eryの部屋探し~理想の部屋に出会うまで~

新生活がスタートするこの季節。進学や就職で一人暮らしを始める人も多いのでは?でも、初めての一人暮らしは分からないことだらけ……。部屋探しって何から始めるの?どんなふうに進めればいいの?
そんなあなたもこの漫画を読めばなんとな~く部屋探しの流れがつかめる!(はず……!)
26年間の実家暮らしを経て、初めての一人暮らしをしようと考えているイラストレーターのeryさんが実際に部屋探しをした様子を漫画にしてくれました。eryの部屋探し1

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※部屋の内見など実際の部屋探しは2020年2月上旬に行いました

eryery
1994年生まれ。東京在住。イラストレーター・アーティスト。
広告制作会社でグラフィックデザイナーとして3年間勤務の後、独立。
イラストやグラフィックデザインを中心に、トラックメーカーとしても活動中。

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イマドキの学生の部屋選び、通学時短を重視する傾向に。ほかには…?

学生用マンションでひとり暮らしをする人は、「駅」の近さより通学する「学校」の近くであることが決め手になる。そんな調査結果を学生情報センターが発表した。通学の『時短』を重視する傾向は、学生にも及んでいるようだ。調査結果を詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
「ナジックひとり暮らし学生 実態調査2020」の結果を発表/学生情報センター学生も通学の『時短』を重視する!?

まず、「今の部屋に決めた理由」(複数回答)を聞いた上位の結果を見よう。
1000人以上の学生が「学校から近い」と「バス・トイレ別」を決め手にしたことが分かる。

1位:「学校から近い」(1170人)
2位:「バス・トイレ別」(1080人)
3位:「駅から近い」(763人)
4位:「セキュリティ」(760人)

立地については、駅から近くても通学するのに学校から遠い、というのは敬遠されるということだろう。通学でも『時短』重視の傾向がうかがえる結果だ。

また、「今の住まいの満足度」(単一回答)を聞くと、72.4%の学生が満足(「大変満足」24.5%+「ある程度満足」47.9%)と回答した。一方、「今の住まいにいつまで住むか」(単一回答)を聞くと、75.0%の学生が「卒業するまで」と回答した。「満足」あるいは「普通」と感じている学生が多いからだろうが、新しい部屋探しには時間も費用もかかることもあって、積極的に住み替えを考えてはいないという状況がうかがえる。

「今の住まいの満足度」(左)と「今の住まいにいつまで住むか」(右)(出典/学生情報センター「ナジックひとり暮らし学生 実態調査2020」より転載)

「今の住まいの満足度」(左)と「今の住まいにいつまで住むか」(右)(出典/学生情報センター「ナジックひとり暮らし学生 実態調査2020」より転載)

オススメは駅より学校の近さ。ただし地域差も…

次に、後輩にアドバイスするという想定で「部屋を選ぶときの重視項目」を聞いた結果を見ていこう。

部屋を選ぶときに重視すべき後輩へのアドバイス(複数回答)1.全国(出典/学生情報センター「ナジックひとり暮らし学生 実態調査2020」より転載)

部屋を選ぶときに重視すべき後輩へのアドバイス(複数回答)1.全国(出典/学生情報センター「ナジックひとり暮らし学生 実態調査2020」より転載)

後輩に重視すべきとする三大項目は、「学校の近く」(61.3%)、「スーパーの近く」(59.9%)、「駅の近く」(51.9%)だ。「スーパー」のほうが「コンビニ」より品ぞろえが多いから、より重視すべしということか。

ただしこれが地域によって、少し変わってくる。

部屋を選ぶときに重視すべき後輩へのアドバイス(複数回答)2.東京都と東京都を除く全国との比較(出典/学生情報センター「ナジックひとり暮らし学生 実態調査2020」より転載)

部屋を選ぶときに重視すべき後輩へのアドバイス(複数回答)2.東京都と東京都を除く全国との比較(出典/学生情報センター「ナジックひとり暮らし学生 実態調査2020」より転載)

同社の本社が京都にあることから、回答した学生が最も多いのは京都府(18.2%)で、次いで東京都(17.4%)になるのだが、東京都の学生とそれ以外の府県の学生で比較すると、順位や重視度が変わってくる。

「学校の近く」が1位であることに違いはないが、2位は東京以外の学生では「スーパーの近く」が僅差で続くのに対し、東京都の学生では「駅の近く」が逆転して2位に上がる。また、東京都の学生は「通学に乗り換えがない」が27.0%で6位に上昇(東京都以外は16.2%で9位)するのも、注目したい点だ。

通勤通学時間帯には、車内の混雑度や駅間移動の混雑度が激しく、ストレスがたまりやすい東京都ならではの観点といってよいだろう。

イマドキの学生は「無料Wi-Fi」「宅配ボックス」「オートロック」が必需品?

次に「家賃が多少高くなっても部屋に欲しい設備・サービス」(複数回答)を見ていこう。

ダントツの「バス・トイレ別」は別格として、「無料Wi-Fi」「宅配ボックス」「オートロック」が上位に来るのがイマドキの学生らしい。

1位:「バス・トイレ別」63.3%
2位:「無料Wi-Fiサービス」40.7%
3位:「宅配ボックス」37.8%
4位:「オートロック」36.3%
5位:「大きな収納スペース」36.2%
6位:「独立洗面化粧台」33.8%

特に、「宅配ボックス」は2年前の同じ調査の6位から3位に浮上しており、2年前に筆者が「無料Wi-Fi」「宅配ボックス」「オートロック」が新三種の神器になると予測した通りになってきた。

さていよいよ、合格発表を受けて学生が新居を探すシーズンになってくる。部屋探しで重視するポイントは人それぞれだろうが、先輩の意見はどれだけ参考になるだろうか?

部屋探し、内見数は「3件」が最多

(株)アルティメット総研は、このたび「部屋探しと入居後のトラブル対策に関する意識調査」を行った。調査は2019年1月17日~2019年2月20日、同社運営サイト『ウチコミ!』の入居希望者会員を対象に実施。372名より回答を得た。部屋の内見をする際、どちらのケースが多いですか?では、「一度不動産会社へ行ってから内見」が64%、「直接現地で待ち合わせて内見」が36%。「一度不動産会社へ行ってから内見」が従来の部屋探しにおける慣習だったが、インターネット等の普及により、ネット上で問い合わせをし、現地で待ち合わせて内見をするという人が増えているようだ。

部屋探しで訪問した不動産会社の店舗数をみると、最も多いのは「1件」で32%。次いで「2件」29%、「3件」22%、「4件以上」10%、「0件」7%と続く。部屋を決めるまでに内見した物件数は、「3件」が最多で30%。「6件以上」21%、「2件」14%、「1件」12%、「4件」8%の順。「0件(内見はしなかった)」という人も7%いた。

入居後のトラブルとして、鍵の故障や紛失で部屋に入れなかったことはありますか?では、「ある」18%、「ない」82%。お風呂やトイレの水が出ない、詰まった経験がありますか?では、「経験はない」74%、「経験がある」26%。何らかのトラブルに遭遇してしまう方が少なからずいるようだ。

ニュース情報元:(株)アルティメット総研

売買や賃貸で、問い合わせから契約までの期間が長期化! その理由は?

