住宅購入はじっくりと。増税前に購入したいと考えた人は昨年より大幅ダウン

リクルート住まいカンパニーの「2019年注文住宅動向・トレンド調査」によると、消費税率10%への増税の影響で、増税前に家を建てたいという人は少なかったという。一方で、防災については意識が高かったようなのだが、どんな家を建てようとしているのだろうか?【今週の住活トピック】
「2019年 注文住宅動向・トレンド調査」を発表/リクルート住まいカンパニー住宅は「増税に関係なくゆっくり考えるもの」

同社の調査は、注文住宅の建築者(1年以内に注文住宅を建築した1884人)および検討者(今後2年以内に注文住宅の建築を検討している1880人)を調査対象にしている。

まず、注文住宅の建築者の結果を見ると、建築費用の平均は、全国で2902万円(前年より95万円増)、このうち首都圏では3034万円(前年より50万円増)だった。
また、家づくりを考えたきっかけ(複数回答)は、「いつかは一戸建てに住みたいと思っていた」(25.5%)、「子どもが誕生した」(25.2%)、「結婚」(22.4%)がTOP3で、「消費税が上がる前に建てたいと思った」は24番目のわずか3.1%だった。

次に、検討者に消費税増税の影響を聞いた結果を見ると、消費税増税前に建築を「間に合わせたい」と回答した人は30.8%で前年より36.7ポイントも減少していた。

増税前における住宅建築意向(検討者・全国)(出典:リクルート住まいカンパニー「2019年注文住宅動向・トレンド調査」より転載)

増税前における住宅建築意向(検討者・全国)(出典:リクルート住まいカンパニー「2019年注文住宅動向・トレンド調査」より転載)

さらに、増税前の住宅建築に「こだわりがない」と回答した51.3%の人に、こだわらない理由(複数回答)を聞いたところ、「増税に関係なくゆっくり考えるもの」という回答が65.3%と圧倒的に多かった。

増税が建築に関係しなかった理由(検討者・全国)(出典:リクルート住まいカンパニー「2019年注文住宅動向・トレンド調査」より転載)

増税が建築に関係しなかった理由(検討者・全国)(出典:リクルート住まいカンパニー「2019年注文住宅動向・トレンド調査」より転載)

消費税率が上がる度に注目される「駆け込み行動」ではあるが、今回の調査結果を見ると消費者は比較的冷静に行動したことがうかがえる結果となった。本来住宅は、必要とする時期に、希望の条件にそってきちんと建てるべきものだ。繰り返される増税で、消費者も賢い判断をしているといってよいだろう。

高まる、住宅の防災意識

最近は、地震だけでなく、台風による被害なども続いているが、防災に対する意識はどうなっているのだろう?

注文住宅の建築者に聞いた結果を見ると、建築にあたり防災を「意識していた」という回答は70.1%(「かなり意識していた」23.8%+「意識していた」46.2%の合計)と高く、検討者では83.4%(32.6%+50.9%)とさらに高くなることが分かった。

防災を意識した人に、具体的な対策を聞くと(複数回答)、「地震に強い地盤」や「地震に強い構造」など地震対策が半数を超えた。ただし、調査時期が台風15号による被災を受ける前であることから、水害や風害への意識は調査時期より高まっていることが考えられる。

■防災に関する対策(建築者・検討者)(出典:リクルート住まいカンパニー「2019年注文住宅動向・トレンド調査」より転載)

■防災に関する対策(建築者・検討者)(出典:リクルート住まいカンパニー「2019年注文住宅動向・トレンド調査」より転載)

パワーカップルは立地へのこだわりも強い?

今回の調査では、近年、住宅取得の層として注目されている共働き世帯についても分析している。「夫・妻のいずれも年収が400万円以上」かつ「世帯年収が1000万円以上」を『パワーカップル』と定義し、そうでない既婚層と比較検討している。

筆者が気になったのは、パワーカップルの高い資金力はどこに向けられるかだ。どうやら、結果を見る限りは「立地へのこだわり」に向かっているようだ。詳しく説明しよう。

■注文住宅を選んだ決め手の上位TOP2(建築者※注文住宅以外の住宅タイプも検討した者・全国)
1位:設備や間取りが好きなように選べるから
パワーカップル(59.0%)VSパワーカップル以外(74.8%)
2位:自分の好きな場所に建てることができるから
パワーカップル(50.2%)VSパワーカップル以外(45.1%)

■パワーカップルが建築エリアでより重視する条件TOP2(建築者※新規土地取得して注文住宅を建てた者・全国)
差分+18.7:保育園に入りやすい自治体である
パワーカップル(30.5%)VSパワーカップル以外(11.8%)
差分+13.3:最寄駅からの距離が近い(自宅から10分圏内)
パワーカップル(41.5%)VSパワーカップル以外(28.2%)
※【差分】=(パワーカップル)-(パワーカップル以外)

注文住宅以外の住宅タイプの検討した結果、最終的に注文住宅を選んだ人で見ると、パワーカップルの場合は注文住宅の特徴である「設備や間取りの自由度」と同じくらいに、「立地の自由度」を重視したことが分かる。また、今ある家を建て替えて注文住宅を建築したのではなく、土地の取得も行った場合は、立地選びをすることになるが、共働きゆえに、「保育園の確保」や「最寄駅から10分以内」などの交通アクセスも重視している点も、パワーカップルの大きな特徴だ。

