藤原ヒロシが教える「正しい充電器の選び方」

藤原ヒロシといえば、ガジェット通で誰よりも早く最新のMacBookやiPhoneを手にしている印象が強いが、実は充電器にも詳しい。ガジェットを手に世界各地を飛び回る中で、これまでにさまざまな充電器を試してきたという。そんな藤原が日頃から愛用している「アンカー(ANKER)」と「フラグメント デザイン(FRAGMENT DESIGN)」のコラボモデル「アンカー プライム ウォール チャージャー(100W, 3 ports, GaN)フラグメント エディション(Anker Prime Wall Charger(100W, 3 ports, GaN)FRAGMENT Edition)」がこのほど発売した。最大100ワット(W)出力で3ポート搭載、1.8mのUSB-Cケーブルに「ラミダス(RAMIDUS)」の専用ポーチと、全てがちょうど良いサイズ感。ほとんど人は充電器のことを深く考えたことはないかも知れないが、実は奥が深いのだ。充電器を語らせたらちょっと“うるさい”藤原が、正しい充電器の選び方を教える。

――“充電器マニア”でもあるヒロシさんが、充電器に最も求めていることはなんですか?

藤原ヒロシ(以下、藤原):持ち歩きしやすいように小さい方がいいな、とかかな。確実に必要なものだから、新しいものが出たらどんどん買って試していますね。「アンカー」は初期の“アトム(Anker PowerPort Atom、2018年発売)”シリーズが登場してから急激に充電が速くなったんです。テクニカルなことは分からないけど、サイズは小さいのにワット(W)数が急激に上がった。

――なぜ、充電器にこだわるんですか?

藤原:MacBookが僕の仕事道具だと思っているので、常にMacBookを持ち歩いていて、常に充電もしたかったりするから。逆にみんなパソコンにはこだわるのに、なんで充電器にこだわらないんだって(笑)。

――確かに、充電器を気にしない人は多いですね。

藤原:ほとんどの人が大きく捉えていないことでも、実は大きな問題って結構あるんです。僕が常々思っているのは、イヤホンを左右逆につけている人がいっぱいいること。最近は形そのものが右耳用、左耳用になっているけど、気にしない人がいる。でもそれって僕らにとっては冒涜なんです。レコーディングしているときに左右ちゃんと決めていて、逆にすると聴こえない音もある。だからイヤホンとかも、もっと右と左が分かるようにしておいてくれたらいいのになとか、いろいろ思うことがあったんです。それと充電器も似ていて、昔のiPhoneの充電器を気にせず最新の機種にそのまま使っている人が結構います。MacBookもAirからProに買い替えるとジャック(出力端子)は同じだからAirの充電器とケーブルをそのまま使えはするんだけど、実は充電ワット数が全然違う。

――今回コラボした充電器は100Wですが、100Wを選んだ理由は何ですか?

藤原:最近出た100Wの充電器が持ち歩けるサイズで、出力が一番大きかったんです。MacBook Pro(の充電ワット数)が65〜140Wなので、100Wあれば安心ですね。

――iPhoneの初期の小さい充電器は5Wみたいですね。

藤原:厄介なことにそれでも充電できないわけではないんです。すごく時間がかかるだけで。最近はMacBookもiPhoneもジャックがUSB-Cになったから、ケーブルは共有できるものもあるんだけど、充電器は共有できない。時間は大切じゃないですか。

――充電器に“100W”と大きくデザインした理由は?

藤原:イヤホンの左右をちゃんとつけて欲しいのと同じです。同じようなサイズで65Wもあるから。よくみたら違うけど、これならすぐ分かるじゃないですか。

――確かに充電器って全部同じような黒い塊が多いというか……。

藤原:そうなんです。

――商品には「ラミダス」のポーチが付属するんですね。

藤原:結局こういうのってかさばるので、充電器とケーブルがちょうど入るサイズにしました。(充電器にはポートが3つ付いているので)ケーブルをもう1本用意していただければ、MacBookとiPhoneを同時に充電できます。

――4本付属する結束バンドも「フラグメント」のロゴが入った特別仕様ですね。

藤原:実はこれも改良した方がいいんじゃないか?って言ったんですけどね。これは絶対間違えていると思う。(先端をコードに巻き付け、穴に通してマジックテープで留める仕様だから)穴に通して引っ張る方が長くないといけないと思うんだけど、穴に通した方が短いから気付くとたまに取れてしまうんです。

――よく細かいところに気付かれますよね。

藤原:やっぱり旅をするからじゃない?でもここは今回改良できなかったんです。まぁ「アンカー」はベルクロ屋ではないので、充電器に注力してくれれば大丈夫なんですけどね(笑)。

――ちなみに、旅へはどのような充電器のセットを持っていくんでしょうか?

藤原:充電器1個と海外用の変換アダプターですね。スーツケースにも充電器を入れているけど、ラウンジで使うには持ち歩かなきゃいけないので。ラウンジは変換アダプターがないと使えないことが結構多いんです。

――充電器に関して、旅で困ることはありますか?

藤原:飛行機もだけど、充電器そのものが重くて大きいと、コンセントに差していても知らない間に抜け落ちていることがある。だけど、これはコンセントの部分がラバーコーティングしてあって落ちないんです。すごい小さなことだけど、重要なこと。移動中に充電されているはずが、着いたらされていなかったとかもあるので。

――そもそもヒロシさんは、どれくらいの頻度でガジェット(PCやその周辺機器)を買い替えますか?

藤原:情報が出たらついつい買ってしまいますね。

――頻繁にMacBookやiPhoneを買い替えると、データ移行が億劫じゃないですか?

藤原:ちょっと億劫だけど、なんとなく使命感的に。僕が率先して買い替えなかったら誰が買い替えるんだって(笑)。

――どのくらい昔のデータまで保存しているんですか?

藤原:基本的には全てしているはず。上手くデータ移行できていないときもあるだろうけど、2000年以降は確実にありますね。

――いつからラップトップを使われているんですか?

藤原:PowerBook(MacBookの前身のラップトップ)を買ったのが89年か90年だったかな。

――当時は海外へもPowerBookを持って行っていたんですか?

藤原:持っていっていました。そのときは買ったときに付いている純正の充電器だけだったと思います。

――充電器が選べるようになったのはいつ頃からですか?

藤原:充電器のサードパーティが出てきたのは、やっぱりiPhoneが普及してきてからですよね。たまにあったけど、そこまでポピュラーじゃなかったし。iPhoneが普及して、家に充電器を忘れる人が増えて、コンビニで売り出したりとかしたんじゃないですか。今でもMacはMacの充電器を使っている人が多いかも知れないけど、めっちゃでかいんですよ。なのに(充電ワット数が)80W。だから僕はMacBookの純正の充電器は開けてもいないです。別に家ならそれも使えるんだろうけど、それにしても大きいし、家用にももっといい「アンカー」の充電器がたくさんあるので、そっちの方がいいです。

――そうなんですか!じゃあ今回のコラボは、純正よりもハイスペック……。

藤原:はい。旅をすると本当に荷物が多くなっちゃうから、MacBookはモニターが大きい方がいいけど、充電器みたいなものは軽ければ軽い方がいいし、小さければ小さい方がいいですよね。今は100Wで十分だけど、これからもしMacBookやiPhoneがどんどん進化したら、もっとワット数の大きい充電器が必要になって、なおかつサイズも小さくなったりするだろうね。

――ヒロシさんが「アンカー」を使い続ける理由は何ですか?

藤原:ワット数の高い充電器って、最初に「アンカー」から出て、そのあと他のメーカーからもちょこちょこ出てくるんですが、それと比べるとデザインが「アンカー」の方がかっこいいからです。他も買って試していましたが、最近は「アンカー」しか買っていませんね。充電器は本当にワット数によって全然スピードが違うんで。知らない人は時間を無駄にしますよってことです(笑)。

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デサントの“水沢ダウン“やハードシェルが好調 23年3〜12月期

デサントの2023年4〜12月期は、売上高が前年同期比4.6%増の901億円だった。国内で「デサント」ブランドが好調で、岩手・水沢の自社工場で作る“水沢ダウン”や、ハードシェルジャケット“クレアス”といったアイコン商品がよく売れた。D2C事業の強化施策も奏効し、D2Cの売り上げ構成比率は前年同期から2.9ポイント向上した。韓国でも「デサント」のプロパー店舗が売り上げを伸ばした。

一方で、ブランディングのための広告販促を積極的に行ったほか、中国の持分法適用関連会社の子会社化などの影響により、営業利益は同11.9%減の64億円、純利益は同18.0%減の83億円だった。

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「フィリップ プレイン」2024年プレ・フォール・コレクション

「フィリップ プレイン(PHILIPP PLEIN)」が2024年プレ・フォール・コレクションを発表した。

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「フィリップ プレイン」2024年プレ・フォール・コレクション

「フィリップ プレイン(PHILIPP PLEIN)」が2024年プレ・フォール・コレクションを発表した。

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「プーマ」が20周年のゲーム「モンスターハンター」と初コラボ

「プーマ(PUMA)」は、ゲーム「モンスターハンター」とコラボしたコレクションを発売する。「モンスターハンター」の20周年を記念したもので、両者のタッグは初。

「プーマ」は、「ゲームのキャラクターを描き下ろしたイラストを用いた商品をラインアップする」と話す。

「モンスターハンター」シリーズは、カプコンによるハンティングアクションゲーム。第1作を2004年に発売した。

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「プーマ」が20周年のゲーム「モンスターハンター」と初コラボ

「プーマ(PUMA)」は、ゲーム「モンスターハンター」とコラボしたコレクションを発売する。「モンスターハンター」の20周年を記念したもので、両者のタッグは初。

「プーマ」は、「ゲームのキャラクターを描き下ろしたイラストを用いた商品をラインアップする」と話す。

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「モンクレール」2024-25年秋冬コレクション

「モンクレール(MONCLER)」が2024-25年秋冬コレクションを発表した。

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「モンクレール(MONCLER)」が2024-25年秋冬コレクションを発表した。

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ワールドの上山会長が退任 構造改革や再上場に尽力

ワールドは5日、代表取締役会長の上山健二氏(58)が5月28日の株主総会後に退くと発表した。同社は代表取締役社長の鈴木信輝氏が経営の「執行」、代表取締役会長の上山氏が「監督」を代表する立場として取締役会の議長を務めている。今後は社外取締役が取締役議長に就く見通し。

上山氏は住友銀行(現・三井住友銀行)出身で、中古車買取大手のジャック、スーパーの長崎屋、英会話教室のGABAの社長を歴任し、2013年にワールドに入社した。15年に社長に就任した後は、業績不振に陥っていた同社の構造改革を推し進めた。また、店舗を中心としたブランド事業だけでなく、デジタル事業を強化するとともに、生産・販売などの機能を外販するプラットフォーム事業など新しい事業領域に注力し、収益源の多様化に努めた。18年9月には再上場に導いた。20年6月からは代表権を持つ会長として社長の鈴木氏を支えた。

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「アンドビー」が高濃度ピュアビタミンCの美容液を発売 毛穴の黒ずみやざらつきを軽減

ヘアメイクアップアーティストの河北裕介がプロデュースする「アンドビー(&BE)」は2月9日、ピュアビタミンCを25%配合した美容液“VC25アドバンスドセラム”(15g、4180円)を発売する。

肌トラブルの中でも特に悩みの声が多い毛穴ケアに着目し誕生した“VC25アドバンスドセラム”は、使い続けることで毛穴やキメの乱れ、ザラつきを軽減し透明感のある肌に導く美容液だ。成分はピュアビタミンCのほか、滑らかな肌に整えるアーチチョーク葉エキスやアカツメクサ花エキスなどを配合している。

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「アンドビー」が高濃度ピュアビタミンCの美容液を発売 毛穴の黒ずみやざらつきを軽減

ヘアメイクアップアーティストの河北裕介がプロデュースする「アンドビー(&BE)」は2月9日、ピュアビタミンCを25%配合した美容液“VC25アドバンスドセラム”(15g、4180円)を発売する。

肌トラブルの中でも特に悩みの声が多い毛穴ケアに着目し誕生した“VC25アドバンスドセラム”は、使い続けることで毛穴やキメの乱れ、ザラつきを軽減し透明感のある肌に導く美容液だ。成分はピュアビタミンCのほか、滑らかな肌に整えるアーチチョーク葉エキスやアカツメクサ花エキスなどを配合している。

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「ヴァレンティノ」の親密なサロンショー 意表を突く配色と手仕事が光るモダンクチュール

「ヴァレンティノ(VALENTINO)」は1月24日、2024年春夏オートクチュール・コレクションを発表した。古城を背景にした壮大なショーから半年、ヴァンドーム広場にあるゴールドの装飾とシャンデリアで飾られたクチュールサロンを舞台に、親密なショーを開いた。

意表を突く配色や異なる質感の組み合わせ

クチュールサロンは、メゾンが「技術の価値を決め、創作を称える文化的な環境。美を目撃し、人間らしさを体験する場所であり、まさにオートクチュールの核」と定義する空間。そんなメゾンにとって特別な場所でピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)が見せたのは、伝統を重んじながらも時代に合った価値とニーズを反映したモダンなコレクションだ。

