「カルティエ」がブライダルに特化した日本限定モバイルサイトを開設

 「カルティエ(CARTIER)」は世界に先駆けて、日本限定のブライダルに特化したモバイルサイト“カルティエ ブライダル”を開設した。同ブランドのLINEの公式アカウント(ID:@Cartier)にアクセスすると、さまざまなエンゲージメントリングやマリッジリングの情報を得ることができる。また、好みのデザインやダイヤモンドを選べたり、文字彫りができるセミオーダーサービスの“セット フォー ユー カルティエ”もモバイルで体験できるようになっている。店舗に足を運ばずブライダルリングの検討ができる便利なサービスだ。また、同サイトから店舗検索や店を訪れる予約もできる。

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元ワン・ダイレクションのハリー着用「JWアンダーソン」ニットがティックトックで話題に

 ティックトック(TikTok)で、「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」のニットを手作りする動画がブームになっている。ブームの発端となったのは、元ワン・ダイレクション(1D)のメンバーである英国人歌手ハリー・スタイルズ(Harry Styles)が2月26日に出演した米テレビ番組「ザ・トゥデイ・ショー(The Today Show)」のリハーサルで同ブランドのカーディガンを着用したことだ。

 その写真を見たハリーのファンは、そこからインスピレーションを得たマルチカラーのカーディガンを鍵編みで作る様子を、2019年に発表された彼のアルバム「Fine Line」の楽曲とともにティックトックに投稿。7月7日現在、“#HarryStylesCardigan”というハッシュタグとともに、細かい手順や完成したカーディガンを着用している姿を写した動画の再生回数は320万を超える。

 そして、このブームは同ブランドを手掛けるジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)の目にも留まった。彼はファンの熱意に応え、話題になっているカーディガンの実際のパターンを公式ウェブサイトで公開。また今回の一連の盛り上がりを受けて、自身のインスタグラムには「ハリー、こんなことが起こっていたなんて知らなかった。クラフトの力は偉大だ」と投稿した。ここでは、ティックトックに投稿された創造性あふれる動画の数々を紹介する。

@tobesokat

After 2.5 months, I figured it out and now I have a piece of you in how I dress???????? @hshq ##harrystyles ##harrystylescardigan ##fyp ##firsttiktok

♬ original sound - softharrystyles

@backclak

If this is all I have to show for lockdown at least it’s noticeable! @hshq ##harrystylescardigan ##harrystyles ##fyp ##diy ##knitting ##jwanderson

♬ Kiwi - Harry Styles

@rmbugella817

##greenscreen ##harrystyles ##fyp ##harrystylescardigan ##crochet ##diy ##onedirection

♬ original sound - rmbugella817

@lydiamiro

lmk if you’re making the cardigan too!! ##harrystyles ##harrystylescardigan

♬ original sound - jonahkagenmusic

@r0lliep0lliee

If anyone needs me I’ll be working on this for the next three weeks. ##harrystylescardigan ##harrystyles ##foryoupage @hshq ##xyzbca ##crocheting

♬ to be so lonely by harry styles - emmmamay

@lydiamiro

i still need to add the collar, blue tr and ribbing but i mean trust the process ladies ##harrystyles ##harrystylescardigan @jw_anderson

♬ theres a piece of you in how i dress - lydiamiro

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「ベイプ」が米ラッパーのカレンシーとコラボしたスニーカーを発売

 「ア ベイシング エイプ(R)(A BATHING APE(R) )以下、ベイプ」はアメリカのラッパー、カレンシー(Curren$y)とコラボしたスニーカー“ベイプ×カレンシー ベイプ スタ(BAPE(R) x CURREN$Y BAPE STA)”を7月11日に発売する。

 既存のモデル“ベイプ スタ”をベースにボディーをブルーで統一し、カレンシー自身のレーベルである“ジェットライフ(Jet Life)”のロゴを刻印した。

 カレンシーは米ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のラッパーで、ウィズ・カリファ(Wiz Khalifa)ら名だたるアーティストとのコラボでも有名だ。今回の発売について「長い人生の中、いずれこのコラボが実現することを予測していた」とコメントした。

 なお同アイテムはベイプの店舗、公式ECとファッション通販サイト「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」で取り扱う。

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「エアリズム マスク」の次は速乾性ハンカチ ユニクロがウィズコロナ時代のニーズで商品開発

 「ユニクロ(UNIQLO)」は、ウィズコロナ時代のニーズに即した商品として、速乾性素材のハンカチとプロテクショングラスの発売を8~9 月に予定している。価格は未定。6月19日の発売以来、人気となっている「エアリズム マスク」(3枚組990円)と同様、「コロナ下でお客さまからの要望が高く、商品化を決めた」(広報担当者)という。

 速乾性素材のハンカチは、公共施設のトイレなどでウイルス拡散防止のためにハンドドライヤーが使用禁止になっていることなどがニーズの背景にある。プロテクショングラスは、「(抗ウイルスまでの機能性はないが)ホコリなどを防ぐことができ、マスクをしていても曇りにくい」といったものになるようだ。

 ユニクロは“情報製造小売業”というビジネスモデルを目指す中で、カスタマーセンターに集まる客からの要望や不満の声、ECサイトのレビューなどをもとにした、「お客さまの声からの服づくり(ボイス・オブ・カスタマー)」を強化している。「エアリズム マスク」や速乾性ハンカチ、プロテクショングラスの開発も、そうした考え方の延長にあるもの。

 「エアリズム マスク」は、発売当初は店頭で並ばないと手に入らない状態だったが、毎週50万パックを継続的に生産することで、徐々に「並ばずにご購入いただける状態になりつつある」という。

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FBのヘイトスピーチ対策に“弱腰”だとして広告主が次々に降板 リーバイスやパタゴニア、ユニリーバなど

 米フェイスブック(Facebook)がヘイトスピーチや人種差別的な投稿を放置しているとして、広告の出稿を一時的に取りやめる企業が増えている。

 今回の広告ボイコットの背景には、米ミネソタ州ミネアポリスで5月25日に黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)氏が白人の警察官に首を押さえつけられて死亡した事件を受けて、世界中で抗議運動が行われていることがある。抗議デモのほとんどは平和的に行われているが、一部で略奪行為などがあったことから、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がツイッター(Twitter)に「略奪が始まれば、銃撃も始まる」と投稿。それがフェイスブックのサービスに表示されていることに対して、同社のマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)最高経営責任者(CEO)が「トランプ大統領のツイートは、暴力的な発言を容認しないというフェイスブックの規約に違反していない」と表明し、それを削除していないことに端を発している。

 フェイスブックは以前から人種差別的な投稿について厳格に対応していないと批判されていたこともあり、今回は全米黒人地位向上協会/全米有色人種地位向上協会(National Association for the Advancement of Colored People)や、公民権運動を推進する非営利組織のカラー・オブ・チェンジ(Color of Change以下、COC)などの市民団体が「利益のためにヘイトを許すな(Stop Hate For Profit)」というキャンペーンを立ち上げ、フェイスブックや同社が擁するインスタグラム(Instagram)に広告を出すことを止めるよう企業などに呼びかけた。

FBの言い分や対応

 フェイスブックは事態の収拾を図るため、広告主の企業や代理店からおよそ3000人を招いてのビデオ会議を6月30日に開催した。同社からは、キャロリン・エヴァソン(Carolyn Everson)=グローバル・マーケティング・ソリューション担当バイス・プレジデント、ニール・ポッツ(Neil Potts)=パブリック・ポリシー担当ディレクター、ガイ・ローゼン(Guy Rosen)=インテグリティー担当バイス・プレジデントらが出席したが、特に大きな発表はなく、ヘイトスピーチへの対応も従来通りの対策を続けるという内容だった。

