「ロジェ ヴィヴィエ」が初のインスタフィルターを発表 パリを散歩するバーチャルツアーゲーム

 ゲラルド・フェローニ(Gherardo Felloni)がクリエイティブ・ディレクターを務める「ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」は7月13日、インスタグラム上のフィルターゲーム「ウオーク・ユア・ツナ(Walk Your Tuna)」を発表した。

 インスタグラムで人気のある犬のツナ(@tunameltsmyheart)と散歩を楽しめるバーチャルツアーゲームで、エッフェル塔やルーヴル美術館のピラミッド、コンコルド広場などのパリの名所を巡ることができる。またキャラクターとしてベルサイユ宮殿に住む猫や、映画女優、東京から来たDJ、エキセントリックなおばあちゃんら、パリで行なったプレゼンテーション“ホテル ヴィヴィエ”でも登場した仲間たちもイラストになってゲーム内に出現する。東京から来たDJはマドモアゼル・ユリアが着想源になったという。

 使い方は、「ロジェ ヴィヴィエ」の公式インスタグラムアカウント(@rogervivier)からフィルターを保存し、キャラクターを選択。インカメラの撮影画面でまばたきや口を開けることでキャラクターを前に進めたり、ジャンプをさせることができ、障害物を避けながら進むことができる。

 ゲームはクリエイティブ・エージェンシーのピンクソルト(Pink Salt)がプロデュースし、イラストは韓国のイラストレーターのキム・ヨンオー(Kim Yong Oh)が手掛けた。

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服と家具がマッチしちゃった? 「グッチ」が遊び心あるキャンペーン写真を公開

 「グッチ(GUCCI)」はスニーカー“グッチ テニス 1977”のデジタル・キャンペーン「#ACCIDENTALINFLUENCER」の第2弾を公開した。
 
 アーカイブにインスパイアされた人気アイテムである“グッチ テニス 1977”を主役に、“模倣”をテーマにした遊び心溢れるアートを制作するプロジェクトだ。

 第1弾はドッペルゲンガー現象をイメージした写真だったが、今回は自分の洋服が部屋の家具とマッチしてしまった人々を写真に収め、“模倣”を違った視点で解釈している。ロンドンを拠点とするフォトグラファーのマックス・ジーデントップ(Max Siedentopf)が第1弾に続き撮影を担当した。

 「グッチ」初のサステナブルなコレクションから、端材や廃棄物を原材料とする再生ナイロン糸「エコニール(ECONYL)」などのサステナブル素材を使用した“グッチ テニス 1977”も用意する。

 インスタグラムのストーリーとティックトック(TikTok)ではそれぞれオリジナルのキャンペーンビデオを公開する。また、「グッチ」のバーチャル試着サービスで同スニーカーも試着可能だ。

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デジタル版パリコレ オートクチュールの映像を勝手に採点 最高点は「ディオール」と「V&R」

 世界的な新型コロナウイルス流行の影響で、パリコレ史上初となるオンライン開催の2020-21年秋冬オートクチュール・コレクションが7月6~8日に開催されました。店頭に並ぶプレタポルテの洋服とは異なり、限られた人のために仕立てられるオートクチュールはファッション業界で働く人にとっても遠い存在に感じるものですが、今回はオンライン開催ということで、皆が平等に同じタイミングで発表を見ることができる初めての機会でした。「WWDジャパン」編集長の向も日記形式で動画をリポートしましたが、ここではオートクチュールを生で見たことがない取材班が感動した動画、イマイチだった動画を勝手に採点してみました。

■採点基準
・クリエイション……コレクションそのものの美しさ
・映像美……映像の美しさ、カメラワークなどのクオリティー
・ストーリーテリング……コレクションの内容がうまく伝わったか、物語の分かりやすさ
・尺……映像の長さ。発表内容に対して長すぎず、短すぎないか。飽きずに見られたか
・インスピレーション……時代性や面白さを感じたか
・拡散力……SNSでのPR施策。話題を作れたか、誰かにシェアしたくなったか

◎、○、△の3段階評価/星5点満点

【ドラマ・ストーリー性の強い動画部門】
ディオール(DIOR) ★★★★★
“群を抜くクオリティーの高さとファンタジーの世界観”


クリエイション◎/映像美◎/ストーリーテリング◎/尺◎ 14分42秒/インスピレーション○/拡散力○

記者のコメント:ミニチュアのクチュールドレスは職人たちの高度な技術の証しで、これまでもアトリエで制作されてきた。そんなメゾンの歴史とのつながりとファンタジーな世界観が融合されていて、ブランドらしさの表現における完成度の高さを感じる作品。セリフのないストーリーにもかかわらず約14分間飽きずに見られた(藪野)/この短期間で映画のようなクオリティーの映像を作り出すことができるのは本当にすごい。ミニチュアから本物のドレスになっていくというメゾンのモノ作りを裏テーマにしているのも共感できる。発表に合わせてインスタグラム上でARフィルターを提供、セレブリティーが感想を述べる動画をアップするなどSNS拡散力も強い。ただ、多様性が重要視されるこのご時世で、白人のみのキャスティングには違和感があった(大杉)/「ディオール」衣装提供という無音のショートムービーを鑑賞した感じ。群を抜くクオリティーの高さとファンタジーのある世界観は本当に美しくて、見応え十分でした(皆合)/絵本の中の世界を具現化したような繊細で神聖な映像に見入ってしまった。「ディオール」の最近のコレクション会場ではフェミニストの詩などを掲示したりと伝えたいメッセージが明快だったが、今回はダークファンタジーを得意とする映画監督の力量ももあって、美しくも絵画のように何重にも隠されたメッセージがあるかもしれないと思わせ、さらにそれを探り当てたいと冒険心がくすぐられた。発表の直前にインビテーションを模したVRフィルターを公開したのもプラスポイント。編集長には紙のインビテーションが届いたが、誰でも見られるコレクションだからこそ、皆が皆インビテーションを受け取れるわけではないからVRで提供しようという発想が新しい(丸山)

フランク ソルビエ(FRANCK SORBIER) ★★★★☆
“コロナを擬人化したダークファンタジー”


クリエイション○/映像美◎/ストーリーテリング◎/尺○ 11分39秒/インスピレーション◎/拡散力△

記者のコメント:3ルックしか出てこなかったが、映像がダークな雰囲気で、個人的に好みかつメタファーも多くて面白かった。"IL MEDICO DELLA PESTE"というタイトルは、ペストの医者という意味。動画では黒装束の女性が自由の女神像をぐるぐる巻きにしていることから、彼女は新型コロナウイルスを表現していて、人々から自由を奪っている存在。ストーリーは昔のイタリアの医者が着けていた仮面を着けた男が彼女と対峙し、最終的にコロナは馬になって女性を襲おうとしているという、かなりピンチなところで終わる。最後女性が屋内に逃げようとしているのも、コロナから逃れようと家に籠るこの状況と似ている。プレリュードはフランス語で前奏曲という意味だが、この話の続きの動画は9月に公開されるそうだ。(丸山)/コロナを擬人化したダークファンタジー。退廃的な映像が美しく、せりふなしのショートフィルムを見ているような感覚で見ることができる。しかし、スローモーションの11分間の映像は少し尺が長く感じてしまったのと、(ソルビエの作風ではあるが)ビクトリア朝風の衣装にコスプレ感が否めない(大杉)

【モノ作りドキュメンタリー+α部門】
ラルフ & ルッソ(RALPH & RUSSO) ★★★★☆
“手仕事と最新のデジタルを融合 アバターと世界遺産を巡るデジタルツアー”


クリエイション○/映像美◎/ストーリーテリング◎/尺◎ 6分23秒/インスピレーション◎ /拡散力△

記者のコメント:コロナ禍を経て、恋しくなった“旅行の楽しさ”を動画を通してうまく表現していた。前半はアトリエの丁寧な手仕事やデザインプロセスを紹介し、後半はアバターにドレスを着せて、中国の万里の長城やインドのタージ・マハル、ヨルダンの遺跡ペトラなどの世界遺産、観光地を巡るデジタルツアー。職人技を守りながらも、デジタルならではの挑戦に好感を持った(大杉)

ラウル ミシュラ(RAHUL MISHRA)★★★★☆
“作り込み過ぎない制作背景と自然の美しさの表現”


クリエイション○/映像美◎/ストーリーテリング○/尺◎ 7分31秒/インスピレーション◎/拡散力△

記者のコメント:コロナを機に生態系からインパイアされた自然の美しさを表現。刺しゅうなど繊細な職人の手仕事を見せつつも、途中で職人のスマホがちらっと映るなど、作り込み過ぎずリアルでよかった。ドレスと合わせたマスクを提案するなど時代性も感じられた(大杉)

グオ・ペイ(GUO PEI)★★★☆☆
“インスピレーションからシルエット、ディテールも十分に伝わる10分間”


クリエイション○/映像美◎/ストーリーテリング◎/尺○ 9分56秒/インスピレーション◎/拡散力△

記者のコメント:予想以上によかった。前半はデザイナーがインスピレーションや制作背景について語る映像で、後半は複数のモデルが実際の服を着て動く映像。後半の映像は、インスピレーション源のパリにある国立自然史博物館に並ぶ動物の標本のようにモデルが静止して並ぶところから始まり、いろんなカメラワークや回転台を生かして、服のシルエットやディテールも十分にわかる内容で飽きずに10分間見ることができた。やはり、パンデミックやロックダウンを経験して、自然や生態系に思いを馳せるブランドが全体的に多い(藪野)

ユイマ ナカザト(YUIMA NAKAZATO)★★★★☆
“世界中のクライアント一人一人とオンライン上での対話”