不動産情報サイト事業者連絡協議会(以下、RSC)が不動産情報サイト利用者にアンケートを行ったところ、問い合わせをしてから契約までにかかった期間が長期化していることが分かった。売買と賃貸では違いもあるが、いずれも長期化している。その背景として、どういったことが考えられるのだろう?【今週の住活トピック】
「不動産情報サイト利用者意識アンケート」調査結果を発表/不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)問い合わせ物件数が増加。売買・賃貸ともに1物件が減少

不動産情報を探すときには、多くの情報を比較検討する必要があることから、以前はスマホよりPCの利用が多かった。最近はスマホ利用者がPCより多くなってきたが、2018年の結果を見るとPC利用が多かった60代以上を含めて、いずれの年代もスマホ利用が大幅に増加した。

問い合わせた物件数は平均5.5物件で、前年の2017年の4.9物件より増加した。賃貸を契約した人では、前年の4.9物件から5.1物件とわずかに増加し、売買で契約した人では前年の5.1物件から6.0物件と大幅に増加した。

全体では「1物件」「2物件」が減少し、「6物件以上」が大幅に増加した点が特徴だが、これは売買を契約した人の動向が大きく影響している。「賃貸」でも「1物件」という割合が減少しているので、じっくり比較検討している様子がうかがえる。

問い合わせた物件数(出典:RSC「不動産情報サイト利用者意識アンケート」より転載)

問い合わせた物件数(出典:RSC「不動産情報サイト利用者意識アンケート」より転載)

問い合わせから契約までの期間は長期化が顕著

次に、問い合わせをしてから契約までにかかった期間を見ると、全体的に長期化している結果となった。売買と賃貸ではかかる期間が異なるが、売買では最多の「1か月~3か月未満」(前年48.4%→35.5%)、賃貸では最多の「1週間~1か月未満」(前年64.5%→42.6%)が、いずれも前年より大幅に減少している。一方で、売買では「6か月以上」(前年4.8%→24.6%)、賃貸では「1か月~3か月未満」(前年16.3%→34.4%)が大幅に増加するなど、長期化が顕著に見られる。

物件の検討から契約までの期間(出典:RSC「不動産情報サイト利用者意識アンケート」より転載)

物件の検討から契約までの期間(出典:RSC「不動産情報サイト利用者意識アンケート」より転載)

なぜ長期化する?長期化するのは望ましいこと?

問い合わせから契約まで、つまり住まい探しをスタートしてから契約する物件を決めるまでの期間が長期化するということは、どういうことだろうか?

それは「契約を急がない」「慎重に物件を比較検討する」ということだろう。

まず賃貸住宅市場だが、賃貸の空室率を示す、タス空室インデックスの過去2年の推移を見ると、関西圏・中京圏・福岡県はおおむね横ばい、埼玉県を除く首都圏はじりじりと上昇している。借り手が有利な市場といえるので、焦る必要はなくじっくり検討できる状況だ。

また売買では、新築マンションの価格が上昇し、中古マンションもつられるように上昇といった市況にある。複数物件を比較しながら無理なく買える価格かなど、価格と希望条件を慎重に見極めていることがうかがえる。

住宅はモノではなく生活の拠点となるものなので、焦らずじっくり比較検討するという状況は望ましいことだ。

だが一方で、新築マンションの価格が高止まりしている状況などから、いずれ価格が下がるのではないかと様子見をしている人も多いと聞く。そうなると、住まい探しを始めながらもなかなか物件を決めることができないので、今後さらに長期化するといったことも考えられる。

日本不動産研究所が東京23区のマンション価格の中期予測を発表しているが、「新築マンション価格は、2018年まで上昇、以降ほぼ横ばいで推移し、2020年には消費増税の影響でやや下落、以降2025年までは微減」と見て、2017年のm2単価98.9万円に対し、2025年は95.0万円になると予測している。

価格が微減したとしても、その間に住宅ローンの金利が上がってしまえば、利息増加分で相殺されてしまう可能性もある。不確かなものに振り回されて長期化するというのは、望ましいことではないだろう。自分が本当に住みたいと思えるものに出合った時が、決め時だと思う。

部屋探しの見学物件数、平均2.9件と過去最少

(株)リクルート住まいカンパニーはこのたび、2017年度の賃貸契約者動向調査を実施し、その結果を発表した。1都3県(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)の18歳以上の男女を対象に行ったもの。調査方法はインターネット。調査期間は2018年5月22日~6月18日。有効回答数は801。

それによると、不動産会社店舗への訪問数は、世帯構成別にみると、「ひとり暮らし」の平均訪問店舗数は1.4店舗と前回調査から0.2店舗減少し過去最少となった。また、部屋探しの際の物件見学数も平均2.9件と過去最少。見学数の減少が続いている。

部屋探しの際に最も影響を与える(決め手になる人、妥協する人が多い)項目としては「家賃」が挙がった。決め手となり、かつあきらめることが少ないのは「路線・駅やエリア」。一方で最終的にあきらめやすいのは「築年数」となった。

次に引っ越す際に欲しい設備としては、昨年同様「エアコン(74.7%)」「独立洗面台(63.0%)」「TVモニター付きインターフォン(58.0%)」が上位を占めた。「24時間出せるゴミ置き場(40.8%)」「浴室乾燥機(39.4%)」が昨年より8ポイント以上アップした。

家賃が上がっても欲しい設備の1位は「追い焚き機能付きの風呂」で70.2%。また、家賃が上がってもよいと考える人で、かつ家賃上昇許容額が高い設備1位は「エアコン」。プラスしてもよいと思う家賃許容額は1800円だった。次いで、「スマートキー」平均1600円、「独立洗面台」平均1400円の家賃上昇が許容されるようだ。

今後住みたい間取り・仕様について「ワンフロア」と「メゾネット」を比較したところ、「メゾネット」を選びたいとする人が28.5%であるのに対し「ワンフロア」は50.6%、「ワンフロア」を好む人が多かった。

