朝晩ちょっと寒い……そんな季節に床暖房! 後付できる?選び方のヒントを教えます

朝晩は肌寒い、かといってエアコンやストーブをつけるには暑すぎるこの時期に、ぴったりな設備が床暖房。エアコンやファンヒーターなどと違い、空気を攪拌(かくはん)しないのでホコリが舞いにくく、じわっと足元から温めてくれるので、頭は熱くても足元が冷えてしまうということもありません。新築マンションや一戸建てには設置されていることが多いのですが、実はリフォームでも取り付けられるんです。でも、リフォーム時の注意点は? 電気、温水式はじめ、意外と種類が多く、選び方も難しそう……。そこで特徴やコストパフォーマンス、使い方やトレンドなどを紹介します。
タイプは大きく分けて電気式と温水式の2つ。コスパは使い方次第

「床暖房は冬場はもちろん、朝晩限定などを含めれば、大体10月から3月下旬くらいまでと意外と長く使う設備です。ガスや灯油を燃料としないので、小さい子どもやお年寄りがいても安心して使えるという魅力もありますね」と話すのは、新築、リフォームなど多彩な住宅の設計を手掛けるアキ設計の矢島理紗さん。

その床暖房は大きく分けて「温水式」と「電気式」の2タイプがあるとのこと。

「熱源がガスの場合やヒートポンプという空気を集めてエネルギーをつくるタイプ、温水を電気で温めるなどさまざまあるので、どのタイプが良いのか選ぶのが難しいかもしれませんが、基本的にこの2タイプに分かれます」。
違いはどういう点でしょうか。
「どちらも床下に専用のパネルを敷き詰めて床を温めるものです。簡単に言うと、電気式は電気をエネルギーとして温める方式で、温水式は熱源機で温めたお湯をパイプに循環させる方式です」

コストや設置条件に関してはリフォームする家の構造や設備状況から、使用する商品、床素材、ニーズによってさまざまで「一概には言えないです」とのこと。

「温水式は熱源機の新設やパイプの配管工事、リモコンの電気配線工事など、多業種に渡る工事が必要です。そのため設備費用自体は抑えられても、人件費などの経費を考えると工事費は高くなりがちです。しかし、広い面積に床暖を入れる場合や、床暖房のほかに、例えば浴室などのリフォームなど給湯配管に関わる工事と合わせて行う場合は、まとめて配管工事ができます。また、温水式はスイッチを切っても温水が冷めるまでゆっくりと温度が下がるため保温力も高いので、長時間家で過ごす方がいるお宅に向いているでしょう。

「電気式は設備としては電気工事だけなので、温水パイプの配管が難しい場合や、個室一部屋だけなどの小規模な床暖リフォームに向いています。また電気式は立ち上がりの温まりが早いのが特徴なので、日中外出しがちで、朝や夜だけなど短時間使用のお宅におすすめです。ただ、電気式はある程度の電気容量が必要です。住宅によってはアンペアの容量増設や、電気料金の契約内容の見直しが必要になることもあります」

あくまで目安のひとつ。「施工面積や素材、商品で違いがあるのと、施工する物件の構造や断熱性能でも効率がだいぶ変わりますので、施工会社や建築士などの専門家に相談してみましょう」(矢島さん)とのこと(画像作成/SUUMOジャーナル編集部)

あくまで目安のひとつ。「施工面積や素材、商品で違いがあるのと、施工する物件の構造や断熱性能でも効率がだいぶ変わりますので、施工会社や建築士などの専門家に相談してみましょう」(矢島さん)とのこと(画像作成/SUUMOジャーナル編集部)

どんな住宅でも取り付けできる?

床を工事するだけに、床暖房の後付(リフォーム)と聞くと、なんだか大変そうと思いがちですが、基本的に木造の戸建て、鉄筋コンクリートのマンションなど住宅の種類はもちろん、1階か2階かに関わらず床暖房リフォームは可能といいます。ただ気を付けたいのは「前述した温水式を取り入れる場合、例えばオール電化のマンションだと、当たり前ですがガスの熱源機を導入できません。

また熱源機からの配管を屋内に取り込む際に、外壁に新たに穴をあける工事が必要になることがありますが、マンションの場合はコンクリート造なので壁に穴をあけることができません。お住まいがどんな住まいで、何が追加で必要なのか、どの方式が最適なのかを専門業者に見てもらい、判断したほうがいいと思います」(矢島さん)

とはいえ、さらに最近では電気式、温水式にもさまざまな種類の床暖房システムが登場しているので、きっと最適な床暖房があるはず、といいます。特に今回見せてもらって驚いたのが電気式床暖房で使うパネル。コンパクトのため、施工箇所を例えばキッチンだけ、寝室だけなど部分的にも導入しやすく、極薄なので床のかさ上げも最小限で済みます。

また、部屋の印象の大部分を左右する床。それだけに床材もこだわりたいところですが、一昔前は経年や湿度などで変化する自然素材の床は使いにくいといわれていました。当時は泣く泣く気に入らないデザインを選ぶことになった人もいましたが、今は床暖房対応の仕様が多種多彩。

「足触りのいい無垢材仕様の床はもちろん、竹や畳、カーペット、コルクなどさまざまな床材が選べます。温かさだけでなく、見た目や足触りも暮らしの重大要素。選べる範囲が広がっているのはいいことですよね」。

アキ設計で使われた床暖房パネルのひとつを拝見。極薄で紙のようなこのパネルで床を温める。軽量で施工がしやすいタイプも増えている(写真撮影/山口俊介(BREEZE))

アキ設計で使われた床暖房パネルのひとつを拝見。極薄で紙のようなこのパネルで床を温める。軽量で施工がしやすいタイプも増えている(写真撮影/山口俊介(BREEZE))

アキ設計で使われた床暖房対応の「無垢チーク材」の床。自然素材は足触りがよく、経年変化も楽しめるのが特徴。アレルギーやシックハウスなどが気になる人にとっても朗報だ(写真提供/アキ設計)

アキ設計で使われた床暖房対応の「無垢チーク材」の床。自然素材は足触りがよく、経年変化も楽しめるのが特徴。アレルギーやシックハウスなどが気になる人にとっても朗報だ(写真提供/アキ設計)

リフォーム時の注意点やかかる日数は?

