所在地:江東区亀戸10万6,000円 / 50.05平米
総武線「亀戸」駅 徒歩11分
飛び込みたくなるような、もっさもさの緑を味わえます。
バルコニーの正面には、亀戸中央公園の緑が広がっています。今の季節は緑が少なめですが、春先から草木が生い茂り、夏になると飛び込みたくなるような緑を楽しむことができます。
この亀戸中央公園は、芝生の広場や、夏には子どもたちがは ... 続き>>>.
圧倒的に不動産情報が多いですが。。。。
所在地:江東区亀戸
所在地:渋谷区神宮前
所在地:大田区田園調布本町三井不動産リアルティが三井のリハウスを通じて、6年以内に持ち家を購入して住み替えた首都圏在住の45歳以上を対象に調査を実施したところ、65歳より前の住み替えと後の住み替えでは、住まい選びの条件が異なることが分かった。どう違うのか見ていこう。【今週の住活トピック】
「中高年層の住みかえ等に関する調査」を実施/三井のリハウス(三井不動産リアルティ)65歳以上では、家の広さをよりコンパクトに
調査対象者を住み替え時の年齢によって「45歳以上65歳未満」と「65歳以上」に分類し、「住み替え理由」を聞いて比較してみると、まず、家のサイズ感などに違いがあることが分かった。
「65歳未満」の人では最多の29.0%が「より広い家に住みたかったため」と回答した。これに対し、「65歳以上」の人では最多の24.4%が「自身の高齢化による将来に対しての不安」と回答し、次いで「子供や孫との同居または近居」(20.0%)、「バリアフリーの設備が整った住まいへの住みかえ」(19.3%)と、高齢化をより意識した理由が上位に挙がる結果となった。

住みかえの理由として当てはまるもの(複数回答)(出典:三井のリハウス「中高年層の住みかえ等に関する調査」より抜粋転載)
では、実際に住み替えた物件の広さは違うのだろうか?「住み替えによる広さの変化」を聞くと、「65歳未満」では広くなった人が過半数であるのに対し、「65歳以上」では狭くなった人が過半数となった。住み替え理由の違いは、実際に購入した家の広さの違いに表れていることが分かる。
「65歳以上」で住み替える場合、住まいはよりコンパクトなものを選ぶ傾向が強まるようだ。

住みかえにより家の広さに変化はあったか?(単一回答)(出典:三井のリハウス「中高年層の住みかえ等に関する調査」より転載)
65歳以上では、立地選びで買い物や通院の利便性を重視次に、住み替え先の立地について見ていこう。
さきほどの「住み替え理由」では、
・「交通利便性が高いエリアへの住み替え」65歳未満:15.2%、65歳以上:14.1%
・「生活利便性が高いエリアへの住み替え」65歳未満:13.3%、65歳以上:18.5%
と、交通アクセスや生活面での利便性向上を理由にする人が、多い結果となっている。
なお、通勤から解放されると考えられる65歳以上のほうが、交通アクセスよりも生活面の利便性をより求める傾向がうかがえる。
さて、立地に関する調査結果を見ると、住み替えによって「駅からの距離」が近くなった人はいずれも40%程度と変わらないが、65歳以上の人が近くなったとより多く回答したのは、「総合病院など大きな病院」や「商業施設」だった。

住み替えによる住環境の変化(単一回答)(出典:三井のリハウス「中高年層の住みかえ等に関する調査」より転載)
リタイアして在宅時間が長くなると、食料品や日用品を買う頻度も多くなる。こまめに買い物しやすい「商業施設」の近くを求めるというのは納得できる選択だ。また、若い時には意外に見落としがちなのが、「総合病院などの大きな病院」だ。高齢になると多くの診療科を受診することになるので、一カ所で受診できる総合病院が近くあるメリットが高まる。65歳以上(40.0%)と65歳未満(27.7%)で選択に違いがあるのはそのためだろう。
さて、45歳以上65歳未満の住み替えでは、リタイア前であったり子どもが独立前であったりして、通勤や子どもを優先しがちということも。でも、いずれは通勤から解放されたり子どもが独立したりするので、65歳以上の重視点も考慮して住まい選びをすると、シニアライフが快適になるのではないだろうか。
また、65歳以上の住み替えでは「より狭い家」を志向しているが、いずれは2人あるいは1人になることを考えて、より思い切ったダウンサイズをしてはいかがだろう。予算的にはその分だけ立地を重視できるので、コンパクトな暮らしを実践することをお勧めしたい。
所在地:港区元麻布
所在地:台東区柳橋
所在地:大田区上池台
所在地:世田谷区駒沢関西最大の駅といえば、大阪の梅田駅。ビジネスからエンタメまでほとんどの拠点となっているとも言えるほどの巨大ターミナルで、3月17日に発表された「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」では総合2位にも輝き、生活の場としても親しまれている。今回は、梅田駅まで電車で30分以内で行ける、ワンルーム・1K・1DKを対象にした家賃相場が安い駅ランキングTOP10を分析。それぞれの駅の魅力を紹介する。梅田駅まで30分以内の家賃相場が安い駅TOP10
順位/駅名/家賃相場(代表的な路線名/駅の所在地/所要時間/乗り換え回数)
1位 萱島 3.75万円(京阪本線/寝屋川市/22分/1回)
2位 寝屋川市 3.80万円(京阪本線/寝屋川市/25分/1回)
3位 大和田 3.90万円(京阪本線/門真市/27分/2回)
4位 大日 4.23万円(大阪メトロ谷町線/守口市/24分/0回)
5位 だいどう豊里 4.30万円(大阪メトロ今里筋線/大阪市東淀川区/27分/1回)
5位 香里園 4.30万円(京阪本線/寝屋川市/28分/1回)
5位 上新庄 4.30万円(阪急京都線/大阪市東淀川区/18分/1回)
5位 瑞光四丁目 4.30万円(大阪メトロ今里筋線/大阪市東淀川区/29分/1回)
9位 河内小阪 4.35万円 (近鉄奈良線/東大阪市/27分/1回)
10位 守口 4.50万円(大阪メトロ谷町線/守口市/21分/0回)
10位 相川 4.50万円(阪急京都線/大阪市東淀川区/19分/1回)
10位 津守 4.50万円(南海高野線/大阪市西成区/25分/2回)
10位 平野 4.50万円(JR関西本線/大阪市平野区/30分/0回)
ランキング上位に目立ったのは、京阪本線。1~3位までは京阪本線の沿線駅だった。京阪本線は大阪市中央区の淀屋橋から京都市東山をつなぐ路線。梅田駅は複数路線が集まる巨大ターミナル駅だが、京阪本線自体は梅田駅には直通していない。また梅田とならぶ大阪の商業の中心地である「難波」にも直通しておらず、乗り換えが必要なことが安さの理由のひとつかもしれない。
1位は、寝屋川市にある萱島駅。京阪本線の準急の停車駅で、通勤準急は同駅から、大阪市の主要繁華街のひとつである京橋駅まで停車せずに運行する。寝屋川市は大阪府の東北部に位置するベッドタウン。大阪府で初めて小学校高学年と全中学生を対象にした無料の塾「寝屋川スマイル塾」や、新型コロナウイルス下でリモートワークのできない共働き世帯などをサポートする自主登校園制度の実施など、子育てや教育環境対策にも力を入れている。

萱島駅(写真/PIXTA)
萱島駅付近は下町の雰囲気の残る住宅街。緑も多く、自然豊かな環境でもある。「近畿の駅100選」に選ばれている萱島駅は高架駅だが、ホームの真ん中を推定樹齢700年もの大きなクスノキが貫いているという珍しい駅として知られている。このクスノキは、駅の下にある萱島神社の御神木で、駅の高架化工事の際に伐採される予定であったのが、木を惜しんだ市民による保存運動により残されたもの。駅を利用するたびに、地域の人情が感じられそうだ。
2位の寝屋川市駅は、寝屋川市の中心駅。大型商業施設が数多く、市役所や警察署などの公共施設へ行くのにも便利だ。大阪電気通信大学の寝屋川キャンパスや、大阪府立大学工業高等専門学校への最寄駅であり、摂南大学の寝屋川キャンパスも近いため、ベッドタウンであると同時に学生街でもある。
駅前へ至る道路は現在は道幅が狭く歩道もないが、2024年度末を目標にした都市計画で地下電線など景観に配慮された環境に生まれ変わる予定。今後が楽しみな地域でもある。
4位大日駅は梅田駅まで乗り換え不要4位の大日駅は守口市にあるが、梅田駅のエリア内にある東梅田駅まで乗り換えの必要がない。大阪メトロ谷町線の始発駅のため、座って通勤や通学できるのは大きな利点だろう。10位の守口駅とは隣駅だが、大日駅は大阪モノレールも利用できるため、出張などで伊丹空港を利用する人にとっても心強い。

大日駅前(写真/PIXTA)
駅付近にはタワーマンションが目立ち、周辺には大きなスーパーや商業施設が充実。中でもイオンモール大日は、映画館や室内遊園地、行政サービス、家電量販店なども入る大規模なもので、たいていの用事は地元で済ませられそうだ。
5位の香里園駅は、2位の寝屋川市駅の隣駅。寝屋川市駅と同じく、商業施設が多いことが特徴だ。駅前は再開発が進み、歩道やロータリーが整備されている。また関西医科大学香里病院とは、駅から直結している。来年には駅の高架化工事の着手が予定されており、さらに暮らしが快適になりそうだ。
駅周辺はタワーマンションも多い。国際社会で活躍できる日本人を育成していると評価の高い同志社香里中学校・高等学校や香里ヌヴェール学院小学校・中学校・高等学校などがあり、文教地区の顔も持つ。
また、千葉県にある成田山新勝寺の別院である、成田山大阪別院明王院も近い。節分の季節には風物詩である芸能人による豆まきが行われ、関西中から参拝者が集まる。

成田山大阪別院明王院(写真/PIXTA)
同率5位の上新庄駅は、梅田駅までの所要時間が一番短い阪急京都線の快速、準急、普通の停車駅。大阪メトロ堺筋線と直通しており、大阪の主要ビジネス街である北浜へも乗り換えなしで利用が可能だ。10位の相川駅は隣駅だが、スーパーやコンビニなどは、上新庄の方が豊富な印象を受ける。付近には大阪経済大学や大阪成蹊大学・短期大学などがあるため、学生や単身者には心強い味方となる飲食店も充実している。
梅田駅のある梅田エリアは昨年末、再開発の第二期が着工した。コロナ禍で世の中の空気も停滞したように感じてしまうが、季節は春、そして引越しのシーズンでもある。新しい部屋にはきっと明るい未来が待っている。そう信じて、素敵な部屋が見つかることを期待したい。
●調査概要
所在地:中央区日本橋小網町
所在地:台東区蔵前
所在地:神奈川県海老名市大谷南
所在地:渋谷区代々木
所在地:荒川区西尾久
所在地:港区南青山
所在地:渋谷区恵比寿
所在地:杉並区上井草日差しが温かくなり、すっかり春を感じるようになりました。新しい年度に向け、気持ちも新たになる季節です。SUUMOジャーナルで2月に公開した記事では、「コロナ禍で高まる移住熱。『田舎暮らしの本』編集長が注目する地域と特徴って?」「商店街を百貨店&シェアハウスに!? 北九州『寿百家店』がつくる商店街の新スタンダード」などが人気TOP10入りしました。詳しく紹介します。
2021年2月の人気記事ランキングTOP10はこちら!
1位 コロナ禍で高まる移住熱。『田舎暮らしの本』編集長が注目する地域と特徴って?
2位 山手線30駅、家賃相場が安い駅ランキング! 2021年版
3位 熱海をまるごと“家”に!? 高齢化と人口減少進む観光地で「まちごと居住」始まる
4位 多拠点生活ブームで賃貸物件が変わる? 家賃を下げられるものも
5位 商店街を百貨店&シェアハウスに!? 北九州「寿百家店」がつくる商店街の新スタンダード
6位 コロナ禍の2020年、首都圏の中古住宅市場はどう動いた?
7位 コロナ禍でクリエイターが石巻に集結?空き家のシェアハウスで地域貢献
8位 「山手線」沿線、中古マンション価格相場が安い駅ランキング 2021年版
9位 不動産屋さんが家事代行!? 電球交換、虫駆除などのお悩みに5分100円で
10位 【空間デザイナー×SUUMO編集長対談】これからの時代のLDK 4つの変化とトレンド
※対象記事:2021年2月1日~2021年2月28日までに公開された記事
※集計期間:2021年2月1日~2021年2月28日のPV数の多い順
1位 コロナ禍で高まる移住熱。『田舎暮らしの本』編集長が注目する地域と特徴って?

(画像提供/豊後高田市)
地方への移住先は、どうやって選べばいいのでしょうか。人気の移住先の特徴や考えるポイント、また移住・定住支援施策に力を入れる豊後高田市の担当者と、実際の移住者からも話を聞きました。
2位 山手線30駅、家賃相場が安い駅ランキング! 2021年版

(写真/PIXTA)
山手線全30駅の単身者向け物件の家賃相場ランキング最新版。1位は同路線で唯一北区に所在する田端駅。繁華街の近くに住みたい人にとってねらい目なのは目白駅で、ともに8.50万円でした。新駅の高輪ゲートウェイ駅は9.90万円で、港区にある駅では最安でした。
3位 熱海をまるごと“家”に!? 高齢化と人口減少進む観光地で「まちごと居住」始まる

(写真提供/若月ひかる)
移住先としても注目を集める静岡県熱海市は、空き家率の高さや市街地の空洞化、高齢化など、地方都市の抱える「課題先進地」でもあります。街の再生と活性化のため、まちを1つの大きな家に見立て、熱海ならではの生活を満喫するライフスタイル「まちごと居住」を探りました。
4位 多拠点生活ブームで賃貸物件が変わる? 家賃を下げられるものも

(画像提供/Unito)
新しい暮らし方として需要が高まっている多拠点生活ですが、家賃や光熱費が余分にかかることや家具などが複数必要なことなど、デメリットも。そんな課題に対して、家に帰らない日にホテルとして貸し出せたりする新しいサービスが次々と生まれています。
5位 商店街を百貨店&シェアハウスに!? 北九州「寿百家店」がつくる商店街の新スタンダード

(写真撮影/加藤淳史)
福岡県北九州市の商店街「寿通り商店街」で新しいスタンダードをつくる「寿百家店」プロジェクトは、商店街の物件をテナントとアーケードシェアハウスに。シャッター街を、街灯ではなく住宅の明かりをともすことで、まちの活性化を目指しています。
6位 コロナ禍の2020年、首都圏の中古住宅市場はどう動いた?

(画像提供:PIXTA)
2020年の住宅市場の動向が、相次いで公表されました。好調だった中古住宅市場も新型コロナウイルスの影響で、首都圏の中古マンションの成約件数は前年を下回りました。一方、中古戸建ての成約件数は微増、在宅勤務で仕事のスペース確保のため、広さへのニーズの高まりがうかがえました。
7位 コロナ禍でクリエイターが石巻に集結?空き家のシェアハウスで地域貢献

(写真提供/みち草工房、写真撮影/Furusato Hiromi)
宮城県石巻市で行われている、コロナ禍で困窮したクリエイターに、住む場所と発表の場を提供するプロジェクト「Creative Hub」。東日本大震災のボランティアが宿泊するためにリノベした物件を活用するもので、地域の活性化にも影響を与えています。
8位 「山手線」沿線、中古マンション価格相場が安い駅ランキング 2021年版

(写真/PIXTA)
山手線全30駅の中古マンション家賃相場ランキング最新版。シングル向け、カップル・ファミリー向けで1位はともに日暮里駅で、それぞれ2870万円と4880万円。今回は上位の順位にほぼ差がない一方、田町駅はシングルとカップル・ファミリーでランキングに大きな差がありました。
9位 不動産屋さんが家事代行!? 電球交換、虫駆除などのお悩みに5分100円で

(イラスト/てぶくろ星人)
家の中のちょっとした困りごとで、誰かの手を借りたいとき……。神奈川県相模原市の東郊住宅社が始めた家事代行サービス「ゴーヨーキーキー」は、地域に密着した「地元の不動産屋さん」だからこそできること。人と人との関係の温かみを感じさせるサービスへの思いを聞きました。
10位 【空間デザイナー×SUUMO編集長対談】これからの時代のLDK 4つの変化とトレンド

年々変化するリフォームのトレンド。従来はテレビ配置ありきだったLDKに、ワークスペースの設置が増えています。仕事のスタイルなどにより、オープンスタイルか独立型にするか。これからのLDKは「自己流」「自分本位」が重要になりそうです。
ランキングで目立ったのは、1位の「コロナ禍で高まる移住熱」や3位の「熱海へのまちごと居住」、7位の「石巻のシェアハウス」など、地方居住に関係する記事への注目の高さ。地方移住が現実的な選択肢として関心を集めていることをうかがわせました。年度の変わり目は、ライフスタイルについて振り返るのによいタイミングでもあります。自身の快適な生活のために、最適な選択肢は何か。改めて考えてみたいと思います。
新生活が始まる人も多い春。なかでも、産休や育休が明け、職場復帰を控えた園児の保護者は、期待と不安で胸がいっぱいなのではないだろうか。今回は、鹿児島県鹿児島市の繁華街・天文館の商店街にある、総菜店を併設した保育園「そらのまちほいくえん」の取り組みを紹介。「あったらいいな」を実現した保育園の副園長・柳元正広さんにお話を聞いた。
変化の時代を生き抜くために。根本の力を身につける保育園
総菜店が併設されたユニークな企業主導型保育園「そらのまちほいくえん」。どのような背景で立ち上げられたのだろうか。

