所在地:東村山市秋津町17万円 / 79.48平米
武蔵野線「新秋津」駅 徒歩20分
気張らない郊外暮らしを満喫できそうな、新築戸建てのご紹介。
新築ならではのすっきりとした気持ちよさと、暮らしていくうちに自分の家としてなじんでいく楽しさを味わえるのがポイント。住み手にゆだねられているような、家の各所にあえての余白を感じるつくりです。
間取りは2LDK。1階に ... 続き>>>.
圧倒的に不動産情報が多いですが。。。。
所在地:東村山市秋津町
所在地:港区西麻布
所在地:世田谷区桜上水
所在地:八王子市天神町放送29年目に突入した「出没!アド街ック天国(テレビ東京系列)」。今まで1400を超える街を紹介してきた。
街の魅力を徹底的に掘り下げる番組だが、あまり知られていないリサーチ方法がわかった。
それは数週間も一つの街を徹底的に歩いて駆けずり回る、愚直な手法だ 。
他の番組でも類を見ないほどのアナログ式の徹底リサーチで、街調べを完遂する達人たち。その詳細から、「自分にピッタリの街」を見つけるヒントまで聞いた。

(写真撮影/辰井裕紀)
番組制作会社ハウフルスの会議室にいたのは、出没!アド街ック天国の演出・堀江昭子さん。
放送開始3年目で飛び込み、アド街を知り尽くした人だ。
さらに、プロデューサーの佐藤実さんにも話を聞く。

左から、プロデューサー・佐藤実さん、演出・堀江昭子さん(イラスト/タテノカズヒロ)
堀江「まず、リサーチをするのは担当ディレクター1人とアシスタントディレクター(AD)2人、計3人の班です。インターネットや書籍などで事前取材もしますが、基本はとにかく街歩きですね」
そもそも「3人」とは、あれだけの内容を調べるには少なくないか?
堀江「他の番組って、放送までにかけられる時間がすごく短いんですよね。うちは一つの街にリサーチから放送まで約2カ月かけていますから、少ない人数でもくまなく調べられるんです」
「8班」体制を組むからこそ可能な約2カ月スパン。リサーチだけで1カ月かけることもあるという。それでも、人数と予算が限られている中でどうやって探すのか。

番組制作には、ロケハン、ロケ、VTR編集、収録、番組全体の編集などの工程を経る(写真提供/ハウフルス)
一つの街では、メイン通りだけではなく、私道でなければ地元の人しか通らないような細い路地裏に至るまで、くまなく歩いてリサーチを行うという。
ちなみに、どんな方から話を聞くのか。
堀江「まず、商店街があったら商店街の会長さんや老舗のご主人など、地元の『生き字引みたいな人』に聞きます」
より街を知っている可能性の高いキーマンに話を聞くわけだ。
堀江「街にとって大事なスポットを聞いて、居酒屋をオススメされたら足を運び、周りの常連客とも『アド街』と明かさずに仲良くなって。他においしいお店も聞きます」
飲みニケーションからの数珠つなぎである。
さらに居酒屋にいるお客さんだけだと偏ってしまうので、美容室に髪を切りに行ったり、八百屋さんに行ったりして、「アド街」とは言わずに話しかける。そして目星をつけて各所を訪問するのだ。

田無で「スコップ三味線」を体験するディレクター(写真提供/ハウフルス)
ちなみに、担当ディレクターが一つの街につき1人だけなのはなぜか。
堀江「この街をどう見せようかの演出を統一できますから。同じ街でも魅力の見せ方次第で変わって見えますので。街の人とも1人の方が、仲良くなれますし、端的に言うと『深く』できるんです」
たしかに、1人で話しかけた方が向こうも心を開いてくれやすい。深いリサーチや演出に必要なのは「孤独」なのだ。
ディレクターは猫しか通らないような路地も探索する。そのおかげで白山・千石(東京都文京区)の放送回では、花街だった名残を多く見つけられた。

白山・千石エリアの路地裏には現役の井戸&手押しポンプがあり、住民が植物の水やりなどに使う(写真提供/テレビ東京・ハウフルス)
堀江「たとえば、白山が花街だったのは有名ですけど、路地に石畳が残っています。ふつうは通り過ぎちゃうような場所なんですけど、そこを調べれば街の歴史がわかるんです」
お蔵入りの街も「時代が変われば放送できる」ちなみに、ネタが見つからなさそうなときはどうするのか。
堀江「正直、放送までこぎつけられなかった街もあります」
過去に3つほどあったという。
佐藤「時代が変われば放送できると思っています」
時間をおいて、見直された街はあるか。
佐藤「ありますよ、西武新宿線の武蔵関とか。2022年に取り上げたんですけど、これまでは『何もないかな?』と思いこんでいたのですが、行ってみたら、すごく面白い街でした」
世界的かつ日本を代表するお店が多くあったという。たとえば、バイク店の「チェリーズカンパニー」。
堀江「メディアに一切出てないとこだったんですけど、行ってみたら凄腕のバイク職人さんのお店で。カスタムバイクの全国大会で3連覇し、ブラッド・ピットのバイクも手がけた人のお店だったんです」

パーツのほとんどはこの店の黒須さんのオリジナル。『仮面ライダーBLACK SUN』に登場するバイクやブラッド・ピットが愛用するバイクも手がけた(写真提供/テレビ東京・ハウフルス)
それでもベッドタウンの住宅街などは、特筆すべきところが見つからなさそうだが。
佐藤「地元の方からは『うちの街は1時間も紹介できないでしょう』とよく言われるんですけど、そんなことはなくて。地元民だからこそ魅力に気付かない、『灯台下暗し』なこともあるんです。人が住んでいれば、僕らはできると思います。街の方にとって大事なスポットをどれだけ浮き彫りにできるかです」
理想の街の見つけ方「自分にとってピッタリな街」を見つけたい人も多いはず。
佐藤「お店などで人と話せばわかりやすいんですけど、『人との距離感の違い』が見えてくるんです。都市でも大阪は距離感が近くて、東京だとやや遠いですが、下町の方ならもっと近いとか。人それぞれに距離感がちょうど合う街があると思います」
都心で「江戸っ子の人情」が残っているのが、老舗も多い日本橋や神田、墨田区あたりという。
佐藤「アド街はロケハンや撮影の期間も長いんですが、顔なじみになり、昔ながらの方に『本当にあの子たち頑張ってるんだ』と思ってもらえて、『暑いから冷たいもの飲んでよ』と差し入れまでいただきました」
「うちなんかいいから。あそこの店頑張ってるし、取材してやってよ」と言われて、そのお店に行ったら、本当にいい店だったことも。

押上・東京スカイツリー回では「最先端とは真逆の、渋さ満点の定食屋さん」たちを紹介(写真提供/テレビ東京・ハウフルス)

東陽町の居酒屋「あづま」でロケハン後にあめのお裾分けをたくさんいただく(写真提供/ハウフルス)
堀江「あと、元気のいい街は商店街がしっかりしていると思っていて。(山田)五郎さんに言わせると、お茶屋さんが営業できている商店街はいいそうです。専門店で買い物する意識の高い人や、お茶の習慣を持った昔からの人たちが住んでいる街なので」
そして、老舗のお店が多い街はこんな土壌も育つ。
堀江「老舗をみんなで支えていこう、みたいなね。コロナのときにも周りが、大変だろうから、どうにかしなきゃって意識があったようで。店が住んでる人を育てて、人が店を育てているんでしょうね」
古いものを守り、未来に向かう街のよさ最近見てきた中で、印象的な街はあるか。
佐藤「たとえば蔵前(東京都台東区)とか。かつて倉庫が立ち並ぶ街でしたが、今では使われなくなった倉庫が生まれ変わり、外観を残しつつ、中が綺麗にリノベーションされています」
単なる再開発にとどまらず、新しいものの利便性と、古いもののいい部分を調和させた街ができあがっている。

年貢米を貯蔵するなど、江戸時代から倉庫街だった蔵前。倉庫リノベーションで生まれたお店たちによって若者にも人気に(写真提供/テレビ東京・ハウフルス)
堀江「蔵前みたいに、古いものを大事にしている街を見つけるのも手ですよね。街の魅力をわかっていて、未来にこの街をどう残すかをちゃんと考えている人たちがいることが、すごく大事」
さらには、未来へ向かう街がある。
堀江「つくば市(茨城県)は子育て世代にはすごくいいと思います。都会と田舎のよさが共存し、教育環境もすばらしくて。このご時世で、子どもがすごく増えています」
1977年からスタートしているICT教育をはじめ、2012年度から市内全ての小中学校で9年一貫教育を完全実施。最近では生成AIの活用を学ぶ授業を全小中学校に順次取り入れるなど、先進的な学びを推し進めてきた。

つくば市にある学園の森義務教育学校では児童数の多さを活かして、2,039人でだるまさんが転んだを行い「ギネス世界記録」に認定された(写真提供/テレビ東京・ハウフルス)
堀江「北海道の東川町も、バブル期直前の1985年、当時の町長さんが『写真の町宣言』をして。他の町が特産物をアピールする中ですよ。インスタなんかない時代に、未来が見えていたんでしょうね。今では写真を軸とした文化の町になりました」

東川町の人口は25年で20%増加し、約8600人の住民は半数以上が移住者。家の新築、薪ストーブの設置などに補助金が出るなど、助成・支援制度が充実する(写真提供/テレビ東京・ハウフルス)
数え切れないほどの街の魅力を見せてきたアド街は、ついに30周年が目前。何を大事にして番組を続けたいか。
佐藤「(初代宣伝部長の)愛川欽也さんが言っていた、『街をつくるのは建物じゃない、人なんだ』が、アド街の真髄です。本当に街をつくるのは人だと思います」
そして、街の移り変わりを見届ける。
佐藤「地元の人が頑張って街は成長していきますし、魅力も膨らんでいきます。街並みが変わっても変わらなくても、アド街は何度でも出没していきますので」
番組が29年間も探求してきた「アド街視点」を学べた今回の取材。知らない街から、知ってるつもりの街まで、もう一度イチから魅力を探してみたくなった。
30周年とその先へばく進する番組に期待しつつ、いつかどこかの店で「アド街見た」と言ってやろう。
最後に、取材後の立ち話で「今住んでいる街のさらなる魅力」を発見するコツを教えてもらった。
・いつもと違うルートを歩く
・いつもと違うことをやる
・入ったことのない店に入る
堀江「自分のテリトリーを変えることじゃないですかね。そのお店で周りやご主人と話してみるとか。意外な街の側面が見えてくるかもしれませんよ」

北鎌倉の円応寺でロケ後の記念撮影(写真提供/ハウフルス)
●取材協力
「出没!アド街ック天国」テレビ東京系列にて毎週土曜日夜9時~9時54分放送中
所在地:大田区大森中
所在地:文京区千駄木
所在地:渋谷区富ヶ谷
所在地:三鷹市中原
所在地:川崎市高津区二子
所在地:渋谷区神宮前
所在地:文京区湯島
所在地:杉並区成田東
所在地:目黒区大橋
所在地:新宿区新宿全国各地で商店街の衰退が課題になっています。そんななか、埼玉県飯能市にある「飯能銀座商店街」では、まちづくりユニットAkinaiが、市民や町に関わりたい次世代の人たちを巻き込み、商店街の空き店舗を再生しています。個人的に始めた取り組みはどんどん幅を広げており、ついに地元鉄道会社とも連携。なぜ彼らはそこまで飯能のまちづくりに熱を込めているのか、その思いを話してくれました。
自分たちが暮らす街に面白い拠点が欲しかった今回訪ねたのは、埼玉県西部にある人口8万人ほどの街、飯能市。西武鉄道池袋線「飯能」駅があり、特急電車も停車します。森林文化都市と宣言する市の面積は約75%が森林。豊かな緑に囲まれたエリアです。都心から約 50 km圏内の距離で、気軽に非日常を味わえることから、最近は日帰り観光やキャンプで訪れる人が増えています。また、2018年から2019年に、ムーミンをテーマにした施設「メッツァビレッジ」と「ムーミンバレーパーク」がオープンしたことから耳にしたことがある人もいるかもしれません。
このように観光業が発展する一方で、地元住民にとって悩ましいのは街に暮らす人が高齢化していること。飯能駅前は市内で唯一の活気あるエリアですが、商店街も店主の高齢化により次々廃業となり、シャッター商店街になり始めていたのです。西武鉄道池袋線「飯能」駅北口から徒歩5分ほど歩くと見えてくる、飯能銀座商店街もしかり。

シャッターの閉まる店舗がポツリポツリと存在しますが、現在は新旧のお店が入り交じる飯能銀座商店街(写真撮影/片山貴博)
そんななか、2017年から当時30代だった若者たちがシャッター商店街を盛り上げようと仕掛けをつくり始めました。彼らの拠点は、飯能銀座商店街の中央部にあるシェアスペース「Bookmark」です。ここを運営するのが、代表の赤井恒平さんと徳永一貴さんを中心としたAkinaiのメンバー6人。全員、飯能市在住か在勤しています。仲間の中には一時は都心で暮らしていたけれど、この活動に賛同して家も仕事もUターンすることを決意した人もいます。
「2017年にオープンした『Bookmark』は元書店で、長らく空き店舗となっていたスペースでした。大家さんから“ここを使って、商店街が少しでも活気付き、若い人が集まる場所にしてほしい”と相談をいただいたのです」(赤井さん)
赤井さんは、商店街の至近距離にある金属工場跡地を利用した、クリエイティブスペース「AKAI FACTORY」の立ち上げ人。ここでは地域に住むクリエーター達が創作活動や販売活動を行っています。彼らの存在に光を当てたことで、「何も特徴のない街と思われていたのに、実は地域にこんなに面白い人がいた!」と商店街周辺ではにわかに話題となりました。
その様子を目の当たりにした大家さんが「面白い取り組みをしている」と驚き、赤井さんたちに相談を持ちかけたのだそうです。

飯能銀座商店街の中央部に位置するシェアスペース「Bookmark」(写真撮影/片山貴博)
「実家で暮らしていたときは、飯能を田舎で特徴もなく、中途半端な街と思っていました。しかし一度飯能から離れて暮らし、その後この街で仕事を通じて地域の人たちと関わるようになり、考え方が変わりました。実は面白い活動をしている人や個性的な人がもっといるんじゃないか?と思ったのです。彼らが集まったらもっと街の魅力の発信力が上がるし、個性あふれる場所や人のつながりが生まれるのではと思い、2016年に『AKAI FACTORY』を立ち上げました。その勘は間違っていなかったです」(赤井さん)
拠点をつくったら自然と仲間が集まり、商店街から必要とされる存在にこうして赤井さんは、幼少期からの仲間を集めてシェアオフィスとイベントに利用できるスペースとして「Bookmark」の立ち上げに挑戦することになりました。
書店跡を活かした「Bookmark」は、シェアオフィスとイベントスペースが共存するつくり。室内は地元木材である西川材を使用してつくられていて、穏やかでゆるやかな空気が流れています。

「Bookmark」の室内。室内は、イベント用スペースとシェアオフィスブースが共存している(写真撮影/片山貴博)

イベント用スペースでは、地元の作り手を中心に、ワークショップが定期的に開催されている(写真撮影/片山貴博)
「Bookmark」を開業後、この場に興味を持った人やクリエイティブな人々が、続々と集まってきます。シェアオフィスにはデザイナーや小商いをする人が集い、イベントスペースではものづくりワークショップや読み聞かせイベント、ヨガ教室などが行われるようになりました。
こうしてじわりじわりと商店街が若者の往来する姿に変化をしていきました。

同じ商店街内の古民家を活用したコワーキングスペース「Nakacho7」もAkinaiの運営(写真撮影/片山貴博)

「Nakacho7」は2階建ての一軒家の中に、2つの会議スペースを備える。Akinaiのメンバーもここをよく利用する(写真撮影/片山貴博)
「Bookmark」の活動を機に、商店街の取り組みはどんどん広がっていきました。そして、2022年のこと。赤井さんの元にはさらに新しい相談が寄せられるのでした。
その主は、商店街で70年近く営んできた金物店「深田屋商店本店」の店主。110坪ほどある商店街一大きな店内に、鍋や包丁、ジョウロやホース、ほうきや釘にネジまで、街の人の暮らしを支える生活雑貨がそろう、まるで生活雑貨の総合デパートのようなお店でした。店主の山﨑さんの年齢は90代。継ぎ手がないことなどさまざまな理由から2021年にこの店を閉め、空き家になっていました。ここを活用してほしいと赤井さんに相談をしたそうです。

金物店時代の深田屋商店の姿(写真提供/Akinai)
「話をいただき、『何ができるだろう』と改めて店内を見せていただきました。するとたくさんの時代を感じさせる日用品が残っていたのです。今では貴重な農具やレトロな食器などもありました。これらを活かした『生涯現役』『生活に近い活用』をキーワードとしたスペースづくりをしたいと思ったのです」(赤井さん)
彼らは、一部のスペースを次世代の地元クリエーターが入居するシェアショップにリノベーションすることに。店内にたくさん残っていた「深田屋商店本店」の商品はAkinaiの審美眼で厳選し、アンティークショップに変化させました。そしてシェアショップの登録メンバーが店番をするように仕組み化したのです。こうして、「深田屋商店本店」は2023年5月に「くらしの循環センター フカダヤ」として再オープンしました。

「くらしの循環センター フカダヤ」。前店時代の日用品をAkinaiのメンバーによって選別し、古道具として販売している(写真撮影/片山貴博)

今やあまり目にすることがなくなった黒電話や、茶箱、そろばんなどが並ぶ。懐かしい道具を喜んで購入していく人もいるそうだ(写真撮影/片山貴博)
もちろん「生涯現役」をキーワードに掲げたのは、古き良きものを掘り起こすこと、若者を活性化させるためではありませんでした。Akinaiのメンバーはこのスペース内に、地元のシニア団体のショップスペースも設けたのです。こうすることで、古き良きもの、これからも長く生き生き活動をするシニア、未来を担う若者が共存する空間ができあがりました。

地元のシニア団体が営む布小物店と旅行代理店が入居。多世代の人たちが一つの場所に集うのも特徴(写真撮影/片山貴博)
主体的なまちづくりを見て、地元の鉄道会社が動き出した
リニューアル後の「くらしの循環センター フカダヤ」外観。ファサードは、眠っていた日用品を活かして作成した(写真撮影/片山貴博)
シェアショップ内に入居する市内在住のペーパークラフト作家の小針真菜実さんは、車でフカダヤに通い、ここで店番をしながら創作活動をしています。
「今までクリエーターの交流地点がなかったので、こうした場所ができて嬉しい。店番をしていると、街の人との交流ができるので、日々の生活に潤いができた。知っているようで知らなかった街のことを知ることができている」と嬉しそうに話します。

