ニューヨーカー、日本に魅了され自宅を「Ryokan(旅館)」にリノベ! 日本の芸術家は滞在無料

ニューヨーク・マンハッタンの繁華街にある、8階建てのビル。エレベーターで上階に上がるまで、このビルの中に「和の空間」が存在しているなんて誰が想像できるでしょう?
持ち主は、26年前の訪日以降、日本の大ファンになり日本の文化に敬意を表すニューヨーカーの男性です。一体彼はなぜ、自宅を和室空間にリノベーションしたのでしょうか? お部屋を見せてもらいました。

訪日で日本文化に魅了され、自宅を和の空間に大改造

ニューヨーク・マンハッタンのダウンタウン地区。地下鉄ユニオンスクエア駅から徒歩5分の便利な場所に、煉瓦造りのコンドミニアム(日本でいう分譲マンションにあたるもの)があります。この辺ではよく見かける 歴史的なヨーロッパ建築の8階建てビルです。

エレベーターで7階に上がり、廊下の奥のドアを開けると、なんと2間の「和室」が広がっています!

京都から取り寄せた畳以外の和の素材は、アメリカ現地で調達したもの。全部で約700スクエアフィート(65平米)(写真撮影/安部かすみ)

京都から取り寄せた畳以外の和の素材は、アメリカ現地で調達したもの。全部で約700スクエアフィート(65平米)(写真撮影/安部かすみ)

持ち主は、スティーブン・グローバス(Stephen Globus)さんというマンハッタン生まれ・育ちの生粋のニューヨーカーです。彼は26年前、出張で初めて日本を訪れ、京都・龍安寺の冬景色の美しさに息を呑んだと言います。その後も、東京・新宿の友人の日本家屋に滞在する機会が幾度かあり、「畳の生活」に魅了されたそうです。

ニューヨークに戻ってからも「畳の間が恋しい」と思うようになり、当地にある日系の施工会社、MiyaSに相談したところ、ニューヨークでも和の空間をつくることができると知り、早速自宅の大改築を依頼。2004年に完成したのが、この和室空間なのです。

茶会用に水屋も備わっている(写真撮影/安部かすみ)

茶会用に水屋も備わっている(写真撮影/安部かすみ)

床の間(写真撮影/安部かすみ)

床の間(写真撮影/安部かすみ)

「日本人はチェックアウトの際、必ず来た時よりも綺麗に掃除して出発しますね」と感心する、家主のグローバスさん。お気に入りの浴衣を羽織って(写真撮影/安部かすみ)

「日本人はチェックアウトの際、必ず来た時よりも綺麗に掃除して出発しますね」と感心する、家主のグローバスさん。お気に入りの浴衣を羽織って(写真撮影/安部かすみ)

構想の段階では、ただ「自分のために和室を」いうコンセプトでしたが、完成すると噂は瞬く間に広がっていき、「茶室として利用できないか?」という周囲のリクエストが多く集まったそうです。それに応え、せっかくなので茶室として一般向けに、スペースの提供を始めました。そうして茶会イベントが徐々に増え、日本人や日系の人々、日本文化が好きな地元の人の間で「話題の場所」になりました。

ただ、ここはそもそも茶室専用に つくったわけではなかったため、茶道口(点前をするときの亭主用の出入り口)や炉(ろ)がない状態です。本格的な茶会イベントが頻繁に行われると、どうしても不便が生じてしまうようになりました。

そこでグローバスさんは、今度は8階の別の自室スペースとペントハウスのスペースを利用して、本格的な茶室にリノベをしたのです。そうして誕生したのが「グローバス和室」(憩翠庵)でした。

現在は、7階を「グローバス旅館」としてアーティスト向けのゲストハウスにし、8階とペントハウスの「グローバス和室」を、当地在住の茶の講師(表千家流、上田宗箇流)に使ってもらい、一般向けに茶会を定期的に催しています。

8階は茶室スペースの「グローバス和室」。写真は昨年12月に行われた着物の展示イベント(写真撮影/安部かすみ)

8階は茶室スペースの「グローバス和室」。写真は昨年12月に行われた着物の展示イベント(写真撮影/安部かすみ)

