火の玉「リック・オウエンス」や夢の遊び場「ルイ・ヴィトン」に圧倒されっぱなし 2023年春夏メンズコレ取材24時Vol.6

 2023年春夏コレクションサーキットの皮切りとして、各都市のメンズ・ファッション・ウイークが開催しています。日本から渡航する関係者は多くないものの、「WWDJAPAN」は今季も現地取材を敢行し、現場から臨場感たっぷりの情報をお届けします。担当するのは、大塚千践「WWDJAPAN」副編集長とパリ在住のライター井上エリの2人。今回は「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON」や「リック・オウエンス(RICK OWENS)」「アミ パリス(AMI PARIS)」など、壮大な世界観を堪能したパリメンズ3日目をリポートします。

9:30「ランバン」

 朝イチは「ランバン(LANVIN)」のプレ・スプリング・コレクションの展示会へ。メンズは、クラシック回帰を掲げてテーラリングを強化。5スタイルのテーラードスタイルを軸に、創業者ジャンヌ・ランバン(Jeanne Lanvin)にオマージュを捧げたディテールや美しい手仕事、バリエーション豊かな素材使いで同ブランドらしいクラシックを探求します。クリエイティブ・ディレクターに就いて3年目を迎えたブルーノ・シアレッリ(Bruno Sialelli)は就任直後こそファンシーすぎるクリエイションに賛否両論だったものの、ここ最近はマーケットの感覚をつかんできたのか、テーラリングもトレンドを取り入れつつそつのないクリエイションです。上質な素材使いと、キーカラーの一つである爽やかなペパーミントグリーンのスーツが特に気になりました。

10:00「レインズ」

 デンマーク発「レインズ(RAINS)」が、パリで2回目となるショーを開催しました。会場となったパリ北部にあるモダンギャラリー、サンクワトロまで中心地から30分。パリは東京23区の6分の1しかない面積の小さい街なので、30分と聞くとかなり遠く感じちゃいます。朝一に遠い会場とあって、座席の最後列はほぼ空席でした。

 「レインズ」は雨の日のファッションを楽しむことをコンセプトに、2012年に創設したブランド。数シーズン前からタンネ・ヴィテル(Tanne Vinter)がクリエイティブ・ディレクターを務めており、ファッション性をさらに高めた雨具を発表しています。今季も、雨の憂鬱さを吹き飛ばしてくれそうな原色が彩ります。序盤に出てきたマルチポケット付きのワークウエアジャケットやジャンプスーツ、防水加工を施したリサイクルナイロンのワークパンツやボクサーショーツと、快活でスポーティな印象です。ただ、ファッション性が特別高いわけではなくて、結構ありきたり。雨具という縛りがあるのは確かですが、制限があるからこそ創造性を働かせて、新鮮なルックを見たかったです。

11:30「オム プリッセ イッセイ ミヤケ」

 体力的に朝が辛くなる3日目の朝は、「オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE)」のショーでエネルギーを注入してもらうのがパリメンズの定番でした。いつもパッション溢れる演出で、爽やかな気分にしてくれます。同ブランドのリアルショー復帰に伴い、それも復活。出迎えてくれるスタッフの方々も、生き生きした表情です。

 会場となったパリ中心部の郵便局で、シャイヨー国立劇場のラシッド・ウランダン(Rachid Ouramdane)=ディレクターが総合演出を担当したショーが開幕しました。コレクションテーマの二面性を、“静と動”として表現するため、序盤はモデルが静かにウオーキングし、次にアクロバティック劇団のXYカンパニー(Compagnie XY)が神々しく登場して、パフォーマンスタイムが始まります。人が人を持って振り回したり、放り投げたりと、優雅だけど豪快、繊細だけど圧倒するパフォーマンスに目が釘付け。服の詳細を危うく見落としそうになるほど、パフォーマンスに見入ってしまいました。ウエアは花器のシルエットや植物の様子に着想し、柔らかい丸みを持たせたり、ふっくらと空気をはらませる分量を用いたり。細かいニュアンスと大胆なパターンで、“静と動”を共存させます。ほかにも綿花をモチーフにするなど、自然からの要素を心地よく融合させたコレクションでした。やはり、最後は大歓声。みんなを元気にしてくれる「オム プリッセ イッセイ ミヤケ」は健在です。

12:30「リック・オウエンス」

 「リック・オウエンス」はいつもの会場パレ・ド・トーキョー(Plais de Tokyo)の屋外でショーを行いました。会場に到着してまず目に入ったのは、中央の噴水の中にある大きなクレーン。そしてPRからは「タバコは絶対に吸わないでね。フフッ」と注意されます。何かすごいことが起こりそうな臭いがムンムンします。

 今季のコレクションは「リック・オウエンス」流のミニマル。肌が透けるシアーなシルクシフォンとゴワゴワとしたフェルトのようなニット、ユーズド加工したデニムや艶やかなレザーといったバリエーション豊富なテクスチャーは、とても表情が豊か。生地に焦点を当てるためか、ハードウエアが削ぎ落とされています。生地はイタリアの歴史あるテキスタイルメーカー「ボノット(BONOTTO)」と共同開発したコットンやウールで、さらには最も強度が高いと言われるリップストップ(​​格子状にナイロン繊維が縫い込んだ生地)です。リックなりのリアルクローズだとしても、生地の質感とシルエットはインパクト大!中盤以降に登場したフューシャピンクにレモンイエロー、目に刺さるような玉虫色の鮮やかな色彩は、感情を内側から爆発させたような、狂気的なパワーがありました。

 ルックに目を引き付けられていると、突如空中で炎が燃え盛ります。「タバコは絶対に吸わないでね。フフッ」の意味が分かり、思わず「オマイガー」と口から漏れちゃいました。最終的には、クレーンが3つの地球儀型の物体を持ち上げて火が放たれ、最後は水の中にドボンと崩れ落ちる演出です。座席には炎の熱が伝わってきます。感染病、戦争、環境汚染など私たちが現在考えるべき地球規模の問題について、問いかけてくるようでした。地球を守るために小惑星を核爆弾で破壊させる映画「アルマゲドン(Armageddon) 」の内容が、実際に目の前で起こっているみたい。さすが、リック様。

