コロナ禍で犯罪も変化。おうち防犯をアップデートしよう

新型コロナウイルスの影響で、テレワークのための在宅時間が増えるなど、今までと違う暮らし方が浸透しつつありますが、それに伴って住まいや人を狙う犯罪も大きく変化しているといいます。今回は防犯ジャーナリストの梅本正行さんに、犯罪手口の変化と防犯対策を聞きました。
マスクの着用や在宅時間の増加を利用した犯罪が増加中

2020年、新型コロナウイルスの影響で、かつてないほど暮らしが変わりました。防犯ジャーナリストの梅本さんは、この変化と犯罪の影響について以下のように指摘します。

(1)マスクをしている人が増え、警戒が難しい

新型コロナウイルス対策で、マスクをしていることが当たり前になりました。犯罪の下見をしていても人相がばれにくく、周囲に怪しまれにくいため、犯罪を企てる人にとっては好都合なのだといいます。「現在、世界中で課題となっています」(梅本さん、以下同)

ただ、新型コロナウイルスの対策として、当面、マスクは手放せそうにありません。
「常日ごろから周囲をよく観察し、周辺に見たことのない人物はいないか警戒をしましょう。歩きながらのスマホはやめ、イヤホンははずし、バッグは道路の反対側に持つなど、『警戒しているぞ』という気配を出し、生活の仕方を工夫することで、犯罪に巻き込まれる可能性を下げられます」

家に帰宅するとき、また家を出るときにも同様の「警戒心」が大事になるそう。
「マンションでは、共用廊下のくぼみなどに潜んで待ち伏せし、出社時に玄関扉があいたスキを狙って、部屋に押し入った事件がありました。玄関扉を開閉するときは緊張感を忘れずにいたいですね」

アパートの内廊下の写真

マンションやアパートでは、玄関扉を開閉するときはいっそう注意したいところ(画像/PIXTA)

(2)在宅時間が増え、特殊詐欺・訪問盗も増加中

外出自粛で高齢者の在宅時間が増加し、高齢者が孤立したところに、特殊詐欺やなりすまし詐欺の電話が入ることが増えました。また、新型コロナウイルスに便乗した検査や還付金詐欺、ガスなどの点検を装って家を訪れる「訪問盗」も多発しています。

「高齢者だけで暮らしているのであれば、固定電話を【出ても良い。出ない方が良い。がランプの色で分かる】という防犯電話機能付きに機種変更しておきましょう。高齢者がその場で判断をしなくてよくなり、それだけ犯罪に巻き込まれずに済みます。また、自宅に点検が来たとしても、玄関の外で待ってもらい、会社・役所に電話をして本当に点検の予定があるか確認すると伝えたり、実際に電話をして確認するとよいでしょう。本物の業者なら必ず待っていてくれます。怪しいなと思ったら、とにかく施錠・ドアガードをかけた状態を徹底して、対応するようにしましょう」

昔ながらの物件の玄関では、互い違いの「引き戸」になっていることも多いはず。その場合は片方の扉に施錠し、施錠していない方の戸のレールに戸1枚分の横幅より少し短い棒を置いて「突っ張り棒」のような状態として、「ドアガード」を自作するのがおすすめだといいます。

引き戸の写真

引き戸は、突っ張り棒を使ってドアガードを自作することもできる(画像/PIXTA)

(3)宅配便やデリバリーサービスが当たり前に

買い物を避けるため、通販やデリバリーサービスを使う人が増加し、マンションでも一戸建てでも、配送業者が敷地に入っても怪しまれにくい状況が続いています。前述の通り、訪問盗も紛れ込みやすく、また、敷地内に置いた荷物(いわゆる置き配)を狙った犯罪も増えているそう。

「宅配ロッカーを利用するなどして、建物内に外部の人間が入れないようにするほか、荷物は配送時間の事前通知や写真による配送完了通知などの防犯対策を。対面で荷物を受け取りたくない人は、配達通知があったらすぐに荷物を受け取るなどすれば、盗難被害を防げます。デリバリーだからといって安心するのではなく、警戒心を持って、ドアガード越しに『そこに置いてください』といい、帰ったあとに食品や荷物を受け取る方法も有効です」

また、上記にあげた以外の変化として、感染を恐れてレンタカーやカーシェアリングで移動する人が増えた点をあげ、「今までレンタカーを利用する人は限定的でしたが、今では当たり前となりました。犯罪やその下見にレンタカーを使うケースは以前から多かったのですが、利用者が増えたことで、近くに「わ」ナンバーの車が停まっていても警戒しにくくなった、こうした変化も、犯罪の取締りを難しくしています」(梅本さん)

ちなみに、最近では交通系ICカードをお財布に入れている人が多いため、バッグの手に取りやすい場所にお財布があることが多く、スリの標的になっているとか。
「スマホやICカードで、決済する人が増えましたが、これもお財布と同じ機能を持つため狙われています。注意してほしいですね」

カバンの中を探す人

最近では、お財布やスマホ、ICカードなどがかばんのとりやすい場所にあるため、スリの標的になっている(画像/PIXTA)

在宅時間が増えたのは子どもも同じ。どうやって守る?

