Ayaka Matsuda

起業家が知っておくべき31のビジネスモデル(Part 3)

前回の「起業家が知っておくべき31のビジネスモデル(Part 1,2)」に引き続き、31個のビジネスモデルを類型化し、それぞれについて解説していく、「起業家が知っておくべき31のビジネスモデル」シリーズ。今回はその最終回だ。 起業家が知っておくべき31のビジネスモデル(Part 1) 起業家が知っておくべき31のビジネスモデル(Part 2) 今回はNo. 21-31の11個のビジネスモデルを見ていき、シリーズの締めくくりとしたい。新規ビジネスを立ち上げたい方や、ビジネスモデルをブラッシュアップしたい方にとって参考になれば幸いだ。 それでは21から31までのビジネスモデルを見ていこう。 *この記事は英語版のこちらの記事のビジネスモデルや解説を参考に執筆している。 21. Peer-to-peer (P2P) ビジネスモデル P2Pビジネスモデルでは、個人同士が、第三者やプラットフォームを介さずに互いに直接商品やサービスを売買すること、コミュニケーションを行う者同士が相互に対等な関係を保つことが特徴だ。 例:OLX、Skype、Mercari 22. ビジネスモデルとしてのP2Pレンディング Peer-to-peer(P2P)レンディングのビジネスモデルでは、ある個人(「P2Pレンダー」と呼ばれる)が別の個人(「P2Pボロワー」と呼ばれる)からお金を貸したり、投資したり、借りたりする。 例: Kabbage 公的な金融機関を仲介せずに個人同士が直接お金の貸し借りを行うため、「ソーシャルレンディング」とも呼ばれるモデルだ。 23. ブローカレッジビジネスモデル ブローカレッジビジネスは通常、提供されるサービスと引き換えに、一方または双方の当事者に手数料または料金を請求する。 例 Robinhood、Coinbase、ebayなど。 ブローカレッジビジネスは、不動産、金融、オンラインマーケットプレイスで一般的であり、通常、以下のモデルで運営されている。 ブローカレッジビジネスモデルの種類 売買マッチング・モデル:売買取引をマッチングさせ、手数料を取る。 例:金融ブローカー、保険ブローカーなど クラシファイド・アドバタイザー・モデル:時間、場所、サイズ、または広告の性質に基づいて、広告主に手数料を請求する。 例:Craigslist リバースオークションモデル:売り手が買い手を選定する通常のオークションと異なり、買い手が売り手を選定する逆(Reverse)のオークション。 例:Alibaba, ebay 24. ドロップシッピングビジネスモデル ドロップシッピングとは、在庫を持たずに商品を販売できるEコマースの小売モデルだ。 オンラインストアや通販サイトなどで商品が売れると、メーカーや卸売業者(サプライヤー)から直接購入者に商品が発送される。 そのためオンラインショップの運営者は在庫を抱える必要はなく、商品の仕入れや梱包、発送作業も不要。通常のECサイトなどに比べて商品の仕入れコストや不良在庫を抱えるリスクを抑えてビジネスを始められるのが大きな特徴だ。 ドロップシッピングビジネスモデルの仕組み ネットショップなどに出品した商品に顧客から注文が入る サイト運営者は注文情報をサプライヤーに送信する サプライヤーは受注処理を行い、商品を直接顧客に発送する ドロップシッピングビジネスモデルのメリット 商品在庫の確保、物流関連の業務が基本的に不要であり、初期経費を抑えて始められる 在庫を抱える必要がないため、ショップ運営者の勤務地が柔軟に決められる ショップ運営者の発送・梱包作業が不要 発送や配達業者とのやりとりをしなくてよい 25. Space as a Service Business Model 所有権や賃貸権にかかわらないシェアスペースでの生活やフレキシブルな勤務形態を実現する。シェアリングエコノミーの考え方に基づき、コロナ禍を経てよりメジャーになってきたビジネスモデルでもある。 例 WeWork、Airbnb WeWorkは、世界中どのWeWorkのオフィスでも働けるフレキシブルな勤務体験、クールでおしゃれな空間、入居者限定のイベント、手厚いサポートなどの付加価値を提供することで、入居者の満足度を担保する。 その結果、通常のシェアオフィスより割高であっても多くの入居者を獲得し、利益を得ている。 WeWorkから考えるSpace as a Serviceビジネスモデルの強み WeWorkのビジネスモデルの強み、それは前述したような入居者に対してのメリットだけではなく、不動産オーナーにとっても同様に大きなメリットがあることだ。 WeWorkは空きスペースのあるビル全体、あるいは、フロア単位で借り上げて、おしゃれな空間に仕立てる。不動産オーナーから借りた物件を又貸しするビジネスモデルだ。 昨今は、事業のライフサイクルが短くなったため、ベンチャー企業が急拡大して移転してしまったり、逆に、大企業の事業縮小や、フリーアドレス化を進めて空きスペースができてしまったりするケースが増えている。 不動産オーナーは、中小規模のオフィススペースを柔軟に貸し出したいというニーズを抱えている. WeWorkがスペースを借りれば中小企業やベンチャー企業の入居が促せる。 それゆえ、事実WeWorkは拠点となり得るスペースを探すのにも苦労が少ないそうだ。(参照) 26. サードパーティーロジスティック (3PL) ビジネスモデル サードパーティーロジスティック (3PL) ビジネスモデルの最大の特徴は、物流の専門家である第三者に物流関連業務を任せることだ。 例:fulfillment by Amazon, ShipBob, Shiprocket 3PLビジネスモデルを導入するメリット 専門家の知見から物流コストの適正化が図れる 自社で行っていた配送業者選定がコストや仕様等の面で適正でなかった場合、3PL事業者が物流の専門家としての知見から、ブランド運営者の業務に最適な配送業者の選定をする。 ブランド運営において重要度の高い業務に集中できる ブランド運営チームのリソースを、純粋にブランド戦略の考案などの業務に注ぎ込めるようになる。 物流の高品質化を通じて顧客満足度を高めることができる 物流もブランドの顧客体験を構成する重要な要素の一つであるため、専門業者と連携することにより品質が担保できれば顧客満足度の向上に繋げられるだろう。 27. ラストマイルデリバリービジネスモデル 例 Gojek、Postmates、Rappiなど。 ビジネスモデルにおける”ラストワンマイル”は、「最後の1マイル」という距離的な意味では無く、オンラインショッピングサービスを利用した顧客との最終接点という意味で使用されている。 現在、オンラインショッピングは幅広く浸透していることは言うまでもないだろう。しかしその普及に伴い、配送、特に「ラストマイル」に関する課題も頻発している。 具体的には、日本の場合、再配達依頼の増加や、アメリカの場合ではトラック運転手の人手不足の深刻化が顕著な問題として捉えられている。 上記のようなラストマイル課題を解決しようと、新たなビジネスが生み出されている。 例えば、買い物・宅配代行サービスPostmatesは、スーパーマーケットや商店での買い出し・宅配代行に加え、レストランでのテイクアウトの宅配代行を行う。 無料のPostmates公式モバイルアプリを通してオーダーすると、近場にいる同社と契約した配達者に連絡が届き、」配達される仕組みだ。また、人が関わらなくてもよい宅配ロボットの使用など、展開の幅は広がりを見せている。 28. アフィリエイトビジネスモデル アフィリエイト・マーケティングとは、他社の製品を宣伝し、商品をの購入などが発生するごとに手数料を得るビジネスモデルだ。 例 Amazon、Skillshare、Hubspotなど YouTubeを例に挙げて見てみよう。YouTubeの概要欄に、以下のようなリンクを貼られているのを見たことがあるかもしれない。 もしこのリンクから商品が購入された場合、例えば動画投稿者は、商品の利益の5%を得る、というように手数料を獲得できるのだ。 アフィリエイトビジネスモデルのメリット 初期費用が低く、誰でも簡単に始められる […]

【btrax初の書籍】第1章:本質的なユーザー理解のために必要なデザイナーのマインドセットとは?

サンフランシスコで創業したbtraxは19年間、デザインに軸足を置いてビジネスを展開してきた。 ビジネスに活かせるデザインに向き合い続けてきたbtrax。このブログFreshtraxも、2008年に解説して以降、15年間継続して投稿を続けており、実は日本語の記事だけでも10,000記事に上る本数を有するオウンドメディアとなっている。 そんなbtraxが、グローバルなクライアントさまと19年間プロジェクトを推進してきたナレッジや、それらを断片的に蓄積し続けたFreshtraxのエッセンスを凝縮した書籍が、btraxから出版される運びとなった。 書籍のタイトルは『デザインの思考法図鑑』。 DX、組織改革、新規事業開発など、ビジネスの新たな取り組みや事業成長にもデザイン的マインドセットが求められる現代。 しかし、部署間、役職間、企業間のギャップなどにより、社内外でスムーズに進行できないという課題が発生することも多々あるのではないだろうか。実際、我々が日々接しているクライアントさまもこうした課題感をお持ちのケースが多い。 こういった課題を解決する足掛かりとなればと、この書籍ではユーザーを理解する〜デザインをターゲットに伝えるまで、包括的なビジネスでのデザインの活用方法をカバーしている。 この一冊を読めば、デザインマインドセットをどのように組織に浸透させ、ビジネスに活かせるかまでわかるようにトピックをピックアップした。 デザイン的思考やマインドセットを社内外のプロジェクトや組織改革に適用したいと考えられているビジネスパーソンの皆さまや、これからのビジネスの現場で活躍できるデザイナーになりたいと考えている皆さまに是非手に取っていただきたい一冊となっている。 書籍の出版にあたり、このFreshtraxでは、今回の記事を皮切りとし、全6回にわたって本の内容を紹介していく。 今回は本の第1章『ユーザーを観る・理解する』の各項のポイントや、ぜひ読んでいただきたいところを皆さんにお見せする。もちろん記事で全てを語り切ることはできないため、より内容が気になった方は本を購入して続きを読んでいただきたい。 第1章の内容はこんな方におすすめ: デザイン思考の「定義・明確化」のステップの基礎を学びたい・おさらいしたい方 新規プロダクトやサービスのユーザーリサーチを効果的に行う上で、事前準備をしたい方 ユーザーインサイトの「核心」をつくことにもっと自信を持ちたい方 デザイナーを目指して勉強をされている方 第1章 ユーザーを観る・理解する 目次 デザイン思考:定義・明確化 デザインリサーチの考え方:生成的調査と評価的調査 デザインリサーチの手法 ユーザーリサーチの考え方:定量調査と定性調査 ユーザーリサーチの手法:ユーザーインタビュー ユーザー理解の本質 リフレーミング 内向的思考 デザイン思考:定義・明確化 デザイン思考。一言で表現すると「ユーザー視点でヒットする商品やサービスを作り出すためのマインドセット」である。今回はデザイン思考の主要5ステップのうち、「定義・明確化」に関して解説。課題定義のために明確にすべき3つのポイントとは? 参考記事: 誰にでもわかるデザイン思考の基本とプロセス ここがちゃうねんデザイン思考。5つの誤解とは デザインリサーチの考え方:生成的調査と評価的調査 この項では、デザインリサーチとはそもそも何か、なぜ必要で、どんな効果が得られるのかに関して解説する。デザインリサーチの基本となる生成的調査、評価的調査のポイント、そしてその調査を行うタイミングなど基礎の概念をおさらいしよう。 参考記事: 実践デザイン思考!量より質を極めるユーザーリサーチ基本のキ デザインリサーチの手法 この項では、デザインリサーチの代表的な手法、マーケットリサーチとデザインリサーチの違いを記載する。 「私情」を探るユーザーリサーチと「市場」を探るマーケットリサーチ。それぞれの調査手段の違いや、リサーチャーとしてぜひ心がけたいポイントなどをご紹介する。 ユーザーリサーチの考え方:定量調査と定性調査 この項では、ユーザーリサーチの基本となる定量調査と定性調査のデータの扱い方や仮説の立て方を解説する。定量調査と定性調査の使い分け方法とは? ユーザーリサーチの手法:ユーザーインタビュー この項は、より実践的なユーザーインタビューの方法をご紹介。インタビュー行う際により良いインサイトを引き出すためのマインドセットやポイントをお伝えする。 ユーザー理解の本質 この項では、ユーザー理解の本質に関して言及する。「ユーザー中心思考」のつもりが「ユーザーの御用聞き」になってしまう状況も実は珍しくない。そんな罠に陥らないために、実証実験をもとに分かった、人間の考え方の癖や、それを元にデザインに反映できることをご紹介。 参考記事: 「誰にも使われない機能を持つ製品」が生まれてしまう2つの理由 スーパーカブとコンコルドに学ぶイノベーションの本質とは リフレーミング この項では、リフレーミングの定義とその効果に関してお伝えする。 リフレーミングとは、解決策の変更ではなく問題自体の再定義に目を向け、全く新しい発想を生み出すこと。解決策に行き詰まったら思い出したい内容だ。リフレーミングから生まれた有名サービス事例とともに解説。 参考記事: リフレーミングとは? – ヒットの秘訣は問題へのアプローチの仕方にある 内向的思考 デザイナーの仕事にはコミュニケーションが大きな割合を占める。外向的なイメージを持たれがちなデザイナーだが、実はそうとは言い切れない。この章では、内向的思考の強みや、デザイナーとして活かせる部分に関してお伝えする。 参考記事: 内向的な人はデザイナーに向いていないのか? まとめ いかがだっただろうか。この記事を通して、少しでも本書の目的や内容の理解が深まれば幸いだ。 書籍は現在Amazonで予約販売を行っている。今回の記事を読んで気になった方は、ぜひ一足早くAmazonで予約購入し、書籍を手に取っていただけたら幸いだ。 書籍のAmazon予約ページはこちら

目的やライフスタイルに合わせて選べる、いま注目のアメリカ発ミールキットサービス4選

コロナ禍以降、急速にその認知と利用者数が拡大している「ミールキット」サービス。 ミールキットとは、食材、調味料、レシピがセットになって自宅まで届くサービスだ。 食材とレシピがセットになっており、オンラインで注文して特定の料理を作るのに必要な人数分の食材が届く。 レシピがセットになっている点で、食材宅配サービスやネットスーパーとは一味違う存在だ。 パンデミックよる自宅待機により需要が急上昇してから、ミールキット業界には様々なサービスが誕生し、世界の市場規模は2021年から右肩上がり、今後も市場規模は拡大し続ける見込みとなっている。今まさに勢いのある市場であるといえよう。 この動きは言わずもがなアメリカでも顕著だ。 国土の広いアメリカでは、一番近くのスーパーに行くにも車を使うことも多い。 そのため、食材や調理方法がまとまって自宅まで届くミールキットサービスはアメリカ人のライフスタイルにも合っており、使い勝手が良いのではないだろうか。 ご存知の通り多民族国家であるアメリカは、民族が多様である分日本よりも食の嗜好性が幅広い。 そのため、日本よりもクリアにターゲットを打ち出していたり、食の好みに合わせて選べたりするようなミールキットサービスが多数存在する。 今回はそんなアメリカ発のジャンル特化型のミールキットサービスを4つピックアップしてご紹介する。 CookUnity – ちょっと贅沢したい日に CookUnityは世界中の受賞歴のあるシェフのレシピが食べられる、サブスク型のミールキットだ。 実に70名の世界を代表する料理人たちの考案したメニューが自宅で楽しめる。週に何食分の料理をデリバリーしてほしいかを選ぶことができる。 チルドの状態で届くため、調理の手間要らずで温めるだけで食べられる。世界中の国のバラエティに富んだ食材が常に新しいメニューで提供されることが特徴だ。 ベジタリアン、ビーガンの方向けのメニューや、グルテンフリー、乳製品抜き、減塩、低炭水化物、低カロリーなど、食事の嗜好性に合わせたメニューも備えている。 ホームパーティーの日などにも、準備の手間も省ける上にクオリティの高い料理が食べられるので使いやすいかもしれない。 Methodology – 毎日の健康的な食事と時間の節約をサポート Methodologyは一言で言うなれば、「毎日の健康的な食事と時間の節約をサポートする」サブスク型のミールキット Methodologyのファウンダーが食生活を改善して健康になった実体験から、忙しい中でも少ない時間で、栄養バランスの整っていてかつ美味しい食事を継続して「摂り続けること」を目標に生まれたサービスだ。 グルテン、乳製品、加工製品は使用せず全て天然由来の素材を用いた食材を用いている。 公式サイトの見せ方やメニューを見ても、毎日忙しくプロフェッショナルに活躍する女性をターゲットとしているサービスであることが伺える。 このサービスが「使い続けられる」工夫はどんなところにあるのだろうか。 筆者はこのサービスはターゲットとしている女性の「自己肯定感」をうまく上げているサービスだからではないかと感じた。そう感じた2つの特徴を挙げてみたい。 1つはその栄養面はもちろん、見た目にも充実したメニューだ。 メニュー一覧を見ると、一つ一つのメニューがカラフルで見た目にも楽しい。食材の色使いも考慮されているのではないかと感じる。 2つめは​​オリジナルの容器だ。 Methodologyのいくつかのメニューは、ロゴ入りの見た目にも可愛らしい瓶で包装されている。まるでスムージーやプロテインの容器のような見た目だ。 ヘルシーな食事に気を遣っていることは確かに自己肯定感を上げることに繋がるかもしれない。しかし、どうしてもジャンクフードや甘いものが食べたい時もある。 そんな誘惑に打ち勝つためには、「健康のために」というわかりやすい動機だけではなく、「このようなアクションをしている自分が好きだから」という自己肯定感をサービスを通してうまく誘発することで、自発的にユーザーが使い続けたくなる工夫がなされているのではないかと考えた。 ジムに通い始めるために「可愛いウェアを買う」という形から入るアクションに近いのかもしれない。 思わず写真を撮って他の人にシェアしたくなるようなメニューと容器。それらを自分のライフスタイルのワンシーンとしてソーシャルメディアに投稿し、健康に気を遣っていることをそれとなく伝えることで、自己肯定感にも繋がるというユーザー心理を秀逸に捉えているサービスではないだろうか。 Sunbasket – 徹底した無添加・サステナブルな食材 Sunbasketは一言で言うなれば「ヘルシーでサステナブルなレシピを提供する」サブスク型のミールキット。 Sunbasketのレシピは、James Beard賞(注1)を受賞したレストランSlanted Door(注2)のシェフが開発している。 肉類はすべて遺伝子組み換えを行っていない、抗生物質やホルモンを含まないものを使用している。 また、魚は天然魚介類のみ、卵はオーガニックのものを使用するなど、食材そのものに対しても、細部までこだわりが詰まっている。 食材に対してのこだわりと、調理に手間のかからない簡単なレシピ、栄養価の高さ、そして出来上がった料理の味の美味しさが話題となり、数々のメディアに取り上げられている。 そして、「サステナブル」に対して真摯な姿勢にも注目だ。 もちろん前述した食材そのものに対するこだわりのみならず、食材を提供する容器、包装のボックス、レシピカードまで、全てがリサイクルできる素材を用いている。 さらに、公式サイトには使い終わった容器をリサイクルする方法を紹介するページもあり、ブランドとしてサステナビリティを推進しているというメッセージが窺える。 *注1:アメリカの料理業界で最も権威のある料理賞。料理、出版、メディア、デザインなどのカテゴリーで授賞される。 *注2:サンフランシスコのベトナム料理のレストラン。伝統的なベトナム料理をモダンなアレンジで提供している。 Sakara – 体の内側から「キレイ」を目指すプログラム型ミールキット Sakaraは一言で表現するなら「自分の悩みに合わせて体内環境を改善したい人向けのプログラム型ミールキット」だ。 ヨガインストラクターのホイットニー・ティングルとホリスティックヘルスコーチのダニエル・デュボワーズが共同設立したサービスだ。 基本のTargeted Nutrition Programsと、さらなる体内環境の改善を目指したい人のためのLimited-Edition Programsに分かれている。 Targeted Nutrition Programsでは、ユーザーは5つの目的に合わせてプログラムを選択できる。 Signature Nutrition Program (基本となる栄養バランスプログラム) The metabolism Reset(肥満の解消) The Fresh Start Cleanse(体内の老廃物のリセット) The Gut Health Reboot(腸内環境の改善) The Performance Reboot(精神的、身体的なパフォーマンスの向上) 全てのプログラムが食事だけでなく、その期間中に飲むドリンク、プロテインバー、サプリメントなども提供する総合的な美容プログラムとなっている。 自分の課題に合わせて、サプリなどだけでなく食生活と運動習慣などを包括的に改善することで体内環境を整えられるサービスだ。 また、Limited-Edition Programsには、2つのコースがある。これらは基本となるSignature Nutrition Programに追加できるコースだ。 LEVEL II: DETOX THE BRIDAL PROGRAM LEVEL II: DETOX Signature Nutrition Program (基本となる栄養バランスプログラム)を試した上で、さらなる体内管理をしたい人向けの5日間のプログラムだ。 公式サイトによると、このプログラムは以下のような人向けのコースと書かれている。 基本のSignature Nutrition Program を試したことがある、またはすでに植物性食品を多く含む食生活を送っている。 体内環境を完全にリセットし、自分では気づかなかった食物の過敏性を明らかにしたい。 5日間、自分の健康に全力を尽くす覚悟がある(スケジュールを空け、運動を控え、カフェインやアルコールも控える)。 と、かなり本格的に自分の体に向き合うためのプログラムのよう。ここまでいくとミールキットサービスというよりも、5日間の健康プログラムに近いかもしれない。 THE BRIDAL […]

顧客体験を向上させる、Eコマースでの購買プロセスデザインと成功事例3選

近年ますます増えているEコマースの利用。なんとアメリカでは消費の半分がAmazon経由だというデータもある。 今回は、そんなEコマースにおいて、他のショップとの差別化要因になる購買体験を提供できる方法、そしてそれぞれをうまく取り入れている事例をご紹介する。 1) BOPIS “Buy Online Pickup In Store”、通称BOPISとは、ECサイトやアプリなどオンラインで購入した商品を実店舗で受け取ることだ。 新型コロナウイルスの流行が始まってから日米で特に注目を集めるようになった。 自粛によりECサイトで買い物をする人が増え、「店舗に足を運んだとしても、短時間で済ませたい」「でもやはり、一回試着してから決めたい」「商品を好きな時に店舗で受け取りたい」などのニーズが生まれ、一気に普及したとみられる。 消費者としては、ECで品物を選んだ上で来店できるので、店舗を歩き回ってほしいものを探す必要がなく、かつ送料がかからず購入できる、という「いいとこどり」ができることが大きなメリットだ。 中でも洋服を取り扱う店舗では、ECで注文したのち店舗で試着をするなど、本当にサイズが合うものか、自分に似合うものなのかを見極めて購入できることもメリットとなる。 OMO – 顧客体験向上のための2つのトレンドと4つの成功事例 CXデザイン実現のための「カスタマージャーニー発想」そのコアにある3つの考え方 BOPISの成功事例:Walmart Walmartはアメリカの大手日用品、食用品店。アメリカ大手企業のEコマースのシェアにおいて、Amazonに次ぐ2位となっている。 その要因として、BOPISをうまく活用していることも一因に挙げられるだろう。 2022年6月時点における、アメリカのEコマースでの企業の市場シェア (Statistaより) Walmartは、オンラインで注文した商品を店舗の駐車場で車に居ながらにして受け取れる、Curbside Pickup(カーブサイド・ピックアップ)を取り入れている。 使い方はとても簡単。オンラインショップで必要な商品を購入したのち、支払いの際に「ピックアップ」オプションを付けるだけで、Walmartの従業員が商品をピックアップし、駐車場まで持ってきてくれるシステムだ。 車から降りることなくスムーズに買い物をすることができることで人気を集めている。 また、もう一つの取り組みとして、店舗にBOPIS専用の受け取りカウンター、通称「ピックアップ・タワー」も設置している。 ピックアップ・タワーでは、取り出し口近くにスマホのQRコードをかざすと、商品が運ばれてくる仕組みで、受け取りカウンターに並ばずとも商品を受け取ることができる。 ここまで読み進めている読者の方の中には、カーブサイドピックアップやピックアップタワーよりも、家に居ながらにして商品を受け取れるオンラインショッピングの方が便利ではないかと考える方もいらっしゃるかもしれない。 カーブサイドピックアップの最大の利点は、当日受け取りが可能なことであると考える。 オンラインショッピングであれば受け取りは最短でも翌日、そして最短での配送にする場合は追加の費用がかかるケースもあるだろう。 しか特に日用品や食品は、思い立ったその日に必要ということも少なくない。 そんなシーンにおいて、Walmartのカーブサイドピックアップは、思い立ったその日に、オンラインで商品を注文でき、その日のうちにレジに並ぶ手間などもなく商品を受け取れるため、重宝されているのではないだろうか。 2) カンバセーショナル・コマース カンバセーショナル・コマースとは、販売業者がテクノロジーを使ってリアルタイムに顧客と対話して、購買行動をサポートすることを指す。 また、PwCの調査によると、カスタマーエクスペリエンスのうちで最も重要視する要素として Convenience(利便性) Efficiency(効率性) Friendly service(有効的なサービスであること) の3つを挙げている。実はこれら全ての要素をカバーできるのがカンバセーショナル・コマースなのだ。 また、カンバセーショナル・コマースには、いくつかの種類がある。 代表的なものは、オンラインショップ上でのチャットボット、カスタマーサポートに直接会話をつなぐことができるライブチャットエージェント、パーソナライズされたプッシュ通知などだ。 今回は特に、その時の購買だけでなく、次の販促にもつながるさまざまなコミュニケーションが可能となる、パーソナライズされたプッシュ通知に着目したい。 例えば、ECサイトを見に来た見込み客がメルマガに登録すると、10%割引のオファーが表示されることや、メッセージングアプリと連携して、自分がお気に入りに入れたアイテムの在庫が少なくなると、通知が来るといったプッシュ通知などだ。 これの利点は、前回買ったもののデータから類似した、好みに合う可能性の高い商品を販売促進できることや、キャンペーンや商品の再入荷、新発売などの最新情報を伝えることができる点で、リピート購入を促せることだ。 カンバセーショナル・コマース成功事例:REN Clean Skin Care REN Clean Skin Careは、ロンドンのスキンケアブランド。 オンラインショッピングでの決済取引の離脱防止にカンバセーショナルコマースをうまく取り入れている。 Baymard Instituteによると、オンラインショッピングで、カートに商品を入れたものの購入に至らないケースは実に69.82%と言われている。これは店側にとっては大変な損失だ。 REN Clean Skincareは、メールよりもカジュアルに確認できるSMSを使って、ユーザーにアプローチしている。 カンバセーショナルコマースにはメールが使用されるケースも多い。 しかし、SMSを使用することで、チャットボットのような即時対応のメッセージの返信にも、運営からのメッセージにも対応しやすいというメリットがあるだろう。スパムメールに振り分けられてしまうリスクも防げる。 絵文字を追加することやカジュアルな言い回しで遊び心を取り入れ、機械的なメッセージにしていないところがポイントだ。 また、ユーザーが最近閲覧した商品へのリンクを組み込み、購買意欲を再度掻き立てられるような工夫もなされている。 このようにして、カートに入れたままになっているユーザーに再度存在を思い出してもらい、購入に至るまでフォローアップするのに効果的な方法といえるだろう。 3) 開封体験 Eコマースの「購買体験」は、オンライン上での消費者とのコミュニケーションだけに止まらない。商品が家に届いてから、商品を「開封」する体験も購買体験の一部。 オンラインショッピングの利用が増えている現代において、届いた商品を「開封」するステップは避けて通れない。 そこで、届いて一番最初に目にするパッケージに工夫を施したり、箱を開けるとメッセージカードが入っていたりと、開封体験での差別化を図ることも、ブランドの第一印象を良くする重要な要素となってきている。 Youtubeには、オンラインショッピングで届いた箱の「開封」(Unboxing)動画も多数上がっており、開封体験自体がコンテンツ化されており、人々の注目を集めるだけの話題性を持っていることがわかる。 実店舗に勝る購買体験はない、という概念をひっくり返しうる可能性を秘めているともいえるのではないだろうか。 話題の「サブスクリプションボックス」日米サービス比較7選 優れた開封体験を提供しているサービス事例:IPSY IPSYは、毎月自分の元にパーソナライズされた最新のコスメが届くサブスクリプションサービス。 普段使っているメイクアップアイテム、肌の色、髪の色、目の色、肌質、髪質などの好きなブランドなどのアンケートに答えると、その回答をもとに好みに合ったメイク用品を5点つめたバッグ(Glam bag)が作られる。 月に一回(この頻度は変更可能)新しいバッグが届く仕組みだ。 入っているコスメは試供品のようなコンパクトなサイズ感のもの。ゆえに、月額$14と比較的お手頃な価格だ。 気軽に自分に合った新たなコスメとの出会いを求める人にはもちろん、メイクを初めて試してみたいティーネイジャーにも、自分に適したコスメを知るきっかけとなるサービスだといえるだろう。 また、Glam bagよりもさらにハイグレードのGlam Bag Plusも存在する。 Glam Bag Plusにもメイクアップアイテムが5点入っている。しかしこちらはGlam Bagと違い、通常サイズの品物だ。(参考) おしゃれなポーチで、毎回開ける時のワクワク感があるだけでなく、自分に合ったサイズと使い方ができることも魅力だろう。 まとめ 今回はEコマースにおいて、購買体験を改善できる方法を3つ取り上げ、それぞれの事例をうまく取り入れているブランドをご紹介した。 btraxは、日米のブランドに対して、マーケティング戦略の立案から実行までをサポートするコミュニケーションデザインを提供している。 ご興味を持った方は弊社サービスサイトをご覧ください。 参考記事: 店舗受取サービス「BOPIS」とは!?世界NO1スーパーマーケットのWalmart(ウォルマート)の事例 7 Brilliant Conversational Commerce Examples You Need to See

