ユナイテッドアローズの企業研究セミナーを開催 ファッション業界やUAで働く魅力を学生と探る

「WWDJAPAN」はこのほど、ユナイテッドアローズと、学生・25歳以下の社会人を対象とした企業研究セミナーを開催した。ユナイテッドアローズという社名に込めたのは、ひとつの目標に向かって直進する矢(ARROW)を束ねた(UNITED)もののようでありたいという、団結への思い。同社は「お客さま第一主義」を貫きながら、ファッションへの情熱を燃やして直進する社員たちが束のようにまとまり、大きな組織の中でそれぞれらしく活躍している。企業研究では、創業メンバーの一人、栗野宏文ユナイテッドアローズ上級顧問がファッション業界とユナイテッドアローズの魅力を伝授。若手社員は、束ねた矢の一本でありながら自身もチームを束ね活躍する仕事のやりがいを教えてくれた。企業研究セミナーをダイジェストで振り返る。

栗野宏文上級顧問が語るUA上場の理由と
日本のファッション業界の多様な魅力

第一部は、ユナイテッドアローズ創業メンバーの1人、栗野宏文上級顧問を招き、創業時から変わらないユナイテッドアローズやファッション業界への愛を伺った。栗野上級顧問が同社を創業したのは、1989年。当時のメンバーはわずか9人だったが、日本屈指のセレクトショップとして成長したユナイテッドアローズでは現在、約4000人が働き、1300億円以上の年商を誇っている。

栗野上級顧問はビートルズや映画「007」などの1960年代のカルチャーシーンに影響を受けて以降、ファッション業界に人生をささげ、その魅力を「ファッションを真似すれば、憧れの人物に1mmでも近づけるんじゃないか?と考えた」と自己実現や自己表現、自己高揚にあると振り返る。創業から35年が経過したユナイテッドアローズについては、「セレクトショップという業態の中では、他に先駆けて上場した企業。昔の販売員は“たかが売り子”で、例えば交際相手の親御さんに結婚を許してもらえない時代もあった。だが上場して以降、社員は自宅を購入する際にローンが借りやすくなるなど、さまざまな恩恵を受けている。キープレイヤーが上場することで、業界全体の信頼性にもつながったのではないか?」と、創業当時から今に至るまで、業界や社会においても大きな役割を担っていることを魅力の1つに挙げた。

会社のみならず業界全体に貢献しようという姿勢は、今なおユナイテッドアローズの魅力だ。例えば同社は、1991年ビームスなど専門小売業と共に、SSA(スペシャリティ・ストアーズ・アソシエーション)を結成。販売スタッフを対象とした各種研修やイベントを共同開催している。栗野上級顧問は「いいことを共有すると、業界はもっと良くなる。全体が底上げされた先には、人間性や個性が発揮できる環境があるはず」と切磋琢磨の必要性から販売員という仕事の魅力までを説いた。現在も時間があれば店頭に立つという栗野上級顧問は、「『現場がお好きですね』と言われることもあるが、これが私の仕事。お客さまを見て、接客するのは、ファッション好きの僕にとって当たり前。店頭に立つと、いろんなことが見えてくる」と、販売の経験はファッション業界のいかなるキャリアにおいても重要だと訴える。

日本のファッション業界の魅力については、「日本は生地を縫製して洋服を作り、売るまでができる国。目に見えるところで洋服ができているのは、トレーサビリティー(透明性)の観点からも良いことだが、何よりさまざまな洋服が生まれ、日本のファッション業界を世界で一番多様で面白いものにしてくれている」と分析した。そして、そんな国のファッション産業を担うユナイテッドアローズ自体も、顧客のライフスタイルの変化に合わせて進化を続けていると締めくくった。

ディレクターとPR、販売スタッフが
UAでの3者3様の活躍を語る

第二部には、新たなカルチャーを創出する原動力となっている3人の若手社員、四谷奈々可「アティセッション」ブランドディレクターと栁谷百香「ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ」丸の内店 スタッフ、高橋怜奈「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング」PRが登壇し、ユナイテッドアローズにおける多岐にわたる活躍を紹介した。「アティセッション」ブランドディレクターの四谷は、「ユナイテッドアローズで働いていた知人が楽しそうで、働きやすいのでは?と思った。就職活動は、ユナイテッドアローズだけ。入社後は、『ビューティー&ユース』の販売をしながら、EC限定商品の企画を2年担当。店頭での行動や実績が評価につながったのかな?と感じている」と、20代のブランドディレクターに抜擢されるまでの背景を説明。「販売は、大好きなファッションを共有できる場所。洋服以外のプライベートまで共有できる仕事はとても楽しく、当時の経験は数字以外からも今の仕事を振り返る貴重なヒントとして役立っている」と話した。今後については、「まずは『アティセッション』の知名度をますます高めたい。国内のみならずグローバルな視野を持って成長し、いろんなことに挑戦したい。複数ブランドのクリエイティブ・ディレクターを務めるなど、先陣を切っていきたい」と目標を語る。

「ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ」丸の内店 スタッフの栁谷は、「色々な会社を調べる中で、毎日働くなら好きなものに携わりたいと考えた。インターンシップを経て、社員の雰囲気が良くて、『こんな大人になりたい』と思える人が多かったのがユナイテッドアローズだった」という。販売の魅力は、「顧客ができて、特別な関係を築いていけること。洋服を選ぶ中で、自分の意見を聞いてくれるだけでもありがたいのに、『あなたから買いたい。いついますか?』と私を目掛けて来店してくれるのは、本当に嬉しいこと。自分もまた成長できる」と日々の業務にやりがいを見出している。他の2人とは異なり今なお入社当時と変わらない仕事を続けているが、「日々検証、実験して、結果を振り返りながら反省している。やっていることは変わらないが、そのレベルがどんどん上がってきている」。今はプレスになるのが夢だが、「札幌から東京に異動しても働いてこれたのは、同僚のバックアップがあってこそ。ユナイテッドアローズならではのコミュニケーション、人と人とのつながりのおかげで今がある。これからも大切にしたいし、私も後輩を後押ししたい」と夢を描く。

「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング」PRの高橋は、「私はいろんなセレクトショップを受けたが、どこよりも人事が寄り添ってくれたのがユナイテッドアローズだった。店舗のスタッフにも仕事について話を聞いたが、先輩たちは皆楽しそうだった。やりがいを持って働いている人が多く、風通しも良い。長く続けられると思った」と説明。店長らの面談の機会でPRを目指したいと将来の目標を語り、以降、スタイリングなどをSNSなどで発信する中で「さらに広くPR業務に関わるプレスとして働きたい」という欲が出たと語る。実は1度は社内選考で落選したが、以降「『本当にやりたかったのか?』『適性はあるのか?』を考えるようになって、それでも『やりたい』と思えたから、積極的になれた」と振り返る。今は、「PRの仕事でも、接客からヒントを得ている。店舗にはファン、ユナイテッドアローズに関心を持ってくれる人がいる。そのようなお客様からいただけるヒントこそリアル。ファンであるお客様の意見を販売で得たからこそ、プレスとしても発信できている。絶対に大事な経験だった」という。

同業他社との違いは?専攻は役立つ?
学生から質問が相次いだ座談会

第三部は、参加者と登壇者が3つのグループに分かれて、質疑応答やさらなる交流を兼ねた座談会の時間だ。学生からは、同業他社との違いや、学校で学んでいる専攻を生かすことができるのか?などを尋ねる質問があった。これに対して登壇者やユナイテッドアローズの人事担当は、「本当にヒトに恵まれた会社で、人対人のコミュニケーションでストレスを感じることは少ない」や「さまざまなキャリアパスを用意している。学生時代の専攻や課外活動を活かすチャンスもあるし、得意分野を発揮できるような存在になって欲しい。応援する」などの回答があった。

学生からは「気になる存在を学べた」
「接客や販売の重要性を知った」のコメント

参加者からは、「就職活動をしていて、ユナイテッドアローズは気になる存在だった。私も(アルバイトで)接客業に携わっているから、店頭での心構えは参考になった。明日から、お客さまに積極的に声を掛け、将来ファッション業界で働くときの参考にしたい」や「ファッションの仕事に携わりたいと思っていたが、接客や販売は考えていなかった。でもデザインやPRにおいても、接客や販売の経験が生きると知って驚いた」などの声があった。

一方ユナイテッドアローズの人事担当は、「学生にはもしかしたら身近な存在ではなかったかもしれないので、素直に私たちの魅力を紹介したいと思った。魅力を伝えることができたら、嬉しく思う。私さえ新たな発見があって楽しかった」と話した。

「WWDJAPAN」はファッションやビューティ業界の未来を担う若い世代の活躍を願い、業界の魅力を深く掘り下げ、多角的に企業理解を深めることができるオフラインイベントを開催している。イベントでは、国内外の経営層から現場まで、さまざまな職種の業界人・企業人を取材している「WWDJAPAN」が、ファッション業界と企業、人々の魅力を伝え、まだ見ぬ「自分に合う会社」を見つけるきっかけを提供する。

「WWDJAPAN」企業研究 ユナイテッドアローズ編
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アパレル広報とベリーダンサー オンワードの若手女性社員が歩むパラレルキャリア

働き方に“正解”はない時代。アパレル業界でも一つのキャリアに縛られず、自分らしく働くことを望む若者が増えている。大手アパレルのオンワードホールディングスで働く髙橋和佳子さん(27)もその一人だ。

某日、都内のレストランでベリーダンスショーが開かれた。客の視線を一身に浴びるのは、きらびやかな衣装に身を包んだ髙橋さん。ムーディーな音楽に乗せた流麗なダンスに、会場は拍手喝采に包まれた。

ショーがフィナーレを迎えると、時計はすでに夜の22時を回っていた。髙橋さんは手早く着替えを済ませ、足早に会場を後にする。明日は朝から、日本橋のオンワードグループ本社に出勤しなくてはならない。

自由でその人らしさが表現できる
フュージョンベリーダンスの魅力

プロのベリーダンサーとしての顔を持つ髙橋さんは、オンワードホールディングスに新卒入社して現在5年目。婦人服ブランド「ICB」を経て広報部に配属された。「(広報は)私のような若手が配属される事があまりないポジションなので、辞令を聞いて驚きました。広報業務は、グループ全体の方向性や子会社の状況、業界全体の動向まで理解していないと務まりません。今も勉強の毎日です」。現在は「アンフィーロ(UNFILO)」「ステッピ(STEPPI)」「ネイヴ(NAVE)」といった成長フェーズのD2Cブランドを担当し、プレスリリースの作成やメディアの取材対応が主な仕事だ。

ベリーダンスとの出合いは、東京外国語大学在学中に友人に誘われ、部活に入ったのがきっかけ。東京外大のベリーダンス部は、日本で初めてプロのベリーダンサーを輩出した名門。手を引かれて飛び込んだ世界だが、「気がついたら部長になっていた」と笑う。

髙橋さんがのめり込んだのは、ベリーダンスにさまざまな音楽やカルチャーを融合した「フュージョンベリーダンス」。ベリーダンスの伝統を重んじながらも、音楽や衣装、踊りのスタイルなどは自由。踊り手それぞれの個性を出せるのが魅力だ。「サンバを踊るならお尻が大きい方がいいとかとか、K-POPは肌が白くて細いのが正義とか、そういう“美しさの基準”がない。どんな体形の人が踊っても、その人の女性らしさがちゃんと見える、インクルーシブなダンスなんです」と目を輝かせる。

社内の新制度を活用
出演やレッスンの日は早め退勤

大学を1年間休学し、米国にダンス留学もした。帰国後はプロも視野に入れ、一層打ち込んだ。ただダンスだけで食べていくのは難しいとも感じていたという。「ベリーダンスを続けていきたいからこそ、一般企業への就職を選ぶべきだと思っていました」。服が好きで、「就職するならアパレル」と考えていた髙橋さんは、数社の採用面接を受けてオンワードを選んだ。

入社以降も仕事の傍ら、夜はベリーダンスの練習を続け、休日はイベントに参加するなど腕前を磨いてきた。22年の7月にグループとして副業が正式に解禁され、入社4年目以降の社員が対象となった。髙橋さんは昨年4月にプロダンサーとしての活動が社内で承認され、同年6月にフュージョンベリーダンスの全国大会で優勝。「社内でも、プロダンサーですと胸を張って言えるようになりました」。

現在はイベント出演やレッスン講師業でも報酬を得ている。オンワードは社員の柔軟な働き方を推奨する目的で、朝8〜10時の間から10分刻みで出勤時間を自由に決められる新制度もスタートした。髙橋さんは夕方にレッスンやイベントがある日は早めに出勤し、仕事を切り上げてダンススタジオや会場に直行する。

社内では今年4月から、広報業務に加えてサステナビリティ推進担当を兼任し、新たなインプットに追われている。へとへとになって帰った日も、ダンスの振り付けの作成やパフォーマンス練習は欠かさない。

「ダンスで誰かの背中を押したい」
社内では新しいロールモデルに

プロを名乗るようになって、ダンスに向き合う意識が変わったという髙橋さん。「多くの人がイメージするベリーダンスは、長い髪を靡かせて、キラキラの衣装で、セクシーな動きで男性を喜ばせるダンス。でも私がやりたい表現は少し違う。誰もがコンプレックスを抱えているけれど、私はダンスを通じて自分を思い切り表現できるようになった。完璧じゃなくていいし、どこか欠けていたり、傷がついている方がきれいかもしれない。そんなことをダンスで伝えられたらと思います」。

誰かを勇気づけたいという思いが原動力だ。ショーは髙橋さん自ら企画し、集客までする。インスタのストーリーにダンス動画を載せたり、チラシを配ったり。一人でも多くの人にベリーダンスに興味を持ってもらおうと考えてきた。

「伝える」ための地道な努力は、オンワードの広報の仕事にも生きている。髙橋さんは社内用動画コンテンツの取材・制作も担当する。「グループの中には、すごく価値があるけれど、他の社員にすら知られていない仕事がある。私はそれを発掘して光を当てたい」と話す。「普段、自分で撮ったダンスの動画を編集してインスタに投稿していますが、これが(オンワードの)業務にも結構役に立っているんですよ」。

今後もオンワードで働きながら、プロのベリーダンサー業を続け、「新しい働き方のロールモデルになりたい」との思いを強くする。「後輩社員や、アパレル業界を目指す学生さんが、こんな働き方もアリなんだ!と思ってくれたら。それだけでも、やっていてよかったなと感じられますね」。

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ドリスの退任を編集長はどう見る? 韓国発「タンバリンズ」や最新ビューティトレンドにも注目

この連載は週に一度、「WWDJAPAN Digital」に掲載した記事から学生に読んでほしいものを厳選し、記者のコメント付きで紹介するものだ。今回はドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)の退任と韓国発の「ジェントルモンスター(GENTLE MONSTER)」とコスメブランド「タンバリンズ(TAMBURINS)」の旗艦店オープン、話題の“ハイパーフェミニン”なビューティトレンドの3つの記事を掘り下げる。ニュースの読み方を知るとともに、面接やビジネス会話のヒントになれば幸いだ。

【記事1】
ドリス・ヴァン・ノッテンが退任 6月の2025年春夏メンズを最後に

「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」の創業者であり、40年近くクリエイションを率いてきたベルギー人ファッションデザイナーのドリス・ヴァン・ノッテンは、米「WWD」の取材に対し、6月に退任することを認めた。現役としての最後のショーは、6月のパリ・メンズ・ファッション・ウイーク中に予定されている2025年春夏メンズ・コレクションになる。ドリスは、米WWDに独占公開した声明の中で、「そのうちにブランドのストーリーを引き継ぐデザイナーを発表する」とし、「私はこの瞬間のためにしばらく準備をしてきた。新しい世代の才能がブランドにビジョンをもたらすために、彼らに余地を残すべき時だと感じている」とコメント。関係者によると、後継者探しはここ数カ月のうちに、静かに始まったという。(全文はこちら

【記者の解説】

一般的なデザイナー交代は、ビジネスが下降線をたどり、経営陣と仲違いしたり意見が噛み合わなくなったりして起こるが、今回の一件は違うような気がする。
コスメメーカーのプーチ傘下に入った時から、ドリスはいつか、ビジネスが好調なまま第一線を退き、後を託せる若い世代にブランドを任せようと決めたのではないだろうか?だからこそビューティラインの立ち上げなど、かつてのドリスならそれほど積極的ではなかったビジネスにも取り組み、ブランドを盤石にしたのだと思う。今の「ドリス ヴァン ノッテン」なら、跡を継ぐデザイナーは自分のビジョンを追求できるはず。きっとドリスは、そんなことも考えているのかな?と想像する。「トム フォード」を創業したトム・フォードにも通じるところがあるかもしれない。(村上要/「WWDJAPAN」編集長)

【記事2】
韓国発「ジェントルモンスター」「タンバリンズ」旗艦店がオープン 独自の世界観に没入

韓国のアイウエアブランド「ジェントルモンスター(GENTLE MONSTER)」とコスメブランド「タンバリンズ(TAMBURINS)」は3月14日、日本初の旗艦店を東京・青山にオープンする。2階建ての路面店で、両ブランドを併設して販売するのは世界初の試み。ショールームのように商品とアート作品をディスプレイし、ブランドの世界観を体感できる。購入アイテムは2階のカウンターでオーダーして会計する仕組みだ。(全文はこちら

【記者の解説】

既に表参道の店舗に足を運んだ読者の学生もいるかもしれない。BLACKPINKのジェニーがアンバサダーを務めるコスメブランド「タンバリンズ」はオープン初日に300人が行列に並び話題となった。アイウエアブランド「ジェントルモンスター」と併設している店舗はアートギャラリーのような空間で、百貨店のコスメカウンターとは異なる楽しみ方ができる。商品の置き方やオブジェの配置など、ブランドの世界観の伝え方が商品を売る鍵となる。まだ訪れていない人はぜひ空間設計を体感してみてほしい。(遠藤里紗/編集部記者)

【記事3】
メイクやネイルに“コケットトレンド”が波及中? リボンやハートで“ハイパーフェミニン”に

リボンや真珠、レースなどロマンティックなアクセントをふんだんに取り入れた“コケットスタイル”がビューティトレンドに浮上した。妖艶な女性の意味を持つ英単語「coquette(コケット)」の美学が、昨年の秋以降インフルエンサーやミレニアル・Z世代に波及している。IVEのチャン・ウォニョン(Jang Wonyoung)も、リボンやハートのシールを取り入れた姿を自身のインスタグラムに公開した。(全文はこちら

【記者の解説】
アメリカのメイクアップ・アーティストは“コケットスタイル”について「私の中の女性らしさと少女性をどちらも受け入れてくれる」と話す。「Y2K」のように懐かしさと新しさを感じさせるスタイルや、幼い頃の憧れを思い出させてくれるルックなどが度々トレンドに浮上する。日本でも「シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)」がリリースした赤いリボンのインスタフィルターが流行するなど、フェミニンな要素を取り入れるスタイルが多く見られる。記事内で紹介するビューティクリエイターのさまざまな“コケットスタイル”をぜひチェックしてみては。(遠藤里紗/編集部記者)

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学生に捧ぐ 採用活動の裏側(2024年2月19日号)

毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2024年2月19日号からの抜粋です)

横山:特集のきっかけは、昨年末に「WWDJAPAN」を教材に使っている専門学校の先生方から、「就活に役立つコンテンツをもっと増やしてほしい」という声をもらったことでした。

本橋:アパレル企業を取材していても、人手不足の話はよく聞きます。特に地方は深刻。若い人材の獲得競争が激しいです。 横山:コロナ前から新卒向けの求人倍率は高かったですが、それがコロナ禍の収束でさらにブースト。今は完全な売り手市場で、採りたくても人が来ない。ナビサイトや説明会などでとにかく人を集めてエントリーさせて、そこからふるい落としていく、というようなかつてのやり方とは大きく様変わりしていました。

採用導線が多数ある企業は強い

本橋:待っていて希望者が集まる時代ではないので、企業側もアグレッシブですよね。「マウジー(MOUSSY)」や「スライ(SLY)」を展開するバロックジャパンリミテッドは、ブランドプロデューサーとして成功している社員への憧れもあり、30人の販売員採用枠に300人応募があるほど人気ですが、実はリファラル(社員紹介)採用も活発なんですよね。顧客でセンスがいい人には、「一緒に働きませんか」と店頭のスタッフが一本釣りをすることもあるそう。そうしていい人材をフックアップした人にはインセンティブがある。バロックらしい仕組みだと感心しました。

横山:バロックのスター販売員を取材すると、「お店の人に誘われて」という人も多い。ちゃんと仕組みになっているんですね。アダストリアも店舗やSNSをうまく採用への導線につなげています。SNSで採用についてDMを送ってきた人に親身にアドバイスしたり、面接用に服を買いに来た人に全身コーデをしてあげたり、人事部から「こうしてほしい」はなくて、現場が自主的にやっていて、そこがまた学生には魅力なんですよね。

本橋:採用の導線もオムニチャネルの時代ですね。

横山:とはいえ優秀な人材でも、会社のカルチャーと合わなければ、うまく活躍できないです。採用担当者はどちらかというと学生側に立っていて、面接で素の姿を見せてほしいと、寄り添うように接しています。彼らの多くが「私たちは学生の敵ではない。むしろ味方です」と語っていたのが印象的でした。企業と学生が相互に理解を深め、相性を見極めることが大事なのだと思います。

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学生に捧ぐ 採用活動の裏側(2024年2月19日号)

毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2024年2月19日号からの抜粋です)

横山:特集のきっかけは、昨年末に「WWDJAPAN」を教材に使っている専門学校の先生方から、「就活に役立つコンテンツをもっと増やしてほしい」という声をもらったことでした。

本橋:アパレル企業を取材していても、人手不足の話はよく聞きます。特に地方は深刻。若い人材の獲得競争が激しいです。 横山:コロナ前から新卒向けの求人倍率は高かったですが、それがコロナ禍の収束でさらにブースト。今は完全な売り手市場で、採りたくても人が来ない。ナビサイトや説明会などでとにかく人を集めてエントリーさせて、そこからふるい落としていく、というようなかつてのやり方とは大きく様変わりしていました。

採用導線が多数ある企業は強い

本橋:待っていて希望者が集まる時代ではないので、企業側もアグレッシブですよね。「マウジー(MOUSSY)」や「スライ(SLY)」を展開するバロックジャパンリミテッドは、ブランドプロデューサーとして成功している社員への憧れもあり、30人の販売員採用枠に300人応募があるほど人気ですが、実はリファラル(社員紹介)採用も活発なんですよね。顧客でセンスがいい人には、「一緒に働きませんか」と店頭のスタッフが一本釣りをすることもあるそう。そうしていい人材をフックアップした人にはインセンティブがある。バロックらしい仕組みだと感心しました。

横山:バロックのスター販売員を取材すると、「お店の人に誘われて」という人も多い。ちゃんと仕組みになっているんですね。アダストリアも店舗やSNSをうまく採用への導線につなげています。SNSで採用についてDMを送ってきた人に親身にアドバイスしたり、面接用に服を買いに来た人に全身コーデをしてあげたり、人事部から「こうしてほしい」はなくて、現場が自主的にやっていて、そこがまた学生には魅力なんですよね。

本橋:採用の導線もオムニチャネルの時代ですね。

横山:とはいえ優秀な人材でも、会社のカルチャーと合わなければ、うまく活躍できないです。採用担当者はどちらかというと学生側に立っていて、面接で素の姿を見せてほしいと、寄り添うように接しています。彼らの多くが「私たちは学生の敵ではない。むしろ味方です」と語っていたのが印象的でした。企業と学生が相互に理解を深め、相性を見極めることが大事なのだと思います。

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「ユニクロ」×「アニヤ」や「YSL」の大行列をから見えることは? 【学生に読んでほしい記事3選】


この連載は週に一度、「WWDJAPAN Digital」に掲載した記事から学生に読んでほしいものを厳選し、記者のコメント付きで紹介するものだ。今回は、大行列が話題となった記事を中心に紹介する。発売前から話題になった「ユニクロ(UNIQLO)」と英国ブランド「アニヤ・ハインドマーチ(ANYA HINDMARCH、以下アニヤ)」のコラボレーションや、平野紫耀、神宮寺勇太、岸優太によるアイドルグループNumber_iがタイアップ動画に出演して注目された「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT、以下YSL)」のポップアップなどのニュースを掘り下げる。ニュースの読み方を知るとともに、面接やビジネス会話のヒントになれば幸いだ。

【記事1】
ユニクロ、「アニヤ」コラボの行列は40〜50代女性中心
「ちいかわ」「感謝祭」も重複で一時ECダウン

「ユニクロ(UNIQLO)」は11月23日、英国ブランド「アニヤ・ハインドマーチ(ANYA HINDMARCH)」とのコラボレーションコレクションを発売した。反響の大きさから、全商品展開店を急遽国内は51店減らし、20店に絞ったという同コラボだけに、ECサイトは朝9時以降正午過ぎまで、サーバダウンでつながりにくい状態となった。店頭も開店直後から大にぎわいとなった。(全文はこちら

【記者の解説】

「アニヤ・ハインドマーチ」は、アラフォー以上の世代にとっては、トートバッグなどで何度かバズを生んできたブランド。その「アニヤ」と買いやすい「ユニクロ」がタッグを組むということで話題になった。ただ、転売の問題点なども指摘される今の時代は、いたずらに話題を大きくして、本当に買いたい人に商品が届かないような売り方は支持されない。あらゆる人のための究極の普段着、“LifeWear”を標榜する「ユニクロ」ならなおさらだ。「ユニクロ」が即効で予約再販を決めたのも、そうした背景がある。(五十君花実/副編集長)

【記事2】
「YSL」の香水“リブレ”に300人行列
平野紫耀&神宮寺勇太&岸優太のNumber_iのファンが集う

「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」は11月26日まで、ブランドのアイコンフレグランス“リブレ(LIBRE)”シリーズのポップアップスタンド“YSL LIBRE STAND”を表参道ヒルズで開催した。Number_iのメンバーの平野紫耀、神宮寺勇太、岸優太が登場した「ヴォーグ ジャパン(VOGUE JAPAN)」のタイアップコンテンツが話題を呼び、ショップには多数のファンが訪れて一時は300人の行列ができた。(全文はこちら)

【記者の解説】

先週、表参道ヒルズの前に人があふれ、街行く人を驚かせた。Number_iのタイアップ動画を見たファンがポップアップに駆け付けたのだ。2万円前後のフレグランスの購入に300人の行列ができ、同ブランドPR担当者によると「売り上げは予測の5倍以上」だった。「YSL」はボーイズグループのJO1とアンバサダー契約するなど男性起用によって、ジェンダーフリーなイメージの構築につなげて売り上げを伸ばしている。化粧品業界では男性著名人の起用が広がるが、目先の売り上げだけを考えた安直な起用はブランドイメージの棄損にもつながり、各社慎重に進めている。(遠藤里紗/編集部記者)

【記事3】
「YSL」新事業部長に聞く“クチュールビューティ”戦略
元製品開発ディレクターだからこそ見える景色

「イヴ・サンローラン」の新事業部長にジャロン・チャン氏が8月に就任した。チャン事業部長は2004年にロレアルに入社して以来、19年間化粧品事業に従事する。直近3年間はパリの本部でグローバル メイクアップ製品開発チームのディレクターを務め、商品やブランドへの造詣が深い。全アイテムのストーリーを語れるというほど「YSL」に愛情深く向き合うチャン事業部長に、就任後のミッションや日本市場での狙いについて聞いた。(全文はこちら)

【記者の解説】
記事2のように著名人を起用したプロモーションに長けている「YSL」だが、商品力の向上も目覚ましい。日本の事業部長に就任したジャロン・チャン氏のインタビューからは、メゾンの歴史と深く紐付いた商品開発の裏側を知ることができる。古くから築き上げたブランドの歴史と顧客の心を満たす商品力に、新規ファンを獲得するPR施策が加わることでビジネスを動かす「YSL」から目が離せない。(遠藤里紗/編集部記者)

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「ユニクロ」×「アニヤ」や「YSL」の大行列をから見えることは? 【学生に読んでほしい記事3選】


この連載は週に一度、「WWDJAPAN Digital」に掲載した記事から学生に読んでほしいものを厳選し、記者のコメント付きで紹介するものだ。今回は、大行列が話題となった記事を中心に紹介する。発売前から話題になった「ユニクロ(UNIQLO)」と英国ブランド「アニヤ・ハインドマーチ(ANYA HINDMARCH、以下アニヤ)」のコラボレーションや、平野紫耀、神宮寺勇太、岸優太によるアイドルグループNumber_iがタイアップ動画に出演して注目された「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT、以下YSL)」のポップアップなどのニュースを掘り下げる。ニュースの読み方を知るとともに、面接やビジネス会話のヒントになれば幸いだ。

【記事1】
ユニクロ、「アニヤ」コラボの行列は40〜50代女性中心
「ちいかわ」「感謝祭」も重複で一時ECダウン

「ユニクロ(UNIQLO)」は11月23日、英国ブランド「アニヤ・ハインドマーチ(ANYA HINDMARCH)」とのコラボレーションコレクションを発売した。反響の大きさから、全商品展開店を急遽国内は51店減らし、20店に絞ったという同コラボだけに、ECサイトは朝9時以降正午過ぎまで、サーバダウンでつながりにくい状態となった。店頭も開店直後から大にぎわいとなった。(全文はこちら

【記者の解説】

「アニヤ・ハインドマーチ」は、アラフォー以上の世代にとっては、トートバッグなどで何度かバズを生んできたブランド。その「アニヤ」と買いやすい「ユニクロ」がタッグを組むということで話題になった。ただ、転売の問題点なども指摘される今の時代は、いたずらに話題を大きくして、本当に買いたい人に商品が届かないような売り方は支持されない。あらゆる人のための究極の普段着、“LifeWear”を標榜する「ユニクロ」ならなおさらだ。「ユニクロ」が即効で予約再販を決めたのも、そうした背景がある。(五十君花実/副編集長)

【記事2】
「YSL」の香水“リブレ”に300人行列
平野紫耀&神宮寺勇太&岸優太のNumber_iのファンが集う

「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」は11月26日まで、ブランドのアイコンフレグランス“リブレ(LIBRE)”シリーズのポップアップスタンド“YSL LIBRE STAND”を表参道ヒルズで開催した。Number_iのメンバーの平野紫耀、神宮寺勇太、岸優太が登場した「ヴォーグ ジャパン(VOGUE JAPAN)」のタイアップコンテンツが話題を呼び、ショップには多数のファンが訪れて一時は300人の行列ができた。(全文はこちら)

【記者の解説】

先週、表参道ヒルズの前に人があふれ、街行く人を驚かせた。Number_iのタイアップ動画を見たファンがポップアップに駆け付けたのだ。2万円前後のフレグランスの購入に300人の行列ができ、同ブランドPR担当者によると「売り上げは予測の5倍以上」だった。「YSL」はボーイズグループのJO1とアンバサダー契約するなど男性起用によって、ジェンダーフリーなイメージの構築につなげて売り上げを伸ばしている。化粧品業界では男性著名人の起用が広がるが、目先の売り上げだけを考えた安直な起用はブランドイメージの棄損にもつながり、各社慎重に進めている。(遠藤里紗/編集部記者)

【記事3】
「YSL」新事業部長に聞く“クチュールビューティ”戦略
元製品開発ディレクターだからこそ見える景色

「イヴ・サンローラン」の新事業部長にジャロン・チャン氏が8月に就任した。チャン事業部長は2004年にロレアルに入社して以来、19年間化粧品事業に従事する。直近3年間はパリの本部でグローバル メイクアップ製品開発チームのディレクターを務め、商品やブランドへの造詣が深い。全アイテムのストーリーを語れるというほど「YSL」に愛情深く向き合うチャン事業部長に、就任後のミッションや日本市場での狙いについて聞いた。(全文はこちら)

【記者の解説】
記事2のように著名人を起用したプロモーションに長けている「YSL」だが、商品力の向上も目覚ましい。日本の事業部長に就任したジャロン・チャン氏のインタビューからは、メゾンの歴史と深く紐付いた商品開発の裏側を知ることができる。古くから築き上げたブランドの歴史と顧客の心を満たす商品力に、新規ファンを獲得するPR施策が加わることでビジネスを動かす「YSL」から目が離せない。(遠藤里紗/編集部記者)

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「ユニクロ」×「アニヤ」や「YSL」の大行列をから見えることは? 【学生に読んでほしい記事3選】


この連載は週に一度、「WWDJAPAN Digital」に掲載した記事から学生に読んでほしいものを厳選し、記者のコメント付きで紹介するものだ。今回は、大行列が話題となった記事を中心に紹介する。発売前から話題になった「ユニクロ(UNIQLO)」と英国ブランド「アニヤ・ハインドマーチ(ANYA HINDMARCH、以下アニヤ)」のコラボレーションや、平野紫耀、神宮寺勇太、岸優太によるアイドルグループNumber_iがタイアップ動画に出演して注目された「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT、以下YSL)」のポップアップなどのニュースを掘り下げる。ニュースの読み方を知るとともに、面接やビジネス会話のヒントになれば幸いだ。

【記事1】
ユニクロ、「アニヤ」コラボの行列は40〜50代女性中心
「ちいかわ」「感謝祭」も重複で一時ECダウン

「ユニクロ(UNIQLO)」は11月23日、英国ブランド「アニヤ・ハインドマーチ(ANYA HINDMARCH)」とのコラボレーションコレクションを発売した。反響の大きさから、全商品展開店を急遽国内は51店減らし、20店に絞ったという同コラボだけに、ECサイトは朝9時以降正午過ぎまで、サーバダウンでつながりにくい状態となった。店頭も開店直後から大にぎわいとなった。(全文はこちら

【記者の解説】

「アニヤ・ハインドマーチ」は、アラフォー以上の世代にとっては、トートバッグなどで何度かバズを生んできたブランド。その「アニヤ」と買いやすい「ユニクロ」がタッグを組むということで話題になった。ただ、転売の問題点なども指摘される今の時代は、いたずらに話題を大きくして、本当に買いたい人に商品が届かないような売り方は支持されない。あらゆる人のための究極の普段着、“LifeWear”を標榜する「ユニクロ」ならなおさらだ。「ユニクロ」が即効で予約再販を決めたのも、そうした背景がある。(五十君花実/副編集長)

【記事2】
「YSL」の香水“リブレ”に300人行列
平野紫耀&神宮寺勇太&岸優太のNumber_iのファンが集う

「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」は11月26日まで、ブランドのアイコンフレグランス“リブレ(LIBRE)”シリーズのポップアップスタンド“YSL LIBRE STAND”を表参道ヒルズで開催した。Number_iのメンバーの平野紫耀、神宮寺勇太、岸優太が登場した「ヴォーグ ジャパン(VOGUE JAPAN)」のタイアップコンテンツが話題を呼び、ショップには多数のファンが訪れて一時は300人の行列ができた。(全文はこちら)

【記者の解説】

先週、表参道ヒルズの前に人があふれ、街行く人を驚かせた。Number_iのタイアップ動画を見たファンがポップアップに駆け付けたのだ。2万円前後のフレグランスの購入に300人の行列ができ、同ブランドPR担当者によると「売り上げは予測の5倍以上」だった。「YSL」はボーイズグループのJO1とアンバサダー契約するなど男性起用によって、ジェンダーフリーなイメージの構築につなげて売り上げを伸ばしている。化粧品業界では男性著名人の起用が広がるが、目先の売り上げだけを考えた安直な起用はブランドイメージの棄損にもつながり、各社慎重に進めている。(遠藤里紗/編集部記者)

【記事3】
「YSL」新事業部長に聞く“クチュールビューティ”戦略
元製品開発ディレクターだからこそ見える景色

「イヴ・サンローラン」の新事業部長にジャロン・チャン氏が8月に就任した。チャン事業部長は2004年にロレアルに入社して以来、19年間化粧品事業に従事する。直近3年間はパリの本部でグローバル メイクアップ製品開発チームのディレクターを務め、商品やブランドへの造詣が深い。全アイテムのストーリーを語れるというほど「YSL」に愛情深く向き合うチャン事業部長に、就任後のミッションや日本市場での狙いについて聞いた。(全文はこちら)

【記者の解説】
記事2のように著名人を起用したプロモーションに長けている「YSL」だが、商品力の向上も目覚ましい。日本の事業部長に就任したジャロン・チャン氏のインタビューからは、メゾンの歴史と深く紐付いた商品開発の裏側を知ることができる。古くから築き上げたブランドの歴史と顧客の心を満たす商品力に、新規ファンを獲得するPR施策が加わることでビジネスを動かす「YSL」から目が離せない。(遠藤里紗/編集部記者)

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ベビー服からランドセルまで成長に寄り添う 「ミキハウス」阪急うめだ本店・岡田由紀子さん

「ミキハウス」の子育てキャリアアドバイザーであり、阪急うめだ本店の出産準備用品アドバイザーとして活躍する。全国の阪急阪神百貨店の中でも3~4%の販売員しか付けていない胸元の金色のプレートが、優秀販売員の証しだ。

三起商行に入社して28年。同期の中では最速の入社4年目で店長に抜擢された。その後、子供を2人出産。産休・育休を経て復帰し、働きながら子育てしてきた経験と知識を、接客の現場で最大限に発揮する。産休に入る前、木村皓一社長から「産んで戻ってきいや。お客さまのために自分の経験を生かさなあかんでぇ」と言葉をかけられたのが、いまでも励みになっているという。

出産・育児の経験を接客に生かす

出産、育児の経験を売り場で役立て顧客に還元していきたいという思いは、コンサルティング接客という形で実現。1人1人に寄り添いながら、その顧客に必要なものを自身の経験と知識に基づいて提案している。

「お子さまの成長を見守りながら一緒に喜べるのが、この仕事の醍醐味。ファーストミキハウスからランドセルまで長い付き合いにするためには、まず信頼を得ないとお客さまはついてきません。この人ならなんでも知っているし、教えてくれると思ってもらえることが大切なのです」

「ミキハウス」は国内外の富裕層をターゲットにした超高級ライン「ミキハウス ゴールドレーベル」を2022年秋物から展開する。同店でも訪日客や外商の若い顧客の購入が増えた。希少性の高い海島綿やホワイトグースダウン、カシミヤシルクといった高級素材を使用し、国内工場で生産しているため、一式そろえると40万円以上になる場合も。こんなときこそ、岡田さんのコンサルティング接客が生きてくる。

子育ての情報を常にアップデート

「1人目の出産のときに海島綿の肌着を買った韓国のお客さまが、2人目を妊娠され、先日、ミキハウスでそろえたいからとフルラインナップを購入されました。素材を気に入ってリピーターになる方も着実に増えています」。

ただし、自身が出産した20年前とは出産事情や育児の考え方が大きく変わってきている。そのため、「最新の情報やいまのママパパの思いを知っておくことが大切。語学も含めてやるべきことはたくさんある」と岡田さん。常に精進することを忘れない姿勢も、顧客の信頼獲得につながっている。


岡田由紀子さんの「接客POINT」

油脂分の多い海島綿がなぜ赤ちゃんのデリケートな肌にいいのかを理論立てて説明。肌着の替えが2~3枚は必要なこと、肌着に紐がついている理由など、自身の経験や失敗談も交えながら説明し、顧客の悩みや不安を解消する。


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ベビー服からランドセルまで成長に寄り添う 「ミキハウス」阪急うめだ本店・岡田由紀子さん

「ミキハウス」の子育てキャリアアドバイザーであり、阪急うめだ本店の出産準備用品アドバイザーとして活躍する。全国の阪急阪神百貨店の中でも3~4%の販売員しか付けていない胸元の金色のプレートが、優秀販売員の証しだ。

三起商行に入社して28年。同期の中では最速の入社4年目で店長に抜擢された。その後、子供を2人出産。産休・育休を経て復帰し、働きながら子育てしてきた経験と知識を、接客の現場で最大限に発揮する。産休に入る前、木村皓一社長から「産んで戻ってきいや。お客さまのために自分の経験を生かさなあかんでぇ」と言葉をかけられたのが、いまでも励みになっているという。

出産・育児の経験を接客に生かす

出産、育児の経験を売り場で役立て顧客に還元していきたいという思いは、コンサルティング接客という形で実現。1人1人に寄り添いながら、その顧客に必要なものを自身の経験と知識に基づいて提案している。

「お子さまの成長を見守りながら一緒に喜べるのが、この仕事の醍醐味。ファーストミキハウスからランドセルまで長い付き合いにするためには、まず信頼を得ないとお客さまはついてきません。この人ならなんでも知っているし、教えてくれると思ってもらえることが大切なのです」

「ミキハウス」は国内外の富裕層をターゲットにした超高級ライン「ミキハウス ゴールドレーベル」を2022年秋物から展開する。同店でも訪日客や外商の若い顧客の購入が増えた。希少性の高い海島綿やホワイトグースダウン、カシミヤシルクといった高級素材を使用し、国内工場で生産しているため、一式そろえると40万円以上になる場合も。こんなときこそ、岡田さんのコンサルティング接客が生きてくる。

子育ての情報を常にアップデート

「1人目の出産のときに海島綿の肌着を買った韓国のお客さまが、2人目を妊娠され、先日、ミキハウスでそろえたいからとフルラインナップを購入されました。素材を気に入ってリピーターになる方も着実に増えています」。

ただし、自身が出産した20年前とは出産事情や育児の考え方が大きく変わってきている。そのため、「最新の情報やいまのママパパの思いを知っておくことが大切。語学も含めてやるべきことはたくさんある」と岡田さん。常に精進することを忘れない姿勢も、顧客の信頼獲得につながっている。


岡田由紀子さんの「接客POINT」

油脂分の多い海島綿がなぜ赤ちゃんのデリケートな肌にいいのかを理論立てて説明。肌着の替えが2~3枚は必要なこと、肌着に紐がついている理由など、自身の経験や失敗談も交えながら説明し、顧客の悩みや不安を解消する。


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「エッセンシャルシフト」を急げ 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。先行きの見えないコロナ禍において、変革を怠れば多大なリスクになりかねない。小売業は新常態にどのように備えればよいのか。

 コロナ禍の出口が見えなくって緊急事態宣言が再発令され、よみがえりかけていた商業活動にも急ブレーキがかかり、東京オリンピックの開催も絶望的になる中、もはや「新常態」の深刻化と長期化を覚悟せざるを得ない。そんな現実の中でアパレル業や小売業に求められているのが「エッセンシャルシフト(生活必需品への入れ替え)」だ。

底割れ」長期化で見切り退店ラッシュ

 コロナ禍が深刻化する中、2020年12月の全国百貨店売り上げは前年同月比13.7%減と15カ月連続して減少し、外国人観光客が途絶えた免税売り上げは88.6%も減少した。20年通年では百貨店売り上げは25.7%、衣料品売り上げは31.1%、中でも婦人服売り上げは32.2%、化粧品売上は39.1%、免税売り上げは80.2%も激減した。1月の初売りは前年の半分にも届かず、緊急事態宣言が再発令された7日以降は一段と客足が遠のいているから、コロナ禍が長引けば都心百貨店さえ存続が危うくなる。

 それは都心の商業施設とて同様で、緊急事態宣言の再発令で見切りをつけたテナントの大量退店が始まっている。ギンザ シックスでは臨時休業中の3テナント(飲食)に加え、昨年12月27日から今年1月20日にかけてコスメブランドやアパレルショップ、カフェやレストランなど22店が閉店した。1月26日には40店の後継テナントが公表されるというが、膨大な損失覚悟で次々と退店するテナントの跡を埋めきれるのだろうか。インバウンド狙いに偏っていた銀座の商業施設はどこも似たような状況で、東急プラザ銀座でも12月から1月にかけてアパレルや装身具、コスメから名産品や茶房まで少なからぬテナントが閉店している。

 閉店ラッシュは銀座に限らず、六本木ヒルズではけやき坂の路面店に空き区画が目立ち、東京ミッドタウン(六本木)でも12月から1月にかけてアパレル店や服飾店の閉店が続き、表参道ヒルズでも空き区画が目立ち始めている。館側は入れ替え予定と説明するが、2月から3月にかけて退店はさらに増えると見る関係者が多い。

高家賃インフレ経営の終焉

 これら都心の商業施設は(1)インバウンドやラグジュアリーへの偏り、(2)テナント採算度外視の高家賃経営、が以前より指摘されており、コロナ禍の長期化でとうとう行き詰まってきた。

 インバウンドやラグジュアリーを狙って非日常の高額商品や外国人観光客好みの華美な商品に偏っていたことに加え、ブランド化粧品を拡大していたこともコロナ禍のマスク日常化とスキンケア接客の回避に直撃された。加えてギンザ シックスでは水商売関係者好みのブランドが少なくなかったことも指摘したい。

 15年以降、インバウンドが盛り上がる中で都心では商業施設に限らず路面店の家賃も高騰が続き、「旗艦店やイメージストアなのだから家賃は売り上げの半分までに収まればよい」という無茶な論理が横行していた。実際、銀座や表参道の路面旗艦店、メディアハウス路線(館全体をメディアと見て付加価値を増幅する)を採る高級商業施設のテナント店では半分を超えていた店もあった。

 家賃負担率が3割、4割という店舗は珍しくなかったから、コロナ禍の売り上げ急減で売り上げより家賃の方が高くなる店もあり、テナント店では館の売上預かり金では家賃が賄えなくなり、資金繰りに窮するテナントも出てきた。それでもコロナが収束して東京オリンピックが開催されるまで何とか持ち堪えようと出血に耐えてきたが、コロナ感染の再拡大で緊急事態宣言が再発令され、東京オリンピックの開催も絶望的になるに及び、見切りをつけた閉店が堰を切ったように広がり始めたのではないか。

 それは東京に限らずインバウンドに潤ってきた大阪や京都なども同様で、意思決定の遅れていた店も加わって雪崩打つように退店が広がると危惧される。館もテナントも、東京オリンピックという幻影に踊ったインバウンド頼みのインフレ経営は終焉したのだ。

商業施設もオフィスビルも流動化する

 大量閉店は都心の商業施設だけではない。郊外でも商圏を広げるべく過剰なアップスケール化を追った大型施設ほど、緊急事態宣言の再発令以降、大量閉店が広がっている。

 本来、足元商圏ニーズにきめ細かく対応するのが郊外立地商業施設のあり方だが、アベノミクスの無理押しインフレ政策下で広域商圏獲得を狙って背伸びしたテナントを増やした大型施設は足元ニーズと乖離し、コロナ禍の長期化による「エッセンシャルシフト」の直撃を受けていた。それでも家賃の減免などで現状を維持してきたが、長引くコロナ禍と緊急事態宣言再発令で見切りをつけたテナントの退店ラッシュに直面し、テナント構成の「エッセンシャルシフト」を迫られている。

 それは都心の商業施設とて同様だが、テナント構成の「エッセンシャルシフト」が進めば無理に乗せていた付加価値がはげ落ち、家賃収入は激減してしまう。投資利回りも急落するから、物件が流動化する。それはリモートワークで空室率が急上昇するオフィスビルとて同様だから、不動産の流動化が急進することになる。

エッセンシャルシフト」が不可避

 百貨店も20年は衣料品の売り上げ急落(シェアも27.0%に低下)でエッセンシャルカテゴリーたる食品が31.3%を占める最大売り上げ部門となったが、家庭用品も4.0%から4.2%とわずかながらシェアを伸ばした。衣料品も下着やナイティ、ホームウエア、アパレルも機能性カジュアルやライフスタイルウエアなどエッセンシャルアイテムにシフトせざるを得ない。その分、無理に乗せていた付加価値がはげ落ちるから、価格も流通コストも切り下げざるを得なくなる。高コストな販路や組織は切り捨て、低コストの販路と組織に乗り換える「エッセンシャルシフト」が急進して行く。

 「夢を売るビジネス」の頂点に君臨するのは芸能界だが、それさえ、ついにタレントの人員整理や本社の売却、事務所の都落ちに追い込まれ、あの電通さえ巨額赤字で本社売却に追い込まれ、CM激減に苦しむ民放も国民的批判にさらされるNHKもリストラを迫られている。零落したタレントやアーチストの窮状が伝えられる中、アパレル業界も「夢を売るビジネス」にしがみついてはいられない。

 最低限の食住衣が足りて、ようやくお洒落の出番があるのが現実で、ここまでコロナ禍が長引いて出口が見えなくなり、若年勤労者とりわけ非正規の女性勤労者が追い詰められ、生活に窮する人々が半端なく広がるに及んでは、過酷な現実を受け入れるしかない。「エッセンシャルシフト」はアパレルや小売業、飲食・サービス業、果ては商業不動産業まで、広範な業界に求められる今年最大の経営テーマとなるだろう。

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。著書に店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)、12月11日に出版した「アパレルの終焉と再生」(朝日新書)

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「ディオール」や「エルメス」、「ロエベ」のビッグメゾンが登場 編集長&若手記者2人のパリメンズ10選

大澤錬「WWDJAPAN.com」記者(以下、大澤):今回はパリメンズ4、5日目の厳選10ブランドを振り返ります。前シーズンのドタバタ対談に続き、デジタル・ファッション・ウイークでの要さんとの対談は3回目になります。あっという間に半年が経ち、今シーズンもラストスパートに突入してきました。本日はよろしくお願いします。

村上要「WWDJAPAN.com」編集長(以下、村上):よろしくお願いします。今シーズンは“リアタイ縛り”が無くなっただけで、40過ぎのオジさんとしては心軽やかです(笑)。

大人な「サルバム」に様変わり

大澤:最初は「サルバム(SULVAM)」からいってみましょう。今回はモデルがウォーキングし、コレクションの全てをきちんと見せようとする意気込みが伝わるムービーでした。カメラロールもさまざまだった前回とは異なり、シンプルで見やすい印象です。びっくりしたのは、冒頭からほとんどが全身黒のスタイリング。以前よりも素材やシルエット、ディテールで勝負を挑んでいるのが伺えました。

村上:黒と白、それに赤(ちょ~っとだけネイビー)という潔いカラーパレットでしたね。今シーズンはパターンワークに注目です。洋服を構成する「身ごろ」をそのままジャケットに貼り付けたり、球体のように独創的なパターンをトリミングで際立たせたり。粗っぽいカンジは随分薄れ、本質で勝負し始めた印象を受けます。シフトチェンジすると「既存のファンは?」という心配が芽生えますが、今の「サルバム」には杞憂な気がする。潔さが前面に現れた分、既存のファンが欲する「強さ」は顕著になっている印象です。

日本代表ベテラン組「メゾン ミハラヤスヒロ」

村上:お次は「メゾン ミハラヤスヒロ(MAISON MIHARA YASUHIRO)」。ものすごい早さで三原康裕さんの思いが字幕になって流れていたみたいだけど、全く読めなかったね(笑)。映像の切り替えやエフェクトも強めで全貌をしっかり理解するのは難しいけれど、今季も自由なコトはとってもよく分かった(笑)。MA-1、背中に袖は何本あったんだろう?そんなカンジ。テーマの「ベーシック・アンチノミー!」は、「二律背反なベーシック」。多分、「ベーシックなのに、ベーシックじゃない」って意味だと思うけれど、ネルシャツからパーカ、ブルゾンに至るまで、「ミハラ」流のハイブリッドが凄まじいから、もはや全然フツーの範疇に収まっていない(笑)。デザインはフツーじゃないのに、アイテム名で語ると「ネルシャツ」とか「パーカ」だからベーシックなのかもしれない。なんて考えると、「ん!?ベーシックって、なんだっけ?」。そんな風に考えちゃいますね。少なくとも、「ユニクロ(UNIQLO)」のベーシックとは全然違う。それでも「ユニクロ」も「ミハラ」も、同じ「ベーシック」という言葉で語れないワケじゃない。ムムム~って考えて3分後、「ま、いっか。ビール飲も」ってカンジになりました。知的好奇心が喚起されて楽しかった。

大澤:字幕は早すぎて僕も全然わかりませんでした。洋服メインというよりかムービーを使って、どんな面白いことを伝えるかに特化していましたね。カメラマン役で三原さんもこっそり出演していて、蜷川実花さんになりきっているそうです(笑)。アイテムは同ブランドらしい生地を切り貼りしたウエアのほか、クリーニング後のタグが付いたままのジャケット、ビリヤードの玉をヒールにしたパンプスなど面白い。100足ほどのスニーカーを一面に並べた映像は圧巻でした。靴の並べ方に三原さんのこだわりが炸裂したため、撮影が深夜まで及んだそうです。「視聴者を楽しませよう」という心意気が素晴らしく、僕自身も楽しませていただきました!

歴史に名を刻む、キム・ジョーンズ登場!

大澤:次の「ディオール(DIOR)」は、アーティストのピーター・ドイグ(Peter Doig)とのコラボレーションを発表しましたね。ドイグは今回のコレクションのために 2 つの動物をモチーフとしたエンブレムを特別に制作。クリスチャン・ディオール(Christian Dior)の愛犬のボビー、もうひとつはドイグの絵画のキャラクターと1949 年にピエール・カルダン(Pierre Cardin)がデザインした仮面舞踏会用コスチュームを彷彿とさせるライオン。フランス芸術アカデミーのコスチュームに着想を得た刺しゅうや装飾があしらわれたユニフォームは、「ディオール」のアーカイブの再解釈。くるみボタンはアイコニックな“「バー」ジャケット”から、金糸の刺しゅうは60年代のイブニングガウン“ロゼラ”から取り入れています。BGMはテクノポップの先駆者として知られるクラフトワーク(kraftwerk)やアン・クラーク(Anne Clark)の楽曲で構成。ジェンダーレスという言葉が世界に浸透しつつある今、ウィメンズのトレンドのロングブーツが男性の世界にもやってきました。「ディオール」ではクラシックな装いに、抜け感のある長靴のようなロングブーツを合わせていました。今シーズンのトレンドになりそうです。

村上:中世の貴族を思わせるスタイル、パープルやワインなどの高貴な色使い、ゴールドの装飾、そして映像でもわかる上質な生地使いと仕立ての良さ。なのに若々しい疾走感が漂う。今季もキム・ジョーンズ(Kim Jones)の「ディオール」らしさ、全開です。中盤、レモンイエローが出てくるパートに差し掛かると、ジャージーまで現れるんだけど、ちゃんと装飾付きのノーカラーコートとコーディネートして「優雅」っていうイメージに着地するんだから流石です。今シーズンは上からブルゾンやコートを羽織って、前立てだけがチラリと覗くノーカラーのジャケットやコートがキーアイテムの1つですね。そのほかはモコモコのモヘアニットと、やっぱり随所に勲章をあしらったナポレオンジャケットかな?1年前のロンググローブをワンポイントで取り入れたメンズフォーマルの時は、「ついに歴史上のフォーマルへの探求も始まるのね!」と思ったけれど、時代がさらに遡った(笑)。完全に中世のアイテムだけど、今っぽく見えるせいか、未来のバトルシップ(宇宙戦艦)の乗組員の制服みたいに見えてくる。カッコ良い。そしてフィナーレのキム!!ブロンドヘアに大変身でした。もうすぐ発表の「フェンディ(FENDI)」も楽しみだね。

レジェンドのもう一花に期待

村上:「ポール・スミス(PAUL SMITH)」もオリーブやワイン、ナスのような紺色など、秋冬らしい色使いで大人っぽかったね。そこにカラフルなボーダーやストライプ、花柄を差し込んでユーモアを忘れないのは、さすが。スタンドカラーのシャツブルゾンが、フォーマルウエアをちょっぴりカジュアルダウンさせてくれてイイカンジでしたね。今回のコレクションのようにジャストサイズのスーツとコーディネイトしてもカッコいいけれど、ちょっぴりオーバーサイズのジャケットとも合わせてみたい。タイダイなのかな?大きな花柄を描いたコートがとても素敵だった。あと、モデルがいちいちカメラ目線で微笑んでくれると、照れるね(笑)。

大澤:僕もまさにスタンドカラーのシャツブルゾンに見入ってしまいました。花柄やバンダナ柄、アロハ柄のようなもの、どれも気になりましたね。時計や財布、アクセサリー、バッグなどの小物類同様、コレクションラインも若者に浸透して欲しいです。レジェンドがもう一花咲かせるところ、見られるといいな。

スポーティになりすぎ危険⁉︎

村上:「イザベル マラン(ISABEL MARANT)」は、随分スポーティになりましたね。「ラコステ(LACOSTE)」みたいだった。このブランドはやっぱり民族調のムードを出さないと、「イザベルマラン」で買う理由にならないんじゃないかな?レトロなスポーツテイストはとっても可愛らしいけれど、もっともっと手頃なブランドがたくさんあるから。もう一つリクエストすれば、モデルじゃなくて、洋服が主役のムービーにして欲しいです。

大澤:かなりスポーティにしてきましたね。明るくアクティブなムービー、モデルも含めて、若い層をターゲットにしてきているのでしょうか。もしくはおうち時間が増える中で、動きやすくて着やすい洋服をテーマにしているのでしょうか。かなりキャッチーでカジュアルなアイテムが多いけれど、ライバルもたくさんですね。

面白い!楽しい!変わらない「ヴェトモン」

村上:写真で発表の「ヴェトモン(VETEMENTS)」、カオスすぎて面白かった。映像で見たかったなぁ。でもTシャツのモチーフになっていたみたいに「R指定」なスタイルも多いから、映像は難しいかな?ヌードカラーでビミョーに透けているボディコンスーツとかね(笑)。いつも通りのストリートあり、ゴスあり、電脳系テクノあり、なぜかプロレスラーみたいなコスチュームありで、カオスな「人類大図鑑」みたいなコレクション。でもそれが「ヴェトモン」だし、多様性がますます重要視されている今っぽくもありますね。

大澤:ムービーに慣れすぎていたところだったので、僕も思わず、「えっ!」ってなりました(笑)。おもしろ楽しいルックが勢ぞろいでしたね。コレクションはいつもと変わらぬラインアップ。上から吊るし上げられたような肩パッド入りアイテムの数々、大胆なロゴ使いに、過去の名作のアップデートなど。前任のデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)が去って以降も、ブランドの方針はさほど変わっていかない模様ですね。街中で着ている人はかなり減ったように思います。踏ん張りどころ、もしくは正念場といったところでしょうか。

どう着るの⁉︎教えて!ジョナサン先生

村上:「ロエベ(LOEWE)」の“着るアート”や“まとうカルチャー”感が加速しているね。「反復」というキーワードから着想した、背中にポロシャツを2、3枚重ねたポロシャツとかは「ジョナサン、マジですか!?」って思うけれど、それがウエアとして成立するのはラグジュアリーブランドのクラフツマンシップのおかげですね。巨大なパンジーモチーフのニットカーディガンや、バッグをキャンバスに見立てたアートなトートなど、素敵なアイテムはいっぱいあったけれど、一番気になったのはコラージュかな。世界が強制的に分断されている今、それでも「つながっていたい」とか「途切れるべきではない」と考えるデザイナーが積極的に挑戦しているアイデアですね。ジョナサンの場合は、ジョー・ブレイナード(Joe Brainard)のさまざまな時代のアートを1つに融合しているけれど、1枚のキャンバスと見立てて作風さえ違うアートを敷き詰めたコートは、「着る人が自由に解釈して良い洋服として素敵だな」と思いました。個々の絵画を好きになる人もいるだろうし、その集合体を好きになる人もいる。そしてもちろん、キャンバスとなった洋服の仕立てや素材で気にいる人もいるハズ。それで良いよね?

大澤:前コレクションのアートピースより日常的で着やすそうですね。ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が丁寧に説明してくれて、さらに日本語の字幕付きという有難すぎる映像でした。正直、三角形のテント型のトラウザーパンツは日本の某ブランドっぽさが否めない(笑)。背中にポロシャツを2、3枚重ねたシャツは「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」が行ってきた手法に似ています。ボンテージパンツはかなりハードですが、海外のロック・アーティストに人気が出そう。本人にZoomインタビューを行った川井さんはいかがでしたか?

川井康平「WWDJAPAN.com」記者:横から失礼します(笑)。今回協業したブレイナードの作品に見出した花やアートの“脆さ”について、ジョナサンは「確かに半年周期でコレクションは発表することに“脆さ”や“儚さ”を感じる。しかし服を作るという行為は未来を想像することだと思う。今回のコレクションで発表したパンジーなどの花のグラフィックは性別の垣根の曖昧さを表現している。これからの若い世代の為にもファッションを通してより良い世界を作りたい」と語りました。画面越しではありますが、学生時代からの憧れであったジョナサンに話を伺えたのは貴重な体験でした!