ニュース情報元:(株)リクルート住まいカンパニー

選択肢から外すのはもったいない?! 最新の「学生寮」事情を聞いてみた

大学への入学を機に、親元を離れる大学生も少なくありません。日本学生支援機構が公表している平成24年度の学生生活調査によると、大学進学者(昼間部)が自宅以外に居住する学生の割合は43.2%。そのうち、学生寮を選んだ人は5.6%と少数にとどまっています。しかし、そんな学生寮も最近は個性的で魅力あふれるものに変化しつつある模様。そこで、大学と学生寮を運営する企業、それぞれに昨今の学生寮事情について聞きました。
募集から3カ月で満室に。特色を打ち出したニュータイプの学生寮も登場

まず話を聞いたのは、青山学院大学。相模原と武蔵小杉、それぞれに学生寮を設けています。

「相模原については、相模原キャンパスに隣接した便利な立地にあります。例年12月中旬から募集を開始して、4月時点で全94室が満室になります。『全室南向き』『エアコン』『シャワー・トイレ完備の完全個室』のほか、館内には、洗濯機・乾燥機、共用システムキッチンなどの設備も充実しています。寮費は水道光熱費含めて月額3万9000円と比較的安価なのも人気の理由かもしれません」

相模原は在校生の男女が入居できる、いわゆるスタンダードな学生寮。かたや武蔵小杉は、2017年4月から全128室の「国際学生寮」として運営。日本全国から集まった学生だけではなく留学生も入居しています。

「将来、留学を目指す学生にとって貴重な経験になるだけでなく、留学したいけれども難しいという学生も、外国人留学生と交流する機会を得ることができます。寮内の共有リビングやキッチン等で交わされる日常の会話から、お互いの文化を紹介し合い、異文化理解を深めることができるのが魅力ですね。国内外に卒業後もつながることのできる友人を作ることができ、学生の将来にとっても大きな強みになると考えます」

なお、寮には大学が選抜した在学生のうち、リーダーとしてレジデント・アシスタント(RA)が男女各3名住み、交流イベントの企画をはじめ、区役所などで留学生の手続きをサポートするなど、寮生がより充実した生活を送れるよう主体的に協力できる仕組みを取り入れているそうです。

「交流イベントは毎月1回程度開催しており、共有キッチンで日本のスイーツをつくるイベント、七夕、書道教室、水引アクセサリーづくりなどが実施されています」

食事は、1階のカフェテリアで平日朝・夕2食提供。夕食は毎日数種類のなかから選択することができ、栄養バランスや季節感にも配慮したメニューとなっているとのこと。また、24時間有人管理で、カードキーによる入退館管理システムを導入しており、セキュリティにも万全を期しているといいます。

気になる毎月の寮費は10万4440円。学生寮としては割高ですが、武蔵小杉という立地や留学生との交流、食事代といった付加価値を考えれば、十分に見合うものがありそうです。

この青山学院大学の国際学生寮のように、大学によって特色あるスタイルの学生寮はほかにも増えている模様。例えば、大型テレビを備えた「シアタールーム」、同人誌をつくれるパソコンやコピー機がある「クリエーターズルーム」、露天ジャグジーやサウナ、スポーツジムがあるなど、共用部が充実しているタイプの寮もあるようです。

写真/PIXTA

写真/PIXTA

実家と一人暮らしの中間にあたる「学生寮」、時代を問わず人気

こうした、新しいタイプの学生寮が増えているのはなぜなのでしょうか? 伊藤忠グループの住生活領域を担う総合デベロッパーである伊藤忠都市開発で学生寮開発を担当する片岡賢治さんに聞きました。

「首都圏における学生寮は、築年数が古いものが大多数を占めており、需要があるにもかかわらず、良質な設備や環境、セキュリティもしっかりしている寮は少数でした。また、現在、日本に来る留学生が増加していて、大学としても国際化に対応する方向にあるということも相まって、留学生向けの学生寮をつくる動きも加速しています。留学生にも対応できる寮をつくる必要性も高まり、新しい寮の整備が進んでいるとも言えると思います」

国際交流ができる物件は評価も高く、コミュニティースペースの充実も推し進められているそう。

「今も昔もですが、やはり親御さんの不安を払しょくできるのは、学生寮の強みではないでしょうか。食事の提供はかなり重要視されています。管理栄養士がメニューを監修しているなど、健康を意識したようなメニューを出す寮もあります。ほかにも自習室がある寮も、親御さんの評価が高いようです。また、留学生はジムの利用頻度が高いので、ジムを完備する学生寮もこれから先増えてくるかもしれません」

ちなみに、問い合わせが増えるのは推薦で合格が決まる10月くらいから。ほとんどの場合、住む本人ではなく親が探しているようです。

良質な環境が整った学生寮が増えれば、ますます利用者は増えるだろうと予想する片岡さん。一生に幾度もない学生時代。限られた時間だからこそ、より充実した環境で過ごしたいもの。

では、実際に寮で暮らしてきた学生は、生活をどのように感じているのでしょうか。大学4年間を通して入寮していたという上智大学の女子学生は次のように話します。

「学生寮に暮らして良かったのは、朝と夜のご飯で友達と会えることです。学校にいる友達よりも、長い時間を過ごすことになるので、より深いコミュニケーションが取れると思います。あとは、就職活動のときに『寮に住んでいます』と伝えると、面接官から割と質問をされました。個人的な感想ですが、寮に住んでいるというのは、ある意味集団行動の中で生きていて、規則を守れるところが評価をされるのではないかなと。実際、寮生活を通して協調性も身につきました」

寮生活では一人暮らしとはまた違う経験が得られるようです。共同生活が苦ではない学生にとって、寮という選択肢は有力かもしれません。

●取材協力
・青山学院大学
・伊藤忠都市開発株式会社

ひとり住まいの部屋探し、見学数は「3部屋」がトップ

(株)FJネクスト(東京都新宿区)は、引っ越しにまつわる様々な行動や意識について調査し、その結果を発表した。
対象は、1人暮らしを始めてから1回以上引っ越し経験のあるワンルーム単身入居者。調査期間は2018年2月16日~19日。調査方法はインターネット。回答数は400人。

引っ越し先の部屋を決めるまでに、何社ぐらいの不動産業者の実店舗を回りますか?では、全体では「1社」(34.5%)がトップ、次いで「2社」(27.0%)と、上位2つで約6割(61.5%)を占めた。「3社以上」(「3社」「4社」「5社以上」の合計)は2割程度(23.8%)に留まった。一方、店舗には行かない「0社」という回答が14.8%あった。知人・友人からの紹介のほか、近年ではインターネット上の不動産情報サイトが充実しており、部屋探しの重要な手段となっていることが伺える。

引っ越し先の部屋を決めるまでに、実際に何部屋見ますか?では、全体では「3部屋」(28.0%)が最も多く、次いで「5部屋」(18.0%)、「2部屋」(14.5%)の順。「1~3部屋」の合計は過半数(51.0%)に達し、「1~5部屋」の合計は8割(80.3%)を超えている。全体の平均値は「3.56部屋」で、3部屋前後を見て決定するというのが平均的な行動と言えそうだ。