日用品コーナーの店番をしながら、自分のシェアショップにて作業をする小針真菜実さん(写真撮影/片山貴博)
拠点づくりにとどまらず、飯能市内でイベントやワークショップ、マルシェの実施を行うようになったAkinai。折しも自治体としての飯能市は街への移住者、就農者をもっと増やしたいと願っているタイミングでした。そこに、地元の鉄道会社・西武鉄道株式会社が着目したのです。
沿線の価値を上げたいと願っている同社は、Akinaiに声をかけ、飯能エリアでの移住促進プロジェクトを共に実施していくことになります。
同社事業創造部 沿線深耕担当の今成瞬さんと佐藤友美さんは、当時のことをこう話します。
「私たちも街に住む人と接点を持ちたいと思っていたけれど、どうしたら接点が持てるかわからなかったのです。ところがAkinaiのメンバーは市民を上手に巻き込み、街のコミュニティをつくり上げている。そのことに感銘を受けました。私たちよりも、街をよく知るプレーヤーである彼らが主導となって地域のイベントの運営をしたり、人と人を繋ぐ役割を積極的に自由にしてくれたら、もっと街は面白くなる。ひいては沿線の価値向上も期待できると思ったのです。そのために力を借りることにしました」

名栗エリアで実施した自然体験イベント「ピクニックデイ」(写真提供/Akinai)

西武鉄道株式会社の社有地で開催した「はんのーとマルシェ」には、多くの地元客が来場した(写真提供/Akinai)
現在は双方が手を組み、地域でのマルシェやワークショップ、街歩きイベントやローカルWebメディア「はんのーと」の運営など、あらゆる角度から飯能の魅力や面白さを発信する「はんのーと」プロジェクトに取り組んでいます。まちづくりといえば、とかく行政や民間が主体となることが多いなか、Akinaiは市民の代表という立場で、まちの魅力をつたえ、周囲の人たちの心を動かし、行動させたのです。
強制しないゆるやかなつながりと場所づくりを「地域に関わりたいけれど、気後れして足が遠のいてしまっている人がいることはもったいないことですよね。飯能にも多分、何かに挑戦したいと思っている人たちは、まだまだいると思うのです。僕たちはその敷居を取り除いていけたらと思っています」(Akinai徳永さん)
とはいえ、Akinaiのメンバーは肩肘はらず、これからもできることを淡々と、そして楽しく時間をかけて取り組んでいきたいそうです。

マルシェを運営するAkinaiのメンバーと地元のクリエーターたち(写真提供/Akinai)
「自分達が“思いっきり前面に出て街づくりをアピールしたい”という気概はなくて。ただあるのは、せっかくならば住んでいる街をもっと面白くしたいよねという純粋な動機のみです。この街に眠る面白さや人との出会いを少しずつ紡いでいき、柔らかくつながれる関係と場所をつくっていきたい。みんながやりたいことをやれるようにできたら暮らす街はもっと楽しくなります」と、Akinai代表の赤井さんは穏やかに話してくれました。

Akinaiの徳永一貴さん(左)と、赤井恒平さん(右)(写真撮影/片山貴博)
飯能に限らず、今地域にある商店街は店主の高齢化、継ぎ手の不足により閉店を余儀なくされています。こうした跡地を利用して街を面白くしたい、活性化させたいと思っている若者がいるものの、由緒ある商店組合の存在に敷居を感じてしまい、なんとなく挑戦しにくく思っている人もいるようです。
飯能銀座商店街のように、Akinaiのメンバーをはじめとした地元のクリエイターたちがゆるやかにつながり、自分の持つスキルを活かす形でまちに関われば、街はもっと発展していくのでしょう。そのためには受け手である商店街の店主たちも、柔軟に門扉を開くこと、規則やルール、既成概念をほんの少し緩めてみることによって、新たな街の担い手と関係を築くことができるのかもしれません。
実際に、ここ飯能銀座商店街を訪れる人たちの顔ぶれがじわりじわりと変わっていることを思うと、未来はそう遠くないと感じさせてくれますね。
●取材協力
・Bookmark
・Nakacho7
・くらしの循環センターフカダヤ
・株式会社Akinai
・西武鉄道株式会社
所在地:中野区本町
所在地:鎌倉市極楽寺四丁目球体の3Dプリンター住宅「serendix10(スフィアモデル)」が話題になっているセレンディクス社(兵庫県西宮市)が、ついに夫婦向け一般住宅となる3Dプリンター住宅「serendix50」・開発コード「フジツボモデル」を完成させた。2023年8月末から6棟限定で販売を開始している。つい先日、商用日本第一号の完成をお伝えしたばかりだが、いよいよ、3Dプリンターの家に住める時代が現実のものになりつつある。今回は、セレンディクス 代表取締役の小間裕康さんのインタビューに加え、「serendix50」がつくられた愛知県小牧市にある住宅施工会社「百年住宅小牧工場」の現場から、現物をレポートする。
壁を3Dプリンターで「印刷」してでき上がる一般住宅「serendix50」!
(写真提供/セレンディクス)
SUUMOジャーナルが、「家は24時間で創る」を(写真提供/セレンディクス)キャッチフレーズとするセレンディクス社の3Dプリンター住宅を紹介するのは、今回で3回目。既出モデルの「serendix10(スフィアモデル)」(床面積10平米・価格330万円)は、3Dプリンターで出力した場合に最適な形を導入することで、施工時間計24時間以内を実現。さらに、コンクリート単一素材を利用することで、資材のコストが下がり、作業は3Dプリンターが自動で行うため人件費もかからないというメリットもある。「serendix10」は国内外から大きな反響があり、販売されたうちの1棟は現在、長野県にある整骨院のプライベートサロンとして利用が予定されている。
■関連記事:
・3Dプリンターの家、日本国内で今夏より発売開始! 2023年には一般向けも。気になる値段は?
・3Dプリンターの家、国内初の実用版は23時間で完成!内装や耐震性は? ファミリー向け一般住宅も登場間近 長野県佐久市
※長野県にある整骨院のプライベートサロンはこちらで紹介
セレンディクス社はデジタルデータをつくる会社。3Dプリンター住宅の建築手順は、まず設計データをつくり、最先端のロボット工学を駆使した3Dプリンターにデータを送信。提携する工場にある3Dプリンターで出力(抽出)したモルタルの4つのパーツを乾燥させて、プレキャスト素材として輸送し、現場で組み立てて施工する、という流れだ。
「serendix10(スフィアモデル)」では開発と普及のスピードを速めるため、ヨーロッパ、中国、韓国、日本、カナダの3Dプリンターメーカー5社にそれぞれ出力を依頼し、日本に移送するスタイルを採用。5カ国で同一データでの同時出力に世界で初めて成功したことも話題になった。

3Dプリンターでモルタルを抽出して積層し、壁を「印刷」していく(写真撮影/本美安浩)
今回、「serendix50」のモデルハウスが完成したのは、愛知県小牧市にある住宅施工会社「百年住宅」工場敷地内。全国に約213社(8月末時点)あるセレンディクス社の協力会社の1社だ。

ハウスメーカー「百年住宅」工場敷地内に完成した「serendix50」。リビング、寝室、水回りに分かれた50平米の室内に入ってみると、コンパクトながらホテルのスイートルーム並みの十分な広さに感じられた(写真提供/セレンディクス)
この「serendix50」は、3Dプリント技術の第一人者である慶應義塾大学環境情報学部の田中浩也教授率いる慶應義塾大学KGRI環デザイン&デジタルマニュファクチャリング創造センターとの共同プロジェクト。
用途がグランピング施設などに限られていた「serendix10」に対して、「serendix50」は一般住宅仕様。キッチン、バス、トイレといった水回り設備を完備した鉄骨造の50平米の1LDKで、価格は550万円の平屋。完成までにかかった施工時間は44時間30分。
現在は複数台の3Dプリンターでパーツを出力し、それらをトラックで施工場所へ運び、現地の施工会社が組み立てるという「セントラルキッチン」のような方法を採用している。
この「serendix50」へは、すでに6000件(8月末時点)の問い合わせがあるそうだ。

壁には9本の鉄骨の柱が等間隔に入っている。今後は、「百年住宅」をはじめとする協力会社で「印刷」したパーツを、施工場所に運んで組み立てる(写真撮影/本美安浩)
一般住宅向け3Dプリンターの家「serendix50」の断熱性能は、日本国内より厳しいヨーロッパの住宅基準をクリアした断熱性能グランピングなどのレジャーや、趣味のスペースなどに使うことを想定された「serendix10」に対して、一般住宅としての用途を想定した「serendix50」は、追求される内容も変わる。
セレンディクス 代表取締役の小間裕康さんによると、より居住性や定住性を重視したという。
まず、鉄骨コンクリート造であることは前モデルとの大きな違いだ。

セレンディクス 代表取締役の小間裕康さん(写真提供/セレンディクス)
「以前の『serendix10』はコンクリートの間に鉄筋を挟むRC造でしたが、今回の『serendix50』は鉄骨の柱を入れた鉄骨コンクリート造です。コンクリート単一素材で現在の建築基準法に準拠し、高い機能性を持たせたことは大きな違いだといえます。壁厚は30cm以上で、耐震面は国内の最先端の耐震技術を採用しています。また、二重構造になっていて、断熱性能は夏と冬の寒暖差が激しいヨーロッパの断熱基準をクリアし、パートナー企業さんと共に特許出願をしました。
『serendix50』では細部まで最新の技術を駆使し、人が快適に住むための工夫を追求しています。断熱性も高いので、猛暑が続いた愛知県内でも、『serendix50』に入ると、クーラーもないのに空気がヒンヤリとしているのが感じられます」
耐震性能をはじめとする強度や安全性などに関しては、これからも実証実験を続けていくという。
「私たちは兵庫県の会社で、私自身も阪神・淡路大震災を経験しているだけに、耐震性能やセシリティ(定住性)のテストには万全を期しています。神戸市には耐震性をチェックする公的機関があるのですが、そこでも実大耐震実験を行う計画をしています。
『serendix50』のシミュレーションは、車の開発の過程と近いものがあります。コンピュータ上では基準の強度に耐えうるというデータが出ていても、車であれば衝突実験をしたり、振動を加えたりしますよね。それが住宅となると、よりさまざまな環境下で、住む方に24時間365日、安全かつ快適に過ごしていただく必要があります。それらを担保するために、最初の6棟で詳細なデータをとることにしています。
一般住宅でも、夫婦お二人の場合と一人暮らしの場合とでは、住まい方や求められる快適性、家にいる時間帯も違うでしょうから、データを取りながら、それぞれの快適性を追求したいと思います」
はじめの6棟はエリアや目的を分けて販売この1年間は調整期間として、6棟のみの販売に数を絞るという。
「現在は、パートナーである協力会社さんと開発した試作の位置付けになりますので、先行する6棟はエリアや目的を分けて販売し、1年間、実際にお客さまに使っていただきながら実証実験をします。もちろん、シミュレーション上のデータでは問題がないのですが、大量出荷できるようになるのはもう少しお時間をいただくと考えています。現在は、お問い合わせをいただいた中から販売先を選定している段階です。エリアは国内で、協力会社さんがある地域を優先していこうと思います。まだ公表できないのですが……」と小間さん。7月末時点で、すでに1041棟分の具体的な購入希望者がいるというからその注目度合いがわかる。

(写真提供/セレンディクス)
課題は2つ、「品質の均一化」と「さまざまな用途への対応」「目指すのは、住宅産業の完全ロボット化です。そう考えると、現在、我々の中では2つの課題があります。1つ目は、各施工会社さんでの工程や技術のバラつきを抑え、品質を合わせなければならないということ。デジタルデータによる3Dプリンター住宅においては、データの共有が強みなので、同じ品質のものを複数つくれるかどうかが大切です。
全国に協力会社さんが散らばっているからこそ、『このエリアでは完全に施工できるが、このエリアは一部できない』ということがないよう、エリアを分けながら、どこでも同じように施工できるということを、デジタルデータで事実確認し、実証したいと思います。また、現場で施工に関わる職人さんの数は、専門分野の違いを加味しても4人以下が目標です。いずれにしても新たな人員を配備せずに、元からの現場のリソースを活かして、より自動化して、3Dプリンター住宅をつくることが重要だと思っています。
2つ目の課題は、購入された方による用途の違いへの対応です。それはこの1年間、6棟で多様な使い方ができることを実証する中で、クリアしていきたいと思います。ですから、販売先は先着順でも関係先優先でもなく、我々が想定するエリアと用途の方をピックアップさせていただきました。購入者さんや協力会社さんからもフィードバックをいただきながら、経過を見ていきたいと思います」
全国で213社を超えるという協力会社は、オンラインミーティングや施工現場で3Dプリンター住宅づくりを学ぶ。さらに、先行する6棟の施工では、自社の1棟前の家づくりを次の1社に見学に来てもらうことで、現場での技術研修を行うそうだ。

デジタルデータをもとにCNCカッターで切り出した屋根部分のパーツ。44時間30分の施工を24時間に短縮してより高機能にアップデートするため、施工に時間がかかっている屋根部分を取り外して改良中(写真撮影/本美安浩)

鉄骨コンクリート造の「serendix50」だが、屋根のみ今回は木造。デジタル+新しいデジタルファブリケーションを実現している(写真提供/セレンディクス)
住宅の“オートクチュール信仰”に一石を投じる現場でセレンディクス社COOの飯田國大さんにも話を聞いた。「serendix50」で、住宅産業に革命を起こしたいと考えている飯田さんは、いくつかの問題を提起する。
「かつてはオートクチュールだった自動車も、1980年代にロボット化が始まり、多くの人にとって手が届く価格になりました。住宅産業においても、3Dプリンターはまさにその始まり来ているのではないかと思います。まず価格面で、平均73歳まで返済が続くような日本の住宅ローンを見直したい。国内では4割の人が住宅を持っていないというデータがありますが、車を買う値段で家を買う自動車のように、望めば誰でも家を持てる世の中にしたいと思います。

セレンディクス社COOの飯田國大さんは、「自動車産業のように住宅産業も完全ロボット化して、住宅を提供したい」と話す(写真撮影/本美安浩)
また、現代の家づくりでは、施主さんが間取りを考え、素材から外装まで一つずつ決めることができます。でも果たしてこれが住宅において、本当に良いことばかりなのでしょうか。プロが一生懸命研究開発をして、これが完璧だと思った間取りをつくっても、カスタマイズできると知ると、施主さんはカスタマイズされます。ですが、住宅専門のメーカーが快適性や安全性を何十年も追求した家と、施主さんが短期間で考えた家とでは、ノウハウの違いが出てしまうかもしれません。
また、日本の木造住宅は、持ち主が退去すると、いったん更地にして新しい家を建てますが、海外ではセカンドハンド(中古)の概念が浸透し、物件をリフォームしながら買い繋いでいくのが普通です。現在国内では建築資材の価格が高騰し、高止まりしています。それなのに建てて20年も経つと、建物の価値は0に近くなってしまう。建物において、日本と海外とで資産性に差があります。こういった問題を鑑みて、『serendix50』のように、プロが企画した品質の良い建物を、スピーディーに低価格で提供して、お客さまの選択肢を増やすべきではないかと考えたのです」

汎用性を考慮し、窓やドアは特別なものではなく、あえて「リクシル」で統一。外壁の塗料は1度塗りでOKの新開発「アミコート」。住む人が自由に色付けできるよう、最初の塗装を白にしている(写真撮影/本美安浩)
自動車と同じように、カスタムやオートクチュールを望む人はその商品を選べばいい。ただ一方で、手が届きやすい価格の量産された商品を望む人にも選択肢を提示したいと、飯田さんは展望を語る。
また、決まった素材を決まった分だけ使用する「serendix50」の場合、建築資材の納期の遅れや大幅な価格の高騰という問題は起こりにくく、一定の工期や価格で家を建てることが叶う。これは結果的に、住宅の資産性や市場価値の向上につながるのではないかと考えているそうだ。
第2の人生での住まいに期待、シニア層から問い合わせが多数「serendix50」は、どんな層に支持されているのだろうか。小間さんに尋ねると「60歳以上の方からのお問い合わせが多い」といい、これは前モデルの時から続く傾向だという。
「60歳以上になると、一生住むつもりの賃貸住宅が契約更新できなくなったり、新たな賃貸契約をしてもらえなかったりという問題にぶつかることがあるのが現状です。また、持ち家でも『築30年を超えたので夫婦2人用にリフォームしよう』と考えたところ、1000万円近くかかる、という多くの問い合わせもあります。そんな時も『serendix50』なら、自動車を買うくらいの価格で、最新技術を駆使した住みやすい間取りの新築戸建が手に入ります。それに、リタイア後は『自然豊かな地域に住みたい』という人も多いと思いますが、住み替えるにも条件のいい中古物件が見つからない……というケースが多いのです」
シニアの購入希望者の中には、「時間が掛かるのは理解しているから」と、気長に順番を待っている人も。「serendix50」は、新生活の楽しみの一つとして捉えられているのだ。

従来の工法ではコストがかかる曲線構造に対応できるのも、材料を積み重ねて建設する3Dプリンターの得意なところ。ふっくらした見た目だが、触るとかなり重厚感がある(写真撮影/本美安浩)
「ゴールは3Dプリンターで家をつくることではなく、世界最先端の家で人類を豊かにすること」という目的を掲げている同社。常識に捉われない考え方で住宅業界に一石を投じ、若年層からシニア世帯までのマイホームの夢を叶えるための探求は続く。「serendix50」の大量生産が可能になるまで未来の「3Dプリンターの家」が、多くの人の選択肢に並ぶ日が待ち遠しい。
老後の蓄えを切り崩しながらリフォームしたり、「夫婦2人だけだから」と気が乗らない中古物件に住み替えたりすることと、ゆとりを残して「3Dプリンターでつくった未来の家に住む」というチャレンジを比べると、その差は大きい。必要に迫られて家づくりを急ぐ子育て世帯よりも、ワクワクする第2の人生を思い描くシニア世帯から引き合いが多いというのも納得できる。
世帯構成やエリアなどを分けた6棟の購入者の、1年後の感想が楽しみだ。
●取材協力
セレンディクス
所在地:豊島区巣鴨
所在地:大田区上池台
所在地:大田区北千束
所在地:港区元麻布
所在地:品川区南大井
所在地:港区元麻布
所在地:杉並区
所在地:品川区小山台フランス・パリで大人気のおしゃれスポット北マレ地区とカナル運河のちょうど真ん中に位置するレピュブリック広場(PLACE DE LA REPUBLIQUE)。その近くにアートディレクターのフレデリックとファッションデザイナーのマグダさん、子どもたち2人の4人が住むアパルトマンがあります。アパルトマンの3階と4階の部分から成るデュプレックススタイル(メゾネットスタイル)を、自分の思うように改装するために建築の勉強までしたフレデリックさん。やっと理想的な空間になった!ということで、訪問してきました。

アパルトマンから徒歩5分のサンマルタン運河沿いの道路は車が通れないようになり、子どもたちも安心して散歩できるようになったそう (写真撮影/Manabu Matsunaga)
大人になったらパリに住みたい!という思いが叶ったアパルトマンパリ郊外で育ったフレデリックさんは、小さいころにたびたび訪れていたパリを気に入っていました。高等教育ではデザインを専攻して兄と共にパリの1区で暮らすことになり、そのころにはいつか自分のアパルトマンをパリで!という夢を抱いていたそうです。
そんな彼は、妻のマグダさんと出会う前からパリの中心部の物件を熱心に探していたそうで、もう何軒見て回ったかわからないほど。そして13年前、ついにフランス革命以前からあるこの古いアパルトマンに出合い「恋に落ちた!」とこの物件に決めました。
立地条件の良さ、敷地に一歩入ったときの静けさ、アパルトマンの全体の広さなど、全てがパーフェクトだったそうです。フレデリックさんは、自分好みに合わせた空間につくり直すために建築も勉強したのですが、そのための”箱”として、このアパルトマンは完璧だったそう。

