マツコ・デラックスが会長と対談? 伊藤忠のユニークな広報誌「星の商人」

 伊藤忠商事(以下、伊藤忠)は今年5月、70年の歴史を持つ月刊広報誌を季刊広報誌「星の商人」に刷新した。巻頭の対談企画に笑福亭鶴瓶やマツコ・デラックスが登場したり、海外駐在員がオススメフードを紹介したする全70ページで、広報誌の枠にとらわれないユニークな記事が並ぶ。

 同社はこれまで「伊藤忠マンスリー」という社内報を約70年発行してきた。グループ内で起こったニュースを社員に報告することを目的とし、「『いつこんなことが起きた』『今度こんなことをします』など小学校の壁新聞や学級新聞のようだった」と話すのは、「星の商人」発行責任者の小林文彦・代表取締役専務執行役員CAOだ。「メディアが発達し、社会のあり方がガラッと変わったのに、社内報は全く変わっていなかった。どうせ作るなら、しっかりと読者の心に刺さり、何度も読み返したくなるものを作りたい」と刷新の経緯を語る。

 創刊号では、落語家の笑福亭鶴瓶と岡藤正広伊藤忠商事会長がお好み焼き屋でざっくばらんに対談する巻頭企画を実施。続く2号目ではタレントのマツコ・デラックスを起用し、同社への印象ビジネスの醍醐味を聞いた。「業務報告で終わっては誰も手に取らないので、誰もが楽しめるコンテンツを作る」という強い姿勢が見て取れる。

 「星の商人」を手掛けるのは、「CBI(コーポレート ブランド イニシアティブ)」という新部署だ。今年1月に社内タスクフォースとして始まり、10月に実績が認められて正式な部署となった。メインメンバーは小林専務を含む3人。設立から間もないが、企業ブランドの拡大をミッションにさまざまな企画を走らせる。「普通に紙媒体を出しても面白くない。タイムリーな情報はオウンドメディアで掲載し、紙媒体にQRコードを差し込んだり、SNSへの出稿も積極的に行って若年層にもアプローチしたりしている。発行部数は3万だが、実質はもっと多くの読者がいる。『星の商人』を起点に、ワクワクする仕掛けを考えていきたい」。

 伊藤忠商事のようにBtoB事業を主軸にしている企業は、具体的な事業内容は知られていないことが多い。「われわれはここ数年で業績を大きく伸ばし、業界トップを争う商社に成長している。どんな仕事をしているか、どんな人が働いているかを明確に示すことは、社会的責任でもある」。

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「ヒルドイド」でおなじみ続々登場するヘパリン類似物質配合製品についてQ & A 選ぶポイントや注意点をドクターに聞いた

 昨年から続々と登場しているヘパリン類似物質を配合した製品。もともとは処方薬(医療用医薬品)である血行促進・皮膚保湿剤「ヒルドイド(成分名:ヘパリン類似物質)」を美容目的で処方使用する人が増加し、医療費圧迫につながると社会問題になったことで注目された成分だ。そこでアヴェニュー 六本木&表参道 クリニックの太田理会ドクターに取材し、そもそも「ヘパリン類似物質」とは何か?といった基本情報から、各社から出ているヘパリン類似物質配合製品を選ぶ際のポイントや注意点などについて聞いた。

WWD:ヘパリン類似物質はどんな働きがあるのか?

太田理会アヴェニュー 六本木&表参道 クリニック ドクター(以下、太田):ヘパリン類似物質含有製剤は吸湿して角質に水分を付与する作用があり、持続的な保湿効果があることが特徴です。

WWD:処方薬であるマルホが製造販売する「ヒルドイド」の処方が、美容目的で使われるケースが増加したことが社会問題になりました。医師はどのような症状の患者に医療目的として「ヒルドイド」を処方するのですか?

太田:ヒルドイドソフト軟膏やヒルドイドローションの効能・効果は、血栓性静脈炎(痔核を含む)、血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後の硬結並びに疼痛)、凍瘡、肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防、進行性指掌角皮症、皮脂欠乏症、外傷(打撲、捻挫、挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎、筋性斜頸(乳児期)とされており、これは上記の治療を目的として医師が処方する薬です。特に皮膚科ではアトピー性皮膚炎や皮脂欠乏性湿疹などの患者さまに処方する必要な外用薬の一つです。

WWD:美容目的での使用がダメなのはなぜですか?

太田:先ほど述べた症状が処方をする理由なので、美容目的で処方使用することは本来の目的から外れており、本当に必要な患者さまに対する処方まで規制される可能性もあります。SNSなどで美容目的の使用が続々と出たことにより、いくら比較的安価な薬剤であったとしても処方量の増加が医療費全体に与える影響は小さくありません。

WWD:そこから、「ヘパリン類似物質」配合の製品が各社から続々と登場していますが、それについてはどうみていますか? この流れは「ヒルドイド」が美容目的で医療費を圧迫している問題の改善にもつながるのでしょうか。

太田:美容目的でヘパリン類似物質配合の製品を使用したい人というが多い状況の中、これらの製品の登場により、消費者が購入しやすい状況になったことは望ましいと考えます。また、これらの製品を購入するように促すことで医療費の問題改善にもつながると思いますね。

WWD:あらゆる「ヘパリン類似物質」配合製品がありますが、消費者からは「どれを選んだらいいの?」と疑問に思う人も。選ぶ際のアドバイスなどがあれば教えてください。

太田:まずは医薬品と医薬部外品でヘパリン類似物質の配合濃度が異なりますので、目的に応じて選んでください。一般医薬品(OTC医薬品)の一つである第2類医薬品として販売されているもの、もしくは医薬部外品として販売されているものがあります。医薬部外品は乾燥予防をしたり日ごろのケアを目的としたりする化粧品ですが、あくまでも医薬部外品に該当します。厚生労働省が認可した有効成分が一定の濃度で配合されており、予防や防止を目的として日常的に継続使用するもので、ヘパリン類似物質が「ヒルドイド」に比べて低濃度で配合、また各社が独自にその他の成分を配合し販売しています。

自身の使用目的に応じて選ぶことや、肌の敏感な人は配合成分が自身にあっているかを確認して購入していただけたらと思います。医師が処方するものではないため、自身で合っているかを確認する必要はとても重要。配合されている成分によっては刺激やかぶれの症状が出ることも考えられるため(これは市販されているどんな化粧品や医薬品、医薬部外品にも共通)一定の注意は必要です。


各社のヘパリン類似物質配合製品を紹介

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2021年美容トレンドはどうなる?スキンケア編 「バリアケア」「マスク老け」に注目

 2020年は、誰にとっても想像だにしなかった1年であったと思う。コロナ禍を経て、ライフスタイルや価値観が大きく変化した現在。2021年の美容トレンドはどうなるのだろうか?今回は「スキンケア」の未来を予想してみたい。

【スキンケアトレンド1】
「敏感肌」&
「見えないものから守る」意識

 スキンケアは今「敏感肌」のニーズなくしては語れないように思う。「働き方やコミュニケーションの方法が変わる」「1年中マスクを着用する」、これらの過去に経験のない大きな生活の変化によって、ニキビやバリア機能の低下など「以前とは違う不安定な肌状態」を実感する女性が増加しているからだ。また先行きに対する不安や、ライフスタイルの変化によるストレスも、肌の不調を後押しする要因にほかならない。

 もう1つ、この1年で大きく変わったのが「目に見えない、肌や体に害をなすものから自身を守りたい」という意識だ。これまで美容における見えない悪者といえば、紫外線や花粉、PM2.5などが代表例だった。この1年の「ウィルスから自身を守る」という経験を経て、肌への防御意識も高まるとしたら、今後は低刺激設計×大気中の微粒子から肌を守るミストが、さらに注目されるのではないかと思う。 

【スキンケアトレンド2】
ある日気づく「マスク老け」、シワやシミ対策へのニーズが高まる

 マスク着用やリモートワークの影響で、明らかに低下したのがUVケアやファンデーションの使用機会だ。これは「紫外線対策が、これまでより手薄になる」ことを意味しており、時間の経過と共に「シミ」や「くすみ」が気になる女性が増加するのではと予想している。個人的にも最近皮膚科で肝斑の悪化を指摘され「えっ、いつの間に!?」と驚いた。皮膚科医曰く、マスクと肌がこすれる影響で、私のような患者が増えているという。

 もう1つ、資生堂の研究によって判明したのが、マスク着用時は「目元の筋肉の活動量が増加する」という事実。確かに、マスクから唯一見える「目元」でコミュニケーションをはかろうとするのは、心情的にも理解できる。この状態が長期継続すると、シワ発生の要因になると考えられる。

一つ一つは小さなことだが、生活習慣の変化が積み重なると、肌への影響は決して見逃しにはできない。今後ふと鏡を覗いた時に「マスク老け」を意識する女性が増えるとしたら、エイジングケアへのニーズは確実に高まるはずだ。

【スキンケアトレンド3】
信頼と期待感を両立した
「進化型ロングセラー」

 アイスタイルが「@cosmeビューティアワード2020」と共に発表したトレンド分析によると、スキンケア分野では「ロングセラーのリニューアル製品」が注目されているという。長年培ったブランドの信頼感に、最新の技術が加わることで「効果が期待できる」「間違いのないものを買いたい」という、消費者の思いに合致した結果だ。

 21年春は、まさに進化を遂げたロングセラーが充実するシーズン。富士フイルムの「アスタリフト(ASTALIFT)」からは、ジェリー アクアリスタシリーズ初の医薬部外品として、美白ジェリーが登場。高濃度ビタミンC美容液の先駆者であるロート製薬の「オバジ(OBAGI)」“Cシリーズ”は、ベース処方を一新して浸透スピードが飛躍的に高まった。

 双方ともに長年のファンが多いため、テクスチャーや使用感を可能な限り踏襲する一方で、処方を「ほぼ1から検討し直した」というから驚きだ。ある意味、新製品を開発するよりハードルが高い作業であり、処方担当者の苦労は想像に難くない。その結果誕生した進化型ロングセラーは、肌の機能を根本から立て直し、潤い、ハリ、透明感などさまざまな肌悩みに応えるという意味でも、まさに今の女性が求めるスキンケといえる。

 スキンケア編で紹介した製品は、いずれもトレンド要素が重複している。「アスタリフト」は「マスク老け」にも対応するし、「シャネル」や「d プログラム」は「進化したロングセラー」にも当てはまる。

 総じて、今女性に求められるスキンケアのポイントは「多機能」「肌本来の根本的な力を高める」「信頼感がある」ということだろうか。肌はライフスタイルを映し出す鏡であり、不安定な時代だからこそ、確実に効果があるものを選びたい――。2021年はそんな本質的で堅実な方向に、女性の気持ちが強くシフトするように思う。

 さてその一方で、メイクアップのトレンドはどうだろう? こちらは「コロナ禍を経験した、リアルな現在の気分」を表現するカラーが登場している。詳しくはメイクアップ編でご紹介したい。

宇野ナミコ:美容ライター。1972年静岡生まれ。日本大学芸術学部卒業後、女性誌の美容班アシスタントを経て独立。雑誌、広告、ウェブなどで美容の記事を執筆。スキンケアを中心に、メイクアップ、ヘアケア、フレグランス、美容医療まで担当分野は幅広く、美容のトレンドを発信する一方で丹念な取材をもとにしたインタビュー記事も手掛ける

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中国の国民的スポーツブランド「リーニン」が抱く世界戦略

 中国発のスポーツアパレル、シューズブランド「リーニン(LI-NING)」は、9月に行われた2021年春夏パリ・ファッション・ウイーク(パリコレ)でデジタルショーを開催した。「リーニン」は中国で“体操王子”と親しまれてきた国民的体操選手、李寧(リー・ニン)が1990年に創業し、これまでに多くのアスリートの活躍を支えてきた。すでに中国では、1、2を争うスポーツブランドとして地位を確立している。18年には海外市場を視野に入れ、コレクションラインをスタート。同年、ニューヨーク・ファッション・ウイークに初参加した。コロナ禍でのパリコレは、中国の気鋭メディアアーティスト、ルー・ヤン(Lu Yang)とモーションキャプチャーを用いたムービーを制作。ショー前日には渋谷スクランブル交差点の大型ビジョンをジャックして、ティザームービーをゲリラ放映した。「リーニン」の潜浅ブランドディレクターにパリコレを振り返ってもらい、今後の展望について聞く。

WWD:ルー・ヤンとの協業の経緯は?

潜浅ブランドディレクター(以下、潜):2021年春夏シーズンは、スポーツとアートを包括的に考える“The Art of Movement”をテーマにした。私たちはアートをライフスタイルとスポーツを繋ぐ重要な要素として捉えており、このテーマにはアーティストとコラボレーションし、「アーティストの視点で作るスポーツ」という意味を込めている。ルー・ヤンは中国を代表するメディアアーティストの一人だし、人体の動きや身振り、所作について研究するとともに、これまでも中国カルチャーをテーマにした作品を制作してきた。それがコラボレーションをする上での決定的なポイントになった。

WWD:ブランドとアートの取り組みについて、詳しく教えてほしい。

潜:「リーニン」は中国発のプロスポーツブランドとして、中国文化の伝承を社会的な責任と考えている。近年はさまざまなアーティストやデザイナー、人気ファッションブランドとのコラボレーションを通して、若い世代とのコミュニケーションを重ねてきた。19年からはパリの美術館「ポンピドゥー・センター」と3年間の戦略的パートナーシップを結び、アート交流プロジェクトを立ち上げた。今やアートは、プロスポーツブランドにとっても欠かすことができないアイデアソースの一つだ。私たちは芸術作品を作るのと同じような気持ちでプロダクト生産に挑んでいる。

WWD:渋谷のスクランブル交差点でビデオを公開した理由は?

潜:日本はアジアにおける重要な市場の一つ。日本の消費者によりよい場所で、中国発のスポーツブランドへの理解が深まることを期待して、ファッションとカルチャーの発信地である渋谷を選んだ。

WWD:現在の中国国内のビジネスの状況は?

潜:「リーニン」は中国を代表するスポーツブランドとして、すでに多くの中国の消費者に認知されている。とりわけ、ミレニアル世代がわれわれのメインの消費者というのが強みで、このような状況は今後も中国国内市場において続くだろう。世界規模でさまざまなアーティストやデザイナー、ファッションブランドとのコラボレーションを行い、時代に合ったマーケティングモデルに転換していくことが、今後の成長のカギを握ると考えている。

WWD:海外のビジネスの状況は?

潜:18年に初めて参加した「ニューヨーク・ファッション・ウイーク」以降、インターナショナルなファッションショーや展覧会への参加、ハイファッションブランドとのコラボレーションを通して、「リーニン」の影響力は急激に高まったと実感している。19年秋冬コレクション以降は、日本やヨーロッパなどの有名ブティックやセレクトショップとのコラボレーションを行ってきた。その中には、「キス(KITH)」や「エッセンス(SSENSE)」「エンド(END)」「セルフリッジズ(SELFRIDGES)」といった世界的な知名度を誇る小売店もある。

WWD:日本市場をどう見ている?

潜:日本はファッションやトレンド、デザインの中心であり、そのマーケットは積極的で活発だ。長い間、潜在的なニーズのある日本市場への参入を望んでいた。中でもファションの動向や流行に関心の高い若い世代の消費者に、われわれのブランドをアピールしたい。これまでも「アトモスコン(ATOMOS CON)」(アトモスが主催するスニーカーコンベンション)への参加や日本のカルチャーシーンをけん引するブランド、デザイナー、小売店とコラボレーションしてきた。近い将来、このようなコラボレーションの機会はさらに増えるだろう。日本市場においても今後ますます期待してほしい。

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3Dスキャンで世界に一つだけの“じぶん文鎮”をゲット! スウェーデンのジュエリー「オール ブルース」製

 「体形に合わせてカスタマイズ生産したスーツ」に「誕生石や好みのチャームでカスタマイズできるアクセサリー」などなど、消費を導く“カスタマイズ”の重要性が語られるようになって久しいですが、この度、スウェーデンのジュエリーブランド「オール ブルース(ALL BLUES)」から、世界に一つしかない激レアなカスタマイズアイテムが届きました。それはズバリ!……私を3Dスキャンして作ったペーパーウェイト(いわゆる文鎮)です!!高さ約3.5センチ、奥行き約2センチとコンパクトですが、骨格や顔の肉付きが忠実に反映されていて猛烈に精緻な作り。スターリングシルバー製で重量感もあって、昔学校にあった偉人の胸像みたいです(モデルは偉人でなく私なんですが……)。

 そもそもこのペーパーウェイト、どういう経緯で製作することになったのかというと、2019年10月に東京・銀座の「ドーバー ストリート マーケット ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA以下、ドーバー)」で開かれたイベント“オープンハウス”がきっかけでした。“オープンハウス”はシーズンに一度、「ドーバー」で販売しているさまざまなブランドのデザイナーが集結してお客さんとコミュニケーションをするというものですが(コロナ禍を受け、ここ数シーズンは残念ながら開催されていません)、19-20年秋冬シーズンは「オール ブルース」のチームも同イベントに来日していました。そして、「その場で3Dスキャンをして、ペーパーウェイトやペンダントヘッドを作る」という企画を行っていたのです。

 その時、はにかみながら「これは僕のおじいちゃんとおばあちゃんを3Dスキャンして作ったんだよ」と手のひらに載せた2つのペーパーウェイトを紹介してくれたのが、ブランドのファウンダーの一人、ジェイコブ・スカラッゲ(Jacob Skragge)さん。他に、友人カップルをスキャンして作ったというペンダントヘッドも見せてくれました。自分の好きなモノ、大切なモノを象っていくというそのあったかくてチャーミングなアイデアに、同イベントを取材していた「WWDジャパン」編集長の向と私はガッツリ共感。せっかくの機会なので、われわれも3Dスキャンしていただくことになったのでした。

 「ドーバー」の売り場の中に設えられた黄色い透明の幕の中に立ち、その周りをスキャン用の機材を持ったスタッフさんがぐるりと360度まわってデータを取り込んでいくと、あっという間にスキャンは終了。「あとは完成をお楽しみに~」ということで、約1年後に届いたのが冒頭の写真のペーパーウェイトです。編集長・向のもとに届いたペーパーウェイトも見せてもらいましたが、こちらも精緻な作りでまるでそこに小さな編集長がいるかのよう!向がリモートワークで不在の際には、会社のデスク上にミニ向を置いておけば編集部の空気がきっと締まるはずです。

 「オール ブルース」は商品だけでなく包装も素敵で、商品を購入すると本の形のボックスの中に入れてもらえるのですが、今回のペーパーウェイトもオリジナルボックスに入って届きました!実は私、元々「オール ブルース」のファンで、19年の春に福岡に出張した際に「ビオトープ(BIOTOP)」でブランドを知り、以来チェーンブレスレットやネックレスを文字通り毎日のように愛用しています。同ブランドが使用しているスターリングシルバーやゴールドはリサイクル素材で、彼らの拠点ストックホルムで地元の工場の職人が一つ一つ手作業で作っているんだとか。チャーミングでウィットに富んだ発想と共に、そうしたローカルに根差したモノ作りの姿勢も非常に今っぽいですよね。今回のことで、ますますこのブランドのファンになりました。そして、コロナが早く終息し、こんなふうに好きなブランドのデザイナーと対面で交流する機会がまた訪れるといいなと願ってやみません。

 今回のような3Dスキャンは特別なイベント時しか行っていないですが、「オール ブルース」の通常の商品は前述の「ドーバー」や「ビオトープ」、ECの「エッセンス(SSENCE)」などで扱っています。気になった方は是非チェックを!

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コロナ禍でも好調!「ナチュラグラッセ」「チャントアチャーム」「デンティス」の前年比超えアイテムを分析

 月刊誌「WWDビューティ」で「ヒットランキング」の企画を担当している。リアル店舗からデジタルまで、チャネル別のヒットランキングを紹介するページだが、毎月「UVケア」「アイメイク」など、カテゴリーを絞り百貨店やドラッグストアなど3社に取材する。毎月の売り上げを前年と比較検証するが、今回はスピンオフ編をお届けする。2社に協力を得て9月~11月のヒット製品について聞いた。

 まずはネイチャーズウェイPR担当の寺西恵氏にスキンケア製品とメイクアップ製品のヒット製品を聞いた。オーガニックスキンケアブランド「チャントアチャーム(CHANT A CHARM)」の売り上げトップ3は以下だ。

1位“スポッツジェル”(15mL、2500円)
2位“パウダーウォッシュ”(0.8g×34包、2500円)
3位“ディープモイストオイルシリース”(60mL、3200円)

 「1位は、ニキビケアアイテム。長時間のマスク着用などによる肌荒れに悩む方が多い。ECで前年同期比167%増と好調だ。2位もニキビケアアイテムでECで同133%増と伸長した。3位は、エアコンや暖房などの空調による乾燥が気になった人から支持され、同83%増だった。スキンケアにかけられる時間が増えたこともスキンケアが好調の要因ではないか」と寺西氏は分析する。また、2021年の展望として「引き続き、ライトな仕上がりのベースメイクや、石けんオフできるアイテムはご支持をいただけるだろう。来春は、目まわりにフォーカスしたベースメイクとポイントメイクアイテムを発売予定だ」と話す。

石けんオフできる、ライトなベースメイクアイテムが好調

 また、同社が展開するミネラルメイクブランド「ナチュラグラッセ(NATURAGLACE)」の売り上げトップ3は、

1位“UVプロテクションベース”(30mL、3200円)
2位“メイクアップクリーム”(30g、2800円) “メイクアップクリーム シアーモイスト”(30g、2800円)
3位は、“ルースパウダー”(7g、4200円) “プレストパウダー”(12g、2800円)

 「1位は同62%増。1本で紫外線、ブルーライト、近赤外線から守ることができ、自然なトーンアップをかなえる点が支持を得た。2位は、いずれもECで同31%増の実績となった。下地・ファンデーション・日焼け止め・保湿美容液・ブルーライトカットという5つの機能を兼ね備えていて、石けんオフできる。メイクアップクリームは、メイクしながらスキンケアをかなえるライトな仕上がりのファンデーションとして、2020年はさらに多くのお客さまから支持された。3位は、手軽にメイク直しができるアイテムとして、ECで同10%増の実績だ」と話す。

口腔ケア「デンティス」、フットケアアイテムも伸長

 口臭予防歯磨き粉「デンティス(DENTISTE)」を扱うリベルタの山田祐子ブランド戦略PR担当は「店舗と直販で9月が46%増、10月が103%増と伸長した。11月も2倍を超え順調に推移した。好調の要因は、コロナ渦によりマスク着用が当たり前となり、口腔・口臭ケアの意識が、春以降継続していることがあげられる。併せて、9月10日に発売した日本限定のフレイバー“レモングラス チューブタイプ”(100g、1200円)の影響もあり、定番製品の売り上げが伸びた」という。また、同社の足裏角質ケア製品「ベビーフット(BABYFOOT)」(1600円)シリーズは、海外への出荷も好調だという。「直販では、9月が30%増、10月が68%増、11月が130%増と推移した。在宅時間が増えたことにより、自宅ケアが日常的になったことが売り上げをけん引した。寒くなり、靴下を履く機会が増えたことで、『ベビーフット』を再開するお客さまも多い。特に、海外ではアメリカへの出荷が好調で、日本と同様のおこもり美容がトレンドになっている」と話す。

 21年に期待する製品として「12月発売の“アレナース マスクガードミスト”(50mL、900円)。保護皮膚成分のリピジュアと、ヒアルロン酸の2層からなる保護膜を形成し、マスク荒れの原因となる摩擦やムレから肌を守るミストだ。ウィルス感染症の流行が落ち着いても、衛生面への配慮は継続するだろう」と話す。

 「マスク着用による肌荒れケア」「石けんオフできる」、「口腔ケアへの意識の高まり」など、今年らしいニーズをダイレクトに反映した結果となった。これほどまでに、マスク着用を前提としてスキンケアやメイクを考えたことはなく、固定概念が覆される1年となった。健やかに、制約なくーー。2021年は、ビューティの喜びを心置きなく謳歌できる年になることを願っている。

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輸入下着の栄進物産が化粧品事業 部長自ら愛用する“知る人ぞ知る”コスメで顧客を獲得

 高級輸入ランジェリーの「オーバドゥ(AUBADE)」や家具を輸入販売する栄進物産が、化粧品の取り扱いを開始した。1952年創業の日本大手のOEMメーカーと提携し、ハーブや漢方を使用した訪販中心のオリジナル化粧品を栄進物産が運営する輸入下着のセレクトショップであるマリアネリ(MARIANELLI)などで紹介している。

 栄進物産はコスメティック事業部を7月にスタート。きっかけは、栄進物産の篠崎恵美ランジェリー・コスメティック事業部長が、化粧品業界出身だったことが大きい。篠原部長は、「ランジェリーを好きな人の観点とコスメ好きの人の感性が近いと感じていた。両方、人に見えない部分を気に掛けるもの。素肌をキレイにするという親和性の高さも感じる」と話す。同部長が、ランジェリーとコスメを融合したサロンを手掛けたかったこともあり、栄進物産で化粧品を取り扱うことになった。

 “安心・安全で肌実感がある化粧品”ということから、取り扱うのは篠崎部長が20年以上愛用する化粧品ブランド。それは、OEMメーカーの社長夫人のために開発されたもので、香料や石油系の合成界面活性剤や合成色素は使用せず、限りなく皮脂成分に近い化粧品だ。訪問販売が主体で一切宣伝広告はせず、社長夫人のクチコミなどで東京・山の手に住む女性たちの間で広まった。長年にわたり成分を変えず、パッケージも至ってシンプル。しかし、肌のターンオーバーを促し健やかに保ってくれて値段以上の効果が感じられるという。篠崎部長は、「OEM大手のオリジナルでブランド名を出すことはできないが、手間ひまかけて美肌をつくるブランド。筋トレ同様で、使い続けると肌のトーンやツヤに変化が見られ楽しくなる」と話す。スキンケアやヘアケア、メイク、サプリメントなどがあり、中心価格帯は3000〜5000円と手に取りやすい価格だ。

 栄進物産では、訪問販売スタッフを抱えて製品の認知拡大を図ると同時に、オンラインサロンの運営も視野に入れている。篠崎部長は「コスメ事業がスタートして5ヶ月。取引先を通してコツコツとサンプルを送付する種まきの日々だが、一度購入すると、ほぼ全員がリピーターになってくれる。マリアネリでも、イベント開催やサンプル配布をして顧客が増えており、伸び代があると感じている」と言う。コロナ禍で、消費者の価値観が大きく変化しつつある。「本当に必要なものは何か、自分に本当に合うものは何か」と改めて考えさせられる今、誰もが知るブランドではなく、“知る人ぞ知る”化粧品への需要が高まる可能性もあるだろう。

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パリコレを陰で支えたヘアメイクや写真家が明かす舞台裏 激変する環境下で闘うプロたち

 新型コロナウイルスの影響により10月に行われた2021年春夏シーズンのパリ・ファッション・ウイークはデジタルとリアルの両軸で開催された。スポットライトを浴びる華やかなショーの裏側には、その舞台を陰で支える多くのプロたちがいる。ショーを通じてファッションが持つ夢の力を届けながら、クラスターを発生させることなく無事に閉幕できたのは、彼らが細心の注意を払って仕事をしたからこそである。10月のパリコレは例年と比べて何が違い、舞台裏では何が起こっていたのか。ヘアスタイリストやメイクアップアーティスト、カリグラファー、フォトグラファーに聞いた。

ニコラ・ウシュニール/カリグラファー
コレクション仕事激減を機に新たな分野に挑戦

Q.ファッション・ウイークでの主な活動内容は?

A.ブランドが発送するショーの招待状に住所や名前、座席を手書きするカリグラファーとして17年前から活動しています。毎シーズン、パリコレに参加するほぼ全てのブランドと仕事をしていて、1シーズンに約6万枚の招待状を書いていました。

Q.今季は仕事内容がどのように変化した?

A.多くのブランドがデジタル発表に切り替えたため、仕事量は大幅に減りました。リアルのショーを開催したブランドも電子メールでの招待状に変更したり、招待客を減らしたりしたため、今季書いた招待状は約2000枚。これまで招待状としてガラスやレザーなどをさまざまな素材が使われていましたけど、今季はシンプルな紙の素材が多かったです。

Q.今後のファッション・ウイークに期待することはあるか?

A.今季はパーティーやイベントも自粛だったのでパリコレらしくなかったですね。早く安全が確保されて、活気に満ちたファッション・ウイークが戻ってくることを願っています。僕の仕事は減ったけれど、建築やインテリア、フードなどモード界以外で活動の幅を広げていて、パンデミックを機に新たな分野にどんどん挑戦していきたいです。

前田麻美/ヘアスタイリスト
テーブル間の仕切りで作業は1人きり

Q.ファッション・ウイークでの主な活動内容は?

A.ショーのバックステージでヘアスタイリングを手掛けています。10年前からパリコレに参加し、最も多いシーズンで4都市で40ブランドのショーに携わりました。ここ数年はショーに招待された著名人のヘアスタイリングを行うことが多くなりました。1シーズンに4〜5人の女優を担当し、多数のショーに出席する場合はヘアチェンジを含めて8〜12時間張り付くこともあります。

Q.今季は仕事内容がどのように変化した?

A.フランス以外からの著名人が渡航を自粛したため、今季はリアルのショーを実施した「エルメス(HERMES)」と「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」のバックステージで仕事をしていました。

Q.バックステージの変化は?

A.メイクとヘアを行う各テーブルの間は透明のアクリル板で仕切られていました。通常ならヘアを複数人で仕上げるのですが、その仕切りによってスペースが縮小されたため1人で作業しました。バックステージでは常時マスク着用が義務化され、会場に到着するとブランドが用意したマスクに付け替えるという徹底ぶり。モデルもショーが始まるギリギリまでマスクを着けていたため、メイクアップアーティストは直しが何度も必要で大変そうでしたよ。バックステージの様子を写真撮影するのは通常時でも禁止されていますが、今季は注意書きの紙が配られたり、スタッフが見回りチェックしたりするほど特に厳しかった。ケータリングの食事がいつものビュッフェ形式ではなく、個別包装された軽食を各自が注文して受け取る形式で、行列ができていたのも今季を象徴する光景でしたね。

Q.今後のファッション・ウイークに期待することは?

以前のようにリアルでショーを開催することが難しくなったけれど、各ブランドがデジタルで世界同時配信する様子にパワーをもらいました。今後はフロントローのような臨場感を味わえなくても、シーズンテーマやブランドの世界観、素材の質感、そこに携わるヘアメイクの繊細なこだわりを伝えていけるようなショーやプレゼンテーションが増えてほしいなと期待しています。

長嶋加奈/メイクアップアーティスト
いつもより空間が広く快適に

Q.ファッション・ウイークでの主な活動内容は?

A.メイクアップアーティストとしてショーのメイクを手掛けています。2012年1月に初めてアシスタントとしてパリコレに携わり、16年9月からはメイクアップアーティストとして参加し続けています。ロンドンとミラノ、ニューヨークのファッション・ウイークでも仕事をし、多いときで25ブランドのショーを担当しました。パリでは一番多いシーズンで10ブランドを手掛けました。

Q.今季の仕事内容は?

A.ミラノで「ヴェルサーチェ(VERSACE)」「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」「ヴァレンティノ(VALENTINO)」の3ブランド、パリで「ディオール(DIOR)」「クロエ(CHLOE)」「イザベル マラン(ISABEL MARANT)」「エルメス」「パコ ラバンヌ(PACO RABANNE)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の6ブランドに参加しました。

Q.バックステージで見られた変化は?

A.ブランドによっては事前に新型コロナウイルス陰性の検査結果の提出や、健康状態に関する書類にサインを求められました。会場に入るときにはFFP2マスク(FFP2はヨーロッパが定めたEN規格に適合したマスクで、日本の防じんマスクのDS2に相当するもの)や医療用マスクが配られました。各テーブルには自分専用の消毒ジェルとフェイスシールドが用意されており、メイク用具には常時アルコールスプレーをかけるなどそれぞれが自己責任で万全の注意を払っていました。通常時のパリコレのバックステージは狭く密集状態で、1テーブルを2〜3人でシェアするような状態が当たり前でしたが、今季は感染対策で空間が広くなり、1人1テーブルや2人で大きいテーブルを使うなど、いつもより快適に仕事ができましたね。

Q.今後のファッション・ウイークに期待することはあるか?

A.10月は開催されるのかギリギリまで懸念されていたましたけど、各方面の努力で無事に開催されたのはうれしかった。やはりファッションショーは私にとって季節の変化を感じられるビッグイベントであり、ファッション・ウイーク中には世界各国の人と会うことができる貴重な機会ですから。来季以降も無事に続けられることを祈っています。

アシエル・タンベトヴァ/「STYLE DU MONDE」主宰、フォトグラファー
たった1人の「シャネル」バックステージ撮影

Q.ファッション・ウイークでの主な活動内容は?

A.2008年にアントワープでストリートスタイルを撮影し始め、その後すぐにパリコレにも参加して世界各国へと活動範囲を広げました。現在も各国のファッション・ウイークでストリートスタイルやバックステージを撮影しています。

Q.今季は仕事内容がどのように変化した?

A.渡航制限のため、ミラノとパリでしか撮影を行えなかったんです。ニューヨークとロンドンには参加できず、私の長年のルーティーンが崩れたのは初めて。

Q.今季の現場で見られた変化は?

A.通常のスケールとは異なっていたけれど、仕事が継続できたことはとてもうれしかった。 会場の外で待ち構えるフォトグラファーの人数や、招待されるゲストも明らかに少なかったですね。でも、そのおかげで私たち全員がいつもより安全な環境で仕事をすることができました。マスク着用の義務にはみんなが従い、ガイドラインを可能な限り守ろうとする姿勢が見られました。 バックステージは各ブランドの安全対策がとても厳しく、わずかな人数のフォトグラファーしか入場を許可されていませんでした。「シャネル(CHANEL)」は私1人だけでしたから。

Q.今後のファッション・ウイークに期待することは?

A.2021年は正常通りに戻ってほしいですね。

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ファッション業界のコロナ禍での求人減 転職・副業事情をプロに聞く

 2020年はファッション業界にとって波乱の1年だった。コロナ禍での緊急事態宣言の休業や、外出自粛によって実店舗を主軸にしたビジネスが苦戦。ブランド事業の休止や縮小が見られることもあった。ポジティブな面に目を向けるとオンライン販売でのEC事業が急成長し、都心よりも地元でのショッピングが見直され、売り上げを伸ばした企業もあった。また、働き方も多様化し、リモートワークや副業解禁も進んでいる。

 アパレル・ファッション業界専門の転職支援サービス「クリーデンス(CREDENCE)」が発表した2020年9〜11月のアパレル・ファッション業界の求人数は、前年同期比で全体約16%減、正社員求人は約8%減、契約社員求人約44%減と、前年割れが目立った。都心の販売職の求人は減っているものの、EC事業の好調により、IT関連の求人は増加傾向にあるという。

 ここでは「クリーデンス」の河崎達哉・事業責任者に、ファッション企業のコロナ禍における求人の状況や2021年度の見込みについて聞いた。

ラグジュアリー、リユース、スポーツの採用は堅調

WWD:この1年の求人状況は?

河崎達哉(以下、河崎):コロナによって、パンドラの箱が開いたようにアパレル・ファッション業界の構造問題が溢れ出し、求人にも反映されたという印象だ。各社の人事担当者は採用よりも、今いる人員の最適化を重要視していた。採用エリアでは都心が厳しいなか、郊外や地方は相対的によく、消費者が車で行ける場所で買い物をするというアフターコロナのニーズが現れていた。また、ラグジュアリーの採用熱は高く、感度の高いコアなファンを掴んでいるブランドはコロナ禍であろうと、強さを感じた。またリユース系の販売職、スポーツアパレル系の採用も比較的好調。ファッションでも領域によって差が出た一年だった。

WWD:去年に比べて、求職者も増えているのか? 

河崎:今年は当社のマーケティング費(広告出稿)を抑えたにも関わらず、昨年と同等の登録者数があった。求職者は2極化しており、現在の会社の状況を見て動かざるを得ない人と、様子を見ている人に分かれる。

WWD:採用される人の傾向は?

河崎:採用する際に「スキル」「人物」「志向性」という基準がある中で、「人物」では企業の目線が高くなってきている。コロナ禍によってこれまでの売り手市場から一気に買い手市場になったことを背景に、採用見送りの理由を見ていると今まで以上に「本当にそのブランドが好きか?」「意志や思いがあるか?」というとこを問う企業が増えている。レジリエンス(困難を乗り越える力)という捉え方では、ブランド愛があれば頑張ることができたり、結果的に長く続けられたりということもあるため、その踏ん張る力を今まで以上に重視しているのだと感じる。しかし、採用見送りの理由で一番多いのは「経験スキルが足りていない」ということ。これまでならチャレンジでも採用できていた人材が、コロナ禍でコストが厳しくなり本当の即戦力を必要とする企業もある。

WWD:今、転職する際に求められているスキルとは?

河崎:販売職ではSNS運用ができるかどうかは重視されているが、ラグジュアリーブランドでは販売力と顧客化力を今まで以上に見ている傾向にある。その人ならでは強みを持っている人は求人マーケットでもニーズが高い。

副業で従業員のキャリアが充実

WWD:フリーランスに転身し業務委託として仕事をする人も増えている。企業も正社員以外での採用が増えているのか?

河崎:増えている。業務委託契約は経営の観点から正社員よりも人件費を抑えられるというコスト削減の面もあるが、チャレンジ採用ができるという点でも注目されている。中堅中小企業では、急にITやECを本格的に着手することになっても正社員で数人採用することはハードルが高い。それよりは週2、3日で出勤できる人と業務委託契約を結んだり、またはあえて他業界のエンジニアを副業で採用したりすることで社内に新たな価値観や刺激を入れることができるというメリットもある。「クリーデンス」で運営するフリーランスのファッション人材と企業をつなぐマッチングプラットフォーム「フレクション(FLEXSHION)」では、登録者が顕著に増えている。

WWD:副業者の数は増えている?副業を解禁する企業の傾向は?

河崎:副業を許可している企業はまだまだ少なく、これから制度を整えようとしている段階にある。副業を解禁する企業の傾向は、デジタル施策への着手も早く、変化をいとわないような印象。職種ではデザイナー、パタンナー、EC・ITエンジニアなどの募集が多く、販売職の副業の事例は当社ではまだない。

WWD:副業を解禁する企業側のメリットとは?

河崎:従業員のキャリアが充実し、その恩恵が企業に戻ってくるということ。閉ざされた環境で働くよりもいろんな刺激があった方が、新しい欲求が生まれるケースもある。従業員が新たなスキルを得られることに加え、前向きに仕事に取り組む姿勢が見られる効能を狙っていると考える。

WWD:2021年の求人の見通しは?

