五輪開催が迫る今こそ民泊を始めるチャンス!? 民泊ホストのリアルを紹介

東京五輪開催まで1年を切り、懸念されているのが宿泊施設不足。五輪が開催される8月は、ホテルの客室不足が懸念されている中、解消の期待を担うのが「民泊」だ。今回は、民泊の現状と、仕事をしながら民泊している家族を紹介し、民泊のリアルライフを紹介する。
供給が不足傾向。民泊を始めたい人にとって、今はチャンス?

民間シンクタンクによると、2020年の訪日外国人旅行者数は4000万人を超えるとの試算があり、五輪が開催される8月、観光客が多い11月や12月では宿泊施設不足が指摘されている。

その解消で期待されているのが「民泊」だ。2018年6月には民泊について定めた住宅宿泊事業法が施行。施行から1年以上が経過し、五輪開催に向けて、民泊の供給が増えて盛り上がっていると思いきや、実情は異なるという。

「海外の仲介サイトで違法な民泊物件を掲載できなくなったこともあり、施行前にはピークで6万件程度あったとされる民泊施設は、施行後は約1万件まで落ち込み、その後、一部の規制が厳しい地域(例えば、東京23区)では件数が回復していません。つまり、需要は伸びているにもかかわらず、供給は不足傾向にある地域が存在します。民泊を始めたい人にとって、今はチャンス」と、民泊に詳しい行政書士の石井くるみさんは解説する。

民泊を始めるに当たっての注意点は何だろうか。「まず、民泊は日数制限があります。1年間のうち180日以内しか営業できません。住居専用地域などではさらに厳しい日数制限がある自治体もあるので事前に確認しましょう。多くのマンションでは管理規約で民泊が禁止されているため営業できません。民泊を始める際に最も大事なことは、近隣住民への説明や配慮です。これを怠ると後々トラブルになりかねない」(石井さん)

住宅宿泊事業法では、民泊できる住居や運営でやることなどが定められている。民泊する住居にトイレ、洗面所、キッチン、浴室の4つがあり、きちんと使えること。運営面では、施設の清掃、宿泊者名簿の備え付け、外国人観光旅客に向けた外国語を用いた情報提供などの業務をすることなどが定められている。
 
今回は、民泊を始めたい人が少しでもイメージが具体的に湧くよう、東京の代々木上原で一戸建て(賃貸)で家族と暮らしながら、新法施行前後で民泊をしている山崎史郎さん(会社員)のお話しを聞きながら、民泊のリアルライフを紹介しよう。

始めた動機は、現地で暮らす新たな旅のスタイルに感動して(写真提供/山崎史郎さん)

(写真提供/山崎史郎さん)

「民泊を始めた動機は、2014年にカリフォルニアに一人で旅行した際、民泊を体験したこと。通常のホテルに泊まる旅行では味わえない、現地の暮らしを体験できる新たな旅のスタイルに感動したからです」(山崎さん)

山崎さんは、新法が施行される前の2016年から民泊をしていた。しかし、新法施行の際に住んでいた分譲マンションの管理組合からNGが出てできなくなり、断念。2018年9月に賃貸一戸建てを借りて、今年6月から再開した。一戸建ての間取りは3LDKで、1階に1部屋、2階にLDK、3階に2部屋がある。広さは87平米だ。宿泊客に提供する部屋は1階の部屋と2階のリビングルーム。2階のダイニングとキッチンは共同で利用する。3階は家族のプライベート空間だ。「民泊を始めるのにかかった費用は、宿泊客向けの寝具やタオルなどの購入に充てた数万円程度。大変だったのは、届け出書類の種類が多くて作成も煩雑だったこと。区役所に通いつめました」

民泊は大別して、自らが居住する住宅に宿泊させる「居住型」と、居住しない住居を利用する「不在型」の2種類がある。不在型の場合は消防設備の設置など規制が厳しく、開始の手間や費用はそこそこかかる。一方、居住型の場合は特例措置などをうまく活用すれば、始めるハードルは意外に低いという。

「運営は夫婦で分担しています。宿泊希望者の問い合わせ対応や連絡は英語が得意な私(夫)が行い、チェックイン対応や部屋の清掃などは妻がしています。2人の娘がいますが、チェックイン時に英語で自己紹介したり、時には一緒に食事したりするなど、日本にいながら国際交流できるので楽しんでいます」

(写真提供/山崎史郎さん)

(写真提供/山崎史郎さん)

稼働率35%程度で、月収は8万~10万円

気になる収入はいくらだろうか。「今年6月から始めて稼働率は35%程度で、月のうち約10日が宿泊しているという状況。月収にして8万~10万円でしょうか。ただ、この稼働率はプライベートの予定を犠牲にせずに出た数字で、今の需要からすればもっと高められると思います。五輪開催期間は宿泊料を10倍にして稼働率100%も十分狙えると思います」(山崎さん)

民泊するうえで気になるのは、宿泊客や近隣住民などとのトラブルだ。一般的な民泊の仲介サイトでは、宿泊予約を受ける方法が2つから選べる。宿泊希望者が申し込めば予約が即成立するパターンと、宿泊希望者が予約依頼後、提供者が確認して了承すれば予約が成立するパターンだ。

「我が家は、後者を採用しています。宿泊ルールを先に読んでもらって了承したお客しか宿泊させないこともあり、大きなトラブルはありません。また居住型の場合、ゴミ出しはホストである私が行い、騒音トラブルがあっても同居しているため、すぐに注意できる。管理の目が届きにくい不在型と異なり、目が行き届く居住型はトラブルは起きにくいと思います」

大変だったのは近隣住民への周知だ。渋谷区の条例では、住居専用地域で民泊を行う際、周辺地域の住民などに対面や書面で事前周知したり、町会などが実施する地域活動に積極的に参加したりするなどの必要がある。「一戸建てを借りたのが2018年9月なので、開始までに9カ月間かかりました。仕事しながらということもあるが、住民を回っての説明や届け出書類の整備に時間を費やしました」(山崎さん)

民泊を専門に行う業者や、住宅を新規購入して取り組む不在型民泊は増加しているが、自ら住む家に宿泊客を泊める居住型は減少傾向にあるという。しかし、その一方で「日本の生活や暮らしに触れたいという外国人観光客にとって、家族が暮らす家に宿泊する居住型民泊のニーズは根強いと感じています。自宅に他人を宿泊させることに抵抗感が少なく、国際交流に興味がある人にとって魅力的」(山崎さん)

山崎さんの妻は料理研究家。宿泊した外国人ゲストに料理教室をすることもある(写真提供/山崎史郎さん)

山崎さんの妻は料理研究家。宿泊した外国人ゲストに料理教室をすることもある(写真提供/山崎史郎さん)

エリア限定だが、届け出不要の「イベント民泊」も

ラグビーワールドカップ、東京五輪、大阪万博など国際イベントが目白押しで、イベント開催地の宿泊施設不足が指摘される中、8月1日、観光庁と厚生労働省はイベント開催期間に宿泊施設不足が見込まれる場合、住宅宿泊事業法に基づく届け出をせずに自宅を民泊として活用できる「イベント民泊ガイドライン」を改訂して発表した。

イベント民泊は、自治体が公募している場合に申し込みできる。「ラグビーワールドカップの開催地である熊本県、岩手県釜石市、大阪府東大阪市などの自治体がイベント民泊の実施を予定している。気軽に取り組めるので、興味がある人は自治体に問い合わせてほしい」(観光庁)

イベント民泊でも宿泊料をもらうことができるため、副業として民泊を検討している人のお試しとしてもおすすめだ。東京五輪や大阪万博の開催時にもイベント民泊を公募する可能性は高いので、今後の動向に注目したい。

●取材協力
石井くるみさん(日本橋くるみ行政書士事務所)
山崎史郎さん
観光庁

「つながりシェア保育園・よよぎうえはら」とは? 地域やシェアハウス住人と一緒に行う新しい子育ての形

共働きで小さな子どもがいれば、引越しの際のポイントのひとつとして「保育園」を挙げる家庭も多いのではないだろうか。待機児童などの問題はあれど、子どもにとっての “もうひとつの家”の環境には、できるだけこだわりたいもの。保育園ごとにさまざまな特色があるが、東京都渋谷区にある「つながりシェア保育園・よよぎうえはら」は、“シェア”がテーマとなっているユニークな保育園だ。
「つながりシェア保育園・よよぎうえはら」とは?「つながりシェア保育園・よよぎうえはら」学校法人正和学園 理事長・齋藤祐善さん(中央)、施設長・佐藤喜美子さん(左)、まち暮らし不動産 代表取締役・齊藤志野歩さん(右)(写真撮影/片山貴博)

「つながりシェア保育園・よよぎうえはら」学校法人正和学園 理事長・齋藤祐善さん(中央)、施設長・佐藤喜美子さん(左)、まち暮らし不動産 代表取締役・齊藤志野歩さん(右)(写真撮影/片山貴博)

2017年に不動産に特化した投資型クラウドファンディングのプラットフォーム「クラウドリアルティ」上で資金を募り、申込金額は1億7400万円を達成。準備期間を経て2019年2月に開園した「つながりシェア保育園・よよぎうえはら」は、“日本初のクラウドファンディング保育園”として話題になった。

代々木上原から徒歩約10分。閑静な住宅街の中にあるレンガ造りの建物の1階が「つながりシェア保育園・よよぎうえはら」だ。園内は、仕切りが少なく、異年齢の子どもたちがのびのびと遊ぶことができ、明るく開放的だ。都心部でありながら周辺環境にも恵まれ、近隣の東京大学や駒場公園などにお散歩に行くのだとか。月極での契約のほか一時保育も利用可能で、海外在住の親子が日本滞在中に利用者することもあるとのこと。
地下1階は、通常は事務所として使われているが、イベントスペースとしても活用できる設計になっている。
2・3階はシェアハウスで、現在2家族が入居中。子どもを1階の保育園に預けることができれば通園時間も大幅に短縮できる。複数の家族がともに子育てをする“大きな家族”を育むことができるのは、共働きの家庭にはメリットも大きいだろう。将来的には一部を民泊としても貸し出す予定で、希望があれば民泊宿泊者と保育園の交流も行っていきたいという。

「つながりシェア保育園・よよぎうえはら」外観(写真撮影/片山貴博)

「つながりシェア保育園・よよぎうえはら」外観(写真撮影/片山貴博)

この保育園の大きな特徴は、施設名のように“子育てをシェアする”というメッセージだ。行事は保育園関係者だけで行うのではなく、近隣住民・親子、クラウドファンディングの出資者、この保育園のメッセージに共感してくれる人たちなどに開かれたものにしていく計画だという。多くの人と触れ合うことによって子どもには大きな刺激となるだろうし、孤独になりがちで悩むことの多い子育て世代や地域の交流の場ともなるだろう。