家族みんなでリラックスできる場所が、オープンキッチンのカウンター。蛇口や換気扇、キッチン用品全てに夫妻のこだわりが(写真撮影/Manabu Matsunaga)
最初に購入したのは3階部分現在は建物の3階と4階が住まいになっていますが、まずはじめに購入したのは3階部分でした。当時、パリの古いアパルトマンは小さな部屋が何部屋にも区切られていることが多く、ここも例外ではなく、1フロアが3部屋に区切られた状態でした。
玄関から入ってすぐの部分にトイレとランドリーのスペースを設けた他は、全ての壁を取り払って、オープンキッチンを中心とした大きなワンルームにしました。壁をなくすことによって、中庭に面した窓から入る光が部屋全体に行き渡り、明るい暖かなスペースに生まれ変わったそう。
「手直ししなければ住めないような状態でしたが、間取りのつくり替えから全てやり直そうと思っていたので、問題ありませんでした。中庭に面した一面は長方形の長辺部分だったため、窓がたくさんあり、とても明るいところが気に入りました」と購入の決め手をフレデリックさんは語ります。

玄関はアパートの3階にあり、入ってすぐのところにトイレとランドリースペースがある。写真の小さな棚はスカンジナビア専門の家具屋「TACK」で購入(写真撮影/Manabu Matsunaga)
大きなワンルームにした空間は、オープンキッチン、赤いソファと映画鑑賞をする大きなテレビがある空間、大きなテーブル(オランダのLouis van teeffelenルイ・ヴァン・テッフレンのデザイン)を配した空間の3コーナーに分かれています。「家具の中でも、椅子は購入しやすく、配置換えも楽なアイテムだと思うんです。その1脚で部屋のイメージを変えることができる。時には本を置いたり、時には子どもたちのカバンを置いたりと、座るだけじゃない万能な存在」。なるほど、このサロンには椅子がたくさんあって、ソファ以外に13脚もありました。

フランスのミッドセンチュリーデザイナーのジェラール・ゲルモンプレ(GERARD GUERMONPREZ)のソファーの赤がサロンのアクセント(写真撮影/Manabu Matsunaga)

食卓の奥に置かれた50~60年代のビュッフェはスカンジナビアのもの、椅子はHelge Sibastヘルゲ・シバストのNo.8(写真撮影/Manabu Matsunaga)

子どもたちが宿題をしたりお絵描きをしたりするためのテーブルと椅子も古いものだそう(写真撮影/Manabu Matsunaga)

(写真左)スウェーデンのデザイナー、イングヴ・エクストローム(Yngve Ekstrom)のSibboチェアを階段の下に置いたり、チェストの横の小さな空間にイームズ(Eames)のプラスチックアームシェルチェアを配置したり。椅子使いもマネしたい(写真撮影/Manabu Matsunaga)
子どもが生まれたタイミングで4階部分を購入建物の3階と4階にある現在の住まいになるタイミングは、長男のドリスくんが生まれた10年前でした。アパート内の組合連絡網で4階部分が空いたというのを聞き、即購入を決めたご夫妻。
「ワンルームの3階部分だけでは、狭すぎると感じていたときに、4階部分を購入できてとてもラッキーでした。しかも最上階で屋根裏部分もあったので、天井の高い部屋を設計するのもとても楽しかった」とフレデリックさん。この時点でアパルトマンの総面積が80平米になり、4人家族が住むには十分な広さになりました。購入してまずは3階と4階を行き来できる階段を室内につくったそう。手すりや壁のないストリップ型の階段にすることによって、3階部分の部屋に圧迫感を与えないこのアイディアは彼の自慢でもあります。

階段下のスペースの空間が開放的になるのが特徴なストリップ型に設計(写真撮影/Manabu Matsunaga)
4階部分は全て、天井の屋根裏との仕切りを取っ払ったため六角の天井になっています。思いのほか広い! というのも、4階部分は隣の物件も買い取ったからだといいます。
4階の中央には多目的の書斎のような部屋があり、主に子どもたちとマグダさんが使っています。その横には、屋根の斜めの部分に窓を取り付けた、とても明るいバスルームがあります。

4階の小さなスペースはマグダさんがテレワークのときに仕事場として使っていたそう。現在は、子どもたちがここで勉強したり、自由に使えるスペースになっている(写真撮影/Manabu Matsunaga)

同じデスクスペースの反対側には植物がたくさん置かれている。日光が降り注ぐ部屋なので、冬は子どもたちがここで遊ぶことも多いとか(写真撮影/Manabu Matsunaga)

暖炉はもう使われていないが、オブジェを置き彼らの旅の思い出のものが飾られている。ここでもイームズなどの椅子が効果的に置かれている(写真撮影/Manabu Matsunaga)

隣の部屋との仕切りをすりガラスにして、天窓をつけることによって明るいバスルームが出来上がった(写真撮影/Manabu Matsunaga)
4階は、浴室を挟んで左奥にご夫妻の寝室、右奥に子ども部屋という間取り。3階同様、梁をそのまま活かしたシンプルながらも素朴な雰囲気でリラックスできる空間になったそう。
大人の寝室は、天井の高さを利用した収納があるのですが、もちろんこれもフレデリックさんの設計。取っ手部分は全て革製の特注です。

寝室のクローゼットは天井高くまで作り付けられていて、収納量の多さを誇っている。全てフレデリックさんの設計(写真撮影/Manabu Matsunaga)
天井の高さを利用するというのは、子ども部屋も共通。10歳の長男ドリスくんと7歳の妹ペアちゃんは同室ながら、ドリスくんのベッドを限りなく屋根に近いところにつくることで、隠れ家的に自分の時間を過ごせるようフレデリックさんが配慮したそう。

子ども部屋はとても狭いが、兄妹が別空間にいるような配置。特にドリスくんはこのベッドが大好きだそう(写真撮影/Manabu Matsunaga)

(写真撮影/Manabu Matsunaga)
子どものころからパリに住みたいと憧れ、結婚をする前からパリでアパルトマンを探し始めたフレデリックさん。まずは3階を購入してリノベーションし、子どもが生まれるのとほぼ同時に4階部分を購入し……と、家族と共に変化していった住まい。「私たちはこのアパルトマンが大好きです」と語ります。
とはいえ、子どもの成長とともに、今のアパルトマンでは近々手狭になってくるはずだとも言い、子ども部屋を2つ作ることを計画しているそう。「(子ども部屋をそれぞれ持つことは)自分の時間を持ち、成長していくには欠かせないスペースだと思うから」とのこと。
「私たちは何年もパリの中心部で暮らしてきました。でも、そろそろパリ郊外の広いスペースのある家を見つける時期に来たのかもしれないとも話しています」とフレデリックさん。
数年後には、新しい家の取材もぜひさせていただきたいと約束をしたのでした。
最後に、フレデリックさんのスマートフォンにびっしりと入っているインテリアショップ情報の中から、パリに来たらここには絶対に行ってみて!というおすすめのアドレスをお聞きしました。
「『la tresorerie』は家具、キッチン用品、ライト、リネンなどがセンスよく厳選された物がそろってます。1軒で満足できるはずです。『coin canal』はヴィンテージ家具が本当に魅力的で、頻繁に訪れています」

「coin canal」厳選されたヴィンテージ家具のお店「la tresorerie」は家具、キッチン用品、雑貨などの品ぞろえが魅力(写真撮影/Manabu Matsunaga)

「la tresorerie」は家具、キッチン用品、雑貨などの品ぞろえが魅力(写真撮影/Manabu Matsunaga)
北マレの立地にあるお宅の周辺は雑多な地区ですが、最近は注目するお店も増え、フレデリックさんが引越したときと比べておしゃれエリアになりました。建物自体は階段が傾いていたり、外壁工事などが長い間続いていますが、フレドリックさんの家に入ると別世界! センスのいいインテリア、それぞれの家具にもこだわりがあり、快適な生活を楽しんでいました。
●関連サイト
coin canal
la tresorerie
所在地:渋谷区神宮前
所在地:世田谷区池尻
所在地:世田谷区桜新町
所在地:神奈川県川崎市高津区諏訪
所在地:世田谷区代沢
所在地:大田区山王
所在地:大田区山王
所在地:豊島区南大塚
所在地:世田谷区松原
所在地:横浜市神奈川区白幡上町
所在地:渋谷区神宮前ニューヨーク人情酒場へようこそ!これは、ブルックリンにある小さな酒場(レストラン)で起こった色んな出来事。
大都会の夜、一杯の酒から始まる人間模様。作者はこのお店で今お寿司を作っているよ。








NYに住んでいると本当にいろんな場所からいろんな人が集まっていることを日々痛感します。いろいろな国から来ている人はもちろん、アメリカという広大な国のいろいろな地方からも、夢や野望を抱いた人が集まっています。
メイビスはすごく美人だけど自虐的でちょっとクレイジー。でもとても優しくて、文章を書くのが好きな、とても真面目で繊細な女の子でした。
アイオワに行ったことはないけれど、NYとは全く異なる土地だということはメイビスが見せてくれた写真から伝わってきました。両親は農業で生計を立てていたそう。
生まれ育った場所を出る決断というのは誰にとってもきっと簡単ではないけれど、それでもNYで生きていくと決めたメイビス。いろいろな偶然の出来事が重なり合って今私はこの場所に立っていて、それはメイビスにとっても同じ。
遠く離れた国に生まれた2つの魂がブルックリンで交わったことがなんだか不思議で嬉しい気持ちでした。
しかしこの頃から、スタッフが立て続けに職場を去って行ったり、職場に対する疑問や愚痴を聞くことや、オーナーのジャックやさつきさんたちが深刻な顔をしていることが増えていきました。なんだか、大好きな場所がバラバラに崩れていくようでとても苦しかったのを覚えています。
お寿司を作ってみよう!


さてここで閑話休題。
全くの寿司初心者だった私ですが、ロールはすぐに習得できました。しかし、にぎりは体得するにはいたらず。これもピンキリですが、長い修業が必要なのです。
巻くものやトッピングの組み合わせを考えると可能性は無限大!すごく簡単にできるので、好きなお刺身、好きな野菜を買って試してみてくださいね。裏巻きは見た目もカラフルで綺麗だし、パーティーなどでも喜ばれますよ!

作者:ヤマモトレミ
89年生まれ。福岡県出身。2017年、勤めていた会社の転勤でニューヨークに移住。仕事の傍ら、趣味でインスタグラムを中心に漫画を描いて発表していたところ、思った以上に楽しくなってしまい、2021年に脱サラし本格的に漫画家としての活動を開始。2022年にアメリカで起業し個人事業主になりました。ブルックリンのレストランで週4で寿司ローラーをやっています。
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ニューヨーク人情酒場 さよなら、トシさん…入れ替わり激しいNYの飲食業界、雇用事情とは?
ニューヨーク人情酒場 移民の街ならでは? アメリカ女性が好むスイートな呼び名も進化中!? 「私のかぼちゃさん」にズキュン
ニューヨーク人情酒場 近くの友人を大切にするNYの人付き合い。街が活気を取り戻す中、閑古鳥が鳴く酒場で盛り上がったのは意外な遊びで…!?
所在地:茨城県鹿嶋市大小志崎
所在地:世田谷区下馬
所在地:北区田端
所在地:横浜市金沢区寺前二丁目
所在地:港区芝
所在地:品川区荏原
所在地:目黒区目黒「SUUMO住みたい街ランキング2023 関西版」で、2年連続で1位に輝いた梅田駅。関西随一のビジネス・商業の拠点といえる繁華街としてだけでなく、近年は“暮らす街”としても注目を高めている。とはいえ梅田駅周辺にあるカップル・ファミリー向け中古マンション(専有面積50平米以上~80平米未満)は、価格相場が5980万円と高額。そこで、便利な梅田にアクセスしやすくて物件価格はリーズナブルな街を調査! 梅田駅まで30分圏内にある、中古マンションの価格相場が安い駅トップ15をチェックしよう。
梅田駅まで電車で30分以内の中古マンション価格相場が安い駅TOP15順位/駅名/家賃相場(主な路線名/駅の所在地/梅田駅までの所要時間/乗り換え回数)
1位 萱島 1930万円(京阪本線/大阪府寝屋川市/21分/1回)
2位 大和田 1980万円(京阪本線/大阪府門真市/29分/2回)
3位 園田 1989万円(阪急神戸本線/兵庫県尼崎市/19分/0回)
4位 北伊丹 2030万円(JR福知山線/兵庫県伊丹市/26分/1回)
5位 出来島 2080万円(阪神なんば線/大阪府大阪市西淀川区/22分/1回)
5位 加美 2080万円(JR関西本線/大阪府大阪市平野区/28分/1回)
5位 千船 2080万円(阪神本線/大阪府大阪市西淀川区/13分/0回)
8位 福 2120万円(阪神なんば線/大阪府大阪市西淀川区/23分/1回)
9位 岸里 2180万円(大阪メトロ四つ橋線/大阪府大阪市西成区/15分/1回)
10位 花園町 2190万円(大阪メトロ四つ橋線/大阪府大阪市西成区/14分/1回)
11位 七道 2280万円(南海本線/大阪府堺市堺区/30分/1回)
12位 住之江公園 2290万円(大阪メトロ四つ橋線/大阪府大阪市住之江区/23分/1回)
13位 古川橋 2335万円(京阪本線/大阪府門真市/27分/2回)
14位 徳庵 2380万円(JR片町線/大阪府東大阪市/23分/1回)
15位 岸里玉出 2448万円(南海本線/大阪府大阪市西成区/23分/1回)
梅田駅には大阪メトロ御堂筋線が通っているほか、すぐ近くにはJRの大阪駅、阪急電鉄と阪神電鉄の大阪梅田駅、大阪メトロの谷町線・東梅田駅と四つ橋線・西梅田駅、さらにはJR東西線の北新地駅が密集している。今回の調査ではそうした近接駅から梅田駅に徒歩で行くルートも含めて「梅田駅まで30分圏内」にある駅のうち、中古マンション(専有面積50平米以上~80平米未満)の価格相場が安い駅をランキングした。例えば、ランキング3位になった園田駅の場合、阪急神戸本線で大阪梅田駅まで約11分、そこから徒歩で梅田駅まで約8分なので所要時間は約19分(乗り換え0回)としている。
そうして調査した結果、1位には大阪府寝屋川市にある京阪本線・萱島(かやしま)駅が、価格相場1930万円でランクイン。まず京阪本線の通勤準急で淀屋橋駅に向かい、大阪メトロ御堂筋線に乗り継ぐと計約21分で梅田駅にたどり着く。寝屋川をまたぐように立つこの駅は、一見すると普通の駅だけれど大阪方面行きのホームに大きな特徴がある。それは高架駅のホーム床と屋根を突き抜いて、樹齢約700年のクスノキの大木がそびえていること。駅の高架下にたたずむ「萱島神社」のご神木であるクスノキを保存するため、このような変わった造りの駅になったそう。

萱島駅(写真/PIXTA)
そんな萱島駅は、お惣菜や持ち帰り握り寿司、こだわりのパンなどを扱う駅ナカ商店「もより市」を併設。高架下は商店街「エル萱島」「エル萱島東」となっており、100円ショップやドラッグストア、飲食店が並んでいる。駅前にも飲食店が点在し、徒歩10分圏内にスーパーも複数。また、昭和レトロな商店街があることでも知られ、生活感が感じられる街並みだ。駅から東に自転車で10分ほど進むと、ファッションや家電のショップから飲食店街に映画館まで備えた「イオンモール四條畷」があるのも便利だろう。
2位は大阪府門真市にある京阪本線・大和田駅で、価格相場は1980万円。梅田駅まで乗り換え1回で行ける1位・萱島駅の隣駅だが、こちらは乗り換えが2回で梅田駅まで約29分という結果に。これは萱島駅と違って大和田駅には通勤準急が停車しないため。梅田駅に向かう大阪メトロ御堂筋線に接続する淀屋橋駅まで最速で行くには、京阪本線の普通列車と準急を乗り継ぐ必要があるのだ。とはいえ大和田駅から区間急行1本で淀屋橋駅に向かってから大阪メトロ御堂筋線に乗る「乗り換え1回」のルートでも、梅田駅まで計約32分で行くことができる。
大和田駅の改札内には駅ナカコンビニがあるほか、高架下がドラッグストアや100円ショップ、飲食店が並ぶ商店街「エル大和田」になっている点は萱島駅と造りが似ている。線路を挟んで北側にも南側にも複数のスーパーがあり、それぞれ“激安”と評判だったり24時間営業だったりするのも嬉しいところ。駅から南へ徒歩13分ほど、国道163号沿いに向かうと家電量販店やホームセンターが立っている。また、映画館を備えた「イオンモール大日」と産直市場やクリニックもある「ベアーズ」という2つのショッピングモールが隣接する大日駅前にも、自転車なら大和田駅から13分ほどでたどり着く。
3位は阪急神戸本線・園田駅が価格相場1989万円でランクインし、トップ3は2000万円以下という結果になった。園田駅は大阪府内ではなく兵庫県の尼崎市に位置しているが、梅田駅までは約19分の近さ。この所要時間は冒頭で述べたように、園田駅~大阪梅田駅間の4駅・約11分に、大阪梅田駅から梅田駅までの徒歩約8分をプラスしたものだ。なので園田駅から「梅田エリア」までだと体感としては10分ちょっと、といえる。また、「SUUMO住みたい街ランキング2023 関西版」にて梅田駅に次いで2位に選ばれた西宮北口駅まで、阪急神戸本線1本で約9分という点も魅力的だ。
園田駅には駅ビル「園田阪急プラザ」が併設されているが、現在は耐震工事のため閉鎖中。2023年秋以降にリニューアルオープンの予定だそうなので、楽しみに待ちたい。駅の北側には個人商店が連なる商店街が広がるほか、複数のスーパーも。商店街の途中には小学校や保育園もあり、子どものお迎えついでに買い物ができそうだ。駅の南側には飲食店が豊富。さらに南下し、藻川を越えて自転車を7分も走らせると、関西には希少な「コストコ」に加え、「イオンスタイル尼崎」、ホームセンターなど大型店舗が並ぶエリアへ。さらに、園田駅から車で北に15分ほど、電車なら30分ほどで伊丹空港にアクセス可能。日常生活にも遠出の際にも便利なロケーションだ。

駅ビル「園田阪急プラザ」は現在閉鎖中だが、2023年秋以降にリニューアルオープン予定(写真/PIXTA)
梅田まで3駅の駅や、人気の街・なんばにも高アクセスな駅もトップ15入り続いて4位以下の駅からもピックアップ。トップ15のうち梅田駅までの所要時間が最短だったのは、価格相場2080万円で5位にランクインした阪神本線・千船(ちぶね)駅。阪神本線の区間急行で大阪梅田駅まで3駅・約9分、そこから梅田駅まで歩いて約4分なので所要時間は計約13分だ。