クリエイション◎/映像美○/ストーリーテリング◎/尺○ 4分12秒/インスピレーション◎ /拡散力○

記者のコメント:従来のクチュールコレクションとは一味異なる新プロジェクト「フェイス トゥ フェイス(Face to Face)」のお披露目。世界中のクライアント一人一人とオンライン上で対話をして、一枚の白シャツとその思い出をもとに特別な一着へと仕立てていく。とても贅沢な体験でありながらも、シャツというリアルなアイテムであることからとても身近で、日常で着用することができるデザインから大胆なアイデアまで、中里デザイナーの仕事の奥深さを感じられた。またインスタライブでは一緒に発表を視聴するデジタルパブリックビューイングを行い、中里デザイナーの思いを聞くことができるなど、参加していて楽しかった(大杉)

【パフォーマンス部門】
アザロ(AZZARO) ★★★☆☆
“まるでミュージックビデオ、クチュール映像だということを忘れてしまう”


クリエイション○/映像美◎/ストーリーテリング○/尺○ 4分49秒/インスピレーション○/拡散力○

記者のコメント:オリヴィエ・ティスケンス(Olivier Theyskens)による新生「アザロ」のデビューコレクション。ゴールドのスリットドレスを着たベルギー人歌手シルヴィ・クロイシュ(sylvie kreusch)が暗闇の中で風に吹かれながら歌い出す映像で、まるでミュージックビデオ。クチュール映像だということを忘れてしまう(笑)。曲もキャッチーで、クロイシュがとてもかわいい。ティスケンスはメゾンの歴史を研究して、メゾンの歌手や女優たちとの結びつきを現代風に表現しようとこの発表方法を選んだそう(大杉)

【無観客ショー部門】
ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)★★★★★
“激動の今の時代を表す愛のクチュール”


クリエイション◎/映像美◎/ストーリーテリング◎/尺◎ 5分20秒/インスピレーション◎/拡散力◎

記者のコメント:生配信で見た直後、感動して5回も再生してしまった。丁寧に一着一着のドレスの解説していた昔のクチュールショーを、現代流にアレンジしながらもユーモアが利いていて、見ている人たちを笑顔にする発表だった。“チェンジ(change)”をテーマに激動の今の時代を表す「悲しみと怒り(A feeling of sadness and anger)」「相反する感情(Signaling our conflicting emotions)」「愛の発散(Radiate Love)」の3つのグループで構成されたコレクションで、おウチ時間にラグジュアリーを感じさせるバスローブドレスや、最新トレンドのアクセサリーとしてマスクを登場させるなど、今の時代性を捉えている。絵文字を使ったドレスなど、過去のコレクションとの連動性も感じられるのもよかった。ナレーターが歌手のMIKAというのもサプライズ。最後には「人々は年齢、肌の色、性別、人種、宗教、セクシュアリティーに関係なく、愛される価値がある」というメッセージで締めくくられとても温かい気持ちになった(大杉)/これまでもくすりと笑わせてくれるユニークなクリエーションとストレートなメッセージでSNSユーザーの心をつかんできたが、今回もSNSウケしそうな予感。激動の2020年を生きるわれわれの変わりやすい感情をストレートに表現しつつ、最後は愛の大切さを説く。今回はSNSで注目を集めるようにきちんと仕掛けていて、動画の最初に出てきた「change」のタイトルをインスタグラム のVRフィルターで提供したほか、同コレクションを世界のインフルエンサーに送り、早速着用してもらっていたのも、より多くの人にコレクションを見てもらう機会になったようだ。最新コレクションを着用したのは歌手のリタ・オラ(Rita Ora)、ヴァーチャルインフルエンサーのnoonoouri、ドラァグクイーンのミス・フェイム(Miss Fame)で、リタ・オラはユニセフのアンバサダーであったり、noonoouriはバーチャルな存在ながらサステナビリティやBLMについて積極的に投稿している。さらにダイバーシティーを尊重するという意味でミス・フェイムという、世界にポジティブな"チェンジ"をもたらしそうな人選になっていた(丸山)

【イメージムービー部門】
シャネル(CHANEL) ★★★☆☆
“手の込んだクチュールピースをまとった豪華なモデルたちをゆっくり見たかった”


クリエイション◎/映像美○/ストーリーテリング△/尺△1分22秒 /インスピレーション◎/拡散力○

記者のコメント:「一瞬で終わってしまった」というのが第一印象。先月発表された2021年クルーズ・コレクションが7分間だったため、長編もあるのかと期待してしまった。撮影はスウェーデンの写真家ミカエル・ヤンソン(Mikael Jansson)、モデルは去年「ザ・ファッション・アワード」でモデル・オブ・ザ・イヤーを受賞したアダット・アケチ(Adut Akech)や、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)のミューズとして知られるフレジャ・ベハ・エリクセン(Freja Beha Erichsen)の現ガールフレンドであるリアン・ヴァン・ロンパエイ(Rianne Van Rompaey)、人気モデルのエディ・キャンベル(Edie Campbell)の3人の豪華な顔ぶれ。ヤンソンによるルック画像も美しいが、変形ツイードセットアップや手の込んだビジュードレスなどをもう少しゆっくり動く姿で見て見たかった。その一方で、アップルミュージックでこのコレクションのイメージを音でも楽しめるプレイリストを出していたのは嬉しいサプライズだった(大杉)

イリス ヴァン ヘルペン(IRIS VAN HERPEN) ★★★☆☆
“期待値が高く、想像の範囲を超えないものでガックリ”


クリエイション○/映像美○/ストーリーテリング△/尺△2分57秒 /インスピレーション○/拡散力○

記者のコメント:奇想天外なアイデアを、伝統的な職人技と最先端の技術を融合して表現するブランドなだけに、見る前から期待が高かった。石が動き出して花の形になっていくSF映画のような場面から始まり、その花のモチーフをあしらったドレスが登場。花の形のように立体的で美しい白いミニドレスなのだが、同じドレスを映し続ける映像は物足りなさがあった。公式サイトに上がったイリスのインタビューを見てみると、「次はVRを使ってリアルのショーを行いたい。私はいつも3Dで表現しているけれど、映像になると2Dになってしまうことが悩ましかった。VRを使えばもっと多くの人の感情をかき立てられるはず」と語っており、本人も葛藤があったように感じられた(大杉)/オートクチュール・ウイークの中で毎回楽しみにしているブランド。普段から3Dプリンターを使ったデザインを取り入れていたりと、クチュール参加ブランドの中でおそらく最も3DやCG技術に長けていると思われるからこそ今回のオンラインでどんな発表になるのか期待に胸を膨らませていた。しかし、映像は想像の範囲を超えないもので、期待していただけにガックリ。でもその後いろんなブランドの発表を見て、皆大変な状況の中「イリス」は頑張っていたと実感。ちなみにモデルは人気HBOドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)」で魔女役を演じたカリス・ファン・ハウテン(Carice van Houten)。ドラマの魔女のイメージが強かったのですぐに気付かなかったが、透明感のある映像と彼女の神秘的な雰囲気はぴったりだった(丸山)

【番外編:え、もう終わり!?ティザー部門(採点なし)】
メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)

記者のコメント:「メゾン マルジェラ」20年春夏のファッションショーで力強いウオーキングを見せて話題をさらったモデルのレオン・デイム(Leon Dame)らしき人物が登場。サーモグラフィーのような加工がかっこいいが、47秒で終了!!しかし、これはティーザー映像の一つということでご安心を。4日間に分けてコレクションを明らかにしていく仕掛けで、7月16日に全貌が明らかになる(大杉)

ヴァレンティノ(VALENTINO)

記者のコメント: 宙に浮いた布がゆらゆら、ドレスが風になびく映像が映し出されてわずか40秒でエンドロールに。こちらも7月21日に行われるライブパフォーマンスのティーザーだという。写真家で映像監督でもある巨匠ニック・ナイト(Nick Knight)とのコラボレーションとのことで期待が高まる(大杉)

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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暖冬対策で薄手ワンピを充実 「ユニクロ」20-21年秋冬展示会から VOL.2

 「ユニクロ(UNIQLO)」2020-21年秋冬物の展示会で、前回のコラムで紹介した「アップデート」と共にキーワードになっていたのが「端境期」でした。「端境期」とはシーズンとシーズンの間の時期を意味し、ファッション業界ではよく使われる言葉です。ここ十数年ほど、暦上の春夏秋冬の区切りと体感としてのシーズンが年々大きくズレるようになってきており(本来は秋なのにまだまだ暑いため夏物でいい、暦上では冬なのにコートがいらない、など)、それにいかに対応するかはコロナ禍以前からのファッション業界の大きな課題となっていました。「ユニクロ」も一昨年、昨年の暖冬で冬物が売れず、「端境期」対応に苦慮していたという経緯があります。2年の苦しみを経た「ユニクロ」が考える「端境期」対応とは?