「ほかの保育園との一番大きな違いが、その名称のとおり、人とのつながり、生活そのものをシェアしていくという発想で運営しているところです。渋谷区はシェアリングエコノミーに対して積極的に取り組んでいる自治体のひとつ。そして、そのような事柄に感度の高い人がたくさん住んでいます。そのため、保育園にシェアハウスを併設して、保育園自体も社会に開いていくという形が取れないかと考えました。ただ地域や社会とつながりをもつだけではなく、さらに生活そのものをシェアしていくことで、子どもたちの成長の共有はもちろん、お母さん同士のコミュニティづくりもさらに一歩踏み出していければと思っています」(理事長・齋藤さん)

つながりをイメージしたサインもかわいい(写真撮影/片山貴博)

つながりをイメージしたサインもかわいい(写真撮影/片山貴博)

日本初のクラウドファンディング保育園

クラウドファンディングではわずか10日で目標金額を達成したことからも、“子育てをシェアする”というメッセージは、多くの人に共感・支持されていることが分かる。
「保育園を開園する際、銀行から資金を借りるのが通常のルートだと思うのですが、あえてクラウドファンディングという手法を使ったのは、仲間を増やしたかったからなんです。今回の大きなチャレンジのひとつが、保育園というハードウェアの所有をシェアすること。クラウドファンディングを使って出資者から集めた資金でファンドを組成し、クラウドリアルティさんの子会社がその資金をもとに土地を購入して、我々の学校法人がその土地をお借りするという形になるので、ここは実質的には出資していただいた数百名の方々がみんなで持っている保育園なんです。保育園で何かするときにも、出資者に声がけができるユーザーグループを持ったことが大きなポイントだと思っています。開園直前にはみんなで棚をつくったり、シェアハウスに置く本を持ち寄ったりしました。
通常の保育園だと、サービス提供者=保育園とサービス受給者=保護者・児童という関係性ができてしまうことも多いですが、ここの出資者はお金のみならず気持ちもコミットしている。そういう関係性が一番欲しかったんです。今後は、出資者の方々が時折遊びにきて一緒におやつを食べたり、一緒に遊んだりする機会を積極的につくっていきたいと思います。もちろん、まだ開園したばかりで課題もたくさんあるのですが、そのきっかけづくりはできたかなと思っています」(理事長・齋藤さん)

子どもがいることで、社会は素敵に、より安全になる保護者にその日の様子が分かるように、保育園入口横には給食のメニューやその日撮影された園児の写真などが掲示されている(写真撮影/片山貴博)

保護者にその日の様子が分かるように、保育園入口横には給食のメニューやその日撮影された園児の写真などが掲示されている(写真撮影/片山貴博)

子育てを社会や地域とシェアする。そのテーマは、保育園の内装にも表れている。光がたくさん入る大きな窓や床の一部に屋外に使うことが多いテラコッタ素材を使用して外部とのつながり感を演出した内部は、子どもはもちろん、大人も長居してしまいそうな居心地のいい空間。保育室も仕切りがなく広々としていて、子どもたちにも自然と兄弟のような関係性が生まれている。
「例えば、低年齢の子がバウンサーで泣いていると、上の子が近寄ってきてバウンサーを揺らしてあげたり、おもちゃを持ってきてあやしてあげたりしています。食事も、給食の先生含めて保育士・子どもみんなで食べていますので、『おいしいね』『もう少したべたら?』など自然と声をかけあいます。幼稚園の後に一時保育でくる子もいるのですが、保育園に入ってくるとみんなで『おかえり!』と声をかけたりして、本当に大きな家の家族のような感じです」(施設長・佐藤さん)

シェアハウス入口前のテラスには、保育園の園芸部の鉢植えが。「私と2歳の子のふたりの園芸部です(笑)。シェアハウス入口のテラスでトマトやきゅうりを育てています。毎日時間になると、『先生、園芸部の活動の時間だよ』と声をかけてくれて、毎日一緒にお水をあげています」(施設長・佐藤さん)(写真撮影/片山貴博)

シェアハウス入口前のテラスには、保育園の園芸部の鉢植えが。「私と2歳の子のふたりの園芸部です(笑)。シェアハウス入口のテラスでトマトやきゅうりを育てています。毎日時間になると、『先生、園芸部の活動の時間だよ』と声をかけてくれて、毎日一緒にお水をあげています」(施設長・佐藤さん)(写真撮影/片山貴博)

「“自分はここにいていいんだ”という安心感や所属感は、今の時代に欠けていると思うんです。特に、最近は痛ましい事故が相次いでいますよね。1990年代に学校での事件が相次いだときは、国から180cm以上のフェンスで学校のまわりを囲めという通達が出て、全国の学校・幼稚園・保育園はそのようになった。ただ、それによって地域と隔絶してしまったので、その断絶をどのように埋めるかがこの数十年のテーマだったんです。行政は、フェンスの件やお散歩などのルート改善など事件・事故を未然に防ぐための通達を出します。
もちろんそれも大切ですが、私たちは施設だけが子どもを守るということではなく、社会全体で子どもが大切だと認識して守っていくことが重要だと考えています。『つながりシェア保育園』はその最前線にいる砦。事件・事故が起こることで子どもたちを守ろうとするが故に施設に縮こまっていくのではなく、『みなさん、子どもたちと一緒に安全な地域をつくっていきましょう』と呼びかけていきたいんです。
だから、保育士には施設に閉じないようにとよく言っています。社会の中に子どもがいて、子どもがいることで社会はより素敵なものになるということをこの施設からも発信していく必要があるからです。それを徹底してやることで、地域の目も浸透してきて、子どもの安全も確保されていくと思います。このような考えの味方としてクラウドファンディングの出資者がいるということは、私たちの大きな力になっています」(理事長・齋藤さん)

子育てのハブとなる保育園を目指してシェアハウスのリビング(写真提供/まち暮らし不動産)

シェアハウスのリビング(写真提供/まち暮らし不動産)

シェア保育園が提唱する“拡張家族”の概念は、海外に住む保護者からも支持されているようだ。
「先日、お母さんが日本人、お父さんがアメリカ人で、アメリカ在住のお子さんを一時保育でお預かりしたんです。そうしたら非常に喜んでいただいて、『アメリカに帰ったらみんなに宣伝する!』と言ってくださったんです(笑)。『つながりシェア保育園』には英語を話せる保育士もいますし、親御さんが海外の方のお子さんをお預かりすることもあります。日本だけではなくて世界ともつながっていく。これからは、もっとグローバルな関係性もつくれるといいなと思っています」(施設長・佐藤さん)

シェアハウス内観。天窓から注ぐたくさんの光と木の匂いに癒やされる明るい室内。シェアハウスに住むAさんは、1階にある保育園で働き、子どもも預けている。「通勤時間は30秒。“職住近接”ならぬ“職住直接”です(笑)。1階で保育士として働いていますから、なおさら日常の暮らしと仕事、子育てなどのすべてが、つながっているのだと実感しています」(撮影/片山貴博)

シェアハウス内観。天窓から注ぐたくさんの光と木の匂いに癒やされる明るい室内。シェアハウスに住むAさんは、1階にある保育園で働き、子どもも預けている。「通勤時間は30秒。“職住近接”ならぬ“職住直接”です(笑)。1階で保育士として働いていますから、なおさら日常の暮らしと仕事、子育てなどのすべてが、つながっているのだと実感しています」(撮影/片山貴博)

(写真提供/まち暮らし不動産)

(写真提供/まち暮らし不動産)

子ども用トイレがシェアハウスの脱衣所にあるのも特徴的(撮影/片山貴博)

子ども用トイレがシェアハウスの脱衣所にあるのも特徴的(撮影/片山貴博)

「今後は併設のシェアハウスの一部を民泊として貸し出し、関わる人をもっと増やしたいと思っています。海外の人でも子どもたちと関わっていただいて、子どもに刺激を与えてもらったり、そこでつながった仲間が“子育てをシェアする”という発想を各国で発信するようなきっかけづくりは、この施設の大きなミッションのひとつです。この施設がシェア、保育、子どもの未来などについて考えたいという人たちがつながるハブになりたいと思っています」(理事長・齋藤さん)

シェアハウスの間取り(画像提供/まち暮らし不動産)

シェアハウスの間取り(画像提供/まち暮らし不動産)

民泊として貸し出す予定の部屋(撮影/片山貴博)

民泊として貸し出す予定の部屋(撮影/片山貴博)

子育てをシェアする。「つながりシェア保育園・よよぎうえはら」のテーマが浸透すれば、もっと子育てしやすく、老若男女の笑顔があふれる社会・地域になるだろう。保育園の今後の取り組みに注目し、機会があればぜひイベントに参加して“子育てのシェア”を体感してほしい。そして、この考えが社会全体に浸透していくよう、ひとりひとりがそれぞれの地域で心がけていくのが理想だ。

●取材協力
>学校法人 正和学園「つながりシェア保育園・代々木上原」
>クラウドファンディングプラットフォーム「クラウドリアルティ」
>まち暮らし不動産

「民泊」認知度は9割強、賛成派は6割超

リビン・テクノロジーズ(株)(東京都中央区)はこのたび、昨年6月15日の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行から1年経った現在の「民泊」について、アンケート調査を行った。
調査は2019年4月26日~5月15日、インターネットで実施。同社運営の不動産比較査定サイト「リビンマッチ」を利用した40歳以上の男女469人を対象に行った。

それによると、民泊を知っていますか?では、「利用したことがある」「知っている」「なんとなく知っている」「聞いたことがある」の合計が、40代では97.6%、50代は98.9%、60代以上は97.6%となり、9割強の認知があることが分かった。

民泊新法施行から1年経った現在、民泊制度についてはどう思いますか?では、「賛成」は40代で17.8%、50代で14.6%、60代以上で18.4%。「どちらかと言うと賛成」は40代で52.4%、50代45.5%、60代以上45.9%。「賛成」「どちらかと言うと賛成」を合わせると各年代とも賛成派は6割を超えている。「どちらかと言うと反対」は40代23.8%、50代31.5%、60代以上28.5%。「反対」は40代6.0%、50代8.4%、60代以上7.2%だった。

「賛成」または「どちらかと言うと賛成」の理由には、どの年代からも『空き家(空室)の活用ができる』(40代:67.8%、50代:74.8%、60代以上:69.9%)が最も多く、『宿泊施設不足の解消になる』(40代:40.7%、50代:45.8%、60代以上:41.4%)、『地域が活性化する』(40代:25.4%、50代:26.2%、60代以上:42.9%)と続く。

一方、「反対」または「どちらかと言うと反対」の理由は、40代・50代で最も多かったのが『犯罪に利用されたら困る』(40代:72.0%、50代:54.9%、60代以上:51.4%)で、60代以上では『ゲスト(宿泊者)がマナーを守らない』(40代:48.0%、50代:38.0%、60代以上:52.7%)となっている。

ニュース情報元:リビン・テクノロジーズ(株)

ヤミ民泊にご用心 間違って泊まらないためには?

