無人タクシーの未来がここに!【完全解説】Zooxの驚きの技術とAmazonの野望
未来がもう来てた! これは、2022年に日本から来た友人がサンフランシスコにて、無人・自動運転タクシー、通称ロボタクシーのCruiseに乗った際の言葉。当時は、一般車両を利用していました。 それから約半年後。Google傘下のWaymoが実用化され、そして最近はもう一つの自動運転タクシーのZooxがついにサンフランシスコの街を走り出した! ついに見つけた!サンフランシスコの道を走る無人タクシーのZoox. 一般車両を使うWaymoに対して、こちらは完全に運転席の無い専用デザイン。そしてめっちゃ可愛い。 pic.twitter.com/uyVadQ0x91 — Brandon K. Hill | CEO of btrax 🇺🇸x🇯🇵/2 (@BrandonKHill) December 26, 2024 それでは、革新的なデザインと先進技術を備えた『Zoox』が、どのように未来のモビリティを形作ろうとしているのか。最新情報をもとに、その全貌に迫ります。 Zooxとは? Zooxは、Waymoと同様に自動運転タクシーの最前線を走る革新的な企業の1つです。「個人の移動手段を誰にとってもより安全に、よりクリーンに、そしてより快適なものにすること」を使命に2014年に設立され、2020年にAmazonと合併契約を結び、Amazonの完全子会社になりました。 従来の自動車メーカーとは異なり、Zooxは完全自律走行を前提とした車両をゼロから設計しています。高性能なセンサー、先進的なソフトウェア、厳密なテストにより、自動運転車両はこのような交通事故の94パーセントの原因となっているヒューマンエラーの影響を大幅に減少させ、最終的には排除することが可能となるとZooxは発表しています。 この独自のアプローチにより、Zooxは安全性、効率性、そして乗客の快適性を最大限に追求し、現在サンフランシスコやラスベガスなどの都市部でサービス展開を進めており、都市モビリティの革命を目指しています。 Zooxの自動運転車両の特徴 Zooxの車両は、従来の自動車の概念を覆す以下の4つの革新的なデザインを採用しています。 ①双方向デザイン 前後対称の「錠剤型」デザインにより、Uターンやバックが不要で、小回りが利くため狭い都市空間でも効率的な移動が可能です。 ②乗客快適性 ハンドルやブレーキは一切なく、4人乗りの広々とした室内空間を実現。各座席にタッチスクリーンを設置し、温度調整や音楽再生などの個別制御が可能です。カップホルダーやワイヤレス充電ポイントなども設置されています。 ③長時間稼働 133kWhの大容量バッテリーを搭載し、一回の充電で長距離走行が可能です。これにより、24時間稼働のサービス提供を目指しています。 ④革新的な内装 「車輪付きのリビングルーム」をコンセプトに、昼間は大きな天窓から自然光を取り入れ、夜間は星空のような照明で室内を演出します。 この独自設計により、Zooxは単なる移動手段を超えた、新しい都市生活体験を提供しようとしています。 先進的な安全技術 Zooxは安全性を最優先に設計されており、100以上の新しい安全技術を搭載しています。部品の1つが故障したとしても、システムの残りの部分は安全に動作し続けるように設計されており、航空業界からヒントを得て自動車の設計に取り組んでいるとのこと。 例えば以下の4つ。 ①エアバッグシステム 全方向から乗客を保護する独自のエアバッグシステムを開発。Zoox車両の独特な対面式シート配置により、乗員保護システムの抜本的な見直しが必要となりました。 それにより誕生した新しいエアバッグシステムは、エアバッグ制御ユニット(ACU)によって制御され、車両の進行方向や速度、衝突の程度を検知するセンサーデータを活用します。Zoox車両は双方向走行が可能なため、ACUは両方向の衝突を検知します。 従来のステアリングホイールやダッシュボードがない車両内装に適した新世代のエアバッグを開発しました。システムは以下の5つの異なるタイプのエアバッグで構成されています ● 馬蹄型カーテンエアバッグ:車両の両端での衝突時に、乗員が接触する前面エアバッグの反力面(安定した表面)を提供します。 ● フロントエアバッグ:天井から展開し、各座席の前に降下します。くぼみのあるポケットで2つのセクションに分かれており、乗員の頭部、首、胸部をより効果的に保護します。 ● リアエアバッグ:衝突した側の乗員ヘッドレスト後方から展開し、破片の客室内侵入を防ぎます。 ● サイドヘッドエアバッグ:側面衝突時に天井から展開し、座席と窓の間に降下して乗員の頭部と首を保護します。 ● シートサイドエアバッグ:各座席の側面に組み込まれており、高速での側面衝突時に展開します。シート内側に押し出されることで、シート表面が乗員の体に近づき、より安全に乗員を固定します。 また、窓側に向いたエアバッグシステムの表面には、救急隊員向けの指示が明確に表示されており、事故後の車両進入方法や乗員救助の手順が記載されています。 ②360度視野センサー LIDAR、レーダー、カメラを組み合わせた高性能センサーシステムにより、周囲150m以上を認識可能。 センサーによりすでに認識によって識別および分類されている他の「エージェント」(たとえば、車、歩行者、自転車)による潜在的な行動結果を予測します。その次に、車両が取るべき最適なルートを決定します。 ③補完システム 航空機産業にインスパイアされた設計で、システム障害時にも安全運行が継続可能。 ④シートベルト監視システム センサー、スイッチ、カメラを組み合わせた安全システムにより、全乗客のシートベルト着用を確認するまで走行を開始しません。 また、自動運転システムが衝突の可能性や差し迫った危険を検知した場合、シートベルトシステムは事前にベルトを引き締め、エアバッグの展開と保護に最適な姿勢に乗員を保持します。この機能により、常時すべての乗客に対して最高レベルのシートベルト安全性能を提供します。 これらの技術により、Zooxは自動運転車の安全基準を新たなレベルに引き上げています。 高度な自動運転システム Zooxの自動運転システムは、最先端のAI技術と豊富な実地テストデータに基づいています。 ①リアルタイム環境認識 高性能センサーとAIの組み合わせにより、車両は周囲の状況を即座に分析し、安全かつ効率的な判断を実行します。 Zooxは、新しいシナリオに遭遇すると、人間のドライバーと同じように慎重に近づきます。当社の車両は、地図にない工事現場など、一時的な環境の変化も理解します。 ②テレガイダンス 複雑な状況(例:工事現場)では、リモートオペレーターによる遠隔支援が可能です。これにより、AIの学習も促進されます。 ③シミュレーションテスト 現実世界では稀なケースも、仮想環境で徹底的に検証しています。 ④高速走行能力 最高速度は時速75マイル(約120km/h)に達し、高速道路での走行も可能です。 このようにZooxは7年以上にわたり、複数の都市で厳密なテストと検証を重ね、高度な自動運転システムの信頼性を支えています。 サービス展開状況 Zooxは2024年12月現在、以下のように段階的にサービスを拡大しています。 サンフランシスコ 2024年11月からSoMa地区で自社従業員向けのテスト運行を開始。今後、一般向けサービスへの拡大を計画しています。 ラスベガス ラスベガス・ストリップ周辺でテスト運行を実施中。商用サービス開始に向けて準備を進めています。 フォスターシティ カリフォルニア州DMVから許可を得て、本社周辺で時速35マイルまでの公道テストを実施しています。 2024年2月には、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)から一般向け無料乗車サービスの許可を取得し、4,000人以上のゲストが自動運転を体験しました。 法規制への対応 Zooxは、自動運転車の安全性と信頼性を確保するため、厳格な法規制に積極的に対応しています。 ① FMVSS認証 2022年7月、Zooxは連邦自動車安全基準(FMVSS)に準拠した世界初の完全自動運転車両として認証を受けました。 ② カリフォルニア州許可 カリフォルニア州とネバダ州で無人運転テスト許可を取得。カリフォルニア州では2018年に自動運転車の公道テスト許可を取得した最初の企業となりました。 ③ CPUC許可 2024年2月、カリフォルニア州の公共サービスを監督し、規制する機関であるカリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)から一般向け無料乗車サービスの許可を取得。 Zooxは「驚きなし、完全な透明性」の哲学に基づき、規制当局や地域コミュニティとの緊密な連携を重視しています。 Waymo, Cruiseとの比較 Zooxは、WaymoやCruiseといった競合他社とは異なるアプローチを採用しています。 既存の車両を改良するのではなく、ゼロから新しい車両を設計・開発することで、都市モビリティの未来を見据えた革新的なビジョンを実現しようとしています。この独自のアプローチにより、安全性を最優先にした設計が可能になっています。 現状の課題 ① 規模拡大 現在は数十台規模ですが、商用サービスの本格展開に向けて大量生産体制への移行が今後必要となります。 ② 公共受容性 自動運転車への不安や懸念を解消し、社会的受容を高めることが重要です。新しい設計による車尾を向いて座ることに対して乗客が不快感を感じる可能性や、見知らぬ人との相乗りによる社会的な不快感への対応が必要になる可能性があります。 ③ 技術的課題 2024年5月にNHTSAが調査を開始した後部衝突事故など、技術面での改善も継続的に必要です。 その他、複雑な都市環境での運用に関して高精度地図の事前作成や、予測困難な状況への対応など、複雑な都市環境での安全かつ効率的な運用に関する技術的課題があります。 […]