(4)子どもだけの在宅を狙った犯罪も

在宅時間が増えたのは、大人だけでなく子どもも同じです。また、「買い物は最少人数で」と呼びかけられていることもあり、子どもだけの「留守番」も増加しているため、その時間帯を狙った犯罪者もいるそう。

「子ども狙う犯罪は、家だけでなく周囲に大人がいる・大人の気配がするだけで防げるもの。子どもだけで留守番させるときは、『今、お母さん(お父さん)は、手が放せないのであとにしてください』と言わせましょう。よく『居留守』を使って、無視しなさいという人がいますが、すると犯罪者が留守だと思って侵入することも。そこで、インターホン越しで対応させ、『手が離せない』と言うことで、大人がいることを匂わせることができます」

最近では、スマホと自宅のインターホンを連動させる機能が付いた商品が登場しているので、外出先から親が対応するという手段もよいでしょう。実は、子どもを狙った犯罪を企てるのは、見知らぬ人ではなく、近所の人など顔を見知っている人が多いのです。

「昔、言われた『知らない人についていかない』では対策になりません。『家を一歩出たら、家族以外についていってはダメ』と言い聞かせましょう。また、被害にあっても、子どもは親に怒られると思って話をせずに、被害が拡大するケースも。日ごろから親子でなんでも話せるような親子の信頼関係が大切です」

話し合う親子

子どもは被害を話すと親に怒られると思い、言い出せずにいることも。日ごろから何でも話せるような、親子の信頼関係が大切(画像/PIXTA)

(5)子どもがインターネットに接する時間が増えた

自宅で過ごすことが増えた子どもたちは、デジタルネイティブ世代で、ネットやネットゲームがあるのは当たり前です。そこで悪意を持った大人と接触し、事件や事故に巻き込まれることもあるといいます。

「子どもがスマホやタブレット端末、ゲーム端末で何をしているか、知らない…。残念ながらよく聞く話です。また、親が使っていたお古のスマホをアプリも入れたまま与える人もいるようです。さらに、携帯各社が用意するフィルタリング機能や利用制限などの見守り機能を活用できておらず、外部の人と接触してしまい、言葉たくみに連れ出されることも。親がITリテラシーを高めて、子どもが使えない環境にしておきましょう」

内閣府もフィルタリングについては、万能でないとしつつも「親子でフィルタリングの特徴や機能を正しく理解して、インターネットの利用ルールについて考えて」と推奨しています。機能だけでなく、ルールやマナーについて話し合っておく・話せる環境にしておくというのがよさそうです。

犯罪を企てる人は衝動的に行動するのではなく、意図を持って・念入りに準備し、油断したスキをたくみについてくるといいます。
「今回、解説した通り、現状としてマスクやレンタカーで素性を隠しやすい、SNSで犯罪仲間を募りやすいといった側面があります。社会の状況の変化に応じて、犯罪も変化しているのです。被害に遭う前に警戒を怠らず、賢く『防犯生活』を送ってください」(梅本さん)

これから何かと慌ただしくなる年末です。「昨日まで何もなかったから平気~」ではなく、もう一度、気を引き締めて1年を締めくくりましょう。

家を手に乗せている人

時代にあわせて、家族全員で防犯対策をアップデートしていこう(画像/PIXTA)

●取材協力
防犯ジャーナリスト 梅本正行さん
一般社団法人 日本防犯学校学長。長年、警察署で署員特別教養講師を務めるなど、防犯対策のエキスパートとして知られる。防犯対策責任者の育成のため養成講座を開講。地域の防犯ボランティアや防犯住宅を造る工務店の育成を目指し全国で活躍中。近年、防犯アパート・マンションの普及に力を注いでいる。テレビ出演等を通じて予知防犯対策を提唱している