ファースルックは、大きなフラップポケットを配したバーガンディーのミニマルなジャケットに、裾にオーストリッチフェザーをあしらったパウダーピンクのシフォンブラウス、そしてフューシャピンクのテーラードパンツのスタイル。淡いウォーターグリーンのクレープで仕立てたテーラードジャケットにネオンイエローで彩られたジョーゼットのタンクトップ、フォレストグリーンのタフタを用いたサーキュラースカートといった着こなしや、アズールブルーのブークレコートにゴールドのラメが輝くタンクトップ、深い赤のウールクレープパンツを合わせたルックもある。今シーズンは柄やモチーフが控えめなせいか、ピッチョーリの強みである意表を突く配色、そして異なる質感を持ったアイテムの組み合わせが一層目を引く。

現代生活を映し出す多様なアイテム

昨シーズンは日常を反映した“インディゴジーンズ”を総ビーズ刺しゅうで再現して見せたが、今季はコレクション全体を通して、現代の生活を映し出したアイテムで構成。オーバーサイズのテーラードジャケットやマスキュリンなコートから、Tシャツやシャツ、タートルネックトップス、オーバーオール、フラップポケットをあしらったり片足にだけ深いスリットを加えたりしたワイドパンツ、バミューダショーツ、ベビードールドレス、マーメイドスカート、フルイドなマキシドレスまでをそろえ、クチュールならではの素材や装飾、仕立て、シルエットで仕上げている。なかでもクチュールとして新鮮だったのは、ワークテイストのジップアップジャケット。ただし、フードの縁にはたっぷりと羽を飾り、ターコイズのタフタで仕立てたボールガウンのようなバルーンスカートと合わせて、実用主義とファンタジーを掛け合わせている。

また、“間近で見せることによってオートクチュールの真意を伝える”という意図を込めたショーでは、職人たちのアイデアと技術を生かした手仕事もしっかりと肉眼で捉えることができた。フェザーやファーのように見えるフリンジは、カールさせたシルクのピースやうねった細長いスパンコールをびっしり縫い付けたり、レザーとカシミアをボンディングした生地に無数の細かい切り込みを入れたりして表現。クロコダイルのような模様は、パテントレザーの小さなピースを並べて再現している。

ピッチョーリが語る職人への想い

ショーのフィナーレには、ピッチョーリと共にアトリエの職人たちが姿を見せた。「ヴァレンティノ」のショーではお馴染みの光景ではあるが、ここでピッチョーリが米「WWD」に語ったコメントを紹介したい。「私はアトリエにいる全員を知っている。それぞれの名前も知っているし、それぞれの生き方も知っている。私にとって、彼らは “手”ではない。フランス人が彼らを 『プティ・マン(フランス語で“小さな手”の意)』と呼ぶのが嫌いだ。それは、彼らが血の通った人間であり、服にそれぞれの生き方を投影していると感じるから」。そして、一人ひとりの職人が異なる取り組み方や個性を持っていることに対して、「自分の経験、自分の生き方、自分の人間性を自分の取り組んでいることに投影しなければ、魂を感じることはできない」と話す。そんなアトリエへの想いや信頼関係が、ユニークな作品づくりを支えている。「ヴァレンティノ」のクチュールショーがエモーショナルなのは、そういった背景がにじみ出ているからかもしれない。

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「ヴァレンティノ」の親密なサロンショー 意表を突く配色と手仕事が光るモダンクチュール

「ヴァレンティノ(VALENTINO)」は1月24日、2024年春夏オートクチュール・コレクションを発表した。古城を背景にした壮大なショーから半年、ヴァンドーム広場にあるゴールドの装飾とシャンデリアで飾られたクチュールサロンを舞台に、親密なショーを開いた。

意表を突く配色や異なる質感の組み合わせ

クチュールサロンは、メゾンが「技術の価値を決め、創作を称える文化的な環境。美を目撃し、人間らしさを体験する場所であり、まさにオートクチュールの核」と定義する空間。そんなメゾンにとって特別な場所でピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)が見せたのは、伝統を重んじながらも時代に合った価値とニーズを反映したモダンなコレクションだ。

ファースルックは、大きなフラップポケットを配したバーガンディーのミニマルなジャケットに、裾にオーストリッチフェザーをあしらったパウダーピンクのシフォンブラウス、そしてフューシャピンクのテーラードパンツのスタイル。淡いウォーターグリーンのクレープで仕立てたテーラードジャケットにネオンイエローで彩られたジョーゼットのタンクトップ、フォレストグリーンのタフタを用いたサーキュラースカートといった着こなしや、アズールブルーのブークレコートにゴールドのラメが輝くタンクトップ、深い赤のウールクレープパンツを合わせたルックもある。今シーズンは柄やモチーフが控えめなせいか、ピッチョーリの強みである意表を突く配色、そして異なる質感を持ったアイテムの組み合わせが一層目を引く。

現代生活を映し出す多様なアイテム

昨シーズンは日常を反映した“インディゴジーンズ”を総ビーズ刺しゅうで再現して見せたが、今季はコレクション全体を通して、現代の生活を映し出したアイテムで構成。オーバーサイズのテーラードジャケットやマスキュリンなコートから、Tシャツやシャツ、タートルネックトップス、オーバーオール、フラップポケットをあしらったり片足にだけ深いスリットを加えたりしたワイドパンツ、バミューダショーツ、ベビードールドレス、マーメイドスカート、フルイドなマキシドレスまでをそろえ、クチュールならではの素材や装飾、仕立て、シルエットで仕上げている。なかでもクチュールとして新鮮だったのは、ワークテイストのジップアップジャケット。ただし、フードの縁にはたっぷりと羽を飾り、ターコイズのタフタで仕立てたボールガウンのようなバルーンスカートと合わせて、実用主義とファンタジーを掛け合わせている。

また、“間近で見せることによってオートクチュールの真意を伝える”という意図を込めたショーでは、職人たちのアイデアと技術を生かした手仕事もしっかりと肉眼で捉えることができた。フェザーやファーのように見えるフリンジは、カールさせたシルクのピースやうねった細長いスパンコールをびっしり縫い付けたり、レザーとカシミアをボンディングした生地に無数の細かい切り込みを入れたりして表現。クロコダイルのような模様は、パテントレザーの小さなピースを並べて再現している。

ピッチョーリが語る職人への想い

ショーのフィナーレには、ピッチョーリと共にアトリエの職人たちが姿を見せた。「ヴァレンティノ」のショーではお馴染みの光景ではあるが、ここでピッチョーリが米「WWD」に語ったコメントを紹介したい。「私はアトリエにいる全員を知っている。それぞれの名前も知っているし、それぞれの生き方も知っている。私にとって、彼らは “手”ではない。フランス人が彼らを 『プティ・マン(フランス語で“小さな手”の意)』と呼ぶのが嫌いだ。それは、彼らが血の通った人間であり、服にそれぞれの生き方を投影していると感じるから」。そして、一人ひとりの職人が異なる取り組み方や個性を持っていることに対して、「自分の経験、自分の生き方、自分の人間性を自分の取り組んでいることに投影しなければ、魂を感じることはできない」と話す。そんなアトリエへの想いや信頼関係が、ユニークな作品づくりを支えている。「ヴァレンティノ」のクチュールショーがエモーショナルなのは、そういった背景がにじみ出ているからかもしれない。

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「徹底した現場主義」が世界で評価【NUNO 須藤玲子の見果てぬ布の旅 vol.5】

PROFILE:須藤玲子/「NUNO」代表兼ディレクター、東京造形大学名誉教授(手前)

(すどう・れいこ)1953年茨城県石岡市生まれ。日本の伝統的な染織技術から現代の先端技術を駆使し、新しいテキスタイルづくりをおこなう。作品は、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館、ロサンゼルスカウンティ美術館、ビクトリア&アルバート博物館、東京国立近代美術館など、世界の名だたるミュージアムに収蔵されている。2022年第11回円空大賞受賞。主な書籍に『日本の布(1〜4)』(MUJI BOOKS 2018, 2019)、『NUNO: Visionary Japanese Textiles』(Thames & Hudson 2021)など。写真は桐生の兵藤織物での須藤氏

世界的なテキスタイルデザイナーの一人である須藤玲子「NUNO」代表兼ディレクターにとって、日本の繊維産地は非常に深い関係がある。1987年に「NUNO」のディレクターに就任以来、ずっとほぼ全てのアイテムを日本で作り、須藤ディレクター自身が自らの足で産地を歩き、文字通り彼ら/彼女らと一体となってモノ作りを行ってきた。まさに“共創”と呼ぶにふさわしいモノ作りのこれまでを語った。(文中敬称略)

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1987年以来、「徹底した現場主義」を貫く

須藤は1987年にNUNOのディレクターになったとき「できる限り全アイテムを日本生産にする」と心に決め、以来ずっとそのルールを頑なに守っている。さらに「工場や職人と協業し、チームワークでモノづくりを進める」という信条を抱いている須藤にとって、全国各地にある産地で布づくりを行う工場や職人は、かけがえのない存在だ。繊維工場の場合、いわゆる中小・零細企業が多く、社長=職人という場合も多い。徹底した現場主義を貫き、積極的に工場へ赴き、ずっと職人と直にやりとりしてきた。

実際には産地ごとどころか、工場ごとに得意分野があり、どんな機械を持っていて、どんな技術を持っているかは異なっており、いわゆる産地の外にいるとそれを把握するのは実はかなり難しい。須藤の凄みは、非常に高い解像度でそれらを把握していること。つくりたいテキスタイルに対して、須藤の頭のなかにのみ存在する“日本産地マップ”があり、「この人に頼めばできるはず」「この産地に相談してみよう」と算段しているのだ。

1998年のMoMAによる「日本素材の展覧会」の衝撃

1998年9月12日から99年1月26日にかけてニューヨーク近代美術館(MoMA)が開催した「Structure and Surface: Contemporary Japanese Textiles」は、日本の布づくりの偉大さとユニークさを世界に発信し、世界の繊維・アパレル関係者、アート、デザイン分野で高い評価を得た。加えて、これまで日本国内ですらあまり表に出てこなかった「産地企業」が名前付きで大きく前に出たことで、その後の日本の繊維産業に衝撃を与えた。

この展覧会は、須藤にも大きく、そして深く影響を与えている。実はこの展覧会の実施から10年前にさかのぼるある日、須藤の元を後に同展覧会担当キュレーターになるカーラ・マッカーシー(Cara McCarty)とマチルダ・マクエイド(Matilda McQuaid)が訪れた。聞けば、当時「イッセイミヤケ」「コム デ ギャルソン」などを通して、欧米で関心の高まっていた日本のテキスタイルにフォーカスした展覧会をしたいという。「私に案内役になって欲しいというんですよ。それなら、ということで北は青森から、南は沖縄まで、彼女たちを案内して回ったんです。当時はインターネットなんてない時代です。それこそ、産地ごとに組合の電話番号を調べて、その産地の工場を紹介してもらって、電話してアポを取り付けてカーラとマチルダと一緒に回って、ということを繰り返しました」と須藤は語る。

当時、須藤もキュレーターのふたりも、気力、体力ともに充実した30代で、「日本のテキスタイルのものづくりの現場を知り尽くしてやろう」という熱い野心に燃えていた。「当初は10年も続けるとは思いませんでしたけど(笑)」。このリサーチは須藤に単に産地ごとの特色やものづくりの知見をもたらしただけでなく、全国津々浦々に存在する職人やテキスタイル会社とのつながりも構築した。「京都には軽自動車に布を積んで、河原で染色したり、晒しをしたりする染色工場のCBU工芸の梅谷和夫さんや、当時最先端の加工技術だった『スパッタリング』をテキスタイルに加工してやろうという愛知県蒲郡市の鈴寅(現・積水ナノコートテクノロジー)、沖縄では八重山上布の作家など、色々な人に出会いました」。ハイテクから工芸、織物から編み物、シルクから綿、ポリエステルまで、バリエーション豊かで、様々な要素が絡み合って成立していた「日本の布」は、当時実は世界的にもユニークなポジションにあった。そのモノづくりの現場と直接つながったことは、須藤を唯一無二のテキスタイルデザイナーに押し上げる一因になったのだ。

現場との結びつきが新しいデザインやテキスタイルを生み出す

ただ、現場の産地企業の経営者や職人と、「最初からスムーズにやりとりできたわけではない」と須藤は言う。産地を訪れ始めた1980年代後半、工場のガードは堅く、簡単に受け入れてはもらえなかった。しかし諦めることなく、何度も依頼を繰り返す。「機械を理解することは、布を理解することと同じ。布がどのようにつくられるのか、その構造を知るためには、機械を知らなければなにも理解できない」。絶対に撮影しないと誓い、ようやく工場の扉が開くこともあったという。そうして時間をかけて全国各地の工場を訪れ、多くの職人との交流が生まれた。

機械を知ることで、新たな試みも提案できるようになる。その工場では扱ってこなかった素材を試したり、技術を転用するアイデアも持ち込める。職人たちにとっては布づくりのプロセスに過ぎないからと放り出されているサンプルが、デザインを触発することもあった。また、職人たちがどのような環境で布をつくり出しているのかを目の当たりにすることで、課題と同時に可能性も見いだせる。工場のこと、機械のこと、職人のことをきちんと理解した上での提案だから、聞く耳を持ってもらえる。ときには職人の方から「こういうつくり方はどうか」と提案を受けることもあるという。自らが現場に飛び込むことで培ってきた信頼関係があってこそ、である。

