所在地:渋谷区東18万円 / 46.44平米
山手線「渋谷」駅 徒歩9分
バルコニーの先は「金王八幡宮」の鳥居ビュー。参道のちょうど正面に位置するため、抜けもあり、春になれば木々の緑が色濃くなり、癒やされること間違いなしのナイスな位置の部屋です。
間取りは3、4人の事務所や二人暮らしにもフィットしそうな1LDK。
リビングと洋室は北西向きの開口部か ... 続き>>>.
圧倒的に不動産情報が多いですが。。。。
所在地:渋谷区東
所在地:渋谷区初台
所在地:小金井市本町
所在地:江東区深川
所在地:葛飾区立石
所在地:豊島区長崎
所在地:目黒区東が丘
所在地:渋谷区渋谷
所在地:千葉県市川市八幡およそ50年ぶりとなる新駅「高輪ゲートウェイ駅」開業を、2020年3月14日に予定しているJR山手線。都内の主要部を環状に結んで走っており、東京のなかでも「JR山手線の沿線」に住んでいれば利便性は抜群だ。実際に住む場合、物件相場はどれくらいなのか。沿線の中古マンション価格相場を安い順にランキング。専有面積50平米以上80平米未満のカップル&ファミリー向け物件について紹介する。●山手線で中古マンション価格相場が安い駅ランキング【カップル・ファミリー編】
1位 鶯谷 4530万円(台東区)
2位 日暮里 4589.5万円(荒川区)
3位 西日暮里 4790万円(荒川区)
4位 田端 4980万円(北区)
5位 上野 5180万円(台東区)
5位 新大久保 5180万円(新宿区)
7位 御徒町 5280万円(台東区)
8位 池袋 5330万円(豊島区)
9位 巣鴨 5340万円(豊島区)
10位 大塚 5480万円(豊島区)
11位 神田 5530万円(千代田区)
12位 新宿 5780万円(新宿区)
12位 秋葉原 5780万円(千代田区)
14位 駒込 5980万円(豊島区)
15位 東京 6090万円(千代田区)
16位 高田馬場 6230万円(新宿区)
17位 代々木 6580万円(渋谷区)
18位 渋谷 6815万円(渋谷区)
19位 目黒 6880万円(品川区)
20位 原宿 6980万円(渋谷区)
21位 五反田 7090万円(品川区)
22位 目白 7480万円(豊島区)
23位 大崎 7485万円(品川区)
24位 浜松町 7680万円(港区)
25位 品川 7920万円(港区)
26位 恵比寿 7980万円(渋谷区)
26位 田町 7980万円(港区)
28位 新橋 8890万円(港区)
※有楽町駅は掲載条件に該当する物件が一定数に達していないため、ランキングから除外しております
JR山手線の全29駅のうち調査条件(SUUMO掲載物件数が11件以上)に合う28駅を、価格相場が安い順にランキングした結果が上記の通り。
前回は専有面積20平米以上50平米未満のシングル向け物件のランキングを紹介したが、今回1位の鶯谷駅と2位の日暮里駅は、前回も同じ順位だった。シングル編3位だった上野駅は今回5位に。鶯谷駅、日暮里駅、上野駅の街の特色については前回記事を参照してほしい。
上記のようにシングル編とランキング結果が大差ない駅があると聞くと「物件の広さが変わっても、JR山手線沿線で安く住める駅はあまり違いがないのか?」とも思えるが、そうとは限らない様子。ほかの順位はシングル編から結構入れ替わっていた。
3位・西日暮里駅はシングル編では11位、11位・神田駅はシングル編では20位だった。この結果を見ると、西日暮里や神田に住む場合、せっかくならシングル向け物件よりもカップル&ファミリー向け物件のほうがお得だとも考えられる。シングル向け物件と比べてカップル&ファミリー向けの物件の価格相場はどれほどアップするのかを見て、この考え方を検証してみたい。

西日暮里駅(写真/PIXTA)
前回と順位が変わらなかった1位・鶯谷駅はシングル向けの約1.45倍(シングル3130万円)、2位・日暮里駅はシングル向けの約1.41倍(シングル3265万円)がカップル&ファミリー向け物件の価格相場だった。一方で安さランキングが前回からジャンプアップした3位・西日暮里駅はシングル向けの約1.25倍(シングル3839.5万円)、11位・神田駅はシングル向けの約1.18倍(シングル4675万円)。シングル向けとカップル&ファミリー向けの価格相場の開きが小さいので、「大きくプラスせずにより広い物件に住めるなら、そのほうがお得感がある」という考え方も、あながち間違いではないだろう。
金額で見てみると、ほかの駅は軒並み「シングル向け物件の価格相場プラス1300万円以上」が「カップル&ファミリー向け物件の価格相場」だったのに対し、3位・西日暮里駅はプラス950.5万円、11位・神田駅はプラス855万円に抑えられていた。広くなっても価格相場の上昇が少ないと判明した、西日暮里駅と神田駅はどんな駅なのか。
3位・西日暮里駅は2位・日暮里駅に隣接し、両駅間はわずか500mほどしか離れていない。1971年の開業で現状はJR山手線で最も新しい駅でもあるが、高輪ゲートウェイ駅の誕生にともない、その座を譲り渡すことになる。東京メトロ千代田線と日暮里・舎人ライナーも通る駅周辺は、飲食店が多くにぎわっているが、少し離れると静かな住宅街が広がっている。

神田駅(写真/PIXTA)
11位・神田駅はJR各線のほかに東京メトロ銀座線も利用可能。東京駅まで1駅という都心にある駅の周辺はオフィス街といった風情で、サラリーマン向けのリーズナブルな飲食店も多い。カップル&ファミリー向けの広さがあるSUUMO掲載物件数は、ランキング28駅中だと東京駅に次いで少なかった。しかし神田駅・東京駅周辺に勤め先があるなら通勤の負担がぐっと和らぐので、職住近接の生活を目指して物件探しにトライする価値はあるだろう。
さて、カップル&ファミリー向け物件の価格相場が、シングル向け物件から大きく跳ね上がる駅はどこだろう? それは、シングル編の12位から安さランキングを大きく下げた26位・恵比寿駅。カップル&ファミリー向け物件の価格相場はシングル向け物件(4230万円)の約1.89倍、金額差は3750万円! 「SUUMO住みたい街ランキング2019 関東版」でも2位に輝いた人気の街だけあり、強気……。シングル向け物件に住んで恵比寿の街を気に入ったとしても、カップル&ファミリー向け物件に住み替えるのはなかなかハードルが高そうだ。

恵比寿駅(写真/PIXTA)
JR山手線沿線で安く住みたい場合に有効な探し方とは前回のシングル編ではランキング結果から「JR山手線の駅をJR中央線の北側か南側かで分けた際、北側にある駅のほうが価格相場は安い」という法則をお伝えした。この法則は、今回もおおむね当てはまっていた。沿線の中では価格相場が安い駅に分類できるランキングトップ14の駅は1駅をのぞいて北側に位置し、価格相場が高いほうに分類できる15位以下の駅では2駅をのぞいて南側に位置していたのだ。
価格を抑えつつJR山手線沿線で物件を探したい場合は、まず沿線のうち北半分にある駅をピックアップ。そのうえで職場へのアクセスのしやすさや、街の環境が自分好みかどうかなどを調べて、駅を絞り込んでいくのも一つの手と言えるだろう。さらに前述したように、シングル向け物件とカップル&ファミリー向け物件の価格差も考え合わせると、後悔のない物件選びに近づけそうだ。
●調査概要
所在地:台東区浅草
所在地:杉並区高円寺北鎌倉の静かな住宅街に、岡山の蔵付き古民家を移築再生した小泉さんの住まい。2019年2月に行われた完成披露のオープンハウスには、大正時代の蔵と明治時代の平屋を組み合わせたその存在感ある建物を一目見ようと、一日で130名を超える見学者が訪れた。『渡辺篤史の建もの探訪』取材時に渡辺さんをも「感動しました」と唸らせた、妥協無しの本物ならではのこだわりがつまった小泉邸をご紹介しよう。
岡山の呉服屋だったお屋敷の明治時代の蔵と平屋が、鎌倉で蘇る
この移築古民家の施主である小泉成紘さんが、鎌倉・逗子・葉山のエリア限定で、趣のある日本家屋を探し始めたのは今から6~7年前。しかし多くの中古物件を見学したものの、立地と建物、どちらも気に入るものはなく、住まい探しは難航した。どちらも譲れない小泉さんが最終的に選択したのは、理想の土地を新規で購入し、そこに別の場所で空き家となった古民家を移築するという古民家移築再生だった。
選んだ土地は、鎌倉駅にも近くて山を背負った谷戸の趣も残る静かな住宅地。建物は日本民家再生協会(JMRA)を通じて出会った、かつて呉服屋だった岡山県のお屋敷の大正生まれの平屋と明治生まれの蔵。縁側にガラス戸が綺麗に並んだ古民家の写真に惹かれ現地を見学、実際に築100年を超す建物の本物ならではの風格や味わいに惹かれ、この建物を忠実に鎌倉で再現したいと思ったという。

離れの座敷として使用されていた平屋と、2階建ての土蔵。敷地の関係で西隣にあった母屋を除き、職人の手仕事で丁寧に解体されたあと移送し、そのまま鎌倉で蘇った(写真撮影/高木 真)
明治時代のお座敷は、時代と空間を越えて忠実に元の姿に蘇り、次世代へと引き継がれるそれでは、こだわりのつまった小泉邸を、写真を中心にご紹介していこう。平屋部分は明治時代に呉服屋の奥座敷として使われていた二間続きの和室と縁側からなる日本の伝統的木造建築の粋を集めたつくり。ここは忠実に元の姿に復元し、来客時やイベントなどに使うおもてなしスペースにすることに。「元々この建物に惹かれたので、建材や建具などの部材ひとつたりとも変えたくなくて。瓦など劣化していると判断されたものもありましたが、現代では手に入らないものは特注でつくってもらいました」というほどのこだわりよう。
その甲斐あって、元のオーナーが訪れた際「岡山の家にいるよう」と感嘆するほどに、忠実に復元・再生されて蘇っている。

一目惚れした縁側は、一本レールに波打つレトロなガラスの木製建具11枚が並ぶ繊細なつくりをそのままに再現。庭の脇には薪ストーブ用の薪を収納する薪小屋を新設。薪小屋の屋根は今では希少な天然スレート瓦。「薪小屋には贅沢なようですが、室内からも外からも目につく場所なので」と小泉さん(写真撮影/高木 真)

呉服屋の奥座敷として使われていた離れのニ間続きの和室。できるだけ忠実に元の空間を再現することにこだわり、間取りや建具などの部材がそのまま。さらに、元の古民家から円卓や箪笥などの家具も譲ってもらったため、まさに岡山の家そのものの空間が出来上がった(写真撮影/高木 真)

明治時代につくられたとは思えない、斬新なデザインの欄間(らんま)。職人さんの手仕事で丁寧に解体、壊れないよう岡山から鎌倉まで運ばれ、再び組み立てられ、時代と空間を越えて再生された(写真撮影/高木 真)

和室には珍しい洋風の重厚な上げ下げ窓が印象的で、当時はかなり斬新なデザインだったと推測される。二間続きの和室は、来客時やイベントの際のおもてなしスペースに(写真撮影/高木 真)
生活の場となる2階建ての蔵は、世界各国のアンティークを取り入れ和洋折衷のレトロ空間に忠実に元の姿に復元された平屋に対して、2階建ての蔵は普段の生活スペースとして、建物の構造は活かしつつゼロベースで自由にプランニング。土蔵だった建物の構造は活かしつつ、趣味の空間や仕掛けがふんだんに組み込まれている。インテリアは元々好きだった世界各国のアンティークを取り入れて、和洋折衷なレトロ感あふれる個性的な仕上がりに。「イメージに合うアンティークものを一つひとつ自分でそろえて行きました。何でもできるので、かえって形にするのが大変で手間も時間もかかりましたね」と小泉さん。

蔵部分に設けられた玄関の扉は1920-30代イギリスのアンティーク。漆喰の白壁とのコントラストが美しい黒の外壁は焼き杉で、伝統を重んじつつ個性を演出(写真撮影/高木 真)

玄関を入ると、1960年代ノルウエーの薪ストーブがある広い土間スペース。薪ストーブは土壁と相性の良い輻射熱式の全館暖房をと考え導入、2階の寝室まで吹抜けになっていて、生活空間である蔵スペース全体がこれひとつで温まる仕組みだ(写真撮影/高木 真)

蔵の1階は水まわりなどの生活スペース。イギリスやフランスの片田舎を思わせるキッチン、インテリアのポイントはブルーの勝手口ドア。これもフランスのアンティークで、実はこの家で一番高価だったという(約30万円)。キッチンはこのドアありきで設計が決まったそう(写真撮影/高木 真)

造作キッチンの天板は群馬の養蚕農家の梁だった古材を加工したもの。「イギリス・ショーズ社のスロップ型シンクと水栓、ベルギーのスライス煉瓦、窓はアメリカのアンダーセンなど、パーツ一つひとつを厳選しました」と小泉さん(写真撮影/高木 真)

玄関ホールからキッチンに通じる廊下も兼ねたスペースは、両側の防音仕様の扉を閉めると、ピアノ演奏のための防音室になる構造。壁紙はオランダのデザイナーもの、床タイルは市松模様にして機能性を追求する中にも遊び心が(写真撮影/高木 真)

なんともレトロな雰囲気のお風呂。椹(さわら)の浴槽に大正時代のアンティークのステンドグラス、壁はなんと漆喰塗り。水栓金具はテイストが合うものを求めて、フランスの現代ものエルボ社に(写真撮影/高木 真)


トイレの床タイルも市松模様、便器はアメリカのコーラー社、手洗いにはフランスの陶器のガーデン用シンクを選んでレトロな雰囲気に。ポイントはアンティ-クのステンドグラスで、1920-30年代イギリスのロンデルガラス入り。トイレ側、玄関側、内外どちらから見ても美しい(写真撮影/高木 真)

2階へ階段で上がると、構造材を全てそのまま見せるデザインのダイナミックな寝室兼リビングの多目的空間。壁は土壁の中塗り仕上げ、中央は白い漆喰塗りにして、趣味の写真や映画、テレビもプロジェクター投影して大画面で見る仕掛け(写真撮影/高木 真)

白い漆喰壁の裏には、趣味のフイルム写真現像用の暗室スペースも(写真撮影/高木 真)

勾配天井を活かした2階の大空間。築100年以上の木材がダイナミックに組み合わされた姿は眺めていて見飽きない。1階にある薪ストーブの配管が吹抜けになって、2階のこの大空間も温まる仕掛けだ(写真撮影/高木 真)