おうち時間にぴったりな洋服!とは「エルメス」のこと

村上:「オンライン会議でサイコーの洋服って何?」と聞かれたら、「『エルメス(HERMES)』の2021-22年秋冬だよ!!」と答えたいと思います。表に出ている洋服は、ジャケットのポケットが二つ重なっていたり、その様子を模したステッチワークが施されていたり。ラベンダーや淡い黄緑、スカイブルーなど、春夏っぽい色使いのインナーも素敵だし、大勢のモデルが身につけていたネックレスも「もっとアップで見せて!」とリクエストしたくなっちゃいそう(笑)。マドラスチェックのブルゾンを筆頭にゆとりあるシルエットで、ストレスフリーで一日過ごせそうだね。パンツはもちろん、ドローコードやキャロットシルエット。ランチを食べ過ぎても心配ご無用です(笑)。オンライン会議ではチェックされないだろうけど、インナーと同じパステルカラーを使ったスニーカーも目を引きました。前日の「ポール・スミス」もそうだったけど、今シーズンはシャツブルゾンをチェックしたいね。「エルメス」では、ブルゾンの下に着てタートルネックとの色合わせを楽しんだり、もちろんスカーフとコーディネイトしたりとバリエーション豊かでした。

大澤:「エルメス」と言えば?と問われると、答えは人それぞれ違うと思います。「レザーの質感」、「素材の良さ」、「ジュエリー」、「バッグ」など、そのほかも多数。それが世界最高峰のビッグメゾンたる所以だと僕は思っています。若者には手の届かない代物ばかりですが、ムービーを通してコレクションを見ることができるのもデジタルならではですね。個人的には、多くのモデルが着用していたシルバーのトグルネックレスが気になりました。ギリギリ買える値段だとうれしいなあ(笑)。

ポジティブさを追求するあまりToo Muchに…。

村上:それが真骨頂なのはわかっているけれど、今季の「カサブランカ(CASABLANCA)」はちょっとToo Much レトロだったかな。極彩色のボウタイ付きシルクブラウス、全面ダイヤモンド柄のニット、70’Sなロゴモチーフのバッグなど、ちょっとコスプレ感が強かったかも。でも今の時代に必要なポジティブさをギュギュっと詰め込んだのかな?「うわぁ」と歓声を上げてしまうようなムービーに仕上がっているのは確かです。

大澤:ブランドの強みが存分に味わえるムービーでしたね。上質な素材に鮮やかな色。昔の「マルボロ」のパッケージを模したプリントなどはとても美しく、世間にも浸透しつつあると思います。今回は全体的にバブリー感が強すぎるあまり、コスプレっぽく見えてしまうのは同意です(笑)。今の時代感に、あの洋服をマッチさせるから良さが引き立つのに、「勿体ないな」と思ってしまいました。個人的に注目しているブランドなので、今後も楽しみにしています。

素敵なオジさんに、美しい雪景色

村上:「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」は素敵なオジさんが勢ぞろいでしたね。それぞれの雪山の楽しみ方がカッコいい。ムービーで、「あぁ、相澤さんはこういう人たちの、こんなライフスタイルに取り入れて欲しいんだ」っていう想いも見えたし、コロナ時代のメッセージのようにも感じました。

大澤:都内では今年、雪を見る事ができませんでしたが、またスノーボードやスキーを楽しめる日常が戻ってきてほしいです。「ミズノ(MIZUNO)」とのコラボスニーカーも発表していました。モデルは“ウエーブ プロフェシー(WAVE PROPHECY)”シリーズですね。

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未来への“逆行” 「ダブレット」逆再生ショーの原点は昭和の思い出

 「ダブレット(DOUBLET)」は、2021-22年秋冬コレクションを1月23日にパリ・メンズ ・コレクションの公式スケジュールで発表した。「パリメンズ出禁になるかもしれない……」ショー終了後に井野将之デザイナーが肩を落とした理由は、奇想天外なショーに挑んだためだった。

 コレクションはデジタルでの発表がアナウンスされていたが、当日はメディア関係者を中心に約20人が発表会場に招待され、横浜・綱島駅から徒歩約40分のスクラップ工場に集まった。天候はあいにくの雨で底冷えの寒さ。ショー本番まで10分となってもなかなか開場せず、期待と不安が入り乱れる。ようやく開いたゲートの先には、車やロッカー、プレハブが並び、パワーショベルとともに真っ赤なライトに照らされていた。まるでディストピア映画のようなムードに浸る間もなく、ショーはすぐに開幕した。

冒頭から「何かおかしい」

 冒頭で井野デザイナーが一瞬登場して挨拶し、妙な動きで去っていく。その後モデルたちが一斉に現れて紙吹雪が舞うなど、序盤からフィナーレのように盛大な演出に来場客もスマートフォンを慌てて取り出す。「何かおかしい」という違和感が確信に変わったのは、1人目のモデルが登場したときだろう。19-20年秋冬の巨大なチェスターコートに21年春夏のクマキャップを手にしたモデルが後ろ向きにウオーキングする。コートを脱ぎ捨てると、あの“キラシール”を彷彿とさせるギラギラのトップスに“魔驚ピエロ”というキャラクターが現れた。ほかのモデルも後ろ向きで続々と客席の前を通過し、途中で1人目が脱ぎ捨てたコートにほかのモデルがつまずいたり、スリッパ風のシューズが後ろ歩きのため脱げたりというハプニングも起こったが、それが演出なのかも分からないままショーは終了。直後に会場が暗転してショーの映像が逆再生され、順行のランウエイショーに見えるという種明かしが行われた。本来はこの“順行風”映像をパリメンズでライブ配信する予定だったが、回線トラブルでオンタイムでの配信ができなかった。これが井野デザイナーが肩を落としていた理由だった。

ほとんどがリサイクル素材

 この逆行ショーの着想源は、クリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)による映画「テネット(TNENT)」。同作品の順行と逆行が入り乱れるストーリーを今季のテーマ“タイム・アフター・タイム”に絡め、パンデミックによって沈んだ世界の“再生”を願ったポジティブなメッセージが盛り込まれている。例えばブルーのコートはペットボトルからリサイクルしたフェイクファーだし、工場の余剰生地を糸に割いてネップ感の残るジャケットにアップサイクルしたり、定番のシルクデニムの在庫をパッチワークして新たなシルエットのジーンズを仕立てたりと、生地のほとんどはリサイクル素材を使用している。食用ヒツジの毛を使ったコートや「スイコック(SUICOKE)」とのコラボレーションシューズにはヒツジのマペットを付け、サボテンの繊維を30%使ったブルゾンは全面サボテン柄に、コートのポケットに入った動物のぬいぐるみはモデル着用のソックスから作られるなど、ファンシーな見た目に反して一点一点が実は深い。またノスタルジックなクリエイションも特徴だ。ロンパースをスーツにアレンジしたウエアや、幼少期に憧れたキャラクターシューズを彷彿とさせるフリンジ付きスニーカーには“魔女っ子ダブ”や“服飾戦隊ダブレンジャー”が描かれている。悪ふざけスレスレのキャラがいつも以上に豊富な一方、刺しゅうを何重にも重ねた代名詞的なテクニックは封印した。

昭和の「もったいない」を受け継ぐ

 このリサイクルとノスタルジックという2つの“再生”は、昭和時代の井野少年の思い出が原点だという。「新しいインプットが難しい状況なのであれば、自分の原点こそほかにはないオリジナリティーなのではないかと。だから昔の写真からヒントを得て、それらを現代風に解釈しています。リサイクルも昭和の“もったいない”の考えなんですよ。大人からよく言われたましたから」。井野デザイナーが「サステナビリティ」とひと言も口にしなかったのは、ともすれば難解でシリアスになりがちな環境問題に対し、「ダブレット」らしい楽しさや笑い、見た目のクリエイションで向き合いたかったからなのかもしれない。

 井野デザイナーの“再生”への願いやリアルとデジタルの融合を目指した演出などを盛りに盛り込んだ結果、今回もファッションショーという枠組みを超えた壮大なエンターテインメントとなった。映像ではボコボコにスクラップされた車やロッカーは元の姿へと戻り、モデルはぎこちない動きながらも確かに前進している。前向きな逆行で、ミライに向けて歩みを進めているのだ。雨に降られたり、回線不良でライブ配信できなかったり、余裕だったはずのスケジュールが結局パツパツで開場が遅れたりとトラブル続きだったが、同ブランドのパタンナーの村上高士はドタバタのショー直前にこう言って笑った。「これが『ダブレット』ですから」。

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「無印良品」の“われしいたけ精神” エディターズレター(2020年11月25日配信分)

※この記事は2020年11月25日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「無印良品」の“われしいたけ精神”

 WWDジャパン11月9日号の「無印良品特集」を担当しました。あらためて「無印良品」の40年の歴史を振り返ると、サステナビリティが叫ばれるようになるずっと前からさまざまな取り組みをしてきたことが分かります。特に食品にその傾向が顕著です。1980年12月の第1弾商品として発売した「われしいたけ」は、無印の思想を象徴したような商品といえます。

 当時、干し椎茸は日常使いする人が減っていました。理由の一つが高い価格でした。均一な大きさの干し椎茸をパッケージするのが当たり前だったのを、「無印良品」では形や見栄えにこだわらず、不ぞろいなものや割れたものを弾く選別工程をやめることで買いやすい価格を実現しました。欠けていようが、不ぞろいだろうが、味に変わりはない。食品ロス(廃棄)を減らして買いやすい価格を実現する。そんな合理的な考えが消費者の支持を得ます。

 このロスを減らす考えは脈々と受け継がれています。

 いま定番商品になっている「不揃いバウム」(バウムクーヘン)も、見た目がイマイチという理由で弾かれてきた焼きムラや凹凸、変形した部分も使っています。不ぞろいを採用したことでスティック状の食べ切りサイズにし、価格も150円(税込)に抑えています。

 フリーズドライにしたイチゴをチョコレートで包んだ「不揃いチョコがけイチゴ」も同様です。名前の通りイチゴの粒の大きさがバラバラ。一般的な菓子メーカーだったらやはり均一にするでしょう。

 「無印良品」を運営する良品計画は近年、農業分野へ関心を強めており、店舗の近隣で採れた野菜を販売したり、農家との協業を模索したりしています。金井政明会長は弊紙のインタビューで、農家から規格外の野菜や作りすぎてしまった野菜を買い取って加工食品や冷凍食品に使う構想を述べていました。

 食品だけでなく衣料品でも“われしいたけ精神”ともいうべき商品を出しています。「再生ウール」を使った衣料品やインテリア製品は、ウール素材の製造工程で出た余り糸や切れ端を利用したもので、資源を無駄にせず商品化しています。

 今年「無印良品」の食品の取り組みで話題になったのは、春に発売して今も品薄が続く「コオロギせんべい」でした。こちらは食品ロスではなく、近い将来に予想される食糧危機への対策です。

 世界人口の急速な増加によって、人間の重要な栄養素であるタンパク質の供給が足りなくなることが予想されます。牛、豚、鶏などの家畜を増やすことも限界がある。そこで栄養価が高くて環境への負荷が少ない昆虫食が世界的に注目を集めています。コオロギの飼育にかかるエサや水は家畜に比べて圧倒的に少なく、100グラムあたりのタンパク質の量はずっと多いからです。とはいえ、いきなり昆虫をそのまま食べるのは抵抗があるので、コオロギをパウダー状にしてせんべいに練りこんだのが「コオロギせんべい」です。私も何度か食べましたが、えびせんのような味で、酒のつまみにぴったりだと思いました。

 今では規格外の野菜や食材を用いた食品自体は珍しくありません。でも「無印良品」が先駆けの一つだったことは確かです。「コオロギせんべい」は物珍しさもあって品薄になっていますが、近い将来、昆虫食がスタンダードになるかもしれません。

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アメカジ目線の中国攻略法 「ファインクリークレザーズ」の場合

 “近くて遠い”“知ってるつもり”とは中国を形容するのに最適な言葉だろう。多くのファッション企業が挑戦し、夢破れている。一方で規模は小さくとも大きな成果を上げるブランドもある。馬革のみを使って東京で自社縫製するレザージャケット専業ブランド「ファインクリークレザーズ(FINE CREEK LEATHERS)」もその一つだ。武骨なモノ作りが中国のコアなファンに受け入れられ、現在は9都市11店舗で販売している。半期の一度、それらの都市に足を運び「現地を体感する」という山﨑佳克代表兼デザイナーに、アメカジ目線の中国攻略法について聞いた。

WWD:中国展開はブランドデビュー当初からだと聞いた。きっかけは?

山﨑佳克「ファインクリークレザーズ」代表兼デザイナー(以下、山﨑):独立前に携わっていたブランド「ハイラージレザーズ(HIGH LARGE LEATHERS)」のレザージャケットを、中国人俳優がある受賞式で着用したことを機に中国展開したことがあり、それが下地になった。僕が独立することを聞いた現地のショップから問い合わせがあった。

WWD:初めての訪中はいつ?

山崎:ブランドを立ち上げた2017年だ。

WWD:協力者は?

山崎:台湾人ディストリビューターから打診があり、彼から現在のパートナーである日本人を紹介してもらった。

WWD:パートナーと最初に行ったことは?

山崎:一緒に上海や北京などの主要卸先を周った。コロナで渡航を制限されるまで半期に一度繰り返し、オーナーに直接会って「どんな商品が欲しいのか?」などリアルな声を聞いた。「ファインクリークレザーズ」はこだわりが強く、日産はわずか3枚。多くのリクエストをいただくが生産が追い付いていない状態で、そのため馬以外の革も扱う「ファインクリーク&コー(FINE CREEK & CO)」をプロモーションするために中国を訪れた。オーナーたちと話をするうちに、「ファインクリーク&コー」の商品が彼らの要望を満たすことが分かり取り引きが成立。結果として、売り上げが前年比7倍となった。

WWD:売り上げにおける海外シェアは?

山崎:構成比は日本4、アメリカ3、中国3で、どこかの国・地域が突出しないようバランスを取っている。

WWD:コロナによる影響は?

山崎:われわれが作るレザージャケットなどは不要不急の極みだと思うが、数字は落としていない。完全なネット社会である中国では“まったく影響を受けなかった”。卸先、エンドユーザーともにネットを通じて売れ続けた。さらに現地のロックダウン解除後は、押さえ付けられた消費欲を発散させる意味合いもあるのか、中庸なものよりレザージャケットのような特化型商品を求める声が高まっていると感じる。

WWD:中国人ショップオーナーの印象について教えてほしい。

山崎:まず圧倒的に若い。平均年齢は32歳前後だろうが、学生時代や20代前半でショップを立ち上げており、すでに10年以上のキャリアを持つ。自己顕示欲が高く、敬われたいという願望も強い。日本人が誤解しがちな点だと思うが、中国人は日本人以上にスタイルが良く、服のこともきちんと理解して着こなしている印象だ。その筆頭で、インフルエンサー的なポジションも務めるのがショップオーナーたちだ。新作も、入荷したらまずはオーナーが着てSNSにアップする。ウェイボー(Weibo)やウィーチャット(WeChat)のグループ内でリーダー的存在となり、そこで情報発信することでフォロワーを店に集める図式だ。

WWD:「ファインクリークレザーズ」の中国におけるSNS戦略は?

山崎:ウェイボーのアカウントを持っていて、日本から発信している。ネット検索すれば、アカウントの作り方はすぐに分かるからトライしてほしい。一方で、現在主流となっているウィーチャットもアカウント開設は簡単だが、問い合わせが多くあるのでそれに対応しなくてはならない。かつてのミクシィ(mixi)のような雰囲気で、“勝手に応援団”的なブランド紹介記事も掲載され、“偏差値が高い”空間でのやり取りになるからディスカッションできる程度の語学力、もしくはそれに長けた協力者が必要だ。

WWD:中国はEC優位だと思うが、実店舗の意味合いは?

山崎:実店舗オーナーの多くも、まずはECからスタートする。そこで資金を得て、実店舗を作る流れだ。面白いのはECと実店舗で名前を変えていること。理由を聞いたのだが、実店舗は隠れ家サロンのような位置付けであり、“知る人ぞ知る”でいいということだと思う。そして金儲けの場ではないから、良質なコミュニティーが形成される。実店舗はステータスであり、だから店作りには惜しみなく投資する。客が来店した際に“恭しく2階から下りてくるオーナー”を演出したいという理由だけで、わざわざ2階を作るなんて例もある。もちろん雇うスタッフもルックスや語学力を重視する。

WWD:実店舗作りにおいて、彼らがほかに注意している点は?

山崎:前述の通り中国はネット社会なので、店をどのエリアに作るかは問題視していない。実際、上海の店にウイグル在住の客から注文が入ることも日常的だ。コロナの影響で、日本でもEC化が急速に進んだ。アパレルの場合“表参道なのか?”“それとも銀座か?”と出店地を気にするが、オンライン上では杞憂だ。このあたりは先行する中国に学ぶべき点も多いはず。また中国のショップからは、「うちにしかないものを作ってほしい」とリクエストを受ける。スマホ一つで無数の情報にアクセスできる中、独自性が重要になっている。

WWD:中国人は直接的にビジネスをしたがると聞いた。

山崎:確かにそういうショップオーナーもいる。自分の店だけで専売して、さらに進んで代理店化したいというタイプもいるから、直接取引をしたくないのであれば、こちらから「距離感を持って取引したい」と制すること大事。交渉次第だと思う。一方で「代理店を通したい」という店もあり、これらも現地で直接彼らと話してみるまでは分からなかったことだ。

WWD:代理店を通したい理由は?

山崎:はっきりとは答えなかったが、金額面で代理店を通す方にメリットがあるのだろう。

WWD:これから中国でビジネスしようという企業・ブランドにアドバイスがあれば聞きたい。

山崎:大前提として、現地を自分の目で確かめること。次に、自分のビジネスの規模を理解し、それをどのレベルにまで成長させたいのか目標を明確にすること。

WWD:「ファインクリークレザーズ」が実践したことを踏まえ、もう少し具体的に教えてほしい。

山崎:中国で買ってくれた客に「どこでブランドを知ったのか?」、ECの場合「どこから流入してきたのか?」と尋ねることから始めた。シンプルな質問であれば、ほとんどの人が答えてくれる。言葉が分からなければグーグル(GOOGLE)の翻訳機能を使えばいいし、一歩踏み出すことが重要だ。「直接買いたい」とアクセスしてきてくれた個人客には「ほかにどんな店で買い物するのか?」と質問し、教えてもらったショップのホームページをチェックする。取り扱いブランドや年商を調べ、次回の営業活動に役立てている。こういった地道なフィールドワークも大事だが、情報を多数持つディストリビューターと契約することも一つの手。支払い面などでも、間に入ってもらった方がスムーズになるケースも多い。ただし、ディストリビューターに任せきりにしないこと。少しきつい言い方になるが、ブランドの価値を下げられて消耗品のように扱われることもあるから、あくまでブランド側でコントロールしなくてはいけない。

WWD:コロナ収束後に訪れてみたい都市は?

山崎:広州や深圳。また20年末に重慶に1つ卸先ができたので訪れてみたい。

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新手のブーツインはスラックスやゆる系パンツで! 着やせと引き締め効果にも期待

 この冬、本格的に着用率が高まってきたロングブーツ。防寒とおしゃれをダブルでかなえてくれる重宝アイテムです。以前「大本命ロングブーツの迎え方!」で紹介したように、フェミニンなスカートと合わせるスタイリングが広く支持されていますが、さらに一歩踏み込んだ着こなしと言えるのが、スーツをばらしたようなスラックスや、ゆったりした量感のパンツを使ったブーツインです。これまで一般的だった細身パンツに代わる新しいコーディネートです。

 メンズルックで見かけるようなスタイリングが、ウィメンズでもスリリングなアレンジを好むファッショニスタの間でじわじわと広がってきました。目新しいところでは、ゴツめのコンバットブーツやエンジニア風ブーツとの相性を試す動きが出ています。メンズ風パンツとロングブーツの組み合わせには、意外なケミストリーがありました。

ワーク系パンツをブーツイン たっぷりの量感で着やせ効果も

 1枚目は、シャツ×パンツのワーク系セットアップで、パンツの裾をロングブーツにインしたスタイル。オーバーサイズのスリーブレスジャケットを重ねて、タフに見えすぎないようなさじ加減にしています。爪先のとがったポインテッドトーと細いヒールでたおやかさとシャープな印象も引き出しました。パンツのゆとりとブーツのタイト具合の“落差”が着やせ効果を発揮しています。

 2枚目の写真は、ベージュのスラックス風パンツを、クリーム色のロングブーツに収めました。“きちんと感”が漂うセンタープレスのパンツに軽やかなライトアウターを重ね、羽織り物のゆるっとしたシルエットが程よい抜け感をまとわせています。ロングアウターを重ねることで、レッグラインをぼかしてくれる相乗効果も期待できます。

白パンツでさわやかさをアピール 全体をクールに引き締めて

 冬の装いはダークカラーが多くなりがちなだけに、白パンツを投入すれば、さわやかさが引き立ちます。きれいめに見えるので、大人世代にも人気です。白パンツとロングブーツを合わせれば、白の清らかさが一段と引き立ちます。

 これまでの細身パンツのブーツインでは、足全体に細さを印象づけるテクニックが基本でした。でも、たっぷりしたシルエットのパンツでは、膝上あたりを少したるませて、履き口にボリュームをこしらえるのがポイント。ムートンアウターでリラックスした雰囲気を帯びながらも、全体がクールに決まりました。

 2枚目の写真のボトムスは、ルームウエア風の楽ちんニットパンツ。ところが、パイソン柄のロングブーツを合わせると、このようにスパイシーでキリッと引き締まります。部屋着のまま外に出るときに使える着こなし術です。ハイネックとアウターも白でそろえて、コージーな雰囲気に。アクセントの赤バッグとパイソン柄のブーツの存在感を強調しています。

パンツスーツの堅さをオフ “はずし”技でデイリー仕様に

 パンツスーツは2020-21年秋冬シーズンのトレンドアイテムでしたが、パンツの裾をロングブーツにインすると、まとまりすぎのイメージを崩す効果が生まれます。おしゃれ上級者が好んで用いる“はずし”技です。目の覚めるようなブルースーツの正統派スタイリングにコンバットブーツを合わせることで、あえて違和感を持ち込みました。トップスも黒でタイトに見せつつ、ブーツと色を合わせました。同系色のブルーのバッグでさらに統一感を出して、スーツのカッチリとしたイメージを崩す巧みなアレンジです。

 2枚目の写真左側のパンツスーツがかしこまって見えないのは、パンツをインした白ロングブーツのおかげ。トップスもそろったスリーピースの装いは、全身をワントーンで整えたいときに便利なトレンドアイテムです。目を引く白ブーツとのコンビネーションは、スリーピースの“かっちり感”を薄めて、代わりにエレガントさを添えてくれます。

 これまでのブーツインは、細身のパンツが主流でしたが、ゆるめのパンツやスラックスとロングブーツを合わせれば、ブーツ主体で“ジェンダーぼかし”コーデを組み立てることができます。色や柄のバリエーションが一段と広がっているだけに、ブーツが主役のコーデを生かして、手持ちの服から別の表情を引き出しやすくなってきました。着やせ効果やムードずらしなどのメリットもあり、ブーツルックのバリエーションをさらに広げられそうです。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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“絶対セールをしない”化粧品ブランドが続々とアウトレットに出店 化粧品の廃棄ロスはどう減らす? エディターズレター(2020年11月27日配信分)

※この記事は2020年11月27日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

“絶対セールをしない”化粧品ブランドが続々とアウトレットに出店 化粧品の廃棄ロスはどう減らす?

 最近、ビューティブランドのアウトレット出店が目立ちます。コスメキッチンが御殿場アウトレットに出店を発表したほか、ロート製薬やロレアルはアスクルのロハコと提携し、小売店からの返品製品をアウトレット価格で販売しています。また以前からエスティ ローダーやロレアル、ボタニストもアウトレット業態をかかえ、プラザもアウトレット店でコスメを売っています。

 ようやく、ビューティブランドもアウトレットに前向きになった印象です。ご存知の通り化粧品は基本的にセールをしないスタンスを貫き通してきました。スキンケアなどの定番品が多い化粧品はシーズンごとに製品が全て入れ替わるわけではないため、“売り切り”という概念があまりなく、さらに値引きしてしまうと定価で売れないという懸念があるのは十分理解できます。ただ、ファッションと違って化粧品には消費期限があります。化粧品のほとんどは、未開封で3年の品質が確保されて設計されており(それを満たさない場合は消費期限を明記する必要がある)、店頭には消費期限まで1年を切った製品は返品・廃棄されることが多いそうです。

 先日ロート製薬の方を取材した際、「箱も中身も綺麗に保管されている完璧な製品が返品され、大量に処分されていく姿を見るのが、汗水流しながら作ったメーカーとして胸が痛む思いだった」とおっしゃっていたのが印象的でした。だから少しでも廃棄ロスをなくすために、返品された製品でも品質の安全が確保できるものは、ロハコのアウトレットに卸すことを決めたそうです。それを聞いた時、「素晴らしい!」と、心の底から思いました。

 ファッションは、某ラグジュアリーブランドが製品を大量に償却処分して炎上したり、一部のファストファッションブランドも問題になったりしますが、化粧品も大量に廃棄されていることにはなかなか注目が集まらないような気がします。なぜでしょう?また、食品の廃棄ロスがメディアでも何度も取り上げられ、大きな社会問題になっていますよね。食品まで消費期限は短くなくとも、“生モノ”であることには違いがありません。となると、化粧品も廃棄ロスは大きな問題だと思いませんか?

 アウトレットに出すとブランドイメージが下がる、定価で買ってくれなくなる、そんな心配もあるのは分かりますが、今の消費者はむしろ肯定的に捉えるのではないでしょうか?海外ではエスティ ローダーがノードストロムのオフプライス業態「ノーダストロム ラック」に製品を卸したり、多くのビューティブランドがオフプライスストアやアウトレットに出店しています。だからといって消費者はセフォラや百貨店で買わなくなっているわけではありません。定価で買う人は定価で買いますし、アウトレットに出したからイメージが崩れるとも思いません。これまで頑なに値引きをしない、アウトレットに出さないスタンスが多かった化粧品ブランドですが、少しでも廃棄ロスを減らせるならアウトレットへの進出はとてもポジティブなニュースなのではないでしょうか?

#MILLENIALMIND:ミレニアル世代の記者が、普段の取材や、日頃から気になっているファッション&ビューティのニュースやトピックスをピックアップします。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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メラニア・トランプ前米大統領夫人のスタイリストが明かす 4年間の思い出あれこれ

 長年にわたり「キャロリーナ ヘレラ(CAROLINA HERRERA)」のクリエイティブ・ディレクターを務めた後、メラニア・トランプ(Melania Trump)前米大統領夫人のスタイリストを担ったエルヴェ・ピエール(Herve Pierre)にインタビューを実施した。ピエールはヒートアップした米大統領選をはじめとする政治的な話題には一切言及せず、純粋なスタイリストとしての経験を熱心に語った。

 初仕事はトランプ前大統領の就任式で着用するドレスのデザインだった。「夫人と初めて会った4日後にドレスのデザインを依頼された。納品まで12日ほどしかなく、細かい要望は教えてもらえなかったために完全に手探りの状態で制作した」。

 4年間を振り返り、「ファーストレディーのスタイリストは予想外だったが、とても光栄だった。大統領夫人のスタイリストはジェームズ・ボンド(James Bond)のようにとてもミステリアスで秘密主義的な役割だ。スタイリストはメディアがまだ知らない州訪問の予定なども把握しているから、情報を漏らさないことが重要だ。常に訪問先の文化や国に適した衣装を選ぶことを心がけていたし、それが難しい場合にはTPOに見合う服装や見栄えのよさに気を遣っていた」と語った。

 スタイリストの経験がデザイナーの仕事にどのような影響を与えたかを問うと、「トランプ政権でのスタイリスト経験とデザイナーの仕事は分けて考えてきた。18年にパンタナーのニコラ・カイト(Nicolas Caito)と『アトリエ カイト フォー エルヴェ ピエール(Atelier Caito for Herve Pierre)』も立ち上げたこともあり、なおさらだ」と、明確なコメントは避けるにとどまった。

 またピエールは、政治的な思想とファッションを別個に考える姿勢を絶賛してもいる。「前ファースト・レディーのミシェル・オバマ(Michelle Obama)は14年に、当時のフランソワ・オランド(Francois Hollande)仏大統領との夕食会で私がデザインした『キャロリーナ へレラ』のドレスを着用した。政治的なメッセージをドレスで表現することもあるとは思うが、コレクションやブランドの場合はどうだろうか?例えばマイケル・コースは、カマラ・ハリス(Kamala Harris)副大統領が米『ヴォーグ(VOGUE)』2月号のデジタル版の表紙で着用したパウダーブルーのスーツをデザインしているが、メラニア夫人も『マイケル・コース(MICHAEL KORS)』が好きで何度も着用している。米『WWD』の読者にも民主党支持者と共和党支持者の両方がいるだろう。結局のところ、読者が求めているのは情報やリポートであって、“特定のブランドを買わないように”などと言うことはできないだろう?それは私たちも同じだ」と語った。

ファーストレディーのスタイリストの心得とは?

 後任のスタイリストには“有意義な”情報を提供したいと話すピエールは、「大統領夫人とはいえ、華やかな日もあれば通院の日もある。単にセミフォーマルやカクテルパーティー向けの衣装を探せばいいというわけではない。ファースト・レディーのワードローブは多岐に渡る。とてもクリエイティブな仕事だ。デザイナーの私にとってスタイリングは未知の領域であったため、その都度学びが必要だった。メラニア夫人に『私はスタイリストではない』と伝えると彼女は、『私もファーストレディーじゃないわ。これから一緒に学んでいきましょう』と言ったんだ」と回想した。

 また、大統領夫人のスタイリストは時に間違いを犯すこともあるという。「ジル・バイデン(Jill Biden)米大統領夫人のスタイリストは、彼女がスピーチをする際に『背景は何色ですか?』と聞かなければならないだろう。ドレスが綺麗なだけでは不十分で、カメラ越しの美しさも考慮する必要がある。公人の写真は永遠に残るため、写真映りをよくすることが重要だ。この件に関して、私は毎回上出来だったとは言えない」とコメントした。

 衣装選びはメラニア夫人と一緒に行っていたといい、「夫人のセンスはとても素晴らしい。日頃からさまざまな服装のカメラ映りについて話し合っていた。写真はインスタグラムなどで一人歩きするため、とても大事なことだ」と語った。

 メラニア夫人は普段は「マイケル・コース」や「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」、重要なシーンでは「ディオール(DIOR)」「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」といったブランドを着用していた。

 メラニア夫人といえば、2018年にテキサス州の移民児童収容施設を訪問した際に、「私は全然気にしないけど、あなたは?(I really don’t care, do u?)」の文字がプリントされた「ザラ(ZARA)」の39.99ドル(約4100円)のジャケットを着用して公の場に姿を現したことで大きな波紋を呼んだ。不法移民に対するトランプ政権の強硬策で親と引き離された子どもたちがいたこともあり、こうした夫人の行動は大々的な批判を浴びたが、スタイリストのピエールはこの件に関しては無関係であったという。「最初に見た時はフォトショップで加工されたものかと思った」。

 インスタグラム(INSTAGRAM)上での政治への関心は、オバマ政権下で勢いを増した。トランプ政権下でもその勢いが衰えることはなく、こうした状況はジル夫人と彼女のスタイリストに引き継がれることになる。ピエールはこの4年間で議論されてきた問題についてのコメントは拒否しながらも、「新しいスタイリストは民族性や象徴性、人びとが特定のスタイルをどのように受け取るか、などについて慎重に検討する必要があることを知っておくべきだ」とコメントした。

 またピエールは、19年にバッキンガム宮殿で行われたエリザベス女王(Queen Elizabeth II)主催の晩餐会でメラニア夫人が着用した「ディオール」の白いノースリーブのドレスなど、公式の場で着用された衣装を適切に整理して保管するための手伝いも行った。保存にあたってのボックスやガイドラインはスミソニアン博物館が提供したという。

 メラニア夫人のライフスタイルはこれから大きく変わることになるが、ピエールは今後も夫人と仕事をしつつ、「アトリエ カイト フォー エルヴェ ピエール」でもフルタイムで働く予定だという。

 ピエールは政治的な話題にこそ触れなかったが、お気に入りのルックをたずねると、「ネイビーのアクセントが印象的な『ドルチェ&ガッバーナ』の白いドレスに、私がデザインした白い大きなつば付きハットを着用した夫人はとても美しかった」とコメントした。

 また、17年の就任式で着用した「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」のパウダーブルーのカスタムスーツや、11月の大統領選で着用した「グッチ(GUCCI)」のプリントドレスに小さなケリーバッグを合わせたスタイルも非常にシックであったし、最後の演説で着用した「ドルチェ&ガッバーナ」のスーツは、暴力を糾弾し、自身の考えを述べる場に相応しいものであったと述懐する。

 ソーシャルメディアで反発が起きた際の対処法については、「私はもう50歳を超えているから、ツイッター(TWITTER)もフェイズブック(FACEBOOK)もやっていない。SNSにとらわれて心配したり、時間を無駄にすることもないから大いに助かっている。私が利用しているのはインスタグラムだけで、9月以降は投稿していない。正直なところ、SNSがあまり得意ではないんだ。誰かから『ツイッターがあなたの話題で持ちきりだ』と言われても、『そうか(笑)』と返して終わりさ」と語った。

 スタイリスト就任当初にケネディ政権下でホワイトハウス報道官を務めたピエール・サリンジャー(Pierre Salinger)の回顧録を読んだという。自身の体験について出版の予定があるかを尋ねると、「今のところ予定はない。もしかしたらいつか、80歳になった頃に書くかもしれないがね」と笑いながら答えた。

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豪華な衣装が話題のネトフリドラマ「ブリジャートン家」 登場人物が21年春夏コレクションを着るとしたら?

 ネットフリックス(NETFLIX)の人気時代ドラマ「ブリジャートン家(Bridgerton)」が、ファンタジックで豪華な衣装も話題となり大ヒットを記録している。

 「ブリジャートン家」の衣装は238人の職人によって特注で製作されており、21年春夏シーズンのトレンドが衣装にも反映されている。同シーズンでは多くのブランドがチュールや花柄、重厚な装飾を施すなどしたロマンチックで華やかなコレクションを発表しており、1813年が舞台の「ブリジャートン家」のお洒落な登場人物たちにもぴったりな雰囲気がある。

 そこで今回は「ブリジャートン家」の人びとが21年春夏プレタポルテ・コレクションを着るとしたら?と、勝手にベストルックを選んでみた。着用すれば、現代の「ブリジャートン家」になれるかも?

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ウィズコロナで進化する幸せ産業 「オン」が開始した100%リサイクル可能なシューズのサブスクって?

 2021年のキーワードは「共感」「共存」「共栄」になると思っている。所有する代わりに一定額を払って最新モデルをリースできる服やバッグのサブスクリプションサービスはすでにあったが、このコロナ禍で無制限に利用できる動画配信や雑誌購読、自由に受講できるオンラインレッスンのヨガなどのサブスクは急増した。在宅時間が増えたことで需要が高まったのだろう。

 月額1000円で毎日1個、好きな味のマカロンを選べるという「ダロワイヨ(DALLOYAU)」のサブスク「マイ マカ(MY MACA)」にもはっとした。お得という以上に日々の小さな幸せと、その都度の支払いが不要という気軽さがうれしい。体重を気にしなければ、すぐにでも申し込みたいくらいだ。ドリンクが飲み放題になるサブスクを導入した飲食店も増えている。客はなじみの店を応援する気分になれ、店にとっては一定の顧客をキープできるメリットがある。

 そんな中、ランニング業界初のシューズのサブスクも登場した。しかもそのシューズは機能に優れているだけでなく、100%リサイクル可能だというのだ。スイスのスポーツブランド「オン(ON)」が開発した持続可能なモデル“サイクロン(CYCLON)”が1カ月3380円で継続的に送られるサービスで、履きつぶしたシューズは焼却されず、常に循環していく。新しいシューズが届いたその箱で今まで履いたものを返却すると、その素材を使った新たな1足が製造され、誰かへと発送される。このモデルは常に自分の傍らにあるけれど、永遠に所有することはできないシューズなのだ。

 ランニングシューズ“サイクロン”は種子が食用油として活用されているトウゴマから得たバイオベース素材で、ソールは軽量かつ耐久性に優れている。幾何学模様の編み目のあるアッパー素材はオーガニックな無染色。かつ一枚の生地で作られているため縫製にも無駄がない。柔軟性や通気性など、ランニングシューズとしての機能性はもちろん、シンプルを極めた無駄のないデザインもまた、コーディネート自在でタウンユースしやすい。

 さらには「オン」は既存の流通が抱える問題にも挑んでいる。製造技術だけでなく流通でもサステナブルな循環を目指し、このサブスクでは基準を満たすまでは配送されないこともあると明記している。シューズの製造過程で発生する二酸化炭素(CO2)総排出量の2~5%が配送過程にあることから、最小需要量を満たす地域のみに発送し、コンテナの中にシューズが数足のみという事態を避ける。つまり、一定の需要がないと発送しないという選択に踏み切った。自分たちが住むエリアに賛同者が集まらないとスムーズな配送は見込めないのだ。

 かつ、21年秋のサブスクサービスのスタートに向けて、賛同者には進捗がシェアされる。このサービスを利用する人は消費者ではなく、このプロジェクトを共に推進させる協働者となる。サイトを見るとその迫力あるメッセージに、「共に改革を起こそうぞ!」という気概のようなものを感じる。

 2010年に「ランニングの世界を変える」という大きな目標を掲げ、スイス・チューリヒの一角でスタートしたスポーツブランド「オン」は、その成長も革新的だった。トップアスリートやエンジニア、それぞれの視点をもつ3人の共同創業者により開発されたシューズはトライアスリートやトレイルランナーなど、ハードな競技に挑むアスリートに支持され、16年のリオ五輪ではトライアスロン女子銀メダリストが着用。10年後の今では55カ国を超えるエリアで、700万人以上のランナーに愛されている。20年にはテニス選手、ロジャー・フェデラー(Roger Federer)も新製品の開発に参画した。

 15年にオン・ジャパンが設立され、ランナー仲間の間で浸透し始めたとき、私自身は、すぐにでも走り出せ、街でも浮かないモデル“クラウド(CLOUD)”をヘビロテするようになった。ブランドマークが目立つシューズしかなかった当時、全てブラックで統一し、小さな「オン」のロゴマークと5ミリ角くらいの小さなスイスの国旗だけが入ったミニマルなデザインは画期的だったのだ。

 裸足のような感覚で足の裏を自在に動かせる「オン」の“クラウド”は、なぜか空手や総合格闘技など格闘系アスリートにも支持されている。体と向き合う機会の多い層に響くのだろう。ちなみに駒田博紀オン・ジャパン代表もアイアンマンレースを完走するトライアスリートであり空手家だ。

 「共感」し、つながっていないけれど、緩やかにつながる誰かと「共存」し、共に「共栄」を目指す。リサイクル可能な循環を築く“サイクロン”のサブスクはそんなコミュニティーとなるのだろう。履くとスイッチが入るようなシューズ、というブランド名のごとく、共に一歩踏み出すことで、新しい世界へのスイッチが「オン」になることを願ってやまない。

間庭典子(まにわ・のりこ)/フリーライター:婦人画報社(現ハースト婦人画報社)を退社後、ニューヨークへ渡る。現在は東京を拠点に各メディアに旅、グルメ、インテリア、ウエルネスなど幅広いテーマで執筆。著書に「ホントに美味しいNY10ドルグルメ」「走れば人生見えてくる」(共に講談社)など

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「LV」や「オム プリッセ」、国内ショー初開催の「カラー」まで常連ブランドに感動 編集長&若手記者2人のパリメンズ10選

川井康平「WWDJAPAN.com」記者(以下、川井):ミラノ・メンズ・ファッション・ウィークに続き、パリメンズがスタートしました。70以上のブランドが新作を発表します。今回は、2、3日目の厳選10ブランドを振り返ります。僕は、初めての対談です。お手柔らかにお願い致します。

村上要「WWDJAPAN.com」編集長(以下、村上):川井さん、ようこそ!!リアルにパリメンズを取材していた時は、旅費などの都合もあって2人体制でした。それがデジタルシフトして前回は4人、そして今回は川井さんも加わって5人。着実に広がっていますね。みんなが参加できるのは、改めてデジタルの魅力なんだと感じます。

式典のような豪華な演出

川井:台湾人デザイナーのアンガス・チャンが2015年に開始したブランド「アンガス チャン(ANGUS CHIANG)」は、映画祭のようにファンやメディアが取り囲むレッドカーペットを舞台にショーを開催。それをデジタル配信しましたね。モデルは台湾の俳優やアーティストで、イベント感満載でした。中国語は分かりませんが、インタビュアーはセレブにルックの感想を聞いていたのでしょうか。計30分は、ちょっと長かったですね(笑)。

村上:確かに言葉の壁は大きかったけれど、アイデア賞!ってカンジ。もちろん英語の字幕があればベターでしたが、僕は案外、楽しく見続けることができました。映画祭の華やかさはファッションにも通じるし、「台湾では、こんな芸能人が活躍しているんだ」っていう発見も面白かった。とはいえ、舞台をレッドカーペットに設定しちゃうと、メンズはスーツ、ウィメンズはドレスばかりになっちゃうね。いつもはパーカやショートパンツ、スニーカーとかいっぱい出てくるのに(笑)。ネオンカラーのピカピカスーツにパールを加えたアクセサリー一辺倒になっちゃったのは、勿体無い。フィナーレに登場したデザイナーはGジャンにデニムだったけど、レッドカーペットの上でも違和感ありませんでした。音楽関係のセレブには、カジュアルウエアを着せちゃえばよかったのに。

デザイナー本人によるコレクション解説

川井:ジョナサン・アンダーソン本人がコレクションを手に取り、解説してくれました。デザイナー本人がインスピレーション源やディテール、新型コロナウイルスが世界的に蔓延している中での制作過程など、なかなか知る機会がないことを話してくれるのは嬉しいですね。ファッションフォトグラファーのユルゲン・テラー(Juergen Teller )が撮影した写真をポスターにしているのも印象的でした。

村上:ジェンダーの境界はほとんど消滅、タイムレスなジャケットやコートも増え、ジョナサンが目指す「普遍的なアイテムを、いろんな人間が着ることで、個性を表現する」というゴールに近づいている印象です。大昔、ロンドンメンズで“ちょうちんブルマー”のメンズを見た時は、衝撃的すぎて記憶に深く深く刻み込んだけれど、21-22年秋冬でパフスリーブのコットンジャージードレスを着たメンズモデルを見ても驚かなくなっている(笑)。自分の感覚も大きく変化しているんだな、って思いました。気になったキーワードは、「Reinforce Wardrobe」。直訳すれば「ワードローブを豊かにする」って意味かな?「自分の手持ちに最新コレクションを加えて、少しずつ自分らしいワードローブを作る」という感覚は、サステナブルという価値観が台頭する今、すごく共感できます。「ちょっとだけイマドキ」な洋服をプラスし続ける消費、は、今シーズンのキーワードになりそうです。

世界を目指す意気込みとエネルギーを体現

川井:「ヨシオ クボ(YOSHIO KUBO)」は、日本文化の美的理念の1つ“幽玄”がテーマでした。ショー会場は、国会議事堂など、日本を象徴する建築物の家具や室内装飾を手掛ける三越製作所。ファーストルックを飾ったモデルはTikTokで人気に火が付いた19歳の大平修蔵さんですね。ちなみに現在、フォロワーは300万人を超えています。音楽はDJのリカックス(Licaxxx)が手掛けていて、日本のブランドが世界を目指す意気込みやエネルギーを感じました。

村上:着物風なパターンで侘び寂びさえ感じさせるウエアと、リカックスさんの打ち込み系テクノ、モノづくりの現場という融合が「ヨシオ クボ」っぽいですね。トレンチコートの後ろに「MODERNITYSTIC&BLENDING YUGEN」っていうメッセージがありました。「幽玄にこだわりつつ、融合するのがモダニティ」って意味でしょうか?作務衣風のアウターをナイロンポケットや止水ファスナーなどでアップデートするなど、言葉通り、良さを活かしつつ少しだけ手を加えて今の時代に馴染むものに仕上げるというのは、三越製作所などが行ってきたモノづくりの理想形ですね。

「強さ」が滲み出るプリーツウエア

川井:個人的に「オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE)」は大好きなブランドですが、ルックはもちろん、映像も素晴らしかったです。冒頭に登場するプリーツ加工マシンの機械音をBGMにモノトーンのルックが交錯しながら歩いたり、躍動感たっぷりに踊りだったり、空気を含ませるとアイテムが映えますね。「Never Change, Ever Change(変わらないもの、変わるもの)」のテーマ通り、クラシックな装いの中に、プリーツ加工の短めのベストやジャケットなどひねりのあるアイテムを加えており、めちゃくちゃタイプでした。

村上:側から見る限り「この子のワードローブは、4割くらい『オム プリッセ』なんじゃないか?」と思わずにはいられない川井さんとしては、随分あっさりまとめましたね(笑)。もっと愛を語れば良いのに。簡潔にまとめるのが「オム プリッセ」らしいとも言えるけれど(笑)。「Never Change, Ever Change」というテーマは、プリーツそのもののハナシなんじゃないか?って思いました。あらゆる意味で機能的だからプリーツを探求する姿勢は「Never Change」だけれど、プリーツの入れ方とかは「Ever Change」みたいな。最近は全面プリーツ、じゃないアイテムも増えているしね。パリでのリアルの頃から、「オム プリッセ」の得意技と言えばカラフルなプリーツウエアをまとったモデルが表現する躍動感でしたが、今シーズンは見せ方を大きく変えてきましたね。「ポップ」な印象は薄れたけれど、「強さ」が滲みます。正直、洋服自体はそんなに大変身したワケじゃないのにね。改めて「オム プリッセ」やプリーツウエアの多面性を感じました。この服、本当に誰もが、自分らしく着られますよね。余談ですが、月刊誌「WWDビューティ」の2020年10月号の表紙を飾ってくれた「レコ」の内田聡一郎さんが、撮影の時「オム プリッセ」を着ていたんです。ご本人のほんわかした雰囲気とすごくマッチしていたのが印象的でした。なんとなく若い世代は、川井さんのように「オム プリッセ」のミニマルな感じを引き出すコーディネートが多い印象だったので、さすが内田さんって思ったのです。川井さんもたまには、モノトーン以外の「オム プリッセ」に挑戦すれば良いのに。

「コンバース」とのコラボスニーカー登場

川井:「リック・オウエンス(RICK OWENS)」は、ゴシックな会場と時折映る湖畔がダークかつリアルさを演出、さらにBGMのGOHSTMANE(ゴーストメイン)の“HELLRAP”が雰囲気を盛り上げていましたね。ルックの足元は「リック・オウエンス」のセカンドライン「ダークシャドウ(DRKSHDW)」と「コンバース(CONVERSE)」のコラボスニーカーが登場。「ダークシャドウ」だとキャンバススニーカーの“ラモーンズ (RAMONES)”が有名ですが、厚底にスクエアトーとトレンドの要素も取り入れた今作は、ブランドのファンではない僕も「欲しい!」と思いました。

村上:意地悪なくらい、横向きと背面しか見せてくれませんね(笑)。他のブランドは“ド正面”からクローズアップしてくれるのに、リック様のど正面ルックはまぁまぁ「引き」の画面で、何度か別のモデルに遮られてしまいます。でも、良きコレクションでした。いつも通りの迫力は損ねず、川井さんの欲しいモノリストに食い込んだスニーカーやサーマル風のニットタンク、リアルなレザー&ムートンと、ボリュームあるダウンは、みんなが「カッコいい」って感じそう。

民族衣装を取り入れて世界の文化を表現

川井:雪山でシンガーソングライターのソール・ウィリアムズ(Saul Williams)がまるで語り掛けるように、詩を朗読しながら歩いてくるシーンから始まった「ルイ・ヴィトン」。語勢は徐々に熱を帯び、それと同時に次々ルックが登場する演出でした。後半にはラッパーのヤシーンベイ(YASIIN BEY)が踊りながらラップを熱唱。音楽的視点で見てもただただ格好良くて、ドゥーラグを巻いたダンサーなどヒップホップの要素も強かったです。メゾンブランドのアプローチの手数や規模が顕著に表れますね。食い入るように見てしまいました。

村上:結構ギリギリまで「リアルショーを検討していた」と伝えられていますが、「構想数カ月」レベルの壮大な映像作品に仕上げましたね。規模感にも関わらずの、スピード感。さすがは「仕事が早い」、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)です。ここ数年、ヴァージルはフォーマルウエアを極めようとシフトチェンジしている印象ですが、今シーズンが一番スキかも。ドゥーラグを思わせるストール風リボンのハットやシンプルなスニーカーとのコーディネート、ちょっぴりキャッチーなストライプのシャツ&タイ、時折加えるプリーツスカートなど、王道のフォーマルにストリートの遊び心をちょっぴり加えた感じ。革命的な新しさではないけれど、誰もが頑張り過ぎずに楽しめる感じがします。2021年秋冬プレのテーマ、「ニューノーマル時代の適合性」を今シーズンも大切にしています。映像の主役が、クリアチェーン付きのモノグラムのトランクケースなのは、ヴァージルとメゾンの良好な関係を物語っているようでした。ショーピースでしょうがエンパイヤステートビルや凱旋門が“そのまんま”洋服になっていましたね(笑)。今シーズンの招待状は木製の飛行機で、それを収めた箱には「COCKPIT VOICE RECORDER」の言葉が記されていたのですが、納得です(笑)。こういうご時世だから着陸はできなかったかもしれないけれど、空から世界を一周して目に飛び込んでくる風景、湧き上がる感情をコレクションに詰め込んだのかな?チルデンニット風のファーのプルオーバーからデニムのセットアップ、カウボーイ風のゴツいベルトとウエスタンブーツ、サリーのように体に巻きつけたロングストールまで、今シーズンは世界の民族衣装的なスタイルも見え隠れしていました。個人的には、“モノグラム”の飛行機バッグに目が釘付けでした(笑)。

日常の中に感じる希望

川井:「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」はスマートフォンで視聴することを想定してか、縦長で動画を制作。動画自体はルックを見せるための動画内容はいたってシンプルでしたが、足元に溜まるワイドパンツやサックスブルーのオーバーサイズシャツ、ジャケットと同素材のニットのショート丈のパンツなど、アイテムの色味やレイヤードのバランス感がとても美しかったです。

村上:カメラがモデルを下からあおる場所に置かれていたせいか、全体のプロポーションバランスがちょっぴり分かりづらくて損している気がするね。その分、上半身のボリューム感と、ハイウエストパンツのスラッとした感じは印象に残ります。特に気に入ったのは、シャツかな。スエットを重ね着したシャツドレスや、スカーフをトロンプルイユしたオーバーサイズは、気負わずに楽しめそう。ドリスでは比較的珍しいパステルカラーのプルオーバーは、可愛らしい。背景は、朝から昼、夜に変わって、また朝を迎えてエンディング。こんな時代でも、新しい一日はやってくるのは変わらない。日常を感じさせつつ、希望も抱かせる、壮大ではないものの心地よいドリスらしい演出でした。

海洋問題をコレクションを通して発信

川井:「ボッター(BOTTER)」は今回、海洋問題に対する主張とカリブ海のサンゴ礁の保全活動からショーを始めました。ルアーを全体にあしらったコートや、フィッシングベストの要素を取り入れたジャケット、サンゴを模したネックレス、ブイ(浮き輪)のバッグなど随所に海に関するアイテムを盛り込んでいます。ファッション業界においてもサステナビリティは最重要課題の一つですが、コレクションを通じて社会問題を提起するのは、素晴らしい姿勢で姿勢ですよね。

村上:ルアー付きのジャケットは、なんだか“釣られちゃってる”感じで居心地が悪そうな気がします(苦笑)。それ以外を除くと、今シーズンは標榜していたクチュール的プレタポルテ感が薄れたかな?立ち位置の模索は続く、っていう感じかな?

初の国内ショーは持ち味を十二分に発揮

川井:「カラー(KOLOR)」がランウエイショーを行うのは、パリで開催した2017-18年秋冬コレクション以来、約4年振りです。今回のショーは日本国内での発表、しかも「カラー」にとって国内でのランウエイショーは初の試みです。僕はライブ配信を見ていましたが、かなりのルック数でした。要さんは現地でご覧になったんですよね?いかがでしたか?

村上:いやぁ〜、サイコー。今シーズンも欲しいものいっぱい(笑)。メンズは、生来の渋さと心地よさ、モード感が今シーズンもちょうど良いバランス。パリメンズでの発表会を展示会形式に改めた頃に“吹っ切れて、手に入れた”印象の迷いなきパッチワーク&ハイブリッドは今シーズンも潔く、ランウエイショーの迫力という意味ではパリメンズ時代より何倍もパワーアップしている印象です。ウィメンズなんか、ほとんど工作。DIYですよ(笑)。「阿部さんの頭の中は、こんな風にいろんなことが渦巻いているんだろうなぁ」なんて感じてしまいます。潔く、大胆な感じは、ここ数年の継続路線。だから去年や半年前の洋服も自然に加えることができそうです。ジョナサンが話していた「Reinforce Wardrobe」という言葉を思い出しました。来週の「カラー」の展示会で、僕も自分の「Reinforce Wardrobe」を考えたいと思います!

音楽的要素を感じるスタッズやベルト使い

川井:「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)は前回同様、モデルがランウエイを歩く様子をメインに、所々に商品説明の画像を差し込んだ映像でした。スタッズをあしらったレザージャケットやピタッとしたパンツ、たくさんのベルトを施したコートなど、どこか音楽的なムードを感じました。

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Whatからhowへのシフト エディターズレター(2020年11月12日配信分)

※この記事は2020年11月12日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

Whatからhowへのシフト

 今週発売の「WWDジャパン」に伴う、MUJI特集担当記者の座談会を面白く拝読しました。一番「そうだねぇ」と思ったのは、ビューティを担当する中村記者の「普段、化粧品の取材をする際は『商品開発にあたってどのようにマーケティングしたか』『どうトレンドを取り入れたか』『それをどう宣伝するか』といったことを聞きますが、今回の取材では『本当に生活に必要なものだから化粧水を開発しました』といった話で、取材がいつものように進まなかったんですよ」の箇所。コレMUJIに限らず、最近のブランドやクリエイターに下手な質問をすると返ってきてしまう「ありがちな答え」な気がしています。決してMUJIが特別ではありません。

 「必要だから、作った」。当たり前の話で、それ以上でも、それ以下でもありません。だから「なぜ、作ったんですか?」って聞いちゃうと、中村記者が戸惑うような答えになっちゃう。そこで私は最近、「なぜ、作ったんですか?」ではなく、「なぜ、必要だと思ったのですか?」「その意思は、モノづくりの中でどう反映を?」とか「その想いに共感してくれるのは、どんな人?」、そして「共感してもらうため、どう伝えている?」などを聞くようにしています。結果返ってくるのは、「なぜ作る?」や「どのようにマーケティング?」「どう宣伝?」と投げかけがちな我々が期待する回答に近づき、記事として、ちゃんと成立するんです。

 こんな時に大事なのは、「what(何を?)からhow(どうやって?)にシフトしているのかな?」と思います。そして、もし、このシフトが本当に進んでいるのだとしたら、「what」の事ばかり考えてきたファッション&ビューティ業界にとって大きなチャレンジです。もちろん「what」は大事。いや「what」が完璧だからこそ「how」の議論ができるとか、「how」を積み重ねたからこそ完璧な「what」が誕生するというワケですが、「how」ありきの「what」、もしくは「what」の背景にある「how」のコミュニケーションが大事です(この1文、難易度高いですねw)。「how」で共感してくれた消費者は、「what」を盲目的に信じる気もします。

 「how」へのシフトは、大変です。「what」なら伝え方はある程度画一的でOKかもしれませんが、「how」の伝え方はさまざま。相手によって、タイミングによって、メディアやチャネルによって、伝える人によって変わるでしょう。めんどくさいですねぇ(苦笑)。でも、楽しそうでもありますねぇ(笑)。1人で「how」の伝え方を数多く考えるのは、大変かもしれません。そう考えると、「how」の伝え方をたくさん考えるには、大勢が薄~く参画するチーム作りが望ましいのか?思考は、そんな組織論にさえ及んでいます。

SOCIAL & INFLUENTIAL:社会情勢によって変化するファッション&ビューティ業界を見つめます。インクルージョン(包摂性)&ダイバーシティー(多様性)な時代のファッション&ビューティから、社会に届けたい業界人のオピニオンまで。ジャーナリズムを重んじる「WWD JAPAN.com」ならではのメルマガです。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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おこもり美容で人気の“ボディーケア” 「アットコスメ」の口コミランキングTOP5から読み解くヒットの法則

 自宅で過ごす時間が増え、おこもり美容で“ボディーケア”にも力を入れる人が増えている。乾燥が厳しくなるこの季節、人気を集めたアイテムとは?今回、「アットコスメ(@COSME)の12月の口コミランキングから「ボディーケア」TOP5をお届け。さらに「アットコスメ」に寄せられたクチコミを篠田慶子アットコスメ編集長が解説。ボディーケアのヒットの法則を紹介する(集計期間:2020年12月1日~31日)。

-12月、「ボディーケア」に関連するキーワードで頻出したものは?

篠田慶子@cosme編集長(以下、篠田編集長):12月のボディーケアのクチコミで最も出現したのは「香り」。なかでも「香り-癒す」という表現が2019年より増加している。2020年は特にボディーケアに対して「香りで癒されること」が求められた。また、「手洗いとアルコール消毒が欠かせない生活で、例年よりも乾燥がひどい」というクチコミからも推察できるように、前年よりも「ハンドクリーム」の出現も増加傾向にある。ハンドクリーム塗布後にPCやスマホに触ったときのべたつきが気になる人も多く、「たっぷり塗ってもサッと溶け込むので、その後スマホやPCを触っても気になりません」といったクチコミが前年よりも増加した。
キーワード:【香り、香り-癒す、ハンドクリーム、アルコール、手洗い、スマホ-触る、PC-触る】

-「ボディーケア」以外で好調なアイテムは?

篠田編集長:「クチコミ総合ランキングでは、12月以降もスキンケアが好調。「@cosmeベストコスメアワード2020」で総合大賞を受賞した「ランコム」“ジェニフィック アドバンスト N”(30mL、10000円/50mL、1万4000円/115mL、2万5000円)をはじめ、TOP10のうち5~6アイテムはスキンケアが占めている。対して、リップやアイシャドウなどの色物は少ない印象だ。マスク生活が続くなか、スキンケアが重視される傾向が続いている。

2020年12月ボディーケア
「クチコミ」ランキング

1位「アユーラ(AYURA)」“メディテーションバスt”

 2020年10月にリニューアル発売され、「@cosmeベストコスメアワード2020 下半期入浴剤新人賞」を受賞したアイテム。「香りに癒される」「リラックスできる」と好評。デイリー用というよりも「自分へのご褒美に」といった声が目立ち、プレゼントとして贈ったり、受け取ったりというクチコミも多くみられる。

 12月は肌寒い季節であったことに加えて、コロナ禍で「おうち時間」が増えたこと、癒しを求める人が多くなったことが、ランキング1位の要因と考えられる。

2位「キュレル(CUREL)」“ディープモイスチャースプレー”

 2020年4月発売で、「@cosmeベストコスメアワード2020 上半期新作ベスト化粧水」第2位を受賞。「お風呂上りに全身にシューっとしている」というクチコミが多数寄せられた。逆さにしても使えるスプレーで、手が届きにくい背中まで手軽に保湿できる点が支持された。「しっかりケアをする前の、取り急ぎの保湿として重宝する」という声も多く見られた。発売以来ランキング上位をキープしている。

3位「ハウス オブ ローゼ(HOUSE OF ROSE)」“Oh! Baby ボディ スムーザー N”

 「@cosmeベストコスメアワード2015」で殿堂入りを果たした、ランキング常連の定番人気アイテム。「肌がすべすべになる」、「大容量でコスパがよい」といった意見も。ロングセラーで、リピート買いしている人が多いのも特徴。12月に開催された@cosme Beauty Dayではスパチュラ付きの限定キットが販売され、そのキットを購入した方のクチコミも多く見られた。

4位「ニベア(NIVEA)」“ニベアクリーム”

 「@cosmeベストコスメアワード2015」で殿堂入りを果たした、ランキング常連のアイテム。全身の保湿に惜しみなく使えるコスパの良さはもちろん、「昔からなじみがあり安心感がある」「他のブランドのアイテムを使ってみても最終的に戻ってきてしまう」といった声も目立つ。家族で愛用している、というクチコミも多数。

5位「バース(BIRTH)」“薬用BARTH中性重炭酸入浴剤”

 「@cosmeベストコスメアワード2020 ベスト入浴剤」第1位を受賞。「冷え性でも足先まで温まる」「お風呂上りもポカポカ感が続く」「入浴後はぐっすり眠れる」といった声が寄せられている。冷えが気になる季節になり、ランキング順位が上がっている。

 なお、「WWDジャパン」1月25日号の付録「WWDビューティ」1月号では、「アットコスメ ショッピング」の「ボディーケア」売り上げランキングを掲載している。ドラッグストア「トモズ」やバラエティーショップ「プラザ」の売り上げトップ5も必見だ。

小竹美沙:1984年生まれ。女性誌やウェブマガジンで、ナチュラル&オーガニック&サステナブルなコト、モノ、人びとについて取材&発信中。2009年から恵比寿のファッションスクールのオフィシャルライターとして広報資料のライティングにも携わる

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【動画】古着のプロが教える値上がり必至のアイテムとは?

 今回の出張インタビューのテーマは、“今買って、これから値上がり必至の古着アイテム”です。東京・高円寺と吉祥寺に6店舗を構える古着店「サファリ」の商品の中から、オーナーである村山佳人さんと古着系ユーチューバーのゆーみん&きうてぃがピックアップしてくれました。

 村山オーナーが「高いものには高い理由がある。だから買うべき」と言えば、きうてぃが「僕らの動画でもそれを啓蒙しているところです」と応えます。「バブアー(BARBOUR)」のレアモデルあり、1960年代製の英国海軍アウターあり、出演者一同「安っ!」と声をそろえてしまった70年代製の「ポロ ラルフ ローレン(POLO RALPH LAUREN)」のスーツあり。三者三様の推しアイテムに注目ください。

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【動画】古着のプロが教える値上がり必至のアイテムとは?

 今回の出張インタビューのテーマは、“今買って、これから値上がり必至の古着アイテム”です。東京・高円寺と吉祥寺に6店舗を構える古着店「サファリ」の商品の中から、オーナーである村山佳人さんと古着系ユーチューバーのゆーみん&きうてぃがピックアップしてくれました。

 村山オーナーが「高いものには高い理由がある。だから買うべき」と言えば、きうてぃが「僕らの動画でもそれを啓蒙しているところです」と応えます。「バブアー(BARBOUR)」のレアモデルあり、1960年代製の英国海軍アウターあり、出演者一同「安っ!」と声をそろえてしまった70年代製の「ポロ ラルフ ローレン(POLO RALPH LAUREN)」のスーツあり。三者三様の推しアイテムに注目ください。

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「サカイ」出身の「ナカガミ」が中目黒に初の直営店をオープン ブランドを支える“広島コミュニティー”とは?

 広島を拠点とするウィメンズブランドの「ナカガミ(NAKAGAMI)」は1月23日、東京・中目黒に初の直営路面店をオープンする。同ブランドを手掛ける中神一栄は元「サカイ(SACAI)」のパタンナーであり、それ以前はリクルートで営業職をしていた時期もあるという異色の経歴の持ち主だ。中目黒の店舗は中神と同郷の建築設計事務所、サポーズデザインオフィス(SUPPOSE DESIGN OFFICE、谷尻誠、吉田愛主宰、以下サポーズ)が手掛け、ガラスの箱を露出させたモダンなデザインは一見の価値あり。普通ならば財布のヒモを引き締めるコロナ禍真っ最中に出店を決めた経緯や、広島に拠点を置く理由、サポーズを始めとした“広島コミュニティー”とのつながりについて聞いた。

WWD:出店を決めたのは8月だったと聞いた。コロナの収束が見えない中での出店は、なかなかのチャレンジだ。
中神一栄「ナカガミ」デザイナー(以下、中神):元々、広島を拠点にしていても企画や生産面では困ることはありませんでした。ただ、“伝える”“見せる”という点は広島だとやっぱり難しい。広島と東京の2拠点でやれたらいいなとは以前から思っていたんです。そんな中でコロナが広がって、1拠点のままだとブランドの成長にブレーキがかかってしまうと思った。それで、かなり悩んだ末に東京にお店を出そうと決めたんです。とは言え、シリアスに思いつめたわけではありません。ダメだったらやめればいいじゃん!と思って(笑)。失敗しても困るのは自分。もちろん、巻き込んでいる人はいるのでそこは甘え過ぎないようにと思っていますが、「上手くいかなかったらどうしよう」といった不安はありません。

 緊急事態宣言の真っ最中に出店するというのも、ある意味私っぽい。展示会もいつも雨に降られるし、逆境じゃないと頑張れないタイプなのでちょうどいいのかも。何年後かに、「あのときは大変だった」と振り返ることができたらいいなと思っています。ここは店舗であると同時にプレスルームでもあります。スタイリストさんからの貸し出し依頼に、今までは広島から商品を送っていました。ただ、実物を見るとルック写真とはギャップもあるようで、プレスルームで実際に商品を見ながらアイテムを選んでいただくようにできればそれも解消できるかな、と考えたんです。それに、半分プレスルームなんだと思えば、(売り上げが立たなくても)腹は立たないなと思って。

WWD:今は店を持たずにECだけでどんどん売っていくブランドも多い。
中神:最初から知名度があるブランドはそれでいいですが、うちのようにまだ認知されていないブランドだと、なぜこの商品が数万円するのか、どういった背景で作られているのかといったことをしっかり伝えないと売れないと思います。何万円もするものをECだけで売るというのは、私個人はどうもピンとこない。それに、商品そのものの良さと同じくらい、(販売員など、ブランドに関わる)人も良くないとダメです。変な人からモノは買いたくないですから。

 そういう意味で、販売してくれるスタッフの採用はすごく大事。でも、実はギリギリまで採用活動はしていなかったんです。誰かが絶対紹介してくれるはずと思って待っていたら、「そういえば探していたよね」って広島の先輩が東京の知人を紹介してくれた。そんなふうにして合計5人集まりました。広島のつながりには本当に助けられています。やっぱり(プロ野球球団の)広島カープがそうさせるんですかね(笑)。弱くてお金のないチームを応援するマインドが、広島県民にはカープで根付いているんだと思います。

WWD:スタッフを紹介してくれた先輩だけでなく、店舗デザインを手掛けたサポーズも広島つながりだし、広島を代表する有力専門店「レフ(REF)」の中本健吾代表にも、出店にあたっていろいろと相談したと聞いている。“広島コミュニティー”の結束は固い。
中神:「レフ」の中本さんは通常なら買い付けで国内外を飛び回っていますが、ちょうどコロナで広島にいたというのがとてもありがたかった。什器のことやお店まわりのことは全部中本さんに教えてもらいました。中本さんは文句は言いつつ、すごく丁寧に教えてくださるんですよ。サポーズさんも大人気の事務所なのに、忙しい中で仕事を受けてくださいました。私が抜かりなくバリバリ仕事をこなすタイプじゃないから、皆さん助けてくださるんだと思います。

 ただ、そういうふうにお世話になっている分、愛のある厳しい意見もすごく沢山いただきます。例えばインスタグラムにアップする写真のモデル選びについて、「それでいいの?」とか。皆さん私が目指しているものが分かっているから、「もっと上手く伝える方法があるのにできていない」って歯がゆく感じているんだと思う。厳し過ぎる意見には、正直「そこまで言わなくたっていいじゃん」と反発したりもします。でも、こんなすごい人たちにアドバイスをもらうなんて、通常ならコンサルタント料を払わないとできないこと。ありがたく受け止めて、ブランドの中身を濃くする努力をもっとしていかないといけない。それに、何かしら試行錯誤をすると、例えばECでポンと商品が売れるなど反応があるんですよ。リクルートでの営業時代も、同じようにクライアントのことを考えながら試行錯誤をしていたなと思い出します。

通行人も思わず立ち止まる ガラス箱型の店舗

WWD:中目黒の店舗は、道路に面した区画の中にガラスボックスが斜めに置かれたような形。足を止めて見ていく人も多い。
中神:このエリアを選んだのは、もともと私がバンタンデザイン研究所(現在は恵比寿だが、以前は中目黒に校舎があった)出身で、このあたりに住んでいたこともあるから。この界隈には親しみがあります。青山や表参道も考えましたが、なんだか疲れてしまいそうで。春になったらガラス戸を開け放ってベンチを置いて、お客さんにお茶を出したりもしたい。居心地のよい空間にして、「このお客さん、まだいるの?」っていうくらい長居してもらえるように。この物件は(サポーズの)谷尻さんが見つけてきてくれました。天井も低いし、声も響くから最初はあまり乗り気じゃなかったんです。それを谷尻さんに伝えたら「何も置いてないんだから、どんな物件だって声は響くよ」と諭されました。最終的には、谷尻さんがここがいいと言うんだから、間違いないだろうと思って決めました。

WWD:ガラスのボックス自体は3メートル×7メートルと、とてもコンパクト。区画いっぱいを店にしていない分、一般的な店の作り方から考えると、面積がもったいないような気もする。
中神:そこはもう谷尻さんとのせめぎ合いです。私ももう少しボックス自体を大きくしたいと思い、10センチ単位で交渉しました。でも「デザインってそういうことじゃないから」と。ガラス戸を開け放つことができる作りはウィズコロナ時代にぴったりですが、扉を全てなくして完全にオープンエアな店にしてしまおうという案もあったんです。それはさすがに服にほこりがかかるのでやめてもらいました。店を出すと決めたのが8月で、物件が決まったのが9月末。それで年末にはもうほぼ店は完成していたので、サポーズさんには時間もお金もない中で仕事をしていただいた。ガラス戸と共にポイントになっている波板や金属のフレームは、実は本来は見える部分には使わないような資材なんです。そういうふうにして、作りたいものは作りながら予算は抑えています。

中目黒がうまくいったら、2号店は広島に

WWD:「ナカガミ」は立ち上げ3年目。卸先は個店セレクトショップを中心に約20社に広がり、PRや営業など、外部のサポートスタッフも集まっている今は成長のタイミングにある。今後、ブランドとして目指すものは。
中神:一番の目標は、服の仕事を続けていくこと。会社でスタッフにガミガミ言ってしまうときもありますが、スタッフにはうちで働いていて楽しいなと思ってほしい。売り上げはそれについてくるものだし、それでちょっとずつスタッフのお給料や休みを増やしていきたい。そういうポジティブな空気がお客さまにも伝わって、「すてきな人たちがいるブランドだな」って思ってもらえたらうれしいです。不思議なことですが、自分の調子がいいときって、周りにもすてきな人が集まってくるものなんですよね。私は引き出しがたまたまファッションだったとうだけで、自分にとって一番大切なのは周りの人と楽しく生きていくということなんだと思います。そういう関係性の中で、好きな服が続けられたらうれしい。

WWD:もう一度、拠点を完全に東京に移そうとは思わない?
中神:それは全く思いません。中目黒のお店がうまくいったら、2号店は絶対広島に出そうって思っています。東京から広島にUターンしたときは、「ファッションの仕事は辞めて、自分に何ができるかあらためて考えよう」という気持ちだったんです。憧れの「サカイ」に勤めることができて、アメリカのミシェル・オバマ(Michelle Obama)大統領夫人(当時)が私も関わった服を着ているのを見て、専門学校生のころに描いていた夢はもう叶ったなと思った。そう思って帰郷したのに、もう一度ファッションをやろうとブランドを立ち上げたぐらいだから、私はやっぱりファッションが好きなんだなって思います。

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ラオックスが中国越境ライブコマース サロン専売品をどう売る?

