大好きすぎて移住した! 『水曜どうでしょう』の札幌、ふなっしーの船橋へ

「○○が好きすぎて、○○のそばに引越したい」。そう考えたことがある人は少なくないだろう。ただ、家賃や職場へのアクセスなどさまざまな条件との兼ね合いで諦めた、という人も多いはず。しかし、実際にそれをやってのけた方はどのように引越して、どんな生活を送っているのか?

今回は、好きすぎて「好きなものがある街へ引越した、移住してしまった」人たちに、お話を伺った。

水曜どうでしょう&TEAM NACS好きで北海道へ移住

「水曜どうでしょう」や、出演する大泉洋を擁する演劇集団・TEAM NACSが大好きなあまりに、北海道へ引越してしまった夫婦がいる。竹岡和行さんと、竹岡紗希さんだ。

大泉洋らTEAM NACSが所属する事務所、CREATIVE OFFICE CUEが行うイベントのTシャツ(写真撮影/竹岡紗希さん)

大泉洋らTEAM NACSが所属する事務所、CREATIVE OFFICE CUEが行うイベントのTシャツ(写真撮影/竹岡紗希さん)

関西で生まれ育った2人は、京都建築大学校で知り合った。紗希さんが学校で北海道旅行のおみやげをついでに渡したのがきっかけだ。

「どうでしょうに出てきた『四国八十八箇所』の話になったとき、『水曜どうでしょう知ってる?』って聞かれて。人からそう聞かれたのが初めてだったので。そこから話すようになりました」

いま2人が住む部屋にある多数のグッズ(写真撮影/竹岡紗希さん)

いま2人が住む部屋にある多数のグッズ(写真撮影/竹岡紗希さん)

当時から紗希さんは水曜どうでしょうのDVDを全部持っている大ファンで、和行さんは「普通に好きで見たことがある」程度だったが、DVDの貸し借りから仲は深まった。

「(大泉洋らが出演する)『おにぎりあたためますか』も京都で放送していたので、彼らが行った全国のお店へ、2人で一緒に食べに行っていました」

(画像提供/竹岡紗希さん)

(画像提供/竹岡紗希さん)

紗希さんは専門学校時にも移住を考え、就活で札幌へ4度行ったが、内定をもらえずに関西で就職。国家資格である一級建築士を取ったことと、会社の業績悪化が重なり、入社4年目ごろには移住を本格的に考えた。

「つらい事があった時に、大泉洋さんの主演映画『しあわせのパン』を久しぶりに観たんです。そこで東京から洞爺湖に引越してパン屋を始めた夫婦の『好きな暮らしがしたいって思ったんです。好きな場所で。好きな人と。』ってセリフがあって。その言葉が移住の決め手ですかね」

移住後に訪れた洞爺湖の姿(画像提供/竹岡紗希さん)

移住後に訪れた洞爺湖の姿(画像提供/竹岡紗希さん)

紗希さんとともに彼らのファンになっていった和行さん。だいぶ前から一緒に移住する話をしていた。
「僕も水曜どうでしょうを見て、北海道に行きたい気持ちもありました」

お手製のマグカップ(写真撮影/竹岡紗希さん)

お手製のマグカップ(写真撮影/竹岡紗希さん)

もっと近くで彼らを追える生活

2人は北海道への引越しを決意。土日祝日にイベントへ行くための時間を確保できる仕事を探したが、大阪時代と同じ住宅業界への就職は厳しく、ビルなどを手掛ける設計事務所へ移った。

同じ理由で、和行さんは公務員として事務の仕事に勤めた。

場所は大泉洋たちが学生時代に住みイベントにも行きやすい札幌だった。

水曜どうでしょうの”ミスター”こと鈴井貴之の冠番組『ドラバラ鈴井の巣(HTB)』に札幌の白石区を守るヒーローがいたことから、白石区へ(写真撮影/竹岡紗希さん)

水曜どうでしょうの”ミスター”こと鈴井貴之の冠番組『ドラバラ鈴井の巣(HTB)』に札幌の白石区を守るヒーローがいたことから、白石区へ(写真撮影/竹岡紗希さん)

2018年の2月に内定をもらって、ちょうど予定していた北海道旅行の時間を現地での不動産探しに充てた。

「雪道に慣れない人は駅から5分以内がいいそうですが、条件面で難しくて、最終的には7分以内で探してもらいました」

まさに駅から7分ぐらいほどの2DKのマンションに決定。家賃は管理費込みで7万6000円で、寝室はもはやグッズ置き場になった。

当時の家のリビングダイニングで、この入居前の画像が唯一の写真。なお1室まるごとをグッズ部屋にしていた(写真撮影/竹岡紗希さん)

当時の家のリビングダイニングで、この入居前の画像が唯一の写真。なお1室まるごとをグッズ部屋にしていた(写真撮影/竹岡紗希さん)

北海道に移住したのは2018年4月下旬。そこからチェックできるテレビ・ラジオ番組が増えた。特にTEAM NACSが全員出演する『ハナタレナックス』が毎週見られるほか、水曜どうでしょうの新作もいち早く見られる。

夜の放送はできるだけ早く帰って見るが、難しい場合でも1週間全チャンネルを録画するレコーダーとSNSを駆使して、スポット出演ですら見逃さないようにする。

森崎博之のジャンジャンジャンプ!(HBC北海道放送)の収録風景(写真撮影/竹岡紗希さん)

森崎博之のジャンジャンジャンプ!(HBC北海道放送)の収録風景(写真撮影/竹岡紗希さん)

大泉洋主演でオール北海道ロケの映画『こんな夜更けにバナナかよ』や、TEAM NACSが出演するドラマ『チャンネルはそのまま!(HTB)』のエキストラに参加するなど、彼らと一緒に楽しめる場も広がった。

大泉洋主演映画「こんな夜更けにバナナかよ」を見に来た際の写真(写真撮影/竹岡紗希さん)

大泉洋主演映画「こんな夜更けにバナナかよ」を見に来た際の写真(写真撮影/竹岡紗希さん)

ちなみに、地元の北海道民に水曜どうでしょうや大泉洋らはどう受け止められているのか。

「同世代だと、『”水曜どうでしょう”ってタイトルは聞くけど、内容は知らない』って人が割といて。本当にリアルタイムだったのは40代以上の方なんです」

確かに今でも再放送が全国のUHF系列局で流れるから気づきにくいが、最盛期はレギュラー放送のあった1996~2002年だ。

「40代以上の人にとっては、大泉さんたちは親戚みたいな存在です。でも番組ファンにはおなじみの車やバイクの水曜どうでしょうステッカーは道外より見なくて、『ファンですアピール』は少ない。でも水曜どうでしょうの新作の占拠率(テレビをつけている人の中で、どれだけの人を集めているかという数字)は50%を超えてまでいるし、やっぱり道民に愛されていると思いますね」

(写真撮影/竹岡紗希さん)

(写真撮影/竹岡紗希さん)

「TEAM NACSは森崎リーダー以外はたぶん東京の方に住んでいるので、彼らの活動を『追いかけるなら東京じゃない?』っていう人もいるんですけど、やっぱり彼らのホームは北海道だと思うので。どれだけ東京の方で忙しくなっても、収録のたびに帰ってきてまでレギュラー番組を続けていますから」

雪まつりで、HTBの旧社屋をつくった

2019年2月にはさっぽろ雪まつりで、水曜どうでしょうでもおなじみだったHTBの旧社屋の雪像をつくった。建築の技術を活かしてCADで図面を書き、短い製作時間の中で2人だけでつくり上げた。

実質3日でつくり上げた、水曜どうでしょうの聖地(写真撮影/竹岡紗希さん)

実質3日でつくり上げた、水曜どうでしょうの聖地(写真撮影/竹岡紗希さん)

「本来は横長の建物ですけど、雪像は2×2×2メートルって決められているので、それでもHTBに見えるように工夫しました」

後ろの通用口は、水曜どうでしょうで企画発表などをやる、ある種の“聖地”なので丁寧につくり、ロケ車も置いた。

(写真撮影/竹岡紗希さん)

(写真撮影/竹岡紗希さん)

「気付く人は、『うわ、こんな所までつくってる』って思ってくれました」
それをHTBの記者が見つけて、夕方の情報番組で取り上げられた。TwitterではHTBのマスコットキャラクターonちゃんのアカウントも引用リツイートしてくれた。

大泉さんと同じところで、結婚式を挙げたい

いま大泉洋が披露宴をしたと公表する式場で、式を挙げようと準備をしている。披露宴をおこなったのは2010年8月29日。ふとその10年後である2020年の8月29日を調べると、土曜日で大安だった。

「運命だと思って決めました」
コロナ禍で延期になったが、新たな式の日付も来年の8月29日にしている。

(写真撮影/竹岡紗希さん)

(写真撮影/竹岡紗希さん)

現在は、水曜どうでしょうでも行われた「カントリーサインの旅」を決行中だ。

こういった市町村の境界線にあるカントリーサインで記念撮影していく旅(写真撮影/BATACHAN)

こういった市町村の境界線にあるカントリーサインで記念撮影していく旅(写真撮影/BATACHAN)

「さすがにどうでしょうみたいに、カードの出た順にまわるのは厳しいので(笑)、並んだ自治体を効率よくまわっています。3~4連休を使ってレンタカーで走りますね」

今は179市町村中の175を制覇し、奥尻町、礼文町と利尻町、利尻富士町の離島の自治体4つを行けばクリアだ。

住んで3年目の北海道。どう思っているのか。

「北海道で最初にびっくりしたのは、水道水がすごく美味しいんです。地域によって全然特産品が違うし、美味しいものが多すぎます」

スープカレーのマジックスパイス、ラマイ、ジンギスカンの成吉思汗 なまらなど、庶民的で通いやすいTEAM NACSゆかりのお店にもよく行く。

TEAM NACSのメンバーが大学時代から通い続ける、カリー軒(写真撮影/竹岡紗希さん)

TEAM NACSのメンバーが大学時代から通い続ける、カリー軒(写真撮影/竹岡紗希さん)

紗希さんに聞く。彼らを追って北海道に来て、今どう思いますか?