もうひとつ気になるのが、床となると「大規模すぎて工事に時間がかかるんじゃないの?」という懸念です。特に床だけに仮住まいを1カ月くらい借りなくちゃいけない?施工中は狭い洋室で長期間過ごすの?なんて考える人もいるかもしれませんが……。

「施工面積によりますが、リビングの床を床暖房にするのには、最短で電気式であれば1日から2日、温水式でも2日から3日ほどで工事することができます」といいます。

「もちろん前述のとおり、周辺機器の工事が必要の場合はその分日数はかかりますが、床暖房だけなら1週間くらいでリフォームできると思っていただければ大丈夫です」

案外手軽にできるようです。

しかし、どんなタイプの床暖房であれ共通する注意点があるそうです。
「それは家自体の断熱性です。せっかく床暖房を導入しても、温かさが逃げていくばかりでは光熱費がかさんでしまいます。ですので、できれば床暖房リフォームをきっかけに、床下や外壁、サッシなどの断熱性をチェックし、家全体の断熱性=快適性に目を向けてもらえれば、長く快適に暮らせる住まいになると思います」(矢島さん)

「床を温めるだけでなく、家全体が温かくなるような、快適な住まいを見直すきっかけにしてほしいですね」と床暖房リフォームについて語ってくれたアキ設計の矢島さん(写真撮影/山口俊介(BREEZE))

「床を温めるだけでなく、家全体が温かくなるような、快適な住まいを見直すきっかけにしてほしいですね」と床暖房リフォームについて語ってくれたアキ設計の矢島さん(写真撮影/山口俊介(BREEZE))

床暖房は足元から住む人を温めてくれるもの。最近は電力会社やガス会社などから光熱費について各種割引プランが多く出ているので、懐も温めつつ導入しやすくなっています。施工期間も短期間で済むので、来年に向けて一度検討してみてはいかがでしょう。

●取材協力
・一級建築士事務所 アキ設計

プロ直伝!まだまだ冷える冬終盤に、ほっと温まるちょい足し家電

春らしい日も増えてきた今日このごろ。といっても寒い日は真冬並みの気温ですが、もう春も目の前に迫っているのに、本格的な暖房器具を買い足すのは抵抗があります。そこで、寒暖差の激しいこの季節を乗り切るために、プロおすすめのちょい足し家電を聞いてきました。機能説明やおすすめ度はもちろん、「人間に例えたらどんな性格?」なんて、ちょっと無茶な質問にも答えてもらいました。
エントリーNo.01 暖房家電の王道をゆく!-ヤマダ電機LABI

最初に突撃したのは「ヤマダ電機 LABI 新宿東口館」の家電アドバイザー高野陽平さん。2017年の終盤から2018年初頭にかけて冷え込みが激しかったことを受け、暖房家電の人気が急上昇。取材に伺った2月初旬には、既に多くの暖房機器が完売、或いは在庫僅少という状態でした。そんな中でも、まだまだ冷える冬の朝晩を乗り切るために、おすすめのちょい足し家電をばっちり紹介してもらいました。
※2018年2月6日・取材時点の情報です

高野さん イチオシは送風・温風兼用のファンヒーター「dyson Pure Hot+Cool link HP03」です。面倒な設定をしなくても、オートモードが搭載されているので、空気の状態を見て風量を自動調節してくれます。また空気清浄器の機能も果たし、高い密閉性を持つ360°グラスHEPAフィルターで花粉やバクテリア、ウイルスだけでなくPM0.1レベルの微細な粒子や有害なガスまで除去してくれます。空気を清浄にしながら、温風も涼風も使い分けができるので、季節を選ばずに活躍する家電ですね。

年間を通して利用できる多機能家電なので、空気清浄器や扇風機、ストーブなどの置場・収納場所にお困りの方、ワンルームなどコンパクトな部屋にお住まいの方におすすめです。アプリと連動したスケジュール機能も備え、運転予約も可能なので、仕事中にペットを家に残しているという方にもぴったりです。

どんな状況でも暖かく、或いは涼しく、自分にとって快適な環境づくりをサポートしてくれるので、もしこの家電が人間だったら人助けの上手な人じゃないかなと思います。

高野さんイチオシのファンヒーター(写真撮影/宮崎 林太郎)

高野さんイチオシのファンヒーター(写真撮影/宮崎 林太郎)

「LABI新宿東口館」店頭価格:59,800円(税抜)/LABI新宿東口館提供データより筆者作成

「LABI新宿東口館」店頭価格:59,800円(税抜)/LABI新宿東口館提供データより筆者作成

高野さん 続いて紹介したいのが「コロナ 遠赤外線ヒーター〈コアヒート〉 DH-1217R」です。省エネセンサーを搭載し、無駄な電気代を節約してくれるので、補助暖房家電にぴったり。遠赤外線による輻射熱が直接当たったものから暖めてくれるので、離れていても温かく、タテ・ヨコ・上下と向きや角度を好みで変えられるので、シチュエーションによる使い分けも可能です。