Z世代の心を掴むインクルーシブ・サステナブルブランドとそのコミュニケーション事例3選

1990年代後半〜2010年代前半にかけて生まれたZ世代。 真のデジタルネイティブともいえるこの世代は、日米それぞれの国で、アメリカ全体の約42%、日本全体の30%の人口規模を占めており、今後の最も重要な消費者セグメントになっていくことが予想される。 Z世代の購買にまつわる特徴 1. あまり派手にお金を使わない堅実派 Z世代はリーマンショックなどの不況や社会不安の経験が影響しており、消費に対して保守的な傾向が見られる。 「将来的に安定した生活を送っていきたい」と考える人が多く、貯蓄や節約に高い関心を持っている。 Z世代が堅実であることを示す一つが、25歳時点で毎月貯蓄に回すお金がどれだけあるかを示したこちらの図。 世代が若くなるにつれて、自由に使えるお金は減るものの、貯蓄額は増加。Z世代は、3世代で唯一、自由に使えるお金を貯蓄額が上回る結果となった。 2. 消費に対する情報収集が活発 Z世代は、Instagram、TikTok、YouTube、TwitterなどのSNSを含め、あらゆるデジタルチャンネルを用いて情報収集をすることに慣れている。 ゆえに、商品の購入を検討する際は、複数のチャンネルから商品の情報を得て、あらゆる角度から吟味する傾向にある。 例えば日本では美容系Youtuberによる「コスメレビュー」動画が人気を集めているが、それはアメリカでも同じだ。 実際に商品やサービスを利用した第三者による口コミやレビューといった「生の声」をもとに、「自分に合っているサービスなのか」、「買って失敗しない商品なのか」をシビアに見極めているといえる。 【総消費は脅威の40%】アメリカのZ世代について押さえるべき5つの特徴 3.「モノ」消費<「コト」消費 モノを所有することに対しての執着が少ないZ世代は、「モノ」の購入ではなく「コト」を購入する動きが見られる。 ここで言う「コト」とは、スポーツ観戦・映画・自分が好きなアーティストのコンサートなどの体験に対する消費のこと。それらへの投資には積極的な傾向がある。(参考) 4. 本質的に自分が共感するもの・価値を感じるものに投資する「イミ」消費 イミ消費とは、ホットペッパーグルメ外食総研エヴァンジェリストの竹田クニ氏が提唱した概念で、ある商品を消費することにより生まれる社会貢献的側面を重視する消費行動のこと。(参考) イミ消費の一例として、ノンプラスチックなどの地球環境保全につながる商品、無化学・無添加の商品、アニマルフェア・フェアトレードな商品の購入が挙げられる。 特に若い世代から支持を集めており、上記の傾向の一つとして、地球環境の持続可能性を重視する「サステナブル」なブランドへの関心が人一倍高い。 この関心の高さの理由は、今世界で起きている社会問題や環境問題にSNSを通じて手軽に触れる機会が多く、「それらの問題に対する当事者意識が芽生えやすい」ことが1つとして挙げられる。 そのため、個人よりも影響力の大きい企業などの組織や、ブランドにも、彼らの価値観や信念を尊重し、社会的問題に対し何かしらの姿勢をとってほしいと感じやすい。 ブランドの世界観に共感できる、ブランドが目指している世界に共感できる、と感じた商品をより購入する傾向にある。 事実、アメリカのZ世代を対象とした調査ではサステナブルな製品には10%以上の出費をいとわないというデータもある。 5. 多様性を尊重した選択をする SNSに慣れたZ世代は、物心ついた時から多様な価値観に容易に触れることができていたため、自然と個性を尊重し、多様性を認める倫理観・価値観を前提に生きている。 そのため、多様性の需要を表明しているブランドやメッセージングにどの世代よりも敏感で、共感しやすい。 上記の傾向の一つとして、全ての人を対象にすることを表明する「インクルーシブ」なメッセージを発しているブランドへの関心が、他の世代よりも高い傾向にある。 その一例として、Qualtrics社による調査では、Z世代のFacebookやInstagramユーザーの77%が、ソーシャルプラットフォームでジェンダー平等のテーマを推進するブランドを「より好意的に受け止める」ことが明らかになった。(参照) 以上、Z世代の消費行動を5つに分けてお伝えした。 改めて上記の特徴をまとめると、Z世代の消費行動として、商品を購入するときは「たくさんの情報をもとに比較検討し、自分の共感する世界観を発信しているモノやコトに対して、堅実に投資する」傾向を持っているといえる。 今回はそんなZ世代の心を掴んでいる、アメリカ発のインクルーシブ/サステナブルな3つのブランドの、発信しているメッセージと、Z世代に向けた効果的なコミュニケーションの事例をご紹介する。 Z世代の心を掴むアメリカ発のインクルーシブ/サステナブルなブランド3選 aerie ブランドの発信しているメッセージ:女性のエンパワメントとインクルーシビティ aerieはアンダーウェア、アクティブウェア、スイムウェアを中心に取り扱うアパレルブランド。 ボディポジティブとインクルーシビティのキャンペーンを積極的に実施している企業だ。 ウェブサイトに載るモデルには、しわをエアブラシで消すことなどを含め、過度なレタッチを廃止。ありのままの姿のモデルを掲載している。 身体に疾患を持つモデルや、車椅子、オストメイトバッグ、車椅子を使用するモデルも起用し、どんな特徴を持っていたとしても着用の対象となることを示している。 2020年にはAbilitee Adaptive Wearとのパートナーシップを提携。今ではアパレル以外にも、ファッショナブルで機能的なアダプティブウェア(障がいを持った方が直面しがちな問題を解決するため特別に開発された衣服)を提供している。 例えば、ライトブルーとピンクから選べるカテーテルクリップ、カモフラージュグリーンのオストミー用カバーが販売されている。 アパレルブランドならではの特徴を活かして、あらゆる身体の特徴に対してインクルーシビティを体現している好例だ。 消費者とのコミュニケーション:社会活動家をインフルエンサーとしたマーケティング 2014年、aerieは#AerieREALキャンペーンを立ち上げた。そのブランドアンバサダーは、#AerieREAL Role Modelsと呼ばれ、社会に対して声を上げる女性活動家が起用されている。 #AerieREAL Role Modelsとして活動しているのは、セルフケアやセルフアドボカシー(社会的に立場の弱い方に代わって権利を主張すること)を発信する体操選手のAly Raisman、サステナビリティ活動家の​​Manuela Barón、ノンホルモンの避妊用ピルを提供する企業、Sublimaのファウンダー&CEOであり、女性のエンパワメントを発信するKeiana Cavéなど。 このような女性たちがエヴァンジェリストとなり、aerieのアパレルを着用して公式ウェブサイトやSNSで発信を行うことによって、aerieが支持する考え方や、目指す世界を、効果的に消費者に伝えている。 ユーザー、消費者の「欲望」を創造するブランディング3つのポイント Reformation ブランドの発信しているメッセージ:サステナビリティの推進と製造過程の透明化 LA発のブランドReformationは、“Being naked is the #1 most sustainable option. We’re #2.”『何も着ないことが1番のサステナブルな選択だけれど、2番目の選択肢は私たちのブランドの服を着ること。』をミッションに掲げるアパレルブランド。 このヘッドラインだけでもサステナビリティを重視していることが十分に窺える。 事実、同社で2015年以降に生産されている洋服は全てカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させて作られた服)だ。 カーボンオフセットと再生可能な繊維の使用により、「2025年までにClimate Positiveを達成する企業になる」というコミットメントを表明し、ホームページ内でロードマップまで詳細に公開している。(参照) また、Climate Positiveだけでなく、製造工程の透明化や従業員支援にも積極的に取り組んでいる。 衣料品リサイクル企業ThredUpとオンラインパートナーシップを締結し、ブランドやリテーラーが下請け業者に公正な支払いをすることを支持・確約している*。 *カリフォルニア衣料品労働者保護法SB62を支持。これにより衣料品労働者の賃金盗難等を防止できる。 消費者とのコミュニケーション:「あえて」訴求は控えめにした、自然体のセレブたちによる宣伝 ReformationはSNS上での消費者へのプロモーションは実は控えめ。「〇〇キャンペーン中!」「◯%オフ!」のような直接的なキャンペーンを出していないのだ。 その代わりにReformationがSNS上で行っているちょっとした「工夫」をお伝えする。 それは、自然体のセレブたちがReformationの服を着ている写真をリポストしていることだ。 写真は、どれも日常生活の中の自然体な様子で、スタジオで撮ったような写真ではないように見える。 実はこれもReformationの戦略の一つ。セレブたちが日常的にブランドの服を着用しているような様子をアップすることで、セレブがReformationの衣服を「当たり前のように」選んでいるような雰囲気を醸成している。 このようなプロモーション方法をとることで、消費者は「安かったから」「セールしていたから」このブランドの服を選んだという感情ではなく、「自らすすんで」このブランドの服を選んだと思わせる効果がある。 それが結果的には、このブランド自体の魅力を高めることにもつながっているのだろう。 「何も着ないことが1番のサステナブルな選択」というミッションを掲げているゆえ、過剰なプロモーションをしないことがブランドミッションに準じた行動であるという判断なのかもしれない。 過去には、​​テイラー・スウィフトやエミリー・ラタジャコウスキーがReformationのドレスを着て外出している写真がメディアで取り上げられた結果、店舗には長蛇の列、対象のドレスは即完売という事態を引き起こしたこともあるそうだ。 また、ReformationのSNSでは思わずクスッとしてしまうような、短くウィットの効いたキャプションも見どころの一つだ。 Parade ブランドの発信しているメッセージ:サステナビリティとインクルーシビティ アンダーウェアブランドParadeの商品は、80%~95%がリサイクル素材でできている。2023年までに100%にすることを目標としているそうだ。 商品を見てみると、上着に響きにくく日常使いしやすい、シームレスでメッシュ素材を用いたアンダーウェアのラインナップが多いと感じた。 ​​ 毎日肌に触れて消耗されていくものだからこそ、素材へのこだわりは忘れず、リサイクル素材を基本としてをサステナビリティをうまく取り入れているブランドだ。 また、ParadeではリサイクルプログラムSecond Lifeを行なっている。自社だけでなく、どのブランドの下着もリサイクル対象として引き取っている。 人種、体型ともに様々なモデルを起用していることからも、インクルーシビティを尊重していることが窺える。 消費者とのコミュニケーション:SNS広告の効果最大化。ショート動画を用いたマーケティング Paradeはいくつもの動画のシーンを撮影し、素材の組み合わせを細かく変えることで効果検証と改善を行なっている。 以前のInstagram広告において、撮影したイントロは8種類。イントロ以外の動画の部分は同じにして、効果検証を行った。 また、一つのプロモーションしたい下着に焦点を当てたInstagram広告では、着用するモデルの年齢と人種が異なるだけで、他のコンテンツは同じ揃えて公開し、効果検証を行っている。 これにより、Paradeは、多くのバリエーションの動画を迅速に効果検証し、特定の年齢、地域、顧客に合わせて出しわけている。 また、効果検証は動画だけに止まらず、文字コンテンツをもテストしている。ブランドのサステナビリティのメッセージを含む動画広告は特に効果的で、平均より7%高いコンバージョンレートを獲得したことなど、検証によってより効果的に訴求できる方法を探っているのだ。 このようにSNSを主流のプロモーションチャンネルと位置付け、ショート動画の精度をいかに上げるかに注力していることは、Z世代の使用しているチャンネルを有効活用している好事例だ。 また、Z世代の特徴として挙げた「SNS当複数のチャネルを用いて情報を入手し、吟味して商品を購入する」という特徴を鑑みても、SNS広告を戦略的に用いていることえ、効果的にリーチできることにつながると考えられる。 まとめ […]

b-side of btrax #3 グローバルに羽ばたくサービスを創り出す、btraxのデザイナー&エンジニアの素顔とは

btraxで働くメンバーをご紹介する「b-side of btrax」シリーズ。 シリーズ第3弾となる今回は、btrax JapanのUI/UXデザイナーとエンジニアをご紹介します。 btraxのUI/UXデザイナーとエンジニアは、大きく分けると自社内向けの業務とクライアントワークの2つの業務を担当しています。 ① btrax自社内向け業務 デザイナー、エンジニアともに、btraxのコーポレートサイトのデザインとその実装に取り組んでいます。デザイナーがビジュアルや挙動含めデザインしたサイトを、エンジニアが形にする、といったように連携して業務を行なっています。 また、デザイナーは、btraxから発行している会社概要PDF、E-bookなどのコンテンツや、プロモーションの際に必要となるバナーなどの制作も担当しています。 ②クライアントワーク クライアントワークでは、デザイナー、エンジニアともに、アメリカから日本市場、もしくは日本からアメリカ市場に参入を目指す企業やブランドのサービス/プロダクトのリデザインをサポートするプロジェクトに入ることが多くあります。 クライアントさまとコミュニケーションをとりつつ、プロジェクトの成功に欠かせないデザインアウトプットと、その実装に取り組んでいます。また、より良いサービス体験の実現に欠かせないユーザーインタビューを担当することもあります。 プロジェクトの開始から完了まで、クライアントさまの意図を汲み取り、より良いアウトプットを作り上げるべく、積極的に提案をしながら日々の業務に取り組んでいます。 今回はそんなUI/UX DesignerとEngineerのメンバーを1名ずつご紹介します。2人のバックグラウンドから、btraxへの入社理由、今後btraxで挑戦したいことまで、幅広くお届けします。 btraxではどんな人が働いているの?と気になっている方、ぜひ最後までお付き合いください! Hironori Aihara (UI/UX Designer) バックグラウンドを教えてください ​僕は高専でデザインを幅広く学び、卒業後大学へ編入し、インダストリアルデザインを学びました。 デザインに興味を持つ以前は、どちらかというとロボットなどの機械が好きで、夏休みの自由研究で電子工作をしていたほどでした。その当時は、技術こそ全てだ!というような考えを持っていました。 しかし、iPhoneの登場によってその考えを改めることになりました。 なぜiPhoneが優れているのかを高専の見学会で先生に伺ったところ、「技術もだけどデザインも優れているよね」とおっしゃったことがきっかけで、デザインに興味を持ち始めました。 なぜbtraxに入社したのですか? グローバルな場でデザインをしていきたいと思ったからです。 iPhoneがきっかけでデザインに興味を持ったというのは前述した通りですが、グローバルな場でデザインをしようと思ったきっかけとしては、高専の先生の影響が大きいです。 その先生は、サンフランシスコのデザイン会社で働いていた方で、デザインの奥深さや面白さを誰よりも熱く語られていたことをよく覚えています。 その先生の授業では、デザイン思考を主に扱っていたのですが、そこで話されていた「デザイナーではない人もデザインに加わる」というプロセスに魅力を感じました。 また、その授業では「多様なバックグラウンドの人同士のコラボレーションで生まれるデザイン」が繰り返し紹介されており、その魅力に惹かれ色々なバックグラウンドの人とデザインをしたいなと思うようになりました。 こういった一連の経験によって海外に目を向けるようになりました。 btraxでは具体的にどのような仕事をしていますか? WebやUIなどのヴィジュアルデザインからサービスやUXといった上流のデザインまで全て行っています。 特にbtraxでは、日本のクライアントさまと共に、アメリカ市場やグローバル市場に向けたサービスの開発などを行うことが多いため、アプリも英語圏に向けたものが多くなります。 最近ではプロダクトマネージャー的な立ち回りや、エンジニアやリサーチャーと話し合いながら、アプリケーションのグロース戦略のためのロードマップ作成、UXのアップデートを行うような仕事も経験させてもらっています。 もともとプロダクトの存在意義を考えるのが好きなので、サービスの提案フェーズから参加できることがとても楽しいです。 btraxでの働きがいを教えてください。 前述したように、プロダクトの初期フェーズから関われることは働きがいの一つです。 また、いわゆる大企業のクライアントさまとお仕事をさせていただくことが多いので、既にある成熟されたプロダクトやリソースを活用しつつ、どうすればより付加価値を加えられるかを考えることが面白いと感じています。 また、btraxの仕事の特性上サンフランシスコへの出張もあり、そこで現地の方にチームで簡単なインタビューをするなどして、カルチャーの違いを感じながらデザインを行うことも、とても楽しいと感じます。 特に自分の価値観では理解できないような新しい価値観を持った方に会うとある意味ショックを受けたりもしますが、それも含めてワクワクします。 今後btraxでやっていきたいことはなんですか? 弊社はサービスデザインの文脈において、最終的なアウトプットがデジタルプロダクトになることが多いのですが、フィジカルなものへも挑戦していきたいとひっそりと思っています。 また、良いサービスを提供するにはそのサービスの提供方法も重要だと考えています。そこでデジタルでいくべきか、フィジカルでもアプローチするべきかを状況次第で冷静に判断して選択し、デザインすることが今後は求められていくのかなと思っています。 今、興味・関心を持っていることを教えてください。 デザインとは関係ないものだと、タコスとブリトーにハマっています。サンフランシスコで食べたタコスとブリトーがとても美味しくて、3日に1回は食べていました。 あまり日本では見ないというのもありますし、添えてあるハラペーニョがとても美味しいんです。いつか自分でも作ってみたいと考えています。 また、デザインに近い分野で言えば、サンフランシスコに行った時に街の広告の写真を撮ることにはまっています。 以前僕がちょうどサンフランシスコにいた時は、Black Lives Matterの運動が加熱していた時だったので、差別を批判する広告をUberが出していたり、また別の場所ではAirbnbがコロナウイルスのワクチンの完成を祝う広告を出していたりしました。 これらのように、社会に対して、広告でメッセージを伝えるという行動がとても良いなと感じています。また、広告の意義について考えさせられる、とても興味深いものが多いと感じています。 Shuhei Yoshida (Software Engineer) バックグラウンドを教えてください。 日本生まれ、日本育ちです。子供の頃から物作りやロボットのような先端技術に興味があったので、大学では情報工学を専攻し、ロボット研究をしていました。 主にサッカーロボットやレスキューロボットを研究しており、国際的な競技大会にも参加し、国内外の人々と交流する貴重な機会を得ることができたと感じます。 大学時代のロボット研究を通じてソフトウェア開発の面白さを知り、また、自分で物を作る実感が欲しかったため、自社製品のあるソフトウェア開発会社に就職しました。 そしてそこでは、ソフトウェア開発者向けのツール開発に携わっていました。 なぜbtraxに入社したのですか? 前述の通り、前職ではツール開発が主な業務でしたが、自社製品としてソフトウェア開発を行う中で、ユーザーに使いやすいもの、より良い体験を提供できないかということを考えるようになり、UI/UXデザインにも興味を持つようになりました。 また、海外で働くことに興味があったので、まずは英語をちゃんと習得しようと、退職しサンフランシスコに語学留学をしました。そして、その時に語学学校のプログラムとして、btraxでインターンをさせてもらう機会がありました。 btraxは日米それぞれにオフィスがあり、毎週、日米をまたいで交流するアクティビティの時間内で、様々なトピックに関して話し合ったり、ワークショップをしたりしています。 そのため、コロナ以前からオンライン会議を積極的に利用しており、コロナでZoomが話題になった際にも新しいテクノロジーの導入に積極的でした。 インターン中にこうしたbtraxのカルチャーに触れ、これまで日本で働いてきたものとは違う経験を得られると思い、btraxの一員とさせてもらうことにしました。 btraxでは具体的にどのような仕事をしていますか? 主にWebサイトの開発などでソフトウェアエンジニアとして、デザインチームが作ったデザインを形にすることが多いです。 また、一部のデザインではそのプロダクトを実現する上で、システムの構成やソフトウェアの実現性といったエンジニアとしての観点から意見を出し、デザイナーをサポートすることもあります。 こういった形で、かなり密に日米双方のデザイナーと関わり、それぞれのデザインの違いを間近に見ることができています。 他の業務としては、社内の業務改善、作業効率向上のため業務アプリケーションツールの連携や、新しいツールの選定などにも関わることが多く、新しいテクノロジーを積極的に試すことができます。 btraxでの働きがいを教えてください。 日米で好まれるデザインの違いを間近で見られるのが面白いです。 Webサイトのデザインを例にすれば、一般的に日本ではプロダクトの詳細な説明文や多くの画像を載せ、ユーザーに十分な情報を提供することが好まれます。 btraxサンフランシスコで働くデザイナーが語る、デザインにまつわる3つの日米差 対してアメリカでは、イメージやストーリー、インタラクティブなUIで、プロダクトのブランドや雰囲気の体験などを通じてユーザーに訴えるものが多いと言えます。 ひとつ具体例をあげるとトヨタとテスラを挙げることができます。 それぞれ異なる戦略でデザインされており、全く異なる印象を受けます。 また、テスラは日米で同じようなデザインのホームページですが、メルカリやマクドナルドなどは日米でデザインのコンセプトが違います。 btrax内でこうした各社の戦略やデザインの違いが話題に上がることもあり、こうした日米デザインの考え方を知ることができます。 また私自身の体験として、ある日本のクライアントさまの新製品をアピールするWebサイト開発プロジェクトに参加した時のことが挙げられます。 当初アメリカ的な雰囲気重視のWebサイトのデザイン案でしたが、日本のユーザーに対する訴求力が足りないという議論が起き、製品を説明するコンテンツを増やすことになり、デザインを練り直すことになりました。 私もデザイナーではないものの、議論に参加させてもらいました。そして最終的に、日米の長所を兼ね備え、ちょうどよいバランスを保ったデザインになりました。 こうした日米カルチャーの要素を持ったデザインの作成過程に参加できるのは、なかなかできない体験だと感じます。 今後btraxでやっていきたいことはなんですか? クライアントさまのためにアプリ開発をすることはありますが、btraxでの自社開発として、何かアプリ開発ができると面白いなと思います。 他には、ソフトウェアエンジニアとして国内のIT化/デジタル化の遅れている企業/地方自治体などにもっとテクノロジーの導入を促せないかと思うことが多々あります。 そこに、btraxならではのデザイン思考を組み込んだデジタル化のマインドセットを、企業・地方自治体に提供するような機会を持てないかと思案しています。 今興味、関心のあることはなんですか? 個人的にDALL-E 2, GPT-3のようなAIテクノロジーの発展に注目しています。 簡単なテキストから様々な画像を生成できるDALL-E2などは、デザイナーの仕事を奪うのではと言われることもあります。 ですが、デザイナー、エンジニアがそういった新しいテクノロジーをどう活用できるのかという点はとても興味深いテーマだと考えています。 まとめ 今回はUI/UXデザイナー、エンジニアとして活躍する2名をご紹介しました! btraxのメンバーのことを少しでも知っていただけたでしょうか? 今後もbtraxは、日米双方のクライアントさまに対して、デザインの力で国や国を超えた橋渡しをし、新たなビジネスを生み出すお手伝いをさせていただきます。 btraxについて、より詳しく知りたい方は、新しくなった弊社のコーポレートサイトをご覧ください。 次回はbtraxでマネージャーを務めるお2名をご紹介します!どうぞお楽しみに!