「そらのまちほいくえん」の外観。向かって左側が総菜店、右側が保育園の入り口で、真ん中は身長計(写真提供/そらのまちほいくえん)
「『そらのまちほいくえん』は、今年3年目を迎えた保育園です。僕たちはその前に、霧島市で『ひより保育園』という保育園を立ち上げました。ここは郊外の自然豊かな地にあり、広い園庭でのびのびと園児たちが遊べる保育園です。食育などの取り組みでも注目され、首都圏からも視察に来る人がいました」
「ひより保育園」はいわゆる“のびのび系”の園。給食には地域の農家の野菜を使い、おやつも手づくり。広い園庭があるほか、高齢者施設も隣接しており、幼少期に親以外の多くの大人と関わることができる。園児は包丁を握って料理し、お客さんをもてなすこともある。
「視察をした人たちからは度々、『理想的だけれど、この場所だからできることだよね』という声が聞こえてきました。でも僕たちは、『この場所じゃなくてもその土地ならではのやりかたで人が育つ園がつくれるはずだ』と思っていました。だから都市部に『そらのまちほいくえん』をつくることは、自分たちにとってもチャレンジだったのです」

(写真提供/そらのまちほいくえん)
両保育園は、「保育業界の外にいた人が同じ考えに共鳴し合い、集まってつくった」という園だ。柳元さん自身も以前は関西で小売業をしていて、そらのまちほいくえんの立ち上げで鹿児島にUターンしてきた。
「仲間には、ビジネスの世界で活躍していた人もいれば、新卒者向けのコンサルタントをしていた人もいます。今は変化が求められている時代。生きにくさや閉塞感を感じる人が多く存在します。コンサルタントをしていた仲間は、『働くことの意味が分からない』という若者の声を耳にしました。現代社会が抱える問題を、自分たちでどう変えていくかを考えたときに、会社の前に大学があり、高校、中学校、小学校、そして幼児期がある。0歳から5歳までの時期に、人としてしっかり生きる力を身につけるという、根本が大事なんじゃないかという思いがあって、これに対する一つの方法が、保育園をつくるというものでした」

商店街にある「天文館まちの駅 ゆめりあ」前をお散歩で通過。産地直送の野菜や花が並ぶ(写真提供/そらのまちほいくえん)
保育園の立ち上げで、人と街へ2つの問題解決天文館という都市部の商店街に保育園をつくるにあたり、柳元さんたちは、大きく2つの目標を定めた。
「1つは、都市部でも郊外と同じように、現代の子どもたちがこれからの社会を生き抜いていく力を育むこと。もう1つは、今寂しい状況にある地方都市の商店街に、にぎわいを呼び戻すということです。保育園が起点となった街づくりができないかと考えました」
柳元さんたちは、「幼少期に、親以外の大人とどれほど多く、どれほど深く関われたかということは、その子の人生に大きな影響を与える。地域の人たちと日常的に交流することで、より充実した園生活を送ることができる」と考えている。
そんなそらのまちほいくえんの特色の一つが、総菜店が併設されているという点だ。
仕事帰りに保育園へ子どもを迎えに行き、それから夕飯の準備のために、空腹の子どもを連れてスーパーへ行くのは、日々のことながら辛い。
「僕も小学生と年長児の父親ですし、子育て中のスタッフも多いです。これまで、保育園へ迎えに行った帰り、その場でお総菜が買えたら便利だなと考えることがよくありました。時間がなく疲れているからといって、毎回スーパーやコンビニでお弁当を買うのは子どもに対して罪悪感がありました。保育園の食事と同じように、地元農家さんが育てた旬の野菜を使って、丁寧に調理したおかずやお弁当が買えたら安心なのではと考えました」

見て触れて「食べることを楽しむ」ため、小さな子も離乳食から陶器の食器を使っている(写真提供/そらのまちほいくえん)
誰もが「罪悪感なく」買って帰ることができるお総菜を3階建てのビルの1階から3階に入居している「そらのまちほいくえん」は、1階に入り口が2つあり、向かって右側が保育園、左側が「そらのまち総菜店」になっている。
ショーケースに並ぶのは、園の給食で出しているおかずもあれば、店頭オリジナルの総菜もある。近郊の農家による旬の野菜を豊富に使い、季節を感じられるラインアップだ。「見た目も楽しくなるように」と調理法もアイデアを凝らしているという。園児の親子にとっては、「これおいしいよ」という共通の話題もできるし、入園前の幼児を持つ近隣の保護者にとっては、園の給食の試食感覚で購入することもできる。

保育園の1階スペースに、総菜のショーケースと地元野菜の販売コーナーがある(写真提供/そらのまちほいくえん)
総菜は「春巻き」や「菜の花の入ったオムレツ」など、300円~600円の価格帯が常時12種類ほど。ほかに、650円~850円の価格帯のお弁当を4~5種類そろえている。園児に人気のメニューを聞いてみると、「今なら季節野菜の白和えですね」とのことだ。
「コロナ禍の影響もあって、お弁当を買う人は増えています。お昼は商店街にあるお店で店番をしている人が買いに来られることが多いです。『同じ釜の飯を食う』と言いますが、街の人と園児が同じものを食べているということには意味があると思います。また、園児の保護者の中にも、日常的にリピートしてくださる方がいて、やはり『園の帰りに子どもを別の場所に連れていかなくていいのが助かる』と喜ばれますね」という。保育士やスタッフも子育て世代なので、仕事が終わると総菜や野菜を購入して帰っていくそうだ。
「鹿児島の郷土料理である『がね』も好評です。これはサツマイモやニンジンなどのパリッとしたかき揚げで、昔はどの家でもつくられていた家庭料理ですが、今はつくる人が減っているようです」と柳元さん。
若い世代へ、地元に伝わる味や旬の豊かさを伝える役割も果たしている。

彩りも鮮やかなお弁当。姉妹園のひより保育園の食育から生まれたレシピ本も出版している(写真提供/そらのまちほいくえん)

家族や地域の人も園児と同じおかずがたべられることで、地元に伝わる味や旬を知り、一体感が育まれる(写真提供/そらのまちほいくえん)
子育て世帯が行き来し、寂れかけた商店街に変化が天文館商店街はどう変わったのだろうか。
「そらのまちほくえんは、元は本屋だった空きビルを使っていますが、柳元さんたちがこの場所に保育園をつくることを検討しはじめたころは、ここの前の通りは人通りがありませんでした。路面に10以上の空き店舗があって目立つような、寂しい通りだったんです。でもそこに、約50人の園児がいる保育園が入ることにより、朝夕、50組の子育て世帯が通ることになります。0から、少なくとも50×2往復の人通りが生まれたわけです。すると、そこをターゲットにしたお店もできてきます。今はほとんどのテナントが埋まっている状態になりました」
「周辺のお店の方から『人通りが増えて街に活気が出てきた』と喜ばれたり、『飲み屋が多く夜のイメージが強かったが、保育園ができてからは明るい昼のイメージに変わった』と言われたりすることも。地域の方に、『街が子どもを育てるとよく言うが、ここは子どもが街を育てているね』と言われたのはうれしかったですね」

商店街での買い物の様子(写真提供/そらのまちほいくえん)

(写真提供/そらのまちほいくえん)

クッキングの食材を園児が「くださいな」(写真提供/そらのまちほいくえん)
街なかの保育園だから分かる「持たないことの豊かさ」「豊かさってなんだろう」。保育園をつくるにあたり、柳元さんたちスタッフは改めて考えたという。
「郊外型の保育園であれば、自然の豊かさを感じることができる。でもそれだけじゃなくて、街には街の豊かさがあるはずです。さまざまな世代や立場の人と日常的に関わり、交流できることが、街の保育園で得られる豊かさなんじゃないかと考えました」
八百屋に花屋、団子屋、美容室……。園児たちが商店街を散歩すると、いろいろな店の人たちとのふれ合いが生まれる。かわいらしい園児たちの姿を見に、店先へ出てくる人も多い。
3年目を迎え、0歳で入園した子も3歳に。「みなさん、子どもたちに『大きくなったね。もう歩けるの?』などと声を掛けてくれます。核家族が増えた時代に、家族や同年代の子だけに関わるのと、日常的に商店街のいろんな世代の人たちと話すのとでは、関わる人の幅が全く違います」
食育の一環で子どもたちが料理をするために、子どもたち自身が保育士と買い物へ行き、店の人と話して、使用する野菜を選んで買うこともある。
「選んだジャガイモをマッシュポテトにするかコロッケにするかなど、どうやって食べるかも子どもたちが決めます」と柳元さん。ちなみに、こちらの園児たちは包丁で根菜を切り、火や油を使って玉子焼きを巻き、唐揚げも揚げる(!)。園児は年齢を問わず参加し、手掴みができる子なら、1歳前後からプチトマトを洗ったり、しめじをほぐしたりして役割をこなす。

練習してうまく巻けるようになった玉子焼き。食育スタッフが吟味した調味料を使う(写真提供/そらのまちほいくえん)
商店街のビルの中にある「そらのまちほいくえん」には園庭がない。
「街なかでは子どもが遊ぶところがないのでは?と言われることがあります。でも、近くには公園がいくつもあるので、『今日は芝生がきれいな公園に行こうか、それともジャングルジムで遊べる公園にしようか』と、子どもたちが話し合って行き先を決めます」
1番大事なのは、子どもたちが生きていく力を身につけることだと柳元さんは強調する。
「子どもたち自身が『今日は走りたいから広い公園に行こう』などと自分で考えて、自分で行動することができています。園庭を持たないからこそ、目的に合わせて行き先を選ぶことができる。持たないことの豊かさもあるんじゃないでしょうか」
子どもたちは、近くにある水族館まで歩いて、イルカのトレーニングの様子を見るのも大好きだという。
「これらも、街なかにある保育園の特権ですね。郊外型保育園ではなくても、子どもたちが色々な経験をすることはできます」と柳元さん。

保育スタッフのほかに食育スタッフがクッキングに立ち会う(写真提供/そらのまちほいくえん)
地域交流が防犯や防災の役割も担う商店街での交流が、地域の防犯や防災の面でも機能していると感じるという。
「子どもたちは商店街のみなさんと顔なじみなので、連れ去りなどの犯罪も未然に防ぐことができると思います。その子の様子が何か違うということは、街の人が普段の様子を知っているからこそ分かるものですから。
以前、火災報知器が誤作動で鳴ってしまったことがあるのですが、近所の人たちがタオルを持って駆けつけてくれました。体格のいいお兄さんが、子どもたちを抱っこしてすぐに避難させてくれて……。何事もなくホッとしましたが、あの時は、街の皆さんに守られているなと感じました」
園でも、地域の備蓄品として常温で長期保存できる焼き芋をストックしているほか、非常時に給食室で炊き出しができるようにと考えている。
「たくさんの方にお力を借りているので、私たちも地域に貢献したいと思っています」

「食べ物を大切にする」「毎月、街のゴミ拾いをする」など普段の活動が評価され、2019年12月に第3回ジャパンSDGsアワード特別賞を受賞(写真提供/そらのまちほいくえん)
今後は、保育園と関わる人や店舗に地域全体で子どもが育つ場をつくっていることが可視化できるステッカーなどのツールを配布し、街との関わりを見える化することで、より関係性を深めていきたいという。
また、いずれは系列の小学校や中学校の設立も視野に入れているそう。「そらのまちほいくえん」と同じように、軸はもちろん、子どもが生きる力を育むことだ。
「学校設立となるとハードルはグッと上がりますが、注目していただいている以上、応えていきたい。さまざまな方の知恵やお力を借りながら、実現に向けて動いていきたいですね」というから楽しみだ。
保育園へ迎えに行き、給食と同じお総菜を買って帰ることができるなんて理想的!
筆者も保育園児の母を経験した。仕事帰りの疲れた体で迎えに行くと、我が子の園では「今日の給食」が展示されていて、「お昼においしそうな魚の竜田揚げを食べたなら、夕飯は簡単でも大丈夫」などと思ったもの……。
バタバタな日々の中、子どもの1日のうちの1食を保育園が担ってくれることで、どれだけ気持ちが救われたことか。総菜店がある「そらのまちほいくえん」なら、さらに親子で夕飯を素早く囲める幸せも付いてくる。
保育園に総菜店を併設する。小さくも思える日々の問題を解決することが、街を変えるほどの大きなパワーに繋がっていた。
●取材協力
所在地:目黒区東山
所在地:杉並区西荻南
所在地:座間市相武台
所在地:大田区東六郷
所在地:新宿区北新宿
所在地:江東区白河
所在地:武蔵野市中町
所在地:練馬区南大泉
所在地:神奈川県相模原市南区相模大野
所在地:渋谷区代々木
所在地:荒川区東尾久食料品や日用品をそろえるスーパーマーケットは、老若男女問わず人が行き交い、実は公共施設以上に公共的な存在です。そんなスーパーマーケットの軒先に「誰もが自然と居られるコミュニティスペース」をつくる取り組みが千葉県千葉市のスーパーマーケット、マックスバリュおゆみ野店ではじまりました。誕生までのエピソードと変わりはじめたスーパーマーケットと地域との関係について聞いてきました。
スーパーマーケットの広い軒先を人が居られる場に再生
「大型商業施設」「スーパーマーケット」の軒先と聞いて、思い浮かべるのは、店舗の外壁と使い終わった買い物カート置き場、自転車置き場のような空間ではないでしょうか。お世辞にもおしゃれとは言い難い空間ですし、滞在する、ましてやくつろぐ場所だとは思えない人がほとんどでしょう。
そんなスーパーマーケットの軒先空間にヒューマンスケールのパーゴラ(棚)を建て、その中にベンチやテーブル、カウンターや屋台、黒板や水場なども配置した「Cafe&Dine(カフェダイン)」というスペースが誕生しました。屋台ではコーヒーが販売されていますが、買い物に来た人も、通りがかった人も、誰もが自由にくつろげる場所です。

改装前(左)と改装後(右)。通りがかる人々が、フラッと腰をかけていき、スーパーマーケットの軒先にはいつも人の気配があります。以前の姿はもう想像できません(写真提供/グランドレベル)

軒先からのアングル。ガランとしていた空間が、誰もが気軽に立ち寄りたくなる場所に(写真提供/グランドレベル)

軒下の中央に新たに設置した黒板。子どもたちが落書きをしはじめると、スタッフとの会話が自然とはじまります(写真提供/マックスバリュ関東)

コーヒーを移動式の屋台で販売しています。黒板をしつらえた屋台の側面にも子どもたちが集まります(写真提供/マックスバリュ関東)
ビフォー・アフターの写真を見ただけでも、「これがスーパーマーケットの軒先……?」と驚くことでしょう。コーヒーもサービス価格で、利益を生み出す場所とは言いにくそうですが、なぜこのような場をつくることになったのでしょうか。このプロジェクトの責任者・マックスバリュ関東株式会社の黒田覚さんと、企画・デザイン監修を行った株式会社グランドレベル代表の田中元子さんに話を聞いてみました。
スーパーマーケットを買い物だけでなく、人々にとって価値ある場所に「今までのスーパーマーケットのイートインスペースは、店舗運営の内側からの発想でつくられてきたものでしたが、それでも優先順位が高いものではありませんでした。今回、店舗を大きく改装するにあたり、弊社ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(以下、U.S.M.H)は、『1階づくりはまちづくり』をモットーに人々のためのさまざまな居場所を手がける会社・グランドレベルの田中元子さんにアドバイスをいただくなかで、軒先に買い物目的の人だけではなく、まちに暮らす誰もが気軽に訪ねたくなる場所をつくるべきだという提案をいただきました。それがすべてのはじまりでした」と黒田さんが舞台裏を明かしてくれます。
近年、スーパーマーケットは価格競争が激化し、そのブランド、あるいは店舗ならではの魅力、価値が厳しく問われているようになってきているといいます。その新しい価値のひとつとして、地域に暮らす人々にとって、スーパーマーケットをもっと愛される、豊かな場所にできないか、その答えが、ただのイートインスペースではない、人々が自由に思い思いに過ごせる場所(コミュニティスペース)だったというわけです。

小さな子どもから、お年寄りまで、まちに暮らす誰もがさまざまに利用しています。スーパーで買ったご飯を食べる人もいれば、コーヒーで一息つく人、ただ座って休んでいるだけの人も(写真提供/グランドレベル)

広い軒先は、地域の人たちが自由に予約をして借りることもできます。この日は地元の人が教えるパンフラワー(粘土細工)教室が開催されていました(写真提供/マックスバリュ関東)

犬用のフックも設置して、犬の散歩の人も温かく迎え入れてくれます。犬の散歩で通りがかる人も増えているそうです(写真提供/グランドレベル)
改装後のオープンは2020年10月16日でしたが、すぐに自然と人々が利用しはじめ、狙い通り、軒先でくつろぐ姿が増えていったといいます。これは奈良県生駒市の「ごみ捨て」を切り口に地域のコミュニティを活性化させる「こみすて」(設計アドバイス:グランドレベル)でも感じたことですが、それまで殺風景だった場所もきちんとデザインの手が加えられれば、人が自然と集まりやすい場所を再生できる。そして、興味深いのは、そこにアクセスし、関わる人たちは、はじめは戸惑っていても、その表情はどんどん柔らかくなっていくということです。
スタッフが変わり、お店とお客さんとの関係も変わっていく「カフェダインの運営には、店舗のサービスカウンターで働いていた人たちに担当してもらうことになりました。周辺で暮らしている主婦が多く、学校や町会など地域の事情にも精通しているスタッフです。ただ、今までのマニュアルがあるサービスとはまったく異なりました。グランドレベルさんが提唱する『自由なくつろぎを提供する』といわれてもイメージがわかなかったようで、最初は戸惑いや不安もありました。その後、グランドレベルさんが運営する喫茶ランドリーに研修へうかがうことになりました」と黒田さん。
大手スーパーに限らず、多くのサービス業にはマニュアルがあり、それを憶えて実行することが良しとされてきました。しかし、「カフェダイン」が目指した市民の誰もが自由にくつろぐ場所は、それまでのような画一的なオペレーションではつくり出すことができません。