13:30「ウエスト」

 「リック・オウエンス」の炎に呆然としたまま、セカンドシーズンを発表した「ウエスト(OUEST)」のプレゼンテーションへ。アメリカ西海岸の開放的な雰囲気とフランス南西部のウエスタンをコンセプトに掲げるブランドとあって、会場内は平和的な穏やかムードで、リックの世界から現実に引き戻してもらえました。平成2年生まれのデザイナー、アーサー・ロバート(Arthur Robert)は「アミ パリス(AMI PARIS)」でデザインを約10年間手掛けた後、2021年に同ブランドをスタートさせました。今季は1960年代のアメリカンワークウエアをベースに、コーデュロイやスエットのショーツでサーフ要素を盛り込みます。「宇宙的な感覚を入れたくて」と話すアーサーは、ペーパーライクに仕上げたナイロン生地をゴールドに塗って、遊び心を加えました。生地や縫製も良質。ダボっとしたノンウォッシュデニムが今後シグネチャーとして定着すれば、スタイルのバリエーションをさらに広げていけるはずです。

14:30「ルイ・ヴィトン」

 日差しが強くなってきた昼下がり。次はいよいよ「ルイ・ヴィトン」です。毎回ユニークな招待状で楽しませてくれるのですが、今回はボードゲームのセットが届きました。よく見ると、故ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)がこれまで手掛けてきた要素をイラストで描いており、今回のコレクションでも彼が遺したクリエイションの続きが見られそうだと胸が躍ります。

 会場になったルーヴルの中庭クール・カレ(Carré du Louvre)に着くと、そこはまるで夢のような世界。おもちゃのレース場にも見える黄色いレンガの道(イエロー・ブリック・ロード)は、ヴァージルが最初に手掛けた2019年春夏シーズンで着想源にした「オズの魔法使い」へのオマージュでしょうか。すでに涙が出てきたかも。あ、いや、これは大量の汗でした。この日の日差しは強烈で、日焼け止めもなく正面から紫外線を受け続けたゲストの顔は真っ赤っか。でも「ルイ・ヴィトン」焼けなら本望です。コレクションが開始する前に、マーチングバンドがイエローのランウエイを一周していきます。そのダイナミックなパフォーマンスと共に、ショーは開幕しました。

 コレクションは、ヴァージルのチームがクリエイションを見事に継承。メンズ服の原点であるスーツを今の時代に向けてアレンジするスタイルが主軸です。直線的なボクシーシルエットのジャケットやバギーなスラックス、リラックスしたパステルカラー、ストリート仕立てのビビッドカラーやキャッチーなモチーフ、チャンキーなシューズなど、ファンタジーなフォーマルでゲストを夢の世界へと引き込みます。ヴァージルは生前のコレクションで、ダイバーシティをあらゆる手段で発信し続けてきました。そして、ラスト数シーズンは純粋な少年の感性で世界を見るという考え方“ボーイフッド・イデオロギー®(Boyhood Ideology®)”を取り入れており、今シーズンもその要素が随所に見られました。スーツには紙飛行機やハサミ、ペンチなどの立体刺繍が付き、スタジャンにはカートゥーンのパッチをあしらいます。ぐにゃりと歪ませたスポーツウエアは、僕自身も少年時代に憧れたモータサイクルのユニホームにも見えます。終盤は、草木や花々をスーツやアクセサリーにエンブロイダリー。“同じ花は二つもないのだから”というメッセージを訴えた20年春夏シーズンを想起させます。ランウエイを遊び場に変え、ダイバーシティやインクルージョンを夢と共に届けるクリエイションは、今後もさまざまなかたちで引き継がれていくでしょう。この日、ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)が席から披露した「ロング、リブ、ヴァージル」というラップが頭から離れません。

16:30「アミリ」

 2014年にCEO兼クリエイティブ・ディレクターのマイク・アミリ(Mike Amiri)が立ち上げた、LA発の「アミリ(AMIRI)」が、パリで初となるショーを開催しました。植物園を見渡せる特設会場で、鋭い日差しにさらされながら待つこと40分。青空に映えるペールブルーの爽やかなスーツルックでショーが開幕です。一見すると、テーラリングを軸としたストリートウエアという昨今主流のスタイルですが、“新世代のラグジュアリー”を掲げるブランド哲学は、バリエーション豊かな生地に現れていました。タペストリー織りのショートパンツやエンボス加工を施したレザーのシャツ、ハンドメイドのパッチワークによるベースボールジャケット、グラフィックを編み込んだカシミアニット。フレアに広がるシルクのトラウザーは、風に乗って美しく踊るように揺れ動きます。グレーからエクリュ、マリングリーンに流れるように色が変化していき、飽きのこない完成度の高さ。正直なところ、ショー前はアメリカのストリートとラグジュアリーを掛け合わせた、数多くあるブランドの一つとしてしか捉えていませんでしたが、いい意味で期待を見事に裏切られました。特定のマーケットから多大な支持を得るブランドの魅力が、品質の高さと独自の生地であることがよく分かりました。これも画面だけでは分からない、現場取材ならでは。

18:30「サルバム」

 藤田哲平デザイナーの手掛ける「サルバム(SULVAM)」は、3回に分けたミニショーでメンズとウィメンズのコレクションを発表しました。会場となったのは、パリ3区に構えたアトリエ兼ショールームの目の前の一般道です。クラシックな生地のテーラリングや、リラックスシルエットのスーツパンツとパターンカットが美しいローライズのジーンズが登場し、肩の力を抜いてリアルに着られるテーラリングを提案します。切りっぱなしのディテールに加え、ステッチを目立たせたり、ポケットの縁をあえて外したりと、「サルバム」の魅力である脱構築的な遊びも健在。生地とディテールにはエレガンスが宿っていて、軸は変えずに進化を遂げています。

 3カ月前にこちらのアトリエ兼ショールームに訪れた時より少し内装が変わっていて、奥のアトリエとショールームに仕切りを作り、創造性を磨く場所として基盤が固まっているような印象を受けました。藤田さんは、「自分たちの場所に仲間を呼びたかった」と、今回この場所を会場にした理由を話します。「肩肘張らずに『サルバム』の洋服を日常の一部として着用して欲しいと思っています。だから街に馴染ませるために、アトリエ兼ショールーム前の一般道をランウエイにしました」と続けました。今季のコレクションにエレガンスが際立っていたのは、昨年フランスで現地法人を立ち上げ、パリで過ごす時間が多くなっていることも影響しているのかもしれません。フランスの美意識に感化されると同時に、日本を外から見ることで生まれる新たな視点もありそうです。止まることなく進化する「サルバム」の今後が楽しみ!