河崎:一定数は回復すると思うが、コロナ前の件数に戻るには数年はかかると思う。引き続きIT・EC系の求人は増えていき、販売の求人増は大きくは見込めないと予測する。DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の傾向から、マーケティング、EC、生産管理などのポジションのニーズが高まり、採用の動きは活発化しそうだ。DX担当者と一括りにする中でも、事業の問題点を見つけて経営者を動かす力があるタイプ、ITを導入して運用のPDCAサイクルを回す実行部隊のタイプなど種類は分かれそうだ。

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真冬にアロハシャツのことを考える男の話

 通年で襟のある服を着る。相手に失礼があってはいけないと考えるからだ。体感が40度を超える真夏のビル街でもそれは変わらない。俄然、アロハシャツが真夏のユニホームの本命となる。つまり東京が熱帯化する4月から10月くらいまで、僕のアロハシャツ着用率は急上昇する。もはや1年の半分以上だ(笑)。しかし、僕以上にアロハシャツのことを考えている人がいることを知った。1999年に沖縄でアロハシャツ専業ブランドとしてスタートした「パイカジ(PAIKAJI)」の吉田康秀チーフデザイナーオフィサー(以下、CDO)のことだ。

WWD:コロナ禍で当社も引き続きリモートワーク中で、2020年はさすがにアロハシャツを着る機会が減った。事業に悪影響は?

吉田康秀「パイカジ」CDO(以下、吉田):ビデオ会議システムを使ったコミュニケーションの増加により、一方でコロナ疲れにより、7~8月はオンライン会議でも夏を意識したアロハシャツを着ようという機運が高まった。そのため、悪影響は最小限にとどめられた。また開襟シャツは沖縄では、かりゆし(“縁起がよい”の意)ウエアとしても認知されており、襟があることで礼節も保てると人気だ。

WWD:「パイカジ」の顧客層について教えてほしい。

吉田:9割が男性客で、中心となるのは40代後半~50代前半のいわゆる“サザン世代(カラオケでサザンオールスターズやチューブを歌う世代)”。プロダクトは100%日本製で、主に沖縄・豊見城市にある自社工場で作っている。平均単価は1万7000~8000円だ。

WWD:アロハシャツを日本生産するブランドはほかにもあるが、「パイカジ」の特別性とは?

吉田:色と構図だ。それらは目から入る情報で、脳科学者いわく脳に与える影響が最も強い。僕は、「パイカジ」のウエアを通じてストレスフリーになってほしいと本気で考えている。またマイナーチェンジはあるものの、アロハシャツの形はほぼ決まっており、感覚的にはキャンバスに近い。だから僕は図案のことを1年中考えている。風景や映画を見ても、アロハシャツの図案に結び付けてしまうのは職業病と言えるだろう(笑)。アロハシャツに関連するものであれば、書籍でもレコードでもとりあえず手に入れてしまう。

WWD:「パイカジ」で図案を考えるのは主に吉田CDOである?

吉田:8割ほどを僕が考える。半期に30~40の候補を出し、そのうち10~15が採用される。3、4の定番柄はあるものの、毎シーズン図案は入れ替わる。

WWD:クリエイティブにおいて吉田CDOが最もこだわる点は?

吉田:アロハシャツの場合、モチーフにはある程度パターンがある。だからこそ色と構図が重要となる。過去に「ドラゴンボール」や「機動戦士ガンダム」とコラボしたこともあるが、そこでも色と構図に注力した。

WWD:アロハシャツは夏の商材だが、冬の活動は?

吉田:変わらない。ありがたいことに、真冬でも那覇・国際通りの直営店や自社ECで「パイカジ」を購入される方は多い。ジャケットのインナーに着たり、さらにその上にコートを重ねたり。こだわりが強い人がリピーターになってくれている。

WWD:13~18年まではイタリア・フィレンツェで開催されるメンズファッション最大の見本市、ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMAGINE UOMO)にも参加した。

吉田:その甲斐あってドイツやデンマーク、スウェーデンにも卸している。「マリメッコ(MARIMEKKO)」に代表されるように、冬が長くつらい北欧の人はファブリックにハッピーを求めるのかもしれない。それも意識して、冬物も“あまり冬っぽくしないこと”を心掛けている。

WWD:国内の主な販路は?

吉田:百貨店なら和光、セレクトショップならディストリクト ユナイテッドアローズなどが中心だ。意外かもしれないがアロハシャツメーカーにとっては12~3月が最も忙しい。夏に向けての仕込みもあるし、営業活動が重なるからだ。

WWD:世の中は引き続き混迷を極めるが、21年に向けた「パイカジ」の抱負とは?

吉田:引き続き着る人、そしてそれを見る人がハッピーになる図案を作りたい。そのためには僕自身が、日常の中でアンテナを思いっきり立ててハッピーの種を見つけられるよう努力しなければならない。

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“若手の登竜門”「第35回イエール賞」でデビューした新星に心奪われる セリーヌ・シェンを見逃すな

 10月に開催された「第35回イエール国際フェスティバル(35e Festival International de Mode, d’Accessoires et de Photographie à Hyères以下、イエール賞)」に参加してきました。同フェスティバルは“若手デザイナーの登竜門”として知られており、毎年4月に行われています。しかし今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により10月に延期され、さらにフランスへの渡航者も少ない状況での開催となりました。ファイナリスト10人はプレゼンテーションやランウエイショーによる審査に臨みましたが、審査員長のジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)をはじめ、ジャーナリストのティム・ブランクス(Tim Blanks)やモデルのカイア・ガーバー(Kaia Gerber)ら審査員の姿は会場になく、テレビ電話を通して審査が行われました。

 そんな異例の状況でグランプリに輝いたのは、ベルギー出身のトム・ヴァンデル・ボルクト(Tom Van Der Broght)でした。来場者の投票による市民賞(Public Prize City of Hyères)もダブルで獲得しました。昨年は全ての受賞者を的中させましたが、今年はことごとく外れでした……。グランプリのトム・ヴァンデル・ボルクトはファイナリストの中で最もサイケデリックで異彩を放っており、芸術作品という印象が強かったです。クリエイションに対する純粋な情熱は熱いほど伝わり、審査員からもその点が評価されたようです。

才能の片鱗を見せたフランスの新星

 個人的には、セリーヌ・シェン(Celine Shen)の作品に心を奪われました。フランス出身の彼女はパリ国立工芸学校でファッションデザインを学んだ後、「メゾン アライア(MAISON ALAIA)」でインターンシップを経験し、「イエール賞」に応募した今回がファーストコレクションです。「時代を超越した機能的なデザインを目指し、自分を解放して飛び立たてるような洋服作り」が彼女の哲学だと言います。コレクションはトルソー(フランスの古風な嫁入り衣装)から着想し、白と黒のモノトーンにゴールドのメタルを組み合わせていました。18世紀のドレスの襟や袖口を解体して取り外し可能なデザインとして盛り込み、それらを繊細な紐やチェーンで編んで繋ぎ合わせます。ドレスやロングシャツの円形状のシルエットは針金で形成されており、18世紀のロココの片鱗が見られました。特にハットやバッグなどのアクセサリーはコマーシャルピースとしても完成度が高かったです。賞は獲得できなかったものの「『LVMHプライズ(LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ)』に挑戦したい」と次の目標に向けて目を輝かせていました。

 過去のイーエル賞グランプリ受賞者には「サン ローラン(SAINT LAURENT)」のアンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vaccarello)や「パコ ラバンヌ(PACO RABANNE)」のジュリアン・ドッセーナ、「ケンゾー(KENZO)」のフェリペ・オリヴェイラ・バティスタ(Felipe Oliveira Baptista)らが名を連ねています。2年前には「ボッター(BOTTER)」のルシェミー・ボッター(Rushmey Botter)とリジ―・ヘレブラー(Lisi Herrebrugh)が受賞後間もなく「ニナ リッチ(NINA RICCI)」のアーティスティック・ディレクターに抜擢されており、「イエール賞」はますます注目を集めています。昨年の受賞者も着々とステップアップしており、グランプリ受賞者であるクリストフ・ランフ(Christoph Rumpf)はパリでブランドを始動する予定ですし、特別賞を獲得した日本の「リコール(REQUAL)」は2021年春夏の「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」に参加しました。ショーをオンラインで見て、パワーアップした独自の世界観にワクワクしました。若手デザイナーの純粋な情熱と無限の可能性がファッション業界の未来を明るく照らしているようで、私にとって前向きなエネルギーを受け取れた「イエール賞」でした。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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冬の手肌も乾燥しない!今の時期に大活躍な除菌ミスト&ハンドクリームまとめ

 新型コロナウイルスの影響で、除菌ミストやハンドクリームが必需品となった今。化粧品メーカーからはスキンケアのノウハウを詰めこんだハンドアイテムが続々と登場している。ここでは、おすすめの製品を紹介。

除菌ミスト&ジェル

 食品に用いられる100%天然成分で作られた除菌スプレー。水酸化カルシウムを主原料とし、多くのウイルスや病原菌が生存できないとされる強アルカリの環境を瞬時に作り、ウイルスや病原菌の外膜(タンパク質)を破壊して不活化させる。99.99%の除菌力を発揮し、新型コロナウイルスへの有効性も認証された。次亜塩素酸や界面活性剤、防腐剤、着色料、香料、シリコーン不使用で赤ちゃんや子どもでも安心して使える処方だ。また手肌だけでなく、おしゃぶりやマスク、野菜・果物、衣類、食卓など、暮らしのあらゆるシーンで使用が可能。 ハンドクリームは沖縄伊江島の有機サトウキビ由来の植物発酵アルコール 62vol%配合。ライスワックス、乳酸桿菌、バクチオールを加え、肌の保湿・保護・美肌菌ケアも同時に行う。手指を清潔に保ちながらアルコールによる手荒れを防ぎ、肌本来の潤いを高める。

植物由来のエタノールを70%、植物由来のグリセリンを配合し手肌をケア。“スーパーポジティブ”はフランキンセンス精油とイランイラン精油を組み合わせ、幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシン」の分泌を刺激する香り。一方の“スーパーバウンシー”はイタリア産マンダリンオレンジ精油とエジプト産ゼラニウム精油をブレンドし、体の免疫力・抗酸化力を高めることでストレスを跳ね返す香りになっており、どちらも手肌をケアしながら前向きな気持ちに導いてくれるアイテム。

 人気ナンバーワンの香り“ヴァーベナ”から登場したアルコール70%入りのハンドジェル。レモンを思わせる柑橘系のフレッシュな香りで、気分のリフレッシュにも。グリセリン配合で潤いを与えながら、手肌を清潔に保つ。あまりもの人気で欠品を起こすほどのアイテム。

 エタノール高配合で、手肌をさっぱりと爽やかにリフレッシュするハンドジェル。カシスエキスやアボカドエキスなどの保湿成分配合で乾燥からも手肌を守る。純白な花のブーケのようにピュアで甘いホワイトフローラルの香り。

 「ゲラン」の人気スキンケアシリーズから、手肌をケアするハンドケアジェルが登場。類稀なハチミツに加えてグリセリンなどの保湿成分も配合。 アルコール濃度60%以上でありながら、手肌の保湿やバリア機能をサポートし、清潔に整える。

 エタノール 76.9~81.4vol%で高精製ワセリンやヒアルロン酸、グリセリンなどの保湿成分配合の消毒ハンドジェル。手荒れの気になる季節にも、べたつかず、しっとりさらさらの使用感が特徴で、無香料かつ無着色。

 オーガニック・ナチュラル原料を使用したイタリア生産のハンドジェル。有機穀物由来の植物発酵エタノールと植物性オイル配合で、同時に保湿も行う。摘みたての爽やかでみずみずしいレモンの香りと、濃厚に漂う芳香なローズの香りの2種をラインアップ。どちらもアルコール濃度 59vol%。

 福岡県の化粧品企業であるユーピーエスが消毒用アルコールに加え、「美少年酒造」の“大吟醸酒”をそのまま配合した除菌スプレー。手肌を清潔に整えながら、日本酒特有の米発酵液が肌を保湿する。

ハンドクリーム

 前述のハンドジェルと同時に発売されたハンドバーム。類稀なハチミツにシアバターを配合し、乾燥ダメージを受けた手肌を潤いバリアで包むように、 若々しく、ふっくらとした肌へ導く。ネイルケアとしても使用できる。

 “7.1秒に1本売れている”人気のベストセラー美容液“アルティミューン パワライジング コンセントレート N”のシリーズから発売となったハンドクリーム。美容液同様、乾燥などの外的ダメージから肌を守り滑らかに導く。花粉やちり・ほこりなどの空気中の微粒子の付着を防ぐ新技術を搭載。手洗いやアルコール消毒によって乾燥する手肌を美しく保つ。

 ネロリウオーター、シナラオイル、インカインチオイルの3つの基本成分が手肌をしっとりと保湿する。ブランドの中でも人気のネイルオイルと同様、製品名に時刻を“刻み”朝から夜まで気分やシーンに合わせて使うことができる。

 自然由来指数98%のハンドクリーム。こっくりしたテクスチャーで、手肌を潤いのベールで包み込む。しっかりなじませると、まるで手肌をうるおいでラッピングしたかのような心地に。リラックスするような穏やかな3種の香りは、天然植物精油を90%以上をブレンドして作られた。

 「ダイアン ボタニカル 」から秋に登場した「プロテクト」シリーズは、乳酸菌1を配合した、肌をやさしく守りながら潤いを与えるハンド&ボディーシリーズ。ハンドにもボディーにも使えるミルクは乳酸菌に加え、黒ハチミツなど天然由来の保湿成分で乾燥から肌を守る。敏感になった肌をリッチな潤いで包み込む。

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編集長は先月何した?TikTokスターと知り合い、バレンシアガの新店をくまなく歩き、小泉大臣に単独取材

 お久しぶりです。「って言われてもあなた誰?」という反応をもらっても仕方ないくらい本連載の更新をサボっておりました私、「WWDジャパン」編集長の向と申します。年内駆け込みで最近の仕事を振り返らせていただきます。今年は新型コロナ下で簡単には会えないからこそひとつひとつが記憶に残る取材となりました。家族や友人との時間も同じですよね。皆さま、どうぞ穏やかな年末年始をお迎えください。

10月16日(金)

「ファセッタズム」でTikTokスターたちをスナップ

 時を10月まで戻します。5年ぶりのファッションショーを東京で披露した「ファセッタズム(FACETASM)」へ向かうと会場である夜の寺田倉庫周辺で早速“イケてる”ザワツキを嗅ぎ取りました。ちょっと粋がった人(誉め言葉です)が集る場所には独特な空気があり私は好きです。路上で山本さん(詳細は割愛しますが頑張っている業界人のひとり)とすれ違うと「お!久しぶり!」に続く2言目で「彼、よろしくね」とモデルの大平修造さんを紹介してくれました。文句なしにカッコいいし「ファセッタズム」が似合っている!早速スナップさせてもらいました。ティックトック(TikTok)スターとは聞いていましたがそのフォロワー数はなんと290万(12月26日時点)!凄っ!大阪市の人口約270万より多いですよ。会場の中では話題のよしミチ姉弟もスナップ。弟のよしあきさんが着ているのは「ファセッタズム」のウィメンズのブラウスです。お似合い。

10月19日(月)

「ギャルソン」ファミリーのショー、動画3連発

 この日は東京・南青山のコム デ ギャルソン本社で「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」(動画上)、「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARCONS)」(動画中)、「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」(動画下)の3ブランドのショーとインスタレーションが一気に発表になりました。孤高であり同時に人間味溢れるギャルソンファミリーの生き様を見るようなショーを動画で撮りました。3連チャンでお楽しみください。

10月27日(火)

ファッション ワールドで篠原ともえさんとサステナビリティ対談

 東京ビッグサイトで開かれた「ファッション ワールド」でセミナーを2本担当しました。そのひとつが篠原ともえさんとの対談でテーマは「サステナビリティが広げるクリエイションの可能性」。1年前にこの内容で書いた私のコラムを読んだ篠原さんから声をかけてもらいました。篠原さんは衣装デザイナーとしても活躍しており、嵐の衣装も手掛けたそう。遠景写真で恐縮ですが、見てもらいたいのは篠原さんが着ているドレス。彼女自身がデザインした余剰生地を使った廃棄ゼロパターンの服です。美しい服でした。タレントの衣装は多くの人が目にしますからそこにサステナビリティの考え方を反映するのは影響力大でよいですね。

11月5日(木)

バレンシアガ表参道店 たとえるなら超おしゃれな“倉庫” 

 「バレンシアガ(BALENCIAGA)」青山店のリニューアルオープンの内覧会へ。何を隠そう私、間違えて1週間前に一度訪れておりその時はしっかりとした仮囲いで入口が見つからず(当たり前)、「さすが『バレンシアガ』、攻めるな」と思いましたが、単なる私のミスでした。それはさておき内覧と言っても感染対策から同時間に滞在するのは数人だけ。人気がない巨大な店舗でその魅力をズシリと体感しました。短く表現するなら「めちゃくちゃおしゃれな倉庫」です。

 デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)は大衆の日常を独自の視点で切り取りモードへ昇華するアーティスティック・ディレクターですが、そのセンスが店のサイズ、床、鏡、壁、階段、カーテン、照明、什器、椅子、服や靴の並べ方など店舗を構成するあらゆる点に反映されています。中でも面白いのは店外のアスファルトと店中の床がテレコの印象を受ける床のデザインです。言葉で説明しても混乱するだけなのでぜひ実物を見てほしい。デザインって面白いな、と思えるはず。

11月11日(水)

小泉進次郎大臣取材で環境省へ

 サステナビリティの取材で環境省へ。小泉進次郎環境大臣に単独インタビューをしました。インタビュー後に部屋の一画を即席のスタジオに。フォトグラファーの小田駿一さんが2分という超短時間で素晴らしいポートレートを撮影してくれました。私はポートレート撮影中はカメラマンと被写体のランデブーだと思っており、話しかけたり変に盛り上げたりせず2人の世界に入ってもらいます。信念がある人は目に力があり、信念があるフォトグラファーはそれを撮るのです。

11月18日(水)

今年唯一の紙焼き写真「毎日ファッション大賞」授賞式

 「毎日ファッション大賞」の審査員を務めており、この日は授賞式。いつもなら関係者が大勢集まり受賞者を称えますが、今年はもちろんパーティーなどはナシ。ミニマムかつアクリルボード越しの授賞式です。とはいえ、38年続く栄えある賞のトロフィーや賞状が授与される瞬間は重みがあります。後日、毎日新聞社から紙焼きの写真が届きました。この一年間で紙焼きで受け取った写真はこれ一枚。嬉しいです。大賞の「ビューティフルピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」のブラウスとスカートを着て行ってよかった。

11月19日(木)

オンライン授業のときセンセイは孤独なのです

 服飾専門学校の授業をいくつか担当しており、それも今年は基本オンライン。これがなかなかキツイ!セミナーや授業は一方的に話しているようで実はそうではなかったことを痛感します。顔さえ見えていれば無言の反応はともすれば言葉以上に雄弁です。話し手はそれを受け取り、言葉を重ねたり変えたり繰り返したりして伝わるよう努力をします。その反応が見えないものだからキツイのです。1時間半全力で話した後は脱力です。だからこの日、名古屋・知立の中部ファッション専門学校が学生さんの姿を含む様子をSNSでタグ付け投稿してくれたことがとても嬉しかった!「私、こんなにデッカク映っていたんだ」と驚き照れますが(笑)現場の空気が一気に届いてホッとしました。

11月24日(火)

銀座シックスで打ち合わせ

 打ち合わせをギンザ シックス(GINZA SIX)の「コヴァ(COVA)」で。これ、アイスコーヒーです。ということをお伝えしたいだけの一カットです。イタリアがとても恋しいです。

11月30日(月)

「シャネル」のファッション部門トップへオンライン取材

 この日はパリにいるシャネルのブルーノ・パブロフスキー(Bruno Pavlovsky)=ファッション部門プレジデント兼シャネルSASプレジデントにインタビューでした。で、改めて思ったのです。新型コロナにより世界が分断されて寂しいけれど、これを機に進んだことはたくさんあると。前回同氏にインタビューをしたのは約2年前、場所はパリの「シャネル」のオートクチュールのショー会場のバックステージでした。もちろんブランドの真髄であるオートクチュールの会場で取材できる価値は非常に大きいです。ただ、それを実現するにはパリまで飛行機で飛び、ホテルから会場向かい、ショーの直前という慌ただしい中で時間をもらう必要があります。それが!今やオンラインで互いにリラックスした環境の中で実現するのです。パンデミックにより分断されたけれど、ある意味人と人の距離は近くなったと思います。難点はこういった日記につける写真がない、ということですね(笑)。

12月1日(火)
11月発行号を振り返る
&在宅勤務のお供

 「WWDジャパン」は毎週月曜日発行の週刊紙です。11月に発行した5冊の特集をご紹介します。特集以外にも読み応えあるニュースや連載を掲載しています。電子版含み、今からでももちろん購入できます。気になる号があればぜひお手にとってください。

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キャサリン妃のファッションに注目 ロイヤル・トレインで巡る“サンキュー”ツアー

 イギリスのウィリアム王子(Prince William, Duke and Duchess of Cambridge)とケンブリッジ公爵夫人ケイト・ミドルトン(Duchess of Cambridge, Kate Middleton以下、キャサリン妃)は、パンデミックの渦中に最前線で働くエッセンシャルワーカーや地域の人びとを労うために、王室専用列車でスコットランド、ウェールズ、イングランドを巡る3日間の公務の旅に出かけた。

 ウィリアム王子とキャサリン妃は12月6日にロンドンのユーストン駅を出発し、翌7日にはスコットランドの救急サービスを視察するためにエディンバラを訪問、その後イングランドのベリック・アポン・ツイードのホーリー トリニティー チャーチ オブ イングランド ファースト スクール(Holy Trinity Church of England First School)を訪れて、生徒や教師たちとの会話を楽しんだ。

 3日目にはウェールズのカーディフとイングランドのバースやレディングを訪問し、カーディフ大学(Cardiff University)の学生たちとメンタルヘルスについて意見を交わしたり、高齢者施設の訪問やロイヤル バークシャー病院(Royal Berkshire Hospital)の医師、看護師たちに感謝の意を表した。その後最終目的地のウィンザーでエリザベス女王(Queen Elizabeth II)と合流し、ソーシャル・ディスタンスを保った上で地域のボランティアやエッセンシャルワーカーたちにも感謝が伝えられた。

 ファッションセンスに定評のあるキャサリン妃のツアー初日の装いは、2020年1月にも着用した「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」のグリーンのミリタリー調のコートだった。2日目には、18年にノルウェーを訪問した際に初めて着用した英国人デザイナーのキャサリン・ウォーカー(Catherine Walker)によるオーダーメードのブルーのコートを着用するなど、過去に披露したことのあるお気に入りのアイテムを取り入れたキャサリン妃らしいスタイルを見せた。そして最終日には、「アレキサンダー・マックイーン」の赤いコートにタータンチェックのマフラーを合わせたコーディネートで注目を集めた。

 しかし英国におけるロックダウン措置が緩和されたとはいえ、新型コロナウイルスの流行が未だ続く中でのロイヤル・トレイン・ツアーには疑問の声も上げられていた。

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ももクロ百田夏菜子が降臨!「バーチャルマーケット」のビームス店内でサプライズ接客

 100万人が訪れる世界最大級のバーチャルリアリティ(VR)上のイベント「バーチャルマーケット5(Vケット5)」が12月19日に幕を開け、ビームス店舗にももいろクローバーZのリーダー、百田夏菜子が登場した。ビームスは原宿店をモデルにしたVRショップを出店しており、スタッフがアバターを通してリアルさながらに接客する。百田が登場するのはスタッフに変わってVR接客をするため。初日の午後に、百田をイメージしたアバターが突然店舗に降臨した。とはいえ、いくつものパラレルワールドが存在する「Vケット」で、百田のサプライズ接客を受けるには運も必要。それでも“たまたま”出会えたファンは少しの時間、貴重な接客を楽しんだ。サプライズ接客を終えた百田に、体験して感じたVRの可能性を聞く。
 
 「Vケット5」は2021年1月10日まで。ビームスとももクロはコラボTシャツ(4500円)とロンT(6000円)を販売している。開催中にはももクロメンバーによるVR接客がお忍びで行われる予定だ。

WWD:「バーチャルマーケット」を体験した感想は?

百田夏菜子(以下、百田):こんな世界があるんだなぁって。ライブ映像をVRで撮影したこともあるんですが、こんな風に自分が別世界に入ってVR上で見ず知らずの人と会話をしたり、そういうのは初めての体験だったのでいろんな可能性を感じました。私たちのお仕事もVRでもっと幅が広がるんだろうなって思います。

WWD:この先、VRが「もっとこうなればいいな」と思ったことがあれば教えてください。

百田:今はパソコンですけど、これがスマホでもっともっと気軽に、電話ぐらいの感覚でアクセスしやすくなればいいなと思います。私が身に着けたゴーグルもだいぶ身軽ですけど、例えばそれがサングラスぐらいのサイズになったりとか。今はまだよく知らなかったり分からないことが多くてハードルが高いイメージがあるので、そのハードルが低くなったり、たくさんの人に知られるようになって、誰でもアクセスできるようになったらもっといろんなことができるんじゃないかな。

WWD:コロナ禍でVR空間での音楽ライブも話題になりましたね。

百田:そうですね。もっとそれが当たり前の世界になって、私じゃなくてもできるとしたら、もしかしたら自分たちのライブをアバターに任せて、自分たちでそのライブを見ることができるかも知れない。でもそれが自分の動きと連動していて、結局自分が踊ることになるなら自分で出る方がいいのかなとか(笑)。いろんな可能性を秘めているだろうし、面白そうだなと思います。

WWD:アバターにはどんな服を着せたいですか?

百田:そうだなぁ……、こんなファッションっていうのではないですけど、ライブだと早着替えがあって時間もかかるじゃないですか。それがもっと効率よく自分の衣装に着替えられるとしたら、“パッ”てやれば“パッ”て早着替えができるみたいな。セーラームーンみたいに憧れの早着替えができるかも知れませんよね。

WWD:VRイベントにまた参加してみたいですか?

百田:めちゃめちゃ参加してみたいですね。今は海外になかなか行けないですけど、実際の道をたどれる便利なマップがあるように、VRで海外旅行をしている気分になれるとか……。きっともうありますよね?海外に飛んで行きたいお店に入って、そこでショッピングとかもしてみたいです。実際に目で見て、手に取るような感覚で洋服を見つけることができたら、もっと海外での買い物も身近に感じられたりするのかな。私、海外旅行が大好きでよく一人で行くんですけど、その国の「ココに行きたい」ってお店があるんです。そこにVRで行けるようになったらもっと世界が広がりそうですよね。

WWD:近い将来、そんなことができるようになるかも知れませんね。

百田:そうですね。どれぐらいリアルかにもよると思うんですけど、私たちのライブ会場にも海外の人達が気軽に来られるようになるし。今はやっぱり配信に力を入れているんですが、皆さんが実際に会場に来られなくても会場にいるような気分になれる、本当にそういう可能性を秘めているものだと思ったので、将来が楽しみです。

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銀座の穴場「ザ・ゲート ホテル東京」宿泊リポート 高級ベッドで熟睡、こだわりの朝食に舌鼓

 不動産企業のヒューリックが手がけるホテルブランド「ザ・ゲート ホテル東京 バイ ヒューリック(THE GATE HOTEL TOKYO BY HULIC以下、ゲートホテル東京)」は、東京・銀座数寄屋橋交差点の複合施設ヒューリック スクエア東京内にある。同ホテルは12年に開業した「ザ・ゲート ホテル雷門 バイ ヒューリック」に続き18年12月にオープン。東京メトロ銀座駅や日比谷駅、JR有楽町駅から徒歩3分以内と駅近で、銀座のダイナミズムを感じながら、こだわりの空間と食が楽しめるようになっている。複合ビルに入っているため、外からは一見ホテルとは分からないが、4階ロビーに行くとゆったりとしたラウンジ、そして広々としたテラスが広がっている。銀座のど真ん中にありながら知る人ぞ知る存在の「ゲートホテル東京」の宿泊リポートをお届けする。

 自然光が降り注ぐ4階のロビーラウンジは天井が高く開放感たっぷりで、“バルセロナ チェア”や“LC-1”などの名作モダン家具が置かれている。広いオープンエアーのテラス席もあり数寄屋橋交差点を一望でき流。寒いにもかかわらず、テラスでミーティングをするビジネスマンの姿が見られた。ロビーの入り口にはドリンクをサービスするカウンターがあり、宿泊客でなくてもドリンクを楽しめるようになっている。ラウンジの右手にチェックインカウンターがあり、その奥にはオールデーダイニングの「アンカー東京(ANCHOR TOKYO以下、アンカー)」がある。「アンカー」の手前には宿泊客やレストランの利用客がくつろげるソファが置かれたスペースを設けるなど、細やかな気配りが感じられる。「ゲートホテル東京」のコンセプトは、“大人のためのホテル”。ホテルの楽しみ方を知る大人に楽しんでもらうのが目的だ。また、テラスを設けることにより、都心にいながら、自然の外気と街の喧騒を同時に楽しめるようになっている。

ジャグジーのあるテラス付きスイートや天蓋付きの客室も

 「ゲートホテル東京」は、施設内4〜13階で164室。“秘すれば花”をテーマに、銀座の“粋”や“華やかさ”を表現した6タイプの客室がある。約73平方メートルのスイート“ザ・ゲート”の目玉はテラスに置かれたジャグジー。汐留のビル郡を見ながらジャグジーでリラックスできるようになっている。また、都市型ホテルには珍しい天蓋付きベッドが置かれた“キャノピー”は天井高が高い客室ゆえの演出だ。一番の人気は、数寄屋橋交差点に面したコーナルームの“リュクス”で時間と共に変化する銀座の街並みを楽しめるようになっている。また、ビジネスユース用に「ヴィトラ(VITRA)」の昇降デスクを設置した“モデスト”などもあり、幅広い層にアピールするようになっている。正規価格は、“モデスト”が消費税、サービス料込みで3万2670円(1人使用)。その他は、消費税、サービス料込み、2人使用で5万5660〜9万750円、スイートは24万24万5630円だ。

 13階がプレミアムフロアで、客室およびテラス付きラウンジや日比谷公園を見渡せるフィットネスラウンジがある。また、宿泊客以外でも利用できる「鉄板焼やすま」では、厳選した和牛や魚介類をカウンターまたは、個室というプライベートな空間で味わうことができる。宿泊せずとも通う常連客がいるというから、味はお墨付きだ。

味わってみて分かる“こだわり”が散りばめられた「アンカー」

 オールデーダイニングの「アンカー」は、カウンター、テラス、テーブルとシーン別に楽しめるレストランだ。ここも天井が高く開放的で、シャンパンをイメージしたアートが華やかな雰囲気を醸し出している。私は、スタッフのおすすめの“シャルキュトリー ソムリエのおつまみ(以下、ソムリエのおつまみ)”や “市場直送本日の鮮魚”に定番の“ホタテのポワレ ブルギニョン風”を特別添えたものなどをいただいた。ボリュームたっぷりのハムやリエットの盛り合わせ“ソムリエのおつまみ”はボリューム感たっぷりでお酒がすすむこと間違いなしだ。パンは毎日、京都の老舗パン屋進々堂から取り寄せ。「一度は食べてみたい」と言われるモチモチのパンを東京で食べられるのはパン好きにはたまらない。メーンの魚とホタテも優しいクリームソースが上品な味わい。“サラダやスープなどもあり、“ゲートホテル カレー”や“和牛肉お茶漬け風”といったユニークなオリジナルメニューにも注目だ。

シンプルでエレガントな客室は文句なし、高級マットレスで朝まで熟睡

 私が宿泊したのは13階の“クラッシー”ツイン。ドアを開けると左手にクローゼットがあり、ベッドの奥の窓際のソファで銀座の風景を見ながらくつろげるようになっている。一見シンプルだが無駄がなくエレガント。洗面所には2つのシンクがあり、オリジナルのフード付きバスローブやアメニティーが置いてある。バスルームには、オケと椅子があり、日本風のお風呂、ユニットバス、いずれの使用もOK。「ネスプレッソ(NESPRESSO)」のコーヒーマシンはもちろんのこと、ミラーリング機能のついたテレビや「エムズシステム(M’S SYSTEM)」のオリジナルスピーカーなど備品にもこだわっている。だが、何と言ってもすばらしかったのは「シモンズ(SIMMONS)」のマットレスだ。その心地よさといったら、枕が変わると眠れないことが多い私でも朝まで熟睡。ホテル1階の同ブランドのショップを覗こうかと思うくらい心地良い眠りだった。

エッグベネディクトに「エシレ」バター、マーマレードはホームメード

 「アンカー」の朝食はセットでメーンをエッグベネディクトかフレンチトーストから選ぶようになっている。朝9時ごろに「アンカー」に行くと、ほぼ、満席。家族連れやカップル、ビジネスマンなどさまざまだ。メニューはサラダ、フルーツとヨーグルト、スープ、メーンと盛りだくさん。もちろん、これにコーヒーか紅茶が付く。朝食というよりは、ブランチというのが相応しい内容だ。パンは先述した京都の「進々堂」、バターは「エシレ(ECHIRE)」、マーマレードは自家製、オレンジジュースはしぼりたてと朝食もこだわりがたっぷり。これだけの皿数の朝食を提供するには、調理場もサービスする側も大変だ。どちらも、若いスタッフがキビキビと働いていたのが印象に残った。私も、あのようなエッグベネディクトを作れるように練習しようと決意して、自然光あふれるロビーを後にした。

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北海道民が作り北海道民が選ぶ、対真冬アウター「モシール」とは?

 こんなご時世なので冬のヨーロッパ展示会に行くこともなく、それどころか山梨の実家に帰省することもやめた。つまり東京より寒い土地に行く機会がなくなった。とはいえ(だからこそ?)“その時が来たら”と考えるようになった。当然、防寒着が必要だ。僕もギョーカイ人の端くれなので、そこにファッション性も欲しい。ならばと北国・北海道旭川市のセレクトショップ「ティル」の大谷俊介オーナーと、同じく帯広市のセレクトショップ「ダニー」の河合裕介オーナーに尋ねてみた。2人が異口同音に勧めたのは、帯広市出身の山﨑佳克デザイナーが作る「モシール(MOSSIR)」。そこで山﨑デザイナーにも声を掛け、東京と北海道をビデオ会議システムでつないで話を聞いた。

 ちなみにティルは、山﨑デザイナーが手掛けるレザージャケット専業ブランド「ファインクリークレザーズ(FINE CREEK LEATHERS)」やシルバーアクセサリーブランド「ウイングロック(WING ROCK)」、アメカジブランド「ジェラード(JELADO)」などを品ぞろえし、一方のダニーは帯広のセレクトショップ「カリフォルニアハーベスト」でキャリアを積んだ河合オーナーが独立して12月にECを先行オープン。1月中旬に実店舗を開店する。こちらはレザーウエアブランド「ファウンテンヘッドレザー(FOUNTAINHEAD LEATHER)」やインナーウエアブランド「ハイウェイナイン(HIGHWAY NINE)」をラインアップする。

WWD:「モシール」の優れた点とは?

大谷俊介ティル オーナー(以下、大谷):道民である山﨑さんが作っていることでしょうか。それゆえ道民も信頼ができ、実際セールストークにも生かせています。

河合裕介ダニー オーナー(以下、河合):このあたり、都内の方には想像が難しいかもしれないんですが、北国の家って入り口を二重にするなど気密性が高くて、また室温を高めに設定する傾向があって、外は大雪なのに部屋の中ではTシャツ・短パンでアイスクリームを食べているなんて光景があるあるなんです(笑)。

大谷:車文化でもあり家から車まで、また車から商業施設までのちょっとした間だけ防寒できればよくて、そういう北海道のリアルを知っている山﨑さんが作る服には説得力があります。

WWD:中でも2人のおすすめは?

大谷&河合:2020-21年秋冬シーズンの新作“イーサン(ETHAN)”です。

大谷:これも文化というか気質なんでしょうが道民ってインナーを重ね着しないので、1枚でしっかり暖かくて雨や雪を防いでくれ、かつ軽いアウターが重宝がられるんです。

河合:個人的に“イーサン”最大の魅力は、シルエットの美しさだと思っています。前職時代、「ホグロフス(HAGLOFS)」「マーモット(MARMOT)」「マウンテンイクィップメント(MOUNTAIN EQUIPMENT)」など、さまざまなアウトドアブランドのダウンウエアを販売し、自分でも着てきたんですが、野暮ったさがどうしてもぬぐえないんです……。その点“イーサン”はパターンが都会的で、高機能素材を使ったアウターとは思えないフォームに仕上がっています。それでいて「パタゴニア(PATAGONIA)」の“ダスパーカ”より暖かい。

大谷:ミドル丈でコーディネートしやすい点もポイントかと。さらに裾をドローコードで絞れて、保温性を高めることもできるんです。

WWD:文字通り“大絶賛”だが、山﨑デザイナーからあらためて「モシール」の自己紹介をお願いしたい。

山﨑佳克「モシール」デザイナー(以下、山﨑):デビューは19-20年秋冬シーズンで、“ハイテク素材を用いながら、ビンテージのディテールを取り入れること”にこだわっています。

WWD:2人からは“イーサン”を推す声が挙がったが、この新作についても教えてほしい。

山﨑:モチーフにしているのは米軍の寒冷地用アウター“エクワックス(ECWCS)”で、表地にリップストップナイロン、裏地に“パーテックス・クァンタム”と、いずれも軽量で強度のある素材を使っています。特に“パーテックス・クァンタム”は肌ざわり、腕の通りがよく、つまりストレスフリーで着られます。

WWD:河合オーナーからはパターンの巧さについても言及があった。

山﨑:ラグランスリーブなのでそもそもアクション性は高いんですが、腕の付け方を少し前振りにしていて腕を動かしやすくしています。また見た目より腕を細くしているので、それで都会的に見えているのかと。

WWD:暖かさの秘密については?

山﨑:80~130gで多い=温かいと言われる化繊綿(わた)“プリマロフト”を200g使用しています。それも上位素材の“プリマロフト・シルバー”を。また三層構造の中央に防水・透湿素材の“イーベント”を用いることで雨や雪、風を防ぎながら、一方で汗の蒸気を素早く外に逃がすようにしています。

大谷:これだけ機能、機能のオンパレードなのに、極めてシンプルなデザインだから、あくまでタウンユースできてしまうのも魅力。

河合:それに1着でハイスペックな防水・透湿性と保温性を併せ持つアウターって意外とないんですよ。

大谷:確かにハイテク素材のアウターって、蒸れてしまうのが難点。“イーサン”は、それも回避している。先日、ロンTの上に“イーサン”だけ着てマイナス10度の銀世界で2時間佇んでみたんです。

河合&山﨑:すごい実験(笑)!

大谷:全然過ごせてしまって、われながらビックリしました。旭川は真冬にはマイナス20度にもなるんですが、たぶんへっちゃらですね。せっかくの機会だから山﨑さんに聞きたいんですが、裾のドローコードの調整用スピンドルをサイドポケット内に収めているのって、雪が付いて凍ったり、手がかじかんで操作できないようにならないための仕様なんですか?

山﨑:はい、その通りです。

大谷&河合:さすがは道民!