ゴールデンウイークは最大10連休ということもあって、家族や友人と旅行する計画を立てている人は多いだろう。ただ、人気の観光地のホテルや旅館の予約がいっぱいで宿泊先がまだ手配できない、少しでも長く滞在したいから宿泊費を少しでも抑えたい。そんな人々に人気が高まっているのが民泊だが、「ヤミ民泊」に宿泊しないようくれぐれも用心してほしい。
外国人や若者中心に普及が進む「民泊」

民泊とは、ホテルや旅館などではなく、一般人の住居にお金を払って宿泊することをいう。民泊について定め、2018年6月に施行された住宅宿泊事業法によると「旅館業法第3条の2第1項に規定する営業者以外の者が宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業」とある。

住宅宿泊事業法では、民泊事業をするための条件が定められている。一例を挙げると、宿泊させる日数が1年間で180日を超えないこと、住居に台所、浴室、便所、洗面などの設備が備えられていること、生活の本拠として使用されていることなどがある。

民泊の注目が高まったのは、2008年に米国のサンフランシスコでスタートした「Airbnb(エアビーアンドビー )」などの海外の民泊仲介サイトの普及によるところが大きい。日本国内の住宅に宿泊する民泊利用者は右肩上がりに増えている。

観光庁の調査によると、2018年10月~11月の2カ月間の利用者数は全国で約21万人、同年12月~2019年1月の利用者数は約25万人だった。利用者の割合は、外国人が約75%で、日本人は約25%。約4人に1人が日本人の利用者だ。年齢は外国人に実施した調査によると、20代以下が61%を占め、30代~40代が33%と続いた。グループでの利用が多いという。若者やグループ利用が多い傾向は、日本人の場合にも当てはまるだろう。

「ヤミ民泊」って何? うっかり泊まるとどうなる?

民泊を利用する際に気をつけたいのが「ヤミ民泊」だ。ヤミ民泊とは、住宅宿泊事業法に基づいて都道府県知事に届出をしていなかったり、住宅宿泊事業を適切に運営していなかったりする違法事業者が行う民泊のことを言う。

ヤミ民泊を利用する危険性は主に2つある。まずは、適正なサービスを得られない可能性が高いことだ。法律では、民泊事業を運営する上で取るべき行動や措置を定めている。例えば、宿泊者1人当たり3.3平米以上を確保し、清掃や換気などを行い衛生を確保する。安全確保のため、非常用照明器具を設けたり、避難経路を表示したりするなど様々ある。違法業者の場合、こうした本来受けられるべきサービスや措置を受けられない可能性がある。

次がトラブルに巻き込まれやすいことが挙げられる。例えば、業者との金銭トラブル。仲介サイトに提示されていた以上の料金を請求される場合もあるという。また、マンションの住戸に見知らぬ第三者が宿泊することになるケースが多いため、宿泊者と住人とのトラブルが起きたり、犯罪の温床にもなりかねない。昨年、大阪のヤミ民泊を転々としていた外国人が殺人事件を起こした例もある。

厚生労働省が2016年10月~12月に行った調査によると、調査対象施設のうち、約3割は旅館業法上の無許可営業に該当し、約5割は物件の所在が確認できないという結果が出た。旅館業法に基づいて適切に営業していた施設は2割程度しかなかったのだ。
それが法施行後に行った調査によると、状況は大きく改善した。「登録する住宅宿泊仲介業者55社(平成30年9月30日時点)の取扱件数約4万1604件のうち、適法と確認できなかった件数は6585件、割合にして16%まで減少しました」(観光庁観光産業課の波々伯部室長)。

うっかり泊まらないための3カ条とは?

とはいえ、ホテル不足が予想される長期連休などは「やっと見つけた空室がヤミ民泊だった!」といった事態に陥らないとも限らない。誤って利用しないためには3つのポイントがある。まずは、仲介サイトで宿泊先を選ぶ際、都道府県知事への届出番号があるかを確認することだ。届出番号がない民泊事業者は違法になる。

次に、仲介サイトも国に登録している事業者のサイトを利用することだ。未登録の海外の業者や個人が運営するような仲介サイトには、ヤミ民泊が掲載されている可能性が高い。登録済の仲介業者のリストは、観光庁の民泊制度のサイトに載っているので確認しよう。

3つ目が、民泊する住居に着いた際、住居にステッカーが貼られていることと、そこに記載されている内容と届出内容が同じかどうかを確認することだ。住居を民泊として使う場合、ステッカーを貼ることが、法律によって義務付けられている。

民泊ステッカーのイメージ(観光省提供)

民泊ステッカーのイメージ(提供/観光省)

中には、届出をしていないにも関わらず、他の民泊事業者の届出番号を使ったり、他の届出番号を使いまわしたりするヤミ民泊業者が一部存在する。ステッカーが貼られていない場合はもちろん、仲介サイトの記載内容と異なる場合は、仲介サイトや住居がある自治体などに問い合わせることだ。

規制には地方差がある

民泊は、ホテルや旅館と比べてリーズナブルに滞在できることが魅力的だ。今後も外国人や若者を中心に利用者は増え続けるだろう。最近では一般住宅だけでなく寺院に宿泊できたり、民泊事業も大きなイベントが行われる時に単発で実施できたりするなどといった新たな試みも始まっており、注目度は一層高まるに違いない。
一方で、民泊の利用が増えることによる弊害もある。多いのが、宿泊者による騒音などをはじめとする周辺住民とのトラブルだ。

民泊利用者が多い都市は、東京都、大阪市、京都市、札幌市、那覇市などがある。読者の中には、自分の家で民泊事業をしてみたいという人がいるかもしれないが、注意点がある。それは、国が定める規制より厳しい規制を敷いている自治体が多いことだ。

例えば、東京23区の多くは、民泊提供上限日数の年間180日以内に加え、週末しか運営できないなど規制を厳しくしている。観光客が多くて問題になっている京都市では1月から3月15日までの閑散期しか民泊を認めていない。これらの多くは住民への配慮によるものだろう。その一方で、京都市でも空き家になっている町屋を再生して民泊にする場合は規制から除外するなど、民泊制度をより積極的に活用する動きもある。

東京五輪や大阪万博などビッグイベントを控える日本にあって、民泊利用は増え続けるだろう。民泊についての正しい知識を持った上で、宿泊者として民泊を利用したり、自らの住居で民泊したりするのは面白いかもしれない。

●取材協力
観光庁

ゆれる民泊、被災地でも 釜石「あずま家」ゲストハウスへの挑戦

2011年に発生した東日本大震災では、多くの宿泊施設も被害を受けた。再建費用や、集客面の課題から、再建を諦めた施設も少なくない。岩手県大槌町にあった民宿「あづま民宿」もその中の一つだ。

しかしその民宿のオーナー夫妻の娘、東谷いずみさん(25)が昨年秋から、釜石市の商店街で民泊「あずま家」を始めた。「ゆくゆくはゲストハウスにしたい」と東谷さん。新たな規制にゆれる民泊を運営する上での苦労や、ゲストハウス開業に向けた意気込みをきいた。

東日本大震災で消えた「あづま民宿」

――ご実家でも民宿を営んでいたそうですね。
東谷:はい、「あづま民宿」という名前で、私もお皿を洗ったり、お布団を敷いたりと手伝いをしていました。なので、小さいころから他の人が家にいる環境には慣れていましたね。

でも東日本大震災をきっかけに、廃業することになりました。震災当時は、私は高校2年生で学校で被災しました。大槌の自宅には父と母と祖母、犬も一緒にいました。父が消防団に入っていたので、水門を閉めに行くなどして家を離れ、祖母と母で逃げたと聞いています。
3人は無事でしたが、犬はそのまま亡くなってしまいました。

――ご実家の民宿は再建されなかったのですか?

民泊「あずま家」の一室で語る東谷いずみさん(写真撮影/フォトスタジオクマ・熊谷寛之)

民泊「あずま家」の一室で語る東谷いずみさん(写真撮影/フォトスタジオクマ・熊谷寛之)

東谷:昔からのお客様やご近所の方には「またやらないの?」と言っていただきました。でも現実には、難しかったです。大槌町はかなり大きな被害を受け、「あづま民宿」の建物も流されてしまったので、建て直すには費用がかかります。実家の民宿があった吉里吉里(きりきり)に三陸道が開通すると、インターチェンジのちょうど間なので、集客も難しそう。父が61歳、母が58歳だったので、年齢的な問題もあって廃業を決意しました。

釜石市とパソナ東北創生は、行政と地域の住民が力を合わせて、最長3年間で起業を準備し、事業を創出する「釜石ローカルベンチャー制度」を推進している。その一環に「起業型地域おこし協力隊制度」という町おこしを推進する制度があり、東谷さんは仙台で行われた告知イベントをきっかけに応募。二期生に選ばれた。

――民泊「あずま家」の物件を見つけたきっかけは?

