所在地:渋谷区富ヶ谷22万5,000円 / 55平米
千代田線「代々木公園」駅 徒歩4分
「奥渋」こと神山通りを少し脇に入り、小ぶりな門をくぐると目に飛び込んでくる小さな異世界。樹齢100年を超す大きなクスノキを中心に、緑豊かな植栽に囲まれた、すてきな中庭が出迎えてくれます。
ところ狭しと住宅が立ち並ぶエリアですが、緑と抜け感ある眺望を確保するため、どの住戸も中庭を ... 続き>>>.
圧倒的に不動産情報が多いですが。。。。
所在地:渋谷区富ヶ谷
所在地:目黒区青葉台
所在地:町田市鶴川
所在地:板橋区坂下
所在地:渋谷区代々木
所在地:台東区千束元気に美しく空中を舞う姿がSNS等で話題の「無重力猫・ミルコ」をはじめ5匹の猫と暮らす、中川ちささん。猫を迎えてから、DIY未経験だった夫が猫トンネルやキャットウォークなどを家中に巡らせ、シンプルな注文住宅が激変!「自分たちの手でここまでできるの?」と驚く「猫の巨大ジャングルジム」のような家ができるまでのストーリーと、素人でもトライできる「猫のためのDIY」について話を伺いました。
「初めて猫を飼う不安」より目の前の猫の可愛さが勝り5匹の親にTwitterやInstagramで人気の「無重力猫ミルコの家」を発信している中川ちささん。中川夫妻は15年前に、たくさん持っていた絵が映えるようにと、ダークブラウンと生成り色の壁でコーディネートしたシンプルシックな注文住宅を建てました。「いつか猫か犬を飼いたい」と思っていたことを知る友人から、「里親を募集している子猫の引き取り手がいなくて困っているから見に行こう」と誘われて会いに行きました。2人とも猫との暮らしがどういうものか分からなかったこと、壁や家を汚されるのではないかという不安はありましたが、猫のあまりの可愛さにほだされて、その場で迎え入れることを決意したのです。

猫専用通路を張り巡らせた家で、ミルコを抱いた中川ちささん(写真提供/中川ちささん)
「里親を募集していたのはオスとメスの2匹でしたが、夫が仲のいい2匹を引き離すのはかわいそうと言うので、2匹を同時に連れて帰ることにしました。飼う前は不安があったのに、実際暮らしてみたら癒やししかありませんでした」(ちささん)
2012年にうしお(オス)とピーチ(メス)と暮らし始め、1年後にベンガルのレオン(オス)を、2015年に駐車場でひろったミルコ(オス)も加わり、2017年に保護猫シェルターにいたロッケ(オス)を迎えました。ロッケは子猫のころから腎臓の持病があることが分かりましたが、獣医師に診てもらい、投薬を続けながら普通の生活ができています。「猫の飼いやすさは個体差があって何匹なら飼いやすいとは言えませんが、病気になったときのことなどを考えると、うちで飼えるギリギリは5匹です」

飛び跳ねるポーズがダイナミックで美しい白猫のミルコ(写真撮影/中川ちささん)

(写真撮影/中川ちささん)
ユニークだったのは、躍動的に飛び跳ねるミルコでした。その写真を撮影してちささんがSNSに投稿するとたちまち話題になり、出版社からのオファーで「無重力猫、ミルコ」の名前が入った写真集が2冊発売され、「バレリーナのような猫」と海外でも話題に。ちささんは、「もっと猫について正しい知識を得たい」「猫と暮らす住まいについて学びたい」と、愛玩動物飼養管理士、ペット共生住宅管理士の資格を取得。猫との暮らしに関するコラムを執筆したり、猫イベントに呼ばれて参加するなど生活が一変したのです。
釘やビスを使わず組み立てた初めてのDIY作品「猫棚」夫は週末DIYを始め、住まいは猫仕様に変わりました。リビング・ダイニング・キッチンを見ていきましょう。

猫トンネル、キャットウォーク、スケルトンキャットウォーク、本棚兼キャットタワーへ、家中を走り回れる住まいになった(写真撮影/中川ちささん)
DIYを始めたきっかけは、猫を完全な室内飼いにしたこと。「猫が3匹だったころ、庭で木登りをしたりして遊んでいるうちに塀を越えて隣の庭に入ってしまって。ご近所に迷惑をかけてはいけないと、庭に出さないことを決意しました。すると、外遊びができなくなった猫たちが淋しそうで、猫たちが家の中で楽しく遊べるようにと、夫がDIYを始めたのです」
DIY未経験の夫が初めてつくったのは、ちささんが欲しかった本棚と、猫たちが上り下りできる遊び場の2つのニーズを叶えた「猫棚」でした。収納したかった本が収まり、色合いもデザインも部屋になじんでいます。

初めてつくった猫棚(右)(写真撮影/中川ちささん)
「猫棚は、これまでつくったDIY作品の中でも最も苦労したものです。初めてで分からないこともあって、DIYは釘やビスを使うと猫が爪を傷めないかと心配で、ビスや釘を一切使わず、木と木の凸凹を組み合わせるほぞ組みで組み立てました。今考えると取り越し苦労でした」と夫。
作業は仕事がオフの週末だけ。実際の制作時間は短いものの、構想に時間がかかるそう。「『こういうものをつくりたい、欲しい』と思いついてからプランを練って作業に入るまで2、3カ月かかります。デザインが決まったら、サイズ、手順、必要な材料などを考えてメモして、完成イメージが決まれば、ホームセンターで材料を買って作業に入ります。作業時間は物にもよりますが、だいたい数日でできます」(ちささん)

細かいことが得意だという夫が描いた自分用のメモのような設計図(写真撮影/中川ちささん)

Excelでつくった猫棚の立面図。ここまでできれば完成が見えてくる(画像提供/中川ちささん)

猫棚の扉の取っ手を猫型にくり抜いたのはちささんの希望。細かいところも愛がキラリ(写真撮影/中川ちささん)

もともとあった丸窓の前のステップ台とカーテンレールの上のキャットウォーク(写真撮影/中川ちささん)
壁に穴を空けて部屋から部屋へ抜けて遊べる「猫トンネル」夫が猫棚の次につくったのは猫専用通路「猫トンネル」でした。猫を飼ったことがある人は分かると思いますが、猫は狭い所、高い所、隠れられるところが大好きです。中川家の猫トンネルは、壁に穴を空けて、壁を通り抜けて隣の部屋や1階と2階への行き来をショートカットできる猫専用通路。「あそこの壁に穴をあけよう」と夫が言い出して、リビングの小さな吹抜けから2階の寝室に抜けるトンネルをつくりました。

くぐったりお昼寝したりできるトンネルは猫たちに人気(写真撮影/中川ちささん)

食器棚の上から階段へ続く猫トンネル。くぐるミルコの後ろ姿が可愛い(写真撮影/中川ちささん)

上の写真のトンネルを抜けるとそこは階段。『マツコ会議』(日本テレビ系列)で紹介されたトンネルは穴から顔だけ出したり、覗いたりして遊べる(写真撮影/中川ちささん)
「猫トンネル」のつくり方を教えてもらいました。
猫トンネルのつくり方
(1)壁に穴を空ける前の準備として、壁の中の間柱を調べる機器「下地センサー」で柱がない場所を確認して、壁の中が空洞になっている部分に穴をあけます。電気配線が通っていそうな場所を避けるよう注意。
(2)猫の胴回りなどのサイズから、(4)の塩ビパイプのサイズ(直径)を決めます。
※塩ビパイプは決まった規格があるので、塩ビパイプに壁の穴の大きさ(5)の木枠の穴の大きさを合わせます。
(3)引き回しのこぎりで壁(入口と出口になる壁)に同じ大きさの穴をあけます。
(4)貫通した壁に塩ビパイプを通します。
※塩ビパイプは、下水道管や土木管など、排水や輸送配管として使われる建築資材です。
(5)円の周囲に木枠を当てて木工用ボンドで接着して完成。
写真のようにトンネルの木枠の色は、部屋のテイストと合わせてペイントしています。「1階のリビングから寝室へ続く道、リビングから夫の部屋に続く道、キャットウォークからキャットウォークに続く道、そして食器棚から階段に続く道と、家では4つも猫トンネルをつくってしまいましたが、失敗したら大変なので、おすすめはしません」と、ちささん。つくる際は、自己責任で正確かつ慎重に行う必要があります。マンションは自分のモノでも、外周壁や戸境壁は共用部分になるため、穴をあけられません。また、住戸内の壁も、管理規約で穴をあけることが禁止されている場合があるので確認が必要です。
猫も人も楽しめる天井の下の猫専用通路「キャットウォーク」猫トンネルをくぐる猫たちの姿を見て、もっと駆け回れる範囲を広げたいと、夫はキャットウォークに着手しました。キャットウォークは、猫たちの専用歩道のようなもので、室内飼いの猫の運動不足、ストレス解消にもうってつけ。猫の飼い主が注文住宅を建てるときに要望が多いアイテムです。中川家は、ウォーキングコースを増設するようにキャットウォークを次々とつくり、猫の動線を伸ばしていきました。

板を棚受け金具で留めただけのシンプルなキャットウォーク(写真撮影/中川ちささん)

キャットウォークを製作中の夫と作業を見守るレオン(写真撮影/中川ちささん)
猫好きが大好きな「肉球」を下から見放題のスケルトンキャットウォークは、透明な椅子に猫をのせて肉球の写真を撮っていたちささんが、肉球が歩く様子を見たいと要望して、夫が製作したもの。写真のように真っすぐ一直線に長くするのではなく、角度をつけているのは猫が全速力で走って、勢い余って落ちたりすることがないようにとスピード抑制対策です。また、アクリル板と木の枠の間にナットをはさみ少し隙間をあけたことで猫たちの抜け毛が溜らずに落ちて、植物や飾りを吊るすこともでき、一石二鳥でした。

アクリル板と木の枠の間に隙間を確保するのがポイント(写真撮影/中川ちささん)

キャットウォークの両脇に設けた木の枠は特別な部屋のよう(写真撮影/中川ちささん)
上の写真はキャットウォークの支柱を枠上にデザインしたものですが、猫たちが手やあごをのせて休むのにちょうどよいスペースになりました。
形を変えるとキャットウォークにもなる「見晴らし台」のつくり方
窓際の高い所から外を眺める「見晴らし台」(写真撮影/中川ちささん)

パーツをステインで着色。パーツは正確に丁寧に切り出す(写真撮影/中川ちささん)
天井や壁に穴をあけるのはちょっと困るという方のために、簡単につくれるキャットウォークを教えてもらいました。もともとカーテンレールの上を平行棒のように歩いたり、カーテンを上るのが好きな猫も多くいます。カーテンレールの上に細長い板を置いて、U字型のサドルバンドで留めて固定すれば完成。設置する前には、カーテンレールが壁にしっかり固定されているか念のため確認しましょう。
これなら、マンションでも穴をあけずにつくれますね。ただし、カーテンレールの上のキャットウォークまで上れる、足掛かりになるものを用意してあげましょう。

カーテンレールの上のキャットウォーク(写真撮影/中川ちささん)

サドルバンドでカーテンレールと板をしっかり固定してつくったキャットウォーク(写真撮影/中川ちささん)
人と猫の喜ぶものを次々とつくり広がる「猫パラダイス」中川家は、長年使っていた食器棚の一部を活かして食器棚を新たに製作し、食器棚の上をキャットウォークにしました。普通なら、人と猫が使うものは別で、空間が狭くなりがちですが、キャットステップ兼用の本棚も同様に、猫の遊び場と人の使い勝手が調和しています。

キャットウォークから食器棚の上のキャットウォークへ、さらに猫トンネルを通って階段に出られる(写真撮影/中川ちささん)

キャットステップ兼用の本棚には猫トンネルや隠れ場所もある(写真撮影/中川ちささん)

見晴らし台やキャットウォークへアクセスするのに便利な螺旋階段(写真撮影/中川ちささん)
中川家のDIYがステキなのは、夫、妻、猫たちの三位一体の作品だから。妻が欲しいものと猫たちが喜ぶことを頭に描きながら、時間と手間をかけて形にする夫。ときには製作を見守り、完成したらうれしそうに使う猫たち。最近は色を塗ったりするなどの作業を手伝うこともある妻は、猫たちが作品を使う様子を撮影してSNSで発信。「真似したい」「つくり方を教えて」という問い合わせが多く、誰かの役に立つならと、目で見て分かりやすいYouTubeでつくり方を発信し始めました。
夫が仕事から帰ってくると、最短ルートのキャットウォークを駆使して、猫たちが玄関まで走って出迎えるそう。「DIYの面白さは、自分のセンス、知識、技術を自由に発揮できること。難しいのは、見栄えと機能性をどう両立させるかですが、だからこそやりがいを感じます。猫たちはキャットウォークで昼寝をしているか、走り回っているか、存分に活用してくれるのもうれしく、つくり甲斐があります」(夫)