19:00「ドリス ヴァン ノッテン」

 「ルイ・ヴィトン」「アミリ」と強烈な日材を浴び続けたため、体力はすでに限界を迎えつつあります。そんなときこそ「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」のショーで気持ちを高めましょう。今シーズンは、クラシックなメンズウエアにサイケデリックで官能的な要素を加えます。ガレージの現場の人々やカウボーイやなど、 あらゆる男性像をハイブリッドさせながら、高揚感たっぷりに具現化していきます。1980年代にロンドンのクラブシーンで誕生したアシッドジャズのように。太もも丈のショーツやシルクのキャミソールで肌を見せたかと思えば、ウエスタンブーツやポンチョなどのプロテクティブなアイテムも盛り込み、性差やジャンルをハイテンションでリミックスします。ショー後半になるにつれて、その勢いはますます加速。パンツやパッチに大胆に配したレタリングには“DRIES VAN NOTEN”という文字を断片化して配置します。「ドリス ヴァン ノッテン」のショーは、後半にかけてエンジンが加速していくのが毎回楽しいんです。フィナーレでは、コレクションにも使った柄のバルーンがランウエイ横に何本も立ち上がるコンサートのような仕掛け。何かちょっとダサくて愛らしいではないですか。最近は思い切ったデザインも見られるので、新たなチャプターへの進化を予感させるコレクションでした。

20:30「アミ パリス」

 毎回豪華なセットでエンターテイメントを届けてくれる「アミ パリス」のショー。今季は、モンマルトルにあるサクレ・クール寺院(Sacre Coeur)の目の前の広場を会場にしました。パリで一番高い丘のため、景色が最高!映画「アメリ」の撮影地として知られるモンマルトルは、元々パリ郊外の村で、かつてはゴッホ、ピカソ、ルノアールも暮らしていました。今でも芸術家が集い、道端にはたくさんの絵描きさんを見かけます。アレクサンドル・マテュッシ(Alexandre Mattiussi)は今季、風情漂うノスタルジックなモンマルトルに触発されたのでしょう。招待状は、ゲスト一人ひとりに向けた手書きの似顔絵。ちょっと待って、私ってこんな顔!?ってびっくりしちゃうくらいデフォルメされてましたが、良き記念です。

 いつもながら、座席にはカトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)やナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)らセレブリティがいっぱい。そしてファーストルックはなんと、映画「アメリ」の主人公役を務めた、フランス人女優のオドレイ・トトゥ(Audrey Tautou)ではないですか。ショーの終盤では、カーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)とクリステン・マクメナミー(Kristen McMenamy)という世代の異なるスーパーモデルがラストを飾りました。

 コレクションは、王道パリジャンスタイルを現代的にアップデートした内容です。金ボタンの付いたネイビーのブレザーやピンストライプのテーラード、ボーダーやチェック柄のニット、そしてシンプルなシャツも多用されています。これらにローライズのフレアジーンズやトラックスーツでレトロとストリート、スポーツウエアの要素を見事にミックス。男女で多くのアイテムを共有する中、ウィメンズではマイクロミニショーツとボリュームのあるサイハイブーツで、サイケデリックなスパイスをプラスします。クラシックとストーリート、もしくはスポーツウエアの組み合わせは多くのブランドが試みているクリエイションですが、「アミ パリス」のバランスが頭一つ抜けている印象です。カジュアルなのにエレガントで、着飾っているのにエフォートレス。ジュエリーではなくスカーフで飾り立て、ヘアとメイクが自然体なのも、ザ・パリジャンな雰囲気を引き出した重要な要素です。パリコレ前にアレクサンドルと「アミ」CEOに取材した際、年間売上高が過去2年で脅威の43倍増と聞きました。今季のコレクションも多くの人に、着たい!と思わせるに十分な魅力を持っていました。

 ショー後は大塚さんと一緒に、モンマルトルの街を歩きながら帰路につきました。パリに住んでいても、ほかのエリアとは異なる趣あるモンマルトルの街並みに、毎回心を揺さぶられます。そしてキレイな夕日に心地よい風。明日からのパリコレ後半戦に向けて、エナジーチャージする時間となりました!素敵な場所に誘ってくれた「アミ パリス」に感謝です。

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火の玉「リック・オウエンス」や夢の遊び場「ルイ・ヴィトン」に圧倒されっぱなし 2023年春夏メンズコレ取材24時Vol.6

 2023年春夏コレクションサーキットの皮切りとして、各都市のメンズ・ファッション・ウイークが開催しています。日本から渡航する関係者は多くないものの、「WWDJAPAN」は今季も現地取材を敢行し、現場から臨場感たっぷりの情報をお届けします。担当するのは、大塚千践「WWDJAPAN」副編集長とパリ在住のライター井上エリの2人。今回は「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON」や「リック・オウエンス(RICK OWENS)」「アミ パリス(AMI PARIS)」など、壮大な世界観を堪能したパリメンズ3日目をリポートします。

9:30「ランバン」

 朝イチは「ランバン(LANVIN)」のプレ・スプリング・コレクションの展示会へ。メンズは、クラシック回帰を掲げてテーラリングを強化。5スタイルのテーラードスタイルを軸に、創業者ジャンヌ・ランバン(Jeanne Lanvin)にオマージュを捧げたディテールや美しい手仕事、バリエーション豊かな素材使いで同ブランドらしいクラシックを探求します。クリエイティブ・ディレクターに就いて3年目を迎えたブルーノ・シアレッリ(Bruno Sialelli)は就任直後こそファンシーすぎるクリエイションに賛否両論だったものの、ここ最近はマーケットの感覚をつかんできたのか、テーラリングもトレンドを取り入れつつそつのないクリエイションです。上質な素材使いと、キーカラーの一つである爽やかなペパーミントグリーンのスーツが特に気になりました。

10:00「レインズ」

 デンマーク発「レインズ(RAINS)」が、パリで2回目となるショーを開催しました。会場となったパリ北部にあるモダンギャラリー、サンクワトロまで中心地から30分。パリは東京23区の6分の1しかない面積の小さい街なので、30分と聞くとかなり遠く感じちゃいます。朝一に遠い会場とあって、座席の最後列はほぼ空席でした。