 免税店大手のラオックス(LAOX)は昨年、新型コロナウイルス流行の影響を大きく受けた。渡航制限が続く中、2020年7月にはインバウンド事業を行う店舗の半数にあたる12店舗を閉店し、九州と沖縄エリアからは撤退を発表。一方で、インバウンド事業の主要顧客であった中国客に向けて越境ECを強化し、20年12月期第3四半期時点でのグローバル事業(対中貿易・EC事業)の売り上げは全体の23.4%まで拡大している。

 越境EC強化の取り組みの一つが、20年2月にスタートしたライブコマースだ。ラオックスは11年に中国のEC市場でシェア4位の中国・蘇寧易購(Suning)の連結子会社になり、中国本土に強力なネットワークを持つ。蘇寧易購は家電大手だが、近年成長する日用品分野は第2の柱だ。そこでラオックスは中国客に人気の高い、日本の美容製品や健康食品、衛生関連品などを販売。現在は中国と日本からライブコマースを実施しており、これまで中国で取り扱いのなかったブランドも手掛けている。

 テクノエイトが販売するサロン専売ヘアケアブランド「オッジィオット(OGGI OTTO)」もその一つだ。サロン専売という特性上、これまで中国で知名度はなかったというが、ラオックスと中国向けマーケティングを行うアライドアーキテクツが展開する中国向け販売パッケージを利用して、20年12月に中国向けに販売した。

 販売パッケージは、集客力があり蘇寧易購にEC旗艦店を持つラオックスと、中国SNSで口コミや話題作りを行うアライドアーキテクツが組み、一からの中国進出を支援するもの。テクノエイトは現時点で本格進出は計画していないというが、将来的な可能性も視野に、販売パッケージの利用を決めたという。販売に先駆けてSNSでの口コミを増やすため、アライドアーキテクツが抱える在日中国人コミュニティ「播日本(BoJapan)」を通じてサンプリングも行った。

企業トップ自らが登場するライブ配信

 ラオックスのライブコマースは日本から同社社員が配信しており、昨年6月には紹介企業の社長や責任者を迎えて配信する「ボスライブ」もスタートした。企業トップが配信に登場するのは中国ライブコマースのトレンドの一つで、ラオックス経営戦略本部の庄宇杰・副本部長は「実際に企業のトップや社員が登場することで、商品に関する深い情報やブランドストーリーを伝えられるだけでなく、日本の企業であるという信憑性も発信できる」と利点を語る。

 テクノエイトも12月12日のセールイベント「W12」でライブコマースに登場し、普段は国内のサロン向けに営業を担当する三浦晃平氏が出演した。テクノエイトの森武史社長は三浦氏の出演について「三浦は元々美容師で、サロンに向けた技術講習も行っている。美容師時代の経験を活かした内容がわかりやすいと評判が良かったため、今回のライブコマースでも、言葉の壁を超えて商品の良さを存分にアピールしてくれると考えた」と語る。

 ライブ配信は、三浦氏登場の1時間前にスタート。日本に関心のある層の集客を狙い、東京タワーなどの観光名所を紹介して回った。3万人ほどの視聴が集まると、スタジオからMCとアシスタント、三浦氏の3人で配信を開始。スタジオでも、まず掴みとして三浦氏の経歴やキャラクターを紹介したり、「オッジィオット」のミニサイズセットが当たる抽選会を実施したり、バラエティー番組のような要素を詰め込む。こういったエンタメ要素が目を引き、1時間の配信で10万8000視聴を集めた。

 また配信では日本とは異なる伝え方を工夫したという。三浦氏は「日本ではヘアケア製品に関して“インバス(浴室で使用)”と“アウトバス(浴室外で使用)”という表現を使うが、中国ではそういった概念がないと事前の打ち合わせで聞いた。そこで朝や夜、仕事終わりなどのシーン別の使用法で訴求した」と語る。また中国では使用後の結果を重視する傾向が強いため、インスタグラムの関連投稿を用いて製品使用後の髪の艶をアピールしたり、使用方法を実演で披露した。

ライブコマースの上手な活用法

 ライブコマースは売るだけでなく、宣伝の役割が大きい。庄副本部長によると、「ECとライブコマースは同時に回さなければ、ユーザーを他社に取られてしまう」という。ライブコマースの視聴者が増えた今、こういった考えから長時間のライブ配信や連日の配信を行うブランドや小売店が増えているのだ。

 一方で中国のライブコマースは値下げが付き物となっており、この日も「オッジィオット」の製品がセール価格で販売された。しかし値下げし続けることは、ブランド毀損にもなりかねない。庄副本部長は「『オッジィオット』は1線都市(北京、上海など)の高収入の女性や、30〜40代の富裕層がターゲットだ。客層が高収入のため、わざわざ値下げし続ける必要はないと考えている」と話す。セールはあくまで“お試し価格”であり、今後打ち出すリピート施策が重要なのだという。

 ラオックスとしてはコロナの流行によるインバウンド客の減少を機に始めたライブコマースだが、今後は渡航制限が解除されても継続するという。「越境ECはインバウンド客のリピート買いの場になる。今後も強化し続ける必要がある」と庄副本部長。ライブコマースとうまく付き合うことは、中国客と向き合う上で欠かせない要素となっている。

臼井杏奈:産経新聞社を経て、2017年から「WWDJAPAN.com」「WWDビューティ」編集記者として海外市場やビューティテックの取材を担当。現在はフリーライターとして活動。 日本美粧協会「チャイナコスメティックラボ」研究員

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オノマトペの魅力 エディターズレター(2020年10月21日配信分)

※この記事は2020年10月21日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

オノマトペの魅力

 言葉を生業とする人間ですから、「言葉にできない」なんてモノやコトは、あんまりないと思っています。でも「言葉より的確」な表現は、たくさんあります。

 「オノマトペ」です。

 どうやら私は、「オノマトペ」を多用する人間のようです。このお手紙でも頻繁に「ドキドキ」とか「ワクワク」「モヤモヤ」なんて擬声語を多用しているでしょう?言葉でメシを食う人間としては、未熟なのかもしれません。でもオノマトペを使うと、表現は人間味を帯びてきます。自分の気持ちを感情豊かに表現するために、そして皆さんにもっと近づくために、私はオノマトペに依存しがちなのでしょう。

 先日、2021年春夏コレクションを発表したばかりのコシノヒロコ先生を訪ねました。相変わらずメチャクチャお元気で、今シーズンは、コレクションの着想源となった抽象画をバリバリ制作。ハキハキと、そしてウキウキしながら、来年開催予定の展覧会の話を始め、こちらは写真をパチパチ撮りました(笑)。

 展覧会には、2000着に及ぶアーカイブから300着を厳選。それらをオノマトペに準じて並び替えるそうです。「フワフワ」のコーナーにはチュールやオーガンジーを使ったフワフワのワンピース、「キラキラ」のコーナーにはスパンコールがいっぱいのドレスが並ぶのでしょうか?下のリンクで紹介する21年春夏「ヒロココシノ」コレクションは、「ワクワク」とか「ユラユラ」なんてコーナーに並ぶのかな(笑)?そう考えるとヒロコ先生の洋服は、オノマトペで表現するのがピッタリ。情熱に素直だから、五感で感じたいコレクションなんです。ブルース・リーの言葉を借りれば、「Don’t think!! Feel!!(考えるな、感じろ!!)」ですね。

 そんなことを考えていたら、今こそ、オノマトペをいっぱい使うってアリなんじゃないか?と思うようになってきました。「フワフワ」「キラキラ」「ツルツル」「すべすべ」「サラサラ」などなど、いまのムードにふさわしいオノマトペは、いっぱいあります。頭で考えるよりも心で感じたいし、海外もご無沙汰だから「南仏のリゾート地を思い浮かべて~」なんて言われてもピンときません(笑)。それだった「キラキラの太陽と、サラサラの砂浜。そこでキャッキャと遊んだり、スヤスヤとまどろんだりするときの洋服です!ウキウキするでしょう!」って言ってくれた方が共感できます。海外進出もしやすいんじゃないかな?

 みなさん、普段の会話に積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか?

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前年超えも多数 「エトヴォス」「シロ」など人気ブランドの好調アイテムとは

 月刊誌「WWDビューティ」で「ヒットランキング」の企画を担当している。リアル店舗からデジタルまで、チャネル別のヒットランキングを紹介するページで、毎月「ボディーケア」「アイメイク」など、カテゴリーを絞り百貨店やドラッグストアなど3社に取材する。今回はスピンオフ編をお届けする。4社に協力を得て、2020年10~12月の売り上げトップ3と、21年に期待する製品について聞いた。

「シロ」の透明感ある石けんの香りは、性別や年齢を問わず人気

 まずは、「シロ(SHIRO)」フレグランスの売り上げトップ3を梅津和佳奈シロPR担当に聞いた。結果は以下となった。

1位“サボン オードパルファン”(40mL、3800円)
2位“ホワイトリリー オードパルファン”(40mL、3800円)
3位“サボン ハンド美容液”(30g、2800円)

 「1位は、ライチやプラムもほんのり感じられる、透明感のある石けんの香り。年齢・性別問わず支持された。前年同期比約30%増と推移。各誌のベストコスメ企画にも毎年入賞している。2位は、ほのかな甘さがありながらも上品なフローラルがふんわりと広がると好評で同約3倍と伸長した。3位は、アロエ、酒かす、シアバター配合のハンド美容液。手洗いやアルコール消毒によるケアが欠かせない昨今、手軽に保湿ケアができる美容液として支持され同約50%増となった。心地よい香りでリフレッシュでき、ギフト用としても人気が高い」。

 また、スキンケア部門では、“タマヌクレンジングバーム”が1位で同約5%増と好調に推移。「タマヌオイルやカンゾウエキスなどの美容成分を配合し、使うほどにキメの整ったクリアな肌へ導く。 19年2月の発売以来、3カ月分の在庫が約2週間で完売するなどスキンケア製品の中でも突出した存在だ。21年3月には、美容液プライマー、美容成分配合のリキッドコンシーラー、タマヌオイル配合で滑らかな艶肌に導くフェイスパウダーといった新製品の発売を予定している。メイクアップはスキンケアの延長線上にあると考え、あらゆる肌悩みを『隠すのではなく、美しく見せる』という発想で提案する」と話す。

「美肌菌を育む内外ケア」で注目を集める「キンズ」 5月にはヘアケアも発売予定

 総合的な菌ケアのサブスクリプションサービスを展開し、急成長を遂げる「キンズ(KINS)」の売り上げトップ2は、次の通り。

1位“キンズ ボックス”(5980円、月額制)
2位“キンズ ブースター” (50mL、7800円)

 キンズの袴田美菜PRマネージャーは「サプリをカスタマイズできることや、免疫力アップへの期待感などが口コミで広がった。1位は、皮膚の常在菌分布をチェックする検査キットと20種類の乳酸菌や酵母菌、乳酸菌生産物質、食物繊維をブレンドしたサプリメント、LINEアカウントによるカウンセリングがセットになった主力製品“キンズ ボックス”(月額制)で、同756%増だった。また、善玉菌のエサとなる乳酸菌生産物質(乳酸桿菌/豆乳発酵液)を配合した美容液“キンズ ブースター”も、見込みの4倍を達成。当初3カ月で販売を予定していた本数を、約1カ月で売り切った。『美肌菌を育む内外スキンケア』をコンセプトにしていて、他社に類似品がないことも強みだ。4月下旬から5月には、シャンプー、コンディショナー、頭皮エッセンスの発売を予定している。薄毛や白髪など頭皮の悩みを抱えている人に、頭皮の菌ケアを提案する」と明かす。

「エトヴォス」はスキンケア効果が高いベースメイクシリーズが好調

 国産ミネラルコスメ「エトヴォス(ETVOS)」のベースメイク売り上げトップ3は以下だ。

1位“ミネラルインナートリートメントベース”(25mL、4500円)
2位“ミネラルコンシーラーパレット”(3.1g、4500円)
3位“ミネラルラディアントスキンバーム”(4.8g、4000円)

 ティシュキン千晶PR担当は「1位は化粧下地で予測に対し同40%増以上を記録した。美容成分をぜいたくに配合し、潤いを与え乾燥による小ジワを目立たなくする効果や、すっと肌に溶け込む美容液のような使い心地が支持された。2位は、コンシーラーパレットで同2倍と推移。肌悩みを自然にカバーする3色設計で、ヒアルロン酸などの保湿成分を配合し肌にフィットするテクスチャー、石けんオフができる点が人気だ。3位は、高いスキンケア効果で乾燥小ジワを目立たなくするハイライトバーム。気になる目元や頬にひと塗りするだけで、ハリのある立体感を生み出し、ハイライト初心者にも使いやすい。今年は、20年秋にデビューしたラシャススキン シリーズから“ミネラルグロウスキンクッション”が発売予定。インナートリートメント効果でしっとり潤い、ハリ感のある肌へ導き、使うほどにスキンケア効果により乾燥小ジワを目立たなくする(効能評価試験済)クッションファンデーションだ。エトヴォスの処方制限の中で、スポンジに含浸させられる安定した処方を作ること、乾燥による小ジワを目立たなくさせる効能評価試験をクリアする点が難しかった。仕上がりとテクスチャーにこだわり、『みずみずしく、くすみにくいハリツヤ肌』を目指して試作を重ねているので、期待してほしい」と話す。

月桃を配合したスキンケアが安定の人気を誇る「琉白」

 「琉白(RUHAKU)」のスキンケア売り上げトップ3は、次の通り。

1位“月桃バランスローション”(120mL、3600円)
2位“月桃デイモイストクリーム”(30g、3600円)
3位“月桃ナイトリペアオイル”(17mL、3600円)

 今泉小百合ブランドマネージャーは「1位の化粧水は、2012年の発売当初から常に全体の2~3割の売り上げを占める人気アイテムだ。 エコサートオーガニック認証を取得し、月桃葉の蒸留水や沖縄の海洋深層水に加え、海ぶどうエキスでかすかにとろみがあり、しっとり感が続くと好評だ。売上高は10月が前年同月比9.7%減、11月が同8.9%増、12月が同11.5%減と推移。前年同月比では出荷本数が減っているが、一方でさっぱりした使い心地のふき取り化粧水“シークワーサーブライトニングローション”(120mL、3600円)は同22%増と伸びていて、消費者が肌質に合わせた使い分けを行っているようだ。2位は、10月が同12.2%減、11月が同24.3%増、12月が同4.3%増だった。ブランド発売当初から常に全体の1.5~2割の売り上げを占める。月桃の根、茎、種子、葉をまるごと配合し、肌のキメを整えるオイルを配合しながらも、やわらかで軽い使い心地を実現。より軽いテクスチャーの“シークワーサーブライトニングミルク”(30g、3600円)も前年同期比で88%増と伸長していて、海外への輸出も伸びている。3位は、月桃をはじめとする天然精油が香る美容オイル。10月が前年同月比9%減、11月が同13%増、12月が同26.9%減。こちらも、全体の1~1.5割の売り上げを占めている。21年に期待するのは、20年11月18日に公式ウェブサイトとビープル バイ コスメキッチンで先行発売された“月桃エンリッチクリーミーシートマスク”(1枚、23mL、856円)。11〜 12月の売り上げ目標に対し5%増と好調だ。肌や心が潤うことで、自分自身や他者にもやさしくできるように、というメッセージを込めている。2月18日に一般発売されるので、コロナ禍で不安や閉塞感を感じながらも頑張る方々のご褒美時間に使っていただけたら」と話す。

小竹美沙:1984年生まれ。女性誌やウェブマガジンで、ナチュラル&オーガニック&サステナブルなコト、モノ、人びとについて取材&発信中。2009年から恵比寿のファッションスクールのオフィシャルライターとして広報資料のライティングにも携わる

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企画を「考えられる人」と「られない人」 エディターズレター(2020年10月19日配信分)

※この記事は2020年10月19日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

企画を「考えられる人」と「られない人」

 最近思うことしきりなのが、「企画を考えられる人」と「考えられない人」の違いです。目まぐるしく変わる時代、“おうち時間”が長いせいか意識しなければ不足するインプット、そして、既成概念に縛られないマインドセットなどが、「考えられる人」と「考えられない人」の間に高くそびえ立つ壁、でしょうか?社内でも社外でも、「例えばですが~」とポンポン出てくる人と、散々待ったのに「コレですか?」という人がいる(生意気でごめんなさい)のは、歴然たる事実であり、その差は顕著になっています。

 私は、今は多分、前者の人だと思っています(生意気w!!)。立場上(でもないと思いますが)、企画を考える機会は頻繁に訪れますが、生み出すこと自体は、そんなに苦しくありません。むしろとっても楽しいし、企画の大元を考える時間はせいぜい数十分です。企画を考えることに対して積極的で、精度もまぁまぁ高い(むろん、否定的な意見を頂戴することもありますよw)理由はなんだろう?と考えていますが、結局、ファッション&ビューティ業界への「愛」という月並みな結論にたどり着きました(笑)。

 そう、やっぱり「愛」の力は、偉大なんだと思います。「愛」があるからカテゴリーやブランドを問わずいろんなモノが面白いと思うし、「愛」から生まれる理想があるからスルーしがちな問題点にも敏感。そして「愛」があるから、労力を苦労とは思っていない。企画の構想段階から既に楽しいから、早く行動に移したくて仕方ない!!そんなカンジでしょうか?最近は、この「愛」を大勢に広げたい、届けたいという視点で考えると、良き企画が、さらに浮かぶようになった印象さえあります。我ながら、波に乗っています(笑)。

 自戒すべきは、個々が少なからず抱いている「愛」を尊重し、自発性を育むことです。先日、とある芸能事務所のプロモーションチームと、とある芸能人の連載企画を考えるミーティングを開いた時、先方の若さに驚きました。「この案件は、私たちが担当です」という力強さは、なんとも頼もしい限り。一方のわれわれサイドは2人とも40代で(苦笑)、ミーティングの後「若手が活躍できる会社なんですね~」と、企画とは違うところで感動する始末でした。イカンイカン。社内で進めている「U-30会議」の声を、もっと拾って、実現しなくちゃ!

 社内のスタッフと話をすると、ファッション、そしてビューティ業界を「愛」している人は、本当に多いんです。でも、そこから面白い企画が生まれないのだとしたら、原因は私たちにある。上述の通り、「愛」のエネルギーを実感しています。だから反省すべきは、彼らの「愛」を軽視し、自発性を阻害しているのかも?というコトです。そして彼らに「愛」がないなら、それも私たちの責任です。「愛」を軽視して自発性を阻害してしまったからこそ、「愛」が薄れてしまったのではないか?「愛」が芽生えないくらい、面白く働いているように見えていないのかな?と申し訳なく思うことがあります。

 と同時に、「とは言えアナタも、もっと面白いコト、考えようよ!」とも思いますけれどね。人間ですから(笑)。

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企画を「考えられる人」と「られない人」 エディターズレター(2020年10月19日配信分)

※この記事は2020年10月19日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

企画を「考えられる人」と「られない人」

 最近思うことしきりなのが、「企画を考えられる人」と「考えられない人」の違いです。目まぐるしく変わる時代、“おうち時間”が長いせいか意識しなければ不足するインプット、そして、既成概念に縛られないマインドセットなどが、「考えられる人」と「考えられない人」の間に高くそびえ立つ壁、でしょうか?社内でも社外でも、「例えばですが~」とポンポン出てくる人と、散々待ったのに「コレですか?」という人がいる(生意気でごめんなさい)のは、歴然たる事実であり、その差は顕著になっています。

 私は、今は多分、前者の人だと思っています(生意気w!!)。立場上(でもないと思いますが)、企画を考える機会は頻繁に訪れますが、生み出すこと自体は、そんなに苦しくありません。むしろとっても楽しいし、企画の大元を考える時間はせいぜい数十分です。企画を考えることに対して積極的で、精度もまぁまぁ高い(むろん、否定的な意見を頂戴することもありますよw)理由はなんだろう?と考えていますが、結局、ファッション&ビューティ業界への「愛」という月並みな結論にたどり着きました(笑)。

 そう、やっぱり「愛」の力は、偉大なんだと思います。「愛」があるからカテゴリーやブランドを問わずいろんなモノが面白いと思うし、「愛」から生まれる理想があるからスルーしがちな問題点にも敏感。そして「愛」があるから、労力を苦労とは思っていない。企画の構想段階から既に楽しいから、早く行動に移したくて仕方ない!!そんなカンジでしょうか?最近は、この「愛」を大勢に広げたい、届けたいという視点で考えると、良き企画が、さらに浮かぶようになった印象さえあります。我ながら、波に乗っています(笑)。

 自戒すべきは、個々が少なからず抱いている「愛」を尊重し、自発性を育むことです。先日、とある芸能事務所のプロモーションチームと、とある芸能人の連載企画を考えるミーティングを開いた時、先方の若さに驚きました。「この案件は、私たちが担当です」という力強さは、なんとも頼もしい限り。一方のわれわれサイドは2人とも40代で(苦笑)、ミーティングの後「若手が活躍できる会社なんですね~」と、企画とは違うところで感動する始末でした。イカンイカン。社内で進めている「U-30会議」の声を、もっと拾って、実現しなくちゃ!

 社内のスタッフと話をすると、ファッション、そしてビューティ業界を「愛」している人は、本当に多いんです。でも、そこから面白い企画が生まれないのだとしたら、原因は私たちにある。上述の通り、「愛」のエネルギーを実感しています。だから反省すべきは、彼らの「愛」を軽視し、自発性を阻害しているのかも?というコトです。そして彼らに「愛」がないなら、それも私たちの責任です。「愛」を軽視して自発性を阻害してしまったからこそ、「愛」が薄れてしまったのではないか?「愛」が芽生えないくらい、面白く働いているように見えていないのかな?と申し訳なく思うことがあります。

 と同時に、「とは言えアナタも、もっと面白いコト、考えようよ!」とも思いますけれどね。人間ですから(笑)。

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「キディル」や「ターク」などパリ公式初参加の日本勢が奮闘 先輩&後輩記者2人のミラノ・パリメンズ8選

大澤錬「WWD JAPAN.com」記者(以下、大澤):本日も2021-22年秋冬メンズ・コレクションレポート第2弾やっていきましょう。前回の「ドタバタ対談」では全ブランドをリアルタイムでリポートし、かなり苦戦を強いられましたが、今回はミラノ最終日、パリ初日で印象的だった8ブランドに厳選して振り返ります。大塚さん、よろしくお願いします。

大塚千践「WWDジャパン」デスク(以下、大塚):よろしく!リアルタイム縛りはなくしたものの、公開時間になるとなんだかんだとソワソワしない(笑)?真面目か!

急激なUターンにびっくり!

大塚:さて、まずは「ア コールド ウォール(A-COLD-WALL)」辺りからいきましょうか。ロンドンからミラノに発表の場を移した当時は意外だったけど、服もイタリアンモードみたいな装いにシフトしてきたね。クラシックかつスポーティーで、ミニマルな雰囲気。となると、「ここの個性や強みって何だっけ?」と動画見ながら考えちゃった。

大澤:当初のストリートスタイルから大きくシフトチェンジしてきましたね。最初は別のブランドを見ているかと思うぐらい、落ち着いていてびっくりしました。元々のファンにはパンチが少ないかもしれないですね。僕は「某ラグジュアリーブランドに似ている気がする」と思いながら見てしまいました(笑)。バケットハットやニットのチャームの付け方、洋服のシルエットなど……。

大塚:分かる!イタリアのあそことあそこが混ざった感じ。僕の経験上、急にクリーン路線やテーラリングを始めたデザイナーはラグジュアリーブランドへのアピールをしている説があるんだよね。サミュエル・ロス(Samuel Ross)も、もしかするとそういう座を狙っているのかも。個人的にはロンドンで発表していたころのインダストリアルなストリートウエアが好きだったので、もう少しその路線で振り切ってほしかった。

地上波完全アウトのハラハラドキドキムービー

大澤:「マリアーノ(MAGLIANO)」は、ルカ・マリアーノ(Luca Magliano)・デザイナーの25歳という若さ溢れるさまざまな要素が詰まったムービーでしたね。肝心の洋服が入ってこず、ドアップで股間を握るシーンや、白いブリーフをはいた謎の天使もツボでした。宮殿ではあまり見かけないようなメンツが勢揃いで、昭和の角刈りヤンキー風モデルがセンターを陣取り、タバコをふかしていましたね。

大塚:あの股間をまさぐる描写は地上波のテレビなら完全アウトだよ(笑)。最後は、ブリ天(ブリーフ天使)から「だめだこりゃ」って聞こえてきそうだった。1回目はコントを見ているようで服が全く入って来なかったけど、2回目を見ると服のクオリティーは着実に上がっているなと思った。一歩間違えるとコミカルに転びかねないテーラリングを、素材感やギリギリのシルエットでクラシックさを残しつつ、エロく仕立てている。コアな若いファン層がいるのも少し分かった気がする。

ミラノを走る!馬に乗った日本兵「ジエダ」見参

大澤:「ジエダ(JIEDA)」は、アメリカ人アーティストのリチャード・プリンス(Richard Prince)の写真集“カウボーイ(COWBOY)”がインスピレーション源でした。1970年代のアメリカで流行したブーツカットパンツやウエスタン調のテーラード、襟を大きめにしたシャツなどをタイトなシルエットにアップデート。若い世代に人気の同ブランドですが、今回の古着っぽいスタイルに新しさを加えて表現するセンスに、人気の要因がありそうです。

大塚:前シーズンのチンピラVシネマ風な映像からラグジュアリーブランドみたいな映像作品にガラリと変わっていて、一瞬ページを間違えたのかと思った(笑)。カウボーイのウエスタンの土っぽさを色や素材感でにじませつつ、きれいなジャケットやセットアップの提案も多くて、新しい方向にも目を向けていこうという感じ?こういう強いコンセプトの世界観が作れるのは意外だったから、日本代表としてもっともっと磨きをかけていってほしいよね。

ベテラン感漂う“さすが”の一言

大澤:続いての「ベルルッティ(BERLUTI)」は1分間のムービーで発表。前回の陶芸家のブライアン・ロシュフォール(Brian Rochefort)との対談形式も面白かったですが、今回は尺が短くシンプルで見やすかったです。モデルは3人でしたが、同ブランドらしい無骨さと、クリス・ヴァン・アッシュ(Kris Van Assche)の鮮やかな色使いのミックスで、良いところが凝縮していました。でもあまりにあっさりしすぎで、もしかしてこれはティーザー映像ですか?(笑)

大塚:正解。今回は3月の本発表に向けたティーザー映像なんだって。ビビッドカラーを差し込んだテーラリングと、染色技法“パティーヌ”を用いたアクセサリーという得意技のオンパレードだったね。前シーズンはアーティストとのコラボレーションでシーズン性を打ち出してきたけど、今季もアートのようなグラフィックが映ったよね?きれいな服とアートという好相性な組み合わせだから、どんな発表をしてくれるのか早くも楽しみになりました。

素材の魔術師「ターク」に驚愕

大塚:「ターク(TAAKK)」は今回からパリ・メンズの公式スケジュールに入ったんです。やはりデザイナーにとって公式に入るか否かはモチベーションが全然違うみたいで、本人もかなり気合いが入っていたよ。その証拠に、今回のキーファブリックの生地サンプルが入ったボックスが直前に届きました。今回もデザイナーからのメッセージ付きで、無機質なデジタルでいかにエモーショナルを届けるかで工夫しているのが分かるよね。

大澤:前回の東京で発表したコレクションも素晴らしかったですが、日本代表としてパリの舞台で戦うブランドが増えるのはうれしいですね。また手書きのメッセージや、生地サンプルを送る辺りも気合いの入り方が伝わってきますね!

大塚:その素材がヘンタイすぎて驚いた!ヘリンボーンがコットンのシャツ生地に変化したり、リップストップがナイロンツイルに変化したり、とにかく意味が分かんない。でも「ターク」は「素材で世界と戦うんだ」という明確な意志を最近は特に強く感じるし、正解だと思う。だからなおさらどんな映像か楽しみにしていて、日本時間0時スタートだったけど、リアルタイムで見ちゃったよ。

大澤:映像はバスに揺られて物件探しから始まり、学校や公園など、これまで当たり前に過ごしていた事柄が描かれたドラマ仕立てのストーリーでした。自分が名古屋から東京に出てきたときをなんとなく思い出した〜(涙)。個人的には背中にテーラードの型押しがされているグリーンのジャケットと、シースルーのアウターが気になりましたね。

大塚:その辺はキャッチーだったね。映像はムード重視で、スタッフも2021年春夏のムービー“UNPOSTED”とほぼ同じ。前シーズンはすれ違う男女の話だったから、もしかして続編?月9みたいにハッピーエンドくる?なんて期待してしまった。結局ストーリーはつながっていないように感じたけど、実は“UNPOSTED”の前の話だったということがデザイナー本人からの連絡により判明して、映像を見直したよね。服はこれまでの自慢の加工素材のオンパレードで、強いピースばかり。ただそれをきれいなスタイルで見せようとしているのが以前との違いで、世界を意識しているんだと思う。

メガシャキムービーに心はズタボロ

大塚:当初は参加予定だった「ファセッタズム(FACETASM)」が緊急事態宣言発令の影響で参加辞退になったので、別のブランドいきましょう。服はさておき、「ブルー マーブル(BLUE MARBLE)」のリアル&CG背景ミックスの映像はかなりキテたね。深夜に目が覚める感じで。背景の情報量多すぎて、服に全然目がいかなかった(笑)。ゴタ混ぜのストリートウエアということは理解したけど、一本調子でちょっとしんどかったなあ。

大澤:同ブランドは、デザイナーのアンソニー・アルバレスが2017年に設立。18年に「ブルーマーブル」に改名し活動を続ける仏の気鋭ブランドだそうです。洋服をきちんと見せようしている点は自分の立場を理解してコレクション発表をしていて良かったと思います。単なるロゴ使いや奇抜な柄、オーバーサイズのシルエットというクリエイションだけではライバルが多すぎる。自分たちの強みを見つけ、そこを伸ばさないことにはパリの場では余計に悪目立ちしてしまいそうですよね。これからの活躍に期待したいです!

進化が止まらない「キディル」登場

大塚:次の「キディル(KIDILL)」の公開時間は、日本時間深夜3時30分。いったん休憩して、5分前にアラームかけたわ。起きるのがマジで辛かった。でも起きた価値はあって、めちゃかっこよかった。ムービーカメラを8台使って撮影しているからアングルがバンバン変わり、5分間があっという間。実は1月15日にリアルのショーを開催してそれを撮影・編集したものなのだけど、シンプルなショーをドラマティックに見せるテクニックには素直に感心した。

大澤:今、日本の中でもかなり勢いのあるブランドだと個人的に注目しているのですが、今回も攻め攻めのグラフィックやディテールが詰まっていてかっこよかったです!ドメスティックブランドは守りに入るブランドが多い中、「キディル」は良い意味で日本のブランドらしくないところが若い世代の人気を集めている要因かと思います。いわゆる見ていて楽しい洋服。「なんじゃこれ」「どこに着ていくんだ」と思わせてくれる。そこがオシャレさんたちに刺さり「なら着こなしてやろうじゃないか」と奮起させているのではないでしょうか。世の中の皆さん、ファッションはまだまだ生きていますよ〜。夜露死苦(笑)。

大塚:出たよ、元ヤンキー魂。でも「キディル」はパンク魂で、“Desire(欲望)”をテーマに強いクリエイションにこだわったらしく、柄もディテールもいつも以上に盛り盛り。時折テーラリングも挟むんだけど、それもストロングな総柄。勢いに乗っている気持ちがそのまま服に反映されたハイテンションなコレクションだった。世界で戦うにはまだまだ引き出しは必要だと思うけど、個人やブランドとのコラボレーションを上手く活用しながら成長しているよね。今後がますます楽しみになりました。

エンスト続きで発進はまだ?

大塚:さあ、本日最後は「ルード(RHUDE)」でございます。まず15分がマジで長い。♪ニュ〜ヒ〜マハハナ〜フヒ〜ていう呪文のようなBGMが延々と流れて辛かったわ。しかも出てくるのは終始普通の服ばかりで。あ、でも大澤さんは車好きだから、セットにあったレースカーは気になったんじゃない?

大澤:セットにあったのは「マクラーレン・メルセデス」のF1ですね!サーキットにF1のセットで「おっ!何か面白いことが起きるのかな?」と期待したのですが、フォーミュラーカーは最後まで動かず……。洋服は変わらず普通の服で、音楽も不気味なものではなくF1にまつわる音楽などにして欲しかったですね。「マクラーレン(MCLAREN)」とのコラボアイテムも発表していましたが、単にロゴをプリントしたアイテムのみ。洋服、車共に好きな僕ですら興奮できませんでした。どうせなら、レーシングスーツ・シューズなどをベースにアレンジした、バチバチにストリート色の強いアイテムを発表してほしかったです。

大塚:さすが車好き。期待を裏切られたときの厳しさ半端ない。品質は良さそうだったけど、会話するポイントがあまりないというのも致命的だね。そしてデジタルでのコレクション発表も2シーズン目となると全体的にクオリティーは上がってくるものの、単調すぎても、奇をてらいすぎてもダメで、バランスが難しい。ルックを見れば服は分かるんだけど、導入として動画は十分機能しているのだなと改めて実感した。パリはまだまだ始まったばかりだけど、あと5日間、楽しんで取材しましょう。

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ドリス・ヴァン・ノッテンが語るクリエイション 「私たちは立ち止まってはいられない」

 30年以上コレクションをデザインしているドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)は、自身のコンフォートゾーンの外にあるアイデアや美学に挑戦し続けている。そこには最初のうちは反発しうるものも含まれ、初めてオリーブを食べるようなものだと表現する。「初めて食べてみたときには『あまりおいしくない』と言うかもしれない。しかし、だんだんとオリーブの味が分かるようになり、料理に混ぜて使えるといったような可能性が見えてくる」。そして、それはファッションも同じだとし、次のように語る。

 「私の周りにいる人々は、自分たちが面白いと思っている私の知らないことを教えてくれたり、見せてくれたりする。それを必ずしも好きになる必要はなく、『このアーティストは好きじゃない』や『このミュージシャンは自分には合わない』などと言うかもしれない。でも耳を傾け始めると、良さが分かるようになってくる。それが私にとって最も興味深いことであり、すなわち常に進化していく必要があるということだ。私たちは立ち止まってはいられない。常に驚きや新しさを加えなければならないし、それこそがファッションのエキサイティングなところだと思う」。

 さらに「私は自分のチームやクライアント、バイヤーを驚かさないといけないし、自分自身さえも驚かさないといけない。私が一番望まないのは、私のクリエイティブなプロセスがある種のごまかしやシステムになってしまうことだ。私たちが常に口にしていることではあるが、『ドリス ヴァン ノッテン』には"ごまかしを知ったら、魔法を失ってしまう"という黄金律がある」と続ける。
 

新型コロナのパンデミックがもたらしたもの

 20年5月にドリスが中心メンバーの一人となり立ち上げた、実際の季節に合ったスケジュールで商品を販売することなどを提言するウェブサイト「ファッション業界への公開書簡(Open Letter to the Fashion Industry)」は、ファッションサイクルのスローダウンに取り組む高級小売店の経営者やデザイナー数百人の署名を集めた。もともとドリスは長年、デザイナーを疲弊させるようなプレ・コレクションに反対し、(メンズ・ウィメンズそれぞれ)年2回のみコレクションを発表してきた。それでもなお、新型コロナウイルスのパンデミックによる強制的なスローダウンによって、シーズン提案を30〜35%縮小できたという。

 さらにパンデミックの影響により、広告キャンペーンを制作しない同ブランドにとって主なコミュニケーションツールであるランウエイショーも中止した。彼は当初、ショーなしで21年春夏コレクションを発表することにかなり困惑し、慣れていない新たな形式でどうやって感情を伝えるか心配したと打ち明けた。しかし、最終的にはそんな挑戦を受け入れ、ヴィヴィアン・サッセン(Viviane Sassen)と共に生み出したイメージと短編映像に対して好意的なフィードバックを得たという。

 21-22年秋冬に関してもおそらくショーを行わないことを明かし、「私たちは別の発表方法を見つけなければならない。制限があるとき、人はそれを問題視することもできるし、とてもポジティブに捉えて受け入れることもできる。それこそ、今の私たちが取り組んでいることだ」と話す。実際、ドリスは昨秋のファッション・ウイークで他のデザイナーたちが披露したクリエイティブな解決策の数々を称賛。「誰もが今、学んでいるところだ。そして自分のブランドに合うものを見極めて、それぞれの真実を見つけなければならない。来シーズンは、本当の意味でコレクション発表のための新たな機会を発見できるだろう。それは素晴らしい状況だと思う」と述べる。

 また、ドリスはパンデミックによってもたらされた変化を受け入れる必要があり、それは最終的にはファッションにとって良いものになるべきだと主張。ファッションにおける大きな変化に期待を寄せる。その解決策の一つは、ファッションの“本質”に立ち返って廃棄を減らすこと、そして「最終的な顧客にいかにファッションは美しいものであるかや、そこに注ぎ込まれた技術、そしてハイストリートブランド(大量生産型のブランド)との違いを説明することだ」という。

 ロイヤリティーの高い顧客基盤について聞かれたドリスは、そのことに感謝する一方で、常に新しい顧客を引きつける必要があることを強調する。そして、「コレクションと共に年齢を重ねるということを考えたことは一度もない」とし、「クリエイティブなプロセスの初期段階で、特に自分のためにデザインしていたこともあったメンズ・コレクションからは距離を置くようにしてきた」と説明する。一方、彼のクラフトへの情熱は少しも衰えておらず、独特な装飾は彼の美学のベースになっている。「画家が自分の絵の具を持っているように、私には自分の色や生地、プリントがある。ファッションはとても重要なコミュニケーションの手段であり、私たちの文化の一部だ。だから、私にとってはあらゆる文化的なものが大切だ」。

 尊敬しているデザイナーについては具体的な名前を挙げなかったが、「私はファッションの世界で起こっていることを追いかけている」とコメント。「私にとって、皆がいかに異なる方法で服にアプローチしているかを見るのは、とても刺激的で興味深いことだ」と語る。
 

プーチグループ傘下に入った理由とその後

 長年、ファッション業界を代表する独立ブランドの一つとして知られてきた「ドリス ヴァン ノッテン」は18年、スペインのフレグランス&ファッション企業プーチ(PUIG)に過半数の株式を売却し、業界を驚かせた。ドリスはこの決断の背景を「いろいろなことの組み合わせ」と表現したが、主な理由として60代に突入した彼の会社の将来を確かなものにしたいという思いがあったという。

 そして契約を結んだとき、「(ドリスも)他のデザイナーと同じようになってしまい、ロゴのようなものを多用し始めるかもしれない」とたくさんの人が考えたということを明かした。しかし、何も変わったことはなく、今でもリスク覚悟でコレクションに取り組んでいると強調した。その例の一つが、クリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)とコラボレーションした20年春夏コレクションだ。そして、昨年10月にオープンしたロサンゼルスのブティックでは過去のコレクションのアイテムも取り扱い、企画展示用スペースやミュージックルーム、トロピカルガーデンを備えている。「私は今でもとても自立していると感じているし、彼ら(プーチ)は私たちに自由を与えてくれている」とし、「プーチは大規模なインターナショナルビジネスでありながら、とても人間的なアプローチがあるファミリービジネスだ」と称賛した。

 最後に、ラクロワと取り組んだような大きなコラボレーションを考える可能性はあるかと尋ねられると、「絶対ないとは言えない。(先のことは)分からないから」と回答。「それこそがファッションの楽しさだろう。そこには常に次のステップがあり、それが感覚を研ぎ澄まし続けてくれる」と締めくくった。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

  

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「プラダ」のミウッチャとラフが学生たちと語り合ったことは? 21-22年秋冬メンズ発表後の対話を紹介

 「プラダ(PRADA)」は、ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)とラフ・シモンズ(Raf Simons)が共に手掛ける初のメンズとなる2021-22年秋冬メンズ・コレクションをデジタルで披露した後、ファッションや建築、哲学などを学ぶ世界の学生たちからの質問に答えた。これは、事前にインターネットで募集した質問に答えた21年春夏ウィメンズ・コレクション後の対話を発展させたもの。そこには、2人の教育の力と次世代のクリエーター育成の重要性に対する強い関心が垣間見える。

 まず、セント・マーチン美術大学でファッション・ジャーナリズムを学ぶ学生から「コラボレーションの中で意見の不一致が生じた場合、どのように解決するのか?」と聞かれ、ミウッチャは「私たちの意見が食い違うことは、あまりない」と回答。「どちらかが本当に嫌いなことはやらない。だから、それはとても明確なこと」だと続ける。ラフも「私たちはアイデアについての対話を絶えず続けている。だから、もし意見が合わないことがあればスキップして他のことに取り組むというのは、自然なことだ。意見が一致することの方がもっとたくさんあるからね」と話す。

 ただし、どちらかが説得された場合は例外だ。ミウッチャは、これまでずっとピンストライプが嫌いだったというが、今回のコレクションでは随所に取り入れた。そして、「マインドを変える可能性があるのは、いいことだと思う。私はいつでも話し合い、自分の意見を変えることにオープン。自分が持っていないアイデアを提示されることで、別の角度から考えることができる」とコメント。「私たちは自分たち自身でコラボレーションすることを決めたし、誰かに強いられたわけではない」とし、ラフとのアイデアの交換を楽しんでいるという。

 今回2人が対話を行ったのは、さまざまな色や質感の素材で飾られた複数の部屋からなるショーのセットだった。その中で、空間デザインの重要性について聞かれたラフは、新型コロナウイルスのパンデミックによる制限と移動の自由が失われたことを「私たちは想像もしなかったような状況に直面している」と表現。「対話の中で、私たちは絶えず自分たちのファッションを社会と結びつけて考えているから、大きな影響があった。そんな中で、このコレクションに対してストーリー性のある建築的文脈を生み出すことは重要ではなく、感情的文脈の方が大事だという結論に行き着いた」と説明する。
 一方、ミウッチャは「私たちはデザイナーとして、人々の生活に興味を持っている。服はそのほんの一部で、環境がもっと重要であることは間違いない。だから、人々の生活を定義するものが、ファッションにとって興味深いのは当然のこと。そして、建築は私たちが持っている感情やアイデアを表現し、伝えるのに役立つ」と語る。触感や官能性につながる素材を用いた屋外か室内か分からないような抽象的な今回のショー空間も「自分たちのメッセージを定義するために欠かせなかった」という。

 そして、文化服装学院でファッションデザインを学ぶ学生からは「前回の質疑応答で私たちの生活の中でのテクノロジーのインパクトの大きさについて話していたが、今回のコレクションではどのような技術革新が最も影響を与えたか?」と聞かれ、「正直なところ、このコレクションは主にテクノロジーとは別の側面と向き合った。人間の感情や私たちが今生きている世界と強く結び付いたコレクションだからね」とラフ。今シーズンは、テクノロジカルなものの反対にある感覚や触感、コントラストに目を向けたという。ミウッチャは人々とつながるための方法としてテクノロジーを捉え、その点で依存していることを認めつつ、「テクノロジーを私たちの感情やアイデアを可能な限りベストな方法で伝えるためにツールとして使わなければいけない」と述べる。

 続いて、話題に上がったのはロングジョン(ボディースーツ)だが、2人はそこに21年春夏ウィメンズのキー要素であった“ユニフォーム”としての意図はないことを強調した。そして、ラフはショー映像の中でロングジョン姿のモデルたちが踊っていたのは、もともと計画されていたものではなく自然発生的に起こったと明かし、「その空間にいる彼らがよころび、ワクワクしていることを感じられた」と話す。

 そんなラフにとって最も答えるのは難しかったのは、ハーバード大学デザイン大学院で建築を学ぶ学生からの「誰のためにデザインしているのか?」という質問だった。これに対し、彼は「自分のブランドでの最初の15年は大抵、誰かのことを念頭に置いてデザインしていた」と認めた。ただ、その後状況は変わって、「あまりに幅広くなった観客を定義することはますます難しくなってしまった」ことに気付き、「今は興味を抱いたり、つながりを感じたりする人のためにデザインしている。私は人々がどのように服を着こなすかに惹かれ、そこからインスピレーションを得ている」と説明する。

 一方、ミウッチャにとっては常にその反対だったとし、次のように語る。「私は常に服を物体として見ている。自分の好きなものや自分にふさわしいものをデザインしてきたけれど、誰が自分の顧客であるかなんて考えたことはない。要は、自分の理に叶うかだった。そして、その服を買った人々は、自分たちの着たいように着る。もし私の作った服が似合っていない人に対して腹を立てるかと彼らに聞かれても、決して服の着こなしで人を判断することはない。信じられないかもしれないけど、本当のこと。私が気付くのは、特にインスピレーションを与えてくれるようなものあったときだけ。それに、私はアイコンというアイデアが嫌いで、アイコンを持ったことがない。私がより世界に対してオープンな姿勢で、知的で、現実に接していれば、それは人々にとって理に叶うことだと思うから、(その服を)買ってくれると思う」。

 また、弘益大学高等研究国際デザイン学校の学生からの「どのように自分の好みと商業的な価値、現在のトレンドのバランスをとっているか?」という質問に対しては、次のように答えた。「たとえクリエイターであっても、私たちの仕事は服を売る商売。だから、私たちの仕事は、最大限クリエイティブであることと同じくらい、人々のニーズに応えることでもある。つまり、自分のアイデアに忠実でありながらも、人々が欲しくなるものを生み出すこと。それこそが最も重要なポイントで、ファッションデザイナーである限り、あらゆる面で表現の自由やクリエイティビティーとリアリティーの組み合わせに向き合うことになる」。

 そして、自分の好みとトレンドのどちらに従うすべきかと聞かれると、「常に自分自身に従うべき。私にとっては、それが極めて重要であり基本なことでもある」とキッパリ。「服はあなたのアイデアやパーソナリティーを表現するもの。かつて、どうすればエレガントになれるかと聞かれたことがあるけれど、重要なのは自分自身を知り、自分らしくあること。そうすれば、自分が本当に何を求めているか、何を必要としているかは分かる。自分自身を知ることはそんなに簡単ではないから、難しいと思う。でも、それはどんな人の生活においても基本となるもの。自分の仕事や考え、自分がどんな人間であるかを選ばなければいけないようにね。それができたら、ファッションを選ぶのは簡単。大切なのは “人”だけで、服はその人の生活に役立てるもの」だと続ける。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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“隣のパンク兄ちゃん”「キディル」が東雲から初のパリコレ公式参加 不透明な時代に輝く反骨魂

 末安弘明デザイナーの「キディル(KIDILL)」を語るうえで絶対に出てくるキーワードが“パンク”である。1月15日に東京・東雲で行った2021-22年秋冬コレクションのランウエイショーも、稚拙な表現を覚悟でいうならば“超パンク”だった。それもそのはず、このショーは末安デザイナーにとっては初めてパリ・メンズ・ファッション・ウイークの公式スケジュールで発表するという特別なものだから、“超”が付くほど気合が入るのも当たり前。これまでパリで3度行ってきたショーは全て独自開催だったため、44歳の末安デザイナーにとっては遅咲きのメジャーデビューの舞台がここ東雲だったのである。さらに「世界中がコロナウイルスで元気を失っている状況だからこそ、ファッションデザイナーとして強いクリエイションを」という覚悟を服に込めており、ショー序盤からいつも以上に振り切っていた。ミュージシャンの灰野敬二によるノイジーな演奏の中で行われた15分間のショーをカメラ8台を駆使して撮影し、5分の動画に編集してパリメンズの公式サイトで全世界に向けて19日に配信した。

服作りへの確かな手応えと自信

 ロックやパンクの系譜を継ぐ服であることに違いないが、ここ最近の「キディル」はストリートでもなければミュージシャンのスタイルの焼き直しでもなく、完全に唯我独尊。21-22年秋冬は“Desire(欲望)”をテーマに、LAを拠点にするビジュアルアーティストのジェシー・ドラクスラー(Jesse Draxler)によるグラフィックをスーツやニットに盛り盛りに配置し、ファスナーやスタッズも盛り盛りに付け、パンクを軸にアートやカルチャーをゴリゴリとクロスオーバーさせていく。スマートではないかもしれない。だが、独学で服作りを学んできたがゆえの型にはまらない思い切りのよさという強みが生かされていた。「エドウィン(EDWIN)」や「ディッキーズ(DICKIES)」、「ルルムウ(RURUMU:)」などとのコラボレーションも継続。「やっぱりメンズブランドっすから」という理由で強化しているテーラリングも、ストリート風に崩さず真っ向勝負する。末安デザイナーのひょうひょうとしたキャラクターの内側に、現在の服作りに対する手応えと確かな自信が感じられた。

 このつかみどころがないひょうひょうとした性格は、ショー終了後に記者たちがデザイナーを囲んでインタビューする“囲み取材”でも炸裂する。デザイナーが記者に対して「質問の意味がよく分かんないっす」「もっと分かりやすく言ってもらっていいっすか」とストレートに突き返すものの、現場はピリつくどころか和やかムード。「初のパリ公式?つっても東雲にいるので実感なくて」という正直な答えには笑いが起こった。この服と人柄のギャップは狙っているものではなく、おそらく天然。しかし、ファッションに対する愛情と反骨心は人一倍強い。パリメンズ公式参加の可否を決める勝負の面接で、受け答えが「ボロボロに終わった」直後、諦めずに補足の書類を即座に作成して提出。決して簡単ではない審査を何とか通過し、大舞台への切符をもぎ取った。また「服作りができないと俺は死ぬ」と2万以上のフォロワーに向けてSNSで堂々と宣言するなど、愛するファッションやパンクに対しては、とにかく少年のようにピュアで一直線なのだ。

不透明な時代で輝くパンク魂

 唯我独尊の“パンク”なブランド――この響きだけだと、とっつきにくい印象を持つ人も多いだろう。「バンドの音源聴いたことないのにツアーT着てんじゃねえ」的な面倒くさいブランド、デザイナーなのではないかと。しかし「キディル」には“隣の兄ちゃん”のような親しみやすさがある。音楽は詳しくないけどパンクファッションを楽しみたい人と、クセの強い音楽偏愛者の両方の“パンク”を受け入れる温かさがある。そう感じる要因は、ちょっとした隙のある服なのか、スイーツが大好物な末安デザイナーの真っ直ぐな性格なのかは分からない。確かなのは、この裏表のない末安デザイナーの周りに音楽からカルチャー関係まで多くのディープな才人や企業が集まり、「キディル」はそれを力へと変えていったこと。この天然の親しみやすさが、東京のアンダーグラウンドからパリコレにまで押し上げた武器の一つであることは間違いない。

 「いつ潰れるか分かんないっすよマジで」と開店当初に言っていた東京・渋谷の路面店は5年目を迎え、「いつ廃業するか分かんないっすよマジで」と新型コロナウイルスの影響で弱気になっていた1年前から取り扱いアカウントは増えた。現在はドーバー ストリート マーケット(DOVER STREET MARKET)など有力店を含め、国内と海外ともに20で合計40アカウントとなり、パリに出て発表し始めた2年前から10アカウント増えて売り上げもじわじわと伸びている。パリメンズへの公式参加を機に、海外での知名度をさらに広げていきたいのだろう。デジタルでの発表がどう転ぶのかはまだ分からない。しかし先行き不透明な時代には、パンクの反骨精神はより一層輝きを放ってきた。隣のパンク兄ちゃんの挑戦は、まだ始まったばかりだ。

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フランスの新・美容トレンドは菓子感覚で食べられるグミサプリと石セラピー 海外ビューティ通信パリ編

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」では、パリやニューヨーク、ソウル、ベルリンの4都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。(本文中の円換算レート:1ユーロ=125円)

 フランスは昨年11月末に2回目のロックダウンが解除されたものの、飲食店をはじめ劇場や映画館などは引き続き閉鎖され、18時以降の夜間外出禁止令が継続中だ。そんな中、美容業界ではより“グリーン”かつ“クリーン”志向の美容人気が定着してきている。さらに自宅でのセルフケアが重視され、新たなブームが生まれている。

さまざまなブランドから目的別の美容グミが登場

 オシャレなサプリメントとして大ブームを巻き起こしている「エイム スキンケア(AIME SKINCARE)」に続き、新しいインナーケアブランドが続々と登場している。「エピキュール(EPICURE)」は、インターネットでカウンセリングを行いオーダーメイドの個人に合ったサプリメントを自宅に届けてくれるサービスだ。1カ月分29ユーロ(約3600円)で、ほかに3ヶ月と6ヶ月コースがある。ロックダウン中に一気に人気の火が付き話題を集めた。オーダーメイドサプリのほか、ストレスフリーや安眠、ダイエットなど目的別の美容グミ(24.9ユーロ=約3100円)や、アセロラ、亜鉛、セレン入りの免疫アップが期待できるタブレット(19ユーロ=約2300円)など豊富な商品をそろえ、1月からは老舗百貨店のル・ボン・マルシェ(LE BON MARCHE)での独占販売がスタートした。

 おいしく菓子感覚で楽しめる美容グミを扱うブランドで代表的なものは、グルテンフリー、着色料フリーにこだわり、髪や肌のケアとスリミング、デトックス、サンケアなどに特化した全9種(各25ユーロ=約3100円)を販売する「ラシレ(LASHILE)」、肌爪髪のケア用から、エネルギー補給、閉経後のケア、子ども用まで全8種(各20ユーロ=約2500円)をそろえる「レミラキュルーズ(LES MIRACULEUX)」などがある。さまざまなブランドが提案することで、新たな美容トレンドとなっている。

石の力で体の内外からアプローチするリトテラピー

 そしてこのところ、ホリスティックな美容の流れから、石を使ったリトテラピー(『リト』はギリシャ語で石、『テラピー』は治癒を意味する)がフランス人にとってより身近な存在になっている。石には肌を強化するさまざまな特性があり、血行促進やニキビ予防のほか、美容成分の浸透力を高め、肌のトーンを明るくするなどといわれているが、同時に精神を落ち着かせて自信を持たせるなど、さまざまな効果があると信じられているからだ。

 中でも「ロール オン ジャード(ROLL ON JADE)」は、ローズクオーツや翡翠を使ったさまざまな形状のカッサ(最近の人気はキノコ型!)や、ローズクオーツ入りのウオーターボトル(70ユーロ=約8700円)などを販売し、リトテラピーブームに火を付けた。ホリスティックブランド「センタラ(SENTARA)」は、同様のカッサやローラーのほか精神の浄化を目的にヘマタイト(赤鉄鉱)とクリスタルの粒を入れたエッセンシャルオイルのスプレー(ユーカリ、レモングラス、パロサントのブレンドオイルを使用)を発売し話題だ。

 年末年始のル・ボン・マルシェでは、ロンドンのセルフリッジを拠点とした占いの活動で知られる超能力姉妹、サイキックシスターズ(Psychic Sisters)が手掛けるプロダクトをコーナー展開で販売していた。ロールオンタイプのオイルやヒーリングミストなどだ。ロールオンは富や成功を呼ぶといわれる鉱石のカーネリアン(紅玉髄)や、ネガティブなエネルギーを除去するといわれるオブシディアン(黒曜石)を漬け込んでいるそうだ。フランス人は占いやスピリチュアルな世界をそれほど信用していない人が多いが、現在の不安な状況下では精神的な世界に頼りたい人が増えているのかもしれない。

須山佳子(すやま・けいこ)/コンサルタント:2001年に渡仏しMBAを取得。ファッション業界で働き、09年に日本の美容ブランドを欧州市場へ売り込むコンサルティング会社を設立。取引先は欧州の高級百貨店、美容ストア等。パリ市内でポップアップストア「Bijo;」主宰。インスタグラムアカウントは@bijo.paris

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MY FIRST STORYのHiroが本名でソロデビュー 「挑戦することがモチベーションに」

 2011年夏に東京・渋谷で結成されたMY FIRST STORY(以下、マイファス)でボーカルを務めるHiro。5分で1万2000席が完売した日本武道館から始まり、幕張メッセ、横浜アリーナ、埼玉スーパーアリーナで公演を行い、着実にキャリアを伸ばしている。また父・森進一、母・森昌子、兄・ONE OK ROCKのTakaという音楽一家で生まれ育つ。そんな彼が昨年、本名の森内寛樹でソロデビューを発表。その背景には暗い世の中がありました。「エンターテイメントを生業にしている人間は、今、先頭立って引っ張っていくべきだと思う」。さらに「自分が着たいものを自分で作りたい」という思いから、ファッションブランド「ルール ザ フェイト(RULE THE FATE)」をスタート。それらを決断した理由について本人に迫った。

WWD:ソロデビューをしようと思ったきっかけを教えてください。

森内寛樹(以下、森内):新型コロナウイルスの影響により、家にいる時間が増え、自分にできることはマイファスの活動以外にないか考えました。そこでいつも応援してくれているファンの人たちからのメッセージを見て、新しい形で歌を届けようと思い挑戦することにしました。

WWD:1月20日に発売するソロアルバム「Sing;est」。この名を付けた理由は?

森内:歌手というジャンルの中で、一番上に立てたらいいなという願いを込めて付けました。また自分自身の背中を押すという意味も込めています。

WWD:収録されている10曲を選んだ決め手は?

森内:ファンの人たちからのリクエストも踏まえて、認知度が高くバンドで歌わなさそうな曲を選びました。またさまざまな世代の人が僕のことを知ってもらうきっかけになってほしいです。

WWD:特に難しかった曲は?

森内:カンザキイオリさんの「命に嫌われている。」は難しかったですね。当事者の姿が浮かばず、どの立場で歌えば良いのかを掴むのが難しかったです。

WWD:マイファスのHiroは東京ドーム公演を目標に活動している。森内寛樹はどこを目指していきたい?

森内:現状、先のことはまだ何も想定していません。一つの挑戦としてスタートした段階ですので、まずは周りの反応を見てから、次の指針を決めようかなと思っています。

WWD:自身の好きなファッションスタイルは?

森内:好きなスタイルは特にありません。自分の中の気分を変えるための一つのツールがファッションです。僕は縁を担ぐタイプで、一日のコーディネートを下着から全て決めていくんですよ(笑)。それに思い悩み始めると、服を選ぶのに30、40分かかる時もあるんですよね……。

WWD:年間どれくらいの洋服を買っている?

森内:僕は5〜10着をシーズンごとに一回にまとめて購入しています。それを次のシーズンまで着回していますね。

WWD:一番購入しているブランドは?

森内:「ディスカバード(DISCOVERED)」や「ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)」。素材やシルエット、デザインも僕の好みとマッチしているので着用することが多いです。

WWD:ファッションブランド「ルール ザ フェイト」も立ち上げましたよね。同ブランドを立ち上げた理由、ブランド名の由来は?

森内:「こんな服があったら良いな」「自分が着たいものを自分で作りたい」と思ったのがきっかけです。ブランド名は自分の胸に彫ってあるタトゥー(“自分自身の運命を支配する” という意味)から採用しました。

WWD:どんなアイテムをそろえた?

森内:最初はオールシーズン着用でき、ライブでも使いやすいパーカやロングTシャツなど、カジュアルなものをそろえました。特にこだわったライダースジャケットは素材、シルエット含めて自分の理想のものに仕上がりました。

WWD:アーティストが故にアパレルはサブと捉えられる見方もあると思うが、その辺りをどう考える?

森内:仮に音楽活動の数値が70%とするならば、そこを伸ばすよりも、新しく始めたアパレルを伸ばす方が楽しいし頑張れる。アパレルの数値を0%から上に引き上げたいし、その活動により音楽活動が80%になる可能性もある。新しいことに挑戦するのであれば中途半端なことはしたくないし、自分の中で納得がいくまでこだわり、世に出していきたいと思っています。

WWD:新型コロナウイルスにより世界中が暗いムードの中、音楽が持つ意味とは?