 考えてみればデザイナーとバイヤーに一度に話を聞く機会は珍しく、前述の通り今冬は東京より寒い土地に行く予定はないのだが、それでも次第に“イーサン”が欲しくなってしまった……(笑)。

三層構造の中央に用いた防水・透湿素材の“イーベント”は耐水圧30000mm で、「3mの高さから1リットルの水を流しても一切浸透しません」(大谷オーナー)

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人気家電のバルミューダ創業者が語る 「上場は株主をワクワクさせるバスの運転」

 人気家電メーカーのバルミューダ(BALMUDA)が12月16日、東京証券取引所マザーズで上場した。同社は2003年に寺尾玄バルミューダ社長が一人で創業。LEDデスクライトや扇風機などの空調家電を製造販売後15年にキッチン家電分野に参入。今だにベストセラーであるスチームトースターをはじめ、電気ケトル、炊飯器、オーブンレンジなどを開発してきた。20年にはホバー式クリーナーを発売。日本の家電にはないデザイン性の高さと、実験に実験を重ねて開発した独自の機能が評価されて売り上げを伸ばしてきた。今では、社員は100人以上、20年12月期決算の売上高は123 億円を見込んでいる。開発や補償などハードルが高い家電業界で独自の路線を歩んできた同社を率いる寺尾社長に上場への思いを聞いた。

WWD:上場を視野に入れたのはいつ頃か?
寺尾玄バルミューダ社長(以下、寺尾):約5年前から。私一人で事業を立ち上げて小規模ながらも年商30億円まではスムーズに成長できた。在庫の問題など管理能力をつける必要があったし、他の上場企業と同じレベルの商品の品質向上が目的で上場した。資金調達の手段が多くあるため、われわれにとって大きなチャレンジだが、目指すべきスケールとのギャップを埋める方法だと考えている。
WWD:株式公開価格は当初の予想を大幅に上回ったが?また、上場セレモニーを行わなかった理由は?
寺尾:公開価格はコントロールするつもりだったが、ありがたい結果になった。上場セレモニーは、東証への敬意と従業員への感謝を込めて身内だけで一つの節目として厳かに行った。なぜなら、私は、上場=めでたいと思っていないから。株主から出資してもらい、彼らの資金を運用していかなければならない。上場すると経営の自由度が下がるという考え方もあるが、私は、むしろ、経営の難易度が上がると考えている。
WWD:調達した資金をどのように使うか?
寺尾:商品開発と人材確保などの組織増強に投資するのはもちろんだが、「バルミューダ」というブランドの価値観を伝えるための広告宣伝を積極的に行うつもりだ。それを通してブランドバリューのアップを図りたい。
WWD:上場における大きなチャレンジは何か?
寺尾:全てがチャレンジといってもいい。われわれの商品は開発から量産完了まで長い時間がかかる。また、一度発売したら6〜10年と販売期間が長い。だから他社以上に長期の品質管理や補償システムが必要になってくる。また、われわれが持つ独自の価値観をどのように消費者に伝えるのかというのが、大きなチャレンジだ。
WWD:バルミューダの一番の強みは何か?
寺尾:キレのある企業であること。われわれが信じる自由な発想やアイデアを形にできる。創業社長がいるので、経営判断のスピード感があり、責任を持ちつつ大きな変化を選べる点だ。
WWD:新型コロナウイルスのビジネスへの影響は?
寺尾:良い面、悪い面、両方ある。巣ごもり需要で、われわれの商品への関心度が高まったのは良かった。しかし、渡航禁止などで生産工場へ行くことができず、トースターのリニューアルやクリーナーの発売が遅れた。そういう意味でも年間販売数は減っている。
WWD:上場後の抱負は?
寺尾:今までは仲間と一緒に改造車を運転してきたが、これからは、株主というお客を載せたバスを運転するというイメージだ。だから、緊張感を持ちながら株主をワクワクさせながらバスを運転してすばらしい到着点へ向かいたい。

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ファッション通信簿Vol.61 黒のブーツがマストアイテム!? ティモシー・シャラメのオンリーワンな装いを米「WWD」が辛口ジャッジ!

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットに至るまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。評価を絵文字でお伝えするとともに、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第61回はティモシー・シャラメ(Timothee Chalamet)が登場。2020年は映画「ストーリー・オブ・マイライフ/私の若草物語(Little Woman)」やロマンティック・コメディー映画「レイニーデイ・イン・ニューヨーク(A Rainy Day in New York)」が日本でも公開され、来年には「DUNE/デューン 砂の惑星(Dune)」の公開も控えているなど、話題作への出演に引っ張りだこなシャラメ。甘いマスクで私たちを魅了するだけでなく、ハイセンスなファッションにも定評のある彼のオンリーワンな装いに対する評価はいかに!?

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小さな「幸せ」をかみ締められる人に エディターズレター(2020年9月30日配信分)

※この記事は2020年9月30日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

小さな「幸せ」をかみ締められる人に

 「WWDJAPAN.com」の記事で必ずクリックしてしまうのは、ライター間庭さんの「幸せ産業」連載です。「幸せ」という言葉に特別な価値を見出しているし、私が思う「幸せ」と間庭さんの「幸せ」が近いようで共感できます。

 メルマガではお話したことがない(昔、週刊紙では力説したことがありますw)、ちょっと昔の話をさせてください。今から7年前、ロンドンで「バーバリー プローサム(当時)」の2014年春夏メンズ・コレクションを取材した時のことです。

 14年春夏メンズよりも前、「バーバリー プローサム」はミラノでコレクションを発表していました。メガカンパニーのトップブランドです。ゆえにコレクションの完成度は、常にトップクラス。でも他のブランド、例えば「プラダ」のように心揺さぶられるほどではありませんでした。特に春夏は、日本同様に蒸し暑いミラノでトレンチコートを見ても、正直あんまりピンと来なかったのです。それがロンドンに移ったら、全てが「そうだよね」「そうなんだ」と思えるようになりました。曇天だと6月でも肌寒いロンドンでは、トレンチコートって大事なんだと痛感したのです。

 加えて当時のクリエイティブ・ディレクター、クリストファー・ベイリーの心温まる演出の一つ一つに「幸せ」を感じ、「この一つ一つが『幸せ』だと思い続けられるように、心豊かな人間であり続けよう」と決心し、今に至っています。

 例えば、ロンドンの公園に特設したテントに入ると、携帯にはベイリーから「ショーに来てくれてありがとう」というテキストメール(当時からデジタルに積極的なブランドでした)。ショーが始まる前のBGMは、「本当に鳴いてるの!?」と錯覚するような小鳥のさえずり。そしてショーが終わりテントを出ると、芝生の上にはブランケット。弦楽団の生演奏をBGMに、ちょっぴり晴れた、でもまだ肌寒い青空の下でシャンパンを楽しみました。コレクションウイークは常にドタバタですが、当日は日曜日でロンドンメンズの最終日。午後2時とか3時ごろだったと記憶していますが、残るショーはあと数個でゴールは目前。心に余裕もあったのでしょう。そんな演出のそれぞれに「幸せ」を感じ、ファッションショーを通して「幸せ」を分けてくれたベイリーに感謝し、気づいたらもう「バーバリー」のファンでした。半年前までは、ピンと来ていなかったんですけれどね(笑)。

 以来、「幸せ」は小さな一つ一つの積み重ねだと思っており、どんなに小さくても、それぞれをスルーせず、噛みしめられる人間でありたいと心掛けています。間庭さんの記事は、そんな私にピッタリ。苦しい時だからこそ、小さな「幸せ」を提供することで進化し続けるさまざまな業界を見ると、なんだかちょっと勇気がもらえるし、「ファッションやビューティも負けてないよ!!」って思うのです。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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【動画】「メゾン マルジェラ」定番バッグをイタリアの前菜料理で再現 「京大卒モデル一ノ瀬のモード飯~Cuisine à la mode~」Vol.2

 「京大卒モデル一ノ瀬のモード飯~Cuisine à la mode~」は、モデル兼俳優の一ノ瀬遼による料理番組です。「オシャレな料理を作りたい!!」「たまにはお家でご飯を食べたい!!」という、多忙な業界人でも簡単に作れる料理を学びます。また京都大学薬学部出身の知識を生かした、料理にまつわるさまざまなウンチクや雑学もプラス。一ノ瀬についてもっと詳しく知りたい人は、下記の関連記事をチェック!!

 今回は、「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」の定番の“5AC”バケットバッグを模したイタリアの前菜料理であるファゴッティーノを学んでいきます。ファゴッティーノは粉物の皮で具材を包み焼きにしたもの。食べるまで中身が見えないので、これからのパーティーシーズンのサプライズに作ってみてはいかがでしょう?同料理の具材は鱈、キノコ、じゃがいもを使用し、ソースにはキノコの旨味が凝縮したデュクセルソースを用いました。仕上げに「メゾン マルジェラ」のアイコニックな“四つタグ”を炙った金串で再現し完成です。

【レシピ】
・春巻きの皮(生)
・白味魚等の切り身(今回は鱈)
・キノコ(しめじ、舞茸、エリンギ)
・じゃがいも 1個
・イタリアンパセリ 適量
・ニンニク 一片
・塩、胡椒 適量
・ハーブ(お好みで)
・オリーブオイル 適量

(デュクセルソース)
・マッシュルーム 1パック
・玉ねぎ 1/8個
・バター 約10g
・白ワイン 15ml
・生クリーム 30〜40g

【衣装協力】
「タクタク」ロングシャツ(3万5000円)
「アンバー」パンツ(4万3000円)
(ともにスタジオ・ファブワーク)
「サバイ」タートルネックトップス(1万3000円)
(HEMT PR)
「ルノア」メガネ(3万7000円)
(グローブスペックス エージェント)
「ボイリーストア」エプロン(8500円)
(「ボイリーストア」)

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コロナ禍しか知らない新入社員の2020-21年~スピンオフ編~

 「WWDジャパン」12月21&28日合併号は「“コロナトリガー”が変えたもの」です。その中で注目したのが、“コロナ禍しか知らない”2020年4月入社の新入社員たち。こちらの記事にも書いたのですが、三越伊勢丹、バロックジャパンリミテッド、ポーラの3人の新入社員のリアルをスピンオフ編としてお届けします。

WWD:自粛期間中に自分磨きのためにしたことは?

バロックジャパンリミテッド片岡あゆ(以下、片岡):アパレルや販売に関する本を取り寄せて自習しました。

ポーラ上村梨花(以下、上村):私も研修担当者からおすすめの本を聞いて読みました。その後、社長からも参考書籍が送られてきました。

三越伊勢丹パク・ヒョンソプ(以下、パク):僕もお二人と同じで、参考になりそうな本を読みました。

WWD:緊急事態解除後、徐々に“日常生活”が戻った。巣ごもり中に培った知識は業務で役に立った?また、自粛期間中に感じたことがあれば教えてほしい。

片岡:私は休業明けの6月から店頭に立ったのですが、自粛期間中に読んだ本のおかげで、お客さまからの服の洗濯に関する質問などに答えることができました。

上村:ビューティ業界を志し、夢がかなってポーラに入社したのですが、あらためて“自分はどういう仕事がしたいか?”“自分の強みとは?”をじっくり考えることができました。

パク:コロナショックを目撃して、不変的なビジネスモデルというものはないんだなと感じました。そして上村さん同様、僕も“本当の価値とは?”“自分にできることとは?”を考えました。

WWD:社会人になって9カ月、“われながらここは成長した!”を思える点は?

上村:受け身タイプだった自分が能動的になれました。同時に責任感も生まれました。

片岡:私も言われたことをやるタイプだったんですが、店頭では後輩もでき、教える立場になったことで自発的になり、助け合いの意識というかワンチーム的な考え方ができるようになりました。

パク:時間管理と行動力です。売り場にいると、接客とその他の運営業務を同時にこなさなくてはならないので、チームプレーが必要だと実感しました。

WWD:激変の20年がまもなく終わる。入社前に思い描いた“新社会人9カ月目”に比べて、現在地点はどんなもの?

パク:もっと一人前になっていると思いましたが、そんなことはなくて……。でも、会社は組織でありチームプレーこそ大事なのだと感じています。

上村:臨機応変に対応できていると思います。

片岡:想像した通りの地点にいます。ただ、仕事に対する意識は大きく変わりました。次の変化があっても、強いマインドを持っていれば対応できる!と自信が付きました。

WWD:21年の抱負、将来の夢を教えてほしい。

上村:自立して前進する!ですね。

パク:お客さまに楽しんでほしいです。そのお手伝いができればと。

片岡:来年4月から本社勤務になるので、今のうちに店舗でしか経験できないことをたくさん経験したいです。お客さまの生の声を吸収して本社に持って行きたいですね。これからもたくさん覚えなくてはならないことがあるでしょうが、積極的にチャレンジして進化したいです。

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先駆者“ヨネちゃん”が語る間違いだらけの中国戦略(後編)

 日本人の中国観は世代によって違うのだと思う。例えば45歳以上なら、社会主義国家で何をするにも政府の目を気にして自由がないという印象を持っているのでは?一方で10、20代が見る中国はライブコマースが当たり前で、ティックトック(TikTok)人気からも分かる通り動画発信の勢いがすごい。女子高生の間では“チャイボーグメイク(中国メイク)”も注目されている。そこで2009年から中国で活躍し、現地のエンタメやファッションにも精通する編集者・フォトグラファーの米原康正に話を聞いた。中国のリアルを知り、日本人が今できることとは?(2020年12月24日公開の記事の後編)

WWD:そもそも中国との接点は?

米原康正(以下、米原):最初に呼ばれたのは2008年の台湾での展覧会。翌09年に「アウトモビリ・ランボルギーニ(AUTOMOBILI LAMBORGHINI)」上海店のパーティーに招かれた。その歳、「日本から女性ゲストを呼びたい」と相談されて「例えば誰を?」と聞くと、蒼井そらちゃんの写真を見せられた。「この子が今、中国で大人気なんだ」と言われて、彼女と訪中した。そらちゃんにとっては初めての中国だったがメディアが50社くらい来ていて、すごい反響だった。その半年後に、そらちゃんに「これやってる?」と見せられたのがウェイボー(Weibo)だった。その時点で彼女には60万人ほどのフォロワーがいて。ちなみにこれって日本がまだミクシィ(mixi)メインの頃の話で、ツイッター(Twitter)が日本で使えるようになって、でもフェイスブック(Facebook)はまだ英語版しか使えなかった当時に、そらちゃんは中国語を勉強して中国人フォロワーとやり取りしていた。それで僕も始めて、フォロワー数は現在280万くらい。一方、そらちゃんのフォロワー数は1700万で日本人1位。

WWD:ヌードがNGの中国に向けて、どんな投稿を?

米原:僕は“エロい”女の子の写真を生業としていたけど、05年頃からファッション誌で撮影していた“着エロ”“ファッションエロ”みたいなものが中国には合っていると分かっていた。とはいえ、はじめは“どこまでがOK?”と手探りしながら投稿していた(笑)。それでも叩かれることはあって、その都度“ああ、これはダメなんだ”と学習した。当然、中国政府もウェイボーに目を光らせていて、次第にライフワークだったヌード写真を撮らなくなった。

WWD:クリエイター自らトライ&エラーすることが大事?

米原:自分で行動することに勝るものはない。それと中国で政治的な発言は命取りだから、僕も一切話さないようにしている。台湾との関係性も日本人には分からない問題が多いから、下手に口を出さない方がいい。

ウェイボーは飽和状態、次のプラットホームは?

WWD:中国でのSNSはウェイボーが最も有効?

米原:今はそんなことはない。日本のツイッターと同じで、これからフォロワーを増やしたい人には向かない。超有名人が始めるなら別だが、ウェイボーを使って一般人が認知度を高めるのは難しい状況だ。

WWD:コロナ禍でさまざまに制限がかかる中で、中国に情報発信するには?

米原:中国のSNSは動画が主となっているので、そういう意味ではティックトックだが、中国と日本では運営会社が異なるため、日本版ティックトックを中国に見せることはできない。そもそも動画への監視体制も強固で、僕も何度か短い動画をアップしたことがあるが即時反映はされない。チェックを経てから公開される。日本からはライブ配信もできない。これも政治的な内容を含む可能性があるから。

WWD:打開策は?

米原:日本在住の中国人パートナーを見つけることだろう。日本から中国に向けて発信するには、中国製デバイスと中国人のIDが必要だからだ。実際、日本にいながら中国向けライブコマースで儲けている中国人はたくさんいる。

WWD:世界第2位の経済大国らしく、中国ではSNS以外も自前で調達できる?

米原:日本人にとってはショックかもしれないが、エンタメやファッションに関しても自国でまかなえており日本製はマストではない。まずは、これを知ることが大事。ジャニーズも05年くらいまでがピークで、それ以降は人気がない。中国にもオーディション番組がたくさんできて、14億人の中からスターが次々出てきている。かつて中国では完成されたプロ歌手しか世に出ることはなかったが、オーディション番組を通じて素人がスターに成長していく様に興味を持つようになった。女性アイドルが王道だったが、ここ3、4年は男性アイドルも注目されている。流れも日本以上に早い。日本では数十年間、ファッション誌の表紙を飾り続ける男性アイドルがいるが中国ではありえない。世界の中で東京のトレンドの移り変わりは早いと思われていたが、そういう当たり前も過去のものになるだろう。

日本人はライブコマースとどう対峙すべき?

WWD:中国ではライブコマースが隆盛だ。

米原:女性が女性に売るためのツールだったライブコマースが、今や男性がコスメを100億円売る時代に突入した。

WWD:スタープレーヤーと呼ばれる人は何人くらいいる?

米原:3年ほど前までは毎日1億円プレーヤーが生まれていたが、それが10人くらいに絞られた。企業側も最も売ってくれる人に頼みたいから淘汰された格好だ。ちなみに女性の中には200億円売り上げる人もいる。

WWD:日本においてライブコマースは“これから”という状況だ。

米原:中国でもライブコマースを利用する層は10、20代。30代が中心の日本のファッションブランド顧客層はライブコマースに向いていないのでは?最新デバイスをうまく使いこなせている印象もない。

WWD:八方塞がりのようにも聞こえるが、そんな状況でもできることとは?

米原:中国に影響力のある人をきちんと集めて、しっかりスポンサーも付けてライブコマースを仕掛けてみては?その際に注意すべきは、日本人の目線や理屈で「これを売って」と言わないこと。中国人に受けるアイテムは、詰まるところ中国人にしか分からない。それをまず理解しなくてはいけない。それと、これはコロナが収束して海外渡航が自由になってからの話だが、上海なら飛行機で3時間程度なのだから、まずは現地を見てみること。“いつまでも日本の方が上”という幻想を捨てて、リアルな中国を体感してほしい。

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【動画】古着店「サファリ」大解剖 ユーチューバーが紹介してオーナーが解説

 今回の出張インタビューは古着の聖地、東京・高円寺の「サファリ」にフォーカスします。主要4店舗を古着系ユーチューバーのゆーみん&きうてぃと「WWDジャパン」の(自称)古着担当であるミサワが巡り、さらにその映像を見ながら村山佳人「サファリ」オーナーが解説する構成です。

 「サファリ」やゆーみん&きうてぃについては↑こちらの記事内でたっぷり紹介しているのでそちらを参照いただくとして、本動画ではユーチューブで人気の“行ってみた”“着てみた”動画の良さと「WWDジャパン」らしいビジネス目線を組み合わせてみたので、ぜひご覧ください。

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新型コロナ感染予防対策にドイツでシェアNo.1の除菌・消毒品ブランド「サグロタン」が活躍 海外ビューティ通信ベルリン編

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」ではパリやニューヨーク、ソウル、ベルリンの4都市に住む美容通に最新ビューティ事業をリポートしてもらう。(本文中の円換算レート:1ユーロ=126円)

 新型コロナウイルスの感染拡大により11月2日から来年の1月10日(暫定)まで2度目のロックダウンとなったドイツ。12月16日からはヘアサロンやショップ、学校なども閉鎖となり、1回目のロックダウンとなった3月同様、厳しい規制が設けられている。そんなドイツで、マスク着用と併せて日常的な習慣となったのが手洗いとうがい、手の消毒など感染予防のための対策である。

 ドイツ語ではまとめ買いすることを“ハムスター買い”を意味する「ハムスターカウフ(Hamsterkauf)」というが、3月のロックダウン時にはトイレットペーパーに続き、ハンドソープや除菌ジェルが多くの店舗で完売状態となった。中でも除菌・消毒製品に特化した老舗メーカーの「サグロタン(SAGROTAN)」の薬用ハンドソープが圧倒的な人気で、第2波が収まった現在も品薄状態の店舗が多くある。

 「サグロタン」は、1912年にハンブルクで設立。現在はドイツ南西部のハイデルバルクに拠点を置くレキットベンキーザー・ハイジーン・ホーム・ドイチュラント(RB Hygiene Home Deutschland GmbH)が製造・販売を行なっている。同ブランドは100年以上の長い歴史を誇るだけでなく、米市場調査会社ニールセン(Nielsen Holdings PLC)によると、2006年以降、ドイツの除菌・消毒製品市場でシェア1位を獲得している。

 「サグロタン」の薬用ハンドソープは、ポンプを押すとそのまま泡が出るタイプと液体ジェルタイプの2種類があり、ドイツの2大ドラッグストア「ディーエム(dm)」と「ロスマン(Rossmann)」で簡単に手に入れることができる。筆者のおすすめであり人気商品が泡タイプで、日本製品によく見られる弾力性のある泡ではなく、水気を多く含んだ緩やかな泡が特徴だ。

 泡タイプは液体ジェルタイプよりも化学成分が45%少なく、肌に優しい上に抗菌性があるサリチル酸が配合でバクテリア除去率は99.9%と高い。香りはバニラ&オーキット、シトラス&オレンジブロッサム、チェリーブロッサム&ローズの3種類があり、洗った後にいい香りが持続する。しっとりした肌になるのも人気の理由だ。ポンプを回してロックすれば、外出先にも持ち運ぶことが可能だ。

 優れた特性を持ちながら、ドラッグストア「ロスマン」での販売価格は250mLで1.95ユーロ(約240円)と安価に手に入れることができる。 詰め替えタイプは同じ容量を1.45ユーロ(約180円)で販売し、ドラッグストアでは前述の“ハムスター買い”に走る人が続出している。液体ジェルタイプもアロエ・ヴェラやアップル&ジャスミンなどの5つの香りがあり、泡タイプとほぼ同額で購入することができる。薬用ハンドソープ以外に洗濯除菌剤、消毒スプレー、消毒液、便座クリーナーなどといった除菌や消毒専用の製品を多数展開し、どの製品もバクテリア除菌率99.9%と表示している。

 100年以上に渡り家庭内の衛生を保つために尽力してきた同ブランドは、コロナ禍においてさらに活動を活発化することになる。7月にはハイデルベルクをはじめドイツ全土の学校を対象に、10万個以上の薬用ハンドソープを提供し社会貢献活動にも力を注いでいる。ドイツの除菌・消毒製品メーカーでは初の試みとなったが、薬用ハンドソープを使った手洗いは子どもを感染症から保護し、病気を避けるための適切な手指衛生として重要であると認識され、配布した学校の77%から非常に高い評価を得た。

 「サグロタン」のオフィシャルウェブサイトには、正しい手洗い方法が記されている。30秒から1分間手を洗うことによって、下痢、嘔吐、そのほかの感染症を引き起こす可能性のある有害な細菌の拡散を大幅に減らすことができるとある。改めて正しい手洗いや消毒方法を知ることで、感染拡大防止につながることを願わずにはいられない。

宮沢香奈(みやざわ・かな):フリーランスライター兼コラムニスト。プレス、ブランドディレクターなどを経て、フリーランスとしてPR事業をスタート。その後、ライターとして執筆活動を開始。2014年に東京からベルリンに拠点を移し、ヨーロッパを中心に現地情報を多数の媒体で執筆中

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カリスマ店員に憧れ、回転寿司のバイトからルミネエスト店の店長に エスペランサ高山亜樹

 マルキューブーム全盛期には、厚底ブーツの代名詞としてマルキューのカリスマ店員たちの足元を彩ったシューズブランド「エスペランサ(ESPERANZA)」。現在はトレンドからデイリーユースなシューズまで、幅広い層にシューズを展開している。中学生の頃にマルキューブームを体験した「エスペランサ」ルミネ エスト店の高山亜樹店長は、21歳のときに回転寿司のアルバイトから憧れの「エスペランサ」に一念発起して転職した。憧れを仕事にすることやアパレル接客の醍醐味を語ってくれた。

―高校1年生から21歳まで、ずいぶん長い期間、回転ずし店でアルバイトしていましたが、なぜ「エスペランサ」で働こうと?

高山亜樹さん(以下、高山):元々、オシャレをすることは大好きだったんです。それこそ小学生の頃から姉のコーディネートに「今日はちょっと変だよ!」とか口出ししていて、姉も出かける時には私にアドバイスを求めたりしていました (笑)。なので当時、そういうことを仕事にする人を何というのか気になって調べると『スタイリスト』という職業があるんだと知って、将来の夢にはしていたんです。ただ、高校生になったら飲食と接客にも興味が出てきて、回転ずし店でアルバイトを始めたんです。とはいえ、当時もファッション雑誌でトレンドチェックするのは欠かしませんでした。

―ある意味、子どもの頃の夢がかなったんですね!

高山:そうなんです!ショップに買い物へ行くと、そこで接客してくれるオシャレな店員さんと仲良くなれて、そのスタッフさんに会いに行っていたこともありました。好きなブランドのスタッフさんに会いに行って、「また来てくれたんですね!」と会話して、コーディネート提案してくれる。こんなにお客さまがたくさんいるのに、自分のことを覚えてくれていることに感激して、私もやっぱりこんな仕事がしたい!と思ったのが、転職のきっかけでした。

―私にもそんな思い出があります。

高山:一日中に何十人もの人を接客しているのに、それでも覚えていてくださって。それが嬉しかったし、ほかのお客さまも絶対そうだろうなと思って、私もこの世界に入りたくなったんです。

―その頃、接客を受けたスタッフさんで覚えている方はいますか?

高山:はい。中学生のときですが、ある日、特に買う予定がなかったのであるショップの前を素通りしたら、ショップの中から「え!なんで素通りするんですか?」と声を掛けられたんです(笑)。この方は本当にすごくて、いまでも覚えていますが、何度もその方にコーディネートを組んでもらっていました。ずっと前に買った商品まで覚えていてくれて、「前に買ったあの服と今日買ったものを合わせるといいよ!」とアドバイスしてくれたり、その記憶力もすごいですが、おしゃべりも楽しくて、1時間くらい入り浸っていたこともあります。結構強めなギャル系のブランドだったので、中学生の私は“敷居が高いブランドだな”と思っていたのですが、その方の接客でガラッとブランドの印象が変わりました。近寄りがたいスタッフさんかと思ったのですが、いざ話してみるとすごいフレンドリーで、色んなことを相談しました。

―こんなお姉さんになりたい!という感じですよね。それで、実際に働いてみてどうでしたか?

高山:大変でしたね。お客さまのことだけではなく、商品量は多いし、接客のためには覚えておかなくてはならない商品知識もたくさんあって…。その上で、お客さま一人ひとりに合った提案や接客方法を考える、本当に大変な仕事だと改めて知りました。でも、それ以上に楽しかったんです!子供の頃に姉にコーディネートしていた楽しい気持ちを思い出して、仕事という以上に喜びや楽しさのほうが大きかったですね。

―そうした中で、大変だったことは?

高山:やっぱり、接客の入り方です。前職が飲食だったので、どうアプローチしていけばいいか戸惑いました。

―確かに。飲食店は入店したら、お客の方からほぼ必ず注文するので、スタッフからアプローチすることはあまりないですもんね。

高山:そうなんです。自分から声を掛けていくので、今でも「このタイミングで良かったのかな?」と考えることがあります。とはいえ絶対の正解はないですし、自分だけではなく、お客さまありきのことなので、今でも勉強しています。次はこのタイミングで行こうかな、と常に考えていますね。

―声掛けのタイミングは、どんな販売員でも通る最初の壁ですよね。

高山:声掛けが上手くいかなくて、落ち込んじゃうとその気持ちがお客さまにも伝わるので、そこで躓いても、いかに楽しく自分らしく接客できるかが大事だと思います。

―逆にこの仕事の楽しいところは?

高山:仕事だけど趣味というか、自分の好きなことを仕事にしていられることですね。休日とかに洋服を買いに行くと、つい「この服にはうちのあの靴が似合いそうだな」って考えちゃんです(笑)。あと、街を歩いている人のコーディネートを見て、「うちのあの靴を合わせたらもっと可愛くなるのに!」とか…。逆にお客さまのコーディネートから学ぶことも多いです。

―ですが、最近は働き方が変わって、自宅で仕事する人も増えてきています。店頭から見ていて靴の需要はどうでしょうか?

高山:個人的な見方ですが、それでもカワイイ靴は絶対的に必要だと思っています。たとえ自粛期間中であっても、一歩も外に出ないということはありませんし。少し前までは「手持ちの靴がダメになったから買いに来ました」というお客さまも多かったのですが、最近は「こういう靴が欲しくて買いに来ました!」と目的を持って探しに来られるお客さまも増えているように感じます。

―そうなんですね!

高山:仕事が在宅になったからこそ、ちょっとしたお出かけが貴重になっているのかもしれません。以前にも増して、「こういうのが欲しい」というニーズをしっかり持って買い物に来られます。

―高山さんのお話しを聞いているとポジティブに変換するのが上手だなと思ったのですが、そう考える方法や秘訣ってあるんですか?

高山:元々は全然ポジティブではなかったんです。失敗したら本当にとことん落ち込むタイプでした。それこそエスペランサで働くようになってから変わったんです!上司や一緒に働くスタッフのお陰で、ポジティブに変換できるようになったんです。

―どうやって変わっていったのですか?

高山:それまでは、落ち込むときは底が見えないくらい、とことん落ち込むタイプだったんです。色々考えに考えて結局どうにもできずに当時の上司に相談をしたのですが、そこで「考えるより行動した方がいいよ」と言われて、ハッと気づきました。実はアドバイスをもらって気づいたのですが、考えるより思ったことはとりあえず行動に移すことの方が、自分の性格には合っていたんです。それからガラッと変わりました。パッと切り替えられる、ポジティブ思考になりました。

―ちなみに、当時はどんなことで悩まれていたんですか?

高山:この時は店長に昇格したばかりで、スタッフ教育に悪戦苦闘していました。「あの教え方で良かったのかな?」「あの教え方ではダメかな?」「どう教えたら覚えてもらえるかな?」とずっと悩んでいただけで、なかなか実践できていなかったんですね。そこで「行動してみたら」と言われ、実際に自分の考えてみたことをやってみたら道が開けてきて、次にやるべき課題が見えてきたんです。それ以来、悩んだときは即行動とシフトチェンジできるようになりました。

―全国のショップの店長さんが商業施設の休業期間に何をすればと悩まれたと思うのですが、高山さんはどうされていましたか?

高山:休業は仕方ないので、営業再開時に役立つことをしようと、スタッフにいろんな宿題を出していました。例えば「営業再開時に入荷予定の商品について、メリットを5つ考えて」と宿題を出し、スタッフが考えたメリットをみんなで共有して接客ロープレをしていました。商品知識の宿題について本部に相談したら、本部で資料も作ってくれたんですよ。これは本当に嬉しかったです。その新商品のポイントをまとめた資料はスタッフに「こんなの作ってくれたよ!これを参考に考えてきて」とラインで送りました。自粛期間を勉強のために使った結果、営業再開後にはルミネカードの獲得数で「エスペランサ」は群を抜いてトップを取れましたし、スタッフからも「宿題があって良かったです」「むしろ休業前よりレベルアップしました!」という感じで話してくれて、店長としてはやってよかったなと(笑)。

―すごい!学びの時間にして、実際に効果もあったとは。ルミネエストはもとはかなり人通りが多く、スタッフはいつも忙しそうにしていたので、この休業期間を利用して接客や商品知識を身につけたのは良かったかもしれません。

高山:スタッフたちも、すごい自信がついたみたいで、営業再開後はみんな楽しそうに仕事をしています。仕事って自信がついてくると楽しいんですよね。その仕事の本質を分からないでやっているより、ちゃんと勉強して理解した上で仕事していた方が絶対楽しいと思うのです。今回はそれができたんだと思いました。

―それでは最後に今後の目標を教えてください!

高山:今後は、店舗のことだけじゃなくて、お客さまのことを考えていろいろな行動ができるスタッフを増やしていきたいと思いってます。そして、販売の仕事は楽しいんだよ、接客は楽しんだよ、という風に思ってくれるスタッフを増やしたいですね。

苫米地香織:服が作れて、グラフィックデザインができて、写真が撮れるファッションビジネスライター。高校でインテリア、専門学校で服飾を学び、販売員として働き始める。その後、アパレル企画会社へ転職し、商品企画、デザイン、マーケティング、業界誌への執筆などに携わる。自他ともに認める“日本で一番アパレル販売員を取材しているライター”

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爆裂!健康美容マニア道 2021年、進化したビタミンCが来る

 1日8食、ジャンクフード漬けの超不健康児から超健康優良児へと大変身を遂げたフリーアナウンサーの名越涼。およそ15年かけて自らの体で人体実験を繰り返してきた結果、“超絶良かったもの”だけをここで余すことなくお伝えする。今回はビタミンCのサプリについて。

 今年もたくさんの健康美容アイテムに触れ、細胞の活性化にいそしんだ1年でした。うふふ。皆さんはいかがでしたか。あっという間に年末。来月が来年だなんてにわかに信じがたいけど、諸行無常。月日は刻々と流れていくのですね・・と、しみじみ浸っている間も健康になっていたい。そんなストイックなあなたに贈る、健康美容マニア的「2021年はこれが来る!」今回から3回にわたってお届けいたします。第1弾は感動もののサプリメントについて。

24時間フルタイムで働きまくるビタミンC

 万能栄養素であり、必要不可欠な「ビタミンC」。サプリはもちろんのこと、点滴・注射で摂取したり、粉末状のものを化粧水に混ぜたりと、これまで数え切れないほど、かつ、さまざまな方法で補給してきたわけです。おそらく、中学2年生の時のサプリデビューもビタミンC。あれから20年、私の体を通ったビタミンCは数知れず……そんな背景があり、ビタミンC関連の商品に関してはかなり厳しい目を持っていまして、ちょっとやそっとじゃ「これ続けよう♡」にはならないのであります。が!!!久しぶりに「これすごいわ……」とほれぼれしてしまう怪物級ビタミンCを発見。それが「ビタミンCプレミオ」。タイムリリース型でも体内での持続性は8時間前後なのに、これはなんと、24時間。そう、1日頑張って働いてくれるというのです。

格段の美白パワー

 そのビタミンCの正体は脂溶性ビタミンCパルミテート。脂肪酸の1つであるパルミチン酸をビタミンCと反応させたもので、通常の水溶性ビタミンCと比べて体内への吸収が良く、長時間にわたって滞在してくれるという特長があるのです。さらに、胃への負担も少なく「おなかを下しちゃった(泣)」という心配もなさそうなのがうれしいところ。従来のビタミンCだと水に溶けやすい分吸収されにくく、その多くが尿として排出されてしまうのがネックだったのだけれど、「ビタミンCプレミオ」は血液中のビタミンC濃度を高いまま維持して働きかけてくれるから、その結果は歴然。高濃度ビタミンC点滴をした後みたいに「あ。白くなった」って感じられるほど。そういった美白パワーはもちろんのこと、純粋に肌の調子がいい。それだけではなく、驚異の抗酸化作用で体内のサビがたまりにくくなっているからか、結構ハードな仕事をしていても不思議と疲れにくい。ビタミンCってちゃんと吸収されるとこんなに実感あるのね、って今さらながら感心している毎日。年末はどうしても1年分の疲れがどっと出やすく、今の時期は特に免疫力をつけておきたいところ。美容面はもちろんのこと、いつ収束するか分からないコロナ対策としても、21年は進化した“働きものビタミンC”で効率よく、サビない体づくりを。

健康メモ
 ビタミンCと一緒にぜひ摂取したいのが「鉄分」。ビタミンCと共に取ることで鉄分の吸収率が格段にUP!“隠れ貧血”の予防に、意識しておきましょう。

名越涼/フリーアナウンサー。香港出身。福井と愛知のテレビ局アナウンサーを経て独立。司会やライター、セミナー講師、企画・プロデュースなど幅広く活躍するパラレルワーカー。趣味・特技は手作り発酵食、食文化研究、ヨガ(歴15年)eスポーツと農業にも精通

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岐阜発の高級美顔器が中国で人気沸騰 年商は3年で10倍の300億円に トップが語る「成功の方程式」

 中国の巨大セール「独身の日(W11)」で、日本の中小メーカーが一際大きな売り上げを残した。岐阜県羽鳥市に本社を構えるアーティスティックアンドシーオー(ARTISTIC&CO.)は、1台10万円の高級美顔器でポジションを築き、今年の独身の日期間には前年比150%増の30億円を売り上げた。自社で本格的に展開を始めたのは昨年5月、中国最大のECサイトTモール(天猫)で海外旗艦店をオープンしてからだが、今や約8割が中国の売り上げで、年商はこのわずか数年で10倍の300億円に達したという。なぜ地方の中小メーカーが中国で爆発的な成長を遂げられたのか。

 アーティスティックアンドシーオーはエステサロン向け美容機器の製造・販売会社として2008年に設立し、2010年から小型の家庭用美顔器「ドクターアリーヴォ(Dr.Arrivo)」を販売開始した。現在中国で絶大な人気を誇るのも、この「ドクターアリーヴォ」の商品だ。中国には2013年頃から代理店を通じて卸していたが、在日中国人の口コミやソーシャルバイヤー(代購)の転売が増えたことなどをきっかけに、2016年頃から本格進出を検討。2018年には自社主導で中国でのプロモーション活動をスタートした。

 まずはKOL(Key Opinion Leader、インフルエンサーのこと)による拡散で認知度を向上するプロモーションを実施。実際の愛用者を中心に、KOL数百人を招待した豪華な発表会も行ったという。さらにブランド名が広まると、今度は高級製品としての価値を伝えるべく、有名女優をアンバサダーに起用した。今年はウェイボー(Weibo)で1308万フォロワーを持つ張雨綺(キティ・チャン)をグローバルアンバサダーに起用している。

 多くの場合、中国外の企業はこういったプロモーション活動を中国企業に一任するが、アーティスティック&CO.は自社で企画している。金松月(きん・しょうげつ)取締役は「必要な場合にそれぞれ外注するため、一貫性がないと見えるかもしれない。しかし市場を見て感じたこと、お客の声を聞いて思ったことを都度実行できるため、お客が求めるものを提供できる」と利点を語る。

 同社はプロモーションのみならず、商品の企画から製造、販売も自社で一貫している。今年9月には、これまで分散していた研究開発や製造、物流、営業の国内オフィスを一か所に集約した。営業らと密な連携をとり、顧客の細かいニーズを研究開発に反映していくためだ。さらに製造工程から物流拠点までを一体化することで、高品質な製品を、小ロットから素早く届けることも可能になった。

 近藤英樹社長はこの一体化について「中国市場は日本と全く異なる市場。変化が早いので、日々顧客と対話してどんどん新製品を開発し、すぐ販売することが大切だ」と語る。中国では模倣品も課題の一つだが、その対策としても開発スピードは重要で、「真似できない技術を開発していくことは重要だが、それでも時間が経てばコピーされてしまう。だから次々に作っていく必要がある」という。

 そのスピード感は日本市場でも生かされている。同社は新たな施策を行う際は最小限の費用で小さくテストするというが、12月12日には日本でのライブコマースの第一歩として、リアルイベントと連動したインスタグラムライブを配信。金取締役によると「実際の購入にもつながるなど手応えを感じた」といい、次回配信をすぐさま決定した。次は大晦日の23時から元旦にかけての24時間配信を予定している。

トップKOL頼みのライブコマースから方針転換、その理由は?