防犯×ランニング!? 走りながら街を見守る「パトラン」って?【全国に広がるサードコミュニティ1】

みなさん、走るのはお好きでしょうか? スポーツジムも閉鎖が余儀なくされ、長期化するリモートワーク(テレワーク)で体がなまっている人々でも気軽に始められるランニング。実はこのランニングのついでに、地域の防犯パトロールをしてしまおうというグループが全国に増えています。連載名:全国に広がるサードコミュニティ
自宅や学校、職場でもなく、はたまた自治会や青年会など地域にもともとある団体でもない。加入も退会もしやすくて、地域のしがらみが比較的少ない「第三のコミュニティ」のありかを探ります。 運動しながら街を見守る。一石三鳥のパトロール&ランニング

通勤通学のアクセスの良さ、買い物のしやすさ、家賃の手ごろさだけではなくて、そのエリアにどんな出会いがあるか、プライベートをともに過ごすどんなコミュニティが見つかるか? が新しい場所に住む人にとって重要な選択肢になりつつあると感じます。家族・学校・職場とは別に、気のおけない仲間がいる居場所を求めている人は多いのではないでしょうか。
この連載では、家族・学校・職場を第一のコミュニティ、町内会や自治会など地域に暮らしていく際に避けては通れない古くからある団体を第二のコミュニティとすると、趣味や関心で集い、入会も退会も自由で、ゆるやかに地域活動に参加できるもう一つのコミュニティを「第三のコミュニティ(サードコミュニティ)」と捉え、紹介していきます。
第1回目は、福岡で始まり、全国に広がりつつある「パトラン」という取り組み。最近、土曜ランニングの会など、近所に住む人同士で集合して目的地を決め、仲良くランニングする同好会などがちらほらと生まれてきていますが、せっかくならランニングついでに地域の防犯・防災見回りもしてしまおう! という一石二鳥?三鳥? な活動が「パトラン(パトロールランニング)」なのです。

パトランWEBSITE(パトランHPより)

パトランWEBSITE(パトランHPより)

パトランの仕組みはシンプルで、やりたいと思い立ったら、パトランのウェブサイトを通じて会員登録するだけ会費を徴収しない代わりにパトランユニフォームを購入してもらい、それを着て走ればOKです。全国どこからでもスタートできる手軽さから、全国にパトラングループが増えています。単独でのパトランもOKです。

街中を走っていると、普段気づかないいろいろなものに目が止まります。しかし、パトランはまちのパトロールを目的としているため、交通事故の現場にでくわしたときは、警察に電話したり、救急車を呼んだり、運転手のサポートをしたりと、不測の事態にも迅速に対応しています。
もちろん、最低限、交通規範を守る、とか挨拶をする、などのルールはあるのですが、パトロールの仕方(方法)は各地の事情に合わせて自由に行われます。自治会と共同で防犯・見回りを行うグループ、電気の切れた街頭を探して自治体に報告する沖縄のグループなどさまざま。警察や行政と正式にパートナーシップを組んで活動するチームまでいるそうです。
このように、各地の工夫を参考にしたい人は会員限定のFacebookグループ「パトランJAPANグループ」でメンバーの活動を参考にしたりできるほか、ウェブサイトからダウンロードできる活動マニュアル「パトラン虎の巻」を読むこともできます。

パトランユニフォームのTシャツ。赤くて目につきやすい(画像提供/認定NPO法人改革プロジェクト)

パトランユニフォームのTシャツ。赤くて目につきやすい(画像提供/認定NPO法人改革プロジェクト)

仲間と始めた自主的な活動が話題を集め全国規模に

このパトランという取り組みをスタートしたのは、認定NPO法人改革プロジェクト代表の立花祐平さん。大学卒業後、大阪のIT企業に勤めていた立花さんは、入社3年を機に独立。Uターンで地元の福岡に戻り、アルバイトをしながら、冒険家を志していました。 
そんなある日、ふと訪れた沖縄の離島で、海岸沿いにゴミが散乱している様子を見た立花さん。もともと自然が好きだったこともあって、観光客が我関せず、な様子に違和感を覚えたそう。

「じゃあ実際、地元の福岡はどうだろう、と帰って海を見にいくと、同じようにゴミが散乱していました。漠然と、今できることからしたいなと思って友人たちとゴミ拾いをはじめました。これが現在のNPOの活動につながっています」(立花さん)

パトランを立ち上げた認定NPO法人改革プロジェクト代表の立花祐平さん(画像提供/認定NPO法人改革プロジェクト)

パトランを立ち上げた認定NPO法人改革プロジェクト代表の立花祐平さん(画像提供/認定NPO法人改革プロジェクト)

アルバイトをしながら地域の清掃活動に取り組む日々を送る中、知人の女性が自宅に帰る道で不審者による被害があり、清掃活動だけでなく防犯活動も始めてみようと思い立ったそうです。そこで、海沿いの街・宗像で見回り活動もしながら走ってみよう、と仲間と始めたのがパトランでした。
大きな転機となったのは、全国からソーシャルな取り組みを募集する住友生命の「YOUNG JAPAN ACTION」プロジェクトに応募したこと。