「日々充実して、移住して良かったと思います。住んでいると、たぶん悪いところも見えてくると思うんですけど、それを含めてもっと北海道を知っていきたい」

もし大泉洋さんやTEAM NACSに、今メッセージを送るとしたら。

「もうTEAM NACSと出会っていない人生が想像できない。人生楽しませてもらって感謝ですね」(紗希さん)

「嫁と一緒に来てすごく楽しいですし、見れば見るほどハマらせていただいています。NACSメンバーに言いたいのは……結婚式に来てください!(笑)」(和行さん)

2020年の雪まつりでつくった、「チャンネルはそのまま!」の主人公・雪丸花子の雪像と(写真撮影/竹岡紗希さん)

2020年の雪まつりでつくった、「チャンネルはそのまま!」の主人公・雪丸花子の雪像と(写真撮影/竹岡紗希さん)

ふなっしーが大好きで、船橋へ引越し。

ふなっしーが好きなあまりに、船橋への引越しを決めたのがりささん(@funafunarin)。長野から上京し、南砂町(東京都江東区)で過ごした後に船橋へ引越した。

イベントで記念撮影(写真撮影/りさ)

イベントで記念撮影(写真撮影/りさ)

それほどまでに、ふなっしーが好きになったのはなぜか。

「最初は『何だこれは』って思ったんですけど(笑)、どんどんかわいく見えてきたのと、一生懸命で人を笑顔にしたいエネルギーであふれているし、知れば知るほどすごく尊敬できるキャラだと思いました」

「船橋発、日本を元気に!」をテーマに、一生懸命に体を張ってアピールしつつ楽しませて、実は船橋の地域貢献につながるキャラ使用には版権料をもらわず、被災地には多額の寄付などもひそかに行うふなっしー。そんな彼の活動の源である船橋へ住みたい気持ちは日ごとに高まった。

だからこそ最初は船橋駅近くを希望していたが、予算オーバーでかなわず、津田沼駅から徒歩圏内の「ギリギリ船橋市」の地域に決めた。

(画像提供/りさ)

(画像提供/りさ)

「船橋市に必ず住みたい」。その思いが伝わったか、不動産会社は一生懸命にピッタリの部屋を探してくれた。1カ月ほどそうした末に見つかったのは、1Kで4万5000円のアパート。新京成線の線路沿いで、電車の走行音がする分安かった。

部屋は6畳、ロフト部分が別に3畳ある部屋だった。ロフトがある部屋にしたのは、ちょっとしたふなっしー部屋をつくるためだ。

たくさんのふなっしーで彩られたロフトの一角(写真撮影/りさ)

たくさんのふなっしーで彩られたロフトの一角(写真撮影/りさ)

「引越してから、ふなっしーを身近に感じられることがすごく増えました。転入届を出しに船橋市役所へ行ったら、地元のこどもたちがつくったふなっしー人形があったし、道行く人のかばんにもふなっしーのキーホルダーが付いていて」

ふなっしーが船橋の魅力を教えてくれた

船橋に溶け込めたのも、ふなっしーがきっかけだった。

「船橋にずっとお住まいの“梨友”(ふなっしーファンの愛称)の方と友だちになれて、地元ならではのお話を聞かせていただいたり、市民祭りへ一緒に参加してくれたり。とてもうれしかったです」

船橋のお店も、ふなっしーの景品がもらえるスタンプラリーなどが目当てで行ったおかげで、たくさんのお気に入りができた。

「ひとりなら絶対に入らなかったお店も、ふなっしーのどんぶりやコースターをもらうために入れたんです。ふなっしーを通じて、船橋とお店の開拓ができて本当に楽しかった」

船橋の飲食店・小売店30店舗でコースターがもらえる企画。ぜんぶ行った(画像提供/りさ)

船橋の飲食店・小売店30店舗でコースターがもらえる企画。ぜんぶ行った(画像提供/りさ)

新京成線沿線を飛び回り、2カ月でラーメンを24食。どんぶりとレンゲのセットを2つもらった(画像提供/りさ)

新京成線沿線を飛び回り、2カ月でラーメンを24食。どんぶりとレンゲのセットを2つもらった(画像提供/りさ)

「例えばふなっしーが紹介していた居酒屋の『フナバシ屋』さんも、ファンがイベントの後に集まるような場所ですが、私も大好きで行っていました」

ふなっしーのサインとともにお酒も飲んだ(画像提供/りさ)

ふなっしーのサインとともにお酒も飲んだ(画像提供/りさ)

ふなっしーグッズが買えるショップ、ふなっしーLANDへもよく行った。

「来ている方々はふなっしーが好きな人ですし、お店も手づくりのPOPから何から、ふなっしー愛にあふれているような、すごくあたたかい場所です」

そんな船橋の街を振りかえって。

「何よりふなっしーのホームタウンであるだけで魅力的だけど、純粋に街としても、ららぽーとやIKEAがある一方で梨園や畑もあるし、海で潮干狩もできるし。そのバランスが落ち着きましたね。地元のお野菜や貝を使ったおいしいお店もたくさんありました」

(画像提供/りさ)

(画像提供/りさ)

船橋を離れる日

船橋に住んで4年目の2019年、ふなっしーともうひとり大切な人ができた。

「彼とは福祉の仕事の関係で知り合いました。告白されて、付き合い始めた日がたまたま2月7日だったんです。2と7ってファンにとっては特別な数字で、「ふなの日」って。それってファンじゃない人ならささいなことですけど、彼は「すごい」って一緒に盛り上がってくれました」

彼とはふなっしーLANDへも行った。「俺もグッズが欲しい」とキーホルダーやマグカップを買ったという。代わりにこの年は彼が好きなラグビーのワールドカップがあり、一緒に見て熱くなった。

そうして愛を育んで、結婚を決めたときのこと。彼の親御さんの具合が悪く、実家の近くへ住むために船橋を離れざるを得なかった。

「私も彼の実家の近くに住んだ方が良いと思っていました。それでも彼は、ふなっしー好きの私の想いを汲んではじめに船橋で新居を探してくれたんです。彼にとっては何の縁もゆかりもないし、職場も船橋じゃ遠かったんですけど、その気持ちに感謝しています」

船橋を発つ日、津田沼駅で(画像提供/りさ)

船橋を発つ日、津田沼駅で(画像提供/りさ)

「船橋を発つとき、船橋の思い出の場所を回りたかったんですが、結婚式の準備もあってなかなか行けませんでした。でも海老川沿いは歩きました。ふなっしーが初期のころYoutubeで一人でおどっていた海老川にかかる鷹匠橋。そこがふなっしーのスタートの地でしたから」

(画像提供/りさ)

(画像提供/りさ)

そして2人は親御さんの家へ通いやすい、川崎へ住むことになった。そして結婚の日取りを考えているころの話。

「私たちは『いいふなの日で11月27日とかどうだろう』って冗談で言ってたら、ちょうどその日が大安だったんですよ。そこでまた盛り上がって、本当にいいふなの日(11月27日)にふなっしーの柄の婚姻届で、船橋市役所へ行って入籍しました」

船橋市役所で2人で婚姻届を提出(写真撮影/りさ)

船橋市役所で2人で婚姻届を提出(写真撮影/りさ)

「そして川崎市に住んでからも、よく船橋には行っています。ふなっしーLANDもイベントも行って、梨園で梨も2度買いました」

安くておいしい梨をたくさん持って帰る(画像提供/りさ)

安くておいしい梨をたくさん持って帰る(画像提供/りさ)

「ふなっしーが私の世界を広げてくれて、生活や心を彩ってくれました。いつも元気や癒やしをくれて、存在してくれて感謝です」

結婚式はコロナで延期になった(画像提供/りさ)

結婚式はコロナで延期になった(画像提供/りさ)

「船橋への愛から、生まれてきてくれたふなっしー。その愛ある街でふなっしーを身近に感じながら応援できて、4年弱でしたがとても幸せでした。ふなっしーと同じ市民だったことは一生の思い出だし、誇りです。
これからもずっとふなっしーのことが大好きだし、離れても船橋という街とも縁を持ち続けていきたいですね」

何よりも「好き」を優先して引越す。そうすれば、好きなものにもっと近くでふれ合えて、その過程で街をどんどん好きになれる。一生の思い出をつくれる、いい選択肢かも知れない。