 中国市場で注力するライブコマースも、経験を元に方針を変えてきた。昨年半ばにライブコマースでの販売を開始した際には、トップKOLの薇娅(Viya)や李佳琦(Austin)らに販売を依頼した。しかし、一瞬で莫大な売り上げが立つ反面、返品も多かったという。「冷静でない状態で購入を決断していること、また短い紹介時間で製品の価値を理解仕切れていないことが原因ではないか」と金取締役は振り返る。また一時的にセール価格で販売することで、その後の売り上げにも響いたという。

 そのため、現在は自社でのライブコマース配信がメイン。現地社員による毎日の配信に加え、本社の自社スタジオからも週2回配信している。KOLへの依頼も、より熱心に商品説明をしてくれる中規模のKOLが中心だ。最も重視するのは「価値の発信」だと金取締役は力説する。「中国の消費者からは日本ブランドというだけでも信頼は得られるが、ポジションを確立するためには、商品を売るのではなく『価値を売る』ことが重要だ」。

 そのためライブコマースでの配信や中国SNSの小紅書(RED、Xiaohongshu)、ウェイボーなどを通じて、製品情報だけでなく美容知識や、時には他社製品の紹介など、ユーザーの勝ちとなる情報を配信している。

 本格進出にあたって大物女優の起用や発表会などに投資をしてきたが、近藤社長は「KOLらの起用も、既に利益を上げた中から、必要な箇所のみに投資してきた」とリスクとは捉えなかった。適切な投資でブランド価値を高めたことで、現在はKOLによる口コミ投稿も自然に生まれるようになり、中には自ら志願して本社見学に訪れるKOLもいるという。

成功の鍵はメイド・イン・ジャパン品質と経理の社員?

 こういった成功の裏には、いち早く中国市場に商機を見出した金取締役の活躍があった。実は2015年に経理の一社員として入社した金取締役は、中国語が話せることから展示会の中国人対応を任された。「その時にお客の反応がとても良く、中国でも売れるのではないかと可能性を感じた」といい、本格進出を猛プッシュ。当時の中国での取引量は現在の成功には程遠いもので、近藤社長もその先見の明には「中国市場は中国の人でなければできない」と唸る。

 こうした個人の活躍が生きたのも、土台となる製品あってこそ。近藤社長は「成功するには技術力は欠かせない。当社の美顔器は肌に触れる部分が特許技術を用いた24金加工で、何度使用しても剥がれない。こういうところは使っていくうちに分かるコピー品との大きな違いで、真似られないオンリーワンの技術だ」とメイド・イン・ジャパンの品質を強調する。真似されない確かな技術力と中小企業ならではの一体感が合わさったことで、変化の激しい中国市場で成功を収めた。

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先駆者“ヨネちゃん”が語る間違いだらけの中国戦略(前編)

 “近くて遠い”とは、まさにこの国のことを指す言葉だと思う。中国のことである。GDP14兆1700億ドル(約1459兆5100億円)の世界第2位の経済大国でありながら、時にテレビやユーチューブからもたらされる農村部の暮らしには愕然たる格差を感じる。同じ東アジアであるが当然、日本とは文化や思想は異なる。人口は日本の12倍近い約14億人で世界1位、多様性もつまり12倍近い。それゆえ“よく分からない”。そこで2009年から中国で活躍する編集者・フォトグラファーの米原康正に、中国のリアルについて聞いた。カルチャーのみならず政治・経済にまでフォーカスしたので、海外渡航に制限がかかる中で隣国を理解するための足掛かりにしてほしい。

WWD:リアルな中国とは?

米原康正(以下、米原):日本人の中には、中国をいまだに発展途上国と勘違いしている人も多い。自転車が町を占拠し、そこに暮らす人は人民服を着て……というイメージを持つ人がいるが、それは外国人が日本に抱く“フジヤマ・ゲイシャ”くらいに古い幻想だ。2019年の中国のGDPは日本(約537兆6600億円)の約2.7倍。日本人が受け取る情報には“創造”されたステレオタイプなものもあり、現実とは異なることが多い。例えば08年の北京オリンピックの際には、渋谷区ほどの土地を一気に都市化する動きを見せた。昨日まで畑だった場所に一夜でクラブができた、なんて話もあった。町ができれば、人が流れ込んでくる。新しい町には先進的な学校もできるから、そういった学校に子どもを入学させたい富裕層が貧民層から土地を買い上げ、結果として貧民層が成金に。そういった人たちが日本に爆買いツアーに来ていた図式だ。

WWD:中国国民の生活も大きく変わった?

米原:僕が中国で活動し始めた09年頃はまだ現金文化だったが、この10年でデジタル化が一気に進行した。このあたりは、さすがは一党独裁といった感じ。“クレジットカードも使えない”から、財布さえ持たない“スマホ決済”に飛躍した。数カ月ぶりに中国に行って売店で水を買おうとしたら、「現金は使えない」と言われて驚いたことを覚えている。

中国を理解しなければ中国では勝てない

WWD:コロナ禍でさまざまに自粛しなければならない今だからこそ、中国戦略を練り直したいと考える人も多いと思う。

米原:業態によって方法は変わってくるが、一つ言えるのは“日本で流行っているから中国でもウケる”という当たり前はないということ。日本に置き換えてみても、アメリカでウケているブランドが必ずしも日本で売れるわけではないのと同じだ。例えば、日本の某アパレル企業の20〜30代向けウィメンズブランドは中国でヒットしたが、同じ世代を狙ったルームウエアブランドは大コケした。これは中国人にとってOL向けブランドは新鮮だったが、ルームウエアは寝間着にしか映らなかったということ。この時に中国系の代理店なりが入って、売れるか否かの判断をしていれば結果は違ったのかもしれない。これって少々言葉はキツいが、民族の優位性みたいなところに根ざしている話で、“皆、日本製が好きでしょ?”というおごった考え方が元凶なのだと思う。

WWD:日本の方法論をそのまま持って行っても失敗すると?

米原:その通りだ。こんな例もある。10年にヤマト運輸が上海で宅急便事業を始めたとき、緑の帽子が原因でストが起こった。中国で緑の帽子は“妻を寝取られた男”を意味するためで、こんなユニホームは着られないとニュースにもなった。結局、帽子の色はベージュに変更されたが、最初から知っていれば、つまり“中国頭”があれば、時間もコストも無駄にならなかった。色に関して言えば、日本ではアースカラーがトレンドになっているが、中国人はブラウンを着ない。国土が乾燥していて大気が汚れているため、くすんだ色は人気がない。これを知っているか否かで大きな差がつく。

WWD:中国にはコピー商品問題もある。

米原:僕も商品をプロデュースしたりしていて最初はコピー商品に悩まされたが、中国人の友人から「それは中国人がヨネちゃん色に染まってきた証拠。本物が欲しくても買えない人が買うだけで、本物が欲しい人は案外、偽物がどれだけ出回っているかを人気のバロメーターとして見てから買う」と教えられて、目からうろこが落ちた。

中国人を尊重して共に歩む気持ちも大事

WWD:中国人とビジネスする上で気を付けるべきことは?

米原:中国人は面倒を嫌うので直接話をしたがる。彼らからすると、「なんでわざわざ代理店を通すの?」と疑問に思うそうだ。僕もよく「芸能人の○○さんを紹介して」と頼まれるのだが、日本であれば所属事務所を通してオファーをするのが普通だが、中国人は本人に直接「やるか否か」を聞けば済むと考える。本人が「YES」と答えれば交渉成立。中国人が日本人と仕事をしていて一番驚くことは、打ち合せ後に相手が「いったん持ち帰って上司と相談する」と言うこと。中国人からしたら「だったら、あなたの役目は?」「なぜ決定権のない人と話をしなくてはならないのか?」なわけで、「じゃあ、その上司と直接話をさせてくれ」となる。このスピード感ってとても大事で、日本人も肝に銘じないと世界の中でどんどん立ち遅れていくと思う。日本企業がダメになった原因って“現場感のなさ”にあると考えていて、こんな企画をしたい!と思い立っても企画書を書いて何人もにはんこをもらっている間に内容がどんどん変わってしまって……があるある。現場には決定権のない人が出てきて、一方で現場感のない人が決定のための会議をしている。こんなのって日本だけだと思う。

WWD:スピードオーバーで事故をする可能性はない?

米原:ある(笑)。だから中国人のスタイルが全部正しいと言っているわけではなくて、実際前のめり過ぎて、いざフタを開けてみたら何もできてないなんてこともあった。ここで注意すべきは中国人は面子を重んじるので、簡単に「できない」と言わないということ。「できる」「大丈夫」と返事はしても、うまく進んでいるか定期的に確認する必要がある。さらに“できなかった”ときのために、第2案を考えておくことも大事だ。

WWD:“できなかった”もありえる?

米原:当初は驚いて怒ることもあったが、今ではそれを想定して動いている。これで心が折れてしまうようでは中国では仕事ができない。面白いのは、日本だと「親族に不幸があって」と言い訳をする人が多いが、中国では「アシスタントの親がちょっと……」となる。これは言霊を信じていて、自分の親族を不幸にしたくないからとのこと(笑)。話を戻すと、できなかったのなら「一緒にやろう」と声を掛ければよくて、心根は真っ直ぐな人が多いからそれで動いてくれる。そういったアクションを重ねて、“この人について行けば「利」がある”と思わせたら勝ち。

ヨネちゃんが考える中国攻略のカギ、“利”とは?

WWD:“利”とは?

米原:自分にとって価値があるか否かということ。中国人を知る上で、この“利”ほど大事なものはないと考えている。その判断はとてもドライで、あなたよりあの人の方が“利”があるとなればそれまで。ところが、やっぱり僕の方に“利”があると感じれば戻ってくる(笑)。これって日本人からしたら裏切りにも見えるが、中国人はどちらに向かい合っているときも本気。だから、ずっと本気でいさせるためにどうすべきかを考えなくてはならない。でも、それってかなり大変(笑)。

WWD:中国で勝負するなら、中国人の気質を理解しなければならない?

米原:こびる必要はないが、その通りだ。例えば、中国の最大手EC企業アリババ(ALIBABA)が「独身の日」に合わせて11月11日まで開催した大規模なセールでは、コスメの売り上げが1番で中でも資生堂は圧倒的人気だった。2番目が家電、3番目がミルクやオムツといったベビー用品で、これらのカテゴリーで日本メーカーは厚い支持を得ている。中国では80年代後半から90年代中頃に生まれた世代のことを“新・新人類”と呼んでいて、子どもの頃から海外製品、こと日本製品に慣れ親しんでいる。日本メーカーによるベビー用品の好調は彼らが親世代になったからであり、こういったデータを踏まえてアパレル企業はどう戦うべきかを考えなくてはならない。

WWD:そのためにまずすべきことは?

米原:PRだと思う。コスメも家電もベビー用品も、前述の爆買いツアー層による口コミあっての高評価であり、日本人が仕掛けたからではない。中国でビジネスをするなら、中国人の目でものごとを見ることが重要。そうすれば今からでも入り込める余地はあるはず。

(後編は2020年12月25日に公開予定です)

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先駆者“ヨネちゃん”が語る間違いだらけの中国戦略(前編)

 “近くて遠い”とは、まさにこの国のことを指す言葉だと思う。中国のことである。GDP14兆1700億ドル(約1459兆5100億円)の世界第2位の経済大国でありながら、時にテレビやユーチューブからもたらされる農村部の暮らしには愕然たる格差を感じる。同じ東アジアであるが当然、日本とは文化や思想は異なる。人口は日本の12倍近い約14億人で世界1位、多様性もつまり12倍近い。それゆえ“よく分からない”。そこで2009年から中国で活躍する編集者・フォトグラファーの米原康正に、中国のリアルについて聞いた。カルチャーのみならず政治・経済にまでフォーカスしたので、海外渡航に制限がかかる中で隣国を理解するための足掛かりにしてほしい。

WWD:リアルな中国とは?

米原康正(以下、米原):日本人の中には、中国をいまだに発展途上国と勘違いしている人も多い。自転車が町を占拠し、そこに暮らす人は人民服を着て……というイメージを持つ人がいるが、それは外国人が日本に抱く“フジヤマ・ゲイシャ”くらいに古い幻想だ。2019年の中国のGDPは日本(約537兆6600億円)の約2.7倍。日本人が受け取る情報には“創造”されたステレオタイプなものもあり、現実とは異なることが多い。例えば08年の北京オリンピックの際には、渋谷区ほどの土地を一気に都市化する動きを見せた。昨日まで畑だった場所に一夜でクラブができた、なんて話もあった。町ができれば、人が流れ込んでくる。新しい町には先進的な学校もできるから、そういった学校に子どもを入学させたい富裕層が貧民層から土地を買い上げ、結果として貧民層が成金に。そういった人たちが日本に爆買いツアーに来ていた図式だ。

WWD:中国国民の生活も大きく変わった?

米原:僕が中国で活動し始めた09年頃はまだ現金文化だったが、この10年でデジタル化が一気に進行した。このあたりは、さすがは一党独裁といった感じ。“クレジットカードも使えない”から、財布さえ持たない“スマホ決済”に飛躍した。数カ月ぶりに中国に行って売店で水を買おうとしたら、「現金は使えない」と言われて驚いたことを覚えている。

中国を理解しなければ中国では勝てない

WWD:コロナ禍でさまざまに自粛しなければならない今だからこそ、中国戦略を練り直したいと考える人も多いと思う。

米原:業態によって方法は変わってくるが、一つ言えるのは“日本で流行っているから中国でもウケる”という当たり前はないということ。日本に置き換えてみても、アメリカでウケているブランドが必ずしも日本で売れるわけではないのと同じだ。例えば、日本の某アパレル企業の20〜30代向けウィメンズブランドは中国でヒットしたが、同じ世代を狙ったルームウエアブランドは大コケした。これは中国人にとってOL向けブランドは新鮮だったが、ルームウエアは寝間着にしか映らなかったということ。この時に中国系の代理店なりが入って、売れるか否かの判断をしていれば結果は違ったのかもしれない。これって少々言葉はキツいが、民族の優位性みたいなところに根ざしている話で、“皆、日本製が好きでしょ?”というおごった考え方が元凶なのだと思う。

WWD:日本の方法論をそのまま持って行っても失敗すると?

米原:その通りだ。こんな例もある。10年にヤマト運輸が上海で宅急便事業を始めたとき、緑の帽子が原因でストが起こった。中国で緑の帽子は“妻を寝取られた男”を意味するためで、こんなユニホームは着られないとニュースにもなった。結局、帽子の色はベージュに変更されたが、最初から知っていれば、つまり“中国頭”があれば、時間もコストも無駄にならなかった。色に関して言えば、日本ではアースカラーがトレンドになっているが、中国人はブラウンを着ない。国土が乾燥していて大気が汚れているため、くすんだ色は人気がない。これを知っているか否かで大きな差がつく。

WWD:中国にはコピー商品問題もある。

米原:僕も商品をプロデュースしたりしていて最初はコピー商品に悩まされたが、中国人の友人から「それは中国人がヨネちゃん色に染まってきた証拠。本物が欲しくても買えない人が買うだけで、本物が欲しい人は案外、偽物がどれだけ出回っているかを人気のバロメーターとして見てから買う」と教えられて、目からうろこが落ちた。

中国人を尊重して共に歩む気持ちも大事

WWD:中国人とビジネスする上で気を付けるべきことは?

米原:中国人は面倒を嫌うので直接話をしたがる。彼らからすると、「なんでわざわざ代理店を通すの?」と疑問に思うそうだ。僕もよく「芸能人の○○さんを紹介して」と頼まれるのだが、日本であれば所属事務所を通してオファーをするのが普通だが、中国人は本人に直接「やるか否か」を聞けば済むと考える。本人が「YES」と答えれば交渉成立。中国人が日本人と仕事をしていて一番驚くことは、打ち合せ後に相手が「いったん持ち帰って上司と相談する」と言うこと。中国人からしたら「だったら、あなたの役目は?」「なぜ決定権のない人と話をしなくてはならないのか?」なわけで、「じゃあ、その上司と直接話をさせてくれ」となる。このスピード感ってとても大事で、日本人も肝に銘じないと世界の中でどんどん立ち遅れていくと思う。日本企業がダメになった原因って“現場感のなさ”にあると考えていて、こんな企画をしたい!と思い立っても企画書を書いて何人もにはんこをもらっている間に内容がどんどん変わってしまって……があるある。現場には決定権のない人が出てきて、一方で現場感のない人が決定のための会議をしている。こんなのって日本だけだと思う。

WWD:スピードオーバーで事故をする可能性はない?

米原:ある(笑)。だから中国人のスタイルが全部正しいと言っているわけではなくて、実際前のめり過ぎて、いざフタを開けてみたら何もできてないなんてこともあった。ここで注意すべきは中国人は面子を重んじるので、簡単に「できない」と言わないということ。「できる」「大丈夫」と返事はしても、うまく進んでいるか定期的に確認する必要がある。さらに“できなかった”ときのために、第2案を考えておくことも大事だ。

WWD:“できなかった”もありえる?

米原:当初は驚いて怒ることもあったが、今ではそれを想定して動いている。これで心が折れてしまうようでは中国では仕事ができない。面白いのは、日本だと「親族に不幸があって」と言い訳をする人が多いが、中国では「アシスタントの親がちょっと……」となる。これは言霊を信じていて、自分の親族を不幸にしたくないからとのこと(笑)。話を戻すと、できなかったのなら「一緒にやろう」と声を掛ければよくて、心根は真っ直ぐな人が多いからそれで動いてくれる。そういったアクションを重ねて、“この人について行けば「利」がある”と思わせたら勝ち。

ヨネちゃんが考える中国攻略のカギ、“利”とは?

WWD:“利”とは?

米原:自分にとって価値があるか否かということ。中国人を知る上で、この“利”ほど大事なものはないと考えている。その判断はとてもドライで、あなたよりあの人の方が“利”があるとなればそれまで。ところが、やっぱり僕の方に“利”があると感じれば戻ってくる(笑)。これって日本人からしたら裏切りにも見えるが、中国人はどちらに向かい合っているときも本気。だから、ずっと本気でいさせるためにどうすべきかを考えなくてはならない。でも、それってかなり大変(笑)。

WWD:中国で勝負するなら、中国人の気質を理解しなければならない?

米原:こびる必要はないが、その通りだ。例えば、中国の最大手EC企業アリババ(ALIBABA)が「独身の日」に合わせて11月11日まで開催した大規模なセールでは、コスメの売り上げが1番で中でも資生堂は圧倒的人気だった。2番目が家電、3番目がミルクやオムツといったベビー用品で、これらのカテゴリーで日本メーカーは厚い支持を得ている。中国では80年代後半から90年代中頃に生まれた世代のことを“新・新人類”と呼んでいて、子どもの頃から海外製品、こと日本製品に慣れ親しんでいる。日本メーカーによるベビー用品の好調は彼らが親世代になったからであり、こういったデータを踏まえてアパレル企業はどう戦うべきかを考えなくてはならない。

WWD:そのためにまずすべきことは?

米原:PRだと思う。コスメも家電もベビー用品も、前述の爆買いツアー層による口コミあっての高評価であり、日本人が仕掛けたからではない。中国でビジネスをするなら、中国人の目でものごとを見ることが重要。そうすれば今からでも入り込める余地はあるはず。

(後編は2020年12月25日に公開予定です)

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「あまりのおいしさに衝撃」 ユナイテッドアローズが老舗酒蔵とコラボ酒発売でワクワクを提案

 ユナイテッドアローズ(UA)と栃木の酒蔵「仙禽」がコラボレーションした日本酒「仙禽 × UNITED ARROWS」に注目だ。仙禽は、江戸時代後期・文化3年(1806年)創業の、栃木県さくら市にある蔵元で、11代目蔵元の薄井一樹氏は、元ソムリエというユニークな経歴を持ち、日本酒のドメーヌ化や、いにしえの技法により実現した完全無添加の「ナチュール・シリーズ」など、新しい日本酒のスタイルを発信し国内外で高い評価を受ける。そんな酒蔵とのコラボ日本酒を10月に青山ウィメンズストア1階の「UA BAR AOYAMA」と、原宿本店1階「UA BAR」で販売し完売。12月24日に再販(グラス900円、ボトル2500円、税込)が決定した。ファッションのセレクトショップを軸とするUAが、なぜ日本酒を作ったのかーー。

WWD:「仙禽」に出合ったきっかけは?

鈴木貴至・第一事業本部運営支援部開発推進課所属(以下、鈴木):数年前に「仙禽」の日本酒を飲み、あまりのおいしさに衝撃を受け、私がファンになったのがきっかけです。1年前にオープンした「UA BAR AOYAMA」でも「仙禽」を提供し好評でした。それでオリジナルでも作ってみたいと思ったんです。

WWD:1年に渡って3度、酒蔵を訪ねたとのことですが。

鈴木:「仙禽」のおいしさに衝撃を受けた後、当社からお願いして仙禽さんとつながることができました。伝統的な技術をベースにしながらも、200年という歴史に安住せず、革新的な酒造りに挑戦し続ける姿勢にまたも感銘を受けました。

WWD:200年も続く酒蔵と聞くと、昔ながらの“がんこ者”で話を聞いてもらえないのではないか、というイメージもあります……

鈴木:いえ、最初から歓迎していただきました。仙禽の薄井さんは非常に柔軟な考えをお持ちで面白がってくださいました。酒蔵へは、1年の間に3度訪問し、うち一回は酒造りに参加させていただきました。(コロナ外出自粛中はもちろん行っておりません)。薄井さんとは同世代ということもあり、東京でもお会いするなど親交を深めています。

WWD:酒造りに参加してどうでしたか?

鈴木:一番は酒蔵の皆さんが自分たちの酒に誇りを持っていて、楽しそうに酒造りをされているのが印象的でした。特別に麴カビを蒸米に振る作業も体験させていただきましたが、緊張感もあり気持ちが凛として清々しかったです。

WWD:コラボ日本酒「仙禽 × UNITED ARROWS」の最大のこだわりは?

鈴木:だんだん寒くなってくる季節に飲んで美味しい、ということを心掛けました。また、アッサンブラージュに使用した仙禽の日本酒それぞれの良さが表現できるように注意を払いました。

WWD:味について教えてください。

鈴木:酒蔵の皆さんからは、大変ありがたいことに傑作とおっしゃっていただきました(笑)。甘味と酸味が絶妙なバランスで調和していると思います。温度を変えて飲んでも表情が変わってくるので面白いです。

WWD:酒造りから学んだことは?本業のファッションに影響がありますか?

鈴木:歴史・伝統をベースした本物だからこそ、革新的なことができるのだと学びました。それはファッションも同様だと思います。

WWD:UAがカフェやバーを経営していることは知っていますがなぜ今、日本酒、しかもコラボだったのですか?

鈴木:私自身、日本酒が大好きで昔からさまざまな日本酒を飲んできましたが、若い人を中心に飲まず嫌いな人が多いなと感じていました。単純にこのワクワクする世界をもっと紹介したいというのが動機です。そういったこともあり、「UA BAR AOYAMA」では日本酒をラインアップに入れています。ファッション同様に日本酒含めお酒などは、コロナ禍にあって不要不急のものであるかもしれません。しかし、し好品こそが生活に彩りを添え、困難を乗り越える活力になると信じています。

WWD:今後は何を作る?

鈴木:これまでもクラフトビールで4度コラボレーションをリリースしたことがあり、UAの運営する飲食店がある以上は、ファッション同様にワクワクすることを提案していきたいです。

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セットアップの次は “スリーピース”に注目! おしゃれ心くすぐる新発想コーデ

 “スリーピース”といえば、一昔前まではフォーマルな装いの代表的な組み合わせでした。でも近頃は、“脱スーツ”の新発想コーディネートが相次いでいます。たとえば、ベストやジャケットをはずして、代わりにブラウスやプルオーバーを組み込むセットアップなど、オーソドックスな“三つぞろい”の枠を越える、遊び心のある新顔スリーピースが続々とお目見え。一足早くファッショニスタは着こなし始めています。

 2021年秋冬の「グッチ(GUCCI)」のショー会場では、女優のアルバ・ロルヴァケル(Alba Rohrwacher)が3ピースをまとって参加。紳士風のテイストを生かしたジェンダーニュートラルな着こなしを披露しました。今回はオリジナル度が高いスリーピース・セットアップの新コーデをピックアップしてみました。

シャツ、ジャケット、パンツで凜々しくジェンダーレスに

 紳士服のスリーピースは“ベスト、ジャケット、パンツ”がお約束ですが、そこにベスト以外のピースが加わると意外感がアップします。軽快なワントーンコーデに仕上げたい場合は、シャツがおすすめです。

 写真の女性は、胸ポケットが付いたワークウエア風のグレーシャツが統一感を一段と高めています。すべての色味がそろったオールインワン風のコーディネートは凜々しさの極み。ダブルブレストのジャケットでさらにダンディーに味付けしています。足元はあえて正統派の革靴を避けて、黒スニーカーで軽快にハズしたテクニックにも注目です。

甘い色でフェミニンに寄せたコート入り三つぞろい

 ベストの代わりにコートを羽織ったダイナミックなスリーピースも登場。ロングコートを選べば、縦長効果のある“三つぞろい”にまとまります。

 ジャケット、コート、パンツのスリーピースをロマンティックなピンクで統一。アイテム自体は紳士風のセットアップですが、色の効果でフェミニン度がアップ。バッグやシューズも赤を選び、同系色でまとめました。バッグに重ねたビッグボウ(リボン)やピンクのサングラスが気分を盛り上げています。

キャップを生かした、ネオ英国調スリーピース

 新発想のスリーピースは“ウエア”だけにとどまりません。帽子やバッグ、靴などの小物類を取り入れた“3点セット”も試されています。

 英国風の正統派チェック柄でまとめたスカートとジャケットのコーディネート。キーアイテムはキャップです。ストリートコーデでおなじみのキャップですが、共生地で仕立てられた“3点セット”でスタイリングすれば、ブリティッシュトラッドの薫りが濃厚に。フリルのブラウスを合わせて、たおやかさも投入。趣深いミックスコーデに仕上がりました。

マスクが決め手のニューノーマル流セットアップ

 マスクが必需品となったニューノーマル下、セットアップの構成ピースにもマスクが名乗りを上げました。顔まわりのアイテムなので、印象の強さはベスト以上です。

 ビビッドなイエローの半袖シャツとパンツが作業着風のセットアップ。色と柄がお揃いのフェイスマスクがパンク感を添えています。ウィットを帯びたニューノーマル仕様のスリーピースは、長袖のカットソーとソックスを赤系でそろえて差し色に生かすことで、ハイストリートカジュアルなコーディネートが完成しました。

ドッキング風のモード感が高い複雑系3点セット

 一見ミニマルなジャケット、ベスト、パンツのオーソドックスな3点セットに見えますが、実際はドッキングやレイヤードを組み合わせた複雑なこしらえのこちら。セパレートに見えてオールインワン風の仕立てになっていたりと、入り組んだデザインが近頃は盛り上がっています。

 一輪挿しのようなフラワーモチーフがあちこちに施された個性派ディテールも、パンツスーツならキリッとしたムードを演出できます。パンツの裾をロングブーツに収めて履き口でたるませているのも、脚を細く見せる上級者テクニックです。

 スリーピースならではの“きちんと感”を保ちながらも、イレギュラーな“ベスト代わり”で遊び心を盛り込めるので、新発想の三つぞろいはおしゃれマインドをくすぐる着こなし。単品で着る選択肢もあり、その日の気分で楽しめる点でも使い勝手に優れ、今後さまざまなブランドから登場してきそうです。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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売らない百貨店「ノードストローム・ローカル」の狙い 鈴木敏仁のUSリポート

 アメリカ在住30年の鈴木敏仁氏が、現地のファッション&ビューティの最新ニュースを詳しく解説する連載。百貨店が淘汰の波に洗われる中、大手のノードストロームが新しい店舗の実験を行っている。EC(ネット通販)時代を象徴する新しい百貨店とは?

 百貨店のノードストローム(NORDSTROM)がロサンゼルスで実験している小型フォーマットを2店舗追加すると発表した。店舗の名称は「ノードストローム・ローカル」(以下、ローカル)。ロサンゼルスに2店舗とNYマンハッタンに2店舗と現在4店舗営業中で、これに2つ新たに加わることになるので計6店舗となる。

 この超小型店舗、1号店と2号店をロサンゼルスにオープンして実験を開始したのは2017年のことだった。NYマンハッタンへの出店は昨年で、本体のマンハッタン初進出に合わせて近隣にオープンさせている。物販を目的としておらず、非常にユニークなコンセプトで注目しているのだが、今回の2つ追加によって小型フォーマットは彼らの計画の中で今も動いていることを確認できた。

わずかな商品と豊富な機能・サービス

 どういう店なのか、NYマンハッタンの店舗を参考にして紹介しよう。

 2店舗出店しているが、1つはセントラルパークの東側(アッパーイースト)、もう1つはグリニッチビレッジで、双方ともに高所得層エリアだ。特にセントラルパーク周辺は高級マンションが立ち並ぶ「超」がつく富裕層が多い地域である。私が訪問したのは前者だ。店舗面積は167平方メートルで、ブティックや中小商店が利用する規模である。

 店内には販売用の商品はごくわずかしかない。やっていることをざっと並べると、ネット販売のピックアップと返品、洋服のお直し、スタイリストによるスタイリングのアドバイス、ラッピング、靴の修理、ベビーカーの掃除、洋服の寄付受付といったところである。

 入り口を入るとすぐ左側にネット販売ピックアップ用のラックが置かれ、オープンしてすぐに訪問したときはすでに商品が並んでいて、ニーズの高さを実感した。その真向かいにはサービスカウンターがあって、ピックアップや返品の作業を店員がこなしている。昨年のオープン時にはメーシーズ(MACY'S)やコールズ(KOHL’S)といった競合百貨店の返品も受け付けると発表して驚かされた。ノードストロームの無条件返品は昔から有名だが、さすがに他社の返品を受け付けると公言する企業は聞いたことがない。

 また入り口を入ってすぐ右側には寄付用のスペースが割かれている。アメリカは税控除になることもあって衣服を中心として不必要になったものを捨てずに寄付する人が多く、その受け皿としてサルベーションアーミー(救世軍)という大きな組織からローカルベースの小さなNPOなどたくさん全米で活動している。この店は近隣のNPOにスペースを提供していて、お客が持ち込んだ専用の大袋が詰まれていた。

 店の半ばあたりにはミシンが2台置かれてプロが常駐、お直しを請け負っている。奥にはドレッシングルームがあるので、例えばネットで買ったものをストアピックアップとして、試着してその場で直すということも可能である。私が訪問したときは数人が店員とやりとりしていた。

 ドレッシングルーム周辺はスタイリングエリアで、常駐しているスタイリストがお客にアドバイスする。訪問時にはお客が熱心にスタイリストと話をしていた。ネットで予約を取ることも可能である。

お客の選択肢を増やす面戦略

 紹介したのはNYマンハッタンのアッパーイーストサイドの店舗で、他の店舗もほぼ同じ構成のようだが、地域のニーズによって提供するサービスを変えると言っているのでまったく同じというわけではない。

 既述したように店内に販売用の商品はごくわずかで、一見して物販を目的としていないことが分かる。ノードストロームはこの新しいフォーマットに売り上げを求めていないのだ。コミュニティの中にある小さなサービスハブとしてお客との新たな接点を作ろうとしているのだろう。

 同社はこれをマーケット戦略と呼んでいる。ノードストロームやノードストローム・メンズといった旗艦店舗とオフプライスストアのノードストローム・ラックを主軸として、その周辺にローカルを配して補助的な存在として機能させる、日本語で言うところの「面戦略」である。

 ちなみにネット通販のストアピックアップでフォーマットの壁を壊し、例えばラックのネット通販で買ったものをノードストロームでピックアップしたり、ノードストロームで買ったものをローカルでピックアップしたりと、お客は自由に選べるようになった。機動性の高いローカルをピックアップハブとしても機能させようとしているのだろう。

 リモートや非対面ばかりに焦点が当てられる昨今だが、対面サービスはこれからも変わらず重要だと私は考えている。ローカルタッチはファン作りにも寄与することだろう。ノードストロームの新たな挑戦は注目に値すると思っている。

鈴木敏仁(すずき・としひと):東京都北区生まれ、早大法学部卒、西武百貨店を経て渡米、在米年数は30年以上。業界メディアへの執筆、流通企業やメーカーによる米国視察の企画、セミナー講演が主要業務。年間のべ店舗訪問数は600店舗超、製配販にわたる幅広い業界知識と現場の事実に基づいた分析による情報提供がモットー

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2021年はアパレル復興の年となるのか 「13のレス」と「5つの施策」 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を詳しく解説する。新型コロナウイルスによる大打撃に襲われた2020年の小売業界。あぶり出された課題と、21年にすべきことは何かを整理する。

 オリンピックとインバウンド期待から一転してコロナが世界を襲って鎖国状態となり、経済も生計も生活もシュリンクしてアパレル業界は壊滅的な打撃を受けた2020年だったが、ようやくワクチン接種も始まる2021年はアパレル復興の年となるのだろうか。

2020年は清算と破局の年だった

 コロナ禍に直撃された2020年は旅行・宿泊、エンタメ・イベント、飲食から百貨店やアパレルまで売り上げが激減し、閉店や人員整理、廃業や破綻が広がったが、その多くはコロナ前から問題を抱え、あるいは崖っぷちまで追い詰められていた業界や企業だった。コロナ禍でその清算を迫られ、廃業や破綻に至ったケースもあれば、事業や資産を切り売り店舗や従業員を整理して生き延びたケースもあったが、「それで清算は終わったのか」「復興への道筋は立ったのか」が問われざるを得ない。

 過去のツケを清算し切ったのなら21年は復興あるいは新創業に注力できるが、ツケを清算できず過去のしがらみを引きずったままでは悪戦苦闘の泥沼を抜けられない。資本蓄積の厚さゆえ事業が行き詰っても何年も生き延びるのはレナウンの例を見るまでもないが、それゆえ抜本的な転換に踏み切れず場当たり対応を続ければ阿鼻叫喚の終末を迎えることになる。21年も前半まではツケの清算を引き延ばした企業のリストラや破綻が続くのではなかろうか。

 ワクチン接種が順調に進んだとしても全国民に行き渡って日常が戻るのは夏近くになるだろうし、コロナ禍で加速したアパレル離れとカジュアル化・低価格化が早々に終わるとも思えない。緊急事態宣言下で販売機会がなく持ち越された大量の春物・初夏物在庫も新作の販売を圧迫するから、春物・初夏物に期待はかけられない。本格的な回復は夏物あるいは秋冬物からになるだろうが、そこに商機を仕掛けるなら後述する5項目を着々と推し進めておくべきだ。

2021年の13の「レス」

 2020年はコロナ禍で従来の販売方法や事業体制が行き詰まり、OMO(オンラインとオフラインの融合)とDX(デジタルトランスフォーメーション)が急進してさまざまな「レス」が広がったが、21年はその流れに拍車がかかり成否・優劣が明らかになる。

 日本フードサービス学会理事の白鳥和生氏(日本経済新聞社)は「7つの『レス』が加速する」と提じているが、その多くはアパレル業界にも通じるものだ。

(1)タッチレス(非接触経済、スキャン&ゴー)
(2)キャッシュレス(現金は触らない、ポイント経済)
(3)ストアレス(EC、レジレス、売らない店舗)
(4)ストレスレス(少ストレス購買チャネルへシフト)
(5)ペーパーレス(チラシ販促からアプリへ、EDLP※1
(6)ボーダーレス(業種・業態を超えた競争と融合)
(7)コードレス(規則や常識が変わる、なくなる)

※カッコ内の説明も白鳥和生氏による

 これをアパレル業界に置き換え、ストアレスはボーダレスに吸収し、新たに7つの「レス」を加えたい。20年はサックレス(レジ袋廃止)もあったし、これらにジェンダーレスを加えたい向きもあるだろう。

(1)タッチレス(非接触販売/フィッティング、非接触精算・決済※2
(2)キャッシュレス(ID・生体認証、二次元コード・近接通信決済)
(3)ペーパーレス(オンライン発注・検品・請求)
(4)ストレスレス(C&C顧客利便、接触回避)
(5)ボーダレス(ネットと店舗の融合、業種・業態を超えた競争と融合と協業)
(6)コードレス(規則や常識、TPOが変わる)
(7)オフィスレス(リモートワーク、痛勤レス)
(8)ワークレス(無駄な作業や手続きを無くす、自動化・オンライン化する)
(9)タイムレス(リードタイムや待ち時間を短縮する、なくす)
(10)ロスレス(値引きや残品のロスを減す、なくす)
(11)在庫レス(不要な在庫を持たない、C2M受注生産とVMI)
(12)コストレス(高コストな販路や物流から低コスト販路や物流へ)
(13)マウンティングレス(無意味な優越競争や序列意識と縁を切る)

※1.EDLP(Every Day Low Price)…セールに頼らずお値打ち品を常時低価格で販売する価格政策。セール依存のH&L(High & Low)価格政策と対比して使われる
※2.決済と精算…「決済」はID認証あるいは生体認証して登録決済口座と紐づければ済むが、「精算」はどの商品を何点購入したか確認する必要があり、ICタグセンサーや画像解析AIで照合する

アパレル再生の2021年にやるべきこと

 前を向いて具体的な手を打つ前に、まずは過去の「清算」を終わらせておくべきだ。壁に当たった販路や事業を無理やり引きずっては傷口が広がるばかりか、ヒトモノカネの企業資産が非効率事業に寝て前へ進めなくなる。思い切り清算したうえで、ヒト・モノ・カネを集中させるべきは以下の5項目ではないか。

(1)デジタル連携で分断無きサプライ流を創る
DX投資を契機に、力任せロット勝負の水平分業で在庫も利益もリスクも抱え込み企画〜生産〜販売の商流を分断する一括調達型SPAの愚行を一掃し、在庫を抱えずオンライン連携で分断無きサプライ流を創る。スマートファクトリー※3を軸としたパターンオーダーのC2M※4、定番的継続商品のVMI※5がその回答であることは言うまでもない。

(2)短サイクル小ロット高回転のバイイングSPAに徹する
ファストなトレンド商品はC2MやVMIには向かないから、短サイクル小ロット調達で高回転させるバイイングSPAに徹するべきだ。好立地の2〜3ダースまでの店舗展開なら調達リードタイムも販売消化も4週以内で回せるから値引きや残品のロスも限られ、一括大量調達より利幅は薄くても高交叉比率で高収益が期待できる。