「もともと地元福岡の宗像という地区だけでやっていた自主的な活動だったのですが、なんとグランプリの一つに選ばれたんです。それがきっかけで多くの人にパトランを知ってもらい、全国で活動をやりたいという人たちが増えてきました」(立花さん) 

そこでSNSで「パトランJAPAN」のグループをつくり、全国の仲間が活動できるプラットフォームを準備しました。少しづつ活動の輪が広がり、今では全国38の都道府県に1,800人を超えるメンバーがいます。
「いわゆるランナーの人たちって横のつながりがとても強いです。全国のマラソン大会に出場したりして、地域が離れた人同士でもつながっている。もともと僕らはランニングは素人で始めたのですが、ランナーのコミュニティと接点ができて一気に広がったかたちですね」(立花さん)

パトラン中のゴミ拾いの様子。防犯だけでなく清掃も(画像提供/NPO法人改革プロジェクト)

パトラン中のゴミ拾いの様子。防犯だけでなく清掃も(画像提供/NPO法人改革プロジェクト)

自治会など既存の団体との温度差を埋めるには?

しかし、宗像でパトランを始めたころは地元の理解を得るのに苦労したそうです。

「地方は少なからず閉鎖的な面があるので、若者が集まって何かやると白い目で見られたり、いい迷惑だといって地元企業からメールが届いたこともありました。でも、自分たちの活動に社会的意義があると感じていたので、やはりやり続けないとだめだな、と思い3年は続けるつもりでがんばりました」(立花さん)

もともとある地域団体(自治会や町内会)=セカンドコミュニティは当然、防犯や防災に関する取り組みをしています。しかしどうしても、年配の方が多く、新しい住民や自治会に参加してない若者が入りづらいのが現状です。「地域のために何かしたい」と潜在的に考えている人が多い中、誰でも入れていつでも抜けられる、そんな気軽な活動=コミュニティがあることで地域参加の幅が広がると感じています。

「やはり平日は職場と自宅を行ったり来たりで地元に居場所がない人は多いです。また、パトランは既存の地域団体と基本的には一緒にやっていきましょうというスタンスなので、高齢者のグループと一緒にスタートしたりするチームもいます。あるメンバーが、パトランを通じて地域で活動することに抵抗がなくなった“慣れた”とおっしゃっていて、そこから町内会や自治会にも積極的に関わるように顔を出すようになったそうです」(立花さん)

全国に広がるパトランチーム。各チームごとに活動エリアや活動場所を決めて行っています(画像提供/NPO法人改革プロジェクト)

全国に広がるパトランチーム。各チームごとに活動エリアや活動場所を決めて行っています(画像提供/NPO法人改革プロジェクト)

また、既存の地域団体は基本的に、行政区画に縛られて活動しています。一方パトランチームは行政区画をまたいで活動することが多い。広域で防犯や防災意識を高めたりする団体はあまりないため、既存の町内会や自治会とうまく共存できていると立花さんは言います。

マラソン大会に参加したり、冒険イベントを開催したり。広がるパトランの可能性

パトロールしながら走っていると面白いのは、地域のいろいろな課題が見える化していくところ。冒頭でちらっと紹介した沖縄で活動するメンバー(※)は、ランニングのついでに、切れた街灯を見つけては地元の行政に連絡を入れているそうです。
「他の地域でも見つけたら行政に報告しましょうというルールを設けていますが、なかでも沖縄は一番多くて、年間5~600件の街灯切れを見つけています。自転車の不法投棄なんかも見つけます。防犯だけじゃなくいろいろな面でパトランが地域の役に立つ瞬間は多いと感じています」(立花さん)

パトラン中、電気の消えた街灯を見つけたり、不法投棄を見つけては行政に連絡をしているそう(画像提供/NPO法人改革プロジェクト)

パトラン中、電気の消えた街灯を見つけたり、不法投棄を見つけては行政に連絡をしているそう(画像提供/NPO法人改革プロジェクト)

パトランJAPANは基本的に寄付で成り立っています。大きな寄付元としては毎年開催されている大阪マラソン。他にも、マップに沿ってスタンプラリーしながら走れる「冒険型マラソン」を仕掛けたりもしています。こういう全国規模の大会で全国のチームやメンバーが交流し、より一層コミュニティの結束を高めています。