 フェイスブック側の出席者らはビデオ会議の席上で、ヘイトスピーチにもさまざまな種類がある上に、内容が複雑で微妙なニュアンスのものもあるため判断が難しく、万能の解決策はないと説明。例えば、レズビアンに対する蔑称として“ダイク(Dyke)”という言葉があるが、同性愛者の女性たちによる「ダイクス・オン・バイクス(Dykes on Bikes)」というオートバイの同好会があるため、“ダイク”という単語を一律に禁止すればいいというものではないという。

 なおフェイスブックでは、AI(人工知能)がヘイトスピーチだと判定した投稿を人間の目でも判断するために、およそ3万5000人のスタッフを抱えている。これによってヘイトスピーチの90%はユーザーから報告がある前に発見されているというが、1日のアクティブユーザー数が17億にも及ぶことを考えると、3万5000人では手が回らないのではないかと考えざるを得ない。

 関係者の情報によれば、発端となったトランプ大統領のツイートについてAIはヘイトスピーチだと判定したものの、担当者らは「略奪が始まれば、(警察や軍による)銃撃が始まる」という意味ではなく、「略奪が始まれば、(一般市民による)銃撃も起きる」という意味だと解釈し、問題のない発言だと決定したという。しかし多くの人々が指摘したように、これは公民権運動が行われていた1960年代に、フロリダ州マイアミ市の白人の警察署長が黒人の多い地区で取り締まりを行った際に使用したフレーズであり、トランプ大統領はそれを引用したとみられている。フェイスブックの担当者らはこのことを知らずに判断を下したようだが、ツイッター社では「暴力を賛美することを禁止する当社規定に反する」として警告メッセージを付け、ツイートをクリックしないと表示されないようにした。

 7月3日の時点で、コカ・コーラ(COCA-COLA)、ユニリーバ(UNILEVER)、スターバックス(STARBUCKS)、フォード(FORD)などの大企業のほか、リーバイ・ストラウス(LEVI STRAUSS)、アディダス(ADIDAS)、プーマ(PUMA)、パタゴニア(PATAGONIA)、ルルレモンアスレティカ(LULULEMON ATHLETICA)など、ファッション業界からも多数の企業が「利益のためにヘイトを許すな」キャンペーンに賛同し、280社以上が少なくとも7月一杯はフェイスブックへの出稿を取りやめることを宣言している。

 このムーブメントはこれまでにない広がりを見せているが、それでもフェイスブックが得ている巨額の広告収入のほんの一部に過ぎないため、同社としてはあまり危機感がないのではないかと見る向きも多い。一方で、「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」運動の影響もあり、人種差別的な投稿を放置することに対する世間の風当たりの強さが以前とは異なっていることから、今回は真剣に取り組まざるを得ないのではという意見もある。

企業側の考えについて

 では、広告主である企業側はどう考えているのだろうか。米マーケティング会社クエスタス(QUESTUS)のジェフ・ローゼンブラム(Jeff Rosenblum)創業者は、「当社の顧客である大手ブランドのほとんどは、少なくとも7月中はフェイスブックやインスタグラムへの広告出稿を差し控えているが、そのことを大々的に発表していない場合もある。いずれにせよ、消費者から反発を受けるリスクを負ってまでフェイスブックに広告を出す理由はないし、出稿先はほかにいくらでもある。とは言え、これはあくまでも一時的な措置で、フェイスブックが早く何らかの解決策を打ち出してほしいと思っているブランドも多いだろう。今後どうなっていくかは、世間のムードにもよるのではないか」と語った。

 COCはまた、フェイスブックのジョエル・カパラン(Joel Kaplan)=グローバル・パブリック・ポリシー担当バイス・プレジデントについて、「ヘイトスピーチの増殖を許している」ことを理由に解雇するよう同社に求めている。同氏はブレット・カバノー(Brett Kavanaugh)米最高裁判事が学生時代に起こしたとされる性的暴行疑惑の公聴会に、同判事(当時は候補者)を支援する友人として出席していたため、社会的にも厳しく批判された。COCはフェイスブックに宛てた公開書簡の中で、「空約束はもうたくさんだ。ジョエル・カパランを雇用し続けているということは、ヘイトスピーチ対策に本気で取り組むつもりはないと表明しているようなものだ」と述べている。

 フェイスブックのザッカーバーグCEOとシェリル・サンドバーグ(Sheryl Sandberg)最高執行責任者は、COCなど広告出稿のボイコットを呼びかけている市民団体とのミーティングを強く求めていると報道されていたが、米ウェブメディア「ジ・インフォメーション(The Information)」によれば、それが実現しそうだという。なお、COCは以前にもザッカーバーグCEOとミーティングを行っているが、その際は特に成果はなかったとコメントしている。

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おしゃれなあの人のビューティライフを拝見! ヘアメイクアップアーティスト・佐川理佳編

 世界的な新型コロナウイルスの流行によって私たちの生活は一変し、今までにない習慣や行動を余儀なくされている。緊急事態宣言が解除され、終わりの見えない出口にやっと一筋の光が差してきたが、日々刻々と変わる状況の中でこれまでとは異なる“新たな日常”を理解し、共に過ごしていかなければならないはずだ。そんなガラリと変化した暮らしの中でも、ポジティブに自分らしい生活を心がけているファッション業界人のビューティ事情、ライフスタイルにフォーカス。

 今回は、人気ファッション誌やブランドルックなどで活躍するヘアメイクアップアーティストの佐川理佳さん。ナチュラルながらも女性らしさを引き立てる絶妙なメイクが魅力で、モデルやタレントからも常にひっぱりだこだ。そんな今を時めくヘアメイクアップアーティストが自ら愛用するコスメとは?

【SKINCARE】

朝と夜で成分の異なる
美容液を使い分けて

【GOODS】

愛犬との散歩にも使える
ファッションアイテム

 美容と健康のためにビタミンBとC、鉄分のサプリメント、そして冷え対策や免疫力アップのためにハーブティーはよく飲むように心掛けています。この状況下で新たな生活スタイルになり、さまざまなことに対して意識が変わりました。まず、愛犬との散歩がますます楽しみになって、今までは“動きやすくて汚れてもいい服装”だったのが、お気に入りのものを身につけたいと思うように。紫外線対策にもなる「セリーヌ(CELINE)」のサングラスと「ジル サンダー(JIL SANDER)」の帽子は散歩中のヘビロテアイテムです。また、以前から気になっていたデンマークのブランド「アイテム(AYTM)」のフラワーベースをオンラインサイトで見つけ即オーダー。お花が家にないときでもオブジェとして活躍してくれます。

【BODY&SLEEP】

お気に入りの香りを選んで
心身ともにリラックス

【MAKEUP&NAIL】

今だからこそミニマルな
メイクを楽しんで

「WWDビューティ」編集部からのコメント

実力派と評判のさまざまなブランドをうまく組み合わせていて、肌のこと、化粧品のことを熟知しているメイクアップアーティストならではのというラインアップ!朝はビタミンC、夜はビタミンAと、シートマスクの成分を使い分けているのも技アリのテクニックですね。「アスレティア」は「RMK」や「スック」を擁するエキップが17年ぶりに立ち上げた新ブランドで、今年2月にスタートしたばかり。天然精油の香りとワンプッシュで潤いが届く手軽さで、注文が殺到している人気製品です。(N・T)

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編集長はデジタルパリコレで何見た? 初日は「ディオール」のファンタジーに没入

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向です。6日、パリコレ史上初となるデジタルでのコレクション発表がスタートしました。私ももちろんパリには行かず、職場や自宅のPC前や、帰宅途中の電車でスマホを通じて取材しました。現地でパリコレを見てきた自分はデジタルでパリコレを見て何を思うのか?自分自身を観察するような気持ちで初日がスタートです。

7月3日(金)「ディオール」からインビテーションが届く

 「ディオール(DIOR)」から立派なインビテーションがオフィスに届きました。真っ白な箱を開くとカーテンに見立てた白い紙のプリーツの奥に真っ白なトルソーが鎮座しています。金文字で2020-21年秋冬オートクチュールのスタート時間が記されています。ウェブを通じて誰もが見られるデジタルコレクションですが、こうやって招待状を受け取るとやはりうれしいものです。

