生成AIが接客? 東京・久我山の無人古着屋「ジャンボデンキ」

「ジャンボデンキ」と書かれた青い軒先、昭和の家電製品を広告するPOP、レトロなストライプの壁紙──今年3月に東京・久我山に誕生した「古着屋 ジャンボデンキ」は、かつて地元で愛された電気屋の外観と内装、屋号をそのまま受け継ぐ無人の古着屋だ。運営するのは、デザイン会社ザ・カンパニーの橘啓介社長。普段はファッションや建設、医療とさまざまな業種のブランディングとデザインを手掛けている。

デザイン会社が
無人古着屋を営む真意

店内には約1000点の古着が所狭しと並ぶ。客はハンガーについたタグの色で値段を判断し、料金ボックスに現金を投函。小銭がないときは、ボックス横の両替機を使う。セキュリティーは防犯カメラのみの、完全に性善説に則った店舗だが、盗難は「ほぼゼロ」というから驚きだ。「お客さんの計算違いや、金額の入れ違いによる料金のロスはある。それでも、悪意のある窃盗はない」。

橘社長が同店を始めたきっかけは、知り合いが無人古着屋を運営していたことだった。「初期費用もそれほど高くないし、自分にもできそうと安易に考えた」と笑うが、真の目的は他にある。「本業で小売店のロゴデザインやブランディングを手伝うこともあるのに、自分で店を運営していないことがずっと気がかりだった。自らの店で実績を重ねれば本業の説得力も増すし、マーケティングやシステムの実験場としても使える」。たとえ売り上げが立たなくても、やる覚悟だったのである。

AI、セール、LINEスタンプ
さまざまな施策の“実験場”

同店ではデザインやシステムの“実験場”として、さまざまな施策を行う。その一つが、生成AIを活用した接客だ。ChatGPTと音声認識ツール、発話ツールを組み合わせて開発した独自システムで、タブレットに触れて質問すると、同店のマスコットキャラクター、ジャンボくんが音声で答えてくれる。ほかにも、SNS運用やLINEスタンプの制作、半額セールの実施、店舗のコンセプトまで、同店のあらゆる取り組みがノウハウとして蓄積され、本業であるデザインやコンサルティング事業に還元される。

久我山は橘社長が住み慣れた場所で、この地を盛り上げる思いも込めて出店した。電気屋の跡地を選んだのは、「昭和の雰囲気が残っていて、何より安かったから(笑)」。月間売り上げは70万〜100万円で、年内には初期費用も回収する見通し。多店舗化の予定はないものの、地域活性化や、空き家問題の解決策になる可能性はある。「似た課題を持つエリアに横展開するのはアリ。元クリーニング屋とか、元居酒屋とか。頭に『古着屋』を付けるだけだから」。

■古着屋 ジャンボデンキ
住所:東京都杉並区久我山4-50-1
営業時間:10:00~22:00(金、土、祝前日は24時間営業)

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生成AIが接客? 東京・久我山の無人古着屋「ジャンボデンキ」

「ジャンボデンキ」と書かれた青い軒先、昭和の家電製品を広告するPOP、レトロなストライプの壁紙──今年3月に東京・久我山に誕生した「古着屋 ジャンボデンキ」は、かつて地元で愛された電気屋の外観と内装、屋号をそのまま受け継ぐ無人の古着屋だ。運営するのは、デザイン会社ザ・カンパニーの橘啓介社長。普段はファッションや建設、医療とさまざまな業種のブランディングとデザインを手掛けている。

デザイン会社が
無人古着屋を営む真意

店内には約1000点の古着が所狭しと並ぶ。客はハンガーについたタグの色で値段を判断し、料金ボックスに現金を投函。小銭がないときは、ボックス横の両替機を使う。セキュリティーは防犯カメラのみの、完全に性善説に則った店舗だが、盗難は「ほぼゼロ」というから驚きだ。「お客さんの計算違いや、金額の入れ違いによる料金のロスはある。それでも、悪意のある窃盗はない」。

橘社長が同店を始めたきっかけは、知り合いが無人古着屋を運営していたことだった。「初期費用もそれほど高くないし、自分にもできそうと安易に考えた」と笑うが、真の目的は他にある。「本業で小売店のロゴデザインやブランディングを手伝うこともあるのに、自分で店を運営していないことがずっと気がかりだった。自らの店で実績を重ねれば本業の説得力も増すし、マーケティングやシステムの実験場としても使える」。たとえ売り上げが立たなくても、やる覚悟だったのである。

AI、セール、LINEスタンプ
さまざまな施策の“実験場”

同店ではデザインやシステムの“実験場”として、さまざまな施策を行う。その一つが、生成AIを活用した接客だ。ChatGPTと音声認識ツール、発話ツールを組み合わせて開発した独自システムで、タブレットに触れて質問すると、同店のマスコットキャラクター、ジャンボくんが音声で答えてくれる。ほかにも、SNS運用やLINEスタンプの制作、半額セールの実施、店舗のコンセプトまで、同店のあらゆる取り組みがノウハウとして蓄積され、本業であるデザインやコンサルティング事業に還元される。

久我山は橘社長が住み慣れた場所で、この地を盛り上げる思いも込めて出店した。電気屋の跡地を選んだのは、「昭和の雰囲気が残っていて、何より安かったから(笑)」。月間売り上げは70万〜100万円で、年内には初期費用も回収する見通し。多店舗化の予定はないものの、地域活性化や、空き家問題の解決策になる可能性はある。「似た課題を持つエリアに横展開するのはアリ。元クリーニング屋とか、元居酒屋とか。頭に『古着屋』を付けるだけだから」。

■古着屋 ジャンボデンキ
住所:東京都杉並区久我山4-50-1
営業時間:10:00~22:00(金、土、祝前日は24時間営業)

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セシリー・バンセンが語る「アシックス」コラボとブランドの成長 “一瞬のロマンス”のために

デンマーク発のブランド「セシリー バンセン(CECILIE BAHNSEN)」は11月22日、「アシックス(ASICS)」とのコラボレーションスニーカー第2弾(全2種、各2万7500円)を発売する。7月に発売した第1弾は日本でもすぐに完売するほどの人気で、第2弾の新作は抽選販売の申し込みを「アシックス」公式サイトで19日まで受け付けている。一般販売に先駆けて開催した東京・表参道での先行発売を兼ねたイベントに合わせて、デザイナーのセシリー・バンセンが来日した。当日は、自身のブランドのガーリーなドレスに、「アシックス」のランニングバックパックを合わせて会場に姿を見せた。5回目の来日を果たしたバンセンに、コラボに込めた思いやブランドの成長について聞いた。

コラボ第2弾は色使いに挑戦

WWDJAPAN(以下、WWD):「アシックス」との協業に至った経緯は?

セシリー・バンセン(以下、バンセン):「セシリー バンセン」のコレクションでは着心地を重視したフラットシューズを作っており、快適で機能性に優れたシューズの「アシックス」とはいつか協業してみたいと思っていたんです。幸いなことに「アシックス」も私たちのブランド理念に共鳴してくれて、コラボが実現しました。

WWD:「アシックス」に抱くイメージは?

バンセン:もともとは、“ゲルカヤノ 14(GEL-KAYANO 14)”などのスポーティーなランニングシューズのイメージが強かったです。コラボ前から、コペンハーゲンの女の子たちは「セシリー バンセン」のドレスに「アシックス」のスニーカーを合わせていて、新たな可能性を感じていました。そういったストリートスタイルは、コラボレーションモデル制作のインスピレーションになっています。

WWD:「アシックス」とのコラボでこだわったポイントは?

バンセン:第1弾は黒と白の2色で、透け感と花のモチーフにこだわりました。第2弾では、「セシリー バンセン」の色使いを見てほしくて、2023-24年秋冬コレクションともなじむように、同じトーンのピンクとブルーを採用しました。濃淡の異なるピンクをレイヤリングしたり、立体的な花のプリントを施したりし、「アシックス」の世界観の中でもブランドらしさを表現できたと思います。色の重ね方や新たな素材使いに挑戦したため制作は第1弾より難航しましたが、とても満足のいく仕上がりになりました。第3弾の機会があれば、これまでの経験を生かしたいですね。

WWD:第1弾に続き、ホンマタカシとビジュアルを協業したのはなぜ?

バンセン:10代の頃からホンマタカシさんの書籍を集めていたので、また今回も協業できてとてもうれしかったです。コラボシューズのビジュアルは、同じく10代の頃に夢中になっていた97年創刊の原宿ストリートスタイル誌「フルーツ(FRUITS)」から着想を得て、東京の夜の街で撮影しました。あえてピントを合わせないソフトなタッチが気に入っています。

WWD:コラボによって認知度が広がった実感は?

バンセン:グローバルで認知度が広がったと感じます。「アシックス」とのシューズはインラインより手頃な価格帯なので、新たな客層を獲得できました。また、特に日本や韓国でECの売り上げが伸びましたね。個人的には、購入者がそれぞれのスタイルに落とし込んだ着用画像をインスタグラムなどで見られてうれしかったです。

着想源は街中の女の子たち

WWD:「アシックス」や「マッキントッシュ(MACKINTOSH)」との協業が、自身のブランドのモノ作りにどう影響している?

バンセン:コラボを通して、クラフツマンシップや技術面など多くの学びを得ています。インラインでは素材選びをはじめ、協業前にはできなかった表現に挑戦できています。「セシリー バンセン」はドリーミーなドレスなどで知られるフェミニンなブランドですが、そのフェミニンさが、「アシックス」や「マッキントッシュ」のマスキュリンかつユーティリティーなスタイルとのコントラストで際立つのだなという発見もありました。

WWD:ブランド立ち上げから変わらないことは?

バンセン:特別なオケージョンだけでなく、日常で着られるフェミニンな世界観ですね。時代にとらわれないスタイルにもこだわっています。着心地の良さを追求するのは「アシックス」とも共通していること。ただ、コペンハーゲンはとても小さな街なので、作ったコレクションを持って世界中を旅することが重要です。東京でのポップアップのために来日したばかりですが、2週間後にはニューヨークへ行きます。腰を据えて制作し、その後はエキサイティングな旅に出る、というバランスをとっています。

WWD:デザインにおけるこだわりは?

バンセン:テキスタイルやファブリックにこだわっています。スタジオで独自のテキスタイルを作り、着た時のボリュームや動き、着心地の良さを重視しています。ユーザーのスタイリングからインスピレーションを得ることも多く、「セシリー バンセン」のドレスとTシャツやジーンズを組み合わせた街中の女の子たちの着こなしから着想を得て、24年春夏コレクションはデニムやジャージーを取り入れました。

WWD:ブランドの転機は?

バンセン: 17年に「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE)」のファイナリストに選ばれたことで、知名度が一気に広がりました。フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)やカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)といった巨匠たちが私たちのコレクションを見て、触って、評価してくれたことが感慨深いです。また、21年春夏シーズンからパリ・ファッション・ウイークに参加したことも大きな転機でした。パリコレに参加することは長年の夢だったんです。

WWD:パリコレに参加して変化したことは?

バンセン:発表の場をコペンハーゲンからパリに移したことで、ブランドの見られ方も変わってきました。パリコレのモチベーションは何より、クチュールやクラフツマンシップへの憧れです。たくさん準備を重ね、完成する一瞬にロマンスを感じるんです。

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「ブルガリ」CEOが語る“セルペンティ”の比類ない魅力 「2000年の歴史を感じさせるアイコン」

伊ローマ発ジュエラー「ブルガリ(BVLGARI)」のアイコンである“セルペンティ”が誕生75周年を迎えた。アニバーサリーを記念し、東京・原宿で11月26日まで、「ブルガリ セルペンティ 75周年 時を超えて紡がれる無限のストーリー展」が開催中だ。“セルペンティ”75周年は、ビジネスにも好影響を与えている。「WWDJAPAN」8月28日号付録の「ビジネスリポート」でも、多くの百貨店から好調という声があった。来日したブルガリ グループのジャン・クリストフ・ババン(Jean Christophe Babin)最高経営責任者(CEO)に話を聞いた。

WWD:今回の来日の目的は?

ジャン・クリストフ・ババン=ブルガリ グループCEO(以下、ババン):日本は重要な市場なので、定期的に来日する。建築家の安藤忠雄とのコラボレーションのウオッチは大成功するなど、日本はインスピレーションを得る国でもある。今回は、“セルペンティ”75周年イベントが目的だ。人類の歴史において、ユニバーサルなシンボルであるヘビをモチーフにした”セルペンティ“とアートを融合した展示を行う。

WWD:東京の展覧会の見どころは?

ババン:“セルペンティ”のレトロスペクティブとも言える展示だ。“セルペンティ”のシークレットウオッチ(ブレスレットにウオッチが内蔵されているもの)が誕生したのは1950年代で、ラグジュアリーのアイコン的な存在だった。アニバーサリーを祝う展覧会は、上海、ソウル、ドバイ、ミラノと巡回して日本に上陸した。各都市で、モチーフであるヘビからインスピレーションを得たアートを紹介してきた。東京では、日本の枯山水とハイテクの融合による展示をはじめ、ヘビの変容性を表現したインスタレーションなどを行う。ヘビは、人類の歴史の中で誘惑や権力の象徴で魅了されるモチーフだ。

「“セルペンティ”を通して歴史を販売している」

WWD:“セルペンティ”をジュエリーやウオッチだけでなく、レザーグッズやアクセサリーとして発展させたのは?

ババン:もともとは、シークレットウオッチとして登場したが、通常のウオッチとして約10年前に登場して、ベストセラーになった。ハイジュエリーのモチーフとしても使用するようになり、約3年前に幾何学的にヘビを表現した“セルペンティ ヴァイパー”が登場。そして、世界的に在庫不足になるほど大成功した。“セルペンティ”は米国と日本において、時計、ジュエリーにおいてナンバーワンのラインで、世界的なアイコンになった。クレオパトラがジュエリーとして着用して以来ヘビのモチーフは、何世紀にもわたって人類を魅了してきた。だから、ジュエリーやウオッチ以外のカテゴリーでも成立する。“セルペンティ”はマーケティングの一環ではない。われわれは、それを通して2000年もの歴史を販売しているのだ。“セルペンティ”のバッグはシックでユニーク。ジュエリーのようにカラフルで、エキゾチックレザーを使用しているのも特徴だ。“ヘビ”をかたどったクロージャーやチェーンは、正にジュエリーのような仕上がり。ハイジュエリー部門では、貴金属や宝石を使用したバッグもある。その価格は数千万円になることも。「ブルガリ」は、宝石やバッグ、香水、チョコレートなど最も高価な商品を提案するブランドだ。

WWD:取引先や消費者にどのように“セルペンティ”の75周年について伝えたか?

ババン:世界各地で歴史やコンテンポラリーアートをミックスしたアニバーサリーのイベントを開催してきた。それが世界的に話題になっている。芸術的な視点から見た“セルペンティ”は常に注目の的だ。日本では、森星を起用したメディア戦略が奏功している。世界的に、スーパースターと呼ばれる人たちをキャンペーンに起用しているが、星を起用することで、若い人々に“セルペンティ”の魅力が伝わっている。取引先では、ポップアップショップの開催をはじめ、広いスペースを確保し、特別なウインドーディスプレーなどにより訴求を図った。商品では、イエローゴールドを使用した新作ウオッチやジュエリーがヒット。“セルペンティ ヴァイパー”のジュエリーに関しては、ダイヤモンドが入っていないタイプのものがステートメントジュエリーとして男性に受けている。

ホテルはイタリアのライフスタイルを伝える“大使”

WWD:コロナ後の商況は?

ババン:21年はコロナ禍からの反動で、自分へのリベンジ購入が多く見られたが22年は、戦争やインフレなどの影響により減少した。今年は成長を見込んでいる。先が見えない状況下で顧客は既に知っていて安心感のあるアイコン“セルペンティ”を選ぶ傾向にある。だから、ブランドのDNAに忠実にアイコンにフォーカスしていく。

WWD:今後の日本戦略は?

ババン:表参道やギンザ シックスに新店舗をオープンしたし、来年には麻布台ヒルズの出店も控えている。また、2〜3年前に始めたブティックの改装を進めていくつもりだ。「ブルガリ」はヨーロッパのエレガンスを象徴する代表的なブランド。だが、日本では、星をブランドの顔として、若くアクティブな層にアピールしていく。芸能、文化、政治などさまざまな分野で活躍する女性をたたえる「ブルガリ アウローラ アワード(BVLGARI AVRORA AWARD)」も開催し、日本の才能あるアーティストたちと協業する。また、今年「ブルガリ ホテル 東京(BVLGARI HOTEL TOKYO以下、ブルガリホテル)」がオープンした。ブティックでの体験は限りがあるが、ホテルでは24時間“ブルガリ ワールド”を体感してもらえるはずだ。スパやバー、レストラン、スイーツなどあらゆる面においてラグジュアリーな“ローマ”を東京に運んできた。「ブルガリ ホテル」は、イタリアのライフスタイルを伝える“大使”のような存在だ。日本にいながら、イタリアにいるようなラグジュアリー体験ができる場所だ。

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「ブルガリ」CEOが語る“セルペンティ”の比類ない魅力 「2000年の歴史を感じさせるアイコン」

伊ローマ発ジュエラー「ブルガリ(BVLGARI)」のアイコンである“セルペンティ”が誕生75周年を迎えた。アニバーサリーを記念し、東京・原宿で11月26日まで、「ブルガリ セルペンティ 75周年 時を超えて紡がれる無限のストーリー展」が開催中だ。“セルペンティ”75周年は、ビジネスにも好影響を与えている。「WWDJAPAN」8月28日号付録の「ビジネスリポート」でも、多くの百貨店から好調という声があった。来日したブルガリ グループのジャン・クリストフ・ババン(Jean Christophe Babin)最高経営責任者(CEO)に話を聞いた。

WWD:今回の来日の目的は?

ジャン・クリストフ・ババン=ブルガリ グループCEO(以下、ババン):日本は重要な市場なので、定期的に来日する。建築家の安藤忠雄とのコラボレーションのウオッチは大成功するなど、日本はインスピレーションを得る国でもある。今回は、“セルペンティ”75周年イベントが目的だ。人類の歴史において、ユニバーサルなシンボルであるヘビをモチーフにした”セルペンティ“とアートを融合した展示を行う。

WWD:東京の展覧会の見どころは?

ババン:“セルペンティ”のレトロスペクティブとも言える展示だ。“セルペンティ”のシークレットウオッチ(ブレスレットにウオッチが内蔵されているもの)が誕生したのは1950年代で、ラグジュアリーのアイコン的な存在だった。アニバーサリーを祝う展覧会は、上海、ソウル、ドバイ、ミラノと巡回して日本に上陸した。各都市で、モチーフであるヘビからインスピレーションを得たアートを紹介してきた。東京では、日本の枯山水とハイテクの融合による展示をはじめ、ヘビの変容性を表現したインスタレーションなどを行う。ヘビは、人類の歴史の中で誘惑や権力の象徴で魅了されるモチーフだ。

「“セルペンティ”を通して歴史を販売している」

WWD:“セルペンティ”をジュエリーやウオッチだけでなく、レザーグッズやアクセサリーとして発展させたのは?

ババン:もともとは、シークレットウオッチとして登場したが、通常のウオッチとして約10年前に登場して、ベストセラーになった。ハイジュエリーのモチーフとしても使用するようになり、約3年前に幾何学的にヘビを表現した“セルペンティ ヴァイパー”が登場。そして、世界的に在庫不足になるほど大成功した。“セルペンティ”は米国と日本において、時計、ジュエリーにおいてナンバーワンのラインで、世界的なアイコンになった。クレオパトラがジュエリーとして着用して以来ヘビのモチーフは、何世紀にもわたって人類を魅了してきた。だから、ジュエリーやウオッチ以外のカテゴリーでも成立する。“セルペンティ”はマーケティングの一環ではない。われわれは、それを通して2000年もの歴史を販売しているのだ。“セルペンティ”のバッグはシックでユニーク。ジュエリーのようにカラフルで、エキゾチックレザーを使用しているのも特徴だ。“ヘビ”をかたどったクロージャーやチェーンは、正にジュエリーのような仕上がり。ハイジュエリー部門では、貴金属や宝石を使用したバッグもある。その価格は数千万円になることも。「ブルガリ」は、宝石やバッグ、香水、チョコレートなど最も高価な商品を提案するブランドだ。

WWD:取引先や消費者にどのように“セルペンティ”の75周年について伝えたか?

ババン:世界各地で歴史やコンテンポラリーアートをミックスしたアニバーサリーのイベントを開催してきた。それが世界的に話題になっている。芸術的な視点から見た“セルペンティ”は常に注目の的だ。日本では、森星を起用したメディア戦略が奏功している。世界的に、スーパースターと呼ばれる人たちをキャンペーンに起用しているが、星を起用することで、若い人々に“セルペンティ”の魅力が伝わっている。取引先では、ポップアップショップの開催をはじめ、広いスペースを確保し、特別なウインドーディスプレーなどにより訴求を図った。商品では、イエローゴールドを使用した新作ウオッチやジュエリーがヒット。“セルペンティ ヴァイパー”のジュエリーに関しては、ダイヤモンドが入っていないタイプのものがステートメントジュエリーとして男性に受けている。

ホテルはイタリアのライフスタイルを伝える“大使”

WWD:コロナ後の商況は?

ババン:21年はコロナ禍からの反動で、自分へのリベンジ購入が多く見られたが22年は、戦争やインフレなどの影響により減少した。今年は成長を見込んでいる。先が見えない状況下で顧客は既に知っていて安心感のあるアイコン“セルペンティ”を選ぶ傾向にある。だから、ブランドのDNAに忠実にアイコンにフォーカスしていく。

WWD:今後の日本戦略は?

ババン:表参道やギンザ シックスに新店舗をオープンしたし、来年には麻布台ヒルズの出店も控えている。また、2〜3年前に始めたブティックの改装を進めていくつもりだ。「ブルガリ」はヨーロッパのエレガンスを象徴する代表的なブランド。だが、日本では、星をブランドの顔として、若くアクティブな層にアピールしていく。芸能、文化、政治などさまざまな分野で活躍する女性をたたえる「ブルガリ アウローラ アワード(BVLGARI AVRORA AWARD)」も開催し、日本の才能あるアーティストたちと協業する。また、今年「ブルガリ ホテル 東京(BVLGARI HOTEL TOKYO以下、ブルガリホテル)」がオープンした。ブティックでの体験は限りがあるが、ホテルでは24時間“ブルガリ ワールド”を体感してもらえるはずだ。スパやバー、レストラン、スイーツなどあらゆる面においてラグジュアリーな“ローマ”を東京に運んできた。「ブルガリ ホテル」は、イタリアのライフスタイルを伝える“大使”のような存在だ。日本にいながら、イタリアにいるようなラグジュアリー体験ができる場所だ。

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「日本は海外ラグジュアリーに頼りすぎ」 元三越伊勢丹社長・大西氏が問題提起

日本製の工芸品やファッション製品、雑貨などを集めたセレクトショップ「ジャパン マスタリー コレクション(JMC)」が12月22日、羽田空港第3ターミナルの出国エリアにオープンする。「日本発の地方創生型ラグジュアリーブランド」をうたい、国内各地からセレクトした数万円から数百万円の高級品を販売する。運営は羽田未来総合研究所。きょう15日、記者会見が行われた。

「日本の小売業はあまりにも海外のラグジュアリーに頼り過ぎじゃないか」。記者会見に登壇した羽田未来総合研究所の大西洋社長は、日本の小売り・ファッション業界の現状への危機感をあらわにした。コロナ明けから訪日客が順調に回復する中、円安でお得感のあるラグジュアリーブランドがよく売れている。「日本の百貨店に限らず商業施設は一等地を海外ブランドに使っていただき、あえて『使っていただき』と言うが、利益率はわずか。かたや、営業利益率が25%を超えているような海外ラグジュアリーの企業もある。私たちの(羽田)空港も出国エリアを見渡してみれば、海外ブランドの売り場ばかりだ。本当にそれでいいのか」。

大西社長は17年に三越伊勢丹ホールディングスの社長を退任するまで、「ミスター百貨店」と呼ばれ、日本の百貨店業界の顔として活躍してきた。古巣の三越伊勢丹をはじめ、大都市の百貨店はラグジュアリーブランドがけん引し、過去最高レベルの好業績に沸く。だが、どこも海外ブランド頼みで本当に良いのかというのが大西社長の問題意識だ。

「JMC」の目的は、優れた技術やクリエーションを持ちながらも資金難や後継者不足に陥る地場産業に海外マーケット拡大のチャンスを提供することにある。「地方では優れた技術を持ちながら、埋もれている生産者が多くある。ここから世界で戦えるブランドを育てなければ、地方創生、ひいては国力にもつながっていかない」と大西社長。「ヨーロッパのブランドの価値は歴史的に長い時間をかけて歴史と共に培われたもの。何年かかるかは分からないが、世界に認められるような『メード・イン・ジャパン』のラグジュアリーブランドを作っていかなければならない」。

「JMC」羽田空港店の展開面積は188平方メートル。ファッションや雑貨の“トラベル”、陶器や器などを集めた“上質な日常”、アート作品などの“趣味”、日本の著名デザイナーやクリエイターとのコラボ商品などを展開する「ジャパンラグジュアリー」、プロモーションエリアの計5つのゾーンで構成。客単価は7万円前後を想定する。日本の約30エリアからセレクトした約400点取り扱い商品のうち、6割程度を占めるのがアパレル、雑貨などのファッション関連だ。目玉の“ジャパンラグジュアリー”のゾーンでは、「カンサイ ヤマモト」が姫路でなめしたレザーに金沢の職人が金箔を手作業でデザインした「オニツカタイガー」の別注スニーカー(想定価格12〜13万円)を販売。岡山デニムを使用したオリジナルブランド「ムニ(MUNI)」の商品も並べる。

羽田空港店を旗艦店と位置付けた上で、欧米の百貨店やセレクトショップに卸販売。一定の成果を得た段階で、国内の店舗を拡大する。「まずは海外の評判で箔を付けた後に“逆輸入”したい」と大西所長。24年春以降にはECを立ち上げ、越境販売もスタートする。

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画家ミュシャの子孫が語る「マッシュを選んだ理由」 世界初の公式ブランドで協業

アール・ヌーヴォーを代表する画家、アルフォンス・ミュシャをテーマにしたマッシュスタイルラボの新ブランド「ミュシャ(MUCHA)」が好調にすべり出している。同社はミュシャの芸術的・知的財産を管理するミュシャ財団とパートナーシップ契約を交わし、9月にルミネ有楽町に1号店をオープン。オープン当日には開店前から30人以上の並び列ができた。

ミュシャ作品の世界観を解釈し、日本のクラフツマンシップと掛け合わせて作ったフレグランスや雑貨を提案する。日本とフランスの調香師で作り上げたフレグランスや、米沢織ジャカード素材を使ったトートバッグは特に人気で、品切れ・入荷を繰り返しているという。

10月には京都高島屋S.Cの新ゾーン「T8」に2店舗目をオープンした。来日したミュシャ本人のひ孫であり、ミュシャ財団のエグゼクティブ・ディレクターを務めるマーカス・ミュシャ氏に、マッシュと組んだ理由と今後の展望を聞いた。

WWD:店内を見て、感想は。

マーカス・ミュシャ(以下、マーカス):曽祖父のアルフォンスがもし生きていたならば、ぜひここに連れてきたい。このようなすばらしい空間を目の当たりにしたら、きっと彼も感激するだろう。

WWD:お気に入りの商品は。

マーカス:どれもすてきだが、オードパルファンだ。個人的に一番好みなのはローズの香り。アルフォンスの作品にとって「花」はとても重要なもの。代表作の“四つの花”をはじめ、彼の作品の多くに花のモチーフが見られる。パリのアトリエには、今も庭一面に薔薇の花が咲く。その風景を思い起こすようなフレッシュなノート(香り)だ。

WWD:世界初のブランドを開発するにあたり、マッシュを協業先に選んだ理由は。

マーカス:1〜2年前にマッシュから(ブランド開発についての)打診をいただいた。私たちはそれ以前の2019年から「ジェラート・ピケ」とのコラボ商品でご一緒してきて、非常にいい関係を築いてきた。(商品の)サンプルを見て驚いたのは、どれもアルフォンスの考えに共感した上で作っているものばかりだということだ。だからマッシュとなら、一緒にいいブランドが作れるだろうという確信があった。

マッシュは、「ミュシャ」ブランドにおいても、私たちの大事にしていることをよく理解し、表現してくれている。最近パリで実施した作品展では、アルフォンスが広告ポスターを手がけた“ロド”という香水の現物を展示した。すでに製造から100年以上が経過しており、劣化が進んでいるため当時の香りを感じることはできない。今回の「ミュシャ」ブランドではこの“ロド”の香水もラインアップされている。オリジナルとは全く異なる香調だが、とてもすてきな香りだ。“ロド”の世界観を忠実に、かつユニークに表現していて感激した。

WWD:日本には多くのミュシャファンがおり、初の公式ブランドを待ちわびた人も多い。

マーカス:個人的な考えだが、アルフォンスの作品には、日本人女性が共感する部分は多いからだと思う。彼の描く女性像は、日本人女性と重なる部分がある。凛とした美しさがあるが、あからさまなセクシーさは強調しない。奥ゆかしく、どこか自立した強さを感じさせる。

アルフォンスは、一部の人に占有されるのではなく、万人のための作品を作るという哲学があった。今は多くの人にとって、彼の作品を手に入れることはそう簡単ではないかもしれない。だからこそ「ミュシャ」というブランドのフレグランスやバッグなどを通じて、彼の世界観を味わっていただけるのはすばらしいことだ。

現在、チェコ・プラハで新たな美術館の建設計画を進めている。すでに市長とは合意書を交わしており、ショッピングモールを併設する構想がある。そこに「ミュシャ」ブランドの店舗を誘致するのが私の夢だ。

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画家ミュシャの子孫が語る「マッシュを選んだ理由」 世界初の公式ブランドで協業

アール・ヌーヴォーを代表する画家、アルフォンス・ミュシャをテーマにしたマッシュスタイルラボの新ブランド「ミュシャ(MUCHA)」が好調にすべり出している。同社はミュシャの芸術的・知的財産を管理するミュシャ財団とパートナーシップ契約を交わし、9月にルミネ有楽町に1号店をオープン。オープン当日には開店前から30人以上の並び列ができた。

ミュシャ作品の世界観を解釈し、日本のクラフツマンシップと掛け合わせて作ったフレグランスや雑貨を提案する。日本とフランスの調香師で作り上げたフレグランスや、米沢織ジャカード素材を使ったトートバッグは特に人気で、品切れ・入荷を繰り返しているという。

10月には京都高島屋S.Cの新ゾーン「T8」に2店舗目をオープンした。来日したミュシャ本人のひ孫であり、ミュシャ財団のエグゼクティブ・ディレクターを務めるマーカス・ミュシャ氏に、マッシュと組んだ理由と今後の展望を聞いた。

WWD:店内を見て、感想は。

マーカス・ミュシャ(以下、マーカス):曽祖父のアルフォンスがもし生きていたならば、ぜひここに連れてきたい。このようなすばらしい空間を目の当たりにしたら、きっと彼も感激するだろう。

WWD:お気に入りの商品は。

マーカス:どれもすてきだが、オードパルファンだ。個人的に一番好みなのはローズの香り。アルフォンスの作品にとって「花」はとても重要なもの。代表作の“四つの花”をはじめ、彼の作品の多くに花のモチーフが見られる。パリのアトリエには、今も庭一面に薔薇の花が咲く。その風景を思い起こすようなフレッシュなノート(香り)だ。

WWD:世界初のブランドを開発するにあたり、マッシュを協業先に選んだ理由は。

マーカス:1〜2年前にマッシュから(ブランド開発についての)打診をいただいた。私たちはそれ以前の2019年から「ジェラート・ピケ」とのコラボ商品でご一緒してきて、非常にいい関係を築いてきた。(商品の)サンプルを見て驚いたのは、どれもアルフォンスの考えに共感した上で作っているものばかりだということだ。だからマッシュとなら、一緒にいいブランドが作れるだろうという確信があった。

マッシュは、「ミュシャ」ブランドにおいても、私たちの大事にしていることをよく理解し、表現してくれている。最近パリで実施した作品展では、アルフォンスが広告ポスターを手がけた“ロド”という香水の現物を展示した。すでに製造から100年以上が経過しており、劣化が進んでいるため当時の香りを感じることはできない。今回の「ミュシャ」ブランドではこの“ロド”の香水もラインアップされている。オリジナルとは全く異なる香調だが、とてもすてきな香りだ。“ロド”の世界観を忠実に、かつユニークに表現していて感激した。

WWD:日本には多くのミュシャファンがおり、初の公式ブランドを待ちわびた人も多い。

マーカス:個人的な考えだが、アルフォンスの作品には、日本人女性が共感する部分は多いからだと思う。彼の描く女性像は、日本人女性と重なる部分がある。凛とした美しさがあるが、あからさまなセクシーさは強調しない。奥ゆかしく、どこか自立した強さを感じさせる。

アルフォンスは、一部の人に占有されるのではなく、万人のための作品を作るという哲学があった。今は多くの人にとって、彼の作品を手に入れることはそう簡単ではないかもしれない。だからこそ「ミュシャ」というブランドのフレグランスやバッグなどを通じて、彼の世界観を味わっていただけるのはすばらしいことだ。

現在、チェコ・プラハで新たな美術館の建設計画を進めている。すでに市長とは合意書を交わしており、ショッピングモールを併設する構想がある。そこに「ミュシャ」ブランドの店舗を誘致するのが私の夢だ。

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絶好調の「ジルスチュアート ビューティ」 “コスメ界で一番かわいい”を具現化する商品企画

「ジルスチュアート ビューティ(JILL STUART BEAUTY)」の勢いが止まらない。2022年12月期の売り上げは国内で過去最高、今期も好調に推移している。X(旧ツイッター)では、新商品情報を解禁するたびに「ジル スチュアート」がトレンド入りするほどの人気ぶり。なぜ、こんなにも多くの人々の心を鷲掴みにできるのか。商品企画チームを束ねる足立悠希子プロダクトプランナーが、売れる商品を生み出す秘訣や今後の展望について語った。

約13年間「ジルスチュアート ビューティ」一筋

WWD:これまでの経歴は?商品企画になったきっかけは?

足立悠希子プロダクトプランナー(以下、足立):2010年に「ジルスチュアート ビューティ」の販売スタッフとして入社して以来、「ジルスチュアート ビューティ」一筋だ。メイクアップスペシャリストなども経験し、約10年ほど店舗に関わっていた。その後、商品企画に異動。本部に提出していた店舗の報告書が上長の目に止まり、企画に向いているんじゃないかと声をかけてもらった。

WWD:商品企画のチームについて知りたい。

足立:20〜30代の3人が所属。幅広い世代の「かわいい」が集まりアウトプットしているので、さまざまな年齢のお客さまに支持されているのかもしれない。私たちはバルク(化粧品の中身)を開発しており、パッケージデザインを担当するチームは他にいる。

WWD:商品企画において他ブランドと違う点はあるか。

足立:商品のアイディアを出す際、スタッフがお客さまに薦めるところまでを想像して商品を企画している。販売員の時代、実際に薦めにくい商品があったことも。スタッフが一番最初のお客さまだと考えるべき。企画チームで唯一販売スタッフを経験しているのは私だけなので、この経験を生かさねばいけない。

使命は“コスメ界で一番かわいい”を具現化すること

WWD:売れる商品を作り続けられるワケは。

足立:「ジルスチュアート ビューティ」の使命は、“コスメ界で一番かわいい”を具現化すること。もちろん、人それぞれ「かわいい」は違うだろうが、私たちはブランドデビュー当時から花、ジュエリー、ビンテージという、「ジルスチュアート ビューティ」といえばこれ、という軸をぶらさないようにしてきた。絶対的な変わらない「かわいい」を表現できているからこそ、長く支持いただけているのだと自負している。

WWD:フェミニンなかわいさよりも、「ジェンダーレス」や「シンプル」がもてはやされた時代もあった。

足立:2018〜19年頃は少し苦戦していた。当時は「ジルスチュアート ビューティ」も時代の流れに合わせて、少しパッケージをシンプルに。すると顧客さまからは「最近シンプルになった」「大人っぽくなった」と寂しがる声を多くいただいた。改めて「ジルスチュアート ビューティ」に求められているものを理解した良い機会になった。

WWD:常に意識していることがあれば教えてほしい。

足立:店頭にいた経験が長かったからかもしれないが、商品企画の上でも、それを手に取るお客さまの存在を忘れないようにしている。店頭のスタッフもお客さまと同じく20〜30代が多く、お客さまに負けないくらい「ジルスチュアート ビューティ」の「かわいい」が好きなスタッフが集まっている。商品企画ではスタッフが一番最初に手に取る“お客さま”と考えて意見を聞く場合もある。

最初に手に取るデパコスが「ジルスチュアート ビューティ」の商品という若いお客さまも多い。キャッチーなかわいらしさや使いやすさだけでなく、さまざまな商品を使ってきた美容好きな“コスメ玄人”にも満足いただけるよう、繊細なカラーや使い心地にこだわっている。

眉毛=ブラックorブラウンの既成概念を壊す

アイブロウパウダー
“ニュアンスブロウパレット”

WWD:思い⼊れのある商品を3つ教えてほしい。

足立:手前味噌だが、この商品はカラー眉のパイオニア的存在だと思う。眉メイクのカラーってブラックかブラウンの2択しかないのはなぜだろう、眉毛をかわいくするにはどうしたら良いのかと素朴な疑問からこの商品を思いついた。コロナが流行していた2022年、アイメイクが注目を集めていたタイミングで世に送り出せたので注目いただけた。ミラーが付いているスライドケースの利便性も、ヒットの要因と考える。

アイシャドウパレット
“ブルームクチュール アイズ ジュエルドブーケ”

足立:アイシャドウパレット“ブルームクチュール アイズ ジュエルドブーケ”も思い入れがある。2022年に、花が持つピュアで華やかな部分のイノセントを表現したアイシャドウパレット“ブルームクチュール アイズ”を発売したが、その反対のセクシーな色香を表現したパレットを目指した。どこまでラメを大粒にできるか、5色の発色のバランスを試行錯誤した。

パウダーファンデーション
“グロウシフォン セラムフィルター”

足立:パウダーながらも肌に艶を生み出したい!と思ったのがきっかけで開発をスタートした。SNSで“お金で買える透明感”と呼ばれている人気の美容液化粧下地“セラムプライマー”と併用すると艶のある美しい肌に仕上がる。マットや厚塗り感というイメージのパウダーファンデーションを払拭したかった。商品名“グロウシフォン セラムフィルター”も、あえてファンデーションとつけていない。

パッケージだけでなく、品質も評価されるブランドへ

WWD:今後の展望や課題について。

足立:昨今、パッケージだけではなく品質の良さを見てくれるお客さまが多くなってきた。カラーコスメだけでなく、ファンデーションなどの機能性のあるコスメも評価されるようなブランドに育てたい。そのためには商品を触ってみたい、使ってみたいと思わせるような発信を心掛けていきたい。

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絶好調の「ジルスチュアート ビューティ」 “コスメ界で一番かわいい”を具現化する商品企画

「ジルスチュアート ビューティ(JILL STUART BEAUTY)」の勢いが止まらない。2022年12月期の売り上げは国内で過去最高、今期も好調に推移している。X(旧ツイッター)では、新商品情報を解禁するたびに「ジル スチュアート」がトレンド入りするほどの人気ぶり。なぜ、こんなにも多くの人々の心を鷲掴みにできるのか。商品企画チームを束ねる足立悠希子プロダクトプランナーが、売れる商品を生み出す秘訣や今後の展望について語った。

約13年間「ジルスチュアート ビューティ」一筋

WWD:これまでの経歴は?商品企画になったきっかけは?

足立悠希子プロダクトプランナー(以下、足立):2010年に「ジルスチュアート ビューティ」の販売スタッフとして入社して以来、「ジルスチュアート ビューティ」一筋だ。メイクアップスペシャリストなども経験し、約10年ほど店舗に関わっていた。その後、商品企画に異動。本部に提出していた店舗の報告書が上長の目に止まり、企画に向いているんじゃないかと声をかけてもらった。

WWD:商品企画のチームについて知りたい。

足立:20〜30代の3人が所属。幅広い世代の「かわいい」が集まりアウトプットしているので、さまざまな年齢のお客さまに支持されているのかもしれない。私たちはバルク(化粧品の中身)を開発しており、パッケージデザインを担当するチームは他にいる。

WWD:商品企画において他ブランドと違う点はあるか。

足立:商品のアイディアを出す際、スタッフがお客さまに薦めるところまでを想像して商品を企画している。販売員の時代、実際に薦めにくい商品があったことも。スタッフが一番最初のお客さまだと考えるべき。企画チームで唯一販売スタッフを経験しているのは私だけなので、この経験を生かさねばいけない。

使命は“コスメ界で一番かわいい”を具現化すること

WWD:売れる商品を作り続けられるワケは。

足立:「ジルスチュアート ビューティ」の使命は、“コスメ界で一番かわいい”を具現化すること。もちろん、人それぞれ「かわいい」は違うだろうが、私たちはブランドデビュー当時から花、ジュエリー、ビンテージという、「ジルスチュアート ビューティ」といえばこれ、という軸をぶらさないようにしてきた。絶対的な変わらない「かわいい」を表現できているからこそ、長く支持いただけているのだと自負している。

WWD:フェミニンなかわいさよりも、「ジェンダーレス」や「シンプル」がもてはやされた時代もあった。

足立:2018〜19年頃は少し苦戦していた。当時は「ジルスチュアート ビューティ」も時代の流れに合わせて、少しパッケージをシンプルに。すると顧客さまからは「最近シンプルになった」「大人っぽくなった」と寂しがる声を多くいただいた。改めて「ジルスチュアート ビューティ」に求められているものを理解した良い機会になった。

WWD:常に意識していることがあれば教えてほしい。

足立:店頭にいた経験が長かったからかもしれないが、商品企画の上でも、それを手に取るお客さまの存在を忘れないようにしている。店頭のスタッフもお客さまと同じく20〜30代が多く、お客さまに負けないくらい「ジルスチュアート ビューティ」の「かわいい」が好きなスタッフが集まっている。商品企画ではスタッフが一番最初に手に取る“お客さま”と考えて意見を聞く場合もある。

最初に手に取るデパコスが「ジルスチュアート ビューティ」の商品という若いお客さまも多い。キャッチーなかわいらしさや使いやすさだけでなく、さまざまな商品を使ってきた美容好きな“コスメ玄人”にも満足いただけるよう、繊細なカラーや使い心地にこだわっている。

眉毛=ブラックorブラウンの既成概念を壊す

アイブロウパウダー
“ニュアンスブロウパレット”

WWD:思い⼊れのある商品を3つ教えてほしい。

足立:手前味噌だが、この商品はカラー眉のパイオニア的存在だと思う。眉メイクのカラーってブラックかブラウンの2択しかないのはなぜだろう、眉毛をかわいくするにはどうしたら良いのかと素朴な疑問からこの商品を思いついた。コロナが流行していた2022年、アイメイクが注目を集めていたタイミングで世に送り出せたので注目いただけた。ミラーが付いているスライドケースの利便性も、ヒットの要因と考える。

アイシャドウパレット
“ブルームクチュール アイズ ジュエルドブーケ”

足立:アイシャドウパレット“ブルームクチュール アイズ ジュエルドブーケ”も思い入れがある。2022年に、花が持つピュアで華やかな部分のイノセントを表現したアイシャドウパレット“ブルームクチュール アイズ”を発売したが、その反対のセクシーな色香を表現したパレットを目指した。どこまでラメを大粒にできるか、5色の発色のバランスを試行錯誤した。

パウダーファンデーション
“グロウシフォン セラムフィルター”

足立:パウダーながらも肌に艶を生み出したい!と思ったのがきっかけで開発をスタートした。SNSで“お金で買える透明感”と呼ばれている人気の美容液化粧下地“セラムプライマー”と併用すると艶のある美しい肌に仕上がる。マットや厚塗り感というイメージのパウダーファンデーションを払拭したかった。商品名“グロウシフォン セラムフィルター”も、あえてファンデーションとつけていない。

パッケージだけでなく、品質も評価されるブランドへ

WWD:今後の展望や課題について。

足立:昨今、パッケージだけではなく品質の良さを見てくれるお客さまが多くなってきた。カラーコスメだけでなく、ファンデーションなどの機能性のあるコスメも評価されるようなブランドに育てたい。そのためには商品を触ってみたい、使ってみたいと思わせるような発信を心掛けていきたい。

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ジョナサン・アンダーソンの頭の中 「今、夢中になっている」こと

「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」「ロエベ(LOEWE)」のクリエイションを担うジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が、11月に来日した。主な目的は、東京・渋谷パルコに10月に開いた「ジェイ ダブリュー アンダーソン」のショップや、11月11日に改装オープンした「カサロエベ表参道」の訪問だ。

アンダーソンは多忙ながら、自身が手掛けるブランドのランウエイショー後には大勢のジャーナリストに向けて取材の時間を必ず設けるなど、メディアへの誠実な対応で知られている。今回の来日でも、タイトなスケジュールの合間を縫って「ジェイ ダブリュー アンダーソン」渋谷店で朝から複数メディアの合同取材に応じ、自身のクリエイションや日本について答えた。

新たなシルエットを求めて

昨今の「ジェイ ダブリュー アンダーソン」と「ロエベ」のクリエイションに共通しているのは、違和感のあるシルエットだろう。極端にハイウエストだったり、タイトだったり、縦長だったり。それらをシンプルなスタイリングに徹することで、フォームをさらに強調させる。「シルエットは、私が今最もフォーカスしたいクリエイションだ。世の中のファッションの変化も、シルエットに大きな影響を受けてきたから」とアンダーソンは語る。

世界中に多くのデザインが溢れる中、アンダーソンはファッションの概念を根本的に見直すために、服飾の原点ともいえるシルエットに焦点を当て、新しくデザインしたり、自ら生み出した過去のシルエットを組みわせたりし、スタイルを進化させる。「私も年齢を重ねて自信をつけると共に、過去に比べてフォーカスしたい点が明確に見えるようになった。今は、シルエットだ」。そして、ハトやカエル、ウサギなど動物のモチーフをたびたび採用することについては「特に理由はなくて、かわいいし、ユーモアを表現できるからかも」と笑った。

アンダーソンのクリエイションは、変幻自在のシルエットをはじめ、フェティッシュなニュアンスやアーティーなモチーフ、そして商業的な視点が光る豊富なバッグやシューズが特徴である。その源泉にはクラフツマンシップが欠かせず、同氏はそれを「fundamental(基礎)」と表現した。「今、私が夢中になっているクラフツマンシップは、素晴らしい人材がいてこそ成り立つもの。イギリスやヨーロッパをはじめ、世界中にいる優れた人材を確保することでブランドの基礎が固まる。ハリー・スタイルズ(Harry Styles)が着用して話題になったパッチワークのセーターも、この基礎があったからこそ生み出せたものだ」。

変わらない原点の感覚

この“基礎”は、ショップ作りにも生かしている。渋谷パルコに開いた直営店は、ミラノの旗艦店を参考にした素材選びやクラフツマンシップを取り入れているという。ショップ中央には12メートルにもおよぶウォールナット材のストラクチャーを置き、凸凹の曲げ木加工を施している。アイテムがかかるレールをレザーで包むなど、クラフツマンシップとカルチャーを融合させた空間が広がる。「ショップは、私が頭の中で考えていることを表現するためにとても重要な場所。私のファッション界でのキャリアは、ショーウインドー作りからスタートした。どのように服を置き、どこにオブジェを置くかなどを考えることからスタートしたので、ショップ作りは今も大切な仕事だ」。

そして、日本が「一番好きな街の一つ」という理由も語った。「日本人はファッションに対する理解があり、クリエイションやその歴史について学ぼうという気持ちがある。『ジェイ ダブリュー アンダーソン』についても深く理解してくれているのも、日本が好きな理由だ。それに、ファッションの組み合わせの感覚がとても面白い。来日するたびにいろいろな発見があるから、スーツケース1つで来たのに帰国する頃には6つになっているほどだ」。

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羽田から離陸する「国産ラグジュアリー」 大西洋氏の地方創生ビジョンとは?

羽田空港第3ターミナル(国際線)の出国エリアに、日本の工芸品、衣料品、雑貨など集めた店舗「ジャパン マスタリー コレクション(JAPAN MASTERY COLLECTION、以下JMC)」が12月22日に開店する。“地方創生型ラグジュアリーブランド”を掲げる同店は、訪日客に向けて選び抜かれたメード・イン・ジャパンの逸品を売る。単なる物産店ではなく、ラグジュアリーブランドと同じ領域で日本のモノ作りを発信する野心的なプロジェクトである。仕掛け人は元三越伊勢丹ホールディングス社長で、現在は羽田未来総合研究所社長である大西洋氏だ。

WWD:「JMC」を立ち上げた狙いは?

大西洋社長(以下、大西):出発点は地方創生だ。日本は戦後、経済大国に発展したが、今は元気がない。世界をリードしてきた製造業でさえ、かつてと比べると競争力が落ちている。中でも地方経済の落ち込みは深刻で、地場産業は資金不足や後継者問題に直面している。

私はずっと小売業をやってきて、海外ブランドとの付き合いが長かった。一方で国内の繊維・ファッションや伝統工芸、食といった地方のモノ作りに触れる機会もたくさんあった。そんな私からみると、日本のモノ作りの品質はもちろん、ストーリー性も感性も魅力を備えているのに、多くの地場産業は危機に瀕している。実にもったいない。

突破口は、海外にマーケットを広げること。イノベーションを生み出すこと。これは昔から私の持論で、百貨店時代から微力ながら地場産業の皆さんと取り組んできた。「JMC」では地方の歴史や文化に裏付けされたモノ作りを産業化し、作り手に還元できる仕組みに取り組む。世界で評価され、作り手にお金が回り、後継者も集まる。そんな循環を作る。

ラグジュアリーブランドと同じ土俵で戦う

WWD:羽田未来総合研究所は羽田空港を運営する日本空港ビルデングのグループ会社だ。

大西:羽田空港を拠点にしているからこそできることがある。私たちは世界各国と結ばれている。空のハブだけでなく、文化やハブになるポテンシャルがある。コロナ収束によって毎日多くの訪日客が行き来し、今後さらに増えると言われている。ただ私はインバウンドについて楽観視はしていない。今の盛況は円安に追うところが大きいからだ。為替が変わったときこそ、実力が問われる。日本の魅力は東京や京都、大阪だけではない。羽田から全国各地に移動して、バラエティーにとんだ地方の文化や豊かさを世界の人たちに知ってほしい。

WWD:単に高品質ではなく、“ラグジュアリー”を名乗る理由は?

大西:日本のモノ作りには、それだけの価値があるからだ。加えて、私個人のファッション業界に対する思いもある。この十数年で欧州のラグジュアリーブランドが世界のメインストリートを占拠し、26%という非常に高い営業利益率で稼ぐようになった。原価と上代のバランスが健全とは思えない。しかも彼らは日本の素材をたくさん使っている。日本はせっかく良いものを作っているのに、生かしきれていないのだ。

「JMC」はラグジュアリーブランドと同じ土俵で戦うつもりだ。だからあえて免税エリアの「ディオール」の隣に出店する。価値ある商品に相応の価格をつけて、それぞれの背景まで伝える。伝統や文化をそのまま差し出すのではなく、「JMC」独自の視点で再解釈し、現代のライフスタイルに合わせてアップデートすることが肝心だ。日本人よりも海外のお客さまの方が純粋に価値を認めてくれるだろう。

海外のお客さまに商品を愛用していただき「この陶器がどのように作られているのか知りたい」「この鮮やかなストールはどうやって染めたのか」と好奇心を持ってもらい、次に来日する際には産地まで足を運ぶ。そんなふうに発展すれば、生産者はもちろん、産地のエリア全体にもお金が回ることになる。

作り手・売り手も価格への意識を変えるべき

WWD:日本では一部のブランド食材や作家による伝統工品は高い値で取り引きされることも多いが、繊維・ファッション関連ではそういった事例が少ない。

大西:日本と欧州ではファッションの位置付けが異なる。欧州の「ディオール」「サンローラン」などのブランドは脈々とした歴史があって、人を惹きつけるヒストリーが築かれてきた。時代に合わせ、若いデザイナーの起用でアップデートし、次の世代につなぐ。今年「ディオール」の回顧展(「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」、東京都現代美術館で22年12月21日〜23年5月31日まで開催)がたいへんな人気になったのも記憶に新しい。一方、日本のファッションは製造業に近い。三宅一生さん、山本寛斎さん、川久保玲さん、山本耀司さんら世界に認められたデザイナーは確かにいるが、オリジンとブランドの世界観が継承されていくような歴史がまだない。高級な服を選ぶ人はその背景に対価を払っている。上代は原価の積み上げで決まるわけではない。

WWD:そもそも価格への考え方が違う、と。

楊井吉彦・地方創生事業部長(以下、楊井):日本の場合、作り手も高い価格を設定することに二の足を踏む。私の知る陶芸の若手作家は、もう1ケタ上げても良いような独創的な作品を作っている。「なぜ値段を上げないの?」と聞くと、「師匠の値段よりも上にするわけにはいかない」と言う。日本では美徳になるけれど、海外のラグジュアリー領域はそうではない。

こんな話がある。海外のお客さまが日本を訪れ、見事な絵皿に感動した。5枚重ねてある皿には「¥50,000」の値札が付いていた。きっと1枚5万円で計25万円だと思って買うことにしたら、実際は5枚セットで計5万円だった。そのお客さまは「そんな安いものはいらない」と言って、買うのをやめてしまった。同じようなエピソードはよく聞く。

WWD:合理的な価格だと凡庸に見えてしまい、冷めてしまうと。

楊井:今回「JMC」の品ぞろえの9割は市販品のため、価格はコントロールできない。ただし「JMC」が作り手と協業したオリジナル品は、意図的にラグジュアリーの価格に近づけた。羽田未来総合研究所が作り手とクリエイターをつなぎ、マーケットにはないものを企画した。

たとえばジーンズのフルカウントによる「ムニ(MUNI)」というブランド。希少なオーガニックコットンを旧式織機で織ったセルビッジ生地を使った「JMC」オリジナル品は9万9000円だ。ストーリー性のある日本製デニムの魅力を最大限に引き出した。

あるいはスニーカーの「オニツカタイガー」。今回、山本寛斎事務所と協業した別注モデルで、京都の細尾の西陣織を用いたモデルを9万9000円、姫路レザーを使ったモデルを12万9000円で提供する。こちらも日本製ならではの希少性を追求した。

ラグジュアリーブランドまでは行かなくても、ブリッジブランドくらいの価格帯に設定している。商品の原価構成そのものは変わらない。製造原価、メーカー、小売りがそれぞれ3分の1の配分。上代を大きく底上げし、生産者がそれなりの額を得られるようにした。

都内に路面店を出す構想も

大西:単に高い値段を設定すれば良いわけではない。お客さまにそれが適正な価格だと理解されるブランディングが不可欠だ。日本の生産者は高品質かつ独創的なモノ作りは得意なのに、ブランディングが上手ではなかった。ここを私たちがサポートする。

店舗のスタッフもラグジュアリーブランドに負けないおもてなしができる精鋭をそろえた。英語や中国語でしっかり接客できる。店長は伊勢丹出身で、優れた実績を上げてきたベテランだ。188平方メートルの売り場は、名栗加工や寄木細工の技巧を凝らしたユニークな空間になる。奥にはソファーを置き、くつろげるようにした。

楊井:作り手に売り場を提供するだけでなく、売り場でお客さまから得られたデータもフィードバックする。店頭の商品に添えられたQRコードにスマホをかざすと、商品の詳しい情報が見られる。どこの国のお客さまが購入したかの定量的なデータだけでなく、販売員が接客する中でお客さまからどんな反応を得たかいった定性的なデータまで作り手に還元する。作り手がECや出店でどのエリアを対象にしてくか、商品のどんなところを改善すべきか。データが次の一手になる。

WWD:「JMC」が成功するためのカギは何か。

大西:それは間違いなく、ジャパンラグジュアリーというグレード感が伝わるかだ。その名前に値する感動を提供できるか。基準に満たない商品が少しでも入れば、お客さまはラグジュアリーだと認めてくれない。それくらい徹底しなければブランドは成立しない。スタート時点で「JMC」のオリジナル品は1割だが、早々に3割に増やす予定だ。ファッション関連の人気クリエイターや伝統工芸の人間国宝の作家にも声をかけている。

「JMC」は羽田空港の出国エリアの1店舗で終わるつもりはない。将来的には世界に出店していきたいが、その前に都内や地方空港への出店を構想している。「JMC」は伝統工芸品ではなく、ラグジュアリー領域と位置付けているので、世界観を表現できる路面店がふさわしい。

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羽田から離陸する「国産ラグジュアリー」 大西洋氏の地方創生ビジョンとは?

羽田空港第3ターミナル(国際線)の出国エリアに、日本の工芸品、衣料品、雑貨など集めた店舗「ジャパン マスタリー コレクション(JAPAN MASTERY COLLECTION、以下JMC)」が12月22日に開店する。“地方創生型ラグジュアリーブランド”を掲げる同店は、訪日客に向けて選び抜かれたメード・イン・ジャパンの逸品を売る。単なる物産店ではなく、ラグジュアリーブランドと同じ領域で日本のモノ作りを発信する野心的なプロジェクトである。仕掛け人は元三越伊勢丹ホールディングス社長で、現在は羽田未来総合研究所社長である大西洋氏だ。

WWD:「JMC」を立ち上げた狙いは?

大西洋社長(以下、大西):出発点は地方創生だ。日本は戦後、経済大国に発展したが、今は元気がない。世界をリードしてきた製造業でさえ、かつてと比べると競争力が落ちている。中でも地方経済の落ち込みは深刻で、地場産業は資金不足や後継者問題に直面している。

私はずっと小売業をやってきて、海外ブランドとの付き合いが長かった。一方で国内の繊維・ファッションや伝統工芸、食といった地方のモノ作りに触れる機会もたくさんあった。そんな私からみると、日本のモノ作りの品質はもちろん、ストーリー性も感性も魅力を備えているのに、多くの地場産業は危機に瀕している。実にもったいない。

突破口は、海外にマーケットを広げること。イノベーションを生み出すこと。これは昔から私の持論で、百貨店時代から微力ながら地場産業の皆さんと取り組んできた。「JMC」では地方の歴史や文化に裏付けされたモノ作りを産業化し、作り手に還元できる仕組みに取り組む。世界で評価され、作り手にお金が回り、後継者も集まる。そんな循環を作る。

ラグジュアリーブランドと同じ土俵で戦う

WWD:羽田未来総合研究所は羽田空港を運営する日本空港ビルデングのグループ会社だ。

大西:羽田空港を拠点にしているからこそできることがある。私たちは世界各国と結ばれている。空のハブだけでなく、文化やハブになるポテンシャルがある。コロナ収束によって毎日多くの訪日客が行き来し、今後さらに増えると言われている。ただ私はインバウンドについて楽観視はしていない。今の盛況は円安に追うところが大きいからだ。為替が変わったときこそ、実力が問われる。日本の魅力は東京や京都、大阪だけではない。羽田から全国各地に移動して、バラエティーにとんだ地方の文化や豊かさを世界の人たちに知ってほしい。

WWD:単に高品質ではなく、“ラグジュアリー”を名乗る理由は?

大西:日本のモノ作りには、それだけの価値があるからだ。加えて、私個人のファッション業界に対する思いもある。この十数年で欧州のラグジュアリーブランドが世界のメインストリートを占拠し、26%という非常に高い営業利益率で稼ぐようになった。原価と上代のバランスが健全とは思えない。しかも彼らは日本の素材をたくさん使っている。日本はせっかく良いものを作っているのに、生かしきれていないのだ。

「JMC」はラグジュアリーブランドと同じ土俵で戦うつもりだ。だからあえて免税エリアの「ディオール」の隣に出店する。価値ある商品に相応の価格をつけて、それぞれの背景まで伝える。伝統や文化をそのまま差し出すのではなく、「JMC」独自の視点で再解釈し、現代のライフスタイルに合わせてアップデートすることが肝心だ。日本人よりも海外のお客さまの方が純粋に価値を認めてくれるだろう。

海外のお客さまに商品を愛用していただき「この陶器がどのように作られているのか知りたい」「この鮮やかなストールはどうやって染めたのか」と好奇心を持ってもらい、次に来日する際には産地まで足を運ぶ。そんなふうに発展すれば、生産者はもちろん、産地のエリア全体にもお金が回ることになる。

作り手・売り手も価格への意識を変えるべき

WWD:日本では一部のブランド食材や作家による伝統工品は高い値で取り引きされることも多いが、繊維・ファッション関連ではそういった事例が少ない。

大西:日本と欧州ではファッションの位置付けが異なる。欧州の「ディオール」「サンローラン」などのブランドは脈々とした歴史があって、人を惹きつけるヒストリーが築かれてきた。時代に合わせ、若いデザイナーの起用でアップデートし、次の世代につなぐ。今年「ディオール」の回顧展(「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」、東京都現代美術館で22年12月21日〜23年5月31日まで開催)がたいへんな人気になったのも記憶に新しい。一方、日本のファッションは製造業に近い。三宅一生さん、山本寛斎さん、川久保玲さん、山本耀司さんら世界に認められたデザイナーは確かにいるが、オリジンとブランドの世界観が継承されていくような歴史がまだない。高級な服を選ぶ人はその背景に対価を払っている。上代は原価の積み上げで決まるわけではない。

WWD:そもそも価格への考え方が違う、と。

楊井吉彦・地方創生事業部長(以下、楊井):日本の場合、作り手も高い価格を設定することに二の足を踏む。私の知る陶芸の若手作家は、もう1ケタ上げても良いような独創的な作品を作っている。「なぜ値段を上げないの?」と聞くと、「師匠の値段よりも上にするわけにはいかない」と言う。日本では美徳になるけれど、海外のラグジュアリー領域はそうではない。

こんな話がある。海外のお客さまが日本を訪れ、見事な絵皿に感動した。5枚重ねてある皿には「¥50,000」の値札が付いていた。きっと1枚5万円で計25万円だと思って買うことにしたら、実際は5枚セットで計5万円だった。そのお客さまは「そんな安いものはいらない」と言って、買うのをやめてしまった。同じようなエピソードはよく聞く。

WWD:合理的な価格だと凡庸に見えてしまい、冷めてしまうと。

楊井:今回「JMC」の品ぞろえの9割は市販品のため、価格はコントロールできない。ただし「JMC」が作り手と協業したオリジナル品は、意図的にラグジュアリーの価格に近づけた。羽田未来総合研究所が作り手とクリエイターをつなぎ、マーケットにはないものを企画した。

たとえばジーンズのフルカウントによる「ムニ(MUNI)」というブランド。希少なオーガニックコットンを旧式織機で織ったセルビッジ生地を使った「JMC」オリジナル品は9万9000円だ。ストーリー性のある日本製デニムの魅力を最大限に引き出した。

あるいはスニーカーの「オニツカタイガー」。今回、山本寛斎事務所と協業した別注モデルで、京都の細尾の西陣織を用いたモデルを9万9000円、姫路レザーを使ったモデルを12万9000円で提供する。こちらも日本製ならではの希少性を追求した。

ラグジュアリーブランドまでは行かなくても、ブリッジブランドくらいの価格帯に設定している。商品の原価構成そのものは変わらない。製造原価、メーカー、小売りがそれぞれ3分の1の配分。上代を大きく底上げし、生産者がそれなりの額を得られるようにした。

都内に路面店を出す構想も

大西:単に高い値段を設定すれば良いわけではない。お客さまにそれが適正な価格だと理解されるブランディングが不可欠だ。日本の生産者は高品質かつ独創的なモノ作りは得意なのに、ブランディングが上手ではなかった。ここを私たちがサポートする。

店舗のスタッフもラグジュアリーブランドに負けないおもてなしができる精鋭をそろえた。英語や中国語でしっかり接客できる。店長は伊勢丹出身で、優れた実績を上げてきたベテランだ。188平方メートルの売り場は、名栗加工や寄木細工の技巧を凝らしたユニークな空間になる。奥にはソファーを置き、くつろげるようにした。

楊井:作り手に売り場を提供するだけでなく、売り場でお客さまから得られたデータもフィードバックする。店頭の商品に添えられたQRコードにスマホをかざすと、商品の詳しい情報が見られる。どこの国のお客さまが購入したかの定量的なデータだけでなく、販売員が接客する中でお客さまからどんな反応を得たかいった定性的なデータまで作り手に還元する。作り手がECや出店でどのエリアを対象にしてくか、商品のどんなところを改善すべきか。データが次の一手になる。

WWD:「JMC」が成功するためのカギは何か。

大西:それは間違いなく、ジャパンラグジュアリーというグレード感が伝わるかだ。その名前に値する感動を提供できるか。基準に満たない商品が少しでも入れば、お客さまはラグジュアリーだと認めてくれない。それくらい徹底しなければブランドは成立しない。スタート時点で「JMC」のオリジナル品は1割だが、早々に3割に増やす予定だ。ファッション関連の人気クリエイターや伝統工芸の人間国宝の作家にも声をかけている。

「JMC」は羽田空港の出国エリアの1店舗で終わるつもりはない。将来的には世界に出店していきたいが、その前に都内や地方空港への出店を構想している。「JMC」は伝統工芸品ではなく、ラグジュアリー領域と位置付けているので、世界観を表現できる路面店がふさわしい。

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「アスティエ・ド・ヴィラット」の2人とバルテュス夫人が語る自由なクリエイション

伊勢丹新宿本店本階2階ザ ステージで開催している「アスティエ・ド・ヴィラットのクリスマス市」のオープニングのために、「アスティエ・ド・ヴィラット(ASTIER DE VILLATTE以下、アスティエ)のイヴァン・ペリコリ(Ivan Pericoli)とブノワ・アスティエ・ド・ヴィラット(Benoit Astier de Villate)、スイス人画家バルテュスの妻の節子・クロソフスカ・ド・ローラ(Setsuo Klossowska de Rola)伯爵夫人(以下、節子夫人)が来日した。昨年に続き、今年もクリスマスオーナメントをはじめ、陶器や照明、香水などをそろえ、ギャラリーでは節子夫人による絵画や陶芸品を展示販売している。来日した3人にクリエイションについて話を聞いた。

「アスティエ」の2人との出会いは織物の中の金糸

WWD :「アスティエ」と節子夫人のコラボレーションはお互いにとって、どのようなものか?

ブノワ・アスティエ・ド・ヴィラット(以下、ブノワ):節子夫人とは、2014年からずっと一緒にコラボレーションしている。私たちのアトリエの中に彼女のアトリエがある。今回の展示では、彼女のパリのアトリエを再現したと同時に、「アスティエ」とのコラボレーションのネコの陶器のポットを紹介している。

節子夫人:人の運命とは、出会いという名の糸で織られた織物のようなもの。芸術を勉強し、もの作りの感性がある2人との出会いは、織物の中の金糸といってもいい。2人は寛大で、絵、彫刻など自由に制作できる。今回展示している絵画でパレットを使用したものがある。パレットという画材にでき上がった絵を載せるという行為はメタモルフォーゼで、パレットに新しい使命を与えたというように考える。

WWD:節子夫人はどのようなアーティストだと思うか?