イマドキの引越し事情!節約の方法、近隣への挨拶、お祝いに贈るものなどご紹介

10月と4月は引越しが多いシーズンだ。そこで、引越しの2大お悩み「費用の節約」、「近隣挨拶」について、リクルート住まいカンパニーが調査した。その結果に加えて、知り合いの引越しで「お祝いを贈るときの相場」についても紹介していこう。【今週の住活トピック】
「引越しに関するアンケート」結果を発表/リクルート住まいカンパニー
・引越し費用を格安で! みんなに聞いた節約テクニック
・引越しの挨拶、みんなどうしてる? アンケートから分析&マナー講師が解説
・引越し祝い・新築祝いの品物と相場 アンケートで見るイマドキのマナー【マナー講師監修】「繁忙期を避ける」「不用品を捨てる」で引越し費用の節約

引越し費用については、引越し経験者の55.9%の人が「もっと安くするためにできることがあった」と回答した。費用を安くするために、複数の引越し会社の見積もりを比較することはもちろんのこと、「引越しコース」の選び方にも工夫があるようだ。

節約するためにどんな「引越しコース」を選んだかを聞いたところ、「繁忙期や土日を避けた」(53.5%)が一番多い結果になった。引越しが多い日にちを避けることで、節約しようということだ。加えて、「午前便・午後便・フリー便(時間指定なし)にした」(39.0%)が2番目に多く、引越し業者の比較的空いている時間帯に利用することで、節約しようとしていることも分かった。

Q.節約するためにどんな「引越しコース」を選びましたか?(複数回答)(出典/リクルート住まいカンパニー「引越しに関するアンケート」より転載)

Q.節約するためにどんな「引越しコース」を選びましたか?(複数回答)(出典/リクルート住まいカンパニー「引越しに関するアンケート」より転載)

さらに費用を抑えるために、「自分で行ったこと」を聞くと、「引越し前に不用品を捨てる」が54.2%、「引越し前に不用品を売却」が32.1%となり、不用品を捨てたり売ったりして“荷物を減らす”ことで費用を節約した人が多いことが分かった。

また、できることは“自分でする”ことで節約している人も多い。「運べるものは、自力で運んだ」(48.0%)、「自分で荷造り・荷ほどき」(44.5%)、「段ボールを自分で用意」(22.8%)とコツコツ努力している姿が見えてくる。

71.8%が「引越しの挨拶をした」。手土産予算は「500円以上1000円未満」が最多

「引越しをしたら、近隣に挨拶する」のは、かつての常識か?

調査結果によると、約3割(28.2%)が「挨拶をしていない」と回答した。残りの約7割(71.8%)の内訳は、「新居のみ挨拶」(40.4%)、「旧居のみ挨拶」(15.7%)、「新旧両方に挨拶」(15.7%)となった。

「立つ鳥跡を濁さず」の例えで、“旧居”にはお世話になりましたと感謝の気持ちで挨拶するのだろう。一方、“新居”の挨拶はこれからよろしくお願いしますと、良好な人間関係をつくろうという意図のものだ。

筆者などは、出ていった跡よりこれから先の生活が良好になるようにと、新居への挨拶を重視するのだが、挨拶をしないと旧居のみを足した43.9%は、新居に挨拶をしていないことになる。過去に「誰が住んでいるのかを知られたくない」という理由で、新居で挨拶をしないという調査結果もあった。今回の調査でも、「一人暮らしのほうが挨拶率は低い」というので、プライバシー保護という観点もあるのだろう。

さて、手土産の予算はいくらだったのだろう?
一番多かったのは、「500円以上1000円未満」の39.1%、次いで「1000円以上1500円未満」の27.5%などとなった。「気兼ねせず受け取れて、お返しが不要と思える価格帯がベスト」ということなので、引越した人の年齢などにもよるだろうが、妥当な額で手土産を選んでいるといえるだろう。

また、具体的なものとしては、「タオルやふきん」(38.5%)、「スイーツ」(30.2%)、「ティッシュペーパー・キッチンペーパー」(27.2%)が上位に挙がった。

Q.引越し挨拶の手土産・粗品は、ひとつあたりいくらの予算を組みましたか?(複数回答)(出典/リクルート住まいカンパニー「引越しに関するアンケート」より転載)

Q.引越し挨拶の手土産・粗品は、ひとつあたりいくらの予算を組みましたか?(複数回答)(出典/リクルート住まいカンパニー「引越しに関するアンケート」より転載)

引越し祝いの相場は相手との関係性によって変わる

落語に「家見舞い」という噺がある。仲良し二人組がお金もないのに、兄貴分が一軒家に引越したので「引越し祝い=家見舞い」を持っていこうと考えて、とんでもないことをするというものだが、江戸時代にはこうした風習があったのだろう。冠婚葬祭の付き合いが重視されたころまでは、引越し祝いを贈ることも多かった。

せっかくなら喜んでもらえるものを贈りたいものだが、「引越し祝いでもらってうれしかったもの」を聞いたところ、「現金」(31.3%)、「ギフト券・ビール券などの金券」(28.0%)、「カタログギフト」(25.1%)が上位に挙がった。新居に合わせて自分で用意したものもあるので、自分が欲しいものを選べるという点が喜ばれる理由だろう。

Q.引越し祝いで、もらってうれしかったものはなんですか?(5つまで回答)(出典/リクルート住まいカンパニー「引越しに関するアンケート」より転載)

Q.引越し祝いで、もらってうれしかったものはなんですか?(5つまで回答)(出典/リクルート住まいカンパニー「引越しに関するアンケート」より転載)

ちなみに、江戸の二人組も兄貴分の家に行って、何が欲しいかを聞いてから買いに行っている。希望した水瓶にはお金が足りなかったので、代替品を用意したのだが、その代替品がこともあろうに……ということで笑わせる落語だ。

さて、SUUMOの記事では、引越し祝いに関するマナーについて、マナー講師監修の下で解説しているので、それをいくつか紹介しよう。

■引越し祝いの名目
・家を建てた&新築マンションなら「新築祝い」
・栄転による引越しは「栄転祝い」か「引越し祝い」
・退職や転職での引越しなら「餞別(せんべつ)」とすることも

■引越し祝いの相場
相手との関係性で決まる
・友人・職場の同僚の場合: 5000~1万円
※職場の仲間と連名で贈る場合には、1人当たり1000~3000円が目安
・兄弟姉妹・親戚の場合:兄弟姉妹へは1万~3万円、親戚へは5000~3万円程度
・目上・上司の方の場合:1万円程度の商品を選ぶのが一般的(どの程度お世話になっているかで変わる)

なお、「一般的に引越し祝いを受け取る側は、半額~1/3程度の内祝い(返礼)を用意する」というので、受け取る方もそれなりの出費が必要だ。

引越しをする理由は、進学や就職、結婚、マイホーム取得など、次のステージに進むものであることが多い。もちろん、前の住まいに不満があるという場合もあるだろう。いずれにせよ引越しは、生活環境を変えて、新しい気持ちで生活をスタートさせる機会でもある。この機会を上手に使って、次の生活に踏み出してほしいものだ。

引越しをしようと思うきっかけ、トップは「結婚」

(株)クロス・マーケティング(東京都新宿区)は、20歳~69歳の男女を対象に「賃貸物件の部屋探しに関する調査」を行った。調査は2019年2月15日(金)~2月17日(月)にインターネットで実施。有効回答数は1,000。それによると、部屋探しをして引越しをしようと思うきっかけトップは「結婚」で約3割(28.2%)。次いで「入学・進学」(24.6%)、「就職」(21.3%)と、ライフステージ変化が引越しのきっかけとして多く挙がっている。男女比でみると、男性は「転勤」が22.8%で女性の16.0%より6.8ポイント高く、女性は「結婚」が35.0%で男性の21.4%より13.6ポイント高い。

部屋探しの方法としては「不動産会社の店舗に行った」が63.2%で最多。「物件検索のWebサイト見た」(30.3%)よりも、店舗に足を運んで相談する人が約2倍。「直接現地で見た」(16.7%)、「家族や友人・知人から物件を紹介された」(12.8%)が続く。

譲れない設備・サービスは「バストイレ別」が42.2%で最多。次いで「エアコン」(35.1%)、「室内洗濯機置き場」(26.6%)の順。特に女性の2人に1人は「バストイレ別」を求めているほか、男性よりも全体的に譲れない設備やサービス項目が多い傾向がみられた。

動画内見・オンライン内見は、どちらも利用経験者は全体で約1割。男性20代、女性30代は利用経験者が他年代よりも多いが、まだまだ浸透しているとは言い難い結果となった。

ニュース情報元:(株)クロス・マーケティング

転勤時の持ち家、「賃貸物件として対処」37.1%

東急住宅リース(株)はこのほど、「ビジネスパーソンの転勤事情に関する調査」を行った。対象は転勤経験のある既婚男性ビジネスパーソン500名と、夫の転勤に伴い一緒に引越しをした経験のある既婚女性“転妻(てんつま)”500名の計1,000名。調査期間は2018年12月25日~2019年1月7日。希望の転勤スタイルとしては、「家族も一緒に引越しをすることが望ましい」と思う既婚男性が66.8%、転妻においても78.2%となり、“転勤は家族と一緒”が望ましいと考える人が多数派であることがわかった。しかし実態として、直近の転勤経験では、「家族一緒に引越し」が32.8%、「単身赴任」が67.2%と、「単身赴任」が多数派。理想と現実のギャップが見て取れる。