7月5日(日)21:00 「エルメス」のメンズコレクションで幕開け

 この日、「エルメス(HERMES)」の2020-21年秋冬メンズ・コレクションがデジタルで発表されました。パリメンズ(もちろんデジタル)の開幕は来週だから一足お先に、といったところ。自分にとって日曜日の夜にキッチンでワイン片手に料理をする時間は、1週間で一番くつろげる好きな時間。いつもはフランスのラジオ局TSFジャズを流していますが、この日はiPadで「エルメス」のショーを見ました。途中から目が離せなくなり料理の手が止まりましたが(笑)。バックステージのようなシーンから始まる8分間はあっという間。デジタルコレクションはノート片手にPCの前で見るより、こんな感じでリラックスして見るのがよいかも!でもこれは仕事?プライベート?曖昧ですね(笑)。

7月6日(月)2020-21年秋冬オートクチュールが開幕

 さあ!2020-21年秋冬オートクチュールの開幕です!と、自分を鼓舞して意識的に時間を確保しないとうっかり見るのを忘れそう。サンディカから発表されたスケジュールは、これまでのオートクチュールと変わらない1時間刻みですが、時差があるため日本時間は17時から夜中の2〜3時までとなります。サイボウズには、アポイントメントや会議と同じように「クチュール取材」の予定を入れました。何かヘンな感じ!

12:00(19:00)「イリス」にがっかり

 パリコレ取材チームはチームスでつながりつつ、一緒に配信を見ることにしました。1本目は「イリス ヴァン ヘルペン(IRIS VAN HERPEN)」。リアルのショーでもテクノロジーを生かした演出で近未来なショーを見せてきた「イリス」なので、デジタルコレクションに大いに期待しましたが、正直がっかり。“トランスモーション”というテーマの下、1ルックを解体しつつ見せてゆく手法は何かしら意味があるのでしょうが、理解は及ばず。

13:30(20:30) 電車の中でショーを見る

 オフィスを出て帰宅途中の地下鉄の中で「マウリツィオ・ガランテ(MAURIZIO GALANTE)」を視聴。パリの建物内によく見られるらせん階段をモデルが一人ずつゆっくり降りてくる8分間。クチュールブランドにふさわしく、美しい映像を作ろうとしていると思いますが、「映像美だったら映画で見る」と思ってしまう自分がいます。

10:00(21:00)

 順番は前後しますが、「スキャパレリ(SCHIAPARELLI)」のインスピレーション公開を視聴。面白かったです。デザイナーが部屋でマスクを着用するシーンに始まり、店が軒並みクローズしている街を抜けて公園へ。ベンチに座り、デッサンをする姿がリアルで共感しました。私も時々外にPCを持ち出して原稿を書きますが、自粛が続く毎日の中では緑の下の空気に癒されますよね。そして日常の風景の中だけど、スケッチブックの上には新しいデッサンが色鉛筆でどんどん描かれてゆく。どんな服が完成するのか見てみたい、と期待しちゃった時点でこの映像は大成功ですね。

14:30(21:30)群を抜く「ディオール」のファンタジー

 「ディオール」は落ち着いて見たいので帰宅後、身の回りの片づけを終えてからPC前に10分前からスタンバイ。同時にインスタグラムでARフィルターなどの情報も得ながら(結局使いこなせなかったけど)、始まりを待ちます。同時視聴している5人でチームスを通じて会話をしながら待つワクワク感は、座席に座ってショーの始まりを待つ感じと同じです。

 見せたのは森を舞台にした完璧なるファンタジーでした。物語の案内役は、トランクを担いだ2人のポーターです。彼らは森の中で妖精に出会うと、中から小さなトルソーを取り出しプレゼントしてゆきます。トルソーが着ているのは、サイズこそ小さいものの完璧に作られたオートクチュールドレス。受け取った妖精たちは喜び、そして……。どうぞ後は映像で見てください!

 パリで見てきた「ディオール」のオートクチュールのショーは、それこそファンタジーの世界でした。ロダン美術館の会場に到着し(時にはレースの仮面を着用したりしながら)、席に着き、ショーを見て会場を出る。その一連の時間は、子どものころに絵本を読んでその世界に没入した時間に似ていました。「ディオール」のオートクチュールは大人のファンタジーなのです。イタリア人映画監督マッテオ・ガローネ(Matteo Garrone)による映像美の世界は、自宅にいながら「ディオール」ファンタジーに没入できるという意味でショーに代わる役割を立派に果たしたと思います。

 それができるのは、小さな人形用の服を仕立てるアトリエの技があるからなのですが。今回のコレクションの起点は第2次世界大戦中にフランスで行われた、人形に服を着せた展覧会からヒントを得たそうです。戦時中という困難な中でも人々に夢を提供しようとしたその試みに、自分たちのオートクチュールの仕事を重ねるマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)の姿勢に共感します。

 ただ、見ていて途中から気になったのが、妖精役のモデルが全員白人であるという点。ダイバーシティーを重んじる「ディオール」のショーにはいつもさまざまな人種のモデルが登場しますが、今回は違いました。神話の世界をモチーフにしており、忠実に表現しているのでしょうし、当然メゾン内での議論を経ての選択でしょうが、無意識に見ていても「違和感」に覚えるのが今の時代です。

16:00(23:00) 最後はモデルがセルフィーで〆る展開

 「メゾン ラビ カイルー(MAISON RABIH KAYROUZ)」はすごーくベタ(ドラマで見る外科医の手術妄想練習みたいに、糸と針を持たない手の動きでスタート)で、その後も一着の服を手で作り上げてゆく様子が展開されます。この服をすてきだとは思わないけど、少なくともブランドの特徴や面白さは伝わってきた。資金力がないブランドはムードな映像には手を出さず、こうやってリアルを見せた方がファンを得られそう。

17:00(0:00)アバターが世界遺産を行く

 「ラルフ & ルッソ(RALPH & RUSSO)」はデザイナー自身がインスピレーションなどをしっかり解説。これはいいですよね。ただ映像を見るよりブランドのポリシーがしっかり伝わります。そして最後には黒人のアバターモデルが登場し、万里の長城やピラミッドといった世界遺産のグラフィック前でポージング。日本はなかったけど、自分の国が登場したらファンはうれしい。

17:30(0:30)ティスケンスが「アザロ」デビュー

 「アザロ(AZZARO)」は、オリヴィエ・ティスケンス(Olivier Theyskens)がアーティスティック・ディレクターに就任して初めてのコレクションが期待大なので、寝落ちしそうになりながらもオンタイムで見ました。「ロシャス(ROCHAS)」「ニナ リッチ(NINA RICCI)」「セオリー(THEORY)」などを経て、何を見せてくれるのでしょう!?彼へインタビューしたときに聞いた、「僕、小鳥になりたいの」の言葉が私の脳に強烈にインプットされております。今回もきっとどこかに小鳥が出てくるはず!との予測は大外れ。マイクを持った歌手が歌い踊るムービーでした。カメラアングルもライブ中のミュジーシャンを舞台下から撮るタッチです。音楽×ファッションのコラボレーションはいいですよね。できるなら新曲披露をライブで行うなど、ライブ感があればこの時間に見に行きたいと思う人も増えるかも。ティスケンスがデザインする服は細身でモデルのウォーキングを見ると「きれいだけどキツそう」という感想が出てしまうのですが、激しく歌い踊る姿を見ると、着心地の良さも計算されているのだとわかります。「アザロ」は歴史あるブランドだけど、多くの人にとってブランドイメージは希薄。これからティスケンスがそれを作り上げてゆくことを期待します。

18:00(1:00)

