住まいを高く売るには有利な時期?約6割がそう感じた、不動産売却市場。価格と売却時期はどちらを重視?

リクルートが『住まいの売却検討者&実施者』調査(2023年/首都圏)を実施した。過去1年以内に売却を検討した人に、その物件や売却理由、売る時期をどう見ているかなどを聞いている。今どきの売却実態を見ていくことにしよう。

【今週の住活トピック】
2023年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)公表/リクルート

売却を検討した物件の所在地、千葉県と埼玉県で前年より増加

リクルートの調査は、首都圏に住む20歳~69歳の男女に、2023年12月~2024年1月に実施したもの。まず、過去1年以内に土地や居住用不動産の売却を主体的に検討したかを聞き、該当した18%を売却検討者として、本調査を行っている。なお、そのうち38.5%が売却を完了している。

売却を検討したのは「買い替え」か「相続・贈与」か「不要な不動産を処分するため、その他」かを聞いたところ、「買い替え」が58.5%、「相続・贈与」が25.1%になった。ただし、50代・60代では「相続・贈与」の割合が3割前後と増える傾向が見られた。

では、「売却しようと思った理由」は何だろう?1位は「売れるときに売るため」(28.0%)、2位は「住む場所を変えるため」(26.9%)となったが、年々減少にある。3位は「高いうちに売るため」(26.0%)だった。近年の不動産の価格上昇を受けてのことだろう。

不動産を売却しようと思った理由(複数回答)(出典:リクルート「2023年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)」)

不動産を売却しようと思った理由(複数回答)(出典:リクルート「2023年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)」)

売却を検討した物件は、「土地」が25.4%、「一戸建て」が40.0%、「マンション・アパート」が34.6%だった。興味深いのは、売却検討物件の所在地だ。「東京都」が減少トレンドにある一方で、「千葉県」と「埼玉県」がこれまでより増加する形となった。早い時期から価格上昇が感じられた東京23区から遅れて、千葉県や埼玉県でも買い替えがしやすい市場になったということだろうか。

売却検討物件の属性(単一回答)(出典:リクルート「2023年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)」)

売却検討物件の属性(単一回答)(出典:リクルート「2023年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)」)

「高く売るのに有利な時期」か?有利57.5%、不利9.7%

さて、不動産の価格が上昇トレンドにあることで、売却に有利な時期と感じている人が多いのだろうか? 調査結果を見ると、「高く売るのに有利な時期だと感じていた」のは57.5%(とても19.8%+やや37.7%)となり、半数を超えた。一方、「不利な時期だと感じていた」のは9.7%(とても2.5%+やや7.2%)だった。過去の調査と比べると、有利という回答が増え、不利という回答が減る傾向が見られる。

売却検討物件の属性(単一回答)(出典:リクルート「2023年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)」)

※有利・計(「とても有利な時期だと感じていた」+「やや有利な時期だと感じていた」)
※不利・計(「やや不利な時期だと感じていた」+「とても不利な時期だと感じていた」)
売却検討物件の属性(単一回答)(出典:リクルート「2023年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)」)

注目したいのは、有利の割合が、売却タイプ別では「相続・贈与」が51.8%であるのに対し、「買い替え」が64.2%とかなり高くなっている。さらに、物件タイプ別では、「一戸建て」が51.0%で横ばいの傾向であるのに対し、「マンション・アパート」が62.0%、「土地」が61.6%と前年より増えている。高く売るのに有利と感じている人が多いものの、不動産によってその感じ方に微妙な差があるようだ。

売却で時期と価格のどちらを重視する?

さて、「売れるときに売る」「高く売れるときに売る」と思う人が多く、「売却に有利な時期と感じる」人が多いなか、重視するのは、「時期」と「価格」のどちらなのだろう?

「時期(いつ売れるか)を重視する(した)」か、「価格(いくらで売れるか)を重視する(した)」かを聞くと、「どちらかといえば」を含む「時期重視」派は47.2%、「価格重視」派は34.2%、「どちらともいえない」は18.6%という結果となった。

時期と価格のどちらを重視するか(単一回答)(出典:リクルート「2023年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)」)

※時期 重視(「時期(いつ売れるか)を重視する(した)」+「どちらかといえば時期(いつ売れるか)を重視する(した)」)
※価格 重視(「どちらかといえば価格(いくらで売れるか)を重視する(した)」+「価格(いくらで売れるか)を重視する(した)」)
時期と価格のどちらを重視するか(単一回答)(出典:リクルート「2023年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)」)

ただし、年代別で見ると、「時期重視」派は、20代で67.4%、30代で55.0%と、全体平均の47.2%よりもかなり高くなっている。若い世代の方が、子どもの入学前になど、売るタイミングが決まっていて、早く売ることに重きがあるからなのだろうか?

高く売るには、不動産価格が上昇あるいは高止まりしている時期であること、一定規模の需要(不動産を買う人が多い)があること、などの条件が必要だ。後者は、売れるときに売るための条件でもある。住宅ローンの金利上昇がいよいよ現実的になっている今は、売るにはよいタイミングといえるだろう。とはいえ、売る物件と買う人がうまくマッチングするには、個別の事情もある。自分の物件が今の市場でどういったポジショニングにあるのか、見極める必要もあるだろう。

●関連サイト
リクルート「2023年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)」

中古マンションの1平米当たり管理費は全年度比2.1%上昇、修繕積立金は3.1%も!その背景とチェックポイントを徹底解説

東日本不動産流通機構が、2023年度に成約した首都圏中古マンションの管理費や修繕積立金について、分析した結果を発表した。それによると、管理費も修繕積立金も前年度より上昇しているという。なぜ上昇しているか、その理由も含めて考えてみたい。

【今週の住活トピック】
「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2023年度)」を発表/東日本不動産流通機構

1平米当たり管理費は前年度比2.1%、修繕積立金は3.1%上昇

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は、不動産会社間で不動産情報を共有するシステムなどを運用する指定流通機構で、東日本を担当している。それを通じて成約に至った中古マンションについて、年度ごとの管理費や修繕積立金などのランニングコストを分析している。

2023年度の首都圏中古マンション月額平均額は、1戸当たりで管理費が平均1万2831円、修繕積立金が1万1907円だった。これを1平米当たりに換算すると、管理費は平均201円(前年度比2.1%上昇)、修繕積立金は187円 (同3.1%上昇)となった。いずれも、前年より上昇したことが分かる。

首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金の月額(平均額と1平米当たり)(出典:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2023年度)」より抜粋転載)

首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金の月額(平均額と1平米当たり)(出典:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2023年度)」より抜粋転載)

マンションの管理費は、日常の管理を円滑に進めるためのもので、管理会社への委託費、共用部の清掃費や水道光熱費、共用設備の点検などに使われる。また、修繕積立金は、計画的に行われる大規模修繕工事を実施するために積み立てられる。

まず管理費については、地域では東京都区部で高く、築年では築10年以内や築11~20年など、新しいものほど高くなっている。また、総戸数50戸未満、200戸以上でも高くなっている。

一般的に、高額なマンションほど、その設備仕様や管理サービスの水準が高くなり、維持管理の費用も高くなる傾向がある。また、大規模なマンションには、共用施設が多いため、その維持管理の費用もかかってくる。一方で、大規模なマンションは発生する固定費を多くの戸数で分担できるが、50戸未満の小規模なマンションでは分担できる戸数が少ないため割高になる場合もある。

こうした要因が管理費に影響するわけだが、近年新築マンションの価格高騰により高額なマンションが増えていること、なかでも東京都区部でその傾向が顕著であることから、管理費を引き上げる要因になっているといえるだろう。

次に修繕積立金を見ると、管理費ほどの金額差はないが、50戸未満の小規模なものは1戸当たりの平均額が高くなっており、規模感の影響が出ている。目立つのは、築10年以内で低くなっていることだが、これには別の理由もある。

築年数が新しいほど管理費が高く、修繕積立金が低い理由とは?

管理費と修繕積立金の1平米当たりの月額の推移を築年別に見ていこう。

建築年別の1平米当たり管理費・修繕積立金(月額)(出典:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2023年度)」より転載)

建築年別の1平米当たり管理費・修繕積立金(月額)(出典:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2023年度)」より転載)

管理費は、1967年~1977年など築年の古いものでは月額150円前後で推移しているが、以降は200円近くに上がり、バブル期で豪華なマンションが多かった1988年~1993年では200円を超えるものの、おおむね横ばいに推移していた。しかし、2013年以降は右肩上がりの上昇トレンドになり、2023年に建築されたマンションではついに300円を超える結果となった。

これには、管理員の人件費の高騰が大きく影響している。政府が2013年に施行した『高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)』による定年延長や再雇用などにより、定年後の仕事の選択肢が広がった。管理員の仕事は、かつては定年退職後の雇用の受け皿になっていたこともあり、採用が難しくなった結果、近年は人手不足に陥っているのだ。そのため、報酬を引き上げるなど人件費が上昇し、それが管理費にも影響しているというわけだ。

また、近年は共用部で使う水道光熱費などさまざまなものが値上がりしているので、管理費が上がる要因が多くなっている。築年の新しいマンションほど管理費が高くなるのには、こういった要因もあるのだ。

一方、修繕積立金はおおむね横ばいで推移してきたものが、ここ10年程度を境に下降トレンドになっている。これを見ると、修繕積立金の負担が軽減されてきたように見えるが、けっしてそういうわけではない。建設工事の費用が上昇しているなかで、大規模修繕工事の費用も上昇しないはずはない。

「均等積立方式」か「段階増額積立方式」か?

修繕積立金については、かつては規制がなかったため、マンション分譲時に長期修繕計画を作成しているものの、それを確実に行えるだけの修繕積立金の額を設定していない事例が多かった。それでは実際の大規模修繕工事を実施するのに支障があるということで、長期修繕計画通りに工事が行えるように修繕積立金の金額を設定するようになった。

とはいえ、マンションを販売する際には管理費・修繕積立金・駐輪駐車場代などの合計月額が低い方が売りやすいこともあって、それまで主流だった均等に積み立てる「均等積立方式」から、あらかじめ段階的に増額する「段階増額積立方式」を採用する事例が多くなった。

「段階増額積立方式」では、当初の修繕積立金の額は抑えられているが、5年ごとなどに一定割合で上がっていく形になる。修繕積立金の値上げは、管理組合の総会で承認される必要があり、否決されると値上げができなくなる。

修繕積立金で築年の新しいマンションの月額が低いのは、値上げされる前の金額の事例が多いという事情もあるのだ。修繕積立金については、さらに注意点がある。

長期修繕計画は適宜見直すことになっているが、近年、大規模修繕工事にかかる費用が上がっている。建築資材や水道光熱費などの上昇に加え、建設業界や物流業界では残業時間を規制する2024年問題が拍車をかけて人手不足が深刻化している。そして人件費の高騰は大規模修繕工事の費用に大きく影響する。となると、以前の長期修繕計画上の費用と現実の費用にズレが生じる可能性も高い。不足しない計画だったとしても、不足する可能性もあるのだ。

毎月払うランニングコストは安い方がよいのだが、管理費も修繕積立金も上がる可能性はある。特に、「段階増額積立方式」では、負担すべき費用を順繰りに送る形なので、上がることが前提となっている。

新築マンションを購入する場合は、ランニングコストが上がる可能性を考慮する必要があるし、中古マンションを購入する場合は、修繕積立金の積立方式がどうなっているか、長期修繕計画はいつ見直されたものかなども、しっかり確認する必要がある。事前に把握できることをスルーしてしまうと、将来家計に大きな影響が出るということもあるので、忘れずに確認してほしい。

●関連サイト
東日本不動産流通機構「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2023年度)」

住宅購入検討者の4割近くが将来的な売却や賃貸を検討!柔軟に住み替えるスタイルが広がるか?

リクルートのSUUMOリサーチセンターが「『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)」を公表した。この調査では、住宅の買い時感や住宅検討状況、住宅に関する意識などを聞いている。調査結果の推移を見ると、消費者の意識の変化がうかがえるので、詳しく見ていくとしよう。

【今週の住活トピック】
「住宅購入・建築検討者』調査(2023年)」公表/リクルート

検討している一戸建てとマンション、新築と中古が同率に

調査は、2023年12月に、首都圏、東海圏、関西圏と政令指定都市のうち札幌市、仙台市、広島市、福岡市に住む、20歳から69歳の男女で、過去1年以内に住宅の購入・建築、リフォームについて具体的に検討した人を対象に行われた。

検討している住宅の種別(複数回答)は、「注文住宅」が過半数の56%で、「新築一戸建て」31%、「中古一戸建て」31%、「新築マンション」30%、「中古マンション」30%、「リフォーム」16%となっている。一戸建てもマンションも、経年で見ると中古検討率がじわじわと上がっており、新築と中古が同率となっているのが、今回の特徴だ。

「一戸建てか、集合住宅(マンション)か」を聞く(単一回答)と、「ぜったい」と「どちらかといえば」の合計で、「一戸建て派」が58%、「集合住宅派」が22%と一戸建て派が優勢に。「どちらでもよい」は20%だった。

48%が「買い時と思っていた」と回答、その理由は?

さて、住宅購入環境にさまざまな変化が生じている。都心部のマンションを中心に価格が上昇していることに加え、長期固定型の住宅ローンの金利がじわじわと上昇している。集計対象数6007人のうち、住宅購入・検討者は4240人(賃貸検討者が1767人)。この人たちは、「買い時」と思っているのだろうか?

調査で「買い時だと思っていたかどうか」聞いたところ、48%が「思っていた」(とてもそう思っていた12%+ややそう思っていた36%)、20%が「思っていなかった」(まったくそう思っていなかった6%+あまりそうは思っていなかった14%)となり、買い時の割合が前年(2022年調査)の44%から48%に増加した。

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

ちなみに、「買い時だと思った理由」については、「これからは、住宅価格が上昇しそう」がTOPの45%だった。2位は「いまは、住宅ローン金利が安い」の33%、3位は「いまは、いい物件が出ていそう」の30%だった。

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

買い時と思う理由について、少し考えてみよう。2024年3月に日銀がマイナス金利を解除するなど、調査時点よりも金利のある時代が近づいている。金利について、いま調査をしたら、「金利が上がりそうだから」といった理由が上位に入るのかもしれない。また、住宅価格が高くなっているので、住宅の売り時と判断している人が多いと考えられる。中古の物件が市場に出回ることで、「いい物件が出ていそう」という環境になるかもしれない。

では、今後の住宅価格についてはどうだろうか?価格が上がり続けているのは都心部の住宅なので、それほど上がっていない地域と上がり続けている地域がある状況なのだが、残業時間を規制する2024年問題が拍車をかけて、建設業界の人手不足による建設費の上昇が続いている。流通業界も同様なので、建築資材を運送する費用も上がるなど、住宅の建設費用に下がる要因が見当たらない。したがって、「住宅価格が上昇しそう」な環境は、まだ続くといえるだろう。

住み続けるよりも柔軟に住み替える考え方に変化?

今回の調査の特徴といえるのが、「買い替え」層が増えていることだ。「初めての購入、建築」が63%と最も多いものの、持ち家を売却して新しい家を購入、建築する「買い替え」が年々増えて、2023年調査で29%に達した。もちろん、住宅価格が高くなっているため、売りやすい市場になっていることもあるが、どうやらそれだけではないようなのだ。

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

次に特徴的なのが、「将来的に売却を検討している」層が増えたことだ。「永住意向」が44%と半数近くを占めるものの、売却を検討したり、賃借を検討している層が合わせて38%になっている。購入、建築を検討しているときから、いずれキャッシュ化しようと考えている人が増えているわけだ。

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)※2021年以前は調査なし

では、そう考えている人たちが、売却や賃貸に出すタイミングをどう考えているのだろう?
「土地や不動産の価格が上がったら」、「家が老朽化したと感じたら」、「他に欲しい物件が出たら」といったタイミングを想定している人が増えた一方、「定年退職」などは減っている。

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)※2021年以前は調査なし

かつては、マイホームが老朽化したらリフォームして住み続け、家族構成の変化など状況が変わったときに売却するという流れだったが、近年は、価格が上がったり、欲しい物件が出たりしたタイミングや、老朽化でリフォームをする前のタイミングで、売却するという考え方に変わっているようだ。

住宅購入を取り巻く環境にも変化が生じているが、住宅を購入、建築する消費者側の意識にも変化が生じている。住み続けることにこだわらず「柔軟に住み替える」スタイルが広がりつつあるので、住宅の流通市場をより整備して、売り買いのしやすい環境をつくっていくことが求められるだろう。

●関連サイト
リクルート「『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)」

残価設定型の住宅ローンってどんなもの?メリットや注意点などをわかりやすく解説

パナソニックホームズが、一般社団法人移住・住みかえ支援機構が開発した長期優良住宅対象の残価設定型住宅ローンについて、楽天銀行との提携を経て、返済期間が最長40年の「楽天銀行オプション付加型残価設定住宅ローン」の取り扱いを開始すると公表した。残価設定の住宅ローンとは、一体どんなものなのだろう?

【今週の住活トピック】
楽天銀行と返済期間最長40年の残価設定型提携住宅ローン取り扱いを開始/パナソニック ホームズ

住宅ローンにおける残価設定のローンとは?

住宅ローンでは耳慣れないローンだが、カーローンではよく耳にする「残価設定型ローン」。車の購入の際に、あらかじめ将来の下取り価格を設定して、車両価格から下取り価格(残価)を差し引いた金額に対してローンを組む方法のことだ。

では、住宅版ではどうなるのか?
パナソニックホームズの残価設定型住宅ローンは、移住・住みかえ支援機構(以下「JTI」)が提供する「残価設定型住宅ローン」を利用するもので、通常の住宅ローンに、「返済額軽減オプション」と「買取オプション」という二つのオプションを付ける形になる。

大雑把に言うと、通常のローン返済をする途中で、あらかじめ決められたオプションが行使できる時点で、返済額は大幅に減るが終身でローン返済を続けるか、住宅ローンの残高と同額で買い取ってもらうかを選べる、といったものだ。残価設定時期などはJTIが決める。

したがって、JTIが大きな役割を果たすことになるので、JTIが残価設定型住宅ローンの仕組みを提供する背景について見ていこう。

JTIが残価設定型住宅ローンを提供する背景は?

JTIは国土交通省の支援を受けて設立した、持ち家を長く活用してもらうことを目的とした一般社団法人。シニア層が使わなくなった住宅を子育て世代に向けて転貸する「マイホーム借上げ制度」などを提供している。

2021年に住生活基本計画の見直しが行われた際に、「ライフスタイルに合わせた柔軟な住替えを可能とする既存住宅流通の活性化」のため、残価設定ローンを含む多様な金融商品を活用することが盛り込まれた。これを契機に、JTIが、維持管理体制の充実した事業者が施工する認定長期優良住宅について、将来の残価を保証する仕組みを開発した。これが、残価設定型住宅ローンだ。

したがって、残価設定型住宅ローン対象となるのは、国の認定を受けた「長期優良住宅」で、施行する事業者も指定されたハウスメーカーに限られるので、対象は一戸建てになる。また、取り扱いができる金融機関も、現時点で指定されているのは、日本住宅ローン、三菱UFJ銀行、楽天銀行だ。

※長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅。長期に使用するための構造及び設備を有していること、維持保全の期間や方法を定めていることなどが求められる。

残価設定型住宅ローンの仕組みをもっと詳しく

残価設定型住宅ローンについて、下の概念図でもう少し詳しく見ていこう。

例えばJTIが残価設定月を20年後に設定した場合、通常の住宅ローンの返済をしていくが、30歳で借りて50歳で残価設定月に達したら、リバースモーゲージ(死亡時に担保不動産を処分して残債を返済する住宅ローン)の仕組みを使った「返済額軽減オプション」を選ぶ(左側)か、その時点のローン残高の額で買い取ってもらう「買取オプション」を選ぶ。また、「返済額軽減オプション」を選んだ場合でも、途中で「買取オプション」を行使することもできる(右側)。

出典:パナソニック ホームズのリリースより

出典:パナソニック ホームズのリリースより

まず、「返済額軽減オプション」について見ていこう。「1」では通常の住宅ローンの返済となるが、残価設定月以降にオプションを行使すると、元金の返済額をJTIの保証する残価に合わせることで返済額を大幅に軽減する「新型リバースモーゲージ」に切り替わる。借り入れから50年経つと元金の返済がなくなり、51年目以降は利息のみの返済となる。そのため、「2」、「3」と段階的に返済額が減る形になる。

次に、「買取オプション」について。残価設定月に行使した場合は、その時点の住宅ローン残高と同額で、また返済額軽減オプション選択後に行使した場合は、新型リバースモーゲージの残高と同額で、JTIが買い取る形となる。

残価設定型住宅ローンのメリットやデメリットは?

残価設定型住宅ローンのメリットは、長期間返済する中でいくつかのリスクを回避できることにある。例えば定年後に想定したよりも収入が減ってしまった場合でも、「返済額軽減オプション」によって、返済額を抑えることができる。

また、一定期間住んでから売却しようとしたとき、住宅市況が悪化して売却額では住宅ローンの残債を返せないといったときでも、残債と同額で売却できるので、ローンから解放される。住宅市況が良好で高く売れるときは、自身で売却した額で住宅ローンを完済すればよい。

このように、住宅ローンによって自由な住替えを妨げられることがなくなるのだが、注意点もある。

「返済額軽減オプション」を行使した場合、当初の住宅ローンに付帯した団体信用生命保険は終了し、以降は団体信用生命保険に加入できない。また、終身で返済することになり、当初の住宅ローンよりも利息を多く払う場合もある。

なお、認定長期優良住宅は、長期使用ができるように認定計画に沿ったメンテナンスを継続的に行うことが求められる。そのため、一般的な住宅よりも点検や補修費用などがかかってしまうことも、理解しておきたい。

社会的に見ると、残価設定型住宅ローンを利用した住宅は、いずれのオプションでも、最終的にはJTIに帰属するので、良質な住宅が空き家になることはない。こうしたメリットもある残価設定型住宅ローンだが、利用できる住宅(事業者)や金融機関が限られるので、どの住宅でも利用できるわけではない。とはいえ、ローンを利用する側にとって、多様な選択肢の一つになるので、こうした住宅ローンがあることを知っておいてほしい。

●関連サイト
パナソニック ホームズ「楽天銀行と返済期間最長40年の残価設定型提携住宅ローン取り扱いを開始」
移住・住みかえ支援機構「残価設定型住宅ローン利用者フォーラム」

”おせっかい”が高経年マンション問題の危機を救う!? 京都市の行政と民間の関わりがユニークすぎる管理の解決策とは

京都市が取り組む「おせっかい型支援」が注目を集めています。劣化が進むマンションを見つけだし、飛び込みで訪問する独特な後方支援ゆえに「よけいなお世話だ」と門前払いされる場合もしばしば。ハードルが高いこの支援、どのように運営しているのでしょう。京都市都市計画局住宅室住宅政策課に話を聞きました。

マンションの老朽化は周辺住民の命にかかわる問題

「『おせっかい』という言葉は、『もう、こちらから押しかけていこう』という気持ちの表れなんです」

「おせっかい型支援」の陣頭指揮を執る京都市都市計画局住宅室住宅政策課の企画担当課長、神谷宗宏(じんや ・むねひろ)さんはそう語ります。リーダーの神谷さんは、建築の技術職です。そして神谷さんをはじめ、同課係長の鈴木裕隆さん、武田あゆみさん、野上智也さんの計4名と、NPO法人「マンションサポートネット」から「おせっかい型支援」は成り立っています。

では、「おせっかい型支援」は、どのようないきさつでスタートしたのでしょう。

京都市都市計画局住宅室住宅政策課の企画担当課長、神谷宗宏(じんや むねひろ)さん(写真撮影/吉村智樹)

京都市都市計画局住宅室住宅政策課の企画担当課長、神谷宗宏(じんや むねひろ)さん(写真撮影/吉村智樹)

「外壁が崩壊等した事例(滋賀県野洲市)」(写真提供/京都市役所)

「外壁が崩壊等した事例(滋賀県野洲市)」(写真提供/京都市役所)

発足のきっかけは、国の「マンション管理適正化法」の制定を受け、2000(平成12)年から始めたマンションの実態調査にあります。

マンション管理に問題が生じていると、築年が古くなるにつれて、居室の賃貸化など非居住化が進みやすく、管理組合の高齢化も相まって、組合活動自体が難しくなり、行政に助けを求めることも難しくなる場合もあります。ひとたび管理不全に陥ると居住者の努力だけでは機能回復が難しくなるため、老朽化がさらに深刻になる実態が幾度の調査から浮き彫りになりました。

神谷「マンションの廃墟化は、京都の景観への影響も大きく、もはや私有財産の問題ではないことにいち早く気づいたのです。当初はマンションの管理に行政が踏み込む法的な根拠はありませんでした。しかし、廃墟化を待つわけにはいかない。マンションに長く快適に住み続けてほしい。だから頼まれてもないのに管理組合の支援を始めたのです。これが京都発“おせっかい型”支援の所以です」

全国でマンションの管理不全に注目が集まるきっかけとなったのが、かつて滋賀県野洲市に存在した「廃墟化マンション」です。このマンションは2010年(平成22年)に建築基準法に基づく外装材の落下防止措置などが勧告されたにもかかわらず放置状態が続き、2020(令和2)年、遂に行政代執行による解体工事が着工。その費用はなんと1.18億円にものぼりました。このように管理組合が正常に機能していない場合、問題を抱えたマンションは放置され、解体費用などで財政を圧迫してしまうケースがあるのです。

神谷「野洲の廃墟化マンションの行政代執行の件は、京都も関心を持っていました。行政代執行にかかった金額は相当ですが、何より危険です。マンションは私有財産ですが、管理不全に陥って老朽化したときに、景観だけではなく周辺の住環境やコミュニティに与える影響がひじょうに大きい。放っておくと住民の命にかかわるんです」

2020(令和2)年に国が「マンション管理適正化法」を改正し、同法に基づく指針のなかで、マンションは民間資産であり社会的資産でもあると初めて位置づけられました。行政のマンション管理への関与が位置づけられたことを機会に、近年京都の“おせっかい型支援”が注目され、全国にも広がっています。

それにしても「おせっかい型支援」とは、わかりやすい、大胆なネーミングです。

神谷「いきなり“要支援”と言葉にすると、どうしてもネガティブイメージを払拭できない。いやがる人もいるでしょう。そこで『おせっかい』という、くだけた表現を使いました」

老朽化したマンションの外壁のイメージ(画像/PIXTA)

老朽化したマンションの外壁のイメージ(画像/PIXTA)

建築のプロの目視で発見する「要支援マンション」

では、「おせっかい」が必要なマンションは、どのように発見するのでしょう。

神谷「第一歩は、各マンションの管理組合へのアンケート調査です。アンケートの回答を参考にしますが、組合活動がしっかり行われていない場合、回答をいただけないことが多い。 回答がないことが、管理不全に陥っている可能性を示唆しているんです」

アンケートの回答がないのも、一つの調査結果です。管理不全状態に陥っている可能性をより明確化するため、新たに加わったもう一つの方法が、専門家による外観目視の調査。視察するのはマンション管理士、建築士、弁護士など複数業種のエキスパート約15名によって運営されているNPO法人「マンションサポートネット」。築20年以上が経ったマンションの外壁の剥がれ具合、金属製の柵が錆びた様子などから異常がないかどうかを彼らが判断し、要支援マンションの候補とします。

ヒアリングと外観調査の双方向に指標も設け、基準7項目のうち4項目に該当していると、要支援の対象に。NPO法人「マンションサポートネット」のメンバーと、神谷さんを筆頭とした京都市都市計画局住宅室住宅政策課4名による「おせっかい」が始まるのです。マンションサポートネットはマンション管理組合が「主体的によいマンション管理ができる」ように現地へ赴き、「建物や設備の点検」「大規模修繕工事」「長期修繕計画の作成や見直し」「管理規約の改正」「委託管理の見直し」などのコンサルタント業務を行う、言わば実行部隊なのです。

要支援マンションなどの判断基準(表1)と定義(表2)(京都市役所資料を基にSUUMO編集部作成)

要支援マンションなどの判断基準(表1)と定義(表2)(京都市役所資料を基にSUUMO編集部作成)

神谷「外観から『もしや?』と感じた場所へ実際に出向き、棟内や部屋を視察すると、配管設備がボロボロだったり、ひどく漏水していたりする場合もあります。外観に傷みが見受けられると、内部もかなり劣化が進んでいると考えられるので、一刻も早い対策が必要です」

建築の技術職である神谷さん。街を歩いていても、マンションを見て「ピンとくる」場合があるのだそうです。

京都市の街のイメージ(画像/PIXTA)

京都市の街のイメージ(画像/PIXTA)

投資型マンションに多く見られる「管理不全」

要支援マンションが現れる背景には「管理不全」があります。「マンションを維持する母体となるはずの管理組合がうまく機能してない」「管理組合の実態が確認できない」など、管理責任の在り処があいまいなのです。そのようなケースでは、「おせっかい型支援」として、「管理組合の規約を立ち上げる」という根源的な部分から介入するといいます。

その管理不全に陥る一つの大きな要因に、「非居住化が進んでいる」という傾向が挙げられます。

神谷「例えば区分所有者が投資や事業を目的としてマンションを購入している場合、ご自身は住んでおられないことが多いんです。部屋を賃貸されている場合、借主である居住者には管理組合に参加する義務がない。賃貸されていなくても区分所有者が倉庫や事務所として利用されている場合もある。つまり、区分所有者は現地に住んではおられない。建物に少々の不具合があってもご自身がお住まいになっているわけじゃないので、お金を出してまで修繕するかというと、どうしても無関心になってしまうんですよね」

マンションの利用形態が複雑多様化するなか、区分所有者と居住者が異なるため、管理に関する合意形成ができず不行き届きになってしまう。非居住化が進んでいるマンションの支援は難航し、長期化します。今後の「おせっかい型支援」の大きな課題の一つです。

投資系マンションが管理不全に陥るという傾向が多いという(画像/PIXTA)

投資系マンションが管理不全に陥るという傾向があるという(画像/PIXTA)

「いらぬお世話だ」と追い返されるケースも

マンションの管理体制を立て直し、より長く使ってもらおうと立ち上がった「おせっかい型支援」。とはいえ、誰しもがやすやすとは受け入れてくれません。おせっかいと銘打つわけですから、「いらぬお世話だ」と追い返されるケースもあるのです。

神谷「話を聞いてくださる方にたどり着くのが大変ですし、たどり着けても、まずは警戒されます。いきなり押しかけてこられて、自分たちの私有財産、台所事情を探られるわけですから。たとえマンションの関係者が話を聞いてくれたとしても、管理組合が機能していない内情を簡単には明かしてくれません。根気のいる作業なんです」

「おせっかい型支援」のイメージ図(画像/PIXTA)

「おせっかい型支援」のイメージ図(画像/PIXTA)

このように、サポートに辿り着くまでに幾つもの壁があるといいます。

神谷「マンションサポートネットはその点、さすが経験豊富な専門家の集団です。さまざまなパターンに対して、対応のノウハウを蓄積されておられます。大きな声で怒鳴られるなど、危険な目に遭う可能性もあるわけですから、誰でもできるわけではない。豊富な経験に裏付けられた知見を持っている彼らは頼りになる存在です」

そうして幾度かの説得の末、申し出を受け入れたマンションと、やっと話し合いへと駒を進めることができるのです。

マンションと住民の「二つの老い」

マンションが抱える問題は、大きく二つあるといいます。一つは「マンション自体の高経年化」。二つ目が「区分所有者の高齢化」です。そしてこの二つの問題は、セットでもあるのです。

神谷「“二つの老い”と呼ばれています。昔はマンションに永住するという考え方は、あまりなかったようです。一時期はマンションに住んで、ゆくゆくは戸建てに移住する。それが一般的な暮らし方とされていました。しかし近年はマンションを終の棲家とする人たちも増えてきた。しかし管理費が計画的に積み立てられていない場合、マンションが高経年化すると修繕箇所が増えるにもかかわらず積立金が不足しているために適切な対応ができない。積立金額を上げたくても高齢化が進み、上げられない。そうしていっそう管理不全化が進んでしまうんです」

マンションの高経年化の進行(京都市役所作成)

マンションの高経年化の進行(京都市役所作成)

マンションの修繕積立金は、年数が経つにつれてだんだんと金額が上がっていく「段階積立方式」をとっている場合が多い。しかし計画的な管理ができていない場合、必要な積立金額がわからず、必要額がわかったとしても「時すでに遅し」なのです。そういった事態をできるだけ避けるため、京都市では積立方式について議論している検討会に参加しています。

京都のマンションは6割が小型

京都のマンションには、一つの顕著な特徴があります。それは「小規模マンションが多いこと」。50戸以下の小さなマンションが全数の約6割を占め、さらに21~30戸のマンションは350棟を数えます(2020年調べ)。京都市は小規模な土地が多いことや、厳しい景観政策を実行しており、建築物の高さに制限が設けられている地区があります。それゆえに高層マンションが建ちにくく、小規模化するのです。そして小さなマンションほど「支援を要する場合が多い」のだとか。

京都市住戸別マンション数(京都市役所作成)

京都市住戸別マンション数(京都市役所作成)

老朽化の兆候が見られるマンション(京都市役所作成)

老朽化の兆候が見られるマンション(京都市役所作成)

神谷「大きなマンションには、管理会社が入っていることが多いです。小規模な高経年マンションも管理会社が入っていたり、管理会社を入れずに自主管理されていたりするところは少なくありませんが、大中規模以上に比べて人材面、資金面ともに脆弱になってしまう傾向がありますね」

国土交通省も注目する「おせっかい型支援」の成功事例

では「おせっかい型支援」は、どのような実績があるのでしょう。成功事例を二つ、紹介します。

一つ目は1974(昭和49)年竣工、築50年 の「真如堂マンション」。左京区岡崎地域の静かな住宅地に立つ13 戸の小型マンションです。

真如堂マンションの「おせっかい型支援」介入前

真如堂マンションの「おせっかい型支援」介入前(写真提供/京都市役所)

真如堂マンションの「おせっかい型支援」介入前(写真提供/京都市役所)

真如堂マンションの「おせっかい型支援」介入後

真如堂マンションの「おせっかい型支援」介入後(写真提供/京都市役所)

真如堂マンションの「おせっかい型支援」介入後(写真提供/京都市役所)

真如堂マンションは理事長と居住区分所有者の数名で自主管理を行ってきたものの、建物の老朽化が進みました。そこでマンションサポートネットの協力のもと、2013(平成 25 )年度に外壁塗装、鉄部の塗り替えなどの維持工事、受水槽の撤去、遮音や断熱性能の高い玄関ドアへの交換、水道管直結などを着工。資産価値のアップを図ったのです。

工事が始まる前にはマンションサポートネットのメンバーのアドバイスを仰ぎながら管理組合を立ち上げ、規約改正を行いました。そうして長期修繕計画に基づく資金計画を検討した後、修繕積立金を適正に値上げし、工事費に充てました。それでも足りない分は住宅金融支援機構の融資を活用。専門家の助言を受け、帳簿を作成し、融資の条件を満たすことができたのです。

このように多角度的な支援の甲斐があり、築50年を経ながら現在も特段に古びた様子は見受けられません。

もう一つが1971(昭和46)年竣工、築53年 の「京都グランドハイツ」。平安神宮や琵琶湖疎水など京都の歴史的建造物に囲まれた左京区聖護院にあります。7階建、総戸数91戸という中型マンションです。

京都グランドハイツ「おせっかい型支援」介入前

京都グランドハイツ「おせっかい型支援」介入前(写真提供/京都市役所)

京都グランドハイツ「おせっかい型支援」介入前(写真提供/京都市役所)

京都グランドハイツ「おせっかい型支援」介入後(写真提供/京都市役所)

京都グランドハイツ「おせっかい型支援」介入後(写真提供/京都市役所)

昭和のオイルショックのさなか、管理会社から委託費用の大幅値上げを要求され、これをきっかけに1976(昭和51)年には自主管理へと移行。外壁塗装、屋上防水ほか小修繕を実施し、活発な管理が行われてきました。

しかし高経年マンション実態調査において、建物の劣化が進行していると判明。役員の高齢化が進んだなどの理由で必要な改修ができていなかったのです。京都市役所は2013(平成25)年よりマンションサポートネットを派遣。専門家の助言を契機に役員が熱心に管理業務に取り組むようになり、規約の改正、資金の調達のうえ、2018(平成30)年、遂に大規模修繕工事の実施にこぎつけました。

現在は建物の劣化や管理不全の問題が解消され、良好なマンション組合の運営が行われています。2023(令和5)年10月の国交省主催の事例報告会では好例として取り上げられたほどの事例なのです。

なかには『維持していくことすらも非現実』という物件も

管理不全に陥ったマンションのなかには、管理体制の見直しという観念ではもはや収束できない、危険な状態にある例もあるのだとか。

神谷「この建物を安心安全な状態まで修繕するには何千万、いや何億かかる。たとえ修繕積立金等を切り崩して修繕しても、老朽化は進行するので次の修繕が必要になる。重なる修繕に多額の費用がかかるであろうが修繕積立金の目途が立たない。そのように『維持していくことすらも非現実』という物件も実は幾つか見つかっています。そうなるともう、『売却すれば、今ならこれぐらいのお金は戻ってきますよ』という方向にしか話を持っていきようがない。言わば“マンションの終活”ですね。今後マンションはどんどん高経年化が進みますから、マンションの終わり方を考える支援はこれから増えていくでしょう」

マンションを支援する形も、今後は除却も視野に入れて提示するなど、選択肢が増えていくようです。

要支援状態から脱しても油断はできない

こうして京都市都市計画局住宅室住宅政策課とマンションサポートネットの尽力により、マンションにしっかりした管理組合が設立されたり、大規模修繕工事が実施されたり、長期修繕計画ができたり、管理費や修繕積立金の適切な徴収が可能となったりし、47棟あった要支援マンションは、半数がその状態を脱することに成功しました。

しかし、「そこで終わりではない」と神谷さんは言います。

神谷「専門家が入っているあいだは支援がうまくいっていたけれども、いったん専門家が外れてしまうと元に戻るケースもありました。『やっぱり、どうしていいかわからない』『うまく回せない』という例があるんです。そのためにも、支援を要しなくなったあとも、常に状況を把握しておくことが大事だと考えます」

「一度介入して終わりではなく、継続的な支援が必要だ」と語る神谷さん(写真撮影/吉村智樹)

「一度介入して終わりではなく、継続的な支援が必要だ」と語る神谷さん(写真撮影/吉村智樹)

次に取り組むのが「マンションの管理状態の“見える化”」

改正マンション管理適正化法は2022(令和4)年4月に施行されました。この法律は、マンション管理業者の業務を規定する内容が主でしたが、今回の改正で、管理組合に向けた内容が追加されました。行政が管理組合に対し、助言や指導を行うといったことも盛り込まれています。「行政もマンションの管理をしっかりやらなければならない」と国ぐるみの議論が加速化するなか、京都市役所の先進的な取り組みは他都市からも注目されています。

神谷「他の自治体さんからも高い評価をいただき、『おせっかい型支援の方法論を教えてほしい』『どのように実態を把握するのか』という問い合わせをけっこういただいています。プッシュ型支援という言い方で、全国に取り組みが広がっているんです。京都市としてはとても喜ばしいことと受け取っています」

高経年マンションが増え、新しい支援のスタイルとして全国のモデルケースとなった京都市役所。そんな京都市役所はさらに未来へ向け、次の一手を打とうとしていました。

マンションの管理の見える化のイメージ図(画像/PIXTA)

マンションの管理の見える化のイメージ図(画像/PIXTA)

神谷「現在、取り組んでいるのがマンションの管理状態の“見える化”です。2022(令和4)年に改正されたマンション管理適正化法のなかに『管理計画認定制度』という、マンションの管理状態を行政が認定する制度が作られたんです。この制度の最大の意義は、マンションの管理状態を図る物差しができたことだと考えています。マンションの広告などに『法律に基づく行政機関の認定を受けました』などと記載していただく。そうすると市民のマンション購入の目安になり、中古マンションであっても『しっかりしたマンションなんだな』と考えてもらえるでしょう。金融機関も認定によって管理状態を推し量ることができるので、『長期修繕計画もしっかりしているし融資をつけてみようか』という展開に持っていきたい。そうなると、マンション側も『うちも、どうせなら認定を取ろうか』という発想になっていきますよね。認定マンションを増やすことによって、管理に対する意識がどんどん高くなっていくと思うんです」

経過年数が長いマンションは不安視されがちです。しかし、管理計画認定がされているのならば購入を検討するなかでの安心材料となります。昨今、若い子育て世帯の流出が問題になっている京都市。マンションの認定制度が普及し、マンション全体の管理水準を上げることが、流出を食い止めるカギの一つになるでしょう。

国土交通省の発表によると、2022(令和4)年末の段階で、築40年以上のマンションは日本に約125.7万戸が存在し、20年後(2042年末)には445万戸にまで増加するのだそうです。
人間ともに高齢化するマンション。高経年による事故や悲劇を防ぐのは、どんなに時代が進んでも、「おせっかい」という古きよき人情なのだと、取材を通じて感じました。

●取材協力
京都市都市計画局住宅室住宅政策課

内窓DIYで室温10度も断熱できる省エネ対策。ホームセンターで買えるお手軽キットでも可能

「夏暑く、冬寒い」「結露ができて不快」、こうした住まいの問題を解決するには、どうやら「窓」の改修がいいらしい、ということが知られるようになりました。とはいえ、どのくらい効果があるの?DIYで手軽にできない?などの疑問はつきないはず。そうした疑問や悩みを解消してくれる「断熱改修はじめの一歩」ワークショップが長野県で開催されました。子どもも参加OK、ホームセンターで買える簡易的な内窓キットと最低限の工具だけを使って内窓のDIYをしよう! という一見お手軽な内容にも関わらず完成した内窓をつけたところ、なんと10度も表面の温度差が生まれるという驚きの結果に。その様子をレポートします。

内窓をDIYで自作してみたい!長野県全域から希望者殺到!