森内:音楽に限らず、エンターテイメントを生業にしている人間は、今まで以上に先頭立って引っ張っていくべきだと思います。今まで以上に何かを見る・聴くという行為が増えているなかで、僕のことを知ってくれるチャンスでもあるし、ジャンルを超えて何か面白いことができたら良いなと思っています。

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化粧品のカタカナ名問題……、オススメを聞かれても答えられないのです エディターズレター(2020年12月9日配信分)

※この記事は2020年12月9日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

 

化粧品のカタカナ名問題……、オススメを聞かれても答えられないのです

 よくママ友に聞かれることがあります。「最近のおすすめのコスメは何?」と。最近だったら、「化粧水でバリア機能を高めてくれるのとかってある?」とか、「目元の老化が気になって……。アイクリームとかつけた方がいいのかな?」とか。やっぱりコロナ禍での悩みが多くなっているようです。

 そこで私はちょっと困るんですよね。「うーんとねーー、あれあれ、あのブランドのあれがいいんだけど……。なんちゃらかんちゃらローションとか言ったかな」とか言うと、「何にも分からないじゃん」と苦笑いされます。

 そうなんですよ……カタカナがネックなんですよ。化粧品と洋服の大きな違いは、製品に一つ一つ名前が付いています。洋服だと、○○ブランドのジャケットとか、△△ブランドのクロップドパンツとか、ブランド名以外はアイテムの名称で済みます。せいぜいこれに加えて、シリーズ名があるぐらい。一方で化粧品はどうでしょう?○○ブランドの○○シリーズの保湿化粧水“○○”とか、同じブランド同じシリーズ、同じ化粧水でも、導入化粧水“○○”とか。しかもしかも、製品名“○○”は日本のブランドでもほぼカタカナなんですよね……。

 例えば、“アクアクリアファイン”とか“ポップインクチュールコレクション”“フィットアイシャインロック”(全て適当です)とか。本当に覚えられなくて困ります。

 余談ですが、幼少期を過ごした田舎で、線路脇にあった会社名が「ウルトラマン」だったんです。歩いて横を通ることはなく、だいたいが車移動。だから車で通り過ぎる際にいつも「ウルトラマンの会社なんだなあ、きっとソフトビニールのあのウルトラマンの人形を作っている会社なんだろうなあ」って幼心に思っていたんです。で、ある日、中学生ぐらいになって自転車で横を通り過ぎた時のこと、いつもながら「ウルトラマンの会社〜」と思いつつ、なにげなく、ゆっくり読んでみたら……、「ウ・ル・シ・ハ・ラ。ウルシハラ!えーーーー、ウルシハラじゃん」と一人でびっくり。カタカナがトラウマになった瞬間でした(笑)。

 そんなこんなで今でもカタカナ恐怖症……。製品を記事化するときは、とにかく“鬼チェック”。一文字一句照らし合わせて確認しています。

 現在、「WWDビューティ ベストコスメ2020」の部門発表を毎日行なっています。発表を受けママ友に「どこがいいの?」と聞かれること間違いなしです。百貨店・セミセルフでは外資系が多いということもありますが、ブランド名・製品名ともにカタカナしか並びません。一方でバラエティー・ドラッグストアでは、結構、日本語が多く登場します。名前を見れば、どういった製品か分かるのも特徴です。だからきっとすっと答えられるバラエティー・ドラッグストアの製品をオススメしてしまいそうです。

 またまた余談ですが歌姫、浜崎あゆみが、自分で作詞する際は、英語を入れずに日本語だけで構成しているというエピソードが記憶に残っています(ある時から英語も入っていますが)。彼女の歌は耳にすっと入ってきますし、歌い継がれています。耳に慣れ親しんだ言葉の方が誰にでも分かりやすいと思ったんです。

 今やSNSの影響で消費者みんながPR担当です。もちろんブランドイメージなどもあったり、カタカナだけでも意味が分かるものもあるので、絶対に日本語がいいとは言いませんが、もう少し分かりやすければ、もっと“バズる”かもしれないな、と思います。

HER OPINION:ママ、女性に関連するファッション&ビューティ業界の話題をお届けします。今、働くママを含めた社会進出が進む女性に関わる情報が増えてきました。彼女らにまつわるニュースをピックアップすることで、彼女らを支える彼らにも役立つニュースを紹介します。

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ラフ初の「プラダ」メンズや「ゼニア」に興奮 先輩&後輩記者2人のミラノメンズ10選

美濃島:明けましておめでとうございます!今年も宜しくお願いします。正月気分からようやく抜け出せたと思ったら、2021-22年秋冬メンズ・コレクションが開幕しました。デジタル形式がメインとなりますので、今回もPCとにらめっこしてリポートしていきましょう。まずピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)とミラノ・メンズ・ファッション・ウイークから印象的だった10ブランドをざっくりとプレイバック。今年はピッティもデジタルプラットフォーム「ピッティ コネクト(PITTI CONNECT)」を整えてコレクションを発表しましたね。

大塚:いやーコレクションサーキットの開幕感がないですねえ(苦笑)。デジタルでの取材も2シーズン目となると、モチベーション維持もわれわれの使命ですな。そんな中でも主要都市に続き、ピッティもいよいよデジタル発表に本格参入したね。どう出るのか注目していたけれど、もうひたすらトーク。「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」は30分、「ヘルノ(HERNO)」は20分ほぼずっと話していました。それはそれでピッティのブースにいるようで臨場感はあるのだけど、全部集中して見るには相当な気合いが必要だったわ。後者は字幕なしのイタリア語オンリーで全然分かんなかったし。

30分におよぶ怒涛のトークセッション

美濃島:「ブルネロ クチネリ」では、ブルネロさんが「10カ月洋服に触れない時期を過ごした。人は実際に触り、着用したいという気持ちが強くなっている」とファッションの可能性を熱く語ってくれたほか、「ピッティ コネクト」を開設した理由やピッティの存在意義も説明してくれました。「思いを伝えよう!」という意気込みは伝わってきます。ただ、話しっぱなしで少しだけ疲れちゃいましたね(笑)。その流れで服の説明も聞きたかったな。

大塚:ウンブリア州ソロメオの本社からの中継だったね。マスクを付けたモデルが並んでいて、服の紹介はいつかな〜と待っていたらそのまま終了しちゃった。後日オンラインで紹介はあったけれど、ファブリックやコンセプトが毎回素敵で楽しみにしているからちょっと驚いたよね。テーマは“昨日と明日との統合”で、実際に見られる日が待ち遠しいです。ピッティとデジタルをどう融合していくかはまだまだ試行錯誤が必要だな。

ジャージでテーラリングを“リセット”

美濃島:ミラノのトップバッター「エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA)」は、“THE (RE)SET”と題したコレクションでした。ニットやジャージ素材を用いたテーラードスタイルですが、リラックスしすぎず“しっかり感”があるところにアレッサンドロ・サルトリのセンスと技術力の高さを感じます。

大塚:めちゃかっこ良かったわ。服もよく見えるし、素材感も伝わるし、映像もコンセプチュアルで引き込まれた。テーマに合わせて、新状態のライフスタイルをコレクションで再定義するクリエイションでした。自分たちの強みをしっかり理解して映像を作っているよね。編集部には事前にこんなノートが届いたよ。

美濃島:そんなノートが届いていたんですね。絶賛リモート中の僕は明日の出社時に拝読しようっと。ジャケットやパンツだけでなくインナーもニットで統一するのが新鮮でした。

大塚:ラウンジウエアとフォーマルを融合した、インドアとアウトドアをつなぐシームレスなスタイルですね。きれいなテーラードにワークやスポーツを合体させるのはサルトリの得意技だから。素材はジャージー中心で基本はイージーフィットなのに、ショールカラーのローブやダブルカシミアのスーツ、トラックパンツはどれもエレガントで素敵だった。

美濃島:動画はウオーキングの映像とホテルで撮影したイメージ動画をミックス。前回に続き、「ゼニア」はクリエイションの伝え方が上手いですね。

大塚:15分の長尺って全部見るのはまあまあキツいのだけど、あっという間。映像終盤のサルトリさんの登場も渋すぎたわ。

オマージュ盛りだくさん(?)の気鋭ブランド

大塚:前シーズンはミラノの中堅・若手組の動画は見てられないぐらいクオリティーが低いものが多かったけど、今シーズンはみんな結構作り込んできたね。「フェデリコ チーナ(FEDERICO CINA)」はブリーフ一丁のモデルが登場したときは「きたきた」と嫌な予感がしましたが(笑)、そこから盛り返して、コレクションのムードに合ったかわいい動画に仕上がっていた。最後は「私はロランス」やんけ!だったけど。

美濃島:序盤は身構えちゃいましたが、終わってみたらなんとも言えない心地よさでした。手書きのレターモチーフをのせた白シャツやぶどうを表現したニットなど、キャッチーな洋服の世界観に合った映像でしたね。後半の男女が体を支え合うシーンは金八先生の「人という字は〜」を勝手に連想しました。

大塚:古っ。美濃島さん25歳だよね(笑)?

アウトドアストリートが今っぽい

美濃島:今シーズンのミラノはウオーキングだけの潔い映像も多いですね。「デヴィット カタラン(DAVID CATALAN)」は自然光が注ぐ気持ちいい建物を舞台にモデルが歩く動画でした。同ブランドは2012年にスタートし、ストリートウエアをベースにしたコレクションが持ち味。マウンテンパーカやサファリハットなどアウトドアアイテムがメインでしたが、インパクトのあるタイダイ柄などクセを加えていたのが好みでした。

大塚:きれい目カジュアルに、ワークやアウトドア由来のファンクショナル要素をプラスする今っぽいスタイルだね。タイドアップはやや蛇足だったかな。ラストにデザイナーがランウエイショーっぽく登場するのがかわいくて癒されました。しっかしミラノのサイトは見づらい!喝!

美濃島:サイトデザインを頑なに変えませんね(笑)。逆に愛おしくなってきました。

日本人ラッパーがミラノで大暴れ

大塚:ねえねえ、「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(CHILDREN OF THE DISCORDANCE)」すごくなかった?噂によると撮影が超ギリギリのスケジュールだったみたいなのだけど、どんな映像かと思ったら直球のPV仕立てでのけぞった。

美濃島:海外人気も高いラッパーのHideyoshiとRalphを起用したMVで、インパクト抜群でしたね。ゴリゴリのストリートの世界観に合うキャスティングだし、ブランド得意のバンダナモチーフもめちゃくちゃ似合ってました。ただHideyoshiは髪が長いイメージだったので、一瞬誰だかわかりませんでした(笑)。

大塚:なるほど。そこは一応海外を意識しているのかな。前回の15分間スケボー乗り倒しといい、世界観の発信にこだわっているよね。ただここのブランドの服って見た目の瞬間的な面白さと、ヘンタイ的な作り込みが武器でもあるから、もうちょっと服をしっかり見せてもよいなとは感じた。あと海外、特にミラノの人がこの動画を見てどう反応するか気になるかも。今度本人(志鎌英明デザイナー)に聞いてみよう。

美濃島:PVの見せ方に振り切ったブランドは他になかったので、存在感は示せたと思います。志鎌さんからの返答は僕にも聞かせてください!

“今の普通って何?” 「フェンディ」がやっぱり強かった

大塚:「フェンディ(FENDI)」はやっぱり面白かった!最初はネオンカラーのゲーム空間のようなセットで飛ばしていくのかなと思ったけれど、ガウンコートやパジャマルック、ざっくりリブ編みやルーズソックスなどラウンジウエアのリラックス感をテーラードとミックスしていたね。ディテールをデフォルメして違和感をちょっぴりプラスしつつ、キャッチーなバッグやFFロゴなどのモチーフも際立たせてくる辺りがさすがでした。

美濃島:ネオンの光が変化するにつれてルックのカラーブロックも切り替わる面白い演出でした。ラウンジウエアでニューノーマルの気分を反映させた一方、サイケなアートワークやBGMからは「落ち着いたムードだけじゃ楽しくないでしょ!」というメッセージを感じました。

大塚:そうそう、演出も面白かったね。BGMの「What is Normal Today?」という声はシルヴィア・フェンディ本人だったり、「FENDI」の文字を抽象化したグラフィックはロンドンのアーティスト、ノエル・フィールディング(Noel Fielding)が描いたりと、盛りだくさんでした。

美濃島:「FENDI」の文字を落書きっぽくアレンジしたアートワークはすごいかわいかったです。普通にロゴを載せるだけじゃ機械的すぎるけど、手仕事感のあるアートワークに昇華していて、ロゴブームが去った今でも受け入れられそう。バランスの良い遊び心が素敵です。

大塚:あと如実なのが、見た瞬間「これ絶対に着心地いいやつ」って分かる服が多く登場すること。これは「ゼニア」もしかりで、一時期のストリートブームで各ブランドがビッグロゴや派手なモチーフで“分かりやすいデザイン”が多く登場したけれど、今は“分かりやすい着心地”を、映像でいかにアピールするかに主要ブランドは結構こだわっている気がする。ラウンジ・フォーマルで着心地コンシャスは、この後も続いていきそうな予感。

美濃島:昨シーズンも「ルメール(LEMAIRE)」などが近いアプローチの映像表現をしていましたね。パリでもこの流れは強そうです。

ストリートに舵を切った「エトロ」

大塚:「エトロ」は思い切ってストリートに振ってきたなーというのが第一印象。ストリート全盛の頃も割とスタイルを崩さなかったのに、ここで来たかと。フーディーやイージーフィットのアウターはもちろん、ビッグロゴのキャップ、ボリューム感のスニーカーの打ち出し方とかからも若い世代を意識しているのだなというが感じられたわ。

美濃島:ロゴ入りパーカとキャップ、シャカシャカのブルゾン、バミューダショーツなどグッとストリートテイストになりました。モチーフは相変わらず柄を多用してアクセルを踏み込んできました。モデルたちが建物の中からストリートに飛び出していくフィナーレは見ていて気持ちが良かった。夕日が差し込んでるのかと思ったら外は昼間だったから、窓に色付きのフィルターを張っていたんですかね。

大塚:もともとはリアルでのショーを予定していたから、無観客での映像配信になって急遽用意した演出なのかも。

スキーがトレンド候補? 「MSGM」のストリート×アウトドア

美濃島:「MSGM」はスキージャケットやサイドラインパンツ、ネオンカラーなど、ウィンタースポーツに着想したストリートスタイル。雪が降る演出でコレクションのムードを上手く伝えました。スキーは昨年末に「ディオール(DIOR)」も取り上げましたし、スケボーとヒップホップに続くメンズ市場のトレンドになるかもしれませんね。

大塚:スキーは定期的にトレンドに浮上するし、アウトドアへの欲求は世界中で確実に高まっているもんね。コレクションは、1990年代に東京でも流行したストリートとアウトドアのミックススタイルでした。「カンゴール(KANGOL)」のバケットハットとかドンズバ。「スカルパ(SCARPA)」とのボリューミーなシューズもかわいくて、1930年代のポスターに着想したノスタルジックなグラフィックも好き。登山家のヴァルテル・ボナッティ(Walter Bonatti)の本を参考にし、リゾート地のポスターを参考にしたのだとか。「MSGM」はいつも変わらず明るくて安心するよ。

ラフ加入後、初のメンズを披露した「プラダ」

大塚:さて、お次はいよいよミラノ・メンズ最大の目玉である「プラダ(PRADA)」。ラフ・シモンズ(Raf Simons)が加わって初めてのメンズです。ラフ大好きな美濃島さんはどうだった?

美濃島:柄を多用しているのが新鮮でした。ラフは写真やグラフィックなどをよく使う一方、パターンにはあまり手を出してこなかったので勝手に苦手意識があるのかと思ってましたが、デジタル感のある総柄がめちゃくちゃ格好良かった。裏地が目立つボンバージャケットとニットの柄on柄の組み合わせは最高でしたね。トライアングルをあしらったもこもこグローブは冬の新定番として人気が出そうです。グラフィックが無いためか、9月に発表した21年春夏ウィメンズ・コレクションよりもラフ感は控えめ。少し物足りなさも感じました。

大塚:なるほどね。確かにピーター・サヴィル(Peter Saville)感はなかったけど、僕はめちゃくちゃラフだなと思ったけどな。ミウッチャとラフの個々のバランスをまだ探り合っている印象だけど、融合しようとしている試みている意図は感じました。あの複雑な柄は、自宅で過ごす時間が長くなりって自身の感情と向き合った結果なんだって。そしてここでも出ました!部屋着のようなニットのボディスーツ。ただこれは単なるリラックスとは違ってピッタピタ。コロナ太りしているようでは着られないよ(笑)。アウターは巨大なMA-1やVネックニットはまさにラフの代名詞という印象。ジャケットを二の腕までたくし上げてインナーを見せるスタイルは「ラフ シモンズ」21年春夏でも披露していたね。僕も挑戦したいけど、腕立て毎日100回やんないとな。

美濃島:僕はコロナで3kg太ったのでこういった服を着るために痩せます!!ラフとミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)に向けて服飾学生が質問を投げかけるトークセッションも実施されました。日本からは文化服装学院の生徒が出演し「どんな革新的な技術を取り入れた?」と質問していました。ファッションの面白さを後世に伝えようとするブランドの思いも伝わるし、学生も一生の思い出になる素晴らしい企画でした。

大塚:演出も独特で面白かったわ。音楽は21年春夏ウィメンズと同じく、プラスティックマン(Plastikman)名義のリーチー・ホウティン(Richie Hawtin)。「ゼニア」も「フェンディ」もだけど、服をがっつり見たいわれわれにとっては静かなテクノみたいな音楽が相性いいのかなとふと思った。ちょっとホドロフスキーチックな怪しいダンス(笑)は、ラフいわく「ポジティブで楽しい雰囲気を表現したかった」らしいよ。

美濃島:たしかに、静かなテクノは鑑賞の邪魔にならず洋服に集中できます。表現が自由すぎていろいろやりたくなりますが、「あくまで服が主役」という考えが根底にあるとバランスの良い演出に到達できるかもしれません。

ヒゲの接写&チープな格闘ゲームに苦笑

大塚:安定の変わり種は「スンネイ(SUNNEI)」。いつも「何かほかと違うことやってやろう感」がいいように作用することもあれば、イラっとすることもあるので(笑)、今回はどうかなと構えていたのだけど、動画が始まってビックリ。だって、ほぼ肌しか映らない超接写だったから。たまにヒゲ。

美濃島:新卒で入社した時は、コレクション取材でヒゲや脇毛のドアップを見せられる日が来るとは思ってませんでした。

大塚:「今シーズンは“イラっ”の方かな」と考えながら我慢して見ていたら、最終的にその肌とヒゲはデザイナーデュオのもので、特設サイトに案内するための案内動画だということが最終的に判明しまして。で、そのサイトにアクセスしてみたら、とんでもなく低いクオリティーの自作格闘風ゲームがプレイできるというね。キャラは最新コレクションを着ているのだろうけど、ゲームの意味が全く分からず「何すんねん(SUNNEN)」と思いながら適当に操作するうちに段々クセになってきちゃって、最終的には大笑いさせてもらいました。

美濃島:ゲームは最後まで意味不明でしたし、大塚さんの「何すんねん」もギリギリですよ……。でも新しいことに挑戦しようというブランドの勢いは伝わってきました。問題の服はジェダイっぽいコートや大判のダイヤ柄などゲームキャラらしいアイテムもありましたが、ダウンジャケットやタートルニットなどリアルクローズも多め。ゲーム表現と合わせて、もっと攻め攻めなクリエイションでも面白かったかもしれません。

大塚:唯我独尊すぎてゲーム×ファッションの時代に乗ってるんだかどうかは分かんないけど、人を楽しませようというマインドには好感が持てたね。

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ファッション通信簿Vol.62 2021年に輝くスターたちに着てもらいたい理想のコーデを米「WWD」が勝手にチョイス!

 米「WWD」が海外セレブたちのファッションを厳しくチェックする人気企画「ファッション通信簿」だが、第61回の今回は趣向を変えて、2021年に注目のスターたちに着てもらいたい装いをコメント付きで勝手にチョイス!

 エマ・ストーン(Emma Stone)、ゼイン・マリク(Zayn Malik)、ティモシー・シャラメ(Timothee Chalamet)、カーディ・B(Cardi B)、デュア・リパ(Dua Lipa)、ハリー・スタイルズ(Harry Styles)、オリヴィア・ワイルド(Olivia Wilde)、ゼンデイヤ(Zendaya)にハイブランドの新作コレクションを組み合わせた。彼らのキャラクターとコレクションのルックの見事なマッチングに注目だ。

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“前澤ファンド”がフェムテック企業メデリに出資 “女子校感”から“共学”なテーマに

 フェムテック事業を行うメデリ(MEDERI)が、ZOZO創業者で、スタートトゥデイ社長で実業家の前澤友作氏が設立した“前澤ファンド”「10人の起業家に100億円」出資企画に選出された。出資額は非公表。

 メデリの坂梨亜里咲代表は、自身の不妊治療の経験をきっかけに起業。2020年春に、医師や専門家の監修のもとに妊娠や出産に関わるサービスを展開するウーマンウエルネスブランド「ウブ(Ubu)」をスタートし、妊娠に必要な栄養を厳選したサプリメントや、感染症や妊娠に影響があるとされる膣内の菌の状態を自宅で簡単にチェックできるキットを展開している。

 今回の企画について「女性向けの健康サポート事業を行っていくなかで、男性や社会の理解が必要だと実感していました。”前澤ファンド”のことは、前澤氏のTwitter投稿で知り、応募に至りました。女性の健康・活躍は女性だけの問題ではありません。より多くの方に、自分の体に興味を持ち、早期に知ってもらいたいという強い思いがあります。メデリを通して、女性をエンパワーし、女性の可能性を広げていきたいです」(坂梨代表)。

 “前澤ファンド”は、「社会課題の解決」や「趣味の追求」を事業テーマに掲げる起業家や団体に対して、前澤氏の個人資産をもとに総額100億円規模の出資を行う株式会社として設立。今回の出資先として決定したのは、「ひとり親の養育費保証事業」「ペットを幸せにする事業」「自宅で健康チェック事業」などの13の事業領域(計14社、自社事業含む)で、坂梨代表は、唯一の女性起業家だ。

 前澤氏は、経営株主に近い立場で各社の経営に携わるという。前澤氏からメデリへのコメントは以下の通り。「男性にはない女性特有の悩みを、家でできる女性ホルモンチェックの結果に応じて解決するビジネスということで、内容を理解するまでに少々時間がかかりましたが、今となっては理解も深まり、むしろそうした女性特有の悩みはパートナーなど男性側もそれなりに知っておくことで、協力しあって解決できたらすばらしいな、と思うに至りました。同時に女性にもっと優しくしないとなぁとも思いました(笑)」。

 今後メデリは、自宅でできる女性ホルモンチェック事業に注力し、不妊対策だけでなく女性のライフステージや体の変化に寄り添うサービスを強化していくという。「女性ホルモンチェックの結果に応じて、PMSや更年期障害の不調や不妊対策など女性一人一人にパーソナライズされた健康サポートを行ないます。これは今までにない習慣であり、普及し定着するには険しい道のりかもしれません。不妊やホルモンに限らず、フェムテック領域に関する日本人の知識はまだまだ低い。どうしても閉鎖的で“女子校感”が漂います。今後は、友人やパートナーとも考えていけるような“共学”のようなテーマにしていきたいですね。ホルモンチェックが一人でも多くの女性に自分の体調に興味を持つきっかけとなり、結果的に本人だけでなく大切な人の笑顔につなげるために、事業に真摯に向き合い、新しい文化を創りたいです」(坂梨代表)。サービス開始は今春を予定する。

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理想ではなく現実から語りたいサステナブル エディターズレター(2020年10月29日配信分)

※この記事は2020年10月29日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

理想ではなく現実から語りたいサステナブル

 多くの企業が取り組むサステナブルについて、常々「モヤッ」とした気持ちを抱えてきました。「大事なのは分かっているけれど、“自分ごと”化しきれていない印象がある」のです。「頭では理解しているけれど、心では共感しきれていない」とも言えましょうか。こと自社媒体を含むさまざまなメディアや、カンファレンスから発信されるメッセージにそんな印象を抱いており、少なくとも自社媒体については「改善したい」と強く思ってきましたが、問題の本質はなんなのか考えあぐねていたので糸口を見つけきれず現在に至りました。

 それが先日、「解決できるかも!」という気分になりました。今日は、そんなお話です。

 きっかけは今月、伊藤忠ファッションシステムのサステナセミナーに登壇させていただいたことでした。上述の通り、私はサステナについてエラそうに語れる身分ではありません(苦笑)。ゆえにメーントピックスは、日々の取材で感じてきた「企業の迷い」や「陥りがちなトラップ」に設定。最後にちょっとだけ「アナタの会社も既にちょびっとサステナブルかもしれないよ!」という小さな気づきを提供して締めくくりました。例えば「企業の迷い」では、「サステナはCSRなのか?」に言及。私は、「CSRと捉えると義務感に駆られ、自分に直結するメリットを見出しづらいから、誰も“自分ごと化”できません!」と訴えさせていただきました。続く「陥りがちなトラップ」では「そうすると、サステナ担当だけが孤立という悲しい結果に」と、これまで見聞きしたり、体感したりの事例をお話。最後の「気づき」では、例えば田舎にある工場の風景を守ろうという地域密着の活動をずっと続けていたら、「もう立派にサステナブル!それを広げていきましょう」とエールを贈った次第です。

 そして最近、ウェビナーのご担当者から数件の反響をいただきました。そこには、「理想と現実に悩む企業サイドの心理をきちんととらえ、それに対してお話いただけたので、共感しやすい内容でした」とのお言葉がありました。「ありがたい!」と思うと同時に、「そうか、理想と現実か!!」と改めて気づかされたのです。

 そう、昨今のサステナの多くは、「理想」を語るばかりで、そこからあまりに遠い「現実」に悩む皆さんにはツラく聞こえるのです。メディアの記事も然り、登壇者の言葉も然り。いずれも理想、もしくは一早く理想を知った人の世界、そんな人から見た現実への警鐘なのです。現実、理想がまだ見つからない人の世界、そんな人から見た現実に対する漠然とした不安に言及している記事や登壇者は少ない気がします。結果、自分自身と同じような悩みを持つ人の存在を認知しきれていないから、「モヤッ」としているのでは?と思うのです。

 そこで「WWDJAPAN.com」は、漠然とした理想と、それには遠く及ばない現実に悩む人さえ巻き込んだサステナコンテンツ作りに挑戦します。現在デジタルデスクと、社内のみならず外部の方、サステナに対する知識や境遇、悩みはバラバラな人たちを複数巻き込み、「一緒に悩もう、共に考えよう」というスタンスのコンテンツを作ろうと計画しています。そこで、私のお手紙で恒例行事となりつつある(笑)、この場をお借りしての大募集です。さぁ皆さん、サステナに対する知識は、現状ゼロでも構いません。私たちと一緒に、コンテンツを作ってみませんか?自分の素直な気持ち、悩み、漠然としか捉えていない理想と、そのギャップを語れる方、大募集中でございます。

SOCIAL & INFLUENTIAL:社会情勢によって変化するファッション&ビューティ業界を見つめます。インクルージョン(包摂性)&ダイバーシティー(多様性)な時代のファッション&ビューティから、社会に届けたい業界人のオピニオンまで。ジャーナリズムを重んじる「WWD JAPAN.com」ならではのメルマガです。

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急成長する“クリーンニカル”ビューティ クリーン×クリニカルなスキンケアに注目が集まる

 現在国内外で注目を集めているクリーンビューティは、人体や環境に有害とされる成分を含まない製品を求める消費者を中心に需要を拡大してきた。最近は、“クリーンでありながら皮膚科医監修”というハイパフォーマンスな“クリーンニカル(Cleanical。クリーン×クリニカルの造語)”スキンケアが急成長している。調査会社のNPDグループ(NPD GROUP)によると、ドクターズブランドは米スキンケア市場の34%を担う最大のカテゴリーで、そのうち20%は“クリーンニカル”ブランドが占めているという。

 クリーンビューティを多く扱う「グープ(GOOP)」では、自社製品を中心にeコマースでのクリーンニカルブランドの勢いを感じている。2020年9月にボディーバターを発売した際に初めて全てのプロモーションに臨床試験の結果を盛り込んだところ、売上高が1週目の予測を750%も上回ったという。ショーン・キアニー(Shaun Kearney)=チーフ・デザイン・マーチャンダイジング・オフィサーは、「“クリーンニカル”は、これまで以上に効果のある高機能な製品であることを連想させる言葉だ。体に塗布するため、原材料を気にする消費者も多い。今はサイエンスとウエルネスの融合が重視されている」とコメント。

 独ドクターズスキンケアブランド「アウグスティヌス バーダー(AUGUSTINUS BADER)」はパラベン、香料、SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)、SLES(ラウレス硫酸ナトリウム)、DEA(ジエタノールアミン)、重金属、鉱物油を使用せず、独自成分の「TFC8」を配合した製品を展開。創業以来、毎年200%の成長率を遂げている。チャールズ・ロジエ(Charler Rosier)共同創設者兼最高経営責任者は、「2020年の売上高は前年の3倍の7000万ドル(約72億8000万円)で、今年は1億ドル(約104億円)を超えると予測している。過去10年間のスキンケアトレンドを見てみると、クリーンとは言えない科学的な製品もあれば、大して科学的根拠のない自然派の製品も見受けられる。私たちはクリーンかつ科学的な根拠のある有効な成分を開発している。今の時代は、サイエンスとクリーンな処方は共存でき、妥協する必要がないのだ」と話す。

 「ドクター バーバラ シュトルム(DR. BARBURA STURM)」創設者のバーバラ・シュトルム(Barbara Sturm)医師は、「最近の消費者は原料や成分の有効性についてよく知っているし、そうした情報を求めている。だから正しい情報を、科学的見解を持って伝えることが大事」と話し、免疫や健康への関心も高まっている今、“クリーンニカル”トレンドは時流に合っていると分析する。「111スキン(111SKIN)」のヤニス・アレクサンドリデス医師も「消費者は製品の中身とその効能について興味をこれまで以上に持っている」と同意見を示し、それらについて詳しく解説している公式サイトからの注文が増えているという。

 これまでドクターズブランドは高い効果効能や皮膚科医監修といった側面がフォーカスされがちだったが、消費者のニーズや意識が変わる中で、今後は地球と人体に配慮したクリーンなドクターズコスメへの注目が高まりそうだ。

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自分が“当事者”と思える課題って何だろう? エディターズレター(2020年11月24日配信分)

※この記事は2020年11月24日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

自分が“当事者”と思える課題って何だろう?

 サステナビリティというと、「環境保全」「気候変動対策」に取り組む話題が多いと思うのですが、“持続可能性”という点ではもっといろいろな側面があります。SDGs(持続可能な開発目標)の「世界を変えるための17の目標」を見ると、「質の高い教育」や「ジェンダー平等」「平和と公正」などの項目があり、だいぶ多岐に渡ります。

 「貧困」もそのひとつです。1番目の記事に登場するシンディソ・クマロはサステナブルなブランドを称える「グリーン・カーペット・アワード」を受賞したデザイナーです。南アフリカ出身の黒人女性である彼女は、プリントデザインに問題意識を込め、テキスタイルの生産をアフリカの性産業で働く女性の自立支援に役立てています。

 クマロにとって、実はサステナビリティは“自分事化”できない問題だったといいます。「私が思うに、このトピックは主に欧米で環境問題について語られる一方通行的なものとなっている」。

 この記事、編集部の新入社員の女性に「訳さない?」と持ちかけたところ、彼女にも響いたようで「これは当事者目線のサステナビリティですね」と。そうか、この記事は当事者目線だから惹かれるのかも、と納得。

 厳密にいうと、クマロ自身はロンドンにも留学して自身のビジネスを営んでおり、貧困の当事者ではないと思うのですが、それでも彼女にとって「貧困」は心の底から解決したいと思う課題なのです。

 デトロイトを拠点とするトレイシー・リースにとってもサステナビリティは遠いものだったようです。「サステナビリティはエリート志向で、みんなが行いやすいものではないと感じることが多い」。そんな彼女は自身のコレクションの生産を地元の有色人種コミュニティーで行うことで雇用を生み出し、地元デトロイトを支援しています。自身も属する黒人の経済状況を改善したいという心からの思いが彼女の活動の原動力になっています。

 自分にとって解決したいサステナビリティの問題って何なのか。SDGsの17の目標には「働きがいも経済成長も」や「住み続けられるまちづくりを」という項目もあります。あなたの職場や仕事はサステナブルですか?住む環境はサステナブルですか?日本の過労死問題などは国際的に見ても悲惨とされていて、もしかしたら私たちの課題設定はそこにあるかもしれません。

 「なかなか自分事化できない」という人もいますが、ピンと来ないのはもしかしたらサステナビリティを狭義でしか捉えてないからかもしれません。今一度SDGsの「世界を変えるための17の目標」を見てみましょう。当事者意識を持って解決したい問題や興味ある分野があるんじゃないかなと思います。

VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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私が「月刊住職」を読んだ理由 エディターズレター(2020年10月16日配信分)

※この記事は2020年10月16日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

私が「月刊住職」を読んだ理由

 皆さん、ようやく金曜日でございます。ジェーン・スーに代わり、「よくぞ、ここまでたどり着きました!」とエールを贈り合いましょう。この週末は、何をしようかな?明日は、楽天 ファッション ウィーク東京の最終日ですね。夜のショーには伺うつもりなので、そのあとは、友人と外食したいと思います。

 気の置けない友人との外食でオススメなのが、「ぜ~んぜん関係・興味ないジャンルの雑誌を買って、一度、隅々まで眺めてみる」です。実は「日本経済新聞」の1面下にある小さな広告に注目しておりまして、それ経由で「月刊住職」「ねじの世界」「養豚の友」などを入手。友人と分かち合ったことがあります。もう少し手に入れやすい雑誌だと、「IRON MAN」とか「月刊ボディビルディング」などは、ビジュアルの強さも合間って、なかなかに楽しめます。前説ナシで巻頭8Pとかで特集される(この手の雑誌は、大味、いや大胆な誌面構成も多く、それも盛り上がりポイントです)ボディビルダーの記事から独特な世界(ファッション業界も一緒かもしれませんw)のインフルエンサーの存在を学び、広告からその世界の住人のニーズを読み取るのです。

 わかりやすい例をあげてみましょう。この手の雑誌でかつてボディトリマーの広告を見かけました。確かにあのブーメランパンツを穿きこなすには、欠かせないアイテムです。私も使っていますが、ニーズは違います。さぁ、ここから妄想の翼を広げましょう。例えば「コンシーラーなどは、この世界でも売れるかも?」なんて妄想が生まれ、「ネオンカラーのマニキュアとかも広告出したら?」など発展します(ちなみに、仲の良い友人は同業者ですw)。で、気づくと2時間なんてあっという間。フライデー・ナイトやサタデー・ナイトになんとなく、何かを学んだカンジがして心地よいのです。ちなみにリンクの3、4本目にある私の記事は、そんな「週末の夜に、みんなで盛り上がってくれたら嬉しいな」という思いから誕生しました。こんな風に、「消費のされ方」を想像しながら商品を生み出す姿勢、大事だと思っています。

 全然違うジャンルの業界紙を読むと、この業界に直結するヒントも得られます。例えば「食品産業新聞社」のウェブニュースは今年2月、「紅茶飲料市場が過去最高。仕事中に飲む大人が増加」という記事をアップしています。ここでリンクの1、2本目にあるビューティ業界の「ミルクティーカラー」とか「アールグレイの香り」などがつながったアナタは鋭い!こりゃ、まだまだ来ますね。紅茶ブーム。そう思うのです。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

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森星の「今日からできるサステナビリティ」Vol.3 サステナブルなファッションと、モノづくりへの興味

 渋谷スクランブルスクエアで開催された新プロジェクト「シティ シェド(CITY SHED)」のポップアップストアで、事業者としてプロジェクトの立ち上げから商品MD、プロモーション、空間デザインまでを初めて指揮したモデルの森星(会期終了)。「都会のなかの循環のかたち」をテーマにした同ストアでは、彼女の愛用する約50のアイテムをセレクトし、販売した。全3回にわたるインタビューでは、「シティ シェド」発足の背景から具体的なアクションに至るまで、生活に取り入れられそうなヒントをお届け。最終回は、ファッションで実践しているサステナビリティと、モノづくりに興味を抱いたきっかっけを紹介する。

WWD:本業であるファッションでもサステナブルな取り組みをしている?

森星(以下、森): 母が使わなくなったジュエリーをライトスタンドの装飾にしたり、生地をインテリアに取り入れたりして再利用しているので、私もそこからヒントをもらっています。最近では、着なくなったレザーパンツとベルトを解体して自転車のサドル用バッグにリメイクしたり、フリンジの洋服を自転車用のキーチェーンと組み合わせて、肩からかけるアクセサリーのようなアイテムも作りました。私自身は不器用なので、制作はバッグ職人のナツカさんに依頼しました。

WWD:気になるブランドや職人はどのように見つける?

森:検索魔なので見つけるのは得意(笑)。1日中SNSで好きなモノを探していて、ナツカさんもインスタグラムで見つけて、ダイレクトメッセージから連絡を取りました。実は、「シティ シェド」で扱っている「スク(SUKU)」とのコラボレーションもインスタグラムがきっかけ。気になるモノがあれば、インスタグラムでダイレクトメッセージを送ることが多いです。

WWD:「シティシェド」や「エデン(EDAIN)」の取り組みと併せて、伝統工芸の職人を訪ねたりもしている。手仕事を感じるモノづくりの魅力は?

森:伝統工芸からは、消耗品とはかけ離れたエネルギーやパワーをもらうことができます。私たちは小腹が空けばすぐにコンビニでおにぎりを買えるし、寒くなったらリーズナブルな上着を手に取ることもできます。まだ上手く言葉にできないのですが、それが当たり前になると便利な日常に感謝することを忘れてしまい、逆に“豊かさ”からかけ離れていくような気もします。

私の祖母である森英恵は、戦時中のモノがない時代でも「おしゃれをしたい」という気持ちから、着物の切れ端を縫って洋服に仕立て、やがてそれがブランドになりました。そんな“洋服を着る”こと自体に感謝できていた時代を想うと、感覚の違いに驚かされるし、うらやましいと感じることも。モノに困らない時代に生まれたからこそのメリットとデメリットを考えてしまいます。

WWD:しかしながら、ファッションはトレンドやシーズン性と切っても切り離せない点がある。

森:私自身、これまで全てのモノを消耗品として捉えていた点を反省しています。ただ、消費される服を“悪”として描きたいわけではなく、心地よいと思うポイントが変化してきました。祖母が経験したモノがない時代の感覚や、一過性のことばかりではなく、10〜20年先を見据えたライフスタイルを送るような作り手の方たちを今は「もっと知りたい」と感じます。

SNSなどで日々情報を得ることで、世の中で起こっていることを知った気になってしまいがちですが、伝統工芸やパーマカルチャー(パーマネント<永続性>と農業<アグリカルチャー>、文化<カルチャー>を組み合わせた造語。人と自然が共存する、永続可能な社会を作るための暮らし方)などの時間をかけて作り上げるモノコトや、そこに従事する方たちの自立した価値観や生き方に、憧れ的な興味を持っています。

WWD:ゆくゆくは伝統工芸やパーマカルチャーの取り組みもしてみたい?

森:順序を追って、いつか取り組んでみたいです。私が急に伝統工芸を語るのも、パーマカルチャーに興味があるからと言って山籠もりして自給自足的な生活を送るのも少し違う。あくまでモデルとして、私が大好きなファッションの世界をベースに、やれることからやっていくのが役目だと思うし、それが自分自身にとっても楽しく意義あるかたちでプロジェクトを進められる方法だと思っています。

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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ヒットユニオン傘下の「ラベンハム」が世界NO.1市場の日本でECを本格化

 ヒットユニオン(東京都、田辺圭二社長)は、1995年に傘下に収めた英フレッドペリー(FRED PERRY)を通じて2013年に買収した英国ブランド「ラベンハム(LAVENHAM)」について、20-21年秋冬シーズンまで渡辺産業に委任していた日本向けのセールおよびPR機能を自社に移管、さらに日本市場でECを本格化する。

 「ラベンハム」は1969年に創業。今なお全ての製品を英国内の自社工場で生産しており、シグネチャーアイテムであるポリエステル製のダイヤモンド柄キルティングジャケット(3万円台後半~4万円台後半)はセレクトショップを中心に販売され、日本人ビジネスマンがスーツの上に羽織るアウターとして定着している。日本で新たなスタートを切る「ラベンハム」について、ジェイク・ウィルモア(Jake Willmore)ブランドマネジャーに話を聞いた。

WWD:国別の売り上げで日本と英国はそれぞれ何番手につける?

ジェイク・ウィルモア「ラベンハム」ブランドマネジャー(以下、ウィルモア):日本は長年にわたるナンバーワン市場だ。顧客といっそうダイレクトな関係を築くため、1月14日にウェブサイトをリニューアルしECを本格化する。日本には「ラベンハム」の直営実店舗がなく、“初めてのオンリーショップ”の位置付けとなる。日本のスタッフからは、全商品を無料発送し、メンバー登録したお客さまには丈詰めや修理などのアフターサービスも受けられるようにすると聞いている。日本向けの各種SNSチャンネルも新設し、ECとの相乗効果を狙う。そして第2の市場が英国だ。18年にロンドンにオープンした世界初の直営実店舗と、19年にリローンチしたECがけん引する形で成長している。もちろん卸先とも密にコミュニケーションし、ブランドストーリーをきちんと伝えるべくアクションしている。

WWD:新型コロナは、“日英ワンチーム”の「ラベンハム」にどんな影響を与えた?

ウィルモア:「ラベンハム」はブランドマネジャーである僕が英国に、ヘッドオブクリエイティブであるカズ(横塚和幸)さんが日本にいるユニークなチーム編成だが、コロナによる困難はわれわれの結束を強めた。ビデオ会議システムをはじめとするデジタルツールの活用や、日英が明確な目的を共有することなどにより、物理的な距離の隔たりは解消された。

WWD:キルティングジャケットに変わる新たなシグネチャーアイテムは登場する?

ウィルモア:キルティングベストに注目してほしい。日本では“「ラベンハム」=キルティングジャケット”の認知をいただいているが、「ラベンハム」の原点であるホースラグ(乗馬馬用のキルティングナイロン毛布)に続いて商品化されたキルティングベストはブランドの核とも言えるアイテムで、英国版ECでは20年に最高のパフォーマンスを発揮した。日本での販売価格は2万円台後半だ。

 ヒットユニオンは、49年に福井県で創業した田辺莫大小(メリヤス)製作所の企画・販売部門を分離・独立させる形で69年に誕生。自社ブランド「ジャックマン(JACKMAN)」などを手掛けるかたわら、「フレッドペリー」や「ラベンハム」を買収。国内では2016年に自転車ファッションの先駆け的ブランド「ナリフリ(NARIFURI)」、18年に帽子ブランド「カシラ(CA4LA)」を手掛けるウィーブトシを傘下に収めた。売上高は283億円(19年6月期/20年から決算期を12月に変更)。

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マッシュ近藤社長が語る「女性の24時間を幸せにする」マンション 三井不動産レジデンシャルとタッグ、両社トップに狙いを聞く

 「スナイデル」や「ジェラートピケ」「コスメキッチン」などで知られるマッシュホールディングスが、不動産業界最大手の三井不動産レジデンシャルとタッグを組み、女性向け賃貸マンションの監修に乗り出した。衣・食・美のジャンルで「女性の24時間を幸せにする」ことを目指してきたマッシュが生み出す住空間とは? 近藤広幸社長と、起用した三井不動産レジデンシャルの大澤久取締役常務執行役員にその狙いや目指すものを聞いた。

Q:今回手掛ける「パークアクシス吾妻橋」はどんな物件なのか?

大澤久・三井不動産レジデンシャル取締役常務執行役員(以下、大澤):「パークアクシス」は、分譲デベロッパーだった私たちが質の高い賃貸マンションを作りたいと2000年にスタートした賃貸マンションシリーズです。現在、東京を中心に100万都市などで約180棟、1万6000戸を供給しています。通常は全60戸ぐらいのものが多いのですが、今回は、浅草エリアの吾妻橋で、全24戸で提供します。賃料は1DKで13万円前後、40平方メートル強で21万円前後。単身者プラスアルファをターゲットとしています。土地が小さいのでプランニングがとても難しい物件でした。

Q:今回、両社がタッグを組んだ経緯は?

近藤広幸マッシュホールディングス社長(以下、近藤):もともとコンピュータを使ったグラフィックデザインが当社の原点で、創業時にお仕事をいただいていたのが三井不動産さんでした。2005年に「スナイデル」をデビューさせてファッションを始める前からのご縁になります。それから20年近く、今も都心の高級分譲マンションの広告の制作・デザインを手掛けさせていただいています。

大澤:うちには担当者から部長、そして現在常務になるまでずっとお付き合いをさせていただいている、マンション広告にこだわりが強い人間がおりまして。従来、7対3で男性の入居者が多いのですが、女性にさらに入居をいだけるようなマンションをつくりたいと話す中で、近藤社長のアイデアを賃貸マンションに生かしたらどうかということになり、2019年から具体的なプロジェクトとして協業を開始しました。

Q:家賃から考えると、ある程度キャリアのある女性がターゲットになりそう。働き方も住まいに対するニーズも変わる中で、どんな部分にこだわったのか?

大澤:これまでのコンセプトは“ホテルライク”“スタイリッシュ”というイメージで高級感を出して提供することが多かった。しかし今回はコンセプトをガラリと変えて、リラックスなど女性に対して新しい価値を提供できるようにしました。

近藤:7対3で男性のお客様が多かったのを、1対1、ないしは女性の感性にしっかりと刺さり、なおかつ人気がきちんと出るような賃貸マンションにするという命題のもとに監修させていただきました。かといって、色をピンクにするといったことではありません。デザインで一番大事にしたのは「ユニバーサルスペースデザイン」とマッシュのスローガンである「ウェルネスデザイン」で、モダニズム、クラフツマンシップ、サステナブルをキーワードにしました。

「ユニバーサルスペースデザイン」では、圧迫感を感じさせない広がりのある空間や、人に安心を与えたり穏やかな気持ちになる色味、圧迫感がないこと、人と人との快適な距離感を保つようなデザインであること。そして素材を1つ1つ考えて、ハイクオリティでシンプルな飽きの来ないデザインを目指しました。そこに「ウェルネスデザイン」の、気持ちよさやサステナブル、エコロジー素材を使用するなど、身近なことで気持ちが穏やかなるようにしました。共用の廊下も木を中心に温かいウォームカラーを採用し、緊張感をほぐすようなものにしています。室内は強い色や角張った家具を少なくして、ナチュラルカラーだけどインテリジェンスやトレンドを感じるようなものにしました。男性が見ても女性用マンションとは思わず、柔らかいイメージだと思ってもらえるような、「パークアクシス」のファンの方々や初めて住まう方々にとっては、柔らかくて居心地がいいと思ってもらうことを目指しました。

Q:一番力を入れたことや、工夫したディテールは?

近藤:空間では、エントランス周りと、エントランスを入ってからエレベーターまでのロビー部分、イメージとしては木を中心にトーン&マナーを統一することです。エントランスには大理石や御影石などは使わず、壁面にガラスを使うことで、自然光を感じられる明るい造りにしました。出かけるときにも視線が壁に遮られず、明るく前向きになれるような視覚効果も狙いました。ロビー部分は密室になりやすいメールボックスルームをなくし、壁面にボックスを配することで、安心感を高めるとともに、ゆったりした空間を生み出しました。トーン&マナーでは色の温度感を意識し、心に寄り添うこと、ナチュラルだけれどもダサくならないことなど、女性の心をキャッチアップしながら、もっと居心地よく心のゆとりや健康などが感じられるものを目指しました。モデルルーム内には、マッシュグループのベッドリネンやピローケースなどのホームファブリックやフレグランス、ルームウエア、コスメや洗剤、クローゼットには洋服も配させていただきました。家具以外の約90%は自社製品を使用しています。

大澤:これまでと全然違うものができましたね。24戸だと共用スペースも狭くなりがちなのですが、近藤社長の話を聞き、なぜこれだけ広く感じるものができたのかがよくわかりました。外で頑張って仕事をしたり着飾ったりハイヒールを履いていたものを脱ぎ、寛げたり疲れがとれたりリラックスできる、けれども、上質でコジィーな部屋ができ上がりました。

Q:近藤社長はこれまでも店舗の内装デザインを手掛けてきたが、商業空間と住宅との違いは?

近藤: 商環境は延べ1000店舗以上プロデュースしてきましたが、住宅は初めてのことで、使用する素材などにも違いがありました。三井不動産さんのさまざまな基準をクリアした適性素材の中から頭に思い描いた理想を具現化するには、バランスなど難しいところはありましたが、新しさの中にも柔らかさを出せたのではないかと思っています。

大澤:当社の安全基準や予算など、けっこう厳しいものがあったと思います。それをかいくぐりながらコンセプトを具現化していただき、ありがたいと思っています。

Q:子会社としてマッシュホームズを設立した。

近藤:「女性の24時間を幸せにする」というスローガンの下、2019年に設立しました。まずは当社の3000人以上いる女性社員のための暮らしのサポート、仲介、引っ越しのサポートからコツコツと事業を開始しました。これまで衣・美・食を扱い、最後に残っていたのが住に関する仕事でした。女性の24時間をサポートする中で、最後の砦に到達しました。

Q:今後の両社の協業のプランは?

大澤:これからも協力いただきたいと思っています。この協業でよりよい暮らし周りのサービスを提供していけるはず。(マンション設計の)デザイン以外の部分でもシナジーを探っていきたいですね。われわれは不動産業のトップランナーとして走ってきましたが、競合の参入も相次いでいます。常に変化をしていかないとトップを走れません。新しい基軸を打ち出し続けていく方針です。

近藤:ウェルネスデザイン監修などの部分でいろいろなプロジェクトに参加させていただければ幸いです。まずは「パークアクシス」で女性の賃貸マンションに対する研究やデザインでの参画など引き続き協業できたらと思っています。仲介業としてのビジネスチャンスもいただきました。1月から入居者を募集します。顧客を含めて、みなさんに自信をもってオススメできます。また、住んでいただいた女性たちに対するアフターサービス提供をマッシュグループで行っていきます。仲間を増やして他の企業とも連携して、マッシュの「MAカード」のサービス提供のメリットを増やしていきます。これからのお仕事は、そういったコツコツした努力の向こう側にあると思っています。

Q:アフターサービスの内容は?

近藤:「MAカード」はマッシュグループで年間50万円以上購入いただいた方と同等のゴールド会員ランク、ビューティカテゴリーの会員サービス「GO GREEN MEMBER’S」でもプラチナ会員ランクを入居と同時に付与します。各々5000ポイントずつプレゼントしますので、それを使ってモデルルームで気に入ったものを購入していただいたり、「コスメキッチン」や「ビープル バイ コスメキッチン」などでシャンプーや歯磨き粉、オーガニックなカップラーメン、もちろん、お洋服などもお得に買い物をしていただけるようにします。

大澤:私が一番期待しているのは、マッシュさんが単にとんがったデザインを提供するのではなく、ホームプロダクトを含めてすべてを提供し、入居後もオリジナリティのあるコンテンツを提供できるという点です。私たちの「パークアクシス」のターゲットも20~40代で、「三井のすまいLOOP」(会員制メンバーシップ・サービス)には24万人の会員がいます。クロスできる領域は広いので、暮らし周りでWIN-WINの関係を気付いてアフターサービスまで提供していただきたいですね。

Q:最後に、改めて近藤社長が目指した住まいにおけるデザインや、建築デザインをして気付いたことを聞きたい。

近藤:何年も住むものなので、流行は入れず、誰を連れてきても心地よく素敵だと感じてもらえるユニバーサルな世界を目指しました。万博のドイツ館としてバルセロナ・パビリオンを建築したミース・ファン・デル・ローエは「レス・イズ・モア」の言葉で知られていますが、ユニバサル・スペースの概念を提唱しました。勉強途中なので怖さも感じながら普遍的な価値、普遍的なデザインをさせていただきました。今回再確認したのは、ファッションやオーガニックコスメは、その女性をとにかくきれいにしたいとか、人生が変わったとか、人に褒められたとか、告白されたとか、その人のステージを高めるサポートをするためにデザインします。でも、建築の世界を見ると8割はエゴなんですね。特徴を出さないと依頼が来ないということもあるのですが、何を相手に与えたいのかを本気で思ったときに、心が喜ぶデザインを改めてしたいんだな、自分は、と感じました。

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「サステナビリティ サミット」の裏テーマは「モードって何?パート2」。その理由を川崎和也さんと語る  エディターズレター(2020年11月24日配信分)

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「サステナビリティ サミット」の裏テーマは「モードって何?パート2」。
その理由を川崎和也さんと語る

 みなさん、こんにちは。今回のレターはゲストを迎えたインタビュー形式でお送りします。「WWDジャパン」は12月1日に、無料オンラインイベント「サステナビリティ サミット第1回~これからのイノベーション、クリエーション、コラボレーション~」を開催します。今日登場いただくのは、このサミットの登壇者でもある川崎和也さん。川崎さんは正確な肩書きが3つあります。スペキュラティヴ・ファッションデザイナー、デザインリサーチャー、シンフラックス主宰。謎めいていますよね。実はイベントの企画を考え始める段階から「何のためにこのイベントを開くのか?」といった思考を深め、コンセプト作りの相談に乗ってもらったのが川崎さんでした。このインタビューでは企画の経緯などを振り返ります。それではどうぞ!

向千鶴WWDジャパン編集長(以下、向):「サステナビリティ サミット」の内容を考えるとき、誰かに知恵を借りたく最初に思い浮かんだのが川崎さんでした。

川崎和也シンフラックス主宰(以下、川崎):自分に声かけるなんてチャレンジグだな、と思いましたよ(笑)。

:そうですか?私にとっては自然でした。なぜなら昨年9月に作った「WWDジャパン」の特集「モードって何?」で川崎さんに取材した際に聞いた話が印象的だったから。唐突に聞こえるかもしれませんが、今回のイベントは私にとって「モードって何?パート2」のような位置付けでもあるのです。「新しい服を世の中に送り出すことの意味」を問い直すという意味で。川崎さんはこのサミットを通じて伝えたいことはなんですか?

川崎:21世紀に突入して四半世紀がもうすぐたとうとしている今は、まさに「ファッションシステム変革の刻」であることを伝えたいと思っています。

:期待通りの壮大な答えです。

川崎:これまでも、ファッションが変革の必要にさらされる局面が何度かありました。第一には、19世紀パリにおいて、大量生産・大量消費の産業的仕組みを確立しようとしていたときに、チャールズ・ワースがオートクチュールというサービスを広めたとき。あるいは、1950〜60年代、消費者とデザイナーの感性が多様になるにしたがって、プレタポルテが華開いたとき。今はそれに次ぐ変化の時代であり、いうまでもなくその背景には、ファッション産業が抱える廃棄の問題や世界的な環境危機があるわけです。今まさに、持続可能なビジネスやサービス、製造や素材などの「システムレベルの変革」から、次のエコロジーを新たにインスピレーションとした「クリエイティビティの変革」がともに求められていると思います。

:今回のイベントの根底にあるのはまさにそういった考え方です。大きな痛みも伴う変革ですよね。

川崎:変わるためには、時に不安や苦しい思いをもたらすこともあるかもしれません。事実、環境のためにはいますぐ生産消費を完全にストップすれば良いのだという極端な意見もあります。だけど、衣服はほとんど全ての人間が着用するものであり、ファッションはこれからの人間にとってとても大切な文化として持続発展することを、僕自身は望んでいます。

:イベントのタイトルを「サミット」としたのはまさにその「議論」の場としたいから。「セミナー」だと先生が聴き手に一方的に話すイメージですが、12月1日のイベントは一方通行ではない「対話」の場、さらなる「議論」のタネが生まれる場にしたい。イベントの英語サブタイトル「Collective dreaming for future sustainable fashion」は川崎さんにもらったアイデアです。サステナビリティとビジネスってともすると「せねばならない苦しいこと」と捉えられがちだけど、そうじゃない。むしろ新しい扉を開く、一つのチャンスなんだ、そのためにテクノロジーを活かすんだ、知恵を出し合うんだ、という意味がそこには込められています。

川崎:閉鎖的な文化から開放的な文化へ、廃棄前提の製造から持続可能な生産へ、特権的な創造性から多元的な創造性へと「変化(Transition)」するためには、デザイナー、研究者、編集者、ビジネスパーソンなど、国内外問わず多様な人々と共に議論すること(Collective Dreaming)が必要です。今回のイベントがその第一歩になることを願っています。

:ところで「研究者」と「デザイナー」どちらか一つだけ選ぶとした川崎さんの肩書きはどちらですか?

川崎:デザイナーを選びます。ファッションデザイナーの、常に新しさを産むことと、モードの伝統を担うという2つの複雑なアイデンティティーを持つことを宿命づけられた姿勢に強いリスペクトを持っているからです。他方で、デザイナーが衣服という製品単体や表層的な意匠のみならず、仕組みや技術、思想を設計する役割へと変容しているとも思っています。こうしたサステナビリティの時代における新しいデザイナーとしてこれからも活動していきたいと思っています。

:川崎さんは視野が広いな、といつも思います。たくさん本を読んでそう。最近読んだ本や文章で面白かったものを教えてください。

川崎:ステラ・マッカートニーや関山和秀スパイバー取締役兼代表執行役の発言にはいつも刺激を受けています。彼女・彼の言葉は科学的であると同時に思想にあふれています。サステナブルなファッションのためには、具体的な行動や実装と、言葉や思考の両方が重要なのだといつも思い出させてくれます。あるいは、エコ志向をナイーブに妄信するのではなく、「そもそもなぜいま環境危機について思考する必要があるのか」という根本的な考えを促してくれる言説として、思想家であり京都大学総合生存学館特定准教授である篠原雅武の『「人間以後」の哲学─人新世を生きる』や『人新世の哲学─思弁的実在論以降の「人間の条件」』をとても面白く読みました。

:最後に好きなファッションブランドを教えてください。

川崎:「イッセイ ミヤケ」は、衣服を通したセンスオブワンダーを届けてくれるブランドとしてとても尊敬しています。また、ブランドと「ラボ」を一つの企業として両立させ、今よりもっとヨーロッパ一辺倒だったあの時代に、一枚の布というコンセプトを世界に投げかけた偉大な先行企業として、その活動方法についてもいつも参考にしています。

:ありがとうございました。12月1日は壇上でお会いしましょう!

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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爆裂!健康美容マニア道 2021年、内側の浄化を極めたいあなたへ

 1日8食、ジャンクフード漬けの超不健康児から超健康優良児へと大変身を遂げたフリーアナウンサーの名越涼。およそ15年かけて自らの体で人体実験を繰り返してきた結果、“超絶良かったもの”だけをここで余すことなくお伝えする。今回は体内を浄化するスーパーパウダーについて。

 新年、明けましておめでとうございます。2021年、どんなスタートを切っていますか。今年の目標は決まりましたか。名越の今年の目標は「突き詰める」!これまで積み上げてきたものをもう一段階上のステージに持っていき、より“マニア”な情報をお届けすべく、まい進いたします。本年も健康美容マニア道をご愛読のほど、何とぞよろしくお願い致します!押忍!(気合)さて、今回は健康美容マニア的「2021年はこれが来る!」の第2弾。体内のドロドロを根こそぎ浄化してくれるスーパーパウダーについて。

体内大掃除で毎日クリアな自分に

 小まめに掃除をしておかないと鏡や窓ガラスがあっという間に汚れてしまうように、毎日食べて飲んで、を繰り返す体もコツコツお手入れを続けないと、積み重なってとんでもないことに。肌荒れ、体調不良など何かトラブルがあるとつい栄養補給の方に意識が向いてしまいがちだけど、肝心なのはその栄養をきちんと吸収できる体の土台づくり。受け止められる体がないと、どんなにいいものを食べたって栄養素は上手に機能してくれないもの。じゃあ、その土台ってどうやってつくったらいいの……?で、登場するのがこの「コスミックヘンプ(COSMIC HEMP)」“EM-S酵素活性麻炭パウダー”なのです。数々のデトックスと呼ばれる商品を試してきたけれど、“根こそぎ”体内の要らないものが出ていくこの感じ、たまらない。体内だけじゃなくて、頭までクリアになっていきそうなこれはまさに、大掃除。

100%自然な麻炭パウダーって?

 見よ、この漆黒の炭を……!この炭、吸着力がすごすぎて洋服にふわっとかかってしまったらちょっとした悲劇。ピタッとくっついているので落とすのがまあ大変。「ほほう……これは体の中でいい働きをしてくれそうだ」と健康マニア的には喜ばしかったけれど、皆さまくれぐれも気をつけをば。さて、この“EM-S酵素活性麻炭パウダー”。なぜこんなにもうれしい実感があるのか、詳しい製法を見ていきましょう。まず、ヒマラヤ原産原種で自然栽培した麻の茎を、現地(つまりヒマラヤで!)無酸素状態・高温で炭化。そこから宮古島で酵母菌、乳酸菌、光合成微生物などの有用微生物を含む酵素液と混ぜ、3日以上天日干しで乾燥させるというのです。ヒマラヤと宮古島……なんかもうこれだけで栄養以外のすんごい神聖なエネルギーが含まれているように感じてしまうこだわりの素晴らしさよ(感動)。さらに、太陽の下で乾燥させることによって、麻炭のミクロな穴にすみついた微生物たちが休眠状態になり、温度や湿度のある環境で(つまりは体内)活性化するというのだから、驚きです。

活性化したての麻炭ドリンク

 名越はスプーン1杯分の麻炭パウダーを水と混ぜて毎日愛飲しています。そう、微生物たちに毎日、体の中を活性化してもらっているのです。見た目のインパクトはパンチがあるけれど、無味無臭なので続けやすい。きめ細かい炭が、体の隅々まで行き渡って、要らないものに働きかけてくれているからか、心身ともにすっきりな毎日。21年、炭は進化した「麻炭」へ。モヤモヤもドロドロもためずに軽やかに生きたい人は、ぜひお試しあれ。

健康メモ
 麻炭パウダーは、備長炭の4倍以上、さらには竹炭の1.6倍もミクロの穴を持つ。つまり、有害な化学物質を吸着してくれる強いパワーがあるのだ。

名越涼/フリーアナウンサー。香港出身。福井と愛知のテレビ局アナウンサーを経て独立。司会やライター、セミナー講師、企画・プロデュースなど幅広く活躍するパラレルワーカー。趣味・特技は手作り発酵食、食文化研究、ヨガ(歴15年)eスポーツと農業にも精通

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爆裂!健康美容マニア道 2021年、内側の浄化を極めたいあなたへ

 1日8食、ジャンクフード漬けの超不健康児から超健康優良児へと大変身を遂げたフリーアナウンサーの名越涼。およそ15年かけて自らの体で人体実験を繰り返してきた結果、“超絶良かったもの”だけをここで余すことなくお伝えする。今回は体内を浄化するスーパーパウダーについて。

 新年、明けましておめでとうございます。2021年、どんなスタートを切っていますか。今年の目標は決まりましたか。名越の今年の目標は「突き詰める」!これまで積み上げてきたものをもう一段階上のステージに持っていき、より“マニア”な情報をお届けすべく、まい進いたします。本年も健康美容マニア道をご愛読のほど、何とぞよろしくお願い致します!押忍!(気合)さて、今回は健康美容マニア的「2021年はこれが来る!」の第2弾。体内のドロドロを根こそぎ浄化してくれるスーパーパウダーについて。

体内大掃除で毎日クリアな自分に

 小まめに掃除をしておかないと鏡や窓ガラスがあっという間に汚れてしまうように、毎日食べて飲んで、を繰り返す体もコツコツお手入れを続けないと、積み重なってとんでもないことに。肌荒れ、体調不良など何かトラブルがあるとつい栄養補給の方に意識が向いてしまいがちだけど、肝心なのはその栄養をきちんと吸収できる体の土台づくり。受け止められる体がないと、どんなにいいものを食べたって栄養素は上手に機能してくれないもの。じゃあ、その土台ってどうやってつくったらいいの……?で、登場するのがこの「コスミックヘンプ(COSMIC HEMP)」“EM-S酵素活性麻炭パウダー”なのです。数々のデトックスと呼ばれる商品を試してきたけれど、“根こそぎ”体内の要らないものが出ていくこの感じ、たまらない。体内だけじゃなくて、頭までクリアになっていきそうなこれはまさに、大掃除。

100%自然な麻炭パウダーって?

 見よ、この漆黒の炭を……!この炭、吸着力がすごすぎて洋服にふわっとかかってしまったらちょっとした悲劇。ピタッとくっついているので落とすのがまあ大変。「ほほう……これは体の中でいい働きをしてくれそうだ」と健康マニア的には喜ばしかったけれど、皆さまくれぐれも気をつけをば。さて、この“EM-S酵素活性麻炭パウダー”。なぜこんなにもうれしい実感があるのか、詳しい製法を見ていきましょう。まず、ヒマラヤ原産原種で自然栽培した麻の茎を、現地(つまりヒマラヤで!)無酸素状態・高温で炭化。そこから宮古島で酵母菌、乳酸菌、光合成微生物などの有用微生物を含む酵素液と混ぜ、3日以上天日干しで乾燥させるというのです。ヒマラヤと宮古島……なんかもうこれだけで栄養以外のすんごい神聖なエネルギーが含まれているように感じてしまうこだわりの素晴らしさよ(感動)。さらに、太陽の下で乾燥させることによって、麻炭のミクロな穴にすみついた微生物たちが休眠状態になり、温度や湿度のある環境で(つまりは体内)活性化するというのだから、驚きです。

活性化したての麻炭ドリンク

 名越はスプーン1杯分の麻炭パウダーを水と混ぜて毎日愛飲しています。そう、微生物たちに毎日、体の中を活性化してもらっているのです。見た目のインパクトはパンチがあるけれど、無味無臭なので続けやすい。きめ細かい炭が、体の隅々まで行き渡って、要らないものに働きかけてくれているからか、心身ともにすっきりな毎日。21年、炭は進化した「麻炭」へ。モヤモヤもドロドロもためずに軽やかに生きたい人は、ぜひお試しあれ。

健康メモ
 麻炭パウダーは、備長炭の4倍以上、さらには竹炭の1.6倍もミクロの穴を持つ。つまり、有害な化学物質を吸着してくれる強いパワーがあるのだ。

名越涼/フリーアナウンサー。香港出身。福井と愛知のテレビ局アナウンサーを経て独立。司会やライター、セミナー講師、企画・プロデュースなど幅広く活躍するパラレルワーカー。趣味・特技は手作り発酵食、食文化研究、ヨガ(歴15年)eスポーツと農業にも精通

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「作らなきゃいいじゃん」と言われるけれど エディターズレター(2020年10月14日配信分)

※この記事は2020年10月14日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「作らなきゃいいじゃん」と言われるけれど

 リンクの1本目にある「ベア ミネラル」のホリデーコレクション、サンプルを1セット拝見しましたが、「コレで十分!」としか思いませんでした。ゼロ不満。「包装紙を極力省く」というアイデアは、例えば“ボックスに収めた製品を覗き見できる窓に被せる透明のプラスチック”などにも及んでおり、つまり外箱から製品に触れられるデザインなのですが、「そんなのヤダ!」って方、いるのでしょうか?

