ニューヨーク人情酒場 寿司職人が攻略対象の乙女ゲー状態な職場! サイケデリック神絵師ヤスさんの琴線に触れたのはあのアーティスト

一見華やかな大都会、ニューヨークでの暮らし。しかし、生活にはお金がかかる!
生活を維持するために多くの移民が働く場所、それは飲食店。
単身やってきたニューヨークで飛び込んだ先は大衆酒場。愉快な同僚と寿司との出会い、そして別れ。
仕事って、生活って、幸せってなんだろう?そんなことを考えながら寿司を巻く日々のこと。

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寿司職人だらけの乙女ゲーみたいな職場

パラグアイ人のオーナー・ルイスが職場に抱えている日本人寿司職人は3名。みなさんとても優しくて話しやすい方ばかり、そして全員が職歴30年以上の大ベテラン。
そんな偉大な方々にもかかわらず、かなりフランクでお互いを思いやっており、職場はとても和やかな環境です。それにしても個性のベクトルが全く違う方向に行き過ぎて、見方によっては乙女ゲーじみた環境ですね(ただし全員60代以上)。

NYにおける日本人コミュニティはとても狭く、同じ業種や年代でお互いを助け合っている節があります。
一度業界に入ると繋がりができるので、仕事を一旦離脱してもその後また同じ業界で何か紹介してもらえるということが大いにあります。
逆に、すごく狭いコミュニティなので噂話は一瞬で広がってしまうともいえるため、日頃の行いには注意が必要です。
まあ、目立った悪いことをしない限りは生きていけると思いますが。

サイケデリック寿司職人ヤスさん

NYで寿司一筋40年以上のヤスさんをブルピジジイとして紹介してきましたが、絵描きなこともあってか、そこはかとなくサイケデリックです。主な議題は宇宙、自然、そして新しい学校のリーダーズ。新しいものに目が向いていますね!

寿司職人さんはみんながみんなトシさんのようにフレンドリーな印象というわけではありませんが、あらゆる意味でヤスさんの存在はかなり稀有(けう)だと思います。それにしても前の職場で一緒に働き始めた時はこんなに長い付き合いになるとは思っていなかったなぁ。

ヤマモトレミ

作者:ヤマモトレミ
89年生まれ。福岡県出身。2017年、勤めていた会社の転勤でニューヨークに移住。仕事の傍ら、趣味でインスタグラムを中心に漫画を描いて発表していたところ、思った以上に楽しくなってしまい、2021年に脱サラし本格的に漫画家としての活動を開始。2022年にアメリカで起業し個人事業主になりました。アメリカで食っていくために寿司をやっていくことを決意し、週4ブルックリンで寿司をつくっています。

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ニューヨークのおうち訪問。米仏クリエイター夫妻が子ども達と暮らす、本に囲まれたブルックリンの築140年アパートメント

アメリカ・ニューヨークのマンハッタンからイースト川を越え、南東部に広がるブルックリン。ゆったりとした自由な空気が流れ、モノづくりも盛んで、クリエイターやアーティストが多く移り住んでいる場所です。ギャラリー、壁画、若手起業家が興したブルワリーやウイスキー醸造所など、クリエイティブでおしゃれなものがあふれています。ブルックリン美術館や植物園、森のように広くて緑豊かなプロスペクトパーク(Prospect Park)など自然や文化的施設にも恵まれ、閑静な住宅街はファミリー層に人気です。プロスペクトパークから目と鼻の先にある、3階建ての築140年になる歴史的なアパートメントビル最上階に住むクリエイター一家のお宅を訪れました。

フランス人はブルックリンがお好き?

市民の憩いの場であるプロスペクトパークの隣に面する閑静なパークスロープ地区の一角に、クリエイターのファミリーが暮らすアパートメントがあります。写真史家&インディペンデント・キュレーターとして活動するポリーヌ・ベルマール(Pauline Vermare)さんと、夫でビデオ・プロデューサーのマーク・レッサー(Marc Lesser)さん、10歳の長男サムくん、そして猫のウーディーくん(16歳)&犬のアーチーくん(4歳)が仲良く暮らす明るいお部屋です。

リビングルームは窓が多くて明るく、大きなカウチを置いてもまだスペースが余りあるほどゆったりと広いスペース。右側にもさらに小部屋が続く。築140年のアパートメントだが、室内はリノベーションされしているので年月や古さはまったく感じない(写真撮影/Masao Katagami)

リビングルームは窓が多くて明るく、大きなカウチを置いてもまだスペースが余りあるほどゆったりと広いスペース。右側にもさらに小部屋が続く。築140年のアパートメントだが、室内はリノベーションしているので年月や古さはまったく感じない(写真撮影/Masao Katagami)

ポリーヌさんはICP(ニューヨークの有名な写真博物館)の元キュレーターで、現在はブルックリン美術館の写真キュレーター。夫マークさんと長男サムくんとこの家で暮らし始めて6年。「アーチー(犬)は4年前にテキサスからアダプト(保護)。16歳のウーディー(猫)はフランス出身のフランス人よ」 (写真撮影/Masao Katagami)

ポリーヌさんはICP(ニューヨークの有名な写真博物館)の元キュレーター。夫マークさんと長男サムくんとこの家で暮らし始めて6年。「アーチー(犬)は4年前にテキサスからアダプト(保護)。16歳のウーディー(猫)はフランス出身のフランス人よ」 (写真撮影/Masao Katagami)

「光がふんだんに差し込む明るいお部屋でとても気に入りました」。ポリーヌさんは夫と家探しをしていた際、この家に足を踏み入れた時の印象をそう振り返ります。「あとは細部の内装ね。レトロなモールディング(※)やガラスの柄などのディテールが昔ながらの技法で芸術的でとても繊細なデザインなんですよ」

※モールディング…壁や天井、ドアや家具など内装の細部に施した帯状の装飾のこと。床と壁の継ぎ目の巾木など枠どりを装飾したり、部材の接合部を美しく魅せる効果がある

ところどころにあるモールディング、白壁にかけられた絵画や写真、暖炉や観葉植物などの配置やバランスが絶妙。「このお家を気に入った理由は明るさとレトロな装飾なの」(ポリーヌさん)(写真撮影/Masao Katagami)

ところどころにあるモールディング、白壁にかけられた絵画や写真、暖炉や観葉植物などの配置やバランスが絶妙。「このお家を気に入った理由は明るさとレトロな装飾なの」(ポリーヌさん)(写真撮影/Masao Katagami)

キッチンとリビングの間のダイニングスペース(写真撮影/Masao Katagami))

キッチンとリビングの間のダイニングスペース(写真撮影/Masao Katagami)

ダイニングスペースのドアのガラス窓の柄。ほかにもモールディングやステンドグラスなど細部のディテールが美しい(写真撮影/Masao Katagami)

ダイニングスペースのドアのガラス窓の柄。ほかにもモールディングやステンドグラスなど細部のディテールが美しい(写真撮影/Masao Katagami)

「公園、子どもの学校、地下鉄の駅これらすべてが2、3ブロック圏内でとても便利な場所なんです。迷いなくこの家は運命だと思いました」(ポリーヌさん)

アパートからすぐそばにある大自然豊かな市民の憩いのプロスペクトパーク 。マンハッタンのセントラルパークと同じ設計者、フレデリック・ロー・オルムステッド(Frederick Law Olmsted)とカルバート・ヴォー(Calvert Vaux)によるもので、どこかセントラルパークと似ている。子育てや犬の散歩にも適した環境 (写真撮影/Masao Katagami) 

アパートからすぐそばにある大自然豊かな市民の憩いのプロスペクトパーク 。マンハッタンのセントラルパークと同じ設計者、フレデリック・ロー・オルムステッド(Frederick Law Olmsted)とカルバート・ヴォー(Calvert Vaux)によるもので、どこかセントラルパークと似ている。子育てや犬の散歩にも適した環境 (写真撮影/Masao Katagami) 

フランス出身、日本育ち→NY在住

運命の出逢いはこれだけではありません。

フランス・パリで生まれ、リヨンで育ったポリーヌさん。家庭の事情で10歳から14歳まで東京の笹塚で、さらに14歳から17歳まで香港で育ったそうです。ニューヨークに住むようになったきっかけは2009年、MoMA(モマ=ニューヨーク近代美術館)で開催されたフランスの写真家アンリ・カルティエ-ブレッソン(Henri Cartier-Bresson)のショーで、アシスタント・キュレーターを務めたことでした。

キッチンとリビングの間にあるダイニングルーム。キッチンの奥はベッドルームと子ども部屋が広がる(写真撮影/Masao Katagami)

キッチンとリビングの間にあるダイニングルーム。キッチンの奥はベッドルームと子ども部屋が広がる(写真撮影/Masao Katagami)

渡米3週間が経ったころ、道端であるアメリカ人男性とひょんなことから出会いました。2人には写真家のソール・ライター(Saul Leiter)の下で働いている共通の友人がいることがわかり、意気投合したそうです。この男性(マークさん)こそがポリーヌさんの未来の夫となる人でした!2人の出会いのきっかけになったということで、結婚の際はライター氏から結婚祝いが贈られたそうです。

そうやってファミリーとなった今、ブルックリンに住むようになった理由を尋ねると、ポリーヌさんはこのように説明します。

「冷蔵庫も作業用カウンターも大きくて料理がしやすく気に入っている」と言うキッチン。家族のためにスタッフド・ベジタブル(野菜の詰め物)などフランス料理をつくることも多いという(写真撮影/Masao Katagami)

「冷蔵庫も作業用カウンターも大きくて料理がしやすく気に入っている」と言うキッチン。家族のためにスタッフド・ベジタブル(野菜の詰め物)などフランス料理をつくることも多いという(写真撮影/Masao Katagami)