イヴァン・ペリコリ(以下、イヴァン):才能豊かなアーティスト。自由で、芸術の深さを絵画などでなく文章でも表現できる人だ。ユーモアもあり、いろいろなことを分かち合う大切さも知っている。

ブノワ:学校で教えられる伝統的な芸術も大切にしながら、自由な発想でクリエイションできるのが素晴らしい。

バルテュスとの生活はキャンバスに描かれた絵画のよう

WWD:今回の作品で表現したかったことは?

節子夫人:私は土や木などの材質に触れることに興味がある。彫刻では、素材に陰影をつけながら立体感を出し、根から空に向かって伸びていく植物の美しさを表現したかった。日本の神道では、いろいろなものに魂があるという考えがある。木にしめ縄をかけ、神聖なものとして祀られることもある。私の作品にもそのように魂が宿ってほしいと祈りを込めて制作した。絵画を描いてみたいとバルテュスに言ったときに、油絵はだめだと言われた。自分の土台である日本を大切にし、その透き通った感覚を生かすようにと言われ、水彩かグアッシュ、墨で描くようにしている。音楽では、音のあるときと音がない静寂さの両方が大切。絵画も同様に、描くものとそのものがない背景、両方の美しさが大切だ。

WWD:インスピレーション源は?

節子夫人:どこから来るかわからない。待っても来るものではないし、突然、これがしたいと思うだけ。インスピレーションがどのように湧くのか科学者に聞いてみてもいいかもしれない。科学が解明できないこともあるだろうけど。私にとっては、制作している時間が喜びだ。

WWD:クリエイションに関してバルテュスから影響を受けたことは?

節子夫人:全て。バルテュスとの生活は、見えないキャンバスに描かれた絵のようなもの。彼が亡くなったとき、私はキャンバスから出て一人で歩き始めた。

WWD:今後チャレンジしたいことは?

イヴァン:われわれの活動は、植物を育てているようなもので、それに実を実らせることが大事。展示のための作品ではなく、ギャラリーを充実させていきたい。

ブノワ:「アスティエ」は、アーティストたちとつくる一つの世界。オブジェもあれば、日用品、ギャラリー、カフェなどさまざまなものがあり、これらを通して世界を豊かにしていきたい。

節子夫人:ずっと冒険が好きなので、これから、どんなところに行くのか楽しみだ。

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「アスティエ・ド・ヴィラット」の2人とバルテュス夫人が語る自由なクリエイション

伊勢丹新宿本店本階2階ザ ステージで開催している「アスティエ・ド・ヴィラットのクリスマス市」のオープニングのために、「アスティエ・ド・ヴィラット(ASTIER DE VILLATTE以下、アスティエ)のイヴァン・ペリコリ(Ivan Pericoli)とブノワ・アスティエ・ド・ヴィラット(Benoit Astier de Villate)、スイス人画家バルテュスの妻の節子・クロソフスカ・ド・ローラ(Setsuo Klossowska de Rola)伯爵夫人(以下、節子夫人)が来日した。昨年に続き、今年もクリスマスオーナメントをはじめ、陶器や照明、香水などをそろえ、ギャラリーでは節子夫人による絵画や陶芸品を展示販売している。来日した3人にクリエイションについて話を聞いた。

「アスティエ」の2人との出会いは織物の中の金糸

WWD :「アスティエ」と節子夫人のコラボレーションはお互いにとって、どのようなものか?

ブノワ・アスティエ・ド・ヴィラット(以下、ブノワ):節子夫人とは、2014年からずっと一緒にコラボレーションしている。私たちのアトリエの中に彼女のアトリエがある。今回の展示では、彼女のパリのアトリエを再現したと同時に、「アスティエ」とのコラボレーションのネコの陶器のポットを紹介している。

節子夫人:人の運命とは、出会いという名の糸で織られた織物のようなもの。芸術を勉強し、もの作りの感性がある2人との出会いは、織物の中の金糸といってもいい。2人は寛大で、絵、彫刻など自由に制作できる。今回展示している絵画でパレットを使用したものがある。パレットという画材にでき上がった絵を載せるという行為はメタモルフォーゼで、パレットに新しい使命を与えたというように考える。

WWD:節子夫人はどのようなアーティストだと思うか?

イヴァン・ペリコリ(以下、イヴァン):才能豊かなアーティスト。自由で、芸術の深さを絵画などでなく文章でも表現できる人だ。ユーモアもあり、いろいろなことを分かち合う大切さも知っている。

ブノワ:学校で教えられる伝統的な芸術も大切にしながら、自由な発想でクリエイションできるのが素晴らしい。

バルテュスとの生活はキャンバスに描かれた絵画のよう

WWD:今回の作品で表現したかったことは?

節子夫人:私は土や木などの材質に触れることに興味がある。彫刻では、素材に陰影をつけながら立体感を出し、根から空に向かって伸びていく植物の美しさを表現したかった。日本の神道では、いろいろなものに魂があるという考えがある。木にしめ縄をかけ、神聖なものとして祀られることもある。私の作品にもそのように魂が宿ってほしいと祈りを込めて制作した。絵画を描いてみたいとバルテュスに言ったときに、油絵はだめだと言われた。自分の土台である日本を大切にし、その透き通った感覚を生かすようにと言われ、水彩かグアッシュ、墨で描くようにしている。音楽では、音のあるときと音がない静寂さの両方が大切。絵画も同様に、描くものとそのものがない背景、両方の美しさが大切だ。

WWD:インスピレーション源は?

節子夫人:どこから来るかわからない。待っても来るものではないし、突然、これがしたいと思うだけ。インスピレーションがどのように湧くのか科学者に聞いてみてもいいかもしれない。科学が解明できないこともあるだろうけど。私にとっては、制作している時間が喜びだ。

WWD:クリエイションに関してバルテュスから影響を受けたことは?

節子夫人:全て。バルテュスとの生活は、見えないキャンバスに描かれた絵のようなもの。彼が亡くなったとき、私はキャンバスから出て一人で歩き始めた。

WWD:今後チャレンジしたいことは?

イヴァン:われわれの活動は、植物を育てているようなもので、それに実を実らせることが大事。展示のための作品ではなく、ギャラリーを充実させていきたい。

ブノワ:「アスティエ」は、アーティストたちとつくる一つの世界。オブジェもあれば、日用品、ギャラリー、カフェなどさまざまなものがあり、これらを通して世界を豊かにしていきたい。

節子夫人:ずっと冒険が好きなので、これから、どんなところに行くのか楽しみだ。

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榮倉奈々が「ニューナウ」で示す新たなブランドのあり方 自ら対面接客で受注生産

俳優の榮倉奈々が、自身で立ち上げたアパレルブランド「ニューナウ(NEWNOW)」のファーストコレクションを発表した。スタイリストの上杉美雪をクリエイティブ・ビジョン・ディレクターに、「コート(COATE)」の福屋千春デザイナーをクチュール・デザイナーに迎えて始動。シーズンコレクションとなる2024年春夏のアイテムと、通年販売するカジュアルなアイテムをそろえた“Timeless(タイムレス)”
ラインを提案する。価格帯はドレス類が5万円~、ニット類が2万円〜、トップ類が4万円〜、パンツ類が4万円〜。(※価格は参考で変更の可能性もある)

上質な素材と着心地、シルエットを追求して丁寧に仕立てたアイテムは、シンプルながら手に取るだけでこだわりやクオリティーを感じる、洗練された大人のためのワードローブ。販売は現在ECサイトのみ。一般顧客を招くオーダー会を半期に一度開催して受注生産する。事前抽選制となった初回は定員数の5倍の応募が殺到し、4日半でプレス関係者を含む872人が来場した。

モデルや俳優業の仕事に加えてプライベートでは二児の母でもある榮倉は、なぜ今、経営者となりアパレルブランドを立ち上げたのか?自ら受注会場に立ち積極的に来場客とコミュニケーションをとるなど、並々ならぬこだわりが詰まったデビューシーズンの披露を終えた榮倉に、ブランドに込めた想いから受注会の反響、今後の方向性まで聞いた。

育児を通して芽生えた新しい世界に飛び込む意欲

WWD:いつか自分でアパレルブランドを立ち上げたいと思っていた?

榮倉奈々(以下、榮倉):まったく思っていませんでした。服は大好きですが、着ることと作ることは全然違うことだと認識していたので。きっかけは子どもができたことでした。14歳から芸能界に入り、この業界しか知らないで走り続けましたが、育児を通して初めて外の世界とつながりました。「私はこのままでいいのかな」「でも何をしたいか分からない」と悶々と考えながら数年を過ごしていたと今となっては思います。これまで事務所が環境を整えてくれていたことも実感しました。外の世界に身を置いて、新しいことに挑戦したいと思ったんです。

WWD:スタイリストの上杉美雪をクリエイティブ・ビジョン・ディレクターに、「コート(COATE)」の福屋千春デザイナーをクチュール・デザイナーに迎えたきっかけは?

榮倉:美雪さんとは10年以上、福屋さんとも5年以上の付き合いで信頼関係を深めてきました。経営者の友人に相談をした時に「上杉美雪さんの世界観を貫き通せるなら、自分でアパレルブランドができるかもね」とアドバイスをもらって「その手があったか」と膝を打ったんです。美雪さんには「私は服作りのプロではないので、福屋さんがいるなら」と言ってもらえたので、すぐに福屋さんにも声をかけました。二人とも快く受け入れてくれたのは、私のセンスを認めてくれたのだなと嬉しくなりましたね。私は二人が作る服を世の中に伝えること、そして美雪さんの世界観を守ることが使命だと思っています。

WWD:ファーストコレクションのテーマはモロッコだった。3人ではどのようなプロセスでコレクションを作っている?

榮倉:美雪さんがコレクションのムードを写真集で見せてくれて、そこから福屋さんがイメージを汲み取って生地を選び、アイテムに落とし込んでいきました。今シーズンは、美雪さんが持っていたモロッコにまつわる写真集からインスピレーションを膨らませました。美雪さんと福屋さんが交互にパスを投げ合って、イメージを固めていく流れです。

3人の共通点は、判断が早いこと。そして今回の受注会に間に合ったのは、福屋さんが生地集めから工場との交渉まで、本当に奔走して頑張ってくれたおかげです。3人それぞれの熱意があり、自分ができることをまっとうしている。良いチームワークが出来上がっています。

WWD:「変わりつづける今を生きる服」というコンセプトにこめた思いは?

榮倉:ここは3人で一番じっくり長く話し合って決めました。流行りをずっと追い続けることって、精神が擦り切れるなと思っていて。10年後に着ても、その時にまた新たな着こなしが楽しめる服を作りたかったんです。それこそが今欲しい、人生にリアリティーを持つ服だと。「真剣に作っている服だけで生きていけたら幸せだよね」「3人が本当に着たいと思う服を作り続けたいよね」、そんな対話を3人で続けながら、コンセプトを形にしていきました。

WWD:ファーストコレクションで特にこだわったところは?

榮倉:“華美じゃなく洗練されていて、力強いひと”だということ。ユニセックスなので“ひと”と表現します。服が好きでファッションを一通り経験してきたひとが「いいな」と思える服になったと思っています。

スタイリングによって魅力がより輝く服だと直接伝えたい

WWD:対面接客にこだわる芸能人発のアパレルブランドはあまり例がない。受注会場で自ら一般顧客にコレクションを紹介していた姿が印象的だった。

榮倉:ストイックなモノ作りをする福屋さんの服の魅力は、写真だけでは伝えられないと思ったんです。それに、美雪さんならではのスタイリングの幅の広さを直接伝えたかった。シアーワンピースの下にロゴTシャツを重ねた今着ているスタイリングのように、美雪さんの提案はいつも驚きと発見の連続です。スタイリストがディレクションしているからこそ輝く魅力や着こなしの楽しさを、お客さまと一緒に共有したいと思い受注会形式に決めました。

それにアパレルブランドは今、世の中にたくさんあります。その中で、少しでも目に留めてもらうためには、今までと違う売り方を考えないと。出合うきっかけは私に会いたいなと思ってもらえることだけでもいい。それで結果として「ニューナウ」のファンになってくれたら嬉しいです。

WWD:受注会を終えたばかりの今、率直な感想は?

榮倉:受注会を開いて本当に良かったと感じています。期間中はずっと会場に立って、声が枯れるほど喋り倒しました。試着室まで入って話し込んでいたので、私の熱い接客が邪魔だったお客さまもいたかもしれません(笑)。コレクションに対する反応を直接たくさん聞けたし、お客さまの服にさらりと合わせたらそれが素敵な着こなしになったりして、新たな発見もたくさんありました。さまざまな身長や体型の方に合うシルエットなのもわかり「ニューナウ」のポテンシャルに改めて気づきましたね。

WWD:特にどんなアイテムに反響があった?

榮倉:カシミヤシルクのロングスリーブニットやウールペインターパンツ。ジャカードで花柄をあしらったシアーアイテムのシリーズも人気でした。あとスエットやキャップといった“タイムレス”のラインも、たくさんオーダーをいただきました。親子で買ってくれたり、夫婦でシェアしてくれたりと、年齢や性別の幅広さも感じました。ユニセックスで提案しているので、男女問わず着られるデザインは今後も重視したいですね。

WWD:アイテムのプライスタグについているQRコードを読み取ると商品詳細のページにつながり、その商品が買えるというオーダー方法もスマートだった。

榮倉:バックオフィスにITに強いスタッフがいるので心強いですね。ECサイトでの販売がメーンになるので、ファッションとITの融合は大きなテーマ。今後も積極的に進めていきたいです。

裏方作業全てに関わり進行を細かくチェック

WWD:余剰在庫を持たない受注生産のスタイルで、サステナビリティも意識している。

榮倉:自分だけのために生きる世の中ではなくなっていることは、もうすでに明らかな事実ですよね。「ニューナウ」では余剰在庫を持たないことに加えて、受注会場の什器もなるべくリサイクルできるものを選んでいます。日々の生活で今、ゴミの量が本当に気になっているんです。自宅でコンポストを実践しているのですが、圧倒的にゴミの量が減りました。そんな私がアパレルブランドを始めることは環境への思いと相反する部分もありますが、在庫をコントロールしながら10年先も長く着られる服を作るなら無駄じゃないと思います。生産過程で生まれた残反を活用して小物を作りたいとも今考えています。

WWD:CEOとして初めての経験もたくさんあった?

榮倉:バックオフィスのスタッフに頼りっぱなしで、経営についてはまだまだ勉強中です。でも受注会を終えて、皆で作り上げたという達成感をやっと感じることができました。限りなく完璧な形でローンチしたかったので、全ての進行に関わり細かく目を配りました。事務手続きから会場の掃除まで、なるべく自分で。アパレル企業の裏方は決して華やかではなく、地道な作業の連続です。山あり谷ありで「もう無理かも、間に合わない」と何度も心が折れかけましたが、これで夢を与えられるなら幸せな仕事だなと感じています。

そして改めて、自分が今までいた環境はいかに整えられていたかを痛感しています。服作りだけでなく「社会はこんな風にできているんだ」ということを日々教えられ、鍛えられていますね。その修行をしたくて経営者になると決めたので、やりがいを感じています。

WWD:今後どのようなことに取り組みたい?

榮倉:マネジメントの立場として、ブランドをどう伝えるかをじっくり考えたいです。服自体に非常にポテンシャルがあるので、言葉だけでなくどう見せていくかのブランディングとコミュニケーションが課題ですね。今までSNSにコミットしてこなかったので、今、試行錯誤しています。受注会の前日にインスタライブを開催しましたが、個人評価としてはまだまだ(苦笑)。SNSは今後も積極的に活用して、顧客と近い距離でブランドの魅力を伝えていきたいですね。

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LVMH メティエダールが細尾と提携 「日本のシルク産業に革新を」

世界トップクラスのサヴォアフェールの継続と発展を使命とするLVMH メティエダールはこのほど、西陣織の老舗企業細尾とパートナーシップを提携した。日本企業との連携は、岡山県のデニム生地メーカーのクロキに続く2社目となる。日本のシルク産業全体の再生と発展を目指し手を組んだマッテオ・デ・ローサ(Matteo de Rosa)LVMH メティエダール最高経営責任者と、細尾12代目の細尾真孝社長に話を聞いた。

WWD:細尾に着目した理由は?

マッテオ・デ・ローサLVMH メティエダール最高経営責任者(以下、マッテオCEO):彼らが長い歴史の中で培ってきたノウハウは素晴らしい。シルクの全生産工程において非常に知識が深く、伝統を継承するだけでなく未来に向けたイノベーションの可能性を感じたからだ。共に日本のシルク産業の活性化と発展に向けて取り組んでいきたい。加えて細尾の美しいモノ作りとエレガンスに対する共通の価値観は、このパートナーシップの基盤になっている。

細尾真孝・細尾社長(以下、細尾社長):非常に光栄だ。この話をいただいた時には、最高のモノづくりを目指し圧倒的な規模とクオリティーを持つ企業のパートナーとして、果たして自分たちは何ができるのだろうかと考えさせられた。でも西陣織は1200年の間、美を追求してきた歴史がある。先人たちが培い受け継いできたノウハウはきっと役に立てるだろう。

WWD:細尾は西陣織の伝統の継承と発展にさまざまな角度から取り組んできたが、その中で見えていた課題とは?

細尾社長:匠の技は存在するものの、着物のマーケットやシルク産業が縮小していることは否めない。1200年の蓄積を軸にしながらも、世界中のノウハウを総動員して新たなイノベーションを生み出していかなければならないと感じていた。

マッテオCEO:まさにこの彼の未来を見据える姿勢に共感した。過去を継承していくだけでなく、未来につながるイノベーションを追求していくことは私たちも大事にしている部分だ。35の企業と2つのイノベーションセンターで構成するメティエダールは、世界の職人が集まって知識を共有し合うコミュニティーだ。対話を続けながら、どうしたら品質を向上できるか、モノづくりの工程自体を改善できるか、マーケットへの出方も含めてより良い方法を探っていきたい。

シルクの歴史を変えるイノベーションを起こす

WWD:考えられるイノベーションとは?

マッテオCEO:イノベーションとは、単純に生産にまつわる技術的なものを意味しているわけではない。シルク産業にまつわる環境との向き合い方、人々の働き方、そしてビジネスの発展の仕方といった全てのトピックにおいて革新を起こしていく必要があると考えている。

細尾社長:イノベーションとは、世界の歴史を良い方向に変えることができたもののことを指すのだと思う。私たちはこれから100年先のシルクの歴史により良い変化を生み出すことを目指して取り組むが、それがイノベーションだったのかどうかが分かるのは100年先の話だ。

WWD:パートナーシップの具体的な内容は?

マッテオCEO:まだ具体的なことは公表できない。産業全体に大きな影響を与えることを目指しているからこそ、軽率に方向性を決めてしまうことはよくないと思う。2つの企業が組んで、日本のシルク産業に革新を起こそうというのは初の試みだ。これから慎重にR&Dの潜在性を探っていく。

細尾社長:歴史を振り返ると、日本が海外貿易を始めた際の重要な輸出品が蚕であったり、明治時代には当時最先端の織り技術を持っていたフランス・リヨンのジャカード織機を日本に持ち帰ることで西陣織が技術的に進化したりと、世界と交流しながら発展を続けてきた。今回のパートナーシップも、それくらい歴史に残るものでなければいけないと思っている。

WWD:持続可能な素材への需要が高まっている中、シルクの魅力は?

細尾社長:シルクは医療品にも使われるほど、肌への負担が少ない素材だ。加えてシルクは天然繊維の中でも最も水分含有量が高い。保湿力の高さや少ない水で育つ素材といった優位性を踏まえ、無限の可能性を秘めていると思う。

マッテオCEO:循環型の産業を目指す上でもシルクは重要だ。中長期的なビジョンを持ちながらシルク産業に関わる全ての人々を巻き込んで循環型産業の構築を目指す。

WWD:マッテオCEOは日本の職人にスポットライトが当たっていないことに課題感を持っているが、今回のパートナーシップではこの課題にどうアプローチする?

マッテオCEO:LVMH メティエダールが目指していることの一つは、職人たちに誇りを持ってもらうことだ。次世代が憧れる職業になっていくために、私たちも貢献していきたい。私たちのコミュニティーを通して、若者がグローバルなキャリアパスを描けることは強みだ。例えば細尾で修行した若者がシンガポールでワニのなめし技術を学び、日本に持ち帰ることだってできるだろう。世界に広がる夢のある職にしていきたい。

細尾社長:日本の場合は、職人が作業員になってしまった。素晴らしい技術やストーリーがあるにもかかわらず、職人たちは自信を失ってしまっている。この流れを変えたいという思いは私自身も強い。後継者育成を目的にスタートした「ゴオン(GO ON)」というプロジェクトもその一環だ。マッテオ氏の言うように、彼らは同じ美という共通言語でつながることができる。美を生み出すクリエイティブな産業だというメッセージをしっかり伝えていきたい。

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「サロパ 2023」香りのトレンドはお茶やエスプレッソなどの嗜好品 気軽に試せるディスカバリーセットが人気

日本最大級の香りの祭典である「サロン ド パルファン 2023(SALON DE PARFUM 2023以下、サロパ2023)」が10月12~17日、伊勢丹新宿本店で開催された。今年は、約50ブランドが出展。ニッチフレグランスの強化やディスカバリーセットの充実を図り、昨年過去最高を記録した売上高を更新した。三越伊勢丹の中野絵莉第2MDグループ化粧品バイヤーに「サロパ2023」について聞いた。

嗜好品がテーマの日常に紐づく香りが人気

好調だったのは、「ゲラン(GUERLAIN)」「ピーセブンチャコウスイ(P.SEVEN以下、ピーセブン)」の「ジョー マローン ロンドン(JOE MALONE LONDON以下、ジョー マローン)」「リベルタパフューム(LIBERTA PERFUME)など。

初出展の「ピーセブン」は台湾発のお茶をベースにしたフレグランスで、“台湾茗香水”がよく売れた。中野バイヤーは、「アジア圏の珍しい香水ブランドで台湾でしか販売しておらず、他にない香調で非常に人気が高かった」と話す。「リベルタパフューム」では“エスプレッソ”が好調。ラテを提供するなどユニークな体験が新客に響いた。「ジョー マローン」では、甘い香りの“ジンジャー ビスケット”、「ゲラン」では、“ラール エ ラ マティエール エクストレ”シリーズのウッディなタバコハニーの香りがよく動いた。「今年の香りのトレンドはグルマン(スイーツ)系、タバコ系、お茶系。『セルジュ・ルタンス(SERGE LUTENS)』の“エクランドゥフュメ”のようにお酒系も見られる」。お茶、コーヒー、スイーツ、タバコ、お酒と、嗜好品をテーマにした日常に紐づく香りが人気のようだ。

年々高まるニッチフレグランスの需要

今年は、新たな試みとして仏パリのアンヌ・ソフィー・ベハーゲルとアメリー・ブルジョワによるクリエイションスタジオ「フレア(FLAIR)」や京都のフレグランス専門店「ルシヤージュ(LE SILLAGE)」といったニッチフレグランスの集積コーナーを設置。「フレア」では、ベハーゲルとブルジョワが調香した10ブランドのフレグランスを紹介するなど、独自の編集で香水マニアにアピールした。「ルシアージュ」ではカウンセリングを行うなどパーソナライズなサービスを提供。いずれも終日、混雑が見られるなど反響が高かったと言う。「自分が知らない香りに出合える、自分に合う香水について、より深く知ることができるという声が多かった。ニッチフレグランスの需要は年々伸びている」。

香水好きとこだわりたい若年層の2極化

今年は、売れ筋トップ20のうち、ディスカバリーセットが11点を占めた。昨年が7点というから、より、ディスカバリーセットの需要が高まっている。ディスカバリーセットが売れたブランドは、「シロ(SHIRO)」「ブーディカ ザ ヴィクトリアス(BOADICEA THE VICTORIOUS」「メゾン クリヴェリ(MAISON CRIVELLI)」「ヴェルサティル パリ(VERSATILE PARIS)」「クリード(CREED)」「セルジュ・ルタンス」「ピーセブン」。香りに対する関心はあるが、30mLや50mLのボトルはなかなか使い切らないという層や、自分にある香りを慎重に選びたいという消費者が気軽に試せる商品として支持されている。「ディスカバリーセットや調香体験など気軽に試せる1万円前後の商材、または、気になっていた香りを複数購入(5万〜10万円)されるお客さまと2極化している」と中野バイヤー。「サロパ」限定品や先行発売品を目掛けて来場する香水好き消費者と、近年増えている「誰も着けていない香りが欲しい」という若年層両方に応える品ぞろえで、売り上げを伸ばしているようだ。

今年初の試みとして、「サロパ」に出展するブランドやおすすめを紹介するムック本付きフレグランスミニセット(5555円)を販売したところ完売した。「X中心に本の内容や香りに対する感想など反響が見られた」。“日本に香りの文化を提唱する”のが「サロパ」のコンセプト。三越伊勢丹では、香水のコミュニティサイト「パルファン(PARFUN)」を立ち上げ、香りが好きな人が集まる場を提供。座談会などさまざまな企画を用意している。

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LA発セレブ御用達「ホーセンブース」 一つ一つハンドメードされるジュエリーの重み

米ロサンゼルス発ジュエリー「ホーセンブース(HOOSENBUHS)」のブランドディレクターのケザー・パーカーとゼネラルマネジャーのタチアナ・カンピスが来日した。「ホーセンブース」といえば、ビヨンセ(Beyonce)やジェイ・Z(Jay -Z)、デイヴィッド・ベッカム(David Beckham)などのセレブリティーがこぞって着用するジュエリーブランドだ。同ブランドは、ロバート・G・キースが2005年に設立。現在では、ジュエリーだけでなく、アパレルやサングラスなども展開している。日本では、サザビーリーグが販売を手掛けている。来日したパーカーとカンピスに話を聞いた。

WWD:今回の来日の目的は?

ケザー・パーカー(以下、パーカー):4年振りの来日だ。コロナ禍で、ギンザ シックスや京都BALの店舗は写真でしか見ていない。トランクショーを再開し、日本市場と再度つながるのが目的だ。

WWD:「ホーセンブース」のブランドコンセプトは?

パーカー:タイムレスなモダンクラシックジュエリー。サブスタンシャル(重みがある)で、代々受け継がれるジュエリーを提供している。

ジュエリーとしての“重み”と“ハンドメード”へのこだわり

WWD:ブランドのシグニチャーは?

タチアナ・カンピス(以下、カンピス):2005年の設立時から変わらないオープンリンクのトライ・リンクのリング。トライ・リンクはブランドのシグニチャーだ。

WWD:ブランドのこだわりは?

パーカー:ゴールドの重み。全てのジュエリーはLAの自社工場で職人がハンドメードしている。使用するダイヤモンドや貴石の品質にこだわっている。また、トレンドは関係なく、世代を超えて着用できるデザインだ。全てのジュエリーのモチーフはトライ・リンクで、通常は工場で機械製造するチェーンもパーツから一つ一つ手仕事で仕上げている。だから、長さやサイズのカスタマイズが可能で、パーソナライズを楽しむ顧客が多い。

WWD:ターゲットは?

パーカー:ハンドメードのファインジュエリーの愛好家。18〜85歳と幅広い層の年齢層に支持されている。例えば、家族の一人がファンだとすると、家族全員が「ホーセンブース」のファンになる。ウォレットチェーンなどのストリート系シルバージュエリーなどファンキーなものからハイジュエリーまであるから、あらゆる層の顧客にアピールできる。

一目でわかるアイコニックなデザインと特別感が大切

WWD:多くのセレブリティーが着用しているが、どのようにブランドの認知度アップを図ったか?

パーカー:人とビジネスのパートナーが鍵だ。セレブリティーとコネクションが作りやすいのがLAだが、メアリー・ケイト・オルセン(Mary Kate Olsen)がジュエリーを気に入ってくれた。それで、ニューヨーク・ファッション・ウイーク中に、ホテルのザ・マーサー(THE MERCER)でショールームを開くように勧められた。彼女がバーニーズ ニューヨーク(BARNEY’S NEW YORK以下、バーニーズ)のバイヤーをはじめ、いろいろな人を紹介してくれた。バーニーズをはじめ、バーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)やセレクトショップのロンハーマンやマックスフィールド(MAXFIELD)など、小売りのパートナーにも恵まれた。だが、市場を飽和させないように特別感を大事にしたかったので、出店には慎重だった。店舗で常に新しい発見があるように、ラインの8割は店舗だけで販売している。

WWD:競合ブランドは?彼らとどのように戦うか?

カンピス:競合とは思っていないが、多くの顧客が「カルティエ(CARTIER)」や「クロムハーツ(CHROME HEARTS)」のジュエリーとミックスして「ホーセンブース」を着用している。なぜなら、一目でわかるアイコニックなデザインで、お互いに引き立て合うから。

WWD:日本市場における戦略は?

パーカー:日本では12年間販売していて、以前は、タフでクールといった男性的なイメージが強かった。男性と女性の市場のバランスを取り、ゴールドやダイヤモンドを使用したファインジュエリー市場を成長させたい。そのためには、トランクショーのためにまた来日するつもりだ。ハイジュエリーにも注力していく。

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LA発セレブ御用達「ホーセンブース」 一つ一つハンドメードされるジュエリーの重み

米ロサンゼルス発ジュエリー「ホーセンブース(HOOSENBUHS)」のブランドディレクターのケザー・パーカーとゼネラルマネジャーのタチアナ・カンピスが来日した。「ホーセンブース」といえば、ビヨンセ(Beyonce)やジェイ・Z(Jay -Z)、デイヴィッド・ベッカム(David Beckham)などのセレブリティーがこぞって着用するジュエリーブランドだ。同ブランドは、ロバート・G・キースが2005年に設立。現在では、ジュエリーだけでなく、アパレルやサングラスなども展開している。日本では、サザビーリーグが販売を手掛けている。来日したパーカーとカンピスに話を聞いた。

WWD:今回の来日の目的は?

ケザー・パーカー(以下、パーカー):4年振りの来日だ。コロナ禍で、ギンザ シックスや京都BALの店舗は写真でしか見ていない。トランクショーを再開し、日本市場と再度つながるのが目的だ。

WWD:「ホーセンブース」のブランドコンセプトは?

パーカー:タイムレスなモダンクラシックジュエリー。サブスタンシャル(重みがある)で、代々受け継がれるジュエリーを提供している。

ジュエリーとしての“重み”と“ハンドメード”へのこだわり

WWD:ブランドのシグニチャーは?

タチアナ・カンピス(以下、カンピス):2005年の設立時から変わらないオープンリンクのトライ・リンクのリング。トライ・リンクはブランドのシグニチャーだ。

WWD:ブランドのこだわりは?

パーカー:ゴールドの重み。全てのジュエリーはLAの自社工場で職人がハンドメードしている。使用するダイヤモンドや貴石の品質にこだわっている。また、トレンドは関係なく、世代を超えて着用できるデザインだ。全てのジュエリーのモチーフはトライ・リンクで、通常は工場で機械製造するチェーンもパーツから一つ一つ手仕事で仕上げている。だから、長さやサイズのカスタマイズが可能で、パーソナライズを楽しむ顧客が多い。

WWD:ターゲットは?

パーカー:ハンドメードのファインジュエリーの愛好家。18〜85歳と幅広い層の年齢層に支持されている。例えば、家族の一人がファンだとすると、家族全員が「ホーセンブース」のファンになる。ウォレットチェーンなどのストリート系シルバージュエリーなどファンキーなものからハイジュエリーまであるから、あらゆる層の顧客にアピールできる。

一目でわかるアイコニックなデザインと特別感が大切

WWD:多くのセレブリティーが着用しているが、どのようにブランドの認知度アップを図ったか?

パーカー:人とビジネスのパートナーが鍵だ。セレブリティーとコネクションが作りやすいのがLAだが、メアリー・ケイト・オルセン(Mary Kate Olsen)がジュエリーを気に入ってくれた。それで、ニューヨーク・ファッション・ウイーク中に、ホテルのザ・マーサー(THE MERCER)でショールームを開くように勧められた。彼女がバーニーズ ニューヨーク(BARNEY’S NEW YORK以下、バーニーズ)のバイヤーをはじめ、いろいろな人を紹介してくれた。バーニーズをはじめ、バーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)やセレクトショップのロンハーマンやマックスフィールド(MAXFIELD)など、小売りのパートナーにも恵まれた。だが、市場を飽和させないように特別感を大事にしたかったので、出店には慎重だった。店舗で常に新しい発見があるように、ラインの8割は店舗だけで販売している。

WWD:競合ブランドは?彼らとどのように戦うか?

カンピス:競合とは思っていないが、多くの顧客が「カルティエ(CARTIER)」や「クロムハーツ(CHROME HEARTS)」のジュエリーとミックスして「ホーセンブース」を着用している。なぜなら、一目でわかるアイコニックなデザインで、お互いに引き立て合うから。

WWD:日本市場における戦略は?

パーカー:日本では12年間販売していて、以前は、タフでクールといった男性的なイメージが強かった。男性と女性の市場のバランスを取り、ゴールドやダイヤモンドを使用したファインジュエリー市場を成長させたい。そのためには、トランクショーのためにまた来日するつもりだ。ハイジュエリーにも注力していく。

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ヌートバーが元甲子園球児の手掛ける「ケボズ」とコラボ 引退後はファッション界へ!?

メジャーリーガーのラーズ・ヌートバー(Lars Nootbaar)選手がアパレルブランドの「ケボズ(KEBOZ)」とコラボした。ヌートバー選手がSNSで見かけた「ケボズ」のコンセプトに共感したのがきっかけだという。「ケボズ」は北海道旭川出身のKenbo氏が2017年に立ち上げたストリートブランドだ。甲子園球児だった経験を生かして、野球を軸に、野球好きがクスッとなるプロダクトを展開する。来日中のヌートバーはこのほど、コラボを記念した少年野球教室に参加し、「ケボズ」製のユニフォームを着た少年たちと一緒に汗を流した。

なおコラボアイテムは、ベースボールシャツ(1万6500円)、フーディー(1万5400円)、クルーネックスエット(1万4300円)、スエットパンツ(1万3200円)、Tシャツ(6600円)、キャップ(6600円)の8型と、キッズアイテム7型をラインアップする。全て受注予約販売で、11月12日23時59分まで、「ケボズ」の公式オンラインストアで予約を受け付けている。

ヌートバー選手にコラボの真相とファッション感について聞くため、野球教室終了後、ヒーローインタビュー風に直撃した。

――今回のコラボレーションは、ヌートバーさんがSNSで見かけた「ケボズ」のコンセプトに共感したからだとか。「ケボズ」のどんなところに関心を持ったのですか?

ラーズ・ヌートバー選手(以下、ヌートバー):ストリートファッションと野球のミックスというコンセプトに興味をそそられました。ストリートファッションといえば、一般的にはスケートボードのイメージが強いですが、「ケボズ」はそこにスポーツがクロスオーバーしていて面白いなと思いました。自分と完璧にマッチしていると感じたんです。だから彼らに連絡を取って、彼らのアイテムを着てみたいと伝えました。ストリートも好きだし、野球も好きだし、こんなにパーフェクトなコラボレーションはないですね。

――コラボアイテムについて、ヌートバーさんから「ケボズ」へリクエストしたことは?

ヌートバー:いや、彼らが全て用意してくれました。唯一リクエストしたのは、いくつかフォントを変えてもらったくらいですね。彼らのブランドには既に魅力的なものがあるから、彼らを信頼して、彼らのやりたいことをやってもらうように任せたんです。

――アイテムの仕上がりを見てどう思いますか?

ヌートバー:想像以上の仕上がりで、とても気に入りました。着心地がよく、リラックス感がありながらデザインもクール。これを見た仲間たちは、みんな早く着たくてたまらないって感じで。想像していたよりもいいものができたから、みんな興奮してくれたんだんだと思います。

――コラボしたベースボールシャツを私服に合わせるなら、どんなスタイルがおすすめですか?

ヌートバー:シャツの代わりに羽織っても、インナーシャツとして使ってもいいと思います。カラーリングもシンプルで、とてもバランスがいいアイテムです。僕は特にTシャツやフーディーも気に入っています。一式そろえてその日の気分でコーディネートを楽しんで欲しいですね。

――以前、MLBの公式X(旧Twitter)がヌートバーさんの私服について、「爽やかな着こなしに100点」とつぶやいていました。最近、最も着用頻度の高いファッションアイテムは?

ヌートバー:僕はビーチサイドで育ったので、サーフィンやスケートボードもします。だからリラックスしたビーチウエアで過ごすことが多いですね。でも、そのときの気分次第かな。

――MLB公式Xの写真では、レザーのバックパックを背負っている場面が多いです。

ヌートバー:斎藤佑樹さん(元プロ野球選手)からもらったバックパックですね。彼がアメリカに来たときに僕がホストを務めたんです。そのとき、彼からプレゼントしてもらいました。

――野球以外での来シーズンの目標を教えてください。

ヌートバー:野球選手としてのキャリアはいつか終わってしまうので、ファッションやビジネスの分野に足を踏み入れることは、そのキャリアが終わった後に僕がやりたいことなんです。だから、今回のコラボレーションで関わってくれたみんなと一緒に仕事ができたことは、僕にとっては大きな一歩でしたし、前進できたと思います。だから、人生の目標とも言えますが、ビジネスチームのみんなと関係を築いて、ビジネスのことをより深く理解していくことが目標ですね。

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世界中のスタイリストと対話して開発する ラグジュアリーヘアケア「オリベ」の矜持

米ラグジュアリーヘアケアブランド「オリベ(ORIBE)」の日本上陸から2年がたち、オリベ共同創業者であり代表を務めるダニエル・ケイナー(Daniel Kayner)が来日した。「オリベ」は、カリスマヘアスタイリストのオリベ・カナレス(Oribe Canales)が2008年、ケイナーとテヴヤ・フィンガー(Tevya Finger)らと創設。17年12月に花王USAの傘下入りした。来日したケイナーに、改めて「オリベ」の強みや花王USAとのパートナーシップについて聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):「オリベ」が他のヘアケアブランドと差別化している点は?

ダニエル・ケイナー=オリベ代表(以下、ケイナー):雑誌やランウェイでの業務に携わってきたスタイリストのカナレスが生み出したブランドであるため、機能性は最上であると自負している。創設当時から広告や宣伝には費用を割かなかったが、プロが商品の品質を認め、ボトムアップで広がっていった。現在42カ国で展開する。

WWD:製品開発のスタイルは?

ケイナー:「オリベ」は髪のテクスチャー(仕上がりの質感)を大切にしている。さまざまな人種のお客さまが求めるテクスチャーをかなえるために、アーティストらと対話し、彼らの意見を取り入れて製品を開発する。現在アメリカに40人以上のシニア・エデュケーターを擁し、世界では93人のアーティストを育成している。象徴的な商品が、“ドライテクスチャライジング ヘアスプレー”だ。ボリュームや束感、テクスチャーをかなえ、柔軟なスタイリングができる。かつてはボリュームを出すためにドライシャンプーなどが一般的に使われていたが、粉状のため使いづらいという意見が多かった。そこで「オリベ」は独自のスタイリング剤を開発した。今日も世界中のスタイリストから愛されている。

WWD:プロ向けに特化して商品を展開する理由は?

ケイナー:スタイリストの施術を通じてこそ、その先にいるお客さまにブランドの哲学やクオリティーを深く感じていただける。私たちのゴールは、情熱を持ち、技術力も高く、将来のビジョンをしっかりと描いているようなトップレベルのスタイリストたちとお付き合いすることだ。ブランド創設時、コンセプトノートに“万人向けではない(It’s not for everyone)”と書き込んだ。規模を追い求めるのではなく、ブランドに共感いただけるプロやサロンからの熱烈な支持を守り続ける。

WWD:アーティストとのコラボにも精力的だ。

ケイナー:毎年、世界各国のアーティストとコラボしたホリデーコレクションを販売している。これまでに、書道家の山口碧生さんや、フランス発インテリアデザインブランド「アントワネット・ポワソン(ANTOINETTE POISSON)」などと協業してきた。これは、「オリベ」が製品やスタイリングを“芸術”と捉えているからだ。この取り組みはチームの英気を養うだけでなく、マインドのリセットにもつながっている。また、贈り物として新しいお客さまとの出会いをつくっている。

花王USAはR&Dに長けたダイナミックな企業

WWD:花王USAとのシナジーは?

ケイナー:花王はR&Dに長けた非常にダイナミックな企業だ。「オリベ」のような小規模なブランドは持てないような科学者や研究施設を擁する。すでに共同で新製品を開発しており、世界各国で発売する予定。私がどのようにブランドを成長させたいのかを常に尊重してくれる素晴らしいパートナーだ。

WWD:アジア進出の進捗は?

ケイナー:台湾、香港、シンガポール、韓国で展開している。現在中国はECのみでの取り扱いだが、急激に拡大している。厳選したヘアサロンやビューティリテールに卸しており、各国の市場で立場を確立し始めている。日本では全37店舗で展開する。今後も、取り扱うヘアサロンを着実に増やしていくつもりだ。

WWD:最後に、ケイナー代表にとっての“ラグジュアリー”とは?

ケイナー:思考プロセスを凝らしたモノ作りやクオリティー、パフォーマンス、デザイン、楽観、教育、リーダーシップ。それら全てがラグジュアリーを作り上げる。定義は人によって異なるだろうが、「今日一日髪の毛の調子が良かった」と感じることが究極のラグジュアリーだと私は考える。

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世界中のスタイリストと対話して開発する ラグジュアリーヘアケア「オリベ」の矜持

米ラグジュアリーヘアケアブランド「オリベ(ORIBE)」の日本上陸から2年がたち、オリベ共同創業者であり代表を務めるダニエル・ケイナー(Daniel Kayner)が来日した。「オリベ」は、カリスマヘアスタイリストのオリベ・カナレス(Oribe Canales)が2008年、ケイナーとテヴヤ・フィンガー(Tevya Finger)らと創設。17年12月に花王USAの傘下入りした。来日したケイナーに、改めて「オリベ」の強みや花王USAとのパートナーシップについて聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):「オリベ」が他のヘアケアブランドと差別化している点は?

ダニエル・ケイナー=オリベ代表(以下、ケイナー):雑誌やランウェイでの業務に携わってきたスタイリストのカナレスが生み出したブランドであるため、機能性は最上であると自負している。創設当時から広告や宣伝には費用を割かなかったが、プロが商品の品質を認め、ボトムアップで広がっていった。現在42カ国で展開する。

WWD:製品開発のスタイルは?

ケイナー:「オリベ」は髪のテクスチャー(仕上がりの質感)を大切にしている。さまざまな人種のお客さまが求めるテクスチャーをかなえるために、アーティストらと対話し、彼らの意見を取り入れて製品を開発する。現在アメリカに40人以上のシニア・エデュケーターを擁し、世界では93人のアーティストを育成している。象徴的な商品が、“ドライテクスチャライジング ヘアスプレー”だ。ボリュームや束感、テクスチャーをかなえ、柔軟なスタイリングができる。かつてはボリュームを出すためにドライシャンプーなどが一般的に使われていたが、粉状のため使いづらいという意見が多かった。そこで「オリベ」は独自のスタイリング剤を開発した。今日も世界中のスタイリストから愛されている。

WWD:プロ向けに特化して商品を展開する理由は?

ケイナー:スタイリストの施術を通じてこそ、その先にいるお客さまにブランドの哲学やクオリティーを深く感じていただける。私たちのゴールは、情熱を持ち、技術力も高く、将来のビジョンをしっかりと描いているようなトップレベルのスタイリストたちとお付き合いすることだ。ブランド創設時、コンセプトノートに“万人向けではない(It’s not for everyone)”と書き込んだ。規模を追い求めるのではなく、ブランドに共感いただけるプロやサロンからの熱烈な支持を守り続ける。

WWD:アーティストとのコラボにも精力的だ。

ケイナー:毎年、世界各国のアーティストとコラボしたホリデーコレクションを販売している。これまでに、書道家の山口碧生さんや、フランス発インテリアデザインブランド「アントワネット・ポワソン(ANTOINETTE POISSON)」などと協業してきた。これは、「オリベ」が製品やスタイリングを“芸術”と捉えているからだ。この取り組みはチームの英気を養うだけでなく、マインドのリセットにもつながっている。また、贈り物として新しいお客さまとの出会いをつくっている。

花王USAはR&Dに長けたダイナミックな企業

WWD:花王USAとのシナジーは?

ケイナー:花王はR&Dに長けた非常にダイナミックな企業だ。「オリベ」のような小規模なブランドは持てないような科学者や研究施設を擁する。すでに共同で新製品を開発しており、世界各国で発売する予定。私がどのようにブランドを成長させたいのかを常に尊重してくれる素晴らしいパートナーだ。

WWD:アジア進出の進捗は?

ケイナー:台湾、香港、シンガポール、韓国で展開している。現在中国はECのみでの取り扱いだが、急激に拡大している。厳選したヘアサロンやビューティリテールに卸しており、各国の市場で立場を確立し始めている。日本では全37店舗で展開する。今後も、取り扱うヘアサロンを着実に増やしていくつもりだ。

WWD:最後に、ケイナー代表にとっての“ラグジュアリー”とは?

ケイナー:思考プロセスを凝らしたモノ作りやクオリティー、パフォーマンス、デザイン、楽観、教育、リーダーシップ。それら全てがラグジュアリーを作り上げる。定義は人によって異なるだろうが、「今日一日髪の毛の調子が良かった」と感じることが究極のラグジュアリーだと私は考える。

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双葉通信社がグループ傘下に WORLD MODE HOLDINGSがマーケティング領域を強化

ファッション&ビューティ業界で総合的なソリューションを提供するワールド・モード・ホールディングス(以下、WMH)のグループ傘下に、同じくファッション&ビューティ業界に特化した広告代理店の双葉通信社が加わる。WMHは2014年、当時は双葉通信社のライバルだったアイ・アドバタイジングをグループに収め、マーケティング領域でのソリューション提供も開始。改称したAIADは5年の経営改革を経て、直近の2年は過去最高益を更新している。なぜ今、ライバルだった双葉通信社もグループに迎え入れるのか?また両社は、双葉通信社が16年に日本展開をスタートしたSaaSの「ローンチメトリックス」を含め、どのように更なる成長を図るのか?AIADおよびAIAD LABの社長も務める小西聡WMH常務取締役と、双葉通信社の大川博社長に今回の経緯や将来のビジョンを聞いた。

業界大手4社のうち
2社がタッグを組む理由

WWDJAPAN(以下、WWD):ファッションやビューティ業界に特化して広告代理店業を営んでいるのは、電通グループのThe Goal、博報堂グループの博報堂グラビティ、そして双葉通信社とAIADという印象だ。そのうち2社がタッグを組んだ理由は?

小西聡ワールド・モード・ホールディングス常務取締役兼AIADおよびAIAD LAB社長(以下、小西):WMHは現在、ファッション&ビューティ業界に貢献すべく、人材や教育、店舗運営、空間デザイン、テクノロジー、マーケティング、そして海外という7つの領域で事業を営んでいる。このうち、人材紹介や人材派遣、転職・就職サイトなどを手掛けるiDAは、特にラグジュアリー・ブランドの6〜7割にご支持いただく業界ナンバーワン。かつては競合と競争していたが、今は競合からの事業譲渡が進んでいる状況だ。マーケティング領域でもナンバーワンの企業体を形成し、ファッション&ビューティ業界の1年程前においてトップを走る企業体を有するグループとなって、将来のIPO(株式公開)に向けて弾みをつけたい。WMHとしてこのような展望を描いていたところ、1年程前に今回のご縁に恵まれた。

大川博・双葉通信社社長(以下、大川):他の業界と同じだが、広告代理店の世界も業界再編が続いている。双葉通信社にも資本・業務提携の話はあった。だが大手広告代理店の傘下に入ると、双葉通信社の独自性が失われてしまうのでは?という心配があった。WMHというグループに入ることを決めたのは、人材から空間デザイン、海外展開まで、傘下の企業が提供するソリューションと連携できれば、双葉通信社は今まで以上にファッション産業を盛り上げることができるという道筋と、WMHにおける中核を担う姿がイメージできたから。WMHのさまざまな機能を総動員すれば、今まで以上にクオリティーの高い提案とサービスが提供できる。加えて、私たちはファッションが大好きで、ファッション業界に携わる人が大好きで、ファッション好きのつながりの中でビジネスをしている。そんな文化や風土は、ファッションとビューティに特化している会社でなければ理解できないと思う。

小西:広告、PR、コンサルなど、AIADはマーケティング領域で幅広いサービスを提供しているので、競合するマーケティング企業も多岐に渡るが、他社のクライアントは複数業種にまたがっている。あくまでファッション&ビューティ業界にこだわる私たちとは、目指す立ち位置が異なっていると思う。

デジタルコンサルのAIADと
“攻めの営業”の双葉通信社

WWD:とはいえWMHには、AIADがある。同じ広告業を生業としている双葉通信社とタッグを組むメリットはある?

小西:2017年から経営改革を行ってきたAIADは、事業領域を広告からデジタル、特にEC/CRMなどのコンサル、最近ではブランド投資へと広げている。主軸のひとつは今も広告だが、双葉通信社とは既にビジネスモデルが異なっている。クライアントも重複はない。現在、AIADのクライアントは、スポーツやジュエリー、ビューティなど比較的多様だ。

大川:一方の双葉通信社は、長らくインポートのアパレルに強い。

小西:AIADが経営改革によって強化してきた機能と双葉通信社が長く磨いてきた機能、それぞれのナレッジを共有してシナジーを発揮する。

大川:われわれには400を超える取引先があり、メディアからもさまざまな情報をいただき、“攻めの営業”に長けている。連携してデジタル領域のコンサルも含めた提案ができれば、双方の未来は広がる。

小西:WMH傘下の各社が提供しているサービスは、複合するとより強みを発揮する。たとえばコールセンターを構えようとする会社は、まずは優秀なオペレーターを探そうとする。ファッションやビューティ業界のコールセンターなら、ブランドの知見が豊かな人に働いてほしい。そこでiDAにお声がかかるが、さらなるコーディネーションなどの教育が必要な場合は、同じく傘下企業のBRUSHが登場する。また、コールセンターやオペレーターが吸い上げたデータを分析・活用するためにAIADやAIAD LABが稼働するという具合だ。

大川:双葉通信社の営業部隊は、「これもやって」「あれもやって」の中で「『やりません』を言えない」ほど、クライアント愛が強い(笑)。さまざまなソリューションを総合的に提供できるなら、彼らはもっと活躍できるだろう。

海外展開を進めるWMHとともに
「ローンチメトリックス」をアジアへ

WWD:「ローンチメトリックス」もますます活躍するツールになりそうだ。

大川:7年前に導入し、今年4月には韓国でもサービスを開始し、春には2人の韓国人を新卒採用した。これから中国、香港、台湾、そしてオーストラリアと広げられるチャンスがある。競合と言われるサービスに比べてパフォーマンスのデータ解析に優れ、導入企業は既に100社を超えている。ファッション&ビューティ業界は、転職が多い。導入企業から転職した人が「ローンチメトリックス」を勧めてくれて、活用企業はさらに広がっている。人材領域で一足先に海外進出しているWMHのアセットを活用して、さらに世界に打って出たい。

小西:WMHは2017年にシンガポールで海外展開をスタートして以来、オーストラリア、台湾、ベトナム、マレーシアと拠点を増やし、現在は海外5カ国で事業を行っている。まずは人材ビジネスから取り組んでいるが、今はまさにマーケティング領域も本格展開する段階だ。「ローンチメトリックス」には、その先陣を切ってもらいたい。海外展開を加速するには欠かせない武器になる。

大川:中国本土からの人材採用も進めており、気づけば双葉通信社も国際色が豊かになってきた。可能性を感じているから、あらゆる人材を中で育ててきた。

WWD:メディアの立場では、普段接するのはファッションが大好きな営業ばかり。データ解析やパフォーマンスの向上を担う人材まで社内にいることは知らなかった。

小西:事業のデューデリジェンスを進めた感想としては、双葉通信社はクライアントに真摯に向き合う企業。顔が見える営業を支えるしっかりしたバックアップ体制が整っており、信頼がおける経営陣がそろっている。驚くのは、長年、上位顧客がほとんど変わっていないこと。特定のクライアントと長らく、大きな金額をやり取りできるのは、確固たる信頼関係を築いているからだと思う。

ファッション業界を盛り上げる
新たな仲間に大きな喜び

双葉通信社をワールド・モード・ホールディングスグループに迎え入れることができ、大きな喜びを感じています。初めてこの話を聞いた時、直感的に双葉通信社ならばグループにお迎えしたいと思いました。ともにファッション業界に従事するという共感性の高い企業であり、事業戦略的な相乗効果を期待できると考えたからです。当グループにおいて双葉通信社と同じ広告・マーケティング領域を担うAIADは、双葉通信社で育てられた創業者により45年前に設立されました。誰よりも顧客想いで紳士的なこの創業者に憧れを抱いていたことからも特別なご縁を感じています。ワールド・モード・ホールディングスは、設立から現在までの11年でさまざまな事業会社や仲間を迎え入れましたが、ファッション業界に貢献しようという情熱を持った仲間が集まることには強くこだわってきました。かねてより、双葉通信社の皆様はファッションを愛し、仕事に真摯に取り組まれているという印象を持っていました。皆さまが加わってくれることで、グループはますます活性化すると確信しています。

現在、ファッション業界ではデジタル化の進展とリアル店舗への回帰が並行して進んでおり、顧客との接点がより複雑化しています。加えて、サステナビリティへの意識の高まりなど顧客のニーズも多様化しており、ブランド・企業はデジタルでのコミュニケーションと人間味のあるコミュニケーションの双方を通じて顧客体験を向上させることに注力しています。同時に、業務をアウトソーシングするだけではなく、優秀な人材を確保して社内体制の強化にも取り組んでいます。それらの複雑化する課題に対し、マーケティング領域において戦略パートナーとしてブランドに寄り添うとともに、その実現をリードするプロフェッショナル人材を提供するなど、全方位から顧客のビジネスを支える必要性が高まっていくと考えています。 そして、“サービスを売る”ことが出発点ではなく、“ブランド・企業の成長に最適なサービスは何かを考える”パートナーシップの姿勢が、ブランド・企業に持続的に愛されることにつながっていくと思います。

双葉通信社とAIADが力を合わせることで、ワールド・モード・ホールディングスグループは業界最大規模のマーケティングのプロ集団を有することになります。グループ間のさまざまな事業のシナジー効果をますます加速させ、より顧客に応じた最適なサービスを提供し、ファッション業界を盛り上げて参ります。

問い合わせ先
ワールド・モード・ホールディングス
03-3374-8107

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双葉通信社がグループ傘下に WORLD MODE HOLDINGSがマーケティング領域を強化

ファッション&ビューティ業界で総合的なソリューションを提供するワールド・モード・ホールディングス(以下、WMH)のグループ傘下に、同じくファッション&ビューティ業界に特化した広告代理店の双葉通信社が加わる。WMHは2014年、当時は双葉通信社のライバルだったアイ・アドバタイジングをグループに収め、マーケティング領域でのソリューション提供も開始。改称したAIADは5年の経営改革を経て、直近の2年は過去最高益を更新している。なぜ今、ライバルだった双葉通信社もグループに迎え入れるのか?また両社は、双葉通信社が16年に日本展開をスタートしたSaaSの「ローンチメトリックス」を含め、どのように更なる成長を図るのか?AIADおよびAIAD LABの社長も務める小西聡WMH常務取締役と、双葉通信社の大川博社長に今回の経緯や将来のビジョンを聞いた。

業界大手4社のうち
2社がタッグを組む理由

WWDJAPAN(以下、WWD):ファッションやビューティ業界に特化して広告代理店業を営んでいるのは、電通グループのThe Goal、博報堂グループの博報堂グラビティ、そして双葉通信社とAIADという印象だ。そのうち2社がタッグを組んだ理由は?

小西聡ワールド・モード・ホールディングス常務取締役兼AIADおよびAIAD LAB社長(以下、小西):WMHは現在、ファッション&ビューティ業界に貢献すべく、人材や教育、店舗運営、空間デザイン、テクノロジー、マーケティング、そして海外という7つの領域で事業を営んでいる。このうち、人材紹介や人材派遣、転職・就職サイトなどを手掛けるiDAは、特にラグジュアリー・ブランドの6〜7割にご支持いただく業界ナンバーワン。かつては競合と競争していたが、今は競合からの事業譲渡が進んでいる状況だ。マーケティング領域でもナンバーワンの企業体を形成し、ファッション&ビューティ業界の1年程前においてトップを走る企業体を有するグループとなって、将来のIPO(株式公開)に向けて弾みをつけたい。WMHとしてこのような展望を描いていたところ、1年程前に今回のご縁に恵まれた。

大川博・双葉通信社社長(以下、大川):他の業界と同じだが、広告代理店の世界も業界再編が続いている。双葉通信社にも資本・業務提携の話はあった。だが大手広告代理店の傘下に入ると、双葉通信社の独自性が失われてしまうのでは?という心配があった。WMHというグループに入ることを決めたのは、人材から空間デザイン、海外展開まで、傘下の企業が提供するソリューションと連携できれば、双葉通信社は今まで以上にファッション産業を盛り上げることができるという道筋と、WMHにおける中核を担う姿がイメージできたから。WMHのさまざまな機能を総動員すれば、今まで以上にクオリティーの高い提案とサービスが提供できる。加えて、私たちはファッションが大好きで、ファッション業界に携わる人が大好きで、ファッション好きのつながりの中でビジネスをしている。そんな文化や風土は、ファッションとビューティに特化している会社でなければ理解できないと思う。

小西:広告、PR、コンサルなど、AIADはマーケティング領域で幅広いサービスを提供しているので、競合するマーケティング企業も多岐に渡るが、他社のクライアントは複数業種にまたがっている。あくまでファッション&ビューティ業界にこだわる私たちとは、目指す立ち位置が異なっていると思う。

デジタルコンサルのAIADと
“攻めの営業”の双葉通信社

WWD:とはいえWMHには、AIADがある。同じ広告業を生業としている双葉通信社とタッグを組むメリットはある?

小西:2017年から経営改革を行ってきたAIADは、事業領域を広告からデジタル、特にEC/CRMなどのコンサル、最近ではブランド投資へと広げている。主軸のひとつは今も広告だが、双葉通信社とは既にビジネスモデルが異なっている。クライアントも重複はない。現在、AIADのクライアントは、スポーツやジュエリー、ビューティなど比較的多様だ。

大川:一方の双葉通信社は、長らくインポートのアパレルに強い。

小西:AIADが経営改革によって強化してきた機能と双葉通信社が長く磨いてきた機能、それぞれのナレッジを共有してシナジーを発揮する。

大川:われわれには400を超える取引先があり、メディアからもさまざまな情報をいただき、“攻めの営業”に長けている。連携してデジタル領域のコンサルも含めた提案ができれば、双方の未来は広がる。

小西:WMH傘下の各社が提供しているサービスは、複合するとより強みを発揮する。たとえばコールセンターを構えようとする会社は、まずは優秀なオペレーターを探そうとする。ファッションやビューティ業界のコールセンターなら、ブランドの知見が豊かな人に働いてほしい。そこでiDAにお声がかかるが、さらなるコーディネーションなどの教育が必要な場合は、同じく傘下企業のBRUSHが登場する。また、コールセンターやオペレーターが吸い上げたデータを分析・活用するためにAIADやAIAD LABが稼働するという具合だ。

大川:双葉通信社の営業部隊は、「これもやって」「あれもやって」の中で「『やりません』を言えない」ほど、クライアント愛が強い(笑)。さまざまなソリューションを総合的に提供できるなら、彼らはもっと活躍できるだろう。

海外展開を進めるWMHとともに
「ローンチメトリックス」をアジアへ

WWD:「ローンチメトリックス」もますます活躍するツールになりそうだ。

大川:7年前に導入し、今年4月には韓国でもサービスを開始し、春には2人の韓国人を新卒採用した。これから中国、香港、台湾、そしてオーストラリアと広げられるチャンスがある。競合と言われるサービスに比べてパフォーマンスのデータ解析に優れ、導入企業は既に100社を超えている。ファッション&ビューティ業界は、転職が多い。導入企業から転職した人が「ローンチメトリックス」を勧めてくれて、活用企業はさらに広がっている。人材領域で一足先に海外進出しているWMHのアセットを活用して、さらに世界に打って出たい。

小西:WMHは2017年にシンガポールで海外展開をスタートして以来、オーストラリア、台湾、ベトナム、マレーシアと拠点を増やし、現在は海外5カ国で事業を行っている。まずは人材ビジネスから取り組んでいるが、今はまさにマーケティング領域も本格展開する段階だ。「ローンチメトリックス」には、その先陣を切ってもらいたい。海外展開を加速するには欠かせない武器になる。

大川:中国本土からの人材採用も進めており、気づけば双葉通信社も国際色が豊かになってきた。可能性を感じているから、あらゆる人材を中で育ててきた。

WWD:メディアの立場では、普段接するのはファッションが大好きな営業ばかり。データ解析やパフォーマンスの向上を担う人材まで社内にいることは知らなかった。

小西:事業のデューデリジェンスを進めた感想としては、双葉通信社はクライアントに真摯に向き合う企業。顔が見える営業を支えるしっかりしたバックアップ体制が整っており、信頼がおける経営陣がそろっている。驚くのは、長年、上位顧客がほとんど変わっていないこと。特定のクライアントと長らく、大きな金額をやり取りできるのは、確固たる信頼関係を築いているからだと思う。

ファッション業界を盛り上げる
新たな仲間に大きな喜び

双葉通信社をワールド・モード・ホールディングスグループに迎え入れることができ、大きな喜びを感じています。初めてこの話を聞いた時、直感的に双葉通信社ならばグループにお迎えしたいと思いました。ともにファッション業界に従事するという共感性の高い企業であり、事業戦略的な相乗効果を期待できると考えたからです。当グループにおいて双葉通信社と同じ広告・マーケティング領域を担うAIADは、双葉通信社で育てられた創業者により45年前に設立されました。誰よりも顧客想いで紳士的なこの創業者に憧れを抱いていたことからも特別なご縁を感じています。ワールド・モード・ホールディングスは、設立から現在までの11年でさまざまな事業会社や仲間を迎え入れましたが、ファッション業界に貢献しようという情熱を持った仲間が集まることには強くこだわってきました。かねてより、双葉通信社の皆様はファッションを愛し、仕事に真摯に取り組まれているという印象を持っていました。皆さまが加わってくれることで、グループはますます活性化すると確信しています。

現在、ファッション業界ではデジタル化の進展とリアル店舗への回帰が並行して進んでおり、顧客との接点がより複雑化しています。加えて、サステナビリティへの意識の高まりなど顧客のニーズも多様化しており、ブランド・企業はデジタルでのコミュニケーションと人間味のあるコミュニケーションの双方を通じて顧客体験を向上させることに注力しています。同時に、業務をアウトソーシングするだけではなく、優秀な人材を確保して社内体制の強化にも取り組んでいます。それらの複雑化する課題に対し、マーケティング領域において戦略パートナーとしてブランドに寄り添うとともに、その実現をリードするプロフェッショナル人材を提供するなど、全方位から顧客のビジネスを支える必要性が高まっていくと考えています。 そして、“サービスを売る”ことが出発点ではなく、“ブランド・企業の成長に最適なサービスは何かを考える”パートナーシップの姿勢が、ブランド・企業に持続的に愛されることにつながっていくと思います。

双葉通信社とAIADが力を合わせることで、ワールド・モード・ホールディングスグループは業界最大規模のマーケティングのプロ集団を有することになります。グループ間のさまざまな事業のシナジー効果をますます加速させ、より顧客に応じた最適なサービスを提供し、ファッション業界を盛り上げて参ります。

問い合わせ先
ワールド・モード・ホールディングス
03-3374-8107

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「アシックス」×「CFCL」 “なるべくデザインを足さない” コラボスニーカーという斬新

「アシックス(ASICS)」は「シーエフシーエル(CFCL)」とコラボレーションし、CO2の排出量が世界最少のスニーカー“GEL-LYTE III CM1.95“から全3色を発売した。スニーカーコラボといえば両ブランドのロゴを掛け合わせるなど“足し算”のデザインや、希少性を高める限定数販売が定石だが、この取り組みにおける“コラボ”の意味は異なる。「排出量を減らす」ためにはパーツ数などデザインの引き算が欠かせないからだ。では「減らし」ながら、両社の何を掛け合わせたのか?荒井孝雄アシックス サステナビリティ統括部サステナビリティ部環境・コミュニティチームと、高橋悠介CFCL代表兼クリエイティブ・ディレクターに聞いた。

WWD:コラボレーションのきっかけは?

荒井孝雄アシックス サステナビリティ統括部サステナビリティ部環境・コミュニティチーム(以下、荒井): 2021年に私たちが環境省のワーキンググループに参加した頃、同省から「CFCL」を紹介してもらったのが出会いだ。

高橋悠介CFCL代表兼クリエイティブ・ディレクター(以下、高橋):我々は「CFCL」を立ち上げた直後で、話を重ねる中で共有する考えが多いことを知った。より多くの生活者にCO2排出削減のことを考えてもらいたい思い、などだ。その後「ファッション プライズ オブトウキョウ」を受賞し、2022年にパリでプレゼンテーションを行うことを決めた時に課題になったのが足元だった。ニットを中心に販売しているブランドなので、靴にビジネスを広げるのはリスクがあるし、お客さんからしても「CFCL」で靴を買う理由がない。その頃、この靴を開発している話を聞き、一緒にできたらいいね、となった。

荒井:「CFCL」はコンセプトが明解で、尖ったメッセージを掲げつつデザイン性に優れて利益を生み出している。非常にパワフルなブランドだと当初から思っていたので、メッセージを届けるパートナーとして取り組めて非常にありがたかった。

WWD:“尖っている”とは?

荒井:メッセージの伝え方が、シャープだと思う。弊社であればこの靴を作るにしても「将来の地球環境のことを考えてやろう!」という理念だけでは足並みを揃えるのは難しく、各所にコンセンサスを取り進めた。「CFCL」はニットにフォーカスしたものづくり、環境問題に対するメッセージ、経営理念などがストレートに伝わってくる。実際には色々な苦労もあるのだろうけどそれを感じさせない。簡単じゃないとわかるだけにすごいと思う。

WWD:高橋さんから見て「アシックス」とはどういうブランド?

高橋:神戸にある「アシックス」のスポーツ工学研究所を訪問し、品質基準の高さ、履き心地を科学で研究する姿勢に感銘を受け、納得感があった。ここまで徹底しているメーカーはなかなかないのでは?初めてパリに臨むタイミングだったこともあり、日本のブランドである「アシックス」とのコラボレーションは最適だった。

難しかったのは、世界最少のCO2排出量を実現しながら品質を保つこと

WWD: “ゲルライトスリーシーエム 1.95(GEL-LYTE Ⅲ CM 1.95)”はCO2排出量を削減するために多くの工夫がされるが、中でもポイントを一つあげるとすると?

荒井:原型は、アシックスのスポーツスタイルカテゴリーの定番である“ゲルライトスリーオージー(GEL-LYTE III OG)”だ。難しかったのは、世界最少のCO2排出量を実現しながら「アシックス」の品質を保つこと。一番のこだわりをあげるなら、サトウキビなどを原料とした複数のバイオベースポリマーを配合して新開発したミッドソール “カーボン・ネガティブ・フォーム”だ。

WWD:バイオベースの素材は色々あるが、“カーボン・ネガティブ・フォーム”は他と何か違う?