子どもの有無別では、「家族一緒に引越し」を選んだのは子どもがいる人で33.1%、子どもがいない人で31.6%と傾向に大きな差はみられなかった。しかし、子どもの成長段階別では差がみられ、子どもが就学する頃から「家族一緒に引越し」を選ぶ割合が増え、子どもが中学生の人では42.0%と最も高くなった。子どもの就学状況は、転勤で家族一緒に引越しをすべきか考える際、影響を与える要素となっているようだ。

転勤で家族一緒に引越しをした人の苦労は、「引越しの荷造り」が69.8%でトップ。「引越しの手続き(届出・公共料金など)」(58.7%)、「新居探し」(43.7%)が続いた。子どもがいる人では「子どもの園・学校探し」(27.4%)や「子どもの転園・転校手続き」(26.3%)も上位に挙がっている。

また、転勤前の住宅が持ち家の人の苦労1位は、「住宅の対処(住まなくなった持ち家をどうするか)」で51.7%と約半数。持ち家をどうするかという点は、転勤時の悩みのタネとなっているようだ。対処方法としては、「賃貸物件として第三者に貸した」が37.1%で最も高く、次いで「空き家の状態で保有した」(27.6%)、「売却した」(22.4%)が続く。

ニュース情報元:東急住宅リース(株)

引っ越しの理由、トップは「物件の契約更新」

(株)アルティメット総研はこのたび、部屋探しにおける入居希望者の最新動向を調査し、その結果を発表した。
この調査は、入居希望者会員が探している物件の条件を登録する「お部屋リクエスト」(同社運営)を集計したもの。2018年10月1日~12月31日に登録された中から400件を抽出した。

それによると、引越しの理由は、「契約の更新」が最多で38%。「転勤・転職」33%、「結婚・出産」17%、「進学・就職」10%などが続く。「契約の更新」というシステムがあることによって、引っ越しを検討するきっかけを生み出しているのかもしれない。

現在住んでいる物件の家賃は、「60,000円以下」が38%で最多。次いで「60,001円以上80,000円以下」33%、「80,001円以上」29%の順。希望の家賃上限をみると、「80,001円以上」が最も多く37%。「60,000円以下」は35%、「60,001円以上80,000円以下」が28%。現在住んでいる物件よりも良い条件の部屋を探している人が一定数いるようで、現状の家賃よりも高い家賃の物件を探す人が増加している傾向。

ニュース情報元:(株)アルティメット総研

引越しするならまずチェック! 一番使いやすい引越し会社のWebサイトはどれでしょう

引越し会社の人員不足で「引越し難民」という言葉までうまれたこの春。皆さんは無事に引越しできたでしょうか?
「引越し会社5社のWebサイトの使い勝手」を比較分析したランキングが発表されました。どんな結果になったのか、さっそく見てみましょう。

引越し会社の使いやすいWebサイトランキング

トライベック・ストラテジー株式会社(東京都港区、以下 トライベック・ストラテジー)のグループ子会社の株式会社トライベック・ブランド戦略研究所が、「個人向け引越しサービスを提供する引越し会社5社のWebサイトの使い勝手」のランキングを作成しました。

気になる結果は、以下のとおりです。

<ランキング>
1位:クロネコヤマト引越センター
2位:アート引越センター
3位:サカイ引越センター
4位:アリさんマークの引越社
5位:ハトのマークの引越センター
このランキングは、「5評価軸、全96項目」への評価で順位付けられたのだそう。一体どんな点が調べられたのでしょう? 5つの評価軸を見てみましょう。

A軸:アクセス性
(モバイルフレンドリー対応、多言語対応など)
B軸: サイト全体の明快性
(サイト内のデザイン・色のトーン・マナーなどの一貫性など)
C軸: ナビゲーションの使いやすさ
(サイト内部全体を検索可能な検索機能の有無など)
D軸: コンテンツの適切性
(ページ内容に対する見出しの適切性など)
E軸: ヘルプ・安全性
(問い合わせ窓口の分かりやすさなど)

ランキングの1位は、「クロネコヤマト引越センター」でした。「A軸:アクセス性」の評価が若干低いものの、総合スコアに大きく影響するB軸からD軸までの各評価軸で80点を超えるなど、全体的に高い評価となりました。

ちなみにWebサイトの操作性にかかわるC軸は、5社のなかでも「クロネコヤマト引越しセンター」がやはり一番の高得点でした。操作性のなかでも、情報構造やナビゲーションの設計について高く評価されているそうです。つまり、分かりやすく使いやすいということですね。利用者にとっては、それが一番大切なポイントかもしれませんね。

イメージがちぐはぐ? なホームページたち

調査を実施したトライベック・ストラテジーの担当者によると、この5社の引越しWebサイトを比較するうちに、あることに気が付いたのだそうです。それはどんなことなのでしょう。

「いち消費者として、日ごろからテレビCMなどで見聞きしているブランドばかりでしたが、その世界観がWebサイトにはあまり反映されていないように思います。チャネル間でブランドイメージが断絶されてしまっているのは意外であり、もったいないと感じました」(トライベック・ストラテジー)

なるほど、確かに引越し会社は頻繁にテレビCMを展開している気がします。そのCMのイメージが強いので、ホームページを開いたときにCMと世界観が連動していないと、肩透かしをくらってしまうのは分かるような気がします。

引越し会社の皆さんには、ぜひこれからも分かりやすく使いやすいホームページづくりを目指していってほしいですね。

NGの物件も! 「自力で引越し」をするときの注意点とは!?

「引越し難民」単語までうまれた昨今ですが、進学や転勤で、どうしても引越しのタイミングをずらせない、という場合もあります。そんなときに考えるのは、「自力で引越し」。 引越し会社に頼むより安く済むのかな……と思う人もいるのではないでしょうか? ここでは、引越しする際の注意点やコツ、そもそも引越しは自分でしても大丈夫なの? という疑問にお応えします。
引越し会社に頼らない! 自力で引越しするための注意すべきポイント

いざ自分で引越しを始めると、ガムテープやダンボールなどの資材の準備が意外と大変! 梱包作業も自分でやらなければなりません。さらにレンタカーを利用するとなると、通常の乗用車やワゴンのような車ではなく軽トラックやバンなどになるでしょう。レンタカー代にプラスしてガソリン代、自分たちの力だけで運べない家具には、友人の助けが必要になり、謝礼などの費用もかかります。事前に計算をしたうえで、本当に引越し会社に頼むよりも安く済ませられるのかは、しっかり検討しておきたい点です。

また「ホームステージング(売却物件にインテリアコーディネートを行う)」サービスを提供し、家具の搬入・搬出に立ち会う機会も多い野村の仲介+(PLUS)の足立光(あだち・ひかる)さんによると、特に高額帯のマンションの場合は、あらかじめ引越しのルールが決められていることが少なくないため、事前の確認が必須だといいます。

「荷物の搬入口が決められていたり、エレベーターや駐車スペースの利用に許可が必要だったりすることもあります。特に繁忙期は引越しの日程が他世帯と重なってしまうケースも多いので、搬入口やエレベーターの利用に制限がかかることがありますね」(足立さん、以下同)

野村の仲介+(PLUS)の足立さん。自身の引越しでも大型の家具がエレベーターに乗りきらず、階段で運んでもらった経験があるとのこと(写真撮影:スパルタデザイン)

野村の仲介+(PLUS)の足立さん。自身の引越しでも大型の家具がエレベーターに乗りきらず、階段で運んでもらった経験があるとのこと(写真撮影:スパルタデザイン)

そのようなマンションの場合、共用部分の床や壁などに傷をつけないように、きちんと養生することを管理員や管理会社から指示されることもあります。

「事前に管理員に連絡をせずに、勝手に搬入・搬出を始めてしまうと、作業を中止させられる可能性もあります」

さらに、手持ちの家財によっては気を付けておくべきこともあるようです。

「大型の家具は分解しないと入口を通らないこともあるので、搬入・搬出経路のチェックもしておいたほうがいいでしょう。また、家具の材質・構造によっては、一度分解してしまうと再度組み立てたときに、ゆるみやガタつき等の不具合が生じる可能性がありますので、注意が必要です」

当日になって引越しができない! という事態を避けるためにも、自力で引越しを行うときには事前に駐車スペースや経路を確認し、届出が必要かどうかを物件の管理会社へ確認・相談をするなど、しっかり準備をしておきましょう。

自力で引越しをするリスクに注意! その危険な落とし穴とは!