省エネセンサーによる電気代カットや、輻射熱によって広範囲を暖めてくれることから、エアコンが付けられないお部屋にお住まいの方や、冬場の電気代が気になる方におすすめです。マイコン制御(電源を入れると一時的に設定温度より高温で起動する機能)で素早く暖めてくれるので、着替えの間など短時間だけ利用したいという方は重宝すると思います。

もし人間だったら、自分以外にも熱を届けていくので、周りの人達も巻き込んで行動ができるのような熱血漢を想像しますね。

「ヤマダ電機オリジナルカラーのゴールドもあります」と高野さん(写真撮影/宮崎 林太郎)

「ヤマダ電機オリジナルカラーのゴールドもあります」と高野さん(写真撮影/宮崎 林太郎)

「LABI新宿東口館」店頭価格:22,100円(税抜)/LABI新宿東口館提供データより筆者作成

「LABI新宿東口館」店頭価格:22,100円(税抜)/LABI新宿東口館提供データより筆者作成

高野さん 最後にご紹介するのは「d-design ハイブリッド式加湿器 DKHS-3521 NWD/DWD」です。背の高いタワー型なので、高い位置からのミスト噴射でエアコンとの併用でも効率よく加湿することができます。超音波+ヒーターのハイブリッド式なので、蒸気が高温になりすぎず、しかし加湿ミストの殺菌効果が見込める温度までは上昇するため、衛生的かつ安心してご使用いただけます。アロマにも対応しているので、お好みの香りによるリフレッシュも可能です。

縦長で接地面積が小さいため、省スペースにもなり、コンパクトな部屋にお住まいにも便利です。スタイリッシュなデザイン家電なので、広い部屋にお住まいでも、インテリアとしてお気に召される方もいらっしゃるかと思います。家電までおしゃれにこだわる方にはこの商品をおすすめしたいですね。

この家電はエアコンなど他の器具との相性も良く、サポートに向いているので、優しい性格の人物を思い浮かべました。

木目調デザインの商品は明るめと暗めの2色(写真撮影/宮崎 林太郎)

木目調デザインの商品は明るめと暗めの2色(写真撮影/宮崎 林太郎)

「LABI新宿東口館」店頭価格:16,100円(税抜)/LABI新宿東口館提供データより筆者作成

「LABI新宿東口館」店頭価格:16,100円(税抜)/LABI新宿東口館提供データより筆者作成

エントリーNo.02 主役の暖房を引き立てる!-ヨドバシカメラ

続いて向かったのはヨドバシカメラ新宿西口本店マルチメディア館。こちらでもファンヒーターやオイルヒーターなど、オーソドックスな暖房家電は人気のため、やはり完売している商品も多いそうです。そんな中、家電コンシェルジェの仲田大樹さんが、ちょっと目線を変えた暖房のサポート家電を案内してくれました。
※2018年2月7日・取材時点の情報です

仲田さん 暖房の補助家電として一番のおすすめは「象印 布団乾燥機 RF-AC-20-WA」です。こちらは暖房器具ではありませんが、布団乾燥機能だけでなく、布団のあたため機能が搭載されている点が大変便利です。アタッチメントを取り付けるなどの手間が必要なく、折りたたまれているノズルを開いて、送風口を布団に差し込むだけで布団全体に熱がしっかりと行き届くので、取り回しが非常にラクな点が特に人気を呼んでいます。送風口を部屋に向けて使えば、ちょっとした補助暖房としても利用できますよ。

「夜、寒くてなかなか寝付けない」「部屋は暖かいけど冬の布団は寒くて入るのに勇気がいる」といった方々にぴったりです。使い方も送風口を布団の中に入れてスイッチを入れるだけなので、機械の操作が苦手という方にも是非おすすめしたいですね。布団全体をしっかり暖める「しっかり」コースと、時間がないときに嬉しい「お急ぎ」コースの使い分けもできるので、仕事や家事、子育てに忙しい方にも重宝すると思います。

操作も簡単で、布団を暖め心身ともにリラックスできる状態を作ってくれるので、もし人間だったら「気の合う友人」のような存在ではないでしょうか。一緒にいるとほっとして、いなくなると物足りない、そんな家電だと思います。

仲田さんによる布団乾燥の実演(写真撮影/宮崎 林太郎)

仲田さんによる布団乾燥の実演(写真撮影/宮崎 林太郎)

「ヨドバシカメラ新宿西口本店」店頭価格:14,080円(税抜)/ヨドバシカメラ新宿西口本店提供データより筆者作成

「ヨドバシカメラ新宿西口本店」店頭価格:14,080円(税抜)/ヨドバシカメラ新宿西口本店提供データより筆者作成

仲田さん 次におすすめしたいのが「コイズミ 電気肩ひざ掛け KDH5067」です。こちらは暖房器具の中では、電気代が非常に安価(※)です。腰から下を暖めてくれる「ひざ掛け」としてだけでなく、腕を通すための穴が付いているので、肩から羽織ってカーディガンのような使い方もできます。電源を入れなくても、羽織るだけで暖かいので、春先のちょっとした冷え込み対策にも便利です。

エアコンだけでは足下が少し寒い、電気ストーブを近くに置くのは怖いし熱すぎるといった方にぜひ試してほしい商品です。エアコンなどの暖房器具による乾燥が苦手、という方にもおすすめです。

人物に例えるとしたら、省エネで身体を優しく暖めてくれる、まるで自分をよく気遣ってくれる恋人のような存在だと思います。
※1時間当たりの電気料金:約1.4円(1kW/h 27円)。同社の遠赤電気ストーブは約16.2円/出典:小泉成器株式会社ホームページより

電気肩ひざ掛けを羽織る仲田さん(写真撮影/宮崎 林太郎)

電気肩ひざ掛けを羽織る仲田さん(写真撮影/宮崎 林太郎)