インテリアのポイントとなる照明器具や時計などはもちろん、スイッチプレートやドアノブなどの小さな設備機器に至るまで、全て歴史ある古民家のテイストに合うものをと、小泉さん自らアンティークショップやインターネットなどで一つひとつ集めた。「真鍮のスイッチプレートを家一軒分の数そろえるのも結構大変でした」。この細部まで手抜きなしのこだわりが、本物の重厚感を生む(写真撮影/高木 真)
緑豊かで静かな立地に、歴史が刻まれた古民家とそれにあう世界各国のインテリアを一つひとつ厳選して移築再生された小泉邸。その妥協無しの世界観は、実にお見事の一言。本物ならではの風格漂う古民家再生、実は古民家の部材などは基本無償だという。次回は、部材だけでなくその歴史ごと受け継ぐことができメリットの多い、「古民家移築」の仕組みや流れを中心に紹介しよう。
●取材協力
所在地:台東区蔵前2020年に入って、2019年の住宅市場の動向が相次いで公表された。そこで今回は、東日本不動産流通機構(東日本レインズ)と不動産経済研究所が公表した、首都圏の一戸建て市場の動向について見ていくことにしよう。ポイントは、平均価格に開きがあることだ。【今週の住活トピック】
「首都圏不動産流通市場の動向(2019年)」を公表/(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)
「首都圏の建売住宅市場動向―2019年のまとめ―」を公表/(株)不動産経済研究所東日本レインズでは首都圏平均成約価格3510万円
レインズ(REINS)とは、「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」の略称で、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムのことだ。東日本を担当しているのが東日本不動産流通機構(通称東日本レインズ)だ。不動産を仲介する事業者は、このネットワークを活用して物件の売買を仲介している。
東日本レインズが公表しているのは、2019年の首都圏の中古マンション、中古一戸建て、新築一戸建て、土地の動向だ。この中で、新築一戸建ての動向を取り上げていきたい。
首都圏の新築一戸建てについては、成約件数が前年比11.5%増の5872件。成約価格が首都圏平均3510万円(前年比1.2%上昇)で前年を上回った。地域別に詳しく見ていくと、下表のようになる。

新築一戸建ての成約状況(出典:東日本レインズ「首都圏不動産流通市場の動向(2019年)」より転載)
平均価格が最も高いのは、東京都区部で5082万円(平均土地面積:80.34平米、平均建物面積:94.07平米)、次いで横浜市・川崎市の4147万円(平均土地面積:112.75平米、平均建物面積:101.27平米)だ。
一方、土地の平均面積が広いのは、千葉県で平均土地面積:146.10平米、平均建物面積:101.78平米(平均価格:2856万円)、次が埼玉県で平均土地面積:133.17平米、平均建物面積:100.95平米(平均価格:2974万円)となっている。
ちなみに、中古一戸建てを見ると、成約価格は首都圏平均で3115万円(平均土地面積:146.82平米、平均建物面積:104.96平米)と新築一戸建てよりもお手ごろな価格になる。ただし、東京都区部では中古一戸建ての成約平均価格のほうが新築より高くなり、5532万円と逆転する。
その理由は、新築では土地・建物面積が狭くなるからだ。古い建物が建っていた広い土地を2つに分けて2棟の新築一戸建てとして売る、などとしたほうが利益は大きいため、どの地域でも新築のほうが面積は狭くなる。地価の高い東京都区部では、平均価格で新築と中古が逆転するという現象が起きるといったわけだ。
不動産経済研究所では首都圏平均発売価格5130万円次に、不動産経済研究所が公表した「首都圏の建売住宅市場動向(2019年のまとめ)」を見ていこう。
首都圏の新築建売一戸建てについては、新規発売戸数が前年比5.8%減の4473戸。発売戸数の1戸当たりの平均価格は5130.2万円(前年比0.7ダウン%)で前年を下回った。
都県別に詳しく見ていこう。
○首都圏の新築建売一戸建て(建売住宅)の都県別の概要
平均価格平均敷地面積平均建物面積
・東京都6797.7万円116.82平米96.75平米
・千葉県3826.0万円137.32平米100.59平米
・埼玉県4084.2万円115.36平米97.37平米
・神奈川県5715.3万円126.59平米100.56平米
・首都圏5130.2万円123.95平米98.61平米
さてここで、先ほどの東日本レインズのデータを思い出してほしい。首都圏平均の土地・建物の面積はさほど違いがないのに、平均成約価格は3510万円だった。不動産経済研究所の発売平均価格と比べると1620万円ほどの開きがある。どういうことだろう?
違いは一戸建ての売主、売り方の違いにある!理由はいろいろある。
東日本レインズは成約価格であり、レインズのネットワークシステムに登録する成約事例が漏れている場合もある。一方、不動産経済研究所は発売平均価格だ。確かにこうした違いはあるが、最も大きな違いは売主や売り方の違いだ。
まず、不動産経済研究所で見ると、調査対象は「分譲物件」で「原則として10戸以上の物件」になる。つまり、デベロッパーや大手のハウスメーカーなどが、10戸以上の分譲住宅地を形成して建てた一戸建てを、直接販売しているものになる。いわゆる大型のニュータウンや都市部のミニタウンなどを、イメージするとよいだろう。
これらは街区としてプランニングするので、一戸建ての外観や植栽を統一して街並みを整えたり、安全に配慮した道路を配置するなどの特徴がある。ゆとりある敷地に仕様の高い建物を建てることもあって、価格も高くなる傾向がある。
ところが、実際に街なかで目にするのは、数戸規模の新築一戸建て現場だろう。2~3戸の場合もあれば、もう少し規模の大きい場合もあるだろう。こうした新築一戸建ては、建てた売主が直接チラシや自社のサイトなどを使って販売する場合もあれば、仲介会社に委託して販売してもらう場合もある。
東日本レインズのデータは、新築一戸建ての中でもレインズのネットワークを活用して買い主を探したいという物件が対象になる。多くの場合は、その地域限定で分譲している小規模な事業者や建築が中心の施工事業者などが売主となる物件と考えられる。
これら数戸単位で販売される一戸建ては、既成の街なかにあるので利便性などが期待できる一方、狭い敷地に建てられることでゆとりあるプランを採用しづらい傾向がある。建物も一般的な仕様のものが多く、価格は比較的リーズナブルなものになる。
このように、新築一戸建ての売り主は多様で、売り方もさまざまなため、全体の実態がつかみづらいという点に留意が必要だ。加えて、一戸建ての工法やプラン、設備仕様などにも違いがあるため、新築一戸建てを探す場合は、データだけでなく、実際に現地を見てその特徴をつかむことが大切だ。
所在地:目黒区駒場
所在地:杉並区和泉山形県西村山郡河北町。その街中に建つ1軒の建物は、外から見ると一戸建てだが、実は縫製工場をアトリエ付き住宅にリノベーションしたもの。1階部分のアトリエは、オーナーである佐藤潤さん(51歳)が自身の創作活動や、陶芸教室、切り絵教室などに使っている。“空き家”ならぬ“空き工場”が地域のコミュニティスペースとしてにぎわいを見せるまでを佐藤さんに聞いた。
縫製工場だった築28年の空き家のリノベーションを決断
佐藤さん夫妻が家を探し始めたのは2017年の秋ごろ。陶芸作品をつくる“焼きもの屋”の佐藤さんが、福島県から山形県に移住するために家を新築するつもりで土地を探していたところ、株式会社結設計工房(一級建築士事務所)の完成内覧会のチラシを偶然目にすることに。その雰囲気がすっかり気に入り、足を運んだ内覧会で見学した一戸建てに “こだわり”を感じた佐藤さんは、結設計工房に設計を依頼することにした。
それから、土地探しに本格的に取り組んだ佐藤さん夫妻。ところが、希望の広さや立地条件を満たそうとすると、どうしても予算内に収まらない。そんな中、結設計工房の代表である結城利彦さんから、「中古物件を購入し、リノベーションしてみては?」との提案があり、引き渡し済みの実際にリノベーションした中古戸建てを見学しに行った。
「『あれ? いいじゃない?』というのが第一印象でした。土地はたくさん見学しましたが、最終的には、築28年の中古の建物をリノベーションすることに決めました」(佐藤さん)
「一戸建て」ではなく、「建物」としたのには理由がある。それは、この建物が、住宅ではなく、ニット製品を製造する縫製工場だったから。倒産による廃業で競売にかけられた結果、不動産会社が所有。10年ほど前から”空き家”ならぬ”空き工場”となっていたのだ。
「鉄骨造なので1階部分に柱がほとんどなかったことが決め手に。『ここだったら広いアトリエがつくれるぞ!』と決断しました」(佐藤さん)

リノベーションする前(上)と、リノベーション後(下)。凍結融解により剥落していた外壁を、金属系のサイディングに変更。メルヘンチックな外観を、「和」を意識したつや消しの黒を基調とするデザインにすることで、陶芸のイメージに近づけた(写真提供/結設計工房)

リノベーション前(上)とリノベーション後(下)の1階部分。鉄骨造のため、柱がなく広々とした空間を確保。天井も一般の住宅より高く、その分、さらに開放感のあるアトリエとなった(写真提供/結設計工房)

リノベーション後の階段部分。「元工場だった名残で、廊下が広く、階段が緩やかなのがうれしい」(佐藤さん)(写真提供/結設計工房)
工場時代の照明や自然素材を使い、コストを抑えながら雰囲気のある空間にリノベーションは、「使い込むほどに風合いを増すように、自然素材をなるべく多く使う」という方針のもとに行った。また、コストを抑えるために、建物の形やサッシの位置などはできるだけ変更せず、1階のアトリエ部分でも、工場で使っていた照明器具や天井の電源をそのまま活かす形で残した。
一方、アトリエを陶芸教室としても使う予定だったので、通りを歩く人に認知してもらえるように、「和」を意識したスタイリッシュな外観に一新。中の様子が少し見えるようにと、スリットのある格子戸を採用した。また、施主である佐藤さん夫妻の意見を反映しながら進められるよう、大工は1人のみ。対話を通して細部を詰めつつ、約半年間かけて、じっくりと建てた。
加えて、1階をアトリエと作業スペース、来客用の和室といったパブリックスペースとし、2階をリビングや寝室などのプライベートゾーンとして分離。2階のリビングは、通りを行き交う人の目を気にせずに、ゆっくりリラックスできるくつろぎの空間となった。

佐藤さん自身の作品も飾っているリビング。窓はLow-Eペアガラスに交換、床は無垢フローリングを採用し、あたたかみのある空間に仕上げた(撮影/筒井岳彦)

2階のパウダールーム。塗り壁や大工と建具職人がつくった特注の家具や建具など、自然素材の内装材の効果で、あたたかい雰囲気の明るい空間となっている(撮影/筒井岳彦)

1階玄関から奥につながる廊下にピクチャーレールを設け、自分の作品をギャラリー風に展示(撮影/筒井岳彦)
小学生から92歳まで。陶芸・切り絵の教室が地域の人が集まる憩いの場に建物が完成したときには、内覧会を開催。地域の人に陶芸を体験してもらうイベントも行った。近所に住む内藤さんも、結設計工房に家を設計してもらった縁で、この内覧会を訪れて陶芸を体験。その後、この教室に通うことになった。
「子どもの絵画教室を探していたところ、ここで図画工作を教えてもらえることになって。子どもに習わせるつもりだったのですが、付き添っていたら、母親である私まで楽しくなって通うことになりました。絵画だけでなく、切り絵や迷路づくり、陶芸なども習っていて、干支の置物や、8連発の割り箸鉄砲などのおもちゃもつくるんですよ。佐藤さんは、子どもが興味を持ったものを察知して、『じゃ、これやってみようか』とトライさせるやり方。子どもの可能性を引き出す教え方に感謝しています」(内藤さん)
結設計工房の代表夫妻も、教室がオープンした当初から通い始めた生徒のうちの一人。1年半が経ち、今ではダンボール1箱もの作品がある。
「好きなようにやらせてくれる上に、好きなようにやったことを褒めて伸ばしてくれるんです。だから続けられるのかも。月2回のペースで通って、毎回3~4時間はここで作品をつくっています」(結城可奈子さん)
生徒の中には、20時に来て夜中の2時まで教室にいる人も。中には92歳という高齢の人もいて、子どもからお年寄りまで、実にバラエティ豊かな年齢層の人たちがここに集まっていることになる。そして、陶芸や切り絵、図画工作など、思い思いの創作に取り組んでいるのだ。
こうしたアットホームな居心地の良さには、教室のつくりも一役買っている。通りに面した部分に格子戸を採用したことが内外の絶妙な距離感を保っている上、洗練され過ぎないようにラフな感じを残した仕上げにしたことで、気を使わずに利用できる親しみのある空間になったからだ。居心地の良いアトリエだからこそ、生徒の滞在時間が長くなり、自然に世代を超えた生徒同士のコミュニケーションも生まれた。
「陶芸はコミュニケーションの手段の一つであり、こちらが押し付けるのはおかしいと思っています。むしろ、相手の願いや思いを叶えてあげるのが、コミュニケーションの本来のあり方。だからこの教室では、受講時間やテーマは特に決めずに、その都度、相手に応じたテーマを考えるんです」(佐藤さん)
陶芸に使う窯は、火をたくタイプのものだと、近隣の目が気になるが、電気窯やガス窯であれば、街中でも問題なく使える。通りに面した今の場所なら、さらに気兼ねなく陶芸ができるし、人も集まってきやすい。そういう意味でも、ここに教室を開いて良かったのだと佐藤さんはいう。
「この場にいろいろな人たちが集まってくれることで、自分の制作時間は減ってしまいますが、それでも人とのかかわりができたことは、自分の人生にとってはとても良いこと。土地を探しはじめた当初は、人里離れた地に窯を構えることを考えていたのですが、街の中のアトリエにして正解でした」(佐藤さん)

題材であるりんごを前に、絵手紙を制作。教室では、子どもも大人も一緒に制作に取り組む(撮影/筒井岳彦)

ろくろに向かうと、ついつい熱中して時間が経つのを忘れるという結城可奈子さん。制作に集中できる環境も手伝い、いつも3~4時間は教室に滞在する(撮影/筒井岳彦)

奥にあるのが窯。手前の棚には、成形された作品が、窯で焼かれるのを待っている(撮影/筒井岳彦)

原則として、自身の制作(陶芸と切り絵)は、毎日行う佐藤さん。その合間に、陶芸教室や切り絵の個人レッスン、子ども向けの図画工作教室を開いている(撮影/筒井岳彦)

