午前中のパリは空気が少し冷たくて、徐々に日差しが暖かくなっていくのが本当に気持ちいいんです。そんな心地よい時間に見る「ルメール」は格別でした。会場はパリ工芸博物館(Musee des Arts et Metiers)で、格調高い空間に立つモデルたちが自由に談笑しています。カラーリングはオフホワイトやテラコッタ、ジンジャー、ベビーブルーといった繊細なニュアンスのワントーンが多く、素材の柔かさやエレガンスが伝わってきます。服と肌の間にある空間に焦点を当て、シャツは風通しのよいゆったりとしたシルエットで、パンツもハイウエストのイージーフィット。ゆとりあるシルエットによって生じる空間や素材のドレーピングが、エレガンスを際立たせる得意のスタイルでした。パプアニューギニア生まれのアーティスト、ノヴィアディ・アンカサプラ(Noviadi Angkasapura)の作品をあしらった知的な柄使いが、“ミニマル”とは違う奥行きをコレクションにもたらせます。
パリの軍学校エコール・ミリテールでショーを開催したのは、クリエイティブ・ディレクターのマシュー・M・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)=クリエイティブ・ディレクターが率いる「ジバンシィ」です。今回が現体制では初となるメンズ単独のショーということで、会場周辺は有名ラッパーやアーティストたちが集いにぎわっています。ゲートを抜けると、ショー空間の中央には白いブロックが建ち、その周辺に水を浅く張ったセットでした。この大きな水たまりのランウエイで、どのようなコレクションが登場するのか、期待は膨らみます。
ラグジュアリーブランドらしい豪華セットを目の当たりにした後は、「ウォルター ヴァン ベイレンドンク」先生です。指導者として実績を残しまくっている一方で、自身のブランドでパリメンズに継続して参加しているプレイング・ティーチャー。会場は、1924年に建てられたマドレーヌ劇場(Theatre de la madeleine)で、趣のある空間が素敵です。どんなショーが始まるんだろう。期待して待ち続けること20分、なかなか始まりません。30分を過ぎた辺りで、開演を求める拍手が起きます。それでもまだ始まらない。40分になる頃には、激暑の密室でスタンバイし続けるカメラマンから怒号が上がり始めると、場内が暗転してようやく幕が上がりました。先生、授業なら欠席扱いの遅刻です。コレクションはいつもよりもウエアラブルで、モチーフ使いこそ派手なものの、先生が得意とする浮世離れした装飾やピースは控えめ。リアルなシルエットで、これはこれでアリだと思わせるスタイルでした。黒い布がさーっと上がってモデルが現れる演出や、ステージ上を縦横無尽に入り乱れる勢いは面白かった。ただ、ゲストには次の予定があります。その時間を気にさせるハラハラした状態では、コレクションの良さを純粋に伝えきることはできないと、授業で生徒たちに教えてほしいです。
公式スケジュールに思い切りかぶせてくるオフスケジュールのショーなんてスキップすれば、本当はもっと楽になるはずなんです。でも、チケット申請してもないのに“YOU ARE CONFIRMED!”みたいな勢いのいいメールがやたらとしつこく届く執念に負け、二手に分かれて行ってしまいました。面白いものが見られる可能性がある限り、足を運ぶのがファッション・ウイーク。そしてこの連載なのです。デザイナーはウクライナ出身なので、会場の随所にイエローとブルーの配色が見られました。現在はロンドンをベースにしており、パリメンズの期間中にオフスケジュールでショーを発表しています。コレクションは、以前はY2K風の“カワイイ”スタイルな印象でしたが、かなりセンシュアルに変化していました。とはいえユニークなモチーフやアクセサリーは変わらず、クラフツマンシップとアンダーグラウンドカルチャーを融合させたクリエイションは振り切っていて楽しかった。わざわざ足を運んだ甲斐がありました。
そして、「ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)」とのコラボレーションは継続のようで、アイコニックなトロンプルイユ(だまし絵)がスリップドレス、タンクトップ、アウターにプリントされています。昨シーズンのサイケデリックな配色はやや控えめで、今季はモノトーンがメイン。有機的なフォルムのジュエリーやバッグなどの立体装飾がルックをドラマチックに見せます。「ジャンポール・ゴルチエ」との共同制作で手掛けた、クチュールのクリエイションが影響しているのでしょうか。さまざまな経験を糧に、デザイナーとしての可能性を広げているようです。
1位の“トータル R クリーム N”と同じく、1月にリニューアルした高機能エイジングケアシリーズの顔用保湿液。ベタつかず、肌に素早く広がり、潤いが長時間持続。洗顔後やひげそり後に、ディスペンサーを1回押した分を手に取り顔全体に馴染ませるだけで、スキンケアを実感できる手軽さも魅力。シリーズ共通のシトラスの香りも爽やか。(70mL、8470円
「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT、以下YSL)」は、シロップリップ“ルージュ ヴォリュプテ キャンディグレーズ”からみずみずしく鮮やかなチェリーオレンジを限定色として発売中だ。価格は税込4730円。6月24日からは表参道フラッグシップブティックで先行販売し、7月15日からは公式オンラインサイトでも数量限定で取り扱う。