ケリング(KERING)傘下の「バレンシアガ(BALENCIAGA)」は、新たなクリエイティブ・ディレクターにピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)前「ヴァレンティノ(VALENTINO)」クリエイティブ・ディレクターを指名した。7月のクチュールを最後に同じくケリング傘下の「グッチ(GUCCI)」に移籍するデムナ(Demna)の後任となる。ピッチョーリは7月10日に着任し、10月の2026年春夏パリ・ファッション・ウイークでデビューコレクションを披露する予定だ。
デムナは約10年間の在任期間中、アンダーグラウンドなムードとディストピア的な世界観でラグジュアリーファッションの世界を塗り替え、誇張したシルエットのテーラリングやストリートウエア、加工がふんだんに施されたジーンズ、チャンキーなスニーカー、バッグの“カゴール”や“ロデオ”などヒットアイテムを生み出してきた。また2021年には、創業者の引退以来眠っていたクチュールを復活させた。
一方、ピッチョーリは「フェンディ(FENDI)」で10年間働いた後、「ヴァレンティノ」に25年間在籍。08年から16年までは、「フェンディ」でも共に働き、現在は「ディオール(DIOR)」のウィメンズを手掛けているマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)と共同でクリエイティブ・ディレクターを務め、その後は単独で24年3月まで同職を務めていた。国際的なファッションシーンで愛されるデザイナーであり、特にオートクチュールで見せる大胆なボリュームと色使いに定評がある。また、「ヴァレンティノ」の美学をかつてのジェットセッターのイメージからさらに広げ、若々しく多様なオーディエンスを受け入れてきたことでも知られる。
就任に際して、ピッチョーリは「『バレンシアガ』が今あるのは、クリストバル(・バレンシアガ)、ニコラ(・ジェスキエール)、アレックス(アレキサンダー・ワン)、デムナという、これまで道を切り開いてきた全ての人々のおかげだ。全てのフェーズにおいて、常に進化し変化しながらもメゾンの美的価値を見失うことはなかった」とコメント。そして「クリストバル・バレンシアガの遺産とアーカイブは、おそらく市場最も影響力のあるファッション・ステートメントの一つ。彼は誰よりも早く全てを成し遂げ、彼は文字通り創造性の文化を生み出し、キャリアのあらゆる側面にクチュールのアイデアを取り入れ、そしてクリエイションを通して進化と革新の力を示してきた」と続けた。
また「私が受け取るのは、驚くほど魅力的な可能性に満ちたブランドだ」とし、「私は何よりもまずデムナに感謝せずにはいられない。というのも、彼の才能とビジョンにはいつも感服しているから。これ以上のバトンタッチは望めない。デムナは彼ならではのアプローチでクリストバルにオマージュを捧げ、メゾンの核となるアイデンティティーを保ちながら彼の視点を共有してきた。これは、メゾンの新たなバージョンを形作り、新たなストーリーとともに新たな章を加えるチャンスを私にもたらしてくれた」と説明。「フランソワ・アンリ(ピノー=ケリング会長兼CEO)、フランチェスカ(・ベレッティーニ=ケリング副CEO)、ジャンフランコ(・ジャナンジェリ=バレンシアガCEO)が私に寄せてくれている信頼にも感謝している。私たちはスタート地点から難なく共通認識を持っており、それは新しいことを始めるベストな方法だ。仕事は人によって成されるもの。重要なのは、その仕事の中で人々がどう感じるかということだけだ」と述べた。
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