 「アントニオ グリマルディ(ANTONIO GRIMALDI)」は、日本時間深夜1時にスタートのため眠かったのですが予想外の展開に目が覚めました。全編ドラマ仕立てで、母娘と思われる2人の女性の愛憎劇。娘が母を刺殺する衝撃のシーンを含みますが、キャストは全員カラフルなドレスを着ていてなんともシュールです。「牡丹と薔薇」といった昼ドラを連想します。ドロドロした人間模様になんだかんだ引き付けられるのは世界共通なのでしょうね。

18:30(1:30) コンセプト先行で感動得られず

 「スーアン(XUAN)」は1ルックごとを360度から映し、複雑な服の構造をじっくり見せる方式。公式インスタグラムによると、火、水、空気、大地という4つの生命の要素を表現したそう。「そうなのですね」以上の感想は持てず。つまり感じ入る何かを見つけられませんでした。このブランドのファンはこのブランドのファンに会って話を聞いてみたい。

19:30(2:30) 朝目覚めて「ジャンバ」を見入る

 素晴らしい!「ジャンバティスタ ヴァリ(GIAMBATTISTA VALLI)」のショー開始は日本時間夜中の2時半だったので見たのは起きてからなのですが、ベッドの中でIPhone片手にうっとりしました。エッフェル塔など景色と対比させながらドレスを一着ずつ見せてゆく方式で、ドレスの存在感を伝えるカメラワークやモデルの表現も素晴らしい。パリでリアルのショーを見たときとほぼ同じ印象を受け取りました。このブランドのすごさは、デザイナーの美意識はもちろんですが、アトリエスタッフのセンスにあります。布を切って縫い合わせるという工程は同じなのになぜ他より抜きん出て美しいのだろう、とため息。アトリエスタッフの皆さんは何気ない風景の中にも美を見出せる感覚を持っているのだろうな、と想像します。顧客になりえる財力があり、着てゆく場所があるならば着てみたいと思う、オートクチュールなりの“リアル”な欲求をかき立てられます。多くの人にぜひ見てほしい。

20:30(3:30)レバノン発大ベテランの無観客ショー

 「ジョルジュ オベイカ(GEORGES HOBEIKA)」はレバノン出身の大ベテランで、長年ファッションショーを行ってきたデザイナーです。本日唯一の無観客ショー方式での発表でした。夜の公園?と思われる広大なスペースを使い、モデルが一人ずつ歩いてくる方式です。モデルが歩いてくる、ただそれだけですが、ただ立っているよりも感情を掻き立てられ、ファッション業界が長年採用してきたウオーキングという表現方法にはそれなりの理由があるのだと気づかされます。他のオートクチュールデザイナー同様、ウエディングドレスがメインのビジネスと思われますが、今回もラストルックはウェディオング。ウェディングはリピーターがいるビジネスではないから、こうやって継続してアウトプットし続けることでいざウェディングドレスを探し始めた顧客のアンテナに引っかかることが重要ですよね。

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「ダンヒル」がケリング アイウエアとライセンス契約締結 最大市場の日本に注力

 コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)傘下の「ダンヒル(DUNHILL)」は、サングラスと眼鏡フレームのデザイン、製造、世界での販売におけるライセンス契約をケリング アイウエアと締結した。イタリアのアイウエア企業デリーゴ(DE RIGO)と5年間の契約が今年末に終了し、ファーストコレクションは21年春に発売する。商品価格は決まっていない。

 アンドリュー・マアグ(Andrew Maag)=「ダンヒル」最高経営責任者(CEO)は、「われわれは新たな素晴らしい関係を築き、共に成功に向けたストーリーを作る準備ができている」と話し、アジア、特に同ブランドの最大の市場である日本にフォーカスしたアイテムにすると明かした。

 ケリング アイウエアのロベルト・ヴェドヴォット(Roberto Vedovotto)CEOは「この新たなパートナーシップを光栄に思う。アイウエア市場において、『ダンヒル』のアジアにおける存在感を強化し、急成長する市場の勢いを借りながら、イギリスを象徴する有力ブランドとしての地位を確立できると確信している」と話した。

 「ダンヒル」は、1893年にロンドンで創業。17年に「コーチ(COACH)」や「ダナ キャラン ニューヨーク(DONNA KARAN NEW YORK)」「バーバリー(BURBERRY)」などでキャリアを重ねたマーク・ウェストン(Mark Weston)がクリエイティブ・ディレクターに就任し、昨年の「ウォルポール・ブリティッシュ・ラグジュアリー・アワード(Walpole British Luxury Awards)」で「ブリティッシュ・ラグジュアリーブランド・オブ・ザ・イヤー(British Luxury Brand of the Year)」を受賞した。

 ケリング アイウエアは17年の設立で、「グッチ(GUCCI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」などケリング傘下のブランドのアイウエアを内製している。また、リシュモンはケリング アイウエアの株式の一部を保有しており、「カルティエ(CARTIER)」「モンブラン(MONTBLANC)」もケリング アイウエアが手掛けているほか、先ごろ「クロエ」とのライセンス契約を発表した。

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「エルメス」のライブ配信は“舞台裏”をエレガントに演出 21年春夏メンズ・コレクション

 「エルメス(HERMES)」は、2021年春夏メンズ・コレクションを日本時間の7月5日に公式サイトで発表した。7月9〜13日に予定されている21年春夏パリ・メンズのオンライン開催に先駆けての発表で、新シーズンの開幕を飾る本格的なデジタルプレゼンテーションとなった。

 新型コロナウイルスの影響でロックダウン(都市封鎖)が行われ、アトリエや生産拠点が休業していたことからルックはいつもより少なかったものの、舞台演出家のシリル・テスト(Cyril Teste)とのコラボレーションが奏功して、音楽や演出に工夫が凝らされたストーリー性のある仕上がりとなっている。

 舞台はパリ北部にある同ブランドのアトリエで、映像は透明なガラスのエレベーターに乗ったモデルが階下に降りていくところから始まる。視聴者は、モデルと共にショーの舞台裏にいざなわれるという趣向だ。ヴェロニク・ニシャニアン(Veronique Nichanian)=アーティスティック・ディレクターが自らモデルの襟元を直し、「この袖を少しまくってみて──そう、とてもいい感じ」と指示を出したり、アシスタントや音楽担当のスタッフがそれぞれの仕事をしたりしている中、カメラが自在に動き回って「エルメス」の世界観を伝えていく。また服の生地やボタンなどに加えて、サンダルやウオッチ、バッグなども時にアップで映し出され、ディテールが分かるようになっている。

 アイテムは軽やかなジャケットやコットンシャツ、フーディー、サマーニット、緩やかなフィットのパンツなど。色味は淡いブルーやグレー、生成りを中心としており、とても涼しげでエレガントな印象だが、時折交じる鮮やかなイエローが若々しさも感じさせる。

 今回「エルメス」はデジタルと現実の“懸け橋”として、グラノーラやフルーツタルト、ルバーブのコンポートなどのデザートを詰めたバッグを白シャツに身を包んだ青年たちに持たせ、自宅でライブ配信を視聴しているエディターや業界関係者のもとに届けたという。

 ファッション業界におけるポストコロナ、もしくはウィズコロナの“新しい世界”ではデジタルと物理的なショーの融合が重要になると多くの関係者が口をそろえるが、「エルメス」によるこのデジタルプレゼンテーションは、控えめで気取りがない雰囲気ながらも、視聴者が明るい気持ちになれる楽しいものだった。

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黒人女性向け雑誌社の従業員たちが差別を告発 経営陣の即時退任を求める

 黒人女性向け米ファッション&ビューティー雑誌「エッセンス(ESSENSE)」を展開するエッセンス コミュニケーションズ(ESSENCE COMMUNICATIONS INC.)で、役員らによる黒人の従業員への差別やセクハラが横行していたことを告発する手記がネットで公開され、物議を醸している。

