Guest Contributor

ユーザー心理を捉えた最新のアメリカ発英語学習サービス4選

英語学習に取り組む人は多いが、なかなか実用性のある英語を独自で勉強するのは難しい。 筆者自身これまで沢山の分厚い英語の参考書を読み多くの検定試験を受けてきた。しかし、実際に第二言語として英語を使いながらアメリカでの生活を通して思うことは、もう少し実用的な英語を効率的に学びたかったということである。 一般的な義務教育で習う「読み、書き」に着目した勉強や、TOEICなどの試験のために英語を勉強するのではなく、より実用性(スピーキング)に重点を置いた英語の学びのニーズは多いのではないだろうか。 教育にテクノロジーを組み合わせたEdTech業界の拡大により、語学学習の分野にもテクノロジーが浸透し利便性の高いサービスが多くある。 今回はEdTechの中でも斬新かつ実用性の高いアメリカ発の英語学習のサービスを紹介する。新しい語学の勉強方法を模索している方やEdTechのサービスアイディアの参考になれば幸いだ。 自宅で可能!!テック・STEAM教育分野に強い子供を育てるおもちゃのスタートアップ3選 1. ELSA (初中級向け) 2015年にサンフランシスコで創設。ELSAは英語の発音矯正アプリであり日本にもサービスを展開している。AIを用いてユーザーの発音の正確さを瞬時に判断し、発音が正しくなるように練習することができるアプリだ。 このアプリは創設者の実体験が反映されているところから、ユーザーの心理をよく考えていると感じる。 CEOである​​Vu Vanはベトナム出身で、英語ネイティブではない環境から英語を学習。彼女の英語学習の過程においては、特にスピーキングは最大の難関。スタンフォードでの大学院時代に英語そのものに自身がないため自分の意見を言うことに苦労をしたと述べている。 その経験からスピーキングの自信をつけるためにこのアプリを創った。実際にアプリでは、発音のコーチと一緒に発音の練習ができる点や1200以上の会話レッスンがある。対人で行う発音練習と、網羅性の高い充実した会話レッスン双方により、スピーキングの自信をつけることに繋がると感じる。 従来の語学学習アプリだと単語の暗記や文法の使い方に重点を置いたものが多かったが、発音に特化したアプリは新しく需要が高いのではないだろうか。 2. Immerse (初中級向け) ImmerseはVRを使うバーチャル上の語学学校である。ユーザーは設定したキャラクターを通してゲーム感覚で先生や世界中のクラスメイトと英語を学ぶことができる。 バーチャルで語学学習をするというアイディア自体が新鮮であるが、コンテンツも充実していて、どれも実用性が高い。例えば、空港で必要な英会話を学ぶためにバーチャル上で空港に行くなど実際に起こりうる場面を想定しての会話練習ができる。 またバーチャル上であっても、先生やクラスメイトとのコネクションが作れるよう、クラスをチームに分けて質問や会話ができる設計になっている。 3. ABA English (初中級者向け) これまで英語学習の中で、ビデオや映画を見ることは多くあっても、それらを観るだけで終わってしまうことが多く、なかなか言語の習得までに至らなかった経験をされてきた方も多いのではないだろうか。 ABAのクラスは、6つのカテゴリーに分けられ144種類のクラスをアプリで受けることができる。 英語の「読み」「書き」「聞く」「話す」を多角的に学べるようにビデオや映画を用いながらリスニングを強化、クラス内で先生や生徒との会話でスピーキング練習、アプリ内のコンテンツを通してリーディングとライティングを学ぶことができる。 アプリでクラスが受けられるというのもユニークだが、クライブクラスという、インスタグラムのライブのような形で気軽にクラスが受けられるのもポイントである。 4. Verbling (初中上級者向け) 英会話と聞いてイメージするのは、かかる費用と時間のコミットメントの高さではないだろうか。 Verblingはそこに着目をした。1回約550円から始まるレッスンを提供し、自分の予定に合わせて好きな時にレッスンを受けることができるオンライン語学学習プラットフォームである。 注目の点としては、安価な上に学べる言語が多く70以上の言語が1つのプラットフォームで学べるため、言語学習を始めるハードルが低いことである。 講師の資格を持った先生から、自分の学びたい言語を習得したいレベルに合わせて学べることができる。 これらの利便性から、2020年は世界中でユーザー数が1億人に達し日本でもサービスを展開している。 まとめ 今回はEdtechの中でも英語学習に重きを置いたサービスをご紹介した。読み書きのみならず、話すことを強化するサービスが多かったことも特徴的だったと思う。 またEdtech自体に目を向けると、業界規模も成長しさまざまなサービスが増える中で競争率も高くなっていきているのではないだろうか。 コロナによりオンライン教育が進むなど、EdTechの需要が増していることは自明だ。また、英語学習という比較的ニーズが広く存在するサービスだからこそ、提供側は、ユーザーにとって使いやすいサービスを提供できるかが差別化を図るポイントになると思われる。 Source: 10 edtech startups to watch in 2021 strategyand.pwc.com Vu Van Written by Himawari Nemoto