(3)低コスト適正規模に徹して効率と「勝てる価格」を実現する
VMIはともかくC2MやバイイングSPAには市場規模と生産・調達効率が見合った適正規模があり、それを超えると効率が落ちて収益が圧迫されることが多い。勢いに乗って拡大するとロスとコストが肥大して「お値打ち価格」が維持できなくなり、競争力が落ちて守勢を余儀なくされる。拡大を望むなら、同じ仕組みで異なるカテゴリーか異なるマーケットを切り開くべきだ。

(4)ローカルOMOとテザリング※6でサプライの最適化と顧客利便の最大化を図る
OMOによる顧客利便の最大化は店舗在庫引き当てによるクリック&コレクト(C&C)※7(受け取りが速く物流費も格段に安い)であり、ローカルマーケティングとテザリング、ローカル宅配の仕組みが不可欠だ。それは同時にサプライの最適化と在庫効率の最大化を両立させるから、顧客利便の最大化(=売り上げの最大化)と合わせて“三方良し”が実現する。その構築にはECと店舗の在庫を受注に一元引き当てするデータプロセシングが必須だが、テザリングと店舗渡しや店舗出荷のアナログな仕組みと手順が実際の運営効率を大きく左右する。一元引き当てが一時間ごとのトランザクションなどバッチ段階でもテザリングはサプライと在庫効率を大きく改善するから、先行して体制を確立しておくのが正解だ。

(5)店舗運営の省人化と販売職のOMO多能職化で人時生産性を飛躍的に向上させる
アパレル販売のがんは店舗販売の人時生産性の低さであり、ECとは10倍も格差がある(ECの1人当たり年間売上額は億単位)。その解消には店舗の大型化やレイアウト改善に加え、決済・精算のセルフ化や在庫管理・マテハン作業の効率化が不可欠だが、RFIDタグを欠いては進めようがない。テザリングや店出荷のピッキングでも、RFIDタグがあれば手早くレーダー探索できる。タグ(正確にはインレイ)の単価も急速に下がっているから、何を置いても最速最優先で全面導入するべきだ。

 コロナ禍のECシフトで業務のOMO化(デジタル化・リモート化)が急進する販売職だが、デバイス(端末機器)やアプリが揃わないとスキルの習得も遅れる。もはや実験段階でなく全員OMO戦力段階だから、投資と熟練を急ぐべきだろう。

※3.スマートファクトリー…企画段階とデジタルに連携して短時間生産するCAD/CAM装備の工場で、消費地に近い場所に立地する
※4.C2M(Customer to Manufactory)…ネットやショールームで受注してからデジタル生産や3Dプリンタで素早く生産して“個客”に届けるパーソナル対応の無在庫販売手法
※5.VMI(Vendor Managed Inventory)…あらかじめ定めた陳列棚割と販売計画に基づいてベンダーに在庫管理と補給(補充生産も含む)を委任する取引形態
※6.テザリング…店舗間で在庫を融通して在庫効率を高めるローカル・ディストリビューション手法で、修理加工の集約やC&Cの店出荷と連携される
※7.クリック&コレクト(C&C、Click&Collect)…ECから店舗に取り寄せて試したり受け取ったりできること。一括配送の店舗物流を使うから送料無料で、店在庫を引き当てれば倉庫から出荷するより受け取りも早くなる。コロナ禍では食品スーパーなどのカーブサイド・ピックアップ(駐車場受け取り)も広がった。売り手にとっては顧客利便と在庫効率を高め物流費を抑制するOMO(ネットと店舗の融合)戦略

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。著書に店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)、12月11日に出版した「アパレルの終焉と再生」(朝日新書)

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頑張る人に「何気ないマジック」 エディターズレター(2020年9月28日配信分)

※この記事は2020年9月28日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

頑張る人に「何気ないマジック」

 皆さんへのお手紙は基本、前日にしたためております。毎週月曜日のメールを書くのは、前週の金曜日。自分をスマホに例えたら、バッテリー残量は「4~7%」くらいのタイミングです(笑)。

 そんな時に心に染み入るのは、コラムニストのジェーン・スーさんがご自身のラジオ番組で週末(ほぼ)必ず発してくれる「皆さん、今週もよくぞ金曜までたどり着きました」というお言葉。「まさに!!」と思い、以来、チャンスがあれば平日午前11時~という彼女のラジオ番組「生活は踊る」をこっそり聞いています(いや、就業中はダメなのでradikoで聞いていますw)。「生活は踊る」は、同じAMでも夕方のラジオ番組とは異なり、「毎日、結構頑張っている」人の存在を何気なく知ることができるので気に入っています。例えば番組冒頭、彼女は、「お仕事中の方、病気・療養、子育て、介護、それぞれの生活を送る皆々様」との言葉を発し、43歳独身の私に自分とは全然違う環境・状況で頑張っている人の存在を諭してくれます。これが、とっても心地良い。夕方、オジさん達が世の中を嘆いているだけのラジオとは大違いです。

 そしてこの番組、「お疲れさま。頑張ったんだから、ちょっとくらい、いいじゃんいいじゃん」ってカンジなんです。例えば生活情報のコーナーでは、結構な頻度でコンビニやファストフードのご飯をガンガン紹介します。「頑張ったんだからさ、今日くらいゴハンはコンビニとかファストフードで手抜きしてもいいじゃん」ってムードです。そんなテンションで始まるファストフードのフィッシュバーガーを食べ比べる企画は、「フィッシュバーガー健康法」と銘打ちます。フィッシュバーガーのスケソウダラがいかに高タンパクなのかを力説し、フライの脂質、パンの糖質などには言及せず(笑)、「だからハンバーガーでいいんだよ!」というテンションで、各社のフィッシュバーガーをガンガン食います(笑)。コレが、「結構頑張っている」タイミングにはちょうど良い。「そっか、ファストフードでいっか」となり、結果、毎週木曜日にお届けしているLIVE配信前の私の晩御飯は、ほぼ毎週「バーガーキング」です。ファストフードのハンバーガーって、背徳感を抱きながら食べがちですよね。でも、どうせ食べるなら背徳感に苛まれるのではなく、楽しく食べたい。「生活は踊る」は、何気ない言葉や思考法が、そのスイッチになり得るんだと教えてくれるのです。

 今は、この何気ないマジックが、ファッションやビューティに活かせないかなぁ?と思っています。ことメイクブランドのいくつか、例えば「ボビイ ブラウン」などは「悩みを個性に」という小さなマジックを編み出そうと一生懸命な気がしています。「悩みを解決」とは違う、「悩みの捉え方」というか「悩みに向き合うマインドセット」の話になれば。体内バッテリー4%の私が金曜日を乗り切ることができるように、皆がもうちょっと楽しく暮らせるんだと思っています。

 ちなみにこの「生活は踊る」、10月から金曜日の放送が無くなってしまいます。となると「今週もよくぞ金曜までたどり着きました」は、もう聞けないのか?「今週もよくぞ木曜までたどり着きました」になっちゃうのか!?いや、まだ金曜あるよ!!来週木曜、「バーガーキング」を食べながら、radikoでチェックしなければなのです。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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頑張る人に「何気ないマジック」 エディターズレター(2020年9月28日配信分)

※この記事は2020年9月28日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

頑張る人に「何気ないマジック」

 皆さんへのお手紙は基本、前日にしたためております。毎週月曜日のメールを書くのは、前週の金曜日。自分をスマホに例えたら、バッテリー残量は「4~7%」くらいのタイミングです(笑)。

 そんな時に心に染み入るのは、コラムニストのジェーン・スーさんがご自身のラジオ番組で週末(ほぼ)必ず発してくれる「皆さん、今週もよくぞ金曜までたどり着きました」というお言葉。「まさに!!」と思い、以来、チャンスがあれば平日午前11時~という彼女のラジオ番組「生活は踊る」をこっそり聞いています(いや、就業中はダメなのでradikoで聞いていますw)。「生活は踊る」は、同じAMでも夕方のラジオ番組とは異なり、「毎日、結構頑張っている」人の存在を何気なく知ることができるので気に入っています。例えば番組冒頭、彼女は、「お仕事中の方、病気・療養、子育て、介護、それぞれの生活を送る皆々様」との言葉を発し、43歳独身の私に自分とは全然違う環境・状況で頑張っている人の存在を諭してくれます。これが、とっても心地良い。夕方、オジさん達が世の中を嘆いているだけのラジオとは大違いです。

 そしてこの番組、「お疲れさま。頑張ったんだから、ちょっとくらい、いいじゃんいいじゃん」ってカンジなんです。例えば生活情報のコーナーでは、結構な頻度でコンビニやファストフードのご飯をガンガン紹介します。「頑張ったんだからさ、今日くらいゴハンはコンビニとかファストフードで手抜きしてもいいじゃん」ってムードです。そんなテンションで始まるファストフードのフィッシュバーガーを食べ比べる企画は、「フィッシュバーガー健康法」と銘打ちます。フィッシュバーガーのスケソウダラがいかに高タンパクなのかを力説し、フライの脂質、パンの糖質などには言及せず(笑)、「だからハンバーガーでいいんだよ!」というテンションで、各社のフィッシュバーガーをガンガン食います(笑)。コレが、「結構頑張っている」タイミングにはちょうど良い。「そっか、ファストフードでいっか」となり、結果、毎週木曜日にお届けしているLIVE配信前の私の晩御飯は、ほぼ毎週「バーガーキング」です。ファストフードのハンバーガーって、背徳感を抱きながら食べがちですよね。でも、どうせ食べるなら背徳感に苛まれるのではなく、楽しく食べたい。「生活は踊る」は、何気ない言葉や思考法が、そのスイッチになり得るんだと教えてくれるのです。

 今は、この何気ないマジックが、ファッションやビューティに活かせないかなぁ?と思っています。ことメイクブランドのいくつか、例えば「ボビイ ブラウン」などは「悩みを個性に」という小さなマジックを編み出そうと一生懸命な気がしています。「悩みを解決」とは違う、「悩みの捉え方」というか「悩みに向き合うマインドセット」の話になれば。体内バッテリー4%の私が金曜日を乗り切ることができるように、皆がもうちょっと楽しく暮らせるんだと思っています。

 ちなみにこの「生活は踊る」、10月から金曜日の放送が無くなってしまいます。となると「今週もよくぞ金曜までたどり着きました」は、もう聞けないのか?「今週もよくぞ木曜までたどり着きました」になっちゃうのか!?いや、まだ金曜あるよ!!来週木曜、「バーガーキング」を食べながら、radikoでチェックしなければなのです。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

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森星の「今日からできるサステナビリティ」 ポップアップストアで伝える“都会のなかの循環のかたち”

 モデルの森星が手掛ける新プロジェクト「シティ シェド(CITY SHED)」のポップアップストアが12月16日に渋谷スクランブルスクエア4階にオープンした。「都会のなかの循環のかたち」をテーマにした同ストアは、内装をキッチン、ベッドルーム、メディテーションルーム、バルコニーの4部屋に分けて構成。心地よく、楽しい気持ちになる秘密基地のような空間に、彼女の愛用する約50のアイテムをセレクトした。モデルとしての活躍は広く知られているが、事業者としてプロジェクトの立ち上げから商品MD、プロモーション、空間デザインまで の指揮を取るのは初めての試みだ。「シティ シェド」発足の背景から、サステナブルな生活へと意識が変わるきっかけ、具体的なアクションに至るまで、日々の生活に取り入れられそうなヒントを、全3回にわたりお届けする。

WWD:「シティ シェド」立ち上げのきっかけは?

森星(以下、森):さまざまなレイヤーがありますが、昔からいつかモノづくりに携わりたいと思っていました。モデルの仕事はすでに完成されたモノを纏って最大限に美しく表現するのがミッションなので、無駄が出ないモノづくりについて考えたり、世の中にないモノを探し出したりすることは新しい挑戦で、不安もありました。でもモデルとしてさまざまな国に行くチャンスが増えて、刺激的なモノを見て、触れて、感じたことで、自分が何を着て、食すべきか考え直すきっかけを持てました。“何を表現するか”以前に、“何が好きか”を見極める必要があるとも感じました。28歳の自分が、何を着ると心地よくて、楽しいのか――それをポップアップストアで切り取ることで、このチャレンジをスタートさせたいと思いました。

WWD:「シティ シェド」の名前の由来は?

森:“男性の趣味部屋”を表す“MAN CAVE(男の洞窟)”の女性版として海外で浸透しつつある“SHE SHED(彼女の小屋)”にヒントを得ました。DIYをしたり、部屋に絵を描く道具をそろえてみたりといった、好きなものを詰め込んだ空間の発想が、プロジェクトのイメージにぴったりだと思いました。でも“SHE SHED”では女性だけに限定されてしまう。性別、人種、年齢を超えた、もっと広い人たちに届くように“CITY SHED”という造語が完成しました。

WWD:テーマの「都会のなかの循環のかたち」とは?

森:私の生い立ちを振り返ると、都会で生まれ育ちながらも、母親は屋上で菜園をしたり、烏骨鶏を飼ったり、養蜂をしたりと、コンクリートジャングルの中でどう命を作り出すかを楽しんでいました。幼いころはそういう生活を正直ダサいと感じていたけれど、大人になるにつれてその豊かさを取り入れたいと感じるようになりました。今では私自身、生ごみを堆肥に換えるコンポストを使いはじめ、家庭菜園も行っています。ポップアップストアでも、そんな命の“循環”を身近に感じられる提案をしています。

WWD:それぞれの空間に込めたこだわりは?

森:ポップアップストアでは私の家を再現しようと思い、まず「メディテーションルーム」として畳スペースを作りました。実際に畳に座ったり、撮影したりすることもできます。空間のライティングは、光のアーティストのニジミナトさんに、生け花は華道家の渡来徹さんに依頼しました。畳や“禅”といった日本のクラシックなイメージを、自分なりの感覚で解釈したので、若い人たちが伝統文化や工藝に興味を持つきっかけになればうれしいです。イグサの香りや光のゆらぎからも、ぜひ癒しを感じてほしい。

WWD:その他の部屋は?

森:「バルコニー」は、装飾を園芸店のソルソファーム(SOLSO FARM)に依頼して、コンポストやガーデニングツールを販売します。日常生活の中で、分別した生ゴミがその後どうなるのかまでを気にかけるのは難しいけれど、コンポストという“小宇宙”を持っているとそれが想像しやすくなるんです。生ごみを細かく切らずに入れると分解ではなく腐敗に進んだり、でもそこに落ち葉をいれると水分量が整ったり。そういう経験を通じて植物や環境への理解が深まればいいなと。

「ベッドルーム」は、インテリアをビンテージショップ「セローテ アンティークス(CEROTE ANTIQUES)」に依頼し、同店のライトやワイングラス、コーヒー、棚なども販売しています。またオーストラリアのライフスタイルブランド「スク(SUKU)」とコラボレーションしたパジャマやガウンも取り扱います。染めから縫製まですべて職人のハンドメイドなのも気に入っています。「スク」の代表的な絞り染めの柄を、日本を感じる“苔、小豆・素(しろ)”のオリジナルの3色で表現しました。

「キッチン」では、蜜蝋やココナッツオイルが原料のラップ、繰り返し使えるシリコン製
のスタッシャ―、ヴィーガンクッキーなどを販売しています。今後はスーパーフードとしても注目を集めているバターオイル“ギー”の販売も予定しており、この商品にはアユールヴェーダに興味のあった母が、私が幼い頃から体調が優れないとスプーン1杯分を飲ませてくれて、体調が改善していた思い出があります。自然のパワーを取り入れることが可能な商品を紹介していきたいと思います。

WWD:どこを取ってもこだわりとエピソードが満載だ。一方で、事業者として初めてプロジェクトに携わった感想は?

森:決断することの大変さを実感しています。モデルの仕事では、現場でムードをくみ取り「こうやって自分を演出しよう」という決断はあるけれど、今回のプロジェクトでは、仕入れから商品の配置、プロモーション制作において、また別の種類の決断を同時進行で迫られる。さらに、それらをブロックのように積み上げていく過程で「やっぱり違う」と思うことがあれば、きちんと伝えることも重要。「最初に言ったことを貫かなければ」という変なエゴで周囲の顔色をうかがうと後でもっと迷惑がかかるし、私がやる意味もなくなってしまう。勇気がいるけれど、状況に応じて変化したり、ときにはキャンセルの指示を出すことも必要だと学びました。

WWD:会期が終われば、もちろん売り上げのフィードバックもある。

森:プロジェクトには、私の視点とマーケティングの視点のどちらも大切。ただビジネスに寄りすぎると“循環”のテーマとかけ離れていく矛盾があり、折り合いをつけるのが難しかったです。ポップアップの受け取られ方は三者三様だと思うけれど、作ったモノには責任を持たなければいけない。それを夢で見るほど考え込んでしまい、約3週間も右目の痙攣が続きました(笑)。

WWD:プロジェクトを通して何を伝えていきたい?

森:地球環境が深刻な状況にあることはさまざまなメディアでフォーカスされていますが、そこばかりを見聞きしているとついネガティブな思考になってしまいます。極論を言うと、生きていることすらムダに感じて、自分一人では何も変わらない気もしてくる。環境や自然を守りたいという気持ちを自分自身が肯定できて、かつファッションの楽しさやおしゃれさ、ときめきを感じるような提案ができるか。そんなポジティブな物事の捉え方を発信するのが私の役割の1つだと感じています。

とはいえ、まだまだ日々勉強中です。実践することで自分の言葉に責任と信ぴょう性を持ち、自信を持って“サークルオブライフ”を発信していきたいです。

■ポップアップショップ「シティ シェド」
日程:12月16日〜12月30日
場所:渋谷スクランブルスクエア 4F スペース4
住所:東京都渋谷区渋谷2-24-12
営業時間:11:00〜21:00

※次回は「サステナブルな生活へと意識が変わるきっかけ」をお届け

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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パントンが選ぶ2021年トレンドカラーはイエローとグレー 太陽と雲で希望を表現

 パントン・カラー・インスティテュート(PANTONE COLOR INSTITUTE以下、パントン)とシャッターストック(SHUTTERSTOCK)は、2021年のカラートレンド予測を発表した。21年のカラートレンドには自然に基づいたものや、明るく落ち着いたカラーの数々が選ばれ、激動の一年から新年に向けて多くの人が希望や明るさ、リフレッシュの感覚を求める傾向に寄り添っている。

 パントンは2021年の「パントン・カラー・オブ・ザ・イヤー(PANTONE Color of the Year)」として、“イルミネイティング(Illuminating、明るい黄色)”と“アルティメット グレー(Ultimate grey)”を選定した。パントンのリアトリス・アイズマン(Leatrice Eiseman)=エグゼクティブ・ディレクターは、「希望を込めてこの選択をした。私たちはまだ団結や安定からほど遠いが、そこを目指している。灰色の雲の裏には明るい太陽の光がある」と語った。

 ここでは21年のカラートレンドに挙げられている18色を、写真を交えて紹介する。

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アウトドアブームで変わること 中目黒で“街着のアウトドア”を22年続ける名店バンブーシュートの場合

 国内の登山・アウトドア市場は2018年に5000億円を突破し、さらなる拡大が見込まれる(出典:矢野経済研究所『アウトドア市場に関する調査』2019)一方で、オーバーストアや供給過多なども懸念されている。しかし各社は一過性のもので終わらせないために、流行の先を見据えてさまざまな事業を始めている。

 東京・中目黒のセレクトショップ「バンブーシュート(BAMBOO SHOOTS)」は、1998年の開店以降ファッションとアウトドアの融合を提案し続けてきた。25歳で同店を託され、現在は統括部長を務める甲斐一彦は、アウトドアが街着として定着していく過程を最前線で見てきた一人である。名物店長兼バイヤーとして活躍した同氏は、現在のブームや今後のアウトドアファッションについてどう考えているのだろうか。

「壊滅的に売れなかった」壁を乗り越えて

WWDジャパン(以下、WWD):アウトドアファッションに興味を持ったきっかけは?

甲斐一彦バンブーシュート統轄部長(以下、甲斐):僕はもともとアメカジ少年で、ビンテージの古着が大好きだったんです。でも18歳のころに防水透湿素材で知られる「ゴアテックス」を使ったマウンテンパーカとの衝撃的な出合いがあって、アウトドアの服に一気にのめり込んでいきました。価格が当時で10万円近だったので最初はめちゃ高くてびっくりしたんですけど、逆に(何がそんなにいいんだろう)と気になって調べていくうちに面白さに気づいたんですよね。

WWD:アウトドアウエアの面白さとは?

甲斐:僕の解釈なんですけど、ビンテージの服とアウトドアウエアって通じるものがあるんです。長いリブや着丈、パッチの付き方や年代によって作りが異なるところなど、調べれば調べるほど共通点があって面白かった。だからアウトドアの機能に引かれたというよりも、ビンテージの服を漁るのと同じ感覚でファッションとして服を買うことからスタートしました。

WWD:1998年にバンブーシュートをオープンしたころはすでに街でアウトドアウエアは流行していた?

甲斐:していましたね。原宿には「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」や「パタゴニア(PATAGONIA)」の服を着た若い人が多かったですし。その流行を意識して店を始めたので漠然とした自信があったのと、まだ若かったので「東京で一番いい店にしてやる」と意気込んでいたんですよ(笑)。実際に2年目までは売れたんですけど、デザイナーズブランドが徐々に流行して3年目で壊滅的に売れなくなっちゃった。

WWD:そのピンチはどう乗り越えた?

甲斐:オープン以来ファッションとしてアウトドアウエアを提案していたんですけど、それだけだと流行にどうしても左右されてしまう。生き残るためには、ギアとして本当に必要としている人に売る必要がありました。でもそこからですね、最高に楽しくなったのは。本気のアウトドアの人に買ってもらうために登山やキャンプにも行き、自分で機能を試しました。ギアを店に置き始めたのもそのころですね。ただ、やっぱり根はファッションの感覚なのでギアは普通じゃないものを選んだし、ただ外でかっこいい服を着たいからという欲求が最終的には勝つんですけどね(笑)。天気が悪いから着るというより、自分のお気に入りの服で外出して「雨降んねえかな」みたいな。

「アウトドアは今まで以上に定着していく」

(ここに写真02〜08)

WWD:アウトドアブームが落ち着いた後の市場の動向は?

甲斐:大体3年周期で売れたり売れなかったりする状態が続きましたけど、フェスブームは大きかったですね。「フジロックフェスティバル(FUJI ROCK FESTIVAL)」では、みんながビョーク(Bjork)やオアシス(Oasis)を雨の中でも見るために「ゴアテックス」製のウエアを当たり前のように着始めて、10年前ぐらいから徐々に浸透していった感覚です。それまで興味のなかった人たちがキャンプに行き始めたのもそのころでしたし。

WWD:今では競合の店や低価格のメーカも増えたが市場への影響は?

甲斐:確かにスポーツメーカーや他業種からの参入もあり、市場は大きく変わりました。でも特に思うことはないですね。僕らは昔と変わらず、意味のあるものを売り続けていくだけですから。それに僕は今、都会で自然を見つけて楽しもうという気分なんですよ。だから店の名前を付けたブランド「バンブーシュート」も21年春夏シーズンからリブランディングすることにしました。

WWD:リブランディングでどう変わった?

甲斐:“アウトドア生まれ、中目黒育ち”みたいな服です。アメカジベースの服にアウトドアのディテールを融合し、これまで以上に着やすさにこだわっています。アウトドアウエアでもベーシックなアメカジでもないものを目指して30型作りました。これまで店長やバイヤーは経験してきたけど、服をデザインしていたわけではないからまあまあ大変でした(笑)。あくまでショップオリジナルのブランドではなく、卸も積極的に広げていきたいですね。

WWD:アウトドアブームは今後も続くと思う?

甲斐:東京の一極集中が進めばブームは続くんじゃないですか。街がハイテク化すればするほど、人は自然が恋しくなるのが普通のことです。今回のブームを機に多くの人たちにアウトドアを楽しんでほしいし、一つの遊びとして今まで以上に定着していくと思います。最近は店に若い人も来るみたいですし、アウトドアを楽しむ層の世代交代も進んでいるんでしょうね。

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25周年の「ディースクエアード」デザイナーに片岡愛之助やISSAら著名人が一問一答 「新たな野望はいつも抱いているよ」

 カナダ出身の双子ディーン・ケイティン(Dean Caten)とダン・ケイティン(Dan Caten)が1995年にスタートした「ディースクエアード(DSQUARED2)」が25周年を迎えた。フォーマルからカジュアルまで多彩なスタイルは幅広い層に支持され、コレクションを通じて発信されるポジティブでパワフル、ハッピーなムードで多くの人に愛されてきた。ここでは同ブランドとゆかりの深いセレブリティやファッション業界の10人がディーン&ダンに一問一答を実施。栄光と挫折、クリエイション、将来の夢についてを聞いた。

片岡愛之助/歌舞伎俳優

「25周年おめでとうございます。歌舞伎は伝統として残っているものをしっかりと引き継いで後者に伝えていくこと、そしてそれと同じくらいに新しいものを取り入れて作り出すことも大切にしながらここまでを紡いできました。2人はこれから10年先、20年先、さらに50周年を見据えて、今後の『ディースクエアード』をどのように考えていますか?」

ディーン・ケイティン&ダン・ケイティン(以下、ディーン&ダン):ブランドを立ち上げたのは、伝統が自由にあれる場所を作りたいと考えたからなんだ。僕らは自分たちのルーツやオリジンを忘れたことがないし、それをブランドの起点としている。なので将来について考えるときは、自分たちのオリジンとどうやって始まったのか、そして自分の中に取り込んで自分のものとしてきた古い価値観と新しい価値観が常に頭にある。アイデアは時間と共に変化するものなので、将来どうなっているかについて正確には分からないけれど、自分らしさに忠実でありたいし、これまで誇りにしてきたことに相反するようなことは今後も絶対にしないつもりさ。

ISSA/DA PUMP

「僕自身ももうすぐDA PUMPを結成して25周年を迎えます。25年間を振り返ってつらい経験や挫折したことなどはありますか?また、それをどうやって乗り越えましたか?」

ディーン&ダン:これまでたくさんの課題に直面したし、みんなと同じく簡単なことなどなかったけれど、全てのことから新たな学びを得たよ。一番大変だったのは、ヨーロッパに来たことかもしれないね。でも、さまざまな障害にぶつかったとしても、自分たちの夢を信じ続けてギブアップしないと決めていた。今でもそうだけど、僕らは昔からドリーマーで大きな夢を持っていた。途中で心が折れてしまいそうなこともあったけれど、僕らの場合は夢が現実になったんだ。

冨永愛/モデル

「25周年おめでとうございます。ということは、私が『ディースクエアード』のランウエイを歩いたのは本当に初期の頃だったんですね。私は長いキャリアの中で、仕事や人生に対する考え方、日本や世界におけるハンドクラフト、そして物の価値は少しずつ変化してきたと感じています。常に変化し続けるファッションの世界で、ブランドの“らしさ”を守り続ける秘訣と守り方は何ですか?」

ディーン&ダン:秘訣は成功しすぎないことだね。そして“らしさ”を手に入れたらそれを手放さないこと。誰もがすぐに成功することを期待するけれど、それは無理だ。忍耐強く努力する必要があるし、人生のほとんどを費やすわけだから、情熱を感じられることをし続けないとね。じゃないと、やる意味がないでしょ?二番目の秘訣は、常に自分らしくあることと家族を大事にすること。僕らは常に自分の気持ちに従うし、自分たちの価値観を守っている。ファッションは服のことばかりじゃなく体験や感情、ライフスタイルを解釈したもので、僕らはこれまでずっとそうやってきたんだ。

槙野智章/サッカー選手

「僕は8歳でサッカーを始めたんですが、あれから25年が経ちました。2人にとって、これまでで最高の瞬間は何ですか?僕の場合、幸わせなことにサッカーをすることでたくさんの人々に夢を与えられるので、それが最高の瞬間です!」

ディーン&ダン:25年間を振り返ると、素晴らしい瞬間や思い出がいろいろあるよ。心から敬愛している才能溢れる人々と仕事をしてきたし、そういう人は「ディースクエアード」を個性的に着こなしてブランド価値を高めてくれたしね!中でも、マドンナ(Madonna)が2000年に発表したミュージックビデオ「ドント・テル・ミー(Don’t Tell Me)」の衣装でのコラボや、彼女が01年に行ったドラウンド・ワールド・ツアー(Drowned World Tour)用にカスタムメイドのアイテムをデザインしたことは、僕らにとって大きな転機になった。また最初のブティックをミラノにオープンしたこともよく覚えているよ。認知度がぐっと上がったし、ブランドを違う角度から見られるようになったから。心の中には、これからもずっと忘れない素晴らしい瞬間や思い出がたくさんあるよ。

クリスタル・ケイ/歌手

「私は『ディースクエアード』のエッジーで、プレイフルで、ぬくもりのあるデザインが大好き!ああいう遊び心たっぷりのデザインはどうやって思いつくの?これからもずっと私たちを楽しませてね!」

ディーン&ダン:僕らはコレクションにいろんなインスピレーションを交ぜて遊ぶのが大好きなんだ。僕らはストーリーテラーで、インスパイアされたあらゆる物語やディテール、体験、旅路(ジャーニー)をデザインで語るのさ。プレイフルなのは、面白くて、皮肉っぽくて、ゴージャスで、衝動的でありたいから。基本的に仕事は楽しんでやっているから、そう言ってもらえてうれしいな。僕らにとっても、ブランドにとっても、ポジティブなバイブスをありがとう!楽しく暮らすという考えは僕らの一部であり、「ディースクエアード」らしさの定義でもある。2020-21年秋冬コレクションではプロポーションで遊んでみたり、パンクやミリタリーテイストで遊んでみたりしているし、21年春夏コレクションではテーラリングスタイルを見せたりした。「ディースクエアード」は、僕らのように人とは違う服を着たい人や、イマジネーションにあふれたミックス・スタイルを愛するみんなに向けて作っているんだ。

榊原達弥/「サファリ」編集長

「25年前にブランドをスタートした時に思い描いた未来と、実際に25年後の現在で何か違いはありますか?ある場合、それはどんなことですか?」

ディーン&ダン:僕らのファッションに対するビジョンはいつも同じで、特にファッションに対する努力や情熱はずっと変わらない。個人として成長したことが結果としてブランドの成長にもつながり、新たな側面やバリューを持つ大きな事業となった。僕らのビジョンは最初からリアルだったし、これからもそうあり続けたいと思っている。自分たちの道は間違っていないと信じていたし、ずっとこの方向に進んでいきたいと願っているよ。今は、より成熟したと感じるかな。作品や仕事のいろんな面をよりよくしようと頑張ったしね。確かに時代は変わったけれど、重要なのは自分のルーツやDNAを忘れないこと。時代を意識しつつ、人間やデザイナーとしてのルーツ、そして自分が誰なのかを忘れないことが大切なんだよね。僕らにとって、愛と家族がいつだって一番大切なのさ。

すみれ/モデル、女優

「ひさしぶり!日本と、日本のカルチャーで一番好きなことは何?」

ディーン&ダン:日本はとても美しい国で、豊かな体験をもたらしてくれるので、機会があったらぜひちゃんと訪れたいと思っているよ。何より、歴史や過去とモダンさが入り交じっているところが大好き!僕らは現代的でありつつ、歴史に対する尊敬が感じられるものが好きなんだけど、これをデザイナー的に解釈すると実験的かつクリエイティブであると同時に、自分のルーツを忘れないということなんだ。

吉岡裕/三越伊勢丹クロージング&アクセサリーⅡグループ マーチャンダイザー

「伊勢丹のメンズでは、『ディースクエアード』が設立された当初から取り扱っています。ありがたいことに伊勢丹にはファッション好きのお客様が多いのですが、さまざまなブランドが入れ替わっていく中でもブランドが愛されている理由は何だと思いますか?」

ディーン&ダン:いろいろな理由があると思うけれど、「ファッションは特別なもの!」ということを忘れてはいけないことかな。誰もが特別になりたいわけだから、アイデアをしっかり持ってオリジナルでリアルであることが大切なんだ。ほかと差別化して生き残るには、まずオリジナルであることが重要。コピーはたくさん出回っているから、自分なりの視点を持って、よりクリエティブである必要があるんだ。僕らはコミュニティーを拡大するために、コレクションに付加価値を与えてくれる才能ある人たちとコラボレーションして、デザイナーとして常にエキサイトしていられるように意識してきた。オープンであることや敬意、そして愛を通じて僕らのビジョンをみんなにシェアしているんだ。

オナイウ阿道/サッカー選手

「僕は今25歳なので、『ディースクエアード』とはクラスメートみたいな感じですね。僕の将来の夢は海外でプレーしてワールドカップに出場することですが、将来に向けた新たな野望はありますか?」

ディーン&ダン:新たな野望はいつも抱いているよ。僕らはデザイナーで、新たなアイデアのキャッチボールをするときにはクリエイティビティーの翼を大きく羽ばたかせるから。デザイナーの仕事で一番楽しいところはそこかもしれないな。全てが流動的で、これが当然だというものがない。ファッションはビジュアルが言語であり、異なるさまざまな美しい意見によって常に進化しているから。僕らも新しいアイデアをこれまでにいろいろと実行してきた。レストランやプール、ジムと展開した「セレシオ7(Ceresio 7)」プロジェクトは、新たな野望を持ち続ける意味を形にした好例じゃないかな。僕らにとって最も大切なのは何ごとにも情熱を持って打ち込むこと。そして、人生や仕事、人々、経験から学び続けることだよ。

AMIAYA/モデル

「デザインするときに相手について気にかけていることや大事にしていることはありますか?」

ディーン&ダン:僕らはそれぞれ異なるクリエイティブエネルギーを持っていて、クリエイションの過程でそれが一体となる感じなので、お互いについてすごくいいなと思うことがたくさんあるのさ。2人ともポジティブな姿勢や輝きが好きで、常にお互いをサポートしてきた。僕らは補完し合える関係性だし、何も疑うことなく信頼できる相手がいるっていうのはすごく安心することだよね。

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0から1を生み出す新規事業が糧に 資生堂史上2人目の女性取締役に就任する鈴木ゆかり常務が語る

 資生堂の鈴木ゆかり常務は、2021年1月1日付で同社史上2人目となる女性の代表取締役に就任する。これまで新ブランドの立ち上げや海外でのスパ事業など数多くの新規事業に携わり成功に導いた後、プレステージブランドでその手腕を発揮。グローバルブランド「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE、以下CPB)」躍進の立役者でもある。近年は社会貢献活動にも力を入れ、女性の教育に貢献した女性を支援するグローバルチャリティープログラム「パワー・オブ・ラディアンス プログラム」をスタートさせ、さらにユニセフとパートナーシップを組み2019年から3年間で合計870万ドル(約9億2220万円)を寄付することも発表した。「社会的価値と経済的価値が両輪であることは当然のこと」と語る鈴木常務にこれまでの歩みと今後の取り組みについて聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):学生時代から化粧品業界に興味があったのか。

鈴木ゆかり:資生堂 常務、チーフブランドオフィサー クレ・ド・ポー ボーテ、イプサ、ザ・ギンザ、BAUM(以下、鈴木):大学で社会心理学の研究室に所属していたのですが、その恩師が資生堂と共同研究していました。化粧の心理的な高揚についての共同研究だったのですが、その研究の切り口に関心をもったのがきっかけですね。1985年に資生堂にビューティサイエンス研究所が設立され、そこで化粧の心理的な部分の研究室が設けられると恩師に聞き、同年に資生堂に入社しました。当時、横浜にも研究所がありましたが、そこは化粧品原料の開発が中心でした。一方、ビューティサイエンス研究所は化粧品の心理的効果や使い心地を研究する場所でした。例えば当時、エステティックマッサージが美顔効果をもたらたすのは認識されていましたが、リラクゼーション効果があると科学的に証明できていませんでした。資生堂はそれを証明した第一人者でもあるんですよ。

WWD:ビューティサイエンス研究所では具体的にどのような業務に就いたのか。

鈴木:化粧やエステティックがもたらす心理的高揚をチームで研究していました。初期の頃、同志社大学と京都府立医科大学との共同研究に参画しました。うつ病患者の心理的変化についての研究だったのですが、その際にうつ病患者が自分のメイク姿を見てにっこり微笑んだのを目の当たりにしました。うつ病患者は感情の起伏が少ないのですが情動を生み出したのです。化粧は平和な産業で人を幸せにする産業でもあると確信を持てたきっかけになりました。化粧は人のためにするのではなく、自分のため心のためである--それが原体験になっています。その後、6年ほど現在のビューティークリエーションセンターの前身となる、ファッションやメイク、色彩のトレンド予測をしていました。

資生堂の冠をもたないブランド開発

WWD:その後、新規事業に数多く携わることに。

鈴木:マーケティングの分野に進みたかったので、ニューヨークに渡りPRエージェンシーで1年間研修を受けました。帰国後、マーケティング戦略室に配属されて新規事業立ち上げに携わることになりました。当時、資生堂の冠を持たない新たなブランドの開発を進めていました。最初は「イプサ(IPSA)」で次いで「ディシラ(DICILA)」(19年11月に終了)「エテュセ(ETTUSAIS)」「アユーラ(AYURA)」(15年にアインファーマシーズに売却)の順です。私は「アユーラ」の立ち上げプロジェクトに参画。1995年にデビューさせたのですが、ホリスティックな考え方を提案したのが先進的でした。現代の女性が抱える今までなかったような肌の揺らぎに着目して製品を提案し、受け入れられたことは今でも糧になっています。私自身はコミュニケーション部門を担当していました。当時インターネット元年と言われ、“パソコン通信”でお客さま作りをしたり、店頭でメイクアップシュミレーションの機械を置いたりして今思えばこちらも先進的でしたね。お客さまとのタッチポイントを直接吸い上げてブランド作りに活かすというマーケティングを実践できたことも成功体験になっています。

WWD:海外での新規事業に関わった。

鈴木:次にバリ島にスパ施設「ロイヤルキラーナ スパ&ウェルネス」を立ち上げる新規事業に携わりました。資生堂とバリ・ウブドの王家スカワティ家がジョイントベンチャーを立ち上げて、そのメンバーとして参画しました(現在はスカワティ家が経営)。スパ施設というと路面にサロンがあるイメージですが、そこはリゾートスパで1万8000平方メートルのジャングルを切り開いてヴィラを建築し、トリートメントサービスを実施するものでした。ノウハウもない中、手探りで進め非常に大変でしたね。トリートメントメニューや化粧品も開発しました。化粧品会社に入ってこのようなことに携われると思ってなかったので貴重な経験でした。

WWD:0を1に作り上げるのは労力がいるが、どういう姿勢で取り組んでいたのか。

鈴木:2007年には通販事業の責任者として従事しました。当時は、コールセンターの通販からECの通販に変わる時期、ECが伸びだしてパソコンからモバイルに人の行動が変わる黎明期でもありました。そうした変化をまざまざと感じることができたのは今の糧になっています。このように何かを作り出すこと、新しいことに挑戦することは非常に楽しかったですね。自由度も高いですし。その反面、助けはありません。資生堂という信頼のあるバックグランドがないところで価値を作るのは大変でした。資生堂にできないことを実現する、既存顧客とは違うお客さまに出会うことをミッションとしていたので、お客さまが誰なのかということは常に考えていました。