 「レインズ」は雨の日のファッションを楽しむことをコンセプトに、2012年に創設したブランド。数シーズン前からタンネ・ヴィテル(Tanne Vinter)がクリエイティブ・ディレクターを務めており、ファッション性をさらに高めた雨具を発表しています。今季も、雨の憂鬱さを吹き飛ばしてくれそうな原色が彩ります。序盤に出てきたマルチポケット付きのワークウエアジャケットやジャンプスーツ、防水加工を施したリサイクルナイロンのワークパンツやボクサーショーツと、快活でスポーティな印象です。ただ、ファッション性が特別高いわけではなくて、結構ありきたり。雨具という縛りがあるのは確かですが、制限があるからこそ創造性を働かせて、新鮮なルックを見たかったです。

11:30「オム プリッセ イッセイ ミヤケ」

 体力的に朝が辛くなる3日目の朝は、「オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE)」のショーでエネルギーを注入してもらうのがパリメンズの定番でした。いつもパッション溢れる演出で、爽やかな気分にしてくれます。同ブランドのリアルショー復帰に伴い、それも復活。出迎えてくれるスタッフの方々も、生き生きした表情です。

 会場となったパリ中心部の郵便局で、シャイヨー国立劇場のラシッド・ウランダン(Rachid Ouramdane)=ディレクターが総合演出を担当したショーが開幕しました。コレクションテーマの二面性を、“静と動”として表現するため、序盤はモデルが静かにウオーキングし、次にアクロバティック劇団のXYカンパニー(Compagnie XY)が神々しく登場して、パフォーマンスタイムが始まります。人が人を持って振り回したり、放り投げたりと、優雅だけど豪快、繊細だけど圧倒するパフォーマンスに目が釘付け。服の詳細を危うく見落としそうになるほど、パフォーマンスに見入ってしまいました。ウエアは花器のシルエットや植物の様子に着想し、柔らかい丸みを持たせたり、ふっくらと空気をはらませる分量を用いたり。細かいニュアンスと大胆なパターンで、“静と動”を共存させます。ほかにも綿花をモチーフにするなど、自然からの要素を心地よく融合させたコレクションでした。やはり、最後は大歓声。みんなを元気にしてくれる「オム プリッセ イッセイ ミヤケ」は健在です。

12:30「リック・オウエンス」

 「リック・オウエンス」はいつもの会場パレ・ド・トーキョー(Plais de Tokyo)の屋外でショーを行いました。会場に到着してまず目に入ったのは、中央の噴水の中にある大きなクレーン。そしてPRからは「タバコは絶対に吸わないでね。フフッ」と注意されます。何かすごいことが起こりそうな臭いがムンムンします。

 今季のコレクションは「リック・オウエンス」流のミニマル。肌が透けるシアーなシルクシフォンとゴワゴワとしたフェルトのようなニット、ユーズド加工したデニムや艶やかなレザーといったバリエーション豊富なテクスチャーは、とても表情が豊か。生地に焦点を当てるためか、ハードウエアが削ぎ落とされています。生地はイタリアの歴史あるテキスタイルメーカー「ボノット(BONOTTO)」と共同開発したコットンやウールで、さらには最も強度が高いと言われるリップストップ(​​格子状にナイロン繊維が縫い込んだ生地)です。リックなりのリアルクローズだとしても、生地の質感とシルエットはインパクト大!中盤以降に登場したフューシャピンクにレモンイエロー、目に刺さるような玉虫色の鮮やかな色彩は、感情を内側から爆発させたような、狂気的なパワーがありました。

 ルックに目を引き付けられていると、突如空中で炎が燃え盛ります。「タバコは絶対に吸わないでね。フフッ」の意味が分かり、思わず「オマイガー」と口から漏れちゃいました。最終的には、クレーンが3つの地球儀型の物体を持ち上げて火が放たれ、最後は水の中にドボンと崩れ落ちる演出です。座席には炎の熱が伝わってきます。感染病、戦争、環境汚染など私たちが現在考えるべき地球規模の問題について、問いかけてくるようでした。地球を守るために小惑星を核爆弾で破壊させる映画「アルマゲドン(Armageddon) 」の内容が、実際に目の前で起こっているみたい。さすが、リック様。

13:30「ウエスト」

 「リック・オウエンス」の炎に呆然としたまま、セカンドシーズンを発表した「ウエスト(OUEST)」のプレゼンテーションへ。アメリカ西海岸の開放的な雰囲気とフランス南西部のウエスタンをコンセプトに掲げるブランドとあって、会場内は平和的な穏やかムードで、リックの世界から現実に引き戻してもらえました。平成2年生まれのデザイナー、アーサー・ロバート(Arthur Robert)は「アミ パリス(AMI PARIS)」でデザインを約10年間手掛けた後、2021年に同ブランドをスタートさせました。今季は1960年代のアメリカンワークウエアをベースに、コーデュロイやスエットのショーツでサーフ要素を盛り込みます。「宇宙的な感覚を入れたくて」と話すアーサーは、ペーパーライクに仕上げたナイロン生地をゴールドに塗って、遊び心を加えました。生地や縫製も良質。ダボっとしたノンウォッシュデニムが今後シグネチャーとして定着すれば、スタイルのバリエーションをさらに広げていけるはずです。

14:30「ルイ・ヴィトン」

 日差しが強くなってきた昼下がり。次はいよいよ「ルイ・ヴィトン」です。毎回ユニークな招待状で楽しませてくれるのですが、今回はボードゲームのセットが届きました。よく見ると、故ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)がこれまで手掛けてきた要素をイラストで描いており、今回のコレクションでも彼が遺したクリエイションの続きが見られそうだと胸が躍ります。

 会場になったルーヴルの中庭クール・カレ(Carré du Louvre)に着くと、そこはまるで夢のような世界。おもちゃのレース場にも見える黄色いレンガの道(イエロー・ブリック・ロード)は、ヴァージルが最初に手掛けた2019年春夏シーズンで着想源にした「オズの魔法使い」へのオマージュでしょうか。すでに涙が出てきたかも。あ、いや、これは大量の汗でした。この日の日差しは強烈で、日焼け止めもなく正面から紫外線を受け続けたゲストの顔は真っ赤っか。でも「ルイ・ヴィトン」焼けなら本望です。コレクションが開始する前に、マーチングバンドがイエローのランウエイを一周していきます。そのダイナミックなパフォーマンスと共に、ショーは開幕しました。