自力で引越しをした場合、万一、荷物をキズつけられたり、建物を損傷したりしてしまった……などの状況になれば責任を巡って深刻なトラブルになりかねません。しかし、自力引越しの場合は、家や荷物の破損に対する保険というのは存在しません。その点、引越し会社に頼んでいれば、補償されているケースもあります。

賃貸住宅を管理運営している住友林業レジデンシャルの大澤裕次(おおさわ・ゆうじ)さんによれば、「補償や保険のことをよく知らない人は結構多い」といいます。

「特に共用部分のガラス戸に家具をぶつけてガラスを割っちゃった、という話は多いです。引越し会社に頼む場合は引越し会社が補償してくれますが、自力で引越ししたときに個人で負担するには厳しい金額なのではないでしょうか。実は賃貸契約をするときに家財保険、火災保険等の名称で『借家人賠償責任保険』に入っていることがほとんどで、契約期間中であればその保険が適用されるんです。ただ一つ気をつけてほしいのは、仲介会社が事前に鍵を渡すなどして、契約期間が始まる前に自力引越しをして傷をつけた場合です。保険適用開始は契約期間の開始日からなので、その前では保険が適用されず、全額自分で払わなければならないリスクがあります」(大澤さん)

写真/PIXTA

写真/PIXTA

また、引越しをする本人の家財にもリスクがともないます。冷蔵庫を自分で運んだら冷却用のガスが抜けて使えなくなった、洗濯機の排水口の接結を外す手順が分からず水浸しになった、などという話もよく聞きます。アースの取り付けや取り外しは、引越し会社でも専門の電気工事員を呼ぶケースがあるくらいなので、素人には危険な作業だという認識をもっておいたほうがよさそうです。

「自力で引越し」はOK? NG?

では結局、自力で引越しをしても問題ないのでしょうか? それとも止めておいたほうがいいのでしょうか。

「よっぽど荷物が少ないほうでない限り、まずお勧めしないですね」(足立さん)
「引越し業界が人手不足で料金高騰、特に2月~4月はそもそも空いている日がないというニュースも多いですが、個人的には繁忙期を避けたうえで引越し会社に依頼するのが賢い方法だと思います」(大澤さん)

不動産のプロであるお二人が即答するように、引越し会社を使わない方法は、経費を抑えられる可能性は高いものの、手間と時間がかかり、なおかつ万一のときの補償がないのも事実です。
それでもどうしても自分で引越しを考えたいという方は、少しでもお得かつ安心で安全な引越しができるよう、慎重に計画を立てましょう!

万一の事故やトラブル、今後の近隣住人とのお付き合いを考えると自力引越しにはリスクがともないます。事前の準備や自力で引越しするためにかかる費用を考えれば、結局は引越し会社に任せるのが正解かもしれません。

●取材協力
・野村の仲介+(PLUS)
・住友林業レジデンシャル株式会社

地方出身者へ贈る 内見前に知っておきたい「東京」の賃貸事情

今年の部屋探し&引越しシーズンもいよいよ終盤。大学進学や就職といったタイミングで、地方から東京に移り住む人も多いはず。しかし、土地勘や家賃相場が分からずに、部屋探しに苦戦してしまう人も多く、「花の東京ライフ、こんなはずじゃなかった……」と後悔してしまうケースもしばしば。
そこで今回は、今まで地方出身者へ80回以上引越しのアドバイスを行ってきた街選びアドバイザー・土井直樹(どい・なおき)さんに「東京の賃貸事情と、上手な部屋の探し方」について、聞いてみました。
春から東京生活スタート、ワクワクしながら新居探しをしている方も多いでしょう。ただ、東京という広大な都市での住まいを探す上では、内見前におさえておきたいポイントがいくつかあります。私自身も兵庫県の離島出身というバックグラウンドをもっているので、大学進学で上京した際、都内での家賃の高さや駅の多さに目の玉が飛び出たことを思い出します。

エスカレーターでの立ち位置、話し方など、関西人には当初慣れないこともたくさんありました。しかし都内の街を歩き尽くして得た知識や経験のおかけで、今まで80人以上の方へ街選びのアドバイスができたのだと思っています。

今回は、地方出身者の方に向けて、「東京の家賃相場」「初めて東京に住むならどこがいいのか」「地方出身者がお得に東京で部屋探しをするコツ」という3つのポイントをご紹介します。

地方に比べて、東京は家賃相場が高い!

一般にもよく言われる「東京は家賃が高い」という話ですが、実際のデータではどれくらい高くなっているのでしょうか? 

都心と言われる山手線の内側にある駅に絞ってみてみましょう。安い順に並べてみても、1位は雑司が谷駅と田端駅の7.8万円。

●山手線の内側で家賃相場が安い駅
順位/駅名(主な路線/駅所在地)/家賃相場(1R・1K・1DK)
1位 雑司が谷(東京メトロ副都心線/豊島区) 7.8万円
1位 田端(JR山手線/北区) 7.8万円
3位 鬼子母神前(都電荒川線/豊島区) 7.95万円
4位 駒込(JR山手線/豊島区) 8万円
4位 目白(JR山手線/豊島区) 8万円
4位 西日暮里(JR山手線/荒川区) 8万円
4位 千駄木(東京メトロ千代田線/文京区) 8万円
8位 高田馬場(JR山手線/新宿区) 8.2万円
8位 早稲田(都電荒川線/新宿区) 8.2万円
8位 大塚(JR山手線/豊島区) 8.2万円

これに対して、例えば、私が現在住んでいる仙台駅から15分圏内の駅で家賃相場をみてみると、一番家賃相場が安い駅は、なんと3.4万円なのです。雑司が谷や田端の家賃相場と比べると、4.4万円も安くなります。

都心の家賃の高さはデータからもしっかりと見て取れます。住まいを探すにあたって、この東京の相場はまず頭に入れておきたいですね。

●仙台駅まで15分以内にある家賃相場が安い駅
順位/駅名/家賃相場(主な路線/所在地/仙台駅までの所要時間)
1位 八木山動物公園 3.4万円(地下鉄東西線/仙台市太白区/12分)
2位 北山 3.9万円(JR仙山線/仙台市青葉区/10分)
2位 旭ヶ丘 3.9万円(地下鉄南北線/仙台市青葉区/11分)
4位 台原 4.0万円(地下鉄南北線/仙台市青葉区/9分)
4位 黒松 4.0万円(地下鉄南北線/仙台市泉区/12分)
4位 東北福祉大前 4.0万円(JR仙山線/仙台市青葉区/12分)
4位 国見 4.0万円(JR仙山線/仙台市青葉区/15分)
8位 青葉山 4.2万円(地下鉄東西線/仙台市青葉区/9分)
9位 東仙台 4.4万円(JR東北本線/仙台市宮城野区/4分)
10位 福田町 4.5万円(JR仙石線/仙台市宮城野区/14分)

東京の賃貸は、地方と比べれば「どこも高いやんけ!」という声も聞こえてきそうですが、東京にしかない魅力もいっぱいあるんです。ここからはそんな東京の魅力を含めて、初めて住むならどこがいいか、ご紹介していくことにしましょう。

初めて東京に住むならどこがいい?

[1]東京はエリアによって街の雰囲気が違うので、自分にあった街を選ぶことが重要

新宿駅(写真/PIXTA)

新宿駅(写真/PIXTA)

地方出身者がはじめて上京すると、ザ・大都会という感じがする東京駅や新宿駅に圧倒されることが多いと思いますが、実際に暮らし始めると「都会が連続して続いている感覚」に驚くことになるでしょう。

先月、twitterでも「関西地方の民が感じた東京」というツイートが話題になっていました。電車に乗っていると「どこまで行っても街が続くという感覚」を覚えるのですが、地方出身の私にとっても、これは東京でしか味わえない感覚でした。

地方都市、例えば大阪であれば、栄えているのは梅田・難波・天王寺。福岡であれば、博多・天神と、都心エリアはごく限られているのですが、東京はそうではないのです。東京では、山手線を中心として、東西南北にさまざまな街が広がっています。

山手線でいえば、東京駅、上野駅、品川駅などを中心とした東側エリア、新宿駅、渋谷駅、池袋駅を中心とした西側エリア。そして、これらのターミナルからは私鉄沿線が放射線状に連なっていきます。繁華街が限定されている地方都市と異なり、それぞれの街で大きく雰囲気が違うので、自分のライフスタイルにあった街を見つけることが最も重要なポイントです。

[2]学校・職場がある沿線から検討するのが王道、「相互直通運転」を忘れずに

東京駅(写真/PIXTA)

東京駅(写真/PIXTA)

さて、ここからは具体的な街選びの方法についてですが、学校や職場がある駅につながっている路線から検討するのが王道です。例えば、職場が渋谷なら、JR山手線、JR埼京線、東急田園都市線、東急東横線、京王井の頭線、東京メトロ銀座線、東京メトロ半蔵門線……と渋谷に乗り入れがある沿線から探していきましょう。

そして、ぜひチェックしたいのは、地方と東京の鉄道の大きな違いである「相互直通運転」について。路線図を見ると一見別の路線に見える電車が、そのまま一本でつながっていることが多いのです。これが、東京における鉄道の大きな特徴。

例えば、東京メトロ半蔵門線に乗ると、別の会社が運営する東急田園都市線の中央林間や、東武スカイツリーラインの東武動物公園まで乗り換えなしでそのまま向かうことも可能なんです(私も初めて上京した際、なぜ半蔵門線のホームに田園都市線の車両が止まっているのか、謎で仕方がありませんでした……)。このような「相互直通運転」は関西や福岡などの一部エリアでは実施されていますが、東京では非常に多くの路線で導入されているので、ぜひ注目してみてください。

地方出身者が、お得に東京で部屋探しをするコツは?