荒井:最適なクッション性や耐久性、履き心地を手に入れるために複数のバイオベースの材料の配合方法を追求している。CO2排出量削減の研究は2010年から続けており、これまで色々な素材を使ってきた。その経験があるからここに至っている。

WWD:他に難しかったところは?

荒井:アッパーのデザインだろう。紐を通す穴を開けたらそこを補強するためにパーツを加えるなど、靴にはたくさんのパーツがある。そのパーツはデザインのアクセントにもなっている。一方、CO2排出量を削減するためには、使用する材料の量をどれだけ減らせるかがポイントになる。結果、パーツの数は原型の半分以下とした。このバランスが難しかった。パーツを極限まで減らしてつるんととしたデザインにしたらいいかと言えば、そうではない。履く人にとって価値あるデザインにしたい。そして、“ゲルライトスリーオージー(GEL-LYTE III OG)”の要素を残したい。だからアッパーにパーツを彷彿とさせる刺しゅうを入れた。

“CO2排出量の目標がある中で、何も足さないのが一番いい”

WWD:そこに意味があるからパーツが増えているわけで、減らすことが難しいことは想像がつくが、減らしすぎにより魅力を損なって手に取ってもらえなかったら意味がない、これまでのスニーカーデザインにはない思考だと思う。コラボでは何を行なったのか?

高橋:これが難しくて。従来のコラボレーション製品の開発はイコール、アイコニックな製品に付加価値を付加してゆくことだった。ところが今回「アシックス」はカーボンミニマムな靴を世に送り出したいと燃えている。CO2排出量の目標がある中で何ができますか?と問われれば、何も足さないのが一番いい。じゃあ、デザインしないのかと言えば、そうではない。結果、重視したのは「CFCL」のドレスに合わせる時の“品格”が担保できているか、だ。色使いやブランド名に入れ方などに表れている。

日本政府も2050年カーボンニュートラルを目指す中、「CO2の排出量を考えながら服をデザインする」は、きっと訪れる未来の一つ。コラボを通じてデザインの意味って何だろうと考える良いきっかけになった。

WWD:CO2削減も含めてデザイン、は興味深いテーマだ。

荒井:CO2の排出量の計算に関係する部分は僕らに任せてもらい、高橋さんの細部のこだわりをどう実現するか、ニットの組織の密度や紐の形状、微妙な色のトーンなど意見交換をした。「CFCL」のブランド名も別パーツを足すのではなく、元々「ASICS」の文字が入っている部分に「CFCL」の文字を置き換えてプリントしている。

高橋:私自身、「履き心地を損なわずにCO2の排出を減らすデザイン」については知らない部分も多いから、私が提案したことが採用されずに「アシックス」が決めた方法で進むこともある。そのコミュニケーション自体がコラボレーションだと思う。

WWD:これまでのスニーカーのコラボとは発想が大分違う。

高橋:限定生産で瞬間完売、といった従来型のマーケティング手法はこのコラボにはフィットしない。お客さんに訴求するのは「希少性」ではなく都市の生活の中でなじむ「普遍性」であり、長く履いてもらうことだ。

「CFCL」のスタイルにおける靴の役割

WWD:「CFCL」のスタイルの中で靴はどういう役割を果たしているのか。

高橋:靴は機能性とデザインが切っても切れない関係性にある。服なら、「今にも破れそうなTシャツ」が成立するけれど靴はそうはいかない。そして、靴選びには「生き方」が出ると思う。

「CFCL」の服はニットが軸。ニットはカジュアルな素材だがそれをいかにして現代のオケージョンの中にフィットさせるかをチャレンジしている。それはスニーカーも同じで、スポーツのための靴として誕生したけれど、今や日常生活に溶け込んでいる。そして「ドレスにスニーカーを合わせてカジュアルダウン」という発想も一昔前のものになりつつある。これからはオケージョンにも対応できるスニーカーが必要になると思う。

WWD:「CFCL」は今年、香水も発表した。今後はどのようなアイテムに広げるのか?

高橋:2024年春夏コレクションでは「フォーナインズ(999.9)」との協業でアイウエアを発表した。私はひとつのファッションブランドが総合的にアイテムを手がけるより、専門領域を持つ企業が分担をしてプロダクト化してゆく方がよいと思っている。社内だけでは到達できない発見があることがコラボレーションの意味だと考えるからだ。

荒井:我々にとってもパートナーシップはとても重要で、自社の知見にはどうしても偏りがあるからパートナーシップを通じてイノベーションを起こすことが次へのカギとなる。

靴のリサイクルは今後の課題

WWD:それにしても「よりCO2排出量が少なく」とは、メーカー間で新しいタイプの戦いが始まっている。

荒井:この製品を次にどう発展させるか、まさに今話し合っている。ひとつは、さらに排出量を下げる方向、もうひとつが今回得られた知見を社内に展開して会社全体として削減インパクトを出す方向だ。

WWD:スケールの大きな視点だ。

荒井:CO2削減をするにあたり苦労した点のひとつが再生エネルギーの調達だ。2022年9月に“ゲルライトスリーシーエム 1.95(GEL-LYTE Ⅲ CM 1.95)”を発表してから発売までに1年かかったた理由もここにある。このスニーカーはベトナムの工場で生産しているが、ベトナムの全電力のうち再生エネルギーは5%程度と非常に少ない。事業の意図やビジョンを工場に伝えて理解を得て、屋根に太陽光パネルを設置してもらい、生産ラインの電力を調達するまでに時間を要した。

WWD:そういった点も含めて設計するのがこれからの「デザイン」なのだろう。ところで靴の廃棄は服以上に難しい。生産者として靴のエンド・オブ・ライフについてはどう考えるか?

荒井:まさに次の課題だと考えている。僕らが発表しているCO2排出量削減の施策はサプライチェーンの上流での話、つまり原材料の調達と製造、輸送までだ。工場で発生する廃棄物をリサイクルに回しているが、それは靴になる前の話。廃棄された製品のリサイクルは、現段階ではイエスとは言えない。靴は構造が複雑で、多くの材料をしている。これがリサイクルを非常に難しくしているひとつの理由だ。

WWD:分解しやすい構造や単一素材を採用しつつ、かつパフォーマンスを発揮できる靴の設計は途方もなくハードルが高い。

高橋:こういう取り組みの記事を通じて生活者に課題を知ってもらうことは大事だと思う。それがファッションの持てる影響力でありエネルギーだと思うから。

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率直な意見も伝えるからこそ、顧客との信頼関係が生まれる 「コスメキッチン」越谷レイクタウン店店長・木原絵美さん

今年のマッシュグループの全国接客ロープレ大会で1位を獲得した木原絵美さんは、15年以上の販売キャリアを重ねるベテラン販売員。大手婦人靴メーカー、オーガニックヘアケアブランドを経て、2020年にマッシュビューティーラボ(以下、マッシュ)に入社した。社歴は浅いものの、20代の若い販売員も多い「コスメキッチン」では、すでにリーダーとして周囲を引っ張る存在だ。

マッシュに入社後、まず配属されたのは「コスメキッチン」のルミネ北千住店。コスメのセレクトショップで働くのは初めての経験。膨大な商品のSKU数に戸惑い、商品知識のインプットに苦労した。商品の入れ替わりも激しいため、「先輩たちから教わったことをメモして、アウトプットして、の繰り返しでした」。

ただ接客となれば話は別だ。若い販売員が顧客の様子を遠巻きにうかがう中、木原さんはためらうことなくアプローチする。「お客さまのニーズに合う、合わないははっきりと伝えるようにしてきました。『その場限り』の接客にはしたくないんです」。時にはマイナスの意見も伝えるからこそ、顧客との信頼関係が生まれる。「一度の接客では心を動かせなかったお客さまも、時間がたって戻ってきてくださることもあるんですよ」。ロープレ大会で1位を獲得したことで、「扱う商品や職場が変わっても、接客の根っこは変わらない」と自信を深めた。

「店舗は自分1人の力ではなく、チームで動かすもの」

木原さんの接客の礎になっているのは、13年間勤めた大手婦人靴メーカーでの経験だ。入社から2年、27歳で店長を任された。「店長に就任した当時、女性店長は全国で5、6人しかいませんでした。完全な男社会。男性が女性の足元にひざまずいて、靴を履かせるから売れるなんてことも言われていました」と当時を振り返る。木原さんは先輩社員と日々議論を交わし、地道にPDCAサイクルを回して接客を磨き上げ、退職までの約11年間で店舗の年間売り上げを1億円から1億5000万円に引き上げた。部下の育成、デベロッパーとのコミュニケーション、販売施策、PR、VMDなど全てがかみ合って、ようやく達成できた目標。「店舗は自分1人の力ではなく、チームで動かすもの」だと学んだ。

現在店長を務める「コスメキッチン」越谷レイクタウン店では、店舗のチームビルディングにも目を向ける。竹を割ったような性格で、販売員同士のコミュニケーションの潤滑油になり、「こんなふうに接客したら売れた」「お客様が喜んでくれた」と成功体験を共有できる環境をつくる。「販売員全体のレベルを底上げする役割を担いたい」と木原さん。コスメキッチン歴は浅くとも、ブランド愛は誰にも負けない。「もっと多くの人と話ができるように、手話の勉強も始めました。ナチュラルオーガニックなライフスタイルの良さを、もっと多くの人に広めていきたいです」。


木原絵美さんの「接客POINT」

客の肌質、体質、使うシーンなどをヒアリングした上で「合う、合わないははっきり伝えるようにしています」という木原さん。客と真っすぐ向き合う姿勢が信頼を得る理由だ。


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「ソレル」がニューヨークでポップアップを開催 キーパーソンが語る戦略と展望

シェルブーツの原型を生み出したとされるカナダ発祥の「ソレル(SOREL)」がニューヨークのブルックリンで期間限定のポップアップストアをオープンした。生誕50周年を迎えるブランドのアイコンモデル“Caribou(カリブー)”にフォーカスし、ブランドのテーマカラーでもあるオレンジ一色に染まったポップアップストアとブランドの今後の展開についてリポートする。

ブランドのヘリテージに焦点を当て、
新たな市場開拓を目指す

ーー今回、ニューヨークでポップアップを開催した意図は?なぜ会場をブルックリンにしたのか。

ナタリー・ヘイズ =ソレル ヴァイス・プレジデント(以下、ヘイズ):一年前にニューヨークでイベントを開催し、ニューヨークの賑やかな雰囲気や人々に感化された。ブルックリンは多くのアートやファッションを発信する地でニューヨークの中でも、他のエリアとはまた違ったバイブスがある。そこで新たなコミュニティを見つけたかった。特にポップアップを開催したウィリアムズバーグは話題のショップも多く、それを求めにくる人々がいる。いつもウィリアムズバーグで何かが起こっているので、我々もいい機会を得られると思い、この場所に決めた。

ーー実際にポップアップストアを見た際の感想は?

ヘイズ:オレンジ色のポップアップストアはとても目立つし、興奮した。オレンジは60年代からのブランドカラーで大切な色であるうえ、今年のトレンドカラーのひとつ。通りかかったら、「これ何?」となるでしょう?今回は
ポップアップを通して“Caribou”の50周年の誕生をフックに、「ソレル」のヘリテージを伝える場を兼ねている。“Caribou”があったから「ソレル」が有名になったと言ってもいい代表的なモデルだし、だからこそ長年のブランドカラーであるオレンジがポップアップにとって重要な要素となっている。

ーーポップアップで期待される成果は?

ヘイズ:広告やデジタル広告でのマーケティング手法とは異なり、ポップアップストアを開催することで対面でお客さまと接点を持ちたかった。ポップアップは店頭でお客さんと接点を持てるだけでなく、店頭のお客さんをはじめ、今回のオープニングイベントに来てくれたインフルエンサーやセレブリティが「ソレル」を拡散してくれることで私たちのメッセージを多くの人に伝えてくれている。現在私たちは店舗がないのでポップアップはテストマーケティング的にも有効かつ、皆が情報を発信してくれることで広告効果にも繋がっている。

ーー今後、どのようにブランドを成長させていくのか?

ヘイズ:「ソレル」が持つヘリテージをもっともっと伝えていきたい。Z世代の顧客たちは伝統やストーリーを持ったブランドを好み、そうでないブランドを好まない。今後は「ソレル」のヘリテージを伝える際にもっと「ソレル」独自のヘリテージやストーリーを活用して、ブランドが誇る技術面をアピールしながら、将来的にはライフスタイルブランドとしても成長させていきたい。今まで通りウィメンズの商品には力を入れながら、今後はヘリテージという武器を使ってメンズを拡大させていく。

ーー「ソレル」のヘリテージとは具体的に何か?

ヘイズ:まず第一に機能性が挙げられる。ウェッジソール、ヒール、スニーカーなど、どんなモデルでも暖かかったり、防水効果があったり、耐久性のあるラバーソールだったり、真の機能性を兼ね備えている。「ソレル」はそこにデザイン性を加え、他にはない商品を作り出している。今回アメリカでユーザーヒアリングを行った際も、雨の日に雨用シューズと、晴れたときに履くためのデザイン性のある靴の2足持ちにうんざりしているという声が多かった。「ソレル」のシューズはデザイン性もありながら雨から足を守ることができ、1足だけで完結することを伝えることができる。

ブルックリンの
ウィリアムズバーグに
初のポップストア

初のポップアップストアは10月13日から22日までの期間中、ブルックリンのウィリアムズバーグで開催された。外観からオレンジ一色に染まったキャッチーなポップアップストアがオープンしたのはブルックリンのウィリアムズバーグ地区。マンハッタンの対岸にあり、アクセスも良く、トレンドを牽引するブランドがショップを構える話題のエリアだ。

近年ではブランドのヘリテージを守りながらタウンユース向けの幅広いモデルを発表している「ソレル」だが、ポップアップではブランドのアイコンモデル“Caribou”をモダンに再考した「Caribou, I Love You」のコレクションを発表した。頑丈なラバーソールや筒部の防水加工、取り外せるフェルトのインナーブーツなど、マイナス40度の極寒の地でも耐えられる機能性は、50年以上にわたり信頼されてきた”Caribou”そのままに、シルエットをスリムにしてアップデート。普段のコーディネートに取り入れやすいレースアップブーツとして提案する他、クロッグ、サイドゴアブーツなど8モデルが店頭に並んだ。鮮やかなオレンジを効かせたモデルはコーディネートのポイントになりそうだ。他にもウィリアムズバーグ限定モデルとして、女優で歌手のクロイ・ベイリー(Chloe Bailey)とのコラボレーションモデルも発表。このモデルはブーツのシューレース部分にカスタマイズでチャームを付けられるなど、遊び心に富んでいる。

ポップアップオープンの前日に行われたオープニングイベントには「ソレル」を着用した多くのゲストが訪れ、トレンドのスタイリングに合わせた「ソレル」のブーツを披露した。パーティーのドリンクもオレンジで統一され、オレンジ色の特製マグにはその場でゲストの名前をアーティストがペイントしてくれるサービスや、トレンドのトゥースジェムが体験できるコーナーもあり、多くのゲストがイベントを楽しんだ。

また、ニューヨークではブルックリンのポップアップストア以外にも百貨店の「ノードストローム(NORDSTROM)」でもポップアップスペースを展開し、盛り上げを見せていた。

オープニングイベントには
多彩なゲストも

オープニングイベントにはタウンユースのできる「ソレル」のコーディネートで女優やモデル、インフルエンサーが多数来場した。イベント中はモデルの松岡モナがDJを務めたほか、女優・歌手のクロイ・ベイリー、女優のハリ・ネフ、アオキ・リー・シモンズの他に日本からはロサンゼルスを拠点に活躍するダンサーの島津藍が会場に花を添えた。

ファッション性と機能を
備えた“Caribou,
I Love You”コレクション

オレンジを基調に“Caribou”をスリムでモダンなシルエットにアップデートした“Caribou, I Love You”コレクション。機能性はそのままに、街中でも履けるファッション性を兼ね備えたモデルがそろっている。

INTERVIEW & TEXT : REIKO SUGA
問い合わせ先
ソレル/コロンビアスポーツウェアジャパン
0120-193-803

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「ソレル」がニューヨークでポップアップを開催 キーパーソンが語る戦略と展望

シェルブーツの原型を生み出したとされるカナダ発祥の「ソレル(SOREL)」がニューヨークのブルックリンで期間限定のポップアップストアをオープンした。生誕50周年を迎えるブランドのアイコンモデル“Caribou(カリブー)”にフォーカスし、ブランドのテーマカラーでもあるオレンジ一色に染まったポップアップストアとブランドの今後の展開についてリポートする。

ブランドのヘリテージに焦点を当て、
新たな市場開拓を目指す

ーー今回、ニューヨークでポップアップを開催した意図は?なぜ会場をブルックリンにしたのか。

ナタリー・ヘイズ =ソレル ヴァイス・プレジデント(以下、ヘイズ):一年前にニューヨークでイベントを開催し、ニューヨークの賑やかな雰囲気や人々に感化された。ブルックリンは多くのアートやファッションを発信する地でニューヨークの中でも、他のエリアとはまた違ったバイブスがある。そこで新たなコミュニティを見つけたかった。特にポップアップを開催したウィリアムズバーグは話題のショップも多く、それを求めにくる人々がいる。いつもウィリアムズバーグで何かが起こっているので、我々もいい機会を得られると思い、この場所に決めた。

ーー実際にポップアップストアを見た際の感想は?

ヘイズ:オレンジ色のポップアップストアはとても目立つし、興奮した。オレンジは60年代からのブランドカラーで大切な色であるうえ、今年のトレンドカラーのひとつ。通りかかったら、「これ何?」となるでしょう?今回は
ポップアップを通して“Caribou”の50周年の誕生をフックに、「ソレル」のヘリテージを伝える場を兼ねている。“Caribou”があったから「ソレル」が有名になったと言ってもいい代表的なモデルだし、だからこそ長年のブランドカラーであるオレンジがポップアップにとって重要な要素となっている。

ーーポップアップで期待される成果は?

ヘイズ:広告やデジタル広告でのマーケティング手法とは異なり、ポップアップストアを開催することで対面でお客さまと接点を持ちたかった。ポップアップは店頭でお客さんと接点を持てるだけでなく、店頭のお客さんをはじめ、今回のオープニングイベントに来てくれたインフルエンサーやセレブリティが「ソレル」を拡散してくれることで私たちのメッセージを多くの人に伝えてくれている。現在私たちは店舗がないのでポップアップはテストマーケティング的にも有効かつ、皆が情報を発信してくれることで広告効果にも繋がっている。

ーー今後、どのようにブランドを成長させていくのか?

ヘイズ:「ソレル」が持つヘリテージをもっともっと伝えていきたい。Z世代の顧客たちは伝統やストーリーを持ったブランドを好み、そうでないブランドを好まない。今後は「ソレル」のヘリテージを伝える際にもっと「ソレル」独自のヘリテージやストーリーを活用して、ブランドが誇る技術面をアピールしながら、将来的にはライフスタイルブランドとしても成長させていきたい。今まで通りウィメンズの商品には力を入れながら、今後はヘリテージという武器を使ってメンズを拡大させていく。

ーー「ソレル」のヘリテージとは具体的に何か?

ヘイズ:まず第一に機能性が挙げられる。ウェッジソール、ヒール、スニーカーなど、どんなモデルでも暖かかったり、防水効果があったり、耐久性のあるラバーソールだったり、真の機能性を兼ね備えている。「ソレル」はそこにデザイン性を加え、他にはない商品を作り出している。今回アメリカでユーザーヒアリングを行った際も、雨の日に雨用シューズと、晴れたときに履くためのデザイン性のある靴の2足持ちにうんざりしているという声が多かった。「ソレル」のシューズはデザイン性もありながら雨から足を守ることができ、1足だけで完結することを伝えることができる。

ブルックリンの
ウィリアムズバーグに
初のポップストア

初のポップアップストアは10月13日から22日までの期間中、ブルックリンのウィリアムズバーグで開催された。外観からオレンジ一色に染まったキャッチーなポップアップストアがオープンしたのはブルックリンのウィリアムズバーグ地区。マンハッタンの対岸にあり、アクセスも良く、トレンドを牽引するブランドがショップを構える話題のエリアだ。

近年ではブランドのヘリテージを守りながらタウンユース向けの幅広いモデルを発表している「ソレル」だが、ポップアップではブランドのアイコンモデル“Caribou”をモダンに再考した「Caribou, I Love You」のコレクションを発表した。頑丈なラバーソールや筒部の防水加工、取り外せるフェルトのインナーブーツなど、マイナス40度の極寒の地でも耐えられる機能性は、50年以上にわたり信頼されてきた”Caribou”そのままに、シルエットをスリムにしてアップデート。普段のコーディネートに取り入れやすいレースアップブーツとして提案する他、クロッグ、サイドゴアブーツなど8モデルが店頭に並んだ。鮮やかなオレンジを効かせたモデルはコーディネートのポイントになりそうだ。他にもウィリアムズバーグ限定モデルとして、女優で歌手のクロイ・ベイリー(Chloe Bailey)とのコラボレーションモデルも発表。このモデルはブーツのシューレース部分にカスタマイズでチャームを付けられるなど、遊び心に富んでいる。

ポップアップオープンの前日に行われたオープニングイベントには「ソレル」を着用した多くのゲストが訪れ、トレンドのスタイリングに合わせた「ソレル」のブーツを披露した。パーティーのドリンクもオレンジで統一され、オレンジ色の特製マグにはその場でゲストの名前をアーティストがペイントしてくれるサービスや、トレンドのトゥースジェムが体験できるコーナーもあり、多くのゲストがイベントを楽しんだ。

また、ニューヨークではブルックリンのポップアップストア以外にも百貨店の「ノードストローム(NORDSTROM)」でもポップアップスペースを展開し、盛り上げを見せていた。

オープニングイベントには
多彩なゲストも

オープニングイベントにはタウンユースのできる「ソレル」のコーディネートで女優やモデル、インフルエンサーが多数来場した。イベント中はモデルの松岡モナがDJを務めたほか、女優・歌手のクロイ・ベイリー、女優のハリ・ネフ、アオキ・リー・シモンズの他に日本からはロサンゼルスを拠点に活躍するダンサーの島津藍が会場に花を添えた。

ファッション性と機能を
備えた“Caribou,
I Love You”コレクション

オレンジを基調に“Caribou”をスリムでモダンなシルエットにアップデートした“Caribou, I Love You”コレクション。機能性はそのままに、街中でも履けるファッション性を兼ね備えたモデルがそろっている。

INTERVIEW & TEXT : REIKO SUGA
問い合わせ先
ソレル/コロンビアスポーツウェアジャパン
0120-193-803

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ベビー服からランドセルまで成長に寄り添う 「ミキハウス」阪急うめだ本店・岡田由紀子さん

「ミキハウス」の子育てキャリアアドバイザーであり、阪急うめだ本店の出産準備用品アドバイザーとして活躍する。全国の阪急阪神百貨店の中でも3~4%の販売員しか付けていない胸元の金色のプレートが、優秀販売員の証しだ。

三起商行に入社して28年。同期の中では最速の入社4年目で店長に抜擢された。その後、子供を2人出産。産休・育休を経て復帰し、働きながら子育てしてきた経験と知識を、接客の現場で最大限に発揮する。産休に入る前、木村皓一社長から「産んで戻ってきいや。お客さまのために自分の経験を生かさなあかんでぇ」と言葉をかけられたのが、いまでも励みになっているという。

出産・育児の経験を接客に生かす

出産、育児の経験を売り場で役立て顧客に還元していきたいという思いは、コンサルティング接客という形で実現。1人1人に寄り添いながら、その顧客に必要なものを自身の経験と知識に基づいて提案している。

「お子さまの成長を見守りながら一緒に喜べるのが、この仕事の醍醐味。ファーストミキハウスからランドセルまで長い付き合いにするためには、まず信頼を得ないとお客さまはついてきません。この人ならなんでも知っているし、教えてくれると思ってもらえることが大切なのです」

「ミキハウス」は国内外の富裕層をターゲットにした超高級ライン「ミキハウス ゴールドレーベル」を2022年秋物から展開する。同店でも訪日客や外商の若い顧客の購入が増えた。希少性の高い海島綿やホワイトグースダウン、カシミヤシルクといった高級素材を使用し、国内工場で生産しているため、一式そろえると40万円以上になる場合も。こんなときこそ、岡田さんのコンサルティング接客が生きてくる。

子育ての情報を常にアップデート

「1人目の出産のときに海島綿の肌着を買った韓国のお客さまが、2人目を妊娠され、先日、ミキハウスでそろえたいからとフルラインナップを購入されました。素材を気に入ってリピーターになる方も着実に増えています」。

ただし、自身が出産した20年前とは出産事情や育児の考え方が大きく変わってきている。そのため、「最新の情報やいまのママパパの思いを知っておくことが大切。語学も含めてやるべきことはたくさんある」と岡田さん。常に精進することを忘れない姿勢も、顧客の信頼獲得につながっている。


岡田由紀子さんの「接客POINT」

油脂分の多い海島綿がなぜ赤ちゃんのデリケートな肌にいいのかを理論立てて説明。肌着の替えが2~3枚は必要なこと、肌着に紐がついている理由など、自身の経験や失敗談も交えながら説明し、顧客の悩みや不安を解消する。


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ベビー服からランドセルまで成長に寄り添う 「ミキハウス」阪急うめだ本店・岡田由紀子さん

「ミキハウス」の子育てキャリアアドバイザーであり、阪急うめだ本店の出産準備用品アドバイザーとして活躍する。全国の阪急阪神百貨店の中でも3~4%の販売員しか付けていない胸元の金色のプレートが、優秀販売員の証しだ。

三起商行に入社して28年。同期の中では最速の入社4年目で店長に抜擢された。その後、子供を2人出産。産休・育休を経て復帰し、働きながら子育てしてきた経験と知識を、接客の現場で最大限に発揮する。産休に入る前、木村皓一社長から「産んで戻ってきいや。お客さまのために自分の経験を生かさなあかんでぇ」と言葉をかけられたのが、いまでも励みになっているという。

出産・育児の経験を接客に生かす

出産、育児の経験を売り場で役立て顧客に還元していきたいという思いは、コンサルティング接客という形で実現。1人1人に寄り添いながら、その顧客に必要なものを自身の経験と知識に基づいて提案している。

「お子さまの成長を見守りながら一緒に喜べるのが、この仕事の醍醐味。ファーストミキハウスからランドセルまで長い付き合いにするためには、まず信頼を得ないとお客さまはついてきません。この人ならなんでも知っているし、教えてくれると思ってもらえることが大切なのです」

「ミキハウス」は国内外の富裕層をターゲットにした超高級ライン「ミキハウス ゴールドレーベル」を2022年秋物から展開する。同店でも訪日客や外商の若い顧客の購入が増えた。希少性の高い海島綿やホワイトグースダウン、カシミヤシルクといった高級素材を使用し、国内工場で生産しているため、一式そろえると40万円以上になる場合も。こんなときこそ、岡田さんのコンサルティング接客が生きてくる。

子育ての情報を常にアップデート

「1人目の出産のときに海島綿の肌着を買った韓国のお客さまが、2人目を妊娠され、先日、ミキハウスでそろえたいからとフルラインナップを購入されました。素材を気に入ってリピーターになる方も着実に増えています」。

ただし、自身が出産した20年前とは出産事情や育児の考え方が大きく変わってきている。そのため、「最新の情報やいまのママパパの思いを知っておくことが大切。語学も含めてやるべきことはたくさんある」と岡田さん。常に精進することを忘れない姿勢も、顧客の信頼獲得につながっている。


岡田由紀子さんの「接客POINT」

油脂分の多い海島綿がなぜ赤ちゃんのデリケートな肌にいいのかを理論立てて説明。肌着の替えが2~3枚は必要なこと、肌着に紐がついている理由など、自身の経験や失敗談も交えながら説明し、顧客の悩みや不安を解消する。


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【フェムテック再考 vol.1】2023年は種まき期間? ブームでは終わらない企業の未来図

ここ数年で耳にすることが一気に増えた「フェムテック」。その話題性から参入するアパレルやビューティ企業は後を立たない。一方で、今年に入って新ブランドのローンチをはじめ企業発のフェムテック関連のニュースもやや落ち着いた印象だ。一度はブームにのったものの、進むべき方向性を見失ってしまった企業も多いのではないだろうか。

フェムテックをブームで終わらせずに、企業がビジネスとして成長・定着させるために必要なものは何か。日本・アジアにフェムテック市場を作り、定着させるために必要な企業のサポートや啓発活動、プロダクトの輸入をはじめ、フェムテックにまつわるありとあらゆる取り組みを行うフェルマータ(fermata)の近藤佳奈・最高執行責任者(COO)がフェムテック事業を着実に継続・成長させていくためのコツを全6回に渡って紐解く。初回は、ブームになってからの企業の取り組みと消費者のリアル、企業のフェムテックに取り組む姿勢の変化を分析する。次回は「吸水ショーツの先のニーズを考える」をお届け予定。

PROFILE:近藤佳奈/フェルマータCOO

(こんどう・かな)神戸大学卒業。ピクシブで新規事業立ち上げ、企画営業、サービスディレクションを担当。2015年ディー・エヌ・エーに入社。動画配信サービス「ショールーム(SHOWROOM)」チームに所属し、ディー・エヌ・エーグループからのスピンオフを経て約4年半在籍し、マネージャーとしてビジネスとプロダクト開発を担当。19年12月フェルマータに参画し、事業戦略、マーケティング、営業などを統括する

「フェムテック」が世間で
認識され始めたのはジーユーの吸水ショーツから

そもそも「フェムテック」という言葉をみなさんが耳にすることが増えたのはいつからでしょうか。2021年春に「ジーユー(GU)」が1490円という非常に手に取りやすい価格で吸水ショーツを発売したことが1つのきっかけになったと考えています。雑誌やテレビなどメディアで取り上げられていた記憶がある方も多いのではないでしょうか。その後、半年〜1年半ほどのあいだに吸水ショーツを打ち出すアパレル企業が増加。その延長線上でフェムテックというワードが普及しました。それに伴い、デリケートゾーンケア商品を発売する化粧品メーカーも多かったように思います。

そもそもフェムテックとはFemale(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語。女性が抱える健康課題をテクノロジーで解決する商品(製品)やサービスのことですが、もともとはビジネス・投資業界のジェンダーギャップから生まれました。男性比率の高い投資家から、女性の健康課題を解決しようとするプロダクトに出資を募る際、当事者でない人にも分かりやすくするためにフェムテックというキャッチーな言葉をつけたのです。

これまで社会的・文化的な背景から顕在化していなかった課題に取り組む領域なので、多くの人にとって初めて触れる製品も多く、共通認識をまだまだ持ちにくいからこそ、話題性があるワードを冠することでコミュニケーションが円滑になるという側面も。店舗名や商品名に掲げたいという企業も一定数いますが、その時は「なぜフェムテックと入れたいのか?」「それは本当に消費者にとって有意義か?」を問うことが重要です。

フェムテック事業の継続には
会社全体で課題解決を目指す姿勢が必要

ワードのインパクトと、売り上げという形で結果がついてくるかどうかは別の問題です。その事業に参入することで得られる副次的な効果(投資効果)を含めて、社内の説得および期待値調整を行い、長い目で見て取り組む意識が欠かせません。

既存事業の延長線でアパレルメーカーが吸水ショーツを作ったり、化粧品メーカーがフェムケアアイテムを打ち出したりすることは、企業にとっては参入障壁が低く、実際に事例としても多く見られます。しかし結局は社内でその取り組み価値が真に理解されていなければ、表面上の数字がついてこないとすぐに事業は打ち切られてしまいます。その企業や担当者にとっては、「フェムテックは売れないので意味がない」という印象になってしまうでしょう。

「売れる」にはさまざまな要因が絡みあいます。競合の出現による価格競争、法規制の整備、ニーズを捉えたモノづくり、景気、消費者のリテラシー……。ビジネスを継続する上でどうしても売上は必要ですが、市場そのものが育ち切っていない今、フェムテック事業に参入するには、綿密な計画が欠かせません。

現在多くの企業が女性活躍の方針を掲げる中で、本質的な課題解決を目指しながらフェムテックに取り組むことは、他事業を含めた会社全体に大きなインパクト与えることができるはずです。3年後、5年後を見据えて、今どれだけ本質的な種まきができるか。ブームに乗りたいという気持ちだけでは超えられない、真剣な眼差しと市場を見極める力が、今企業には問われています。

実際に一足早く大きな転換点を迎えている企業もあります。伊藤忠商事のように経営者層を巻き込んで議論ができている企業では、3年後、5年後を見据えた中期経営計画にフェムテック事業を盛り込んでいます。

フェムテックと掲げることで
本当に必要な人に届かなくなる可能性もある

さて、消費者の間のムードも見ていきましょう。フェムテックは21年に流行語になったものの、自分とはあまり関係がなく、意識が高い人が使うものと認識されてしまうことも。「フェムテック」という言葉を使うことで、かえって解決したい悩みや課題を持つ“本当に必要としている”人に届かなくなってしまう可能性も秘めているのです。

たとえば、店頭で吸水ショーツについて説明すると、「こんな使い方ができるなんて知らなかった」「自分が不便に感じていたことに初めて気づいた」という方も多くいらっしゃいます。生理中の過ごし方は人と共有することが少なく、そもそも解決できると思っていない、不便さを感じながらも言語化できていない場合が多い。だからこそ製品が誕生した背景や、どんな課題を解決したいと思っているかなど、ストーリーを丁寧に伝えていく取り組みが必要です。

2023年のフェムテック市場は“種まき期間”

世間的にブランドのローンチなどフェムテック関連のニュースが取り上げられることは若干減っている印象があるかもしれません。ただし、前述したように当社の売上は右肩上がりに成長しています。企業の取り組み方として大きく変化しているのは、ブームに乗って3ヶ月〜半年でなにか形にしたいという要望ではなく、年単位の時間をかけて、長期に事業開発に取り組む企業が増えたこと。一度フェムテック事業を立ち上げ、その結果を受けて腰を据える形に方向転換している企業もあります。たとえばパラマウントベッドは、睡眠状況を分析する自社のセンサーを用いて睡眠状況を可視化することで、睡眠と女性特有の健康課題の関連性の把握に取り組む事により、フェムテック市場に参入。女性のライフステージにおける健康課題に取り組むために、社内でプロジェクトチームを発足しています。

フェムテックは新たにリーチできるターゲットの広がりや、企業イメージの醸成など、企業にとっての顧客拡大の足がかりにもなります。売上のKPIを持つことも大切ですが、それを持つのであれば、「そもそもその商品は顧客にとって必要なのか?」まで、立ち返らないといけないのです。

実際、ユーザーニーズの調査にもかなりの時間がかかるものです。特にフェムテックでは、簡単なアンケートだけでは消費者が本当に求めているものは見えてきません。欲しいものを聞くのではなく、嫌なことや不便に思っていることから、紐解くことが必要です。その上で、体験していただいたり、実際にサンプルを使ってもらったり、意見を聞くという地道なステップの繰り返しも欠かせません。究極、消費者は端的な答えは持っておらず、だからこそ企業としてソリューションを提供する価値があるのです。産みの苦しみに直面している企業も多いはずです。今年はまさに種まきの一年。1年半〜2年後にはきっと、日本に新たなフェムテックのムーブメントが巻き起こります。

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ここ数年で耳にすることが一気に増えた「フェムテック」。その話題性から参入するアパレルやビューティ企業は後を立たない。一方で、今年に入って新ブランドのローンチをはじめ企業発のフェムテック関連のニュースもやや落ち着いた印象だ。一度はブームにのったものの、進むべき方向性を見失ってしまった企業も多いのではないだろうか。

フェムテックをブームで終わらせずに、企業がビジネスとして成長・定着させるために必要なものは何か。日本・アジアにフェムテック市場を作り、定着させるために必要な企業のサポートや啓発活動、プロダクトの輸入をはじめ、フェムテックにまつわるありとあらゆる取り組みを行うフェルマータ(fermata)の近藤佳奈・最高執行責任者(COO)がフェムテック事業を着実に継続・成長させていくためのコツを全6回に渡って紐解く。初回は、ブームになってからの企業の取り組みと消費者のリアル、企業のフェムテックに取り組む姿勢の変化を分析する。次回は「吸水ショーツの先のニーズを考える」をお届け予定。

PROFILE:近藤佳奈/フェルマータCOO

(こんどう・かな)神戸大学卒業。ピクシブで新規事業立ち上げ、企画営業、サービスディレクションを担当。2015年ディー・エヌ・エーに入社。動画配信サービス「ショールーム(SHOWROOM)」チームに所属し、ディー・エヌ・エーグループからのスピンオフを経て約4年半在籍し、マネージャーとしてビジネスとプロダクト開発を担当。19年12月フェルマータに参画し、事業戦略、マーケティング、営業などを統括する

「フェムテック」が世間で
認識され始めたのはジーユーの吸水ショーツから

そもそも「フェムテック」という言葉をみなさんが耳にすることが増えたのはいつからでしょうか。2021年春に「ジーユー(GU)」が1490円という非常に手に取りやすい価格で吸水ショーツを発売したことが1つのきっかけになったと考えています。雑誌やテレビなどメディアで取り上げられていた記憶がある方も多いのではないでしょうか。その後、半年〜1年半ほどのあいだに吸水ショーツを打ち出すアパレル企業が増加。その延長線上でフェムテックというワードが普及しました。それに伴い、デリケートゾーンケア商品を発売する化粧品メーカーも多かったように思います。

そもそもフェムテックとはFemale(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語。女性が抱える健康課題をテクノロジーで解決する商品(製品)やサービスのことですが、もともとはビジネス・投資業界のジェンダーギャップから生まれました。男性比率の高い投資家から、女性の健康課題を解決しようとするプロダクトに出資を募る際、当事者でない人にも分かりやすくするためにフェムテックというキャッチーな言葉をつけたのです。

これまで社会的・文化的な背景から顕在化していなかった課題に取り組む領域なので、多くの人にとって初めて触れる製品も多く、共通認識をまだまだ持ちにくいからこそ、話題性があるワードを冠することでコミュニケーションが円滑になるという側面も。店舗名や商品名に掲げたいという企業も一定数いますが、その時は「なぜフェムテックと入れたいのか?」「それは本当に消費者にとって有意義か?」を問うことが重要です。

フェムテック事業の継続には
会社全体で課題解決を目指す姿勢が必要

ワードのインパクトと、売り上げという形で結果がついてくるかどうかは別の問題です。その事業に参入することで得られる副次的な効果(投資効果)を含めて、社内の説得および期待値調整を行い、長い目で見て取り組む意識が欠かせません。

既存事業の延長線でアパレルメーカーが吸水ショーツを作ったり、化粧品メーカーがフェムケアアイテムを打ち出したりすることは、企業にとっては参入障壁が低く、実際に事例としても多く見られます。しかし結局は社内でその取り組み価値が真に理解されていなければ、表面上の数字がついてこないとすぐに事業は打ち切られてしまいます。その企業や担当者にとっては、「フェムテックは売れないので意味がない」という印象になってしまうでしょう。

「売れる」にはさまざまな要因が絡みあいます。競合の出現による価格競争、法規制の整備、ニーズを捉えたモノづくり、景気、消費者のリテラシー……。ビジネスを継続する上でどうしても売上は必要ですが、市場そのものが育ち切っていない今、フェムテック事業に参入するには、綿密な計画が欠かせません。

現在多くの企業が女性活躍の方針を掲げる中で、本質的な課題解決を目指しながらフェムテックに取り組むことは、他事業を含めた会社全体に大きなインパクト与えることができるはずです。3年後、5年後を見据えて、今どれだけ本質的な種まきができるか。ブームに乗りたいという気持ちだけでは超えられない、真剣な眼差しと市場を見極める力が、今企業には問われています。

実際に一足早く大きな転換点を迎えている企業もあります。伊藤忠商事のように経営者層を巻き込んで議論ができている企業では、3年後、5年後を見据えた中期経営計画にフェムテック事業を盛り込んでいます。

フェムテックと掲げることで
本当に必要な人に届かなくなる可能性もある

さて、消費者の間のムードも見ていきましょう。フェムテックは21年に流行語になったものの、自分とはあまり関係がなく、意識が高い人が使うものと認識されてしまうことも。「フェムテック」という言葉を使うことで、かえって解決したい悩みや課題を持つ“本当に必要としている”人に届かなくなってしまう可能性も秘めているのです。

たとえば、店頭で吸水ショーツについて説明すると、「こんな使い方ができるなんて知らなかった」「自分が不便に感じていたことに初めて気づいた」という方も多くいらっしゃいます。生理中の過ごし方は人と共有することが少なく、そもそも解決できると思っていない、不便さを感じながらも言語化できていない場合が多い。だからこそ製品が誕生した背景や、どんな課題を解決したいと思っているかなど、ストーリーを丁寧に伝えていく取り組みが必要です。

2023年のフェムテック市場は“種まき期間”

世間的にブランドのローンチなどフェムテック関連のニュースが取り上げられることは若干減っている印象があるかもしれません。ただし、前述したように当社の売上は右肩上がりに成長しています。企業の取り組み方として大きく変化しているのは、ブームに乗って3ヶ月〜半年でなにか形にしたいという要望ではなく、年単位の時間をかけて、長期に事業開発に取り組む企業が増えたこと。一度フェムテック事業を立ち上げ、その結果を受けて腰を据える形に方向転換している企業もあります。たとえばパラマウントベッドは、睡眠状況を分析する自社のセンサーを用いて睡眠状況を可視化することで、睡眠と女性特有の健康課題の関連性の把握に取り組む事により、フェムテック市場に参入。女性のライフステージにおける健康課題に取り組むために、社内でプロジェクトチームを発足しています。

フェムテックは新たにリーチできるターゲットの広がりや、企業イメージの醸成など、企業にとっての顧客拡大の足がかりにもなります。売上のKPIを持つことも大切ですが、それを持つのであれば、「そもそもその商品は顧客にとって必要なのか?」まで、立ち返らないといけないのです。

実際、ユーザーニーズの調査にもかなりの時間がかかるものです。特にフェムテックでは、簡単なアンケートだけでは消費者が本当に求めているものは見えてきません。欲しいものを聞くのではなく、嫌なことや不便に思っていることから、紐解くことが必要です。その上で、体験していただいたり、実際にサンプルを使ってもらったり、意見を聞くという地道なステップの繰り返しも欠かせません。究極、消費者は端的な答えは持っておらず、だからこそ企業としてソリューションを提供する価値があるのです。産みの苦しみに直面している企業も多いはずです。今年はまさに種まきの一年。1年半〜2年後にはきっと、日本に新たなフェムテックのムーブメントが巻き起こります。

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「トートバッグ以外も知ってほしい」 「ビューティフルピープル」がジーユーと組んだ理由

「ジーユー(GU)」は11月3日、「ビューティフルピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」とのコラボコレクション第2弾を全国の店舗とオンラインストアで発売する。「ビューティフルピープル」は、デザイナーの熊切秀典が文化服装学院時代の同級生らと2007年にブランド開始。“大人のための子ども服”として企画したキッズシリーズのライダースジャケットやトレンチコートが早々にヒットし、瞬く間に東京コレクションの看板ブランドに駆け上がった。17-18年秋冬シーズン以降はパリに発表の場を移し、それから5年超。「ジーユー」とのコラボについてや、パリに出て感じたことを熊切に聞いた。

WWD:3月に発売した「ジーユー」とのコラボ第1弾に続き、今秋第2弾を発売する。改めて、「ジーユー」と協業に至った経緯は。

熊切秀典「ビューティフルピープル」デザイナー(以下、熊切):第1弾も第2弾も、僕らの方から「ジーユー」にコラボをオファーしました。「ビューティフルピープル」は若い世代にとっては特に、トートバッグのブランドというイメージが強くなっていて、洋服を作っているブランドだという印象が弱まっている。そこを変えたかったというのがコラボを依頼した一番のきっかけです。

トートバッグは、僕が電車に乗ったら前に座っていた方が持っていたということもありました。それは非常にありがたいこと。ただ、ブランド本来の姿ではなく、トートバッグという商品1点だけで認知が広がっていくということには歯がゆい思いもありました。当初トートバッグは、お店に来たお客さまが洋服を買って、「これもかわいいから買っていこう」と一緒に買っていただくといった想定で企画した商品です。けれど人気になり過ぎてしまって、トートバッグ自体が目的になっていた。「ビューティフルピープル」といえば、昔は(パターンメーキングの工夫によって大人も着られるようにした)キッズサイズのライダースジャケットなどのイメージが先にあったと思います。トートバッグだけでなく、そういった面白いモノ作りの考え方の部分も幅広く伝わっていけばいいなという思いが(コラボを依頼した背景に)あります。

WWD:コラボの相手に「ジーユー」を選んだ理由は。「ユニクロ(UNIQLO)」なども候補としては考えたのか。

熊切:(他ブランドよりも)「ジーユー」だと更にいいなと思っていました。「ジーユー」というブランド名や、その由来となった自由という言葉がすごく好きだというのが第一の理由です。固定観念やつまらない考え方から自由になるということを、「ビューティフルピープル」としても非常に大切にしてきました。コラボのオファーをしたのは、ちょうど服の着方の既成概念から自由になる、といった考え方でコレクションを作っていた時期です。服の上下を入れ替えても着用できる“ダブルエンド”や、前後左右や上下、裏表を入れ替えて複数通りの着方を楽しめる“サイドC”といったパターンメーキングがそれです。また、「ジーユー」は最も低価格帯のブランドだというイメージも僕にはあって、そこで挑戦をしてみたいと思っていました。

コラボをきっかけにVIP顧客に

WWD:コラボ第1弾の反響は。

熊切:コラボをきっかけに「ビューティフルピープル」を知り、今ではVIP顧客になってくださったお客さまもいます。コラボの後は「ビューティフルピープル」のインラインでも(コラボで人気アイテムとなった)ジャージがよく売れて、単純にコラボは安いから買う、というわけではないんだなと感じました。ファン層が広がったことは、まさに僕らが狙っていた通りです。

また、「ジーユー」から多くのフィードバックをもらったことで、マーケティングとして非常に勉強になりました。例えば、“大人のための子ども服”のライダースジャケットは、ブランドとして15年間作り続けていますが、第1弾ではそれよりもジャージなどのアイテムの方が動きがよかった。今の若い子たちはファッションに目覚めた当初からオーバーサイズがはやっていて、“大人のための子ども服”のサイズ感では小さ過ぎるんだと思います。一方で、1.5足組のソックス(注:両足+1足組)はすぐに完売して、そういった既成概念を壊すといったブランドの個性の部分はしっかり面白がってもらえるんだという手応えがありました。

WWD:大手小売りとデザイナーズブランドとのコラボでは、元々のブランドファンから「コラボしてほしくない」といった声も必ず出るものだが。

熊切:そういう声もあったとは店頭スタッフから聞いています。ただ、インラインとコラボは別物だと捉えてくださっているお客さまが多く、特にコラボをしたことでのマイナスは感じていません。コラボコレクションの考え方として、(インラインの焼き直しなどではなく)もう一個別のコレクションを作るという意識で作っています。「ビューティフルピープル」のコレクションが通常は年4回のところ、23年は5回、6回になったといったイメージ。デザインの組み立て方、考え方はインラインと同じですが、商品そのものは今までやったことのないものを作っているということです。その結果、インラインの商品もコラボも、両方着てくださっている顧客の方も多いです。

WWD:インライン、コラボ共通で、具体的にどのようにデザインを組み立てているのか。

熊切:「インターネットにないものを探す」ことが近年は大きなテーマになっています。それでコラボ第2弾では、ブランドメンバーの思い出の写真を出発点にしました。僕と戸田(昌良パタンナー)が文化の学生だった頃、同級生の実家を訪ねて博多に遊びに行ったときの写真もその一枚。冬なのに当時はみんなすごく薄着で、すごくかっこよかったんです。あと、若林(祐介 営業担当)が文化を卒業した後に配線の仕事をしていた時期があって、そのワークスタイルもインスピレーション源になっています。どれもエモいんだけど、エモさの中で(今の時代に合わせて)何を新しくすべきか、何が必要かというのを考えていく。シルエットやバランスを見ながら試行錯誤を繰り返していく大変な作業ですが、それを経るからこそどこかで見たことがあるようで見たことがないものに仕上がる。一見カジュアルなのに、着るとカジュアルではないといったアイテムはこのように作っています。

WWD:「インターネットにないものを探す」は、今の時代の多くのデザイナーにとって悲願なのではと思う。

熊切:インターネットにないものでなければ、作る意味はないというのが僕らの今の考え方。それを追いかけています。そうはいっても、企画チームの子たちはきっかけになる何かが必要みたいで、最初はネットサーフィンもしちゃうんですけど。僕も全くネットを見ないかといったらそんなことはありません。SNSを見るのは大好き。でも、実はスマートフォンは持っていなくて、ここ10年ほどiPadしか持っていません。だから、安全なWi-Fiにつながるカフェぐらいでしかネットは見ない。スマホを持ってしまうと、どうしてもそういうもの(ネット上の情報)に自分が影響を受けてしまう。人と違うことをするためには、人と違うことをやんなきゃなっていう考えで、ストイックに追い込んでみたんです。

「燃え尽きたと感じる部分があった」

WWD:17-18年秋冬シーズンから発表の場をパリに移した。それにより、デザインする上で変わった部分もあるか。

熊切:パリは去年の10月に発表した23年春夏をもって、プレゼンテーションを一旦休止しています。パリでの展示会は続けていますが、23-24年秋冬、24年春夏と現状はプレゼンを休んでいて、次は24年6月のメンズシーズンでパリに戻ろうかなと考えています。ウィメンズに関しては、ちょっと燃え尽きたなと感じる部分があって。“ダブルエンド”や、1つのアイテムで複数通りの着方を提案する“マルチプリシティー”のパターンを発表した後、それ以上のパターンの発展形って何かあるのかなと悩んでしまいました。男女の境界や時代の境界といったあらゆるボーダーを超えて共存するようなアイデアがパターンで実現できたと感じたし、22年春夏コレクションの一部がニューヨークのメトロポリタン美術館に収蔵されるというビッグニュースもありました。頑張ってきてよかったなという達成感と共に、次に何をやろうか考えてしまったんです。

WWD;パリで発表するようになって以降は、それまでに比べて非常にコンセプチュアルになったとも感じていた。

熊切:元々、東京で発表していたころは(パターンの追求以外にも)さまざまな手法で固定観念を超える、ウィットを効かせるといったデザインをしていました。でも、パリで発表するようになって自分の強みは何かと考えた時に、パタンナーだったことに立ち返りました。それでとにかくパターンの追求をしてきたんです。パリコレにカウンターパンチを打ち込みたいという思いもありました。ショーだけのためのコレクションピースではなく、リアルに販売する商品でこれ(パターンを生かしたさまざまな着方の提案)ができるんだぞということを見せたかった。まさにそれができて、やり切ったという気持ちになっていました。次は、東京でやっていたことと、パリのウィメンズで見せてきたことをうまく融合したコレクションを作りたいと思っています。

僕らが作ったパターンの構造の上にお化粧をすることならいくらでもできます。テーマを変えれば何でもできるんです。“ダブルエンド”のパンツだって、その時その時でデニムで作ったり、ミリタリーテイストにしたりといったことならいくらでもできる。それが“時代のムード”というものなのかもしれないですけど、自分としてはそれは何か違う。構造を作ることが僕らのデザインの一番重要な部分なのに、そんな形で継続することに意味はあるのかなと考えてしまいました。

WWD:プレゼンをメンズシーズンに移すのは生産期間の問題なのか(注:ウィメンズはメンズに比べ、プレゼンから実売までの期間が短い)。

熊切:それが一番大きいです。やはり10月と3月にパリコレで発表しても、実売まで3カ月しかないと生産が難しくてオーダーが付きづらい。実際、(メンズの発表時期と同時期にパリで展示会を行う)プレコレクションと、メインコレクションとでは、プレのオーダーの方が多いですから。もちろん、僕らのブランドの立ち位置がそうだということなんでしょうけど。自分の強みを突き詰められたという点で、パリで5年間、ウィメンズをやったことはよかったなと思っています。「ビューティフルピープル」を始める前は僕はずっとメンズを手掛けていましたし、今回の「ジーユー」とのコラボも全てユニセックスで、男女の体の作りの違いを乗り越えたパターン設計にしています。実際に、コラボ第1弾で男性のお客さまが想像よりも多いことも分かりました。発表時期をメンズシーズンに移すのは生産時期というビジネス上の問題ですが、これからはメンズシーズンに(男女の差などの)ボーダーを超えたコレクションを見せていきます。

WWD:07年のブランド設立から17年。今の率直な気持ちや、20周年に向けての思いは。

熊切:今は早くパリに行きたくてしょうがない。メンズシーズンにパリに復帰というのはまだ予定で、これから調整していく部分もあるんですが、6月を待ち遠しく感じています。iPadを見ていると、パリのレストランで撮った写真がリマインドされてくることがありますが、「この料理、美味しかったなあ」とか考えたり。もちろん、パリに行きたい理由はそれだけではありませんが(笑)。20周年に向けての目標もありますが、それについてはまだ非公開。パリと東京で、同時に何か面白い取り組みができたらと考えています。ブランドメンバーのバンド「ザ・ビューティフルピープル」で、またライブもするかもしれません。

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ラテン界のスーパースター、カミーロ 象徴的なヒゲと“まっくろくろすけネイル”を聞く

カミーロ/シンガー・ソングライター、プロデューサー

1994年生まれ、コロンビア第二の都市メデジン出身。2007年に出演したオーディション番組で優勝し、2008年にデビュー。その後、音楽活動を休止し、2015年にアメリカ・フロリダへと移住。現地でソングライターとして活躍し、その実力が認められる形で2019年に再デビュー。ラテンアメリカを中心に絶大な人気を誇り、現在インスタグラムでは2820万以上のフォロワーを抱え、「スポティファイ」の月間リスナーも2100万人を超える

プエルトリコ出身のバッド・バニー(Bad Bunny)が3年連続で「スポティファイ(Spotify)」の“世界で最も再生されたアーティスト”に輝き、コロンビア出身のJ.バルヴィン(J Balvin)は「マクドナルド(McDONALD’S)」や「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」とコラボし、プエルトリコ系のジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)とコロンビア出身のシャキーラ(Shakira)の2人はNFLのハーフタイムショーに出演(2020年)するなど、ここ数年の音楽シーンはラテンアメリカ勢の躍進が見られる。この潮流で存在感を一際増している新星が、コロンビア出身のシンガーソングライターでプロデューサーのカミーロ(Camilo)だ。

ラテンポップの第一人者と称されるカミーロだが、日本では同ジャンル自体のなじみが薄いこともあり、本稿で初めて名前を知った方々も多いかもしれない。しかし、彼は2020年にリリースした1stアルバム「Por Primera Vez」から最新作となる3rdアルバム「De Adentro Pa Afuera」まで、3作が3年連続で最優秀ラテン・ポップ・アルバム賞にノミネートされ、これまでに発表した楽曲のトータル再生数は150億回超えを記録。また、「スポティファイ」の月間リスナー数は毎月2000万人以上で、インスタグラムでも2819万フォロワーを抱える、ラテン界のスーパースターなのである。

そんな彼が8月、音楽フェス「ソニックマニア(SONICMANIA)」と「サマーソニック 2023(SUMMER SONIC 2023)」への出演のために初来日。多忙なスケジュールの関係でネイルの施術を受けながら、デビューからブレイクまでの道のりをはじめとする音楽関連の質問と共に、シンボリックなヒゲや並々ならぬ日本文化への愛までを聞いた。

音楽に魅せられた幼少期

ーーまずは、アーティスト活動を始めたきっかけを教えてください。

カミーロ:物心ついた頃から音や言葉に愛情を持つ感覚があって、今思えばそれが音楽に魅了された第一歩だったんだと思う。小学生の頃には、毎日学校から帰ったらおもちゃで遊ぶようにギターを弾いていて、それが次第に作曲や作詞に移り変わり、オーガニックな感じでキャリアにつながっていったのさ。

ーーということは、幼い頃からアーティストを志していたのでしょうか?

カミーロ:その頃は、具体的な将来のことなんて全然考えずに過ごしていて、ただ単にギターを弾いて「楽しいな〜うれしいな〜」って感じ。でも、もう少し成長してからすぐに「あれ?もしかして仕事になるかも?」と思い始めたね。アーティストとして生計を立てることは、情熱や愛情があれば誰もができるわけではないし、その思いを秘めながら他の仕事に就いている人たちもいるわけで、すごく恵まれていることだと常々感謝しているよ。

ーー小学生の頃にはギターを手にしていたとのことで、家族や親戚など近しい方が音楽業界に身を置いていたのでしょうか?

カミーロ:いや、誰もいないね。ただ、両親がとにかく音楽好きで、家にはカセットやレコードが山のようにあったんだ。ギターを弾き始めた頃は、その山の中にどんな音楽があるのか、探すのが楽しみで仕方なかったね。ミュージシャンとして両親から学ぶことはなかったかもしれないけど、センスや音楽的感覚は養ってもらったよ。

ーー両親はどのような音楽を?

カミーロ:とにかく幅広くて、古いバジェナート(注:コロンビア発祥の音楽ジャンル)を中心としたコロンビアの伝統音楽はもちろん、アルゼンチンをはじめとするラテンアメリカ系、メキシコ系、アンデス系、スペイン系まであったことを覚えている。その中で、ザ・ビートルズ(The Beatles)やザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)、ピンク・フロイド(Pink Floyd)などのロック系もしっかりそろっていたし、あらゆる音楽を収集していたんだと思う(笑)。

人生の転機となったパートナーとの出会い

ーーそれでは、デビューの経緯を教えてください。

カミーロ:13歳だった07年に出演したTV番組が、翌年からのプロアーティストになるきっかけではあったものの、そのあと一時活動を休止して、今のパートナーであるエヴァルナ・モンタネール(Evaluna Montaner、ベネズエラ出身の歌手で女優)と出会ったことが全てを大きく変えたんだ。15年に彼女を追ってアメリカ・マイアミに移住した時、アーティストになることは全然頭になかったんだけど、とある女性アーティストの作詞をする機会に恵まれた。そして、エヴァルナのことを想って書くことが、結果として自分の知らない新たな感受性を発掘することにつながり、それが多くの人たちの共感を生むことが分かったんだ。それからしばらくソングライターとしてキャリアを積み、18年から再び歌うことになったね。本当に、彼女との出会いが僕のアーティストデビューと言っていいよ。

エヴァルナは周りの人が思っている以上に重要な存在で、それは単にインスピレーションというわけではなくて、ヒットした曲のうち3曲は一緒に歌って、ツアーも同行して、全てのMVを映像ディレクターとして監督して、主に美容部分の見た目のディレクションまでしてくれている(笑)。本当に、僕の音楽活動の大部分を占めてくれているんだ。

ーーそんなエヴァルナさんも参加している3rdアルバム「De Adentro Pa' Afuera」を昨年リリースしています。自分の中ではどういった位置付けの作品でしたか?

カミーロ:これまでで最もパーソナルなことを歌った作品で、カミーロというアーティストとしても、1人の人間としてもメッセージを伝えられたと思っているよ。というのも、制作中にエヴァルナのお腹に娘インディゴを授かっていることが分かり、彼女についてを歌った「Indigo」という楽曲を作ったし、完成直後に産まれてきてくれたんだ。全米とヨーロッパを回った全150公演の自身最大のツアーも成功させることができたけど、やっぱり商業的な意味以上に思い出深い作品だね。

ーーありがとうございます。ちなみに、今回の来日は「サマーソニック」の星野源さんがキュレーションするステージへの出演のためでした。このきっかけは?

カミーロ:まず、星野源さんが僕を見つけてくれたこと、初来日の機会をくれたこと、日本にいるファンとの橋渡しをしてくれたこと、全てに感謝している。ファーストコンタクトは星野源さんからの連絡で、今まではネットを介してしか会ったことがなかったけど、今回の来日でようやく直接話ができて、今後一緒にレコーディングができればと思っているよ。改めて、初来日が観光ではなく仕事というのは、出来過ぎた話だ。ありがとう。

ネイルやヒゲ、ファッションで探求する自己表現

ーーここからは、音楽以外のことについてフォーカスさせてください。今回のインタビューは、時間の関係でネイルをしながら行っていますが、ネイル歴は長いのでしょうか?

カミーロ:顔も、体も、服も、全てが自分を表現するメッセージになり得ると思っていて、かなり昔からセルフネイルをしているんだ。自分でやるから複雑なデザインはできないけど、“神は地面の土で人間を作った”という神話に着想して、泥をイメージしたシンプルなドット柄のネイルをすることが多いね。プロのネイリストにやってもらうのは人生で初めてだから、どんなネイルになるか楽しみだよ。

ーーヒゲにもこだわりが見られますが、そのシンボリックなデザインはいつから蓄えるようになったのでしょうか?

カミーロ:ソングライターとして活動していた時、あまりにも忙しくて1カ月ほどヒゲをそらずにスタジオにこもって曲を書いていたら、ヒゲが伸び切った僕の姿を見たエヴァルナが「最高!絶対にそっちゃダメ」って(笑)。それから2人で考えて今のスタイルに落ち着いたんだけど、もうヒゲのない自分が想像できないくらい顔に溶け込んでいるし、“カミーロのシンボル”にもなってくれたね。

ーーどのように形作っているんですか?

カミーロ:ヒゲ用のワックスがあって、指先ですくい取ったら(小さじ1杯ほど)手のひらで伸ばしてよく温めて、全体に万遍なく塗りこんでいく感じだね。

ーー日本にはヒゲで遊ぶ文化があまり根付いていないのですが、ラテンアメリカでは頻繁に見られるものなのでしょうか?

カミーロ:まさか、コロンビアでも珍しがられるよ(笑)。インドには比較的いるらしいけど、どこに行っても同じようなヒゲの人はほとんど見かけたことはないかな。ラテンアメリカの男性の多くは、1cmくらいの短いヒゲのスタイルが多いね。

ーー実は、日本ではヒゲで遊ぶことはおろか、多くの一般企業のサラリーマンはヒゲをそることがエチケットの一部とされているんです。

カミーロ:そうなんだ!街行く日本人は、そんな凝り固まった生活を送っているように見えないから、そんなこと思いもしなかったよ。でもその分、他の国の人よりも自由に多様性のあるファッションを楽しんでいる気がするな。

ーーカミーロさん自身は、ファッションでこだわりやマイルールはあるんでしょうか?

カミーロ:私服だと、とにかく着やすさが一番だね。ライブでは、事前にデザインした衣装を着ることがほとんどで、ステージを動き回るタイプだから動きやすさを重視しているよ。色でいうと、ベーシックカラーが好きだね。ただ、レッドカーペットがあるようなイベントのときは話が変わってくるから、ブラックのイメージが強い「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」をよく着ているよ。

今日着ているのは私服で、トップスはロサンゼルスを拠点にしている日本人デザイナーのMUTSUさんが手掛ける「プロスペクティブ フロウ(PROSPECTIVE FLOW)」のアイテムさ。「プロスペクティブ フロウ」は品質とパターンが素晴らしくて、その服に自分を表現するDIY的なアレンジするのが好きだから、このトップスの刺しゅうも自分で入れているんだ。ボトムスはいつもエヴァルナとシェアしていて、買うときはお互いが着られるサイズを選んでいる。だから、今履いているのはクローゼットの中にあった気に入っているやつだけど、エヴァルナが買ったものでどこのブランドのアイテムか分からない(笑)。スニーカーは、「アディダス オリジナルス(ADDIDAS ORIGINALS)」とバッド・バニーのコラボモデルだね。

ジャパノファイルな一面

ーーDIY的なアレンジといえば、藍染に興味があるそうですね。

カミーロ:娘の名前をインディゴにするくらいインディゴブルーと藍色が好きで(注:インディゴ染めは化学染料を、藍染は天然染料を使用)、歴史や過程にも興味があって多くの文献を読んだけど、まだ直接現場は見たことがないんだよね。日本は藍染文化が伝統らしいから、どこかのタイミングで藍師や染師に会えればと思っているよ。

ーー他に今回の来日で計画していることはありますか?

カミーロ:初来日だから気合いを入れて、僕とエヴァルナの両親、それに姉まで連れてきて、数日の東京を楽しんだあと、箱根と京都に行って、また東京に帰ってくる予定だね。お茶の世界に触れられるような場所は絶対に行きたいし、食文化も楽しめるだけ楽しみたいし、日本のアニメを観て育ったからなんらかのグッズを買いたいと思うよ。

ーー例えばどんなアニメを?

カミーロ:今日まっくろくろすけのネイルをしてもらったように、宮崎駿とスタジオジブリの作品は僕にとって重要な存在で、一番は「千と千尋の神隠し」だね。それから、「ドラゴンボール」と「ポケモン」「遊戯王」も人生に大きな影響を与えているかな。

ーーあなたと同郷のJ・バルヴィン(J Balvin)も和風の別荘を建てていたり、コロンビアでは何かと日本文化に触れる機会が多いのでしょうか?

カミーロ:コロンビアに限らずラテンアメリカの人々にとって、アニメは日本という国を知るための門戸なんだ。小さい頃は吹き替えもされているからコロンビアのアニメだと思って観るけど、それが地球の反対側の日本産だと知って国のことを調べると、アニメよりも奥深い文化や歴史といった背景が潜んでいて、どっぷり魅了される人が多いんだ。この間、知り合いの音楽プロデューサーもプライベートで来日していたし、アーティスト系は特に顕著だと思うよ。改めて、日本に来れたことがうれしくてたまらない。機会をくれた全ての人に感謝したいね。

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31年目を迎えるエスティ ローダー カンパニーズの“乳がんキャンペーン” 日本法人トップに聞く啓発活動を続ける理由

エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)の乳がんキャンペーンは、創業者の義理の娘である故エヴリン H. ローダー(Evelyn Lauder)元エスティ ローダー カンパニーズ シニア コーポレート ヴァイス プレジデントの「命を救いたい」という願いから、1992年に創設された。同社は毎年10月を「乳がんキャンペーン」月間と定め、乳がんのない世界実現を目指し、支援製品の収益金による寄付活動などを通じて乳がん研究をサポートするほか、様々な情報発信や支援活動を行っている。

活動開始から31年目を迎える今年は“美しい絆で、乳がんのない世界へ”をテーマに掲げ、清水寺や東京スカイツリーのライトアップをはじめ、収益金の一部が支援につながる限定商品などを展開している。10月26日からは乳がんに対する意識を高めるための美しいきっかけを作りを目指し、東京・丸の内ブリックスクエアでイベントを開催する。こうして長年にわたり乳がんキャンペーンを展開し続ける理由について、ジェームズ・アクィリナ(JAMES AQUILINA)ELCジャパン合同会社 職務執行者社長に話を聞いた。

“乳がんキャンペーン”と
ピンクリボンのパイオニア

WWD JAPAN(以下、WWD):エスティ ローダー カンパニーズは“乳がんキャンペーン”とその象徴となるピンクリボンを広めてきたパイオニアだ。会社全体で取り組むその意義とは?