「フランス人ってなぜだかブルックリンが好きなんです。たぶん少しフランスに似たヴィンテージな街の感じとか、交通の便も良くておいしいバゲットも買えるところとか、そういう理由からだと思うんです。素朴な『小さな村』のようなこの街の雰囲気もフランス人が好きなところなんですよ」

ポリーヌさんとマークさんが結婚して住んだアパートメントは、地下の暗い部屋だったそうです。そこで数年暮らし、息子のサムくんを出産。2017年に新居探しをはじめました。

「ニューヨークで良い家に出合うのは簡単なことではないのです。どの物件もとても高額だし、競争率が高くて良い条件のものはキャッシュ払いが可能な客にすぐに買われてしまいます。そんな事情もあり、この家に出合った時、不動産ブローカーに『気に入ったのなら今すぐ決めないと、すぐに取られてしまいますよ』と言われ購入を決めました。そしてこの決断は大正解でした」

小部屋から見たリビングルーム(写真撮影/Masao Katagami)

小部屋から見たリビングルーム(写真撮影/Masao Katagami)

1886年(推定)に建てられた光がふんだんに降り注ぐ素敵なレトロ・アパートメントは、まさにやっと出合えた物件でした。

この日はちょうどサムくんの友人も遊びに訪れていた。天井の高さを生かし、子ども部屋はハイタイプのロフトベッドを配置。下のスペースを有効活用している(写真撮影/Masao Katagami)

この日はちょうどサムくんの友人も遊びに訪れていた。天井の高さを生かし、子ども部屋はハイタイプのロフトベッドを配置。下のスペースを有効活用している(写真撮影/Masao Katagami)

子ども部屋からの景色。「今の季節、ここからの景色が大好きなの」とポリーヌさん(写真撮影/Masao Katagami)

子ども部屋からの景色。「今の季節、ここからの景色が大好きなの」とポリーヌさん(写真撮影/Masao Katagami)

ニューヨーカーらしく、本にあふれた暮らし

コロナ禍以降リアル書店が次々に復活するほど本好きな人が多いことで知られるニューヨーク。ポリーヌさんが日本育ちということも影響し、部屋のところどころに配置された日本の小物に加え、ニューヨーカーらしく本棚には本がぎっしり並んでいるのも特徴です。

リビングルームの横にあるスペースを生かし、ここにも本棚とカウチが置かれている(写真撮影/Masao Katagami)

リビングルームの横にあるスペースを生かし、ここにも本棚とカウチが置かれている(写真撮影/Masao Katagami)

ポリーヌさんが専門家としてコメントを寄せてきた書物。そして愛着のあるそろばん。そろばんは10歳から4年間、教室に通っていた時に使っていたもの。「3級を取ったわ。息子にもたまに教えているんですよ」(写真撮影/Masao Katagami)

ポリーヌさんが専門家としてコメントを寄せてきた書物。そして愛着のあるそろばん。そろばんは10歳から4年間、教室に通っていた時に使っていたもの。「3級を取ったわ。息子にもたまに教えているんですよ」(写真撮影/Masao Katagami)

いつも家族のそばにいる犬のアーチーくん。この街ではペットも歴とした家族の一員(写真撮影/Masao Katagami)

いつも家族のそばにいる犬のアーチーくん。この街ではペットも歴とした家族の一員(写真撮影/Masao Katagami)

本好きであることが伝わってくる家づくりですが、なんと彼女自身が今年6月に新書を出版するそうです!これまでソール・ライター、また日本の写真家・川田喜久治氏が2022年に発売した写真集『ヴォルテックス』についてのエッセイ本をいくつか出版してきた彼女ですが、6月に発売される新書は彼女自身が本の共同編集を初めて手掛けたそう。

ポリーヌさんが出版するのは『I’m So Happy You Are Here: Japanese Women Photographers from the 1950s to Now』($75)という本です。1950年代以降に活躍した原美樹子、野村佐紀子など約100人の日本人女性フォトグラファーを考察し紹介するものです。この本はアメリカのみならず、日本とフランスでも、それぞれの言語の翻訳版の出版が決まっています(こちらのタイトルや表紙デザインは現在制作中)。

なぜフランス出身である彼女が日本人女性写真家に興味があるのかと尋ねたところ、「日本で育ったから」というのが大きな理由の一つでした。ただ、そのほかの理由も興味深いです。

「日本では19世紀以降すばらしい写真作品がたくさん生み出されたのに、海外では日本の森山大道やアラーキー(荒木経惟)など男性写真家が知られているだけで、女性写真家についてはほとんど知られていないのが現状です。それで私はすばらしい日本人の女性写真家の歴史を世界に紹介したいと思いました。それがこの本づくりのきっかけでした」

ポリーヌさんによれば、日本のみならず自身の出身地・フランスや現在住んでいるアメリカでも、男性写真家に比べて女性写真家に脚光が当たることは少ないとのこと。「私はその壁をぶち破り、日本人の女性写真家の活躍や表現力を示したかったのです」

『I’m So Happy You Are Here: Japanese Women Photographers from the 1950s to Now』 (写真提供/Pauline Vermare)

『I’m So Happy You Are Here: Japanese Women Photographers from the 1950s to Now』 (写真提供/Pauline Vermare)

ほかにも、夫マークさんとコラボして制作した短編ドキュメンタリー映画が、今年4月から7月までアイルランド写真美術館(Photo Museum Ireland)で上映されます。これは日本人写真家・岡村昭彦氏のアイルランドでの人生と仕事を紹介した作品です。

岡村昭彦氏関連は、「『I’m So Happy ~』の編集後、本の編集も手掛けました。こちらは4月に出版しました」とポリーヌさん。

『Akihiko Okamura, Les Souvenirs des Autres 』 (写真提供/Pauline Vermare)

『Akihiko Okamura, Les Souvenirs des Autres 』 (写真提供/Pauline Vermare)

ブランド物から道で拾ったアンティークまで

クリエイターとして忙しい日々を過ごすポリーヌさんとマークさん。最後に、夫妻のお気に入りのお店やブランドを教えてもらいました。

「たくさんあるけど、家のすぐ近所にあるミシュラン星を獲得したイタリア料理店のフローラ(Flora)は共にコロナ禍を乗り越えた今、私たちにとって家族のような存在で、大好きなお店です。家具のお気に入りのお店で言うと、リビングにあるランプはブルードット(Blue Dot)、カーペット(ラグ)はサファビア(Safavieh)のもの。カウチはABCカーペット&ホーム(ABC Carpet & Home)のもので、来週配達予定の新しいカウチはボーコンセプト(Bo Concept)で購入しました。探せば良いものがたくさんある街ですが、ストリートにも素敵な年代物の家具が落ちていることがあるんですよ。これらもストリートでたまたま見つけたものです」と言って、年代モノの素敵なアンティークの鏡とサイドテーブルを見せてくれました。

「サイドテーブルと鏡は道で見つけたものなんです」(ポリーヌさん)。路上にお宝がよく落ちているニューヨーク。引越しの際に人々が不要な物の処分のためにストリートにわざと置いて行き、必要な人がそれを勝手に持って行く(写真撮影/Masao Katagami)

「サイドテーブルと鏡は道で見つけたものなんです」(ポリーヌさん)。路上にお宝がよく落ちているニューヨーク。引越しの際に人々が不要な物の処分のためにストリートにわざと置いて行き、必要な人がそれを勝手に持って行く(写真撮影/Masao Katagami)

ストリートで見つけたという鏡(写真撮影/Masao Katagami)

ストリートで見つけたという鏡(写真撮影/Masao Katagami)

ブランドも好きだけど、ブランドものだけで固めず抜け感も楽しむ。そんな自然体でフレンドリーで優しい雰囲気の彼らを体現したお家とインテリアでした。

取材/文:安部かすみ、撮影:形上将夫

ポリーヌさん&マークさんお気に入りのお店
Blu Dot
SAFAVIEH
abc carpet & home
BoConcept
Flora

ニューヨーク人情酒場 東欧系スーパーひしめくエリア”Greenpoint”が今アツい! 生ハムよりも安くてウマい!?謎ハムの正体とは

一見華やかな大都会、ニューヨークでの暮らし。しかし、生活にはお金がかかる!
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単身やってきたニューヨークで飛び込んだ先は大衆酒場。愉快な同僚と寿司との出会い、そして別れ。
仕事って、生活って、幸せってなんだろう?そんなことを考えながら寿司を巻く日々のこと。

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Greenpointでハムを買う

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最近、生活用品の買い物は仕事場のあるGreenpointで済ませています。何せ安いし、Greenpointでしか買えないものがとても多いため。ポーランド系アメリカ人のコミュニティとして知られていて、特に最近ホットな街です。

東欧のお菓子には当たり外れも多いけれど、その分見たことがないようなものを試す楽しさがあります。そして、記事でも紹介したように一番おすすめなのは加工肉(ハムやソーセージ)です。カウンターに行って、係の人に肉塊をスライスしてもらう方法がポピュラーです。

アメリカで売っているパッケージの生ハムは高い上においしくもないのですが、Greenpointで買う肉屋の生ハムは感動するほどおいしいのでぜひ試してみてください!
買い方については、重量買いになるのですが、0.25lb(ポンド)で約二人分。二人分が欲しい場合、店員さんに”Can I have a quarter pound of 〇〇(ハムの名称) sliced please?”(キャナイ・ハブ・ア・クオーター・パウンド・オブ・〇〇・スライスド・プリーズ)と言えばOK。最初は戸惑うけど、慣れたらこれ以外のハムが食べられなくなりますよ!

ちなみに私が好きなのはPoledwica Lososiowa(ポレドヴィカ・ロゾシオワで合っている
のか?)で、これはスモークされた豚のハムという意味らしいです。言えるかよ!