千船駅前(写真/PIXTA)
5位・千船駅は大阪市西淀川区佃の地名をもつ、神崎川の中州に位置。江戸時代に徳川将軍家に献魚するため、当地から江戸に移住した漁民が開拓したのが東京の佃島なんだとか。そんな歴史があるこの佃の中州は端から端まで歩いても35分ほど。しかし住宅のほかに小・中学校や幼稚園、公園があり、商店もスーパーや100円ショップにドラッグストア、飲食店などが立ち並んでいる。さらに中州の北側を流れる左門殿川、南側を流れる神崎川を渡った場所にはそれぞれスーパーとホームセンターがあり、どちらも駅から歩いて10分ほど。コンパクトな範囲で日常生活が送れそうな環境だ。
トップ15に並ぶ駅の路線を見てみると、京阪本線が1・2位を含めて計3駅ランクインしたほか、大阪メトロ四つ橋線の駅も3駅ある。9位・岸里(きしのさと)駅(価格相場2180万円)、10位・花園町駅(同2190万円)、12位・住之江公園駅(同2290万円)だ。いずれの駅からも、まず大黒町駅に行ってから大阪メトロ御堂筋線に乗り換えると計約14分~23分で梅田駅にたどり着く。
また、この3駅が位置する大阪メトロ四つ橋線に乗って大国町駅で降りずに次の駅に向かうと、各駅から約7分~14分でなんば駅に到着。大阪メトロ千日前線やJR関西本線、阪神なんば線、近鉄けいはんな線、南海本線に乗り換え可能ななんば駅は、「SUUMO住みたい街ランキング2023 関西版」で4位にランクインした人気の街だ。さらに、なんば駅から4駅先は終点の西梅田駅であり、各駅から約13分~23分。西梅田駅は梅田駅とほぼ同じような場所にあるので、岸里駅・花園町駅・住之江公園駅の3駅は人気の街である梅田エリアにもなんばエリアにも、乗り換えずに行ける。
そんな便利な3駅のうち、価格相場が最も安いのは大阪市西成区に位置する9位・岸里駅。地下鉄駅から地上へと2番出口を出ると、そこには西成区役所がある。区役所周辺には税務署や郵便局、市立図書館も。また、地上出口から北に6分ほど歩くと、南海電鉄の南海線・高野線と大阪メトロ堺筋線が通る天下茶屋駅へ。この辺りは駅の密集エリアで、岸里駅の徒歩10分圏内には南海汐見橋線・西天下茶屋駅、阪堺電軌阪堺線の北天下茶屋駅と聖天坂駅も。岸里駅周辺に住むと、行き先に応じてさまざまな駅・路線を使い分けられるのだ。岸里駅近くには安さが自慢のスーパーがあるほか、天下茶屋駅前には個人商店が軒を連ねるアーケード商店街が続いている。岸里駅の西側を流れる木津川を目指して歩くとホームセンターやベビー用品店もあり、日常の買い物は近場で済ませられそうだ。

岸里駅(写真/PIXTA)

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている梅田駅まで電車で30分圏内の駅(掲載物件が20件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】
駅徒歩15分圏内、物件価格相場3億円以下、築年数35年未満、敷地権利は所有権のみ
専有面積50平米以上80平米未満
【データ抽出期間】2022/12~2023/6
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、朝7時30分~9時の検索結果から算出(2023年6月26日時点)。所要時間は該当時間帯で一番早いものを表示(乗換時間を含む。ランキングに表記しているものより乗り換え回数が少ない経路があっても、所要時間が早い場合はそちらを優先)
※記載の分数は、駅内および、駅間の徒歩移動分数を含む
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
※ダイヤ改正等により、結果が変動する場合がある
※乗換回数が2回までの駅を掲載
所在地:渋谷区神泉町
所在地:港区南青山
所在地:世田谷区等々力
所在地:杉並区高円寺北国土交通省が令和6年度予算の概算要求の概要を公表した。まだ要求した段階で決定したものではないが、国土交通省がどんなことに力を入れようとしているのかが分かる。その中から、住宅に関することをピックアップして、見ていくこととしよう。
【今週の住活トピック】
令和6年度予算概算要求概要等を公表/国土交通省
国土交通省の令和6年度の予算では、(1)「国民の安全・安心の確保」、(2)「持続的な経済成長の実現」、(3)「個性をいかした地域づくりと分散型国づくり」に重点を置いている。
(1)「国民の安全・安心の確保」では、自然災害の激甚化・頻発化に対応する強靭な国土づくりを掲げている。住宅関連について見ると、以前から行っている「密集市街地対策や住宅・建築物の耐震化」や近年多く発生している土砂崩れの要因ともなる「盛土の安全確保対策」を推進するとしている。
(2)「持続的な経済成長の実現」における住宅関連の主眼は、「ZEH・ZEBの普及や木材活用、ストックの省エネ化など住宅・建築物の省エネ対策等の強化」となる。また、住宅にも関係がある、建設業の「2024年問題※」の解決に向けた支援をするとしている。
※2024年4月から時間外労働の上限規制が建設業に適用されることで、さまざまな影響が生じること
(3)「個性をいかした地域づくりと分散型国づくり」では、「多様な世帯が安心して暮らせる住宅セーフティネット機能の強化」や「既存住宅流通・リフォーム市場の活性化」が住宅関連の項目と言えるだろう。加えて、「空き家対策、所有者不明土地等対策及び適正な土地利用等の促進」や「地方への人の流れを創出する移住等の促進」もテーマに掲げている。
また、岸田政権はこども・子育て政策に力を入れていることから、「こどもまんなかまちづくり」を推進するとして、「子育て世帯等に対する住宅支援の強化」や「通学路等の交通安全対策の推進」にも予算を充てるとしている。
こども・子育てへの支援内容とは?次に、具体的な支援内容について、国土交通省住宅局の予算概算要求概要で見ていこう。詳しく見ると、おおむね継続または拡充となっているので、2023年度の支援策が2024年度にも継続され、一部の内容が見直されるということになりそうだ。
子育て世帯等に対する住宅取得支援の強化としては、「【フラット35】の金利引き下げ」が挙がっている。これは、【フラット35】のなかでも、「【フラット35】地域連携型」によるもの。地域連携型とは、地方公共団体がそれぞれ該当する住宅取得に関する補助金などの財政的支援を行っている場合に、併せて【フラット35】の金利を引き下げるもの。つまり前提として、地方公共団体が子育て支援策を設けている場合に限られる。残念ながら東京都は、首都圏でも神奈川県や千葉県に比べると子育て支援をしている区市が少なく、2023年4月時点の資料によると、台東区、墨田区、福生市、多摩市、奥多摩町となっている。
【フラット35】の金利引き下げ制度については、2023年4月に見直しが図られた。地域連携型で「子育て支援」と「空き家対策」については、返済当初10年間、0.25%の金利を引き下げる形になっている。また、【フラット35】地方移住支援型では、当初10年間、0.3%の金利引き下げとなる。省エネ性の高い住宅の場合に金利を引き下げる「【フラット35】S」などと組み合わせると、さらに金利が引き下げられる仕組みだ。これらは、2023年度の制度なので、2024年度も予算をつけて継続すると考えられる。金利の引き下げ幅については、2024年度でどうなるか見守りたい。
また、「子育て支援型共同住宅推進事業」という補助制度もある。マンションなどの共同住宅で、子どもの安全・安心や快適な子育て等に配慮した改修などを行った場合に補助金を出す事業だ。今住んでいる分譲マンションの住戸で、子育て中の区分所有者などが、条件に該当するリフォームを行うと、2023年度の場合は、補助対象事業費の3分の1までで上限100万円の補助金が交付される。2024年度は、この補助制度を拡充する予算を要求している。

子育て支援型共同住宅推進事業の拡充を要求(現行制度の概要)/令和6年度「住宅局関係予算概算要求概要:国土交通省住宅局」より抜粋
住宅のリフォームへの支援策とは?住宅のリフォームに関する補助金の制度もいくつかある。省エネリフォームや長期優良住宅化リフォームについての支援制度などだ。
たとえば「住宅エコリフォーム推進事業」では、省エネ診断や省エネ設計、省エネ改修(または建て替え)の費用に対して、上限枠まで補助金が交付される。2023年度の事業では、省エネ基準適合レベルなら30万円(交付対象費用の4割まで)、ZEHレベルなら70万円(交付対象費用の8割まで)を限度に補助金が交付されるものだったが、すでに予算枠に達してしまい受付を終了している。2024年度の予算要求では拡充となっているので、より多くの件数に対応できるように予算枠を増やす考えなのだろう。
また、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」では、所定のリフォームを行った場合に、工事費用の3分の1を限度に、100万円(長期優良住宅(増改築)認定を取得する場合は200万円)まで補助金が交付される。ただし、若者・子育て世帯が工事を実施する場合や既存住宅を購入して工事を実施する場合などでは上限額が50万円加算される。この事業については、2024年度に継続する予算要求をしている。

長期優良住宅化リフォーム推進事業の継続を要求(現行制度の概要)
対象が限られたり、申請や受領が事業者となったりするものも含めて、補助金などの支援策はほかにも数多くあり、継続や延長、拡充などの予算要求がされている。
なお、令和6年度予算概算要求概要の公表と同時に、令和6年度国土交通省税制改正要望事項についても公表されている。税制改正要望についても、期限切れを迎える減税制度の延長が多いが、住宅のリフォームに関する減税制度で、現行の「耐震」「バリアフリー」「省エネ」「三世代同居」「長期優良住宅化」のリフォームに加え、「子育て対応」に関するリフォームを加えるように要望している。
2024年度のこども・子育て政策については、目新しいものはないが、地道に予算や税制の要望をしているという印象を受けた。
●関連サイト
国土交通省 令和6年度予算概算要求概要等を公表(令和5年8月24日)
国土交通省「令和6年度予算概算要求概要」
「令和6年度国土交通省税制改正要望事項」
所在地:渋谷区神泉町2020年に外国人専門店舗を構え、広島県で居住支援を行っている良和ハウス。外国人専門店舗では、それまで複数の店舗に配属されていた外国人スタッフが集まり、母国語で外国人の住まい探しや入居のサポートをしています。専門店舗として新しい体制になったことで、外国人の住まい探しにどのような変化がもたらされたのか、また新たに見えてきた課題とは? 広島ならではの事情や、その中での奮闘について良和ハウス 広島賃貸営業部の熱田健輔さんに話を聞きました。
人口減が止まらない広島県、賃貸市場にも影響が広島県は厳島神社、平和公園など海外からも人気の高い観光名所があり、2023年5月に開催された先進国首脳会議「G7広島サミット」でも注目された地です。外国人居住者の数もコロナ禍で一時は減ったものの、ここ最近は増えているそう。しかし、日本人も含めた広島県の人口は、ここ数年、転出者の数が転入者を上回る年が続き、このままではどんどん人口が減り続ける懸念があります。

広島県の総人口は、令和5年(2023年)5月現在、274万人。平成10年(1998年)以降減少を続けているが、外国人の数だけを見ると、令和2年(2020年)以降コロナの影響で一時減少したものの、再び増加している(出典/2023年広島県人口移動統計調査)
熱田さんは「人口の減少は、賃貸市場にも少なからず影響を与えている」と言います。
人口減少にともない、バブルのころに建てられた築30年以上の物件、特に当時流行したワンルームにバス・トイレが一緒の3点ユニットバスの部屋などは、日本人の単身者にはあまり人気がなくなり、空室が増えているそうです。

1980年代に流行ったバス・トイレが一緒のワンルームは時代の流れと共に空室が目立つそう(画像/PIXTA)
一方、広島には介護・福祉関係の専門学校が複数存在し、外国人留学生が多い一面も。「外国人留学生を積極的に受け入れることは、広島の人口減少を食い止め、街に活性化をもたらすことにもなる」と、熱田さんは期待をしています。
「私たちだからこそできること。例えば、住まいをスムーズに確保する体制を整えたり、住まいを探す人たちが住みやすい環境をつくったりすることを、広島に本社を置く不動産会社の社会的使命として捉えています」(熱田さん、以下同)
外国人居住支援に立ちはだかる困難。広島ならではの事情も……しかし、空室に悩まされる状況があるにもかかわらず、言葉や文化の違いからトラブルになることを懸念するオーナーや管理会社の意向で、外国人の入居を拒むケースが広島ではまだまだ多いそうです。このことは、外国人の住まい探しを難しくする要因の一つとなっています。
熱田さんによると、広島県民は他県の人から「よそ者に冷たいと言われてしまうことがある」のだとか。また、賃貸物件のオーナーも高齢の人が増えている中、今なお欧米人に対して抵抗のある人もいるそうです。そのような事情を十分理解したうえで、良和ハウスはそのような高齢者の気持ちにも寄り添いながら、外国人受け入れの必要性を根気強く伝え続けています。
「転出超過が続き、少子高齢化が進む中、このままでは経済が回らなくなり、生活基盤自体が危うくなるでしょう。生まれ育った街で過疎化が進むのは、やるせない気持ちになります。
広島を元気にするには、外国人の受け入れが一つのポイントになる、というのが私たちの考えです。人口減少に立ち向かうためにも、私たちは特に外国人の入居に特化していきたいと思います」
さらに、良和ハウスは、広島市や廿日市市などの行政とも協力して、オーナーさんや不動産会社向けにセミナーを開催して講演するなど、外国人を受け入れるための啓蒙活動を積極的に行っているそうです。

外国人入居者の受け入れを促進するため、セミナー講演などの活動にも力を注いている(画像提供/良和ハウス)

(画像/PIXTA)
外国人専門の楠木店設立の背景は現在、良和ハウスでは、楠木店を外国人専用店舗として、英語、中国語、ネパール語、ベトナム語、スペイン語、ヒンズー語のできる外国人スタッフ5名が住まい探しのサポートにあたっています。
きっかけは、2016年のこと。広島市内に中国からの留学生が増え、その問い合わせに対応するために中国人スタッフ1人を雇用したことが始まりでした。
「そもそも、私たちは、外国人だからといって特別扱いをするのではなく、どのお客さまにも同じように、ご希望の暮らしを叶えるために精いっぱいお手伝いをするのがモットーです。しかし、日本人スタッフだけの対応では、言葉や日本の習慣がうまく伝わらないことによるトラブルが起こりやすくなります。
そのために中国人スタッフが新たに加わったのですが、母国語でコニュニケーションを取れることや母国と日本の生活習慣の違いを理解したうえで説明できることで、トラブルが格段に減りました。結果、口コミで来店する中国人のお客さまの数が飛躍的に伸びたのです」
その後もベトナム人、ネパール人、アメリカ人と外国人スタッフを雇用するたび、同じ国の人からの相談が2倍以上に増えました。同郷の人同士のコミュニティやネットワークの力を実感した熱田さんたちは、外国人専門店を開店することになったというわけです。

外国人スタッフが働く楠木店では、7カ国語に対応している。日本語が流暢でない外国人にとっては頼もしい住まい探しのパートナーだ(画像提供/良和ハウス)
外国人専門店だからできるようになったこと熱田さんは「外国人専門店に外国人スタッフを集約したことで得られるメリットも大きかった」と言います。
「それまでは外国人スタッフは別々の支店に勤務していたのですが、日本人のお客さまが多かったため、外国人スタッフは日本人スタッフのサポートに回ることが多く、能力をフルに活かせていませんでした。外国人専門店をつくってそこに勤務してもらうようにしたことで、外国人のお客さまからの相談に集中して、効率よく業務に当たれるようになったのです。日本語がよくわからないお客さまも、安心してご相談いただける場所になったと思います」
さらに2021年には、外国人が入居できる日本の物件情報を検索できるサイトを立ち上げ、海外からでもアクセスしやすいよう、英語・中国語・ベトナム語で展開しています。このサイトを利用して来日前からメールやビデオチャットでコンタクトを取り、物件案内や電子契約の締結などを行えるようになりました。日本に来てすぐ、入居当日に全ての手続きを終えることも可能だそうです。
YouTube動画でも、ゴミ出しなどの日本のルールをわかりやすく説明している。契約時などには外国人スタッフが母国語で説明するが、言い忘れや、担当によって話す内容が異なるなどのミスを避けられる(画像提供/良和ハウス)また、外国人からの問い合わせを受ける窓口を一つの店舗に集約したことで、新たなビジネスチャンスにつながったとか。
「専門学校や技能実習生を受け入れている会社などは、大勢の外国人留学生や外国籍の従業員を受け入れる前にあらかじめ住まいを確保しなければなりません。担当者が一つひとつ物件を見に行って探すのは大変です。良和ハウスがその業務を代行することによって、学校や企業の担当者が抱える業務の負担を大きく減らせます。
さらに、物件の紹介や入居手続きといった仲介会社としての業務だけではなく、入居後のトラブルまで対応できるのが弊社の強みです」
居住支援法人としてのあり方と今後の課題外国人を含む住まいの確保に困難を感じている人たちの居住支援に、より注力していくために、良和ハウスは、現在、住まい探しに困っている人に賃貸住宅に関する情報の提供や相談を受ける団体として、都道府県が指定する居住支援法人に登録申請中です。
また、熱田さんは社内の組織体制について「物件を紹介して契約する仲介部門と、入居後の物件や入居者の管理を行う管理部門との連携は不可欠」だと言います。
「外国人入居者には、入居後も習慣の違いによる困りごとやトラブルに対応するため、外国語でのサポートが必要です。外国人入居者の数が増えれば、おのずと管理部門の負担も増えるわけですが、当社では外国人スタッフのいる仲介部門と管理部門が文書の作成や通訳などの業務を連携しています。そうすることで入居後のトラブルに対応する管理業務でも母国語で対応でき、オーナーさんを悩ます問題を減らせると考えています」
会社以外の組織との連携だけでなく、社内の横の連携も大事。各方面との理解と体制を整えていくことが重要ということですね。

行政や民間、また同じ企業内でも、組織を超えた理解と連携が必要(画像提供/良和ハウス)
さらに、熱田さんは「手厚いサポートを行うには、マンパワーの問題もある」とも指摘します。
日本で暮らしたことのない外国人にとって、家具の手配や電気・ガス・水道といったインフラ周りの手続きや銀行の振込などは、簡単なことではありません。良和ハウスの外国人スタッフは代わりに手続きをしたり、一緒にATMまでついて行ってサポートしたりもするそう。
楠木店で取り扱う物件紹介数は年間で400~500件ほど。それを5人の外国人スタッフで行い、さらにさまざまな相談や困りごとにも、頼まれれば支援の手を惜しみません。
「母国の事情がわかる外国人スタッフは、日本人スタッフよりは効率的に説明等行える一面はあるものの、相談や疑問に対応していると、スタッフ一人ひとりにかかる負担はどうしても多くなってしまいます。外国人スタッフの頑張りに頼るだけでなく、会社全体でうまく分担させながら改善していくことが今後の課題です」

母国語を話す外国人スタッフは、外国人利用者にとって頼れる存在であることは間違いない。日本の暮らしへの不安が理解できるので、業務以外でも頼まれると手を差し伸べるという(画像提供/良和ハウス)
外国人が日本で住まい探しをするときは、言葉や文化を理解する外国人スタッフがいることで、うまくコミュニケーションができ、トラブルを防げることが多くあります。
良和ハウスの外国人専門店や外国語サイトは、外国籍の入居検討者にとってわかりやすく、安心して住まい探しができる場所になっています。さらに、外国人スタッフにとっても効率的に仕事ができるようになり、外国人の居住支援策を考えるうえで、一つのモデルケースになるのではないでしょうか。
そして、居住支援を継続していくには、そこに携わる人たちへの負担をかけすぎない努力や仕組みも必要だと感じました。
●取材協力
良和ハウス
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・中文
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地縁型のつながりが薄れ、都会では近隣に暮らす人たちと接点をもつのが難しくなっています。そこで、地域密着のゆるやかなコミュニティの入口として、全国に増えているのが「まちライブラリー」です。本を介して気軽に人と関わることができるコミュニティ型の図書館。自宅やお店の一角に本を置いて、誰もが気軽に始められるというので人気があり、今や登録数は1000件以上にのぼるのだとか。
そんなまちライブラリーのひとつが、新たに6月末、東京都西東京市に誕生しました。資本力のある大企業がバックアップすることで、これまでとはまた違う、市民にとって嬉しい空間が生まれている。そんな先行事例を見てきました。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)が始めた「まちライブラリー@MUFG PARK」です。

