という声もあって、2000年前後くらいからスニーカーをスポーツとファッションの両輪で展開していく動きが出てきます。その後、2010年くらいになると、他社ブランドでもスポーツ仕様と普段履きのスニーカーをはっきり区別して売るようになっていきましたね。

1996年に発売された「エア リフト」。つま先部分が足袋のように分かれているのが特徴。高見さんは2000年ごろ、よくこれを履いて出社していたそう。「靴下なしで履けてラクなので愛用していましたね。社割で安かったのもあって、たくさん買いました(笑)」(写真撮影/小野奈那子)

1996年に発売された「エア リフト」。つま先部分が足袋のように分かれているのが特徴。高見さんは2000年ごろ、よくこれを履いて出社していたそう。「靴下なしで履けてラクなので愛用していましたね。社割で安かったのもあって、たくさん買いました(笑)」(写真撮影/小野奈那子)

――確かに、ある時期からシューズ専門店でも、スポーツ用とファッション用のスニーカーのコーナーが分かれるようになりました。

高見:そうですよね。それが2010年代までの動きです。ちなみに、最近では小規模なブランドもスニーカーやスポーツシューズに参入するようになりました。ひと昔前まではナイキやアディダスといった、いくつかの大手しかやっていなかったんですけど、今はそれこそ私が所属するデッカーズジャパンが取り扱う「UGG(R)(アグ)」や「HOKA(R)(ホカ)」だったり、「Salomon(サロモン)」「On(オン)」など、さまざまなブランドがスニーカーやランニングシューズを手掛けるようになっています。

「UGG CA805 Zip」。それまでブーツのイメージが強かったUGG(R)が、本腰を入れて開発したスニーカー。2018年にデッカーズジャパンに入社した高見さんがセールスを担当し、一時期はこればかり履いていたのだとか(写真撮影/小野奈那子)

「UGG CA805 Zip」。それまでブーツのイメージが強かったUGG(R)が、本腰を入れて開発したスニーカー。2018年にデッカーズジャパンに入社した高見さんがセールスを担当し、一時期はこればかり履いていたのだとか(写真撮影/小野奈那子)

高見:多様なブランドの参入と技術の進化により、デザインのバリエーションも広がっています。よりファッショナブルになっていて、洋服に合わせる楽しみも広がっていると思いますよ。

UGGの最新スニーカー「CA805V2 Remix」。スリッポンのように軽やかな履き心地が特徴。初代モデルから5年でデザインも大幅に進化している(写真撮影/小野奈那子)

UGGの最新スニーカー「CA805V2 Remix」。スリッポンのように軽やかな履き心地が特徴。初代モデルから5年でデザインも大幅に進化している(写真撮影/小野奈那子)

600足を収納する「スニーカー部屋」のつくり方

――この家に引越してくる前は、どのようにスニーカーを保管していましたか?

高見:以前は実家近くの団地で一人暮らしをしていたんですけど、スニーカーは箱に入れて天井の高さまで積んでいました。少し大きめの地震がくると一気に倒れて悲惨なことになっていましたね。それに加えて、トランクルームも2つ借りていました。ですから、今みたいにすぐに取り出せる状態ではなかったです。

ただ、この家を買ったのはスニーカーのためというわけではありません。結婚して夫が私の部屋に越してきて、夫婦ともに物が多いから生活スペースが激狭になってしまったんです。通路も片側通行でしか通れないくらい狭くて……。

そんな生活から抜け出したくて引越しを考えていた時に、たまたまこの一戸建てが売りに出ているのを見つけました。それで、せっかく買うならスニーカーをちゃんと保管できるように、一部をリフォームしようと考えたんです。建築士さんに相談したところ、元のオーナーが2人の息子さんの部屋として使っていたスペースを、スニーカー部屋に変更しようということになりました。

もともとは壁で仕切られていたスペースを一つの空間にリフォーム。3つの壁全面に、新たにスニーカー専用棚を設けた(写真撮影/小野奈那子)

もともとは壁で仕切られていたスペースを一つの空間にリフォーム。3つの壁全面に、新たにスニーカー専用棚を設けた(写真撮影/小野奈那子)

――壁面棚をつくるにあたって、建築士さんに要望したことはありますか?