【2022年最新】ユーザーの心を掴むアメリカ発MarTechスタートアップ5選

企業の成長のためには欠かせないマーケティング活動。近年はデジタルマーケティングが主流となり、企業ごとにさまざまなツールを使ってマーケティング活動を行なっていることだろう。 そんな現代のマーケティング活動において必要不可欠となるのが、Martechサービス。 Martechとは、文字通り、MarketingとTechnologyを合わせた言葉だ。営業やマーケティングに関わるテクノロジー全般を指す言葉である。狭義のAdtech(広告×テクノロジー)、Salestech(営業×テクノロジー)などもすべて包括してMartechに含まれる。 あらゆる顧客接点でコンテンツや機能を顧客に伝え、顧客データに変換する役割を担うサービス全般を指す言葉だ。 Martechの興隆 Martech市場は世界規模でここ10年で急拡大している市場である。 2011年には世界で150のサービスしか乗っていなかったカオスマップにも、2020年には8000ものサービスが載るようになった。2022年現在では10000以上のサービスがあると言われている。 上の図に分類されているように、Martechは以下の6つの領域に分けられる。 Advertising & Promotion Content & Experience Social & Relationships Commerce & Sales Data Management 現代では、もはやマーケティングがテクノロジーを用いていることは当たり前となってきており、サービスが右肩上がりに増えているのも納得だ。 そんな中でも、近年注目を集めているのがコンテンツマーケティング。上記の6つの分類では「Content & Experience」に該当する。 コンテンツマーケティングとは、ターゲットとなるユーザーに「適切で価値あるコンテンツを作り、それを伝達すること」にフォーカスした戦略的なマーケティングの取り組みだ。 見込客として明確に定義された読者を引き寄せ、関係性を維持しながら最終的に利益に結びつく行動を促すことを目的としている。 すなわち、人が魅了されて物を買う、サービスを利用する決断に欠かせないのがコンテンツマーケティングと言える。 コンテンツマーケティングが重要視される背景には、常に何らかのデバイスに触れ続けているようになり、消費者の「企業広告疲れ」が顕著となっていることが挙げられる。 閲覧ページでの広告の表示を防止するアドブロックツールを入れている人の割合も近年増え続けているというデータもある。 ユーザーの広告疲れが進んでおり、かつインターネットでの検索が日常的に行われる現代、コンテンツマーケティングによってターゲットに対して有益と思われる情報を積極的に発信してユーザーを魅了し、いかに企業やサービスのファンにできるかが、今後の売上にもより密接に関わってくる。 ターゲットが自社のサービスの情報を自ら進んで情報を取りにくるくらいにモチベートできる可能性を秘めたコンテンツマーケティングは、どの企業にとっても大命題になりつつあると言えるだろう。 今回はそんなコンテンツマーケティングをサポートする、アメリカ発のMartechスタートアップをご紹介する。著者自身もマーケターとして、こんな機能は新しい、あったら嬉しいと思ったポイントを重点的に取り上げてお伝えする。 アメリカ発Martech startup5選 音声コンテンツを動画に:Wavve ビジュアルコンテンツを魅力的に:Visme SNS上のコミュニケーションを最適化:Manychat メールマーケティングのデザインならおまかせ:Flodesk コンテンツを入れるだけでお望みの形に変換:Designrr 1. 音声コンテンツを動画に:Wavve サウスカロライナ発のスタートアップWavveは、Podcastなどの音声コンテンツを動画に変えられるサービス。 実際にWavveを使って作られた動画を見てみると、音声に関連した映像と、音声によって波打つように動く線が印象的だ。 そして、音声に合わせてキャプションをつけることも可能。音声が流せない時でもSNS上でコンテンツを楽しめるようになっている。 53%の消費者が、企業のSNS上で動画コンテンツを見た場合、そのブランドに対してのエンゲージメントが高まるというデータもある。 ショート動画サービスから学ぶ、ユーザーを惹きつけるSNSマーケティングの秘訣 通常のPodcastのみよりも、映像がつくことで印象に残りやすくでき、さらに動画とは違ってあくまでも音声を主役とした映像が流れるところが特徴的なサービスだ。 筆者としては、動画ではなく音声を主役にすることで、Podcastの「距離の近さ」や「親近感」があり、ファンを増やしやすいというメリットを保ちながら、映像でより印象深くできるというメリットがあるのではないかと考えている。 2. ビジュアルコンテンツを魅力的に:Visme メリーランド発のスタートアップVismeは、インフォグラフィック、Facebook広告クリエイティブ、ビデオ、プレゼンテーションスライド、ドキュメント、SNSの投稿素材などのビジュアルコンテンツを作成できるサービス。 このサービスの特徴は、大きく2つある。 1つ目は、このサービス一つでプレゼンテーションスライド、E-book、SNSコンテンツなどのあらゆるビジュアルコンテンツの作成が可能であること。 プレゼンテーションスライドにはPowerpoint, E-bookにはFigma…というように、ツールを使い分ける必要がない。もちろん、複数人で1つのコンテンツを同時編集することも可能だ。 たくさんのデザインテンプレートが用意されており、テンプレートに文章を入れてブランドカラーやテーマカラーに揃えるだけで、デザイン的にもハイレベルなスライドができる。かなりの時間短縮になる優れものだ。 そしてもう1つの特徴は、Visme独自のアナリティクスが活用できること。 例えば、とあるE-bookを何人の人が閲覧したのかを確認するために、エンジニアチーにPDFをサーバーに上げてもらい、Google Analyticsと連携するようにお願いする、ということをせずとも、Vismeのリンクからシェアすることで、何人の人がこのコンテンツを目にしていて、平均的なページ滞在時間がどのくらいかまでを見ることができる。 同社によると、現在120カ国から400万人以上のユーザーがいるグローバルなサービスだ。 3. SNS上のコミュニケーションを最適化:Manychat カリフォルニア発のスタートアップManychatは、Instagram、 Facebook、SMSのチャットボットサービスを運営している。 今では190か国以上に展開されているグローバルなサービスだ。 Manychatが他のチャットボットサービスと異なる点は、SNSに特化した機能があることだ。 ManychatのInstagramのDM向けチャットボットは、Instagramストーリーズとの連携ができる。 例えば、ストーリーに対して”Ebook”とDMで返信すると、そのキーワードに反応して、DMでチャットボットがEbookのダウンロードの手続きを始める、といったような連携も可能だ。 また、ストーリーで@メンションされた時に、自動的にDMで会話を始めることもできる。 例えば、D2CストアのInstagramアカウントをメンションした人に対して、DMで自動で次回以降使える10%割引クーポンを渡せるなど、販促に結び付けられる。 もちろん、Shopify、Mailchimp、Google Sheetsなどとのインテグレーションも可能で、DM上で得たメールアドレスを元にメールを送信したり、電話番号をもとにSMSでコミュニケーションを取ったりできる。 マーケターにとっては重要となる顧客の接点と、そこでのコミュニケーションの管理を自動化、効率化できるサービスだ。 4. メールマーケティングのデザインならおまかせ:Flodesk カリフォルニア発のメールマーケティングツールFlodeskを使えば、顧客に配信するメールコンテンツをより魅力的に見せることができる。 リードナーチャリングや顧客との定期的なコミュニケーションにおいて重要な役割を担っているメール。 Newsletterやメールマガジンは、自社の活動を購読者に継続的に共有できる重要なコミュニケーションチャネルと言えるだろう。 そこで大事になってくるのは、まずサブスクライブをしてもらえるか、そして、メール自体の開封率とクリック率。 メールマーケティングに必要な全てのクオリティを上げられるのがflodeskの特徴だ。 Flodeskではまず、メールをサブスクライブするためのLPからデザインできる。Newsletterのサブスクライブテンプレートから、ドラッグ&ドロップで簡単にLPを作成できることはもちろん、登録フォームをWebsiteに改めて実装するといった手間が省けることも利点だ。 また、メールマガジンの平均の開封率は21.5%前後(データ参照元)と言われているが、中身の内容が薄かったり、読むメリットがないと思われてしまうと、その次の配信メールを開封してもらえなくなったり、読み飛ばされてしまい、伝えたい情報が伝わらないままになったりする可能性も大いにある。 そのような意味では、デザイン性の高いメールは、ユーザーが「見たい」と思えるコンテンツであるための重要な要素の一つだろう。 また、ShopifyなどのECプラットフォーム、WordpressなどのCMS、各種SNSとの連携も可能。 特にShopifyのアパレルD2Cブランドにとっては、ブランドの世界観の発信という観点でも、おしゃれが好きな人がターゲットとしているという点でも、デザインの凝ったメールを送ることも多い。 その際、グラフィックをAdobe Illustratorで作成して、その画像をコーディングして…といった手間をかけなくても、自由に文字を入れ込み、レイアウトを変更するだけで、ブランドの雰囲気に合ったメールが完成する。 もちろん、グラフィックではなくとも、ブランド独自の写真を使用することも可能だ。 狙ったターゲットに即したデザインで、顧客とのコミュニケーションが図れることは、ブランドイメージの醸成に効果的だろう。 5. コンテンツを入れるだけでお望みの形に変換:Designrr 最後にご紹介するのは、デラウェア発のスタートアップDesignrr。このサービスでできることは大きく2つだ。 1つ目は、E-bookの作成。YouTubeのビデオ、ポッドキャストのエピソード、ブログの投稿などの既存のコンテンツからE-bookが作成できる。1枚1枚別のページになっていたPDF資料をE-bookの形にすることも可能だ。 2つ目は、動画やPodcastの音声コンテンツのスクリプトを自動で生成できるということ。 どのサービスにもデモンストレーションビデオが紹介されており、どのように使用するかがクリアに理解できるが、特に特徴的な既存コンテンツからのE-bookの作成に関して言及する。 デモンストレーションビデオでは、ブログ記事をE-bookに変換しているが、ブログ記事のURLをDesignrr上にペーストするだけで変換できてしまうから驚きだ。 その後、デザインテンプレートの中から好みのデザインを選んだ時点で、E-bookのベースはその時点で完成。 ベースとなるE-bookのフォントや文章コンテンツ、色も変更できる。また、他の記事を追加したかったら追加できる。 満足するコンテンツが作成できたら、Publishを押すだけでPDFの形でエクスポートできる。 コンテンツを1から考える時間、デザインの時間、E-bookを作るためにFigmaをはじめとした複数のサービスを使う場合の金銭的なコスト、全てを削減しつつ、クオリティの高いコンテンツをこのサービス1つで作成できる。 まとめ 今回はMartechの中でも特に、コンテンツマーケティングに特化したアメリカ発のスタートアップとそのサービスをご紹介した。 今回のサービスを調べてみて感じたことは、業務の効率化や他のサービスとのインテグレーションはもちろんベースの機能として備わっているものが多く、ユーザーの心を動かすような工夫がデザイン、コミュニケーション方法でなされていることが多いということだ。 もはやどの企業、役職でもマーケティング視点、デザイン視点は必須になってきている。ユーザーの心をつかむにはどんな工夫が効果的なのか、​​今回紹介したようなサービスから学べることも多いだろう。 btraxはサンフランシスコと東京にオフィスを持つデザイン会社として、今後もアメリカの最新スタートアップ情報を発信していく。ぜひ次回もご期待いただけたら幸いだ。 参考 https://explodingtopics.com/blog/martech-startups https://chiefmartec.com/2021/09/47-new-martech-companies-just-two-days-y-combinator/ […]

2022年度版 欧米のインクルーシブマーケティングキャンペーン事例5選

6月はPride Month(プライド月間)。全ての人が自分の在り方、考え方に誇りを持つように再認識する月であり、LGBTIQ+コミュニティーを祝うパレードや、権利啓発のイベントが多く開催される月だ。 近年日本でもダイバーシティの受容や個人の価値観の尊重は、ひと昔前に比べて進んできたように思われる。 とはいえ、日本はダイバーシティを意識することが難しい国でもあるといえる。2020年時点で日本に居住している外国人は総人口の2%と言われており、公用語も日本語を用いる単一民族国家だ。ゆえに、外見も思考もどうしても画一的になりがちだ。 一方アメリカでは、「人種のサラダボウル」とも呼ばれる多民族国家。人種構成は白人、ヒスパニック、黒人、アジア系など様々。見た目も考え方も違うのが当たり前という環境で生まれ育ってきている。 ゆえに日本よりもダイバーシティが一般的で、ダイバーシティに対して先進的な取り組みが比較的多いのも事実だ。 今回は、そんなアメリカの企業が、さまざまなダイバーシティを受け入れる姿勢・理解をマーケティング活動に反映させた「インクルーシブマーケティング」の事例を紹介する。 インクルーシブマーケティングとは? インクルーシブマーケティングとはダイバーシティ(多様性)を受け入れ、それを考慮し、マーケティング活動へ反映させること。ダイバーシティーがインクルードされている(含まれている、受容されている)マーケティングのことを言う。 令和に絶対押さえるべきインクルーシブマーケティングとは。事例6選 ここでいうダイバーシティとは、人種、性別、年齢に限ったことではない。宗教、性自認、食習慣、ボディタイプなど、個人の特徴が幅広く含まれる概念だ。 インクルーシブマーケティングの効果と消費者意識 こちらの記事を参考に、インクルーシブマーケティングに対しての消費者意識を見ていこう。インクルーシブマーケティングにはさまざまな効果がある。大きく2つに分けて紹介する。 ① インクルーシブマーケティングを行うことにより、マイノリティとされる人たちが、自分たちもその企業のサービス対象に含まれているという自覚を持てるようになる。 参考:https://blog.btrax.com/jp/inclusive-marketing/ ② 商品を直接的にプロモーションしない場合でも、企業の立ち位置を明確にし、考え方のファンになってもらい、そこからプロダクトを知ってもらうきっかけになる。 参考:https://blog.btrax.com/jp/brand-stories/ では、インクルーシブマーケティングに対しての消費者の意識はどうだろうか。(下記データ参照元) アメリカ、ブラジル、イギリス人の消費者の71%は、ブランドがオンライン広告で多様性と包括性を促進することを期待している。(Facebook Ad) インクルーシブな広告では、多人種のZ世代の消費者の23%が購入意向意欲が高まる。(マイクロソフト広告) アメリカ、ブラジル、イギリス人の消費者の59%が、オンライン広告において多様性と包括性を掲げるブランドに対してよりロイヤリティが高い。(Facebook Ad) アメリカ人の消費者の82%が、LGBTQ+の表現を促進するインクルーシブなマーケティングは、ブランドがあらゆる形態の多様性を大切にしていることの反映であると考えている。(GLAAD LGBTQ Inclusion in Advertising and Media study) しかし、上記のようなインクルーシブマーケティングへのポジティブな意見に反して、あらゆる差別や偏見への態度にはまだ改善されるべきところがあるのも事実だ。下記のデータを見ていただきたい。(下記データ参照元) キャンペーンや広告に登場する女性は、男性よりも露出度の高い服装で登場する確率が14.1倍、視覚的/聴覚的な対象とされる確率が6.9倍、部分的に衣服を纏わない状態で登場したりと身体的な対象とされたりする確率が6.1倍高い。(Facebook Ad) 少数民族のキャラクターは、白人のキャラクターに比べて、家族の一員として描かれる可能性と運転する姿が描かれる可能性が半分ほどの割合。(Facebook Ad) アフリカ系アメリカ人の66%、ラテン系アメリカ人の53%が、自分たちの民族性が広告でステレオタイプが入った描かれ方をされていると感じている。(Adobe) 結論として、消費者は企業のキャンペーンに対してダイバーシティ、インクルーシブであることを期待しており、企業の努力、取り組みは広がりを見せているものの、まだ埋めるべき溝があるという状態だと言えるだろう。 今回はソーシャルメディア上での発信に止まらない、欧米のインクルーシブマーケティングのキャンペーン事例を合計5つピックアップしてお伝えする。 アメリカ企業のインクルーシブマーケティング事例 1) Bumble アメリカ発のマッチングアプリBumbleは2018年、”Find Me on Bumble”キャンペーンとして、性別、人種、能力、宗教、セクシュアリティの異なる人々を含む、実際のBumbleユーザーの多様なグループを取り上げ、彼らを「私たちがニューヨークで出会った最も刺激的な人々」として紹介した。 Bumbleは、このキャンペーンによって、恋愛の出発点としてのマッチングアプリという域を越え、多様なユーザーの在り方や関わり方を祝福することで、ダイバーシティを尊重するメッセージを発信した。 出てくる人々が笑顔で撮影に臨む様子は、自然と新たな人との出逢いに対して前向きな気持ちにさせてくれる。 このコマーシャルはCoca-ColaのHilltop広告を想起させる。 Hilltop広告とは、Coca Colaが1971年に公開したテレビCM。 最初はひとりが歌いだすが、多様な国籍や人種の人がみな同じコカ・コーラの瓶を持ちながら“Iʼd like to buy the world a Coke.(世界中の人に、コーラを買ってあげたい。)”と歌い、次々と歌唱に参加していき、ハーモニーをつくりあげる。

b-side of btrax # 2 デザインの力でクライアントのビジネスを支援する、btraxのビジネスプロデューサーの素顔とは

btraxで働くメンバーをご紹介する「b-side of btrax」シリーズ。 シリーズ第2段となる今回紹介するチームは、btrax JapanのBusiness Producer(BP)チームです。 BPチームは、主にクライアントさまと最前線で関わり、成功に向けて伴走する役割を果たしています。 初期接点の段階では、クライアントさまとの会話を通してニーズを汲み取り、課題解決に向けた、btraxとしての最適な関わり方のご提案をしています。 また、実際の案件では、クライアントさまと緊密にコミュニケーションをとりつつ、社内ではプロジェクトをゴールへ導くよう、プロジェクトマネジメントやチームの連携にも携わっています。 プロジェクトの開始から完了まで、プロジェクトが円滑に進み成功につながるよう、日々取り組んでいます。 今回はそんなBPチームのメンバー2人をご紹介します。2人のバックグラウンドから、btraxへの入社理由、今後btraxで挑戦したいことまで、幅広くお届けします。 btraxではどんな人が働いているの?と気になっている方、ぜひ最後までお付き合いください! Yuji Ozawa (Business Producer / Project Manager) バックグラウンドを教えてください。 日本生まれ、日本育ちです。 高校時代にインターネットが急速に普及し始めました。インターネットで実現される未来に可能性を感じ、大学では情報科学技術分野を学びました。 また、中学生の頃に初めて一眼レフカメラに接したことで、カメラに興味を持ちました。 さらにそこからアートやデザイン分野にも興味を持ち、大学時代は美術系講義も自主的に受講したり、油絵を描いていたりした時期もありました。 前職では、総合印刷系ICT企業にて、主にデジタルマーケティング分野でのWebソリューションのシステムエンジニア兼プロジェクトリーダーとして働いていました。 様々な業界のWebサイト構築、Webシステム設計・開発・運用などに携わっていました。 なぜbtraxに入社したのですか? 日米双方で連携して、デザインをキーワードにして社会へ貢献したいと思ったことが大きなきっかけです。 以前友人とアメリカ大陸をニューヨークからロサンゼルスまで車で横断したことがありました。その途中立ち寄ったサンフランシスコの街の雰囲気・空気感が一番気に入っており、縁のある働き方ができたらと考えていたタイミングでもありました。 そんな時、ちょうどbtraxでマーケティング領域でのProject Manager募集がされており、ジョインさせていただきました。 また、私の入社時期は、btrax Japanが立ち上がった1年後でした。当時東京オフィス側では社員も少なく、日本側での業務を広げていく過程をチャレンジしてみたいという好奇心が強かったです。 btraxでの働きがいを教えてください。 魅力的なメンバーと共にプロジェクトに関わることが働きがいになっています。 btraxスタッフの共通点を挙げると、デザインへの理解とグローバル視点での視座を持っている点と、各分野で自主的に課題解決し、推進するマインドを持っている点があると感じています。 1点目に関しては、デザイナーでなくとも、デザイン思考のマインドセットを持っていると思います。 そのため、ユーザー視点での本質的な問題解決アプローチ手法を社内共通言語として理解し、実際の業務に活用していると感じます。 また、デザインマインドに加え、サンフランシスコのスタートアップカルチャーも日米双方のオフィスに浸透しています。 それゆえ、社内でのミーティングにおいても、気軽に前向きな言葉が自然と発せられているような雰囲気ながら、本質的な課題に着目して議論する環境ができています。 だからこそ、新しいタイプのプロジェクトにチャレンジしていく空気感が醸成され、それがアウトプットにも良い影響を与えています。こういったところが私が在籍していて自社の好きな点でもあり強みでもあると感じています。 今後btraxでやっていきたいことはなんですか? 私はbtraxでの業務を通して様々な形で、新しい体験サービスを世に出していくご支援により関わっていきたいと思っています。 私が関わった案件が実際にリリースされると率直に嬉しいです。また、この一環として私は、福岡市のグローバルスタートアップ起業家育成プロジェクトに長年携わっています。 このプロジェクトを通して、多くの起業家と創業前から関わり、彼らが悪戦苦闘しながらチャレンジを続ける過程を見ているため、その数年後にサービスがローンチされるとご支援できて良かったとこの上なく幸せを感じます。 今後も様々なタイプの新しい体験サービス作りにお手伝いできたらと考えています。 今興味、関心のあることはなんですか? コロナ禍に対する国ごとの対応差や人々の価値観の変化が興味深いと感じています。 あとは最近だと、サウナブームに興味があります。コロナ禍になってからは健康面や「整う」を意識する人が増えたり、個室サウナやテント式サウナが広まっていったりしたのは、プライベートを確保したレジャーとして受け入れられたのでしょうね。 私も温泉好きなので温泉施設に行った際にサウナを利用しています。 Mana Hashimoto (Business Producer / Project Manager) バックグラウンドを教えてください。 日本生まれ、カナダ育ちです。 大学では、人文地理学(Human Geography)という領域で、都市計画やコミュニティデザインなどを勉強していました。 大学卒業するまでカナダで過ごし、就職をきっかけに日本に来ました。 前職では人事・組織コンサルタントとしてハード面と言われる制度設計からソフト面の組織文化変革、また育成に関わるラーニングシステムの導入案件まで、とても幅広く携わってきました。 なぜbtraxに入社したのですか? 一番の理由は、自分が最も得意とする、海外と日本との架け橋ができる仕事がしたいと思ったからです。 前職も外資系でしたが、日本の人事領域の仕事は、海外との接点が少なく、英語を使う機会がとても少なかったです。 また、前職で携わったプロジェクトはいわゆる上流の案件が多く、モノや施策の出来上がりを見届けることができませんでした。 大学で都市開発やコミュニティデザインなどを勉強していた影響から、ユーザーの声を踏まえたサービスデザインの領域に携わりたいと思っていたこともあり、btraxでまさに提供しているような、アイディエーションやリサーチから、下流のプロタイピングまで一通り実現できる仕事をやってみたいと思っていました。 btraxでの働きがいを教えてください。 スタッフそれぞれに得意分野があり、多様性を尊重し合いながら、自分らしく働くことがクライアントへの価値として提供できていることです。 ビジュアルデザインが得意なグラフィックデザイナー、アプリをはじめとするデジタルサービスの体験設計が得意なUI/UXデザイナー、それを動くものとして作り上げるデベロッパー、また、コンテンツ作りや世の中のトレンドを捉えるのが上手なマーケターをはじめ、小さいチームでありながらも、非常に幅広い範囲をカバーしております。 また、日本育ちもいれば、英語しか喋らないスタッフ、そして私のような間の人間もいます。 一人一人の見ている世界が違うので、そこで対立するのではなく、個々の個性を最大限に発揮して、より良いものを作り上げることができるのが、btraxの強みであり、働きがいです。 今後btraxでやっていきたいことはなんですか? これからも海外・日本のブランドに対する日本・海外展開のローカライゼーションに携われたらと思っています。 海外のブランドが日本に入ってくることで、日本人の生活に新たな価値観を提供できるのはとてもワクワクしますし、反対に海外へ日本のブランド展開をサポートすることは、日本の魅力を世界に知ってもらうこれもまた自分にとってはとてもやりがいのある仕事です。 これからも、btraxらしく、ローカライゼーションに起こりうる課題を本質から捉え、クイックに楽しく、ワクワクしながら、ご支援していけたらと思います! 今興味、関心のあることはなんですか? 真面目な回答になってしまいますが…あるクライアントさんのアプリ開発のリサーチをきっかけに過去のデザインセミナーのKeynoteを聞くことにハマっています。 HeadspaceやAirbnbなど、普段から使っているアプリやサービスのUI・UXの誕生秘話が具体的な例として聞くことができるので、とても勉強になっています。 まとめ 今回はBPチームのメンバーをご紹介しました! btraxのメンバーのことを少しでも知っていただけたでしょうか? 今後もbtraxは、日米双方のクライアントさまに対して、デザインの力で国や国を超えた橋渡しをし、新たなビジネスを生み出すお手伝いをさせていただきます。 btraxについて、より詳しく知りたい方は、弊社のサービス情報がまとまったPDF資料をご覧ください。 次回はbtraxのデザインやアウトプットを作成する、UI/UXデザイナー、エンジニアとして活躍する2名をご紹介します!どうぞお楽しみに! 過去のb-side of btraxシリーズの記事はこちら: b-side of btrax #1 デザインの価値を世界に届けるbtraxのマーケターの素顔とは