 クリストフ・ルメール(Christophe Lemaire)による「ユニクロ ユー(UNIQLO U)」では、まさに「『端境期』に着られるもの」「『端境期』を念頭に置いている」といった説明がありました。基本的に、厚手のアイテムをそれ1枚で着るというよりも、薄手のシャツやニットをレイヤードするという提案で、暖冬にも厳冬にも対応できるようにしていました。「ユニクロ ユー」ウィメンズの注目アイテムはワンピースです。これは最近ファッション業界でよく言われていることなのですが、薄手のワンピースって(あとは薄手のスカートも)、年中着られるオールシーズンアイテムなんですよね。ビスコース地やコットンサテン、ニットポロなど、薄手の素材感でさまざまなワンピースを企画していました。秋口のまだまだ暑い時期には1枚でサラリと着られて、気温が下がってきたらインナーにタートルニットを合わせれば、暖冬、厳冬どっちに転んでもしっかり売れる、という考え方でした。

 「ユニクロ ユー」メンズは薄手のアウター類が充実していました。たとえばウール混のオフィサージャケットは、シャツと本格的なジャケットの中間的な厚みです。去年、ウィメンズで“シャケット(シャツとジャケットの中間)”といった名称で売れたアイテムの延長ですね。あとはコーデュロイのアウターも豊富。コーデュロイも見た目には秋冬感がありつつ、実際のところはそこまで地厚ではなく、まさに「端境期」にピッタリの素材だと思います。

 薄手のアイテムをレイヤードしていくことで、暖冬にも厳冬にも対応するという考え方は、もちろん「ユニクロ」の通常ラインにも貫かれていました。そもそも、「ユニクロ」の冬の看板商品である“ウルトラライトダウン”や“ヒートテック”、フリースも、レイヤードによる温度調節を念頭に置いたアイテムですよね。あとは、通常ラインのメンズで薄手のハンティングジャケットを推していましたが、それも「日本の冬は、もうこれくらいの厚みのアウターで十分」といったメッセージのように感じました。

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米政府、仏製品に対して25%の報復関税か ハンドバッグや化粧品が対象

 米通商代表部(The Office of the United States Trade Representative以下、USTR)は7月10日、13億ドル(約1378億円)相当のフランス製品に対する25%の追加関税を2021年1月までに課すると発表した。主な対象品目はハンドバッグのほか、口紅やフェイスパウダーなどのメイク用品、マニキュア、洗顔料やスキンケア用品(医薬品は除く)など。

 これはフランスがアマゾン(AMAZON)、アップル(APPLE)、グーグル(GOOGLE)、フェイスブック(FACEBOOK)などの米テクノロジー大手を対象に「デジタルサービス税」を導入すると発表したことに対する報復措置だが、USTRは「米国の権利を守るための協議に大幅な進展があった場合、もしくは協議のためにさらなる時間が必要である場合」は追加課税の発動を最大180日間先送りにすることを明らかにしており、その期限が21年1月となる。

 フランスは19年7月にデジタルサービス税の導入を決めていたが、これを受けてUSTRは24億ドル(約2544億円)相当のフランス製品に100%の報復関税を検討すると発表。その後2国間で協議を重ね、20年1月にはドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領と、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領はデジタル課税に関して“休戦”することに合意していた。

 米アパレル&フットウエア協会(American Apparel & Footwear Association)のネイト・ハーマン(Nate Herman)=ポリシー担当シニア・バイス・プレジデントは、1月に行われた公聴会で、「ファッション業界は米仏間におけるデジタル課税という全く関係のない紛争に巻き込まれている。米政府がフランスに対する懲罰的な追加課税を発動してハンドバッグなどの売り上げが落ちたら、アメリカの労働者も影響を受ける」とコメントしている。

 ラグジュアリーブランドの中では、ハンドバッグ類を全てフランス国内で生産している「エルメス(HERMES)」が影響を受けることが考えられる。一方で、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)が擁する「ルイ・ヴィトン」は米国内に3カ所の工房があり、「グッチ(GUCCI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」を擁するケリング(KERING)はイタリアに多くの生産拠点を構えている。

 米国と欧州は、航空機メーカーへの補助金を巡って互いに追加関税を課するなどの紛争を10年以上も続けている。同じく長期にわたって繰り広げられている米中貿易摩擦は、11月に迫った米大統領選を前に小康状態を保っているものの、新型コロナウイルスに関する対応で両国は再び対立を深めている。

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デジタルメンズコレでドタバタ対談 4日目は「ロエベ」の超絶技術と「カラー」の回転に目が点

 デジタルでのオートクチュール・コレクションが終わり、次はパリのメンズ・コレクションがスタートしました。7月9日から5日間にわたって、70近いブランドが新作をオンラインで発表します。そこで今回は、主にメンズを担当している記者が「頑張ってリアルタイムで見てみました」取材を日替わりで担当します。「アーカイブでも見られるのにオンラインで見る意味あるの?」という周囲の視線を感じながらも、「コレクションはライブ感!」と信じて完走を目指します。4日目は海外コレクション取材歴4年目の大塚千践「WWDジャパン」デスクと、海外コレクション初取材の大澤錬「WWD JAPAN.com」記者がリポートします。

7月12日(日)17:00(パリ時間10:00) 「オーラリー」

大澤錬「WWD JAPAN.com」記者(以下、大澤):さあさあ本日もドタバタ日記スタートしていきたいと思います。連日の登場になりますが、若手の“ファッションバカ”の大澤でございます(笑)。大塚さんよろしくお願いします!一発目は「オーラリー(AURALEE)」。冒頭は空や海などの自然の背景からスタートし、1ルック目は海に合わせたライトブルーカラーのコートに、グレーのスラックスで登場。アイテムは比較的使いやすいパープル、ホワイト、ブラック、グレーなどのカラーリングに、ステンカラーコートやセットアップ、シャツなど同ブランドらしいベーシックなものが引き続き多い印象です。後半に登場する自然を使用しての撮影は良かったんですが、中盤のモデルが集合したシーンも合わせたら良かったのに……とは思いました(笑)。「ニューバランス(NEW BALANCE)」のコラボスニーカーもルックで使用していましたね。やはり尺的にはこの動画のような約4分がベストなんですかね?大塚さん、いかがでしょう?

大塚千践「WWDジャパン」デスク(以下、大塚):「さあさあ」ってなんでうちの20代は八百屋みたいな感じなの(笑)。まあ元気がよくていいですけど。映像はちょうどよくて、なんだか服そのものというより、岩井良太デザイナーがこだわり続けている“空気感”とブランドの武器である“素材感”の2つを伝えたいのかなと思った。だから画質もびっくりするぐらい鮮明だったし、モデルの顔の寄りや風景とかも多用してムードを演出したんじゃないかな。集合カットでもモデルの表情にフォーカスしていたよね。「ニューバランス」コラボはおもいっきりアイテム推しだったけど(笑)。

大塚:実は昨日ブランドから連絡があって、今日自宅にエレメントを届けてくれたんですよ。それがさ「デカ!重っ!すごっ!」の3段階で驚くほど豪華で。中原崇志さんがデザインした木製の箱の中に、現代美術作家の玉山拓郎さんのアートピースや、コレクションで使った大量の生地見本、さらに糸やスタッフの写真まで入っていてビックリしたよ。自宅で上手く撮影できないから、急きょ家の外まで持ち出してロケ撮影しましたよ。「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」や「ロエベ(LOEWE)」も事前にエレメントを送ってくれたけれど、遜色ないどころか、それ以上だった。これぐらい本気のキットだったら、映像では世界観を伝えて、キットでそのイメージを手に取って想像させるという新しいコミュニケーションが可能かもっていう期待感を持ちました。ただキットがめちゃくちゃ費用がかかってそうなだけに、海外にも届いているのかが気になった。でも、「オーラリー」らしい素直な表現で僕は好きだったな。

大澤:わ!これはすごい!こういう細かい配慮が素晴らしいですね。僕も手元に欲しかった…。どのくらいの費用でどれだけの人に配っているのかも想像させられます。

7月12日(日)17:30(パリ時間10:30) 「アルトゥール アヴェラーノ」

大澤:次の「アルトゥール アヴェラーノ(ARTHUR AVELLANO)」は、知らないブランドですが、凄くエッチな感じ。洋服のデザインは背景の植物からインスピレーションを得ているのかな?正直、仕事をそっちのけてという訳ではないですけど、服に目が行かない(笑)。ドラマのラブシーンを見ているかのようでした。

大塚:“余白”のある映像表現だった「オーラリー」に対して、「アルトゥール アヴェラーノ」はドロドロ全開。24歳の大澤さんは知らないと思うけど、1990年代の不倫もののドラマのオープニング映像っぽかった(笑)。それに気づいてしまってから、中身が全く入ってこなくなっちゃった(笑)。アンダーウエアが多いのかなと思考がようやく取材モードになった途端にパンツ脱ぎだしたり、しまいには全裸になったり、ブランドを知らない人がこの映像見たら「こっち系か」というイメージが付いちゃうと思うんだけど。もう、笑点見ればよかった。

7月12日(日)18:00(パリ時間11:00) 「ナマチェコ」

大塚:気を取り直しまして、次の「ナマチェコ(NAMACHEKO)」は、アートの感覚を取り入れたブランドらしい映像だったね。モノクロということもあって、ロバート・メイプルソープ(Robert Mapplethorpe)の作品を想起させられた。好き嫌いは分かれそうだけど、これも服を主張するというより、ブランド自体の世界観を発信して視聴者とコミュニケーションしたいという意図を感じたな。「ナマチェコ」はそもそも映像からスタートしたブランドで、ムービー用の衣装を作ったらそれがバイヤーの目にとまってファッションブランドになった経緯があるから、こだわりは強そう。

大澤:映像からスタートしたブランドなんですね。それは知らなかったです。早速メモ(笑)。始まりはムービー用の衣装からというのが今っぽくて、ヴァージル・アブローの「パイレックス・ビジョン(PYREX VISION)」を思い出しました。モノクロで、アートを前面に出した「ナマチェコ」らしい映像が個人的に好きでした。モデルを黒人と白人にしているのもモノクロに合わせてなのかな。余談ですが、ロバート・メイプルソープといえば「ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)」のコレクションを思い出します。今回のパリ・コレクションには登場しないのが残念です(泣)。