右のドアがプライベートゾーン用の玄関。左が、アトリエの玄関と、入口を分けている(写真提供/結設計工房)
縫製工場がアトリエ付き住宅として再生され、地域の人々が集うコミュニケーションの場となったこの建物は、第36回住まいのリフォームコンクール<コンバージョン部門>で「公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター理事長賞」に輝いた。「スーパーの横の黒い建物」として認知され、地域の若者が仲間を連れてぐい呑をつくりに来たりするというこのアトリエ。老後は、アトリエ部分をリビング・ダイニングに改装して、1階部分だけで暮らせるようにすることも考えているというから、今後もゆるやかに形と機能を変容させていく可能性を残しているということになる。まさにこの時代の「コンバージョン」のあり方を示す好例なのではないだろうか。
●参考
所在地:港区港南
所在地:世田谷区北烏山
所在地:渋谷区上原日本が誇るサブカルチャーの代名詞ともいえる街、秋葉原。古くからの電気街であるとともに、海外からの訪日客を引き付ける観光都市であり、東京のIT拠点として高層ビルが林立するオフィス街でもある。趣味でもビジネスでもたくさんの人が訪れる秋葉原へのアクセスが良い場所に住むとしたら、どこが狙い目だろうか。シングル向け物件(10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DK)を対象に、最新の家賃相場が安い駅ランキングから探ってみたい。秋葉原駅まで電車で30分以内、家賃相場の安い駅TOP11駅
順位/駅名/家賃相場/(沿線名/駅の所在地/秋葉原町までの所要時間(乗り換え時間・駅から駅への徒歩移動時間を含む)/乗り換え回数)
1位 新田(埼玉) 5.50万円(東武伊勢崎線/埼玉県草加市/30分/2回)
2位 流山セントラルパーク 5.63万円(つくばエクスプレス/千葉県流山市/28分/0回)
3位 葛西臨海公園 5.70万円(JR京葉線/江戸川区/24分/1回)
4位 北松戸 5.80万円(JR常磐線/千葉県松戸市/28分/2回)
5位 上本郷 5.90万円(新京成線/千葉県松戸市/30分/2回)
5位 獨協大学前 5.90万円(東武伊勢崎線/埼玉県草加市/28分/2回)
7位 一之江 6.00万円(都営地下鉄新宿線/江戸川区/28分/1回)
7位 南流山 6.00万円(JR武蔵野線・つくばエクスプレス/千葉県流山市/25分/0回)
9位 草加 6.10万円(東武伊勢崎線/埼玉県草加市/25分/1回)
9位 谷塚 6.10万円(東武伊勢崎線/埼玉県草加市/26分/2回)
11位 京成金町 6.20万円(京成金町線/葛飾区/29分/2回)
ランキング中で目立つのは、東武伊勢崎線の沿線駅の多さ。それぞれ押上駅を起点とする「東武スカイツリーライン」の愛称で呼ばれる区間に含まれており、同駅からは東京メトロ半蔵門線や都営浅草線、浅草駅では東京メトロ銀座線などと連絡しているため、大手町や永田町といったビジネス街や、渋谷や表参道などの繁華街と、多方面に交通の便が良い路線だ。
1位の新田駅も、その東武伊勢崎線の沿線駅。周辺は、緑が豊かな住宅街だ。大きな商業施設などはないが、その分のんびりして落ち着いた環境。東京外環自動車道の草加インターチェンジが近いため、休日に子どもを連れて車で遠出をしたい家庭には便利な立地だろう。
ランクインしている東武伊勢崎線沿線の駅は、新田を含め普通列車のみの停車駅が大半だが、同率9位の草加駅だけは、急行、区間急行、準急、区間準急のすべてが停車する。駅前は駅ビル「ヴァリエ」のほか、マルイやイトーヨーカドーなどの大きな大型商業施設があり、生活に必要なものは不自由することがなさそう。少し行けば24時間営業のスーパーもあり、帰宅が深夜になってしまうような忙しいビジネスパーソンにも心強いだろう。
開発進むつくばエクスプレス沿線は、子育て環境も二重丸
流山セントラルパーク駅(写真/PIXTA)
2位の流山セントラルパーク(つくばエクスプレス)は普通列車のみの停車駅だが、秋葉原まで乗換なしで行くことができる。つくばエクスプレスは2005年に開業した関東で最も新しい主要路線であるだけに、地域は開発が進んでいる最中。豊かな自然や歴史を感じさせる町家や史跡がわずかに残りながらも、駅前はホームセンターやスーパーがあり、新興住宅地らしい買い物の便利さも享受できるのは魅力的だ。
駅近くの市民総合体育館「キッコーマンアリーナ」も新しく建て替えられたばかりで、市民のスポーツ活動の拠点になっている。プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」の試合も開催されており、体を動かすことやスポーツ観戦が好きな人にとってより心をひかれそうだ。
7位の南流山駅は、流山セントラルパーク駅の隣駅。こちらは快速、通勤快速、区間快速も停車し、JRも利用できるため、交通の便でいえば南流山駅に軍配があがる。
東洋学園大学の流山キャンパスへのバスが乗り入れているため、駅から少し離れるがスターバックスなど学生が好むような飲食店なども点在している。流山セントラルパークと同じく開発が進んでおり、スーパーやホームセンターも増えているが、比較的おだやかでのんびりした住宅街という印象が強いかもしれない。
流山セントラルパーク駅と南流山駅のある流山市は、子育て支援の手厚い街としても知られている。乳幼児を乗せたベビーカーのままでも通行しやすいよう歩道が広く整備されていたり、駅前送迎保育ステーションを設置したりして待機児童問題の解消にも市を上げて取り組んでおり、仕事と育児の両立のサポートが行われている。子育て世帯にとっては選択肢に入れる価値はあるだろう。
埼玉、千葉、都内のどこからでもセレクト自在ランキング中、対象物件が一番多かったのは、7位の一之江駅だ。ランキング中唯一の、都営地下鉄沿線駅。秋葉原だけでなく、東京や新宿などの主要街へも30分ほどでアクセスできる。駅近辺のスーパーは深夜まで営業しており、ドラッグストアなども多い。駅前からは成田国際空港や羽田空港への直通バスが出ており、残業や出張の多いビジネスパーソンには利点といえそう。

一之江境川親水公園(写真/PIXTA)
駅から少し行くと、おしゃれな外観の飲食店や、昔から地元で営業してきたのであろうノスタルジックな雰囲気あふれるスイーツ屋などもある。また、一之江境川の川沿いは桜並木が植えられた遊歩道の公園になっており、小さな子どもを連れた散歩も楽しめそう。日々の暮らしを満喫したい人にとっては、地元散策の楽しい街はそれだけで大きな魅力だろう。
ランクインした駅はそれぞれ、埼玉、千葉、東京がバランスよく混在しているが、路線や自治体には集中が見て取れる。意外な掘り出し物の街や場所を見つけるのは部屋探しの楽しみだが、好きな街の雰囲気や条件で選ぶのもいいもの。そんな街のもつ傾向を見逃さすしっかり見抜くのも、満足のいく部屋探しには欠かせないものなのだろう。
●調査概要
所在地:世田谷区池尻
所在地:品川区戸越
所在地:新宿区荒木町
所在地:目黒区青葉台
所在地:世田谷区上馬
所在地:世田谷区代田
所在地:渋谷区代々木
所在地:茨城県つくば市春風台
所在地:中野区東中野
所在地:渋谷区神宮前
所在地:渋谷区恵比寿西
所在地:世田谷区弦巻
所在地:新宿区須賀町
所在地:世田谷区梅丘前回の記事「テレワーク導入に900社が理解示さず。流山市の民間シェアオフィスが挑む高い壁」では、千葉県流山市で子育て世代の母親・父親などのテレワークを実現するシェアサテライトオフィス「Trist(トリスト)」の立ち上げについてお伝えした。
流山市のような郊外でテレワークが求められている背景には、「子育てに人気の街」ゆえの悩みがある。尾崎さんによると、子育て世代が多く流入する地域は子育て関連サービスのニーズがあまりにも多く、働きやすさや子育てのしやすさを向上させるためのサービスの供給が追いついていない。そのため通勤時間の長い郊外ほど、仕事と家庭の両立は難しいという。
テレワークを始めると父親・母親たちの生活はどう変わるのか? トリスト利用者の出(いで)梓さんと梁瀬(やなせ)順子さんに話を聞いた。

写真左から、出梓さん、尾崎えり子さん、梁瀬順子さん(撮影/片山貴博)
現在3人の子どもを育てながらトリストでテレワークをする梁瀬さんは10年前、結婚を機に子育て環境を求めて流山市に引越してきた。
当時は時短勤務で埼玉県の企業に通勤していたが、子どもの体調不良で何度も保育園から呼び出された。さらに学校の行事や面談の数は子どもの数に応じて増えるのに、有給の日数は変わらない。「子どもが2人の時点でいっぱいいっぱいだったので、これは無理だと思い、3人目を産む前に思いきって退職しました」
それからは専業主婦としての生活を始めたが、子どもたちと一日中過ごす生活は想像以上にハードだった。「働いている方がイライラしないし、自分にとってバランスがいい」と気づき、地元でアルバイトを探し始めた。ところがどんなにやる気をアピールしても、土日のシフトに入れないことを理由に一向に採用されない。梁瀬さんは「一度正社員を捨てると、アルバイトですら働くことは難しいんだと思い知らされました」と当時を振り返る。

トリストのエントランス(写真/片山貴博)

トリストのエントランスとミーティングスペース(写真/片山貴博)
そんななか、子どもの保育園が一緒だった尾崎さんに悩みを相談してみたところ、運よく尾崎さんの仕事をトリストで手伝わせてもらうことに。3人目の子どもが保育園に入ってからは都内のベンチャー企業にテレワーク前提で採用され、現在はバックオフィス業務を担う週3日勤務の正社員としてトリストで働いている。
テレワークを始めてから「生活の自由度が増した」と語る梁瀬さん。「以前は何か用事が一つあると、有給を半日から1日は取らないといけませんでした。でも今は地元で働いているので、3人分の行事も習い事も面談も働きながら全て対応できます。通勤時間がない分、時間を効率的に使えている実感があります」
有給を消化しなくとも、子どもたちとの時間を大切にできるし、自分の時間も確保できる。テレワークがなければ決して実現しなかった生活について、梁瀬さんは朗らかな表情で語ってくれた。
「一度辞めると、同じポジションに戻るのは難しい」
トリストでテレワークをする様子(写真/片山貴博)
2人目は、アパレルや雑貨メーカー向けの刺繍を企画製造する会社で働いてきた出(いで)さん。専門的な仕事に就きながら、保育園児と0歳児の2人の子どもを育てている。もともとは都内で暮らしていたが、子育て環境を求めて3年前に流山市に移り住んできた。
「アパレルの仕事は忙しくて時間が不規則ですし、トレンドの変化が激しいので、『一度辞めると、同じポジションで復職するのは難しい』と言われています。実際に私の会社で育休復帰した人は一人もいなかったのですが、仕事が大好きだったので、出産してもなんとか続けたかったんです」
流山から職場まで、通勤途中での保育園への送り迎えを含めると往復3時間。時短勤務にするだけでも、迷惑をかけているという負い目を感じてしまうはずなのに、子どもが熱を出して保育園に呼び出されるようなことが続けば、きっと仕事が手につかなくなる。そんな不安から、出さんは「私は会社に必要ないのだろか?」とまで考えたという。
出さんは第一子の出産後、たまたま手に取ったフリーペーパーでトリストの存在を知り、すぐに尾崎さんに連絡をとった。アパレル業界でのテレワークは非常にレアケースであるため、利用したいが会社を説得できる自信がないと相談すると、尾崎さんは出さんと一緒に会社に出向き、社長を説得してくれた。トリストでのテレワークが認められたおかげで、出さんは会社史上初の育休復帰を果たし、仕事を続けることができた。
「家と保育園とトリストがとても近いので、保育園からの急な呼び出しにも対応できますし、病後児保育を利用したり家で看病したりしながら仕事を再開できます。有給がなくなる不安もありません。通勤時間がない分、時間を有効活用できています。もしテレワークができていなかったら、仕事を諦めていたかもしれません」

出さんがデザイン・制作したトリストのワッペン(写真/片山貴博)
仕事を続けるために必要なのは「地域コミュニティ」梁瀬さんや出さんのように、「地元でやりがいのある仕事をしながら、家族との時間も大切にしたい」と願う人たちが1つのワークスペースに集うことで、仕事と家庭だけではない第3の場所として“地域コミュニティ”を同時に築くことができる。
「子どもを迎えに行けないときは、トリストのメンバーにお迎えを頼むことができるのでとても助かっています。困ったときにお互いに助け合えますし、地域の生の情報を得られるのもありがたいです。予防接種の受付が始まったとか、いいお店があるとか」と梁瀬さんは語る。
トリスト発起人の尾崎さんによると、「流山市は子育てを目的に引越してくる人が多いので、もともと地域には縁もゆかりもない人が多い」。香川県出身の尾崎さんもその一人だ。
尾崎さんは最初、「会社の理解があり、家族で家事分担ができていれば、仕事と育児の両立は容易」と思っていた。しかし現実はそうではなかった。「都内の企業に通勤していたのですが、子どもが熱を出して保育園からはしょっちゅう呼び出されますし、私が体調を崩して家族に頼れないときは、ご飯を買いに行くことすらできませんでした」
「このままでは仕事を続けられない」。そう思った尾崎さんは、香川県の実家から季節ごとに送ってもらったうどんやみかんを、近所のおじいちゃんおばあちゃんたちにおすそ分けした。何かあったら助けてもらえるよう、日常からコミュニケーションをとるようにしたのだ。その甲斐あって、地域のシニアは困ったときに子どもを預かってくれるなど、尾崎さんがヘルプを出した際に快く手を貸してくれるようになった。
その一方で、尾崎さんは地域のシニアのためにお米などの買い物を進んで引き受けている。「時間のあるシニアとパワーのある子育て層が互いにないものを補い合うことで、地域がうまく連携できる」と尾崎さん。「郊外で暮らす子育て世代が仕事を継続できるかどうかは、地域ネットワークがあるかどうかにかかっています」
しかし都内に働きに出ていると、忙しい子育て世代は地域と関わる時間を持つことは難しい。お金で買えない地域コミュニティは、時間をかけて構築することが必要だ。「働きながら地域コミュニティと繋がれて、家族との時間も大切にできる、この3つを同時進行できる場所」の必要性を認識した尾崎さんは、トリストを通じて地域との関わりが生まれるよう、さまざまな工夫をしている。
トリスト利用者の子どもたち向けにプログラミング講座を開いたり、高校生にカフェを運営してもらったり。トリストの近くに住むシニアには防犯見守りや託児の協力も得ている。

トリスト利用者の子どもたち向けにプログラミング講座を開いたときの様子(写真提供/梁瀬さん)

トリストのお掃除や託児をしてくださっている女性(写真提供/トリスト)
今では次のような助け合いが自然とできる関係が生まれているという。
「ある日トリストで働くお母さんが乗って帰って来るはずだった飛行機が遅延して、3人の子どもたちを保育園に迎えに行けなくなってしまいました。そのとき、SNSの入居者グループでそのお母さんがヘルプを出した瞬間、トリストのお母さんたちが役割分担をして動き始めたんです。あるお母さんは子どもたちをそれぞれの保育園に迎えに行き、あるお母さんはご飯を用意して子どもたちを受け入れました。当然金銭のやり取りは発生していません。普段時間をかけて人間関係を築いているからこそ、いざというときにチームプレーが生まれるんです」
父親・母親の働き方が変われば、子どものキャリア観も変わるトリストは父親・母親の働き方を変えるだけでなく、子どものキャリア観を育むことも目指していると尾崎さんは語る。
「子どもたちがいかに地域において広いキャリア観を持てるかが、これからの日本に求められています。そのためにはどの親の子どもであれ、いろんなネットワークや仕事を地域の中で知る機会が必要です」
トリストでは、入居者のキャリアを活かした子ども向けのワークショップを開催している。アパレル業界で働く出さんは、子どもたちにミシンの使い方を教え、アニメキャラクターの衣装をみんなでつくったところ大評判だったそうだ。

出さんにミシンの使い方を習う子どもたち(写真提供/トリスト)

自分でつくった衣装を着てポーズを決める子どもたち(写真提供/トリスト)
こうしたスキル面だけでなく、「好きなことをして働く背中を子どもたちに見せることが、子どもたちにとって一番のキャリア教育になる」と尾崎さんは話す。
「どんなに学校がキャリア教育を施しても、結局子どもたちのキャリア観は親がつくるものです。父親・母親が自分の未来を信じて、自分自身が楽しむ姿を子どもに見せてほしい。お父さん、お母さんたちの働き方を変えることが、遠回りに見えて、実は子どもたちのキャリア観を一番広くしてあげられることなんです」
テレワーク人口が増えれば、日本は面白くなる「テレワークがなければ仕事を辞めていたかもしれない」という言葉を聞くたびに、今までどれほど多くの母親たちが地元でキャリアを活かして働くことを諦めてきたのかと思う。父親・母親は子どものために仕事を諦めるのではなく、子どものためにこそ仕事を続けてほしい。そのためには、テレワークなどの働き方の支援や、地域との助け合いが必要だ。父親・母親のためだけでなく日本のために、この動きが全国に広がっていくことが望まれる。
●取材協力前回の記事「テレワーク導入に900社が理解示さず。流山市の民間シェアオフィスが挑む高い壁」では、千葉県流山市で子育て世代の母親・父親などのテレワークを実現するシェアサテライトオフィス「Trist(トリスト)」の立ち上げについてお伝えした。
流山市のような郊外でテレワークが求められている背景には、「子育てに人気の街」ゆえの悩みがある。尾崎さんによると、子育て世代が多く流入する地域は子育て関連サービスのニーズがあまりにも多く、働きやすさや子育てのしやすさを向上させるためのサービスの供給が追いついていない。そのため通勤時間の長い郊外ほど、仕事と家庭の両立は難しいという。
テレワークを始めると父親・母親たちの生活はどう変わるのか? トリスト利用者の出(いで)梓さんと梁瀬(やなせ)順子さんに話を聞いた。