広大な芝生広場の中に立つ「まちライブラリー@MUFG PARK」(写真撮影/田村写真店)
まちライブラリーとは?五日市街道から一歩入ると、都会の喧騒を離れ、すっぽりと木々に囲まれた緑豊かな空間が広がります。気持ちのいい芝生奥に見えてきたのは、屋根の大きい低層の建物。
2023年6月下旬にオープンしたばかりの「まちライブラリー@MUFG PARK」です。すでに休日は1000人以上が訪れるというこの図書館。一体どんな場所なのでしょう。

「まちライブラリー@MUFG PARK」入ってすぐの雰囲気(写真撮影/田村写真店)
もともと東京都西東京市のこの場所には、三菱UFJ銀行の福利厚生施設、約6ヘクタールほどの広い敷地がありました。敷地内のスポーツ施設、芝生の広場がリニューアルして一般市民向けに開放されるのと同時に新設されたのが「まちライブラリー@MUFG PARK」です。
まちライブラリーは、蔵書や寄贈の本を貸し出す形で、個人がどこでも気軽に始められる図書館のしくみ。自宅やお店の一角に少数の本を置くだけもよし、固定した拠点がなくてもピクニックのように本を囲んで集まる場さえあれば始められます。2014年に始まって以来、これまでに登録された数は1026件。そのうち800件がいまもアクティブに活動しています。

館内の様子。壁一面に設置された本棚は全長35m。日々新たな本が持ち込まれ、蔵書は増えている。本の貸し出しは2週間3冊まで(写真撮影/田村写真店)
この取り組みを始めた一般社団法人「まちライブラリー」代表の礒井純充さんは、理由をこう話します。
「まちのことって、みんな関心があるようで、意外と関心をもちにくいですよね。周りが『いいまちをつくりましょう』と言っても、みんな自分の生活のほうが大事。でも、地域で活動を始めてみると、自然とまちを意識するようになるんじゃないかと思ったのです。
例えば小さな図書館を始めれば、利用するのは必然的に地域の人たちになります。子どもの居場所になったり、シニアの人たちが協力してくれたり。自分は一人で生きているのではなく、まちの一員として生きていることが実感としてわかってくる。すると初めて、まちのことを考え始めます」

まちライブラリーの創設者である礒井純充さん。もとは森ビルに勤め、まちづくりに携わってきた方(写真撮影/田村写真店)
もう一つの理由は、個人の力でできることの大きさを提示したかった、というもの。
「私たちは組織や資本がないと何もできないと思いがちですが、個人のできることって意外と大きいと思うんです。例えば家庭で親が子どものお弁当をつくるのは、家族にとって大事な役割ですが、あくまで個人の思いでやっていることです。そこには組織も資本も貨幣も必要ない。そんな我々の日常的な行動が、じつは社会全体のインフラをつくっている面があるのではないかと思うんです」
話してもOK、飲食もOKのライブラリー中へ入って驚いたのは、一般の図書館と違って、館内で自由に話をしてもいいし、飲食もOKなこと。お茶を飲みながら本を読む人がいたり、打ち合わせをする人がいたり、子どもたちが走り回って遊んでいたり。本が介在しながら、異なる世代が自由に時間を過ごせるコミュニティスペースなのです。
どのまちライブラリーもそうではないですが、ここでは十分なスペースが確保できるため、自由に遊びまわる子どもたちと、静かに本を読みたい人たちとが同じ空間を共有できています。おしゃれなカフェに近い雰囲気。

広く明るい空間。本棚のほかにゆっくり腰掛けられる椅子とテーブル、奥には子どもたちが遊べるスペースも(写真撮影/田村写真店)
「小学校が終わると子どもたちがわーっとやってきて、ただいま~なんて言う子もいるんです(笑)。宿題をやる子や、そのまま芝生に出て行って遊ぶ子などいろいろですけど、子どもたちだけで訪れても、安心して過ごすことができる居場所になっています」
一般社団法人「まちライブラリー」のスタッフであり、マネージャーの藤井由紀代さんはそう教えてくれました。

一般社団法人「まちライブラリー」のスタッフであり、マネージャーの藤井由紀代さん(写真撮影/田村写真店)
スタッフの数も充実しているため、お客さんとの交流も丁寧にできる。一般的な図書館では本の貸し出し手続きのときしか接しませんが、好きな本の話で盛り上がったり、世間話をしたり。
そのコミュニケーションに一役買っているのが、本につけている感想カードです。カードには、まず本の寄贈者が自分自身のことや本の感想を記入します。その後、借りて読んだ人が一言感想を書き入れて、また次へ。一冊の本が人と人をつないでいく流れが、カードによって可視化されます。
「はじめは、古い本が多いわね、なんて言っていらした方が、メッセージカードを見て、『この本、亡くなった奥さんが大事にしていらした本なんですって。私読んでみるわ』と言って借りていかれたり。スタッフが、カードの感想を紹介しながら本をお勧めすることもあります。自然と話が弾みます」(藤井さん)

感想カード。本の寄贈者が本の感想を記入し、その後、借りた人たちが一言ずつ感想を書き入れるようになっている(提供:まちライブラリー)

子どもたちが遊べるスペースも(写真撮影/田村写真店)
なぜ金融機関がコミュニティの場を?本を寄贈するのはまちの人たち。運営するのは一般社団法人「まちライブラリー」ですが、「まちライブラリー@MUFG PARK」は、MUFGという大企業により設立されました。ここまで大きなまちライブラリーはこれまでにも多くはありません。
MUFG経営企画部ブランド戦略グループの松井恵梨さんは、こう話します。
「2019年ごろから、弊社でも社会貢献への考え方に変化がありました。世の中でSDGsといったことが言われ始めて、社員のエンゲージメント(会社や組織に対する愛着心)が重視されるようになって。
社会貢献活動の一環として、もともと自社でもっていたこの場所を活かすことができないかと考えたんです。いろいろ検討するなかで、まちライブラリーの取り組みを知りました」

MUFG経営企画部ブランド戦略グループの松井恵梨さん(写真撮影/田村写真店)
このライブラリーを新設するのはもちろん、維持していくにもそれなりのコストがかかります。ですが、額面の話だけでなく、本件はMUFGの社会貢献としても大きなチャレンジだったといいます。
「新しくハードをつくっただけではなく、オープンより2年前から、社員全員に呼びかけて、ここをどんな場所にしていくかを話し合うワークショップを行ってきました。地域の人もお招きして、月に2~3度集まってフィードバックをし合いながら。結果的に、全社員の中から約300名がボランティアで参加してくれました」
こうしたワークショップを通して、オープン後にライブラリーで開催するイベントの企画を考案。すでに地産の野菜を販売するマルシェの開催や、星空観察会などの企画が進んでいます。一方、地域の人たちや、市民団体が主催するイベントをこの場所でも積極的に提供していく予定です。

館内からの眺めもいい(写真撮影/田村写真店)
同じく同社のブランド戦略グループの森川貴博さんが、活動の背景を教えてくれます。
「当グループでは自社のブランドをどう変えていくかを考えているわけですが、最近は外に対してだけでなく、社内でのイメージ、社員の働き甲斐や誇りといったことがとても重要になっています。
4年前から社員が誰でも社会貢献の企画を出せる取り組みが始まりました。一人一人が地域に何ができるのか、自分の身近でできることがないかを考えて提案する。
その提案が社会貢献として意義あるものであれば、1件あたり最大50万円の予算をつけます。2022年度はグループ内で240件ほどの申請があり、約3500人の社員参加がありました。こうした試みを通して地域に対する活動がかなり増えているんです」
MUFGでは「業務純益の約1%」をビジネスでアクセスしにくい社会課題に対して社会還元すると公表しています。(2021年度の社会貢献活動費の実績は81.5億円)
子ども食堂でクリスマスパーティーを開く企画や、地域の人たちを巻き込んで清掃活動を行うといった公共性の強いものなど、社員が身近なところで関心をもち、社会課題の解決につながることを後押し。その内容は多岐にわたります。

MUFG経営企画部ブランド戦略グループの森川貴博さん(写真撮影/田村写真店)
もともと日本の企業は、地域に寄り添う社会的な存在だったまちライブラリーの礒井さんは、こうした企業の姿勢を、日本企業がかつてもっていた、本来あるべき姿ではないかと話します。
「近江商人の三方よしではないですが、もともと日本の企業は、社員や家族、地域に寄り添って社会的なものであろうとしてきた企業文化があったと思うんです。僕が社会に入った40年ほど前はまだそうでした。
それが変わったのはバブルが弾けて、ここ20~30年のことだと思います。景気が後退して日本企業が自信を失いつつあったところにアメリカ流の金融資本主義や合理性第一主義の考え方が入ってきた。
でもいま、そうしたアメリカ式の企業のあり方は限界を迎えていて、再び日本式の企業のあり方が注目されています。日本的な企業がもっていた公共性が再評価されて、本来あるべき形に企業が戻ろうとしているのではないでしょうか」

本の上段に並ぶのはカラフルな「タイムカプセル本箱」。「思い出や、何年後かの自分への手紙を入れるなど人それぞれに楽しんでもらえたら」と礒井さん(写真撮影/田村写真店)
一方で、大きな組織だけでなく、個人の変容が大事。礒井さんが書かれた『まちライブラリーのつくりかた』(学芸出版社 刊)の一説が印象的です。
「いまの社会は、大きな火力を使って、大きな鍋でシチューやカレーを煮ているようなものだと感じています。…大きなものを力ずくで変えるのではなく、中にいる一人一人が変わっていくことで、いいものに変えていくという方法があると思います」
おいしいカレーをつくるには鍋の中の具材一つ一つがおいしくなる必要がある。つまり社会にとっても一人一人が大事。その流れに大企業の資本が入ることで、個人の力がより大きな力になったりする。まちライブラリー@MUFGは、まさにそんな企業が個人の力をエンパワーしている例かもしれません。

(左から)森川さん、松井さん、礒井さん、藤井さん(写真撮影/田村写真店)
●取材協力
まちライブラリー@MUFG
所在地:新宿区山吹町
所在地:台東区小島世界中の建築を訪問してきた建築ジャーナリスト淵上正幸が、世界最先端の建築を紹介する連載9回目。今回は、ポーランドの首都ワルシャワにある52階建ての超高層集合住宅タワー「Zlota44(ズロタ44)」(設計:ダニエル・リベスキンド(Daniel Libeskind))を紹介する。
ワルシャワの街に立つ弓形の超高層タワーニューヨークのグラウンド・ゼロのマスタープラン・コンペに優勝した建築家ダニエル・リベスキンドは、世界的に知られている現代世界建築の巨匠である。その彼が、祖国ポーランドの首都ワルシャワに、アイコニックな形態で屹立(きつりつ)する超高層タワー「ズロタ44」を設計して評判となっている。
建物はワルシャワ中心部にある歴史的建物である「スターリン文化パレス」の正面に立ち、52階建て高さ192mの超高層の偉容を見せている。長くカーブした形態は、鷲の翼からインスパイアーされ、ワルシャワのスカイラインに君臨している。建物は延床面積約30,000平米で、1ベッドルームから3ベッドルームのアパートメント287戸とペントハウスを含み、ビジネス&レジャーのコンシェルジュ・サービスやパーキング施設も完備しているデラックスな集合住宅タワーである。

写真右側が「スターリン文化パレス」、左から2番目の建物が「ズロタ44」(C)Kruba Jurskowski
建物のシンボリックな形態は、太陽の軌跡に従って全階の住戸に最大量の自然光を導入しようというコンセプトをベースにデザインされたものである。さらに高密度化された歴史的なアーバン・スケープのなかで、ストリートに落ちる建物の影を、最小にするよう細かく配慮されたデザインなのである。大きく湾曲したアーチ状のファサードは、頂上からこの都市のワイドなパノラミック・ビューを満喫できるペントハウスを擁している。ガラスとアルミニウムのカーテンウォールはセルフ・クリーニング・パネル(自己洗浄パネル)が採用されており、外壁を常にクリーンに保つ優れものである。またフルハイト(床から天井までの高さがあること)の大きな3重ガラス窓はイレギュラーなパターンで配置されているため、光と影の戯れを外壁上に引き起こしている。
「私にとって『ズロタ44』は非常に個人的なプロジェクトであります。私は若き日、共産主義の圧迫から逃れてポーランドを去りましたが、自分は故国の精神や文化を決して忘れることはありませんでした。今日故国に戻ってきましたが、このシンボリックな建物の竣工にあたり、感無量です」と、リベスキンドは語っている。
リベスキンドがデザインしたロビーは、温和な木材料、ガラス器具、幾何学的なセラミック・タイルのフロアリング等で構成され、外壁を覆うフルハイトの開口部からの自然光で非常に明るい。カスタム・メイドの受付デスクや壁面パネルはウォルナット合板が使用されている。高さ6mの天井からは繊細なガラス・シャンデリアが宙に浮いている。リベスキンドの手によるモローゾ(著名なイタリアのファニチャー・ブランド)の家具は、豪華なエントランス・ホールに、彫刻的かつウエルカム・ムードのアトモスフィアを放っている。

((C) Hufton+Crow)
広さは60平米から300平米まで。多種にわたる住戸タイプを展開リベスキンドのデザインが生み出したユニークな住戸は、多種にわたるフロア・プランとサイズが展開されている。標準的なアパートメントの広さは、小は60平米から大は300平米にわたり、ペントハウスやフルフロア・アパートメントは930平米もある豪華さとなっている。全てのアパートメントにはフルハイトの開口部付きの広いリビングがあり、明るい風通しの良い環境となっている。
キッチンやダイニング・ルームはオープン・プランでカスタム仕様となり、インテグレートされた器具類やブレックファースト・バーなども設えているリッチな仕様である。仕上げデザインも多様なオプションが用意されている。RC打ち放しの天井やコラム類(鉄骨柱に使用する筒型の鋼材)、シーザーストーン(汚れ・傷・ひび割れ・水に強いという特徴がある)のキッチントップ、ステンドオーク(硬いオーク材)またはアメリカン・ウォールナットのフロアリングなどがある。またガゲナウ(ドイツの高級ビルトイン・キッチン・メーカー)のキッチン設備や、スマホやタブレットでコントロール可能な最新のホーム・マネージメント・システムを装備している。

(C)Kruba Jurskowski
スポーツ&レクリエーション施設、ワインのテイスティング・ルームなども完備約1,800平米のアメニティ・フロアにはワールド・クラスのスポーツ&レクリエーション施設やスパがあり、また25mの水泳プールを設えている。1階には住民用に10,000本のワイン・ボトルを収容できるワイン・ストーレッジがあり、テイスティング・ルームも装備している。タワー下部には9階分もあるパーキング・スペース があり、ストリートレベルからのアクセスが可能である。さらに大型のラグジュアリー・カーを収容するスペースも充分取られている。フルタイムのスタッフによるコンシェルジュ・サービスも万全で、住民のアメニティ向上に寄与している。

(C)Kruba Jurskowski
●関連サイト
Zlota44
所在地:練馬区練馬
所在地:目黒区三田
所在地:中央区築地
所在地:中央区日本橋横山町
所在地:練馬区栄町
所在地:神奈川県川崎市宮前区宮崎
所在地:中央区東日本橋
所在地:目黒区目黒近年の大規模再開発により大型商業施設が次々と誕生し、幅広い世代が楽しめる街へと変ぼうしている渋谷駅。JR各線をはじめ東急電鉄の東横線・田園都市線、京王井の頭線、東京メトロの銀座線・半蔵門線・副都心線が乗り入れており、日々多くの人が利用するターミナル駅でもある。そんな渋谷駅の近くに住まいがあれば、渋谷にふらっと出かけやすいのはもちろん、乗り入れ路線を利用して各方面へ向かうのも便利だろう。そこで渋谷駅まで30分以内にある駅の家賃相場を調査した。シングル向け賃貸物件(10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DK)の家賃相場が安い駅トップ15を紹介しよう。
渋谷駅まで電車で30分以内にある家賃相場が安い駅TOP16順位/駅名/家賃相場(主な路線名/駅の所在地/渋谷駅までの所要時間/乗り換え回数)
1位 生田 5.6万円(小田急小田原線/神奈川県川崎市多摩区/27分/2回)
1位 読売ランド前 5.6万円(小田急小田原線/神奈川県川崎市多摩区/30分/2回)
3位 宿河原 6.4万円(JR南武線/神奈川県川崎市多摩区/26分/1回)
4位 久地 6.48万円(JR南武線/神奈川県川崎市高津区/24分/1回)
5位 向ヶ丘遊園 6.5万円(小田急小田原線/神奈川県川崎市多摩区/24分/1回)
5位 和泉多摩川 6.5万円(小田急小田原線/東京都狛江市/25分/2回)
5位 戸田公園 6.5万円(JR埼京線/埼玉県戸田市/28分/0回)
5位 狛江 6.5万円(小田急小田原線/東京都狛江市/23分/2回)
9位 武蔵浦和 6.6万円(JR埼京線/埼玉県さいたま市南区/29分/0回)
10位 大倉山 6.65万円(東急東横線/神奈川県横浜市港北区/30分/1回)
11位 和光市 6.7万円(東京メトロ有楽町線/埼玉県和光市/30分/0回)
11位 日吉本町 6.7万円(横浜市営地下鉄グリーンライン/神奈川県横浜市港北区/29分/1回)
11位 青葉台 6.7万円(東急田園都市線/神奈川県横浜市青葉区/28分/0回)
14位 井荻 6.8万円(西武新宿線/東京都杉並区/30分/2回)
14位 喜多見 6.8万円(小田急小田原線/東京都世田谷区/21分/2回)
14位 日吉 6.8万円(東急東横線/神奈川県横浜市港北区/21分/0回)
※17位~30位は記事末に記載
今回、調査の基点にした渋谷駅周辺にあるシングル向け賃貸物件(10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DK)の家賃相場は13万300円。そんな渋谷駅の30分圏内にある駅のうち、家賃相場が最も安かったのは生田駅と読売ランド前駅。小田急小田原線の隣り合うこの2駅が、家賃相場5万6000円で同額1位に並んだ。