ほかにも、車の保有管理やペットと暮らすことを決め手にしたり、防犯仕様の充実やZEHなどを重視していたりなどの違いが見られた。こうした付加価値にも資金力が向かうということか。

近年、土地を新たに取得してそのうえで注文住宅を建てる人が増えている。調査結果でも「土地なし」は増加傾向にあり、今回は71.3%に達した。つまり、既成の住宅にはあきたらず、立地も間取りも自由に選びたいという、住宅にこだわりのある人が注文住宅を選んでいると見てよいだろう。

自分のライフスタイルに応じた住まいを手に入れるという本来の目的から考えると、立地にも間取りにもこだわるというのは、理にかなった考え方かもしれない。

10月の消費税増税、71.3%が「家計への負担が大きい」

博報堂消費税対策研究プロジェクトはこのたび、増税前後の意識・行動についてのアンケート調査を行った。調査は2019年3月26日~3月30日、インターネットで実施。20-60代の男女2,369名より回答を得た。
2019年10月の消費税増税について、前回の増税時(2014年4月)と比べて家計への負担が大きいと思いますか?では、全体で「そう思う」は46.8%、「ややそう思う」は24.5%、計71.3%の人が負担が大きいと答えた。この傾向は男性より女性で顕著であり、特に20代女性で76.7%、30代女性で77.7%、40代女性で81.6%となっている。

負担が大きいと感じる理由は、全体では「以前と比べて、収入が減った/少ないから」がトップで48.0%。「ライフステージの変化によりお金がかかるようになったから」(38.3%)、「欲しいもの・サービスへの出費が多くなったから」(25.1%)が上位3項目となっている。

負担が大きいと答えた割合の多い20-40代女性では、「ライフステージの変化によりお金がかかるようになったから」が20代女性50.0%、30代女性50.6%と5割を超え、40代女性も43.5%でトップに挙げられている。これらの層では他の層と比べて「育児や教育にお金がかかるようになったから」という理由も高く、子育て世代の女性が負担を大きく感じていることがわかる。

増税を踏まえて自分が実践すると思う行動は、「なるべく外食などを控えて、自炊・内食をする」(34.4%)、「お金のかからない暇つぶしをする」(29.7%)、「平日の夜や休日に、副業・小金稼ぎをする」(21.0%)が上位3項目にあがっている。

ニュース情報元:(株)博報堂

消費税の増税前に「駆け込み」購入、住宅はどうなる?

2019年10月から予定されている消費税の増税。消費税率が3%になったときも、5%、8%と上昇したときも、話題になったのが「駆け込み」購入だ。さて、10%に上昇する今回も、駆け込みは起こるのだろうか?そして、住宅はどうなるのか……?【今週の住活トピック】
10月の消費増税に向けて「全国1万人意識調査」を実施/電通全国1万人の7割は、増税時になんらかの駆け込み購入を検討

電通の消費増税対策ユニットが昨年の12月21日~25日に実施した、10月の消費増税に向けての「全国 1 万人意識調査」によると、10%への消費税増税を「はっきりと知っている」のは80.7%。時期が定かでないが知っている(「来年からだとは知らなかった」「何月からかは知らなかった」)15.7%と合わせると、96.4%が認識していることが分かる。

消費増税までの間に、「事前に購入する/買い置きする」などの対策を、何かしら検討している(=「ほとんどしない/全くしない」、「わからない」を除いたもの)人は67.1%で、これは8%に引き上げられた前回調査(2013 年 6 月調査)の60.2%より増加する結果となった。

今から来年(2019 年)10 月の消費税率引き上げまでの間に、「事前に購入する/買い置きする」などの対策を、あなたは検討していますか。(複数回答)(出典/株式会社電通 消費増税対策ユニット 「全国1万人意識調査」)

今から来年(2019 年)10 月の消費税率引き上げまでの間に、「事前に購入する/買い置きする」などの対策を、あなたは検討していますか。(複数回答)(出典/株式会社電通 消費増税対策ユニット 「全国1万人意識調査」)

「日用品」や「保存食品」などの買い置きの利くものは前回調査より比率が上がっているが、駆け込み購入予定者にさらに突っ込んで聞いてみたところ、「シャンプーや洗剤などの日用品」「ティッシュ、トイレットペーパー」「缶ビール」「缶チューハイ」「タバコ」といった軽減税率対象外品目で、数カ月分程度をまとめ買いをするという声が多かったという。

その一方で、「住宅や車などの高額商品」の駆け込み購入の検討は、前回調査よりも減少している。では高額な住宅についてはどうなのか、考えていこう。

住宅の駆け込み購入はむしろ前回より抑制される?