 「『エッセンス』の真実」と題した匿名の手記がブログサイト「ミディアム(MEDIUM)」に投稿されたのは6月最後の週末だった。手記を書いたのはエッセンス社の現役従業員および元従業員らで、“匿名の黒人女性”と名乗っている。「黒人女性に捧げられたかつての高尚なメディアは、文化的そして企業的な強欲さと、職権乱用によって乗っ取られました」と書かれた手記の中で、オーナーのリシリュー・デニス(Richelieu Dennis)と、役員会のメンバーで元最高経営責任者(CEO)のミシェル・イーバンクス(Michelle Ebanks)、ジョイ・コリンズ・プロフェット(Joy Collins Profet)最高執行責任者、モアナ・ルー(Moana Luu)=チーフ・コンテンツ・オフィサーの即時退陣を求めている。

 これに加えて、スポンサーのAT&Tやコカ・コーラ(COCA-COLA)、チェース バンク(CHASE BANK)、フォード(FORD)、マクドナルド(McDONALD’S)、プロクター&ギャンブル(PROCTER & GAMBLE)、ウォルマート(WALMART)、ワーナー メディア(WARNER MEDIA)などに対して直ちにエッセンス社との契約を破棄し、また新経営陣が就任するまで新たな契約を結ばないよう訴えている。

 手記の中では、同社の従業員の80%を占める黒人女性が、賃金の不平等やセクハラ、企業内いじめ、脅迫、肌色主義および階級主義によって体系的に抑圧されていることや、過去2年の間に数十人に上る才能ある黒人女性が不当に解雇されたか、会社を辞めるよう強制されたと主張する。

 また、2018年にタイム社(TIME INC.)からエッセンス社を買収したデニス=オーナーについては社内行事中のセクハラ行為や、妻のマーサ・デニス(Martha Dennis)を人事のトップに据えることで露骨な利益相反行為に及んだこと、従業員や協業相手に対して強制的に秘密保持契約書へのサインを求め、疑問を呈した従業員を脅迫するなどの行為も告発されている。

 手記が公開された際にエッセンス社は「ブランドの信用を失墜させ、個人を攻撃する根拠のない行動」「対応すべき訴えは起きておらず、非難されるようなことが起きているという証拠もない」と即座に否定した。しかしその2日後には告発の事実確認を開始した。米小売企業のターゲット(TARGET CORP.)から6月29日にチーフ・グロース・オフィサー(Chief Growth Officer)として着任したばかりのキャロライン・ワンガ(Caroline Wanga)が暫定CEOとしてこの調査の指揮を執る。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中

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「ギャップ」と「バナナ・リパブリック」が肌に優しいマスクを販売

 ギャップジャパンは「ギャップ(GAP)」と「バナナ・リパブリック(BANANA REPUBLIC)」の両ブランドからオリジナルフェイスマスクを発売する。

 「ギャップ」は商品を作る工程で余った生地を使用し、コットン100%の肌に優しいマスクを製作した。デザインは全6種類と豊富にそろえ、日常使いにも飽きがこない工夫を凝らした。サイズは大人用から子ども用までを用意。価格は3枚セットで990円(税込)。7月8日に全国の店舗と公式ECサイトで発売する。

 「バナナ・リパブリック」からはシンプルな無地、フローラルプリント、カモ柄の3種類のデザインに加えて、同ブランドのルーツでもあるサファリをイメージしたデザインのマスクを一部の店舗限定で販売する。価格は3枚セットで2990円(同)。発売は7月下旬を予定している。

 どちらも洗濯して繰り返し使用することができる。

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「LVMHイノベーションアワード」が初のオンライン開催 1200社から選ばれた企業は?

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は7月2日、優れたスタートアップ企業を選出する「LVMHイノベーションアワード2020(LVMH INNOVATION AWARD 2020)」の優勝者を発表し、オランダを拠点とするクロボックス(CROBOX)が選ばれた。

 クロボックスは2014年創業。消費者行動や購買動機を分析し、それに基づいて商品に添える売り文句を顧客ごとにパーソナライズするシステムを開発している。同じコートを見ていてもある消費者には「一番チェックされているコート」と表示され、別の消費者には「リサイクル100%のダウンを使用」などと表示されるという。

 17年から始まった同賞は今年で4回目を迎える。今年は1200社から応募があり、最終選考には30社が残った。通常はテックの祭典「ビバ・テック(VIVA TECH)」の会期中に実施されるが、今年は新型コロナウイルスの影響でイベントが中止となったため、LVMHは独自にオンラインで「LVMHイノベーションアワード2020」を開催した。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中

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「メゾン マルジェラ」が4日間にわたり“アーティザナル”のデジタルコレクションを発表

 「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」は7月8日(フランス時間)を皮切りに、ユニセックスのオートクチュール“アーティザナル コーエド コレクション (ARTISANAL Co-ed Collection)”のデジタルインスタレーションを発表する。2020-21年秋冬オートクチュール・ファッション・ウイーク期間中の8日の後、11日、15日、16日の4日間に分けて全容を明かしていく。

 “アーティザナル”はメゾンの実験室であり、来シーズンのプレタポルテや「エムエム6 メゾン マルジェラ(MM6 MAISON MARGIELA)」などのコレクションのデザインにつながるソースとなるもの。メゾンは「再現することは、そこに宿る価値と意図を照らし、その本質を呼び起こすこと。それは、透明性のある明瞭なアプローチを意味する」というメッセージを発表しており、クリエイティブ・ディレクターのジョン・ガリアーノ(John Galliano)は今回のデジタルインスタレーションで透明性を掲げ、相互性(交流)と 一体性(包括)の新たな価値観を通してデザインアプローチを示すようだ。

 発表は「メゾン マルジェラ」のユーチューブ、インスタグラム、ウェイボー(微博、WEIBO)、ウィーチャット(微信、WeChat)の公式アカウントのほか、パリ・ファッション・ウイークの公式サイト上で配信される。

発表スケジュールは以下の通り、
第1報 フランス時間7月8日10時(日本時間8日17時)
第2報 同11日15時(同11日22時)
第3報 同15日18時(同16日午前1時)
最終報 同16日18時(同17日午前1時)

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「メゾン マルジェラ」が4日間にわたり“アーティザナル”のデジタルコレクションを発表

 「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」は7月8日(フランス時間)を皮切りに、ユニセックスのオートクチュール“アーティザナル コーエド コレクション (ARTISANAL Co-ed Collection)”のデジタルインスタレーションを発表する。2020-21年秋冬オートクチュール・ファッション・ウイーク期間中の8日の後、11日、15日、16日の4日間に分けて全容を明かしていく。

 “アーティザナル”はメゾンの実験室であり、来シーズンのプレタポルテや「エムエム6 メゾン マルジェラ(MM6 MAISON MARGIELA)」などのコレクションのデザインにつながるソースとなるもの。メゾンは「再現することは、そこに宿る価値と意図を照らし、その本質を呼び起こすこと。それは、透明性のある明瞭なアプローチを意味する」というメッセージを発表しており、クリエイティブ・ディレクターのジョン・ガリアーノ(John Galliano)は今回のデジタルインスタレーションで透明性を掲げ、相互性(交流)と 一体性(包括)の新たな価値観を通してデザインアプローチを示すようだ。

 発表は「メゾン マルジェラ」のユーチューブ、インスタグラム、ウェイボー(微博、WEIBO)、ウィーチャット(微信、WeChat)の公式アカウントのほか、パリ・ファッション・ウイークの公式サイト上で配信される。

発表スケジュールは以下の通り、
第1報 フランス時間7月8日10時(日本時間8日17時)
第2報 同11日15時(同11日22時)
第3報 同15日18時(同16日午前1時)
最終報 同16日18時(同17日午前1時)

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「アトモス」と熊谷隆志の「ウィンダンシー」がコラボ “atmosea”Tシャツなど発売

 スニーカーショップの「アトモス(ATMOS)」は、スタイリストの熊谷隆志がディレクションする「ウィンダンシー(WIND AND SEA)」とコラボしたTシャツを7月10日に発売する。