ジェームズ・アクィリナ職務執行者社長(以下、アクィリナ):乳がんは日本を含め世界中で最も診断数が多いがんである。乳がんと闘っている方をはじめ、患者のサポートをする家族、友人や同僚などそれぞれの背景や立場に関係なく、みんなで乳がんについて考えることが必要であると感じている。ピンクリボンは、“乳がんキャンペーン”に対する意識の向上や啓発のためのシンボル。10月になるとスタッフはピンクリボンのバッジを胸につけ、サムシングピンクのコーディネートで出社する者もいる。これは団結の印でもある。エヴリン H. ローダーがこのキャンペーンを開始した1992年当時は、乳がんについて気軽に話せるようなムードではなかった。それでは状況は改善しないとエヴリンは考え、乳がんについて安心して話せる環境をつくること、意識を向上させること、そして、乳がんのない世界を実現させるための研究や教育、医療サービスを提供することを目的にキャンペーンをスタートした。今では多くの会社が賛同し、様々な活動を行っている。そんなレガシーを持つ会社で働くことは、私の誇りでもある。

WWD:日本での “乳がんキャンペーン”がスタートしたのは?

アクィリナ:1997年にスタートした。今年も日本では東京スカイツリーや京都の清水寺をピンク色にライトアップし、26日からはイベントも開催しているが、こういった話題を通じて、人々が乳がんについて話題にしたり、乳がん検診やセルフチェックを考えたりするきっかけになることを願っている。また、清水寺では乳がんによって亡くなられた方への追善供養法要を行なった。世界中で行われているピンク色のライトアップには、罹患された方やそのご家族に対する団結、病気に関係する人々への敬意の意味も含まれている。

乳がんによる女性の死亡率は
1980年代から43%減少

WWD:31年間の“乳がんキャンペーン”で、手応えを感じた取り組みは?

アクィリナ:乳がんは日本を含め、世界的に最も多く診断されるがん※1であるが、乳がんによる女性の死亡率は、早期発見と医療技術の進歩によって、1980年代から43%減少している※2。弊社は世界で60以上の団体を様々な形で支援し続けており、現在までに寄付金総額1億1800万ドル(※公開週のレートに合わせて日本円入れます)以上、そのうち9300万ドル(※公開週のレートに合わせて日本円入れます)以上が「米国乳がん研究基金(BCRF)」を通じて、医療プロジェクトに活用されている。日本では2014年よりJBCRG(Japan Breast Cancer Research Group)に対して寄付を行っており、2023年10月時点で5000万円以上を寄付している。弊社はプレステージ製品を販売するグローバルビューティカンパニーとして、製品や店頭でお客様に接する販売員を通して、大きなインパクトを与えられると信じている。

WWD:グローバルではどのような活動が行われているのか。

アクィリナ:乳がんの研究開発はもちろん、経済的な理由などで医療機関へアクセスしにくい人に対し検診の機会や医療資源を提供したり、乳がん啓発資料の作成などに使用されている。それにより、乳がんを身近に感じることができている。

早期発見のために
セルフチェックの習慣化を

WWD:早期発見のためにはどのようなことが必要になるのか。

アクィリナ:日本の乳がんの60%以上は、セルフチェックによって見つかっている※3。その一方、昨年弊社がNielsenと共同で行なったアジア太平洋地域における乳がんに関する調査では、日本人回答者の67%が「セルフチェックに自信がない」と回答している。これは、同じ質問への回答が約30%だったアジアの他の国に比べて対照的だ。早期発見を促すためにも、セルフチェックに関する情報をもっと発信する必要があると、あらためて感じている。

WWD:10月26日〜11月1日の間、丸の内ブリックスクエアで開催するイベントに期待することは?

アクィリナ:誰もが気軽に参加できるこのイベントが、乳がんについて考え、正しく理解するきっかけにしてほしいと思う。26日のイベント初日には、私とJBCRGで実際に研究や診断に携わっている先生とのメディカルミニトークセッションやフラワーバルーンの配布などが行われた。フラワーバルーンには、乳がん啓発情報カードが同封した。誰もが身近に感じる花を、乳がんに対する意識を高めるための美しいきっかけになるように、と思いを込めている。

また、乳がんキャンペーンやイベント、支援商品に関して、インスタグラムで指定のアカウント@esteelaudercompaniesのメンションと、ハッシュタグ「#TimeToEndBreastCancer」「#乳がんのない世界へ」をつけてフィード投稿すると、乳がん撲滅のための活動へ募金できる施策を実施している。10月1〜31日の期間は、1投稿につき25ドル(約3700円)、最大7万5000ドル(1120万円)がBCRFに寄付され、10月26〜31日の期間は、1投稿につき2500円、最大100万円がJBCRGに寄付される。ぜひ気軽に参加してほしい。

WWD:乳がんのない世界実現のための次のステップは?

アクィリナ:乳がんは世界中で最も診断数の多いがんだ。そのためにも、早期発見のためのセルフチェックを日常生活の中に根付かせることがとても重要だと考える。私の母国である米国では、遺伝子検査も浸透しており、それが早期発見と生存率向上への近道の一つになっている。

われわれの施策を通じて定期的な検診も習慣づけていただけるように、これからも継続して情報発信していく。エヴリン H. ローダーが「一人の力では成し遂げることはできません。多くの方の力が必要です」と語ったように、今こそ、乳がんのない世界を共に実現しよう。

※1 出展:世界保健機関
※2 American Cancer Society® Facts and Figures 2022-2024
※3 日本乳癌学会全国乳がん患者登録調査

丸の内でイベントを開催

10月26日〜11月1日の期間、乳がんに対する意識を高めるきっかけづくりとして、イベント「PINK ME MARUNOUCHI」を丸の内エリアで開催する。同イベントでは、1000本のピンクフラワーバルーンと一緒に乳がん啓発情報カードを無料で配布する。丸の内ブリックスクエア イングリッシュガーデン噴水付近にはフォトスポットを用意する。

INFORMATION
■PINK ME MARUNOUCHI

日程:10月26日〜11月1日
時間:フラワーバルーンの配布は10月27〜29日・11:00~13:00(数量限定)
場所:丸の内仲通りエリア

TEXT:YOSHIE KAWAHARA
問い合わせ先
エスティ ローダー カンパニーズ 2023 乳がんキャンペーンPR事務局

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31年目を迎えるエスティ ローダー カンパニーズの“乳がんキャンペーン” 日本法人トップに聞く啓発活動を続ける理由

エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)の乳がんキャンペーンは、創業者の義理の娘である故エヴリン H. ローダー(Evelyn Lauder)元エスティ ローダー カンパニーズ シニア コーポレート ヴァイス プレジデントの「命を救いたい」という願いから、1992年に創設された。同社は毎年10月を「乳がんキャンペーン」月間と定め、乳がんのない世界実現を目指し、支援製品の収益金による寄付活動などを通じて乳がん研究をサポートするほか、様々な情報発信や支援活動を行っている。

活動開始から31年目を迎える今年は“美しい絆で、乳がんのない世界へ”をテーマに掲げ、清水寺や東京スカイツリーのライトアップをはじめ、収益金の一部が支援につながる限定商品などを展開している。10月26日からは乳がんに対する意識を高めるための美しいきっかけを作りを目指し、東京・丸の内ブリックスクエアでイベントを開催する。こうして長年にわたり乳がんキャンペーンを展開し続ける理由について、ジェームズ・アクィリナ(JAMES AQUILINA)ELCジャパン合同会社 職務執行者社長に話を聞いた。

“乳がんキャンペーン”と
ピンクリボンのパイオニア

WWD JAPAN(以下、WWD):エスティ ローダー カンパニーズは“乳がんキャンペーン”とその象徴となるピンクリボンを広めてきたパイオニアだ。会社全体で取り組むその意義とは?

ジェームズ・アクィリナ職務執行者社長(以下、アクィリナ):乳がんは日本を含め世界中で最も診断数が多いがんである。乳がんと闘っている方をはじめ、患者のサポートをする家族、友人や同僚などそれぞれの背景や立場に関係なく、みんなで乳がんについて考えることが必要であると感じている。ピンクリボンは、“乳がんキャンペーン”に対する意識の向上や啓発のためのシンボル。10月になるとスタッフはピンクリボンのバッジを胸につけ、サムシングピンクのコーディネートで出社する者もいる。これは団結の印でもある。エヴリン H. ローダーがこのキャンペーンを開始した1992年当時は、乳がんについて気軽に話せるようなムードではなかった。それでは状況は改善しないとエヴリンは考え、乳がんについて安心して話せる環境をつくること、意識を向上させること、そして、乳がんのない世界を実現させるための研究や教育、医療サービスを提供することを目的にキャンペーンをスタートした。今では多くの会社が賛同し、様々な活動を行っている。そんなレガシーを持つ会社で働くことは、私の誇りでもある。

WWD:日本での “乳がんキャンペーン”がスタートしたのは?

アクィリナ:1997年にスタートした。今年も日本では東京スカイツリーや京都の清水寺をピンク色にライトアップし、26日からはイベントも開催しているが、こういった話題を通じて、人々が乳がんについて話題にしたり、乳がん検診やセルフチェックを考えたりするきっかけになることを願っている。また、清水寺では乳がんによって亡くなられた方への追善供養法要を行なった。世界中で行われているピンク色のライトアップには、罹患された方やそのご家族に対する団結、病気に関係する人々への敬意の意味も含まれている。

乳がんによる女性の死亡率は
1980年代から43%減少

WWD:31年間の“乳がんキャンペーン”で、手応えを感じた取り組みは?

アクィリナ:乳がんは日本を含め、世界的に最も多く診断されるがん※1であるが、乳がんによる女性の死亡率は、早期発見と医療技術の進歩によって、1980年代から43%減少している※2。弊社は世界で60以上の団体を様々な形で支援し続けており、現在までに寄付金総額1億1800万ドル(※公開週のレートに合わせて日本円入れます)以上、そのうち9300万ドル(※公開週のレートに合わせて日本円入れます)以上が「米国乳がん研究基金(BCRF)」を通じて、医療プロジェクトに活用されている。日本では2014年よりJBCRG(Japan Breast Cancer Research Group)に対して寄付を行っており、2023年10月時点で5000万円以上を寄付している。弊社はプレステージ製品を販売するグローバルビューティカンパニーとして、製品や店頭でお客様に接する販売員を通して、大きなインパクトを与えられると信じている。

WWD:グローバルではどのような活動が行われているのか。

アクィリナ:乳がんの研究開発はもちろん、経済的な理由などで医療機関へアクセスしにくい人に対し検診の機会や医療資源を提供したり、乳がん啓発資料の作成などに使用されている。それにより、乳がんを身近に感じることができている。

早期発見のために
セルフチェックの習慣化を

WWD:早期発見のためにはどのようなことが必要になるのか。

アクィリナ:日本の乳がんの60%以上は、セルフチェックによって見つかっている※3。その一方、昨年弊社がNielsenと共同で行なったアジア太平洋地域における乳がんに関する調査では、日本人回答者の67%が「セルフチェックに自信がない」と回答している。これは、同じ質問への回答が約30%だったアジアの他の国に比べて対照的だ。早期発見を促すためにも、セルフチェックに関する情報をもっと発信する必要があると、あらためて感じている。

WWD:10月26日〜11月1日の間、丸の内ブリックスクエアで開催するイベントに期待することは?

アクィリナ:誰もが気軽に参加できるこのイベントが、乳がんについて考え、正しく理解するきっかけにしてほしいと思う。26日のイベント初日には、私とJBCRGで実際に研究や診断に携わっている先生とのメディカルミニトークセッションやフラワーバルーンの配布などが行われた。フラワーバルーンには、乳がん啓発情報カードが同封した。誰もが身近に感じる花を、乳がんに対する意識を高めるための美しいきっかけになるように、と思いを込めている。

また、乳がんキャンペーンやイベント、支援商品に関して、インスタグラムで指定のアカウント@esteelaudercompaniesのメンションと、ハッシュタグ「#TimeToEndBreastCancer」「#乳がんのない世界へ」をつけてフィード投稿すると、乳がん撲滅のための活動へ募金できる施策を実施している。10月1〜31日の期間は、1投稿につき25ドル(約3700円)、最大7万5000ドル(1120万円)がBCRFに寄付され、10月26〜31日の期間は、1投稿につき2500円、最大100万円がJBCRGに寄付される。ぜひ気軽に参加してほしい。

WWD:乳がんのない世界実現のための次のステップは?

アクィリナ:乳がんは世界中で最も診断数の多いがんだ。そのためにも、早期発見のためのセルフチェックを日常生活の中に根付かせることがとても重要だと考える。私の母国である米国では、遺伝子検査も浸透しており、それが早期発見と生存率向上への近道の一つになっている。

われわれの施策を通じて定期的な検診も習慣づけていただけるように、これからも継続して情報発信していく。エヴリン H. ローダーが「一人の力では成し遂げることはできません。多くの方の力が必要です」と語ったように、今こそ、乳がんのない世界を共に実現しよう。

※1 出展:世界保健機関
※2 American Cancer Society® Facts and Figures 2022-2024
※3 日本乳癌学会全国乳がん患者登録調査

丸の内でイベントを開催

10月26日〜11月1日の期間、乳がんに対する意識を高めるきっかけづくりとして、イベント「PINK ME MARUNOUCHI」を丸の内エリアで開催する。同イベントでは、1000本のピンクフラワーバルーンと一緒に乳がん啓発情報カードを無料で配布する。丸の内ブリックスクエア イングリッシュガーデン噴水付近にはフォトスポットを用意する。

INFORMATION
■PINK ME MARUNOUCHI

日程:10月26日〜11月1日
時間:フラワーバルーンの配布は10月27〜29日・11:00~13:00(数量限定)
場所:丸の内仲通りエリア

TEXT:YOSHIE KAWAHARA
問い合わせ先
エスティ ローダー カンパニーズ 2023 乳がんキャンペーンPR事務局

The post 31年目を迎えるエスティ ローダー カンパニーズの“乳がんキャンペーン” 日本法人トップに聞く啓発活動を続ける理由 appeared first on WWDJAPAN.

あの頃があって今がある! “スポーツマン”業界人の栄光への架橋


体を動かすのが心地いい季節。そう、秋といえば「スポーツ」です。皆さんは、スポーツといえば何を思い浮かべますか?僕はテニス。というのも中学時代はソフトテニス部のガチ勢でした。その後、ブランク20年以上……。だけど、当時鍛えた強靭なメンタルで、今もなんとか業界で生き残っています。そんな人はいないかな?と探したところ、9人の元スポーツガチ勢を見つけました。というわけで、いくつもの日々を越えて辿り着いたファッション・ビューティ業界――その栄光の架橋を聞きます。(この記事は「WWDJAPAN」2023年10月23日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)

ファッション、ゲーム、音楽界を突く
世界を知る元フェンシング王者

須田貴行/自営業、プレス・ディレクター

Q.スポーツ経験と特筆すべき成績。

フェンシング。全国高等学校総合体育大会(インターハイ)優勝、JOCジュニアオリンピックカップ優勝、U-17、U-20日本代表(世界大会出場)、全日本学生選手権大会(インカレ)団体優勝、アテネオリンピック強化指定選手。

Q.当時の印象的なエピソードを教えてください。

マイナー競技なので、よく始めたきっかけを聞かれるのですが、父親がフェンシングの元全日本チャンピオンで日本代表でした。なので小学校4年生から半ば強制的にやらされていて全然楽しくなかったのですが、ある日「試合に勝ったらゲームボーイのソフトを買ってあげる」と言われ、ソフト欲しさにめちゃくちゃ真剣に練習するようになりました(笑)。その後、どんな試合でも優勝したらゲームソフトを買ってもらえるようになり、沢山試合に出場し経験を積んで気づいたら小学校6年生の時に全国大会優勝できるくらい強くなってました。全国大会優勝は市や県大会に比べて周囲の反響が大きく、勝つことの楽しさや喜びを心から味わいました。その後、中学、高校、大学までトータル13年間フェンシング競技を続けました。

Q.引退理由。

大学3年生のときにナショナルチーム((日本代表)の選考大会で負けてオリンピックの切符を失ってしまい、周りが丁度就職活動中で5年後の次のオリンピックを目指すか就職するかの選択を迫られました。将来的にフェンシング部のある高校で教師をしながら競技を続けようと思っていたので教職単位も取っていたのですが、帰省した際に父親に相談したら「もう十分だから好きな事すれば?」と言ってくれて、新しい道へ進む事を決意しました。

Q.スポーツで得たもの、よかったと思うこと。

生きている内に”日本一”に慣れた事ですね。「なんでも日本一になる事はすごいよ」とNIGO®さんに言われたときは本当に嬉しかったです。

Q.ファッション業界で役に立ったワザは?

体育会の規律が厳しかったので、挨拶や時間、ルール(約束)を守るなど基本的な礼儀が出来たことですかね。あとは、上司や先輩の機嫌を察する早さとか(笑)。

Q.当時の自分へのメッセージ。

大好きなスポーツ、ファッション、ゲーム、音楽が全て仕事に繋がります。周りに流されず、自分の好きな事をそのまま夢中で行い、家族、友達を大切にしてください。

伝統のヘアスタイル“藤村カット”で
新体操からファッションにバトンを繋ぐ

河原井美幸/会社員

Q.スポーツ経験と特筆すべき成績。

新体操。インターハイ準優勝、国民体育大会3位入賞、全日本選手権5位入賞

Q.当時の印象的なエピソードを教えてください。

3歳から中学3年までは地元のクラブチーム。高校は新体操で有名な藤村女子高校の新体操部でキャプテンをしていました。藤村の歴代続く謎の伝統はショートカットで、通称“藤村カット”と呼ばれていました。新体操とショートカットの関係性がハテナ???のまま。あれだけは未だに謎です。

Q.引退理由。

競技人生が短いスポーツでもあり、高校3年までと決めていました。それと、高校まで新体操一色だったこともあり、一般的な学生ライフを送れるのも大学が最後だなと思っていたので。高校で燃え尽きていい選択でした!

Q.スポーツで得たもの、よかったと思うこと。

私の人柄全てを作り上げたといっても過言ではないです。素で体育会気質、チームワークや協調性、上下関係、礼儀、時間やルール、場のノリ、タフさなどなど。また、勝負の世界を経験できたこと、挫折を乗り越えた経験は大きいです。そのお陰か、自分よりも歳上の先輩方から、無条件に気に入ってもらえることも多いな〜と思います。

Q.ファッション業界で役に立ったワザは?

必殺体育会気質。ファッション業界とスポーツの世界、このチャキチャキ感はイコールでした(笑)。

Q.当時の自分へのメッセージ。

飽きっぽい私が唯一続いた新体操。そしてファッション。社会人になって褒められることが沢山あるよ〜ありがとう!と、当時頑張る自分を励ましたいです。

ベイクル山笑ふで働く元力士
新しい挑戦、出合いにハッキヨイ

椎葉巨樹/しゃぶしゃぶ 山笑ふ 表参道店 店長

Q.スポーツ経験と特筆すべき成績。

大相撲力士として16年間、日本相撲協会に所属 最高位十両5枚目

Q.当時の印象的なエピソードを教えてください。

新弟子時代は早朝4時台に起きてすぐの稽古から、関取衆(番付上位の力士)の世話をして、部屋の用事をして、やっと1日の初めての食事が夕方になりました。最初はすぐに20キロ痩せてしまって大変な世界に足を踏み入れてしまったと思ったことを覚えています。

Q.引退理由。

本場所の取り組みで前十字靭帯を断裂したため

Q.スポーツで得たもの、よかったと思うこと。

現役時代は、毎朝の激しい稽古で心身共に鍛錬されました。そのため、引退後はいい意味で「疲れる」「しんどい」と感じることが無くなりました。増量の為に食事をする必要もないのでご飯も美味しく楽しい!続けているトレーニングも楽しい!相撲界在籍16年間で培ったのは忍耐力。引退後の人生は現在の仕事も含めすべてが新しい挑戦。新しい出会いも仕事での達成感も失敗も楽しいです。

Q.当時の自分へのメッセージ。

9割ツライ事しかないけど、キツイ日々も懐かしく思うときがくるから、限りある時間を大切に頑張ってほしい!引退後の第二の人生の方がもっと長くて楽しいからー!と伝えたい!

※「しゃぶしゃぶ 山笑ふ」は、匠の技を集結させた拘りの空間で、厳選された産地の肉と、旬の野菜を“一人一鍋”で楽しむしゃぶしゃぶ専門店

“野球”のファッションブランドを
立ち上げた元甲子園球児

川村健一/「ケボズ」オーナー

Q.スポーツ経験と特筆すべき成績。

野球。甲子園出場

Q.当時の印象的なエピソードを教えてください。

夏の大会2週間前に“ピーク”という恐怖の練習があり、ひたすらノックやバッティングを続けるのですが、2日連続で仲間が救急車に運ばれました(翌年から廃止になりました)。

Q.引退理由。

大学野球も少しだけやっていましたが、遊びとバイトに熱中して引退しました。

Q.スポーツで得たもの、よかったと思うこと。

礼儀、忍耐力、向上心。

Q.ファッション業界で役に立ったワザは?

自己を犠牲にする送りバントの精神。思いやりをもったキャッチボール。

Q.当時の自分へのメッセージ。

あっという間だから全力で青春してほしい!

スポーツや格闘技の演技はお任せ
本物の動きで圧倒する俳優・モデル

新岡潤/俳優、モデル

Q.スポーツ経験と特筆すべき成績。

能代工業高校バスケットボール部。インターハイ、国体優勝。

Q.当時の印象的なエピソードを教えてください。

超名門だったので、厳しい練習に加え1年生時には厳しく激しいルールや上下関係がありました。たぶん1年生の1年はまともに寝れてなかったです。今となっては笑い話ばかりですが、公に言えないことばかりです(笑)。2年生からマネージャーをしていたのですが、1年生時の東北大会の試合中、「新岡!スクリーン!」って指示を「新岡!スリー!」と聞き間違えて、3Pシュートを放った瞬間、交代させられました(笑)。

Q.引退理由。

どこから引退と呼べば良いかわかりませんが、高校卒業後も拓殖大学とB.LEAGUE アルバルク東京でマネージャーを務めました。16-17シーズンに退団したのをバスケ引退とするのであれば、学生のときからファッションに興味があって、当時のバスケット業界において、もっとファッションとリンクがあって欲しいとずっと思っていたので、僕がファッションやカルチャーを語る上で説得力をつけるために辞めました。

Q.スポーツで得たもの、よかったと思うこと。

自分に妥協なく継続し続けられるところですかね。

Q.ファッション業界で役に立ったワザは?

バスケはもちろん、格闘技、ランニング、トレーニングも継続してやっているので、身体能力が必須の撮影には重宝してると思います。多分、他の人より真剣に取り組んできたので、俳優やモデルの業界の中ではスポーツや格闘技の動きは本物だと思います!

Q.当時の自分へのメッセージ。

想像してるよりいい人生になってるぞ。

本場イタリアでプロデビュー
クラシコ業界の若きストライカー

新井慶太/コロネットマーケティング部広報室 兼 新規事業開発室

Q.スポーツ経験と特筆すべき成績。

3歳からサッカーをはじめ、好きが高じてイタリアへ留学。フィレンツェでプロサッカー選手として活動。

Q.当時の印象的なエピソードを教えてください。

文化や宗教、言語、感性など生活習慣が異なる中で生活し、もがき続けながら必死になって体感できたことは、今の僕の人格形成に大いに役立っています。日本にいたら体験できないことがとても多く、どんな状況でも諦めない心や、人を心の底から信じることを学びました。また、さまざまなあり得ない体験を経験することで、大抵のことは笑って受け流せるようになりました(笑)。

Q.引退理由。

当時のイタリア政府の規制で、ビザが更新できずに帰国を余儀なくされました。

Q.スポーツで得たもの、よかったと思うこと。

相手あってのスポーツですので、チームスポーツを通じて共に歩むこと、他人を思いやることを学びました。

Q.ファッション業界で役に立ったワザは?

サッカーで鍛えた甲斐もあってか、ジャケットやスーツが似合う体型に(笑)。ヨーロッパではサッカーが好きが多く、老若男女問わずサッカーの話で盛り上がれます。

Q.当時の自分へのメッセージ。

今思うと最後まで自分の可能性を信じたように、相手を信じることで世界が変わるということを伝えたいです。

五輪メダリストと競った
競泳ジュニアオリンピック代表

藤田崚司/ノーウェアPR

Q.スポーツ経験と特筆すべき成績。

ジュニアオリンピック出場

Q.当時の印象的なエピソードを教えてください。

とにかく週5で練習だったので小学生なのに遊ぶ時間が全くなく辛かった。単純に練習もきつかったのでベストタイムが出たとき以外は全て辛かった思い出しかない。ジュニアオリンピックの大会にダントツで早い選手がいたのだが、それが後の五輪メダリスト、萩野公介だった。

Q.引退理由。

中学受験のため。

Q.スポーツで得たもの、よかったと思うこと。

苦楽を共にするので、20年以上たった今でも付き合っている友達がいる。

Q.ファッション業界で役に立ったワザは?

現場仕事など体を動かすことが多いので、体力面でかなり有利。

新しい挑戦も華麗にレシーブ
ファッション界のアタックNo.1

佐々木樹/「フリークス ストア」東京ソラマチ店

Q.スポーツ経験と特筆すべき成績。

小学2年生から大学4年間バレーボルをしていました。春高3年間出場(最高ベスト16)、体育大学でチームとして全国2位、大学院とコーチ業を兼任。

Q.当時のエピソードを教えてください。

毎年秋リーグ直前の伊豆合宿で行う山ラントレーニング。きついトレーニングの中、仲間で声を掛け合って頂上まで登りきり、達成したときの喜びはとてもいい思い出です。

Q.引退理由。

そろそろバレーボールだけではなく、やりたいことにチャレンジしたいと思ったため。

Q.スポーツで得たもの、よかったと思うこと。

挨拶、人脈、メンタルが強くなった。

Q.ファッション業界で役に立ったワザは?

挨拶、集団行動、声出し。

Q.当時の自分へのメッセージ

もっと何事にもチャレンジ精神全開で行動しよ!若いうちにやれることはたくさんある!なんとでもなる!

強靭なメンタルで時代を生き抜く
ラケットを筆に持ち替えた編集者

小池裕貴/編集者

Q.スポーツ経験と特筆すべき成績。

ソフトテニス。全国中学校ソフトテニス大会団体戦優勝。

Q.当時の印象的なエピソードを教えてください。

練習はどれも過酷だったが特に覚えているのは、腹筋を鍛えるために自分が仰向けの状態になり、その腹の上で友人が足踏みするという鬼のようなトレーニング。全国レベルの大会だとほとんどがジュニア上がりのため、技術だけでは勝てなくなる。そのため、とにかくメンタルを鍛えさせられた。中国大会の前日、鳥取駅の前で「ヨッシャー!」とガッツポーズをしながら走り回るという修行があった。サラリーマンたちにバカにされ恥ずかしい思いをしたが、そのお陰か翌日みんな吹っ切れて、最高のコンディションで戦えた。

Q.引退理由。

マイナースポーツのため、監督からは元々「テニスでは食えない」と言われ、毎日の練習の中に勉強が組み込まれていた。そのため、全国大会を終えて躊躇なく引退した。

Q.スポーツで得たもの、よかったと思うこと。

強靭なメンタル、一生の友達

Q.ファッション業界で役に立ったワザは?

上下関係、コミュニケーション、少々のことではブラックと思わないガッツ。

Q.当時の自分へのメッセージ。

現役時代は絶対に太らないと思っているけど、運動しないとちゃんと太るよ。あと優勝したからって調子に乗るなよ。

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「クレヨンしんちゃん」の母、野原みさえがインスタ開設なぜ?第一三共ヘルスケアが語る

アニメ「クレヨンしんちゃん」に登場するキャラクターの野原みさえが、インスタグラムで公式アカウントを開設したことが話題になっている。プロフィール欄には、第一三共ヘルスケアが取り扱うピュアワセリン“プロペト ピュアベール”(30g、660円/100g、1100円※編集部調べ)のプロモーションとしてアンバサダーを務めていることが記載されている。今後どんな発信をしていくのか、第一三共ヘルスケアの福原陽子PR担当に話を聞いた。

WWD:主人公のしんちゃんではなく、なぜ母の野原みさえをアンバサダーに選んだのか。

福原陽子第一三共ヘルスケアブランド推進本部 広告宣伝グループ(以下、福原):“プロペト ピュアベール”は第3類医薬品の皮膚保護薬のピュアワセリンで、育児中のママやパパに支持をいただいている。子どもの敏感な肌だけでなく、家族みんなの肌を守るキーアイテムとして活用している方々が多い。この事実をみさえさんの力を借りて、子育て中の家庭に広く伝えていきたいと考えた。

WWD:今後どんな投稿や発信をするのか。

福原:みさえさんには、野原家の生活の様子を楽しく紹介いただく予定。ほか、同商品のアンバサダーとして使用方法やヒントなども教えてもらう。

WWD:プロモーションのターゲット層は?

福原:みさえさんと同じように、育児に奮闘している人たちに注目してもらいたい。子どもの毎日の肌ケアも含め、子育てはとても大変だが、いつかは過去の出来事になってしまう貴重な時間かと思う。肌に触れることで生まれる、家族の温かな時間に寄り添えたら。今後もさまざまなコンテンツを用意する。

数日でフォロワー数22万人超え

野原みさえのインスタグラムの公式アカウントのフォロワー数は、22.1万人(※10月25日現在)。初のフィード投稿は自己紹介や家族構成について紹介し、24時間で消えてしまうストーリーズなども投稿している。

“プロペト ピュアベール”は第3類医薬品の皮膚保護薬、医薬品のピュアワセリン。目元や唇、全身に使えて、ベタつきが少なく伸びが良いテクスチャーが特徴だ。敏感肌や乾燥などの肌悩みを持つ人、赤ちゃんから年配の人まで世代問わずに使用できる。

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ビンテージメガネ「ギグランプス」に学生から80代までが集う理由 王道から200万円超えの名作まで

「ギグランプス(GIGLAMPS)」は、中目黒にひっそりと佇むビンテージメガネ専門店だ。店内には、アメリカやヨーロッパで買い付けた、1900年代初頭〜2000年代までのフレームが並び、中には200万円を超える希少性の高いアイテムや、ジョン・エフ・ケネディー(John・F・Kennedy)大統領が着用していたモデルもある。古着に比べて日の目を見ないニッチな“嗜好品”にも関わらず、客層は学生から80代まで、アイウエアになじみがない初心者やコアなメガネファンも通うほど幅広い。同店の松島慶祐オーナーは、古着やスニーカーの海外買い付けなどを経て、2010年に同店を開いた。メガネを通して「かっこいい日本人を増やしたい」と語る真意や同店の強み、おすすめのモデルを聞いた。

かっこいい日本人は舐められない
メガネを“武器”にしたイギリス留学

WWDJAPAN(以下、WWD):メガネを好きになった理由は?
松島慶祐(以下、松島):大学卒業後のイギリス留学時代にハマりました。ロンドン西部のノッティングヒルエリアにあるセレクトショップでのパートタイム時代に、「アメリカンオプティカル(AMERICAN OPTICAL)」の“セーフティ(Safety)”というモデルを着けていたら、ボロボロの状態だったのに周囲から「クールだね」とやたらと褒めてもらえたんです。日本人って体格も小さいし、どこか舐められがちなんですが、ファッションスタイルや見た目が洗練されていると「あいつイケてるよな」って一目置いてもらえるんですよね。それをきっかけに、メガネにのめり込んでいきました。

WWD:それがビンテージメガネ屋を開くきっかけになった?
松島:いいえ、メガネはあくまで趣味で、ビジネスとしてはシューズや古着を買い付けていたんです。日本の店から依頼を受け、海外限定のスニーカーや英国の高級革靴などを購入し、日本へ輸送していました。今は通販や海外オークションサイトで簡単に手に入りますが、当時はそれほど浸透しておらず、比較的いい価格で取引させてもらっていました。利益がでてきたタイミングでアメリカに飛び、「ダブルアールエル(RRL)」などのブランド品の買い付けも始め、そこでようやくビンテージメガネの買い付けも本格化させました。

WWD:買い付けたメガネを当時どのように販売していた?
松島:自分たちでササゲを行い、ヤフオクなどでさばいていました。当初はスピードと物量を重視して、特にメンテナンスもせず買った状態のまま販売していましたね。希少性が高いから状態が悪くてもコアなファンが買ってくれたので、2009年にビンテージアイウエアの取り扱いを本格化させました。「ダブルアールエル」も人気でしたが、アメリカでの買い付けが難航し、10年からメガネ専門のオンラインストアと予約制ショールームに専念し「ギグランプス」を設立しました。初めの予約制のショールームは初台で、2018年に現在の場所に移店したんです。

現行品では見えない世界へ
圧倒的クオリティーでいざなう

WWD:他にはない、「ギグランプス」だけの強みは?
松島:クオリティーです。入念なメンテナンスで、ビンテージを未使用に近い状態にまで仕上げます。メンテナンスは石川県の熟練のメガネ職人に依頼し、フレーム1本につき3〜4回のチェックを経て、納得のいく状態で店頭に出します。顔に沿うような形へのテンプルの調整だったり、曇ったヒンジの磨きや、生地のつやを高めたりなど、職人への膨大な量の指示書はとても手間がかかります。ここでしか味わえない別格のクオリティーだからこそ値段は張りますが、その価値を理解してくれるお客さまも多いです。

WWD:ビンテージメガネの魅力とは?
松島:なりたい自分のイメージに合わせて、デザインや生産国、サイズ、質感、年代まで、膨大なストックの中から理想の1本を選べること。ピカピカのデッドストックもあれば、年季の入ったボロボロのものもある。世界的なスターが着用していたといった、歴史的な背景から選ぶのも面白いですよね。ビンテージメガネは、現行品では見えない世界を見せてくれます。

WWD:最後に、今後の夢は?
松島:今年で設立10年目になりますが、100万円を超えるデニムやビンテージ古着と同じように、ビンテージメガネも売買されるような市場作りが今も目標です。ビンテージメガネをかけた“舐められない人”たちがもっと増えて、かっこいい社会になればいいですね。

おすすめするビンテージメガネ4選

【メガネを選ぶポイント】

メガネ選びのポイントはサイズ感ですね。洋服と同じように、サイズ感がハマっていれば大体サマになるし、ものが良くてもサイズが合っていなかったら台無しになる。あとは、ご自身の好きなスタイルに合わせるのもポイントでしょうか。ファッションと異なるものを敢えて着けることも素敵ですが、あくまで王道を知っているからこその遊びでもあります。

【初心者におすすめの一本】

50~60年代の「アルガ(ALGHA)」セル巻きのメタルフレーム。同ブランドはイギリスの代表的メガネで、ジョン・レノン(John Lennon)やインディ・ジョーンズ(Indiana Jones)も着用していました。ここでは、レンズと横幅の異なる14サイズがデッドストックでそろっており、ジャストサイズを選べるのがうれしいですね。ベーシックなデザインで、シーンを選ばず着用できるのもポイントです。

【とっておきのアーカイブピース】

「アラン・ミクリ(ALAIN MIKLI)」のアシンメトリーなサングラス。非常にデザイン性の高い、アバンギャルドな一本です。多色展開されていたようですが、こちらは最初に発売された三つのメインカラーです。アートピースに近いかもしれません。

【ビンテージメガネならではの歴史的魅力】

「レイバン(RAYBAN)」の“シグネット(Signet)”。ジョン・F・ケネディ大統領がダラスでの演説で所有していたモデルです。同氏が弟に宛てた手紙から、暗殺される直前まで所持していたことも分かっています。大統領がつけるほど完成度が高い一本で、フレームは十二金張り。このように、歴史的な価値を楽しめるのもビンテージメガネの魅力ですね。

【アメリカか、フレンチか。最強フレーム対決】

どちらも100万を超えるアメリカ(上)とフランス(下)の最高峰メガネです。アメリカ代表には、ビンテージメガネの王様「タートオプティカル」から、初期型“アーネル”のアンバーカラーを選んでみました。素材の艶と状態の良さがピカイチですね。フランス代表には、ビンテージフレームフランスの“パリジャン”というモデルです。べっ甲柄がまさにアートピース。いずれも極上の一本ですが、個人的にはアメリカびいきなので「タートオプティカル」に軍配をあげたいところです(笑)。

■ギグランプス(GIGLAMPS)
営業時間:13:00-20:00
住所:東京都目黒区上目黒4-9-2ガレリア2F奥
定休日:水曜日

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「CFCL」×「アシックス」のスニーカーが発売 温暖化ガス排出量は世界最小

「シーエフシーエル(CFCL)」は、「アシックス(ASICS)」とコラボしたスニーカー“GEL-LYTE III CM1.95“を発売した。全3色を用意し、価格は各2万900円。「シーエフシーエル」直営店と公式オンラインストアで取り扱う。

同商品は、“アシックススポーツスタイル”の技術を集結させた象徴的なスニーカーの1つである“GELLYTE Ⅲ OG”をベースとし、温暖化ガス(GHG)の排出量を大きく削減。数値が公表されている市販のスニーカーの中で世界最少を実現した。全体を構成するパーツを機能とデザインに必要な最少まで絞り込み、アッパーと中敷きには⽣産⼯程における温暖化ガス排出と⽔の使⽤量を同時に削減できる“ソリューションダイ技法”で染⾊した再⽣ポリエステル⽷を採⽤。またアッパーの補強パーツには、テープ形状パーツを必要量のみカットし折り返して配置することで、材料ロスの廃棄を最少限に抑えながらもフィット感やサポート性を実現した。

ミッドソールと中敷には、「アシックス」が新たに開発したフォーム材“カーボン・ネガティブ・フォーム”を採⽤。サトウキビなどを原料とした複数のバイオベースポリマーを配合することで、実質温暖化ガス排出をマイナスに保ちながら、厚めに設計された靴底によりクッション性をキープする。

本コラボレーションは、2021年の“⽣活者/消費者、各企業に気候危機や脱炭素社会へのチャレンジをいかに広く認知させられるか”という「シーエフシーエル」と環境省との会話をきっかけにスタートした。

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ソン・ジアに聞く美の秘訣 455万フォロワーの韓国インフルエンサー

韓国インフルエンサーのソン・ジア(Freezia)が、公式アンバサダーを務める韓国スキンケア「ミクスン(MIXSOON)」のイベントのため来日した。ネットフリックス(NETFLIX)での恋愛サバイバル番組「脱出おひとり島」に出演して話題を集め、現在はインスタグラムが455万フォロワー、RED(小紅書)では128万フォロワーを抱える。そのルックスやファッションに関する発信で注目される彼女に、美容法や注目のトレンドについて話を聞いた。

スキンケアの要は保湿とアロエジェル

―今回「ミクスン」の公式アンバサダーに就任したが、美容で気をつけていることは?

ソン・ジア(以下、ジア):一番に保湿、その次に肌を落ち着けることを意識してアイテムを選びます。乾燥肌なので保湿しないと肌荒れしてしまうんです。韓国では拭き取りタイプのスキンケアが人気ですが、私の肌には合わないのでシートマスクのようにコットンを貼って保湿するケアをします。また口コミが良くてはやっている商品よりも、基本的なスキンケアは変わらず同じものをずっと使っています。

―「ミクスン」で気に入った商品は?

ジア:“ツボクサ エッセンス”はほかの美容液と重ね使いするととっても保湿されるので、これからの乾燥する季節におすすめです。「ミクスン」は韓国の芸能人も使っているブランドで、みなさんにもおすすめしたいです。

―特別なケアをすることはありますか?

ジア:大事な予定の前夜には、アロエジェルを冷蔵庫で冷やしたもの塗って肌の熱を取ります。朝起きたらもう一度アロエジェルを使い、それからスキンケアして、メイクアップをします。韓国だと一般的な方法ではないかと思います。

注目のトレンドはファーとパープルチーク

―ジアさんのメイクの特徴は?

ジア:海外でもはやっていますが、オーバーリップメイクをしています。リップは3本を使い分けていて、まずリップペンシルでオーバーにリップのラインを引いて、ベースのリップを全体に塗ったら、最後にポイントになるカラーを塗ります。カラーはトレンドを追うというよりも、パーソナルカラーに合うものを使うのがいいと思っています。

―そのほか、メイクアップでのこだわりは?

ジア:まつ毛のカールを意識しています。つけまつ毛を着けることもありますが、普段は自まつ毛にしっかりカールをつけて、目を大きく見せるようにしています。またベースメイクは艶っとした質感が好きなので、メイク前の保湿を重視しています。

―この秋冬に注目しているファッションやメイクのトレンドは?

ジア:ファッションはファーアイテムに注目しています。今日着ているワンピースにもついているんですが、イヤーマフやブーツで取り入れてもかわいいと思います。メイクでおすすめは、パープルのチーク。寒い時にぴったりじゃないかと思います。

―最近は日本での活動も多いですが、これからやりたいことは?

ジア:今年から仕事で日本に来るようになりましたが、とても楽しいです。今後は日本もそうですし、世界中でお仕事できたらうれしいです。

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韓国スターのジニ、ソン・ジアも来場 スキンケアブランド「ミクスン」が日本初上陸

韓国のスキンケアブランド「ミクスン(MIXSOON)」はこのほど、日本初上陸となるポップアップイベントを東京・原宿の「アットコスメトーキョー(@COSME TOKYO)で開催した。

肌に不要な成分をできるだけ排除して必要な成分を入れる“ミニマルビューティ”をコンセプトとするヴィーガンスキンケアブランドで、韓国では主要なビューティストア「オリーブヤング(OLIVEYOUNG)」「セフォラ(SEPHORA)」「シコル(CHICOR)」のほか、韓国最大級のデパート、ザ ヒュンダイ ソウル(THE HYUNDAI SEOUL)にも出店している。日本では 越境ECで販売を行っているが、今後はオフライン店舗での展開を予定している。

6日に行ったプレス向けの発表会では、ブランドのイメージキャラクターを務める韓国のソロアーティスト・ジニ(JINI)と、公式アンバサダーのソン・ジア(Freezia)が来場した。イメージキャラクターとして広告にも登場するジニに、ブランドアイテムや韓国トレンドについて話を聞いた。

イメージキャラクターを務めるジニの美の秘訣は?

―「ミクスン」のイメージキャラクターに就任したが、普段のスキンケアのルーティンは?

ジニ:私は忙しい中でもあまり肌荒れしないタイプですが、ステージでは濃いメイクをするのでクレンジングをした後は必ず保湿します。最近は「ミクスン」の“豆乳パッド”を使うことが多いです。3枚のシートが入ったパックなのですが、小さいサイズが便利で旅行先や予定が入っている日に使います。日本に来る飛行機の中でも使いました。

―美を保つために取り入れていることは?

ジニ:朝ご飯と昼ご飯はしっかり食べて、夜ご飯はあまり食べないようにしています。夜ご飯を食べすぎると次の日の顔の状態がいつもより良くないので、撮影の前日は特に気をつけて、その代わり朝早く起きてご飯を食べたりします。運動は好きではないのであまりしないのですが、たまに自宅でYouTubeのトレーニング動画を見ながらやっています。

―11日に発売したソロデビューEP「An Iron Hand In A Velvet Glove」ではいろいろなスタイルに挑戦しているが、気に入ったスタイルは?

ジニ:韓国ではバレリーナのファッションのような“バレエコア”というスタイルがはやっていますが、今回初めて挑戦しました。私にはあまり合わないかなと思ったのですが、多くの人から良い反応をいただいたので気に入りました。私は前髪があるヘアスタイルですが、前髪を上げて髪全体を後ろで結ぶスタイルも、思ったより似合っていたのでうれしかったです。これからもっとたくさんの経験をして、いろ色な姿をみなさんにお見せしたいと思います。

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中国美容企業のトップは「今も日本に進出したい」 理由は値引き乱発からの脱却

福島第一原発の処理水問題に代表される日中関係の悪化は、日本のビューティ企業にとって大きな問題だ。報道では中国人による「Jビューティ」の不買運動が起こり、中にはアフターコロナで回復を見込んでいた中国市場の見通しを「横ばい」と下方修正する企業もちらほら。だが、そんな報道は本当なのか?そこで越境ECをはじめ日本ブランドの中国ビジネスに特化したアドバイザリー企業のトップと、これから日本市場に進出しようとする美容機器メーカーの最高経営責任者を直撃。処理水問題の影響から、日本人が体感しづらくなっている日本市場の魅力まで、中国人の本音を探った。後編は、インターナショナルブランドを目指す中国のビューティブランドトップに日本市場の魅力と昨今の日中関係について聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):日本は、中国に比べれば小さなマーケット。昨今は中日関係も順風満帆とは言えず、日本人には経済から文化に至るまで、韓国や東南アジアの猛追を受け負け始めてきたという印象が広がり始めている。単刀直入に、それでも日本市場に進出したい?
韩淑琪BIOLAB听研最高経営責任者(以下、韩):実際、何人もの専門家や日本人に話を聞いているが、我々にとっての日本は、今なおトップスタンダードを誇る国。中国発のグローバルブランドとして成長する過程で、日本は最初に進出すべき国だ。日本にいるとわからないかもしれないが、日本で製品を販売していること・日本で売れていることには大きな意味がある。中国のZ世代は日本のカルチャーが大好きで、日本のファッションやビューティが大好き。私は、錚々たるラグジュアリーブランドが軒を連ねる表参道も、上海の同じようなエリアより独自性があると思っている。東京同様、上海にも高級ブランドのショップが立ち並ぶエリアや商業施設はいくつもあるが、どこも大差ないし、ハイブランドに偏りすぎている。一方表参道には、セレクトショップも多く、どこかで何かがポップアップを開催しているし、ストリートや若手ブランドもアクティブだ。

WWD:日本市場は、中国市場とどう違うと捉えている?
韩:一番の違いは、ブランドに対するロイヤリティーの高さ。気に入ったブランド、商品への投資を惜しまない傾向が強いので、大きな可能性を感じている。中国のビューティ市場は、プロモーションばかり。参加している私たちさえ、「W11」は「常々こんなにプロモーションしているのに、それ以上ディスカウントしなくちゃいけないの!?」と感じてしまい、正直くたびれる。中国人にとって最大のインセンティブは、ディスカウント。コピー商品でも気にしない人が多いから目的や効果・効能が似通っている美容機器なら安いものに乗り換えがちだが、日本人は違う。もちろん日本で成功するには、高い品質が欠かせないし、将来必要なエシカルな発想も鍛えられる。

WWD:その中で、「バイオラボ」の優位性は?
韩:まずは中国でも日本でも巨大な、アンチエイジング市場に向けた美容機器であること。私たちの製品は機能はもちろんデザインまでこだわり、皮膚科医や専門家と共に14の特許を取得した。中国の同業他社が販売している製品よりも優れている自負がある。霧状に噴霧するからどのメーカーの化粧水や美容液も浸透実感を高めることができるし、使用時間は毎日1分。小さいからポーチに入れて持ち歩くこともできる。とても消費者フレンドリーな美容機器だ。

WWD:中国では、どのくらい売れている?
韩:2019年8月に創業し、コロナ直前の20年に美容機器を発売。コロナ下で高まった「おうち美容」のニーズは、大きな追い風になった。「おうち時間」というQOLの向上に寄与できたので、中国ではライフスタイルブランドとして定着できたと思う。価格は1600人民元(約3万2000円)と決して安くないが、22年は20万台を販売した。

WWD:中国以外のマーケットでも販売している?
韩:ショピファイを使ってアメリカでは少しだけビジネスをしているが、日本市場に注力したい。日本はアメリカよりも小さなマーケットだし競合も多いが、やっぱり影響力がある。

WWD:ターゲットや販路は、どう捉えている?
韩:価格を考えると、ターゲットは30歳前後かな?まずは製品を見て、触って、感じてもらいたいから、オフラインマーケットが重要。中国の主流は、オンライン。見て、触って、感じてもらうことが難しいから、結果的にプロモーション・ドリブンになってしまった。私たちは、ディスカウントを乱発して、ブランドを毀損したくない。でもそれが求められる中国では、霧状にして噴霧する化粧水を入れたカプセルを最大で16個、3カ月分もGWP(Gift with Purchaseの略。商品を購入した時に付与するギフトのこと)にしている。中国でのビジネスは、ブランディングの観点で考えると、とても難しい。

WWD:日本への進出を模索している立場から見て、昨今の中日関係をどう捉えている?
韩:一言で言えば、とても残念。もっと盛り上がるだろう民間レベルの交流を政府同士が阻害している。特に福島原発の処理水問題は、日本人の中国に対するイメージを大きく損ねてしまった。個人的には私も含め、若い世代はほとんど気にしていないのでは?と思っている。

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中国美容企業のトップは「今も日本に進出したい」 理由は値引き乱発からの脱却

福島第一原発の処理水問題に代表される日中関係の悪化は、日本のビューティ企業にとって大きな問題だ。報道では中国人による「Jビューティ」の不買運動が起こり、中にはアフターコロナで回復を見込んでいた中国市場の見通しを「横ばい」と下方修正する企業もちらほら。だが、そんな報道は本当なのか?そこで越境ECをはじめ日本ブランドの中国ビジネスに特化したアドバイザリー企業のトップと、これから日本市場に進出しようとする美容機器メーカーの最高経営責任者を直撃。処理水問題の影響から、日本人が体感しづらくなっている日本市場の魅力まで、中国人の本音を探った。後編は、インターナショナルブランドを目指す中国のビューティブランドトップに日本市場の魅力と昨今の日中関係について聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):日本は、中国に比べれば小さなマーケット。昨今は中日関係も順風満帆とは言えず、日本人には経済から文化に至るまで、韓国や東南アジアの猛追を受け負け始めてきたという印象が広がり始めている。単刀直入に、それでも日本市場に進出したい?
韩淑琪BIOLAB听研最高経営責任者(以下、韩):実際、何人もの専門家や日本人に話を聞いているが、我々にとっての日本は、今なおトップスタンダードを誇る国。中国発のグローバルブランドとして成長する過程で、日本は最初に進出すべき国だ。日本にいるとわからないかもしれないが、日本で製品を販売していること・日本で売れていることには大きな意味がある。中国のZ世代は日本のカルチャーが大好きで、日本のファッションやビューティが大好き。私は、錚々たるラグジュアリーブランドが軒を連ねる表参道も、上海の同じようなエリアより独自性があると思っている。東京同様、上海にも高級ブランドのショップが立ち並ぶエリアや商業施設はいくつもあるが、どこも大差ないし、ハイブランドに偏りすぎている。一方表参道には、セレクトショップも多く、どこかで何かがポップアップを開催しているし、ストリートや若手ブランドもアクティブだ。

WWD:日本市場は、中国市場とどう違うと捉えている?
韩:一番の違いは、ブランドに対するロイヤリティーの高さ。気に入ったブランド、商品への投資を惜しまない傾向が強いので、大きな可能性を感じている。中国のビューティ市場は、プロモーションばかり。参加している私たちさえ、「W11」は「常々こんなにプロモーションしているのに、それ以上ディスカウントしなくちゃいけないの!?」と感じてしまい、正直くたびれる。中国人にとって最大のインセンティブは、ディスカウント。コピー商品でも気にしない人が多いから目的や効果・効能が似通っている美容機器なら安いものに乗り換えがちだが、日本人は違う。もちろん日本で成功するには、高い品質が欠かせないし、将来必要なエシカルな発想も鍛えられる。

WWD:その中で、「バイオラボ」の優位性は?
韩:まずは中国でも日本でも巨大な、アンチエイジング市場に向けた美容機器であること。私たちの製品は機能はもちろんデザインまでこだわり、皮膚科医や専門家と共に14の特許を取得した。中国の同業他社が販売している製品よりも優れている自負がある。霧状に噴霧するからどのメーカーの化粧水や美容液も浸透実感を高めることができるし、使用時間は毎日1分。小さいからポーチに入れて持ち歩くこともできる。とても消費者フレンドリーな美容機器だ。

WWD:中国では、どのくらい売れている?
韩:2019年8月に創業し、コロナ直前の20年に美容機器を発売。コロナ下で高まった「おうち美容」のニーズは、大きな追い風になった。「おうち時間」というQOLの向上に寄与できたので、中国ではライフスタイルブランドとして定着できたと思う。価格は1600人民元(約3万2000円)と決して安くないが、22年は20万台を販売した。

WWD:中国以外のマーケットでも販売している?
韩:ショピファイを使ってアメリカでは少しだけビジネスをしているが、日本市場に注力したい。日本はアメリカよりも小さなマーケットだし競合も多いが、やっぱり影響力がある。

WWD:ターゲットや販路は、どう捉えている?
韩:価格を考えると、ターゲットは30歳前後かな?まずは製品を見て、触って、感じてもらいたいから、オフラインマーケットが重要。中国の主流は、オンライン。見て、触って、感じてもらうことが難しいから、結果的にプロモーション・ドリブンになってしまった。私たちは、ディスカウントを乱発して、ブランドを毀損したくない。でもそれが求められる中国では、霧状にして噴霧する化粧水を入れたカプセルを最大で16個、3カ月分もGWP(Gift with Purchaseの略。商品を購入した時に付与するギフトのこと)にしている。中国でのビジネスは、ブランディングの観点で考えると、とても難しい。

WWD:日本への進出を模索している立場から見て、昨今の中日関係をどう捉えている?
韩:一言で言えば、とても残念。もっと盛り上がるだろう民間レベルの交流を政府同士が阻害している。特に福島原発の処理水問題は、日本人の中国に対するイメージを大きく損ねてしまった。個人的には私も含め、若い世代はほとんど気にしていないのでは?と思っている。

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スタイリストMASAHがトランクルームのトップシェア「キュラーズ」を体験

日に日に洋服が増えていくファション業界人にとって、収納スペースは悩みの種。誰もが自宅に「もう一部屋あれば……」と思うはずだ。そんな悩みをすぐに解決できるのがトランクルームである。トランクルーム市場はこの10年間で倍増。今やファミリーレストランを超える1万2000店舗を突破した。

2001年に創業した「キュラーズ」は、屋内型トランクルームのトップシェアを誇り、現在首都圏を中心に67店舗構えている。ロードサイドの一棟管理で、24時間入退館が可能。忙しいファッション業界人の強い味方になってくれるのだ。

今回、スタイリングやディレクション、ブランドプロデュースなどで活躍する、まさに“フリーランスの鏡”MASAHさんが「キュラーズ」を利用した。自宅で仕事道具を管理し、もちろん、プライベートでも洋服が好き。そんなMASAHさんが、トランクルームがもたらす新しいライフスタイルを体験する。

広く使える部屋を求めて
結婚・出産を機にモノを処分

MASAHさんは2013年にモデルの今宿麻美さんと結婚。現在は2児の父親でもある。結婚後は、「独身時代の“どの角度から見てもカッコイイ部屋”から、“必要最低限のモノを置いて広く使える部屋”へと嗜好が変わった」とMASAHさん。「僕たちの業種には、仕事や趣味のモノも含めて、なんとなくモノをとっておくカルチャーみたいなのが昔からある。僕も結婚や出産を機に、大量にあったモノを処分してきたけど、今でも捨てられない大切なモノがたくさんある。だけど長男が小学生になって、とうとう来年は次男も小学生。今、洋服で埋まっている部屋を子ども部屋として使うために、またモノを処分しないといけないのかと、とても憂鬱だった」と続ける。

季節ごとに使わないモノを
トランクルームへ

quraz・キュアーズ

現在は、子ども服関連の仕事も多いMASAHさん。そのため、子ども服も年齢ごとに仕分けして、自宅に保管しているという。「子ども服は宝物だっていうのもあるけど、いつか仕事でサンプルとして使えるんじゃないか?と思うと、全く捨てられない。それに子どもが生まれてからは、季節感をすごく意識するようになった。季節ごとに必要なものもあれば、絶対に使わないものもある。子ども用のプールなんかもそう。僕のダウンジャケットやスノーウエア、スノーボードを管理するためにトランクルームを活用すれば、自宅のスペースが確保できる。『キュラーズ』は24時間出し入れ自由だから、僕だったら仕事よりもプライベートの方が重宝するかも(笑)。例えば雪山には、急に『明日行こう』となることもよくあるので」。

ただの倉庫じゃない!
部屋をデザインする楽しさ

quraz・キュラーズ

「キュラーズ」は、独自の空調システムを導入しており、快適な収納環境をキープする。床はクロス張りで清潔感があり、一般的なトランクルームのイメージとは真逆だ。「『キュラーズ』は、“倉庫”というよりも一つの“部屋”のような感覚。それって、僕にとっては、部屋を作る楽しさと同じ。部屋を借りた感じで、すごく作り甲斐があるし、こんなにすごいんだってびっくりした」と話す。収納部屋のこだわりを問うと、「例えば、スタイリングの撮影のときに『撮影準備は返却準備』という自分の中での美学があって、返却するのを前提に撮影準備すると返却が楽なわけ。どういう状況に置けば取り出しやすいかとか、色の並べ方なんかを決めておけば、ハンガーラックのどこに何色のダウンジャケットが掛かっているかも覚えておきやすい。僕じゃない人が荷物を取りに来ても分かるようにしておくことが、仕事でトランクルームを活用する際にも大切になると思う」と答えた。

宅配や無料シャトルなど
便利なサービスを用意

「キュラーズ」は、首都圏の好立地を中心に展開している。駐車場付きで、24時間365日、いつでも荷物の出し入れが可能。申し込みは、24時間WEBからでき、もちろん、現地をじっくり見学してからの申し込みもできる。各店舗には、収納コンシェルジュが在館しているので、収納スペースに迷ったら相談するのがいいだろう。スマホひとつで荷物の“収納+取り出し”が完結する「キュラーズ宅配サポート」や、自家用車がなくても荷物を自宅から無料で運んでくれる「キュラーズ無料シャトル」、簡単に収納棚やハンガーラックになる「レンタルラック」(月額1100円)など、便利なサービスをそろえる。

PHOTO:SHUNGO TANAKA(MAETTICO)
EDIT & TEXT:YUKI KOIKE(VINYL)
問い合わせ先
キュラーズ
0120-15-9780

韓国発「マーティン キム」の日本上陸に100人が並ぶ デザイン室長が見た日本は“ファッションの先進国”

韓国発のファッションブランド「マーティン キム(MATIN KIM)」は、10月29日までの期間、渋谷パルコの3階でポップアップを開催している。ポップアップに先駆けて日本公式オンラインサイトもローンチしており、今後は国内の市場への展開を強化していく。運営とマーケティングはMXN ジャパンが代行する。同ブランドが国外の市場に本格的にアプローチするのは日本が初めてとなる。

入場規制で100人が並ぶ
1万円台のウオレットが人気

「マーティン キム」のポップアップは、渋谷パルコ3階のヌビアン(NUBIAN)前のスペースで開催中だ。初日の10月18日、開店してまもなく入場規制により100人ほどの並びができた。「よく売れているのは、シグネチャーのウオレット(1万1300円)やクロップトップTシャツ(5000円)など」と担当者。

デザイン室長が語る「マーティン キム」
「ミニマルでも裏切りのあるアイデアを」

日本上陸という新しい門出を祝して来日した、キム・ウビン(Kim Woobin)「マーティン キム」デザイン室長に話を聞いた。

同ブランドは、2018年にデビュー。自由なスタイルをミニマルなデザインで表現しており、韓国の若者を中心に人気を集めている。展開はウィメンズがメーンだが、メンズにも愛用者が少なくない。価格帯はジャケットやジャンパーが25〜35万ウォン台(約2万7500〜3万8500円)、Tシャツが4〜20万ウォン台(約4400〜2万2000円)、ドレスが15〜25万ウォン台(約1万6500〜2万7500円)、パンツが10〜25万ウォン台(約1万1000〜2万7500円)、バッグが4〜25万ウォン台(約4400〜2万7500円)など。

「私たちはデザインにおいて要素を盛り込みすぎず、ナチュラルであることを重視している。それでも、想像を裏切るようなアイデアをどこかに入れ込む。少しの工夫であっても、ブランドのファンは気づいてくれている」。

当初はオンラインストアとSNSのみで運営し、トレンドに敏感なファンを着実に取り込んでいった。「消費者から届いた意見を取り入れ、一方通行にならないコミュニケーションを心掛けた」。エッジを効かせたデザインのブーツや小物から、徐々に人気に火がついたという。

21年には、韓国のファッションプラットフォームである専門投資会社、ハゴ L&Fの投資を受け、オフライン領域にも拡大。現在、新世界百貨店などの韓国を代表する百貨店のほか、最先端のファッショントレンドを発信するスポット、聖水洞に構えた旗艦店などで取り扱っている。これまでに、「リーバイス(LEVI'S)」や「アシックス(ASICS)」などのブランドとのコラボレーション商品もリリースした。

SNSを通して世界中にファンが生まれたが、初めて進出する国外の市場には日本を選んだ。「韓国カルチャーのブームもあり、パンデミック以降、両国の距離が近づいた。聖水洞の旗艦店にも多くの日本のファンが訪れるように。この光景を見て、もっと日本のファンとの接点を増やしたいと思った」。

日本では今後、公式オンラインショップのほか、不定期のポップアップストアを通して消費者にアプローチする。「ブランドを愛してくれるファンは、日本も韓国も大きな違いはない。ブランドのそのままのトレンドを見せたい。一方で日本はファッションにおいて、先進国でもある。今後は日本限定アイテムやキャンペーンのローンチも検討中だ。メンズサイズの拡張を望む声にも、ぜひ応えたいと思っている」。

■「マーティン キム」ポップアップ
会期:〜10月29日
場所:渋谷パルコ 3階ポップアップ会場
住所:東京都渋谷区宇田川町15-1

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ENHYPEN特別インタビュー 撮影の合間にはみんなでダンス!? ファッションスタイルや北米ツアーについて語る

昨今のパリおよびミラノ・ファッション・ウイークは、来場するK-POPアーティストと、彼らを一目見ようと会場周辺に集まる大勢のファンが生み出す熱気と興奮を抜きには語れない。9月に開催された2024年春夏ミラノ・ファッション・ウイークでも同様で、データテクノロジー企業ローンチメトリックス(LAUNCHMETRICS)とインフルエンサー分析プラットフォームを運営するウィアリスマ(WEARISMA)の調査によれば、ミラノ・コレクション関連のSNS投稿で最大のメディアインパクトバリューを創出したのは、「プラダ(PRADA)」のショーに来場した韓国のボーイズグループ、ENHYPEN(エンハイフン)だった。その額は700万ドル(約10億円)相当と、340万ドル(約5億円)相当で2位となったモデルのピア・ウォルツバック(Pia Wurtzbach)のおよそ倍となっている。

今年6月に「プラダ」のアンバサダーに就任し、11月に5枚目のミニアルバム「ORANGE BLOOD」のリリースを控えたENHYPEN。ロサンゼルスで行なった今回の特別インタビュー中、メンバーのジョンウォン(JUNGWON)、ヒスン(HEESEUNG)、ジェイ(JAY)、ジェイク(JAKE)、ソンフン(SUNGHOON)、ソヌ(SUNOO)、ニキ(NI-KI)は、全員が平等に発言する機会があるよう互いを気遣い、撮影の合間には好きなアーティストの一人だというポスト・マローン(Post Malone)の楽曲に合わせて踊ったりふざけ合ったりと、終始なごやかな雰囲気だった。ここでは、ファッションや衣装に関する話題をメインに、現在真っ只中だという北米ツアーで彼らが感じていることなどをお届けする。

米「WWD」(以下、WWD):ミラノで「プラダ」のショーに来場したが、どうだった?

ENHYPENのジェイ(以下、ジェイ):「プラダ」のショーを体験したのは2回目でしたが、前回はメンズだったので、ウィメンズは初めてでした。ショーのほかにも展示会などが行われていて、とても興味深かったです。

ENHYPENのソンフン(以下、ソンフン):自由時間も少しあったので楽しかったです。ショーでは、ほかのアーティストや俳優にもたくさん会えましたし。

ENHYPENのニキ(以下、ニキ):人間の頭のようなものが付いたバッグがありましたよね。あれは人形なのかな?

ENHYPENのジェイク(以下、ジェイク):何かのキャラクターじゃない?

ニキ:そうかも。ショーが終わってすぐ、本当に素晴らしかったし面白かったね、ってみんなで話したんです。

WWD:ファッション関連のイベントで楽しいことは?

ジェイク:ヨーロッパのファンに会える機会がなかなかないので、「プラダ」はそれがうれしかったですね。ミラノでは、ファンの皆さんが本当に温かく迎えてくれました。

ENHYPENのヒスン(以下、ヒスン):ファッションショーを間近で見られること自体が、素晴らしい体験だと思います。実際に見るのと、動画で見るのとは全く違うんですね。デザイナーが伝えたいことが、本当にダイレクトに感じられました。

ステージ上で自分を“魅せる”ため
ファッションは重要な要素

WWD:自分のファッションスタイルについて。

ENHYPENのソヌ(以下、ソヌ):エフォートレスなルックにしたくて、最近はフーディーをよく着ています。

ソンフン:僕はドレスアップするのが好きなので、ちょっとした何かを付け加えることが多いです。エフォートレスの反対ですね。しっかりコーディネートして、アクセサリーも着けて、みたいな。

ニキ:僕はヒップな雰囲気や、ビンテージものが好きです。

ENHYPENのジョンウォン(以下、ジョンウォン):僕はオーバーサイズな服が好きですね。デビューしたころから、それは変わっていません。でも、以前は何もかもオーバーサイズなものを着ていましたが、最近はレギュラーサイズのトップスに、オーバーサイズでバギーなボトムスを合わせるようになりました。

ジェイ:好きなスタイルはたくさんありますが、最近はレトロとニュートロ(新たなレトロ)が好きです。1970~80年代のスタイルとか、スタッズとか。

WWD:ファッションがK-POPで重視される理由について。

ジェイク:ステージ上で自分自身を“魅せる”ことはK-POPの大きな要素の一つなので、ファッションや何を着るかについてはじっくり考えますね。また、一般の人もファッションやビジュアル面を気にするからというのもあります。

ヒスン:それと、ファッションは自分をどう見せたいかに大きく関わる部分だからというのもありますね。着る洋服によって見た目や雰囲気が変わるので、どう見られたいかによっていろいろスタイルを変えています。アイドルにとって、それは重要なことなので。

WWD:アルバム「DARK BLOOD」のプロモーションでのファッションについて。

ソヌ:「DARK BLOOD」では、スーツなど、ヴァンパイアが着ていそうな服を着ました。ミュージックビデオではパールのベストも着ましたし、新しいことにもチャレンジしてみました。吸血鬼っぽい感じのものをいろいろ試してみたりとか。

ジョンウォン:職人の方が、僕たちのために衣装をカスタムで作ってくださったんですよ。最初はファンの皆さんも驚いたかもしれませんが、僕たちはあの衣装をとても誇らしく思っています。重かったけど、メンバー全員が気に入っています。

アンコールの衣装はニキのリクエスト
北米ツアーでは声援にびっくり?

WWD:北米ツアーの皮切りとなったロサンゼルスで初めてコンサートを行なった感想は?

ソンフン:ロサンゼルスのスタジアムでのライブは、本当に違う感じがしました。エンジン(ENGENE。ENHYPENのファンの名称)のみんなもすごく楽しんでくれたと思うし、そうして強さをもらったおかげで、ステージ上の僕たちもいつもよりさらにエキサイトできました。本当に楽しかったです。

WWD:セットリストで一番好きな曲とその理由について。

ソヌ:ここ最近は「カルマ(KARMA)」ですね。前は好きじゃなかったという意味ではなく、ほかにも好きな曲がいろいろあるからなんですが、今回はこれをライブの最後の曲にしたんですよ。アメリカの雰囲気によく合うと思うし、最高潮のままライブを終える感じがしていいな、と。

ジェイ:僕は、個人的に「ブロックバスター(Blockbuster)」が好きです。事務所のスタッフと一緒にセットリストを決めているとき、前回のライブとは完全に違う感じにしたいよね、という話になって。それで、大きなインパクトを残すために、最初のほうにこの曲を入れました。ファンの皆さんも楽しんでくれていると思うし、曲自体もとてもいいですよね。うん、僕はこの曲が一番好き。

WWD:ツアー衣装で最もお気に入りは?