WWD:「イプサ」でブランド価値の重要性をより実感した。

鈴木:11年にマーケティング部長としてイプサに出向しました。化粧品業界が低迷していた時期に、「イプサ」もブレイクスルーが必要でした。イプサは独立会社で、社員のブランド愛が強かったんです。ブランドの熱狂的な愛は欠かせない要素でした。ブランド価値を明確にお客さまに浸透できるかが重要でした。ブランド独自の肌測定器「イプサライザー」を活用するなど、もともと持っている力をうまく発揮できるようなると骨のある組織であればうまく回ります。それも成功体験の一つです。14年には社長に就任したのですが翌年に異動が決まりました。正直なところもう少し務めたかったですね(笑)。

組織に変革に伴い1年ごとにタイトルが変化

WWD:14年に魚谷雅彦資生堂社長が就任して以降、目まぐるしくタイトルが変わる。

鈴木:14年以降、会社全体の組織が大きく変革しています。15年に日本事業のプレステージブランド事業本部のマーケティング部長に就任しました。ブランド「シセイドウ(SHISEIDO)」と「ベネフィーク(BENEFIQUE)」を管掌。16年に専門店事業本部マーケティング部マーケティングディレクターに就任。専門店という事業体が独立し「ベネフィーク」を担当しました。17年はグローバルプレステージブランド事業本部で「CPB」のブランドユニット ブランドディレクターに就きました。当時は日本の売り上げ比率が高かったのですが、20年に1000億円ブランドになるという目標を掲げていました。17年に3年前倒しで1000億円を達成。14年からインバウンドの需要が増えて、中国やアジアでの知名度が高くなって一気に海外での成長が加速しました。グローバル化にアクセルが踏まれましたね。

WWD:数多くの成功体験を得ているが女性で働く難しさは。

鈴木:ラッキーなことに感じたことがありません。マーケティングの分野は比較的女性が多く、常に女性の人数が多い組織でやってきたこともあるのかもしれません。ただ、女性だからというバリアを自分でも作らないようにしてきました。

WWD:チームを率いるために心がけていることは。

鈴木:組織の成熟度や大きさ、スタッフの性格によるので一つの答えはないです。多くを語らずも力が発揮できる組織ならその力を伸ばせる環境作りをすればいいし、ガイダンスが必要な部分は後押しや引っ張ることが必要です。どうしたら組織が伸びるかを見つけて、それに対しての処方箋を考えることを心がけています。スタッフはそれぞれよい部分と苦手とする部分を持っています。不得意なところを補いあって全体として力を発揮できることが組織ですから。今は女性の活躍にフォーカスがあたりがちですが、男性の力も必要不可欠です。さらにいえば性別にかかわらず能力を発揮できるのが本来の形だと思っています。

社会的価値と経済的価値は両輪

WWD:「CPB」は社会的価値を高める活動として少女に教育の機会を与える力を入れている。

鈴木:「CPB」は富裕層のお客さまも多い。これらのお客さまは社会的貢献の意識が高まっています。アパレルでもラグジュアリーブランドはフィランソロフィー(企業による社会貢献活動)を行なっていますよね。「CPB」もそれを重視していて、19年に「パワー・オブ・ラディアンス・プログラム」を始めました。資生堂は経済的価値と社会的価値を強く発信していますが、「CPB」も同様です。この2つはブランドを存続させるための両輪となっています。ユニセスとのパートナーシップも築け、教育が十分に受けられない国の少女たちの手助けする活動も行っています。副次的な効果としてお客さまや美容部員、本社スタッフなどが自分が関わっているブランドが社会的価値を上げる活動をしていることが誇らしいと思ってもらえている。これは売り上げ規模が1000億円のブランドになれたから社会に恩返しができるようになりました。そういった循環が今後もますます大切になっていくと思っています。

WWD:来年1月から代表取締役としての役割が加わる。

鈴木:現在はコロナ禍で会社としても厳しい状況です。いつ収束するかも予測できない不透明な中ですが、ピンチをチャンスに変え、元の成長性を取り戻すのが近い目標です。才能のある優秀な社員が多くいるので彼らの力を発揮するためにどうするかを考える。組織の力を最大化するのがあるべき姿だと思っています。こうした組織の強化に取り組んでいきます。コロナ禍によって社会的価値が大切であること、関心も高まりました。我々の次の道を示していると思っています。お客さまの新しいニーズに対応して、期待を超えていきます。

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「ユニクロは安くはないでしょ?」に世代間ギャップ エディターズレター(2020年11月10日配信分)

※この記事は2020年11月10日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「ユニクロは安くはないでしょ?」に世代間ギャップ

 テレビをつけたら、たまたまユニクロ(ファーストリテイリング)の柳井正社長の顔写真が出ていたので見始めました。クイズ番組です。「この人が社長を務める会社は?」といった問題でした。「長者番付国内1位」「コロナ研究のために京都大学に100億円寄付」とった柳井社長に関するトピックスが紹介されたのち、さらにヒントとして正解を知る4人のプレゼンターから漢字一文字が提示される仕組みで、「安」「衣」「衣」「服」の言葉が並びました。回答者は10〜20代の若いタレント16人です。

 正解は3人だけでした。

 「しまむら」など他の企業をあげた人の方が多かった。正解できなかった複数の回答者が、漢字ヒントの「安」を指して「ユニクロは安くはないでしょ?」と首をかしげていたのが印象的でした。漢字ヒントを出したプレゼンターは全員40代以上のタレントでした。

 興味深いのは、若者はユニクロに対して必ずしも「安い」というイメージを持っていないこと、そして40代以上の大人はユニクロを象徴する漢字一文字として「安」を選んだことです。

 私は40代なので後者の立場で番組を見ていましたが、そうか、若者にとってユニクロは必ずしも安いブランドではないのだな、とジェネレーションギャップを教えられた感じです。

 ユニクロが市民権を得たのは1998年に出したフリースがきっかけです。それまでフリースのジャケットはアウトドアブランドの専売特許のようなもので、1万円以上が相場でした。ユニクロはこのフリースのジャケットを1900円という衝撃的な価格で売り出し、社会現象を引き起こしました。その後も衣料品の価格破壊者としてジーンズ、カシミヤセーター、ヒートテックなどヒット商品を連発して、今日の姿を築き上げます。

 一定以上の年齢の人たちは、ユニクロが次々に価格破壊を起こしていった記憶を共有しています。私はフリースブームの頃に記者になったので、ユニクロがけん引する形で衣料品市場全体のボリューム価格が下がり続けていった様子を業界の中から見てきました。

 でも物心ついたころからユニクロが当たり前に存在する“ユニクロネイティブ”の世代にとって、その価格はけして低価格ではなく、中価格くらいなのかもしれません。確かに市場を見渡せば、いまやユニクロよりも安いブランドはたくさんある。品質やデザインなど安さ以外の付加価値のイメージが強くても不思議はありません。

 1990年代後半以降、中国や東南アジアなど賃金の安いエリアで大量生産が可能になったため、この四半世紀で衣料品の市場価格は激しく下がりました。かつて衝撃的だったユニクロの価格(現在もそれほど変わっていない)が安く感じられなくなっていることを思い知らされます。

MARKET VIEW:ファッション市場で日々発信されるホットなニュースを、「WWDジャパン」のビジネス担当記者がコンパクトに解説するメールマガジン。ニュースを読み解くヒントを提供します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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ひょうひょうとしたモヒカンデザイナーが作る、 「ノワール ケイ ニノミヤ」の強さ エディターズレター(2020年11月10日配信分)

※この記事は2020年11月10日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

ひょうひょうとしたモヒカンデザイナーが作る、 「ノワール ケイ ニノミヤ」の強さ

 先月東京で開かれた「コム デ ギャルソン」の2021年春夏コレクションは、NHKでの放映もあり話題になりましたね。あの日、午後にはもうひとつ、「ノワール ケイ ニノミヤ」のショーが同じく南青山の本社内で開かれました。私、このブランドを率いる二宮啓さんを尊敬しています。彼はこれからのコム デ ギャルソン社を、そしてファッション業界をリードする存在だと思っています。ギャルソン社のデザイナーというと少々近寄りがたいイメージあるかと思いますが、会って話すと彼は誰に対してもフランクで物腰柔らか。自身のモヒカンをギャクにしてみせるなど、サービス精神もあります。

 物腰は柔らかいのですけどね……でも、すっごく強いのです。スピリットが。それは作っている服に表れています。コレクションの内容については丁寧に取材をしている大杉記者のリポート(下のリンク1本目)をぜひお読みください。

 その強さがどこから来るのか?「ノワール ケイ ニノミヤ」のショーを見るたびに考えます。「コム デ ギャルソン」とは共通項が多いです。“一ルック一ルックにアートのようなメッセージ性があり、だけどあくまで人が着て歩く“服”である。”共通項はあるが、両ブランドは明らかに違う。その違いは何なのでしょうか?

 川久保さんの「コム デ ギャルソン」から私がいつも受け取るのは、既存の価値や固定観念を一度壊して新しい価値を見せて前へ進もうとするエネルギーです。「美しいとは?強いとは?それでいいの?これでいいの?」と見る者に投げかけてきます。パリコレデビュー時のヨーロッパの服飾の歴史を覆すような黒の提案はまさにその象徴ですよね。馴れ合いや固定観念は一度壊さないと前へは進めない。そんな覚悟をそこに見ます。「ノワール ケイ ニノミヤ」のDNAはそんな「コム デ ギャルソン」にありつつ、どこか違う。彼の服を見ていると、“壊す”のではなく“つなげる”というメッセージを受け取るのです。

 そんな話をショーの後に二宮さんにぶつけたら「特別、壊すことは意識したことないです」と返ってきました。続けて「自分がやりたいこと、きれいだと思うことをただただ作る。ファッションの流れがどう変わったとしても自分のやりたい仕事は決まっているので、そういったモノづくりを続ける、人々に伝えてゆくことをやってゆきたい」とも。川久保さんの仕事を絶対つないでいくんだ、そんな覚悟もそこに見ます。

 はっきりとした大きな“体制”がない今の時代は、戦う相手も不明瞭。そんな時世には途切れずつなげるところに強さが生まれるのかもしれません。「きれいだと思うことをただただ作る」デザイナーを応援したいと思います。

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2021年も引き続きヒットの予感! 編集部オススメの紅茶コスメ

 今年は紅茶の香りのフレグランスやボディーケアのほか、“ミルクティーカラー”のメイクアップも話題となった。来年も紅茶関連アイテムが発売予定で、トレンドはしばらく続く予感。ここでは、編集部が選ぶ紅茶コスメを紹介する。

「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」
“アールグレー & キューカンバー コロン”

 英国の伝統的なアフタヌーンティーをイメージし、フレッシュでフルーティなベルガモットとみずみずしいキューカンバーを組み合わせた。バニラやムスクが温かみを加え、洗練とした香り。

シロ(SHIRO)
“アールグレイ オードパルファン”

 2018年から限定で販売していた香りだが、好評のため今年11月からECで定番製品に。ベルガモットが香る甘く華やかなトップノートから、紅茶を思わせる落ち着いたミドルノート、 かろやかな甘さで結ぶラストノートへと、時間とともにおだやかに変化。

ロジェ・ガレ(ROGER GALLET)
“エクストレド コロン テ ファンタジー”

 ブランドで人気ナンバーワンの香り。スモーキーな紅茶と神秘的なサンダルウッドが心を落ち着かせる、シトラスウッディの香りが特徴。

ローラ メルシエ(LAURA MERCIER)
“ブラッシュ カラー インフュージョン(06 CHAI)”

 アットコスメの2020ベストコスメアワードでチーク部門1位を受賞している人気のチーク。中でもチャイティーをほうふつとさせるベージュローズカラーが人気。

「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」
“ミルクティーショップ”

 5月に発売してから即完売した人気リップのミルクティーをイメージしたコレクション。あまりもの人気で、21年2月19日には限定で“ルージュ ヴォリュプテ シャイン”から2色が復刻する。

「ロクシタン(L’OCCITANE)」
“テ・アールグレイ シア”シリーズ

 2020年のホリデーはアールグレイの香りがテーマ。シャワーフォーム、ボディクリーム、ハンドクリーム、リップバーム、ソープをそろえる。

「ジルスチュアート(JILL STUART)」

 21年2月5日に発売する紅茶の香りをイメージしたボディーミルクとハンドクリームシリーズ。アールグレーを思わせる“爽やかなベルガモットとホワイトフローラルの香りのボディーミルクが登場。さらにアールグレーに加え、紅茶にはちみつとオレンジの香りが溶け合った香り、濃厚なミルクティーにラベンダーが香るアッサムティーの香りのハンドクリームもラインアップする。

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」カラーケア・総合&新製品部門

「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。カラーケアは、バラエティー・ドラッグストアのみで集計した。総合部門では、2020年の世相が反映された。自粛期間生活でサロンに行く機会が減り、これまで主力製品とは言い難かったカラーケアシャンプーの売り上げが大きく伸長した。1位は、「ロイド(ROYD)」“カラーシャンプー ムラサキ”に決定。「ヘアカラーの色合いを長持ちさせたい方から支持を得た」との声。2位は「スティーブンノル(STEPHEN KNOLL)」“カラーコントロール”。3位は、「カラタス(CALATAS)」の“ヒートケアシャンプー パープル”だった。新製品部門の1位は、「ロレアル パリ(L'ORÉAL PARIS)」“エルセーヴオーディナリー カラーロックオイル”。「CMでの打ち出しも多く、購買につながった」と評価。2位は「エムビースタイル(MB STYLE)」“カラーケアエマルジョン”、3位は「パンテーン(PANTENE)」“ミラクルズ カラーシャイン シャンプー”となった。

カラーケア・総合部門

1位 “カラーシャンプー ムラサキ”

「ロイド」

 カラーリングに合わせたアイテムを展開する「ロイド」。“カラーシャンプー ムラサキ”は、ハイトーンカラーの褪色や黄ばみを防ぐシャンプー。ブリーチ後の不自然な黄ばみを防ぐため、反対色である紫色のシャンプーを使うことで黄ばみの彩度を下げる。天然由来の保湿成分であるホホバオイル、マカデミアナッツオイル、コメ胚芽オイル、ヘーゼルナッツオイルなどを配合していて、しっとりした洗いあがり。(300mL、1400円)

2位 “カラーコントロール”

「スティーブンノル」

 ニューヨーク在住ヘアスタイリスト、スティーブン・ノル氏監修のブランド。カラーした髪の色落ちを防ぎ、染めた髪色をキープする“カラーコントロール”シリーズ。カラーでアルカリ性に傾いた髪を弱酸性に整える。全製品共通で、希少性の高いトリュフエキスを採用。髪内部に水分を補い「高浸透カプセル」で、髪に必要なコレステロール、セラミドを届け、毛髪表面をコーティングしてカラーの褪色を防ぐ。(シャンプー500mL、1600円 コンディショナー500mL、1600円 ヘアパック220g、1250円 トライアル10mL+10mL、100円)

3位 “ヒートケアシャンプー パープル”

「カラタス」

 「サロン帰りのヘアカラーと、うる艶髪を持続させたい」という悩みをかなえるべく、カラーリストたちが開発に参加したメイド・イン・ジャパンの「カラタス」。パープルは、ブリーチ後の黄ばみを抑え褪色を防ぎ、特にホワイト系やマット系カラーの色持ちを良くする。保湿成分としてフルボ酸、加水分解コラーゲン、ハチミツを配合。また、ドライヤーやヘアアイロンの熱に反応してダメージを保護補修するヒートケア効果も期待できる。(250mL、1980円)


カラーケア・新製品部門

1位 “エルセーヴ エクストラオーディナリー オイル カラーロック ヘアオイル”

「ロレアル」

 2020年9月に発売された、「ロレアル」史上初となるヘアカラー後のために開発された、デイリーなヘアオイル。ヘアカラー後、色落ちや黄ばみが気になる毛先を中心に塗布する。カラーロック成分(アモジメチコン)がダメージ箇所にアプローチし、髪表面をコーティングして髪の色合いをキープ。ファッションカラー、白髪染めなどに対応していて、カラートーンも暗めから明るめの茶色まで幅広いカラーリングに使える。(100mL、2200円)

2位 “カラーケアエマルジョン”

「エムビースタイル」

 洗い流さないタイプの“カラーケアエマルジョン”。ヘアカラー、ヘアマニキュア、白髪染めなど全てのヘアカラーに対応している。質感は、ベタつかずサラッとしていて伸びが良い。サルビアヒスパニカ種子油などの植物性成分がダメージを補修し髪色をキープ。タオルドライした後に適量を取り、毛先などのダメージ部分を中心になじませるアウトバスのケアに加えて、ヘアマスク前に塗布するインバスでのケアにも使える。(150g、1500円)

3位 “ミラクルズ カラーシャイン シャンプー”

「パンテーン」

 「パンテーン」初のサルフェート無添加シャンプー。色落ちの一因は、開いたキューティクルから色が抜けてしまうこと。サルフェートフリーシャンプーで洗うことでキューティクルを傷つけにくく、ヘアカラー、白髪染めなどヘアカラーした後の色落ちをおだやかにする。ローズとジャスミンの香り。高級美容液カプセルを配合した「ミラクルズ カラーシャイン トリートメント」と併用することで、シルクのような艶のある髪に。(ポンプ480mL、1600円※編集部調べ)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : MISA KOTAKE

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“田中みな実売れ”したコスメは? 完売したミストからクリームまで

 エンタメ業界のみならずファッションやビューティなど幅広い分野から引っ張りだこの田中みな実。ビューティ業界でも、今年は田中みな実がオススメする製品がバズを起こしたり、完売をするなどトレンドセッターとして注目された。ここでは、そんな“田中みな実売れ”した製品を紹介する。

「クレ・ド ・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」
“ル・セラム(医薬部外品)”

 洗顔後に塗るブースター美容液で瞬時に肌になじみ、滑かでふっくらやわらかな肌へ導く。田中みな実がスッピン写真とともに同美容液についてSNSで語っており、ヒットする要因に。

「エリクシール(ELIXIR)」
“エリクシール シュペリエル つや玉ミスト”

 アットコスメ上半期ベストコスメ大賞3位にもランクインしたミスト。きめ細かいミストがメイクの上からも素肌に届き、潤いを与えて“ツヤ玉”を演出。インスタライブで紹介し売り切れが続出した。

「シャネル(CHANEL)」
“ボーム エサンシエル”

 肌に濡れたような艶を与えるスティック型のハイライト。美容各誌のベスコスも受賞した製品で、田中みな実が出演するアマゾンの番組「ビューティザバイブル」でも紹介し話題に。

「カネボウ(KANEBO)」
“フレッシュ デイ クリーム”

 滑かになじみ、フレッシュな香りで目覚めるような朝時間クリーム。日中の紫外線や乾いた空気など外的刺激による乾燥ダメージから守り、肌にみずみずしいうるおいとしなやかなハリを与える。田中みな実愛用クリームとして人気に。

「スック(SUQQU)」
“オイル リッチ グロウ ルース パウダー”

 パウダーながら美しい艶感をキープするアイテム。発売(2017年9月)からしばらくたっているにも関わらず、生産が追いつかないほどの人気に。

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大本命ロングブーツの迎え方! フェミニンなスカートでこなれコーデに

 ロングブーツがいよいよ本格的にカムバック。さっそく日本でもリアルコーデが出没しています。ブーツ自体に主張があるので、手軽におしゃれがキマり、ニューノーマルにうれしいムードチェンジャーです。国内ブランドの秋冬ルックを手がかりに、今季らしいロングブーツのコーディネートをキャッチしていきましょう。

 スタイリッシュでマニッシュ感のあるロングブーツを履くときには、服で別テイストを醸し出すのが今季流。たとえば、「ローブス アンド コンフェクションズ(ROBES & CONFECTIONS)」のように、春夏にも対応できそうな軽やかなプリーツスカートと合わせることで、互いを引き立て合い、趣の深いコーデに仕上がります。

フレアスカートの甘さを控える役割に◎

 

 ロングブーツは足元にクールな表情を運んでくれます。その持ち味を生かすのが賢いスタイリングです。たとえば、フェミニンなスカートの甘さを少し引き算したい時にうってつけです。

 「チョノ(CHONO)」のフレアスカートは、ドットと鳥柄がファンタジーなたたずまい。レース付きのパーカで“フェミニン×スポーティー”のミックスコーデに整えました。つやめいた黒のロングブーツを迎えることで、スパイスも加わりました。

 2枚目の「ジュン オカモト(JUN OKAMOTO)」は、ラフなニットトップスに、花柄モチーフのロマンティックなワンピースで相反するコーデに。スカートのふんわり感が、ポインテッドトーのスタイリッシュなロングブーツで中和され、シャープな印象に。

タイトスカートに程よいボリュームでメリハリを演出

 装い全体に起伏を与える効果を狙うなら、ブーツの特徴と、服の印象をずらすのがおすすめ。ボリューミーなブーツの場合、スリムなシルエットの服を合わせると、量感にアクセントが加わります。

 ニットのタイトスカートは、細身シルエットでも締め付け感があまりないので、コンフォートな着心地を叶えてくれます。「アカネ ウツノミヤ(AKANE UTSUNOMIYA)」はあえてゴツめのロングブーツを添えて、ボリュームの“ずれ感”を演出。たおやかさとタフさの交差で趣深く整いました。

 くしゅっとたるませて履くロングブーツは、それだけで“こなれ感”を印象づけやすい切り札シューズ。2枚目写真の「フォトコピュー(PHOTOCOPIEU)」は、テーラードジャケットと細身のスカートのすっきりとしたセットアップコーデ。足元に雰囲気が真逆のウエスタン風のベージュ系ロングブーツを迎えることで、おしゃれ上級者感を漂わせています。

シャツワンピースにきちんと感をプラス

 家でもオフィスでも着やすいシャツワンピースは、ニューノーマル下で重宝なアイテムです。細めのヒールで女性らしい、“きちんと感”のあるロングブーツを合わせれば、全体の雰囲気に深みが増します。

 「ニアーニッポン(NEAR.NIPPON)」のシャツワンピースは、柔らかいパウダーピンクが印象的。甘く見えすぎないのは、クールなロングブーツのおかげ。ブーツがしっかり主張する丈を選ぶのがスタイリングのコツ。ベルトに垂らしたスカーフが動きを添えています。

 ブーツを着こなしのアクセントに生かすなら、服との素材の違いを際立たせるのが得策です。白のシャツワンピース×黒のロングブーツといった、はっきりしたコントラストがシャープなイメージをもたらします。2枚目の写真「ネプラ(NEPLA.)」は、コートの裾からちらりと覗くシャツワンピースとブーツの素材違いがくっきり。さらに上からコートを重ねて仕上げた縦長のレイヤードにしなやかな強さを感じさせます。

 薄手のスカートやワンピースなどをシーズンレスで着こなすには、ロングブーツが強い味方となってくれます。こなれ感や縦長のイメージを印象づけるうえでも効果を発揮してくれます。寒さが厳しくなるこれからのシーズンのキーピースに、ぜひ役立ててみては。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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ニューノーマル時代に求められる香りとは? 香水特集でジェンダーについて考えさせられる エディターズレター(2020年10月27日配信分)

※この記事は2020年10月27日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

ニューノーマル時代に求められる香りとは? 香水特集でジェンダーについて考えさせられる

 「WWDジャパン」10月26日号の付録「WWDビューティ」の特集を担当しました。これまでも毎年行ってきた香水特集ですが、今年は新型コロナウイルスで変化する日本の香水市場や海外の香水事情について取り上げました。日本では“おうち時間”が増えたことによりキャンドルやルームディフューザーなどのホームフレグランスが急伸し、フレグランスは外出する時につける特別なものから、日常の一部になっています。一方で以前から香りは日常の一部だった海外では、外出自粛により香水市場は厳しい状況が続いているようです。

 特集を作っていて面白かったのは、米「WWD」の「ニューノーマルの時代で求められる香水とは?」という記事でした。詳しくは特集で取り上げていますが、内容としては、今後支持される香りは「ジェンダーフリー」「パーソナライズ」「クリーン」の3つのキーワードを体現するものということです。これまでの香水ははっきりメンズ・ウィメンズで分かれ、香りを説明するのに“フェミニンなフローラル”“マスキュリンなウッド”など、ジェンダーを男・女に分けた言葉がたびたび使われてきました。また広告も、マッチョの男性が上半身裸な状態で出てきたり、嫌らしいくらいセクシーな表現の広告も当たり前でした(テリー・リチャードソンが撮り下ろした「トム フォード ビューティ」の広告を見てみてください)。

 しかし、ダイバーシティーを大切に思う今の若年層には、そういったセクシストなメッセージは響かなくなっています。確かに今の時代は、“男性を魅了するためにつけるセクシーな香水”“女性にモテる香り”など、異性を意識した打ち出し方はインクルーシブとは言えないのかもしれません。そもそも、今の時代において“セクシー”とは?異性・同性を魅了するもの?自分に自信を持つこと?ほかにはない魅力に誇りを持つこと?人それぞれ、いろいろな答えがあるでしょう。だからこそ、メーカーが一方的に「これをつけたら男性を釘付けにする香りです」と決めつけてしまうのは、違和感を抱かれるのだと思います。

 ただ、特集でインスタグラム媒体を運営するフレグランスベンチャーやユーチューバーにもインビューをしたのですが、彼らいわく反響がいいコンテンツはやっぱり「モテ香水まとめ」「(異性に)褒められた香り紹介」といったものだそうです。だから、異性を意識した香りやメンズ向け・ウィメンズ向け香水、セクシーな香りなどが今後なくなるとは思いませんし、そこには需要があるのは分かります。そもそも香りとはとてもパーソナルでときにロマンチックなものでもありますし。しかし、そのメッセージの発信の仕方を考えないと、今の時代は厳しいのも現実です。ファッションでは、米「ヴィクトリアズ・シークレット」や「アバクロンビー&フィッチ」がセクシー路線で苦戦したのも、まさにそういうことですよね。

 少し話がそれますが、ジャン・パトゥが1930年にデビューした香り“ジョイ”は、世界大恐慌時に彼のクチュールピースを買えなくなってしまった顧客のために、少しでもメゾンのスピリットを纏えるように、という思いで作った香りです。「ニナ リッチ」の“レールデュタン”も、第2次世界大戦後の平和をイメージして作られた香りです。どちらもその時代の情勢や出来事によって生まれた香りで、今も名香として愛されています。新型コロナウイルスや5月に米国で起きた黒人差別も世界中に大きなシフトをもたらしています。ダイバーシティーやサステナビリティへの意識のさらなる高まりはまさにその一部です。そんなニューノーマルの時代ではどんな香りが生まれるのでしょう?

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メイク落としも「気恥ずかしい」の エディターズレター(2020年9月25日配信分)

※この記事は2020年9月25日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

メイク落としも「気恥ずかしい」の

 資生堂の「ウーノ」が、見た目はグレー、なのに塗ると色が変わって唇の血色が良くなるリップを発売し、SNSでバズっています。見た目はグレー。良きですね。1週間ほど前、コスメ好き男子のアンビバレントな気持ちについてアツく語りましたが、“ほんのりピンク”のリップに抵抗を覚える男子は少なくないハズ。それがグレーなら……、売れそうな気配プンプンです。

 男子の、メイクにまつわるアンビバレントな気持ちのお話、もう一つよろしいでしょうか?肌には何か塗っておきたい。キレイになる高揚感も知っている。でも、それでもメイクオフという行為が面倒くさい以上に気恥ずかしいの!!というお話です。

 「ファイブイズム バイ スリー(以下、ファイブイズム)」のスティック状のファンデーションを筆頭に、多くのブランドは「メイクアップを男子の日常行動に近づける」について、メチャクチャ真剣に考えています。感謝です。ちなみに下のリンクにある通り、スティック状のファンデーションは、それを塗るという行為を髭剃りという日常行動に近づけようとする工夫なんですよ。で、ファンデーションやBBクリームを塗った肌はやっぱりキレイで(当社比)、気分もアガります。ここまでは女性と同じですね。

 でも、それでもメイクオフはイヤなのです。上述の「ファイブイズム」はメイク落としもスティックタイプなのですが、それでもなかなか定着しません。「面倒くさい」だけではありません。メイク落としという行為が、やっぱり「気恥ずかしい」のです。ゆえに私は、夜、メイクを落としません(断言w)。ジムなどでシャワーを浴びたら終了。洗顔料を使うのは、朝だけです。肌には悪いと思います。でも、「肌に気を使わないカンジがカッコいい~」とさえ思ってしまうことも(イミフであります)。メイクまでして肌をキレイに見せたいのに、肌を気にしないカンジもカッコいいとは……!?あぁ、男子とは、なんてアンビバレントな生き物なのでしょう!ちなみに、同じくらいアンビバレントだと思っているのは、「TASAKIのピアス、とっても大事。でも、気にせずシャワーを浴びちゃうカンジもカッコいい」という思考です(笑)。

 こんな天の邪鬼は私だけでしょうか?気になって以前、「ファイブイズム」でタッチアップを経験し、フルラインをほぼほぼそろえたという後輩の大塚記者に話を聞きましたが、やはり一時期「メイクオフが気恥ずかしい問題」に直面し、メンズメイクから遠ざかった時期があると言います。やっぱり!!どうでしょう、みなさん。「N=2」という極めて小さな母集団による調査ですが、一考の価値はございませんでしょうか(笑)?

 なんて思考をツイートしたら、10のファボがつきました。コレはもう「N=10」ですよね(違う!?)?さらには「男性の、料理を作るのは好きだけど、皿洗いは大嫌いと同じ理論ですね」とのコメントも頂戴しました。ほほぅ、なるほど。言い得て妙です。

 皿洗いが嫌いな人のためには食器洗い機が誕生し、普及しましたね。となると、メイクオフに対しても食洗機的な何かが生まれ、世に放たれるときが来るのでしょうか?そんな日を夢見ながら、今日もメイクに勤しんでおります。最近はカラーメイクにも挑戦中ですが、それでも、それでもメイク落としは「気恥ずかしい」ままです(笑)。

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ビームスも参加の「バーチャルマーケット5」 主催者に聞くビジネスの可能性

 バーチャルリアリティー(VR)空間上でさまざまな展示や体験、3Dアイテムやリアル商品の売買ができるイベント「バーチャルマーケット5」が12月19日から2021年1月10日まで開催される。

 「バーチャルマーケット(以下、Vケット)」は18年に初開催され、今回が5回目。前回は伊勢丹新宿本店が出店して、婦人靴のPB「エヌティー(NT)」やメンズブランド「ミノトール(MINOTAUR)」がアバター着せ替え用の3DCG素材を販売したり、伊勢丹のタータンチェックの紙袋の3Dデータを無料配布した。また、「ウイゴー(WEGO)」は実際のアイテムをもとにしたアバター用の衣装を販売。リモートワークでショップスタッフがアバターを操作して接客した。今回の「Vケット5」には東宝やタカラトミー、大丸松坂屋百貨店、ビームスなど73社が参加するほか、1100人超のクリエイターが出展する。

 世界から70万人以上の来場者が集まる、世界最大級のバーチャルイベントを主催するHIKKYの舟越靖代表取締役に「Vケット5」について聞いた。

WWD:ゴールデンウイークに行われた前回と今回の「Vケット5」とで進化した部分は?

舟越靖代表取締役(以下、舟越):今回はワールドワイドを意識しています。前回は「パラリアルトーキョー」という渋谷や秋葉原、東京のランドマークを集めた、バーチャルならではの街を作って、日本の文化とコロナ禍でバーチャルの中で生活したり商売したりしている人たちを日本の人たちに向けて盛り上げました。ところが、米「フォーブス」誌に「Vケット3」が取り上げられたり、SNSなどでどんどん拡散されていき、知らず知らずのうちに海外からの流入が増えて、来場者の半分近くになっていて。今回はそういう海外から来る人たちにも向けています。それが最大の違いです。

WWD:具体的には?

舟越:全世界をまさに寄せ集めて、時間とか距離の概念が曖昧になるような空間をイメージして設計しました。歩いていくと、象徴的なキャラクターがいたりとか、長い通路の中にいろんな演出があったりとかして、その高められたものからいろんなものを買ってもらったり楽しんでもらうという環境を目指しました。

 あとは英語対応ですね。出展企業はもちろん、個人のクリエーターさんたちにもまずは英語対応を促しています。今回は啓蒙レベルでしかできていないのですが、そのうち自動化したいです。せっかく世界からたくさんの人に見てもらえる、たくさん買ってもらえるかもしれないじゃないですか。弊社の方でも問い合わせなどに対応したり、英語で海外にもプレスリリースを配信したり、さまざまな策を細かく重ねています。

WWD:出展者にも海外からが増えている?

舟越:クリエイター出展で如実に増えています。英語での出展問い合わせも増えたので、きちんと体制を作って対応しました。コロナ禍での開催だったこともあり、前回は終了後2カ月で5000件ぐらいの問い合わせが来ました。その中には海外の企業や政府関係からのものもありました。

WWD:「Vケット4」で特に人気だったコンテンツは?

舟越:やはり「アウディ」がすごかったですね。高級自動車をバーチャル空間で体験させるってどういうこと?じゃないですか。彼らは車のデータをそのまんま僕らに託してくれました。それを動かせるように僕らがデータを作って、それをトップセールスマンのすごく上手なトーク共に試乗体験できるというのは画期的でしたね。日本全国や海外からお客さまがずっとアクセス待ちという状態でした。

 「アウディ」にとっては、試乗体験がお客さまとの一番のタッチポイントになるそうです。そこに来させるために、テレビCMを含めたいろんな導線が必要で費用がかかるんです。でもバーチャルだと、まず時間も距離もあまり関係なく、ひとまず体験させることができちゃうんですよ。そうすると今まで車とかに興味なかった人が、「え、かっこいいかも」ってなることもある。そこでリアルな試乗体験への申し込みが殺到するわけなんです。街を歩いていたら、なんかカッコいい車があって、すごく気軽に体験できて――ということはこれまでのチャネルではありえなかったですよね。ちょっと極端な例ですが、その場で欲しいという人も出てきたそうです。買おうと思ってたシリーズの最新作が出たけど、遠くにいるから見れなかったんだよね、でもこれだけちゃんと中を見られたら、「これは買いだわ」というふうに判断する人も別にいなくはないじゃないですか。しかも非常に良い接客とともに紹介されて、しかも試乗体験もできるとなると、決定打にもなるわけです。

WWD:ファッションにも繋がるものがある。

舟越:購入って、体験をベースに決めるケースが多いと思います。美味しそうとか、それ素敵とか。「ウィゴー」は若い女性向けの服の3Dアイテムを販売しましたが、実際の販売員がアバター接客してくれました。普通はゴーグル着けてVR空間で接客するのって慣れるのに時間がかかるのですが、驚くほど早く慣れて、楽しんでいましたね。ブースも人気でしたが、その販売員自身のSNSもすごくフォロワーが増えたりしていました。普段からあんまり固定概念なくって、楽しいものは楽しいというふうになる人は入りやすいようです。実際に商品も売れたので、バーチャル上の接客はすごく大事です。通常の動画配信よりも相手へのインパクトが強いので購入のきっかけには十分なりうると実感しました。

WWD:「ウィゴー」は「Vケット3」にも参加している。

舟越:109の実店舗とVR空間をつなげて接客するという試みでしたが、あれも画期的だったと思います。しかも働いてる人は体に障害があって歩けないが手は動かせるという方でした。病院から遠隔で憧れだったアパレルブランドの店員さんをやれて、ちゃんとみんな喜んで買ってってもらって、お給料ももらえた――これってSDGsへの1つの解決にもなっていますよね。「Vケット3」で手応えを感じて、「Vケット4」で本格的に物販にトライしたという感じでした。

WWD:今回はビームスが出展するが?

舟越:ビームスの設楽洋社長には昔からすごくよくしていただいていて、今回出展いただけました。複数の異業種同士のコラボレーションですから、とにかく大変だと思います。でもそこを頑張ってやっていただいています。彼らにはめちゃくちゃ情熱があって、それが特にこういうコンテンツとかクリエイティブにおいてはもう絶対です。

ファッション業界って、クリエイターやアーテイストを大事にするじゃないですか。ここに新しいチャネルがあって、その人たちに新しい環境をつくれるんだという意識のもと、この先商品やコンテンツをどういうふうに提供しようかを考えてもらえれば、僕らは企画屋でもあり制作屋でもあるので、一緒にいいものができると思っています。そして、彼らを発信源に、こういう使い方ができたとかこうやればもっと気軽にやれるよとか、大きな初期投資なく、ちゃんと売り上げにつながるような事例をつくっていきたいです。

WWD:すごく楽しみだ。新たなVR空間が次々と生まれているが、「Vケット」の最大の強みとは何か?