「グローバス旅館」について特筆すべきは、ここはアーティストであれば「無料」で滞在できる場所ということです。その理由をグローバスさんに聞いてみると、「私は芸術が好きなので、日本とアメリカの文化交流の場をつくりたいのです。才能ある日本人アーティストにニューヨークで夢を叶えてほしい」と言います。

「予算が限られた中で活動をしている芸術家が多く、いざニューヨークでアート活動と言っても滞在費用はかさみますから、才能ある芸術家のサポートができたら嬉しいです」。つまり、ここで芸術活動をしてもらう代わりに、無料でこの和室空間を彼らの滞在先として提供したい、ということなのです。

これまで滞在したアーティストやパフォーマーの数は100人を優に超え、茶会、絵の展示会やライブ・ドローイング・パフォーマンス、生け花、舞踊、琴や三味線などの演奏会、着物の展示会などさまざまなイベントが行われてきました。

例えば2016年、当地在住の日本人カップルのために、福岡県の宮地嶽神社から宮司や巫女を招き、神前結婚式を行っています。「その時は6人の巫女さんが当旅館に滞在しました」(グローバスさん)。

グローバス旅館の奥の部屋(写真撮影/安部かすみ)

グローバス旅館の奥の部屋(写真撮影/安部かすみ)

2部屋にある布団は3人分なので、それ以上のグループでは過去に、寝袋で滞在した人もいたそうです。「私の提供しているものは、カルチュラル・グッドウィル(文化に絡んだ親善活動)です。つまり私がトップアーティストを支援したいという気持ちによるものですから、(通常の)ホテルやホテルのようなサービス、アメニティがここにあるわけではないことをご理解ください」。そして、「ニューヨークで夢を叶えてもらって、私が日本に行った時に彼らのプログレス(進化)を見るのを楽しみにしているんですよ」と、目を輝かせながらグローバスさんは言います。

ここでの芸術イベントおよび滞在に興味があれば、下のウェブサイトの「Contact」から問い合わせてみてください。

障子の外は、ニューヨークの日常の景色が広がっている。室内は外界の音が遮断され、ここがマンハッタンというのを忘れてしまうほど静か(写真撮影/安部かすみ)

障子の外は、ニューヨークの日常の景色が広がっている。室内は外界の音が遮断され、ここがマンハッタンというのを忘れてしまうほど静か(写真撮影/安部かすみ)

2年に及ぶコロナ禍。年の大半をビーチで過ごす

普段はベンチャー・キャピタリストとして活動するグローバスさん。2020年春、ニューヨークで新型コロナウイルスの感染が大拡大し、人々の間ではリモートワークがニューノーマルとなりました。これを機に州外や国外に居住地を移した人も多いです。

グローバスさんも人口密度が高く、ウイルスが蔓延する市内に留まることをやめ、2020年と2021年はそれぞれ5月から11月の間、セカンドハウスのある郊外のロングアイランド(ニューヨーク州南東部に広がる 地域)にある、車の通行が禁止されている島、ファイアーアイランドのビーチハウスで生活しました。

また今年頭まで、家族の住むフロリダやヨーロッパ、そしてハワイにも滞在。「仕事をしている以外は、人の密度が低いビーチを散歩するような生活でした」と、すっかり大自然の中で充電してきた模様です。

州民の大多数がワクチン接種を完了し、感染状況が落ち着きつつあるニューヨークには、2月に戻ってきたばかりです。避難生活中も着物の展示イベントなどを開催し、そのようなイベントを行うたびに、スーツケースを抱えて、戻って来ていました。

久しぶりに故郷であるニューヨークに戻り、アメリカ用につくられたやや深めの堀ごたつに腰掛けてくつろぐグローバスさん。「やっぱり和の空間は心が落ち着きますね」と言いながら、心底リラックスしているようでした。

●取材協力
グローバス和室
グローバス旅館(ゲストハウス)
889 BroadwayNew York, NY 10003

「ダサい」は思い込み? おしゃれなこたつ部屋の作り方、教えます!