 コレクションは、ヴァージルのチームがクリエイションを見事に継承。メンズ服の原点であるスーツを今の時代に向けてアレンジするスタイルが主軸です。直線的なボクシーシルエットのジャケットやバギーなスラックス、リラックスしたパステルカラー、ストリート仕立てのビビッドカラーやキャッチーなモチーフ、チャンキーなシューズなど、ファンタジーなフォーマルでゲストを夢の世界へと引き込みます。ヴァージルは生前のコレクションで、ダイバーシティをあらゆる手段で発信し続けてきました。そして、ラスト数シーズンは純粋な少年の感性で世界を見るという考え方“ボーイフッド・イデオロギー®(Boyhood Ideology®)”を取り入れており、今シーズンもその要素が随所に見られました。スーツには紙飛行機やハサミ、ペンチなどの立体刺繍が付き、スタジャンにはカートゥーンのパッチをあしらいます。ぐにゃりと歪ませたスポーツウエアは、僕自身も少年時代に憧れたモータサイクルのユニホームにも見えます。終盤は、草木や花々をスーツやアクセサリーにエンブロイダリー。“同じ花は二つもないのだから”というメッセージを訴えた20年春夏シーズンを想起させます。ランウエイを遊び場に変え、ダイバーシティやインクルージョンを夢と共に届けるクリエイションは、今後もさまざまなかたちで引き継がれていくでしょう。この日、ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)が席から披露した「ロング、リブ、ヴァージル」というラップが頭から離れません。

16:30「アミリ」

 2014年にCEO兼クリエイティブ・ディレクターのマイク・アミリ(Mike Amiri)が立ち上げた、LA発の「アミリ(AMIRI)」が、パリで初となるショーを開催しました。植物園を見渡せる特設会場で、鋭い日差しにさらされながら待つこと40分。青空に映えるペールブルーの爽やかなスーツルックでショーが開幕です。一見すると、テーラリングを軸としたストリートウエアという昨今主流のスタイルですが、“新世代のラグジュアリー”を掲げるブランド哲学は、バリエーション豊かな生地に現れていました。タペストリー織りのショートパンツやエンボス加工を施したレザーのシャツ、ハンドメイドのパッチワークによるベースボールジャケット、グラフィックを編み込んだカシミアニット。フレアに広がるシルクのトラウザーは、風に乗って美しく踊るように揺れ動きます。グレーからエクリュ、マリングリーンに流れるように色が変化していき、飽きのこない完成度の高さ。正直なところ、ショー前はアメリカのストリートとラグジュアリーを掛け合わせた、数多くあるブランドの一つとしてしか捉えていませんでしたが、いい意味で期待を見事に裏切られました。特定のマーケットから多大な支持を得るブランドの魅力が、品質の高さと独自の生地であることがよく分かりました。これも画面だけでは分からない、現場取材ならでは。

18:30「サルバム」

 藤田哲平デザイナーの手掛ける「サルバム(SULVAM)」は、3回に分けたミニショーでメンズとウィメンズのコレクションを発表しました。会場となったのは、パリ3区に構えたアトリエ兼ショールームの目の前の一般道です。クラシックな生地のテーラリングや、リラックスシルエットのスーツパンツとパターンカットが美しいローライズのジーンズが登場し、肩の力を抜いてリアルに着られるテーラリングを提案します。切りっぱなしのディテールに加え、ステッチを目立たせたり、ポケットの縁をあえて外したりと、「サルバム」の魅力である脱構築的な遊びも健在。生地とディテールにはエレガンスが宿っていて、軸は変えずに進化を遂げています。

 3カ月前にこちらのアトリエ兼ショールームに訪れた時より少し内装が変わっていて、奥のアトリエとショールームに仕切りを作り、創造性を磨く場所として基盤が固まっているような印象を受けました。藤田さんは、「自分たちの場所に仲間を呼びたかった」と、今回この場所を会場にした理由を話します。「肩肘張らずに『サルバム』の洋服を日常の一部として着用して欲しいと思っています。だから街に馴染ませるために、アトリエ兼ショールーム前の一般道をランウエイにしました」と続けました。今季のコレクションにエレガンスが際立っていたのは、昨年フランスで現地法人を立ち上げ、パリで過ごす時間が多くなっていることも影響しているのかもしれません。フランスの美意識に感化されると同時に、日本を外から見ることで生まれる新たな視点もありそうです。止まることなく進化する「サルバム」の今後が楽しみ!

19:00「ドリス ヴァン ノッテン」

 「ルイ・ヴィトン」「アミリ」と強烈な日材を浴び続けたため、体力はすでに限界を迎えつつあります。そんなときこそ「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」のショーで気持ちを高めましょう。今シーズンは、クラシックなメンズウエアにサイケデリックで官能的な要素を加えます。ガレージの現場の人々やカウボーイやなど、 あらゆる男性像をハイブリッドさせながら、高揚感たっぷりに具現化していきます。1980年代にロンドンのクラブシーンで誕生したアシッドジャズのように。太もも丈のショーツやシルクのキャミソールで肌を見せたかと思えば、ウエスタンブーツやポンチョなどのプロテクティブなアイテムも盛り込み、性差やジャンルをハイテンションでリミックスします。ショー後半になるにつれて、その勢いはますます加速。パンツやパッチに大胆に配したレタリングには“DRIES VAN NOTEN”という文字を断片化して配置します。「ドリス ヴァン ノッテン」のショーは、後半にかけてエンジンが加速していくのが毎回楽しいんです。フィナーレでは、コレクションにも使った柄のバルーンがランウエイ横に何本も立ち上がるコンサートのような仕掛け。何かちょっとダサくて愛らしいではないですか。最近は思い切ったデザインも見られるので、新たなチャプターへの進化を予感させるコレクションでした。

20:30「アミ パリス」

 毎回豪華なセットでエンターテイメントを届けてくれる「アミ パリス」のショー。今季は、モンマルトルにあるサクレ・クール寺院(Sacre Coeur)の目の前の広場を会場にしました。パリで一番高い丘のため、景色が最高!映画「アメリ」の撮影地として知られるモンマルトルは、元々パリ郊外の村で、かつてはゴッホ、ピカソ、ルノアールも暮らしていました。今でも芸術家が集い、道端にはたくさんの絵描きさんを見かけます。アレクサンドル・マテュッシ(Alexandre Mattiussi)は今季、風情漂うノスタルジックなモンマルトルに触発されたのでしょう。招待状は、ゲスト一人ひとりに向けた手書きの似顔絵。ちょっと待って、私ってこんな顔!?ってびっくりしちゃうくらいデフォルメされてましたが、良き記念です。