 「パッケージいらない」というニーズに対応した、リンク2本目の「シロ」の“エシカル割”は、いかがでしょうか?私は100%、“エシカル割”希望!です。だって外箱って、特に愛用品のリピート購入なら、帰宅して30秒で、毎週月曜日に出す“資源ゴミ回収用の紙袋(=ショッパーの再利用)”に入れちゃうんです。だったら貰わない方が、ウィン-ウィン!ステキなアイデアだなぁと思うのです。

 コスメについては、「サステナブルへの取り組みが、まだまだ足りない」との声があるかと思います。われわれのように使いきれないほどのサンプルが届き、それらを一堂に眺めると、「このパッケージのプラスチック……」なんて思うコトもあります。膨大な紙のリリースをいただくと、「もぅ!」と思うようになりました。でも、だからと言って、すべてを大否定する気持ちにはなれません。上述の通り各社、できることから、少しずつ始めているからです。それでも否定される方は、「モノを作るな」という意見でしょうか?でもそれでは、ブランドの経済活動が滞ってしまう。それは「サステナブル(=持続可能)」ではない」と思うのです。

 「ガラスは重いから、再生可能なプラ容器を選んだ方が、われわれの場合は二酸化炭素の総排出量が少ない」というブランドもあります。事情は、それぞれです。だから私は、それぞれの事情に詳しくなりたい。ブランドの皆さん、共に、発信していきましょうね。そうすれば、「作らなきゃいいのに」という「いや、そうですけれどね……」という“モヤモヤ”に遭遇する機会も減るのではないか?って思うのです。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

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「月経カップはサステナブル」初めて聞く娘が素直に感じたこと エディターズレター(2020年11月25日配信分)

※この記事は2020年11月25日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

 

「月経カップはサステナブル」初めて聞く娘が素直に感じたこと

 先日、月経カップ「エヴァカップ」や「スーパージェニー」、サニタリーショーツ「ステインフリー」などを扱うインテグロがオンラインで行なった「はじめての月経カップワークショップ」に、小学3年の娘と参加しました。今、ナプキン、タンポンに続く第3の生理用品と注目を集めている月経カップですが、興味はあっても使い方がイマイチ分からず……。これから主流になってくるかもしれない月経カップの使い方を親が分かっていないと子どもにも教えられないなあと思い、だったらまだちょっと早いけど娘も聞いていて損はないかなと。

 実際、女性の身体についてもまだよく分かっていない娘は終始、きょとんとした顔をしていましたが、「へー、そうやって使うんだね」とか「色がかわいいね」とか素直に“向き合って”いる様子。月経が始まって大人になっていろいろ分かった後からだとなかなか踏み出せないことも、なんにも知らない時に普通に教えられたら、与えられたら、すんなり取り入れられそうです。そう思うと、それって何にでも言えることですよね。知らないことを知ることができるなら、素直に聞けるものですよね。そういう風に子どもにも、そして会社の後輩にも与えられたらいいなと感じつつ、娘のその時が来たら、吸水ショーツも含め与えたいと思います。一通りアイテムと使い方を知っておけば、自分なりに快適に過ごせるアイテムを見つけていくのではないでしょうか。自分なりに見つけていくことも大事ですよね。

 そして今回もう一つ、同じように新しく知ることですんなり受け入れられそうだなと思ったのが、毎回捨てるナプキンと違って、月経カップが洗って何度でも使えるということです。ナプキンで慣れている大人世代にとっては、繰り返し使うことに少なからず抵抗を感じそうですが、最初から月経カップを使用していれば、きちんと洗って使うが普通になる、当たり前。それってすごくコスト面でもお得と思っていたら娘が一言、「サステナだね!」。びっくりして娘を見る私(笑)。1年ぐらい前から、自動販売機で飲み物を買いたがるたびに「ペットボトルは地球の環境に良くない。すぐに捨てちゃうのもサステナじゃない」って話をしていたら、最近外で「飲み物を買って」と言わなくなったなあ、と思っていたのですが、ちゃんと理解していた娘。まずは私自身が新しいことを受け入れ、そして新しいことをきちんと伝えていくことの大事さを感じた瞬間でした。

HER OPINION:ママ、女性に関連するファッション&ビューティ業界の話題をお届けします。今、働くママを含めた社会進出が進む女性に関わる情報が増えてきました。彼女らにまつわるニュースをピックアップすることで、彼女らを支える彼らにも役立つニュースを紹介します。

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「月経カップはサステナブル」初めて聞く娘が素直に感じたこと エディターズレター(2020年11月25日配信分)

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「月経カップはサステナブル」初めて聞く娘が素直に感じたこと

 先日、月経カップ「エヴァカップ」や「スーパージェニー」、サニタリーショーツ「ステインフリー」などを扱うインテグロがオンラインで行なった「はじめての月経カップワークショップ」に、小学3年の娘と参加しました。今、ナプキン、タンポンに続く第3の生理用品と注目を集めている月経カップですが、興味はあっても使い方がイマイチ分からず……。これから主流になってくるかもしれない月経カップの使い方を親が分かっていないと子どもにも教えられないなあと思い、だったらまだちょっと早いけど娘も聞いていて損はないかなと。

 実際、女性の身体についてもまだよく分かっていない娘は終始、きょとんとした顔をしていましたが、「へー、そうやって使うんだね」とか「色がかわいいね」とか素直に“向き合って”いる様子。月経が始まって大人になっていろいろ分かった後からだとなかなか踏み出せないことも、なんにも知らない時に普通に教えられたら、与えられたら、すんなり取り入れられそうです。そう思うと、それって何にでも言えることですよね。知らないことを知ることができるなら、素直に聞けるものですよね。そういう風に子どもにも、そして会社の後輩にも与えられたらいいなと感じつつ、娘のその時が来たら、吸水ショーツも含め与えたいと思います。一通りアイテムと使い方を知っておけば、自分なりに快適に過ごせるアイテムを見つけていくのではないでしょうか。自分なりに見つけていくことも大事ですよね。

 そして今回もう一つ、同じように新しく知ることですんなり受け入れられそうだなと思ったのが、毎回捨てるナプキンと違って、月経カップが洗って何度でも使えるということです。ナプキンで慣れている大人世代にとっては、繰り返し使うことに少なからず抵抗を感じそうですが、最初から月経カップを使用していれば、きちんと洗って使うが普通になる、当たり前。それってすごくコスト面でもお得と思っていたら娘が一言、「サステナだね!」。びっくりして娘を見る私(笑)。1年ぐらい前から、自動販売機で飲み物を買いたがるたびに「ペットボトルは地球の環境に良くない。すぐに捨てちゃうのもサステナじゃない」って話をしていたら、最近外で「飲み物を買って」と言わなくなったなあ、と思っていたのですが、ちゃんと理解していた娘。まずは私自身が新しいことを受け入れ、そして新しいことをきちんと伝えていくことの大事さを感じた瞬間でした。

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常套句にはしたくない「新型コロナの影響で」 エディターズレター(2020年10月15日配信分)

※この記事は2020年10月15日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

常套句にはしたくない「新型コロナの影響で」

 「またですか!?」と思うのは、「新型コロナの影響で」というフレーズです。なんだか常套句になってきちゃった印象ですね。

 それが決定打だったのは、わかります。観光や飲食のように、コロナがなかったら全然違う未来が待っていたケースもあるでしょう。リンク2本目の「鎌倉シャツ」の場合は、ニューヨークという立地の影響があまりに大きく、これは本当に「新型コロナ(とBLM)の影響」です。でもアパレルの場合、多くは「破たんや終了の理由」ではなく、「破たんや終了が早まった理由」なのでは?と考えます。なのに「理由はコロナ」と、自分たちの力ではどうしようもなかった事態に責任転嫁するのは、破たんや事業終了という再スタートでもあるニュースの第一歩として常套手段とすべきではないと思うのです。

 破たんの中で最も重い「破産」だって、事業主さえ数年たてば再スタートを切るワケです。「事業終了」だったら、数週間・数カ月後には新たな仕事に取り組むケースも多いでしょう。その時、前の仕事の終了の理由を不可抗力の「新型コロナ」と捉えている場合と、もっと別のどうにかできたかもしれないモノと捉えている場合では、本人の心構えは大きく変わります。前者なら「仕方ないこと」で終わってしまうかもしれません。でも後者の場合は、「同じ失敗は繰り返さない」「あの時、何をしていれば?」「今度は、一体どうやれば?」という思考回路に変わるはず。破たんや事業終了はツラいことだからこそ、そこから何かを掴み、次につなげるべきだと思うんです。だから「理由は、新型コロナ」だけはダメ。業界の活性化を願う私たちも、それ以上を伝え、業界の将来の糧にしようという覚悟が必要ですね。

 私たちは、残念なニュースにフタをしがちです。でも最近は、それで良いのかしら?と思っています。そういうニュースにフタをして業界を美しく装うのは、未来を託す後輩のためにならないのではないか?今は、そんな気持ちです。

 社会部の事件記者だった頃、「亡くなった●●さん」という説明文をつけて紙面に掲載したい写真(業界では「顔首」と言います)を探し続けたものの、どうしても見つけられず、最後の手段として遺族の家を訪ねて塩を撒かれたことがあります。泣きながら記者クラブに戻った私を先輩は、「事件・事故を掲載するのは、再発を防止するため。その意義がわかれば、乗り越えられる」と慰めてくれました。正直私は「その意義」を“自分ごと”化できず、前職はあっという間に辞めてしまいましたが、今は、先輩の言葉がチョットわかります。「再発防止」のためには、残念なニュースもちゃんと伝えなくちゃならない。だから願わくば「再発防止」のため、残念なニュースの当事者にもちゃんと伝えて欲しいと思うのです。

 メディアの都合、でしょうか?そうかもしれません。そもそも「新型コロナの影響で」なんて“聞こえ”の良い言葉を安直に選んでいる面も否めません。でも少なくとも我々の多くは、「未来のために、今の残念なニュースに向き合っている」つもりです。

 「未来を託す若手のために」。一事が万事、こう考えると変えるべき、変わるべきことってたくさんありそうですね。

SOCIAL & INFLUENTIAL:社会情勢によって変化するファッション&ビューティ業界を見つめます。インクルージョン(包摂性)&ダイバーシティー(多様性)な時代のファッション&ビューティから、社会に届けたい業界人のオピニオンまで。ジャーナリズムを重んじる「WWD JAPAN.com」ならではのメルマガです。

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まだ、あなたが知らないニューヨーク最新トレンド コロナ時代の海外出張 パリ、東京、ニューヨークを回った実体験

 ニューヨークのファッション業界で活躍するクリエイティブ・ディレクター、メイ(May)と、仕事仲間でファッションエディターのスティービー(Stevie)による連載も第16回。“You’d Better Be Handsome”では、トレンドに敏感なレイチェル(Rachel)も加わって、ニューヨークのトレンドや新常識について毎回トーク。今回は、新型コロナの影響により、国を越えての移動が厳しい中での海外出張を終えてきたメイが体験談をシェア。12月に東京、パリを回ってニューヨークへ移動する中で見たこと感じたこと、各都市の実情と、海外出張のニューノーマルとは?

スティービー:今日の話題はなんと言っても、メイの海外出張だね。ホリデー直前、ちょっと心配だったけど、実際のところどうだった?

メイ:正直、今の時期に海外出張って後ろめたいというか、大きな声では言わないようにしていたんだけど、実際3都市回ってみていろいろ見えた。これも感染せずに無事に戻ってこられたから言えることだけど。

レイチェル:それにしてもメイが出発した直後に、それまでは「Go To トラベルキャンペーン」を実施していた東京での感染者も徐々に増えていき、パリに到着したときはまだロックダウン中だったし、ニューヨークに戻ってくる直前にはイギリスで感染力が強いという変異種コロナが発表されて、ヨーロッパからアメリカに入ってくるのがさらに厳しくなったり。いろんな意味で、ギリギリセーフで戻ってきた感じよね。

ノーマル過ぎて、不思議な東京

メイ:今回は数年前から準備してきたビューティブランドのデビューキャンペーン撮影がパリであるというのと、東京でも新事業のプレゼンテーションがあったので、ギリギリまで悩んだけど行くことに決めた。いくらZoomでシェアしてくれると言われても、6日間分のスチールとビデオをZoomで確認するって想像ができなかったし。

レイチェル:時差もあるしね。パリ時間に合わすのは難しい。

メイ:いまだにアメリカからヨーロッパには直接飛べないから、日本を経由したことで行けたというわけ。日本にとってアメリカは、「上陸拒否の対象地域」に指定されているから、受け入れる企業から「誓約書」と「本邦活動計画書」を書いてもらい、出国・出域前72時間以内に、出発国・地域でテストを受けて「陰性」であることを証明する「検査証明」を取得することを条件に、入国の許可が出たので行けたの。

スティービー:どちらにしても成田空港では、新型コロナの検査を全員受けさせられるんだよね?

メイ:そうそう。ジョン・F・ケネディ国際空港(以下、JFK)からANAの成田行きに乗ったら、全部で10人ちょっとくらいしか客がいなかったという印象。スタッフの方が多かったかも?私も昨年の3月以降飛行機に乗っていなかったから、機内でうつったらどうしよう?という心配はあったけれど、搭乗してすぐに映し出された映像で、3分に1回空気が全部入れ替わるという説明があって、ガラガラの機内でその頻度で空気が入れ替わるなら地上にいるより安全?と一安心。

レイチェル:JFKはどんな感じだった?

メイ:ガラガラ。店はダンキン・ドーナツと雑誌屋、あとは一部の免税店しか営業してないし、航空会社のラウンジも閉まっていて。

スティービー:機内は、ほぼ貸し切りだったってこと?

メイ:周りに人の気配もないし、ある意味ぜいたくなフライトだった。ただ最近ニューヨークから東京に飛んだ友人に、一刻も早く飛行機から降りてテストを受けないと、空港を出るのに時間がかかると言われていたので、降りる準備を早々にしていたら、乗り換えのお客さまからとアナウンスがあって。結局、成田で降りる私は機内で30分近く待つことに。

レイチェル:そんなに少ない人数なのに、細かく分けるんだね。

メイ:そこまではすごく気をつけているんだな、という印象だった。飛行機を降りたら、一列に並んでテスト会場みたいな所まで連れていかれ、そこに並ぶ折り畳み椅子に座って順番を待つという仕組み。ただ、その折り畳み椅子の間隔が50cmくらいで、とっても近い気がした。

スティービー:昨年3月から他人とは6フィート(約180cm)の間隔を空けるように、徹底的にたたき込まれたからね、ニューヨークでは。

レイチェル:テストは唾液って聞いているけどどうやるの?ニューヨークでは、鼻の中に綿棒を突っ込まれる形式しかないから。

メイ:私も最初心配だったけど、渡された容器の目盛りに沿ってブースみたいなところで唾液を入れ、それを担当者に渡して次のコーナーに移動。

レイチェル:全部でどれくらい時間がかかった?

メイ:時差のせいか、飛行場という不思議な空間のせいか、あまり時間の記憶がないんだけど、2時間弱くらいかな?最初の折り畳み椅子で30分くらい。そこで機内で配られた書類にきちんと記入しているかを数人のスタッフに確認され、その後受付でその書類を渡し、同時にテスト容器を受け取り、移動して唾液を入れた容器を違うスタッフに渡してさらに移動、今度は列に並び、パスポートやら飛行場からの交通手段を聞かれて席番を渡される。それを持って、その席に座って約30分、自分の席番が呼ばれたら次の受付に進み、そこでちょっと待つと結果を教えてくれる。陰性だったらそのまま出ていいというプロセス。

スティービー:チェックポイントが多いね。ちなみに陽性だったらしばらく隔離されるんだよね?

メイ:指定されるホテルとかで、2週間の隔離。大丈夫だとは思っていたけどドキドキした。

スティービー:とにかく第一関門をパスできてよかった。久々の東京はどうだった?

メイ:用事のあるとき以外は、ホテルにこもっていた。人が全体的に少ない印象ではあったけれど、それでもニューヨークに比べたら今までと大きく変わらないというか。もちろんみんなマスクはしているし、ホテルに入るときも自動検温器があったりするんだけど、ホテルのバーもプラスチックシールドが貼られているとはいえ、屋内で営業していて、人数制限もないのか結構混んでいたりするし。

レイチェル:バーなんて、ニューヨークでは春からほぼずっと屋外でしか営業していないからどうだったか思い出せないくらい。

メイ:東京は細かくはいろいろと変わったと思うけど、短期滞在者の私の目にはコロナの前と同じで、ただいろんな所にプラスチックが貼られていて、これまで以上に清潔にしている、ってことくらいかな?そういえばホテルのスタッフもなんだか距離が近くて、ちょっと怖くなった。マスクしているから聞こえづらいのかもしれないし、みんな親切心だとは思うけど、もう少し離れていようよと思った。日本で距離感が近いと感じたのは初めてのこと。

スティービー:日本は「Go To トラベル」という制度を政府が設けて、日本人の国内旅行を推奨してるんだよね?

メイ:さすがに感染者がどんどん増えて、現在は停止しているけど。だから東京のホテルもギリギリだったとはいえ、こんなご時世に満室の所が多くてびっくり。高い所の方がポイントを多くもらえると聞いたよ。

レイチェル:世界中でみんなが移動を制限している中で大胆な政策よね?感染者の数がアメリカやフランスとはケタ違いっていうのはもちろんあると思うけど。

メイ:今回日本に滞在していたのは数日だけだったけど、その間に友人の感染が発覚。でもそれは彼が進んでテストを受けたから分かったこと。症状も軽かったみたいだし、ちょっと発熱したくらいでは日本ではテストを受けに行かない人もいるのかも、という印象を受けた。ただ1人感染者が出ると、保健所がフォローして、濃厚接触者はみんなテストを受けないといけないらしい。結局、彼の家族は全員感染していたので、ホテルに隔離されなくて済んだんだけどね。

レイチェル:ってことは、本当はもっともっと感染者がいるってことよね?

スティービー:話を聞いているとそういうふうに聞こえた。隔離っていうのは、アメリカにはないよね?個人的にホテルで隔離している人はいたとしても。ただ周りの友人知人も、症状がなくても、複数の人に会ったとか、室内での食事会に行く前には、マナーとしてテストを受けている。友人のスタイリストも、父親に会いに行く前には、必ずテストを受けているから、月1、2のペースで受けている人も少なくない。

レイチェル:ただ日本ではコロナのテストを受ける料金が高いって聞いている。ニューヨークは基本的には、無料で受けられるからそこは大きいかも。

メイ:私が調べたときは、安い所で2万5000円くらい。ただ安い所はアポがいっぱいで飛び込みは無理。あとは3万5000円くらいが相場で、英語での翻訳料が1万円追加でかかる。

ロックダウン下で、ツーリストのいないパリを体験

メイ:パリへは、羽田から出発。羽田も店がほとんど閉まっていて、シーンとしていた。シャルル・ド・ゴール国際空港行きのJALはJFK-成田間よりも人がたくさん乗っていたという印象。日本人は、フランスに特に何の書類やテスト証明もなく入れるからかな。さすがに観光客風の人たちは見かけなかったけど。

スティービー:で、シャルル・ド・ゴールはどうだった?すんなり入れた?

メイ:ここでも滞在先などを記入した紙をパスポートと提出したけれど、すっと入れてほっとした。空港は結構混んでいてびっくり。パリはそのころロックダウンだったのに。

レイチェル:パリのロックダウンって、そもそもどの程度の規制があるの?

メイ:去年の3、4月のころのロックダウンとは違って、みんな基本的に仕事にも学校にも行っていた。ただ飲食店は全てテイクアウトのみ。店先でワインやチーズとか、ストックを売っているようなレストランもあったし、完全に閉めているレストランもたくさんあった。

スティーブン:ホテルもけっこう閉まっていると聞いたけど?

メイ:大型ホテルもブティックホテルも閉まっている所がたくさんあったのは事実。なんといっても、観光客は基本的にゼロなので。私が泊まっていたホテルも、一階にバーレストランがあるのだけれど、バーでは飲み物を飲むことも禁止で、テイクアウト用に入れてもらった紅茶をその場で飲もうとしたら、すごい勢いで断られた。結構厳しく罰金が取られるんだろうなと思いながら、部屋に持って上がって飲んだよ。

レイチェル:でもビストロやカフェが開いていないパリって想像できないんだけど。

メイ:私も今回は最初から食には期待していなかったけど、さすがパリ、そこそこのレベルのテイクアウトがいろいろあって困りはしなかった。

スティービー:で、パリジャンはちゃんとマスクとか着けているの?それも想像できないけど。

メイ:パリではマスクをしていないと罰金らしい。子どもでも罰金を取られるらしく、たまにマスクがズレてる人はいたけど、みんなちゃんとしていた。撮影現場でもみんなちゃんと着用してくれていたし。

レイチェル:ケータリングとかは?

メイ:ニューヨークと同様、ランチボックスみたいな感じで、最初から取り分けられていた。前菜の小さなボックス、メインコースのボックス、それにデザートのボックス、みたいな感じで。寂しいけれど、マスクを外さないと食べられないので、私はチームからは離れてご飯はいただいていたけど。

スティービー:ブティックとかデパートとかは?

メイ:サントノーレ辺りのブティック、デパートは普通に営業していた。サントノーレはほとんど人がいなかったけど、「エルメス(HERMES)」の本店はいつもほどではないものの、そこそこ混んでいた。観光客はいないはずなのに、この人たちは一体どこから来たのかなって。でも店の人も私のニューヨークのアドレスを見て驚いていたし。やっぱりアメリカ人は最近いないらしい。

レイチェル:ロックダウンとはいえ、出掛けてもいいってことなのね?

メイ:毎回3時間まで出掛けられるんだけど、そのたびにアプリかウェブで基本的な情報を記入して送信し、その受領書みたいなのを持ち歩くというルール。ただ12月15日からは、ロックダウンは解除され、その代わり20時以降は許可証がないと出歩けないという外出禁止令に変わった。

スティービー:12月の半ばからヨーロッパ、特にイギリスはどんどん悪化していったし、アメリカも死者が1日3000人台とかどんどん増えるし、日本でもまた緊急事態宣言と言っているし、ワクチンができたとはいえ、コロナに関して一寸先は闇だね。

メイ:パリでは仕事をしたり、ホテルで食事をしたりする分には、特に不便な感じはしなかった。むしろクリスマス前だったからか、活気さえ感じられた。ただ今回泊まっていたエリアは、スタジオに徒歩で行けることを条件に選んだこともあって、もっと庶民的なエリアだったからかも。

レイチェル:それにしても感染せずにニューヨークに帰ってこられて何より。

スティービー:ニューヨークに戻ってきてからも、ホテルで隔離されていたんだもんね?

メイ:自主隔離だけどね。もし感染していて、家族にうつしたら大変だからね。クリスマスイブの朝に前々から予約を入れていたラピッド検査を受け、15分後に陰性の結果をもらって、自宅に帰ったというわけ。無事にクリスマスを迎えられたことが何よりのギフトだった。

スティービー:実際に感染するのも怖いけど、テストを何回も受けないといけないっていうのがやっぱり面倒だよね。

メイ:いろいろ細かく考えなくても、2021年はもっと気軽に旅に出られるようになるといいね。

メイ/クリエイティブディレクター : ファッションやビューティの広告キャンペーンやブランドコンサルティングを手掛ける。トップクリエイティブエージェンシーで経験を積んだ後、独立。自分のエージェンシーを経営する。仕事で海外、特にアジアに頻繁に足を運ぶ。オフィスから徒歩3分、トライベッカのロフトに暮らす

スティービー/ファッションエディター : アメリカを代表する某ファッション誌の有名編集長のもとでキャリアをスタート。ファッションおよびビューティエディトリアルのディレクションを行うほか、広告キャンペーンにも積極的に参加。10年前にチェルシーを引き上げ、現在はブルックリンのフォートグリーン在住

レイチェル/プロデューサー : PR会社およびキャスティングエージェンシーでの経験が買われ、プロデューサーとしてメイの運営するクリエイティブ・エージェンシーで働くようになって早3年。アーティストがこぞってスタジオを構えるヒップなブルックリンのブシュウィックに暮らし、最新のイベントに繰り出し、ファッション、ビューティ、モデル、セレブゴシップなどさまざまなトレンドを収集するのが日課

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外資アパレルの撤退ラッシュが再燃する 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。パンデミックは日本に進出している外資系アパレルチェーンの戦略にも変更を迫ることになる。日本における外資系の課題を点検してみた。

 コロナ前の2019年にはアメリカンイーグル、フォーエバー21(米国本社が破綻)が撤退して外資アパレルチェーンは総崩れかと商業施設デベロッパー業界は身構えたが、20年はコロナ禍が吹き荒れる中、外資アパレルチェーンの撤退は表面化しなかった。欧米本社の経営も非常事態でコロナ対策に注力するしかなかったが、一息ついた21年は各社が抜本的構造改革に乗り出すから、各国事業の採算性と将来性を見極めて大量閉店や撤退が断行されるのは間違いない。

外資アパレルは売れないし家賃貢献も低い

 商業施設デベロッパーにとってアパレル大型店のデファクト・スタンダード(事実上の基準)は「ユニクロ」であり、その集客力と販売効率、家賃貢献度を基準として外資アパレルも評価される。

 コロナ前の19年8月期で「ユニクロ」は平均955平方メートルの店舗を正社員換算31.0人で運営して9億6627万円、坪あたり336.9万円(月平均28.1万円)を売り上げ、コロナに直撃された20年8月期でも平均982平方メートルの店舗を正社員換算29.1人で運営して8億7875万円、坪あたり298.7万円(月平均24.9万円)を売り上げた。コロナで平均店舗売り上げは9.1%、坪あたり売り上げは11.3%減少したが、ショッピングモールの他アパレルチェーン、とりわけ外資アパレルチェーンに比べれば落ち込みは格段に浅かった。

 19年8月期を基準とすれば、「ユニクロ」は郊外ショッピングモールの平均的な店舗でも坪あたり280万円前後(月平均23万〜24万円)を売り上げ、その8%程度と推定される総合賃料でモールの経営に貢献していた。モールの準核を担う大型専門店でそこまで多額の賃料を払えるテナントは他になく、とりわけ外資アパレルチェーンは販売効率が「ユニクロ」の3〜6掛けに留まるのに家賃レートは似たようなものだから、売上貢献も賃料貢献も格段に落ちる。

外資アパレルチェーンは15年をピークに暗転

 日本上陸からしばらくは集客の目玉になったかもしれないが、全国の主要立地に一巡してしまえば販売効率も落ちて家賃貢献も水準を大きく割り込み、あるいは人気が出ずに多店化もできないままでは、モールの一等地に大きな面積を割き続けるわけにはいかなくなる。ゆえに定借賃貸契約の更新時には家賃レートや最低保障売り上げを切り上げるという話が必ず出てくるから、日本法人の損益をこれ以上悪化させるわけにはいかず、大量閉店や撤退という本社判断となりかねない。コロナ禍で本社のダメージも大きい以上、各国事業の損益にもシビアになるから、21年は再び外資アパレルチェーンの大量閉店や撤退が表面化すると危惧される。

 ふり返ってみれば外資アパレルチェーンの進出が盛んだったのは規制緩和の1990年代から2000年代、リーマンショック後の13年までで、少子高齢化で異次元資金供給と増税・社会負担増のアベノミクスが進み若年層の消費が冷え込んだ15年以降、一転して撤退ラッシュに転じている。大手5社(ギャップ、インデイテックス、H&M、イーグルリテイリング、フォーエバー21)合計売り上げのピークは15年の2626億円で、以降は既存店売り上げの減少や閉店、撤退でしぼみ続け、19年は2090億円まで減少したと推計される。フォーエバー21とアメリカンイーグルが脱落して3社になった20年は、コロナ禍もあって1500億円前後まで落ち込んだのではないか。

 グローバル化の中で一時は海外ブランドへの期待感みたいなものがあったのだろうが、ローカル回帰に転じた15年以降、若年層とりわけ非正規雇用が広がった女性の実収入の低迷はそんな余裕も押し潰し、コロナ禍では減収や雇い止め、失業が広がってお洒落どころではなくなった。

外資アパレルはローカル対応に本気じゃない

 外資アパレルチェーンが売れない理由は「ローカル対応に本気じゃない」に尽きる。アパレルは各国市場の人種的・民族的特性に左右されるローカル・ライフスタイル商品だから、異なる人種・民族のモードやフィットを押し付けても顧客は広がらない。

 世界のメジャーなアパレル市場はアングロサクソン系、ユーロラテン系、ヒスパニック系、ネグロイド系、アラブ系、華南系モンゴロイド、華北系モンゴロイドの7界からなり、ライフスタイルや服装規範、モード観やトレンド、体形やサイズはもちろん、スタイリングとフィットの文化が根本から異なる。華南系と華北系に分かれる中国や韓国とは異なり、日本市場はほぼ華南系(日本海側の一部には華北系の残滓が見られる)にまとまっている。「H&M」はアングロサクソン系、「ザラ」はユーロラテン系、「ユニクロ」はかつて華南系だったが近年は華北系へ移行しており、主力市場の移動を反映している。

 華南系は小柄な前かがみのずんぐり体形でフィットの好みが緩く、華北系は背が高くスラッとした体型でフィットの好みがタイトだ。欧米的なモード観では華南系のスタイルは冴えないが、ローカルなスタイリング価値からは“かわいい”“なごむ”と好まれ、華北系のスタイルを“イタい”“エロい”と敬遠する見方もある。ちなみにボディコンなチャイナドレスは華北系(満州族)の近代モードであって色味も鮮やかで、華南系(漢民族)の民族服はフィットの緩い「漢服」で色味も淡い。

 グローバルチェーンといっても商品開発には民族文化圏の特性が色濃く反映されるから、よほど本気でローカル対応しないと異なる市場には定着できない。人種のつるぼといわれる米国市場では地域どころかコミュニティーレベルでエスニック・ミックスが大きく異なるから、複数のエスニック企画やエスニック・フィットを用意するか、特定のエスニックに重点を置いた商品企画に割り切って出店立地を選ぶか、の選択になる。そこまではともかく、ローカル対応のポイントは(1)ローカルフィット&サイジング、(2)ローカルライフスタイル、(3)ローカルトレンド、(4)ローカルプライス、(5)ローカルMD&デリバリー、(6)ローカルマネジメント――以上の6点に他ならない。

フィットとサイジング、ライフスタイルの壁

 インディテックスはドレスアイテムのモノ作りやビジネスモデルは優れていてもローカル対応には消極的で、「ザラ」もローカルフィット&サイジングになっているわけではないから顧客の体形を選んでしまうし、「ストラディバリウス」はラテン系のローカルテイストが強く日本市場の嗜好とは乖離している。インテリアの「ザラホーム」も単品MDで日本式のトータルコーディネイトMD(同じ色柄でアイテムがそろう)になっていないし、フィットシーツは存在せず、コンフォーターカバーの内紐も付いていない。ホームデコレーションの文化が違うとはいえ、これでは顧客の広がりが限られるのもやむを得まい。

 日本市場でおおむね5000万ユーロ以上の市場を確保している欧州のモードブランドはジャパン(華南)フィット対応しているが、そこまで広がらないブランドはアングロサクソン系(またはユーロラテン系)フィットのままだから顧客は広がりようがない。ファクトリーブランドでも正規代理店契約のブランドはジャパンフィット別注しているが、百貨店やセレクトショップの直買付け品はユーロフィットのままが多く、顧客を選んでしまう。欧州のデッドストックを買い付けても、丈詰めなどをしないで我が国で販売するには無理があるアイテムが多い。

 欧州のモードブランドやファクトリーブランドが割高な値段になるのはロットの限られるジャパンフィット別注を要することも原因のひとつで、代理店が輸入している欧州ブランドを現地で試着すればフィットとサイジングの違いを痛感させられる。日本価格より割安でも、お直しの費用と期間に目を剥いて現地購入をあきらめる人が大半ではないか。逆にいえば日本のブランドが海外展開する場合も同じローカルフィットが求められるわけで、欧米でアングロサクソン系フィットやユーロラテン系フィットが求められるのはもちろん、中国市場や韓国市場を華南系一本と見るべきではない。ブランドのキャラクターで華南系か華北系に割り切り、出店地域を選択するべきだろう。

ローカルトレンドとローカルスタイリング

 アングロサクソン系やユーロラテン系のモード観で企画されるスタイリングは、華北系はともかく華南系のウエアリング感覚とは乖離しがちで、そのままではタイトに過ぎて緩さや崩しがなく好まれないことも多い。欧州モードに親しんだ百貨店客の中高年齢層はともかく、ローカルなストリートウエアリングが身に付いた若年層には不要にエロくてなごまないスタイリングに見えがちだ。

 華南系でも日本市場のウエアリングは独特の緩い崩しがあり、地域や客層によってかなりのローカルバリエーションがある。その背景は高校生時の制服と制服崩しにあり、私服通学で制服も制服崩しも経験しないままハイスクール時代を過ごす欧州の若者が着崩しセンスを身に付けないまま大人のモードに取り込まれて行くのに対し、制服に憧れ、あるいは強いられて自分なりのTPOで着崩す3年間を過ごす日本の若者は独特の着崩しセンスを身に付ける。コギャル風俗が台頭してJKが若者文化の主役となった95年頃を転機として、それ以降にJK期を体験した世代は独特の着崩しセンスを身に付け、欧州モードとは一線を画したローカルスタイルを形成するに至ったのではないか。その点は韓国市場と共通しており、若者が欧州モードより韓流トレンドに流れる要因の一つと考えられる。

 モードスタイリングをローカル対応させるには、華南系のややずんぐり前屈み姿勢のマネキンに、アウターは大きめサイズを衣紋抜き気味に緩く着せ付け、ボトムも大きめサイズを落とし気味にはかせ、レイヤードさせるのが基本だ。色柄の合わせも欧州ブランドの本部指示ではハーモニックになりがちで華南系の若年層には老けて見られるから、色相とトーンのコントラストを付け、柄のアイテムか小物をアクセントして立体感を盛る。南関東圏なら多少ハーモニックにまとめても違和感はないが、関西圏とりわけ南関西圏ではゴテゴテするほど柄物を盛る方がウケる。

 欧州の本部から指導に来るビジュアルマーチャンダイザーは目をむくだろうが、それがローカル対応だ。上陸直後の導入期なら上から目線で欧州モードを押し付けても通るかもしれないが、全国に数10店舗も布陣する段階に至ってはローカル対応が不可欠ではないか。

ローカルMD&デリバリーとローカルプライス

 各国ローカル市場でのMD展開とデリバリーにしても、グローバル統一のMDと生産のままデリバリーだけ微調整しても対応には限界がある。ローカルの各店が品番と色・サイズを選択し数量発注する「ザラ」にしても、MDはグローバル統一でデリバリーも北半球一斉だし(南半球対応は不明)、期中の店間移動は行われていない。

 比較的ローカル対応しているのが「ユニクロ」で、地域によってはローカル企画があるし、生産は一括でも生産地倉庫に備蓄してデリバリーのタイミングはローカル対応しているようだ。国内チェーンでも北から南までデリバリーのタイミングは異なるし、シーズン末期には大規模な店間移動が必要だから、グローバルチェーンの中途半端なローカル対応では需給ギャップが広がってしまう。

 ローカル市場では単品毎の需給状況でプライスポイントが週サイクルで動くが、国内チェーンでも売価変更のタイミングは難しいのに、POSデータに基づいての遠隔判断では自社在庫の消化状況に偏り、市場価格の変化に適切に対応するのは難しい。シーズン中の市場価格変化もともかく、何年かのうちにはローカル市場の経済状況や消費マインド、競合関係の変化でプライスポジションがズレてしまうこともある。進出時のマーケティングに基づくポジションのままでは「正価」販売が困難になり、値引き販売が常態化することもある。

 アウェイの海外マーケットでコストを積み上げると本国プライスより何割も高くなるから売り上げが伸びず、定着できずに撤退するケースも多い。ローカルプライスは中長期視点で戦略的に設定するべきだ。

要はローカルマネジメント

 そんなさまざまなローカル対応のズレを最小化するのがローカルマネジメントだ。出店戦略やマーケティングはもちろんシーズンのMD展開や営業対応まで、現地事情にうとい本社が仕切っては上手くいかないから、現地執行経営陣への権限委譲が必要だ。最終的には独資直営体制に移行するにしても、ローカル市場に定着するまでは現地企業へのライセンシングか合弁運営が合理的な選択となる。インディテックスも97年の日本進出時にはビギと合弁(インディテックス49%)でザラ・ジャパンを設立し、05年末に独資に切り替えている。

 ライセンスブランドを低く評価する見方もあるが、ローカル対応で市場規模を広げやすく、旧カネボウの「ディオール」は売り上げ500億円、三陽商会の「バーバリー」は600億円(小売規模1000億円)まで広がった。「ディオール」はライセンス契約を解消した後、その市場規模を回復するのに15年を要したし、「バーバリー」はもっと要するかも知れない。ライセンス展開の成否はライセンシーの選択次第で、三陽商会も旧カネボウもブランド側が当初に求めた水準を満たしていたが、グローバルなブランディングと流通政策の変化が蜜月を終わらせた。

 テクニカルなローカル対応もともかく、ローカルマネジメントで肝となるのは価格政策と出店政策だ。両者は表裏一体だから、価格政策と出店立地が噛み合わないとローカル展開は挫折してしまうし、本国価格とローカル価格が乖離すると通販サイトなどに転売ヤー商品があふれて正価販売が困難になる。

 ギャップ日本法人は、ローカルフィットやローカルデリバリーに注力してピークの16年1月期の売り上げは「ギャップ」「バナナリパブリック」「オールドネイビー」の3業態計1060億円まで到達したが、17年1月末の「オールドネイビー」撤退以降は急ピッチの売り上げ減少が続き、20年1月期はピークの半分まで落ち込んだと推計される。「ギャップ」の米国価格と乖離した割高な価格が値引き販売の常態化を招いたばかりか、実勢価格が「オールドネイビー」に接近してその存在意義を失わせ、短期での撤退に追いやったことが悔やまれる。

ハイリスク・レアリターンの海外進出

 アウエイの海外展開はそれほど難しく、本国展開よりコストがかさみ、割高な価格設定になって定着できず、短期で撤退するケースが絶えない。それはスーパーマーケットや量販店も同様で、外資でまともに定着できたのは会員制ディスカウントストアのコストコくらいだ。ましてやアパレルチェーンの定着がどれほど困難か想像に難くない。

 国内市場が衰退するわが国アパレルも海外進出が盛んだが、ローカル市場に定着して投下資本を回収できたケースは極めてまれで、膨大な損失が本体の経営を揺るがすケースさえある。夢を見るのは自由だが、現実に目を背けては悲惨な結末を招く。財務的な余裕とリスクへの覚悟、現地運営体制がない限り、海外進出は安易に行うべきものではない。そんな余裕があるならOMO※1とデジタルトランスフォーメーション(DX)※2に投資を集中するべきだ。

※1.OMO(Online Merges with Offline)…オンライン(EC)とオフライン(店舗販売)を融合するリテール戦略
※2.デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)…「デジタル技術による業務効率の革新」と定義され、デジタルで繋いで業務効率や事業モデルを革新する

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。著書に店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)、12月11日に出版した「アパレルの終焉と再生」(朝日新書)

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外資アパレルの撤退ラッシュが再燃する 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。パンデミックは日本に進出している外資系アパレルチェーンの戦略にも変更を迫ることになる。日本における外資系の課題を点検してみた。

 コロナ前の2019年にはアメリカンイーグル、フォーエバー21(米国本社が破綻)が撤退して外資アパレルチェーンは総崩れかと商業施設デベロッパー業界は身構えたが、20年はコロナ禍が吹き荒れる中、外資アパレルチェーンの撤退は表面化しなかった。欧米本社の経営も非常事態でコロナ対策に注力するしかなかったが、一息ついた21年は各社が抜本的構造改革に乗り出すから、各国事業の採算性と将来性を見極めて大量閉店や撤退が断行されるのは間違いない。

外資アパレルは売れないし家賃貢献も低い

 商業施設デベロッパーにとってアパレル大型店のデファクト・スタンダード(事実上の基準)は「ユニクロ」であり、その集客力と販売効率、家賃貢献度を基準として外資アパレルも評価される。

 コロナ前の19年8月期で「ユニクロ」は平均955平方メートルの店舗を正社員換算31.0人で運営して9億6627万円、坪あたり336.9万円(月平均28.1万円)を売り上げ、コロナに直撃された20年8月期でも平均982平方メートルの店舗を正社員換算29.1人で運営して8億7875万円、坪あたり298.7万円(月平均24.9万円)を売り上げた。コロナで平均店舗売り上げは9.1%、坪あたり売り上げは11.3%減少したが、ショッピングモールの他アパレルチェーン、とりわけ外資アパレルチェーンに比べれば落ち込みは格段に浅かった。

 19年8月期を基準とすれば、「ユニクロ」は郊外ショッピングモールの平均的な店舗でも坪あたり280万円前後(月平均23万〜24万円)を売り上げ、その8%程度と推定される総合賃料でモールの経営に貢献していた。モールの準核を担う大型専門店でそこまで多額の賃料を払えるテナントは他になく、とりわけ外資アパレルチェーンは販売効率が「ユニクロ」の3〜6掛けに留まるのに家賃レートは似たようなものだから、売上貢献も賃料貢献も格段に落ちる。

外資アパレルチェーンは15年をピークに暗転

 日本上陸からしばらくは集客の目玉になったかもしれないが、全国の主要立地に一巡してしまえば販売効率も落ちて家賃貢献も水準を大きく割り込み、あるいは人気が出ずに多店化もできないままでは、モールの一等地に大きな面積を割き続けるわけにはいかなくなる。ゆえに定借賃貸契約の更新時には家賃レートや最低保障売り上げを切り上げるという話が必ず出てくるから、日本法人の損益をこれ以上悪化させるわけにはいかず、大量閉店や撤退という本社判断となりかねない。コロナ禍で本社のダメージも大きい以上、各国事業の損益にもシビアになるから、21年は再び外資アパレルチェーンの大量閉店や撤退が表面化すると危惧される。

 ふり返ってみれば外資アパレルチェーンの進出が盛んだったのは規制緩和の1990年代から2000年代、リーマンショック後の13年までで、少子高齢化で異次元資金供給と増税・社会負担増のアベノミクスが進み若年層の消費が冷え込んだ15年以降、一転して撤退ラッシュに転じている。大手5社(ギャップ、インデイテックス、H&M、イーグルリテイリング、フォーエバー21)合計売り上げのピークは15年の2626億円で、以降は既存店売り上げの減少や閉店、撤退でしぼみ続け、19年は2090億円まで減少したと推計される。フォーエバー21とアメリカンイーグルが脱落して3社になった20年は、コロナ禍もあって1500億円前後まで落ち込んだのではないか。

 グローバル化の中で一時は海外ブランドへの期待感みたいなものがあったのだろうが、ローカル回帰に転じた15年以降、若年層とりわけ非正規雇用が広がった女性の実収入の低迷はそんな余裕も押し潰し、コロナ禍では減収や雇い止め、失業が広がってお洒落どころではなくなった。

外資アパレルはローカル対応に本気じゃない

 外資アパレルチェーンが売れない理由は「ローカル対応に本気じゃない」に尽きる。アパレルは各国市場の人種的・民族的特性に左右されるローカル・ライフスタイル商品だから、異なる人種・民族のモードやフィットを押し付けても顧客は広がらない。

 世界のメジャーなアパレル市場はアングロサクソン系、ユーロラテン系、ヒスパニック系、ネグロイド系、アラブ系、華南系モンゴロイド、華北系モンゴロイドの7界からなり、ライフスタイルや服装規範、モード観やトレンド、体形やサイズはもちろん、スタイリングとフィットの文化が根本から異なる。華南系と華北系に分かれる中国や韓国とは異なり、日本市場はほぼ華南系(日本海側の一部には華北系の残滓が見られる)にまとまっている。「H&M」はアングロサクソン系、「ザラ」はユーロラテン系、「ユニクロ」はかつて華南系だったが近年は華北系へ移行しており、主力市場の移動を反映している。

 華南系は小柄な前かがみのずんぐり体形でフィットの好みが緩く、華北系は背が高くスラッとした体型でフィットの好みがタイトだ。欧米的なモード観では華南系のスタイルは冴えないが、ローカルなスタイリング価値からは“かわいい”“なごむ”と好まれ、華北系のスタイルを“イタい”“エロい”と敬遠する見方もある。ちなみにボディコンなチャイナドレスは華北系(満州族)の近代モードであって色味も鮮やかで、華南系(漢民族)の民族服はフィットの緩い「漢服」で色味も淡い。

 グローバルチェーンといっても商品開発には民族文化圏の特性が色濃く反映されるから、よほど本気でローカル対応しないと異なる市場には定着できない。人種のつるぼといわれる米国市場では地域どころかコミュニティーレベルでエスニック・ミックスが大きく異なるから、複数のエスニック企画やエスニック・フィットを用意するか、特定のエスニックに重点を置いた商品企画に割り切って出店立地を選ぶか、の選択になる。そこまではともかく、ローカル対応のポイントは(1)ローカルフィット&サイジング、(2)ローカルライフスタイル、(3)ローカルトレンド、(4)ローカルプライス、(5)ローカルMD&デリバリー、(6)ローカルマネジメント――以上の6点に他ならない。

フィットとサイジング、ライフスタイルの壁

 インディテックスはドレスアイテムのモノ作りやビジネスモデルは優れていてもローカル対応には消極的で、「ザラ」もローカルフィット&サイジングになっているわけではないから顧客の体形を選んでしまうし、「ストラディバリウス」はラテン系のローカルテイストが強く日本市場の嗜好とは乖離している。インテリアの「ザラホーム」も単品MDで日本式のトータルコーディネイトMD(同じ色柄でアイテムがそろう)になっていないし、フィットシーツは存在せず、コンフォーターカバーの内紐も付いていない。ホームデコレーションの文化が違うとはいえ、これでは顧客の広がりが限られるのもやむを得まい。

 日本市場でおおむね5000万ユーロ以上の市場を確保している欧州のモードブランドはジャパン(華南)フィット対応しているが、そこまで広がらないブランドはアングロサクソン系(またはユーロラテン系)フィットのままだから顧客は広がりようがない。ファクトリーブランドでも正規代理店契約のブランドはジャパンフィット別注しているが、百貨店やセレクトショップの直買付け品はユーロフィットのままが多く、顧客を選んでしまう。欧州のデッドストックを買い付けても、丈詰めなどをしないで我が国で販売するには無理があるアイテムが多い。

 欧州のモードブランドやファクトリーブランドが割高な値段になるのはロットの限られるジャパンフィット別注を要することも原因のひとつで、代理店が輸入している欧州ブランドを現地で試着すればフィットとサイジングの違いを痛感させられる。日本価格より割安でも、お直しの費用と期間に目を剥いて現地購入をあきらめる人が大半ではないか。逆にいえば日本のブランドが海外展開する場合も同じローカルフィットが求められるわけで、欧米でアングロサクソン系フィットやユーロラテン系フィットが求められるのはもちろん、中国市場や韓国市場を華南系一本と見るべきではない。ブランドのキャラクターで華南系か華北系に割り切り、出店地域を選択するべきだろう。

ローカルトレンドとローカルスタイリング

 アングロサクソン系やユーロラテン系のモード観で企画されるスタイリングは、華北系はともかく華南系のウエアリング感覚とは乖離しがちで、そのままではタイトに過ぎて緩さや崩しがなく好まれないことも多い。欧州モードに親しんだ百貨店客の中高年齢層はともかく、ローカルなストリートウエアリングが身に付いた若年層には不要にエロくてなごまないスタイリングに見えがちだ。

 華南系でも日本市場のウエアリングは独特の緩い崩しがあり、地域や客層によってかなりのローカルバリエーションがある。その背景は高校生時の制服と制服崩しにあり、私服通学で制服も制服崩しも経験しないままハイスクール時代を過ごす欧州の若者が着崩しセンスを身に付けないまま大人のモードに取り込まれて行くのに対し、制服に憧れ、あるいは強いられて自分なりのTPOで着崩す3年間を過ごす日本の若者は独特の着崩しセンスを身に付ける。コギャル風俗が台頭してJKが若者文化の主役となった95年頃を転機として、それ以降にJK期を体験した世代は独特の着崩しセンスを身に付け、欧州モードとは一線を画したローカルスタイルを形成するに至ったのではないか。その点は韓国市場と共通しており、若者が欧州モードより韓流トレンドに流れる要因の一つと考えられる。

 モードスタイリングをローカル対応させるには、華南系のややずんぐり前屈み姿勢のマネキンに、アウターは大きめサイズを衣紋抜き気味に緩く着せ付け、ボトムも大きめサイズを落とし気味にはかせ、レイヤードさせるのが基本だ。色柄の合わせも欧州ブランドの本部指示ではハーモニックになりがちで華南系の若年層には老けて見られるから、色相とトーンのコントラストを付け、柄のアイテムか小物をアクセントして立体感を盛る。南関東圏なら多少ハーモニックにまとめても違和感はないが、関西圏とりわけ南関西圏ではゴテゴテするほど柄物を盛る方がウケる。

 欧州の本部から指導に来るビジュアルマーチャンダイザーは目をむくだろうが、それがローカル対応だ。上陸直後の導入期なら上から目線で欧州モードを押し付けても通るかもしれないが、全国に数10店舗も布陣する段階に至ってはローカル対応が不可欠ではないか。

ローカルMD&デリバリーとローカルプライス

 各国ローカル市場でのMD展開とデリバリーにしても、グローバル統一のMDと生産のままデリバリーだけ微調整しても対応には限界がある。ローカルの各店が品番と色・サイズを選択し数量発注する「ザラ」にしても、MDはグローバル統一でデリバリーも北半球一斉だし(南半球対応は不明)、期中の店間移動は行われていない。

 比較的ローカル対応しているのが「ユニクロ」で、地域によってはローカル企画があるし、生産は一括でも生産地倉庫に備蓄してデリバリーのタイミングはローカル対応しているようだ。国内チェーンでも北から南までデリバリーのタイミングは異なるし、シーズン末期には大規模な店間移動が必要だから、グローバルチェーンの中途半端なローカル対応では需給ギャップが広がってしまう。

 ローカル市場では単品毎の需給状況でプライスポイントが週サイクルで動くが、国内チェーンでも売価変更のタイミングは難しいのに、POSデータに基づいての遠隔判断では自社在庫の消化状況に偏り、市場価格の変化に適切に対応するのは難しい。シーズン中の市場価格変化もともかく、何年かのうちにはローカル市場の経済状況や消費マインド、競合関係の変化でプライスポジションがズレてしまうこともある。進出時のマーケティングに基づくポジションのままでは「正価」販売が困難になり、値引き販売が常態化することもある。

 アウェイの海外マーケットでコストを積み上げると本国プライスより何割も高くなるから売り上げが伸びず、定着できずに撤退するケースも多い。ローカルプライスは中長期視点で戦略的に設定するべきだ。

要はローカルマネジメント

 そんなさまざまなローカル対応のズレを最小化するのがローカルマネジメントだ。出店戦略やマーケティングはもちろんシーズンのMD展開や営業対応まで、現地事情にうとい本社が仕切っては上手くいかないから、現地執行経営陣への権限委譲が必要だ。最終的には独資直営体制に移行するにしても、ローカル市場に定着するまでは現地企業へのライセンシングか合弁運営が合理的な選択となる。インディテックスも97年の日本進出時にはビギと合弁(インディテックス49%)でザラ・ジャパンを設立し、05年末に独資に切り替えている。

 ライセンスブランドを低く評価する見方もあるが、ローカル対応で市場規模を広げやすく、旧カネボウの「ディオール」は売り上げ500億円、三陽商会の「バーバリー」は600億円(小売規模1000億円)まで広がった。「ディオール」はライセンス契約を解消した後、その市場規模を回復するのに15年を要したし、「バーバリー」はもっと要するかも知れない。ライセンス展開の成否はライセンシーの選択次第で、三陽商会も旧カネボウもブランド側が当初に求めた水準を満たしていたが、グローバルなブランディングと流通政策の変化が蜜月を終わらせた。

 テクニカルなローカル対応もともかく、ローカルマネジメントで肝となるのは価格政策と出店政策だ。両者は表裏一体だから、価格政策と出店立地が噛み合わないとローカル展開は挫折してしまうし、本国価格とローカル価格が乖離すると通販サイトなどに転売ヤー商品があふれて正価販売が困難になる。

 ギャップ日本法人は、ローカルフィットやローカルデリバリーに注力してピークの16年1月期の売り上げは「ギャップ」「バナナリパブリック」「オールドネイビー」の3業態計1060億円まで到達したが、17年1月末の「オールドネイビー」撤退以降は急ピッチの売り上げ減少が続き、20年1月期はピークの半分まで落ち込んだと推計される。「ギャップ」の米国価格と乖離した割高な価格が値引き販売の常態化を招いたばかりか、実勢価格が「オールドネイビー」に接近してその存在意義を失わせ、短期での撤退に追いやったことが悔やまれる。

ハイリスク・レアリターンの海外進出

 アウエイの海外展開はそれほど難しく、本国展開よりコストがかさみ、割高な価格設定になって定着できず、短期で撤退するケースが絶えない。それはスーパーマーケットや量販店も同様で、外資でまともに定着できたのは会員制ディスカウントストアのコストコくらいだ。ましてやアパレルチェーンの定着がどれほど困難か想像に難くない。

 国内市場が衰退するわが国アパレルも海外進出が盛んだが、ローカル市場に定着して投下資本を回収できたケースは極めてまれで、膨大な損失が本体の経営を揺るがすケースさえある。夢を見るのは自由だが、現実に目を背けては悲惨な結末を招く。財務的な余裕とリスクへの覚悟、現地運営体制がない限り、海外進出は安易に行うべきものではない。そんな余裕があるならOMO※1とデジタルトランスフォーメーション(DX)※2に投資を集中するべきだ。

※1.OMO(Online Merges with Offline)…オンライン(EC)とオフライン(店舗販売)を融合するリテール戦略
※2.デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)…「デジタル技術による業務効率の革新」と定義され、デジタルで繋いで業務効率や事業モデルを革新する

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。著書に店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)、12月11日に出版した「アパレルの終焉と再生」(朝日新書)

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2度目の緊急事態宣言下の全身8400円古着コーデと“ファッションにできること”

 1月11日は僕の40数回目の誕生日でした。とはいえ、緊急事態宣言下でパーティ等はお預け。3連休は寝正月の続きをしていました。とはいえ、(誰もくれないので……)せめて自分で自分にプレゼントを、と「ヤフオク!」やら「メルカリ」をうろうろして行き着いたのが、東京・杉並の和田堀公園内にある古着店「ガラパゴス」のECサイトでした。

 まず目に飛び込んできたのは「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」のナイロン製アノラック。なんと3800円。安い!ビビッドイエローがまた“いいじゃない”です。続いて気になったのが、「ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」のコーデュロイパンツ。こちらは、さらにお買い得な2800円。エンブロイダリーのヒイラギも、季節を11カ月先取りと考えれば乙なはず。ちなみにアノラックがMで、パンツが32インチと僕にとっての“シンデレラサイズ”でした。

 ステイホーム中につき、オーナーの日景上(ひかげ・すすむ)さんにお願いして、特別に着用写真を送ってもらいました。うん、上下で合わせると90年代っぽくていい感じ。ちなみに日景オーナーが履いた「リーボック(REEBOK)」のスニーカーは1800円。つまり全身で8400円!!これぞ古着の醍醐味です。“小物が欲しい”という方には、「トリコ コム デ ギャルソン(TRICOT COMME DES GARCONS)」の市松柄トートバッグはいかがでしょうか?3800円です。

 日景オーナーの「“緊急事態宣言”の衝撃はそれなりで、客足にも影響しています」の言葉も気になり、できれば足を延ばして実際に見聞きしたかったのですが、今回は通販にしてもらいました。パンデミックの中、“ファッションにできること”をあらためて考えさせられた誕生日でした。

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インターナショナルギャラリー ビームスの2021年春夏  「日常に取り入れる」新たなデザイナーズウエア

 インターナショナルギャラリー ビームス(INTERNATIONAL GALLERY BEAMS)の2021年春夏は、テーマの“eclectic(多種多様)”に「ファッションは個人が思い思いのスタイリングで表現するもの」という想いを込めて、ブランドカルチャーやアイデンティティーを強く感じるアイテムをそろえる。

 片桐恵利佳ディレクターは今季の傾向について「具体的なスタイリング提案はないが、カジュアルでソフトな気心地や雰囲気のアイテムが多い」と説明する。また「夏場の過酷な気候に適した需要と日常に取り入れやすい」ことを念頭に置き買い付けを行った。新規導入ブランドも多い。

 これらを象徴するブランドの1つで、フェミニンとマスキュリンの垣根のない新たなデザイナーズウエアの提案として、イギリスの「ウェールズ ボナー(WALES BONNER)」を導入。従来は、ヨーロッパとブラックカルチャーを掛け合わせたストイックな姿勢のテーラリングを強みとしていたが「良い意味でマイルドになった。彼女のアイデンティティーが強く反映された服はシルエットが美しく、着るとテンション上がる」と絶賛する。ウィメンズのアイテム中心に、メンズコレクションからもグラフィックTシャツやウエアの一部を買い付けた。さらに「ラフ・シモンズ」が2021年春夏にスタートする初のウィメンズコレクションからドレスやジャケット、スウェットなどを豊富なサイズ感で提案する。

 強化アイテムは、サンダルとサマードレスだ。20-21年秋冬に引き続き、足元からのおしゃれを提案していく。サンダルは、古代遺跡の破片や発掘品からインスピレーションを得た「トゥーグッド&ビルケンシュトック(TOOGOOD&BIRKENSTOCK)」で、「靴下を履けば季節を越えて合わせることができるベーシックなデザイン」を買い付けた。「マノロ ブラニク(MANOLO BLAHNIK)」では、「インソールの色などの細かなディテールまで楽しめるデザインをそろえる」という。

 サマーワンピースは、日本では同業態のみで取り扱うルーマニア発のイリーナ・モロサヌ(Irina Morosanu)が手掛ける「レ バカンス ディリーナ(LES VACANCES D'IRINA)」に加え、新規で2005年にスタートし、07年にイタリア版「ヴォーグ」のヤング・デザイナー・タレントの受賞経験もある「サラ ランツィ(SARA LANZI)」や、「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」などで経験を積んだキャロライン・スミッソン(Caroline Smithson)が手掛けるイギリスの「ソーン(SSONE)」などを買い付けた。

 別注アイテムも強化する。「セヤ(SEYA)」の秋まで着用できるポロワンピースや「マリーエレーヌ ドゥ タイヤック(MARIE‐HELENE DE TAILLAC)」のジュエリーなど「各ブランドの持ち味を感じられて、愛用できるアイテムをオーダーした」。

 買い付け量は20-21年秋冬比で約7割に減らした。以前からSKUを絞り余剰在庫を削減する取り組みを行っているが「それが加速したシーズン。本当に届けたい商品をさらに厳選した」。

 デジタル施策では、高価格帯の商品が多い同業態でも、インスタグラムで商品紹介の頻度を増やしたり、商品からECにダイレクトに動線をつないだりする投稿が増えている。ただ「これらを媒介にしながらも、真意は店舗にご来店いただきたいし、可能であれば会話も楽しんでもらいたい。ECでは体験できない感覚を得られるはず」と話す。

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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「アレを売るためのコレ」不要論 エディターズレター(2020年10月12日配信分)

※この記事は2020年10月12日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「アレを売るためのコレ」不要論

 アダストリアがライセンス契約した「エーランド(ALAND)」のMDに関する下の記事、「そうか、皆はコレに驚くのか」という印象でした。私には「ですよねぇ」ばかりだったんですけれどね(笑)。

 例えば、「アパレルのうち、7割がトップス」というくだり。コレは、皆さんにとって「斬新!」なのでしょうか?でも、“自分ごと化”してみましょう。トップスはデザイナーズ、ボトムスはまぁまぁ量販店ブランドなコーディネイト、皆さんにとっても当たり前でしょう?ワタクシはその傾向がかなり強く、ボトムスは「モンベル」「マムート」「ユニクロ U(ウィメンズ)」に大依存。あとは「ミスター ジェントルマン」と、セットアップのパンツがあれば生きていけます(笑)。「ボトムスにこだわってこそ」という方にお会いすると「すごいなぁ~」と思うのですが、トップスをパンツインしない限り、ボトムスって結局見えないんですよねぇ。私は価格に対するメリットを感じきれず、ブティックと呼ばれる店舗で買う洋服は、ほとんどがトップスです。

 以前、国内アパレルの総合ブランドの展示会で、正直どうってことないインナーの値札を見たら1万円オーバーでビックリしたことがありました。「んー、買わない!」、そう思ったのです。話を聞くと、出ました、業界の定番の言い訳。「コレがあるから、アレが売れるんです」とか「コレが、アレを引き立てるんです」とおっしゃいます。

 それって、本当ですか?「コレ」が引き立てないと売れない「アレ」なら、「アレ」の商品力を高めて「コレ」が無くても売れるように頑張ればいいのに。で、最終的に引き立て役の「コレ」はどうするのか?そんな思考がグルグル渦巻きました。

 こういう既成概念から解放されて波に乗ったのが、マッシュホールディングスだと理解しています。純粋な「こんなのが欲しい」から商品企画を始めるから、シーズンのファーストデリバリーのMDバランスは毎回バラバラ。それを期中の商品で少しずつ修正するMDと聞いています(ですよね、五十君デスク?)。「セルフォード」が立ち上がった時の、リンク2本目の記事にマッシュのモノ作りの根幹が垣間見える気がします。

 マッシュの躍進と、「エーランド」のロケットスタート。コレはもう、「アレを売るためのコレ」から解放されて良い時の到来と考えるべきではないでしょうか?

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
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販売員のデジタル接客「スタッフスタート」とecbeingが連携を発表 最短1カ月で導入可能で多くの需要に応える

 実店舗の販売員をオムニチャネル化するアプリケーションサービス「スタッフスタート(STAFF START)」を運営するバニッシュ・スタンダードと、通販サイト構築システム「ecbeing」を運営するecbeingが、このほど連携することを発表した。「スタッフスタート」の人気機能を標準連携化することで、企業側が導入する際、導入コストが従来の約5分の1、ランニングコストも約3分の1、導入期間も従来の約3分の1になるパッケージを開発した。

 「スタッフスタート」とは、販売員が着用したコーディネート写真をブランドのECサイトや各個人のインスタグラムなどのSNSに投稿するもので、商品が売れた場合、売り上げの数パーセントがインセンティブ(成果報酬)として給与に加算されるのと同時に、その販売スタッフが所属する店舗の売り上げとして計上される仕組みだ。今回の連携では、「スタッフスタート」の人気機能である“コーディネート投稿機能”と販売員がスマートフォンでブログ(特集)を作成する“まとめ機能”を標準装備する。

 昨年4月に発出された緊急時代宣言以降、店舗を一時閉めざるを得ない状況下において、店舗に立てない販売員が自宅でも販売できるとして、「スタッフスタート」の導入数は飛躍的に伸び続け、スタートから約4年で1000以上のブランドが導入し、19年9月~20年8月の1年間の流通金額は昨対比300%を超える882億円となった。「スタッフスタート」を活用して月額売り上げ最高約8000万円以上を記録する販売員も出てきており、1回の投稿における売り上げ最高額は約600万円にも上る。今回のecbeingとの連携で、店頭に立たなくともデジタル接客できる「スタッフスタート」の需要の高まりにスピーディーに対応することが狙いだ。

 通販サイト構築システムとして12年連続シェア1位を達成するecbeingと、急速にサービスを拡大する「スタッフスタート」がタッグを組み、標準連携化の独占契約を締結したことは、EC業界において大きな話題となりそうだ。両者のトップに提携の背景を聞いた。

WWD:今回の連携の意図は?

林雅也ecbeing社長(以下、林):これまでは、「スタッフスタート」を企業が導入する際、一社一社オリジナルで作るオーダーメイドの個別対応だったため、実装に3カ月以上かかっていた。それをパッケージ化し、標準連携することで、コストも安く抑えられ、導入期間も早くなるのが最大のメリットだ。

WWD:それにより新規拡大を狙っていく?

林:むしろ、既存でお付き合いがあったり、お問い合わせをいただいたりしている企業にスピーディーに対応することが先決だと考えている。新規バージョンのみならず既存バージョンを利用している場合でも対応できるように開発している。

小野里寧晃バニッシュ・スタンダード社長(以下、小野里):導入コストや導入期間だけでなく、通販サイトのEC担当者の作業負担もかなり軽減される。

WWD:ecbeingではなく他社でEC構築をしている企業は、このパッケージを利用できるのか?

林:その場合はecbeingのシステムに乗り換えてもらう必要がある。

WWD:ecbeingにおける現在のファッション、ビューティのクライアント数はどのくらいあるのか?

林:全体で1300社あるうちの300社くらいだ。

WWD:首都圏では2度目の緊急事態宣言が発出されたが、時短営業などで販売員の実店舗での働く時間も短縮され、店舗閉鎖も続いている。

小野里:多くの企業から引き続き「スタッフスタート」導入の問い合せが続いている状況だ。オーダーメイドの場合、3~6カ月かかる場合もあったが、1カ月でローンチできるため、多くの要望にスピーディーに対応することができる。

WWD:導入コストは従来の5分の1、ランニングコストも3分の1ということだが、具体的にはどのくらいの予算感で導入できるのか?

