オリンピック時に人気が出ていそうな街、1位は東京メトロ有楽町線「豊洲」

(株)リクルート住まいカンパニーはこのたび、「SUUMO住みたい街ランキング2019関東版 番外編」として、「2020年の東京オリンピックの時人気が出ていそうな街ランキング」を集計し、その結果を発表した。調査期間は2019年1月4日(金)~2019年1月11日(金)。有効回答数は7,000人。それによると、1位には東京オリンピックの会場が集積する有明エリアに近く、再開発も進む東京メトロ有楽町線「豊洲」がランクインした。オリンピック後の2021年には「豊洲地区1-1街区開発計画」が完成予定で、駅前には48階建てのマンションを開発中。総戸数は1000戸を超え、スーパーマーケットと保育所を併設、緑化空間も整備される。

2位には、JR山手線の「品川」がランクイン。また10位には隣駅の「田町」が入った。このエリアは国家的プロジェクトで注目が集まっており、羽田空港へのアクセスも良好。国や都は、品川駅~田町駅周辺を大手町や丸の内と並ぶ拠点と位置づけ、国際ビジネス・文化都市の形成を目指している。その一環として、2018年に駅名が決定した山手線新駅「高輪ゲートウェイ駅」周辺での大規模開発が挙げられる。

3位~5位にはJR山手線の「東京」「渋谷」「新宿」と続き、6位には外国人旅行者の増加などから地価が上昇している東京メトロ銀座線「浅草」がランクインした。

ニュース情報元:(株)リクルート住まいカンパニー

地下鉄構想も!都心湾岸エリアの交通問題、五輪後はどうなる?

2020東京五輪の開幕に向けて、選手村や各種競技施設の建設が急ピッチで進む。選手村は五輪後に約5600戸のマンションに生まれ変わり、老若男女さまざまな人が暮らす街となる。国家戦略特区やアジアヘッドクォーター特区といった東京圏の発展を担う拠点に指定され、訪日外国人の増加に対応した国際的ビジネス・交流拠点としての機能強化にも期待がかかる注目のエリアだ。

住む人も訪れる人も急激に増え続ける湾岸エリアで課題となっているのが交通アクセスだ。現状でも地下鉄駅の整備やバス網の強化などが進められているが、五輪特需やその後の需要増をにらんで大規模なインフラ整備構想も控える。五輪のその先の未来にどんな生活が待っているのか、想像してみた。

選手村の開発で晴海の人口が2倍に増える

中央区晴海5丁目で建設中の五輪選手村は、五輪後にリニューアルされ分譲や賃貸、シニア住宅やシェアハウスも含め約5600戸のマンション「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」として供給される。五輪から4年後の2024年には、約1万2000人が暮らす街が完成する予定だ。

「HARUMI FLAG」晴海ふ頭公園からの風景完成予想CG

「HARUMI FLAG」晴海ふ頭公園からの風景完成予想CG

中央区のデータによると、晴海地域の2019年6月1日時点の人口は1万4536人となっている。晴海5丁目のプロジェクトが完成すると、それだけで人口が現在の約2倍に増えるのだ。さらに晴海以外でも月島や勝どきなど周辺の湾岸エリアでタワーマンションの供給が活発になっており、人口が増加している。

こうしたなか、通勤・通学時の地下鉄駅の混雑や、都心方面への交通手段の確保といった課題に対応すべく、東京都交通局が対策を打ち出しているところだ。

東京都交通局担当者によると、有明、豊洲、晴海などの臨海部で大規模マンションの開発等により利用者が大幅に増えていることから、都営バスでは、2017年4月に東京駅から臨海部へ、深夜バスの運行を開始したとのこと。また、2019年4月には東京駅から銀座、勝どきを通り東京ビッグサイトへ向かう都05-2系統で増便を行うなど、地域住民のニーズをダイヤに反映しているという。
加えて、都営地下鉄では、大江戸線勝どき駅でのラッシュ時の混雑緩和に向けてホームや地上出入口の増設などの改良工事を実施し、2019年2月に一部完了したとのことだ。

写真上が改良前。下が改良後。線路の向こう側に新たにホームがつくられた(画像提供/東京都交通局)

写真上が改良前。下が改良後。線路の向こう側に新たにホームがつくられた(画像提供/東京都交通局)