仲見世通りにある民泊「あずま家」の外観(写真撮影/フォトスタジオクマ・熊谷寛之)

仲見世通りにある民泊「あずま家」の外観(写真撮影/フォトスタジオクマ・熊谷寛之)

「釜石ローカルベンチャー制度」の2017年当時の募集テーマが、釜石観音のふもとにあり、かつて観光地として栄えた「仲見世通り」の再生でした。仲見世通りはかつて20店舗以上が軒を連ね「人にぶつからずに歩けない」と言われるほどにぎわっていたそうです。しかし現在は「あずま家」とシェアオフィス「co-ba」の他は、飲食店が1店舗営業をしているだけとなってしまいました。

仲見世通りは一時期、店舗数ゼロに陥っていた(写真撮影/富谷瑠美)

仲見世通りは一時期、店舗数ゼロに陥っていた(写真撮影/富谷瑠美)

ここで空き店舗や空き家を活用した事業を行うメンバーの募集があり、私がエントリーしたのがきっかけです。ここ仲見世通りにはローカルベンチャー制度の地域パートナーがいて、その方に今のあずま家の物件を紹介してもらいました。以前は1階がお蕎麦屋さん、2階が住居だったと聞いています。
一階ではカフェの開店準備中(写真撮影/フォトスタジオクマ・熊谷寛之)

一階ではカフェの開店準備中(写真撮影/フォトスタジオクマ・熊谷寛之)

現在は2階部分を民泊として運営しています。1階部分には近々カフェがオープンする予定です。

カフェの開店資金はクラウドファンディングで集り、目標額の109%となる約440万円を集めた(画像/キャンプファイヤーHPより)

カフェの開店資金はクラウドファンディングで集り、目標額の109%となる約440万円を集めた(画像/キャンプファイヤーHPより)

「釜石ローカルベンチャーコミュニティ」の二期生は、東谷さんを入れて計5人。三井不動産レジデンシャルを退職し、「あずま家」のある仲見世通りの活性化に取り組む神脇隼人さん(30)らが活動している。1階部分のカフェをオープンするための資金は、神脇さんを中心にクラウドファンディングで募った。最終的に約440万円(目標金額の109%)を集め、クラウドファンディングは大成功。神脇さんは「目標金額達成はゴールではなくスタート。皆さんの思いを、必ず形にしていきたい」とコメントを寄せた。

――東谷さんもここに住んで民泊を運営されているとか。1日をどのように過ごしているのでしょうか。

東谷:まず客室は全部で3部屋で、最大で7人が泊まれます。
チェックアウトは朝10時、チェックインは夕方4時。午前中はお洗濯や掃除で終わってしまうので、お昼過ぎからチェックインまでが自分の時間です。「1人で大変だね」と言われることもあるのですが、そんなに大変だと感じることはないんですよ。

入り口では、手書きのメッセージボードと羊がお出迎え(写真撮影/フォトスタジオクマ・熊谷寛之)

入り口では、手書きのメッセージボードと羊がお出迎え(写真撮影/フォトスタジオクマ・熊谷寛之)

二階の民泊入り口ドアを開けると、釜石の観光地案内や、名産物のパンフレットが並んでいる(写真撮影/フォトスタジオクマ・熊谷寛之)

二階の民泊入り口ドアを開けると、釜石の観光地案内や、名産物のパンフレットが並んでいる(写真撮影/フォトスタジオクマ・熊谷寛之)

室内は和室で、我が家のようにくつろげる雰囲気(写真撮影/フォトスタジオクマ・熊谷寛之)

室内は和室で、我が家のようにくつろげる雰囲気(写真撮影/フォトスタジオクマ・熊谷寛之)

2018年9月に始めてからまだ5か月ですが、物件の家賃と光熱費は民泊で稼ぐことができています。「釜石ローカルベンチャーコミュニティ」からの活動資金を加えて、事業として軌道に乗せていければと思っています。

校庭から100メートルでも“アウト”に

――民泊を運営する上で大変なことはありますか。
東谷:始める前は「民泊というと、楽に始められるのかな」と思っていましたが、たくさんの書類が必要で、申請がとっても大変でした。規制もどんどん厳しくなってきています。つい最近は、新しく県の条例ができました。「学校の半径100メートル以内では、平日に民泊を営業してはいけない」という制限が加わりました(岩手県「住宅宿泊事業法施行条例」平成31年2月1日施行)。

この民泊「あずま家」のそばには釜石商工高校があります。校舎からは100メートル以上離れているのですが、校庭も入れると100メートル以内に入ってしまうと……。保健所の方が説明に来てくださいました。

――騒音や迷惑行為の防止が規制を強化する趣旨だとされています。土日の運営だけでは経営が成り立たないのではないでしょうか。

東谷:「あずま家」は今後旅館業(簡易宿泊所)の営業許可を取得し、ゲストハウスという形にしていきます。しかしもしこのまま民泊で進めるとしたら、やりづらさを感じます。特にこれを本業としてやっていくのであれば、なおさらです。迷惑行為等に関しては様々な声があると思いますが、民泊の運営者側から宿泊者へ民泊がどのような場所(多くは住宅街)で運営されているか説明し、宿泊ルールについて双方がきちんと認識できれば、クリアになる部分もあるのではないかと思います。

民泊はいまも、年間180日以上は運営ができません。「通年営業のゲストハウスならよくて、民泊はなんでダメなのかな」というのが正直な気持ちです。

――それもあって、ゲストハウスに変更されるのですね。

東谷:そうですね。もともとゲストハウスをする方向では考えていましたが(ゲストハウス運営に必要な)簡易宿泊所の営業許可を取るのは、物件によっては大変だと聞きます。でもいまの民泊「あずま家」の場合は、あとは書類を集めればいけるところまできました。民泊新法ができた直後は「スモールスタートとして民泊をやろう」と思ったんですよね。でも今になって考えてみると、ゲストハウスより民泊を始めるほうが、場合によっては手続きや書類の数が多くてはるかに大変だった気がします(苦笑)。

「ふつふつ」している人たちをつなぐ場にしていきたい

――「あずま家」をどんなゲストハウスにしていきたいと思いますか。

共有スペースに飾られている写真。今でも様々なバックグラウンドの利用者の出会いの場となっている(写真撮影/フォトスタジオクマ・熊谷寛之)

共有スペースに飾られている写真。今でも様々なバックグラウンドの利用者の出会いの場となっている(写真撮影/フォトスタジオクマ・熊谷寛之)

共有キッチンにはお菓子やコーヒーが置かれている。利用者同士で料理をすることもある(写真撮影/フォトスタジオクマ・熊谷寛之)

共有キッチンにはお菓子やコーヒーが置かれている。利用者同士で料理をすることもある(写真撮影/フォトスタジオクマ・熊谷寛之)

東谷:外から来る人(旅行客や関係人口層)と中の人(釜石の地元住民や移住者等)をつなぐ場にしていきたいです。いっときの、自分と同じような人たちの出会いの場にしていきたいと思っています。自分の人生を生きよう、一歩踏み出そうとしてるけど踏み出せない。そんな、なにか「ふつふつ」としている人たちをつなぐ場づくりをしたいのです。

――なぜそう思うようになったのでしょうか。

東谷:私自身がこれまでいろんなつながりに出会い、助けられてきました。今度は自分が場をつくることで、これからいろいろな人と出会い、つながれる時間を作っていきたい。じゃあ、その場はどんな形?と迷っていた時に、新潟の粟島にある「おむすびの家」というゲストハウスに行ったんです。そこのオーナーさんの生き方、そこで出会った人たちが、自分で事業をやる、という決意をさせてくれたと思う。あの場を自分でも、釜石に再現できたらと思っています。

近隣のシェアオフィス「co-ba」では仲見世商店街活性化プロジェクトの打ち合わせなどが開催されている(写真撮影/富谷瑠美)

近隣のシェアオフィス「co-ba」では仲見世商店街活性化プロジェクトの打ち合わせなどが開催されている(写真撮影/富谷瑠美)

ここから徒歩1~2分のところにはシェアオフィスもあります。そこはこの(あずま家がある)仲見世商店街を活性化プロジェクトの打ち合わせ場所にもなっています。そこに集う起業家や建築士、主婦やデザイナーといった人たちも、よく「あずま家」にやってきますから、いろいろなバックグラウンドや、スキルを持った人たちとつながることができます。

――そのつながりから、また新しい取り組みも生まれそうですね。

東谷:そうですね。今はまだできていませんが、泊まりに来た人に観光地だけを案内するのではなく、ローカルでディープな釜石の魅力も伝えたいです。釜石市内の他地域、例えば甲子町や尾崎白浜など、ほかの地域をつなぐ役割ができないかなと思っています。甲子町の名物、いぶした柿「甲子柿」なんか、本当に甘くてとってもおいしいんですよ(笑)。でも釜石市内でも、あまり知られていなかったりするのでもったいないと思っています。

それぞれの地域にキーマンはいるので、セットプランを作ったり、ツアーを開催したり、ゲストハウスとしてのコンテンツをもっと増やしていきたいですね。

――逆に、ここは変えたくない、ということは何かありますか?

東谷さんの笑顔も利用者がくつろげる秘訣?(写真撮影/フォトスタジオクマ・熊谷寛之)

東谷さんの笑顔も利用者がくつろげる秘訣?(写真撮影/フォトスタジオクマ・熊谷寛之)

東谷:内装などは、あまり変えないようにしようと思っています。泊まりにきてくれた人たちにアンケートをとっているのですが、あずま家の魅力はリラックスできるところみたいです。「釜石の我が家」と書いてくれた人もいました。共同スペースのこたつで仕事用のパソコンを開いたまま、寝てしまう人も多いです(笑)。よい意味で力の抜けたあたたかい空間を、これからも提供していきたいです。

民泊物件、適法確認できないのは約16%

観光庁はこのたび、2018年9月末時点における民泊物件の適法性の確認結果を公表した。それによると、住宅宿泊仲介業者等55社の取扱件数合計は延べ41,604件、前回から16,666件増加した。そのうち「違法認定あり・削除対象」(2,232件)と「適法性の確認不可・再報告対象」(4,353件)を合わせた6,585件については適法と確認できず、合計件数に対する割合は約16%。前回調査と比べて約4ポイント改善されている。

「違法認定あり・削除対象」又は「適法性の確認不可・再報告対象」となった主な理由(重複回答)としては、「事業者の氏名等が異なっているもの」が37%、「所在地が異なっているもの」28%、「施設名称が異なっているもの」22%、「届出番号が異なっているもの」12%、「その他」52%だった。

ニュース情報元:観光庁

民泊してみたい芸能人の家、総合1位は「所ジョージ」

訪日客の増加などにより、一般の民家に宿泊する「民泊」が世の中の注目を集めている。(株)エアトリ(東京都新宿区)では、このほど10代~70代の男女838名を対象に「民泊してみたい芸能人・有名人の家」に関するアンケートを行った。調査は2018年10月11日~10月16日の期間、インターネットで実施した。
それによると、総合ランキング1位に輝いた芸能人は「所ジョージ」。男性の夢を実現している“世田谷ベース”を象徴に、その多趣味さや、自由なライフスタイルに憧れる人も多く、男女問わず多くの人に選ばれた。2位は「明石家さんま」、3位は「デヴィ夫人」、4位「渡辺直美」、5位「綾瀬はるか」と続く。

総合ランキングでは、「明石家さんま」(2位)、「渡辺直美」(4位)、「イモトアヤコ」(7位)など、お笑いタレントが多くランクインしている。また、豪邸を見てみたいという理由で、「デヴィ夫人」(3位)、「叶姉妹」(8位)などのセレブ有名人が、料理を楽しみたいという理由で「タモリ」(9位)が上位に選ばれた。