消費税率が引き上げられる前に住宅の駆け込み購入が生じると、引き上げ後に住宅が売れずに市場が冷え込むことになる。住宅市況が悪化すると、経済に与える影響が大きいので、政府は需要の平準化のために、増税後の優遇措置を用意する状態が続いている。

10%への引き上げについても、次の4つの優遇措置を設けている。
 ○住宅ローン減税の控除期間を3年延長
 ○すまい給付金の拡充
 ○次世代住宅ポイント制度
 ○贈与税の非課税枠の拡充

住宅の場合は、土地は消費税が非課税なので、建物部分の取得価格(購入費用の建物分、建築費用、リフォーム費用)に消費税が課税される。税率が8%→10%になると、2%分の負担増になる。

この建物の2%分の負担増は、住宅ローン減税の3年延長により、所得税と住民税の還付で取り戻せる仕組みになっている。

実は住宅ローン減税の3年延長では、単純に3年延長した額と建物の2%の増額分の低い方が適用されることになっている。筆者が年収に応じた住宅を、ローンを利用して取得するという前提で試算したところ、おおむね建物の2%の増額分のほうが単純延長より低い額になるケースが多い。加えて、所得税や住民税の納税額が少ない一定の年収以下の世帯には、「すまい給付金」がもらえる。すまい給付金についても拡充されたので、給付対象になればその分だけ負担が減ることになる。

このように、建物の消費増税分は基本的には取り戻せることになるが、消費税は事務手数料などの諸費用にもかかってくるので、その分の負担は多少増えることになる。

一方で、一定の住宅を取得する場合は「次世代住宅ポイント」(上限35万ポイント)がもらえる。以前の省エネ住宅ポイントとは違って、ビルトイン食器洗機やビルトイン自動調理対応コンロ、浴室乾燥機、掃除しやすいトイレなどの「家事負担軽減に資する設備を設置」する場合でも、設備の種類ごとに9000~1万8000ポイントがもらえる(ただし、最低2万ポイントから申請可能)。最近の住宅の多くで採用されている設備が対象になっているので、このポイントだけでも諸費用分の増税を取り戻せる可能性は高いだろう。

つまり「消費税率が10%になる前に何が何でも駆け込もう」とは、あまり考えなくてもよいということだ。

どんな住宅をどうやって購入/建築するかによって優遇措置は変わる

しかし、売主が個人の中古住宅を購入する場合は、もともと消費税の課税対象外なので、住宅ローン減税の延長やすまい給付金の対象にはならない。建物分の負担増がないからだが、それでも、仲介手数料などの諸費用で消費増税の影響を受ける。

この場合でも、中古住宅をリフォームして住もうと考えているなら、リフォームに対する次世代住宅ポイントがもらえる可能性がある。ポイント数はリフォームの内容によって変わるが、40歳未満の世帯や子育て中の世帯が中古住宅を購入して一定規模以上のリフォームする場合は、ポイントが加算になるので、どういったリフォームなら対象になるのか確認しておくとよいだろう。

また、住宅ローンを利用せずに住宅を取得する場合は、住宅ローン減税の効果が全くないわけだが、すまい給付金の対象(50歳以上で一定年収以下などの条件がある)になる場合がある。

親や祖父母から1200万円(質の高い住宅の場合)または700万円(それ以外の住宅)を超える額の贈与を受けて住宅を取得する場合であれば、非課税枠が拡充される消費税率10%になってからのほうがメリットは大きい。

このように、どんな住宅をどうやって取得するかによって、優遇措置の効果が変わってくるが、「増税前に買った方が得だ」といったセールストークにあわてることなく、冷静に検討してほしい。それよりも、同じ住宅は2つとないので、気に入った住宅に出会えるどうかのほうが重要だろう。一時的な損得で、住みたいと思える住宅を逃すことのないようにしてほしいものだ。

消費増税での駆け込み需要意向、住宅や車は前回より低下

(株)電通はこのほど、「全国1万人意識調査」を実施した。本年10月に予定されている10%への消費増税に向けて、全国の20~69歳の男女計10,000人を対象に行ったもの。調査時期は2018年12月21日(金)~12月25日(火)。それによると、消費増税までの間に「事前に購入する/買い置きする」などの対策を何かしら検討している人は67.1%、「ほとんどしない/全くしない」は22.5%、「わからない」は10.4%だった。何かしらの駆け込み需要をしようと考えている人が7割近く存在し、8%への消費増税時よりも駆け込み需要意向は高い。住宅や車、家電耐久財などの高額商品に関する駆け込み需要意向は12.1%と、前回(15.8%)よりも3.7ポイント低下した。

消費増税をきっかけに購入・利用の見直しをしたいと思うものは、「有料のメルマガ」が70.8%、「ソーシャルゲームなどの課金」が65.9%、「遊園地やレジャー施設の年間パスポート」が64.6%と高い割合を示している。これから利用が増えそうなお店としては「スーパーマーケット」が38.3%、「100円ショップ」が29.7%、「ネットショッピング」が28.5%、「ドラッグストア」が27.2%で高い数値となっている。

また、今回の消費増税の経済対策として、中小の小売、宿泊・飲食サービス業でキャッシュレス決済をすると最大5%のポイントが還元される。今後、ポイント還元が受けられるお店でキャッシュレス決済をする機会が増えると思いますか?では、「可能な限りキャッシュレスにしたい」との回答が約半数の48.9%だった。

ニュース情報元:(株)電通

約9割が増税後の生活に懸念、節約したいもの1位は「外食費」

サンケイリビング新聞社(東京都千代田区)はこのたび、20代から80代の女性1232人に「消費増税」に関するアンケートを行った。それによると、増税後の家計は「かなり厳しくなりそう」が39.5%、「少し厳しくなりそう」51.0%と、合わせて約9割の人が増税後の生活に懸念していることが分かった。増税後の買い物行動の変化(複数回答)としては、「購入する商品をより安いものに変更」(34.0%)、「より安く売っている店舗を探す」(32.7%)、「セールのときにまとめ買い」(31.9%)、「買う量を減らす」(31.3%)と、買い物に慎重になる考えであることが伺える。