カフェダインを通じてスタッフのマインドにも変化が(写真提供/マックスバリュ関東)
「自然と知らない人同士が出会ったり、コミュニケーションを取りはじめる場を運営していくには、空間などのハードのデザイン、何をする場所か、何が許される場所かというソフトのデザインと同じくらい、どのように人と接するかというコミュニケーションのデザインが大切になります。そこを学んでいただくために、私たちはプロジェクトに関わる人には必ず、『喫茶ランドリー』でのスタッフとしての研修をお願いしています。喫茶ランドリーは、奥に洗濯機やミシンを備えた「まちの家事室」を備えたまちの喫茶店です。スタッフは、店員とお客さんという関係ではなく、“○○さん”という一人の人間として立ち、誰にも人間らしく自分らしく接しています。そうすることで、誰もが自由に過ごせる空気を生み出せます。オープンから数週間後、マックスバリュおゆみ野店を訪れると、黒田さんもサービスカウンターの皆さんも、確実に変わりはじめていることが分かりました。お客さんからのアイデアを柔軟に受け入れながら、また自分たちのアイデアも次々と実現させていて、想像以上に手ごたえを感じました」とグランドレベル田中さん。
黒田覚さん自身も、大きな変化や手ごたえを感じていました。
「先日、カフェダインに小さなお子さんを連れたお父さんがいらっしゃったんです。お子さんは店内を走り回っていたのですが、スタッフが声をかけて絵本の読み聞かせをしたところ、自然と立ち止まって、目を輝かせて聞いてくれて……。今までだったら『注意』して終わっていたと思います。それを、あえて本を読むという行動に変えただけで、私たちとお客さんとの関係が変わり、それが小さな出会いと思い出になりました。こういうことが積み重なっていけば、地域の中におけるスーパーマーケットの存在価値は、変わっていくなと思いました」と感慨深い様子です。
リニューアルオープンが、コロナ禍の2020年10月となりましたが、感染予防対策をしながらも、クリスマスや年越し、節分やバレンタインなど、さまざまなイベントが開催されていったそう。すべてスタッフの発案によるものだったそうです。

コロナ禍で、さまざまな制限があるなかでも、常に自分たちでその距離感を考えながら、さまざまなイベントを開催しています(写真提供/マックスバリュ関東)

スタッフやお客さんたちの好きなモノの写真であふれていた室内側の掲示板は、お正月には一新し、お客さんたちが書いた『私の一文字』でいっぱいに。この多様さが、また人を引きつけていったといいます(写真提供/マックスバリュ関東)
「カフェダインの半分は、半屋外の軒先にあるので、コロナ禍においては密室が避けられるので良いというお声もいただいています。公民館などの施設が閉まっていることが多いので、カフェダインの場所を借りたいというお声も多くいただいています。実際、フラワーアレンジメント教室や英会話教室など、さまざまにご利用いただくことも増えてきました」と黒田さん。
一方、新型コロナウイルスの流行によって在宅勤務が増えたことで、「自宅以外の、『気楽にいられる場所への需要』が高まっている」と田中さんは別の側面も指摘します。
「特に働き盛りの世代や独身の世帯は、自宅以外に地域の居場所を持っていない人が少なくありません。こうやってスーパーの軒先が、買い物目的でなくても立ち寄れる、まちに暮らす多様な人が居られる場所になれれば、孤独な人でも、何かの拍子に知らない人と顔見知りになったり、話しかけられる状況も生まれやすくなったりします。スーパーマーケットは公共的な存在だからこそ、そうやって小さなコミュニティを生み出せる場所になるべきだと思います」」と田中さん。
実際のところ、カフェダインのスタッフとお客さんとの間には、これまでにない新しい関係が生まれていて、「アレ、今日は●●さんは?」という会話もよく交わされているそう。新型コロナウイルスの流行で失われた、「約束もなく自然と人と会って、何気ないことを会話する」を埋める場所として、また、これからのスーパーマーケットのあり方として、カフェダインは大きな存在価値を発揮するに違いありません。
●取材協力
所在地:千葉県松戸市常盤平
所在地:港区高輪
所在地:渋谷区広尾
所在地:大田区山王
所在地:杉並区西荻南1-9-7関西屈指の主要駅と言えば梅田駅。3月17日に発表された「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」で総合2位になった駅でもある。「梅田駅」自体は大阪メトロ御堂筋線1本しか通っていないが、ほぼ同じ場所にJRの一大ターミナルである大阪駅、阪急電鉄、阪神電鉄の大阪梅田駅、大阪メトロの谷町線・東梅田駅と四つ橋線・西梅田駅、さらにはJR東西線の北新地駅が密集しており、さまざまな方面へアクセスしやすいロケーションだ。そんな梅田駅周辺は多彩な商業施設がそろう繁華街でもあり、暮らすには便利だけど物件価格が高い点は気になる。そこで梅田駅から30分圏内にある、中古マンションの価格相場が安い駅を調査した。さっそくトップ10を見ていこう。●梅田駅まで30分以内の価格相場が安い駅TOP10
順位 駅名 価格(主な沿線/駅の所在地/所要時間/乗り換え回数)
【シングル向け】
1位 西大橋 1580万円(大阪メトロ長堀鶴見緑地線/大阪市西区/11分/1回)
2位 天王寺 1585万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪市阿倍野区/16分/0回)
3位 南方 1590万円(阪急京都本線/大阪市淀川区/10分/0回)
4位 西中島南方 1600万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪市淀川区/4分/0回)
5位 谷町四丁目 1687.5万円(大阪メトロ谷町線/大阪市中央区/12分/0回)
6位 阿波座 1690万円(大阪メトロ中央線/大阪市西区/11分/1回)
7位 摂津本山 1740万円(JR東海道本線/兵庫県神戸市東灘区/26分/1回)
8位 大阪上本町 1780万円(近鉄奈良線/大阪市天王寺区/17分/1回)
8位 谷町九丁目 1780万円(大阪メトロ千日前線/大阪市天王寺区/15分/1回)
8位 天満橋 1780万円(大阪メトロ谷町線/大阪市中央区/10分/0回)
【カップル・ファミリー向け】
1位 出来島 1580万円(阪神なんば線/大阪市西淀川区/20分/1回)
1位 千船 1580万円(阪神本線/大阪市西淀川区/13分/0回)
3位 伝法 1680万円(阪神なんば線/大阪市此花区/21分/1回)
4位 住道 1739万円(JR片町線/大阪府大東市/25分/1回)
5位 尼崎センタープール前 1750万円(阪神本線/兵庫県尼崎市/21分/1回)
6位 河内小阪 1780万円(近鉄奈良線/大阪府東大阪市/27分/1回)
7位 福 1824万円(阪神なんば線/大阪市西淀川区/22分/1回)
8位 住之江公園 1834万円(大阪メトロ四つ橋線/大阪市住之江区/23分/1回)
9位 大和田 1839万円(京阪本線/大阪府門真市/27分/2回)
10位 千鳥橋 1880万円(阪神なんば線/大阪市此花区/19分/1回)
今回は梅田駅から30分圏内にある、「シングル向け(専有面積20平米以上~50平米未満)」と「カップル・ファミリー向け(専有面積50平米以上~80平米未満)」の中古マンションの価格相場が安い駅を調査した。梅田駅のすぐ近くには他路線の駅も複数あると先ほど述べたが、「梅田駅からまず徒歩で大阪駅や東梅田駅に行き、そこから列車に乗車(して30分圏内にある駅)」といった経路も今回の「梅田駅から30分圏内」という判定に含まれている。
そうして調査した結果、まずは「シングル向け」のトップ10からチェックしていこう。最も安かった駅は、梅田駅から約11分の大阪メトロ長堀鶴見緑地線・西大橋駅。「キタ」と呼ばれる繁華街の中心地である梅田まではタクシーでも15分弱、「ミナミ」と呼ばれる道頓堀や心斎橋、難波も歩いて20分圏内、という好立地に位置している。繁華街の近くながら西大橋駅周辺はゴミゴミとはしておらず、街路樹が彩る大通りを外れて裏道に入ると静かな住宅街。駅に近い北堀江エリアはしゃれたカフェや雑貨店が多いとの評判もある。日々の暮らしに欠かせないスーパーやコンビニも点在しており、快適に暮らせそうな街と言える。

西大橋駅近くの風景(写真/PIXTA)
2位は大阪メトロ御堂筋線・天王寺駅。梅田駅からは乗り換え不要、約16分で到着する。地下鉄のほかにJR各線も通っており、阪堺電気軌道上町線・天王寺駅前停留所と近鉄南大阪線・大阪阿部野橋駅もほぼ同じ場所にあるため多数の路線が利用できる。駅ビル「天王寺ミオ」をはじめ駅周辺には大型商業施設が建ち並んでおり、高さ日本一のビル「あべのハルカス」があるのもここ。キタ、ミナミに次ぐ大阪市内屈指の繁華街とも言える天王寺エリアが、2位というのは驚きだ。ただ、天王寺駅の北西部は大阪市立美術館や天王寺動物園を有する「天王寺公園」が大きな面積を占めており、商業施設も多いために駅周辺の中古マンションの物件数はあまり豊富ではなさそう。気に入る物件を見つけたら、早めに確保したほうがいいかもしれない。

天王寺公園とあべのハルカス(写真/PIXTA)
3位は阪急京都本線・南方駅で、すぐそばに4位の大阪メトロ御堂筋線・西中島南方駅がある。南方駅から阪急京都線で大阪梅田駅にでて梅田駅に行くのも、南方駅から西中島南方駅に歩いて向かい、そこから大阪メトロ御堂筋線に乗り梅田駅に行くのもどちらも乗り換え0回だが、ランキング表ではシミュレーション上での時間が短い前者の所要時間で記載している。さて、南方駅や西中島南方駅の周辺の様子に目を向けると、駅の南側に淀川が流れており、橋を越えると梅田エリア。淀川の河川敷は「淀川河川公園」として整備されており、駅近くの一角には春から秋に利用できるBBQ広場も。例年の夏に河川敷で開催される「なにわ淀川花火大会」も楽しみだ。コンビニなどの商店は駅の北側のほうが多い。10分ほど歩くと、目玉商品の「1円」特売があるなど激安スーパーとして知られる「スーパー玉出」の淀川店にたどり着く。このエリアに住んだ際には、お世話になることだろう。
さて今回の調査の基点にした梅田駅の「シングル向け」中古マンションは、残念ながらSUUMO掲載物件数が調査条件(掲載11件以上)に満たなかったため価格相場を算出できていない。しかしほぼ同じ立地にある「大阪梅田駅」の価格相場は2780万円だったため、梅田駅もそれとさほど違いはないと思われる。
一方でトップ10にランクインした駅の価格相場は1位が1580万円で、最高値の駅(同額8位)でも1780万円となっており、大阪梅田駅と比べて1000万円以上も低い。また、トップ10の梅田駅までの所要時間は、7位のJR東海道本線・摂津本山駅は約26分かかるものの、それ以外の駅は15分前後。「シングル向け」の物件なら梅田駅からそれほど離れずとも、梅田駅よりも大幅に安い物件を見つけやすいことがランキング結果から判明した。
「カップル・ファミリー向け」は梅田駅の西方、淀川周辺が狙い目「カップル・ファミリー向け」ランキングの1位は、阪神なんば線・出来島駅。大阪市の北西部に位置し、駅北側を流れる神崎川(中島川)を越えると兵庫県尼崎市へ。駅南側には淀川が流れており、南北を流れる川は駅の西側で合流して大阪湾へと注がれる。大阪湾に面した駅西側の一帯には工業地帯や小学校、公園などがあり、住宅は駅の東側のほうが多い。大型マンションよりもどちらかというと一戸建て住宅や小規模な集合住宅が目立つ昔ながらの住宅地で、駅周辺には複数のスーパーが点在している。1駅隣にある7位の福駅は歩いても15分ほどで、福駅前にあるユニクロや総合病院も生活圏内と言えるだろう。また、出来島駅の南方にある「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」まで車なら約15分。年間パスを買って、家族で通いつめるのも楽しそう。

出来島駅(写真/PIXTA)
出来島駅と同額1位の阪神本線・千船(ちふね)駅は、出来島駅と直線距離で1kmほどしか離れていない。出来島駅の北に浮かぶ、神崎川と左門殿川に囲まれた中洲にある駅だ。この中洲一帯は古くから「佃」という地名で呼ばれており、江戸時代にこの地から移住した人々によって開かれたのが東京都中央区の佃島なのだとか。そんな歴史ある千船駅周辺エリアの現在はというと、左右2.5kmほどの中洲内に交番や郵便局あり、小学校2つと中学校1つ、保育園もあり……とさまざまな施設がそろっている。100円ショップや複数のコンビニも点在しているが、スーパーは川を越えていく必要がある。とはいえ駅から歩いて10分ほどなので、利用しやすいだろう。
3位は阪神なんば線・伝法駅。この駅を含めて阪神なんば線沿線から4駅がトップ10にランクインしており、出来島駅(1位)~福駅(7位)~伝法駅(3位)~千鳥橋駅(10位)、という順に連続している。1位の出来島駅と7位の福駅の南側を流れる淀川を越えると、3位の伝法駅という位置関係だ。伝法駅の周辺には小中学校や幼稚園が点在し、子ども用品店「西松屋」もテナントに入った「イオン 高見店」など複数のスーパーやショッピングセンターも。子どもがいるファミリー層も暮らしやすそうな街並みだ。駅から5分ほど歩くと、645年の創建と伝わる「西念寺」がたたずんでいる。門前には「大阪道 右てんま 左あまがさき」と記された石柱の道しるべがあり、かつてここを通っていた尼崎方面と大阪を結ぶ重要な街道、尼崎街道の面影をしのばせている。
さて専有面積20平米以上~50平米未満の中古マンションを対象にした「シングル向け」トップ10の駅は大半が梅田駅から15分前後の立地だったが、専有面積50平米以上~80平米未満の中古マンションを対象にした「カップル・ファミリー向け」のトップ10はどうだろう。梅田駅から約13分の千船駅以外は、20分以上かかる駅が多かった。専有面積50平米以上の物件の場合は、シングル向け物件を探すエリアよりも梅田駅から離れたほうが安い物件が見つけやすいようだ。
また、出来島駅(1位)~福駅(7位)~伝法駅(3位)~千鳥橋駅(10位)が連続する駅であり、さらに千船駅(同額1位)は出来島駅と近い立地のため、トップ10のうち5駅は密接したエリアにあることになる。梅田駅に近くて安い「カップル・ファミリー向け」の中古マンションを探す際はこの5駅が位置する、梅田駅西方の淀川近くのエリアに注目するといいだろう。
ちなみに梅田駅周辺の「カップル・ファミリー向け」中古マンションの価格相場は5135万円。10位の駅と比べても2.7倍以上も価格相場が高い。「カップル・ファミリー向け」トップ10は「シングル向け」よりは梅田駅から離れた駅が多いとはいえ、いずれも30分圏内。これほど価格相場が下がるなら、トップ10の駅周辺に住むという選択肢はアリだろう。
関東住みからするとうらやましい!? 梅田の近隣は意外と安く住める中古マンションの価格相場を紹介する当連載は東京都内の駅を基点にすることが多いが、今回は大阪屈指の繁華街・梅田駅を基点に調査した。すると都内と比べ、基点とした主要駅から30分圏内の価格相場が意外と安い印象を受けた。そこで過去の記事を見返したところ、「新宿駅まで30分圏内」の中古マンション価格相場ランキング(2020年7月~9月調査)は「シングル向け」が1位・2080万円~10位・2399万円、「カップル・ファミリー向け」が1位・2485万円~10位・2880万円。「渋谷駅まで30分圏内」の同ランキング(2020年4月~6月調査)だと「シングル向け」が1位・1990万円~10位・2499万円、「カップル・ファミリー向け」が1位・2380万円~10位・3490万円だった。
価格相場を算出した調査時期が異なるため一概には比較できないとはいえ、都内の新宿や渋谷から30分圏内で探すよりも、やはり梅田駅から30分圏内のほうが広さは同じ物件でも価格相場が安い様子。また、基点にした駅の価格相場を比べてみると、「シングル向け」物件は今回調査の大阪梅田駅が2780万円で、過去に調査した新宿駅が3980万円、渋谷駅が4590万円。同様に「カップル・ファミリー向け」物件は梅田駅が5235万円で、新宿駅が6580万円、渋谷駅に至っては8490万円! 「大阪は便利な都市部であっても、東京よりもだいぶ安く住めるらしい」というウワサは関東民の間でも語られ、うらやまれてきたことではある。今回の調査は、それは単なるウワサではなく本当のことなのだと証明していると言えるだろう。
●調査概要
所在地:埼玉県草加市新里町
所在地:杉並区方南東日本大震災から10年。2021年2月にも大きな余震があり、巨大地震への不安をぬぐえないでいる。そんななか、木耐協が耐震診断結果の調査データを公表した。建築基準法の耐震基準が大きく変わると、耐震診断の結果も連動して変わる結果となっている。そこで、建築基準法と耐震診断の耐震性について掘り下げたいと思う。【今週の住活トピック】
「木耐協 調査データ(2021年3月発表)」を公表/日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)耐震診断をした木造一戸建ての9割が現行の耐震基準を満たしていない
木耐協の耐震診断の調査は、1950年~2000年5月までに着工された「木造一戸建て(在来工法・2階建て以下)」が対象となる。今回の調査データは、2006年4月~2021年2月に行われた耐震診断の結果に基づいている。
木耐協が耐震診断結果を把握している2万7929棟で見ると、現行の耐震基準を満たしているのはわずか8.5%。残りの91.5%は耐震基準を満たしていない(大地震で倒壊する可能性がある/倒壊する可能性が高い)。住宅が倒壊してしまうと、そこに暮らす人々の命を守れないことになる。
なお、調査対象の一戸建ての平均築年数は37.15年とかなり古い。耐震補強工事をする場合は、おおよそ150万円かかるという。
建築基準法の耐震基準と耐震診断の診断基準の考え方は?ここで、建築基準法の耐震基準と耐震診断の判定方法について、整理しておこう。
まず、建築基準法は、生命や財産、健康を守るために建築物について最低の基準を定めた法律だ。地震から身を守るための基準も含まれている。耐震基準については、「1981年6月」に大幅に改訂され、それより前を「旧耐震基準」、それ以降を「新耐震基準」と呼んでいる。
木造一戸建ての耐震基準は、さらに「2000年6月」にも大きな改訂があった。つまり、2000年6月以降に建築確認申請を受け付け、着工された木造一戸建てが、現行の耐震基準で建てられた住宅とみなされる。木耐協の耐震診断の調査は、1950年~2000年5月までに着工された住宅なので、旧耐震基準の住宅と、現行より劣る新耐震基準の住宅(木耐協では「81-00木造住宅」と呼んでいる)が対象ということになる。