ホセとの出会い

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みんなの弟ポジション、ホセは本当に可愛らしい21歳の男の子。粗野で口も悪いルイスと真逆のキャラクターかと思いきや、やっぱり親族なのもあってヤンチャな一面もあり、そこもまた可愛かったです。
アメリカのOmakaseは店員さんやお客さんとのコミュニケーションが楽しみで来る人も多いのですが、私はこのコミュニケーションが大の苦手!しかし、ホセはお客さんからも大人気で、ルイス曰く「ホセがシフトに入っている時の方がお客さんたちはチップをはずむ」ということでした。

アメリカのレストランではチップ制度があり、戸惑う人も多いですが、飲食店で働く人の給与は基本の時給にチップが上乗せされるため、これは労働者にとってはとても大切な制度なのです。レストランに行って素晴らしいサーバーに出会ったら、チップを多めに払うと喜ばれますよ!

ヤマモトレミ

作者:ヤマモトレミ
89年生まれ。福岡県出身。2017年、勤めていた会社の転勤でニューヨークに移住。仕事の傍ら、趣味でインスタグラムを中心に漫画を描いて発表していたところ、思った以上に楽しくなってしまい、2021年に脱サラし本格的に漫画家としての活動を開始。2022年にアメリカで起業し個人事業主になりました。アメリカで食っていくために寿司をやっていくことを決意し、週4ブルックリンで寿司をつくっています。

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列島を1万キロ歩くモドさんがNYタイムズに盛岡と山口を載せた理由。東京と廃墟ラブホから見える日本 クレイグ・モド(Craig Mod)インタビュー

2023年11月下旬、初雪が降った日の盛岡。筆者はどうしても来たくなり、高速バスに揺られた。

理由は2つある。一つは、筆者がかつて心を打たれた街を、もう一度味わいたくなったから。

そしてもう一つは、作家・写真家のクレイグ・モド(Craig Mod)さんにインタビューさせてもらったからだ。ニューヨークタイムズ紙に「盛岡」を強く推薦し、同紙の「2023年に行くべき52カ所」で、その2番目に盛岡を抜擢させた張本人。

インタビューでモドさんが語った盛岡の姿が頭から離れず、バスに乗ったのだ。

「ちゃんと国が国民を守ろうとしている国」JR盛岡駅前で(写真撮影/辰井裕紀)

JR盛岡駅前で(写真撮影/辰井裕紀)

早稲田大学への留学をきっかけに、23年日本に住み続けるモドさん。各媒体に寄稿して多数の著書を発表し、これまでMediumやスマートニュースなどのアドバイザーや、イエール大学(米国)の講師を務めるなど国内外で活躍する。

そして東海道や中山道を徒歩で踏破するなど、日本の隅々まで歩くことがライフワークだ。

わかりやすい自然の要素以上に、日本の至るところにある黄色と黒のキリスト教の看板などの生活の足跡に興味をもち、雑多な旧街道沿いを「パチンコロード」と呼び、そのウラにある強大なグローバリズムを感じ取る。

新潟県長岡市で(写真撮影/辰井裕紀)

新潟県長岡市で(写真撮影/辰井裕紀)

外国人という客観的な視点を持ちながら、日本人以上に日本の姿を見つめてきた張本人だ。そんな彼は、少子高齢化や経済的な問題を抱える日本をどう見ているのだろうか?

運よく、鎌倉の自宅でインタビューする機会に恵まれた。

モドさん宅の和室で(写真撮影/桑田瑞穗)

モドさん宅の和室で(写真撮影/桑田瑞穗)

まず、モドさんは何がきっかけで日本に来たのか。

モド「地元(コネティカット州)の治安が悪かったんです。アメリカには国民保険とかもほとんどなくて、みんな苦しんで。ちゃんと充実して生きるなら離れないといけないと思って。留学するなら思い切って遠くまで行った方が面白いと思って、日本を選びました」

感情を込めて語るのが、「初めて、ちゃんと国が国民を守ろうとしているところに来た」こと。

モド「アニメや漫画、寿司も好きだったわけじゃなくて、日本を何も知らないままで来て。でもこんなに安全で、深みと味のある街で生活できるのは奇跡。アメリカ、とくにサンフランシスコとかは、『地獄の地獄のさらに地獄』まで堕ちられるし、脱出する手段がない」

それがドラッグ中毒者を生み、ドラッグほしさに暴力を振るったり、万引きしたりの犯罪天国になる。生活保護などのサポートがある日本とは大きな違いがあった。

モド「日本は貧富の差が比較的小さくて、金持ちと一般人の生活が大きく変わらない。同じ保険も手に入るし、同じ地下鉄や道路も使える」

著書「Kissa by Kissa: 日本の歩き方」(2020年発行)より(写真撮影/桑田瑞穗)

著書「Kissa by Kissa: 日本の歩き方」(2020年発行)より(写真撮影/桑田瑞穗)

そして、日本に暮らし続けられた根本的な要素が「物価の安さ」。

モド「すごく安かった。ホームステイしても1年の学費が、アメリカの5分の1から10分の1とか」

それが、「ひたすら街道を歩く」などの一朝一夕ではとても儲からないようなモドさんの活動を支えたのだ。

東京は「世界でも奇跡のように安全」

モドさんが来日から35歳まで、長らく住んでいたのが東京。どんな街か。

モド「東京、本当に奇跡のように安全で、こんなに広く人口がすごく多いのに、本当に時計のような美しい動きができる街。このスケールでスムーズに動いているところは本当に東京だけ」

(写真撮影/辰井裕紀)

(写真撮影/辰井裕紀)

ニューヨークやロンドンは建物の状態があまりよくなかったり、地下鉄がちゃんと動かなかったりするが、東京はその心配がないという。

モド「あと東京は(世界の大都市としては)建物やお店を比較的自由に建てられるから、いろいろな住宅やお店が混在できて、そのおかげで家賃が安くできる。柔軟にスクラップ・アンド・ビルドを行ってタワーマンションなんかを建てているから」

ニューヨークやロンドンでは、集合住宅の家賃が高くて単身では借りられない人が多く、ルームシェアなどをするのが普通。「日本の物価は安すぎて、経済成長の足かせになっている」ともささやかれるが、若者にとっては、他国に比べ自由で挑戦がしやすい視点もあるという。

モド「東京だとまだ、自分の予算に合わせて住める。僕も20代で広尾・表参道・代官山・恵比寿のあたりにずっと住んでいました。6畳の和室で、月6万円とかの物件がまだ残っていますから」

モドさんがかつて住んだ恵比寿。JR恵比寿駅前の様子(写真撮影/辰井裕紀)

モドさんがかつて住んだ恵比寿。JR恵比寿駅前の様子(写真撮影/辰井裕紀)

モド「僕は20代のとき、儲からない芸術活動ばかりしていたんですが、東京だとお金のためにやりたくないことをたくさんしなくても、やりたいことがちゃんとできるし、博物館とか美術館も楽しめる。800円でおいしい昼ごはんを食べられるのは日本だけです」

鎌倉に転居して8年、今でも東京が恋しくなることもある。

モド「でも東京で困るのはね、住みたいところがありすぎて、選ぶのが難しい。谷根千(谷中・根津・千駄木)もいいし、蔵前や清澄あたりも面白くなったし……」

東京人が見ない地方の現状

そんな東京とは、一線を画す現状があるのが地方だ。アメリカの地方出身者として、モドさんは歩いてその姿を目に焼き付けた。

1万キロを超える道のりの中で幾度も見たのが、旧街道沿いにあるドラッグストアなどのチェーン店、パチンコ屋が多数連なる風景。モドさんは「今日の私たちを表現している」と語る。

モド「僕は東京から京都まで中山道で歩き、東海道も歩いたんですけど、今はパチンコ屋やギャンブル場ばっかり。でもこれ、日本だけじゃないんですよ」

愛機・ライカとともに1万キロを歩いたモドさん(写真撮影/桑田瑞穗)

愛機・ライカとともに1万キロを歩いたモドさん(写真撮影/桑田瑞穗)

アメリカでもヨーロッパでもみんな同じように、大きなチェーン店が並ぶ。

モド「これがダメとかじゃなくて、これで何を損しているのか、考えた方がいい」

こうなって我々が何を得し、何を損しているか。街道にあるのは、現在進行形のグローバリズムだ。

そして街道を越えた先には、日本人の多くが見て見ぬふりをする地方の姿がある。

モド「田舎へ行けば行くほど、“床屋(美容室)と喫茶店”しか営業していなくて、シャッター街ばかり」

モドさんの記事にも、「田舎で老人介護施設が多い」「ラブホテルを使う若い人が減ってラブホテルの廃墟が並ぶ」など、少子高齢化を示す描写が目立つ。

モド「高齢化社会って都会じゃあまり想像がつかないけど、地方を数カ月歩くと、『もう終わりと思うしかないような町や村』が多い。それはどうにか守らなきゃとかじゃなくて、もう人口や産業の有無の問題。現実として、終わりに向かう流れを止めるのは難しい」

それでも「喫茶店」が残った

限界集落が生まれ続ける地方。その中でモドさんを癒やしたのは、喫茶店だった。

モド「パチンコ屋やチェーン店ばっかりだし、残された個人店は喫茶店と床屋・美容室だけで、それで喫茶店へ行くことになって。社会の中での喫茶店の立場や、よさが見えてきた」

喫茶店で目につく料理は「ピザトースト」しかなかったので食べてみたら、意外においしく、「私の魂の食べ物」というほどになった。

(写真撮影/辰井裕紀)

(写真撮影/辰井裕紀)

それにしても田舎の個人商店は、なぜ床屋・美容室と喫茶店が残るのか。

モド「コミュニティのハブみたいになっているはず。高齢化社会になるほど、孤独が増える。でも喫茶店さえあれば、毎日モーニング食べて、みんなとお喋りできるから」

さらに個人の喫茶店はモーニングセットなどで、価格競争に強いチェーン店にも対抗できる価格で提供する。

モド「あとチェーンだとスタッフと仲良くなるのは難しいし、もしそうなっても、いつか担当者がどっか行っちゃうから。何十年もずっと挨拶するマスターや奥さんの方が特別です」