増税を機に節約したいものは、全世代を通じて1位に「外食費」(47.1%)が選ばれた。一方、増税後も節約しないものとしては、「食費」が1位となっている。

また、キャッシュレスでのポイント還元施策に対しては、「普段は現金支払いが多いが、積極的にキャッシュレス決済をしようと思う」(32.1%)層が、「現金支払いに慣れているので、キャッシュレス決済は利用しない」派(20.8%)を上回る結果となった。「普段からなるべくキャッシュレス決済をしているので、特に変わらない」(41.9%)を含めると、約7割の人がクレジットカードや電子マネーなどを使うことに積極的なようだ。

ニュース情報元:サンケイリビング新聞社

消費税増税、肯定的は少数派

(株)プラネット(東京都港区)はこのほど、消費税増税に関する意識調査を行い、その結果を発表した。今年10月に予定されている消費税率引き上げに対してどう思いますか?(複数回答)では、「関心がある」が最も高く77.0%。すべての人に関わる増税なので当然ながら高い数値となった。次いで、「できれば見送りしてほしい」が61.3%、「絶対やめてほしい」が46.4%。すでに決定事項とはいえ、「できれば見送りしてほしい」「絶対やめてほしい」と思う人も少なくないことがわかる。「良いことだ」と肯定的に考えている人は少数派だった。

しかし、職業別でみると考え方に違いが表れた。「関心がある」に対して“そう思う”と答えた人が、全職業のうちで最も多かったのが定年退職者。定年退職者は、「良いことだ」と思う回答が全職業中最も高く、逆に「絶対やめてほしい」という回答は最も低くなっている。年金生活者が多いことを思うと意外な気もするが、他の職業に比べ肯定的に受け止めていることがうかがえる。

また、「良いことだ」が高く、「絶対やめてほしい」が低いという同様の傾向が見られたのは、富裕層の「会社役員・経営者」だった。一方で、「できれば見送りしてほしい」が最も高かったのは「専業主婦(主夫)」。消費税増税は家計を直撃する問題なので、「見送りしてほしい」は主婦の切実な思いであると想像できる。

消費税率が上がったら日用品の買い方や使い方を変えるかどうか(複数回答)では、「買うアイテムは変えずに、セールやポイントサービスなどを利用し、なるべく安いときに買うようにする」という考えが最も多く59.7%。次いで「これまでより低価格のアイテムを買うようにする」が45.9%、「買うアイテムは変えずに、なるべく使用量を減らすようにする」が37.5%、「これまでどおり、買うアイテムも、使用量も変えない」は24.5%だった。

ほかにも増税対策として、「新車を購入予定なので、税率がアップするまでに納車する予定。」(男性・40代)、「行きたい旅行は10月前までに前倒しでしようと考えています。」(女性・50代)、「家のリフォーム、エアコン買い替え、海外旅行など、金額の大きなものを計画的に進めている。」(男性・60代)など、大きな支出の前倒しを計画している人も少なくないようだ。

ニュース情報元:(株)プラネット

プロ(FP)の6割が平成30年度は買い時と回答 その理由とは?

「今は買い時か」を問う調査結果は複数あるが、一般消費者だけでなく、ファイナンシャルプランナーや住宅事業者も調査対象としているのが、住宅金融支援機構の「平成30年度における住宅市場動向について」の調査(2018年2月~3月実施)だ。ファイナンシャルプランナーの買い時感を中心に、詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
「平成30年度における住宅市場動向について」を公表/住宅金融支援機構ファイナンシャルプランナーの「買い時」は64.5%で、一般消費者の50.6%を上回る

まず、マネーのプロである「ファイナンシャルプランナー(セミナー等の同機構業務協力者62名)」の買い時感を見てみよう。

「平成30年度は29年度と比べて買い時か」を聞くと、「買い時」(64.5%)、「どちらとも言えない」(27.4%)、「買い時ではない」(8.1%)になり、買い時との回答が最多となった。住宅取得を検討中の消費者に「これから1年(平成30年4月~平成31年3月)は買い時と思うか」を聞いており、「買い時」の回答は50.6%だったので、これを上回る結果となった。

前年同時期の調査と比べると、「どちらとも言えない」が増加(20.7%→27.4%)しているが、「買い時」(67.2%→64.5%)と「買い時ではない」(12.1%→8.1%)はともに減少している。特に「買い時ではない」という回答は実数では5人だけという結果だった。

【画像1】平成30年度の住宅市場(出典/「平成30年度における住宅市場動向について」住宅金融支援機構)

【画像1】平成30年度の住宅市場(出典/「平成30年度における住宅市場動向について」住宅金融支援機構)

買い時の要因は、第1に住宅ローンの低金利、第2に消費税率引き上げの駆け込み

では、「買い時」と思う要因について見ていこう。

ファイナンシャルプランナーが「買い時」と思う要因として第1に挙げたのは、超がつくほどの「住宅ローンの低金利」(85.0%)だ。次いで平成31年10月に予定されている「消費税率引き上げ」(62.5%)だ。この2つの要因は、前年の前回調査より大幅に増加している。