一人暮らしを始めたとき、部屋を決める際に親の承認を得ましたか?では、親の承認を得た人は全体では約7割(70.8%)と多数派。男女別では、「得た」との回答は男性が約3人に1人(67.0%)であるのに対し、女性は約4人に3人(74.5%)で、女性の方が親の承認を「得た」人が多い傾向にある。

部屋を決める際、重視するポイントは何ですか?(複数回答)では、全体では「家賃」(74.8%)が断然のトップ。次に多かったのは「駅からの距離」(45.3%)で、「部屋の広さ」(41.5%)、「部屋の設備」(40.5%)を上回った。男女別では、両者トップの「家賃」の他に、男性は「部屋の広さ」(46.0%)、「部屋の設備」(42.0%)といった部屋そのものを重視するのに対し、女性は「駅からの距離」(50.0%)、「周囲の環境」(22.5%)、「セキュリティ」(24.0%)といった立地や環境面にも気を配る傾向がみられた。

ニュース情報元:(株)FJネクスト

地方出身者へ贈る 内見前に知っておきたい「東京」の賃貸事情

今年の部屋探し&引越しシーズンもいよいよ終盤。大学進学や就職といったタイミングで、地方から東京に移り住む人も多いはず。しかし、土地勘や家賃相場が分からずに、部屋探しに苦戦してしまう人も多く、「花の東京ライフ、こんなはずじゃなかった……」と後悔してしまうケースもしばしば。
そこで今回は、今まで地方出身者へ80回以上引越しのアドバイスを行ってきた街選びアドバイザー・土井直樹(どい・なおき)さんに「東京の賃貸事情と、上手な部屋の探し方」について、聞いてみました。
春から東京生活スタート、ワクワクしながら新居探しをしている方も多いでしょう。ただ、東京という広大な都市での住まいを探す上では、内見前におさえておきたいポイントがいくつかあります。私自身も兵庫県の離島出身というバックグラウンドをもっているので、大学進学で上京した際、都内での家賃の高さや駅の多さに目の玉が飛び出たことを思い出します。

エスカレーターでの立ち位置、話し方など、関西人には当初慣れないこともたくさんありました。しかし都内の街を歩き尽くして得た知識や経験のおかけで、今まで80人以上の方へ街選びのアドバイスができたのだと思っています。

今回は、地方出身者の方に向けて、「東京の家賃相場」「初めて東京に住むならどこがいいのか」「地方出身者がお得に東京で部屋探しをするコツ」という3つのポイントをご紹介します。

地方に比べて、東京は家賃相場が高い!

一般にもよく言われる「東京は家賃が高い」という話ですが、実際のデータではどれくらい高くなっているのでしょうか? 

都心と言われる山手線の内側にある駅に絞ってみてみましょう。安い順に並べてみても、1位は雑司が谷駅と田端駅の7.8万円。

●山手線の内側で家賃相場が安い駅
順位/駅名(主な路線/駅所在地)/家賃相場(1R・1K・1DK)
1位 雑司が谷(東京メトロ副都心線/豊島区) 7.8万円
1位 田端(JR山手線/北区) 7.8万円
3位 鬼子母神前(都電荒川線/豊島区) 7.95万円
4位 駒込(JR山手線/豊島区) 8万円
4位 目白(JR山手線/豊島区) 8万円
4位 西日暮里(JR山手線/荒川区) 8万円
4位 千駄木(東京メトロ千代田線/文京区) 8万円
8位 高田馬場(JR山手線/新宿区) 8.2万円
8位 早稲田(都電荒川線/新宿区) 8.2万円
8位 大塚(JR山手線/豊島区) 8.2万円

これに対して、例えば、私が現在住んでいる仙台駅から15分圏内の駅で家賃相場をみてみると、一番家賃相場が安い駅は、なんと3.4万円なのです。雑司が谷や田端の家賃相場と比べると、4.4万円も安くなります。

都心の家賃の高さはデータからもしっかりと見て取れます。住まいを探すにあたって、この東京の相場はまず頭に入れておきたいですね。

●仙台駅まで15分以内にある家賃相場が安い駅
順位/駅名/家賃相場(主な路線/所在地/仙台駅までの所要時間)
1位 八木山動物公園 3.4万円(地下鉄東西線/仙台市太白区/12分)
2位 北山 3.9万円(JR仙山線/仙台市青葉区/10分)
2位 旭ヶ丘 3.9万円(地下鉄南北線/仙台市青葉区/11分)
4位 台原 4.0万円(地下鉄南北線/仙台市青葉区/9分)
4位 黒松 4.0万円(地下鉄南北線/仙台市泉区/12分)
4位 東北福祉大前 4.0万円(JR仙山線/仙台市青葉区/12分)
4位 国見 4.0万円(JR仙山線/仙台市青葉区/15分)
8位 青葉山 4.2万円(地下鉄東西線/仙台市青葉区/9分)
9位 東仙台 4.4万円(JR東北本線/仙台市宮城野区/4分)
10位 福田町 4.5万円(JR仙石線/仙台市宮城野区/14分)

東京の賃貸は、地方と比べれば「どこも高いやんけ!」という声も聞こえてきそうですが、東京にしかない魅力もいっぱいあるんです。ここからはそんな東京の魅力を含めて、初めて住むならどこがいいか、ご紹介していくことにしましょう。

初めて東京に住むならどこがいい?

[1]東京はエリアによって街の雰囲気が違うので、自分にあった街を選ぶことが重要

新宿駅(写真/PIXTA)

新宿駅(写真/PIXTA)

地方出身者がはじめて上京すると、ザ・大都会という感じがする東京駅や新宿駅に圧倒されることが多いと思いますが、実際に暮らし始めると「都会が連続して続いている感覚」に驚くことになるでしょう。

先月、twitterでも「関西地方の民が感じた東京」というツイートが話題になっていました。電車に乗っていると「どこまで行っても街が続くという感覚」を覚えるのですが、地方出身の私にとっても、これは東京でしか味わえない感覚でした。

地方都市、例えば大阪であれば、栄えているのは梅田・難波・天王寺。福岡であれば、博多・天神と、都心エリアはごく限られているのですが、東京はそうではないのです。東京では、山手線を中心として、東西南北にさまざまな街が広がっています。

山手線でいえば、東京駅、上野駅、品川駅などを中心とした東側エリア、新宿駅、渋谷駅、池袋駅を中心とした西側エリア。そして、これらのターミナルからは私鉄沿線が放射線状に連なっていきます。繁華街が限定されている地方都市と異なり、それぞれの街で大きく雰囲気が違うので、自分のライフスタイルにあった街を見つけることが最も重要なポイントです。