夫が庭で作業する様子を並んで見守っている猫たち(写真撮影/中川ちささん)
「何をつくっているのかにゃ?ボクたちのもの?」と、興味津々な猫たちに見守られて作業するのは楽しいもの。けれども、仮止めした製作途中の作品に猫がのらないよう注意が必要です。
15年前に注文住宅を建てた中川さんは、猫5匹の大家族になり生活スタイルも変化、時とともに家具やインテリアの好みも変わったそうです。「注文住宅を建てるときにもし猫たちがいたら、全然違う家を建てていたと思います。例えば、猫のトイレと人のトイレを近くに置きたかったですが、後から変えられる部分と変えられない部分があります。DIYにトライして、失敗したら自己責任でやり直しての繰り返しで、家とともに自分たちも成長してきました。これからも少しずつDIYのアイテムを増やしたいです」と、ちささん。
家の購入、注文住宅は完成・引き渡しがゴールではありません。変化するライフスタイルや好みに合わせて自らが手を加え工夫して、家族が喜ぶ家にカスタマイズしていく。そして、家族の豊かなおうち時間を過ごし思い出を育む、そこからが「世界にたったひとつのわが家づくり」はずっと続いていくのです。
●無重力猫ミルコのお家
●Instaglam
所在地:世田谷区新町
所在地:世田谷区羽根木
所在地:世田谷区池尻
所在地:文京区千石旭化成ホームズのくらしノベーション研究所では、自社が提供した一戸建ての開口部などの修理記録を元に、過去15年間の侵入被害についての調査結果をまとめた。その結果を見ると、地域によって侵入経路に違いがあることや、省エネガラスの普及などで侵入手口が変化したことなどが分かった。詳しく見ていこう。
【今週の住活トピック】
くらしノベーション研究所調査報告「戸建て住宅侵入被害15年間調査」
同社によると、コロナ禍でステイホームが広がり、留守になる住宅が減ったことから、空き巣狙いなどの侵入窃盗の被害が大きく減少しているという。ただし、住宅への侵入窃盗は年々減少傾向にあるものの、オートロックやピッキング対策錠が普及してきたマンションに比べて、ポストコロナにおける一戸建ての侵入窃盗のリスクは高いと考えられる。
同社では「道路との関係」「窓ガラス」「窓とシャッター」について、侵入窃盗被害の傾向を分析している。それぞれについて、具体的に見ていこう。
「東京・神奈川」と「関西圏」「中部圏」で侵入経路に違いまずは、建物と道路との関係性について見ていこう。一戸建ての場合は、前面は道路に面し、三方は他の住宅に囲まれている形状が多い。道路から見て建物の裏側や建物の側面の奥側は、道路から見えづらい「ケアゾーン」となる。
調査結果を見ると、以前は道路の奥側のケアゾーンの侵入が圧倒的に多かったが、近年はケアゾーンの侵入が大きく減っている。同社は、下記のような「ディフェンスライン」で道路から見えやすく、侵入を防ぐプランを提案しており、そうした効果が考えられるとしている。

ゾーンディフェンス概念図(出典/旭化成ホームズ・くらしノベーション研究所「戸建て住宅侵入被害15年間調査」より転載)
興味深いのは、「東京・神奈川」と比べると、「関西圏」では建物側面からの侵入被害が増え、「中部圏」に至っては、正面からの侵入被害も格段に増えることだ。この地域による違いの要因はいくつかある。まず、「東京・神奈川」の都市部は密集市街地が多く、通行人の視線による防犯効果も高い。東京・神奈川よりも道路幅や敷地に余裕が生じる地域では、建物側面の中央付近からの侵入が多くなることが挙げられる。
また、車社会の中部圏では、犯罪者が車で乗り付けて、道路に近い場所で犯行に及び、車で逃走するという事例が多発していたことが挙げられる。そうなると、道路側から建物奥に向かって照明を当てて側面を明るくしたり、カーポートより前で侵入を防ぐなどの手立てを考える必要があるという。
防犯ガラスはガラス破りに効果あり!?サッシや窓から侵入する場合、ガラスを割って侵入することが多い。近年は省エネ性の高い複層ガラスなどが普及し、ガラスが単層(1枚)の普通ガラスより防犯性も高くなる。
下記を見ると、普通ガラスの場合は「ガラス割り」で侵入する事例が多いが、防犯性の高いガラスの場合はガラスを割らずにサッシ自体をこじ開ける「こじ開け」事例の比率が高いことが分かる。ガラス割りに時間のかかる防犯ガラスでは、サッシをこじ開ける手口へと転換しているわけだ。
また、人が通れる幅ではない細い窓(スリット窓)や地盤面から2mを超える高さの窓(高窓)からの侵入が少ないことから、スリット窓と高窓の防犯対策が有効なことも分かったという。

グラフの横軸は被害時期(例:2006年~2010年)を示している(出典/旭化成ホームズ・くらしノベーション研究所「戸建て住宅侵入被害15年間調査」より転載)
窓を開けたままに注意!面格子付きの窓でも油断は禁物一戸建ての特徴に「勝手口」が挙げられる。この勝手口のドアも狙われる対象だ。特に、格子付きの上げ下げ窓が開いている「無施錠」の状態での被害が多いという。

(出典/旭化成ホームズ・くらしノベーション研究所「戸建て住宅侵入被害15年間調査」より転載)
また、「面格子」のある窓はない窓に比べて侵入リスクが低いが、面格子のある浴室の窓が開いている状態での侵入が多かった。浴室は湿気が気になるので窓を開けておき、浴室の窓くらいならとそのまま外出してしまう場合も多いのだろう。防犯の最大の対策は居住者側の「施錠」という基本的な防犯行動だということがよくわかる結果だ。
また、一戸建ての窓は「シャッター」付きのものも多い。シャッター付きの窓では、圧倒的にシャッターが開いていた状態での侵入被害が多い。同社では、空き巣は夕方から夜に犯行が多いと言われているので、昼間にシャッターを開けたまま外出し、夜になって照明がついていないことで留守だとわかる状態になることが要因だと見ている。

(出典/旭化成ホームズ・くらしノベーション研究所「戸建て住宅侵入被害15年間調査」より転載)
侵入窃盗の被害に遭わないためには、住宅の設計や設備などを防犯という観点で検討することに加え、カギをかけたりシャッターを閉めたりといった、基本的な防犯行動が最も重要だということが分かる報告書だった。マイホームで空き巣などの侵入窃盗被害を受けたら、金銭的なものだけでなく、精神的にも大きなダメージを受ける。被害を受けてからでは遅いので、マイホームの防犯については常に意識したいものだ。
所在地:杉並区天沼
所在地:神奈川県川崎市宮前区梶ケ谷
所在地:新宿区舟町
所在地:目黒区目黒本町
所在地:世田谷区奥沢
所在地:埼玉県狭山市大字南入曽
所在地:港区南青山富士見台トンネルは、バーやお味噌汁専門店、おはぎ屋さん……と曜日時間によって個性的な店が營業する、シェア商店。郊外の団地であっても、子育てしながらでもクリエイティブな仕事ができる。個の才能をいかす場をつくりたいという、ある建築家の思いから始まった。
20代のころ、引越し先を探していて、郊外の団地を見に行ったことがある。すぐにここには住めない、と思ってしまった。スーパーはあるが、夜までやっていそうな飲食店がほとんど見当たらない。一人でふらりと立ち寄れそうなカフェもなかった。
歳を重ねた今なら団地の住みやすさも分かるが、当時は仕事からの帰りも遅く、毎晩料理するのは無理だと思っていたし、何より夜が早いまちはつまらないと思った。
一方、結婚して子育てする時期になると、多くの働く女性がこうした郊外から都心に通う。子どもの送り迎えに満員電車での通勤、帰ってから買い物に家事……などが続くと疲れてしまい、離職や不本意ながらキャリアを捨てて近場への転職を考えるようになる。私にもそうした友人がいた。
同じような状況に直面する人は案外たくさんいるのではないか。そう考えた人がいた。建築家の能作淳平さん。郊外での暮らしをより面白い刺激ある場所に。かつ、住むまちに魅力的な働く場をつくる試みとして。
「富士見台トンネル」はそうして始まった。

(写真提供/富士見台トンネル)
団地の可能性JR南武線の谷保駅(東京都)より歩くこと5分。白いアパートが立ち並ぶURの団地が見えてくる。その手前にあるのがむっさ21富士見台名店街。電気屋や文房具屋の並びに、ガラス張りでおしゃれな暖簾のかかった一見何屋さんか分からない店が目に入った。

(写真提供/富士見台トンネル)
ここが「富士見台トンネル」。能作淳平さんが始めたシェアする商店である。
訪れたのは朝の10時。おそるおそる店の戸を開けると、白いカウンターが奥のほうまで伸びていて、その日営業する「Cafe Himmel」の2人が開店準備中だった。カウンターの奥がオフィススペースでもあり、能作さんが迎えてくれた。

建築家で「富士見台トンネル」の能作淳平さん(写真撮影/甲斐かおり)
さっそく、なぜ谷保だったのか、から聞いてみた。
「もともと、都心のあちこちに賃貸で住んでいて楽しかったんですけど、結婚して子育てするとなると不便もあって。妻の実家があきる野市なので三鷹から立川の間くらいがちょうどよかったんです。でも35年ローンで家を買うのは、僕にとっては自由度もないし時代錯誤な気がしたんです。それでリフォームできる賃貸を探していたら、この近くの団地に見つかって」
URが提案している「DIY住宅」の企画。これを本格的にフルリノベーションを行うことに。建築家の本分を活かし、自主施工で団地の部屋とは思えないような空間をつくりあげた。

白いカウンターは店内奥にいくほど幅広く設計されていて、打ち合わせにも使いやすいようになっている(写真提供/富士見台トンネル)
「住み始めてみると、団地ってすごく住みやすいんです。緑が多いし空気もいい。クリエイティブな仕事をするには最適で。都心に住む友人たちにもこっちに住めばって声をかけたんですが、誰一人移り住もうって人はいなかった(笑)」
自身もその理由に気付き始める。
「サロンがないのが大きいんだなって。都心に住んでいたころは、生活らしい生活ではなかったけど、外で食事して、毎晩そこに集まる人たちとクリエイティブな話をしていたんです。そこで受ける刺激って大きかったんだなと。郊外では新しい人や考え方に出会う場が生活の中に少ないことに気付きました」

富士見台トンネルの周囲にはアパートの並ぶURの団地が広がっている(写真撮影/甲斐かおり)
「子育てか、仕事か」の二択は、何かがおかしいさらに、富士見台トンネルを始める直接のきっかけになったのが、妻の転職だった。能作さんの妻は、もとはワインの輸入販売の会社に勤めていて、店長を任されるほどの主戦力として働いていた。
ところが団地に移り住んだことで、毎日都心へ、満員電車で通わなければならなくなった。
「一人目の出産の後は頑張って通っていたんですけど、二人目の時、さすがにもう辞めようと。体力的にも負担が大きかったし、時間をかけて通勤する効率の悪さが本人も嫌になったんだと思います。
近くに事務職の仕事が見つかって転職しました。でもせっかくワインの知識も豊富で、築いてきたスキルがあるのにそれを活かせないのは僕から見てももったいない。社会にとっても損失じゃないかと思ったんです」

(写真撮影/甲斐かおり)
ゆったりしようと思って郊外に住んだのに、自由度がなくなり体力にも負荷がかかってより大変になっている。子育てもとても大事な仕事だけれど、そもそも「仕事を取るか、子育てを取るか」の二択を迫られるのはおかしいのでは、と思えた。
「僕らの悩んでいることって、明らかに都市の構造の問題だなって気付いたんです」
妻のスキルを活かす場として、家から近い場所に店を出そうと考え始める。能作さんのオフィスを兼ねれば、週末だけなどマイペースに営業すればいい。ところがこうも思った。「僕らと同じような人って、ほかにもけっこう居るんじゃないかって」
それならシェア型にしてやってみるかと、2019年11月、シェア商店「富士見台トンネル」をオープンする。

能作さんの妻、根来香奈さんが始めたゆるりとしたワインバー、wine stand「ニュータウン」の様子(写真提供/富士見台トンネル)
個性的な店にお客さんがつくスタイルいま、富士見台トンネルには、さまざまなお店が出店している。公募をしたわけではないが、口コミなどで自然と広まった。創作おはぎの店「おはぎびより」、朝だけお味噌汁を出す「御御御(おみお)」、マカロン専門店、クナーファという中東のお菓子に特化した店、など個性的な店が多い。

朝だけ營業のお味噌汁専門店「御御御(おみお)」(写真提供/富士見台トンネル)
富士見台トンネルのインスタグラムを開くと、月間スケジュールが表示される。
例えば水曜の午後はクナーファの店、金曜のランチはカフェヒンメル、土曜午後はおはぎびより……といった具合。
定期的に出店する店が優先的に日時を決め、それ以外の店が空いている日時を選ぶ。使用した分だけ時間制で場所代がかかる。売上マージンは一切取っていないため、売上はすべて各店に入る。

「富士見台トンネル」のinstagramより。中央の写真が、中東のお菓子クナーファ
訪れた日に営業していたのが、「カフェヒンメル(Cafe Himmel)」。すでにファンがついているのか、ランチの時間になると、次々に女性客が入ってきた。

定番メニューはグリッツという、トウモロコシの粉でつくる、卵の入ったおかゆのような料理。滋味深く優しい味で美味しい。そのほか食べごたえのある野菜のおかずで満足感がある(写真撮影/甲斐かおり)
客足が落ち着いたころに、店長の松尾さつきさんに声をかけてみた。
なぜ、ここでお店を?
「近くで妹が店をやっていて、そちらがヒンメルの本店なんです。私は本業が薬剤師で土曜日だけ妹の店を手伝っているんですが、ここのスタイルを知って、自分でもやってみようかなと。個人的にアフリカンアメリカンの料理に興味があって、お客さんに食べてもらえるのがすごく楽しくて。月に2回、お昼だけですが、楽しんでやっています」
いま出店者の約半分は松尾さんのように本業とは別で楽しみながらお店をやっている人たち。もう半分は、ゆくゆくこの道で独立したいと頑張っている人たちなのだとか。

ワインバーwine stand「ニュータウン」の様子(写真提供/富士見台トンネル)
まちのタレントを発掘してつなぐ富士見台トンネルの名前には、このまちに眠るタレント(才能)を“掘ってつなぐ”という思いが込められている。
インスタグラムに並ぶ写真、お店のラインナップを見ていると、それぞれが個性的な、魅力あるお店ばかり。そして、並んだときに違和感のない世界観が感じられる。
こうした複数の人や店が同じ場を共有して使うとき、最も問われるのは、そのキュレーション力ではないかと思う。
「ある程度、各お店に僕からも意見を言うようにしているんです。お店を始めるとき、ブランドとして完成されているところの方が声をかけやすいしお客さんを集めやすいと思ったんですけど。それだと、マルシェなどどこへ行っても同じいつものメンバーになっちゃう。それじゃつまらないと思って。まだ知られていない新しい店だけで始める方が面白い。その分まだ方向性が確立されていないところが多いので、一緒に話し合いながらブラッシュアップしていくスタイルを取っています」
例えば今人気の「おはぎびより」。最初からとても美味しかったけれど、よりオーソドックスなおはぎが多かった。価格設定を少し高めに、レシピももっと目新しいものにと能作さんのアイデアも加わって、洗練された見た目にもかわいいおはぎ屋さんができた。