ニキ:アンコールの衣装です。ほかの衣装は楽曲に合わせて作られたものですが、アンコールにはTシャツとバギージーンズという自分が好きなものを着たい、と事務所にリクエストしました。着られてうれしかったし、一番好きな衣装ですね。

ソンフン:リクエストしたのは、たぶんニキだけだよね。そんなことができるって知らなかったよ。ちなみに、北米ツアーではアンコールの衣装を変えています。

ジョンウォン:(ツアーの地域や時期で)衣装を変えているんです。

ニキ:グッズも変わっているんですよ。

WWD:今回と前回のツアーで、一番異なることは?

ヒスン:セットリストですね。前回はアンコールを入れて18~19曲だったと思うんですが、今回は24曲ぐらいあります。これはスタミナ面でかなり違ってきます。あと、今回のほうがステージに長くいるし、合間の休憩が短くなっているんじゃないかな。

WWD:ツアーのほかの都市で最も楽しみにしていることは?

ヒスン:都市ごとにカルチャーが違っているんですが、ロサンゼルスでは観客が吠えるような声を上げたり、「ウー、ウー、ウー!」って叫んだりしていましたね。

WWD:アメリカのSNSでトレンドに入っていました。

ソンフン:その声を聞いたヒスンが、「ファンのみんなが突然ブーイングしてるんだけど……」って、ライブ中に僕らのところに言いにきたんですよ。

ヒスン:そういう応援だとは知らなかったんです。エンジンの声は天使のようだといつも言っているんですが、「ウー!ウー!」って聞こえてきて、少し混乱してしまったんですよね。ポジティブな意味の声援だと、後で知りました。

ジョンウォン:(足を踏み鳴らしながら)こんな感じの応援もしてくれたんですよ。

WWD:なるほど。これは驚きますね。

ジョンウォン:地震かと思いました。

ヒスン:各都市で、こうしたいろんな経験ができることを楽しみにしています。

ジェイク:北米ツアーのキックオフとなった、ロサンゼルスでのライブは最高でした。このエネルギーを持って、残りの都市で安全に楽しくライブをやりたいです。

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「サロパ」で来日続々 英発「ミラー ハリス」のトップに聞くニッチフレグランス市場

英発フレグランス「ミラー ハリス(MILLER HARRIS)」のジョン・グラハム最高経営責任者(CEO)が来日した。伊勢丹新宿本店で開催されている「サロン ドゥ パルファン 2023(SALON DE PARFUM 2023」で出展しているため、その視察はじめ、日本市場について知るのが目的だ。「ミラー ハリス」は調香師のリン・ハリスが2000年にロンドンで設立。ボタンカル(植物)にこだわりながらロンドンという町が持つダイバーシティーを反映した香りを提供している。来日したグラハムCEOに話を聞いた。

グラハムCEOは、「『ミラー ハリス』は、クラシックな香水にロンドンのコンテンポラリーなツイストを加えた若い感覚のフレグランスだ」と語る。アートやカルチャー、ファッションなどダイナミックなロンドンの多様性を表現すると同時に、コロナ禍で変わった“ラグジュアリー”の意識にも寄り添う香を提案。「コロナ禍で人々が、日常の小さなことに対して価値を感じるようになった。日々の生活に見られる小さな美しい瞬間を切り取り、ロンドンのツイストを加えて香りに落とし込んでいる」。

ベストセラーは、“スケルツォ”。F.スコット・フィッツジェラルド(F. Scott Fitzgerald)の小説「夜はやさし」の一節からインスパイアされたというユニークなストーリーが人気の理由。同CEOは、「香りはもちろんだが、その背後のストーリーが需要」と言う。来年には、フランス・パリや中国・上海など世界中の4つの都市に合う文学の一節が着想源のフレグランスを発売予定だ。日本のベストセラーは、“ティートニック”。茶畑やロンドンで楽しまれる香り高い紅茶を想起させるフレッシュな香りだ。

環境に優しいニッチフレグランスの入門ブランド

グラハムCEOは、「ニッチフレグランスの市場は飽和している。各ブランド、それぞれの顧客がいるから、競合だとは考えない。われわれは、ロンドンという町をはじめ、日々の美しい瞬間を独自のストーリーで伝えることが大切だと考える」と言う。ニッチフレグランスというと取っ付きにくい印象があるが「ミラー ハリス」は、親しみやすいブランドだと言う。「『ミラー ハリス』はできるだけ多くの人に身近なブランドでありたい。ニッチフレグランスに興味のある人にとっては、入門ブランドとしてぴったり。一度香りを嗅ぐとファンになる人が多い」。そのため、消費者とのコミュニケーションは分かりやすく、コミュニティーを作るように行っているという。

「ミラー ハリス」は、20年にわたり環境に配慮したブランドとして活動している。バラやフィグ、オークなどを可能な限り廃棄を減らして使用したり、水を再利用したりしている。グラハムCEOは、「通常は廃棄される素材も再利用できないか実験を行っている。そうすることにより新たなクリエイションが生まれることもある」と話す。

路面店出店を視野に入れながらECも強化

日本市場における売上高は2022年、前年の2倍を記録した。コロナを機に、特に若い消費者によるニッチフレグランスの需要の高まりを象徴している。日本市場に関してグラハムCEOは、「ストーリーを理解してから購入する消費者が多いため、他の市場よりは時間がかかる。日本で成功すれば、世界で成功できると考える。親和性の高い顧客の元に商品を届けることが大切」と話す。現在、日本の販売拠点は24。海外では、コンセプトショップやホテルなど多岐にわたる販売拠点があるが、日本は百貨店が中心だ。そういう意味でも伸び代はまだまだある。これから、日本国内でもロンドンの“アーバン ネイチャー”をテーマにしたショップコンセプトを導入していくそうだ。「27年までに、全てのラインをそろえ、ブランドの世界観を伝えられるような路面店を出店したい」。また、ECの強化も図る予定だ。「イギリスでは、売上高の5割がECだ。デジタルマーケティングなどを通してディスカバリーセットを購入した2.5人に1人は、フルボトルを購入する。店舗とオンライン両方で顧客と繋がることが大切だ」。

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「サロパ」で来日続々 美貌の調香師によるフレグランス「エラ ケイ」の “引き算”の美学

フランス発ニッチフレグランス「エラ ケイ(ELLA K)」の創業者兼調香師のソニア・コンスタンが新作“ムスク K”の発表会のために来日した。「エラ ケイ」は2017年に設立、“旅”をテーマにしたフレグランスを提案している。同ブランドは、17日まで伊勢丹新宿本店で開催されている「サロン ド パルファン 2023(SALON DE PARFUM 2023)」にも出展し、新作“ムスク K”の先行販売などを行っている。

コンスタンは大手香料会社ジボダン(GIVAUDAN)で唯一女性のマスターパフューマー。「ナルシソ ロドリゲス(NARCISO RODRIGUEZ)」「トム フォード(TOM FORD)」「カルティエ(CARTIER)」などに数多くの名香を調香してきた。来日した彼女に、自身のブランドについて聞いた。

「エラ ケイ」は自分の伝記のようなもの

コンスタンは、「子どもの頃はバレリーナになりたかった。それからデザイナーになりたいと思っていた。人々を魅了する香りをつくる調香師は魔法使いのよう。もともと香りが好きだったので、香りの楽しみとアーティスティックなことが結びついた調香師になろうと思った」と語る。長身でまるでファッション誌から飛び出てきたような彼女だが、調香師としてのキャリアはもう20年。自身のブランドを立ち上げたきっかけは、クリエイション全て自身で手掛けたかったからだという。「自分のブランドは、私自身の伝記のようなもの。1〜10まで、全て本物で嘘がない」。

さまざまなフレグランスを手掛けてきた彼女は、大手メーカーによるフレグランスは、マーケティングが必須なことを熟知している。「自分がオーナーであれば、予算もマーケティングも関係なく、原材料も自分が使いたいと思えば、とめどなく高価なものを使える」と話す。とはいえ、ナルシソ・ロドリゲスやトム・フォードといったデザイナーのフレグランスを手掛けるときは、そのブランドのDNAに組み込まれるように、哲学を理解して香りを調香するという。

夢を実現する女性へのオマージュ

ブランド名は、スイス人の女性冒険家であるエラ・マイヤールの名前と、コンスタンの祖父の名前のイニシャル“K”を組み合わせたもの。マイヤールは、20世紀初頭に女性写真家として、中国やロシアなど世界各地を旅した人物だ。コンスタンにブランド哲学を聞くと、「夢を実現する女性たちへ寄せたオマージュ。夢を実現する女性に、より大胆に、一歩踏み出してほしいという思いを込めた」と話す。「エラ ケイ」は、旅がテーマ。だが、外への旅と自分自身の内への旅を誘うような哲学的なブランドだ。「『エラ ケイ』は、私自身のアバターでもある。クリエイションを通して私自身が歩む道を見つけ、より解放される」。

引き算で表現する知られざる場所へ誘う香り

「エラ ケイ」では、毎年1つのペースで新作が登場する。旅がテーマということもあり、コンスタン自身が旅に出て、その土地の香を選び、香りへ落とし込む。その場所は、カザフスタンのアルタイ、ボツワナのオカバンゴ、ベトナムのサパ・バレー、日本の嵯峨野など、知る人ぞ知る旅先。コンスタンは、「ボードレールの『悪の華』の中にある“音”と“色彩”と“香り”の共鳴を大切にして、香りに落とし込んでいる」と話す。そのプロセスは、印象画の絵のように、旅先の瞬間を切り取り、ボトルに封じ込めることだという。「旅を香りで表現するのに大切にしているのは、できるだけ原材料を少なくしている点。彫刻家のように、引き算で香りを完成させる」。彼女のクリエイションのモットーは、”レス・イズ・モア“だと言う。「フレグランスとは感情。素晴らしい香りは感情を生まれさせることができるはず。『エラ ケイ』でいろいろな場所への旅を誘いたい」。

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「サロパ」で来日続々 美貌の調香師によるフレグランス「エラ ケイ」の “引き算”の美学

フランス発ニッチフレグランス「エラ ケイ(ELLA K)」の創業者兼調香師のソニア・コンスタンが新作“ムスク K”の発表会のために来日した。「エラ ケイ」は2017年に設立、“旅”をテーマにしたフレグランスを提案している。同ブランドは、17日まで伊勢丹新宿本店で開催されている「サロン ド パルファン 2023(SALON DE PARFUM 2023)」にも出展し、新作“ムスク K”の先行販売などを行っている。

コンスタンは大手香料会社ジボダン(GIVAUDAN)で唯一女性のマスターパフューマー。「ナルシソ ロドリゲス(NARCISO RODRIGUEZ)」「トム フォード(TOM FORD)」「カルティエ(CARTIER)」などに数多くの名香を調香してきた。来日した彼女に、自身のブランドについて聞いた。

「エラ ケイ」は自分の伝記のようなもの

コンスタンは、「子どもの頃はバレリーナになりたかった。それからデザイナーになりたいと思っていた。人々を魅了する香りをつくる調香師は魔法使いのよう。もともと香りが好きだったので、香りの楽しみとアーティスティックなことが結びついた調香師になろうと思った」と語る。長身でまるでファッション誌から飛び出てきたような彼女だが、調香師としてのキャリアはもう20年。自身のブランドを立ち上げたきっかけは、クリエイション全て自身で手掛けたかったからだという。「自分のブランドは、私自身の伝記のようなもの。1〜10まで、全て本物で嘘がない」。

さまざまなフレグランスを手掛けてきた彼女は、大手メーカーによるフレグランスは、マーケティングが必須なことを熟知している。「自分がオーナーであれば、予算もマーケティングも関係なく、原材料も自分が使いたいと思えば、とめどなく高価なものを使える」と話す。とはいえ、ナルシソ・ロドリゲスやトム・フォードといったデザイナーのフレグランスを手掛けるときは、そのブランドのDNAに組み込まれるように、哲学を理解して香りを調香するという。

夢を実現する女性へのオマージュ

ブランド名は、スイス人の女性冒険家であるエラ・マイヤールの名前と、コンスタンの祖父の名前のイニシャル“K”を組み合わせたもの。マイヤールは、20世紀初頭に女性写真家として、中国やロシアなど世界各地を旅した人物だ。コンスタンにブランド哲学を聞くと、「夢を実現する女性たちへ寄せたオマージュ。夢を実現する女性に、より大胆に、一歩踏み出してほしいという思いを込めた」と話す。「エラ ケイ」は、旅がテーマ。だが、外への旅と自分自身の内への旅を誘うような哲学的なブランドだ。「『エラ ケイ』は、私自身のアバターでもある。クリエイションを通して私自身が歩む道を見つけ、より解放される」。

引き算で表現する知られざる場所へ誘う香り

「エラ ケイ」では、毎年1つのペースで新作が登場する。旅がテーマということもあり、コンスタン自身が旅に出て、その土地の香を選び、香りへ落とし込む。その場所は、カザフスタンのアルタイ、ボツワナのオカバンゴ、ベトナムのサパ・バレー、日本の嵯峨野など、知る人ぞ知る旅先。コンスタンは、「ボードレールの『悪の華』の中にある“音”と“色彩”と“香り”の共鳴を大切にして、香りに落とし込んでいる」と話す。そのプロセスは、印象画の絵のように、旅先の瞬間を切り取り、ボトルに封じ込めることだという。「旅を香りで表現するのに大切にしているのは、できるだけ原材料を少なくしている点。彫刻家のように、引き算で香りを完成させる」。彼女のクリエイションのモットーは、”レス・イズ・モア“だと言う。「フレグランスとは感情。素晴らしい香りは感情を生まれさせることができるはず。『エラ ケイ』でいろいろな場所への旅を誘いたい」。

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「サロパ」で来日続々 老舗フレグランス「クリード」の創業一族7代目に聞く日本市場の可能性

英国発老舗フレグランス「クリード(CREED)」は10月13日、東京都内で新作香水“カーミーナ オーデパルファム(以下、カーミーナ)”の発表イベントを開催した。“カーミーナ”は創業一族のクリード家で発見されたヘンリー・クリードのスケッチブックが着想源。その中に描かれていたカラフルなドレスをブラックチェリーとピンクペッパーなどで表現している。

同イベントのために、創業一族7代目のアーウィン・クリードが来日。「クリード」は8月末に伊勢丹新宿本店内に出店し、整理券を配るほどの人気だという。同店で17日まで開催されている「サロン ドゥ パルファン 2023(SALON DE PARFUM 2023)」では、“カーミーナ”やディスカバリーセットなどを販売中だ。来日したクリードに話を聞いた。

日本のフレグランス市場についてクリードは、「日本人はラグジュアリーに対する感覚がとても繊細。本当に良いものやストーリーのあるものを理解している。だから、『クリード』との相性はとても良い」と語る。欧米などに比べると日本のフレグランス市場はまだまだ未熟だ。だがクリードは、「成熟している市場よりは日本のように、伸び代のある市場の方がチャレンジングで面白い」と話す。ニッチフレグランスに対する関心が高い消費者が増えている日本市場には大きな可能性を感じているようだ。

1760年にジェームズ・ヘンリー・クリードがテーラーとしてロンドンで創業した「クリード」。創業当時は、ヨーロッパの王室や貴族の御用達で、イギリス国王であったジョージ3世へ香りのついた革手袋を届けたと言われている。「クリード」のフレグランスは、今でもこだわって自社工場で生産されている。クリードは、世界各地へ自然香料を探しに行くそうだ。最近も、エジプトやインドへ訪れたという。「料理と同じで、原材料はフレグランスにとって最も重要。最高級の素材を用意するのがわれわれのモットーだ。フレグランスの良し悪しは、原材料に左右されるといっても過言ではない」。

6月にはケリング傘下に入り、新たなチャプターを迎えた「クリード」。クリードは、「代々受け継がれてきたブランドのDNAを大切にしていくことが最優先。『クリード』の出発点はテーラーだった。だから、ファッションとの親和性も高いし、さまざまな可能性を持っている」と語った。

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NY発「サトミ カワキタ」の“モノが人を選ばない”手の温もりが伝わるジュエリー 

米ニューヨーク発ジュエリー「サトミ カワキタ(SATOMI KAWAKITA)」の路面店が6月東京・南青山に登場した。同ブランドは、デザイナーのサトミ・カワキタが2008年にニューヨークで設立。自然の中にある形や素材感をインスピレーション源に、微妙な歪みや不規則性とクラフト感があるジュエリーを提案している。トライベッカの工房で職人が手仕事で仕上げるジュエリーから、手の温もりが伝わってくる。ニューヨークの「スティーブン アラン(STEVEN ALAN)」などのセレクトショップや、英ロンドンの「リバティ(LIBERTY)」などの百貨店を中心に販売。日本では、「トゥモローランド(TOMORROWLAND)」などが取り扱っている。

グレーの濃淡を基調にしたクリーンなデザインの店舗には、木工作家の吉川和人による什器や家具が置かれ、リビングのように居心地の良い空間だ。ブランドを立ち上げて15年、拠点はニューヨークだが、日本にも拠点を持ちたいというカワキタの思いが反映された店舗になっている。子どもの頃からモノ作りが好きで以前はガラス作家に従事していたというカワキタ。彼女に、クリエイションに込める思いについて聞いた。

ニューヨークで出合った彫金

ガラス工房で吹きガラスを制作していたカワキタが、彫金に出合ったのはニューヨークだった。カワキタは、「語学留学で立ち止まってモノ作りについて考えた。ガラス制作はチームワークでスピード感が必要。それよりは、自分がちまちました作業が好きなことに気づいた」と話す。そこで、彼女はニューヨークで彫金学校に入学し、ダイヤモンドの石留め職人の道を歩み始め、7年間働いた。「ガラスは割れたら終わりだが、ジュエリーは長く使える。石留め職人の技術を生かしてジュエリーブランドを立ち上げた」と語る。

ブランドを立ち上げ当時は、素材調達の予算もあまりなく、華奢なリングしか作れなかったが、それが、ブランドのシグニチャーになった。「重ね付けすることにより、個性あふれる幾通りもの表情がある。記念日や思い出と共に増やしたリングを足し引きして楽しめるのも魅力だ」。ダイヤモンドのセッティングができるので、ブライダルラインも始めた。「ブライダルという皆が幸せになるモノ作りをしたいと思った」。ダイヤモンドをセッティングした“ヘキサゴン”はベストセラーの一つ。主張しすぎないデザインが、人と違うエンゲージリングを探している人に支持されている。

“モノが人を選ばない”デザイン

ケースの中には、ずらりとリングが並べられ、そのバリエーションの多さに驚かされる。「アメリカは、さまざまな肌の色の人がいる多様な国。指が細い人もいれば、太い人もいる。私がクリエイションでこだわっているのは、“モノが人を選ばない”ということ。誰もが、何か似合うものを見つけてほしい」とカワキタ。一見、シンプルなリングばかりだが、一つ一つにさりげない表情がある。整いすぎていない“揺らぎ”が味になっている。「リングという小さなスケールでどれだけ個性が表現できるか考えるのが楽しい。つけ心地にもこだわる。指と向き合うと、揺らぎがあるデザインが自然だと感じる。人の証が残るものを作りたい」。

使用している地金にもこだわりがある。18金ゴールドはすべてニューヨークでリサイクルされたものを使用。ホワイトゴールドは、天然ゴールド本来の色を生かし、ホワイトというよりは、シャンパンやグレーがかった優しい色合いだ。使用する宝石もカワキタがアリゾナのツーソンで買い付けたものなどユニークな石が多い。

訪日外国人のカップルが来店した。カワキタが声をかけると「ニューヨークでブランドを知った。来日したので東京でジュエリーを購入するのが目的だ」と言う。このようにニューヨークで「サトミ カワキタ」のジュエリーに出合い、東京の店舗を訪れる外国人も多いようだ。モノ作りに対するカワキタの静かな情熱が表現されているジュエリーのファンには待望の路面店だ。

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NY発「サトミ カワキタ」の“モノが人を選ばない”手の温もりが伝わるジュエリー 

米ニューヨーク発ジュエリー「サトミ カワキタ(SATOMI KAWAKITA)」の路面店が6月東京・南青山に登場した。同ブランドは、デザイナーのサトミ・カワキタが2008年にニューヨークで設立。自然の中にある形や素材感をインスピレーション源に、微妙な歪みや不規則性とクラフト感があるジュエリーを提案している。トライベッカの工房で職人が手仕事で仕上げるジュエリーから、手の温もりが伝わってくる。ニューヨークの「スティーブン アラン(STEVEN ALAN)」などのセレクトショップや、英ロンドンの「リバティ(LIBERTY)」などの百貨店を中心に販売。日本では、「トゥモローランド(TOMORROWLAND)」などが取り扱っている。

グレーの濃淡を基調にしたクリーンなデザインの店舗には、木工作家の吉川和人による什器や家具が置かれ、リビングのように居心地の良い空間だ。ブランドを立ち上げて15年、拠点はニューヨークだが、日本にも拠点を持ちたいというカワキタの思いが反映された店舗になっている。子どもの頃からモノ作りが好きで以前はガラス作家に従事していたというカワキタ。彼女に、クリエイションに込める思いについて聞いた。

ニューヨークで出合った彫金

ガラス工房で吹きガラスを制作していたカワキタが、彫金に出合ったのはニューヨークだった。カワキタは、「語学留学で立ち止まってモノ作りについて考えた。ガラス制作はチームワークでスピード感が必要。それよりは、自分がちまちました作業が好きなことに気づいた」と話す。そこで、彼女はニューヨークで彫金学校に入学し、ダイヤモンドの石留め職人の道を歩み始め、7年間働いた。「ガラスは割れたら終わりだが、ジュエリーは長く使える。石留め職人の技術を生かしてジュエリーブランドを立ち上げた」と語る。

ブランドを立ち上げ当時は、素材調達の予算もあまりなく、華奢なリングしか作れなかったが、それが、ブランドのシグニチャーになった。「重ね付けすることにより、個性あふれる幾通りもの表情がある。記念日や思い出と共に増やしたリングを足し引きして楽しめるのも魅力だ」。ダイヤモンドのセッティングができるので、ブライダルラインも始めた。「ブライダルという皆が幸せになるモノ作りをしたいと思った」。ダイヤモンドをセッティングした“ヘキサゴン”はベストセラーの一つ。主張しすぎないデザインが、人と違うエンゲージリングを探している人に支持されている。

“モノが人を選ばない”デザイン

ケースの中には、ずらりとリングが並べられ、そのバリエーションの多さに驚かされる。「アメリカは、さまざまな肌の色の人がいる多様な国。指が細い人もいれば、太い人もいる。私がクリエイションでこだわっているのは、“モノが人を選ばない”ということ。誰もが、何か似合うものを見つけてほしい」とカワキタ。一見、シンプルなリングばかりだが、一つ一つにさりげない表情がある。整いすぎていない“揺らぎ”が味になっている。「リングという小さなスケールでどれだけ個性が表現できるか考えるのが楽しい。つけ心地にもこだわる。指と向き合うと、揺らぎがあるデザインが自然だと感じる。人の証が残るものを作りたい」。

使用している地金にもこだわりがある。18金ゴールドはすべてニューヨークでリサイクルされたものを使用。ホワイトゴールドは、天然ゴールド本来の色を生かし、ホワイトというよりは、シャンパンやグレーがかった優しい色合いだ。使用する宝石もカワキタがアリゾナのツーソンで買い付けたものなどユニークな石が多い。

訪日外国人のカップルが来店した。カワキタが声をかけると「ニューヨークでブランドを知った。来日したので東京でジュエリーを購入するのが目的だ」と言う。このようにニューヨークで「サトミ カワキタ」のジュエリーに出合い、東京の店舗を訪れる外国人も多いようだ。モノ作りに対するカワキタの静かな情熱が表現されているジュエリーのファンには待望の路面店だ。

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ファッションPRによるフレグランス「イエ バンドゥ」 創業者に聞く3カ月で黒字化した“自分軸”のビジネス

細川麻里子 / EMME最高経営責任者、ye22ブランドディレクター プロフィール

香川県出身。東京で育ち、大学卒業。米シアトルに留学し、アート・インスティテュート・オブ・シアトル卒業。ニューヨークに移り、日経商社で営業として勤務後、2008年帰国。アパレルの輸入代理店でファッションPRとして働いた後16年、フリーランスPRとして独立。18年にEMMEを設立し、22年「イエ バンドゥ」をスタート PHOTO:TISCI

「ヴェジャ(VEJA)」や「グローブ トロッター(GLOBE TROTTER)」などのPRを行うEMMEが手掛けるライフスタイルブランド「イエ バンドゥ(YE 22)」がデビュー1周年を迎えた。同ブランドは、細川麻里子EMME最高経営責任者(CEO)が2022年8月に香りに特化したD2Cブランドとして創業。ブランドディレクターとしてコンセプト作りから商品開発、販売まで携わっている。

同ブランドが販売するのは、フレグランスとハーブティー。美容成分入りのフレグランス“パルファムシャワー”が好評で、創業後3カ月で黒字化した。12月にはナチュラル&オーガニックのセレクトショップ「コスメキッチン(COSME KITCHEN)」でエクスクルーシブの香り2種を発売予定だ。細川CEOに、「イエ バンドゥ」に込めた思いについて聞いた。

自分軸のビジネス&女性をサポートするブランド

「イエ バンドゥ」という名前は、聖書の中で“あなた”を意味する“イエ(ye)”とブランドが誕生した年22を掛け合わせたもので、“自分だけのストーリーを生きる”という意味が込められている。ブランドを立ち上げた理由について細川CEOは、「PRは他人任せのビジネス。コロナ禍でクライアントやイベントが減り打撃を受け、人から与えてもらったものはなくなると実感した。会社を継続させるためにも自分軸のビジネスをしたいと思い、ブランドを立ち上げた」と話す。

香りに特化したブランドにした理由は、同CEOが好きな洋服と同じく身にまとうものだから。「直感に訴える香りでポジティブになれるようなブランドにしたい。海外に比べると日本では、経済的・精神的に自立している女性が少ない。私自身にも通じるが、自分軸で物事を捉えて自由に生きる女性を応援するブランドになればと思う」と話す。「イエ バンドゥ」では、香りを通して女性をサポートする商品を開発していく予定だ。現在販売しているハーブティーも女性特有のむくみや更年期障害などの悩みに特化したもので、効能はもちろんだが、飲みやすいように味を研究した。「インナービューティを気にする女性が増えている。朝はハーブティー、日中は“パルファムシャワー”、夜は香水というように香りを通した毎日のリチュアル(儀式)を提案できればと思う」。

実体験から生まれた“パルファムシャワー”

ラグジュアリー・ブランドからニッチブランドまでさまざまあるフレグランス市場で、ゼロからスタートするにあたり、細川CEOが思いついたのが市場にない新しい製品“パルファムシャワー”だ。「香水に美容成分を加えたら面白いと思った。“パルファムシャワー”は美容成分が95%で、スキンケアやヘアケアなどいろいろ使えるし、香りもまとえる。飛行機が苦手で、機内に持ち込めて、スキンケアもでき香りでリフレッシュできるものがあればと思った」。この“パルファムシャワー”がヒット。ブランドをスタートして3カ月後には数千個を販売した。体全体にふんわり香りがまとえるように霧の細かさにこだわり、香水が着けられない医療従事者や飲食店従業員からスタイリストなどから支持されている。使いやすさや価格帯などからギフト需要もあるという。

香りは、“アッパーウエストサイド”“アルキビーチ”“ヴィルフランシュ=シュル=メール”“ル マレ”の4種類。細川CEOが住んだり訪れたりした場所の情景が着想源だ。メード・イン・ジャパンにこだわり、ナチュラルな香料を使って日本人の調香師が仕上げた。「場所の写真などを盛り込みながら、ブログやSNSで発信して香りのイメージを伝えている」。ベストセラーは、“ヴィルフランシュ=シュル=メール”だ。爽やかで男女問わず使える点と、スキンケアとして一番マッチする香りだからだという。

地道に認知度アップを図り海外展開も視野に

D2Cブランドでありながら3カ月で黒字化できたのは、PRで培ったネットワークが大きい。「友人やインフルエンサーにブランドを紹介してSNSで紹介してもらったり、雑誌に掲載してもらったりした。SNS発信やポップアップショップを行い、地道にブランド認知度アップを図った」と細川CEO。ポップアップでの実売はあまりないが、ムエットを渡すことがオンラインの販売につながるという。「インスタライブが売り上げに直結する。霧の細かさを見て興味を持つ人もいて、SNSと相性が良いと思う」。オンライン注文は当日発送というスピーディな対応も顧客満足度に繋がっているようだ。

現在、売り上げの8割がオンラインだが、リステアなどのセレクトショップへ卸販売もしている。「ブランド立ち上げ時から取り扱いのあるリステアでは安定して売れている。ポップアップの話も増えており、卸を増やしたい」。27年までに年商1億円を達成するのが目標だ。同CEOは、「香りを軸に、ブランドとして価値を高めて大切に育てて行きたい。ゆくゆくは、海外での展開も視野に入れている」。

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人気ブランド「epine」が突然のブランド休止宣言、渦中の創業者2人に直撃インタビュー

インスタグラム発の人気ブランド「エピヌ(epine)」が10月12日夜、2人の創業者である山本彩也架(@ayayaka1019)と鈴木舞(@ym14me)のインスタグラムアカウントで突如、1年後の2024年11月21日にブランドを休止すると発表した。同ブランドを運営するepine officialの直近の22年11月期の年商は約10億円。18年12月に法人化以来、売上高はずっと右肩上がりで成長し、23年11月期も過去最高の売り上げが達成確実という人気絶頂のタイミングでの、突然の休止宣言。「epine」に何があったのか。創業者2人に直撃した。

創業以来、二人三脚で決断&作業

「エピヌ」のブランド創業は、2015年11月21日。代表取締役CEOの山本デザイナーと取締役COOの鈴木ディレクターの2人で立ち上げた。「立ち上げたといっても個人事業で私が100万円、鈴木が20万円を出し合ってインスタを利用したECショップをスタートしました」と山本CEO。山本CEOはヴィンテージショップでのバイヤー経験こそあったものの、取り立てて業界にコネがあったわけでもなく、鈴木COOはまだ大学生だった。家賃を節約するために山本CEOは大学生の鈴木の家に転がり込み、当初は売り上げの大半のお金を買い付けにつぎ込んで販売するという、まさに自転車創業だった。「最初の1カ月の売り上げは30万円で、初年度は800万円でした。立ち上げから最初の1年半の給料は5万円、2〜3年目まで10万円でした。私は幸いにも仕送りで家賃を賄っていてお金がかからかったので(笑)、最低限の生活費以外は売り上げの大半を買い付けにほとんど回していました」と鈴木COO。

当初はヴィンテージを買い付けたり、韓国からテイストに合う服を仕入れたりしていたが、あるとき韓国で100枚ほどの発注をした際に「それなら縫製工場で作ったほうがいい」と言われ、オリジナルアイテムの販売をスタート。最大のヒット商品であるトートバッグはシリーズ累計で20万個に達している。ただ、製造委託先は現在も2〜3社で、メーンは最初に生産を委託したOEM企業だ。売上の増加に伴い、19年2月に表参道ヒルズの裏手の一角に路面店をオープンするため、18年12月25日に法人化。21年2月には念願だったルミネ新宿にショップをオープンした。

同社は年商が10億円に達した今でも借り入れすらなく、無借金経営だ。全て2人で決め、業務の多くも実際に2人が手を動かす。山本CEOは「立ち上げて以来、写真1枚だって人任せにせず2人でやってきました。小さなことから大きなことまで、2人で全て決めてきた」と語る。業務は山本CEOがデザインのディレクション、インスタグラムの運用、オンラインショップの運営、スタイリング、鈴木COOがヘアメイク、アートディレクション、デザインディレクション、経理や物流などの間接部門の運営・管理、PRを担当。今でもルックブックなどの「エピヌ」のビジュアル全般を撮影から編集、インスタグラムのアップまで山本CEOが作業している。

実は2人は今でも一緒に住む。「いわゆるパートナーという関係ではありません。立ち上げからそうだったというのもありますが、2人一緒にいることが一番効率がいいというか、『エピヌ』は全部2人で決めるので一緒にいるのが一番いいんです。ちなみに私は家事全般が苦手なので、マイに全部やってもらってます」。新宿にオフィスはあるものの基本的には物流倉庫のようなもので、2人の住む家がアトリエ兼住居兼オフィスのようなもの。2人のインスタグラムにはリサーチや撮影を兼ねた旅行先の投稿も多いが、「撮影こそ一眼レフカメラを使いますが、それ以外の業務の大半はスマホで完結しています」(山本CEO)。まさに2人がいる場所こそがオフィスなのだ。

ブランド休止は3年前のルミネ出店がきっかけ

ブランドの休止について考え始めたのは、21年2月のルミネ出店がきっかけだった。「ルミネに出店したあたりから、ブランド休止について考え始めました。ルミネへの出店は、立ち上げ当初に考えていた夢のひとつでした。それ以外でも夢がどんどん叶って行って、燃え尽き症候群のようになった。とはいえ、支持してくださるお客さま、支えてくれるショップスタッフなどの社員たちや仕入先がいる限り、そんなことは言ってられない。ありがたいことに売り上げはずっと右肩上がりで、常に『今が一番忙しい』という感じ。いまこの時点でもそうです」と山本CEO。

今年3月には渋谷109に出店したが、鈴木COOは「ブランド休止を考えていたし、新宿と渋谷という距離の近さ、もう手が回らないといった理由で当初はずっと断っていたんです。ただ、何度も足を運んでいただき、いろいろな話をする中で、すっと2人の中で腹落ちするような瞬間があって」。45坪と路面店も含めても最大のスペースだが、「渋谷109ならではのコラボレーションなどのおかげで新規顧客も広がった。いわゆる新宿店とのカニバリもなく、そのおかげもあって23年11月期は過去最高の売上になりそうです」(鈴木COO)。

では、なぜ休止なのか。「『エピヌ』のことは本当に全てを2人で決断してきました。小さなことから大きなことまで、決断、決断の毎日でした。1つのデザインだって『あやまい』が判断しなければ絶対に『エピヌ』ではない。それがこの8年間いつの時期の規模感であっても、心底『エピヌ』にとっては当たり前のことだと思ってやってきました』と山本CEOはインスタグラムの投稿で明かしている。そうして悩みに悩んだ末に出した結論が、一旦の「ブランド休止」だった。「もちろん他のやり方があることは分かっていますし、実際、実はこれまでたくさんの買収の話もいただきました。信じられないような金額も話もありました。でも、それも2人の中でどうしてもしっくりこなかった。『エピヌ』というブランドが残ったとしても、街中で自分たちだったらやらないような色やデザインの『エピヌ』を見ることは受け入れられなかった。それにやるんだったら、最後の1日まで燃え尽きたい。それに生まれ変わってもマイと一緒に『エピヌ』をやりたいし、ファンの皆さんに愛されてきたエピヌをできるだけ、そのままの形で残しておく。だから1年前に公表した上での休止。これが私たちの結論でした。これしかないと思ったんです」。

今後は?

来月11月17日の名古屋パルコ店のオープンを皮切りに、来年1月に広島パルコ(1月2〜8日)、2月に伊勢丹新宿本店、3月に静岡パルコ(3月20〜26日)、4月い札幌パルコ(4月12〜18日)&福岡パルコ(4月26日〜5月6日)、5月に阪急うめだ本店と、全国での怒涛のポップアップショップをオープンし、全国を巡回する。年内には宝島社からムック本も出版予定だ。「他にもたくさんのコラボレーションも予定しています。鈴木COOは「この1年はまさにフィナーレ。いわば第一幕の最終章です。最後の1日のために全力でファンの皆様に感謝の気持を伝えたい」。

休止後の予定は「正直言って、まだ何も決めていません。というか考えられないです。ただ、ブランド開始から8年、24時間365日のすべての時間をエピヌに注ぎ込んできました。ずっと2人の世界でやってきたので、写真のこと、デザインのこと、経営のこと、すべてをもっとパワーアップさせたい。そのためにもアパレル業界の人脈ももっと広げたいですし、勉強もしたいと思っています」と山本CEO。鈴木COOは「アヤ(山本CEO)は本当に1日も仕事を休んだことがないんですよ。私もアートをきちんと勉強したり、クリエイティブ全般をもっと突き詰めたい。料理が好きなので料理の勉強もしてみたいし、大好きな韓国のために韓国語を勉強したりもしたいです。あ、それに恋もしたいですね(笑)」。「変わらないのは、マイと一緒だということ。2人が結婚して子どもができてそれぞれの家庭ができても一緒に住みたいね、って話してます」(山本CEO)。「家事は私がやっているんで、服が散らかってるとかくだらないことで喧嘩もしますよ。でもずっと一緒にやってきた。だからこれからライフステージが変わっても、生まれ変わってもずっと一緒です」(鈴木COO)。

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オーパがスタートアップと協業 古着を再エネ原料に

新興企業のバイオテックワークスエイチツー(BIOTECHWOORKS-H2)は このほど、廃棄衣料を水素化するプロジェクト「バイオテックワークスエイチツー」を発表した。イオ ングループの商業施設オーパがパートナーとなり、 両社は2025年をめどに新たな古着回収プロジェクトを開始する。オーパ主要店舗で回収した古着を、 同社のプラントで水素化し、オーパ施設の再生可能エネルギー源として活用する構想だ。

「ファッションの楽しさを失わず、
無理なく循環させたい」

WWDJAPAN(以下、WWD):オーパは過去にも古着の回収を実施しているが、そこで見えていた課題は?

渡邉祐子オーパ社長(以下、渡邉社長):ファッション業界でビジネスを成長させてきた私たちは、ファッションロスに何らかの形で取り組まなければいけないと思い、数年前から、各店舗での衣料回収を実施してきた。従来回収したあとの対応は他社に任せていたが、本質的なサステナビリティを目指すならば、回収した後も自分たちが責任を持って循環させていくべきではないかと思っていた。そこで出合った1つがバイオテックワークスエイチツーだった。

WWD:バイオテックワークスエイチツー創業のきっかけは?

西川明秀バイオテックワークスエイチツー 代表取締役CEO(以下、西川CEO):私はテキスタイルメーカーのやまぎんで、環境配慮型素材の開発に注力してきたが、サステナブルな産業に転換していくためには作る側としてできることには限界がある。作った後に出るゴミを正しく処理する方法も同時に考えていかなければいけないと思ったのが始まりだ。特に繊維商品は、繊維の種類が多く分別ができず廃棄が非常に難しい。ファッションの楽しさを失わず、無理なく循環させる方法を考えたいと思った。

各テナントから出る
ごみ全てを再エネ化

WWD:具体的には?

西川CEO:プロジェクトの参加者には、食品トレーをスーパーに持参する感覚で着なくなった衣類を回収拠点に持ってきてもらう。回収後は当社で仕分けをしたのち、リサイクルが難しいものは専用プラントで水素化する。アパレル商品はボタンやファスナーなど、付属品が多く分解する作業が手間だったが、私たちはそれらをそのまま裁断機にかけて1 0 c m ×10 c m程度の大きさにしたのち、プラントでガス化する。ガス化とは、燃やさずに燻製のような手法で煙を抽出する手法だ。煙は一酸化炭素と水素で構成されるため、そこから水素を取り出すという仕組みだ。水素は再生可能エネル ギーとして協力企業に活用してもらう。一方の一酸化炭素は二酸化炭素にして、ドライアイスなどに使用する。今回であればオーパの飲食テナントにも炭酸ガスとして使ってもらうこともできる。古着の回収量から、どれだけ再エネ化できたか、焼却処分した場合と比較してどれだけ CO 2排出量 に削減したかといったエビデンスも提供で きる。来年の4月からは、プロジェクトの協 力企業に向けて環境貢献度が見える事前サービスを開始する予定だ。

WWD:これまでのゴミ処理のスキームを大きく変える技術だ。

西川CEO:私たちの強みの1つは、どんな商品でも再資源化できること。オーパのお客さまには好きな商品を購入してもらって、あとはオーパを通して私たちに任せてもらえば正しくリサイクルできる。オーパとお客さまの信頼関係構築にもつながるのではないかと思っている。まずは衣類から始めるが、ゆくゆくはオーパの各テナントから出るごみ全てを再エネ化できる。

渡邉社長:初めて聞いたときは、本当にできるの?と思ったのが正直なところだ。それでも、話を聞けば聞くほど興味深い。ファッションの課題を解決していくために一緒に踏み込んでいこうと思わせてくれるパートナーだった。

2025年度に日本での
プラント建設開始を目指す

WWD:今後の展開は?

西川CEO:すでにオーパのインフォメーションカウンターの制服に関してはシーズンの切り替えのタイミングで回収しているが、2025年度に日本でのプラント建設開始を目指しており、建設開始後に回収を本格的に進める。

渡邉社長:主要7店舗で回収を始める。当社の顧客層は若い世代が中心だ。環境に意識の高い彼らとアクションを起こし、実績を積めれば、イオングループや地域全体にも広げられ、業界の未来に貢献できる。

西川CEO:ゆくゆくは、日本全体を変えて いきたいし、日本のファッション企業のカー ボンニュートラル化を後押ししたい。

横浜ビブレの制服から協業始まる

オーパが運営する横浜ビブレでは今年4 月から、インフォメーションカウンターで働く従業員の制服にやまぎんが開発した機能素材「ゼロテックス」を採用している。秋冬の制服のデザインは、ファッションを学ぶ学生から案を募った。従業員とお客さまの投票の中から横浜fカレッジに在籍する長沼綺星(ながぬま・きらら)さん(写真・左)の制服が選ばれた。着なくなった制服は、バイオテックワークスエイチツーの回収スキームに乗せる。

PHOTO:SHUHEI SHINE
問い合わせ先
株式会社BIOTECHWORKS-H2
広報担当 仁谷
03-5422-9701

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オーパがスタートアップと協業 古着を再エネ原料に

新興企業のバイオテックワークスエイチツー(BIOTECHWOORKS-H2)は このほど、廃棄衣料を水素化するプロジェクト「バイオテックワークスエイチツー」を発表した。イオ ングループの商業施設オーパがパートナーとなり、 両社は2025年をめどに新たな古着回収プロジェクトを開始する。オーパ主要店舗で回収した古着を、 同社のプラントで水素化し、オーパ施設の再生可能エネルギー源として活用する構想だ。

「ファッションの楽しさを失わず、
無理なく循環させたい」

WWDJAPAN(以下、WWD):オーパは過去にも古着の回収を実施しているが、そこで見えていた課題は?

渡邉祐子オーパ社長(以下、渡邉社長):ファッション業界でビジネスを成長させてきた私たちは、ファッションロスに何らかの形で取り組まなければいけないと思い、数年前から、各店舗での衣料回収を実施してきた。従来回収したあとの対応は他社に任せていたが、本質的なサステナビリティを目指すならば、回収した後も自分たちが責任を持って循環させていくべきではないかと思っていた。そこで出合った1つがバイオテックワークスエイチツーだった。

WWD:バイオテックワークスエイチツー創業のきっかけは?

西川明秀バイオテックワークスエイチツー 代表取締役CEO(以下、西川CEO):私はテキスタイルメーカーのやまぎんで、環境配慮型素材の開発に注力してきたが、サステナブルな産業に転換していくためには作る側としてできることには限界がある。作った後に出るゴミを正しく処理する方法も同時に考えていかなければいけないと思ったのが始まりだ。特に繊維商品は、繊維の種類が多く分別ができず廃棄が非常に難しい。ファッションの楽しさを失わず、無理なく循環させる方法を考えたいと思った。

各テナントから出る
ごみ全てを再エネ化

WWD:具体的には?

西川CEO:プロジェクトの参加者には、食品トレーをスーパーに持参する感覚で着なくなった衣類を回収拠点に持ってきてもらう。回収後は当社で仕分けをしたのち、リサイクルが難しいものは専用プラントで水素化する。アパレル商品はボタンやファスナーなど、付属品が多く分解する作業が手間だったが、私たちはそれらをそのまま裁断機にかけて1 0 c m ×10 c m程度の大きさにしたのち、プラントでガス化する。ガス化とは、燃やさずに燻製のような手法で煙を抽出する手法だ。煙は一酸化炭素と水素で構成されるため、そこから水素を取り出すという仕組みだ。水素は再生可能エネル ギーとして協力企業に活用してもらう。一方の一酸化炭素は二酸化炭素にして、ドライアイスなどに使用する。今回であればオーパの飲食テナントにも炭酸ガスとして使ってもらうこともできる。古着の回収量から、どれだけ再エネ化できたか、焼却処分した場合と比較してどれだけ CO 2排出量 に削減したかといったエビデンスも提供で きる。来年の4月からは、プロジェクトの協 力企業に向けて環境貢献度が見える事前サービスを開始する予定だ。

WWD:これまでのゴミ処理のスキームを大きく変える技術だ。

西川CEO:私たちの強みの1つは、どんな商品でも再資源化できること。オーパのお客さまには好きな商品を購入してもらって、あとはオーパを通して私たちに任せてもらえば正しくリサイクルできる。オーパとお客さまの信頼関係構築にもつながるのではないかと思っている。まずは衣類から始めるが、ゆくゆくはオーパの各テナントから出るごみ全てを再エネ化できる。

渡邉社長:初めて聞いたときは、本当にできるの?と思ったのが正直なところだ。それでも、話を聞けば聞くほど興味深い。ファッションの課題を解決していくために一緒に踏み込んでいこうと思わせてくれるパートナーだった。

2025年度に日本での
プラント建設開始を目指す

WWD:今後の展開は?

西川CEO:すでにオーパのインフォメーションカウンターの制服に関してはシーズンの切り替えのタイミングで回収しているが、2025年度に日本でのプラント建設開始を目指しており、建設開始後に回収を本格的に進める。

渡邉社長:主要7店舗で回収を始める。当社の顧客層は若い世代が中心だ。環境に意識の高い彼らとアクションを起こし、実績を積めれば、イオングループや地域全体にも広げられ、業界の未来に貢献できる。

西川CEO:ゆくゆくは、日本全体を変えて いきたいし、日本のファッション企業のカー ボンニュートラル化を後押ししたい。

横浜ビブレの制服から協業始まる

オーパが運営する横浜ビブレでは今年4 月から、インフォメーションカウンターで働く従業員の制服にやまぎんが開発した機能素材「ゼロテックス」を採用している。秋冬の制服のデザインは、ファッションを学ぶ学生から案を募った。従業員とお客さまの投票の中から横浜fカレッジに在籍する長沼綺星(ながぬま・きらら)さん(写真・左)の制服が選ばれた。着なくなった制服は、バイオテックワークスエイチツーの回収スキームに乗せる。

PHOTO:SHUHEI SHINE
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広報担当 仁谷
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キッド・カディに聞く「モーター」誕生秘話 友人NIGO®︎との思い出話も

ラッパーのキッド・カディ(Kid Cudi)が、ファッションブランド「メンバーズ オブ ザ レイジ(MEMBERS OF THE RAGE以下、MOTR)」を立ち上げた。かつて「ア ベイシング エイプ(A BATHING APE)」NY店のスタッフだった彼は、ある日、来店したカニエ・ウェスト(Kanye West)に自分のラップを吹き込んだデモCDを渡し、チャンスをつかんだ。今では、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のランウエイを歩き、「コンプレックスコン(ConplexCon)」の最盛期にライブのヘッドライナーを務め、メットガラにも登場。ラッパーとしてもファッションアイコンとしても世界中に認められ、アメリカンドリームを体現した人物である。「MOTR(モーター)」は、ポップなカラーリングと愛らしくコミカルなグラフィックが特徴。イタリア製で仕立てにもこだわり、随所にファッション好きのカディのDNAが息づいている。デビューコレクションの着想源は“常識に反する人々”。まるで、常識を覆してきたカディ自身の生き方を重ねたようなパワフルなコレクションだ。このほど、「ヌビアン ハラジュク(NUBIAN HARAJUKU)」でポップアップイベントを開催。レセプションパーティーでカディを直撃した。

――なぜ、ファッションブランドを始めようと思ったのか?

キッド・カディ(以下、カディ):俺にはスタイリストがいなくて、衣装も全て自分で用意している。だから、これまでは自分で店に行って買っていた。コンシューマーの立場に近かったんだよ。でも、いつからか自分が本当に欲しいと思うものが減ってきて、好きなものを買うところが少なくなってしまった。だったら自分で好きなものを作ればいいじゃないかと思ったんだ。アイデアはたくさんあったから、ブランドを始めることにした。

――“MEMBERS OF THE RAGE”というネーミングの由来は?

カディ:"MEMBERS OF THE RAGE"は元々、俺が作りたい映画のタイトルだった。このタイトルはファッションだけじゃなく、レコードとか、いろんなプロジェクトで使っている。"THE RAGE"は、"怒り"(直訳すると「怒りを持っているメンバー」という意味)。現状に不満を抱えている人々にも、勇気を出して一歩を踏み出してもらいたい。そういうメッセージを伝えたくて、このタイトルを選んだ。

――今シーズンのコレクションのコンセプトは?

カディ:初めてのコレクションで、アイデアはたくさんあったけど、実際にどんなものが売れるか分からないから、まずは全部のアイデアを出して、その中から今シーズンのムードに合うものを選んだ。今は、1990年代のグランジやヒップホップが面白いと思っている。今回はやりたいことにチャレンジした感じかな。次のシーズンのコレクションを作るタイミングで、今回のコレクションを参考にできればいいね。一過性のブランドではなく、先々のシーズンのことも視野に入れながらデザインしているよ。

――UFOのロゴはプライベートでも親交の深いNIGO®︎さんとのコラボレーションで生まれたと聞いた。NIGO®︎さんとの一番のエピソードは?

カディ:たくさんの思い出があるけど、一番の思い出は、やっぱり「ベイプ(BAPE)」のNY店で働いていたときかな。2007年に、たまたまNIGO®︎さんが店に来たことがあるんだ。スタッフの間では、店にNIGO®︎さんがたまに立ち寄るって噂されていたんだけど、ある日、本当に現れた。初めて本人と会ったときは、すごく興奮したよ。NIGO®︎さんのおかげで、いろんな人に出合うことができている。VERBALさんもその一人だね。俺はTERIYAKI BOYZ®も大好きなんだ。

――「ヌビアン ハラジュク」でポップアップイベントを開催することになったきっかけは?

カディ:チームで世界のどこのお店でコレクションを取り扱ってもらうべきか話し合った。もちろん、東京でもやりたいと思っていて、その中で「ヌビアン」が候補に上がった。ファッションでトップティアの「ヌビアン」で、自分のコレクションを絶対に取り扱いたいと思ったから、実現してとてもうれしいよ。

――日本滞在中に楽しみにしていることは?

カディ:食べ物かな。俺はハンバーガーが好きなんだけど、日本で一番好きな食べ物はカレーだね。日本に来て一番楽しみにしている。「CoCo壱」は最高だよ。

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ショーイチが進める“安全な衣料品リサイクル” グループ内で作業を完結しリスクを低減

余剰在庫の買い取り事業を手掛け、アパレルの大量廃棄問題と向き合ってきたショーイチ(大阪)は今、買い取った衣料品のリサイクル事業も強化している。サステナブル意識の高まりの中で、衣料品リサイクルに関心を持つアパレル関連企業やブランドは増えているが、リサイクル工程にまわしたはずの自社商品が流出してブランド価値が毀損するようなことはないか、不安に感じているケースもあるだろう。ショーイチでは“安全な衣料品リサイクル”を掲げ、そうしたリスクの低減に力を注いでいる。

「外部に商品も情報も漏らさない」

そもそも、ショーイチの言う“安全なリサイクル”とは何か。それは、「外部に商品も情報も漏らさないこと」だと、ショーイチの山本昌一社長は話す。「リサイクル事業をする上で、商品や情報の流出リスクを失くすことを第一に考えている」という。ショーイチのもとに集まった衣料品をリサイクル工程にまわす前には、素材別の仕分けやタグのカット、ボタンなど副資材の分離を行う必要がある。それを外部の業者に依頼したり、作業のために衣料品を別の場所に移したりといったことがあると、その分情報や商品の流出リスクが高まり、ブランド価値の毀損につながりかねない。

その点、ショーイチは自社倉庫内で、自グループで運営する就労支援施設を活用して作業を完結させている。山本社長が自信を持って安全だと言い切るのは、こうした背景を整えているからだ。注意してほしいのは、「外部に商品も情報も漏らさない」と言っても、もちろん依頼主にはリサイクルした商品がどうなったかをしっかり伝えているという点。それにより透明性も担保している。

手作業でタグを確実にカット

実際に、リサイクル前の作業が行われているショーイチの倉庫を視察した。倉庫の中の一角に、タグカットや副資材を分離する作業のためのコーナーがある。その日は、ショーイチのグループ内で運営する近隣の就労支援施設から、通所者と施設スタッフ合わせて計14人が作業をしに訪れていた。通所者はブランドタグや品質タグの一部をカットし、服から切り離したブランドタグそのものにも細かくハサミを入れてタグの悪用ができないように加工。リサイクル不可能な金属ファスナーやプラスチックボタンなどの副資材も、一つ一つ服から切り離す。作業内容に分かりづらい部分があれば、施設スタッフが通所者に丁寧に指示を出していたのが印象的だ。施設スタッフとショーイチ社員も、数時間ごとにコミュニケーションを取って状況を共有している。

リサイクル完了後には
詳細リストも提出

タグや副資材を分離した衣料品の中でリサイクル可能なものは、ショーイチと提携する工場で素材として再生させる。ウール混率80%以上の衣料品は愛知・一宮のサンリードでリサイクルウールに。それ以外の繊維は大阪・泉大津の同心工業で反毛加工し、フェルトに変える。リサイクルが完了した証明として、産業廃棄物管理票などを取引先に提出する。さらに細かいデータとして、引き取った衣料品の品番、カラー、サイズごとに、何点をどこでどのようにリサイクル処理したかを明記した詳細リストも、取引先へ提出が可能。透明性を求める取引先に評価されている。

業界が循環型ビジネスに近づく一助に

ショーイチのもとに集まったリサイクル希望の衣料品は、こうした工程を経てしっかり再生されていく。実際に、ショーイチと組んで衣料品リサイクルを行っているブランドからは、「ショーイチのリサイクルは、どの商品が、いつ、どのように処理されたのかが明確で、証明書の対応や処理現場の視察などにも柔軟に対応してくれる。社会のサステナブル意識が高まる中、われわれはリサイクルの取り組みをさらに加速させていくが、ショーイチにはこれからも良きパートナーとして伴走してほしい」といった声が上がっている。「安心安全な衣料品リサイクルをショーイチが提供することで、ファッション業界の廃棄が少しでも減り、業界のビジネスモデルが循環型に近づいていく一助になれればと思っている」と山本社長。

問い合わせ先
ショーイチ
050-3151-5247

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「イザベル マラン」が明かす日本上陸の裏側 青山の新店と日本法人設立への思い

イザベル・マラン/「イザベル マラン」デザイナー

1967年生まれ、フランス・パリ出身。85年にスタジオ・ベルソーを卒業し、ミッシェル・クランやマーク・アルコーリの元で経験を積む。88年に独立してニットとジュエリーのブランドを設立し、94年に「イザベル マラン」に改名。日本での販売も開始した。2000年以降はセカンドラインやキッズウエアもスタートし、ビジネス規模を徐々に拡大。2012年にはトゥモローランドとフランチャイズのパートナーシップ契約を締結し、東京・表参道に日本第1号店となる通称“イエローハウス”をオープンした。18年春夏シーズンにはメンズも立ち上げている

「イザベル マラン(ISABEL MARANT)」は、東京・南青山に新旗艦店「イザベル マラン 青山店」を今夏オープンした。店舗面積200平方メートルの店内には、ウィメンズおよびメンズコレクションとセカンドライン「マラン エトワール(MARANT ETOILE)」に加え、シューズやバッグ、アクセサリーなどをフルラインアップする。

同ブランドは、新店舗オープンに合わせてイザベル マラン ジャパンを設立した。「イザベル マラン」の日本事業はこれまでトゥモローランドが約20年間にわたって担ってきたが、日本法人を立ち上げて運営やプロモーションを本国主導で強化し、日本におけるさらなる認知拡大を目指す。2024年春夏シーズンのパリ・ファッション・ウイークで現地時間9月28日に披露したランウエイショーのフィナーレには、イザベル・マラン=デザイナーと共に、21年に就任したキム・ベッカー(Kim Bekker)=アーティスティック・ディレクターも登場。ブランドの新章を予感させた。日本を「特別な国」と語る創業者のマラン=デザイナーに、新店に込めた思いや今後について聞いた。

イエローにこだわる理由

WWD:旗艦店を表参道から青山に移した理由は?

イザベル・マラン(以下、マラン):表参道のショップは大好きな日本式の木造建築で、フランス人の私にとってすごく特別な場所だった。だからとても愛着はあったのだけど、青山の方がファッションのフィールドとして合う気がしたから、新しく店を構えることにしたの。

WWD:新店は表参道時代よりもイエローを強調したデザインだ。イエローにこだわる背景は?

マラン:元々イエローにするつもりはなかったの。でも表参道のお店が顧客や社内でも「イエローハウス」と呼ばれて愛されていたから、「日本にイエローハウスを残さなくちゃ」と思ったのがきっかけね。みんなからよく「イエローが好きなんですか?」と聞かれるのだけど、実は一番好きな色というわけではないのよ(笑)。

WWD:新店で特に気に入っているところは?

マラン:もう、すでに建物だけで素晴らしいじゃない。まるで道に太陽の光が差したように見えるわ。あとは、遠くからでも見つけやすいところ。知人に素敵なレストランを教えてもらったから探していたんだけど、遠くからでもこのイエローが目立っていてうれしかったわ。

WWD:建物や内観は、日本人アーティストの曽根裕との協業だ。コラボレーションしたのはなぜ?

マラン:本国フランスのカルチャーをただ持ってくることはしたくなかったの。日本の店なのだから、日本人とコラボレーションすることで文化をミックスしたかった。それに、曽根さんの作品には人の温もりを感じて、私が考えるアートやカルチャーに対するビジョンと共通する部分があったのよ。例えば、クラフト感とかね。それでいて先進的でもあるから、とても気に入ったわ。

初年度売り上げの8割は日本

WWD:日本法人を立ち上げた目的は?

マラン:会社が大きく成長していく中で、私たちが考えるブランドのスピリットやエッセンスを、他社と共有するよりも自分たちで表現する方がいいと考えたから。それに、日本上陸から約20年も経つと市場への理解もかなり深まったし、他国と同様に自分たちで運営する道を選んだの。

WWD:日本はあなたにとってどのような国?

マラン:とても大切で、特別な国ね。私がブランドを始めた頃、最初に買い付けてくれたのが日本のお客さんだったの。初年度は、売り上げの80%が日本だったはずよ。日本の人たちが私のクリエイションを信じてくれたことにすごく感謝しているし、日本のマーケットがあったからこそいいスタートが切れたわ。

WWD:「イザベル マラン」は常にポジティブでパワフルなブランドという印象だ。そのエネルギーを保つ秘訣は?

マラン:私たちは人に喜びを与えたり、カルチャーや美しさを共有したりすることを大切にしているの。エネルギーをたくさんの人に分け与えることが、結果的に私自身のクリエイションにつながるから。だから真面目に発信するというよりも、そういうイメージにつながるんじゃないかしら。私は30年間ファッションの仕事のスタンスは全く変わっていないし、風が吹いてもピクリとも動かない石のように頑固な性格なのよ。

WWD:もうすぐブランド30周年を迎える。50周年に向けて、どのようなブランド、デザイナーでありたい?

マラン:まず、これだけ長くブランドを続けてきた自分を誇らしく思う。でも私にとって数字は大きな意味がないから、周年のような記念日は好きじゃないのよ。パーティーは恒例行事でよく開いているけれど、自分の誕生日ですら20代以降は何もやっていないぐらい。だから50周年に向けて、と聞かれると、そんなに長く続けたいのかは自分でもまだ分からないわね。デザイナーはとても消耗する仕事で、デザインすることはものすごくエネルギーを使うの。でも今は素晴らしいアイデアを持った若者が社内にたくさんいるから、私のレガシーを引き継いでもらえるように教育に力を入れているわ。

WWD:30年間で最も大切にし続けてきたことは?

マラン:Honesty(誠実さ)。

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写真家・操上和美が「アイヴァン」をまとった50人の紳士を撮り下ろす 青山・スパイラルで写真展を開催

日本を代表する写真家・操上和美の写真展『50,50 FIFTY GENTLEMEN OF EYEVAN』が、10月5日より青山・スパイラルガーデン(スパイラル1F)にて開催される。今展は、アイウエアブランド「アイヴァン(EYEVAN)」のブランド設立50周年を記念して企画されたもの。雑誌『GOETHE』の連載「男を起動させる眼鏡」にて、「アイヴァン」を掛けた各界の紳士50人を約5年間にわたり撮り下ろした作品が展示される。ここでは、この企画についての思いや、ポートレートに対する考え方などについて操上に話を聞いた。

眼鏡は、キャラクターを
強調する道具になる

87歳になる現在もなお、第一線で活躍し続けている。約60年におよぶキャリアの中で数々のポートレートを撮影してきたが、今回は被写体50人すべてが男性であり、職種は俳優、ミュージシャン、スポーツ選手や実業家など多岐に渡る。そして全員眼鏡を着用しているのが特筆すべき点だ。

「もともと男性のポートレートを撮るのは好きだから、企画をいただいて、これは面白そうだなと思いました。改めて写真を見返してみると、みんなかっこいいなと。それぞれのジャンルで活躍されている方ばかりなので、写真に力があるというか、存在感がありますね」。

躍動的な姿で写る者もいれば、じっとこちらを見据える者もいる。約5年間に及ぶ撮影期間のなかで、様々な個性と対峙してきた。

「事前に決まっているのは、その日誰を撮るかということと、白バックで撮るということだけ。相手をどうリードしていくかは、もう頭で考えるより直感ですよね。最初からこうしようと決めるのではなく、撮りながらその人らしさに近づいていく。相手のバックグラウンドや着ているもの、そして撮影直前に選んだ眼鏡を踏まえて、瞬時に、そして本能的にアレンジしながら仕掛けていきました」。

そうしたなかで、眼鏡というアイテムはどのように作用したのだろうか。

「眼鏡は、すごく大事ですよ。まさにその人の顔になるものでもありますから。なぜ男はサングラスを掛けることが多いかといえば、ちょっと崩した方がダンディーに見えるという安心感があるからでしょう。反対に、素通しの眼鏡を掛けると目の表情が丸見えになる。ポートレートはやっぱり目が大事なので、眼鏡が顔にきちっと合っていればキャラクターを強調する道具になってくれます。それが撮影時の眼鏡選びの難しい点でもあり、楽しみな点でもありました」。

男性のポートレートには
生き様が現れる

これまで操上が手掛けたポートレートといえば、今回同様モノクロ、そして男性を被写体にしたものが印象的だ。

「男性は、その人を形成してきた生き様がより明確に写真に出るんですよね。だから、ちゃんと生きていないといい顔にならない。それを引き出してあげたいと思っているんです。美しさは必要なくて、人柄が出ればいい。人格、悩みとか、そういうものまで。悩みがない男なんて、つまらないでしょう?」

ときには被写体に叫んだり、飛んだりしてもらうことも。そうした動きのなかに相手の内面がふっと現れ、自身が予期しなかった方向に着地することも少なくない。

「だから撮影はセッション、闘いみたいなもの。どう火花を散らすかですね。セッションすることによって僕自身も触発されるし、相手も僕の撮っているシャッター音でだんだん乗ってくるっていうのかな。
現場のノリっていうのは、単に音楽をかけて気分を出すとか、そういうもんじゃない。自分の心臓の鼓動と、相手の心臓の鼓動がうまくリンクするに越したことはなくて。今でも初対面の方を撮るときは、自分がどう反応できるかという怖さもあるんです。その都度その都度が新鮮なセッションなんで、キャリアはまったく関係ありませんね」。

それは被写体も然り。撮影中に「まるで自分のこれまでの生き方を問われているようだ」と漏らした俳優もいたという。

「写真は、やっぱりうそをつけないですから。その時のカタチだけじゃなくて、中まで全部あからさまに出ちゃうんでね。それは僕のセッションのやり方で、自分が相手にぐっと入っていくから怖いと思われる部分もあるのかもしれないけど。でも、それでいいんです。写真には僕が乗っかっていかないと。ただ客観的に眺めて複写するだけでは、意味がないんです。その分、こっちも必死ですよ。立派な人たちとセッションする場合も、あくまでも互角でなくちゃいけない。それは相手が若い俳優でも同じ。どちらが上でも下でもあっちゃいけないから。自分が弱かったら、ちゃんとした写真にならないんです。骨が折れる作業かって? 折れないですよ。それがセッションの良さであり、自分の生き方ですから」。

写真展開催時には
表参道駅ジャックも

スパイラルガーデンで開催される写真展『50,50 FIFTY GENTLEMEN OF EYEVAN』には、これまで撮り下ろした50人全てのポートレートが展示される。また、開催に合わせ、表参道駅では柱や壁面の駅張りポスターやビジョンなどが操上の写真で埋めつくされる“表参道駅ジャック”も実施予定だ。

INFORMATION
『50,50 FIFTY GENTLEMEN OF EYEVAN』

会期:10月5~11日
会場:スパイラルガーデン(スパイラル1F)
住所: 東京都港区南青山 5 -6-23

写真集『50,50 FIFTY GENTLEMEN OF EYEVAN』

発売日:10月6日
価格:5,555円

表参道駅ジャック

会期 :10月9~15日

※ 駅係員へのお問合せはご遠慮ください。

TEXT:MIREI ITO
問い合わせ先
アイヴァン PR
03-6450-5300

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写真家・操上和美が「アイヴァン」をまとった50人の紳士を撮り下ろす 青山・スパイラルで写真展を開催

日本を代表する写真家・操上和美の写真展『50,50 FIFTY GENTLEMEN OF EYEVAN』が、10月5日より青山・スパイラルガーデン(スパイラル1F)にて開催される。今展は、アイウエアブランド「アイヴァン(EYEVAN)」のブランド設立50周年を記念して企画されたもの。雑誌『GOETHE』の連載「男を起動させる眼鏡」にて、「アイヴァン」を掛けた各界の紳士50人を約5年間にわたり撮り下ろした作品が展示される。ここでは、この企画についての思いや、ポートレートに対する考え方などについて操上に話を聞いた。

眼鏡は、キャラクターを
強調する道具になる

87歳になる現在もなお、第一線で活躍し続けている。約60年におよぶキャリアの中で数々のポートレートを撮影してきたが、今回は被写体50人すべてが男性であり、職種は俳優、ミュージシャン、スポーツ選手や実業家など多岐に渡る。そして全員眼鏡を着用しているのが特筆すべき点だ。

「もともと男性のポートレートを撮るのは好きだから、企画をいただいて、これは面白そうだなと思いました。改めて写真を見返してみると、みんなかっこいいなと。それぞれのジャンルで活躍されている方ばかりなので、写真に力があるというか、存在感がありますね」。

躍動的な姿で写る者もいれば、じっとこちらを見据える者もいる。約5年間に及ぶ撮影期間のなかで、様々な個性と対峙してきた。

「事前に決まっているのは、その日誰を撮るかということと、白バックで撮るということだけ。相手をどうリードしていくかは、もう頭で考えるより直感ですよね。最初からこうしようと決めるのではなく、撮りながらその人らしさに近づいていく。相手のバックグラウンドや着ているもの、そして撮影直前に選んだ眼鏡を踏まえて、瞬時に、そして本能的にアレンジしながら仕掛けていきました」。

そうしたなかで、眼鏡というアイテムはどのように作用したのだろうか。

「眼鏡は、すごく大事ですよ。まさにその人の顔になるものでもありますから。なぜ男はサングラスを掛けることが多いかといえば、ちょっと崩した方がダンディーに見えるという安心感があるからでしょう。反対に、素通しの眼鏡を掛けると目の表情が丸見えになる。ポートレートはやっぱり目が大事なので、眼鏡が顔にきちっと合っていればキャラクターを強調する道具になってくれます。それが撮影時の眼鏡選びの難しい点でもあり、楽しみな点でもありました」。

男性のポートレートには
生き様が現れる

これまで操上が手掛けたポートレートといえば、今回同様モノクロ、そして男性を被写体にしたものが印象的だ。

「男性は、その人を形成してきた生き様がより明確に写真に出るんですよね。だから、ちゃんと生きていないといい顔にならない。それを引き出してあげたいと思っているんです。美しさは必要なくて、人柄が出ればいい。人格、悩みとか、そういうものまで。悩みがない男なんて、つまらないでしょう?」

ときには被写体に叫んだり、飛んだりしてもらうことも。そうした動きのなかに相手の内面がふっと現れ、自身が予期しなかった方向に着地することも少なくない。

「だから撮影はセッション、闘いみたいなもの。どう火花を散らすかですね。セッションすることによって僕自身も触発されるし、相手も僕の撮っているシャッター音でだんだん乗ってくるっていうのかな。
現場のノリっていうのは、単に音楽をかけて気分を出すとか、そういうもんじゃない。自分の心臓の鼓動と、相手の心臓の鼓動がうまくリンクするに越したことはなくて。今でも初対面の方を撮るときは、自分がどう反応できるかという怖さもあるんです。その都度その都度が新鮮なセッションなんで、キャリアはまったく関係ありませんね」。

それは被写体も然り。撮影中に「まるで自分のこれまでの生き方を問われているようだ」と漏らした俳優もいたという。

「写真は、やっぱりうそをつけないですから。その時のカタチだけじゃなくて、中まで全部あからさまに出ちゃうんでね。それは僕のセッションのやり方で、自分が相手にぐっと入っていくから怖いと思われる部分もあるのかもしれないけど。でも、それでいいんです。写真には僕が乗っかっていかないと。ただ客観的に眺めて複写するだけでは、意味がないんです。その分、こっちも必死ですよ。立派な人たちとセッションする場合も、あくまでも互角でなくちゃいけない。それは相手が若い俳優でも同じ。どちらが上でも下でもあっちゃいけないから。自分が弱かったら、ちゃんとした写真にならないんです。骨が折れる作業かって? 折れないですよ。それがセッションの良さであり、自分の生き方ですから」。

写真展開催時には
表参道駅ジャックも

スパイラルガーデンで開催される写真展『50,50 FIFTY GENTLEMEN OF EYEVAN』には、これまで撮り下ろした50人全てのポートレートが展示される。また、開催に合わせ、表参道駅では柱や壁面の駅張りポスターやビジョンなどが操上の写真で埋めつくされる“表参道駅ジャック”も実施予定だ。

INFORMATION
『50,50 FIFTY GENTLEMEN OF EYEVAN』

会期:10月5~11日
会場:スパイラルガーデン(スパイラル1F)
住所: 東京都港区南青山 5 -6-23

写真集『50,50 FIFTY GENTLEMEN OF EYEVAN』

発売日:10月6日
価格:5,555円

表参道駅ジャック

会期 :10月9~15日

※ 駅係員へのお問合せはご遠慮ください。

TEXT:MIREI ITO
問い合わせ先
アイヴァン PR
03-6450-5300

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イタリア発香水「メオ・フシューニ」 独学で調香を学んだ化学者による“侘び寂び”を感じる香り

ジュゼッペ・インプレッツァビレ/「メオ・フシューニ」創業者 プロフィール

1977年、イタリア・シチリア島生まれ。幼少期をシチリアの海岸で過ごしたのち、ピアツェンツァで工業化学を学んだ後、パルマ大学薬学部で学ぶ。2010年から現職

イタリア発フレグランス「メオ・フシューニ(MEO FUSCIUNI)」は、大学でハーブを学んだ化学者ジュゼッペ・インプレッツァビレによるニッチなブランドだ。彼は、イタリア・シチリア生まれ。遊牧民の家系に生まれ、大学卒業後は、モロッコやトルコ、中東など、世界各地を旅しながら、植物を始め、ハーブとスパイスの知識を高めた。空間演出のアーティストとして活躍後に独学で調香を学び、同ブランドをスタートした。旅や詩、音楽などを通して得たものを嗅覚の記憶として香りで表現。刺激的でユニークでありながらも素朴さのある香りを提案している。日本では、「ノーズショップ(NOSE SHOP)」が販売。来日したインプレッツァビレに、クリエイションについて聞いた。

WWD:今回の来日の目的は?