「ヨドバシカメラ新宿西口本店」店頭価格:6,640円(税抜)/ヨドバシカメラ新宿西口本店提供データより筆者作成

「ヨドバシカメラ新宿西口本店」店頭価格:6,640円(税抜)/ヨドバシカメラ新宿西口本店提供データより筆者作成

仲田さん 最後にご案内するのは「ゼンケン 窓下ヒーター ZK-91」です。窓の下に置くことで、窓から入ってくる冷気をシャットアウト、結露も防止してくれるので、お家のコンディションを整えてくれる家電です。うっかり素手で触れてしまったり、カーテンが揺れても安全な設計なのも嬉しいポイントです。

「窓から入ってくる冷気が気になる」「外の光を取り込みたいけれど、カーテンを開けると寒い」という方におすすめです。一軒家にお住いの方を中心に人気の商品です。

冬場でも冷気を気にせずカーテンを開けて部屋を明るくでき、結露によるカビの発生も抑制できるので、もし人間だったら、明るく陽気な性格をしているのではないでしょうか。一緒にいると周りもつられて陽気になる、そんな存在だと思います。

細長く場所を取らない窓下ヒーター(写真撮影/宮崎 林太郎)

細長く場所を取らない窓下ヒーター(写真撮影/宮崎 林太郎)

「ヨドバシカメラ新宿西口本店」店頭価格:13,500円(税抜)/ヨドバシカメラ新宿西口本店提供データより筆者作成

「ヨドバシカメラ新宿西口本店」店頭価格:13,500円(税抜)/ヨドバシカメラ新宿西口本店提供データより筆者作成

エントリーNo.03 暖房じゃなくてもぽかぽか?-ビックカメラ

次に待ち構えるのはビックカメラ新宿西口店。どこへ行っても暖房家電は売れ行き好調で在庫は僅か、これはそろそろネタも尽きたかなと思いきや、「暖房器具じゃなくても暖まればOKですよね?」と変化球が待っていました。家電コーナー担当の池田祐記さんに案内をお願いしました。
※2018年2月7日・取材時点の情報です

池田さん 暖房器具に頼らなくても、身体を暖める効果が期待できる家電はあります。そこでまずご紹介したいのが「フジ医療器 フットマサージャー〈モミーナエアー〉 KC-210」。足首からふくらはぎにかけてをすっぽりと覆い、大型のカフ式エアーバッグがおおわれた部分全体を「しぼりもみ」することで血行を促進します。足の甲側にもエアバックが搭載され、上から抑え付けながら足裏をカーラーでしっかり揉みほぐしてくれます。さらに足裏にはヒーターが搭載されているため、冬場に冷えやすい足元から、身体をぽかぽかに暖めてくれます。

足の冷えに悩んでいる冷え性などの方、立ち仕事で足が疲れている方などにイチオシです。空気圧によって包み込むようにマッサージしてくれるので、痛いのが苦手な方でも安心ですよ。

もしこの「モミーナエアー」が人間だったら、3つの自動コースや5段階の強弱調整が搭載されていることから「聞き上手の提案上手」な性格をしているのではないかと思います。

池田さんによる実演。一度はまると抜け出せない心地よさ(写真撮影/宮崎 林太郎)

池田さんによる実演。一度はまると抜け出せない心地よさ(写真撮影/宮崎 林太郎)

「ビックカメラ新宿西口店」店頭価格:35,630円(税抜)/ビックカメラ新宿西口店提供データより筆者作成

「ビックカメラ新宿西口店」店頭価格:35,630円(税抜)/ビックカメラ新宿西口店提供データより筆者作成

池田さん 続いてのおすすめ家電はビックカメラグループのオリジナル商品「日立 布団乾燥機 HFK-BK500」です。最大の特徴は簡単に着脱できる布団乾燥アタッチメントを使うことで、上下左右前後に万遍なく温風が広がるため、エアーマットや袋なしで布団を乾燥させることができる点です。就寝前に布団を暖めておけば、ほかほかの布団で心地よく休むことができます。外に布団を干しづらい花粉の季節や、湿気が多い夏場でも活躍できるので、冬終盤でも一考の余地ありではないでしょうか。

寝室が寒かったり、体の冷えで寝つきが悪くて悩んでいる方、毎日ふかふかの布団で眠りたいという方におすすめです。靴乾燥用のアタッチメントも付属しているので、外で遊びまわるのが好きなお子さんがいるご家族にも便利なアイテムです。

1台で布団乾燥・靴乾燥・ダニ対策など多数の要望を叶えてくれるので、もしも人間だったら、きっと才能豊かな「マルチプレーヤー」として活躍するのではないでしょうか。

池田さんが手に持つのが布団用のアタッチメント(写真撮影/宮崎 林太郎)

池田さんが手に持つのが布団用のアタッチメント(写真撮影/宮崎 林太郎)

「ビックカメラ新宿西口店」店頭価格:11,800円(税抜)/ビックカメラ新宿西口店提供データより筆者作成

「ビックカメラ新宿西口店」店頭価格:11,800円(税抜)/ビックカメラ新宿西口店提供データより筆者作成

池田さん 最後のおすすめアイテムは「アテックス〈ルルドプレミム マサージクッション ダブルもみ〉 AX -HCL188」です。こちらはクッションの片面にもみ玉を搭載したマッサージ器です。もみ玉にヒーターがついているため、あったか気持ち良いもみ心地に癒されます。椅子に置いて腰に当てるだけでなく、足や肩の上に置いていろいろな部位をもみほぐすことができます。

カバーを閉めればパッと見普通のクッションですので、インテリアにこだわる方にぴったりです。冷えからくる体の疲れに悩んでいる方にもおすすめですが、敬老の日などのプレゼントとしても人気の商品です。