高見:とにかくできるだけ多くの靴を並べられるようにしてくださいと。最初は箱ごと棚に収納する案もあったんですけど、そうするとお店のストックルームみたいになっちゃって全然面白くないじゃないですか。だから裸のまま並べちゃおうと。剥き出しだと埃が溜まったりもするんですけど、私はコレクターではないからか、あまりそのへんは気にならなくて。

一つひとつの棚板の高さを変えることも可能。高見さんは一番高い靴の縦幅に合わせて棚板の位置を統一している(写真撮影/小野奈那子)

一つひとつの棚板の高さを変えることも可能。高見さんは一番高い靴の縦幅に合わせて棚板の位置を統一している(写真撮影/小野奈那子)

壁面棚の両サイドには鏡を設置し、無限にスニーカーが並んでいるように見せる遊び心も(写真撮影/小野奈那子)

壁面棚の両サイドには鏡を設置し、無限にスニーカーが並んでいるように見せる遊び心も(写真撮影/小野奈那子)

高見:あと、これは建築士さんから勧められたんですけど、棚の材料は北海道のチーク材を使っています。とても綺麗な木材ですし、スニーカーも映えるだろうということで。北海道から輸送しなきゃいけないので高いんですけどね。

――スニーカーのコンディションを保つという点でも、やはり天然木を使った棚のほうがいいのでしょうか?

高見:そうですね。スチールラックなどに置いている人も多いと思いますが、金属は錆びる可能性があるので、靴にとってはあまりよくありません。

それから、スニーカーのコンディションを保つためには、部屋の空気の状態にも気を配る必要があります。なるべく空気を循環させることと、湿度が高くなりすぎないこと。空気が湿っていると、靴がどんどんベタベタになってくるんです。この部屋では、空調でなるべく一定のコンディションをキープできるようにしています。

――ちなみに、ずっと置いておくよりも、たまには履いたほうがよかったりしますか?

高見:はい。履かないと逆に駄目になりやすいです。置きっぱなしにしていると空気中の水分がスニーカーに溜まっていき、ミッドソール部分の素材が加水分解を起こしてしまうんです。すると、靴底からボロボロと崩れてしまう。それを防ぐにはたまに履いてあげて、身体の重力を利用して水分を抜くことが必要です。私もここにあるスニーカーはただ飾るだけじゃなくて、なるべく履くようにしていますよ。

(写真撮影/小野奈那子)

(写真撮影/小野奈那子)

グループ分けで美しく。思わず眺めたくなる棚に

――上から下まで、とても美しくスニーカーが並んでいますが、飾る時のコツやポイントがあれば教えてください。

高見:私の場合は、持っているスニーカーをグループ分けするところから始めました。まずは「ランニングシューズ」「バスケットシューズ」といった感じで大まかに分類し、そこからさらに細かく種類を分けます。あとは年代別だったり、シンプル系・派手系みたいな形でグループを分けていきました。そのうえで、エクセルで作った棚の図面に、何をどこに入れるか入力しながらシミュレーションしましたね。

実際に棚に置く時には、薄い色から濃い色の順番に並べたり、背が低い順から並べたりと、なるべく美しく見えるように意識しました。このあたりはナイキで学んだ陳列の法則みたいなものを取り入れています。

靴の種類ごとに分けた上で、デザインが派手なコーナー、シンプルなコーナーなど、なんとなくグループをつくるだけでも見栄えがよくなる(写真撮影/小野奈那子)

靴の種類ごとに分けた上で、デザインが派手なコーナー、シンプルなコーナーなど、なんとなくグループをつくるだけでも見栄えがよくなる(写真撮影/小野奈那子)

――ここまで美しく飾られていると、もはやスニーカーというよりインテリアのようです。眺めているだけで楽しくなりますね。

高見:私自身はあまりインテリアという感覚はないのですが、眺めるのは楽しいですね。やはり、一つひとつに思い入れがあるので。「これは、あそこに行った時に買ったよな」とか、「これを履いていた時、仕事大変だったな」とか、いろんなことを思い出します。

――この部屋は、高見さんの歴史そのものなんですね。

高見:そうですね。ですから、一般的なコレクターの方とは違う感覚なんでしょうけど、全てのスニーカーに愛着があります。もともとは狭い空間から逃げるために家を買い、やむにやまれずリフォームした部屋ですが、今となっては懐かしい思い出にひたれる大切な場所になりましたね。

●取材協力
UGG(R)/デッカーズジャパン

冬服の収納方法をプロに聞いた! 見せる収納&隠す収納でおしゃれに

冬は重ね着が楽しい季節。でも、厚手の洋服は収納場所に困りますよね。かさばりがちな冬の衣類をスッキリ、おしゃれにクローゼットなどに収納する方法を、整理収納アドバイザーの村上直子さんに伺いました。
冬の衣類は、見せる収納と隠す収納のメリハリが大切