日本の冬の風物詩のひとつといえば「こたつ」。柔らかな温かさでくるんでくれるこたつは、家族の距離も近づく大切な家具の一つです。しかし、こたつ布団をかけた見た目はいかにも「和」。洋室には合わせにくい場合が多く、最近見かけることが減っているような気も。しかしそうとは限らない!? 今回は、最新のこたつ事情をお届けします。
家具調こたつは消滅!? テーブルタイプが主流に

株式会社山善はこたつの製造をはじめて30年になる老舗家電メーカー。こたつの企画・開発を行っている表川康裕さんと尾藤琴美さんにお話を伺いました。こたつの需要は年々減っており、業界全体として危機感があるそうです。ただ、「東日本大震災で節電が取りざたされたときには『エコ』として一瞬だけ売り上げが増えました」(表川さん)。

「一人暮らしを始めたばかりの若い人や、高齢になって一人暮らしになる方に、シングル用こたつはわりとニーズがあります」(表川さん)。そのなかでも目を引くのが「ミニこたつ」。実際に見せていただくと、ベッドのサイドボードのようなたたずまい。テレビでもたびたび紹介されています。アンカのように使ってもらうつもりが、「天板があったら便利」との声があり、付け足したそうです。小さいので、布団ではなく大きめのブランケットをかぶせれば十分。

【画像1】ミニこたつ。アンカとしてはもちろん、サイドテーブルや足先の暖かさ重視のこたつ機能など、さまざまに使えます(画像提供/株式会社山善)

【画像1】ミニこたつ。アンカとしてはもちろん、サイドテーブルや足先の暖かさ重視のこたつ機能など、さまざまに使えます(画像提供/株式会社山善)

近年山善が力を入れているのは脚の高さを変えられる製品です。長方形のテーブルのようで、ソファに座っていても足をこたつに入れることができます。

「職業柄、一人暮らしをはじめてすぐに買ったものがこたつです。結婚してからはソファに合うものを選びました。ソファでも使えるのは便利。部屋の雰囲気を変えたいなら、こたつカバー選びが重要になると思います」(尾藤さん)

【画像2】ピタ高こたつ。継脚で4段階に高さを調節できるので、床座にも座椅子にも高めの座椅子にも合います(画像提供/株式会社山善)

【画像2】ピタ高こたつ。継脚で4段階に高さを調節できるので、床座にも座椅子にも高めの座椅子にも合います(画像提供/株式会社山善)

「大手家電メーカーさんが製造をやめてしまったいま、こたつをつくり続けるのは使命だと感じています。量販店に陳列してもらえることは減りましたが、今後も時代に合ったこたつをつくり続けていきたいですね」(同)

一大産地のメーカーがめざすのは「インテリア」

「うどん県」として有名な香川県が、実は「こたつ県」でもあることをご存じでしたか? 香川県では実はこたつづくりが盛んです。そんな香川県で、職人の手仕事のよさを生かしながら、インテリアにこだわりを持つ人にも受けるスタイリッシュなこたつを発表しているユニークなメーカーが「日美株式会社」です。企画やデザインを担当している岩切明日香さんにお話しを伺いました。

「弊社ではこたつを『インテリア』として考えています。こたつは家具でもあるのに、なぜかインテリアショップにはありません。インテリアショップの店員さんはお客さんから『こたつは扱っていないの?』と聞かれることも多いそうです。こたつには『ダサイ』というイメージがついてしまっていますが、こたつを嫌いな人はいないのでは? ニーズを把握して、お客様が欲しいと思えるようなこたつを提供していきたいですね」(岩切さん)

【画像3】「Mojo Delta MosaicII」と名付けられたこたつ。「Delta」という名のとおり、三角形になった脚が印象的(画像提供/日美株式会社)

【画像3】「Mojo Delta MosaicII」と名付けられたこたつ。「Delta」という名のとおり、三角形になった脚が印象的(画像提供/日美株式会社)

岩切さんが「インテリア」だという製品は、ローテーブルとして活用することを念頭においてつくっているそう。ヒーター部分が極力薄くされており、一見こたつには見えません。寄木のような柄の天板や脚のデザイン性など、とても独自性に富んだラインナップです。

昨年同社では、高級ライン「Folivora(フォリヴォラ)」を立ち上げました。通常のこたつの天板はウレタン塗装などで仕上げますが、Folivora製品の天板は、オイル塗装で仕上げた無垢材やモルタル調の塗装技術を使うなど挑戦的です。しかし製品名では「YUL(ユール)」(ゆるーい)、「NOMBE(ノンベ)」(のんびり)など、こたつ本来の優しさを表現しています。