「断熱改修はじめの一歩」という講演会とDIYワークショップが開催されたのは、長野県上田市。二部構成で、一部は断熱推進イニシアチブ合同会社の木下史朗さんによる講演、現役の建具職人でもある有限会社クボケイの窪田智文さんのミニレクチャー、二部は市販されている内窓キットを使ってのDIYワークショップというもの。主催は長野県上田地域振興局で、運営にあたるのがNPO法人上田市民エネルギーです。

近年、内窓をDIYで作成できる「内窓キット」がホームセンターなどで購入できるようになっています。今回のワークショップではこの「内窓キット」を用いて、建具職人を講師に招いて、内窓を実際につくるという試みです。ちなみに、必要な道具は差し金や鉛筆、カッターなどの身近なものばかり。DIYの心得がなくとも誰でもできるといいます。

一部の講演会には上田市在住の方だけでなく、長野県内各地から約60名が参加し、二部のワークショップの定員20名はわずか数日で満員になったとか。想像以上の関心の高さに圧倒されますが、長野県上田市は冬の寒さはもちろん、夏はびっくりするほど暑くなるそう。

「全国的に暑かった2023年ですが、上田では全国最高の38.4度を記録したこともあるほど。とにかく夏は暑いんです。さらに冬は寒いため、二酸化炭素削減にも健康面でも、建物の省エネ性能向上が必須なんです」と話すのは上田市民エネルギーで理事長を務める藤川まゆみさん。

長野県はこうした自然の厳しさを背景に、住まいや建物の省エネルギー性向上を推進しており、上田高校や白馬高校など複数の県立高校で高校生が企画運営する断熱ワークショップを支援しています。また、こうした学生の断熱に関する取り組みがニュースになることも多く、それを見聞きした保護者をはじめ、一般世帯にも関心が広がっているようです。すばらしい流れですね。

■関連記事:
白馬村から雪が消える?! 長野五輪スキー会場も直面の気候変動問題、子ども達の行動で村も変化

断熱改修の初心者に向けて。講演会でしっかりと知識を身に付ける!

まず一部は「断熱改修はじめの一歩」と題して、断熱推進イニシアチブの木下史朗さんが、自宅のサーモグラフィ画像をあげつつ、自宅や軽井沢の高性能賃貸「六花荘」を建てたこと、軽井沢の空き家を性能向上リノベさせたエピソードを紹介。

木下さんが断熱に目覚めるきっかけとなった家の寒さ。室内だが窓枠の表面温度は1度(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

木下さんが断熱に目覚めるきっかけとなった家の寒さ。室内だが窓枠の表面温度は1度(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

高性能賃貸「六花荘」をサーモグラフィカメラで撮影。もっとも冷たいのは牛乳。室温は20度程度に保たれており、裸足でも大丈夫な暖かさに(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

高性能賃貸「六花荘」をサーモグラフィカメラで撮影。もっとも冷たいのは牛乳。室温は20度程度に保たれており、裸足でも大丈夫な暖かさに(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

木下さんが実際に性能向上リノベをした物件。改修前はUa値0.94でしたが改修後は Ua値0.28と大幅に性能向上(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

木下さんが実際に性能向上リノベをした物件。改修前はUa値0.94でしたが改修後は Ua値0.28と大幅に性能向上(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

加えて、日本の既存住宅のうち、1999年の省エネ基準(2025年義務化予定)に達しているのがわずか1割程度しかないこと、建築物が断熱されていないため多くのエネルギーを無駄にしていること、断熱性能をあげるにはまず「窓」が大切であることを説明していきます。実体験+データを交えての話はリアリティがあるうえ、建築士ではなく、ひとりの住まい手としての体験から得た話となっており、非常にわかりやすいものとなっていました。

また、現在は「先進的窓リノベ事業」「長期優良住宅リフォーム推進事業」「信州健康ゼロエネ住宅(リフォーム)」といった助成制度があること、省エネ性能が高いものほど補助額が高いこと、今ある窓の内側にもう一枚窓をつくる工法、今ある窓枠を壊さず新しい窓に交換する工法があることなども紹介されていました。

上田高校の断熱改修ワークショップの施工前

上田高校の断熱改修ワークショップの施工前と施工後(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

上田高校の断熱改修ワークショップの施工前と施工後(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

断熱材を入れたところはオレンジで15度になっているが、入っていないところは紫色で7.6度。表面の温度差7.4度!(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

断熱材を入れたところはオレンジで15度になっているが、入っていないところは紫色で7.6度。表面の温度差7.4度!(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

参加者には子育て世帯が多いのかと思いきや、年配世代も多数参加していました。築年数が経過した住まいは無断熱、または断熱性の低い住まいが多いので、当たり前といえば当たり前かもしれません。講演のあとには、断熱材の主な材質とその特徴の違いについての質問が飛び出すなど、講演者・参加者のみなさんの本気度合いに圧倒されます。

建具職人によるDIYのコツ。成否の鍵を握るのは採寸と裁断

その後、二部でも登場する現役の建具職人・窪田智文さんが登壇し、ホームセンターで販売されている内窓キットを使って内窓を作成するコツを話してくれました。窪田さんは2012年の技能五輪全国大会家具部門で銅メダルに輝き、現在でも建具と家具を担当する現役の建具職人です。今までも上田高校などの断熱ワークショップを手伝っているそうですが、地元にこうしたトップクラスの職人さんがいて、協力を得られるのは大変貴重です。

窪田さんによるDIYのミニレクチャー。みなさん熱心にメモをとっていらっしゃいます(写真撮影/嘉屋恭子)

窪田さんによるDIYのミニレクチャー。みなさん熱心にメモをとっていらっしゃいます(写真撮影/嘉屋恭子)

窪田さんによると、ホームセンターでも内窓のDIYキットの取り扱いは増えているとのこと。DIYキットの内容は(1)窓枠に貼るレール、(2)サッシにあたるフレームのセットで、価格は2000~4000円程度。これに加えて、窓ガラスに相当するポリカーボネートを購入し、1窓約1万円程度でできるそう。

既存の窓に加えて、内窓を1枚つけると空気層ができます。空気は熱を伝えにくい性質をもっているため、冬は暖かく、夏は涼しくなる、これが内窓での断熱性が向上する理由です。
内窓のDIYを成功させるにはいくつかコツがあるそうですが、要約すると以下になります。

(1)既存の窓枠をしっかり採寸する
・定規はしっかりした材質で、まっすぐ良いものを使う
・レーザー計測器もあるが、自分でもしっかり確認を
・幅や高さだけでなく、真ん中の高さ、斜めもしっかり測る
(築年数が経過した物件はたわんでいることがあるため、たわんでいたら要補正)

(2)窓にあたるポリカーボネート板をまっすぐ裁断する
・ポリカーボネート板を、計測したサイズどおりに、まっすぐ切ること
・一度に切ろうとするのではなく、表面に筋をつけていき、徐々に裁ち落とす
・自分で切るのが難しい人はホームセンターのカットコーナーで依頼するとよい(ホームセンターにもよるが、1カット100円以内)

また、窓が大きいほど採寸・裁断が難しくなるため、まずは小さな窓からはじめてみて、成功したら次の窓をすすめるとよい、とアドバイスしていました。

温度差10度! 部屋の体感はぐっと暖かくなった

そしていよいよ二部のワークショップへ。今回は上田地域振興局が入る上田合同庁舎3階の会議室の内窓合計14枚を作り、その後も使っていく計画です。市民参加で公共建築物の断熱性が向上できるのは、とても有意義な取り組みですよね。何しろ(1)ワークショップの場として活用でき、(2)設計施工費用を抑えることができる、(3)建物の省エネ性能が高まる、(4)内窓を知らなかった人も目にすることができ、興味が湧く、など一石四鳥にもなるからです。

講師となる窪田さんに加え、木下さん、小さなお子さんはもちろん、高校生、大人など幅広い世代の参加者がいっしょに作業をしていきます。まずは安全のためにラジオ体操を行いますが、同じ空間で体操をするとぐっと気持ちの距離が縮まり、和やかな雰囲気になります。

また、SUUMOジャーナル編集部員も人生初のDIY体験で参加しましたが、「取材じゃなければ、人生で一度もDIYをしないと思う」というタイプだそう。興味はあるものの、なかなか腰が重い。これは、多くの人が同じ気持ちになるのではないでしょうか。

そんなDIYスキルも事情も異なる参加者が力を合わせ、完成したのが14枚の内窓です。まずは完成したところからご覧ください。下の写真でいうと、右の白枠が設置した内窓、左の結露しているのが既存の窓です。

窓にさわって温度の違い感じるお子さん。既存の窓は冷たく結露していますが、内窓はひんやりとせず温かい!(写真撮影/嘉屋恭子)

窓にさわって温度の違い感じるお子さん。既存の窓は冷たく結露していますが、内窓はひんやりとせず温かい!(写真撮影/嘉屋恭子)

完成した14枚の内窓をはめこんだ様子。内窓と既存の窓、その表面温度差10度にも(写真撮影/嘉屋恭子)

完成した14枚の内窓をはめこんだ様子。内窓と既存の窓、その表面温度差10度にも(写真撮影/嘉屋恭子)

内窓をつけたところ。サーモグラフィカメラで撮影すると17度と温かくなっています(写真撮影/嘉屋恭子)

内窓をつけたところ。サーモグラフィカメラで撮影すると17度と温かくなっています(写真撮影/嘉屋恭子)

既存窓を撮影するとなんと7度。そばによるとひんやりとした冷気を感じます(写真撮影/嘉屋恭子)

既存窓を撮影するとなんと7度。そばによるとひんやりとした冷気を感じます(写真撮影/嘉屋恭子)

取材日は最高気温5度、外はみぞれ交じりの天気でしたが、内窓はつけるとその表面温度は17度に。手のひらでさわるとより温かさを実感します。約2時間でここまででき、さらに直後で冷やされていないとはいえ表面温度にこんな変化があるとは。まさに感動!のひとことです。

内窓DIYするなら、ホームセンターのカットサービスを活用すると簡単に!

ここであらためて、どのようなプロセスで進められていったのか紹介します。

<使う道具>
内窓キット 14枚分
ポリカーボネート板 14枚分
軍手、差し金、鉛筆、カッターなど

<ワークショップの流れ>
(1)窓レールにあたるパーツの切り落とし
(2)窓レールにあたるパーツを貼る
(3)フレームパーツを切り落とし
(4)ポリカーボネート板を切り落とす
(5)フレームをはめ、フィルムを剥がす
(6)完成した窓を窓枠にはめる

こうしてみると、特別な道具は使わず、材料を切断して貼ったり、枠にはめていったりと、難しい作業はしていません。ただ、やっぱりそこは初対面の人との共同作業になるので、談笑しつつ手探りで作業を進めていきます。

(1)指示にしたがって窓枠になるパーツを指定のサイズに裁ち落とす(写真撮影/嘉屋恭子)

(1)指示にしたがって窓枠になるパーツを指定のサイズに裁ち落とす(写真撮影/嘉屋恭子)

(2)カットした窓枠を両面テープで貼って固定しているところ(写真撮影/嘉屋恭子)

(2)カットした窓枠を両面テープで貼って固定しているところ(写真撮影/嘉屋恭子)

既存の窓枠の手前、白い樹脂が貼り付けた内窓のレール部分になります(写真撮影/嘉屋恭子)

既存の窓枠の手前、白い樹脂が貼り付けた内窓のレール部分になります(写真撮影/嘉屋恭子)

(4)ポリカーボネート板を規定のサイズに裁断していきます(写真撮影/嘉屋恭子)

(4)ポリカーボネート板を規定のサイズに裁断していきます(写真撮影/嘉屋恭子)

カットできたポリカーボネート板にフレームをはめこんでいきます(写真撮影/嘉屋恭子)

カットできたポリカーボネート板にフレームをはめこんでいきます(写真撮影/嘉屋恭子)

最後にフィルムを剥がして完成(写真撮影/嘉屋恭子)

最後にフィルムを剥がして完成(写真撮影/嘉屋恭子)

白いフレームがDIYで作った内窓です。1面ですが、達成感と充実感が湧き上がります(写真撮影/嘉屋恭子)

白いフレームがDIYで作った内窓です。1面ですが、達成感と充実感が湧き上がります(写真撮影/嘉屋恭子)

参加されたみなさんに感想を聞きましたが、「実際にできるか不安だったが、楽しかった」「プロの技がすごいなと思った」などの感想が。なかには「DIYはあきらめてプロに依頼しようと思いました」「ホームセンターで切断してもらって、はめるだけならできるかも」との声も。確かにホームセンターで「裁断」までしてもらえていれば、ぐっと家庭でも取り入れやすいと思いました。

筆者は窪田さんのキズをつけないコツ、四隅のサイズを少しずつ調整していく仕事の確かさ、身のこなしなどが印象に残りました。なかなか見られない建具職人の仕事ぶりは、まさに眼福です。

さらに今回、DIY初体験だった編集部員はDIYに開眼したらしく、黙々とポリカーボネート板を切り落としていました。「無心になれていい。モノをつくる達成感がふつふつと湧いてくる」とのこと。DIYは無縁と思っていても、目の前で一つの形になっていく、クリエイトする喜びはやっぱり人の心に訴えかけるものがあるようです。

主催した長野県上田地域振興局環境課の上原さんによると、企画の背景を「地球温暖化対策として、やはり窓がよいということを聞いて、今回のワークショップを企画しました。想像以上に反響があり、関心の高さを実感しました。また、実際に手を動かすなかで得られたものは大きいですし、何よりみなさん進むとにこにこしてらして。身近なところから環境負荷を減らすとともに、住まいが快適になればうれしいですね」と話していました。

今回の講演とワークショップ、大きな反響もあったようなので今後、上田だけでなく、長野県全域に広がっていくかもしれません。こうした「断熱改修」の流れが、日本全国の津々浦々に広がっていったらいいのに、そう願わずにはいられません。

●取材協力
・長野県上田地域振興局環境課
・NPO法人上田市民エネルギー
・断熱推進イニシアチブ
・有限会社クボケイ

調査結果に見る新築マンション購入者の3つの属性と意識の変化。金利上昇が懸念される今後はどうなる?

日銀の金融政策が転換し、ついに“金利のある時代”がやってくる。リクルートの2023年調査を見ると、首都圏の新築マンション購入者の購入物件の平均価格は、これまでよりさらに上がっている。また、三菱UFJ信託銀行の調査を見ると、デベロッパーは1年後のマンション価格が上昇すると予想している。そこで、新築マンションの購入者の変化を中心に、今後のマンション市場について市場の現状と今後はどうなっていくか見ていきたい。

【今週の住活トピック】
「2023年首都圏新築マンション契約者動向調査」を発表/リクルート

首都圏のローン借入額は「5000万円以上」が52.4%と過半数

リクルートの調査研究機関『SUUMOリサーチセンター』が、「2023年首都圏新築マンション契約者動向調査」の結果を発表した。首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の、2023年1月~12月の新築分譲マンション購入契約者4934件の結果をまとめたもの。

まず、3つの特徴的な購入者の傾向を見てみよう。

第1の特徴は、購入世帯のライフステージ。かつては、結婚して夫婦のみか子どもがいる世帯が購入者の中心だった。しかし、2023年の結果を見ると、「子どもあり世帯」は年々減少してわずか35.0%に。次いで、「夫婦のみ世帯」30.9%が続く。逆に大きく増加したのは「シングル世帯」の19.1%(男性シングル8.1%+女性シングル11.0%)だ。なお、シングル世帯の平均年齢は男性40.3歳、女性42.0歳と、夫婦のみ世帯(33.3歳)、子どもあり世帯(37.7歳)よりも高くなっている。

分譲するマンションの価格上昇を受けて、平均購入価格も年々上昇してきたが、2023年は6033万円となり、ついに6000万円台に乗った。「6000万円以上」が40.7%を占めることが要因だ。

購入価格が高くなれば、住宅ローンの借入額も増えることになる。第2の特徴は、「借入額」の高さだ。ローンの平均借入額は5235万円だった。借入額「5000万円以上」が52.4%と、ついに過半数にまで達した影響は大きい。

ローン借入総額

ローン借入総額(ローン借入総額の回答があり、かつ金額が0円でない者/実数回答)(出典:リクルート「2023年首都圏新築マンション契約者動向調査」)

一方、自己資金の比率は下がった。自己資金比率が第3の特徴だ。自己資金比率の平均は21.7%だが、自己資金比率が5%未満を見ると、41.7%(「0%」17.7%+「5%未満」24.0%)もいるのだ。共働き世帯が増えて、2人で返済していくことで借入額を増やし、自己資金が少ない状況でも購入に動いていることが見て取れる。ちなみに、全額キャッシュも、わずかながら増え続けている。富裕層が購入しているからだろう。

自己資金比率

自己資金比率(実数回答)(出典:リクルート「2023年首都圏新築マンション契約者動向調査」)

マンション購入では資産性を意識、低金利による促進効果は低い

次に、購入者の意識の変化を見ていこう。それは「住まいの購入理由」によく表れている。

住まいの購入を思い立った理由は、「子どもや家族のため、家を持ちたいと思ったから」が最も高く36.1%。この理由は、1位が定位置の常に強い理由だ。2位は、「資産を持ちたい、資産として有利だと思ったから」(32.0%)。10年前の2013年調査では17.4%だったので、近年は購入する際に「資産性」を意識していることがうかがえる。

これに対して、「金利が低く買い時だと思ったから」は12.4%。日銀がマイナス金利政策を導入した2016年には、34.5%で2位に位置していたことと比べると、かなり減っている。金利上昇圧力が強まって、2023年に長期固定金利の【フラット35】の金利が、じわじわ上がっていたことも影響しているだろう。

購入理由(2023年調査の降順)

購入理由(3つまでの限定回答)(出典:リクルート「2023年首都圏新築マンション契約者動向調査」)

マンションデベロッパーの予測、価格は上昇、金利が上がったら供給戸数は減少

さて、三菱UFJ信託銀行 不動産コンサルティング部では、デベロッパーに対して半期ごとに首都圏のマンション・戸建住宅の市況について調査している。2024年1月に調査をした「2023年度下期デベロッパー調査」の結果が公表された。

マンションデベロッパーは、1年後の販売価格は現在より上昇すると予測している。特に、販売価格が高いほど上昇率も高くなると見ている。ただし、戸建住宅のデベロッパーは、1年後「1億円以上」の価格帯のほかは価格が下がると予想している。新築のマンションと戸建住宅では、今後の価格予想に違いがあるのだが、新築マンションの価格上昇は止まらないようだ。

出典:三菱UFJ信託銀行「2023年度下期デベロッパー調査」

出典:三菱UFJ信託銀行「2023年度下期デベロッパー調査」

また、「住宅ローン金利が上昇した場合(+0.5%)の市況影響」を聞いたところ、供給戸数が減り、販売価格が下落すると予想している。ただし、供給戸数への影響の方が大きくなる回答だ。「供給戸数が減少する(10%以上)」(31%)、「供給戸数が減少する(10%未満)」(46%)と、実に77%のデベロッパーは金利が上昇すると供給戸数が減少すると見ているわけだ。

住宅ローン金利が0.5%上昇した場合の供給戸数

住宅ローン金利が0.5%上昇した場合の販売価格

出典:三菱UFJ信託銀行「2023年度下期デベロッパー調査」

金利が上がっていくと専有面積が小さくなる?

では、もしローン金利が上がると、新築マンションの販売価格は下がるのだろうか? おそらく、ローン金利が0.5%も上がると購入者が借りられる額が減るので、販売価格を下げざるを得ないということだろう。

新築マンションの価格は、「土地」を買った費用と施工会社に払う「建築工事」の費用、デベロッパーが土地や建築工事の費用を金融機関から借りて支払う際の「利息」に、「宣伝や販売管理にかかる費用」が加算され、デベロッパーが自社の「利益」を上乗せして全戸の販売総額が決まる。

1年後に販売するマンションの場合、すでに土地を購入しており、施工会社を決めて建築工事の費用も決めて発注していることが多い。となると、ローン金利が上がったからといって、販売価格を変えることは簡単ではない。金利の上昇を見ながら、販売の長期化も視野に戦略を見直したり、住戸の内装や設備のグレードを下げたりといったレベルの対応しかできないだろう。

一方で、地価は上昇しているし、人件費高騰による建築工事費用の上昇も続く見込みだ。金利が上昇すれば、デベロッパーが負担する利息も増える。省エネ基準が今後ZEH水準に引き上げられることを踏まえた性能向上も必要なので、その分のコストアップもある。このようにマンションの原価は上がるので、販売価格を下げる余地はあまりない。となると、販売価格を下げるために「専有面積を小さく」して、平米単価は上がっても面積を小さくすることで各戸の販売価格を引き下げる、といった対応が増える可能性が高いだろう。

実際に、リクルートの新築マンション購入者の調査結果では、価格上昇局面で購入したマンションの面積が小さくなる傾向が見られる。2023年調査では、50~60平米の広さが前年よりも増えていた。

金利の上昇による住宅市場への影響は大きい。それでも、収入が増えれば、物価上昇や住宅価格上昇などの影響は少なくなる。つまり、これからの景気回復が本格的になるかどうかで、マンションの購入ニーズも変わり、その大きさに応じてマンションの販売価格も変わっていくのだろう。

●関連サイト
リクルート「2023年首都圏新築マンション契約者動向調査」
三菱UFJ信託銀行「23年度下期のデベロッパー調査」

2023年の一戸建て市場を総括。新築の一戸建ての価格は上昇するも面積は縮小気味?

前回(「2023年のマンション市場を総括。新築・中古マンションの価格推移と供給戸数を徹底解説!」)に続き、2023年の住宅市場を総括したい。今回は、東京カンテイが公表した「マンション・一戸建て住宅データ白書 2023」から、三大都市圏の新築・中古一戸建て市場ついて見ていくことにしよう。

【今週の住活トピック】
「一戸建て住宅データ白書 2023」を公表/東京カンテイ

2023年三大都市圏の新築・中古一戸建ての平均価格は総じて前年より上昇

新築マンションの価格高騰が指摘され、中古マンションの価格も新築に誘導されるように上昇している。上昇に鈍化傾向が見られるが、手が届きにくい状況となっている。では、一戸建ての市場はどうなっているのだろう?
東京カンテイが公表した新築・中古一戸建てデータで、三大都市圏の状況を見ていこう。

東京カンテイ「一戸建て住宅データ白書2023」

東京カンテイ「一戸建て住宅データ白書2023」

まず、2023年の首都圏の新築一戸建ての平均価格は4769万円で前年より5.4%上昇した。「2015年の調査開始以来最高額を3年連続で更新した」という。近畿圏でも前年より3.8%アップして3680万円になり、こちらも上昇が続いている。また、中部圏でも前年より0.6%アップの3417万円となり、「調査開始以降8年連続で上昇している」という。

三大都市圏ともに新築一戸建ての平均価格は上昇を続けているが、前年と比べると上昇率は縮小しているのが特徴だ。また、価格の上昇に対して、土地面積や建物面積の平均は、わずかながら縮小する傾向が見られる。

次に、中古一戸建てに目を向けよう。2023年の首都圏の中古一戸建ての平均価格は4016万円で、前年より2.5%上昇した。近畿圏では2589万円(前年2.8%上昇)、中部圏では2447万円(2.3%上昇)と、新築一戸建て同様に、三大都市圏ともに価格は上昇している。ただし、前年からの上昇率については、首都圏では大幅に縮小(10.2%→2.5%)、近畿圏では縮小(5.3%→2.8%)、中部圏では拡大(1.4%→2.3%)と、動きがそれぞれ異なっている。

一方、三大都市圏ともに中古一戸建ての平均価格は上昇を続けているが、平均の土地面積や建物面積は拡大している。新築一戸建てが面積を小さくしているのとは、逆の動きだ。

新築一戸建ての建物面積は100平方メートル未満のシェアが増加

一戸建ての面積について、さらに詳しく見ていこう。首都圏の例となるが、建物面積の面積帯シェアの推移を見よう。

東京カンテイ「一戸建て住宅データ白書2023」(首都圏)

東京カンテイ「一戸建て住宅データ白書2023」(首都圏)

首都圏の建物面積帯を見ると、新築一戸建てで100平方メートル未満(80平米未満・80平米台・90平米台)のシェアが増えているのが顕著で、近畿圏でも中部圏でも、面積の小さな一戸建てのシェアが拡大する同様の傾向が見られる。

一方、中古一戸建てでは、面積帯の推移に新築ほどの大きな変化は見られないが、建物面積120平方メートル以上のシェアが増えているのが特徴。この点も、近畿圏や中部圏で同様の傾向が見られる。広い一戸建てを探すなら、中古一戸建ての方が見つけやすいという状況のようだ。

新築一戸建てで面積が小さくなるのは、新築特有の要因がある。例えば、分譲事業者が広めの一戸建ての土地を取得した場合に、2区画や3区画などと区分けして、小さな一戸建てを建てて売るからだ。首都圏の新築一戸建てで顕著なのだが、土地面積で「50平米以上80平米未満」と「80平米以上100平米未満」のシェアが大きく拡大していることから、そうしたことがうかがえる。土地の仕入れ値が上がり、コンパクトにして購入希望者の買いやすい価格に抑える傾向が見て取れる。

一戸建てはマンションに比べて市場は安定している!?

最後に、2023年の一戸建ての市場をマンション市場と比較して見ていこう。東京カンテイでは、参考資料(マンションデータがまだ確定していないため)として、三大都市圏の2023年のマンション市場の結果も紹介している。

東京カンテイ「一戸建て住宅データ白書2023」

東京カンテイ「一戸建て住宅データ白書2023」

マンション、特に新築マンションを見ると、価格の上昇レベルでかなりばらつきがある。新築マンションの供給戸数が近年減少しているため、例えば東京23区で高額で大規模な新築マンションが売り出されると、その影響で平均価格を強く押し上げるといった現象が起きている。価格が乱高下しているわけではなく、国内外から居住・投資目的で需要がある特定エリアでの価格上昇が顕著なのだ。

一方、一戸建ては、投資目的の需要はあまりないので、供給戸数や価格は比較的安定している。それでも新築・中古ともに価格が上昇しているマンションから、面積の広い一戸建てを志向する傾向もあり、価格が上昇気味という状況と見てよいだろう。

なお、東京カンテイによると、新築マンションの供給エリアは変わらずに駅近での供給が多く、新築一戸建ては首都圏と中部圏で駅徒歩10分から15分へと変化する状況が見られたという。これは最寄駅からの距離へのこだわりがマンションのように強くはなく、一戸建てならではの住環境の立地で供給をしているからだと指摘している。なお、「近畿圏は駅間が短く最寄駅からの所要時間が相対的に近くなる圏域」という特徴があるという。

さて、2023年の住宅市況はおおむね好調で、価格の上昇傾向が続いている。とはいえ、富裕層や投資目的の需要が価格上昇を受け入れていることから、価格が大きく変動するマンションとは異なり、一戸建ての価格上昇は上昇率が縮小するなど、落ち着きを見せつつある。ただし、新築一戸建てについては、価格上昇を面積の縮小で軽減する傾向も見られる。

2024年から新築住宅は省エネ基準適合住宅でないと住宅ローン控除が適用されないなど、省エネ性能を強化する動きもある。2024年4月からは、広告する際に省エネ性能ラベルを表示することが努力義務になるので、一戸建てを選ぶ際にも省エネ性能のレベルに注目してほしい。

●関連サイト
東京カンテイ「Kantei eye 118(マンション化率/マンション・一戸建て住宅データ白書)」

電気自動車の普及がマンションの資産価値に影響する?! EV充電器の設置が加速中、導入メリットや課題を徹底解説

私が住んでいるマンションでも、EV(電気自動車)充電器の設置が取り沙汰されるようになってきた。まだEV車を所有している人がいないので、具体的な検討課題にはなっていないが、いずれは本格的に議論されることになるのだろう。そこで今回は、マンションにEV充電器を設置することについて、深掘りしたいと思う。

マンションにEV充電器の設置が求められる理由とは?

政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指し、これに伴い、グリーン成長戦略を策定した。その中で成長が期待される分野として自動車を挙げ、乗用車については2035年までに新車販売で電動車100%を目標に掲げている。

そうなると、充電インフラを整備する必要がある。そのため、政府は補助金を用意して、電気自動車・プラグインハイブリッド自動車(以下、電動車)の充電設備の設置を促進している。

充電インフラは、自宅や事業所などの「基礎充電」、高速道路などの移動中の「経路充電」、ホテルや商業施設などの「目的地充電」に大別される。特に懸念されるのが、基礎充電だ。一戸建てなら電動車を買った本人が充電設備も整えればよいが、マンションの場合は共用部の電気を使用するために、合意形成が難しいことが考えられるからだ。

さらに東京都でも、2030年度までに都内で新車販売される乗用車を100%非ガソリン化することを目指している。東京都にはマンション居住者が多いこともあり、条例により2025年4月から都内の新築マンションに規模に応じた数の充電設備設置を義務化することになっている。また、既存のマンションについても、管理組合などに補助金を出すなどして、設置を促している。

このように、電動車が普及するにつれて、充電インフラを整備する必要があるが、私有財産である自宅、特に駐車場を共有するマンションでの充電設備設置が大きな課題となっているのだ。

マンションに電動車充電設備を設置するメリットとは?

もちろん電動車所有者なら、自分のマンションの電動車充電設備で夜間などに充電しておきたいと思うだろう。新築分譲マンションでは、デベロッパーがあらかじめ電動車充電設備を設置して販売する事例が多くなっている。一方で、既存のマンションの場合は後付けで設置をすることになるが、電動車どころか車自体を持っていない人もいる。そうした人にとってもメリットはあるのだろうか?

「既存の分譲マンションへの電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHEV)充電設備導入マニュアル」を作成した、(一社)マンション計画修繕施工協会(以下、MKS)に聞いてみた。事務局の細田義裕さんによると、「電動車の普及に伴い、その充電設備がないマンションは買い手に選ばれにくくなる」という。マンションに電動車充電設備が設置されていることがスタンダードになったときに、設置されていないマンションは購入の選択肢から外されるので、売りづらくなる。つまり資産価値に影響するというわけだ。

ここで、日産自動車が実施した、「EV(電気自動車)の購入時に重要な住居の環境について」の調査を見てみよう。調査対象は、集合住宅居住者でEVの購入意向のある30~50代の男女400人。EVの購入検討者「集合住宅に充電設備がないとEV購入が難しいと感じるか」を聞いたところ、88.6%が「難しいと感じる」(とても感じる36.0%+まあまあ感じる52.6%)と回答した。EVの所有とマンションの充電設備の関係性が強いことが分かる結果だろう。

日産自動車【EVと住環境についての調査リリース】より

日産自動車【EVと住環境についての調査リリース】より

電動車充電設備を設置するデメリットは高額な初期費用?

ではデメリットはなんだろう?MKSの細田さんによると、設置に伴う導入費用が大きな課題だという。どの程度の額になるかというと、マンションの構造や設備、充電設備の種類や台数などによって大きく変わるという。

マンションの共用部の電気容量によって、たとえば共用部から電源を確保できない場合に新たに電柱を立てて電気を引く必要があったり、共用部の電源から設置する駐車場まで距離があり、ケーブルの埋設工事が必要であれば、工事費用はかなり高額になる。EV・PHEV充電設備導入マニュアルの中に、いくつかモデルケースの設置工事費用を試算した事例があるが、最低で約46万円、最高で約3104万円とかなり幅がある。

加えて、充電設備の利用方法によっても、設置計画が変わる。利用方法は、電動車を所有する居住者専用使用の場合、電動車の所有者が充電設備を共用する場合、電動車のカーシェアリングを導入する場合の主に3つあるという。

■利用方法によるメリットとデメリット

利用方法によるメリットとデメリット

マンション計画修繕施工協会「既存の分譲マンションへの電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHEV)充電設備導入マニュアル」より

また、充電設備にもいろいろな種類があり、それぞれで費用も異なる。まず大別して、「普通充電器」と「急速充電器」に分かれる。急速充電器は、短時間で充電可能であるが、費用は高額になる。短時間で充電が必要な「移動充電」に向いており、マンションでは普通充電器が向いているという。

充電器の種類

東京都環境局のパンフレット「マンションへの電気自動車の充電設備導入基礎ガイド」より

さらに、普通充電器にもさまざまなタイプがあり、どのタイプを何台設置するかの設置計画によって、費用も変わってくる。

■普通充電器の概要

普通充電器の概要

(一社)次世代自動車振興センターのチラシ「EV・PHV用充電設備導入をご検討の皆様へ」より普通充電器を抜粋

ようするに、マンションの構造や電気容量などを調べて、どういった利用方法を採るかを考えながら、具体的にどこにどれを何台設置するかといった設置計画を立ててみないと、設置に関する全体の工事費用がわからないということだ。それを知るには、充電サービス事業者に依頼して設置プランと見積もりを出してもらうしかないのだろう。

ただし、国が充電設備費・工事費で50%~100%補助金を出している。補助対象となる充電設備が定められているが、普通充電設備設置の場合で、機器費用の50%(上限額35万円)、工事費用の100%(上限額135万円)が2023年度の補助金の額だ。加えて、東京都の補助金も利用できれば、持ち出しがほとんどない場合もあるようだ。

電動車充電設備の導入のハードルになるのは管理組合での合意形成

補助金を利用できれば、電動車充電設備の設置工事費用をかなり抑えることはできるが、導入する際のハードルになるのは何だろう?MKSの細田さんによれば、管理組合での合意形成だという。電動車所有者や購入検討者が利益を受けることになるので、利益を受けない人たちが反対したり先送りしたりすることになる可能性がある。

また、電動車充電設備設置に前向きな管理組合であっても、設置に伴う工事費用をどう負担するか、使用電気料をどう負担するか、不公平にならないようにどういったルールで運用するかなど、決めるべきことがたくさんある。細かいルールについても管理組合で合意する必要があるので、かなりの時間を要することにもなるだろう。

EV・PHEV充電設備導入マニュアルには、費用の負担方法について考え方の一例を紹介している。充電設備の設置の際には、マンションの共用設備として修繕積立金を用いて設置し、その後、充電設備の利用者から月々の利用料などで回収する方法だ。使用した電気料金は充電設備の利用者が支払うことを基本に、実態に応じて選択する。充電サービス事業者によっては、スマホを用いて各自が使った分だけ徴収する方法を採っている場合もある。こうしたモデルケースを参考に検討するとよいだろう。

既存マンションへの充電設備設置には注意点がいろいろある

充電設備を設置するとなった場合、注意点もいくつかある。

まず、機械式駐車場によっては設置できない場合もある。安全に機械式駐車場を使うために、電動車対応とするための要求事項が定められている。まず、設置されている機械式駐車場のメーカーに、充電設備が設置できるかどうかを確認する必要がある。

さらに、電動車はバッテリーを搭載しているため、車種によっては車両が重たくなる。機械式駐車場それぞれに重量制限があるので、サイズや重量に制限が生じるかどうかも確認しておきたい。電動車充電設備はあるのに、そもそも自分の電動車では機械式駐車場を利用できないといったことがあると、トラブルの要因になる。

また、補助金を使いたいと思ってもいつでも利用できるとは限らない。補助金は毎年予算を組んで募集するもので、たとえば2023年度の国の補助金は早期に予算枠に達してしまったため、予備費で追加枠が設けられたという経緯がある。補助金は流動的な部分もあるので、常に最新の情報を正確に把握しておくことが大切だ。

こうした注意点に適切に対処するには、充電サービス事業者がカギになる。充電サービス事業者は数多くあり、設置から運用まで幅広く手掛ける事業者も多いが、それぞれ取り扱う充電設備や提供するサービス内容が異なるので注意が必要だ。管理組合の意向に沿った提案をしてくれるか、補助金などの知識は正確か、設置から運用、管理まで欲しいサービスが提供されるかなど、見極めて選びたい。

また、MKS細田さんによると「長期的な観点で計画することも重要だ」という。電動車所有者が年を追うごとに増えていったり、急速な技術革新によって電動車自体や充電設備が進化する可能性もある。導入後に容量が不足したり、新しい規格に対して陳腐化したりすることも考慮したい。また「充電サービス事業者は個別の通信規格で運用していることが多いが、標準通信規格※に対応していれば、サービス事業者を変更した場合でも既設の設備を使い続けることができる」という。
※充電設備を管理システムで遠隔制御する標準通信規格OCPP=Open Charge Point Protocolなど

筆者のマンションでは、駐車場に空きがでることが多くなっていることもあり、機械式駐車場を使い続けるのか、外部貸しで運用するのかなどの問題も抱えている。今後はEV充電器設置の問題も加わるので、管理組合に「駐車場専門員会」を設置して長期的に検討することを提案した。電動車充電設備も一度導入すればそれで終わるものではないようなので、きちんと議論する必要があるだろう。

●関連サイト
マンション計画修繕施工協会「電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHEV) 充電設備導入マニュアル」
日産自動車【EVと住環境についての調査リリース】
次世代自動車振興センター「充電インフラ補助金サイト」
東京都マンションEV充電器情報ポータル「補助金制度」

2023年のマンション市場を総括。新築・中古マンションの価格推移と供給戸数を徹底解説!