「今までにないマラソンをつくりたくて。せっかく環境や防犯をテーマにした取り組みなので、社会貢献の要素をマラソンに組み込みたい。フィールド内に、社会貢献につながるゾーンや散策できるスポットを設定しておき、ミッションをクリアすることで得点を稼いでいく。RPGゲームのような世界観をマラソンで表現しています(笑)。第一回目の今年は新型コロナウィルスの影響で開催できなかったんですが、来年度も実施する予定です。今後も仕掛けていきたいと考えています」(立花さん)

毎年、大阪マラソンに全国からパトランチームが集まる(画像提供/認定NPO法人改革プロジェクト)

毎年、大阪マラソンに全国からパトランチームが集まる(画像提供/認定NPO法人改革プロジェクト)

宗像市で開催予定だった冒険型マラソン。コロナウィルスの影響で中止となった(画像提供/認定NPO法人改革プロジェクト)

宗像市で開催予定だった冒険型マラソン。コロナウィルスの影響で中止となった(画像提供/認定NPO法人改革プロジェクト)

地域活動って、楽しくないと続かないと思いませんか? パトランの面白いところは、仲間たちと楽しく走るというのが前提になっているところ。そのついでに地域貢献を行うところがポイントです。「地域のためになにかしなきゃ」とか、「住んでいるのに何もできてない」という負い目を感じている多くの人にとって、パトランのような気軽に参加できて、気分が乗らなければ参加しなくてもいいコミュニティの存在は大きな助けになるのではないでしょうか。 
一見、仲間たちで楽しく遊んでいるようなコミュニティも、有事の際に連絡網として機能したり、日ごろからの何気ない見回り活動が役に立つ瞬間があると思います。そんなコミュニティが複数存在することで、地域の柔軟性や寛容性、災害の際の回復可能性(レジリエンス)を高めると僕は考えています。
家族や学校、職場など(=ファーストコミュニティ)でもなく、柔軟性や多世代交流の場としては停滞している既存の地域団体(=セカンドコミュニティ)ではなく、第三のコミュニティが各地に増えていくことがこれからの地域社会にとって重要なテーマだと思います。今後も全国各地のユニークな「サードコミュニティ」を取り上げていきます。どうぞお楽しみに!

※パトランチームは一定の基準を満たして設立しています。沖縄はチームではなく個人単位で活動しています。
現在のチームは全国で15チームのみとなります
詳細:パトランチーム

●取材協力
認定NPO法人改革プロジェクト
●関連サイト
パトラン

留守になりがちな大型連休中の我が家、防犯は大丈夫?

連休の中でも大型となるGWの10連休が、いよいよ目前に迫ってきた。「『今年はたっぷり旅行をしよう』とか、『普段できないことにチャレンジしよう』とか考える、日本人のなんと多いことよ」という印象だ。実際に10連休をどう過ごすのか、留守になる自宅の防犯は大丈夫かなど、大型連休ならではの注意点について考えていこう。【今週の住活トピック】
「大型連休の防犯・防災に関する意識調査」を発表/ALSOK10連休のゴールデンウィークの過ごし方は?

ALSOKの「大型連休の防犯・防災に関する意識調査」で、2019年のゴールデンウィークは何連休になるか聞いたところ、半数を超える53.0%の人が10連休と回答した。平均すると6.5連休だったという。やはり多くの人がしっかり休むようだ。

その大型連休では何日くらい留守にするのかを聞いてみると、意外にも連休中の外出の平均は2.0日間。外出しない「おこもり派」が43.0%を占めた。

連休中、何日間くらい家を留守にする予定ですか(単数回答)(出典/ALSOK「「大型連休の防犯・防災に関する意識調査」」より転載)

連休中、何日間くらい家を留守にする予定ですか(単数回答)(出典/ALSOK「「大型連休の防犯・防災に関する意識調査」」より転載)

実は、インターワイヤードが運営するネットリサーチDIMSDRIVEの「大型連休の過ごし方」の調査でも、2019年春の大型連休は「自宅でくつろいで過ごす」が37.5%(複数回答)で最多となっている。「国内旅行」は12.3%、「海外旅行」は2.7%と思ったより多くはない。とはいえ、実家に帰省したり、運動・文化活動で外出したり、買い物や外食で出かけたりと、家を留守にする機会も多いことがうかがえる。

近所も不在になりがちな10連休の留守宅の防犯は?