【画像4】武骨でクールな印象をあたえるモルタル調塗装の天板(画像提供/日美株式会社)

【画像4】武骨でクールな印象をあたえるモルタル調塗装の天板(画像提供/日美株式会社)

日美のこたつはかっこよさが際立っているのですが、難点は、お値段。FolivoraのYULは14万円~、NOMBEは10万円~。夏場もローテーブルとして使えますし、一生ものだと考えればよいのかもしれませんが、筆者はちょっと躊躇してしまいます。

それでも魅力的な日美の製品。リーズナブルなものもあります。地方発、インテリア界で成長するこたつメーカーは、おしゃれなこたつ生活へのヒントをたくさんくれました。

決め手はやっぱり布団カバーと周囲との調和

日美のこたつ布団は、シンプルながらこたつ布団にはめずらしい帆布をつかったものなど、素材へのこだわりがうかがえるものがそろっています。はじめにご紹介した山善でも、提携している京都西川の布団を販売しています。

【画像5】ラグとの合わせ方が絶妙。座布団もFolivoraのオリジナル製品(画像提供/日美)

【画像5】ラグとの合わせ方が絶妙。座布団もFolivoraのオリジナル製品(画像提供/日美)

「まず部屋全体のテイストをそろえて、各アイテムのデザインを全てシンプルにしてください。こたつが派手な場合は、それを引き立てるよう他は抑えめにする引き算コーディネートがおすすめです」(岩切さん)。

「布団が一番目につきますから、まず布団を決めてそこからまわりのインテリアを決めるとよいのではないでしょうか」(尾藤さん)。これがこたつのある部屋づくりへの極意と言えるのかもしれません。

ソファ型、ダイニングテーブル型など、こたつはもっとおしゃれに

さて今後、こたつはどうなるのでしょうか。

「床に座る生活習慣が少なくなりつつあるので、ソファに合わせたものやダイニングテーブル型のこたつも増やしています。これからもこたつを使ってくつろいで『だめになってほしい』ですね」(表川さん)

【画像6】高さ60cmのこたつテーブル。ダイニングテーブルとしてもリビングテーブルとしても使えるそう(画像提供/山善)

【画像6】高さ60cmのこたつテーブル。ダイニングテーブルとしてもリビングテーブルとしても使えるそう(画像提供/山善)

生活スタイルとともに形を変えていくこたつ。今後も進化形のこたつが登場してくる予感があります。かたちは変われども、冬の拠り所のひとつとして、こたつ文化はこれからも続いてゆくのではないでしょうか。

・株式会社山善
・日美株式会社

 

お家での日常をおしゃれに撮るコツは? 人気インスタグラマーに聞いてみた

若者を中心に人気の写真投稿SNS「Instagram(インスタグラム)」。お部屋や日常の風景をアップしている人も多いけれど、上手に撮影するのは難しそう。そこで、人気インスタグラマーであるSakieさんとkyoooko.aさんに、暮らしをすてきに見せる撮影術を聞きました。
特別「カメラ女子」というわけではなかった

Sakieさんはフォロワー数6905人。札幌の「大きなワンルームのような一軒家」に夫と高校2年生と中学3年生の2人の娘さん、そして3歳のトイプードルという4人と1匹で暮らしています。時々顔を出すトイプードルの写真がキュートなアカウントです。

【画像1】明るく優しく、光にあふれる暮らしぶりがまぶしいSakieさんのInstagram(画像提供/Sakieさん)

【画像1】明るく優しく、光にあふれる暮らしぶりがまぶしいSakieさんのInstagram(画像提供/Sakieさん)

kyoooko.aさんはフォロワー数約1万8000人。東京都内の1Kの部屋に一人で暮らしています。一度一人暮らしをしたあと実家に戻り、二度目の一人暮らしをはじめてちょうど1年が経過したところ。家具などは以前実家に帰るときほとんど捨てて、いまは物をほとんど持っていないというミニマリスト。大好きな本は近所の図書館で借りることが多いそうです。

【画像2】ナチュラルなテイストのお部屋を撮影しているkyoooko.aさんのInstagram(画像提供/kyoooko.aさん)

【画像2】ナチュラルなテイストのお部屋を撮影しているkyoooko.aさんのInstagram(画像提供/kyoooko.aさん)