(写真撮影/桑田瑞穗)

(写真撮影/桑田瑞穗)

盛岡のような中核市にはチャンスがある

道行く人たちと挨拶を交わしながら、数々の街を通り過ぎたモドさん。こんな考えが芽生えた。

モド「小さい村はどうしても、たぶん守れないと思うけど、中核市ぐらいだと、チャンスはある」

ニューヨークタイムズに盛岡市(岩手県)を推薦したのはその思いからだった。また、東北にはインバウンドの観光客の0.9%しか行かない※。経済的に応援したい気持ちもあった。※観光庁「宿泊旅行統計調査」に基づく、2023年3月の外国人宿泊者ブロック別シェアより

モド「でも、盛岡は何度行ってもすごく充実している。にぎやかで若者が頑張ろうとしている姿をたくさん見られる街。大きい街が近くにないのに、盛岡だけはすごく充実感がある。10カ所の中核市を巡るプロジェクトで街を歩きましたが、その中でも盛岡は街並みもきれいだし、岩手山もきれいに見えるし。川もきれいで気の流れがいいし、市民に余裕を感じた」

杜の大橋から望む雄大な岩手山(写真撮影/辰井裕紀)

杜の大橋から望む雄大な岩手山(写真撮影/辰井裕紀)

モド「加えて、喫茶店も面白かったし、大正時代の建物も残っているし、大学生のエネルギーもあるし。バランスのある街だと思って推薦しました」

モドさんが推薦した盛岡の喫茶店、リーベ。筆者もモーニングを注文し、2階席の平和な静寂を味わった(写真撮影/辰井裕紀)

モドさんが推薦した盛岡の喫茶店、リーベ。筆者もモーニングを注文し、2階席の平和な静寂を味わった(写真撮影/辰井裕紀)

岩手銀行(旧盛岡銀行)旧本店本館。東京駅の設計でも知られる辰野・葛西建築設計事務所によるもの(写真撮影/辰井裕紀)

岩手銀行(旧盛岡銀行)旧本店本館。東京駅の設計でも知られる辰野・葛西建築設計事務所によるもの(写真撮影/辰井裕紀)

そして、モドさんの尽力により盛岡がニューヨークタイムズの「2023年に行くべき52カ所」の2番目に選ばれ、2023年は膨大な数の取材依頼が相次いだ。

とてつもない数の取材に応対し続けた理由に、「中規模や小規模な町でも快適で大事な人生を過ごせると伝えたい」との思いがあった。

モド「私も中核市に近いアメリカの工業都市が地元だったんですが、工場が中国へ行くなどして産業がなくなって。みんなの苦しみばかりを子どものころに見てきたから」

(写真撮影/桑田瑞穗)

(写真撮影/桑田瑞穗)

モド「盛岡の個人のお店は重要なコミュニティで、文化もつくっている。そういうお店が、個人で実現できるのを見ると感謝するし、私の地元から見ると、本当に奇跡のような状態だから」

盛岡のような、元気な中規模都市は少ないのか?

モド「少ない。寂れているところがほとんどです」

盛岡は、なぜそうならなかったのか?

モド「結構大きいのは大学があること。『大谷翔平モデルの時計』も作っている盛岡セイコー工業も近郊にあるし、ものづくりの仕事がある。あと、新幹線が停まるのも大きい。新幹線が停車する街と、そうじゃない街は全然違う。中山道を歩くとすごく感じる」

なお、東洋経済が1993年から発表している「住みよさランキング」の北海道・東北編で、2023年版の2位に盛岡市がランクイン。年間小売販売額と同1人当たりの販売額は北東北では1位という。

盛岡と各地をつなぐ新幹線はやぶさ号(写真撮影/辰井裕紀)

盛岡と各地をつなぐ新幹線はやぶさ号(写真撮影/辰井裕紀)

ちなみに筆者も盛岡の老舗のバーで、「今まさに世界的企業を相手にしている盛岡のものづくり文化」をマスターから力説され、ある自動車関連部品メーカーの活躍を紹介いただいた。南部鉄器からその精神は脈々と受け継がれているのだ。

(写真撮影/辰井裕紀)

(写真撮影/辰井裕紀)

それは、さまざまな問題に直面する日本のヒントにもなるという。

モド「本当に盛岡みたいなところが、あるんですよ。ほかにも山口市(山口県)とか松本市(長野県)とか尾道市(広島県)とか、そういった感じの街が守られたらいいと思う。東京で大きい会社に勤めなきゃとかばっかりじゃなくて、個人で本屋とかジャズ喫茶とかバーやりたいと思っている方が、できるスペースがあれば。中核市だとちょうどやりやすいから」

なお、2024年のニューヨークタイムズの「2024年に行くべき52の場所」で、山口市の選出にも関わったモドさん。選んだ理由をこう語っている。

「山口市は盛岡の魅力と同じ特質を多く備えています。若い起業家を惹きつける、人間的なスケールで充実した生活ができる街。京都、金沢、広島が日本の『レコードのA面』なら、山口と盛岡は『B面』で、控えめな天才性が含まれることが多い面です」

山口市の米屋町商店街(写真撮影/辰井裕紀)

山口市の米屋町商店街(写真撮影/辰井裕紀)

快適で大事な人生を過ごせる街・住まいを

あらためて、中核市ならではのよさは何か。

モド「東京だと疲れる。大きすぎて、ときにコミュニティをつくりづらい。少し地方に行けば、自分の好きなことがやれるくらいの町のリソースがありつつ、それでいて疲れない。鎌倉に住んでいる人たちは、みんな『もう東京行けなくなっちゃった』とか言っていますよ」

モドさんはさらにニュースレターの中で、「(盛岡のような)こうした小規模なビジネスの有り様は、大規模なデベロッパーによる東京の巨大開発と対極にある。そこには、巨大な構造物の中に似たような店ばかりが並び、小規模事業者には手が届かず、個性のかけらもない。盛岡は、盛岡にしかない個性や趣にあふれている」と語っている。

もりおか歴史文化館前の庭にて(写真撮影/辰井裕紀)

もりおか歴史文化館前の庭にて(写真撮影/辰井裕紀)

そんなモドさんは、8年前に東京から鎌倉に転居した。

モド「東京の観光客が増えすぎて、疲れた。鎌倉も多いんだけど、観光客が行くところは同じ。八幡宮、小町通り、大仏にしか行かないから、一本離れればすごく静か」

鎌倉の海を望む(写真撮影/桑田瑞穗)

鎌倉の海を望む(写真撮影/桑田瑞穗)

モド「鎌倉の大きい家に引越してきて、最初の晩に超泣いた。東京で住んでいた6畳の部屋じゃなくて、本当はやっぱりこれぐらいの広い家がほしかったんだなって」

ご近所さんも優しく、「みんな面白い人生を過ごしている」という。

モド「僕はご近所のみなさんより3、40歳ぐらい年下だけど、たぶん『モドさんは何者?』とずっと思われてたんじゃないかな。今年いっぱいテレビに出始めたら、優しくなった(笑)」

(写真撮影/桑田瑞穗)

(写真撮影/桑田瑞穗)

さらに、鎌倉は交通の便もいい。

モド「東京まで50分ぐらいで、グリーン車も500~1,000円くらい(※)でスタバのコーヒー1杯くらいの値段。1本で渋谷、池袋まで行けるし、吉祥寺に住むよりずっと楽だと思ったんです」

※2024年3月16日よりJR東日本は価格改定

鎌倉でモドさんがお気に入りの「甘縄神明宮」(写真撮影/辰井裕紀)

鎌倉でモドさんがお気に入りの「甘縄神明宮」(写真撮影/辰井裕紀)

(写真撮影/桑田瑞穗)

(写真撮影/桑田瑞穗)

モド「鎌倉は企業の社長やクリエイターなどの面白い人もたくさん住んでいる。山歩きもできるし、海を眺めながら癒やされるし、おいしいお店もあるし……」

そして、人々の暮らしの中にいい人生に必要なものは何かを探し続けるモドさん。今、それをどう考えているか。

モド「『充実感』を感じることです。自分が興味があって、少し上手にできる活動に集中すると充実できる。この前も日本刀の職人さんを見学して、それを実感した。過酷な状態でずっときつい作業をしているんだけど、すごく充実していい日々を過ごしている、と。その充実した生活や仕事で、快適で大事な人生を過ごせるか……」

そんな充実したことに没頭できる街こそ、いい街のはずだ。

(写真撮影/桑田瑞穗)

(写真撮影/桑田瑞穗)

最後に「住むなら、どんな家がおすすめか?」について、モドさん流のアドバイスをもらった。

モド「コミュニティが感じられるところに住むのが、大事。古いアパートでも、周りでコミュニティをすごく感じられるなら、100倍くらい、いい人生は過ごせるから」

◇   ◇   ◇

「小さい村はどうしても、たぶん守れないと思うけど、中核市ぐらいだと、チャンスはある」

膨大な数の田舎を歩いて見てきたモドさんの、現実的な見識。初めて47都道府県すべてで日本人の人口が減った今、日本のどこなら人生の大切な思いを実現して住めるか……自らにもう一度問いかけた。

モドさんの仕事場(写真撮影/桑田瑞穗)

モドさんの仕事場(写真撮影/桑田瑞穗)

(写真撮影/桑田瑞穗)

(写真撮影/桑田瑞穗)

(写真撮影/桑田瑞穗)

(写真撮影/桑田瑞穗)

(写真撮影/桑田瑞穗)

(写真撮影/桑田瑞穗)

●取材協力
クレイグ・モドさん (Craig Mod)
2021年に紀伊半島を約30日間踏破した回想録「Things Become Other Things」が発売中。
「漁師、口の悪い子ども、そしてひどく悲惨で素晴らしいコーヒー」たちに出合った記録が叙情的な写真とともに記されているThings Become Other Things