BRTや地下鉄が実現すれば都心と湾岸が直結

さらに今、湾岸エリアの新たな輸送システムとして整備が進められているのがBRT(バス高速輸送システム)だ。BRTとは、連節バスの導入や走行環境の改善などにより、速達性・定時性を高めた運行を目指す交通システムのこと。東京都では都心と湾岸エリアを結ぶ「東京BRT」の開業準備を進めている。

計画では、2020年の東京五輪前に環状2号線の地上部道路開通後、虎ノ門~晴海二丁目のルートでプレ運行を開始させる予定。五輪後には虎ノ門~東京テレポート駅の幹線ルートに加え、虎ノ門~市場前駅の晴海・豊洲ルート、新橋駅~勝どきの勝どきルートの3系統を運行させる。2022年度に予定される環状2号線本線トンネル開通後には、新橋駅~晴海五丁目の選手村ルートを加えて本格運行させる考えだ。

(東京都都市整備局HPより)

(東京都都市整備局HPより)

さらに注目されるのが、都心と湾岸エリアを地下鉄で結ぶ構想だ。中央区が打ち出した銀座と国際展示場を結ぶルート案を受けて、「都心部・臨海地域地下鉄構想の新設及び同構想と常磐新線延伸の一体整備(臨海部~銀座~東京)」として2016年の交通政策審議会答申に盛り込まれた。

答申によると、地下鉄は臨海部から銀座を通り、東京駅まで延伸されるつくばエキスプレスへとつながる構想だという。着工時期などは未定だが、中央区では早期実現を目指して2018年10月に「都心・臨海地下鉄新線推進大会」を開催するなど、地元では大いに期待が高まっている状況だ。

水辺の風景が広がる開放的な街の発展に期待

では地元に住んでいる人たちは、湾岸エリアの住み心地や交通アクセスの現状と未来をどのように考えているのか。聞いてみた。

「駅まで歩く道は水辺が近く開放的で気持ちがいいです。東京駅の丸の内側や八重洲側行きなど複数の路線が通るバス停が近く、本数が多いのでそれほど待たずに通勤にも使えます」(晴海在住・30代会社員)

「隅田川の河口から東京湾が広がる景色が、自宅の窓から見られます。東京の水辺を見渡せる開放的な眺望は希少価値が高いし、なくなる心配もありません」(勝どき在住・40代会社員)

「今は大江戸線が混んでいるので乗るのが億劫になります。週末はシェアリング自転車で豊洲へ行ったり、豊洲から船でお台場に行ったりすることも。地下鉄ができると都心に出やすくなるので楽しみです」(晴海在住・Fさん)

「月島に住んで5年になりますが、最近はおしゃれなバーやカフェが増えており、今後も街としての発展に期待できます。ただ、保育園はたくさんあるけど入りづらいです。交通面では有楽町から深夜バスがあるので便利。豊洲まで行けば羽田空港までリムジンバスが出ています。車も豊洲から湾岸線にすぐに入れて、だいたい空いているので遠出もしやすいです。BRTはまだ実感がわきませんが、東京駅や有楽町に行きやすくなればうれしいですね」(月島在住・30代会社員)

人口の急増で交通や生活のインフラ整備が課題とはなるものの、今後の整備が進めば住み心地はさらに向上しそうな湾岸エリア。東京の未来を担うともいえる街の今後に期待したいところだ。

●取材協力
>東京都交通局
>東京都都市整備局

東京五輪の選手村が巨大タウン「HARUMI FLAG」に【速報】

「東京 2020 オリンピック・パラリンピック」の後、東京・晴海に建設中の選手村がマンションや商業施設などで構成される巨大な街「HARUMI FLAG」になる。2018年10月31日(水)、「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業」発表会にて開発コンセプト・ビジョン・名称が明らかになった。
5632戸を分譲住宅・賃貸住宅に

アツいドラマが繰り広げられる裏で、主役たる選手たちのオアシスとなる選手村。そんな舞台が、なんと開催後にマンションとして住めるようになる! しかも技術の粋を尽くした巨大な街になるという。その名も「HARUMI FLAG」。

約13ヘクタールの広大な土地に5つの街区で構成され、5632戸の分譲住宅・賃貸住宅と商業施設の合計で24棟が建築されるほか、保育施設、介護住宅などを整備。人口約12000人になる予定とのこと。その内容は?