(作成/SUUMO編集部)
建築基準法と耐震診断の考え方の違いについて、木耐協のリリースで詳しく説明されているので、それを紹介しよう。
まず、建築基準法では、耐震計算する際に想定する地震を次の2段階に分けている。
・大地震:建物が建っている間に遭遇するかどうかという極めてまれな地震(数百年に一度起こる震度6強クラスの地震)
・中地震:建物が建っている間に何度か遭遇する可能性のある地震(震度5強程度)
つまり、「大地震時には人命を守ること」、「中地震の場合には建物という財産を守ること」を目標とするのが、建築基準法の考え方だ。
これに対して、耐震診断では人命を守ることに重点を置き、「大地震時に倒壊しない」ための耐震性確保を目標としている。したがって、耐震診断では大地震への対応という1段階のみで考えている。
木耐協の「耐震性の評価方法」は、(一社)日本建築防災協会の一般診断法に基づいて行った耐震診断で、診断結果(評点)により次の4段階で判定している。(1)と(2)が現行の耐震性を満たしている住宅となる。
(1)倒壊しない
(2)一応倒壊しない
(3)倒壊する可能性がある
(4)倒壊する可能性が高い
さて、さきほどの耐震診断の結果を再度見てみよう。「旧耐震基準住宅」と「81-00木造住宅」に分けて見たところ、現行の耐震基準を満たすとみなされる住宅((1)と(2)の合計)は、旧耐震基準住宅では2.7%しかないが、81-00木造住宅では増加して14.1%になるものの、85.9%には倒壊のリスクがある。

※築年が1950~1980年を旧耐震住宅、1981~2000年5月を81-00木造住宅に分類
つまり、1981年6月以降に着工した新耐震基準の木造一戸建てであっても、2000年5月までに着工したものの大半が倒壊するリスクがある、という結果だ。
政府は、地震による住宅の倒壊を防ぐために、旧耐震基準の木造一戸建ての耐震化に力を入れている。そのため、ほとんどの自治体で、耐震診断の診断員を派遣したり、耐震診断や耐震改修設計、耐震改修工事の費用の一部を助成したりする制度を用意している。特に巨大地震の可能性が高いとされる地域の自治体ほど、助成制度の内容を手厚くする傾向が見られる。
原則として、旧耐震基準住宅の現行基準への耐震化が助成の対象となるが、中には81-00木造住宅の場合でも費用を助成する自治体もある。また、「現行の耐震基準まで補強する」という改修工事の条件だと、改修工事費用の自己負担額が払えないからと工事そのものを断念する人もいるため、より低い耐震工事のレベルでも助成する自治体も一部にはある。
とはいえ、木耐協の調査データによると、81-00木造住宅でも倒壊リスクが高いため、補助金等の助成の有無にかかわらず、自宅をリフォームする際や中古一戸建てを購入する際には、ぜひ耐震診断を受けてほしい。
予算に応じた補強工事を検討して、リスクを軽減しよう木耐協は、「予算内で可能な『減災設計』も視野に」入れることも勧めている。住宅の築年数が長くなるほど、住む人の高齢化も進むため、長期のローンを組んだりすることもできず、耐震改修工事の費用負担が大きな問題となる。であれば、予算に応じた範囲でも耐震補強をしたほうがよいというわけだ。
もちろん、耐震診断の「(1)倒壊しない」に引き上げるまで補強工事をするのが理想だが、諦めて何もしないよりは、捻出できる費用でできるだけ補強することのほうがリスク軽減になる。
例えば、耐震補強で効果が大きい工事はいくつかある。
・構造上の柱などの接合部に金物を取り付ける
・耐力壁を追加したり、筋交いなどを補強したりする
・腐朽や蟻害で弱くなった柱や土台を強化する
・土瓦の屋根を軽量なものにふき替える
すべて実施するだけの費用を負担できないとしても、建築士と相談して最も効果の高い工事を選んで実施するということも、視野に入れるとよいだろう。
また、中古一戸建てを買う場合は、耐震改修工事は住み始めてから工事することが大変になる(壁を剥がす工事が多く仮住まいが必要になるなど)ので、住む前に実施しておくのが効率的だ。まず耐震診断を受けて、これから住む住宅の耐震性を把握することがきわめて大切だ。
住宅はそこに住む人の命や財産を守る箱でもある。自治体の助成制度や耐震リフォーム減税・グリーン住宅ポイント制度などの優遇制度を利用したり、高齢者であればリバースモーゲージを利用したりと、費用負担を軽減する方法もある。東日本大震災後10年の節目に、地震に対してどう備えるのか、長い目でよく考えてほしい。
所在地:中央区日本橋蛎殻町
所在地:中央区日本橋蛎殻町
所在地:渋谷区神宮前
所在地:渋谷区神宮前
所在地:墨田区錦糸
所在地:墨田区錦糸
所在地:墨田区錦糸
所在地:墨田区錦糸
所在地:中央区日本橋横山町
所在地:中央区日本橋横山町
所在地:港区西新橋
所在地:新宿区天神町
所在地:港区南青山
所在地:新宿区東五軒町総武線西千葉駅から徒歩10分、一戸建て中心の住宅街のこぢんまりとした3階建てビル1階にある「西千葉工作室」。ここは、ものづくりのためのスペースと道具をシェアする場所で、西千葉を拠点に地域活性を行う企業が6年前から運営しているもの。 “ものづくり×地域活性”について、店長の高橋鈴佳さんにお話を伺った。
モノづくりの必要な場所と道具をシェアする「まちの工作室」
西千葉工作室のコンセプトは、「生活に根ざすものづくり」にチャレンジする、まちの工作室。例えば、「壊れてしまったから直そう」「今あるものを自分好みにつくりかえてみよう」「こんなものがほしいからつくろう」という生活に根差したニーズに合わせて、スペースを提供、工具類の貸し出しもしている。必要とあらば、専門知識のあるスタッフのアドバイスを受けることもできる。

料金は2時間までは500円(大人会員)、1カ月フリーパスは5000円だ。レーザー加工機、3Dプリンターなどの専門機材も10分単位で利用可能(有料)(写真提供/西千葉工作室)
基本的にはスペースを貸し出し、各自個人で作業をするが、ワークショップなどのイベントも行う。夏には子どもの自由研究向けの相談室を開催、2・3月には入園グッズを作成するママたちの姿が多い。自分でデザインしたものを3Dプリンターを使って形にする人もいる。

イベント「家電をなおす会」でスタッフに聞きながらオイルヒーターを直すお客さん(写真提供/西千葉工作室)

外部の専門家を招いて、手持ちの服を持参しての藍染めイベントも(写真提供/西千葉工作室)
ごはんをつくるようにものをつくり、直す。あたり前の人の営みに気づく場所にしかし、ものづくりが最終目的ではない、と高橋さん。
「例えば、私たちスタッフが代行してものづくりや修理をすることはありません。いわゆる先生が生徒に教える教室でもありませんし、最終的にクリエイターを育成したいと思っているわけでもないんです」
そもそも、この西千葉工作室ができたのも、運営会社であるマイキーの”自分の暮らしを自分で創る”という企業理念の延長線上にあるもの。

(写真提供/西千葉工作室)
「今は多くのモノが溢れているので、何か手に入れたいものがあると、ついつい“買う”という選択肢に偏りがちですが、場合によっては、『今あるものを“なおす”方が自分の暮らしにフィットするかもしれない』『値段も形も理想ぴったりのものがないものを妥協して買うのではなく、“つくる”ことで、より理想に近い暮らしが手に入るかもしれない』。そういう発想とスキルが得られる場を提供しようと思っています」
例えば、園準備のため子どもの名前判子を手づくりしたママ、木製のおもちゃをつくる親子、木材に加工して看板をつくった八百屋さんetc.この工作室がなかったら、自分でつくるではなく、“買う”を選択しただろう人達だ。「もちろんものづくりが趣味という方もいらっしゃいますが、ここではじめてつくってみたら、案外つくれるんだと気付いて、必要になったら足を運んでくださる方も多いんです」
結婚を機に近所に引越してきた20代のIさん夫妻は、工作室で相談しながら、自作のクローゼットを完成。その後、何度か足を運ぶように。「粉塵が出るやすりがけは工作室、塗装は家のベランダでなど、工作室と家での作業を使い分けて効率的に使っています」(Iさん)。

木材パネルとパイプを組み合わせてAさん夫妻がDIYしたクローゼット。「ほかにもトイレットペーパー収納もつくりました。今後は暮らしの中で必要な小物をつくってみたいと思っています」(Iさん)(写真提供/西千葉工作室)

卓球の配球マシーン。中学校に入学して卓球部に入った男の子が、レギュラー選手になることを目指して、自宅で練習するためにつくった(写真提供/西千葉工作室)
最初は試行錯誤。今は幅広い属性を持つスタッフと利用者にただ、最初からうまくいっていたとは言えなかったという高橋さん。2013年のオープン当初は、ちょうど若者向け、クリエイター向けのスペースのムーブメントが起きていて、同様の場所と思われていたという。
「店内にかけるBGMを誰もが違和感を持たないラジオにする、フラットな接客にする、内輪の感じを出さないなど、細かな軌道修正をしました。また、スタッフも幅広い世代に。すごくスキルのある60代のエンジニアの方、建築やデザインを専攻する大学生、パタンナーだった主婦の方、フリーランスのデザイナー、独学で洋裁を習得した会社員の方、家具デザインの専門知識がある土日だけの会社員の方など、さまざまな得意分野を持つスタッフがいます」
そうした軌道修正や、スタッフの充実度に伴い、今、利用者は小学生から90代までと幅広い。
「ちょっとだけ使う人も利用しやすいよう、機材は10分単位で100円、300円の価格設定に。たくさん使う人からすればコスパが悪いかもしれませんが、うちには少しだけ使う人が多いので、10分単位の価格設定がちょうどいいんです。置いてある機材も当初はデジタル系が中心でしたが、ミシンを増やすなどアナログなものも増えてきました」

ミシンが得意なスタッフに質問をすることもできる。マンツーマンでのアドバイスや専門知識がかなり必要なサポートは事前予約制(有料)(写真提供/西千葉工作室)
地域活性=コミュニティではない。大切なのは一人ひとりの暮らしの豊かさでは、ものづくりの拠点ができることで、どのように地域が活性化するのだろうか。
ココで地域とのつながりができ、コミュニティができるということだろうか、という質問に、高橋さんは「実はそれが目的ではないんです」と回答。
「もちろん、何度も通ううちに、顔見知りにはなりますが、内輪のコミュニティができることで、もしかしたら他の誰かを排除しているかもしれない。なるべく特定のコミュニティがベースにならないような場をつくりたいなと思っています。地域活性とひとことで言っても目的はさまざま。人が集まってにぎわいを生み出すのもひとつですが、もともと西千葉は郊外のベッドタウンで人は多い。私たちは、この工作室があることで、一人ひとりの暮らしを豊かに、楽しくなれば、その集合体である”街”も豊かに、楽しくなり、街のカルチャーが形づくられるはず。それが、私たちの目指す地域活性だと思っています」
例えば、主婦業の傍ら、趣味を活かして、地域のイベントに焼き菓子屋として不定期に出店していたKさん。せっかくなら、お店の看板をつくろうと、工作室で自作。その後、オリジナルのクッキー型、子どもの自由研究工作、オリジナルTシャツと、次々と自分で手掛けるように。

Kさんが手掛けたクッキー型は3Dプリンターで制作(写真提供/Kさん・西千葉工作室)

オリジナルの木の看板も、自分で手掛ければ、リーズナブルに(写真提供/Kさん)
「こんなものがつくりたいと頭の中で想像だけして終わっていたものを自分の手で創作できるようになり、オリジナルを形にする楽しみが増えました。またつくるだけではなく、壊れてしまったものを直すこともできるので、諦めて捨ててしまっていたものを再生できることも、新しい発見です」(Kさん)
コミュニティが目的ではないとはいえ、この場でしかありえないつながりも生まれている。例えばお互い名前を知らなくても、利用者同士でちょっと教えあったりして、手を差し伸べたりしているそうだ。なかには素敵なエピソードも。
「プログラミングなどのデジタル知識が豊富な小学生の男の子がいまして。多分、彼は同い年の友達とでは、そうした部分を持て余しているんですよね。工作室でベテランのエンジニアのスタッフからサポートを受けたことで、彼の頭の中にあった点と点の知識が一気につながったようで、とても楽しそうでした。そこは、年齢差を超え、共通の言葉を持つ者同士のフラットな関係性が、とても素敵で……。なんだか胸が熱くなりました」

毎年、自分で電話をかけてきて自由研究の相談に来る男の子。共通の趣味を持ち、共通の言語があることで、年齢も性別など属性を超え、共感を得られる場であることも喜び(写真提供/西千葉工作室)
今後は比較的利用の少ない高校生向けにオンラインでの「進路相談会」をする企画も進行中だ。「ものづくりを仕事にする面白さを伝えたり、普段はなかなか出会えない、社会に生きる親や先生以外の等身大の大人と接点を持つきっかけの場になったらと考えています」
コロナ禍のため席数を減らしたため事前予約制にしたところ、新規の利用者が増えたそう。「ああ、決してここは不要不急の場ではなかったんだ、こうしたモノづくりの場所をみんな求めているんだなと実感しました」
例えば、図書館のように、誰もが自由に気軽に訪れることができ、知的好奇心を、想像力と創造力を、生きる術を手に入れる場所として、街の至るところにあるような存在に「工作室」がなったら素敵だ。――西千葉工作室がそのモデルケースになるかもしれない。
所在地:世田谷区上馬
所在地:板橋区双葉町
所在地:新宿区左門町新型コロナウイルスの影響で移動が制限されるようになり、早1年が経過しようとしています。一方、マンションの入居者向けに次世代モビリティサービス「MaaS(マース)」事業や、マンションの敷地や多種多様なスペースにさまざまな移動商業店舗がやってくるサービスなど、「移動」をカギにした暮らしをより豊かにする取り組みもスタートしようとしています。今回は、2021度中にこれらのサービスの本導入を予定している三井不動産に話を聞きました。
お出掛けを楽しく便利にする「MaaS(マース)」、近所にお店が来る「移動商業店舗」
「駅徒歩●分」などと言われるように、不動産と移動は密接な関係にあります。ところが、テクノロジーが発達したことで「働く」「学ぶ」「買い物」も自宅でできるようになりつつあり、「移動」そのものの考え方が大きく変わりそうです。 そんななか、“不動産デベロッパー”である三井不動産が、今、モビリティ構想を掲げています。不動産事業はいわば、出発地となる「住まい」や目的地となる「オフィスビル」「商業施設」などの開発が主な領域のはず。なぜ、モビリティ構想を掲げるのでしょうか。
「弊社は不動産会社ですが、時代が大きく変化、変貌している昨今、不動産という『箱』を提供しているだけでは、競争力を維持できないのではという危機感があります。マンションと商業施設、あるいは勤務先を結ぶ『移動』の新サービスを提供することによって、住む人や働く人に新たな価値を提供できればと思っています」と話すのは三井不動産 ビジネスイノベーション推進部の門川正徳さん。
「弊社のモビリティ構想は街と人、サービスをつなぐものです。お出かけ、つまり“行く”の『MaaS』サービス、お店が自宅近くに“来る”の『移動商業店舗』は、いわば“行く”と“来る“のセット、分かりやすく2本柱といってもよい存在です」とビジネスイノベーション推進部の後藤遼一さんも続けます。
なるほど、不動産まわりの“行く”と“来る“を楽しくするということですね。
20年9月から、柏の葉をはじめ日本橋、豊洲でMaaSの実証実験を実施。手応えは?まず、“行く”の「MaaS」について解説してもらいましょう。
「MaaSは移動のために必要な検索、予約、決済をひとつのアプリケーションで完結する仕組みです。移動の利便性が格段にあがり、ライフスタイルに大きな変革をもたらすと言われています。今回、私どもの実証実験では、月額定額制(サブスクリプション)サービスで、カーシェアリングやシェアサイクル、バスなどを自由に組み合わせて簡単に利用できるようにしました。マンションから身近な目的地へのお出かけが手軽に、かつ楽しくなることを狙っています」門川さん。