ニューヨーク人情酒場 NYのトレンド”OMAKASE”に驚愕! 爆音サルサ・レゲトンのパリピさがヤバい

一見華やかな大都会、ニューヨークでの暮らし。しかし、生活にはお金がかかる!
生活を維持するために多くの移民が働く場所、それは飲食店。
単身やってきたニューヨークで飛び込んだ先は大衆酒場。愉快な同僚と寿司との出会い、そして別れ。
仕事って、生活って、幸せってなんだろう?そんなことを考えながら寿司を巻く日々のこと。

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NYでのトレンド、OMAKASEについて教えよう

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漫画でも説明したように、NYで現在OMAKASEは一つのジャンルとしてとてもトレンディで、街には数多くのOmakaseレストランが出来始めています。流行に敏感なニューヨーカーに対し、おしゃれで楽しいダイニングエクスペリエンスが得られるという提案で売っているところが多い印象です。
あっと驚くような仕掛けが込められた一品や、看板メニューの派手な料理などを用意しているお店も多いです。20代~30代の、新しいものが大好きな人たちがよく遊びに来てくれるのでインスタ上での見栄えはとても重要なファクターのようです。

そして私が新しく働き始めたのもOmakaseレストラン!オーナーのルイスは、ブラジルとアルゼンチンの間にある内陸の国パラグアイ出身。パラグアイ出身の人と働くのはマジで初です。日本人オーナーのお店だともう少し落ち着いた空間を楽しめそうですが、私が働くお店はラテンの人々が仕切っていることもあり、大変陽気な空気で毎夜遅くまでパーティーが行われています。
人と話すのが嫌いというわけではないけれど、全く知らないいろいろな国の人々と英語で世間話をしながらの仕事というのは難しいと感じることもあります。

しかし、飲みながら仕事していると中盤ぐらいから大丈夫になってきます。言い換えると、アルコールが必須という感じです。酒じゃあ!!

ヤマモトレミ

作者:ヤマモトレミ
89年生まれ。福岡県出身。2017年、勤めていた会社の転勤でニューヨークに移住。仕事の傍ら、趣味でインスタグラムを中心に漫画を描いて発表していたところ、思った以上に楽しくなってしまい、2021年に脱サラし本格的に漫画家としての活動を開始。2022年にアメリカで起業し個人事業主になりました。アメリカで食っていくために寿司をやっていくことを決意し、週4ブルックリンで寿司をつくっています。

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NYレストランビジネスでの職探し

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さて、大好きだったお店はなくなってしまいましたが、それでも日々は回って行くので仕事を探さなくてはなりません。何があっても腹は減るし、自分で自分の面倒は見なくてはならない。
NYのレストランビジネスの求人方法は多種多様ですが、一般的な日本の就職活動みたいなかしこまった面接などはほぼ起こらないと思っていいと思います。逆にいうと自由度がすごく高いので、どんな人にもチャンスがある、という感じです。

NYのレストランビジネスで働く人というのは移民がメインで、なかには英語がほとんど話せない人もいます。そんな人にも必ず働き口が見つかるというのはNYならではな感じがありますが、同じ民族同士での助け合い精神のようなものは強く感じられます。
また、土地的に南米が近いこともあり、スペイン語ができると同僚との距離も一気に近くなります。新しいボスのルイスも第一言語がスペイン語。ペルー人やメキシコ人の同僚も多く、スペイン語を体得したくてレッスンも受講しましたが、これがめちゃくちゃ難しくて、私にはうまくいきませんでした。

次回以降、アメリカのおまかせレストランを紹介する記事を書きたいなと思っています。よろしくお願いします!

ヤマモトレミ

作者:ヤマモトレミ
89年生まれ。福岡県出身。2017年、勤めていた会社の転勤でニューヨークに移住。仕事の傍ら、趣味でインスタグラムを中心に漫画を描いて発表していたところ、思った以上に楽しくなってしまい、2021年に脱サラし本格的に漫画家としての活動を開始。2022年にアメリカで起業し個人事業主になりました。アメリカで食っていくために寿司をやっていくことを決意し、週4ブルックリンで寿司をつくっています。

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NYマンハッタンで話題、最高価格25億円の高級コンドミニアムに潜入。ブランド家具付き「ターンキー」って? ニューヨーク(アメリカ)

アメリカ・ニューヨークのセントラルパーク南端から2ブロック南の57丁目は、「ビリオネアズ・ロウ(Billionaires’ Row)」、つまり「億万長者の並び」と呼ばれています。この通りを中心に近年、次々と富裕層向け高級コンドミニアムの建設ラッシュが続いています。

今回はこの地区に新たに完成したばかりの、高級ホテルとの複合住居ビルに案内してもらいました。ホテル暮らしのような生活ができる新築コンドミニアムで、家具付きのオプションも選べます。どのような物件なのか、見てみましょう。

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販売価格は1億7,600万円~25億円。東京の高級エリア千代田区より3~4割高!?

マンハッタン56丁目にこのほど完成したばかりの高層新築コンドミニアム、「ONE11 Residences at Thompson Central Park(ワン・イレブン・レジデンスズ・アット・トンプソン・セントラルパーク)」 。
ハイアット系列の豪華ホテル 「トンプソン・セントラルパーク」の客室の上階(34階~42階、99世帯分)がONE11 Residences at Thompson Central Parkの住居スペースになっています。
販売価格は119万5,000ドル~1,695万ドル(約1億7,600万円~25億円)です。

「居住スペースは1階のホテルロビーから出入りも可能なため、ホテル内の施設に行きやすく、まるでホテル暮らしのような生活ができるんですよ」( ONE11 Residences at Thompson Central Parkのセールス・ディレクター マリア・マイニエリさん)

ホテル、トンプソン・セントラルパークの客室の上階(34階~42階)がONE11 Residences at Thompson Central Parkの住居部分。写真は廊下から見渡せるセントラルパークの景色(c) Kasumi Abe

ホテル、トンプソン・セントラルパークの客室の上階(34階~42階)がONE11 Residences at Thompson Central Parkの住居部分。写真は廊下から見渡せるセントラルパークの景色(c) Kasumi Abe

セントラルパークまで3分と自然豊かな最高の立地で、それぞれの部屋の窓には四季折々の美しい景色が広がります。徒歩圏内はオフィス街と商業街で、地下鉄の駅、高級デパート、カーネギーホールなどの文化的施設も充実し、とてもにぎわいのある地区です。

日本に住んでいる方々がイメージしやすいよう、首都圏を中心に新築マンションを取材してきた情報誌『SUUMO新築マンション』編集長・永田幸樹氏にも話を聞いてみました。まず街の中心に位置する緑豊かなセントラルパークを皇居となぞらえるならば、東京でいうと「距離感などを考慮すると千代田区をイメージするのが良いのではないでしょうか」とのこと。

ただし、価格面は平方フィート(psf)あたりの平均価格から確認しても、千代田区より3~4割程度高いようです。東京都心でも特に人気エリアである千代田区より3~4割高いとは、さすが“ビリオネアズ・ロウ”界隈(ニューヨークの富裕層エリア)です。しかも高級ホテルの上階とは、一度は憧れるシチュエーションです。

住居部分の下層が豪華ホテルと連結。会員制高級ラウンジやレストランも使える

さっそく ONE11 Residences at Thompson Central Parkの中に入ってみましょう。

ONE11 Residences at Thompson Central Parkとホテル「トンプソン・セントラルパーク」の入口は2つ別々にありますが、高層複合ビルのため、建物内のロビーで繋がっています。奥に進めばホテルのレストランやバーがあり、ミーティングや仕事終わりの1杯などで立ち寄りやすい雰囲気です。

1階にあるホテル「トンプソン・セントラルパーク」のバー(c) Kasumi Abe

1階にあるホテル「トンプソン・セントラルパーク」のバー(c) Kasumi Abe

1階にあるホテル「トンプソン・セントラルパーク」のレストランスペース(c) Kasumi Abe

1階にあるホテル「トンプソン・セントラルパーク」のレストランスペース(c) Kasumi Abe

建物内にはホテル「トンプソン・セントラルパーク」のVIPとONE11 Residences at Thompson Central Parkの住人だけが利用できる高級会員制スタイルのラウンジ兼コワーキングスペースも完備しています。軽く飲みながら休憩をしたり、リモートワークをしている人の姿もちらほら見かけます。

「ONE11 Residences at Thompson Central Parkの居住者は最初の1年間、ここで提供されているフード&ドリンク類は無料サービスとなります」( マリア・マイニエリさん)

ホテルのVIPとONE11 Residences at Thompson Central Parkの住人だけが利用できるラウンジ兼コワーキングスペース(c) Kasumi Abe

ホテルのVIPとONE11 Residences at Thompson Central Parkの住人だけが利用できるラウンジ兼コワーキングスペース(c) Kasumi Abe

NY生活を即開始できる。オプションで家具付き物件も

この物件には、ターンキー(turnkey)と呼ばれるオプションもあります。ターンキーとは簡単にいえば、家具付きの物件のこと。住人が契約後に鍵を受け取り、ドアを開けてすぐに生活が始められるという意味から、そのような言葉が使われています。

ONE11 Residences at Thompson Central Parkでは、インテリアの専門家がコーディネートした家具を丸ごと購入することもできます。もちろん自分でインテリアを選びたい場合は、ターンキーなしのオプションを選ぶことも可能です。

「ターンキー物件のインテリアは、人気のトーマス・ジュール・ハンセンによるコーディネートです。インテリアや家具、壁にかかっている絵画、リネン、キッチンのお鍋や食器、バスルームのソープ類、タオルなどまで丸ごと購入できますから、すぐに生活を開始できるのです。外国のお客様にとって海外生活を即スタートできるのはとても便利なオプションのようで、好評です」( マリア・マイニエリさん)