[2]学校・職場がある沿線から検討するのが王道、「相互直通運転」を忘れずに

東京駅(写真/PIXTA)

東京駅(写真/PIXTA)

さて、ここからは具体的な街選びの方法についてですが、学校や職場がある駅につながっている路線から検討するのが王道です。例えば、職場が渋谷なら、JR山手線、JR埼京線、東急田園都市線、東急東横線、京王井の頭線、東京メトロ銀座線、東京メトロ半蔵門線……と渋谷に乗り入れがある沿線から探していきましょう。

そして、ぜひチェックしたいのは、地方と東京の鉄道の大きな違いである「相互直通運転」について。路線図を見ると一見別の路線に見える電車が、そのまま一本でつながっていることが多いのです。これが、東京における鉄道の大きな特徴。

例えば、東京メトロ半蔵門線に乗ると、別の会社が運営する東急田園都市線の中央林間や、東武スカイツリーラインの東武動物公園まで乗り換えなしでそのまま向かうことも可能なんです(私も初めて上京した際、なぜ半蔵門線のホームに田園都市線の車両が止まっているのか、謎で仕方がありませんでした……)。このような「相互直通運転」は関西や福岡などの一部エリアでは実施されていますが、東京では非常に多くの路線で導入されているので、ぜひ注目してみてください。

地方出身者が、お得に東京で部屋探しをするコツは?

さて、最後に実際に役立つ「お得に東京で部屋探しをするコツ」についてご紹介することにしましょう。

[1]「人気の駅」から1~2駅ズラせば、家賃は安くなる可能性も

吉祥寺の井の頭恩賜公園(画像/PIXTA)

吉祥寺の井の頭恩賜公園(画像/PIXTA)

SUUMOでも毎年住みたい街ランキングが発表されていますが、テレビや雑誌でよく取り上げられる「横浜」「吉祥寺」「恵比寿」などの駅が上位にランクインしています。これらの街は、地方出身の方もご存じの場合が多いと思いますし、「雑誌でよく見かける吉祥寺に住みたい」なんて憧れている方もいるかもしれません。

ただ、人気の駅はやっぱり家賃も高い、というのが現実でもあります。そこで、おすすめしたいのは、「人気の駅」から1駅~2駅範囲を広げてみること。例えば、吉祥寺駅から1駅隣の三鷹駅や井の頭公園駅を選べば、家賃相場もちょっと下がるのです。1駅~2駅ズラすと1カ月当たり数千円安く物件を探すことも可能な場合があります(年間換算すれば2万~3万円安くなることも!)。

同じように、横浜駅ではなくて、1駅隣の戸部駅、平沼橋駅など、少し範囲を広めてみることで、予算の中で希望の条件を満たせる可能性もグンと上がります。特に、地方と比べて・東京、首都圏は駅と駅の区間が短いので、1駅ズラしたとしても歩ける範囲であることも多いのがポイントです(自転車が使えるなら、なお不便さを感じにくいです)。

参考……家賃も手ごろで住みやすい? 住みたい街として人気の吉祥寺や恵比寿の「隣の街」はどんな街?

[2]契約時期や引越す時期を5月や6月にズラすことで、家賃が安くなったり、引越し費用が安くなったりすることも

引越し準備をする男性(画像/PIXTA)

引越し準備をする男性(画像/PIXTA)

先ほどは、「駅をズラす」というコツについてお話ししましたが、そもそも契約時期や引越す時期をズラす、というのもお得に家探しをする上では重要なポイントです。必ず3月4月に引越さないといけないというケースでなければ、繁忙期が終わった5月6月に契約したり引越したりすると、繁忙期より家賃が安くなっていたり、引越し費用が安くなったりすることもあります。

特に、神奈川・埼玉・千葉・茨城・群馬・栃木などに住んでいて、頑張れば電車で都内に通える範囲であれば、実際に入学する学校や新しい職場の環境を十分に知った上で引越すとミスマッチの可能性が減ります。

以前、私のところへ相談に来てくださった群馬県高崎市に暮らす新社会人の方がいたのですが、春に引越すかどうか迷われていたので、少しズラして5月のGWに契約&引越すことをご提案。結果、繁忙期を過ぎていたので、家賃も引越し費用も安くしてもらえたと喜んでいました。

最後に:東京を効率的に知るには、自転車がおすすめ

今はネット上にパノラマ・動画などが掲載されている物件が増えており、地方にいながら物件に関する多くの情報を知ることができるようになりました。その一方で、本当に住みやすいかどうか(坂が多いか、駅の出口から近いかなど)の感覚は、やはり実際に足を運んで東京の街を感じてみないと、分からないケースが多いのです。

そこで、内見の前後のタイミングで、自転車に乗って街を巡ってみることを私はお勧めしています。徒歩では歩き回れる範囲に限界がある一方、車だとつい目的地にダイレクトで行ってしまい、見落とす景色が多くなりがち。加えて、坂を感じることが難しいというデメリットがあるので、実際に住み始めてから「こんなはずじゃなかった」と後悔することもしばしば。

こんな背景から、効率的に街を巡り、エリアを知るには、自転車がお勧めです。東京には、気軽に利用できるレンタサイクルも数多くありますので、ぜひ試してみてください!

最後になりましたが、東京は、都市圏人口で3000万人を超える世界最大の都市です。一言で東京といっても、どの街を選ぶかで、あなたの東京ライフは大きく変わります。どんなライフスタイルの人も受け入れてくれる土壌があるので、ぜひ、あなたにあった「東京」を見つけてみてください!

2位「壁が薄い」・1位は? 住んでみて分かった住まいの不満点、SUUMO調べ

部屋探しを始めたころはたくさん条件を並べていても、家賃や立地、広さなどどれかを優先すれば、どれかをあきらめなくてはいけないことが出てくるもの。例えば「最寄駅から近い」など、条件が良い部屋であればあるほど、少し気になった点があっても「早く決めないと……」と不満点に目をつむって契約してしまうことも。そこで(株)リクルート住まいカンパニーが運営する不動産・住宅サイト『SUUMO(スーモ)』は、このたび「住んでみて分かった住まいの不満点」をテーマにアンケート調査を実施し、結果を「SUUMOなんでもランキング」としてまとめた。

【調査概要】
●調査実施時期:2017年10月4日~2017年10月5日
●調査対象者:全国の20~59歳までの男性143名・女性149名
●調査方法:インターネット
●有効回答数:292