人間に例えるなら、見た目も性能もバッチリな、まさに「才色兼備」な家電といえるのではないでしょうか。

ヒーターの温度はひと肌くらいと池田さん(写真撮影/宮崎 林太郎)

ヒーターの温度はひと肌くらいと池田さん(写真撮影/宮崎 林太郎)

「ビックカメラ新宿西口店」店頭価格:9,800円(税抜)/ビックカメラ新宿西口店提供データより筆者作成

「ビックカメラ新宿西口店」店頭価格:9,800円(税抜)/ビックカメラ新宿西口店提供データより筆者作成

EXTRA INTERVIEW 漫画家・西山 優里子さんの冬家電チョイス

女性向けとしては珍しい家電をテーマにした漫画「家電の女(講談社)」の作者・西山 優里子さんに、冬のちょい足し家電についてお話を伺うべく、ご自宅兼仕事場に突撃しました。案内されたのは仕事部屋の隣室。そこにはセットされたこたつが。促されるままこたつに入り、なんとそのまま取材スタートです。

「家電の女」全4巻(C)西山優里子/講談社(画像提供/講談社)

「家電の女」全4巻(C)西山優里子/講談社(画像提供/講談社)

――早速ですが、ここまで紹介した9点のおすすめ家電で、気になる商品はありますか?

西山さん どれも面白いのですが、素直に欲しいと思った順だと一番は「象印の布団乾燥機」です。以前、温風で袋を膨らませるタイプを持っていたのですが、取り回しが面倒くさくて結局2回くらいしか使いませんでした。その点、ぱっと開いて布団に挟むだけというのは簡単でいいですね。ホースが飛び出ていて、いかにも乾燥機ですという存在感があった昔のものと違って、部屋に置いておいても気にならないコンパクトな見た目も気に入りました。

「家電の女」にも布団乾燥機が登場しているのですが、その時は昭和の古い型のものだったので「あなたのために布団を暖めておきましたよ」という、おじいさんでした。懐で草履を暖めた豊臣秀吉の逸話のイメージですね。今回の象印だったら、お布団を暖めてふかふかにしてくれる機能に焦点を当てて、ちょっと太めの優しいおじさんがキャラクターかなと思います。

2番目は「ハイブリッド式加湿器」です。個人的にも、スタッフの健康を考えても加湿器は必需品ですが、背が低い加湿器だと水蒸気が足元ばかりで顔の高さまで届かないので、机の上に置いて使ったりしていたんです。その点、水蒸気の噴射口が高い位置にあるのは良いですね。背が高くて見た目にもおしゃれなので、噴水広場に佇むギリシア彫刻のようなキャラクターを想像しました。

もうひとつ気になっているのが「フットマッサージャー」です。座り仕事をしていると足がむくむので、仕事机の下に置いておきたいくらい。丸みがあって、かわいらしいフォルムも惹かれます。もうちょい足しと言わず、一年中使えそうですよね。

――因みに愛用している暖房家電は有りますか?

西山さん 今座っているこたつは、週刊少年マガジンで連載していた頃から20年近く使っています。当時はまだ狭いアパートにスタッフ7~8人で仕事をしていたので、コンパクトサイズじゃないと入らなかったんですよ。今の家を建てると決まった時に、スタッフの要望もあって、仕事部屋の隣にシート状の畳を敷いて、こたつを置くスペースをつくったんです。ここで休憩したり、食事をしたり、編集さんと打ち合わせをしたりしています。こたつに入るともう動けなくなって、大抵寝るので仕事にはよくないかもしれませんね。

――こたつは「家電の女」でもキーキャラクターとして出てきますね。

西山さん 「家電の女」のストーリーは毎回、掲載される季節に合わせて考えていたんですが、こたつの話は編集さんと「こたつは良いよね。でも最近あまり見ないね」という何気ない会話から生まれました。日常の何気ない会話や気づきが話の根幹になることがほとんどなので、とても大切にしています。私は以前、海外に住んでいたこともあり、フランスなどは特に寒いですし、ウォシュレットがウケたんだから、こたつも海外に持っていったら絶対ウケるのに、というのが持論なんです。自室にもミニこたつを置いているくらいです。

実は仕事机の下にも足置きこたつを置いているんですよ。こちらも最近あまり見かけなくなった型式なので、そろそろ20年選手です。上に足を置いて、膝にブランケットをかけて仕事をしていると、ブランケットの内側に熱が溜まってとても暖かいんですよ。冬は足元が冷えるので、エアコンより床暖房や電気カーペットなど、下から暖めてくれる家電が欲しくなりますね。

西山さん愛用の足置きこたつ(写真撮影/宮崎 林太郎)

西山さん愛用の足置きこたつ(写真撮影/宮崎 林太郎)

――最後に「家電の女」について裏話などあれば教えて下さい

西山さん 家電が人間になるという現実離れした内容ですが、「家電の女」に登場する家電はすべて実在のものを描くという点にこだわっていました。実際の商品をメーカーさんから借りたりしていました。日本のメーカーに比べると、外資系は権利関係の調整が煩雑で、商品イメージに対するこだわりが強いので、キャラクター設定にも要望が入ったりと大変でしたね。

思い出深いといえば「家電の女」は初めてサイン会を行った作品でもあるんです。イベントなどの依頼は編集ストップをかけるくらい、週刊少年マガジンで連載をしていたころ(1990年代~2000年代前半)は忙しかったので。「家電の女」がきっかけで、女性向け雑誌で家電コラムを書いたこともあるんですよ。

今日は久々に家電の話ができて楽しかったです。

※「家電の女」全4巻は各電子書店にて配信中(書店でのコミックスの入手は困難です)