ジュゼッペ・インプレッツァビレ「メオ・フシューニ」創業者(以下、インプレッツァビレ):「ノーズショップ」とのコラボレーションがスタートしたので、日本の香水市場について学びたかったのと、われわれのブランドに対してどのような関心があるか知るために来日した。また、日本で訪問したことのない場所に訪問することも目的だ。日本が大好きで、この来日を心待ちにしていた。

WWD:フレグランスブランドを立ち上げようとしたきっかけは?

インプレッツァビレ:私は、化学者で薬草学者。本来であれば、他の道に進むはずが、自然や芳香植物が好きで、科学と芸術を結びつける錬金術へ興味があったから2010年に「メオ・フシューニ」を立ち上げた。私は独学で調香を学び、日々、研究を続けている。

WWD:ブランド哲学は?

インプレッツァビレ:香水を嗅覚の美学として捉えて、感情へ導く香水をつくること。嗅覚の記憶をつくり出すことで、人々に忘れていた人生の記憶を再発見してもらうことが大切だと考える。それぞれの香水は、私たち自身を理解するための物理的な旅を描いた物語のようなもので、精神状態を表現するものでもある。

WWD:「メオ・フシューニ」が他のフレグランスブランドと違う点は?

インプレッツァビレ:このブランドは、自分の人生の物語を伝えるものだと考えるので、ユニークな存在だと考える。このブランドをリアルで本物にすることに集中している。

私にとって香水は画家や作家の作品のようなもの

WWD:ブランドを代表する香りは?

インプレッツァビレ:「ノーズショップ」で扱っているものだと“アンコール・デュ・タン”や“ルーチェ”などが人気だが、特にベストセラーはない。その方がいいと思う。なぜなら、ベストセラーがあれば、人々はその特定の香りに関心を持つだろうから。
コレクションは多様で、香りのファミリーだけでなく、ムードも全く異なる。

WWD:どのように香水をつくるか?香水の特徴は?

インプレッツァビレ:香水のクリエイションは親密で個人的なもの。だから、一人でアトリエで多くの時間を過ごす。インスピレーション源は、旅や物語。それを伝える最高の原料を探す研究を始める。そして、原料やそれを取り巻く自然との親密感やフィーリングを表現する。

WWD:ターゲットは?

インプレッツァビレ:感情にフォーカスした異なる嗅覚体験をしたいと思う人々。ブランドの名前も聞いたこともない人が、通常の香水と違うものを探してわれわれのブランドの世界に足を踏み入れて驚くこともある。

WWD:現在、何ヵ国、何店舗で販売しているか?

インプレッツァビレ:約50カ国、約300店で販売している。主要市場は、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアだ。

WWD:多くのニッチフレグランスがあるが、どのようにそれらと戦うか?日本戦略は?

インプレッツァビレ:競合はいない。市場を意識したことも、商品を売ろうと思ったこともない。日本戦略は、頻繁に来日することだと考える。

WWD:自身にとって香水とは?

インプレッツァビレ:私にとって香水とは、人生の衝動。画家や作家の作品と同様に、世界に私自身を伝える方法だ。香水とは、記憶であり、感情であり、愛であり、苦悩であり、情熱だ。ノスタルジーや幸福でもあり、私の心に語りかけてくる物語を語るための唯一のツール。私たちの影を形作る魂のようなものだ。

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イタリア発香水「メオ・フシューニ」 独学で調香を学んだ化学者による“侘び寂び”を感じる香り

ジュゼッペ・インプレッツァビレ/「メオ・フシューニ」創業者 プロフィール

1977年、イタリア・シチリア島生まれ。幼少期をシチリアの海岸で過ごしたのち、ピアツェンツァで工業化学を学んだ後、パルマ大学薬学部で学ぶ。2010年から現職

イタリア発フレグランス「メオ・フシューニ(MEO FUSCIUNI)」は、大学でハーブを学んだ化学者ジュゼッペ・インプレッツァビレによるニッチなブランドだ。彼は、イタリア・シチリア生まれ。遊牧民の家系に生まれ、大学卒業後は、モロッコやトルコ、中東など、世界各地を旅しながら、植物を始め、ハーブとスパイスの知識を高めた。空間演出のアーティストとして活躍後に独学で調香を学び、同ブランドをスタートした。旅や詩、音楽などを通して得たものを嗅覚の記憶として香りで表現。刺激的でユニークでありながらも素朴さのある香りを提案している。日本では、「ノーズショップ(NOSE SHOP)」が販売。来日したインプレッツァビレに、クリエイションについて聞いた。

WWD:今回の来日の目的は?

ジュゼッペ・インプレッツァビレ「メオ・フシューニ」創業者(以下、インプレッツァビレ):「ノーズショップ」とのコラボレーションがスタートしたので、日本の香水市場について学びたかったのと、われわれのブランドに対してどのような関心があるか知るために来日した。また、日本で訪問したことのない場所に訪問することも目的だ。日本が大好きで、この来日を心待ちにしていた。

WWD:フレグランスブランドを立ち上げようとしたきっかけは?

インプレッツァビレ:私は、化学者で薬草学者。本来であれば、他の道に進むはずが、自然や芳香植物が好きで、科学と芸術を結びつける錬金術へ興味があったから2010年に「メオ・フシューニ」を立ち上げた。私は独学で調香を学び、日々、研究を続けている。

WWD:ブランド哲学は?

インプレッツァビレ:香水を嗅覚の美学として捉えて、感情へ導く香水をつくること。嗅覚の記憶をつくり出すことで、人々に忘れていた人生の記憶を再発見してもらうことが大切だと考える。それぞれの香水は、私たち自身を理解するための物理的な旅を描いた物語のようなもので、精神状態を表現するものでもある。

WWD:「メオ・フシューニ」が他のフレグランスブランドと違う点は?

インプレッツァビレ:このブランドは、自分の人生の物語を伝えるものだと考えるので、ユニークな存在だと考える。このブランドをリアルで本物にすることに集中している。

私にとって香水は画家や作家の作品のようなもの

WWD:ブランドを代表する香りは?

インプレッツァビレ:「ノーズショップ」で扱っているものだと“アンコール・デュ・タン”や“ルーチェ”などが人気だが、特にベストセラーはない。その方がいいと思う。なぜなら、ベストセラーがあれば、人々はその特定の香りに関心を持つだろうから。
コレクションは多様で、香りのファミリーだけでなく、ムードも全く異なる。

WWD:どのように香水をつくるか?香水の特徴は?

インプレッツァビレ:香水のクリエイションは親密で個人的なもの。だから、一人でアトリエで多くの時間を過ごす。インスピレーション源は、旅や物語。それを伝える最高の原料を探す研究を始める。そして、原料やそれを取り巻く自然との親密感やフィーリングを表現する。

WWD:ターゲットは?

インプレッツァビレ:感情にフォーカスした異なる嗅覚体験をしたいと思う人々。ブランドの名前も聞いたこともない人が、通常の香水と違うものを探してわれわれのブランドの世界に足を踏み入れて驚くこともある。

WWD:現在、何ヵ国、何店舗で販売しているか?

インプレッツァビレ:約50カ国、約300店で販売している。主要市場は、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアだ。

WWD:多くのニッチフレグランスがあるが、どのようにそれらと戦うか?日本戦略は?

インプレッツァビレ:競合はいない。市場を意識したことも、商品を売ろうと思ったこともない。日本戦略は、頻繁に来日することだと考える。

WWD:自身にとって香水とは?

インプレッツァビレ:私にとって香水とは、人生の衝動。画家や作家の作品と同様に、世界に私自身を伝える方法だ。香水とは、記憶であり、感情であり、愛であり、苦悩であり、情熱だ。ノスタルジーや幸福でもあり、私の心に語りかけてくる物語を語るための唯一のツール。私たちの影を形作る魂のようなものだ。

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ジェイデン・スミスと「ニューバランス」の新作コラボは“学び”と“数学”がキーワード 東京ローンチの真相を聞く

「ニューバランス(NEW BALANCE)」のブランドアンバサダー、ジェイデン・スミス(Jaden Smith)はチェンジメーカーの一人だ。社会・環境活動家としても知られる彼は、「ニューバランス」のブランド哲学“Fearlessly Independent(恐れずに独自性を貫くこと)”を体現するに相応しい人物でもある。そのジェイデンとの2度目のコラボレーションとなる新作“ニューバランス フォー ジェイデン スミス ミスフィッツ ゼロ ポイント ゼロ ワン(NEW BALANCE FOR JADEN SMITH MSFTSREP 0.01)”が10月12日に世界同時発売する。前作同様、動物由来の素材を一切使用せず、“MSFTS(=ピッタリ合わないこと)”、ブラック&ホワイト、シンプルをコンセプトにデザイン。誰もがファッションに取り入れられるシルエットや3つに分割されたソールが特徴的な1足に仕上がっている。その発表の場に、東京を指名したジェイデンが来日し、コラボレーションについて語った。

ファッションと文化の中心地
東京で新作を発表

――新しいシューズの発表の場に、東京(日本)を選んだ理由を教えてください。なぜ、東京で発表することが重要だったのですか?

ジェイデン・スミス(以下、ジェイデン):まず、東京は僕が世界中で一番好きな都市なんです。これまでに10回前後来たことありますが、東京は世界的なファッションと文化の中心地であり、さまざまな人々が新しいアイデアを生み出す際に影響力を持つ場所としても知られています。世界中にはさまざまな影響力を持つ場所が存在しますが、東京はその中でも特に重要な場所の一つですね。今回の「ニューバランス」の新しいモデルはグローバルコミュニティーでもあるので、それをこの場所で発表できることを非常に嬉しく思っています。

――デザインのインスピレーションソースは?

ジェイデン:「ニューバランス」のクラシックなコートモデルからインスピレーションを得ました。かつて、バスケットボールやテニスなど、特定のスポーツ用途に分ける前に、あらゆる目的に適したシューズが存在していたんです。これらは“コートモデル”と呼ばれ、このインスピレーションの基となりました。つまり、全ての人のための、誰もが履ける靴。医師、スケートボーダー、建築家……、さまざまな職業やライフスタイルの人々に履いてもらいたいですね。

「ニューバランス」のモデル名である
“数字”に敬意を表して

――「ミスフィッツ」「ゼロ ポイント ゼロ ワン」のネーミングの意味は?

ジェイデン:「ミスフィッツ」とは、学びの概念を意味します。僕は教育に焦点を当てることで、世界をより良い場所にしたいと考えています。そのためには、アートとサイエンスを駆使して新しいアイデアを生み出し、より良い未来を創造する必要があります。数学も非常に重要。数学はクールであり、さまざまなパターンを作り出すためのツールとして、重要な役割を果たしています。僕は数学が創造的なアプローチを可能にし、未来をより良くする手助けをしてくれると信じているんです。「ゼロ ポイント ゼロ ワン」は、このモデルの新たなスタートを象徴し、ブランドのDNAの一部となることを示しています。数字を用いることは、(モデル名に数字を使う)「ニューバランス」のヘリテージに敬意を表する重要な要素でもあります。“0.01”という小数点以下の数字は、新しい始まりを象徴し、未来への新たな一歩を示しているんです。

――前作の「ビジョンレーサー」に続き、今回も動物由来の素材を使用しないビーガンコンセプトであり、制作の際には「ニューバランス」の製造工場も訪問したとか。「ニューバランス」のトレーサビリティーに関して、感じたことは?

ジェイデン:非常に驚きました。生産工程を目の前で見ることで、新たな知見を得ることができ、製品作りにおいてのさらなる進化が可能になりました。新しい視点で、動物由来の素材を一切使用せず、サステナビリティを重視した製品を作りたいというビジョンがより鮮明になったんです。「ニューバランス」はそのビジョンを実現するために、協力してくれました。そのおかげで、サステナビリティに向けた新しいイノベーションの方法を探り、実現するためのステップを踏むことができました。

自分自身の道を突き進む
“Fearlessly Independent”の精神

――「ニューバランス」がグローバルプラットフォームとして掲げる“Fearlessly Independent(恐れずに独自性を貫くこと)”の精神を、ジェイデンさん自身はグローバルアンバサダーとして、どのように体現していますか?

ジェイデン:自分が本当にやりたいことや自分自身のビジョンに忠実に従い、他人の期待やイメージに左右されず、自分の道を進む姿勢を持つことが大切です。特に僕たちの世代にとっては、自己表現や自己実現が重要。リーダーであろうとフォロワーであろうと、自分自身のビジョンや信念に従い、「Fearlessly Independent」の姿勢を貫くことが成功への鍵だと信じています。ファッション、音楽、ライフスタイル、生き方、さらには靴選びにおいても、自分らしさを大切にし、独自性を尊重することが大切なんです。「ニューバランス」とのコラボレーションを通じて、この価値観を共有し、広める機会を得られていることは非常に意義深いことですね。

――「ニューバランス」の最も革新的なプロジェクトは、日本の「ティーハウス(T-HOUSE、東京デザインスタジオ)」から生まれてきています。「ティーハウス」について、どう思いますか?

ジェイデン:大好きな場所ですね。そこで行われているデザインプロジェクトは、最高のものを生み出しています。その空間自体も非常に魅力的で、古い要素と新しい要素が見事に調和して、歴史的な価値と現代のデザインが見事に融合しています。「ティーハウス」は、そういった価値観を具現化している場所であり、私たちに多くのインスピレーションを提供してくれる場所なのです。

――日本での滞在中に楽しみにしていることは?日本滞在でのこれまでのハイライトを教えてください。

ジェイデン:「ティーハウス」はもちろん、「ニューバランス」のフラッグシップストアや、「ドーバーストリートマーケット」も、僕にとって特別な意味を持つスポットであり、楽しみにしています。あと、大阪で食べたビーガン餃子とビーガン寿司は、お気に入りですね。日本のビーガン料理は本当に美味しい。これまでの滞在で、これらの食べ物を楽しむことができたことは、素晴らしい経験でした。

PHOTO:KOUSUKE MATSUKI
EDIT & TEXT:YUKI KOIKE(VINYL)
問い合わせ先
ニューバランスジャパンお客様相談室
0120-85-7120

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ジェイデン・スミスと「ニューバランス」の新作コラボは“学び”と“数学”がキーワード 東京ローンチの真相を聞く

「ニューバランス(NEW BALANCE)」のブランドアンバサダー、ジェイデン・スミス(Jaden Smith)はチェンジメーカーの一人だ。社会・環境活動家としても知られる彼は、「ニューバランス」のブランド哲学“Fearlessly Independent(恐れずに独自性を貫くこと)”を体現するに相応しい人物でもある。そのジェイデンとの2度目のコラボレーションとなる新作“ニューバランス フォー ジェイデン スミス ミスフィッツ ゼロ ポイント ゼロ ワン(NEW BALANCE FOR JADEN SMITH MSFTSREP 0.01)”が10月12日に世界同時発売する。前作同様、動物由来の素材を一切使用せず、“MSFTS(=ピッタリ合わないこと)”、ブラック&ホワイト、シンプルをコンセプトにデザイン。誰もがファッションに取り入れられるシルエットや3つに分割されたソールが特徴的な1足に仕上がっている。その発表の場に、東京を指名したジェイデンが来日し、コラボレーションについて語った。

ファッションと文化の中心地
東京で新作を発表

――新しいシューズの発表の場に、東京(日本)を選んだ理由を教えてください。なぜ、東京で発表することが重要だったのですか?

ジェイデン・スミス(以下、ジェイデン):まず、東京は僕が世界中で一番好きな都市なんです。これまでに10回前後来たことありますが、東京は世界的なファッションと文化の中心地であり、さまざまな人々が新しいアイデアを生み出す際に影響力を持つ場所としても知られています。世界中にはさまざまな影響力を持つ場所が存在しますが、東京はその中でも特に重要な場所の一つですね。今回の「ニューバランス」の新しいモデルはグローバルコミュニティーでもあるので、それをこの場所で発表できることを非常に嬉しく思っています。

――デザインのインスピレーションソースは?

ジェイデン:「ニューバランス」のクラシックなコートモデルからインスピレーションを得ました。かつて、バスケットボールやテニスなど、特定のスポーツ用途に分ける前に、あらゆる目的に適したシューズが存在していたんです。これらは“コートモデル”と呼ばれ、このインスピレーションの基となりました。つまり、全ての人のための、誰もが履ける靴。医師、スケートボーダー、建築家……、さまざまな職業やライフスタイルの人々に履いてもらいたいですね。

「ニューバランス」のモデル名である
“数字”に敬意を表して

――「ミスフィッツ」「ゼロ ポイント ゼロ ワン」のネーミングの意味は?

ジェイデン:「ミスフィッツ」とは、学びの概念を意味します。僕は教育に焦点を当てることで、世界をより良い場所にしたいと考えています。そのためには、アートとサイエンスを駆使して新しいアイデアを生み出し、より良い未来を創造する必要があります。数学も非常に重要。数学はクールであり、さまざまなパターンを作り出すためのツールとして、重要な役割を果たしています。僕は数学が創造的なアプローチを可能にし、未来をより良くする手助けをしてくれると信じているんです。「ゼロ ポイント ゼロ ワン」は、このモデルの新たなスタートを象徴し、ブランドのDNAの一部となることを示しています。数字を用いることは、(モデル名に数字を使う)「ニューバランス」のヘリテージに敬意を表する重要な要素でもあります。“0.01”という小数点以下の数字は、新しい始まりを象徴し、未来への新たな一歩を示しているんです。

――前作の「ビジョンレーサー」に続き、今回も動物由来の素材を使用しないビーガンコンセプトであり、制作の際には「ニューバランス」の製造工場も訪問したとか。「ニューバランス」のトレーサビリティーに関して、感じたことは?

ジェイデン:非常に驚きました。生産工程を目の前で見ることで、新たな知見を得ることができ、製品作りにおいてのさらなる進化が可能になりました。新しい視点で、動物由来の素材を一切使用せず、サステナビリティを重視した製品を作りたいというビジョンがより鮮明になったんです。「ニューバランス」はそのビジョンを実現するために、協力してくれました。そのおかげで、サステナビリティに向けた新しいイノベーションの方法を探り、実現するためのステップを踏むことができました。

自分自身の道を突き進む
“Fearlessly Independent”の精神

――「ニューバランス」がグローバルプラットフォームとして掲げる“Fearlessly Independent(恐れずに独自性を貫くこと)”の精神を、ジェイデンさん自身はグローバルアンバサダーとして、どのように体現していますか?

ジェイデン:自分が本当にやりたいことや自分自身のビジョンに忠実に従い、他人の期待やイメージに左右されず、自分の道を進む姿勢を持つことが大切です。特に僕たちの世代にとっては、自己表現や自己実現が重要。リーダーであろうとフォロワーであろうと、自分自身のビジョンや信念に従い、「Fearlessly Independent」の姿勢を貫くことが成功への鍵だと信じています。ファッション、音楽、ライフスタイル、生き方、さらには靴選びにおいても、自分らしさを大切にし、独自性を尊重することが大切なんです。「ニューバランス」とのコラボレーションを通じて、この価値観を共有し、広める機会を得られていることは非常に意義深いことですね。

――「ニューバランス」の最も革新的なプロジェクトは、日本の「ティーハウス(T-HOUSE、東京デザインスタジオ)」から生まれてきています。「ティーハウス」について、どう思いますか?

ジェイデン:大好きな場所ですね。そこで行われているデザインプロジェクトは、最高のものを生み出しています。その空間自体も非常に魅力的で、古い要素と新しい要素が見事に調和して、歴史的な価値と現代のデザインが見事に融合しています。「ティーハウス」は、そういった価値観を具現化している場所であり、私たちに多くのインスピレーションを提供してくれる場所なのです。

――日本での滞在中に楽しみにしていることは?日本滞在でのこれまでのハイライトを教えてください。

ジェイデン:「ティーハウス」はもちろん、「ニューバランス」のフラッグシップストアや、「ドーバーストリートマーケット」も、僕にとって特別な意味を持つスポットであり、楽しみにしています。あと、大阪で食べたビーガン餃子とビーガン寿司は、お気に入りですね。日本のビーガン料理は本当に美味しい。これまでの滞在で、これらの食べ物を楽しむことができたことは、素晴らしい経験でした。

PHOTO:KOUSUKE MATSUKI
EDIT & TEXT:YUKI KOIKE(VINYL)
問い合わせ先
ニューバランスジャパンお客様相談室
0120-85-7120

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イスラエル発コスメ「ラリン」が日本市場でのさらなる成長に向けて加速

ラリン ジャパンが展開する「ラリン(LALINE)」は、イスラエル特有の死海のミネラルや厳選された植物エキスやオイルを使用したコスメブランドだ。1999年に従姉同士の2人によってイスラエルで誕生し、2011年2月にアジア第1号店を表参道にオープン。16年5月にラリン ジャパンはTSIホールディングス傘下となり、現在、ファッションビルやモールを中心に国内35店舗を展開する。この度、あらためて本国イスラエルと日本の強固なパートナーシツプを築くために、エレズ・マルカ(Erez Malka)ラリンCEOが来日。今年4月に着任した石原教宏ラリン ジャパン社長と共に、現状と新たな成長に向けての戦略について聞いた。

WWD:来日の目的は?

エレズ・マルカ=ラリンCEO(以下、マルカ):コロナが収束してやっと来日することができた。この3年間は非常にタフな期間だったが、今後、日本市場でのさらなる成長に向け、あらためてラリン ジャパン、そしてTSIホールディングスとの関係を築いていきたいと思い、来日した。

石原教宏ラリン ジャパン(以下、石原):コロナ禍の3年間は十分な情報交換も出店もできず、さまざまな戦略が停滞した。ここでもう一度顔を合わせ、戦略を立て直そうと思い、来日してもらった。今、イスラエルは好景気。国の産業としては、テクノロジーが一番。AIやデジタル領域の産業が伸長していて、若い富裕層も多い。現地に出向くと世界の経済は大きく変わり始めていることを実感する。

WWD:アフターコロナの世界のコスメ市場の状況をどのように捉えているか?

マルカ:急激に復活する市場もあれば、まだコロナ禍前のレベルに達していない市場もある。イスラエルは22年1月には回復しており、おおよそ世界のビューティ市場も活況が戻りつつある。その中で日本市場の回復は最後だった印象だ。

イスラエルでは135店舗、全ての店舗が黒字

WWD:本国イスラエルでの「ラリン」の位置付けと現状は?

マルカ:イスラエルの国の大きさは四国程度。そこに135店舗があり、全ての店が黒字で好調だ。ただ、新しい商品を矢継ぎ早に投入しないと飽きられるし、お客さまは魅力を感じない。アフターコロナの市場では、その流れが顕著だと感じており、全体の20%程度は常に新商品に入れ替え、鮮度を保っている。今後は、さらにその入れ替えはスピードアップすることも考えられる。

石原:135店舗展開していて、全店黒字というのはオペレーションが優れていることの証。学ぶべきことも大いにある。「ラリン」はイスラエル一のアパレル会社のフォックスグループの傘下というのも大きい。そのグループの中でも「ラリン」は中核ブランドに位置付けられる。

WWD:強化しているカテゴリーは?

マルカ:フェイスケアだ。「ラリン」は、死海の塩を使用したボディースクラブを中心とするボディーケア商品のイメージが強いかもしれないが、全体の65〜70%を占める程度。他にタオルなどの雑貨類やルームフレグランスなど幅広く展開するライフスタイルブランドだ。その中で、イスラエルに限らず、フェイスケア商品への要望が強く、今後、さらに注力していく。

WWD:「ラリン」の展開国と成長している国は?

マルカ:現在、カナダ、台湾、オーストラリア、グルジア、日本の5カ国に輸出している。
売り上げ構成比はイスラエルが70%、海外が30%(ともに卸しベース)。海外の売り上げの20%を日本が占めている。イスラエルの売り上げは毎年前年比3〜5%増と安定して伸長している一方、4年前に進出したカナダの22年度売上高は、前年比28%増と大きく成長している。今後5年間で、アメリカ、メキシコ、ヨーロッパのスペイン、フランス、イタリア、そしてアジア諸国への輸出拡大を計画している。

日本ではECの売り上げがここ数カ月で急速に伸長

WWD:11年にアジア初の店舗として表参道店をオープンして以降、日本の状況をどう捉えているか?

マルカ:個人的には日本が大好きで、TSIホールディングスはいいパートナー。一緒に仕事ができて幸せだと思っている。今は、イスラエルと日本のお客さまの違いを学んでいる最中だ。例えばパッケージの大きさは、日本はイスラエルに比べ小ぶりなものを好む。

石原:気候の違いも大きく、冬でも気温17〜18度程度で湿気があるイスラエルと日本では、乾燥肌に対する考え方も異なる。

マルカ:それに、日本のお客さまは好奇心が旺盛で非常に賢い。商品の成分や効果などをより詳しく知りたがる傾向が強い。

WWD:16年時に21年で50店舗、売上高30億円を目指していたが、その進捗は?

石原:コロナ禍で経済が停滞してしまった影響は大きく、現在35店舗で、ルクア大阪が1番店。売り上げに関してもまだ未達だ。これからTSIホールディングスが中期経営計画を発表するが、そのタイミングでしっかり達成できるようにしたい。

WWD:そのための仕掛けは?

石原:日本のEC売り上げがここ数カ月で急速に伸びており、本国も全面的に協力してくれていることもあり、ここに大きなチャンスがあると感じている。現在、ECが全体の売り上げの12〜13%を占める。ピューティのスタッフは、SNSに関しての知識も理解度も高く、面白くてパワフル。その能力を生かしてインスタライブなどを積極的に行いSNSでのお客さまとのタッチポイントを増やし、ECの割合をさらに上げていく。また、日本化粧品検定受験などさまざまな面でのスタッフのスキルアップを後押ししている。

「ウーマン エンパワーメント」を体現

WWD:EC強化の戦略は他の国でも同じ?

マルカ:もちろんイスラエルもECは成長しているが、昨今の日本の成長に比べるとスピードは落ちる。なぜならイスラエルのEC売り上げの伸長のピークは日本より早かったからだ。

石原:先日、イスラエルに行った時はデリバリーの速度の改革に入っていた。オーダーして最長2時間、早ければ20分で届くという、まるでフードデリバリーのようなシステムを構築していることに驚いた。四国程度の国土にメインのデリバリーセンターがあり、サポートセンターをどこに作るかや、テクノロジーによるサプライチェーン構築についてのディスカッションをしていて、われわれはまだまだだと思った。

マルカ:フォックスグループは今、1400億円を投資し、中近東で一番大きな物流センターを建設しようとしている。その半分はロボット技術への投資だ。完成すれば「ラリン」もそこから出荷するし、これから輸出する国が増えても十分対応できる体制が整う。

WWD:日本市場はまだ伸び代があると思うか?

マルカ:今回、3日間日本市場を見て、素晴らしい市場だと思ったし、伸びる可能性が大いにあると確信した。イスラエルは約900万人の人口で135店舗あり、97%のブランド認知度を誇る。日本は約1億2000万人の人口で35店舗しかないから、爆発的に成長すると期待している。さらなる成長のためには、一流のロケーションに出店すること、そして、いい商品を提供することが重要だ。日本のような厳しい審美眼を持つ市場では、ベストセラーとなるような商品を提供し、一番いい体制で臨まなければ商機がないことは理解している。その一環として、日本限定の商品もスタートしているし、来年はブランド誕生25周年で、コラボアイテムなど特別な商品も予定している。

石原:出店にあたり、デベロッパーからは若い層を取り組むことを期待されている。とはいえ、「ラリン」の商品は4000〜5000円が中心価格帯。それを納得して購入する感度の高い若年層がいる場に出店していく。マルカCEOが言う「一流のロケーション」というのはそういう意味だ。そして、「ラリン」の創始者から続くフィロソフィーは「ウーマン エンパワーメント(WOMEN EMPOWERMENT)」。女性が商品を使って幸せな気持ちになり、自信を持って社会に出ていくことを後押しする存在であることを目指してきた。ラリン ジャパンの従業員は約170人でうち男性は4人。あらためてそのフィロソフィーに立ち返り、彼女たちにポジティブに活躍してもらい「ウーマン エンパワーメント」を体現していく。

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イスラエル発コスメ「ラリン」が日本市場でのさらなる成長に向けて加速

ラリン ジャパンが展開する「ラリン(LALINE)」は、イスラエル特有の死海のミネラルや厳選された植物エキスやオイルを使用したコスメブランドだ。1999年に従姉同士の2人によってイスラエルで誕生し、2011年2月にアジア第1号店を表参道にオープン。16年5月にラリン ジャパンはTSIホールディングス傘下となり、現在、ファッションビルやモールを中心に国内35店舗を展開する。この度、あらためて本国イスラエルと日本の強固なパートナーシツプを築くために、エレズ・マルカ(Erez Malka)ラリンCEOが来日。今年4月に着任した石原教宏ラリン ジャパン社長と共に、現状と新たな成長に向けての戦略について聞いた。

WWD:来日の目的は?

エレズ・マルカ=ラリンCEO(以下、マルカ):コロナが収束してやっと来日することができた。この3年間は非常にタフな期間だったが、今後、日本市場でのさらなる成長に向け、あらためてラリン ジャパン、そしてTSIホールディングスとの関係を築いていきたいと思い、来日した。

石原教宏ラリン ジャパン(以下、石原):コロナ禍の3年間は十分な情報交換も出店もできず、さまざまな戦略が停滞した。ここでもう一度顔を合わせ、戦略を立て直そうと思い、来日してもらった。今、イスラエルは好景気。国の産業としては、テクノロジーが一番。AIやデジタル領域の産業が伸長していて、若い富裕層も多い。現地に出向くと世界の経済は大きく変わり始めていることを実感する。

WWD:アフターコロナの世界のコスメ市場の状況をどのように捉えているか?

マルカ:急激に復活する市場もあれば、まだコロナ禍前のレベルに達していない市場もある。イスラエルは22年1月には回復しており、おおよそ世界のビューティ市場も活況が戻りつつある。その中で日本市場の回復は最後だった印象だ。

イスラエルでは135店舗、全ての店舗が黒字

WWD:本国イスラエルでの「ラリン」の位置付けと現状は?

マルカ:イスラエルの国の大きさは四国程度。そこに135店舗があり、全ての店が黒字で好調だ。ただ、新しい商品を矢継ぎ早に投入しないと飽きられるし、お客さまは魅力を感じない。アフターコロナの市場では、その流れが顕著だと感じており、全体の20%程度は常に新商品に入れ替え、鮮度を保っている。今後は、さらにその入れ替えはスピードアップすることも考えられる。

石原:135店舗展開していて、全店黒字というのはオペレーションが優れていることの証。学ぶべきことも大いにある。「ラリン」はイスラエル一のアパレル会社のフォックスグループの傘下というのも大きい。そのグループの中でも「ラリン」は中核ブランドに位置付けられる。

WWD:強化しているカテゴリーは?

マルカ:フェイスケアだ。「ラリン」は、死海の塩を使用したボディースクラブを中心とするボディーケア商品のイメージが強いかもしれないが、全体の65〜70%を占める程度。他にタオルなどの雑貨類やルームフレグランスなど幅広く展開するライフスタイルブランドだ。その中で、イスラエルに限らず、フェイスケア商品への要望が強く、今後、さらに注力していく。

WWD:「ラリン」の展開国と成長している国は?

マルカ:現在、カナダ、台湾、オーストラリア、グルジア、日本の5カ国に輸出している。
売り上げ構成比はイスラエルが70%、海外が30%(ともに卸しベース)。海外の売り上げの20%を日本が占めている。イスラエルの売り上げは毎年前年比3〜5%増と安定して伸長している一方、4年前に進出したカナダの22年度売上高は、前年比28%増と大きく成長している。今後5年間で、アメリカ、メキシコ、ヨーロッパのスペイン、フランス、イタリア、そしてアジア諸国への輸出拡大を計画している。

日本ではECの売り上げがここ数カ月で急速に伸長

WWD:11年にアジア初の店舗として表参道店をオープンして以降、日本の状況をどう捉えているか?

マルカ:個人的には日本が大好きで、TSIホールディングスはいいパートナー。一緒に仕事ができて幸せだと思っている。今は、イスラエルと日本のお客さまの違いを学んでいる最中だ。例えばパッケージの大きさは、日本はイスラエルに比べ小ぶりなものを好む。

石原:気候の違いも大きく、冬でも気温17〜18度程度で湿気があるイスラエルと日本では、乾燥肌に対する考え方も異なる。

マルカ:それに、日本のお客さまは好奇心が旺盛で非常に賢い。商品の成分や効果などをより詳しく知りたがる傾向が強い。

WWD:16年時に21年で50店舗、売上高30億円を目指していたが、その進捗は?

石原:コロナ禍で経済が停滞してしまった影響は大きく、現在35店舗で、ルクア大阪が1番店。売り上げに関してもまだ未達だ。これからTSIホールディングスが中期経営計画を発表するが、そのタイミングでしっかり達成できるようにしたい。

WWD:そのための仕掛けは?

石原:日本のEC売り上げがここ数カ月で急速に伸びており、本国も全面的に協力してくれていることもあり、ここに大きなチャンスがあると感じている。現在、ECが全体の売り上げの12〜13%を占める。ピューティのスタッフは、SNSに関しての知識も理解度も高く、面白くてパワフル。その能力を生かしてインスタライブなどを積極的に行いSNSでのお客さまとのタッチポイントを増やし、ECの割合をさらに上げていく。また、日本化粧品検定受験などさまざまな面でのスタッフのスキルアップを後押ししている。

「ウーマン エンパワーメント」を体現

WWD:EC強化の戦略は他の国でも同じ?

マルカ:もちろんイスラエルもECは成長しているが、昨今の日本の成長に比べるとスピードは落ちる。なぜならイスラエルのEC売り上げの伸長のピークは日本より早かったからだ。

石原:先日、イスラエルに行った時はデリバリーの速度の改革に入っていた。オーダーして最長2時間、早ければ20分で届くという、まるでフードデリバリーのようなシステムを構築していることに驚いた。四国程度の国土にメインのデリバリーセンターがあり、サポートセンターをどこに作るかや、テクノロジーによるサプライチェーン構築についてのディスカッションをしていて、われわれはまだまだだと思った。

マルカ:フォックスグループは今、1400億円を投資し、中近東で一番大きな物流センターを建設しようとしている。その半分はロボット技術への投資だ。完成すれば「ラリン」もそこから出荷するし、これから輸出する国が増えても十分対応できる体制が整う。

WWD:日本市場はまだ伸び代があると思うか?

マルカ:今回、3日間日本市場を見て、素晴らしい市場だと思ったし、伸びる可能性が大いにあると確信した。イスラエルは約900万人の人口で135店舗あり、97%のブランド認知度を誇る。日本は約1億2000万人の人口で35店舗しかないから、爆発的に成長すると期待している。さらなる成長のためには、一流のロケーションに出店すること、そして、いい商品を提供することが重要だ。日本のような厳しい審美眼を持つ市場では、ベストセラーとなるような商品を提供し、一番いい体制で臨まなければ商機がないことは理解している。その一環として、日本限定の商品もスタートしているし、来年はブランド誕生25周年で、コラボアイテムなど特別な商品も予定している。

石原:出店にあたり、デベロッパーからは若い層を取り組むことを期待されている。とはいえ、「ラリン」の商品は4000〜5000円が中心価格帯。それを納得して購入する感度の高い若年層がいる場に出店していく。マルカCEOが言う「一流のロケーション」というのはそういう意味だ。そして、「ラリン」の創始者から続くフィロソフィーは「ウーマン エンパワーメント(WOMEN EMPOWERMENT)」。女性が商品を使って幸せな気持ちになり、自信を持って社会に出ていくことを後押しする存在であることを目指してきた。ラリン ジャパンの従業員は約170人でうち男性は4人。あらためてそのフィロソフィーに立ち返り、彼女たちにポジティブに活躍してもらい「ウーマン エンパワーメント」を体現していく。

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1位は、コーセーがジャニーズ事務所に対する声明を発表|週間アクセスランキング TOP10(9月14日〜9月20日)

1位は、コーセーがジャニーズ事務所に対する声明を発表|週間アクセスランキング TOP10(9月14日〜9月20日)

「WWDJAPAN」 ウイークリートップ10

1週間でアクセス数の多かった「WWDJAPAN」の記事をランキング形式で毎週金曜日にお届け。
今回は、9月14日(木)〜9月20日(水)に配信した記事のトップ10を紹介します。


- 1位 -
コーセーがジャニーズ事務所に対する声明

09月15日公開 / 文・WWD STAFF

 コーセーは15日、ジャニーズ事務所の創業者、故ジャニー喜多川氏による性加害問題を受け、十分な改善が認められるまでは同事務所所属タレントの新たな契約や起用を見送ると発表した。現時点で、ウェブサイトの削除や店頭の販促物の撤去などは予定していないが、流通企業の意向などを踏まえ、適応に対応していく方針だ。なお、契約タレントのTVCMの放映は全て終了している。

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- 2位 -
「ユニクロ:シー」発売日の店頭は? 30代の女性客が中心、ちらほら男性の姿も

09月15日公開 / 文・五十君 花実

 ユニクロは9月15日、クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)によるウィメンズの新ライン「ユニクロ:シー(UNIQLO : C)」を発売した。当日朝、東京・銀座のユニクロ トウキョウを訪れると、10時前後から整理券を配布。11時のオープン直前には20人ほどが入り口前で列を作った。

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- 3位 -
「リモワ」と「ティファニー」が初コラボ ジュエリーボックスやスーツケースを発売

09月19日公開 / 文・WWD STAFF

 LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン (LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)傘下のドイツのラゲージブランド「リモワ(RIMOWA)」は9月26日、「ティファニー(TIFFANY & CO.)」とのコラボアイテムを発売する。

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- 4位 -
10日間で3カ月分を完売 「ワコールメン」“レースボクサー”にブリーフタイプが登場

09月15日公開 / 文・WWD STAFF

 「ワコールメン(WACOAL MEN)」から、美しさと機能性を融合した“レースブリーフ”が登場した。2021年12月に発売した同じレースを使用した“レースボクサー”は、発売から10日間で約3カ月分の販売予定枚数を完売した大ヒット商品。

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- 5位 -
ケニアで見た「大量廃棄」の現実 鎌田安里紗がリポート

09月16日公開 / 文・木村 和花

 先進国から途上国へ輸出される大量の古着が問題視されている。ファッション産業の透明性を推進するファッションレボリューションジャパンのプロデューサーで、消費者への啓発活動に取り組む鎌田安里紗は8月、古着の行き着く先を見るためケニアを訪れた。「チェンジング・マーケット財団」の調査によれば、2021年はケニアに9億着以上の衣類が輸出されたという。現地の人々は、この現状をどう受け止めているのか。鎌田に8日間の滞在の様子をレポートしてもらった。

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- 6位 -
阪神梅田本店の優勝セールに2000人行列  早すぎるVで一部商品が間に合わず

 阪神タイガースが18年ぶりにセ・リーグ優勝したのを受け、エイチ・ツー・オー リテイリングのグループ各社は15日、「祝・リーグ優勝 阪神タイガースご声援感謝セール」をスタートした。7日間開催する。

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- 7位 -
新生「エディー・バウアー」出店開始 10月に4店舗

09月19日公開 / 文・林 芳樹

 メンズアパレルの水甚(岐阜市、中村好成社長)は、米カジュアルブランド「エディー・バウアー(EDDIE BAUER)」の出店を開始する。10月6日にモラージュ菖蒲(埼玉県)、イオンモール福岡(福岡県)、高槻阪急スクエア(大阪府)、10月13日にららぽーと愛知東郷(愛知県)をそれぞれ開く。

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- 8位 -
「ルイ・ヴィトン」から青の“モノグラム・キャンバス”を用いたメンズの新作バッグ

09月16日公開 / 文・WWD STAFF

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、ブルーの“モノグラム・キャンバス”素材を用いたメンズの新作バッグを発売した。

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- 9位 -
Perfumeが吉田カバンの「POTR」とコラボ オレンジのミニバッグをツアー会場で限定販売

09月20日公開 / 文・三澤 和也

 吉田(東京、吉田幸裕社長)が手掛けるブランド「ピー・オー・ティー・アール(POTR)」は、3人組ユニットのPerfume(パフューム)とコラボしたバッグ“ボンサック ミニ”を発売する。

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- 10位 -
「ランコム」が美容液“ジェニフィック”の世界観を体験できるイベントを開催

09月18日公開 / 文・WWD STAFF

 「ランコム(LANCOME)」は9月22〜24日の3日間、渋谷スクランブルスクエアで美容液“ジェニフィック アドバンスト N”の世界観を体験できるイベント“ジェニフィック インテンス チャレンジ”を開催する。

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1位は、コーセーがジャニーズ事務所に対する声明を発表|週間アクセスランキング TOP10(9月14日〜9月20日)

1位は、コーセーがジャニーズ事務所に対する声明を発表|週間アクセスランキング TOP10(9月14日〜9月20日)

「WWDJAPAN」 ウイークリートップ10

1週間でアクセス数の多かった「WWDJAPAN」の記事をランキング形式で毎週金曜日にお届け。
今回は、9月14日(木)〜9月20日(水)に配信した記事のトップ10を紹介します。


- 1位 -
コーセーがジャニーズ事務所に対する声明

09月15日公開 / 文・WWD STAFF

 コーセーは15日、ジャニーズ事務所の創業者、故ジャニー喜多川氏による性加害問題を受け、十分な改善が認められるまでは同事務所所属タレントの新たな契約や起用を見送ると発表した。現時点で、ウェブサイトの削除や店頭の販促物の撤去などは予定していないが、流通企業の意向などを踏まえ、適応に対応していく方針だ。なお、契約タレントのTVCMの放映は全て終了している。

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- 2位 -
「ユニクロ:シー」発売日の店頭は? 30代の女性客が中心、ちらほら男性の姿も

09月15日公開 / 文・五十君 花実

 ユニクロは9月15日、クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)によるウィメンズの新ライン「ユニクロ:シー(UNIQLO : C)」を発売した。当日朝、東京・銀座のユニクロ トウキョウを訪れると、10時前後から整理券を配布。11時のオープン直前には20人ほどが入り口前で列を作った。

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- 3位 -
「リモワ」と「ティファニー」が初コラボ ジュエリーボックスやスーツケースを発売

09月19日公開 / 文・WWD STAFF

 LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン (LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)傘下のドイツのラゲージブランド「リモワ(RIMOWA)」は9月26日、「ティファニー(TIFFANY & CO.)」とのコラボアイテムを発売する。

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- 4位 -
10日間で3カ月分を完売 「ワコールメン」“レースボクサー”にブリーフタイプが登場

09月15日公開 / 文・WWD STAFF

 「ワコールメン(WACOAL MEN)」から、美しさと機能性を融合した“レースブリーフ”が登場した。2021年12月に発売した同じレースを使用した“レースボクサー”は、発売から10日間で約3カ月分の販売予定枚数を完売した大ヒット商品。

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- 5位 -
ケニアで見た「大量廃棄」の現実 鎌田安里紗がリポート

09月16日公開 / 文・木村 和花

 先進国から途上国へ輸出される大量の古着が問題視されている。ファッション産業の透明性を推進するファッションレボリューションジャパンのプロデューサーで、消費者への啓発活動に取り組む鎌田安里紗は8月、古着の行き着く先を見るためケニアを訪れた。「チェンジング・マーケット財団」の調査によれば、2021年はケニアに9億着以上の衣類が輸出されたという。現地の人々は、この現状をどう受け止めているのか。鎌田に8日間の滞在の様子をレポートしてもらった。

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- 6位 -
阪神梅田本店の優勝セールに2000人行列  早すぎるVで一部商品が間に合わず

 阪神タイガースが18年ぶりにセ・リーグ優勝したのを受け、エイチ・ツー・オー リテイリングのグループ各社は15日、「祝・リーグ優勝 阪神タイガースご声援感謝セール」をスタートした。7日間開催する。

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- 7位 -
新生「エディー・バウアー」出店開始 10月に4店舗

09月19日公開 / 文・林 芳樹

 メンズアパレルの水甚(岐阜市、中村好成社長)は、米カジュアルブランド「エディー・バウアー(EDDIE BAUER)」の出店を開始する。10月6日にモラージュ菖蒲(埼玉県)、イオンモール福岡(福岡県)、高槻阪急スクエア(大阪府)、10月13日にららぽーと愛知東郷(愛知県)をそれぞれ開く。

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- 8位 -
「ルイ・ヴィトン」から青の“モノグラム・キャンバス”を用いたメンズの新作バッグ

09月16日公開 / 文・WWD STAFF

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、ブルーの“モノグラム・キャンバス”素材を用いたメンズの新作バッグを発売した。

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- 9位 -
Perfumeが吉田カバンの「POTR」とコラボ オレンジのミニバッグをツアー会場で限定販売

09月20日公開 / 文・三澤 和也

 吉田(東京、吉田幸裕社長)が手掛けるブランド「ピー・オー・ティー・アール(POTR)」は、3人組ユニットのPerfume(パフューム)とコラボしたバッグ“ボンサック ミニ”を発売する。

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- 10位 -
「ランコム」が美容液“ジェニフィック”の世界観を体験できるイベントを開催

09月18日公開 / 文・WWD STAFF

 「ランコム(LANCOME)」は9月22〜24日の3日間、渋谷スクランブルスクエアで美容液“ジェニフィック アドバンスト N”の世界観を体験できるイベント“ジェニフィック インテンス チャレンジ”を開催する。

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パタゴニアの型破りなマーケティング戦略 本国責任者が語る

アイリーン・オッテンウェラー/パタゴニア ブランド&ビジネス・インパクト責任者 プロフィール

米国インディアナ州フォートウエイン生まれ。2019年3月パタゴニアに入社。ブランド・マーケティングを指揮し、キャンペーンの戦略開発、ストーリーや映画制作、草の根の支援活動など、ブランドのあらゆる活動においてパタゴニアの目的を実現するための戦略やチーム、プログラムをマネジメントする。パタゴニア入社以前は、テスラ、ソーラーシティ、イニシアティブ・フォー・グローバル・デベロップメントなど、さまざまなテクノロジー企業や非営利団体に勤務。趣味はサイクリング、水泳、バックカントリースキー、トレイルランニング

パタゴニアのマーケティング戦略は型破りだ。「商品を売るため」ではなく、人々の「行動変容を促す」ことに焦点を当て、本部だけで約200人のスタッフが戦略を練る。「パタゴニアは“100年続く会社”の実験的存在」「いわゆるマーケティングと呼ばれる仕事を覆すことが私の仕事」と語るパタゴニアのブランド及びビジネス・インパクトの責任者、アイリーン・オッテンウェラー氏にマーケティング&コミュニケーション戦略を聞く。

WWD:これまで手掛けたキャンペーンで最も反響が大きかったものとその理由をどう分析する?

アイリーン・オッテンウェラー(以下、アイリーン):リジェネラティブ・オーガニック(環境再生型有機農法)認証と、漁網を再生したリサイクルナイロン「ネットプラス」のローンチキャンペーンです。いずれも私たちが重視する価値観である製品を活用して行動変容を促すものでした。リジェネラティブ・オーガニックのキャンペーンは、オーガニックコットンを支援してきたこれまでの取り組みを土台に、(さらにその理解を深め、環境再生型有機農法への移行に向けて)業界を後押しすることができたと感じています。キャンペーンを通じてより多くのブランドがオーガニックからリジェネラティブ・オーガニックのコットンを使用するようになりました。また、お客さまもコットン栽培の理解を深め、より多くの人が「自分の服はどこから来ているのか」と疑問を持つようになったと感じています。

「ネットプラス」は、ポスト・コンシューマ(使用済製品:ポストは「後の」、コンシューマは「消費者」を意味し、「ポスト・コンシューマ」は、「消費者が使用済の」「使い古した」という意味を持つ)を材料に活用する革新的なプログラムです。アパレル産業に対して、廃棄プラスチックから新しい糸を作るという考えを浸透させた良い例になりました。ブレオ社と共同開発した「ネットプラス」は今後さまざまなブランドでも採用される予定です。

そして、私たちは消費者の多くはプラスチックが作られる背景や問題の裏に石油やガス会社が関わっているかを理解していないことに気付きました。そこでこのキャンペーンをきっかけにプラスチックの背景に大きな問題が隠れていることを暴露したいと考え、ショートフィルム「クローゼットの中の怪物」を制作しました。

WWD:30分足らずの映像の中に情報が整理されていて非常に理解しやすいショートフィルムだった。どのようにストーリーを組み立てたのか。

アイリーン:私が概要を考え、チームメンバーとリサーチを行いました。その後、消費者がどこまで知識があるのか、問題の理解を深めるためにどうすればよいかを考えました。重視したのは、映画を観終わった後に、できることがあると希望を持てるようなものをつくること。(気候危機や社会課題を訴える)多くの取り組みは、問題提起するだけで希望を提供しない。この映画は、私たちのコミュニティに多くの人に参加してもらうために、そして「希望は失われていない」「もっとできることがある」という“始まり”を伝えるために制作しました。行動変容を促すという点で最も成功した映画といえるでしょう。

行動変容を促すために行動科学を学ぶ

WWD:顧客や社会に向けてメッセージを伝えるときに、パタゴニアが重視していることとは?特に今年は50周年という節目の年でもある。

アイリーン:50周年に向けて2年前から検討を始め、マーケティングの観点からは、行動変容を倍化させる必要があると考えました。「地球を救う」ミッションから考えると、気候危機は悪化の一途で私たちの努力は不十分。そのため、2年をかけて行動科学を学び、適切なメッセージとはどういうものか、どの瞬間どのタイミングで伝え、インフレクションポイント(変曲点)は何か、対象レベルに合わせてどうメッセージを発信すべきかなどを学びました。その結果、対象別に何が有効かを考えるためのフレームワークを作ることができました。「クローゼットの中の怪物たち」や「ウォーンウエア(WORN WEAR)」のポップアップストアなどを通じて、テストが始まったところです。ほんの始まりに過ぎませんが、マッピングやマーティングツールは出そろってきています。

WWD:50周年のキャンペーン「次は?」について教えて欲しい。

アイリーン:キャンペーンは、私たち自身の疑問から生まれました。私たちが望むのはどんな未来でしょうか?私たちが問い続けてきた「次はどうする?」という問いを、私たちのコミュニティと共有し、さらにより多くの人に知っていただくためのキャンペーンです。私たちが信じている行動や価値観は、人間として生き残るだけでなく、繁栄することを可能にするものです。50周年のキャンペーンを通じて、人々が可能性を感じ、変化は可能だという希望を持つこと、そして私たちには共通点がたくさんあり、一緒に旅に出ればもっと良くなるということを実感してもらえればと願っています。

WWD:パタゴニアの店舗やオンラインストアを訪れると、商品の魅力を伝えるだけでなく、環境危機とその改善のためのアクションを伝えていることがわかる。それぞれの発信のバランスや、根底にある考え方とは?

アイリーン:透明性を重視し、真実を伝えることを大切にしています。パタゴニアがどのような状況にあり、何を知っていて、何を知らないのかについても正直に話します。伝えること全ては行動によって裏打ちされている点も大切です。そして、ストーリーテリングの本当に重要な部分は、私たちが語るストーリーだけでなく、その背後には人とその人のストーリーがあるということ。

情報で圧倒することは簡単ですが、適切なバランスを見極めることに全力を注いでいます。全てのコミュニケーションにおいて、お客さまの理解度がどれくらいかを考えることから始めています。ショートパンツを買うためにサイトを訪れたのでしょうか?何らかのキャンペーンに興味を持って訪れたのでしょうか?何を起点に訪れたのか、その出発点から私たちの大きなビジョンにつなげるにはどうしたらいいかを考えます。けれど決して完璧にはできません。常に何が必要かを見直し、メッセージを進化し続けることが大切です。

全ての問題は異なり、ゴールも異なります。フレームワークをガイドに、意識的な消費、アクティビズム、スポーツを通じた自然とのつながりなどテーマに応じて、さまざまなツールを組み合わせます。例えば、意識的な消費者になるための旅が始まったばかりの人に対しては、非常に複雑なアパレル産業の現実を知るツールとして映画が効果的です。映画は、複雑な物語を語るのに優れた方法です。アクティビズムについて、例えば特定の請願書や政府の規則など、人々に署名に参加をしてもらおうとアプローチする場合、非常に明確でシンプルな行動喚起のメッセージが最適です。動画は使わず、写真とメッセージだけ。そして、アクションを起こすためのリンクを掲載します。

WWD:人々に関心を持ってもらい、行動を起こしてもらうための発信は容易ではない。コミュニケーション戦略をどのように立てているか。

アイリーン:非常に複雑です。課題によって異なるので、フレームワークを「試してみよう」「反応を見よう」「そこから反復しよう」という道標として使っています。私たちは社内で多くの時間を費やし、今、お客さまが解決しようとしている問題は何かを明確にするようにしています。それは意識の問題なのか、教育の問題なのか。気づいてはいるが行動を変えるための正しい情報にアクセスできていないのか。それとも、抵抗があるのか、行動が伴わないのか、変換行動が起きているのか、などです。

マーケティング費は売上高の5~6%

WWD:映画やストーリー性のあるウェブサイトを作るにはかなりの投資が必要だ。売り上げに対してどの程度の資金をストーリーテリングに充てているか。

アイリーン:競合他社に比べるとわずかです。売り上げの5~6%程度で他社に比べると半分以下です。通常、パタゴニア規模の企業は売り上げに対して8~12%が妥当と言われています。「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」などの競合他社は私たちの40倍くらい投資しているという調査結果もあります。

WWD:ほとんど広告を打たずにフィルムやウェブサイトなどストーリーテリングに徹底している。

アイリーン:広告は、特定の目的を解決するときに打ちます。ですが、新聞の隅にあるディスプレイ広告が行動変容を起こせるとは思っていません。

WWD:チームについて教えて欲しい。科学的根拠に基づいた情報を活用したコミュニケーションが多いが、調査だけでもかなりの費用がかかるのでは?

アイリーン:ストーリーテリングチームは本部だけで約200人います。その中に編集者を擁するクリエイティブチームを設けています。ライターだけでなく、ジャーナリスティックな視点を持つ人材を採用しており、彼らは、活動家や環境、製品やスポーツの専門家になっていきます。ですので、外部の人にお金を払って情報を探してもらわなくても、知識が社内に保持されていきます。社内に知見が貯まっていくことは私たちの仕事で非常に重要です。

WWD:どのように社員の目的意識を醸造していくか。

アイリーン:社員を第一のカスタマーと考えています。自分たちの取り組んでいることを信じなければ、対外的に何をやってもうまくいかないですよね。社員、お客さま、そして人間と自然とのつながりをめぐる行動変容の3つに特化した社内プログラムを用意しています。

例えば、毎月(創業当時からのパタゴニアを知る)ヴィンセント(・スタンレー哲学者)によるフィロソフィーのクラスがあります。コロナ禍はバーチャルでしたが、今は本社の外でコーヒーやお茶を飲みながら行っています。創業の経緯からパタゴニアのコアバリューがどう作られたかなどを語り合います。誰でも参加できて質問もでき、自分を見直す機会にもなっています。価値観や歴史を維持するためのもので、アーカイブも構築しています。

パタゴニアには特別な文化があることは間違いありません。私たちは大きな家族のようです。大企業に比べるとまだまだ小さな存在ですが、自分たちを「小さいけど強い」と思っています。品質と透明性にこだわり、正直であること、型にはまらない方法や新しい挑戦を恐れないこと、現状維持をやめることに抵抗がないこと、新しいミッションステートメントに繋がるマインドを持っています。そして私たちはみなアウトドアを愛しています。私たちはみな異なりますが、同じ価値観を理解しています。共通の価値観を通じてお互いを理解し合っています。

「世の中を良くするために自分のスキルをどう役立てるか」

WWD:電気自動車などさまざまな産業やNPOに関わってきたあなたがなぜアパレルに?

アイリーン:パタゴニアは私と同じ問いを投げかけていると感じた最初の企業でした。幼い頃から「世の中をより良くするために自分のスキルをどう役立てればいいか」を考えていました。その結果、非営利団体やコンサルティングファーム、スタートアップ企業や太陽エネルギー関連、電気自動車などさまざまな企業で働き、どんな産業でどんなビジネス構造が最もポジティブな変化を促進できるのかに取り組んできました。

WWD:パタゴニアのミッションステートメントが変わったことも影響した?

アイリーン:ええ、興味が高まりました。なぜ衣料品メーカーがこんなに高い目標を掲げているのでしょう?「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」というのは、私が知る限り最も野心的なミッションステートメントの一つです。だから、パタゴニアの価値観や原則、プログラムはどんなものかをとても知りたくなりました。

WWD:入社して印象的だったことは?

アイリーン:パタゴニアは真実を求め、製品がもたらすインパクトを全力で少なくする努力をしていること、そしてミッションステートメントを具現化していること。その価値観に日常的に触れている点も印象的でした。これまでの経験を振り返るととても珍しいことでしたから。私たちが直面している気候危機を変える当事者になろうとすることに興奮しています。毎日起きて働くことが楽しみです。私自身もパタゴニアに入社して変わりました。パタゴニアは多くのことを教えてくれました。今度は私が他の人に教えようとしています。

WWD:イヴォン・シュイナード創業者とのやり取りで印象的だったことは?

アイリーン:ありのままの自分でいることにコミットしている点です。彼は、パタゴニアが「お金に左右されない」ことに対してとても熱心で、地球を救うために尽力しています。会社の創業者がこのような人生を歩んできていることも新鮮に感じます。そして、より良い人間でありたいと思わせてくれました。

イヴォンは「死んだ地球にビジネスはない」と言います。私たちが明日ビジネスを止めたら人々は同じ行動を取り続けるでしょう。私たちは人々を、産業を前進させるために存在しています。私たちができることは、道を切り開き、人々に変化が可能だと示すことです。

【エディターズ・チェック】
パタゴニアは、アクションを最大化するためのマーケティングを模索している。パタゴニアは営利企業でありながら、アクティビスト的側面を持ち、これまで環境活動や政策提言、署名運動などで注目を集め、コミュニティを成長させてきた。こうしたパーパス経営は、企業の競争優位性を高めるとして近年注目されており、企業は売る製品やサービスの良さはもちろん、社会でどういう存在でありたいか、社会問題をどう解きたいかといったパーパスを示すことで、より評価が高まるようになった。

今日、企業活動においてマルチ・ステークホルダーの関与は大前提で、マルチ・ステークホルダーが参加できるようなコミュニケーションが重視され始めている。マーケティングは今後、商品の良さを伝える広告からアドボカシー広告(企業の政治・社会・経済的立場を明らかにする広告)が、よりインパクトを与えていくだろう。魅力ある高品質高機能の製品を売るだけでなく、消費者とともに行動する共同体を作り、それを拡張できれば、社会課題の解決を可能にする新しい経済活動につながるのではないだろうか。

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「バウム」「シンピュルテ」「ビュウ」に聞く支持される“香り”の傾向とは?