 「ウィンダンシー」は“90年代ストーリートへのオマージュ”をコンセプトに、2018年にスタートした。今回発売するTシャツは、“SEA”のロゴとアトモスの象徴カラーであるブルーを組み合わせたモデルと、“atmosea”と語呂合わせしたモデルの2タイプ。ユニセックスで、価格はそれぞれ6500円だ。

 アトモスの表参道店とオンラインストアで発売する。また表参道店では、数量限定で1点もののカスタムTシャツも販売する。

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「アトモス」と熊谷隆志の「ウィンダンシー」がコラボ “atmosea”Tシャツなど発売

 スニーカーショップの「アトモス(ATMOS)」は、スタイリストの熊谷隆志がディレクションする「ウィンダンシー(WIND AND SEA)」とコラボしたTシャツを7月10日に発売する。

 「ウィンダンシー」は“90年代ストーリートへのオマージュ”をコンセプトに、2018年にスタートした。今回発売するTシャツは、“SEA”のロゴとアトモスの象徴カラーであるブルーを組み合わせたモデルと、“atmosea”と語呂合わせしたモデルの2タイプ。ユニセックスで、価格はそれぞれ6500円だ。

 アトモスの表参道店とオンラインストアで発売する。また表参道店では、数量限定で1点もののカスタムTシャツも販売する。

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「ディオール」と「ジョーダン ブランド」のスニーカーに500万人がエントリー

 「ディオール(DIOR)」がナイキ(NIKE)の「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」とコラボしたスニーカー“エア ジョーダン 1 OG ディオール(AIR JORDAN 1 OG DIOR)”に、約500万人からの購入資格申請があったことをピエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)=クリスチャン ディオール クチュール(CHRISTIAN DIOR COUTURE)社長兼最高経営責任者(CEO)が明らかにした。この人数はアイルランドやニュージーランドの総人口に匹敵する勢いだ。

 ベッカーリCEOによると、生産された1万3000足のスニーカーのうち5000足は、「ディオール」から直接オファーを受けた同ブランドの上顧客に提供されるという。残りの8000足がそのほかの顧客に向けて販売されることになるが、「ディオール」は6月25日に専用サイトを開設し、9時間にわたって購入希望者のエントリーを受け付けた。エントリーは先着順で、ローカットモデルは2000ドル(約21万円)、ハイカットモデルは2200ドル(約24万円)で販売される。

 購入希望者はモデルとサイズ、受け取り希望店舗を選択。エントリーは1足分の購入資格に対して1回のみ可能としていた。なお中国市場では別途、SNSのウィーチャット(微信、WeChat)に設けたプログラムを通じてエントリーが行われた。

 今年発売されるスニーカーの中で最も注目度の高い「ディオール」と“エア ジョーダン”のコラボレーションは、2019年12月にマイアミで行われた「ディオール」20年プレ・フォール・コレクションのショー内で発表された。発売は当初、今年3月に予定されていたが、新型コロナウイルスのパンデミックにより延期となっていた。

 キム・ジョーンズ(Kim Jones)「ディオール」メンズ アーティスティック ディレクターは“エア ジョーダン”のコレクターとしても知られており、40足以上を保有しているという。またナイキにとっては、今回のコラボレーションが“ラグジュアリー・ストリートウエア”市場参入への足掛かりとなるだろう。

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3年で意味が変わった言葉 その1 エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月5日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

3年で意味が変わった言葉 その1

 テレワークが普及した今はなおさら、社内でさえ、隣の島が何をしているのか分かりづらくなっています。「WWDJAPAN.com」編集部で、いろんなコトがメッチャ進行している雰囲気を察知したのでしょう。先日、ファッション週刊紙「WWDジャパン」編集長の向から、「今『.com』編集部が何をやっていて、何をやりたいのか教えて」というリクエストを賜り、社内の大勢に対してプレゼンをさせていただきました。振り返れば、その時のプレゼンは名言が多く(自画自賛w)、きっと皆さんの参考にもなるのでは?と考え、今日から3回に渡って、その言葉を紹介できればと思っています。今更ながら、自己紹介にもなるから「ちょうど良き」です。

 プレゼンは、「WWDJAPAN.com」の編集長に就任した3年前からの回想で始めました。(もっと少ないと思っていたのですがw、)当時のサイトPVは月間900万を行ったり来たり。UUなんて100万足らずです。朝9時から22時まで「1時間に1本は記事を!!」と思っていましたが、油断すると途切れてしまうほど青息吐息な毎日でした。それが気付けば今は、月間PVは2500万を大きく超え、UUは440万(余談ですが、ウチはこの数字、誠実に算出しております)。私の目標も、「『WWDJAPAN.com』を軌道に乗せる」から「週刊紙の『WWDジャパン』と対等な存在にまで押し上げる」「『WWDJAPAN.com』の可能性を広げる(簡単に言えば動画などです)」、そして今は、「拡張する、ブランドとしての『WWDジャパン』のハブになる」と進化しています。アイデンティティーを発信する週刊紙、ユーザーの裾野を広げるSNS、その絆を強めるイベント&セミナーなど、さまざまな「WWDジャパン」(ここには、ビューティ週刊紙の「WWDビューティ」も含まれています)が存在する中、「WWDJAPAN.com」はいずれとも直接つながっています。ゆえに「WWDJAPAN.com」は、さまざまなユーザーが、いろんな「WWDジャパン」を行ったり来たりする時、必ず通過する“駅”のような存在になれば、と思っているのです。

 と、「WWDJAPAN.com」に対する考えは目まぐるしく変化していますが、編集長に就任した時から、いや正直に言えばずっと前から、心掛ける3つのコアバリューは不変です。「デジタル・ファースト」と「ONE WWDジャパン」、そして「ゲームチェンジ」です。3回にわたって紹介したいと思うのは、この3つの言葉。奇しくも3年前は一元的な解釈でしたが、今はいずれも多元的に捉えています。

 長くなりましたが、今日は「デジタル・ファースト」のお話です。今、どこも声高に叫んでいますよね。

 3年前の私にとっての「デジタル・ファースト」は、とにかく、ニュースはウェブで先出し!!でした。ウェブはすぐにアップできるけれど、週刊紙は最長1週間待たなくちゃならないんだから、当然ですよね。記事の定期的アップに頭を悩ませていた当時の自分にとっての「デジタル・ファースト」は、量を担保するにおいても達成したい悲願でした。

 それが、今の僕にとっての「デジタル・ファースト」は、「デジタルで、最初に実験してみよう」に変わっています。デジタルコンテンツの1つ1つは、良くも悪くも、小さな点。だから「間違ってもいいじゃん」「失敗しても大丈夫!!」というマインドで、「とにかく、デジタルでやってみよう!」という意味の「デジタル・ファースト」になっています。下のリンクで紹介する気鋭のデザイナー、イリス・ヴァン・ヘルペン(Iris Van Herpen)の気持ち、すっごく理解できます。で、成功したら、積み上げたり、磨いたりして紙面に。すると紙面は、もっともっと骨太で、コアなファンにとって欠かせない媒体へと進化を遂げるでしょう。

 週明けは、「ONE WWDジャパン」について、お話したいと思います。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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小島健輔リポート アパレル過剰供給「3つの深淵」 狂気はなぜ止められないのか

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。新型コロナウイルスを機に、アパレルの過剰供給を見直す機運が高まっている。そもそも、なぜ作り過ぎてしまうのか。

 過半が売れ残るアパレルの過剰供給もコロナ危機を契機に多少は抑制されると思われるが、それを招いた業界体質が解消されない限り、根本的な解決には至らない。過剰供給と原価率切り下げの悪循環を検証し、それを招いた3つの業界体質を指摘したい。