2024年に入って、2023年の住宅市場の動向が相次いで公表された。そこで今回は、不動産経済研究所と東京カンテイが公表したデータから、首都圏及び近畿圏の新築・中古マンションの価格動向について見ていくことにしよう。

【今週の住活トピック】
「首都圏/近畿圏 新築分譲マンション市場動向2023年(年間のまとめ)」を公表/不動産経済研究所
「『中古マンション70平米価格推移』2023年(年間版)」を公表/東京カンテイ

2023年の首都圏新築マンションの平均価格は前年より28.8%アップの8101万円

まず、2023年の新築マンション市場だが、東京23区の平均価格が1億円を超えたとニュースになった。やはり、マンション価格は上がり続けているのだろうか。

不動産経済研究所が公表した首都圏の新築マンションの平均価格は、前年(2022年)の6288万円より28.8%アップの8101万円。まだまだ大きく上昇している。と、見てよいのだろうか?実は、詳しく見ていくと、必ずしもそうではないのだ。

ここ3年間の首都圏と近畿圏の平均価格の推移を見ていこう。

■新築マンションの平均価格(単位:万円)(不動産経済研究所)

2021年2022年2023年対前年上昇率首都圏62606288810128.8%東京23区829382361148339.4%東京都下5061523354273.7%神奈川県52705411606912.2%埼玉県480152674870-7.5%千葉県4314460347864.0%対前年2.9% up0.4% up28.8% up2021年2022年2023年対前年上昇率近畿圏4562463546660.7%大阪府475746834435-5.3%兵庫県45334456513915.3%京都府39604927548811.4%奈良県4292430445585.9%滋賀県401743154159-3.6%和歌山県36623655423715.9%対前年9.1% up1.6% up0.7% up不動産経済研究所「首都圏/近畿圏 新築分譲マンション市場動向2023年(年間のまとめ)」のデータを筆者が抜粋して作成

まず、首都圏を見ると、明らかに、東京23区の平均価格が1億円を超え、対前年上昇率が39.4%と大幅に上昇したことで、全体を引き上げていることが分かる。「三田ガーデンヒルズ」など、超高額の大型物件の影響も大きかったと思われる。人気エリアの横浜市・川崎市を抱える神奈川県では、まだ上昇トレンドにあるが、東京都下(3.7%)、埼玉県(-7.5%)、千葉県(4.0%)では、大幅に上昇しているわけではない。

首都圏の供給戸数を見ると、2023年は対前年9.1%ダウンの2万6886戸となり、そのうち1万1909戸、4割以上が東京23区で占めている。23区の価格上昇の影響が首都圏全体に色濃く出たわけだ。

次に、近畿圏を見ると、2023年の平均価格は前年より0.7%アップの4666万円。大票田の大阪府で対前年5.3%ダウンの4435万円になった影響が大きい。一方、兵庫県(特に神戸市)と京都府(特に京都市)では価格が上昇している。

兵庫県については、供給戸数が対前年23.8%ダウンの2666戸(神戸市は35.5%ダウンの971戸)なので、特定の大型物件の影響を受けたという見方もできるだろう。一方、京都府も供給戸数が減少したが、大型物件が出にくいエリアでもあるので、根強い需要によるものと考えられる。

つまり、東京23区と京都市などは、国内の富裕層だけでなく、海外からも需要があるため、価格上昇トレンドが続いていると見てよいだろう。

2023年の中古マンションの平均価格は首都圏・近畿圏ともに上昇が鈍化

では、2023年の中古マンション市場を見ていこう。東京カンテイでは、70平米換算して平均価格を算出しているのが特徴だ。なお、近畿圏は新築マンションと同じ2府4県だが、エリア別についてはサンプル数の多い2府県の平均価格を算出している。

■中古マンションの平均価格(単位:万円)(東京カンテイ)【70平米当たり】

2021年2022年2023年対前年上昇率首都圏4166471648021.8%東京都5739630164231.9%内、 東京23区6333684270553.1%神奈川県3114352036654.1%埼玉県2528290430204.0%千葉県2292256927727.9%対前年11.6% up13.2% up1.8% up2021年2022年2023年対前年上昇率近畿圏2607281628922.7%大阪府2820304730851.2%兵庫県2270242525314.4%対前年6.2% up8.0% up2.7% up東京カンテイ「『中古マンション70平米価格推移』2023年(年間版)」より抜粋して筆者が作成

首都圏の中古マンションの平均価格(70平米換算)は、前年より1.8%アップの4802万円。最も上昇率が高かったのは千葉県の7.9%で、東京23区(3.1%)の上昇率が他県より低いのが、新築マンションと大きく異なる点だ。

東京カンテイによると、東京23区の中でも「都心部」では上昇率が6.3%となり、「堅調なトレンドを示している」という。また、「割安感が強い周辺3県の方が高い上昇率を示すも、前年までの勢いに陰りが認められる」と指摘している。

次に、近畿圏を見ると、中古マンションの平均価格は前年より2.7%アップの2892万円。こちらも新築マンション同様に、「圏域平均をけん引してきた大阪府で強い鈍化が見られる」。また、新築マンション同様に、兵庫県では神戸市で対前年9.4%アップの2634万円となるなど、大阪府とは異なる動きを見せている。

2023年の中古マンション市場は、首都圏・近畿圏ともに、これまで急激に高騰してきた価格の上昇が鈍化し、頭打ちになる可能性を感じさせる市況となっているようだ。

不動産経済研究所では、新築マンションの「2024年の供給予測」も公表している。それによると、首都圏の新築マンションは2023年より10.7%増える見込みで、東京都の市部、神奈川県、埼玉県で供給戸数が大きく増え、近畿圏でも2023年より17.9%増える見込みで、大阪府の市部で大きく増えるという。

新築マンションは、この4月から省エネ性能を見える化した省エネラベルの表示が努力義務となり、2025年4月からは現行の省エネ基準適合が義務化される。省エネ性能の高い新築マンションの供給が進むようになると、中古マンションとの性能の違いが表面化する可能性がある。

これからマンションを購入する場合、新築か中古かは予算や立地などさまざまな条件で選ぶことになると思うが、特に築年の古いマンションについては、購入時にリフォームをして省エネ性を高めることをオススメしたい。

●関連サイト
不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向2023年(年間のまとめ)」
不動産経済研究所「近畿圏 新築分譲マンション市場動向2023年(年間のまとめ)」
東京カンテイ「『中古マンション70平米価格推移』2023年(年間版)」

アプリでご近所付き合いが復活! マンションや自治会、住む街のコミュニケーションの悩み解決の救世主に 「GOKINJO」「common」

同じマンション内や近所に住んでいても、なかなか隣人の顔が見えにくいのはよくあること。「コミュニティ醸成型サービス」とは、同じ街やマンションに住む人限定のプラットフォームで、簡単にリアルタイムでコミュニケーションできる機能を備えている。地域コミュニティを支える基盤として、コロナ禍以降、存在感を増している。「日本DX大賞」UX部門 優秀賞を受賞したマンション・自治会の住民限定コミュニティ醸成サービス「GOKINJO」と、東急運営の地域共助プラットフォームアプリ「common」を取材。コミュニティ醸成型サービスの最新事例を紹介する。

ご近所で多世代交流できるきっかけをアプリでつくる(画像提供/コネプラ)

ご近所で多世代交流できるきっかけをアプリでつくる(画像提供/コネプラ)

マンション等の住民限定で近所付き合いができるアプリ「GOKINJO」

新型コロナウィルス流行の前後に登場した各社のコミュニティ醸成型サービスは、地域情報の共有を促し、住民同士の共感を育てる機能があり、利用することで暮らしが豊かになるよう設計されている。

株式会社コネプラが運営するGOKINJOは、マンションなどの住民限定で、程よいご近所付き合いが出来るサービス。街やマンションの資産価値向上や防災力アップに繋がるサービスとして、タワーマンションから戸建て分譲地の自治会まで幅広く導入されている。

子どものお下がりや日用品を住民間で気軽に無料でシェアリング・リユース(画像提供/コネプラ)

子どものお下がりや日用品を住民間で気軽に無料でシェアリング・リユース(画像提供/コネプラ)

サービスの構想がはじまったのは、2019年に募集された旭化成グループの社内コンテストがきっかけだった。最終プレゼンを経て実証実験を行い、初の社内ベンチャーとして2022年4月にコネプラが創業された。開発に関わったのは創業メンバーのCEO中村磨樹央さん、CTO森屋大輔さん、マーケティングディレクター根本由美さん。中村さんと根本さんに企画の背景や開発の経緯を取材した。

左から中村さん、森屋さん、根本さん(画像提供/コネプラ)

左から中村さん、森屋さん、根本さん(画像提供/コネプラ)

老若男女を問わず、多くのユーザーに愛用されていることが評価され、DX推進を加速させるDXコンテスト「日本DX大賞2023」で、全国から応募のあった100を超える企業、自治体、公的機関、大学からUX部門 優秀賞を受賞(画像提供/コネプラ)

老若男女を問わず、多くのユーザーに愛用されていることが評価され、DX推進を加速させるDXコンテスト「日本DX大賞2023」で、全国から応募のあった100を超える企業、自治体、公的機関、大学からUX部門 優秀賞を受賞(画像提供/コネプラ)

「構想の元になったのは、私と森屋が知り合った時、森屋がつくっていた子どもを保育園に入れる保活をしているママ同士を繋げるサービスでした。保活情報を頑張って勉強して集めても入園したら必要ない。一方で、保活中のお母さんはその情報をすごく欲しがっている。Aさんが不要となった知識や経験は、Bさんにとっては必要なものにも関わらず、価値交換の仕組みがこのような狭小地域社会においては機能していませんでした。特に子育て中の女性やシニアなど資本主義社会から分断されがちな人たちをケアしながら、地域での価値交換を機能させるサービスをつくろうと話し合いました」(中村さん)

その後、プロジェクトに加わった根本さんは、11年ほど自社ブランドの住宅設計に携わってきたが、「お客様の暮らしを見ている中で、物やスキルを持て余していて役立てる場所がない方が多いと感じていた」と同じ課題感を抱えていた。

そこで、特定地域内で「信頼できる相手」とつながり、無形の遊休資産活用に結び付ける現在のGOKINJOのプラットフォーム開発に着手。シニアにも使いやすいUI開発に苦心し、古い「らくらくフォン」等のシニア世代が所有する機種をテスト用に数台購入し、操作しながら開発にあたった。

2020年9月から、分譲マンションでGOKINJOの運用がスタート。開始時のGOKINJOは、気軽な情報をやりとりできる「情報交換」機能を搭載。その後、「お譲り機能」、「お助け」機能、「お知らせ」機能、「コイン」機能が追加された。

「不要な物をあげてお金をもらうより、ありがとうって笑顔をもらった方が嬉しいという方は少なくありません。お譲り機能では、子どものお下がりや日用品を無償でシェアリングしたり、住民間でリユース出来る場を提供しています。コイン機能は、貨幣経済に乗らないコミュニケーションを表現するために開発しました」(根本さん)

ニックネームなど匿名で利用でき、多世代間で情報交換が盛んに行われている(画像提供/コネプラ)

ニックネームなど匿名で利用でき、多世代間で情報交換が盛んに行われている(画像提供/コネプラ)

マンションの住民間で譲渡する品物を、ゆるく受け渡しできるキャビネも提案。部屋番号を明かさずに、気軽にモノのやり取りができる(画像提供/コネプラ)

マンションの住民間で譲渡する品物を、ゆるく受け渡しできるキャビネも提案。部屋番号を明かさずに、気軽にモノのやり取りができる(画像提供/コネプラ)

マンションの住民は、アバターや画像を選び、ニックネームを登録、パーソナル情報で「2歳の女の子がいます」「ランニング好き」など自由にプロフィールを公開設定できる。顔はわからなくても、「こういう人が近くに住んでいるんだな」とわかる。アプリ利用者は居住者のみで、また、コネプラが管理・運営を行ってくれるので、匿名不特定多数のSNSにはない安心感があると好評だ。

アプリ上住民同士で問題解決が進むなどマンション運営上のメリットも

GOKINJO は2023年11月10日現在、12箇所の分譲マンションや分譲地で使用されており、利用住戸数は、約2000戸、ユーザー総数は約3300人。20代から90代まで多世代に支持され、順調に導入物件を増やしている。

GOKINJOを導入したマンションの理事の声を紹介しよう。

新築で導入した東京都板橋区のマンション(約230戸)は、開始3年で住民の91%330名が利用している。30~40代の理事からは、「潜在的意見が出やすい」「理事会活動の可視化が図れる」という声がある。大阪市にある築8年のマンション(約280戸)では、住民の72%にあたる286名が利用。30代理事は、メリットに、「子育て世代に必須な近所の情報がわかり、譲り合いもできること」を挙げている。

アプリ投稿を組合運営に役立てたり、住民が情報交換することで問題解決できたり、居住者がランニングクラブを立ち上げ、GOKINJOを通じて集まったメンバーで練習・マラソン大会に参加するなどアプリからリアルへ展開したケースもある。お金で買えない体験は、マンションの価値向上にも繋がっている。

「壊れていた自転車置き場の空気入れを買い替えませんか?」という投稿に寄せられた使い勝手のいい製品の情報を管理組合に提案、共同購入に至った例(画像提供/コネプラ)

「壊れていた自転車置き場の空気入れを買い替えませんか?」という投稿に寄せられた使い勝手のいい製品の情報を管理組合に提案、共同購入に至った例(画像提供/コネプラ)

マンション以外では、分譲後30年が経過した佐賀県基山町けやき台の分譲地に導入。登録者のうち70%が年齢60代以上。掲示板をデジタル化するなどタイムリ―な情報発信で交流が活発に(画像提供/コネプラ)

マンション以外では、分譲後30年が経過した佐賀県基山町けやき台の分譲地に導入。登録者のうち70%が年齢60代以上。掲示板をデジタル化するなどタイムリ―な情報発信で交流が活発に(画像提供/コネプラ)

居住マンションの元理事で、GOKINJOを導入するきっかけをつくった奥井亮佑さん(30代)に詳しく伺った。

「2022年1月に、居住マンションの理事になり、マンション情報のデジタル掲示板づくりに取り組んでいるとき、GOKINJOに出会ったんです。課題解決の手段として理事メンバーで導入を検討し、半年間の検証期間を経て、採用に至りました」(奥井さん)

奥井さんは、GOKINJOを毎日利用するヘビーユーザー。「日次で情報が更新されますので、それを見るのが毎日の楽しみ。自分の投稿にたくさん『いいね』がつくと嬉しいです」と話す。

たびたび利用するというお譲り機能を利用して、子ども用の衣服、おもちゃ、電子機器などを譲渡した。マンションでは、年2回GOKINJOのお譲り機能をもちいたバザーを開催している。GOKINJOと組み合わせることで自宅に居ながら出品物をスマホで確認でき、大変便利だと大人気に。苺ジャムの蓋が固すぎて開けられなかった時、お助け機能タブでSOSしたというユニークな使い方も。マンションの中で、力自慢の人を募る投稿をしたところ、数分以内に立候補コメントが続々届きびっくり。集会室で公開開封式を実施し、無事に苺ジャムを美味しく食べることができたという。

「マンション居住者と挨拶する機会が増え、マンション全体が明るくなった気がしますね。アプリを通じて知り合った方々と、一緒にイベント(ゴルフコンペや、飲み会)の企画もするようになり、同一の趣味を持った知人が増えて、楽しいマンション生活を送れています」(奥井さん)

地域と連携した仕掛け(地域クーポン等)を使って、街を盛り上げることができるのもメリットだ。これからのGOKINJOに期待するのは、地域特化の防災情報の自動連係や、連携防災イベントの実現。理事会としても活用を広げていきたいと考えている。

GOKINJO導入のマンションではデジタルからリアルな交流へ発展する例も。マラソン大会や集会室でのボードゲーム大会など住民主体のイベントが開催されている(画像提供/コネプラ)

GOKINJO導入のマンションではデジタルからリアルな交流へ発展する例も。マラソン大会や集会室でのボードゲーム大会など住民主体のイベントが開催されている(画像提供/コネプラ)

同じ街をフォローする住民同士が交流できる東急「common」commonの利用イメージ(画像提供/東急)

commonの利用イメージ(画像提供/東急)

コミュニティ醸成型サービスには、同じマンションの住民に限らず、同じ街に住む人を対象にしたものもある。東急が運営するcommonは、投稿機能、譲渡機能、相談機能を搭載したアプリで、同じ街に住むご近所さんとの共助関係を生み出し、より良い街をみんなでつくるサービスだ。開発を主導した東急株式会社デジタルプラットフォームデジタル戦略グループの小林乙哉さんと池原雄大さんにプロジェクトの経緯を取材した。

小林さん(左)・池原さん(右)のお写真(画像提供/東急)

小林さん(左)・池原さん(右)のお写真(画像提供/東急)

不動産や鉄道、いわゆるハードの開発を行ってきた東急だが、少子高齢化などの課題解決のため、2010年代からソフトな街づくり、住民主体の街づくりを推進してきた。住民参加の街づくりを進める中で新たに生じた課題があった。

「二子玉川や池上などで住民参加や公民連携の街づくりに関わる中で、例えばイベントを実施した場合でも住民のごく一部の方しか参加していただけないということに気づきました。より多くの地域の住民の皆さまに何かしらの形で関わっていかないと解決できない課題が地域には多い中で、これまでの住民参加の街づくりのやり方の限界を感じました。また旧来の地域コミュニティが高齢化や担い手不足の問題を抱えている中で、デジタルを使って、新しい共助の仕組みをつくろうと2019年の末頃からプロジェクトがはじまりました」(小林さん)

東急が2019年に公表した長期経営構想のビジョン。CaaS(City as a Service)構想は、リアルな街づくりに加えて、デジタル技術を積極的に活用した新しい街づくりを目指している(画像提供/東急)

東急が2019年に公表した長期経営構想のビジョン。CaaS(City as a Service)構想は、リアルな街づくりに加えて、デジタル技術を積極的に活用した新しい街づくりを目指している(画像提供/東急)

地域に関心があってもきっかけがない、忙しくて関われない人は多い。そのような大多数の人たちに関わってもらえるような場をつくることがプロジェクトの使命だった。プロジェクトを進める中で、コロナ禍に突入。開発メンバーもテレワークになった。

「自宅にいる時間が長くなり、散歩をするようになってはじめて自分が暮らす街の魅力に気づいたんです。こんな素敵な景色があったんだ!と思った時に、同じ街に住む人同士で情報などを共有する方法が無いな、そういう場をつくれないだろうかと思うようになりました」(小林さん)

結果的に、開発メンバーのコロナ禍の体験が、街の景色や出来事、食や防犯・防災の情報などを共有できる投稿機能の開発に繋がった。

なんていうことのない見慣れた風景が輝く一瞬。写真は、多摩川のマジックアワー(画像提供/東急)

なんていうことのない見慣れた風景が輝く一瞬。写真は、多摩川のマジックアワー(画像提供/東急)

2021年3月、第1弾として二子玉川エリアでcommonの運用をスタートした。投稿機能のほか街の困りごとや疑問を解決していく「質問・回答機能」を提供。これらの機能を利用者が活用すると、街への貢献が数値として可視化される機能も搭載した。

街のどこで何が今起こっているかがわかるタイムラインとマップ ※デザインは当時のもの(画像提供/東急)

街のどこで何が今起こっているかがわかるタイムラインとマップ ※デザインは当時のもの(画像提供/東急)

相談に答えるなど街に貢献するとポイントがもらえる ※デザインは当時のもの(画像提供/東急)

相談に答えるなど街に貢献するとポイントがもらえる ※デザインは当時のもの(画像提供/東急)

「『同じ街に住む、働く特定多数の人とのコミュニケーション』を促進・活性化させるのが狙いです。2023年1月から対象エリアを東急線沿線全域に拡大しました。コミュニケーションできる範囲は、駅を基点とした生活圏単位に限定。二子玉川や自由が丘など駅名でエリアを提示し、好きな街、コミュニティに属したい街を選んでいただく形にしています。街をフォローする感覚が近いと思います」(小林さん)

■関連記事:
【東急・京急・小田急】少子高齢化で変わる私鉄沿線住民の暮らし。3社が挑む沿線まちづくり最前線

自分の持っているものを共有し街づくりに貢献

2023年12月末時点で累計ダウンロード数は約10万と着実に増加し、アプリ内での月間コミュニケーション数(投稿数、コメント数などのユーザー間のやりとりの合計)は30,000件を突破した。従来のSNSのような不特定多数でもなく、また特定の知り合いでもない、新しい交流が生まれている。運用開始前後からアンケートやインタビューを実施し、届いた声を開発に活かしてきた。どのような声が寄せられていたのだろうか。

街歩きで見つけたお蕎麦屋さん。「地域のお店こそ街のアイデンティティを形づくるもの」という考えから、ユーザーだけでなく、地域店舗も、広告費なし(無料)で利用できるようにした(画像提供/東急)

街歩きで見つけたお蕎麦屋さん。「地域のお店こそ街のアイデンティティを形づくるもの」という考えから、ユーザーだけでなく、地域店舗も、広告費なし(無料)で利用できるようにした(画像提供/東急)

「運用開始後のアンケートで多かったのは、譲渡機能の要望です。既存のサービスは、対象エリアが広域だったり、機能が有料だったり、身近な人に無償で譲りたいというニーズを満たせていないことがわかりました。commonが目指すのは、自分のリソースを他人の為に使って街に貢献できること。二子玉川エリアで運用を開始した直後から譲渡機能の開発の検討を進めていました」(池原さん)

2021年12月に実装された譲渡機能には、マイナンバーカード等の公的身分証明書を使った本人確認機能を導入し、安心して譲渡できる仕組みをつくった。「大きくて郵送料がかかるようなもの、お金をもらわなくてもいいものを譲る際に役立つ」と好評だ。小さなものなら、駅付近に設置した無料で利用できる「commonスポット」も用意されている。譲りたいものをロッカーに入れて対面なしでやりとりできるので、通勤・通学の合間にも手軽に譲渡できる。不要になった物を譲ることで、地域に関わるのは、ハードルが低く、地域コミュニティへの入口としてよさそうだ。

取引相手にのみ本人確認後の町名までの住所(例:世田谷区玉川)を公開する仕組み。確実に同じ街に住んでいるかを判別できる ※デザインは当時のもの(画像提供/東急)

取引相手にのみ本人確認後の町名までの住所(例:世田谷区玉川)を公開する仕組み。確実に同じ街に住んでいるかを判別できる ※デザインは当時のもの(画像提供/東急)

さらに、commonを使ったリユースプロジェクトが神奈川県座間市内全域で実施されている。市民間の無償譲渡の促進により廃棄物を減らすプロジェクト(実施期間:2023年10月23日~2024年2月29日)だ。画期的なのは、手渡しや「commonスポット」のほかリユース品を玄関先等へ出すことで、市の粗大ごみ収集・運搬を担う座間市リサイクル協同組合が回収し、貰い手の玄関先等へお届けする無料サービスを選択できること。高齢者や外出が難しい方の利用促進が期待されている。

2023年6月に搭載した相談機能では日々の暮らしの中で生まれた悩みについて、同じ街の人に相談したり、相談にのったりできる(画像提供/東急)

2023年6月に搭載した相談機能では日々の暮らしの中で生まれた悩みについて、同じ街の人に相談したり、相談にのったりできる(画像提供/東急)

植栽に関する相談の投稿に対して、地域の観葉植物・生花店がアドバイスを寄せてくれたこともある(画像提供/東急)

植栽に関する相談の投稿に対して、地域の観葉植物・生花店がアドバイスを寄せてくれたこともある(画像提供/東急)

「人口が減少していけば税収も減少し、自治体ができることが限られていく中、住民サイドで解決しなくてはいけないことが増えていくはずです。住んでいる方が地域に貢献できる仕組みがますます求められると思います。今のcommon には住民間の助け合いの機能しかないのですが、将来的にはユーザーの声が直接街づくりに繋がるような機能を増やしていきたいですね」(小林さん)

近年、少子高齢化や自然災害の増加などにより、地域住民間の共助の必要性は、高まる一方。見返りを求めないやりとりから新たな地域コミュニティを生み出す「GOKINJO」と、「common」。「親切にしてもらったから、私もしてあげたい」という人間の素直な気持ちに寄り添うサービスだと感じた。

●取材協力
・株式会社コネプラ
・common

高騰続く新築マンション、2024年は買いやすくなる? 価格・金利上昇から見る買い時や注目の「省エネ性能」を解説

「新築マンション」とインターネットで検索すると「高騰」「億ション」など、景気の良いワードがずらりと出てきます。とはいえ、多くの世帯で収入が価格上昇に追いついていません。このまま新築マンションは高嶺の花になってしまうのでしょうか。2024年の新築マンション市場はどのように動くのでしょうか。SUUMO編集長・SUUMOリサーチセンター長の池本洋一氏に、市場動向と買うべきときに見ておいてほしいポイントのほか、新築マンションの設備などについての最新事情について聞きました。

都心部好立地と郊外、立地で価格動向が異なる

一般的に、新築マンションの買いやすさの指標は、
(1)物件価格
(2)金利
(3)供給戸数
で見ることができます。池本氏によると、都心・好立地と郊外、供給されるエリアで新築マンション価格の動き方が異なるといい、「都心好立地の物件であれば価格は上昇、金利と供給戸数は横ばい、他方で郊外エリアの物件であれば価格はやや上昇、金利、供給戸数は横ばい」で推移するのではないかとのこと。気になる都心・好立地の物件の特徴から伺っていきましょう。

「2024年も価格上昇が予想されるのが都心部・好立地の新築マンションです。こうした物件を購入しているのは、金融資産が1億円以上ある日本の富裕層です。所得は伸び悩んでいると言われていますが、実は日本でも富裕層が増えています。購買意欲が旺盛で、マンション価格が高騰する中でも売れ行きは好調です。金額としては安いものではないので、物件のエントランスは高級感があり品質感や品格あるデザインが好まれています。また、物件の設備面、たとえばキッチンや洗面化粧台の仕様をワンランク上にし、一部高層階では天井高を高くして、共用設備では眺望ラウンジ、高級感あるゲストルーム、フィットネスジムなどがあることが多く、上質な暮らしを感じられるのが特徴です」と解説します。

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスのグランドエントランス完成予想CG(写真提供/東京建物、東栄住宅)

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスのグランドエントランス完成予想CG(写真提供/東京建物、東栄住宅)

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスのエントランスラウンジ完成予想CG(写真提供/東京建物、東栄住宅)

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスのエントランスラウンジ完成予想CG(写真提供/東京建物、東栄住宅)

「今、マンションを買う人達は、新築マンションの価値である、立地や眺望という点を非常に重視します。かつては南向きがよしとされてきましたが、部屋からの景色や抜け感が重視されるようになり、海外と同様の価値観になってきましたね。床材や壁材、インテリアで好まれる色合いもグレージュのような落ち着きがあり、上質感が感じられるもので世界のトレンドに近づいてきました」(池本氏)

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスのワーキングラウンジ完成予想CG (写真提供/東京建物、東栄住宅)

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスのワーキングラウンジ完成予想CG (写真提供/東京建物、東栄住宅)

また、海外と同様という意味では、超富裕層向けの「プレミアム住戸」が珍しくなくなったそうです。
「通常の住戸と比較して、海外のように、洗面、トイレ、バスルームを複数持たせたり、床から天井までの階高が3m~6mあったりと、世界の富裕層向け物件と同クラスのものが出てきています。商品企画、建築も世界のラグジュアリー物件を参考にしているので、世界と比較しても見劣りしません」と池本氏。

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスの住戸一例(写真提供/東京建物、東栄住宅)

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスの住戸一例(写真提供/東京建物、東栄住宅)

東京、大坂、京都、福岡、マンションが供給される立地の特色は?

こうした夢のあるマンションの話もいいですが、実際に買うとなれば話は別です。これから先、新築マンション価格はどうなると予測しているのでしょうか。

「マンションの価格は
(1)土地価格
(2)人件費
(3)資材費
の3つで決まります。このうち3つともに下げの要因はなく、むしろ高騰しています。これは新築マンションだけに限らず、すべての建築物を含めた資材の話となりますが、なんとこの2年半で、資材費は27%上昇、マンションの骨組みとして使われるH形鋼に至っては約70%も上昇しています。職人不足から人件費も値上がりしているほか、今まで建築業界など一部の業界で特例延期されていた、労働基準法に基づく労働時間の適正化が2024年からは実施されます。そのため人件費も上昇すると予測されます。
つまり、新築マンション価格が『上がる』要因はあっても、『下がる』要因はないんです」

今、価格が高いからといって将来に先延ばしをしても、新築マンション価格とリンクしやすい株価の暴落などが起きないかぎり、劇的な下落は考えにくいようです。

H形鋼(写真/PIXTA)

H形鋼(写真/PIXTA)

では、新築マンションを買うのであれば、どんな立地を狙うといいなど、買い手が立てられる戦略はあるのでしょうか。

「東京だけでなく、郊外都市や地方の主要都市部にもマンションに適した土地はあまり残っていません。利便性を重視しつつ、価格帯もとなると、冒頭に申し上げた『郊外』に目を向けるとよいでしょう。価格・供給数ともに横ばいで動くと予想しています。主要駅の周辺、具体的にいうなら立川や大宮、船橋、町田など首都圏の主要ターミナル駅とその一駅二駅隣の駅近物件であれば、買いやすい価格帯で供給されています。また、関西、地方主要都市の福岡や札幌、仙台、金沢、広島の中心部でも都心部や好立地は高く、郊外は買いやすい価格帯で落ち着くことでしょう」(池本氏)。

こうした郊外で供給されるマンションでも、生活の質をあげる設備が導入されていることが一般的です。
「保温性の高い浴槽、電子キーなどは標準装備となっていることが多いですね。共用設備では華美なものは少なく、スタディスペースやワークスペース、EV充電スタンド、カーシェアなど『実用性ある施設』が導入されています。また、郊外でも『南向きにこだわらない』動きがでてきていますね」(池本氏)。

なるほど、新築マンションを探すのであればまずは供給数が限られていることを理解し、広域で見て、選択肢を広げ、優先順位をつけていくという戦略が有効なようです。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

要チェックは省エネ性能。各社のZEH、木造新築マンションにも注目

池本さんが、今、新築マンションを買いたいと考えている人に、ぜひ押さえてほしいポイントがあるといいます。

「全ての新築住宅において、2025年4月からは、省エネ基準への適合が必要となります。2030年にはその基準がZEH水準(※)となるため、それ以降はZEH水準を満たさないと既存不適格(※)と見られることもあるでしょう。ですから今から買うなら、ZEH水準もしくは、マンションではZEH Orientedという水準以上を買うことをおすすめします」と力説します。

※断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6の性能をもつ省エネ性能の水準(詳しくはこちら)。

※既存不適格とは、建設時には適法だったが、以降の法改正などで法不適合になった状態のこと。そのことに法的な問題はないが、例えば、1981年に耐震基準が変わり、それより前の物件が旧耐震(既存不適格)と言われるように、市場で競争力が劣ってしまう状態が想定される。

■関連記事:
2024年4月スタートの新制度は、住宅の省エネ性能を★の数で表示。不動産ポータルサイトでも省エネ性能ラベル表示が必須に!?

当然、各社もZEH化には注力しており、タワーマンションでも「ZEH」相当の物件も出てきています。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

「国も建築物の省エネ性能向上、断熱性能の向上に注力していますし、住まいの高性能・省エネ性については、暮らす人のメリットもとても大きいのでぜひ重視してほしいポイントです」といいます。

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスの省エネにつながる設備・システムの一例(同マンションのHPより)

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスの省エネにつながる設備・システムの一例(同マンションのHPより)

同じく、環境性能という面では、木造や木材を使ったマンションにも注目しているそう。
「国の方針や建築基準法の改正などの要因がありますが、中高層木造マンションや、中高層の木造、コンクリート、鉄骨のハイブリッドマンションも一つのトレンドです。先程の鉄鋼と比較すると中高層建築で使う木材は、今後、供給が増えてくればコストが下がっていく可能性も十分にあり、建築費の抑制といった意味でも注目しています。もちろん耐震性など性能面では従来の鉄筋コンクリート造の物件と同等の性能で建てられています」(池本さん)

木造マンション「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」(三井ホーム/東京都稲城市)は、総戸数51戸、間取り2LDK~3LDK、専有面積は50平米~96平米。1階はRC(鉄筋コンクリート)造で、2~5階に木造枠組壁工法を採用(写真撮影/片山貴博)

木造マンション「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」(三井ホーム/東京都稲城市)は、総戸数51戸、間取り2LDK~3LDK、専有面積は50平米~96平米。1階はRC(鉄筋コンクリート)造で、2~5階に木造枠組壁工法を採用(写真撮影/片山貴博)

(写真撮影/片山貴博)

(写真撮影/片山貴博)

■関連記事:
マンションも木造の時代に! 耐震性や遮音など住みごこち満足度98%のお墨付き 「MOCXION INAGI」東京都稲城市

また、環境性能や心地よさから内装、インテリアの木質化も大きな流れになっているよう。確かに木を多用したインテリア、SNSでもよく見かけます。賃貸ではありますが木造マンション、「MOCXION INAGI」で入居者の98%が住み心地に満足と回答したというデータもあり、今後もひとつの潮流となっていくことでしょう。

これから買う人は自分たちの価値を大事に。気になる物件は1期で決断

最後に新築マンションを買いたいと思う人に、アドバイスをもらいました。

「まずは、自分たちの暮らしの軸を大切にしてください。世にいわれている大人気物件が必ずしも“買い”とは限りません。冷静に自分たちが大切にしたい暮らし、求める価値を見極めて、それで物件と合っているなら決断していいと思います。投資用に買うなら、買った価格より高く売れるかを意識すべきとだ思いますが、自宅として買うならば、その街、そのマンション、間取り空間で暮らしたいのかが家探しの軸になるべきです。どこで、だれと、どのような生活を送りたいのか、そこを見誤らないでください」。

その上で、マンション価格として「下げ要因」がない以上、気になる物件が出て、期分け販売をする物件であれば、期を追うごとに価格が上昇する可能性があるため、思い切って「1期で買い」だといいます。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

そして、もうひとつ、要注意な点として「金利動向です」とアラートをあげます。

「長期固定金利がじわりと上がってきています。今、みなさん住宅ローンを変動金利で借りていますが、変動金利が上昇する可能性もありそうです。そのため、借りられる金額の上限まで借り入れるのはおすすめしません。変動金利だけではなく、変動金利と固定をあわせるミックスなどを比較検討してください」(池本氏)

住まいは住む人の暮らしの基盤であり、幸せな暮らしを営むための器です。自分たちが「新築マンション」に求める価値はなにか、どんな暮らしがしたいのか、それは新築でなければ叶わないのか……。
一つずつクリアにしていくことが、2024年のマンション購入正攻法といえそうです。

●取材協力
SUUMO編集長・SUUMOリサーチセンター長
池本洋一氏

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラス
物件ページ
公式HP

NYマンハッタンで話題、最高価格25億円の高級コンドミニアムに潜入。ブランド家具付き「ターンキー」って? ニューヨーク(アメリカ)

アメリカ・ニューヨークのセントラルパーク南端から2ブロック南の57丁目は、「ビリオネアズ・ロウ(Billionaires’ Row)」、つまり「億万長者の並び」と呼ばれています。この通りを中心に近年、次々と富裕層向け高級コンドミニアムの建設ラッシュが続いています。

今回はこの地区に新たに完成したばかりの、高級ホテルとの複合住居ビルに案内してもらいました。ホテル暮らしのような生活ができる新築コンドミニアムで、家具付きのオプションも選べます。どのような物件なのか、見てみましょう。

■関連記事:
NY「ビリオネア通り」の不動産が活況! 億万長者だらけの最新マンションに潜入

販売価格は1億7,600万円~25億円。東京の高級エリア千代田区より3~4割高!?

マンハッタン56丁目にこのほど完成したばかりの高層新築コンドミニアム、「ONE11 Residences at Thompson Central Park(ワン・イレブン・レジデンスズ・アット・トンプソン・セントラルパーク)」 。
ハイアット系列の豪華ホテル 「トンプソン・セントラルパーク」の客室の上階(34階~42階、99世帯分)がONE11 Residences at Thompson Central Parkの住居スペースになっています。
販売価格は119万5,000ドル~1,695万ドル(約1億7,600万円~25億円)です。

「居住スペースは1階のホテルロビーから出入りも可能なため、ホテル内の施設に行きやすく、まるでホテル暮らしのような生活ができるんですよ」( ONE11 Residences at Thompson Central Parkのセールス・ディレクター マリア・マイニエリさん)

ホテル、トンプソン・セントラルパークの客室の上階(34階~42階)がONE11 Residences at Thompson Central Parkの住居部分。写真は廊下から見渡せるセントラルパークの景色(c) Kasumi Abe

ホテル、トンプソン・セントラルパークの客室の上階(34階~42階)がONE11 Residences at Thompson Central Parkの住居部分。写真は廊下から見渡せるセントラルパークの景色(c) Kasumi Abe

セントラルパークまで3分と自然豊かな最高の立地で、それぞれの部屋の窓には四季折々の美しい景色が広がります。徒歩圏内はオフィス街と商業街で、地下鉄の駅、高級デパート、カーネギーホールなどの文化的施設も充実し、とてもにぎわいのある地区です。

日本に住んでいる方々がイメージしやすいよう、首都圏を中心に新築マンションを取材してきた情報誌『SUUMO新築マンション』編集長・永田幸樹氏にも話を聞いてみました。まず街の中心に位置する緑豊かなセントラルパークを皇居となぞらえるならば、東京でいうと「距離感などを考慮すると千代田区をイメージするのが良いのではないでしょうか」とのこと。

ただし、価格面は平方フィート(psf)あたりの平均価格から確認しても、千代田区より3~4割程度高いようです。東京都心でも特に人気エリアである千代田区より3~4割高いとは、さすが“ビリオネアズ・ロウ”界隈(ニューヨークの富裕層エリア)です。しかも高級ホテルの上階とは、一度は憧れるシチュエーションです。

住居部分の下層が豪華ホテルと連結。会員制高級ラウンジやレストランも使える

さっそく ONE11 Residences at Thompson Central Parkの中に入ってみましょう。

ONE11 Residences at Thompson Central Parkとホテル「トンプソン・セントラルパーク」の入口は2つ別々にありますが、高層複合ビルのため、建物内のロビーで繋がっています。奥に進めばホテルのレストランやバーがあり、ミーティングや仕事終わりの1杯などで立ち寄りやすい雰囲気です。

1階にあるホテル「トンプソン・セントラルパーク」のバー(c) Kasumi Abe

1階にあるホテル「トンプソン・セントラルパーク」のバー(c) Kasumi Abe

1階にあるホテル「トンプソン・セントラルパーク」のレストランスペース(c) Kasumi Abe

1階にあるホテル「トンプソン・セントラルパーク」のレストランスペース(c) Kasumi Abe

建物内にはホテル「トンプソン・セントラルパーク」のVIPとONE11 Residences at Thompson Central Parkの住人だけが利用できる高級会員制スタイルのラウンジ兼コワーキングスペースも完備しています。軽く飲みながら休憩をしたり、リモートワークをしている人の姿もちらほら見かけます。

「ONE11 Residences at Thompson Central Parkの居住者は最初の1年間、ここで提供されているフード&ドリンク類は無料サービスとなります」( マリア・マイニエリさん)

ホテルのVIPとONE11 Residences at Thompson Central Parkの住人だけが利用できるラウンジ兼コワーキングスペース(c) Kasumi Abe

ホテルのVIPとONE11 Residences at Thompson Central Parkの住人だけが利用できるラウンジ兼コワーキングスペース(c) Kasumi Abe

NY生活を即開始できる。オプションで家具付き物件も

この物件には、ターンキー(turnkey)と呼ばれるオプションもあります。ターンキーとは簡単にいえば、家具付きの物件のこと。住人が契約後に鍵を受け取り、ドアを開けてすぐに生活が始められるという意味から、そのような言葉が使われています。

ONE11 Residences at Thompson Central Parkでは、インテリアの専門家がコーディネートした家具を丸ごと購入することもできます。もちろん自分でインテリアを選びたい場合は、ターンキーなしのオプションを選ぶことも可能です。

「ターンキー物件のインテリアは、人気のトーマス・ジュール・ハンセンによるコーディネートです。インテリアや家具、壁にかかっている絵画、リネン、キッチンのお鍋や食器、バスルームのソープ類、タオルなどまで丸ごと購入できますから、すぐに生活を開始できるのです。外国のお客様にとって海外生活を即スタートできるのはとても便利なオプションのようで、好評です」( マリア・マイニエリさん)

ゆったりした入口スペース(c) Kasumi Abe

ゆったりした入口スペース(c) Kasumi Abe

ターンキーを選べば、センスの良い家具からインテリア小物まで全部ついてくる。自分で選んだり買い物したりする手間が省け(c) Kasumi Abe

ターンキーを選べば、センスの良い家具からインテリア小物まで全部ついてくる。自分で選んだり買い物したりする手間が省ける(c) Kasumi Abe

ターンキーのオプションを選べば、このようにテーブルや棚に置かれたインテリア小物もすべてついてくる。そのオプションを選ばなくても見ているだけでインテリア選びの参考になりそう(c) Kasumi Abe

ターンキーのオプションを選べば、このようにテーブルや棚に置かれたインテリア小物もすべてついてくる。そのオプションを選ばなくても見ているだけでインテリア選びの参考になりそう(c) Kasumi Abe

セントラルパークを臨むベッドルーム(c) Kasumi Abe

セントラルパークを臨むベッドルーム(c) Kasumi Abe

アイランドキッチン。冷蔵庫、IH調理器、食器洗浄機、ワインクーラーなどすべてミーレ社製(c) Kasumi Abe

アイランドキッチン。冷蔵庫、IH調理器、食器洗浄機、ワインクーラーなどすべてミーレ社製(c) Kasumi Abe

窓付きの明るいバスルーム。「アメリカでは非常に珍しく浴槽から出てお湯を流せるタイプになっています」( マリア・マイニエリさん)。日本人も使い勝手が良さそう(編集注:通常アメリカのバスルームはトイレと浴槽が同じ室内にあり、日本の浴室のように浴槽の外で体を洗ったりお湯を流したりすることはできない)(c) Kasumi Abe

窓付きの明るいバスルーム。「アメリカでは非常に珍しく浴槽から出てお湯を流せるタイプになっています」( マリア・マイニエリさん)。日本人も使い勝手が良さそう(編集注:通常アメリカのバスルームはトイレと浴槽が同じ室内にあり、日本の浴室のように浴槽の外で体を洗ったりお湯を流したりすることはできない)(c) Kasumi Abe

収納スペースがたっぷりのウォークイン・クローゼット(c) Kasumi Abe

収納スペースがたっぷりのウォークイン・クローゼット(c) Kasumi Abe

リビングとベッドルームからセントラルパークの四季の移ろいを楽しむことができる(c) Kasumi Abe

リビングとベッドルームからセントラルパークの四季の移ろいを楽しむことができる(c) Kasumi Abe

冒頭で価格帯はご紹介しましたが、各住居の気になるお値段は? 以下は住居ごとの一例です(すべてターンキーなしの価格)。

Residence 36A ー (1ベッド、1バスルーム  707平方フィート=65.7平方メートル)
$2,050,000(約3億1,027万円)

Residence 37C ー (2ベッド、2バスルーム 1,133平方フィート=105.2平方メートル)
$2,695,000(約4億790万円)

(オプションのターンキーを選ぶ場合、住居の大きさに応じて追加費用は16万ドルから25万5千ドル、約3,000万円前後)

ホテル上階の住居スペース、ターンキー物件、日本では?

こうしたラウンジを備えたコンドミニアムやターンキー(家具付き)の物件は、日本でも増えているのでしょうか? 前出の『SUUMO新築マンション』の永田氏に聞きました。

「日本ではホテルと一体的に開発される分譲マンション自体がそもそも稀有な存在です。前提として、日本のマンションでは大規模物件を中心に共用部が充実しているケースが多く、高級感のある設えの物件も一定数ある状態です。とはいえ、ONE11 Residences at Thompson Central Parkのようにコンドミニアムに住みながら、同じ建物内にあるホテルの施設を利用できる物件も登場しています」

形式は違えど、ホテルライクな暮らしができるコンセプトの物件は、日本でも登場してきているようです。そのような中には高層階を購入した人のみが利用できるサービスもいくつか見られます。最近では、大阪市内に誕生した『Brillia Tower 堂島(ブリリアタワー堂島)』(フォーシーズンズホテルと一体の高級分譲マンション)が一例です。

ターンキー物件については、「ニューヨークでも同様かと思いますが、日本では分譲マンションのオプションとしては珍しいタイプで、ごく稀に存在している印象です。富裕層向けのハイクラスの物件はそもそもゼロベースでカスタマイズすることを前提にしているケースも多いです。空間づくりにこだわる方が多いのが背景にあるのですが、カスタマー自身が間取りや設備までトータルコーディネートしているケースが少なくありません」。

ターンキー物件そのものは珍しいものの、近いサービスを享受できる富裕層向けのハイクラス物件はよくあるようです。

コンドミニアムを購入する場合、「プロのインテリアコーディネーターによってすでにセレクトされている家具や小物を丸ごと購入できるのを便利としてそこに価値を置く人」から、「時間がかかって良いから自分ですべてのインテリアをコーディネートしたい人」、また「プロにお願いしなくて良いから少しでもインテリア価格を抑えたい人」など、住居に求める理想やライフスタイルの好みはさまざまです。それを踏まえ「諸々のオプションがあって選ぶことができる」のが、ONE11 Residences at Thompson Central Parkの強みであり特徴だと思いました。

●関連サイト
ONE11 Residences at Thompson Central Park

乳幼児のいる家庭のマンション選び、買う時より住んでから重視度が上がるポイントとは?