林:具体的な金額は公表していないが、数百万円もかからずに導入することができる。

WWD:多くの通販サイトの構築を手掛けている立場から見えてくる企業側の課題は?

林:ECから“eビジネス”へ変化していかなくてはならない。つまりオムニチャネル化だ。店舗のスタッフが果たす役割も変化している。EC単独では終わらせず、循環させることが大事。消費者にとっていかに最適に買い物ができるかを考えることだ。

WWD:そのためには何が必要か?

林:組織における従来の縦割りを打破すること。そしてそれぞれの活躍を可視化すること。まだまだそれが浸透しきれていない印象だ。

小野里:店舗をなくさず残し続けるためにECの活用がある。そのために“評価のオムニチャネル化”の必要性をずっと伝えてきた。個人の、そして店舗ごとの評価が重要。ECだけだと、どうしても同質化してしまう。

林:やはり店舗は大きな役割を果たしている。販売員のセンスやマーケット情報などを含め、ブランドの文化というのは店が発信している。それぞれ店の個性的な販売員がそのブランドの文化でもある。

WWD:今後の展望は?

小野里:今回はコーディネート機能、まとめ機能といった「スタッフスタート」の人気機能を標準連携しているが、今後はレビュー機能やライブ接客などの機能も加えていけたらと思っている。そしてアパレル、ビューティ以外のライフスタイル全般にも対象範囲を広げていきたい。

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ステラのユーモアがファッションと地球を救う エディターズレター(2020年11月17日配信分)

※この記事は2020年11月17日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

ステラのユーモアがファッションと地球を救う

 あ~おもしろいインタビューだった!と、読後しみじみとしているのがリンク1本目、ステラ・マッカートニーの記事です。

 2021年春夏コレクションのデジタルプレゼンテーション直後に開いたオンラインカンファレンスでのやりとりを記録したもので、同時に発表したサステナビリティに関する“AtoZマニフェスト” についても触れています。

 記事のリードに「約1時間のカンファレンスで、際どい質問に対してもステラは終始リラックスムードでユーモアを交えながら返答した」とありますが、その様子が行間から伝わってきます。ちなみに“AtoZマニフェスト”はブランドの理念をAからZで表現し、かつアーティストとコラボレーションしたもので、たとえばS はずばりサステナビリティで日本の空山基さんとコラボをしています。

 サステナビリティの話って難しくなりがちですよね。ご存知の通り、ステラは長年サステナビリティに取り組んでおり、ファッション分野においてその最先端を行く人。でもなのか、だからこそなのか、彼女の話はユーモアが散りばめられていて気張らずに受け止めることができます。そして読むと元気をもらえます。1本100円の有料記事ですがその価値があると胸を張って言えますので下記のフレーズにピンときたらぜひどうぞ!

 「このパンデミックによって私にとってクリエイティビティーとはみんながつながることであることにも気づいた」

 「生地、素材、デザイン、技術を駆使すれば見た目だけじゃないフレッシュ感を出すことができると思う。“新しさ”とはトレンドとして半年後に切り捨てられるという意味ではないと思う」

 「“なぜ私たちはそれを行うのか”と問う必要がある。マーケティングのためにやるのではなく、それは未来の若者たちがそう要求しているから」

 「ショーを行うことは当たり前だと思っていたけれど――そういう考え、駄目よね。何事も当たり前と思ってはいけない」

 「この業界は絶対に短期間で変わることができる。新型コロナウイルスの感染拡大がみんなの注意を環境問題に引きつけたのは確かよ」

 サステナビリティの取材が増えて思うのは、行動を起こしている人たちはたいがい楽しそうだし、笑顔が多くていい顔をしている、ということ。「いい顔、いい表情」は主観的ですが私は大切なことだと思っています。振り返れば25年前、自分がこの世界に飛び込んだきっかけも就職試験を受けたアパレルメーカーの面接官たちがファッションの仕事に情熱を持ち、「何歳になっても何かを諦めない」いい表情をしていたから。彼らに惹かれ、「この人たちと働きたい」と思い、その後出会った数多くのファッション関係者にも同じ「いい表情」を見出し続けて今に至りますが、最近特に「いい表情」をしているのがサステナビリティとファッションビジネスを結びつけようと奔走している人たちです。この記事のステラもそう。ユーモアを交えて話す言葉尻に笑顔が見えます。

 来週のこのレターではそんな人の一人を紹介する予定です。お楽しみに。また来週!

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ティファニー買収でLVMHはどうなる? エディターズレター(2020年11月6日配信分)

※この記事は2020年11月6日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

ティファニー買収でLVMHはどうなる?

 世紀の泥沼訴訟合戦に突入か(ちょっとワクワク)!?と思いましたが、意外とあっけなく決着しましたね、LVMHのティファニー買収。新型コロナの影響で、アメリカンラグジュアリー企業ティファニーがアメリカ企業としての道を歩み続けることになるというのも“運命のいたずら”という感じで良いよね、とも思っていたのですが――改めて“婚約”成立です。

 LVMHはうまいですよね。突如フランス政府を巻き込んでの「買収断念」宣言で揺さぶりをかけ、結果ティファニーを約500億円安くゲットしました。1番目の記事に出てくるアナリストも語っていますが、新型コロナによってティファニーの価値が下がったかというと、業績は下がりましたが、ブランドの価値までは毀損されていないと思います。ティファニーも必死に業績を回復させました。ですから、新型コロナの影響をうまく利用して得をしたのはLVMHだったというのが私の見方です。

 そしてもちろんティファニーのマネジメントは交代でしょう。だって、「買収断念」の理由の1つがコロナ禍におけるミスマネジメントでしたから。

 トップの候補者として挙がっているマイケル・バーク=ルイ・ヴィトン会長兼最高経営責任者(CEO)は、まさにベルナール・アルノーLVMH会長兼CEOの懐刀です。ブルガリを買収した際もトップに就きましたし、今は亡きイヴ・カルセル元会長兼CEO退任後、あまりのプレッシャーに後任CEOが体調不良に陥ったルイ・ヴィトンのトップを引き受けたのもバーク氏でした。10年前からすでに大きかったルイ・ヴィトンをアップデートしながらさらに成長させています。ティファニーのトップに就任したら、インクルージョン&ダイバーシティーやトレーサビリティといったブランドの強みを生かしつつ、さらに発展させていきそうだなと思います。

 でも、もしそうなった時、グループの屋台骨ブランド、ルイ・ヴィトンを誰が引き継ぐのでしょう。アルノー会長兼CEOの下、1兆円ブランドのマネジメントって並大抵ではないですね。ティファニー買収で起こるであろうLVMHのマネジメントシャッフルにも注目したいです。

VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。

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レザーパンツは“脱・ロック”が今季流 しなやかに着こなす新コーデ術

 冬に人気のレザーパンツ(合皮含む)は、革ならではのクールなつやめきが持ち味ですが、今季の新しいスタイリングは“脱・ロック”。強さや凜々しさを保ちながらも、しなやかに着こなす、ハードすぎないさじ加減がポイントです。

 ニットを合わせたり、写真のようにセットアップでまとったりと、コーディネートの選択肢はいっそう幅広くなってきました。上手なアレンジのコツは、異素材ミックスやワイドパンツ、ブラウン系のチョイスなど。今回は、ハードに見えない“脱・ロック”な着こなしを、ファッショニスタをお手本にチェックしてみました。

ふんわりニットでウエストのくびれを強調

 黒のレザーパンツにソフトな印象を添えるには、質感の違うニットの風合いが役に立ちます。

 クールなレザーパンツと合わせたのは、カラフルなモチーフを散らしたグラニーニット。裾をインしてウエスト周りをすっきり見せています。色も風合いも異なる上下のコンビネーションで、めりはりを強調。素材の“ずれ感”がこなれた着映えに導きました。

 2枚目の写真は“黒×白”の上下コントラストが鮮やかなコーデ。アイキャッチーな羽織り物を重ねると、レザーパンツのタフ感がやわらぎます。スレンダーなレザーパンツに、袖コンシャスのブルゾンを合わせて、ボリュームの好バランスを引き出しました。クロップド丈のブルゾンが脚長効果も発揮。こちらもニットトップスをインして、くびれ感を強めています。

ワイドパンツでリラックスした雰囲気に

 デイリーウエアとして定着してきたワイドパンツも、レザーを選べば鮮度がアップ。レザーならではのタフさが加わり、2021年流“意思の強い女”感を印象づけられそう。さらに、リラックスしたシルエットが意外な印象を導いてくれます。

 たっぷりと幅のある黒のレザーワイドパンツは堂々の迫力。そこにあえてデコルテが広く開いたセンシュアルなトップスを合わせることで、上下でムードをずらしています。肩周りと手首に添えたゴールドアクセサリーもフェミニンに寄せてくれます。

 2枚目の写真で着ているのは、裾がすぼまったジョッパーズ風のレザーパンツ。ゆったりしたシルエットがかえって細感を引き出すユニークなフォルムです。オーバーサイズのジャケットを羽織って、量感で遊ぶ演出。トレンドのスクエアトーがクールな足元を印象づけています。

ブラウン系の穏やかなトーンできれいめ

 黒のイメージが強いレザーパンツですが、近頃はカラーバリエーションが多彩に。おすすめはブラウン系。黒ほどクールすぎず、穏やかなトーンなので、手持ちのウエアとも合わせやすい色味です。

 バイカー風のレザーパンツも、ブラウン系を選べばやわらかい着映えに。膝でいったん絞ったシルエットは、レッグラインを長く美しく見せてくれます。マニッシュなパンツにふさわしく、端正なテーラードジャケットとも好相性。凛としたスタイリッシュなコーデに整えました。

 柄入りのレザーパンツは、冬の装いに動きを添えるキーアイテム。2枚目の写真は、主張が強めの難しいパイソン柄のレザーパンツをチェック柄コートと組み合わせることですっきりまとめました。クラシックなたたずまいが、パイソンのインパクトをトーンダウン。同じチェック柄のトップスとのコンビネーションで、全体を英国テイストにまとめ上げています。

 冬コーデはかさばって見えがちですが、レザーアイテムを投入するだけで、装い全体をすっきりと見せてくれます。ニットや布アウターで合わせれば、トレンドの異素材ミックスコーデが簡単に仕上がるのもうれしいところ。手持ちのアイテムを多彩にアレンジできるので、いつもの着こなしにマンネリ感を覚えたときは、レザーパンツを“ムードチェンジャー”として加えるといいかもしれません。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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「めんどくさい」は「本気」の証拠 エディターズレター(2020年10月1日配信分)

※この記事は2020年10月1日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「めんどくさい」は「本気」の証拠

 こんな私でも、組織における自分の役割については、結構真剣に考えています。私が意識的に演じている役割は、ヒール。悪役です。意外に思う方もいらっしゃるでしょうか(笑)?

 「ヒールを演じている(つもり)」理由は、いくつかあります。一番大きな理由は、みんな優しいから(笑)。いろんなことが「頑張ったね!!」で片付けられるので、「頑張る」は絶対的正義となり、次の機会もその正義を貫いて前回のように「頑張る」。すると、特にこんな変革の時代は「頑張っているのに、変わらない」もしくは「頑張っているから、変わらない」状況に陥りやすいような気がして、なんだかマズい気がする。「誰かが、苦言を呈するべきなのでは?」と思ったのです。

 加えて天の邪鬼な性格なので、「頑張ったね!!」という価値観が世界観になることにも抵抗がありました。「多様じゃない」と思ったのです。振り返れば新聞記者と言う前職は、「頑張り」だけでは評価されない職場でした。他社に先んじて記事が出せることが全てです。そこで「1人くらい、『頑張ったね!!』じゃない人がいても良いでしょう?」と言う思考になります。こうして「ヒール化」は加速していきました。

 後輩からは「話しかけづらい」と言われ、上司からは「鬼軍曹って呼ばれてるよ~」とほくそ笑まれる時もありました。自分ではだいぶ丸くなったと思い込んでいますが同僚にとっては、今も「めんどくさいな~」という存在だと思います。会社のみなさん、「ごめんなさい(と、直接言わず、いきなりメルマガでブッ込んじゃうのも良くないことは、わかっているんですよw)」。

 「お前が言うな!!」って言われそうですが、そんな私だって同僚に対して「めんどくさいな~」と思う時はあります(笑)。人間なので、「今!?」って思う時もあります。でも、自分自身が「めんどくさい」から、「めんどくさい」人には向き合いたいと思っています。だって自分を含む「めんどくさい」人って、高い目標を持っていたり、理想と現実の違いが受け入れがたいくらい潔癖だったり、「『誰も手をあげない』なら私が」と思い込むくらい“おせっかい”で勇敢だったりなど、「大局的に言えばプラス」だと思っている(信じたい)のです。その思いが、正しいのか、正しくないのかは分かりません。ただ間違いないのは、「めんどくさい」人は「本気」です。「めんどくさくない」人が「本気」じゃない、とは言いません。でも「めんどくさい」人が「本気」なのは、間違いない。そう思っています。

 だから「ヒールでもいいじゃん」と思いつつ、一方で「言いたいことが気兼ねなく言える環境を生み出せたら、ヒールにならなくても良いのかな?」と、思考は常にグルグル回転しています。「どうしたモンかしらね~?」と思っていますが、最近は「ま、それが人間らしいってコトね」と悟りの境地でもあります。私は悟りましたが、私と言う存在が周囲、そして彼らの心をザワつかせているなら、「ごめんなさい」とも思います。本当に、そう思っています。

 だから皆さん、ぜひ「めんどくさい」人と一緒に仕事をしてください。その多様性は今、成果として現れると信じています。

SOCIAL & INFLUENTIAL:社会情勢によって変化するファッション&ビューティ業界を見つめます。インクルージョン(包摂性)&ダイバーシティー(多様性)な時代のファッション&ビューティから、社会に届けたい業界人のオピニオンまで。ジャーナリズムを重んじる「WWD JAPAN.com」ならではのメルマガです。

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“美容師あるある”で話題の美容師兼イラストレーターTAKUOに聞く19の質問 インフルエンサー名鑑Vol.7

 インスタグラムを筆頭とするSNSの普及で、「憧れの人」「なりたい人」が細分化している。今は誰もが、それぞれの「なりたい人」を持っている時代。ならば、そんな身の回りの人を改めて知るべきではないか?そこで「WWDJAPAN.com」は、ソーシャルリレーション マーケティング事業を手がけるリデルの協力を得て、身近な新世代インフルエンサー名鑑を作成する。

 今回は、インスタグラムで“美容師あるある”が話題の美容師兼イラストレーターのTAKUO。消費者さえ共感する“あるある”をシュールかつクオリティの高いイラストに落とし込むTAKUOには、美容師業や将来の展望、自信の持ち方など仕事や働くうえでの心構えに関する質問が数多く寄せられた。全ての質問と回答を一挙に公開する(2021年1月4&11日合併号の「WWDジャパン」には、彼が現在に至るまでの経緯やSNSの運用について聞いたインタビュー記事を掲載します)。

美容師業や「あるある」について

Q.1:美容師を目指したきっかけは?

A.1:高校3年生の夏までは音楽関係の道に進もうと思っていました。クラスメイトに美容師を目指している友達がいて、付き添いで行った美容学校のオープンキャンパスでカットの実習をさせてもらった時に、先生にベタ褒めされたのがきっかけです。もともと手先が器用だったので、高校生ながらカットもある程度できてしまいました。

Q.2:美容師になって良かったことは?

A.2:お客様の人生とともに成長できること。一番長いお客さんだと10年くらいのお付き合いがあり、就活や就職、転職、恋愛、結婚、出産など人生のイベントを美容師とお客様という絶妙な距離感で見守ることができました。友達でもなければ、血が繋がっているわけでもありませんが、月に一度来てくれて、さまざまな話ができるのは嬉しいです。

Q.3:美容師を辞めたいと思ったときは、どう乗り切った?

A.3 :本気で辞めようと思ったことは一度だけ。転職しようと思いましたが、お客様から「髪染めて!」「カットして!」というような声を頂き、お客さん様を裏切れないと思って踏みとどまりました。

Q.4:美容師には業界内での繋がりが一番大事?

A.4 :「一番大事か?」と聞かれると、そうではないですね。とにかく個性を大切にしてほしいと思います。個性でしか、この先勝つ方法はありません。9割の美容師がしていることはすべて、個性を潰す行為かなともったいなく感じています。

Q.5:自身のサロンを出す予定は?

A.5 :まったく考えていません。どちらかというと美容師と美容業界を支えていくような活動をしていきたい。もちろん、自分のお客様はこの先も担当したいです。

Q.6:フリーランスのメリットとデメリットは?

A.6 :メリットは、上下関係なく自由に活動できて、給料を自分で決められることです。現状、デメリットに感じていることはないですね。

Q.7:美容学生のうちにしておくべきことは?

A.7 :学生だけでなく、10~20代はとにかくたくさんの失敗を経験すること。つまり色んなことにチャレンジしてほしいです。人の目ばかり気にして挑戦することの大切さを失わないでほしい。そして、とにかく急がない。背伸びや、近道は絶対にしてはいけません。 “最年少なんとか”みたいな肩書きにも憧れないでください。

Q.8:“美容師あるある”は、先輩や後輩など周囲を含めた実体験に基づいている?

A.8 :99%僕の実体験です。中には女性美容師特有の“あるある”もあるので、そこは女性美容師のフォロワーさんに聞いています。実体験でないと、あそこまでの共感と説得力は出せません。

Q.9:なぜ登場人物は金髪のモヒカンなの?

A.9 :もともと髪の毛を描くのが苦手で、簡略化していったらだんだんモヒカン(お椀型)になっただけです(笑)。

働き方や心の持ち方

Q.10:後輩の意欲やモチベーションをあげる方法は?

A.10 :僕の経験上、モチベーションをあげるのはよくないことだと思っています。成功している人の話や、自己啓発本などでいくらでもモチベーションはあげられる。しかし、その急激にあがったモチベーションは天井まで来た時に急降下する。最近、僕のもとに話を聞きにくる人も増えましたが、やはりその数日後にモチベーションは急降下しています。結局、そのギャップで行動に移す事ができないんです。

Q.11:後輩指導で気を付けていることは?

A.11 :僕は長い間フリーランスで後輩がいません。なので、正直分かりません(笑)。

Q.12:どうしたら自分に自信が持てる?

A.12 :人と比べないこととインプットを止めることです。インプットこそ最強の勉強法というのが一般的だと思うのですが、僕の場合まったく逆です。インプットの割合が多くなると頭でっかちになって、結局なにをしていいのか分からなくなります。インプットすればするほど、自分の個性はなくなります。インプットの割合が少ないほど個性が出てくるので、自然と自信につながります。

Q.13:心が折れてしまったときはなにをする?

A.13 :なにもしない……ですかね。というより、最近は心が折れるほどのことがありません。人と比べることを止めたら、そんなに心は折れないですから。

Q.14:憧れの人はいる?

A.14 :1人もいません。憧れを作った時点で僕はその人を超えることはできないし、その人のコピーになる。オリジナルであるために、僕は自分の個性を大事にしています。

Q.15:悩みや不安はある?

A.15 :インプットをやめれば、悩みごとは消えていくので悩まないです。ただ不安はあります。不安があるから世の中面白い。難しいゲームほど燃えますからね。

過去・現在・未来について

Q.16:2020年の個人的ニュースベスト3は?

A.16 :1番目は書籍発売、2番目は共同経営で美容メーカーを立ち上げたこと、3番目は「WWDJAPAN.com」や「オリコンニュース」などの大きなメディアに取り上げていただいたことです。

Q.17:2020年にやり残したことは?

A.17 :ないです。1日を積み重ねた結果が今日だからです。「あの時ああしておけば……」なんていうパラレルワールドは存在しません。

Q.18:結婚に興味はある?

A.18 :一度、離婚経験があるのでなんとも言えないのですが、ご縁があればとは思います。

Q.19:10年後、20年後は何をしている?

A.19:未来設計や目標などを立てるのがすごく嫌い。限界を作ってしまう気がするんです。今、そしてこれからの時代は"激動の変化"に柔軟に対応する必要がある。明日、1週間後、1カ月後がいきなり変わる時代です。だから僕は今、この瞬間を生きています。

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韓国で加速するクリーンビューティトレンド、押さえておきたい3大人気ブランド 海外ビューティ通信ソウル編

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」ではパリやニューヨーク、ソウル、ベルリンの4都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。(キャプション中の円換算レート:1ウォン=0.09円)

 オーガニックやナチュラルビューティの範疇を超え、世界的なトレンドとなっているクリーンビューティ。韓国も例外ではなく多くの人気ブランドが生まれている。その中から注目の3ブランドを紹介する。

最注目は“高級レストランのシェフ”を意味する「クオカ」

 2019年10月設立のプレミアムスキンケアブランド「クオカ(KUOCA)」は、韓国で今最もホットなクリーンビューティブランドの一つだ。トリュフやアルガン、オリーブ、ローズヒップなどのエキスをローズマリーやラベンダー、フレンチウォーターに配合したスキンケアアイテムを展開し、イタリア語で「高級レストランのシェフ」を意味する「Cuoca」からインスピレーションを得て誕生した。肌を刺激する3大物質(化学防腐剤、人工色素、人工香料)とシリコンオイルを100%排除し、肌に無害な天然原料の中から優れた効能を持つ高品質な原料を選別。有効成分を肌に最大限に届けるため、独自配合技術である高保湿抗酸化複合体を開発した。

 「クオカ」ではファームトゥテーブル(Farm to table、2010年代に米国西海岸から広まった食に対する考え方)を取り入れ、低刺激な有効成分が新鮮な状態で最も優れた効果を発揮する点に着目し、製品を製造後30日以内に消費者の手に届ける販売システムが話題だ。それを実現するためにOEM委託ではなく自社生産にこだわり、需要に応じた生産量を予測し製造を行っている。肌を刺激する3大物質(合成防腐剤、着色料、合成香料)とシリコンオイルの100%排除、肌に無害な天然原料の中で優れた効能を持つ最上級原料を選別、原料の有効成分を肌に最大限に伝えるための独自配合技術として高保湿抗酸化複合体を開発した。主なユーザーは20~45歳の女性だが、全体の2割を男性が占め外見や身だしなみに気を配るグルーミング族の愛用者も多い。今年中の日本進出を目指している。

韓国最大の美容アプリ「ファへ」と提携する「ビープレーン」

 安らぎをコンセプトにした「ビープレーン(BEPLAIN)」は、18年10月に2種類のアンプルからスタートした。現在はトナーや乳液、シートマスク、クレンジングなど10種類以上をラインアップ。全製品が無香料で無着色。緑豆やよもぎ、竹の汁など韓国産の原料を使っていることが特徴だ。ブランドの成長の原動力は、韓国最大のモバイルビューティプラットフォームアプリ「ファへ(HWAHAE)」と提携し消費者のニーズをより客観的に把握してトレンドをリードしていることにある。生分解性素材を使用して分離型ラベルを採用した分別廃棄しやすいエコフレンドリーなパッケージと、アニマルフレンドリーな生産方法に加えて、海の生態系を脅かす成分を排除する“クリーンオーシャンキャンペーン”を展開している点でも支持を得ている。これまで日本を含む海外8カ国で発売。日本では「楽天市場」や「Qoo10(キューテン)」で購入できる。今後は欧州やメキシコなどへの進出を計画していて、グローバルビューティブランドとしての地位確立に向けて着実に歩みを進めている。

日本でも人気急上昇中の「ベージック」

 最後に、日本でも昨年デビューし認知度を上げつつあるビーガンコスメ「ベージック(BEIGIC)」も韓国のクリーンビューティカテゴリーに欠かせないブランドだ。「捨てて満たして防御する」という方法論で全ての肌タイプに効く3ステップソリューションを提案する。合成香料、合成着色料、シリコン、サルフェート、パラベン不使用を貫く。全製品に純粋なグリーンコーヒー豆エキスを配合し、肌の再生を促す必須アミノ酸や抗酸化物質とビタミンE、そして肌本来の治癒力を回復させる天然カフェインも含まれ、透明感のある明るい肌に仕上げると評判だ。美容雑誌「アルーア(ALLURE)」韓国版のベスト・オブ・ビューティ・アワードで、19年のベストビューティフェイシャルオイル部門1位を獲得し、20年はリピート率約34%を達成するなど新興ブランドとしては目覚ましい人気を得ている。日本のほかに英国、フランス、米国、シンガポールなど国外10カ国に進出しており、今年欧州と北欧でのローンチを目指している。

 韓国ビューティ業界はこれまでにBBクリームやティントリップなど多くのビューティトレンドを生んできた。クリーンビューティ領域でも成分や剤型など新しい提案が登場することに期待したい。

チョン・ジャキョン:フリーランスコーディネーター兼ライター。ソウル生まれ。アート関連会社と映画製作会社の演出部を経てメディアコーディネーターに転身。雑誌を中心にテレビ、広告、スポーツなど幅広い分野で活躍。携わった書籍は「ソウル美容完全ガイド」(講談社)など多数

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「社内バイブル」を作るのは、今 エディターズレター(2020年10月9日配信分)

※この記事は2020年10月9日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「社内バイブル」を作るのは、今

 ずっ~と考えつつ、一部の同僚には打ち明けながらも、日々の忙しさにかまけて(!?)、なかなか実現にいたっていない「夢」があります。

 社内限定の「WWDジャパン」です。

 ずっと手元に残したいので、コレはプリントメディアで、と思っています。台割、つまりページ別の中身も、勝手に決めています(笑)。表紙は、現メンバーの集合写真を素敵なフォトグラファーに撮影していただきたい。そのあと2ページは一旦白紙にして(笑)、弊社の社長・常務・幹部・スタッフインタビューを一気に掲載。続くのは、十人十色の業界人の叱咤激励。長年のファンから、「購読はしてないけれど、ウェブやSNSは見ています」くらいの人、時には「『WWDジャパン』、キライです」という方々までに取材して、「これからの『WWDジャパン』に期待すること」をまとめたいと思っています。で、一番最後に最初の2ページに戻って、ぜ~んぶの記事をみ~んなが読んだ後、全員で私たちのミッションを考え、それをドカンとまとめたいのです。いわゆる「社内バイブル」づくりですね。迷った時、意見が食い違った時、向かうべきゴールが見えなくなった時、「僕たちは、何のために『WWDジャパン』を作っているんだっけ?」と立ち返られる存在が欲しいのです。個々人がある程度自由に解釈できるミッションと存在意義の根本。それを形に、視覚化したいと思っています。下のリンクにある通り、立ち返られる歴史や遺産があるって、とっても大事なこと。歴史の浅いデジタルの人が、永遠に憧れるモノ。だから彼らは、「社内バイブル」を作ったり、ミッションを社外に声高に叫んだりしているのです。

 この「社内バイブル」については2、3年前、弊社の事業が多角化し、これまでとは違う世界から新しい人が来てくれるようになって以来、「作りたいなぁ」と思っています。が、特にここ1、2カ月は、「マジで作らなくちゃダメかも」って思っています。理由は、新型コロナ。感染拡大から半年が経過して、個々人イロイロ、本当にイロイロ考え、ストレスにも晒され、油断すると、組織がバラバラになりかねない危険性を体感するようになっているからです。

 こんな状況は、弊社に限らない話だと思います。皆さんの周りでも、一番苦しい時期をともに乗り越えたのに、別離の道を歩む同僚が少なからず存在することでしょう。社内は時々、ゴタゴタするようになりました。私の心も、正直不安定です。だからこそ、皆んなで立ち返ることができる「社内バイブル」が欲しい。みんなの想い、ユーザーの期待、そこから生まれる私たちの使命が可視化できる存在が欲しい。そうすれば組織として、この難局を乗り越え、成長し続けられるのでは?と思うのです。

 で、ココまでは、他の会社でもありそうな話(笑)。なので私は、そこからアイデアを拡張。この社内限定「WWDジャパン」は、販売・配布はしませんが、制作風景はコンテンツとして皆さんに公開したいと思っています。幹部のインタビューは、公開取材(受けてくれるかなw?)。スタッフインタビューは、ウェブにそのまんまアップ(笑)。最後の2ページを決める会議もオンラインで公開したり、段階を追って記事化して、校了の瞬間もカメラに収めたいと思っています。みんな、イヤがるかな?でも、この過程をコンテンツとして随所に覗く意志が発信できれば、ユーザーの皆さんとのエンゲージメントは、ますます高まっていくと思うのです。

 そう考えると「社内バイブル」のみならず、普段の編集会議とかも公開しちゃっていい時、ありそうですね(笑)。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

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MTG「シックスパッド」のEMSオンラインジムを体験! 刺激・音楽・映像のシンクロは新鮮かつ筋肉痛必須

 トレーニングブランド「シックスパッド(SIXPAD)」を展開するMTGは昨年秋から、先進のEMSオンライン ジム「シックスパッド ホームジム(SIXPAD HOME GYM)」の新サービスを開始しました。同サービスは、自宅でわずか10分の短時間で高効率の「ハイブリッド トレーニング」を受けられるもの。まさにウィズ・コロナ時代にぴったりです。その「シックスパッド ホームジム」を生で体験できる専用ライブスタジオが原宿にあるというので、先輩記者と2人で体験してきました。

 「シックスパッド ホームジム」は、専用アプリをつなぐことで自宅にいながら運動できる先進のEMSオンラインジムです。運動医科学権威である京都大学名誉教授の森谷敏夫氏のEMS理論、MTGが開発した独自波形、クリスティアーノ・ロナウド選手のトレーニングメソッドにより生み出されたブランド独自のコアテクノロジーを応用・開発し、なんと全身7部位14カ所の筋肉を同時かつ効率的に鍛えられるというEMSトレーニングスーツを着用します。

 まずトレーニングスーツを着用しますが、ファスナーで締め付けを調整できるため意外と快適に着られます。見た目がピチピチして恥ずかしいのでは……という心配も特になし。有酸素運動時にEMSを併用すれば、EMSが速筋を刺激することで筋トレに類似した効果が同時に得られ、より多くのカロリー消費が期待できるそうです。そしていざトレーニングを始めますが、今回は自宅と同様の環境にするため、iPadを設置して画面越しのインストラクターに合わせて動きます。

 動き自体は、体の前で腕をクロスして腰をひねるなど全く難しいものではないのですが、EMSの刺激がこんなに負荷がかかるとは!体中が勝手にピクピク動き、開始1分で「これは効いているな」と実感。トレーニング(動き)に合わせたEMSの刺激、音楽、映像がシンクロする感覚は新鮮で一つ一つを楽しんでいました。しかし笑顔になれたのは最初だけ。5分過ぎでもう体中から悲鳴が……。先輩記者も私も息切れしながら10分を終えました。まだなんとか心地よい疲れです。

 ここで終われるかと思いきや、スタジオで私たちを見守ってくれていたインストラクターの人や広報担当者が「もう1回いきましょう!」とまさかの発言。日本人特有の断れない体質である先輩記者と私は再びトレーニング開始です……。

 2回目の10分間はほとんど記憶がありません。そんな中でも、普段運動をしない私を救ったのは画面越しのインストラクターのエール。音楽や映像もあることで自宅でも孤独感もなくトレーニングできそうです。登場するインストラクターは、なんと100人以上のオーディションを勝ち抜いた先鋭たち。厳しくたまに甘やかしてくれる(きつかったら膝をついていいと言ってくれる!)エールを通して画面越しでも親近感が得られます。

 ライブスタジオはスタジオレッスンを受けるトレーニングエリアのほか、シャワールームやパウダールームも完備。しかもシャワーヘッドは「リファ」の「リファファインバブル S」。毛穴よりも小さい1μm以下の泡が毛穴汚れをすっきり。備え付けのドライヤーは弊紙「WWDビューティ ベストコスメ2020」で美容機器&ツール・新製品部門1位を受賞した「リファビューテック ドライヤー」。これを体験するためだけにも行く価値ありでは。

 「シックスパッド ホームジム」は、全てのレッスンでトレーニングスーツが必須。また専用アプリがインストールされたスマホかタブレットが必要です。今回の体験以外にもバイクやギアを使うレッスンもあり、価格は月額6080〜1万4380円。「人との接触が気になる」というコロナ太り、そして年末年始の正月太りの人にもおすすめです。

 ちなみに次の日ではなく、トレーニング直後から全身筋肉痛に。階段の上り下りは支えがないと歩けませんでした(それが3日間ほど続いた)。2人とも放心状態……、原宿駅のカフェで2時間休息をしたのち帰宅の途につきました。

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アパレルD2C「フーフー」、「身に着けることで、思いもかけない自分と出会える」 音声座談会「蓉子の部屋」Vol.7

 「蓉子の部屋」は、川島蓉子・伊藤忠ファッションシステム取締役/ifs 未来研究所所長が、毎回ゲストを招き“未来”について考える音声番組です。未曾有の状況の中、業界にはこれからの“未来”について考えなければならない現実に直面しています。そんな中、少しでも業界人に役立つヒントやカケラを音声配信でお届けします。近所のスーパーに行く時や、通勤・通学時に気軽に聞いてください(笑)。

 第7回は、アパレルD2Cブランド「フーフー(FOUFOU)」のデザイナー、高坂マール氏に迫りました。文化服装学院在学中からユニークなビジネスを始め、リアル店舗を持たず、SNSで新作を発表しオンラインストアでの販売を行ってきました。また2020年には自身初の著書となる『すこやかな服』を発表するなど、着実に成長を遂げています。音声座談会では、ブランドコンセプトである“健康的な消費のために”について、服が果たす役割、「世界一小さくて世界一大きなブランド」を目指す理由などを聞きました。

川島蓉子:1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役。ifs未来研究所所長。ジャーナリスト。日経ビジネスオンラインや読売新聞で連載を持つ。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)、『すいません、ほぼ日の経営。』などがある。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている

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「断腸の思い」でスキから離れる エディターズレター(2020年10月7日配信分)

※この記事は2020年10月7日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「断腸の思い」でスキから離れる

 コロナ禍により自分の仕事が大きく変わって、半年が過ぎようとしています。大きな変化は、ライブ配信や動画が格段に増えたことでしょうか?現在、カメラに向かってお話する回数は、およそ週3。事前に構成を考えたり、台本を書いたり、最終的な見え方を想像して演出を練り直したりの時間も含めると、働く時間の1/3はライブ配信、および動画の収録に費やしています。コロナ前は1/10にも満たない程度でしたから、大きな変化です。そう言えばラジオで芸人のトーク番組を聞いていると、彼らによるYouTubeの話が出てこない日はありませんね。ラジオというオールド・メディアで、YouTubeというニュー・メディアの話をする、テレビという古くなりつつあるメディアに出ていた芸人たちの話を聞くと、「時代は変わったんだ。私たちも変わらなくっちゃ」と思います。

 話を、芸人から私に戻しましょう。週に3回もライブ配信の準備、同じく週に3、4回の頻度でメルマガ、つまりこの“お手紙”をしたためていると、まぁまぁな時間を「書く」という業務に割くことになります。私がスタートした連載は9月以降、大半を後輩に譲りましたが(無理やり渡したのかもしれませんw)、それでも「トーチング」連載などはどうしても自分で続けたいし、元来プレイヤー気質で取材して記事を書くことは大好き。本能の赴くままに突っ走ると、あっという間にマネジャーの一面は見る影もなくなってしまいます。でも誰もが未経験の状況下で迅速なディシジョン・メーカーがいないのは、本当にキツいことです。今あらためて思うのは、「書く」という業務を今まで以上に絞り込まなくちゃいけないという自戒。個人的に断腸の思いではありますが、いよいよ受け入れるべき時が訪れたのでしょう。

 なんてコトを考えていたら本日、皆さんに参加を募った「トーチング」のセッションの取材中、同じような悩みを聞きました。本日の悩める業界人は、セレクトショップのトップ販売員であるがゆえ経営や店舗運営にも半分足を突っ込んでいる女性でした。コロナ禍で厳しい状況だから、「一着でも多く売らなくちゃ」と思ってしまう。でも、そう思って動けば動くほど、自分はプレイヤーになってしまう。そんなジレンマに陥っていらっしゃいました。

 分かる~。厳しい時って、目の前の問題に集中しなくちゃって思うし、周りの環境も遠い将来を想像することを簡単に許してくれませんよね。でも、目の前に集中してしまうと、次の展望は開けない。状況は苦しくても、いや、苦しいからこそ、私のように「断腸の思い」でスキなことから、得意なことから離れなくちゃならない時ってあるのかもしれません。

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「ミッションはデジタル化推進」 好調「ランコム」のリー新事業部長にさらなる飛躍を聞く

 日本ロレアルが展開する「ランコム(LANCOME)」は、ロングセラー美容液“ジェニフィック アドバンスド N”や、2020年のベストコスメに名を連ねた化粧水“クラリフィック デュアル エッセンス ローション”の好調、さらには定期便の拡大など、コロナ禍でも存在感を見せつけた。7月1日付でランコム事業部長に就任したスー・ジョン・リー(Sue Jong Lee)氏は、「ビギナーズラック」と笑顔を見せる。日本ロレアルの中でも大きな売り上げを占める「ランコム」のさらなる飛躍は、リー事業部長の手腕に掛かっている。

WWD:これまでの簡単な経歴と、日本の事業部長としてのミッションを教えてください。

スー・ジョン・リー事業部長(以下、リー):ロレアルグループで約20年の実績があります。フランスで約10年、韓国、中国といったアジアで約10年、ビューティマーケットを見てきました。一昨年に今回のオファーがあったのですが、日本のマーケットは洗練されていて、お客さまとも距離も近い、密接な関係を築いている市場だと考えていたので、当時のミッションは、伝統的なことを重んじ店頭でのサービスに重きを置くものでした。ただ昨年のパンデミックによりミッションも変わりました。バーチャルな体験などデジタル化を進めていくことが私のミッションだと思っています。

WWD:具体的にデジタル化のミッションとは何ですか?

リー:伝統を取り入れながらスピーディーにデジタル化することです。たとえば昨年は初めてバーチャルイベントを実施しました。11月にパリのブティックを彷彿とさせるバーチャルショップを期間限定オープンし、プレス向けお披露目会には日本のミューズである女優の戸田恵梨香さんも参加してショップを体験してもらいました。今回のバーチャルショップは、パリ本社とも準備を進め、デジタルでもラグジュアリーで質の高いイノベーションを発信できたと思います。

WWD:バーチャルショップ以外にも面白い訴求を行なっていますね。

リー:たとえば、大型モニター付きのサンプリング専用ベンディングマシンを「ランコム」がコスメブランドで日本初導入(20年10月20日時点)したイベントを東京・原宿の「アットコスメトーキョー(@COSME TOKYO)」で行い、喜んでいただきました。

WWD:デジタル化への投資は進めますか?

リー:今、オフラインのお客さまもオンラインで検索しどちらでも買い物をする時代で、シームレスで境目がありません。19年は広告宣伝費としてオフライン、オンラインで半々でしたが、20年はオフライン3割、オンライン7割にシフトしました。プリントを減らしているというのではなく相対的に投資を拡大しており、よりよい環境を作っていきたいと思っています。パンデミックなど厳しい状況ですが今、チャンスではないでしょうか。デジタル化をミッションとしていますが、紙も大事ですしクオリティーが高いと感じでいます。今後はオンラインとか、オフラインとかを意識しない時代になると思っています。

WWD:今後の方針を教えてください。

リー:製品では、昨年の売り上げが前年比40%増と成長を続ける美容液“ジェニフィック アドバンスド N”から新製品が登場します。そのほか、最高峰ライン“アプソリュ”の強化、グローバルユーズのアマンダのビジュアルでメイクアップも発売します。またわれわれはビューティテックにおいてリーダーです。肌測定、ファンデーションの色などの測定体験を推進するなどでビッグデータを保有しており、お客さまに役立つ形で活用していきます。

WWD:最後に、リー事業部長にとって日本とはどんな存在ですか?

リー:実は以前から日本に来たいと思っていました。なので一昨年、ランチをしている時に日本へのオファーを受けたのですが、何の仕事かも聞かずに「イエス」と答えてたぐらいです(笑)。私は韓国出身ですが、祖父は日本の大学で勉強していましたし、祖母も日本で仕事をしていたようで、日本とはとても縁があります。日本に来れたことを大変嬉しく思っています。

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2021年は原点回帰の再生と新創業 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。年明け後もコロナの感染拡大が収まらず、引き続きファッション企業は厳しい舵取りを余儀なくされる。克服するための諸条件を提案する。

 2020年は過剰供給とロスとコストの転嫁で多産多死のギャンブルビジネスと化したアパレル業界がコロナで強制終了を迫られた“清算”の年となったが、明けた2021年は焦土からの再生と新常態下の創業が競われることになる。アパレルの再生と新創業のキーポイントはどうあるべきだろうか。

まずは“清算”と“リセット”で原点回帰

 ロスとコストを積み上げた価格を無理押して過剰供給する業界論理が多産多死で行き詰まった以上、適時適量供給と適正価格で「大切に創って大切に売る」原点に回帰しないことには何も始まらない。「より多く売らねば」というプレッシャーでいびつに変形しロスとコストが膨れ上がった事業構造と業務プロセスを一度リセットし、顧客・自社・取引先の“三方よし”が成立する、新常態下で継続可能な事業構造を再構築するしかない。その要点は以下の7項目ではないか。

(1)コストを押し上げていた不採算の店舗や事業を“清算”して低コストの販路と事業に集約する。
(2)コストを押し上げていた業務手順や組織を見直して業務を再構築し不要な組織をリストラする。
(3)売り上げより消化歩留まりと在庫回転を優先して販売と仕込みの予算を平準化し、売り上げと在庫の月度偏差(山谷)を均してロスと運営コスト、賃料負担(最低保障家賃)を圧縮する
(4)企画・発注のサイクルとプロセスを現実の在庫回転と乖離しないよう再構築してロスの元を断ち、主軸サプライヤーとオンデマンドなVMIを組む
(5)初期配分・補給・再編集・店間移動・売価変更のプロセスと手法を再構築し、POS依存の値引き販売を脱却して最適供給・消化を図る
(6)店舗のレイアウトと商品配置、接客導線と品出し導線、陳列・補充・編集・在庫管理業務の手順を見直して運営人時量を圧縮する
(7)店舗とEC、サプライヤーをデジタルに繋いで業務プロセスを直結し、時間とコストとロスを圧縮する

 (2)(4)(7)を実行して確実に成果を上げるには、(a)生産段階からのICタグ/インレイ※1導入、(b)店舗とECのリアルタイム在庫連携、(c)サプライヤーとのリアルタイム在庫連携と企画・生産のデジタル連携、(d)品番からSKU、SKUから絶対個品へ管理・運用単位の精密化、(e)店舗作業の分単位棚卸しと再構築、マニュアル化――以上の5点が欠かせない。

 アパレル業界、とりわけアパレルメーカーは商品開発に偏って店舗運営と在庫運用を軽視する風潮が根強く、組織として業務の詳細をつかんで改善しマニュアル化する習慣を欠き、店長や販売員の属人的な能力として入れ替えたり切り捨てたりして済ませてきた。そんな間接的運営・運用では効率化できず、新常態下のシリアスな環境では生き残れない。根底から発想を切り替え「大切に売る」べく、現場と顧客を起点に業務を再構築するべきだ。

夢を見る前に現実を見よ

 上記の7点は、売り上げの拡大という免罪符が許容してきた仕込みと在庫、販路と組織の無理と無駄をすべからく“清算”し、売り上げの水位が大きく下がった状況が続いても企業が存続できるよう身を縮めるリストラ策だ。結果として売り上げが伸びるかもしれないが、まずは逆風下でも収益を確保し、企業の存続を図らねばならない。そんなデフレ経営で地道に歩んできた西松屋チェーンやしまむらが本領を発揮している現実を直視するべきだろう。西松屋チェーンの売上対比販管費率は33.5%、人件費率は8.4%、賃借料率は10.9%、しまむらの売上対比販管費率は28.3%、人件費率は11.0%、賃借料率は6.5%と抑制されている(どちらも20年2月期)。

 少子高齢化で衰退する日本を無理押し活気づけようとしてきたインフレ政策がコロナ禍で決定的に行き詰まった以上、拡大の夢を追い続けては経営が破綻してしまう。最悪に最悪が重なる事態を覚悟し、まずは身を縮めるべきだ。陽はまた昇るが、破綻してはその日を待つこともできなくなる。

 “新常態”とは人口と経済、生計と消費の萎縮というシュリンク社会であり、成長より存続を優先せざるを得ない。少子高齢化による社会負担増(増税と社会保険料増)で国民の生計が疲弊し、無理押しするインフレ政策が労働価値を下落させ資本の増殖と生計の窮乏という二極化をあおり、日本社会の相互扶助余力を枯渇させ、コロナ禍で若者とりわけ非正規雇用の女性が追い詰められる中、ファッションビジネスが夢を追い夢を売れる状況ではない。

 消費が萎縮する中で資本が増殖すれば、企業は生き残るべく労働で稼ぐより資本で稼ぐようになる。店舗販売からECへの急速な移行、百貨店の自前商売から定借賃貸への不動産業化は必然だったが、どちらも労働生産性が10倍になるから9割の従業者を振り落とすことになる。労働集約型事業から資本集約型事業への転換が様々な分野で進めば、資本がさらに増殖する一方で勤労者の生計は窮乏し、一握りの資本家とその取り巻きが豪勢な消費を謳歌する一方で勤労者の消費はますます萎縮していく。

 そんな現実を否定できない以上、売り上げの拡大を免罪符に許容してきた仕込みと在庫の無理と無駄、ロスとコストを徹底して潰し、これまでとは次元を画したお値打ち価格で顧客に応え、企業と雇用の存続を守ると決意するしかない。サステナビリティとはきれいごとではなくギリギリの決意なのだ。

新創業の4条件

 リストラを徹底できずロスとコストと組織の自重に押し潰されて破綻する企業が続出する一方、しがらみのない新たな事業者が焦土から台頭するに違いない。そんな創業ベンチャーが順調に離陸し成長していくにはいくつも条件があるが、必須は以下の4点と思われる。

(1)商品に機能と価格の革新性がある
イメージやデザインだけでなく、市場を開く新たな役割(機能)、競争力ある価格が問われる。カッコよければ使い勝手や価格に魅力がなくてもイケると思い込むのは無理があるし、デザイナーのクリエイションやインフルエンサーのキャラクターで引っ張る売り上げ規模には限界がある。

(2)在庫負担をミニマムに抑えるサプライの革新性がある
C2M※2なりVMI※3なり短サイクル調達なり、在庫負担をミニマムに抑えるオンデマンド・サプライの仕組みが必要で、生産段階とのデジタル連携、サプライヤーとの在庫連携が問われる。水平分業で繋がりを分断したら負けで、チームワークが成長力を決めると言ってもよいだろう。

(3)固定費と流通コストを抑えて損益分岐点が低い
固定費も流通コストも低く抑えれば、売上の拡大による収益改善が加速度的になる。クラウドファンディングとSNSから自社ECを拡大し、ドロップシッピング※4で複数ECモール出品に引き当てるなど、流通コストと在庫効率の両立を図れば黒字化も早い。

(4)市場規模の限界を見切って採算売上規模を低く抑える
過大投資で損益分岐点を上げてはファイナンス依存の罠に落ちるし、販路を広げる毎に固定投資を要しては黒字化が遠くなる。カテゴリーにもよるがC2MやD2C※5は市場規模にガラスの天井があり、採算ラインを上げてしまうと収益化が遠のき投資回収が困難になる。ブームに乗って林立した米国D2Cベンチャーのファイナンス依存と挫折に学ぶべきだろう。

※1インレイ…ICチップとアンテナというICタグの中身で、生産段階で製品にインレイを封入する方式もある
※2.C2M(Customer to Manufactory)…ネットやショールームで受注してからデジタル生産や3Dプリンタで素早く生産して“個客”に届けるパーソナル対応の無在庫販売手法
※3.VMI(Vendor Managed Inventory)…あらかじめ定めた陳列棚割と販売計画に基づいてベンダーに在庫管理と補給(補充生産も含む)を委任する取引形態
※4.ドロップ・シッピング…在庫を抱えず(預からず)受注してベンダー(出品者)が顧客に直送するEC事業形態。
※5.D2C(Direct to Consumer)…ブランドメーカーが店舗やネットの小売業者を通さず、自社のサイトやショールーム、ポップアップストアで直販する販売形態

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。著書に店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)、12月11日に出版した「アパレルの終焉と再生」(朝日新書)

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ラフ・シモンズと私 エディターズレター(2020年10月2日配信分)

※この記事は2020年10月2日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

ラフ・シモンズと私

 ラフ・シモンズが加入した「プラダ」は、胸元で握りしめたケープにより“未だベールに覆われている”感もありますが、「これから楽しみ!!」なカンジになりました。トライアングルのモチーフや素材使い、ミニマルなムードは「プラダ」のまま、ますます顕著になったアート志向や工業的デザインはラフ・シモンズの得意技。まさにミウッチャ・プラダとラフ・シモンズ、2人の共同クリエイティブ・ディレクターがイーブンな立場で働いたコレクションだなぁ、と痛感しました。以後、素敵なマリアージュになりそうです。

 とっても嬉しかったのは、コレクションの直後に公開した、ミウッチャ・プラダとの対話で笑顔を見せたことでした。

 10年以上前になりますが、彼には一度、まぁまぁな長さのロングインタビューをしたことがあります。ちなみに以後は、バックステージでショートインタビューを1回、日本で1回、残りの突撃は玉砕続きです(笑)。

 パリで発表した「ラフ・シモンズ」のコレクションについて、パリメンズが終わった翌日、ショールームに赴きました。「ジル サンダー」のトップも手掛けていた頃のお話です。「ジル サンダー」の香水に関する打ち合わせで遅れているとのことで、2時間くらい待った記憶があります。そして今はもうそんなコトありませんが、当時の「ラフ・シモンズ」は、ショールームでも「サンプルを着ちゃダメ」なブランドでした。撮影なんて、もってのほかです。今だったら「そんなバカな!!」と反論の1つも試みるでしょうが、当時はまだビビっていました。ただひたすらに彼を待っていた記憶があります。2時間遅れのラフは、開口一番「Tired(疲れた)」と呟き、ますますビビります(笑)。「君は、僕に会うには若すぎる」的なジャブも繰り出され、「いや、もう30過ぎてます」と返すと「そうか。驚いた」との答えでした。今思えば、ジョークだったのでしょうか?

 振り返れば、もっとも緊張したインタビューの1つです。もはや内容はほとんど覚えていませんが、「イーストパック」とのコラボレーションが始まり、多くのモデルが巨大なバックパックを担いで、ケミカル・ブラザーズの「ALL RIGHTS REVERSED」をBGMにランウエイを闊歩したシーズンでした。インタビューで最後に「あなたなら、あの巨大バッグに何を入れて、どこに行く?」と聞くと、「夢だよ。少年はいつも夢でいっぱいなのさ」と笑って返され、胸を撃ち抜かれました。

 以来、世間はミニマリストと評する、彼の人間臭さが大好きです。「ジル サンダー」のラスト・コレクションでの号泣、映画「ディオールと私」で垣間見せたプレッシャー、そして早々に破談となった「カルバン・クライン」を去った直後に見せつけた怒りに溢れるコレクション。感情をグラフ化したら乱高下していた印象の彼が、ミウッチャとの対談で見せた笑顔に、新たな時代の訪れを勝手に感じたのです。

 10歳の子どもからの「ファッションデザイナーになりたいんだけど」なんて質問にもにこやかなラフを見て、「自分もずっと、こんな風に笑える人でありたい」と思いました。それが、豊かな人生の秘訣ですよねぇ。最近、非常にバタバタしており、心の余裕をなくしかけておりました。あらためなければ!

 ということでワタクシ、本日はお休みをいただきます。ので、来週月曜日のお手紙はありません!長々、「週明け、お手紙を休みます」というお手紙をお送りしてしまいました(笑)、ゴメンなさい。次回は、水曜日。夏休みはまだ消化しきっていないので、どこかでまた会社を休み、お手紙もお休みするかもしれません。悪しからず、です。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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「僕がグラニフの社長になったわけ」 “アパレルECの実力者”から経営トップへ 村田昭彦氏に聞く

 11月、あるニュースがファッションECの関係者たちを驚かせた。ファッションECの実力者として知られる村田昭彦氏が、「デザインTシャツストア(Design Tshirts Store)」を運営するグラニフの新社長に就任したからだ。村田新社長は、オンワード樫山(現オンワードHD)に新卒で入社後、ネットプライスやカフェグローブ・ドットコムを経て、2007年にベイクルーズに入社し、ECの担当役員として5年でECの売上高を5倍に引き上げたファッションECの実力者だ。18年9月にはDX担当役員としてオンワードホールディングスに入社するもわずか1年で退社し、去就が注目されていた。村田氏に話を聞いた。

WWD:ベイクルーズのECを成功に導き、オンワードHDに電撃移籍。常務執行役員に就任するも、わずか1年で退職。その理由は?

村田昭彦:もともとは新卒で入社した会社だったし、オンワードHDでの仕事はやりがいもあった。だが、やりたいことがあって退職した。ただ、コロナ禍などいろんなことが重なって、結局は長期休暇のようになっていた。

WWD:その期間は何を?

村田:子どもに朝食を作ったり、一緒に遊んだり、オンワード時代に付き合いで始めたゴルフが楽しくなって練習場に行ったり。プログラミングの勉強なんかもしていた。最高に楽しかった。ときどきEC関連のコンサルティングの仕事も請けたりもしたが、収入だけを考えるならフリーでコンサルティングを請け負った方が断然いい。

WWD:グラニフの社長に就任した経緯は?

村田:20年1月に買収してグラニフ社のオーナーになっていた投資ファンドの丸の内キャピタルからオファーを受けた。他にも大手企業のEC関連など並行していくつかオファーをもらっていたが、グラニフの仕事の内容が一番魅力的だった。経験したことのない経営トップという仕事も魅力だったし、グラニフという企業自体のポテンシャルも非常に高い。何より丸の内キャピタル側の、短期ではなく中長期的に企業価値を高めたいという考え方に共感した。7月から顧問になり、9月25日付で代表取締役CEOに就任した。

WWD:グラニフは19年6月期の業績を官報で公表していて、売上高107億円、営業利益8億8700万円、純利益2億4200万円。ベイクルーズやオンワードと比べると企業規模は大きくはないが、経営トップというのは初めての経験だ。不安は?

村田:不安より(初めての経験に)チャレンジできることへの喜びの方が大きい。先ほども言ったようにグラニフのビジネスモデルはポテンシャルが非常に高い。消費者へのNPS調査をすると、「グラニフ」のポイントの高さは際立っていて、実はショッピングセンターで同じフロアに並ぶ「無印良品」や「ユニクロ」よりもずっと高い。

村田:多種多彩なグラフィックを軸にした「グラニフ」のビジネスモデルはなかなかユニークで、老若男女問わず幅広い層がターゲットでありながら、それぞれの商品、例えばアニメのキャラクターTシャツ一つをとっても有名なものから無名のものまでバラエティに富んでおり、かと思えばカルト的な人気を誇るクリエイターのハイセンスなグラフィックTシャツもあり、一つ一つの商品自体はニッチで成り立っている。しかも一般のアパレルと異なり、セールをほとんどしないので利益率も高い。

WWD:今後の戦略は?

村田:いまはTシャツを軸にパーカやワンピースなどのアパレルが中心だが、今後はバッグやシューズ、雑貨、インテリアなどにも商品の幅を広げ、“グラフィックを用いたプロダクトブランド”にシフトさせる。消費者調査などをしても「グラニフ」の人気を支えているのは、あくまでグラフィックであって、モノ自体はキャンバスというか媒体にすぎない。なので媒体=商品をアパレルに固定する必要はなく、もっと広げていけるはずだ。

WWD:小型店舗・高効率が「デザインTシャツストア グラニフ」の特徴だったと思うが、店舗のサイズはどうなる?

村田:アイテム構成を広げるため、店舗のサイズは大きくなる。現在ファッションビルや郊外大型モールに出店している店舗の標準サイズは20坪(約66平方メートル)、月坪効率は35〜45万円ほどだが、今後は40坪くらいに広げていく。来年のGW明けあたりから、新型店舗の出店をスタートする。店舗は年間で10店舗くらいのペースで出店していく。もちろん定番品をプロパー(定価)で売り切るというビジネスモデルは堅持する。デジタル技術を活用して1〜2週間で受注生産する仕組みを取り入れたり、ECにも力を入れていく。

WWD:村田社長の目から見てECは?

村田:これからですね(笑)。現在でもEC化率は15〜20%くらいあるが、売り上げよりデジタルマーケティングの有機的な活用やサイトのUI/UXの改善、在庫連動など、ベーシックにやらなきゃいけないことが山積みだ。もちろん店舗とのOMOなども積極的に仕掛けていきたい。その結果として売り上げも伸びるだろう。その意味では伸びしろが大きい。いまは商業施設の要請などもあってセールも一部行っているが、今後はそれもやめていきたい。

WWD:中長期的な目標は?

村田:詳細は申し上げられないが、3〜5年で売上高を2倍以上に引き上げたい。数字だけ見ると野心的にも見えるかもしれないが、グラニフにはそれだけのポテンシャルがある。大手アパレルのEC担当役員として日本のアパレル業界を見てきたが、“ユニクロ一強”状態は揺るぎないと思っていたが、グラニフを通じて脱アパレル型ビジネスモデルを進めればチャンスはあると思っている。顧客にとって嬉しい事、社会にとっていいことを追求していけば、目標達成の難易度はそこまで高くないはずだ。

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冒険家から見た山本寛斎さん 北極圏を共に旅した荻田泰永さんが回想

 2020年は一時代を築いたファッションデザイナーの訃報が相次いだ年だった。長年エネルギッシュな創作活動を行ってきた山本寛斎さん(享年76)もその一人。文化・芸能からスポーツ界、ビジネス界まで幅広い交流で知られた寛斎さんは、晩年に冒険家・荻田泰永さんと知り合い、一緒に北極圏に行った。荻田さんは子供のような好奇心で行動する寛斎さんの姿が鮮烈だったと振り返る。

 北極や南極での単独歩行の冒険で知られる荻田さんが、寛斎さんと初めて会ったのは2018年2月。寛斎さんは極地冒険に強い関心を持っていた。「初対面の私に『僕も北極に行きけますかね?』とおっしゃったんです。(社交辞令で)私にそう話しかける方は多いので、受け流すように『まあ、大丈夫ですよ』と答えました。でも、数カ月後に再会した際、『北極に行くためにタクシーを使わず歩くようにしているんですよ。体力をつけなくちゃね』と言われて……。本気だったんだと驚くとともに、私も大丈夫だと言った手前、後に引けなくなりました」

 19年3月、寛斎さんはカナダの北極圏の村に9日ほど滞在した。北極徒歩遠征の前線基地となるイヌイットの村は一年中雪で覆われ、日中でも気温はマイナス20〜30℃になる。寛斎さんは荻田さんがアンバサダーを務めるアウトドアウエア「ポールワーズ(POLEWARDS)」のダウンジャケットにたくさんのワッペンをつけて現地入りした。

 寛斎さんは広大な雪原や神秘的なオーロラにはあまり興味を示さなかった。一方でイヌイットの暮らしに興味津々で、着ている民族衣装やブーツに関する質問をイヌイットに矢継ぎ早にし、繰り返しカメラに収めた。特に子供たちと話すのが何より楽しい様子だった。「モノの見方が普通の人とは違う。これが一流のクリエーターの思考なのか」と荻田さんは感じた。

 独自性は荻田さんに対する質問にも表れていた。数々の取材を受けてきたが、極地冒険に関して聞かれることはある程度決まっている。だが寛斎さんの質問は初めて聞かれることが多く、改めて自分の冒険を考えるきっかけになった。アムンゼンやスコットが好きだという寛斎さんは、「冒険家」という人種に強い好奇心を持っていたようだった。

 冒険家とデザイナー。通常なら交わる機会がない職業の二人が出会うことで互いに刺激を受けた。「寛斎さんは好奇心を原動力にして常に動き回り、あの太陽のような情熱で私を含めた周囲を魅了しました。本当に尊敬できるかっこいい人でした。もっとお話しがしたかった」

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〜立ち上がれ!産地の若者たち 後編〜 一着の半纏に込める思い 長野の縫製工場で働く櫻井さんの挑戦

 海外製のファストファッションやSPA(製造小売業)アパレルの台頭により、国内の繊維産地は衰退傾向にある。そのような中、産地では若い人材が中心となって新しいビジネスチャンスを生み出そうとする取り組みも生まれている。( 前編はこちら
 
 シャツメーカー、フレックスジャパンは豊かな緑に囲まれた長野県千曲市に本社と自社工場を構える。ここで若手社員主導による、新たなアパレルブランドのプロジェクトがスタートしようとしていた。プロジェクトリーダーの櫻井太河さん(32)は机に広げたウール生地のスワッチ見本を一枚一枚丁寧にチェックする中、ふとその手を止めた。上質なつやと滑らかな質感を併せ持つその生地は、他のどれよりも理想的だった。「こんなリサイクルウールがあるのか」。衝撃を受けた櫻井さんは、すぐさまこの生地を織る尾州の大鹿(愛知県一宮市、大鹿晃裕社長)の毛織物工場に向かった。
 
 櫻井さんが中心となって19年夏に立ち上げた新ブランド「コドウ(CO:DO)」は、若手社員4人が主体となって運営。櫻井さんが提出した稟議書がきっかけで社内新規事業コンペが開かれることになり、全11案の中で1位を獲得してテスト事業化にこぎ着けた。ブランドはサステナビリティと伝統産業の融合がテーマ。中長期では正式な事業化を目指すが、「まずはブランドをきっかけに自分たちの会社、長野という地域を広く知ってもらうきっかけにしたい」(櫻井さん)という。
 
 フレックスジャパンは創業(1940年)から国内量販店、百貨店、セレクトショップなど幅広い取引先に良質なシャツを提供してきた。櫻井さん自身、大学卒業後は東京のセレクトショップの販売職についたが、服そのものの生産背景への興味が高まり、結婚を機に同社への転職を決めた。与えられた役割は生産管理と海外向け販売。モノづくりに携わる喜びを感じながら仕事をする一方、苦しみも味わった。外国製品に押されて需要は右肩下がり。自分たちのこだわりや提案よりも、納期の厳しさから目の前の難題を“こなす”ことで精一杯な毎日。このままでいいのか――。そんな危機感が、櫻井さんを新しい挑戦へと突き動かした。
 
 櫻井さんは大鹿の彦坂雄大さん(32)との出会いを「腹の底ではお互い似たことを考えていたのが分かったし、歳も同じで不思議な縁を感じた」と振り返る。「トレンドは東京のアパレルメーカーやデザイナーだけが作るものでいいのか。これまで下請けだったわれわれが、(生産の)川上や川中から面白いことを仕掛けていけば、日本のファッション産業全体をもっと面白くできるはず」。そんな櫻井さんの熱意に彦坂さんも心を動かされ、協業が決まった。
 
 第1弾として発売するのは“ジャパニーズショートコート”。いわゆる半纏(はんてん)だが、大鹿のリサイクルウール素材“毛七”のダブルフェイスメルトンを使用することで防寒性、見た目の上質さを確保。中綿を使用しないことでスマートなシルエットに仕上げ、ホームウエアとしてはもちろん、よそ行き着としても使える1着を目指した。ボタンは長野県の伝統工芸品である松代焼を、包装紙には和紙の内山紙を使用するなど、ディテールにもこだわった。
  
 12月21日から地元銀行などが運営する地元密着型のクラウドファンディングのプラットフォーム「CF信州」で資金調達を開始し、すでに70万円近くの支援金が集まっている(12月末時点)。「コドウ」はシーズンにとらわれず2カ月スパンでの新作ローンチを計画し、第2弾として、袈裟(けさ)をモチーフにしたバッグの企画を進めている。「自分たちの活動は、日本のアパレル産業全体から見ればほんの小さなもの。だがこの活動をきっかけに、日本全国の産地にいる若手たちがアクションを起こすきっかけになればうれしい」

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編集長は先月何した?「エルメス」「シロ」の展示会、「ファッション通信」出演、パルコで宇川さんと中2病トーク

 明けましておめでとうございます。本年も「WWDジャパン」をどうぞよろしくお願いします。昨年から続くリモート生活はそれなりに楽しいですが、新しい出会いは生まれにくいですよね。だから今年はかなり意識して新しい出会いを作り、この連載でも面白い人やことを紹介したいと思います。お付き合いください!

12月1日(火)
サステナビリティイベントを開催。
その時パリはロックダウンだった

 弊社主催のサステナビリティに関するオンラインイベントを実施しました。終了後、登壇者のひとりで企画の相談相手でもあった川崎さん(シンフラックス主宰)にお礼メールをしたら「向さんたちがシャカリキだったのでそれに応えるべく食いつきました」と返事をもらいました。シャカリキって(笑)、久しぶりに聞いた言葉です。確かにこの数カ月はシャカリキでした。登壇者の日程調整はパズルのごとしだし、政治や最新技術が絡む話は勉強が必須だし、ロックダウン中のフランスと同時通訳を介したオンライン対談の環境整備は不安だらけだし。でも喉元過ぎれば熱さを忘れるですね。多くの反響をもらいエネルギーチャージをしました。「WWDジャパン」はサステナビリティ抜きにファッションの未来はないと思っておりこれからもイベント企画をシャカリキで継続します。一緒に企画してくれる方募集中!