また、布以外の要素にも、産地の特色を積極的に採り入れている。たとえば大分県立美術館(設計:坂茂)の巨大なオブジェを制作した際には、大分の伝統工芸である竹編みの作家を訪ね、構造に転用。NUNOが編み出した折り紙プリーツを立体的に浮かばせている。「布を知ることで、その地域の文化や歴史、そして日々の生活が見えてくる」と須藤は言う。

「Found MUJI」店頭で「日本の布」プロジェクト、4冊の本にも

2013年にはアドバイザリーボードを務める無印良品で「日本の布」プロジェクトを立ち上げ、山形から沖縄まで数多くの産地を訪れ、その産地や工場の特性を活かした商品をつくり、東京・青山のショップ「Found MUJI」で展覧会を開催。4冊の本にもまとめた。

日本の布づくりの現場は、国際的な価格競争や後継者難など、厳しい現実と戦っている。着物産業を背景に技術を伝承してきた産地は、未来をどう描けばいいのか、模索している事項も多い。また、布は我々の生活に対してとても身近である存在でありながら、産地ごとの特徴や、布づくりの構造や仕組みはそれほど知られてこなかった。そのことに須藤は危惧を抱いている。打破すべく、展覧会などを通して布の成り立ちを積極的に紹介し、職人たちの姿を浮かび上がらせる。伝統的な布づくりを行ってきた産地の魅力を、現代の生活に通じるものとして引き出して商品化し、多くのひとの眼に触れるようにする。生産者と消費者をつなぐことで、ものづくりの未来を少しでも明るいものにしたいと願っているからこそ、いまなお全国の産地に赴く。

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ユナイテッドアローズの「シテン」が新宿ルミネ2に出店 都心エリア初の常設店

ユナイテッドアローズのオリジナルブランド「シテン(CITEN)」は、都心エリア初の常設店舗となるCITEN ユナイテッドアローズ 新宿ストアをルミネ新宿 ルミネ2の4階に3月3日にオープンする。

店舗面積は約99㎡。ウィメンズアイテムを中心に、バッグなどの雑貨やメンズアイテム、男女兼用で着用できるユニセックスアイテムを取り扱う。店内は白を基調としたインダストリアルな空間に木材をアクセントとして取り入れた。

オープンを記念して、アーティストの田中シェンがデザインしたロングTシャツとトートバッグを限定販売する。また8000円以上購入した人を対象に、田中が同店をイメージして考案した“Silence Creates Rhythm”の文字を入れたウォーターボトルを数量限定でプレゼントする。

「シテン」は2021-22年秋冬シーズンにスタートしたメンズ・ウィメンズのカジュアル軸のブランド。ブランドコンセプトは、「FUTURE ESSENTIALS.」。自社ECを主販路にスタートし、23年に最初の実店舗立川立飛店をオープン。現在までに湘南平塚店、海老名店、柏の葉店、富士見店の5店舗を運営する。なかでもロゴを中央に配しカラーバリエーション豊富にそろえるパデッドキルティング素材のトートバッグはヒット商品。表参道駅構内のエチカ表参道では 7月31日まで期間限定店舗を運営。2月23日からはダイバーシティ東京 プラザ3階、3月15日からはららぽーとTOKYO-BAY北館1階に期間限定店舗を出店予定。

■シテン ユナイテッドアローズ 新宿ストア

オープン日:3月3日
場所:ルミネ新宿 ルミネ2
住所:東京都新宿区新宿3-38-2 ルミネ新宿 ルミネ2 4階

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河田フェザー、羽毛布団の側生地を再生紙に 100%の循環を実現

羽毛専業メーカーの河田フェザーはこのほど製紙メーカーの山陽製紙と協業し、羽毛リサイクルのために回収した羽毛布団の側生地を再生紙に活用する取り組みを発表した。再生紙は社内でパンフレットや名刺などに活用する。

河田フェザーは2012年から羽毛のリサイクル事業に取り組む。リサイクルの過程で、布団の重量比で約50%を占める側生地を焼却処分していた点が課題だった。今回の取り組みでは再生紙を専門とする山陽製紙と共同で、粉砕した生地を再生紙原料と混ぜ合わせて製紙する。これにより羽毛布団の100%の循環を実現した。

河田フェザーは、全国各地の行政・店舗・団体などと協力し不要な羽毛布団の回収を行う。回収した布団は国内の自社工場で解体し、独自の技法で高品質なリサイクル羽毛を製造する。リサイクル羽毛は国内外のアパレル企業などに供給している。2020年にはSBT認定を取得。羽毛リサイクル事業のほか、重油からLPガスへの移行、熱回収などを実践する。

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「エディフィス」と「イエナ」が「ニューバランス」の限定モデル“M1906FH”を発売

ベイクルーズの「エディフィス(EDIFICE)」と「イエナ(IENA)」は2月9日、「ニューバランス(NEW BALANCE)」の“New Balance M1906FH”(2万2000円)を限定で発売する。アイテムは同日10時からベイクルーズオンラインストアで、また両ブランドの店舗で取り扱う。サイズは「イエナ」で22.5〜25cmを、「エディフィス」で25〜29cmを用意する。

“M1906FH”は2000年代のランニングシューズを象徴する“1906”を再構築したモデル。同アイテムは24年のシーズンカラーとしても注目度の高いホワイトをベースに、随所にブルーグレーをミックスした落ち着きのあるカラーリングが特徴だ。

アッパーは、スエードとメッシュの素材に、Nロゴとシューレースを一体化してサドル部のサポート性を高める“Nロック”を搭載した重厚なデザインに仕上げた。ソールには衝撃吸収性と反発性に優れた“エナジー(NERGY)”と“アブゾーブ(ABZORB)”を採用し、高いホールド性とクッション性で快適な履き心地を実現する。

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「エディフィス」と「イエナ」が「ニューバランス」の限定モデル“M1906FH”を発売

ベイクルーズの「エディフィス(EDIFICE)」と「イエナ(IENA)」は2月9日、「ニューバランス(NEW BALANCE)」の“New Balance M1906FH”(2万2000円)を限定で発売する。アイテムは同日10時からベイクルーズオンラインストアで、また両ブランドの店舗で取り扱う。サイズは「イエナ」で22.5〜25cmを、「エディフィス」で25〜29cmを用意する。

“M1906FH”は2000年代のランニングシューズを象徴する“1906”を再構築したモデル。同アイテムは24年のシーズンカラーとしても注目度の高いホワイトをベースに、随所にブルーグレーをミックスした落ち着きのあるカラーリングが特徴だ。

アッパーは、スエードとメッシュの素材に、Nロゴとシューレースを一体化してサドル部のサポート性を高める“Nロック”を搭載した重厚なデザインに仕上げた。ソールには衝撃吸収性と反発性に優れた“エナジー(NERGY)”と“アブゾーブ(ABZORB)”を採用し、高いホールド性とクッション性で快適な履き心地を実現する。

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「ヨウジヤマモト プールオム」が「イサム カタヤマ バックラッシュ」とコラボしたレザーアイテムを発売

「ヨウジヤマモト プールオム(YOHJI YAMAMOTO POUR HOMME)」は、「イサム カタヤマ バックラッシュ(ISAMU KATAYAMA BACKLASH)」との2024 年春夏コラボコレクションを発売する。2月7日から「ヨウジヤマモト プールオム」直営店舗、2月9日10時から同公式オンラインで販売する。

同コラボは、2018年に始まり、制作工程の全てを職人が行う「イサム カタヤマ バックラッシュ」のレザーアイテムを、「ヨウジヤマモト プールオム」独自のパターンとシルエットで制作。アイテムは、ジャケット(39万1600円〜)、ブルゾン(44万5500円)、ライダース(45万7600円)、オーバーオール(54万4500円)など全9型をラインアップする。

また「ヨウジヤマモト プールオム」直営店舗および公式オンラインで、税込22万円以上の購入者に、先着で数量限定のフォトブックを配布する。フォトグラファーはHIRO KIMURA、スタイリングをISAMU KATAYAMAが手掛け、モデルに谷中敦、佐藤タイジ、中村達也、加藤雅也、花田裕之を起用している。

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【2024年バレンタイン】「MCM」がハート形のロゴグラフィクをあしらったバッグやチャームを発売

ドイツ発ライフスタイルブランド「エムシーエム(MCM)」がバレンタインカプセルコレクションを発表した。“LAURETOSモノグラム”をルビーレッド色にしたバッグやチャームなどを店舗、オンラインストアで発売している。

“LOVE TO THE MOON AND BACK”をテーマにしたコレクションは、トートバッグ(14万1900円)、バックパック(14万1900円)、ボストンバッグ(9万7900円)、ベルトバッグ(8万6900円)、スエットシャツ(S/M/L 5万3900円)、チャーム(3万8500円)などを発売する。バレンタインに合わせ、ハート形のロゴグラフィックが特徴だ。

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【2024年バレンタイン】「MCM」がハート形のロゴグラフィクをあしらったバッグやチャームを発売

ドイツ発ライフスタイルブランド「エムシーエム(MCM)」がバレンタインカプセルコレクションを発表した。“LAURETOSモノグラム”をルビーレッド色にしたバッグやチャームなどを店舗、オンラインストアで発売している。

“LOVE TO THE MOON AND BACK”をテーマにしたコレクションは、トートバッグ(14万1900円)、バックパック(14万1900円)、ボストンバッグ(9万7900円)、ベルトバッグ(8万6900円)、スエットシャツ(S/M/L 5万3900円)、チャーム(3万8500円)などを発売する。バレンタインに合わせ、ハート形のロゴグラフィックが特徴だ。

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【2024年夏コスメ】「イプサ」の人気化粧水が爽やかなブルー限定デザインで登場

「イプサ(IPSA)」は4月23日、ロングセラーの薬用化粧水“ザ・タイムR アクア”【医薬部外品】(限定3種、各200mL、各4400円)の限定デザインボトルを数量限定で発売する。同商品のみずみずしい使用感を表現した夏らしい“ライトブルー”、“ブリリアントブルー”、“ディープブルー”のブルーグラデーションの3色を用意した。9日に予約受け付けを開始する。

“ザ・タイムR アクア”は、角質表面の水分量を増やすブランド独自の保湿成分“アクアプレゼンターⅢ”を配合している薬用化粧水だ。紫外線やエアコンの使用による乾燥など夏の外的ダメージによる肌トラブルを予防し、キメを整えて潤いのある美しい肌へと導く。

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「カナダグース」と「キッドスーパー」がNBA開催を祝したコラボコレクション フリースジャケットやベストなど

「カナダグース(CANADA GOOSE)」は2月10日、NBA開催を祝しニューヨークのブルックリンを拠点とするファッションブランド「キッドスーパー(KIDSUPER)」とのコラボコレクションを銀座店、大阪店、オンラインストアで発売する。また、NBAオールスターに選出されたカナダ出身のシェイ・ギルジャス=アレクサンダー(Shai Gilgeous-Alexander)がグローバルブランドアンバサダーに就任し、キャンペーンに登場した。

冒険に着想を得た今回のコレクションは、「キッドスーパー」の創設者コルム・ディレイン(Colm Dillane)のオリジナルのアートワークが軸となり、スタジアムで熱狂するファンの姿を描いた“Purple Crowd”、「カナダグース」の“Live in the Open(オープンに生きる)”という理念を表現した“Landscape”の2つのプリントをあしらった。

本コラボは4つのアイテムから構成され、“リバーシブル フリース ジャケット”にはマルチバイルフリース、100%リサイクルジャージーを使用し、生い茂る草木の風景を抽象的な地形で表現しグリーンの色合いと立体的なテクスチャーで仕上げた。ジャケットを裏返すとリサイクルナイロン100%に切り替わり、すっきりした仕上がりの生地と同系色のブランドロゴが現れる。“リバーシブル ベスト”は、軽量で耐久性に優れた光沢のあるリサイクルナイロン100%を使用し、片面には“Landscape”、裏返すと“Purple Crowd”の2種類のプリントをデザインにした。

“クロフトン パッファー”は“Purple Crowd”と“Landscape”の2種類のプリントを採用し、調節可能なアジャスターでダウン入りのフード、取り外し可能なバックパックストラップ、2ウエイジッパーなど優れた機能を搭載した。“ジャカード トーク”は柔らかさと通気性を誇るメリノウールを混紡し、2種類のカスタムプリントを用いた。

カナダグースのダニー・リース(Dani Reiss)会長兼最高経営責任者は「カナダグースを象徴するパフォーマンスラグジュアリーのDNAと、NBAが誇るカルチャーとコミュニティの結びつきを見事に融合している」とコメントし、コルム・ディレインは「アートとデザインという異なる分野の境界線を越え、遊び心と機能性を併せ持つ、真に独創的なコレクションを実現することができた」と語った。

2月16日〜18日にインディアナ・コンベンション・センターで開催されるNBAの没入型ファンイベント“NBA Crossover”では、今回のコレクションを実際に手に取り、「カナダグース」のコンテンツスタジオが体験できる。

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渋谷スペイン坂オムライス戦争。「牛宮城」の宮迫氏出店も、「ポムの樹」が返り討ち。1ヶ月でもう閉店間際?ガラガラ