オープン初期から營業している「おはぎびより」。富士見台トンネルでのみ買える人気の店(写真提供/富士見台トンネル)

ノンアルコールバーによるスナック營業も(写真提供/富士見台トンネル)
中に入れば開放的でオープンだが、入口はあえて何の店だか分かりにくいように工夫されている。少し怪しげなくらいがサロンとして魅力的。個性的な店と感性の合うお客さんだけが自然と入ってくるような工夫だ。
いま、全国的にシェアと名のつくサービスはたくさんある。シェアハウスやシェアオフィス、シェア店舗。スペースやコストを物理的に分かち合う意味での“シェア”が大半。それはそれで利にかなっているのかもしれないが、ただのシェアでは分かち合う以上の価値は生まれない。
「富士見台トンネルでは、分かち合うシェアではなくて、持ちよるシェアを目指していて。会員さん同士も仲がいいですし、カウンターの内側でクリエイティブな発想がどんどん生まれたらいいなと思っているんです。先日も、ノンアルコールバーをやったんですが、マカロンの専門店に、おつまみマカロンを出してほしいと依頼したらあっという間にコラボが成立して。そういうのが楽しいなって思うし、お客さんもそういう店のほうが楽しいと思うんです」
そうしたコラボがぱっと成立する状況を、「ウォーミングアップできているメンバーがそろっている」と能作さんは表現した。
まちに眠るタレントを発掘して、いつでも発揮できるよう、日々技を磨くことのできる場。都市郊外でも、もっと地方であっても、こうした個人のスキルを活かせる場が、いま各地に求められているように思う。
●取材協力
富士見台トンネル
instagram:@fujimidaitunnel
所在地:目黒区五本木
所在地:板橋区蓮根
所在地:杉並区松ノ木
所在地:港区虎ノ門
所在地:港区虎ノ門
所在地:港区南青山
所在地:世田谷区世田谷
所在地:港区南青山
所在地:渋谷区神宮前
所在地:江東区東陽
所在地:杉並区上井草
所在地:杉並区高円寺北路線バスの折返場をご存じだろうか? 筆者はそうした場所を、都市部というより観光地でよく見かける。バスが折り返して出発するまで、乗車する人のたまり場になる。そんな場所を活用した、“地域の交流拠点”となるユニークな賃貸住宅ができると聞いて、見学に行ってみた。
バスの折返場に“暮らしの「町あい所」”=hocco(ホッコ)誕生見学に行ったのは、小田急バスが東京都武蔵野市にある自社のバス折返場を使って、“暮らしの「町あい所」”をコンセプトに掲げて建てた複合施設「hocco(ホッコ)」だ。地域の人が気軽に立ち寄りたくなる施設だという。
JR中央線武蔵境駅から折返場となる「団地上水端」までバスで向かう途中、亜細亜大学を過ぎたころから目についたのが、数多くのマンションが建ち並んでいることだ。なるほど、これだけ多くの人が住んでいるなら、人が集まるポテンシャルは大きいだろう。
この辺りには、高度経済成長期の1959年(昭和34年)以降、153棟全1829戸の公団の団地が形成された。そのころには、バスの折返場の近くでハイヤー事業も行われていた。団地はその後、老朽化に伴い建て替えられたり民間の新築マンションが建設されたりなどして、現在に至っている。さらに、法政大学と亜細亜大学が周辺にあることから、単身の若者も住んでおり、多様な世代が住んでいるという地域特性がある。
その折返場の近く、駐車場だった以前のハイヤー営業所の土地に、今回13棟の賃貸住宅が誕生した。ただし、単なる賃貸住宅では人を集めることは難しい。では、どうやって人が集まる拠点にしようというのだろう?

中庭を囲むようにメゾネットの賃貸住宅が13棟建つ(画像提供:ブルースタジオ)
多様なモビリティと人が集まる仕掛けで「町あい所」に見学した日は、あいにく台風で雨が降り続いていたので、筆者が撮影した画像も残念ながら雨に濡れていることをご容赦いただきたい。
さて、バスの終点で降りてすぐ目についたのが、Amazonのロゴが入った宅配ボックスだ。大きな宅配ボックスを利用できるのは入居者に限らない。居住者専用の宅配ボックスは壁の側面にあり、ほかにシェアサイクルのポートも用意されている。

バスの終点として『桜堤上水端「hocco」』が新設され、折返場で待機した後、始発のバス停『団地上水端』に移動する(筆者撮影)

左:賃貸居住者以外も利用できる宅配ボックス。右:壁側面に居住者専用の宅配ボックス。シェアサイクルのポートも5台分用意されている(筆者撮影)
全体像を把握するために、広報資料の配置図を見よう。シェアサイクルのほかに、シェアカーも用意されるので、バス、自転車、車が利用できる。入り口付近の広場にはキッチンカーも呼び込む予定で、小さな公園やベンチで寛ぎながら食べることもできる。
そして次の仕掛けが、中庭を囲むように建つ賃貸住宅群だ。

hocco配置図(広報用資料より転載)
「なりわい賃貸住宅」が地域コミュニティのカギに第1種低層住居専用地域でも、面積の小さい店舗併用住宅が建てられる。営業できる業務に一定の制限はあるものの、店舗部分で商品を販売したり飲食物を提供したりできる。hoccoでは、13棟中のうち5棟を店舗兼用住宅とした。店舗兼用の賃貸住宅、つまり「なりわい賃貸住宅」が人を呼び込むことで、交流拠点はさらに魅力的なものになるという仕掛けだ。
賃貸住宅は、13棟すべてが木造2階建てのメゾネット、大きな土間付きの1LDKだ。専有面積は、52.9平米~58.99平米。店舗兼用の場合は、「土間」と玄関前の「軒下」で“なりわい”を行うことができる。店舗兼用で最も多いAタイプの土間は5.5畳ある。また、専用住宅でも最も多いBタイプの土間は6.5畳あり、自転車をいじったりアトリエにしたりなどの趣味の空間やアウトドア風の空間として使える。

上のAタイプが店舗兼用住宅、下のBタイプが専用住宅。大きな違いは、店舗兼用では、土間と居室を仕切る扉があるが、専用住宅は仕切りがないこと(画像提供:ブルースタジオ)
どちらもかなり開放的で、最初はセキュリティに懸念を持ったが、モニター付きインターホンや鍵付きのメールボックスなどがあり、十分な対策がなされていた。「人の目が常にあるので侵入しづらい」という効果もあるだろう。

インターホンとメールボックス(筆者撮影)
また、開放的な間取りは冷暖房効率も気になる。一般的な賃貸住宅に比べて、高気密・高断熱の温熱環境性能を高めているという。家賃(共益費別)は、店舗併用で16万6788円~17万6610円、住宅専用で14万6000円~16万7000円。全戸ペット飼育可能だ。
暮らしと仕事に境界のない「なりわい暮らし」のポテンシャルは大きい?hoccoを企画・運営を担当するのは、デザイン性の高いリノベーションで知られるブルースタジオだ。この地域は周辺のマンション群に新しい生活者が数多く住んでいて、駅を中心とする商業地にはない可能性があるという。駅から離れたバス終点の住宅地に「なりわい」を通じて、顔が見える小さなコミュニケーションを醸成することで、にぎわいのある街ができることを狙っている。

コンセプトの説明をする、ブルースタジオの専務取締役・クリエイティブディレクターの大島芳彦さん(筆者撮影)
では、実際の反響はどうなのだろう?見学時時点で、70件近い反響数、40件を超える見学があり、申し込みが5件あるという。うち2件が店舗兼用住宅で、総菜屋さん、古本屋さんを予定しているという。ほかにも、雑貨の販売やコーヒーのテイクアウトなどをしたいという問い合わせもあるとか。
同社の専務取締役・クリエイティブディレクターの大島芳彦さんによると、「なりわい暮らし」は地域の拠点となるポテンシャルが大きいという。地域の活性化については、プレーヤーがいないのが課題。地域に住む生活者が、日常を豊かにするという視点で人と人をつなぐことが、地域を活性化する原動力になると。
同社のなりわい暮らしの事例は、すでに神奈川県茅ケ崎市「TSUBANA(ツバナ)」で実証済みだ。さらに、福島県双葉町でも計画している。
hoccoの賃料は、性能や仕様の高さもあって周辺相場と比べて1.1~1.2倍に設定されている。それでも問い合わせが多いのは、暮らしの延長線上でなりわいができる、こうした賃貸住宅が少ないからだ。問い合わせは、地元の武蔵野市を中心に、JR中央線沿線や23区からと広範囲にわたるという。
店舗を別に借りるのはハードルが高いが、自宅の延長線上なら空いた時間に営業するといったことも可能だ。地域の人たちと交流しながら、自分の暮らしを豊かにしたいと思っている、なりわい予備軍も多くいるだろう。そうした人が一歩踏み出せるのが、なりわい賃貸住宅だろう。居住者がそろうとどういった賑わいができるのか、今後の展開が楽しみだ。
○小田急バス「10/1なりわい賃貸住宅「hocco」が完成」
○hocco物件専用WEBサイト
所在地:渋谷区代々木
所在地:港区南青山
所在地:目黒区中央町
所在地:練馬区高松
所在地:世田谷区成城
所在地:世田谷区上北沢日本屈指の繁華街である渋谷。渋谷駅周辺の商業施設や駅構内の大規模な再開発が進行中で、いつ訪れてもダイナミックな変化が刺激的だ。その渋谷へのアクセスを重視し、電車で30分以内で行ける街に住むならどこがねらい目だろうか。ワンルーム・1K・1DKを対象にした、家賃相場が安い駅ランキングの最新版をみてみよう。
渋谷駅まで電車で30分以内、家賃相場の安い駅TOP10順位 駅名 家賃相場(主な路線/駅所在地/所要時間/乗り換え回数)
1位 生田 4.90万円(小田急線/神奈川県川崎市多摩区/28分/2回)
2位 読売ランド前 5.00万円(小田急線/神奈川県川崎市多摩区/30分/2回)
3位 中野島 6.00万円(JR南武線/神奈川県川崎市多摩区/30分/2回)
3位 向ヶ丘遊園 6.00万円(小田急線/神奈川県川崎市多摩区/23分/1回)
3位 妙蓮寺 6.00万円(東急東横線/神奈川県横浜市港北区/30分/1回)
3位 宿河原 6.00万円(JR南武線/神奈川県川崎市多摩区/28分/1回)
3位 武蔵浦和 6.00万円(JR埼京線・武蔵野線/埼玉県さいたま市南区/29分/0回)
3位 高田 6.00万円(横浜市営地下鉄グリーンライン/神奈川県横浜市港北区/30分/1回)
9位 戸田公園 6.10万円(JR埼京線/埼玉県戸田市/29分/0回)
10位 登戸 6.20万円(JR南武線・小田急線/神奈川県川崎市多摩区/22分/1回)
1位の生田駅は、小田急線の沿線駅。快速急行や通勤急行は停車しないものの、準急や通勤準急は利用できる。

生田駅周辺の風景(写真/PIXTA)
駅の周辺には、単身者には心強い手軽な飲食店やドラッグストアなどが充実している。生田駅は明治大学の生田キャンパスや聖マリアンナ医科大学の最寄駅で、専修大学生田キャンパスなども近い。大学を中退した青年の引きこもりの葛藤を描いた滝本竜彦の人気小説やアニメ『NHKにようこそ!』の舞台になった街でもある。
そんな学生街の一方で、アットホームな雰囲気の店が並ぶ商店街や野菜の直売所などもあり、閑静な住宅街としての顔も持つ。少し歩けば、生田配水池を整備した緑豊かな散策路や、晴れた日には東京スカイツリーまで望める絶景の展望広場などもあるため、近年は小さな子どものいるファミリー層の住民も増えている。
JR南武線の中野島駅、東急東横線の妙蓮寺駅―……前回の選外から5駅がランクイン今回のランキングでは同率3位が6駅もあるのが印象的だが、そのうち向ヶ丘遊園駅以外の5駅は実は、前回は選外からランクインしている。
中野島駅はJR南武線の沿線駅。落ち着いた住宅街だが、深夜0時まで営業しているスーパーや、安売りスーパーなどがある。商店街もあり、買い物環境は困ることはなさそうだ。

中野島駅(写真/PIXTA)
駅周辺では大規模な住宅施設などの建設もあり、再開発が進められている印象を受けるが、付近には畑や果樹園などが見受けられ、のどかな雰囲気も感じられる。駅は現在、横断するのに線路を渡る必要があるが、橋上駅舎化整備事業が進行中。生活しやすい雰囲気と利便性の両立が、今後期待できそうだ。
妙蓮寺駅は、人気の高い東急東横線の沿線駅。時間短縮を優先するなら特急が停車する隣駅の菊名駅で乗り換える必要があるが、急がなければ渋谷まで乗り換えなしで利用できる。また、横浜駅へも約6分で行くことができるほか、菊名駅からは新幹線の新横浜駅へもアクセスがいいので、出張が多いビジネスパーソンなどには魅力的だろう。