あなぶきホームライフでは、5歳以下の子どものいる家庭の意見を通じて、子育て世代の住宅ニーズを把握するために、首都圏にマンションを所有する、末子が5歳以下の946人にアンケートを実施した。アンケートの内容は、「マンションを購入した時と居住した後の住まいに関する重視ポイント」についてだ。購入した時と後では、どういった違いがあったのだろうか?

【今週の住活トピック】
乳幼児のいる家庭に「マンションを購入した時と居住した後の住まいに関する重視ポイント」についてアンケートを実施/あなぶきホームライフ

マンション購入後のほうが購入時よりも、すべての項目で重視度が上がる

調査結果では、各項目の重視度に対する回答を、「重視した」(3ポイント)、「どちらともいえない」(2ポイント)、「気にしなかった」(1ポイント)として集計している。また、マンション購入時に重視していたことと、マンション購入後(もし今マンションを買うなら重視すること)を同じ項目で調査し、そのポイントの差異も調べている。

どの程度重視したかの項目は、①教育施設や自治体の制度などの子育て環境、②マンションの設備、③マンションの間取りの3つに分類して聞いているのだが、公表された結果を見る限り、重視度はすべての項目で「購入後」のほうが高くなっていた。購入後のほうが、さまざまなことを気にするようになったということだろう。

それぞれの分類で重視度がトップだったのは、①子育て環境「役所・病院・スーパーなどの生活利便施設」(購入時2.63:購入後2.73)、②マンション設備「セキュリティシステム」(購入時2.48:購入後2.59)、③マンションの間取り「収納力(クローゼットの場所や収納量)」(購入時2.57:購入後2.74)。ただし、これらの項目では、購入時と購入後の差異がそれほど大きくない。

そこで、購入時と購入後で差異が大きかった項目に注目して、見ていくことにしよう。

子育て環境は、購入後には子どもが成長した時のことまで気になる?

まず、①の「子育て環境」を見ていこう。末子が乳幼児ということもあって、「保育園・幼稚園までの距離」(購入時2.09:購入後2.50)や「保育園・幼稚園の評判」(購入時1.88:購入後2.34)などの重視度は高かった。しかし、購入時と購入後で差異が大きい上位3項目は以下の図のようになった。

①教育施設や自治体の制度などの子育て環境の分類で、購入前後で差の大きい上位3項目(出典:あなぶきホームライフのプレスリリースより)

①教育施設や自治体の制度などの子育て環境の分類で、購入前後で差異の大きい上位3項目(出典:あなぶきホームライフのプレスリリースより)

購入してそこに長く住むとなってからは、以前よりも子どもが成長したときのことまで気になってくるのだろう。「放課後の預かり施設までの距離」や「小学校(学区)についての評判」で、購入後の重視度が大きくアップしている。また、「自治体の助成金や支援制度」も、家計や子育てに長く影響するだけに気になる点だ。なお、助成金や支援制度は自治体によってさまざまなので、できれば購入時にしっかり確認しておきたいところだ。

マンションの設備では、子育て家庭ならではのことが気になる!

②「マンションの設備」で重視したことは、TOPの「セキュリティシステム」に次いで、「防音対策された床」、「傷つきにくく汚れが落ちやすいクロス」など、子育て家庭ならではの項目が上位に挙がった。子どもは走り回ったり、泥を持ち込んだり、落書きしたりするので、床や壁は気になるところだろう。

一方で、購入後に最も重視度がアップしたのは、「ノンタッチのオートロックドア解除」だった。乳幼児のいる家庭では、荷物も多く、子どもと手をつなぐ機会も多いため、マンションに出入りする際にオートロックを開錠する手間が軽減されることが、重視されるようになったようだ。次いで重視度が大きくアップしたのは、「指を狭まないように工夫された」『扉』や『窓』だった。暮らしていく中で、子どもの安全に配慮した設備の重要性を再認識したのだろう。

②マンションの設備の分類で、購入前後で差異の大きい上位3項目(出典:あなぶきホームライフのプレスリリースより)

②マンションの設備の分類で、購入前後で差異の大きい上位3項目(出典:あなぶきホームライフのプレスリリースより)

マンションの間取りでは、子どもの居場所が気になる!?

③「マンションの間取り」で重視したことは、多くの調査でも上位に挙がる「収納力」、「キッチンなどの水まわり」、「リビングの広さ」が、ここでも上位になった。一方で、購入後に重視度がアップしたのは、「子ども部屋の広さ」や「子どもの成長に伴う部屋数」だ。

③マンションの間取りについて重視したことは何ですか?の回答一覧(出典:あなぶきホームライフのプレスリリースより)

③マンションの間取りについて重視したことは何ですか?の回答一覧(出典:あなぶきホームライフのプレスリリースより)

乳幼児や小学生の低・中学年までは、親と一緒にリビングなどで過ごすことが多いのだが、それより先は子ども部屋など、子どもが自分で管理する居場所をどうするかが課題になる。マイホームで子どもが成長していくことを考えて、これらの項目の重視度が大きくアップしたのだろう。

あなぶきホームライフによると、「子どもの成長に合わせて間仕切りや部屋の入替えを想定して購入すれば良かった」といった意見もあったという。

こうして見ていくと、子どもが成長していくことも考えると、重視すべきことは数多くあることがわかる。そうはいっても、すべてを満たすマンションはなかなかないので、わが家は何をより重視するかを整理することが大切だ。

さらに、新築マンションを分譲する際に、デベロッパー側は、どういった世帯にこのマンションを買ってほしいかを想定する。都市部の利便性の高い立地なら共働き世帯を想定して、家事効率や収納の充実などの利便性に特徴を持たせる。郊外のマンションなら子育て世帯を想定して、子育てによい設備や間取りを多く採用する。こうした特徴の違いもあるので、マンションを探す際には、いろいろなタイプのマンションを見比べて、見る目を養うことも大切だろう。

●関連サイト
あなぶきホームライフ「乳幼児のいるご家庭にアンケート!マンション購入時と購入後の重視ポイントにはどんな変化があるのでしょうか?」
あなぶきホームライフ 公式サイト

乳幼児のいる家庭のマンション選び、買う時より住んでから重視度が上がるポイントとは?

あなぶきホームライフでは、5歳以下の子どものいる家庭の意見を通じて、子育て世代の住宅ニーズを把握するために、首都圏にマンションを所有する、末子が5歳以下の946人にアンケートを実施した。アンケートの内容は、「マンションを購入した時と居住した後の住まいに関する重視ポイント」についてだ。購入した時と後では、どういった違いがあったのだろうか?

【今週の住活トピック】
乳幼児のいる家庭に「マンションを購入した時と居住した後の住まいに関する重視ポイント」についてアンケートを実施/あなぶきホームライフ

マンション購入後のほうが購入時よりも、すべての項目で重視度が上がる

調査結果では、各項目の重視度に対する回答を、「重視した」(3ポイント)、「どちらともいえない」(2ポイント)、「気にしなかった」(1ポイント)として集計している。また、マンション購入時に重視していたことと、マンション購入後(もし今マンションを買うなら重視すること)を同じ項目で調査し、そのポイントの差異も調べている。

どの程度重視したかの項目は、①教育施設や自治体の制度などの子育て環境、②マンションの設備、③マンションの間取りの3つに分類して聞いているのだが、公表された結果を見る限り、重視度はすべての項目で「購入後」のほうが高くなっていた。購入後のほうが、さまざまなことを気にするようになったということだろう。

それぞれの分類で重視度がトップだったのは、①子育て環境「役所・病院・スーパーなどの生活利便施設」(購入時2.63:購入後2.73)、②マンション設備「セキュリティシステム」(購入時2.48:購入後2.59)、③マンションの間取り「収納力(クローゼットの場所や収納量)」(購入時2.57:購入後2.74)。ただし、これらの項目では、購入時と購入後の差異がそれほど大きくない。

そこで、購入時と購入後で差異が大きかった項目に注目して、見ていくことにしよう。

子育て環境は、購入後には子どもが成長した時のことまで気になる?

まず、①の「子育て環境」を見ていこう。末子が乳幼児ということもあって、「保育園・幼稚園までの距離」(購入時2.09:購入後2.50)や「保育園・幼稚園の評判」(購入時1.88:購入後2.34)などの重視度は高かった。しかし、購入時と購入後で差異が大きい上位3項目は以下の図のようになった。

①教育施設や自治体の制度などの子育て環境の分類で、購入前後で差の大きい上位3項目(出典:あなぶきホームライフのプレスリリースより)

①教育施設や自治体の制度などの子育て環境の分類で、購入前後で差異の大きい上位3項目(出典:あなぶきホームライフのプレスリリースより)

購入してそこに長く住むとなってからは、以前よりも子どもが成長したときのことまで気になってくるのだろう。「放課後の預かり施設までの距離」や「小学校(学区)についての評判」で、購入後の重視度が大きくアップしている。また、「自治体の助成金や支援制度」も、家計や子育てに長く影響するだけに気になる点だ。なお、助成金や支援制度は自治体によってさまざまなので、できれば購入時にしっかり確認しておきたいところだ。

マンションの設備では、子育て家庭ならではのことが気になる!

②「マンションの設備」で重視したことは、TOPの「セキュリティシステム」に次いで、「防音対策された床」、「傷つきにくく汚れが落ちやすいクロス」など、子育て家庭ならではの項目が上位に挙がった。子どもは走り回ったり、泥を持ち込んだり、落書きしたりするので、床や壁は気になるところだろう。

一方で、購入後に最も重視度がアップしたのは、「ノンタッチのオートロックドア解除」だった。乳幼児のいる家庭では、荷物も多く、子どもと手をつなぐ機会も多いため、マンションに出入りする際にオートロックを開錠する手間が軽減されることが、重視されるようになったようだ。次いで重視度が大きくアップしたのは、「指を狭まないように工夫された」『扉』や『窓』だった。暮らしていく中で、子どもの安全に配慮した設備の重要性を再認識したのだろう。

②マンションの設備の分類で、購入前後で差異の大きい上位3項目(出典:あなぶきホームライフのプレスリリースより)

②マンションの設備の分類で、購入前後で差異の大きい上位3項目(出典:あなぶきホームライフのプレスリリースより)

マンションの間取りでは、子どもの居場所が気になる!?

③「マンションの間取り」で重視したことは、多くの調査でも上位に挙がる「収納力」、「キッチンなどの水まわり」、「リビングの広さ」が、ここでも上位になった。一方で、購入後に重視度がアップしたのは、「子ども部屋の広さ」や「子どもの成長に伴う部屋数」だ。

③マンションの間取りについて重視したことは何ですか?の回答一覧(出典:あなぶきホームライフのプレスリリースより)

③マンションの間取りについて重視したことは何ですか?の回答一覧(出典:あなぶきホームライフのプレスリリースより)

乳幼児や小学生の低・中学年までは、親と一緒にリビングなどで過ごすことが多いのだが、それより先は子ども部屋など、子どもが自分で管理する居場所をどうするかが課題になる。マイホームで子どもが成長していくことを考えて、これらの項目の重視度が大きくアップしたのだろう。

あなぶきホームライフによると、「子どもの成長に合わせて間仕切りや部屋の入替えを想定して購入すれば良かった」といった意見もあったという。

こうして見ていくと、子どもが成長していくことも考えると、重視すべきことは数多くあることがわかる。そうはいっても、すべてを満たすマンションはなかなかないので、わが家は何をより重視するかを整理することが大切だ。

さらに、新築マンションを分譲する際に、デベロッパー側は、どういった世帯にこのマンションを買ってほしいかを想定する。都市部の利便性の高い立地なら共働き世帯を想定して、家事効率や収納の充実などの利便性に特徴を持たせる。郊外のマンションなら子育て世帯を想定して、子育てによい設備や間取りを多く採用する。こうした特徴の違いもあるので、マンションを探す際には、いろいろなタイプのマンションを見比べて、見る目を養うことも大切だろう。

●関連サイト
あなぶきホームライフ「乳幼児のいるご家庭にアンケート!マンション購入時と購入後の重視ポイントにはどんな変化があるのでしょうか?」
あなぶきホームライフ 公式サイト

2024年4月スタートの新制度は、住宅の省エネ性能を★の数で表示。不動産ポータルサイトでも省エネ性能ラベル表示が必須に!?

不動産情報サイト事業者連絡協議会や国土交通省などによる、「省エネ性能表示制度で住宅の省エネ化は進むのか?」記者発表会が開催された。2024年4月から始まる「省エネ性能表示制度」に関する説明会ではあるが、国の制度について、アットホーム、LIFULL HOME’S、SUUMOの主要不動産ポータル事業者が深くかかわっていることに、実は意味があるのだ。

2024年4月から始まる「省エネ性能表示制度」とは?

新しい「省エネ性能表示制度」とは、「販売・賃貸事業者が建築物の省エネ性能を広告等に表示することで、消費者が建築物を購入・賃借する際に、省エネ性能の把握や比較ができるようにする制度」だ。

改正建築物省エネ法に基づき、省エネ性能表示制度を強化し、表示すべき事項などを定めることなどになっていたが、国土交通省では「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」を設置して、省エネ性能の表示ルールなどについて検討を重ねてきた。それを踏まえて作成されたのが、9月25日に公表したばかりの「建築物の省エネ性能表示制度のガイドライン等」だ。

このガイドラインの概要に沿って、国土交通省の住宅局参事官付課長補佐・池田亘さんから、制度に関する説明があった。そのポイントを整理しよう。

・開始時期:2024年4月 (これ以降に建築確認申請を行う新築および再販売・再賃貸される物件)
・努力義務になること:広告する際に省エネ性能ラベルを表示する
・対象:住宅や建築物を販売・賃貸する事業者 (物件の売主や貸主、サブリース事業者など)
・罰則:従わない場合は、国が勧告等を行う (既存建築物は勧告等の対象にならない)
・目的:省エネ性能を示すラベルや評価書を発行し、消費者が省エネ性能の把握や比較ができるようにする

該当する物件については、「省エネ性能ラベル」と「エネルギー消費性能の評価書」が発行されることになる。

発行される「省エネ性能ラベル」と「エネルギー消費性能の評価書」とは?

「省エネ性能ラベル」と「エネルギー消費性能の評価書」を発行するには、「自己評価」と「第三者評価」のいずれかで行う。販売・賃貸事業者側が国の指定するWEBプログラムなどを使って、評価を行うのが「自己評価」。第三者評価機関に評価を依頼するのが「第三者評価」で、その場合は、省エネルギー性能に特化した評価・表示制度である「BELS(ベルス)」を使うとされている。

では、まず「省エネ性能ラベル」について説明しよう。その特徴は3つある。

(1)エネルギー消費性能が星の数で分かる
国が定める省エネ基準より消費エネルギーが少ないほど、星の数が増える。省エネ基準に適合していれば★1つ。それより10%削減するごとに、★が1つずつ増える計算だ。ただし、エネルギーを使っても、太陽光発電などで補えばさらに削減できるので、★4つ以上は再生エネルギー設備がある場合に付けられる。そのため、★4つからは★が光るようなデザインになっているのだ。
※なお、再エネ設備の有無や削減率により、光らない★が4つのケースや3つ目以下で光る★が付くケースもある。

(2)断熱性能が数字で分かる
「建物から熱が逃げにくく、日射しなどの外からの熱が入りにくい」ほど数字が大きくなる。国が定める省エネ基準に適合していれば「4」、ZEH(ゼッチ)水準に達していれば「5」になる。
※ZEH水準とは省エネ基準適合住宅より、一次エネルギー消費量が20%以上削減(再生エネルギーを除く場合)されたもの

(3)目安光熱費が金額で分かる
その住宅の省エネ性能であれば、電気やガスなどの年間消費量がどの程度になるか計算し、エネルギー単価をかけて算出した年間光熱費が目安として表示される。ただし、家族が何人でどんな暮らし方をするかで、実際に使う光熱費は異なるため、あくまで目安としての金額だ。

なお、(3)の目安光熱費は任意項目なので、表示される場合もされない場合もある。表示されていないからといって、義務に反しているわけではない。

住宅(住戸)の省エネ性能ラベルに記載される内容(国土交通省の資料より)

住宅(住戸)の省エネ性能ラベルに記載される内容(国土交通省の資料より)

次に、「エネルギー消費性能の評価書」だが、これは省エネ性能ラベルの内容を詳しく解説した書類だ。評価書は消費者に渡されるので、必ず保管しよう。例えば、住宅を購入してその後に売却する場合に、評価書があれば(仕様を変更していないなど、省エネ性能が維持されていることが条件)、売る際の広告でもラベルが使用できる。

不動産ポータルサイトでも省エネ性能ラベルが掲載される

さて、この記者発表会を不動産情報サイト事業者連絡協議会(略称RSC)が運営しているのには理由がある。住宅を探す際に、不動産情報サイトの不動産広告を見る人が多い。国が表示方法などを決めてから対応したのでは遅くなるし、どのように消費者に届けた方が浸透するかなどの助言の機会もあったほうがよい。ということもあって、国土交通省の検討会には、SUUMO編集長・SUUMOリサーチセンター長の池本洋一さんが委員として参加している。

不動産ポータル事業者では、不動産情報サイトの信頼性を保持するために、RSCという組織で、連携をしている。現在6事業者が加盟しているが、理事会社がアットホーム、LIFULL HOME’S、SUUMOの運営会社で、池本さんはRSCの監事も務めている。

RSCでは、2019年から省エネ性能の表示はどうあるべきか検討してきたというが、幹事会社3社の不動産情報サイトで2024年4月から省エネ性能ラベルを広告表示する、共通ルールを策定しているところだ。

SUUMOにおけるインターネット広告への掲載例

SUUMOにおけるインターネット広告への掲載例

例えば、新築マンションでは、「住棟ラベル」(共同住宅の住棟全体の性能を表示するものであるなどの注釈の表記必須)を掲載し、新築一戸建てでは、販売戸数1戸なら「住戸ラベル」、多棟販売なら「代表住戸ラベル」(特定の住戸の性能を示すものであるなどの注釈表記必須)を、賃貸では「住戸ラベル」を掲載することなどを検討しているという。

実際の光熱費とズレがあっても目安光熱費を表示してほしい

省エネ性能ラベルでは、★の数で性能の高さが分かるようになっている。目安光熱費はあくまで目安なので、実際に光熱費がその金額にはならない。それでも、消費者は目安光熱費の表示を希望しているという。

リクルートの調査によると、ズレが生じることを考慮しても、「目安光熱費と星印表示どちらもあったほうが良い」が44.8%、「目安光熱費のみあれば良い」が29.3%となり、「星印表示のみあれば良い」の18.3%を大きく引き離した。

プレス説明会の資料より

プレス説明会の資料より

消費者に届くまでに関与する工程が多く、消費者まで届けることが課題

制度は2024年4月にスタートするが、課題もある。売買に詳しい松浦翼さん(アットホーム)と賃貸に詳しい加藤哲哉さん(LIFULL HOME’S)は、ラベルや証明書が発行されてから、その物件の広告としてラベルが消費者に届くまでの間に、多くの関係者が関わり、さまざまなシステムやツールを経由して情報が伝達されるため、システム改修の必要性や人為的な問題により、せっかくの情報が消費者に伝わらないリスクを指摘した。

省エネ性能表示の努力義務の対象となるのは、販売・賃貸事業、つまり売主や貸主、サブリース事業者などだが、実際に広告を出すのは不動産の仲介事業者や賃貸管理事業者になる。そのため、こうした間を取り持つ関係者がラベルなどの情報をきちんと伝達しないと、消費者にデメリットとなるだけでなく、仲介や入居者募集を依頼した売主や貸主が国から勧告を受けることにもなる。

また、広告への表示を努力義務としているが、評価書を受け取る消費者にその内容が説明されるのが望ましい。それを担うのも、直接消費者と接する仲介事業者や賃貸管理事業者になるので、関係者すべてにこの制度への理解を深めてもらう必要があるのだ。

さて、国は2050年のカーボンニュートラルに向けて、段階的に省エネ性能の基準を引き上げる予定だ。基準が変わったり新しい制度ができたりすると、省エネ性能を評価する基準も複雑になっていく。専門知識のない消費者がそれらを理解することは難しいので、住宅を選ぶ際に★の数や目安光熱費を見比べることは、性能を知るのに大いに参考になる。業界を挙げて、消費者に分かりやすく伝えることに取り組んでほしいものだ。

●関連サイト
建築物の省エネ性能表示制度のガイドライン等を公表/国土交通省
築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度(国土交通省特設サイト)

「不動産価格は上がっていく」と思う人が過去最高の42%に!「今が売り時」と思う人も8割超

住宅ローンの金利上昇への圧力が高まるなか、野村不動産ソリューションズが「住宅購入に関する意識調査(第25回)」を実施した。その結果を見ると、売り時と考える人が多い一方で、買い時だと考える人も多いことが分かった。どんな住宅市況になっているのだろうか?

【今週の住活トピック】
「住宅購入に関する意識調査(第25回)」を実施/野村不動産ソリューションズ

「不動産価格は上がると思う」が調査開始以来最高に

調査対象は、不動産情報サイト「ノムコム」会員(購入検討者を中心としたWeb会員)で、有効回答数は1964人。調査は、2023年7月3日~16日に実施された。

日本銀行の植田和男新総裁は従来路線を引き継いできたが、国債を買い入れて長期金利の上昇を抑制する水準を従来の0.5%から1.0%に引き上げると発表したのは、第5回日銀金融政策決定会合後の7月28日のことだ。これにより、長期金利の上昇可能性が高まったのだが、それより前に調査が実施されていることを念頭に置いてほしい。

まず、「今後の不動産価格はどうなると思うか」を聞いたところ、「上がると思う」が42.0%に達し、前回(2023年1月調査)より大きく増加した。2011年の調査開始以降で最も高いという。「下がると思う」は17.9%だった。物価の上昇を実感するなか、建材費や人件費なども上がるので不動産価格も上がると考えたようだ。

出典/野村不動産ソリューションズ「住宅購入に関する意識調査(第25回)」より転載)

出典/野村不動産ソリューションズ「住宅購入に関する意識調査(第25回)」より転載)

今は「売り時」であり「買い時」でもある!?

住宅価格が上がっていることで、「売り時」と感じる人も多いようだ。「不動産は売り時だと思うか」と聞いたところ、「売り時だと思う」が22.6%、「どちらかと言えば売り時だと思う」が59.6%で、合わせて82.2%が売り時だと思っていた。

出典/野村不動産ソリューションズ「住宅購入に関する意識調査(第25回)」より転載)

出典/野村不動産ソリューションズ「住宅購入に関する意識調査(第25回)」より転載)

その理由は、「不動産価格が上がったため」(77.4%)と「今なら好条件での売却が期待できるため」(52.4%)が過半数を占めた。

次に、「不動産は買い時だと思うか」と聞いた結果は、「買い時だと思わない」が48.1%と最多だったが、前回より減少した。また、買い時だと思う人(「買い時だと思う」8.8%+「どちらかと言えば買い時だと思う」24.3%)は33.1%になり、前回より増加した。

出典/野村不動産ソリューションズ「住宅購入に関する意識調査(第25回)」より転載)

出典/野村不動産ソリューションズ「住宅購入に関する意識調査(第25回)」より転載)

「売り時」かどうか、判断する指標は?

さて、住宅を高く売りたいと思うなら「住宅価格が高止まりしている」ときか、「住宅価格が下落に転じた」ときがよい。「高止まり」のタイミングなら安心して売ることができるし、「価格が下がり続ける」タイミングならできるだけ早く売ったほうがよい。逆に「価格が上昇し続ける」なら、様子見をしてもっと上がったタイミングで売ったほうがよいわけだ。

ただし売り時かどうかは、住宅価格だけでなく、需給バランスも重要だ。売る側から見れば、競争相手となる売り手が少ないか、買い手が多い方が有利だからだ。買い手が多いかどうかの条件はいろいろあるが、住宅ローンの金利が低いこと、優遇税制などが多いことなど、購入環境が好条件であることも大きな要因となる。

今回の調査対象者は、住宅価格が横ばいと見る人が29.7%で、まだ上がると見ている人が42.0%と多いが、大きく上がり続けるというよりは、わずかに上がっていくと見ているのだろう。そこで、価格が高止まりに近いことや購入環境が良好なことから、売り時と判断している人が多いのではないか。

「売り時」か「買い時」か、今後はどうなる?

では、今の住宅市況はどうなっているだろうか。

住宅市況は立地条件によっても異なるが、一例として、東日本不動産流通機構の四半期ごとの「首都圏不動産流通市場の動向(2023年4~6月)」のデータから傾向を見ていこう。首都圏の中古マンションの新規登録件数は増えているので、売り手は増えていることになるが、成約に至った件数は2021年を山場に2022年以降は少し落ち着きを見せている。つまり2021年は売り手市場だったが、次第に需給バランスが変わりつつある。ただしまだ買い手は多いので、首都圏の中古マンションの価格は上がり続けている。首都圏の中古一戸建ても、おおむね似たような傾向が見られる。

では、今後の需給バランスはどうなるのだろう。

気になるのは、住宅ローンの金利の動向だ。特に、長期金利はいずれ上がる可能性がある。好景気に転じれば、変動金利も上がっていく。住宅ローンの金利が上昇すれば、利息が増え、借りられる額が減少するので、住宅購入意欲の減退につながる。つまり、買い手が減ることで需給バランスは大きく崩れる可能性がある。

とはいえ、今すぐ金利が上がるわけではないので、金利上昇気配を感じて駆け込みで購入する人も出るだろう。どのタイミングでどのような上がり方をするかで、買い手の動きも変わってくるので、注視が必要だ。

超低金利が長期間継続したことで、住宅ローンの金利はいつも低いと思いがちだが、今後は住宅ローンの金利も、売り手や買い手の動きも、住宅価格の動向も変わる可能性がある。そのことを頭に入れて、マネープランや購入する住宅の条件などを、きちんと整理しておくとよいだろう。

●関連サイト
・野村不動産ソリューションズ「住宅購入に関する意識調査(第25回)」を実施
・東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2023年04~06月)」

タワマン節税にメス!? 国税庁のマンション相続税評価額見直しを解説

以前から、タワーマンションを節税目的で購入する事例が多いことが指摘されていた。すでに、固定資産税については、高さ60m以上のマンションで高層階の税率を引き上げる“補正率”が採用されている。今回は、相続税の評価方法について、市場価格に近づける見直し案が公表された。

【今週の住活トピック】
マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議が見直し案を公表/国税庁

「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」で見直しを検討

そもそも相続税では、相続した財産の価額はその財産を取得したときの時価によるとされている。いわゆる時価主義といわれるものだ。不動産の評価方法は、国税庁の「財産評価基本通達」で定められている。マンションについては、この通達の内容を見直そうと、2023年1月30日に第1回有識者会議が開かれた。

昨年末に公表された政府の「令和5年度税制改正大綱」で、マンションの相続税評価が、市場での売買価格と通達に基づく評価額が大きく乖離しているケースが見られるとして、「時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する」と記載された。これを受けて、適正化のための有識者会議が動き出したわけだ。

第3回の有識者会議で見直し案の要旨が提示され、6月30日に国税庁のホームページに有識者会議の資料が公表された。

なぜ、タワーマンションの高層階が相続税の節税になる?

現状のマンションの相続税の評価額は、どのように計算されるのか?

マンションの1つの住戸を相続した場合、建物の価額(かがく※)と敷地の価額をそれぞれ計算し、足し合わせたものが相続税評価額になる。建物の価額は「固定資産税評価額」が用いられ、敷地の価額は敷地全体の価額のうち持ち分割合で計算される。つまり、同じマンションで同じ面積の住戸を所有する場合、1階の住戸も20階の最上階住戸も同じになる計算方法だ。

※売り手が品物に対して設定するのが「価格」に対し、品物の値打ちに相当する金額が「価額」

ところが、実際に市場で売買されるときには、同じマンションの同じ面積の住戸であっても、1階と最上階では、価格にかなりの開きが出る。タワーマンションでは、住戸からの眺望がウリになるからだ。つまり、実際に売れば高く売れるものが、相続税評価額では価額を抑えることができるので、高層階ほど相続税の節税効果が大きいということになる。

また、元になる敷地全体の価額は、路線価が用いられる。路線価は地価公示の8割程度になっているので、市場価格より低くなるのが一般的だ。もともと相続財産を不動産にすれば、現金より相続税評価額が抑えられるといったこともあり、不動産は節税対策に用いられることが多い。加えて、タワマンでは高層階住戸でより大きな節税効果を生むというわけだ。

マンションと一戸建てでは、市場価格との乖離率に大きな開き

有識者会議の資料(画像1)によると、近年はマンションの市場価格は相続税評価額の2.3~2.4倍にまで開いているという。

マンションの相続税評価額と市場の乖離率の推移

【画像1】国税庁「マンションに係る財産評価基本通達に関する第3回有識者会議について(令和5年6月)」より転載

市場価格との乖離率を一戸建てと比べてみる(画像2)と、平成30(2018)年の平均で、マンションは2.34倍まで開いているが、一戸建ては1.66倍にとどまっている。0.68倍の開きがあるが、例えば市場で同じ1億円で売れるマンションと一戸建てがあった場合、相続税評価額はマンション(約4273万円)と一戸建て(約6024万円)で、約1751万円の差が生じるという計算になる。10億円というタワーマンションの最上階住戸もあるだろうから、この場合は評価額を5億円以上も大きく下げることができるという構図になっているわけだ。

(上)マンションの乖離率の分布、(下)一戸建ての乖離率の分布

【画像2】国税庁「マンションに係る財産評価基本通達に関する第3回有識者会議について(令和5年6月)」より転載

相続税の評価方法が定められた頃には、タワーマンションのような不動産は市場になかっただろう。ところが、好立地で高額のタワーマンションが数多く供給されたいま、マンションでは評価額が市場価格の半分以下になる事例が約65%もあるというのが実態のようだ。

マンションの相続税評価額はどう見直される?

有識者会議の資料を見ると、マンションの評価額が市場価格と乖離する要因として、マンションの総階数や所在階、築年数などが加味されていないうえ、タワーマンションのように立地条件が良好で地価の高い場所であっても、多くの住戸で持ち合うために敷地の持ち分が狭小になる度合いが大きいといったことを挙げている。

そこで見直し案は、この「築年数」「総階数(総階数指数)」「所在階」「敷地持分狭小度」の4つの指数に基づいて、市場価格との乖離率を予測し、評価額が市場価格理論値の60%に達しない場合は、60%になるまで価額を補正するというものになった。

60%というのは、一戸建ての乖離率にマンションを近づけようというもの。マンションの市場価格との乖離率を一戸建て並みにすることで、税負担の公平を図るという考え方だ。

この見直し案では、築浅や高層階で評価額がこれまでよりも引き上がるので、相続対策としてタワーマンションの住戸を購入し、相続後に売却するという方法での節税効果は薄れるだろう。

政府は、2024年1月から見直したいとしている。有識者の中には、「今後のマンション市況の変化には適切に対応していく必要があるので、新しい評価方法が適用された後においても、重回帰式の数値等については定期的に実態調査を行い、適切に見直しを行うべきではないか」と、継続的な見直しを求める声があった。

税金は国民が相応に負担するものなので、公平であってほしいものだ。

●関連サイト
マンションに係る財産評価基本通達に関する第3回有識者会議について(令和5年6月)

住宅購入者の関心が高いワードはやはり【フラット35】、「住宅ローン減税」!購入時に知るべき制度も解説

リクルートが「『住宅購入・建築検討者』調査(2022年)」を公表した。この調査では、住宅の購入や建築を検討するうえで、知っておきたい制度などについての理解・関心度も聞いている。その結果、理解・関心度の高いワードの多くが、住宅ローンや減税に関するものだということが分かった。

【今週の住活トピック】
「住宅購入・建築検討者」調査(2022年度)公表/リクルート

住宅購入・建築検討者は一戸建て派が多数を占める

調査は、首都圏、東海圏、関西圏の三大都市圏と政令指定都市のうち札幌市、仙台市、広島市、福岡市に住む、20歳から69歳の男女で、過去1年以内に住宅の購入・建築、リフォームについて具体的に検討した人を対象に行われた。

検討している住宅の種別(複数回答)は、「注文住宅」が過半数の56%で、「新築一戸建て」32%、「中古一戸建て」29%、「新築マンション」32%、「中古マンション」26%、「(現在住む家の)リフォーム」15%となっている。「一戸建てか、マンションか」を聞く(単一回答)と、「ぜったい」と「どちらかといえば」の合計で、「一戸建て派」が63%、「マンション派」が22%と、一戸建て派が多数を占める結果となった。

また、検討している物件に、「永住する」と考えているのは45%、「将来的に売却を検討している」のは24%、「将来的に賃借を検討している」のは5%だった。

過半数が名前も内容も知っている、【フラット35】、「リノベーション」、「住宅ローン減税」

この調査では、「税制・優遇制度などへの理解・関心」について、詳しく聞いている。聞いた税制・優遇制度は、「今後創設予定の税制・優遇制度」、「住宅購入に関する税制・優遇制度」、「住宅購入に関する金利・補助金」、「物件の構造・仕様、取引、他に関するもの」に大別され、それぞれ複数項目を聞いている。

その項目の中で、「言葉も内容も知っている」と回答した割合(以降は、「認知度」と表記)の多いものを挙げてみよう。

■認知度の高い項目(上位10項目)

順位制度名等認知度1【フラット35】75%2リノベーション63%3住宅ローン減税※56%4【フラット35 S】46%4空き家バンク46%6固定資産税の減額措置45%6スマートハウス45%8贈与税の特例42%9認定長期優良住宅41%10住宅リフォームの減税制度40%※住宅ローン減税については、さらに細かく聞いているが、順位としては省略した。
リクルート『住宅購入・建築検討者』調査(2022年度)を基に筆者が作成

認知度の上位には、住宅ローンと減税に関するものが多く入っているのが目立つ。ローンと税金は多くの人に関係するだけに、認知度が高くなっているのだろう。ちなみに、認知度が低かったのは、「BELS」(23%)や「安心R住宅」(25%)だった。

【フラット35】と「住宅ローン減税」のどこまで知っている?

この調査では、回答者に対して言葉とその内容について説明文を提示し、そのうえで、知っているかどうか聞いている。その説明について、紹介しておこう。

まず、1位の【フラット35】と4位の【フラット35 S】。

【フラット35】全期間固定金利の住宅ローンである【フラット35】において、2023年4月よりすべての住宅について、省エネ基準への適合を求める制度の見直しが行われる。【フラット35 S】一定の基準を満たした住宅を取得する場合、一般の住宅より金利を引き下げる制度。

住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する【フラット35】だが、ポイントは、2023年4月以降は省エネ基準に適合していないと利用できないことだ。金利を引き下げる優遇制度である【フラット35 S】は、すでにZEHなど省エネ性の高い住宅ほど金利が優遇される仕組みに変わっている。

2位の「住宅ローン減税」については、「返済期間10年以上の住宅ローンを利用して住宅を購入した場合に、住宅ローン残高の0.7%を所得税等から控除」と概要を説明しており、認知度は56%になっている。実は、調査ではさらに細かく聞いている。

【住宅ローン減税×環境性能】環境性能の優れた住宅では、減税の対象となる借入限度額が上乗せになる。【住宅ローン減税×中古OK】新耐震基準適合住宅(1982年以降に建築された住宅と定義)であれば、住宅ローン減税が適用される。【住宅ローン減税×増改築OK】自宅の増改築でも基準を満たせば、住宅ローン減税が適用される。【住宅ローン減税×新築床面積】2023年末までに建築確認を受けた新築住宅であれば、床面積が40平米以上50平米未満でも適用される。(それより以前は床面積50平米以上で適用対象)【住宅ローン減税×耐震改修】新耐震基準を満たさない中古でも、取得後一定期間内に耐震改修して基準を満たせば、住宅ローンが適用される。

いずれについても、認知度は46%~51%と高く、住宅ローン減税については細かい適用条件まで理解している人が多いことがわかる。

リノベーションなど認知度の高いワードを再確認

以下、上位に挙がった項目について、説明していこう。

リノベーション既存の建物に大規模な改修工事を行い、用途や機能を変更して性能を向上させたり付加価値を与えること。空き家バンク地方自治体が、空き家の賃貸・売却を希望する所有者から提供された情報を集約し、空き家をこれから利用・活用したい方に紹介する制度。空き家対策の一つとして注目されている。固定資産税の減額措置2024年3月末までに新築住宅を取得した場合、固定資産税が3年間(マンション等の場合は5年間)、2分の1に減額される。スマートハウス太陽光発電システムや蓄電池などのエネルギー機器、家電、住宅機器などをコントロールし、エネルギーマネジメントを行うことで、家庭内におけるエネルギー消費を最適化する住宅。贈与税の特例住宅取得等資金として、子や孫が親や祖父母から贈与を受ける場合、通常の住宅で500万円、省エネ等住宅で1000万円まで贈与税が非課税になる。認定長期優良住宅耐震、省エネ、耐久性などに優れた住宅である長期優良住宅と認定されると、所得税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税が軽減される。(住宅ローン減税では借入限度額が上乗せされる)住宅リフォームの減税制度耐震改修、バリアフリー対応、省エネ対応、三世代同居対応、長期優良住宅化対応の工事を行うと所得税等の控除がある。リクルート『住宅購入・建築検討者』調査(2022年度)を基に筆者が作成

少し補足説明をしておこう。
「リノベーション」については明確な定義がないのだが、住宅業界では一般的に、劣化した部分を建築当時の水準に改修するだけでなく、今の生活に合うように機能を引き上げる改修を行うことをいう。そのため、大規模な改修工事になることが多い。

「空き家バンク」は、かつては自治体ごとに公開しているホームページを見に行くしかなく、使いづらいものだったが、いまは民間の不動産ポータルサイトによって統一した内容で全国の空き家が探せるようになっている。

「スマートハウス」は、一般的にHEMS (home energy management system) と呼ばれる住宅のエネルギー管理システムで、家庭の電気などのエネルギーを一元的に管理する住宅のこと。IT技術を活用した住宅としてはほかに、IoT住宅(アイオーティー住宅。インターネットで住宅設備や家電などをつなげてコントロールできる住宅)などもある。IT技術によって、今後も多くのものがホームネットワークでつながり、安心安全や健康などの住生活の向上も期待されている。

ほかは、主に減税に関する項目が上位に挙がった。いずれも期限付きの減税制度となっている。期限がくると延長されるか、縮小されるか、終了するかになるので、注意が必要だ。

知っておきたい「新築住宅の省エネ基準適合義務化」と「インスペクション」

最後に、認知度が高くはなかったが、知っておきたい項目について紹介したい。それは「2025年新築住宅の省エネ基準適合義務化」(26%)と「インスペクション(建物状況調査)」(32%)だ。

新築住宅、特に一戸建てのような小規模な建築物にも、省エネ基準への適合が義務化されることになっている。適合義務化は、2030年までにZEH水準まで引き上げる予定となっている。こうした新築住宅への義務化によって、既存の住宅と省エネ性能に開きができる点も押さえておきたい。

「インスペクション」(32%)はもっと認知度が高いと思っていたので、少し意外に思った。中古住宅の売買において、宅地建物取引業者は、建物状況調査の事業者をあっせんするかどうかや、対象の住宅が建物状況調査を行っているかどうかなどを伝えることになっている。建物の状態はしっかり把握しておきたいものなので、認知度が上がることを期待したい。

さて、説明文が簡単に記載されていたとしても、「言葉も内容も知っている」というレベルは人それぞれだろう。何となく分かっているというレベルから、適用条件や期限まで正確に把握しているレベルまでさまざまある。実際に制度を利用しようとするときには、正確に理解していることが求められるので、この機会にぜひ各制度への理解を深めてほしい。

●関連サイト
リクルート「住宅購入・建築検討者」調査(2022年度)

Z世代は「新築」「一戸建て」がお好き? 駅からの近さより広さ重視の結果に

パナソニック ホームズが、若年者(Z世代)を含む住宅購入検討層や将来的な購入検討層を対象に、「住まいに対する意向調査」を実施した。そのなかでも特に「結婚と住まいの意向についてのアンケート」(リリース資料の図7~13が対象)を中心に、Z世代ならでは住まい観について見ていくことにしよう。

【今週の住活トピック】
「住まいに対する意向調査」を実施/パナソニック ホームズ

Z世代は一戸建てのマイホームがお好き?

この調査では、住宅購入の潜在的もしくは将来の顧客層と考えられる、15歳から49歳の独身男女に、「結婚したらどこに住みたいか」を聞いている。その結果は、圧倒的に「一戸建ての購入」を選んだ人が多数を占めた。とりわけZ世代(この調査では15歳から25歳と定義)では、他の年齢層が4割ちょっとであるのに対して56.0%が、一戸建ての購入を選んでいる。

図 7 結婚したらどこに住みたいですか。

出典:パナソニック ホームズ「住まいに対する意向調査」

どの種類の住宅に住みたいかを聞いた調査は過去にも多くあり、賃貸より購入、マンションより一戸建てが多いのが一般的だ。しかし、Z世代では一戸建ての購入を希望する人が極めて多いという点が大きな特徴といえるだろう。

次に、「住宅を購入するとしたら、何を優先するか」を聞いたところ、どの年齢層でも、1位が「立地が良い」、2位が「ローンの返済に無理がない」、3位が「新築であること」、4位が「資産価値があること」となった。

図 8 住宅を購入するとしたら、何を優先しますか。

出典:パナソニック ホームズ「住まいに対する意向調査」

ただし、他の年齢層と違い、Z世代で目立つのが、「新築であること」の比率の高さだ。2位の「ローンの返済に無理がない」(24.9%)とほぼ同等に「新築であること」(24.2%)を選んでいるのだ。

Z世代などの若年層は「新築」住宅がお好き?