「HARUMI FLAG」4つのテーマ

この新しい街が掲げるテーマは以下の4つ。

●ゆとりと変化を街に生み出す

5街区・6街区・7街区・小中学校に囲まれたCENTER CORE 完成予想 CG

5街区・6街区・7街区・小中学校に囲まれたCENTER CORE 完成予想 CG


駐車場は地下に設け、地上スペースを有効に活用。6街区:FLAG CORE 前の辻広場完成予想 CG

駐車場は地下に設け、地上スペースを有効に活用。6街区:FLAG CORE 前の辻広場完成予想 CG

広大な敷地には、直径約100mのCENTER CORE(中心広場)をはじめ、辻広場、中庭などのオープンスペースがそこかしこに。住居は2階以上に設け、各棟の1階は店舗や共用室にすることで、住人同士の交流が生まれるように工夫してある。

●本物の自然に包まれて暮らす

緑道公園と4街区の海からの風景完成予想CG

緑道公園と4街区の海からの風景完成予想CG


5街区:DOTS PLAZA 完成予想 CG

5街区:DOTS PLAZA 完成予想 CG

三方を海に囲まれたロケーションを活かし、開放的な海の眺めなどを満喫できる設計になっている。レインボーブリッジや東京タワーなどの東京ならではの景観を生活空間で楽しめるなんてぜいたく! 街中には約3900本、約100種の樹木が植えられ、四季の移ろいも感じられる。

●日本らしさが息づく

まちづくりには、日本の建築シーンをリードする気鋭のデザイナー25人が参加。統一感を大切にしつつも、それぞれの個性を活かしたデザインを実現した。

街路からエントランスに至るまで光の使い方を細かく設定したり、スカイラインに建築物の左右対称性をあえて崩す日本の伝統的手法「ダイナミックシンメトリー」を採用するなど、街の景観にもこだわる。

また「細部への気遣いとおもてなし」もポイントのひとつ。マンションでは、共用廊下を1.5m(通常のマンションでは1.2m)と広くし、車いすと人がすれ違えるゆとりをもたせている。17人乗りの大型エレベーターやバリアフリー法で定められた基準よりもゆるやかな 1/20(5%)以下の勾配スロープを設けるなど、街全体が誰もが快適に暮らせる空間となる。

●ご近所でつながる、分け合う

6街区:SORA TERRACE完成予想CG

6街区:SORA TERRACE完成予想CG


05街区:SPORTS BAR 完成予想 CG

5街区:SPORTS BAR 完成予想 CG


08_6街区:KODOMO PLAZA完成予想CG_result

6街区:KODOMO PLAZA 完成予想 CG


09_7街区:商業施設完成予想CG_result

7街区:商業施設完成予想 CG

タワー棟を除く分譲住宅では、2LDK~4LDKの1009通りの間取りを用意。分譲街区にはブックラウンジ、スポーツバー、キッズルーム、「CRAFT ROOM」など51の共用室が設置され、区の住民であれば街区を超えて利用可能。カーシェアリング、シェアサイクルなどシェアサービスも利用できるので、あわせて利用するのも楽しそう。

賃貸街区にも、シェアハウスやシニア住宅、介護住宅が設置される。スーパーマーケットや生活支援施設などの商業施設などのほか、小中学校、保育施設も設置される予定。

また、街のイベントや災害時のお知らせなどの街の情報が掲載される「タウンポータル」、地域のエネルギー状況を共有・管理する「エネルギーマネジメント」、街全体を監視する「セキュリティ」など、街全体をネットワークで繋いだサービスも提供される。

模型。次世代のエネルギーを供給する「水素ステーション」が設置されるなど、環境にも配慮した街になる

模型。次世代のエネルギーを供給する「水素ステーション」が設置されるなど、環境にも配慮した街になる

都心直結の新交通システム「BRT」を導入

「HARUMI FLAG」は、銀座へ約2.5km、東京へ約3.3kmと都心部へも好アクセスなだけでなく、豊洲まで約2.1km、国際展示場まで1.4km、台場まで約2.8kmと、湾岸エリアにも行きやすい場所に誕生する。交通には新たにBRT(バス高速輸送システム)が導入され、「HARUMI FLAG」と新橋駅・虎ノ門を結ぶ。新橋駅発5時台~24時台の運行が検討されており、朝のピーク時には1時間あたり12本の便が走るとのこと。朝のピーク時でも都心へのスムーズな移動が可能になる予定だそう。

選手村に住める、というだけでもワクワクするのに、さらにこんな未来な暮らしが待っているなんて……。価格はまだ発表されていないが、今から待ちきれない!