暖房家電も店頭からどんどん姿を消していく時期ですが、朝晩はまだまだ冷えますよね。そんな時、部屋ではなく自分の体を直接あたためてくれる家電や、多機能で1年中使える家電に注目すると、冬終盤だけでなく春先まで快適に過ごせそうです。家電を選ぶとき、その性格まで考えると、相性ピッタリの子が見つかるかもしれませんね。

●取材協力
・株式会社ヤマダ電機「LABI新宿東口店」
・株式会社ヨドバシカメラ「ヨドバシカメラ新宿西口本店」
・株式会社ビックカメラ「ビックカメラ新宿西口店」
・株式会社講談社
・西山 優里子氏

「薪ストーブ」ブーム到来!? 暖かさだけではない、人気の理由を探ってきた

薪(まき)ストーブが“アツい”ようだ。書店をのぞくと入門書だけでなく、ストーブを使ったクッキングガイドや自分でつくるDIYマニュアルまでさまざまな書籍が並んでいる。そんな薪ストーブの魅力を体験してきた。
魅力その1「二次燃焼」と「輻射熱」&「対流」で高効率の暖房機能

薪ストーブの魅力を体験するために訪れたのは大阪府箕面市彩都にある「かぐら」。薪ストーブと関連アイテムのほか、木を素材とするさまざまな雑貨ショップを併設し、実際に薪ストーブ体験ができるお店だ。薪ストーブの炎を前にして代表の福井綱吉(ふくい・つなよし)氏にその魅力についてお聞きしてみた。

【画像1】「かぐら」(KJWORKS)代表の福井氏(写真撮影/井村幸治)

【画像1】「かぐら」(KJWORKS)代表の福井氏(写真撮影/井村幸治)

「かぐら」の店内にはたくさんの薪ストーブが展示されている。ヨーロッパ製ストーブはシンプルでモダンなデザインも多い。アメリカ製のストーブはガッチリとしてデコラティブ、調理も行えるスタイルが多い。

――お話を聞きながら炎のゆらめきを眺めているだけで、身も心も暖かくなってきますね。

福井さん:「薪ストーブは密閉された『火室(かしつ)』を持つことが特徴です。煙などの燃え残ったガスを火室の中で再燃焼させる二次燃焼システムによって効率よく熱を生みだすのです。この仕組みは排出する煙の量を少なくする効果もあり、排気煙量の少なさ・無煙化率を競う商品もたくさん登場しているんですよ」

【画像2】薪ストーブには豊富なバリエーションがある。左:いずれもアメリカ製の「ダッチウエスト」。中:白いカラーが特徴のアメリカ製「クワドラファイア」。右:左側の木製ラックの下はベルギー製の「ドブレ」。ブラウン管テレビのような形状が特徴(写真撮影/井村幸治)

【画像2】薪ストーブには豊富なバリエーションがある。左:いずれもアメリカ製の「ダッチウエスト」。中:白いカラーが特徴のアメリカ製「クワドラファイア」。右:左側の木製ラックの下はベルギー製の「ドブレ」。ブラウン管テレビのような形状が特徴(写真撮影/井村幸治)

―熱の伝わり方にも特徴があるそうですね。

福井さん:「燃焼で生じた熱はストーブ本体を暖め、輻射熱と対流によって部屋の空気を暖めていきます。鋳鉄製品の場合のように、その表面に凹凸をつくることで表面積を増やし、輻射熱を増しているストーブもあります。ストーブのデザインや使用している素材によって炎の強さや、薪の燃焼時間も違います」

「炎」の存在も大きいと感じる。ゆらめく光を見つめているとなぜだか癒やされる。ほっこりして、知らず知らずのうちに無心になってリラックスしている自分がいる。太古の昔、炎を手に入れたときからわれわれ人類のDNAに書き込まれた本能のようなものなのだろうか……。

【画像3】左:天板に置いたポットからの蒸気で室内を加湿。右:こちらは薪ストーブの熱を利用して発電し、モーターを回転させる「エコファン」(写真撮影/井村幸治)

【画像3】左:天板に置いたポットからの蒸気で室内を加湿。右:こちらは薪ストーブの熱を利用して発電し、モーターを回転させる「エコファン」(写真撮影/井村幸治)

魅力その2 薪ストーブで「クッキング」を楽しむ

「かぐら」の店内を見回すと目に入ってくるのがたくさんのクッキングアイテム。火室の中で使用する「ダッチオーブン」や「五徳」、ストーブ天板の上で使用する「ケトル」や「南部鉄瓶」、「エスプレッソマシン」、「鉄鍋」、「たこ焼き鉄板」など多種多様。薪ストーブはその熱を使って煮込む、焼く、揚げる、ゆでる、炒めるなどさまざまな調理に利用できる。

「火室に入れた五徳を利用してピザを焼き、お客様にお出ししたことがあります。『絶品ですね!おいしい!』と喜んでいただけたのですが、『コンビニで買ったピザなんですよ』とお伝えするとみなさんビックリ。薪の炎を見ながら、遠赤外線で焼きあげることでおいしく感じるのでしょうね。

また、サツマイモをぬれ新聞とアルミホイルで二度包みして火室に置くと焼き芋が簡単にできますし、同じようにしてミカンを焼くとマーマレードのようなトロトロの焼きミカンが出来上がります。そのほかシチューやカレー、おでんなどの煮込み料理はもちろん、アイデアと工夫次第でレシピは無限にあると思います。おでんがあまりに美味しくできるので、9月からエアコンをつけながら薪ストーブを使用する方もいるほどです(笑)」

マーマレードのような「焼きミカン」の味! ぜひ、体験してみたいものだ。

【画像4】遊び心をくすぐる、カラフルで機能的なクッキングアイテム(写真撮影/井村幸治)

