北山宏光
PROFILE: 北山宏光/アーティスト・俳優PROFILE: (きたやま・ひろみつ)1985年9月17日生まれ。神奈川県出身。2023年9月17日、TOBEとともに新たなエンターテインメントの道を歩み始め、同年11月にデジタルシングル「乱心-RANSHIN-」をリリース。以来、楽曲制作、ライブ演出、俳優業など多岐にわたり活動を展開。24年8月に1stアルバム「ZOO」をリリースし、全国9都市15公演のライブツアーを成功させた。6月16日には2ndアルバム「波紋-HAMON-」をリリースし、よりパーソナルで革新的な表現に挑戦している。7月2日からは全国11都市17公演のライブツアーを開催する。
アーティスト、俳優として活動する北山宏光の2ndアルバム「波紋-HAMON-」が6月16日にリリースされた。本作は自分自身との対話と覚醒をテーマに、鋭くもエモーショナルなリリックが印象的なリード曲「波紋-HAMON-」をはじめ、先行配信された「Just Like That」や「OMG!!!」など、全方位型の音楽性とジャンルレスな13曲で構成されている。
前作「ZOO」から約10カ月ぶりとなる本作では、内面の葛藤や情熱、そして社会へのメッセージが、多彩なサウンドとともに描かれており、シンガーとしてだけでなく表現者としての北山の進化を感じさせる内容となっている。
今回、アルバム「波紋-HAMON-」に込めた思いや藤家和依との共作、衣装とパフォーマンスの関係、今後についてなど、幅広いテーマで話を聞いた。
波紋を広げ、ジャンルレスに挑戦し続ける
北山宏光
——セカンドアルバム「波紋-HAMON-」の完成、おめでとうございます。今の心境は?
北山宏光(以下、北山): ありがとうございます。今作は、前作(「ZOO」)からほとんど間隔を空けずに短期間で制作しました。その中でしっかりと、自分のメッセージが色濃く伝わる内容になっていると思います。
——アルバムの全体的なコンセプトやテーマを教えてください。
北山: アルバムタイトルでもあり、リード曲でもある「波紋-HAMON-」という言葉はそのままテーマにもなっています。自分が紡いだ言葉や行動が一石となり、それによって波紋が広がるように、聴いてくださる方々に何かが伝わっていくといいなという思いで仕上げました。
——アルバムを通して聴くと、エレクトロ、ロック、ヒップホップ……と非常に幅広いジャンルの楽曲が収録されていると感じました。これは北山さんがやりたいこと全部を詰め込んだ形で作られたのでしょうか?
北山: そうですね。ただ、さまざまなジャンルに挑戦した理由は、普段だったら自分の音楽が届いていない方々に聴いてもらえる可能性を考えたからでもあります。だからこそ、僕のイメージを固定しない楽曲もちりばめました。もちろん僕がやりたいことの中の枠組みで制作していますが、いろんな曲を入り口にして僕の音楽に触れてくれたらいいなと思っています。今作は13曲(※通常盤は14曲)あるので、いろいろとトライができました。
——ファーストアルバムから進化させた部分はありますか?
北山: よりロックサウンドが印象に残るアルバムになってほしいなという漠然とした縦軸がありました。だからアレンジ面でもロックに寄せることが多かったです。
旧知の仲である藤家和依との共作
北山宏光
——リード曲の「波紋-HAMON-」自体が、かなりロックを体現したものだと感じました。
北山: そうですね。そもそもこの楽曲ができたことで、アルバムのコンセプトが固まったところがあります。まずこの曲ができ、それをそのままアルバム名にも採用したんです。アルバム全体の方向性を定めてくれたのが「波紋-HAMON-」です。
——「波紋-HAMON-」は北山さんご自身で作詞されていますが、どういう思いを込められたのでしょうか。
北山: 良いニュースも悪いニュースも、世の中いろいろありますよね。誰かが正論を言ったとして、それはもちろん正しいことなんだろうけど、どんな正論にもちゃんと表と裏があると思うんです。裏側でしか成立しない正論もあるだろうし、正論ばかりを振りかざしていると、物事がおかしくなる場合もあるでしょう。ただ、こういう考えは公で言い過ぎると誤解を招く可能性もあります。だから歌にすることで、理解してくれる人に伝わればいいと思って書き始めたのがこの曲です。そうした“届いてほしい”という思いも「波紋」という言葉につながっていきました。自分が抱えるつらさは、なるべくエンタメに昇華しようと努めています。そしてこの曲が誰かに刺さってくれたとしたら、それは同じ気持ちを共有できているということ。歌から何かを読み取ってもらえたらうれしいです。
——この曲の作曲には、旧知の仲である藤家和依さんが参加されています。
北山: 藤家君とは、芸能界に入るきっかけになったオーディションが偶然同じ日だったことから仲良くなりました。いつしかそれぞれの歩みは全然違うところに行っていて、またこうして一緒に作っているというのは不思議な縁だと感じています。出会ってからもう23年。同じステージに彼も昔立っていたからこそ、2人で話しているとアイデア出しの段階からすでに、ステージ上での絵を共有できるんですよ。曲のイメージから飛躍して、どんなライブになっているか、その時のファンの皆さんの歓声はどうかとイメージまで膨らむので、話が早くて驚きました。
——今作についてはお2人でどういう話をされましたか?