妙蓮寺駅(写真/PIXTA)
印象的な駅名の由来は、現在の東急東横線の前身である東京横浜電鉄の開通の際に、駅前にある日蓮宗のお寺、妙蓮寺の敷地を無償で提供してもらったことによる。そうした環境のためか、駅周辺は緑が多く落ち着いた風情がある。昔ながらの総菜屋やレトロな喫茶店などもあり、地元に根付いた穏やかな生活が楽しい街といえそうだ。
武蔵浦和駅は、埼玉県さいたま市に位置するJR埼京線と武蔵野線の駅。渋谷へは埼京線の通勤快速で30分とぎりぎりだが対象内だ。渋谷駅では他路線と埼京線とのホームの遠さが課題となっていたが、2020年6月に同線の新しいホームの供用がスタート。山手線と並ぶことになって、同駅利用時の埼京線の利便線は一気に向上した。
近年は駅前を中心にタワーマンション建築が進んでおり、それにともなって駅直結の商業施設も充実してきている。付近には家電量販店や大きな100円均一店、輸入食品店などもあり、生活に必要なものには不自由しなさそうだ。雰囲気の素敵な飲食店も数多い。また、同駅のあるさいたま市南区の区役所や図書館などが入る複合公益施設サウスピアも武蔵浦和駅から直結。すぐそばには大規模病院の武蔵浦和メディカルセンターもある。

武蔵浦和駅(写真/PIXTA)
そうした一方で、駅周辺には緑も多い。すぐそばを流れる一級河川の笹目川の沿岸は桜並木や歩道も整備されており、散歩も楽しそうだ。また駅から少し行くと、プロ野球球団・千葉ロッテマリーンズの二軍本拠地であるロッテ浦和球場や、同球団の親会社であるロッテの浦和工場がある。子どもだけでなく大人にも人気な工場見学も行っており、野球観戦とあわせて、趣味も満喫できそうだ。
渋谷は巨大ターミナル駅だけに、乗り入れる数多くの路線の組み合わせ次第で、探す部屋の候補も膨大なものになる。ちょっと条件を変えるだけで、部屋も選択肢も増える。理想の部屋も、きっと見つかるだろう。
●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている渋谷駅まで電車で30分以内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2021/5~2021/7
【家賃の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む月額賃料から中央値を算出(3万円~18万円で設定)
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、朝7時30分~9時の検索結果から算出(2021年7月31日時点)。所要時間は該当時間帯で一番早いものを表示(乗換時間を含む)
※記載の分数は、駅内および、駅間の徒歩移動分数を含む
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
※ダイヤ改正等により、結果が変動する場合がある
※乗換回数が2回までの駅を掲載
所在地:千代田区一番町
所在地:世田谷区下馬
所在地:渋谷区恵比寿
所在地:世田谷区豪徳寺
所在地:世田谷区東玉川毎年、「住みたい街」のランキングを発表しているリクルートが、住民の実感調査による「住み続けたい街」のランキングを発表した。「住みたい街」のTOP3は、横浜、恵比寿、吉祥寺だったが、「住み続けたい」となると顔ぶれが変わってくる。では、どの街が上位になったのだろう。
【今週の住活トピック】
「2021年住み続けたい街(自治体/駅)ランキング」関東版を発表/リクルート
関東圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県)の街(自治体・駅)について、「お住まいの街に今後も住み続けたいですか?」と聞いた結果をランキングしたのが、「住み続けたい」街(自治体・駅)ランキングだ。
「住みたい街」は多くの人が憧れる街だが、「住み続けたい街」は住民の居住継続意向によるものだ。人によって“住みやすさ”は異なるので、居住の意向もそれぞれとなるが、住み替えの際に参考となる多様な視点を提供したいというのが調査の目的だという。
実際に、「住んでいる街に今後も住み続けたい」と思っているのは、「とてもそう思う」(17.1%)と「そう思う」(50.4%)を合わせた67.5%に達する。3人に2人は住み続けたいと思っていることになるが、筆者自身も住んでいる街に住み続けたいと思っている1人だ。
では、「住み続けたい自治体」のランキングを見ていこう。TOP3には、東京都の武蔵野市、中央区、文京区が挙がった。
■住み続けたい自治体ランキング 上位50位(1次調査全体/単一回答)
出典:リクルート「SUUMO住民実感調査2021年住み続けたい街(自治体/駅)ランキング」
ランキングを見ると、東京都の人気自治体が多数ランクインしている。ただし、4位に逗子市、8位に葉山町、12位に鎌倉市、13位に藤沢市など、神奈川県の「湘南三浦エリア」が上位に食い込んでいる。また、埼玉県では、さいたま市の複数の区が上位に入り、さいたま市中心エリアが奮闘。千葉県では、浦安市の評価が抜きんでて高い。
また、SUUMOリサーチセンターの分析によると、14位の横浜市都筑区、25位の印西市、36位の稲城市、39位の多摩市と「郊外大規模ニュータウン」が上位に入る傾向が見られるという。たしかにいずれも、「港北ニュータウン」「千葉ニュータウン」「多摩ニュータウン」の中心的な自治体だ。
一方で興味深いのは、ライフステージによって評価が変わるということだ。シングルや夫婦のみでは逗子市がTOPになるが、子どものいるファミリーになると目黒区がTOPになる。また、夫婦のみでは、浦安市や葉山町が上位になるなど、ライフステージによって住み続けたい街に求めるものが異なることがうかがえる。
■ライフステージ別/住み続けたい自治体ランキング 上位10位(1次調査全体/単一回答)

出典:リクルート「SUUMO住民実感調査2021年住み続けたい街(自治体/駅)ランキング」
「住み続けたい」と思う背景には地域への愛着がある。その条件とは?リクルートでは、「住んでいる街の魅力」について、2次調査をしている。2次調査では、「歩ける範囲で日常のものはひととおり揃う」や「散歩・ジョギングがしやすい」「防犯対策がしっかりしている」「教育環境が充実している」「街に賑わいがある」「街の住民がその街のことを好きそう」などの街の魅力35項目について評価をしてもらった。
その結果、「その街に住み続けたい」と思う人は、地域への愛着を示す「住民がその街のことを好きそう」という項目を実感できている人が多いことが分かった。さらに、「その街を好きそう」との相関性を見ると、「安心・安全・子育て」に関係する7項目と「地域の発展・将来性」に関係する4項目で関係性が強いことも分かってきた。
■住み続けたい街になるための条件とは?
出典:リクルート「SUUMO住民実感調査2021年住み続けたい街(自治体/駅)ランキング」
そうはいっても、街ごとに個性が異なるので、それぞれ魅力に挙がる項目も異なる。実際の「住み続けたい街」の上位の自治体を見てみよう。
例えば、1位の武蔵野市では、「利用しやすい商店街がある」が最も高く、吉祥寺を抱える武蔵野市ならではの魅力もあるが、「人からうらやましがられそう」「街に賑わいがある」「個性的な店がある」「行政サービスが充実している」「防災対策がしっかりしている」など、地域への愛着と相関の高い魅力項目が上位に数多く挙がっている。
全体4位、シングルと夫婦のみでは1位の逗子市で見ると、「地域に顔見知りや知り合いができやすい」が最も高く、湘南エリアらしい「自然が豊富」「散歩・ジョギングしやすい」に加え、「人からうらやましがられそう」「個性的な店がある」「不動産の資産価値が高そう」などの地域の発展・将来性に関する魅力項目が多かった。
また、郊外大規模ニュータウンを抱える自治体では、「住宅街が整然としている(通りや並木など)」が最も高く、「公園が充実している」「散歩・ジョギングしやすい」など、ニュータウンならではの魅力が挙がる一方で、「教育環境・子育て環境が充実している」「防災対策がしっかりしている」など安心・安全・子育てに関する魅力項目が多く評価されていることが分かった。
こうして見ていくと、行政による安心・安全の街づくりに加え、地域の発展・将来性などの期待感が持て、地域に顔見知りができやすいコミュニティが形成されていることなどが、「この街が好き」だから「住み続けたい」と思わせる条件になっていると考えてよさそうだ。
「住み続けたい駅」ランキング1位は東銀座、2・3位は江ノ電の石上、鵠沼最後に、「住み続けたい駅」のランキング上位を紹介しておこう。
■住み続けたい駅ランキング 上位50位(1次調査全体/単一回答)
出典:リクルート「SUUMO住民実感調査2021年住み続けたい街(自治体/駅)ランキング」
東銀座、馬喰町、東日本橋、人形町、水天宮前など、住み続けたい自治体全体2位の東京都中央区の駅が多数ランクインしている。中央区の中でも、歴史を感じさせる街が顔を並べたのも興味深い。歌舞伎好き、着物好きの筆者には顔なじみの駅ばかりだ。
また、湘南エリアを走る江ノ島電鉄線や小田急江ノ島線の駅がTOP10の半分を占めており、みなとみらい線も25位までに3つ入っている。そのほかでは、北参道、代々木上原、千駄ヶ谷、参宮橋など代々木公園周辺の駅が多いのも特徴だ。
行政サービスがかかわる自治体という区切りもあるが、同じ沿線や大型公園の周辺には、共通する魅力があるということだろう。
さて、ランキングの結果を見て、あなたはどう思っただろう?おそらく、意外に思う結果も多かったのではないだろうか。ライフステージによってランキングが変わるように、人それぞれで“住みやすさ”を感じる点は異なる。自身が地域を好きになる条件を振り返ってみて、住み替え先を選ぶ際の条件としてはいかがだろう。
○リクルート「「SUUMO住民実感調査2021年住み続けたい街ランキング」」
所在地:世田谷区下馬
所在地:渋谷区本町
所在地:東京都練馬区豊玉北地震や台風、豪雨豪雪や火山の噴火など、災害につながるさまざまな自然現象が起きる日本。複数の場所で同時に災害が発生することもあるでしょう。そんななか、大磯町では行政と住民が手を結び、さまざまな対策を行っています。その理由と取り組みを聞いてみました。
人口3.2万に対し町役場職員は260人。災害発生時の公助は苦しい大磯町は神奈川県中央南部に位置し、相模湾に面した風光明媚な別荘地としても知られる町です。人口は約3万2000人で、東海道線、湘南新宿ラインを使えば東京都心部にもダイレクトにアクセスできるとあって、住宅地としても根強い人気を誇ります。この大磯駅、今年3月に発表された住民が回答する街の共助力調査(「『住民の共助力』に関する実態調査」2021年3月10日発表(リクルート))でも首都圏2位にランクインするなど、「住民の助け合い」が自然に息づいているといいます。その背景について、大磯町の政策総務部危機管理課・竹内愛純さんに話を聞きました。
「大磯町では行政が仕切るというよりも、『住民と行政が協働サイクルを回す』という立ち位置で、防災に取り組んでいます。というのも、町の人口は3万2000に対し町職員は260人。そのうち半数以上が町外に居住しています。町職員も災害時には怪我をすることもあるでしょう。そのため、災害発生時に即応できる職員となると、ほんとうに少数なのではないでしょうか。町民のみなさんにまずこの話をすると、『そうだろうな。共助は欠かせないな』と理解してくれます」と竹内さん。
もちろん、地元自治体だけでなく、県や国の公助に期待したいところですが、被害状況の把握や支援要請など、基本拠点となるのは町役場です。それだけに町民人口と職員の人数を聞くと、厳しいというのは大変現実味があります。また、大磯町はその地形や特性から、さまざまな災害が想定されるといいます。
「地震発生時は地震と津波、漁港に近い住宅密集地では火災も想定されます。台風では高波、大雨が降れば川沿いで浸水が起きるおそれがあります。丘陵地では大雨による土砂災害もありえるでしょう。加えて、富士山が噴火すれば町内全域が被災することになります」と話すのは大磯町災害救援ボランティアの会の伊藤勇さん。自身でもSL災害ボランティアネットワークに加入し、地域の防災講座などを積極的に行っています。

大磯町災害救援ボランティアの会の伊藤勇さん(左)と、大磯町の政策総務部危機管理課の竹内愛純さん(右)

大磯駅前にあった町の案内図。観光名所に加えて、避難所やトイレ、海抜の表記があり、町全体での防災意識の高さがうかがえます(写真撮影/嘉屋恭子)

大磯中学校3年生の前で防災講演する伊藤さん(写真提供/伊藤勇さん)
危機感を町民と共有。津波土砂防災訓練には3000人が参加冒頭にあげた竹内さん、伊藤さんたちが抱く危機感、防災意識は大磯町全体にも浸透し、津波土砂避難訓練にはなんと町民約3000人が参加するといいます。
こうした、町民の当事者意識・防災意識の高まりにつながっているのが、町が主催する年3回実施の「大磯防災ミーティング」です。自治会や学校、病院、ボランティア、消防、警察など70以上の組織から毎回約100名が参加し、訓練の計画・実行・振り返りを通して意見を出し合い、各組織に持ち帰り、また行政にフィードバックし、改善していくといいます。
「それまでは、どこの市町村でもやっている防災訓練を行っていたんですが、町主体の訓練だと防災力があがらないと気がつき、住民のみなさんで意見を出し合う方法へと変化させました。実は『土砂避難訓練』を行うようになったのもこの数年です。開始したのも、高台に住んでいるみなさんの意見を反映した結果です。お互いの意見を出すことで、住民の当事者意識、防災意識が高まっていくんだなと感じます」と竹内さん。なるほど、住民と行政の顔が見えていることで、良好な協働のサイクルに入っているようです。

続々と避難場所である体育館に入っていきます。防災訓練開催は2011年(写真提供/大磯町)

高台に避難する馬場地区の避難訓練の様子。こちらも開催は2011年(写真提供/大磯町)
町への愛着と日ごろの防災訓練が「共助」を可能にするただ、大磯町以外にも災害多発地域はたくさんあります。ここまで防災の協働意識が高まった背景には何があるのでしょうか。
「大磯には相模国総社の六所神社があり、また、昔から漁業が盛んであったこともあり、もともとお祭りが盛んな地域です。この2年はコロナ禍で実施できていませんが、夏になると毎週、どこかの神社でお祭りが行われている。子どもが担ぐ『こどもみこし』もあり、地域の行事に住民が参加することで交流が深まって、町への愛着を生んでいるように思います。加えて、防災訓練をすることで災害発生時に人を助けられる。地域への愛着と、日ごろの防災訓練。この両輪が備わってはじめて『共助』が実現できるのではないでしょうか」と、30年以上も大磯の町内会や地域の防災に携わってきた伊藤さんは分析します。