スキンケアのルーティンに香りを提案するブランドが増えている。香りへの支持も高い「バウム(BAUM)」「シンピュルテ(SINN PURETE)」「ビュウ(BEAW.)」の3社に売れ筋を聞いた。

スキンケアルーティンの中でルームスプレーの活用を提案する「バウム」

「バウム(BAUM)」は森林浴美容と名付け、スキンケアルーティンの中でルームスプレーを使い呼吸を整えて⾹りを感じることを提案している。

22年に1番売れたアイテムは“アロマティック ルームスプレー”(100mL、各3種、各6160円)の“ウッドランドウインズ”の香りだった。“ウッドランドウインズ”は、爽やかなベルガモットやカモミールなど落ち着いたシダーウッドの⾹りで、「湖畔の林に吹く⾵のような」クリーンさが特徴。同ブランドが展開する3つの香りの中で最も人気が高い香りだ。

スキンケアでは、“ハイドロエッセンス ローション”(150mL、7150円)が人気を集める。樹液のようなとろみのあるローションが、肌の⾓層すみずみまで、潤いを与える。森林浴をイメージした⾹りが特徴。星⽥千晴「バウム」ジャパンPR担当は、「「レフィル対応で、⻑く愛⽤いただける⽊製パーツを使⽤したデザインなども支持されている」。

「バウム」はブランドデビューした2020年6月以降の3年間、毎年2ケタ成⻑を続けている。今年の1〜3⽉実績も、前年同期比2ケタ増と伸長した。星⽥千晴「バウム」ジャパンPR担当は、「実店舗とECの双方でブランドの成⻑を支えている」と話す。店舗では、パッケージの木製パーツに使用するオーク(ナラ)の苗木を育成するなど、5感を刺激するブランド体験を提供し、興味関心を喚起する。

「コロナ禍を経て、自宅で快適に過ごすための工夫が増えた。その一つに⾹りを活用することが増えているように感じる。自分のお気に入りの香りを使うことで部屋の雰囲気や気分が変わり、1日の始まりや終わりに、お気に入りの香りとスキンケアでリラックスするニーズが高まっている。アウトドア活動も拡大しており、自然の中でのリラックスを求める顧客にも、森林浴をイメージした『バウム』 の⾹りを評価いただけていると感じる」と述べる。

「シンピュルテ」“トゥーグッドマルチベネフィットオイル”が爆発的人気に

「シンピュルテ(SINN PURUTE)」は、“マインドフルビューティー”と名付け、“マインドフルフレグランス”で心を解きほぐしてから、クレンジングや保湿といったスキンケアを行うことを提案している。その中で人気No.1はクレンジング“ピュアクレンジングクリアa”(120g、3960円)だ。メイクを落とすだけでなくテクスチャーや、マインドフルフレグランスとして販売する“Purification of Mind”の香りなど五感で楽しめるのが特徴。ブランドリニューアル後の売り上げ伸長率1位は、ヒトデ美容液”AGコンセントレイト セラム a”(30mL、8340円)だ。糸を引く粘り気がありながら肌に浸透する美容液で、“Passionate Awakening”の香りを使用している。また、香りが特徴な“トゥーグッドマルチベネフィットオイル”は、5000店舗以上のサロンで取り扱われ、累計30万本を売り上げるなど存在感を放つ。

今春は、マインドフルフレグランスの3つの香りの“トゥーグッドマルチベネフィットオイル”(50mL、3850円)が爆発的に人気を集めた。もやもや落ち込み気味のときに“Purification of mind”、何かに集中したいときの“Stillness and Energy”、ストレスを感じるときの“Passionate Awakening”をラインアップする。上妻善弘アナイスカンパニー代表取締役は、「香りを楽しみながら心を整えてビューティールーティンを楽しむニーズが売れ行きにも反映されている」。

売り上げは、4〜5月の売上平均でみるとブランドリニューアル前となる2年前の同月比で、15倍以上で推移する。「特に、“トゥーグッドマルチベネフィットオイル”が好調で、公式サイトでは2月の発売から、何度も完売・入荷を繰り返している」と人気だ。

「コロナ禍では、不安やストレスにさらされる中、自分に向き合い心を整えるニーズが高まった。これからは、より外向きな『自分のありかたを表現する』という新たなフェーズに入っていくと考えている。今後は、プロフェッショナル市場に向けたさらなる商品展開も検討し、あらゆる場面でマインドフルビューティーを実現したい。最近では、コンシューマー市場とプロフェッショナル市場の両方で成功しているブランドは皆無といえる。双方を行き来しながら体験とバリューを高め、競合ひしめくサロン業界でも『シンピュルテ』らしくプレイフルに、新しい時代のムードを作り上げていきたい」と意気込む。

和漢素材由来のデュアルスキンケア「ビュウ」は
「大和言葉」にインスピレーションを得た5つの香りを展開

竹内太郎ナチュラルテックCEOが2021年に立ち上げた「ビュウ(BEAW.)」は、当初セラムとサプリのセット“スターターボックス”(初回1万1529円、2回目以降は1万4778円)のみを販売してきたが、今年の6月に“フェイスウォッシュ”(80g、通常価格6600円、定期初回特別価格2970円)と“キャンドル”(180g、1万1000円)の一般販売を開始した。

片岡大和 ナチュラルテック取締役COO「ビュウ」事業責任者は、「5月に、ウェスティンホテル東京で先行販売を行い好評を博した。私が大学で国文学を専攻していたので、5つの香りは、大和言葉の情景をイメージソースに開発した。人気の“あらたよ(105)”は、明けるのが惜しい夜という意味で、紅茶にベリーなどをブレンドした香りだ。“なみだあめ(150)”は、はらはらと落ちる涙のような、ほんの少しだけ降る雨という意味で、雨上がりの森や庭園を想起させるジャパニーズグリーン&アースの香り。1人の時間や、信頼できる仲間同士でゆったりと過ごす時におすすめだ」と話す。5月の売り上げは前年同月比10倍と好調だった。「コロナ禍を経て、出社や外出の機会が増えた。外出時に気を遣う一方で、家の中ではリラックスを求める意識が高まり、自然を感じる香りが人気だ」。

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「新商品を出すたびごみを作っている気になる」化粧品業界の闇から抜け、“未来の原料”と出合いサキュレアクト起業

「化粧品の新商品を出すたびにごみを作っているようで嫌になった」と開口一番印象的な言葉を述べたのは、環境保護につながる未来を創造するサキュレアクトを3月に起業した塩原祥子社長だ。25年携わった化粧品業界を卒業しようと考えた最中に、地球環境を改善する可能性を秘めた微細藻類に出合い、プラスチック商品を使用しない、ごみを出さない工夫をするライフスタイルブランド「530(ファイブサーティ)」を7月に立ち上げた。塩原社長は消費者の意識、行動変容につながるきっかけになることを願い、これまであまり語られてこなかった化粧品業界の裏側を明らかにした。

WWD:長年化粧品業界でモノ作りに携わり、課題に感じていたことは。

塩原祥子サキュレアクト社長(以下、塩原):日本の化粧品市場は約2兆5000億円で、その内の1兆円を大手企業が占めている。残りの1兆5000億円を中小企業が展開するが、チャネルは、百貨店やバラエティーショップ、ドラッグストア、ECと多岐にわたり、それぞれのチャネルを得意とするメーカーがひしめいている。化粧品の年間出荷個数個数は約25億個(2022年経済産業省化粧品出荷統計)で、化粧品使用人口を約5600万人(15歳以上の女性人口約5100万人、男性使用人口約500万人)と想定すると年間41個を消費しないと全ての出荷数を消費することができない。実際には化粧品使用人口が年間18個消費すると仮定すると、製造した時点で約56%が廃棄対象の可能性があるのだ。その状況は決して健全ではない。

WWD:ドラッグストアも同じ状況か。

塩原:前職ではドラッグストアを主力販路とするメーカーに属していたので、むしろ一番環境が良くない気がする。全国にドラッグストアは約2万5000店舗あるが、売れている店舗は1割にも満たない2000店舗といわれている。化粧品の使用期限は未開封で3年(開封後は約1年)で、年2回の棚の入れ替え時に売れ残った商品が3月と9月に大量に返品される。韓国コスメの使用期限は2年と印字されているが、期限が切れたので交換してほしいと普通に言われる。中には一度も店頭に出ないまま返品されることもあった。これらは防犯タグがついたまま戻ってくるものもあるため、再度販売することは難しい。そして、化粧品は液体のものが多いことから分解して処理が難しく、パッケージも単一素材ではなく複数の素材で複雑に構成されているものが多いためリサイクルできない。安売り業者に販売するか、産業廃棄物として処理するしかない。そんな状況を常に見ていると新商品を出すたびにごみを作っているようで嫌気が差し、二度と化粧品業界に関わりたくないと退職した。

WWD:異業種からの参入も多く、化粧品業界に参入しやすい環境もある。

塩原:日本で研究所と自社工場を有している化粧品メーカーは15社程度しかない 。そのほかはOEMで生産している。研究所がなくてもモノ作りができ、200万円あれば化粧品が作れるため参入障壁が低くなっている。化粧品はもうかるという神話があるが、昔ほど小売り店側にブランドを育成する気概もないため、10年継続できるブランドは多くない。返品商品のコスト、卸への手数料を考慮すると、販売価格の10〜20%の商品原価で抑えないとビジネスとして成り立ちにくいのが現状だ。

微細藻類との出合いで、再び化粧品業界で奮起

WWD:化粧品業界の闇に触れ、一度は離れる決意をしたが再び挑戦する

塩原:微細藻類を活用した新規事業を知る機会があり、微細藻類を培養し、石油に変わる代替エネルギーを作るプロジェクトに興味を持った。微細藻類は肉眼では識別困難なサイズだが、二酸化炭素を酸素に変換する光合成生物で、食物連鎖の出発点である生産者といわれている。太陽光と二酸化炭素さえあれば無限に増殖する微細藻類から、将来的にはSAF(持続可能な航空燃料)を生産する予定の企業と協業することで、生産過程で生まれる副産物を抽出・精製し化粧品や容器の原料にできるのではないかと考えている。24年春以降には商用化が実現しそうで、現在はどう商用に落とし込むか模索している最中だ。

WWD:こうした取り組みを広めるためブランドを立ち上げた。

塩原:7月に「530」が誕生した。ブランド名には“ごみゼロ”という思いをのせており、プラスチック容器を使用しないスキンケアや洗剤、雑貨類を扱う予定だ。第1弾のせっけん“シーデザインソープ”(25g×4、3300円)をマクアケで販売したところ、想定の3倍の売り上げを達成した。 新素材で海の波紋をデザインした九谷焼のソープディッシュ(2200円)も販売する。

WWD:“シーデザインソープ”は、プラスチックごみを含めた海洋汚染が進む海の現状を表した。

塩原:仕込みから乾燥まで最大30日間かけるコールドプロセス製法を採用。全て手作業のため余分なエネルギーは使用しないで作り上げた。ヤシ油やオリーブ果実油、ヒマシ油など天然由来成分99%以上配合し、4種ともお菓子のようなかわいらしいデザインを意識したが、実は一つ一つが海の状態を表現したもの。ブルーの“blue color soap”は「美しい海」、サーモンピンクの“red-orange color soap”は「赤潮の海」、ブルーと白の2層からなる“mix color soap”は「プラスチックの浮かんだ海」、ブラウン系の“brown color soap”は「海底の砂漠化」をそれぞれ表した。海洋汚染問題を生活の中で身近に感じでもらえるものをビジュアル化することでプラスチック商品使用の削減を意識してもらえたら。ビーチクリーン運動の実施やホームページに漫画で読む環境問題などを掲載している。こうして行動や知識を得てもらいごみゼロの地球を実現するための一歩を踏み出してもらえたらうれしい。

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鎌倉サステナビリティ研究所って? 世界的コンペの審査員も務める代表に聞く

ロンドン芸術大学を拠点とするセンター・フォー・サステナブル・ファッション(Centre for Sustainable Fashion.以下、CSF)は、ケリング(KERING)やIBM、「ヴォーグ ビジネス(VOGUE BUSINESS)」とグローバルなファッション・コンペティションの「ファッション・バリュー・チャレンジ(Fashion Values Challenge.以下、FVC)」を共同開発した。日本から唯一審査員を務めた、鎌倉サステナビリティ研究所(以下、KSI)の青沼愛代表に話を聞いた。

青沼愛KSI代表理事 プロフィール

2004年からバングラデシュの教育支援に携わる。SRI投資助言会社を経て、11年からバングラデシュやミャンマーなどの工場を中心に社会監査(ソーシャルオーディット)や労働環境改善業務に携わる。その後、大手アパレル企業のサステナビリティ部にてアジア圏における取引先工場の労働環境改善、工場従業員の教育支援プロジェクトを担当。現在は、幅広い業界の社会監査を国内外で行いながら、サステナビリティ関連コンサルティングも行う。特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン理事も務める

 

――2018年に設立したKSIとは?
 
青沼愛鎌倉サステナビリティ研究所代表(以下、青沼代表):04年からバングラデシュの働く子どものたちの教育支援に関わり、その後、SRI関連企業を経て、11年からソーシャルオーディター(社会監査人。製品を製造する自社工場や、サプライチェーン上にある取引先工場の労務・人権・環境などをチェックし、問題があればその改善を促す役割を担う)としてバングラデシュやミャンマーの工場の労働環境改善に関わってきました。その後、ファーストリテイリングのサステナビリティ部でアジア圏のサプライチェーンを担当し、18年にKSIを設立しました。KSIの発起人の1人である、青山学院大学の北川哲雄名誉教授と私は鎌倉在住で、鎌倉で定期的にお茶を飲みながらさまざまな業界の動向について情報交換をして、KSIの構想がスタートしました。企業のサステナビリティに関する活動を加速させるには、質の良い情報と信頼できるネットワークが重要であるという思いから、業界を超えて「フラットであること」「中立であること」そして「ファクトをベースとしたディスカッションをすること」を中心として始まりました。
コアな活動として、サステナブル・ファッション、ビジネスと人権などに関する定期的な勉強会や体系的な連続講座を業界の実務者や学生向けに行っています。多くの実務者が参加してくださるのを嬉しく思っていますし、意欲ある学生さんには奨学金制度として受講料を全額または一部免除して応援しています。私自身は、KSI運営をしながらソーシャルオーディターとして、さまざまな業界のサステナビリティ分野に関わっています。
KSIでは、業界やセクター、国を超えて共に議論をすることを大切にしており、面白い化学反応が起きていると感じます。例えば、ファイナンスに関わる方がファッション産業に関心を持ち、学生と一緒に学ぶなど。学生が純粋な問いを投げかけることで、サステナビリティ担当者と本質的な議論に発展する機会も多く、国内外の専門家が新たな事例を紹介してくれることで、担当者の意識や行動に影響を与ることもあります。

――どのような契機でFVCに関わることになった?
 
青沼代表:FVCは、世界中からサステナブルファッションに関するアイデアを募集しています。学生部門と企業部門があり、それぞれ優勝者は半年間、CSFやケリング、IBM、「ヴォーグ ビジネス」からメンターを受ける機会や、オンラインのプログラムを受講する権利などを得ます。
KSIは、20年からCSFと連携して彼らの教育コンテンツを日本語にし、サステナブル・ファッション講座で受講生に提供しています。その流れから、FVCの初回からグローバル審査員として関わらせて頂いています。
 
――今年は日本から3組がファイナリストとしてグローバルに推薦された。グローバル審査員からの反応は?
 
青沼代表:審査会では日本から推薦した3組ともとても高く評価されていました。ファッションを通して想いが循環するエコシステムを届ける「E組 from Enter the E」、埼玉・秩父発の地域で循環するものづくり「レイナ イブカ(REINA IBUKA)」、そしてファッションを通してオール・インクルーシブな社会を目指すアパレルブランド「ソリット!(SOLIT!)」と、今年のテーマである「ファッションはどのように社会を価値づけることができるのか?」に対して、3組がそれぞれ違った個性と、信念を持ったアプローチをされていることも特徴的でした。また日本のカルチャーを背景にしたビジネスプランやモノづくりに対しての評価もとても高かったです。
4月にはCSFのニーナ・スティーブンソン(Nina Stevenson)教育責任者を招いたオンラインイベントを開催し、3組のアイデアについて意見交換をする機会を設けました。ニーナはグローバル審査員の視点でそれぞれのアイデアに対するリスペクトと気づきを共有してくださり、とても良い議論ができました。
 
――KSIの今後と、KSIがファッション業界に期待することは?
 
青沼代表:CSFと連携したことで、海外からのサステナブル・ファッションに関する情報に触れる機会がさらに増えています。世界中でどんなアイデアが議論されているのか、どんなアクションが起きているかを日本に紹介していきたいし、同時に、日本にある素晴らしいアクションを海外に届けるニーズも感じています。
最近はサステナブル・ファッションについて発信する方々も増え、関心の高さを感じます。私たちの強みは国内外の専門的な情報を持っていること。色んな方々と連携し、私たちの情報を使って頂き、さらにその先の多くの人たちに知ってもらえたと思います。
ただ、私たちだけではマンパワーが足りないので、今後日本から賛同する方々を集め、FVCも含め、サステナブル・ファッションを一緒に盛り上げていきたいです。さまざまな方が関わることで、ファッション業界が抱える課題を軽やかに解決して、さらに楽しく、ワクワクするアイデアがたくさん生まれることを願っています。

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「プラン C」、ブルーベル・ジャパンと提携で日本市場を強化 デザイナーがビジョンを語る

「マルニ(MARNI)」創業者の娘、カロリーナ・カスティリオーニ(Carolina Castiglioni)が手がける「プラン C(PLAN C)」。カスティリオーニの型にはまらない自由なクリエイティビティーは、2019年春夏シーズンに始動して以来、一貫してポジティブで遊び心のある自立した女性像を描く。同ブランドは8月からブルーベル・ジャパンとパートナーシップを締結し、日本市場を強化していく。このほど東京・銀座のギンザ シックスにオープンした新たな旗艦店を訪れたカスティリオーニに、同店の印象や今後のビジョンについて聞いた。

WWD:新たな旗艦店を訪れた感想は?

カロリーナ・カスティリオーニ(以下、カスティリオーニ):本やアートも楽しめるギンザ シックスは、出店するには最適な場所だと思いました。今回も彫刻家のドゥッチョ・マリア・ガンビ(Duccio Maria Gambi)が、設計に入ってくれました。彼とは2018年に出会い、以来全ての店舗の設計に関わってくれています。私たちは共通点が多いんです。この店では、アクセサリーを陳列する什器やハンガーラックなどを彼が手掛けてくれました。特に気に入っているのは、ステンレススチールやコンクリート、カーペットなど異なる素材が、とても上手くマッチしているところ。色使いも「プラン C」のDNAと共通します。私は毎シーズン、新しい色の組み合わせを生み出すことに挑戦しています。たとえば2023-24年秋冬シーズンでは、アクアやパープル、ビスタチオをメインに採用しましたが、この色のコンビネーションがとても好きなんです。

WWD:「プラン C」は特にポジティブでユーモラスな色使いが魅力だ。独特な色彩感覚は母親から受け継いだもの?

カスティリオーニ:いいえ。ファッション業界で育つなかで自然と身に付いたのだと思います。高校時代からアートを学び、常にデザインやアートに関心が高かったことも理由でしょう。私のアプローチは、ほとんど直感なんです。アート作品から着想を得ることもあれば、素材のリサーチをするなかでカラーチャートから閃くときもあります。

「母が教えてくれたのは、インディペンデントであること」

WWD:では、母親から受け継いだものをあげるとしたら?

カスティリオーニ:母と私のクリエーションには多くの似た部分があると思いますが、母が教えてくれたのは何よりもインディペンデントであること、自分の考えを貫くことです。「プラン C」はまさに私自身の直感を信じて実現したプロジェクトでもあります。母は「プラン C」のクリエーションには関わっていませんが、いつも店1店舗くらいの個人オーダーをしてくれます(笑)。気に入ってくれているということだと思います。私も当時「マルニ」で同じことをしていました。

WWD:ブランドのシグネチャーである“ピリ アンド ビアンカ”のモチーフは、娘が描いたものだと聞いた。あなたのクリエーションは、家族がいろいろな形で影響している。

カスティリオーニ:家族はとても大事な存在です。あのイラストは、私の娘が3歳の時に友人の似顔絵を描いたものなんです。シンプルな線やシルエットがとても可愛くて、ブランドを始める時に、あれをロゴに使ったらいいんじゃないかと思いつきました。今彼女は9歳で、作風も少し変わりましたね。

WWD:コロナ禍を経てクリエーションに変化は?

カスティリオーニ:大きな変化はありません。創業当時からファッションショーは開催せず、年に2回のコレクション発表で、正しいパートナーと手を組んで慎重にビジネスを成長させていこうと考えていましたから、コロナ禍でも何かを大きく変えなければいけないことはありませんでした。シーズンの垣根をこえて着られる高品質かつディテールにこだわったモノ作りも創業時から大事にしています。一つ挙げるとすれば、工場が動かなかったので、すでにストックしている生地を使って制作しなければならず、新素材を使った革新的なことはあまりできませんでした。しかし、喜びに溢れた、明るい未来に向けたクリエーションを作り続けることは常に心がけました。

WWD:日本でブルーベルをパートナーに選んだ理由は?また今後のビジョンは?

カスティリオーニ:ブルーベルは私たちのクリエイティビティーや美学を理解してくれると思ったからです。すでに良いスタートが切れています。この店舗がその証拠で、とてもうれしく思っています。まずはギンザ シックスの店舗を軌道に乗せることに力を入れますが、出店機会は引き続き探します。そして特にレザーバッグなどのアクセサリーも強化し卸売ビジネスを成長させていく計画です。これからもやみくもにマーケットを広げたりせず、正しいパートナーを見極めてブランドを育てていきたい。アートやライフスタイルへのアプローチが好きな私にとって、先日伊勢丹でも開催したポップアップイベント「リトラッティ」プロジェクトは良い出発地点になりました。来週のミラノ・ファッション・ウイークでは、ニューヨークで活動するウクライナの写真家であり画家、映画監督としての顔を持つイェレナ・ヤムチュック(Yelena Yemchuk)との展示も予定しています。ファッション以外の分野にもさらにクリエイティビティを広げていきたいと思っています。

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「トリー バーチ」は混沌の世界にエフォートレスな洋服で「軽やかに受け流す」を提案

「トリー バーチ(TORY BURCH)」は2004年春夏コレクションをニューヨーク現地時間の9月11日の夜に発表した。会場は今年5月にオープンしたばかりのニューヨーク自然史博物館の別館リチャード・ギルダー・センター(Richard Gilder Center)。「トリー バーチ」は同館オープン後、初めてファッションショーを行ったブランドとなった。天高でゴツゴツとしながらもラウンドしたシェイプに覆われた会場はまるで洞窟の中にいるような雰囲気だが、どこかの惑星に迷い込んだ気持ちにもなる。ユマ・サーマン(Uma Thurman)やナオミ・ワッツ(Naomi Watts)らセレブリティも新作コレクションを目にしようと集まったほか、デザイナーの計らいでニューヨーク州立ファッション工科大学(F.I.T.)の学生たちもファッションショーの見学を行った。

今シーズン「トリー バーチ」が発表したのはエフォートレスな服。「混沌とした世の中では日頃から考えることも多く、頭の中がいっぱいになるからこそ、洋服選びはシンプルなものであってほしい」とトリーは語った。軽くてなめらか、モデルがランウエイを歩くと流れるように動くのが現代に必要なエフォートレスな服たち。ダイナミックなレイヤードでもすっきりと見えるように計算されている。

ファーストルックをはじめ、フューチャリスティックなムードを醸し出すラウンドカットの入ったボンディングジャケットが登場。軽やかな素材使いと流れるようなシルエットのナイロンタフタのスカートを合わせている。同じくツイストを加えてなめらかなシェイプを構築したシルクジャージーのミニドレスもスカートや肩を覆ったショルダーライン。胸元を大きくUネックにカットしたロングドレスなど、全体的に角がなく、丸みを帯びている。

コレクションノートに“aerodynamic curve(エアロダイナミック カーブ)”と記述されているように、丸みを帯びたシルエットやカッティングを意図的に取り入れている。混沌とした世界から吹く強風を軽やかにかわすため、角ばっているよりも丸みを帯びたシェイプで風をうまくかわすのが現代の女性。モデルたちが身に着けるゴーグルのようなスポーティなサングラスはまさに風よけにふさわしく、大ぶりのイヤリングやクラッチバッグ、メリージェーンのシューズなど、全てが丸みを帯びている。

カッティングだけでなく、素材でも軽さを出している。ボリューム感のあるスポーティーなフーディー、ジップアップトップスもシアーな素材で軽く、メッシュのドレスもレイヤーを施したスタイリングだが、軽やかだ。モデルが歩くたびにジャラジャラと音が鳴る鈴を装飾したオーガンジーのドレスも流れるような動きに焦点を当てている。メタリックなダブルフェイスサテンや「トリー バーチ」のロゴをあしらったコート、ワイヤーを入れて張りと丸みを出したビスコースジャージードレスなど、要所要所にどこか近未来的な雰囲気も感じさせる。トリーの考えるエフォートレスな服は単純に着心地や楽さにフォーカスしたものではなく、精密なカッティングとパターン、表情豊かな素材使いなど、クリエーションとしてはとても手の込んだものである。

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芸能生活40周年安達祐実が語る「ウンナナクール」とのコラボ 「下着姿になるのに抵抗はなかった」

“女の子の人生を応援する“インナーウエアブランド「ウンナナクール(UNE NANA COOL)」のノンワイヤーブラジャー“364(サンロクヨン)”の新ビジュアルが登場した。“364”とは、“特別な日”以外、364日つけたいノンワイヤーブラで、2019年に登場以来、累計60万枚を販売。

19年、21年に続き、女優の安達祐実が同シリーズのイメージモデルとして登場した。安達は、“364”の新ビジュアルおよび、今年、芸能生活40周年を記念した写真集「YUMI ADACHI 40/42」クリエイターカットを発表。「ウンナナクール」のディレクションを行うアートディレクター兼映画監督の千原徹也が写真集のプロデュースを手掛けた。キャンペーンビジュアルは“日常のふとした思い出”がテーマのため、千原が1960年代のカメラを使って撮影し、昔風の写真で仕上げている。ビジュアルに登場した安達に、ブランドや撮影について聞いた。

居心地の良さを大切にする“364”

WWD:「ウンナナクール」の“364”のイメージモデルに抜擢された時の感想は?

安達祐実(以下、安達):ブランドのことは知っていたし、かわいいと思っていたが、買ったことはなかった。年齢的に下着のイメージモデルの話がくるとは、正直、意外だった。「ウンナナクール」のイメージは若い人向けのブランドだから。ただ、千原さんがアートディレクターなので、面白そうだなと思った。

WWD:「ウンナナクール」とはどんなブランド?

安達:日常に取り入れられるブランドで、シンプルだけどかわいい。見た目がかわいいだけでなく、機能性も高いので、私たちの年代にもフィットすると思う。もっと幅広い年齢層に使ってもらえると嬉しい。”364”は本当に楽ですごくいい。

WWD:新しいキャンペーンビジュアルで表現したかったことは?

安達:“364”が日常の中に溶け込んでいること。そして、楽で自由な気持ちを体現するブラジャーだということ。着用することで、リラックスして日々楽しむことができる。自分の居心地の良さを大切に日々過ごしてほしいという思いを込めた。

WWD:下着姿になることに抵抗はなかったか?

安達:全然なかった。撮影の準備を何もしなかったので、多少すればよかったと思う。40歳になって、そろそろジムに行かなきゃと思って行ってみたけど、あまり続けられなかった。自宅でストレッチや腹筋をする程度。自然体で撮影に臨んだ。

WWD:下着選びのポイントは?

安達:若い頃は、何でも大丈夫だと思っていたが、今は締め付けが気になるし、より重力を感じるので、楽でありつつも、サポートしてくれる下着を選ぶ。楽なだけではなく機能性もある下着をつけておかないと、後のボディーラインが心配。着る服によって、下着は使い分けている。体形のサポートが必要だと思うので、“ラク”なだけの下着はちょっと抵抗がある。かわいい下着を着けるとテンションが上がる。

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芸能生活40周年安達祐実が語る「ウンナナクール」とのコラボ 「下着姿になるのに抵抗はなかった」

“女の子の人生を応援する“インナーウエアブランド「ウンナナクール(UNE NANA COOL)」のノンワイヤーブラジャー“364(サンロクヨン)”の新ビジュアルが登場した。“364”とは、“特別な日”以外、364日つけたいノンワイヤーブラで、2019年に登場以来、累計60万枚を販売。

19年、21年に続き、女優の安達祐実が同シリーズのイメージモデルとして登場した。安達は、“364”の新ビジュアルおよび、今年、芸能生活40周年を記念した写真集「YUMI ADACHI 40/42」クリエイターカットを発表。「ウンナナクール」のディレクションを行うアートディレクター兼映画監督の千原徹也が写真集のプロデュースを手掛けた。キャンペーンビジュアルは“日常のふとした思い出”がテーマのため、千原が1960年代のカメラを使って撮影し、昔風の写真で仕上げている。ビジュアルに登場した安達に、ブランドや撮影について聞いた。

居心地の良さを大切にする“364”

WWD:「ウンナナクール」の“364”のイメージモデルに抜擢された時の感想は?

安達祐実(以下、安達):ブランドのことは知っていたし、かわいいと思っていたが、買ったことはなかった。年齢的に下着のイメージモデルの話がくるとは、正直、意外だった。「ウンナナクール」のイメージは若い人向けのブランドだから。ただ、千原さんがアートディレクターなので、面白そうだなと思った。

WWD:「ウンナナクール」とはどんなブランド?

安達:日常に取り入れられるブランドで、シンプルだけどかわいい。見た目がかわいいだけでなく、機能性も高いので、私たちの年代にもフィットすると思う。もっと幅広い年齢層に使ってもらえると嬉しい。”364”は本当に楽ですごくいい。

WWD:新しいキャンペーンビジュアルで表現したかったことは?

安達:“364”が日常の中に溶け込んでいること。そして、楽で自由な気持ちを体現するブラジャーだということ。着用することで、リラックスして日々楽しむことができる。自分の居心地の良さを大切に日々過ごしてほしいという思いを込めた。

WWD:下着姿になることに抵抗はなかったか?

安達:全然なかった。撮影の準備を何もしなかったので、多少すればよかったと思う。40歳になって、そろそろジムに行かなきゃと思って行ってみたけど、あまり続けられなかった。自宅でストレッチや腹筋をする程度。自然体で撮影に臨んだ。

WWD:下着選びのポイントは?

安達:若い頃は、何でも大丈夫だと思っていたが、今は締め付けが気になるし、より重力を感じるので、楽でありつつも、サポートしてくれる下着を選ぶ。楽なだけではなく機能性もある下着をつけておかないと、後のボディーラインが心配。着る服によって、下着は使い分けている。体形のサポートが必要だと思うので、“ラク”なだけの下着はちょっと抵抗がある。かわいい下着を着けるとテンションが上がる。

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大学院生が手掛けるジュエリー「リメルリック」がデビュー 地球に優しいリファインメタルを使用

ジュエリーブランド「リメルリック(REMELRIC)」が登場した。同ブランドは、“都市鉱山”と呼ばれる廃棄された携帯電話やPCなどから採取した金属を精製した“リファインメタル”を主に使用。使われているストーンもデッドストックのものが中心だ。同ブランドは、ジュエリーブランドの「シャランポワ(SHARONPOI)」や「アドリン ヒュー(ADLINE HUE)」を手掛けるシャランポワの安部真理子代表がジュエリー業界のサステナブル促進のために立ち上げたデザイナー支援事業の第一弾だ。

ブランドのディレクターは、日本大学大学院芸術学研究科在学中のREN。ブランド名は、祖母から母、母から彼へ読まれ伝えられた絵本「メルリック まほうをなくしたまほうつかい」からで、便利になりすぎた世の中に対する警告を意味している。展開するジュエリーは、シルバーとゴールド、ボリュームのあるものと華奢なものを組み合わせて変化させられるスタッキングを意識したデザイン。価格は9680〜14万5200円で、オンラインストアおよび、ジュエリーブランド「シャランポワ」と「アドリン ヒュー」の東京・南青山サロンで販売する。

ディレクターのRENと安部代表に、「リメルリック」について話を聞いた。

アートとビジネス感覚のバランスが重要

安部代表とRENの出合いは、同代表がディレクションを手がけていたD2Cジュエリー「アルティーダ ウード(ARTIDA OUD)」がきっかけだった。彼は、同ブランドのジュエリーのファンで、購入したり、同ブランドが運営する多目的スペース「ジ アナザー ミュージアム」を訪れたりしていたという。安部代表がRENのインスタグラムを見て、ダイレクトメールを送りこのプロジェクトがスタートした。ジュエリーの制作の経験がない学生のRENにアプローチした理由は、「スタイリストとのコラボレーションはよくあるが、(学生とのコラボは)新しいと思った」と安部代表。「ジュエリー作りは、技術的なことよりもセンスが重要。アートとビジネス感覚のバランスが取れていると思ったから声をかけた」と続ける。

エイジレス、タイムレスな長く使えるジュエリー

「リメルリック」のブランドコンセプトは、“温故知新”。RENは、「アートやカルチャー、音楽などにインスピレーションを受ける。長く使えるいいジュエリーを提案したい」と話す。ファーストコレクションは友人につけて欲しいリングやネックレスをデザイン。「デザインは悩まなかったが、ものができる過程での調整に苦労したし、楽しくもあった。『リメルリック』はジェンダーフリーでエイジレスなブランド。タイムレスなデザインなので、幅広い人につけて欲しい」と言う。ルックブックの撮影は、REN自身が写真家の川島小鳥に直談判して行った。男性モデルを使った理由は、「ブランドの世界観に溶け込むニュートラルなモデルがいいと思ったから、知り合いのモデルに頼んだ」とREN。これからは、アニマルシリーズなども作っていくようだ。安部代表は、「私自身はどちらかというと、シンプルなものしか作らない。『リメリック』のアシンメトリーのリングなど複雑なものもすてきだなと思った。『アドリン ヒュー』と重ね付けを楽しんでほしい」とコメント。

日本のジュエリー産業の活性化に一役

安部代表は、「アルティーダ ウード」のときから、インドの職人をサポートしたり、インドへのチャリティ活動を行ったりしている。最近では、メード・イン・インドのホームウエア「スミエレ(SUMIERE)」をスタートした。それと同じく安部代表が情熱を注いでいるのがデッドストックの石などを使用したサステナブルなもの作りだ。「アドリン ヒュー」では、一つ一つ個性の違うデッドストックの石や化石など魅力を引き出したジュエリーを提案。ジュエリー業界でも、ガーデンクオーツ(庭園水晶)や従来は破棄してしまうパールなどを使用する動きが広まりつつある。

同代表は、「『シャランポア』も『アドリン ヒュー』もメード・イン・インド。なぜなら、ダイヤモンドのカッティングやパヴェセッティングなど、インド特有の味があるから。リファインメタルを使う場合は、生産ラインを分けなければならず、日本国内で生産しなければならない。だから、新しいブランドを立ち上げようと思った。今後も、デザイナー支援活動の一環として続けていきたい」と語る。「リメルリック」の目玉である“タンク”リングは第二次世界対戦中にフランスで流行した戦車をモチーフにしたジュエリーをモダンにアップデートしたもの。「かっちりした形や複雑なデザインがメード・イン・ジャパンに向いている」と言う。

一般社団法人日本リファインメタル協会の小西祐子理事・広報は、「品質と販売店でリファインメタルを説明する際のガイドラインを制定した。現在は11ブランドが会員で流通量も増えている。今後は広報活動を強化して、ガイドラインを広めていきたい」と語った。

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「ユニクロ:シー」クレア・ワイト・ケラーが語ったユニクロとラグジュアリーの違い

ユニクロは9月15日、「クロエ(CHLOE)」や「ジバンシィ(GIVENCHY)」を率いてきた英国人デザイナー、クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Kellar)によるウィメンズの新ライン、「ユニクロ:シー(UNIQLO : C)」を国内外で発売する。発売を前にクレアも来日し、柳井正ファーストリテイリング会長兼社長やユニクロのR&D統括責任者である勝田幸宏グループ上席執行役員らと記者会見に登壇。「ユニクロ:シー」に込めた思いやモノ作りへの取り組み方、ユニクロの印象などを率直に語った。ここでは、クレアと勝田上席執行役員が「WWDJAPAN」の個別インタビューで語った内容を公開。記事末尾では、記者会見でのクレアと勝田上席執行役員の発言も紹介する。

WWD:これまでさまざまなメゾンで働いてきたが、今回ユニクロのチームと働いてみて、他のブランドや企業に比べてどんな印象を抱いたか。

クレア・ワイト・ケラー(以下、クレア):ユニクロは第一にオフィスが非常に巨大。これまで働いてきたブランドとはビジネスの規模が全く異なる。そのようにスケールが大きいにもかかわらず、非常に細かい所にまで目を配り、あらゆることに高い精度を求める会社であるということは私にとって嬉しい驚きだった。商品が投入されるまでに、デザインや生産のプロセス全体でチェックにチェックを重ね、本当に精緻にモノ作りをしている。ここまでやるとは想定していなかった。その一例がフィッティングだ。

WWD:「ユニクロ:シー」のデビューコレクションでは5回もフィッティングを行ったと聞いた。

クレア:その通りだ。これまで働いてきたパリのブランドでは、もっと早い周期でコレクションを作る必要があり、フィッティングにそこまで時間をかけることはなかった。「ユニクロ:シー」は年間2シーズンのスケジュールでモノ作りが進んでいるが、パリで仕事をしていた時は年間4シーズンで、12週間で1つのコレクションを仕上げなければならなかった。それに比べると、今は倍以上の時間がかけられる。以前は短時間でコレクションを仕上げていくために、私はデザインに専念し、生産や品質の確認といった部分は担当者に任せていたが、「ユニクロ:シー」では全てのプロセスを私自身がチェックできる。時間はたっぷりあり、忙し過ぎて大変ということはない。

WWD:「ユニクロ:シー」は、以前ディレクションしていた「クロエ」と比較されることも多い。自身でも通じる部分はあると思うか。

クレア:「ユニクロ:シー」は私の美意識に基づくパーソナルなスタイルを、ユニクロのプラットフォームを通して作り上げている。もちろん、以前のブランドでの私の象徴的なスタイルに通じる部分もあるだろうが、私は自分自身のスタイルを表現しようと今回も取り組んでいる。

WWD:「クロエ」時代しかり、長年“リアルウーマン”に向けて服をデザインしてきた。ラグジュアリーブランドを着る女性ももちろんリアルウーマンだが、ユニクロと組むことで、これまでよりももっと幅広い女性たちに向けてモノ作りができる。

クレア:まさにそうだ。作った服をより多くの方に着ていただけるのは、ユニクロというブランドだからこそ。それは「ユニクロ:シー」に取り組む上で大きな喜びになっている。「クロエ」や「ジバンシィ」での仕事においても、私のクリエーションを「すてきだ」と言っていただく機会はあったが、気に入っていても買えなかった人も多い。ユニクロと組むことで、私がデザインした服を多くの人に着ていただける機会があるというのはとても嬉しいことだ。

「リアルな女性を今まで以上に追求」

WWD:「クロエ」や「ジバンシィ」で働いていたころと今を比べると、女性がファッションに対して求めるものは変化しているか。

クレア:どんなときも女性のニーズはその時々で変わっている。直近ではパンデミックもあったし、私自身も3年間ファッションビジネスから離れていたこともあって、以前とは異なる視点でファッションを見つめることができている。これまでもリアリズム、つまり服を着る人のことを重視してデザインをしてきたが、今まで以上にそれを考えるようになった。現代人は常に動いていて、仕事の打ち合わせや食事、出張、オンライン会議、プライベートとさまざまなシーンがある。そういった自分の時間軸に合わせて、パッキングしてどこにでも持っていけて、ケアも簡単で、シーンに合わせてさまざまに着回しができる服が必要になっている。その点を今まで以上に強く考えてデザインしている。

WWD:「ユニクロ:シー」のCに合わせて、今後はシーズンごとにCから始まるさまざまな単語をキーワードにするというアイデアがあると聞いた。「クロエ」時代もバッグにアルファベット順の頭文字で名前をつけるなど、クリエーションにおいて言葉がキーになっているように感じる。

クレア:今シーズンの「ユニクロ:シー」は、Color、City、Communityなど、Cから始まるいくつかの単語で、コレクションの持つさまざまな側面に光を当てた。言葉は人につながっていくものだ。言葉によってコレクションや商品の背景にあるストーリーを伝えていくことで、作り手側の表現したいことが単なる情報としてではなく、自分ごととしてお客さまに届けることができると考えている。

「世界一になるためには、欧米で売ることが重要」

WWD:ユニクロは世界一のファッションブランドを目指しているが、世界一になるために、何が足りていないと思うか。

クレア:欧米のマーケットに広がることが重要だ。私は欧米のファッションマーケットのことはよく分かっているので、私の知識を提供することでユニクロはさらに前進できるのではないか。ファッションの捉え方やファッションに求めるものは、欧米とアジアとでは異なる。それらをうまく融合して、グローバルなスタイルとして出していきたいと思っている。例えば欧米ではシアーな素材が女性らしさもあって好まれるが、ユニクロの世界であるアジアではあまり求められない。どちらにとってもちょうどいいポイントを見つけて、ユニクロでうまく機能する方法で欧米のお客さまにも満足していただく。そのやり方を見つけていきたい。

WWD:ユニクロはテック素材を使った機能性商品に強く、その分繊細なデザインが求められるウィメンズウエアに弱いという課題がある。機能性ドリブンというユニクロのブランドイメージには同意するか。

クレア:確かにそうだ。ただ、テクノロジーやイノベーションがあるからこそユニクロの服が大好きだという人もたくさんいる。そこに私が自分の美意識として培ってきたものを持ち込めば、いいものができると思っている。機能性素材を作り、使用することもとても面白い。これまでのブランドではあまりテクニカルな素材を使ってこなかったが、ファッションにおいて機能性と感性という2つを合わせることは非常に興味深いと感じている。

WWD:ユニクロにとっては、今回の取り組みでの最大の学びは何か。

勝田幸宏ファーストリテイリンググループ上席執行役員ユニクロR&D統括責任者(以下、勝田):クレアさんは自身で緻密なリサーチを重ねており、ファッションの知識や引き出しがものすごい。別のデザイナーと比べるわけではないが、こんなに地道にリサーチを続けているのかと非常に驚いた。だからこそ、(取り組み相手のブランドに対し)「あなたたちならこういった感じがいいんじゃないか」とアイデアを出すことができる。彼女はアトリエに、資料として大量の服のアーカイブを持っている。クレアさんにも登壇いただいた9月12日の社内のコンベンションで、柳井(正ファーストリテイリング会長兼社長)が「過去を知り、今を知らないと未来なんて分からない。過去と今が分かっていないとビジネスなんてできない」といった趣旨のことを話していたが、彼女が服のデザインにおいてやっていることはそれとまさに同じ。そういった姿勢を社内の企画チームのメンバーには是非見習ってほしい。服のデザインに限らず、何事も積み重ねられてきたものに足していくという伸展のあり方を学んでほしいし、自分もそうでないといけない。

WWD:具体的に、どんなアーカイブを持っているのか。

クレア:仕事を始めた1990年代から服は集めており、2000着ほどある。「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」や「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」「ジル サンダー(JIL SANDER)」「プラダ(PRADA)」、挙げ出したらきりがない。もちろん、自分がディレクションしていた「クロエ」や「ジバンシィ」もある。リサーチのために集めているというよりも、単にコレクションしたいという気持ちもある。そのために多くの部屋が必要で大変だ。参考資料の本や写真も中毒じゃないかというくらいたくさん持っており、写真は8万5000点ほどある。スナップ写真で、街行く人のバッグや靴をフォーカスして撮ることもあるし、建物や景色、気に入ったソファの柄、心ひかれた色や形など、自分が面白いと感じたものを撮っている。

「メンズウエアもぜひ作りたい」

WWD:一緒に働いているユニクロのメンバーはどんな人たちか。

クレア:フレンドリーでとても働きやすい人たちだ。距離を隔てて働くため、言葉については心配だったが、皆英語も上手で心配は杞憂だった。そして、ユニクロチームのどんなことに対してもなんとかトライしようとする努力の姿勢には驚かされた。柳井さんは、昨日のコンベンションでのスピーチを聞き、業績などのビジネス面だけでなく関わる人ひとり一人に心を砕き、事業全体に責任を持っているリーダーという印象を持った。だから成功しているんだなと。

WWD:柳井会長は要求が非常に細かいというイメージも一般的には言われるが。

クレア:細かくなければ絶対に成功はできない。私が見てきた限り、(LVMHグループを率いる)アルノーさんもラルフ・ローレン氏も皆非常に細かい。ローレン氏は店頭でマネキンのチェックをしていたし、アルノーさんもアジアに行けば必ず各ブティックを見て回って、何か問題がないかをチェックしている。大きなビジネスのオーナーは、皆共通して非常に細かいものだと思う。

WWD:「ユニクロ:シー」はウィメンズコレクションだが、クレアさんはメンズウエアも作りたいと希望していると聞いた。

勝田:先週、パリで現地メディア向けの展示会などを行ってきたが、そこで僕もクレアさんも一番よく聞かれたのが「メンズはやらないのか?」だった。

クレア:「ぜひメンズもやりましょう」と今勝田さんにプッシュしている。うまく説得して、メンズも企画できればいいなと思っている(笑)。


【以下、記者会見での掛け合いや質疑応答から】

――ユニクロがクレアとタッグを組んだ理由や経緯を教えてほしい。

勝田:クレアさんとは、2年前のちょうど今ごろから話をしていた。「ユニクロ:シー」は一回限りのコラボレーションではなく、ずっと続けていって、お互いに成長できるプロジェクトにしたいとわれわれは考えている。ユニクロはグローバルで店舗網を広げ、世界中のお客さまから支持されているが、課題の1つとして、ウィメンズウエア特有の繊細さを表現できていない点がある。繊細なプロポーションや色、ディテールなどを、普段着の中に持ち込みたい。ユニクロの企画チームとしてももちろん努力するが、そういうデザインに長けた外部のデザイナーと組もうと、いろんな人と話をした。

クレアさんは「クロエ」をけん引したイメージが強いが、キャリアの原点は「ラルフ ローレン」のメンズクロージングラインだ。基礎としてメンズの構築的なデザインを徹底的に学び、その後さまざまなブランドで活躍してきた。当時、自分も前職でバイヤーだったので印象深いが、彼女を起用した「プリングル オブ スコットランド(PRINGLE OF SCOTLAND)」が突然おしゃれに変わったのをよく覚えている。メンズクロージングという基礎があるからこそ幅広いアウトプットができ、“LifeWear”の方向性を分かちあえばわれわれの課題を解決できるのではと思い、彼女と組むことを決めた。

――ユニクロのことを以前から知っていたか。

クレア:10年以上前から知っていた。きっかけはジル・サンダー氏と組んでいた「+J」で、初めて買った商品も「+J」のメンズアイテムだ。サンダーさんのような人があれほどの規模で協業するのだから、きっと面白い会社なんだろうと思っていたし、サンダーさんがユニクロとやってきたようなことが私もできたら楽しいだろうなと感じていた。「ユニクロ:シー」のプロジェクトが始まって以降は、居住地のロンドンと東京を何度も往復している。18カ月の間で、今回が10回目の来日だ。

――「ユニクロ:シー」で大切にしていることは。

クレア:達成したいのはタイムレスなスタイル。それを特に象徴しているアイテムがトレンチコートだ。全体として、私の持ち味である柔らかい感覚やフェミニンな要素があって、長い期間着続けたいと思えるものを目指した。色も非常に重要だ。白、黒、グレーといったニュートラルカラー同士を組み合わせるだけでなく、さまざまな色を取り入れつつも、それが補完しあって響き合い、うまくコーディネートできるということを証明したかった。

勝田:色をはじめ、かなり緻密に計算して作っているという印象を抱いた。

クレア:その通りだ。

――「ユニクロ:シー」というブランドネームに込めた思いは何か。

クレア:クレアのCというのはもちろんだが、City、Color、Combination、Collaborationなど、Cから始まるさまざまな言葉がキーになっている。「+J」や「ユニクロ U」と同様に、「ユニクロ:シー」のCにもユニクロの持つさまざまな考え方や切り口が詰まっている。(ブランドネームを考えてほしいと言われたとき)勝田さんへのメールにCから始まるさまざまな言葉を列挙した。今後のシーズンも、Cから始まるさまざまな言葉をキーワードとしてあげていこうと思っている。

――“エフォートレス(effortless、肩ひじ張らない、といった意味)”という形容詞が「クロエ」時代などにはよく使われ、会見の中で自身も使っていたが、“エフォートレス”とは具体的にどういうあり方やファッションを指すのか。

クレア:それは日常着においてとても重要なことだ。仕事や家族との用事など、現代人はやらなければならないことがたくさんある。肩に力を入れなければならないようなことは極力減らしたい。着るものがラクであるということは非常に大切であり、自分の動きに合わせて服も動いてくれるようなものがいい。シーズンごとに常に新しいものを買わなければならないというあり方も違う。ずっと着られるということも“エフォートレス”だ。繰り返しになるが、タイムレスに、長い期間着てもらえるということはデザインするにあたって非常に重視している。今、求められているのはモダンでありながらタイムレスな商品だ。

――ユニクロの生地や縫製のクオリティーについてはどう感じたか。

クレア:非常に高い水準にある。私が使用にゴーサインを出した素材がユニクロ社内の品質基準に合わず、数週間後にもう一度素材を選び直したこともあった。今までの私の品質に対する基準も高かったが、ユニクロはそれ以上だった。高品質の生地であっても、耐摩耗性など、使っていくとどうなるかという部分にも細かく気を配っている。

――サステナビリティにはどのように取り組むか。

クレア:2つの手法で取り組む。1点目は素材を厳しく選定し、より環境負荷が低いものを選ぶこと。2点目は、ワードローブに長く残るアイテムを作っていくこと。「ユニクロ:シー」のアイテムを、「これさえ持っていれば大丈夫」と長い期間着てもらえたら嬉しい。

――三児の母親でもある。仕事とプライベートの両立において重視していることは何か。

クレア:何事も整理整頓が大事だ。そして、仕事にも子どもにもちゃんと時間を割くこと。大学生の娘もいるが、彼らのロールモデルになることも意識している。こんなふうに仕事とプライベートの両立がちゃんとできると見せることが重要だ。

勝田:すばらしい先輩と仕事をする機会を得て、先日面談をしたユニクロ社内のデザイナーは、「将来は私もクレアさんみたいになりたい」と話していた。ユニクロとクレアさんとがお互いに成長できればと思っているし、最終的には、お客さまにファッションの楽しさが伝わればと思っている。

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「ユニクロ:シー」クレア・ワイト・ケラーが語ったユニクロとラグジュアリーの違い

ユニクロは9月15日、「クロエ(CHLOE)」や「ジバンシィ(GIVENCHY)」を率いてきた英国人デザイナー、クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Kellar)によるウィメンズの新ライン、「ユニクロ:シー(UNIQLO : C)」を国内外で発売する。発売を前にクレアも来日し、柳井正ファーストリテイリング会長兼社長やユニクロのR&D統括責任者である勝田幸宏グループ上席執行役員らと記者会見に登壇。「ユニクロ:シー」に込めた思いやモノ作りへの取り組み方、ユニクロの印象などを率直に語った。ここでは、クレアと勝田上席執行役員が「WWDJAPAN」の個別インタビューで語った内容を公開。記事末尾では、記者会見でのクレアと勝田上席執行役員の発言も紹介する。

WWD:これまでさまざまなメゾンで働いてきたが、今回ユニクロのチームと働いてみて、他のブランドや企業に比べてどんな印象を抱いたか。

クレア・ワイト・ケラー(以下、クレア):ユニクロは第一にオフィスが非常に巨大。これまで働いてきたブランドとはビジネスの規模が全く異なる。そのようにスケールが大きいにもかかわらず、非常に細かい所にまで目を配り、あらゆることに高い精度を求める会社であるということは私にとって嬉しい驚きだった。商品が投入されるまでに、デザインや生産のプロセス全体でチェックにチェックを重ね、本当に精緻にモノ作りをしている。ここまでやるとは想定していなかった。その一例がフィッティングだ。

WWD:「ユニクロ:シー」のデビューコレクションでは5回もフィッティングを行ったと聞いた。

クレア:その通りだ。これまで働いてきたパリのブランドでは、もっと早い周期でコレクションを作る必要があり、フィッティングにそこまで時間をかけることはなかった。「ユニクロ:シー」は年間2シーズンのスケジュールでモノ作りが進んでいるが、パリで仕事をしていた時は年間4シーズンで、12週間で1つのコレクションを仕上げなければならなかった。それに比べると、今は倍以上の時間がかけられる。以前は短時間でコレクションを仕上げていくために、私はデザインに専念し、生産や品質の確認といった部分は担当者に任せていたが、「ユニクロ:シー」では全てのプロセスを私自身がチェックできる。時間はたっぷりあり、忙し過ぎて大変ということはない。

WWD:「ユニクロ:シー」は、以前ディレクションしていた「クロエ」と比較されることも多い。自身でも通じる部分はあると思うか。

クレア:「ユニクロ:シー」は私の美意識に基づくパーソナルなスタイルを、ユニクロのプラットフォームを通して作り上げている。もちろん、以前のブランドでの私の象徴的なスタイルに通じる部分もあるだろうが、私は自分自身のスタイルを表現しようと今回も取り組んでいる。

WWD:「クロエ」時代しかり、長年“リアルウーマン”に向けて服をデザインしてきた。ラグジュアリーブランドを着る女性ももちろんリアルウーマンだが、ユニクロと組むことで、これまでよりももっと幅広い女性たちに向けてモノ作りができる。

クレア:まさにそうだ。作った服をより多くの方に着ていただけるのは、ユニクロというブランドだからこそ。それは「ユニクロ:シー」に取り組む上で大きな喜びになっている。「クロエ」や「ジバンシィ」での仕事においても、私のクリエーションを「すてきだ」と言っていただく機会はあったが、気に入っていても買えなかった人も多い。ユニクロと組むことで、私がデザインした服を多くの人に着ていただける機会があるというのはとても嬉しいことだ。

「リアルな女性を今まで以上に追求」

WWD:「クロエ」や「ジバンシィ」で働いていたころと今を比べると、女性がファッションに対して求めるものは変化しているか。

クレア:どんなときも女性のニーズはその時々で変わっている。直近ではパンデミックもあったし、私自身も3年間ファッションビジネスから離れていたこともあって、以前とは異なる視点でファッションを見つめることができている。これまでもリアリズム、つまり服を着る人のことを重視してデザインをしてきたが、今まで以上にそれを考えるようになった。現代人は常に動いていて、仕事の打ち合わせや食事、出張、オンライン会議、プライベートとさまざまなシーンがある。そういった自分の時間軸に合わせて、パッキングしてどこにでも持っていけて、ケアも簡単で、シーンに合わせてさまざまに着回しができる服が必要になっている。その点を今まで以上に強く考えてデザインしている。

WWD:「ユニクロ:シー」のCに合わせて、今後はシーズンごとにCから始まるさまざまな単語をキーワードにするというアイデアがあると聞いた。「クロエ」時代もバッグにアルファベット順の頭文字で名前をつけるなど、クリエーションにおいて言葉がキーになっているように感じる。

クレア:今シーズンの「ユニクロ:シー」は、Color、City、Communityなど、Cから始まるいくつかの単語で、コレクションの持つさまざまな側面に光を当てた。言葉は人につながっていくものだ。言葉によってコレクションや商品の背景にあるストーリーを伝えていくことで、作り手側の表現したいことが単なる情報としてではなく、自分ごととしてお客さまに届けることができると考えている。

「世界一になるためには、欧米で売ることが重要」

WWD:ユニクロは世界一のファッションブランドを目指しているが、世界一になるために、何が足りていないと思うか。

クレア:欧米のマーケットに広がることが重要だ。私は欧米のファッションマーケットのことはよく分かっているので、私の知識を提供することでユニクロはさらに前進できるのではないか。ファッションの捉え方やファッションに求めるものは、欧米とアジアとでは異なる。それらをうまく融合して、グローバルなスタイルとして出していきたいと思っている。例えば欧米ではシアーな素材が女性らしさもあって好まれるが、ユニクロの世界であるアジアではあまり求められない。どちらにとってもちょうどいいポイントを見つけて、ユニクロでうまく機能する方法で欧米のお客さまにも満足していただく。そのやり方を見つけていきたい。

WWD:ユニクロはテック素材を使った機能性商品に強く、その分繊細なデザインが求められるウィメンズウエアに弱いという課題がある。機能性ドリブンというユニクロのブランドイメージには同意するか。

クレア:確かにそうだ。ただ、テクノロジーやイノベーションがあるからこそユニクロの服が大好きだという人もたくさんいる。そこに私が自分の美意識として培ってきたものを持ち込めば、いいものができると思っている。機能性素材を作り、使用することもとても面白い。これまでのブランドではあまりテクニカルな素材を使ってこなかったが、ファッションにおいて機能性と感性という2つを合わせることは非常に興味深いと感じている。

WWD:ユニクロにとっては、今回の取り組みでの最大の学びは何か。

勝田幸宏ファーストリテイリンググループ上席執行役員ユニクロR&D統括責任者(以下、勝田):クレアさんは自身で緻密なリサーチを重ねており、ファッションの知識や引き出しがものすごい。別のデザイナーと比べるわけではないが、こんなに地道にリサーチを続けているのかと非常に驚いた。だからこそ、(取り組み相手のブランドに対し)「あなたたちならこういった感じがいいんじゃないか」とアイデアを出すことができる。彼女はアトリエに、資料として大量の服のアーカイブを持っている。クレアさんにも登壇いただいた9月12日の社内のコンベンションで、柳井(正ファーストリテイリング会長兼社長)が「過去を知り、今を知らないと未来なんて分からない。過去と今が分かっていないとビジネスなんてできない」といった趣旨のことを話していたが、彼女が服のデザインにおいてやっていることはそれとまさに同じ。そういった姿勢を社内の企画チームのメンバーには是非見習ってほしい。服のデザインに限らず、何事も積み重ねられてきたものに足していくという伸展のあり方を学んでほしいし、自分もそうでないといけない。

WWD:具体的に、どんなアーカイブを持っているのか。

クレア:仕事を始めた1990年代から服は集めており、2000着ほどある。「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」や「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」「ジル サンダー(JIL SANDER)」「プラダ(PRADA)」、挙げ出したらきりがない。もちろん、自分がディレクションしていた「クロエ」や「ジバンシィ」もある。リサーチのために集めているというよりも、単にコレクションしたいという気持ちもある。そのために多くの部屋が必要で大変だ。参考資料の本や写真も中毒じゃないかというくらいたくさん持っており、写真は8万5000点ほどある。スナップ写真で、街行く人のバッグや靴をフォーカスして撮ることもあるし、建物や景色、気に入ったソファの柄、心ひかれた色や形など、自分が面白いと感じたものを撮っている。

「メンズウエアもぜひ作りたい」

WWD:一緒に働いているユニクロのメンバーはどんな人たちか。

クレア:フレンドリーでとても働きやすい人たちだ。距離を隔てて働くため、言葉については心配だったが、皆英語も上手で心配は杞憂だった。そして、ユニクロチームのどんなことに対してもなんとかトライしようとする努力の姿勢には驚かされた。柳井さんは、昨日のコンベンションでのスピーチを聞き、業績などのビジネス面だけでなく関わる人ひとり一人に心を砕き、事業全体に責任を持っているリーダーという印象を持った。だから成功しているんだなと。

WWD:柳井会長は要求が非常に細かいというイメージも一般的には言われるが。

クレア:細かくなければ絶対に成功はできない。私が見てきた限り、(LVMHグループを率いる)アルノーさんもラルフ・ローレン氏も皆非常に細かい。ローレン氏は店頭でマネキンのチェックをしていたし、アルノーさんもアジアに行けば必ず各ブティックを見て回って、何か問題がないかをチェックしている。大きなビジネスのオーナーは、皆共通して非常に細かいものだと思う。

WWD:「ユニクロ:シー」はウィメンズコレクションだが、クレアさんはメンズウエアも作りたいと希望していると聞いた。

勝田:先週、パリで現地メディア向けの展示会などを行ってきたが、そこで僕もクレアさんも一番よく聞かれたのが「メンズはやらないのか?」だった。

クレア:「ぜひメンズもやりましょう」と今勝田さんにプッシュしている。うまく説得して、メンズも企画できればいいなと思っている(笑)。


【以下、記者会見での掛け合いや質疑応答から】

――ユニクロがクレアとタッグを組んだ理由や経緯を教えてほしい。

勝田:クレアさんとは、2年前のちょうど今ごろから話をしていた。「ユニクロ:シー」は一回限りのコラボレーションではなく、ずっと続けていって、お互いに成長できるプロジェクトにしたいとわれわれは考えている。ユニクロはグローバルで店舗網を広げ、世界中のお客さまから支持されているが、課題の1つとして、ウィメンズウエア特有の繊細さを表現できていない点がある。繊細なプロポーションや色、ディテールなどを、普段着の中に持ち込みたい。ユニクロの企画チームとしてももちろん努力するが、そういうデザインに長けた外部のデザイナーと組もうと、いろんな人と話をした。

クレアさんは「クロエ」をけん引したイメージが強いが、キャリアの原点は「ラルフ ローレン」のメンズクロージングラインだ。基礎としてメンズの構築的なデザインを徹底的に学び、その後さまざまなブランドで活躍してきた。当時、自分も前職でバイヤーだったので印象深いが、彼女を起用した「プリングル オブ スコットランド(PRINGLE OF SCOTLAND)」が突然おしゃれに変わったのをよく覚えている。メンズクロージングという基礎があるからこそ幅広いアウトプットができ、“LifeWear”の方向性を分かちあえばわれわれの課題を解決できるのではと思い、彼女と組むことを決めた。

――ユニクロのことを以前から知っていたか。

クレア:10年以上前から知っていた。きっかけはジル・サンダー氏と組んでいた「+J」で、初めて買った商品も「+J」のメンズアイテムだ。サンダーさんのような人があれほどの規模で協業するのだから、きっと面白い会社なんだろうと思っていたし、サンダーさんがユニクロとやってきたようなことが私もできたら楽しいだろうなと感じていた。「ユニクロ:シー」のプロジェクトが始まって以降は、居住地のロンドンと東京を何度も往復している。18カ月の間で、今回が10回目の来日だ。

――「ユニクロ:シー」で大切にしていることは。

クレア:達成したいのはタイムレスなスタイル。それを特に象徴しているアイテムがトレンチコートだ。全体として、私の持ち味である柔らかい感覚やフェミニンな要素があって、長い期間着続けたいと思えるものを目指した。色も非常に重要だ。白、黒、グレーといったニュートラルカラー同士を組み合わせるだけでなく、さまざまな色を取り入れつつも、それが補完しあって響き合い、うまくコーディネートできるということを証明したかった。

勝田:色をはじめ、かなり緻密に計算して作っているという印象を抱いた。

クレア:その通りだ。

――「ユニクロ:シー」というブランドネームに込めた思いは何か。

クレア:クレアのCというのはもちろんだが、City、Color、Combination、Collaborationなど、Cから始まるさまざまな言葉がキーになっている。「+J」や「ユニクロ U」と同様に、「ユニクロ:シー」のCにもユニクロの持つさまざまな考え方や切り口が詰まっている。(ブランドネームを考えてほしいと言われたとき)勝田さんへのメールにCから始まるさまざまな言葉を列挙した。今後のシーズンも、Cから始まるさまざまな言葉をキーワードとしてあげていこうと思っている。

――“エフォートレス(effortless、肩ひじ張らない、といった意味)”という形容詞が「クロエ」時代などにはよく使われ、会見の中で自身も使っていたが、“エフォートレス”とは具体的にどういうあり方やファッションを指すのか。

クレア:それは日常着においてとても重要なことだ。仕事や家族との用事など、現代人はやらなければならないことがたくさんある。肩に力を入れなければならないようなことは極力減らしたい。着るものがラクであるということは非常に大切であり、自分の動きに合わせて服も動いてくれるようなものがいい。シーズンごとに常に新しいものを買わなければならないというあり方も違う。ずっと着られるということも“エフォートレス”だ。繰り返しになるが、タイムレスに、長い期間着てもらえるということはデザインするにあたって非常に重視している。今、求められているのはモダンでありながらタイムレスな商品だ。

――ユニクロの生地や縫製のクオリティーについてはどう感じたか。

クレア:非常に高い水準にある。私が使用にゴーサインを出した素材がユニクロ社内の品質基準に合わず、数週間後にもう一度素材を選び直したこともあった。今までの私の品質に対する基準も高かったが、ユニクロはそれ以上だった。高品質の生地であっても、耐摩耗性など、使っていくとどうなるかという部分にも細かく気を配っている。

――サステナビリティにはどのように取り組むか。

クレア:2つの手法で取り組む。1点目は素材を厳しく選定し、より環境負荷が低いものを選ぶこと。2点目は、ワードローブに長く残るアイテムを作っていくこと。「ユニクロ:シー」のアイテムを、「これさえ持っていれば大丈夫」と長い期間着てもらえたら嬉しい。

――三児の母親でもある。仕事とプライベートの両立において重視していることは何か。

クレア:何事も整理整頓が大事だ。そして、仕事にも子どもにもちゃんと時間を割くこと。大学生の娘もいるが、彼らのロールモデルになることも意識している。こんなふうに仕事とプライベートの両立がちゃんとできると見せることが重要だ。

勝田:すばらしい先輩と仕事をする機会を得て、先日面談をしたユニクロ社内のデザイナーは、「将来は私もクレアさんみたいになりたい」と話していた。ユニクロとクレアさんとがお互いに成長できればと思っているし、最終的には、お客さまにファッションの楽しさが伝わればと思っている。

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「マイケル・コース」が誘うバケーションという逃避行 60年代のムードのリゾートウエア

「マイケル・コース コレクション(MICHAEL KORS COLLECTION)」が2024年春夏ランウエイショーを9月11日(ニューヨーク現地時間)にブルックリンのウォーターフロントにあるドミノ・パークで行った。マンハッタンの摩天楼がイーストリバー越しに見渡せる絶景に設けられた会場は、突然、南の島のリゾートにでも迷いこんだような異世界のしつらえ。白いウッドデッキの長いランウエイと色鮮やかなブーゲンビリアの花々が、ゲストをバケーションという逃避行へと誘った。会場にはブレイク・ライブリー(Blake Lively)やハル・ベリー(Halle Berry)、ヴァネッサ・ハジェンズ(Vanessa Hudgens)、冨永愛ら多くのセレブの姿もあり、さらなる花を添えた。

「今シーズンは、皆さんをホリデーバケーションへと導きたい」と語ったデザイナーのマイケル・コースの言葉通り、ランウエイに登場したモデルたちがまとうのはオプティミスティックなリゾートウエア。ファーストルックを飾ったのは真っ白のレースで仕立てた軽やかなロングドレス。白で統一したバケットバッグもリゾート感を盛り上げる。フラットシューズとバケットバッグの組み合わせは、今は亡き、ジェーン・バーキン(Jane Birkin)の伝説のスタイルを彷彿とさせる。マイケルのコレクションはいつだって、彼の母親をはじめ、ミューズの女性たちがこよなく愛したスタイルからインスピレーションを得ている。マイケルが好む1960年代のサウンドトラックに合わせて、続々と60年代のムードとミューズたちの面影を取り入れたルックがランウエイを行き交った。

イノセントな雰囲気のピュアホワイトのレースのルックに続くのはブラックレースのロングドレスやスイムスーツに合わせた軽やかに揺れるシフォンのスカート、クロシェレースのシックなドレスなどコントラストが効いている。レースで仕立てたメタリックゴールドのミニドレスやスウイムスーツ、ボタニカル柄のリゾートスタイルのロングドレスなど、南の島のバケーションからニューヨークや都市で過ごすアーバンバケーションまでーー。バケーションという逃避行の行き先はさまざまだ。

「マイケル・コース」らしいキャメルやブラウンのグループはレースやニット、シフォンなど、異素材使いで変化をつけ、上品なリゾートスタイルを完成させている。風になびくマキシドレスからダブルブレストのジャケットとミニスカート、ざっくり編んだニットランジェリーにカーディガンを羽織ったリラックススタイルまでバリエーションは豊富だ。黒のテーラードスタイルやゼブラ柄のセットアップなど、シックなリゾートスタイルを得意とする反面、今シーズンはカラーバリエーションも豊富でオーバーサイズのラベンダーカラーのニットやネオンピンクのスパンコールドレスも登場した。逃避行の旅に持ち込むワードローブの広さを考えると心が高揚する。

コレクション中は終始、マイケルが用意したバケーションへと逃避行してしまったようだ。ブーゲンビリアの花々とオプティミスティックなリゾートウエア。視界に入る大都会ニューヨークとのコントラストが実に印象的だ。シーズン問わずに世界中を飛び回ってバケーションに行くことが叶うニューノーマルな世の中。今後、逃避行へのワードローブのバリエーションも増えそうだ。

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美しい海の底に魅せられた「アナ スイ」のファンタジー 海洋保護への隠されたメッセージも

「アナ スイ(ANNA SUI)は2024年春夏コレクションを9月9日(現地時間)に発表した。会場はクロスビーホテルのスクリーンルーム。ポップコーンが配られ、ファンタジー映画の上映が始まるようなワクワク感が会場を包んだ。

ショーが始まるとスクリーンにはフランス人映画監督のジョルジュ・メリエス(Georges Melies)が手がけた「妖精たちの王国」(1903年)と「海底2万マイル」(1907年)のレトロの映画が映し出され、モデルたちが壇上に現れた。人魚や熱帯魚を思わせるコーラルブルーやグリーンのルックに身を包んだモデルたちは、ボタニカルプリントやイソギンチャクのようなビジューを飾り、クラゲのようにヒラヒラと揺れるローブをまとい、まるで海の底にいる生物たちのよう。「オーバーサイズの魚柄のセーターがお気に入り」とデザイナーのアナ。虹色のカフタンドレスのスタイルは、まるで人魚のような妖艶さも醸し出す。レトロなヘッドドレスやギンガムチェックのホルタードレスなども登場し、ノスタルジックなムードも漂う。

オーストラリアのゴールドコーストを訪れたアナは美しい珊瑚や魚など、目の前に広がる海底の世界に魅了された。「そこで見た海底は今まで見た中で一番と言ってもいいゴージャスな世界だった」と語ったが、昨今の地球温暖化や異常気象によってアナが目にした美しい海底の珊瑚が減少していることに心を痛めたという。事実、ニューヨーク・ファッション・ウイーク期間中のニューヨークは異常な暑さと突然の雷雨に見舞われるなど、皆が地球の悲鳴をひしひしと感じている。アナが思う海の底のファンタジーな世界をコレクションに投影するため海底についてのリサーチを開始し、「オクトパスの神秘:海の賢者は語る」(2020年)からもヒントを得た。コレクションで登場したヒラヒラ、キラキラ、虹色に光る素材やプリントは海の神秘を褒め称えている。