過半が売れ残る過剰供給が常態化

 アパレル製品は需要に倍する過剰供給が止まらず、1999年以降は業界供給量の半分前後が売れ残る異常事態が常態化している。直近2019年は28億4600万点を供給しても13億7300万点しか売れず、14億7300万点(51.8%)が売れ残った。供給量の過半が売れ残っても、川下(小売業やアパレルメーカーなど流通段階)と川中(商社やOEM業者など製品化段階)でロスと在庫を分担して翌年に持ち越すから、実態はつかみ難い。

 衣料消費が回復局面にあった18年当時で、平均的な消化歩留まり率(全て正価で売れた場合を100とする)は小売りチェーンで65〜75%、直販型のアパレルメーカーで60〜70%だった。正価で半分売れて半分を50%オフで売り切った時の歩留まり率が75%だから最良でもそんなもので、近年は過剰供給が深刻化して正価販売率が落ち、店舗やECで値引き販売を繰り返しても小売りチェーンで10%弱、直販型のアパレルメーカーで15%前後、紳士既製服では30%前後も残る。

 川下の平均的残品率を20%と見ても、過半が売れ残る計算とは乖離があり、川中が少なからず抱えて翌年に販売したり、二次流通業者に放出して処分していると推察される。

販売コスト増を調達原価率に転嫁

 商品を販売するには商業施設の家賃、あるいは百貨店やECモールの販売手数料がかかるが、アパレル事業者は商業施設で売り上げの16.6〜17.5%、百貨店やECモールで25〜35%を負担している。これに商業施設店舗では内装投資の償却やキャッシュレス売り上げの決済手数料(最近はこの負担が重い)、販売スタッフの人件費などが加わり、売り上げの36〜38%に達する。百貨店ではキャッシュレス決済の手数料負担はないが(百貨店側が負担する)、派遣店員の人件費などを加えると売り上げの48〜50%にもなるから、駅ビルやSC(ショッピングセンター)に比べると倍近い価格を付けないと採算が取れない。

 90年代初期に比べれば、百貨店の販売コストは10〜12ポイント、商業施設の販売コストも5〜6ポイント上昇しており、その分、アパレル商品の調達原価率が切り下げられた。

 歩留まり率(換金率とも言う)は投入正価総額に対する実現売上率だから、実現売り上げに対する販売経費率を投入正価総額対比に換算(歩留まり率を掛ける)して差し引くと、商業施設に出店している小売りチェーンで投入正価総額対比43〜45%、百貨店に出店しているアパレルメーカーでは同32〜34%しか残らない。本部経費を考えれば、正価に対する調達原価率はSPA型の小売りチェーンで31〜33%、百貨店アパレルでは20%前後に抑えないと利益が残らない。

 90年代初期は小売りチェーンのSPA型調達で38〜40%、百貨店ブランドでは32〜33%だったと記憶しているから、ずいぶんと切り下げられたものだ。その分、お値打ち感が損なわれて消化歩留まりが下がり、それを埋めようとしてさらに原価率が切り下げられ、それがまた消化歩留まりを下げるという悪循環に陥って久しい。

悪循環を招いた3つの狂気

 こんな悪循環を招いた背景には3つの業界体質があったのではないか。

(1)コスト優先で過大ロット調達

 アパレルの調達コストはロットを増やすほど、工場の閑散期に合わせるほど下がるが、それに連れてリスクも増大する。ロットを増やし工場の閑散期に合わせると発注から販売までのリードタイムが長くなり、半年あるいは1年にも及ぶ。その間にトレンドは変わるし、ライバルが類似品を生産して過剰供給になるやもしれない。実際、大量に残るのは確実と見込んで大量生産した商品だ。

 アパレルのリスクはロットとリードタイムに比例して大きくなるから、コストを切り下げた以上に値引きや残品のロスがかさむことも少なくない。販売力以上のロットで作れば、当然に売れ残る確率は高くなる。

 一般に国内生産のロットは数十〜数百点、中国沿海部生産のロットは数百〜数千点、ベトナムやバングラデシュなど東南・南アジア生産のロットは数万〜数十万点とケタ違いに大きくなりコストも格段に下がるが、リードタイムも1〜2週間、4〜8週間、16〜32週間と倍々どころではなく長くなる。駅ビルなどに2〜4ダース(24〜48)の店舗を展開するアパレルチェーンの適正ロットは数百点、売れ筋になっても3000〜4000点だが、そんなアパレルさえ安く作るため無理して万に近いロットで発注することもある。近年はそんなギャンブルが珍しくなくなっていた。

 逆に数百〜数千店を擁していても、速やかな販売消化を期して発注ロットを小さく抑え、短サイクル生産に徹するアパレルチェーンもある。インディテックス(INDITEX)の「ザラ(ZARA)」は20年4月末で2138店舗も展開しているが、その1型あたり生産ロットはデザイン商品1万点/ベーシック商品3万〜4万点と小さく、4492店舗(19年11月末)を展開する「H&M」の10分の1程度と推計される。

 ロットを無理に増やしても調達コストを落とすのか、ロットを抑えた短サイクル調達で消化歩留まりを高めるのか、顧客の価格信頼感という点でもサステナビリティという視点からも後者が正解だと思うが、近年のアパレル業界は逆方向に突っ走っていた。

(2)売り上げ確保にロスと残品を予約

 過剰供給の起点はコスト切り下げでも、値引きや残品を抑制できず、調達量が増えてしまうのは業界の悪習にも起因している。翌年の予算を組み立てるとき、前年の売り上げ、値引き、残品の結果から数字を積み上げ、前年同様の値引きと残品を“予約”してしまうのだ。

 例えば、1億円の売り上げを稼ぐのに2000万円の値引きと1000万円の残品が発生したとすれば正価で1億3000万円の商品が投入されたわけで(それでも消化歩留まり率77%の好調事例)、翌年も同じように1億円を売ろうとすれば1億3000万円の商品を調達する予算になってしまう。これが繰り返される限り過剰供給を解消することは不可能で、値引きと残品を減らすには売上予算も調達予算も抑制して新たなバランスで出直す必要がある。

 値引きも残品も半分にすることを前提に、1億1500万円(1500万円減)しか調達しない予算を組んでも、売り上げは調達予算を落とした半分も下がらず、粗利益額はかえって増える(原価率30%なら1000万円以上)。売り上げが多少減っても儲けは増え、値引き販売が抑制されるから顧客の価格信頼感も回復し、継続するともとの売り上げを超える可能性が高い。

 調達量を抑制しても売り上げの減少を最小限に抑えるには、シーズンバランスを組み直して売上予算の山谷を抑え、実需期に引きつけて短サイクルに投入し、売上月指数の平準化を図るのが鉄則だ。ピークを抑えて売り上げを平準化すれば値引きや残品のロスが激減して粗利益率が上向き、2月や8月など谷月で最低保証売り上げを割り込んで法外な家賃負担に絶句することも避けられるから、収益の改善効果は粗利益以上に大きい。

 小学生の算数レベルの話だが、売り上げ至上の組織では視野狭窄に陥り、利益を削る過剰調達を繰り返してしまうのだ。

(3)POSを過信して値引きに依存

 バーコードかRFID(無線電子タグ)かはともかく、近年のアパレル販売はPOS(販売時点情報管理)をベースにアルゴリズムやAI(人工知能)で販売消化を予測する仕組みが定着しており、本部のコントローラーやディストリビューター(在庫運用担当)が売り場を見ないで値引きや移動を指示している。

 それはそれで合理的だが、商品が売れる勢いは売り場内やECサイト内の位置、陳列表現やささげ(撮影・採寸・説明原稿)表現によって大きく異なる。売れない商品も目立つ位置に目を引く陳列やPOP表示、インパクトあるささげ表現でSNS誘導すれば、息を吹き返して動き出すことが多い。

 POSが定着する以前の前世紀には、店舗の販売責任者が消化進行を見ながらグルーピングや陳列配置、陳列形状や色組み、コーディネートを替えて消化促進を図る編集運用スキルが存在したが、POSによる消化予測が普及するにつれ店舗から失われて行った。今やECサイトのささげ表現やSNS誘導の方が人海戦術で機動的に運用されており、店舗スタッフの編集運用スキルは退化する一途だ。