読売ランド前駅(写真/PIXTA)
読売ランド前駅から小田急小田原線の各駅停車に乗ると次が生田駅、そこから2駅目の登戸駅で快速急行に乗り換えて下北沢駅へ。そして京王井の頭線に乗ると渋谷駅まで計約27分~30分。両駅ともに、小田急小田原線の通勤準急~快速急行を乗り継ぐと新宿駅まで25分以内で行くことも可能だ。この2駅は直線距離で1.3kmほどしか離れておらず、所在地はどちらも神奈川県川崎市多摩区。住環境はさほど大きく違いはないが、読売ランド前駅の北側一帯は日本女子大学のキャンパスを含む丘陵地が広がり、住宅地は駅の南側が中心となっている。一方の生田駅は明治大学や専修大学の最寄り駅でもあり、駅周辺で学生の姿を見かけることがより多いだろう。
読売ランド前駅、生田駅ともに駅周辺にはスーパーやコンビニ、ドラッグストア、100円ショップなど日常生活を支える店舗がそろっている。学生が多い街にしてはリーズナブルな飲食店が豊富というほどにはないが、ラーメン店やファストフード店など気軽に利用できるお店も両駅の間に点在している。家賃相場がリーズナブルで大学に近いことから、このエリアは学生が一人暮らしする街としてニーズが高く、一人暮らし向け物件も豊富。時期によっては空き物件数が少ないこともあるだろうが、物件数が多いだけに自分好みの住まいを探しやすいかもしれない。
3位にはJR南武線・宿河原駅が家賃相場6万4000円でランクイン。1位の読売ランド前駅・生田駅と同じ神奈川県川崎市多摩区に位置している。渋谷駅に向かうには、JR南武線で3駅目の武蔵溝ノ口駅から東急田園都市線・溝の口駅に乗り換える。すると計約26分で渋谷駅にたどり着く。ちなみに4位のJR南武線・久地駅(家賃相場6万4800円)は、宿河原駅から武蔵溝ノ口方面行きに乗って1駅目だ。

宿河原駅(写真/PIXTA)
さて、宿河原駅と言えば「川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム」の最寄り駅の一つ。1駅隣の登戸駅のほうが最寄り駅として知られているが、宿河原駅からも歩いて15分ほど。そんなご縁から、駅の発車メロディは藤子作品のアニメ曲が使用されている。ミュージアムがある駅南側には、『ドラえもん』や『パーマン』のキャラクターが看板や店内を彩る特別仕様の「ローソン 宿河原駅前店」などのコンビニやスーパーがある。駅の北側にもコンビニやスーパーがあり、さらに北に進むと多摩川の河川敷へ。息抜きに川沿いを散歩やジョギングするのもいいだろう。
渋谷・池袋・新宿まで30分以内で行ける駅もランクインここまで見てきた読売ランド前駅、生田駅、宿河原駅の3駅と、5位・向ヶ丘遊園駅(家賃相場6万5000円)は、いずれも川崎市多摩区にある。そして4位・久地駅が位置するのはその隣町、川崎市高津区。さらに向ヶ丘遊園駅と同額5位となった和泉多摩川駅と狛江駅は、川崎市多摩区と多摩川を挟んで隣接する東京都狛江市の駅。つまり上位7駅は多摩川にほど近いエリアに集中しているわけだ。この7駅から気になる物件をいくつかピックアップして、まとめて下見のために物件めぐりをするのもよさそうだ。
トップ15の駅のうち、渋谷駅まで乗り換え0回だったのは5駅。そのうち家賃相場6万6000円で9位にランクインした、JR埼京線・武蔵浦和駅について見てみよう。同駅は埼玉県さいたま市南区に位置し、JR埼京線の通勤快速に乗ると渋谷駅まで約29分。途中の停車駅である池袋駅までは約19分、新宿駅までは約24分で行くことができ、都心部までのアクセスのよさが魅力だ。

武蔵浦和駅(写真/PIXTA)
9位・武蔵浦和駅には改札内外に多彩な店舗を備えた駅ビル「ビーンズ武蔵浦和」が併設されているほか、食品フロアや飲食店街がある「マーレ」が直結。また、駅周辺はさいたま市の副都心に位置付けられており、近年の再開発により高層マンションや大型施設も林立している。その一つ、駅西口とペデストリアンデッキでつながる複合公共施設「サウスピア」には、区役所や図書館が入っているのも便利なところ。駅周辺の再開発は現在も進行中で、2024年夏には西口側に「商・住・職」一体型の大規模複合施設が開業予定。さらに駅東口側でも再開発が検討されており、今後もさらなる発展が見込まれる。
渋谷駅まで乗り換え0回、かつトップ15で渋谷駅までの所要時間が最短と言う便利な駅も14位にランクイン。それは東急東横線の通勤特急に乗ると渋谷駅まで4駅・約21分で行ける日吉駅で、家賃相場は6万8000円だった。この駅には東急目黒線と横浜市営地下鉄グリーンラインも通っているほか、2023年3月に開業した東急新横浜線の停車駅としても注目を集めた。同路線の開業にともなって日吉駅の約2.2km南方には、新たに新綱島駅も誕生。この新路線・新駅の誕生を契機に日吉駅~新綱島駅間のエリアでは再開発ラッシュを迎え、大型マンションも誕生している。そうした背景もあってかここ数年の家賃相場は上昇傾向にあるが、駅前に慶應義塾大学の日吉キャンパスがあることから学生の一人暮らし向け物件が豊富な街でもある。

日吉駅前の様子(写真/PIXTA)
14位・日吉駅には地下1階~地上3階に多彩な店舗が展開する駅ビル「日吉東急アベニュー」が併設されており、駅前にも商店が立ち並んでいる。飲食店も豊富で、「ラーメン激戦区」と言われるほど個性的なラーメン店が多いのは学生の街らしいところだろう。また、日吉駅を通る東急東横線は東京メトロ副都心線と直通運転されているため、新宿三丁目駅や池袋駅にも1本で行ける。同様に東急目黒線は目黒駅から先で都営三田線または東京メトロ南北線と直通運転される列車に分岐し、三田線沿線の大手町駅や神保町駅、南北線沿線の永田町駅や市ケ谷駅など、都心の各方面に乗り換えせずに行くことができるのも日吉駅の魅力と言えるだろう。

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている渋谷駅まで電車で30分以内の駅(掲載物件が20件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2022/11~2023/5
【家賃の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンションのうち普通借家契約の物件のみ)の管理費を含む月額賃料から中央値を算出(3万円~18万円で設定)
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、朝7時30分~9時の検索結果から算出(2023年5月29日時点)。所要時間は該当時間帯で一番早いものを表示(乗換時間を含む)
※記載の分数は、駅内および、駅間の徒歩移動分数を含む
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
※ダイヤ改正等により、結果が変動する場合がある
※乗換回数が2回までの駅を掲載
所在地:文京区本駒込
所在地:目黒区下目黒
所在地:世田谷区玉川田園調布
所在地:目黒区下目黒
所在地:北区田端
所在地:港区芝浦
所在地:埼玉県さいたま市浦和区岸町
所在地:三鷹市下連雀
所在地:江東区永代金沢のまちは、観光地としても名高く、冬は雪深い土地。この石川県金沢市で居住支援を行っている不動産会社、エリンク代表の谷村麻奈美さんは、生活保護受給者や障がいのある人に住まいの斡旋だけでなく、一時的な避難シェルターや入居した後の継続的な支援、見守りを提供しています。エリンクの不動産会社としての活動のほか、NPOの設立や金沢における居住支援の課題などについて聞きました。
住まい確保に困っている人たちを断るのが辛かった石川県金沢市。北陸新幹線が通り、県庁所在地でもあるこの地に、エリンクという不動産会社があります。従業員4人という規模ながら、子育て世帯・ひとり親世帯・高齢者・生活保護受給者・障がい者・犯罪歴のある人など、賃貸住宅への入居に困難を抱えている人たちに物件を紹介し、2022年には住まい探しをサポートする居住支援法人として登録されました。

金沢市にある不動産会社エリンク。子育て世帯・ひとり親世帯・高齢者・生活保護受給者・障がい者・犯罪歴のある人などを中心に、賃貸物件の仲介や管理を行っている(画像提供/エリンク)
住まい探しが困難な人たちは、さまざまな事情を抱えています。生活保護を受給するために自治体の定めた家賃以下でなければ入居できなかったり、生活支援や見守りといった入居後の暮らしに継続的な配慮やサポートが必要な場合があります。また、家賃の滞納や孤独死などを懸念するオーナーや管理会社が、入居を敬遠することも。居住支援では、それらの課題を一つひとつ乗り越えていかなければなりません。
代表の谷村さんがエリンクを立ち上げたのは、2017年のこと。
それまでは会社員として別の不動産会社に勤めていましたが、会社の収益を上げるため、効率の良い仕事が優先されることに違和感を感じていたと言います。
「通常よりも手間がかかる案件に時間をかけることについて十分理解されていませんでした。個人の思いとは裏腹に、住まい探しに困っている人が来ても断らざるを得なかったのです。相談に来た人が残念そうに店を後にする姿を見るのは、とても辛いものでした」(エリンク 谷村さん、以下同)
組織の中にいては思い通りにできない。どんな人でも受け入れられる不動産会社をつくろう、と立ち上げたのがエリンクでした。
「時間をかけて入居者との関係を築いていく」エリンクの居住支援現在、谷村さんを含むスタッフ4名のうち、普段から住宅の確保に配慮が必要な人たちの居住支援を行っているのは、谷村さんと従業員2人の3名。この記事のインタビューの最中も、ひっきりなしに電話がかかってくる忙しさです。
賃貸物件の紹介だけでなく、入居後、連絡が取れなくなったときには様子を確認しに行ったり、「体調が悪くて家賃の振り込みに行けない」と連絡があれば谷村さんたちが部屋まで集金に行ったりします。時には「給付金の申請をするのに書き方がわからない」と電話がきて書き方を教えに行くなど、頼まれれば入居者を訪ねることも日常なのだそう。

居住支援には、谷村さんともう2人の3人体制であたっている。社員4人の小さな街の不動産屋さんだ(画像提供/エリンク)
また、ある時は上の階に住む人とけんかをした入居者が警察に連れて行かれ、ほかに身寄りがないため、谷村さんが身元の引き受けに行ったこともあります。「なんでお前が来たんだ」と怒鳴られ、すかさず谷村さんも「オーナーさんの迷惑になることを考えて!」 と大声で言い返したのだとか。谷村さんは「『なんでも相談所』のようでしょう?」と笑いながら話します。
「大事なのは入居者と信頼関係を築くこと。大げんかしたその入居者とも、1年以上の時間をかけて、時には人生相談にも乗り、関係をつくり上げてきました。だからこそ、本音でぶつかり合えるのだと思います」

入居者とは、時に言い合いになることもあるけれど、その分、笑い合うことも多い。「(日常的な声掛けをすることなどを)しつこいと言われたこともあります。でも途中で諦めたくはないんです」と谷村さん(画像提供/エリンク)
経営的にはギリギリ。それでも達成感を感じているそれでも経営は赤字ギリギリの状態です。居住支援法人に登録した理由の一つには、助成金がないと居住支援事業を継続するのが難しいという背景もありました。
「会社や事業には、それぞれの客層やターゲットというものがあります。低所得者など住まい探しに困っている人に重点を置いている不動産会社がなかったので、私は逆にそこに事業としてのチャンスがあるのではないかと思ったのです。何より、さまざまな問題を解決していかなければならないことは、むしろ楽しそうだと感じました。
私自身が、そういう性分なんです。普段の仕事はもちろん大変ですけど、達成感があるので忘れちゃう。嫌なことも楽しいことも波があることを楽しんでいます。経営は厳しくても、私がやりたかったことを実行できているという点では『成功』だと思っています」
現在、エリンクのホームページに掲載している物件の中で、生活保護受給者が入居できる家賃のものは1200件以上。それ以外の物件数は600件ほどなので、住まいに困っている人の支援にいかに力を入れているかがわかります。しかしそれぞれの物件で入居に必要な条件が異なるため、どうしても入居できない場合は、谷村さんが保有している3室を含め、160室ほどのエリンクの管理物件から紹介しているそう。
これらのエリンクが管理する部屋は、長年空室で悩むオーナーさんが、エリンクの取り組みをメディアを通して知ったり、別のオーナーさんからの紹介で「空室にしておくよりは、困っている人に貸してほしい」と託されたもの。オーナーさんの理解も得て、エリンクでは2022年中に住まい探しに困難をかかえる人から相談があった約95件のうち、67件が入居に至っているのだそうです。

エリンクの管理物件は、理解のあるオーナーさんから預かったもので、管理物件を獲得するための営業は一切していないという(画像提供/エリンク)
緊急で住まいを必要とする人には男性が多い!? 石川県・金沢市の事情とはエリンクを訪れる相談者の特徴は、30~60代の男性が圧倒的に多いということ。
その理由は、ちょうど一般的に「働き盛り」とされるこの年代で、行政には住まいに困っている男性を受け入れる受け皿がないためだと、谷村さんは分析しています。
「石川県には、住まいに困っている女性や子どもに対しては『女性センター』や『母子寮』など、行政で受け入れる場所があるのですが、住まいを失った男性向けの一時的な避難場所となる『シェルター』のような施設がありません。職を失って社宅や寮を出なくてはならなくなった人が、ネットカフェや車中生活をせざるを得ない状況が多いのです」
そこで普段はNPO法人「安心生活ネットワークいち」(活動内容については後述)の事務所として利用している店舗の2階を、緊急用の民間シェルターとして確保しています。しかし一度に1名しか利用できないので、いつでも空いているわけではありません。「もっと一時的に避難するシェルターとなる場所が必要」だと、谷村さんは訴えています。

普段は事務所として使用している2階をシェルターとして使用できるように家具家電などを配置。さまざまな事情を抱えた人の中には、緊急で一時的に避難できる場所を必要とする人がいる(画像提供/エリンク)
金沢における居住支援法人の活動、行政との連携は?また、もう一つ、谷村さんが課題として挙げるのが、居住支援に携わる人たちや組織が連携するためのネットワークや体制づくりです。
住まい探しに困っている人たちに居住支援を行う各地方自治体の住宅部門は、福祉部門との連携がうまく取れていないことが課題になっているところも少なくありません。かつてエリンクの存在は、石川県や金沢市の住宅部門・福祉部門いずれの担当者にも知られておらず、住まいと福祉の連携もありませんでした。
「生活保護を受けている人が提出する賃貸借契約書などの書類にエリンクの名前がたびたび上がるのを知った金沢市の社会福祉協議会の方が当社を訪ねてくださって。2019年ころから、家賃を支払えず困って社会福祉協議会に相談に来る人の紹介を受けたり、こちらから給付金が利用できないかを尋ねたりというつながりができました」
今では、金沢を地盤にしている福祉関係団体や弁護士から多くの問い合わせが来るようになったそうです。
「ただし、今は何かトラブルや問題が起きた時にその都度、担当者同士の個人的なつながりを頼りに連絡をとって対応しているので、スムーズに支援ができている状態とは言えません。支援を必要とするより多くの人たちを的確にサポートしていくためにも、ネットワークづくりや連携の仕組みが必要です」

現状は図のとおり不動産会社であるエリンクがそれぞれに連絡を取っている状況。「住まいに困っている人には、不動産会社が中心となって行政や民間企業・団体が連携して支援するネットワークやスキームが築けるはず」だと谷村さんは考えている(画像提供/エリンク)
「入居後の孤立を無くしたい」谷村さんの新たな一歩協力してくれるオーナーさんも増えて入居まではサポートできるようになったものの、谷村さんは「入居した後も人や社会とつながりを持てない、孤立している人をどうにかしなければ」との思いを強くしたそうです。
不動産事業のオプションとしてではなく、本腰を入れて入居後の生活までサポートする必要があると考え、2022年12月にオーナーさんや司法書士、引越し業者や特殊清掃業者など、応援してくれている人たちを会員としてNPO法人「安心生活ネットワークいち」を設立しました。

NPO法人「安心生活ネットワークいち」を立ち上げ、入居前の住まい探しから、入居後の暮らしや職探しなどトータルのサポートに本格的に乗り出した(画像提供/エリンク)
孤立を防ぐために谷村さんたちが早速始めたのは、金沢市社会福祉協議会の事務所を会場として開催する「おむすびの会」。
「支援者も受益者も関係なく、ごちゃ混ぜで『みんなで楽しくおむすびをつくっておしゃべりをしよう』という趣旨の会で、誰でも参加できて、しかも無料です。不要な食べ物をもらいに行って、それを欲しい人に届けるフードバンクの活動も行っていて、今は車1台のみで配っていますが、もっと増やしていきたいと考えています」
入居前のサポートから入居後の見守り、そして引きこもりがちな高齢者や障がい者、犯罪歴のある入居者などが社会とつながるサポートを目指す谷村さんたちの活動は、前へ前へと進んでいるようです。

誰でも参加OKで参加費無料のおむすびの会。気軽に参加しておしゃべりを楽しむことで、引きこもりがちな人が社会とつながるきっかけに(画像提供/エリンク)

不要となった食べ物を集め、必要としている人に届ける。外に出たくないと自宅にこもりがちな人も多いので、それならこちらからいけばいい!という発想。安否確認もできる(画像提供/エリンク)
「孤軍奮闘」。谷村さんと周囲の人たちの活動を知り、そんな言葉が頭をよぎりました。
最後に谷村さんは、「ライバルをつくることになるかもしれないですが、私たちのような不動産会社がもっと増えればいいと思っています。それだけ、困っている人がいるということです」と話してくれました。
金沢市内には他にも居住支援や生活支援に携わる団体や企業が存在するでしょう。しかしネットワークや仕組みが未だできてない理由の一つは、金沢にはとても奥ゆかしい人が多い風土だからなのだそうです。「『やれたらいいよね』という人はいても『よし、やろう』という人がいない」と谷村さんは打ち明けます。
谷村さんのようなリーダーが増え、その人たちが繋がることができれば、金沢の居住支援は大きく前進するのかもしれません。そして、住まいに困っている人たちを包括的に支援するためには行政の協力も欠かせません。現状の周知と連携強化を訴え、谷村さんたちは今日も活動を続けています。
●取材協力
株式会社エリンク
特定非営利活動法人安心生活ネットワークいち
所在地:目黒区碑文谷
所在地:目黒区碑文谷
所在地:世田谷区三宿2023年も、異常気象が猛威を振るっている。世界的な海面水温の上昇との関連も指摘され、酷暑の一方で大型台風や線状降水帯などによる被害も生じている。9月は、大型台風が発生するリスクが高まる時期でもある。住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」をホームページに掲載し、注意を呼び掛けている。
【今週の住活トピック】
「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」を掲載/住宅リフォーム・紛争処理支援センター
「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」を見る前に、一条工務店が発表した「防災に関する意識調査2023」の結果を見ていこう。地震に関する調査と水害に関する調査をまとめているが、“水害”については、どんな結果が出ているのだろうか。
まず、「線状降水帯による大雨の可能性がある場合、大雨警報などに先駆けた発表で、早期の備えを促すために、半日程度前から 6 時間前までに気象情報で発表しているのを知っていますか」と聞いたところ、49.1%、約半数が「知らない」と回答した。
気象庁のホームページには、“「顕著な大雨に関する気象情報」の発表基準を満たすような線状降水帯による大雨の可能性がある程度高いことが予想された場合に、半日程度前から、気象情報において、「線状降水帯」というキーワードを使って呼びかけます。”とあり、呼び掛け例として以下のようなものを紹介している。

出典:気象庁「線状降水帯に関する各種情報」より転載
次に調査で、「お住まいの地域で線状降水帯が発生すると予報された場合、危機感を感じて何らかの対策を取りますか」と聞くと、「危機感を感じるが対策はしない」という人が38.8%、「危機感を感じない」という人が6.1%いることが分かった。