もともとお祭りが盛んな大磯。防災の取り組みの、根っこにあるのは「地元愛」(写真提供/伊藤勇さん)
大磯を含め「湘南」は、地域愛・地元愛が強い印象でしたが、実はこうした草の根の活動、人々の思いが「湘南愛」の土壌になってきたのかもしれません。また、町内自治会とは別に『自主防災会』を組織するところも増えてきたといいます。
「防災に特化した組織が『自主防災会』で現在町では26の組織が活動しています。この数年、自治会役員は任期で交代してしまうため、防災力の継続を目的として役員OB等により、自治会とは別に、自主防災会を組織するところもだいぶ増えてきています。私の所属する馬場地区の自主防災会では、災害発生時に黄色い安否確認旗を家の前に掲示してから一時避難場所へいく安否確認訓練にも力を入れています。回覧板をまわす程度の近所を『組』とし、安否チェック表や要支援者情報を可視化した地図をつくりました。自分と家族の身の安全を確認したら、組長が近所をまわり、要支援者に声をかけてほしいと伝えています」(伊藤さん)

馬場地区で使われている「黄色い安否確認旗」。組単位でチェック表を使用して各世帯の安否状況を記載し、地区全体でとりまとめられるようにしている(写真提供/伊藤勇さん)

馬場自主防災会の要支援者訓練の写真。地図を使って逃げ遅れた人はいないか確認しています(写真提供/伊藤勇さん)
また、自主防災会では、地元にある高齢者施設と合同防災訓練を行い、リヤカーを使って高齢者を搬送する避難訓練も行っているといいます。
この要支援者への取り組み、高齢者の避難訓練については、「住民がそこまでしないダメなの?」という声もあることでしょう。障がいや身体の状況を知られたくないという方もいるでしょうし、ひとくちに住民が「助け合う」といっても、その実現は本当に難しいことが分かります。ただ、乳幼児、高齢者、障がい者など、どの街にも必ず「災害で困る人・避難に困る人」がいます。そして、弱い人たちほど被害が大きくなるものです。その対処法を災害が発生してから考えるのではなく、あらかじめ考えておく、ベストではなくともベターな案を平時に考えておくことは非常に重要だなと痛感します。

馬場地区青年会員が訓練に参加、リヤカーを使って救助する。大磯町で青年会があるのは馬場地区のみだそう(写真提供/伊藤勇さん)
防災の告知はお祭りや盆踊りでも掲示。楽しく巻き込むことが大切ただ、防災訓練は義務感や危機感だけでは長続きしません。そこで伊藤さんが心がけているのが、お楽しみイベントと組み合わせることだといいます。
「文化祭やお祭りで販売するお餅のパッケージに、『防災餅』と名付けて、防災の心構えを印刷して販売しています。炊き出しもそうですが、胃袋を掴むのは重要です(笑)。防災訓練の一番の課題は、1人でも多くの人に防災について知ってもらうこと、参加してもらうことです。人が集まるイベント、お祭りの一角に、自然と目に入るところに「家具転倒防止の方法」「消火方法」と掲示しておく。はじめはおっかなびっくり見ているけれど、『どうぞ~』と声をかけると見ていってくれますよ」と話します。


手づくりした餅を「防災餅」と名付けて100円で販売。収益は防災訓練の費用に充当します。上の写真の防災の掲示など、楽しいことと組み合わせて、啓発するのがポイントだそう(写真提供/伊藤勇さん)
この10年で東日本大震災をはじめ熊本地震、西日本豪雨と立て続けに大きな災害が多発しています。ただ、興味関心があっても、「地域の防災訓練に参加するほどでも……」という温度感の人は多いはず。そうした人に対して、自然と知ってもらう・啓発するというのはとても大切なようです。また、伊藤さんがカギになると話しているのが女性です。
「もし平日の昼間に災害が起きたら、町内に居る確率が高いのは女性や子ども、高齢者です。特に、避難生活での女性視点は重要です。訓練の場に子どもと女性がいれば、男性も参加するようになります。女性の意識を高めることが、町の防災力向上につながるはずです」と伊藤さん。その声を受け止めた大磯町では、女性を対象にした災害救援ボランティア養成講座助成事業を、今年実施しました。
取材中、「1人も取り残さない」と繰り返し力説していた伊藤さん。さまざまな災害が発生するから無力なのではなく、たとえ何度、災害が起きたとしても、「必ず助ける」「ともに助け合って生き延びる」という強い意思が、今の私たちに一番、必要なのかもしれません。
所在地:港区六本木
所在地:港区南青山
所在地:杉並区阿佐谷南
所在地:台東区柳橋
所在地:大田区西蒲田
所在地:世田谷区成城住まいがなく、仕事に困っている人が、住み込みのアルバイトとして空き家のリフォームに参加し、一時的に住居と収入を得ることで生活の立て直しを図ってもらうソーシャルビジネスが登場。“誰もが生きやすい社会”のために会社を立ち上げた「Renovate Japan(リノベートジャパン)」の甲斐隆之さんに起業のきっかけや現状のお話をインタビューするとともに実際に利用した方にも感想を伺いました。
住まいのない人と日本の空き家を結びつける新発想
(写真/PIXTA)
日本の相対的貧困率(その国の大多数の人々の文化・生活水準と比べて貧しい状態にある人の割合)は15.7%(2018年 厚生労働省 国民生活基礎調査の概況)と、国民の約6人に1人。先進国を中心に38カ国が加盟するOECD諸国の中でも高い数値になっています。ホームレス状態の人の数は、全国で3824人(2021年 厚生労働省 ホームレスの実態に関する全国調査結果)。ネットカフェなどで生活する住居喪失者は都内で推定約4000人(2018年 東京都 住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査報告書)と推計され、住居と収入に困難を抱える方の問題とどう向き合っていくかは、日本の重要な課題と言えるでしょう。
東京都国分寺市を拠点にする「リノベートジャパン」は、総住宅数に占める割合が13.6%、全国に846万戸(2018年 総務省 住宅・土地統計調査)もある日本の空き家問題に着目し、“余っている住まいと、住まいのない人”を結びつけ、困難の解決を図る会社です。
その仕組みはこう。
同社が空き家のオーナーに物件を賃貸化してもらえるよう交渉。ライフラインの整備や基本的なリフォームを行った後、生活困窮者とされる方がアルバイトとして加わり、DIYで内装を整えます。作業中はその物件に住めるようにし、シェルターとしても機能します。スタッフが仕事に就くための話を聞いたり、セーフティネットを紹介したりして支援。一定期間、家と仕事が確保される状況をつくり、次のステップに進みやすくなるのです。さらに改修した物件は、主に外国人や性的少数者といったマイノリティの方を対象にしたシェアハウスとして運営することで、作業にかかった費用を回収します。

(資料提供/リノベートジャパン)
学生時代と前職での経験を糧に“生きやすい社会”に取り組む起業したのは、まだ20代の甲斐隆之さん。
大学時代は海外インターンシップ事業や国際学生寮の学生団体で活動し、大学院では開発経済学を専攻。卒業後は日系大手のシンクタンクに就職し、インフラ政策をはじめとした公共コンサルタントに携わってきました。

左から3番目が代表の甲斐隆之さん(左から「リノベートジャパン」のメンバーの吉田佳織さん、池田大輝さん、甲斐さん、木村剛瑠さん、元メンバーの杉浦悠花さん)(写真提供/リノベートジャパン)
社会人になって約5年での挑戦は、これまでの経験が実を結んだからと言えますが、根底には甲斐さんならではの深い想いがあります。
小学生のころに父親を亡くし、母子家庭で育った甲斐さんは、遺族年金などの社会のセーフティネットに支えられてきました。一方で家庭の事情により中学1年生までの数年間をカナダで過ごした帰国子女。いわゆる“普通”のあり方とは違っていただけに、レッテルを貼られて偏見を感じたり、家庭を気づかって周囲と違う選択をしたりすることが少なくなく、アイデンティティの葛藤から自分は社会に馴染めないのではと思っていたそう。
そんななか、大学生のときにある気づきがあります。
「ある授業で貧困問題を学んだときのこと。機会に恵まれないために社会的な安定から外れてしまう人がいると知ったんです。自分はたまたまセーフティネットなどに救われましたが、ともすると同じだったかもしれません。
その人の望んでいることが、置かれている事情で左右されることがあってはいけない。道を狭められることのない“生きやすい社会”をつくりたいと強く思うようになりました」

大学3年生の時に、インド・ムンバイのNGOでインターンしていた時にスラム街を訪れた際の甲斐さん(2015年)(写真提供/甲斐さん)

(写真/PIXTA)
前職の経験から、「公的機関の役割は大きいが、限界がある。個々のニーズを満たす福祉を民間でつくっていけたら」と思うようになっていた甲斐さん。とくに住居も仕事も失っている人が一時的に利用する宿泊場所は、公的なものだと相部屋になったり規則が厳しかったりして、ストレスになりがちと聞いていました。1人ひとりが満足する空間を考えたとき、「空き家を宿泊場所にして、生活の立て直しを考えている人と結びつけられないか」と着想したそう。
甲斐さんのアイデアのポイントは、リフォームで付加価値をつけた物件をシェアハウスにし、資金回収ができるようにしたところ。助成金に頼り切らない、企業として自走できる体制だからこそ、自由な取り組みをしていけるのだと話します。
「幸い学生時代や前職で、ゼロからイチをつくるプロジェクトに関わってきたため、ビジネスをはじめるイメージはついていました。加えて事業内容は1軒1軒の空き家の改修というシンプルなもの。大がかりな構想や資金を立てなくてもスモールステップで進めてゆけて、負担が少ないことにも背中を押されました」
支援団体とも提携。包括的なサポート体制で入居者を迎える仲間たちに声をかけ、2020年10月に事業をスタート。物件は自治体の「空き家バンク」を活用するほか、地元の不動産会社に相談したり、まちづくりの場で情報収集したりして選定しています。国分寺市・小平市の建物がまもなく完成予定で、現在は3件目となる東久留米市の物件を改修中です。

物件は住居と仕事に困った人の宿泊場所として需要が見込まれる都心に近いエリアが中心。一軒家のほかアパートも対象です(写真提供/リノベートジャパン)
「空き家のオーナーの理解を得るのが一番大変なところです。正直、生活を立て直そうとしている人が利用すると聞くと、どんな人か分からないことから不安に感じる人や、近隣へ特別な配慮が必要ではないかと懸念されることもあります。宿泊場所になるのは改修を終えるまでの期間であることや、その後の利用についてのプランを説明すると、なかには『社会貢献になる』と喜びを感じていただけることも。積極的なオーナーに出会えるとありがたいです」
会社のスタッフ以外に、住み込みでアルバイトをするメンバーは“リノベーター”と呼び、支援団体と連携して募るようにしています。物件の規模が小さいため、1軒で受け入れられるのは1~2名。さまざまなケースが想定されるため、対応に配慮の必要を感じたときはスタッフから心理士に相談したり、公的な窓口につないだり、包括的にサポートしています。

(資料提供/リノベートジャパン)
「ここが各種の相談窓口につながったり、アクセスしたりするときの拠点となり、ハブのような役割を果たせたらと思うんです。そうした場所に相談役がいたら安心だと思っていて、私たちはそれを目指しています」
空き家のDIYにはスタッフも参加。スタートから約1年で、これまで3名(9月27日現在)のリノベーターを迎えました。
「本人のやる気を促し、仲間として応援するスタンスでいます。ただ心理的な負担をかけないことも大事にしていて、時間のあるときに入れて気兼ねなく帰りもできる、出入り自由なアルバイトになるようにしています」
DIYを楽しみながら自然とスタッフと関り、前向きにステップ今夏、リノベーターを経験したSさん(20代女性)にお話を伺いました。
家に居場所がない人たちの力になりたい、と10~20代の若者に向けた支援団体でボランティアをしていたSさんは、自身も家に居づらいと感じることがあり、一時期、ネットカフェなどを転々と生活していました。そんなときに支援団体を通して「リノベートジャパン」を知り、思い切って連絡。リノベーターをすることになります。
「参加したのは安心できる環境で生活を立て直したいのもありましたが、何かをイチからつくる過程が好きなのと、事業内容が新しくて興味が湧いたのが大きいです。
壁のペンキを塗ったり養生テープを貼ったりする作業に週2時間・2カ月間ほど参加。ものができあがっていく達成感を味わえましたし、作業している間に住む部屋としてもとても快適でした」
DIY中のスタッフとの関わりも、プラスになったと言います。
「私は気分に波があったり、不眠などに悩んだりしていたのですが、そういうことはもちろん、些細なことも気にかけていただき、定期的に相談に乗ってもらいました。
これまでは『自分なんかが助けを求めてはいけない』『もっと大変な人がいるのだから我慢をしなくては』と思いがちでした。でも、辛さは比べられるものではなく、辛いかどうかは自分が決めるものだと気づけたし、困っているときはまわりがどう思おうが関係なく、いろんなところを頼ろうと思えるようになりました。
スタッフにはいろいろな人がいますが、自分の話をちゃんと聞いて、サポートしていただける本当にいい方々です」

DIY中の様子。楽しく作業をすればスタッフとの垣根が低くなります(写真提供/リノベートジャパン)

リノベーターが入居する前に、スタッフらで宿泊場所にする部屋やベースの改修を行います(写真提供/リノベートジャパン)