三井不動産が始めたMaaSの実証実験のサービス概要。カーシェアリング、シェアサイクル、バス等の検索・予約・決済がまとめてできるというもの(図版提供/三井不動産)
MaaSによって、移動手段の検索、予約、決済ができ、なおかつサブスクだとしたら相当、便利&おトクですね。今回の実証実験では、カーシェアリングだけでなく、シェアサイクルやバス、タクシーと移動手段が多岐に渡っているため、時間や目的、気分にあわせて、サクサク選べるようになっているといいます。個人的には、子どもや高齢者などを連れての移動って、検索と下調べ、決済の一つひとつが大変なんですよね……。こうしたアプリが普及すれば、移動のストレスが軽減され、お出かけを楽しむ余裕もできそうです。
このMaaS、アプリの開発は数年前から行い、2020年9月から千葉県の柏の葉キャンパス、東京の日本橋、豊洲で実証実験を実施しています。新型コロナウイルスの影響下ではありますが、現在のところ、ポジティブな声が集まっているとか。

(写真提供/三井不動産)
「日本橋は都心、豊洲は準都心、柏の葉キャンパスは都市近郊と、それぞれ利用者層が異なるのですが、概ね好評をいただいています。一番うれしいのは『下車したことのないバス停で降りて発見があった』『気軽に移動できるようになった』という声でしょうか」と門川さん。
エリアによって利用状況は異なるそうですが、日本橋や豊洲エリアではタクシーを利用する人が多かった一方で、柏の葉キャンパスではカーシェアリングの利用頻度が高く、「自分の車のように使える」と好評だったとか。確かに、移動で公共交通機関を利用するのは感染症対策を考えると少しナーバスになるもの。タクシーにしてもカーシェアリングにしても、気楽に利用できるのであれば「使ってみたい」という需要にマッチしているのでしょう。課題はあるのでしょうか。

マンションに住民専用のカーシェアリングやシェアサイクルを導入。稼働率が高く好評だったそう(写真提供/三井不動産)
「MaaSという言葉や仕組みがまだまだ知られていないので、知ってもらい、利用してもらって次につなげることが課題だと思っています。また今回の実証実験で得られた知見を活かして、他のエリアでどう展開するかは、今後の取り組みになりますね」と率直に教えてくれました。
リアルなお店があなたの近くに「来る」!移動商業店舗の実験とはMaaSが住まいから移動するための“行く”試みであれば、住まいの近くに“来る”試みといえるのが、もうひとつのモビリティ構想の取り組みである「移動商業店舗」です。

移動商業店舗のプロジェクト概要。みなさんが生活する近く(住宅・ビル・公園等)に新しい店舗やサービスが来たら、楽しくなりますよね(図版提供/三井不動産)

移動商業店舗は購入率も高く、「また出店したいです!」と事業者、利用者ともに好意的な反応が多かったとか(写真提供/三井不動産)
12月に、掲載した記事、マンション×キッチンカーでは飲食を中心としたフードトラックがマンションに行くという試みをご紹介しましたが、この「移動商業店舗」は飲食に限らず、物販やサービスなどの全ての店舗を車両に乗せて、人々の身近な生活圏内に“来る”というものなのです。ちなみに展開するエリアは三井不動産が手がける施設や敷地内に留まらず、社外も含めた多種多様なスペースも活用し出店場所を広げていく予定。なぜまた、“来る”だったのでしょうか。
「社会の変化するスピードが早くなったことで周辺のニーズと提供コンテンツにギャップが生まれたり、人々の価値観も多様化しています。、さらに、利用者って時間帯や曜日によって、異なる買い物やサービスのニーズを抱いているはずなんです。だからこそお客さんのところに、週替りや日替わり、時間帯ごとに必要なリアル店舗が“来る”ようにすれば不動産では提供しきれなかった幅広く変化するコンテンツを提供できるのではないかと思ったのがはじまりです。これまで不動産会社は動かない床を貸してきましたが、今回は動く床を貸します。つまり『移動産』と言っています」(ビジネスイノベーション推進部の後藤遼一さん)
「不動産」ならぬ「移動産」! 確かに利用者から見れば、利用したい店は時間によって異なりますし、お店が「近くに来てくれるのであれば行きたいな」という店舗は多いもの。また、店舗事業者から見れば「出店コスト」がぐっと抑えられて、集客が見込めるのであれば、これはうれしいマッチングですよね。ちなみに、20年9月~12月に東京都の豊洲、日本橋、晴海、板橋、そして千葉市という5エリアで10業種11店舗の事業者とともにトライアルイベントを実施したそう。

マンション下にマッサージ店舗が来てくれたら行きたいですよね(写真提供/三井不動産)

包丁研ぎのお店も(写真提供/三井不動産)
「今回は包丁研ぎ、健康器具や雑貨、コスメ、お香、オーダースーツなどさまざまな店舗にご出店いただきましたが、特に包丁とぎやマッサージなどは予想通り好評で、色んな店舗で手ごたえを感じましたね」と話します。一方“移動”“屋外”ならではの大変さもあったとか。
「お天気がいい日は良いのですが、秋の台風シーズンだったものですから(笑)、屋外は大変で、これは今後の課題でもあります。自分もほぼ、イベント会場にいたので、テナントさんのスタッフとも仲良くなって、乗り切った達成感がありました」と振り返ります。
ちなみに、子育て世代は夕飯づくりが落ち着いてから自分の時間があるようで、物販のアクセサリーが夜7~8時に売れるなどの予想外の出来ごともあったとか。思わぬ時間帯に思わぬモノが売れたりするんですね……。今後は、こうした時間帯や曜日によって異なる店舗やサービスのマッチング精度を高めていきたいと思っているそう。

なんと缶詰の専門店も登場。確かに今、缶詰っておいしくておもしろいですもんね! (写真提供/三井不動産)
利用者からは、「共働きや子育てで忙しい日常の楽しみができた」「コロナ禍のなか、店舗が来てくれるのが便利」という声が寄せられているとか。それは、そうですよね。お店ってやっぱり単なる商売じゃなくて、コミュニケーションの場でもあるので、気持ちが落ち込みがちな時期だからこその「楽しみ」になったのではないかと推察します。
今回の「行く」と「来る」によって促されるのは、人やモノ、風景との「出会い」だと思っています。モビリティ構想というとなかなかイメージしにくいですが、人の「行く」とモノ・サービスの「来る」を楽しくする試みだというと、とても分かりやすいですよね。思うように出会えない・移動できないコロナ禍だからこそ、より価値ある実験となるのではないでしょうか。
●取材協力
所在地:文京区根津
所在地:文京区根津
所在地:杉並区和泉
所在地:大田区北嶺町
所在地:杉並区高円寺南
所在地:世田谷区下馬
所在地:渋谷区本町
所在地:新宿区新小川町コロナ禍の影響で、副業や、テレワークが普及しつつある昨今、住まいと職場がともにある“職住融合”な暮らしに興味を持つ人も多いのではないでしょうか。今回は、住まいの中にお店も持てる賃貸物件「ナリ間ノワプロジェクト 欅の音terrace」(東京都練馬区)でお店を始めた3人にインタビュー。別にも仕事を持ちながら、本業や副業として夢を叶えた、その暮らしぶりを拝見しました。
自分の店を持ちたい! ゆる~く夢を叶えた「はと工房。」
東京都練馬区の住宅街の一角に建つ「ナリ間ノワプロジェクト 欅の音terrace」(以下、欅の音terrace)は、住まいと生業(商い)が一体となった職住融合の住まいです。かつて日本の住まいでよく見られた軒先が店舗、奥が住居という暮らし方を現代版にアップデートし、築38年の鉄骨造2階建てアパートを、2018年、リノベーションして誕生しました。1階は店舗兼住宅の「しっかりナリワイ」、2階は商品を飾れるディスプレイ窓のある「ちょこっとナリワイ」の全13戸。よりお店感が強い1階、不定期で営業する店舗やギャラリーがある2階というとイメージがつかめるかもしれません。

店舗兼住宅の「しっかりナリワイ」の1階の間取り。軒先が店舗、奥が住居。画像提供/つばめ舎建築設計)

商品を飾れるディスプレイ窓のある「ちょこっとナリワイ」の2階の間取り(画像提供/つばめ舎建築設計)
まず1階の「はと工房。」さんを訪れてみました。フェルトでつくったバッジやヘアゴム、雑貨などを販売しているほか、クリームソーダやこどもアイス、コーヒーやホットサンドなどの軽食もあり、子どもも大人もうれしい雑貨屋さんです。近所にあったらぜったいうれしい、こんなお店……。

見るからに楽しそうな店構えの「はと工房。」さん(写真撮影/片山貴博)

ユーモアたっぷり手芸作品が並んでいます(写真撮影/片山貴博)

クリームソーダは300円。めっちゃかわいい(写真撮影/片山貴博)
「もともと手芸をずっとやってきていて作品をイベントやネットで販売をしていたんですが、どうしてもお店がやりたくて。でも、お店を持つのはお金も手間もかかる。それに私はとても面倒くさがり屋だから、出勤したくなくなると思っていたんです。そんなときに、店舗+住居というものがあると知ったんです。これなら家だから面倒くさくならないし!かかるのは家賃だけだし!と思ってはじめました。賃貸だから、成り立たなかったら引越せばいい!って。最初は自分の好きな街から動きたくなかったんですが、いざ引越してきたら『まあ楽しい!!!』と思いながら生活しています」と、はと工房。店主(30代女性)は話します。

お店のディスプレイも手づくり(写真撮影/片山貴博)

店内の天井にはカラーボールが250個も吊るしてあります(写真撮影/片山貴博)

長年の夢である「お店」を叶えた店主(写真撮影/片山貴博)
始まる前から「家とお店が別だと出勤したくなくなる」や「成り立たなかったら引越せばいい」などと、考えるあたりがとてもリアルです!! 引越してからの一番の変化は、“ご近所づきあい”だとか。
「東京での一人暮らしだと、ご近所づきあいはほとんどないですよね。ここの欅の音terraceは入居1カ月後のタイミングで入居者が集まる食事会があって、みんなでご飯を食べてすぐになじみました。コロナが流行する前は、共同のシェアスペースでたこ焼きとか、チーズフォンデュとか、焼き肉とか、プロジェクターでライブ映像を観たりといったゆるいパーティーを毎週のようにしている感じです。飲んで帰ってきて、10秒で家に着けるってサイコーじゃないですか。友だちと仲良くなって一緒に暮らしている感じです。一人になりたいときは家にいればいいだけなので、気が楽です」

(写真提供/はと工房。)
ああ、大人が夢を叶え、のびやかに暮らしているってそれだけで楽しそうでいいですね。人間関係が重くなく心地よいのが、やはり一番なのかもしれません。こうした職住融合の住まい、楽しそうですが、向いていない人はいるのでしょうか。
「仕事と暮らしのオン・オフを入れたいという人は向かないと思います。あと、駄菓子を販売していて思ったのですが、ほとんど利益が出ない(笑)。家賃などはもう一つの別の仕事でまかなっている感じです」といい、二足三足のわらじを履いていることがメリットになっている様子。とにかく無理せず、力まず、やりたい延長上で商いを始めてみる。「はと工房。」さんはそんな暮らしをしているようです。
自分やつくり手のペースで暮らしを彩るものを届けたい「ちゃらっぽこ」次に訪れたのは2階にある「ちゃらっぽこ」さんです。こちらは日本各地の暮らしの雑貨を集めたお店で、器や染織物などが並んでいます。アート作品もよいですが、日々使うもの、暮らしから生まれた手仕事の品って、本当に心を豊かにしますよね。店舗は2019年に誕生し、現在は不定期で営業中。オープン日は看板が下がっているので、ひと目で分かるようになっています。でも、なぜ今、リアルな店舗なのでしょうか。

2階で「ちょこっとナリワイ」を営む「ちゃらっぽこ」さん。お店にならぶ商品も店主も「素敵」のひとことです(写真撮影/片山貴博)
「もともとネットで店舗を構えていて、商品を実物で見たい、話を聞いてみたいという声を多くちょうだいしていました。どこかで実店舗をできたらいいなというときに、ここを知り、自分のペースで営業している感じです。実店舗という固定したくくりではなく、アトリエショップとして、あくまでも自分のペースとつくり手の製作ペースに合わせて営業できることが一番の魅力です」と話します。
「はと工房。」さんも言っていましたが、ここでかかるのは家賃のみです。固定費を最低限に抑えられることで、自分やつくり手のペースで商いができるというのは、大きなメリットといえるでしょう。もう一つ、暮らしの品を扱っていることならではの良さもあるようです。

ひとつずつ表情の異なる手編みのかご(写真撮影/片山貴博)

店主の私物のこけしさんも愛らしい!(写真撮影/片山貴博)
「商品は基本的に自分で使ってみて、体感してから販売しています。だから、実際に自分が使用しているものの経年変化や使い方、シチュエーションなど、すぐにお客様の目の前で提案できるのは強みですね。店舗と同じ空間に私物や生活のものを取り入れることで、自分自身が心地よく過ごすことができます」

作家・ツキゾエハルさんのヘリンボーン スープマグは大きめのサイズで、具だくさんスープやたっぷりカフェオレなどを楽しむのにぴったり(写真提供/ちゃらっぽこ)

看板は店主お手製(写真提供/ちゃらっぽこ)
確かに店舗とはいえ、お部屋にお邪魔したような心地よさ、マネしたくなるようなセンスのよさ。インテリアとも一体になっているのは、扱っている商品の特性にも合っているのでしょう。また、コロナ禍以前では、全戸が一体となって地元の住民の方に喜んでもらえるようなイベントなどを企画するなど、集客力も高められるのも、魅力として感じていたそう。
一方で、注意点として教えてくれたのは、「はと工房。」さんと同様に、オン・オフの切り替えがつきにくいこと、決めごとや他の住居への配慮が必要となる点でした。集合住宅では、ほどよい温度感を保つための配慮は大なり小なり、必要なもの。ここでは住人同士、顔が見えるからこそ、より大切にしたいと思うのかもしれません。
“住み開き”を実践し、本を届ける「tsugubooks」最後に訪れたのは、「個人で本をお届けする活動」をしている「tsugubooks」さん。そういえば、以前取材をした「読む団地」の選書にも携わっていらっしゃいました。 現在は新型コロナウイルスの影響もあり、自宅の一部を開ける活動を行っていませんが、もともとカフェや美容院の本棚を間借りし本を販売する「間借り本屋」をしていて、「欅の音terrace」は自宅の一部が、ちいさな本屋さんになっています。

本が並んでいるお部屋が目印ギャラリーのよう(写真撮影/片山貴博)

背表紙を見ているだけでも楽しいですよね、本って(写真撮影/片山貴博)
今回は、取材で本屋さんにおじゃましましたが、ずらりとならんだ本を見ると、やっぱりいいなって思います。「tsugubooks」さんは「住み開き」を実践したいという思いでここで暮らすことになりました。でも、なぜ住み開きだったのでしょうか。
「社会人として働くようになって、一人暮らしをすると、家と会社との往復で地域とまったく接点を持たないんですよね。これじゃ良くないと思っていたところ、自宅の一部を開放して地域と交流する『住み開き』を知って、実践してみたくて。清澄白河に住んでいたころはオートロックの物件で自宅を地域に開けなかったので、カフェの本棚を借りて『間借り本屋』をしていました。この物件を知って、私が暮らしたかったのはココだ! と引越してくることにしました。住人同士も仲良く、今は漫画の貸し借りが流行っているんですよ(笑)」
同年代の女性が多いということもあり、まるで学校のような伸びやな環境で暮らしているとのこと。個人的には住み開きというと、とても活発な人・アクティブな人という先入観があったのですが、「tsugubooks」さんは、おだやかで、はじめましてですがここにいても良いよ、受け入れるよ、という優しい空気で迎えてくれました。

本棚の反対側の壁はキッチンになっています(写真撮影/片山貴博)

お店からは見えないようになっている居住スペース(写真撮影/片山貴博)
「商いと住まいが一体というと、特別な印象はあるかもしれませんが、それらは別々のものではないと思うんです。いいなと思う本を置いてみる。それを“いいね”と受け取ってくれる地域の人たちがいる。そうすると、こんな本も好きかも?とその人たちを思い浮かべて選書する。その繰り返しです。
本屋という商いをしているけど、自分だけなら出合えなかった本や物事を知ることができて、世界が少しずつ広がっている気がします。自身の本棚も住まいも少しずつ変わってきて豊かになっているのを感じます。商いと住まいはつながっているんです」(tsugubooks)さん。

「本も面白いけど、お客さんから聴くその本の感想がもっと面白いんです」tsugubooksさん(写真撮影/片山貴博)
なるほど、お店といっても暮らしと切り離されたものではなく、どちらも“自分”の延長にあると思うと、とても自然な流れなのかもしれません。
今回、ご登場いただいた3人は別にも仕事を持っており、本業、あるいは副業として“生業、商い”を成立させていますが、三者三様、魅力的な暮らし方・生き方をされています。また、本来、生きることと働くことに境目はなかったことを再発見しました。欅の音terraceは、練馬で後続のプロジェクトが予定されています。そこではどんな暮らしが実現して、どんな才能が花開くのか。今から楽しみで仕方がありません。