北山: 歌詞の中にもある言葉なのですが、「やってんな!」の曲を作ろうって(笑)。これは嫉妬のようなネガティブな使い方もできるし、羨望のようなポジティブな使い方もできる、汎用性のあるキャッチーな言葉だと感じています。だからこそ、思わず言いたくなるというか。ライブでファンの方々に「やってんな!」と思ってもらえたら成功だなと思っています。これからライブで歌っていくことで、この曲がさらにどう進化していくかが自分でも楽しみなところではあります。
——他の曲についても教えていただけますか。
北山: 「アマテラスヒカリ」はかなり歌詞を書き直しましたね。これもライブシーンをイメージしてできた楽曲です。後ろから光が差して、シルエットとして僕が登場して歌えたらカッコいいなと妄想していく中で、「アマテラスヒカリ」という言葉が浮かびました。ちょっと神聖な響きのある言葉ですよね。
「OMG!!!」は、もともと自分がメモしていたフレーズをベースに歌詞にしました。結構メモ癖があるんですよ。友達と集まったら、楽しすぎてもうこのあと仕事はできないなと思うことがあるじゃないですか。その思いがメモに残っていて、そこから着想を膨らませました。MVはAIで製作している点も特徴的です。日本の都市文化や宇宙といったまったく違う要素が融合している面白みがあると思っています。
衣装とパフォーマンスの関係
北山宏光
——「波紋-HAMON-」のMV撮影はどうでしたか?
北山: 撮影はカメラに向かう動きが多く、わざとブレを入れて躍動感を出したりしているんです。観ている人が圧を感じるくらい、メッセージの波動を伝えることを意識した作品になっています。5つの台を使用している場面では、全てダンサーたちがマンパワーでそれを持ち上げてくれているのですが、そこからも暑苦しいほどの熱量を感じていただきたいですね。演出としても、飽きないものになっているのではないかなと思います。
VIDEO
——MVで着用されている、ボリュームのあるファーとレザーパンツの衣装も印象的です。
北山: 「波紋-HAMON-」は「to HEROes ~TOBE 2nd Super Live~」の東京ドーム公演の時が初お披露目で、そのライブでも着用した衣装でした。衣装込みで世界観を作り上げていたので、同じものをMVでも着用しています。裏テーマとして、「赤」をポイントにしています。やはり僕自身の波紋としては、青の水色の波紋ではなく、赤い大きな波紋のイメージがあったので。
——波紋と聞くと静寂なイメージもありますが、熱量みたいなものに変換されているのが面白いと感じました。
北山: そうですね。エネルギー体が落ちた時の広がりを表現する方が、僕が生み出す波紋らしいなと思って。それをどんどん絵に落とし込んでいきました。
——衣装がパフォーマンスに与える影響も考えられていると思ったのですが、パフォーマンス時の衣装について意識していることはありますか?
北山: 意識はかなりしています。ただこれは演出によって決める部分が大きいですね。ダンスをするなら動きやすさも必要だし、どれくらいの時間で早替えするのかによっても変わってくる。その計算の中にさらにトレンドも入れたくなってしまうので、衣装は最も悩ましいところですね。実際、踊る曲だったらジャージが一番踊りやすいので、本当はリハ着が一番いいんですよ(笑)。リハ着だと一番、自分が踊れていると感じますから。
——重たいファーだと動きは大変ですよね。
北山: ただ、ステージに立っていると、あれくらいボリュームがある方が存在感があるし、極端な話、そんなに動かなくても絵として成立するという側面もある。本当に衣装の選択は難しいし、面白いなと思います。
——普段はどのようなファッションがお好きですか?