【記事のポイント】 ●銀座高級クラブの名物ママ、菜々江氏が経営。芸人・宮迫博之氏監修「オムサコライス」が、初日ど満席の好スタートも、あっという間に閑散。日曜ランチでも空席が目立つ。直ぐ近くの「ポムの樹」は連日行列で明暗が分かれた。通行人の中には「オムライス、おいしそう」と入ろうとするが、「宮迫、やめとこう」と躊躇する向きも。
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2通りの突き抜け方で 飛ばし始めたヒットを、魂を揺さぶるホームランに【アルビオン 小林章一社長】

PROFILE: 小林章一/アルビオン社長

小林章一/アルビオン社長
PROFILE: (こばやし・しょういち)1963年生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、西武百貨店勤務を経て、88年にアルビオンに入社。「ソニア リキエル ボーテ」事業の立ち上げなど、ブランドビジネスに携わる。フランス勤務を経て、91年に取締役に就任。95年、常務取締役・マーケティング本部長に就任。副社長を経て、2006年から現職 PHOTO:TAMEKI OSHIRO

知名度も人気も高かったシリーズを廃し退路を断つ形で始めた新スキンケアシリーズの“フラルネ”、現状に満足せず大人気の中で刷新してきた“薬用スキンコンディショナー エッセンシャル”や“エクラフチュール”など、アルビオンは攻めの姿勢が続く。大胆な戦略の奥底にあるのは、小林章一社長がかつて体感した「魂が揺さぶられるような成功体験」と、そこから生まれた化粧品への愛だ。ここまで商品にこだわる小林社長の成功体験とは?そして、その感動体験をどう後に続く社員に広めようとしているのかを聞いた。
(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

「化粧品って、面白い!」
そう思える価値を提供したい

WWDJAPAN(以下、WWD):2022年に発売したスキンケアシリーズ“フラルネ”以降、かつてのコンフォート・ゾーンからの脱却を目指した商品開発に意欲的だ。

小林章一アルビオン社長(以下、小林):一昨年からの新しいチャレンジは、正直批判も多かった。けれど新規は確実に増えている。一つ一つの商品のブランド力を高め、最終的な肌実感はもちろん、アイデアの段階からワクワクする“突き抜けた”商品で新しい市場を開拓したい。アルビオンの“突き抜け方”は、大別すると2通り。1つ目は“フラルネ”のように、スタート時はおとなしくてもユーザーから評判がジワジワと広がり、スタッフとお店さまが一丸となって、その評価をより多くの消費者に伝えようと努力して成し遂げる突き抜け方。“フラルネ”においては、他社とは全く違う乳液の評判が広がりつつある中、ブライトニングシリーズを投入したり、新たなプロモーション施策に取り組んだりして、23年は大きく成長した。私たちが突き抜けていると思う商品を、より多くの消費者に実感いただけるようになった。2つ目は、“薬用スキンコンディショナー エッセンシャル”に代表される、すでに突き抜けている商品さえ「もっと突き抜けられる」と信じてアグレッシブに取り組むリニューアルだ。昨年は、美容液の“エクラフチュール”をリニューアル。独自の保湿成分“夢彩花エキス”(シャクヤク花エキス)など原料においても突き抜けた商品は、リニューアル以降、さらなる大きな結果につながっている。アルビオンのやり方では、突き抜けるのに時間がかかるかもしれない。スキンケアならなおさらだが、それでも構わない。夢中になって、魂が揺さぶられるような成功体験を味わうことで、関係者一同が「化粧品って、面白い!」と思えるような商品・ブランド価値の創造に取り組みたい。

WWD:自身に「魂が揺さぶられるような成功体験」がある?

小林:「ブルガリ」と作った“おしぼり”だ。“おしぼり界の「ロールスロイス」”を目指し、香水ではなく化粧水に浸したおしぼりを、4層構造のパッケージに収めて販売。世界中から注文が押し寄せ、2000万本を売った。輸入販売だけだと思っていた「ブルガリ」の香水ビジネスが広がり、「化粧品って、面白い!」と思った。「アナ スイ」の化粧品を立ち上げ、百貨店における化粧品の単日販売記録を樹立したのも、人生に一度あるかないかのサクセスストーリーだ。

WWD:振り返って、魂が揺さぶられるほどの成功に必要なものとは?

小林:当たり前を疑い、本気で「壊す」ことだ。その間に売り上げが下がっても構わない。本気で「壊す」のはとても難しいことだし、経営陣としてバックアップしきれていない反省もあるが、ヒットに恵まれてきた今なら失敗できる。今のヒットを将来のホームランにしたい。ヒットも打てないバッターには、ホームランは望めない。ただ今のアルビオンは、ヒットを飛ばし始めている。全体の8割に上るスキンケアとベースメイク商品は、1年でも、1日でも長く愛していただけるよう、1品1品を育てる。将来は手間暇をかけてリニューアルして、またみんなで一緒に育てる。育てるのが、アルビオンの文化だ。創業以来、時代の空気を吸ってきた。アルビオンらしく呼吸することで、あくまで作る商品は私たちらしく、そして唯一無二でありたい。

WWD:育て、突き抜けた商品が次々生まれた先にある理想像は?

小林:販売数量も大事だが、圧倒的な存在感を誇る会社だ。トヨタが年間約1000万台の車を販売する中、対するフェラーリは年間およそ1万数千台。でも多くの消費者にとって、その存在感はトヨタ以上だろう。

WWD:育てる商品を生み出すため、今後取り組むのは?

小林:会社が課す業務に割くのは、働く時間のおよそ半分。残りの半分で「やりたいこと」にトライできる環境を整えたい。「やりたいこと」は、予算も、期限も、目標も、発案者と組織の双方で確認しつつも個人の裁量に委ね、10回失敗した人を、何もしなかったから一度も失敗しなかった人より評価したい。「失敗しても良いから」「何をやってもいいから」「失敗もまた勉強だから」を表面的な言葉ではなく、全ての部署に通底している価値観や考え方にしたい。世に送り出そうとする商品について「売れ過ぎちゃったらどうしよう!?」なんて妄想できるくらい、提案から開発、商品化から販売に至るまで一貫してワクワクし続けられる会社でありたい。私は「みんなの給料を2倍にしたい」と思いながら日々の仕事に励んでいる。「やらされている」と感じるような仕事からは、突き抜けられる商品は生まれない。そしてアルビオンは商品のみならず、その流通から販売においても、存在感において一番になりたいと思っている。「化粧品業界でいい仕事がしたいなら、アルビオンだよね」と思ってほしい。

会社概要

アルビオン
ALBION

「日本一、世界一の高級化粧品メーカーを目指す」という夢を掲げて、1956年に創業。乳液先行の独自の美容理論を確立。主軸のスキンケアブランド「アルビオン」には、創業時から販売する乳液や、74年に誕生した“薬用スキンコンディショナー エッセンシャル”など、ロングセラー商品が多数存在する。そのほか「エレガンス」「イグニス」「ポール & ジョー ボーテ」「アナ スイ コスメティックス」などを手掛ける

問い合わせ先
アルビオンお客様相談室
0120-114-225
(10:00〜17:00/土・日・祝日除く)

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2通りの突き抜け方で 飛ばし始めたヒットを、魂を揺さぶるホームランに【アルビオン 小林章一社長】

PROFILE: 小林章一/アルビオン社長

小林章一/アルビオン社長
PROFILE: (こばやし・しょういち)1963年生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、西武百貨店勤務を経て、88年にアルビオンに入社。「ソニア リキエル ボーテ」事業の立ち上げなど、ブランドビジネスに携わる。フランス勤務を経て、91年に取締役に就任。95年、常務取締役・マーケティング本部長に就任。副社長を経て、2006年から現職 PHOTO:TAMEKI OSHIRO

知名度も人気も高かったシリーズを廃し退路を断つ形で始めた新スキンケアシリーズの“フラルネ”、現状に満足せず大人気の中で刷新してきた“薬用スキンコンディショナー エッセンシャル”や“エクラフチュール”など、アルビオンは攻めの姿勢が続く。大胆な戦略の奥底にあるのは、小林章一社長がかつて体感した「魂が揺さぶられるような成功体験」と、そこから生まれた化粧品への愛だ。ここまで商品にこだわる小林社長の成功体験とは?そして、その感動体験をどう後に続く社員に広めようとしているのかを聞いた。
(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

「化粧品って、面白い!」
そう思える価値を提供したい

WWDJAPAN(以下、WWD):2022年に発売したスキンケアシリーズ“フラルネ”以降、かつてのコンフォート・ゾーンからの脱却を目指した商品開発に意欲的だ。

小林章一アルビオン社長(以下、小林):一昨年からの新しいチャレンジは、正直批判も多かった。けれど新規は確実に増えている。一つ一つの商品のブランド力を高め、最終的な肌実感はもちろん、アイデアの段階からワクワクする“突き抜けた”商品で新しい市場を開拓したい。アルビオンの“突き抜け方”は、大別すると2通り。1つ目は“フラルネ”のように、スタート時はおとなしくてもユーザーから評判がジワジワと広がり、スタッフとお店さまが一丸となって、その評価をより多くの消費者に伝えようと努力して成し遂げる突き抜け方。“フラルネ”においては、他社とは全く違う乳液の評判が広がりつつある中、ブライトニングシリーズを投入したり、新たなプロモーション施策に取り組んだりして、23年は大きく成長した。私たちが突き抜けていると思う商品を、より多くの消費者に実感いただけるようになった。2つ目は、“薬用スキンコンディショナー エッセンシャル”に代表される、すでに突き抜けている商品さえ「もっと突き抜けられる」と信じてアグレッシブに取り組むリニューアルだ。昨年は、美容液の“エクラフチュール”をリニューアル。独自の保湿成分“夢彩花エキス”(シャクヤク花エキス)など原料においても突き抜けた商品は、リニューアル以降、さらなる大きな結果につながっている。アルビオンのやり方では、突き抜けるのに時間がかかるかもしれない。スキンケアならなおさらだが、それでも構わない。夢中になって、魂が揺さぶられるような成功体験を味わうことで、関係者一同が「化粧品って、面白い!」と思えるような商品・ブランド価値の創造に取り組みたい。

WWD:自身に「魂が揺さぶられるような成功体験」がある?

小林:「ブルガリ」と作った“おしぼり”だ。“おしぼり界の「ロールスロイス」”を目指し、香水ではなく化粧水に浸したおしぼりを、4層構造のパッケージに収めて販売。世界中から注文が押し寄せ、2000万本を売った。輸入販売だけだと思っていた「ブルガリ」の香水ビジネスが広がり、「化粧品って、面白い!」と思った。「アナ スイ」の化粧品を立ち上げ、百貨店における化粧品の単日販売記録を樹立したのも、人生に一度あるかないかのサクセスストーリーだ。

WWD:振り返って、魂が揺さぶられるほどの成功に必要なものとは?

小林:当たり前を疑い、本気で「壊す」ことだ。その間に売り上げが下がっても構わない。本気で「壊す」のはとても難しいことだし、経営陣としてバックアップしきれていない反省もあるが、ヒットに恵まれてきた今なら失敗できる。今のヒットを将来のホームランにしたい。ヒットも打てないバッターには、ホームランは望めない。ただ今のアルビオンは、ヒットを飛ばし始めている。全体の8割に上るスキンケアとベースメイク商品は、1年でも、1日でも長く愛していただけるよう、1品1品を育てる。将来は手間暇をかけてリニューアルして、またみんなで一緒に育てる。育てるのが、アルビオンの文化だ。創業以来、時代の空気を吸ってきた。アルビオンらしく呼吸することで、あくまで作る商品は私たちらしく、そして唯一無二でありたい。

WWD:育て、突き抜けた商品が次々生まれた先にある理想像は?

小林:販売数量も大事だが、圧倒的な存在感を誇る会社だ。トヨタが年間約1000万台の車を販売する中、対するフェラーリは年間およそ1万数千台。でも多くの消費者にとって、その存在感はトヨタ以上だろう。

WWD:育てる商品を生み出すため、今後取り組むのは?