写真左から、出梓さん、尾崎えり子さん、梁瀬順子さん(撮影/片山貴博)
現在3人の子どもを育てながらトリストでテレワークをする梁瀬さんは10年前、結婚を機に子育て環境を求めて流山市に引越してきた。
当時は時短勤務で埼玉県の企業に通勤していたが、子どもの体調不良で何度も保育園から呼び出された。さらに学校の行事や面談の数は子どもの数に応じて増えるのに、有給の日数は変わらない。「子どもが2人の時点でいっぱいいっぱいだったので、これは無理だと思い、3人目を産む前に思いきって退職しました」
それからは専業主婦としての生活を始めたが、子どもたちと一日中過ごす生活は想像以上にハードだった。「働いている方がイライラしないし、自分にとってバランスがいい」と気づき、地元でアルバイトを探し始めた。ところがどんなにやる気をアピールしても、土日のシフトに入れないことを理由に一向に採用されない。梁瀬さんは「一度正社員を捨てると、アルバイトですら働くことは難しいんだと思い知らされました」と当時を振り返る。

トリストのエントランス(写真/片山貴博)

トリストのエントランスとミーティングスペース(写真/片山貴博)
そんななか、子どもの保育園が一緒だった尾崎さんに悩みを相談してみたところ、運よく尾崎さんの仕事をトリストで手伝わせてもらうことに。3人目の子どもが保育園に入ってからは都内のベンチャー企業にテレワーク前提で採用され、現在はバックオフィス業務を担う週3日勤務の正社員としてトリストで働いている。
テレワークを始めてから「生活の自由度が増した」と語る梁瀬さん。「以前は何か用事が一つあると、有給を半日から1日は取らないといけませんでした。でも今は地元で働いているので、3人分の行事も習い事も面談も働きながら全て対応できます。通勤時間がない分、時間を効率的に使えている実感があります」
有給を消化しなくとも、子どもたちとの時間を大切にできるし、自分の時間も確保できる。テレワークがなければ決して実現しなかった生活について、梁瀬さんは朗らかな表情で語ってくれた。
「一度辞めると、同じポジションに戻るのは難しい」
トリストでテレワークをする様子(写真/片山貴博)
2人目は、アパレルや雑貨メーカー向けの刺繍を企画製造する会社で働いてきた出(いで)さん。専門的な仕事に就きながら、保育園児と0歳児の2人の子どもを育てている。もともとは都内で暮らしていたが、子育て環境を求めて3年前に流山市に移り住んできた。
「アパレルの仕事は忙しくて時間が不規則ですし、トレンドの変化が激しいので、『一度辞めると、同じポジションで復職するのは難しい』と言われています。実際に私の会社で育休復帰した人は一人もいなかったのですが、仕事が大好きだったので、出産してもなんとか続けたかったんです」
流山から職場まで、通勤途中での保育園への送り迎えを含めると往復3時間。時短勤務にするだけでも、迷惑をかけているという負い目を感じてしまうはずなのに、子どもが熱を出して保育園に呼び出されるようなことが続けば、きっと仕事が手につかなくなる。そんな不安から、出さんは「私は会社に必要ないのだろか?」とまで考えたという。
出さんは第一子の出産後、たまたま手に取ったフリーペーパーでトリストの存在を知り、すぐに尾崎さんに連絡をとった。アパレル業界でのテレワークは非常にレアケースであるため、利用したいが会社を説得できる自信がないと相談すると、尾崎さんは出さんと一緒に会社に出向き、社長を説得してくれた。トリストでのテレワークが認められたおかげで、出さんは会社史上初の育休復帰を果たし、仕事を続けることができた。
「家と保育園とトリストがとても近いので、保育園からの急な呼び出しにも対応できますし、病後児保育を利用したり家で看病したりしながら仕事を再開できます。有給がなくなる不安もありません。通勤時間がない分、時間を有効活用できています。もしテレワークができていなかったら、仕事を諦めていたかもしれません」

出さんがデザイン・制作したトリストのワッペン(写真/片山貴博)
仕事を続けるために必要なのは「地域コミュニティ」梁瀬さんや出さんのように、「地元でやりがいのある仕事をしながら、家族との時間も大切にしたい」と願う人たちが1つのワークスペースに集うことで、仕事と家庭だけではない第3の場所として“地域コミュニティ”を同時に築くことができる。
「子どもを迎えに行けないときは、トリストのメンバーにお迎えを頼むことができるのでとても助かっています。困ったときにお互いに助け合えますし、地域の生の情報を得られるのもありがたいです。予防接種の受付が始まったとか、いいお店があるとか」と梁瀬さんは語る。
トリスト発起人の尾崎さんによると、「流山市は子育てを目的に引越してくる人が多いので、もともと地域には縁もゆかりもない人が多い」。香川県出身の尾崎さんもその一人だ。
尾崎さんは最初、「会社の理解があり、家族で家事分担ができていれば、仕事と育児の両立は容易」と思っていた。しかし現実はそうではなかった。「都内の企業に通勤していたのですが、子どもが熱を出して保育園からはしょっちゅう呼び出されますし、私が体調を崩して家族に頼れないときは、ご飯を買いに行くことすらできませんでした」
「このままでは仕事を続けられない」。そう思った尾崎さんは、香川県の実家から季節ごとに送ってもらったうどんやみかんを、近所のおじいちゃんおばあちゃんたちにおすそ分けした。何かあったら助けてもらえるよう、日常からコミュニケーションをとるようにしたのだ。その甲斐あって、地域のシニアは困ったときに子どもを預かってくれるなど、尾崎さんがヘルプを出した際に快く手を貸してくれるようになった。
その一方で、尾崎さんは地域のシニアのためにお米などの買い物を進んで引き受けている。「時間のあるシニアとパワーのある子育て層が互いにないものを補い合うことで、地域がうまく連携できる」と尾崎さん。「郊外で暮らす子育て世代が仕事を継続できるかどうかは、地域ネットワークがあるかどうかにかかっています」
しかし都内に働きに出ていると、忙しい子育て世代は地域と関わる時間を持つことは難しい。お金で買えない地域コミュニティは、時間をかけて構築することが必要だ。「働きながら地域コミュニティと繋がれて、家族との時間も大切にできる、この3つを同時進行できる場所」の必要性を認識した尾崎さんは、トリストを通じて地域との関わりが生まれるよう、さまざまな工夫をしている。
トリスト利用者の子どもたち向けにプログラミング講座を開いたり、高校生にカフェを運営してもらったり。トリストの近くに住むシニアには防犯見守りや託児の協力も得ている。

トリスト利用者の子どもたち向けにプログラミング講座を開いたときの様子(写真提供/梁瀬さん)

トリストのお掃除や託児をしてくださっている女性(写真提供/トリスト)
今では次のような助け合いが自然とできる関係が生まれているという。
「ある日トリストで働くお母さんが乗って帰って来るはずだった飛行機が遅延して、3人の子どもたちを保育園に迎えに行けなくなってしまいました。そのとき、SNSの入居者グループでそのお母さんがヘルプを出した瞬間、トリストのお母さんたちが役割分担をして動き始めたんです。あるお母さんは子どもたちをそれぞれの保育園に迎えに行き、あるお母さんはご飯を用意して子どもたちを受け入れました。当然金銭のやり取りは発生していません。普段時間をかけて人間関係を築いているからこそ、いざというときにチームプレーが生まれるんです」
父親・母親の働き方が変われば、子どものキャリア観も変わるトリストは父親・母親の働き方を変えるだけでなく、子どものキャリア観を育むことも目指していると尾崎さんは語る。
「子どもたちがいかに地域において広いキャリア観を持てるかが、これからの日本に求められています。そのためにはどの親の子どもであれ、いろんなネットワークや仕事を地域の中で知る機会が必要です」
トリストでは、入居者のキャリアを活かした子ども向けのワークショップを開催している。アパレル業界で働く出さんは、子どもたちにミシンの使い方を教え、アニメキャラクターの衣装をみんなでつくったところ大評判だったそうだ。

出さんにミシンの使い方を習う子どもたち(写真提供/トリスト)

自分でつくった衣装を着てポーズを決める子どもたち(写真提供/トリスト)
こうしたスキル面だけでなく、「好きなことをして働く背中を子どもたちに見せることが、子どもたちにとって一番のキャリア教育になる」と尾崎さんは話す。
「どんなに学校がキャリア教育を施しても、結局子どもたちのキャリア観は親がつくるものです。父親・母親が自分の未来を信じて、自分自身が楽しむ姿を子どもに見せてほしい。お父さん、お母さんたちの働き方を変えることが、遠回りに見えて、実は子どもたちのキャリア観を一番広くしてあげられることなんです」
テレワーク人口が増えれば、日本は面白くなる「テレワークがなければ仕事を辞めていたかもしれない」という言葉を聞くたびに、今までどれほど多くの母親たちが地元でキャリアを活かして働くことを諦めてきたのかと思う。父親・母親は子どものために仕事を諦めるのではなく、子どものためにこそ仕事を続けてほしい。そのためには、テレワークなどの働き方の支援や、地域との助け合いが必要だ。父親・母親のためだけでなく日本のために、この動きが全国に広がっていくことが望まれる。
●取材協力
所在地:杉並区下高井戸
所在地:文京区本駒込
所在地:世田谷区若林テレワーク(リモートワーク)の導入が推進されてはいるものの、まだ十分に普及しているとは言えない。企業におけるテレワークの導入率はわずか19.0%(総務省「平成30年 通信利用動向調査」)。「会社に制度はあっても、実際に使っている人はいない」という話を耳にすることも多い。
そんななか、テレワークを千葉県流山市で定着させようとしている人がいる。都内(または全国)の企業に所属しながら流山で働くことを実現するシェアサテライトオフィス「Trist(トリスト)」を運営する、尾崎えり子さんだ。トリスト立ち上げまでの道のりを聞くと、日本でのテレワークの定着が難しい現状が見えてきた。
「キャリアを消さないと地元で働けないなんて」ワーキングスペースを提供するだけではなく、テレワークを初めて実施する企業や従業員をサポートするトリスト。通勤時間を理由に一度は仕事をあきらめた母親たちなどの再就職を含め、50名以上がTrist(トリスト)を活用している。
尾崎さんがトリストを立ち上げた背景には、自身が子育て中に思うような仕事に就けなかった経験がある。第一子を出産後、流山市から都内の企業に通勤していた尾崎さんは、子どもの体調不良で保育園に呼び戻されることが多く、思うように仕事ができない日々が続いた。「こんな状況では仕事と子育ての両立は厳しい」と思い、第二子の出産を機に退職を決意する。

シェアサテライトオフィス「Trist(トリスト)」を運営する尾崎えり子さん(撮影/片山貴博)
地元で就職先を見つけようとするが、選択肢は少なく、コンビニやファストフード店のアルバイトの面接にも出向いた。しかし、その扉が開くことはなかった。
「都内の企業で経営コンサルティングの仕事をしたり、企業内起業で社長をしていた私は『キャリアがありすぎる』と言われたんです。それで、他のお母さんたちはどうやって仕事を見つけているんだろう?と思ってママ友に聞いてみると、かつて外資系金融機関で営業をしていた友人は、そのキャリアを履歴書には書かずに、大学時代のカフェバイトの経歴だけを書いてやっと小売店でのアルバイトに採用されたそうなんです」
「キャリアを消さないと働けないなんておかしい」。そう思った尾崎さんは現状を変えるべく、地元でキャリアを活かして働ける場所をつくる決意をした。「日本の労働人口は、今後ものすごい勢いで減少していきます。ママを救いたいという気持ちではなく、今まで労働に参加できていなかった人たちが働きやすい環境をつくってこの国をなんとかしなければという気持ちでした」
「ママなんてバイトで満足でしょ」テレワークに理解を示さない企業トリストではワーキングスペースの提供だけでなく、テレワークの教育プログラムを企業と個人双方に行っている。日本マイクロソフト社とともにEmpowered JAPANというテレワーク教育プログラムを立ち上げた。テレワーカーとしての姿勢や心構えを尾崎さんが直接指導するのに加え、労務管理やセキュリティ、クラウドでの共同作業なども各専門家がレクチャーする。講座の中にはテレワーカーの採用を希望する企業へのテレワークインターンも組み込まれている。その後、希望企業にはTristで採用説明会を開催。採用に至った場合の紹介料は発生せず、ワーキングスペースの席料のみ企業から支払われる仕組みだ。
トリストで働くには、テレワークを前提に新たに雇用してもらう方法と、流山から都心の企業に通勤している人が会社にテレワークを許可してもらう2つの方法がある。後者の場合は尾崎さんが必要に応じて打ち合わせに同席し、責任者を説得するサポートをしてくれるというから心強い。

トリストで教育プログラムを受講している様子(写真提供/Trist)
トリストのシステムに賛同してくれる企業を増やすべく、尾崎さんが営業した企業は実に960社。ところが、そのうち共感してくれた企業はたったの60社だった。
「一体いつの時代の人権教育の影響なんだろうと思ってしまうくらい、信じられないような発言をする方がたくさんいらっしゃいました。次の言葉は、私が実際に企業の担当者の方からかけられた言葉です」
「あなたが3人目、4人目を産めば少子化は解決するんじゃないですか?」
「あなたたちみたいに働く女性が多いからこんな社会になってしまったんですよ」
「お母さんなんて3時間パン屋さんでバイトすれば満足でしょ?」
尾崎さんは「悔しくて、噛み締めた唇から血が出るほどだった」と当時を振り返る。テレワークの必要性を認めてもらえないどころか、自分自身が見下されている。このままでは日本は変わらないのに、どうして分かってくれないのか。
「今後日本は大介護時代に突入します。そのとき、マネジメント層の人たちもテレワークが必要な状況に陥ります。そうなる前に企業は今から試行錯誤して、自分たちに合ったテレワークのやり方を見つけなくてはなりません。本当に必要になってから慌てふためいても遅いんです」
日本でテレワークが浸透しない3つの理由
トリストのエントランス(写真/片山貴博)