お二人にいつからInstagramを利用しているかをうかがってみると、Sakieさんは2年半前から、kyoooko.aさんは1年前からと、案外インスタ歴が長くないことが判明。そのわりにはお二人とも「インスタ映え」する写真を多く投稿されていて、コメントも上手です。

そこで、Instagramを始める以前にも写真を撮っていたり、何かに投稿したりしていたのかを聞いてみました。Sakieさんは「『365日1日1枚』というアプリと『Facebook』に投稿していました」とのこと。「写真撮影は好きでしたが、高いカメラは買えないのでトイカメラを使っていたこともあります」と、以前から興味をお持ちだったようです。

一方、kyoooko.aさんは「普段はまったく写真を撮りません。SNSによくある食事風景や、料理の写真も撮らないくらいなんですよ」と教えてくださいました。

日光の出ている時間がシャッターチャンス!?

Instagramを利用していて気になるのは、どんな写真をアップすれば「いいね」をもらえるのかということ。お二人は、どんなとき、どんなシーンを投稿しようと思うのでしょうか。

「暮らしのヒントを見つけたときや暮らしのこと、季節の変わり目、北海道らしさ、すてきなお店、トイプードルとの暮らし」など、Sakieさんは生活の折々に写真を撮ってみようと思うそうです。

「写真を撮ろう!と思っていると、Instagramに追いかけられる生活になってしまって大変なので、特に決めてはいません。なんとなく撮りたくなったときに撮ります」(kyoooko.aさん)

写真撮影時に気をつけていることやこだわりについては、二人とも一致しており、「なるべく日光の出ている時間帯に撮影します」と教えてくれました。スマホにつける小さな照明などのグッズもありますが、お部屋を自然に明るくきれいに写してくれるのは、やはり明るいお日さまだと分かります。

また、お二人は特別なカメラや、カメラのスペックが高いスマホを使っているわけではありません。Sakieさんは2015年冬に発売された「Xperia Z5」、kyoooko.aさんは「『iPhoneX』のカメラがすごいという話も聞きますが、まだ『iPhone5s』なんです。でもこれで十分きれいに撮れますよ」と笑って話します。

これだけでも驚きですが、お二人とも特別なアプリなども使わないというのです。加工はするとしても、インスタに最初から備わっているものを使う程度。Sakieさんはフィルターなしで、明るさは70から80にして、いつもトーンがおなじくらいの数値になるようにしているそうです。「そういえば、正面から取るのが好きなので、ななめからの写真がほとんどない気がします」(Sakieさん)。

kyoooko.aさんは「こまごまとした作業が面倒で、いやになってしまうので加工はしないことにしています。明るさも日光しだい」といいます。

【画像3】Sakieさんお気に入りの1枚(その1)、2017年10月19日撮影されたもので、札幌で初雪が降った翌日のお部屋の様子だそう(画像提供/Sakieさん)

【画像3】Sakieさんお気に入りの1枚(その1)、2017年10月19日撮影されたもので、札幌で初雪が降った翌日のお部屋の様子だそう(画像提供/Sakieさん)

【画像4】kyoooko.aさんお気に入りの1枚(その1)愛読している西加奈子さんの本が置かれた場所で、プロフィール画像にも使っている(画像提供/kyoooko.aさん)

【画像4】kyoooko.aさんお気に入りの1枚(その1)愛読している西加奈子さんの本が置かれた場所で、プロフィール画像にも使っている(画像提供/kyoooko.aさん)

大切なのは技術より心。思いがあれば上手に撮れる!?

最後に、上手に撮りたいと思っているかたへのメッセージを伺いました。

「上手に撮りたいという気持ちが大切です。日常の見え方が変わってきて、日が当たってすてきだなとか、窓の向こうの景色や、部屋を整えたくなる気持ちが生まれますし、撮って載せることから始まる想像力や緊張感、自分への厳しさも芽生えてくるでしょう。自分らしさも見つかると思います」(Sakieさん)

「いつも定位置から、定点観測的に撮影しています。最初はバリエーションが多いほうが、見てくれる人が楽しくてよいのかなと思っていましたが、気にしなくなりました。同じところで撮影することで、自分のパターンが出てきて記録になっていくのが楽しいですよ」(kyoooko.aさん)