 いつもながら、座席にはカトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)やナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)らセレブリティがいっぱい。そしてファーストルックはなんと、映画「アメリ」の主人公役を務めた、フランス人女優のオドレイ・トトゥ(Audrey Tautou)ではないですか。ショーの終盤では、カーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)とクリステン・マクメナミー(Kristen McMenamy)という世代の異なるスーパーモデルがラストを飾りました。

 コレクションは、王道パリジャンスタイルを現代的にアップデートした内容です。金ボタンの付いたネイビーのブレザーやピンストライプのテーラード、ボーダーやチェック柄のニット、そしてシンプルなシャツも多用されています。これらにローライズのフレアジーンズやトラックスーツでレトロとストリート、スポーツウエアの要素を見事にミックス。男女で多くのアイテムを共有する中、ウィメンズではマイクロミニショーツとボリュームのあるサイハイブーツで、サイケデリックなスパイスをプラスします。クラシックとストーリート、もしくはスポーツウエアの組み合わせは多くのブランドが試みているクリエイションですが、「アミ パリス」のバランスが頭一つ抜けている印象です。カジュアルなのにエレガントで、着飾っているのにエフォートレス。ジュエリーではなくスカーフで飾り立て、ヘアとメイクが自然体なのも、ザ・パリジャンな雰囲気を引き出した重要な要素です。パリコレ前にアレクサンドルと「アミ」CEOに取材した際、年間売上高が過去2年で脅威の43倍増と聞きました。今季のコレクションも多くの人に、着たい!と思わせるに十分な魅力を持っていました。

 ショー後は大塚さんと一緒に、モンマルトルの街を歩きながら帰路につきました。パリに住んでいても、ほかのエリアとは異なる趣あるモンマルトルの街並みに、毎回心を揺さぶられます。そしてキレイな夕日に心地よい風。明日からのパリコレ後半戦に向けて、エナジーチャージする時間となりました!素敵な場所に誘ってくれた「アミ パリス」に感謝です。

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飲む日焼け止め、目のケア、SPF値…… ドクターに聞く紫外線対策のギモン

 梅雨明け前から猛暑が続き、いよいよ紫外線対策も本格化。昨今はさまざまな機能を備えた日焼け止めが多い上に環境配慮型の製品も増えているが、それらは何が違うのか。SPFやPAの数値や“飲む日焼け止め”と言われるサプリメント、目のUVケアなど、意外と知られていないことも多い紫外線対策について、アヴェニュークリニック表参道院の佐藤卓士院長に話を聞いた。

――国内最高レベルの紫外線カット力は「SPF50+/PA++++」ですが、海外では70や100などSPF値が高く表記されているものもあります。日本でも高く表記できないのでしょうか?

アヴェニュークリニック表参道院 佐藤卓士院長(以下、佐藤):SPFとPAは日本化粧品工業連合会で規定されており、国際規格に従ってSPF50を最大値とし、SPF50よりも大きい数値のものは50+と表記するように決められています。同様にPAも数値が++++以上のものは全て++++と表記が決められています。したがって日本で高い表記はできません。米国でも上限の勧告は出ていますが、義務ではないため50よりも高い数値を表記している製品が売られています。

――UV製品には美白効果や保湿効果、シミや乾燥対策などプラスアルファの効果がついたものが多く存在します。これら美容成分配合より紫外線カット効果が弱まることはあるのでしょうか。

佐藤:実際の製品でSPFとPAの測定試験を行っていますので、プラスアルファの効果が含まれた製品でも、SPFとPAの測定結果よりも紫外線カット効果が弱まっていることはありません。

“飲む日焼け止め”と美白サプリは何が違う?

――UVケアサプリも増えています。それらは通称“飲む日焼け止め”と言われていますが、美白サプリとはどう違うのでしょうか?

佐藤:飲む日焼け止めに含まれる成分には、免疫防御作用や抗酸化作用、DNA保護作用を持ち、紫外線を浴びることで発生する活性酸素を除去することで赤みや炎症を防ぎ、日焼けによるシミや肌老化を防止します。一方、飲む美白は美白成分を配合しています。美白成分とはシミやくすみの原因であるメラニンを排出するのをサポートする作用、メラニンの生成を抑制する作用、皮膚のターンオーバーを助ける作用のあるものなどです。

――では、「飲む日焼け止め」だけでも紫外線対策できるのでしょうか?

佐藤:「飲む日焼け止め」を飲めば肌に塗る日焼け止めはいらないということにはならず、塗る日焼け止めの補助として併用していただくのが良いですね。

――昨今は子供の紫外線対策も注目を集め、子供向けと書かれた製品も増えています。子供の日焼け止めと大人の日焼け止めに違いはありますか?

佐藤:子供用の日焼け止めは紫外線散乱剤のみを含んでいるものが多く、「紫外線吸収剤フリー」や「ノンケミカルサンスクリーン」といった表示がされています。子供用は基本的には肌に優しい成分を使用していますね。

目の紫外線ケアも重要!

――目から紫外線が入るとどんな影響がありますか?浴びてしまった後の対策は?

佐藤:紫外線が目に入ると角膜がダメージを受けて、目の痛みや充血などの角膜炎を起こします。ダメージが長く続き、影響が水晶体に及ぶと白内障につながる可能性もあります。さらには黄斑変性や翼状片などの病気を起こす可能性もあります。また、マウスの目に紫外線を照射すると皮膚にメラニンが作られたという研究報告もあることから、目に紫外線が入ると脳が体に紫外線を浴びていると認知し、紫外線から体を守ろうと皮膚メラニンを産生するようになると推測されます。

このことからも、紫外線が目に入ることを防ぐのはとても大事です。サングラスやコンタクトレンズ、帽子などで目に入るのを予防しましょう。もし浴びてしまったら、目を安静にして冷却してください。また、炎症を軽減する点眼薬などを使用しましょう。

――百貨店やドラッグストアにはあらゆる効果のUV製品が続々と登場しています。どれを購入すればいいか悩む人も多いですが、選び方のコツは? 