民泊してみたい芸能人・有名人の家(男性編)では、男性が選ぶ1位は「所ジョージ」、2位「明石家さんま」、3位「タモリ」の順。女性も2位「所ジョージ」、3位「笑福亭鶴瓶」と、大御所お笑いタレントが上位を占めた。そのなかで、「IKKO」が女性から1位、男性からも4位に選ばれるなど、多くの支持を集めている。

民泊してみたい芸能人・有名人の家(女性編)では、男性が選ぶ1位は「イモトアヤコ」、女性が選ぶ1位は「渡辺直美」だった。また、2位は男女ともに「デヴィ夫人」がランクインした。

「イモトアヤコ」を選んだ理由には、『海外の土産話を聞きながらお酒を飲みたい』(20代男性)、『安室奈美恵さんの話で盛り上がりたい。貴重なグッズも飾っていそう』(30代男性)などがあり、「渡辺直美」を選んだ理由には、『こだわりの空間がありそうだし、美味しい料理をふるまってくれそう』(50代女性)、『とにかく楽しい時間を過ごせそう。部屋を汚しても許してくれそう』(50代女性)、などがあった。

ニュース情報元:(株)エアトリ

民泊してみたい芸能人の家、総合1位は「所ジョージ」

訪日客の増加などにより、一般の民家に宿泊する「民泊」が世の中の注目を集めている。(株)エアトリ(東京都新宿区)では、このほど10代~70代の男女838名を対象に「民泊してみたい芸能人・有名人の家」に関するアンケートを行った。調査は2018年10月11日~10月16日の期間、インターネットで実施した。
それによると、総合ランキング1位に輝いた芸能人は「所ジョージ」。男性の夢を実現している“世田谷ベース”を象徴に、その多趣味さや、自由なライフスタイルに憧れる人も多く、男女問わず多くの人に選ばれた。2位は「明石家さんま」、3位は「デヴィ夫人」、4位「渡辺直美」、5位「綾瀬はるか」と続く。

総合ランキングでは、「明石家さんま」(2位)、「渡辺直美」(4位)、「イモトアヤコ」(7位)など、お笑いタレントが多くランクインしている。また、豪邸を見てみたいという理由で、「デヴィ夫人」(3位)、「叶姉妹」(8位)などのセレブ有名人が、料理を楽しみたいという理由で「タモリ」(9位)が上位に選ばれた。

民泊してみたい芸能人・有名人の家(男性編)では、男性が選ぶ1位は「所ジョージ」、2位「明石家さんま」、3位「タモリ」の順。女性も2位「所ジョージ」、3位「笑福亭鶴瓶」と、大御所お笑いタレントが上位を占めた。そのなかで、「IKKO」が女性から1位、男性からも4位に選ばれるなど、多くの支持を集めている。

民泊してみたい芸能人・有名人の家(女性編)では、男性が選ぶ1位は「イモトアヤコ」、女性が選ぶ1位は「渡辺直美」だった。また、2位は男女ともに「デヴィ夫人」がランクインした。

「イモトアヤコ」を選んだ理由には、『海外の土産話を聞きながらお酒を飲みたい』(20代男性)、『安室奈美恵さんの話で盛り上がりたい。貴重なグッズも飾っていそう』(30代男性)などがあり、「渡辺直美」を選んだ理由には、『こだわりの空間がありそうだし、美味しい料理をふるまってくれそう』(50代女性)、『とにかく楽しい時間を過ごせそう。部屋を汚しても許してくれそう』(50代女性)、などがあった。

ニュース情報元:(株)エアトリ

「民泊」を利用したきっかけ、「友人や知人に勧められて」49%

本年6月に「住宅宿泊事業法」、通称「民泊新法」が施行された。一般の民家に宿泊する「民泊」が、訪日客の増加などによって注目を集めている。そこで(株)エアトリ(東京都新宿区)は、10月11日~10月16日、10代~70代の男女838名を対象にインターネットで「民泊」に関する調査を行った。
それによると、「民泊」について利用したり聞いたりしたことがありますか?では、「使ったことがある」が20.4%、「使ったことはないが、どのようなものかよく知っている」45.7%、「名前を聞いたことがある」32.2%、「知らない」は僅か1.7%という結果だった。

利用経験者に「民泊」を何回利用したことがありますか?と聞いた項目では、「1回」が30.4%、「2回~4回」が50.3%、「5回~9回」が9.4%、「10回以上」が9.9%と、7割以上の人が複数回「民泊」を利用したことがあると回答している。また、利用した場所では「海外」が43.9%、「国内・海外の両方」が19.3%と、民泊利用経験者の内、6割以上が海外での利用経験があるようだ。

「民泊」を最初に利用したきっかけとして最も多かったのは「友人や知人に勧められて/誘われて」で、約半数の49%。「安く泊まれる宿泊施設を探して」が24%。「新聞やWEBなどのニュースで知って」22%、「身近に民泊の提供者がいたので」16%、「大人数で泊まれる施設を探して」14%が続く。

「民泊」を初めて利用した際に重視したポイントは、「価格」が75%と最も多く、次いで「立地」71%、「安全性」39%の順。また、今後の「民泊」に対する利用意向については、利用経験者の58%が「今後も利用しようと思う」と回答している。全体でも34%が今後「利用しようと思う」と回答し、「民泊」への高い興味が伺える。

「民泊」を利用してみた感想としては、『長期滞在の場合、キッチンやランドリーが使え便利』(40代/女性)、『大人数で利用する場合、利用料金を頭割りするのでかなり安くなる』(30代/女性)、『普段見る機会がない、その国の人が住む家を見ることが出来るのも楽しみの1つ』(30代/女性)などがあった。

ニュース情報元:(株)エアトリ

民泊宿泊者数、北海道が最多

観光庁はこのほど、平成30年6-7月分住宅宿泊事業者(民泊事業者)からの定期報告の集計・とりまとめを行った。
対象期間は平成30年6月15日(法施行日)~平成30年7月31日。届出住宅数は5,510(※7月31日時点)。報告件数は5,077(報告率92.1%)。

それによると、全国における宿泊日数の合計は68,711日で、届出住宅あたりでみると13.5日だった。都道府県別では、東京都が27,851日で最も多く、北海道(17,552日)、大阪府(4,414日)が続く。届出住宅あたりの宿泊日数を都道府県別にみると、北海道が17.2日で最も多く、次いで愛知県(16.4日)、東京都(15.4日)だった。

また、全国における宿泊者数の合計は83,238人で、届出住宅あたりでみると16.4人だった。都道府県別では、北海道が27,042人で最も多く、次いで東京都(25,669人)、愛知県(4,456人)。届出住宅あたりの宿泊者数を都道府県別にみると、北海道が26.5人で最も多く、次いで愛知県(23.6人)、熊本県(20.4人)だった。

宿泊者の国籍別内訳では、日本国内に住所を有する者が13,840人(16.6%)、日本国内に住所を有さない外国人が69,394人(83.4%)。日本国内に住所を有さない外国人の宿泊者数を国籍別でみると、第1位は中国。第2位は韓国、第3位アメリカ、第4位台湾、第5位香港。上位5カ国・地域で外国人宿泊者数の全体の68%を占めた。

ニュース情報元:観光庁

民泊物件の約20%「適法と確認できなかった」、観光庁調べ

観光庁はこのほど、住宅宿泊仲介業者の取扱物件の適法性について調査を行い、その結果を発表した。住宅宿泊仲介業者(海外事業者8社、国内事業者29社)に対して、住宅宿泊事業法の施行日(6月15日)時点における取扱い物件について提出を求め、所管の関係自治体に対して適法性の確認を依頼。その結果を観光庁において取りまとめたもの。

それによると、37社の取扱件数は合計で24,938件だった。そのうち、適法と確認できなかった物件は4,916件、合計件数に対する割合は約20%だった。

適法と確認できなかった物件は、「虚偽の届出番号等により掲載しているもの」「届出番号と一致するものの住所が異なっているもの」「届出等がなされた事業者名と異なる名称のもの」などがあった。

ニュース情報元:観光庁

民泊を利用したきっかけ、トップは「友人・知人に勧められた」

(株)クロス・マーケティング(東京都新宿区)はこのほど、全国47都道府県に在住する18歳~69歳の男女を対象に
「民泊に関する調査」を実施した。調査期間は2018年8月10日(金)~8月17日(金)。サンプル数は912。

それによると、「民泊」の認知率は「人に説明できるほど知っている」12.3%、「民泊という言葉を知っている程度」74.2%、合わせて86.5%が知っていると回答した。「知らない」は13.5%だった。

認知している人の民泊利用状況を見ると、民泊利用経験者は全体の5.5%。その内、宿泊のみ経験者は3.6%、宿泊・提供の両方経験者は1.9%、提供側としてのみ経験した人は0.1%だった。

初めて宿泊者として民泊を利用したきっかけとしては、「友人・知人に勧められた/誘われた」が27.1%と最も高く、「民泊経験者が周りにいた」16.0%、「提供者が周りにいた」13.5%と、周囲の人間関係の影響を受けての利用が多かった。「安く泊まれる宿泊施設を探していた」は24.6%だった。

利用前の重視点1位は「低価格であること」(22.5%)。2位は「便利な立地にあること」(6.9%)、3位は「安心、信頼できること」(6.4%)。利用後の満足点TOP3も同じ項目だったが、「提供者との交流があること」「落ち着く」といった民泊ならではの項目が、利用後の満足点で4位にランクインしている。

ニュース情報元:(株)クロス・マーケティング

民泊利用者のマナー、「問題だと思ったことがある」59%

リフォームに関する専門サイト「Brightリフォーム」を運営するBrightリフォーム編集部は、このたび「民泊に関する調査」を実施した。対象は民泊をするマンションやアパートの近隣住居者100名。調査期間は2018年8月18日~8月23日。調査方法はインターネット。民泊利用者のマナーが問題だと思ったことはありますか?では、半数以上の59%が「はい」と答えた。「いいえ」は24%、「どちらとも言えない」は17%。多くの方がマナーに関して気になっているようだ。

問題だと思う方の気になるマナーの内容としては、第1位が「騒音」で38.4%。次いで「ゴミの分別や出し方」25.3%、「玄関や廊下などの共有物の使い方」12.3%、「タバコのマナー」9.2%。共有物の使い方など、マンションならではの問題も挙がった。

住宅を探す際、近隣に民泊をしている部屋があったら住宅選びにマイナスになりますか?では、半数の50%が「なる」と回答。騒音などのマナー問題を考えると、周囲に民泊があることが気になる人が多いようだ。