実は、同時期に公表された、リクルートの「住宅購入・建築検討者」調査 (2022年)でも、似たような傾向が見られた。リクルートの調査は、過去1年以内に住宅の購入・建築やリフォームを検討した20歳から69歳の男女を対象にしている。独身に限っていないこと、より住宅への関心が高い層であるといった違いがあることを前提としてほしい。

こちらの調査では、ストレートに新築が良いか中古が良いかを聞いている。その結果、新築派が全体で68%になっているが、20代で見ると「ぜったい新築」が35%と新築への意向が他の年齢層より高いことが分かる。

新築・中古意向

出典:リクルート「住宅購入・建築検討者」調査 (2022年)

どちらの調査結果を見ても、若年層ほど「新築派」が多数を占めている。理由が確認できないのでよく分からないが、かつては若年層ほど新築へのこだわりが弱く、古着文化などに見られる中古を上手に活用するといった傾向が見られたのだが、今はそうではないことがはっきりした結果だ。

Z世代などの若年層は「近さ」よりも「広さ」を選ぶ?

さて、パナソニック ホームズの調査結果に戻ろう。「住宅を購入しようとして、費用が足りなかったら」という質問で選んだ選択肢も年齢層によって違いが見られた。年齢が高くなるほど、購入をあきらめて賃貸にすることを選ぶ比率が高くなる。一方、Z世代で顕著なのが「遠くにしても良い」という選択だ。他の年齢層では、「狭くしても良い」のほうが「遠くにしても良い」を上回っているが、Z世代だけは狭さよりも遠くを選んでいるのが大きな特徴だ。

図 9 住宅を購入しようとして、費用が足りなかったらどうしますか。

出典:パナソニック ホームズ「住まいに対する意向調査」

この傾向は、リクルートの調査結果でも見られる。こちらはストレートに、広さか駅からの距離かを聞いているが、若い年齢層ほど、駅からの距離派が減って、広さを優先する傾向が強くうかがえる。

広さ・駅からの距離の意向

出典:リクルート「住宅購入・建築検討者」調査 (2022年)

パナソニック ホームズでは、Z世代が、費用が不足していれば遠くても狭くても良いので、新築の一戸建てを購入したいという傾向がうかがえることから、「自分の時間やプライベートを大切にするとされるZ世代は、心地よく快適に過ごせて、共同住宅と比べて比較的近隣に気を使わなくて良い空間を新築一戸建てに求めているのかも知れない」と分析している。

一方、リクルートのSUUMO副編集長の笠松美香さんは「Z世代は、親元で暮らしている人も多く、自分で住まい探しを経験した人は他の世代に比べて少ないと推察されます。どうしても住まいのイメージが実家や友人・親戚の家などの生活感あふれるタイプと、メディアやSNSで見かけるピカピカでおしゃれなものと両極端なイメージになっているのではないでしょうか。だとすると、『新築じゃない家はキレイじゃない』と思いこんでしまっている人も多いのではないかと思いました。中古物件もリフォームすれば新築のような見た目になることを、住まい探しの経験を積んでいくほど認知していくので、年齢が上がっていくことで、中古でもキレイにできるし安い、といったようにコストと天秤にかけて許容していく層が増えていくのではないでしょうか。住まいは一生必要なものだけに、個人の住まい観も、一生アップデートされていくものだと思います」などと考察していただけるとうれしい。

パナソニック ホームズの調査対象である、独身のZ世代(15~25歳)はまだ具体的に住宅の購入を検討している人は少ないと思うが、リクルートが調査した20代でも似たような傾向が見られた。ということは、これから先に住宅購入を検討する世代では、新築志向、広さ志向が強いということは考慮すべき点だ。

一方、これまでは中古住宅をリノベーションして再販する事業者が少なかったが、取り組みを強化する事業者が増えている。新築ではないが、リノベーションによって新築並みの中古一戸建てが増えれば、若年層の有効な選択肢になるのではないだろうか。

●関連サイト
パナソニック ホームズ「住まいに対する意向調査」
リクルート「『住宅購入・建築検討者』調査(2022年)」

2022年の新築マンション平均購入価格、首都圏・関西ともに2001年以来の過去最高金額に!一方、平均面積は過去最低

リクルートの調査研究機関『SUUMOリサーチセンター』は、「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」の結果を発表した。その結果を見ると、新築マンションの価格上昇の影響がさまざまな形で表れていた。同じWITHコロナの2021年と比較して、どんな変化があるかを見ていきたい。

【今週の住活トピック】
「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」を発表/リクルート

首都圏の購入価格は5890万円で、2001年以降最高額に

調査は、新築マンションの購入契約者を対象に、2022年1月~12月に集計した、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県:5972件の結果をまとめたもの。

新築マンションの首都圏の平均購入価格は、5890万円だった。2021年より181万円増加し、2001年の調査開始以来最も高くなった。これは、「6000万円以上」が37.6%、「5000~6000万円未満」が21.8%など、5000万円以上の占める割合が全体の約6割に達しているからだ。特に「6000万円以上」は、10年前(5.5%)や5年前(30.5%)、前年(35.6%)に対して拡大し続けている。

購入価格(実数回答)(出典:リクルート「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」)

購入価格(実数回答)(出典:リクルート「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」)

自己資金比率は22.1%で前年(19.1%)より3ポイント増加している。にもかかわらず、購入価格が上昇した影響か、ローン借入額の平均は4963万円で前年(4941万円)より22万円増えている。特に借入額「5000万円以上」が45.3%と半数近くにまで拡大しているのが注目点だ。

世帯総年収も平均で1034万円となり、前年(1019万円)より増加。シングル世帯をのぞき、夫婦のみ世帯、子どもあり世帯、シニアカップル世帯のすべてで平均世帯総年収が1000万円を超えた。首都圏の新築マンションマーケットは、以前に比べ、より世帯年収の高い層を中心に動いていることが分かる。

なお、住宅ローンの契約形態は、「単独名義で契約」が69.0%、「世帯主と配偶者(パートナー)のペアローン」は29.9%で、ペアローンの割合は2018年以来、3割前後で推移している。

新築マンションの平均面積は、2001年調査開始以来で最も小さく

2022年の購入契約者のライフステージを見ると、最多は「子どもあり世帯」(第一子小学校入学前25.4%+小学校以上11.0%)の36.4%で、次いで「夫婦のみ世帯」の30.2%だった。一方、「シングル世帯」(男性7.3%+女性10.9%)は18.2%で、「シニアカップル世帯」(7.6%)とともに、2001年の調査開始以来最も高い割合になった。

購入した新築マンションの専有面積は、平均で65.9平米。前年の66.0平米とほぼ横ばいではあったが、2001年の調査開始以来最も小さいという結果になった。

専有面積(実数回答)(出典:リクルート「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」)

専有面積(実数回答)(出典:リクルート「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」)

また、「50平米未満」は「シングル男性世帯」で40.2%、「シングル女性世帯」で55.4%を占めるなど、全体に占めるシングル世帯の割合増加も、平均面積の縮小化に影響をしていると考えられる。

購入価格は、専有面積が狭くなるほど安くなる。面積の縮小化は、価格上昇によって手が届きやすい価格帯を求めた結果という見方もできるだろう。

東京23区の居住者の約37%が、購入時に他のエリアに流出

購入価格は都心部ほど高くなる。調査結果の平均購入価格を見ると、東京23区が7041万円、東京都下が5347万円、神奈川県が5553万円、埼玉県が5459万円、千葉県が4372万円だ。いずれのエリアも前年より上昇している。

一方、購入した物件の所在地は東京23区が最多の33.9%、次いで神奈川県の28.5%だった。注目点は、東京23区の割合が減少していることだ。5年前の2017年では東京23区は43.2%だったが、以降減少し続けている。

これを購入者の前住所とクロスして見よう。いずれのエリアも同じエリアで購入する割合が高いのだが、23区から23区への購入割合の減少が顕著だ。2017年では74.5%だったが、2022年では63.4%まで減っている。東京23区居住者の残りの4割弱が、購入の際に「他のエリアに流出した」ことになる。

契約前住所別 購入物件所在地(東京23区)※直近6年間の推移(出典:リクルート「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」)

契約前住所別 購入物件所在地(東京23区)※直近6年間の推移(出典:リクルート「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」)

この結果は、東京23区の新築マンションの価格が高くなりすぎたことから、手が届きにくいと思う人が他のエリアで購入したという流れに見える。専有面積の小さいものを探すのか、より低価格なエリアで探すのか、あるいは中古マンションや新築一戸建てなどの別の物件種を探すのか、といった選択を求められたのかもしれない。

関西圏も首都圏とほぼ同じ傾向が見られる

リクルートは首都圏の調査結果発表の翌日に、関西圏の結果も発表している。その結果を見ると、関西圏も首都圏と同様の傾向が見られる。ただし、価格などの数値は異なる。

関西圏の平均価格は5071万円で前年より上昇し、2001年の調査開始以来最も高くなった。自己資金比率は平均27.6%、ローンの借入総額は平均4304万円で、いずれも前年より上昇した。世帯総年収も平均が921万円に増加したが、ペアローンの割合は2割前後で推移している。

シングル世帯とシニアカップル世帯の割合が、2001年の調査開始以来最も多いのも首都圏と同じだ。平均専有面積は68.7平米で、こちらも2001年の調査開始以来最も小さい。

ただし、流出状況は首都圏とは異なる。関西圏で最も平均価格が高いエリアは、大阪市内の5528万円だ。次いで、京都エリア(5471万円)、北摂エリア(5140万円)、阪神間エリア(5052万円)の順となる。契約前住所別に購入物件所在地を見ると、大阪市内→大阪市内は75.5%で前年(68.7%)より増加している。むしろ、北摂エリア→北摂エリアが前年の84.8%から75.5%に減少し、北摂エリア→大阪市内への移動が前年の7.0%から13.1%へと増加している。エリア間の価格差が首都圏より小さいということもあるが、大阪市内に魅力的な物件が多かったという見方もできるだろう。
この点について、SUUMO副編集長の笠松美香さんに聞いた。大阪市内の新築マンションの供給が関西圏の中では堅調で、梅田エリアを筆頭に開発が続き、将来の発展期待性が高いことに加え、大阪市内の平均価格が5000万円台とまだ手が届きやすいことから、首都圏とは流出状態が異なるのだろう、ということだ。

さて、首都圏と関西圏の違いは「重視項目」でも見られる。物件を検討する上で重視した項目は「価格」が最も多く、首都圏で90.2%、関西圏で86.9%。次いで「最寄り駅からの時間」が首都圏で82.9%、関西圏で79.3%、「住戸の広さ」が首都圏で73.1%、関西圏で63.7%だった。

しかし、首都圏では「通勤アクセスの良いエリア」が59.7%で4位になるのに対して、関西圏では53.6%で6位だった。関西圏より通勤時間が長くなりがちな首都圏ならではのこだわりだろう。

マイホームを手に入れるには、価格、広さ、周辺環境、交通アクセスなどさまざまな重視項目から帰着点を見つける必要がある。どこを重視してどこを妥協するかは、人それぞれなのだろう。

●関連サイト
リクルート「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」
リクルート「2022年関西圏新築マンション契約者動向調査」

マンションも木造の時代に! 耐震性や遮音など住みごこち満足度98%のお墨付き 「MOCXION INAGI」東京都稲城市

法律の改正により国土交通省が民間での木材活用を推進したこともあり、2021年から木造ビルが各地に誕生し、今、かつてないほど「木造建築」に注目が集まっています。なかでも、2021 年に完成した「MOCXION INAGI(以下、モクシオン稲城)」(三井ホーム)は木造マンションの幕開けを象徴するような建物です。入居者の実際の住み心地や満足度、マンションの性能、今後どのように普及していくかについて紹介します。

遮音、耐震性もバッチリ! 入居者の98%が住み心地に満足と回答

高層ビルやマンションは珍しいものではありませんが、その多くはコンクリートと鉄骨鉄筋で、構造でいうと、鉄筋コンクリート(RC造)や、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)にあたります。だからこそ、記事冒頭のように一見よくある新築マンションが「木造なんだよ」と言われたら、多くの人は驚くのではないでしょうか。

「木造マンション」という新しいカテゴリーを生み出した「モクシオン稲城」一見、よくあるマンションですが、実は「木造」なんです(写真撮影/片山貴博)

「木造マンション」という新しいカテゴリーを生み出した「モクシオン稲城」一見、よくあるマンションですが、実は「木造」なんです(写真撮影/片山貴博)

そんな驚くような木造マンション「モクシオン稲城」が2021年11月、東京都稲城市に完成しました。総戸数は51戸、間取りは2LDK~3LDK、専有面積は50平米~96平米で、シングルからディンクス、子どものいる世帯が暮らしています。1階はRC(鉄筋コンクリート)造で、2~5階に木造枠組壁工法を採用しています。賃料は稲城駅の周辺物件の相場よりも高額な設定でありながらも、見学した人の約7割が入居を申し込みたい(内覧即申し込み含む)と回答し、募集開始後約1カ月で満室になるほどの人気物件です。

エントランスの上部にも木をあしらっています。木ってやっぱりカッコいい(写真撮影/片山貴博)

エントランスの上部にも木をあしらっています。木ってやっぱりカッコいい(写真撮影/片山貴博)

木造の建物というと、音や耐火性、耐震性などが心配という人もいるかもしれませんが、住み心地はどうなのでしょうか。

「入居から4カ月が経過した今春、アンケートをしましたが、入居している47世帯からの回答のうち98%もの人が満足と回答してくださっています」と話すのはこのプロジェクトの推進責任者の依田明史(よだあけし・三井ホーム)さん。では、どのような点に魅力を感じているのでしょうか。

「入居開始が12月だったので、入居者のみなさんは冬をマンションで過ごされたわけですが、断熱性にすぐれ、結露が少なくて快適、天井高や断熱、遮音といった点で高く評価していただいています。耐震性でいうと、3月には東京都で震度4の地震が発生しましたが、その際も揺れてモノが落ちるなどもなく、コンクリートのマンションに住んでいたときと体感はまったく変わらなかったとのコメントも聞きました」(依田さん)

「木造」マンションを推進した依田さん。完成するまでは「木造でしょ」と言われることが多く、悔しい思いをしたことも(写真撮影/片山貴博)

「木造」マンションを推進した依田さん。完成するまでは「木造でしょ」と言われることが多く、悔しい思いをしたことも(写真撮影/片山貴博)

見学のきっかけは、「木造マンションに興味」「脱炭素に貢献」

木造建築物をめぐる法改正などの背景はSUUMOジャーナルでもお伝えしてきましたが、そうはいっても、「一戸建てではない木造建築に住みたい!」と意欲的な人は実はまだごく少数なのではないでしょうか。そもそも、入居者のみなさんは、「木造マンション」のどのあたりに魅力を感じて、見学にいらっしゃったのでしょう。

「見学者のみなさんに来場のきっかけのアンケートをしたのですが、『木造マンションに興味があった』が2位、『木造マンションは地球環境にやさしく脱炭素に貢献』が6位となっていました。実はこの『脱炭素に貢献』というのは、マーケットにおける環境意識の変化を知りたくて手探りで選択肢に入れたのですが、驚くほど上位に来ていました。私たちが思っている以上に、環境意識が高まっているのだと思います」と依田さんは分析します。

回答数89、複数回答可

回答数89、複数回答可

近隣エリアからの見学者は当然のことながら多かったそうですが、東京都品川区や文京区といった都心部からの住み替えもあったといい、いかに木造マンションが注目されていたかがわかります。

「コロナ禍で、多くの企業でテレワークが導入されたことで、郊外で少し広め、質のよい建物に住みたいという需要をくみ取れたと思います。室内の広さを確保したい、地球環境意識の高まりなど、まさに時代の流れにあった建物が完成したと思っています」(依田さん)

エントランスホールには木をふんだんにあしらった和モダンな雰囲気に(写真撮影/片山貴博)

エントランスホールには木をふんだんにあしらった和モダンな雰囲気に(写真撮影/片山貴博)

廊下は建物に内包された「内廊下方式」に。高級感があっていいですよね(写真撮影/片山貴博)

廊下は建物に内包された「内廊下方式」に。高級感があっていいですよね(写真撮影/片山貴博)

部屋番号も木製。こういう遊び心のある造りも心躍ります(写真撮影/片山貴博)

部屋番号も木製。こういう遊び心のある造りも心躍ります(写真撮影/片山貴博)

1階のモデルルーム。木造マンションへの関心は高く、デベロッパー、不動産会社、金融機関など見学希望が絶えないそう(写真撮影/片山貴博)

1階のモデルルーム。木造マンションへの関心は高く、デベロッパー、不動産会社、金融機関など見学希望が絶えないそう(写真撮影/片山貴博)

5階のモデルルーム。最上階ですが表面に木材を使って仕上げています(写真撮影/片山貴博)

5階のモデルルーム。最上階ですが表面に木材を使って仕上げています(写真撮影/片山貴博)

テレワークを想定した部屋。コロナ禍のテレワーク需要に応える結果に(写真撮影/片山貴博)

テレワークを想定した部屋。コロナ禍のテレワーク需要に応える結果に(写真撮影/片山貴博)

RC造(写真左)には柱や梁(はり)のでっぱりがありますが、木造(写真右)は壁面工法のため梁のでっぱりがなく、部屋がより広く、のびやかな空間になるのがおわかりいただけますでしょうか(写真撮影/片山貴博)

RC造(写真左)には柱や梁(はり)のでっぱりがありますが、木造(写真右)は壁面工法のため梁のでっぱりがなく、部屋がより広く、のびやかな空間になるのがおわかりいただけますでしょうか(写真撮影/片山貴博)

写真を見ていただくとわかると思いますが、エントランスや内廊下、キッチン、リビングなど、随所に木が使われていて、一般的な賃貸物件のデザイン・仕様とは一味違います。

建物をつくる、住む、解体する。すべてのステップで環境負荷を軽減

木造建築の強みとして(1)快適で住み心地がよい、(2)断熱性にすぐれる、(3)軽量で施工性にすぐれるが挙げられますが、それだけではありません。

「『木』で建物をつくるということは、S(鉄骨)造、RC(鉄筋コンクリート)造、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造と違い、二酸化炭素を大気中に戻さないわけですから、この建物で炭素を数十年間貯蔵しているわけです。この建物だと約736.4トン、貯蔵している計算になり、これは樹齢35年の杉の木に換算すると約3,000本に相当します。また、建築にかかる二酸化炭素排出量はRC造の半分程度で、将来、解体するときも二酸化炭素の排出量が抑えられるでしょうし、解体後も木材なら再利用も可能です」と依田さん。

コンクリートは二酸化炭素を吸収してくれませんが、木は二酸化炭素を吸収して大きくなります。木材を使っている住まいだとそれだけで「二酸化炭素を貯蔵している」というのは、新しい発見です。また、冒頭に挙げたとおり、(2)木材は断熱性にすぐれているという特性を活かし、省エネルギー集合住宅の証である「ZEH-M oriented(ゼッチ・エム・オリエンテッド)」の認証を取得。住んでいる人から見ると、真夏の冷房、真冬の暖房使用量が少なくて済み、より省エネルギーになるというわけです。よく、“つくる責任、使う責任”といわれますが、トータルで見ても環境性能にすぐれる木造建築は、非常に時代に合った建物といえそうです。

中層建築・大型建築を可能にした高強度耐力壁「MOCX wall」(写真撮影/片山貴博)

中層建築・大型建築を可能にした高強度耐力壁「MOCX wall」(写真撮影/片山貴博)

モデルルームでは生活音を再現し、音の伝わり方を体験できて、遮音性の高さに驚くはず(写真撮影/片山貴博)

モデルルームでは生活音を再現し、音の伝わり方を体験できて、遮音性の高さに驚くはず(写真撮影/片山貴博)

木材に加えて、構造的にも高気密・高断熱とすることで、住宅性能評価の「断熱等性能等級4」「一次エネルギー消費量等級5」を取得(写真撮影/片山貴博)

木材に加えて、構造的にも高気密・高断熱とすることで、住宅性能評価の「断熱等性能等級4」「一次エネルギー消費量等級5」を取得(写真撮影/片山貴博)

課題は部資材や人材確保。「木造マンション」を当たり前の時代に

実は木造マンション、環境負荷が低いだけでなく、工期を短縮できることから、RC造と比較して「建築費が安く、工期も早い」という利点もあったそうですが、昨今のウッドショックの影響と世界情勢による建築費の高騰から「安くて早い」とは断言しにくくなったとのこと。

「住宅建材全般の急激な値上がりが激しいのと、工事を実施する土地の周辺事情により建築費と工期は違ってきます」と依田さん。

もう一つ、今まで木造住宅の普及のネックになってきたのがとポータルサイトでの「ジャンル」です。

「一般的にはアパートよりマンションの方が価値が高いと認識されています。しかし、今まで弊社でどんなによい木造賃貸住宅をつくっても、SUUMOほか、ポータルサイトでは規約によりマンションで募集登録できませんでしたし、同業他社からは『木造アパートはマンションでないため経年すると価値が下がり入居者募集に苦労しますよ』と言われてきました。どんなにいい木造建築をつくっても評価されないのだと、悔しい思いをしてきたんです。今回、一定の要件のもと、木造住宅でも『マンション』として募集できるようになりました。さらに、プロ投資家に向けて、住宅性能評価書と投資判断に重要とされるエンジニアリングレポートを取得することで、木造でもRC(鉄筋コンクリート)造と同等の減価償却期間47年が可能となることを証明し、木造建物に投資する門戸を広げました」(依田さん)

今後の課題は、木材の確保、部資材の調達、施工監理などの人材育成だといいます。
「普及を考えたときの木材や、木造マンションに合った建材、部資材の確保は課題といえるでしょう。あわせて施工してくれる人材は必要不可欠なので、その点を解決していきたいですね。これは私の後輩の役割となると思いますが、RC造と同様に、木造マンションが当たり前の選択肢として世の中に広まっていったら、と願っています」(依田さん)

「同潤会アパート」や「霞が関ビルディング」のように、時代の転換点を象徴するような「建築物」がありますが、後世から振り返ってみたとき、「モクシオン稲城」もそのような存在になるのかもしれません。

●取材協力
モクシオン稲城

NY「ビリオネア通り」の不動産が活況! 億万長者だらけの最新マンションに潜入

ニューヨークには、世界の億万長者が好んで住んでいる通りがいくつかあります。その最たる通りの名は、「Billionaires’ Row(ビリオネアズ・ロウ)」。「億万長者の並び」という意味で、世界の名だたる実業家や投資家など選ばれし者が注目するストリートです。

なぜここがそのように富裕層の人々から関心を向けられているのでしょうか。この通りの一角に今年新築されたばかりのマンションを特別に内見させてもらいながら、不動産専門家に話を聞きました。

NYのビリオネア通り(億万長者通り)って?

ニューヨーク・マンハッタンのセントラルパークからほんの2ブロック南にある東西に延びる通り、「ビリオネアズ・ロウ(億万長者通り、ビリオネア通り)」は、実業家や投資家、セレブなど世界中の富裕層が好んで売買する高級物件が集まっており、富の象徴となっています。

(写真提供/7w57)

(写真提供/7w57)

この通りには以前より、お金持ち御用達の高級老舗デパート「Bergdorf Goodman(バーグドルフ・グッドマン)」や「Nordstrom(ノールドストローム)」、ルイ・ヴィトン、シャネルなど世界を代表するハイブランド店が点在しています。この通りが住居や投資物件としてビリオネアや投資家の関心を集め始めたのは、かれこれ13年ほど前にさかのぼります。

2009年、当時としては市内でもっとも高層のコンドミニアム「One57 (ワン57)」が この通りに着工しされ、14年に完成しました。これに続けとばかりに、11年には、それよりもさらに高層(当時、市内で一番高い住居用)ビルとして85階建ての「432 Park Ave.(432パークアベニュー)」もこの通りに着工され、15年 に完成。それを機にビリオネアズ・ロウはゆうに80フロアを超える縦に細長い超高層ビルの建設ラッシュが続き、「Race to the Sky(空に向かった競争)」として活気付きました。現在は8棟ほどの超高層タワーマンションが立ち並んでいます 。

「432 Park Ave.」(写真撮影/安部かすみ)

「432 Park Ave.」(写真撮影/安部かすみ)

縦に細長いビルが立っている通りが、ビリオネアズ・ロウになる(写真撮影/安部かすみ)

縦に細長いビルが立っている通りが、ビリオネアズ・ロウになる(写真撮影/安部かすみ)

「マンハッタンの57丁目は、不動産市場の動きを注視する目の肥えた(実業家や投資家などの)世界中のバイヤーたちを魅了する超高層のラグジュアリーなコンドミニアムが集合したことで『ビリオネアズ・ロウ』という称号(呼び名)で呼ばれるようになりました。ここ10数年以上にわたって販売記録を更新し続けています」と説明するのは、米不動産大手コーコラン社のライセンス・セールスパーソン、ジョアンナ・パッシュビー(Joanna Pashby)さん。

432パークアベニューには一時期、女優のジェニファー・ロペス氏が当時の婚約者、アレックス・ロドリゲス氏と共にペントハウスを購入し話題になるなど、セレブも多くこの通りに物件を所有するようになりました。

またほかにも、イギリスの歌手スティング(Sting)ほか、デル(DELL)の創設者、マイケル・デル(Michael Dell )氏、アリババの共同創設者、ジョセフ・ツァイ(Joe Tsai)氏、HGTVネットワークの創設者、ケニス・ロウ(Kenneth Lowe)氏、日本の女優、松居一代氏など世界のそうそうたる富裕層がビリオネアズ・ロウに物件を購入したことが、メディアなどで報じられています。

特にデル氏が2015年に購入したワン57の最上階2フロアにわたるペントハウスの価格は、100.47ミリオンドル(1ドル130円計算で130億円超え)。市内で販売された最も高額なアパートとして話題をかっさらいました。

57丁目には、超高級の老舗デパート「Bergdorf Goodman」(写真)や「Nordstrom」、世界のハイブランド店などが軒を連ねる(写真撮影/安部かすみ)

57丁目には、超高級の老舗デパート「Bergdorf Goodman」(写真)や「Nordstrom」、世界のハイブランド店などが軒を連ねる(写真撮影/安部かすみ)

ビリオネアズ・ロウの5分圏内には、広大で緑豊かなセントラルパークが広がり、四季折々のレクリエーションが楽しめる(写真撮影/安部かすみ)

ビリオネアズ・ロウの5分圏内には、広大で緑豊かなセントラルパークが広がり、四季折々のレクリエーションが楽しめる(写真撮影/安部かすみ)

新築の「7w57」にいざ潜入

パッシュビーさんが次に注目するのは、ビリオネアズ・ロウの五番街と六番街の間に新築されたコンドミニアムの「7w57」です。

7w57は今年春に完成したばかりの、20階建て高級アパートメント(コンドミニアム)です。

「15戸のコンドミニアム(15家族分の住居物件)があり、ペントハウスは2フロア(この2フロアもカウントすると、ビル自体は22階建てということになる)で、セントラルパークを望む屋外スペースもあるんです」とパッシュビーさんは案内してくれます。

米コーコラン社のライセンスセールス、パッシュビーさん(写真撮影/安部かすみ)

米コーコラン社のライセンスセールス、パッシュビーさん(写真撮影/安部かすみ)

7w57の外観(写真提供/7w57)

7w57の外観(写真提供/7w57)

ロビー。当地の高級物件では言わずものがなの、24時間ドアマンサービス(写真提供/7w57)

ロビー。当地の高級物件では言わずものがなの、24時間ドアマンサービス(写真提供/7w57)

パッシュビーさんは、まず6階の2ベッドルームのお部屋から案内してくれました。

ニューヨークの高級物件で、特にコロナ禍以降の需要が高いプライベートエレベーターが、このアパートメントにも備えられています。プライベートエレベーターを降りると、アート作品が飾られたギャラリー風の長くてゆったりとした廊下の向こうに、広々とした豪華なリビングルームが広がっています。全面ガラス一面に映し出された57丁目の通りの景色自体が、まるで「アート作品」のようです。

窓全体がアート作品のような、6階のリビングルーム(写真提供/7w57)

窓全体がアート作品のような、6階のリビングルーム(写真提供/7w57)

リビングルームから57丁目のビリオネアズ・ロウを見下ろす(写真撮影/安部かすみ)

リビングルームから57丁目のビリオネアズ・ロウを見下ろす(写真撮影/安部かすみ)

(写真撮影/安部かすみ)

(写真撮影/安部かすみ)

窓側から見た6階リビングルーム(写真撮影/安部かすみ)

窓側から見た6階リビングルーム(写真撮影/安部かすみ)

6階の住居スペースは、1723スクエアフィート(約160平米)の面積に2ベッドルーム(寝室)、2.5バスルーム(浴室とトイレ)、リビング兼ダイニングルーム、キッチンエリアなどを含む5部屋が完備されています。

(画像提供/7w57)

(画像提供/7w57)

6階のキッチンスペース。洗浄機が備えられているのはもちろん、「料理の煙を換気扇がすぐにキャッチし吸い取ってくれ、キャビネットには指紋が付きにくいんですよ」と、使い勝手がいいように細かい部分まで配慮されています(写真提供/7w57)

6階のキッチンスペース。洗浄機が備えられているのはもちろん、「料理の煙を換気扇がすぐにキャッチし吸い取ってくれ、キャビネットには指紋が付きにくいんですよ」と、使い勝手がいいように細かい部分まで配慮されています(写真提供/7w57)

キッチンスペース(写真提供/7w57)

キッチンスペース(写真提供/7w57)

ホテルのような、バスルーム(写真提供/7w57)

ホテルのような、バスルーム(写真提供/7w57)

(資料提供/7w57)

(資料提供/7w57)

ベッドルーム(写真提供/7w57)

ベッドルーム(写真提供/7w57)

もう一つのベッドルーム(写真提供/7w57)

もう一つのベッドルーム(写真提供/7w57)

また最上階の2フロアと屋上テラスで展開するペントハウスは、2801スクエアフィート(約260.2平米)の面積に、2ベッドルーム(寝室)やリビング兼ダイニングルーム、キッチンエリアなどを含む5部屋に、2.5バスルーム(浴室とトイレ)などに加え、セントラルパークを眼下に望む広い屋外スペース(北と南の2カ所、1017スクエアフィート(約94.4平米)なども完備されています。

ローワーレベル(下階)(画像提供/7w57)

ローワーレベル(下階)(画像提供/7w57)

アッパーレベル(上階)(画像提供/7w57)

アッパーレベル(上階)(画像提供/7w57)

テラス(屋外スペース)(画像提供/7w57)

テラス(屋外スペース)(画像提供/7w57)

ペントハウスのリビングルーム(写真提供/7w57)

ペントハウスのリビングルーム(写真提供/7w57)

ペントハウスのベッドルーム(写真提供/7w57)

ペントハウスのベッドルーム(写真提供/7w57)

ペントハウスのベッドルーム(写真提供/7w57)

ペントハウスのベッドルーム(写真提供/7w57)

ペントハウスのキッチン(写真提供/7w57)

ペントハウスのキッチン(写真提供/7w57)

ペントハウスのバスルーム(写真提供/7w57)

ペントハウスのバスルーム(写真提供/7w57)

ペントハウスの2フロアをつなぐ階段(写真撮影/安部かすみ)

ペントハウスの2フロアをつなぐ階段(写真撮影/安部かすみ)

ペントハウスの北側に位置する屋外スペース。ここと別に南にも屋外スペースがあり、専用のキッチンやお手洗いスペース、ストレージ(倉庫)などを完備(写真提供/7w57)

ペントハウスの北側に位置する屋外スペース。ここと別に南にも屋外スペースがあり、専用のキッチンやお手洗いスペース、ストレージ(倉庫)などを完備(写真提供/7w57)

目の前は豪華なセントラルパークとアイコンビルのザ・プラザ(プラザホテル)。四季折々の季節がここから楽しめる(写真提供/7w57)

目の前は豪華なセントラルパークとアイコンビルのザ・プラザ(プラザホテル)。四季折々の季節がここから楽しめる(写真提供/7w57)

問い合わせは国内外の富裕層からきているとのこと。コロナ禍3年目でさらに不動産市場が活気付いているニューヨークで、このような超高級物件の需要は相変わらず高いようです。

住居用としてもそうですが投資先としてもますます目が離せないビリオネアズ・ロウ。「Race to the Sky(空に向かった競争)」は、今後もさらに活気付いていきそうです。

●取材協力
7w57
※記事中の部屋情報

6階
$3,950,000(1ドル130円計算で約5億1000万円)
5Rooms, 2 Bedrooms, 2.5baths
約1723 平方 ft(約160平米)

ペントハウス
$12.5 million(1ドル130円計算で約16億円)
2 Bedrooms, 2.5 baths

屋内スペース
約2801平方 ft(約260.2平米)

屋外スペース
約1017 平方 ft(約94.4平米)

●関連URL
One57(ワン57)
432 Park Ave.(432パークアベニュー)

新築マンション購入で水害が心配! 入居前の防災対策が画期的【わがまち防災3】

2011年の東日本大震災、いわゆる「3・11」からちょうど10年。各地域で防災の取り組みが生まれ、取り組まれるようになった。いま「地域の防災」はどうなっているのだろうか。

第3回にご紹介するのは新築マンションの「イニシア日暮里テラス」「イニシア日暮里アベニュー」。防災対策に取り組む管理組合が発足するのは入居開始から約半年後だが、同マンションではディベロッパーが音頭を取って“まちとの共生”を含めた防災対策を進めている。果たして、その内容とは?
防災対策を担当する管理組合の発足を待たずに始動

「イニシア日暮里アベニュー」は2021年1月、「イニシア日暮里テラス」は2021年2月、それぞれ竣工した新築マンション。JR山手線・日暮里駅の東側の近接するエリアに建つ。

イニシア日暮里テラス 完成予想図(画像提供/コスモスイニシア)

イニシア日暮里テラス 完成予想図(画像提供/コスモスイニシア)

4駅8路線が利用可能で、日暮里の繊維街や下町情緒あふれる「夕焼けだんだん」も近い。計99戸は順調に販売が進み、「イニシア日暮里アベニュー」は2月から入居を開始しており、「イニシア日暮里テラス」は3月下旬から入居が始まる。

これまでも、ディベロッパーがマンション内に共用の備蓄倉庫を設けたり、各戸に防災グッズを配布したりといった事例はある。しかし、管理組合の発足を待たずに防災対策を進めるケースや地区防災計画の作成をディベロッパー主導で行うのは珍しい。

ディベロッパーは東京都港区に本社を置くコスモスイニシア。同物件を担当する田脇みさきさんに、今回の取り組みの背景を聞いた。

田脇みさきさん(写真提供/コスモスイニシア)

田脇みさきさん(写真提供/コスモスイニシア)

「モデルルームのご来場者様と接していると、頻発する未曾有の災害に対して不安視する声が多いんです。とくに、台風や豪雨による水害はハザードマップも公表されていて、2018年の西日本豪雨もハザードマップ通りに浸水したというニュースも目にしました」

荒川区のハザードマップ。「イニシア日暮里テラス」「イニシア日暮里アベニュー」は浸水深0.5m~3.0m未満(1階の床から1階の天井までつかる程度)想定地域(荒川区HPより)

荒川区のハザードマップ。「イニシア日暮里テラス」「イニシア日暮里アベニュー」は浸水深0.5m~3.0m未満(1階の床から1階の天井までつかる程度)想定地域(荒川区HPより)

とはいえ、マンションの購入を考えている人々は、こうした不安を漠然と抱えているしかない。その対策を明確に提示するのが、「イニシア日暮里テラス」「イニシア日暮里アベニュー」の取り組みの目的だという。

田脇さん自身も社内の防災セミナーに参加して防災に対する意識が変わった。「備えることの重要性は分かっているが、災害なんてそうそう身近に起こるものじゃない」。そう思っていたが、セミナーを通じて災害時の具体的な状況を学んだことによって、当事者意識が芽生えたそうだ。非常用ライトや簡易トイレも鞄に入れて持ち歩くようになった。

契約者向けの「防災セミナー」をオンラインで開催

では、「イニシア日暮里テラス」「イニシア日暮里アベニュー」の防災対策とはどのようなものか。まず、エントランスの共用部分には防災倉庫があり、そこには「簡易トイレ」「救急箱」「トランシーバー」「発電機」「カセットガス」「レインポンチョ」「備蓄ラジオ」などの防災備品が入っている。

百年防災社にも防災倉庫の中身をチェックしてもらい、準備を進めた(写真提供/コスモスイニシア)

百年防災社にも防災倉庫の中身をチェックしてもらい、準備を進めた(写真提供/コスモスイニシア)

さらに、揺れを感じるとセットした収納扉に自動でロックがかかり、収納スペースの中身が落ちてこないようにする「耐震ラッチ」や、地震の際にドアが変形して開かなくなることを避けるため、ドアに接触しないように枠が変形する「耐震枠」も各戸に導入している。

耐震ラッチ(写真提供/コスモスイニシア)

耐震ラッチ(写真提供/コスモスイニシア)

耐震枠の玄関ドア(画像提供/コスモスイニシア)

耐震枠の玄関ドア(画像提供/コスモスイニシア)

しかし、これは他社を含む従来のマンションでもやってきたこと。ここ独自の取り組みとはどのようなものだろうか。

「まず、昨年11月にご契約者様向けの『防災セミナー』をオンラインで開催しました。内容については地域の防災計画を作成する百年防災社様に監修を依頼しています」

19世帯、31人が参加したというセミナーの内容は「マンション防災〇×クイズ」「荒川区の被災想定」「マンション防災のポイント」「グループディスカッション」など。

被災想定に関しては、荒川区の地域防災計画による推測データを引用した。それによれば、冬の18時に震度6強の首都直下型地震が起きた場合の荒川区の被害は以下のようになる。

倒壊家屋7217棟、地震火災5521棟、停電率48.7%、断水率58.3%、通信不通15.1%、ガス支障率52.5%。さらに、荒川氾濫時は0.5~3mの浸水を想定している。

「マンションの場合は在宅避難が基本です。こうしたデータを踏まえて、7日分の食料・水、生活必需品の備蓄、電力などの確保の重要性をお伝えしました。グループディスカッションでは、4~5人のグループに別れていただき、セミナーの感想や在宅避難で取り組みたいことなどを共有しています」

さらに、マンション防災にあたっては「住民同士や地域とのつながり」が重要だということも入居予定の住民に訴えた。今後は、町内会とマンション住民が共同で地区防災計画も作成する予定だ。町内会の賛同はすでに得ており、あとは進めるだけ。作成会議は4月から始まるが、セミナー参加者の76.9%が「地区防災計画の作成に参加したい」と回答した。

まちとつながっておくことで助かる命がある

新たに街に入ってくる分譲マンションの住民、のちにマンション管理組合となる側が、元から住む町内会を巻き込んで防災対策を考える試みもなかなか珍しい。マンション住民は在宅避難が基本なのに、なぜ町内会とのつながりが重要なのだろう。

「例えば、行政から地域への支援物資はすべて避難所に届けられます。でも、マンションにお住まいの方はその情報を得る術がありません。それに、避難所を運営しているのが町会の役員の方が多く、特に切羽詰まった状況下では限られた物資をどうしても顔見知りに優先して渡したい心情が働くものです。日ごろから接点をつくっておかないと、足を運んだところで、『あなた、誰?』となってしまいます。大げさに言えば、町とつながっておくことで助かる命があるということです」

「イニシア日暮里テラス」の共用ラウンジイメージ写真(写真提供/コスモスイニシア)

「イニシア日暮里テラス」の共用ラウンジイメージ写真(写真提供/コスモスイニシア)

管理組合が発足後には「マンション防災マニュアル」の作成に取り掛かる予定だ。在宅避難となるマンションは住民同士の共助がより必要となる。その際の役割分担や初期行動について協議するという。

「この取り組みが成功したら、今後の新築マンションでも取り入れたい」と田脇さん。

まちとマンションがつながることで、防災対策の強度は大きく増すだろう。マンションの住民は災害時の安心材料を得られる。高齢化が進む町内会に若い住民が加わることは地域の活性化につながる。まちとマンションのあり方を考える良い事例となりそうだ。

●取材協力
イニシア日暮里プロジェクト(株式会社コスモスイニシア)
百年防災社

コロナ影響でどうなる? 2021年の不動産市場の行方

2020年は新型コロナウイルスが、日本はもちろん世界中を席巻。多くの国で感染者数・死者数が爆発的に増加する中、日本では相対的に見れば影響は大きくなく、各国がロックダウン(都市封鎖)といった厳しい措置を複数回にわたってとる中、「緊急事態宣言」といった相対的に緩やかな措置でした。

こうしたなか欧州や米国の大都市部ではコロナで不動産取引に急ブレーキ。例えばニューヨークなどでは中心部から都市郊外へと大移動する流れが発生、中心部の取引が激減し、郊外の売買・賃貸市場が活発化しました。

コロナ禍でも利便性を重視する傾向が強まる日本

一方日本では都心部・都市部から都市郊外・地方へ移住といった動きは限定的でした。不動産情報検索サイトによれば、昨年4~5月の緊急事態宣言中には検索範囲が郊外や地方物件へと拡大し、情報閲覧や資料請求なども増加したものの、緊急事態宣言が解かれるとその傾向も弱まっていったとのこと。むしろ「密を避けるため公共交通の利用を極力避けたい」「通勤時間のムダを削減したい」などの理由から、通勤や買物利便性を重視する傾向が強まり、折からの低金利も手伝って「都心」「駅前・駅近」「大規模」「タワー」などのワードに代表される、比較的高額な物件の取引が活発です。 また都市郊外では2~3LDKの賃貸から4LDKの新築中古一戸建てに引越すといった動きも活発化。住宅市場全体が年々縮小を続ける中、コロナ後に顕著に見られた動きはこうしたものです。

昨年の緊急事態宣言中には日経平均株価も一時、1万6000円台へと大暴落し、各地の不動産取引数も前年比40~50%減となったものの「投げ売り」は起きず価格に大きな変化は見られませんでした。2008年のリーマン・ショック時には多くの新築マンション・一戸建ての事業者が千万単位の値引き販売をして在庫処分を進め、それでも持ちこたえることができず多くが破綻、中古市場もつられて暴落しました。

2021年の不動産市場は「3極化」がますます加速

翻って2020年5月25日、緊急事態宣言が解除されると、それまで滞留していた需要を補って余りある需要が噴き出す形で都市部の不動産取引は新築・中古・マンション・一戸建てのいずれも急回復しています。とりわけ東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷区)などの中古マンション成約平米単価はここまで一貫して上昇基調にあります。また新規売出しが少ないことも手伝って在庫も減少していることから、さらなる上値圧力すら感じられるといった状況です。

都心3区中古マンションの「在庫数」と「成約単価」

また他の先進国に比して日本の不動産は相対的に割安感があり、コロナの影響が小さく海外投資家にも注目されており、今後分かっているだけでも兆円単位のマネーが流入する見込み。ただしこうした動きは都心部・大都市部が中心で、2021年の不動産市場は「3極化」がますます加速する一年となりそうです。全国レベルで見れば、2019年10月の消費税増税以降、新築・中古・マンション・一戸建てとも取引は低調でした。

2021年はいきなり1都3県(東京都・神奈川・埼玉・千葉県)を対象とした「緊急事態宣言」がスタートしましたが、昨年大きく下落した日経平均とは異なり、目立った株価の反応はありません。また前回は新築マンションのモデルルームが閉鎖されたり、工事現場がストップしましたが、現在では多くのモデルルームや工事現場においてコロナ対応が進んでおり、前回のような滞りは起きにくくなっています。したがって今回も、緊急事態宣言中において取引数がマイナスに振れることはあっても、投げ売りによる価格下落も起こりにくく、緊急事態宣言が解除された後の取引は通常運転に戻るでしょう。もちろんそのゆくえはコロナ次第であり、現在予定されている2月7日までの緊急事態宣言が大幅に長引くようなことになればその限りではありません。

つまり、日経平均株価が安泰である限り「都心・大都市部」「駅前・駅近」「大規模」「タワー」といったワードに代表される好立地かつ高額物件や郊外で値ごろ感のある新築・中古・マンション・一戸建てなどは好調で、一方で「立地に難のあるもの」はことごとく厳しいといったことになりそうです。

住宅は長期的にニーズのある物件を吟味した上で取得することが大切

「日経平均株価」 と 「都心3区中古マンション成約平米単価」

定量的なデータこそありませんが、史上最高値を更新し続けているビットコインやイーサリアムといった仮想通貨や、コロナ後に大幅上昇した株式を売って不動産購入の頭金にしたという話もちらほら聞くようになりました。加えて歴史的な低金利は続いており、形式的には1980年代後半のバブル経済に近い状況と言えるでしょう。実体経済とは無関係に株や不動産などの資産価格が上昇し「上がるから買う」「買うから上がる」を繰り返す「期待」がバロメータとなり、天井が見えない資産バブルが発生するといった流れです。

時限的に控除期間が10年から13年に延長されている住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)をはじめとする各種の税制優遇は昨年に続き適用される見込み、そして何より低金利と、住宅取得環境は整っていると言えます。一方で長期的に見れば人口・世帯数減が必至な日本において住宅需要全体がしぼむ中、利便性や災害可能性を考慮した立地、耐震性や省エネ性など建物の基本性能など長期的にニーズのある物件を吟味した上で選択する、といった慎重姿勢も求められることになるでしょう。

あなたは「旧耐震マンション」の建築時期を知っていますか?