btraxサンフランシスコで働くデザイナーが語る、デザインにまつわる3つの日米差

弊社では、コロナになって以降オンラインでイベントを行なってきたが、先日、サンフランシスコで2年ぶりに対面イベントを実施することができた。 イベントのテーマは“Designing for Japan: Different Perspectives”。 1時間半のイベントでは4つのセッションをオムニバス形式で実施した。 今回はイベントの前半部分のセッションのテーマであった「デザインにまつわる日米差」の内容を3つのトピックに分けてお届けする。 アメリカから日本の会社とビジネスを行う経営者としての視点、そして、日本のクライアントと共に働くアメリカのデザイナーの視点ならではのデザインにまつわる考察をご紹介する。 日米のデザインの捉えられ方の違い 日米のクライアントとデザイン会社の関わり方の違い 日米のデザインのアウトプットの違い 1. 日米のデザインの捉えられ方の違い シフトしつつあるデザインの考え方 「デザイン」とは元来、クライアントがデザイナーに依頼してデザイナーが依頼されたものの通りに作る作業のことを指していた。とても単純で明快だ。 しかしこの10年くらいで、デザインとはビジネス、テクノロジー等、あらゆる領域での「顧客の課題解決」の手段の一つとなった。 デザイナーは「依頼されたものを作る人」から「課題解決のための戦略を考える人」という、広義の言葉に変化した。 それに伴って、ユーザー視点でヒットする商品やサービスを作り出すための、「デザイン思考」と呼ばれる考え方が浸透した。 誰にでもわかるデザイン思考の基本とプロセス 変化しきったアメリカ、発展途上の日本 日本でももちろんデザイン思考は主流の考え方になりつつある。しかし、アメリカと比べると、日本はまだまだデザインの考え方が「依頼型」で止まってしまっているケースが多い。 それにはいくつもの要因が絡み合っているのだが、今回はその理由として、2つの要因を取り上げる。 日米のビジネスのスケールの方法の違い 日米のデザインに対する考え方が異なる理由の1つとして、ビジネスのスケール方法が挙げられる。 一言で言うと、アメリカは優れたユーザー体験やブランドストーリーで売り込むのが主流であるのに対して、日本は営業で売り込むのが主流だ。 なぜアメリカがユーザー体験やブランドストーリーにこだわるのかというと、アメリカは国土が広すぎて、足で稼ぐ営業の難易度が日本よりも極めて高いからである。 アメリカ国内でも時差があるアメリカ。「車で4時間」は、日本人にとっては長旅に感じられるだろうが、アメリカ人にとっては日常茶飯事。 しかし、だからといって長時間の移動を伴う営業活動ができるかというと、それは現実的ではない。 なぜ日本にはデザイナー出身の経営者が少ないのか では、どのようにして顧客やユーザーを集めれば良いのか?その答えが、プロダクトの使いごこち(ユーザー体験)の質、ブランドストーリー、マーケティングである。 ゆえに、営業で解決するのではなく、プロダクトを作る段階からユーザーのニーズに沿った、課題解決を目的としたデザインをし、ブランドストーリーを構築することがより重要視されるようになってきている。 人々の心を掴むブランドストーリー 5つのポイント これが、アメリカが日本よりも大きく「デザイン」の概念が変化を遂げている理由の一つである。 日米のデザイン会社とクライアントとの関わり方の違い 日米のデザインに対する考え方が異なる理由の2つ目として、日米のデザイン会社との関わり方が挙げられる。 アメリカのデザイン会社の場合、クライアント企業とデザイン会社はかなり密接に協業する。 上の図のように、クライアントとデザイン会社が直接やりとりをして課題解決に取り組み、プロジェクト単位でより多くの人手が必要になった時はフリーランスのデザイナーに依頼をする。 一方日本のデザイン会社の場合は、広告代理店がクライアント企業と関わりを持つ事例が多い。 ゆえに、デザイン会社はクライアントと直接ではなく、広告代理店が考えた戦略に対してデザインを制作することで形にし、クライアントの要望に応えるという構図になりがちだ。 すなわち、デザイン会社が広告代理店に「外注」されており、広告代理店に頼まれたものを「納品」している状態なのだ。 デザイナーが「依頼されたものを作る」状況そのものが変わらない限り、今のようなデザイナーが下請けをしている状況から抜け出せないのではないだろうか。 この構図を変えることが、日本でのデザイナーの地位を上げる一歩になると考える。 なぜ日本ではデザイナーの地位が上がらないのか?~海外デザイナーとの比較~ 2. アメリカのデザイン会社の視点で見る、日米の働き方の違い クライアントとの働き方の日米差 アメリカの企業は会議の場でネクストステップを決定する。 一方で日本のクライアントは、一度会議でこちらの提案内容を聞いたのち、社内に持ち帰って改めて内部で議論する傾向にある。 その背景として日本では、メンバー全員の意見を合意してから次に進む「合意形成」の文化が大変強い傾向にある。 下記のカルチャーマップをご覧いただいてもわかるように、「決定」の項目において日本がかなり合意を重んじていることが見て取れるだろう。 弊社のアメリカ人デザイナーであるJonathanとJaredによると、日本ではアメリカよりも調和が重んじられており、全員が賛成したアイディアに決定することが多いと感じているようだ。 そのため、日本のクライアントにデザインを提案するときは、クライアントが社内で議論しやすいように、そして非デザイナーでもデザインの良し悪しがわかりやすいように、よりデザインの意図を詳細に説明し、なぜAが選ばれてBが選ばれなかったのかを詳細に説明するようにしているそうだ。 クライアントが社内に持ち帰った際に、会議にいなかったメンバーにデザインの意図を聞かれた時に答えられるようにするためだ。 彼らが日本のクライアントと働く際は、それゆえ、クライアントと一緒にトライアンドエラーを繰り返しながらデザインを一緒に考えていくプロセスがアメリカのクライアントに比べて多いそうだ。 このように、文化背景の違いはデザイン制作のプロセスの違いにも関係すると言えるだろう。 3. 日米のデザインのアウトプットの違い – Holistic(全体論的)な日本、Analytical(分析的)なアメリカ 2)アメリカのデザイン会社の視点で見る、日米の働き方の違いでも言及したように、日本は全てのパターンを考え尽くして答えを出すHolistic(全体論的)な傾向がある。 対してアメリカでは、多くの情報をさまざまな観点でグルーピングして、少ない情報の中で早く結論を出して前に進めるAnalytical(分析的)な傾向がある。 それは働き方だけではなく、デザインのアウトプットにも表れている。下記の図をご覧いただきたい。Mercariのサイト(左:アメリカ、右:日本)を左右に並べているものだ。 見ていただくとお分かりいただけるように、色も異なれば、ロゴまでローカイライズされている。 特に言及すべきは、情報量だ。 最初に述べたように、右側の日本のサイトが情報を詳細に見せようとしていることに対して、アメリカのサイトは画像によって情報がグループ化されており、画面上にある文字情報が少なく感じられる。 Yahoo!の検索ページ(左:日本、右:アメリカ)も、日本ページは詳細に文字情報が詰め込まれているのに対して、アメリカのサイトはより画像が多く、画像一つにつき一つのニュースという見せ方で、情報がグループ化されていることがわかる。 上記を見ても、ページに表示される情報量が大きく異なっている。 働き方もデザインのアウトプットも全く異なる日本とアメリカ。 そのギャップを乗り越えるためには、作ったものに対して早めにフィードバックをいただき、「どうしたらより良くなるか」という視点で改善することもプロセスのうちだという。 初めから100%理想通りのものを目指そうとするのではなく、現時点でのベストなものを持って行って、クライアントと議論をしながらより理想に近づけていく、そのプロセスの中で、より良いアイディアやデザインが誕生するのだ。 最後に、JonathanとJaredが共感したという画像を共有しよう。 「プロダクトは世界中どこでも一緒に見えるものを作る必要はない。展開先の国に合わせて適応したデザインに落とし込んで、その地で『使われる』ことがより大切だ。」と書かれている。 その国でプロダクトを使う人が違和感なく使えるようにすることが大切で、どの国でも見た目を揃えることやトンマナを揃えることが、世界で通用するデザインではないということだ。 文化背景の違う国のプロダクトを作成するときはまさにこのマインドセットが重要だと2人は言う。 まとめ 今回は、アメリカのデザイン会社の視点から見たデザインにまつわる日米差というテーマで、デザインの捉えられ方の違い、クライアントとの働き方の違い、デザインのアウトプットの違いという3つの「違い」を取り上げた。 btraxは日米に拠点を置くデザイン会社だからこそ、今回お伝えしたようなギャップを理解するべく、日々尽力している。 btraxではプロダクト、サービスを最適化するためのマーケットリサーチからUXデザイン、ブランド体験の言語化と設計、顧客とのコミュニケーション方法の改善まで、一期通貫して支援している。気になる方は是非、弊社のサービス内容がまとまったPDFをご覧いただきたい。 今回のイベントのアーカイブ動画はこちら。イベントの内容が気になった方は、ぜひデザイナーたちの解説を聴きながら、記事の内容を振り返ってみてください。

b-side of btrax #1 デザインの価値を世界に届けるbtraxのマーケターの素顔とは

btraxで働くメンバーをご紹介する「b-side of btrax」シリーズ。 シリーズ初回となる今回紹介するチームは、btrax Japanのマーケティングチームです。 マーケティングチームは、大きく分けるとbtrax自社内向けの業務とクライアントワークの2つの業務を担当しています。 ① btrax自社内向け業務 自社のプロモーションや広報、リード獲得などを目的とした戦略立案から実行まで全般を担当。 具体的には本ブログ「Freshtrax」の記事執筆や運用、毎月2回のニュースレターの配信、日々のSNS運用、イベント運営など、幅広い業務を行っています。 ② クライアントワーク 主にアメリカから日本市場に参入を目指す企業やブランドを支援するプロジェクトに入ることが多くあります。 その際は、日本市場に関する様々なリサーチをした上で、プロダクトやサービスを展開する際の戦略立案と実行のサポートをします。 また、進出先市場に合わせた、Webサイトをはじめとするコンテンツのローカライゼーションなど、現地ユーザーにより良い体験が届けられるようコミュニケーションのご支援をします。 今回はチームメンバー2人のバックグラウンドから、btraxへの入社理由、今後btraxで挑戦したいことまで、幅広くお届けします。 btraxではどんな人が働いているの?と気になっている方、ぜひ最後までお付き合いください! Aoi Omori : Marketing Specialist バックグラウンドを教えてください 日本で生まれ育ち、大学まで日本の教育を受けてきました。今の自分には大学時代の経験が最も大きく影響していると思います。 大学生になって初めて海外を旅し、その時からグローバル基準で物事を捉えることに刺激を受け、視野が開けた気がしました。 また、大学時代は複数の会社で、マーケティング関係のインターンとして働いていました。 Webメディアのライターや編集アシスタント、SEO関連業務のアシスタント、イベント運営などを通じ、価値を生み出し、そして届けるというマーケティングの面白さを実感してきました。 なぜbtraxに入社したのですか? それまでの自分の経験を振り返った際に、それを最大化できる環境だと思ったからです。 それと、デザイン思考という考え方に出会い、非常に共感をしたのも大きな理由です。 さまざまな見方はありますが、デザイン思考の「失敗を受け入れ、さらなる改善のステップにすること」、これはとても人間的かつ現実味がある考え方だと思います。 当時、過ちや逸脱が許容されないような考え方に息が詰まる思いをしていたのですが、このスタンスをとるデザイン思考に出会い、どこか救われた思いでした。 そして、どうにかしてこの“デザイン思考”とやらを活用して価値を届けられるようになりたいと思ったことも、btrax入社の大きなきっかけになりました。入社して4年目になりますが、今もこの思いは変わっていません。 btraxでの働きがいを教えてください あえてひとつに絞るなら、前向きな挑戦の場であることです。 自分の今ある強みと、新たな挑戦の部分とをそれぞれ把握した上でプロジェクトに参加できたり、自ら仕事を提案して進めたりすることができます。 基本的に最初からNOと言われることはありません。 できないからやらないのではなく、困難だったとしても、どうすればできるのかを考えてフィードバックをもらう、という流れがデフォルトになっていると思います。 そういう意味で、極めてポジティブなマインドで仕事ができていると感じます。自分の頭で考えて汗をかける人にはうってつけの環境です。 今後btraxでやっていきたいことはなんですか? よりデザインとマーケティングの領域を横断していくような仕事をしていきたいです。 デザイン会社であるbtraxでマーケターとして仕事をしてきて思うのは、デザインもマーケティングにも専門的な領域こそあれど、1つのサービスを生み出し、その価値を届ける際には、お互いと密接に関わってこそ成り立つものだということです。 btraxとしても改めて、リサーチからデザイン、そしてコミュニケーションまでを一貫してサポートする体制へと基盤が固まってきたタイミングでもあります。 今後はこういったプロジェクトで、クライアントさんに伴走する形でデザインやマーケティングを通じたご支援をしていきたいです。 デザイン視点で心を掴む UXライティングの基本5項目 今興味、関心のあることはなんですか? 言葉以外の方法での表現です。具体的には、アートを鑑賞したり、デザインツールを勉強したり、絵を描き始めたりしています。 マーケターとして仕事をしている以上、どうしても文字を通じた表現が多いのですが、文字ばかりを読み書きすることに対し、たまに飽きや疲れを感じる瞬間があります。笑 何かを伝える手段は文字だけではないという基本に立ち返って、純粋な気持ちで自由に勉強しています。 Ayaka Matsuda : Marketing Associate バックグラウンドを教えてください 幼少期と小学生の頃、2回アメリカに住んでおり、また、幼稚園から18歳までずっと英会話を続けてきました。 そのため、幼少期から海外に出て見たことのない景色を見ること、その土地の人と話し、新たな視野を広げることが今もすごく好きです。 その影響か、学生時代は海外や外国語に関わる活動に参画してきました。高校時代はイギリスに短期留学し、世界中から集まった学生と共に学びました。 大学に入ってからは、カンボジアとインドネシアへの東南アジア派遣に参加したり、国際系の団体で、カナダのブリティッシュコロンビア大学の学生と2週間日本の文化体験をするプログラムの企画、運営を経験したりしました。 また英語以外の言語の習得と文化理解を目的とし、大学ではフランス文学を専攻していました。 なぜbtraxに入社したのですか? 一言で言えば、自分が社会に伝えたい価値とbtraxのサービスやビジョンが一致していたからです。 大学3年生からHRTechベンチャーで1年弱、カスタマーサクセス職としてインターンをしていました。 そのインターンの中でLINEの顧客管理ツールを用いてユーザーとコミュニケーションをとっていた際、どうしたらユーザーにとってより使い心地の良い導線設計になるかを常に考えていました。 それがとても面白いと感じたことが、自分のアンテナが「UXデザイン」「デザイン思考」に関わることに向いていると気が付いたきっかけです。 より実践の場で学びたいと感じ、インターンを探したことでbtraxと出会いました。 さらに、海外経験を積んできた身として、日米双方のクライアントに対しサービスを提供していることにも興味を惹かれました。半年間ほどインターンをしたのち、2022年4月よりフルタイムとして参画しています。 btraxでの働きがいを教えてください 沢山あるので箇条書きにしますが、下記が魅力であり働きがいであると感じています。 目標達成に向けて協力的なメンバーばかりであること 失敗を成功の過程の一部と捉えて前に進めること 職種の違うメンバー同士へのリスペクトがあること チームメンバー全員からフラットに意見をもらいながら企画を進められること 上記のAoiさんと同じですが、基本的にNOはなく、自分からやった方が良いことを見つけ、仕事を作りに行けること 異なる文化圏のチームと仕事をすることも多いので、自分にない視点を持っている人と接することが多く、学びが多くあること これさえ守れば効果的なリモートワークが可能になる3つのルール 今後btraxでやっていきたいことはなんですか? クライアントさんのプロジェクトでも、社内のプロジェクトでも、期待値を超える仕事をし続けることです。 btraxは小さな組織なので、自分ごととして一人一人が高いパフォーマンスを上げることが求められる環境だと感じます。 自分が担当することはもちろん、会社として埋めきれていないところを埋められるよう常に視野を広く持つようにしています。 日々自分の力が足りないと感じることも多くありますが、良い成長痛だと感じています。 今興味、関心のあることはなんですか? UXデザイン、ブランディングなどはもちろんですが、暮らしの中に潜むデザインに興味があります。 具体的には、10月の試験に向けてインテリアコーディネーターの試験勉強をしているところです。 勉強をしていく中でインテリアとユーザー体験がかなり密接な関係にあることがわかり、インテリアという身近な暮らしの中に潜んでいるデザインにもアンテナを張れるようになってきました。 インクルーシブデザインとは?現代の多様性に寄り添う7つの実例 まとめ 今回はマーケティングチームのメンバーを紹介しました! btraxのメンバーのことを少しでも知っていただけたでしょうか? 今後もbtraxは、日米双方のクライアントさまに対して、デザインの力で国や国を超えた橋渡しをし、新たなビジネスを生み出すお手伝いをさせていただきます。 btraxについて、より詳しく知りたい方は、弊社のサービス情報がまとまったPDF資料をご覧ください。 次回はbtraxでビジネスプロデューサーとして活躍する2名をご紹介します!どうぞお楽しみに!

米国有名テック企業 CEOがこぞってスライドを嫌う6つの理由

2022年4月にTwitterを買収して話題になったイーロン・マスク。そんな彼の他に、ジェフ・ベゾス、スティーブ・ジョブスなどの米国有名テック企業CEOがこぞって嫌うものがある。 それが、会議におけるスライドのプレゼンだ。 ジョブズは 「“とりあえず” スライドを用いてプレゼンをすることは嫌いだ。 人はプレゼンを作り発表することで問題に立ち向かおうとするが、私はスライドを何枚も見せるのではなくテーブルに意見を全て出した状態で議論してほしい。 自分の考えていることと伝えたいことがクリアであればスライドなんていらないのだから。」 とまで言い切っている。(参照) スティーブ・ジョブズに学ぶ7つのメディアPR戦略 今回はなぜ米国有名テック企業のCEOたちがそれほどまでに会議でのスライドを用いてのプレゼンを嫌うのか、その理由を6つにまとめてお伝えする。 もちろんプレゼンをすべきではないとお伝えするつもりはない。それよりは、ビジネスにおいて相手に意見を伝える手段はたくさんあることを、改めてご認識いただけたらと思う。 米国有名テック企業CEOたちがスライドを用いたプレゼンを嫌う6つの理由 1. プレゼンが時に視聴者の望むスピードで進まないから 3ページ程度の正式な文章であれば、少し時間をとれば一通り読んで理解することができるだろう。 しかし、同じ情報をプレゼンテーションとして提供する場合、プレゼンターの話のスピード次第で自分が読んで理解するよりも時間がかかるかもしれない。 さらに、自分が理解できているところでも、視聴者の他の人が初見だった場合、逐一説明が入ることになる。 ゆえに、聴衆一人一人の議題に対しての理解度が異なる場合は、初めて会議に参加する人にとっては新たな情報をインプットするための必要な時間かもしれない。 しかし、一方で理解できている人にとっては、他の業務の時間を削って、すでに知っていることを繰り返す時間となり、非効率的になってしまう可能性がある。 Google, Apple, Teslaなどの世界トップ経営者が行う9つの会議の秘訣 2. 図式と最低限の文章だけで構成されているプレゼンは、後から自分で見直すことが難しいから プレゼンテーションは、発表者の口頭での発言なしには成立しない。 プレゼンテーションを見直すには、レコーディングなどをしておいて聞き直すか、議事録を取るしかない。 ミーティングなどに出ない人にも共有する内容の場合、プレゼンスライドではなく内容を記載した文書を見直す方が、改めて説明をする手間もかからないし、齟齬がないだろう。 また、別の人に内容を聞かなければいけないということは、時間も人的なリソースも余分にかかってしまうということ。 経営者としても、スタッフの効率を低下させているという意味で、プレゼンスライドの使用を避けたい意図があるのかもしれない。 3. プレゼンスライドには不確実性の高いアイディアも含まれていることがあるから プレゼンスライドは図を多く入れ、できるだけ文字を少なくした方が良いというセオリーもあったりすることから、時にアウトラインのような未完成の思考が書かれていることもある。 特に重要な意思決定をする場合には、ポイントだけでなく前後の文脈まで明示されていた方が、聴衆も安心して聴ける場合もある。その際にはプレゼンの形式以外を用いた方が良いかもしれない。 Ideas for Ideas – アイディアのためのアイディア Design Sprintのファシリテーターとしての学び 4. プレゼンススライドに用いられる図式は、ときに誤解を招いてしまうから 前述した通り、プレゼンスライドではいうまでもなく文書よりも図を多く用いる。 しかし、理解を助けるための図式のはずが、そもそも図の色や形によって誤解を招く場合がある。 特に多国籍のチームでコンテクストが異なる場合はなおさらだ。正しく伝えるべきことを伝えられなくなってしまう可能性がある。 例えば、筆者は良い結果となった数字を強調すべく、赤色で記載してプレゼンした際、弊社のアメリカ人のスタッフから「これは悪い傾向なのか?」と聞かれたことがある。 これは、アメリカにおいては赤色は良くない結果を表すことに用い、良い結果の場合は青色や緑色を用いるからである。 このように、文化間でコンテクストが異なるため、図式が誤解を招く可能性もある。 発表者の意見、意図を伝わりやすくするはずのプレゼンが、逆効果になってしまうことがあるのだ。 【こんなにも凄い】色が人の心理と行動に与える影響とは 5. プレゼンテーションでは核心をつかない議論に終始する可能性があるから 多くのスライドには要点しか書かれていないことが多く、そのためプレゼンターはその場その場で話すことを変更できる。 しかし、臨機応変に対応できることは良い点ではあるが、一方で核心をつかない議論に終始してしまう可能性も孕んでいる。 この記事を書くにあたって参考にした原文の記事には、“You can’t pin Jell-O to the wall.” (ゼリーを壁に貼り付けることはできない)という例え話が使われていた。 これは、「何かをしても何の手ごたえもない、まったく効き目がないこと」の例えとなるアメリカの諺だが、まさに議題の核心をつかずに、物事が前に進んだ「手応えのない」時間になってしまう危険性があるということだ。 ムダだらけの会議 – 海外から見た日本式ミーティングの謎 6. アイディアの良し悪しがプレゼンターの話の上手さやプレゼンスライドの作成能力に依存する可能性があるから 話し手のプレゼン力や、プレゼンスライドの作成能力によって、悪いアイディアであっても、良いアイデアのように見えて高く評価されたり、反対に素晴らしいアイディアが悪いアイディアのように見えて、そぐわない評価をされる可能性がある。 もちろん話の上手さやプレゼンスライドの完成度も含めて、プレゼン全が評価されるべきであることは言うまでもない。 しかし、純粋にアイディアそのものの良し悪しを判断する際には、プレゼンテーションではなく、ドキュメントを読む方が、よりフラットにアイデアの比較ができる場合もあるだろう。 英語でのプレゼンをクオリティを格段にアップさせる8つの方法 スライドを使うメリットは? もちろん、スライドを使ったプレゼンテーションは必ずしも悪いことではない。 事実、意見をわかりやすく伝達することを目的に、多くの人がスライドを使っているし、それがずっと続いているということは、メリットも間違いなくあるはずだ。 1. プレゼンテーションは、その場の状況に合わせて、使う言葉を変更できる 主語述語の完全な文章は、一度作成しドキュメントに載ったら、書いてあるその通りにしか読み取れない。 しかし一方、スライドを用いたプレゼンテーションの場合は、聴衆の態度を見極め、表現を変えたり、聴衆が理解ができていそうであれば基本を説明するスライドを飛ばしたりして、途中で軌道修正することができる。 2. プレゼンのほうが「完璧な文章を書く」工程は少ない 文章は文法的に正しく、読みやすいことが理想で、そのような文章を書くには言うまでもなく文章力が必要とされる。 代わりに、プレゼンスライドでは、スライドに文字を多くしすぎないために、キーワードを含めた上で、言いたいことを絞って記載することが求められる。 ゆえに、完全な文章を書くこととは違うベクトルの文章力が必要だ。 しかし、言いたいことを要約して考え、伝えることが得意な方にとっては、プレゼンスライドの文章を作成してプレゼンの練習をする方が、完全な文章を書くよりも時間がかからないだろう。 シーン別 スライドを使わない際の代替案3つ では最後に、有名テック企業のCEOたちは、プレゼンスライドの代わりにどのようにして相手に意見を伝えるのが良いと考えているのだろうか。「プレゼンスライドの代替案」に関して、場合に分けて3つ紹介する。 1. 議論して意思決定をする場合:「認識合わせ」のための情報は会議の前に共有する。 認識の齟齬があってはならない場面、例えば、意思決定や合意形成の場面では、会議に入る前に理解しておいてほしい事項まで、端的な文章にまとめ、会議に参加するメンバーに、読んでもらってから議論に入る。 この場合は認識の齟齬がないようにするため、要点をまとめたスライドよりも、完全な文章のドキュメントを作成する方が良いだろう。 そうすることで、会議において認識の確認のための時間を削減することができる。 その結果、全員の時間を使って行う、会議の限りある時間を「前提の共有」より重要な「意思決定」や「今後の方針の議論」といったことに割くことができるだろう。 例えばAmazonでは、会議の議論の密度を高めるため、プレゼンスライドの代わりに「6ページのメモ」を用意し、議論する前に黙読しているという。 また、LinkedInのCEOであるJeff Weinerは次のように述べている。 「もし、プレゼンテーションをするのであれば、ミーティング前に、現状の立ち位置 、目標到達地点、そこにたどり着く方法、そのためのネクストアクションというシンプルな内容で1枚のドキュメントを用意しておくと、セールスに成功する可能性が高くなる。」 社内へのプレゼンだけでなく、顧客に自分たちのプロダクトを理解してもらうことが商談成功の鍵となる、セールスでも役に立つテクニックだ。 どんな場合でも「いかにしたら相手に伝わりやすくなるか」を考えて、工夫することが、成功の鍵となるだろう。 シェアサイクル事業問題から見るサンフランシスコ市の意思決定の速さ 2. 指導やトレーニングの場合:一方的なプレゼンをするのではなく、参加者とインタラクティブに交流する 研修の場合は、一方的に話し手が話すプレゼンではなく、聴衆が参加できるような体験を作ることに注力すべきだ。 プレゼンテーションはどうしても受け身で聞いて理解する形式になりがちだ。 聴衆が発言したり、メモを取らない限り、ほとんどの人の話は耳で聞いて理解することになるが、ただ話を聞いているだけでは、後になってほとんど何も覚えていないのが人間というもの。 研修の内容を覚えてもらうためには、聴衆を受動的な視聴者にするのではなく、聴衆に能動的に参加してもらう必要がある。 話し手は「伝える」工夫も大切だが、いかに「伝わる」、そして「覚えてもらう」ようにするかに注意を払い、状況に応じて使うツールを工夫する必要がある。 ワークショップをするべきか?会議をするべきか? […]