庭にはたくさんのみかんがなっていて、入居者におすそわけも(写真撮影/片山貴博)
●取材協力コロナ禍の影響で、副業や、テレワークが普及しつつある昨今、住まいと職場がともにある“職住融合”な暮らしに興味を持つ人も多いのではないでしょうか。今回は、住まいの中にお店も持てる賃貸物件「ナリ間ノワプロジェクト 欅の音terrace」(東京都練馬区)でお店を始めた3人にインタビュー。別にも仕事を持ちながら、本業や副業として夢を叶えた、その暮らしぶりを拝見しました。
自分の店を持ちたい! ゆる~く夢を叶えた「はと工房。」
東京都練馬区の住宅街の一角に建つ「ナリ間ノワプロジェクト 欅の音terrace」(以下、欅の音terrace)は、住まいと生業(商い)が一体となった職住融合の住まいです。かつて日本の住まいでよく見られた軒先が店舗、奥が住居という暮らし方を現代版にアップデートし、築38年の鉄骨造2階建てアパートを、2018年、リノベーションして誕生しました。1階は店舗兼住宅の「しっかりナリワイ」、2階は商品を飾れるディスプレイ窓のある「ちょこっとナリワイ」の全13戸。よりお店感が強い1階、不定期で営業する店舗やギャラリーがある2階というとイメージがつかめるかもしれません。

店舗兼住宅の「しっかりナリワイ」の1階の間取り。軒先が店舗、奥が住居。画像提供/つばめ舎建築設計)

商品を飾れるディスプレイ窓のある「ちょこっとナリワイ」の2階の間取り(画像提供/つばめ舎建築設計)
まず1階の「はと工房。」さんを訪れてみました。フェルトでつくったバッジやヘアゴム、雑貨などを販売しているほか、クリームソーダやこどもアイス、コーヒーやホットサンドなどの軽食もあり、子どもも大人もうれしい雑貨屋さんです。近所にあったらぜったいうれしい、こんなお店……。

見るからに楽しそうな店構えの「はと工房。」さん(写真撮影/片山貴博)

ユーモアたっぷり手芸作品が並んでいます(写真撮影/片山貴博)

クリームソーダは300円。めっちゃかわいい(写真撮影/片山貴博)
「もともと手芸をずっとやってきていて作品をイベントやネットで販売をしていたんですが、どうしてもお店がやりたくて。でも、お店を持つのはお金も手間もかかる。それに私はとても面倒くさがり屋だから、出勤したくなくなると思っていたんです。そんなときに、店舗+住居というものがあると知ったんです。これなら家だから面倒くさくならないし!かかるのは家賃だけだし!と思ってはじめました。賃貸だから、成り立たなかったら引越せばいい!って。最初は自分の好きな街から動きたくなかったんですが、いざ引越してきたら『まあ楽しい!!!』と思いながら生活しています」と、はと工房。店主(30代女性)は話します。

お店のディスプレイも手づくり(写真撮影/片山貴博)

店内の天井にはカラーボールが250個も吊るしてあります(写真撮影/片山貴博)

長年の夢である「お店」を叶えた店主(写真撮影/片山貴博)
始まる前から「家とお店が別だと出勤したくなくなる」や「成り立たなかったら引越せばいい」などと、考えるあたりがとてもリアルです!! 引越してからの一番の変化は、“ご近所づきあい”だとか。
「東京での一人暮らしだと、ご近所づきあいはほとんどないですよね。ここの欅の音terraceは入居1カ月後のタイミングで入居者が集まる食事会があって、みんなでご飯を食べてすぐになじみました。コロナが流行する前は、共同のシェアスペースでたこ焼きとか、チーズフォンデュとか、焼き肉とか、プロジェクターでライブ映像を観たりといったゆるいパーティーを毎週のようにしている感じです。飲んで帰ってきて、10秒で家に着けるってサイコーじゃないですか。友だちと仲良くなって一緒に暮らしている感じです。一人になりたいときは家にいればいいだけなので、気が楽です」

(写真提供/はと工房。)
ああ、大人が夢を叶え、のびやかに暮らしているってそれだけで楽しそうでいいですね。人間関係が重くなく心地よいのが、やはり一番なのかもしれません。こうした職住融合の住まい、楽しそうですが、向いていない人はいるのでしょうか。
「仕事と暮らしのオン・オフを入れたいという人は向かないと思います。あと、駄菓子を販売していて思ったのですが、ほとんど利益が出ない(笑)。家賃などはもう一つの別の仕事でまかなっている感じです」といい、二足三足のわらじを履いていることがメリットになっている様子。とにかく無理せず、力まず、やりたい延長上で商いを始めてみる。「はと工房。」さんはそんな暮らしをしているようです。
自分やつくり手のペースで暮らしを彩るものを届けたい「ちゃらっぽこ」次に訪れたのは2階にある「ちゃらっぽこ」さんです。こちらは日本各地の暮らしの雑貨を集めたお店で、器や染織物などが並んでいます。アート作品もよいですが、日々使うもの、暮らしから生まれた手仕事の品って、本当に心を豊かにしますよね。店舗は2019年に誕生し、現在は不定期で営業中。オープン日は看板が下がっているので、ひと目で分かるようになっています。でも、なぜ今、リアルな店舗なのでしょうか。

2階で「ちょこっとナリワイ」を営む「ちゃらっぽこ」さん。お店にならぶ商品も店主も「素敵」のひとことです(写真撮影/片山貴博)
「もともとネットで店舗を構えていて、商品を実物で見たい、話を聞いてみたいという声を多くちょうだいしていました。どこかで実店舗をできたらいいなというときに、ここを知り、自分のペースで営業している感じです。実店舗という固定したくくりではなく、アトリエショップとして、あくまでも自分のペースとつくり手の製作ペースに合わせて営業できることが一番の魅力です」と話します。
「はと工房。」さんも言っていましたが、ここでかかるのは家賃のみです。固定費を最低限に抑えられることで、自分やつくり手のペースで商いができるというのは、大きなメリットといえるでしょう。もう一つ、暮らしの品を扱っていることならではの良さもあるようです。

ひとつずつ表情の異なる手編みのかご(写真撮影/片山貴博)

店主の私物のこけしさんも愛らしい!(写真撮影/片山貴博)
「商品は基本的に自分で使ってみて、体感してから販売しています。だから、実際に自分が使用しているものの経年変化や使い方、シチュエーションなど、すぐにお客様の目の前で提案できるのは強みですね。店舗と同じ空間に私物や生活のものを取り入れることで、自分自身が心地よく過ごすことができます」

作家・ツキゾエハルさんのヘリンボーン スープマグは大きめのサイズで、具だくさんスープやたっぷりカフェオレなどを楽しむのにぴったり(写真提供/ちゃらっぽこ)

看板は店主お手製(写真提供/ちゃらっぽこ)
確かに店舗とはいえ、お部屋にお邪魔したような心地よさ、マネしたくなるようなセンスのよさ。インテリアとも一体になっているのは、扱っている商品の特性にも合っているのでしょう。また、コロナ禍以前では、全戸が一体となって地元の住民の方に喜んでもらえるようなイベントなどを企画するなど、集客力も高められるのも、魅力として感じていたそう。
一方で、注意点として教えてくれたのは、「はと工房。」さんと同様に、オン・オフの切り替えがつきにくいこと、決めごとや他の住居への配慮が必要となる点でした。集合住宅では、ほどよい温度感を保つための配慮は大なり小なり、必要なもの。ここでは住人同士、顔が見えるからこそ、より大切にしたいと思うのかもしれません。
“住み開き”を実践し、本を届ける「tsugubooks」最後に訪れたのは、「個人で本をお届けする活動」をしている「tsugubooks」さん。そういえば、以前取材をした「読む団地」の選書にも携わっていらっしゃいました。 現在は新型コロナウイルスの影響もあり、自宅の一部を開ける活動を行っていませんが、もともとカフェや美容院の本棚を間借りし本を販売する「間借り本屋」をしていて、「欅の音terrace」は自宅の一部が、ちいさな本屋さんになっています。

本が並んでいるお部屋が目印ギャラリーのよう(写真撮影/片山貴博)

背表紙を見ているだけでも楽しいですよね、本って(写真撮影/片山貴博)
今回は、取材で本屋さんにおじゃましましたが、ずらりとならんだ本を見ると、やっぱりいいなって思います。「tsugubooks」さんは「住み開き」を実践したいという思いでここで暮らすことになりました。でも、なぜ住み開きだったのでしょうか。
「社会人として働くようになって、一人暮らしをすると、家と会社との往復で地域とまったく接点を持たないんですよね。これじゃ良くないと思っていたところ、自宅の一部を開放して地域と交流する『住み開き』を知って、実践してみたくて。清澄白河に住んでいたころはオートロックの物件で自宅を地域に開けなかったので、カフェの本棚を借りて『間借り本屋』をしていました。この物件を知って、私が暮らしたかったのはココだ! と引越してくることにしました。住人同士も仲良く、今は漫画の貸し借りが流行っているんですよ(笑)」
同年代の女性が多いということもあり、まるで学校のような伸びやな環境で暮らしているとのこと。個人的には住み開きというと、とても活発な人・アクティブな人という先入観があったのですが、「tsugubooks」さんは、おだやかで、はじめましてですがここにいても良いよ、受け入れるよ、という優しい空気で迎えてくれました。

本棚の反対側の壁はキッチンになっています(写真撮影/片山貴博)

お店からは見えないようになっている居住スペース(写真撮影/片山貴博)
「商いと住まいが一体というと、特別な印象はあるかもしれませんが、それらは別々のものではないと思うんです。いいなと思う本を置いてみる。それを“いいね”と受け取ってくれる地域の人たちがいる。そうすると、こんな本も好きかも?とその人たちを思い浮かべて選書する。その繰り返しです。
本屋という商いをしているけど、自分だけなら出合えなかった本や物事を知ることができて、世界が少しずつ広がっている気がします。自身の本棚も住まいも少しずつ変わってきて豊かになっているのを感じます。商いと住まいはつながっているんです」(tsugubooks)さん。

「本も面白いけど、お客さんから聴くその本の感想がもっと面白いんです」tsugubooksさん(写真撮影/片山貴博)
なるほど、お店といっても暮らしと切り離されたものではなく、どちらも“自分”の延長にあると思うと、とても自然な流れなのかもしれません。
今回、ご登場いただいた3人は別にも仕事を持っており、本業、あるいは副業として“生業、商い”を成立させていますが、三者三様、魅力的な暮らし方・生き方をされています。また、本来、生きることと働くことに境目はなかったことを再発見しました。欅の音terraceは、練馬で後続のプロジェクトが予定されています。そこではどんな暮らしが実現して、どんな才能が花開くのか。今から楽しみで仕方がありません。

庭にはたくさんのみかんがなっていて、入居者におすそわけも(写真撮影/片山貴博)
●取材協力
所在地:目黒区中町
所在地:豊島区池袋本町
所在地:東京都渋谷区東
所在地:八王子市天神町2011年の東日本大震災、いわゆる「3・11」からちょうど10年。各地域で防災の取り組みが生まれ、取り組まれるようになった。いま「地域の防災」はどうなっているのだろうか。
第3回にご紹介するのは新築マンションの「イニシア日暮里テラス」「イニシア日暮里アベニュー」。防災対策に取り組む管理組合が発足するのは入居開始から約半年後だが、同マンションではディベロッパーが音頭を取って“まちとの共生”を含めた防災対策を進めている。果たして、その内容とは?
防災対策を担当する管理組合の発足を待たずに始動
「イニシア日暮里アベニュー」は2021年1月、「イニシア日暮里テラス」は2021年2月、それぞれ竣工した新築マンション。JR山手線・日暮里駅の東側の近接するエリアに建つ。

イニシア日暮里テラス 完成予想図(画像提供/コスモスイニシア)
4駅8路線が利用可能で、日暮里の繊維街や下町情緒あふれる「夕焼けだんだん」も近い。計99戸は順調に販売が進み、「イニシア日暮里アベニュー」は2月から入居を開始しており、「イニシア日暮里テラス」は3月下旬から入居が始まる。
これまでも、ディベロッパーがマンション内に共用の備蓄倉庫を設けたり、各戸に防災グッズを配布したりといった事例はある。しかし、管理組合の発足を待たずに防災対策を進めるケースや地区防災計画の作成をディベロッパー主導で行うのは珍しい。
ディベロッパーは東京都港区に本社を置くコスモスイニシア。同物件を担当する田脇みさきさんに、今回の取り組みの背景を聞いた。

田脇みさきさん(写真提供/コスモスイニシア)
「モデルルームのご来場者様と接していると、頻発する未曾有の災害に対して不安視する声が多いんです。とくに、台風や豪雨による水害はハザードマップも公表されていて、2018年の西日本豪雨もハザードマップ通りに浸水したというニュースも目にしました」

荒川区のハザードマップ。「イニシア日暮里テラス」「イニシア日暮里アベニュー」は浸水深0.5m~3.0m未満(1階の床から1階の天井までつかる程度)想定地域(荒川区HPより)
とはいえ、マンションの購入を考えている人々は、こうした不安を漠然と抱えているしかない。その対策を明確に提示するのが、「イニシア日暮里テラス」「イニシア日暮里アベニュー」の取り組みの目的だという。
田脇さん自身も社内の防災セミナーに参加して防災に対する意識が変わった。「備えることの重要性は分かっているが、災害なんてそうそう身近に起こるものじゃない」。そう思っていたが、セミナーを通じて災害時の具体的な状況を学んだことによって、当事者意識が芽生えたそうだ。非常用ライトや簡易トイレも鞄に入れて持ち歩くようになった。
契約者向けの「防災セミナー」をオンラインで開催では、「イニシア日暮里テラス」「イニシア日暮里アベニュー」の防災対策とはどのようなものか。まず、エントランスの共用部分には防災倉庫があり、そこには「簡易トイレ」「救急箱」「トランシーバー」「発電機」「カセットガス」「レインポンチョ」「備蓄ラジオ」などの防災備品が入っている。

百年防災社にも防災倉庫の中身をチェックしてもらい、準備を進めた(写真提供/コスモスイニシア)
さらに、揺れを感じるとセットした収納扉に自動でロックがかかり、収納スペースの中身が落ちてこないようにする「耐震ラッチ」や、地震の際にドアが変形して開かなくなることを避けるため、ドアに接触しないように枠が変形する「耐震枠」も各戸に導入している。

耐震ラッチ(写真提供/コスモスイニシア)

耐震枠の玄関ドア(画像提供/コスモスイニシア)
しかし、これは他社を含む従来のマンションでもやってきたこと。ここ独自の取り組みとはどのようなものだろうか。
「まず、昨年11月にご契約者様向けの『防災セミナー』をオンラインで開催しました。内容については地域の防災計画を作成する百年防災社様に監修を依頼しています」
19世帯、31人が参加したというセミナーの内容は「マンション防災〇×クイズ」「荒川区の被災想定」「マンション防災のポイント」「グループディスカッション」など。
被災想定に関しては、荒川区の地域防災計画による推測データを引用した。それによれば、冬の18時に震度6強の首都直下型地震が起きた場合の荒川区の被害は以下のようになる。
倒壊家屋7217棟、地震火災5521棟、停電率48.7%、断水率58.3%、通信不通15.1%、ガス支障率52.5%。さらに、荒川氾濫時は0.5~3mの浸水を想定している。
「マンションの場合は在宅避難が基本です。こうしたデータを踏まえて、7日分の食料・水、生活必需品の備蓄、電力などの確保の重要性をお伝えしました。グループディスカッションでは、4~5人のグループに別れていただき、セミナーの感想や在宅避難で取り組みたいことなどを共有しています」
さらに、マンション防災にあたっては「住民同士や地域とのつながり」が重要だということも入居予定の住民に訴えた。今後は、町内会とマンション住民が共同で地区防災計画も作成する予定だ。町内会の賛同はすでに得ており、あとは進めるだけ。作成会議は4月から始まるが、セミナー参加者の76.9%が「地区防災計画の作成に参加したい」と回答した。
まちとつながっておくことで助かる命がある新たに街に入ってくる分譲マンションの住民、のちにマンション管理組合となる側が、元から住む町内会を巻き込んで防災対策を考える試みもなかなか珍しい。マンション住民は在宅避難が基本なのに、なぜ町内会とのつながりが重要なのだろう。
「例えば、行政から地域への支援物資はすべて避難所に届けられます。でも、マンションにお住まいの方はその情報を得る術がありません。それに、避難所を運営しているのが町会の役員の方が多く、特に切羽詰まった状況下では限られた物資をどうしても顔見知りに優先して渡したい心情が働くものです。日ごろから接点をつくっておかないと、足を運んだところで、『あなた、誰?』となってしまいます。大げさに言えば、町とつながっておくことで助かる命があるということです」