その言葉通り、一つ一つのルックに手の込んだ素材や装飾、カラフルな色使いを用い、アナが海に寄せる思いを宿した。メタリックなアメジスト色のレザージャケットに海底の気泡を思わせるロングドレス、フラミンゴ色のシースルーシャツにスパンコールのビキニトップとミニスカート、パウダーピンクのハンドニットカーディガンにクリスタルが刺繍されたセットアップ。メタリック、ニット、ビジュー使い、シフォンの透け感、虹色に輝くベルベットーー。素材の表情のラインナップは実に豊富で、アナが目にした海底の世界が目の前に広がる。スタイリングに花を添えるジュエリーは「エリクソン ビーモン(ERICKSON BEAMON)」によるもので貝やパールにビジューを掛け合わせ、海底の珊瑚礁を彷彿とさせる。アナはコレクションノートの最後に海洋保護団体の「ミッション ブルー」の情報を掲載し、ここから海底保護のさらなる情報が得られると綴った。ファンタジーな世界観の中に隠された海洋保護への想いをファッションを通じて伝えている。

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美しい海の底に魅せられた「アナ スイ」のファンタジー 海洋保護への隠されたメッセージも

「アナ スイ(ANNA SUI)は2024年春夏コレクションを9月9日(現地時間)に発表した。会場はクロスビーホテルのスクリーンルーム。ポップコーンが配られ、ファンタジー映画の上映が始まるようなワクワク感が会場を包んだ。

ショーが始まるとスクリーンにはフランス人映画監督のジョルジュ・メリエス(Georges Melies)が手がけた「妖精たちの王国」(1903年)と「海底2万マイル」(1907年)のレトロの映画が映し出され、モデルたちが壇上に現れた。人魚や熱帯魚を思わせるコーラルブルーやグリーンのルックに身を包んだモデルたちは、ボタニカルプリントやイソギンチャクのようなビジューを飾り、クラゲのようにヒラヒラと揺れるローブをまとい、まるで海の底にいる生物たちのよう。「オーバーサイズの魚柄のセーターがお気に入り」とデザイナーのアナ。虹色のカフタンドレスのスタイルは、まるで人魚のような妖艶さも醸し出す。レトロなヘッドドレスやギンガムチェックのホルタードレスなども登場し、ノスタルジックなムードも漂う。

オーストラリアのゴールドコーストを訪れたアナは美しい珊瑚や魚など、目の前に広がる海底の世界に魅了された。「そこで見た海底は今まで見た中で一番と言ってもいいゴージャスな世界だった」と語ったが、昨今の地球温暖化や異常気象によってアナが目にした美しい海底の珊瑚が減少していることに心を痛めたという。事実、ニューヨーク・ファッション・ウイーク期間中のニューヨークは異常な暑さと突然の雷雨に見舞われるなど、皆が地球の悲鳴をひしひしと感じている。アナが思う海の底のファンタジーな世界をコレクションに投影するため海底についてのリサーチを開始し、「オクトパスの神秘:海の賢者は語る」(2020年)からもヒントを得た。コレクションで登場したヒラヒラ、キラキラ、虹色に光る素材やプリントは海の神秘を褒め称えている。

その言葉通り、一つ一つのルックに手の込んだ素材や装飾、カラフルな色使いを用い、アナが海に寄せる思いを宿した。メタリックなアメジスト色のレザージャケットに海底の気泡を思わせるロングドレス、フラミンゴ色のシースルーシャツにスパンコールのビキニトップとミニスカート、パウダーピンクのハンドニットカーディガンにクリスタルが刺繍されたセットアップ。メタリック、ニット、ビジュー使い、シフォンの透け感、虹色に輝くベルベットーー。素材の表情のラインナップは実に豊富で、アナが目にした海底の世界が目の前に広がる。スタイリングに花を添えるジュエリーは「エリクソン ビーモン(ERICKSON BEAMON)」によるもので貝やパールにビジューを掛け合わせ、海底の珊瑚礁を彷彿とさせる。アナはコレクションノートの最後に海洋保護団体の「ミッション ブルー」の情報を掲載し、ここから海底保護のさらなる情報が得られると綴った。ファンタジーな世界観の中に隠された海洋保護への想いをファッションを通じて伝えている。

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松屋発ジュエリー「エネイ」が支持される理由 スタイリスト推しとポップアップでファンが拡大

松屋が展開するジュエリーブランド「エネイ(ENEY)」が好調だ。同ブランドは2021年8月にデビューした。日常のファッションの一部としてジュエリーを楽しんでほしいという思いが込められたブランドでラボグロウンダイヤモンドを使用。「セルヴォーク(CELVOKE)」などのビューティーブランドを手掛けた田上陽子がブランディングディレクターを務めており、松屋がブランドコンセプトから生産、販売まで手掛ける。

販売は、松屋銀座本店のコーナーとEC中心で、国内各地でポップアップショップを開催。デビューして約2年で、国内各地のファン層を広げている。「エネイ」を手掛ける島田成一郎・松屋銀座 事業推進部 スタートアップ事業課 課長に話を聞いた。

スタイリスト推しでEC売り上げがアップ

「エネイ」は、ショールームでスタイリストへ貸し出ししながら、インスタグラムなどのSNS発信を行ってきた。島田課長は、「3月〜7月はブランド全体で前年同期比70%増だった。ECは同4倍と伸長し、ファンが着実に増えていると感じる」と語る。現在売り上げの割合は、ECが55%、店頭は45%とEC比率が高いのも特徴だ。「エネイ」はスタイリストに人気が高く、雑誌などへの露出が多い。2月に大草直子が主宰するメディア「アマーク(AMARC)」で「エネイ」を紹介したところ、大きな反響があった。「『エネイ』では、スタイリストやタレントのおすすめが売り上げに大きく反映される。それにより、現物を見ないでECで購入する層が増えており、都内の顧客もいる。消費者がECでジュエリーを購入することに慣れたということだろう」と島田課長。D2Cジュエリーブランドが増え、ジュエリーをECで買うことに抵抗がなくなってきているとはいえ、ブランドの認知がないと、なかなかファンはつかない。

ポップアップで地方のファンを獲得

ブランドの認知度アップに一役買っているのがポップアップだ。「エネイ」は、全国の百貨店中心に年間8回ポップアップを開催する。島田課長は、「デビュー時の発表後すぐに伊勢丹新宿本店(以下、伊勢丹新宿)から、インスタグラムを通してアプローチがあった。ポップアップは、実物を見てもらういいチャンス。地方のファンが増えたし、ブランドの認知度がアップした」と話す。2022年1月に伊勢丹新宿でポップアップを開催後、阪急うめだや京都大丸、名古屋高島屋、阪急博多、ニューマンなどでも行った。「2年が経過し、ブランドが浸透してきた。リピート率が高く、1ヶ月後には別のものを購入するファンもいる」と同課長。百貨店が運営するジュエリーブランドという点で、安心感があるのも一つのポイントだ。

アクセサリーのデザインを本物(地金)で提供

島田課長は、「『エネイ』はコーディネートを楽しむジュエリーだ。多様性がテーマなので、ファッションの一環として楽しみながら個性を表現できる。それが今っぽくて受けているのだと思う」と語る。華奢なデザインとボリュームのあるものやゴールドとシルバーなど地金を自由にミックスするのが「エネイ」のスタイル。コーディネート提案は、店頭やインスタグラムで行う。「デザインは社内のチームで方向性を決めて、フリーのジュエリーデザイナーに依頼する。ファッションとしてジュエリーを提案しているので、季節感も考えながら、年間4〜5つのコレクションを提案する」。

売れ筋は、デビュー時に登場した“ピクセル”シリーズ。18金とプラチナのボールチェーンのジュエリーで、1連リングは1万円台から、ネックレスは7万円程度と値頃感抜群。ずっと売れ続けているという。18金を使用したゴージャスな印象の“ヘリンボーン”も人気で、ブレスレットが5万円、ネックレスが9万円と、18金の割には手に取りやすい価格帯だ。シルバーのコインネックレスも好調で、コインとチェーンのセットで5万〜9万円。この価格が実現できるのは、松屋が独自でデザイン、生産、販売まで行っているから。「ファッション感覚のアクセサリーのようなデザインを、本物(地金)で提供するブランドはなかなかない。社内で運営しているので、価格のコントロールがしやすい」。

ゆくゆくは、海外での展開も視野に

日本では、ポップアップを開催しながら卸を始める検討をしている。島田課長は、「ブランドは流行らせると数年で終わる。だから、地道にファンをつくっていきたい。卸は、大手セレクトや地方のブティックなどセレクティブな販路を考えている」と話す。いい物件があれば、2店舗目出店も考えているという。「欧米やアジアなど、海外での展開も視野に入れ、『エネイ』に興味を持ってくれるところと話をしている」と同課長。日本で着実にファンを増やしつつ、海外のファッション感度の高い層へもアピールするブランドとして育てていくようだ。

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松屋発ジュエリー「エネイ」が支持される理由 スタイリスト推しとポップアップでファンが拡大

松屋が展開するジュエリーブランド「エネイ(ENEY)」が好調だ。同ブランドは2021年8月にデビューした。日常のファッションの一部としてジュエリーを楽しんでほしいという思いが込められたブランドでラボグロウンダイヤモンドを使用。「セルヴォーク(CELVOKE)」などのビューティーブランドを手掛けた田上陽子がブランディングディレクターを務めており、松屋がブランドコンセプトから生産、販売まで手掛ける。

販売は、松屋銀座本店のコーナーとEC中心で、国内各地でポップアップショップを開催。デビューして約2年で、国内各地のファン層を広げている。「エネイ」を手掛ける島田成一郎・松屋銀座 事業推進部 スタートアップ事業課 課長に話を聞いた。

スタイリスト推しでEC売り上げがアップ

「エネイ」は、ショールームでスタイリストへ貸し出ししながら、インスタグラムなどのSNS発信を行ってきた。島田課長は、「3月〜7月はブランド全体で前年同期比70%増だった。ECは同4倍と伸長し、ファンが着実に増えていると感じる」と語る。現在売り上げの割合は、ECが55%、店頭は45%とEC比率が高いのも特徴だ。「エネイ」はスタイリストに人気が高く、雑誌などへの露出が多い。2月に大草直子が主宰するメディア「アマーク(AMARC)」で「エネイ」を紹介したところ、大きな反響があった。「『エネイ』では、スタイリストやタレントのおすすめが売り上げに大きく反映される。それにより、現物を見ないでECで購入する層が増えており、都内の顧客もいる。消費者がECでジュエリーを購入することに慣れたということだろう」と島田課長。D2Cジュエリーブランドが増え、ジュエリーをECで買うことに抵抗がなくなってきているとはいえ、ブランドの認知がないと、なかなかファンはつかない。

ポップアップで地方のファンを獲得

ブランドの認知度アップに一役買っているのがポップアップだ。「エネイ」は、全国の百貨店中心に年間8回ポップアップを開催する。島田課長は、「デビュー時の発表後すぐに伊勢丹新宿本店(以下、伊勢丹新宿)から、インスタグラムを通してアプローチがあった。ポップアップは、実物を見てもらういいチャンス。地方のファンが増えたし、ブランドの認知度がアップした」と話す。2022年1月に伊勢丹新宿でポップアップを開催後、阪急うめだや京都大丸、名古屋高島屋、阪急博多、ニューマンなどでも行った。「2年が経過し、ブランドが浸透してきた。リピート率が高く、1ヶ月後には別のものを購入するファンもいる」と同課長。百貨店が運営するジュエリーブランドという点で、安心感があるのも一つのポイントだ。

アクセサリーのデザインを本物(地金)で提供

島田課長は、「『エネイ』はコーディネートを楽しむジュエリーだ。多様性がテーマなので、ファッションの一環として楽しみながら個性を表現できる。それが今っぽくて受けているのだと思う」と語る。華奢なデザインとボリュームのあるものやゴールドとシルバーなど地金を自由にミックスするのが「エネイ」のスタイル。コーディネート提案は、店頭やインスタグラムで行う。「デザインは社内のチームで方向性を決めて、フリーのジュエリーデザイナーに依頼する。ファッションとしてジュエリーを提案しているので、季節感も考えながら、年間4〜5つのコレクションを提案する」。

売れ筋は、デビュー時に登場した“ピクセル”シリーズ。18金とプラチナのボールチェーンのジュエリーで、1連リングは1万円台から、ネックレスは7万円程度と値頃感抜群。ずっと売れ続けているという。18金を使用したゴージャスな印象の“ヘリンボーン”も人気で、ブレスレットが5万円、ネックレスが9万円と、18金の割には手に取りやすい価格帯だ。シルバーのコインネックレスも好調で、コインとチェーンのセットで5万〜9万円。この価格が実現できるのは、松屋が独自でデザイン、生産、販売まで行っているから。「ファッション感覚のアクセサリーのようなデザインを、本物(地金)で提供するブランドはなかなかない。社内で運営しているので、価格のコントロールがしやすい」。

ゆくゆくは、海外での展開も視野に

日本では、ポップアップを開催しながら卸を始める検討をしている。島田課長は、「ブランドは流行らせると数年で終わる。だから、地道にファンをつくっていきたい。卸は、大手セレクトや地方のブティックなどセレクティブな販路を考えている」と話す。いい物件があれば、2店舗目出店も考えているという。「欧米やアジアなど、海外での展開も視野に入れ、『エネイ』に興味を持ってくれるところと話をしている」と同課長。日本で着実にファンを増やしつつ、海外のファッション感度の高い層へもアピールするブランドとして育てていくようだ。

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ジョゼフのカンポスCEOが語るブランドの変革と展望、そして自身を支えた3人のメンター

コロナ禍によるロックダウンの影響や急激な金利上昇などで苦戦するイギリスのファッション市場だが、オンワードホールディングス傘下の「ジョゼフ(JOSEPH)」は2022年に、15年以来初となる営業利益を計上した。その立役者であるバーバラ・カンポス(Barbara Campos)最高経営責任者(CEO)に注目が集まっている。

フランス出身のカンポスCEOはハーバード・ビジネス・スクール(Harvard Business School)で学んだ後、「ダイアン フォン ファステンバーグ(DIANE VON FURSTENBERG)」や「フルラ(FURLA)」「ヒューゴ ボス(HUGO BOSS)」などでセールスやマーケティング部門の要職を担ってきた。18年にジョゼフに入り、不採算が続いていたブランドの再構築を図った。20年には、デザインチームに所属していたアンナ・ルンドバック(Anna Lundback)と夫で「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」でグローバル・クリエイティブ・ディレクターを務めていたフレデリック・デューア(Frederik Dyhr)の2人を共同クリエイティブ・ディレクターに任命。「ジョゼフ」の創設者である故ジョゼフ・エテッドギー(Joseph Ettedgui)氏が掲げた実用的でラグジュアリーな服という当初のミッションを果たすべく、再始動した。

22年度の売上高は前年比30%増の4710万ポンド(約86億円)、営業損益は前年のおよそ900万ポンド(約16億円)の損失から36万6000ポンド(約6697万円)の黒字に転換し、純損失も大幅に縮小した。カンポスCEOは今後5年で、「ジョゼフ」の24店舗と「ネッタポルテ(NET-A-PORTER)」や「マッチズファッション ドットコム(MATCHESFASHION.COM)」「マイテレサ(MYTHERESA)」、ニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)といった400以上の卸先を通じて、ビジネス規模を倍にしたい考えだ。10月には、ロンドンのリーゼント・ストリート124番地に新世代に向けた店舗をオープンする予定だという。今後の事業再生や展望、これまでのキャリアなどについて聞いた。

ブランドはジョゼフ氏の精神にならって「変化」が必要だった

米「WWD」(以下、WWD):「ジョゼフ」に入社した理由は?またどのように事業再生に取り組んだか。

バーバラ・カンポスCEO(以下、カンポスCEO):入社の理由は「ジョゼフ」の高い評価と自分自身にとって思い入れのあるブランドだったから。入社当初は、何かする必要があると分かっていたが、まだ明確な戦略はなかった。収益性もブランドのポジショニングも低迷する中で、入社後の100日はビジネスの様子を観察し、全従業員と話した。そして、ジョゼフが残した遺産を活用する必要があるという結論に達した。つまり、商品は女性のワードローブに役立つという使命を果たす必要があり、ビジネスは利益を上げ、自立する必要があった。誰か、または何かが正しくないと思えば、変更を加えた。サプライヤーの多くを変え、職人技と品質に対してさらに注意を払い、工程の全てを見直した。

WWD:エデッドギー創業者の妻で、メイフェアにある英国王室御用達の老舗レザーブランド「コノリー(CONNOLLY)」を運営するイザベル・エデッドギー(Isabel Ettedgui)に会ったとか。

カンポスCEO:そう、ジョゼフのことをもっと知りたかったから。イザベルによると彼は変化を楽しむ人で、美容師としてキャリアをスタートし、髪を切ることでその人を変身させたり、人の自宅に招かれた際には承諾を得つつリビングルームの家具や空間をアレンジしたりしていたとか。変化。それこそが私が着手するべきことだった。

WWD:20年には、共同クリエイティブ・ディレクターを起用する型破りな決定をした。その背景は?

カンポスCEO:実際には、アンナが夫のフレデリックを共同デザイナーとして迎えたいと提案したことだったが、面白いと思った。アンナはウィメンズのクリエイティブ力と専門知識を兼ね備え、フレデリックはメンズの専門知識に加え、ビジネスについても詳しく、彼らの右脳と左脳が共生しているようだった。黒と白、ロンドンクールとパリシック、そしてリラックスしたシルエット。2人はブランドの二面性を象徴しつつ、全てを一つにした。

WWD:コロナ禍でもブランド変革を順調に進めた。どのようにしてロックダウンを乗り切った?

カンポスCEO:私たちは迅速に行動し、計画そしてビジネスモデルを見直す必要があった。ビジネス全体をストップし、倉庫を閉鎖したことで、少なくとも2カ月半は出荷できなかった。でもチームとしての働きぶりにはとても満足しているし、いい成果が出せたと思っている。みんな冷静でいられたし、条件反射的な決定を下すこともなかった。疲労困憊だったけれど興味深い時間だった。

ただし、事業のいくつかのカテゴリーでの見直しや進行中のプランの前倒しを強いられ、優先順位を決めなければならず、家主やサプライヤー、卸先と交渉する必要があった。私たちは信用のある企業であり続けたかったし、互いにサポートし合える人々に敬意を払いたかった。そうした意味では、多くの機会があった。

WWD:今はどのような層にアプローチしているか。それは年々変化しているか。

カンポスCEO:私たちのターゲットは特定の女性や年齢層ではなく、何を着ればいいのかとアイデアを求めている全ての女性に向けて、すごくいい気分でない日でも素敵に見せてくれる服をデザインしている。服は心地よさや自信を与えてくれる親友のような、エフォートレスで気を遣う必要がないものであってほしい。そうしたカテゴリーの中で、常にベストなブランドでありたいと考えている。

今後、欧米でのビジネス拡大のチャンスを想定

WWD:10月オープンのロンドン・リーゼントストリート店について。

カンポスCEO:この冬に迎えるブランド40周年に向け、リーゼントストリート店は、今後の店舗拡大の要になる。リーゼントストリートはロンドンでも象徴的な通りで海外観光客なども多く、イギリス国外に向けて「ジョゼフ」を知ってもらえる絶好のチャンスになる。今後数年で全店舗を新しいコンセプトに刷新していく計画だ。

デザインの面でいうと、これまでより温かみがあり、よりオーガニックで、よりナチュラルな素材を使いたいと思っていた。またコンセプトの重要な要素として、店内にはコレクションに似たさまざまなテクスチャーも展開する予定だ。

「ジョゼフ」はイギリス国内だけでなく、ヨーロッパやアメリカでの成長に大きなチャンスを見越している。今後も着実に成長していくことを目指す。

WWD:ロンドン・ファッション・ウイークでのランウエイショー復活は考えているか。

カンポスCEO:現段階では予定していない。2シーズン前からD2Cマーケティングを始め、ビジュアルやウェブサイト、デジタルマーケティングに多く投資してきた。何人かのインフルエンサーと協業もしているが、いい成果につながりそうだ。ブランドのアンバサダー的な存在として、素晴らしい役割を果たしてくれるだろう。

キャリアにおいてのメンターは3人

WWD:これまでヨーロッパやアメリカの大手ファッション企業でキャリアを積んできているが、その経験をどのように仕事に活かしてきたか。

カンポスCEO:これまでに複数の企業でさまざまなスキルを習得してきたが、特に「ダイアン フォン ファステンバーグ」と「フルラ」「ヒューゴ ボス」では、多くのことを学んだ。ニューヨークの「ダイアン フォン ファステンバーグ」では、リスクテイクについて。彼らは“不可能なことはない”というアメリカンドリームな考えから、常に決断を下していた。試してもうまくいかなければ、別のことを試す。そして成功するまで続ける。その機敏性と回復力をジョゼフで活かしている。

「フルラ」では、イタリア人の問題に対してクリエイティブに解決する方法がとても参考になった。彼らは臨機応変に策を見出す力にとても優れていた。ドイツの「ヒューゴ ボス」では、着実に実行することや製品への敬意、文化の重要性について教わった。全てにブランドらしさが息づいていた。

WWD:あなたにとってのメンターは?

カンポスCEO:3人いる。1人は「ヒューゴ ボス」での最初の上司で、今は退職している人物。彼はビジネスの才覚に加えて、アイテムの技術的な部分も熟知していて、例えばジャケットやズボン、コートの作り方など全てを教えてくれた。また、ウールやコットンの編み方についてもよく知っていて、おかげで私は今でも生地を見れば、ウールとシルクの混紡の割合を言うこともできる。

2人目は、「フルラ」時代の上司だったサラ・フェレロ(Sara Ferrero)元ジョゼフCEO。彼女と「フルラ」を創業したフルラネット(Furlanetto)家は、若かった私に大きなチャンスを与えてくれ、信じてくれた。私のキャリアにおいて大きな後押しになった。サラはとても要求の厳しい人だったが、協力的で、細部にまで気を配ることを教えてくれた。

3人目は、デザイナーのダイアン・フォン・ファステンバーグ。彼女は素晴らしい女性で、成功を遂げ、チャーミングでエネルギーに満ち溢れている。さらに正直で率直で、でもすごく協力的。女性であることを誇りに思い、他の女性の功績を誇りに思っている。そしてユーモアのセンスもある。

WWD:採用の際、面接で最初にする質問は?

カンポスCEO:最も興味があるのは、なぜその仕事をしたいのかということ。そもそもなぜ応募したのか?その答えによって、その人がどれほどの意欲と情熱を持っているのかを知ることができる。

WWD:仕事以外の時間には何をしている?

カンポスCEO:屋外で過ごすのが好きで、ボートに乗ったり、ウエイクボードやサーフィンをしたり、泳いだりしている。また昔から動物好きでもあって、若いころは馬術の競技をしていたし、今は飼い犬のドーベルマンをワーキングトライアル(警察犬のように訓練して成果を競う大会)に出場させるために訓練している。そうしたこともあって、動物行動学に興味を持ち、ケンブリッジ・インスティテュート・オブ・ドッグ・トレーニング(Cambridge Institute of Dog Training)でインストラクター兼行動学者になるための勉強をしている。

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「セオリー」は緻密なパターンと上質な素材で究極のユニホームを提案

「セオリー(THEORY)」は2024年春夏コレクションを9月9日(ニューヨーク現地時間)、チェルシーのオフィスで発表した。

ショーの冒頭、同ブランドのジェフリー・カミンスキー(Jeffrey Kalinsky)=チーフマーチャント兼チーフクリエイティブオフィサーは「今日は生地を通してユニホームについて話す」と話し始めた。ユニホームについては、コレクションノートにも書かれていた。最高のユニホームは着る人を引き立てるーー。ユニホームで大切なアイテムは“最高のTシャツ””ボタンダウンシャツ””最高のポロシャツ”“最高のペンシルスカート”ーー。それらを合わせた時に最高のワードローブが生まれるーー。ここで言うユニホームとはそれぞれが袖を通した際に一番心地良く、際立つ服のことで“ユニホーム”は着る人によって異なるものである。

ファーストルックに登場したのは、コットンのボタンダウンシャツとウールのペンシルスカートだ。いたって潔いスタイリングだが、ボクシーなボタンダウンシャツはメンズライクで、リーンなシルエットのペンシルスカートをコーディネートすることでシンプルになりすぎない絶妙なバランスをとっている。ショーの最中、カミンスキーはマイクで一体一体の素材やシルエットを説明。モデルたちは白で統一した空間をゆっくりとキャットウォークし、服をゆっくりと鑑賞する鑑賞会のようでもあった。服を見る、という行為に集中できる演出だ。

ショーの前半は、ウールで仕立てたグレーや黒のペンシルドレスやジャケット&パンツのスタイリングが続く。カラーパレットはネイビー、エクリュ、ピュアホワイト、シルバーと徐々に変化。同じウールのコーディネートもパターンの妙で波打つような流れを生み出し、表情に変化をつける。リネンのシリーズは夏の乾いた避暑地を彷彿とさせ、クレープやメリノウールで仕立てたアイテムはセンシュアルな女性像を引き立てる。メタリックシルクツイルのシリーズは素材の張り感と色合いでフューチャリスティックな雰囲気を演出した。ジャケット&パンツのスタイルは働く女性の一着、スパンコールのペンシルドレスはナイトアウトのお気に入り。女性たちのワードローブに欠かせないアイテムが集約されている。

シンプルな提案はメンズライクなアイテムとエレガントなアイテムを組み合わせることでコントラストを生み出し、同色のコーディネートもスパンコールやプリント、メタリックなシルクを使うことでスパイスを加えた。ウエストを絞った女性らしいジャケット、モデルの体を包み込むように体に沿ったミニドレスなど、削ぎ落とすことで見えてくる「セオリー」の精巧なテクニックを改めて披露した。

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「セオリー」は緻密なパターンと上質な素材で究極のユニホームを提案

「セオリー(THEORY)」は2024年春夏コレクションを9月9日(ニューヨーク現地時間)、チェルシーのオフィスで発表した。

ショーの冒頭、同ブランドのジェフリー・カミンスキー(Jeffrey Kalinsky)=チーフマーチャント兼チーフクリエイティブオフィサーは「今日は生地を通してユニホームについて話す」と話し始めた。ユニホームについては、コレクションノートにも書かれていた。最高のユニホームは着る人を引き立てるーー。ユニホームで大切なアイテムは“最高のTシャツ””ボタンダウンシャツ””最高のポロシャツ”“最高のペンシルスカート”ーー。それらを合わせた時に最高のワードローブが生まれるーー。ここで言うユニホームとはそれぞれが袖を通した際に一番心地良く、際立つ服のことで“ユニホーム”は着る人によって異なるものである。

ファーストルックに登場したのは、コットンのボタンダウンシャツとウールのペンシルスカートだ。いたって潔いスタイリングだが、ボクシーなボタンダウンシャツはメンズライクで、リーンなシルエットのペンシルスカートをコーディネートすることでシンプルになりすぎない絶妙なバランスをとっている。ショーの最中、カミンスキーはマイクで一体一体の素材やシルエットを説明。モデルたちは白で統一した空間をゆっくりとキャットウォークし、服をゆっくりと鑑賞する鑑賞会のようでもあった。服を見る、という行為に集中できる演出だ。

ショーの前半は、ウールで仕立てたグレーや黒のペンシルドレスやジャケット&パンツのスタイリングが続く。カラーパレットはネイビー、エクリュ、ピュアホワイト、シルバーと徐々に変化。同じウールのコーディネートもパターンの妙で波打つような流れを生み出し、表情に変化をつける。リネンのシリーズは夏の乾いた避暑地を彷彿とさせ、クレープやメリノウールで仕立てたアイテムはセンシュアルな女性像を引き立てる。メタリックシルクツイルのシリーズは素材の張り感と色合いでフューチャリスティックな雰囲気を演出した。ジャケット&パンツのスタイルは働く女性の一着、スパンコールのペンシルドレスはナイトアウトのお気に入り。女性たちのワードローブに欠かせないアイテムが集約されている。

シンプルな提案はメンズライクなアイテムとエレガントなアイテムを組み合わせることでコントラストを生み出し、同色のコーディネートもスパンコールやプリント、メタリックなシルクを使うことでスパイスを加えた。ウエストを絞った女性らしいジャケット、モデルの体を包み込むように体に沿ったミニドレスなど、削ぎ落とすことで見えてくる「セオリー」の精巧なテクニックを改めて披露した。

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「セオリー」は緻密なパターンと上質な素材で究極のユニホームを提案

「セオリー(THEORY)」は2024年春夏コレクションを9月9日(ニューヨーク現地時間)、チェルシーのオフィスで発表した。

ショーの冒頭、同ブランドのジェフリー・カミンスキー(Jeffrey Kalinsky)=チーフマーチャント兼チーフクリエイティブオフィサーは「今日は生地を通してユニホームについて話す」と話し始めた。ユニホームについては、コレクションノートにも書かれていた。最高のユニホームは着る人を引き立てるーー。ユニホームで大切なアイテムは“最高のTシャツ””ボタンダウンシャツ””最高のポロシャツ”“最高のペンシルスカート”ーー。それらを合わせた時に最高のワードローブが生まれるーー。ここで言うユニホームとはそれぞれが袖を通した際に一番心地良く、際立つ服のことで“ユニホーム”は着る人によって異なるものである。

ファーストルックに登場したのは、コットンのボタンダウンシャツとウールのペンシルスカートだ。いたって潔いスタイリングだが、ボクシーなボタンダウンシャツはメンズライクで、リーンなシルエットのペンシルスカートをコーディネートすることでシンプルになりすぎない絶妙なバランスをとっている。ショーの最中、カミンスキーはマイクで一体一体の素材やシルエットを説明。モデルたちは白で統一した空間をゆっくりとキャットウォークし、服をゆっくりと鑑賞する鑑賞会のようでもあった。服を見る、という行為に集中できる演出だ。

ショーの前半は、ウールで仕立てたグレーや黒のペンシルドレスやジャケット&パンツのスタイリングが続く。カラーパレットはネイビー、エクリュ、ピュアホワイト、シルバーと徐々に変化。同じウールのコーディネートもパターンの妙で波打つような流れを生み出し、表情に変化をつける。リネンのシリーズは夏の乾いた避暑地を彷彿とさせ、クレープやメリノウールで仕立てたアイテムはセンシュアルな女性像を引き立てる。メタリックシルクツイルのシリーズは素材の張り感と色合いでフューチャリスティックな雰囲気を演出した。ジャケット&パンツのスタイルは働く女性の一着、スパンコールのペンシルドレスはナイトアウトのお気に入り。女性たちのワードローブに欠かせないアイテムが集約されている。

シンプルな提案はメンズライクなアイテムとエレガントなアイテムを組み合わせることでコントラストを生み出し、同色のコーディネートもスパンコールやプリント、メタリックなシルクを使うことでスパイスを加えた。ウエストを絞った女性らしいジャケット、モデルの体を包み込むように体に沿ったミニドレスなど、削ぎ落とすことで見えてくる「セオリー」の精巧なテクニックを改めて披露した。

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世界的コンペの覇者「ソリット!」が目指すオールインクルーシブなファッション

「グッチ(GUCCI)」などを擁するケリング(KERING)やIBM、ロンドン芸術大学、「ヴォーグ ビジネス(VOGUE BUSINESS)」が共同開発したグローバルなファッション・コンペティションの「ファッション・バリュー・チャレンジ(Fashion Values Challenge.以下、FVC)」はこのほど、オールインクルーシブを謳うファッションブランドの「ソリット!(SOLIT!)」にグランプリを授けた。「ソリット!」は、これからの未来に向けて、多様な人々はもちろん、自然や動物も取り残さない社会を目指し、2020年9月に設立。企画段階から商品や環境に課題を感じる当事者を巻き込むインクルーシブ・デザインの手法をもとに、必要とする人に、必要とされるものを、必要な分だけを製造することを目指す。障がいの有無やセクシャリティなどを超えて、自分の好みや体型にあわせて部位ごとに1600通り以上の組み合わせの中からカスタマイズが可能な、自分のために作れるファッションサービスも運営している。田中美咲代表に、コペンハーゲンで開かれた授賞式のあと、話を聞いた。
「ソリット!」は現在2024年4月のバンクーバー・ファッション・ウイークへの参加のためのクラウドファンディングを行っている。返礼品は、オンライン配信のチケットやメイキングのドキュメンタリー映画上映会チケットなど。あわせて今月末まで、新宿マルイにポップアップをオープン中だ。

田中美咲(たなか・みさき)SOLIT代表  プロフィール

社会起業家・ソーシャルデザイナー。1988年生まれ。立命館大学卒業後、東日本大震災をきっかけに福島県における県外避難者向けの情報支援事業を責任担当。2013年「防災をアップデートする」をモットーに「一般社団法人防災ガール」を設立して20年に事業継承。第32回 人間力大賞 経済大臣奨励賞 受賞。18年2月に社会課題解決に特化したPR会社であるmorning after cutting my hairを創設。20年「オール・インクルーシブ経済圏」を実現すべくSOLITを創設。同社が開発したインクルーシブファッションは、世界三大デザインアワード「iF DESIGN AWARD 2022」で最優秀賞GOLDを受賞

――FVCへの参加のきっかけは?グローバルコンペでは、他の地域のファイナリストにどんな印象を抱いた?
田中美咲「ソリット!」代表(以下、田中):FVCはSNSで知っていたのですが、応募するか迷っていました。でも複数の知り合いから「これ『ソリット!』に合っていそう」とのメッセージをもらい、エントリーを決めました。日本のファイナリスト(「ソリット!」を含めて3社)はそれぞれとても魅力的で、グローバルのファイナリストも素敵なデザインのファッションサービスばかりでした。NFTを活用したサービスもあれば、民族・文化的背景からの開発も多く、それぞれが「ファッション」をどのように捉えているのか?がアウトプットに表れていると思いました。

――今回は欧州だけでなく、世界中から数百以上のエントリーがあった。そんな中で勝ち取ったプログラムに期待することは?
田中:これから半年間、ケリングやIBM、「ヴォーグ ビジネス」からのサポートに期待しつつ、こちらからも「これをやりたい」と言いまくろうと思っています。例えば今「ソリット!」ではマーケティングとターゲティングをレビューしていますが、今のコアターゲットは障がいのある方とか、セクシャルマイノリティ、高齢者ら、既存のファッションに「選択肢が少ない」もしくは「選択肢が存在しない」と感じている方々です。今は世の中にサービスは生まれつつあるのに、当事者が選択肢を知らないなどの理由で、マーケットがそもそも生み出されない黎明期にあると思うんです。つまり人数はいるけれど、まだマーケットになっていないのが現状です。私たちがターゲットを変えて、カスタマイズやパーソナライゼーションを楽しんでくれそうな人にシフトする方法もあるけれど、収益のためだけにその意思決定はしたくない。あくまで必要な人のためにモノ作りしたいんです。でもこれって、一社だと市場にならないのでもっとプレイヤーを増やすか、それこそケリングのような先駆的存在が「ここに、ちゃんと市場があるよ」と世の中に発信するなど、光を当てる力のある人たちがもっと注目してくれるといいなと思っていて。今回のプログラムでも、そこを一緒に作っていけるのであれば、とてもありがたいです。

――黎明期のマーケットで起業して、今年で4期目。起業までの経緯は?非営利団体から社会課題解決に特化したPR会社を経て、アパレル業界で起業したのはなぜ?
田中:幼少期から正義感が強く、行動力がありましたが、東日本大震災は大きなトリガーとなりました。自分の人生における時間などのリソースを「社会課題を解決するためにつかう」ことを決めました。まず当時勤めていたサイバーエージェントを辞めて被災地に移住して活動する中で、復興も重要だけど、対処療法的解決ではなく、システムチェンジや根本解決のために「防災」を行うべきと考え、非営利団体の一般社団法人防災ガールを立ち上げ、8年活動しました。
さらに構造的に課題解決をするには、自然災害だけではなく、複合的かつ同時多発的に解決・改善していく必要があると考え、同じく異なる社会課題の解決に挑む社会起業家の仲間たちを支援するため、社会課題解決に特化したPR会社のmorning after cutting my hairを創業しました。
私は、アパレル会社を経営したかったわけでも、ファッションブランドを始めてみたかったわけでもなく、あくまで環境問題や人権侵害などの課題へのソリューションとして「ソリット!」を生み出しています。初めに起業した時から今まで、対象とする課題やアプローチ方法は変わったけれど、いかに本質的に解決をするのかを常に考え、意思決定を続けてきました。大学時代からのバックパッカーで世界を一周するなど、日本の一般的な既存のルールやキャリアパスにあまりとらわれていないことも関係していると思います。

――海外も含め多様性のあるメンバーが参画しているが、普段のコミュニケーションで気をつけていることは?
田中:基本的にはSNSで個別DMが届いたり、知り合いの繋がりで共感してくださった方が「私にも何かできないか?」と連絡をくれたりが多いです。メンバーはみんな気候変動やジェンダー、人権に関して何らか強い意志をもち、アクティビストとは言い切れないまでも自分と社会の距離がとても近いメンバーばかり。1人では解決しきれないので、チームで挑戦したいと考えた人が多いです。
今のメンバーは40人ほどです。できているのかちょっとわかりませんが、私自身結構マメなタイプなので、メンバーとのコミュニケーションは多く取るようにしています。あと私にしかできない業務量をできるだけ減らして分担してもらい、私はみんなに茶々を入れたり「元気?」みたいなことを言ったりして、それぞれが本当にやりたいことをできるように調整することを意識しています。成果が出しやすい・見えやすい環境も作っています。今回のようなアワードを取ったり、ちゃんと売り上げにつなげたり、イベントの参加者を予想以上に伸ばしたり、それぞれに成功体験を経験してもらい、自分達の行動が社会とどうつながっているのかを共有できることがとても嬉しいです。

――今後の展望は?
田中:国内でも少しずつ露出が増えていますが、今回の受賞を機にグローバルにどのように評価されたブランド・会社であることがもっと伝わったり、それがきっかけで私たちのプロダクトが必要とされている方にもっと届いたりするといいなと思っています。
私たちはミッションからスタートしたファッションブランドですが、衣食住や生活環境の中で、よりオールインクルーシブで多様な人にも動植物にも配慮されている選択肢がもっと増えたらいいなと思っています。全てがそんなプロダクトにならなくてもいいけれど、そんな選択肢が50%くらいあると、それぞれ自由に選べて、表現できる幅が増えて、自分がより自分らしくあれる可能性が生み出せる。見たい景色は、ファッショアイテムはもちろんのこと、例えばコンビニで売られているお菓子とか果物、文具も、50%はそういうものから選べる状態です。
まだまだ小さなスタートアップですが、ここからさらにたくさんの企業や自治体の方々と協力しながら、目指す社会を実現していきたいです。

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世界的コンペの覇者「ソリット!」が目指すオールインクルーシブなファッション

「グッチ(GUCCI)」などを擁するケリング(KERING)やIBM、ロンドン芸術大学、「ヴォーグ ビジネス(VOGUE BUSINESS)」が共同開発したグローバルなファッション・コンペティションの「ファッション・バリュー・チャレンジ(Fashion Values Challenge.以下、FVC)」はこのほど、オールインクルーシブを謳うファッションブランドの「ソリット!(SOLIT!)」にグランプリを授けた。「ソリット!」は、これからの未来に向けて、多様な人々はもちろん、自然や動物も取り残さない社会を目指し、2020年9月に設立。企画段階から商品や環境に課題を感じる当事者を巻き込むインクルーシブ・デザインの手法をもとに、必要とする人に、必要とされるものを、必要な分だけを製造することを目指す。障がいの有無やセクシャリティなどを超えて、自分の好みや体型にあわせて部位ごとに1600通り以上の組み合わせの中からカスタマイズが可能な、自分のために作れるファッションサービスも運営している。田中美咲代表に、コペンハーゲンで開かれた授賞式のあと、話を聞いた。
「ソリット!」は現在2024年4月のバンクーバー・ファッション・ウイークへの参加のためのクラウドファンディングを行っている。返礼品は、オンライン配信のチケットやメイキングのドキュメンタリー映画上映会チケットなど。あわせて今月末まで、新宿マルイにポップアップをオープン中だ。

田中美咲(たなか・みさき)SOLIT代表  プロフィール

社会起業家・ソーシャルデザイナー。1988年生まれ。立命館大学卒業後、東日本大震災をきっかけに福島県における県外避難者向けの情報支援事業を責任担当。2013年「防災をアップデートする」をモットーに「一般社団法人防災ガール」を設立して20年に事業継承。第32回 人間力大賞 経済大臣奨励賞 受賞。18年2月に社会課題解決に特化したPR会社であるmorning after cutting my hairを創設。20年「オール・インクルーシブ経済圏」を実現すべくSOLITを創設。同社が開発したインクルーシブファッションは、世界三大デザインアワード「iF DESIGN AWARD 2022」で最優秀賞GOLDを受賞

――FVCへの参加のきっかけは?グローバルコンペでは、他の地域のファイナリストにどんな印象を抱いた?
田中美咲「ソリット!」代表(以下、田中):FVCはSNSで知っていたのですが、応募するか迷っていました。でも複数の知り合いから「これ『ソリット!』に合っていそう」とのメッセージをもらい、エントリーを決めました。日本のファイナリスト(「ソリット!」を含めて3社)はそれぞれとても魅力的で、グローバルのファイナリストも素敵なデザインのファッションサービスばかりでした。NFTを活用したサービスもあれば、民族・文化的背景からの開発も多く、それぞれが「ファッション」をどのように捉えているのか?がアウトプットに表れていると思いました。

――今回は欧州だけでなく、世界中から数百以上のエントリーがあった。そんな中で勝ち取ったプログラムに期待することは?
田中:これから半年間、ケリングやIBM、「ヴォーグ ビジネス」からのサポートに期待しつつ、こちらからも「これをやりたい」と言いまくろうと思っています。例えば今「ソリット!」ではマーケティングとターゲティングをレビューしていますが、今のコアターゲットは障がいのある方とか、セクシャルマイノリティ、高齢者ら、既存のファッションに「選択肢が少ない」もしくは「選択肢が存在しない」と感じている方々です。今は世の中にサービスは生まれつつあるのに、当事者が選択肢を知らないなどの理由で、マーケットがそもそも生み出されない黎明期にあると思うんです。つまり人数はいるけれど、まだマーケットになっていないのが現状です。私たちがターゲットを変えて、カスタマイズやパーソナライゼーションを楽しんでくれそうな人にシフトする方法もあるけれど、収益のためだけにその意思決定はしたくない。あくまで必要な人のためにモノ作りしたいんです。でもこれって、一社だと市場にならないのでもっとプレイヤーを増やすか、それこそケリングのような先駆的存在が「ここに、ちゃんと市場があるよ」と世の中に発信するなど、光を当てる力のある人たちがもっと注目してくれるといいなと思っていて。今回のプログラムでも、そこを一緒に作っていけるのであれば、とてもありがたいです。

――黎明期のマーケットで起業して、今年で4期目。起業までの経緯は?非営利団体から社会課題解決に特化したPR会社を経て、アパレル業界で起業したのはなぜ?
田中:幼少期から正義感が強く、行動力がありましたが、東日本大震災は大きなトリガーとなりました。自分の人生における時間などのリソースを「社会課題を解決するためにつかう」ことを決めました。まず当時勤めていたサイバーエージェントを辞めて被災地に移住して活動する中で、復興も重要だけど、対処療法的解決ではなく、システムチェンジや根本解決のために「防災」を行うべきと考え、非営利団体の一般社団法人防災ガールを立ち上げ、8年活動しました。
さらに構造的に課題解決をするには、自然災害だけではなく、複合的かつ同時多発的に解決・改善していく必要があると考え、同じく異なる社会課題の解決に挑む社会起業家の仲間たちを支援するため、社会課題解決に特化したPR会社のmorning after cutting my hairを創業しました。
私は、アパレル会社を経営したかったわけでも、ファッションブランドを始めてみたかったわけでもなく、あくまで環境問題や人権侵害などの課題へのソリューションとして「ソリット!」を生み出しています。初めに起業した時から今まで、対象とする課題やアプローチ方法は変わったけれど、いかに本質的に解決をするのかを常に考え、意思決定を続けてきました。大学時代からのバックパッカーで世界を一周するなど、日本の一般的な既存のルールやキャリアパスにあまりとらわれていないことも関係していると思います。

――海外も含め多様性のあるメンバーが参画しているが、普段のコミュニケーションで気をつけていることは?
田中:基本的にはSNSで個別DMが届いたり、知り合いの繋がりで共感してくださった方が「私にも何かできないか?」と連絡をくれたりが多いです。メンバーはみんな気候変動やジェンダー、人権に関して何らか強い意志をもち、アクティビストとは言い切れないまでも自分と社会の距離がとても近いメンバーばかり。1人では解決しきれないので、チームで挑戦したいと考えた人が多いです。
今のメンバーは40人ほどです。できているのかちょっとわかりませんが、私自身結構マメなタイプなので、メンバーとのコミュニケーションは多く取るようにしています。あと私にしかできない業務量をできるだけ減らして分担してもらい、私はみんなに茶々を入れたり「元気?」みたいなことを言ったりして、それぞれが本当にやりたいことをできるように調整することを意識しています。成果が出しやすい・見えやすい環境も作っています。今回のようなアワードを取ったり、ちゃんと売り上げにつなげたり、イベントの参加者を予想以上に伸ばしたり、それぞれに成功体験を経験してもらい、自分達の行動が社会とどうつながっているのかを共有できることがとても嬉しいです。

――今後の展望は?
田中:国内でも少しずつ露出が増えていますが、今回の受賞を機にグローバルにどのように評価されたブランド・会社であることがもっと伝わったり、それがきっかけで私たちのプロダクトが必要とされている方にもっと届いたりするといいなと思っています。
私たちはミッションからスタートしたファッションブランドですが、衣食住や生活環境の中で、よりオールインクルーシブで多様な人にも動植物にも配慮されている選択肢がもっと増えたらいいなと思っています。全てがそんなプロダクトにならなくてもいいけれど、そんな選択肢が50%くらいあると、それぞれ自由に選べて、表現できる幅が増えて、自分がより自分らしくあれる可能性が生み出せる。見たい景色は、ファッショアイテムはもちろんのこと、例えばコンビニで売られているお菓子とか果物、文具も、50%はそういうものから選べる状態です。
まだまだ小さなスタートアップですが、ここからさらにたくさんの企業や自治体の方々と協力しながら、目指す社会を実現していきたいです。

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ピーター・ドゥによる新生「ヘルムート・ラング」がデビュー 全盛期のアーカイブを解釈

デザイナーのピーター・ドゥ(Peter Do)が手がける新生「ヘルムート ラング(HELMUT LANG)」のランウエイショーが9月8日(ニューヨーク現地時間)に行われた。ラングと言えばミニマリズムの先駆者として1990年代に隆盛を極めたデザイナーだが、2005年にデザイナーを退任してからはアーティストとして活動し、ファッションの表舞台から姿を消している。ラングの退任後にリンク・セオリー・ホールディングスの傘下となった「ヘルムート ラング」は、18年春夏シーズンに「フッド・バイ・エアー(HOOD BY AIR)」のシェーン・オリバー(Shayne Oliver)とコラボレーションを行いコレクションを発表したが、今回のコレクションはそれ以来の話題を集めることとなった。

会場の床にはドゥの友人でもあり、同じくベトナムにルーツを持つアーティストのオーシャン・ヴィオング(Ocean Vuong)の詩から引用した言葉が綴られていた。ゲストに配ったコレクションノートもヴィオングによるものだ。彼がロードトリップに出た際の回想から始まり、車という存在について語られている。車はどこにでも行ける自由を提供しつつ、時には部屋のようにリラックスできる場所であり、時には周囲から隠れることのできる場所であり、時には泣くことのできる場所でもあるーー。こうした一節やTシャツにプリントした「YOUR CAR WAS MY FIRST ROOM OUR CLOTHES ON THE FLOOR LIKE STEPPED-ON FLOWERS(あなたの車は私の最初の部屋 私たちの服は踏まれた花のように床に落ちている」と言った言葉には性的マイノリティが感じてきた思いが隠されているとともに、ドゥの思いを代弁しているかのようでもある。

ファーストルックではリーンなシルエットの黒のパンツスーツにシートベルトのようなピンクのファブリックテープをボディに巻き付けた。3ルック目までは同じようにボディをクロスするようにピンクのファブリックテープをあしらい、パンツにもサイドラインをデザインした。ピンクのファブリックテープ使いは「ヘルムート ラング」全盛期の1994年秋冬コレクションで発表したコレクションからのオマージュのようだ。

他にもイエローキャブを彷彿とさせるイエローをシートベルトのように斜めにペイントしたコートや、イエローのファブリックテープをボディで交差したパンツスーツのルック、イエローキャブのグラフィックプリントを施したアイコニックなパンツスーツやセットアップが登場した。コレクションのBGMも車のクラクションやニューヨークの地下鉄のプラットホームで流れるアナウンス音など、慌ただしいニューヨークの日常を彷彿とさせる。98年に「ヘルムート ラング」はファッションブランドとして初めてイエローキャブの上部に広告を出し、タクシーや車はブランドにとってアイコニック的な存在と言ってもいい。こうしたディテールからもドゥのラングへのオマージュが感じられる。

後半はレザーを取り入れたスタイリングやドゥが得意とするクリーンでリーンなシルエットのテーラリングが続き、合間にヴィオングのメッセージをプリントしたシャツやTシャツのスタイリングが登場した。他にもアーカイブからの引用を思わせるシフォンをツイストして体を包み込んだカラードレスなど、ドゥ流に「ヘルムート ラング」を解釈している。「ヘルムート ラング」が紡いだ歴史は今後、現代の感覚を体現するドゥによってどう生まれ変わっていくのだろうか?

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「ラルフ ローレン」4年ぶりにNYでショー開催 洗練とロマンスのアメリカンスタイル

「ラルフ ローレン コレクション(RALPH LAUREN COLLECTION)」が2024年春夏ニューヨーク・ファッション・ウィーク(NYFW)の9月8日(現地時間)に2024年春夏コレクションを発表した。ニューヨークでは4年ぶりのランウエイショーで、洗練された新しいロマンスをテーマに時代を超えたアメリカンスタイルを作り上げた。

ショーはブルックリンのネイビーヤード(造船所跡地)で開催した。実際現役の倉庫に脚を踏み入れると、そこには豪奢なシャンデリアと、木材の床にドレープのかかったキャンバス、漆喰の壁など、アーティストのロフトをイメージしたという素朴な内装。対照的な要素が調和した、今回のテーマを象徴する空間がゲストを出迎えた。

ショーは得意とするデニムのスタイルからスタート。ビーズ刺繍やリバースアップリケ、シアーな花柄のカットアウトをクリスタルビーズで縁取ったスーツ、ラインストーンやフェザーを手刺繍で縫い留めたジャケットなど、デニムをロマンティックなイヴニングウエアに昇華した。続くブラックとゴールドを基調としたラグジュアリーなルックは、タキシードジャケットにゴールドメタリックのスキニーパンツ、ダブルブレストのブレザーとボディースーツの組み合わせなど、クラシックなアイテムを現代的な解釈で再構築した。そしてスタイルはノスタルジックなボヘミアンスタイルに変化する。大胆なカラーコードにメタリックな素材、フリンジのドレス、カラフルなビジューのアクセサリーも印象的だ。新作バッグ“RL 888”も今回のコレクションを彩った。

ラルフ・ローレンは「色褪せたデニムや絵画のような花柄の芸術性、ブラックとゴールドで一新したアイコニックなシェイプのモダンな洗練美、あるいは大胆な色や輝き、そしてラグジュアリーな手仕事のディテールのさまざまな組み合わせを通して、自分だけのスタイルを自由に生み出す。私がデザインのモデルとしたのは、個性とアーティスティックな精神というキャンバスの上で自己表現する、こうした女性たちだ」と語る。

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「ラルフ ローレン」4年ぶりにNYでショー開催 洗練とロマンスのアメリカンスタイル

「ラルフ ローレン コレクション(RALPH LAUREN COLLECTION)」が2024年春夏ニューヨーク・ファッション・ウィーク(NYFW)の9月8日(現地時間)に2024年春夏コレクションを発表した。ニューヨークでは4年ぶりのランウエイショーで、洗練された新しいロマンスをテーマに時代を超えたアメリカンスタイルを作り上げた。

ショーはブルックリンのネイビーヤード(造船所跡地)で開催した。実際現役の倉庫に脚を踏み入れると、そこには豪奢なシャンデリアと、木材の床にドレープのかかったキャンバス、漆喰の壁など、アーティストのロフトをイメージしたという素朴な内装。対照的な要素が調和した、今回のテーマを象徴する空間がゲストを出迎えた。

ショーは得意とするデニムのスタイルからスタート。ビーズ刺繍やリバースアップリケ、シアーな花柄のカットアウトをクリスタルビーズで縁取ったスーツ、ラインストーンやフェザーを手刺繍で縫い留めたジャケットなど、デニムをロマンティックなイヴニングウエアに昇華した。続くブラックとゴールドを基調としたラグジュアリーなルックは、タキシードジャケットにゴールドメタリックのスキニーパンツ、ダブルブレストのブレザーとボディースーツの組み合わせなど、クラシックなアイテムを現代的な解釈で再構築した。そしてスタイルはノスタルジックなボヘミアンスタイルに変化する。大胆なカラーコードにメタリックな素材、フリンジのドレス、カラフルなビジューのアクセサリーも印象的だ。新作バッグ“RL 888”も今回のコレクションを彩った。

ラルフ・ローレンは「色褪せたデニムや絵画のような花柄の芸術性、ブラックとゴールドで一新したアイコニックなシェイプのモダンな洗練美、あるいは大胆な色や輝き、そしてラグジュアリーな手仕事のディテールのさまざまな組み合わせを通して、自分だけのスタイルを自由に生み出す。私がデザインのモデルとしたのは、個性とアーティスティックな精神というキャンバスの上で自己表現する、こうした女性たちだ」と語る。

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若返りを図る「ケイト・スペード」は花が開くポジティブなパワーを表現

「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」が2024年春夏ニューヨーク・ファッション・ウィーク(NYFW)の初日となる9月8日(現地時間)に2024年春夏コレクションを発表した。会場はニューヨークの街並みを見渡せる空中庭園の「ハイライン」だ。まだまだ残暑が厳しいニューヨークだが、プレゼンテーション会場に飾られたいくつもの大きな白い花のオブジェは、生命が芽吹く春の象徴。花が開くパワーとエネルギーは、これから待ち構えるニューヨークの長い冬を飛び越えて春を迎える高揚感のようだ。

グリーンの芝生の上に並んだモデルたちが身にまとうのはペールブルーやフレッシュなライムイエロー、ピュアホワイトなど、春を感じさせる若々しい色合い。スパンコールのセットアップやミニドレスも冬のワードローブを脱ぎ捨てた瞬間の前向きな感情を表しているかのようだ。「今シーズンはマンハッタンで初めて春を垣間見る瞬間というアイデアから始まった。春の訪れで活気づいた街には、開放感と興奮、これから起こることへの希望をかき立てる感覚がある。そんな普遍的な感覚と喜びを祝福している」とトム・モーラ(Tom Mora)=シニア・バイス・プレジデント兼RTW&ライフスタイル部門デザイン責任者とジェニファー・リュウ(Jennifer Lyu)=シニア・バイス・プレジデント兼レザーグッズ&アクセサリー部門デザイン責任者。

コレクションは「ケイト・スペード」らしいプリーツスカートやAラインのミニドレス、ツイード風ジャケットなど、ガーリーなニューヨークの子女を彷彿とさせるルックに、パールのアクセサリーやコサージュ使いが優しい春の装いを強調している。ガーリーなルックの対局としてスポーティーなライトコートやキャップ、リラックスしたパンツスタイルも登場した。「ケイト・スペード」は近年、ブランドのDNAを継承しながらも若返りを図っている。今季のコレクションでは1999年にケイト・スペードとアンディ・スペードが発表した名作「ノエル」プリントをトム・モーラとジェニファー・リュウがモダンに再構築した。

ブランドの核となるレザーグッズもアイコニックなアイテムで溢れた。今シーズンの象徴とも言える白い花はレザーバッグに大胆に使用し、ポインテッドトゥのパンプスにも大きくあしらった。スタイリングのアクセントとして加えたコサージュも今季らしい。フラワーコサージュのついたミニバッグは店頭でも人気のアイテムとなりそうだ。

今季のコレクションはプレゼンテーション終了後に一般公開したほか、モデルのアオキ・リー・シモンズ(Aoki Lee Simmons)とパートナーシップを組み、SNSを通じてプレゼンテーションの舞台裏を紹介している。会場は女優のクリスティーナ・リッチ(Christina Ricci)などのセレブの他に、ポップなカラーとガーリーなスタイリングに身を包んだ“ケイト・スペードガール”たちで溢れかえった。

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「コーチ」はスチュアート・ヴィヴァース就任10周年の節目のショー  NYでの軌跡に想いを馳せる

「コーチ(COACH)」は、2024年春夏ニューヨーク・ファッション・ウィーク公式スケジュール前となる9月7日(現地時間)に24年春夏コレクションのショーを開催した。

クリエイティブ・ディレクターのスチュアート・ヴィヴァース(Stuart Vevers)就任10周年目となる今季のコレクションはニューヨーク公共図書館を会場に、ショーの後には多くのゲストを招いてカクテルとディナーを開いた。ディナーではスチュアート本人がこの10年を振り返るスピーチで謝辞を述べる場面もあり、節目を祝うシーズンとなった。

イギリス人のスチュアートがアメリカに拠点を移したのは90年代。コレクションではニューヨークと共に歩んできたキャリアやプライベートの記憶を辿り、彼なりの解釈をオリジナリティーあるデザインに落とし込んでいる。「ヴィンテージのコピーはしたくなかった。今まで生活してきたニューヨークのムードや私の記憶からソースを切り取っている」とスチュアート・ヴィヴァース。

ファーストルックは、黒いレザーのキャミソールドレスにエンジニアブーツのシンプルなスタイル。「オリジナル・アメリカン・ハウス・オブ・レザー」ブランドとしてのレガシーを回顧するとともに、アップサイクルレザーの素材使いやテクニック、スタイリングでスチュワートのモダンさを加えている。ビッグシルエットのレザーのライダーズジャケットにハート型のサングラス、PVCのポップなフラットシューズのスタイリング、ヴィンテージ風のデッドストックを使用したレースのドレスにレザーのランジェリーを合わせるなど、スチュアートが踊り明かした伝説のナイトクラブ「ピラミッドクラブ」のムードを彷彿とさせる。リサイクルコットンを使用したオーバーサイズのボクシーなジャケットは90年代に自立し始めた女性たちのパワフルさを象徴。表面が色褪せたヴィンテージ風のバルマカーンコートなど、スチュアートの記憶からヴィンテージのピースを取り出したようだ。ルックに差し込んだポップなカラーのハイカットスニーカーやバッグなど、今すぐ手に取りたくなるアイテムも多い。

「コーチ」の象徴となるレザーバッグについては、「アーカイブは見ず、自分の解釈を元に『コーチ』のバッグとは何か?と考えた時、タイムレスなデザインでこの先80年は使っていけるものだろうという結論に至った」。スチュアートらしいウィットの効いたカラフルな犬の骨をモチーフにしたバッグやビッグトート、アイコニックなショルダーバッグも登場し、レザーブランドとしての存在感を改めてアピールした。スタイリングのアクセントにもなる“バッグの2個持ち”も印象的だ。

素材や技術面では先シーズンからの継承も見受けられるとともに、さらなる進化を印象付けた。デッドストックレースなどの生地は過去のコレクションのものを引用し、レザーやデニム、恐竜のポップなチャームなどは基本的に再生素材を使用している。ほつれそうに繊細なニットドレスやボタニカル染めのテクニックは先シーズンからさらなる進化を遂げているようだ。今年デビューした「コーチ」のセカンドブランド「コーチトピア」ではストイックなまでにサステナビリティを追求したものづくりをしているが、コレクションラインでもシーズンごとに先進的な環境配慮を行っている。

フィナーレに現れたスチュアート・ヴィヴァースは駆け寄ってきた我が子を抱きかかえ、ゲストに挨拶をして回った。ニューヨークとともに歩んできた10年、これからの10年の進化を予感させるコレクションとなった。

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ビヨンセやリアーナが出資するフランス発の「デストレー」 創業者がビジョンを語る

フランス発の「デストレー(DESTREE)」は、ジェラルディーヌ・ギヨ(Geraldine Guyot)とラティシア・ロンブローゾ(Laetitia Lumbroso)が2016年に立ち上げたブランドだ。商品デザインを手掛けるギヨは、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者の次男アレクサンドル・アルノー(Alexandre Arnault)の妻としても知られる。

フランスの伝統的な装飾技術パスマントリーを用いた“ギュンターバッグ”(11万9900円)や、奈良美智の作品に着想を得たジャケット(7万5900円)とパンツ(6万4900円)のセットアップなど、アートに造詣の深いギヨが生み出す商品は、これまでにないデザインを求める女性たちから支持を集める。日本では、グルッポタナカが国内市場における独占販売権を取得し、卸売やポップアップ、公式ECサイトで販売する。

22年には、シリーズAラウンドにおいてベンチャーキャピタル「セコイア・キャピタル (Sequoia Capital)」および女性の個人投資家を引受先とする資金調達を行なった。投資家には、ビヨンセ(Beyonce)やリアーナ(Rihanna)、ジゼル・ブンチェン(Gisele Bundchen)、ガブリエラ・ハースト(Gabriela Hearst)らが名を連ねる。女性経営者として確固たるビジョンを軸に、グローバルにビジネスを広げるギヨに話を聞いた。

WWD:ロンドンの名門セント・マーチン美術大学(CENTRAL SAINT MARTINS)では、美術史を学んだ。アーティストを目指していた?

ジェラルディーヌ・ギヨ=デストレー共同創業者兼チーフ・ブランド・オフィサー(以下、ギヨ):いいえ。昔からアート作品が好きで、ギャラリーや美術館などアーティストを支える仕事に憧れていました。アート批評を学んだ学歴は、ファッションデザイナーとしては珍しいのではないでしょうか。でも、この経験がブランドをユニークなものにしてくれていると思います。

WWD:ブランド立ち上げの動機は?

ギヨ:卒業後フランスに戻り、24歳で共同創業者のラティシア・ロンブローゾと一緒に「デストレー」を立ち上げました。ジュエリーやバッグのカテゴリーはすでに飽和状態で、ビジネス的に苦しんでいるブランドも多く知っていましたから、まずは大好きな帽子を軸にスタートしました。小さい頃から、ファッションは身近な存在で、美しい服で溢れていた母のクローゼットを覗いて、いろんな服を試してみるのが好きでした。思い返せばその頃から、いつか自分のブランドを持ちたいと夢見ていたと思います。

スタートは、フランスのモノづくりにこだわる手頃な価格帯の帽子ブランド

WWD:当時ほかの帽子ブランドには何が欠けていた?

ギヨ:一方に「ザラ(ZARA)」や「トップショップ(TOPSHOP)」のような巨大なブランドがあり、他方で「メゾン・ミッシェル(MAISON MICHEL)」のようなラグジュアリーブランドはありますが、その間のプレイヤーは少ない。私はそこを埋める、高品質で手頃な価格帯のメード・イン・フランスのブランドを立ち上げたいと思いました。帽子のモノづくりは非常に複雑で、真のサヴォアフェールが求められます。情熱を持って作られる長い過程にも感銘を受けました。私たちにとって、地元の経済を支えることもとても大事な視点で、今でもほとんどの商品は、メード・イン・フランスにこだわっています。

WWD:立ち上げ当初から、すでにモノづくりのネットワークを持っていた?

ギヨ:いいえ、全く。グーグルで地元のハットメーカーを検索するところから始めました。片っ端から電話をかけて、「すみません、ハット100個を作りたいのですが………」と頼むんですが、最初は「たった100個?」と笑われました。それでも、「すぐに100万個にしてみせるから」と説得し続けてチャンスを掴むことができました。手頃な価格で実現することも私たちのビジョンでしたから、メーカーと話し合いを重ね、お互いが納得する価格に落とし込むことができました。

WWD:発売当初の反響は?

ギヨ:とてもよく売れました。そこから手応えを感じて、バッグやジュエリー、レディ・トゥ・ウエアにカテゴリーを広げました。今レディ・トゥ・ウエアは特に好調で、ハットの売り上げを超えました。今ではレディ・トゥ・ウエアとハットが私たちのビジネスの2大カテゴリーです。

WWD:デザインの着想源は?

ギヨ:アート作品からヒントを得ることも多いですし、ビンテージ品の場合もあります。どこに旅行しても、現地のビンテージショップは必ずチェックします。服や食器、家具、きっと家にあるものの95%くらいがビンテージ品です。ベッドのシーツでさえも、ビンテージ品なんです(笑)。

新鮮なデザインを求める幅広い女性たちが支持

WWD:憧れている人物は?

ギヨ:父です。父は不動産で起業しました。ジャンルは違いますが、一から会社を立ち上げ、大企業に育て上げた父にはとても影響を受けています。同じ女性起業家としては、トリー・バーチ(Tory Burch)。その両者には、夢を描くことの大切さ、同時にそれを実現するために一生懸命努力し続けることを学びました。まだ「トリー バーチ」には届かないけれど、夢を実現できると思わせてくれる素晴らしいチームがいます。

WWD:現在の顧客層は?

ギヨ:30〜60代まで幅広い年齢層の方に支持されています。彼女たちに共通しているのは、何かこれまでとは違ったデザインを探しているという点。アイコニックな色使いやアシンメトリックで遊び心のあるデザインは、プレス関係者やバイヤーからもユニークだと評価されています。主要マーケットは、米国、フランス、韓国、イギリスがトップ4。9月にはロンドンの百貨店ハロッズでも取り扱いが始まるので、期待しています。特に韓国での伸びは顕著です。大きなマーケティング戦略をするわけでもなく広がっていきましたが、韓国の実業家の李富真が結婚式で、私のバッグを着用してくれたときには、問い合わせが殺到しました。先日友人である、ブラックピンク(BLACKPINK)のロゼ(ROSE)がインスタグラムに上げてくれたので、さらに知名度が上がるはずです。彼女は素晴らしい人物で、ブランドのことも応援してくれています。

WWD:資金調達には、ビヨンセやリアーナらが参加している。

ギヨ:女性の投資家を募ることも、私が自分に課した挑戦の1つでした。女性だけでビジネスを成長させることができると世界に証明したいと思ったから。それを成し遂げた自分たちを誇りに思います。彼女たちには定期的にアドバイスをもらっています。ちょうど先日は、ビヨンセからの依頼で彼女のツアー用にハットを作りましたよ。

WWD:日本では、どのようにブランドを成長させていく?

ギヨ:日本は、世界のトレンドセッターです。流行に敏感で、アヴァンギャルドな商品を好む日本の消費者には、「デストレー」が受け入れられる土壌が十分にあると思っています。まずは卸売に注力しますが、来年をめどに出店もできたらうれしい。

WWD:今後のビジョンは?

ギヨ:今後は世界で出店を加速したい。ちょうど1年前にパリに初めて店舗を出店しましたが、とても好調です。個人的には、大きな夢を描くこと、それに向かって諦めずに努力する素晴らしさを多くの人に伝えていきたいです。

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