【画像2】ファイナンシャルプランナーの「買い時」と思う要因(出典/「平成30年度における住宅市場動向について」住宅金融支援機構)

【画像2】ファイナンシャルプランナーの「買い時」と思う要因(出典/「平成30年度における住宅市場動向について」住宅金融支援機構)

減少はしたものの、3番目に多い「金利先高感」(45.0%)の要因も見逃せない。景気は不透明であるが、先々の金利上昇懸念があるので、今の超低金利を活用できる平成30年度は買い時と考えるファイナンシャルプランナーが多いということだろう。

なお、大半の住宅ローンでは適用される金利は「融資実行時」だ。つまり、契約した後、融資を受けて住宅の代金をすべて支払う時点の金利が適用される。契約時と融資実行時では月をまたいだり、新築住宅の場合に数カ月や数年先になったりする場合もある。したがって、融資実行時の金利が、購入を思い立ったときの金利より高くなっている可能性もあるという背景があるわけだ。

また、引き上げ延期を繰り返した消費税率10%についても、駆け込み効果があると見ている。

消費税が課税されるのは、住宅の「引き渡し時」だ。住宅については、半年前の前日(平成31年3月31日)までに契約したものについては、引き渡しが10月1日以降になったとしても、8%の税率が適用されるという経過措置がある。つまり、平成31年3月末までに契約をしようという動きが起きるのが「駆け込み」だ。

過去に消費税率が引き上げられたときにも、一定の駆け込み行為が見られたので、今回も駆け込み効果があると見ているのだろう。

ちなみにこの調査では、住宅事業者(【フラット35】の利用があった733事業者)に、「平成30年度の受注・販売等の見込みは29年度と比べて増えるか?」を聞いている。「増加する見込み」という回答は59.4%だったが、増加する要因として第1に挙がったのは「消費税率引き上げ前の駆け込み効果」(64.3%)だった。

住宅事業者は、消費税増税の駆け込み需要に期待する傾向もうかがえるが、筆者としては、ファイナンシャルプランナーが買い時要因として、消費税より低金利を多く挙げた点に注目したい。

金利は35年などの長期間にわたって多額の元金にかかってくるので、影響が非常に大きい。一方、消費税は住宅価格全体に課税されるのではなく、建物価格のみにかかる(土地は非課税)。また、「個人」が売主の中古住宅の売買には、消費税は課税されない。引き上げられる2%の影響が具体的にどの程度になるのか、試算するなどしてきちんと把握し、安易に「駆け込む」ことのないようにしてほしいと思う。

新築マンション購入者、消費税引き上げを意識、若年層ほど傾向強く

(株)読売広告社都市生活研究所は、2019年10月1日に予定されている消費税増税にスポットを当て、「マンション契約者600人調査 2018」を実施、新築マンション購入時の増税への意識を調査した。
調査対象は首都圏・関西の30歳以上の男女で、2016年1月~2017年12月に新築マンションを契約した「契約者本人」もしくは「その配偶者」。有効回答数は首都圏600サンプル、関西258サンプル。調査方法はインターネット。

税率や引き上げの時期を知っていましたか?では、30代の「正確に知っていた」は32.0%、「だいたい知っていた」は48.0%。40代は「正確に知っていた」が33.2%、「だいたい知っていた」50.4%。50代以上は「正確に知っていた」36.0%、「だいたい知っていた」50.0%。「正確に知っていた」「だいたい知っていた」を合わせると、30代が80.0%、40代が83.6%、50代以上が86.0%と、どの年代も80%以上が消費税率UPについての認知を示した。

今回の消費税率アップは、マンション購入に影響を与えましたか?では、30代の21.0%が「大きく影響した」と回答。「やや影響した」は55.0%、「あまり影響しなかった」は18.5%だった。40代は「大きく影響した」が19.6%、「やや影響した」41.6%、「あまり影響しなかった」が26.8%。50代以上は「大きく影響した」12.8%、「やや影響した」38.4%、「あまり影響しなかった」25.6%。「大きく影響した」「やや影響した」を合わせると、30代が76.0%、40代が61.2%、50代以上は51.2%で、どの年代でも半数以上が既に意識しており、とりわけ若年層ほどその傾向が強かった。

ニュース情報元:(株)読売広告社

増税されてもされなくても!「いま買うべき物、買わなくてもよい物」 賢い住まいのマネー術(6)

森友学園問題で揺れる自民党政権ですが、いまのところ2019年10月には、消費税率が10%に引き上げられる予定です。2%の差は大きいので、大きな買い物はなるべく早くから準備して、安いうちに買っておきたいと思っている人もいるでしょう。
でも、ちょっと待って。8%に上がるときも起こった駆け込み消費ですが、増税後にセールになる品物もありましたよね。「早まった!」もしくは「買っておけばよかった」といった後悔をしないためにも、何をいつ買うべきなのか。もし増税がされなかった場合にも参考になる、基本的な考え方をご紹介します。

【連載】賢い住まいのマネー術
住まいに関する支出は、家庭の大きな割合を占めるもの。保活から住宅ローン控除まで、住まいに関する家計管理や節約術に定評のあるファイナンシャルプランナー(FP)の花輪陽子さんが解説します。家電や家具などは買っておくほうがよい?