民泊利用に関しての意見には、「一概に反対か賛成かを述べるのは難しいです。しっかりとルールを守る民泊なら、地域住民も受け入れると思います。」、「安くて出張等大人数で利用するにはすごくいいと思う。でもだからといって夜遅くまでどんちゃん騒ぎしているのは、いい大人としてどうなのかなと感じる。」、「民宿自体は泊まる宿がないなどの現状から考えると悪くない制度だと思います。あとはマナーをきちんと守って貰えれば良いと思います。」などの声があった。

ニュース情報元:Brightリフォーム

マンション管理組合の96.2%「民泊は全面的に禁止した」

(公財)マンション管理センターはこのたび、管理組合を対象に行った「民泊対応状況」に関するアンケート調査の結果を公表した。調査期間は2018年6月15日~7月6日。有効回答数は105組合。
それによると、民泊への対応状況では、「全面的に禁止した」が96.2%、「一部を許容した」「全面的に許容した」がともに0.0%、「何も定めていない」は2.9%、「その他」が1.0%。ほとんどの管理組合で民泊禁止の取り決めを行っており、民泊を許容する取り決めをした管理組合はなかった。

規定方法としては、「管理規約で規定した」が76.2%、「理事会で方針を決議した」11.9%、「総会で方針を決議した」9.9%、「使用細則で規定した」2.0%。管理規約で規定している管理組合、規約で規定する前提で理事会決議を行っている管理組合が多いが、使用細則で規定している管理組合、総会決議で方針を示している管理組合もあった。

全面禁止とした理由は、「騒音・ゴミ廃棄など迷惑行為の懸念」がトップで66.3%。「防犯・安全面の懸念」56.4%、「不特定多数の立入りによるいざこざ」20.8%などが続いた。

違法民泊の状況は、「行われていない」が87.6%だったが、約8%の管理組合で「違法民泊が行われている(疑いがある)」と回答している。

ニュース情報元:(公財)マンション管理センター

「民泊新法」が6月15日に施行、これからの民泊はどう変わる?

2018年6月15日に住宅宿泊事業法(いわゆる「民泊新法」)が施行され、住宅宿泊事業者は届け出をすれば、民泊を行えるようになった。民泊新法が施行されて、民泊は今後どうなるのだろう?【今週の住活トピック】
「住宅宿泊事業届出住宅のための外国人観光旅客向け多言語文例集」を作成/東京都民泊新法で義務付けた「多言語による利用者向けの説明」の手引きに

民泊新法では、施設の利用案内や生活環境を守るためのルールを外国語で適切に案内することを義務付けていることから、東京都では、民泊利用の外国人観光客向けの文例集を作成して、後押しをしている。東京都が作成した、多言語文例集の内容を見てみよう。

●多言語文例集の一部
多言語文例集の一部(出典:東京都「住宅宿泊事業届出住宅のための外国人観光旅客向け多言語文例集」より)

多言語文例集の一部(出典:東京都「住宅宿泊事業届出住宅のための外国人観光旅客向け多言語文例集」より)

このように具体的な文例が日本語、英語、中国語、韓国語で紹介されている。なお、「繁体字」は台湾、香港、マカオで、「簡体字」は中国やシンガポール、マレーシアで使われている言語のようだ。

文例の内容は多岐にわたり、次のような事項に分けて文例が紹介されている。
•届出住宅の設備の使用方法に関する案内
•最寄り駅等の利便施設への経路と利用可能な交通機関に関する情報
•騒音の防止のために配慮すべき事項
•ごみの処理に関し配慮すべき事項
•火災防止のために配慮すべき事項
•避難経路
•火災、地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内

民泊新法のルールは?どんな規制がある?

2020年の東京五輪で観光客の宿泊施設不足の対策として、国や東京都では民泊を促進したいと考えている。

政府は以前から民泊促進のために、旅館業法の規制緩和や国家戦略特区の活用などを行ってきた。しかし、旅館業法(簡易宿所)では住宅地での営業ができない、特区民泊では原則1室25平方メートル以上が必要などのほか、衛生面や安全確保面での厳しい条件などもあり、ハードルが高いとして違法な民泊運営が後を絶たなかった。

違法民泊が騒音やゴミ出しなどの近隣トラブルにつながるとして、健全な民泊を促進するために施行されたのが民泊新法だ。民泊新法の特徴は、民泊に関わる3つの事業者(「住宅宿泊事業者」「住宅宿泊仲介業者」「住宅宿泊管理業者」)に対してそれぞれ届け出や登録を義務付けて、監督できるようにしていることだ。特にトラブルの多い「家主不在型」の住宅宿泊事業者には、住宅の管理を住宅宿泊管理業者に委託することを義務付けることで、仲介業者と管理業者の双方からもチェックできるようにしている。

民泊新法の対象となる事業者(出典:国土交通省「民泊制度ポータルサイト」より転載)

民泊新法の対象となる事業者(出典:国土交通省「民泊制度ポータルサイト」より転載)

民泊新法では、旅館業法(簡易宿所)や特区民泊に比べると条件が緩くなっていて、特に宿泊室の面積が小さい「家主同居型」の場合は、過度な条件を付けないようにしている。それでも、住宅宿泊事業(民泊)の届け出を行っていることがわかる標識を掲げること、本人確認や宿泊者名簿を管理すること、周辺住民からの苦情などに常時対応すること、2カ月ごとに届け出先に定期報告をすることなどの必要がある。

写真/PIXTA

写真/PIXTA

一方で、旅館業界や賃貸住宅業界では事業を圧迫するとして、民泊新法には一定の規制を求めてきた。その結果、民泊として提供できる日数を180日以内とするなどのルールも設けられた。ただし、地方自治体が独自の条例を制定することで、ルールを変えることができるとしている。

地方自治体のほうでは、地域トラブルを避けるために、規制緩和ではなく規制強化に乗り出す動きが目立った。複数の自治体では住宅地での民泊営業を禁止したり、180日以内の制限をさらに短縮したりなどの条例を制定した。また、分譲マンションの場合は、それぞれの管理規約に民泊禁止を盛り込む動きも加速している。

民泊の普及にはまだ時間がかかる?

民泊新法の施行に合わせて、次のような民泊に関する調査も実施されている。

リビン・テクノロジーズの調査によると、民泊の制度には63.0%が賛成するも、57.8%は「民泊を利用したいと思っていない」という結果だった。

クレアスライフの調査によると、不動産投資オーナーで「所有物件を民泊にしたいとは思わない」人は77%だった。

楽天コミュニケーションズの調査によると、民泊運営事業者に「今後も運営物件を増やしたいか」について聞いたところ、大幅に増やすが11.3%、増やすが36.0%、現状維持が35.7%、減らすが7.0%、大幅に減らすが3.0%、やめるが7.0%だった。

民泊自体は一定の評価を得ているものの、民泊に消極的な人の理由を見ると、総じて近隣や他の居住者などとのトラブルや住宅の劣化が進むことなどを懸念していることがうかがえる。また、賃貸経営をする不動産投資オーナーと民泊運営事業者では、民泊に対する考え方が大きく異なる点も注目したい。

すでに民泊を運営したり利用したりする一定の層については民泊に積極的であるが、すそ野が広がるにはまだ時間がかかると考えてよいのだろう。

民泊新法の施行で、健全な民泊は増える?

さて、民泊新法による届け出は順調に進んでいるのだろうか?
2018年3月15日から届け出の受付が始まったが、届け出は伸び悩んでいる。6月になって駆け込みの届け出もあったようだが、さまざまな規制にハードルの高さを感じたり、煩雑な届け出の手続きを嫌って、届け出を断念した民泊オーナーも多いようだ。

他方で、観光庁は民泊物件をインターネットなどに掲載する仲介業者に対して、無許可民泊物件を掲載しないように求めている。民泊仲介大手のエアビーアンドビーが、無許可や届け出予定のない民泊物件の掲載をやめたために掲載数が大幅に減少したり、6月15日以降の予約のキャンセルを直前で行ったことで利用者が混乱したりといった報道が話題にもなった。

このように、施行直後の現状は、民泊新法による民泊の届け出が低調なうえ、民泊仲介サイトの掲載物件も減少している。健全な民泊の促進が目的だから規制が厳しいということだろうが、健全な民泊として運営しやすい工夫やサポートを充実させていくことも求められる。

とはいえ、民泊に注目した新たなサービスも増加している。民泊事業者向けのセキュリティサービスや保険の提供がも始まった。さらに、チェックインや鍵の受け渡しの負担軽減のために、ホテルのフロントで代行したり、コンビニに専用機器を設置したりといったサービスも始まった。

健全な民泊の普及には、個人が運営事業者となる場合の負担軽減のサポートや、ホテルや賃貸住宅とは異なる付加価値の提供なども必要で、まだ課題も多いようだ。民泊はまだ新しい宿泊サービスなので、ルールの見直しやバックアップ体制の強化などを図りつつ、日本らしい成熟したサービスへと育ってほしい。

●参考:民泊に関する情報提供サイト
・国土交通省「民泊制度ポータルサイト」
・東京都産業労働局「住宅宿泊事業(民泊)」サイト

民泊運営、47.3%のオーナーが運営拡大を検討

楽天コミュニケーションズ(株)は、6月15日の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行に向けて、民泊運営事業者300名を対象に「民泊運営に関する意識調査」を実施した。調査時期は2018年5月中旬。調査方法はインターネット。
民泊を運営していく上で不安に感じることは何ですか?では、「騒音問題など近隣とのトラブル」が43.3%と最多。民泊運営には「ご近所への配慮」が欠かせないと考えている事業者が多いことがわかった。次いで、「部屋の掃除」(34.7%)、「鍵の受け渡し」(34.4%)、「宿泊者のサポート」(33.7%)などが続く。

今後も運営物件数を増やしていきたいですか?では、「大幅に増やす」が11.3%、「増やす」が36.0%で、合わせて47.3%のオーナーが民泊運営拡大を考えているようだ。

さらに民泊を運営している事業者のうち約4割の事業者が、今後は住宅宿泊事業法(民泊新法)の範囲で運営を検討していることもわかった。年間営業日数の上限である180日ルール以外の活用方法としては、「マンスリーマンション、ウィークリーマンション、スペース」として貸し出しするが78.3%と圧倒的に多く、リソースを存分に活用するための準備を進めている様子がうかがえる。

ニュース情報元:楽天コミュニケーションズ(株)

不動産投資オーナー77%が「所有物件を民泊に利用しない」

(株)クレアスライフは、このたび不動産投資オーナーと非不動産投資オーナーに対して、民泊に関するアンケート調査を行った。調査期間は2018年3月31日~2018年4月8日。回答数は363。所有する物件を民泊として貸し出したいと思いますか?では、「思わない」が不動産投資オーナーでは77%なのに対し、非不動産投資オーナーでは60%、「思う」が不動産投資オーナーでは8%、非不動産投資オーナーでは10%、「どちらでもない」が不動産投資オーナーでは15%、非不動産投資オーナーでは30%という結果となった。