左/改修前の1F和室 右/完成してきれいになった部屋(写真提供/リノベートジャパン)
DIYを終えてSさんは現在、以前からアルバイトをしているNPO法人で正社員になることを目標に働いているそう。今回の経験は、未来への想いを強くすることにつながっています。
「生きづらさを抱えている若者たちを、私がしてもらったように上手く巻き込んで居場所をつくっていきたいです。『1人で何とかしなきゃ』と思わず、困ったときは『こうした団体もあるよ』『見知らぬ人についていくならここにまず頼ってみよう!』と伝えていきたいです」
若者を支援する意欲を高まらせているSさん。その1つひとつの言葉に希望が感じられました。
この活動を社会に広めたい! 1年で得たノウハウを公開予定「1軒1軒、質を重視して手がけている分、リノベーターの方から『こういう場所があってよかった』と言ってもらえるとありがたいです。スタッフからは『社会問題を学びつつ、現場でDIYを楽しめるのがいい』と言ってもらえます」

週一回ほど定例のミーティングで状況を報告。今後どういうステップを踏むかなどを話し合います(写真提供/リノベートジャパン)
今後は、新規開拓をいったん休んで、これまで得てきたノウハウをマニュアル化し、外部に公開することを考えているそう。
「自分たちの実績を重ねるのも大事ですが、『同じことがしたい』という人が、すぐはじめられるようにしたいんです。課題解決のひとつの形として社会に浸透させていきたいと思っています」
この活動は誰かのためになるのはもちろん、自分のためになると語る甲斐さん。そのぶれない姿勢と仲間たちがある限り、着実に広がりを見せてゆくことでしょう。
●取材協力
リノベートジャパン
●厚生労働省
ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果について
●東京都
住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査報告書(18ページ)
●総務省
平成30年 住宅・土地統計調査
住宅数概数集計
●国土交通省
平成30年住宅・土地統計調査の集計結果
(住宅及び世帯に関する基本集計)の概要
所在地:神奈川県横浜市港北区菊名
所在地:世田谷区世田谷
所在地:品川区東五反田
所在地:世田谷区代田
所在地:江東区清澄
所在地:中央区日本橋小伝馬町
所在地:世田谷区南烏山
所在地:三鷹市井の頭
所在地:豊島区駒込
所在地:小金井市前原町
所在地:目黒区三田
所在地:世田谷区上祖師谷
所在地:墨田区吾妻橋
所在地:文京区本郷
所在地:渋谷区代々木
所在地:世田谷区駒沢
所在地:横浜市港北区篠原台町
所在地:東京都新宿区荒木町
所在地:杉並区上荻
所在地:狛江市猪方
所在地:目黒区中根
所在地:三鷹市新川大規模な再開発プロジェクトにより続々と新スポットが誕生している東京・渋谷エリア。すでに一部開業している「渋谷スクランブルスクエア」が全棟完成する2027年度まで、今後も複数の開発事業が予定されている。また、以前から都内屈指の繁華街としてにぎわってきたこの街は、近年、IT企業やクリエイティブ産業の拠点という姿も見せている。若者の街から、大人も集う商業&ビジネスの街へと変貌しつつある渋谷。そんな渋谷まで電車で30分以内で行けるうえ、中古マンションの価格相場が安い街を調査した。専有面積20平米以上~50平米未満の「シングル向け」と、専有面積50平米以上~80平米未満の「カップル・ファミリー向け」、それぞれの価格相場が安い街トップ10を見ていこう。
渋谷駅まで30分以内の価格相場が安い駅TOP10【シングル向け】
順位/駅名/価格相場(主な路線/所在地/渋谷駅までの所要時間/乗り換え回数)
1位 新高円寺 2150万円(東京メトロ丸ノ内線/東京都杉並区/21分/1回)
2位 尾久 2465万円(JR高崎線/東京都北区/27分/1回)
3位 板橋本町 2580万円(都営三田線/東京都板橋区/27分/1回)
3位 長原 2580万円(東急池上線/東京都大田区/22分/1回)
5位 荻窪 2630万円(JR中央線/東京都杉並区/22分/1回)
6位 千川 2750万円(東京メトロ有楽町線/東京都豊島区/19分/1回)
7位 板橋区役所前 2780万円(都営三田線/東京都板橋区/25分/1回)
7位 横浜 2780万円(JR湘南新宿ライン/神奈川県横浜市西区/27分/0回)
9位 大山 2790万円(東武東上線/東京都板橋区/22分/1回)
10位 新宿御苑前 2800万円(東京メトロ丸ノ内線/東京都新宿区/10分/1回)
【カップル&ファミリー向け】
順位/駅名/価格相場(主な路線/所在地/渋谷駅までの所要時間/乗り換え回数)
1位 読売ランド前 2780万円(小田急線/神奈川県川崎市多摩区/30分/2回)
2位 久地 2800万円(JR南武線/神奈川県川崎市高津区/26分/1回)
3位 高田 2848.5万円(横浜市営地下鉄グリーンライン/神奈川県横浜市北区/30分/1回)
4位 西川口 3298.5万円(JR京浜東北・根岸線/埼玉県川口市/29分/1回)
5位 宿河原 3485万円(JR南武線/神奈川県川崎市多摩区/28分/1回)
6位 戸田公園 3490万円(JR埼京線/埼玉県戸田市/29分/0回)
7位 上板橋 3544.5万円(東武東上線/東京都板橋区/29分/1回)
8位 梶が谷 3599万円(東急田園都市線/神奈川県川崎市高津区/22分/0回)
9位 妙蓮寺 3639万円(東急東横線/神奈川県横浜市港北区/30分/1回)
10位 大井競馬場前 3680万円(東京モノレール/東京都品川区/30分/1回)
10位 宮崎台 3680万円(東急田園都市線/神奈川県川崎市宮前区/27分/0回)
渋谷駅まで30分以内の駅にある「シングル向け」中古マンション(専有面積20平米以上~50平米未満)で価格相場が最も安かったのは、東京メトロ丸ノ内線・新高円寺駅で価格相場は2150万円。渋谷駅の価格相場は5280万円だったので、新高円寺駅はその半額以下ということになる。渋谷駅に向かう乗換駅である新宿三丁目駅で降りれば、JR新宿駅の駅前まで歩いて5分ほど。渋谷駅はもちろん、新宿駅にもアクセスしやすい好立地だ。
そんな新高円寺駅は地下鉄駅で、地上出入口は主要都道の一つといえる青梅街道沿いに点在している。出入口の一つはスーパー「クイーンズ伊勢丹 新高円寺店」が入ったビルに直結している便利な環境だ。地上に出て、北へ12分ほど歩くとJR中央線・高円寺駅へ。両駅を結ぶ通り沿いには多数の商店が軒を連ねる「高円寺ルック商店街」や「高円寺パル商店街」があるので、こちらで買い物をするのもいいだろう。昔ながらの個人商店や多彩な飲食店が充実し、JRの高円寺駅周辺よりは少し落ち着いた雰囲気の新高円寺駅は、働くシングル層が暮らす街としてうってつけと言えそうだ。

高円寺パル商店街(写真/PIXTA)
2位はJR高崎線などが乗り入れる尾久(おく)駅で価格相場は2465万円。渋谷駅に向かうには赤羽駅でJR埼京線に乗り換える。途中、池袋駅や新宿駅にも停車し、渋谷駅と並ぶターミナル駅にアクセスしやすい点も魅力だろう。尾久駅はJRの車両基地に隣接しており、駅南側に何本もの線路が連なる景観が圧巻だ。住宅街や商店は線路の北側に広がっている。駅前にはコンビニや飲食店が点在し、徒歩10分圏内にはスーパーも。落ち着いた住宅街といった趣なので、静かに暮らしたい人にはよいだろう。1駅隣の上野駅や赤羽駅まで出れば、多彩な商業施設でショッピングを楽しむこともできる。
3位には都営三田線・板橋本町駅と東急池上線・長原駅の2駅がランクイン。両駅共に価格相場は2580万円だったので、トップ3の価格相場は渋谷駅の半額以下というわけだ。そのうち東急池上線・長原駅の駅ホームは地下部分にあり、1階には改札とファストフード店、2階にはスーパー、3階には100円ショップが入っている。駅周辺にもスーパーやドラッグストア、飲食店や弁当店などがあり、日常の買い物や食事はまとめてできそう。また、今秋には「木になるリニューアル」とのコンセプトで駅舎が新装される予定。東京都多摩地区の「多摩産材」と呼ばれる木材を活かした温かな雰囲気のデザインになるほか、改札外スペースに店舗も新設されるそうなので完成が楽しみだ。
「シングル向け」トップ10で渋谷駅までの所要時間が最も短かったのは、10位の東京メトロ丸ノ内線・新宿御苑前駅。1位の新高円寺駅と同様に新宿三丁目駅で東京メトロ副都心線に乗り換えると、わずか計約10分で渋谷駅に到着する。また、駅を出て15分も歩けば新宿駅の東口駅前広場に行けるロケーションでもある。都内屈指の繁華街である新宿駅の至近ながら、価格相場が安い駅ランキングでトップ10入りを果たしているのは少々驚きだ。さて、新宿御苑前駅は駅名通り、広大な芝生広場や日本庭園、温室などを備えた都心のオアシス「新宿御苑」が駅南側に広がっている。駅周辺は新宿駅前ほどの喧騒とは無縁ながら、コンビニや飲食店は充実し、駅から5分も歩けばスーパーもあるので日常の買い物は近所で済ませられる。渋谷にも新宿にもアクセス良好なエリアに住みたい人は要チェックの街だろう。

新宿御苑(写真/PIXTA)
「カップル・ファミリー向け」トップ10の価格相場は渋谷より大幅ダウン続いて専有面積50平米以上~80平米未満の「カップル・ファミリー向け」ランキングをチェック。ちなみに渋谷駅の中古マンション価格相場は1億650万円! そんな渋谷駅から30分圏内で価格相場が最も安かったのは、小田急線・読売ランド前駅で価格相場は2780万円。読売ランド前駅から3駅先の登戸駅で小田急線の快速急行に乗り換えて下北沢駅に向かい、そこから京王井の頭線に乗って4駅目が渋谷駅だ。

よみうりランド(写真/PIXTA)
読売ランド前駅は、遊園地「よみうりランド」の最寄駅ではあるもののバスで北に10分ほど離れている。そして「よみうりランド」よりも手前の丘には日本女子大学のキャンパスと大学付属の中学・高校の敷地が広がっている。そのため住宅地や商店は主に駅南側に集中しており、生活圏がコンパクトにまとまった街とも言えるだろう。駅の改札近くにはスーパーと100円ショップ、コンビニや立ち食いそば店があり、南側は「よみうりランド駅前通り」と看板を掲げた商店街。ファストフードなどのチェーン店やドラッグストアのほかに、地元の人に愛される飲食店や、手づくりハム・ソーセージの専門店、野菜が豊富にそろうミニスーパー、揚げ物の総菜も販売する精肉店……と、個性豊かな店舗も並んでいる。のんびりと暮らしやすそうな街並みに加え、小田急線1本で新宿駅までいける点も利点だろう。
2位はJR南武線・久地駅で価格相場は2800万円。2駅先の武蔵溝ノ口駅から歩いて溝の口駅に行き、東急田園都市線の急行に乗り継ぐと計約26分で渋谷駅に到着する。久地駅の改札口は1カ所のみで、駅を出てすぐ横にスーパーがあるほか、周辺にはドラッグストアやコンビニ、ファストフード店などの飲食店も。このあたりは住宅地の合間に農地や果樹園もあるためか、新鮮な農産物が安く買える直売所があるのもうれしいところ。日ごろは駅周辺で買い物をして、休日には大型商業ビルがある武蔵溝ノ口駅まで行ってショッピングをするのも楽しそうだ。また、駅から歩いて10分ほどの小学校に隣接する保育園に、子育て支援センターや一時保育室が併設されている点は幼い子どもがいるファミリーにとって心強いだろう。
3位は横浜市営地下鉄グリーンライン・高田駅で価格相場は2848万5000円。横浜市営地下鉄グリーンラインは横浜市内の中山駅~日吉駅間10駅を結ぶリニア式地下鉄で、なかでも最も地下深くに位置するのが高田駅なのだそう。高田駅から2駅目に日吉駅があり、そこから東急東横線の通勤特急に乗り換えて4駅目が渋谷駅だ。日吉駅から渋谷とは反対方面に向かう東急東横線の急行に乗れば、2駅・約12分で横浜駅に行くこともできる。そんな高田駅の周辺は、大型ショッピングモールなどはない静かな住宅街。複数のスーパーや薬局、ホームセンターはあるので日常の買い物には困らないだろう。小児医療をはじめとするさまざまなクリニックが駅周辺に点在しているので、もしもの際も頼りにできそうだ。