まず、すべての買い物に共通する基本的な考え方としては、「購入予定があって値崩れしにくい商品は『現在(税率8%)』のうちに買っておくとよい」ということです。必要のないものまで買ってしまえば支出は増えますし、値崩れする商品を先に買っても消費税の増税分より値段が下がってしまう可能性もあるからです。

家電に関しては、一般に値段が安定している白物家電(洗濯機や冷蔵庫、電子レンジなど日常生活に使う家電)は「買い」で、値動きしやすい黒物家電(音楽機器やゲーム機など、趣味や娯楽用途の家電)は「待ち」です。白物家電は生活をする上で欠かせませんし、値段が大きく崩れることも少ないからです。

では、白物家電はそれぞれいつ買えばよいのでしょうか。新居やリフォーム後のお部屋ができたタイミングですべてを新しくしたいと思うかもしれませんが、市場の値段が安くなるのと、自分が欲しいタイミングがずれる場合もしばしば。場合によっては今まで使っていた家具・家電をひとまず新居に持って行き、落ち着いたら探し始めるというのも一つです。一度に買うのに比べると、予算面からも融通を利かせやすいでしょう。

冷蔵庫は秋に新商品が出る場合が多く、発売からしばらくした年末ごろから値段が下がり始めるのが一般的なパターンです。さらに、ひとつ古い型の商品をアウトレット店やインターネットで探せば、安価な金額で手に入れることができます。

家電の値段変動サイクルは商品によって異なり、エアコンの場合は年明けごろに新商品が投入されることが多いです。エアコンの需要が減る4~5月になると値段が安くなります。家電の価格の推移は「価格.com」などでも検索が可能です。自分が欲しい家電で検索し、人気商品の値動きを2~3点調べてみることをおすすめします。

例えば、そろそろ冷蔵庫の買い替えを考えている方なら、2018年の年末ごろにアウトレット店などに冷蔵庫を探しにいくというイメージです。エアコンの場合は2019年の4月ごろから探し始めるとよいでしょう。増税は2019年10月なので、まだ先のように感じますが、増税前でもお得なタイミングで購入したいとなると、意外にも早くから準備をしたほうがよいことが分かります。

大手量販店では、古い家電を処分し、新しい商品に買い替える人向けのキャンペーンを行う場合もあるので、そうしたキャンペーンを活用したり、配送のタイミングなども相談するとよいでしょう。原則、引き渡し日の税率になることが多いため、増税直前に駆け込む場合は要注意です。

家具に関しては、ブランド家具などで値崩れしにくい物は増税前に探し始めてもよいでしょう。ただし、催事場などで行われる家具セールや中古品を活用する方法もあるので、必ずしも駆け込み購入しなくてもよいと思います。

自動車は増税前に買うべき? その他、住まいまわりで検討したい物は?

また、購入のタイミングを考えておきたいのは自動車です。車を購入する際に適用される税率が決まるのは、「登録時」になっていますが、ナンバープレートの登録には時間がかかります。増税直前の2019年9月に選んでいるとギリギリになってしまうので、買う予定があるならゆとりのあるスケジュールを組むべきでしょう。

できれば早い時期から準備して、3月や9月などの決算期前にディーラーと交渉して有利な条件で購入したいものです。決算期の1カ月半前くらいから動き出し、複数の見積もりを取るとよいでしょう。2019年2月ごろから動き始めて、3月決算を狙って購入するのも手です。

増税されるとなれば、直前の2019年9月決算は、同じように駆け込み購入しようとする人が多くなることが予想されます。となるとあまり値下げされないことも考えられますね。もし出遅れたら、需要が低迷するであろう増税後に、オプションなどで値引き・サービスを受けられないか交渉してみるのもよいと思います。

その他、リフォームも値段が下がりにくいので、リフォームをする予定がある人は増税前に検討をしてもよいでしょう。「床暖房にリフォームしたい」など小さなリフォームも含めて検討してみてもよいかもしれません。

浄水器のカートリッジや空気清浄機のフィルターなど、既に本体を購入している商品の「交換品」は値引きしなくても売れるので、値崩れしにくい商品です。消費増税前に購入準備しておいてもよいでしょう。

値崩れしにくい物などは消費増税前、いますぐに購入してもよいのです。その反面、値崩れが予想される物は駆け込む必要はありません。慌てて買わないで、必要性に応じて吟味できる目を養いましょう。

花輪陽子phpto2花輪 陽子(ファイナンシャルプランナー)
CFP認定者、1級FP技能士。外資系投資銀行を経てFPに。「夫婦で貯める1億円!」「貯金ゼロ 借金200万円!ダメダメOLが資産1500万円を作るまで」などの著書やテレビ出演、雑誌監修など多数。

車、家電、家具…増税されてもされなくても「いま買ってよいもの」は? 賢い住まいのマネー術(6)

森友学園問題で揺れる自民党政権ですが、いまのところ2019年10月には、消費税率が10%に引き上げられる予定です。2%の差は大きいので、大きな買い物はなるべく早くから準備して、安いうちに買っておきたいと思っている人もいるでしょう。
でも、ちょっと待って。8%に上がるときも起こった駆け込み消費ですが、増税後にセールになる品物もありましたよね。「早まった!」もしくは「買っておけばよかった」といった後悔をしないためにも、何をいつ買うべきなのか。もし増税がされなかった場合にも参考になる、基本的な考え方をご紹介します。

【連載】賢い住まいのマネー術
住まいに関する支出は、家庭の大きな割合を占めるもの。保活から住宅ローン控除まで、住まいに関する家計管理や節約術に定評のあるファイナンシャルプランナー(FP)の花輪陽子さんが解説します。家電や家具などは買っておくほうがよい?