奇をてらわず、自分らしいありのままの暮らしを正直に伝えること。そうした姿勢のりりしさが、写真の美しさを生むようです。

【画像5】Sakieさんお気に入りの1枚(その2)、大切な家族の愛くるしい姿(画像提供/Sakieさん)

【画像5】Sakieさんお気に入りの1枚(その2)、大切な家族の愛くるしい姿(画像提供/Sakieさん)

【画像6】kyoooko.aさんお気に入りの1枚(その2)撮影を続けるうち、自然に定点になったこの場所をいつも撮影している。明るい日差しがさし込む窓辺のベッドが印象的(画像提供/kyoooko.aさん)

【画像6】kyoooko.aさんお気に入りの1枚(その2)撮影を続けるうち、自然に定点になったこの場所をいつも撮影している。明るい日差しがさし込む窓辺のベッドが印象的(画像提供/kyoooko.aさん)

「インスタ映え」が流行語になりノミネートされ、たくさんのインスタ用アプリや機材が世の中にはあふれています。けれども、素敵な写真を撮れる人には、それらを超える「心の眼」があるように思います。部屋を少しだけ片づけて日光を招きい入れ、1枚写真を撮ってみてください。あなたの素直な暮らしが、そこに現れるかもしれません。

●取材協力
・sakie06さん
・kyoooko.aさん

お家での日常をおしゃれに撮るコツは? 人気インスタグラマーに聞いてみた

若者を中心に人気の写真投稿SNS「Instagram(インスタグラム)」。お部屋や日常の風景をアップしている人も多いけれど、上手に撮影するのは難しそう。そこで、人気インスタグラマーであるSakieさんとkyoooko.aさんに、暮らしをすてきに見せる撮影術を聞きました。
特別「カメラ女子」というわけではなかった

Sakieさんはフォロワー数6905人。札幌の「大きなワンルームのような一軒家」に夫と高校2年生と中学3年生の2人の娘さん、そして3歳のトイプードルという4人と1匹で暮らしています。時々顔を出すトイプードルの写真がキュートなアカウントです。

【画像1】明るく優しく、光にあふれる暮らしぶりがまぶしいSakieさんのInstagram(画像提供/Sakieさん)

【画像1】明るく優しく、光にあふれる暮らしぶりがまぶしいSakieさんのInstagram(画像提供/Sakieさん)

kyoooko.aさんはフォロワー数約1万8000人。東京都内の1Kの部屋に一人で暮らしています。一度一人暮らしをしたあと実家に戻り、二度目の一人暮らしをはじめてちょうど1年が経過したところ。家具などは以前実家に帰るときほとんど捨てて、いまは物をほとんど持っていないというミニマリスト。大好きな本は近所の図書館で借りることが多いそうです。

【画像2】ナチュラルなテイストのお部屋を撮影しているkyoooko.aさんのInstagram(画像提供/kyoooko.aさん)

【画像2】ナチュラルなテイストのお部屋を撮影しているkyoooko.aさんのInstagram(画像提供/kyoooko.aさん)

お二人にいつからInstagramを利用しているかをうかがってみると、Sakieさんは2年半前から、kyoooko.aさんは1年前からと、案外インスタ歴が長くないことが判明。そのわりにはお二人とも「インスタ映え」する写真を多く投稿されていて、コメントも上手です。

そこで、Instagramを始める以前にも写真を撮っていたり、何かに投稿したりしていたのかを聞いてみました。Sakieさんは「『365日1日1枚』というアプリと『Facebook』に投稿していました」とのこと。「写真撮影は好きでしたが、高いカメラは買えないのでトイカメラを使っていたこともあります」と、以前から興味をお持ちだったようです。

一方、kyoooko.aさんは「普段はまったく写真を撮りません。SNSによくある食事風景や、料理の写真も撮らないくらいなんですよ」と教えてくださいました。

日光の出ている時間がシャッターチャンス!?