舟越:一番の魅力はとにかくクリエーターの作品です。今、ツールの進化でかなり簡易的に結構かわいいのが作れたり、工夫によってより良いものが作れるようになってきています。個人がそのツールを使い倒して、最近までコンビニでアルバイトをしていたり、公務員だったような人たちが趣味をベースに作ったものが、そのまま売れてしまう。3DCGをCtoCで販売できる初めての場が「Vケット」なんです。回を重ねるごとにスタープレーヤーがどんどん誕生していて、彼らの力によって「圧倒的な体験を提供している」と自負しています。また行きたくなる環境をつくるっていうものですね。ですから、クリエイターたちによって、思い出になったり、コミュニケーションのきっかけになるような環境を意識してつくっているという点が大きな違いだと思います。うちの社員たちは皆エンターテイナーです。ただ商売をするために効率的に物を作るというよりは、どう喜ばせるかとか、どう驚かせるかとかそういうことばかり考えています。

「Vケット5」については2021年1月18日号「WWDジャパン」で詳報予定だ。

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」ヘアカラー・総合&新製品部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。ヘアカラーは、バラエティー・ドラッグストアのみの集計となった。総合部門には「手軽に染められる」「サロンクオリティーの仕上がり」「髪にハリ、コシ、艶を与える」と三拍子そろったアイテムがランクイン。1位は、「ウエラ(WELLA)」“2+1クリーム”。「色持ちがよく、染めやすく人気」との声。2位は「花王(KAO)」“リライズ”。3位は「ナイアード(NAIAD)」“ヘナ+木藍 黒茶系 徳用”などとなった。新製品部門では、1日だけ気軽にカラーチェンジを楽しめる「リーゼ(LIESE)」の“ワンデイヘアモンスター(1DAY HAIR MONSTER)”や「クイスクイスデビルズトリック(QUISQUIS DEVIL'S TRICK)」が好調。「アイドリッシュセブン(IDOLiSH7)」など、作品ファンの「推しと同じ色をメッシュで入れたい」というニーズをつかんだ。1位は、「DHC」“Q10プレミアムカラートリートメント”と、「リーゼ」の“ワンデイヘアモンスター シャインゴールド”が同率となった。3位には「パルティ(PALTY)」“カラーリングミルク”が入った。

ヘアカラー・総合部門

1位 “ウエラ2+1クリーム”

「ウエラ」

 クリームタイプのヘアカラー。コーム付ノズルで、白髪染め初心者でも後ろ髪まで簡単に染められる。ウエラ独自のミクロの色素で毛髪内部を満たし、リッチで深みのある発色が可能に。ホホバ油、アボカド油、ヒマワリ油の植物由来の3つのトリートメント成分を配合し、カラーリングした後も滑らかで艶のある仕上がりに。色持ちは6週間持続し、リッチなカラーをキープ。全25色とカラーバリエーションも豊富。(A剤60g、B剤60g、エッセンス7.3ml、1780円)

2位 “リライズ”

「花王」

 100%天然由来の「黒髪メラニンのもと」を配合したクリームタイプの白髪用染毛料。着色成分は、麹の発酵技術を応用した製法で作りだしている。白髪にはメラニンがないが、“リライズ”を使うことで自然な黒さを補う。また、繰り返し使っても髪を傷めない。使い方は、シャンプー後、髪に塗り5分置くだけ。無香性でツンとした匂いもない。髪に黒髪色を取り戻す「リ・ブラック」と白髪をグレーに整える「グレーアレンジ」を展開。(155g、オープン価格)

3位 “ヘナ+木藍 黒茶系 徳用”

「ナイアード」

 「ナイアード」のヘナは、100%植物で作られた自然素材の白髪染め。ヘナは、髪や地肌を傷めずに染めることができるハーブで、髪に艶、コシ、ハリを与えるトリートメント効果も期待できる。化学染料、保存料、着色料は使用していない。“ヘナ+木藍 黒茶系”は白髪を落ち着いた黒茶系に染め、黒髪の色はほとんど変わららないのも特徴。(400g、4500円)

3位 “カラートリートメントグレー”

「エブリ(EVERY)」


ヘアカラー・新製品部門

1位 “Q10プレミアムカラートリートメント”

「DHC」

 ブランド史上、最高の染毛力を実現した白髪用カラートリートメント“Q10プレミアムカラートリートメント”が1位に。1回5分での白髪染めをかなえる。白髪は、水分量の欠如から普通の黒髪に比べてうねりやすい点に着目し、ハリコシを高める成分を配合し、うねりやすい白髪を目立たなくさせる設計に。コエンザイムQ10、ツバキ種子オイルなど5種の植物オイルに6種の植物エッセンス配合し、しなやかでまとまりやすい髪に導く。全4色。(235g、2500円)

2位 “ワンデイヘアモンスター シャインゴールド”

「リーゼ」

 ポイントカラーで、1日だけ着色を楽しめる「リーゼ」の“ワンデイモンスター”。ブリーチの必要はなく、黒髪、茶髪でも発色する。使い方は、つけたい部分の毛束を細くとり、髪の表面にローラータイプのチップをコロコロと転がし毛先までムラなく塗るだけ。汗・水に強く色落ちしにくいウォータープルーフタイプでありながら、シャンプーで簡単にオフできるのも魅力。フローラルの香り。全8色うち限定2色。(20mL、1350円)

3位 “カラーリングミルク”

「パルティ」

 「ムラ染まり」の原因のひとつである、ヘアカラーの使用量の少なさを解決するため、内容量を従来品の1.5倍にボリュームアップ。こっくりとしたテクスチャーの乳液は、液ダレせず髪にしっかり密着する。手で簡単に塗ることができて扱いやすい。全10色。(1剤60g、2剤120mL、ヘアトリートメントセラム5g、オープン価格)同率3位に、「クイスクイスデビルズトリック」の限定色“アロハオレンジ”(25g、240円)がランクイン。「傷んだ髪ほどよく染まる」と支持された。

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : MISA KOTAKE

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」スタイリング剤・総合部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。スタイリング剤・総合では、百貨店・セミセルフ部門で1アイテムで複数の役割を担うアイテムが並んだ。1位は、「ジョンマスターオーガニック(JOHN MASTERS ORGANICS)」の“スリーキングスティック”。マスカラのようなユニークな形状のスタイリング剤は「リーズナブルな価格で新客を取り込んでいる」の声もあった。2位は「ダヴィネス(DAVINES)」の“オーセンティック オイル”で、ヘアケアアイテムも人気の「ジョンマスターオーガニック(JOHN MASTERS ORGANICS)」“R&Aヘアミルク N”が3位に入った。バラエティー・ドラッグストア部門ではマルチパーパスのアイテムに人気が集まり、1位は「ザ・プロダクト(PRODUCT)」の“ヘアワックス”で「コロナ禍でスタイリング剤が苦戦する中、売り上げは好調」という。2位は「サイン(SIGN)」の“システミックオイル”、3位にロングセラーの「マトメージュ(MATOMAGE)」の“まとめ髪スティック スーパーホールド”がランクインした。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “スリーキングスティック”

「ジョンマスターオーガニック」

 1位は、マスカラのような形状のスタイリング剤“スリーキングスティック”。日本人のために開発されたアイテムは、気になる浮き毛や襟足などを瞬時にケア。また、前髪やおくれ毛につけることで簡単に自然な束間を演出する。ナチュラルに仕上がるため、抜け感のあるニュアンスを出したい時にも活躍。スタイリングしながらケアできるよう、アルガンオイルやホホバオイルなどのオーガニックオイルを配合。キューティクルに働き、髪を保湿する。(15g、2100円)

2位 “オーセンティック オイル”

「ダヴィネス」

 全身をケアできる、万能オイルの“オーセンティック オイル”が2位。オーガニック成分を豊富に含み、98%以上が植物由来成分で構成する、オーセンティック シリーズ。抗酸化と保護に作用するオーガニック由来のベニバナ油をキーに、保湿しながら栄養を与えるオーガニック由来のホホバオイル、ひまわり油、セサミオイルをブレンドして配合。傷みを修復するヘアオイルとしてはもちろん、その保湿力でスキンケアやボディーケアとしても豊潤の一滴。(140mL、4000円)

3位 “R&Aヘアミルク N”

「ジョンマスターオーガニック」

 3位は、ドライヘアに着目した洗い流さないタイプのトリートメント“R&Aヘアミルク N”。乾燥などの外的ストレスによるダメージから守り、保湿しながら補修。健やかで柔らかな髪へとアプローチするのは、センチフォリアバラ花水によるもの。惜しみなく配合することで軽い質感を実現。さらにアンズ核油が枝毛を防ぎ、テオブロマグランジフロルム種子脂が潤いを与えながら保護する。ヘアフレグランスとして活用できるほど豊かな香りも魅力。(118mL、3900円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “ヘアワックス”

「ザ・プロダクト」

 肌、リップ、ネイル、そしてヘアなどあらゆるパーツを保湿ケアする“ヘアワックス”が首位。ヘアスタイリング剤として用いた後は手を洗うことなく、リップやハンドなど気になるパーツのケアが可能。シアバターやミツロウ、トコフェノール、タンジェリンエッセンシャル、 アロエベラ原料は世界中から集め厳選して配合した。コンパクトなサイズで、センシティブスキンやデリケートなベビーにも使用できるパワフルに活躍する。(42g、1980円)

2位 “システミックオイル”

「サイン」

 アウトバストリートメント総合部門に続いて、スタイリング剤総合部門でも2位に輝いた“システミックオイル”。これ1本で、髪をはじめ全身をケアできるマルチユース。スタイリングした後、手に残ったオイルはそのまま手になじませることも可能だ。天然由来成分のみでつくられたナチュラルオイルは、毛髪や肌への浸透性の高さに考慮し、シアバターやコメヌカ油を採用。また、タイリング剤としても活用でき、流行の濡れ髪スタイルにも最適。爽やかなシトラスオレンジの香りで心身をリフレッシュ。(120mL、1500円)

3位 “まとめ髪スティック スーパーホールド”

「マトメージュ」

 1996年から親しまれ続ける“まとめ髪スティック スーパーホールド” が3位。シリーズの累計出荷数は3000万個を超えるロングセラーを支えるのは、あほ毛やおくれ毛を固めずピタッとキープする確かなホールド力。スタイルのくずれが気になる部分になでつけるようつけるだけでOK。変性コーンスターチの吸湿ブロック成分の配合し、パンデミックにおけるマスク湿気で崩れやすくなる前髪も美しくキープする。スーパーホールドの他に、“同 ナチュラル”も展開。(13g、550円)※参考価格

3位 “プロミルオイル”

「プロミル(PROMILLE)」

3位 “大島椿 <椿油100%>”

「大島椿(OSHIMATSUBAKI)」

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

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社会とつながる「ファッションは素敵だぜ!!」 エディターズレター(2020年9月23日配信分)

※この記事は2020年9月23日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

社会とつながる「ファッションは素敵だぜ!!」

 さぁさぁ皆さん、2021年春夏ウィメンズ・ファッション・ウイーク、始まってますよ~。

 と声高に叫んでみたのは、ワタシも日本にいるせいか例年に比べ「始まったんだ」感が薄かったから。でもニューヨーク・コレクションを見て、「あぁ、やっぱりファッションは素敵だぜ!!」とつくづく感じております。ということで4連休明けの本日はめんどくさい話はせず(笑)、とりとめもなく、NYコレクション前半戦のお話をしたいと思います。

 「ファッションは素敵だぜ!!」と思った一番の理由は、多くのブランドがことごとく「マスクをファッションにしているから」です。トップスやボトムス、バッグ&シューズとマスクの色柄を合わせた「Matchy Matchy(元来は「そろえ過ぎ」という否定的な意味ですが、今回は「コーディネイト完璧!!」くらいポジティブに捉えてくださいw)選手権」のグランプリは、「アリス アンド オリビア」。もともと「女の子だもん。可愛けくなりたいの」くらいシンプルな欲求にポジティブに応えるブランドです。今シーズンのマスクスタイルでガールズグループの前に現れたら、大盛り上がりは間違いないでしょう。余談ですが、ワタクシのマスクから考えるコーディネートコラムは今春抜群のパフォーマンスを記録しまして、世間の「おしゃれマスク」&「おしゃれなマスクスタイル」を求めるニーズはなかなかに大きいことを実感しております。このニーズを的確に捉え、危機さえポジティブに乗り切ろうとしている逞しさに「ファッションは素敵だぜ!!」なのです。

>マスクから考えるコーディネイト 東京ブランドのマスクで8スタイルに挑戦!!

 1つのブランドが提案するルックは、総じて大幅に減少しています。これまで5、60ルックは当たり前だった「アナ スイ」の21年春夏シーズンは、35ルック。そのほかのブランドも半減から3割減は当たり前。ムダなモノは作らない、アイデアは厳選してクリエイションを枯渇させない。そんなサステナブルなマインドが垣間見え、やっぱり「ファッションは素敵だぜ!!」です。

 「トム フォード」が発表したビジュアルには、マスクは一切登場しませんでした。代わりに徹頭徹尾一貫したのは、眩しいくらいネオンカラーのリップ。ビビッドカラーな唇のモデルは、「破顔」という言葉がピッタリなくらい大きく口を広げ、白い歯を覗かせます。洋服は、シンプルながらハッピーな色柄のカフタンドレス。トム・フォードは、「完全なロックダウンが少し緩和された後、ソーシャル・ディスタンシングを意識しながら友人と屋外で楽しんだディナー」を思い出したと言います。まだ気は抜けないから、気を使わないラクな洋服で。でも久しぶりの再会だから、ちょっとはドレスアップしてみたい。カフタンドレスは、そんなアンビバレントな気持ちの象徴であり、鮮やかなリップは、素敵な洋服に身を包んだときの高揚感の表現です。Zoomでも、めっちゃ映えることでしょう。さぁ、繰り返しますよ。「ファッションは素敵だぜ!!」(笑)。

 やはりファッションとビューティは、社会と密接につながっています。いつものように現地では体感できないけれど、写真だけでも強く伝わる。それが分かったこともまた、「ファッションは素敵だぜ!!」の理由なのでした。

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」アウトバストリートメント・総合部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。アウトバストリートメントの百貨店・セミセルフ部門は、植物やハーブの香りや力が生かされたアイテムが目立った。1位は、「ラ・カスタ(LA CASTA)」の“アロマエステ ヘアエマルジョン”で、「ブランドのベストセラーアイテムで質感が好評」との声。2位は「シャネル(CHANEL)」の限定品“チャンス オー タンドゥル ヘア オイル”と、「アヴェダ(AVEDA)」の“ダメージレメディー シリーズ デイリー リペア”が同率だった。バラエティー・ドラッグストア部門では、スキンケアと見紛うアイテムが目を引く。1位は、「エイトザタラソ(8 THE THALASSO)」の“リペアショット&EXモイスト 美容液オイル”だが、「シリーズの全てのアイテムが人気」という。2位は、「サイン(SIGN)」の“システミックオイル”。3位に「アンドハニー(&HONEY)」の“メルティ モイストリペア ヘアオイル 3.0”が入った。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “アロマエステ ヘアエマルジョン”

「ラ・カスタ」

 1位の“アロマエステ ヘアエマルジョン”は、オーガニックの植物成分やハーブエキスをたっぷり配合した洗い流さないタイプのヘアトリートメント。オイルをベースにした処方なのにベタつきを感じさせない使用感が好評。滑らかに浸透しながらなじみ、質感から髪の痛みに働きかける。パサつきを感じるほど艶がない、輝きを取り戻したいなどの悩みの解消に一役。ケアするたびにラベンダーやレモン、カモミールなどが爽やかに香る。(80mL、2500円 150mL、4500円 140mL[リフィル]、3800円)

2位 “チャンス オー タンドゥル ヘア オイル”

「シャネル」

 2位の“チャンス オー タンドゥル ヘア オイル”は、20年1月に限定発売したヘア オイル。やさしく香るフローラル フルーティーのロマンティックな「チャンス オー タンドゥル」の香りでヘアケアできるアイテム。タオルドライした後、あるいは乾燥の気になる時などにオイルを手のひらに取り、毛先に向かってなじませていく。保湿に優れたホホバオイルとサンフラワーシードオイルが、軽やかでしなやかな髪をかなえる。(35mL、6500円)※数量限定発売

2位 “ダメージレメディー シリーズ デイリー リペア”

「アヴェダ」

 “ダメージレメディー シリーズ デイリー リペア”が同率2位。日本人女性の傷んだ髪を救うために開発されたシリーズで、03年の発売以来、不動の人気を誇る。植物をベースとした独自のテクノロジーを活用した「ナチュラルリペアシステム」を採用。オーガニックのキノア種子エキスなどのパワフルな力で髪を補修し、キハダエキス、サンダルウッドなどが髪のキューティクルを滑らかに整える。誕生から10年が経った13年にパッケージをモダンにリニューアルした。(100mL、3500円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “リペアショット&EXモイスト 美容液オイル”

「エイトザタラソ」

 1位は、スキンケア発想のヘアケアブランドの“リペアショット&EXモイスト 美容液オイル”。保湿に働く幹細胞エキスや海洋美髪成分など複合的に配合。ダメージによる髪内部の空洞化を保水させて補修する「エイトザタラソ」のヘアオイルはベタつきのない使用感で扱いやすく、するするとなじみながら髪の水分と油分のバランスを整える。パサつき、広がり、くせ毛、うねり、ゴワつき、湿気による広がり、紫外線ダメージなど、髪にまつわるあらゆる悩みの解消へと導きながら艶やかに仕上げるマルチパーパスなアイテムだ。(100mL、1400円)

2位 “システミックオイル”

「サイン」

 2位の“システミックオイル”は、髪はもちろん肌のケアもこれ1本でOK!のマルチユース。スタイリングした後、手に残ったオイルはそのまま手になじませることも可能だ。天然由来成分のみでつくられたナチュラルオイルは、毛髪や肌への浸透性の高さに考慮し、シアバターやコメヌカ油を採用して配合した。また、スタイリング剤としても活用でき、はやりの濡れ髪スタイルにも最適。爽やかなシトラスオレンジの香りがケアする時間を豊かなものにする。(120mL、1500円)

3位 “メルティ モイストリペア ヘアオイル 3.0”

「アンドハニー」

 3位は、“メルティ モイストリペア ヘアオイル 3.0”。18年にデビューした「アンドハニー」と同様の水分量に着目し、うねりとくせげに特化した新シリーズ。マヌカハチミツ60%、ローズハチミツ20%、国内産生ハチミツ20%の独自比率を採用したハチミツ美容、90%以上の保水保護成分、うねりをケアする水分コントロール成分の導入などでケアし、まとまりやすい髪に仕上げる。シリーズ4アイテムはそれぞれの香りが楽しめ、ヘアオイルにはブルガリア産のダマスクローズを用いたシャワーローズハニーの香りを付した。(100mL、1400円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

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2020年SNSで“バズった”コスメ総まとめ マスクメイクからCビューティまで

 SNSで話題を集め、“バズった”コスメをデパコスとプチプラともに紹介する。今年は新型コロナウイルスによりマスクメイクが普及する中、“マスクにつかない”“マスクをしていても崩れない”アイテムなどが浮上。また、引き続き韓国コスメの人気は健在で、さらに中国からのCビューティも注目を集めた。

「アンプリチュード(AMPLITUDE)」
“クリア リップコート”

 リップカラーに重ねて使うことで美しい仕上がりを長持ちさせるトップコート。カラーと混ざりにくいオイルがリップメイクをコーティングし、崩れやマスクへの色移りを防ぐ。発売から約2週間で全国の店頭で品切れ、ECは発売後2日で品切れするほど人気に。

「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」
“アンリミテッド ラスティング フルイド”

素肌感がありながらも高いカバー力を誇るリキッドファンデーション。汗や湿度にも強く、マスクに付きづらく崩れにくいことで話題に。アジア人女性のために開発された全24色の豊富な色展開も特徴だ。

「アディクション(ADDICTION)」
“ザ アイシャドウ”

 ブランドを代表する99色の単色アイシャドウが8月に全面リニューアル。ファンも多いなだけあり、リニューアルが発表された直後からSNSで話題沸騰。熱狂的なファンはメディアから発信された情報を元に廃盤になるカラーなどを瞬くに特定し、発信してバズを広げた。発売後もレビューが絶えなかった。

「エルメス(HERMES)」
“ルージュ・エルメス”

 メゾン初のメイクアップアイテムとして注目を集めたリップスティック。3月に世界同時発売され、日本でもブティック前に開店前から行列ができたほか、公式サイトにもアクセスが殺到した。ピエール・カルダンがデザインしたシックなパッケージは“映える”ことでSNSでも幅広く拡散された。

「ナーズ(NARS)」
“ZEN コレクション”

 ブランド初の日本限定コレクション・白いパッケージで話題になっただけでなく、俳優の横浜流星とダンサーの菅原小春を起用したビジュアルも注目を集めた。SNSでは製品に対する期待や評価だけでなく、横浜流星と菅原小春の美貌をたたえる投稿が相次いだ。なお、今年は俳優や男性アイドルを起用したビューティブランドが多出した。

「ロムアンド(ROM&ND)」
“ジューシーラスティングティント”

 リップティントは以前からKビューティのブームではやっていたが、唇が乾燥したり荒れることも。「ロムアンド」のリップティントは長時間発色しつつも潤いを保つことで口コミで話題になった。潤んだようなジュワッとした発色とボリュームを与え、手ごろな値段で人気に。ベルベットタイプはマスクにつかないことでもトレンドアイテムに。

「ヒンス(HINCE)」
“トゥルーディメンションラディアンスバーム”

本国韓国でも発売直後に話題となり、欠品が続いていたスティック型のハイライト・チーク。「シャネル」のスティックハイライトが大ブームを起こしたこともあり、デパコス級の品のある艶を演出することで話題に。ブランド自体もスタイリッシュな世界観と製品で注目を集めている。

「ズーシー(ZEESEA)」
“ダイヤモンド シリーズ カラー マスカラ”

 中国発メイクブランドのラメ入りカラーマスカラ。人気ユーチューバーも次々とレビューを投稿し、華やかな仕上がりから各種SNSを賑わせた。中でも人気は瞬きする度に目元が煌く「#銀色ダイヤ」というカラー。そのほか大英博物館や画家のピカソとコラボするなど、独特な世界観を築き注目を浴びている。

「ジーユー(GU)」
“フォーミーバイジーユー”

 ファッションブランド「ジーユー」のコスメライン。ベーシックとトレンドの両方を取り入れたアイテムをそろえ、国産で成分にもこだわっている。価格帯は590~1490円ながら「想像以上のクオリティー」「普段しないメイクに挑戦できた」などの評価が集まり、ECで欠品するアイテムも。と

「ビー アイドル(B IDOL)」 
“ザ アイパレ”

 NMB48メンバーで美容ユーチューバーの吉田朱里プロデュースのアイシャドウ。通称「女子力おばけ」と呼ばれ、同世代から熱い支持を得ている吉田朱里のこだわり抜いたカラー4色を1つにしたパレット。使いやすいカラーと上品なラメでどんなシーンにも合う質の高さでも好評だ。

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教えて!パタゴニアさん 連載第4回 生産者の生活向上に貢献するために必要なこと

 サステナビリティ先進企業のパタゴニアの担当者にその取り組みを聞く連載第4回。今、全産業的に重視されているのが企業活動における“透明性”ですが、特にファッション産業では、2013年に縫製工場が多数入居するパングラデッシのラナ・プラザが崩落して1100人以上もの人々が犠牲になった事故をきっかけに、労働環境や労働条件などに対して生産者の配慮を求める声が強くなっています。そうはいってもほとんどの衣料メーカーは、製造工場を所有しておらず、製品のデザインや販売のみを行っています。パタゴニアも例外ではありません。では、どのようにして生産者の人権を守っているのでしょうか。第3回の「トレーサビリティーが大切な理由」に続いて、篠健司・環境社会部ブランド・レスポンシビリティ・マネージャーに聞きます。

WWD:パタゴニアはどのように生産者の人権を守っていますか?

篠健司・環境社会部ブランド・レスポンシビリティ・マネージャー(以下、篠):私たちは世界中の企業とパートナーシップを組み、集団として衣類の製造により派生する害を緩和すべく緊密に取り組んでいます。また、パタゴニアはサプライヤー、そして私たち自身に業界最高の環境的および社会的水準を課していて、この工程を管理するために業界にあるツールやスタンダードを活用して、厳格な水準が存在しない場合はそれを自社で作り上げています。

WWD:ラナ・プラザの崩壊事故により、改めて労働環境や労働条件などに対して問われるようになりました。

篠:「スウェットショップ(労働搾取工場)」とは、そもそもは19世紀に労働者が暑く混雑した、大気が循環しない劣悪な工場環境で長時間にわたって労働してもわずかな賃金しか受け取れない工場ことを指しています。1913年のニューヨークの衣料品工場の火災は146人の死者を出し、そのほとんどは若い女性で半分以上がユダヤ系の移民でした。この事故が改革の呼びかけの口火を切りました。それからちょうど100年後に起きたバングラデシュのラナ・プラザの崩壊は1100人以上の死者を出し、新たな改革の呼びかけが起こりました。

WWD:ラナ・プラザ事故の後も改善されていない工場はあると聞きます。

篠:世界にはいまだにひどい状況の下で長時間の低賃金労働をしている人々がいます。そうした工場で働く人々のほとんどが女性で、貧困で、教育を受ける機会や公民権を剥奪されているケースがあります。労働法(の確立および施行)では不十分な場合があり、労働者は弱みに付け込まれたり、差別的な待遇や嫌がらせを受けたり、あるいは労働組合を結成する権利を持っていなかったりします。脅迫されたり騙されたりすることもあります。

WWD:パタゴニアはいつからどのように取り組みを始めましたか?

篠:1990年代初頭、会社の成長に伴い、契約工場の作業プロセスの改善に着手しました。工場契約担当者と品質管理チームが、工場を品質および労働環境の両面で評価することを始めました。そのときに、訪問できない工場とは取引をしないことを決定しました。91年には、全ての契約工場を招いて初のサプライヤー会議を開催し、各工場のさまざまなパフォーマンスを格付けするスコアカードを導入しました。90年代半ばには、第三者監査機関による契約工場の訪問監査と、契約を検討中の新規工場の査定を始めました。

WWD:環境への取り組み同様に着手が早いですね。

篠:96年、人権保護団体がある米国ブランドの衣料品の下請け工場で児童労働が行われていたことを暴露したことがきっかけに、当時のクリントン大統領が主導した「ノー・スウェット・イニシアチブ」にパタゴニアは招待されました。そして、アパレル企業の責任ある労働慣行を監督する非営利団体「公正労働協会(FLA)」の創設会員になりました。

WWD:FLAの会員であることが意味することは何ですか?

篠:責任ある労働慣行に対する説明責任を負うことを意味します。FLA認定は、パタゴニアが達成していることや、改善が必要な項目ついての客観的な評価を保証していて、お客さまにもその情報を提供しています。会員の責務の一部として、工場監視プログラムの質を査定するためにサプライチェーンの一部の抜き打ち監査が行われ、改善の必要性を明示するとともに、監査結果はFLAのウェブサイトに掲載され一般にも公開されます。

WWD:このような取り組みを行うには専任のスタッフが必要になりそうですね。

篠:2002年、当社のサプライチェーン全体で社会的責任の順守を監視するため、ソーシャル・レスポンシビリティ・マネージャーを雇用して、契約工場とより密に協力してサプライチェーンについて知識を深め、かつ、サプライヤーとの関係の強化を始めました。その結果、透明性を高めるために取引する主要工場の数を50%削減しました。

10年には、工場レベルにおける社会的責任と環境的責任を一体化し、全ての下請け工場を識別し、ほぼ100%の裁断・縫製工場を監査するようになりました。13年、サプライチェーンの職場行動規範を強化して生活賃金の項目を加え、原価計算に生活賃金レートを考慮する方針を実行に移しました。これらの取り組みが、パタゴニアのサプライチェーンにおける公平な賃金という課題に対処する短・中・長期戦略の一部になりました。

WWD:フェアトレードの認証付きで多くの衣料品を販売しています。

篠:14-15年秋冬シーズンから、製品を作る全ての人の生活を改善できるよう、米国のフェアトレード認証団体Fair Trade USAとパートナーシップを組み、アウトドアウエア企業として初めて、フェアトレード認証製品を展開してきました。2014年に1工場10製品で始まったパタゴニアのフェアトレード・サーティファイド製品数は、17-18年秋冬シーズンには12工場440製品まで拡大しています。

作った人の手に直接支援金を届ける

WWD:具体的に何を行っていますか?

篠:「労働者の支援」「地域社会の強化」「強制労働の撲滅」「労働環境の安全確保」「児童労働の撲滅」のため、製造するフェアトレード製品ごとに、労働者が生活水準を改善するために使うことのできる賞与を支払っています。この賞与は工場の労働者に直接送られ、民主的に選出された労働者から構成されたフェアトレード委員会が、その用途を決定します。労働者はそれらをヘルスケアや託児所などの地域事業のために使用したり、あるいはラップトップ・コンピューターや電子レンジなどこれまで購入できなかったものを買ったり、ボーナスとして支給したりしてきました。またこのプログラムは、社会的かつ環境的順守だけでなく労働者の健康と安全を促進し、労働者と経営者の間の会話を促進します。

WWD:製品の売り上げの一部が直接労働者に渡るということですね。

篠:はい。お客さまがフェアトレード・サーティファイド製品を購入すると、その売り上げの一部が直接、その特定の製品に命を吹き込んだ人たちの手に渡るということになります。そしてそれは、私たちのグローバル経済においては非常にまれな、優れた価値観への一票となるのではないでしょうか。

WWD:現在の製品の何パーセントがフェアトレード・サーティファイド縫製ですか?

篠:76%です。このフェアトレード・プログラムにより6万6000人の労働者を支援しています。

WWD:現在、力を入れていることを教えてください。

篠:3つの大きなプロジェクトを進行しています。

1つ目は衣料製造に携わる労働者に対する生活賃金の指針を具体的に現実なものにするために、業界内で取り組みを進めています。主にはフェアトレード・サーティファイド・プログラムを拡張しています。またFLAのメンバーであるブランドとサプライヤーが各自のサプライチェーンにおいて生活賃金モデルを試験的に取り入れて履行する「公正な報酬」プロジェクトにも参加しています。

2つ目は裁断・縫製工場以外(繊維工場、染色工場など)のサプライチェーンにおける労働条件を向上させる努力の強化です。台湾の繊維工場における人身売買を撲滅させるための重要な手段を採用しました。15年6月から法律で定められている以上の斡旋手数料を払った外国人労働者へは返金し、外国人労働者を雇用するために工場(または斡旋業者)が手数料を課す慣行を停止することへの合意をサプライヤーから取り付けました。

3つ目はパタゴニアの契約工場の火災予防管理能力の向上を奨励する取り組みとして、13年にFLAの火災予防イニシアチブに参加して資金を提供しました。私たちは現在パタゴニアの契約工場全てに適用するためにこのプログラムを拡大しています。

目標は私たちのビジネスに関わる人々の人生に肯定的な恩恵をもたらすこと

WWD:パタゴニアが目指すことを教えてください。

篠:衣類産業の多くが社会的水準の視点に欠けていて、主に女性の労働者が差別にさらされながら、危険な労働環境の中、低賃金の長時間労働を強いられています。ファストファッションの絶え間ない要求は常にこの問題を悪化させています。しかし、これが一律というわけではありません。パタゴニアは長年、私たちのビジネスがサプライチェーンにおける労働者とそのコミュニティーに及ぼす影響を分析し、管理するための強固な社会的責任プログラムを構築してきました。私たちの目標は環境への悪影響を最小限にするだけではなく、私たちのビジネスに関わる人々の人生に肯定的な恩恵をもたらすことです。

答えてくれた人:篠健司(しの・けんじ)/環境社会部ブランド・レスポンシビリティ・マネージャー:東京生まれ。1988年、パタゴニア日本支社設立直後に入社。広報、店舗運営を経て99年に退職。2001年に再入社し、物流部門、環境担当を経て現在はサステナビリティ業務を担当。好きなアウトドアアクティビティは、美しい自然の中を走るトレイルランニング。日常的に可能な限りの脱プラに取り組む。10年以上、ペットボトル飲料は購入していない

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」コンディショナー・総合部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。コンディショナー・総合部門の百貨店・セミセルフは、香りもヘアケアの重要な要素であることを感じさせるラインアップだった。1位は「ロクシタン(L’OCCITANE)」“ファイブハーブス リペアリングコンディショナー”で、「購入者の多くがリピーター」という。2位は、「ジョンマスターオーガニック(JOHN MASTERS ORGANICS)」の“L&Aコンディショナー N”。3位は、「スリー(THREE)」の“スキャルプ&ヘア オーダレンジ コンディショナー R”と「ラ・カスタ」の“アロマエステ ヘアマスク 35”だった。バラエティー・ドラッグストアは、頭皮から髪の健康を考えるアイテムが目立った。1位は、「スカルプD(SCALP D)」の“薬用スカルプパックコンディショナー”[医薬部外品]で「頭皮系トリートメント不動の人気商品」という。2位に「モレモ(MOREMO)」の“ウォーター トリートメント ミラクル10”。3位は、「アルジェラン(ARGELAN)」の“バランシング モイスト ヘア トリートメント”や「ラ・カスタ」の“エキストラモイスト ヘアマスク”などが入った。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “ファイブハーブス リペアリングコンディショナー”

「ロクシタン」

 ヘアシャンプー総合部門に続き、“ファイブハーブス リペアリングコンディショナー”が1位。熱や紫外線、乾燥などの環境による外的要因や、切れ毛や枝毛のダメージなどの悩みから救うシリーズのコンディショナー。ブラックオーツエキスにソイプロテクト、サンフラワーオイルから成る独自の修復成分リペアリッチコンプレックスを配合。髪の内部から働きかけ、補正へと導く。ラベンダーにゼラニウム、スウィートオレンジ、アンジェリカ、イランイランの5つのハーブをブレンドしたエッセンシャルオイルが、指通りの良い美しい髪に近づける。(250mL、2600円 500mL、4400円)

2位 “L&Aコンディショナー N”

「ジョンマスターオーガニック」

 2位は、“L&Aコンディショナー N”。根元から毛先まで、その一本一本まで柔らかくて艶のある髪へとアプローチ。森のバターとの異名を持つアボカド油と、砂漠でも自生できるほどのパワフルなホホバ種子油を高配合。髪を芯から保湿し、ふわっと柔らかな仕上がりをかなえる。さらに、コメ由来の補修成分もプラス。ラベンダーをメインに置くハーバルコンビネーションの香りで満ちるケアタイムで心身もリラックス。(236mL、3900円 473mL、6900円)

3位 “スキャルプ&ヘア オーダレンジ コンディショナー R”

「スリー」

 健やかな髪と頭皮に着目し、メンテナンスと頭皮育成ケアを行う“スキャルプ&ヘア オーダレンジ コンディショナー R”が3位。アイテム名のオーダレンジとは、ORDERLY(整える)とCHANGE(変える)の意味を持たせた造語、髪の退色を最小限に抑制しながら、日々のダメージをリセット、頭皮と頭髪のバランスの安定を目指す。ベルガモット果実油などの精油に、クランベリー種子油などの植物油、アカモクエキスなどを配合した処方は保湿と皮膚の軟化にパワフルに働く。ノンシリコーン処方。(165g、3300円)

3位 “アロマエステ ヘアマスク 35”

「ラ・カスタ」

  同率3位に入った“アロマエステ ヘアマスク35”は、パーマやヘアカラーなどで特に傷んだ髪を、ローズマリーやティートゥリーといったオーガニック植物成分や、アルテア根やセージ葉などのハーブエキス、アボカドオイル・シアバターなどが補修・保護。しっとり潤いのある艶やかな髪に仕上げる。心地よいフローラルハーブの香りで、心も髪も輝かせる人気製品だ。(230g、2000円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “薬用スカルプパックコンディショナー”

「スカルプD」

 1位は、“薬用スカルプパックコンディショナー” [医薬部外品]。頭皮の健康こそ発毛の基本とするフィロソフィーに掲げるブランドの、頭皮とコラーゲンの関係からアプローチするシリーズ。主成分のトリプルホールド成分は、ゲットウ葉エキス、メリッサエキス、オオバクエキスで構成。この独自成分がパワフルに働き、頭皮環境を整える。またクロレラエキスなどの湿潤剤もプラス。頭皮を健やかで柔らかい状態にキープする。(350mL、3612円)

2位 “ウォーター トリートメント ミラクル 10”

「モレモ」

 韓国発の人気のヘアケアブランドのヘアトリートメント“ウォーター トリートメント ミラクル 10”が2位。ウオータータイプを採用した、簡単でスピーディーなケアを提案。さらっとしたしなやかな髪に導く。塗布して10秒、ぬるま湯でオフすることで髪と頭皮に潤いが蘇る。保湿成分やシルクアミノ酸などがキューティクルに浸透し、髪の水分蒸発をガード。さらに加水分解ケラチンなどのタンパク質が働き、健やかな美しさに近づける。(200mL、2280円)

3位 “バランシング モイスト ヘア トリートメント”

「アルジェラン」

 3位は、“バランシング モイスト ヘア トリートメント”。フランス産の手積みされたオーガニックカレンデュラオイルを配合。ベータカロチンやビタミンAが、毛先までみずみずしく仕上げる。さらに、水蒸気蒸留法で抽出されたフランス産のローズマリー精油が髪の内部に浸透し、健康を取り戻す。日常使いのオーガニックをコンセプトに、精油の持つ力を生かしたアロマブレンドが芳醇で心地よい香りのヘアケアを提案する。(500mL、1505円)

3位 “エキストラモイスト ヘアマスク”

「ラ・カスタ」

 パーマやカラーなどで繰り返しダメージを受けた髪を集中的に補修するスペシャルケアトリートメント。オレンジ油やイランイラン花油などのエッセンシャルオイル、カミツレ花エキスやアルテア根エキスなどのハーブエキスをはじめとする、オーガニック植物エキスを高濃度に配合。さらにダメージを効果的に補修するタンパク質が傷んだ髪の一本一本をケアする。毛先まで潤いに満ち、美しい艶とまとまり感が続く髪に仕上げる。(200g、3500円)

3位 “ケアプラス ファイバー トリートメント”

「ハホニコ(HAHONICO)」

3位 “スーパーポジティブ ダメージリペア トリートメント 詰替用”

「ザ パブリック オーガニック(THE PUBLIC ORGANIC)」

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

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佐々木あさひや関根りさなど美容インフルエンサーが本気で選ぶ!MYベスコスを紹介

 ユーチューブやインスタグラム、ツイッターなど各種SNSで活躍するトップインフルエンサーに、「今年の新製品で買って良かったアイテム」をヒアリング!

佐々木あさひ/美容ユーチューバー

スキンケア
「ビトカ(BITOKA)」“クリスタルクリーム”

クリームなのに透明という新感覚なテクスチャーでありながら、ナノレベルの粒子でとにかく浸透がいい。また、しっかりと艶・ハリを与えてくれ、今年一の“発光透明肌”を感じられた感動的アイテム。
しっとり潤うのに重くなく夏のメイクから乾燥した今の季節のスキンケアにも安心して使えます。使えば使うほど素晴らしさを感じさせます。

メイクアップ
「コスメデコルテ(DECORTE)」“AQ ブラッシュ06”

パウダーなのにしっとりと蒸気感が感じられる質感で、磨くようにつけるとテクニックいらずで艶を生み出します。
付属のブラシも幅広で粉含みもよくとても優秀。06番のカラーも本当に絶妙で青み・黄みどちらのメイクに振っても決まります。必ず褒められる一品。

ヘアケア
「リファ
(REFA)」“ビューテック ドライヤー”

髪一本一本の表面はしっかり乾かしつつ、内側の水分は逃さない“レア髪”を作ってくれるドライヤー。これまで髪に優しいドライヤーは風量が弱いものが多い気がしていたけど、こちらはしっかりと風量はあるので髪が早く乾きつつ、パサつかない。スーパーロングの私には直接塗るヘアケアアイテム以上になくてはならない美しい髪を保つ必須アイテム。

関根りさ/ユーチューバー

スキンケア
「アユーラ(AYURA)」“リズムコンセントレートα”

リニューアル前から好きで使っています。ジェルのような軽めのテクスチャーで夏場も使いやすいところもいいです!肌が揺らいで何を使ったらいいか分からないとき時でも使える、私の中の安心アイテムです。このシリーズのパックもおすすめです。

メイクアップ
「スック(SUQQU)」“コンフォート リップ フルイド フォグ”

どの色味も絶妙で最高!ソフトマットなリップで乾燥もあまり気にならず、縦ジワも目立ちにくく使いやすい。フィット感もあり、マスクにも付きにくいのも気に入っているポイントです。

ヘアケア
「ウェットブラシ(WET BRUSH)」“プロ フレックスドライ パドルブラシ/ピンク”

とにかく髪の毛がサラサラになります。髪の毛をとかしているときに髪が引っ掛かる人はぜひ試してほしい!ブラシに穴が開いているので、ドライヤーを当てながら使うと髪が早く乾き時短にもなるので、オススメです。

ゆうこす/モテクリエイター・ユーチューバー

スキンケア
「ノブ(NOV)」“ノブ Ⅲ デイバリア UV”

マスクによる肌荒れでみんなが悩んでる中、「とてもいいタイミングで発売された!」と感謝の気持ちでいっぱいになった製品です。最近はスキンケアの最後に使っています。肌もバリア機能を高めていかなければ!