出典:一条工務店「防災に関する意識調査2023」
長時間の大雨が予測される場合には、まず自宅から出ないこと、一戸建ての場合は2階以上で崖や斜面から離れた部屋に移動すること、「避難指示」などの避難情報が出された場合は早めに避難所へ行くなどが求められる。
住宅には雨漏りのリスクがあるが、後から対策することが難しいさて、長時間の大雨で自宅に留まったとして、雨漏りがするようであれば心もとない。
住宅リフォーム・紛争処理支援センターが掲載した「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」によると、「住宅は、屋根や壁の部材、窓(サッシ)、玄関扉など、いろいろな部材・部品が集まってできており、それぞれ素材が異なる部材・部品を組み合わせているため、継ぎ目の雨水侵入対策がしっかりしていないと雨漏りが生じる場合がある」という。特に近年は、局地的な大雨などの発生回数が増加傾向にあるため、さらに雨漏りへの注意が必要だとしている。
一方で、雨漏りが発生した場合の原因の特定が難しいことから、住宅を建築したり取得したりする段階で、雨漏りリスクを意識することが大切だと強調している。
では、雨漏りはどこで発生するのだろうか?同センターが、木造新築住宅での「瑕疵保険の事故情報※」を分析したところ、サッシまわりなどの「外壁開口部」、「外壁面」、「勾配屋根や天窓」からが多くなっている。
※瑕疵保険(かしほけん)とは、住宅の検査と保証がセットになった保険制度。保険対象となる部分に起因する事故情報のデータベースを利用

出典:住宅リフォーム・紛争処理支援センター「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」住宅取得者向け資料より転載
サッシや天窓の枠の部分は外壁や屋根との継ぎ目ができる部分であり、外壁自体は常に雨にさらされる部分だ。こうした部分に雨漏りリスクがあることをまずは知っておこう。
「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」で詳しくチェック「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」の住宅取得者向け資料には、雨漏りリスクの高い6カ所について、リスク低減のアイデアを紹介している。その6カ所とは、(1)モルタルの外壁、(2)窓(サッシ)、(3)片流れ屋根の頂部、(4)屋根の側端部、(5)屋根と外壁が接する部分、(6)天窓(トップライト)。例えば、(1)のモルタルの外壁については、次のように説明している。

出典:住宅リフォーム・紛争処理支援センター「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」住宅取得者向け資料より抜粋転載
それぞれの箇所については専門的になるので、ぜひ直接資料を確認してほしい。自身で雨漏りのリスクと防ぐアイデアを理解することのほか、住宅の設計者や販売事業者などに、この資料の内容を見せて、きちんと設計施工されるか説明を求めるという使い方もあるだろう。
マンションなら雨漏りはしないかというと、そうでもない。筆者が住むマンションで、大雨の翌日、1階で共用廊下を見上げたら、廊下のコンクリートの下部(見上げた階からは天井部)がふくらんでいた。雨水がたまった証だ。ただし、大規模修繕工事の際に防水工事を行って修復された。
このようにマンションであれば、管理組合が建物診断や大規模修繕を行うが、一戸建ての場合は自身でチェックして補修する必要がある。建てたときに注意を払うだけではなく、雨どいが落ち葉などでつまらないように掃除をしたり、住宅の窓まわりの継ぎ目のシーリング材に破損が見られたら修復したりといった、メンテナンスを行うことも忘れないようにしたい。
●関連サイト
住宅リフォーム・紛争処理支援センター「雨漏りを防ぐために(安全確認シート)」住宅取得者向け資料
一条工務店「防災に関する意識調査2023」
所在地:川崎市高津区溝口
所在地:北区浮間
所在地:東京都新宿区新宿
所在地:板橋区蓮根
所在地:東京都新宿区北新宿
所在地:文京区音羽
所在地:東京都新宿区西早稲田
所在地:横浜市青葉区美しが丘環境先進国として先進的な取り組みを続ける国、デンマークを象徴する存在のひとつが、なんといっても風力発電です。古くは粉挽きや排水の役割を担うために村々にあった風車が、時代の変遷とともに、発電のための風車へと変わりましたが、今も昔も「風車のある風景」がデンマークらしさ、と言えるかもしれません。今回は、デンマークのエネルギー分野で主役的な役割を果たしている風力発電にフォーカスします。
農家は「農耕と発電」の二毛作!飛行機でコペンハーゲンのカストラップ空港に近づくと窓から見えてくる、くるくる回るたくさんの白い風車たち。デンマークに(帰って)来たなぁと嬉しくなる瞬間です。この光景を見ると嬉しくなるのは私だけではないようで、デンマークを訪ねてくれる人のほとんどが、同じように「風車が見えてきてワクワクした!」と話してくれます。なぜなんでしょう、この感覚。自然が電気をつくっているのを目の当たりにできるからでしょうか。
そして、コペンハーゲンから約160km南下すると、私が暮らすロラン島があります。現在、デンマーク国内で一番風力発電が盛んなのは、デンマーク西部の沿岸地域ですが、2番目に盛んなのが、ロラン島です。

ロラン島(写真提供/ニールセン北村朋子、撮影/ Rune Johansen)
ここまで来ると、どの方向を見ても、必ず風車が視野に入るような感じで、本当にたくさんの風車が立っています。ロラン島では現在約260基の陸上風車があり、洋上にも162基の風車があります。風力発電以外に、近年は太陽光発電も増え、また農業から出るワラを燃料としたバイオマス発電や、家畜の糞尿や食糧残渣を利用したバイオガスによる発電なども含むと、ロラン島は、島内で使う電力の8倍~10倍の電力を、主に風力による再生可能エネルギーでまかなっています。

ロラン島の2023年7月までの再生可能エネルギーでの発電と消費電力のデータ。青が風力発電、黄色が太陽光発電。今年はこれまでに82.9%の電力を再エネでまかなっている(画像提供/REEL、出典:Lollands Energisystem)
現在、デンマーク全国では約4,200基の陸上風車があり、1時間あたり約470万kWのエネルギーを生み出すことができます。また、洋上風車は630基にのぼり、1時間あたり約230万kWのエネルギーを生み出していて、デンマークの電力供給の約半分は風力発電で賄われています。

デンマークの風力発電機の分布図。風力発電がいかに盛んかがわかる(画像提供/Plan- og Landdistriktsstyrelsen、出典:Info om vedvarende energikilder)

風力発電の容量と国内電力供給に占める風力発電の割合。青は洋上風力、緑は陸上風力、赤は風力による電力供給の割合(画像提供/Energistyrelsen、出典:Energistatistik2021)

自治体別風力発電の容量。青色が濃いほど風力での発電容量が多い。右下にあるロラン島は西側が濃い青色(画像提供/Energistyrelsen、出典:Energistatistik2021)
陸上風車を所有するのは、主に設置できる土地を持つ農家や、地域の風力発電組合で、近年は、風車の大規模化に伴い、再エネ関連企業が所有する例も増えてきています。ロラン島をはじめ、デンマークでは農家の人たちが作物を収穫するのと同時に、収穫後のワラを売却して地域の熱供給や発電の原料にしたり、畑にある風車や太陽光パネルから電力を収穫して売電し、収入を得るのは当たり前のこと。それぞれが持つリソースを最大限に利用することで、各農家の収益も安定しますし、農家の収入が増えれば、地方自治体は税収が増え、地域が潤うことにつながります。また、当然ながら、地域や国のエネルギーの自給率を上げることにも繋がり、エネルギーの安全保障にも大きな意義をもたらします。

デンマークの農家(写真提供/ニールセン北村朋子)
陸上風車の高さは、約150m。ビルの高さに例えるなら、およそ40階くらいと同じになります。また、東京タワーの大展望台も地上150mで、デンマークで見かける陸上風車とほぼ同じ高さです。洋上風車はさらに大きくて、200mにもなります。ブレード(羽根)はゆっくり回っているように見えるのですが、実はブレードの先端部分では時速250kmを超えるスピードで回転していて、新幹線に近い速さなのですから驚きです。

農地に立つ大型風車たち。高さは150m!(写真提供/ニールセン北村朋子)

ロラン島沖の洋上風力発電パーク(写真提供/ニールセン北村朋子)
■関連:デンマークのまちづくりやエコ関係の記事
自分たちが使うエネルギーは自分たちで選びたい!冒頭にも触れたように、デンマークでは、風車のある風景は昔から馴染みのあるものでした。12世紀から13世紀にかけて小麦から粉を挽くために、また低地の湿地の排水をするために、風車は重要な役割を果たしていました。また、当時は製粉は地域の権力者が管理する仕組みで、地域の穀物を挽く独占的権利を持っていましたが、1862年に食の自由化がなされて、農民が農場製粉所を設置することが可能になり、風車は市民のものとなっていきました。1920年ごろには、2万~3万基の家庭用製粉風車があったようです。
発電のための風車が初めてつくられたのは1891年、物理学者のポール・ラ・クールがアスコウ・ホイスコーレ(デンマーク発祥の「人生の学校」と呼ばれるフォルケホイスコーレ(※)のひとつ)で実現しました。実際に普及するまでには少し年月がかかりましたが、1970年代のオイルショックによるエネルギー危機が大きな転機となります。今でこそ、デンマークは再生可能エネルギーの先進国として知られるようになりましたが、70年代当時は中東の石油に頼りきりで、エネルギー自給率は5%を切るほどでした。
※フォルケホイスコーレ……デンマーク発祥の全寮制の成人教育機関。17.5歳以上なら誰でも入学でき、資格やスキルを得るのではなく、より良く生きるために、誰にも評価されずに自分や社会、世界と向き合う時間を持つことができる。
そこで、エネルギーの自給を高めるための議論が活発になり、その解決策として急浮上したのが原子力発電でした。当時の国と電力会社は原発を推し進めようとしましたが、原発についてもっと詳しく知ってから活用するかどうかを考えたいと訴える市民団体OOA(原子力発電情報協会)が立ち上がり、原発のメリットとデメリットについて幅広く情報を集め、国民と共有し、議論を促したことや、79年にスリーマイル島で原発事故が起きたことも影響し、時が経つにつれて世論は原発反対へと傾いていきました。
そして1985年、デンマークはついに原発を選択肢から外したエネルギープランを採択。チェルノブイリで原発事故が起きたのは、デンマークのこの決定の翌年の86年のことでした。以降、デンマーク国内で自給自足できるエネルギーの大きな可能性を秘める選択肢として、風力発電の開発と普及が一気に加速して今に至ります。

(写真提供/ニールセン北村朋子)
デンマークの農民や市民が風力発電に関心を持つようになったのは、投資目的だけではありません。ロラン島で初めての市民風車のメンバーになったビャーネ・エネマークさんは、以前インタビューした時に「どういうエネルギーを使いたいかは、国や電力会社ではなく、国民や一般市民に決める権利がある」と話してくれましたが、地域のみんなと環境に良いことに取り組みたい、という気持ちと連帯感が、デンマークの市民を突き動かしています。そして、その意志を尊重する民主主義と政治があることも不可欠です。
デンマークの現在のエネルギー政策は、2012年に打ち出されたもので、2050年までに化石燃料から脱却することと、それに先立って2030年には二酸化炭素の排出量を1990年比で70%削減するという目標を設定しています。さらに、昨年暮れに発足した新政権では、2050年の化石燃料からの脱却目標を2045年に前倒しし、二酸化炭素の削減に関しては2050年までに110%を達成するという、野心的な目標を新たに設定しています。EUの2040年目標となっている、2019年比で二酸化炭素排出量を90%削減する、という方向性とも連動しながら、これからもデンマークではさらに風力発電を増やしていく予定です。
余るほどできる再エネの電力を、さまざまに使い回す風力発電をはじめとして、再生可能エネルギーによる電力供給は増える一方のデンマーク。今の一番の関心事は、大量につくられる電力を、供給過多の時に効率的に貯めておいて、電力供給が足りない時に使ったり、電気としてだけでなく、輸送燃料や熱供給に使うためのPower to X への取り組みです。
Power to X とは、電力を熱や水素、メタンなどに変えて蓄え、輸送エネルギーや熱エネルギーなど電気以外のエネルギーで幅広く活用するための技術とデザインのこと。例えば、再エネの電力が余っている時間帯に水を電気分解して水素を取り出し、水素そのものとしてだけでなく、水素と二酸化炭素を組み合わせてメタンやメタノール、アンモニアやケロシンを生成することで貯めておくことが可能になり、輸送燃料などに利用することができるようになります。実際に、デンマークを代表する世界的海運会社、マースク社も、こうしたグリーンメタノールを燃料とするコンテナ船を今年から北欧で導入予定です。
また、ロラン島でも、Power to X の設備の建設が予定され、予定通りに進めば2027年から稼働の見込みで、さらに、こうしたPower to X によってつくられるグリーンな天然ガスを利用する、デンマーク国内初のバイオ小麦精製所もつくられる予定になっています。このバイオ小麦精製所は、食品に使うための小麦の精製だけでなく、現在は輸入に頼っているグルテンを国産できるようになることで、魚の養殖用の餌や養豚の飼料に活用することができたり、また食用にできる部分以外からさまざまな成分を取り出して、バイオポリマーをつくることによって、現在は石油化学原料からつくられている衣類や靴、医療品などを、こうしたバイオ素材でつくることを目的としています。化石燃料からの脱却は、石油化学製品からの脱却も同時に行っていくことを意味します。風力発電などの再生可能エネルギーは、こうした私たちの生活を支える素材づくりにも、大きく関わってきます。

Power to X を図解したもの。再生可能エネルギーの電気と水と二酸化炭素があれば、分子の形で貯めることができるほか、輸送部門など、さまざまな形で利用が可能になる(画像提供:Ranboll、出典:ANALYSE AF MULIGHEDER FOR POWER-TO-XOG GRON GAS PA LOLLAND)
再生可能エネルギーにおけるエネルギー生産は、天候に左右されるなど不安定要素が多いと指摘する声もあります。ただ、その再エネによる発電が高度に進むと、それをどううまく使い回すかという可能性も広がります。
今年の夏は、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が「地球温暖化から地球沸騰化の時代が到来した」と警告するほど、世界各地を酷暑が襲い、深い爪痕を残しています。気候変動対策は、正真正銘、待ったなしです。
みなさんが毎日使っている電気は、どこから買っていますか? その電気は、どこから来ていますか?何でつくられていますか? それは、あなたが望む形でつくられていますか?
「どういうエネルギーを使いたいかは、国や電力会社ではなく、国民や一般市民に決める権利がある」ことをぜひ忘れないでください。そして、自分だけでなく、子どもたちや未来の世代のためにも、責任のある選択をできているかどうか、今一度、考えてみませんか?
●取材協力
・REEL
・andel
●参考文献
ロラン島のエコ・チャレンジ デンマーク発、100%自然エネルギーの島(ニールセン北村朋子著、新泉社)
所在地:川崎市高津区溝口
所在地:新宿区四谷
所在地:新宿区四谷
所在地:港区北青山
所在地:武蔵野市吉祥寺東町
所在地:世田谷区上馬
所在地:世田谷区大原暑い日が続きますね。SUUMOジャーナルで7月に公開した記事では、「3Dプリンターの家、国内初の実用版は約23時間で完成!内装や耐震性は?」「7畳のタイニーハウス暮らし夫婦、2棟目カワウソ号は宿に。宿泊で住まい観が一変!?」などが人気TOP10入りしました。詳しく紹介します。
1位
3Dプリンターの家、国内初の実用版は23時間で完成!内装や耐震性は? ファミリー向け一般住宅も登場間近 長野県佐久市
2位
7畳のタイニーハウス暮らし夫婦、2棟目カワウソ号は宿に。宿泊で住まい観が一変!? ライター体験記「私はどう生きるか」 三浦半島
3位
世界の名建築を訪ねて。ザハ・ハディドによる62階建て超高層集合住宅タワー「ワン・サウザンド・ミュージアム(One Thousand Museum)」/アメリカ・マイアミ
4位
相撲部屋付き賃貸を押尾川親方がプロデュース。朝稽古を見学、ちゃんこを力士と一緒に楽しめる生活って? 墨田区「クリエイティブハウス文花」
5位
シェアハウス等でシングルマザーや障がい者に伴走する、まちの不動産屋さん。農園や食堂併設で支え合い、雇用創出も 神奈川県伊勢原市・めぐみ不動産コンサルティング
6位
愛知「住みたい街ランキング2023年版」不動の1位は名古屋! NHK大河ドラマ『どうする家康』影響で三河エリアに熱視線
7位
障がい者の部屋探しの苦労を知るからこそ伴走したい、社長・従業員の家族が障がいのある不動産会社。病院付き添いなど入居後もサポート 足立区・メイクホーム
8位
2023年は郊外ファミリー賃貸で賃料が上昇!? 国分寺など上昇した駅のデータとともに解説
9位
ニューヨーク人情酒場 さよなら、トシさん…入れ替わり激しいNYの飲食業界、雇用事情とは?
10位
厳しすぎる世界基準の環境性能に挑む賃貸住宅「鈴森Village」。省エネは大前提、植栽は在来種、トレーサビリティの徹底など…住みごこちを聞いてみた 埼玉県和光市
※対象記事とランキング集計:2023年7月1日~30日に公開された記事のうち、PV数の多い順
1位
3Dプリンターの家、国内初の実用版は23時間で完成!内装や耐震性は? ファミリー向け一般住宅も登場間近 長野県佐久市

(画像提供/セレンディクス)
2022年5月に紹介された「約300万円で購入できる10平米の3Dプリンター住宅」から1年、セレンディクス社が手掛ける商用で日本第一号となる「serendix 10(スフィアモデル)」が長野県佐久市で完成したと聞き、最新事情を取材するため現地へ。直径3.3mの球体で、10平米の3D プリンターハウスは、わずか22時間52分で建設されました。個人向け3D プリンターハウスの開発も着々と進められています。3D プリンターハウスができる過程がわかる動画もお見逃しなく!
2位
7畳のタイニーハウス暮らし夫婦、2棟目カワウソ号は宿に。宿泊で住まい観が一変!? ライター体験記「私はどう生きるか」 三浦半島

(写真撮影/桑田瑞穂)
神奈川県三浦半島にある「もぐら号」は、相馬由季さんと夫の哲平さんが約2年をかけて手づくりで完成させたわずか7畳のタイニーハウス。ふたりの暮らしに憧れて、「遊びに行きたい」「泊まりたい」という要望が殺到! そのため、今年、宿泊・体験も可能な「カワウソ号」をつくりました。早速、編集部員とライターが滞在。三浦半島の新鮮なお刺身を堪能し、ロフト下のベッドでぐっすり! 滞在レポートを読んで、タイニーハウスの暮らしをプチ体験してください。
3位
世界の名建築を訪ねて。ザハ・ハディドによる62階建て超高層集合住宅タワー「ワン・サウザンド・ミュージアム(One Thousand Museum)」/アメリカ・マイアミ