12月2日(水)

「エルメス」の展示会で写真を撮りまくる

 この連載で「エルメス(HERMES)」の登場頻度が高いのはそれだけ「エルメス」が展示会やイベントを開催しているから。それと商材の領域が広いから。この日の展示会でも家具からゲーム、ジュエリーなど幅広いアイテムを見ました。そしてどれも欲しくなってしまうんだな、これが。特に惹かれたのは冒険心を刺激される青い海洋儀です。たくさん写真を撮ったのでご覧ください。

12月9日(水)(水)
「veja」の子ども靴がカワイイ。
そして展示会は楽しい

 この週はインポートブランドの2021年春夏の展示会を連日訪れました。サンプルを海外から取り寄せるのは大変そう。その分、実物を見て触れる展示会は意味があるし記憶に残ります。そしてどこでも“サステナビリティ”がキーワード。ただしその表現方法はそれぞれで楽しいです。

12月10日(木)
「ファッション通信」の収録で
栗野さんと2020年を語り合う

 学生の頃から欠かさず見てきたテレビ番組「ファッション通信」に出演できるとは、自分も大人になったな~と感慨深い(笑)。「ファッションサミット2021」と題した討論番組で、お相手はユナイテッドアローズ上級顧問の栗野宏文さん。恐縮すぎる。制作チームがスゴイ本気でして(当たり前ですが)、「コロナによる消費者の価値観の変化は?」といったお題に必死に答えました。いつもは質問をする側ですが、こうやって質問を受けると深く考えるからいいですね。自分の仕事もこんな風に誰かの思考のきっかけになっているといいな。ということで皆さま、今週末9日(土)23時はテレビ東京「ファッション通信」へお越しください!

12月12日(土)
DOMMUNE宇川直宏氏と「ファセッタズム」落合氏と
中2病対談を繰り広げる

 心斎橋パルコのオープニング記念のトークイベントに出演しました。場所は心斎橋の予定でしたが、感染拡大中につき渋谷パルコのスーパー ドミューン(SUPER DOMMUNE)から。トークのお相手は“現在美術家”宇川直宏さんと「ファセッタズム(FACETASM)」の落合宏理さん。お題は最近のデジタルコレクションについて、です。デジタル上のファッション表現は黎明期なので失敗もたくさんあるけど、逆に面白さもたくさんあると私は思っています。実際に映像を観ながらデザイナーたちがデジタルコレクションを通じて伝えようとしていることを言語化したわけですが、これがめちゃくちゃディープで我ながら最高におもしろかったです。私が何となく「良い」と思ったことを映像の権化である宇川さんが解説&掘り下げてくれて、映像の作り手でもある落合さんがその苦労と面白さを実感を持って語ってくれる。それが嬉しくて正直視聴者の存在を忘れて弾丸トークしました。たとえるなら放課後の教室の陽だまりで好きなことを話し続ける感じ。中2病に罹るのってある種の癒しですね。

12月17日(木)
「SHIRO」の展示会で
ショウガや昆布に触れる

 
 コスメブランド「シロ(SHIRO)」の展示会は、リニューアルオープンした表参道本店で開催されました。で、これがすごかった!「シロ」が自然素材から生まれることは知っていましたが、売り場でその背景を赤裸々に伝えているのです。壁面にずらりと並ぶケースの中には昆布やあずき、オリーブ、サボテン、ひまわりの種、ヨモギ、ラベンダーなど約70種類の素材が展示されておりさながら漢方薬局。しかも日本全国の生産者の姿に始まり、とれたままの現物、砕いた姿など制作の工程も見える。コスメを買いに来てゴマの実をしげしげ見ることになるとは。これぞ“透明性”ですね。

 最近「ファッションやビューティは農業から始まる」と思うことが多いです。食品は手に取れば畑の映像が浮かぶけど、服になったコットンやウール、クリームも同じように畑や牧場から来ていることについては最近まで深くは考えませんでした。私は。だけどサステナビリティの取材を重ねることで意識が変わってきました。なんてことを思っていた矢先にこのお店を訪れたので興奮。お土産にいただいた生姜がピリリと辛くておいしかったです。

12月23日(水)
コロネット、オンワードHDへの
CEO取材で仕事納め

 1月25日号「CEO特集」に向けて、編集部総出で連日CEOを取材中です。この日に取材したのは七宮信幸コロネット社長。商品を生産はないインポーターのビジネスは“目利き”と情報が仕事の原点。メディアと近い部分がありますね。そして28日にはオンワードホールディングスの保元道宣社長への取材で仕事納め。デジタルに通じた保元さんが進めてきた新しいビジネスの形が2021年は色々形になりそう。ただし、以前のような大量生産・大量出店ではな機動力ある面白い小中規模ブランドがしかもデジタル上に増えそうだから取材する側もマメにチェックしないと、ついていけなくなりそうです。気合いだ~。

12月31日(木) 
12月発行号を振り返る
&在宅勤務のお供

 例年なら忘年会やクリスマスパーティーやらで12月の平日夜はほぼ全日が会食でした。今年は毎日自宅で夕食。なんて健康的なんでしょう!それなのになぜ体重が増えるのでしょう!そうか、晩酌をしてしまうからか!体重増加と戦いながら制作した3号がこちら。ぜひお手に取ってください。

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国内外から出演オファー 71歳のインスタグラマー、内藤朝美のポジティブ マインド

 71歳のインスタグラマー、内藤朝美さんをご存知でしょうか?テレビやウェブメディアで“インスタグランマ”として紹介され、ハイブランドを颯爽と着こなすファッショナブルな投稿が人気を集めています。昨年10月にスタートしたアマゾン(AMAZON)のオンデマンド・プリントサービス「マーチ バイ アマゾン」でアーティストやクリエイターが制作したTシャツの着用モデルに選ばれたり、「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」のインターナショナルチームからウェブキャンペーンモデルとしてオファーを受けたりするなど、活躍の幅を広げています。

 普段はクラシックカーの販売を手掛ける内藤オートの副会長としての顔も持ち、娘であるさおりさんにスタイリングやメイクのアドバイスも受けながら、インスタグラムで日々のファッションをアップしています。「この年齢だからこそ何でも挑戦してみたい」と語る朝美さんのポジティブなマインドの秘訣と、「当初は海外に向けての発信だった」と朝美さんの写真をインスタグラムでアップする、娘のさおりさん2人に話を聞きました。

WWD:さまざまなメディアで紹介されて話題になっていますが、そのことをご自身ではどのように感じていますか。その後、何か変化はありましたか?

内藤朝美(以下、朝美):最近、たくさん声をかけていただいていますが、何か変わったという実感はないんです。オファーをいただいた当初は、「そんなことできないわ」と思っていました。ただ、この年齢だからこそ何でも挑戦したいなと思って。実際にやってみるととても楽しかった。スタッフの方はお若いですが、年代を越えて仲良くなれたり、そのあとも友人として交流させてもらったりと、とても刺激がありました。

WWD:そもそもインスタグラムをスタートしたきっかけは?

朝美:娘のさおりがブログを始めたことがきっかけです。「私のモデルになって」というので、親子のダイアリーにもなるし「いいわよ」と。彼女がスタイリングをして撮影しているのですが、5、6年前にインスタグラムに移行しました。小さいときから娘もファッションが大好きで、ファッション関連の本を購入したり、一緒に買いものに行ったりしていました。

内藤さおり(以下、さおり):私はスタイリストになりたいと思っていましたが、家業を継ぐことを選んだので、何か違う形で表現できたらと思いスタートしたんです。今では、母を通してやりたかったことが実現できています。母がいてくれてとても嬉しいですね。

WWD:朝美さん自身がファッションに目覚めたきっかけは?

朝美:3、4歳の頃からブローチやイヤリングがものすぐごく好きだった。バッグも欲しがっていました。どうしてだか分からないのですが(笑)。当時はそれほど既製服もなかったので5歳まで母親があつらえてくれたのですが、ふんだんにギャザーを入れたスカートや、凝った編み目のセーターなどを編んでくれたのを覚えています。ファッションの原体験の嬉しい思い出として残っています。

WWD:今では「シャネル(CHANEL)」「セリーヌ(CELINE)」「ロエベ(LOEWE)」といった海外ブランドから、国内の「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」や「ビズビム(VISVIM)」といったハイブランドまでさっそうと着こなしていますが、新しいものと長年大切にしている服をミックスして着こなしているのが印象的です。

朝美:洋服も靴もバックも思い出深いものばかりで、とても愛着があります。古いものってとても素敵で「あれをとっておけばよかったな」と思うことも。使い込んだものと新しいものを組み合わせてトータルにコーディネートしています。45年くらい前に購入した「エルメス(HERMES)」のケリーバッグも現役ですし、20年選手のものもたくさんあります。なかなか家の中が片付かないですね(笑)。

WWD:さおりさんがヘアを担当し、スタイリングやメイクなどトータルにアドバイスしているそうですね。

朝美:そうなんです。今では娘が「これ着てみて!」と提案してくれることも多く、自分では選ばないような服でも実際に着てみると「なるほど!」と思うことが多いんです。自分でメイクをする際は、ブルーのアイシャドウとピンクのルージュが好きで、よくその組み合わせになります。若い時は口紅だけで過ごしていましたが。

WWD:服を購入する際のポイントやこだわりはありますか?

朝美:夫がクラシックカーの販売をしている仕事柄、一緒にパリ、ロンドンなどの海外で同行する機会が多かったのですが、外国の方というのは派手でも地味でも振る舞いがとても自然だし、自分が着たいものを着て楽しんでいます。私自身、年齢に見合った“それなりのスタイル”というものがイヤで。海外では、その人の装いが素敵だと思ったら声をかけて褒めてくれるんです。

若い頃はベージュや茶色の方が多かったのですが、おばあちゃんになったら赤やピンクを着たいと思っていました。昔からヒョウ柄も好きで今でもよく着用しますよ。典型的なおばあちゃんになるのに抵抗があったんだと思います。ファストファッションの店に行ってもかわいい商品がたくさんあると思いますし、先日着用させてもらって違和感なく着られました。決して年相応が悪いとは思わないですが、それだけに捉われたらつまらないし、損しちゃう。人生一回しかないですし。

さおり:実はインスタグラムをスタートした当初、海外を意識していたんです。海外の方が「誰が着ようが良いものは良い」という考え方なので、受け入れてくれるのではないかと思って。それで英語でも紹介しているんです。すると海外からのフォロワーや“いいね”数も増えていきました。実際に海外の方からインスタグラムのDMを通してオファーを頂くことが多いです。今では日本のメディアで紹介されたことをきっかけに国内の問い合わせも増えました。

WWD:スタイリングを考える際のポイントはありますか?

さおり:ファッションはストリートからも生まれる、あくまでも“日常”だと思うので、撮影の際はストリート感も意識しています。きれいになりすぎない、ゴージャスになりすぎない。バランスが重要だと思っています。

WWD:シューズやバッグ、アクセサリー使いも個性的です。

朝美:前世がインディアンだったんじゃないかと思うほど(笑)、ネイティブアメリカンのジュエリーが大好きです。昔のものが好きで集めています。海外に行った際に購入したり、娘がネットを通してアリゾナのインディアンジュエリーを買ってくれたりもします。

WWD:「ビズビム」の服にそれらのアクセサリーをコーディネートしていたりしていますね。

さおり:デザイナーの中村ヒロキさんに教えてもらって購入したインディアンジュエリーもあります。店に載っていない、何百年前のもので現存するジュエリーを所有している商品なども扱っているようなお店ですが、買えるものの範囲で集めています。

朝美:息子が着ている「ビズビム」の服を借りて着ることもありますし、バンダナ柄の薄手のダウンは娘が購入してくれたものです。

WWD:先日、「シュウ ウエムラ」のメイクアップアーティストがメイクを施し、撮影をしている写真をインスタグラムにアップしていましたが、どういった経緯で実現したのですか?

さおり:「シュウ ウエムラ」のインターナショナルチームの方が、母のインスタグラムを見つけてオファーしてくれたものです。製品をリニューアルしたタイミングで声をかけてくださり、キャンペーンモデルとして「シュウ ウエムラ」のウェブサイトでも掲載されていました。ブランドとしても、母のような年代を起用したのは初めてのことだったと聞いています。

WWD:海外が先行でスタートしたアマゾンのオンデマンド・プリントサービス「マーチ バイ アマゾン」(ブランドや作品のクリエイターがオリジナルの作品をアップロードし、アマゾンがプリントして消費者に届けるサービスで、クリエイターにとっては先行費用や投資、在庫管理が不要)では、アーティストやクリエイターが制作したTシャツの着用モデルにもなっている。

さおり:そのプロジェクトは、フランス人のディレクターのオファーで実現しました。オファーをいただく機会が増えましたが、母にとって楽しくないと意味がないので、話を伺って楽しそうだなと思ったらトライすることにしています。

WWD:内藤オート副会長としての仕事は、どの程度していますか?仕事とインフルエンサーの両立をやってみていかがですか?

朝美:今は子どもたちに任せている部分が大きいので、私は昔からのお客さまにご挨拶させていただくことがメインですが、仕事は私にとって生きがいになっています。今はとても良いバランスだと感じています。

WWD:日々、健康や美について気を付けていることはありますか?

朝美:たくさんのお水を飲むことです。水分が足りないと言われたことをきっかけに血流も良くするためにも意識して飲んでいます。私にとってはそれがちょっとつらいですが(笑)。あとはよく寝たり食べたり、笑うようにしたり。自分で言って自分で笑ってしまうこともよくあります。美容に関しては乾燥に気を付けています。自分に合ったものを選び、化粧水なら手で温めて3回ほど「入れ入れ」と思いながら浸透させるようにしています。

WWD:インスタグラムではポジティブな姿勢が伝わってきますが、前向きになる秘訣は?

朝美:多かれ少なかれ悩みがない人はいないと思います。私はもともと能天気で楽天家。「なんとかなるわよ」という気持ちでいます。つらいことがあっても、きっと次の日にはいいことがあると思い、そのことに前向きになって取り組んでいけるように心掛けています。最初はポーズをとって撮影することすらとても恥ずかしかったのですが、慣れてしまえばとても楽しいんです。

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国内外から出演オファー 71歳のインスタグラマー、内藤朝美のポジティブ マインド

 71歳のインスタグラマー、内藤朝美さんをご存知でしょうか?テレビやウェブメディアで“インスタグランマ”として紹介され、ハイブランドを颯爽と着こなすファッショナブルな投稿が人気を集めています。昨年10月にスタートしたアマゾン(AMAZON)のオンデマンド・プリントサービス「マーチ バイ アマゾン」でアーティストやクリエイターが制作したTシャツの着用モデルに選ばれたり、「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」のインターナショナルチームからウェブキャンペーンモデルとしてオファーを受けたりするなど、活躍の幅を広げています。

 普段はクラシックカーの販売を手掛ける内藤オートの副会長としての顔も持ち、娘であるさおりさんにスタイリングやメイクのアドバイスも受けながら、インスタグラムで日々のファッションをアップしています。「この年齢だからこそ何でも挑戦してみたい」と語る朝美さんのポジティブなマインドの秘訣と、「当初は海外に向けての発信だった」と朝美さんの写真をインスタグラムでアップする、娘のさおりさん2人に話を聞きました。

WWD:さまざまなメディアで紹介されて話題になっていますが、そのことをご自身ではどのように感じていますか。その後、何か変化はありましたか?

内藤朝美(以下、朝美):最近、たくさん声をかけていただいていますが、何か変わったという実感はないんです。オファーをいただいた当初は、「そんなことできないわ」と思っていました。ただ、この年齢だからこそ何でも挑戦したいなと思って。実際にやってみるととても楽しかった。スタッフの方はお若いですが、年代を越えて仲良くなれたり、そのあとも友人として交流させてもらったりと、とても刺激がありました。

WWD:そもそもインスタグラムをスタートしたきっかけは?

朝美:娘のさおりがブログを始めたことがきっかけです。「私のモデルになって」というので、親子のダイアリーにもなるし「いいわよ」と。彼女がスタイリングをして撮影しているのですが、5、6年前にインスタグラムに移行しました。小さいときから娘もファッションが大好きで、ファッション関連の本を購入したり、一緒に買いものに行ったりしていました。

内藤さおり(以下、さおり):私はスタイリストになりたいと思っていましたが、家業を継ぐことを選んだので、何か違う形で表現できたらと思いスタートしたんです。今では、母を通してやりたかったことが実現できています。母がいてくれてとても嬉しいですね。

WWD:朝美さん自身がファッションに目覚めたきっかけは?

朝美:3、4歳の頃からブローチやイヤリングがものすぐごく好きだった。バッグも欲しがっていました。どうしてだか分からないのですが(笑)。当時はそれほど既製服もなかったので5歳まで母親があつらえてくれたのですが、ふんだんにギャザーを入れたスカートや、凝った編み目のセーターなどを編んでくれたのを覚えています。ファッションの原体験の嬉しい思い出として残っています。

WWD:今では「シャネル(CHANEL)」「セリーヌ(CELINE)」「ロエベ(LOEWE)」といった海外ブランドから、国内の「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」や「ビズビム(VISVIM)」といったハイブランドまでさっそうと着こなしていますが、新しいものと長年大切にしている服をミックスして着こなしているのが印象的です。

朝美:洋服も靴もバックも思い出深いものばかりで、とても愛着があります。古いものってとても素敵で「あれをとっておけばよかったな」と思うことも。使い込んだものと新しいものを組み合わせてトータルにコーディネートしています。45年くらい前に購入した「エルメス(HERMES)」のケリーバッグも現役ですし、20年選手のものもたくさんあります。なかなか家の中が片付かないですね(笑)。

WWD:さおりさんがヘアを担当し、スタイリングやメイクなどトータルにアドバイスしているそうですね。

朝美:そうなんです。今では娘が「これ着てみて!」と提案してくれることも多く、自分では選ばないような服でも実際に着てみると「なるほど!」と思うことが多いんです。自分でメイクをする際は、ブルーのアイシャドウとピンクのルージュが好きで、よくその組み合わせになります。若い時は口紅だけで過ごしていましたが。

WWD:服を購入する際のポイントやこだわりはありますか?

朝美:夫がクラシックカーの販売をしている仕事柄、一緒にパリ、ロンドンなどの海外で同行する機会が多かったのですが、外国の方というのは派手でも地味でも振る舞いがとても自然だし、自分が着たいものを着て楽しんでいます。私自身、年齢に見合った“それなりのスタイル”というものがイヤで。海外では、その人の装いが素敵だと思ったら声をかけて褒めてくれるんです。

若い頃はベージュや茶色の方が多かったのですが、おばあちゃんになったら赤やピンクを着たいと思っていました。昔からヒョウ柄も好きで今でもよく着用しますよ。典型的なおばあちゃんになるのに抵抗があったんだと思います。ファストファッションの店に行ってもかわいい商品がたくさんあると思いますし、先日着用させてもらって違和感なく着られました。決して年相応が悪いとは思わないですが、それだけに捉われたらつまらないし、損しちゃう。人生一回しかないですし。

さおり:実はインスタグラムをスタートした当初、海外を意識していたんです。海外の方が「誰が着ようが良いものは良い」という考え方なので、受け入れてくれるのではないかと思って。それで英語でも紹介しているんです。すると海外からのフォロワーや“いいね”数も増えていきました。実際に海外の方からインスタグラムのDMを通してオファーを頂くことが多いです。今では日本のメディアで紹介されたことをきっかけに国内の問い合わせも増えました。

WWD:スタイリングを考える際のポイントはありますか?

さおり:ファッションはストリートからも生まれる、あくまでも“日常”だと思うので、撮影の際はストリート感も意識しています。きれいになりすぎない、ゴージャスになりすぎない。バランスが重要だと思っています。

WWD:シューズやバッグ、アクセサリー使いも個性的です。

朝美:前世がインディアンだったんじゃないかと思うほど(笑)、ネイティブアメリカンのジュエリーが大好きです。昔のものが好きで集めています。海外に行った際に購入したり、娘がネットを通してアリゾナのインディアンジュエリーを買ってくれたりもします。

WWD:「ビズビム」の服にそれらのアクセサリーをコーディネートしていたりしていますね。

さおり:デザイナーの中村ヒロキさんに教えてもらって購入したインディアンジュエリーもあります。店に載っていない、何百年前のもので現存するジュエリーを所有している商品なども扱っているようなお店ですが、買えるものの範囲で集めています。

朝美:息子が着ている「ビズビム」の服を借りて着ることもありますし、バンダナ柄の薄手のダウンは娘が購入してくれたものです。

WWD:先日、「シュウ ウエムラ」のメイクアップアーティストがメイクを施し、撮影をしている写真をインスタグラムにアップしていましたが、どういった経緯で実現したのですか?

さおり:「シュウ ウエムラ」のインターナショナルチームの方が、母のインスタグラムを見つけてオファーしてくれたものです。製品をリニューアルしたタイミングで声をかけてくださり、キャンペーンモデルとして「シュウ ウエムラ」のウェブサイトでも掲載されていました。ブランドとしても、母のような年代を起用したのは初めてのことだったと聞いています。

WWD:海外が先行でスタートしたアマゾンのオンデマンド・プリントサービス「マーチ バイ アマゾン」(ブランドや作品のクリエイターがオリジナルの作品をアップロードし、アマゾンがプリントして消費者に届けるサービスで、クリエイターにとっては先行費用や投資、在庫管理が不要)では、アーティストやクリエイターが制作したTシャツの着用モデルにもなっている。

さおり:そのプロジェクトは、フランス人のディレクターのオファーで実現しました。オファーをいただく機会が増えましたが、母にとって楽しくないと意味がないので、話を伺って楽しそうだなと思ったらトライすることにしています。

WWD:内藤オート副会長としての仕事は、どの程度していますか?仕事とインフルエンサーの両立をやってみていかがですか?

朝美:今は子どもたちに任せている部分が大きいので、私は昔からのお客さまにご挨拶させていただくことがメインですが、仕事は私にとって生きがいになっています。今はとても良いバランスだと感じています。

WWD:日々、健康や美について気を付けていることはありますか?

朝美:たくさんのお水を飲むことです。水分が足りないと言われたことをきっかけに血流も良くするためにも意識して飲んでいます。私にとってはそれがちょっとつらいですが(笑)。あとはよく寝たり食べたり、笑うようにしたり。自分で言って自分で笑ってしまうこともよくあります。美容に関しては乾燥に気を付けています。自分に合ったものを選び、化粧水なら手で温めて3回ほど「入れ入れ」と思いながら浸透させるようにしています。

WWD:インスタグラムではポジティブな姿勢が伝わってきますが、前向きになる秘訣は?

朝美:多かれ少なかれ悩みがない人はいないと思います。私はもともと能天気で楽天家。「なんとかなるわよ」という気持ちでいます。つらいことがあっても、きっと次の日にはいいことがあると思い、そのことに前向きになって取り組んでいけるように心掛けています。最初はポーズをとって撮影することすらとても恥ずかしかったのですが、慣れてしまえばとても楽しいんです。

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森星の「今日からできるサステナビリティ」Vol.2 身体が変わる“発酵食”と意識が変化したきっかけ

 渋谷スクランブルスクエアで開催中の新プロジェクト「シティ シェド(CITY SHED)」のポップアップストアで、事業者としてプロジェクトの立ち上げから商品MD、プロモーション、空間デザインまでを初めて指揮したモデルの森星。「都会のなかの循環のかたち」をテーマに、彼女の愛用する約50のアイテムをセレクト販売している。全3回にわたるインタビューでは、「シティ シェド」発足の背景から、具体的なアクションに至るまで、生活に取り入れられそうなヒントをお届け。第2回は、彼女がサステナブルな生活へと意識が変わったきっかけや実践する食習慣について紹介する。

WWD:サステナブルな生活へと意識が変わったきっかけは?

森星(以下、森):私の母は、以前から菜園や養蜂など、都会の中でも自然の循環を感じる生活を実践していましたが、子どものころは全く興味がありませんでした。新しいモノやトレンドのファッションを好んでいて、モデルとして働くようになってから、それらを自分で稼いだお金で買えることが嬉しくて。“新しいモノをたくさん所有すること=幸せ”だと思っていたのかもしれません。でも、ただ新しいモノを追うことに次第に虚しさを感じるようになりました。それは仕事を通して、色々な物事に触れ合えたからこその気づきなのですが、自分が手に取ったり食したりするモノを少しずつ見直すようになりました。

なので「これ!」という具体的なきっかけはありませんが、両親やファッションデザイナーをしていた祖母の影響でファッションが好きになり、モデルになりたいと思ったことは間違いない。20代後半になり「モデルとしての仕事を深堀りしたい」と思ったときに、外見を整えるだけではなく、普段の生活も人の参考になるような存在でありたいと感じるようになりました。もちろん人によって正解は違いますが、私自身自分が購入するアイテムの生産背景を聞くのは楽しいし、それを知っていれば自信を持ってシェアできます。

WWD:「シティ シェド」は結果的に自分のルーツを辿るようなプロジェクトになっている。

森:どんな家庭でも、人のルーツには美しさがあります。今までは、自分のアイデンティティーは自分が作り上げるものという考えを持っていましたが、ルーツを知ることで己を知り、さらに己を知ることでこれからの役目を定められる。まだ明確には見えていないけれど、「自然と共生することをファッショナブルに描く」ことが今の自分の役割だと感じています。

以前、海外の村で出会った男性が、地域全体を豊かにすることを自分の夢として語っていました。そんな皆が共感する心の豊かさは決してお金で買えないし、他人に奉仕することで自分も満たされるような夢の持ち方がうらやましかった。私自身も、人としての内外の美しさを高めていきたいと感じるようになりました。

WWD:新プロジェクト「シティ シェド」の一方で、サステナブルフードトラック「エデン(EDEN)」の取り組みも行っている。

森:「エデン」は“発酵人”の田上彩さんとスタートしたフードトラックで、発酵食品を取り入れたお腹にも環境にもやさしいメニューを提供しています。皆が癒される空間作りも昔からやりたかったことの1つでしたが、店舗を構えるには時間も手間もかかります。まずは移動できるフードトラックでメニューも季節に応じて変化する方がいいと思いました。発酵食品はムダが出ないし、その中では微生物が共存しながら平和な小宇宙を築いている。田上さんから「人は発酵の仕組みから色々なことを学べる」と聞いて興味が沸きました。

もし私が一人で始めようとしていたら、ファッションのキラキラした世界から来た人が興味本位だけで首を突っ込んでいると思われ、農家の方たちにもスムーズに受け入れてもらえなかったかもしれません。田上さんと一緒に取り組みながら、自分自身を違う環境に置くことで、改めて感謝できたり、新しい気づきがあったりする。それがモデルとしての表現の幅にもつながったりと、いい連鎖反応になっています。コロナ禍でなかなか稼働できないのが残念ですが、フードトラックのニーズも増えているので、2021年はもっと色々なことをやっていきたいです。

WWD:そもそも田上さんとの出会いは?

森:出会いは彼女がセレクトショップの販売員時代です。それ以前は表舞台に立っていた経歴もある方。当時から、きらびやかな世界に身を置きつつも湘南で自然に囲まれた生活を送っていて、一見相反する“ファッショナブルな世界と自然の豊かさ”のバランスを取ろうとしている姿に共感したし、自分とも似ていると感じました。

WWD:森さん自身が生活に取り入れている発酵食品は?

森:お味噌汁1杯から朝をスタートすると、すごく身体が整います。他には納豆を食べたり、生のケフィア菌からヨーグルトを作ったりしています。

WWD:体調が変わった実感は?

森:すごくあります。人のマインドと何かを溜め込む腸は似ていて、どちらも行き過ぎるとストレスになります。新しいことを吸収するには取り入れるスペースを作ることが大切。発酵食品を食べると自分の腸のデトックス効果でそれを感じることができて、気持ちのアップダウンが少なくなった気がします。

WWD:1日3食を摂っている?美容トレンドでもある「腸活」には「お腹が空いてから次の食事を摂る」というすすめがある。

森:意識的にではなく、結果的に1食になりつつあります。朝はミカンなどの水分量の多いフルーツや野菜を少しとお味噌汁を飲んでいるのですが、夕方にやっとお腹が空く程度に。以前は空腹になるとイライラを感じることもありましたが、今はそれが苦痛ではなく、逆に集中力が保たれて、調子がいいことに気付きました。

水を飲むのも良いのですが、栄養は水分と一緒に摂ると吸収されやすいので、特に午前中は“水分量の多い食事”を心掛けています。肉や魚も消化に8時間ほどかかるので、できれば野菜や果実は最初に食べて胃の負担を軽くするのがおすすめです。

WWD:他に最近始めたことは?

森:野菜の葉や皮までまるごと料理に使うことにはまっています。以前は当たり前に切り落としていましたが、皮に含まれる栄養や美味しさに目覚めました。特にキウイは、皮ごと食べた方が断然美味しくておすすめ。バナナの皮の成分も身体にいいと聞いて、焼いてお茶に入れたり、ハチミツに漬けたりしてみたのですが……私には合いませんでした(笑)。皮に残っている農薬には注意が必要ですが、色々な野菜をまるごと食べてみて、日々自分のコンディションと照らし合わせています。

サステナビリティと聞くとシリアスに考えがちですが、自分にとっての“好き”や“気持ちがいい”から入り、できることから始めれば、それが1番エゴのない自然の循環のかたちになる。自分にもストレスのない取り入れ方が理想ですね。

■ポップアップショップ「シティ シェド」
日程:12月16日〜1月5日
場所:渋谷スクランブルスクエア 4F スペース4
住所:東京都渋谷区渋谷2-24-12
営業時間:11:00〜21:00
オンラインにて特設サイトがオープン中

※次回は「サステナブルなファッションと、ものづくりへの興味」をお届け

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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綿花農家の自殺問題に向き合う 創設者がオーガニックコットンプロジェクトの意義を語る

 持続可能なビジネスとは、そのビジネスに携わる全ての人々にとっても持続可能であることが条件だ。サプライチェーンが長く複雑なアパレルビジネスは、業界全体で手を取り合い、生産者の生活向上に貢献する方法を探る必要がある。そのアプローチの一つを実践するのが、インドの綿花農家の支援を行うピース バイ ピース コットンプロジェクト(以下、PBP)だ。

 PBPは2008年に通販大手のフェリシモの通販ブランド「ハコ!」の事業から立ち上がったプロジェクトだ。当時、世界最大の綿花の生産地であるインドでは綿花農家の高い自殺率が問題視されていた。農薬や化学肥料、遺伝子組み換えの種を買うために借金した農家が、それらを適切に使えなかったり、そもそも土地に合わなかったりなどの理由で収穫量が減り、借金を返せずに自殺してしまうという状況が生まれていたのだ。PBPはこの問題を解決するために、インド産のオーガニックコットンを使用した製品に基金をつけて販売し、その基金でインドの綿農家の有機農法への転換支援と、農家の子どもたちの就学・奨学金を支援する。20年3月時点で、総基金額は1億円を超え、有機農法へ転換した農家の件数は11の地域で1万5000世帯以上、復学した子どもの数は2064人、さらに高等教育に進んだ子どもの数は928人を達成した。PBPを立ち上げた葛西龍也一般財団法人PBP代表理事に話を聞いた。

WWD:PBPを立ち上げた背景は?

葛西龍也一般財団法人PBP代表理事(以下、葛西代表理事):最初は私的な動機だったんです。フェリシモの「ハコ!」の事務所を東京に構えるに当たって、家賃を支払うために原価の低い商品を探していて、偶然目に付いたのがホームセンターで売られていた軍手でした。軍手の原料は落ち綿で原料費が安く、右も左もないので効率的に大量生産されていました。これを1双1000円で売れたら家賃が払えるだろうと考え、手に着用するものなので手をつないでコミュニケーションが生まれるようなツールとしての軍手をコンセプトに、商品企画を進めました。加えて、フェリシモが01年の9.11をきっかけに開始したチャリティーTシャツ「ラブ&ピース プロジェクト」に着想を得て、軍手に子どもの未来を支援する基金を付けて販売するアイデアを思いつきました。

WWD:「ラブ&ピース プロジェクト」とは?

葛西代表理事:9.11が理由でニューヨークとアフガニスタンの親を亡くした子どもの支援を目的にしたものです。08年の時点で約20万着のTシャツを販売していました。そこで、フリーペーパー「ディクショナリー(DICTIONARY)」の創刊者で「Tシャツアズメディア」という活動をしていた桑原茂一さんに相談に行きました。桑原さんは僕の話をじーっと聞いた後に「それってオーガニックコットン?」と聞きました。「いや、違います」と答えると、「君は20万枚もTシャツ売って誰かを助けたって言っているけど、その裏でたくさんの農家の人々が死んでいるのを知っているか?」と言うんです。調べていくと、インドの綿農家では綿花を育てるための農薬や化学肥料、遺伝子組み換えの種を買うために借金し、それらが適切に使えなかったり、そもそも土地に合わなかったりして収穫量が減り、借金を返せないプレッシャーに負けて自殺してしまうという状況がありました。インド政府もこれを問題視し、自殺した家族に保証金を渡す制度などを作って対応にあたっていました。

WWD:そうした背景を知る人は少ないかもしれない。

葛西代表理事:補償金目当てに亡くなってしまう人もいて、年間3万人ほど亡くなっているというのです。僕はチャリティーTシャツを作って、どこかの誰かを救った気になっていたけど、その裏では原料を作る人を殺していたかもしれない。この頃は日本にファストファッションが上陸した年でもありました。これから安い服がたくさん販売されていく時代の流れと、農家の自殺問題を重ね合わせるとゾッとしましたね。何とかしなければ、と思いました。そこで、インドのオーガニックコットンを使った商品に基金を付けて販売し、農家の有機農法への転換を支援して、そこから取れるオーガニックコットンを使ってまた服を作る循環の仕組みを思い付きました。軍手を作るコンセプトは残っていたので、オーガニックコットンで日本製の軍手を作ることになりました。1000円で売りましたが、その頃には原価率の話はどこかに行っていましたね(笑)。

WWD:軍手はどのくらい売れた?

葛西代表理事:10年5月末の時点で1万8770双販売し、軍手以外のオーガニックコットン商品の販売も含めて660万円の基金が集まっていました。

サステナビリティは短期的な計画では取り組めない

WWD:現地の寄付先はどのように探した?

葛西代表理事:最初は集めた基金を、オーガニックコットンを販売する人に渡せば完結するだろうと安易に考えていました。しかし、アパレルビジネスは想像していたより複雑でした。農家の人々は綿花からタネを取り除く作業をするジン工場に綿花を持ち込んで現金を得ますが、当時はジン工場がお金を渡す代わりに農薬を渡すケースが多くありました。08年の10月に初めてインドに行き、現地のジン工場に話しに行くとサックスブルーのシャツを第三ボタンまで開けて金色のネックレス、金色のブレスレットをつけた明らかに怪しいインド人の男性たちが「俺らに任せてくれたら大丈夫」って言うんです。絶対嘘だと思いましたね(笑)。この頃になってやっと、サプライチェーンでは買う立場の人が売る立場の人より強いことに気が付きました。

WWD:つまり農家は一番弱い立場に置かれている。

葛西代表理事:そうです。綿を農家から買う立場の人に任せてはどうなるか分からないと思い、第三者機関を探そうとジャイカ(JICA)のインド事務所を尋ねると、有機栽培への支援に取り組むNPO団体の情報をくれました。その中の一つが現在のパートナーである現地NPOのチェトナ・オーガニックでした。チェトナ・オーガニックは元国連の食料政策事務局で働いていたインド人が母国の課題を解決したいという思いで立ち上げ、インド有数の貧困地帯であるオリッサ州の小規模農家の有機農法への転換を支援していました。どうせ支援するなら、一番困っているところにと思い、10年4月にはオリッサ州に視察に行き、契約締結を決めました。

WWD:有機農法の支援以外にも、農家の子どもたちの就学を支援しようと思った理由は?

葛西代表理事:ジャイカで話をしている時に、貧困地帯の農家では多くの場合、児童労働が行われていて、子どもたちが学校に行かずに働いていることを教えてもらいました。そこでプロジェクトの参加条件として児童労働を禁止すること、現地の子どもたちの奨学と復学支援、高等教育への奨学金を支援することを決めました。

WWD:17年には一般財団法人化した。現在の法人参加企業の数は?

葛西代表理事:豊島やヤギなど法人会員は6社です。19年に展示会を開催して以降、参加ブランドも増えています。この課題は僕たちだけで取り組むものではなく、参画企業それぞれができることを実践してもらいたい。ヤギはインド最大のオーガニックコットンの紡績工場であるナハール社と連携して、オーガニックコットンの原糸に基金をつけて購入する「ヤーンプロジェクト」や種の購入を支援する「シードプロジェクト」を提案してくれています。

サステナビリティとは人が良い未来を描ける環境

WWD:今後の目標は?

葛西代表理事:共感してくれるお客さんやブランドを増やすことです。基金の金額は100円から選べますが、店頭でほかの商品と並んで値段だけを見たときに100円の違いは大きいのだと思います。きちんと目的を伝えるための手段として、来年には購入者がアプリを通して支援先を選択できるシステムもローンチ予定です。昨今、サステナビリティやSDGsへの取り組みを開始する企業は多く見受けます。しかし、短期的な取り組みでは意味がありません。農家の支援も基本的には3年計画なので、「今年はサステナビリティに取り組むけど、来年は分かりません」と言うようなところと取り組むのは難しい。しっかりと腰を据えて頑張ろうとしている人たちと協力していきたいです。

WWD:これまでに1万5000世帯以上の有機農法への転換を支援してきた。この成果をどう見る?

葛西代表理事:振り返れば何もないところからよくやったなと思いますが、1万5000世帯を背負っているって重たいんです。これからどうやってアパレルや消費者の皆さまに伝えていくか――その課題の方が大きい。ただ、昨年現地に行った時にうれしいことがありました。僕に照れ臭そうに話しかけてくれたインド人の男性が、実はPBPの奨学金で大学へ行き、政治学を学び、今はオリッサ州政府の農業担当の役人として働いていると言うんです。実は奨学金を支援すると決断したときに、あなたは子どもが村から去ることを手伝っていると言われたこともありました。それでも、学びたいのに学べないのはおかしいと思って始めました。しかし、最近はちゃんと村に戻って来るケースがあるんです。その男性はきちんと勉強して、自分で物事を決められる立場になった。少なくともその人の人生には何か影響与えられたかもしれない。彼のように主体的に行動を起こしてくれている人が出てきたのは社会にとって大きな変化となります。サステナブルというと、さまざまな捉え方がありますが、僕は人を軸に考えます。変化を起こせるのは人だからです。人々が自分にとって良い未来を描ける環境を作っていくことが僕にとってのサステナビリティです。

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有名デザイナー33人に聞いた“本当は自分で発明したかった”ものとは?

 今日のファッションは、歴史の中のさまざまな時代に発明されたものであふれている。そして、できることならその生みの親になりたかったと考えるデザイナーも多いようだ。実際、イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)は晩年、ブルージーンズを生み出したかったとよく話し、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)も白Tシャツを発明したかったと語っていた。そこで、米「WWD」は現在業界の第一線で活躍するデザイナー33人に“本当は自分で発明したかった”アイテムについて質問。デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)やステラ・マッカートニー(Stella McCartney)が挙げたものとは?

アレッサンドロ・デラクア(Alessandro Dell'Acqua)/「ヌメロ ヴェントゥーノ(N°21)」ウィメンズ・クリエイティブ・ディレクター

ペンシルスカート。「ヌメロ ヴェントゥーノ」のアイコンとなっているものだから、自分で発明したかった。私にとってこのスカートは厳格なシルエットと極めてフェミニンな雰囲気のコントラストを演出しているアイテムで、フェミニンな素材でもマスキュリンな素材でもアレンジすることができる。いつの時代にもふさわしい着用シーンがあるので、全ての女性がワードローブに1着持っておくべき。

アナ・スイ(Anna Sui)/「アナ スイ」デザイナー

「リバティ(LIBERTY)」による“タナ コットン”。私の一番好きな生地とプリントと組み合わせだからね。プライベートで着る洋服にはこの生地を多用していて、コレクションでも多く使用してきた。

阿部千登勢/「サカイ(SACAI)」デザイナー

私は逆のアプローチをとっていて、すでに存在するものを使って全く別のものに変えるのが好き。例えば、スーツを作り変えたら、それはもはや昔ながらのスーツではなくなる。だから、この質問とは反対の考え方を持っている。

クリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)/「クリスチャン ラクロワ」デザイナー

「オシュコシュ(OSHKOSH)」のような作業着。とてもクレバーで実用的だ。自分でも愛用していて、もう40年以上着ている。

クリスチャン・ルブタン(Christian Louboutine)/「クリスチャン ルブタン」デザイナー

デニムとビーチサンダル。

デムナ・ヴァザリア/「バレンシアガ(BALENCIAGA)」アーティスティック・ディレクター

「黒」という色。なんでもファッショナブルに変える色だから。

ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)/「ドリス・ヴァン・ノッテン」デザイナー

自分のことを発明家だとは思っていないので、何かを開発する必要はない。私が取り組んでいるのは、何かをクリエイトすることだと考えている。(すでにある)たくさんの選択肢の中から何かを作るのはとても楽しいこと。私にとって色やプリントは画家にとっての絵具のように最も重要なツールで、そのアレンジを楽しんでいる。何か特定のアイテムと常に結び付けられてしまうことは、すごく制限されるように感じる。

ガブリエラ・ハースト(Gabriela Hearst)/「ガブリエラ ハースト」「クロエ(CHLOE)」クリエイティブ・ディレクター

“発明”されたかどうかは分からないけれど、エルザ・スキャパレリ(Elsa Schiaparelli)は芸術家のアルベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti)やサルバドール・ダリ(Salvador Dali)と一緒にブローチやジュエリーを作っていたし、私もそんなことができたらよかったのにと思う。

ヘロン・プレストン(Heron Preston)/「ヘロン・プレストン」デザイナー

もちろん、靴下。

ジャック・マッコロー(Jack McCollough)&ラザロ・ヘルナンデス(Lazaro Hernandez)/「プロエンザ スクーラー(PROENZA SCHOULER)」デザイナー

自分たちが生み出したかった!!!と思うのは、完璧な黒のクルーネックコットンTシャツ。私たちになくてはならないものの一つであり、今も実際に着ているしね。僕たちにとっては、永遠のクラシックアイテムだ。

ジェイソン・ウー(Jason Wu)/「ジェイソン ウー」デザイナー

スパンクス(補正下着)を発明したかった。本当に!

ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)/「ジャンポール・ゴルチエ」デザイナー

ジーンズ。それは、年を重ねるごとによくなっていく唯一の洋服。人のようにね。

ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)/「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」デザイナー

カシミヤのセーターだね。これ以上優れたものはない。

ジョン・ガリアーノ(John Galliano)/「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」クリエイティブ・ディレクター

トレンチコート。「メゾン マルジェラ」というメゾンやこの上ない品を象徴していると感じる。ダブルボタンのトレンチコートは私にたくさんのインスピレーションを与えてくれた。

ジュリアン・ドッセーナ(Julien Dossena)/「パコ ラバンヌ(PACO RABANNE)」クリエイティブ・ディレクター

スリップドレスを発明したかった。ある種の官能性とリラックスした心地よさを持ち合わせている素晴らしいアイテムだと思う。すごく繊細に作られていて、もともとは他の洋服の下に着るためのものだったけれど、今では一枚で着られるようになったところが気に入っている。

キム・ジョーンズ(Kim Jones)/「ディオール(DIOR)」メンズ・アーティスティック・ディレクター

白Tシャツか、ジーンズ。この2つは誰もが持っていなければいけない天才的なアイテムで、シンプルさと機能性を併せ持つデザインの頂点だと思う。実際に私も1905年の「リーバイス(LEVI’S)」のジーンズを持っているよ。

マーク・ジェイコブス(Marc Jabos)/「マーク ジェイコブス」デザイナー

最初に思い浮かんだTシャツとジーンズがすでに挙がっているので、スニーカーかな。

マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)/「ディオール」アーティスティック・ディレクター

間違いなく、デニムジーンズ。世界で最も民主的で実用的で、そして機能的なアイテムだから。

マッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Giorgetti)/「MSGM」クリエイティブ・ディレクター

クラシックなグレーのメランジフリースを使ったスエットのセットアップを発明したかった。

マシュー・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)/「ジバンシィ」「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」クリエイティブ・ディレクター

ピン、ファスナー、ハサミ。

マイケル・コース(Michael Kors)/「マイケル・コース」デザイナー

アビエーターサングラス。シックでクールだし、とてもセクシーだ。たとえ17歳でも77歳でも、誰にだって似合う。ブラッド・ピット(Brad Pitt)やゼンデイヤ(Zendaya)、ジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)、アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)が究極の代表例だが、ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領のようにぶっちぎりで似合う人はいないだろう。

ニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)/「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」ウィメンズ・アーティスティック・ディレクター

テーラードパンツ。

オリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)/「バルマン(BALMAIN)」クリエイティブ・ディレクター

外出時のワードローブで最もシックなアイテムだと思っているので、ダブルボタンのジャケット。

ポール・アンドリュー(Paul Andrew)/「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」クリエイティブ・ディレクター

白Tシャツ。何年にもわたって次第に私自身のパーソナルなスタイルの象徴になっていったからね。お気に入りは、「サンスペル(SUNSPEL)」のオーガニックコットンのクルーネック。このアイコニックなアイテムのカジュアルなエレガンスは、多くのかしこまったシーンで着るのにもふさわしい。

ポール・スミス(Paul Smith)/「ポール・スミス」デザイナー

発明したかったと思うものについては分からないけど、自分が成し遂げた中で最も誇りに思っているのは、100%ウールを使用したシワができないスーツを開発したこと。

フィリップ・リム(Phillip Lim)/「3.1 フィリップ リム(3.1 PHILLIP LIM)」デザイナー

スニーカーを発明したかった。誰もが持っているファッションアイテムだからね。私は目的のあるデザインを信じていて、スニーカーはまさにスタイルと機能性が完璧に融合したもの。

ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)/「ヴァレンティノ(VALENTINO)」=クリエィティブ・ディレクター

ジーンズ。いつだってデニムと「リーバイス」が好きだ。

リック・オウエンス(Rick Owens)/「リック オウエンス」デザイナー

プラットホーム。こんなバカげた何かを思いついていたらよかったのに。

ステラ・マッカートニー/「ステラ マッカートニー」デザイナー

ファスナー。ユーティリティーの要素があり、荒々しい要素もある。セクシーで激しく、力強い上に実用的。とても無垢でシンプルだけど、イケてる。なんて素晴らしいデザインなのだろう。ファスナーを必要としない人なんていないでしょう?

トリー・バーチ(Tory Burch)/「トリー バーチ」デザイナー

レトロでスポーティー、クール、実用的な70年代のトラックスーツを発明したかった。新型コロナウイルスの感染拡大以来、とても身近になったアイテム。

小泉智貴/「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」デザイナー

私からはバレエのチュチュスカートかな。とにかく可愛いから!

ヴェラ・ウォン(Vera Wang)/「ヴェラ・ウォン」デザイナー

すばり、レギンスだね。フィギュアスケートやバレエを楽しみ、週末はアスリートにもなる運動好きなファッションデザイナーとして、私のマインドやスタイル、生活に快適さは最も重要な要素。レギンスはいつも私のワードローブの基本にあって、素敵なアウターや繊細なトップス、テーラードアイテムを合わせられるし、下着としても着られる。それが娘たちを怖がらせてきたのは確かだけど、今となっては全世界の人々がレギンスやアスレジャーアイテムを中心に生きている。だから、本当は化学繊維のライクラをまず発明したかったとも言えるけれど、レギンスも間違いない!

ヴェロニカ・エトロ(Veronica Etro)/「エトロ」クリエイティブ・ディレクター

シャツはずっと発明したかったと思っていたアイテム。多くの場面で使用できるし、男性的でありながら女性的であり、エレガントでセクシー。フォーマルだけど、休暇に持っていくのにも適している。普遍的な衣服でありながら、何度もカスタマイズしたり再解釈したりもできる。

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「キジマ タカユキ」が業界を25年間走り続けられた理由とは? 木島隆幸デザイナー本人が語る

 卓越した技術と洗練されたデザインで人々を魅了し、日本が世界に誇る帽子ブランド「キジマ タカユキ(KIJIMA TAKAYUKI)」。デザイナーの木島隆幸は、帽子デザイナーの第一人者である平田暁夫氏のもとで、オートモード(オートクチュール)の技術を学びキャリアをスタートさせた。洋服とは違いコーディネートに必ず必要とはされない帽子だが、木島デザイナーはそれを物ともせずファッション業界を25年間走り続けてきた。その技術はファッションデザイナーにも大きな影響を与え、これまで「アンダーカバー(UNDERCOVER)」や「タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATHESOLOIST.)」、「オーラリー(AURALEE)」などとのコラボアイテムを製作。また1999年に初の直営店となる代官山店を、2019年には渋谷パルコ店をオープンするなど、経営者としての顔も併せ持つ。この業界で生き抜いてきた術や次世代への継承について本人に聞いた。

WWD:なぜ帽子を作ろうと思ったのか?

木島隆幸デザイナー(以下、木島デザイナー):10代の頃は帽子ではなく古着が大好きで、他の人が真似できないオリジナルのスタイルを追求していました。その後ヒップホップカルチャーに出合い、その格好良さに魅了されたと同時にパンクやロンドン・ファッションも好きになりました。20代の前半になると、それまで購入していた「ヴィヴィアン・ウエストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)」や古着を売却し、今度はスーツスタイルに路線を変更しました(笑)。それらの経験を通して、自分が洋服を作るとまとめることができないと感じたのです。でもファッション業界には携わりたかったので、コーディネートに付随する帽子を選びました。

そして後の師匠となる平田暁夫先生が主催する帽子教室に一年間通うことにしましたが、何も習得できずに時間だけが過ぎてしまいました。一年経った後、「就職先ありますか?」と教えて頂いていた先生に問うと、「あるわけないでしょ」と言われてしまいました。でもその先生が「平田先生のアトリエに空きがないか確認してみるよ」と手を差し伸べてくださいました。そして平田先生から「すぐにでも来てほしい」と返事をもらい、すごく幸運なことに入社することができました。私がアトリエに入った時は、ファッション自体の盛り上がりが最高潮で、ブランドのショーに対する投資額はすごいものでした。当時はデコラクティブなもので競い合っており、毎回苦労の連続。ミシンでは縫えないようなゴムやビニールを持ち込まれ発注を受けていました。この世界に飛び込んでからの経験が刺激的で、いつの間にか、帽子づくりに没頭していましたね。

WWD:「キジマタカユキ」の帽子の一つの特徴である“カバンの中にしまっても型が崩れない”。そこに行き着いた理由は?

木島デザイナー:私は平田先生のアトリエで5年ほど修行を積んだ後、独立しました。独立した当初はビジネスの仕方すらもわかりませんでした。そこで、修行を積んでいた際に通い詰めていたユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)の栗野宏文さんに「商品を見てください」と連絡しました。栗野さんに「物が良いのは分かるけど、この帽子を被るシチュエーションが私には分からない」と言われたことで、「洋服に合うものでなければ何の意味もない」ということを気付かされました。そこから“帽子単体ではなく、洋服とどれだけマッチできるか”ということを根本的に考え、帽子をかぶる際のデメリットを消していったなかの一つです。

WWD:さまざまなファッションデザイナーとのコラボを行なっているが狙いは?

木島デザイナー:一つの価値観だけで物事を考えてしまうと、自分の容量の中でしかデザインが生まれないし抜けだすことができなくなります。彼らは帽子に関しては素人なので、その発想はもの凄く面白いものや突拍子のないものがあり、刺激を受けることが多い。自分の中の枠を広げるには必ず必要なもので、欠かさず行うようにしています。

WWD:これまでに一番衝撃を受けたファッションデザイナーは?

木島デザイナー:「アンダーカバー」の高橋盾デザイナー。「『ボルサリーノ』のようなハットを少し凸凹させてほしい」と発注を受け、それを自分なりに解釈して作ったことがありました。それは今でも私の大好きなモデルの一つになっています。

「慢心せず、考え続けることが大切」

WWD:服とは違い無くても良いとされる中で、生き残ることができた要因は?

木島デザイナー:帽子という枠だけに留まらず、ファッションという大きな枠を意識してきたからだと思います。あとは「自分がまだまだ未熟者」と反省ばかりしていることかな。

WWD:経営者としての苦悩はあった?

木島デザイナー:本当に運だけです。自分たちだけでは絶対に続けることができなかったし、周りの人たちに支えていただきました。

WWD:ブランドを継続できる人とできない人の差をどう考える?

木島デザイナー:私は悪い意味で優柔不断。良い意味ではフレキシブルに色々なことへの対応ができました。ブランドの世界観は崩さず、それぞれの時代に合わせた商品を提案できるかどうかが大切だと思います。今は多様化の時代で、過去と比較することは難しいですが、短命では終わらないブランドづくりを常に意識し、自分からは一切営業をしないというやり方をしてきました。

WWD:理想とする帽子の被り方・合わせはあるか?

木島デザイナー:私は帽子が元々好きな人や似合う人には興味がありません(笑)。そういう人たちは自分が似合うものを知っているし面白くない。私は帽子が嫌い・似合わない人に対して「キジマ タカユキ」の帽子を勧めていきたいです。そういう人たちが喜んでくれるのが一番うれしい。100人いれば100通りの被り方があると思っています。

WWD:木島さんの技術・ノウハウを次の世代にどのように伝えていく?

木島デザイナー:私は手取り足取り教えることはしません。好きであったり興味があったりする人間は、見ている視点が違うので言わなくても出来るようになります。私は「作り方に正解はない」と考えています。率先して自分たちで「もっと良いものがないか」を模索していかなければ、彼らの成長は止まってしまいます。

WWD:コロナ後、コレクションの在り方は変わっていくと思う?

木島デザイナー:デジタルでは味わえない雰囲気や空気感は実際に行かないとわかりません。私はパリに行く度に、打ちのめされて帰ってきています。それが私の中ではとても重要だし肌で感じ取りたい。

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2021年は新発想の洗顔料が豊富 続く“マスク荒れ”による肌トラブルにも

 長期化する“ウィズマスク生活”によって、マスクによる肌荒れで悩む人が後を立たない。マスクの摩擦や蒸れた状態が長時間続くことで肌のバリア機能が低下してしまい、肌トラブルの原因となっている。肌を清潔な状態に保持することが重要であるため、洗顔に着目しているブランドが多く、2021年は洗顔フォームやクレンジングが豊作だ。

シュワっと“自活発泡”する
酵素洗顔で毛穴ケア

 酵素洗顔料「パパウォッシュ」を展開するイー・エス・エスは、36年ぶりとなる新ブランド「アス バイ パパウォッシュ(USS BY PAPAWASH)」を21年2月1日に立ち上げる。皮脂由来の肌悩みを起こしやすい20~30代がターゲット。第1弾として、過剰な皮脂による肌トラブルを改善するパウダー状洗顔料”USS by パパウォッシュ バブル”(40g、2200円)を発売する。開発には1年半かかったという。

 洗顔料は水と混ぜると1秒で発泡。炭酸が発生し、酵素を含むマイクロバブルに変わり、酵素の力で毛穴汚れと古い角質をオフする。洗顔の間も弾ける微弱炭酸によりターンオーバーを促し、使うたびに血色の良い明るい肌へと導く。

天然スクラブでダブル洗顔不要

 ハグアンドスマイルは21年、「ニーゼロイチハチ ザ ベスト コスメティック(2.0.1.8 THE BEST COSMETIC)」をリニューアルする。2月1日に「ニーゼロネオ(20NEO)」とブランド名を改め、「ウォーターホールドクレンジングジェル」(150g、4000円)を発売する。

 カナダの氷河で採取された希少なクレイと、天然スクラブを配合し、メイクや皮脂汚れをやさしくオフする、ダブル洗顔不要のクレンジングだ。汚れや老廃物を吸着し、肌を健やかに保つ。

“低バリア肌”に着目し、
洗浄剤フリーを実現

 プレミアアンチエイジングの「デュオ(DUO)」は1月20日、洗浄剤フリーの洗顔料“ザ 薬用バイタルバリアウォッシュ”(110g、3000円)を発売する。バリア機能が乱れがちな“低バリア肌”に着目。スキンケア成分のみで洗うという洗浄剤フリー技術を実現した。水感覚のようなミルク状の洗顔料で“強バリア肌(しなやかな肌)”へと洗い上げる。

泡洗顔で肌荒れ&ニキビケア

 常盤薬品工業が展開する「なめらか本舗」は3月2日、美白ラインから“薬用泡洗顔”(200mL、800円)を発売する。泡洗顔の市場は7年間で約160%拡大(2020年TPCマーケティングリサーチ調べ)しており、同ブランドの泡洗顔も年間売上個数約100万個とヒットしている。同社の調査によると、洗顔にあるとうれしい効果でニキビケアや美白効果が求められていることが判明。そこで、肌荒れやニキビ予防しながら透明感のある肌に洗い上げる洗顔料を開発した。

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日本発の吸水ショーツが続々登場 機能に加えオシャレ感も加味する4ブランドを紹介

 2020年、女性に心地よい環境を提供しようとするフェムテック関連アイテムが続々登場した。その中でバリエーションが増えたのが、吸水ショーツだ。吸水性はもちろんだが、薄さにこだわり違和感のなり着心地を追求したり、また豊富なカラー展開やスタイルの多様などオシャレ感も加味したり、進化が止まらない。海外ブランドが主流だった吸水ショーツだが、日本人の体型に合わせたブランドも増えてきた。今回は、日本発の4ブランドを紹介する。

ピリオド(PERIOD.)

 
 「ピリオド」の吸水ショーツは、表面は肌触りの良い生地を用いて濡れても漏れにくい工夫を施す。スタートは“スポーツ”と“ヒップハガー”を展開し、その後、“スポーツ0”“クラッシック”“ハイ ウエスト”“ボクサー”を用意する。たとえば、 “スポーツ0”は「何も身につけていないかのようなゼロ感覚」から名付けており、従来の下着の締め付け感を軽減する。“クラシック”はウエスト部分に透ける素材を取り入れたエレガントなデザインだ。“スポーツ0”や“クラッシック”は最大20mL、“ハイ ウエスト”“ボクサー”は最大30mLの吸水が可能だ。価格は4000〜6500円。

ナギ(NAGI)

 「ナギ(NAGI)」は、速乾や吸収、防臭、防水といったそれぞれ別の機能を持つ4層で、標準的なスタンダードや、お尻側のデザインをスリムにしたスリム、夜でも安心な心地よいホールド感を特徴とするフルの3タイプをそろえる。スタンダードは30mLの、フルは45mLの吸水が可能。スタンダードはブラック、パープル、グリーン、ベージュ、アズキの5色、スリムはブラック、オレンジ、グリーンの3色、フルはブラック、ブルー、グリーン、オレンジ、アズキの5色と、豊富なカラーバリエーションも特徴だ。価格は5250〜5800円。

エミリーウィーク(EMILY WEEK)

 ベイクルーズグループが展開する女性のバイオリズムに寄り添うライフスタイルブランド「エミリーウィーク」は、全体に柔らかいオーガニックコットンを使用し肌触りにこだわった吸水ショーツを展開する。マチ部分は吸水と防水の両方の機能を兼ね備えた1枚の生地を内蔵した3層構造。ブラックとオールドブラウンの2色をそろえ、同色同素材の定番ブラとナイトブラも提案し、ショーツとブラをセットで使用できるのはファッションを主軸とする企業のブランドならでは。価格は4900円。

ガールズリープ(GIRLS LEAP)

 「ガールズリープ」は、肌に当たる面、吸水布、防水布、外面の4層構造で、特に肌の当たる面の素材は試作を重ね、コットンタッチの吸水速乾のポリエステル素材を採用する。吸水量は20cc程度で少ない日はこの1枚で対応できる。ジュニアサイズ(ヒップ82〜88㎝)からそろえ、Mサイズ(87〜93㎝)、Lサイズ(92〜98㎝)の3サイズを用意する。価格は3900円。

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「子たちのお守りのような一冊に」 性教育ユーチューバ、シオリーヌが初の書籍刊行

 助産師で性教育ユーチューバーとして活動するシオリーヌこと、大貫詩織さんは「性の話をもっと気軽にオープンに」と言うビジョンのもと、中高生に向けた性教育に関する発信を続けてきた。2019年に開設したユーチューブチャンネルでは、コンドームの付け方やパートナーが避妊に協力してくれない時の伝え方など、学校の性教育では教えてもらえないが、確かに必要な具体的で実用的な知識を提供し、現在チャンネル登録者数13万を超える。12月には初の書籍となる「CHOICE 自分で選び取るための『性』の知識」(イースト・プレス)を発売した。同書では体の仕組みや妊娠、避妊などについて分かりやすく解説されているだけでなく、自分らしく生きるために恋愛や体、社会といかに向き合うべきかと言った疑問にも回答する。ツイッター上に「#シオリーヌの性教育本CHOICE」とともに集まる読者からの感想では、「10代のころに出合いたかった一冊」として話題を集めている。シオリーヌさんに話を聞いた。

WWD:日本の性教育への問題意識が芽生えた瞬間は?

大貫詩織(以下、大貫):総合病院の産婦人科で助産師として働くなかで、多くの女性が自分の体の仕組みについての知識が足りないことに気付きました。特に産後の避妊の話をすると、「避妊についてこんなにちゃんと教えてもらったのは初めてです」と言う反応が多い。本来なら自分の体に何かが起きてみて初めて気付くのではなく、妊娠・出産という大切なライフイベントが起こる前にちゃんと知識を持って納得いくライフプランを立てることが大切なはずです。出産を控えた女性が入院する病棟で勤務していましたが、この方達が妊娠する前に出合いたかったと思うことがよくありました。もっと若い世代の子たちに正しい情報を伝え、意思決定に寄り添える仕事をしたいと思い、助産師の3年目から改めて性教育について勉強し、思春期保健相談士の資格を新たに取得しました。

WWD:なぜ、発信の場としてユーチューブを選んだ?

大貫:学校で講演をすると、学校側から「あまり具体的なことを伝えすぎないでほしい」という要望を受けることがよくありました。例えば、コンドームは実物の写真ではなくイラストにしてほしいとか、具体的にどこでいくらで購入でき、どのように使うかなどには触れないでほしいとか。せっかくの機会をいただいたのに、一番大事なことに触れないで帰ってきてしまった、すごく中途半端なことをしてしまったと申し訳なさやもどかしさを感じていました。そこでアフターフォローの場として、情報を求めている中高生が親しんでいるユーチューブであれば自分の伝えたいことがダイレクトに発信できると思ったんです。

WWD::ご自身が表に出ることへの抵抗は?

大貫:よく聞かれますが、全然なくて(笑)。実は高校生の時からアマチュアお笑い芸人として大会に出ていたり、バンド活動をしたり、人前で何かを表現する活動は好きなんです。周りにもユーチューブで発信活動をしている友人も多く、編集の仕方などは教えてもらえる環境にありました。

思春期の子たちが今抱えている疑問に答える

WWD:ユーチューブを開始して2年。視聴者からの反応には変化が?

大貫:最初は「こんなことユーチューブでやる人初めて見た」という驚きの反応が多かったです。最近ではメディアの影響もあり、性に関する情報をきちんと学ぶことが大切であるという意識が人々の間で培われている気がしています。現段階でもっとも再生されたのは、コンドームの付け方に関する動画で約300万回再生されました。正しい避妊方法や、いつになったらセックスして良いと思うかなど、思春期の子たちが今抱えている疑問に対する有用な知識を提供するものへの反響が大きいです。具体的な性教育には慣れていないけど、情報を求めている人はたくさんいると実感しています。視聴者のうち大体女性が6〜7割で、年齢層は13〜24歳が過半数です。40〜50代の視聴者もいらっしゃいます。

WWD:なかにはネガティブなリアクションも?

大貫:「こんな話は必要ない」といった反応はほとんどありませんが、多いのはセクハラです。教育的な側面で性の話を聞く経験が少ない日本では、性の話=下ネタ、エロと捉えられてしまう。女性が顔を出して性に関する話をしているといくら動画の中で教育的な内容を話していても「じゃあ自分のセックスの実技指導をしてよ」とか、「マスターベーションしてるところを見せろ」と言うようなコメントが来たり、ツイッターのDMで下半身の写真が送られてきたりもしました。

WWD:それらに対してはどんな対処を?

大貫:今まさに問題になっていますが、日本ではネット上の嫌がらせに対する対処が取りづらいため、個人で予防を頑張るしかありません。視聴者さんからのうれしいコメントが届くこともあったのですが、ツイッターのDMは渋々閉じてしまいました。ユーチューブのコメントはスタッフに最初に確認をしてもらっています。

WWD:きちんと伝わる内容にするために気をつけていることは?