「イニシア日暮里テラス」の共用ラウンジイメージ写真(写真提供/コスモスイニシア)
管理組合が発足後には「マンション防災マニュアル」の作成に取り掛かる予定だ。在宅避難となるマンションは住民同士の共助がより必要となる。その際の役割分担や初期行動について協議するという。
「この取り組みが成功したら、今後の新築マンションでも取り入れたい」と田脇さん。
まちとマンションがつながることで、防災対策の強度は大きく増すだろう。マンションの住民は災害時の安心材料を得られる。高齢化が進む町内会に若い住民が加わることは地域の活性化につながる。まちとマンションのあり方を考える良い事例となりそうだ。
●取材協力
所在地:世田谷区砧
所在地:港区三田東日本大震災の発生から約10年、東北の片隅で、地域の復興・再生に向けて地道に挑戦し闘い続けている人がいる。コワーキングスペースの運営やNPOの支援など行う一般社団法人グラニー・リデトの代表理事・桃生和成さんは、10年経った今だから語れる東北の復興後の事業のモデルやそこで得た知見を、全国の被災地復興に取り組む方々へ向けて伝えたいと、東北の復興をテーマにした出版レーベル「東北復興文庫」を立ち上げた。桃生さんと「東北復興文庫」第1弾の著者である亀山貴一(たかかず)さんに話を聞いた。
被災地の経験を残す出版レーベルを立ち上げた
東日本大震災の発生から約10年が経つ2021年2月13日、23時過ぎに福島県沖を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生し、福島と宮城では最大震度6強の揺れを観測した。東日本大震災の余震とも伝えられ、SNSでは「東日本大震災の記憶が蘇った」「震災を忘れるな、という警告のように思った」という声がいくつも見られた。
記憶が風化しつつある東日本大震災から得た教訓、取り組みを次世代にしっかり残したい。そんな思いで出版レーベル「東北復興文庫」を立ち上げた桃生和成さんは、大学を卒業した2008年にNPO法人せんだい・みやぎNPOセンターに入職。多賀城市市民活動サポートセンターのスタッフを約8年間務める間に東日本大震災が発生。多賀城市は市の面積の約1/3が浸水し、250人が亡くなった。桃生さんは避難所の調査をしたり、市外・県外から来る支援のコーディネートやボランティア受け入れセンターのバックアップなど、震災復興に関わる仕事をしていた。
2016年に退職し、一般社団法人Granny Rideto(グラニー・リデト)を立ち上げる。Granny Ridetoは、桃生さんが好きな宮沢賢治が良く使っていたエスペラント語で「おばあちゃんの笑顔」、Grannyには「おせっかい」という意味もあり、「地域のおせっかいをしよう」という思いを込めた。

一般社団法人グラニー・リデト代表理事の桃生和成さん。宮城県で生まれ、3歳から18歳まで福島県いわき市で育ち、岩手大学に進み、東北の被災3県に住んで38年。「東北に貢献したい思いをずっと持っていた」という(写真撮影/佐藤由紀子)
グラニー・リデトは、フードバンクの立ち上げのバックアップや、NPO法人の相談やサポート、フリーランスで働くクリエイターの新しい仕事をつくるなど、相談を受けて社会的意義があると判断したことを請け負う。また、宮城県宮城郡の「利府町まち・ひと・しごと創造ステーション tsumiki」、仙台市にあるシェア型複合施設「THE6」のディレクターとして施設運営にも関わる。
「出版事業はグラニー・リデトを立ち上げるときに、事業の柱として考えていました。震災直後は、震災の経験を記録した本も出版されましたが、8年、9年経つと少なくなり、また、商業的に売れないため大手出版社が発行するのは難しくなります。それでも、東北に生まれ育った者として、商業ベースではなく社会的に意味があると強く感じていて、いつか出版したいという想いは強くありました」
被災地と被災地をつないで復興のノウハウやスキルを発信したい2016年ごろから構想があった東北の復興をテーマにした出版レーベルは2020年2月、クラウドファンディングを実施して形になった。「知り合いにも個別に声をかけて支援を頼みましたが、思いがけない人や、九州から北海道まで全国各地の方に支援をいただき、東北の動きに感心がある人がいるんだと分かりました」
経験談などはインターネットでも発信できるが、あえて印刷物、書籍化したのは、確実に長く残したいからだという。「Webでは記録が残っても発見されにくくなります。一方で書籍ならISBN(書籍出版物を識別するコード)を取れば国立国会図書館も含め図書館に納めることができ、100年先、200年先も残すことができます。単純に本が好きということもありましたけれどね。
東北には、震災復興のために事業を継続的に行っている人たちがたくさんいるのに、ノウハウやスキルが個人に蓄積されたままではもったいない、全国の被災地で同じような問題を抱えている人、復興を目指す人々に活用してほしいと立ち上げたのが『東北復興文庫』です。
コロナ禍の影響で計画通りにはいきませんでしたが、NPOの仕事を通じて全国各地の被災地ともネットワークができていたので、当初は、著者と一緒に本を抱えて九州の豪雨地帯や新潟の中越地震の被災地などへ行って、復興従事者の人たちとディスカッションをしながら本を販売しようと考えていました」

東北の被災地から全国の災害被災地へ。著者を選定する条件は「震災から約10年が経とうとしても何らかの形で取り組みを継続し、今後も持続する可能性があること。著者自身が印刷物の書籍をだしたことがない、の2点」とのこと(画像提供/グラニー・リデト)
被災地で起こりうる課題を現場からリアルに1冊目の本「豊かな浜の暮らしを未来へつなぐ -蛤浜再生プロジェクト-」は、石巻市蛤浜(はまぐりはま)でカフェ「はまぐり堂」などの事業を展開している、一般社団法人はまのね・代表理事の亀山貴一さんの、東日本大震災の発生から約9年間の取り組みをまとめた本だ。

築100年の亀山さんの持ち家を協力者とともに改装したはまぐり堂の店内。現在は、コロナ禍のためオンラインショップでお菓子や鹿の皮のアクセサリーの販売などを行っている(画像提供/亀山貴一さん)
「亀山さんのことは以前から知っていて、活動に注目していましたし、はまぐり堂に行ったこともありました。宮城県の震災復興関係では名前の通った方ですが、亀山さん自身の言葉で語られた記録がなかったので、3、4年前から声をかけていました」と桃生さん。
桃生さんが亀山さんに書いてほしかったのは、復興活動を進める上で表に出にくい、報道されない現実、課題だった。
「僕が復興支援事業に従事していたときから感じていた違和感、課題があり、例えば、たくさんの補助金・助成金が投入されても資金が途切れたら事業ができなくなったり、お店を開いてメディアに注目されるのはありがたくても、人が来過ぎて地元の人たちのストレスになったり、地元の人がお店に足を運べなくなったり。そういったことがあると、本末転倒です。
蛤浜は災害危険区域に指定され住宅は建てられません。亀山さんは『人口は少なくても、地域資源を活かした産業で交流人口を増やし、まちを活性化したい。まずはバラバラになった地元の方が集まりお茶を飲みながら集える場所を提供したい、外部にまちの魅力を発信する場所としてカフェをつくろう』と考えたのです。自己資金では足りなかったので寄付金や助成金にエントリーしましたが、災害危険区域であることや費用対効果の面で実現が難しいだろうと助成金が下りませんでした。
当初やろうとしていたことと違う方向に進んだり、助成金が下りないなどは、どこの被災地でも起こりうることだと思いますが、なかなか拾いきれない話だと思います。亀山さんがどう乗り切ったのかなどをぜひ書いてほしいと思いました」

桃生さん、亀山さん、編集者らで何度もやりとりしながら書籍をまとめあげた(写真提供/グラニー・リデト)
壊滅的な被害の中、一人で始めた「蛤浜再生プロジェクト」
石巻市の東の先端、牡鹿半島の付け根にある蛤浜全景。蛤浜は豊かな山と海にかこまれた小さな集落だ(画像提供/亀山貴一さん)
亀山さんは生まれてから高校2年まで、石巻市の小さな集落、蛤浜で暮らし、その後は街なかに引越した。同級生は地元を離れることが多いなか、亀山さんは大好きな蛤浜に戻り宮城県水産高校で教員として働き、結婚後もそのまま蛤浜で妻と暮らしていたが、大震災で妊娠中の妻と親族3人を亡くした。震災前は9世帯が住んでいたまちは、震災後はわずか3世帯になり、建物も集会所と民家が4戸残るのみという壊滅的な被害を受けた。

亀山貴一さん。「この9年間、新しいことに取り組み、常に突っ走っていましたが、震災から10年、コロナ禍もあり、執筆が一つの区切りになりました」(画像提供/亀山貴一さん)
震災後、亀山さんは「もうここには住めない」と再び市内に引越したが、1年後に漁業に熱い思いを持つ区長さんと話をしたことで「震災前にあった豊かな暮らしを後世に残していきたい」「ボランティアの方々に支援してもらうばかりでなく、自分も地域のために何かしたい」という想いが沸き起こり、2012年にたった一人で蛤浜再生プロジェクトを立ち上げた。
当時、亀山さんは持続可能な浜をつくりたいと、一枚の絵を描いた。カフェでコミュニティを育むのはもちろん、浜で獲れた季節の食材を提供するレストラン、浜の暮らしを体験できる宿、海に親しむためのマリンレジャーや自然学校、ギャラリーなどをつくり、交流人口を増やすことを目指した。その絵を基に地区を離れた住民や浜の出身者、行政やNPO、大学などたくさんの人に自ら会いに行って話をしたという。また、FacebookなどSNSで情報を拡散すると、ボランティアや応援してくれる人が増えた。
震災1、2年目は瓦礫も片付かない状態だったが、いい仲間やボランティア、支援してくれる人との出会いがあり、瓦礫撤去作業は一段落した。震災から丸2年経った3月、人が集まる場所、コミュニティの基点として「はまぐり堂」をオープン。「はまぐり堂」は、たくさんの人の応援の証であり、復興のシンボルのひとつとして形になることでさらに応援する人が増えて、次のステップが広がった。そして、自然学校の開催、海の結婚式など、この浜ならではの魅力を活かしたイベントや地域資源を有効活用した狩猟、山林再生、漁業、観光プログラムなど、できることを増やしていった。

石巻市では鹿が急増し猟友会に頼るだけでは駆除が追いつかない、捕獲しても処理できないという問題を抱えていた。はまぐり堂では、2014年ごろから、鹿肉を使ったカレーを提供(写真)、人気メニューとなっている。副業として猟を始め、スタッフや地元の作家が鹿革の小物などに加工して販売(画像提供/亀山貴一さん)
本を読んで分かるのは、亀山さんが事業を展開する上で、たくさんの人の協力や支援があったことだ。自分の構想を周りの人にも語り、多くの人に声をかけている。
「やはりカフェを開業できたのは、人との出会いやつながりが大きいです。諦めずに熱意とビジョンを持つと、協力者が自然と集まってくると感じています。本でも、感謝を伝えたくて、一部の方の個人名や企業名を入れましたが、名前を書ききれないほどたくさんの人にお世話になり、全員の名前を挙げられなかったのが心苦しいです。
補助金や助成金が得られず、資金が少なかったため、築100年の自分の持ち家をカフェに改装することにしましたが、その分、家族や地元の人、震災後に出会った方が寄付をしてくれたり、設計事務所の方、大工さん、ボランティアといった多くの人が知恵や労力を手注いでくれて、改装することができたのも結果的に良かったと思います」と亀山さん。
本の第5章の「交流人口から関係人口へ」と、最終章の桃生さんと亀山さんの対談では、震災後5年以降の取り組みや、振り返って思うこと、情報を伝える難しさなど、復興事業に取り組む方の参考になる内容だ。
東北だからこそできることから、東北の新しい価値を見出す2020年10月、クラウドファンディングの協力者に本を発送。2020年12月には仙台市内の書店でトークイベントを行った。
参加者からは「はまぐり堂はオシャレなカフェだと思っていたら、オープンまで紆余曲折があったんだ」といった声も。「身近な人には、はまぐり堂を立ち上げた背景や開業までの過程などを深く理解してもらえるようになりましたが、まだまだ届けきれていません。震災から10年で何ができて何ができていないか、11年目にどうすればいいか、そういう議論をもっと活発に行いたい」と桃生さん。

トークイベントの模様。「同級生や同級生のお母さんも来てくれて、激励の言葉をかけてくれました」と亀山さん(画像提供/亀山貴一さん)
「亀山さんはいい仲間に出会えていますが、共感する人が集まるのは、強烈なリーダーシップがあるからではなく、秘めた強い思いを持っているからだと思います。先が見えない、予測がつかない時代に求められる、環境に適合する柔軟さ、しなやかさを持っています。
東北は東京などの大きな経済圏のことを踏襲するやり方ではうまくいかないと思います。東北人の血が流れている自分は、東北だからこそできること、東京にないものをどうつくっていくかを意識しています。それを実践している亀山さんは、同世代として尊敬しています」と桃生さん。
グラニー・リデトでは、インターネットラジオで、震災後に生まれた知恵や技術などを共有するプログラム「10年目を聞くラジオ」を月1回配信し、震災10年目の手記を募集している。「震災から10年を節目と捉えるか、通過点と捉えるか、いろいろだと思います。僕は今後も東北に住み続けて震災の跡に寄り添いながら、東北に新しい価値を見出すことをやっていきたい」(桃生さん)
『東北復興文庫』の第1弾、「豊かな浜の暮らしを未来へつなぐ -蛤浜再生プロジェクト-」を、鉛筆を手に
読んだ。心に響いた箇所には鉛筆で線を引き、後で読み返したいところには付箋を貼った。本棚に置いて、本棚にその本があることを見て安心し、必要なときにまた手に取って読み返したいと思った。本が好きな人には分かる、書籍ならではの楽しみかもしれない。
『東北復興文庫』は、全部で5冊発行する計画。2冊目は2020年度中に発行予定だ。
災害から立ち上がろうとする人たちのヒントや希望がぎっしりと詰まった同書は、復興事業に関わらない人にとっても、立ち止まって自分の足元を見直し「人生で何が大切か」「何のために生きるのか」「どう生きるか」を考えさせられる貴重な本を、ぜひ手に取ってほしいと思う。
2011年の東日本大震災、いわゆる「3・11」からちょうど10年。このタイミングで「地域の防災」をテーマに具体的な活動事例を取材した。
第2回にご紹介するのは「亀有共助プロジェクト」。これは、葛飾区亀有エリアでアロマや健康や育児に関する講座を主宰していた小西昭美さん(37歳)が“防災エキスパートパパ・ママ”を育成しようと立ち上げたものだ。
本格的なスタートは今年の4月になるという。今回は、そんな小西さんに亀有への愛と「防災の輪」の広げ方について聞いた。
ママ向けの講座を始めたのは「子どもが大好きだったから」今回のプロジェクトのテーマは100%、「防災」。小西さんは亀有エリアのママたちに向けてアロマや環境に関する講座を開いていたが、同時に多くの人から防災に対する不安の声も聞いていた。
小西さんがママたちを対象とした講座を始めたのは、「子どもが大好きだったから」。独身時代に「子育てアドバイザー」の資格を取るほどの情熱で、当時も子どもができた今も、人生のテーマは「子どもの発達と親子関係」だという。

西亀有にあるGreenroom&Kitchen茶々というカフェスペースで開催していたアロマ講座の様子(画像提供/亀有共助プロジェクト)
そんなタイミングで出会ったのが、前回の記事にも登場した百年防災社代表の葛西優香さん(34歳)だ。地域の防災計画を推進する、いわば“防災のプロ”だ。
葛西さんは、かつしかFMの『かつぼうそなえチャオ!』という防災番組のパーソナリティーを務めている。この番組に小西さんが出演したのは昨年7月。
「番組の最後に、葛飾区民がリレー形式で感想を話す『防災の輪』という枠があって、私のお友達からバトンが回ってきたんです。それがきっかけで葛西さんと防災トークをするようになり、防災は地域との連携が大事だなと感じるようになりました」

ラジオで防災のプロとしてトーク中の葛西さん(画像提供/百年防災社)
避難所を運営するカードゲームを体験して気付いたことその後2020年12月に、小西さんは百年防災社が開発中のカードゲームの会に誘われた。
「内容は、みんなで協力し合って避難所を運営するというもの。まず、鍵がないのでいろんなツテをたどって町内会の会長から鍵を受け取るところから始まり、押し寄せる避難者に対応するんです。みなさんと一緒に頭をフル回転させてとても楽しかったです。同時に、地域や町内会と連携する『共助』の重要性にも気付かされました。その日のうちに『亀有deみんなで守る共助』というLINEグループをつくり、自分たちにできることは何かと考え始めることになりました」

カードゲームは今年の4月末に完成予定(画像提供/百年防災社)
自分たちにできること――それは例えば、備蓄。小西さんの防災に対する意識は高いものの、まだいざというときの備蓄態勢は整っていない。今後、葛西さんの備蓄品を参考にしながら買いそろえたいという。

現在の防災備蓄は水、食料、簡易トイレのみ(画像提供/亀有共助プロジェクト)
一方、防災の専門家である葛西さんは「いつも鞄に入れて持ち歩くもの(ヘッドライト、ビニール袋、トイレ、マウスピース、非常笛など)」、「車での移動が多いので車載用」、「逃げる際のリュック(背負って走れる重さ)」と、いつ災害が起きても対応できる万全の態勢を取っている。

こちらは「鞄に入れて持ち歩く防災グッズ」(画像提供/百年防災社)
葛西さんとの出会いを機に、防災活動は地域との繋がりが大事だと気付いた小西さん。近い将来、地元の町会に入るつもりだ。
愛する町だからこそ、防災への意識を高めておきたい小西さんは、地元・亀有を愛している。
「妊娠したタイミングで引越してきたんですが、本当に子育てがしやすい。遊具が充実している公園が近くにいっぱいあって、スーパーに行けば、素材にこだわったちょっと意識の高い商品が並んでいます(笑)」

亀有を代表する商店街「ゆうろーど」(画像/PIXTA)

災害時の広域避難所にも指定されている上千葉砂原公園(画像/PIXTA)