佐藤:SPFやPAの数値を目安に、使用する目的に応じて選んでください。日常で使用する場合はSPF20〜30、PA++〜+++のものを使用し、マリンスポーツや終日の屋外レジャーにはSPF50または50+、PA++++のものを使用すると良いでしょう。また、UV製品の成分には紫外線吸収剤と紫外線散乱剤があり、製品によって使用している成分が違います。紫外線散乱剤は肌への負担が少ないため、こちらを使用している製品を選ぶと良いでしょう。

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「WWDJAPAN 2022上半期ベストコスメ」 スタイリング剤部門1位は「ダヴィネス」や「ダイアン」

 「WWDJAPAN 2022上半期ベストコスメ」を発表!「WWDJAPAN」は、 百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストア、ECで2022年上半期(1~4月)に売れた製品を調査。この期間に発売された新製品(NEW PRODUCT)のベスト3と、新製品だけでなく既存品を含めた総合(HERO PRODUCT)のベスト3を紹介する。

 百貨店・セミセルフショップの総合は、前期2位だった「ダヴィネス(DAVINES)」の“オーセンティック オイル”が首位に浮上。「全身使用可能なマルチユースアイテム」であることもポイントが高く、バイヤーからは「トレンドのウェットスタイルを作る際の必需品」「ヘアサロンの美容師やインスタグラマーにも人気」「ギフト需要も多数」などのコメントが寄せられた。2位の「ジョンマスターオーガニック(JOHN MASTERS ORGANICS)」のマスカラブラシタイプのスタイリング剤“スリーキング スティック”には「スリムなパッケージで、持ち運びやすく、口コミで人気」、3位の「アヴェダ(AVEDA)」の“ライトエレメンツ スムージング フルイド”は「ロングセラー製品で幅広いお客様から支持されている」などが聞かれた。新製品首位は、「ゲラン(GUERLAN)」の長年にわたるミツバチの研究と開発技術から誕生した“アベイユ ロイヤル スカルプ&ヘア オイル イン セロム”に。2位は「アヴェダ」の“ボタニカル リペア オーバーナイト セラム”、「ロクシタン(L’OCCITANE)」の“ファイブハーブス バランシングシールドミスト”、「シャネル(CHANEL)」の“チャンス オー タンドゥル ヘア オイル”の3製品が同率で並ぶ混戦となった。

 バラエティー・ドラッグストアの総合は、同率首位に4製品が並ぶ大混戦。うち2製品は「ザ・プロダクト(PRODUCT)」の“ヘアワックス”で、ミッキーマウスパッケージと通常パッケージの両方が入る人気ぶり。「数あるマルチバームの中で揺るぎない人気を誇っている」とバイヤーからの信頼も厚い。前期、新製品首位だった「フィーノ(FINO)」の“プレミアムタッチ 浸透美容液ヘアオイル”は「発売から半年間首位を独走」との声も。マスカラブラシタイプのスタイリング剤「プリュスオー(PLUS EAU)」の“ポイントリペア”もランクインした。そして、新製品首位も同タイプの「アンドハニー メルティ(&HONEY MELTY)」“マトメイクスティックスーパーホールド”。2位・3位は動画クリエイター集団「エスポワールトライブ」プロデュースのヘアケアブランド「エグジー(EXGEE)」のワックス。同率3位は「オーシャントリコ(OCEAN TRICO)」の“バリカタスプレー”という結果に。バイヤーからは「今後外出の機会が増え、ナチュラルなスタイリングからびしっと決めるスタイリングが復活の兆し」と期待の声も聞かれた。

 EC総合1位は、バラエティー・ドラッグストア部門と同じく「ザ・プロダクト」の“ヘアワックス”。2位も同部門首位の「プリュスオー」の“ポイントリペア”。同率2位は「スリー(THREE)」の“スキャルプ&ヘア リファイニング トリートメント オイル R”に。新製品は「ダイアン(DIANE)」のマスカラブラシタイプのスタイリング剤“パーフェクトビューティー マエガミ スティック”の“ナチュラル”が1位、同じく“ハード”が2位となり、このカテゴリー商品の人気の高さを示す結果となった。










PHOTO:HIROKI WATANABE
TEXT:YOSHIE KAWAHARA

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「WWDJAPAN 2022上半期ベストコスメ」 フレグランス部門1位は「ジョー マローン ロンドン」や「フィアンセ」

  「WWDJAPAN 2022上半期ベストコスメ」を発表!「WWDJAPAN」は、 百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストア、ECで2022年上半期(1~4月)に売れた製品を調査。この期間に発売された新製品(NEW PRODUCT)のベスト3と、新製品だけでなく既存品を含めた総合(HERO PRODUCT)のベスト3を紹介する。

 百貨店・セミセルフショップの総合首位は、前期・前々期に続いて「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」の“イングリッシュ ペアー & フリージア コロン” という結果に。「不動の人気No.1」「定番・男女問わずオールシーズン人気」とのバイヤーの声が多く寄せられている。前期3位だった「シロ(SHIRO)」の“サボン オードパルファン”が2位に浮上。「ジェンダーレスで楽しめる香り」としても支持が高く、「年代を問わず人気。ギフト需要が高くまとめ買いも多い」とのコメントも。3位の「シャネル(CHANEL)」の“チャンス オー タンドゥル ヘア ミスト”は定番人気でギフト需要が高い一方で、「10代、20代のお客さまを中心に人気」との声も聞かれ、憧れブランドのエントリーアイテムとしての需要が伺える。新製品首位も「ジョー マローン ロンドン」で、毎春限定の“サクラ チェリー ブロッサム コロン”がランクイン。2位は「シャネル」の“ロー ルージュ No1 ドゥ シャネル”と続き、3位は「コスメデコルテ(DECORTE)」の限定品“キモノ サクラ オードトワレ”で、インフルエンサー効果もあり、「即完売した」という店も見られた。

 バラエティー・ドラッグストア総合首位は、20年から連続で「フィアンセ(FIANCEE)」の“ボディミスト ピュアシャンプーの香り”に。バイヤーからも「素晴らしい香りのフレグランスミスト!」と評価されるロングセラー商品だ。2位には、「フェルナンダ(FERNANDA)」の“フレグランスボディミスト(マリアリゲル)”、「メイクミーハッピー(MAKE ME HAPPY)」の“オードトワレ フレッシュ”、「モムチ(MUMCHIT)」の“パフュームヘア&ボディミスト チューリップブロッサム”の3商品が同率で並ぶ混戦となった。新製品も同様で、3商品が同率首位に。「ジュライミー(JUL7ME)」の“フレグランスヘアエッセンス フルブルーム”、「ジョンズブレンド(JOHN’S BLEND)」の“ムスクミモザ ヘアー&ボディミスト”と、ヘアに使うフレグランスが並んだ。EC部門新製品3位にもランクインしている「ハニーロア(HONEYROA)」の限定品“フレグランス スミレ”は、石井美保美容家がSNSで紹介したことを機にブレイク。「2度にわたり一瞬にして完売。店頭へも問い合わせのお客さまで溢れた」という。