「One Thousand Museum(ワン・サウザンド・ミュージアム)」(アメリカ、マイアミ) 設計:ザハ・ハディド(ザハ・ハディド・アーキテクツ) Zaha Hadid (Zaha Hadid Architects)((c)Hufton+Crow)
建築ジャーナリスト、淵上正幸氏による世界中の名建築を巡る連載7回目。取り上げるのは、アメリカ・マイアミにある「ワン・サウザンド・ミュージアム」。高さ約213m、62階建ての超高層集合住宅タワーです。建築家ザハ・ハディドの建築哲学が凝縮された外観、贅沢な設備と上質な素材が使われた建物内部を紹介! 住人の優雅な生活が垣間見えます。
4位
相撲部屋付き賃貸を押尾川親方がプロデュース。朝稽古を見学、ちゃんこを力士と一緒に楽しめる生活って? 墨田区「クリエイティブハウス文花」

(写真撮影/片山貴博)
東京都墨田区に昨年2022年4月に誕生した「クリエイティブハウス文花」は、1階に相撲部屋を備えた賃貸マンションです。事前に申し込みすれば、朝稽古の見学もできるとあって、取材当日もたくさんの外国人観光客の姿が。ちゃんこ会など住民と力士が交流するイベントもあるというユニークな物件はなぜ生まれたのか。親方や管理会社、入居者に話を聞きました。
5位
シェアハウス等でシングルマザーや障がい者に伴走する、まちの不動産屋さん。農園や食堂併設で支え合い、雇用創出も 神奈川県伊勢原市・めぐみ不動産コンサルティング

(写真提供/めぐみ不動産コンサルティング)
めぐみ不動産コンサルティングは、シングルマザー向けシェアハウスや障がい者グループホームの運営を通じて、住居と福祉の包括的な支援を地域に提供しています。このような取り組みを続ける原動力は、創業者・竹田恵子さんのシングルマザーとして奮闘した実体験。「シングル」だから「高齢者」だから「障がい者」だからと区切られることなく皆で支え合える社会を目指す竹田さんの思いに胸が熱くなります。
6位
愛知「住みたい街ランキング2023年版」不動の1位は名古屋! NHK大河ドラマ『どうする家康』影響で三河エリアに熱視線

(写真/PIXTA)
2023年、リクルートが3年ぶりに発表した「住みたい街ランキング」愛知県版。暮らしやすさや景観の良さが向上し、トレンド感も加わった都市部の街や、NHK大河ドラマ『どうする家康』の影響で注目が高まった「岡崎」がランクイン。愛知県春日井市生まれ、名古屋に住み続けて19年目の記者が、上位にランクインした街の魅力を紹介します。住みたい街、住みたい沿線、住みたい自治体のランキング10位までの解説は、愛知県へ移住を考えている人に有益な情報がたっぷり! 県内在住者は、自分の住む街の魅力を再発見でき、住み替え先探しにも役立ちます。
7位
障がい者の部屋探しの苦労を知るからこそ伴走したい、社長・従業員の家族が障がいのある不動産会社。病院付き添いなど入居後もサポート 足立区・メイクホーム

(写真提供/メイクホーム)
メイクホーム(東京都足立区)は、障がいのある人や高齢者などの住まい探しに特化した不動産会社です。障がい者や高齢者の物件探しや入居手続き、生活支援に関するさまざまな取り組みをしています。代表の石原幸一さん自身も視覚障がいがあります。広く多くの人を支援する前に、まずは目の前の困っている人から……。真のバリアフリーな社会を目指す活動は、私たちに何ができるのかを問いかけています。
8位
2023年は郊外ファミリー賃貸で賃料が上昇!? 国分寺など上昇した駅のデータとともに解説

(写真/PIXTA)
長谷工ライブネットは、首都圏の沿線・駅ごとの賃料相場を分析し、「首都圏賃貸マンション賃料相場マップ 2023 年版」を公表しました。調査対象は95沿線および延べ1,030駅で、間取りタイプはシングル(25平米)、コンパクト(40平米)、ファミリー(60平米)の3タイプに分類し調査。賃料相場の変動率を前年と比較すると、首都圏全体ではシングルが37%、コンパクトが47%、ファミリーが51%の割合で上昇傾向にあることが浮き彫りに。エリアやタイプ別の状況や背景を探ります。
9位
ニューヨーク人情酒場 さよなら、トシさん…入れ替わり激しいNYの飲食業界、雇用事情とは?

(イラスト/ヤマモトレミ)
漫画家ヤマモトレミさんによる、アメリカのブルックリンにある小さな酒場(レストラン)で起こったいろんな出来事を描いた漫画エッセイ「ニューヨーク人情酒場」の人気連載。レミさんは、2017年、勤めていた会社の転勤でニューヨークに移住。趣味で描いていた漫画が思った以上に楽しくなり、2021年に脱サラして本格的に漫画家としての活動を開始し、2022年にアメリカで起業して個人事業主に。漫画業のかたわら、ブルックリンのレストランで週4回“寿司ローラー”(寿司を巻く仕事)をしています。今回は、レミさんの師匠トシさんが解雇されることに……。悲しい別れの理由は。そして、トシさんが去ったあと、レミさんに訪れる転機とは。ニューヨークで働く人たちの「心」が伝わるあたたかな漫画をぜひ。
10位
厳しすぎる世界基準の環境性能に挑む賃貸住宅「鈴森Village」。省エネは大前提、植栽は在来種、トレーサビリティの徹底など…住みごこちを聞いてみた 埼玉県和光市

(写真撮影/片山貴博)
埼玉県和光市に、環境性能評価システムLEEDを取得する賃貸住宅「鈴森Village」が誕生しました。LEED認証は、建物や敷地利用の環境性能評価システムで、世界で多く用いられています。2024年度からは、建築物の販売・賃貸時に省エネ性能を表示する新制度が導入される予定で、住まいの省エネ性能・環境性能がますます重視される時代に。「鈴森Village」を訪ね、住人や設計者に取材しました。今後の住宅市場を変える新しい住まいを紹介します。
3Dプリンターハウスやタイニーハウス、LEEDを取得する賃貸住宅など最新の住宅事情や、障がい者、シングルマザーの住まい探しを紹介する記事は、これからの暮らし方、生き方へ気づきを与えてくれます。記事には、同じテーマを扱った関連記事のリンクもあるので、「もっと詳しく知りたい!」と思ったらぜひチェックしてみてください。
東日本大震災から12年が経過した福島県双葉町では、次の双葉町を描き、新たな暮らしを築いていくプロジェクトが盛んに動いています。その中心拠点を担うのが、今回の取材先である「えきにし住宅」。双葉駅の西口を降りてすぐ目の前に広がる住宅街ですが、ただの住宅街じゃない。知れば知るほど暮らしを豊かにする工夫が散りばめられていて、歩いているだけでワクワク感があふれる新しいまちです。今回は設計を担当したブルースタジオのクリエイティブディレクター・大島芳彦さんと、現在「えきにし住宅」に暮らしている入居者2名の方に、住まいの特徴や魅力、暮らしてみた感想などをお話しいただきました。


えきにし住宅の全体イメージ(画像提供/ブルースタジオ)

(画像提供/ブルースタジオ)

えきにし住宅の集会所・軒下パティオ(写真/白石知香)
福島県の浜通りエリア、双葉町の双葉駅西側地区に2022年10月~オープンした「えきにし住宅」。2022年8月30日に福島第一原子力発電所の事故に伴う避難指示区域が解除され(※)、再び居住が可能となった「特定復興再生拠点区域」に新しく建設された公営住宅です。災害公営住宅30戸、再生賃貸住宅56戸からなる全86戸を建設するプロジェクトで、第2期工事が完了した現在(2023年7月)は30代のファミリー層から80代まで、多様な人たちが暮らしています。
※特定復興再生拠点区域については、一部2020年3月に避難指示が解除(えきにし住宅がある場所は2022年8月に解除)

えきにし住宅のオープンをきっかけに双葉町に移住された大島さん(写真/白石知香)

もともと双葉町の町民で、えきにし住宅のオープンにともない双葉町に帰還された猪狩(いがり)さん(写真/白石知香)
「えきにし住宅」を歩いていると、いい意味で「公営住宅」らしくない高いデザイン性や、のびのびと暮らせる風通しのよさを感じます。その秘密は……?設計を担当したブルースタジオのクリエイティブディレクター・大島芳彦さんに話をうかがいました。
「このまちを故郷とされる方にとって、何が双葉町らしさなんだろう。どんな要素が『えきにし住宅』に必要なんだろうかと、地元住民の方との座談会を重ねながら、リサーチを行いました。その過程でたくさんのまちづくりのヒントを得たのですが、『標葉(しねは)』というキーワードにたどりついたんです。
双葉町の『双葉』って比較的新しい単語でして、明治維新までは、双葉町は相馬氏の領土である『標葉郡』として位置付けられていたんですね。そして地形を見てみると、山と丘の間に谷筋があり、その先に田んぼが広がっている。まさに日本の原風景ともいえる『谷戸(やと)』が、双葉町の象徴的な風景だと考えました。
浜通りという名前に引っ張られて、海によって発展してきたように感じるんだけども、実は海ばかりでなく温暖な気候に恵まれた山側の農村集落が栄えてきた歴史もある。実際に、『えきにし住宅』がある駅の西側地区は、豊かな谷戸のせせらぎの風景と田んぼが広がっていた場所なんですよ。そうした背景からも、遠方のなだらかな阿武隈山地を借景に、農村集落の情景を思わせる屋根の形や建物の連なりを、建築的なエッセンスとして取り入れています」

ブルースタジオのクリエイティブディレクター・大島芳彦さん(写真/白石知香)

平屋で設計された一戸建住宅。屋根の雰囲気や、木材の表情など、どこか農家建築を思わせるデザイン(写真/白石知香)

(画像提供/ブルースタジオ)

「タウンハウス」と呼ばれるスタイルの集合住宅。住民同士のあいさつや気軽な交流が生まれるよう玄関が向かい合い、緑が多く気持ちのいい空間(写真/白石知香)

玄関前にある縁側では、ここに座ってひと休みしたり、ご近所さんとお話したりと、いろんな過ごし方ができる(写真/白石知香)

(画像提供/ブルースタジオ)
「現在は工事中なのですが、敷地の北側を流れる戎川(えびすがわ)のせせらぎのほとりにあるテラスでほっとひと息ついたり、駅前広場ではピクニックや趣味を楽しんだり思い思いの時間を過ごしたりと、えきにし住宅全体がひとつのまち、あるいは公園のような過ごし方ができる工夫をあちこちに取り入れています」(大島さん)

川のせせらぎに癒やされながら、ゆったりと過ごせる環境(写真/白石知香)

双葉駅を降りてすぐ広がる芝生の駅前広場。車両の出入りもなく、ここに集まる人がのびのびと過ごせる場所(画像提供/ブルースタジオ)
暮らす人の「なりわい」をシェアする「えきにし住宅」の大きな特徴ともいえるのが、「なりわい暮らし」です。これは何かというと、暮らす人それぞれの個性的な生き方をみんなで分かち合う暮らし。例えば、料理をふるまってみんなで味わったり、ワークショップを開いてみんなとの交流を育んだり、自分の趣味をみんなで楽しんだり。ここで暮らす人が主体となって、自分の暮らしをより豊かに、より楽しいものにできる空間づくりがなされています。

(画像提供/ブルースタジオ)
すべての家の玄関には土間があって、絵を描いたり、ものづくりをしたり、またはそれを通りかかった近所の人にお披露目してみたり。

玄関入ってすぐに土間があり、靴を脱がなくとも気軽に住民同士が交流できるようになっている(写真/白石知香)
「軒下パティオ」と呼ばれる中庭では、ベンチでひと休みしたり、天候に左右されずにワークショップや出店が開けたりするようなオープンなスペースが広がっていたり。

高い屋根があり、日差しや雨を気にすることなく広々と過ごせる「軒下パティオ」(写真/白石知香)
「軒下パティオ」の一つに隣接するかたちで集会所があり、ここにも土間があったり、他にもキッチンや畳スペースが配置されていたりと、ここに集まる人たちが和気あいあいと交流できる場所が開かれています。

集会所で取材させていただいた時の様子。「どこで話します? じゃあ集会所にしましょうか」と、ふらっと行ける気軽なスペースで、いろんな使い方ができる(写真/白石知香)

カフェやイベントが開かれるなど、暮らしを豊かにする時間が育まれている(写真/白石知香)
大島さんはこう話します。
「双葉町は、震災からおよそ11年もの間、残念ながら人が住むことのできない地域でした。それだけの空白の時間を経過した今は、もともと双葉町に住んでいた方が帰還されるにあたっても、また新しく双葉町に移住される方にとっても、未来の双葉町の暮らしをゼロからつくっていくくらいの『フロンティア精神』が必要だと考えたんです。そこには、帰還者も移住者もバックグラウンドの違いに関係なく、対等な立場で、ここに住まう仲間として、共に双葉町の未来を描いていくことが重要。だからこそ、一人ひとりの個性や生き方を住民同士でシェアし、交流が生まれる工夫を、建築にも盛り込みました。ゆくゆくは、住民同士の交流だけでなく、外から遊びに来た人と住民同士で、境界線をゆるやかに溶かしていくようなコミュニケーションが生まれていけばいいなと期待しています」

(写真/白石知香)
実はこうした「なりわい暮らし」の集合住宅のスタイルは、ブルースタジオでは4プロジェクト目となる事例(お店を開けるものもあるなど、プロジェクトによって“なりわい”の内容は異なる)。この5年ほどで首都圏を中心に、広島の民間賃貸や大阪の公営住宅でも「なりわい暮らし」の集合住宅を展開し手応えを得て、被災地の公営住宅では「えきにし住宅」が初の事例だそうです。
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『土間や軒下をお店に! ”なりわい賃貸住宅”「hocco」、本屋、パイとコーヒーの店を開いて暮らしはどう変わった? 東京都武蔵野市』
古い市営住宅が街の自慢スポットに変貌! 周辺地価が1.25倍になったその仕掛けとは? 「morineki」大阪府大東市
「これまで」の暮らしが、「これから」の暮らしに受け継がれていく「えきにし住宅」の全体像をご紹介したところで、実際に暮らしている方はどんなきっかけで「えきにし住宅」に入居し、どんな住み心地なのか。かつて双葉町在住で帰還された方、新しく双葉町に引越しされた方の2名にお話をうかがいました。
お一人目は、浪江町出身でご結婚を機に隣町の双葉町に暮らすようになった猪狩(いがり)敬子さん。震災発生後、県内外を転々とされながも「いつかは家族の思い出が詰まった双葉町に帰る」と心に決めていたそうです。

(写真/白石知香)
「この玄関の土間スペースが、使い勝手がいいんです。お友達が遊びに来てくれた時に、ここに腰掛けてみんなでおしゃべりして。靴を脱いでリビングにお通しするとなると、おもてなししなきゃ!ってなるけど、土間だったら気さくに肩肘張ることなく過ごせるでしょ。
夫が他界して、今は一人暮らしをしているんですが、近所の人たちとも顔が見える距離でお付き合いできるから安心。住んでいる人との交流もあってね。双葉町って、もともと盆踊りが町のお祭りとしてにぎわっていたんですけど、震災があってから町内で開催できていなかったんです。でもそれが今年、約13年ぶりに駅前で開催できることになって。だから集会所に集まって、わたしが踊りを住民の方に教えて、みんなで踊りの練習をしたりしていますよ。双葉町の伝統を、みなさんに伝えることができて嬉しく思いますね」(猪狩さん)

猪狩さんは「タウンハウス」プランの住まいに入居中。手前がリビング、奥が寝室になっている(写真/白石知香)

(写真/白石知香)
盆踊りを通じて、双葉町の地元の方と新しく双葉町に引越してきた人を結んでいる猪狩さん。それが猪狩さんにとっての「なりわい暮らし」なのかもしれません。
お二人目は、福島県中通りエリアにある福島市出身で、東京にあるコンピューター関連の会社で勤めた後、うつくしまふくしま未来支援センター(FURE)相双支援サテライトに勤務し、浜通りエリアの楢葉町、富岡町で働き暮らされていた大島さん。現在も富岡町にある「とみおかワインドメーヌ」でブドウの栽培をされたり、楢葉町の小学校で子どもたちの学習をサポートする活動をされたりと、「えきにし住宅」を暮らしの拠点に、新しいことへのチャレンジを楽しまれています。

(写真/白石知香)
「東京で長年勤めて、地元の福島に帰って新しいことを始めてみたいと思い、浜通りに暮らし始めました。『えきにし住宅』に入居しようと思った決め手は、コミュニティになじめそうだと思ったから。双葉町には、町民主体のまちづくりを牽引する『ふたばプロジェクト』という団体があり、そのスタッフさんたちが入居の窓口となって、移住者でも町の暮らしに溶け込めるように住民同士の交流を育むサポートをしてくださるなど、細やかなケアがなされていることが安心だなと感じました。
初めて住む地域だと、なかなか地元の方との接点を持ちづらかったりしますが、ここはそんなこともなく、気軽にコミュニケーションをとれるのがいいなと思います。お向かいの猪狩さんには、盆踊りの踊りを教えてもらっていますし。盆踊り当日は、町民有志の『双葉郡未来会議』という任意団体があるんですけど、そのスタッフとしてお祭りを盛り上げたいと思っています。
暮らしの面では、双葉町にはスーパーやコンビニがないのですが、隣町に足を延ばせばいくつも商業施設があるので不便に感じたことはないです。車で出かけたり、趣味のバイクで近隣の市町村に遊びに行ったりすることもありますね。この辺りは山や川など自然がいっぱいありますから、のびのび過ごせて気持ちいいですよ」(大島さん)

暮らしのサポートをされている「ふたばプロジェクト」の事務局長を務める宇名根さん。双葉町と、ここで暮らしたい人をつなぐ架け橋のような存在(写真/白石知香)

玄関には、愛用されているバイクが。スタイリッシュでかっこいい!(写真/白石知香)

心地よい自然光が差し込むリビングで、ゆったりと過ごす時間がお気に入りなんだそう(写真/白石知香)

可動式のスポットライトが、空間をおしゃれに演出。白とウッドを基調とした天井が高い空間で、お部屋が明るく広々とした印象に(写真/白石知香)
この先も進化し続ける、「えきにし住宅」から広がる双葉町の暮らし「えきにし住宅」の入居がスタートしてから、取材時(2023年7月)までおよそ8カ月間。その期間中にも、全86戸のうち47戸の入居(予定含む)が決定しており、その属性の割合は帰還された方が約4割、新しく住まわれた方が約6割を占めるそう。「えきにし住宅」の建設プロジェクトは現在も進行中で、住宅エリアが拡充されたり、駅前広場が新設されたり、まちには商業施設がオープンしたりと、まちの盛り上がりは今後さらにはずみをつけていきそうです。

(写真/白石知香)

集会所の壁には、住民の方のものだと思われる似顔絵が(写真/白石知香)

双葉町の町章と、江戸時代からダルマ市が開かれていた歴史がある双葉町で誕生した「双葉ダルマ」(写真/白石知香)
「外」と「中」の境界線がゆるやかに溶けていく暮らしのあり方や、「えきにし住宅」のリアルが気になる方はぜひ、双葉町を訪れてみてください。新しいはじまりを告げるワクワク感、みんなで一歩ずつ前進するあたたかなつながりの輪が、日常から感じられますよ。
●取材協力
えきにし住宅
ブルースタジオ
ふたばプロジェクト
●関連ページ
とみおかワインドメーヌ
所在地:杉並区堀ノ内
所在地:目黒区柿の木坂
所在地:目黒区大橋
所在地:目黒区大橋
所在地:渋谷区代々木