世界市場を牽引する アメリカ発最新ヘルステックスタートアップ5選

今、ヘルステックが世界的にも需要が急拡大していることをご存知だろうか。 2021年は、ヘルステック領域のスタートアップへの年間投資額が2020年に比べ倍増した(下記グラフ参照)。 2021年には、2013年から2017年までの5年間を合わせたよりも多くのヘルステック領域のスタートアップに投資が行われたそうだ。 この流れは、紛れもなくコロナウイルス感染症の感染拡大が影響しているだろう。 病床逼迫に伴う入院難民や自宅療養者の発生、ワクチン接種関連業務等、コロナウイルスの対応が医療・ヘルスケア領域におけるさまざまな課題を浮き彫りにした。 また、その中でも対面での対応を極力控えなければいけない状況も、医療やヘルスケア分野のオンライン化を強力に押し進めた。 世界的に注目が集まるヘルステック市場。 中でも特に、米国のヘルステック市場はグローバル市場を牽引しており、2024年までに 1,520 億ドル(= 約19兆8,278億、*2022年4月時点)規模にまで成長すると予測されている(参照)。 今回はそんなヘルステック先進国、アメリカ発の最新ヘルスケアテックスタートアップを紹介する。 【シリコンバレー発】DX, メンタルヘルス, リモート関連の最新スタートアップ25選 アメリカ発HealthTechスタートアップ5選 LunaJoy:女性向けのメンタルヘルスケアサービス Alfie:男性向けの減量・健康維持の遠隔サポートサービス Ankr Health:癌の治療をサポートするプラットフォーム reviving mind:高齢者の孤独とそこから生じる病気を防ぐサービス JOON:ADHDの特徴を持つ子のための To-Do管理アプリ 1) LunaJoy LunaJoyは、フロリダ発の女性向けのメンタルヘルスケアサービス。2022年の国際女性デー(3/8)にローンチされたばかりのサービスだ。 幅広い年代の女性に対して、あらゆるライフステージでの悩みを軽減/解消するため、オンラインでのコーチングや、ヘルスケアチームに24時間365日アクセスし、相談できるオンラインナビゲーターなどを提供している。 個人向けでも法人の従業員向けでも利用可能だ。 自分が抱えている精神的な症状をフォームに入力して送信すると、カウンセラーとオンラインでの1:1のコーチングセッションが受けられる。 このサービスの特徴は大きく分けて2つだ。1つ目の特徴は、悩みに合わせて細かくメニューが分かれており、かなり具体的な悩みに即したカウンセリングが受けられることだ。 メニューとしては、日常で感じる精神的に不安定な状態を解消する目的のメニューもあれば、女性のライフイベントに即したカウンセリングを提供するメニューもある。 不安 倦怠感 大切な人の逝去による悲しみ 不妊カウンセリング 妊娠出産における精神的負担 出産時のトラウマ 産後うつ・産後不安やその他の関連疾患による精神的な負担 育児の悩み、思春期の悩み 更年期の悩み メニューを見ても、女性のライフサイクルに合わせて、どんな年代の、どんなライフフェーズの女性に対しても開かれたサービスというコンセプトであることが理解できる。 今後ますます多様化する女性の生き方と、それに伴う精神的な悩みを解消できることは、多くの女性にとって助けとなるだろう。 2つ目の特徴は、カウンセリングだけでなく、投薬での治療が必要な相談者には、薬物療法を提供していることだ。その際は相談者の遺伝子検査の結果に基づき、相談者にとって最も効果のある薬を提供している。 推測ではなく、遺伝子検査という客観的な事実に基づく診断、投薬ができることは強みである上、Lunajoyの場合、これらの情報の見せ方として、過剰にハードルを高く見せていないところが特徴だ。 オンライン上でフォームへの動線もシンプル。 そのため、スムーズに情報を入力して、申し込みができるところは、「病院には行きたくないけれど、客観的な診察を受けたい」「まずは抱えている悩みを話したい」人にとって、気軽にかつ安心して任せられるサービスではないだろうか。 このサービスのカウンセラーは女性のメンタルケアを専門としており、サービスの設計としても女性が対象となっているが、男性でも登録すればサービスの利用は可能だ。 フェムテック先進国アメリカの最新サービス & 注目の国内事例6選 2) Alfie Alfieは、男性向けの減量・健康維持の遠隔サポートをするサービス。 具体的なサービスとしては、 FDA(アメリカ食品医薬品局)承認薬の処方、減量をサポートする1:1 ヘルスコーチの利用、減量を目指す他のメンバーとのコミュニティに参加することができるなど、減量に対して総合的にバックアップするサポートがある。 このサービスのユニークなところは、「男性の減量の成功」を徹底的に追求したこと。 Alfieが男性に特化した背景は、男性は女性と同じような肥満率であるにもかかわらず、競合の減量プログラムの「食事制限」などの戦略が男性には女性ほど効果的に機能していないためだ。 競合のプログラムの一例としてLEAN プログラムダイエットが挙げられるが、確かにファスティング、エクササイズ、食事記録を行うといった内容だ。 男性はより筋肉質な体を好む傾向にあり、しっかり食べて、かつ痩せすぎないことを望む傾向にある(参照)。 そのため、男性の多くが、ほとんどの減量プログラムは「女性向け」に作られていると考えていることが研究で明らかになっている。 対して女性は筋肉質というよりは、よりスリムなスタイルを手に入れる、体重を減量することに重きを置く人の割合が男性よりも多い傾向にある。 ジムに通う時間がない、ジムを契約しても結局失敗してしまう、それでも痩せたい、という男性のために、アメリカ食品医薬品局承認の減量薬の提供、ヘルスコーチがついて相談ができ、同じ目標を持つ仲間と共にプログラムに参加できるサービスはありがたい存在ではないだろうか。 欧米では、BMIが25以上の割合が半数以上を占めている。 その結果、肥満に起因する心筋梗塞やがんで多くの方が亡くなっており、”アメリカ人の死亡理由の13%は、BMIが25以上の肥満に起因している”との推計もあるほど、肥満はアメリカで大きな社会問題になっている。(参照) 肥満大国であり、医療費の自己負担も高く、予防医学が重要視されるアメリカの課題に、ダイレクトにアプローチするサービスと言えるだろう。 3) Ankr Health Ankr Healthは、癌治療クリニックに通う患者に対して、治療の全てをサポートするプラットフォームを提供するサンフランシスコ発のスタートアップ。 癌のある体の部位と、進行ステージを選択すると、AIが最適な治療法を複数提示してくれる。患者は医師と相談しながら、自分に合った治療法の検討・選択ができる。 癌は一般的に、抗がん剤や放射線など、治療方法が複数ある病気。患者の意思決定でどの方法を採るかの意思決定と、それを医師と相談できることが強みだ。また、副作用の予防・管理までこのプラットフォーム上で可能だ。 このプラットフォームの特徴は、医師や治療チームにはもちろんのこと、自分の症状を知っておいてほしい家族や身近な人とも自分の情報が連携ができることだ。 副作用や治療の進行状態はもちろんのこと、治療の日記やボイスメッセージも残せるようになっており、患者の身体の状態だけでなく、心の状態をも記録し、共有できるようになっている。 また、患者の個人情報を扱うこのプラットフォームで重要になってくるのは、治療のための情報の正確性や、患者の情報を守るセキュリティ面だろう。 この点に関し、Anlr Healthでは、政府機関の国立がん研究所の情報を採用するなど、権威性の高い情報を引用している点や、確固としたPrivacy policyが確立されている点など、情報の正確性やセキュリティ面も担保されている。 4) reviving mind reviving mindは、高齢者の孤独・孤立に対処し、そこから生じる病気を防ぐ保険対象サービス。サービス利用者は、他のサービス利用者と6~10名のグループを組んで、グループサポートを受けられる。 このサービスが競合サービスと異なる点はグループサポートのみならず、ライフスタイルに合わせて栄養バランス、食生活、マインドフルネス、睡眠、タバコやアルコールとの付き合い方、人間関係、といった、幅広い健康に関わる項目に対して、利用者が相談したいことを解消できる、スタッフとの1on1のセッションを提供していることだ。 社会的な生物である人間にとって、孤独が健康に与える悪影響はかなり甚大だ。 アメリカ・ブリガムヤング大学の研究によると、「社会的なつながりを持つ人は、持たない人に比べて、早期死亡リスクが50%低下する」とまで言われている。この死亡リスクは、1日15本の喫煙に匹敵するほどだ。 アメリカは特に国土が広く、気軽に人と会うことが困難になりやすい。 まして、年を重ねて体力が落ちてきたりしたら長距離の移動も憚られ、なおさら孤独感が増すばかりという方もいる。 そんな方に対して、オンラインで家から誰かと交流できる、そしてさらに自分が年齢とともに気になる心身に対しての問題を相談できるサービスは、いつまでも心身ともに健康でいたい人にとって大きな効果を発揮する。 一人暮らしの高齢者にとっては特に、孤独感の解消や社会との隔絶感を解消できる。 「参加し始めて、一緒に笑ったり話したりする存在ができたことで、自分は一人ではないと感じることができた」という実際の利用者の声もある通り、楽しみながら健康を維持する助けになるサービスと言えるだろう。 ニューノーマルが生み出す4つの意外な社会課題 5)JOON JOONは、注意欠如・多動症(ADHD)の特徴を持つ子のための To-Do管理アプリ。 言葉で伝えるだけで行動に移したり、物事を習慣となるまで続けることが難しい子も、ゲーム形式で楽しみながらToDoをこなすことができるようになっている。 ゲームの内容は、クエスト(毎日のタスク)を達成するごとにバーチャルペットを成長させることができるというもの。 親が子にやってほしいことを、クエストとして設定することも可能だ。 CXデザインとは?UXデザインとの違いとそれぞれの役割 もちろん親として、まだ安全/危険の分別がつけられない子どもにアプリを触らせる不安があるかもしれないが、個人情報の入力は最低限で、ゲームの中でも暴力的な内容は表示されない、子どもが使うにも安全なアプリになっている。 注意欠如・多動症(ADHD)の特徴を持つ子は、集中力を持続させることが苦手。 身の回りのことがうまくできず、家や学校で叱られることが多くなってしまい、自尊心が低下することが多くなる。 自尊心の低下や失敗体験が積み重なると「うつや不安障害といった二次障害」を合併しやすくなる(参考)。 重い二次障害を起こしてしまうと、なかなか元の生活に戻るのが困難になる可能性もある。 一方ADHDは、うまく折り合いをつけて付き合っていくもの特性と言われている。 したがって、やることをリストアップしておく、スケジュールを見えるようにしておくなど、可視化しておくことで物忘れを防ぎ、指示を明確に書き出しておくことでタスクを実施できるようにするといった工夫が必要だ(参考)。 このゲームはタスクを可視化してそれをやり遂げることに喜びを見出す手助けをしている。 […]

Adobe Stockから学ぶ、2022年日本のビジュアルトレンド予測

2022年のAdobe Stock Creative Trends Forecastが公開された。 Adobe Stockとは、あらゆるクリエイティブプロジェクトに利用できる高品質なロイヤリティフリーの写真、ビデオ、イラスト、ベクター、3D、テンプレート数千万点を厳選して、デザイナーや企業、教育機関、官公庁向けに提供するストックフォトサービスだ。(参考) 毎年、世界と地域のクリエイティブトレンド予測(Creative Trends Forecast)を発表している。 Adobe StockのCreative Trends Forecastは、Visual Trends、Design Trends、Motion Trendsの3つのセクションに分かれている。 2022年は世界と日本のクリエイティブトレンドを対象としている。btraxは日本のCreative Trends Forecastのうち、ビジュアルトレンドの制作において協業させていただいた。 今回は第二弾として、日本のビジュアルトレンド予測について、AdobeのPrincipal of Consumer and Creative Insights、Brenda Milis にインタビューした内容をまとめてお伝えする。Brendaは現在Adobe Stockにおいて、年間のAdobe Stock Creative Trends Forecast作成、公開のイニシアチブを持ち、ビジュアルトレンドにまつわる全てをリードされている。 ※第一弾、世界のクリエイティブトレンド予測はこちらからご覧ください。 Q: なぜAdobe Stockにはクリエイティブトレンドに特化した役職があるのでしょうか? Adobe Stockの画像を使う人は、使うその時に権威性があって、新鮮と感じてもらえるような画像を求めていると思うからです。 しかし、みなさんも感じておられる通り、私たちは本当に変化の速い世界に生きていますので、ビジュアルトレンドの変化は本当に速くなっています。 そのような背景から、リアルタイムでユーザーに魅力的に感じてもらえる画像を用意するには、100%クリエイティブトレンドにコミットする専門の役職が必要になります。 私の役割は言い換えれば、人々の興味関心がどのように動いているのかを伝えることになると思います。 Q: 今年の地域別のビジュアルトレンド予測の地域として日本を選んだのはなぜですか? 日本は常に新たなモノや流行が生み出されている国で、私たちにとってもトレンドを追うことが大変重要だと思ったからです。 Adobeはグローバル企業なので、世界的なトレンド予測だけでなく地域別のトレンド予測をすることにも大変重きを置いています。 その中でも日本は優先度高くトレンドを追いたい国の一つでした。 Q: グローバルトレンドと比較して、2022年の日本のビジュアルトレンドの印象はいかがでしたか? グローバルトレンドと比較しても、とても似た傾向があると思いました。btraxと協力して発見した、2022年の日本の2つのビジュアルトレンドを紹介します。 1つ目は、家族間の関係性の変化です。英語では”Family Ties”とタイトルをつけました。 年代の垣根を超えて交流が深まっている家族関係の変化と、親と子、という関係よりもより友人のような、同年代のような関わりをする親子が増えていることが挙げられます。それが感情的な繋がりをより親密にしています。 世界的にも、人々の感情的なつながりが重要視されていることは言うまでもありません。 日本は家族関係の変化にそれが表れていることが大変興味深いポイントですね。 2つ目は、多様性の促進です。英語では”Open-Mindedness”とタイトルをつけました。 このトレンドには、メンタルヘルスの重要性の高まりが関係していると思います。 世界的にも同じ兆候が見られますが、多様性の尊重だったり、自己のアイデンティティを受け入れる動きだったりが加速していると感じます。 Q: バックグラウンドも違う他国のトレンドを追うことは大変難しいと思いますが、他の地域のトレンドはどのようにして追っているのですか? まさにbtraxに協力していただいたところですね!日本のビジュアルトレンドの制作において、リサーチからレポートまで協力していただきました。 私はアメリカ人ですから、日本の画像やデザインに精通した人と協力することが必要でした。 もし私が日本語を話せたとしても、私は他の地域のトレンドを追うために自分の感覚だけを頼りにすることはないと思います。 なぜなら、日本に住んでいなければ日本の文化の一部に属していることにはならないからです。 ゆえにどの地域のトレンドを考えるにしても、その地域のデザインやクリエイティブに精通している人と協業しています。 btraxには日本という文化圏で暮らしており、かつデザインやマーケティングに知見のあるメンバーがいたので、ビジュアルトレンドのリサーチと相性が良いと感じ、今回btraxに依頼しました。 btraxのメンバーは全てのプラットフォームやチャネル、広告、ポスターなど、あらゆる種類のビジュアルをリサーチし、さまざまな業界のことを紹介してくれました。 ビジュアルに関わる全てのプロジェクトにおいて本当に重要なことです。 協業することで、効率よくリサーチを進めることができ、プロジェクトの成功を収めることができたと思っています。 Q: 2022年の日本のビジュアルトレンド全体で、特に重要なキーワードは何だと思いますか? 難しいですね。1つに決められないです。 トレンドごとにいくつかキーワードを上げるとするならば、まず多様性のトレンド”Open Mindedness”に関しては、compassion(同情)、 acceptance(受容)、diversity(多様性)identities(アイデンティティ)が挙げられると思います。 日本のAdobe Stockのグループとも協業していますが、「多様性」という言葉に含める概念の範囲が広がったと感じています。 例えば、今までも年代の多様性は言及されてきましたが、体型や性別にまつわる多様性は話題に挙がってきにくいことだったと思います。 今でも多様性=体型や性別にまつわることも含める、という考え方は完全に主流になったかと言われれば、まだ完全ではないと思いますが、少しづつ広がってきている動きですね。 日本でも「多様性」という概念に含める概念の幅は広がっていると感じています。 アイデンティティの多様性、とも言い換えられるかもしれませんね。それに加えて、ジェンダーの概念も変化していると感じています。 「女性らしさ」「男性らしさ」という文脈で語られてきたことは今では変化してきており、そもそも性別を2つのタイプに当てはめること自体が今では普通ではなくなってきていると感じます。 そして、家族の繋がり”Family Ties”に関してはintimacy(親密さ)、connection(繋がり)、closeness(親しさ)が挙げられると思います。 家族が描かれたビジュアルでは本当によく表現されることだと思います。 より心の繋がりが見えるように、顔を近づけている描写だったり、笑顔の描写だったり、肌のふれあいの描写だったりが表現されていますね。 トレンド予測は、その年になった時にトレンドが主流になっていることが大切ですが、そのトレンドが成長するかどうかまで予測する必要があります。 そして私たちはそれを、定量的、定性的なデータを分析することで可能にします。 特に、業界の異なるCMやポスターを見ることは、ビジュアルトレンドを予測する上で大切です。 例えば「多様性の尊重」というメッセージを発信しようとしたら、どの業界も同じようなビジュアルを用いて表現します。 すなわちさまざまな業界のCMやポスターに用いられているビジュアルを見て共通点があるかどうかを見ると、その国が産業や業界を超えて、どんなメッセージを消費者に伝えようとしているかが理解できます。 今回の日本の2つのトレンドもそのようにして洗い出しました。 Q: 2022年は、地域別のトレンドとして日本を挙げていました。2021年以前も毎年、グローバルトレンドと、ある特定の地域のトレンド、どちらもリサーチされていたのでしょうか? はい、そうです。チームメンバーがあらゆる地域におり、地域ごとのトレンドも作っています。あらゆる地域のトレンド予測を取り上げるとともに、今回行った日本のトレンドに関しても引き続き追っていきます。 グローバルトレンドももちろん重要ですが、どうしても世界共通のジェネラルなトレンドなので、その地域特有のトレンドも同時に発表することに重きを置いています。 もちろん、日本に関して言えば、日本企業は世界中に顧客を持っていますから、グローバルトレンドも重要ですね。 地域ごとにも、世界中にも、見ている人たちがいますから。 どちらにも情報を提供することができるように毎年準備しています。 早く実際に各地域を訪れる経験ができるようになると良いですね。 いつかみなさんにもお会いできると良いですね!その土地を肌で感じること、人と一緒にいることは全く違う体験になりますからね。 オンラインで調べたりするのと、実際に現場に行って人と会ったりするのを比べると、実際に会ったときに自分が得られるエネルギーが全く違います。なぜこれほどまでに違うのか、私が不思議に思っていることでもあります。 オンライン上で暮らして働くことは多くの人にとって必要不可欠なことになりましたが、実際にトレンドをリサーチした国に行ったり、共に仕事をした人に直接お会いしたりすることを楽しみにしています。 まとめ 今回はAdobe Stock Creative Trends Forecastの制作の過程やリサーチの過程をお聞きした。 グローバルトレンドはまた違い、自分の文化ではない国のトレンドをどのようにしてリサーチするのか、制作秘話も伺うことができた。 […]

Adobe Stockから学ぶ、2022年の世界のクリエイティブトレンド予測

2022年のAdobe Stock Creative Trends Forecastが公開された。 Adobe Stockとは、あらゆるクリエイティブプロジェクトに利用できる高品質なロイヤリティフリーの写真、ビデオ、イラスト、ベクター、3D、テンプレート数千万点を厳選して、デザイナーや企業、教育機関、官公庁向けに提供するストックフォトサービスだ。(参考) 毎年、世界と地域のクリエイティブトレンド予測(Creative Trends Forecast)を発表している。 Adobe StockのCreative Trends Forecastは、Visual Trends、Design Trends、Motion Trendsの3つのセクションに分かれている。2022年は世界と日本のクリエイティブトレンドを対象としていた。 btraxは日本のCreative Trends Forecastのうち、ビジュアルトレンドの制作において協業させていただいた。 今回は世界のビジュアルトレンド予測について、AdobeのPrincipal of Consumer and Creative Insights、Brenda Milis 氏にインタビューした内容をまとめてお伝えする。 この記事を読んでからAdobe Stockを見ると、企画者の視点でビジュアルを楽しむことができ、新たな発見があるだろう。 2022年注目のブランディングトレンド Q: 簡単に自己紹介とご経歴をいただけますか? Brenda Milisです。現在Adobe Stockにおいて、年間のAdobe Stock Creative Trends Forecast作成、公開のイニシアチブを取っています。 私のキャリアの始まりはフォトディレクターでした。様々な業界のディレクションを担当していました。 仕事を始めてからずっと「ビジュアル」に関わる仕事をしてきたので、日常的にフォトストックを使ってビジュアルや、アイコンの使い方などをリサーチしてきました。リサーチが私のキャリアにおいて強みであり、情熱を持てることでした。 Adobe StockのCreative Trends Forecastは、かなり影響力のあるものだと感じています。なぜなら、クリエイティブトレンドをグローバル規模で、年間を通して、あらゆる業界の広告やメッセージをもとに予測するからです。 私たちのクリエイティブトレンド予測は、将来的に主流のトレンドとなっていきます。 Q: 今では、SNSなどのオンラインでもビジュアルが見られる時代になりました。しかし一方で、ビルボードなど、オフラインの世界にももちろんビジュアルは溢れています。この変化は、現代のクリエイティブトレンドのリサーチにどのように影響していますか? 全てのプラットフォーム、場所、チャネルで、全ての人がある時は意識的に、またある時は無意識的に画像を見ています。 ビジュアルトレンドが大変重要だと思う理由として、現代のビジュアルは本当に目まぐるしく変化していることが挙げられます。 というのも、いつ何時も私たちはどこを見ても何らかの画像を目にしていて、その画像を「消費」しているからです。 人々が四六時中携帯を見るようになる前、私たちは道を歩いていたり、地下鉄の広告を見たり、店舗のウィンドーディスプレイを見たり、そのようにして画像を発見していました。 それは今も続いていることです。しかし今では家でプライベートの時間を過ごしている時も、SNSを介して画像を見ています。それに伴って、私のリサーチはかなり幅広くなりました。 なぜなら、SNSの活用によって今までの時代よりもはるかにビジュアルを目にする機会が増えたからです。 これは企業にとっても重要な変化で、ビジュアルを変えることで常にブランドを進化させ、自社が顧客に対してどのような関わり方をしたいのかを示すことが以前よりも容易になったということです。 Q: 2022年のグローバルのビジュアルトレンドを制作した印象をお聞かせください。 特に興味深く感じたことは、ここ数年のコロナウイルス感染症による厳しい状況に反して、ポジティブな雰囲気のビジュアルがトレンドになりやすいということです。 そして今年は、どの国でも同じようなビジュアルがトレンドになっていることが印象的でした。Adobeはグローバル企業ですので、トレンド予測を完成させるまでに、各国のスタッフと密に連携しながら綿密なリサーチを行います。 2022年のトレンド予測を作る際初めて地域ごとのスタッフに自分が考えたグローバルトレンド予測を発表した時に、どの国でもすぐに賛同が得られました。 パンデミックによってどの国でも行動範囲が縮小してライフスタイルが似てきているので、同じようなトレンドになりやすいからだと考えます。 Q: 今のお話より、各国のチームとどのように協業しているのかを知ることができました。毎年このStock Trendのプロジェクトを牽引されていますが、毎年どのようなプロセスとスケジュールでリサーチを行っているのでしょうか? いつも私は前半の半年で広く浅くリサーチを実施します。そして、1年の後半に差し掛かった辺りで、範囲を広げるというよりは、今までのリサーチをもとに深掘りするようなリサーチに切り替えます。 例えば、Adobe Stockのユーザーが何を検索しているか、ファッション、美容、ビデオゲーム、メディア、エンタメ、テクノロジー…など、さまざまな領域を総合的に見て、全ての領域においてどんな画像が検索されているかをリサーチします。 私自身も日々人気のカルチャー、年代別のトレンド、アート、などリサーチをたくさんしています。 全ての領域に共通して見られる特定のビジュアルがないかどうかを求めて、他地域のチームやAdobe Creative Cloudチームにリサーチに行き、彼らの視点からのフィードバックを求めることもあります。 このように、私はAdobeの他地域のチームや、Adobe Creative Cloudチームなど、たくさんのチームと連携し、協力を仰ぎながら進めています。 そして、大体の時期については、6月の終わり頃から9月までの間で、全ての広範囲のリサーチを終わらせて、発見したことに関してAdobeの他地域のチームや、Adobe Creative Cloudチームにフィードバックをもらいに行くようにしています。 そうすることで、これらのトレンド予測はより確からしいものになっていきます。そうして、全世界に公開できるようなトレンド予測は出来上がっています。 Q: トレンドを常にリサーチされていると思いますが、一旦スイッチを切って、全ての情報をシャットアウトしようという気分になることはありませんか?例えば、森に入って何もしないでテントに籠る時間を作るとか。 私はきっと森に入っても、その中で見えたものに関して考えてしまいますね笑、アウトドアはご存じのかもしれませんが今のトレンドだから。 全ての公式なリサーチから離れようと思ったら全てのデバイスからシャットアウトして、記事を読んだり、情報を比較したりすることから離れなければいけないと思います。 でも私は個人的に、世界がビジュアル的にどのように動いているのかをリサーチしたり、パズルのピースをはめていくような作業をするのが本当に面白いと感じている人なんです。 なので、もし私がキャンプに行ったとしたら、私はきっと自然の中にいることや、外で活動することがどれほど大切かを実感すると思います、そしてやはり、どこからかトレンドを見つけ出そうとしてしまうかもしれません笑。 Q: 次の質問は、トレンド予測の正確性に関する質問です。例えば、2020年の予測は、どのくらい正確に当たっていたのでしょうか?というのも、2020年に感染症が広まり、あのような状況になるなんて誰も予測できなかったですからね。 2020年ですか、かなり前ですね!リサーチしていたのが2019年になるから、2020年は正直思い出せないのですが、コロナ期間中のトレンド予測として挙げるのであれば、2021年のトレンド予測は、本当に的を得ていたのではないかと思います。 2021年の実際の広告やブランドが発信していたメッセージは似ていました。私たちに語りかけるようなメッセージでしたね。例えば、「この状況を一緒に乗り切りましょう!」とか。 2020年に、私は2021年のトレンドを見つけ出せるか不安でしたが、いつも通りのプロセスを踏んでリサーチをしたところ本当に正確だったと記憶しています。 なので、結論としては、私たちのトレンドは時代や私たちの生活を急激に変化させるもの(例えばパンデミックなど)が現れない限り、本当に正確だと思います。 コロナという状況の中でも、人生の中にポジティブな瞬間を見つけ出すのは必要なことですね。 ええ、本当にそう感じます。2022年のトレンドのうち1つに、”Powerfully Playful”というものがあります。これは2022年の一番強力なトレンドであり、メッセージではないかと推測しています。 いろいろな物事が確実にストレスフルな方向に進んでいて、人々は楽しい想像を掻き立てられるような、美しくてポジティブなメッセージのビジュアルを求めているのではないかと思います。 全てのモチーフのトレンドには、なぜそれが人気なのか、理由があります。この世の中を生きる私たちの心に余裕や安心をもたらすからだと考えています。 過去2年間のパンデミックの時代の中で、メンタルヘルスや感情に関係するビジュアルが重宝されるようになりました。 全ての人の状況は違いますが、私たちは皆メンタルを健康に保つことは大切だと痛感していると思います。前向きなメッセージを発するビジュアルは、それを助ける要素になっていると思います。 2022年のビジュアルトレンドの一つに”The Centered Self”というものが挙げられます。これは落ち着いて、自分を労わる時間をとることを意味します。 ビジュアルは本当に大きな力を持っていて、他の人と相互にリアルタイムで交流する機会の減った現代だからこそ大きなパワーを持つようになりました。 Q: 今回のトレンドで驚いたことはありますか? 私は毎年その年のトレンドに驚いています。毎年、どうやってトレンドの予測をしようか?と思うのです。 なぜなら、明らかになっていることなんて一つもないから。しかしリサーチをし続けるうちに、トレンドは姿を表すものなんですよ。 2022年のトレンドにも驚きました。毎年、地域ごとに少しづつ違うのですが、世界的にほぼ一律に同じようなビジュアルがトレンドになっていたので驚きました。 まとめ 今回はAdobe Stockの制作の過程やリサーチの過程をお聞きした。 今後 […]