不動産投資オーナーが「所有する物件を民泊として貸し出したいと思わない」理由の一番多くは「トラブル発生」。次いで「設備の劣化などで資産価値が下がる」や「リスクが多い」。中には、“「年間180日しか稼働できない」というルールがあるため、マネタイズ(収益化)できるイメージが湧かない。”といった意見もあった。

自分が旅行などの時に民泊を利用したいと思いますか?では、「思わない」が不動産投資オーナーでは66%なのに対し、非不動産投資オーナーでは60%、「思う」が不動産投資オーナーと非不動産投資オーナーとでは同じく16%、「どちらでもない」が不動産投資オーナーでは18%、非不動産投資オーナーでは24%という結果。

民泊を利用したいと思わない理由には、「旅行は非日常を求めているのでホテルを利用したい」「旅行の際はそれなりのサービスを期待している」「滞在先ではハプニングよりもくつろぐことを優先したい」「旅行はたまにしか行かないので確実な宿に泊まりたい」などがあった。

ニュース情報元:(株)クレアスライフ

住宅ビジネストレンド、住生活サービス拡充などがポイント

(株)富士経済(東京都中央区)はこのたび、「2018年版 住宅ビジネス/新築・リフォーム企業戦略の現状と将来展望」を発表した。同調査は、ハウスメーカー、デベロッパー、住設建材メーカー、不動産管理会社、民泊事業者など計50社について、建築やリフォーム、買取再販といった住宅事業や、ハウスクリーニング・家事代行、見守り・セキュリティといった住宅関連サービス、サービス付き高齢者住宅や民泊といった派生事業への取り組み状況について幅広く調査・分析したもの。

それによると、新築住宅販売を中心に事業展開する企業は、新築住宅の新商品開発の中軸に据えるコンセプト開発や、異業種の技術を活用したIoT・AIなど最新技術の採用を進めている。また、今後増えていく共働きやシニア世帯などをターゲットに絞った提案が増加。

ストック住宅向け事業を展開する企業は、リフォームやリノベーションを施した買取再販、住み替えサポート、サブリースなどにビジネスチャンスを見出し、不動産関連事業の幅を広げている。また、民泊事業などでの非住宅用への転用などの拡大により、増加の一途をたどる空き家や空室物件のリフォーム・リノベーションも期待され、ストック住宅を活用した住宅ビジネスの拡大が予想される。

住宅ビジネスのトレンドとしては、新築住宅販売、物件管理、リフォームなどそれぞれが独立するのではなく、企業グループや他社との相互送客を含めたワンストップビジネスの展開加速、新築住宅販売からリフォーム需要発生までの期間に顧客との接点を長く深く維持できる住生活サービスなどの拡充がポイントのようだ。

ニュース情報元:(株)富士経済

家族旅行で「民泊を利用したことがある」19%

アクトインディ(株)(東京都品川区)は、6月15日の「住宅宿泊事業法(民泊新法)」の施行を前に、子どもを持つ全国の保護者を対象に、民泊利用実態に関するアンケート調査を行った。
調査期間は2018年3月5日~2018年4月2日。調査は同社運営のお出かけ情報サイト「いこーよ」で実施。有効回答数は360名。

家族旅行で民泊を利用したことがありますか?では、「ある」19%、「ない」81%と、約2割程度の人が民泊を利用したことがあると回答した。

民泊経験がある人が、民泊を選んだ理由は、約8割(79%)が「価格が安いから」。次いで「大人数で宿泊できるから」(26%)だった。国内利用か海外利用か?では、94%が「国内」と回答。「海外」での利用経験は12%と、国内と比べて大きな差が出た。

また、民泊経験がある人の約9割(91%)が「今後も民泊を利用したい」と回答している。理由には、「宿泊代にではなくて遊びにお金をかけたい」「法整備さえきちんとして、モラルを守れば、とても使い易い施設だから」「(ホストが)フレンドリーだったり、親切で話しやすかったり、家にいるみたいで高いホテルや旅館よりも落ち着くから」などがあった。

一方、家族旅行で民泊を利用したことがない人の理由は、「民泊施設の情報自体が身近にないから」が36.5%と最も多く、次いで「安全面に不安があるから」36.1%、「衛生面に不安があるから」31.9%と続いた。

ニュース情報元:アクトインディ(株)

近隣の民泊運営、「どんな規制があっても賛成できない」33.8%

(株)インテージリサーチ(東京都東久留米市)は、このほど「民泊に関する意識調査」を行い、その結果を発表した。調査対象は全国の20~79歳の男女。調査時期は2018年3月23日(金)~3月26日(月)。調査方法はインターネット。サンプル数は10,000。

それによると、民泊利用経験の有無により、近隣の民泊運営に対する賛否が分かれる傾向が見られた。ホスト在宅型の民泊運営に対し、利用経験者の賛成は39.1%、未経験者は16.1%と2倍以上の開きがある。ホスト不在型では利用経験者の賛成は26.2%、未経験者は8.3%となり、さらなる意識のギャップがうかがえる。

住居のタイプ別に見ると、民泊に最も強く反対しているのは「分譲マンション居住者」。近隣での民泊運営に賛成するために必要と考えることは、「トラブルを起こした民泊施設の営業停止」が51.9%と最も高く、次いで、「対面による本人確認の実施」が37.0%。「どんな規制があっても賛成できない」は33.8%だった。

民泊を利用したことがある人は1万人中5.1%。今後利用してみたいと思う人は13.1%だった。

ニュース情報元:(株)インテージリサーチ

「日本で民泊は普及していくと思う」45%、日本法規情報調べ

日本法規情報(株)(東京都新宿区)はこのたび、「民泊に関するアンケート調査」を行い、その結果を発表した。調査は同社運営サイト「不動産問題・不動産トラブル相談サポート」の運用情報やアンケートを元に行った。調査期間は2018年2月13日~2月27日。回答者数は760人(男性339人、女性421人)。

「民泊」という言葉を聞いたことはありますか?では、「はい」と回答した人が94%、「いいえ」が6%。認知度は9割を超える高い結果となった。民泊を利用したことがありますか?また、民泊を利用したいと思いますか?では、民泊を「利用したことがあり、今後も利用したい」と回答した人が3%、「利用したことはあるが、今後は利用したくない」と回答した人が2%、「利用したことはないが、今後は利用したい」と答えた人が22%、「利用したことはなく、今後も利用しない」と答えた人が73%だった。「利用したことがあり、今後も利用したい」、「利用したことはないが、今後は利用したい」を合わせると25%となり、今後民泊を活用していきたいと考える人は4人に1人の割合になることが分かった。

なぜ宿泊先として民泊を選びますか?では、「安いから」が34%、「民泊を体験してみたかったから」が33%、「宿泊先の土地特有の家に泊まりたかったから」が15%、「ホテルや旅館に空きがないから」が7%、「他人の目を気にしなくてよいから」が5%、「その他」が6%だった。

また、民泊を利用したくない理由は何ですか?では、「旅館やホテルに泊まりたいから」が41%、「ホストに対する不安があるから」が22%、「民泊の仕組みが分からないから」が12%、「設備が十分でないと思うから」が10%、「外国人観光客が利用するものだと思っていたから」が5%、「手続きが面倒そうだから」が3%、「その他」が7%だった。旅先では設備の整っている旅館やホテルに宿泊したいと考える人が4割を超えることが分かった。

今後、日本で民泊は普及していくと思いますか?では、「はい」と回答した人が45%、「いいえ」が55%。認知度が9割を超えていたのに対して、今後の民泊の普及に期待する人は半数を切る結果となった。

ニュース情報元:日本法規情報(株)

シェアサービスの魅力は「人とのつながり」? みんなの利用状況を大調査

昨今はフリマアプリをダウンロードしたことがある人も多いのではないでしょうか。今年6月には、「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が施行され、全国的に「民泊」が解禁になります。モノやサービスなどを個人間で共有できる「シェアサービス」が身近になってきていますが、実際にどれくらいの人がどのようなサービスを利用しているのでしょうか? 「シェアサービス」の利用経験や、興味の度合いを株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント(東京都新宿区、以下リサーチ・アンド・ディベロプメント)が調査しました。

シェアサービスはどれくらい知られている?

リサーチ・アンド・ディベロプメントが首都圏在住の18~79歳男女3000人を対象に年1回実施している『CORE 2018 調査概要』という調査研究のなかから、「シェアサービス」の利用に関する調査分析を紹介します。

調査対象となったのは、下記の7項目。

画像提供/株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント

画像提供/株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント

なんと95%もの人は先ほどの7つのサービスのうち、いずれかのサービスを知っているとのこと。

画像提供/株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント

画像提供/株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント

けれど実際に利用したことがある人は2割程度にとどまり、利用経験者はまだまだ少ない現状もうかがえます。ちなみに使用率が一番高いのは、やはりフリマアプリ(15%)でした。次いでカーシェアリングや民泊の利用者も増えつつあるようです。

支持されているのは意外な魅力……?

では実際に、「シェアサービス」のどんな部分が支持されているのでしょうか。

画像提供/株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント

画像提供/株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント

利用していない人には安くモノを買える「経済性」のイメージが強いようですが、実際に利用してみると金銭的な面だけでなく、「モノの有効活用」「利用の敷居の低さ」そして「活用体験を共有する人とのつながり」を良い点としてあげる人の割合が高くなります。 例えば一番利用率の高いフリマアプリでいうと、自分の不用品を販売して誰かに喜ばれたりすることが、「人の役にたった」という自分自身の喜びにつながることもあるのかもしれませんね。

ちなみに、集計・分析をしたリサーチ・アンド・ディベロプメントの担当者によると、「若年層の民泊、フリマアプリの利用率が予想以上に高かった」そう。
「利用率では大きく遅れをとる40代から50代も利用意向は予想以上に高いと感じました。興味はすごくあって、あと一押し『どういう楽しさがあるのか』が納得できればデビューする人が沢山居そうです」(リサーチ・アンド・ディベロプメント)
認知が広がっているシェアサービス。民泊も解禁される2018年は利用者としてデビューする人が増えるタイミングかもしれません。

「自宅の一室で民泊」ってどうなの? ゲストとシェア生活を楽しむスーパーホストに聞いてみた

東京五輪・パラリンピックの開催とも相まって何かと話題になる民泊。認知度が高まる一方で、ポジティブなニュースばかりではないのが実情です。そんななか、新築分譲マンションでひとり暮らしをしながら、自宅の一室をうまくホームステイの場として活用していた女性を発見。楽しいことも苦労していることも全部ひっくるめて、ホームステイ型民泊に対する思いを聞いてきました。
家主が住んでいても、いなくても同じ民泊?その定義に異議あり!