7月12日(日)19:00(パリ時間12:00) 「ロエベ」

大塚:「ナマチェコ」のクリエイションにはどこか「ラフ・シモンズ」っぽさも感じるから、大澤さんが好きだと思った(笑)。次は「ロエベ(LOEWE)」です。先日編集部に巨大なキットが届いて盛り上がったんだけど、さらに今日は21年春夏コレクションに関するインタビューや音楽などのカルチャーコンテンツが1日限定で公式サイトやインスタグラムで順次公開するという発表方法。さすがに見逃すわけにはいかないからさ、われわれ泣かせ?ありがたい?発表方法だよ(笑)。サイトで発表された動画はクリエイティブ・ディレクターのジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)のインタビューだったね。

大澤:常に画面とニラメッコしておかなければいけませんね(笑)。4ルック目のバスケットは「どうやって着るんだろう?」「モデルが着ているのを見てみたかった」と、思いました。こういうメゾンならではのクリエイションもファッションの醍醐味ですね!インタビュー形式は今回初めて見ましたが、シンプルに豪華なキットを見ながら、ジョナサンのインタビューを聞くというのも良いですね。

大塚:バスケットはクラフト感がさく裂していてすごかったねー!動画だから、巻き戻して本気の二度見した。でも最近のジョナサンのクリエイション、すごく好き。全てにおいてバランスがいいんだよね。難解じゃないけど、簡単でもない感じというか。1日配信コンテンツにミュージシャンのカインドネス(Kindness)呼んじゃう辺りとかさ。服は正直リアルではなくアートに近いのだけど、かといって押し付けがましさもない。ちゃんと着られる作品になっていて、かつ意思も込められている。シンプルとは別軸のタイムレスなコレクションで、職人たちの技術をリスペクトしながら一点一点大切に作っているんだろうなと伝わってきたよ。20-21年秋冬のメンズワンピースもすごかったけど、今回もメンズとかウィメンズみたいな差は、彼の中ではさらになくなりつつあって、ネクストレベルに進んでいる雰囲気をあらためて感じたなあ。バスケットもいいけど(笑)、自分で身につけるならタイダイのトップスかスカートにもなりそうな巨大バッグかな。

大澤:僕も何回も一時停止と巻き戻しの繰り返しをして見入ってしまいました。カインドネスを呼んだんですね、すごい(笑)。新型コロナで業界が大打撃を受ける中、今後の在り方について、いちはやく声明を発表していた姿も尊敬します。動画内でアイテム一点一点を丁寧に説明している辺りは、「洋服に対しての思い入れが強いんだろうな」と、僕も感じました。あの巨大バッグですか!是非ともオーダーして、実物を見せてください(笑)。

7月12日(日)20:00(パリ時間13:00) 「ファセッタズム」

大塚:考えるのが楽しい「ロエベ」に対して、「ファセッタズム(FACETASM)」は単純明快。服もハイブリッドだし、映像もハイブリッド。いろいろなカルチャーがミックスする東京の街を体現するブランドの一つだから、その辺にこだわったんだろうね。服はストリートだけどロケ地はリゾートっぽい場所とか、きれいな映像がゆ〜っくり流れたと思ったらザラついたカットやナマっぽい写真がシャっと駆け抜けていく編集とか。あと全体的にスピード感がめちゃくちゃ速いんだけど、どのブランドもコラボとか推しアイテムはしっかり映すんだなというのが段々わかってきた(笑)。「ファセッタズム」の場合はスニーカー。落合さんの4歳の息子が描いたイラストにもほっこりしました。

大澤:都会のさまざまな場所を捉えた映像で楽しく拝見しました。プールに、ビルの屋上、森林生い茂る道、地下の駐車場。どれも「これ、どこだろう」と考えつつも、名古屋の田舎モンの僕は全然分からず、わかったのは東京タワーのみでした(笑)。アップテンポの曲調も、若手とベテランのモデルを起用しているのも素敵でした。あのイラストは落合さんの息子さんが描いていたんですね!個人的に他にないようなイラストが好きなので、白のデニムのセットアップ欲しいなあと思いながら見ていました。息子さんの絵とは、おったまげ(笑)。4歳にして、センスありすぎでしょ〜。

大塚:おったまげってさ、なんか古くね(笑)?最近の「ファセッタズム」のコレクションからは人への愛情を感じるし、新型コロナの影響で家族と一緒に過ごす時間が多くなって、その辺が視点が表現されているのかもね。

7月12日(日)21:00(パリ時間14:00) 「アレド マルティネス」

大塚:さあ、そんな和やかムードから一転して「アレド マルティネス(ALLED - MARTINEZ)」から面倒臭そうなムービーがきました(笑)。大澤さん、解説をどうぞ!

大澤:突然の振り(笑)。存じ上げないブランドですが、何やら長閑な場所で撮影していますね。ファーストルックは、シースルーのタンクトップにベージュの光沢感のあるパンツで登場。その後は、カジュアルなTシャツにウオッシュ加工のデニムパンツなどを紹介しています。が、突然!冒頭で着ていたタンクトップを脱いだり、パンツを脱いで白のブリーフ(今どき、これ履いている人は恐らくいないでしょう)姿になったり。え、どうしたんですか(笑)?何かのストーリーがあるのかと思うのですが、全く何も分からず。モデルでもこの絵面は結構しんどい。この手の動画は、今回のコレクションで何度も目にしてきましたが本日も登場しましたね。アイテムも普通すぎて尖りもない。これは問題作…(怒)。

大塚:悪い意味でロンドンっぽいよね。ただ、経歴を見たら超王道。デビューは1年前で、18年にはピーター・ドゥ(Peter Do)も優勝した「LVMH グラジュエーツ プライズ(LVMH Graduates Prize)」に選ばれているし、19年からは「ジバンシィ(GIVENCHY)」で働いているというLVMH期待の星みたい。きっとテーラリングが評価されているのかなと思うけど、ヨレヨレの白いブリーフしか印象に残りませんでした。スミマセン。

7月12日(日)22:00(パリ時間15:00) 「カラー」

大澤:えっ!そうなんですね。僕はてっきり、あの白いブリーフで、おじ様ブランドを想像していました(笑)。そんな物語の後は、日本のベテランブランドの「カラー(KOLOR)」です。7分ほどの動画ですが、正直すごく目が回りました。久々に小さい時に乗ったコーヒーカップを思い出しました(笑)。同ブランドらしいドッキングされたジャケットやブルゾン、コートをさらにアップデートしている印象を受けました。そのほか、「コカ・コーラ(COCA-COLA)」のロゴのオマージュで、 “CONCLEAT”とプリントされているTシャツや、さまざまな素材を切り貼りしたスニーカーのハイカットも目につきました。個人的には、レッドのブルゾンにクリアのナイロンをドッキングしたアウターと、光沢感のあるタマムシカラーのセットアップが良きでした!スマホとPCの両方で見たのですが、モデルが横を向いているので画角の部分は少し残念に感じました……。同じ絵面でも、ポップコーンや猫、スーパーボールを使用してのユーモアさを入れているあたりは良かったです。数年前までは、シックなものが多く若者の間で着ている人は少ない印象でしたが、ここ数年、本当に僕ら若者に刺さるクリエイションをしていて、毎回欲しい服がありすぎて困っています(笑)。

大塚:あれ“CONCLEAT”って描いていたんだ!コーヒーカップというより、「ゼロ・グラビティ」の高速回転思い出した(笑)。それにしても阿部潤一デザイナーのクリエイションの振り切り方は最近特にすごいよね。デザイナーズブランドの服ってデザイナー個人を投影するから、「カラー」みたいな一定の固定ファンを抱えていると普通は年齢とともに落ち着きそうなものだけど、阿部さんの場合はむしろギアを上げてぶっ飛ばしているところがかっこいい。感覚はユース感バリバリなのに、技術はめちゃくちゃ高いから、若手は普通に立ち向かっていっても敵わなそう。ブランドを取り巻く人やカルチャーも常に今っぽいよね。グルグル見ながら一番欲しかったのは、背中がニットになったグリーンのジャケット。でも展示会で試着したらほぼ買っちゃうから、本当に気をつけないと半年後にオーダーしすぎて泣くんですよ。

7月12日(日)22:30(パリ時間15:30) 「ヨシオ クボ」

大澤:阿部さん、さすがでございますね!「ご利用は計画的に」ですよ。計画できないから困るんですけど(笑)さあ日本のブランドが続いていくますよ〜次は「ヨシオ クボ(YOSHIO KUBO)」です。本日初めてのショー形式での発表でしたね。やっぱりショーはいいなあ〜と思いながら約6分の動画に見入ってしまいました。音楽、会場、クリエイションどれも「我らが、日本」。「『ヨシオクボ』ここにあり」。という感じで、統一感やコンセプトが明確に伝わり、とてもかっこよかったです!甚平や首から提げているお守り、足袋ソックス、笠など、国の伝統的なものを落とし込んでいるところから、新型コロナで苦しい状況が続いた中で、「日本の素晴らしさ・伝統を世界の人に改めて伝えよう」という久保さんの強いメッセージを勝手に受け取りました(笑)。

大塚:世界の舞台でショーを行ううちに、海外で戦うためには結局のところオリジナリティーが大事だ、という考えに行き着いて前シーズンから「和」の表現につながっているんだって。「和」をテーマにしたコレクションなんてそれこそ山ほどあるけれど、外国人の表現する押し付けがましいのが「めっちゃ嫌い」とも久保さんは言っていた(笑)。だから今シーズンはそのルーツをさらに掘り下げて、能楽堂を舞台にしてしまう潔さがよかった。柄やプリントを控えめにして、ジャケットの合わせ位置やカッティングでにじませる日本らしさがよかったね。ショールカラーとピークドラペルが合体した和タキシードを展示会で着てみよーっと。