梶が谷駅前(写真/PIXTA)
ここまでトップ3の駅を見てきたが、もう1駅、8位の東急田園都市線・梶が谷駅をピックアップしたい。この駅はトップ10のうち渋谷駅までの所要時間が最短の約22分で、乗り換えせずに田園都市線1本で行くことができる。駅前にはスーパーやドラッグストア、100円ショップがあり、さらに進んで郵便局やコンビニを通り過ぎつつ駅前通りを8分も歩くと家電量販店に到着。生活家電やPCはもちろん、おもちゃや自転車、お酒の取り扱いもあり、日用品や薬を販売するドラッグストアもあるので日常的に活用できるだろう。
渋谷駅周辺の中古マンションの価格相場はシングル向けもカップル・ファミリー向けも、前述したように東京のなかでも高い部類と言える。進行中の再開発により、エンタテインメント面でもビジネス面でも注目の街として進化しているので、価格相場がこれからさらに高騰することもあり得そう。そんな魅力的な街・渋谷までアクセスしやすく、渋谷よりも価格相場はぐっとリーズナブルな街が判明した今回のランキング。ぜひ参考にして、好みの住まい探しをしてほしい。
●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている渋谷駅まで電車で30分圏内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】
駅徒歩15分圏内、物件価格相場3億円以下、築年数35年未満、敷地権利は所有権のみ
シングル向け:専有面積20平米以上50平米未満
カップル・ファミリー向け:専有面積50平米以上80平米未満
【データ抽出期間】2021/5~2021/7
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、朝7時30分~9時の検索結果から算出(2021年7月31日時点)。所要時間は該当時間帯で一番早いものを表示(乗換時間を含む)
※記載の分数は、駅内および、駅間の徒歩移動分数を含む
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
※ダイヤ改正等により、結果が変動する場合がある
※乗換回数が2回までの駅を掲載
所在地:世田谷区代沢
所在地:中央区佃
所在地:中央区日本橋馬喰町コロナ禍で「地方移住」への関心が高まり、地方移住に関する調査もいくつか実施されている。リクルートの調査では、東京都内在住の会社員は46.6%もの人が地方移住に関心を示したという。地方移住をするメリットやデメリットはどういったことだろうか?新しい調査結果をいくつか見ていこう。
【今週の住活トピック】
「地方移住および多拠点居住の考え方についてのアンケート調査」を公表/リクルート
【最新移住事情 2021】を公表/高知市
コロナ禍でテレワークが普及し、通勤をする機会が減った人もいるだろう。感染の長期化で、家族で家にいる時間が長くなったという人も多いだろう。自宅周辺で過ごす機会も多くなり、「わが街」に求める条件が変わったり、より子育て環境の良好な立地を求めたり、近くにリフレッシュできる場所を求めたりと、「どこに住むか」のニーズに変化が生じている。
加えて、人口が減少している地域の自治体の中には、移住者の受け入れを積極的に行っている例も多い。高知市もそのひとつだが、【最新移住事情2021】と称した全国調査を実施し、その結果を公表している。
全国の1766人に「地方移住」の予定や関心の程度を聞いたところ、31.2%が関心ありと回答した。内訳は、これまでに「地方移住をした」が7.2%、「地方移住の予定あり」が2.0%、「地方移住に関心があり、情報収集をしている」が3.5%、「地方移住に関心はあるが、検討に至っていない」が18.5%だ。

出典/高知市【最新移住事情2021】リリースより転載
地方移住に関心がある(移住済みを含む)552人を分析すると。20代・30代の若者や男性で関心が高い傾向が見られたが、リモートワークの頻度などの勤務体制ではそれほど差が見られなかったという。
一方、リクルートが東京都在住の会社員2479人に調査を行ったところ、「地方や郊外への移住に興味がある」と回答したのは46.6%(とても興味がある11.5%+興味がある35.1%)にも達した。高知市の全国調査と比べると、東京都在住の会社員はかなり関心の度合いが高い。
ただし、興味があると回答した人に、興味があるのは「都心までどの程度で行ける地方や郊外か」を聞くと、最多は「都心まで1時間から2時間」の43.3%、次いで「都心まで1時間程度以内」の31.8%と、比較的近距離の移住に興味を持っていることが分かった。

出典/リクルート「地方移住および多拠点居住の考え方についてのアンケート調査」より転載
高知市の調査では、回答する側は遠距離の地方に移住をすることを想定していたと思われるが、リクルートの調査を見ると、東京都在住の会社員は都心から2時間以内の近距離への移住に興味を持っており、その違いが関心の高さにも表れていると見てよいだろう。
また、高知市の調査で、地方移住に関心がある人の中で、「コロナ前後での地方移住への関心が高まった」人を見ると、一人暮らしの場合で41.7%、友人と住んでいる場合で75.0%となり、家族や夫婦で住んでいる人の場合よりも「単身者」のほうが、地方移住への関心が高まったという結果になった。

出典/高知市【最新移住事情2021】リリースより転載
単身の場合は身軽に地方移住が検討できるが、家族の場合は通勤や通学のハードルを考えて近距離の移住を検討するという見方ができるのかもしれない。
ゆとりや豊かな自然が魅力の地方移住、交通利便や仕事などのハードルも次に、それぞれの調査で、移住に興味を持つ理由について見ていこう。
まず、高知市の調査では、「地方移住をしたい理由」で1位「ゆとりのある生活をしたい」と2位「自然の多い環境で生活したい」が40%以上となり、ゆとりと自然が大きな要因になっている。また、「地方移住の不安」については、「交通の利便性」「人付き合い」「仕事」「医療の充実」が上位に挙がった。

出典/高知市【最新移住事情2021】リリースより転載
次に、リクルートの調査で、「移住を考えたきっかけと新型コロナウイルス感染拡大の関係」を聞いたところ、新型コロナの影響により、「テレワークなどの柔軟な働き方が可能になった」や「より良い住環境で生活したいと思った」が上位に挙がった。

出典/リクルート「地方移住および多拠点居住の考え方についてアンケート調査」より転載
また、「地方や郊外への移住の不安や心配事」については、「仕事面」が64.0%、「経済面」が56.7%と上位に挙がり、リクルートの調査においては「働き方」や「仕事」の占めるウエイトが高くなっている。
移住実践者が感じた課題は、知り合いがいなくて寂しい!?さて、最後に、直近3年以内に移住(移動前後の居住都道府県が異なる移動)をした人への調査結果を見ていこう。
ウォンテッドリーが自社のビジネスSNS「Wantedly」ユーザー(1968人)に調査したところ、20%に当たる395人が直近3年以内に移住していた。年代で見ると20代と30代前半の若い層が多い。
移住した人に「移住して良かった点」を3つまで選んでもらったところ、1位が「家賃などの生活コストが下がった」(42%)、2位が「生活のペースがゆっくりになった」(39%)、3位が「満員列車に乗らなくて良くなった」(35%)という結果になった。
一方で、「移住して課題に感じる点」を3つまで選んでもらったところ、1位が「知り合いがいないのが寂しい」(39%)、2位が「都心と比較して仕事が少ないので、今後のキャリアが不安」(27%)、3位が「車がないと何も出来ないのが面倒」(21%)という結果になった。

出典/ウォンテッドリー「コロナ禍における移住と働き方に関する調査結果」より転載
この結果をさらに、移住先が地元か地元以外かによって分類したところ、「地元への移住者」では「今後のキャリアが不安」が最多であるのに対し、「地元以外への移住者」では「知り合いがいないのが寂しい」が最多となった。地縁のない土地に実際に移住した人は、知り合いとのコミュニケーションが取れずに寂しいと感じるのが実態のようだ。
こうしていくつかの調査結果を見ていくと、一口に地方移住といっても、地縁のない遠距離の地方に移住するのと、都心にも通える近距離の移住とでは、かなり状況が異なることが分かる。近距離であれば、これまでの仕事や人間関係を継続する方法もあるが、遠距離となると仕事や生活、人間関係が様変わりすることもある。
そうした実態をよく理解したうえで、働き方や価値観がコロナ禍で変わった今、自分が望む暮らしが送れる場所を拠点に選び、より満足できる人生へと一歩踏み出すのもよいだろう。
リクルート「地方移住および多拠点居住の考え方についてのアンケート調査」
高知市【最新移住事情 2021】
ウォンテッドリー「コロナ禍における移住と働き方に関する調査結果」より転載
所在地:世田谷区太子堂
所在地:板橋区高島平
所在地:江東区清澄
所在地:世田谷区等々力毎年4月に開催されるミラノ・デザイン・ウィーク。その中核イベントが「ミラノサローネ国際家具見本市(Salone del Mobile.Milano・通称ミラノサローネ)」です。昨年はパンデミックにより中止になりましたが、今年2021年は9月に特別展「スーパーサローネ(supersalone)」と形を変えて開催にこぎつけました。デザイン大国イタリアにとって、ミラノサローネは生命線。現地に行けなかった私ですが、その熱意と行動力に敬意を表しながら、今年はデジタルプラットフォームを活用し、在宅サローネ視察にトライします。
デジタルプラットフォーム充実、会場はサステナブルに今年の「スーパーサローネ」では、会場も運営も新形式によるチャレンジを見せてくれました。4パビリオン(6万8520平米)に出展ブランド425社、会期6日間の来場者数は6万人超と、規模は従来の5分の1程度に縮小されましたが、閉幕後に主催者は「勇気と、ビジョンと、団結力が勝利を飾った」と達成感のあるコメントを出しました。
「surpersalone」デジタルプラットフォームで見ることができる会場風景のムービー。ロー・フィエラ見本市会場入口からパビリオン内の展示ブースへ。建築家やアーティスト、起業家、政治家などが登壇したイベント「open talk」の様子なども(画像提供/Salone del Mobile.Milano)
感染対策として、欧州で運用されている「Green pass」などのCOVID-19グリーン証明書の提示、加えて即席抗原検査ステーション(22ユーロ)も設けるなどして入場者を管理。マスク装着は映像で見る限り、同時期開催の全米オープンテニス会場より多い様子。

新たな展示形式はオープンな仕切りで来場者の密を避ける工夫がなされ、100%リサイクルされた木材でつくられたパネルを使用。利用後のリサイクル含め、サステナブルな運営(画像提供/Andrea Mariani by Salone del Mobile.Milano)
カーボンニュートラルへの取り組みでは、紙媒体のパンフレットや資料を作成せずQRコードでデジタル化するなど大胆に転換。カタログの重さに疲弊したころが懐かしい……。

porro社:家具プロダクトの背景壁面に映像を展開する、アート・ディレクターのピエロ・リッソーニによるインスタレーション。映像では生産工程や環境への取り組みなども紹介。今年porroの38歳女性社長マリア・ポッロがSalone del Mobile.Milano新代表に就任(画像提供/porro)

Molteni&C社:飛行機内のような展示で、アテンダントの女性が「アテンションプリーズ」とアナウンス、窓の外には雲の合間に家具プロダクトが浮かんで流れる映像が流れている。座席は1954年に巨匠ジオ・ポンティによってデザインされたアームチェアの復刻デザインの新作「Round D.154.5」。自由に旅できる日が待ち遠しいと思わせるような、ロン・ジラッドらしいウィットに富んだインスタレーション(画像提供/Diego Ravier by Salone del Mobile.Milano)
従来の新作を大空間にセットアップして見せる展示とは趣向が違う各社の展示ですが、実際の会場はどんな様子だったのでしょうか?
いつも現地でお世話になっている、ミラノサローネ広報日本担当の山本幸さんに伺いました。
「各社ブースのレイアウトを通路平行に並べたライブラリー型展示は、間口幅6~30mで規模の違いを出すだけだったので、従来の複雑なコマ割りレイアウトより、来場者的には見やすく効率が良かったようです。小さいブランドも見つけられた、と大好評。出展側も声がかけやすいメリットもありました」とのこと。
日本企業やデザイナーへの注目も高かったようで、山本さんが紹介してくれました。

ミラノサローネ広報山本幸さん、日本から初出展のポータブル照明ブランドAmbientec社の前で
(画像提供/山本幸)
Ambientec(アンビエンテック)社は横浜にある2009年設立のポータブル照明ブランド。水中撮影機材のメーカーだけあって、独自の高い技術開発力を持つ企業。それを活かすデザイナーを招聘し、魅力的なプロダクトを発表してきました。
2015年からMilan Design Weekで、著名なRossana Orlandiギャラリーへの出展を果たして好評価を得、今年は本格的に世界を相手にビジネスをするべくサローネ参画に到ったようです。

「TURN+(ターン・プラス)」デザイナー田村奈穂。ブラス・ステンレス・ブラックアルミニウムの3種類。新開発のオリジナル光源、アウトドアからバスルームもOKのポータブルランプ。磨き上げられた金属加工の高いクオリティに欧州人も絶賛(画像提供/Ambientec)
また、ミラノ在住の日本人アーティスト後藤司の作品を、サローネ主催者が「木工とガラス瓶の作品展示“alla Modigliani(モディリアーニへ)”は、日常生活の中で職人の忍耐強い作業によってモデル化された美の有用性を広める」とフィーチャー。

Tsukasa Gotoの作品を熱心に撮影する来場者。「Makers Show」というアーティストや職人たちを中心にしたカテゴリーへ出展(画像提供/Diego Ravier by Salone del Mobile.Milano)

後藤司:1981年東京生まれ、2004年からミラノで活動。2014年のサローネではSaloneSatelliteで作品を発表。写真左/「Daydream」(ガラス瓶に手触りのあるテクスチャーを与え幻想的なオブジェに) 写真右/「Proximity」(丸い木の棒が3次元で接合して構成された木工作品)(画像提供/Tsukasa Goto)
「without hearing, touching what we can understand? So I try to feel, to touch. (聞かずに、触れずに、何が理解できるでしょう?だから私は触れて、感じるようにするのです)」
という彼のメッセージは、まさしくサローネをリアル開催に踏み切った、主催者の閉幕メッセージと同じものでした。
「やはり実際に目で見て、触って、人と会って話すということが、いかに大切だったか。スーパーサローネを訪れた人が皆、それを再認識しました。この感動はリアルでしか体感できないのです」
ミラノ・デザイン・ウィークでは、見本市会場以外の街中でさまざまな展示やイベントが開催される「fuorisalone(フオリサローネ)」も必見。インテリア以外の業界も含め今年は655ブランドが参加。ほとんどが無料入場できるので、学生や一般人も多く来場し、デザインやアートを楽しみます。
その一つ、フランスを代表するクチュールメゾンのDiorが開催した「THE DIOR MEDALLION CHAIR」展。17人のアーティストを招待して、メゾンの象徴的なエンブレムの1つであるメダリオン・チェアを再解釈するプロジェクトです。

ディオールメゾンの象徴的なエンブレムの1つであるメダリオン・チェアは、創業者クリスチャン・ディオールが愛した18世紀のルイ16世スタイル(写真撮影/©Alessandro Garofalo)

18世紀の建造物Palazzo Citterio(ミラノ・ブレラ地区)での開催。ゲストデザイナーは、フランス、イタリア、レバノンや韓国など世界的に活躍する17人(写真撮影/©Alessandro Garofalo)
日本からは二人の人気デザイナー、吉岡徳仁と佐藤オオキ(nendo)が招待されていました。
この二人、ミラノサローネでは毎年注目されていますが、今年は何と言っても東京オリンピック・パラリンピックでの活躍に触れなければなりません。