 とはいえ、今や米国では百貨店を抜いて売り上げが伸び続けるオフプライスストア業界首位のTJXは800坪の店舗を4529店(20年1月期末)も展開しているが、運営の要となるスキルは週サイクルの編集運用と店間移動だ。IT最先端の米国で人海戦術の在庫編集スキルが巨大チェーンの売り上げと利益を左右しているという現実を知ってほしい。

 消化が進まない商品は、抱えた在庫の量(消化に何週かかるか)にもよるが、一度は編集運用で消化に努めた上で値引きを決断すべきだ。編集運用を週サイクルで駆使すれば、私のクライアント平均では消化歩留まりが5ポイント以上、それに店間移動によるSKU(商品の最小管理単位)別値引き(消化不振の色・サイズだけ店間移動して値引きする)を組み合わせると10ポイント以上も改善された。

 それだけ消化歩留まりが上向けば原価率を切り上げられるから顧客にお値打ちな商品を提供でき、消化歩留まりの低下と原価率の切り下げという悪循環も断ち切れる。在庫編集運用は経験を積んだ人的スキルに頼る面は否めないが、組織的な実習とマニュアルを積み上げれば販売消化力を確実にかさ上げできる。デジタル一辺倒の時流だが、商品をひとつひとつ大切に売り切って値引きと廃棄を最小化するという編集陳列スキルは、機械的に値引き処理するITより遥かにサステナブルなのではないか。

      ◇

 テクノロジーの進化は必ずしも企業や業界の進化に直結するわけではない。むしろ、AIやシステムに依存して人的スキルが退化してしまう弊害も指摘される。規制緩和などの制度改革も同様で、新陳代謝を加速し仮需を拡大する効果はあっても、かえって流通のロスとコストを肥大させ、顧客の離反を招くことがある。進化がホントに進化なのか、かえって退化や過剰な廃棄や淘汰を引き起こしたりしないか、鳥瞰して冷静に見極めるべきだろう。

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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「サイコロ」という”いやらしさ”をまとい、大人気。坪月商50万の店主の店

 仕込み中には、「〇時から2名様ですね」などと予約電話を受ける声が立て続けに店内に響き渡る。午後3時の開店時には、お客が待っていましたとばかりカウンター席に腰を落ち着ける。今年6月5日東京・西荻窪に新たな繁盛店が誕生した。「サイコロ」----楽コーポレーションのOB、バカワライ社長・小林淳氏が手がける3軒目の店だ。
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「0秒レモンサワー 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」が東京・渋谷に2号店。コロナ禍で低価格酒場が支持。

チーズフォンデュ専門店「ガーデンファーム」など70店舗を展開するGOSSO株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田 建)が、7月7日に「0秒レモンサワー 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」の2号店を東京・渋谷にオープンさせる。
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ダイナック、田町駅構内にJR東日本運営で「ローズ&クラウン」出店。FCを3本目の柱に。

株式会社ダイナック(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:田中 政明)が、「ヴィクトリアンパブ ザ・ローズ&クラウン」のフランチャイズ1号店を7月27日にJR田町駅構内にオープンさせる。ジーは、株式会社JR東日本フーズ(本社:東京都台東区、代表取締役社長:日野 正夫)。
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コロナ禍でパリ在住13年のデザイナーが感じた「生き残る術はD2Cしかあり得えません」

 パリでラグジュアリーランニングウエアブランド「サティスファイ(SATISFY)」のチーフ・テクニカル・オフィサーとして活動する塩見孝太郎さんは、新型コロナウイルス感染拡大でファッション業界にも影響が広がる中、自身のブランドの大きな方向転換を決断した。コロナとどう向き合い、危機をどう乗り越えようとしたのか。パリでのブランディングに加え、グローバルに働くことの意義と醍醐味、そのリアルな実情を聞いた。「WWDジャパン」7月6日号の海外で奮闘するファッション業界の日本人特集で掲載しきれなかったインタビューを紹介する。

WWD:現在の仕事は?

塩見孝太郎「サティスファイ」チーフ・テクニカル・オフィサー(以下、塩見):デザイナーとパタンナーを足して二で割ったような内容です。加えて、100%ヨーロッパ生産の管理も担当しています。売り上げの40%はアメリカ、30%が中国を中心に日本を含むアジアです。以前、パリの百貨店ギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)のメンズ館に出店していたことがあり、現在はアメリカ・ロサンゼルスのセレクトショップ、フレッド シーガル(FRED SEGAL)にショップインショップがあります。

WWD:「クロエ(CHLOE)」に勤務した経験があるそうだが。

塩見:モデリストとして勤務しましたが、大きなブランドの中の服作りにおける数多くのプロセスの一部分を担う歯車でしかなかったことに物足りなさを感じました。もっといろんなことをやってみたいと思った私は、「サティスファイ」のブランド立ち上げに参画しました。

WWD:コロナは、今の仕事にどんな影響を与えた?

塩見:困難とは感じませんでしたが、変化せざるを得ない状況に一気に陥って、弊社はめちゃくちゃ早く対応しました。世界中のトップ・セレクトショップとのビジネスに重点を置いていましたが、それをカットしてD2Cブランドへと大きくかじを切ったのです。それまで卸の売り上げが80%でしたが、その比率を自社のオンラインショップに逆転させるべく力を入れて移行しています。もちろんオンラインショップの売り上げがすぐに跳ね上がるわけではないのですが、今まで他の部分に費やしていたエネルギーと資本を一気に注力しています。ビジネスのモデルチェンジを決定した3月中旬から現在に至るまで、売り上げはいい感じです。

WWD:どんな心境の変化があった?

塩見:コロナ禍で一番感じたことは、何かに固執していては淘汰されるということ。柔軟に対応し、変化し続けることの必要性と重要性です。恐らくコロナショックでパリにアトリエを構えている多くの小規模ブランドは、経営危機に陥る(陥っている)と思います。自転車操業をしている会社ばかりですので、残念ながらつぶれる会社は多いと予想しています。コロナ以前のビジネスモデルは、もはや通用しません。パリ・ファッション・ウイークが開催できなくなり、世界中のバイヤーが来れないわけですから、単純に商品を売る相手がいません。そもそも、世界の状況を見ると、パリやイタリアのハイファッションどころではありません。そんなことに世界は今関心がないのです。今、ブランドが生き残る術は、D2Cしかあり得えません。断言できます。もう一度言いますが、以前のビジネスモデルに固執していては淘汰されます。実店舗に客が来なくなり、ビジネスパートナーであるセレクトショップもガタガタ。となると、生き残る道は実にシンプルに一つだけです。

WWD:今後の目標は?

塩見:シンプルに“ファンを作って増やす”です。今は、オンラインショップで常に新しい風を吹かせて充実させるために、新しいプロダクトの製作や他ブランドとのコラボレーション企画が一気に進み始めています。実は、パリのロックダウン以前よりも今が格段に忙しいです。

WWD:もともと海外勤務を選んだ理由は?

塩見:上田安子服飾専門学校を卒業後、すぐにパリに留学し、インターンを経て、そのままこちらで仕事を始めました。日本で就職しなかった理由は、もっと広い世界を見て勉強したかったからです。

WWD:パリで働く意義は?

塩見:ファッション・ウイーク中をはじめ、世界中からファッション関係者が大勢集まるので、人脈作りに大きな可能性を秘めています。日本で働いた経験がないので比較できませんが、パリでは残業も休日出勤もなく、バカンスがあり、働く環境は優れていると思います。そして、フランス社会におけるファッションの地位が高いこと。ファッションは文化であり、その職に就いている人は尊敬されており、年収はフランス国民の平均以上ではないでしょうか。今の日本は、若い人がファッションに対して夢を抱けないでいますが、フランスでは人気の職種です。

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