小林:会社が課す業務に割くのは、働く時間のおよそ半分。残りの半分で「やりたいこと」にトライできる環境を整えたい。「やりたいこと」は、予算も、期限も、目標も、発案者と組織の双方で確認しつつも個人の裁量に委ね、10回失敗した人を、何もしなかったから一度も失敗しなかった人より評価したい。「失敗しても良いから」「何をやってもいいから」「失敗もまた勉強だから」を表面的な言葉ではなく、全ての部署に通底している価値観や考え方にしたい。世に送り出そうとする商品について「売れ過ぎちゃったらどうしよう!?」なんて妄想できるくらい、提案から開発、商品化から販売に至るまで一貫してワクワクし続けられる会社でありたい。私は「みんなの給料を2倍にしたい」と思いながら日々の仕事に励んでいる。「やらされている」と感じるような仕事からは、突き抜けられる商品は生まれない。そしてアルビオンは商品のみならず、その流通から販売においても、存在感において一番になりたいと思っている。「化粧品業界でいい仕事がしたいなら、アルビオンだよね」と思ってほしい。

会社概要

アルビオン
ALBION

「日本一、世界一の高級化粧品メーカーを目指す」という夢を掲げて、1956年に創業。乳液先行の独自の美容理論を確立。主軸のスキンケアブランド「アルビオン」には、創業時から販売する乳液や、74年に誕生した“薬用スキンコンディショナー エッセンシャル”など、ロングセラー商品が多数存在する。そのほか「エレガンス」「イグニス」「ポール & ジョー ボーテ」「アナ スイ コスメティックス」などを手掛ける

問い合わせ先
アルビオンお客様相談室
0120-114-225
(10:00〜17:00/土・日・祝日除く)

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組織の壁をなくし主体的な挑戦や変革を【ポーラ・オルビスHD 横手喜一社長】

PROFILE: 横手喜一/ポーラ・オルビス ホールディングス社長

横手喜一/ポーラ・オルビス ホールディングス社長
PROFILE: (よこて・よしかず)1967年東京生まれ。一橋大学社会学部卒業後、1990年4月ポーラ化粧品本舗(現ポーラ)入社。2006年フューチャーラボ社長や11年宝麗(中国)美容(ポーラ瀋陽)董事長兼総経理を経て、15年からポーラ執行役員商品企画部長、16年1月にポーラ社長に就任。20年1月ポーラ・オルビスホールディングス取締役グループ海外展開担当などを経て、23年1月から現職 PHOTO : SHUNICHI ODA

鈴木鄕史会長の意思を引き継ぎ社長就任1年が経過した横手喜一社長は、組織のリゾーム化を推進することを軸に舵取りをはじめ、グループ会社との連携を強めてきた。国内のみならず海外事業でも同様で、これまでの縦割りから水平の連携が取れる組織に変革。それら取り組みが長期経営計画「VISION 2029」のステージ1の最終年度であった23年の好結果に結びついた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

トップダウンを飛び越えていく風土へ

WWDJAPAN(以下、WWD):23年の取り組みと成果、組織のリゾーム化の進捗は?

横手喜一社長(以下、横手):グループ全体を見る立場として、組織を一度バラバラに考えた後に融合するという取り組みを進めた。コロナ禍で人とのつながりや理解し合うことが希薄になったと実感する。われわれのビジネスはお客さまの気持ちを動かすことがベースになるため、人と人が向き合った時に生み出されるものをよみがえらせるのが狙いだ。

WWD:組織の壁を取り払い、つながり合える人間関係を再構築した。

横手:トップダウンではなくそれを飛び越えていけるような風土を浸透させたい。グループ全従業員約4100人、一人一人が持つ個性や強み、思いを存分に発揮し、そこから生まれる主体的な挑戦や変革がグループやブランドの未来を切り開く。個のエネルギーこそが組織を進化させるだろう。それは従業員だけでなく役員も同様で、昨年からグループ主要会社役員によるリーダーシップチームを組成した。異なる立場の相互理解やグループ共通課題の認識をあわせつつ、それぞれが持つ個の力を結集してグループ共通課題の変革や成長戦略を作る事を目的としている。そのためには、あえて幼少期からの自己紹介から始め胸襟を開いて議論できる場を作ることで、一人一人の個性と価値観が理解でき、考え方や発言に共感も生まれてきた。その上で、長期経営計画である「VISION2029」の達成に向け、バックキャスト志向で新中期計画策定にあたった。そのような1年だったと振り返っている。

WWD:現在のブランドポートフォリオで手薄に感じていることは?

横手:「VISION2029」の主戦略の一つに、新事業領域拡張がある。化粧品の枠組みとは異なる別の分野にビジネスチャンスを生み出すことを重視する。化粧品はお客さまを美しく、健やかに人生を豊かにする手段の一つであるが、それだけが全てではない。そのためには肌研究を長年続けてきた研究所発の新しい技術こそが人の生活スタイルを変容できるのではないか。研究領域もただ単に機能性を重視する従来の研究だけでなく、肌研究の知見を活かしたウェルビーイング領域や社会課題解決も含めた研究をテーマにしている。

WWD:若手社員の活躍も目覚ましい。

横手:この3年で若手社員を中心に約300件の新規アイデア提案があった。昨年は子ども向けブランド「スタスタ」や香水のサブスク「エラム(ERAM)」、オンラインのファスティングプログラム「リモファス」など事業化に進んでいるものもある。約300件の中から誕生したものに、研究所の新しい技術などを反映できたら面白い科学反応が生まれるだろう。

WWD:新価値を生み出すために人材の多様性を重視する。

横手:環境を戦略的に用意しないと熱意やスピード感をもった事業創出が実現しにくい。そのためにも、今後はグループ全体での人材採用の在り方を見直し、多様な人材を登用・育成していくための枠組みを作っていく。ブランドの垣根を越えた人材配置を積極的に行うことで、グループの持つ多様なブランドやカルチャーが学べ、多彩な経験値を得ることで、個性豊かな人材育成につながるだろう。

WWD:24年に注力すべきことは?

横手:まずは海外事業。成長のカギは重点市場である中国に変わりない。市場変化をダイレクトに捉える現地リーダーシップのもと、マルチブランドの強みを生かし、グループとして最適な戦略を市場や顧客の変化に対応しながら迅速に遂行し、業績最大化を実現できる組織体制へ移行を進める。その一環として1月に、中国に地域統括会社であるリージョンカンパニーを設立した。また、これまでポーラとオルビスの中国の現地法人だったポーラ上海とオルビス北京をホールディングスの完全子会社化とした。今後はグループが中国市場全体を捉えて、どのブランドで勝負するのかを考えるべき。現地に権限を渡しビジネスを組み立て資金配分をどうするのかも任せたい。昨年、その土壌を整えてきたので今年はそれを実行に移す時期だ。

 

一方で、海外に投資するには国内の事業基盤を盤石なものにする必要がある。「オルビス(ORBIS)」は商品力をフックに顧客構造がよりよくなってきたため、ブランドの魅力を再発信する。「ポーラ(POLA)」はSNSを含めたデジタル施策を強め、エステやカウンセリングを提案するサロン型ショップへ誘導し、より深い「ポーラ」のファンになってもらい継続率やLTV(顧客生涯価値)が上がるOMO施策を推進する。「スリー(THREE)」は23年11月に精油のみで構成したフレグランス“エッセンシャルセンツ”を発売した。今後は、精油を軸にフレグランスからスキンケアまで一気通貫する売り場を作り強化していく。

会社概要

ポーラ・オルビス ホールディングス
POLA ORBIS HOLDINGS

基幹ブランドを展開するポーラは1929年創業。女性が活躍する訪問販売を中心に事業を拡大し、89年に百貨店市場に進出する。現在、訪問販売はサロンを拠点とするビジネスに形を変えている。手掛けるブランドは「ポーラ」「オルビス」「ディセンシア(DECENCIA)」「スリー」「ファイブイズムバイスリー(FIVEISM × THREE)」「ジュリーク」「フジミ(FUJIMI)」など

問い合わせ先
ポーラ・オルビス ホールディングス
03-3563-5517

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組織の壁をなくし主体的な挑戦や変革を【ポーラ・オルビスHD 横手喜一社長】

PROFILE: 横手喜一/ポーラ・オルビス ホールディングス社長

横手喜一/ポーラ・オルビス ホールディングス社長
PROFILE: (よこて・よしかず)1967年東京生まれ。一橋大学社会学部卒業後、1990年4月ポーラ化粧品本舗(現ポーラ)入社。2006年フューチャーラボ社長や11年宝麗(中国)美容(ポーラ瀋陽)董事長兼総経理を経て、15年からポーラ執行役員商品企画部長、16年1月にポーラ社長に就任。20年1月ポーラ・オルビスホールディングス取締役グループ海外展開担当などを経て、23年1月から現職 PHOTO : SHUNICHI ODA

鈴木鄕史会長の意思を引き継ぎ社長就任1年が経過した横手喜一社長は、組織のリゾーム化を推進することを軸に舵取りをはじめ、グループ会社との連携を強めてきた。国内のみならず海外事業でも同様で、これまでの縦割りから水平の連携が取れる組織に変革。それら取り組みが長期経営計画「VISION 2029」のステージ1の最終年度であった23年の好結果に結びついた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

トップダウンを飛び越えていく風土へ

WWDJAPAN(以下、WWD):23年の取り組みと成果、組織のリゾーム化の進捗は?

横手喜一社長(以下、横手):グループ全体を見る立場として、組織を一度バラバラに考えた後に融合するという取り組みを進めた。コロナ禍で人とのつながりや理解し合うことが希薄になったと実感する。われわれのビジネスはお客さまの気持ちを動かすことがベースになるため、人と人が向き合った時に生み出されるものをよみがえらせるのが狙いだ。

WWD:組織の壁を取り払い、つながり合える人間関係を再構築した。

横手:トップダウンではなくそれを飛び越えていけるような風土を浸透させたい。グループ全従業員約4100人、一人一人が持つ個性や強み、思いを存分に発揮し、そこから生まれる主体的な挑戦や変革がグループやブランドの未来を切り開く。個のエネルギーこそが組織を進化させるだろう。それは従業員だけでなく役員も同様で、昨年からグループ主要会社役員によるリーダーシップチームを組成した。異なる立場の相互理解やグループ共通課題の認識をあわせつつ、それぞれが持つ個の力を結集してグループ共通課題の変革や成長戦略を作る事を目的としている。そのためには、あえて幼少期からの自己紹介から始め胸襟を開いて議論できる場を作ることで、一人一人の個性と価値観が理解でき、考え方や発言に共感も生まれてきた。その上で、長期経営計画である「VISION2029」の達成に向け、バックキャスト志向で新中期計画策定にあたった。そのような1年だったと振り返っている。

WWD:現在のブランドポートフォリオで手薄に感じていることは?

横手:「VISION2029」の主戦略の一つに、新事業領域拡張がある。化粧品の枠組みとは異なる別の分野にビジネスチャンスを生み出すことを重視する。化粧品はお客さまを美しく、健やかに人生を豊かにする手段の一つであるが、それだけが全てではない。そのためには肌研究を長年続けてきた研究所発の新しい技術こそが人の生活スタイルを変容できるのではないか。研究領域もただ単に機能性を重視する従来の研究だけでなく、肌研究の知見を活かしたウェルビーイング領域や社会課題解決も含めた研究をテーマにしている。

WWD:若手社員の活躍も目覚ましい。

横手:この3年で若手社員を中心に約300件の新規アイデア提案があった。昨年は子ども向けブランド「スタスタ」や香水のサブスク「エラム(ERAM)」、オンラインのファスティングプログラム「リモファス」など事業化に進んでいるものもある。約300件の中から誕生したものに、研究所の新しい技術などを反映できたら面白い科学反応が生まれるだろう。

WWD:新価値を生み出すために人材の多様性を重視する。

横手:環境を戦略的に用意しないと熱意やスピード感をもった事業創出が実現しにくい。そのためにも、今後はグループ全体での人材採用の在り方を見直し、多様な人材を登用・育成していくための枠組みを作っていく。ブランドの垣根を越えた人材配置を積極的に行うことで、グループの持つ多様なブランドやカルチャーが学べ、多彩な経験値を得ることで、個性豊かな人材育成につながるだろう。

WWD:24年に注力すべきことは?

横手:まずは海外事業。成長のカギは重点市場である中国に変わりない。市場変化をダイレクトに捉える現地リーダーシップのもと、マルチブランドの強みを生かし、グループとして最適な戦略を市場や顧客の変化に対応しながら迅速に遂行し、業績最大化を実現できる組織体制へ移行を進める。その一環として1月に、中国に地域統括会社であるリージョンカンパニーを設立した。また、これまでポーラとオルビスの中国の現地法人だったポーラ上海とオルビス北京をホールディングスの完全子会社化とした。今後はグループが中国市場全体を捉えて、どのブランドで勝負するのかを考えるべき。現地に権限を渡しビジネスを組み立て資金配分をどうするのかも任せたい。昨年、その土壌を整えてきたので今年はそれを実行に移す時期だ。

 

一方で、海外に投資するには国内の事業基盤を盤石なものにする必要がある。「オルビス(ORBIS)」は商品力をフックに顧客構造がよりよくなってきたため、ブランドの魅力を再発信する。「ポーラ(POLA)」はSNSを含めたデジタル施策を強め、エステやカウンセリングを提案するサロン型ショップへ誘導し、より深い「ポーラ」のファンになってもらい継続率やLTV(顧客生涯価値)が上がるOMO施策を推進する。「スリー(THREE)」は23年11月に精油のみで構成したフレグランス“エッセンシャルセンツ”を発売した。今後は、精油を軸にフレグランスからスキンケアまで一気通貫する売り場を作り強化していく。

会社概要

ポーラ・オルビス ホールディングス
POLA ORBIS HOLDINGS

基幹ブランドを展開するポーラは1929年創業。女性が活躍する訪問販売を中心に事業を拡大し、89年に百貨店市場に進出する。現在、訪問販売はサロンを拠点とするビジネスに形を変えている。手掛けるブランドは「ポーラ」「オルビス」「ディセンシア(DECENCIA)」「スリー」「ファイブイズムバイスリー(FIVEISM × THREE)」「ジュリーク」「フジミ(FUJIMI)」など

問い合わせ先
ポーラ・オルビス ホールディングス
03-3563-5517

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美の創造と顧客に響く商品を生み出しグローバル展開を加速【コーセー 小林一俊社長】

PROFILE: 小林一俊/コーセー社長

小林一俊/コーセー社長
PROFILE: (こばやし・かずとし)1962年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、86年にコーセーに入社。91年に取締役マーケティング副本部長兼宣伝部長、2004年から副社長を務める。07年から現職。就任直後に「守りの改革」と「攻めの改革」を実行し、V字回復を実現。現在、「世界で存在感のある企業への進化」を掲げ、取り組みを加速している PHOTO:YUKIE SUGANO

包摂性の高い社会に向け、3G(グローバル、ジェンダー、ジェネレーション)を基盤に顧客層拡大を目指すコーセー。2023年、“大谷効果”で不動の地位を確立したパイオニアは今年、生産部、生産会社であるコーセーインダストリーズ及び生産子会社、商品開発、商品デザイン、購買、サプライチェーンの各部門を組織化し、商品本部を新設。グローバルでも存在感を発揮する企業を目指す。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

プレステージブランドのシェア拡大へ

WWDJAPAN(以下、WWD):2023年をどのように振り返る?