ゆったりした入口スペース(c) Kasumi Abe

ゆったりした入口スペース(c) Kasumi Abe

ターンキーを選べば、センスの良い家具からインテリア小物まで全部ついてくる。自分で選んだり買い物したりする手間が省け(c) Kasumi Abe

ターンキーを選べば、センスの良い家具からインテリア小物まで全部ついてくる。自分で選んだり買い物したりする手間が省ける(c) Kasumi Abe

ターンキーのオプションを選べば、このようにテーブルや棚に置かれたインテリア小物もすべてついてくる。そのオプションを選ばなくても見ているだけでインテリア選びの参考になりそう(c) Kasumi Abe

ターンキーのオプションを選べば、このようにテーブルや棚に置かれたインテリア小物もすべてついてくる。そのオプションを選ばなくても見ているだけでインテリア選びの参考になりそう(c) Kasumi Abe

セントラルパークを臨むベッドルーム(c) Kasumi Abe

セントラルパークを臨むベッドルーム(c) Kasumi Abe

アイランドキッチン。冷蔵庫、IH調理器、食器洗浄機、ワインクーラーなどすべてミーレ社製(c) Kasumi Abe

アイランドキッチン。冷蔵庫、IH調理器、食器洗浄機、ワインクーラーなどすべてミーレ社製(c) Kasumi Abe

窓付きの明るいバスルーム。「アメリカでは非常に珍しく浴槽から出てお湯を流せるタイプになっています」( マリア・マイニエリさん)。日本人も使い勝手が良さそう(編集注:通常アメリカのバスルームはトイレと浴槽が同じ室内にあり、日本の浴室のように浴槽の外で体を洗ったりお湯を流したりすることはできない)(c) Kasumi Abe

窓付きの明るいバスルーム。「アメリカでは非常に珍しく浴槽から出てお湯を流せるタイプになっています」( マリア・マイニエリさん)。日本人も使い勝手が良さそう(編集注:通常アメリカのバスルームはトイレと浴槽が同じ室内にあり、日本の浴室のように浴槽の外で体を洗ったりお湯を流したりすることはできない)(c) Kasumi Abe

収納スペースがたっぷりのウォークイン・クローゼット(c) Kasumi Abe

収納スペースがたっぷりのウォークイン・クローゼット(c) Kasumi Abe

リビングとベッドルームからセントラルパークの四季の移ろいを楽しむことができる(c) Kasumi Abe

リビングとベッドルームからセントラルパークの四季の移ろいを楽しむことができる(c) Kasumi Abe

冒頭で価格帯はご紹介しましたが、各住居の気になるお値段は? 以下は住居ごとの一例です(すべてターンキーなしの価格)。

Residence 36A ー (1ベッド、1バスルーム  707平方フィート=65.7平方メートル)
$2,050,000(約3億1,027万円)

Residence 37C ー (2ベッド、2バスルーム 1,133平方フィート=105.2平方メートル)
$2,695,000(約4億790万円)

(オプションのターンキーを選ぶ場合、住居の大きさに応じて追加費用は16万ドルから25万5千ドル、約3,000万円前後)

ホテル上階の住居スペース、ターンキー物件、日本では?

こうしたラウンジを備えたコンドミニアムやターンキー(家具付き)の物件は、日本でも増えているのでしょうか? 前出の『SUUMO新築マンション』の永田氏に聞きました。

「日本ではホテルと一体的に開発される分譲マンション自体がそもそも稀有な存在です。前提として、日本のマンションでは大規模物件を中心に共用部が充実しているケースが多く、高級感のある設えの物件も一定数ある状態です。とはいえ、ONE11 Residences at Thompson Central Parkのようにコンドミニアムに住みながら、同じ建物内にあるホテルの施設を利用できる物件も登場しています」

形式は違えど、ホテルライクな暮らしができるコンセプトの物件は、日本でも登場してきているようです。そのような中には高層階を購入した人のみが利用できるサービスもいくつか見られます。最近では、大阪市内に誕生した『Brillia Tower 堂島(ブリリアタワー堂島)』(フォーシーズンズホテルと一体の高級分譲マンション)が一例です。

ターンキー物件については、「ニューヨークでも同様かと思いますが、日本では分譲マンションのオプションとしては珍しいタイプで、ごく稀に存在している印象です。富裕層向けのハイクラスの物件はそもそもゼロベースでカスタマイズすることを前提にしているケースも多いです。空間づくりにこだわる方が多いのが背景にあるのですが、カスタマー自身が間取りや設備までトータルコーディネートしているケースが少なくありません」。

ターンキー物件そのものは珍しいものの、近いサービスを享受できる富裕層向けのハイクラス物件はよくあるようです。

コンドミニアムを購入する場合、「プロのインテリアコーディネーターによってすでにセレクトされている家具や小物を丸ごと購入できるのを便利としてそこに価値を置く人」から、「時間がかかって良いから自分ですべてのインテリアをコーディネートしたい人」、また「プロにお願いしなくて良いから少しでもインテリア価格を抑えたい人」など、住居に求める理想やライフスタイルの好みはさまざまです。それを踏まえ「諸々のオプションがあって選ぶことができる」のが、ONE11 Residences at Thompson Central Parkの強みであり特徴だと思いました。

●関連サイト
ONE11 Residences at Thompson Central Park

ニューヨーク人情酒場 ついに店の要・チャトも離脱…!?シビアなNYの飲食業界の洗礼が酒場を襲う…!

ニューヨーク人情酒場へようこそ!これは、ブルックリンにある小さな酒場(レストラン)で起こったいろんな出来事。
大都会の夜、一杯の酒から始まる人間模様。作者はこのお店で今お寿司を作っているよ。

漫画

チャトとの別れ

漫画漫画漫画漫画漫画

初日から顔を合わせたチャトが辞めることは、店にとっての一つの柱がなくなるような喪失感がありました。入れ墨だらけで見た目はすごく怖いけど、熱いハートを持ったペルー男児のチャト。ものすごく仕事ができるのにお茶目で心優しく、従業員全員から慕われていました。

ニューヨークで暮らしていくことは決して楽ではありません。特に子どもがいると、保育園に入れるとかどんな学校に入れるのかとか、本当にいろいろな問題が出てきます。
日本に比べて物価も高く、NYCの保育園は月に2000ドルが最低ラインで、区域によって教育の質にもかなり明確に差が出てくるため、判断は簡単ではありません。
何よりもチャトと家族のみんなに幸せになってほしいという気持ちがあったけど、同時に兄貴のような存在がいなくなってしまうことの不安や悲しさが押し寄せて、この日は本当にやるせなく、つらかったです。

余談ですが、このお店で働くうちにペルーのいろいろな調味料について学びました。
Acevichadoソースというのはニンニクが効いたさらっとしたマヨネーズのようなソースで、マグロの刺身によく合うのです。ペルーは魚の生食文化が発達しているので、料理も日本人の舌に合うものが多いなというのが個人の感想です。

衝撃の告知

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なんかおかしいなとは思っていたけど、こんな展開はさすがに予想していなかったよ。
NYでの飲食ビジネスは本当に入れ替わりが激しい。お店の経営にしても、ストリート1つで客層が完全に変わってくるため、一筋縄ではいきません。このお店はラテン系の住人とお店がすごく多いストリートにありましたが、一本道を挟めば地元の人はほとんどがイタリア系白人なのでお店の雰囲気も全く変わってくるのでした。
とにかく店の入れ替わりは激しいし、何年も継続できるビジネスというのは本当に奇跡のような出来事で、手腕が求められるのです。オーナーさんたちにはただならぬプレッシャーがかかっていたと思います。
どうなるこの店、どうなるヤマモト。次回、一旦最終回です。よろしくね~!

ヤマモトレミ

作者:ヤマモトレミ
89年生まれ。福岡県出身。2017年、勤めていた会社の転勤でニューヨークに移住。仕事の傍ら、趣味でインスタグラムを中心に漫画を描いて発表していたところ、思った以上に楽しくなってしまい、2021年に脱サラし本格的に漫画家としての活動を開始。2022年にアメリカで起業し個人事業主になりました。ブルックリンのレストランで週4で寿司ローラーをやっています。

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漫画

いや、なんだよSake Bombって

漫画

にわかに信じがたいドリンクSake Bombですが、これが意外なほど浸透しています。しかも、お箸の上に載せた日本酒入りのおちょこはテーブルを手で叩きまくった振動でビールの中に落とすという野蛮極まりない手順で完成します。挙げ句の果てにビールと日本酒を混ぜたものを飲むというのだから日本人としては目も当てられないといったところですが、アメリカのパリピにはSake Bomb好きが多い印象があります。でも、そもそも日本酒を置いているバーでないとできない遊びなので、条件的には厳しいです。(アジア人経営でないアメリカのバーで日本酒・焼酎を置いているところは少ない。)
アメリカのパリピのやるドリンキング・ゲーム的な遊びは、私のようなオタクの日本人には経験がないほど原始的なものが多く(球をコップに投げ入れて外れたらショットを飲むやつとか)ちょっと困惑してしまいます。でも、あんまり知らない人と距離を詰めるにはちょうどいいのかも!?