7月12日(日)23:00(パリ時間16:00) 「ヘンリック・ヴィブスコフ」

大塚:「ヘンリック・ヴィブスコフ(HENRIK VIBSKOV)」はいつも奇抜な演出のショーだから、正直、動画だとさらに変なやつがくるんだろうと思っていた(笑)。でも、めっちゃマジメでした。そもそもこの人は本当に知的で「誰も僕に普通のコレクション求めてないでしょ?」ってインタビューしたときに言っていたぐらい自覚している、スマートな性格なんだよね。だから本人がショーの舞台に登場して丁寧に解説をする演出はより共感と理解を深めそうで成功だったんじゃないかと。でもこのマジメモードで終わるのかと思ったら、やっぱりそうじゃなかった(笑)複数の巨大ロッキングチェアを人力で揺らしている浮世離れした状況でも淡々と解説を続けていて、DVD特典の“監督による音声解説”みたいだった。

大澤:同ブランドは、名前を聞いたことがある程度でしたので、冒頭は真面目な方で「ロエベ」のようにインタビュー形式なのかなと思っていました。そしたら、あの巨大ロッキングチェアを人力で動かしているんですよ、本当にびっくりしました。思わずコメディー映画のエンディングシーンかと。あれだけ盛大にセットをそろえての撮影は、今回が初めてかもしれませんね。他ブランドと違い、メイクシーンを映しているのが印象的でした。黒い粉のようなものって何だったんだろう…。あのアップと、人柄からして普通のものではなさそう(笑)。もしかしたら、奇抜な演出のショーをする人ほど真面目なのかもしれませんね。ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク(Walter Van Beirendonck)しかり。

7月12日(日)24:00(パリ時間17:00) 「キッドスーパー ストゥディオス」

大塚:SNSで今回のデジタル・ファッション・ウイークを見ている人やファッション業界の人に話を聞いていると、やっぱり「服がちゃんと見えないと意味ないじゃん」っていう意見が圧倒的。その点、ちゃんと服を見せていたヘンリック先生とウォルター先生が好印象なのかも。後者はフィギュアだったけどね。で、全部人形でファッションをやっちゃったのが「キッドスーパー ストゥディオス(KISUPER STUDIOS)」。日曜の深夜に一体何を見ているんだって一瞬くじけそうになったけど、カメラワークが全部本物みたいで、さらに登場するモデルがレジェンドばかりだということに気づいたら段々面白くなってきた。ペレ(Pele)とモハメド・アリ(Muhammad Ali)の服がめちゃめちゃかわいかった。

大澤:これはまた奇抜なのが来ましたね。「キッドスーパー ストゥディオス(KISUPER STUDIOS)」。人形たちの大行進です(笑)。映像から推測して、かなり小さい人形だし、作るのめちゃくちゃ大変そう。とそこばかりが気になりました。最後のルックの花が集合したドレスとか特に。「実際の洋服で作ったらどんなのになっていたんだろう?」と想像が膨らみます。人をテーマにしたコレクションで、女性・男性の顔や、シルエット、パーツがトップス、アウター、パンツの至る所に散りばめられていました。そのほか、生地を切り貼りしたヴィンテージ調のセットアップ、ペインティングパンツなど総じて派手です。日本人が着こなすのは中々難しそうですね(笑)。

大塚:あの……いよいよ深夜帯に突入したので景気付けにコンビニでほろ酔いを買ってきたのですが、お酒弱いことを忘れて1缶でほろ酔いどころかマジ酔いしてしまいまして。「ガムト(GAMUT)」と「ルード(RHUDE)」は、お任してよいですか?「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」までちょっと横になってきます。

7月12日(日)24:30(パリ時間17:30) 「ガムト」

大澤:え、ペレとモハメド・アリいました⁉︎。全然気づかなかったです。世代ではないんですけど……。いや景気付けって、酒に負けていたら逆効果じゃないですか。「ホワイトマウンテニアリング」までと言いつつ、帰ってこない気が(笑)。いえ、大丈夫です。僕が責任を持ってリポートします!それでは気を取り直して「ガムト」行ってみましょう!存じ上げないブランドでしたが、19年春夏コレクションからパリで発表を続ける仏発の気鋭ブランド。公式インスタグラムのフォロワーは約3800人という未知数なブランドだが、独特なメイクと装いで独創的な世界観を表現しています。アイテムは、単体で見ると比較的日常で着やすそうなものが多数存在している印象。冒頭で男性(⁉︎)が女装した姿で、上半身を網タイツに包んだスーツスタイルでおっぱいに見立てた風船(⁉︎)を胸に付けて登場し、さまざまなポージングをお取りになっていました(笑)。でも若手でみなさんが知らないブランドにとって重要なのは、インパクトを残せるかどうかだと思うので、その点は尖っていて良かったです。“ファッションバカ”としては、人と被らないブランドを見つけて「それどこのブランド?」と聞かれるのも好物なので、今後注目していきたいと思います。

7月12日(日)1:00(パリ時間18:00) 「ルード」

大澤:おっと次の「ルード」は少しだけお金持ちになった気分になりました。同ブランドは13年に米・LAで誕生。フィリピン出身のルイージ・マーク・ビラセナー(RHUIGI MARK VILLASENOR)が手掛けるストリートブランドです。一戸建ての家の中や、その周りの広い庭、プール、生い茂る森林での撮影で、細身のスエットパンツやロゴパッチを使用したMA-1、Tシャツなどをいつも通りの提案。今回も変わらずじまいだったのが残念でした。「ルード」好きはいいかもしれないですが、この手のブランドはジェリー・ロレンゾ手掛ける「フィアー オブ ゴッド(FEAR OF GOD)」がチラつきます。ラグジュアリーストリートは今、まさに転換期を迎えていると思うので一捻り欲しかったのが正直なところ。あ、サングラスを推したいのはとても伝わりましたよ(笑)。

7月12日(日)2:00(パリ時間19:00) 「ホワイトマウンテニアリング」

大澤:現在日本時間2時。大塚さん!「ホワイトマウンテニアリング」始まりましたね。同ブランドは今回、メディアアート集団のライゾマティクス(RHIZOMATIKS)の真鍋大度さんによる演出でファッションとテクノロジーを融合して制作しました。漆黒の背景に、冒頭は全身ブラックのスポーティーなスーツスタイルで登場し、足元には夏らしい通気性の良い素足で履けるブラックとグレーのカラーリングのスニーカーを合わせたスタイルでスタート。そのほかは同ブランドらしいアウトドア向けのデザインを中心に、ジャケットやパーカ、スエット、リラックスパンツなどを提案。時折入る真鍋の同じルックを3体に増やし、違う方向から見せる演出などが他との差別化を図りSF映画を見ているようでした(笑)。

大塚:ガチ酔いからギリギリ帰ってきた!あぶねー。深夜2時にアラーム入れたわ。映像はヘッドホンを着けた方がいいよと表示されたからその通りにしたけど、音楽も含め硬派な感じでかっこよかったな。ブランドを知らない人が見ても機能服なんだなというのが伝わったと思うし、宙に散りばめられたパターンが合体してリアルな服になるっていうライゾマティクスらしいテクニカルな映像も相性バッチリだった。これまでを振り返ると、日本人デザイナーのほとんどが、映像の表現こそ違えど服をちゃんと見せようとしているよね。なんだかんだ言って、みんなマジメ。突拍子が無いものは出てこなくて安定感があるし、僕自身も服がしっかり見える映像だと安心する。でも、印象に残った映像は?と聞かれてパッと浮かぶのは海外ブランド。だから破天荒な表現に慣れた海外の人に日本人の硬派な映像がどう伝わってるんだろうと気になってきちゃった。調べよーっと。

7月12日(日)3:00(パリ時間20:00) 「エルメス」

大澤:本日最後でございます。正直、体力的に疲れました(笑)。「エルメス(HERMES)」は先日、一足先に公開されましたが大塚さんいかがでしたか?舞台はパリ北部にある同ブランドのアトリエで撮影され、僕は「これが『エルメス』のアトリエかあ」「こんなカッコ良いオフィスで仕事してみたいなあ」。な〜んて口をポカンと開けながら子どもみたいに視聴しました(笑)。やはりビッグメゾンは違うと感じたのが、高級で薄い生地感。ジャケットやシャツのシルエット、冒頭のライトブルーのストライプのスーツ(特にテーパードパンツのシルエットが綺麗すぎます)など、たまりませんねえ(泣)。凝ったデザインがタイプの僕でも、一度は袖を通してみたいものです……。

大塚:もう3時だよ。明日普通に仕事なんですけど(笑)。「エルメス」は先行して公開されていたから何回も見たけれど、全てにおいて完成度高すぎてまだまだ見れちゃう。これを初公開時は生中継していたって衝撃じゃない?それに24歳の大澤さん世代に「たまらない」と思わせたということは、ブランド的には大成功だったのではないかな。映像を人に見てもらうためには、エンタメ要素のユーモアって必要だなと感じた次第でございました。ちなみに今日イチって何だった?俺は「エルメス」だけど、もう何度も推しているから今日は「カラー」のパンクなグルグルに一票(笑)。

大澤:「カラー」めちゃめちゃ良かったですね〜今からお金の計算をしなきゃ(笑)。僕は「ファセッタズム」に一票。あのイラストを4歳の息子が描いていたという衝撃が頭から離れません!自粛期間で家族との生活が増えたというほっこりさも含めて。本日もお疲れ様でした〜!明日がパリ最終日ですね。どんな映像が届くのか楽しみです。

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ヴァージルが黒人学生向けの奨学金ファンドを設立 総額1億円超