小林一俊社長(以下、小林):22年から継続する3Gを基盤とした取り組みの成果が表れ、好調な1年だった。23年を終え、26年に向けた中長期ビジョン「VISION 2026」まで残り3年、そして3人目の男性アスリートと契約するなど、総じて数字の“3”がキーワードとなる年でもあった。個人的には大好きな3つの野球チーム「WBC日本代表」「母校の慶應義塾高校」「阪神タイガース」が優勝したこともビッグニュースだった。

WWD:中でも昨年は “大谷効果”が際立った。

小林:3Gの柱の一つであるジェンダー領域の秘策として、米MLBロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手(当時ロサンゼルス・エンゼルス所属)を商品の広告モデルに起用した反響は想定以上で、年間を通じて大幅な売り上げ増に貢献した。大型プロモーションを仕掛けた“コスメデコルテ リポソーム アドバンスト リペアセラム”は爆発的ヒット。キャンペーン期間中には百貨店の「コスメデコルテ(DECORTE)」カウンターに来店する男性客も13倍と急増した。ハイプレステージかつ美容液という、意外性ある商材での起用が話題性を生んだのではないか。年末に飛び込んできた移籍の話にはびっくりしたが、まさかドジャースとは。当社のコーポレートカラーと同じ青がチームカラーでなにかの縁を感じる。今年も大谷選手との強力なタッグを組んで展開していく。

WWD:3人目の男性アスリートとの契約については?

小林:羽生結弦選手、大谷翔平選手に続く3人目の男性アスリートとして、バレーボール男子日本代表の髙橋藍選手とスポンサー契約を締結した。髙橋選手はヨーロッパで活躍するだけでなく、ASEANでも非常に人気がある。当社のグローバル戦略で掲げる新しい地域であり、今回契約するに至った。当社は1980年代からスポーツ支援を行っており、多様なアスリートを協賛してきた長い歴史がある。スポーツ総合誌『ナンバー』とコラボレートし、自社サイト「コーセー スポーツ ビューティ」を立ち上げたのは、美の創造企業としてスポーツと美の融合や人々の健康意識向上に貢献したい思いがあるからだ。

WWD:23年はヒット商品も多く生み出されている。

小林:「コスメデコルテ」の“AQ アブソリュート エマルジョン マイクロラディアンス”、「ヴィセ(VISEE)」の “ネンマクフェイク ルージュ”、「ワンバイコーセー(ONE BY KOSE)」の“セラムシールド”など、ハイプレステージからコンシューマーブランドまでヒット商品が豊作だったが、これからさらに23年に行った組織改革の成果が期待できる。モノ作りからプロモーション、売り場や話題作りまでそれぞれのブランド戦略を一気通貫して取り組める事業部制へと変革したことで、より魅力的なブランド、商品の構築につながってくる。ステップごとに担当者が替わるバトンタッチ方式ではなく、全員が一緒に走りながらパスを回すラグビー方式であることが大切だ。

WWD:モノ作りにおける変化は?

小林:世代交代が起き、若手が活躍している。彼らの発想は目新しく、独自の感性がある。例えば「ヴィセ」の“ネンマクフェイク ルージュ”は若手社員が担当しているが、カラーネームの“わがままな肉球”などの奇抜なネーミングには当初驚いた(笑)。だが、最近は私が口出しせず、サントリーの鳥井信治郎創業者の言葉ではないが、“やってみなはれ精神”で若手の挑戦を歓迎するようにしている。そうした風土が新世代の感性を生かし、尖った商品作りにつながっているのではないか。

WWD:組織変更と人事異動の狙いは?

小林:1月1日付で新たに商品本部を設置し、小林正典・常務 前マーケティング本部長が商品本部長に就任した。これは3Gの柱の一つ、グローバル戦略の一環で、グローバル商品開発体制を整えていくだめだ。現在韓国や中国ブランドの勢いが増し、日本参入も目立つ。彼らは世界各国に研究所や工場を展開し、最先端のノウハウや各国に対応する処方を持つODMやOEMの企業を上手く活用している。これまで自社内製にこだわってきたが、変化の早い世界に対応し、よりその地域のニーズに応えていくためにはそういった企業とも手を組み、グローバル外注も取り入れて、内作と外作をうまく使い分けながらグローバル商品開発体制を強化する必要があるだろう。

WWD:24年に向けた戦略は?

小林:化粧品業界は低価格帯と高価格帯の二極化が叫ばれる中、中価格帯はやはり日本では規模が大きく、昨年から回復もしてきており、まだまだ期待できるマーケットだ。ロングセラー化粧水“薬用 雪肌精”を初めて刷新し、3月に“薬用雪肌精 ブライトニング エッセンス ローション”の発売を控える「雪肌精(SEKKISEI)」を中心に、中価格帯市場で展開するプレステージブランドのシェアを上げていきたい。

会社概要

コーセー
KOSE

1946年に、小林孝三郎氏が化粧品の製造・販売を行う小林合名会社を創業。48年に小林コーセーを設立。60年代後半から香港、シンガポールなどアジア市場を皮切りに、北米、欧州にも積極的に進出。91年にCIを導入し、コーセーに社名変更。企業メッセージ「美しい知恵 人へ、地球へ。」をサステナビリティ方針とし、あらゆる活動に組み込むと共に、一人一人の美しさを大切にするアダプタビリティーの観点における価値提供を推進している。ブランドは「コスメデコルテ」「雪肌精」「アディクション(ADDICTION)」など

問い合わせ先
コーセー
03-3273-1511

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美の創造と顧客に響く商品を生み出しグローバル展開を加速【コーセー 小林一俊社長】

PROFILE: 小林一俊/コーセー社長

小林一俊/コーセー社長
PROFILE: (こばやし・かずとし)1962年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、86年にコーセーに入社。91年に取締役マーケティング副本部長兼宣伝部長、2004年から副社長を務める。07年から現職。就任直後に「守りの改革」と「攻めの改革」を実行し、V字回復を実現。現在、「世界で存在感のある企業への進化」を掲げ、取り組みを加速している PHOTO:YUKIE SUGANO

包摂性の高い社会に向け、3G(グローバル、ジェンダー、ジェネレーション)を基盤に顧客層拡大を目指すコーセー。2023年、“大谷効果”で不動の地位を確立したパイオニアは今年、生産部、生産会社であるコーセーインダストリーズ及び生産子会社、商品開発、商品デザイン、購買、サプライチェーンの各部門を組織化し、商品本部を新設。グローバルでも存在感を発揮する企業を目指す。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

プレステージブランドのシェア拡大へ

WWDJAPAN(以下、WWD):2023年をどのように振り返る?

小林一俊社長(以下、小林):22年から継続する3Gを基盤とした取り組みの成果が表れ、好調な1年だった。23年を終え、26年に向けた中長期ビジョン「VISION 2026」まで残り3年、そして3人目の男性アスリートと契約するなど、総じて数字の“3”がキーワードとなる年でもあった。個人的には大好きな3つの野球チーム「WBC日本代表」「母校の慶應義塾高校」「阪神タイガース」が優勝したこともビッグニュースだった。

WWD:中でも昨年は “大谷効果”が際立った。

小林:3Gの柱の一つであるジェンダー領域の秘策として、米MLBロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手(当時ロサンゼルス・エンゼルス所属)を商品の広告モデルに起用した反響は想定以上で、年間を通じて大幅な売り上げ増に貢献した。大型プロモーションを仕掛けた“コスメデコルテ リポソーム アドバンスト リペアセラム”は爆発的ヒット。キャンペーン期間中には百貨店の「コスメデコルテ(DECORTE)」カウンターに来店する男性客も13倍と急増した。ハイプレステージかつ美容液という、意外性ある商材での起用が話題性を生んだのではないか。年末に飛び込んできた移籍の話にはびっくりしたが、まさかドジャースとは。当社のコーポレートカラーと同じ青がチームカラーでなにかの縁を感じる。今年も大谷選手との強力なタッグを組んで展開していく。

WWD:3人目の男性アスリートとの契約については?

小林:羽生結弦選手、大谷翔平選手に続く3人目の男性アスリートとして、バレーボール男子日本代表の髙橋藍選手とスポンサー契約を締結した。髙橋選手はヨーロッパで活躍するだけでなく、ASEANでも非常に人気がある。当社のグローバル戦略で掲げる新しい地域であり、今回契約するに至った。当社は1980年代からスポーツ支援を行っており、多様なアスリートを協賛してきた長い歴史がある。スポーツ総合誌『ナンバー』とコラボレートし、自社サイト「コーセー スポーツ ビューティ」を立ち上げたのは、美の創造企業としてスポーツと美の融合や人々の健康意識向上に貢献したい思いがあるからだ。

WWD:23年はヒット商品も多く生み出されている。

小林:「コスメデコルテ」の“AQ アブソリュート エマルジョン マイクロラディアンス”、「ヴィセ(VISEE)」の “ネンマクフェイク ルージュ”、「ワンバイコーセー(ONE BY KOSE)」の“セラムシールド”など、ハイプレステージからコンシューマーブランドまでヒット商品が豊作だったが、これからさらに23年に行った組織改革の成果が期待できる。モノ作りからプロモーション、売り場や話題作りまでそれぞれのブランド戦略を一気通貫して取り組める事業部制へと変革したことで、より魅力的なブランド、商品の構築につながってくる。ステップごとに担当者が替わるバトンタッチ方式ではなく、全員が一緒に走りながらパスを回すラグビー方式であることが大切だ。

WWD:モノ作りにおける変化は?

小林:世代交代が起き、若手が活躍している。彼らの発想は目新しく、独自の感性がある。例えば「ヴィセ」の“ネンマクフェイク ルージュ”は若手社員が担当しているが、カラーネームの“わがままな肉球”などの奇抜なネーミングには当初驚いた(笑)。だが、最近は私が口出しせず、サントリーの鳥井信治郎創業者の言葉ではないが、“やってみなはれ精神”で若手の挑戦を歓迎するようにしている。そうした風土が新世代の感性を生かし、尖った商品作りにつながっているのではないか。

WWD:組織変更と人事異動の狙いは?

小林:1月1日付で新たに商品本部を設置し、小林正典・常務 前マーケティング本部長が商品本部長に就任した。これは3Gの柱の一つ、グローバル戦略の一環で、グローバル商品開発体制を整えていくだめだ。現在韓国や中国ブランドの勢いが増し、日本参入も目立つ。彼らは世界各国に研究所や工場を展開し、最先端のノウハウや各国に対応する処方を持つODMやOEMの企業を上手く活用している。これまで自社内製にこだわってきたが、変化の早い世界に対応し、よりその地域のニーズに応えていくためにはそういった企業とも手を組み、グローバル外注も取り入れて、内作と外作をうまく使い分けながらグローバル商品開発体制を強化する必要があるだろう。

WWD:24年に向けた戦略は?

小林:化粧品業界は低価格帯と高価格帯の二極化が叫ばれる中、中価格帯はやはり日本では規模が大きく、昨年から回復もしてきており、まだまだ期待できるマーケットだ。ロングセラー化粧水“薬用 雪肌精”を初めて刷新し、3月に“薬用雪肌精 ブライトニング エッセンス ローション”の発売を控える「雪肌精(SEKKISEI)」を中心に、中価格帯市場で展開するプレステージブランドのシェアを上げていきたい。

会社概要

コーセー
KOSE

1946年に、小林孝三郎氏が化粧品の製造・販売を行う小林合名会社を創業。48年に小林コーセーを設立。60年代後半から香港、シンガポールなどアジア市場を皮切りに、北米、欧州にも積極的に進出。91年にCIを導入し、コーセーに社名変更。企業メッセージ「美しい知恵 人へ、地球へ。」をサステナビリティ方針とし、あらゆる活動に組み込むと共に、一人一人の美しさを大切にするアダプタビリティーの観点における価値提供を推進している。ブランドは「コスメデコルテ」「雪肌精」「アディクション(ADDICTION)」など

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コーセー
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まだ見ぬワクワクとカルチャーを創出【ジュン 佐々木進社長】

PROFILE: 佐々木進/ジュン社長

佐々木進/ジュン社長
PROFILE: (ささき・すすむ)1965年生まれ。アメリカ留学後、四方義郎率いるサル・インターナショナルで国内外のショーの演出や選曲に携わる。89年にジュン入社。「アダム エ ロペ」や「アー・ペー・セー(A.P.C.)」のオンリーショップを立ち上げる。98年に常務に就き、2000年9月から現職 PHOTO:HIRONORI SAKUNAGA

アパレルからフード、フィットネスとジャンルに縛られない事業展開で生活者を刺激してきたジュン。今年は表参道の「モントーク(MONTOAK)」跡地での新プロジェクトやセレクトショップ「ビオトープ(BIOTOP)」の新規出店など、物販の先にある“カルチャーの創出”を目指して、攻めの施策を走らせる。
(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

目指すは、経済を越えた価値提供

WWDJAPAN(以下、WWD):2023年はどんな年だった?