【調査結果】
Q.住んでみて分かった住まいの不満点は?【賃貸編】(複数回答可)
1位:収納が少ない 21.9%
2位:壁が薄い 18.5%
3位:キッチンが狭い 11.6%
4位:日当たりが悪い 8.6%
4位:家賃が高かった 8.6%
6位:風通しが悪い 7.9%
7位:洗濯物を干すスペースが狭い 5.8%
8位:部屋が狭い 5.1%
9位:バス・トイレが一緒 3.4%
10位:コンロが一口しかない 2.4%

※上位10位まで表示

1位は「収納が少ない」(21.9%)。「洋服が全て収納できなかった」というほかに、意外と多かったのが「布団を収納するところがない」という声。「押入れがなく布団たんすを置いたら部屋が狭くなった」という人も。布団は通常のクローゼットでは奥行きが足らず収納できないので、ベッドより布団派な人は要注意。ほか、「家族が増えてきて、段々物も増え収納しきれない」「引越してみると、自分の荷物の多さに収納できなかった」などの声もあった。

2位は「壁が薄い」(18.5%)で、「隣のテレビの音が聞こえる」といった隣の部屋の生活音のほか、「上の住人の足音がうるさかった」など上の階の住人の足音が気になる人が多数。また、「自分の音も聞こえているのか心配」「こちらの音も聞こえていると思うとイヤ」と心配するコメントもあった。

3位は「キッチンが狭い」(11.6%)。入居前から分かっていたはずだが、実際使ってみると「食材を切るスペースがなかった」「シンクがせまく、食器洗いのあと水切りに困っている」など、不便さを感じるようだ。

4位は「日当たりが悪い」(8.6%)。「洗濯物が乾きにくい、湿っぽい」「カビでクローゼットが使えない部屋があった」「日が当たらなくて寒い」といった物理的に困ることのほか、「気持ちが沈む」など精神面に影響している人もいた。

同率で4位が「家賃が高かった」(8.6%)。「立地の良い所なので、仕方がないが高すぎる」「ペット可の物件が良かったので仕方がないが、高い」など、「分かってはいたけれど高いよなあ」と感じてしまうようだ。

「ここは仕方ない」と不満点を認識して契約もしたけれど、実際はあまり大丈夫じゃなかったという人が多くみられた。すべて希望の条件を満たす賃貸物件に出合うのは難しいけれど、このアンケート結果を参考にして、納得のいく部屋探しをしてほしい。

【主な回答】
●収納が少ない:同じ間取りなのに、(収納が少ないので)引越し前の物が片付かない。(25歳・男性)
●壁が薄い:家で音楽を流していたら、隣の人が口ずさんでいた。(47歳・女性)
●キッチンが狭い:二人以上は立てない。(20歳・女性)
●日当たりが悪い:昼間でも電気をつけないと暗い。(27歳・女性)
●家賃が高かった:給料が下がったから。(54歳・男性)
●風通しが悪い:窓の位置が悪く、風が流れない。(46歳・女性)
●洗濯物を干すスペースが狭い:雨が続いた後は、洗濯物が多くてベランダに干しきれない。(41歳・男性)
●部屋が狭い:荷物や家具を入れると、何もないときより狭く見えるので。(30歳・男性)
●バス・トイレが一緒:ゆっくりお風呂に入った気がしない。(40歳・女性)
●コンロが一口しかない:ラーメンとチャーハンが同時につくれない。(53歳・男性)

「SUUMOなんでもランキング」コーナー:住まいに関する様々なテーマについてアンケートを実施し、結果をまとめた記事を隔週で発表。

不動産広告の駅から徒歩●分はどこからどこまで? 実際に歩いてみた

住まい探しに大事な要素のひとつとなる「駅から徒歩●分」の表記。ルートや歩く速度によって左右されますが、住みはじめてから実際の徒歩分数との違いに気づいてモヤモヤしたことはありませんか? そもそもどこからどこまでが計るポイントになるのか。モヤモヤの正体を突き止めるべく、実際に歩いてみました。
開始地点は建物の入口? 着点は駅のホーム!?

今回は、SUUMOジャーナル編集部メンバーのSさんの自宅マンションの入口をスタート地点にして、最寄駅まで歩きます。不動産チラシには「徒歩9分」と記載されていますが、Sさんは「乗りたい電車の出発時刻の15分ぐらい前に家をでますね」とのこと。失われた6分間を探しましょう。

なお、徒歩1分が80mであることは過去の検証で分かっているため(参考記事/徒歩1分=80mって本当?実際に試してみた)、今回は計測をはじめる「起点」と、終了場所となる「着点」に絞って考察します。筆者は少し歩くのが遅い自覚があるので、意識して少し早めに歩きます。

【画像1】観測スタート地となる自宅マンションに向かうSさんの背中。駅までの道のりをこのあと何往復かすると思うと不思議な気持ちになります(写真撮影/柏木ゆか)

【画像1】観測スタート地となる自宅マンションに向かうSさんの背中。駅までの道のりをこのあと何往復かすると思うと不思議な気持ちになります(写真撮影/柏木ゆか)

「住んでいる階数や部屋の位置によって時間が異なるので、さすがに玄関ドアを開けたところが起点にはならないでしょう」とまず予想し、マンション1階の集合玄関からiPhoneのストップウォッチで計測を開始。検証時は平日の夕方だったため、どんどん日が暮れていきます。

いくつかの信号を渡り、ランニングをする運動部の学生群とすれ違い、「こんな時間に家の近くを歩いているなんて不思議ですね」とSさんと談笑していると、早くも駅前に到着。自分があまり知らない街で路面店などを観察していると、驚くほど時間がたつのが早い。そのまま駅に入り、改札を通ってホームに到着。ここまで「12:49」かかりました。

【画像2】着点がホームだとこれぐらい(写真撮影/柏木ゆか)

【画像2】着点がホームだとこれぐらい(写真撮影/柏木ゆか)

Sさんが家を出る時間が15分前なので「玄関からエレベーターを降りてマンションの入口に向かう時間が2分と考えると計15分でつじつまがあいますね」と確認。やはりスタート地点と終了地点が定まらないと正確な検証が難しい……。その後も別ルートで何度か試したのですが、12分台はなかなか切れませんでした。

起着点は物件のタイプや、駅の形状に左右される

検証の結果、不動産広告と4分近くズレがあることが分かりました。私の足が遅いことを考慮しても、モヤモヤは埋められない時間差です。素人がいくら考えても憶測の域を出ないので、不動産に関して高度な知識をもつ不動産鑑定士の中村喜久夫さんにお話を伺いました。

【画像3】不動産鑑定士の中村喜久夫さん(写真撮影/柏木ゆか)

【画像3】不動産鑑定士の中村喜久夫さん(写真撮影/柏木ゆか)

―― 不動産広告の「駅から●分」の起着点はいったいどこなのでしょうか。また、不動産会社がその表記を守る義務はあるのでしょうか?