【SF Pitch Night 2022から学ぶ】世界の起業家が語る、起業の経緯と成功までの軌跡

SF Pitch Night 2022が今年も開催され、大成功に終わった。 SF Pitch Nightとは、btrax主催のグローバルスタートアップピッチイベント。福岡市のグローバル起業家育成プログラムにおいて選抜されたピッチ候補者と、世界中から集まった次世代を率いる先鋭スタートアップを迎えてピッチバトルを行うイベントだ。 今年で通算6回目となる本イベント。2021年からはオンラインで開催しており、今年は2度目のオンライン開催となった。 今年度は初の試みとして、ピッチイベントの他に、世界中から集まった3名の起業家の方々を招いてファイヤーサイドチャットを行った。 本記事はその内容をもとに、「起業した経緯と今までの経験」、「スタートアップの今と未来」、「3人が考える”起業家”とは」というテーマ別でまとめたものだ。 登壇者 ファイヤーサイドチャットの登壇者はこちらの3名の起業家たちだ。 Yury Israilvsky Co-founder & President, Product Engineering at Clickhouse 25年間、YaHoo、Netflix、Googleなどのシリコンバレーの企業に勤めたのち、 2021年にClickhouseを創業。 Brandon K. Hill CEO & Founder, btrax, Inc. サンフランシスコ州立大学デザイン科卒。サンフランシスコに本社を置くデザインエージェンシーbtraxのCEO。 グローバル市場向けのイノベーション創出をミッションに、ブランディング、サービスデザイン、UXデザインを主軸とし、これまでに300社以上の企業にサービスを提供。 Jason DePerro Associate Design Director at Frog Design Apple、Samsung、Capital One、Silicon Valley Bankなどの企業でデザインリードをつとめる。現在はFrog Designのデザインディレクターとして、スタジオのサステナビリティ推進にも携わっている。 起業した経緯と今までの経験 なぜ現在のキャリアを歩んでいるのか。なぜ経営者になったのか 経営者になる人々は、なぜ自分で会社を経営する選択をしたのだろう。3名に伺ってみた。 Yury:90年代に大学を卒業してから、いくつかのスタートアップ企業に勤めた。たくさん失敗も経験し、立ち止まったことも傷ついたこともあったが、本当に多くのことを学んだ。 その後20年間ほど、YaHoo、Netflix、Googleなどのシリコンバレーの大企業に勤めた際は、最先端のテクノロジーを用いて、世界中で利用される大きなスケールのプロダクトを生み出すことができるようになったことに楽しみを感じた。 しかし、やはり何もないところから新しいことを創り出し、物事を早く行動に移せるスタートアップに魅力を感じていた。そのため、昨年機会があってClickhouseを立ち上げるに至った。 Jason:両親が起業家だったため、起業に対するイメージは湧いていた。そのため、かっこいい車を運転したい、という思いで車の小売ビジネスを起業した。そのビジネスをしたらポルシェとかの格好いい車に乗れると思ったからね。 今まで上手く行かなくて頓挫してしまったり、大幅に事業をピボットしたりしたこともあるが、行動をやめずに、課題だと思ったことを解決するべく挑戦してきた。 btraxを起業し、沢山の起業家のメンタリングも行っているBrandon。btraxを卒業した人からもたくさんの起業家が輩出されている。起業の動機はなんだったのだろうか。 Brandon:単純に、大学卒業後、自分はどこにも就職できなかった。シリコンバレーが不況の時だったため、Webデザイナーには募集があまりなかった時だった。 だから、自分に残された選択肢は自分で会社を立ち上げるか、Starbucksで働くかだった。僕はコーヒーを飲まないので、会社を立ち上げるという答えは明確だった。(笑) 日本では完全に敗者だった【インタビュー】btrax CEO, Brandon K. Hill それぞれ動機は異なるが、常に自分の抱えている問題意識ややりたいことに対して企業という選択肢がベストだったので会社を経営する立場にいる、という共通点がある。彼らはあくまでも「起業する」こと自体が目的になっていないのだ。 どのようにして最初のビジネス領域を決めたのか?そして、起業した当時のビジネスと今のビジネスはどのように違うか? Brandon:初めはWebデザイン会社を始めた。しかし数ヶ月間は上手く行かなかった。しかし、自分は日本人としての文化的側面も持ち合わせていることを改めて思い出し、それは他の人には真似できない強みだと思った。 そこで、日米の文化の橋渡しをするようなビジネスを展開しはじめた。そのようにして現在では、ブランディング、マーケティング、デザインの領域で、日米の橋渡しをするというユニークなサービスを提供している。他のデザイン会社とは一線を画した、ユニークな会社だと思う。 他の人には真似できない強みで尖ること、これがこれから起業を考えている人への僕からのアドバイスだ。 参考:Brandonの起業から15年間の物語 Jason:私は、人がどうしたら自分のビジネスのストーリーを他の人に「共有」したくなるのか、という基準で自分の始めるビジネスを考えていた。 そしてそれが人々の間で良いと思ってもらい、沢山の人々に共有され続けられそうなビジネスだという手応えをつかめるまで、ずっと起業する領域を探していた。 YuryはClickhouseを2021年の9月に創業しているが、世界中でコロナウイルス感染が拡大する厳しい状況の中で、1年間でどのようにして会社の成長を成し遂げたのか? Yury:私は半年前(2021年8月)に会社を設立した。Clickhouseのシステムは有名なオープンソーステクノロジー(エンジニアが開発した公開されているコード)を用いて開発されているため、設立した時点で、かなりの人数のユーザーがいたことは大変幸運だった。 しかし、ターゲットとしていたエンジニアのユーザーたちに、いかにして私たちのサービスを使ってもらえるようにするかが問題だった。既存のオープンソースのユーザーベースを開拓するためにGitHubを用いてマーケティング戦略を立てた。 また、成長戦略に関しては、会社が成長しているのは、もちろんエンジニアたちが素晴らしい技術で開発をし、リーダー陣がマネジメントをしてくれているからだ。 期待に応えるためにまだまだ改善すべきところはあるが、早く成長してユーザーを獲得できるプロダクトは、自分のキャリアの中でいくつものクラウド製品を作成した経験から、素晴らしい技術やアイデアではなくて、使ってくださるユーザーが何を求めているのか、その問題を解決するプロダクトだということだ。 「システムを構築したら、自然にユーザーが集まる」というようには思わない。ユーザーが困っていて、解決しなければならない問題を特定して、その解決策としてサービスがあるということを念頭におかなければいけない。 成長するサービス、プロダクトは、ユーザーにとってどんなメリットがあるのか、どのようにして人々の暮らしを豊かにするのかが明確だ。 それは、生活の中の困りごとを解決するという目的だったり、困ってはいないけれど、あったら便利で使いたいものであったりする。 いずれにせよ、ユーザーの感情をプラスにするものという視点なくして、成長は見込めないということだろう。 君のプロダクトはビタミン剤か?鎮痛剤か?それとも治療薬か? スタートアップの今と未来 2022年のスタートアップトレンド 実際にシリコンバレーで会社経営をしている3名が考える2022年のスタートアップトレンドとは? Jason:一般的なトレンドとしては、企業はどんどん顧客第一のサービスやプロダクトを作るようになっていると感じている。そしてデザインに優れて質の高い体験を提供するものを作っていることも挙げられる。 より大きなトレンドとして、ミッションドリブンな企業が増えており、社会問題、環境問題解決のミッションに共感して人々が集まった組織が多くなってきていることを興味深く思う。 金融業界など、そのようなテーマでは今まで活動している組織が少なかった領域までこのトレンドは広がっており、どの業界にも言えるトレンドだと考える。 海外の著名ブランドから学ぶブランドストーリー作成のポイント Brandon は日本のスタートアップトレンドについて以下のように語る。 Brandon:日本はここ10年で、スタートアップに対するイメージが大きく変わった国だと思う。10年前は「スタートアップ」という言葉すら知らない人が多かった。日本にはスタートアップの概念はなく、「新たに設立された企業」「スモールビジネス」という概念しかなかった。今ではスタートアップという言葉も当たり前に使われるようになっている。 スタートアップトレンドに関して言うと、日本では、社会にも人々にもポジティブな影響を与える方向に切り替わっている。 3年前、日本では「ユニコーン企業」という言葉が流行したが、今は「シマウマ系スタートアップ」、すなわちよりサステナブルなビジネスモデルで、ユニコーン企業のように急激な売り上げ拡大を第一目標にするのではなく、社会に良い影響を与えることだったり、顧客に満足してもらうことを非常に重視しているスタートアップが増えた印象だ。 今の日本のスタートアップには、ユニコーン企業とシマウマ系スタートアップが混在している状態。売り上げを急速にあげて、一攫千金を目指すことだけが企業の目的ではなく、社会に良い影響を与えることも企業が存在する目的だと思うため、良い傾向だと感じている。 ユニコーンの次はシマウマ企業 その特徴と可能性とは? Yuryは、直近会社を始めるにあたって一番いいタイミングやスタートアップトレンドに則ることが戦略としてあったと思うが、どう考えていたのだろうか。 Yury: 個人的に、あまりトレンドや時流を気にしすぎる必要はないと思う。もし明確な課題があるのであれば、そこからビジネスを生み出すことは可能であるように感じる。 今現存している大企業でも、不況の時にビジネスを始めた企業はたくさんある。利益を上げることは確かにより困難になってしまうかもしれないが、良いビジネスはどんな時代であっても利益を上げる方法を見つけ出すだろう。 不況の時の方が市場に沢山人がいて優秀な人材に出会えることに加え、不動産やオフィスの場所代なども安く済む。問題解決に有効な良いアイデアを生み出す方に重きを置いて良いと考える。 今後どの領域がイノベーションを起こすと思うか? Brandon:領域を特定せず、人々がやりたくないと思うようなことや、不幸にさせることを取り除くことだ。 例えば、誰もやりたくないものだろうトイレ掃除をしてくれるロボットなど。人々の不幸を取り除く何かを生み出せば、成功する確率は高くなるだろう。 それが最終的には社会に幸せをもたらすことにつながると思う。 Yury:アメリカの市場であれば、大きく3つの市場が挙げられる。ファイナンシャル、ヘルスケア、教育だ。 21世紀では、経済の展開はかなり不確実になっていることもあり、イノベーションを起こす領域は他にもたくさんあると思う。 Jason:世界が感染症によって衝撃を受けた現代、個人的には、子供たちのためのメンタルヘルスサービスを見てみたい。ずっと探しているが、まだそのようなサービスは見つけていない。パンデミックの影響で需要が高まっていると感じているため、今後に期待している。 3人が考える「起業家」とは 良い起業家の条件は? Brandon:1つ目は持久力があること。経営者は存続のために会社の経営をし続ける必要がある。経営は短距離走ではなく長距離走。2つ目は大胆であり、同時に繊細であること。3つ目は、誰かの下で働くことに向いていない人。この要素を持つ人は、起業して経営をし続けなければいけないと思う。例えば僕のようにね。 […]

【SF Pitch Night 2022から学ぶ】世界の起業家が語る、起業の経緯と成功までの軌跡

SF Pitch Night 2022が今年も開催され、大成功に終わった。 SF Pitch Nightとは、btrax主催のグローバルスタートアップピッチイベント。福岡市のグローバル起業家育成プログラムにおいて選抜されたピッチ候補者と、世界中から集まった次世代を率いる先鋭スタートアップを迎えてピッチバトルを行うイベントだ。 今年で通算6回目となる本イベント。2021年からはオンラインで開催しており、今年は2度目のオンライン開催となった。 今年度は初の試みとして、ピッチイベントの他に、世界中から集まった3名の起業家の方々を招いてファイヤーサイドチャットを行った。 本記事はその内容をもとに、「起業した経緯と今までの経験」、「スタートアップの今と未来」、「3人が考える”起業家”とは」というテーマ別でまとめたものだ。 登壇者 ファイヤーサイドチャットの登壇者はこちらの3名の起業家たちだ。 Yury Israilvsky Co-founder & President, Product Engineering at Clickhouse 25年間、YaHoo、Netflix、Googleなどのシリコンバレーの企業に勤めたのち、 2021年にClickhouseを創業。 Brandon K. Hill CEO & Founder, btrax, Inc. サンフランシスコ州立大学デザイン科卒。サンフランシスコに本社を置くデザインエージェンシーbtraxのCEO。 グローバル市場向けのイノベーション創出をミッションに、ブランディング、サービスデザイン、UXデザインを主軸とし、これまでに300社以上の企業にサービスを提供。 Jason DePerro Associate Design Director at Frog Design Apple、Samsung、Capital One、Silicon Valley Bankなどの企業でデザインリードをつとめる。現在はFrog Designのデザインディレクターとして、スタジオのサステナビリティ推進にも携わっている。 起業した経緯と今までの経験 なぜ現在のキャリアを歩んでいるのか。なぜ経営者になったのか 経営者になる人々は、なぜ自分で会社を経営する選択をしたのだろう。3名に伺ってみた。 Yury:90年代に大学を卒業してから、いくつかのスタートアップ企業に勤めた。たくさん失敗も経験し、立ち止まったことも傷ついたこともあったが、本当に多くのことを学んだ。 その後20年間ほど、YaHoo、Netflix、Googleなどのシリコンバレーの大企業に勤めた際は、最先端のテクノロジーを用いて、世界中で利用される大きなスケールのプロダクトを生み出すことができるようになったことに楽しみを感じた。 しかし、やはり何もないところから新しいことを創り出し、物事を早く行動に移せるスタートアップに魅力を感じていた。そのため、昨年機会があってClickhouseを立ち上げるに至った。 Jason:両親が起業家だったため、起業に対するイメージは湧いていた。そのため、かっこいい車を運転したい、という思いで車の小売ビジネスを起業した。そのビジネスをしたらポルシェとかの格好いい車に乗れると思ったからね。 今まで上手く行かなくて頓挫してしまったり、大幅に事業をピボットしたりしたこともあるが、行動をやめずに、課題だと思ったことを解決するべく挑戦してきた。 btraxを起業し、沢山の起業家のメンタリングも行っているBrandon。btraxを卒業した人からもたくさんの起業家が輩出されている。起業の動機はなんだったのだろうか。 Brandon:単純に、大学卒業後、自分はどこにも就職できなかった。シリコンバレーが不況の時だったため、Webデザイナーには募集があまりなかった時だった。 だから、自分に残された選択肢は自分で会社を立ち上げるか、Starbucksで働くかだった。僕はコーヒーを飲まないので、会社を立ち上げるという答えは明確だった。(笑) 日本では完全に敗者だった【インタビュー】btrax CEO, Brandon K. Hill それぞれ動機は異なるが、常に自分の抱えている問題意識ややりたいことに対して企業という選択肢がベストだったので会社を経営する立場にいる、という共通点がある。彼らはあくまでも「起業する」こと自体が目的になっていないのだ。 どのようにして最初のビジネス領域を決めたのか?そして、起業した当時のビジネスと今のビジネスはどのように違うか? Brandon:初めはWebデザイン会社を始めた。しかし数ヶ月間は上手く行かなかった。しかし、自分は日本人としての文化的側面も持ち合わせていることを改めて思い出し、それは他の人には真似できない強みだと思った。 そこで、日米の文化の橋渡しをするようなビジネスを展開しはじめた。そのようにして現在では、ブランディング、マーケティング、デザインの領域で、日米の橋渡しをするというユニークなサービスを提供している。他のデザイン会社とは一線を画した、ユニークな会社だと思う。 他の人には真似できない強みで尖ること、これがこれから起業を考えている人への僕からのアドバイスだ。 参考:Brandonの起業から15年間の物語 Jason:私は、人がどうしたら自分のビジネスのストーリーを他の人に「共有」したくなるのか、という基準で自分の始めるビジネスを考えていた。 そしてそれが人々の間で良いと思ってもらい、沢山の人々に共有され続けられそうなビジネスだという手応えをつかめるまで、ずっと起業する領域を探していた。 YuryはClickhouseを2021年の9月に創業しているが、世界中でコロナウイルス感染が拡大する厳しい状況の中で、1年間でどのようにして会社の成長を成し遂げたのか? Yury:私は半年前(2021年8月)に会社を設立した。Clickhouseのシステムは有名なオープンソーステクノロジー(エンジニアが開発した公開されているコード)を用いて開発されているため、設立した時点で、かなりの人数のユーザーがいたことは大変幸運だった。 しかし、ターゲットとしていたエンジニアのユーザーたちに、いかにして私たちのサービスを使ってもらえるようにするかが問題だった。既存のオープンソースのユーザーベースを開拓するためにGitHubを用いてマーケティング戦略を立てた。 また、成長戦略に関しては、会社が成長しているのは、もちろんエンジニアたちが素晴らしい技術で開発をし、リーダー陣がマネジメントをしてくれているからだ。 期待に応えるためにまだまだ改善すべきところはあるが、早く成長してユーザーを獲得できるプロダクトは、自分のキャリアの中でいくつものクラウド製品を作成した経験から、素晴らしい技術やアイデアではなくて、使ってくださるユーザーが何を求めているのか、その問題を解決するプロダクトだということだ。 「システムを構築したら、自然にユーザーが集まる」というようには思わない。ユーザーが困っていて、解決しなければならない問題を特定して、その解決策としてサービスがあるということを念頭におかなければいけない。 成長するサービス、プロダクトは、ユーザーにとってどんなメリットがあるのか、どのようにして人々の暮らしを豊かにするのかが明確だ。 それは、生活の中の困りごとを解決するという目的だったり、困ってはいないけれど、あったら便利で使いたいものであったりする。 いずれにせよ、ユーザーの感情をプラスにするものという視点なくして、成長は見込めないということだろう。 君のプロダクトはビタミン剤か?鎮痛剤か?それとも治療薬か? スタートアップの今と未来 2022年のスタートアップトレンド 実際にシリコンバレーで会社経営をしている3名が考える2022年のスタートアップトレンドとは? Jason:一般的なトレンドとしては、企業はどんどん顧客第一のサービスやプロダクトを作るようになっていると感じている。そしてデザインに優れて質の高い体験を提供するものを作っていることも挙げられる。 より大きなトレンドとして、ミッションドリブンな企業が増えており、社会問題、環境問題解決のミッションに共感して人々が集まった組織が多くなってきていることを興味深く思う。 金融業界など、そのようなテーマでは今まで活動している組織が少なかった領域までこのトレンドは広がっており、どの業界にも言えるトレンドだと考える。 海外の著名ブランドから学ぶブランドストーリー作成のポイント Brandon は日本のスタートアップトレンドについて以下のように語る。 Brandon:日本はここ10年で、スタートアップに対するイメージが大きく変わった国だと思う。10年前は「スタートアップ」という言葉すら知らない人が多かった。日本にはスタートアップの概念はなく、「新たに設立された企業」「スモールビジネス」という概念しかなかった。今ではスタートアップという言葉も当たり前に使われるようになっている。 スタートアップトレンドに関して言うと、日本では、社会にも人々にもポジティブな影響を与える方向に切り替わっている。 3年前、日本では「ユニコーン企業」という言葉が流行したが、今は「シマウマ系スタートアップ」、すなわちよりサステナブルなビジネスモデルで、ユニコーン企業のように急激な売り上げ拡大を第一目標にするのではなく、社会に良い影響を与えることだったり、顧客に満足してもらうことを非常に重視しているスタートアップが増えた印象だ。 今の日本のスタートアップには、ユニコーン企業とシマウマ系スタートアップが混在している状態。売り上げを急速にあげて、一攫千金を目指すことだけが企業の目的ではなく、社会に良い影響を与えることも企業が存在する目的だと思うため、良い傾向だと感じている。 ユニコーンの次はシマウマ企業 その特徴と可能性とは? Yuryは、直近会社を始めるにあたって一番いいタイミングやスタートアップトレンドに則ることが戦略としてあったと思うが、どう考えていたのだろうか。 Yury: 個人的に、あまりトレンドや時流を気にしすぎる必要はないと思う。もし明確な課題があるのであれば、そこからビジネスを生み出すことは可能であるように感じる。 今現存している大企業でも、不況の時にビジネスを始めた企業はたくさんある。利益を上げることは確かにより困難になってしまうかもしれないが、良いビジネスはどんな時代であっても利益を上げる方法を見つけ出すだろう。 不況の時の方が市場に沢山人がいて優秀な人材に出会えることに加え、不動産やオフィスの場所代なども安く済む。問題解決に有効な良いアイデアを生み出す方に重きを置いて良いと考える。 今後どの領域がイノベーションを起こすと思うか? Brandon:領域を特定せず、人々がやりたくないと思うようなことや、不幸にさせることを取り除くことだ。 例えば、誰もやりたくないものだろうトイレ掃除をしてくれるロボットなど。人々の不幸を取り除く何かを生み出せば、成功する確率は高くなるだろう。 それが最終的には社会に幸せをもたらすことにつながると思う。 Yury:アメリカの市場であれば、大きく3つの市場が挙げられる。ファイナンシャル、ヘルスケア、教育だ。 21世紀では、経済の展開はかなり不確実になっていることもあり、イノベーションを起こす領域は他にもたくさんあると思う。 Jason:世界が感染症によって衝撃を受けた現代、個人的には、子供たちのためのメンタルヘルスサービスを見てみたい。ずっと探しているが、まだそのようなサービスは見つけていない。パンデミックの影響で需要が高まっていると感じているため、今後に期待している。 3人が考える「起業家」とは 良い起業家の条件は? Brandon:1つ目は持久力があること。経営者は存続のために会社の経営をし続ける必要がある。経営は短距離走ではなく長距離走。2つ目は大胆であり、同時に繊細であること。3つ目は、誰かの下で働くことに向いていない人。この要素を持つ人は、起業して経営をし続けなければいけないと思う。例えば僕のようにね。 […]

採用キーワードから読み解く、TOPテック企業10社のカルチャー

採用ページからは、企業のカルチャーが垣間見える。 求職者にとって、企業の入口とも言える採用ページに載っている情報は、その企業のカルチャーを知り、自分にフィットするカルチャーであるかを見極める上で重要な役割を果たしている。 企業カルチャーは採用キーワードに反映される 今回は米国テック企業10社の採用ページで用いられている企業のカルチャーを表すキーワードと、それに準ずるエピソードを、Textioのインフォグラフィックを参考にご紹介する。 AIツールのTextioは、企業の25,000以上の求人情報を調査し、そこに含まれるキーワードをAIで分析。その結果、例えば、女性よりも男性の方が応募しやすいフレーズの割合が高いことを発見した。 それぞれのキーワードやストーリーを見ることで、企業のカルチャーや、各社が重きを置いている価値観が見えてくるかもしれない。 ※なお、このデータは2017年時点のものであるため、現在は社名を変更し、別名になっている会社も含まれます。何卒ご了承ください。 テック企業10社のカルチャーを表すキーワード Amazon: 変てこに, 変化の速い環境, マニアックに Apple: 快適に, 自己管理, 熱狂的に Meta (Facebook): 家族のように, 冷酷に, ストーリーで伝える Google: 一流, 証明しよう, まずやってみよう Microsoft: 推進者, 尽きることのない探究心, 競争心 NETFLIX: 引き抜く, 勇敢に困難へぶつかる, 規律正しく Salesforce: よく働き、よく遊べ, ハングリーであれ, 関係構築 Slack: 永続的な関係性, 意味ありげに, 深く思いやる Twitter: オタク気質, 学びの意欲, 多様な視点 Uber: どんな犠牲を払ってでも成功させる, ハイパフォーマンスな文化, 全員がスター ※以下で紹介する図の青の棒グラフが男性からの応募の比率が高くなりやすい言葉、紫の棒グラフが女性からの応募の比率が高くなりやすい言葉を示している。 Amazon Wickedly: 変てこに Fast-paced environment: 変化の速い環境 Maniacal: マニアックに Amazonの変化は速い。どれくらい変化が速いかというと、なんと平均で11.6秒に1回、システムのコードのアップデートをしているほどだ。 以下の図をご覧いただきたい。これは、Amazonが一度は開始したが撤退したサービスの数々を表している。 私たちが知らないサービスもある。それほど速いペースで始めることも撤退することも決断しているということだ。 まさに変化の速い環境(Fast-paced environment)のカルチャーを表しているエピソードと言えるだろう。 Apple Comfortably: 快適に Maintaining control: 自己管理 Empathetic: 熱狂的に 紫のキーワードは、採用ページに載っていると統計的に女性の応募比率が高くなるキーワード。 女性の応募比率が高くなるキーワードが2/3を占めるAppleの採用ページ。そんなAppleは女性の活躍推進を掲げているだけでなく、行動によって示している企業だ。 This #InternationalWomensDay we celebrate the women who are charting the course for a more equitable future, and recognize the rising generation of change-makers who follow in their path. — Tim Cook (@tim_cook) March 8, 2022 2019年には国際女性デーに際して女性プログラマーやクリエイターへの支援を行うなど、会社を挙げて活動を続けている。 Meta (Facebook) Our family: 家族のように Ruthlessly: 冷酷に Storytelling: ストーリーで伝える “Our family”というのは、マーク・ザッカーバーグのこだわり”Open and connected”が反映されたもの。 “Open and connected”とは「世界をよりオープンにし、つなげる」という意味。2017年に変更されたが、それまでは会社のMission statementでもあった言葉だ。 経営会議でも決断をする基準は「“Open and connected”に準ずる決断であるか」。それほど大切にされている概念だ。 世界が注目するミレニアル・Z世代の最新トレンド Google First rate: 一流 Prove that: 証明しよう Tackle: まずやってみよう Googleの特徴的なカルチャーとして、”Tackle”「まずやってみる」というカルチャーがある。 Googleには“X”という起業家と発明家のチームがある。人々の生活を向上させることを目的としたテクノロジーを構築することを主目的としたチームだ。 世界の環境問題、気候問題など、一筋縄では解決できない課題に対して、テクノロジーと知恵の力で解決を図ろうとしている。 そんな彼らの目標は、困難な課題に対して「10%の改善ではなく、10倍のインパクトを与えること」。 スタートアップ的なスピード感とパッションを持って困難な課題に取り組む姿勢は、まさに”Tackle”するカルチャーを表しているだろう。 【あなたならどう答える?】Googleの面接で聞かれる41の難問 Microsoft Driven person: 推進者 Insatiably: 尽きることのない探究心 Competing: 競争心 Microsoftの初期ユーザー獲得方法はなんと、電話営業でまだ開発もされていないソフトウェアを売り込むこと。 世の中にパソコンというものが普及すると考えていたファウンダーのビル・ゲイツとポール・アレンは、パソコン製造メーカーのMITS社に営業電話をかけ、ソフトウェアの重要性を売り込んだ。 […]