【画像4】遊び心をくすぐる、カラフルで機能的なクッキングアイテム(写真撮影/井村幸治)

魅力その3 薪割りや交流会を通じて仲間ができる

薪ストーブの燃料となる薪はしっかりと乾燥させた原木を適切な大きさに切りそろえておく必要がある。「かぐら」では一束500円程度で良質な薪の販売もしているそうだが、基本的には薪ストーブユーザー自身で薪を割り調達するライフワークを大切にしているそうだ。

「薪ストーブを設置されたご家族には『薪割り会員』となっていただき、ショップに併設した薪割り専用のスペースとツールをご提供しています。専用マシン「ティンバーウルフ」を使って薪割りを行っていただいています(MY斧は各自持参)。薪割りは斧を力任せに使うのではなく、斧自体の重量を活かして割るのがコツ。男性は力が入りすぎて要領の悪い人が多いのですが、女性のほうが反対に上手に使いこなしていますよ」

ショップにはたくさんの種類の斧や専用のグローブ、エプロンなども用意されている。こうしたグッズをそろえ、薪割りの腕を磨いていくことも楽しみのひとつになりそうだ。

「薪ストーブでつながった仲間ができることは大きな魅力のひとつです。購入前の体験会、設置後の薪割りやオーナー向けイベントを通じて親しくなるケースもたくさんあります。汗を流して薪割りをしていると、自然と仲間意識が芽生えますよね。お客様同士で集まって薪ストーブパーティーを開くことも多いようですよ」

同じ趣味を持つ仲間が増える、それも『薪ストーブのある暮らし』がもたらしてくれる魅力のひとつだろう。

【画像5】左:体験会も仲間ができるきっかけになりそう。右:店内には薪割り用の斧などのツールもたくさんそろっている(写真撮影/井村幸治)

【画像5】左:体験会も仲間ができるきっかけになりそう。右:店内には薪割り用の斧などのツールもたくさんそろっている(写真撮影/井村幸治)

【画像6】左:ストックしてある薪。右:薪割り専用機「ティンバーウルフ」を使用してスタッフの方が薪を割っていた。この機械もレンタル利用ができる(写真撮影/井村幸治)

【画像6】左:ストックしてある薪。右:薪割り専用機「ティンバーウルフ」を使用してスタッフの方が薪を割っていた。この機械もレンタル利用ができる(写真撮影/井村幸治)

薪ストーブを住宅に設置するには 

 
「薪ストーブっていいなぁ」と思ったときに、気になるのは自宅に設置が可能なのかどうか。
薪ストーブのある暮らしを満喫するのなら、新築住宅の建築の際に設置するのがベストだろう。
「これから新築住宅を建てるお考えであれば、当初から薪ストーブを中心にすえたプランニングをお薦めします。気密・断熱性能を高め、太陽の光や自然の風などの自然エネルギーを利用するパッシブデザインを取り入れることで、エコで快適な暮らしを実現させることが可能です。「かぐら」の母体は木の家づくりの工務店『KJ WORKS』ですが、薪ストーブ専用住宅として『E-BOX』という提案型住宅もご提供しています」

では既存の建物には薪ストーブを設置できないのだろうか?
「煙突の設置と炉台や炉壁と呼ばれる本体まわりの工事が行える間取りや構造であれば、古民家や中古住宅にも技術的には設置することは可能です。ただ、気密&断熱性能が良くない建物では暖房効果は薄まります。また、煙が問題となり住宅密集地では設置が難しいケースもあります。実際に建物と周辺の確認を行ったうえでの判断となります。煙の問題をクリアする方法として、おがくずなどを圧縮熱成形した燃料を使用するペレットストーブもあります」と福井氏。

排出する煙を極力減らすための改良が進んでいるとしても、周辺への配慮も必要となるということだろう。

【画像7】「かぐら」には、木のぬくもりと薪ストーブを体験できる『KJ WORKS』のモデルハウスが併設されており、薪ストーブ専用住宅「E-BOX」では宿泊体験も可能(写真撮影/井村幸治)

【画像7】「かぐら」には、木のぬくもりと薪ストーブを体験できる『KJ WORKS』のモデルハウスが併設されており、薪ストーブ専用住宅「E-BOX」では宿泊体験も可能(写真撮影/井村幸治)

【画像8】左:体験会では着火や薪補給を行いながら注意点を解説。右:「灰の掃除は?」「煙突の高さは?」「屋根の勾配は?」など熱心な質問が飛び交う(写真撮影/井村幸治)

【画像8】左:体験会では着火や薪補給を行いながら注意点を解説。右:「灰の掃除は?」「煙突の高さは?」「屋根の勾配は?」など熱心な質問が飛び交う(写真撮影/井村幸治)

最初の取材の後、1月14日に行われた「薪ストーブ体験会」にも参加させていただいた。当日は西宮市でログハウスにお住まいのご家族と、吹田市でこれから新築住宅を建てられるご夫婦の2組が参加され、薪ストーブを前にして熱心なやり取りが行われた。Webや雑誌を通じてかなり勉強をされていたようだが、実際にストーブや薪を前にしての質疑応答はとても参考になった様子。来シーズンはきっと2組とも「薪ストーブライフ」を楽しんでいることだろう!