厚手のコートやマフラー、肌寒いときに部屋で羽織るカーディガン……冬の衣類はかさばるうえに、体温調節のために着脱する回数も多いもの。ちょっと気を抜くと、玄関やリビングにあふれてしまい、部屋がゴチャゴチャしてきませんか? 整理収納アドバイザーの村上直子(むらかみ・なおこ)さんにその原因を聞くと、第一には、「生活スタイルや動線、使用頻度を考えず、収納場所を決めているから」なのだそうです。

「例えば全ての衣類を、その都度クローゼットにしまうことができれば、スッキリするかもしれません。でも実際には面倒だったり、ニオイや湿気が残って、すぐにクローゼットに入れる気にはならなかったりすることもありますよね。それが散らかる原因。それなら、さっと置くだけの“見せる収納”と、しっかりクローゼットの中にしまって“隠す収納”に分けて、手間を減らすほうが現実的です」(村上さん)

確かに、クローゼットにいちいちしまうのは、面倒くさくてできないことも多いですよね。ではどのように見せる収納と隠す収納を使い分けたらよいのでしょう。今回は実際に村上さんが実践しているアイデアをご紹介します。

整理収納アドバイザーの村上直子さん(写真撮影/蜂谷智子)

整理収納アドバイザーの村上直子さん(写真撮影/蜂谷智子)

見せる収納家具は、インテリアのポイントとしてふさわしいものを

見せる収納としてまず村上さんが見せてくれたのは、おしゃれなカゴ。こちらに部屋で羽織るカーディガンを入れています。見せるための収納には、適当な家具はNG。何も入れていなくてもインテリアとして部屋に置きたいと思うものを、活用するのがポイントだそう。

「見せる収納を部屋のアクセントにしたいなら、いくつかの用途が思い浮かぶような、お気に入りの入れ物を入手しましょう。『部屋着を入れるだけだから』と、ランドリーボックスのような柔らかな収納箱をリビングに置く人がいますが、たくさん入る分、膨らんでだらしない印象になってしまうことも。収納力よりもインテリアとしての価値を重視したほうが、かえって節度のある使い方ができるものです」(村上さん)

さっと脱いだカーディガンや膝掛けを、このカゴへ(写真撮影/蜂谷智子)

さっと脱いだカーディガンや膝掛けを、このカゴへ(写真撮影/蜂谷智子)

見せる収納は部屋のインテリアのポイントにもなる高品質な家具を(写真撮影/蜂谷智子)

見せる収納は部屋のインテリアのポイントにもなる高品質な家具を(写真撮影/蜂谷智子)

外に出しておく衣類は、期間や用途を限定して置きっぱなしを防ぐ

また玄関脇のラックも、雰囲気のあるものを選びましょう。村上さんは、玄関のラックにはお子さんが帰ってきてから学校に行くまでの間、制服を掛けているそう。

「制服以外は、この場所には掛けません。子どもにとって2階の部屋に制服を片付けるのは手間ですし、制服は思いのほか、ホコリや汗がついています。ですから、玄関のラックは干したり消臭スプレーをかけたりして衣類を休ませる場所にしているんです。子どもが学校に行っている間はラックが空になるので、昼間に来客があっても、玄関がスッキリ。ラックは来客にコートを掛けてもらうスペースとして活用します」(村上さん)

玄関にラックを置くと、つい家族の上着類全てを掛けてしまい、こんもりと見苦しくなるもの。使う頻度の高いものだけにするなど、用途を限定することが大切なようです。

また、裏技として、扉の裏を利用した収納方法もおすすめだそう。着たばかりでクローゼットに入れるのはためらわれるコート類は、扉の裏側にフックをセットしてつるしておくと、邪魔になりません。ここにつるすのも、当日着たものに限定し、衣類を休ませたらクローゼットへ。

透かし模様が美しいラックは玄関のイメージを格上げ。衣類を掛けすぎないのがポイント(写真撮影/蜂谷智子)

透かし模様が美しいラックは玄関のイメージを格上げ。衣類を掛けすぎないのがポイント(写真撮影/蜂谷智子)

消臭スプレーなどをセットしておくと、家族が自発的に衣類のケアもするように(写真撮影/蜂谷智子)

消臭スプレーなどをセットしておくと、家族が自発的に衣類のケアもするように(写真撮影/蜂谷智子)