 「オフ-ホワイト ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」の創設者で「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」メンズ アーティスティック・ディレクターのヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)は7月7日、ファッションを学ぶ有能な黒人学生に向けた奨学金ファンドの設立に向けて総額100万ドル(約1億700万円)を集めたことを明らかにした。

 ヴァージルは彼自身による寄付金や、ミネラルウオーターで知られるエビアン(EVIAN)、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)、ニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP)やその親会社のファーフェッチ(FARFETCH)といったパートナー企業から寄付された資金をもとにヴァージル・アブロー“ポスト・モダン”奨学金ファンド(Virgil Abloh “Post Modern” Scholarship Fund)を発足。ファッション奨学金ファンド(Fashion Scholarship Fund以下、FSF)と長期的なパートナーシップを締結した。FSFは、デザインやマーケティング、分析論やサプライチェーンなどの分野で学ぶ将来有望なファッション学生のキャリアをサポートするため、1937年に設立された非営利団体だ。

 ヴァージルによるファンドの予算はFSFの倍額となっており、黒人、アフリカ系アメリカ人、またはアフリカの血を引く100〜200人の学生たちに奨学金が提供される。
 
 ヴァージルは、「私は学業や数々の独創的なプロジェクトを通じて黒人デザイナーとしての道を模索し、人にも知られるようになった。ここに至るまで長きにわたって数多くの仕事や打ち合わせ、ランウエイショーなどを行ってきたが、若い世代にも将来を切り開いていくための機会を与えたい。世界にはさまざまな人種が存在するが、私の学んだキャンパスは多様性に富んでいるとは言い難い状況だった。ファッション業界で活躍する黒人を増やすために、黒人学生に特化した財団を設立することが重要だ」とコメントした。
 
 “ポスト・モダン”と名付けられたこの奨学金ファンドでは、ヘロン・プレストン(Heron Preston)をはじめとするヴァージルのデザイナー仲間たちが若い学生に向けたマスタークラスに参加することも決まっており、学生たちは奨学金の受給に加えてキャリアサポートやメンタリングを受けることも可能だ。

 ヴァージルは「“チャリティー”の未来を見せたい。へんれいについても、これまでと同様でなければならないとは限らない。これは差別をなくすための試みであり、若者に寄り添うための行動でもある」と話した。

 FSFのピーター・アーノルド(Peter Arnold)=エグゼクティブ・ディレクターは、「FSFの役割は、金銭的な事情を抱えている才能豊かな若者たちのクリエイティブな視点や声を高めていくことだ。彼らはファッション業界の未来のリーダーだ。ヴァージルは影響力のある先駆者であり、ゲームチェンジャーだ。ヴァージルや彼のパートナーたちと協力して、多くの若者の人生によい影響を与える機会に恵まれたことを感謝している」とコメントしている。

 米ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)氏が白人の警察官に首を押さえつけられて死亡した事件に端を発した、一連の抗議運動に関するSNSの投稿で批判を受けたヴァージルは、奨学金ファンドの設立という行動をとった。

 「私は仕事を通じて、黒人のクリエイティブな才能を一貫して支持しており、黒人差別問題に対しても闘う姿勢だ。ファッション業界でも黒人に対する機会均等は注目の話題だ。私には立場があるから、声を上げていきたい。一度は寄付の額が少ないと言われたが、このファンドは100万ドルだ。私がどれほど問題を重要視しているか分かってもらえるだろう」と語った。

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オンワードがゾゾタウンに再出店 スーツD2Cブランドで協業も

 オンワードホールディングスは8月下旬から、「トッカ(TOCCA)」「ジョゼフ(JOSEPH)」「Jプレス(J.PRESS)」など11ブランドを「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」に再出店する。自社工場生産によるD2C型スーツブランド「カシヤマ(KASHIYAMA)」も、ZOZOのビッグデータを活用した”マルチサイズ”展開で「ゾゾタウン」に出店する。オンワードは2019年2月にZOZOの会員制割引サービス”ZOZOARIGATO”に反発し、出店を引き上げていた。

 オンワードのECはこの数年で急速に伸びているものの、自社EC比率が高く、「ゾゾタウン」などのECモールへの依存率は低かった。新型コロナウイルスの感染拡大でネット通販での購買が増える中、ファッションECモールで最大手の「ゾゾタウン」への出店を再開する。

 「カシヤマ」は、ショールーム型の店舗などでの計測したデータを基にオーダーメードスーツを手軽に購入できるビジネスモデルで、オンワードは次なる主力事業として位置づけていた。新型コロナウイルスの感染拡大により来店へのハードルが高まっていることから、ZOZOの100万人分の体型データから算出した”マルチサイズ”テクノロジーを活用する。

 「ゾゾタウン」に出店するカシヤマ傘下のブランドは「Jプレス」などのほか、「エニィスィス(ANY SIS)」「エニィファム(ANY FAM)」「ポール・スミス(PAUL SMITH)」「グレースコンチネンタル(GRACE CONTINENTAL)」など11ブランド。主力の「23区」「組曲」「ICB」「自由区」は今回の出店には入っていない。

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最上もが × 坂部三樹郎の「グラウンズ」によるコラボシューズ発売 「大好きな紫を採用」

 フットウエアブランド「グラウンズ(GROUNDS)」は、元でんぱ組.incのメンバー、最上もがとのコラボ商品を発売する。最上は、ソールの形が特徴的な「グラウンズ」のシューズに「大好きな紫をメインカラーに使い、男女共に使いやすそうなデザインを目指した。またコラボ感を出すために、タグに“moga”の文字と、ボディーにパンジーの刺しゅうをポイントに加えた」と話す。

 価格は2万9700円(税込)で、サイズは22〜30cm。7月23日から受注販売をスタートさせる。なおこれに合わせ、「グラウンズ」2020-21年秋冬コレクションの即売会が行われる3都市でのポップアップストアで、コラボ商品の試着予約会も実施する予定だ。日程は、7月23〜29日が東京の表参道ロケット(ROCKET)、8月8〜10日が大阪のギャラリー&スペース パレード(Gallery&Space PARADE)、8月29、30日が名古屋のクリマ・ギャラリー。

 「グラウンズ」はブランド運営会社、FOOLSの取締役も務める「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」の坂部三樹郎デザイナーが監修する。昨年7月に販売スタートさせた「ギディー(GIDDY)」の前身で、9月に名称を変更した。2019年春夏パリ・コレクションに参加し、現在は5カ国23店舗で販売している。

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「ロエベ」2021年春夏パリ・メンズ・コレクション

 「ロエベ(LOEWE)」が2021年春夏メンズ・コレクションをパリで発表した。

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篠原ともえが初のギャラリー個展開催 余剰生地を活用した衣装デザイナーとしての挑戦

 女優やタレント、衣装デザイナーとして活動する篠原ともえは、初のギャラリー個展となる「SHIKAKU―シカクい生地と絵から生まれた服たち―」展を渋谷ヒカリエ8階のギャラリーCUBEで開催中だ。会期は7月20日まで。

 同展では“四角”をテーマに篠原自身が製作した衣装6点とドローイングが並ぶ。芸能界デビュー25周年を迎える篠原は今回の展覧会に向けて、これまでの自身の創作活動を振り返り「いま、自分は何を作るべきか」という問いに1年間かけて向き合ったという。篠原は「エンターテインメントの世界に長く身を置いてきたこともあり、たどり着いたのはやはり衣装でした。自分のクリエイションと丁寧に向き合った結果をぜひ皆さんに見ていただきたい」と語る。

 

 作品には廃棄される予定だった余剰生地を使用し、極力余りが出ないようなパターンにこだわった。「普段衣装製作の時に生地をお願いしているogawamineLabさんとの会話の中にヒントがありました。生地メーカーはロールのクセがついた生地などたくさんの余剰生地を抱えていて、年末にまとめて廃棄していたそうなんです。そこで私はそんないとしい布たちに命を吹き込むことができないかという発想に至ったんです。また、いただいた生地一つ一つと向き合って「あなたはどうなりたいの?」と聞くと、「切らないで」と言っている気がしたんです(笑)。もちろんシルエットに限界はありましたが、そこは衣装デザイナーとしての挑戦でした」。

 篠原は自身のコンサート衣装をはじめ、これまでに歌手の松任谷由実やアイドルグループの嵐の衣装なども手掛けた。衣装デザイナーとして活動する中で、大量の布やサンプルが廃棄される現場を目にしてきた。「最初は驚きましたが、衣装の世界においてクリエイションの高みを目指すためには避けて通れないことと理解していました。それでも残布の問題は気になっていたので、当時は趣味の範囲で余り布を使ったポーチやスカートなどを作っていました。そこからメディアを通してサステナビリティの課題に取り組む企業の存在を知り、私も自分なりの方法でこの課題に向き合いたいと思ったんです」。着想源は着物のお針子をしていたという篠原の祖母との思い出だ。布を余らせずに、世代を通して愛されるシルエットを作ることが自身の布との向き合い方の原点だったと振り返る。

 今年4月には夫でアートディレクターの池澤樹氏とクリエティブスタジオのSTUDEOを設立。「今後は企業の課題解決など、自分のアイディアで社会を盛り上げるお手伝いをしていきたいです。サステナブルなモノ作りも自分なりの方法で続けていくことが目標です」と展望を語った。

■「SHIKAKU―シカクい生地と絵から生まれた服たち―」
会期:7月1〜20日
時間:11:00〜20:00
場所:渋谷ヒカリエ8階 CUBE 1.2.3
住所: 東京都渋谷区渋谷2-21-1
入場料:無料

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星あやの「イエロ」から初のコスメ 肌に光沢を与えるメークアップ美容液