世界の投資家が注目 グリーンテックの展望と先鋭スタートアップ3選

日本で連日続く記録的な猛暑や豪雨、カリフォルニアで相次ぐ山火事など、自然災害という形で地球の変化を目の当たりにすることが日々増えている。 気候変動の問題が世界各地で浮き彫りになるなか、このような問題を改善するため「グリーンテック」に代表される持続可能な考えを持ったビジネスはますます需要が高くなることが予想される。 実際に世界のグリーンテック市場は、その規模が2019年時点で約$8.8 billon (約9千億円)であったが、2027年には $48.36 billionまで伸びると予測され、グリーンテック市場への成長の期待が高まっていることが見受けられる。 グリーンテックとは? 再生不能である資源(石油、石炭、天然ガス、ウランなど)は私たちの日常のあらゆる面で使われている一方で、それらに依存し続けると二酸化炭素の増加など地球にはマイナスな影響をもたらすと言われている。 グリーンテックとは、再生不能な資源を使うのではなく、再生が可能な資源やサービスを使い持続可能な社会を実現することを目的としている。化学やテクノロジーを用いながら再生が可能であるサービスや事業創出を行う。(またはクリーンテックとも呼ばれている。) 例えば、ソーラーパネル·バイオガスなどの自然のエネルギーを用いて燃料や電気を再生可能にする新しいエネルギーの創出という壮大な事業から、リサイクルやアップサイクルに着目し日常生活にアプローチした事業など、グリーンテックと一括りにしても、非常に範囲が広く新しい事業創出の可能性を秘めている。 今回はグリーンテック分野で活躍するスタートアップの紹介と彼らがもつ今後の可能性について解説をしていく。サンフランシスコ·シリコンバレーのスタートアップ事情について知りたい方や新たなサービスアイディアを求める方の参考になれば幸いだ。 1. Imperfect Foods 2015年創業、食料廃棄の問題に食品D2Cサービスの視点から取り組むスタートアップだ。 サステナブルかつ手頃なフードシステムを作ることを目標に、品質に問題がなくても見た目や規定のサイズに合わないなどの理由などで廃棄されてしまう食品を集め、顧客の食品の希望やライフスタイルに沿った食品を毎週届けるサービスを提供している。 新鮮な肉類、魚介類、野菜、果物をはじめ乳製品や植物性の食品なども取り扱う。また食料廃棄の問題だけではなく、廃棄や食品の輸送によって排出される温室効果ガスを削減する取り組みも行なっている。 D2Cは食品流通にも広がり近年では数多くのサービスを目にするが、食品廃棄の問題に着目しているサービスは食品流通とグリーンテック両方において斬新である。 大企業が導入する3つのD2Cモデルとそれぞれのメリット 2. Carbon Lighthouse 2009年設立。気候変動を止めることをミッションに掲げ、大規模な商業ビルへ電力の効率化を独自のAIを用いて測定できるサービスを提供している。 莫大な量のセンサーからデータを収集することで、各ビルがどのくらい経費を電力に使用ていたのかとこれまでのエネルギーの消費量を踏まえて、それぞれに合った無駄のない最適な電力量のプランを提供を実現している。 商業、オフィスビルの消費電力量と炭素排出量は非常に多く、アメリカ全ての大規模なビルが電力を効率的に使うことができればアメリカ全体の40%もの炭素排出量が削減できるとされている。 Carbon lighthouseの注目点としては、高度な初期費用設備や建設費を請求しない点だ。独自のテクノロジーを使いエネルギーの効率化を支援するスタートアップはいくつかあるが、サービス利用のハードルが低いことは彼らのユニークセリングポイントと言えるだろう。 またソフトウエアやサブスクリプションのみを提供するのではなく顧客に代わりエネルギーの監視ができる機器を導入し、導入後のサポートも行う。 彼らの顧客に寄り沿ったサービスは拡大し続けており、2019年には​​3,260万ドルの増資が完了している。 3. Aclima Aclimaは、公共衛生を守り大気汚染を削減することで気候変動の問題に挑むテクノロジー系のスタートアップである。 独自のソフトウエアを使い何十億ものAclimaのデータから大気汚染と温室効果ガスの量を測定し、瞬時に世界中の値を可視化できるというこれまでにない新しいサービスを開発。集積されたデータは企業、政府、地域コミュニティに提供され、大気汚染の問題を改善するために使用されている。 Aclimaはサービスをローカライズすることに力を入れていて、地域ごとにより精度の高いデータを提供することに尽力している。 今後Googleと連携を果たしながらベイエリアの地域全てのブロック(約7.6億人が住むエリア)の大気汚染と温室効果ガスを可視化できるようにすると発表している。 大気汚染や温室効果ガスなど空気中に潜み、これまで目に見えなかったものが、データ化され私たちの生活にどの程度密接しているものか可視化できるようになれば、人々の環境への意識が高まるだけではなく大気汚染、温室効果ガス削減の明確なゴール設定が可能になるのではいだろうか。 グリーンテック業界へ増える投資 グリーンテック市場の伸びを見越して、すでに様々な企業がグリーンテックスタートアップに対して投資を行い始めている。その動きの中でも注目を集めているのがBreakthrough Energy Venturesだ。 2050年までに温室効果ガスの増量を止め将来的に排出量をゼロとすることをミッションに掲げた、グリーンテックを行うスタートアップへ投資を行うベンチャーキャピタルである。 Breakthrough Energy Venturesに所属する投資家たちは、世界の著名なテクノロジー業界のリーダー20名であり、ビル・ゲイツを筆頭にジェフ・ベゾスやジャック・マー、孫正義など名だたる投資家たちが参加している。​​ ​​ビルゲイツによると、何よりもBreakthrough Energyが成功するためには彼らに関わるパートナーとのネットワークが重要であると述べている。 これほど世界から著名な投資家を集めている背景には、革新的なサービス単体だけではなくそれをサポートするために、世界中の企業を巻き込むことが温室効果ガスの抑制を実現する鍵になると考えているのではないだろうか。 投資額は1Billion(約110億円)という巨額な投資額で現在は45のスタートアップが投資を受けている。世界の二酸化炭素排出量の1%に当たる年間5億トン以上の二酸化炭素を削減することが投資を受ける条件の1つとなっている。 最後に 汚染され続ける大気、非効率的に使用される大切な資源の数々、歯止めが効かない二酸化炭素の排出量。環境問題と聞くと、どこか果てしない大きな問題かつネガティブなイメージを持ってためらいを感じてしまう。 しかし、これらの問題を改善するための手段や取り組みは開拓の余地がまだまだあり、そこに広がるビジネスチャンスもまた残されている領域だと考えることもできる。。 環境問題という避けては通れない、人々にとってかつてない大きな課題の糸口には、グリーンテック のような環境問題に全うする事業の発展が鍵を握るのではないだろうか。 ビートラックスは、サンフランシスコにオフィスを持つ強みを生かし、現地のスタートアップの最新動向を踏まえたサービス開発や事業コンセプトの創出のご支援を多く手がけてきた。グローバルな事業展開やサービス開発にご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。 参考記事 Green Technology and Sustainability Market to Hit USD 41.62 Billion by 2028; Increasing Investment to Promote Sustainable Energy Worldwide to Augment Growth: Fortune Business Insights™ Carbon Lighthouse Raises $32.6M to Expand Sensor and Software-Driven Building Efficiency Bill Gates-Led Fund Raises Another $1 Billion to Invest in Clean Tech