ALSOKの調査で、「ゴールデンウィーク中、家を留守にすることについて不安」の有無を聞いたところ、不安を感じている人が42.5%(「とても不安を感じる」11.2%+「やや不安を感じる」31.3%)もいた。

「大型連休になることで、外出するにあたって気になること」を聞くと、「玄関扉の鍵を閉めたか」(41.7%)、「全ての窓の鍵を閉めたか」(30.5%)が上位に挙がり、留守宅の空き巣に対して警戒して、扉や窓の施錠を気にしていることが分かる。

大型連休になることで、外出するにあたって気になることはありますか(複数回答)((出典/ALSOK「「大型連休の防犯・防災に関する意識調査」」より転載)

大型連休になることで、外出するにあたって気になることはありますか(複数回答)((出典/ALSOK「「大型連休の防犯・防災に関する意識調査」」より転載)

大型連休で「あれもしたいこれもしたい」と楽しみにしている人も多いが、泥棒も「留守宅が増えて稼げる」と期待しているかもしれない。

玄関や窓の施錠はもちろんのこと、留守宅だと簡単に分からないように注意を払う必要もある。最近では、SNSの「これから旅行です」といった投稿などから長期不在の情報を得て、発信時の位置情報から自宅を探り当てる泥棒もいると聞く。外出先でいかに楽しむかに頭が行きがちだが、留守宅のことも忘れずに考えておきたい。

ALSOKでは、防犯チェックリストを掲載しているので、参考にするとよいだろう。

長期連休などお出掛け前の防犯チェックリスト((出典/ALSOK「「大型連休の防犯・防災に関する意識調査」」より転載)

長期連休などお出掛け前の防犯チェックリスト((出典/ALSOK「「大型連休の防犯・防災に関する意識調査」」より転載)

大型連休の「おこもり派」にだって、注意点はある!?

ネオマーケティングが実施した、アンケートサイト「アイリサーチ」の登録モニター(25歳~49歳の東名阪に住む子どもと暮らす既婚者1200人)に対する「ゴールデンウィークと料理に関する調査」では、子育てママの悲鳴も聞こえる結果が見られた。

「あなたはゴールデンウィークが嬉しいですか」と聞いたところ、父親は66.9%が「嬉しい」と回答したのに対し、母親は45.7%しか「嬉しい」と回答しておらず、その差が目立つ。どうやら、ゴールデンウィーク中に「料理をできるだけ作りたくない」と思っている子育てママが多いようなのだ。

母親に対して「ゴールデンウィークについてあてはまるもの」を聞くと、「料理をできるだけ作りたくない」77.7%、「献立を考えるのが大変だ」76.9%、「料理を作る機会が多いので大変だ」69.5%など、料理に関わることに回答が集中した。

このことを踏まえて、大型連休の機会に、家族みんなで料理を作ったり料理休業日を設けたりといったことに、取り組んではどうだろう?

<まとめの文>
さて、自由な時間が手に入るのが大型連休だ。「やりたい」と思っていたことにチェレンジする、よい機会だろう。自分のやりたいことに熱中してほしいが、身近な人への気配りや感謝の気持ちを表すことも忘れずにいたい。

そして外出するときは、自宅の施錠など防犯に注意を払い、空き巣被害に遭わないようにしてほしい。

油断大敵!住宅セキュリティに潜むワナ?わが身を守る防犯の心得

マンションやアパートなどの集合住宅では、オートロックや防犯カメラなどのセキュリティがしっかり守ってくれるから安心。そう思っていませんか?確かに住宅で起こる犯罪の認知件数は年々減少傾向にあります(警察庁「捜査活動に関する統計」より)。しかし一方で、ちょっとした油断が犯罪者を手招きしているのも事実なのです。そこでわが身の安全と、住まいの安心を守るためのポイントを、「防犯優良賃貸集合住宅」をモデルに探ってみました。
あなたの住まいは本当に安全?犯罪の1/4は住宅で起こる

近年、新築マンションならオートロックは当たり前、低層の賃貸アパートでもオートロックを備える物件が増えています。さらには玄関錠や窓ガラス、インターホンなども進化し、住宅の防犯性能は年々向上していると言えるでしょう。

事実、2012年度の住宅における犯罪の認知件数は34万413件に対し、2016年度は27万8110件と、減少傾向にあります。しかし犯罪総数に対して住宅で起こった犯罪の割合で見てみると、2012年度は24.2%だったのに対し、2016年度は27.9%。セキュリティは向上しているはずなのに、住宅で犯罪が起こる確率は増加しているのです。

それではなぜ、住宅での犯罪発生率は増えたのでしょうか。次は住宅侵入犯の手口から、住宅セキュリティの落とし穴に迫ります。

【グラフ1】(出典:警察庁「捜査活動に関する統計」をもとに作成)

【グラフ1】(出典:警察庁「捜査活動に関する統計」をもとに作成)

