記者のコメント:3ルックしか出てこなかったが、映像がダークな雰囲気で、個人的に好みかつメタファーも多くて面白かった。"IL MEDICO DELLA PESTE"というタイトルは、ペストの医者という意味。動画では黒装束の女性が自由の女神像をぐるぐる巻きにしていることから、彼女は新型コロナウイルスを表現していて、人々から自由を奪っている存在。ストーリーは昔のイタリアの医者が着けていた仮面を着けた男が彼女と対峙し、最終的にコロナは馬になって女性を襲おうとしているという、かなりピンチなところで終わる。最後女性が屋内に逃げようとしているのも、コロナから逃れようと家に籠るこの状況と似ている。プレリュードはフランス語で前奏曲という意味だが、この話の続きの動画は9月に公開されるそうだ。(丸山)/コロナを擬人化したダークファンタジー。退廃的な映像が美しく、せりふなしのショートフィルムを見ているような感覚で見ることができる。しかし、スローモーションの11分間の映像は少し尺が長く感じてしまったのと、(ソルビエの作風ではあるが)ビクトリア朝風の衣装にコスプレ感が否めない(大杉)
記者のコメント:従来のクチュールコレクションとは一味異なる新プロジェクト「フェイス トゥ フェイス(Face to Face)」のお披露目。世界中のクライアント一人一人とオンライン上で対話をして、一枚の白シャツとその思い出をもとに特別な一着へと仕立てていく。とても贅沢な体験でありながらも、シャツというリアルなアイテムであることからとても身近で、日常で着用することができるデザインから大胆なアイデアまで、中里デザイナーの仕事の奥深さを感じられた。またインスタライブでは一緒に発表を視聴するデジタルパブリックビューイングを行い、中里デザイナーの思いを聞くことができるなど、参加していて楽しかった(大杉)
記者のコメント:「一瞬で終わってしまった」というのが第一印象。先月発表された2021年クルーズ・コレクションが7分間だったため、長編もあるのかと期待してしまった。撮影はスウェーデンの写真家ミカエル・ヤンソン(Mikael Jansson)、モデルは去年「ザ・ファッション・アワード」でモデル・オブ・ザ・イヤーを受賞したアダット・アケチ(Adut Akech)や、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)のミューズとして知られるフレジャ・ベハ・エリクセン(Freja Beha Erichsen)の現ガールフレンドであるリアン・ヴァン・ロンパエイ(Rianne Van Rompaey)、人気モデルのエディ・キャンベル(Edie Campbell)の3人の豪華な顔ぶれ。ヤンソンによるルック画像も美しいが、変形ツイードセットアップや手の込んだビジュードレスなどをもう少しゆっくり動く姿で見て見たかった。その一方で、アップルミュージックでこのコレクションのイメージを音でも楽しめるプレイリストを出していたのは嬉しいサプライズだった(大杉)
イリス ヴァン ヘルペン(IRIS VAN HERPEN) ★★★☆☆
“期待値が高く、想像の範囲を超えないものでガックリ”
クリエイション○/映像美○/ストーリーテリング△/尺△2分57秒 /インスピレーション○/拡散力○
記者のコメント:奇想天外なアイデアを、伝統的な職人技と最先端の技術を融合して表現するブランドなだけに、見る前から期待が高かった。石が動き出して花の形になっていくSF映画のような場面から始まり、その花のモチーフをあしらったドレスが登場。花の形のように立体的で美しい白いミニドレスなのだが、同じドレスを映し続ける映像は物足りなさがあった。公式サイトに上がったイリスのインタビューを見てみると、「次はVRを使ってリアルのショーを行いたい。私はいつも3Dで表現しているけれど、映像になると2Dになってしまうことが悩ましかった。VRを使えばもっと多くの人の感情をかき立てられるはず」と語っており、本人も葛藤があったように感じられた(大杉)/オートクチュール・ウイークの中で毎回楽しみにしているブランド。普段から3Dプリンターを使ったデザインを取り入れていたりと、クチュール参加ブランドの中でおそらく最も3DやCG技術に長けていると思われるからこそ今回のオンラインでどんな発表になるのか期待に胸を膨らませていた。しかし、映像は想像の範囲を超えないもので、期待していただけにガックリ。でもその後いろんなブランドの発表を見て、皆大変な状況の中「イリス」は頑張っていたと実感。ちなみにモデルは人気HBOドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)」で魔女役を演じたカリス・ファン・ハウテン(Carice van Houten)。ドラマの魔女のイメージが強かったのですぐに気付かなかったが、透明感のある映像と彼女の神秘的な雰囲気はぴったりだった(丸山)
JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員
米通商代表部(The Office of the United States Trade Representative以下、USTR)は7月10日、13億ドル(約1378億円)相当のフランス製品に対する25%の追加関税を2021年1月までに課すると発表した。主な対象品目はハンドバッグのほか、口紅やフェイスパウダーなどのメイク用品、マニキュア、洗顔料やスキンケア用品(医薬品は除く)など。
ラグジュアリーブランドの中では、ハンドバッグ類を全てフランス国内で生産している「エルメス(HERMES)」が影響を受けることが考えられる。一方で、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)が擁する「ルイ・ヴィトン」は米国内に3カ所の工房があり、「グッチ(GUCCI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」を擁するケリング(KERING)はイタリアに多くの生産拠点を構えている。
大澤:同ブランドは、名前を聞いたことがある程度でしたので、冒頭は真面目な方で「ロエベ」のようにインタビュー形式なのかなと思っていました。そしたら、あの巨大ロッキングチェアを人力で動かしているんですよ、本当にびっくりしました。思わずコメディー映画のエンディングシーンかと。あれだけ盛大にセットをそろえての撮影は、今回が初めてかもしれませんね。他ブランドと違い、メイクシーンを映しているのが印象的でした。黒い粉のようなものって何だったんだろう…。あのアップと、人柄からして普通のものではなさそう(笑)。もしかしたら、奇抜な演出のショーをする人ほど真面目なのかもしれませんね。ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク(Walter Van Beirendonck)しかり。
大澤:おっと次の「ルード」は少しだけお金持ちになった気分になりました。同ブランドは13年に米・LAで誕生。フィリピン出身のルイージ・マーク・ビラセナー(RHUIGI MARK VILLASENOR)が手掛けるストリートブランドです。一戸建ての家の中や、その周りの広い庭、プール、生い茂る森林での撮影で、細身のスエットパンツやロゴパッチを使用したMA-1、Tシャツなどをいつも通りの提案。今回も変わらずじまいだったのが残念でした。「ルード」好きはいいかもしれないですが、この手のブランドはジェリー・ロレンゾ手掛ける「フィアー オブ ゴッド(FEAR OF GOD)」がチラつきます。ラグジュアリーストリートは今、まさに転換期を迎えていると思うので一捻り欲しかったのが正直なところ。あ、サングラスを推したいのはとても伝わりましたよ(笑)。
モデルの星あやによるシューズブランド「イエロ(YELLO)」はこのほど、ブランド初のコスメ「イエロ フェイス アンド ボディ グロー(YELLO FACE AND BODY GLOW)」を発売した。ハイヒールを中心に“美脚になれる”シューズ作りにこだわってきたブランドから生まれた肌に光沢を与えるメイクアップ美容液だ。アルガニアスピノサ核油やツバキ種子油、カニナバラ果実油、マカデミア種子油、クロレラエキス、ヒアルロン酸などの美容成分とラメ粒子を配合する。脚や腕、デコルテに伸ばすことで”美肌加工フィルターをかけたような質感”を得られるほか、頬骨や鼻先などに施してハイライトのようにも使用できる。価格は4800円(50mL)。
ここ最近のビームスは主軸のアパレル事業にとどまらず、社員たちの暮らしぶりやインテリアを紹介した書籍「BEAMS AT HOME」の制作や美術館の公式グッズの監修のほか、自治体と連携して地方創生などにも力を入れており、ファッション業界で培ったモノやコトを他の領域で生かしている。社員やショップスタッフもインスタグラムやユーチューブなどで積極的に発信し、個々に活躍の場を広げている。これまに取材してきた同社のショップスタッフを思い返すと、個性豊かな人が多く、「心底ファッションが好きなんだな」と思うことが多い。今回インタビューしたビームス六本木ヒルズの齋藤龍治さんもそんな一人だ。