ちょい飲みが激しすぎる問題

漫画

日本でサラリーマンを経験した人間といたしましては、「ちょっと飲みに行く」のイメージは仕事終わりの居酒屋での一杯だったんですが、パーティー好きなアメリカ人やラテンアメリカ人にとってはちょっと違ったようです。
とくにラテンの人々はサルサミュージックが流れ出すと自然に腰が動き出し、週末はどこでも構わずに踊り出してしまいます。上司も部下も関係なく、踊ってるときはみんなハッピー。おおらかで優しい心を持った人が多い印象で、ダンスが下手な私にも踊りを教えてくれたりなど。
でも、この日はかなり激しかったな。次誘われたら参加してみようと思います。絶対浮くと思うけど……。

ヤマモトレミ

作者:ヤマモトレミ
89年生まれ。福岡県出身。2017年、勤めていた会社の転勤でニューヨークに移住。仕事の傍ら、趣味でインスタグラムを中心に漫画を描いて発表していたところ、思った以上に楽しくなってしまい、2021年に脱サラし本格的に漫画家としての活動を開始。2022年にアメリカで起業し個人事業主になりました。ブルックリンのレストランで週4で寿司ローラーをやっています。

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漫画

トシさんが仕事を休むことになった

漫画

いつも前向きなお寿司フェアリー・トシさんとの日々は平和に過ぎていきました。どんなことがあっても動じず声を荒らげたりも一切しない、奇跡のように心優しくニコニコ笑顔の寿司職人トシさん。彼の存在をあがめるようにして働いていましたが、そんなトシさんから頑固親父ヤスさんへのシフトチェンジは正直難しいところがありました。でも、何事においても第一印象が悪ければ悪いほど、その後の印象が変わりやすいもので・・・?
(この漫画を描くにあたりヤスさん本人の職場にご挨拶に行き、概要を説明して漫画にしてOK!という許可を頂いています)

ブルピじじい

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共通の話題が一切ない人と話している時に、話題をひねり出そうと頭をフル回転する瞬間ってあるよね。私はあの瞬間がすっごく苦手です。
しかし、苦し紛れのスモールトークがきっかけとはいえ、ヤスさんの絵は本当に素晴らしいものでした。職歴40年のベテラン寿司職人ヤスさんですが、寿司を作っている時以外は自宅で絵の制作に励んでいるそうです。NYには本当にいろいろなバックグラウンドをもった人がいて、みんなの経歴を聞くだけでもとても面白いです。第一印象で決めつけることなかれ!
それにしてもこんな素敵な絵が誰の目にも留まることがないなんて本当にもったいない。ここに出した3枚の絵は結構最近描かれたものらしいですよ!

ブルピじじいとの交流

漫画

やっぱり好きなものが共通していると仲良くなるスピードも自然と早くなりますよね。ヤスさんの絵の世界観は意外にもほのぼのとして、絵のことを話している時の言葉選びは調理場とはまるで別人。作品も言葉もどことなく儚く、詩人のような印象がありました。
さらに、調理場での態度にも納得がいくほど、作っていただいたお寿司は本当においしかったです。何事も一流を極めている人ってかっこいいよね!
そして絵の世界観とのギャップが激し過ぎて困惑。絵の話を振ってみてよかった!

ヤマモトレミ

作者:ヤマモトレミ
89年生まれ。福岡県出身。2017年、勤めていた会社の転勤でニューヨークに移住。仕事の傍ら、趣味でインスタグラムを中心に漫画を描いて発表していたところ、思った以上に楽しくなってしまい、2021年に脱サラし本格的に漫画家としての活動を開始。2022年にアメリカで起業し個人事業主になりました。ブルックリンのレストランで週4で寿司ローラーをやっています。

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漫画

いきなり寿司職人になりませんか?と言われた※ミスター・ミヤギ:映画「ベスト・キッド」の登場人物。いじめられっこの主人公が住むアパートの管理人にしてカラテの達人

※ミスター・ミヤギ:映画「ベスト・キッド」の登場人物。いじめられっこの主人公が住むアパートの管理人にしてカラテの達人

いきなりまさかの展開です。でも、寿司職人に対する憧れはずっとあったので受けることにしました。
特別な資格や経験も乏しい移民がアメリカで生活していく上で職業の選択肢は決して多くないのですが、その中でも、特殊能力的な意味で寿司職人はいろいろな場所で重宝される印象があります。一発逆転した方がニュースで取り上げられたりもしていましたね。
中でもグルメの集まる都市、ニューヨークでの寿司職人の待遇はとても良く、アメリカンドリームの1つであるといっても過言ではありません。なんといっても高級な寿司店では一人当たりの単価が200~300ドル(日本円で2万7千円~4万円ほど)が当たり前という世界ですから……。その分、卓越したサービスを求められるのは間違い無いんですけどね。
ひとことで寿司職人といっても日本で職人に弟子入りして長く経験を積んだ方から、身一つでアメリカにやってきて生きるためにゼロから寿司を覚えた方まで三者三様。
しかし、手に職をつけていれば食うのに困らないというのは、まず間違いないといえるでしょう。

トシさん漫画

©1984 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

正直に言ってNYの寿司職人さんは昔ながらの日本人気質の方が多く、そしてほぼ全員が男性です。
ですが、トシさんはどうにもユニークな存在でした。女性を絶対的にリスペクトしており、さらに元々はボクサーをしていて世界中を旅したらしく、その後いろいろ経てアメリカ移住、寿司職人になり30年というかなり面白い経歴。
父親と同年代の方でしたがかなり自由な魂をもった方でした。そして同僚からは、「レミにはミスター・ミヤギがついたらしい」と言われまくりました。

忙しい日漫画

©1984 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

忙しいときこそ、その人の本性が出ると思っています。
トシさんの前向きな姿勢は本当に素敵だし、自分に対しても他人に対してもネガティブな言葉を発するところなんて一度も見たことがありません。
忙しい現場だからこそ、いい雰囲気で一緒に仕事できるよう心がけるというのは、口で言うのはたやすくてもなかなか実行できないものです。
こういうこともあって、私はどんなときも前向きで何があっても私を助けてくれるトシさんを、魔法少女ものでいうところのマスコットキャラ的な妖精なんだろうと思うようになりました。

ヤマモトレミ

作者:ヤマモトレミ
89年生まれ。福岡県出身。2017年、勤めていた会社の転勤でニューヨークに移住。仕事の傍ら、趣味でインスタグラムを中心に漫画を描いて発表していたところ、思った以上に楽しくなってしまい、2021年に脱サラし本格的に漫画家としての活動を開始。2022年にアメリカで起業し個人事業主になりました。ブルックリンのレストランで週4で寿司ローラーをやっています。

世界の名建築を訪ねて。ウーブン・シティなど手掛けるビヤルケ・インゲルス設計の集合住宅「ザ・スマイル」/NY

世界中の建築を訪問してきた建築ジャーナリスト淵上正幸が、世界最先端の建築を紹介する連載1回目は、アメリカ・ニューヨークにある複合開発ビル「The Smile(ザ・スマイル)」(設計:ビヤルケ・インゲルス(BIG))を紹介する。

火星移住計画、トヨタ「ウーブン・シティ」も手掛ける世界的建築家の作品

今日ニューヨークで話題の建築家ビヤルケ・インゲルスは、デンマークのコペンハーゲン出身の建築家で、まだ48歳という世界の建築界では圧倒的に若さを誇る建築家である。いわゆるアトリエ派といわれる建築家集団(個人名を会社名として使用し設計活動をしている会社)では、おそらく世界有数の規模を有する建築デザイン・アトリエだ。その作品は世界中に展開され、さらに「火星移住計画」なども発表している。     

彼の事務所は「BIG」、すなわちBjarke Ingels Group(ビヤルケ・インゲルス・グループ)と呼ばれ、生み出す建築作品は、そのデザインの形態的ダイナミズム、アイディアの先進性、イノベイティブな機能性など、圧巻の魅力を兼ね備えている。それゆえトヨタが富士山麓に計画しているスマート・シティである「ウーブン・シティ」の都市デザインも任されているのだ。

イースト・ハーレムに打ち込まれた建築的スパーク

ニューヨークのハーレムといえば、多くの人はマンハッタンの北側方向にある治安が悪い場所というイメージをもっていると思う。あながち間違いではないが、近年では治安は以前より良くなっているようだ。裏通りなどはやめて、表通りを歩いていれば安全ということである。

ハーレムの存在はニューヨークの都市的多様性を示す好例であろう。縦長のマンハッタンにはロウアー・マンハッタンからアップタウンに向けて北上して行くと、先述のアーバン・ダイバーシティを種々体験することができる。そしてセントラル・パークを越えると、ハドソン川沿いにあるハーレムに行き着く。

さてビヤルケ・インゲルスがデザインした「ザ・スマイル」は、ハーレム125ストリートとハーレム126ストリートというふたつの通りをつなぐという大きな建物である。1階に看護学校を擁し、上部に集合住宅があり、両ストリートをつなぐ複合開発ビルだ。延床面積26,000平米の建物は、集合住宅の3分の1は手ごろな値段のアパートメントで、この界隈における集合住宅の多様性の一翼を担っている。

T字形をした建物プランにより、ユニット・サイズやレイアウトにバラエティがある一方、近隣ビル群との連繋も強化したデザインとなっている。この南側キャンティレバー部分は、125ストリートに面した既存の商業ビルの上部に浮遊するように見え、発展するアップタウンにおけるダイナミックな起爆剤となっている。

建物における最大の特徴となっている126ストリート側ファサードは、壁面が上部にいくに従って緩やかに湾曲を増していくという、従来の直線的なストリート・ラインに対し、ソフトでエレガントな形態となっている。このデザインは建物のマッス(躯体)を市のゾーニング規制に対応させているし、さらに集合住宅が多いこのストリート界隈に、より多くの直射光を導入するという、巧みな配慮が生きていて素晴らしい。

上部にいくに従って緩やかに湾曲を増していく壁面ファサード。チェッカーボードのパネルの合間は居室の窓にあたり、床から天井までの景色が楽しめる

上部にいくに従って緩やかに湾曲を増していく壁面ファサード。チェッカーボードのパネルの合間は居室の窓にあたり、床から天井までの景色が楽しめる

ニューヨークとはいえ、この辺はにぎわうフィフス・アベニューなどとは違って超高層ビルがないので通りがそんなに暗くはない。だがそれでもニューヨーカーは都心の超高層ビル群の間を巡るストリートの暗さを、日ごろ体験しているので、その気持ちが強いのだと思う。インゲルスもそうした気持ちから、ここハーレムでファサード・デザインに粋を凝らして、街路により多くの自然光を導入しようと考えたのだろうと思う。