【ローカライゼーションの第1歩】アメリカのキャッチコピーの特徴

「言葉」は気付かぬうちに絶大な力を発揮している。ビジネスの世界においては、今やコピーライティングはどの職種でも必須のスキルになりつつある。D2Cブランドやオンラインショッピングが増え、物が売れる、売れないの鍵を一番握っているのは商品説明やタイトル、ヘッドラインの言葉と言っても過言ではない。 いかにターゲットとなる人を惹きつけるか。これはどんなシーンでも提起されるべき問いではあるが、これが、国境や文化をまたいだものになるとその難易度は高まる。逆に言うと、その国の国民性に合ったコピーライティングができることは、ローカライゼーションの一歩となる。 しかし、実際には、日本語のキャッチコピーを英語に訳そうとしてもうまくいかない、英語のキャッチコピーを日本語に訳そうとしてもうまくいかないということは往々にしてありうる。 今回はアメリカにおけるコピーライティングの特徴を、日米の違いに着目しながらご紹介する。ブランド、サービスの海外展開を考えている方の参考になれば幸いだ。 日本とアメリカのキャッチコピーの違い2選 英語キャッチコピーの特徴の紹介に入る前に、日本と英語のキャッチコピーの大きな違いをご説明する。以下の2点を見るだけでも、両者が大きく異なる特徴を持つことがお分かりいただけると思う。 1. 間接的な表現をする日本のキャッチコピー、直接的な表現をするアメリカのキャッチコピー LUMINE (日本) 自分に夢中になれないと、誰かを真っすぐ愛せない。 日本ではこのような曖昧性の高い、情緒的なキャッチコピーの広告は多く見られるが、他の国では驚かれるかもしれない。なぜなら、このキャッチコピーだけでは、何のキャンペーンの広告なのか、ましてやロゴがない場合はどの企業が出しているキャンペーンかすら一目ではわからないからだ。(日本人ですら判断することは難しいだろう。) しかしこのような、見る人によって解釈を変えられる表現のキャッチコピーには、ターゲットを広くとり、多くの人の心を動かせるという利点もある。商品そのものの特徴や、具体の説明を直接的にするキャッチコピーは、逆に商品の説明に終始してしまったり、意図せずサービスやプロダクトに興味のない人を除外してしまっている可能性がある。 含みのあるキャッチコピーの方が、広い人をターゲットとできるため、ターゲット層の広い百貨店などのキャッチコピーには向いている。さらに、解釈の幅が広いキャッチコピーは見る人それぞれの「個人の記憶」を思い起こすものであり、パーソナルなことを想起させられた場合、印象に残りやすいというメリットもある。 Slack (アメリカ) Imagine what you’ll accomplish together.:共に何を成し遂げられるのか想像してみてください。 “Imagine what you’ll accomplish together”というヘッドラインの下に、Slackでできることの説明が続く。 その説明では、「Slackは、仕事をする上でのコミュニケーションとハブとなるツールであり、どんな仕事をする時でもコミュニケーションが生まれ、決断がなされ、情報があなたの指先にある場所です。Slackがあれば、あなたのチームはよりつながりを感じることができます。」と書かれている。 この文章からは、Slackが何ができるサービスで、どのように役立つのか明確に分かる。Slackというサービスの概要が端的かつ明確に伝わる、わかりやすいキャッチコピーだ。 アメリカにおいては、人種、バックグラウンドがバラバラであるため、日本のように間接的な表現で具体的な年代、性別をターゲットすることはほぼ不可能。 それゆえ、直接的な表現でプロモーションし、「良いと思ってもらうべき人に良いと思ってもらえる割合をいかにして増やすか」という観点での思考が必要だ。 もはやアメリカで直接的な説明にならないキャッチコピーは、Nikeの”Just Do It”、McDonaldの”I’m lovin it”くらい珍しいものかもしれない。 主語がない日本語のキャッチコピー、主語がある英語のキャッチコピー 味の素 (日本) Eat well, live well 味の素の英語のキャッチコピーも、主語がない良い事例だ。誰に対してのキャッチコピーであるかは明確になっていないが、「よく食べ、よく生きる」という、広い世代に向けたメッセージであることが理解できる。 BEAMS 35周年キャンペーン (日本) 恋をしましょう 「恋をしましょう」とだけ書かれたキャッチコピー。先ほどのLUMINEのキャンペーンと同様、これだけでは、何のキャンペーンの広告なのか、どの企業が出しているキャンペーンかを理解するのは難しい。 目立つオレンジ色の背景に、ハートの中に洋服を思わせるようなチェック柄、小説のような字体を用いることで、温かみも感じさせるキャンペーンだ。 上記の二つの事例では、どちらのキャッチコピーにも主語が明確に示されているわけではないが、日本人である私たちには意味が伝わる。 主語がなくても「広告を見た人全員に向けて言っている」、「だいたいこの年代に向けて言っている」というのが感覚的に分かる。 主語がない方が冗長な表現にならず、声に出して読んだ時もリズミカルで聴き心地が良いという側面もある。 Kodak cameras (アメリカ) You press the button, we do the rest.:ボタンを押すだけ。あとはお任せ。 こちらのキャッチコピーでも“You”が多用されている。自然に和訳するのであればyou=「あなた」やwe=「私たち」は訳さない。 Dropbox (アメリカ) 英語が多くの主語を入れて話される言語だと実感できるのが、Dropboxのキャッチコピーだ。 Take your docs anywhere. Save files on your computer, then access them on your phone from the road. Everything you keep in Dropbox is synced automatically to all your devices. このキャッチコピーを和訳してみよう。英文に忠実に和訳すると、以下のような文章になる。 あなたのデータをどこへでも。あなたのパソコンでデータを保存し、出先からあなたの携帯でアクセス。Dropboxに保存されているあなたのデータはすべて自動的にあなたの全デバイスへ同期されます。 英語をそのまま和訳すると、不自然に聞こえる。これを自然に訳すとしたら、例えば以下のようになりそうだ。 データをどこへでも。パソコンでデータを保存し、出先から携帯でアクセス。Dropboxに保存されているデータはすべて自動的に全デバイスへ同期されます。 日本語では主語がない方が自然に聞こえるが、英語では主語がついていた方がよりパーソナルな感じを出すことができ、キャッチコピーとして自然である。 Dropbox以外の事例でも、 Redbullの”Gives you wings.”(レッドブル、翼を授ける。) M&M’Sの”Melts in Your Mouth, […]

2021~2022年スタートアップトレンド徹底解剖!【対談】Skylight America 大山哲生氏×btrax Brandon K. Hill

世界的パンデミックの影響で、社会、政治、経済に急激な変化があったことは言うまでもない。そんな時代の動きをいち早く反映するのがスタートアップトレンドだろう。変化は世界有数のスタートアップの祭典、TC DISRUPTのピッチでも顕著に見られた。
【スタートアップイベント】TC DISRUPT 2021 – 10の感想

TC DISRUPTは、これまでにも数多くの著名人や起業家が出演している世界最大規模のスタートアップイベントだ。今年は新型コロナウイルスの影響で完全オンラインで開催された。

まるで宝箱!? アメリカで話題の「サブスクリプションボックス」とは?

COVID-19で需要が拡大した通称「サブスク」ことサブスクリプション。日本でもそのサービス幅は広がりを見せている。代表的なものは、Netflix、Apple Music、Spotifyなど。こういったものはもはや生活になくてはならないサービスになっている方も少なくないのではないか。 最近では水、食品、サプリメントなどが定期的に家まで届くサービスも登場してきており、コロナ禍の「おこもり需要」に応えている。 今回はそんなサブスクリプションサービスの中でも、アメリカの「サブスクリプションボックス」に焦点を当ててご紹介する。サブスクリプションボックスとは言葉の通り、自分が注文した物がボックスに入って家まで届くサービスのことだ。 「ボックス」であるメリットは? 商品だけが届いてもサブスクリプションとしても機能を果たすが、わざわざボックスに入れて提供しているのは何故か。その理由は大きく2点だ。 1. セレンディピティ セレンディピティとは、思わぬものを偶然に発見すること。「こんなのが欲しかった!」という予期していなかったプロダクトに出会える可能性があるところはサブスクリプションボックスの一つの特徴だ。 サブスクリプションボックスには何が送られてくるかわからないものも多い。新たな出会いのワクワク感があるのは「開けるまで分からない」サブスクリプションボックスの強みだ。 パーソナライズの死角とデジタル・セレンディピティ 2. ワクワクする開封体験 ボックスを開けるとき、まるでプレゼントを開ける時のような体験ができるのも特徴の一つ。入っているものがわからない時はもちろん、何が入っているかわかっている場合も、自分が選んだものが入っている箱を開けるワクワク感が体験できる。 D2Cの開封体験デザイン – ブランドに学ぶカスタマーと繋がる方法 アメリカで人気の最新サブスクサービス5選 【ワインのサブスク】Vinebox 【洗剤のサブスク】CleanCult 【おもちゃのサブスク】Kiwico 【訳あり野菜&果物のサブスク】Misfits Market 【エシカルプロダクトのサブスク】Causebox 【ワインのサブスク】Vinebox Vineboxは、認定ソムリエたちが厳選したワインがグラス一杯分(100ml)×3種類送られてくるサービス。ワイン通向けというよりは、ワイン初心者が「お気に入りの1本」を見つけるのに最適なサービスだ。 黒を基調とした高級感のあるボックスが特徴で、ワインも一本一本、香水を思わせるような細い容器に入っている。毎回異なるワインが送られてくるため、ボックスを開けて新たなワインと出会う楽しみが感じられる。テイスティングをする感覚で利用できるサービスだ。 プロのソムリエが厳選した味といえど、自分の口に合わないワインであれば、いくら良いワインだったとしてもワインボトル1本を消費するのは意外と苦労するもの。新たな味を求めて冒険しようと思っても、ワインボトル一本買うことは意外とハードルが高い。 このサービスを使えば、お気に入りの一本を見つけるためにワインを丸々一本買う必要はなく、口に合わないワインだった場合に余らせてしまうことも起こらない。もう飲まないボトルが家に何本もある、という状態にもならずに済む。 ワインにとって重要な鮮度も担保されている。ワインボトルから小分けにするときも、酸素に一切触れずに入れ替える技術を用いて、鮮度の高いワインを提供している。(HPより) ミレニアル世代の飲みスタイルを捉えたスタートアップ3選 【洗剤のサブスク】CleanCult CleanCultは、自分の好きな種類の洗剤を、好きな香りで、自分に合った周期で届けてくれるサービスだ。扱っているのは植物由来の材料だけを使った無添加洗剤のみ。 最初のオーダーはガラスのボトルに入った状態で送られlくる。そして、その後に送られてくるリフィルも、環境負荷の少ないカーボンニュートラルな素材の、カラフルな牛乳パッケージのようなものを使用している。 Cleancultの誕生の背景には、ファウンダーのライアン・ラップバーガーの強いこだわりがあった。彼はあらゆるプロダクトの成分表示をチェックせずには居られない性格。普段から食品やシャンプーの製品ラベルを確認して、健康や環境に良いものだけを購入するよう心がけていたそうだ。 しかし、食品や化粧品とは異なり、実は洗剤やハンドソープには成分表示が義務付けられていない。 この手の商品においてラベルをチェックする習慣を維持するのが難しくなったラップバーガーは、やがてサステナブルな製品をアピールしている洗剤ブランドはいくつか存在する。しかし、多くの製品がプラスチックのパッケージを使っていることに疑問を持ち始めた。 こうして、パッケージまでもがサステナブルなCleancultが誕生した。 そんなCleanCultは、ミッションとして”A WORLD OF CLEAN INSIDE EVERY DROP”を掲げている。パッケージ、廃棄方法、全てをサステイナブルにするには?と考えた結果、材料からパッケージング、パフォーマンス、出荷、そして容器のリサイクルまでの全てのプロセスの仕組み化を再考。 結果としてパッケージや洗剤の成分、そして輸送の際の排気ガスの削減にまでこだわったサービスが誕生した。 デザインから環境問題を考える。エコ・サステナブル系サービス5選 【おもちゃのサブスク】Kiwico Kiwicoは知育玩具のサブスクだ。おもちゃのサブスクという子供用を想定しがちだが、おもちゃの対象年齢は児童だけではなく、自分で考えて組み立てるものなど、大人でも楽しめるおもちゃも用意されている。 ボックスの中におもちゃ、おもちゃの説明書が入っており、年齢やおもちゃの内容によっておもちゃ以外の付属品も変わる。 例えば0~36ヶ月の乳幼児向けのおもちゃであれば、子育てを始めたばかりの親向けに「子供との接し方」を説明するパンフレットだったり、おもちゃの使い方を説明するビデオが入っていたりする。 これは、Kiwicoのユーザーとなるのは子供だが、顧客は親ということを炉介した上での設計と言える。子供がおもちゃを使用する際のUXデザインだけでなく、親のCXデザインまで総合的な設計がされているプロダクトだ。 3人の子を育てる「ママ」が起業。その背景とは KiwiCoを設立したSandraは、彼女自身が3人の子供を育てる母。育児の中で「子供に”何かを自分で創造する”経験をさせたい」気持ちがあったが、そのようなものを自分で見つけて子供達に提供する難しさを感じた経験からKiwicoを立ち上げた。 会社のVisionは「To inspire the next generation of innovators.」子供たちの問題解決スキルを育成し将来の課題解決に役立てることをミッションとしている。 おもちゃを開発しているのは教育者、メーカー、エンジニア、ロケット科学者のチーム。ブレインストーミング、プロトタイピング、実際に子供達に使ってもらってテストすることを繰り返して、なんと1つのおもちゃを作るのに1000時間以上を費やしている。 母親が実の子供に対して提供したいことを徹底的に考えた結果できたサービスだ。 UXデザインとCXデザインの違いとそれぞれの役割 【訳あり野菜&果物のサブスク】Misfits Market Misfits Marketは、安価で手に入る農作物を消費者に届けるサブスクリプションサービス。 形の悪い作物を安く手に入れた分食品を安く提供することで消費者に還元する仕組み。これは実は日本でお馴染みの無印良品と似た取り組みだ。 干し椎茸はそのまま食べるわけでもなく、見栄えにはあまりこだわらないはず。多くの場合、おいしい出汁がとれればいいわけで、割れているものでも風味は変わりません。私達は、形の悪いものもすべて買い取り、サイズや形の選別もせず、また、包装の簡略化ということで、パッケージはおなじみの透明な袋に商品名を印字しただけ。 品質はそのままに、あらゆる無駄を省いたことで、従来品より価格を3割ほど抑えることができ、その結果、大ヒット商品となりました。 《引用》日本発「無印良品」から世界の「MUJI」へ【第2回】 実はアメリカは農業大国であるが、生産されている1/3の農作物が食料品店基準を満たさず、収穫されずにそのまま処分されたり、収穫されても店頭に並ばなかったりする。またその影で何百万もの食糧不足で苦しむ世帯が存在することも事実。 こうした生産者と消費者それぞれが抱える問題をを解消するため、サービスが誕生した。Misfits Marketsには産地直送の農作物が90種類以上用意されている。 産地直送ゆえに野菜の鮮度が失われてしまうことがなく、届くのは形が悪くても高品質で無農薬の新鮮な野菜ばかりだ。 blogも運用しており、野菜を使ったレシピや野菜の栄養素、豆知識に関して発信もしている。野菜を買ってからどのように調理するかまで含めてサポートしている。 実は2020年の7月に約91億円の大型資金調達をした期待のスタートアップでもある。 食の多様性を支えるフードテック・スタートアップ3選 【エシカルプロダクトのサブスク】Causebox 最近日本でもよく聞く「エシカル」という言葉。エシカルプロダクトとは、自然環境に配慮した製品や、社会問題の解決に貢献する仕組みを組み込んだ製品のことを指す。Alltrueは、エシカルプロダクトを集めた、女性向けのサブスクリプションボックス”Causebox”を提供している。 Causeboxはシーズンごとに手元に届く仕様。年間通して4回届くアニュアルプランと、ワンシーズンごとに注文するプランがある。 1つのボックスにつきエシカルプロダクトが5~8個入っており、それぞれのプロダクトは「女性の活躍支援」「環境保護」「職人の手作り商品」「チャリティー」「スモールビジネス」のいずれかの分野に関連している。 毎回商品が届くとYoutubeで”unboxing(開封)”動画が公開されている。その鍵は、女心をくすぐる「映える」デザインのボックスであること。思わず動画を撮ってしまいたくなるデザインで、まさに開封体験までこだわったサブスクリプションボックスと言える。 最新の2021年秋に届いたボックスの開封動画も複数投稿がある、人気のサブスクリプションボックスだ。 エシカルデザインとは 日本でのサブスクスタートアップの状況は? 実は日本にもサブスクリプションボックスのサービスが増えつつある。日本のサブスクリプションボックスは「パーソナライズ」が鍵。 今回は2つのサービスをご紹介するが、どちらも避けたい成分を選択できたり、フィードバックやリクエストを送ったりすることで自分好みにより近づいていく仕様になっている。 アメリカよりもなぜ「サブスクリプション=パーソナライズ」の色が日本では強いのか。それは日本人のとある国民性の影響が考えられる。 実は日本人は「失敗したくない」と言う気持ちが人一倍強いと言われている。日本の終身雇用制度や、学歴社会はその代表格だ。一旦レールから外れるとやり直しが効きにくいので、皆がレールを外れないように(リスクを取らないように)行動する傾向が他国に比べて強い。 日本では完全に敗者だった【インタビュー】btrax CEO, Brandon K. Hill それゆえ、「何が届くか全くもってわからない」状態では日本人には受け入れられにくい。中身が完璧にわかっていなくとも、「自分好みのものが届く可能性が高い」状態に持っていくことが鍵となる。 そのために日本のサブスクリプションボックスでは「パーソナライズ」が強く押し出されているのだろう。 日本でも広がる サブスクリプションボックス2選 そんな「パーソナライズ」に特化した、サブスクリプションボックスのサービスを紹介する。 【コーヒーのサブスク】PostCoffee 【おやつのサブスク】Snaq.me 【コーヒーのサブスク】PostCoffee Postcoffeeはコーヒーのサブスクリプションボックスだ。 初回の注文の際は好みのコーヒータイプ診断をし、ライフスタイルや嗜好に関する10個の簡単な質問に答える。これにより、約15万通りの組み合わせからその人に合った好みのコーヒーが3種類届く。淹れ方や飲む頻度、量なども指定可能だ。 一度届いたコーヒーに対して味や好みのフィードバックや飲みたいコーヒーのリクエストを送ると、送られてくるコーヒーが注文者好みに近づいていき、届くたびに自分好みのボックスに近づいていく。 サブスクリプションでありがちなのが「◯回以上は商品を買い続けなければいけない」という「定期縛り」。しかしPostcoffeeは最低契約期間も設けていない。 いくらパーソナライズされるからといって完全に自分好みのものが届くは限らない。「気に入らなくてもすぐに辞められる」という心理的安全性も担保し、サブスクリプションを始める障壁も極限まで低くしたサービスと言える。 【おやつのサブスク】Snaq.me […]

ショート動画サービスから学ぶ、ユーザーを惹きつけるサービス開発の秘訣

今世界で「ショート動画」が注目を集めていることをご存知だろうか。ショート動画とは、15~60秒前後の短尺動画のことだ。例として挙げられるのは、言わずと知れたTikTok(中国)やSnapchat(アメリカ)だろう。 最近ではInstagramやYouTubeといった大規模なプラットフォームがInstagram Reel、YouTube Shortと呼ばれるショート動画投稿専用の機能を開始するなど、勢いは止まるところを知らない。 2021年9月時点で、英国および米国のユーザーがTikTokに費やす時間は、すでにYouTubeを上回っているというデータもあるほどだ。今回は、ショート動画がなぜ人々をこれほどまでに惹きつけているのかという理由を紹介し、実際にショート動画を用いた画期的なサービス事例を紹介する。 ショート動画が人々を惹きつける理由 驚くべき勢いで拡大しているショート動画。なぜ人々を惹きつけているのか、その理由から分析する。 1. 動画の世界に没入できる ショート動画の一番の特徴は、なんといってもその没入感。TikTokを見ていたら知らぬ間に30分経っていた、という経験をしたことをある方もいらっしゃるのではないだろうか。 ショート動画は15秒〜1分以内で動画の結末まで見られるため、飽きることなく最後まで集中して見ることができる。一つの動画の中でもかなりスピーディーに画面が切り替わって場面が進むことも動画に没頭できる一つの要素だろう。 2. 受動的かつ感覚的に沢山の情報を得られる TikTokを想像していただくと分かるように、ショート動画のUIとして、一つの動画が見終わったら自動的に画面がスワイプされて次の動画が再生されるものがメジャーだ。 そして、動画であることで見たそのままを感覚的に理解できる。例えば記事を読む時のように集中せずとも、大量の情報が流れ込んでくる仕組みになっており、良くも悪くも人々を半強制的に惹きつけている(中毒にしている)のだ。 アメリカのショート動画サービス3選 アメリカ発のショート動画サービスを紹介する。ユニークなコンセプト、およびマーケティング戦略を行っているものばかりだ。 1. Firework FireworkはB2Cの動画マーケティングプラットフォーム。Fireworkを利用することで、ウェブサイトにノーコードで縦型のショート動画を埋め込むことが可能だ。TikTokやInstagramのストーリーを見るような感覚でページを見てもらえるようになる。 動画を見ながら「購入ボタン」もクリックできるようになっている。Fireworkを使った場合、訪問者が購入ボタンを押す割合がFacebook広告よりも10倍増加したという。 動画に没入することで、商品単体だけでなく、動画内に広がる世界観を含めて商品を良いと感じやすくなる。また、動画を見ることで商品の使用感がわかるため、商品を使用している自分がイメージしやすくなる点も強みだ。 2. Dubsmash Dubsmashは一言で言うなれば「口パク動画」を作ってシェアできるショート動画アプリだ。自撮り動画に有名な曲の一部やアニメのセリフなどを組み合わせた動画を作ることができる。K-POPアーティストのBTS、日本人モデルの水原希子など、著名人がDubsmashを使った動画を投稿している。 アプリは各国の言語に対応しており、ローカライズも進んでいる。テキストやステッカーなどで動画を加工することも可能だ。 Dubsmashが人気を集めるようになったのは、2018年後半のアプリの大型アップデート以降。2015年、ベルリンで発表されたDubsmashは、以降順調にユーザー数を伸ばしていた。しかし、2017年に発表されたTikTokに急速にシェアを奪われ人気が低迷した。 DubsmashはTikTokと同様、ホワイトアングロサクソン(WASP)をターゲットにしていたが、それではTikTokにシェアを奪われてしまうと判断。そこでDubsmashはユーザー層を再度分析したところ、インディーのヒップホップソングに合わせた「口パク動画」がメインの投稿であるDubsmashは、ヒップホップというジャンルの影響もあり、ユーザーの大半がアフリカ系アメリカ人のティーンエージャーだということが判明。 そこで、一気にアフリカ系アメリカ人のティーンエージャーにターゲットを変更した。これまでベルリンを本拠点として活動していたオフィスを、ニューヨークのブルックリンに移転し、主要ターゲットの環境に少しでも近づき、アプローチする施策を実施した。 2018年後半から、自社の公式Instagramに投稿する動画も9割ほどアフリカ系アメリカ人のダンス動画に変更している。2018年10月以前は、ホワイトアングロサクソン(WASP)が登場する動画がほとんどだったことを考えると、ターゲットを明確に変更したことがここからも見て取れる。 結果、低迷していたアクティブユーザー数は回復。今では米国在住の10代の黒人の約25%がDubsmashを使っているという。 プロダクトの機能性などで差別化を図るのではなく、ユーザーの属性を絞ってユーザーを獲得した好事例と言えるだろう。 3. Triller Trillerは、アメリカ出身のラッパー3組(スヌープ・ドッグ、21サヴェージ、ミーゴス)が出資しているショート動画投稿プラットフォームだ。 TikTokでは、比較的ダンス動画が多く見られる一方で、Trillerは、音楽にコンテンツの主軸が置かれている。例えばTikTokでは、流行の音楽が使用されることが多いが、Trillerではヒップホップミュージックを用いた動画が多く投稿されている。 Apple MusicやSpotifyなどのストリーミングサービスと契約を結んでおり、使用できる音楽の幅も広い。Trillerはヒップホップのファンダムに近い存在だ。 流行りの音楽を短尺で使用して動画を作成するTikTokよりも、ヒップホップファンにフォーカスしており、よりニッチだが、エンゲージメントの高い層がターゲットになっている。 もう一つ、TikTokと異なる点がある。それは、動画を作成する際、TikTokは自分で動画をつなぎ合わせて作成するが、Trillerはショート動画を複数撮影すると、音楽に合わせてAIがそれらを自動で繋ぎ合わせ、動画に仕上げてくれるところだ。MVのような動画が手軽に作成できるところは大きな強みである。 ショート動画の波は日本にも 実はショート動画の波は日本にも来ている。ショート動画を使った日本のサービスを最後にご紹介しよう。 Mow MowはVTuberマネジメント事務所のV Chuu(ブイチュー)が2021年8月にリリースした動画を使ったソーシャルマッチングアプリだ。男女の出会いだけでなく、「同じ趣味を持った友人」や「気の合う友人」も探すことができる。 主にZ世代に向けたアプリで、UIはTikTok・Instagramのリール機能に類似している。SNSを見る感覚で相手を探せることが特徴だ。動画を視聴し、気になった相手の動画に対してリアクションを送ることで会話がスタートするため、自然な流れで出会いが生まれやすいというメリットがある。 また、既存マッチングアプリの「テキストと加工された写真だけでは人柄が分かりにくい」「実際に会ってみると想像と違った」といったペインも解消できることが期待される。 ジェンダー的に自由なアプリであることも特徴で、「性別を男性もしくは女性のみしか選べない」という一般的なマッチングアプリに必要な設定はない。ジェンダーフリーな設定、動画というコンテンツを投稿して利用するサービスであることを考えると、ターゲットであるZ世代の傾向をよく捉えたサービスだと言える。 アメリカの総消費40%を占めるZ世代について押さえるべき5つの特徴 一般的なマッチングアプリは良くも悪くも「男女の出会いを求めている感」が出てインストールすることに抵抗がある人も一定数いるだろう。 しかし、「ソーシャルマッチング」アプリであり、男女関係なく新たな人間関係を構築できるアプリであれば、抵抗が少なく感じるユーザーも多いのではないだろうか。コロナ禍で人と出会うことが難しくなった中で、新たな出会いや繋がりを生むプラットフォームになりそうだ。 おわりに 日米ともに、ショート動画を用いたサービスは今後さらに拡大が予測される。今回紹介したサービスは、ターゲットを見極めたり、彼らに合ったマーケティング戦略を立てることで、サービスを低迷期から復活させていたり、人気を獲得したりしている。これらは、ショート動画以外のサービスの改善や、新規のサービスを立ち上げる際にも役立つ考え方だ。 btraxでは、アメリカを中心に、グローバル市場の最新トレンドを加味した事業アイディアのコンセプト立案をサポートしている。現地のサービスリサーチや、現地ユーザーに対するインタビューなど、多角的なデザインリサーチをご提供できる。ご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