 モデルの星あやによるシューズブランド「イエロ(YELLO)」はこのほど、ブランド初のコスメ「イエロ フェイス アンド ボディ グロー(YELLO FACE AND BODY GLOW)」を発売した。ハイヒールを中心に“美脚になれる”シューズ作りにこだわってきたブランドから生まれた肌に光沢を与えるメイクアップ美容液だ。アルガニアスピノサ核油やツバキ種子油、カニナバラ果実油、マカデミア種子油、クロレラエキス、ヒアルロン酸などの美容成分とラメ粒子を配合する。脚や腕、デコルテに伸ばすことで”美肌加工フィルターをかけたような質感”を得られるほか、頬骨や鼻先などに施してハイライトのようにも使用できる。価格は4800円(50mL)。

 渋谷・神宮前に構えるイエロ フィッティングサロン(YELLO FITTING SALON)と公式オンラインストアで扱っており、購入者には数量限定でオリジナルブラシをプレゼントする。

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この夏も“袖コンシャス”が手放せない! 涼しく華やか、小顔効果のおまけ付き

 袖にボリュームを持たせ、飾りを施す“袖コンシャス”の勢いが続いています。トレンドの長期化に伴い、さらにバリエーションが多彩に。2020年春夏コレクションでは海外のラグジュアリーブランドから、新しいフォルムやコーディネートが披露されました。たっぷりの袖から風が吹き抜ける涼しさや、ボリュームがもたらす華やかさに加え、小顔に見せてくれる効果まで期待できるので、“袖コンシャス”は夏ルックに取り入れなきゃもったいない!
この夏、参考にしたいのは、「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のような、ボリュームスリーブを気負わずに着こなすスタイリング。大胆な柄が印象的なワンピースは、きちんと感を醸し出す襟元と、たっぷりした袖のおかげで、1枚で着映えがしっかり。薄着になるせいもあって、さっぱりして見えがちな夏の装いに、立体感や動きを添えてくれます。

無地ワンピースを大胆袖がムードチェンジ

 無地でワントーンのワンピースは単調に見えがちですが、袖コンシャスを生かせば、ドラマティックな見え具合に様変わり。かえって控えめな色のほうが袖の量感を引き立ててくれます。

 「ジバンシィ(GIVENCHY)」が提案したのは、たっぷり膨らませた袖がひじから先で急に細くなる“ジゴ袖”ライクなワンピース。カフスの上が風船のように膨らんで、腕の細さを際立たせました。シンプルシルエットのロングワンピースは不動の人気を誇りますが、バルーンスリーブに変えるだけで、こんなにムードチェンジが効きます。クールな雰囲気とフェミニンなムードが同居。袖が膨らんでいるおかげで、ボディも引き締まって見えます。

ボリューム袖とスリムパンツで“細ロマンティック”

 ロマンティックなウエアは、袖コンシャスと相性が抜群。今はヴィクトリアン時代を思わせるクラシックなテイストが盛り上がっているので、その意味でもトレンドになじみます。

 パステルピンクの花柄ロングワンピースでノスタルジー気分を漂わせたのは「クロエ(CHLOE)」。1枚で着ても十分に着映えがしますが、このように細身パンツの上からローブ風に羽織る着方も楽しめます。ブラトップに重ねて、色香もほんのり。パステルピンクとボリューム袖がたおやかでリラックスしたムードを高めています。

マニッシュコーデに組み込んで、甘さを封じ込めて

 膨らんだ袖には、甘いイメージがありますが、スタイリッシュに決める提案も打ち出されています。たとえば、パンツルックに組み込むと、テイストがミックスされ、ムードが一新。こなれ感も加わります。

 「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」はアイスブルーのパフスリーブシャツで涼やかなサマースタイルを披露。マニッシュとフェミニンが融け合う、ジェンダーミックス仕立てのシャツが印象的です。ディープグリーンのハイウエストパンツが凜々しさをプラス。さらに、リボン風に巻いたベルトが優美な動きを演出。甘さを封じ込めて、洗練を印象づける、新手の袖コンシャスルックです。

袖コンシャスの進化系セットアップで小顔見せ

 ワイドパンツやマキシ丈スカートといった、量感の豊かなボトムスとバランスを取るうえでも、袖コンシャスは有効です。身頃がコンパクトなトップスに組み入れると、ファニーな“ずれ感”が生まれます。

 ショート丈トップスとハイウエストパンツを組み合わせて、ボリュームで遊んだのは「マイケル・コース コレクション(MICHAEL KORS COLLECTION)」。ウエストの位置が高く見えるパンツを、チラ腹見せのトップスと引き合わせました。朗らかに膨らんだ袖は小顔効果をアップ。スーツ風の堅苦しい見え具合を遠ざけた、このような進化系セットアップはエフォートレスな雰囲気を寄り添わせてくれます。

オーバーサイズシャツに盛り込んで、メリハリをきかせて

 アウターから広がったオーバーサイズの波はシャツにまで押し寄せてきました。袖のボリュームアップは華奢感を引き出す効果が絶大です。

 「レジーナ ピョウ(REJINA PYO)」が発表したオーバーサイズのシャツは巨大スリーブがアイキャッチー。たっぷりした量感があり、まるでアウターのように着こなせます。シャツのボタンはあえて留めずに、ベルトを巻いてウエストマーク。深いスリットを切り込ませたドレスの上から、無造作にレイヤード。袖とウエストとの対比が生まれて、メリハリが強まりました。力強さと柔らかさのダブルミーニングが装いの表情を深くしています。

 袖コンシャスのバリエーションは格段に広がってきています。風通しがよいだけでなく、楽観的な気分を印象づけてくれる点でも、袖コンシャスはファッションに前向きなムードを盛り込みたい今のおしゃれに向いています。ワンピースやシャツなどを1枚で着て過ごしたい場合にも表情を上乗せしてくれるので、暑い日に「何を着ようか」と迷う際にもおすすめのアイテムです。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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浮き彫りになった美容業界の人種差別 日本も他人事にしてはいけない エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月11日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

浮き彫りになった美容業界の人種差別 日本も他人事にしてはいけない

 5月末に米国ミネソタ州で、黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)が白人の警察官に首を押さえつけられて死亡した事件を受けて全米で抗議運動が起き、その動きは今や全世界中に広まっています。

 ビューティ業界では、メイクアップブランド「ウオマ ビューティ(UOMA BEAUTY)」の創業者であるシャーロン・シューター(Sharon Chuter)が「#pulluporshutup」運動を始めました。ビューティブランドや企業に社員の人種構成を公表するように求めたもので、専用のアカウント@pullupforchangeでは参加したブランドや企業の投稿を集めています。これは自身も黒人であるシャーロンが「#BLM」や黒い背景の投稿をするビューティ企業を見て、ただトレンドに乗っかってこのような意思表明をするのではなく、きちんと自社の現状を公表することによって本気で向き合ってほしいという思いでスタートさせたものです。このアカウントで集められた投稿を見ると、有色人種の雇用率が極めて少ない企業が目立ち、これまで公表されることがなかったビューティ業界の現状が浮き彫りになりました。

 アメリカ合衆国国勢調査局によると、2019年時点の米国の人種構成は白人が約60.4%、ヒスパニックが約18.3%、黒人が約13.4%、アジア人が約5.9%だという。この数字を見ると、黒人の雇用率が白人より低くなることが絶対にあってはならないとまでは言い切れませんが、社内で差別があったことを告発する人が増えているのは事実です。また差別発言や行動がSNSで炎上し、退任・退職をする企業トップが相次いでいます。日本に比べてダイバーシティーへの取り組みは進んでいるように見えて、これまで“白人至上主義”であったビューティ業界は課題が多く残ると感じました。

 個人的な話をすると私も10年以上アメリカに住んでいた経験がありますが、今回の出来事を受け最初は「アジア人だって差別を受けるのに」と思ったりもしました。ちょっと前は、新型コロナウイルスの影響でアジア人が欧米でひどい差別に遭い、とても悲しい気持ちになりました。海外にいたのは幼少期だったこと、さらに住んでいた地域の関係もあると思いますが、暴力などは受けたことののないものの“外人扱い”をされたことはたくさんあります。でも、黒人はスーパーに行くと通りすがる人には(盗まれるかと思われて)カバンを急にしまわれたり、道で歩いているだけで“怖い人”と思われたり、警察に目をつけられたり。そんなことが日常茶飯事だそうです。そういう経験は、アジア人は(黒人に比べ)少ないのでは?今回のジョージさんの事件も、仮にアジア人だったら同様なことが起きたのか?と考えてしまいます。いずれにせよ、今回の出来事は多くが人種差別について考えるきっかけになったと思います。

 なので、もちろん米国と事情が異なるものの、日本でも今回の抗議活動を他人事にしてはいけないと思います。「WWDジャパン」と「WWDビューティ」が毎年恒例で発行している社長・CEO特集の表紙を見ると、掲載されている方のほとんどが男性で、私は違和感をいつも抱いていました。日本だって、課題はたくさんあります。SNSが発達した今は、海外で起きている抗議活動の当事者による投稿を日本の若い子も見ているはずです。ダイバーシティーは日本の企業も手探りながら取り組んでいると思います。でもそろそろ本気を出さないと、これからはますます通用しなくなるのではないでしょうか?少なくとも私の周りの友人や知人は、企業のそういった取り組みに注目しており、今回の騒動に対しても意思表明する人が多いです。

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【ランダムトーク】路上キャッチも復活。でも、一見客相手の居酒屋は成り立たないよ

 業務用酒販店の方から聞きました。いわゆるナイト業態の方が酒代金の回復が速いそうです。東京都ではホストクラブやキャバクラなどが休業要請に従った場合、協力金として1店舗あたり50万円を上限に支給する方針を固めました。ランダムトークです。
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居酒屋甲子園2代目理事長、ゴーストFC加盟を拡大。第2弾、うな丼「宇奈とと」。

G-FACTORY株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:片平 雅之)が、うな丼チェーン「名代 宇奈とと」のライセンス契約を株式会社夢笛(本社:広島県福山市、代表取締役社長:高橋 英樹)と締結し、福山市でゴーストレストランとして出店する。
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「スーツを着崩す」唯一無二のセンスでファンを集める ビームス齋藤龍治

 ここ最近のビームスは主軸のアパレル事業にとどまらず、社員たちの暮らしぶりやインテリアを紹介した書籍「BEAMS AT HOME」の制作や美術館の公式グッズの監修のほか、自治体と連携して地方創生などにも力を入れており、ファッション業界で培ったモノやコトを他の領域で生かしている。社員やショップスタッフもインスタグラムやユーチューブなどで積極的に発信し、個々に活躍の場を広げている。これまに取材してきた同社のショップスタッフを思い返すと、個性豊かな人が多く、「心底ファッションが好きなんだな」と思うことが多い。今回インタビューしたビームス六本木ヒルズの齋藤龍治さんもそんな一人だ。

―いきなり失礼な質問かもしれませんが、そのヒゲはどうされているんですか?