さて、最後に実際に役立つ「お得に東京で部屋探しをするコツ」についてご紹介することにしましょう。

[1]「人気の駅」から1~2駅ズラせば、家賃は安くなる可能性も

吉祥寺の井の頭恩賜公園(画像/PIXTA)

吉祥寺の井の頭恩賜公園(画像/PIXTA)

SUUMOでも毎年住みたい街ランキングが発表されていますが、テレビや雑誌でよく取り上げられる「横浜」「吉祥寺」「恵比寿」などの駅が上位にランクインしています。これらの街は、地方出身の方もご存じの場合が多いと思いますし、「雑誌でよく見かける吉祥寺に住みたい」なんて憧れている方もいるかもしれません。

ただ、人気の駅はやっぱり家賃も高い、というのが現実でもあります。そこで、おすすめしたいのは、「人気の駅」から1駅~2駅範囲を広げてみること。例えば、吉祥寺駅から1駅隣の三鷹駅や井の頭公園駅を選べば、家賃相場もちょっと下がるのです。1駅~2駅ズラすと1カ月当たり数千円安く物件を探すことも可能な場合があります(年間換算すれば2万~3万円安くなることも!)。

同じように、横浜駅ではなくて、1駅隣の戸部駅、平沼橋駅など、少し範囲を広めてみることで、予算の中で希望の条件を満たせる可能性もグンと上がります。特に、地方と比べて・東京、首都圏は駅と駅の区間が短いので、1駅ズラしたとしても歩ける範囲であることも多いのがポイントです(自転車が使えるなら、なお不便さを感じにくいです)。

参考……家賃も手ごろで住みやすい? 住みたい街として人気の吉祥寺や恵比寿の「隣の街」はどんな街?

[2]契約時期や引越す時期を5月や6月にズラすことで、家賃が安くなったり、引越し費用が安くなったりすることも

引越し準備をする男性(画像/PIXTA)

引越し準備をする男性(画像/PIXTA)

先ほどは、「駅をズラす」というコツについてお話ししましたが、そもそも契約時期や引越す時期をズラす、というのもお得に家探しをする上では重要なポイントです。必ず3月4月に引越さないといけないというケースでなければ、繁忙期が終わった5月6月に契約したり引越したりすると、繁忙期より家賃が安くなっていたり、引越し費用が安くなったりすることもあります。

特に、神奈川・埼玉・千葉・茨城・群馬・栃木などに住んでいて、頑張れば電車で都内に通える範囲であれば、実際に入学する学校や新しい職場の環境を十分に知った上で引越すとミスマッチの可能性が減ります。

以前、私のところへ相談に来てくださった群馬県高崎市に暮らす新社会人の方がいたのですが、春に引越すかどうか迷われていたので、少しズラして5月のGWに契約&引越すことをご提案。結果、繁忙期を過ぎていたので、家賃も引越し費用も安くしてもらえたと喜んでいました。

最後に:東京を効率的に知るには、自転車がおすすめ

今はネット上にパノラマ・動画などが掲載されている物件が増えており、地方にいながら物件に関する多くの情報を知ることができるようになりました。その一方で、本当に住みやすいかどうか(坂が多いか、駅の出口から近いかなど)の感覚は、やはり実際に足を運んで東京の街を感じてみないと、分からないケースが多いのです。

そこで、内見の前後のタイミングで、自転車に乗って街を巡ってみることを私はお勧めしています。徒歩では歩き回れる範囲に限界がある一方、車だとつい目的地にダイレクトで行ってしまい、見落とす景色が多くなりがち。加えて、坂を感じることが難しいというデメリットがあるので、実際に住み始めてから「こんなはずじゃなかった」と後悔することもしばしば。

こんな背景から、効率的に街を巡り、エリアを知るには、自転車がお勧めです。東京には、気軽に利用できるレンタサイクルも数多くありますので、ぜひ試してみてください!

最後になりましたが、東京は、都市圏人口で3000万人を超える世界最大の都市です。一言で東京といっても、どの街を選ぶかで、あなたの東京ライフは大きく変わります。どんなライフスタイルの人も受け入れてくれる土壌があるので、ぜひ、あなたにあった「東京」を見つけてみてください!

首都圏の4割が賃貸の更新をタイミングに引っ越し、7割が更新料を「仕方がない」と思う

春の引っ越しシーズン到来!今年は人手不足が理由で、引っ越したいのに、引っ越し業者に断られる事例も多いという。そんななか、UR都市機構が賃貸住宅の居住者に引っ越しに関する調査をした。そのなかでも、更新料と保証人に注目して、調査結果を見ていくことにしよう。【今週の住活トピック】
「賃貸住宅居住者に聞く 引っ越しに関する調査」を公表/都市再生機構(UR都市機構)首都圏では「賃貸の契約更新前に引っ越す」人も多い

調査結果でまず面白いと思ったのは、「引っ越しを考えるタイミング」(複数回答)についてだ。

自身や家族の「就職・転職」(20.7%)や「異動・転勤」(14.0%)といった、勤務地がらみのタイミングが多い(合計で34.7%)ことは予想していた。だが、「結婚」(19.8%)や「進学」(9.4%)などのライフステージの変化よりも多いのが、「住んでいる家に不満が出た」(34.0%)や「より良い物件に住み替えたいと思った」(32.9%)といった、家に関することだったのは意外だ。

「勤務地なども変わるし、家も良くしたいし、心機一転引っ越しをするか」というように、複数の条件が重なると行動に移しやすいということなのだろう。

さらに注目したいのは、首都圏の賃貸居住者だけは「住んでいる家の契約更新が近づいた」タイミングで引っ越しを考えた人が40.9%もいることだ。大阪・京都・兵庫では14.9%、愛知では15.4%なのに比べると、突出して多い。

【図1】これまでに引っ越しを考えたタイミングとして、あてはまるものを全て選択ください。(出典:UR都市機構「賃貸住宅居住者に聞く 引っ越しに関する調査」)

【図1】これまでに引っ越しを考えたタイミングとして、あてはまるものを全て選択ください。(出典:UR都市機構「賃貸住宅居住者に聞く 引っ越しに関する調査」)

地域で異なる更新料事情、首都圏の7割は「更新料は仕方がない」と回答

では、「契約更新」とはどういうものなのだろうか?

賃貸住宅を借りるときには、大家さんと賃貸借契約を結ぶ。契約期間は2年間としている場合が多く、2年経った後も継続して住む場合は、同じ条件で契約を更新するというのが一般的。このときに、更新料を大家さんに払ったり、更新の手続きをするための手数料を管理会社に払ったりする場合がある。

ならば、「更新料がある賃貸住宅には住まない」と思う人も多いだろう。
調査結果では、そう考える人は24.5%いた。しかし、首都圏に限って見ると10.6%に減ってしまい、「更新料を払うのは嫌だが、仕方ないことだと思う」人が70.7%もいる。

【図2】賃貸住宅の契約更新料についてどのように思いますか?最もお気持ちに近いものをお選びください。(出典:UR都市機構「賃貸住宅居住者に聞く 引っ越しに関する調査」)

【図2】賃貸住宅の契約更新料についてどのように思いますか?最もお気持ちに近いものをお選びください。(出典:UR都市機構「賃貸住宅居住者に聞く 引っ越しに関する調査」)

なぜかというと、この更新料を払う仕組みは、首都圏で多い商慣習だからだ。国土交通省が実施した「平成28年度住宅市場動向調査」によると、「更新料有り」は首都圏では過半数の55.8%だが、近畿圏は19.1%、中京圏は15.6%となっている。加えて、更新料の金額は、「家賃の1カ月分」(首都圏86.0%、近畿圏、51.9%、中部圏50.0%)というのが最も多い。

つまり、首都圏では更新料がない賃貸住宅を探すことが難しい状況にあり、更新料を仕方がないと受け入れるか、更新を機に引っ越しをするかという発想になると考えられる。

このように、更新料の有無やその金額は地域や物件ごとに異なるが、双方の合意によるというのが根拠となるので、賃貸借契約書に必ず更新料について記載されているはず。契約時には必ず確認しておきたい。

7割が「保証人を頼みにくい」と感じている

UR賃貸住宅の調査結果では「保証人制度」についても質問している。

賃貸住宅を借りる場合、借りた人が家賃を払えなくなった場合に、代わりに払ってくれる保証人を立てるように求めるのが一般的だ。多くの場合は、借りた人と同じだけの責任を負う「連帯保証人」が求められるので、保証人を頼める人を探すのに苦労するということにもなる。

実際に調査結果では、「保証人を頼みにくい」(69.5%)、「頼める人がいない」(37.0%)といった回答が多くなっている。

最近は、保証人の役割を「保証会社」に依頼する事例も多くなっている。この場合は、契約時に家賃の5割程度を払うことが多いようだが、実際にはケースバイケースで、賃貸住宅ごとに保証会社が利用できるか(保証会社の利用が必須という場合もある)、費用はいくらかなどは異なる。

なお、UR賃貸住宅の場合は保証人が不要となっているが、どんな人でも保証会社が利用できたり、保証人不要となったりするわけではない。「自分の収入に見合った賃料の物件を選ぶ」ことがカギになる。

引っ越しのときに使えるカシコイ工夫は?