シリコンバレーの次はシリコンアレー!NYの特徴と注目の理由

アメリカのスタートアップメッカはシリコンバレーだけではない。アメリカ東海岸はニューヨークを中心に広がる、シリコンアレーエリアにも注目してほしい。そこにはシリコンバレーとは異なる特徴と独自の成長がある。
シリコンアレーとは
シリコンアレー(以下SA)は、ニューヨークのスタートアップが盛況なエリアを表すニックネームである。西海岸の北カリフォルニアを中心に広がるシリコンバレー(半導体の素材、シリコンと谷・盆地のバレー)に対して、東海岸ではシリコン「アレー(路地・小道)」でスタートアップやテクノロジーの広が…

顧客体験を向上させる 次世代モバイル通信5Gの活用事例3選

CESやMobile World Congress等、世界的なITイベントやカンファレンスで5Gが注目を浴びていることは言うまでもない。
ここ米国においても、5Gへの投資は各国との経済競争における重要な役割を担うとして、国家をあげた優先事項になっており、徐々にそのサービス実現が具現化している。
今回は、米国大手通信事業者における5Gへの取り組みに触れながら、将来実現が期待されているその活用事例についてご紹介していきたい。
4G/LTEと何が違う?
そもそも、5Gは4G/LTEと何が異なるのだろうか。…