マグニチュード8.0以上、あるいは震度7以上の大地震が日本のここかしこで起こっている。そして近い将来、南海トラフ巨大地震、首都直下地震が起こる可能性も大いにある。そんな中、マイホームの耐震性はとかく気になるもの。住宅購入検討者の約4人に3人が旧耐震マンションを選ばないようにしているという調査結果を受けて、マンションの旧耐震と新耐震についてあらためて掘り下げてみたい。
約4割が旧耐震マンションの建築時期を知らなかった

まず、建築基準法の改正によって、建物の耐震基準が厳しくなったのを境に、それ以より前の耐震基準を「旧耐震基準」、それ以後の耐震基準を「新耐震基準」と呼ぶことは、ご存じだろうか? 知っている人の中でも、いつを境に基準が厳しくなったのかという境目の時期まで、厳密な意味で分かる人はさほど多くないのではないだろうか?

リニュアル仲介株式会社がサービス利用者(住宅購入検討者)を対象に行った調査で、基準が厳しくなった時期を知っているかどうかを尋ねたところ、「はい」、つまり、知っていると回答したのは全体の58.3%。残りの41.7%は知らないという結果になった。

約6割が旧耐震基準の建築確認申請時期を知っており、年代による違いはほとんどなかった(リニュアル仲介株式会社「マンションの耐震性に関するアンケート」(2019年8月22日~24日実施・リニュアル仲介「物件提案ロボ」利用者対象・回答者数501名・以下同)

約6割が旧耐震基準の建築確認申請時期を知っており、年代による違いはほとんどなかった(リニュアル仲介株式会社「マンションの耐震性に関するアンケート」(2019年8月22日~24日実施・リニュアル仲介「物件提案ロボ」利用者対象・回答者数501名・以下同)

では、「基準が厳しくなった時期」の正解はというと、答えは昭和56年(1981年)6月。この年の6月に建築基準法が大きく改正され、建物の耐震強度の最低基準が引き上げられたからだ。そのため、建築確認済証の日付が6月1日以降になっている建物は「新耐震基準」、それより前の建物は「旧耐震基準」と呼ばれることになった。つまり、建築確認済証の交付がこの年の6月1日より前か後かで、基準となっている耐震強度が異なることになるのだ。

ここで注意したいのが、境目となるのが「建築確認済証の交付時期」だということ。マンションは建築確認の申請を経て建築が始まるため、「うちのマンションは昭和57年(1982年)3月に完成しているから新耐震基準で建てられているはずだ」などと考えるのは早計で、昭和57年に完成していたとしても、建築確認済証の交付時期が昭和56年(1981年)6月よりも前だったマンションは決して少なくない。旧耐震か新耐震かを確かめるには、完成時期ではなく、建築確認済証の交付時期をチェックする必要があるのだ。

なお、耐震基準は、その10年前の昭和46年(1971年)5月にも強化されており、この時期よりも前のマンションは、さらに基準が緩かったことになる。

マイホーム購入検討者の4人に3人が旧耐震マンションを避けている

調査では、「マンションを購入すると仮定した場合、立地が良ければ、旧耐震基準のマンションでも構わないか、あるいは立地が良くても、旧耐震基準のマンションは避けるか」という質問で、旧耐震基準マンションの購入意向も尋ねているが、その質問に対しては、76.0%、つまり約4人に3人が「避ける」と回答。特に、若い世代と高齢の世代で、旧耐震マンションを避ける傾向が顕著に表れた。

全体の76.0%が、「立地が良くても、旧耐震基準のマンションは避ける」と回答。20代、30代、60代以上では、8割以上が避けると答える結果になった

全体の76.0%が、「立地が良くても、旧耐震基準のマンションは避ける」と回答。20代、30代、60代以上では、8割以上が避けると答える結果になった

ただし、ここで注意したいのは、旧耐震マンションだから耐震性能が新耐震マンションよりも劣っていると考えるのは、それこそ早計という点だ。それは、旧耐震基準の時期に建てられたマンションでも、新耐震基準を上回るような強度で建てられたマンションも存在するからだ。特に、ヴィンテージマンションと呼ばれる物件には、その傾向が強い。

また、旧耐震マンションの中には、大規模修繕時などに耐震補強を施されたことで、新耐震基準を満たしているものもある。耐震補強が行われるようなマンションは、管理組合がきちんと機能していて管理が充実している傾向があり、一概に旧耐震の時代に建てられたから悪い、と言い切れるものではなさそうだ。

つまり、新耐震か旧耐震かは、中古マンションを選ぶ際のひとつの目安にはなるが、同時にあくまでも目安にすぎないということ。最後は物件ごとに判断するのが賢明なようだ。

旧耐震基準マンションは、今あるマンション全体の約16%

では、今、日本にあるマンションのうち、どのくらいが旧耐震基準で建てられているのだろうか?

国土交通省が公表している分譲マンションストック戸数は、平成30年(2018年)末の時点で約654.7万戸。うち、旧耐震基準で建てられたマンションは約104万戸であることから、旧耐震基準のマンションの比率は約16%だ。平成25年(2013年)末時点では、分譲マンションストック約601万戸に対して、旧耐震基準のマンションは約106万戸であり、旧耐震基準マンションの比率は18%であったことから、旧耐震基準のマンションは、この5年間で数でも比率でも減っていることが分かる。

平成30年(2018年)末時点のマンションストック総数は約654.7万戸であり、増加中。一方、旧耐震基準ストックは約104万戸で減少傾向だ(出典:国土交通省「分譲マンションストック数」)

平成30年(2018年)末時点のマンションストック総数は約654.7万戸であり、増加中。一方、旧耐震基準ストックは約104万戸で減少傾向だ(出典:国土交通省「分譲マンションストック戸数」)

6年後に旧耐震基準のマンションはなくなる?

国土交通省「住生活基本計画(全国計画)」(計画期間:平成28年度~平成37年度)では、計画策定時である平成25年(2013年)12月末時点の旧耐震住宅の比率を18%と示した上で、12年後の令和7年(2025年)にはこの旧耐震基準の住宅(一戸建て含む)をおおむね解消することを成果指標としていた。その達成のために、計画の目標を、「多数の区分所有者の合意形成という特有の難しさを抱える老朽化マンションの建替え・改修を促進し、耐震性等の安全性や質の向上を図る」と設定。「マンション耐震化マニュアル」を作成するなどして、建て替えと耐震改修の両輪で耐震化を促進している。

旧耐震基準ストックは、平成30年(2018年)末時点では約16%に減っているので、2013年末からの5年間でマイナス2%を達成できたということになる。問題は、残りの年数でこれがゼロになるのかどうかだ。東京都「マンション実態調査結果」(平成25年3月)では、旧耐震基準マンションのうち、耐震診断を実施していないマンションは82.9%。そして、耐震改修を実施したのは、5.9%とごくわずかだ。建て替えもそうだが、こうした耐震改修のスピードアップが課題となっているのは間違いないだろう。

この記事を読むと、これから中古マンションを買う人は、検討物件が旧耐震基準マンションか新耐震基準マンションかが気になることだろう。旧耐震基準マンションであれば、もともと十分な耐震性能を備えているか、もしくは耐震改修を施しているかどうかを確認するのが望ましい。
そして、すでに中古マンションを所有している人は、自分のマンションが旧耐震か新耐震かを確認してみよう。旧耐震基準マンションだった場合は、管理組合に積極的に参加することによって、耐震診断や耐震改修の提案をすることもできるだろう。耐震基準に対する意識の高まりが、より安全で安心なマンション生活につながることを期待したい。

●参考
・「マンションの耐震性に関するアンケート」住宅購入意識調査(リニュアル仲介株式会社)

近畿圏の新築マンション、契約率は2カ月連続で8割超

(株)不動産経済研究所はこのたび、2019年8月度「近畿圏のマンション市場動向」を発表した。それによると、8月の新規発売戸数は1,341戸。対前年同月(1,378戸)比2.7%減、対前月(1,788戸)比25.0%減となった。 地域別発売戸数は、大阪市部が792戸(全体比59.1%)、大阪府下277戸(同20.7%)、神戸市部87戸(同6.5%)、兵庫県下68戸(同5.1%)、京都市部83戸(同6.2%)、京都府下4戸(同0.3%)、奈良県19戸(同1.4%)、滋賀県11戸(同0.8%)、和歌山県での発売はなし。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,138戸で月間契約率は84.9%、2カ月連続で8割を超えた。前月の83.1%に比べると1.8ポイントアップ、前年同月の80.6%に比べると4.3ポイントアップした。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、3,054万円、65.5万円。2019年7月は4,713万円、76.0万円だったので、前月比総額では1,659万円(35.2%)ダウン、m2単価は10.5万円(13.8%)ダウン。

即日完売物件は36戸(全体の2.7%)で、【フラット35】登録物件戸数は630戸(同47.0%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

8月の首都圏マンション、新規発売は21.1%増

(株)不動産経済研究所はこのたび、2019年8月度「首都圏のマンション市場動向」を発表した。それによると、8月の新規発売戸数は1,819戸。対前年同月(1,502戸)比21.1%増、対前月(1,932戸)比5.8%減となった。 地域別発売戸数は、東京都区部が1,201戸(全体比66.0%)、都下129戸(同7.1%)、神奈川県374戸(同20.6%)、埼玉県63戸(同3.5%)、千葉県52戸(同2.9%)。東京都のシェアは73.1%だった。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,371戸で、月間契約率は75.4%。前月の67.9%に比べると7.5ポイントアップ、前年同月の64.5%に比べると10.9ポイントアップしている。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、6,405万円、89.5万円。2019年7月は5,676万円、86.0万円だったので、前月比総額では729万円(12.8%)アップ、平米単価は3.5万円(4.1%)アップ。地域別平均価格、1平米あたりの分譲単価は、東京都区部が7,173万円、98.5万円。都下5,990万円、92.0万円。神奈川県4,649万円、66.7万円。埼玉県4,915万円、70.0万円。千葉県4,121万円、57.2万円。

即日完売は11戸(全体の0.6%)で、【フラット35】登録物件戸数は1,728戸(同95.0%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

首都圏新築マンション、平均価格5,676万円で下落

(株)不動産経済研究所はこのたび、2019年7月度「首都圏のマンション市場動向」を発表した。それによると、7月の首都圏マンション新規発売戸数は1,932戸。対前年同月(2,986戸)比35.3%減、対前月(2,259戸)比14.5%減だった。

地域別発売戸数は、東京都区部が922戸(全体比47.7%)、都下187戸(同9.7%)、神奈川県361戸(同18.7%)、埼玉県268戸(同13.9%)、千葉県194戸(同10.0%)。東京都のシェアは57.4%。新規発売戸数に対する契約戸数は1,311戸で、月間契約率は67.9%。前月の65.9%に比べて2.0ポイントアップした。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、5,676万円、86.0万円。2019年6月は5,964万円、91.9万円だったので、前月比総額では288万円(4.8%)ダウン、m2単価は5.9万円(6.4%)ダウン。

即日完売物件はなし。【フラット35】登録物件戸数は1,880戸(同97.3%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

首都圏新築マンション、平均価格5,676万円で下落

(株)不動産経済研究所はこのたび、2019年7月度「首都圏のマンション市場動向」を発表した。それによると、7月の首都圏マンション新規発売戸数は1,932戸。対前年同月(2,986戸)比35.3%減、対前月(2,259戸)比14.5%減だった。

地域別発売戸数は、東京都区部が922戸(全体比47.7%)、都下187戸(同9.7%)、神奈川県361戸(同18.7%)、埼玉県268戸(同13.9%)、千葉県194戸(同10.0%)。東京都のシェアは57.4%。新規発売戸数に対する契約戸数は1,311戸で、月間契約率は67.9%。前月の65.9%に比べて2.0ポイントアップした。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、5,676万円、86.0万円。2019年6月は5,964万円、91.9万円だったので、前月比総額では288万円(4.8%)ダウン、m2単価は5.9万円(6.4%)ダウン。

即日完売物件はなし。【フラット35】登録物件戸数は1,880戸(同97.3%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

近畿圏の新築マンション、月間契約率83.1%と好調

(株)不動産経済研究所はこのたび、2019年7月度「近畿圏のマンション市場動向」を発表した。それによると、7月の近畿圏マンション新規発売戸数は1,788戸。対前年同月(1,514戸)比18.1%増、対前月(1,500戸)比19.2%増だった。

地域別発売戸数は、大阪市部が970戸(全体比54.3%)、大阪府下404戸(同22.6%)、神戸市部34戸(同1.9%)、兵庫県下204戸(同11.4%)、京都市部74戸(同4.1%)、奈良県12戸(同0.7%)、滋賀県90戸(同5.0%)、京都府下、和歌山県での発売はなし。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,485戸で、月間契約率は83.1%。前月の73.3%に比べて9.8ポイントアップ、前年同月の74.0%に比べて9.1ポイントアップと好調。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、4,713万円、76.0万円。2019年6月は3,364万円、65.3万円だったので、前月比総額では1,349万円(40.1%)アップ、m2単価は10.7万円(16.4%)アップ。

即日完売物件は185戸(全体の10.3%)で、【フラット35】登録物件戸数は1,363戸(同76.2%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

近畿圏の新築マンション、月間契約率83.1%と好調

(株)不動産経済研究所はこのたび、2019年7月度「近畿圏のマンション市場動向」を発表した。それによると、7月の近畿圏マンション新規発売戸数は1,788戸。対前年同月(1,514戸)比18.1%増、対前月(1,500戸)比19.2%増だった。

地域別発売戸数は、大阪市部が970戸(全体比54.3%)、大阪府下404戸(同22.6%)、神戸市部34戸(同1.9%)、兵庫県下204戸(同11.4%)、京都市部74戸(同4.1%)、奈良県12戸(同0.7%)、滋賀県90戸(同5.0%)、京都府下、和歌山県での発売はなし。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,485戸で、月間契約率は83.1%。前月の73.3%に比べて9.8ポイントアップ、前年同月の74.0%に比べて9.1ポイントアップと好調。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、4,713万円、76.0万円。2019年6月は3,364万円、65.3万円だったので、前月比総額では1,349万円(40.1%)アップ、m2単価は10.7万円(16.4%)アップ。

即日完売物件は185戸(全体の10.3%)で、【フラット35】登録物件戸数は1,363戸(同76.2%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

「HARUMI FLAG」第1期販売、最高倍率は71倍

中央区晴海で開発が進む「HARUMI FLAG」、その第1期販売が7月26日(金)から8月4日(日)まで行われた。
「HARUMI FLAG」は、総開発面積133,906.26m2。住宅5,632戸(分譲住宅街区4,145戸、賃貸住宅街区1,487戸)、店舗・保育施設(区画数未定)、商業施設から構成される。オフィシャルサイトを開設した2018年10月31日から23,300件を超えるエントリーがあり、本年4月27日(土)に開設したパビリオンの見学者数も5,100組を超えるなど、販売前から注目されていた大規模プロジェクトだ。

第1期では、「SEA VILLAGE(A棟・B棟・D棟)」から211戸、「PARK VILLAGE(A棟・B棟・C棟・F棟)」から389戸、2019年首都圏最多とされる600戸を供給。結果、登録申込数は1,543組で最高倍率は71倍、平均倍率は約2.57倍となった。

登録申込者は30代が31%、40代も31%と、30代・40代で6割を占めた。属性は会社員が58%、会社経営者・役員が26%など。

三方向が海に囲まれ、レインボーブリッジなどを見渡すことができる「眺望の良さ」、都心6区の平均専有面積より20m2以上も広い「ゆとりあるプラン」、銀座へ約2.5km・中央区晴海という「利便性の高い立地」などが、主に評価されたという。

ニュース情報元:野村不動産(株)

首都圏新築マンション坪単価、2018年は313.4万円

(株)東京カンテイはこのたび、「新築・築10年中古マンションの坪単価推移(首都圏)」を発表した。それによると、1980年~2018年の間での首都圏新築マンション平均坪単価で、最初のピークを迎えたのは1990年。東京都の坪単価は464.1万円と、全ての都道府県の中で最も高い値を示した。神奈川県においても347.5万円と高い水準で、坪単価が300万円を上回っていたのは京都府を加えた3地域のみだった。

次に価格のピークを形成していたのは、2008年前後のミニバブル期。しかし90年代バブル期のピークには程遠く、その後の景気後退や東日本大震災などによる影響もあり、新築マンション価格は横ばい~弱含みで推移している。

2013年に入ると、政府による金融・経済政策が奏功して景況感が改善。住宅取得支援策の拡充がマンション購入を後押しする形となり、価格は上昇トレンドへと移行。価格水準はミニバブル期のピークを早々に上回り、2018年時点においては90年代バブル期のピーク時に比べて8割~9割程度の水準まで迫り、首都圏平均坪単価は313.4万円、東京都は360.5万円。

築10年中古マンション平均坪単価においては、新築マンションと連動する形を示しており、最初のピークは1990年。東京都の坪単価は459.9万円と、バブル期特有のマンションニーズの高さから新築マンションと遜色ない水準まで上昇していた。また、新築・築10年中古マンションの坪単価の差は、2018年時点では概ね70万円~90万円の範囲に収まっているが、新築に対する中古の割安感では、東京都と千葉県で20ポイント近い差が生じている。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

近畿圏新築マンション坪単価、2018年は226.7万円

(株)東京カンテイはこのたび、「新築・築10年中古マンションの坪単価推移(近畿圏)」を発表した。それによると、1980年~2018年の間での近畿圏における新築マンション平均坪単価で、最初のピークを迎えたのは1990年~1991年。最も坪単価が高かったのは京都府の319.6万円だった。大阪府も281.1万円と高水準。滋賀県・奈良県・和歌山県はいずれも180万円前後の水準に留まっていた。

2000年代の前半には価格の大底圏を迎えていたが、その後は2008年前後のミニバブル期や2013年以降の価格高騰局面でそれぞれ段階的に価格水準が高まっている。2018年時点においては、近畿圏全体では226.7万円、大阪府は234.3万円。兵庫県と和歌山県の価格は90年代バブル期のピークを僅かながら超え、それぞれ216.2万円、179.7万円。滋賀県(176.3万円)や奈良県(172.4万円)でも遜色ない水準まで上昇している。

築10年中古マンションの平均坪単価では、最初のピークは1990年。最も坪単価が高かったのは大阪府の285.9万円で、同年の新築価格(281.1万円)を僅かに上回った。これらはバブル期特有の需給逼迫が影響した結果であるとみられる。

バブル崩壊後は不動産デフレによって価格水準が下がり続けていた中古マンションだが、2000年代の後半からは2008年前後のミニバブル期、2013年以降の価格高騰期を経て再び価格水準が押し上がってきている。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

高額マンションランキング、新築価格トップは「有栖川ヒルズ」

(株)東京カンテイはこのたび、「全国 高額マンションランキング(新築価格)」を公表した。それによると、1位には東京・港区の「有栖川ヒルズ」がランクイン。同物件は(株)日計が分譲した1991年竣工の6階建て・総戸数14戸、平均専有面積235.92m2の広さを有する。一住戸あたりの平均分譲価格は21億315万円にも及び、平均坪単価は2,947万円。

2位には東京・港区の「ドムス南青山」(1988年竣工)が、平均坪単価2,913万円でランクイン。3位には東京・渋谷区の「アルティーム原宿」(1992年竣工)が、平均坪単価2,798万円で続く。

上位50物件は、すべてバブル期(1986年~1992年)の分譲物件であり、分譲価格が異常なまでに高騰した時期の記録的な数字ばかりが並ぶ結果となった。また、トップ50のうち49物件は東京都に立地しており、「麻布」「青山」「赤坂」「広尾」「松濤」などの高級住宅地を擁する「港区」と「渋谷区」に集中している。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

首都圏上半期のマンション供給戸数、前年同期比13.3%減

(株)長谷工総合研究所はこのほど、2019年上半期「首都圏・近畿圏分譲マンション市場動向」を公表した。それによると、首都圏における上半期の新規供給戸数は1,002件の1万3,436戸、前年同期比13.3%減となった。1回当たりの供給戸数が10戸未満の小分け供給物件が651件を占め、構成比は65.0%だった。

地域別の供給状況は、さいたま市、千葉市、横浜・川崎市以外の神奈川県は前年同期を上回った。その他の地域は前年同期を下回り、都内23区、都下、千葉市以外の千葉県では大幅に減少している。

近畿圏上半期の新規供給戸数は581件の7,514戸、前年同期比17.3%減。高水準の供給が継続していたワンルームマンションの供給戸数は26物件1,761戸にとどまり、前年同期(32物件2,776戸)を大きく下回った。また、首都圏と同様、10戸未満の供給にとどまる小分け供給物件が中心で、581件中387件、構成比では66.6%を占めた。

近畿圏の初月販売率は74.0%となり、前年同期(74.1%)並。ワンルームマンションを除いた初月販売率も71.4%と前年(69.5%)を上回り、2年ぶりに70%台に回復した。

ニュース情報元:(株)長谷工総合研究所

白金一丁目の再開発事業「白金ザ・スカイ」着工

(株)長谷工コーポレーション、東京建物(株)、住友不動産(株)、野村不動産(株)、三井不動産レジデンシャル(株)が参画する「白金一丁目東部北地区市街地再開発組合」は、8月1日、大規模複合開発「SHIROKANE TheSKY(白金ザ・スカイ)」を着工する。事業地は東京都港区白金一丁目、東京メトロ・都営地下鉄「白金高輪」駅徒歩3分。既存の工場や事務所、店舗、病院等の都市機能の維持と更新を図りつつ、“住・商・工・医”が一体となった地域の新たなランドマークとして、街の魅力を向上させるべく大規模な再開発を行う。

白金エリアは、「広尾」「恵比寿」「六本木」に近接。周辺には創業100年を超える老舗が並ぶ白金商店街があり、「慶応義塾幼稚舎」「北里大学」「明治学院大学」などの教育施設が位置する文教地区でもある。しかし、住宅・工場・事務所・生活利便施設等が混在し、建築物の老朽化、安全な歩行者空間の確保、古川の増水による浸水被害等、多くの課題を抱えていた。

今回の再開発では、敷地規模を活かして街区再編と土地利用の整序・集約化により新たな建物を3棟建設し、「住宅」「商業」「工場」「医療施設」が調和した複合市街地を実現する。

東棟(地上45階建て)と西棟(地上19階建て)には、多様な世代に対応する分譲住宅を中心に、低層部(1,2階)に商業施設や子育て支援施設を整備。また、低層棟(地上4階建て)には、地域産業の発展を支えてきた事務所・工場機能と、地域住民等の健康に寄与してきた医療施設を集約する。

ほかにも、幹線道路沿道の電線類の地中化、道路の拡幅や歩行者空間の拡充、防災機能を備えた中央広場等を整備する。建物完成は2022年12月の予定。

ニュース情報元:野村不動産(株)

上半期の首都圏マンション、平均価格は7年連続上昇

(株)不動産経済研究所はこのたび、2019年上半期(1~6月)の「首都圏マンション市場動向」を発表した。それによると、上半期のマンション新規供給戸数は、対前年同期比13.3%減の1万3,436戸。上期としては3年ぶりの減少となった。地区別供給戸数は、東京都区部が5,465戸(シェア40.7%)、東京都下1,280戸(同9.5%)、神奈川県3,328戸(同24.8%)、埼玉県1,975戸(同14.7%)、千葉県1,388戸(同10.3%)。東京都全域では6,745戸でシェアは50.2%だった。

1戸当たりの平均価格は6,137万円、7年連続アップで6,000万円台となった。前年同期は5,962万円だったので、戸当たりで175万円(2.9%)上昇している。

初月契約率の平均は66.5%で、前年同期の66.7%に比べて0.2ポイントダウン。上半期としては4年連続の60%台。総契約戸数(2018年末の継続販売戸数を含む)は1万5,550戸で、前年同期の1万6,242戸を692戸(4.3%)下回った。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

上半期の近畿圏マンション、新規販売戸数は1992年以来の低水準

(株)不動産経済研究所はこのたび、2019年上半期(1~6月)の「近畿圏マンション市場動向」を発表した。それによると、上半期のマンション新規販売戸数は、対前年同期比17.3%減の7,514戸。1992年以来の低水準となった。地域別発売戸数は、大阪市部が3,604戸(前年同期3,861戸)、大阪府下1,817戸(同2,092戸)、神戸市部696戸(同1,568戸)、兵庫県下693戸(同630戸)、京都市部429戸(同485戸)、京都府下18戸(同64戸)、奈良県40戸(同152戸)、滋賀県197戸(同213戸)、和歌山県20戸(同22戸)。

1戸当たりの平均価格は3,853万円、m2単価は65.3万円。前年同期は3,763万円、64.5万円だったので、前年同期比総額では90万円(2.4%)のアップ、m2単価では0.8万円(1.2%)アップした。

平均月間契約率は74.0%で、前年同期の74.1%に比べて0.1ポイントダウンしたが、好調を維持。総契約戸数(2018年末の継続販売戸数を含む)は8,120戸、前年同期実績の総契約戸数9,328戸を1,208戸(13.0%)下回った。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

首都圏マンション市場、新規発売は前年同月比15.0%減

(株)不動産経済研究所は7月18日、2019年6月度「首都圏のマンション市場動向」を発表した。それによると、6月の新規発売戸数は2,259戸。対前年同月(2,659戸)比15.0%減、対前月(2,206戸)比2.4%増となった。

地域別発売戸数は、東京都区部が892戸(全体比39.5%)、都下137戸(同6.1%)、神奈川県617戸(同27.3%)、埼玉県290戸(同12.8%)、千葉県323戸(同14.3%)。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,488戸で、月間契約率は65.9%。前月の60.0%に比べて5.9ポイントアップした。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、5,964万円、91.9万円。2019年5月は6,093万円、89.4万円だったので、前月比総額では129万円(2.1%)のダウン、m2単価は2.5万円(2.8%)アップ。

即日完売は14戸(全体の0.6%)で、【フラット35】登録物件戸数は2,189戸(同96.9%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

近畿圏マンション市場、月間契約率が70%台に回復

(株)不動産経済研究所は7月18日、2019年6月度「近畿圏のマンション市場動向」を発表した。
それによると、6月の新規発売戸数は1,500戸。対前年同月(1,211戸)比23.9%増、対前月(1,388戸)比8.1%増となった。

地域別発売戸数は、大阪市部が754戸(全体比50.3%)、大阪府下420戸(同28.0%)、神戸市部27戸(同1.8%)、兵庫県下56戸(同3.7%)、京都市部182戸(同12.1%)、京都府下9戸(同0.6%)、奈良県15戸(同1.0%)、滋賀県36戸(同2.4%)、和歌山県1戸(同0.1%)。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,100戸で、月間契約率は73.3%。前月の67.7%に比べて5.6ポイントアップし、70%台に回復した。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、3,364万円、65.3万円。2019年5月は4,152万円、64.3万円だったので、前月比総額では788万円(19.0%)のダウン、m2単価は1.0万円(1.6%)アップした。

即日完売物件は55戸(全体の3.7%)で、【フラット35】登録物件戸数は750戸(同50.0%)。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

首都圏マンション市場、新規発売は都区部が大きく減少

(株)不動産経済研究所は6月17日、2019年5月度「首都圏のマンション市場動向」を発表した。それによると、5月の新規発売戸数は2,206戸。対前年同月(2,462戸)比10.4%減、対前月(1,421戸)比55.2%増となった。

地域別発売戸数をみると、東京都区部は781戸(全体比35.4%)で前年同月比36.3%減と大きく減少。都下は344戸(同15.6%)で同48.3%増、神奈川県は476戸(同21.6%)で同23.3%増。埼玉県は275戸(同12.5%)で同0.7%増、千葉県は330戸(同15.0%)で同4.3%減。東京都のシェアは51.0%だった。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,323戸で、月間契約率は60.0%。前月の64.3%に比べて4.3ポイントダウン、前年同月の62.2%に比べて2.2ポイントダウン。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、6,093万円、89.4万円。2019年4月は5,895万円、93.1万円だったので、前月比総額では198万円(3.4%)のアップ、m2単価は3.7万円(4.0%)ダウンしている。

即日完売は22戸(全体の1.0%)で、【フラット35】登録物件戸数は2,095戸(同95.0%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

近畿圏マンション市場、契約率が12カ月ぶりに70%を下回る

(株)不動産経済研究所は6月17日、2019年5月度「近畿圏のマンション市場動向」を発表した。それによると、5月の新規発売戸数は1,388戸。対前年同月(1,480戸)比6.2%減、5カ月連続で前年同月を下回った。対前月(852戸)比は62.9%増。

地域別発売戸数は、大阪市部が750戸(全体比54.0%)、大阪府下281戸(同20.2%)、神戸市部111戸(同8.0%)、兵庫県下130戸(同9.4%)、京都市部62戸(同4.5%)、奈良県3戸(同0.2%)、滋賀県48戸(同3.5%)、和歌山県3戸(同0.2%)、京都府下での発売はなかった。

新規発売戸数に対する契約戸数は939戸で、月間契約率は67.7%。前月の75.9%に比べて8.2ポイントダウンし、12カ月ぶりに70%を下回った。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、4,152万円、64.3万円。2019年4月は3,358万円、65.8万円だったので、前月比総額では794万円(23.6%)のアップ、m2単価は1.5万円(2.3%)ダウン。

即日完売物件は38戸(全体の2.7%)で、【フラット35】登録物件戸数は1,102戸(同79.4%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

立石駅南口の再開発事業、葛飾区より都市計画決定

野村不動産(株)と阪急阪神不動産(株)が参画する「立石駅南口東地区第一種市街地再開発事業」が、6月3日付で葛飾区より都市計画決定の告示を受けた。
事業地は東京都葛飾区立石一丁目と立石四丁目の一部、施行区域面積は約1.0ha。同地区は葛飾区有数の商業集積を誇る街並みである一方、老朽化した建物が密集しており、狭隘道路が多数存在。防災面において課題があった。

再開発ではA敷地(約53,200m2)に高さ約125m、B敷地(1,500m2)に高さ約16mの建物を建設。「防災性の向上」「多世代居住の推進」「賑わいの創出」「持続可能な街づくり」をテーマに、住宅(約450戸予定)及び商業、業務、公益機能を整備し、地域の課題解決に寄与する。

2019年度に再開発組合(本組合)設立認可の予定。2021年度に施設建築物工事着手、竣工は2024年度を予定している。

ニュース情報元:野村不動産(株)

4月の住宅着工数、5か月ぶりの減少

国土交通省はこのたび、平成31年4月の住宅着工統計を発表した。それによると4月の住宅着工戸数は79,389戸で、前年同月比5.7%減、5か月ぶりの減少となった。利用関係別でみると、持家は前年同月比9.2%増の25,436戸、7か月連続の増加。貸家は同16.7%減の29,511戸、8か月連続の減少。

分譲住宅は同6.0%減の23,411戸、9か月ぶりの減少。そのうち、マンションは同15.1%減の10,480戸、9か月ぶりの減少。一戸建住宅は、同3.0%増の12,698戸、5か月連続の増加。一戸建住宅は増加したが、マンションが減少したため分譲住宅全体で減少となった。

ニュース情報元:国土交通省

一般社団法人仙台ママナビ、大手デベ4社とママ向けイベント

(一社)仙台ママナビ(宮城県仙台市)は、異なる3つの新築分譲マンションのモデルルームが1度に内覧できるイベント「笑顔で暮らしたいママのフェスタ in 青葉区」を、5月31日(金)と6月20日(木)、仙台市で開催する。今回見学できるのは、「ザ・パ ークハウス 仙台通町」(地下鉄南北線「北四番丁」駅徒歩9分、地上9階建・総戸数75戸)、「グランドメゾン勾当台通ザ・タワー」(地下鉄南北線「北四番丁」駅徒歩8分、地上24階建・総戸数92戸)、「ノブレス北仙台」(地下鉄南北線「北仙台」駅徒歩5分、地上14階建・総戸数50戸)のモデルルーム。1回約60分の団体ツアー形式で、販売員による接客もないため、気軽に見学できるイベントとして注目されている。

イベントには、積水ハウス(株)、三菱地所レジデンス(株)、ナイス(株)および東北ミサワホーム(株)といった大手デベロッパー4社が協力。現在、青葉区都心部では新築分譲マンションの供給が集中している。エリア内の複数物件の回遊を促し、平日の有閑モデルルームを活用することで、ママと素敵な住まいとの出会いの場を提供する。

当日は「プロ直伝!子育てママの家選びメソッド」「KO-Iスキルは親子の自己肯定感を育む」といったスペシャル講座や、占い・ワークショップ、多肉植物販売などの出展ブースもある。

会場は「フォレスト仙台」(地下鉄南北線「北四番丁」駅より徒歩約7分)。入退場は自由で参加費無料。9時半から12時半を予定している。

ニュース情報元:(一社)仙台ママナビ

首都圏マンション、契約率は60%台に

(株)不動産経済研究所はこのたび、2019年4月度「首都圏のマンション市場動向」を発表した。それによると、4月の新規発売戸数は1,421戸、対前年同月(2,342戸)比39.3%減、対前月(3,337戸)比57.4%減となった。

地域別の発売戸数は、東京都区部726戸(全体比51.1%)、都下169戸(同11.9%)、神奈川県306戸(同21.5%)、埼玉県122戸(同8.6%)、千葉県98戸(同6.9%)。東京都のシェアは63.0%だった。

新規発売戸数に対する契約戸数は914戸で、月間契約率は前月の72.2%から7.9ポイントダウンの64.3%。前年同月の63.0%に比べて1.3ポイントアップしている。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、5,895万円、93.1万円。2019年3月は6,552万円、94.7万円だったので、前月比総額では657万円(10.0%)ダウン、m2単価は1.6万円(1.7%)ダウン。

地域別平均価格、1m2当り分譲単価は、東京都区部6,856万円、114.7万円(1.4%アップ、10.2%アップ)、都下5,385万円、77.2万円(1.5%アップ、4.3%アップ)、神奈川県4,927万円、76.8万円(1.8%アップ、11.6%アップ)、埼玉県4,702万円、66.2万円(3.5%ダウン、2.4%ダウン)、千葉県4,162万円、63.1万円(4.2%アップ、18.2%アップ)。

即日完売は12戸(全体の0.8%)で、【フラット35】登録物件戸数は1,347戸(同94.8%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

近畿圏マンション、契約率は11カ月連続で70%超

(株)不動産経済研究所はこのたび、2019年4月度「近畿圏のマンション市場動向」を発表した。それによると、4月の新規発売戸数は852戸で、対前年同月(1,742戸)比51.1%減、対前月(1,449戸)比41.2%減と、大幅な減少となった。

地域別の発売戸数は、大阪市部で438戸(全体比51.4%)、大阪府下で210戸(同24.6%)、神戸市部81戸(同9.5%)、兵庫県下43戸(同5.0%)、京都市部57戸(同6.7%)、奈良県2戸(同0.2%)、滋賀県21戸(同2.5%)、京都府下、和歌山県での発売はなかった。

新規発売戸数に対する契約戸数は647戸で、月間契約率は75.9%。前月の80.6%に比べて4.7ポイントダウンしたが、11カ月連続で70%超と好調を維持。前年同月の71.0%に比べても4.9ポイントのアップとなっている。

また、1戸当り平均価格、1m2当り単価は、3,358万円、65.8万円。2019年3月は4,404万円、67.0万円だったので、前月比総額では1,046万円(23.8%)のダウン、m2単価は1.2万円(1.8%)ダウンしている。

即日完売は23戸(全体の2.7%)で、【フラット35】登録物件戸数は445戸(同52.2%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

2018年の首都圏新築マンション、最も割高感が強かった駅は「渋谷」

(株)東京カンテイはこのたび、首都圏における「2018年 新築マンションPER」を発表した。新築マンションPERは、分譲マンションの新築価格が、同じ駅勢圏の分譲マンション賃料の何年分に相当するかを求めた値。数値が低ければ賃料見合いでは割安で買いやすく、高ければ割高で買いにくいことを意味する。

それによると、2018年の首都圏平均は24.96(対象202駅)で、上昇が一服した前年から再び上振れる結果となった。分譲マンションの平均賃料(70m2換算)は前年比+7.4%の24万1,631円とさらに水準を高めたが、新築マンションの平均価格(70m2換算)は+9.9%の7,344万円と大幅に上昇し、回収に要する期間は前年よりも0.5年ほど伸びた。

首都圏で最もマンションPERが低かった(割安感が強かった)駅は、京王相模原線「京王多摩センター」の15.53。一方、最もマンションPERが高かった(割高感が強かった)駅は、JR山手線「渋谷」の41.21で、賃の料換算では首都圏平均と比較して回収に16年以上も余計にかかる計算となる。

前年に比べて最も割安感が強まった駅は、東京メトロ銀座線「青山一丁目」で、賃料換算での回収期間が22年以上も短くなった。一方、前年から最も割高感が強まった駅は、西武池袋線「所沢」で、回収までに賃料換算で30年以上の歳月を要する状況となっている。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

2018年の近畿圏新築マンション、割安感が強かった駅は「尼崎」

(株)東京カンテイはこのたび、近畿圏における「2018年 新築マンションPER」を発表した。新築マンションPERは、分譲マンションの新築価格が、同じ駅勢圏の分譲マンション賃料の何年分に相当するかを求めた値。数値が低ければ賃料見合いでは割安で買いやすく、高ければ割高で買いにくいことを意味する。

それによると、2018年の近畿圏平均は22.85(対象109駅)で前年から0.64ポイント上昇、2013年を境に数値が上がり続けている。分譲マンションの平均賃料(70m2換算)は前年比+1.4%の17万5,357円、新築マンションの平均価格(70m2換算)は+4.6%の4,803万円と、価格の方が上昇率で上回って賃料見合いでの割安感はさらに減退した。

近畿圏で最もマンションPERが低かった(割安感が強かった)駅は、JR神戸線「尼崎」の14.40。ターミナル駅のJR「大阪駅」まで2駅という至便性の良さから、月額賃料が近畿圏平均をやや上回る水準にありながらも、新築マンションの相場価格は従来からさほど高くはなく、隣接駅を含めて3,500万円前後の水準に留まっている。

