”地域との連携、管理活動と平行” 絶景マンション、ブリリア有明シティタワー【管理はつなぐ[11]】

かつては空地が多かったが、近年は開発が活性化し、次々と高層タワーが登場している有明エリア。同エリア内西部で、2015年に竣工したのが「ブリリア有明シティタワー」だ。ラウンジやスパ、ゲストルームなど、多彩な共用施設が最上階の33階に集まり、昼夜で趣の異なる絶景を楽しめる。【住民経営マンション・管理はつなぐ】
高い資産性を守って次世代に渡したい。都心住宅に暮らす人々の誠実な管理に学ぶ。『都心に住む』の人気連載からの転載記事です共用部の運用法見直しや地域の取り組みを積極展開

「33階の共用施設は、眺望が素晴らしいこともあって、利用者が多く活況です。資産価値の面でもこのマンション特有のポイントとしてとらえ、快適性と利便性の向上を図っています」(管理組合理事長、以下同)


例えば、1カ月先まで予約でいっぱいだというゲストルーム。以前は、その都度、予約可能か問い合わせる必要があったが、新たに1階コンシェルジュに案内掲示板を設置して空き状況を公開。急にキャンセルが出た際なども、タイムリーに利用希望者を募れるようになった。
33階にあるスパについては、利用者の多い夜間と土日に、同フロア内で受付を開設。わざわざ1階に立ち寄らなくても利用できるようにした。

最上階にある「テラスガーデン」。運河やタワー群など、ウォーターフロントならではの眺望を堪能できる(写真撮影/柴田ひろあき)

最上階にある「テラスガーデン」。運河やタワー群など、ウォーターフロントならではの眺望を堪能できる(写真撮影/柴田ひろあき)

「オーナーズスイート」と名付けられたゲストルームは全4タイプ。いずれにも写真のようなテラスが設置されていて、リゾートホテルのような趣になっている(写真撮影/柴田ひろあき)

「オーナーズスイート」と名付けられたゲストルームは全4タイプ。いずれにも写真のようなテラスが設置されていて、リゾートホテルのような趣になっている(写真撮影/柴田ひろあき)

暮らしやすさの向上やコミュニティ形成に対する意識が高い

 また、年に2回の防災訓練やクリスマスイベントの開催など、マンション内のコミュニティ形成にも積極的だ。
「有事の際の備えとして、管理組合理事や災害協力隊などを中心に、日ごろから居住者間のコミュニティ形成に努めています。約600戸も擁するマンションなので、こうしたイベントを通じてお互いに顔見知りになっていただき、安心感を醸成していきたいですね」
 ブリリア有明シティタワーは、周辺5棟のマンションと連合自治会を組織。理事長が自治会役員を兼務している。
「各マンションで共通のアンケート調査を実施した上で、自治会から行政に路線バスの運行ルート変更やダイヤ改正を申請し、実現させています。また、近くの有明スポーツセンターでマンション対抗運動会を開催するなど、一帯の交流活性化にも取り組んでいます」
 もとは住宅が少なく、近年になって住民が急増したエリアだからこそ、暮らしやすさの向上やコミュニティ形成に対する意識が高いのだろう。
「管理組合や自治会の活動は、住民一人ひとりが参加して初めて意味あるものになると思います。自分で購入した資産を自らの手で守り、より暮らしやすくしていくのは、当然のことですよね。この点を全員で共有することで、絆を強めていければと思っています」

1 階のメインエントランスを入ってすぐの場所に広がる開放的なラウンジ(写真撮影/柴田ひろあき)

1 階のメインエントランスを入ってすぐの場所に広がる開放的なラウンジ(写真撮影/柴田ひろあき)

マンションの外観。高い建物が隣接していないので、視界が開けている(写真撮影/柴田ひろあき)

マンションの外観。高い建物が隣接していないので、視界が開けている(写真撮影/柴田ひろあき)