佐々木進社長(以下、佐々木):増収増益でまずまずの年だった。特に伸びたのは「アダム エ ロペ(ADAM ET ROPE)」「サロン アダム エ ロペ(SALON ADAM ET ROPE)」「ビオトープ」。コロナが明け、社会が快活なムードにあふれる中で、人々を楽しませる色や柄、デザインが支持された。ただ下半期はどのブランドも落ち込む傾向にあった。暖冬のほか、保守的なMDに逃げてしまったことも反省点だ。これを踏まえて、2024年は攻めのMDを増やす。

WWD:好調な「ビオトープ」は事業部を独立させた。新たな動きは?

佐々木:新規出店を計画している。立地も含めて、これまでと異なるアプローチになる。現在は東京・白金台、大阪・南堀江、福岡・大濠公園の3店舗で、いずれも非常に好調だ。商品、ロケーション、店舗デザインそれぞれに独自性があり、オリジナルレーベル「ヨー ビオトープ」も人気だ。産業全体でハイエンドとマスファッションの二極化が進む中、当社は高感度層をつかむ事業が手薄になっていた。「ビオトープ」の拡大は、ポートフォリオとしての価値もある。

WWD:婦人服の「ロペ(ROPE)」は2024年春夏にリブランディングする。

佐々木:「ジル サンダー(JIL SANDER)」などで経験を積んだディレクターを迎えて、クリエイティビティーをより発揮するブランドにする。当社の主要事業のうち“ロペ”と名のつくブランドが3分の2ほど占めている。ほぼ“ロペ”の企業だ(笑)。その本山である「ロペ」のあるべき姿を考えたとき、世界観の構築だけでなく、服作りの本質を追求し続けることが重要だと気づいた。時代の空気を読み、服のイロハを熟知し、コレクションに反映する。そんな姿勢を貫くブランドにしたい。展示会での評判は上々だった。これからもっと磨きをかける。

WWD:閉業から2年近く経つ表参道「モントーク」の跡地はどうなる?

佐々木:「モントーク」をプロデュースした山本宇一さん、「ザ・コンビニ(THE CONVENI)」などをディレクションした(藤原)ヒロシさんと共に、新たなプロジェクトをやる。さまざまな企業とクリエイターを巻き込む。原宿から表参道はかつて、独自の文化の発信地だった。今では世界中の一流ブランドが路面店を構えるラグジュアリーストリートになった。集客力もあるし、洗練されているし、どんな人も楽しめるが、“らしさ”が失われているのも事実。利益だけを考えれば他社に貸すのが一番だが、魂は売れなかった(笑)。経済を越えた文化を創出し、原宿を原宿たらしめるような場所を目指す。

WWD:ECやSNSでの成果は?

佐々木:リアル店舗に行けるようになった今、本当の商売力が試されている。コロナ禍にインフラ整備と情報システムに積極投資して、70点程度のレベルになり、売り上げも伸びた。ただし、自己評価は「発展途上」だ。というのも、CVR(コンバージョンレート)やアクセス数、ABテストなどの指標ばかりに気を取られて、ファッション屋としての姿勢が崩れてしまっていた。それでは、コンテンツやUX・UIもそれなりのレベルで満足してしまう。そうではなく、担当者それぞれの「本当に気に入った商品だから、絶対に届けたい」という思いを起点に、デジタルでどう表現するのかを考えるようにしたい。そのPDCAサイクルを回していくことで、真に商売力のあるECに近づくはずだから。

WWD:若手や女性の役員登用など、“攻め”の人事も見受けられる。

佐々木:一定の成果もある。特に「サロン アダム エ ロぺ」を統括する執行役員の原田(晴美ブランドイノベーション事業部サロン責任者)は、ポジションを与えたことで判断力やリーダーシップを発揮し、業績拡大に大きく貢献した。人事制度を整え、然るべき人材に然るべきタイミングで舞台を用意することの重要性を再認識した。常々話しているが、事業は人で決まる。社員一人一人に向き合い、活躍をサポートすることが経営の務めだ。

WWD:新卒社員が親睦を深める“同期会”や店長同士が交流する“店長会”など、横のつながりを生む施策も実施している。

佐々木:参加した社員からポジティブなフィードバックをもらい、離職率の低下など数字の成果も出ている。離職はどの企業も抱える課題で、賃金や労働環境などティップスはさまざまだが、究極はコミュニケーションにあると思っている。何かあった時に会社に相談できる上司がいるか、仕事の愚痴を話す仲間がいるか、あいつには負けないと心を燃やせるライバルがいるか。リモートワークで希薄になったこの関係性を、会社が率先して創出していく。また昨年11月には、リモートワークから原則出社に切り替えた。オフィスでの何気ない会話からアイデアが生まれ、逆に事業の課題を発見することもある。社員のつながりからファッションビジネスをアップデートし、人々の情緒を動かしていく。

会社概要

ジュン
JUN

現会長の佐々木忠氏が1958年に会社設立。同時に「ジュン」ブランドをスタート。69年にファッション業界初のフランチャイズチェーン1号店を構える。70年代の飲食業を皮切りにゴルフ場運営、ワイナリーなど事業を広げる。アパレルは現在「ロペ」「ロペピクニック」「アダム エ ロペ」「ビス」「ビオトープ」「ジュンレッド」「サタデーズニューヨークシティ」などを運営。2023年9月期は売上高549億円

問い合わせ先
ジュンカスタマーセンター
0120-298-133

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「ポール・スミス」のマーケティングに積極投資【ジョイックス 塩川弘晃社長】

PROFILE: 塩川弘晃/ジョイックスコーポレーション社長

塩川弘晃/ジョイックスコーポレーション社長
PROFILE: (しおかわ・ひろあき)1967年4月24日生まれ、大阪府出身。大阪大学卒業後、90年に伊藤忠商事に入社。「ポール・スミス」や「ランバン」「ザ・ダファー・オブ・セントジョージ」などに携わる。伊藤忠イタリー会社(ミラノ)社長、欧州総支配人補佐(ロンドン駐在)などを経て、2020年から現職 PHOTO:SHUHEI SHINE

英国を代表するファッションブランド「ポール・スミス(PAUL SMITH)」を筆頭に「ランバン コレクション(LANVIN COLLECTION)」「ザ・ダファー・オブ・セントジョージ(THE DUFFER OF ST. GEORGE)」といった海外ブランドを展開するジョイックスコーポレーションは、コロナ禍で抑制していたマーケティング活動を積極化する。2024年、塩川弘晃社長は攻めの姿勢を鮮明にする。
(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

メンズとウィメンズの
複合型店舗で新しい魅力を伝える

WWDJAPAN(以下、WWD):2024年の重点施策は何か。

塩川弘晃社長(以下、塩川):「ポール・スミス」の露出の強化だ。今年からの3カ年のマーケティング計画を組み、経営資源を投じていく。店頭、デジタル、イベントなどを通じた露出を増やす。ジョイックスコーポレーションの会社設立50周年(21年)、「ポール・スミス」導入40周年(22年)という節目がコロナに重なってしまい、思い切ったマーケティング活動ができなかった。改めて「ポール・スミス」の魅力を知ってもらうため、新規出店も含めてお客さまとの接点を思い切って広げる。

WWD:昨年秋には企画展「ポール・スミス ストライプを紐解く」を原宿で開催した。

塩川:グローバルで推進するマーケティング施策の第1弾だった。ブランドを象徴するストライプ柄をテーマにした企画展で、1970年代から続くブランド哲学をさまざまなインスタレーションを通じて表現したものだった。10日間ほどの会期ながら、大勢のお客さまが訪れ、ポール・スミス氏のクリエイションに触れてくれ、SNSでも拡散された。店頭だけでなく、ブランドの魅力を再発見できるようなイベントは大切だと痛感した。

WWD:23年春から「ポール・スミス」のウィメンズ事業をオンワード樫山から継承した。

塩川:ウィメンズの店舗を約20引き継ぐとともに、既存の大型店に関してはメンズ・ウィメンズのコンバインストアへと改装した。メンズ・ウィメンズ両方を手掛けることで相乗効果が生まれている。ウィメンズがあると、店舗が華やかになる。コンバインストアにすることで、カップルや夫婦で買い物をされるお客さまが目立つようになった。細身の男性がウィメンズを選んだり、オーバーサイズを好む女性がメンズを買ったりする事例も増えた。商品企画においても共通の素材や柄の採用が広がった。統一感のあるブランディングで、魅力を高められる。新規出店について商業施設のフロア環境や店舗面積で折り合いがつけば、コンバインストアを積極的に出していくつもりだ。

WWD:マーケティング活動やコンバインストア出店でどんな客層に訴求したいのか。

塩川:実は「ポール・スミス」は30〜40代前半のお客さまが手薄になってきた。極端な言い方をすれば、アパレルは40〜50代、革小物などの服飾雑貨は20歳前後が大きな山になっていて、間がぽっかり抜けている。ここに刺さるマーケティングができればマーケットシェアはまだ広がる。価値観が多様化している中で「ポール・スミス」に再び袖を通してもらえるようにするために何をすべきか。コロナ以降、販売促進についてデジタル化の大合唱になっているが、雑誌を参考にしている方も大勢いる。新しい顧客獲得のために社内で知恵を絞っている最中だ。

WWD:コロナ禍でOMO(オンラインとオフラインの融合)に力を注いできた。

塩川:リアル店舗とECの顧客IDを統合し、在庫も一元管理できる体制を整え、すでにPDCA(計画・実行・評価・改善)のサイクルを回している。さまざまなデータの証明の上で手を打つことができるようになった。例えば、コスト高騰に伴い、革小物を値上げしたら、ECの売れ行きに急ブレーキがかかった。データを突き詰めると、どうやら2万円という1つのバーがあることが分かった。ECの場合、お客さまは価格でフィルタリングをかけるので、2万円を越えた商品では検索に掛からなくなる。店頭では販売員が商品の価値を伝え、お客さまが納得して購入していただくことができるが、ECではなかなか難しい。しかし、そういった明確なデータが分かればMDで対応ができる。リアル店舗とECをシームレスに行き来できるようにし、お客さまの体験価値を高める。われわれはデータの解析によって、お客さまの深層心理に応えられる。OMOへの移行で改善点がたくさん見えてきた。伸び代は大きい。

WWD:「ポール・スミス」は店頭でのセールをしていない。それだけに精緻なMDが求められる。

塩川:リアル店舗は正価販売に徹し、残った商品は翌年アウトレットストアで売る。ブランドのファンをがっかりさせないため、線引きはしっかりしている。それだけに今シーズンのような暖冬は悩みの種だ。アパレル業界の常識では8月中旬に秋冬物へと店頭を一斉に切り替える。ポイント施策もあって一部の顧客は暑くても先物買いをしてくださるが、多くのお客さまにとってそれが望ましい姿なのか、よく考える必要がある。今や9月は暑いし、10月だって暑いのが当たり前。にもかかわらず売る側の都合で9月の店頭がコートで埋まっていていいのか。薄手のジャケットやブルゾンを探している方が多いのではないか。お客さま目線で考え、現実とズレが起こらないようにデータや事実をもとにロジカルに物事を捉えながら、お客さまをワクワクさせるMDを提案していきたい。

会社概要

ジョイックスコーポレーション
JOI’X CORPORATION

1971年設立。82年に英国ポール・スミス社と提携。その後、欧米の複数のブランドとパートナーシップを結び、現在日本に200店舗以上を運営する。2023年3月期の売上高は282億円。伊藤忠商事のグループ会社の一つ

問い合わせ先
ジョイックスコーポレーション
03-5213-2500

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新規事業の開発で新たな価値を届ける【ユナイテッドアローズ 松崎善則社長】

PROFILE: 松崎善則/ユナイテッドアローズ社長

松崎善則/ユナイテッドアローズ社長
PROFILE: (まつざき・よしのり)1974年2月22日生まれ。98年4月にユナイテッドアローズに入社。ユナイテッドアローズ渋谷店からキャリアをスタートし、店長職やBY本部長などを経て、2018年4月に上席執行役員に昇格し、同年6月に取締役常務執行役員に着任。20年11月に取締役副社長執行役員に就任。21年4月から現職 PHOTO:SHUHEI SHINE

粗利益率がコロナ前の水準に回復したユナイテッドアローズ。既存事業の利益構造の改善を進めつつ、今年注力するのは事業領域の拡大だ。テーマは「お客さまからの共感」。ファッションを軸にしながら、ゆくゆくは顧客の生活全般に携わることを目指す。新規事業開発専門の部署を立ち上げ、新たなアイデアの種を着実に育てていく年になる。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

複数のプロジェクトを始動させる
チャレンジングな一年に

WWDJAPAN(以下、WWD):26年3月期を最終年度にした中期経営計画では事業領域の拡大を掲げている。

松崎善則社長(以下、松崎):2024年は、新規ブランドの開発に力を入れて今までと違う価値をお客さまに提供するチャレンジングな年にしたい。来年度中(25年3月期)に複数のプロジェクトを始動させる予定だ。

WWD:1月には第1弾として、コスメブランド「ユナイテッドアローズ ビューティー(UNITED ARROWS BEAUTY)」を立ち上げた。

松崎:2年前に実施した社内公募で、複数人から上がった意見だったのでまず形にした。当社の課題である次世代へのアプローチにもつながることを期待したい。

WWD:セレクトショップ業態のコスメブランドは、販売接客の面でハードルが高いとも聞く。

松崎:今回は気分が上がると同時に日常使いできる、ちょうどいい価格帯を意識した。ECを軸に販売する計画で、売り場での販売スタッフの詳しい接客トークよりもパッケージやECでの商品説明である程度伝わるような売り方を考えている。今年は既存の主力事業以外でも積極的に増収を目指すが、コスメはすぐに大きくなるとは思っていないのでじっくり育てていくつもりだ。

WWD:業容拡大する上で、参考にしている企業は?