一方、最もマンションPERが高かった(割高感が強かった)駅は、阪神本線「打出」の37.21。賃料換算では近畿圏平均と比較して回収までに14年以上も余計にかかる計算となる。

前年に比べて最も割安感が強まった駅は、京都市営地下鉄烏丸線「鞍馬口」で、賃料換算での回収期間が6年ほど短くなった。一方、前年から最も割高感が強まった駅は、JR神戸線「摂津本山」で、賃料換算で回収までに9年以上も余計にかかる状況となっている。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

中部圏新築マンションPER、最も高かった駅は「いりなか」

(株)東京カンテイはこのたび、中部圏における「2018年 新築マンションPER」を発表した。 新築マンションPERとは、分譲マンションの新築価格が、同じ駅勢圏の分譲マンション賃料の何年分に相当するかを求めた値。一般に、マンションPERが低ければ賃料見合いでは割安で買いやすく、反対に高ければ割高で買いにくいことを意味する。

それによると、中部圏平均は22.10(対象42駅)で、前年から0.44ポイント上昇した。新築マンションの平均価格(70m2換算)は前年比+6.6%の4,322万円、分譲マンションの平均賃料(70m2換算)は+4.7%の16万4,073円と、ともに上昇している。

中部圏で最もマンションPERが低かった(割安感が強かった)駅は、JR東海道本線「浜松」の13.75。一方、最もマンションPERが高かった(割高感が強かった)駅は、名古屋市営地下鉄鶴舞線「いりなか」の31.82。中部圏平均と比較して回収には10年近くも余計にかかる計算となる。

また、前年に比べて最も割安感が強まった駅は、近鉄名古屋線「近鉄富田」で、マンションPERは27.39から22.07となり、賃料換算での回収期間は5年ほど短くなっている。前年から最も割高感が強まった駅は、名古屋市営地下鉄鶴舞線「いりなか」で、マンションPERは21.62から31.82となり、2017年に比べて回収までに10年以上も余計にかかる状況となった。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

平成30年度の新設住宅着工戸数、前年度比0.7%増

国土交通省はこのたび、平成30年度の住宅着工統計を公表した。それによると、平成30年度の新設住宅着工戸数は95万2,936戸(前年度比0.7%増)、昨年度の減少から再びの増加となった。利用関係別でみると、持家は前年度比2.0%増の28万7,710戸、昨年度の減少から再び増加した。貸家は同4.9%減の39万93戸で2年連続の減少。

分譲住宅は同7.5%増の26万7,175戸で、昨年度の減少から再びの増加。そのうち、マンションは同10.5%増の11万9,683戸、3年ぶりの増加。一戸建住宅は同5.1%増の14万4,905戸、4年連続の増加となった。

ニュース情報元:国土交通省

中央区晴海に「HARUMI FLAG パビリオン」オープン

東京・中央区晴海の都市開発プロジェクト「HARUMI FLAG」、その魅力が体験できる販売センター「HARUMI FLAG パビリオン」が、4月27日(土)にオープンする。「HARUMI FLAG」は、約13haの土地に5,632戸の分譲住宅・賃貸住宅と商業施設を含めた24棟を建築、保育施設やシニア住宅なども取り入れ、人口約12,000人が住む街とする一大プロジェクト。三井不動産レジデンシャル(株)、野村不動産(株)、住友不動産(株)など、大手デベロッパー10社が事業参画している。

「レインボーブリッジ」など東京湾を一望でき、三方を海に囲まれた眺望、多様な世代・ライフスタイルに対応できる多彩な施設、平均専有面積約84m2(第一工区)の広々とした住戸など、これまでにない「東京の新しい暮らし・価値」を提供するプロジェクトとして注目されている。

今回オープンする「HARUMI FLAG パビリオン」では、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)などの最新技術で、「HARUMI FLAG」で実際に暮らしているかのような臨場感を体験することができる。

また、5つのレファレンスルームでは、60m2台から100m2を超えるものまで、多様な世代・ライフスタイルに対応した間取りが体感できる。

さらに、新たな交通機関「東京BRT」、新しい駅「マルチモビリティステーション」、共用スペースや施設の紹介、中庭空間の見どころなど、5つのコーナーにて街の魅力を分かりやすく解説する。

施設は、都営大江戸線「月島駅」徒歩9分、「勝どき駅」徒歩15分、東京メトロ有楽町線「豊洲駅」徒歩15分に立地。見学は完全予約制(定休日:火・水・木)。なお、住戸の第一期販売は7月下旬から開始する予定。

ニュース情報元:三井不動産レジデンシャル(株)

2018年首都圏マンション市場、初月契約率は3年連続60%台

(株)不動産経済研究所はこのたび、2018年度「首都圏マンション市場動向」を発表した。それによると、2018年度の新規供給戸数は3万6,641戸、対前年度(3万6,837戸)比0.5%(196戸)の減少となった。地区別供給戸数をみると、東京都区部は1万5,452戸(シェア42.2%)、東京都下3,395戸(同9.3%)、神奈川県8,284戸(同22.6%)、埼玉県4,868戸(同13.3%)、千葉県4,642戸(同12.7%)。東京都全域では1万8,847戸で、シェアは51.4%だった。

1戸当たりの平均価格、m2単価は5,927万円、87.5万円。2017年度は5,921万円、86.4万円だったので、前年度比で戸当たりは6万円(0.1%)上昇、単価は1.1万円(1.3%)の上昇。

地域別平均価格、m2単価は、東京都区部が7,320万円、116.2万円。都下5,304万円、75.4万円。神奈川県5,362万円、75.8万円。埼玉県4,493万円、64.2万円。千葉県4,254万円、57.4万円。神奈川県と千葉県が戸当たり、単価ともに下落した一方、都区部、都下、埼玉県は上昇している。

なお、2018年度の初月契約率の平均は62.0%で、前年度の68.8%に比べて6.8ポイントダウン。年度としては3年連続の60%台となった。即日完売戸数は1,219戸(発売戸数の3.3%)で、【フラット35】登録物件は3万4,844戸(同95.1%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

2018年近畿圏マンション市場、価格は3年ぶりの上昇

(株)不動産経済研究所はこのたび、2018年度「近畿圏のマンション市場動向」を発表した。それによると2018年度の新規販売戸数は2万78戸、対前年度(1万9,849戸)比1.2%(229戸)増となった。地域別発売戸数は、大阪市が8,759戸(前年度9,604戸)、大阪府下4,395戸(同3,966戸)、神戸市2,383戸(同1,806戸)、兵庫県下2,308戸(同1,737戸)、京都市1,114戸(同1,200戸)、京都府下47戸(同189戸)、奈良県257戸(同120戸)、滋賀県741戸(同1,031戸)、和歌山県74戸(同196戸)。

1戸当たりの平均価格、m2単価は3,903万円、66.3万円。前年度は3,846万円、63.6万円だったので、前年度比総額では57万円(1.5%)のアップ、m2単価では2.7万円(4.2%)のアップ。価格は3年ぶりの上昇、m2単価は6年連続の上昇となった。

地域別平均価格、1m2当たりの分譲単価では、大阪市3,609万円、78.0万円(前年度3,614万円、72.9万円)、大阪府下4,110万円、57.1万円(同3,988万円、54.2万円)、神戸市4,024万円、68.8万円(同3,967万円、67.5万円)、京都市3,881万円、67.5万円(同4,206万円、62.9万円)。

2018年度の平均月間契約率は74.4%で、前年度の76.6%に比べて2.2ポイントダウンしたが、依然として好調。即日完売戸数は957戸(発売戸数の4.8%)で、【フラット35】付戸数は1万1,884戸(59.2%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

首都圏マンション市場、月間契約率は72.2%と好調

(株)不動産経済研究所はこのたび、2019年3月度・首都圏「マンション市場動向」を発表した。3月の新規発売戸数は3,337戸、対前年同月(3,617戸)比7.7%減、対前月(2,313戸)比44.3%増となった。 地域別発売戸数は、東京都区部が1,548戸(全体比46.4%)、都下313戸(同9.4%)、神奈川県842戸(同25.2%)、埼玉県308戸(同9.2%)、千葉県326戸(同9.8%)。東京都のシェアは55.8%だった。

新規発売戸数に対する契約戸数は2,410戸で、月間契約率は72.2%と好調。前月の65.5%に比べて6.7ポイントアップした。地域別契約率をみると、都区部は73.3%、都下77.6%、神奈川県66.7%、埼玉県68.8%、千葉県79.4%。都下と千葉県の契約率が高い。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、6,552万円、94.7万円。2019年2月は6,292万円、91.1万円だったので、前月比総額では260万円(4.1%)アップ、m2単価は3.6万円(4.0%)アップしている。

地域別平均価格、1m2当り分譲単価では、東京都区部7,744万円、118.1万円。都下6,435万円、90.6万円。神奈川県5,502万円、78.6万円。埼玉県4,757万円、68.0万円。千葉県5,409万円、66.4万円。

即日完売は247戸(全体の7.4%)で、【フラット35】登録物件戸数は3,120戸(同93.5%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

近畿圏マンション月間契約率、10カ月連続70%超

(株)不動産経済研究所はこのたび、2019年3月度・近畿圏「マンション市場動向」を発表した。それによると、3月の新規発売戸数は1,449戸、対前年同月(1,745戸)比17.0%減、対前月(1,281戸)比13.1%増となった。 地域別発売戸数は、大阪市部が495戸(全体比34.2%)、大阪府下402戸(同27.7%)、神戸市部275戸(同19.0%)、兵庫県下204戸(同14.1%)、京都市部40戸(同2.8%)、奈良県12戸(同0.8%)、滋賀県18戸(同1.2%)、和歌山県3戸(同0.2%)、京都府下での発売はなし。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,168戸で、月間契約率は80.6%と10カ月連続70%を超えた。また、前月の75.8%に比べて4.8ポイントアップしている。地域別契約率は大阪市部74.7%、大阪府下80.6%、神戸市部90.9%、兵庫県下79.9%、京都市部97.5%、奈良県66.7%、滋賀県61.1%、和歌山県100%。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、4,404万円、67.0万円。2019年2月は3,884万円、65.4万円だったので、前月比総額では520万円(13.4%)のアップ、m2単価は1.6万円(2.4%)のアップ。

即日完売物件は109戸(全体の7.5%)で、【フラット35】登録物件戸数は1,148戸(同79.2%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

新築マンション平均坪単価、東京都1位は「外苑前」

(株)マーキュリー(東京都新宿区)はこのたび、首都圏で2018年に供給された新築マンションの平均坪単価を集計し、その結果を駅別のランキングとして発表した。
それによると、東京都の1位は東京メトロ銀座線「外苑前」で坪単価は924.5万円だった。2位は都営三田線「白金台」で910.8万円。3位はJR総武線「信濃町」(907.2万円)、4位は東急田園都市線他「渋谷」(823.7万円)、5位に東京メトロ銀座線「青山一丁目」(822.3万円)が続く。上位10駅のうち6駅は港区がランクインしている。

神奈川県の1位は、みなとみらい線「馬車道」で坪単価は398.2万円。2位に東急東横線「新丸子」(372.7万円)がランクイン。3位に横浜市営地下鉄ブルーライン「高島町」(368.0万円)が続く。神奈川では、東急東横線や東急田園都市線といった「東急線」沿線の需要が高い。

埼玉県では、1位にJR京浜東北線「川口」が坪単価291.0万円でランクイン。2位はJR宇都宮線他「浦和」(267.6万円)、3位は西武新宿線「本川越」(258.8万円)の順。JR京浜東北線の川口駅~大宮駅間を最寄り駅とする新築マンションの供給が多く、かつ坪単価が高い傾向が伺える。

千葉県の1位は、JR総武本線「市川」で坪単価274.3万円。2位はJR京葉線「新浦安」(268.2万円)、3位はJR総武本線「津田沼」(266.0万円)。東京23区に隣接する浦安市や市川市に位置する駅や、JR総武線沿線の駅が多くランクインした。

ニュース情報元:(株)マーキュリー

新築マンションの購入者は「既婚世帯の共働きが6割超」! その実態は ?

リクルート住まいカンパニーは、「2018年首都圏新築マンション契約者動向調査」及び「2018年関西圏新築マンション契約者動向調査」の結果を発表した。いずれの調査結果でも、新築マンション契約者の6割超が、既婚世帯の共働きという結果となった。実態について詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
「2018年新築マンション契約者動向調査」を発表/リクルート住まいカンパニー
●首都圏
●関西圏平均購入価格は首都圏が5402万円で低下した一方、関西圏が4338万円で最高額に

調査は、2018年1月から12月の新築マンションの購入契約をした人についてアンケートを行い、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県:3760件)と関西圏(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・和歌山県・滋賀県:1125件)の結果をまとめたもの。

新築マンションの平均購入価格は、首都圏が5402万円で、2017年より50万円低下した。これに対して、関西圏は4338万円で、2001年以来最高額となった。首都圏と関西圏で逆の結果となったのは、各圏域でシェアの高い東京23区が前年より84万円低下する一方、大阪市内が2001年以来の最高額にまで上昇した影響が大きい。これまで上昇を続けてきた東京23区に歯止めがかかる一方、首都圏の神奈川県や東京都下、関西圏では上昇が続くという構図になった。

既婚世帯の共働き比率がこれまでで最高。世帯年収やローンの借入額にも影響!?

購入者(世帯主)の平均年齢は、首都圏では38.3歳、関西圏では38.9歳。既婚世帯の共働き比率は、首都圏で66%、関西圏で62%に達し、おおむね既婚の3世帯に2世帯が共働きという状況だった。

その影響を受けたと思われるが、購入者の平均世帯年収は増加している。首都圏では960万円、関西圏では821万円で、それぞれこれまでで最も高くなった。ボリュームゾーンはどちらも「600~800万円未満」であるが、「1000~1200万円未満」が増加するなど、1000万円以上の世帯が増える傾向にある。

世帯年収の増加に伴い、住宅ローンの平均借入総額も増加した。首都圏では4693万円、関西圏では3760万円と、いずれも2005年以降で最も高くなった。

共働き世帯の増加で、暮らしに求めるものも変わる!?

さて、新築マンション購入者において共働き比率が上昇したことで、暮らしに対するニーズも変わってくると考えられる。

「住まい探しにあたって求めた暮らし方のイメージ」を聞いたところ、その順位は首都圏と関西圏でやや違いが見られた。首都圏では、上位3つが「仕事や通勤に便利(37%)、「子育て・教育がしやすい」「日々の生活がしやすい」(ともに35%)となったが、関西圏では「日々の生活がしやすい」(35%)、「仕事や通勤に便利」(33%)、「子育て・教育がしやすい」(32%)となった。

上位3つの項目は同じものだが、首都圏では特に通勤時間の長さが課題となることから、夫も妻もともに通勤をする共働き世帯の意向が反映されたという見方もできるだろう。10年前の2008年の調査結果と比べてニーズが強くなっているのは、いずれも交通利便性や生活利便性、子育て・教育のしやすさなど、共働き世帯が住宅を購入する際に重視するものへのニーズが強まっているようだ。

暮らし方のイメージ(全体/5つまでの限定回答)※50項目中上位15項目を表示(出典:リクルート住まいカンパニー「2018年首都圏新築マンション契約者動向調査」「2018年関西圏新築マンション契約者動向調査」)

暮らし方のイメージ(全体/5つまでの限定回答)※50項目中上位15項目を表示(出典:リクルート住まいカンパニー「2018年首都圏新築マンション契約者動向調査」「2018年関西圏新築マンション契約者動向調査」)

既婚世帯でみると、シニアカップルを除く夫婦二人のみ世帯では、共働き比率はさらに高い(首都圏83.8%、関西圏83.1%)。労働環境や若年世帯の所得の変化などの背景はいろいろあるが、仕事を持つ女性はさらに増加していくだろう。共に働き共に子育てをする世代のニーズで、これからの住まい選びの視点は、どのように変わっていくのだろう?

最高階数65階、西新宿三丁目の再開発事業が都市計画決定

「西新宿三丁目西地区第一種市街地再開発事業」が、3月15日付けで、新宿区より都市計画決定の告示を受けた。同事業は、西新宿三丁目西地区第一種市街地再開発準備組合と、事業推進協力者・事業協力者として参画している野村不動産(株)、住友商事(株)、東京建物(株)、(一財)首都圏不燃建築公社、前田建設工業(株)が計画を進めてきたもの。

開発地は新宿区西新宿三丁目8~19番の約4.8ha。南棟・北棟の2棟の高層建物を建設し、それぞれ、住宅、店舗、生活支援施設等を導入する。住宅は2棟合わせて約3,200戸。いずれも最高階数は65階・高さ235mと、日本の分譲マンションでは最高階数、最高層となる。

また、同事業により、地区外周道路の拡幅とともに「初台」駅からの歩行者のバリアフリー動線の確保、質の高い住環境・みどり豊かな憩いの空間等を創出するなど、都市の魅力向上を促進するとともに、地域交流の場の整備を図る。

2020年度に本組合設立認可予定、2022年度に工事着工(解体工事含む)し、竣工は2029年度の予定。

ニュース情報元:野村不動産(株)

関西圏新築マンション契約者、平均購入価格は4,338万円

(株)リクルート住まいカンパニーは、このたび「2018年関西圏新築マンション契約者動向調査」の結果を発表した。調査対象は、2018年1月~2018年12月の関西圏新築分譲マンション購入契約者。集計数は1,125件。それによると、購入した物件の所在地は、「大阪市内エリア」が最も多く32%。「阪神間エリア」18%、「北摂エリア」16%が続く。購入価格は「3,500~4,000万円未満」が24%で最も多く、次いで「5,000万円以上」が21%。2017年より「5,000万円以上」が7ポイント増加し、平均購入価格は4,338万円となった。

専有面積は「70~75m2未満」が最も多く31%。次いで「60~70m2未満」が22%で続く。2017年と比べると、「70~75m2未満」が6ポイント減少、「75~80m2未満」は6ポイント上昇した。

契約世帯の総年収をみると、「600~800万円未満」が最も多く23%。次いで「400~600万円未満」「800~1,000万円未満」がともに19%で続く。2017年より「800~1,000万円未満」が微増、平均は821万円で、これまでで最も高い。

住まい探しにあたって求めた暮らし方のイメージで最も多いのは、「日々の生活がしやすい」で35%。以下、「仕事や通勤に便利」33%、「子育て・教育がしやすい」32%と続く。

ニュース情報元:(株)リクルート住まいカンパニー

首都圏マンション市場、発売戸数は2カ月連続の減少

(株)不動産経済研究所はこのたび、2019年2月度・首都圏「マンション市場動向」を発表した。それによると2月の新規発売戸数は2,323戸、対前年同月(2,490戸)比6.7%減で2カ月連続の減少。対前月(1,900戸)比22.3%増となった。 地域別発売戸数は、東京都区部922戸(前年同月比16.5%減)、都下156戸(同55.8%減)、神奈川県776戸(同40.6%増)、埼玉県396戸(同69.2%増)、千葉県73戸(同70.4%減)。東京都のシェアは46.4%だった。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,525戸で、月間契約率は65.6%。前月の67.5%に比べて1.9ポイントダウン、前年同月の65.0%に比べて0.6ポイントアップしている。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、6,284万円、91.1万円。2019年1月は5,653万円、81.3万円だったので、前月比総額では631万円(11.2%)のアップ、m2単価は9.8万円(12.1%)アップ。

地域別平均価格、1m2当り分譲単価は、東京都区部7,841万円、118.0万円。都下5,387万円、78.1万円。神奈川県5,514万円、77.7万円。埼玉県4,907万円、69.7万円。千葉県4,187万円、58.7万円。

即日完売は40戸(全体の1.7%)で、【フラット35】登録物件戸数は2,248戸(同96.8%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

2月の近畿圏マンション市場、月間契約率は9カ月連続で70%超

(株)不動産経済研究所はこのたび、2019年2月度・近畿圏「マンション市場動向」を発表した。2月の新規発売戸数は1,281戸、対前年同月(1,818戸)比29.5%減、対前月(1,044戸)比22.7%増となった。 地域別の発売戸数は、大阪市部が624戸(前年同月比12.8%減)、大阪府下283戸(同46.1%減)、神戸市部126戸(同33.0%減)、兵庫県下165戸(同98.8%増)、京都市部10戸(同92.6%減)、奈良県8戸(同82.2%減)、滋賀県55戸(同52.2%減)、和歌山県10戸(前年供給なし)、京都府下での発売はなかった。

新規発売戸数に対する契約戸数は971戸、月間契約率は75.8%で9カ月連続の70%超。前月の70.2%に比べると5.6ポイントのアップ、前年同月の83.9%に比べると8.1ポイントダウンした。

地域別平均価格、1m2当りの分譲単価は、大阪市部が3,729万円、76.3万円。大阪府下4,151万円、56.3万円。神戸市部3,221万円、68.5万円。兵庫県下4,553万円、60.4万円。京都市部4,705万円、61.1万円。奈良県3,962万円、48.8万円。滋賀県3,687万円、49.0万円。和歌山県3,450万円、43.5万円。

即日完売物件は99戸(全体の7.7%)で、【フラット35】登録物件戸数は839戸(同65.5%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

首都圏新築マンション契約者、平均購入価格は5,402万円

(株)リクルート住まいカンパニーはこのほど、「2018年首都圏新築マンション契約者動向調査」の結果を発表した。この調査は2001年より毎年行っているもの。今回の集計対象期間は2018年1月~2018年12月。集計数は3,760件。
それによると、購入した物件の所在地は「東京23区」が最も多く43%。「神奈川県」が24%と続く。ライフステージ別にみると、シングル世帯で「東京23区」の割合が全体に比べ高く、シングル男性世帯では54%、シングル女性世帯では59%だった。

購入価格は「6,000万円以上」が30%、「5,000~6,000万円未満」が23%で、5,000万円以上で全体の半数以上を占めた。分布は17年とほぼ同じだが、平均購入価格は2017年から50万円低下し5,402万円となった。

専有面積は「70~75m2未満」が最も多く43%。次いで「60~70m2未満」が24%。2001年に約6割だった75m2以上の割合が、2018年は2割となり、平均専有面積は68.6m2で2001年の調査開始以来最も小さくなった。

契約世帯の総年収は「600~800万円未満」が最も多く22%だが、1000万円以上の割合が徐々に増加傾向。平均は960万円で、これまでで最も高い。自己資金比率は2017年より5%未満が微増、平均18.8%となり、2001年の調査開始以来初めて20%を下回った。また、ローン借入総額は「5,000万円以上」が微増、平均4,693万円となり、2005年以降で最も高い。

住まいの購入を思い立った理由は、「子供や家族のため、家を持ちたいと思ったから」が最も多く42%。「現在の住居費が高くてもったいないから」32%、「もっと広い家に住みたかったから」24%と続く。「金利が低く買い時だと思ったから」は2017年(25.3%)から2.6ポイント減少し22.7%、2年続けての減少となった。

ニュース情報元:(株)リクルート住まいカンパニー

分譲マンション供給専有面積、全国トップは住友不動産

(株)不動産経済研究所はこのたび、2018年の供給実績を元に「全国分譲マンション 売主・事業主別供給専有面積ランキング」を発表した。調査対象は全国の新築分譲マンションで、投資用ワンルームマンション、定期借地権マンションも含む。専有面積で売主・事業主別に供給規模を確認する初の試み。

それによると、全国でトップとなったのは住友不動産で、供給専有面積は49万8,864m2に上った。2位は39万3,350m2の野村不動産で、首位の住友不動産とは10.6万m2の差がある。3位は26万831m2で三菱地所レジデンス、4位は23万672m2で三井不動産レジデンシャル、5位にはプレサンスコーポレーションが19万7,903m2で続いた。

エリア別に見ると、首都圏のトップは全国と同様に住友不動産で、供給専有面積は41万4,975m2。2位は野村不動産で26万6,832m2、3位は三井不動産レジデンシャルで19万2,748m2、4位は三菱地所レジデンスの18万3,958m2と、大手総合不動産会社が上位を独占。5位には6万9,961m2で名鉄不動産が続く。

近畿圏においては、トップはプレサンスコーポレーションで、供給専有面積は14万6,610m2と唯一10万m2を突破。7万7,258m2の日本エスリードが2位で、コンパクト住戸の供給シェアが高い2社が上位を占めた。3位は阪急阪神不動産で7万4,459m2、4位は野村不動産で5万9,868m2、5位は近鉄不動産の5万3,649m2。上位5社が5万m2以上を供給している。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

愛知・春日井駅前の再開発事業が着工

野村不動産(株)、矢作建設工業(株)、岡谷鋼機(株)の3社が推進する「JR春日井駅南東地区第一種市街地再開発事業」(愛知県春日井市)の新築工事が着工した。JR中央本線「春日井駅」は名古屋市の北東部に位置する。駅周辺は商業機能が低下し細分化した低未利用地が多く存在するなど、駅前にふさわしい土地利用が図られていない点などが課題として挙げられていた。再開発事業では、都市機能が集約されたコンパクトシティの実現を目指す。

事業地はJR中央本線「春日井」駅徒歩1分、建築敷地面積約3,900m2。住宅、子育て施設、商業施設などの多様な都市機能によって賑わいを創出するため、地上23階建の複合施設(主要用途:住宅132戸、商業、駐車場)を建設する。竣工は2021年度を予定している。

ニュース情報元:野村不動産(株)

一般社団法人仙台ママナビ、大手デベ3社とママ向け合同イベント開催

ママ支援事業を行う(一社)仙台ママナビ(宮城県仙台市)は、異なる2つの新築分譲マンションのモデルルームが1度に内覧できるイベント「笑顔で暮らしたいママのフェスタ in 長町」を、2月25日(月)、仙台市で開催する。今回見学できるのは「パークタワーあすと長町」(JR「長町」駅徒歩2分、地上28階・総戸数468戸)と「プレシスあすと長町 エクレール」(JR「長町」駅徒歩4分、地上15階・総戸数139戸)のモデルルーム。通常なら1物件に長時間かけて回るモデルルームの内覧が、1度に複数、1回約30分(団体ツアー形式)、接客もなく気軽に見学できるイベントとして注目されている。

イベントには、三井不動産レジデンシャル、伊藤忠都市開発、一建設といった大手デベロッパー3社も協力。現在、仙台市青葉区内では都心部に新築分譲マンションの供給が集中している。そのような中、副都心である「あすと長町」エリア内の新築分譲マンションを連携し、改めて同エリア内のマーケットを活性化する取り組みとして企画された。また、平日の有閑モデルルームを活用し、ママと素敵な住まいとの出会いの場を提供していく。

当日は「子育てに適した街の条件とは?(仮)」「プロ直伝!子育てママの家選びメソッド」など、子育てに関するセミナーやお役立ちミニ講座を随時開催。片づけのポイントなどが学べるブースもある。

会場は「あすと長町デンタルクリニック2階」(JR「長町」駅より徒歩2分)。入退場は自由で参加費無料。10時から14時を予定している。

ニュース情報元:(一社)仙台ママナビ

全国マンション発売戸数、2014年以来の8万戸台

(株)不動産経済研究所は2月20日、2018年度「全国マンション市場動向」を発表した。全国における2018年のマンション発売戸数は8万256戸、2017年の7万7,363戸に比べて2,893戸(3.7%)の増加となった。対前年比で増加となるのは2年連続で8万戸台となるのは2014年以来。地域別に発売戸数をみると、首都圏は3万7,132戸(全国比46.3%)、近畿圏2万958戸(同26.1%)、東海・中京圏5,115戸(同6.4%)、北海道1,205戸(同1.5%)、東北地区1,773戸(同2.2%)、関東地区1,403戸(同1.7%)、北陸・山陰地区450戸(同0.6%)、中国地区2,667戸(同3.3%)、四国地区887戸(同1.1%)、九州地区8,666戸(同10.8%)。首都圏のシェアは3年連続で50%を下回った。

2018年のマンション平均分譲価格は、全国平均で4,759万円。2017年の平均価格(4,739万円)に比べて20万円、0.4%のアップ。m2単価は全国平均で71.3万円となり、2017年の69.6万円に比べて、1.7万円、2.4%アップした。平均価格が対前年比でアップしたのは2年連続、m2単価が対前年比でアップとなったのは6年連続となる。

事業主別の発売戸数をみると、トップは5年連続で住友不動産となり7,377戸。プレサンスコーポレーション5,267戸、野村不動産5,224戸、三菱地所レジデンス3,614戸、三井不動産レジデンシャル3,198戸、あなぶき興産2,450戸などが続く。

2019年における発売見込みは全国で約8.0万戸。2018年に比べ約0.02万戸、0.3%減の見込み。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

1月の首都圏マンション発売戸数、前年同月比1.8%減

(株)不動産経済研究所は2月19日、2019年1月度・首都圏「マンション市場動向」を発表した。それによると、1月の新規発売戸数は1,900戸、対前年同月(1,934戸)比1.8%減、対前月(7,462戸)比74.5%減となった。 地域別発売戸数をみると、東京都区部は606戸(全体比31.9%、前年同月比36.5%減)、都下161戸(同8.5%、30.6%減)、神奈川県311戸(同16.4%、3.3%増)、埼玉県584戸(同30.7%、134.5%増)、千葉県238戸(同12.5%、20.2%増)。東京都のシェアは40.4%だった。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,283戸で、月間契約率は67.5%。前月の49.4%に比べて18.1ポイントアップ、前年同月の65.2%に比べて2.3ポイントアップしている。1戸当り平均価格、1m2当り単価は、5,653万円、81.3万円。2018年12月は5,896万円、86.2万円だったので、前月比総額では243万円(4.1%)のダウン、m2単価は4.9万円(5.7%)ダウン。

地域別平均価格、1m2当り分譲単価は、東京都区部が7,577万円、119.8万円。都下4,823万円、67.9万円。神奈川県5,084万円、71.4万円。埼玉県5,013万円、68.3万円。千葉県3,634万円、49.7万円。

即日完売は13戸(全体の0.7%)で、【フラット35】登録物件戸数は1,756戸(同92.4%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

近畿圏マンション市場、月間契約率は8カ月連続で70%超

(株)不動産経済研究所は2月19日、2019年1月度・近畿圏「マンション市場動向」を発表した。それによると、1月の新規発売戸数は1,044戸、対前年同月(1,091戸)比4.3%減、対前月(2,760戸)比62.2%減となった。地域別発売戸数は、大阪市部が543戸(全体比52.0%、前年同月比2.8%増)、大阪府下221戸(同21.2%、12.6%減)、神戸市部76戸(同7.3%、50.0%減)、兵庫県下95戸(同9.1%、前年と同値)、京都市部78戸(同7.5%、116.7%増)、京都府下9戸(同0.9%、10.0%減)、滋賀県19戸(同1.8%、533.3%増)、和歌山県3戸(同0.3%、66.7%減)、奈良県での発売はなかった。

新規発売戸数に対する契約戸数は733戸で、月間契約率は70.2%。前月の72.1%に比べて1.9ポイントダウン、前年同月の78.1%に比べて7.9ポイントダウンとなったが、8カ月連続の70%超で好調は維持している。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、3,756万円、63.8万円。前年同月比は戸当り価格は2カ月ぶりのダウン、m2単価は2カ月連続のダウン。2018年12月は4,167万円、65.5万円だったので、前月比総額では411万円(9.9%)のダウン、m2単価は1.7万円(2.6%)ダウンした。

地域別平均価格、1m2当りの分譲単価をみると、大阪市部は3,513万円、75.1万円。大阪府下3,913万円、52.2万円。神戸市部5,047万円、64.4万円。兵庫県下4,255万円、55.1万円。京都市部3,255万円、65.1万円。京都府下3,243万円、45.0万円。滋賀県3,530万円、47.3万円。和歌山県3,670万円、42.5万円。

即日完売物件は2戸(全体の0.2%)で、【フラット35】登録物件戸数は624戸(同59.8%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

首都圏新築マンション価格、上昇率は鈍化

(株)東京カンテイはこのたび、2018年のマンション新築・中古市場動向を総括した「マンションデータ白書 2018」を発表した。それによると、2018年の首都圏新築マンション一戸平均価格は5,592万円、2017年の5,544万円から+0.9%上昇。2年連続上昇したが伸びは鈍化している。平均専有面積は63.39m2で、前年の63.24m2から0.2%拡大。平均坪単価は291.6万円で前年の289.8万円から+0.6%の上昇、一戸平均価格と同様に2年連続上昇した。

一方、首都圏中古マンションの一戸平均価格は3,348万円となり、2017年の3,257万円から+2.8%上昇。5年連続の上昇となった。平均専有面積は60.95m2で前年の60.11m2から+1.4%拡大。平均坪単価は181.6万円で前年の179.1万円から+1.4%上昇。平均坪単価も一戸平均価格と同様に2014年以降5年連続の上昇となった。

近畿圏においては、新築マンション一戸平均価格は4,001万円で、2017年の3,933万円から+1.7%上昇。平均専有面積は62.62m2で、前年の61.80m2から+1.3%上昇。平均坪単価は211.2万円で前年の210.4万円から+0.4%と僅かに上昇した。

また、近畿圏中古マンションの一戸平均価格は2,103万円で前年の2,033万円から+3.4%上昇。2013年以降上昇に転じ、6年連続で上昇となった。平均坪単価は107.1万円で前年の102.6万円から+4.4%上昇。平均坪単価も6年連続で上昇し、過去10年間での最高値を更新した。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

2018年のマンション分譲戸数、2年ぶりに増加

(株)東京カンテイはこのたび、2018年のマンション市場動向を調査した「マンションデータ白書 2018」を公表した。それによると、2018年の全国の新築マンション分譲戸数は、前年比+6.6%増の96,681戸で2年ぶりに増加した。首都圏全体では49,884戸と前年比+5.0%の増加。東京都は+0.8%と僅かに増加し29,691戸。神奈川県は同+5.9%の10,591戸、千葉県は同+17.7%の4,603戸、埼玉県は同+20.3%の4,999戸と、いずれも大幅に増加。首都圏では供給が人気エリアや通勤利便性の高いエリアに集中する動きが見られた。

近畿圏は、21,089戸と前年比+3.0%の増加。大阪府は14,064戸で同+7.0%、兵庫県は4,219戸で同+3.0%と増加したが、京都府は1,624戸で同-6.2%の減少となった。奈良県は282戸で同+43.9%の増加、滋賀県は797戸で同-18.6%の減少、和歌山県も103戸で同-68.4%と大きく減少した。大阪市内を中心にタワーマンション供給が進んでおり、大阪府が数を伸ばす一方、京都府は用地取得の困難さから減少している。

中部圏は5,701戸と前年の4,643戸と比べ+22.8%と大きく増加。愛知県は4,376戸と前年比+24.7%の大幅増加。岐阜県は460戸で同+212.9%、三重県は232戸で同+7.9%とともに増加。静岡県は633戸で同-18.1%と大きく減少した。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

2018年の新設住宅着工戸数、2年連続減少

国土交通省はこのたび、2018年の住宅着工動向を発表した。それによると、2018年は新設住宅着工戸数が前年比2.3%減の942,370戸で、2年連続の減少となった。持家は同0.4%減の283,235戸で2年連続減少。貸家は同5.5%減の396,404戸で7年ぶりの減少となった。分譲住宅は255,263戸(前年255,191戸)で微増。うち、マンションは110,510戸で同3.8%減、昨年の増加から再び減少に転じた。一戸建住宅は142,393戸で同3.0%増、3年連続の増加となった。

地域別でみると首都圏の総戸数は同4.9%減の322,586戸。近畿圏は同2.6%増の142,289戸。中部圏は同3.2%増の112,253戸だった。

ニュース情報元:国土交通省

12月の住宅着工戸数、前年同月比2.1%増

国土交通省はこのたび、平成30年12月の住宅着工動向を発表した。それによると、12月の住宅着工戸数は前年同月比2.1%増の78,364戸だった。
利用関係別でみると、持家は前年同月比4.8%増の24,415戸で3か月連続の増加。貸家は同7.9%減の30,788戸で4か月連続の減少。

分譲住宅は、同16.5%増の22,756戸と5か月連続増加。そのうち、分譲マンションは同28.6%増の9,546戸で5か月連続増加。分譲一戸建住宅は同8.5%増の13,006戸と先月の減少から再び増加した。マンションが増加し、一戸建住宅も増加したため、分譲住宅全体で増加となった。

ニュース情報元:国土交通省

2018年の首都圏新築マンション、分譲価格は2年ぶりに下落

(株)不動産経済研究所はこのたび、2018年度・首都圏「マンション市場動向」を発表した。それによると、首都圏の2018年年間(1~12月)の新規供給戸数は3万7,132戸、対前年(3万5,898戸)比3.4%(1,234戸)の増加となった。 都県別供給戸数をみると、東京都区部が1万5,957戸(シェア43.0%、前年比0.4%減)、東京都下3,666戸(9.9%、8.7%減)、神奈川県8,212戸(22.1%、3.8%減)、埼玉県4,294戸(11.6%、8.5%増)、千葉県5,003戸(13.5%、48.5%増)。都区部、都下、神奈川県が減少した一方、埼玉県と千葉県が増加した。

分譲価格は首都圏平均で5,871万円。2017年の平均価格5,908万円に比べて37万円・0.6%のダウンで、2年ぶりに下落した。東京都区部は7,142万円(2017年7,089万円)、都下5,235万円(同5,054万円)、神奈川県5,457万円(同5,524万円)、埼玉県4,305万円(同4,365万円)、千葉県4,306万円(同4,099万円)。都区部、都下、千葉県が上昇。上昇幅が最も大きかったのは千葉県の207万円だった。

m2単価は首都圏平均86.9万円で6年連続上昇。都区部113.8万円、都下74.5万円、神奈川県76.9万円、埼玉県61.9万円、千葉県58.5万円。神奈川県以外のエリアが上昇しており、上昇幅が最も大きかったのは都区部の5.5万円。

売れ行きは、2018年の初月契約率の平均が62.1%となり、2017年の68.1%を6.0ポイント下回った。また、2018年年間の即日完売戸数は1,095戸(全体の2.9%)、【フラット35】登録物件は3万5,353戸(同95.2%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

2018年の近畿圏マンション、新規発売戸数は前年比7.1%増

(株)不動産経済研究所はこのたび、2018年度・近畿圏「マンション市場動向」を発表した。それによると、近畿圏の2018年年間(1~12月)新規発売戸数は2万958戸、対前年(1万9,560戸)比1,398戸、7.1%の増加となった。
地域別発売戸数は、大阪市部9,222戸(全体比44.0%)、大阪府下4,660戸(同22.2%)、神戸市部2,465戸(同11.8%)、兵庫県下2,087戸(同10.0%)、京都市部1,277戸(同6.1%)、京都府下64戸(同0.3%)、奈良県301戸(同1.4%)、滋賀県808戸(同3.9%)、和歌山県74戸(同0.4%)。

月間契約率の平均は74.5%で、前年の76.1%に比べて1.6ポイントダウンした。2018年の1戸当たり平均価格、m2単価は、3,844万円、65.9万円。2017年は3,836万円、63.0万円だったので、前年比総額では8万円(0.2%)のアップ、m2単価では2.9万円(4.6%)アップしている。

地域別平均価格、1m2当たり単価は、大阪市部が3,552万円、77.2万円。大阪府下4,118万円、57.2万円。神戸市部3,855万円、69.2万円。兵庫県下4,421万円、58.7万円。京都市部3,814万円、64.7万円。京都府下4,978万円、64.4万円。奈良県3,704万円、51.1万円。滋賀県4,084万円、53.7万円。和歌山県3,851万円、51.5万円。

2019年の発売戸数としては、4.6%減の2万戸が見込まれる。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

近畿圏マンション契約率、7カ月連続で70%超

(株)不動産経済研究所は1月22日、2018年12月度・近畿圏「マンション市場動向」を発表した。それによると、12月の新規発売戸数は2,760戸、対前年同月(2,259戸)比22.2%増、対前月(2,585戸)比6.8%増となった。 地域別発売戸数は大阪市部が883戸(全体比32.0%、前年同月比23.2%減)、大阪府下581戸(同21.1%、23.4%増)、神戸市部231戸(同8.4%、11.5%減)、兵庫県下615戸(同22.3%、179.5%増)、京都市部234戸(同8.5%、212.0%増)、奈良県34戸(同1.2%、1,600.0%増)、滋賀県181戸(同6.6%、135.1%増)、和歌山県1戸(同0.04%、前年供給なし)、京都府下での発売はなかった。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,989戸、月間契約率は72.1%で7カ月連続の70%超。前月の74.4%に比べると2.3ポイントダウン、前年同月の74.9%に比べて2.8ポイントダウンした。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、4,167万円、65.5万円。前年同月比は戸当り価格は4カ月ぶりのアップ。m2単価は3カ月ぶりのダウン。2018年11月は3,485万円、70.7万円だったので、前月比総額では682万円(19.6%)のアップ、m2単価は5.2万円(7.4%)ダウンした。

地域別平均価格、1m2当りの分譲単価は、大阪市部4,884万円、83.5万円。大阪府下3,936万円、60.1万円。神戸市部4,595万円、63.8万円。兵庫県下3,861万円、53.2万円。京都市部2,744万円、77.3万円。奈良県3,805万円、56.1万円。滋賀県3,812万円、50.0万円。和歌山県2,960万円、40.0万円。

即日完売物件は28戸(全体の1.0%)で、【フラット35】登録物件戸数は2,029戸(同73.5%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