まず駅から物件までの徒歩分数の計測箇所は改札ではなく、「駅舎の出入口」です。駅舎に複数出口がある場合は、自宅に一番近い出口から測ればいいんです。これは広告表示に関する業界ルールである「不動産の表示に関する公正競争規約」できちんと定められています。

【画像4】駅舎の入口が複数ある場合は一番近い出口が起点に(作成/SUUMOジャーナル編集部)

【画像4】駅舎の入口が複数ある場合は一番近い出口が起点に(作成/SUUMOジャーナル編集部)

―― 駅のホームが起着点にならないのは正直ちょっと予想していましたが、改札でもなく、駅舎の最寄出口でいいんですね! 今回計ったのは地上駅だったので駅舎の入口はすぐに分かりましたが、地下鉄では明確な入口が判断しにくいこともありそうです。その場合はどうしたらいいのでしょうか?

地下鉄では「A1番出口」のような出入口を起点にすればいいことになっています。都心の大きい駅だと使用する出口によって徒歩分数が大きく変わることもありますね。

―― さきほど歩いてみた際、念のため途中の時間も計測していたのですが、マンションから最寄りの駅舎出口までの到着時間は「10:11」でした。何度か信号に引っかかったことを考慮すると、不動産チラシにあった「徒歩9分」にかなり近い結果になりそうです。

【画像5】マンション入口から駅舎の出入口までは「10:11」。改札の到着時間は「11:38」でした。

【画像5】マンション入口から駅舎の出入口までは「10:11」。改札の到着時間は「11:38」でした。

今回計測したのは1棟単体のマンションだったので起点は1階の集合玄関からで問題ないですが、実は分譲宅地や大きな団地などは、着点が敷地内の「駅から最も近い場所」になることがあります。棟数が多く、敷地出口から離れた棟に住んでいる場合は、不動産広告の表記から思ったより時間がかかることも少なくありません。それが記載時間より時間がかかるモヤモヤの原因のひとつかもしれないですね。

【画像6】分譲マンションなどの起着点の例(作成/SUUMOジャーナル編集部)

【画像6】分譲マンションなどの起着点の例(作成/SUUMOジャーナル編集部)

【画像7】分譲宅地(第2期販売対象の起着点)などでの起着点の例(作成/SUUMOジャーナル編集部)

【画像7】分譲宅地(第2期販売対象の起着点)などでの起着点の例(作成/SUUMOジャーナル編集部)

―― 建物の利用方法ごとに異なる起着点の定義があるんですね。なお、地上駅の駅前広場と横断歩道として機能している「ペデストリアンデッキ」は、駅舎に含まれないため起着点にはならないそう。

【画像8】八王子駅のペデストリアンデッキ(写真/PIXTA)

【画像8】八王子駅のペデストリアンデッキ(写真/PIXTA)

引越しシーズンの到来 不動産広告を見るときに気をつけておくべきことは?

―― これから新生活などに向けた引越しシーズンがやってきます。徒歩での時間以外で不動産広告を見る際に気をつけておきたいポイントなどはありますか?

新生活で一人暮らしをはじめる場合、ロフト付き物件を選ばれるかたも多いですよね。住宅を選ぶ際に床面積も選ぶ基準になると思いますが、床面積を表す平米数にロフトの面積は含めないのがルールになっています。

―― なるほど、ロフトの面積が床面積に含まれていると思っている人も多そうなので知っておきたいルールですね。

そのほか、「和室6畳」のように広さを畳数で表示している場合もありますが、畳にはいろいろなサイズがあります。広告表示では「1畳と表示する場合には、1.62m2以上の広さがなければならない」というのがルールですが、間違った表示がないとは言い切れません。ご自身で広さを測ってみるのもいいかと思います。

昨年から不動産公正取引協議会と不動産ポータルサイトが協力しておとり広告の排除に取り組んでいますが(参考記事/おとり広告は改善された? 違反の143社、抜き打ち調査の結果は)、相場よりも明らかに安すぎる家賃の物件は要注意ですね。

徒歩分数の計測起点は駅舎の出入り口で、地下鉄駅の場合は地上出口。着点は物件の出入り口か、駅から最も近い敷地の地点になります。物件を見に行く際にホームから駅出口までの時間を計っておくと、生活のイメージがつきやすいかもしれませんね。

「1階」を視野に入れた部屋探し、メリット&注意点は?

部屋探しの希望条件のひとつに、なんとなく「2階以上」を入れていないだろうか。1階といえば家賃の安さが魅力だが、実はそれ以外にも1階ならではのメリットがある。さらに、以前は不安視されがちだったポイントも、最近ではかなり改善されていることもあるそう。実際、どんなメリットがあるの? 賃貸物件を多くもつ大東建託と、安全生活アドバイザーの佐伯幸子さんに教えてもらった。
「2階以上でないとダメ」の思い込みは初心者ほど強い?

駅から徒歩○分以内、広さは○m2以上……などと住みたい部屋の条件はさまざまだが、このひとつに「2階以上」を挙げる人もいる。どちらかというと、部屋探しの経験が多いよりは少なめの人、男性よりは女性のほうが「2階以上」にこだわる人が多い傾向にあるようだ。

実際には「1階だから侵入されやすい、と思い込んでいる人は多いです。しかし部屋に侵入されるのは、階にかかわらず『無施錠』によることも多いよう。さらに近年では、設計や住宅設備の工夫によって防犯性を高めた物件が増えてきています」(大東建託)。

それでも、やはり1階は「セキュリティ面が不安」、「プライバシーが保てないのでは?」と考える人が多いだろう。こういう悩みを解決するには、どんな部屋を選べばいいのだろうか?

「多くの人の目に触れやすいところに窓が面していれば、防犯性が高まります。視認性の高い物件は、部屋の中を覗きながら歩くこともしにくくなるためです」。実際に、警察庁の調査(※)によると、侵入者が下見を行う際に気にすることは「人通りや人目が少なくないか」が1位となっている。ただし、夜間には明かりのついた室内は外からの視認性が否応なしに高まってしまうので、カーテンを引くなどの配慮は必要だろう。
※警視庁 住まいる防犯110番

では、セキュリティ面も考えつつ、プライバシーを保つなら、どんな物件を選べばいいのだろう? また住むときの注意点とは? 安全生活アドバイザーの佐伯幸子さんに聞いてみた。

「敷地内外の仕切りはブロック塀よりもフェンスのほうが人の目に触れやすく、防犯性が高まります。窓下の地面などに、足音が大きく鳴る防犯砂利が敷いてあるとさらにいいでしょう。また、浴室乾燥機や室内物干しが備わっていると、洗濯物を外に干さずに済むので盗まれるのを防げます」

入居してからできる工夫もある。「女性が選びそうな色柄のカーテンより、性別が分かりにくいものがオススメ。窓からの侵入を防ぐには、窓の上下に補助錠を取り付ければ安全性がアップします」

つまり部屋の選び方や、入居後の窓まわりのちょっとした工夫により、1階の安全性は大きく変わる。物件によってはメリットいっぱいのケースも多いので、一概にダメと決めつけず、幅広く検討してみるのがいいだろう。

ズバリ! 1階のメリットって?