トリストのミーティングスペース(写真/片山貴博)
地元でテレワークができれば、これまでのキャリアを活かして働きながら、家族との時間も大切にできる。いいことばかりのように思えるが、なぜ日本でテレワークは浸透しないのだろうか。
尾崎さんによると3つの理由がある。1つ目は「法律」の問題。特に中小企業にとっては、労働法上テレワークを使いづらい環境になっているという。
2つ目は「マネジメント」の問題。今マネジメント層にいる人たちは、会社に通勤することで成功してきた人たち。そのため、部下が目の前にいないと、「マネジメントができなくなるんじゃないか」「結果を出してもらえないんじゃないか」「サボるんじゃないか」といった不安を感じてしまう傾向にある。
3つ目は「セキュリティ」の問題。例えば人事の仕事は「セキュリティレベルが高いからテレワークはできない」と言われるが、解決の糸口は業務を棚卸しすることで見えてくる。具体的には、「評価」の業務はセキュリティレベルが高いとしても、「スカウトメールの送信」や「媒体への求人情報の掲載」といった業務はそこまで高くはないはずだ。その場合、週2日は本社で評価業務を行い、週3日はテレワークでその他の業務を行うといった対応が検討できる。
尾崎さんは「今まで『テレワークは難しい』と言われていた業界や職種でこそ挑戦したい」と力強く語る。
往復3時間の通勤から解放され「心の余裕が全然違う」
写真左からトリスト利用者の出梓さん、梁瀬順子さん(写真/片山貴博)
実際にトリストでテレワークをしている利用者の話を聞いた。1人目は3人のお子さんを育てる梁瀬(やなせ)順子さん。子育て環境を求めて流山市に引越す前は、埼玉県の企業で正社員として働いていた。2019年4月からトリストでスタートアップ企業のバックオフィス業務をしている。
「テレワークを始めた当初は、相手の雰囲気が分からないことに戸惑いはありました。でも実際に会うことは少なくても、相手の顔が見えて話を聞くことができれば、お互いの温度感は十分伝わります。言葉だけのコミュニケーションで足りない場合は気軽にテレカン(電話会議)をしています」
さらに梁瀬さんの働く会社では全てのプロジェクトの情報がオープンにされており、通勤している社員とテレワークの社員との間の情報格差はない。そのため、「会社に行っていないからといって、置いてかれているという感覚はありません」
アパレル企業で働きながら2人の子どもを育てる出梓(いで あずさ)さんも、「必要な場合はオンライン会議ができるので、現場との時差は感じない」と話す。
「トリストでテレワークを始める前は、流山から会社に往復3時間かけて通勤していました。毎日疲労困憊でしたが、今は通勤時間がなくなったので時間が生まれ、大好きな仕事を続けられています。その分夫にも子どもにも、余裕を持って接することができています」
またテレワーカーを雇う企業からも、トリストを評価する声が上がっている。尾崎さんは「テレワークがうまくいっていない」という声をランチ会などで拾い上げると、「いまトリストではこうした問題で悩んでいる方がいます。もしお心当たりがあるようでしたら改善をお願いします」というように、発言者の名前を伏せて企業に対応を促している。企業からは「尾崎さんがアドバイスしてくれるので、まるでテレワークのコンサルを導入しているよう。テレワーカーの退職防止にも役立ち助かっている」という言葉をもらったこともあるそう。
尾崎さんのお話を聞いて思ったのは、日本でテレワークが普及しない根本的な要因の1つに、企業の古い価値観があるということ。これを変えていくのは相当難しいように思えるが、実際にテレワークを導入してみると、労使ともに心地よさを感じる事例がトリストからいくつも生まれている。尾崎さんの言葉で動かなかった900社にも、大切な社員を辞めさせない手段の一つとして、テレワークがあるという認識を持ってほしいと願う。
次回は、今回トリストの利用者としてご登場いただいた梁瀬さんと出さんのお二人が感じたテレワークの必要性と、テレワークを始めて感じた変化について、具体的にお伝えする。
●取材協力
所在地:杉並区井草
所在地:武蔵野市吉祥寺本町
所在地:武蔵野市吉祥寺本町
所在地:台東区浅草橋カーディフ生命が実施した調査で興味深いのは、生活価値観や住まいについて「平成世代」「ロスジェネ世代」「バブル世代」に世代を区分して比較している点だ。経済・社会的背景が異なる世代の価値観などの違いは、どういった点に表れるのだろうか?【今週の住活トピック】
「世代別の生活価値観・住まいに関する意識調査」を実施/カーディフ生命シェアリングが浸透した平成世代でも、家や車は買う派が8割
まず、世代区分とその特徴を見ていこう。
● 平成世代:平成生まれおよび主にゆとり教育を受けた世代(20~34歳)
● ロスジェネ世代:主にバブル崩壊の影響を受けている世代(35~49歳)
● バブル世代:主にバブル景気時に就職した世代(50~59歳)
ロスジェネとは、ロスト・ジェネレーション=失われた世代ということだ。バブル崩壊後の就職氷河期に新規卒業生となった世代で、いまだにその影響が及んでいると言われている。その後の平成世代は、比較的堅実で、ワークライフバランスを重視する世代と言われている。
まず、持ち家志向を見ると、意外にも世代間であまり変わらないという結果だった。
それぞれに「買う」「どちらかというと買う」「借りる」「どちらかというと借りる」「利用しない・関心がない」を選ぶ形式で、「家」について聞いたところ、買う派は平成世代で78.1%、ロスジェネ世代で78.4%、バブル世代で78.8%と変わりがなかった。
「借りる」にはシェアリングやサブスクリプションを含むとしているが、実は「車」について聞いても、どの世代も8割近くが買う派で、シェアリングに慣れつつある平成世代でも、家や車は買う派が大勢を占めた。
平成世代は家族とつながる場としての価値観を重視一方、世代間で違いが見られたのは、住宅に関する価値観だ。
平成世代の価値観が特に高いのは、「家は家族が団らんする場所」(平成世代52.5%)、「家族が思い出を刻むもの」(平成世代40.2%)の2項目。「友人や仲間を招いて交流する場」(平成世代19.5%)も他の世代より高いことから、平成世代が家に求めるものは、家族や仲間とつながる場という意味合いが強いということだろう。

住宅に関する価値観(複数回答)(出典/カーディフ生命「世代別の生活価値観・住まいに関する意識調査」より転載)
一方、バブル世代が特に高いのは、「老後も暮らせる安心感を持てるようにする」(バブル世代53.4%)。ただしこれは、社会背景というよりも年齢的な影響が強いのだろう。また、世代で共通したのは、「家は仕事の疲れをいやす休息場所」(平成世代51.2%、ロスジェネ世代52.8%、バブル世代54.1%)だった。
平成世代は住宅ローン返済への不安が強く、保障を手厚くしている!次に、各世代のうち住宅ローンの利用者に限定して調査した結果を見ていこう。
住宅ローン返済への不安は、想定した通り、平成世代で強くなる傾向(「不安を感じた」平成世代74.1%、ロスジェネ世代69.2%、バブル世代57.9%)が見られた。若いほど返済期間が長く残っているうえ、収入の安定性や年々収入が上がる期待をしづらいという背景もあるだろう。

住宅ローン返済への不安(住宅ローン利用者)(出典/カーディフ生命「世代別の生活価値観・住まいに関する意識調査」より転載)
面白いのは、不安の裏返しとして、住宅ローン契約時に加入が求められる団体信用生命保険(以下、団信)で保障を手厚くしている点だ。死亡保障だけの一般的な団信に加え、がん保障などの特約を付けている比率が50.9%とかなり高くなっている。

加入している団信保障の内訳(住宅ローン利用者)(出典/カーディフ生命「世代別の生活価値観・住まいに関する意識調査」より転載)
住宅ローンの団信でプラスできる保障は多様に団信では、住宅ローンを借りた人が死亡したり、高度障害状態になったりしたときに、住宅ローンの残額を完済する保険金が金融機関に支払われる。その半面、死亡と高度障害ではない理由で返済不能になっても、保険金が下りることはない。
そこで近年は、病気などで返済不能になったときも団信の対象にする特約が多様化している。
代表的なものが、「がん保障」や「三大疾病保障」、「八大疾病保障」など。三大疾病は、死亡率の高い悪性新生物(がん)、脳卒中、急性心筋梗塞が対象で、八大疾病は、三大疾病に生活習慣病といえる五疾患(高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)を加えたもの。ほかにも、病気やけがで一定の就業不能状態になったときに保険の対象となる「就業不能特約」などもある。
特約を付けて保障を手厚くすれば、別途保険料を支払ったり、保険料分の金利が上乗せになったりするのが一般的だ。不安だからと特約を手厚くするほど、負担も増えることになる。
ただし、金融機関によって用意している特約に違いがある。さらに、同じような名称の特約でも、どういった状態になると対象になるのか、いつ保険金が支払われるのか、保険料の負担はどうなるかが異なっている。特約を付けて該当する疾病になったとしても、所定の条件に合致しなければ保険金が支払われないということもあるので、それぞれの内容をしっかり検討する必要がある。
不安を解消するには、ローン特約を付けるだけでなく、一般的な生命保険や医療保険なども視野に総合的に判断したり、貯蓄で備えたりする選択肢もある。自分はどのリスクに弱いのかなど、よく分析したうえで対策を立てるとよいだろう。
さて、時代背景を受けて、平成世代はいろいろなことへの不安が強く、対策も検討していることがうかがえる結果が目立った。一方、節約生活が苦手なバブル世代は、長寿化によってまだ長い人生を生きることになる。老後に向けて時間をかけられる世代ではないので、今のうちにライフプラン・マネープランをきちんと見直しておく必要もあるだろう。
所在地:文京区本郷
所在地:渋谷区神宮前
所在地:荒川区東尾久1月の恒例企画、2020年の不動産市場について、さくら事務所会長の長嶋氏に予測いただきました。2020年の不動産市場はどうなるでしょうか。
キーワード1「さらなる災害リスク」
まずは「さらなる災害リスク」。2019年の台風15号や19号が国内各地に甚大な水害・災害をもたらしたのは記憶に新しいところですが、気候変動のトレンドは今後もさらにその趨勢を増し、海面温度上昇による大規模な台風の発生する可能性はますます高まっています。国連IPCC第5次評価報告書によれば、気候変動システムの温暖化には疑う余地はなく、気温、海水温、海水面水位、雪氷減少などが再確認されています。
浸水可能性のある地域ではその備えを。また不動産選びではリスクのあるところはなるべく避けるといった動きが顕著になるのではないでしょうか。現時点では義務化されてはいない「不動産売買・賃貸契約時にハザードマップの説明を義務付け」「災害リスクを金融機関の担保評価に織り込み」といった動きが出てくるかもしれません。
「災害可能性に応じた火災保険料率の設定」は必至で、例えば楽天損害保険は4月から「住宅が高台などにある契約者の保険料は基準より1割近く下げる。一方、床上浸水のリスクが高い川沿いや埋め立て地などに住む契約者の保険料を3~4割高くする」としています。
また「屋根工事」のやり方にも注目が集まりそうです。昨年9月の台風15号では、神奈川県の一部や千葉県の多くの地域で屋根が飛ぶなどの被害が続出。私は被災後の千葉県館山市の現地を見て回りましたが、被災の有無の分かれ目は「屋根工事が2001年8月以降か」だったようです。1995年の阪神・淡路大震災の被害を受け、6年後の2001年に、各業界団体合同で示された「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」に沿ったやり方で工事が行われていたかどうか、ということなのです。
巨大地震( 震度7 )に耐える目的で創られたこのガイドラインより前の屋根工事は、極端にいうと、ただ載っているだけのようなケースも多く、一定以上の風量には全く対応できません。ひとたび屋根が飛ぶと、それが周辺の建物の壁を貫通するなどの二次的被害も発生し、地域全体が悲惨な状況となっていました。自身が保有する建物の屋根は、いつごろの工事なのか、どのような基準に基づいて工事されたのか、確認しておきたいところ。さらには、周辺の建物の屋根工事の状況についても、現状把握をしておく必要があるでしょう。もちろん、2001年以降の工事であってもガイドラインを無視した工事もあるかと思いますので、どのようなやり方で工事を行ったのか、工事会社に確認してみましょう。

(画像/PIXTA)
キーワード2「不動産価格のピーク感」「不動産価格のピーク感」も鮮明です。2012年の民主党から自民党への政権交代以降、「都心」「駅近・駅前・駅直結」「大規模」「タワー」といったキーワードに象徴される物件中心に価格上昇を続けてきた新築マンション市場も、発売戸数は年々減少し、好不調を占う契約率も恒常的に70%を割り込むなど息切れ感。19年の首都圏新築マンション供給は3.2万戸の見込み(不動産経済研究所)も、2020年は3万戸を割り込む可能性が高いでしょう。供給は都区部や駅近・大規模・タワーマンションなどが中心となり、平均価格は横ばいかやや下落といったところではないでしょうか。新築マンションはもはや「高嶺の花」となり、こうした流れから中古マンション市場は過去数年のトレンド同様、好調が継続しそうです。
キーワード3「政治の動き」政治にも動きがありそう。森友・加計問題でも揺らがなかった現政権も「桜を見る会」騒動や「IR=統合型リゾート」関連を巡る汚職事件では国民の関心も高く、内閣府支持率を大きく低下させています。国会の野党追及次第では、憲政史上最長の現政権も衆議院の解散・総選挙を決断する場面が出てくる可能性があるかもしれません。そうなると、長期政権だからこそ安定してきた株式市場や不動産市場にも悪影響は必至で、さらに「実質的な日銀による国債引き受け」といった現在のスタイルに懸念が示される展開となると、金利上昇など景気に悪影響を及ぼしかねない状況が生まれるかもしれません。金利上昇すれば当然不動産価格は下落に向かいます。
世界を見渡せば「ブレグジット」「香港デモ」「中東情勢」など世界には火種がいくらでも転がっており、世界の政治経済情勢はかつてなく不安定。有事となれば日本円やスイスフランのように通貨の強い国はデフレ、それ以外の国はインフレに向かう可能性が高く、これも国内不動産価格にはもちろん下落圧力です。「円高」「株安」「原油高」「金高」「仮想通貨高」「不動産安」といった展開です。
10月に実施された8%から10%の消費増税後、12月の日銀短観では企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が、大企業製造業でゼロとなり、前回9月調査から5ポイント低下するなどありとあらゆる経済指標が悪化する中「台風の影響もあった。趨勢を慎重に見極める」としている政府ですが、そろそろ災害の影響を差し引いた情勢も分かるはず。本格的な景気悪化が鮮明となった場合、株価や不動産価格に影響が出るのは避けられません。
そんなわけで、今年の不動産市場は「大きなトピックがなければ横ばいまたはややマイナス」「世界の政治・経済情勢に大きな変化があれば大きくマイナス」になるものと予想します。
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所在地:豊島区千早外国人と日本人が一つ屋根の下で暮らす、多国籍シェアハウス「ボーダレスハウス」。日本に居ながら、留学生活のように異文化に触れ合え、語学力が向上するとあって近年注目を集めている。国内では東京、大阪、京都に77棟(2020年1月時点)を運営しており、世界各国から集まった入居者は累計で10000名を超えるそうだ。その魅力や実態について、実際に住んでいる日本人、外国人の双方にお話を伺った。
住まいで語学を学びたい
今回取材させていただいた杉並区のボーダレスハウス(写真提供/ボーダレスハウス)
今回、訪れたのは東京都杉並区にある「ボーダレスハウス」。誕生は2017年。中庭テラスを挟んだ2棟にはそれぞれ12人ずつが暮らしている。

ボーダレスハウスに住むユイさん(左)とアリさん(右)(写真撮影/小野洋平)
お話を伺ったのは、日本の大学に通うユイさん(左)とフィリピン出身のアリさん(右)。はじめにボーダレスハウスに入居することにした理由を聞いてみよう。
アリさん:私は来日時、日本に知り合いがいなくて不安だったからです。それと、フィリピンに住んでいたころになんとなく、自分のシェアハウスをつくりたいという夢があったからですね。実際に住むことで、いろんな国の人と友達になれますし、自分の夢を実現するためには良い勉強になると思って、ここを選びました。
―ユイさんはどういったきっかけでしょうか?
ユイさん:昨年、フィリピンで語学留学をしたのがきっかけです。英語が全く話せない私に対して、現地の方々はものすごく優しくしてくれました。そのときに“いつか英語が話せるようになったら恩返しする!”と約束してきたんです。帰国後、とにかく英語を早く話せるようになりたい。だけど、今の大学をやめて留学するのは難しい。そんな中で見つけたのがこのボーダレスハウスでした。
―実際に英語は上達しているのでしょうか?
ユイさん:昔は道を聞かれても拙い英語でしか伝えられなかったですが、今ではちゃんと説明できるようになりました。バイト先でも海外のお客さんが来られたときは、私から積極的に話しかけるようにもなりましたよ。
―すごい成長ですね。毎晩、レッスンをされているんですか?
ユイさん:レッスンまではいかないですが「この1時間は英語だけね」ってルールを設けたりして、とにかく毎日必ず誰かと英語で会話していました。
アリさん:逆に日本国外からやってきた私たちも日本語を学びたいときは「1時間は日本語だけね」ってルールも提案していたのでWin-Winな関係だと思います。人によっては、来日したばかりで日本語が喋れない方もいます。だから、普段は日本語に英語を混じえながら教え合っています。

