
マツキヨココカラ&カンパニーは25日、東京・銀座に5つ目の旗艦店「ギンザ フラッグ(GINZA FLAG)」をオープンする。1999年から営業するマツモトキヨシ銀座5th店を全面改装し、化粧品の品揃えを強化した。ドラッグストア初の「カネボウ(KANEBO)」や「イプサ(IPSA)」を導入し、バラエティーストアで人気の韓国コスメブランドを拡充した。
同社は都市部での出店を積極的に進めており、ドミナント戦略を一段と強化している。6月には、東銀座の歌舞伎座横に新たにマツモトキヨシを出店。これにより、銀座・有楽町エリア(半径2キロ圏内)でのグループ店舗数は8店となった(銀座6店舗、有楽町2店舗)。
従来は首都圏・東海・関西の3大都市圏を中心に展開してきたが、今年度からは九州も重点エリアに設定。コスモス薬品など、地域密着型の競合がひしめく市場であるが、グループ会社のマツモトキヨシ九州販売を通じて高い収益性を確保しており、今後の出店にも期待がかかる。
高橋伸治マツキヨココカラ&カンパニー グループ経営企画統括 広報室 IR戦略専任部長は「小さな店から大きな店、都市部から離島、駅前から郊外まで展開できるノウハウがあるからこそ、われわれはまだ出店余地があると思っている」とコメント。今後も大都市圏を中心に人口減少率が低いエリアでの出店を進める方針だ。
旗艦店では、原宿表参道口店(2018年)、池袋Part2店(19年)、香港・コーズウェイベイ店(22年)、渋谷道玄坂フラッグ(23年)、今回のギンザ フラッグに続き、「渋谷にまた(旗艦店を)つくりたい」と明かしている。
マツキヨココカラの強み
「稼ぐ力」は業界トップ
ドラッグストア業界ではイオングループのウエルシアホールディングス(HD)が売り上げでトップを走る。25年2月期は、売上高が前年比5.6%増の1兆2850億円、営業利益が同15.8%減の364億円、純利益は同43.5%減の149億円と増収減益だった。
その背中を追うマツキヨココカラ&カンパニーは、25年3月期の売上高が同3.8%増の1兆616億円、営業利益が同8.4%増の820億円、純利益が同4.4%増の546億円と増収増益で着地した。
参考までに、ツルハホールディングスは、決算期変更に伴い9.5カ月の変速決算のため単純比較はできないが、25年2月期は売上高が8456億円(前連結会計年度1兆274億円)、営業利益が378億円(同471億円)、純利益が172億円(同217億円)だった。
営業利益ではマツキヨココカラが業界トップで、ウエルシアHDとの差は約450億円にのぼる。売り上げ規模ではウエルシアHDに及ばないものの、「稼ぐ力」で圧倒する構造となっている。
また、国内店舗数もマツキヨココカラは業界最多を誇る。マツキヨココカラは3499店舗、ウエルシアHDは3013店舗、ツルハHDは2653店舗を有する。
化粧品売り上げで圧倒的なシェア
マツキヨココカラは、化粧品販売においても圧倒的な強さを見せる。24年度の化粧品売上高は3533億円と、ウエルシアHDの2030億円を大きく上回っている。さらに、ツルハHDの1175億円(前連結会計年度1466億円)とも大差がついている。
この好調を支える要因の一つが、プライベートブランド(PB)の豊富な商品展開だ。マツキヨココカラでは現在、約2300SKUを展開しており、独自性のある商品ラインアップが顧客のリピートや店頭での差別化につながっている。一方のウエルシアHDは、PB商品は約390SKUにとどまり、PBの品ぞろえの面では大きな差がある。マツキヨココカラのPBは機能性など一定の評価を得ており、利益率の押し上げにも寄与している。
化粧品売り上げの強さは、こうしたPB戦略と一体で機能しており、マツキヨココカラが他社と一線を画す競争力を持つ大きな理由の一つとなっている。
さらに同社は、データを活用したマーケティングをいち早く進め、リアル店舗の強みをデジタル施策と組み合わせて来店時以外でも顧客に提供している。その一環として、「マツキヨココカラQ」「マツキヨココカラBe」「マツキヨココカラMe」を展開。オンラインストアで注文した商品を、店舗から最短で当日配送する「Q」、バーチャルシュミレーションできるサービスで美容やコスメ情報の発信を担う「Be」、調剤サービス「Me」など、オンラインとオフラインを横断する顧客接点を強化している。
業界激震、12月に最大手連合が誕生
マツキヨココカラは、マツモトキヨシホールディングスとココカラファインが21年10月に経営統合し、業界再編の象徴的な存在としてドラッグストア市場をけん引してきた。
一方で、ドラッグストア業界はさらなる変化の局面を迎えている。12月には、ウエルシアHDとツルハHDが経営統合を予定しており、統合後のグループは国内で5600店を超える店舗網を擁し、売上高は約2兆円に達する見通し。売り上げ・店舗数ともに国内最大規模のドラッグストアグループが誕生する。化粧品も驚異的な存在になることは間違いない。
こうした業界地図の大きな変化は、当然ながらマツキヨココカラにとっても看過できない。グループはかねてより、「美と健康のアジアNo.1」を掲げ、独自ブランドや専門性の高い売り場づくりなど、差別化戦略に力を入れてきた。新たな競争軸の中で、いかにして独自の強みを再定義し、顧客との関係性を深化させていくのか。次の一手に注目が集まる。
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