グローバルスタンダードのブランドを目指せ 【対談】ヤマハ発動機株式会社 × btrax

サービスや製品が次々に誕生し、差別化の難しい現代。これから世界に通用するサービスや製品を開発するためには、開発するモノのブランド価値だけではなく、企業自体のブランド価値を高め、消費者にその価値を正しく伝えることが必要になってくる。 それを全社的に実施しているのが、ヤマハ発動機。世界中にYAMAHAブランドのファンを持つ同社は、部署間のバリアを減らす組織変革を実施。現在もブランドの価値を、モノだけでなくコトを通じて体験できるサービス開発に取り組んでいる。 オンラインイベントまとめ 本記事は、ヤマハ発動機株式会社の執行役員 クリエイティブ本部長 長屋明浩氏と、btrax, CEOのBrandon K Hillが登壇したbtrax主催イベント『グローバルスタンダードのブランドを目指せ 〜世界に通用するブランドドリブンなサービス開発・組織づくりとは〜』の内容を基にしている。 本ウェビナーは、長屋氏とBrandonのファイヤーサイドチャットの形式で進められた。参加者約70名からの質問に2人が答えていく場面もあり、非常に活気溢れるものとなった。今回はその対談の様子をまとめてお伝えする。 あえて「デザイン」というワードを使わない選択。その背景にある想いとは。 「デザイナー」という言葉の日本と海外の認識の乖離が非常に大きく、致命的だ。 Q. 日本ではデザインは狭義に捉えられている傾向があり、そのためにヤマハ発動機(以下YAMAHA)では「デザイン」ではなく、「クリエイティブ本部」として機能させ、デザインを通じた企業価値の向上につなげている。YAMAHAにおけるクリエイティブ本部の役割とは何か?あるいは、守備範囲はどこまでなのか? 長屋氏:「デザイン」は日本ではくせ者。日本において「デザイナー」というと色や形を扱っている意匠屋のようなイメージを持たれてしまう。装飾を商品に付与する人という意味で認識されてしまうのだ。 しかし海外では、「デザイナー」と名乗ると”What kind of designer?”と必ず聞かれる。つまり、企画に携わる人は全員デザイナーと呼ばれるのだ。このように「デザイナー」という言葉の日本と海外の認識の乖離が非常に大きく、致命的だ。 グローバルレベルの「デザイン」を啓蒙するのが正しいが、そこからやっていたら膨大な時間がかかってしまう。デザインを広義で捉えられるためにはどうすれば良いかを考えた結果、あえてデザインという言葉を使用しない選択をした、と述べる。 長屋氏:クリエイティブ本部では「全員がクリエイター」。企業の全てのアウトプットの根本的な価値を高めることに使命感を持っている。プロダクトデザインに止まらず、プロダクトが持つ意味を、ブランディング、経営企画に至るところまで全て守備範囲として考えている。 Brandon:アメリカの会社だとCreative directorはデザインチームに入ることが多い。 しかし、日本だとそれがが逆なのかもしれない。「クリエイティブ」という単語の方が広い意味を持つのかなと。 Q. YAMAHAのクリエイティブ本部はプロダクトデザイン、ブランディング、マーケティングも内包しているのか? 長屋氏:全てを内包した機能を担っている。YAMAHAのブランド委員会の事務局は経営と連携しているため、デザイン思考が経営そのものに入り込んでいると言える。 Q. デザインに対し、十分な理解のない経営層とのコミュニケーションを如何にして実現しているのか? 長屋氏:デザイン経営、デザイン思考の重要性は、ここ数年の間に常識としてある程度浸透してきたと感じる。加えて、デザインというのは「特殊な人が考えるもの」というよりも、全員が自分ごととして考えるべきものという認識に変わりつつある。 YAMAHAのブランド委員会では、デザインを自分ごととして捉えられるようにする、すなわち「デザインの民主化」を使命の一つとしている。デザインが「才能がある人しかできないこと」として捉えられて欲しくない。 デザイン思考というのは誰でも持っていて、専門をデザインに置いているのか、そうでないのか、それだけの話だと思う。 クリエイティビティはみんなが持っているもの。眠っているクリエイティビティを引き出していくのがブランド委員会の役割だ、と長屋氏は述べる。 一番大切なことは、「会社の使命としてプロダクトを出し、それが受け入れられること。」 Q. YAMAHAでは「プロダクト・イン」のデザインを提唱している。これはYAMAHAにもともとあったカルチャーを言語化したものか? 長屋氏:その通り。「マーケットインかプロダクトアウトか」というどちらかに陥らないようにするべきだ。マーケットインと言った方が売りやすいから、という本質的ではない理由で「マーケットイン」という言葉が利用されているのが現実。 また、プロダクトアウトも然りで、会社の都合で作りたいものを作って売れたらいいな、で世に出してしまうなんてことも横行している。 一番大切なことは、会社の使命としてプロダクトを出し、それが世の中に受け入れられること。この考え方はYAMAHAにもともと存在したカルチャーだ。YAMAHAで扱うものはゆとり商材。生活にゆとりを与えるものであり、ないと生活が成り立たなくなるものではない。 そう言ったものはやはり生活や心を豊かにするものでないといけないと考えている。そのためには「こうやって遊ぶと楽しい、この商品のここが良い」というようなメーカーとしての方向性が含まれていないとプロダクトとしては不十分だと思う。 Brandon:「マーケットイン」は、市場が求めるものに対して最適な商品を提供するという考え方、「プロダクトアウト」は、自分たちが作りたいものを販売するという考え方。 その場合、 YAMAHAの提供すべきビジョンがあって、それの具現化としてのプロダクトを提供すると、ビジョンに共鳴しているユーザーが自ずとその商品に魅力を感じるというやり方をしているのでしょうか? 長屋氏:そのパターンが多かった。そして最近になって変化もある。今ではもはや、顧客が遊び方を開発して、プロダクトを利用して遊んでいる状態。逆輸入的に顧客からアイディアをもらうことも多い。顧客とお互いに提案し合うスタンスをとっている。 Brandon:ユーザーとのコミュニケーションからプロダクト開発をしているということですね。 今後は社会課題の解決が企業の存在意義そのもの。 Q. YAMAHAは2050年までにモーターサイクルの90%を電動化すると発表しているが、SDGsのテーマについてはどのように取り組んでいるのか?(*注1) 長屋氏:カーボンニュートラルの議論は一大事だ。SDGsは大命題であり、避けては通れない道。少し前まではいわゆるCSRという発想が主流だった。利益の余剰をSDGsの取り組みに還元するというスタンスで、少し横柄な印象だったと思う。 しかし、今後はSDGsを基盤にして考えるようになるだろう。社会課題の解決が企業の存在意義と捉えるべきだ。自分たちが社会に対し何ができて、自分たちがなぜ存在しているのか。あらゆるプロジェクトにおいてはこれを前提において考えることが求められる。 人は環境を安心安全にするだけでは幸福になれない。すなわち、ネガティブの解決だけでは幸福になれない。これは人間が余剰(=感動や楽しみを感じること)の部分で生きているから。 ネガティブを解決することと更なるプラスの余剰を生み出すことの両側面を満たすように、プロダクトには悦楽の部分と信頼性の部分をセットで担保していきたい。 *注1)ヤマハ発動機が発表しているのは、「製品からのCO2排出量を2010年比90%以上削減」 時代に合わせて新しい文脈を作って「化けて」いくことも責任の一つ。 Q. YAMAHAブランドの変えるべきことと守るべきことは何か? 長屋氏:時代性と不易流行を分けて考えている。守るべきものはHeritage(ブランドの遺産)。これはまさしくブランドの姿であり、ブランドが辿ってきた道は消せない。財産でもあり、YAMAHAがどんなブランドかを示すものだ。 一方で、変えるべきことについては以下のように述べている。 長屋氏:変えるべきことは時代への対応だ。「守・破・離」という言葉がまさに表しているように、Heritageという守りたいものがあるならば、あえて現状のスタイルを破って離れていかないといけない。すなわち、自分のスタイルを作って、どんどん化けていかないといけないということ。時代に合わせて新しい文脈を作って化けていくことも責任の一つだ。 Q. パーパスの策定をされていたら教えていただきたい。 長屋氏:『Art for human possibilities ~人はもっと幸せになれる~』、『感動創造企業』がパーパスだ。2030年の長期ビジョンとして策定したのも、企業目的が『感動創造企業』だからである。YAMAHAでは『Revs your heart』という言葉もブランドスローガンとしているが、これは人間は肉体の存続だけが目的で生きているのではないということを指している。 「生きがい」があることで人はもっと幸せになれる。人が生きる意義、それが「感動」だ。第一段階は生きられてよかった、だが、その上位にくるのは「生きていて良かった」という思い。それを感じさせることがYAMAHAのパーパスだ。 大前提として、感動を味わうためには生きていなければいけないが、YAMAHA製品にはサバイバル製品も多い。オートバイは、先進国では趣味商材だが、新興国に行けば一家に一台の重要なトランスポーターとして、サバイバルツールの役割を果たしている。 乗っていて「楽しい」という気持ちを持ってもらえたら「生きていて良かった」を届けることができる。この2つをセットで届けるのがYAMAHAの会社のパーパスだ。 Q. 90%が国外売り上げだが、日本国内と海外向けではブランドを分けているのか?統一しているのか?日本のクリエイティブ本部でグローバルブランド作りも全て管轄しているのか? 長屋氏:日本国内と海外向けではブランドは基本的には同じだ。カスケード型ブランディングをやっていないのはYAMAHAの特徴だ。簡単に言うと、フランチャイズフードチェーンのようなやり方はしていないということ。 YAMAHAは扱っている商材がBtoB、ファクトリーオートメーション、遊び商材などさまざま。そして商材によってお客様の質も異なるため、コミュニケーションの取り方もそれに応じて異なる。ブランドは一緒だから戦略まで全て一緒にすべきである、ということに意義はないと考える。 ブランドの芯の部分は日本と海外で変えてはいけない。しかしそこから外に対して発することは異なっていても良いのではないか。特にYAMAHAでは各商材でできることも少しずつ違う。日本の八百万神のような発想で、多様性は許すが心は同じ、というスタンスだ。 格好つけていることは透けて見えてしまう。 Q. ブランドのバックストーリーを市場に伝えるにあたり気を付けるべきこととは?うんちくっぽくなりすぎてもいけないが、クオリティだけでは売り出せないという中で、どのような目線でストーリーを伝えるべきか。 Brandon:現代ではあらゆることが誤魔化せない、格好つけても意味がないと考えている。ここ10数年はSNSの発達で「盛る」文化が発達してしまったからか、写真をはじめ、加工された人工的なものが消費されていく時代。 その中でよりリアルにした方が目立ちやすく伝わりやすいと思っている。btraxがサービスづくりをサポートする際は、ブランドストーリーを包み隠さないほうが良い、格好つけないほうが良いという話をよくしている。 長屋氏:今の時代、格好つけていることは透けて見えてしまう。飾りつけても虚飾だと見破られてしまい逆に嫌味に捉えられてしまうことも。 しかし反対に一切飾らないことが正しいわけではない。企業の活動をいかに伝えるか、伝え方は工夫すべきであるが、必要以上にやっていないことまでやっていると誤解させることは不要だ。 YAMAHAは、インターナルブランディングに注力している。事業、地域が異なったり、グローバルだったりするため、インターナルブランディングなしに自分たちの気持ちや心を一つにしていくことは困難になるばかりだからだ。 今後は色々な企業がコングロマリット化すると思う。コングロマリットディスカウントは、商品にのみ発生することではなく、自社に降りかかってくるものだと考えている。コングロマリット化することで自社の存在はどんどん薄まってしまう。 しかし、自分たちが一つのブランドの中で繋がっている意識がクリアであれば、ブランドストーリーを語る際には自分たちの考えていることをそのまま外に伝えるだけで良い。先述したように企業が虚像を見せているのか、本当の姿を見せているのかはばれてしまう。真摯にやるしかないのではないか。 Brandon:シリコンバレーの企業は世界的に見てもブランドパーパス至上主義でやっていることが多く、プロダクトよりもストーリーを伝えることが優先されることもあるほど。日本企業はまだブランドストーリーを伝えることに慣れていなかったり、苦手意識を持っている印象。どうしたら効果的にブランドストーリーを伝えられるようになるだろうか。 長屋氏:まさに「社内浸透」が必須だ。これだけ事業品目が分かれていると、それぞれが顧客接点になる。営業マンだけが外部へのアンバサダーでは無くなるということだ。あと10年もすれば職業の区別は無くなるとまで言われている。 最近のデザインの仕事は、コーポレートデザインは特に、ファシリテーターの役割をすることも多いのでは? Brandon:確かに。引き出し役になることが多いですね。 長屋氏:モノを創るとなった時に、社内から来たデザインの依頼を受けて、依頼元の話を聞き、作成を試みるうちに、プロダクトデザイナーが企画まで入り込んでいることがある。そうして考えていくうちに、いつの間にかプロダクトデザイナーではなく社内経営コンサルタントになっているという事態が起きている企業は少なくない。 これはまさしく職業の崩壊が起きていると言えるだろう。例えばエンジニアも、設計性能を上げるのは何を実現するためか、という商品企画の思考ができなければいけない職業。 だからこそ、原点に戻らないと、部署単位だけでパフォーマンスを上げることに虚しさが出てくる。 一人一人の役割が拡大するこれからは、社内のコミュニケーションを綿密にし、自分たちがやっていることを自分たちで理解していることが重要。それができていれば、発する言葉や伝えるメッセージは自ずと一貫性を増すものになるだろう。 まとめ 正しく消費者にサービスの価値が伝わるブランディングをするためには、自社が社会に届けたい価値の正しい理解、そしてブランドパーパスの社内浸透が必須だと感じた。 また、最高の性能のプロダクトを創ることが至上命題だった時代から、企業のビジョンや存在意義をクリアに消費者に伝え、「ストーリーで心を掴む」ことが至上命題になる時代へと移り変わっていることを痛感する内容だ。 関連記事:ブランドストーリーが日本企業にとって重要な理由 関連記事:人々の心を掴むブランドストーリー 5つのポイント btraxは、プロダクトやサービスそのもののデザインだけでなく、企業のミッションやバリューなどのブランドコアを定めるフェーズからサポートをさせていただいている。ご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせいただきたい。 * 今後のイベントに関しての告知は公式Twitterアカウントで行います 今回の記事の内容をより掘り下げたい方は 弊社btraxの新規e-bookは、今回の対談記事の内容に関連した内容となっている。 掲載内容 ブランディングの基本定義とよくある誤解 ブランディングにおける各フェーズごとの課題と解決方法 自動車メーカーのブランディング具体例 […]

これからの消費の鍵・Z世代の特徴から紐解く、5つの人気サービスとその理由

「Z世代」という言葉を耳にしたことはあるだろうか。1990年代後半~2010年前半にかけて生まれた世代のことを指す言葉で、 常に時代の最先端の流行を生み出し続ける存在だ。 米国では2020年時点でアメリカにおける総消費の40%以上をZ世代が占め、さらには、金額にして1,430億ドルもの購買力を持つという。米国の消費の鍵を握る存在であることは間違いない。 このZ世代の特徴を押さえることが、サービスの発展につながることは明白だ。今回はZ世代の特徴とともに、Z世代に人気のサービスを取り上げ、何がZ世代の心に響いているのかも含めて紹介する。 アメリカの総消費40%を占めるZ世代について押さえるべき5つの特徴 Z世代の5つのポイント Z世代がデジタルプロダクトに求めていることは一体なんだろうか。5つのポイントに分けて読み解いていく。 1. スピード感 Z世代はコンテンツ大量消費世代。膨大な情報量の中から求める情報をスピーディかつ必要十分に手に入れたいと感じている。 必然的に1つのコンテンツに使う時間は短くなるため集中力が短く、良い情報ではないと判断した時の見切りも早いのが特徴だ。ロード時間、画面遷移の速さはもちろんのこと、求める情報に最短距離で辿り着けるUXが求められる。 2. プライバシーとソーシャルのバランス 他者との交流を求める一方で、自分の情報を全て他者に知られることに抵抗を覚えるのもZ世代の特徴の一つ。幼い頃からデジタルデバイスが普及していたためITリテラシーが高い。一方で、Z世代は幼いときから世界のニュースを知り、SNSで他の人の発信を目にしてきた。 一例として、Facebookを用いるのはZ世代よりもミレニアル世代が多いことが挙げられる。この理由として考えられることは2つある。1つ目はプライバシーの心理的安全性の低さ。かなりの量の個人情報を入力する必要があることに加え、知らない人から友達申請が来ることも当てはまる。 2つ目は、情報の拡散力の低さ。フォローしている人の投稿したコンテンツしか見られない故、フォロー外の人との関わりはTwitterなどの他SNSよりも低い。 この心理的安全性の低さと拡散性の低さのバランスがZ世代にとっては心地よくないと感じられるのではないだろうか。 3. ニッチ性 コンテンツの溢れている世界に生まれたZ世代。全員の好みに合うような機能性のサービスから自分ができることを探すよりは、自分がしたいことをより多く叶えられるサービスを探しにいく傾向が強い。 例えば以下のサービス例で紹介するようなUnfoldやTwitchは、Instagramストーリー投稿に特化したサービス、ゲーム配信に特化したサービスだ。「その領域に関してはこのアプリが一番使いやすい」というコアのファンをいかに作れるかが鍵になってくる。 ゆえに、コンテンツを作成する際は一般的にウケそうなものを考えるよりも、特定のペルソナに向けて100%求められるコンテンツを考える方が有効だ。 ソーシャルメディアに関していえば、サービスの提供側は各メディアが持つインサイト機能を活用できると良い。 コンテンツを発信したときに、ターゲットとなるZ世代はどのようなコンテンツに良い反応を示し、そこから考えられるニーズは何かを調査してサービスに反映させることが大切だ。 参照:【ソーシャルメディア戦略①】ターゲットユーザーを獲得するためのソーシャルメディア施策 4. 自分にパーソナライズされた仕様 自分が過去に検索したもの、購入したものから、自分の嗜好に合うコンテンツを提案する機能が搭載されたサービスが好まれる傾向にある。 コンテンツを大量消費しているZ世代にとって、大量の情報の中から自分たちが本当に求めているコンテンツを見つけ出すことは至難の業。パーソナライズされた提案をしてくれるサービスは好まれやすい。 参照:ユーザーの心を掴むヒントは“ハイパー・パーソナライゼーション“にあり  5. クリエイティビティを刺激するもの 調査によると、Z世代の半数以上が、自分のことを「他の世代よりも創造的である」と回答している。オンラインで写真、動画の編集やGIFの作成などを日常的に行い、SNSにアップすることで、一般人でも自分の制作物を世の中に発信し、反応を得られる時代。 幼い頃から様々なジャンルのコンテンツに容易にアクセスできるZ世代は、自身もクリエイティブでありたい、自分らしさを表現したいという気持ちが強い傾向にある。 参照:世界が注目するミレニアル・Z世代の最新トレンド Z世代に人気のサービスは? 上記のような特徴を持ったZ世代がデジタルプロダクトに求めるポイントから、Z世代に人気のサービスと、その理由を紐解いていく。 Twitch Reddit Unfold lomotif Shop 1. Twitch Twitchはゲーム配信に特化した動画配信プラットフォームだ。コンシューマーゲームやPCゲームの生放送を中心としており、ゲームの実況プレイ、e-Sports大会やその他コンピューターゲーム(ビデオゲーム)に関連したイベントのライブ配信ができる。 PS4などのゲーム機から直接配信できる機能を搭載しており、配信専用の機器を繋げなくともゲーム実況を配信できる、手順のシンプルさが魅力だ。 また、チャット、チャンネルポイントなどの機能により、視聴者がアプリ内のコミュニティや体験の一部だと感じられる設計になっている。受動的に動画を視聴するだけというよりも、自分も配信者と一緒になってゲームの世界に入り込んでいける、能動的にコンテンツを体験できるところが人気のポイントだ。 さらに、一見YouTubeと違いがわからないと感じる方もいるだろうが、Youtubeとの一番の差別化要因となっているのはゲーム配信という領域のニッチ性だけではない。収益化のハードルがYoutubeよりも低いことも理由の一つとして挙げられる。 YouTubeは過去12ヶ月の総再生時間が4000時間以上、チャンネル登録者が1000人以上といった条件を満たさなければ動画に広告がつかない。しかしTwitchは過去30日間で合計500分以上、7日以上の配信、平均3人以上の同時視聴者、50人以上のフォロワーという条件を満たせば収益化が可能だ。 2. Reddit 別名アメリカ版5ちゃんねるとも言われるReddit。Marketing Chartsによると、Redditのユーザーは25歳~29歳の割合が23%と最も多く、次に18歳~24歳が21%と多い、まさにZ世代がメインユーザーのアプリだ。 アクセスの半数はアメリカから。Redditはユーザがスレッド(「Subreddit」と呼ばれる)を立て、そこを訪れたユーザたちが書き込む形式だ。 このサービスはなぜZ世代に人気なのだろうか。それは、「プライバシーとソーシャルのバランス」が取れているからだろう。Redditは匿名であるため、何を言ったかで評価される。Twitterのように「有名人だからバズりやすい」というわけではない。そのため、コンテンツのクオリティが高いものが拡散されやすい傾向にある。 また、匿名の掲示板にありがちな誹謗中傷を予防し、サービスの健全性を保つ方法も優れている。ユーザーがSubredditを立てるには、アカウントは開設後最低30日以上経過していなければならず、一定以上のPositive Karma(他のユーザーからの書き込みに対するいいねやコメントなどの反応により獲得できる)のポイントを獲得している必要がある。 また、いいねボタンだけではなく「よくないね」ボタンがある。Redditの表示運は基本「いいねの数ーよくないねの数」で決まるので不愉快な投稿は下の方に表示される。これらの規制があることによって、匿名であっても健全性を保っている。 3. Unfold UnfoldはInstagramストーリー作成用画像編集ツールだ。Instagramストーリーの加工がメインのとなっており、そのニッチな領域に特化していること、そして自分で好きな写真を組み合わせて新しい作品にしたり、撮った写真をおしゃれに加工することができるという点でZ世代のクリエイティビティを刺激している。 投稿後24時間で自動で削除されるInstagramのストーリーだからこそ、気軽に自分好みの加工をしたものを投稿しやすいという心理も背景にあるのかもしれない。 また、アプリのコンセプトとして、ストーリー性を重視していることも一つポイントとして挙げられるだろう。Z世代は写真にフィルターをつけたり、テキストと同様に画像などのイメージで気持ちを伝えたりすることに慣れている。 自分が過ごした瞬間の写真を、自分の伝えたいメッセージに合わせて加工できることをコンセプトとして持ってきている点は、まさにZ世代のインサイトを把握しているサービスだと言える。 画像の挿入、スタンプ、文字の挿入がわかりやすく初心者でも加工しやすいUIで、デジタルネイティブであれば感覚的に操作できそうなもの。日常のちょっとした瞬間を加工しておしゃれに見せることのできる仕様がZ世代の間で人気を得ている。 4. lomotif lomotifは2014年に開始したサービス。ショート動画の作成、投稿ができるプラットフォームだ。TikTok、​​InstagramにUIが類似しており、テックネイティブのZ世代は感覚的に操作できる。 ではTikTokが大きな人気を占める中で、あえてユーザーがlomotifを利用するポイントは何か。その1つとして、このサービスのコンセプトが挙げられるだろう。“ Turn Your Favourite Moments Into A Music Video. ”(お気に入りの瞬間をミュージックビデオにしよう)というコンセプトはTikTokの「ショート動画を共有」というコンセプトとは一線を画している。 実際、加工できる映像も画像も一味違うのがこのアプリ。文字入れや顔にフィルターがつくだけではなく、映画のような映像を数々の種類の中から選んで挿入できる。ミュージックビデオのような作り込まれた世界観の強い動画が簡単に制作でき、自分のユニークさをアピールできるのだ。ここが差別化ポイントとなり、動画もコンテンツとしてかなり普及している中でZ世代を惹きつけている。 5. Shop Shopとは、配達状況追跡アプリのArriveとShop Payが融合したアプリ。導入されているショップにはZ世代に人気のものが多い。 米国のおよそ1/4の買い物客が、決済体験のプロセスが複雑すぎたり、時間がかかりすぎることによって「カゴ落ち」をしている。しかし、Shop Payを有効にした後、リピーターのコンバージョン率が最大18%改善したというデータがあるほど、購買体験は大切なプロセスだ。 Shopの強みは、その購買体験が細部まで一気通貫してデザインされていること。商品を見るところから注文した後家に届くまで工夫が凝らされている。 例えば、商品を検索すると、その商品に類似したおすすめ商品が出てくるほか、注文画面ではユーザーの希望の商品が店頭受取や店内販売をしている場合、現在地に近いショップが表示される。 徹底的に使う人に合わせてパーソナライズされた仕様なのだ。もちろん、2回目以降の利用時には決済情報や配送先情報を再度入力する必要なく、買い物ができるといった基本的なパーソナライズ機能も備えている。 ShopはユーザーだけではなくそのUIもシンプル。ブランドの世界観を保ったまま、体験としてもスムーズにお会計までできる。機能的にも、UI的にもシンプルに「顧客の購買体験の満足」を追求したサービスだ。 最後に これまで Z世代のインサイトと人気のサービスがどのような観点でZ世代を惹きつけているのかを解説してきた。 Z世代に愛されるサービス・プロダクトを作成するにはインサイトを把握し、彼らの求める体験、世界観を徹底的にデザインすることが必要だ。 上記のZ世代のインサイトと人気のサービス例が、これからプロダクトを作成しようと考えている方にとって一助になれば幸いだ。 ビートラックスでは、日米にそれぞれオフィスを持ち、それぞれの土地のバックグラウンドを活かすことができるというアドバンテージを活かし、サービスや事業の新規参入や、ローカライズのサポートを行っている。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。 参考 https://techcrunch.com/2020/10/21/gen-z-spends-10-more-time-in-non-game-apps-than-older-users/ https://www.ypulse.com/article/2019/08/12/gen-z-millennials-11-favorite-apps-right-now/ https://www.infocubic.co.jp/blog/archives/11642/ https://accelc.co.jp/blog/sns_native/ https://www.kaonavi.jp/dictionary/z_sedai/ https://www.slideshare.net/RayPoynter/gen-z-newrulez-how-to-follow-generation-z-storytelling-while-using-mim-mobile-instant-messaging-platforms