東京23区内、JR山手線のとある駅から歩いて4分ほどの分譲マンションでひとり暮らしをするAさん。民泊専門でホストとゲストのマッチングを手掛けるポータルサイトのレビューにおいて、全項目満点の評価を受けたスーパーホストのひとりです。

民泊新法がいよいよ施行されるという段になって、民泊のゲストが大勢で騒いだり、ごみを散らかしたりするなど、トラブルの話題が増えている印象を受けますが……。

「問題になっているのは家主(ホスト)不在型といわれる部屋をまるごと貸し切るタイプの民泊が多いと感じています。私が行っていたスタイルは、家主が生活している住宅の一室を貸し出す、ルームシェアやホームステイ型なので、やり方がだいぶ違います」

Aさんが指摘するとおり、家主(ホスト)不在型とホームステイ型が同じ民泊という括りで報道されることに違和感を感じ、異議を唱える向きもあるようです。しかしホームステイ型だと家主(ホスト)とゲストの間でトラブルにならないか不安な気もします。

「ゲストたちもトラブルを起こしたくてやっているわけではなく、知らない国に来て、やっていいこと・悪いことを認識していないだけなのです。私は、ゲストに対面でハウスルールや日本でのモラルをきちんと教えることで、未然に近隣トラブルを防いでいました。ゲストも近隣住民も家主もみんなが嫌な思いをせずWin-Winな関係でいられるように働きかけるのもホストの仕事だと思っているので、同じ民泊でも、家主居住型と家主不在型民泊は明確に区別すべきと考えています」

とはいえ、女性のひとり暮らしで、自宅の一室を民泊として見ず知らずの人に提供することに不安や抵抗はないのでしょうか。

「不安はもちろんあります!なので私の場合は、宿泊者を女性に限定するなど、いくつか条件を設けています。自分が納得したゲストだけに宿泊してもらっていたので、大きなトラブルは一度も起きませんでした」

家主(ホスト)不在型の民泊では、どんな家や部屋でも、簡単に収益を上げられるイメージがあります。そうした手軽さが、民泊のトラブルを生み出す一因になっているのでしょうか。

「手軽に収益の上がる商売として手を付けて、オーナーや管理会社がきちんと管理していない……こういった民泊物件はごく一部ですが存在します。そこにメディア報道も追い風となって『民泊』とはこういうものだと認識されてしまっている気がします。家主(ホスト)不在型でも、オーナーがきちんとお出迎えをしたり、手厚くケアしているところはたくさんあるんです。ホストのホスピタリティはゲストのレビューで簡単に判断できますが、悪いレビューが続く物件は、マッチングサイトから登録抹消するなどの規定をつくってほしいと思いますね」

民泊利用者の立場からすると、家主(ホスト)不在型は気軽に利用できる半面ホスピタリティに不安が、ホームステイ型では家主(ホスト)との相性に左右される。どちらも一長一短ですね。

「Airbnbがなぜこんなにブレイクしたかというと、個人のレビューがしっかり書いてあって、どんな部屋かということが事前に分かるからなんです。きれいな部屋とか設備や立地環境ということではなく、どんな人が部屋を提供しているかが、実際に利用した人たちの声から見えてきます。この人の家なら安心して泊まれるということが、民泊では重要な要素ですよね。元々ホームステイ型民泊もカウチサーフィン(※1)のようなノリで始まっています。相互扶助の精神に則って、ホストもゲストも互いに尊重し合う関係性を築けば、そうそうトラブルにはならないと思っています」
※1. 旅行者が世界中の旅先で、現地の人の家に無料で泊まることのできるウェブサービス

シンプルながらゲストが快適に過ごすためのレイアウトが考えられている※写真はイメージです(写真/PIXTA)

シンプルながらゲストが快適に過ごすためのレイアウトが考えられている※写真はイメージです(写真/PIXTA)

「海外なら民泊は当たり前」スーパーホストAさん誕生のルーツ

民泊運営当時は、宿泊者から常に満点レビューを贈られていたスーパーホストのAさん。民泊という言葉が浸透して日が浅い日本で、どのようにしてゲストの満足を引き出す民泊の運営手腕を身に付けたのでしょうか。

「かれこれ20年近く、自分が泊まらせてもらう立場が長かったんです。海外生活をしていた学生時代がシェアデビュー。その国では、シェアメイトと暮らすというのは、新聞にシェアメイト募集広告欄があるほど当たり前のことでした。日本に帰国後もシェアハウスに住んだり、旅行でも他の旅行者と部屋を共有するゲストハウスばかり泊まっています。だからゲスト(宿泊者)が必要とする要素を実体験として理解しているんだと思います」

海外では休暇中など家を長期で不在にする間、他者に貸し出すなど、住宅のシェアは一般的であるとよく耳にします。国内外で、早くからそうした文化に触れてきたことにより、Aさんご自身が民泊を運営するための素地が既に出来上がっていたんですね。

「最初にこの家(新築マンション)を買ったときは、それまでシェアハウスで一緒だった子とルームシェアをしていました。ところが半年くらいで、その子が関西へ転勤になってしまって。新しいシェアメイトを募集するのが億劫(おっくう)だなぁと思ったのが、民泊を始めたきっかけですね」

ルームシェアであれば日本でも広く認知され、民泊と比べればポータルとなるマッチングサイトも多い印象を受けます。そのままシェアメイトを募集して、ルームシェアを続けるだけでは問題があったのでしょうか。

「それはルームシェアに求める条件の違いですね。日本では家賃が安いからとか家財道具がないからとか、金銭的なメリットを重視してルームシェアをする傾向がまだまだ強いと感じます」

先ほど述べられていたように、人と人のつながりを重視するAさんが求めるシェアのあり方とは、根本から食い違ってしまっているんですね。

「一緒に住むことで、お互いの趣味とか知見を共有しながら、相互に高め合えるような実りある生活をできることがシェアのメリットだと思っています。しかし、似た思いを抱いている相手を、一般的なルームシェア募集サイトから探すのは困難でした。そのため、日本でもサービスを始めていたAirbnbに登録しました。お金のためだけではなく、旅行者を受け入れるホームステイのような感覚で民泊を始めたんです。ただ、民泊新法の施行に伴い、マンションの管理規約で民泊が禁止となったため、現在は民泊をやめています」

ゆっくりくつろいだり、時にはゲストとの語らいの場になるリビング※写真はイメージです(写真撮影/宮崎 林太郎)

ゆっくりくつろいだり、時にはゲストとの語らいの場になるリビング※写真はイメージです(写真撮影/宮崎 林太郎)

トラブル経験ゼロ!信頼できるゲストを見極めるコツ

民泊を通じて、いろいろな経験をもつゲストとの交流を育んできたAさん。宿泊者との不和は一度もなく、それまで名前も顔も知らなかった人たちが帰るころには友だちになり、その多くが今でも連絡を取り合っているといいます(リピーターになってくれたゲストも多いそうですよ!)。宿泊の申し込みに対して、どのようにしてゲストを見極めていたのでしょうか。

「ホストは民泊として提供する住宅の情報を、マッチングサイトに掲載します。物件の写真はもちろん、女性限定であるとか、駅からの所要時間、設備仕様、注意事項など、必要な情報はしっかりと掲載しています。そうした物件の詳細をちゃんと読んでいるかどうかが選定基準のひとつです。にもかかわらず、駅からの所要時間を聞いてきたり、チェックイン時間の変更を強いるなど、そこに書いてあることを無視するような質問や提案をする人については宿泊をお断りしていました」

駅からの所要時間などは非常に目立つように掲載されていますし、設備やアメニティグッズ、部屋の広さや快適に過ごすための人数までしっかり書かれています。これを読んでいないと思わせる質問、あるいはルールをねじ曲げるような要求は、端からルールを守る気はないと捉えられても仕方ないかもしれませんね。

「もうひとつ、民泊の申し込みはメールで来るのですが、その文面が自己紹介から始まっているかどうかも判断基準のひとつです。思いのこもったメッセージをくれる人の旅はきっと良いものになると思うんです。そんな人がたくさんある宿泊施設からわが家を選んでくれたんですから、東京で良い思い出をつくって帰ってもらいたいと思うじゃないですか。お互いの経験してきたことを語り合うのもすごく楽しいですよ」

ゲストの心をつかむおもてなしの陰には、ゲスト自身のホストに対する気配りが隠れているんですね。良きにしろ悪しきにしろ、行いの結果は自身に返ってくる。因果応報とはよく言ったものです。宿泊の問い合わせをしてくる人のなかで、宿泊OKとNGの割合はどちらが多かったのでしょうか。

「ほとんどOKでしたね。一般的なバックパッカー専用の宿などと比べると値段設定を高めにしているので、それでも泊まりたいという人は、その辺りのマナーがしっかりしている人が多いのだと思います」

宿泊条件を設定するところから、ゲストとのトラブルを未然に回避するための予防線を張り巡らせているんですね。実際にゲストが宿泊するときに、意識していることはありますか?

「電車内で電話はNG、静かな場所で大きな声を出すとトラブルの原因になるなど、日本のモラルも教えますし、マンションの共同ゴミ捨て場はゲストに使用させないことを徹底。室内の共用部(キッチンやトイレ、お風呂など)の利用ルールなども一通り説明しています」

さすが、配慮が行き届いています。細かいようですが、言葉を尽くすというのは大事なポイントですね。私はつい「言わなくても分かるでしょ」と考えがちなので、ちょっと反省しました。

「日本に旅行に来る外国人は、日本の文化をリスペクトしている人が多いので、きちんと説明すれば理解し、順応してくれます。ゲストに対しておもてなしをするのは当然ですが、ゲストに対する説明や要求もホストの責任だと思います」

ゲストが持参したお土産の数々。そのひとつひとつに思い出が詰まっている(写真撮影/宮崎 林太郎)

ゲストが持参したお土産の数々。そのひとつひとつに思い出が詰まっている(写真撮影/宮崎 林太郎)

自身の経験をもとに民泊のホストとして、多くのゲストを迎え、充足した東京ライフを提供してきたAさん。トラブルが増えると、今後も民泊を禁止するマンションが増える可能性があります。Aさんは、彼女のようにゲストとの交流を楽しんでいるホームステイ型のホストが、民泊から撤退を余儀なくされてしまうことが残念だといいます。民泊への理解が深まり、ホームステイ型の民泊が日本にも広まることで、さまざまなトラブルや問題が解決していくのではないでしょうか。