12月の首都圏マンション、月間契約率は1991年8月以来の50%割れ

(株)不動産経済研究所は1月22日、2018年12月度・首都圏「マンション市場動向」を発表した。それによると12月の新規発売戸数は7,462戸、対前年同月(6,480戸)比15.2%増、対前月(3,461戸)比115.6%増となった。
地域別発売戸数は、東京都区部2,504戸(全体比33.6%、前年同月比23.2%増)、都下617戸(同8.3%、62.8%増)、神奈川県2,461戸(同33.0%、5.0%増)、埼玉県953戸(同12.8%、26.7%増)、千葉県927戸(同12.4%、4.6%減)。東京都のシェアは41.8%だった。

新規発売戸数に対する契約戸数は3,685戸、月間契約率は49.4%で1991年8月(49.7%)以来の50%割れ。前月の53.9%と比べると4.5ポイントダウン、前年同月の72.5%と比べると23.1ポイントダウンした。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、5,896万円、86.2万円。2018年11月は6,017万円、89.7万円だったので、前月比総額では121万円(2.0%)のダウン、m2単価は3.5万円(3.9%)ダウン。地域別平均価格、1m2当り分譲単価は、東京都区部7,751万円、124.3万円(2.9%アップ、5.8%アップ)。都下5,183万円、72.4万円(11.5%アップ、9.2%アップ)。神奈川県5,361万円、76.0万円(14.6%ダウン、12.2%ダウン)。埼玉県4,381万円、63.1万円(3.8%アップ、7.3%アップ)。千葉県4,334万円、57.4万円(3.9%アップ、0.2%アップ)。

即日完売は38戸(全体の0.5%)。【フラット35】登録物件戸数は7,310戸(同98.0%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

18年上半期の首都圏マンション、都区部のシェアは50%下回る

(株)不動産経済研究所(東京都新宿区)はこのたび、「首都圏マンション 2018年上半期(1~6月)完成物件動向」を発表した。2018年6月以前に発売した物件に限定して集計したもの。
それによると、首都圏の2018年上半期は、物件数191物件、総戸数では1万8,882戸に上った。2017年上半期の184物件・1万7,499戸と比べると、物件数で7物件(3.8%)、戸数では1,383戸(7.9%)上回った。

エリア別でみると、都区部は91物件・7,108戸(前年同期92物件・7,852戸)、都下21物件・3,832戸(同21物件・2,380戸)、神奈川県40物件・4,194戸(同35物件・3,185戸)、埼玉県26物件・2,526戸(17物件・2,273戸)、千葉県13物件・1,222戸(同19物件・1,809戸)。都区部のシェアは物件数で47.6%、戸数でも37.6%と、いずれも50%を下回った。

また、各エリアの完成物件を駅徒歩分数別に見ると、駅徒歩5分以内のシェアが最も高かったのは物件数・戸数ともに都区部で、戸数は3,673戸(46物件)、シェアは51.7%だった。一方、駅徒歩5分以内の戸数シェアが最も低かったのは埼玉県で、527戸・20.9%にとどまっている。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

住宅着工戸数、前年同月比0.6%減

国土交通省はこのたび、「平成30年11月の住宅着工動向」を発表した。それによると、11月の住宅着工戸数は84,213戸で、前年同月比0.6%減となった。利用関係別では、持家は25,527戸で前年同月比2か月連続の増加(前年同月比2.5%増)。貸家は34,902戸で、前年同月比3か月連続の減少(同6.9%減)。

分譲住宅は23,220戸で、前年同月比4か月連続の増加(同6.1%増)。そのうち、マンションは10,460戸で前年同月比4か月連続の増加(同15.6%増)、一戸建住宅は12,561戸で、前年同月比8か月ぶりの減少(同0.2%減)。一戸建住宅は減少したがマンションが増加したため、分譲住宅全体では増加となっている。

ニュース情報元:国土交通省

湾岸の新築マンション、購入に必要な世帯年収は1,035万円

(株)マーキュリー(東京都新宿区)はこのほど、湾岸エリア(月島・勝どき・豊洲・東雲・有明)の新築マンション市場動向を発表した。それによると、湾岸エリアの新築マンション平均価格の推移は、東京オリンピック開催が決定した2013年を境に大きく上昇。2013年までは5,500万円前後で推移していたが、2014年は6,470万円、2016年は7,358万円。2017年は7,075万円と下落となったが、当該年に販売開始となった「シティタワーズ東京ベイ」の平均専有面積が小さかったことで、全体の平均価格を下げたことが要因。2018年は7,553万円にまで上昇している。

販売戸数をみると、2012年時点では1,696戸だったが、2013年にはおよそ倍となる3,249戸、2014年も3,000戸を超えた。2015年以降はピークアウトし、2016年には623戸まで減少しているが、2017年以降は徐々に増加し、来年2019年以降は8,000戸超と大幅な増加が見込まれている。

(独)住宅金融支援機構が発表している「年収倍率」を参考に、湾岸エリアの新築マンション購入に必要な世帯年収を計算(2018年平均価格(7,553万円)÷年収倍率(7.3倍))すると、必要年収は1,035万円(頭金なし)となっている。

ニュース情報元:(株)マーキュリー

2019年の首都圏マンション供給、3.7万戸と予測

(株)不動産経済研究所は12月20日、2019年の首都圏・近畿圏マンション市場予測を発表した。それによると、2019年の首都圏マンション供給は前年比0.8%増の3.7万戸。都区部は横ばい、都下や神奈川県などが増加すると予測した。住宅ローン減税の3年延長などで増税後の落込みを回避し、大手中心に積極姿勢は変わらないと見ている。

都区部においては、五輪選手村物件など湾岸の大規模開発や、都下の駅近再開発が期待され、2018年比横ばいの1万6,000戸と見込む。その他では、神奈川県が9.0%増の8,500戸、埼玉県も4.7%増の4,500戸と回復へ向かうと予測した。

近畿圏においては、2019年は前年比0.5%増の2万戸。駆け込み需要次第では2万2,000戸の可能性もあると予測した。大阪市部は9,800戸、大阪府下4,000戸、神戸市部2,000戸、兵庫県下1,800戸、京都市部1,200戸を見込む。

また、大阪市部の超高層物件は、2018年からの発売後ろずれ物件がプラスされ、2019年は大量供給の見込み。近年増加傾向の1K等投資物件は、ホテル建設との競合により市内外周部へ広がり、さらなる供給増を見込む。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

首都圏マンション新規発売戸数、3カ月連続の増加

(株)不動産経済研究所は12月17日、2018年11月度・首都圏「マンション市場動向」を発表した。それによると11月の新規発売戸数は3,461戸、対前年同月(3,366戸)比2.8%増と、3カ月連続の増加となった。
地域別発売戸数は、東京都区部1,388戸(全体比40.1%、前年同月比13.4%減)、都下364戸(同10.5%、0.3%減)、神奈川県918戸(同26.5%、69.4%増)、埼玉県404戸(同11.7%、前年同月と同数)、千葉県387戸(同11.2%、14.4%減)。東京都のシェアは50.6%。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,866戸で、月間契約率は53.9%。前月の68.3%に比べて14.4ポイントダウン、前年同月の67.9%に比べて14.0ポイントダウンした。1戸当り平均価格、1m2当り単価は、6,017万円、89.7万円。2018年10月は5,934万円、88.8万円だったので、前月比総額では83万円(1.4%)のアップ、m2単価は0.9万円(1.0%)アップしている。

地域別平均価格、1m2当り分譲単価は、東京都区部7,652万円、123.7万円(22.3%アップ、23.3%アップ)。都下5,428万円、76.3万円(11.3%アップ、5.4%アップ)。神奈川県5,322万円、75.7万円(3.7%ダウン、2.4%ダウン)。埼玉県4,001万円、57.6万円(20.0%ダウン、18.9%ダウン)。千葉県4,458万円、61.9万円(8.5%アップ、6.9%アップ)。

即日完売は435戸(全体の12.6%)で、【フラット35】登録物件戸数は3,257戸(同94.1%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

近畿圏マンション新規発売、2013年9月以来の大量供給

(株)不動産経済研究所は12月17日、2018年11月度・近畿圏「マンション市場動向」を発表した。それによると11月の新規発売戸数は2,585戸、対前年同月(1,582戸)比63.4%増。2013年9月(3,671戸)以来の大量供給となった。

地域別発売戸数は、大阪市部1,682戸(全体比65.1%、前年同月比164.9%増)、大阪府下400戸(同15.5%、2.0%減)、神戸市部101戸(同3.9%、55.3%減)、兵庫県下206戸(同8.0%、25.6%増)、京都市部91戸(同3.5%、19.7%増)、奈良県18戸(同0.7%、800.0%増)、滋賀県86戸(同3.3%、36.5%増)、和歌山県1戸(同0.04%、前年供給なし)、京都府下での発売はなかった。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,923戸で、月間契約率は74.4%。前月の77.7%に比べて3.3ポイントのダウン、前年同月の77.7%に比べて3.3ポイントダウンした。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、3,485万円、70.7万円。前年同月比は戸当り価格は3カ月連続のダウン。m2単価は2カ月連続のアップ。2018年10月は3,657万円、68.7万円だったので、前月比総額では172万円(4.7%)のダウン、m2単価は2.0万円(2.9%)のアップ。

12月の地域別平均価格、1m2当りの分譲単価は、大阪市部3,016万円、83.0万円。大阪府下4,261万円、57.4万円。神戸市部4,622万円、64.4万円。兵庫県下4,250万円、56.8万円。京都市部5,180万円、77.6万円。奈良県3,772万円、52.0万円。滋賀県4,026万円、53.9万円。和歌山県3,460万円、41.7万円。

即日完売物件は140戸(全体の5.4%)。【フラット35】登録物件戸数は1,043戸(同40.3%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

2018年上半期の定借マンション、首都圏の発売は309戸

(株)不動産経済研究所(東京都新宿区)は12月11日、全国の定期借地権マンション市場の調査結果を発表した。それによると、2018年上半期に全国で発売された定借マンションは14物件・364戸。前年同期の9物件・369戸と比べると物件数では5物件上回ったものの、戸数では5戸(1.4%)下回った。

エリア別に見ると、首都圏が10物件・309戸(東京都9物件・300戸、神奈川県1物件・9戸)、近畿圏が4物件・55戸(兵庫県2物件・30戸、大阪府1物件・22戸、京都府1物件・3戸)。その他のエリアでの供給はゼロ。首都圏は前年同期比111戸、56.1%の増加、近畿圏は同比116戸、67.8%の減少となった。

また、2018年上半期の定借マンションの戸当たり平均価格は5,105万円、m2単価は68.6万円。前年同期の6,135万円、77.0万円と比べると、それぞれ1,030万円(16.8%)、8.4万円(10.9%)下落した。首都圏は戸当たり4,965万円、m2単価67.3万円で、前年同期の5,725万円、74.8万円から760万円(13.3%)、7.5万円(10.0%)下落。近畿圏はそれぞれ5,893万円、75.4万円で、前年同期(6,611万円、79.3万円)比718万円(10.9%)、3.9万円(4.9%)下落した。

2017年年間の定借マンションは発売が17物件・882戸、戸当たり平均5,427万円、m2単価69.6万円。2016年の13物件・994戸、5,842万円、74.7万円と比較すると、戸数は112戸(11.3%)の減少、戸当たりは415万円(7.1%)、m2単価5.1万円(6.8%)、いずれも下落している。

事業主別ランキングは、2017年年間ではエヌ・ティ・ティ都市開発が168戸で首位。2016年の220戸と比べると52戸減らしたものの、順位は2位から上げて全国トップとなった。首都圏では2年連続の首位となっている。前年首位の関電不動産開発が166戸で2位、3位には103戸の野村不動産と、上位3社が100戸を上回っている。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

10月の住宅着工戸数、前年同月比0.3%増

国土交通省はこのたび、「平成30年10月の住宅着工動向」を発表した。それによると10月の住宅着工戸数は83,330戸で、前年同月比0.3%増となった。利用関係別でみると、持家は25,949戸で前年同月比では先月の減少から再びの増加(前年同月比4.6%増)。貸家は35,225戸で前年同月比2か月連続の減少(同7.3%減)。

分譲住宅は21,394戸で、前年同月比3か月連続の増加(同9.2%増)。そのうち、マンションは8,604戸で前年同月比3か月連続の増加(同14.9%増)、一戸建住宅は12,556戸で前年同月比7か月連続の増加(同5.9%増)となった。

ニュース情報元:国土交通省

住まい選びに関する消費者意識、「VR内覧」が有効なツールに

(株)スタイルポート(東京都渋谷区)はこのたび、3年以内に新築マンションを購入または検討した1,030人を対象に、「VRを活用した住まい選びに関する消費者意識調査」を実施した。調査期間は2018年11月2日(金)~11月7日(水)。調査方法はインターネット。実際にVR内覧コンテンツを体験したうえで回答してもらった。

それによると、完成前の部屋をVRで内覧できるコンテンツがあれば「役に立つ」と回答した人の割合は88.8%。うち、「非常に役に立つ」と回答した人は43.2%、「やや役に立つ」と回答した人は45.6%だった。「非常に役に立つ」と回答した理由としては、「実際に行かなくても、部屋全体を見られる」「モデルルームは自分が購入する部屋が見られるとはかぎらないので」というコメントが挙がった。

また、VR内覧ができれば「モデルルームに行く必要はない」との回答は25%、「モデルルームに行きたい気持ちになる」と回答した人は75%だった。「モデルルームに行きたい気持ちになる」と回答した理由については、「ある程度イメージを掴んでから実物(モデルルーム)を見て確かめたい」「VRの面白さから興味が沸き、素材や質感などより詳しく知りたくなる」などがあった。

部屋選びの際に参考になるものとしては、1位が「モデルルーム」で85.6%、2位「VR内覧コンテンツ」61.8%、3位「間取り図」54.6%。新築マンションを検討する際に最も参考になると言われてきた「モデルルーム」に次いで、「VRによる内覧」も有効なツールとなってきているようだ。さらに、90.8%の人が「VRによる内覧はマンション購入時に必要だ」と回答し、「VR内覧によって購入意欲は高まると思う」と回答した人は49.8%と全体の約半数を占めた。

ニュース情報元:(株)スタイルポート

「SUUMO AWARD」発表、「デベロッパーの部」総合評価トップは三井不動産レジデンシャル

(株)リクルート住まいカンパニーはこのほど、首都圏の新築マンション購入者が選んだデベロッパーと管理会社の顧客満足度ランキングを「SUUMO AWARD」として初めて発表した。「SUUMO AWARD」は、首都圏で2014年以降に新築マンションを購入した人を対象に、マンションデベロッパーや管理会社の品質や価格、取り組み内容などの満足度について尋ねたものをランキングにしたもの。「デベロッパーの部」の調査期間は2017年9月7日~2017年10月23日、回答者数は3,796名。「管理会社の部」の調査期間は2018年2月15日~2018年3月5日、回答者数は5,495名。

それによると、「デベロッパーの部」のにおいて、総合評価で最優秀賞を獲得したのは「三井不動産レジデンシャル」だった。購入者から「他社より多少高くても買いたい」「マンションを探している人に勧めたい」と思われている。優秀賞には「野村不動産」「三菱地所レジデンス」「住友不動産」「積水ハウス」が選ばれた。

品質と価格のバランスで最優秀賞を獲得したのは「エフ・ジェー・ネクスト」。優秀賞は「大成有楽不動産」「オープンハウス・ディベロップメント」「東レ建設」「グローバル・エルシード」。「高級感」で最優秀賞に選ばれたのは「野村不動産」。優秀賞は「三菱地所レジデンス」「住友不動産」「東京建物」「ゴールドクレスト」。

また、「マンション管理会社(100戸以上)の部」において、「管理サービスの総合満足度」で最も高い評価を得たのは「住友建物サービス」だった。優秀賞には「野村不動産パートナーズ」「大和ライフネクスト」が選ばれた。

ニュース情報元:(株)リクルート住まいカンパニー

首都圏マンション新規発売戸数、2カ月連続の増加

(株)不動産経済研究所は15日、2018年10月度・首都圏「マンション市場動向」を発表した。それによると、10月の新規発売戸数は2,895戸、対前年同月(2,817戸)比2.8%増で2カ月連続の増加となった。地域別発売戸数は、東京都区部1,462戸(全体比50.5%、前年同月比14.6%増)、都下271戸(同9.4%、24.1%減)、神奈川県448戸(同15.5%、28.1%減)、埼玉県439戸(同15.2%、6.6%増)、千葉県275戸(同9.5%、84.6%増)。東京都のシェアは59.9%だった。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,955戸で、月間契約率は67.5%。前月の66.5%に比べて1.0ポイントアップ、前年同月の60.7%に比べて6.8ポイントアップした。1戸当り平均価格、1m2当り単価は、5,946万円、88.9万円。2018年9月は5,137万円、80.0万円だたので、前月比総額では809万円(15.7%)のアップ、m2単価は8.9万円(11.1%)アップしている。

地域別平均価格、1m2当り分譲単価は、東京都区部6,984万円、112.0万円。都下5,476万円、78.4万円。神奈川県5,450万円、73.5万円。埼玉県4,135万円、59.5万円。千葉県4,587万円、64.0万円。

即日完売物件はなし。【フラット35】登録物件戸数は2,781戸だった。なお、2018年11月の発売戸数は3,500戸の見込み。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

近畿圏マンション市場、月間契約率77.7%と好調

(株)不動産経済研究所は15日、2018年10月度・近畿圏「マンション市場動向」を発表した。10月の新規発売戸数は1,775戸、対前年同月(1,465戸)比310戸、21.2%増、対前月(1,859戸)比84戸、4.5%減となった。 地域別発売戸数は、大阪市部810戸(全体比45.6%、前年同月比47.0%増)、大阪府下483戸(同27.2%、85.1%増)、神戸市部171戸(同9.6%、25.7%減)、兵庫県下92戸(同5.2%、58.6%減)、京都市部66戸(同3.7%、44.5%減)、奈良県79戸(同4.5%、3,850.0%増)、滋賀県28戸(同1.6%、47.2%減)、和歌山県46戸(同2.6%、666.7%増)、京都府下での発売はなかった。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,379戸で、月間契約率は77.7%と好調。前月の72.8%に比べて4.9ポイントのアップ、前年同月の74.2%に比べて3.5ポイントアップした。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、3,657万円、68.7万円。前年同月比は戸当り価格は2カ月連続のダウン、m2単価は2カ月ぶりのアップ。2018年9月は4,043万円、63.6万円だったので、前月比総額では386万円(9.5%)のダウン、m2単価は5.1万円(8.0%)のアップ。

地域別平均価格、1m2当りの分譲単価は、大阪市部3,126万円、82.0万円。大阪府下4,232万円、60.6万円。神戸市部4,391万円、76.6万円。兵庫県下4,229万円、56.9万円。京都市部2,948万円、72.7万円。奈良県3,284万円、50.8万円。滋賀県4,817万円、62.2万円。和歌山県4,054万円、57.0万円。

即日完売物件は224戸(全体の12.6%)、【フラット35】登録物件戸数は935戸(同52.7%)だった。なお、2018年11月の発売戸数は1,600戸程度の見込み。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

9月の住宅着工戸数、前年比1.5%減

国土交通省はこのたび、「平成30年9月の住宅着工動向」を発表した。それによると9月の住宅着工戸数は81,903戸で、前年同月比で1.5%減となった。利用関係別では、持家は24,873戸で前年同月比では3か月ぶりの減少(前年同月比0.0%減)、貸家は35,350戸で先月の増加から再びの減少(同5.8%減)。

分譲住宅は21,064戸で、前年同月比で2か月連続の増加(同4.3%増)、うち、マンションは8,934戸で前年同月比2か月連続の増加(同3.5%増)、一戸建住宅は11,882戸で6か月連続の増加(同4.7%増)。マンションが増加し、一戸建住宅も増加したため、分譲住宅全体で増加となった。

ニュース情報元:国土交通省

東京五輪の選手村が巨大タウン「HARUMI FLAG」に【速報】

「東京 2020 オリンピック・パラリンピック」の後、東京・晴海に建設中の選手村がマンションや商業施設などで構成される巨大な街「HARUMI FLAG」になる。2018年10月31日(水)、「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業」発表会にて開発コンセプト・ビジョン・名称が明らかになった。
5632戸を分譲住宅・賃貸住宅に

アツいドラマが繰り広げられる裏で、主役たる選手たちのオアシスとなる選手村。そんな舞台が、なんと開催後にマンションとして住めるようになる! しかも技術の粋を尽くした巨大な街になるという。その名も「HARUMI FLAG」。

約13ヘクタールの広大な土地に5つの街区で構成され、5632戸の分譲住宅・賃貸住宅と商業施設の合計で24棟が建築されるほか、保育施設、介護住宅などを整備。人口約12000人になる予定とのこと。その内容は?

「HARUMI FLAG」4つのテーマ

この新しい街が掲げるテーマは以下の4つ。

●ゆとりと変化を街に生み出す

5街区・6街区・7街区・小中学校に囲まれたCENTER CORE 完成予想 CG

5街区・6街区・7街区・小中学校に囲まれたCENTER CORE 完成予想 CG


駐車場は地下に設け、地上スペースを有効に活用。6街区:FLAG CORE 前の辻広場完成予想 CG

駐車場は地下に設け、地上スペースを有効に活用。6街区:FLAG CORE 前の辻広場完成予想 CG

広大な敷地には、直径約100mのCENTER CORE(中心広場)をはじめ、辻広場、中庭などのオープンスペースがそこかしこに。住居は2階以上に設け、各棟の1階は店舗や共用室にすることで、住人同士の交流が生まれるように工夫してある。

●本物の自然に包まれて暮らす

緑道公園と4街区の海からの風景完成予想CG

緑道公園と4街区の海からの風景完成予想CG


5街区:DOTS PLAZA 完成予想 CG

5街区:DOTS PLAZA 完成予想 CG

三方を海に囲まれたロケーションを活かし、開放的な海の眺めなどを満喫できる設計になっている。レインボーブリッジや東京タワーなどの東京ならではの景観を生活空間で楽しめるなんてぜいたく! 街中には約3900本、約100種の樹木が植えられ、四季の移ろいも感じられる。

●日本らしさが息づく

まちづくりには、日本の建築シーンをリードする気鋭のデザイナー25人が参加。統一感を大切にしつつも、それぞれの個性を活かしたデザインを実現した。

街路からエントランスに至るまで光の使い方を細かく設定したり、スカイラインに建築物の左右対称性をあえて崩す日本の伝統的手法「ダイナミックシンメトリー」を採用するなど、街の景観にもこだわる。

また「細部への気遣いとおもてなし」もポイントのひとつ。マンションでは、共用廊下を1.5m(通常のマンションでは1.2m)と広くし、車いすと人がすれ違えるゆとりをもたせている。17人乗りの大型エレベーターやバリアフリー法で定められた基準よりもゆるやかな 1/20(5%)以下の勾配スロープを設けるなど、街全体が誰もが快適に暮らせる空間となる。

●ご近所でつながる、分け合う

6街区:SORA TERRACE完成予想CG

6街区:SORA TERRACE完成予想CG


05街区:SPORTS BAR 完成予想 CG

5街区:SPORTS BAR 完成予想 CG


08_6街区:KODOMO PLAZA完成予想CG_result

6街区:KODOMO PLAZA 完成予想 CG


09_7街区:商業施設完成予想CG_result

7街区:商業施設完成予想 CG

タワー棟を除く分譲住宅では、2LDK~4LDKの1009通りの間取りを用意。分譲街区にはブックラウンジ、スポーツバー、キッズルーム、「CRAFT ROOM」など51の共用室が設置され、区の住民であれば街区を超えて利用可能。カーシェアリング、シェアサイクルなどシェアサービスも利用できるので、あわせて利用するのも楽しそう。

賃貸街区にも、シェアハウスやシニア住宅、介護住宅が設置される。スーパーマーケットや生活支援施設などの商業施設などのほか、小中学校、保育施設も設置される予定。

また、街のイベントや災害時のお知らせなどの街の情報が掲載される「タウンポータル」、地域のエネルギー状況を共有・管理する「エネルギーマネジメント」、街全体を監視する「セキュリティ」など、街全体をネットワークで繋いだサービスも提供される。

模型。次世代のエネルギーを供給する「水素ステーション」が設置されるなど、環境にも配慮した街になる

模型。次世代のエネルギーを供給する「水素ステーション」が設置されるなど、環境にも配慮した街になる

都心直結の新交通システム「BRT」を導入

「HARUMI FLAG」は、銀座へ約2.5km、東京へ約3.3kmと都心部へも好アクセスなだけでなく、豊洲まで約2.1km、国際展示場まで1.4km、台場まで約2.8kmと、湾岸エリアにも行きやすい場所に誕生する。交通には新たにBRT(バス高速輸送システム)が導入され、「HARUMI FLAG」と新橋駅・虎ノ門を結ぶ。新橋駅発5時台~24時台の運行が検討されており、朝のピーク時には1時間あたり12本の便が走るとのこと。朝のピーク時でも都心へのスムーズな移動が可能になる予定だそう。

選手村に住める、というだけでもワクワクするのに、さらにこんな未来な暮らしが待っているなんて……。価格はまだ発表されていないが、今から待ちきれない!

発表会時の様子

発表会時の様子

●今後のスケジュール
2019年 春 モデルルーム事前案内会開始
5月下旬 販売開始予定
2022年 秋 住宅棟(板状)竣工予定
2024年 3月 住宅棟(タワー)竣工予定

首都圏マンション発売戸数、6月以来の増加

(株)不動産経済研究所はこのたび、2018年9月度・首都圏「マンション市場動向」を発表した。それによると、9月の新規発売戸数は、対前年同月(2,978戸)比13.2%増の3,372戸、6月以来の増加となった。 地域別発売戸数は、東京都区部が1,458戸(全体比43.2%、前年同月比24.9%増)、都下306戸(同9.1%、10.5%減)、神奈川県663戸(同19.7%、24.3%減)、埼玉県316戸(同9.4%、7.9%減)、千葉県629戸(同18.7%、151.6%増)。東京都のシェアは52.3%だった。

新規発売戸数に対する契約戸数は2,241戸で、月間契約率は66.5%。前月の64.5%に比べて2.0ポイントアップ、前年同月の64.9%に比べて1.6ポイントアップした。1戸当り平均価格、1m2当り単価は、5,136万円、80.0万円。2018年8月は5,360万円、78.8万円だったので、前月比総額では224万円(4.2%)ダウン、m2単価は1.2万円(1.5%)アップした。

地域別平均価格、1m2当り分譲単価は、東京都区部が5,990万円、103.1万円(18.6%ダウン、6.4%ダウン)。都下5,089万円、77.6万円(0.8%ダウン、9.1%アップ)。神奈川県5,008万円、73.6万円(0.1%アップ、2.4%アップ)。埼玉県4,289万円、61.2万円(5.8%ダウン、6.0%ダウン)。千葉県3,740万円、52.9万円(11.1%ダウン、12.3%ダウン)。

なお、即日完売は151戸(全体の4.5%)で、【フラット35】登録物件戸数は3,274戸(同97.1%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

近畿圏マンション契約率、4か月連続で70%超

(株)不動産経済研究所はこのたび、2018年9月度・近畿圏「マンション市場動向」を発表した。それによると、9月の新規発売戸数は1,859戸。対前年同月(2,392戸)比533戸、22.3%減。対前月(1,378戸)比481戸、34.9%増となった。 地域別発売戸数は、大阪市部が711戸(全体比38.2%、前年同月比37.0%減)、大阪府下456戸(同24.5%、89.2%増)、神戸市部94戸(同5.1%、26.0%減)、兵庫県下155戸(同8.3%、36.2%減)、京都市部273戸(同14.7%、506.7%増)、奈良県10戸(同0.5%、9.1%減)、滋賀県156戸(同8.4%、71.8%減)、和歌山県4戸(同0.2%、55.6%減)、京都府下での発売はなかった。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,354戸で月間契約率は72.8%、4か月連続で70%を超えた。前月の80.6%に比べると7.8ポイントのダウン、前年同月の74.5%に比べると1.7ポイントダウン。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、4,045万円、63.7万円。前年同月比は戸当り価格は3カ月ぶりのダウン。m2単価は2カ月ぶりのダウン。2018年8月は3,585万円、67.4万円だったので、前月比総額では460万円(12.8%)のアップ、m2単価は3.7万円(5.5%)のダウン。

地域別平均価格、1m2当りの分譲単価は、大阪市部が3,693万円、69.7万円。大阪府下4,141万円、56.1万円。神戸市部3,774万円、69.0万円。兵庫県下5,125万円、67.0万円。京都市部3,500万円、59.5万円。奈良県3,796万円、49.7万円。滋賀県5,430万円、66.9万円。和歌山県3,963万円、46.5万円。

即日完売物件は13戸(全体の0.7%)で、【フラット35】登録物件戸数は1,180戸(同63.5%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

住宅着工戸数、3か月ぶりの増加

国土交通省はこのほど「平成30年8月の住宅着工動向」を発表した。それによると8月の住宅着工戸数は81,860戸、前年同月比1.6%増で3か月ぶりの増加となった。
利用関係別にみると、持家は24,420戸で前年同月比では2か月連続の増加(前年同月比0.2%増)、貸家は35,457戸で15か月ぶりの増加(同1.4%増)。

また、分譲住宅は21,325戸で3か月ぶりの増加(同2.9%増)。そのうち、マンションは9,146戸で3か月ぶりの増加(同0.4%増)、一戸建住宅は11,953戸で5か月連続の増加(同4.0%増)となった。

ニュース情報元:国土交通省

新築マンション価格の年収倍率、全国平均は7.81倍

(株)東京カンテイはこのほど、2017年新築マンション価格の年収倍率を発表した。各都道府県で分譲された新築マンション価格(70m2換算)を平均年収で除し、新築価格が年収の何倍に相当するかを算出したもの。
それによると、2017年の新築マンション年収倍率は、全国平均で7.81倍と前年から0.34拡大した。2011年以降続いていた拡大傾向は2016年に一服していたが、全域的な価格上昇に伴いマンション購入の経済的な負担が再び増す結果となった。

全国で最も年収倍率が高かったのは東京都の13.26倍。神奈川県や埼玉県でも10倍超えが続いている。首都圏では新築価格の上昇率が平均年収の増加率を上回って、年収倍率は0.10拡大して11.01倍となった。

近畿圏では平均年収の増加や新築価格の下落に伴い、年収倍率は0.46縮小して8.26倍。中部圏では価格上昇に起因して、年収倍率は0.69拡大の7.96倍で、全国平均を上回ったのは2010年以来となる。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

首都圏マンション発売戸数、1993年以来の低水準

(株)不動産経済研究所はこのたび、2018年8月度・首都圏「マンション市場動向」を発表した。それによると8月の新規発売戸数は1,502戸。対前年同月(2,101戸)比28.5%減、対前月(2,986戸)比49.7%減、8月としては1993年(1,354戸)以来の低水準となった。地域別発売戸数は東京都区部553戸(全体比36.8%、前年同月比48.2%減)、都下105戸(同7.0%、49.5%減)、神奈川県140戸(同9.3%、63.4%減)、埼玉県217戸(同14.4%、32.0%減)、千葉県487戸(同32.4%、292.7%増)。東京都のシェアは43.8%だった。

新規発売戸数に対する契約戸数は969戸で月間契約率は64.5%。前月の67.8%に比べて3.3ポイントダウン、前年同月の68.2%に比べて3.7ポイントダウンした。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、5,360万円、78.8万円。2018年7月は6,191万円、91.7万円だったので、前月比総額では831万円(13.4%)のダウン、m2単価は12.9万円(14.1%)ダウン。

地域別平均価格、1m2当り分譲単価は、東京都区部7,287万円、120.0万円(4.9%アップ、8.3%アップ)、都下5,058万円、72.9万円(9.0%ダウン、10.1%ダウン)、神奈川県5,050万円、70.6万円(9.8%アップ、5.7%アップ)、埼玉県4,143万円、61.8万円(2.2%ダウン、6.0%アップ)、千葉県3,869万円、51.3万円(2.5%ダウン、4.8%ダウン)。

即日完売物件はなし。【フラット35】登録物件戸数は1,370戸(同91.2%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

近畿圏マンション市場、契約率80.6%と好調

(株)不動産経済研究所はこのたび、2018年8月度・近畿圏「マンション市場動向」を発表した。それによると8月の新規発売戸数は1,378戸。対前年同月(1,215戸)比13.4%増、対前月(1,514戸)比9.0%減となった。 地域別発売戸数は大阪市部663戸(全体比48.1%、前年同月比15.9%増)、大阪府下395戸(同28.7%、44.7%増)、神戸市部126戸(同9.1%、14.9%減)、兵庫県下38戸(同2.8%、66.4%減)、京都市部63戸(同4.6%、27.6%減)、奈良県2戸(同0.1%、前年と同値)、滋賀県91戸(同6.6%、前年供給なし)、京都府下、和歌山県での発売はなかった。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,111戸で月間契約率は80.6%と好調。前月の74.0%に比べて6.6ポイントのアップ、前年同月の80.0%に比べて0.6ポイントアップした。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、3,585万円、67.4万円。前年同月比は戸当り価格は2カ月連続のアップ。m2単価は3カ月ぶりのアップ。2018年7月は4,568万円、66.5万円だったので、前月比総額では983万円(21.5%)のダウン、m2単価は0.9万円(1.4%)のアップとなった。

地域別平均価格、1m2当りの分譲単価は、大阪市部2,635万円、79.0万円。大阪府下4,048万円、57.9万円。神戸市部5,102万円、70.1万円。兵庫県下7,147万円、84.9万円。京都市部5,225万円、76.8万円。奈良県3,265万円、42.7万円。滋賀県3,788万円、50.7万円。

即日完売物件は109戸(全体の7.9%)、【フラット35】登録物件戸数は658戸(同47.8%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

7月の住宅着工戸数、前年比0.7%減

国土交通省が8月31日に発表した「平成30年7月の住宅着工動向」によると、7月の住宅着工戸数は82,615戸で前年同月比0.7%減、2か月連続の減少となった。
利用関係別でみると、持家は25,447戸で6か月ぶりの増加(前年同月比0.3%増)、貸家は35,847戸で14か月連続の減少(同1.4%減)となった。

また、分譲住宅は20,885戸で2か月連続の減少(同0.7%減)、そのうち分譲マンションは8,699戸で2か月連続の減少(同4.0%減)、分譲一戸建住宅は12,004戸で4か月連続の増加(同2.5%増)となった。

ニュース情報元:国土交通省

新築マンション価格設定、東向き・西向きは25階以上で平均坪単価を上回る

(株)マーキュリー(東京都新宿区)はこのほど、首都圏で2009年から2018年の10年間に供給された物件を対象に「新築マンション価格設定の法則」に関する調査を行った。物件の平均坪単価を1とした時、各住戸の坪単価がどの程度なのかを指数化したものを階数別・方位別でまとめたところ、南向き、南東向き、南西向きは5階以上、東向き、西向きは25階以上、北西、東向きは30階以上、北向きは40階以上で概ね平均坪単価を上回る価格設定となっていることが分かった。

次に、各階数帯毎の南向き住戸を1とした時、各階毎、各方位でどの程度の格差があるかを見ると、南西、南東向きは概ね-4%未満、東向きは-4から-10%未満、西、北西、北東向きも-4から-10%程度だが、より低層階からマイナス幅が大きくなる傾向。また、真北向きは-5から-13%とマイナス幅は最も大きい。

一方、50階以上では、南向き以外の方位と南向きとの差が縮小する傾向もみられ、特に55階以上では南向きを大きく上回る方位も見られた。方位は南向き、階数は高層階に行けば行くほど価格が上昇することが今回のデータから分かったが、50階以上の高層階の住戸は「南向きが高い」という法則が成立しないようだ。

方位別価格設定の法則では、南向きを基準とした際、南向き>東向き>西向き>北向きの順で価格に差が出ることが分かった。仮に物件価格の基準(南向き住戸)を5,000万円とした場合、東向きでは185万円~480万円、西向きでは200万円~480万円、北向きでは265万円~650万円もの差が出ることになる。

ニュース情報元:(株)マーキュリー

首都圏マンション市場、発売戸数は前年比12.8%減

(株)不動産経済研究所はこのたび、2018年7月度・首都圏「マンション市場動向」を発表。それによると7月の新規発売戸数は2,986戸、対前年同月(3,426戸)比12.8%減、対前月(2,659戸)比12.3%増となった。地域別発売戸数をみると、東京都区部は1,437戸(全体比48.1%、前年同月比22.9%減)、都下は418戸(同14.0%、98.1%増)、神奈川県574戸(同19.2%、38.9%減)、埼玉県289戸(同9.7%、1.7%減)、千葉県268戸(同9.0%、127.1%増)。東京都のシェアは62.1%だった。

新規発売戸数に対する契約戸数は2,024戸で月間契約率は67.8%、前月の66.0%に比べて1.8ポイントアップした。前年同月の71.9%と比べると、4.1ポイントダウンしている。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、6,191万円、91.7万円。2018年6月は6,244万円、92.8万円だったので、前月比総額では53万円(0.8%)ダウン。m2単価も1.1万円(1.2%)ダウンした。2017年7月は6,562万円、95.2万円だったので、前年同月比総額では371万円(5.7%)ダウン、m2単価は3.5万円(3.7%)ダウン。

地域別平均価格、1m2当り分譲単価は、東京都区部7,271万円、114.6万円(1.5%ダウン、3.1%アップ)。都下5,259万円、74.3万円(7.5%ダウン、7.4%ダウン)。神奈川県5,624万円、77.8万円(8.4%ダウン、9.1%ダウン)。埼玉県4,986万円、72.7万円(17.1%アップ、24.1%アップ)。千葉県4,368万円、59.8万円(0.8%アップ、0.7%アップ)。

即日完売は137戸(全体の4.6%)で、【フラット35】登録物件戸数は2,814戸(同94.2%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

近畿圏マンション市場、戸当り価格は92年7月以来の高水準

(株)不動産経済研究所はこのたび、2018年7月度・近畿圏「マンション市場動向」を発表。それによると、新規発売戸数は1,514戸、対前年同月(1,832戸)比318戸、17.4%減、対前月(1,211戸)比303戸、25.0%増となった。 地域別発売戸数は、大阪市部が612戸(全体比40.4%、前年同月比38.9%減)、大阪府下253戸(同16.7%、4.1%増)、神戸市部174戸(同11.5%、262.5%増)、兵庫県下351戸(同23.2%、27.6%増)、京都市部65戸(同4.3%、3.0%減)、奈良県6戸(同0.4%、50.0%増)、滋賀県53戸(同3.5%、1.9%増)、京都府下、和歌山県での発売はなし。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,121戸で、月間契約率は74.0%。前月の75.6%に比べて1.6ポイントダウン。前年同月の73.6%と比べると、0.4ポイントアップした。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、4,568万円、66.5万円。戸当り価格は92年7月(4,778万円)以来の高水準となった。また、2018年6月は3,578万円、62.2万円だったので、前月比総額では990万円(27.7%)のアップ、m2単価は4.3万円(6.9%)のアップ。2017年7月は4,264万円、67.8万円だったので、前年同月比総額では304万円(7.1%)アップ、m2単価は1.3万円(1.9%)ダウンした。

地域別平均価格、1m2当りの分譲単価をみると、大阪市部は5,110万円、84.0万円。大阪府下4,024万円、53.2万円。神戸市部4,721万円、65.5万円。兵庫県下4,041万円、54.3万円。京都市部4,745万円、66.5万円。奈良県4,100万円、50.0万円。滋賀県3,720万円、50.5万円。

即日完売物件は92戸(全体の6.1%)で、【フラット35】登録物件戸数は1,096戸(同72.4%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

6月の住宅着工数、3か月ぶりの減少

国土交通省が7月31日に発表した「平成30年6月の住宅着工動向」によると、6月の住宅着工戸数は81,275戸、前年同月比7.1%減、3か月ぶりの減少となった。
利用関係別にみると、持家は25,148戸(前年同月比3.4%減)で5か月連続の減少。貸家は34,884戸(同3.0%減)で13か月連続の減少。

分譲住宅は20,281戸(前年同月比18.8%減)で3か月ぶりの減少。うち、分譲マンションは8,253戸(同36.2%減)で3か月ぶりの減少、分譲一戸建住宅は11,903戸(同0.7%増)で3か月連続の増加となっている。

ニュース情報元:国土交通省

18年の新築マンション、首都圏は3万8,000戸が供給見込み

(株)長谷工総合研究所は7月27日、2018年上半期の首都圏・近畿圏分譲マンション供給の総括と、下半期の見通しを発表した。

それによると、2018年上半期の首都圏新築マンション供給戸数は、件数1,093件・戸数15,504戸と、前年同期比5.4%増となり、3年ぶりに15,000戸を上回った。同じく近畿圏の新築マンション供給戸数は、件数615件・戸数9,087戸と、前年同期比3.1%増となり、3年ぶりに9,000戸を上回った。近畿圏が前年同期を上回るのも3年ぶりとなる。

販売の好調さを判断する指標のひとつである初月販売率は、首都圏では66.7%と70%を下回るものの、在庫(分譲中戸数)は昨年12月末の7,106戸から6月末は6,368戸と738戸減少した。近畿圏では、初月販売率は74.1%と70%を超える水準を維持しており、分譲中戸数は昨年12月末の2,539戸から6月末は2,298戸と241戸減少した。

分譲単価は首都圏では昨年比1.9%アップの87.5万円/m2となったが、平均面積は68.17m2と0.9%減少したことから、平均価格は5,962万円と0.9%のアップにとどまった。近畿圏の分譲単価は前年比2.4%アップの64.5万円/m2となった。

下期の見通しとしては、首都圏・近畿圏ともに同研究所が年初に予測した、首都圏4万戸程度、近畿圏で2万戸程度の供給が可能な状況にあるため、年間の供給予測は首都圏38,000戸、近畿圏19,000戸になると見ている。

ニュース情報元:(株)長谷工総合研究所