発表会時の様子

発表会時の様子

●今後のスケジュール
2019年 春 モデルルーム事前案内会開始
5月下旬 販売開始予定
2022年 秋 住宅棟(板状)竣工予定
2024年 3月 住宅棟(タワー)竣工予定

「東京五輪前に家を買いたい。選び方のコツはありますか?」 住まいのホンネQ&A(1)

「住まいのホンネQ&A」は、誰もが知りたい住宅に関する様々なQ&Aについて、さくら事務所創業者・会長の長嶋修氏にホンネで回答いただく新連載です。

第1回の質問は「東京五輪前に家を買いたい。選び方のコツはありますか?」。
東京五輪前で住宅価格が高騰しているとも言われていますが、人生設計の上でどうしても”いま”家を買いたいのだ、という人もいるでしょう。
そんな時はどうやって選べばよいのか? 五輪にまつわる住宅の「ウソ・ホント」と共に、長嶋氏に解説いただきます。
本当に「高い」のか? 五輪前、不動産市場の真実

オリンピック前に家を買いたいという理由は何でしょうか?

ちまたではオリンピックまでは不動産価格高騰が続くといった意見や風潮がありますが、そのような事実はほとんど見られません。過去のオリンピック開催と経済・不動産市場の関係を調べると、たしかにオリンピック前後で経済や不動産市場が上下動しています。しかしこうした動きは主に新興国や経済規模の小さい国の場合に限られ、先進国・経済規模の大きい国ではオリンピック前後でそれほどの変化は見られません

例えば2012年のロンドンオリンピックにおいて英国政府は「オリンピックが英国不動産市場に与える影響は、なかった」とするレポートを出しています。以上のことから、2020年東京オリンピックが不動産市場に与える影響は、選手村や競技場ができる都心湾岸地区など一部を除いて、ほとんどないと考えてよいでしょう。それよりは、経済動向や人口動態が不動産市場に与える影響のほうが遥かに大きいと思われます。

まずは不動産市場がすでに3極化していること。そしてその傾向は今後ますます強くなるといった見通しを持っておく必要があります。私のイメージでは現在、不動産市場は以下のような割合で構成されていると考えています。

[1]「価値維持ないしは上昇する:10-15%」
[2]「徐々に価値を下げ続ける:70%」
[3]「無価値あるいはマイナス価値に向かう:15-20%」

「価値維持ないしは上昇」というと都心の超一等立地などをイメージするかもしれませんが、必ずしもそればかりではなく、都市郊外でも地方都市でもこうした立地は存在します。最もボリュームが大きいのは「徐々に価値を下げ続ける(70%)」。国内の多くがこれに当てはまります。問題は下落率で、年率2%ずつなのか4%ずつなのかといったところ。最後は「無価値あるいはマイナス価値」ですが、こうしたところに家を買うといったケースは非常にまれでしょう。

本格的な人口減少、少子化・高齢化社会を迎えるにあたり、この3極化傾向はますます強くなると考えてください。

新築マンションが高騰、中古は「新築との価格差」で人気

2012年12月の、民主党から自民党への政権交代以降、アベノミクスや黒田バズーカといった経済政策、また人手不足による人件費上昇や建築コスト高騰で日本の不動産価格はほぼ右肩上がりの上昇を続けてきました。しかしその内訳にはかなりの温度差があります。

2017年12月の首都圏新築マンション市場の平均価格は6019万円(出所:不動産経済研究所「首都圏のマンション市場動向2017年12月度」)と、随分と高くなりましたが、とりわけ都区部は7531万円(同)と、サラリーマンには手の届かないところまで高騰しています。ただしその中身を見ると「都心・駅近・一等立地・大規模・タワー」といったワードに象徴されるような物件の比率が高まり、一方で「郊外・駅遠」といった物件の比率が下がっていることが平均価格を押し上げていることにも注意が必要です。新築マンションの発売戸数はなだらかな減少傾向で、価格高止まりのこの傾向は今後も続き、東京五輪以降もこの傾向は続くでしょう。新築マンションはある意味「ぜいたく品」といった位置づけになりそうです。首都圏以外の他都市でもこうした傾向は同様ですが、首都圏ほど上昇しているわけではありません。