(写真撮影/小野洋平)
―日本人の入居者は、やはり「英語を学びたい」と思って入居される方が多いのでしょうか?
ユイさん:ボーダレスハウスには、「入居者の半分は外国の方」という決まりがあります。そのため、私のように“前に留学していました”とか“仕事で使えるようになりたい”など理由はさまざまですが、外国語を使いたい意欲的な日本人が集まっていますよ。
アリさん:日本語が話せない外国人にとっても、ボーダレスハウスは良い環境だと思います。というのも、英語が通じる入居者がいるため、日本語で表現するのが難しいことでも誰かしらに伝えられます。私もはじめは日本の方に言いたいことが伝えられず、ここで英語を使ってストレスを発散していました(笑)。
―日本人にとっては英会話スクールよりも上達が早そうですね。
ユイさん:本当にそう思います。英会話スクールほどお金はかからないですし、自分の好きなタイミングで練習ができますから。しかも、教科書の言葉ではなく、実際に使われている「活きた言葉」を自然に身につけられるのは、ここならではのメリットです。
アリさん:良くも悪くも留学とは少し違う環境です。無理して言葉を覚える必要はないですし、絶対に喋らないと生きていけない状況でもありません。だからこそ、自分に喝を入れられる人でないと、なかなか喋れるようにはならないのがボーダレスハウスの特徴だと思います。
国籍を超えたハウスメイトとの出会い
ハウスメイトで行ったスノーボード旅行(写真提供/アリさん)
―ハウスメイト(同じ物件に暮らす人)同士の仲は良いですか?
ユイさん:ここは良いと思います。よくハウスメイト同士で旅行に行っていますし、最近ではクリスマスパーティーを開催しましたから。とにかくパーティーがみんな好きなんですよね(笑)。あと、パーティーに限らず、お互いがつくったいろんな料理を食べることができたり、教わることができるのも魅力だと思いますよ
―確かに、さまざまな国の食文化が学べそうですね。
ユイさん:普通に日本で暮らしていたら、きっと知らなかった調理法やつくらなかった料理に出会えるんですよ。前にいろんな形のパスタをつくってもらったときは驚きましたね。
アリさん:世界各国から人が集まっているだけあって、餃子パーティーやピザパーティーも本格的です。ここを退去する際に、自分の故郷の料理をふるまうのは恒例行事になりつつありますよ。
―楽しそう! 話を聞いていると、住みたくなってきます。
ユイさん:本当に住んで良かったと思います。私自身は、知らない人と住むことにストレスは感じないですし、「ただいま」と「おかえり」のコミュ二ケーションが取れるだけで幸せですね。前にバイト後、落ち込んで帰ったとき、みんなが心配して話しかけてくれました。私にとっては、もう一つの家族だと思っています。
アリさん:私も日本語以外に、お祭りにみんなで行けたり、日本料理を教わったりと、文化を多く学べてうれしいですね。

ハウスメイトで行ったクリスマスパーティー(写真提供/アリさん)
―逆に仲が良すぎて、騒ぎすぎてしまうといったことはないですか?
アリさん:盛り上がりすぎてしまうことは、たまにありますね(笑)。他の入居者に迷惑がかからないよう、ドアを閉める、などの配慮はしています。ただ、「少しうるさいよ」とか「テーブルの上を片付けてね」など、どうしても言いたいときは共通のライングループを使ったりしています。こまめにコミュ二ケーションを取ることは共同生活において大事なことですから。
―家事は当番制なのでしょうか?
ユイさん:前にゴミ捨てや、浴室掃除を当番制にするか話し合ったことがあります。結果、当番制にはならなかったですが、代わりに気付いた人は率先して行うこと、そして「ありがとう」と「ごめんね」はちゃんと伝えること、などのルールが決まりました。とても当たり前のことですが。共同生活では特に重要なことだと思います。
アリさん:時に怒ることもありますが、伝え方は気をつけるポイントです。「〇〇の件なんだけど、どういうこと?」って頭ごなしに言っても良い方向にはいかないですからね。怒ったときに限らず、うれしいときや悲しいときなど自分の想いを伝えるために語学を勉強するようになれば、結果的に良い循環が生まれると思います。
―たしかに。では、文化の違いで困ったりすることはないですか?
ユイさん:基本的に良い人ばかりですけど、やはり価値観は違いますよね。でも、私は国の差というより個人の差だと思っています。どこの国だからとかではなく、結局は個人の性格。どこの国でも大雑把な人も几帳面な人はいますから。ただ、ここの住人は受け入れる心や協調性を持っている方が比較的多いですね。
―多様性を知る機会にもなりそう。語学以外の面でも成長できそうな環境ですね。
アリさん:ただシェアハウスに住みたいだけなら、わざわざボーダレスハウスは選ばないと思います。家賃がめちゃくちゃ安いわけでもないですから。それでも、あえてここを選んで来ているということは、お金以外になにか価値・魅力を感じた人が集まっているんだと思います。
新しい価値観に触れ、広がる未来
(写真撮影/小野洋平)
―入居する前と後で考え方が変わったことはありますか?
アリさん:1人で日本に来たときは言葉が喋れない、知り合いがいない、料理もできないなど本当に自分は暮らしていけるのか、自信がありませんでした。でも、今はいろんな人に出会い、たくさんの経験をしたことで自分に自信が持てるようになりましたよ。
ユイさん:私も人との出会いから価値観に少し変化がありました。人生はもっと肩の力を抜いて楽しむべきって思うようになりましたね。私が引越して間も無いころ、みんなでお酒を飲んでいたときのことです。私は次の日が1限目から授業だったので寝ようとしたところ「ユイ、それでいいのか? どっちが価値あると思う?」ってハウスメイトに聞かれたんですよね。もちろん、学校の授業をサボることはいけないことですが、そのときはみんなで話している時間の方が価値があるかもしれないって思えたんですよ。
―価値観が変わったり、視野を広く持てるようになったと。1人暮らしではなかなか経験できないと思います。
ユイさん:私は実家を出るタイミングでボーダレスハウスに入居しています。多分、こんなに楽しい経験をしてしまったら、1人暮らしが寂しすぎて辛いと思います(笑)。どっちの経験もしたい方は先に1人暮らしを経験した方がいいかも……。
―ボーダレスハウスのような多国籍の方が暮らすシェアハウスは、どういった方にオススメですか?
アリさん:やっぱり、コミュ二ケーションを取るのが好きな人ですかね。外国の人だけでなく、いろんな人に出会いたい、話したい人。あとは、フットワークが軽くて旅行が好きな人もいいかもしれません。
ユイさん:はじめ、両親は反対していたんですよ。外国の人という以前に、男女ですし、なにかあったら心配だって。でも、今では私が楽しんでいるのが伝わっているようで、なにかあったときは逆にみんなが守ってくれる環境なので安心したみたいです。

(写真撮影/小野洋平)
―大学生のユイさんは、この経験が就職活動でも役立ちそうですね。
ユイさん:就活って正解が分からないじゃないですか? でも、いろんな価値観を持っている人に出会えて、しかもグローバルな目線で教えてくれるので、アドバイスに偏りがないんですよ。それに、年齢や職業もバラバラなので、幅広い目線でさまざまな業界のリアルが聞けるのでものすごく役立っています。
―ここの生活を通して、夢や目標が新たに生まれたりはしましたか?
アリさん:やはり、自分のシェアハウスをつくりたい気持ちは一層強くなりました。以前までは漠然とした夢でしたが、少しずつイメージできるようになったのはここに住んだおかげです。今は日本だけではなく、他の国でもシェアハウスをつくり、ハウスメイト同士で行き来できるようになればいいなって考えています。
―素晴らしい夢だと思います。
アリさん:英語を話せない日本人も日本語が話せない外国人も、直ぐに馴染めるのがここの魅力です。私にとっては本当にセカンドファミリーのような、帰りたくなる居心地の良い雰囲気があります。だから、私もこのようなシェアハウスをつくりたいんです。余談ですが、前にテラスハウスのオープニングムービーを真似てつくった映像があります。こういう映像を私のシェアハウスでは展開してもいいかな(笑)。

アリさんが製作した映像(動画作成/アリさん)
―個人の成長としても、ビジネスの面でもアリさんにとっては大きな糧になっていますね。ユイさんはいかがですか?
ユイさん:私も英語圏に行きたい気持ちが強くなりましたね。もちろん、海外での仕事は夢ですが、現段階ではまだ選択肢の1つで決めきれてはいません。ここに住み続けることで知識はきっと、どんどんと増えていくじゃないですか? だから、住んでいる間に自分の選択肢をできるだけ増やして、やりたいことを模索していこうと思います。選択肢が多いことは幸せな悩みですもんね。……むしろ決められるかな(笑)?
ボーダレスハウスのような、多国籍の住民が暮らすシェアハウスは、お互いに交流する意欲を持って一緒に暮らすことで、語学力の向上のほか、多様な文化や価値観を学ぶことができるようだ。グローバル化が叫ばれて久しいが、スキルとしての語学だけでなく深いレベルでさまざまな国のことを知るには、またとない環境なのかもしれない。
●取材協力
所在地:小金井市梶野町
所在地:渋谷区富ヶ谷
所在地:目黒区上目黒
所在地:豊島区雑司が谷
所在地:渋谷区恵比寿お墓って、先祖代々のもの。自分もそこに入り、子孫が弔ってくれるってイメージ。でも、「子どもは女子だけで嫁いで姓も変わってしまった」「お墓が田舎にあって管理が難しい」「一生独身を楽しむ予定」など、時代とともに必ずしも先祖代々の墓を継いでくれる人がいるとは限らない状況も増えているようだ。どうすればいいか答えが見つからず、結果的に面倒くさいお墓まわりの諸問題。「でも本当はいろんな解決法があるんだよ」、と漫画家・井上ミノルさんは『まんが 墓活』(140B 刊)で描く。少子化、人口減少、非婚の進むニッポン。現生の住宅と同じようにあちらのお家も多様化が進む。井上ミノルさんに、漫画に込めた思いを聞いた。
「代々墓」は続かない。でも選択肢はいっぱいあるお墓事情
『まんが 墓活』(井上ミノル 著、140B 刊)
終活、墓じまい、墓友。どれもが、最近よく耳にする言葉だ。では、本のタイトルにある「墓活」とは、どういう意味なのだろうか。
「墓活とは、ご先祖の墓を移す墓じまいのことだけを指す言葉ではない、と考えています。自分自身と縁で結ばれた方を偲ぶ場所としてのお墓をどうするのか、まず、みんなで考えること自体が墓活だと思います」(井上ミノルさん:以下同)
「そもそも、幕府が統治制度として寺請制度を創設し、檀家、菩提寺という仕組みができました。また、先祖代々の墓という形も、そんなに長い歴史のあるものではないのです。明治になるまでは庶民には姓すらなかったわけで、江戸後期までは地域の集団墓や共同墓、または個人墓が普通だったようです。代々墓は明治期に制定された家長制度(家制度)のもとで一般化した形態だと思われます」

「わたしのお墓」のページより(画像提供/140B)
家長制度がなくなった時点で、代々墓のシステムが続かないのは、自然な話だと井上さんは言う。
本に紹介されているのは、みんながイメージで描く「代々墓」から離れた、新しいお墓の形だ。姓の違った者同士が入る合同墓や、夫婦だけのお墓など。お墓と呼べるものだけではない。納骨堂や、永代供養、散骨まで。仏像の内部にお骨を納めて供養する「お骨仏(こつぶつ)」まで紹介されている。
故人を悼み敬うお墓の形は、どんどん変わってバリエーションも増えてきているという。しかもお墓に入るのは、家を単位としたつながりだけではない。実際に宗教関係者の話として、「誰と入ろうが自由だと、お話しします。姓がちがっても、友人同士でも、同性のパートナーでも一緒のお墓に入ればいいと」

「気の合う仲間と墓を建てるのアリですか?」のページより(画像提供/140B)
江戸時代から檀家制度のもと、お墓を守ってきたお寺も変わってきている。漫画の執筆にあたり、さまざま種類のお墓や、お寺の住職、宗教関係者などに取材を重ねたという井上さんが特に印象に残ったお寺のお墓は?と尋ねると、「大阪の堺にある由緒ある古寺・月蔵寺(がつぞうじ)の永代供養墓です」とのこと。「大阪芸大の先生が設計した空間は、水が流れ季節の草木に囲まれたデザインで、亡くなった人を偲びながら心地よく過ごすというイメージです。なんといっても自然と調和した明るく楽しい空間で、これなら人も集まりやすいだろうなぁって」。そこでは、法要だけではなくコンサートやイベントも催され多くの人が集まるという。
このお寺では、宗派を問わず受け入れている。「人が集まって気軽にご先祖様に会いに来ることができる場所でありたいと、住職さんは語ってくれました。お寺というのは、もともと地域のコミュニティのような存在だったのだと気付かされました」
本の中で数多く紹介されているように、お寺も宗派も超えてより開かれたものへと、変わってきているようだ。

堺市「月蔵寺」紹介ページより(画像提供/140B)

堺市「月蔵寺」紹介ページより(画像提供/140B)

堺市「月蔵寺」紹介ページより(画像提供/140B)
生きている人のために、「墓活」を考える実際には思ったより自由で、選択肢が広がる墓活。井上さんに聞いた。究極、墓は要らない?
「お墓の前でおじいちゃんはこんな人だったんだよ。あの人はね、これが好きでね。と子どもたちに話ができる。そういう場所として、お墓はとても大切だと思うのです。でも、家だけを重視したつながりで、お墓を維持していこうとするならば、どこかで無理が生まれます。家という枠を超えて、自分につながる人を悼み、敬う場所は必要。なくならないと思います」
現実問題として、受け継ぐ人がいない、お墓を維持することに負担を感じると悩む人が多い。
「お墓という言葉や形にこだわらず、自分自身と深い縁で結ばれた人を悼み、敬う場所は、生きている人のためにあると思えばどうでしょう。日本では地域によっては、墓前で先祖に思いをはせながらお酒を酌み交わし、楽しむ葬礼文化も残っています。埋葬は、動物にはない人間の人間たるゆえんと、宗教学者の釈 徹宗(しゃくてっしゅう)先生もおっしゃっていました。だから、負担にならない方法で、面倒くさくない方法で、弔いを考えることが大事なのだと思います。ややこしい先入観を捨てて」