まず、すべての買い物に共通する基本的な考え方としては、「購入予定があって値崩れしにくい商品は『現在(税率8%)』のうちに買っておくとよい」ということです。必要のないものまで買ってしまえば支出は増えますし、値崩れする商品を先に買っても消費税の増税分より値段が下がってしまう可能性もあるからです。

家電に関しては、一般に値段が安定している白物家電(洗濯機や冷蔵庫、電子レンジなど日常生活に使う家電)は「買い」で、値動きしやすい黒物家電(音楽機器やゲーム機など、趣味や娯楽用途の家電)は「待ち」です。白物家電は生活をする上で欠かせませんし、値段が大きく崩れることも少ないからです。

では、白物家電はそれぞれいつ買えばよいのでしょうか。新居やリフォーム後のお部屋ができたタイミングですべてを新しくしたいと思うかもしれませんが、市場の値段が安くなるのと、自分が欲しいタイミングがずれる場合もしばしば。場合によっては今まで使っていた家具・家電をひとまず新居に持って行き、落ち着いたら探し始めるというのも一つです。一度に買うのに比べると、予算面からも融通を利かせやすいでしょう。

冷蔵庫は秋に新商品が出る場合が多く、発売からしばらくした年末ごろから値段が下がり始めるのが一般的なパターンです。さらに、ひとつ古い型の商品をアウトレット店やインターネットで探せば、安価な金額で手に入れることができます。

家電の値段変動サイクルは商品によって異なり、エアコンの場合は年明けごろに新商品が投入されることが多いです。エアコンの需要が減る4~5月になると値段が安くなります。家電の価格の推移は「価格.com」などでも検索が可能です。自分が欲しい家電で検索し、人気商品の値動きを2~3点調べてみることをおすすめします。

例えば、そろそろ冷蔵庫の買い替えを考えている方なら、2018年の年末ごろにアウトレット店などに冷蔵庫を探しにいくというイメージです。エアコンの場合は2019年の4月ごろから探し始めるとよいでしょう。増税は2019年10月なので、まだ先のように感じますが、増税前でもお得なタイミングで購入したいとなると、意外にも早くから準備をしたほうがよいことが分かります。

大手量販店では、古い家電を処分し、新しい商品に買い替える人向けのキャンペーンを行う場合もあるので、そうしたキャンペーンを活用したり、配送のタイミングなども相談するとよいでしょう。原則、引き渡し日の税率になることが多いため、増税直前に駆け込む場合は要注意です。

家具に関しては、ブランド家具などで値崩れしにくい物は増税前に探し始めてもよいでしょう。ただし、催事場などで行われる家具セールや中古品を活用する方法もあるので、必ずしも駆け込み購入しなくてもよいと思います。

自動車は増税前に買うべき? その他、住まいまわりで検討したい物は?

また、購入のタイミングを考えておきたいのは自動車です。車を購入する際に適用される税率が決まるのは、「登録時」になっていますが、ナンバープレートの登録には時間がかかります。増税直前の2019年9月に選んでいるとギリギリになってしまうので、買う予定があるならゆとりのあるスケジュールを組むべきでしょう。

できれば早い時期から準備して、3月や9月などの決算期前にディーラーと交渉して有利な条件で購入したいものです。決算期の1カ月半前くらいから動き出し、複数の見積もりを取るとよいでしょう。2019年2月ごろから動き始めて、3月決算を狙って購入するのも手です。

増税されるとなれば、直前の2019年9月決算は、同じように駆け込み購入しようとする人が多くなることが予想されます。となるとあまり値下げされないことも考えられますね。もし出遅れたら、需要が低迷するであろう増税後に、オプションなどで値引き・サービスを受けられないか交渉してみるのもよいと思います。

その他、リフォームも値段が下がりにくいので、リフォームをする予定がある人は増税前に検討をしてもよいでしょう。「床暖房にリフォームしたい」など小さなリフォームも含めて検討してみてもよいかもしれません。

浄水器のカートリッジや空気清浄機のフィルターなど、既に本体を購入している商品の「交換品」は値引きしなくても売れるので、値崩れしにくい商品です。消費増税前に購入準備しておいてもよいでしょう。

値崩れしにくい物などは消費増税前、いますぐに購入してもよいのです。その反面、値崩れが予想される物は駆け込む必要はありません。慌てて買わないで、必要性に応じて吟味できる目を養いましょう。

花輪陽子phpto2花輪 陽子(ファイナンシャルプランナー)
CFP認定者、1級FP技能士。外資系投資銀行を経てFPに。「夫婦で貯める1億円!」「貯金ゼロ 借金200万円!ダメダメOLが資産1500万円を作るまで」などの著書やテレビ出演、雑誌監修など多数。