調査では、「初めて部屋を借りる人に対して、引っ越し費用を抑えるためにオススメしたい工夫」を聞いている。1位は「自分で荷造りを行う」(36.3%)、2位は「複数社に見積もりを依頼」(30.4%)、3位は「不用品を捨てる・売る」(26.6%)だった。

引っ越しで行った「不用品の処分方法」については、「普通ゴミとして出した」(50.0%)が最多。ところが、普通ゴミ以外の処分方法が年代によって少し異なるのが面白い。50-60代では「自治体に粗大ゴミなどとして依頼」が2番目に多いのに対し、40代以下では「リサイクルショップ・古着屋・古本屋に売る」が2番目に多くなり、少しでも換金したいという思いが伝わってくる。

さらに、20代では「フリマアプリで売る・譲る」や「家族や友人・知人に譲る」も多くなり、誰かに使ってもらおうという姿勢もうかがえる。

さて、契約更新の際には、更新料を払う可能性があるほか、保証会社を利用した場合の保証料や火災保険料なども新たに払うことになる。となると更新時にはかなりの費用がかかるので、住んでいる賃貸住宅に不満があるなら、もっと良い物件を探そうということになるわけだ。

この春、契約更新をきっかけに引っ越しを決めた人もいるのではないだろうか。

引越したその日に気付く失敗、2位「収納が足りない」、1位は?

春は、たくさんの人が進学や就職、異動などで新生活をスタートさせる時期。新生活に向け、3月中に引越しの予定がある人も多いのでは? 引越しは事前準備も多く、バタバタと決めてしまいがちなので、引越しをしてから「あれって……」と気付くこともありそう。
そこで(株)リクルート住まいカンパニーが運営する不動産・住宅サイト「SUUMO(スーモ)」は、「引越したその日に気付いた失敗」をテーマにアンケート調査を実施し、結果を「SUUMOなんでもランキング」としてまとめた。

【調査概要】
●調査時期:2017年10月4日~2017年10月5日
●調査対象者:全国の20~59歳までの男性141名・女性160名
●調査方法:インターネット
●有効回答数:301

【調査結果】
Q.引越したその日に気付いた失敗は?(複数回答可)
1位:段ボールにメモをしていなくてどこになにが入っているか分からなかった 11.3%
2位:収納が足りなかった 10.0%
3位:カーテンを買い忘れていた 9.6%
4位:電気やガスの開通連絡を忘れていた 4.7%
4位:家具のサイズが部屋に対して大きかった 4.7%
※上位4位まで表示

1位は「段ボールにメモをしていなくてどこになにが入っているか分からなかった」(11.3%)というもの。「全部開けてみないと分からない」「引越業者に梱包依頼をしたため」といった、そもそも段ボールにメモしていなかった人のほか、「段ボールに何が入っているか表に書いてあったけど、中身が違っていた」という人もいた。

2位は「収納が足りなかった」(10.0%)。「思った以上に荷物が多かった」「要らないものまで持って来てしまった」など、生活を始める上で困った人が多数いた。また、「物件を見に行かずに決めた」という人も。

3位は「カーテンを買い忘れていた」(9.6%)。これは、「用意したカーテンのサイズが違った」といううっかりさんから、「レースのカーテンを買い忘れていた」「家具のことばかりで忘れていた」という人まで、段階を踏んで忘れていた人がいた。カーテンがないと外から室内が丸見え。忘れないようチェックしておきたい。

4位は同率で「電気やガスの開通連絡を忘れていた」(4.7%)、「家具のサイズが部屋に対して大きかった」(4.7%)。「電気やガスの開通連絡を忘れていた」は、電気やガスを忘れてしまうと、「お風呂に入れなかった」など何かと不便。しかし、「知らなかった」というコメントもあり、そもそもガス会社や電気会社に連絡をすること自体を知らなかったという人もいた。「家具のサイズが部屋に対して大きかった」は、「ソファが思っていた以上に大きかった」など想定外だったという人や、「玄関から入れられなかった」という搬入作業で困ったことに直面したという声があった。

あれもやって、これもやって、など慌ただしい引越し作業。今回の調査で、引越し先に着いてから「さて困った」なんて人が意外と多いことが分かった。調査結果やコメントを反面教師にして、引越し前の細かいチェックを忘れず、引越し後もすぐに快適な生活を送れるようにしてほしい。

【主なコメント】
●段ボールにメモをしていなくてどこになにが入っているか分からなかった:入れている時は分かっているつもりだった。(43歳・女性)
●段ボールにメモをしていなくてどこになにが入っているか分からなかった:すぐに使うものがどこにあるか分からなかった。(26歳・女性)
●収納が足りなかった:スーツ類など、掛けていれたいものが収納しにくかった。(35歳・男性)
●収納が足りなかった:洋服が思っていたより多く、タンスが足りなかった。(42歳・女性)
●カーテンを買い忘れていた:室内が外から丸見え。(30歳・女性)
●カーテンを買い忘れていた:買い物に行った時に気に入ったものがなく、後で買おうと思ったら忘れていた。(44歳・女性)
●電気やガスの開通連絡を忘れていた:ガスが開通していなかったので、3日間食事の準備や入浴ができなかった。(59歳・女性)
●電気やガスの開通連絡を忘れていた:会社が全部やってくれるときいていたが、実際はなにもしてくれてなかった。(30歳・男性)
●家具のサイズが部屋に対して大きかった:天井の高さを考えていなかった。(57歳・男性)
●家具のサイズが部屋に対して大きかった:ソファが思っていた以上に大きくて、ソファの部屋みたいになっている。(35歳・女性)

「SUUMOなんでもランキング」コーナー:住まいに関する様々なテーマについてアンケートを実施し、結果をまとめた記事を隔週で発表。

引越し経験5回以上の猛者に聞く 「これだけは譲れない」地味だけど大事な条件・設備

引越しの際、いろんな条件を出して優先順位をつけるものの、見落としがちな重要ポイントは意外と多いもの。いざ住んでみてから後悔……なんてことは避けたいところです。そこで、引越し経験5回以上の猛者に「地味だけど大事だと思った条件や設備」について聞いてみました。
Yさんがこだわる「見落としがち」な仕様・設備って??

学生時代から5回の引越しを経験するYさんは、譲れない条件として次の3点を挙げます。

(1)玄関から部屋の中が見えないこと
(2)西日がささないこと
(3)温度設定機能付き給湯設備

【画像1】Yさん(30歳・女性)(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像1】Yさん(30歳・女性)(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像2】(画像作成/SUUMOジャーナル編集部)

【画像2】(画像作成/SUUMOジャーナル編集部)

「はじめはエリア以外、とくに条件はありませんでした。ただ、宅配便の方が来たときなどに玄関から部屋の中が見えるのは避けたかったので、1Rであっても仕切りで目隠しができる物件を選んでいました」と話します。

2件目の物件で、日当たりの重要性に気付いたそう。お部屋探しの際、「日当たりの悪さ」に目を向けることは多いと思いますが、Yさんの場合はその逆でした。
「住んでから後悔したのが、西日がすごく差し込むことでした。借りる前は大丈夫だろうと軽く考えていたのですが、夏場はとにかく暑いです。夜、家に帰って来たときの蒸し暑さも辛かったですね」と、当時を振り返ります。

次の3件目の物件で『温度設定機能付き給湯設備』の必要性を感じたYさん。「湯船にはあまり浸からないのですが、シャワーを浴びる度に毎回適温に調整するのが面倒でした。最初にいきなり熱いお湯が出ることもありますし、不便でしたね」と話します。

4、5件目の中目黒の物件は、3つの条件をすべてクリアした物件。「4件目は1Rでしたが、中がうまいこと見えない間取りになっていたので気になりませんでした。上の階の人のいびきが聞こえてくることはありましたが、賃貸で壁が薄いのはありがちなので。それを条件にすると物件数が減ってしまうため、入れていません」

5件目の物件については、エリアのわりに広い間取りや家賃の手ごろさ、風通しの良さも相まって、満足している様子でした。

「玄関から部屋が見えない」という条件は、工夫次第では自身でも回避できそうですが「温度設定機能付き給湯設備」と「部屋の向き」は、自力でどうにかするのは難しいもの。見落としがちですが、物件選びの際に意識したいポイントかもしれません。

「好みとライフスタイル」を反映する4条件とは

建築系の学校を卒業し、以前は建築やインテリア関係の仕事をしていたSさん(40代・男性)。
「建物を見ることやインテリアに凝るのが好きで、こだわりや『いろんな部屋に住んでみたい』という欲求も他の人より強いのだと思います」と話す通り、学生時代から現在まで、10回以上の引越しを経験しています。

【画像3】Sさん(43歳・男性)(写真撮影/スパルタデザイン)

【画像3】Sさん(43歳・男性)(写真撮影/スパルタデザイン)