建物名の「ザ・スマイル」については、彼の真意は分からないが、曲面壁のファサードは建物がスマイルして(笑って)いると考えたのかもしれない。そのファサード全体に使用された連続するチェッカーボードのパネル・システムは、個々の住宅ユニットに床から天井までフルハイトの開口部を可能にした。そのためテナントは同市のオープンでワイドな景色をエンジョイすることができる。さらにセントラル・パーク方向へのイースト・ハーレムや、北方向のハーレム川やブロンクスの眺望が可能になっている。

のんびりとしたルーフデッキからのワイドな眺望は圧巻

エントランスはタイル張りで、近隣の壁画アートからインスピレーションを得た強烈なカラー・コンクリートのデザイン。界隈のビル群に対しユニークでウェルカムな態度をアピールしている。内部のアメニティとしては、フィットネス・センターをはじめ、メディア・ルーム、リラクゼーション・スパ、ソーシャル・ラウンジ、さらにスカイライトで明るい3層吹き抜けのギャラリーを見晴らすワーク・スペースがある。

さらに外部のルーフトップ・アメニティとして、ワールプール・スパ、水泳プール、その他のソーシャルな活動や集会用に種々のタイプのスペースを提供するルーフデッキがある。建物の外装は黒色のメタル・パネルに対し、インテリアの居住スペースはニュートラルかつミニマルな空間となっている。インテリア全般において、空間は木材、コンクリート打放し、スティール・トラスといった建築素材で構成。それに対し、パブリックなアメニティ・スペースではより多くのファサードのメタル・パネルやカラー・タイルを組み合わせている。

のどかなルーフデッキから遠望するマンハッタン中心部の超高層ビル群が素晴らしい!

のどかなルーフデッキから遠望するマンハッタン中心部の超高層ビル群が素晴らしい!

ユニークな形態で界隈を明るくする「ザ・スマイル」は、前世紀のセットバック規制をクリアしている。良き隣人として、建物は既存の界隈の仲間となり、コミュニティのエネルギーを吸収し、イースト・ハーレムのコミュニティに新たなスパーク(火花)を点火したようだ。

●The Smile (New York, USA)
ザ・スマイル(アメリカ、ニューヨーク)

NY現地レポ! 新型コロナ、戦争、物価高。「モノ不足」に市民が悲鳴

コロナ禍になって3年目。アメリカでは「モノ不足」が叫ばれるようになって久しい。
2020年3月、日本と同様、アメリカでも人々は未曾有の脅威に備え「買いだめ」に走った。それによりトイレットペーパー、消毒液、不織布マスク、風邪薬、長期保存用のパスタや米といった食料品、ミネラルウォータなどがスーパーの棚からごっそり消えた。
感染拡大の落ち着きとともに品不足は解消されたが、コロナ禍3年目の今年になっても、さまざまな「モノ不足」が社会問題になっている。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

アメリカで深刻な粉ミルク不足

日本では、新型コロナや戦争などに関連して材料不足・労働力不足による値上げや品不足が取りざたされているが、それだけとも限らない。例えば今春、ベビーフォーミュラ(粉ミルクなど乳児用ミルク)の品薄が子を持つ親にとって切実な問題となった。

そもそもの原因は、粉ミルクを飲んだ乳児4人が細菌による感染症で入院、うち2人が死亡したことだ。この粉ミルクは米最大手アボット・ラボラトリーズのミシガン州の工場で製造されたもので、同社は問題発覚後、製品を回収し工場の稼働を停止した。その影響で消費者がパニック買いをしたことで、5月半ばには全米で粉ミルクが常時より43%減り、どの店でも品薄状態に陥った。

きっかけは1社の感染症によるもので、厳密に言えば労働力不足や戦争などが関連したものではないが、コロナ禍で社会不安が広がるなか、人々がニュースに敏感になり、ちょっとした異変を感じては買いだめに走り、商品が棚からごっそりなくなるという意味では、この2年で発生したほかの品不足騒動と類似している。

その後FDA(アメリカ食品医薬品局)は、外国製粉ミルクの輸入を認める方針を発表し、ヨーロッパからの輸入に頼る緊急対策を打ち出した。さらに、工場の衛生環境の見直しなどを条件にアボット社の再稼働を許可したことで、問題はさしずめ落ち着いたように見られるが、店によってはまだ品薄状態だ。足りない地域の人々は、他州に買いに行ったりオンラインで購入したりしている。

7月下旬になっても、ニューヨーク市内のドラッグストアでは乳幼児用製品が品薄状態  (c) Kasumi Abe

7月下旬になっても、ニューヨーク市内のドラッグストアでは乳幼児用製品が品薄状態 (c) Kasumi Abe

ドラッグストアでは、タンポンも不足気味だ。まったくないわけではないが、商品によっては空の棚が目立つ。

タンポン売り場。7月下旬、ニューヨーク市内のドラッグストアにて (c) Kasumi Abe

タンポン売り場。7月下旬、ニューヨーク市内のドラッグストアにて (c) Kasumi Abe

ニューヨークタイムズによると、タンポンの品薄状態はインフレによる消費者物価の上昇が背景にあるという。また、金融関連の専門メディア、ブルームバーグによると、インフレにより今年5月の時点で、生理用ナプキンの平均価格は今年の初めに比べて8%以上上昇し、タンポンの価格は10%近く上昇した。

タンポンの製造を行うタンパックス(Tampax)社は、コットンやプラスチックなどの原材料を入手するのに高いコストがかかっていることにより(製造が)非常に不安定であると発表している。

コロナ禍以降のモノ不足について、ニューヨークタイムズは、粉ミルクやタンポン以外にも「トイレットペーパー、自動車、厨房機器などの世界的なサプライチェーンが品薄の危機に晒されている」と報じた(筆者の住むエリアでは、トイレットペーパーの仕入れはここ1~2年ほど安定しているが、全米では品薄の場所もあるようだ)。

また筆者は本屋を取材した際、出版業界でも紙不足と労働力不足で印刷が減っているという話も聞いた。

(写真/PIXTA)

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米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)によると、2021年6月と比べて、食品価格は10.4%上昇した。具体的に卵は33.1%、レタスは11.4%、パンは10.8%値上がりし、消費者物価指数(CPI)は1981年以来もっとも高い上昇率だという。ガソリンの高騰も報じられている。

インフレ以前もアメリカの都市部では物価、家賃、外食費は高かったのだが、以前ならスーパーでちょっとしたものを購入し て5000円~1万円程度で済んでいたものが、インフレの今は、6000円~1万1000円出さないといけない状態だ。買い物1回あたりは約1.1倍と微増だが、塵も積もれば結構な出費となる。筆者も極力外食を減らし自炊を増やしているのはもちろんのこと、単価が高くなったもの自体の購入自体をやめた、もしくは購入する回数を減らしたケースもある(例えば、6ドルから数セント値上がりしついに7ドルに達したお気に入りのジュースなど。6ドルでも高いと思ったが、7ドルになると手が出せない域になったと感じた)。

価格高騰の波は、さまざまな分野に影響を及ぼす

例えばニューヨークでは、数々の映画でもおなじみの観光地であるセントラルパークのボートハウスが2022年10月16日、150年の歴史に幕を閉じることが7月21日に発表された。閉店理由は「人件費と物価の上昇による」という。「また1つ、ニューヨークのアイコンがなくなる」と、市民を失望させるニュースだった。市内ではコロナ禍以降、店舗の閉店が増えるなど、ボートハウスの閉店は氷山の一角だ。

(写真/PIXTA)

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また、都市部では住宅不足による家賃高騰も続いている。

新型コロナがサプライチェーンにもたらす影響

コロナ禍初期、行動制限により世界中の工場が操業を停止した。それにより何が起こったかというと、サプライチェーン(商品や製品が消費者の手元に届くまでの調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費という一連の流れ)の一時停滞と、世界の物流の寸断だ。

コロナ禍3年目のいま、初期とは別の問題が生じている。一時は停滞していた経済活動が回復し、需要が増えたのはいいが、供給が追いつかない状態なのだ。コロナ禍以降、住宅着工件数が急増したことで、輸入木材の価格は2021年10月の時点で、コロナ禍前の2019年12月に比べて1.8倍に、自動車や電子機器に使われる銅の価格は2021年11月、2019年12月の1.5倍にはね上がった。木材や銅などの資源価格が急激に上昇し、コンテナ不足などもあり物流が混乱している状態だ。

労働力も足りない

コロナ禍以降の不足は「モノ」など物質だけではない。「人」や「労働力」もそうだ。

筆者は日常生活のあらゆる場で、人手不足を感じている。例えば、銀行に行くにも予約が取りにくい状況だ。その理由を行員に尋ねると「Labor shortage(人手不足、労働力不足)」と説明される。薬局では、万引き防止で鍵のかかった商品を出してもらおうと店員を呼んでも、しばらく誰も来てくれないことがある。スタッフが足りていないのだ。

(写真/PIXTA)

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現在は真夏のプールシーズン真っ盛りだが、ライフガード不足でいくつかの公共プールの閉鎖(もしくは入場制限)が報じられた。

また、今はそれほど深刻ではないものの、今後はオリーブオイルの品薄も懸念されている。オリーブの生産国の1つ、イタリアでオリーブ急速衰退症候群といってオリーブの樹木を枯らす細菌が急速に蔓延しているのが原因だ。専門家によると、そのせいで過去5年間で生産量が約50%も損なわれるなど大きな被害が出ている。これに加え、世界中のサプライチェーンの問題、労働力不足、ウクライナでの戦争も供給に影響を及ぼすというのだ。

このようにコロナ禍以降の「人・モノ不足」は、アメリカのみならず世界各地での切実な問題だ。
市井の人の視点としては、モノ不足に関して「まったくない」状態ではないので行政の目立った対策はないものの、以前と比べて「チョイスが限られるようになった」のは事実。世界的なサプライチェーンの問題はしばらく続きそうだが、それさえ解決できたら少しは人・モノ不足も解消されていくだろうと、人々は期待を寄せている。