扉の裏を活用した収納は、すぐにでも真似できるアイデア(写真撮影/蜂谷智子)

扉の裏を活用した収納は、すぐにでも真似できるアイデア(写真撮影/蜂谷智子)

クローゼットは、収納用引き出しの容量を最大限に活用する

クローゼットの中が整理できず、いざというときに着たい服が見つからない。服を掘り当てたときにはクローゼットの中がメチャクチャに……整理が苦手な人にはよくあることですが、そういう人は収納用の引き出しの使い方やサイズの選び方を見直す必要がありそうです。

「大前提として、収納ボックスに入れる衣類は、縦に並べて収納しましょう。上に積み重ねて行くと下の服を取り出すたびに引き出しの中を掻き回すことになってしまいますよね」(村上さん)

また、村上さんが特に伝えたいのが、収納用の引き出しのサイズ選びです。

「収納用の引き出しを用途よりも深いものを選ぶ人が多いのですが、上に隙間ができてもったいないですよ。洋服を縦に並べて入れたときにピッタリとおさまる高さを選びましょう」(村上さん)

引き出しの中にデッドスペースができないように、例えば厚めのセーターや夫のボトムスやシーツなどのかさばるものなら36cm、靴下や下着ならば18cmなど、アイテムによって高さを変えることが必要だとのこと。引き出しの中にピッタリと服が入れば、整った印象になり洋服も選びやすいですね。

「収納ケースの選び方のポイントは収納ケースの高さと奥行きの使い方。押入れなどの奥行きがある場合は、収納ケースを前後で使うことをお勧めします。手前がシーズンのよく着る物、後ろを季節外のものにして前後で衣替えをしましょう」(村上さん)

畳んだ衣類を縦に入れてしまえば、洋服が一覧できて服選びが簡単に。高さが引き出しの高さに合っていて、デッドスペースができていないことにも注目(写真撮影/蜂谷智子)

畳んだ衣類を縦に入れてしまえば、洋服が一覧できて服選びが簡単に。高さが引き出しの高さに合っていて、デッドスペースができていないことにも注目(写真撮影/蜂谷智子)

ストール、マフラー類をしまう、ボックスのニ段活用術

冬になって増えてくるのが、ストール・マフラーなどの“巻物”類。ファッションに変化をつけるのに重宝しますが、案外使いたいときに見当たらないことが多いのではないでしょうか。そんな巻物を分かりやすく収納するのが、ボックス使い。シーズンオフのときはクローゼットの上の棚にしまって、出番が来たら箱ごと下に下ろし、出し入れする側を前に倒せば取り出しやすくなります。

「ソフトな箱型収納は、箱自体を折り畳んでしまえる優れもの。使わないときは小さく畳んでおきましょう。輸入家具店などで3つ1500円ぐらいで手に入ります」(村上さん)

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収納ボックスは軽くて取っ手つきで、厚い底がある。まとめやすく高い場所への上げ下ろしもしやすい(写真撮影/蜂谷智子)

収納ボックスは軽くて取っ手つきで、厚い底がある。まとめやすく高い場所への上げ下ろしもしやすい(写真撮影/蜂谷智子)

ニット類はシワにならず、型崩れしないハンガー使いがおすすめ

ニットはシワになりやすく、厚手のものはかさばってしまい、引き出しにしまいにくいもの。着用頻度の高いものはハンガーに掛けることも多いと思いますが、掛け方を間違うと伸びたり、跡がついたりしてしまいます。そこで村上さんが実践しているハンガーの使い方を教えていただきました。

「ハンガーは滑らないタイプのハンガーを使って、畳みながら掛けると跡がつきにくいですよ。ニットを毎回洗うのは手間ですが、着たものを引き出しにしまうのは抵抗があるものです。ハンガーに掛けておけば通気性もよく、お気に入りが見当たらなくなってしまうこともありません」(村上さん)

ニットは畳んでからハンガーに掛ければ肩が伸びることもない(写真撮影/蜂谷智子)

ニットは畳んでからハンガーに掛ければ肩が伸びることもない(写真撮影/蜂谷智子)

衣類を出し入れするのは毎日のことですから、できるだけ無理なく効率よく片付けしたいですね。村上さん流の収納術なら、生活動線や衣類のケアのことも考えられているので、スッキリと部屋が片付くだけでなく、毎日のおしゃれも楽しくなりそうです。厚着になっていく時期に備え、衣類の収納を見直してみませんか?

●取材協力
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