著者:井上ミノルさん(写真撮影/140B)
実に多彩な墓活。その選択に当たっては家族や親類縁者でも、それぞれ意見が異なってくることも多い。では、どうやって決めたらいいのか。
「永代供養墓も納骨堂も樹木墓地も、散骨も、実際にみんなで行って、話を聞いて、感じてみることです。素敵だなとか、あ、これはなんか違うなあとか」
お墓の引越しも、当然アリだと話す。「生活の場所が変わり、遠くへお参りに行くのを負担に感じたり、今のお墓が縁遠くなったら、お墓も引越しです。一度決めたら永遠に守り続けなければ、という考えも捨ててみてください」。現生の住宅と同じ、ライフスタイルに合わせてあちらのお家も考えるということか。
ただ、墓じまいをしようとすれば、役所に届けが必要であったり、日本ではお墓に関しては、法律によってさまざまな規制に守られている。散骨するにしても、どこに撒いてもいいというものでもない。そこは、よく注意してほしいと、井上さんは言う。
普段は話題にすることもはばかられる「お墓」の話。避けて通るのはなく、明るく家族みんなで話し合う。楽しいイラストで綴られた『まんが 墓活』がそのきっかけになれば、と井上さんは語った。
●取材協力
所在地:目黒区東山
所在地:港区赤坂
所在地:目黒区三田
所在地:横浜市神奈川区大口仲町
所在地:横浜市神奈川区子安通
所在地:目黒区下目黒
所在地:豊島区千早
所在地:杉並区高円寺北
所在地:中央区湊テレワーク(リモートワーク)を利用すると、出勤準備や通勤にあてていた時間が自由に使えるようになります。その時間で、サーフィンや畑などのやってみたかったことを始め、ついには新しい生き方を選んだ人がいます。住まいと街、働き方、生き方が溶けあった事例を紹介しましょう。
いつかは住みたかった湘南。理想の物件にひとめぼれ
東京生まれ、東京育ちのL・Iさん(40代女性)が一人暮らしを満喫しているのは、湘南・藤沢にある「鵠ノ杜舎(くげのもりしゃ)」。団地リノベや街のブランディングで知られるブルースタジオが手掛けたテラスハウスで、周囲に畑や丘もあります。

ブルースタジオが手掛けた「鵠ノ杜舎」。玄関まわりに自転車やサーフボードがあるのがいかにも湘南らしい(写真撮影/片山貴博)

(写真撮影/片山貴博)
L・Iさんが以前から漠然と「住めたらいいな」と思っていたこの地に引越したきっかけは、会社がテレワークを導入したこと。
「外資系企業に勤めていたのですが、週5日のテレワークが導入されたんです。それまで通勤しやすさを考えて都内や川崎市で暮らしていたんですが、これなら湘南に住めるかもしれないな、とぼんやりと考えていたときにこの物件を見学、“素敵すぎて手放したくない”と思いました」とほれ込んだそうです。
するとそこからLさんの人生は少しずつ変わっていきます。
「もともとスノーボードをやっていて、似ているかなと思ってサーフィンを始め、今では夏は朝、冬は昼に1~2時間ほど海に入っています。それから畑仕事も始め、今はハーブ類のローズマリー、セージ、タイムなどと、野菜を育てています」

海岸までは愛車で向かう。平日に波に乗り、人の多い休日に仕事をすることも(写真提供/L・Iさん)

Lさんが畑で育てているハーブたち(写真撮影/片山貴博)

手前はハーブ。奥の防寒対策をした苗シートの中で、キャベツなどの野菜の栽培にチャレンジ(写真撮影/片山貴博)
ほかにはランニング、合間には友人や家族と外食をしたりと、充実した日々を送っています。
「藤沢や湘南の人って、とてもおしゃれでフレンドリー。海辺の街が心をオープンにするのかな。いい意味でゆるさがあって入りやすい。独特のカルチャーもあってとても居心地がいいんです」と新しくできた人間関係も楽しむように。
もともと「手放したくない!」とほれ込んだ住まいというだけあって、家に合うインテリアを買いそろえ、好きな絵画を飾り、「ストレスを極限まで減らした」住まいに。仕事用にハーマンミラーの椅子、腱鞘炎になりにくいマウス、固定電話をそろえるとともに、家電はできる限りIot化、デスクまわりは整理整頓して、集中できる環境を整えているといいます。

ワークスペースのまわりが散らかっていると、気が散ってしまって仕事にならないといい、常にきれいにしているのだそう(写真撮影/片山貴博)
「家の規制はあまりないんです。管理会社に相談をすれば釘を打ってもいいし、共用部分にあるBBQスペースを自由に利用したり、敷地内では住人みんなでウズラも飼っているんですよ。少し前には烏骨鶏(うこっけい)がいました」と楽しそう。
「家が素敵というのもありますが、自分でもたまに夢のような暮らしだなって思うときがあります。ストレスは本当に感じないですね」(Lさん)

ワークスペースの反対にはベッド。壁にはデイヴィッド・ホックニー(画面左上)などのアートをギャラリーのように飾っている(写真撮影/片山貴博)

ベッドサイドの窓からは丘が見え、気持ちよく目覚められるのだそう(写真撮影/片山貴博)
人生設計を見直す。今の夢は70歳になってもサーフィンしていること引越してきた当初は、週2日は出社、週3日はテレワークという暮らしをしていました。そこで、実感したのが通勤や出社にかかる時間と負担感です。
「通勤ってその前の準備も含めると2時間半くらい必要なんですよね。藤沢から東京都心だと3時間くらいかかるかもしれない。それに出社するための衣服や化粧品、ランチ、帰宅するまでの間のちょっとした買い物にもお金も使う。経済的にも時間的にもすごくロスが多いし、やっぱり通勤電車はすごく疲れる」と話します。
一方、テレワークだと通勤や出社で疲れることはありません。
「通勤のストレスがないので、仕事のクオリティが上がると実感しました。また、通勤や出社にかけていた時間やお金を、趣味や自分の使いたいもののために使える。仕事前後にスポーツができるから健康にもいいし」。自由時間=可処分時間が増えることで、健康や趣味といった仕事以外の「生きた時間」の使い方ができると実感したそう。

1階のキッチンとダイニング。海外の旅先で買った照明と日本の調理器具などが絶妙に調和(写真撮影/片山貴博)

照明は海外で購入したもの。この家に引越してきた家具とも自然と調和(写真撮影/片山貴博)
「それと、湘南の暮らしが良すぎて、だんだん東京にギャップを感じ始めたんです。電車に乗っていると余裕がなくなっていくような気がして、いやになってしまったんですね。勤務先は規模の大きい企業だったこともあり、できるだけ長く会社にいるつもりだったのですが、50代が近づいて退社するより、今退職して夢を描くほうがいいと、思い切ってチャレンジしました」
なんと退職を決意、現在はフリーの翻訳者として在宅で仕事をし、必要なときに都内へ出向くという生活にシフト。さらに、退職後に手づくりでオーガニックの石けんづくりをはじめ、新しい楽しみ(と収入源)を増やしています。
「不安もありましたが、先ほども話したように、フリーランスになって給料や収入が減ったとしても、出ていくお金も減るし、時間も有効に使えます。あと、つくった石けんは海辺のマルシェなどで販売して売り上げています」

ヤギのミルクを使ってつくった石けん。ハーブの一部には畑で栽培したものを使っている(写真撮影/片山貴博)
これからの夢について、「70歳になってもサーフィンをしていたら、かっこよくないですか?」と笑いながら話します。テレワークをきっかけに、住まいも仕事も、生き方も大きく変えたLさん。すべてが自然体で心地よい、新しい生き方を見つけたようです。
●取材協力近年恒例となった、リクルートホールディングスの「2020年のトレンド予測」が発表された。これは、住まい・飲食・雇用など7領域の「新たな兆し」を見出して、2020年のトレンドになると予測したキーワードを発表するもの。筆者が専門とする「住まい領域」のトレンド予測は、『職住融合』。住まいと職場が融合するのはなぜなのか?【今週の住活トピック】
「2020年のトレンド予測」を発表/リクルートホールディングス自宅や住宅の共用部にワークスペースを設ける事例が増加中!?
「働き方改革で、住まい選びが変わる」と、筆者も常々思っていた。
住まい領域は「新たな兆し」として、テレワークの普及により働く場所が多様化することで、「家なかオフィス化」や「街なかオフィス化」が進む兆しを挙げた。さらに、職住の距離に関する制約が薄まり、職場に縛られない「街選びの自由化」が進む兆しも指摘した。
まず、テレワークの実態を見ていこう。
リクルート住まいカンパニーの「テレワーク×住まいの意識・実態調査」2019年によると、会社員・公務員でテレワークを実施している人はすでに16%に達し、実施意向のある人も26%いた(画像1参照)。
実は、総務省の「令和元年情報通信白書」を見ても、企業のテレワーク導入率は2018年には19.1%に達している。いずれも2割近い数値を示しており、筆者が思っている以上にテレワークが普及しているようだ。

「2020年トレンド予測 住まい領域」資料より転載
テレワークで働く場所になるのは、自宅の一部であったり、街のカフェなどの商業施設やコワーキングスペース、シェアオフィスであったりするだろう。つまり、“家なかオフィス”や“街なかオフィス”の誕生だ。
とはいえ自宅で働くなら、パソコンの置き場所や仕事の資料などの収納スペースも必要になるし、そのためのデスクや椅子も必要だ。自宅にそうした工夫をすることで「家なかオフィス化」が実現するのだが、DIYやリノベーションで自宅に快適なワークスペースをつくる動きが多く見られるのだという(以下の画像参照)。
トレンドを発表したSUUMO編集長の池本洋一さんは、それぞれ事例を挙げて説明した。なかでも、ガラス張りの小部屋を施工するリノベーションでは、光や視線は遮らないものの音を遮断してくれるのがポイントなのだそうだ。

「2020年トレンド予測 住まい領域」資料より転載
さらに、働く人が自ら「家なかオフィス化」するだけでなく、住宅を供給する事業者も「プチ書斎プラン」や「パパ・ママ専用書斎プラン」などを提案する住宅の供給、ワークスペースを設置した賃貸住宅の提供を行う事例も出てきている。とはいえ、狭い自宅にワークスペースが設けづらい、自宅では集中しづらいということもあるだろう。
最近では、新築マンションや賃貸住宅の共用部に、居住者が利用できるワークスペースを設ける事例が増えている。ブースタイプやライブラリータイプ、ミーティングルーム併設など、その形式も多様化しているのが興味深い。
「職場の近くに住む」必要性が軽減?街選びの選択肢が広がるさて、テレワークを活用すれば、「毎日の通勤時間を短縮するために職場の近くに住む」という呪縛から解放される。先ほどの「テレワーク×住まいの意識・実態調査」2019年の結果でも、「テレワークをきっかけに引越しをしたか」を聞いたところ、「引越しを実施した」(10%)、「前向きに検討し始めている」(27%)、「検討していないが引越ししてみたい」(15%)とかなりの割合で、テレワークを機に転居を視野に入れていることがうかがえる。
さらに、「テレワークが導入/促進された場合、通勤時間がどの程度長くなっても引越しを検討するか?」については、「60分以上」(13%)、「30~60分未満」(30%)など、通勤時間が長くなることを許容する人が多くなっている(以下の画像参照)。

「2020年トレンド予測 住まい領域」資料より転載
つまりテレワークが普及すれば、通勤に便利という発想ではなく、自然豊かな場所や子育てしやすい場所を生活拠点に選ぶ人も現れる。一方、すでに多くの居住者がいる都市の郊外エリアやベッドタウンに目を向けてみよう。通勤時間がネックで働けなかったという人も、テレワークの普及によって、家なかオフィスや街なかオフィスで働ける可能性が出てくる。
住まい選びの重要項目である「街選び」の選択肢が広がるというわけだ。
また、テレワークのメリットとして「通勤時間の減少」や「ストレスの軽減」「仕事の質の向上」などを挙げる人が多いことや、テレワークで引越しを実施した人では「子ども/家族との時間」や「趣味に費やす時間」などに価値を感じる人が多いことなども紹介された。
テレワークはもちろんのこと、働き方改革が進んでいけば、これまでの「住まい選びの常識」が常識ではなくなっていくだろう。生活の拠点をどこに置くか、自宅の部屋をどう使っていくか、広さや間取りをどう考えるかなど、もっと自由な発想で住まいを選べるような時代が近づいているように思う。
最後に、その他の領域のトレンド予測キーワードを紹介しておこう。
多くの領域のトレンドの背景に、少子化による人手不足の影響が見られる。人手不足解消のために、多国籍人材やシニアの就労を促進したりテレワークの促進で働きやすい環境を整えたりする必要があり、その流れが住まいにも波及するという2020年になるようだ。
2020年のトレンド予測キーワード
「おもて無グルメ」(飲食領域)
「アルダイバー」(雇用領域(アルバイト))
「健朗シニア」(雇用領域(シニア))
「出勤オフ派遣」(雇用領域(派遣))
「ワクモチ進路」(進学領域)
「らしさCAR」(自動車領域)
所在地:練馬区貫井
所在地:千代田区西神田
所在地:大田区久が原
所在地:世田谷区岡本
所在地:世田谷区赤堤
所在地:品川区北品川お久し振りの更新です。
冬休みは、息子と公園でラジコンカーで遊んだり、縄跳びと逆上がりの練習に付き合ったり、家族でプールと温泉に出かけたりと、楽しく過ごしておりました。
先日の連休は、長野へスキーに行きました。
記録的暖冬で雪があるか心配しましたが、ゲレンデには雪がありました。
今年は息子をスキースクールに入れてみました。
私がホテルのカフェからスクールの様子を眺めていると、ヨチヨチ歩きの一団がリフトの方に移動していくのが見えました。
まさかと思ったら、なんと息子が、スクールの先生と仲間と一緒にリフト乗車!
しばらくすると、ゲレンデをゆ~っくり滑り降りてきました。
その翌日も、息子がスキースクールで習いたい、と言うので、予定外でしたが急遽、入校。
息子は3回リフトに乗って、がんばりました!
今年も、息子を色んな所に連れて行きたい、色んな経験をさせてあげたい、と思います。
そして、ずっと前から考えていたことなのですが、ブログを一度仕切り直ししたいなと思っています。
こんな拙いブログを今まで読んで下さった皆様、また、コメントを下さった皆様のおかげで続けてこれました。
どうもありがとうございました!
寒さが本格化するこの季節。思わず暖房をガンガン効かせたくなるけど、光熱費がかさむし、地球にも優しくない。そこで考えたいのが、住まいそのものを寒さから守ること。外の寒さを閉め出し、暖かさを逃さない家にする「住まいの温活」の方法について、断熱リフォームからDIYの方法まで、旭ファイバーグラス株式会社渉外技術担当部長の布井 洋二さんに話を聞いた。
暖房しても寒いのは、暖房の熱が外に逃げているから
冬、家の中を暖房しても寒いのは、なぜだろうか? それは、暖房の熱が外に逃げてしまうから。一戸建ての場合、暖房の熱は、窓などの開口部や外壁、床や屋根から失われてしまい、特に開口部からの流失は58%に上るというデータもある。せっかく暖房をつけても、窓や壁、床や屋根から、暖かさが逃げてしまうのだ。
では、どんな家なら、熱を外に逃さないのか。よく言われるのは、「家全体をくるむように断熱する」ということ。気密性を高め、隙間なく断熱することで、熱に逃げる隙を与えないのだ。そこで、開口部や壁、床、屋根など、外気に面していたり、土と接していたりする部分ごとに断熱を施すことになる。
すでに住んでいる家でも、断熱材を追加で施工したり、窓を替えたりする「断熱リフォーム」によって、断熱性能をアップすることは可能。一戸建て、マンションそれぞれについて、その方法を布井さんに聞いてみた。

冬、外気がマイナス2.6度のとき、18度に暖房した部屋から外に逃げていく熱の割合は、開口部(窓)が58%と最大。外壁や換気による流失が15%ずつあり、床や屋根からも熱が失われている(一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会HPより転載)