吉岡徳仁デザインの聖火リレートーチ(左) 佐藤オオキデザインの聖火台(右)(画像提供/©Tokyo 2020)
日本を代表するデザイナーとして選出され、お二人らしい見事なデザインで全うされた仕事ぶりに、長らくファンである私は感銘を受けました。
さて、デザイン界の日本代表とも言える両氏の「THE DIOR MEDALLION CHAIR」展ですが、こちらも各々の感性やキャラクターが反映された作品となっています。

”Medallion of Light” 「不規則な光を生み出す自然のように、人間の感覚を超越する偶然性を持ったものを表現したいと思いました。光に近い素材を用いて、歴史的でありながら未来的な椅子を生み出すことを考えました」(吉岡徳仁)(画像提供/THE DIOR MEDALLION CHAIR)
364個の樹脂プレートをランダムに積層した椅子は、光を素材としてつくられたよう。目の錯覚と共に時空間の境界をぼかすような作品となって見る人を魅了します。

“Chaise Medaillon 3.0” 「メダリオンというクラシカルなチェアを先端技術を用いて再解釈することにしました。背もたれは楕円形に切り抜かれていることで、メダリオン・チェアの特徴が軽やかに空中に浮遊しているかのような表情が生まれました」(佐藤オオキ)(画像提供/THE DIOR MEDALLION CHAIR 撮影/©Yuto Kudo)
実はこの素材、強化ガラス。1800×1100mmの一枚板は厚みわずか3.0mmで、C字型まで深く曲げられる手法を新たに開発し実現したフォルムなのです。
この2作品、デザインはお二人らしさが出ていて、一方、素材はいつもと逆!?な意外性もあり興味深かったです。こういうプロジェクトは、やはり雰囲気のある会場で見ると感動がより深かったに違いありません……。
サステナブル社会の実現に向けて、技術とデザインが融合インテリア業界以外の日本企業がミラノで企画展をすることも少なくないなか、今年初出展したのがNitto(日東電工)。スマホ用偏光フィルムや、工業用粘着テープなどなどを提供する高機能材料メーカーで、グローバルビジネスへのブランディングを強化しています。

Nitto(日東電工):「Search for Light」(ミラノ・トルトーナ地区)
クリエイションパートナーは面出薫(建築照明デザイナー)。透明な「RAYCREA(レイクレア)」フィルムをガラスやアクリル板に貼り光源を組み合わせることで、フィルムを貼った面だけが光る。光の迷宮のような会場(画像提供/Nitto)
新しい光の表現を可能にする光制御技術「RAYCREA」をミラノで披露し、デザイン界からユーザー視点での生の声を多く得られたようです。
最後にぜひ紹介したいのは、著名ギャラリーオーナー・Rossana Orlandi(ロッサーナ・オルランディ)が2019年から推進している「Ro GUILTLESSPLASTIC(罪のないプラスチック)」プロジェクト。
“プラスチックが罪なのではありません、私たちは習慣を変える必要があるのです”とロッサーナは呼びかけ、使用済みのプラスチックとゴミにデザインの力で新しい生命を与え、生まれ変わらせるデザインコンペを世界に向けて発信。
「Ro Plastic Prize」として毎年、Milan Design Week期間中に応募作品を展示し、表彰しています。

「Ro GUILTLESSPLASTIC」の会場はロッサーナのギャラリー近くにあるレオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館。中庭に設けられたステージのデザインも目を引く。期間中にはデンマーク王女も訪れた(画像提供/Galleria Rossana Orlandi)
「廃棄物についての意識を高めるには、持続可能性と責任について話すだけではもはや十分ではありません。私たちは感情を刺激する必要があります」とロッサーナ、デザインコンペ「Ro Plastic Prize」に新たに設けた “Emotion on Communication”賞。その受賞作品に度胆を抜かれました!
受賞作はオランダ人アーティストのMaria Koijckの動画作品「this is the waste of one operation , my operation…. (これが一度の手術で出る廃棄物、私の手術……)」。自身の乳がん手術に使われた医療器具などの廃棄物を回収し、自分の周りに並べるという斬新な構想(画像提供/RO PLASTIC PRIZE 2021)
Maria Koijckはプラスチック廃棄問題に取り組んできたアーティストとして、自分の手術に使用される医療材料の60%が使い捨てであることに愕然とし、このプロジェクトに取り組みました。そして、病の回復に感謝しつつも、こう投げかけます。
「人間は常に“良くなる”ことを目指していますが、私たちの環境にかかるコストはどれくらいですか?」
医療関連のプラスチックもリサイクルできるように技術革新を続けることが重要と訴えています。
持続可能な社会に向けた取り組みは、「surpersalone」会場のブランドからもリサイクル率や素材開発など多く発信されていました。
アーティストはデザインで人の心に訴え、企業は技術開発に挑む。そんな活動の広がりを日本に居ながらにして垣間見ることのできたMilan Design Week/ミラノサローネ2021@ホームでした。
ミラノサローネ国際家具見本市「Salone del Mobile.Milano」
2021年9月5日(日)~10日(金)
場所:ロー・フィエラ ミラノ 入場料:15ユーロ
「surpersalone」デジタルプラットフォーム
※2022年4月5日~10日開催予定(60周年記念ミラノサローネ国際家具見本市&キッチン・バスルーム見本市併催)
所在地:中央区日本橋人形町
所在地:杉並区久我山
所在地:杉並区高円寺南徳島県徳島市から車で約40分。豊かな自然に囲まれた神山町は、アーティストが滞在し創作活動を行う「神山アーティスト・イン・レジデンス」や、”地産地食”を合い言葉に農業を育てる「フードハブ・プロジェクト」、また企業のサテライトオフィス誘致の成功など、先進的な取り組みで「奇跡の田舎」と呼ばれる。そんな神山町に、町内外から子育て世代が移り住むための住宅「大埜地(おのじ)の集合住宅」が誕生した。環境や地域産業にも寄与できるという最先端の技術を取り入れた住まいの今を探ってみた。
子育て世代が集える町営住宅を目指して
山々に囲まれ清流・鮎喰川が町の中心を流れる神山町。写真中央にあるのが大埜地の集合住宅(写真提供/神山町)
大埜地の集合住宅がある大埜地地区は、神山町役場から徒歩約15分。小学校と中学校も徒歩圏内にあり、子育て世代が生活するには便利な文教エリアだ。ここにはかつて町内の遠方から中学校へ通う学生のための寄宿舎「青雲寮」があった。しかし少子化のあおりを受け2005年に閉寮。その場所の活用方法が長年議論されていた。

大埜地の集合住宅がある場所にあったかつての青雲寮(写真提供/神山町)
一方で町内に企業のサテライトオフィスの開設や東日本大震災の影響、加えてNPO法人グリーンバレーが運営する移住交流支援センターによる支援により、移住者が増えつつあった神山町にとって、住居の確保やその情報提供は手薄な状態だった。町内には不動産会社もなく、空き家となった古民家を紹介するとなっても、移住交流支援センターの取り組みだけでは、住みたいと思う人たちの希望に全て沿えるわけではない。家を建てる土地や借家を見つけるには困難が伴っていた。
また、既に町内の各所に住んでいる子育て世代にとっても、広い町域にゆえに、近所に同世代の子どもが少なく、普段の生活の中で互いに遊び、触れ合うことで、成長や学びに繋がる機会が損なわれつつあった。子育て世代が近所で暮らすことは、子どもだけでなく親同士が支え合えるメリットもある。
そんな状況を打開する方策のひとつとして浮かび上がってきたのが、新たな集合住宅の建設。そこで白羽の矢が立ったのが大埜地地区の青雲寮跡だった。

住居と駐車場が隔離された歩車分離の敷地では、子どもたちも安心して遊ぶことができる(写真提供/神山町)
快適な住環境が地域に貢献する家づくり2015年、入居者のための「大埜地住宅」と、広場や文化施設がある「鮎喰川コモン」からなる拠点づくりが決定。翌年から2021年までをめどに、工期を4期に分け、少しずつ開発を進めてきた。大埜地住宅は全20戸、子育て世代のための住宅18戸と単身者用シェアユニット2戸で構成。鮎喰川コモンは多世代の人が交流できる施設だ。

鮎喰川沿いに広がる大埜地住宅。住宅の周囲には神山町産の樹木が植栽されている(画像提供/神山町)
建築を担ったのは大工など町内のつくり手たち。工事が長期間に及んだのは、大工が小規模ゆえに、一度に大規模な工事はできないのもあった。その反面、この工事をきっかけに、担い手不足に悩まされていた町内の建築業に新陳代謝が起こり、若手大工の活躍の場が広がっていった。
住宅の建材には町内産の木材を使用。さらに給湯や暖房などの暮らしに必要なエネルギーとして、製材所から出るおがくずなどを原料にした木質ペレットを燃料とした、木質バイオマスボイラーを採用。ボイラーが設置されたエネルギー棟から各戸へ熱を送る。町内の森林資源を利用することで、経済を回し、間伐による健全な森づくりにも寄与できる。
また、冬は屋根で温めた空気で補助暖房。夏は夜間の冷気を取り込む仕組みを設置。これらの先端技術だけでなく、窓の位置や形状などの設計上での工夫も凝らし、エアコンやストーブなどに頼り切らない、快適な住環境を実現した。木質バイオマスボイラーを使用することで、毎月平均1万円の「熱料金」が発生するものの、ガスや電気を利用した一般住宅の光熱費より財布に優しい試算結果も出ている。

家族・夫婦用ユニットのメゾネットタイプとバリアフリー対応のフラットタイプ、そして単身用ユニットの3戸で一棟になっている集合住宅。2戸1タイプもある(写真撮影/生津 勝隆)

南向きのリビングダイニング。川沿いの涼しい風を取り入れる設計になっている。コンクリートタイル仕立ての床は、冬の昼間は太陽の熱を蓄熱。さらに温水式床下暖房で室内全体を温める(写真撮影/生津 勝隆)

メゾネットタイプの2階の室内。室内の壁は調湿性能のある珪藻土や、健康に配慮した自然由来の塗装剤で仕上げている(写真撮影/生津 勝隆)

メゾネットタイプの間取り。1階は北にある玄関から南のダイニングまで、土間が段差なく続く。2階は子どもの成長に合わせて仕切りを設けることも可能(画像提供/神山町)

敷地内にあるエネルギー棟。木質バイオマスボイラーを使って、ここから各戸へ熱を供給する(写真撮影/生津 勝隆)
アフターコロナで期待される交流の活性化2021年春、無事竣工を迎えた大埜地住宅は現在満室。入居者の数は総勢67人となり、約80人だった大埜地地区の本来の人口からほぼ倍増したわけだ。入居者は、町内出身者のUターン、町外からのIターン、あるいは町内からの引越しと顔ぶれはさまざま。仮に「都市部からの引越し」を「移住者」と定義するなら、移住者の割合が多い。
徳島市内への通勤者もいるが、リモート勤務も含め、入居者の大半が町内で働く。出身地は異なれど、同じ子育て世代で、普段から親同士、あるいは子ども同士の交流も活発だ。LINEグループでの情報交換、また月に一度の自治会の例会では、周辺の草刈りや敷地内での交通安全などの議題を話し合う。都市部からの移住者にとってこの交流は、新鮮であり、安心できる要素のようだ。
入居者の中には、もともと神山町出身者もいるため、近くに住む祖父母が孫を訪ね大埜地住宅に足を運ぶことも多い。現在はコロナ禍の影響もあり、なかなか地元との交流の場が設けられることがないものの、コロナ収束後は地域の祭りなど通じて、多世代の人たちとの交流の機会を設けていく。
これらの交流を通して、町民はもとより町外の人にも、地元の資源を使った家づくりの大切さや新しい木造住宅の素晴らしさを再認識してもらう狙いもあるようだ。

「地域の植生を活かしながら、楽しい原っぱを育ててゆくこと」を目標に、入居者や鮎喰川コモンの利用者である町内外の人たちと行う除草作業も大切な交流のひとつ(写真提供/神山町)
住み継ぐことで次世代が担っていくまちの将来像順風満帆でスタートを切った大埜地住宅は、これからどのようにして維持・運用していくかがポイントとなってくる。主な入居条件が、50歳以下で高校生以下の子どもがいる家族、または今後子どもが生まれる可能性のある夫妻となっているため、子どもが高校を卒業し進学等で家を出ると、親も退去し新たな住まいを探す必要がある。
海外ではライフスタイルに合わせて、その都度家を住み替えていくことが一般的だが、日本人は親から引き継いだ家や自分が買った家を住み替えずに守っていくという思考の人が多く、大きな家に一人で高齢者が暮らすことも多い。そのため昨今問題が表面化してきているのが、同世代が一斉に入居し、その何十年後に高齢夫妻だけが残された「ニュータウンの限界集落化」だ。
神山町は大埜地住宅を軸にした「住み替え文化」の形成を目指す。課題は大埜地住宅を退去した親世代の生活に適した住居の確保だ。幸いにしてまだ時間が残されているため、現在は既存の町民を対象に空き家相談会など実施して、課題解決に向け取り組んでいる。
また、東京の工学院大学と提携し、大埜地住宅の各住居に内外の気温差、消費電力、換気状況などがモニタリングできるシステムを設置予定。木質バイオマスボイラーや環境に配慮した構造がどのような効果を上げているかをデータとして積み重ね、国内でも数少ない設備を持つ最新鋭の住宅を検証し、さらに快適な住環境の整備へと繋げていく。
自然豊かで快適な住環境を備えた大埜地住宅に、また新たな世代が入居し、親となり、その後も神山町に住み継いでいく……。そんな理想的なまちの姿が数十年後に見えてくるかもしれない。
●取材協力
神山町
所在地:横浜市神奈川区入江
所在地:杉並区荻窪
所在地:豊島区千早
所在地:世田谷区池尻
所在地:杉並区高円寺南
所在地:横浜市南区白妙町
所在地:横浜市神奈川区旭ケ丘
所在地:目黒区中目黒
所在地:中央区日本橋横山町
所在地:目黒区目黒
所在地:江東区東砂