【グラフ2】(出典:警察庁「捜査活動に関する統計」をもとに作成)

【グラフ2】(出典:警察庁「捜査活動に関する統計」をもとに作成)

住宅セキュリティの過信は禁物!その油断、侵入者は見ています

住宅に侵入した窃盗犯の大半が窓か出入り口から侵入しています。特に一戸建てと3階建て以下の共同住宅では50%以上の犯人が窓から侵入しているのです。ピッキングやサムターン回しといった玄関の解錠対策はしていても、窓からの侵入は対策がおろそかになりがち。ちゃんと戸締りしていれば安心、とはいきません。

近年は簡単には割れない防犯合わせ複層ガラス窓や防犯フィルムなど、防犯対策を施した窓も増えています。また、窓ガラスに穴を開ければ簡単に解錠できるクレセント錠ではなく、鍵や暗証番号で解錠するタイプに変更するなど、住まいの安心を守るためには窓の防犯意識を高める必要がありそうです。

【グラフ3】警察庁(出典:住まいる防犯110番「手口で見る侵入犯罪の脅威」)

【グラフ3】警察庁(出典:住まいる防犯110番「手口で見る侵入犯罪の脅威」)

それなら「窓からの侵入を防ぐだけならマンションの上層階に住めばいいのでは?」と思いますよね。しかし4階建て以上の共同住宅で起こった侵入窃盗の1/3が窓からの侵入によるものです。隣接するビルの外階段や雨どい、屋上からバルコニーに侵入するなど、その手口は実にさまざま。油断も隙もあったものではありません。マンションの高層階は一度侵入さえしてしまえば、かえって外から発見されにくいということも、侵入を助長する一因となっているようです。

さらに4階建て以上の共同住宅で最も侵入を許しているのは、エントランスです。オートロックがあるから安心と思っていても、ロックを解除した住民に続いて堂々と侵入する、ドアの外から開けられなくても内側のセンサーを誤作動させるなど、オートロックを破る手口は認知されているだけでも多岐に亘ります。

オートロックや高層階であることを過信して、家の玄関や窓を施錠しないで、ちょっと買い物やゴミ捨てに出た数分の隙、そこを侵入者は逃しません。さらに一つの住戸が侵入を許すと、バルコニー伝いに同じフロアの住戸数軒が同時に侵入される、いわば二次被害を引き起こすのです。

2016年-住宅種別ごとの侵入窃盗の侵入口

【グラフ4】警察庁(出典:住まいる防犯110番「手口で見る侵入犯罪の脅威」)

【グラフ4】警察庁(出典:住まいる防犯110番「手口で見る侵入犯罪の脅威」)

2016年-住宅種別ごとの侵入窃盗の侵入手段

【グラフ5】警察庁(出典:住まいる防犯110番「手口で見る侵入犯罪の脅威」)

【グラフ5】警察庁(出典:住まいる防犯110番「手口で見る侵入犯罪の脅威」)


※合かぎ:合かぎを使用して施錠を開けるもの。使用した合かぎが窃取、偽造等したものか否かは問わない
※その他の施錠開け:ピッキング、サムターン回し、合かぎ以外で施錠を開けるもの
※ドア錠破り:ドアの隙間にバールなどを差し込み、施錠部を強引にこじ開けるもの

※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100%とはならない

住まいの防犯最前線!「防犯優良賃貸集合住宅」を知っていますか?

ここまで住宅セキュリティは万全じゃない、という話をしてきましたが、とはいえ住宅の防犯性能が高いに越したことはありません。難易度の高い住宅侵入の過程を楽しむ愉快犯でなければ、侵入しにくい家より、侵入しやすい家を狙うのは当然の心理です。では犯人から狙われにくい住宅とはどんな条件を備えているのでしょうか?「防犯優良賃貸集合住宅認定事業」を手掛ける一般財団法人ベターリビングの岩田英之さん、前田雅輝さんにお話を伺いました。

そもそも「防犯優良賃貸集合住宅」とは?