2月の東京で、断熱材なしの一戸建てと断熱材100mmを施工した一戸建て(ともに窓は無断熱・単板ガラス)を設定20度で暖房した場合を比べると、断熱材なしのケースでは1日に逃げる熱の合計が断熱したときの約3倍だ(一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会HPより転載)
一戸建ての断熱リフォーム費は数十万円から数百万円程度にまず、一戸建て。簡易な方法としては、1.最下階の床下に断熱材を施工する「床断熱」、2.天井裏から吹込み断熱施工を行う「天井断熱」、3.内側、あるいは外側から断熱材を施工する「壁断熱」、4.今の窓の内側に内窓を設置することによる「窓の断熱」、この4つの部位の断熱が挙げられる。
このうち、床(最下階床)、天井、壁(外壁)それぞれを断熱リフォームした場合の費用の目安は下図の試算例が参考になる。昭和55年省エネルギー基準世代の築25~20年前後、床面積135平米の一戸建ての場合、天井にグラスウールを吹込み断熱する「天井断熱」だと1棟36万円。最下階の床下にグラスウールを充填すると「床断熱」だと同101万円、外壁に外側から断熱材を張り付ける外張付加断熱工法による「壁断熱」だと同387万円となっている。
「壁の断熱については、内張断熱工法も。断熱材にもよりますが、1平米あたり2万~5万円ほどかかるようです。得られる断熱性能は今の省エネ基準以下となるケースが多いでしょう」(布井さん)
窓の断熱にかかる費用は、内側に設置する内窓次第。標準的な掃き出し窓の場合、一間分に複層ガラス(数枚の板ガラスの間に乾燥空気やガスなどが封入された窓)を取り付けると、材料費・工事費で6万円台。腰高窓の場合は、3万円台が目安となる(いずれも取り付けや進入に障害がなかった場合)。例えば、1階の掃き出し窓二間分と腰高窓二間分、2階の掃き出し窓二間分と腰高窓五間分に内窓を設置するなら、トータル約50万円という計算だ。
「さらに念入りに断熱するなら、部位ごとの断熱を組み合わせます。例えば、1階のLDKに床断熱と窓の断熱を、2階の寝室に天井と窓の断熱を施す、といった具合です。さらに大掛かりなものとなると、建具や仕上材をはがしてから行うスケルトンリフォームしかないと思われますが、廃棄物の処理を含めてかなりの高額に。規模にもよりますが、一戸建てを新築するよりも数百万円安いくらいの金額、つまり1000万円を超えるレベルでないと、工事を引き受けるリフォーム会社はないように思われます」(布井さん)

(出典:「住宅・すまいweb 環境とすまい・まち」断熱改修のすすめ・戸建住宅編 (社)
住宅生産団体連合会、(株)岩村アトリエ/一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会HPより転載)
〈試算条件〉
築25~20年前後の住宅モデル
1982~1991年(昭和55年省エネルギー基準世代)
延床面積:135平米(1階:80平米 、2階:55平米 )
改修費用:平米単価(消費税別)および1棟あたりの費用(消費税込み)を算出
〈年代相応の断熱仕様(リフォーム前)〉
天井:グラスウール10K 50mm
外壁:グラスウール10K 50mm
開口部:アルミサッシ+単板ガラス
床:押出法ポリスチレンフォーム保温板1種 20mm
(*平成25年省エネ基準の6地域を想定)
次に、マンション。簡易なやり方としては、一戸建てと同様、1.外に面している壁を内側から断熱する内張断熱工法による「壁断熱」、2.今の窓の内側に内窓を設置することによる「窓の断熱」がある。窓の断熱については、一戸建てと同程度と考えられるだろう。
「大掛かりな断熱リフォームは、大規模修繕と併せて実施するケースが多く、屋上断熱防水工事や、妻壁(建物の短い方の辺の壁)の外断熱改修などを、マンション全体で行うことになります」(布井さん)
なお、一戸建て・マンションのいずれのリフォームでも、床暖房を設置することは少なくない。床暖房の設置も、住まいの「温活」の手段となり得るだろうか?
「床暖房も一つの手段です。ただし、断熱性能や気密性能が十分でないと、効果は限定的。床の表面温度だけが上がっても、隙間から冷気流を感じたり、窓や壁の表面温度が低いままだと、冷放射を受けて寒く感じてしまうからです。また、床暖房の下側を断熱していないと、せっかくの熱が基礎や地盤面に奪われてしまい、非効率。光熱費もかさんでしまいます」(布井さん)
加えて、HEAT20(2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会)が定める断熱性能基準「G2」、などの高断熱住宅で、冬季に昼間の日射が期待できる場合は、ごくわずかの暖房エネルギーでまかなえるので、床暖房がなくても十分温かいケースもあり得るとのこと。また、「G2」よりワンランク下の「G1」クラスや省エネ基準レベルの住宅の場合、エアコンを併用する形で床暖房を用いるケースも多いが、前述の「G2」以上の断熱性能があれば、容量の小さなエアコン1~2台だけ(床下エアコンも含む)あれば、床暖房がなくても十分なケースも多いそう。もちろん、プランや周りの状況によるということだが。

(写真/PIXTA)
リフォームしなくても手軽なDIYによる“セルフ温活”が可能「断熱リフォームに効果があることは分かったけど、とてもそこまではできない」という場合は、ちょっとした工夫や自分でできるプチDIYを試してみよう。
「家の中で一番、熱の逃げ道となっている『窓』の対策が効果的です。例えば、緩衝材の『プチプチ』や、中空のポリカーボネート板を窓ガラスや窓枠の内側に張るといったやり方があります。ただし、見栄えが悪く、気密性の向上も望めないので、効果は限定的。気密性を高めるためには、パッキンなどの交換も効果がありますが、自分でやるのは難しいかもしれません」(布井さん)
カーテンを厚手のものや遮熱カーテンに替えるといった方法も。また、床にホットカーペットやラグを敷いたり、フローリングに薄手の畳を載せることでも、暖かさを体感できる。ドアの隙間に張る隙間テープで冷気流を防ぐこともできるが、この場合は、換気のためにドアの下の部分を欠き取る『アンダーカット』が施されていることもあるので要注意。手間や材料費、見た目の悪さなどのデメリットも検討した上で、効果的なやり方をぜひ上手に暮らしに取り入れたい。

(写真/PIXTA)

中空ポリカーボネート板や「プチプチ」は、ホームセンターなどで手に入る(写真/PIXTA)
高断熱リフォームなら次世代ポイント制度の対象になるこれから住宅を購入しようという人なら、あらかじめ高断熱の住まいを選ぶのも「温活」のひとつかもしれない。
「日本では、高断熱住宅であることの公的な認定制度は、『BELS』や省エネ基準レベルの断熱性能が最高等級の『住宅性能表示』しかありません。ただ、外皮性能(室内から屋外に逃げる熱の量の合計を、外壁や屋根など外皮の面積で割って算出した値。UA値)の良さは、一つの目安にはなると思います。公的ではありませんが、HEAT20の『G1』『G2』や、ほぼ同じレベルの外皮性能の必要なZEHの『強化外皮基準』『更なる強化外皮基準』などが参考になるでしょう。また『BELS』では、『外皮基準』として外皮性能(UA値)の数値も表示されているので、その数値が自分の地域のHEAT20のG1・G2レベル相当かどうかを比較するのも良いでしょう」(布井さん)
2019年10月の消費税率引き上げに伴い、一定の省エネ性能を満たす住宅の新築やリフォームに対して、さまざまな商品と交換できるポイントを発行する「次世代住宅ポイント」制度もスタートしている。「長期優良住宅」「ZEH」などの認定住宅など一定の条件を満たした新築住宅を購入した場合に加えて、リフォームで「開口部の断熱改修」「外壁、屋根・天井または床の断熱改修」を行った場合も対象に。期限があるので、利用を希望するなら、早めの検討・着手が必要だ。
「温活」した高断熱住宅で得られる自然な暖かさ「住まいの温活」は、家の中を暖かくて居心地の良い空間にするだけでなく、室内の温度差を解消してヒートショックを防いだり、光熱費が節約できたりといったメリットもあるし、夏の暑さも和らげてくれる。
「ただし、こうしたメリットを享受するには、断熱性だけでなく、気密性も高める必要があります。隙間があり、気密性の低い家は、まるで穴の空いたセーターや布団のようなものですから」(布井さん)。
だからこそ、断熱性とセットで気密性の高い住宅の暖かさは格別なのだという。
「HEAT20の『G2』クラス相当かそれ以上の家を訪れると、暖かさを実感するというよりも、ふんわりとした暖かさのおかげで、暖かさ自体を忘れてしまいます。高断熱の家とはそんな空間なのです」(布井さん)
布井さんは、HEAT20のサポート委員として、日本の住宅の方向性を示す取り組みにかかわっている。
「省エネ性能に優れた住宅の生産を促す『トップランナー』制度の対象拡大や、省エネ基準の説明の義務化により、これからは、省エネ基準が、最低限、満たすべきレベルとなりますが、このレベルだと、家の中で部分的に暖房を付けたり消したりする程度では、暖房していない空間はかなり低温になり、ヒートショックなどのリスクは残ります。一方、HEAT20の『G2』クラスの断熱性能を備えた住宅は、わずかな光熱費で全館暖房が可能になるので、家の中の温度差が小さく、健康的で快適な空間に。断熱リフォームを行うのであれば、ぜひ『G2』レベルを目指していただきたいですね」という布井さんのメッセージでこの記事を締めくくりたい。
所在地:目黒区中根
所在地:横浜市神奈川区片倉
所在地:川崎市高津区二子
所在地:渋谷区恵比寿
所在地:渋谷区鶯谷町新しい年がはじまりました。今年の目標に、家の引越しや購入を考える人も多いのでは。SUUMOジャーナルで昨年12月に公開した記事では、そんな人にも改めて参考になる「東京23区の家賃相場が安い駅ランキング 2019年版」や「家賃がマイホームに変わる?! 「家賃が実る家」がつくる住まいの新概念」が人気でした。TOP10の記事を詳しく紹介します。
2019年12月の人気記事ランキングTOP10はこちら!
1位 東京23区の家賃相場が安い駅ランキング 2019年版
2位 テレワークが変えた暮らし[1] 理想の子育てと移住が叶った! 東京から山梨県北杜市へ
3位 家賃がマイホームに変わる?! 「家賃が実る家」がつくる住まいの新概念
4位 デュアルライフ・二拠点生活[22] 東京と長野県松本市。温泉街の一軒家を家族でセルフリノベ
5位 テレワークが変えた暮らし[2]千葉から石川県金沢市へ。移住先で始めた複業で新たな夢に挑戦
6位 奄美大島の空き家をみんなでDIY。街のみんなの夢をかなえる場になるまで
7位 リトル・コリアだけじゃない! “ごちゃ混ぜ”多国籍タウン、新大久保の最新事情
8位 台風被害からみえてきた、災害に備えた家づくり
9位 日本一の「自転車のまち」へ。サイクリストが集う茨城県土浦市の暮らし
10位 分譲マンションのシェアリングサービス、ついに傘も登場!
※対象記事:2019年12月1日~2019年12月31日までに公開された記事
※集計期間:2019年12月1日~2019年12月31日のPV数の多い順
1位 東京23区の家賃相場が安い駅ランキング 2019年版

東京タワー(写真/PIXTA)
高額で知られる東京の家賃。その中で穴場の街や狙い目の駅を探すならどこがおすすめ? 昨年のトップがランク外になるなど動きのあった2019年版の最新ランキングから見えてきた注目の地域は、葛飾区。昨年のランク外から6位に急上昇した京成立石駅をはじめとする駅の周辺環境や魅力について紹介しています。
2位 テレワークが変えた暮らし[1] 理想の子育てと移住が叶った! 東京から山梨県北杜市へ

(写真撮影/相馬ミナ)
東京・南青山の企業(取材当時)に在籍しながら、移住者に人気の山梨県北杜市に移り住んだ夫婦の体験談。アウトドア好きのふたりが「いつかしてみたかった」という田舎暮らしを「今」だと思った理由、南アルプスや富士山に囲まれた自然豊かな環境での子育ての話などを聞きました。
3位 家賃がマイホームに変わる?! 「家賃が実る家」がつくる住まいの新概念

(写真/PIXTA)
「家賃を払い続けても、最後に何も手元には残らない」とは、よくいわれる言葉。ですが、その家賃を払い続けていると借りていた家がマイホームになる、賃貸と分譲のハイブリッドな新しい不動産システムがあります。その仕組みや利用者の声を紹介、解説します。
4位 デュアルライフ・二拠点生活[22] 東京と長野県松本市。温泉街の一軒家を家族でセルフリノベ

(写真撮影/高木真)
平日は東京で働き、週末は旧城下町らしい歴史的建造物と豊富な温泉に恵まれた長野県松本市で妻子と過ごす向井さんの生活を紹介。定住を考えたときに出合った築50年の一軒家で、古い家を改装して住むという昔からの夢をかなえました。薪の火つけは、息子の仕事。家のリノベ作業を通じた、家族にとって心地いい場所の探求が、家族の大切な時間になっているそうです。
5位 テレワークが変えた暮らし[2]千葉から石川県金沢市へ。移住先で始めた複業で新たな夢に挑戦

(写真撮影/イマデラガク)
4年前に千葉県から石川県金沢市の移住をきっかけに、社内初のテレワーカーになった女性の経験談。本人だけでなく社内でも業務の効率化が進み、地元企業とのパラレルワークも両立させています。一方、テレワークならではのデメリットも……。
6位 奄美大島の空き家をみんなでDIY。街のみんなの夢をかなえる場になるまで

(画像提供/HUB a nice d!)
夫の転勤などで自分の意思ではない要因でキャリアを閉ざされてしまった女性たちの手により、古民家がリノベーションされて生まれた奄美大島の地域食堂。世代を超えて地域の人々をつなげる役割を果たし、「住まいのリフォームコンクール<コンバージョン部門>」で優秀賞も獲得した挑戦からは、コミュニティ活動の持続へのヒントも見つけられそうです。
7位 リトル・コリアだけじゃない! “ごちゃ混ぜ”多国籍タウン、新大久保の最新事情

(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
もはや韓国人だけでなく、中国やベトナム、ネパールなどさまざまな国や地域から人が集う多国籍タウン、新大久保。異国情緒あふれる飲食店やディープな「イスラム横丁」までの最新事情や、どのようにして外国人コミュニティが形成されたかを紹介します。
8位 台風被害からみえてきた、災害に備えた家づくり

(写真/PIXTA)
2019年も全国で台風被害が相次ぎました。台風などで被害を受けやすい建物の特徴は「1階が半地下」「軒のない屋根」「防水機能が劣化したバルコニーや屋上」……万が一に備えるために、気を付けるべきことを解説します。
9位 日本一の「自転車のまち」へ。サイクリストが集う茨城県土浦市の暮らし

(写真撮影/相馬ミナ)
官民一体でサイクリングに特化したまちづくりを行っている茨城県土浦市。筑波山や霞ヶ浦など県を代表する風景を楽しめるサイクリングロードや、小さな子連れや手ぶらでもサイクリングできる環境整備などが功を奏し、首都圏から訪れる人も増えています。取り組みの深化を探りました。
10位 分譲マンションのシェアリングサービス、ついに傘も登場!

(画像提供/PIXTA)
大規模分譲マンションでは車や電動アシスト自転車など各種シェアリングサービスが広がっていますが、最新トレンドとして注目されそうなのが、傘。思わぬ便利さから、一度利用するとリピート率が高いそう。プラスチックごみ削減が地球環境問題としても注目される昨今、ごみの減量にもつながりそうです。
松本市のデュアルライフ連載記事では、定住も意識した体験談であり、テレワーク連載記事とあわせ、いつにもまして地方への移住への関心の高さをうかがわせました。働き方改革が掲げられる近年ですが、より満足できる生活のために、自分主導で働き方を改革していくことも、また重要なことであるのかもしれません。
所在地:世田谷区赤堤
所在地:文京区春日
所在地:文京区春日
所在地:川崎市高津区二子
所在地:中央区八丁堀