不動産取引市場、2018年上期は約2.1兆円

(一財)日本不動産研究所は、不動産取引市場調査(2001年上期~2018年上期)を実施し、その結果を公表した。それによると、不動産取引市場の規模(取引金額が公表されている取引事例についての取引金額の合計)は、2007年上期に約3兆円に達しピークを迎えた。リーマンショックが生じた2008年下期には約1兆円程度まで市場が縮小しピーク時の約1/3の規模となった。

政権交代を経た2013年上期以降は2兆円超えと大幅に拡大、2015年上期まで半期ベースで2.0~2.6兆円程度で堅調に推移。2015年下期は約1.8兆円と大幅に減少したが、その後は緩やかな増加傾向で推移しており、2018年上期は約2.1兆円となった。

不動産取引市場における地域別の取引金額割合は、2016年上期以降、都心5区・東京23区内の割合が減少。地方でもモノ不足が進行するなか、2017年上期・下期とも、相対的にリスクが高い首都圏の案件が取引対象となり、首都圏の割合が増加した。

2017年の年末にかけては外資系機関投資家による大型取引や、J-REITのリバランス等が相次ぎ、都心5区の取引金額割合は増加に転じた。2018年上期は高値圏が続くなか、J-REITや機関投資家は市況悪化時でも安定的な収益性を維持できる都心の優良物件への選別投資を進めている。結果、都心5区の割合が継続的に上昇している。

ニュース情報元:(一財)日本不動産研究所

東京23区のマンション賃料、2018年は1.4%上昇と予測、日本不動産研究所

(一財)日本不動産研究所は、住宅マーケットインデックスを活用して、東京23区の新築・標準タイプ(専有面積40~80m2未満)のマンション価格と賃料の中期予測を公表した。それによると、2018年のマンション価格は、マクロ経済の安定が継続し、ほぼ横ばい(+0.5%)で推移、2019年には10月に消費増税が予定されており、マクロ経済がやや悪化する影響を受け、マンション価格は0.6%微減すると予測した。2020年は、消費増税のマクロ経済への影響が大きくなることから2.4%下落するものの、2021年以降は年+0.6%前後という経済成長率の継続により、ほぼ横ばいで推移するとしている。

マンション賃料においては、2018年は+1.4%、2019年は+0.9%、2020年は+0.5%と上昇傾向が継続するものの、その上昇幅は縮小、2021年以降はマクロ経済の安定的な推移継続によりほぼ横ばいで推移すると予測した。

ニュース情報元:(一財)日本不動産研究所

東京23区のマンション賃料、新築・中古全てのタイプで上昇

(一財)日本不動産研究所はこのほど、「住宅マーケットインデックス 2017年下期」の調査結果を公表した。
この調査は、東京23区の賃貸及び分譲マンションの賃料・価格について、新築・中古(築10年)、大型(80m2以上)・標準(40~80m2未満)・小型(40m2未満)の各タイプ別に東京23区、都心5区、城西・城南・城北・城東のエリア別、各区別に調査・集計したもの。データ数は36,754件(新築マンション価格事例7,479件、中古マンション価格事例1,269件、賃貸マンション賃料事例28,006件)。

それによると、都心5区(港区、千代田区、中央区、新宿区、渋谷区)のマンション賃料は、新築の大型タイプが5,833円/m2と前期比3.1%上昇、標準タイプが4,494円/m2で同2.8%上昇、小型タイプが4,399円/m2で同0.2%上昇。中古の大型タイプが5,198円/m2で前期比3.1%上昇、標準タイプが4,125円/m2で同2.9%上昇、小型タイプが4,145円/m2で同0.2%上昇。新築及び中古の大型と標準タイプは上昇しているが、小型タイプはほぼ横ばい推移となっている。

東京23区のマンション賃料は、新築の大型タイプが4,991円/m2で前期比6.7%上昇、標準タイプが3,354円/m2で同1.9%上昇、小型タイプが3,694円/m2で同1.2%上昇。中古の大型タイプが4,458円/m2で前期比6.6%上昇、標準タイプが3,104円/m2で同2.0%上昇、小型タイプが3,487円/m2で同1.2%上昇。新築及び中古の全てのタイプは上昇した。そのうち、大型タイプの上昇幅が最も大きく、新築と中古ともに6.5%を上回った。

都心5区のマンション価格は、新築大型タイプが170.6万円/m2で前期比11.8%低下、標準タイプが124.0万円/m2で同8.0%低下、小型タイプが133.7万円/m2で同0.4%上昇。中古大型タイプが131.6万円/m2で前期比10.6%上昇、標準タイプが110.0万円/m2で同5.7%上昇、小型タイプが107.6万円/m2で同4.6%上昇。新築の大型と標準タイプは大幅に下落したが、例年と比べて依然として高い水準。中古の全てのタイプは上昇しており、標準タイプは2期連続、小型タイプは4期連続で最高値を更新した。

東京23区のマンション価格は、新築大型タイプが143.9万円/m2で前期比2.3%低下、標準タイプが101.0万円/m2で同4.0%上昇、小型タイプが111.6万円/m2で同4.2%低下。中古の大型タイプが83.1万円/m2で前期比0.3%上昇、標準タイプが78.4万円/m2で同2.3%上昇、小型タイプが88.8万円/m2で同1.0%上昇。新築の大型と小型タイプは前期の最高値より低下したが、依然として高い水準。標準タイプは上昇し、1998年調査以来最高値となった。中古の全てのタイプは上昇傾向。標準タイプは10期、小型タイプは11期連続上昇し、最高値を更新した。

ニュース情報元:(一財)日本不動産研究所

国際不動産価格、上昇率トップは「香港」、日本不動産研究所調べ

(一財)日本不動産研究所はこのほど、第9回「国際不動産価格賃料指数」(2017年10月現在)の調査結果を公表した。これは、国際的な主要都市の不動産市場動向を調査するため、対象都市の調査物件について、同研究所の不動産鑑定士が評価した価格・賃料を指数化したもの。

対象都市は東京、大阪、ソウル、北京、上海、香港、台北、シンガポール、クアラルンプール、バンコク、ジャカルタ、ホーチミン、ニューヨーク、ロンドンの14都市。

それによると、オフィス価格の上昇率が最も大きかったのは「香港」(+6.5%)だった。「香港」は、中国本土からの旺盛な投資需要がある一方で、供給は限定的というタイトな需給環境があり、市場予想を上回る高額取引の出現もオフィス価格上昇の一因となった。

「東京」(5番目、+3.1%)と「大阪」(2番目、+4.8%)は、日銀の金融緩和等を背景に利回りの低下が続き、結果として今回調査でも価格上昇の上位にランクイン。「ニューヨーク」(10番目、+0.1%)は米国FRBの金融政策(政策金利の緩やかな引き上げ)をにらみ、市場は模様眺めの状態が定着し、価格動向に大きな変化はみられなかった。

また、マンション価格の上昇率が最も大きかったのも「香港」(+5.2%)だった。一方、前回調査まで際立つ価格上昇を見せてきた「北京」は、一転して1%未満の僅かな上昇。「大阪」(7番目、+0.9%)と「東京」(8番目、+0.6%)も僅かな上昇だった。

マンション賃料の変動率においても、最も高かったのは「香港」で+3.1%。次いで「上海」+2.1%、「ホーチミン」+1.0%、「東京」+0.9%と続く。「大阪」は9番目で+0.1%だった。

ニュース情報元:(一財)日本不動産研究所