松崎:LVMHの衣食住を網羅するポートフォリオの広げ方はすてきだと思う。当社もセレクトショップと親和性のある分野にはどんどん出ていきたい。既にマンションの内装監修やリノベーションサービスを提供しているが、そこからの派生や生活雑貨を広げる可能性もある。

WWD:23年は粗利益率が過去9年で最高水準に回復した。

松崎:目指す方向にきちんと進められた。コロナが明けて想定以上にお客さまの来店回帰が強くなる中、セールで来店を促進するよりも、商品の正しい価値をいかに伝えて定価でお求めいただくかに注力してきた。それが顕著に結果に現れた。24年も引き続き、定価販売比率を上げることを目標にしていきたい。

WWD:一方で、課題として残ったことは?

松崎:供給量を抑制しつつ、売り逃しを防ぐこと。デジタルツールをうまく活用していかなければいけない部分だ。暖冬や為替など外的要因に出遅れの要因は求めていない。私たちの使命は、それでも欲しいと思ってもらう商品を作り続けることだ。

WWD:売上至上主義から脱却し量より質で勝負する方向なのか?

松崎:売上高は当社に対する支持のバロメーターなので、そこを減らしていく考えは全くない。ただ、在庫を積み上げて売り減らしていくような商売の仕方では、回り回って自分たちが苦しくなるだけだ。その意味でも商品の本来の価値を伝え、認めていただきながら売上高を増やす。当たり前のことだが、これまで経験則で進んできてしまった部分もある。そこを丁寧に見直してきた。23年は商品の改善を伴って値上げをしたが、結果的にきちんとプロパー販売比率が高まった。商品の価値を伝えられた手応えがある。

WWD:商品の改善とは具体的には?

松崎:オリジナル商品をセレクト商品に負けないレベルに高めることだ。たとえば、1万円のドレスシャツであれば畳み幅の変更や生地選び、色の表現の仕方など細部にわたる。工夫をちゃんと伝えるためにも販売スタッフの丁寧な接客があらためて重要だ。

WWD:コロナ以降、接客に求められることに変化は?

松崎:コミュニケーションを求めるお客さまが増え1人あたりの接客時間は増えた。マインドの変化を踏まえて、各店には「これまで以上に接客が重要だ」と日々伝えている。その中、「スタッフ オブ ザ イヤー2023」で当社の仲希望さん(「ユナイテッドアローズ 新宿店」勤務)がグランプリを取れたことはみんなのモチベーションになった。

WWD:顧客と密接につながっていくためにこれから仕掛けていくことは?

松崎:多面的に取り組んでいく。新規事業開発に加えて、中期の柱の一つであるデジタル戦略では、会員プログラムをリニューアルした。店舗やオンラインストアに多く接していただければいただくほど還元率が高くなる仕組みだ。購入金額に対してはもちろん、商品のお気に入り登録やレビュー投稿でもマイルの対象になる。お客さまとのタッチポイントを創出すると同時に、それをきちんとデータ化して情報集約し、的確な商品をお勧めができるようなデジタル化を進めていく。大きなテーマは変わらず、いかにお客さまの共感を得られるか。お客さまとともに、新しい価値を作っていくイメージで進んでいきたい。

会社概要

ユナイテッドアローズ
UNITED ARROWS

1989年10月設立。90年7月、原宿にセレクトショップ「ユナイテッドアローズ」1号店を開く。2002年3月東証二部、03年東証一部に上場、 22年東証プライム市場へ移行。主なグループ会社にコーエンなど。23年3月期の連結業績は、売上高1301億円、純利益43億円だった。従業員数は3915人

問い合わせ先
ユナイテッドアローズ
03-5785-6325

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新規事業の開発で新たな価値を届ける【ユナイテッドアローズ 松崎善則社長】

PROFILE: 松崎善則/ユナイテッドアローズ社長

松崎善則/ユナイテッドアローズ社長
PROFILE: (まつざき・よしのり)1974年2月22日生まれ。98年4月にユナイテッドアローズに入社。ユナイテッドアローズ渋谷店からキャリアをスタートし、店長職やBY本部長などを経て、2018年4月に上席執行役員に昇格し、同年6月に取締役常務執行役員に着任。20年11月に取締役副社長執行役員に就任。21年4月から現職 PHOTO:SHUHEI SHINE

粗利益率がコロナ前の水準に回復したユナイテッドアローズ。既存事業の利益構造の改善を進めつつ、今年注力するのは事業領域の拡大だ。テーマは「お客さまからの共感」。ファッションを軸にしながら、ゆくゆくは顧客の生活全般に携わることを目指す。新規事業開発専門の部署を立ち上げ、新たなアイデアの種を着実に育てていく年になる。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

複数のプロジェクトを始動させる
チャレンジングな一年に

WWDJAPAN(以下、WWD):26年3月期を最終年度にした中期経営計画では事業領域の拡大を掲げている。

松崎善則社長(以下、松崎):2024年は、新規ブランドの開発に力を入れて今までと違う価値をお客さまに提供するチャレンジングな年にしたい。来年度中(25年3月期)に複数のプロジェクトを始動させる予定だ。

WWD:1月には第1弾として、コスメブランド「ユナイテッドアローズ ビューティー(UNITED ARROWS BEAUTY)」を立ち上げた。

松崎:2年前に実施した社内公募で、複数人から上がった意見だったのでまず形にした。当社の課題である次世代へのアプローチにもつながることを期待したい。

WWD:セレクトショップ業態のコスメブランドは、販売接客の面でハードルが高いとも聞く。

松崎:今回は気分が上がると同時に日常使いできる、ちょうどいい価格帯を意識した。ECを軸に販売する計画で、売り場での販売スタッフの詳しい接客トークよりもパッケージやECでの商品説明である程度伝わるような売り方を考えている。今年は既存の主力事業以外でも積極的に増収を目指すが、コスメはすぐに大きくなるとは思っていないのでじっくり育てていくつもりだ。

WWD:業容拡大する上で、参考にしている企業は?

松崎:LVMHの衣食住を網羅するポートフォリオの広げ方はすてきだと思う。当社もセレクトショップと親和性のある分野にはどんどん出ていきたい。既にマンションの内装監修やリノベーションサービスを提供しているが、そこからの派生や生活雑貨を広げる可能性もある。

WWD:23年は粗利益率が過去9年で最高水準に回復した。

松崎:目指す方向にきちんと進められた。コロナが明けて想定以上にお客さまの来店回帰が強くなる中、セールで来店を促進するよりも、商品の正しい価値をいかに伝えて定価でお求めいただくかに注力してきた。それが顕著に結果に現れた。24年も引き続き、定価販売比率を上げることを目標にしていきたい。

WWD:一方で、課題として残ったことは?

松崎:供給量を抑制しつつ、売り逃しを防ぐこと。デジタルツールをうまく活用していかなければいけない部分だ。暖冬や為替など外的要因に出遅れの要因は求めていない。私たちの使命は、それでも欲しいと思ってもらう商品を作り続けることだ。

WWD:売上至上主義から脱却し量より質で勝負する方向なのか?

松崎:売上高は当社に対する支持のバロメーターなので、そこを減らしていく考えは全くない。ただ、在庫を積み上げて売り減らしていくような商売の仕方では、回り回って自分たちが苦しくなるだけだ。その意味でも商品の本来の価値を伝え、認めていただきながら売上高を増やす。当たり前のことだが、これまで経験則で進んできてしまった部分もある。そこを丁寧に見直してきた。23年は商品の改善を伴って値上げをしたが、結果的にきちんとプロパー販売比率が高まった。商品の価値を伝えられた手応えがある。

WWD:商品の改善とは具体的には?

松崎:オリジナル商品をセレクト商品に負けないレベルに高めることだ。たとえば、1万円のドレスシャツであれば畳み幅の変更や生地選び、色の表現の仕方など細部にわたる。工夫をちゃんと伝えるためにも販売スタッフの丁寧な接客があらためて重要だ。

WWD:コロナ以降、接客に求められることに変化は?

松崎:コミュニケーションを求めるお客さまが増え1人あたりの接客時間は増えた。マインドの変化を踏まえて、各店には「これまで以上に接客が重要だ」と日々伝えている。その中、「スタッフ オブ ザ イヤー2023」で当社の仲希望さん(「ユナイテッドアローズ 新宿店」勤務)がグランプリを取れたことはみんなのモチベーションになった。

WWD:顧客と密接につながっていくためにこれから仕掛けていくことは?

松崎:多面的に取り組んでいく。新規事業開発に加えて、中期の柱の一つであるデジタル戦略では、会員プログラムをリニューアルした。店舗やオンラインストアに多く接していただければいただくほど還元率が高くなる仕組みだ。購入金額に対してはもちろん、商品のお気に入り登録やレビュー投稿でもマイルの対象になる。お客さまとのタッチポイントを創出すると同時に、それをきちんとデータ化して情報集約し、的確な商品をお勧めができるようなデジタル化を進めていく。大きなテーマは変わらず、いかにお客さまの共感を得られるか。お客さまとともに、新しい価値を作っていくイメージで進んでいきたい。

会社概要

ユナイテッドアローズ
UNITED ARROWS

1989年10月設立。90年7月、原宿にセレクトショップ「ユナイテッドアローズ」1号店を開く。2002年3月東証二部、03年東証一部に上場、 22年東証プライム市場へ移行。主なグループ会社にコーエンなど。23年3月期の連結業績は、売上高1301億円、純利益43億円だった。従業員数は3915人

問い合わせ先
ユナイテッドアローズ
03-5785-6325

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【2024年夏コスメ】「ジルスチュアート ビューティ」は淡く儚い花びらがテーマ メインはパステルカラーの2色チーク

「ジルスチュアート ビューティ(JILL STUART BEAUTY)」は4月5日、2024年の夏コレクション“パステル ペタル ハーモニー(Pastel Petal Harmony)”を発売する。メインアイテムの2色チークカラーをはじめ、定番のアイシャドウパレットやカラーマスカラの限定色を用意した。予約受け付けは3月22日に開始する。

“パステルペタル ブラッシュ”(全7種うち限定1種、各4620円)は、ふんわりとした彩りで柔らかな血色と明るさを与える2色セットのチークカラー。透明感の高いクリアパウダーを配合しているため、白膜感のない肌なじみをかなえる。カラーはアプリコットやニュートラルなピンク、パープルの新色に加え、限定色のブルー×ローズを取り扱う。優雅に揺れる花びらを表現したパッケージで、ふたの中心にはフラワージュエリーをイメージしたレリーフを施した。同商品と合わせて使用するメイクパフ“フラワークチュール メイクアップパフ”(990円)も販売。マシュマロのような肌あたりで、自然な血色感を演出する。

“ブルーム ミックスハイライト コンパクト”(限定、4620円)は、パールを配合したピンクやホワイト、ブルーなどの5色のパステルカラーをセットしたハイライターで、プリズムのような艶めきを宿す。一輪の大きな花をクリスタルカッティングで表現したコンパクトは、ジュエリーのような輝きとビンテージの世界観を表現している。

定番のアイシャドウパレット“ブルームクチュール アイズ”(各6380円)は新2種、“ブルームクチュール アイズ ジュエルドブーケ”(各6380円)は限定2種が登場する。“ブルームクチュール アイズ”は、朝露が降りた艶やかなルピナスカラーをまとったピンク系と、夕焼けに染まるタンポポをイメージしたコーラルレッド系。“ブルームクチュール アイズ ジュエルドブーケ”は、ピオニーの華やかさとサンストーンの輝きを与えるイエローピンク系と、パンジーの彩りとタンザナイトの美しさを著したパープルブラウン系。

そのほか、カラーマスカラ“ブルーミングラッシュ ニュアンスカーラー”(3300円)からブルーパールを含んだモーヴブラウンが、ネイルポリッシュ“フレグラント ネイルラッカー”(各2200円)からは多彩なパールがきらめくホワイト、甘さのあるピンク、ライラックパープルの3色が限定色としてお目見えする。

さらに、リキッドリップ“タイムレスグロウ ルージュティント”(各3300円)にはシアーなアプリコットピンクと、ミルキーなグレープピンクを新色として追加する。

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