 EC総合首位も「ジョー マローン ロンドン」の“イングリッシュ ぺアー & フリージア コロン”が不動の人気を誇った。2位には「メゾン マルジェラ フレグランス(MAISON MARGIELA FRAGRANCES)」のベストセラー“レプリカ オードトワレ レイジーサンデー モーニング”、「シロ」の“ホワイトリリー オードパルファン”と“サボン オードパルファン”の3製品が同率で並んだ。新製品1位は「ジバンシイ(GIVENCHY)」の“イレジスティブル ソリッド パフューム”で、「同ブランドの中では比較的手に取りやすい価格なことも人気の理由の一つ」。2位「ロクシタン(L’OCCITANE)」の限定品“サクラサボン ジェリーフレグランス”は「香水初心者でもチャレンジしやすい商品。新生活前の身だしなみとして購入が加速」とバイヤーは好調の理由を述べる。3位は「ハニーロア」“フレグランス スミレ”という結果となった。(価格は全て税込)










PHOTO:HIROKI WATANABE
TEXT:YOSHIE KAWAHARA

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「ロクシタン」のカフェに夏の新メニュー ヴァーベナやフルーツを使った爽やかなラインアップ

 「ロクシタン(L'OCCITANE)」が運営する「ロクシタンカフェ」「ヴァーベナカフェ」は、夏季限定メニューの提供を開始した。今回登場したのは爽やかな香りのハーブ、ヴァーベナや旬のフルーツを使ったパフェやサンドイッチなど。提供メニューは店舗によって異なり、詳細は公式サイトに記載している。

両店の共通メニューである“恋を呼ぶハーブ「ヴァーベナ」とマンゴーのブーケパフェ”(税込1480円)はヴァーベナのゼリーにマンゴーの果肉とマンゴーシャーベットを組み合わせ、マンゴーを花束のようにあしらった。そのほか、旬のグリーンメロンを使った“生メロンクリームソーダ”や、マンゴーピューレとチアシードを加えたビューティドリンク“ヴァーベナ&マンゴーのソイティーラテ” (共にロクシタンカフェ同980円、ヴァーベナカフェ同880円)なども用意している。

また、「ロクシタンカフェ」では、人気の“クロワッサンワッフルサンドウィッチ”に“ベーコン&エッグ”と“スモークサーモン&アボカド”(共に同1580円)の新メニューも加わっている。

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「ディオール」2023年春夏メンズのパリコレに横浜流星やベッカム親子、ジャスティン・ティンバーレイクらが来場

 「ディオール(DIOR)」はこのほど、2023年春夏メンズ・コレクションをパリ・メンズ・ファッション・ウイークで現地時間24日に発表した。メンズ アーティスティック・ディレクターのキム・ジョーンズ(Kim Jones)による最新コレクションは、ムッシュ・ディオールが幼少期を過ごしたフランス・グランヴィルや、イギリス人画家のダンカン・グラント(Duncan Grant)が活動拠点にしていたサセックスのチャールストンなど、パーソナルなストーリーから着想を得た。

 会場には、シンガーソングライターのジャスティン・ティンバーレイク(Justin Timberlake)や、元サッカー選手のデヴィッド・ベッカム(David Beckham)と三男のクルス・ベッカム(Cruz Beckham)、モデルのナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)、フランス人ラッパーのオレールサン(OrelSan)、日本から俳優の横浜流星ら多くのセレブリティが駆けつけた。

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「イソップ」が店頭で“ヘルシースキン”に着目したキャンペーンを開催

 「イソップ(AESOP)」は6月27日〜8月7日、“ヘルシースキン”に着目した「ケア&サポート」キャンペーンを店頭で実施する。期間中は全店で“B トリプル C フェイシャル バランシング ジェル”にフォーカス。同製品をイメージしたディスプレーを施した空間で、コンサルタント(販売員)との対話を通じて改めて同製品を紹介する。

 「イソップ」は、「肌の健康にはケアとサポートが必要」というスキンケアの哲学を持ち、どのような天候の下であっても肌を労わり、健康な肌状態に保つことを大切としている。そこで同キャンペーンでは、季節に合わせたスキンケアを提案すべく“B トリプル C フェイシャル バランシング ジェル”(60mL、税込1万1170円)に着目した。

 同製品は2003年に誕生した“B トリプル C フェイシャル バランシング ジェル マスク”をルーツに持ち、06年にリニューアル。アイコン製品の一つとして支持を集めている。暑くて湿度が高い気候や肌ストレスを感じやすい都市部に住む人にとって理想的な製品として位置付けている。ブランドの中でも特に高品質で高濃度の植物由来成分やビタミンなどが豊富に配合されているスキンケア+シリーズで、“黄金比率”のビタミンBとビタミンCを配合。保水効果が高く、肌に十分な水分を与えながらバランスを整える。

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「イソップ」が店頭で“ヘルシースキン”に着目したキャンペーンを開催

 「イソップ(AESOP)」は6月27日〜8月7日、“ヘルシースキン”に着目した「ケア&サポート」キャンペーンを店頭で実施する。期間中は全店で“B トリプル C フェイシャル バランシング ジェル”にフォーカス。同製品をイメージしたディスプレーを施した空間で、コンサルタント(販売員)との対話を通じて改めて同製品を紹介する。

 「イソップ」は、「肌の健康にはケアとサポートが必要」というスキンケアの哲学を持ち、どのような天候の下であっても肌を労わり、健康な肌状態に保つことを大切としている。そこで同キャンペーンでは、季節に合わせたスキンケアを提案すべく“B トリプル C フェイシャル バランシング ジェル”(60mL、税込1万1170円)に着目した。

 同製品は2003年に誕生した“B トリプル C フェイシャル バランシング ジェル マスク”をルーツに持ち、06年にリニューアル。アイコン製品の一つとして支持を集めている。暑くて湿度が高い気候や肌ストレスを感じやすい都市部に住む人にとって理想的な製品として位置付けている。ブランドの中でも特に高品質で高濃度の植物由来成分やビタミンなどが豊富に配合されているスキンケア+シリーズで、“黄金比率”のビタミンBとビタミンCを配合。保水効果が高く、肌に十分な水分を与えながらバランスを整える。

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