Instagramを利用していて気になるのは、どんな写真をアップすれば「いいね」をもらえるのかということ。お二人は、どんなとき、どんなシーンを投稿しようと思うのでしょうか。

「暮らしのヒントを見つけたときや暮らしのこと、季節の変わり目、北海道らしさ、すてきなお店、トイプードルとの暮らし」など、Sakieさんは生活の折々に写真を撮ってみようと思うそうです。

「写真を撮ろう!と思っていると、Instagramに追いかけられる生活になってしまって大変なので、特に決めてはいません。なんとなく撮りたくなったときに撮ります」(kyoooko.aさん)

写真撮影時に気をつけていることやこだわりについては、二人とも一致しており、「なるべく日光の出ている時間帯に撮影します」と教えてくれました。スマホにつける小さな照明などのグッズもありますが、お部屋を自然に明るくきれいに写してくれるのは、やはり明るいお日さまだと分かります。

また、お二人は特別なカメラや、カメラのスペックが高いスマホを使っているわけではありません。Sakieさんは2015年冬に発売された「Xperia Z5」、kyoooko.aさんは「『iPhoneX』のカメラがすごいという話も聞きますが、まだ『iPhone5s』なんです。でもこれで十分きれいに撮れますよ」と笑って話します。

これだけでも驚きですが、お二人とも特別なアプリなども使わないというのです。加工はするとしても、インスタに最初から備わっているものを使う程度。Sakieさんはフィルターなしで、明るさは70から80にして、いつもトーンがおなじくらいの数値になるようにしているそうです。「そういえば、正面から取るのが好きなので、ななめからの写真がほとんどない気がします」(Sakieさん)。

kyoooko.aさんは「こまごまとした作業が面倒で、いやになってしまうので加工はしないことにしています。明るさも日光しだい」といいます。

【画像3】Sakieさんお気に入りの1枚(その1)、2017年10月19日撮影されたもので、札幌で初雪が降った翌日のお部屋の様子だそう(画像提供/Sakieさん)

【画像3】Sakieさんお気に入りの1枚(その1)、2017年10月19日撮影されたもので、札幌で初雪が降った翌日のお部屋の様子だそう(画像提供/Sakieさん)

【画像4】kyoooko.aさんお気に入りの1枚(その1)愛読している西加奈子さんの本が置かれた場所で、プロフィール画像にも使っている(画像提供/kyoooko.aさん)

【画像4】kyoooko.aさんお気に入りの1枚(その1)愛読している西加奈子さんの本が置かれた場所で、プロフィール画像にも使っている(画像提供/kyoooko.aさん)

大切なのは技術より心。思いがあれば上手に撮れる!?

最後に、上手に撮りたいと思っているかたへのメッセージを伺いました。

「上手に撮りたいという気持ちが大切です。日常の見え方が変わってきて、日が当たってすてきだなとか、窓の向こうの景色や、部屋を整えたくなる気持ちが生まれますし、撮って載せることから始まる想像力や緊張感、自分への厳しさも芽生えてくるでしょう。自分らしさも見つかると思います」(Sakieさん)

「いつも定位置から、定点観測的に撮影しています。最初はバリエーションが多いほうが、見てくれる人が楽しくてよいのかなと思っていましたが、気にしなくなりました。同じところで撮影することで、自分のパターンが出てきて記録になっていくのが楽しいですよ」(kyoooko.aさん)

奇をてらわず、自分らしいありのままの暮らしを正直に伝えること。そうした姿勢のりりしさが、写真の美しさを生むようです。

【画像5】Sakieさんお気に入りの1枚(その2)、大切な家族の愛くるしい姿(画像提供/Sakieさん)

【画像5】Sakieさんお気に入りの1枚(その2)、大切な家族の愛くるしい姿(画像提供/Sakieさん)

【画像6】kyoooko.aさんお気に入りの1枚(その2)撮影を続けるうち、自然に定点になったこの場所をいつも撮影している。明るい日差しがさし込む窓辺のベッドが印象的(画像提供/kyoooko.aさん)

【画像6】kyoooko.aさんお気に入りの1枚(その2)撮影を続けるうち、自然に定点になったこの場所をいつも撮影している。明るい日差しがさし込む窓辺のベッドが印象的(画像提供/kyoooko.aさん)

「インスタ映え」が流行語になりノミネートされ、たくさんのインスタ用アプリや機材が世の中にはあふれています。けれども、素敵な写真を撮れる人には、それらを超える「心の眼」があるように思います。部屋を少しだけ片づけて日光を招きい入れ、1枚写真を撮ってみてください。あなたの素直な暮らしが、そこに現れるかもしれません。

●取材協力
・sakie06さん
・kyoooko.aさん