北山: ブランドだと「「セント マイケル(©SAINT MXXXXXX)」などはよく着ます。小物だと「クロムハーツ(CHROME HEARTS)」なども好きです。ですが、テイストは固定していなくて、かなりいろんな服装を楽しんでいるタイプだと思います。行く場所やお店によって変えたりもしますから。ちょっとやんちゃな感じの時もあれば、本当に無地のセーターとデニムという時もあるし。
——最近の気分はなんですか?
北山: シャツをあまり着ないので、シャツが似合う人になりたいなと思っています。夏に麻素材のさらっとした素材のシャツを羽織れるような人って、カッコよくないですか?
ジャンルにとらわれず
さまざまなことに挑戦
北山宏光
——これから新しいアルバムとともに、ライブツアーもスタート。構想はすでに出来上がっていますか?
北山: まだ打ち合わせをしている段階ですが、セットはあまり見たことない形になっているかもしれません。アリーナサイズとホールサイズではできることが異なるのですが、今回はホールサイズの中で最大限に何ができるかを考えているところです。ロックサウンドが多めのアルバムなので、それを会場全体に轟かせられたらいいなと思っています。盛り上がれる楽曲が多いので、男性の方にもぜひ観にきていただきたいです。
——全国各地を回られるのも楽しみですね。
北山: 京都、岡山は今回初めて訪れます。全国を回ることで、自分のことを知ってくれる人が増えていくといいなと思います。あとはグルメも楽しみですね。ツアーのメイキングとは別に、各地でグルメの撮影もできたらいいなと思っています。
——これからさらに挑戦してみたいことはありますか?
北山: これは引き続きですが、役者としても活動していきたいですね。さまざまな活動をすることが相乗効果になりますから。僕が今までやってきたことって、そうだと思うんです。これまでもジャンルにとらわれず、いろんなことに取り組んできたわけだから。だから、何かを制限することをせず、求められるところには行こうと思っています。映像作品を観た人からは役者と認識されればいいし、役者の人が歌を歌っているという見方があってもいいし、アイドルという見方だった人がアーティストという見方になってもいいし。見る人が変わるだけで、僕の役職が変わっていくということが、面白いと感じているので。
——最近のマイブームもお伺いしたいです。休みの日は何をされていますか?
北山: 休みの日は友達とバーベキューをよくします。今まではただ肉に塩を振って味付けをしていましたが、最近は塩ダレを作るようになりました。最初は後輩が作ってくれたんですけど、食べたらおいしくて驚きました。ちょっとひと手間かけるだけでこんなにおいしくなるなんて、発見でしたね。本当にその場にある材料を混ぜて手早く作るだけなんですけど、それを使って焼くだけでみんな一気に盛り上がるんですよ。今はちゃんと振る舞えるように、レシピを改良中です。
——最後に「WWDJAPAN」の読者にメッセージをお願いします。
北山: 「波紋-HAMON-」はタイトルからは想像しづらいアルバムかもしれませんが、曲を聴いたらちょっと驚くような、メッセージの強い楽曲が詰まっています。ぜひ歌詞も読んでいただいて、歌詞に込められたメッセージとともに聴いてくれるとうれしいです。
PHOTOS:TAKAHIRO OTSUJI
STYLING:KEI SHIBATA
HAIR&MAKEUP:CHIEMI OSHIMA
Tシャツ 2万5300円/032c、ジャケット 20万6800円/ALEXANDER DIGENOVA、パンツ 3万8500円/ENTIRE TUDIOS(全てNUBIAN HARAJUKU 03-6447-0207)、その他、スタイリスト私物
北山宏光 2ndアルバム「波紋-HAMON-」
北山宏光 2ndアルバム「波紋-HAMON-」のジャケット(通常盤)
■北山宏光 2ndアルバム「波紋-HAMON-」
6月16日リリース
初回生産限定盤A・B、通常盤の3形態をリリース
収録曲
1.Drippin' Overture
2.波紋-HAMON-
3.ADrenaline
4.Flores STEP
5.EYE Shadow
6.奪還メラメラ
7.アマテラスヒカリ
8.OMG!!!
9.Never Say
10.小さな春
11.Selfish
12.Just Like That
13.Drippin'
ボーナストラック(通常盤のみ):THE BEAST REMIX (to HEROes 2nd ver.)
https://tobe-official.jp/artists/hiromitsukitayama
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