大貫:中高生に人気のエンタメ系のユーチューバーさんの編集は参考にさせてもらっています。性教育の話をただ淡々と話そうとすると専門用語も多く予備校の映像授業みたいになってしまうので、映像の長さは10分前後に収め、効果音を効果的に用いてテンポよく飽きずに見てもらえる工夫をしています。大学時代に塾講師のアルバイトをしていたので、中学生の子たちに楽しんで学んでもらうためコツはそこで身につけました。

WWD:同僚からはどんな反応が?

シオ:一緒に働いている看護師仲間からは「ユーチューブってこんな風に使えるのね」というような好意的な意見が多かったです。当時は精神科の児童思春期病棟で働いていて、入院している思春期の女の子たちが動画をきっかけに、「実は私も生理があんまり来ないんだ」と相談にきてくれたり、パートナーとの関係について相談してくれる子が増えたり、助産師がその子たちが抱えているような悩みの相談にものれる仕事だと知ってもらえてうれしかったです。

WWD:動画ではハヤカワ五味さんらも登場するが社会を変えていくために、横のつながりを意識している?

大貫:動画の中には女性のヘルスケアを支えようと活動している五味ちゃんや、性暴力に関する支援メディアMIMOSASを運営する人らも登場します。一人で頑張っていると、どんなに声をあげても変わらないとめげそうになったり、なんで私がセクハラを我慢しなければいけないんだろうと落ち込んだりもします。そんな時に同じ志を持って未来の世代により良い社会を残そうと活動している人たちと連携することで、お互いにモチベーションを高めあい、支えあうことができています。あとは、せっかく多くの人が見てくれているなら、その発信力で社会に役立つ活動をされている方々をより多くの人に知ってもらうお手伝いもしたい。思春期の世代と上の世代をつなげる存在になりたいです。

中高生にとってお守りになる一冊を作りたい

WWD:改めて、「CHOICE」を出版しようと思った理由は?

大貫:よく「性教育でおすすめの本はないですか?」と聞かれるますが、男の子向きや女の子向きなど条件付きでおすすめすることが多かったんです。どんな人にでもまずこれだけ読んでもらえれば大丈夫と言える内容を網羅した一冊を作りたかったんです。

WWD:出産や避妊に関する話題だけでなく、パートナーとの関係の築き方、人権の話、この世界でどう自分らしく生き抜くかという話までにも触れているが、あえて広く語ろうと意識した?

大貫:性教育の学びを深めていくと、全部つながっているのだということが分かります。性的な関係を他人と結ぶときは、人間関係が生まれます。そこではパートナーシップについて考えなければいけないし、互いの権利を尊重する関係性がどういうものかを知っていなければいけないなし、今の政治がきちんと人権を大切にしているのかまで考えなければいけません。社会の問題と性教育は切っても切り離せないはずなので、本の中でもきちんと書いています。

WWD:動画でも選挙の話や人権の話もされているが、再生回数は変わる?

大貫:実際変わります。前に同性婚訴訟の動画も出しましたが、再生回数は伸びませんでした。でも私のユーチューブは、収益を上げるためのものではありません。たとえ再生数が少なくとも皆さんに知ってほしいと思う情報は根気強く上げていきたい。

WWD:書籍をどんな人に届けたい?

大貫:メインターゲットは中高生をイメージしました。これから社会に出ていく子たちに向けて何かあったときに自分を守ってくれるような知識が載っているお守り代わりの一冊になってほしい。子どもをサポートする立場にいる大人にも伝え方の参考にしてもらえる部分がたくさんあります。私自身も、ここに書かれていることを10代のうちに知っていればあんなに我慢しなくてよかったんだろうなと想像します。

WWD:きちんとした性教育を受けて来なかった大人に向けても何かメッセージはあるか?
大貫:20〜30代の読者からも「今の自分にも響いた」「自分の生活を見直すきっかけになった」という感想を多くもらっています。ジェンダーを学んでいると、漠然とした生きづらさが言語化されて気持ちがすっきりしたり、救われることあるんだと身をもって感じています。

子どもたちが安心して未来に希望を抱ける社会へ

WWD:今後日本の性教育はどう変わるべきか?

大貫:大きな課題は文部科学省が定める学習指導要領の中にある“歯止め規定”だと思います。中学生の保健の分野では、妊娠に至る経過、つまり性行為のことについては取り扱わないことにします、というようなことが明言され、セックスに伴う具体的な避妊法や妊娠をした時の中絶など具体的な知識が伝えきれないシステムが作られてしまっています。それにもかかわらず性行同意年齢は13歳というのは大きな矛盾ではないでしょうか。10代の中絶が年間1万件以上起きているなかで、それでも子供たちにはまだ早いと言い続けるのには疑問です。

WWD:今後の目標は?

大貫:子どもたちが安心して未来に希望を抱ける社会することです。10月にはパパママ議連で、性教育に関する勉強会をさせていただきました。アフターピルの問題や夫婦別姓の問題など、少しでも大人が声をあげ、次の世代が生きやすい社会に変えていく努力を続けます。

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「子たちのお守りのような一冊に」 性教育ユーチューバ、シオリーヌが初の書籍刊行

 助産師で性教育ユーチューバーとして活動するシオリーヌこと、大貫詩織さんは「性の話をもっと気軽にオープンに」と言うビジョンのもと、中高生に向けた性教育に関する発信を続けてきた。2019年に開設したユーチューブチャンネルでは、コンドームの付け方やパートナーが避妊に協力してくれない時の伝え方など、学校の性教育では教えてもらえないが、確かに必要な具体的で実用的な知識を提供し、現在チャンネル登録者数13万を超える。12月には初の書籍となる「CHOICE 自分で選び取るための『性』の知識」(イースト・プレス)を発売した。同書では体の仕組みや妊娠、避妊などについて分かりやすく解説されているだけでなく、自分らしく生きるために恋愛や体、社会といかに向き合うべきかと言った疑問にも回答する。ツイッター上に「#シオリーヌの性教育本CHOICE」とともに集まる読者からの感想では、「10代のころに出合いたかった一冊」として話題を集めている。シオリーヌさんに話を聞いた。

WWD:日本の性教育への問題意識が芽生えた瞬間は?

大貫詩織(以下、大貫):総合病院の産婦人科で助産師として働くなかで、多くの女性が自分の体の仕組みについての知識が足りないことに気付きました。特に産後の避妊の話をすると、「避妊についてこんなにちゃんと教えてもらったのは初めてです」と言う反応が多い。本来なら自分の体に何かが起きてみて初めて気付くのではなく、妊娠・出産という大切なライフイベントが起こる前にちゃんと知識を持って納得いくライフプランを立てることが大切なはずです。出産を控えた女性が入院する病棟で勤務していましたが、この方達が妊娠する前に出合いたかったと思うことがよくありました。もっと若い世代の子たちに正しい情報を伝え、意思決定に寄り添える仕事をしたいと思い、助産師の3年目から改めて性教育について勉強し、思春期保健相談士の資格を新たに取得しました。

WWD:なぜ、発信の場としてユーチューブを選んだ?

大貫:学校で講演をすると、学校側から「あまり具体的なことを伝えすぎないでほしい」という要望を受けることがよくありました。例えば、コンドームは実物の写真ではなくイラストにしてほしいとか、具体的にどこでいくらで購入でき、どのように使うかなどには触れないでほしいとか。せっかくの機会をいただいたのに、一番大事なことに触れないで帰ってきてしまった、すごく中途半端なことをしてしまったと申し訳なさやもどかしさを感じていました。そこでアフターフォローの場として、情報を求めている中高生が親しんでいるユーチューブであれば自分の伝えたいことがダイレクトに発信できると思ったんです。

WWD::ご自身が表に出ることへの抵抗は?

大貫:よく聞かれますが、全然なくて(笑)。実は高校生の時からアマチュアお笑い芸人として大会に出ていたり、バンド活動をしたり、人前で何かを表現する活動は好きなんです。周りにもユーチューブで発信活動をしている友人も多く、編集の仕方などは教えてもらえる環境にありました。

思春期の子たちが今抱えている疑問に答える

WWD:ユーチューブを開始して2年。視聴者からの反応には変化が?

大貫:最初は「こんなことユーチューブでやる人初めて見た」という驚きの反応が多かったです。最近ではメディアの影響もあり、性に関する情報をきちんと学ぶことが大切であるという意識が人々の間で培われている気がしています。現段階でもっとも再生されたのは、コンドームの付け方に関する動画で約300万回再生されました。正しい避妊方法や、いつになったらセックスして良いと思うかなど、思春期の子たちが今抱えている疑問に対する有用な知識を提供するものへの反響が大きいです。具体的な性教育には慣れていないけど、情報を求めている人はたくさんいると実感しています。視聴者のうち大体女性が6〜7割で、年齢層は13〜24歳が過半数です。40〜50代の視聴者もいらっしゃいます。

WWD:なかにはネガティブなリアクションも?

大貫:「こんな話は必要ない」といった反応はほとんどありませんが、多いのはセクハラです。教育的な側面で性の話を聞く経験が少ない日本では、性の話=下ネタ、エロと捉えられてしまう。女性が顔を出して性に関する話をしているといくら動画の中で教育的な内容を話していても「じゃあ自分のセックスの実技指導をしてよ」とか、「マスターベーションしてるところを見せろ」と言うようなコメントが来たり、ツイッターのDMで下半身の写真が送られてきたりもしました。

WWD:それらに対してはどんな対処を?

大貫:今まさに問題になっていますが、日本ではネット上の嫌がらせに対する対処が取りづらいため、個人で予防を頑張るしかありません。視聴者さんからのうれしいコメントが届くこともあったのですが、ツイッターのDMは渋々閉じてしまいました。ユーチューブのコメントはスタッフに最初に確認をしてもらっています。

WWD:きちんと伝わる内容にするために気をつけていることは?

大貫:中高生に人気のエンタメ系のユーチューバーさんの編集は参考にさせてもらっています。性教育の話をただ淡々と話そうとすると専門用語も多く予備校の映像授業みたいになってしまうので、映像の長さは10分前後に収め、効果音を効果的に用いてテンポよく飽きずに見てもらえる工夫をしています。大学時代に塾講師のアルバイトをしていたので、中学生の子たちに楽しんで学んでもらうためコツはそこで身につけました。

WWD:同僚からはどんな反応が?

シオ:一緒に働いている看護師仲間からは「ユーチューブってこんな風に使えるのね」というような好意的な意見が多かったです。当時は精神科の児童思春期病棟で働いていて、入院している思春期の女の子たちが動画をきっかけに、「実は私も生理があんまり来ないんだ」と相談にきてくれたり、パートナーとの関係について相談してくれる子が増えたり、助産師がその子たちが抱えているような悩みの相談にものれる仕事だと知ってもらえてうれしかったです。

WWD:動画ではハヤカワ五味さんらも登場するが社会を変えていくために、横のつながりを意識している?

大貫:動画の中には女性のヘルスケアを支えようと活動している五味ちゃんや、性暴力に関する支援メディアMIMOSASを運営する人らも登場します。一人で頑張っていると、どんなに声をあげても変わらないとめげそうになったり、なんで私がセクハラを我慢しなければいけないんだろうと落ち込んだりもします。そんな時に同じ志を持って未来の世代により良い社会を残そうと活動している人たちと連携することで、お互いにモチベーションを高めあい、支えあうことができています。あとは、せっかく多くの人が見てくれているなら、その発信力で社会に役立つ活動をされている方々をより多くの人に知ってもらうお手伝いもしたい。思春期の世代と上の世代をつなげる存在になりたいです。

中高生にとってお守りになる一冊を作りたい

WWD:改めて、「CHOICE」を出版しようと思った理由は?

大貫:よく「性教育でおすすめの本はないですか?」と聞かれるますが、男の子向きや女の子向きなど条件付きでおすすめすることが多かったんです。どんな人にでもまずこれだけ読んでもらえれば大丈夫と言える内容を網羅した一冊を作りたかったんです。

WWD:出産や避妊に関する話題だけでなく、パートナーとの関係の築き方、人権の話、この世界でどう自分らしく生き抜くかという話までにも触れているが、あえて広く語ろうと意識した?

大貫:性教育の学びを深めていくと、全部つながっているのだということが分かります。性的な関係を他人と結ぶときは、人間関係が生まれます。そこではパートナーシップについて考えなければいけないし、互いの権利を尊重する関係性がどういうものかを知っていなければいけないなし、今の政治がきちんと人権を大切にしているのかまで考えなければいけません。社会の問題と性教育は切っても切り離せないはずなので、本の中でもきちんと書いています。

WWD:動画でも選挙の話や人権の話もされているが、再生回数は変わる?

大貫:実際変わります。前に同性婚訴訟の動画も出しましたが、再生回数は伸びませんでした。でも私のユーチューブは、収益を上げるためのものではありません。たとえ再生数が少なくとも皆さんに知ってほしいと思う情報は根気強く上げていきたい。

WWD:書籍をどんな人に届けたい?

大貫:メインターゲットは中高生をイメージしました。これから社会に出ていく子たちに向けて何かあったときに自分を守ってくれるような知識が載っているお守り代わりの一冊になってほしい。子どもをサポートする立場にいる大人にも伝え方の参考にしてもらえる部分がたくさんあります。私自身も、ここに書かれていることを10代のうちに知っていればあんなに我慢しなくてよかったんだろうなと想像します。

WWD:きちんとした性教育を受けて来なかった大人に向けても何かメッセージはあるか?
大貫:20〜30代の読者からも「今の自分にも響いた」「自分の生活を見直すきっかけになった」という感想を多くもらっています。ジェンダーを学んでいると、漠然とした生きづらさが言語化されて気持ちがすっきりしたり、救われることあるんだと身をもって感じています。

子どもたちが安心して未来に希望を抱ける社会へ

WWD:今後日本の性教育はどう変わるべきか?

大貫:大きな課題は文部科学省が定める学習指導要領の中にある“歯止め規定”だと思います。中学生の保健の分野では、妊娠に至る経過、つまり性行為のことについては取り扱わないことにします、というようなことが明言され、セックスに伴う具体的な避妊法や妊娠をした時の中絶など具体的な知識が伝えきれないシステムが作られてしまっています。それにもかかわらず性行同意年齢は13歳というのは大きな矛盾ではないでしょうか。10代の中絶が年間1万件以上起きているなかで、それでも子供たちにはまだ早いと言い続けるのには疑問です。

WWD:今後の目標は?

大貫:子どもたちが安心して未来に希望を抱ける社会することです。10月にはパパママ議連で、性教育に関する勉強会をさせていただきました。アフターピルの問題や夫婦別姓の問題など、少しでも大人が声をあげ、次の世代が生きやすい社会に変えていく努力を続けます。

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2021年のインナーケアは“出汁”と“免疫力”に注目

 2020年は、新型コロナウイルスの影響で生活様式が一変し、外出機会の減少に伴う運動不足や食生活の変化などから健康や美容に対する意識が一段と高まった。“おうち時間”が増えたことで生活習慣を見直すきっかけとなり、肌や体調を内側からサポートするインナーケアに注目が集まっている。

 トレンド総研が美容インフルエンサー100人にアンケート調査を実施したところ、68%が新型コロナウイルスの感染拡大以降(20年3月以降)インナーケアの興味が高まったと回答した。さらに62%が「新しいインナーケアにチャレンジした」と回答しており、インナーケアの注目度の高さがうかがえる。そこで今回、日々の生活に取り入れやすい粉末スープやタブレットなど「おいしく」摂取できるインナーケアアイテムを紹介する。21年のインナーケアは、日本の食文化に着目した“出汁”と、体調管理のカギを握る“免疫力”に注目だ。

サプリ感覚のヘルシー出汁
“UMAMIサプリ”

 アナイスカンパニーがプランニングを手掛ける「フレンフドリー ヘルス クラブ(FRIENDLY HEALTH CLUB)」は、出汁に着目した“UMAMI(ウマミ)サプリ”を展開している。

 食生活の乱れや運動不足、精神的ストレスなどさまざまな問題に対し、自分自身で健康やライフスタイルを簡単に整えられるようにしたいという思いから、脳と体が必要とする“アミノ酸”を“出汁”という形で手軽に飲めるようにパッケージした。

 粉末スープ仕様の“UMAMIサプリ”は、ストレスマネジメントやダイエット、質の高い睡眠、理想的な朝、疲労といった目的別にサポートする5つのフレーバーをそろえる。鰹、鯖、鮪、昆布、椎茸などの出汁をベースにハーブをブレンドし、素材が持つ風味やうま味を感じられる。価格は各10包、1600円。

そのまま飲める“和だし”飲料

 コカ・コーラは、飲料ブランド「ゴーグッド(GO:GOOD)」からキッコーマンが監修した“和だし”飲料“GO:GOOD ゴクっ!と旨い和だし”を販売している。「ゴーグッド」は、19年に忙しい合間でも気軽においしく味わえるリキッドフードブランドとして誕生。“GO:GOOD ゴクっ!と旨い和だし”は、リラックス効果も期待できるうま味にこだわり、世界でも注目されている出汁をベースに開発された。厳選したかつおや昆布、あごのエキスにより、出汁本来の味わいと香りを引き立たせている。「飲料として飽きがくることなく」飲み干せて、料理にも使える。価格は185g、148円。

免疫力を高めるビタミンCの
吸収をサポート

 ポーラは2月1日、12種類のビタミンを含むサプリメント「ネクステージ シー」を発売する。免疫力を高める栄養素のビタミンCと、その吸収をサポートする「ドラゴンヘッドエキス」を配合し、ビタミンCが体の中に長くとどまるように工夫されている。口溶けのよい顆粒状で、酸味のあるハーバルシトラス風味を採用しているため、水がなくても手軽に摂取できるのが特徴だ。価格は30包、4900円。

400種類以上の栄養素を含む
“飲む化粧水”

 菌ケアサービスを展開するKINSは、乳酸菌が作り出す400種類以上の生成物質をまとめて摂取できる“KINS ESSENCE”を販売している。発酵の力に着目し、腸内の善玉菌を育て腸内環境を整えるエッセンスで“飲む化粧水”とも呼ばれている。お酢のような沢山な酸味で、そのままでも飲み物や料理にふりかけても摂取が可能だ。

免疫機能の維持を
サポートするタブレット

 ファンケルは、キリンホールディングスの独自素材「プラズマ乳酸菌」を使ったサプリメント“免疫サポート チュアブルタイプ”を販売している。健康な人の免疫機能維持に役立つ機能性表示食品で、免疫の司令塔プラズマサイトイド樹状細胞に働きかけるプラズマ乳酸菌を1000億個配合。レモンヨーグルト風味で、口腔内で噛み砕いて服用するチュアブルタイプ。ファンケル独自の技術を採用し、口の中に入れるとシュワっと炭酸が発砲するのも特徴だ。価格は30日分(60粒)、3000円。

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佐久間裕美子著 「Weの市民革命」 「消費アクティビズム」の時代に、企業はどう成長していくべきか

 ニューヨークに在住し、これまで「ヒップな生活革命」(朝日出版社)、「ピンヒールははかない」(幻冬舎)、「真面目にマリファナの話をしよう」(文藝春秋)などを上梓してきた佐久間裕美子氏による新刊「Weの市民革命」(朝日出版)が発売されました。佐久間氏には昨年4月にアメリカのサプライチェーンの現状について寄稿してもらい(「佐久間裕美子のNYリポート 新型コロナ禍を機にサプライチェーンを再考する」)、コロナ禍で浮き彫りになったサプライチェーンの問題点を的確に解説していただきました。

 新刊「Weの市民革命」では、新型コロナやアメリカ大統領選挙によって、社会変革を求める力が消費文化や企業にどんな影響を及ぼしたのかというグローバルな視点から、ニューヨークに暮らす一人の消費者として見た、まわりのコミュニティーの変化、さらには差し迫った地球温暖化や廃棄問題などに関するグローバルな動きと、「自分ごとのサステナビリティ」や「自分はどんな消費者でありたいか」といった一消費者の目線で書かれた環境問題に焦点を当てています。

「消費アクティビズム」の時代が到来

 「消費」によって自身のスタンスを表明し、社会の変革を求めて声をあげていくミレニアル世代や、それより若い世代のジェネレーションZに対し、企業側がそれにどう向き合い、これまでの利益重視型から新たな一歩を踏み出そうとしているかの事例は、その流れが強くなってくるであろう今後の日本においても、知っておくべき内容です。

 「自分が反対する政治家とつながりのある企業やブランドには不買の姿勢を表明する『ボイコット』と、自分が信じる大義や価値にコミットする企業やブランドには喜んでお金を使う『バイコット』の二本柱からなる、『消費アクティビズム』の時代が到来した」といいます。それをけん引するミレニアム世代は、モチベーションも高く独立精神も強いが、同時に自我も強いため、皮肉を込めて「ミー(Me)」世代と呼ばれていましたが、財力と消費力がある彼らを中心に「消費」を通じた社会運動を先導するようになったといいます。そのあとに続くのはミレニアル世代同様に、社会意識や環境への関心が高く、ミレニアル以上に世界を変えたいというモチベーションと危機感の強いジェネレーションZ世代。彼らは環境、差別、移民問題といった人権問題に対し、「個人の自由より世界全体の人権を重んじ、過去に抑圧されてきた人たちの真の社会的平等追求することが自分たちの『共同責任』」であり、それが「『We』の時代の到来」の背景にあるといいます。

 アメリカなどの海外のみならず、日本に目を向けてみても、若者による企業や社会への投げかけは、少しずつ顕著になってきています。つい最近では、女子高生たちがファミリーマートの総菜シリーズ「お母さん食堂」のネーミングを変えてほしいと訴える署名活動を行い話題になっています。お母さんが食事を作るのは当たり前という“無意識の偏見”につながりかねないとしているのです。

 SNSの発達であっという間に運動が世界に拡散されていく時代に、企業側はどう変化していくべきなのでしょうか?著書にある「革命が中継されている」という言葉は決して大げさなものではないということを、紹介されている事例を読み進めるうちに理解していきます。

企業の政治的スタンスを表明させる若者のエネルギー

 これまで、政治的立場の表明を避ける姿勢を貫くことで政治的立場が違ったり、中立の消費者を遠ざけてしまうリスクを避けてきたりした企業も、若い消費者たちの購買力と発信力が、企業に政治的スタンスを表明させる原動力になっていると言います。加えて、人権問題などの政策の変更により、直接的に影響を受ける従業員や顧客の権利を守るためにもスタンスを表明するようになってきているとしています。事例の一つとして紹介されていたのは、中絶の権利を制限しようとするいくつかの州の運動に対して、大企業から中小のファッション企業までが連名で「(中絶を制限することは)従業員や顧客の健康、独立性、経済的な安定を脅かすもの」とする書簡をニューヨーク・タイムズ紙の全面広告に掲載したという内容でした。

 「企業の存在意義は利益を出すことだけではなく、具体的な社会課題の解決、『パーパス(目的)』の達成を目指す企業の方が組織として強く、長期的な成功を実現できる」。そのシフトを促しているのは、主にミレニアル世代の従業員や消費者であり、企業に対する彼らの目線がコロナ禍においてますます厳しくなっている。――彼らの声に柔軟に耳を傾ける企業と、変革に腰の重い企業では、それこそ長期的な成長に差が出るのではと示唆する内容でした。近年、「パーパス・ドリブン(目的に動かされる)」という言葉を耳にすることも増えましたが、目的に向かって邁進する企業が最終的には企業の存在意義を強め、社会に支持され必要とされるのではないでしょうか。

 実際に、新たなビジネスのシステムや考え方も生まれています。株主だけでなく、従業員や顧客を含むステークホルダーを大切にしているかといった評価軸に従って、証券の価値が決まる証券取引所、ロングターム証券取引所が2020年9月にオープンしたそうです。四半期ごとの短期の財務諸表で判断する社会システムに替わり、長期的なバリューを創出できるかを重視しており、企業に長期的持続性を求める投資家と、長期的なビジョンを持つ企業とをマッチングすることで、「社会全体に対して責任を負うことへのインセンティブを創出する」というのが特徴です。

自社の事業に関わる全ての人々がステークホルダーである

 2000年代になって、「株主へ利益を還元することよりも、『社会全体の利益』を優先する企業形態が登場し、社会や地域全体を自分のコミュニティーとみなし、それを守るための経済活動にコミットする企業が増えてきた」と言います。「従業員、コミュニティー、サプライヤー(物資の供給元)やベンダー(出入りの業者)、顧客、株主といった、自社の事業に関わる全ての人々をステークホルダー(利害関係の保持者)とし、事業に関わる全員の勤務・商業環境を整備したり、フェアな賃金を確保したりするだけでなく、彼らの幸せを実現しようと努めることが組織を強くし、事業の持続性を高める」という考え方です。

 調査会社デロイトのミレニアルの動向を分析するリサーチ結果によると、ミレニアル世代は、仕事のやりがいよりもワーク・ライフ・バランスや勤務形態の柔軟性を重要視する一方で、17年以降の結果では、彼らにとって働く企業を決める上で大切なのは、雇用主の経営方針がサステイナブルあるいはエシカルであるか、従業員や顧客を大切にしているか、商品やサービスのクオリティーが良いかといったことであり、経営陣に求めるのは、「競争ではなくコラボレーション、権力闘争ではなく透明性を重んじる企業文化」だと言います。

 アクティビストでもある従業員が増えていく中で、今後企業はどのように彼らと向き合い、変革を求める声に耳を傾けるか、それが企業評価、ひいては、社会における企業価値につながっていくのではないかと思います。「社会のプログレスを信じる従業員との良好な関係が、ビジネスとしての成功に必要な要素の一つであることを企業側も理解しつつある」という流れは、ますます加速していきそうです。

 佐久間氏はあとがきで、「新時代の『We』は社会全体の集合的な利益だけを追求するものではない。一人ひとりが差別や抑圧を受けずに生きられる世の中を目指し、自分以外の誰かのために、声を上げたり、行動を起こすから『We』なのだ」と締めくくっています。

 著書の中ではこのほかにも、アパレル産業のサステナビリティから、佐久間氏がゼロ・ウェウスト(ごみをゼロにすることを目標に廃棄物を減らす取り組み)を実践してみた話まで、住んでいるニューヨークの環境問題を織り交ぜながら、とても分かりやすく書かれています。まだまだここでは書ききれませんので、興味のある方はぜひ手にとってみてください。

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NYから日本人が発信するブランド「タナカ」 “サステナビリティはかっこよく”100年先も廃れない服作り

 世界中でサステナビリティに取り組む企業が増えている中、デザインとサステナビリティの両立を困難に感じているブランドも多い。「サステナブルと言えても商品自体が魅力的であることが大事で、そのかっこよさを伝える努力をブランド側がしなければならない」と話すのはニューヨーク発のファッションブランド「タナカ(TANAKA)」のタナカサヨリだ。

 タナカはヨウジヤマモト社を経て、「ユニクロ」のウィメンズデザインのチームリーダーを務めたのち、海外生活でインスピレーションを得ながら、遠隔で日本と中国で生産している。ブランドコンセプトに“今までの100年とこれからの100年を紡ぐ服”を掲げ、長く愛される服を目指しながらサステナビリティにも取り組んでいる。

 海外が40アカウント、国内10アカウントで、卸先は8割が海外。カナダ発のラグジュアリーECのエッセンス(SSENSE)やロシアの有力店ツム(tsum)をはじめ、日本ではビショップ(Bshop)、シティショップ(CITYSHOP)、シップス(SHIPS)などで取り扱いがある。現在は仕事の関係で、ヨーロッパに滞在するタナカに、ブランドのサステナビリティに関する考えや、遠隔でのモノ作りについて話を聞いた。

WWD:まずはバックグランドを教えて欲しい。どのような環境で育ったのか?

タナカサヨリ(以下、タナカ):自然が豊かな新潟県に生まれ、祖父が庭師、父が洋画家で着物のテキスタイルデザイナーという家系に育ち、幼い頃からアートが身近にありました。家には面白い写真や図案、世界のアーティストの作品が掲載されている本がたくさんあって。祖父や父の働く姿を見て、人に喜んでもらえたり、感動を与えられたりするようなモノ作りに憧れを持つようにもなりました。小学3年生頃にはファッションデザイナーを志していて、作文の将来の夢として書いていたようです(笑)。そうして、東京の服飾専門学校へ進学し、卒業後にヨウジヤマモトに入社しました。

WWD:前職ではどのような経験を?

タナカ:ヨウジヤマモトでは入社1〜2年目でデザインをするチャンスをいただき、在籍中に「ヨウジヤマモト ファム(YOHJI YAMAMOTO FEMME)」「ヨウジヤマモト プールオム(YOHJI YAMAMOTO POUR HOMME)」「ワイズ フォー メン(Y’S FOR MEN)」を担当しました。4年間働いて退職。その後、お声がけをいただきユニクロで業務委託の形で働き始めて入社することに。ウィメンズのデザインリーダーとして東京のほか、上海に2年間、ニューヨークに8年間、それぞれのデザインオフィスで働くことになりました。若い頃から海外で働くことができ、本当にいい経験をさせてもらいました。

“気持ちが高揚する服を、
国籍や人種の異なる人々に届けたい”

WWD:「タナカ」をスタートしたきっかけは?

タナカ:このキャリアを突っ走ってきて、上海とニューヨークでの生活でふと我に帰るタイミングがありました。世界中の人たちとコミュニケーションを取ることで、可能性は無限大に広がり、何かワクワクすることを海外を拠点にやっていきたいと感じたんです。特にニューヨークでの暮らしからインスピレーションを受けることが多く、気持ちが高揚するような特別感がある服を、国籍や人種の異なるさまざまな人に届けたいと。また、これまでの経験を生かしてアジアの生地や生産背景を世界に発信できるのではないかと思いました。

WWD:ブランド名はなぜ「タナカ」にしたのか?
タナカ:いろいろ考えたんですが、自分の家族にリスペクトがあり、私のフルネームよりも家族として続くものを表現したいと思ったからです。また「タナカ」は日本でも多い名字の一つ。世界を視野に入れたときに、日本を代表するブランドになるようにとあえて分かりやすい名前にしました。

WWD:モノ作りでは素材にもこだわっている。

タナカ:生地は日本製が多く、ニットや布帛は中国で生産しています。ブランドでも好評アイテムである岡山デニムは、世界でどこを探してもできない表情の加工ができるんです。中国も技術が高く、勤勉で前向きに一緒にモノ作りができる。私は小さな違いが、着る人の1日を変えると思うので、細かいところまでこだわってしまいますね(笑)。最近はヨーロッパでの仕事もあるので、アイテムによってベストなモノ作りができるよ生産地を広げていきたいと思っています。

次の100年のスタンダードになるような服

WWD:サステナビリティへの考えは?

タナカ:ブランドコンセプトに「今までの100年とこれからの100年を紡ぐ服」を掲げています。私はビンテージ、昔からあるユニフォームや作業着が好きで、それらはその時の生活や用途に合わせて作られた服で、よくできているものが多いんです。これまでの100年に敬意を払い、「タナカ」では次の100年のスタンダードになるような服を作っていきたいと考えています。クリエイターとしてゴミを作らず、モノ作りではなるべくリサイクルの生地や環境に優しいものを選びたい。サステナブルやエコって一見、ほっこりしたイメージがあると思うんですが、かっこいいものを発信するためには努力が必要に感じます。「タナカ」では2019-20年秋冬のルックを写真家の小浪次郎さんにニューヨークで撮り下ろしてもらい、色気があってエッジの効いたイメージを打ち出すことができました。

WWD:具合的にどのようなアイテムが環境に配慮して作られている?

タナカ:デニムでは従来捨てられてしまう落ち綿を一緒に混ぜて作っていたり、洗いや加工で使用した水を再利用できるまて綺麗にできる工場でお願いをしています。また、奄美大島の伝統的な泥染めで美しく、環境にも優しい染色を取り入れているほか、無染色の白を定番色のローホワイトとして提案し、染めずともそのままで生地の風合いと色の美しさを表現しています。これらの商品は北米、ヨーロッパでも評価が高く、手に取っていただける方が多いです。やれる範囲でやっていますが、まだサステナブルなモノ作りはコストがかかってしまうのが事実。その部分をお客さまにも理解をしてもらうことも大切だと思います。

WWD:日本でもサステナビリティに取り組む企業は増えているが、欧米とはまだ環境問題への意識に差がありそうだ。海外にいることで違いを感じることは?

タナカ:アメリカ、特にニューヨークではサステナビリティへの意識は強いと思います。買い物では、モノが溢れている中で、どういう企業から、どのような商品を買いたいのか?というような思考があり、どうせだったら、環境問題に取り組む姿勢のある企業から商品を購入したいと思っている人は多いです。その先駆けが「エバーレーン(EVERLANE)」で、モノ作りの透明性を開示したアプローチに共感する人が増えています。ヨーロッパの店舗でも「サステナブルだったら商品を買い付ける」という店も出てきています。人それぞれ意見は異なると思いますが、私はモノ作りは責任だと思うので、サステナビリティへの取り組みはやれるんだったら、やったほうがいいと感じます。

“お客さまにエキサイトメントを届けたい”

WWD:海外からの遠隔作業は難しくないのか?

タナカ:日本にもサポートしてくれるメンバーがいて、助けられています。コロナ前は、数カ月に1回のペースで日本や中国に行って直接コミュニケーションを取ってきていたので、信頼関係を築くことができています。その信頼関係がある上で、LINEやZoom、ワッツアップ(WhatsApp)、フェイスタイムなどを駆使しながら話しています。それぞれの取引先にキーマンがいて、伝えたいことをわかっていただけて、私も職人さんの腕を信頼しています。特にデニムの加工を担当していただいている、西江デニムの柞磨さんは10年以上の付き合いがあり、私の感覚を電話やメールなどですぐに理解してくださっています。コロナが落ち着き、また自由に動けるようになったら、すぐに商品を作ってくださっている現場に行きたいと思っています。

WWD:海外でコロナ禍を経験して変化を感じることは?

タナカ:ビジネス面では、ロックダウンにより店舗が閉まったことでオーダーがキャンセルになることもありました。ただ、現在所属しているミラノのショールームではデジタルショールームとして直接見れないバイヤーにも営業をしているので、ありがたいことに取り扱いの店舗数は毎シーズン増えいます。作り手として感じるのは、このような状態でも、一緒にモノ作りを続けてくれている人々への感謝。こういう時だからと遠慮せずに、しっかりクリエーションに反映して、お客さまに喜んでもらえるものを作っていかなければならいないと思っています。

WWD:今後の目標は?

タナカ:お客さまにどうやってワクワクすることを届けられるかということを考えています。私個人的には家の時間が長いので、レコードを集めたり、アコースティックギターも買ったりと、改めて音楽の素晴らしさを認識しました。そのエキサイトメントを表現すべく、みんなが楽しめられる場所やイベントのようなことも考えていきたいと思っています。またモノ作りでは100年廃れない服を作り続けること。今後、廃棄されるような、倉庫で埋もれている生地などを使って1点モノを作ることにもチャレンジしたいですね。

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〜立ち上がれ!産地の若者たち 前編〜 尾州伝統の再生ウール“毛七”を世界へ 32歳彦坂さんの挑戦

 海外製のファストファッションやSPA(製造小売業)アパレルの台頭により、国内の繊維産地は衰退の一途にある。そのような中、産地では若い人材が中心となって新たなビジネスチャンスを生み出そうとする取り組みが生まれている。

 2020-21年秋冬シーズン、ゴールドウインの新作アパレルコレクションでチェック柄ウールを使ったコレクション8点がラインアップされた。見て、触って上質と分かるこの生地の主原料は再生羊毛。毛織物の産地・尾州(愛知県尾張西部地域から岐阜県西濃地域)で織られたものだ。

 同地域で半世紀以上前から伝統的に作られてきたリサイクルウール生地“毛七”(けしち)。このテキスタイルへの注目度が今、国内のアパレルメーカーなどの間でじわじわと高まっている。読んで字の如く、ウールが70%、残り30%がナイロンやポリエステルなどの合成繊維で組成される混紡素材。国内に流通する古着のセーターを厳選して原料とし、尾州に残る旧型の織機でゆっくり織ることで、一般的なリサイクル素材と一線を画す質感を実現している。19年夏、現地の毛織物卸業・大鹿(愛知県一宮市、大鹿晃裕社長)が自社のリサイクルウールを“毛七”として正式に商標権を取得。若手社員チームが中心となったブランディングの努力により、取引高は2.5倍に跳ね上がっている。

 “毛七”は、尾州の織物の歴史とともに一帯に根付いてきた「文化」でもある。同地域では、木曽三川の水源や豊かな土壌に恵まれ、奈良時代から繊維産業が栄えた。1940年代になると、軍服生産などの戦時特需を追い風に、織物産地として世界的に名を馳せた。一方で生産拡大とともに、製造のプロセスで生まれる端切れや落ち綿なども増えた。それを「もったいない」という日本人的精神で再利用すべく“毛七”は生まれ、主に一般庶民のための普及品に使われてきた。

 近年では安価な外国産製品に押され、尾州の毛織物業は衰退の一途をたどってきた。サステナブル意識の高まりを追い風に、“毛七”にスポットライトを当てることで復興につなげようと動き出したのが大鹿の若手社員たちだ。チームの陣頭指揮を執るのが32歳の彦坂雄大さん。毛七の品質を実現する上では、膨大な古着の山の中から良質なウール生地を見極める“目”であったり、裁断により古着を原料化とした後に紡績、織布する作業の“腕”であったりと、さまざまな職人技がキモになる。そこで彦坂さんは「尾州の再生ウールは他にない歴史、モノ作りの背景こそが強み」と分析し、「これを若い自分たちのセンスで発信できれば、市場で差別化できる」と考えた。

 彦坂さんらはすぐさま“毛七”のホームページ制作に着手。モノづくりをテーマに、原料の選別や生地を織るプロセスにフォーカスした記事コンテンツやブログを設置し、オウンドメディア化を進めた。さらに生地メーカーにはめずらしく、ビジュアルにこだわった「生地カタログ」も作成。すると取引の問い合わせも増え、国内デザイナーズブランドの2021年春夏の新作でも“毛七”が使われることに決まった。

 「全く新しいことにチャレンジするには膨大な時間と資金が必要だ。発想の転換で、尾州ならではの歴史やモノづくりの背景といった、『すでにあるもの』を強みにしていきたい」と彦坂さんは話す。尾州を苦境に追いやってきたSPAアパレル商品の普及も、“毛七”の生産においては追い風になっているという。彼らの企業努力で、良質なウール100%の古着が市場に流れ込むようになったためだ。「エシカルやサステイナブルという言葉が流行語のように使われるようになったが、尾州にはウールを貴重な資源として当たり前に大切にしてきた文化がある。これからは自分たちがバトンを受け、先人が当たり前にやってきたことが世界で再び評価されるよう努力していきたい」。

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洋服を着たままエステが受けられる リラックスモード全開の“ハンモックの眠り”を体験

 新型コロナウイルス感染拡大の第三波が襲来する中で、化粧品業界は引き続きタッチアップの自粛などを行っている。そんな中で直接肌に触れる施術を行うエステティックなどは、安心安全な体制を取った新しいメニュー開発・提供する。全国にエステティックサロンを展開するソシエ・ワールドが今秋からスタートしたメニュー“ハンモックの眠り”を体験してきた。

 エステティックといえば、洋服を脱いで肌にボディーオイルやクリームなどを塗布しながら施術するのが一般的だ。しかしコロナ禍で他人との直接的な接触を控えるようになり、顧客の足が遠のいてしまった。そこで開発したのが洋服を着たまま施術が受けられる“ハンモックの眠り”だ。

 実際にハンモックに揺られながら施術を受けるわけではなく、通常のゆったりしたサロンの個室でハンモックに身を委ねたようなリラックス気分が味わえるというもの。このメニューをエステティック&スパ ビューティアベニュー ソシエ 新宿タカシマヤタイムズスクエア店で体験した。

在宅勤務でなまった体に喝

 新宿御苑を見下ろせる個室に案内され眺望を満喫した後に早速施術開始。着替えがないため施術を受けるまでの準備が少ないのがいい(もちろん服を脱いで施術してもらう既存のメニューも個人的には大好き)。体験したのは“着衣 DE エステ 30”(30分、3500円)という、ゆらす・たたく、といったさまざまなエステティック技術を洋服の上から行うボディーケアと、頭皮から顔、肩、首、デコルテまでをほぐしてくれる“ヘッドタッチ 30”(30分、3500円)。

 在宅勤務で体を動かす機会がめっきり減ったが、一気にほぐれていくのを実感。夢うつつの至福の時間が過ぎていった。ヘッドスパによって目の疲れも取れ、施術後は目の大きさが違うのがわかったほど。体のメンテナンスはやっぱり必要と痛感した時間だった。

 施術をしてくれた女性に話を聞くと、「洋服を着たままこれまで同様にリラックスをしてもらうかが大変だった」とのこと。それを実現するために今までとは異なる技術研修を受けたそうだ。

 このハンモックの眠りを開発したことで、男性客にも対応できることに。施術時間が30分であることも買い物途中に気軽に立ち寄れる一因となっているようだ。エステティック業界も人の手を介さないセルフタイプが注目を集めるなどコロナ禍で変革している。

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2021年美容トレンドはどうなる?メイク編 鍵は「まだマスク着用で目元フォーカス」「コロナ後の気分は前向きに」

 2021年春のメイクアップは、コロナ禍という経験を経た「今の気分」が表現されているように思う。さまざまなストレスとの対峙を強いられた、重苦しい空気感から一歩踏み出すように。コレクションのテーマは「春の訪れ」「希望」「夜明け」など、「幕開け」のイメージが目立つ。カラーは花々や木々など、自然の延長線上にあるような、穏やかなトーンが充実している印象だ。そんなメイクのトレンドを、3つのキーワードでひも解きたい。

【メイクトレンド1】
アイカラーの主役は自然を想起する
「ボタニカルカラー」

 マスク着用の習慣が続く限り、メイクは「目元」に軸足が置かれそうだ。21年春のアイカラーのトレンドは「ベージュ」「ブラウン」「ローズピンク」など、穏やかなトーンのカラーたち。昨年春のトレンドが明るい「イエロー」だったことを考えると、実に対照的である。

 陽光の下で咲くみずみずしい花々を表現した「ディオール(DIOR)」、植物との出合いをテーマにした「ルナソル(LUNASOL)」など、“自然界の美”にインスパイアされたコレクションも多い。自由に外出することがままならない中「自然に触れ穏やかな気分で過ごしたい」、そんな思いが伝わってくる。どの色も透け感に優れており、まだ完全に楽天的になれないけれど「軽やかさ」「透明感」を求める気持ちを象徴している。

【メイクトレンド2】
大人の遊び心あふれる
「中間色」のアイライナー

 ここ数年人気のカラーアイライナーは、マスク着用習慣で、ますます存在感が高まりそうだ。これまでは若年層を中心に、赤やボルドーが流行していたけれど、今シーズンの注目カラーは「絶妙な中間色」。「スック(SUQQU)」からは、ホワイトを含むスタイリッシュなスモーキーグレーが。「セルヴォーク(CELVOKE)」からは、赤みを帯びたビターピンクが登場。いずれも、ありそうでなかった、大人のためのモダンなカラー。あえて太めに入れて、目元に遊び心溢れるニュアンスを添えたい。

【メイクトレンド3】
リップは透け感のある
トリートメント系

 この春も各社から続々リップカラーが登場するけれど、個人的に「今はこういうものがつけたいな」と感じたのが、トリートメント効果に優れた「透けリップ」。「アディクション(ADDICTION)」から登場する全9色の“リップ オイル プランパー”は、唇に潤いとツヤ、そして淡いニュアンスを添える心地良い感触が印象的。「ジバンシイ(GIVENCHY)」の“ランテルディ・リップスティック No.01”は、しっとり唇を包み込み、唇本来の色を透かしながら微細な輝きを添えるニュアンスブルー。双方共にストレスフリーの使い心地と、マスクを外した時にも「唇本来の立体感が際立つ」効果が嬉しい。

 コロナ禍を経て、リップを使う機会が減ったように「一時的に変化したこと」もあれば、スキンケアで肌を立て直す重要性のように「本質に気づかされたこと」もある。たぶん、私たちは2020年の経験から、今後「自分に本当に必要なもの」を、よりシビアに選択していくことになるだろう。

 そういう意味で、この1年間で最も価値観が変わり、女性たちの目下最大の関心事といえば「ベースメイク」にほかならない。次回のコラムでは、ベースメイクの未来について考えたい。

宇野ナミコ:美容ライター。1972年静岡生まれ。日本大学芸術学部卒業後、女性誌の美容班アシスタントを経て独立。雑誌、広告、ウェブなどで美容の記事を執筆。スキンケアを中心に、メイクアップ、ヘアケア、フレグランス、美容医療まで担当分野は幅広く、美容のトレンドを発信する一方で丹念な取材をもとにしたインタビュー記事も手掛ける

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2021年美容トレンドはどうなる?メイク編 鍵は「まだマスク着用で目元フォーカス」「コロナ後の気分は前向きに」

 2021年春のメイクアップは、コロナ禍という経験を経た「今の気分」が表現されているように思う。さまざまなストレスとの対峙を強いられた、重苦しい空気感から一歩踏み出すように。コレクションのテーマは「春の訪れ」「希望」「夜明け」など、「幕開け」のイメージが目立つ。カラーは花々や木々など、自然の延長線上にあるような、穏やかなトーンが充実している印象だ。そんなメイクのトレンドを、3つのキーワードでひも解きたい。

【メイクトレンド1】
アイカラーの主役は自然を想起する
「ボタニカルカラー」

 マスク着用の習慣が続く限り、メイクは「目元」に軸足が置かれそうだ。21年春のアイカラーのトレンドは「ベージュ」「ブラウン」「ローズピンク」など、穏やかなトーンのカラーたち。昨年春のトレンドが明るい「イエロー」だったことを考えると、実に対照的である。

 陽光の下で咲くみずみずしい花々を表現した「ディオール(DIOR)」、植物との出合いをテーマにした「ルナソル(LUNASOL)」など、“自然界の美”にインスパイアされたコレクションも多い。自由に外出することがままならない中「自然に触れ穏やかな気分で過ごしたい」、そんな思いが伝わってくる。どの色も透け感に優れており、まだ完全に楽天的になれないけれど「軽やかさ」「透明感」を求める気持ちを象徴している。

【メイクトレンド2】
大人の遊び心あふれる
「中間色」のアイライナー

 ここ数年人気のカラーアイライナーは、マスク着用習慣で、ますます存在感が高まりそうだ。これまでは若年層を中心に、赤やボルドーが流行していたけれど、今シーズンの注目カラーは「絶妙な中間色」。「スック(SUQQU)」からは、ホワイトを含むスタイリッシュなスモーキーグレーが。「セルヴォーク(CELVOKE)」からは、赤みを帯びたビターピンクが登場。いずれも、ありそうでなかった、大人のためのモダンなカラー。あえて太めに入れて、目元に遊び心溢れるニュアンスを添えたい。

【メイクトレンド3】
リップは透け感のある
トリートメント系

 この春も各社から続々リップカラーが登場するけれど、個人的に「今はこういうものがつけたいな」と感じたのが、トリートメント効果に優れた「透けリップ」。「アディクション(ADDICTION)」から登場する全9色の“リップ オイル プランパー”は、唇に潤いとツヤ、そして淡いニュアンスを添える心地良い感触が印象的。「ジバンシイ(GIVENCHY)」の“ランテルディ・リップスティック No.01”は、しっとり唇を包み込み、唇本来の色を透かしながら微細な輝きを添えるニュアンスブルー。双方共にストレスフリーの使い心地と、マスクを外した時にも「唇本来の立体感が際立つ」効果が嬉しい。

 コロナ禍を経て、リップを使う機会が減ったように「一時的に変化したこと」もあれば、スキンケアで肌を立て直す重要性のように「本質に気づかされたこと」もある。たぶん、私たちは2020年の経験から、今後「自分に本当に必要なもの」を、よりシビアに選択していくことになるだろう。

 そういう意味で、この1年間で最も価値観が変わり、女性たちの目下最大の関心事といえば「ベースメイク」にほかならない。次回のコラムでは、ベースメイクの未来について考えたい。

宇野ナミコ:美容ライター。1972年静岡生まれ。日本大学芸術学部卒業後、女性誌の美容班アシスタントを経て独立。雑誌、広告、ウェブなどで美容の記事を執筆。スキンケアを中心に、メイクアップ、ヘアケア、フレグランス、美容医療まで担当分野は幅広く、美容のトレンドを発信する一方で丹念な取材をもとにしたインタビュー記事も手掛ける

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“香りの編集者”フレデリック・マルが世界最高峰の調香師らとメゾン20年の歴史を語る 「万人受けする香りではなく個性が光る香水を作る」

 「フレデリック マル(FREDERIC MALLE)」はこのほど、メゾン誕生20周年を記念してパフュームサミットを開始した。創業者のフレデリック ・マル(Frederic Malle)が、これまでメゾンの香りを手掛けてきた世界最高峰の調香師と共に香りやブランドなどについて語った。

 そもそもマルは、1962年にアーティストや調香師、実業家が名を連ねる家系に生まれた。「私は幼いときから、(家族などの)周りが常に香水について語っていたし、香りに関する会話をよく耳にしていた。5歳のときには香水の絵を描き、常に香りをまとっていた。子どものときは香水をそこまで理解できていなかったが、女の子が気になりはじめた年頃から、香りが人に与える影響を感じるようになった。人を引きつけるその魅力に気付いてから、香りの世界に進もうと思った」とマル。

 そこで数多くのプレステージフレグランスを作るルール・ベトラン・デュポン(ROURE BETRAND DUPONT)に就職し、世界最高峰の調香師たちと出会う。25年以上をかけて彼らと親交を深めていくうちに、自身のメゾンを立ち上げることを決意。多くの化粧品ブランドがイメージやマーケティングを訴求する中でマルは本来香水の本質である“香り”にフォーカスし、芸術的な香りを作るミッションに出た。そこで誕生した「フレデリック マル」は“エディション ドゥ パルファム(香りの出版社)”というコンセプトを掲げ、真のラグジュアリー パルファムの制作にこだわった。マーケティング戦略や時間、原料、コストなどにとらわれず、調香師にクリエイティビティーの自由を与えたのだ。マルはまさに“編集者”として、世界中の調香師の手掛ける作品を集積したメゾンを立ち上げることにしたのだ。

“香りの編集者”として真に作りたい香りを

 「“香りの編集者”というポジションは私が作った概念。当時は香水の“マスマーケット化”が進み、調香師と消費者との距離がどんどん離れていった。調香師からも不満の声を多く聞くようになった。ユニークで面白い香水が消え、いつしか、つまらない香りばかりが市場に出るようになったし、友人も香水を付けなくなっていった。それでも私は香水が好きでたまらなかったし、どうにかこの状況を変えたかった」。

 そんなある日、マルは日々を共にしていた調香師との関係が、編集者と作家との関係に近いことに気づいたという。「メーカーで働いていた私は、ときには調香師が作る香りにアドバイスをしたり、要望を出したり、彼らの香りを“編集”していたんだ。そこで自分が調香師の“編集者”として彼らが本当に作りたい香水をかなえられたら、真に美しくユニークな香りの世界が蘇るのでは、と思った」。

 香水業界の既成概念を打破しようとしていたマル。彼はその後、世界中の最高峰調香師とタッグを組み、“マニアック”な香りを次々と生み出した。マルと協業した理由を聞かれた調香師のジャン・クロード・エレナ(Jean-Claude Ellena。“ローズ&キュイール”や“ロー ディベール”などを手掛ける)は「当時は私もまだ若く、次世代を担うパフューマーだったんだ。古いジェネレーションの調香師ともよくぶつかったし、ちょうど香水業界が変わりつつある時代にキャリアをスタートした。私は先輩たちとは違うことをしたかったし、業界を変えたかった。特に香水業界は(一般の人からして)謎に包まれ、閉ざされていた。そんな業界を解放し、調香師として、またアーティストとして自分の声を消費者に届けたかった。そこで少しずつニッチなメゾンフレグランスが台頭してきた時に、フレデリックのブランドを知り、彼はこう言ったんだ。『香水のボトルに、調香師の名前を入れたい』と。本当に驚いたよ。調香師が前に出ることは今までなかったからね。自分の名がボトルに載ることは、それだけの責任も持つ必要がある。でも、やっと“自分が作った香り”として認められることにもなる。ブランドの香りではなく、私の香り。それが面白くて、即座に協業を決めたよ。フレデリックには、私たち調香師にスポットライトを当ててくれて、感謝しかない」。

 調香師のピエール・ブルドン(Pierre Bourdon)は、マルと共に作った“フレンチラバー”という香りについて語った。「私もフレデリックも、母親が“ミス ディオール”をよく付けていたんだ。だから僕らにとって、幼少期を思い出す香りでもあって。共に作った“フレンチラバー”には、“ミス ディオール”に近いノートも感じられるんだ」。実際、パルファン・クリスチャン・ディオール (PARFUMS CHRISTIAN DIOR)の創設者だったマルの祖父はブルドンの父親をアシスタントとして迎え、その後マルの母親が彼の弟子になっている。「本当にファミリーストーリーがある香りなんだ」。


 “ダン テ ブラ”と“ムスク ラバジュール”を手掛けた調香師のモーリス・ルーセル(Maurice Roucel)は同製品が最も誇りに思う香りだと明かした。「当時、カシメラン(Cashmeran)という原料を使いたかったんだ。扱いが非常に難しい原料なだけに、調香師の間ではこれを用いた香水を作ることはステータスでもあった。多くが挑戦したが、いい香りを作ることに成功する人は少なかった。だからこそ、キャリアの中でも最も誇りに思う作品だ」。

“万人受けする”香りを求めるようになった大手

 香水業界の変遷について聞かれるとブルドンは「香水業界は70年代に大きく変わったと思う。大手企業がより“売れる”香りを作るようになったんだ。“ミス ディオール”を父が作っていた時代は、アルコールを500リットル調達していた。今は世界中に展開され、もっと大きなスケールで生産している。名作が次々と大量生産されていく中で、“万人受け”する香りが増えていった。昔はリスクを負ってでも個性的な香りを作ることが醍醐味だったのに」。アン・フリッポ(Anne Flipo)も賛同した。「一時期は、市場に出回る香水が全部似たような香りだったと思う。やっと今、ニッチな香水メゾンの活躍で個性的な香りが再び受け入れられるようになった」。

 ルーセルは「そして今の消費者はセフォラに行けば、何十種類もの香水をその場ですぐに試せる。だから嗅いですぐ彼らの印象に残らないと、選ばれない。トップノートに重きを置いた香りが増えているのではないか」と分析。「でも香水は本来、トップとミドル、ベースが重なりハーモニーを奏でるもの。そして時間をかけてゆっくり表情を変えるもの。だからトップノートだけでなく、全てを鑑みたブレンドを考えるべき」。

コロナで変わる人々の香りの趣向

 新型コロナウイルスの与えた影響についてマルは「ナイトクラブが閉まる中で華やかなドレスをまとって香水をつけることはないだろう。もちろん香水には相手を引きつけたり、印象付ける役割があった。同時に、香水は“自分のために楽しむ”ものでもあると思う。つけると良い気分になり、なんだか安心感や高揚感を与える。例えばジャン・クロードが作った“ロー ディベール”はとても心地の良い香りで、その“心地よさ”は現代人が求めているものでもある」と語った。

 ルーセルは「何でも香りの着想源となるのだ。今はみんな家でパンやケーキを作ったりしているけれど、それも香水の着想源になりうる。と話し、ブルドンも「都会に住んでいた人も、みんな今は実家に帰ったり田舎でロックダウンしていたりする。だから自然や田舎をほうふつとさせる香りを求めるようになるかもしれないし、香りの趣向も変わるかもしれない」とコメント。ドミニク・ロピオン(Dominique Ropion。“ポートレート オブ ア レディ”や“カーナル フラワー”などを手掛ける)は「(調香師として)われわれの仕事は変わることはない。常に、ユニークで新しいことを生み出すこと。もちろん、伝統的な価値や過去のクリエイションを大切にしながらね。だから香水業界の未来には全く不安を抱えていない。困難な状況であっても、それがイノベーションやクリエーションのきっかけになるだろうし、どんな状況であれ、新しいものを生み出せるから」。

 最後にマルは「私は自分だけのやり方で香水を作りたい。。私の香水のボトルがシンプルなのも、見た目や広告にお金をかけるのではなく、中身にこだわりたいから。今はニッチなメゾンが輝きはじめ、個性的な香りが再び活躍できるようになっている。『フレデリック マル』はいつの時代もチャレンジとイノベーションを続け、真にアーティスティックな香りを作り続けたい」と語った。

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大人顔負けのスケーティングとファッションセンス 14歳スケーター三谷小虎って誰だ?

 大阪在住、14歳の三谷小虎君を知ってる?「アディダス スケートボーディング(ADIDAS SKATEBOARDING)」や「タイトブースプロダクション(TIGHTBOOTH PRODUCTION)」など数社がスポンサーにつくほど、スケート界(主に関西方面)ではすでに有名人の小虎君。そんな知る人ぞ知る彼を初めて生で見たのは、ロサンゼルス発のピザレストラン「ピザニスタ(PIZZANISTA!)」が東京・原宿にオープンした先月のこと。店前の坂道をものすごい勢いでくだっていく彼は、14歳とは思えない大人顔負けのスケートスタイルとファッションセンス、14歳らしいチャーミングな笑顔で輝いていた。これはインタビューせずにはいられないと、遠路はるばる大阪まで、小虎君に会ってきた。

WWD:名前の由来は?

三谷小虎(以下、小虎):よう分からんすけど、親父が歴史上の人物から付けたって言ってました。「群れずとも豪勇無双の虎のように己の道を切り開き流されずに強く歩んでいける男に」だそうです。

WWD:いつスケート始めたの?

小虎:2013年だから6~7歳ぐらいっすね。

WWD:始めたきっかけは?

小虎:お母さんが昔買った全然使ってない新品の板が家にあって、遊び道具として乗ってみたらかっこいいなーって感じっすかね。

WWD:家族もスケートしてるの?

小虎:家族は誰もやってないんす。

WWD:スケートを教わったのは?

小虎:周りの人とか自分で映像見て研究したりっすね。

WWD:周りの同級生もスケートしてるの?

小虎:昔はみんなで一緒に始めたんすけど、今はみんなやめちゃってやってないっすね。

WWD:ケガしたことは?

小虎:結構何回もやってます。脚の骨折とかもあるし、腰も交通事故ぐらいのやつやって今もときどき痛いっすね。

WWD:ケガしても続けるスケートの魅力ってなに?

小虎:やっぱ達成感とかっすかねー。かっこいい人が周りにいるから俺も頑張らなっていう刺激で動いてる感じっす。

WWD:リスペクトしてるスケーターは?

小虎:いっぱいいますよ。上野伸平君とか岡本元気君とか宮原聖美君とか上原耕一郎君とか南勝巳君とか。みんな憧れっすね。

WWD:年齢的には東京オリンピックにギリギリ出れないよね?

小虎:そうなんすよね。でも出たいと思ったことはないっすねー。競技とストリートは全然違うと思うんで。

WWD:得意なトリックは?

小虎:うーん…やっぱやってて好きなのはフリップ系のトリックっす。

WWD:かっこいいスケートってなに?

小虎:難しいけど、技術+スタイル。技術とスタイルは一緒ぐらい大事やと思います。誰かのマネとかは偽物なんで。

WWD:最近はどこで滑ってる?

小虎:パークで滑って、その後ストリートっすね。

WWD:毎日どれぐらい滑ってるの?

小虎:1日最低でも6~7時間は滑ってると思います。毎日終電で帰ってますね。

WWD:お気に入りのデッキは?

小虎:最近ちょっと大きくして、このサイズが一番調子いいっすね。

WWD:お気に入りのシューズは?

小虎:今日は“ブセニッツ(BUSENITZ)”なんすけど、一番調子いいのは「アディダス」の“キャンパス(CAMPUS)”っす。

WWD:今日のファッションは?

小虎:「エビセン(EVISEN)」のパーカとキャップにショッピングモールで買ったパンツ、「タイトブース」のシャツ風カバン、「アディダス」のシューズ“ブセニッツ”。

WWD:モヒカンだったよね?

小虎:モヒカンだったのを学校あかんから坊主にしたんすよ。そしたら髪質変わっちゃって天パになっちゃったっす……。

WWD:中学校を卒業したら?

小虎:東京行きたいっすね。東京の方がいっぱいチャンスあるし、師匠の上野さんの元にいたいって感じっすね。伸平君なら親も安心できるかなみたいな。

WWD:同級生に言いたいことがあれば。

小虎:それぞれ頑張って将来かまし合えるようになりたいね!とかっすかね。

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冬コーデに映える こなれ感がアップする“ビーニー”の取り入れ方

 “ビーニー”とも呼ばれるニット帽は冬のコーディネートを助けてくれるアイテムです。防寒面ではもちろん、髪型も気にせずに済むので、近場のお出かけにも便利。ニット特有の質感のおかげで、ほっこりリラックス効果も発揮。顔周りが明るくなる上に、小顔効果のおまけ付きです。

 「コーチ1941(COACH 1941)」は、ヒッコリーストライプのアウターとスカート、ストライプシャツでトリプルストライプの装いにまとめました。シャツのブルーをビーニーにも生かして、顔周りをクールに表現。ダークカラーになりがちな冬ルックですが、明るい色をビーニーで取り入れれば、手軽にカラーバリエーションを広げられます。

赤ビーニーでチーク効果 あでやかさを上乗せ

 冬は装いに色が不足しがちになるので、赤系を顔周りに迎えられるビーニーは重宝します。顔周りにチークのような効果が期待できます。

 「マリメッコ(MARIMEKKO)」は、クロップド丈のピンクのニットカーディガンとグラフィカルなイージーパンツを組み合わせて、ソフトな雰囲気を演出。赤ビーニーをかぶることで、ポップな雰囲気を上乗せしています。帽子のかさ上げで縦長効果も。

ポジティブな印象付けに便利 バッグと合わせてプレイフル

 ビーニーは、ニューノーマル下でファッションに求められる、元気さやポジティブさといったムードを演出しやすいアイテムでもあります。

 「ノントーキョー(NON TOKYO)」は、ビッグモチーフが配された長袖Tシャツに、チェック柄のロングスカートを合わせて、“大人かわいい”系のストリート風コーデに。柄を生かした、プレイフルな着こなしです。さらに、バイカラーのビーニーとふわもこバッグでぬくもり感をプラス。赤を共通させて、小物が響き合うようなリズムを引き出しました。

白ビーニーでレフ板効果 色味はあえてずらす

 全体の色・柄からずらしてビーニーを取り入れるとアクセントになります。ニットならではの風合いを生かすには、白系が効果的。顔に光を集める“レフ板”効果も期待できます。

 「アニエスベー(AGNES B.)」は、チェック柄のセットアップで英国調のコーディネートに整えました。キーカラーは赤と黒。そこに白ビーニーを差し色的に加えています。ニット特有の“癒やされ感”を上手に使うと、顔周りにやさしげな印象が寄り添います。赤、黒と好対照な白を用いることで、“赤×黒”のコントラストが際立つ配色です。

“きれいめストリート”の3点セットで統一感アップ

 先ほどの“ずらし技”とは正反対の“束ね技”も使えます。ビーニーを含めて3点以上を同じ素材や色・柄で統一すれば、きちんと感が備わり、大人っぽさもアップ。シーンを選ばないコーデに仕上がります。

 ビーニー、マフラー、スカートの3点コーデを披露したのは「ワイスリー(Y-3)」。一般的にはカジュアルなイメージが強いビーニーですが、3点セットで統一感を高めれば、スタイリッシュに格上げ。ビーニーとマフラーにあしらわれたロゴが程よいアクセントになっています。モノトーンでまとめているのに、3アイテムの強弱のハーモニーで動きも出ています。

手仕事感で穏やかリッチ気分に ケーブル編みで小顔効果

 目立つポジションにあるからこそ、ビーニーは着こなしのムードチェンジャーになってくれます。立体感のある編み方を生かして、パンチを加える使い方も可能です。

 ざっくりしたケーブル編みのピンクニットを主役に据えたのは「ホリデイ(HOLIDAY)」。マニッシュなグレーのパンツを合わせて、ジェンダー&テイストミックスのコーデに。さらにケーブル編み×花柄の刺繍でクラフト感たっぷりのビーニーで穏やかな装いに。ニットアイテムをダブルで迎えて、ハンドクラフトのあたたかみを際立たせました。ニットの立体感のおかげで小顔効果もアップしています。

 寒さが厳しくなるこれからの時期は、まさにビーニーの出番。防寒アイテムとしてだけでなく、装いを深めるキーピースとして活用してみましょう。ニット素材ならではのあたたかな風合いは、穏やかさやリラックス感が欲しくなる、ニューノーマル下のおしゃれにうってつけです。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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