一方で中古マンション市場は好調です。その理由は「新築との価格差」。東京都区部などではその価格差は約2000万円、神奈川県・埼玉県などでは約3000万円以上も。こうなると、良質な中古マンションを買ってリフォーム・リノベーションしたほうが家計にも優しい上、自分の思い通りの間取りや内装にできるといったメリットが浮かび上がってきます。新築マンション価格が高止まりする中で中古マンション価格はそれを追うように、なだらかな上昇を継続するでしょう。

【画像1】(不動産経済研究所/東日本不動産流通機構資料より筆者作成)

【画像1】(不動産経済研究所/東日本不動産流通機構資料より筆者作成)

ただしその上昇率にもかなりの温度差があり、東京都心3区では政権交代以降60%以上も価格上昇しているのに対し、神奈川県・埼玉県・千葉県の上昇率は20%程度です。

【画像2】(出所:東日本不動産流通機構)

【画像2】(出所:東日本不動産流通機構)

また、駅から求められる距離は年々厳しくなっていることにも注意が必要です。例えば東京都心7区の中古マンションでは、5年前は、駅から1分離れると平米あたり8000円程度下落していましたが、昨年は、駅から1分離れると平米あたり約1万6000円も下落しています。
これは都心に限らずどの地域にも言える全般的な傾向です。
【画像3】(出所:東日本不動産流通機構)

【画像3】(出所:東日本不動産流通機構)

一戸建て市場も2017年から上昇傾向

一方で一戸建市場に顕著な兆しは見られませんでしたが、2017年あたりから上昇傾向にあるのが見てとれます。これは、マンション価格が上がりすぎたことによる相対的な割安感や、日銀によるゼロ金利政策から住宅全般が買いやすくなったことなどが主な理由であると思われます。

【画像4】(国土交通省資料より筆者作成)

【画像4】(国土交通省資料より筆者作成)

低金利というのは言うまでもなく家計に優しく、家を買うにはもってこいの状況であるといえます。固定金利にしておけば、後の金利上昇も怖くありません。そうした意味では、低金利の今は買い時と言っていいでしょう。

では金利はいつ上昇するか。正確に時期を読み取ることはできませんが、今後景気が良くなっても悪くなっても金利は上昇します。景気が良くなりインフレ率が高まれば、それに応じて日銀のゼロ金利政策が解除される可能性が高まりますし、景気が悪化し日本国債の信任が失われるようなことがあれば、現行の金利水準を維持することができなくなる可能性が出てきます。いずれにせよ現在のような低金利がいつまでも続くとは思わないほうがいいでしょう。

ところで金利の上昇は、不動産市場には大きな下落圧力です。これは、住宅購入者の購買力が減退するため。3000万円を期間35年、金利1%なら毎月の支払いは約8.5万円で済みますが、3%に上昇すると約11.5万円と、毎月3万円、総額では約1300万円も増えてしまいます。低金利の恩恵を受けていま家を買う人も、こうした事態に陥っても価格が落ちない、落ちにくい立地を選んでおく必要はあります。

オリンピック前の2019年10月には8%から10%への消費増税が控えています。これまでは増税前に駆け込み需要があり、その後反動で市場が落ち込み価格が下がるのがセオリーでした。次もおそらくこうした動きは起こりそうですが、前回より消費税率の上げ幅が少ないこともあり、それ程大きな影響はないものと思われます。価値が落ちない家を買うことに注力しておけば2%程度の消費増税も誤差の範囲といえ、あまり気にする必要はないでしょう。

では具体的にどんな立地を選べばいいのか。またどんな建物なら価値が落ちにくいのかなどについて、次回コラムでお伝えします。

s-長嶋修_正方形.jpg長嶋 修  さくら事務所創業者・会長
業界初の個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクション(住宅診断)を行う「さくら事務所」を創業、現会長。不動産購入ノウハウの他、業界・政策提言や社会問題全般にも言及。著書・マスコミ掲載やテレビ出演、セミナー・講演等実績多数。【株式会社さくら事務所】