【画像4】(画像作成/SUUMOジャーナル編集部)

【画像4】(画像作成/SUUMOジャーナル編集部)

その中で、Sさんが譲れない条件として挙げるのは次の4つです。

(1)窓からの景色が豊かで、部屋の方角は東or東南向き
(2)個性のある物件
(3)キッチンとクローゼットが広い
(4)物件自体の立地

1つ目の条件は「窓からの景色が豊かなこと」と「部屋の方角」。
高円寺の物件では部屋の広さを優先したことで、窓を開けると隣の家がすぐ目の前に。「同じ部屋の広さでも、窓から見える景色がふさがっていると開放感がなく狭く感じます」と後悔したようです。

「部屋の方角」については、「10件目の物件(五反田:1SLDK)は西向きで、朝日が入らず寝起きが悪くなりました。反対に昼ごろからは日当たりが良くなるので家から出たくなくなり、休みの日もだらだらと過ごしてしまうことが多かったですね」と話します。さらに西向き物件については、Yさん同様「夏場の暑さ」もネックになったそうです。

2つ目の条件は「個性のある物件」。
「人を招いたときに喜んでもらえる空間づくりを心がけています」と話す Sさん。部屋の中だけでなく、海沿いの好ロケーションな物件、都内では珍しい中庭付きの物件なども経験しています。また、先ほどの五反田の物件を例に挙げ、「ここは新築で、最初はキレイでいいなと思っていました。でも新築は最初の状態が最高で、住んでいくと慣れてきちゃいますし、汚れていきます。少しくらい古い物件でも、自分で部屋をアレンジして楽しむほうが合っているなと実感しました」と当時を振り返ります。

3つ目の条件は「キッチンとクローゼットの広さ」。
Sさんは部屋の広さよりも、キッチンとクローゼットの広さを重視しています。「料理が好きでよくするので調理スペースが広く、コンロは2口以上が条件。また、洗濯物は畳まずそのまま掛けてしまいたいので、狭くて奥行きのない収納はNGです」と話します。つい築浅物件や部屋の広さに目がいきがちですが、快適な暮らしのためには、自分の好みやライフスタイルも重視すべきと言えそうです。

4つ目の条件は「物件自体の立地」。
立地に関してSさんは「静かな住宅地は隣人への部屋の音も気になるので、少しくらいはにぎやかな立地」かつ「フットワークが軽くいられる環境」を重視すると言います。実際、田町の物件のときは程よい静けさがあったものの、駅まで徒歩16、7分と少し遠め。出かけるのが億劫になり、家にこもりがちになったそう。

一方、次の引越し先である浜松町では、徒歩2分の駅近物件。好立地なように感じますが「高速道路や新幹線などの騒音がひどく、窓も開けられませんでした。それに、物件の隣がオフィスビルだったこともあり、夜中でも働いている人が見えて落ち着かなかったです」と、苦い経験を教えてくださいました。

Kさんが譲れないのは1つ!「周辺環境の充実」

Kさん(30代・女性)は大学時代~29歳の期間に5件の物件を経験。その中で、自身の譲れない条件として「周辺環境がよい物件は気に入って長く住む、というのが経験則です」と話します。

【画像5】Kさん(38歳・女性)(写真撮影/スパルタデザイン)

【画像5】Kさん(38歳・女性)(写真撮影/スパルタデザイン)

【画像6】(画像作成/SUUMOジャーナル編集部)

【画像6】(画像作成/SUUMOジャーナル編集部)

大学時代に暮らした茗荷谷と御茶ノ水の物件は、家賃の安さと大学へのアクセスの良さで決めたそう。

社会人2年目のとき、会社の先輩に勧められ三軒茶屋の物件へ。社会人になり、ある程度自由に使えるお金も増えたことから、今度はエリアや物件のキレイさも重視して物件選びをしたそうです。「三軒茶屋の物件はデザイナーズマンションで、仕様や設備も充実していました。駅まで歩く途中には飲食店も多く、オフの時間が楽しかったですね。自転車で下北沢や渋谷にも行ける距離なので、食事や買い物に困ることがありませんでした」しかし、毎朝の通勤ラッシュが辛く、引越すことに。

次の住まいである戸越銀座は、6年間も住んでいたほどお気に入りの街だったと言います。「通勤ラッシュも回避でき、商店街や飲食店が多く、充実していました。物件が戸越銀座と武蔵小山の中間くらいだったので、どちらの商店街にも通いやすかったことが何よりも良かったです。物価も安く、家賃も三軒茶屋のときとほぼ同額で1LDKに住めました」

5件目の旗の台は、彼氏と2人で住むために十分な広さと家賃を優先して決めた物件。しかし、わずか1年で引越すことに。「旗の台は三軒茶屋や戸越銀座に比べると、街が寂しかったんです。ここでようやく、私は部屋の仕様やアクセスよりも、商店街やお店など『周辺環境の充実度』が最重要ポイントなんだと自覚しました」と苦笑いのKさん。

通勤時間に目を向ける方は多いかもしれませんが、「自分自身が楽しめるエリア」であることも、重要なポイントだと言えそうです。

3人の引越し猛者たちの経験談、いかがだったでしょうか? 予算などを考えると、なかなか理想通りの物件に巡り合うことは難しいもの。引越した後の後悔を少なくするため、「地味だけど、ここは譲れない!」という条件を一度洗い出してみるとよいかもしれませんね。

不動産会社の店員として理想の有名人、女性は「マツコ・デラックスさん」、男性は「新垣結衣さん」

(独)都市再生機構(UR)は、春の引っ越しシーズンを前に、「賃貸住宅居住者に聞く 引っ越しに関する調査」を行った。
調査期間は2018年1月26日(金)~1月30日(火)。調査対象は、北海道、首都圏(東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県)、愛知県、関西圏(京都府・大阪府・兵庫県)、福岡県の賃貸住宅に、家賃補助なしで居住する20~60代1,040名(男女各520名)。調査方法はインターネット。

それによると、これまでに引っ越しを考えたタイミングは、1位「住んでいる家に不満が出た時」(34.0%)、2位「より良い物件に住み替えたいと思った時」(32.9%)、3位「住んでいる家の契約更新が近づいた時」(23.1%)の順となった。特に3位には居住地域差があり、首都圏(1都3県)は全体の平均を大きく上回る40.9%という結果。首都圏では契約更新料が発生することが多いことから、契約更新のタイミングで引っ越しを考える人が多いようだ。

初めて部屋を借りる人へオススメしたい引っ越し費用を抑えるための工夫は、1位「自分で荷造りを行う」(36.3%)、2位「複数社に見積もりを依頼」(30.4%)、3位「不用品を捨てる・売る」(26.6%)の順。荷造り、不用品を処分して運搬量を減らすことが自分でできる節約となり、複数社へ見積もりをとることや安い時期を選ぶことがさらなる費用を抑えるための工夫と言えそうだ。

直近の引っ越しに伴う不用品の処分方法については、「普通ゴミとして出した」(50.0%)、「リサイクルショップ・古着屋・古本屋に売る」(34.5%)、「自治体に依頼」(25.6%)などに回答が集まり、不用品の種類によって異なる方法で処分していることが分かる。また、20代の「フリマアプリで売る・譲る」(21.5%)は全体平均と比較して10ポイント以上高く、20代女性では26.9%で4人に1人が利用しているようだ。

不動産会社の店員・営業スタッフとして担当して欲しいと思う有名人は?では、女性からは「マツコ・デラックスさん」が最も人気で、特に20~40代女性からは29.5%の支持を得た。男性からは「新垣結衣さん」(20.4%)、「石原さとみさん」(16.5%)、「有村架純さん」(13.5%)ら女優が続き、4位には「阿部寛さん」(11.2%)がランクインした。

ニュース情報元:UR

引越しで面倒な作業、トップは「荷造りや梱包」で26.4%、トレジャー・ファクトリー調べ

(株)トレジャー・ファクトリー(東京都千代田区)は、2017年に新生活を迎えた20代から40代までの男女500名を対象に、「新生活や引越しに関する調査」を実施した。引越しの際、最も面倒だと感じた作業は何ですか?では、「荷造りや梱包」が1位で26.4%。2位は「不用品の処分」(21.6%)、3位「引越し業者や買取業者の手配」(17.8%)が続く。

引越しの際、特に処分に困る家電や家具など大型の不要品の処分方法については、「粗大ゴミとして捨てる」が1位で29.4%となった。次いで「買取業者に依頼した」(19.0%)、「有料処分業者に依頼した」(15.8%)の順。

新生活をスタートした際、費用をできる限り安く抑えたい項目については、最も多い回答が「引越し費用」で51.8%。引越し業者の選定時に、もっと出費を抑えられる業者を探したいというニーズが伺える。「不要品の処分」(24.0%)、「新生活に必要な家財の買い揃え」(21.0%)がそれに続く。

2017年に引越しを経験した方が、新生活に必要だった費用については、「引越し費用」は約85,183円、「不用品の処分」が約11,134円、「家財の買い揃え」が約114,155円だった。回答者の中には平均の倍以上に相当する、20万円以上の引越し費用の方もいた。

ニュース情報元:(株)トレジャー・ファクトリー