みなさんも「薪ストーブライフ」に興味を抱かれたなら、まずは体験会などに参加してみることをお勧めする。

●取材協力
・かぐら、KJ WORKS

家中ポカポカ、気温差なし!1台で快適「全館空調」とは

年間を通して、家中が快適な温度に保たれる全館空調。三井ホームやセキスイハイム、住友林業などの各社が提供しているが、「興味はあるけれど電気代が心配」「実際に暖かくなるのか疑問」という人もいるのでは? そこで今回は全館空調システム「エアロテック」を提供する三菱地所ホームと「エアロテック」利用者に、その仕組みや使い心地、気になる設備投資や電気代のことをきいてみた。
お風呂も廊下も常に快適! ひとつの室内機で隅々までカバー

冬本番になると、暖房をつけている部屋とそうでない部屋の温度差が激しく、朝起きたとき、入浴のときなど寒い部屋に移動するのがおっくうになってしまうこともある。ところが全館空調の家ならば、常に家の隅々まで暖かくて快適だそう。しかも、空調設備は半畳ほどのスペースに納まるコンパクトな室内機のみ。各部屋には吹出口とコントローラーしかないという。一体どうしてそんなことが可能なのだろうか? 

全館空調「エアロテック」を展開する三菱地所ホーム株式会社の事業推進部、狩野彩香(かりの・さやか)さんによれば、そのポイントは家自体の断熱・気密性にあるとのこと。

「実は一般的なつくりの家は、家の隙間から多くの熱エネルギーが漏れてしまっています。弊社の場合は家を建てる際に断熱・気密性の極めて高い工法を採用することと併せて『エアロテック』を導入していただくことにより、エネルギーのロスが少なく効率のよい空調を実現しています」(狩野さん)

家中を暖かくするというと、それだけ多くのエネルギーが必要そうに思えるが、実は全館空調の家はエネルギー効率がよく、電気代も安くなる。例を挙げると約150m2の部屋で一般的な局所空調(個々の部屋に空調設備を設置すること)の住宅の冷暖房費が年間約9万6000円だとすると、全館空調を導入すれば年間でおおよそ4万9000円から5万5000円までに価格を抑えられる(三菱地所ホーム株式会社調べ)。

「電気代節約の理由としては、家自体の高い性能に加え、通年で全館空調を使用することによる、エネルギー効率のアップもポイントです。冷暖房は起動して一気に温度を上げたり下げたりするときに一番電力が必要なのですが、通年空調することにより、起動時のエネルギーロスが無くなります。さらには局所空調の場合に多い、部屋のドアの開け閉めによるエネルギーロスも起こらないのです」(狩野さん)

全館空調は少ないエネルギーで快適に暮らすことができ、地球にもお財布にも優しいようだ。

【画像1】三菱地所ホームの「エアロテック」は個別空調にくらべ冷暖房費が抑えられるという(画像提供/三菱地所ホーム)

【画像1】三菱地所ホームの「エアロテック」は個別空調にくらべ冷暖房費が抑えられるという(画像提供/三菱地所ホーム)

お掃除ラクラク、間取りも自由。使い勝手の良さは折り紙つき

全館空調がエネルギー効率の面で非常に優れていることは分かったが、実際の使い心地はどうなのだろう。5年前、一戸建ての建て替え時に「エアロテック」を導入したOさんに、そのメリットとデメリットをきいた。

もともと「家が奥行きのある細長いつくりだったせいか、局所空調のときは気温の差が激しかったのです。でも全館空調にしてからは、とても快適になりました。また間取りの自由度が増したこともうれしいですね。建て替えの際は大きな吹抜けを取り入れたり、リビングとダイニングを引き戸で緩やかに区切ったりと、自由な発想で居住スペースをデザインしてもらいました」(Oさん)

全館空調にすると、部屋ごとに扉を設ける必要がない。吹抜けはもちろん、廊下を書斎やラウンジとした、遊び心のある間取りも実現できるのが魅力だ。またOさんによれば、導入時には想像していなかったメリットもあったそう。それがメンテナンスの手軽さだ。

「お掃除がとっても楽です。以前は各部屋で天井付の空調を使用していたため、室内機をひとつひとつ掃除していました。また何年かに1度は業者にクリーニングを依頼していたので高額な出費がありました。それが全館空調にすると室内機がひとつ。2週間に1度、床置きの室内機からフィルターを抜いて、掃除機で吸うだけで完了です。何か不具合があっても、保証が充実しているので安心して使っています」(Oさん)

確かに、一般的に空調設備はメンテナンスに手間と費用がかかる。それに対して全館空調は室内機がひとつなので、掃除がラクそうだ。また設備は設置後10年間無償で保証され、もしも夜中に全館空調が故障した際にも24時間体制でフォローされるそう。10年目以降は年間2万から3万円で同様のメンテナンスが受けられる(※)。よいことづくめに思えるが、デメリットはないのだろうか。
※三菱地所ホーム株式会社エアロテックの場合

「デメリットは、あまりに家の中が快適で外の気温が分からないことでしょうか。ですから外出のときは窓を開けたり、一度家から出て気温を確認しています」(Oさん)

外気温に影響されない快適空間ゆえのデメリットは、なんともうらやましいものだった……!

【画像2】室内機はこれ一台。室外機は2台で済むので、インテリアもエクステリアも、スタイリッシュにまとまりそうだ(画像提供/三菱地所ホーム)

【画像2】室内機はこれ一台。室外機は2台で済むので、インテリアもエクステリアも、スタイリッシュにまとまりそうだ(画像提供/三菱地所ホーム)

全館空調の導入に当たる費用は新築の場合30坪から40坪で約200万円ほどだという。建物の断熱・気密性と空調効果が連動しているので、リフォームで後付けするには難しさもあるそう。ただし、狩野さんによれば「必ずしも不可能ではないので相談してほしい」とのことだ。一戸建てだけでなくマンションに後付けする例もあるので、新築や建て替えの予定がある人はもちろん、リフォームを考えている人も導入を検討してみてはどうだろう。

●取材協力
・三菱地所ホーム株式会社