1階の最大のメリットといえば、なんと言っても「家賃が安め」に設定されていること。同じ条件で2階以上の物件と比べた場合、「ワンルームの部屋でも数千円以上の違いが出ることがあります」。そして、家賃の安さ以外にもさまざまなメリットがあるのでまとめてみた。

●1階の主なメリット

□ 音のストレスから解放される(下の階に音が響くのでは?という気遣いが少なくてすむ)
□ エレベーターの待ち時間がない(通勤時間のラッシュ、点検時の運転停止による足止めがない)
□ 重い荷物を持っての移動がしやすい(ベビーカーを押して、買い物袋を持っての移動がラク)
□ 専用庭、床下収納があるケースも(1階ならではのプランを満喫)
□ 物件によっては、夏は涼しく過ごすことができる(冬の防寒対策にはさまざまな方法がある)
□ 玄関の近くに駐車場がある場合は、駐車場との行き来がしやすい

物件にはさまざまな条件があるため、一概にどんなタイプがいいとはいえないが、気になるポイントに対して解決策があり、なおかつ自分のライフスタイルに合っていれば、リーズナブルに大満足の部屋にたどり着くことができるかもしれない。1階を頭ごなしにNGと決めつけず、視野を広げ、後悔のない部屋探しを。

●取材協力
・大東建託株式会社
・安全生活アドバイザー 佐伯幸子

無駄な内見を回避!VRゴーグルで様々なスポットを見学できる「Warp」開始

あるはずのないものが、目の前に本当にあるかのように感じられるVR(仮想現実)の世界。そんな最新技術が不動産業界にも進出! VRを活用したシステムを開発しているOneStone株式会社(埼玉県所沢市)が、VRを使って物件の見学ができるサービス「Warp」を2017年12月4日に始動させた。スマホとVRゴーグルを組み合わせることで、誰でも簡単にVR見学ができるサービスだ。146477_sub01

この「Warp」をいち早く不動産仲介店舗での接客ツールとして活用している株式会社大興不動産(宮崎県宮崎市)には、続々と驚きと喜びの声が届いている。
地方への転勤・転居など、遠方での部屋探しは、なかなか実際の物件を見られないことも。そんな時にありがちなのが、「実物を見てがっかり」という体験。けれど「Warp」を利用したVR内見を実施している大興不動産では、そんな心配はもうない。「Warp」を利用した顧客からは「わざわざ見に行かなくてもいいですね」と利便性を評価するコメントが寄せられている。実際の内見をせずにVR見学のみで成約を決断する人も毎月着実に増えているという。

開発会社のワンストーンの担当者は、VRの一番のメリットを「写真では分からない雰囲気が体感できるという点」だと太鼓判を押している。部屋の広さや質感も、画像よりも圧倒的に高い精度で体感できるそう。それなら確かに、「写真では良かったけど、実際に見たらイメージと違った」といった残念な体験を減らし、効率よく物件が探せそうだ。

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ワンストーンの「Warp」を体験するためのシステムは非常にシンプル。
(1)VRで見学してみたいスポットをWebから選んで申し込み
(2)自宅に無料でダンボール製のVR用ゴーグルが届く
(3)専用アプリをスマホにインストールし、ゴーグルにセット
(4)さまざまなスポットをVRで確認できる

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見学できるスポットは、Warpの加盟企業に関する場所。開発会社のワンストーンは、今後は加盟店を増やし全国のさまざまなスポットをVR化したいと意気込んでいる。近い将来には転居先、旅行先、結婚式場、デート先などの大事な行き先を選定する際、忙しくて時間が無くても、Warpを使って効率的に自分に合った場所やプランを見つけられるかもしれない。

なお、加盟に必要な料金は、月額5,000円(税別)からWarpの基本システムが利用でき、プラス5,000円(税別)でVR用の特設サイトを自動で構築する機能を利用できる。

無駄な内見を回避!VRゴーグルで様々なスポットを見学できる「Warp」開始

あるはずのないものが、目の前に本当にあるかのように感じられるVR(仮想現実)の世界。そんな最新技術が不動産業界にも進出! VRを活用したシステムを開発しているOneStone株式会社(埼玉県所沢市)が、VRを使って物件の見学ができるサービス「Warp」を2017年12月4日に始動させた。スマホとVRゴーグルを組み合わせることで、誰でも簡単にVR見学ができるサービスだ。146477_sub01

この「Warp」をいち早く不動産仲介店舗での接客ツールとして活用している株式会社大興不動産(宮崎県宮崎市)には、続々と驚きと喜びの声が届いている。
地方への転勤・転居など、遠方での部屋探しは、なかなか実際の物件を見られないことも。そんな時にありがちなのが、「実物を見てがっかり」という体験。けれど「Warp」を利用したVR内見を実施している大興不動産では、そんな心配はもうない。「Warp」を利用した顧客からは「わざわざ見に行かなくてもいいですね」と利便性を評価するコメントが寄せられている。実際の内見をせずにVR見学のみで成約を決断する人も毎月着実に増えているという。

開発会社のワンストーンの担当者は、VRの一番のメリットを「写真では分からない雰囲気が体感できるという点」だと太鼓判を押している。部屋の広さや質感も、画像よりも圧倒的に高い精度で体感できるそう。それなら確かに、「写真では良かったけど、実際に見たらイメージと違った」といった残念な体験を減らし、効率よく物件が探せそうだ。

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ワンストーンの「Warp」を体験するためのシステムは非常にシンプル。
(1)VRで見学してみたいスポットをWebから選んで申し込み
(2)自宅に無料でダンボール製のVR用ゴーグルが届く
(3)専用アプリをスマホにインストールし、ゴーグルにセット
(4)さまざまなスポットをVRで確認できる

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見学できるスポットは、Warpの加盟企業に関する場所。開発会社のワンストーンは、今後は加盟店を増やし全国のさまざまなスポットをVR化したいと意気込んでいる。近い将来には転居先、旅行先、結婚式場、デート先などの大事な行き先を選定する際、忙しくて時間が無くても、Warpを使って効率的に自分に合った場所やプランを見つけられるかもしれない。

なお、加盟に必要な料金は、月額5,000円(税別)からWarpの基本システムが利用でき、プラス5,000円(税別)でVR用の特設サイトを自動で構築する機能を利用できる。