来年には消費税10%、マイホームはいつ買うのがお得? 賢い住まいのマネー術(3)

いよいよ来年、2019年10月に消費税率が10%に引き上げられる予定です。多くの人にとって人生で最も大きな買い物になるマイホーム購入やリフォーム、いったいいつ行えばよいのでしょうか。駆け込み購入が得かと思いきや、10%になっても受けられる優遇措置もあります。比較検討してみましょう。【連載】賢い住まいのマネー術
住まいに関する支出は、家庭の大きな割合を占めるもの。保活から住宅ローン控除まで、住まいに関する家計管理や節約術に定評のあるファイナンシャルプランナー(FP)の花輪陽子さんが解説します。消費税8%と10%、マイホーム購入価格はどれくらい変わる?

消費税が2%変わるとマイホームなどの大きな買い物をするときに値段が大きく変わりそうですね。どんな場合に消費税がかかるのかみていきましょう。まず、住宅価格のうち土地代は非課税になります。課税されるのは新築マンションや一戸建ての「建物分の価格」です。土地に関しては「資本の移転」であるとされ、消費税はかかりません。

例えば、価格が4000万円の物件のうち、建物分の価格が2000万円なら消費税額は「2000万円×8%=160万円」、税込価格は4160万円となります。10%になると消費税額は200万円で税込み価格は4200万円になり、40万円負担が増えることになります。

個人が売主の中古住宅を購入する場合には消費税はかかりませんが、不動産会社がリフォームして販売する中古住宅などの場合には課税されます。リフォームの場合も同じように消費税が課税されます。

購入時にかかる諸費用で消費税がかかるのは、仲介手数料、住宅ローン事務手数料、登記費用のうち司法書士報酬など。各種保険料、マンションの管理費などは課税されません。消費税がかかる費用、かからない費用と整理をすることでおおよその負担増が見えてきます。

いつまで8%で買える? 経過措置とは?

そもそも、消費税率はマイホーム購入のどの時点の税率が適用されるかご存じでしょうか。工事完了(引渡し)時点の税率となります。ただし、税率が引き上げられる半年前にあたる2019年3月31日までに契約したものには経過措置が適用され、引渡しが同年10月以降になっても「8%」で課税されます(新築の場合もリフォームの場合も同じ)。

基準日直前にリフォーム工事を実施する場合、工事の集中や天候等により工事が遅れ、工事完了(引渡し)時期が10月以降となり、「10%」が適用される可能性があります。そのため、増税前にリフォームを検討している人は早めに計画を立てておくとよいでしょう。もちろん新築の場合も余裕を持った計画を立てる必要があります。

10%になっても負担を軽減させる政策がある

それでは消費税が上がったら、増税分の負担がそのまま増えるのみなのでしょうか。2014年4月に消費税が8%へと引き上げられた際、その負担増を軽減するために「すまい給付金」制度が新設されました。これは、一定の収入以下(年収510万円以下が目安)の人が住宅ローンを借りて家を買う場合、収入に応じて最高30万円の給付が受けられる制度です(購入年齢が50歳以上の場合は、住宅ローンを借りない場合でも受けられる場合がある)。これが、消費税10%になると、給付額は最大50万円に引き上げられ、収入の上限(年収775万円以下が目安)も引き上げられます。

この他、家の購入や新築のために、親や祖父母から資金贈与を受ける場合の「贈与税の非課税枠」も変わります。消費税8%の現在は、「最大1200万円」ですが、消費税10%となると、「最大3000万円」まで贈与税がゼロになります(非課税となるためには、贈与の翌年の3月15日までに住宅の引き渡しを受け、遅滞なく居住しなくてはならないなど各種要件あり)。

結局いつ買えばよいの?

いつ買うのがオトクなのかは、それぞれのケースで異なります。増税で増える負担と、負担を緩和する制度から受ける恩恵を天秤にかけ、8%で買うのか10%で買うのかどちらが自分にとって有利なのかを検討してみましょう。そのためには個々人でシミュレーションをしてみることが有効です。負担のほうが大きくなるようならば前倒しを検討するのも手かもしれません。マイホームは大きな買い物でその後のキャッシュフローも変わるので、場合によってはFPなどの専門家に相談をするのも手です。

増税で具体的にいくら負担額が増えるのか、シミュレーションをしてみると、思ったより少ない金額だった、という方もいるかもしれません。例えば、親や祖父母から援助をたくさん受ける人の場合、消費税が10%になってから拡大する「贈与税の非課税枠」を利用するのも一つです。「すまい給付金」の対象になりそうな方もウェブサイトでシミュレーションができるのでいくらもらえそうか確認をするとよいでしょう。

いかがでしょうか。人によっては必ずしも8%で駆け込んだほうがよいというわけでもないことが分かると思います。消費増税の負担と負担を軽減させる政策を理解し、自分はいつ買うのがよいのかを家族で話し合えるとよいでしょう。

花輪陽子phpto2花輪 陽子(ファイナンシャルプランナー)
CFP認定者、1級FP技能士。外資系投資銀行を経てFPに。「夫婦で貯める1億円!」「貯金ゼロ 借金200万円!ダメダメOLが資産1500万円を作るまで」などの著書やテレビ出演、雑誌監修など多数。