前田さん 「防犯優良賃貸集合住宅」(以後「防犯優良賃貸」)は、われわれベターリビングと公益財団法人全国防犯協会連合会が共同で設けた防犯に関する基準に適合していることが確認され、登録された賃貸集合住宅で、おおむね4階建て以下の新築の賃貸集合住宅を対象に申請を受け付けています。認定・登録された賃貸集合住宅は、「防犯優良賃貸」であることを示すロゴマークを表示することができます。

「防犯優良賃貸」の認定には、個々の物件を単独で審査する個別認定と、ある程度規格化された住宅商品を対象とするシリーズ認定の2通りの方法を用意しています。個別認定はまだ動きだしていませんが、シリーズ認定については、ミサワホームさん、大東建託さん、レオパレス21さんが既に認定を取得されています。

シリーズ認定では、設計段階で図面から建物の防犯性能を審査するだけでなく、その設計基準をきちんと守れる管理体制が整っているかをチェック。さらに建物が建ってから、敷地形状など物件ごとに異なる個別の要件に則してチェックを行う、二段構えの体制をとっています。

【画像6】防犯優良賃貸集合住宅の認定ロゴ(画像提供/一般財団法人ベターリビング)

【画像6】防犯優良賃貸集合住宅の認定ロゴ(画像提供/一般財団法人ベターリビング)

「防犯優良賃貸」の認定基準を教えてください

岩田さん 「防犯優良賃貸」の認定制度においては建物の設備・構造や住戸の部品だけでなく、敷地の中の配置計画についても基準を定めてチェックをしています。主に建築を専門とするベターリビングと防犯を専門とする全国防犯協会連合会が共同で、住宅部品単体での防犯性能ではなく、設置される住宅部品が十全に防犯効果を発揮できるか、建物の構造や敷地の形状、周辺環境など、トータルでの住宅の防犯性能を確認するという点が、「防犯優良賃貸住宅認定制度」の基準における大きな特長と考えています。

前田さん 賃貸集合住宅に関する意識調査において、さまざまな防犯意識が高まっていることが分かっています。しかし賃貸アパートに代表される、多くの賃貸集合住宅で、一般的に建設コストの問題から十分な防犯性能を確保できていないのが実情です。

岩田さん 賃貸ということを考えると、オートロックをはじめとする防犯設備は、オーナーさんにとって過大な投資となってしまいがちです。そのため死角をつくらない、2階や3階のバルコニーに直接乗り込めるような足がかりをつくらないなど、設備投資によらない設えによる犯罪抑止の工夫も拾えるような認定制度の構築をしています。

防犯優良賃貸集合住宅の概要

【画像7】防犯優良賃貸集合住宅の概要

【画像7】防犯優良賃貸集合住宅の概要

【画像8】防犯優良賃貸集合住宅イメージ(画像提供/一般財団法人ベターリビング)(イラストレーター/Studio CUBE.)

【画像8】防犯優良賃貸集合住宅イメージ(画像提供/一般財団法人ベターリビング)(イラストレーター/Studio CUBE.)

今後の事業目標や展望を聞かせてください

岩田さん 「防犯優良賃貸」の認定に伴い、オーナーさん、入居者さん双方に対し、防犯意識の啓発も行ってまいります。防犯性能の高い住宅というハードがあっても、例えば戸締り施錠を怠ったり、自転車置き場やごみ置き場が荒れていれば、犯罪を引き寄せてしまいます。管理の仕方、暮らし方に対する防犯意識を促す取り組みを行っていることも、本事業の特徴といえるかもしれません。

前田さん 現在は新築物件に対する認定基準しかありませんが、既存の物件に対する認定はできないか、という問い合わせもあります。既存の住宅に対する防犯性能の向上指針であったり、評価基準をつくることは、今後の課題であると捉えています。

岩田さん 賃貸で住まいを探している方や賃貸経営をされている方、これから賃貸経営を考えている方に本事業を広く認知していただき、「防犯優良賃貸」が普及すれば、犯罪に対する抑止効果も大きくなると思います。さらには住宅全体の防犯性を向上、そして安心安全な社会構築へとつながっていくことを願っています。

【画像9】画像左:一般財団法人ベターリビング 岩田英之さん(写真撮影/宮崎林太郎)。画像右:「防犯優良賃貸集合住宅」における防犯上の注意点をまとめた小冊子。入居者向け、管理者向けが用意されている(画像提供/一般財団法人ベターリビング)

【画像9】画像左:一般財団法人ベターリビング 岩田英之さん(写真撮影/宮崎林太郎)。画像右:「防犯優良賃貸集合住宅」における防犯上の注意点をまとめた小冊子。入居者向け、管理者向けが用意されている(画像提供/一般財団法人ベターリビング)

どれだけセキュリティが充実した住宅でも、入居者や管理者の防犯意識が緩んでいると、犯罪を呼び込む可能性が高まります。とはいえ防犯を意識した敷地配置や住宅設備があれば、より安心です。賃貸アパートで家賃を抑えたい、でもセキュリティがちょっと不安という人は、今後増えていく可能性がある「防犯優良賃貸住宅」にも注目してみてください。

●取材協力
・一般財団法人ベターリビング「防犯優良賃貸集合住宅認定事業」