お隣の足立区だが「お散歩圏内」の大谷田南公園(画像/PIXTA)
また、同じエリアで出会ったパパ・ママたちは、自然派の子育て、現在の政治、そして防災について熱心に語り合える貴重な存在だ。
「防災について言えば、それぞれが問題意識を持って考えていましたが、それらを繋げる場所がなかった。さっきのLINEグループもそうですが、まずは顔見知りになっておくことが重要だと思います」
全講座を受講した人は「防災エキスパートパパ・ママ」に認定4月からは「自助力」「共助力」という2つのテーマでさまざまな防災講座を開催する予定だ。申し込みは先着順で、密を避けるために1回あたり会場に5名ずつという制限も設けた。

ここに「公助力(行政との連携)」も加わる予定だ(画像提供/亀有共助プロジェクト)

小西さんの専門分野であるアロマ講座も(画像提供/亀有共助プロジェクト)
「ママたちに向けてアロマ講座をやってきた経験から、例えば避難所でアロマを体験してもらえれば傷や火傷に対応できたり、除菌もできますし、リラックス効果もあるので、感情の切り替えもできる。6月から8月にかけて予定している講座は、そのシミュレーションなんです」
防災の準備に必要な備蓄品について知ることから始まり、最終的には町会や地域の高齢者も一緒になって避難所運営を学ぶプログラムとなっている。
1年をかけて全講座を受講した人は「防災エキスパートパパ・ママ」に認定。ここで培った「自助力」「共助力」のノウハウは別のパパ・ママたちに伝えられるとともに、そこからさらに拡散してゆく。
「テーマ縁」で形成されるパパ・ママ友コミュニティ小西さんとともに講座を企画する百年防災社の葛西さんは言う。

(画像提供/亀有共助プロジェクト)
「近所のコミュニティ、すなわち縁が生まれる背景には、地縁、テーマ縁、血縁、学校縁があると思います。小西さんの『亀有共助プロジェクト』は、まさに防災というテーマでつながる“テーマ縁”で形成されるパパ・ママ友コミュニティですね」
アロマ縁、環境縁、そして葛西さんのラジオに出演したことを機に生まれた防災縁。各エリアにいるというパパ・ママ友コミュニティに加えて、今後、町会との繋がりも深くなれば防災講座もより深く、実践的になるだろう。
いろんな縁を結んでいた小西さん。それが、結果的に地域を守る防災につながろうとしている。ちょっとした縁をきっかけに起こした行動から新しい防災の芽が生まれる。これは、どの地域にも起こり得ることかもしれない。
●取材協力
所在地:世田谷区松原
所在地:世田谷区弦巻
所在地:川崎多摩区栗谷2011年の東日本大震災、「3・11」からちょうど10年。各地域で防災の取り組みが生まれ、取り組まれるようになった。いま「地域の防災」はどうなっているのだろうか。
第1回に紹介するのは「ハハモコモひろば」。東京の葛飾区を中心に江戸川区、江東区と広いエリアで親子コミュニティを形成している。いずれも海抜0m地帯ゆえ、防災意識が高いパパ・ママが多い。今回は、代表のナオさん(42歳)にいざというときに周りの人と助け合う“共助”にもつながる、知り合いづくりの取り組みについて聞いた。
3・11で困ったのは乳児用のミルクをつくるための水問題「3・11といえば、金町浄水場の水道水から1kmあたり210ベクレルという高い放射性ヨウ素が出たんです。それまで、乳児のミルクをつくるのに水道水を使っていたんですが、当時は焦ってミネラルウォーターを探し回りました」

葛飾区、江戸川区、江東区の全域に給水する金町浄水場(画像提供/pixta)
区が備蓄していた水を配布したり、西日本の親戚が送ってくれたりと、結果的には何とか乗り切った。しかし、災害に備えること、そしていざというときに助け合えるような知り合いを日ごろからご近所でつくっておくことの重要性を知った経験だったという。
その知り合いづくりのきっかけになればと、ナオさんは地域でやっているイベントに参加してみることにした。
「ハハモコモひろば」の前身は2009年に発足した「母の会」である。ナオさんは2010年に出産したタイミングで、保健所が主催する乳児の会に出席。そこで知り合ったママさんに「母の会」の存在を教えてもらい、さまざまなイベントに参加するようになった。
「母の会」は2015年に『ハハモコモひろば』に名称を変更し、2012年からスタッフ加入したナオさんが昨年から代表を務めている。

2012年、「母の会」時代に開催したクリスマスイベント(写真提供/ハハモコモひろば)
「主な活動内容は、ママ向けや親子向けの教室を開催したり、親子で楽しめるワークショップを集めたフェスのようなイベントを行ったりしています。文字どおり、“母も子も”楽しめるイベントが多く、もちろんパパさんも参加可能です」

スタッフとイベント参加者(画像提供/ハハモコモひろば)
内容は必ずしも防災につながることばかりではなく、地域の防災に重要なのは、“いざ”というときに助け合えるように関係性を高めておくこと。そのため、コロナ禍でもオンラインイベントを途切れさせることはなかった。
昨今は会議やミーテイング、保育園・幼稚園の説明会、塾の保護者会などもオンラインツールのZoomで行われているが、使い方が分からないというママも多い。そんなママたちと楽しくお喋りをしながら「Zoomの使い方」をやさしく教えるイベントだ。

2020年4月から「Zoom」を使ってさまざまなオンライン講座を開催
また、2020年6月からZoomを使って毎月開催している「おうちプレようちえん」。2~3歳の子どもが入園前に体験する「プレ幼稚園」の雰囲気を家で体験してもらおうと、幼稚園ママのスタッフと元保育士のママで企画したものだ。

子どもの名前を呼んで出席も取る「おうちプレようちえん」(画像提供/ハハモコモひろば)
「スタッフは、“年齢がバラバラ”“子どもの学校も別々”“同じ町内に住んでいるわけでもない”と、本来であれば出会わなかったかもしれない人達。奇跡的な繋がりだと思っています。地域やパパ・ママたちに何か貢献したい!という、共通の思いを持って参加しているので、時には本気でディスカッションすることもあります。大人になって出会えた“最高の仲間”だと思います」(ナオさん)
葛飾区は防災イベントに若いパパ・ママを呼び込みたかったこうしたゆるやかなつながりづくりのなかで、防災の講座やイベントも行っている。
2016年からは葛飾区と組んで「パパママ防災講座」「パパママ水害講座」などを実施してきた。ナオさんが「かつしかFM」の番組に出演したことをきっかけで危機管理課の職員と繋がったという。
「予想に反して防災意識が高いパパさんは多くて、『パパママ水害講座』もパパさんしか参加しなかった年があります」

2018年に行った「パパママ水害講座」の様子(写真提供/ハハモコモひろば)
「葛飾区としては防災イベントに年配の方は来るけど、子育て中のパパ・ママ世代がなかなか来てくれないという悩みがあったようです。こちらも防災や水害時の対応に関する区の取り組みを聞きたかったので、需要と供給がちょうどマッチしました」
葛飾区、江戸川区、江東区の多くは海抜0m地帯。豪雨の際の水害が気になるところだ。
「2019年の台風(令和元年東日本台風)の時は避難したスタッフもいました。パパママ水害講座で、避難の考え方を葛飾区危機管理課の方に教えていただいていたので、自治体からの情報を確認しながら判断することができました」

荒川が氾濫すると葛飾区の西部地域に水が流れ込む(画像提供/葛飾区)
行政と協働しようとする姿勢に“防災のプロ”も注目防災に関する情報を発信し続けている“防災のプロ”、百年防災社。代表の葛西優香さん(34歳)も「ハハモコモひろば」の活動に注目している。
「さまざまな防災講座を設けるとともに、行政と積極的に関わって協働しようとする姿勢も感度が高いと思います。代表のナオさんは思いついたことをすべて行動に移す推進力を持っており、その後も地域と積極的に繋がっていくパパ・ママさんたちを輩出してきたコミュニティですね」
ナオさんたちは、先日も葛飾区主催の「(女性のための防災講座」災害時のトイレ・衛生対策」に広報協力したうえで、講座にも参加した。自宅に災害時用の簡易トイレはあるが使ったことはない。実際に使用してみることで、具体的なイメージができたという。

「災害時のトイレ・衛生対策」(画像提供/葛飾区)
こうした活動を通じて、ナオさんをはじめ、参加者のママさんたちの防災意識はさらに高まっていった。防災対策に関する知識も養われたという。
例えば、実際に、ナオさんも簡易トイレ以外に「非常食はローリングストック法で備蓄」「上着は、普段から防水力のあるレインウェアにする」「外でバッテリーが切れたときのために、携帯電話は2台持ちにしてモバイルバッテリーも常に持ち歩く」などの防災態勢を整えた。
簡易トイレもそうだが、トイレットペーパーも備蓄しておくに越したことはない。ナオさん宅では、通常より数倍長い「長巻きトイレットペーパー」を何ロールか常備している。昨年、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言で店からトイレットペーパーが消えたときも、とくに困らなかったそうだ。

これらの商品は生協などで買っている(画像提供/ハハモコモひろば)
長く続けるコツは「自分たちが楽しむ」こと実は、こうした地域コミュニティは「できては消え、できては消え」ていくそうだ。長く続けるコツをナオさんに聞いた。
「コミュニティをつくるのは簡単ですが、継続させるのが難しい。一番大事なのは、自分たちが楽しむことを忘れず、やりたいことをやるということじゃないでしょうか。例えば、ママたちの間で流行しているハンドメイド講座があっても、私たちがピンとこなかったときには、無理に手を出しませんでした。スタッフはみんなボランティアでやっていて、本業もあったり、子育てもしているママです。楽しさを失ってしまうとバランスが崩れて続かないと思います」
ナオさんたちの活動の軸は「ママたちを元気づけたい!」という思い。さまざまなイベントを通じてママたちが元気になり、地域が活性化し、そして防災意識が高まる。この好循環が、心地よいコミュニティづくりへとつながっている。
防災をメインとしていなくても、こうしたつながりづくりが結果的に地域の防災につながる。自分の住む街にどんな自治会や地域のコミュニティがあるか、見直してみてもいいかもしれない。
●取材協力リクルート住まいカンパニーでは、 関東圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)に居住している20歳~49歳の7000人が回答した「SUUMO住みたい街ランキング2021 関東版」を発表した。調査時期が2021年1月のコロナ禍であるが、ランキングに変動はあったのだろうか?【今週の住活トピック】
「SUUMO住みたい街ランキング2021 関東版」を発表/リクルート住まいカンパニーコロナ禍の住みたい街ランキング2021は、「横浜」が無敵の強さを見せる
さて、2021年の住みたい街(駅)ランキングの結果は、1位「横浜」、2位「恵比寿」、3位「吉祥寺」とTOP3は4年続けて同じ顔触れとなり、安定した人気を誇る結果となった。なかでも、横浜は各世代・各ライフステージから幅広い支持を集め、得点で2位以下を大きく突き放す強さを見せた。

住みたい街(駅)総合ランキングトップ20(関東全体/3つの限定回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)
コロナ下の調査ということで、筆者はランキングに変動があるかどうか気になっていた。というのも、コロナ下では郊外の街に人気が出ているという話題が多く、郊外の街で躍進があるのではないかと思っていたからだ。
しかし、ランキング上位に大きな顔ぶれの変動はなかった。複数路線が利用できるターミナル駅が上位に並び、にぎわいや利便性の高い街が顔をそろえたという印象だ。とはいえ、今回のランキングで注目したい点もある。近年着実に順位を上げている「さいたま新都心」や20位以内に躍り出た「舞浜」、「桜木町」など、埼玉県や千葉県、神奈川県の人気の街が、ランキングを上げている点だ。前年20位以内からランキングを下げたのは、「二子玉川」と「赤羽」なので、3県の人気の街が東京都の街を抑えたわけだ。
ほかに、2020年では得点60点未満のためにランキング圏外だった街で、2021年にランキングに入った街にも注目したい。85位の「逗子・葉山」、116位の「志木」、129位の「本郷三丁目」、132位の横浜「山手」、136位の「大森」、138位の「根津」、141位の「聖蹟桜ヶ丘」、同「ふじみ野」、147位の「朝霞台」、150位の「西日暮里」、155位の「ユーカリが丘」、160位の「蒲田」、同「中央林間」、163位の「武蔵小金井」、170位の「菊名」だ。
広域での知名度がやや低くちょっと地味な印象があるが、住み心地がよい街が見直され、数多くランキングに入ってきたということだろう。ちなみに、新駅「高輪ゲートウェイ」は64位だった。
自虐で知られる埼玉県の街が、住み心地のよさで躍進の気配前年のランキングでは、「大宮」、「浦和」、「さいたま新都心」のさいたま市中核エリアの躍進が注目された。2021年でも、さいたま市中核エリアの躍進が続いたことに加え、33位の「和光市」、34位の「川口」、44位の「所沢」が過去最高順位を記録するなど、埼玉県勢が大躍進を見せた。
SUUMO編集長・池本洋一さんがランキングの記者発表会で説明したところによると、1都4県全体や埼玉県民から「埼玉票」が集まったからだという。特に注目したいのは、これまでは自県以外に投票していた埼玉県民が、自県にこれまでより多く投票したことだ。
埼玉県民が自県に投票した比率を見ると、過去4年で最高の55.4%に達している。その一方で、東京都民が自都に投票した比率は過去4年で最低の84.0%だった。埼玉県民が自県を見直して投票したのに対して、東京都民の票は他県に流れたというわけだ。

自県から自県への投票を集計した比率(出典:リクルート住まいカンパニー)
さらに、池本さんの分析によると、「その街を魅力的だと思う」項目で、浦和やさいたま新都心、川越では「街の住民がその街のことを好きそう」が、さいたま新都心や和光市では「人からうらやましがられそう」が、上昇したが、これらの項目は埼玉県民が東京都の街を選ぶ際に上位になる項目だという。
つまり、以前は東京都の街に憧れとして感じていた魅力を自県の街に感じるようになった、といった変化が起きて、自県の街に投票したと考えられるわけだ。
地元に長く滞在し、改めて住み心地のよさを感じるなど、コロナ禍による変化という側面もあるのかもしれない。埼玉県といえば、過激な「埼玉ディスり」で話題を呼んだ映画『翔んで埼玉』が思い浮かぶ。タモリが「ダサイタマ」という表現を広めたのに始まり、筆者の好きな落語でも三遊亭円丈師匠が「悲しみは埼玉に向けて」という新作落語を作ったりと、自虐ネタで知られる埼玉だが、どうやら埼玉県民は、自県をリスペクトするようになったようだ。
コロナ禍を受けて「理想的な街」に求めるのは、医療施設の充実また、ランキングでは「今後の注目される街」も発表され、「錦糸町(東京都墨田区)」、「聖蹟桜ヶ丘(東京都多摩市)」、元住吉(神奈川県川崎市中原区)」となった。
これらの街が上位に選ばれたのは、コロナ禍の変化が関係している。「新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、回答者にとっての理想的な街の条件が変化した度合い」を「とても意識するようになった」~「ほとんど意識しなくなった」の5段階評価で尋ね、「とても意識するようになった」と「やや意識するようになった」の回答率の合計で、理想的な街の条件のランキングを行ったところ、次のような結果になった。

コロナ影響による「理想的な街」への意識変化TOP10(関東全体/単一回答)(出典:リクルート住まいカンパニー)
1位は病院や診療所などの「医療施設の充実」だ。コロナ感染者が入院できずに、自宅療養を強いられた事例が多かったことなどが影響しているのだろう。次に、「一回の外出で複数の用事を済ませられる」、「歩ける範囲で日常のものはひととおり揃う」、「徒歩や自転車での移動が快適だ」など、地域の暮らしの利便性を重視する項目も上位に挙がった。一方、憧れ系の項目は下位になった。
なお、記者発表会では、俳優の磯村勇斗さんやタレントの若槻千夏さんも登壇した。緑の丸っこいSUUMOくんも応援に表れ、いつも緑のネクタイをしている池本さんに色を添えるように、ゲストの二人も緑のファッションでご登場。
埼玉県出身の若槻さんは、「大宮が目黒の上に来た」、「ランキングに埼玉の多くの街が入っている」と埼玉躍進に喜びを見せた。また、今住んでいる「渋谷」の魅力についても語った。一方、磯村さんは井の頭公園や美味しいカレー屋がある「吉祥寺」に注目し、「スーパーが近くにあるか」「落ち着けるカフェがあるか」などを住みたい街の条件にしていると語った。
また、サウナアンバサダーをしている磯村さんには、池本さんが自然豊かでグランピングもできる「飯能」をおススメしていた。
さて、2021年のランキングの結果は、前年のランキングと大きく変わったという印象はあまり受けなかった。しかし、コロナ禍というまれな事態を経験したわれわれは、間違いなく今後住む街を選ぶ際の見方を変えるだろう。これからのランキングにそれが表れるのかどうか、来年のランキングにも注目したい。
所在地:杉並区高円寺北
所在地:千代田区東神田
所在地:世田谷区瀬田
所在地:世田谷区若林
所在地:渋谷区南平台町
所在地:港区赤坂
所在地:目黒区中町
所在地:新宿区上落合
所在地:港区南青山
所在地:渋谷区代々木
所在地:杉並区西荻北
所在地:台東区元浅草
所在地:世田谷区北沢
所在地:新宿区新宿
所在地:目黒区東山
所在地:渋谷区代々木
所在地:新宿区荒木町
所在地:杉並区上荻
所在地:中野区中野
所在地:目黒区中町
所在地:渋谷区神泉町
所在地:世田谷区池尻