齋藤龍治さん(以下、齋藤):もう4~5年ほどこの状態をキープしています。はじめは伸ばす気はなかったんですが、奥さんが美容師でして、軽い気持ちで「ヒゲパーマ当てたら?」と言われて、お試しでやってみたら意外と評判がよくてそのまま続行しています。

―ヒゲにもパーマができるんですね!

齋藤:そうなんですよ(笑)。お客さまも始めは驚いていましたけど褒めてもらうことも多く、最近はこのヒゲで覚えてもらうことも多くなりした。

―インスタグラムを拝見していても、ファッションはもちろんのことヒゲのインパクトも強いなと思いました。ところで、ファッション業界で働こうと思ったきっかけは?

齋藤:学生の頃からストリート系ファッションが好きだったんです。とはいっても青森の高校生には服を買うにも店はほとんどなく、今ほどネット通販が気軽にできる環境でもなかったので大変でした。工業高校に通っていたので、卒業後は勧められるままに東京の会社に就職し、上京して、いろんな街を歩いてみて「やっぱり服は楽しい」と思うようになり、会社を辞めました。ファッションの専門学校で勉強して、最初に働いたのが新宿の「ビームス ジャパン」でした。

―もともとファッションが好きでこの業界に飛び込んだとのことですが、実際に入ってみてどうでしたか?

齋藤:実は希望していたのはカジュアルの販売だったのですが、枠がなくて「ドレスなら空いているけど……」と言われて、テイストは違いますが入りました。

―そうだったんですね(苦笑)。ストリートファッション好きがドレスの販売員に。それが今の齋藤さんの独特なドレススタイルにつながるわけですね。初めての接客業に知識もないドレスの販売だと、不安も大きかったのでは?

齋藤:正直、ドレスに興味も知識もなく入ったので、始めた頃は前途多難でした。まだ学生気分も抜けてないし、言葉使いも全くダメでした(苦笑)。それこそスーツは専門的な知識を持っていないと売れないので、先輩スタッフや自分の一回りも二回りも上のお客さまからいろんなことを教えてもらい、少しずつ覚えていきました。毎日毎日「その合わせは違う」「この着方は間違っている」と指摘されては、「ドレスだとこの着方がいいんだ」とか「この組み合わせ方がカッコいいんだな」とちょっとずつ覚えていきました。ドレスの場合は、着こなし方の基礎が分かってきてそこから崩していくのが楽しい、みたいなところがありますから。

―お客さまから教えてもらうことのほかに、商品知識を身につけるためにやったことは?

齋藤:とにかく買って着ていました。ビームスではクラシックなラインとトレンド的なモードなラインのスーツがあるのですが、自分が好きなモードっぽいものを選んで着ていました。先輩からダメ出しをもらいながら勉強していくと、徐々に売れるようになって、さらに深掘りしてみようと欲が出てきました。

―やはり、着てみるのが一番身につきますか?

齋藤:そうですね。今でも買って着ています。実際に着ているのと着ていないとでは説得力に違いが出てくると思います。特に高価格帯の商品は、実際に着て愛着が湧くことで伝え方も変わるので、おのずと説得力も増します。ドレスは基礎知識の幅が広く、特に合わせ方の基本、サイジングはしっかりとしたルールがあるので、その時のトレンドで外したり、外さなかったり。好みであえて意外性のある合わせ方をしたり、いろいろあるんですよ(笑)。言葉ではなかなか伝えられない感覚は、先輩やお客さまの見よう見まねで身につけてきたので、何が正しいのかを教わったわけではないんですよ。

―コーディネートに正しい・正しくないはないですよね。そのときの気分で着こなし方も変わるところがファッションの面白いところだと思います。インスタのスタイリングにもそれが表れています。

齋藤:コーディネートは「毎日、同じ格好をしない」と、インスタやるようになって考えるようになりました。ローテーションを考えるのも楽しくなりました。たぶん、同じようなスタイリングを毎日していたら仕事を辞めるかもしれません。朝、起きて、その日のコーディネートを組んで「きまった!」と思ったら、その日は一日中気分よく過ごせますしね。

―着る服で気分が変わりますよね。嫌なことも跳ね返せる感じがあります。では、接客で勉強したことは?

齋藤:強いて何かで勉強したということはなく、慣れてきたという感じでしょうか…。顧客がひとりできた頃から接客が楽しくなってきました。それから、毎日誰か顔見知りのお客さまが来てくれると思うと店にいるのが楽しくなって、1人、2人と顧客が増えると充実してくるんですよね。

―その方は今でも来られます?

齋藤:今でも買いに来てくれます。最初から僕によい接客を求めていた感じではなくて、お客さまも自分もラフな感じで接していました。新宿時代はそんな感じでしたね(笑)。6年半ほど在籍し、ビームスハウス丸の内に異動しました。丸の内はドレスの中でも一番いそがしい店で、1日にお客さまのアポイントが4~5件ということもある店なので、ここでも鍛えられました。

―齋藤さんにとって接客とは?

齋藤:新宿で販売を始めた頃は、売れば売れるほど数字として見えてくるので「まるでゲームみたいだな』と感じていました。丸の内に異動してからは、新宿よりさらに客数が多い中で、いかに顧客を呼べるかを考え始めました。これはお客さまから指摘されたのですが「あまりおすすめじゃないものだと、売りたくない顔しますよね」と言われました(笑)。最近も別のお客さまから同じことを言われて、自分が好きなもの、お客さまにはこれを着てほしいというものが売りたいんだなって気づきました。

―お客さまから指摘を受けるということは、顔に出てた?

齋藤:そうみたいですね。顔に出ているとは思ってなかったんですけど(笑)。顧客のワードローブは把握しているので、着てほしいものでないとなぜか力が入らない。というか、おすすめしないわけではないけど、つい「こっちの方がいいですよ」と言ってしまいます。そのへんをお客さまも理解して、納得してお買い上げしてもらえるのがうれしいですね。

―齋藤さんのセンスや接客にほれて買い物に来られる感じなんですね。

齋藤:いわゆる『スーツのプロ』と呼ばれるような正統派のスタッフが丸の内にいましたが、僕は彼らとは接客スタイルが違うので、それぞれにハマる人がハマってくれればいいと思っていました。オーセンティックな提案がほしいときはそちらに聞いてくださいというスタンスです。ときにはお客さまの嗜好を伺った上でビシッとスーツを着用しているスタッフをおすすめすることもあります。僕は変わった感じの格好が好きなので、見た目で僕には来ないお客さまも多いです。お客さまからはなかなか声をかけてこない(笑)。

―お客さまも心得ている感じですね。それって意識的にしている?

齋藤:自分の好きな格好の販売員がドレスの店舗にいなかったので、自然とこのキャラクターになった感じです。自分の顧客もビシッとしたビジネスマンというより、ジャケット、スーツを着こなすけど、自由に崩せるような方が多くて、自分の格好にハマる人が集まっています。

―スーツをビシッと着る人もいれば、そうでない着方をしたい人もいますよね。そこに個性派な齋藤さんが登場して、ファンがついてきている。服好きとしては感慨深いですね。では最後に、これからの目標を教えてください。

齋藤:接客は楽しいので、ずっと売り場にいたいと思っています。ようやくキャリアが長くなってきて、自分の声が社内に通るようになってきたので、商品企画やイベント企画はより積極的にやっていきたいですね。

苫米地香織:服が作れて、グラフィックデザインができて、写真が撮れるファッションビジネスライター。高校でインテリア、専門学校で服飾を学び、販売員として働き始める。その後、アパレル企画会社へ転職し、商品企画、デザイン、マーケティング、業界誌への執筆などに携わる。自他ともに認める“日本で一番アパレル販売員を取材しているライター”

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今週のスケジュール(2020年7月13日〜2020年7月19日)

FASHION

18 SAT

三越伊勢丹
STAYHOME盆踊り2020
20:00〜 オンライン

BEAUTY

14 TUE

グライド・エンタープライズ
新製品発表会
11:00~/13:00~/15:00~ オンライン

MTG
新製品発表会
11:00~/13:00~/14:30~/16:00~/17:30~ オンライン

15 WED
スナオ
新製品発表会
10:00~/11:00~/14:00~/15:00~ オンライン

シード
新製品発表会
11:00~11:30 オンライン

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