1 階にあるキッズルーム。スペースを充てるだけでなく、子ども向けのデザインに仕上げてある(写真撮影/柴田ひろあき)

1 階にあるキッズルーム。スペースを充てるだけでなく、子ども向けのデザインに仕上げてある(写真撮影/柴田ひろあき)

建築・住宅計画等を専門とする東京大学教授 大月敏雄氏が語る建築家の視点
最上階に共用施設を集約した設計は、多くの入居者からの求心力が高まるという意味でも秀逸だ。その上で使い勝手をさらに向上させているのも素晴らしい。
理事会や総会での協議に先だって、事前にアンケート調査を実施することが多いと聞いた。入居者の家族構成やライフスタイルは刻々と変化するものだし、大規模物件であればもともと多種多様な世帯が集まっている。あらかじめ家庭内で話し合って出た結果を、入居者の総意に反映させられるのはとても有意義だ。
昨年からWEBサイトやFacebookページを立ち上げ、物件自体や有明エリアの資産価値向上にも努めているそうだが、住民の当事者意識を高める上でも効果的だと思う。.エントランスで開催されたクリスマス会の様子(写真提供/ブリリア有明シティタワー管理組合)

.エントランスで開催されたクリスマス会の様子(写真提供/ブリリア有明シティタワー管理組合)

理事は全15名。任期は4 年を最長4年。個々が任意に決められる。4 つの専門部会を常設しているが、夏祭り実行委員やクリスマス実行委員など、必要に応じて期間限定の組織も設置する

理事は全15名。任期は最長4年。個々が任意に決められる。4 つの専門部会を常設しているが、夏祭り実行委員やクリスマス実行委員など、必要に応じて期間限定の組織も設置する

※この記事は『都心に住む』2018年4月号(2018年2月26日発売)からの提供記事です
※管理組合のルールや方針は変更される場合があります

物件DATA
江東区有明/2015年/地下1階・地上33階建て/総戸数601戸/分譲時売主:東京建物、住友不動産/設計・施工:三井住友建設/取材協力:ブリリア有明シティタワー管理組合、住友不動産建物サービス

THE TOKYO TOWERS “100年続くマンション”を目指す【管理はつなぐ[10]】

マンション開発が活発な中央区勝どきエリアで、2008年に完成したTHE TOKYO TOWERS。1300戸を超える超高層タワーが2棟あり、スポーツ施設が入った別棟をはじめ、マンション内にはカフェやエステ、ライブラリーなど、実に多彩な共用施設が設置されている。【住民経営マンション・管理はつなぐ】
高い資産性を守って次世代に渡したい。都心住宅に暮らす人々の誠実な管理に学ぶ。『都心に住む』の人気連載からの転載記事です住み心地を向上させるには、ビジョンが必要

「現在、管理組合では、THE TOKYO TOWERSが目指すべきビジョンについて検討中です。入居者の総意として言語化された方針があれば、誰が理事になっても一定の価値観のもとで意思決定できると考えました」(理事長の友枝敦氏)

そこで友枝氏は、理事会内に「ビジョン検討委員会」を新設。100年続くマンションを目指そうという想いから、この委員会を“100マン会”と呼んでいる。現在は、協議に入る前の準備段階として、有識者を講師に招いたパネル検討会などを開催。入居者にビジョン策定の意義や必要性を認知してもらおうと活動している。

シータワーの49・50階にある「スカイラウンジ」

シータワーの49・50階にある「スカイラウンジ」


ビジョン策定に向けた活動の一環として有識者を招聘して開催されたパネル検討会(写真撮影/中垣美沙)

ビジョン策定に向けた活動の一環として有識者を招聘して開催されたパネル検討会(写真撮影/中垣美沙)

管理組合と自治会が連携 コミュニティフェスティバルを共催

なお、建物の維持管理を担う管理組合のほかに、コミュニティ活動推進の担い手として自治会がある。自治会では、地元にある住吉神社の例大祭参加や入居者のクラブ活動支援など、さまざまな取り組みを精力的に展開中だ。「中央区の地域コミュニティとコラボしたドラゴンボートの体験会や、クルーザーをチャーターした東京湾クルーズの開催など、クラブの活動内容は多種多様です。

また、隣接した晴海エリアでは2020年東京五輪に向けて選手村の整備が進んでいるので、大会中の警備のあり方について、地元の警察や消防と協議を進めているところです」(自治会長・高崎泰典氏)

地域と協力しつつ、マンション周辺の安全確保にも取り組んでいるわけだ。また、管理組合と自治会は、連携も強化している。一例が、入居者や周辺住民の交流の場として自治会が主催している恒例行事「コミュニティフェスティバル」だ。管理組合は昨年まで後援だったが、今年は共催になったことで、プログラムの内容や種類を拡充でき、ボランティア留学生の協力を得ることもできたという。

「THE TOKYO TOWERSの資産価値にソーシャルキャピタルも組み込むことが、自治会と管理組合で共有している目標です。その結果、安心感や暮らし心地を高めていければ素敵ですよね」(友枝氏)

自治会主催の「コミュニティフェスティバル」。さまざまなステージイベントのほか、屋台の出店などもあって毎年活況

自治会主催の「コミュニティフェスティバル」。さまざまなステージイベントのほか、屋台の出店などもあって毎年活況


シータワー3 階にある「ライブラリー」。隣接して、個人ブースが並ぶ「スタディルーム」もある

シータワー3 階にある「ライブラリー」。隣接して、個人ブースが並ぶ「スタディルーム」もある


敷地内の別棟「シーサイドアネックス」には、フィットネスジムやプール、ジャグジーなどが入っている(写真撮影/中垣美沙)

敷地内の別棟「シーサイドアネックス」には、フィットネスジムやプール、ジャグジーなどが入っている(写真撮影/中垣美沙)

建築・住宅計画等を専門とする東京大学教授 大月敏雄氏が語る建築家の視点
マンション全体で目指すべき方向性を定め、そこに沿ってコミュニティ形成やハードの維持管理にあたるという考え方は、実に素晴らしい。また、理事長・自治会長共に中央区主催のコミュニティ養成塾に参加なさったそうだが、コミュニティのあり方について自発的に学ぼうという積極性には敬服する。長期的なビジョンを定めて管理にあたるという例は珍しいので、ぜひ実現させていただきたい。
なお、共用施設が多彩に提供されているのは大規模マンションの魅力のひとつだが、各施設をいかに柔軟に運営していけるかは、将来的な課題になると思われる。運用見直しに着手する条件やタイミングなどを、予め設定しておくのもいいかもしれない。マンション内のロビーでも水辺を身近に感じられる(写真撮影/中垣美沙)

マンション内のロビーでも水辺を身近に感じられる(写真撮影/中垣美沙)

理事会は17名で構成。その中に4つのチームを設置し、理事はいずれかに所属する。必要に応じて専門委員会も組織している。コミュニティ活動推進を担う自治会組織は、取り組みによって理事会内のチームや専門委員会と連携

理事会は17名で構成。その中に4つのチームを設置し、理事はいずれかに所属する。必要に応じて専門委員会も組織している。コミュニティ活動推進を担う自治会組織は、取り組みによって理事会内のチームや専門委員会と連携

※この記事は『都心に住む』2018年2月号(2017年12月26日発売)からの提供記事です
※管理組合のルールや方針は変更される場合があります

物件DATA
所在地:中央区勝どき/2008年完成/地下2 階・地上58階建て(2棟とも)/総戸数2794戸(うち賃貸部813戸)/分譲時売主:オリックス不動産、東急不動産、住友商事、THE TOKYO TOWERS特定目的会社/設計:住友商事/施工:前田建設工業・大成建設/取材協力:THE TOKYO TOWERS管理組合・自治会、住商建物