メイクアップ
「ラカ(LAKA)」“ジャストチーク”

ジェンダーフリーなブランドコンセプトも好きですし、驚くほどふんわりと頬に馴染んでくれて、とにかく肌がきれいに見えるチークなんです!塗った日は自分のことが好きになれます。見た目も可愛くて大好きです。

ヘアケア
花王“イネス”

これまであまり一般的なドラックストアで購入できなかった本格的な頭皮ケアライン。とにかく使っていると心も解れるのが最高です。私はシャンプー・トリートメント共に5本ずつ買い貯めしちゃいました......!

かじえり/メイクアップアーティスト・美容系ユーチューバー

スキンケア
「シトラナ(SITRANA)」“シカプロテクト クレンジングバーム”

敏感肌でも使えるダブル洗顔不要のバームタイプのクレンジング。肌に優しく鎮静作用とエイジングケアを兼ね備えつるんとした美肌にしてくれます。

メイクアップ
「レブロン(REVLON)」“カラーステイ ロングウェア クッションファンデーション”

カバー力があるのに自然な仕上がりで崩れず持続力がある。艶とセミマットの間の絶妙な仕上がりで、2300円とは思えないクオリティー。お値段以上のコスメだと思います。

ヘアケア
「ヘアレシピ(HAIR RECIPE)」“和の実 ふわふわシャンプー”

ノンシリコーンなのに泡立ちがすごい!ライスオイル成分配合で髪一本一本にハリとコシが出て軽く、エアリーな髪に。猫っ毛ペタンコ髪さんにオススメです。

本田ユニ/コスメサロン主催者

スキンケア
「メディヒール(MEDIHEAL)」“ティーツリーエッセンスパッド”

あの有名な「メディヒール」のティーツリーからついにトナーパッドが!朝のメイク前に肌を整える目的で使っています。私は5分ほどおいていますがそのまま拭き取りシートのように使ってもよし!朝に使っても前髪につかずお気に入りです。

メイクアップ
「リリーバイレッド(LILYBYRED)」“ラブビームチーク#01”

韓国でも大人気だったラブビームチークが紙のパッケージからハート型のパッケージに変わり発売されたもの。全色持っていますが特にコーラルピンクの#01がお気に入り。ふわっと頬が色付きます。パール入りで頬に立体感と艶も。

ヘアケア
「フローラノーティス ジルスチュアート(FLORA NOTIS JILL STUART)」“リペアヘアオイル”

私は髪が細めで重めのオイルだとぺったんこになってしまうのですがこれは本当に軽い!テクスチャーも4種類から選べますがどれも軽めです。スタイリングにも使いますがベタっとしなくて良いです。女の子らしい香りばかりなのも好みです。

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「クレストブリッジ」新クリエイティブ・ディレクターに江角泰俊氏 ブランド浮上のカギは「発信力」

 三陽商会の「ブルーレーベル・クレストブリッジ(BLUE LABEL CRESTBRIDGE)」は2021年春夏コレクションから、「エズミ(EZUMI)」デザイナーの江角泰俊氏をクリエイティブ・ディレクターに据える。21-22年秋冬からはメンズの「ブラックレーベル」のクリエイティブトップも兼任する。前任の三原康裕氏は2020-21年秋冬をもって契約満了により退任した。

 同社は近年、百貨店販路の客数減などから主力ブランドの苦戦が続いている。「クレストブリッジ」もその例外ではなく、「バーバリー(BURBERRY)」の冠を失った2015年以降は低迷が続いているが、「顧客基盤と商品の品質を強みにしながら『選ばれる理由』を丁寧に作っていけば、もっと面白くできる」と江角氏は前を見据える。ブランド浮上のカギを聞いた。

WWDジャパン:クリエイティブディレクターを引き受けた経緯は?

江角泰俊「ブルーレーベル・クレストブリッジ」クリエイティブ・ディレクター(以下、江角):今年の2月ごろに、三陽商会から打診があった。「エズミ」でロンドンスタイルに焦点を当ててもの作りをしてきた自分と「クレストブリッジ」は親和性があると感じた。歴史のある大手アパレルから声を掛けてもらえたことが、ファッションデザイナーとしてとても光栄だとも感じ、引き受けることを決めた。

WWD:「クレストブリッジ」の強みをどう分析する?

江角:ほぼ全ての商品に使用されている“クレストブリッジ・チェック”(赤、紺、白のタータン柄)に代表されるように、プレッピーでオーセンティックな世界観がはっきりしていることだろう。商品の質だけでなく、ブランドへの憧れでファンを作れるブランドはそう多くない。

WWD:デザインの方向性は変わるのか?

江角:三陽商会には優れた企画機能がある。自分の役割はモノづくりに細かく口を出すよりも、全体を見渡しながらタクトをふることだと認識している。今はもう、服そのものの魅力だけで差別化できる時代ではなくなった。お客さまが店に足を運ぶ理由、買う理由をトッピングできるかどうかに掛かっている。その一環として、ブランドの発信には深くコミットしていきたい。

WWD:どんな発信を考えている?

江角:企画担当者とも密にコミュニケーションをとりながら、商品やその背景にあるストーリーを最大限に伝えられる形で、SNS投稿のクリエイティブや店舗のVMDを作っていく。2021年春夏は、「クレストブリッジ」の原宿本店にスケッチ(英ロンドンの喫茶店)をテーマにした装飾を施した。ブランドのガーリーなイメージとスケッチカフェのキッチュな魅力を融合させ、服を選びながら「ブルーレーベル」の世界に没頭できるような空間を目指した。これをインスタグラムなどとも連動させて打ち出していく。新作の立ち上がりだけでなく、端境期にも店へ足を運んでいただくには、常に鮮度のある売り場を作ることが必要だ。カルチャーやアートなどを絡めながら、店頭にお客さまを呼び込む話題を提供していきたい。

WWD:メンズの「ブラックレーベル」についての構想は?

江角:まだブランドの研究を進めている段階だが、フェミニンなブルーレーベルに比べて、(テイストが)固い印象が受けている。アウトドア、ミリタリーなどの要素も交えながらギミックやユニークな要素を入れ込んでいきたいと考えている。

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美容室業界のオリンピック「JHA」を制した内田聡一郎「レコ」代表 「一人のクリエイターとして自信が持てた」

 ヘアサロン業界最高峰のアワード“ジャパン ヘアドレッシング アワーズ(以下、JHA)”の授賞式が11月に開催され、31回目となった今年は、「レコ(LECO)」の内田聡一郎代表が“ジャパン ヘアドレッサー オブ ザ イヤー”大賞部門のグランプリを受賞した。「JHA」は1990年に発足し、年に1度優れた作品を作った美容師、ヘアメイクアップアーティストを表彰するアワードで、そのレベルの高さから“美容室業界のオリンピック”とも称される。ここでは、そのグランプリを制した“時の人”、内田代表に受賞の感想を聞いた。

WWD:グランプリ受賞が決まったときの感想は?

内田聡一郎(以下、内田):正直びっくりしました。準グランプリまで決まった段階で、「グランプリは絶対自分じゃない」と思ったんです。それは準グランプリを受賞した「カーニバル(CARNIVAL)」のkazuさんの作品が、“カットとカラーで魅せる”という点で自分と似たテイストだったから。これまでは毎年、ヘアメイクで魅せる作品やカットデザインで魅せる作品など、テイストの異なる作品がバランスよく受賞していたので、今回もグランプリは準グランプリとは違う系統の作品が受賞すると思っていました。

WWD:今回の受賞作品には“いかにもJHA”といったテイストの作品がある一方で、これまでの受賞作とは違ったタイプの作品もあった。

内田:そうですね。幅広いタイプの作品があって新しい風を感じました。

WWD:受賞したときの周囲の反応は?

内田:SNSでのお祝いメッセージがヤバかったです(笑)。私自身も今回が3回目のノミネートでのグランプリ受賞で、悲願だったのでうれしかったですね。

WWD:内田さんはファッションのフィールドでも活躍していて、JHAはある意味“業界ど真ん中”のアワード。だから“悲願”と考えていたというのは意外です。

内田:僕の理想は“ハイブリッド”で、ファッションもやるけど美容業界的な仕事にも注力する、という姿勢を見せたかったんです。ただ作品作りには“サロンワークとリンクした作品を作る”というこだわりがあって、そこでファッションと美容をつなげている感覚はありますね。こういうコンテストには、サロンワークとはかけ離れた、作り込んだクリエイティブ作品も多くて、それはそれでとても素晴らしいけれど、自分には作れない。自分たちのサロン「レコ」には、ファッションに合わせたエッジィなヘアデザインを求めるお客さまが多くて、そこで提案するスタイルの延長線上にある作品を作るようにしています。

WWD:今回のグランプリ受賞作品も、少し手直しすればサロンワークでも提案できそう。

内田:そうですね、サロンスタイルをブラッシュアップさせた作品です。カットのフォルムとカラーのコントラストで魅せたヘアデザインは、ストリートのパンクスタイルの女性からインスパイアしたもので、ジオメトリックなファッションも、ストリートで着ていてもイタくないと思います。

WWD:受賞したことで、自分の中で何か変わった?

内田:変わりましたね。僕はよくメディアに出させてもらっていることもあり、よく「オーナーとしてもうまくいっているし順風満帆だよね」とか言われるんです。“カリスマ美容師”や“有名美容師”でひとくくりにされて「あなたは特別だよね」みたいな……。自分でも挫折や苦労があったのに、そういう対応がコンプレックスだったのですが、匿名で選ばれるJHAで評価してもらったことで、一人のクリエイターとして自信が持てました。ただ受賞したからには、今後は評価され続けていく義務があると思っているので、そのプレッシャーはありますね。

WWD:今年はコロナ禍で大変な一年でしたが、その締めくくりにいいニュースになりました。

内田:そうですね。この状況下で「美容師にクリエイションて必要なの?」「何のためにクリエイションに取り組んでいるの?」といった議論もありましたが、不安に感じているスタッフに対しても、この受賞が一つのアンサーになればと思っています。

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いじめられてる(!?)アパレルを、私たちは肯定したい エディターズレター(2020年9月18日配信分)

※この記事は2020年9月18日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

いじめられてる(!?)アパレルを、私たちは肯定したい

 ビジネスメディア「ダイヤモンド オンライン」の「アパレル元社員覆面座談会」が“メチャキツ”ですね。「上が詰まっている」「百貨店は本当に偉そう」「プロ意識に欠けている」「あれでは今後も変われない」ーー。財津一郎ならずとも「キビシー」と漏らし、同業として(私たちは自分たちがメディアではなく、ファッション&ビューティ業界の一端と思っているフシがあります)悲しくなって、「ごめんなさい!」と半ベソをかきながら謝りたくなる衝動に駆られます。

 上述のコメントは、全て真実なのだと思います。でも、なんか「いじめられてる」カンジがするのも事実です。これは「ダイヤモンド オンライン」に限らず、「ガイアの夜明け」なども見ていると「ごめんなさい……」と漏らしてしまいそうな場面が度々。私たちが「いじめられている!?」と感じる記事や番組は、なんだかレギュラー化している印象があります。リアクションの良いコンテンツなのでしょう。

 この「いじめっぽい」の原因は、なんでしょうか?やっぱり「外から見ると、よくわかんない」からなのでしょうね。いや、他の業界だってそうかもしれませんが、ことアパレル業界は「排他的」に映るのでしょう。それが、業界の遅れを指摘する記事に、ちょっとだけ悪意に思えるエッセンスが加わる原因で、「いじめられてる!?」という感覚につながっているのかな?と思います。いや、頑張らなきゃいけないのは、私たちなんですけれどね。

 社内の同僚は今、なんとなく同じ思いを抱いているのでしょう。ビジネスプランニング部の櫻井部長が「『WWDジャパン』はファッションとビューティ業界を肯定しながら、健全な発展のためのプラットフォームとして機能すべき」と発言した時、私たちは皆、「それだ‼︎」とヒザを打ちました。

 「業界を肯定しながら」、私たちには必要なスタンスですね。周りは、否定ばっかりするかもしれません。なら私たちは、そんな皆さんと同じ方向を見据えながらも、肯定しながら、健全な発展のために指摘もしながら、そこに向かいたいと思っています。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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「内田理央、本気でTシャツビジネスに挑む」Vol.0 オタク時代に気づいたTシャツの魅力

 女優やモデルとして活躍する内田理央の普段着は、Tシャツやパーカなどカジュアルが多い。自身のグッズTシャツでは“普段着で着用できるファンT”をコンセプトに、ビキニ姿や虫眼鏡、目もと、幼少期の写真など、さまざまな要素を一つのイラストとして落とし込む。そこで本人が持つ独自の感性と個性を存分に生かしながら、ファッション性や売り方、ブランドの存在理由にまでこだわった「本気のTシャツビジネス」をスタート!「WWD JAPAN.com」が紹介する各界の先駆者にTシャツという商品や、プリントするイラスト、完成した洋服の売り方というビジネスについて学びながら、名前貸しとは全然違う、本気のTシャツビジネスを目指します。0回目は本人にTシャツの魅力について聞いた。

WWD:どうしてTシャツを作りたいと思った?

内田理央(以下、内田):今は女優・モデルを中心に活動していますが、学生時代はキャラクターTシャツを大量に所有するほどのオタクでした。当時は「オタク」と思われていたのに、モデルを始めて、ストリートテイストでキャラTを着こなすと「オシャレ」って言ってくれる。そこで「Tシャツが持つ力はすごいんじゃないか?」と思うようになりました。最近は、自分のグッズTシャツを販売しています。ファンの皆さんは楽しんで着用してくれますが、まだまだ「グッズ」。さらにTシャツの魅力・ビジネスについて知りたいと思いました。

WWD:これまでに製作したTシャツのデザインの着想源はどこから?

内田:コラージュを手掛けている友人に、自分が持つ色々なイメージを伝えて製作しています。親知らずを抜いた記念に製作したTシャツは、フロントに“OYASHIRAZU”を、バックには私が親知らずを抜いた時の写真をプリントしました。

WWD:それらを通して、Tシャツの可能性やデザインのポテンシャルを感じたんですね。

内田:新型コロナウイルスの影響で経営が厳しい企業や団体とコラボして、Tシャツを一枚でも多く販売することで少しでも社会貢献したいという思いも強いです。今年買った動物園のグッズTシャツは、普段着としてはなかなか着用しづらいものでした。みんなが購入して着用写真がSNSで広がれば、「動物園を救えるのに!」と勝手に悔しくなってしまいました。

WWD:Tシャツは奥が深く、生地やサイズ感、パターン、イラスト、売り方もさまざま。そのあたりを一緒に勉強する覚悟はある?

内田:知識のない人間がアパレル業界で実績を築くというのは、過去のタレントさんたちを見ても「大変な道のりだ」と覚悟しています。それでも今だからこそ、「Tシャツで世界を救いたい」と思っています。一から勉強したいです。

WWD: 3カ月〜半年ぐらいは“Tシャツ修行”を積まなければいけないかも。

内田:もちろんです!よろしくお願いします。

WWD:現段階でコラボしたい相手はいる?

内田:大好きな横浜中華街です(笑)。今年はなかなか行けなくて、落ち着いた時に小籠包だけ食べに行きました。私はずっと「小籠包のTシャツを自分で着たい」と憧れていて、特に応援したいと思っています。横浜中華街で働く人たちだけが着用するのではなく、ファッションが好きな人や若い人、中華街を知らない人など、いろいろな人が着用できるものを作りたいです。

WWD:今の夢は「老若男女が着用する小籠包Tシャツ」ですね(笑)。それが今後、どう変わるのか、乞うご期待ですね。

内田:それはとても難しいことですが、夢は大きく持ちたいと思います!

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一時停止が決まった「GO TO トラベル」 ファッション業界への還元はどの程度あった?

 コロナ第3波の拡大を受け、「GO TO トラベル(以下、GO TO)」の12月28日~1月11日の停止が発表された。「GO TO」の地域共通クーポンは使用対象店舗としてアパレル小売業も含まれており、ファッション業界としても今回の停止は無関係な話ではない。ただし、実際のところは「『GO TO』の還元は観光業や飲食業が中心で、ファッション小売業への還元はごく一部」と嘆く声も業界内からはこれまでも聞こえてきていた。5月にファッション小売業支援のための署名活動を立ち上げ、コロナの終息が見えない中でその後も政府や省庁に陳情を続けているシューズブランド「ユナイテッド ヌード(UNITED NUDE)」の青田行・日本法人社長に聞いた。

WWD:青田社長らが5月にオンライン署名活動を立ち上げ、その後も政治家や官僚などと面会して要望を伝え続けてきたことなどが背景の一つとなって、ファッション小売業も「GO TO」の対象となった。

青田行「ユナイテッド ヌード」日本法人社長(以下、青田):対象になるように働きかけてくださった方々にまずはお礼を言いたい。ただ、そのうえで「GO TO」によるファッション業界への還元は一部にとどまっているというのが実情だ。制度設計上、地域共通クーポンはやはりホテル内や飲食店などで使われるケースが圧倒的に多く、当社の店頭でクーポンを使用するお客さまは週に2~3人いるかどうか。ファッション小売店でもクーポンが使えるという認識を広める努力がもっと必要だと思っていたが、ここにきて感染第3波が広がって、状況も変わってきた。

WWD:感染再拡大の中で、今後の状況をどのように考えて、どんな動きをしているのか。「GO TO」は2020年度の第3次補正予算で、21年6月末までの延長(約1兆円の追加予算計上)も明らかになったが。

青田:今後、感染がさらに広がれば、一部地域には再び緊急事態宣言が発令される可能性もある。そうなると、われわれは“不要不急”業種としてまた休業を余儀なくされる。そこまでの状況には至らないとしても、消費が低迷する中でファッション小売業としても他の業界と同様、支援を得るために政府に対して働きかけを続けていくことは大切だ。5月以降、政治家や官僚の方と面会し、企業破綻も相次いだファッション業界の状況や業種を限定しない経済活性化策の必要性などを訴えてきた。引き続き、菅義偉内閣の有識者会議メンバーでもある国際政治学者の三浦瑠麗氏を通して、11月にも長坂康正・経済産業副大臣や永澤剛・経済産業省製造産業局生活製品課長などと面会する機会を得た。その場では、「GO TO」の仕組みに代わる、より小売業に直結する施策の必要性を伝えた。

WWD:具体的にどのような施策や支援を訴えたのか。

青田:「GO TO」は人の移動が伴うことで感染も拡大させてしまう恐れがある。しかし、小売業の活性化のためには旅行先のみで使えるクーポンである必要性はなく、地元で使える業種を問わない(=ファッション分野の小売りに限らない)買い物券のようなものの方が消費には直結する。また、「GO TO」は仕組みがやや煩雑で、どうすればクーポンの使用対象店舗になるのかが分からないといった声も業界内からは聞こえてきた。そこで、2019年10月の消費増税に伴って実施されたキャッシュレス・ポイント還元事業の仕組みを再度活用して、キャッシュレスで買い物をするお客さまは割り引くような形を来年度予算などで採るのはどうか、といったことも伝えた。その方式なら、小売店の側は既に一度経験していることなので新たな設備投資が必要ないし、お客さまも仕組みに慣れている。

WWD:引き続き、世の中には「経済優先・消費活性化推進は、すなわち人命の軽視だ」という批判の声もある。

青田:4~5月の緊急事態宣言下とは違い、今はコロナ禍でも「比較的影響がない、むしろ今までよりも好調だ」という人・業種と、その反対に「非常にダメージを受けている」という人・業種とに二極化していると思う。われわれの業界にも、好調企業と年末の資金繰りに苦労している企業がある。「影響がない、好調だ」という人には経済を回していってもらわないと、コロナでは助かっても経済面で困窮し立ち行かなくなるというケースが大いにあり得る。余裕がある人が経済を回すことをためらわないような、「消費をしてもいいんだ」と感じられるムード作りを政府や業界に対して訴えていくことが、今後も大切だと思っている。

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男性2名が実践するファッションとしてのカラーメイク

 近年のメンズコスメ市場は、ベースメイクやカラーメイクを発表するブランドが相次ぎ、スキンケアだけでなく、BBクリームやファンデーション、さらにはカラーメイクを取り入れた男性も増加している。メイクを普通にしている韓国アーティストの台頭で中性的な“美”に憧れる若者が増加しているのに加え、ラッパーでファッションアイコンとしても人気を博すエイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)やポスト・マローン(Post Malone)はネイルをファッションの一部として取り入れていることなどから、街中でネイルをしている男性を見かけることも珍しくなくなった。今回、メイクをファッションの一部として、メイクを含めたトータルファッションを楽しむ男性2人を取材した。

アクセサリー感覚で楽しむメイクやネイル

 

WWD:メイクはいつごろから始めた?

野口:今年の初夏くらいからです。新型コロナウイルスの影響で、人と会いづらくなっていた状況だったので家にいる時間が長くなっていました。それを逆手にとって自宅でいろいろ試したり、研究したりして過ごしていました。始めるにはちょうど良いタイミングだったと思います。

WWD:きっかけは何だった?

野口:アクセサリーを着用するような感覚でネイルをしている男友達がいて、はじめはネイルに興味を持ちました。普段黒い服しか着ないので、体の一部に色があるのが新鮮で楽しかったです。メイクも目元にカラーがあってもいいかなとネイルの延長で始めました。ファッションに挿し色を加えるような感覚で、今では日々自分の好きなカラーを探していて、完全に“沼”にハマっています。

WWD:メイクを始めて気づいたことはあった?

野口:その日の気分は大きく変わります。先ほども言いましたが、黒い服しか着ないので、街中で目立たないようとどこか意識しています。でもメイクをしていると少し視線を感じるので、それが良い緊張感で生活にハリが生まれました。決して目立ちたいわけでないんですが(笑)

WWD:どのようにメイクの情報を得ているの?

野口:ユーチューブでも見るような韓国っぽい“メンズメイク”は、自分のしたいイメージとは異なっていたので、あまり参考にならないなと思っていました。ピンタレスト(PINTEREST)で探しているうちに、ネイルとメイクをしている海外のモデルを見つけて自分でも真似できそうだなと思って参考にしています。

WWD:メイクをする時の基準は?

野口:ネイルの色によって気分が変わるので、今日は(インタビューを受けるので)落ち着いた印象の緑を塗っています。目元には「ウズ(UZU)」のカーキのアイライナーやマスカラを引いています。「ウズ」は友人が使っていて興味を持ちました。気分を上げたいときは暖色系のコスメを使用して、オンオフ関係なく自由に楽しんでます。

WWD:メイクをするようになったら、周囲の人もメイクも気になるようになった?

野口:メイクを始めるまでは全く分からなかったんですが、自身で使用することで色んなブランドがあって、どういったメイクができるといった理解度も深まりました。街中の女性のメイクを見てどんな風に自分に落とし込めるか、どうすればファッションとして取り入れられるかを考えています。

WWD:ネイルや目元以外のメイクはしない?

野口:以前にBBクリームを試してみたんですが、肌を覆いつくすような印象だったので現状ネイルとアイメイク以外はしていないですね。ただ何かほかに楽しめるものがあれば取り入れたいなと思います。最近では眉ティントにも興味があります。ネイルと同じようにしばらく色が持つので、カラーが楽しめていいんじゃないかなと思います。

WWD:買い物は店頭?オンラインサイト?

野口:お店の雰囲気や店員さんと話すのは緊張するのでオンラインで買うことが多いです。ネイルをしている友人も買い物に行くときに「彼女さんにプレゼントですか?」と聞かれると話していて、まだ男性がメイクやネイルをすることに世の中は慣れていない、理解が追い付いていないのかなと感じています。

WWD:メイクをしたい男性に向けて何かアドバイスするとすれば?

野口:どの色やどんな物を使うのが正解と考える必要はないと思います。ブルーべース、イエローベースなど自分の肌に合ったパーソナルカラー診断もありますが、自分が楽しいと思うカラーを使えばいいと思いますし、ロジカルに考える必要はないって伝えたいです。

メイクも合わせたファッションを意識

 

WWD:メイクをはじめたきっかけは?

定岡:中学2年生のころにK-POPアーティストのビッグバン(BIGBANG)にハマり、男性がアイラインやリップなど、メイクをしていることに衝撃を受けたのがきっかけです。当時、周囲にはメイクをしている男性がおらず、化粧品の知識もなかったので、最初は軽くファンデーションをしたり、眉毛を描いたりと初歩的なことから始めました。

WWD:そこからどのようにメイクを覚えた?

定岡:"渋谷系メンズ"雑誌「メンズエッグ(men's egg)」がギャル男風メイクのファンデーションの塗り方や眉毛の整え方などが特集していて、それを参考にしていました。今でこそユーチューブなどでもメイクのハウツー動画が溢れていますが、当時はメンズ雑誌から情報を得るしかなかったんです。

WWD:女性向け雑誌は読んでいなかった?

定岡:当時、メンズ誌は肌や眉の整え方など身だしなみとしてのメイクしか載っていなかったので、次第に姉や妹が買っていた「セブンティーン(Seventeen)」(集英社)などを読み始めて、アイシャドウやリップの塗り方など徐々にカラーメイクの勉強をしていました。

WWD:どうやって自分に合うコスメを探していった?

定岡:以前、韓国コスメショップで働いていたほど韓国コスメが好きなんですが、成分にもこだわっているものも多い反面、ファンデーションなどはなかなか、肌に合うものを見つけられませんでした。なので百貨店で外資系ブランドのBAさんにアドバイスをもらったり、手につけて色味を確認したりして探しました。

WWD:店頭でタッチアップもしてもらう?

定岡:実は、今まで顔にタッチアップしてもらった経験がないんです。メンズメイクがどんどん普及すればいいなと思う反面、現状男性がタッチアップしている光景はまだまた珍しいですし、僕自身も少しタッチアップを受けるのに抵抗があります。韓国コスメショップで働いていた時に、店外で入りたそうにしていた男性のお客さんに声をかけると、「メイクの知識もなく女性しかいなくて恥ずかしくて……」と言っていて、僕と同じように周囲の目を気にしているんじゃないかと感じました。はやく世間の理解が深まればなと思います。

WWD:どれくらいの頻度でメイクしている?

定岡:毎日です。仕事の時は現場にメイクさんがいても自分でしちゃうくらいこだわりが強いですし、コンビニに行くときでさえメイクは欠かせないです。いつもメイク道具は持ち歩いていて特にUVカット効果の高い日焼け止めは欠かせません。

WWD:メイクにはどれくらい時間をかける?

定岡:大体1時間~1時間半です。仕事上、朝がとても早い時もありますがそれでも欠かさずメイクをします。メイク後の自分が好きだし、自信を与えてくれる。それが一日のモチベーションにもなるのでメイクをする時間は、僕にとってはすごく大切で楽しい瞬間です。

WWD:マスク生活を強いられる今、メイクにも何か変化はあった?

定岡:リップはマスクを外した時に塗るようにしています。顔の大部分が隠れているので見えている目元は、特に以前よりもメイクで遊ぶようになりました。これまで使ってこなかったマスカラを塗り始めたり、アイシャドウもピンクなどの明るい色を取り入れたりしています。マスカラは「ウズ(UZU)」を愛用していて、肌が暗めなので主張が強くなり過ぎないようにコッパー(ブロンズカラー)などのブラウン系を使っています。

WWD:こだわっているメイクのポイントは?

定岡:最近はホワイトのアイラインです。今まではブラウン系のアイシャドウは使っていましたが、「ウズ」ホワイトのアイラインを使うようになってから、カラーを引き立ててくれるオレンジやイエローなど原色系のアイシャドウを使うようになりました。これまでリップやアイブロウなどは使用していましたが、本格的にカラーメイクを始めたのは「ウズ」を使用し始めたのがきっかけです。

WWD:メイクを始める前後で何か変わったことは?

定岡:沖縄出身でよく日焼けしていたこともあり、肌が黒いのがコンプレックスでした。メイクはそういったコンプレックスをカバーしてくれて自信をくれるので、メイクをしている自分のほうが100倍くらい好きです。コンプレックスをなくしてくれる生活に欠かせない存在です。今はファッションの一部としても取り入れています。

WWD:どんな風に取り入れている?

定岡:アイラインって昔は黒系のカラーが多くて目を大きく見せたり、強調したりというイメージでした。今は目元にカラーを持ってきて、アクセサリー感覚でファッションに合わせたメイクにハマっています。例えば、今日の少しモードなコーディネートだと白いレザーのベストと刺し色のオレンジを目元にアイラインの色でリンクさせています。メイクも込みのファッションを意識しています。

WWD:どうすれば男性のメイクにもっと理解が深まると思う?

定岡:メイクをしている男性がもっと“自分”を発信していかなきゃいけないと思います。
どうすればメンズメイクが広まるのか、当たり前になるのかを僕も日々考えています。

WWD:メイクに一歩踏み出せない男性に言葉をかけるなら?

定岡:他人からどう見られるか、メイクをしている自分がどんな風に思われるか不安な気持ちになる男性も多いはずです。僕も昔はそうでした。自分のメイクが周囲にどう思われるか不安で、なるべく自然に見えるように気を使いましたし、不安で鏡ばかり見ていました。だけど今ではメイクをすることで自信も持てたし、今では「誰かの目を気にして躊躇する必要はない。もっと自分らしさを表現したほうがいい」と強く思います。

WWD:ダイバーシティの価値観が広まりつつある現在、“メンズメイク”という言葉に違和感を感じる?

定岡:女性が必ずメイクをしなければいけないという決まりはないし、逆に男性だからメイクをしちゃいけないという決まりもない。だから誰がしていてもおかしくない世の中になればいいなと思います。そういった意味では“メンズメイク”という言葉がなくなるほど寛容な社会になればなと思います。

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「WWDJAPAN.com」読者が選ぶ2020年ベスコスは?「無印」「シャネル」「ダヴィネス」が人気

 「WWDビューティ」は現在、今年最も売れた化粧品をたたえる「WWDビューティ ベストコスメ2020」を毎日発表している。また、公式インスタグラムアカウント(@wwd_jp)では、フォロワーに「今年買って良かった」と思うスキンケア、メイクアップ、ヘアケアをそれぞれ聞いた。そんなフォロワーが選ぶベスコスはプチプラからデパコス、D2Cブランドなど分野や価格帯も多岐にわたり、アイテムもさまざまだった。ここでは各カテゴリーで回答数が多かったブランドをランキング形式で紹介する。

スキンケア

1位 無印良品 “導入化粧液”“アルガンオイル”“ホホバオイル”など
2位 アルビオン “薬用スキンコンディショナー エッセンシャル”など
3位 イプサ “ザ ・タイムR アクア”など

 スキンケアでは「無印良品」が圧倒的に人気で、中でも“導入化粧液”が多くの支持を集めた。また「アルビオン」の“薬用スキンコンディショナー エッセンシャル”や「イプサ」の“ザ ・タイムR アクア”など、「WWDビューティ ベストコスメ 2020」のスキンケア部門にランクインした不動のベストセラーも見られた。

メイクアップ

1位 シャネル “ルージュアリュールラック””ボームエサンシエル”など
2位 アディクション “ザ アイシャドウ”
3位 ディオール “サンク クルール クチュール”など

 メイクアップは「シャネル」がトップで、10月に発売したばかりの艶タイプのリップ“ルージュアリュールラック”という回答が多かった。「アディクション」は今年の夏にリニューアルした“ザ アイシャドウ”が支持を集め、その中でもスパークルタイプが人気だった。また「ディオール」もリニューアルしたアイシャドウパレット“サンククルール クチュール”が好評だった。

ヘア

1位 ダヴィネス “オーセンティックオイル”“オーセンティックバター”など
2位 エヌドット “ポリッシュオイル”“ナチュラルバーム”など
2位 モロッカンオイル “トリートメント”など
2位 コタ “スタイリング ベース B7”“スタイリング ベース B5”など

 ヘアはサロン専売品がほとんどで、ヘアオイルがトップを独占。「ダヴィネス」の“オーセンティックオイル”や「エヌドット」の“ポリッシュオイル”、「モロッカンオイル」の“トリートメント”など、はやりのウエットヘアを簡単にかなえるアイテムが目立った。いずれもブランドを代表するアイコン製品だ。

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ムスリムモデルのハリマ・アデンがインスタで振り返る「ヒジャブとモデル活動」

 新型コロナウイルスによるロックダウンにより多くの人が自身を見つめ直し、価値観をも再考することになった。ケニアの難民キャンプで生まれアメリカで育った、ソマリアにルーツを持つモデルのハリマ・アデン(Halima Aden)もその一人だ。彼女は11月末、自身のインスタグラムでヒジャブとともに活動してきたこれまでのモデル人生を振り返り、ファッション業界でのキャリアがヒジャブを着用する女性としての彼女のアイデンティティーを反映していなかったと結論づけた。フランクな絵文字やコメントを交えた複数のストーリー投稿で自身の体験をまとめながら、ファッション業界の人種や宗教に対する価値観について当事者として声をあげたのだ。その背景には、彼女と共により多くの時間を過ごしてきた母親からの影響も大きかったという。

 アデンは2016年11月に開催された「ミスUSA」のミネソタ代表を決めるコンテストにヒジャブを着用して出場したことが話題になった。入賞を逃したものの多くのメディアに取り上げられるきっかけとなり、ヒジャブを着用したモデルとして初めて有名ファッション誌の表紙にも起用されるなど、ファッション業界に新風をもたらした人物だ。

 インスタグラムの最初の投稿には、17年に彼女を「フェンティ ビューティ バイ リアーナ(FENTY BEAUTY BY RIHANNA)のキャンペーンに起用したリアーナ(Rihanna)に感謝の意を表明しながら「これが本当のハリマ。これが私の立ち返るところ」とコメントした。続けて「マイノリティーの中のマイノリティーでいることは簡単ではない。私の“ヒジャブの旅”は山あり谷ありだった。新型コロナ禍と業界から距離を置いたことにより、私が旅のどこで道を踏み外したのか気づくことができた」と書き出している。

 “ヒジャブの旅”の中で彼女は後悔している仕事をいくつも上げており、その中にはジーンズを頭から被せただけのものもある。“あなたのスタイルを探そう(FIND YOUR STYLE)”と書かれた広告の写真を引用して、「なぜスカートやワンピースしか着ないのに、ジーンズを頭に載せることに同意してしまったのだろう」とコメントした。

 ほかにもニット帽を被り、その下からはみ出すようにスカーフを巻いているものや、イエローを使用したアイメイクを施して目元だけを写したものも、自身のアイデンティティーに添うものではなかったと振り返っている。アデンは自分の価値観に反することをしたことを後悔しながら、同時にムスリムのスタイリストの少なさにも言及している。

 「この業界が、私でさえ葛藤している“つつましさ”で私を称賛する限り、私の心は救われない。その間にも私の同志は利用されて傷ついている。私は今自分のために立ち上がっているけれど、ファッションの中で自分の魂を見失ってしまったすべての人々のためにも、このようなスタンスをとっている。私たちはファッションによる評価を必要とすることはない」と語った。

 また黄色いスカーフをターバンのように身に付けた写真を引用して、「みんなから“ホットなヒジャブ着用者”だと思われたがっていたのを覚えている。それ自体がもう目的を見失っているのに。正直言うと、それはめちゃくちゃなだけだった」とコメントした。

 一方で女友達からの応援やサポートは、彼女の振り返りの中でたびたび見られる。「ヒジャブについて自分を振り返ってみると、友人たちに囲まれている時が一番心強かった。これこそ私が今、自分自身について探っているテーマだ」と言う。エティハド・トレーニング・アカデミー(Etihad Training Academy)で制服とヒジャブを着た女性と手を繋いでいる写真のコメントには、「これは、私が正しいことをした時。それは、素晴らしいことに取り組み、ステレオタイプを打ち破る他のヒジャブ着用者と交流を重ねていくこと」と語る。

 「私はファッション業界の間違った部分にいたが、この業界がランウエイショーや雑誌だけの世界でないと知ることができてよかった。現在は恩返しをしながら、本当の変化をもたらしているブランドがたくさんある。本当の意味でシステムを変えるためには、このような対話をもっと増やしていかなければいけない。それ以上も以下もない」とし、アデンはファッション業界に急いで復帰するつもりはないと述べた。そして、「私はこれからも自分らしいユニークな方法でキュートでいるわ!」と締めくくった。

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」アウトバストリートメント&スタイリング剤・新製品部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。アウトバストリートメントとスタイリング剤の新製品は、バラエティー・ドラッグストアのみで集計した。アウトバストリートメント1位は「アンドハニー(&HONEY)」の“メルティ モイストリペアオイル”となった。「うねり・くせ毛ケアができるオイル。パッケージの可愛さもSNS映えする」とのコメント。2位は「エイトザタラソ(8 THE THALASSO)」の“バランシングセラム&スムースリペア 美容液オイル”と、「ヘアレシピ(HAIR RECIPE)」の“和の実 さらとろライスオイル”が同率となった。スタイリング剤では、ヘアだけでなく手指、ネイル、ボディーケアにも使えるバームが人気を集めた。また、ウエットスタイルの人気も継続中で、もみこむだけでウエットな艶が表現できるアイテムもランクインした。スタイリング剤1位は「プリュスオー(PLUS EAU)」“ポイントリペアピュア”。「マスカラタイプのスタイリング剤で、手を汚さずヘアのお直しができる。衛生的で時代の流れとマッチしていた」との意見。2位は「ボタニスト(BOTANIST)」“ボタニカルヘアバーム”。3位は「ロンドGINZA WITH ミラボーテ」“グロスバーム24H”という結果になった。

アウトバストリートメント・新製品部門

1位 “メルティ モイストリペアオイル”

「アンドハニー」

 製品の90%以上をマヌカハチミツ・ローヤルゼリー、アルガンオイル、プロポリスなどの保湿&保護成分で構成した“メルティ モイストリペアオイル”。マヌカハチミツ60%、ローズハチミツ20%、国内産生ハチミツ20%と、3種類のハチミツを独自比率で配合することで、髪の水分量を高め、うねり・くせ毛のケアを実現。ヘアオイルはシャワーローズハニーの香り。シャンプー、トリートメントと併用しても香りがケンカすることなく、ほのかな香りのレイヤードが楽しめる。(100mL、1400円)

2位 “バランシングセラム&スムースリペア 美容液オイル”

「エイトザタラソ」

 ベタつかず、サラリとしたテクスチャーの“スムースヘアオイル”。髪や頭皮も肌と同じように老化する事実に着目した、スキンケア処方の美容液オイル。リンゴ果実培養細胞エキスなど3種の植物幹細胞エキスのほかに、褐藻エキスである「ラミナリアオクロロイカエキス」を保湿成分として配合。シャンプー新製品部門に“スムースシャンプー”もランクインしており、インバスアイテムとの併用率も高い。(100mL、1400円)

2位 “和の実 さらとろライスオイル”

「ヘアレシピ」

 米1000粒から1滴しか取れない貴重な国産ライスオイルで作った“和の実 さらとろライスオイル”。ライスオイルに含まれるオレイン酸が、日本人の分厚く硬いといわれるキューティクルにしっかり浸透し、リノール酸がキューティクルを補修。また、米に含まれる「ガンマ-オリザノール」が、紫外線A波、紫外線B波を吸収し、紫外線ダメージから髪と地肌をプロテクト。髪だけでなく、地肌や手、ボディーオイルとマルチに使える。(53mL、2000円)


スタイリング剤・新製品部門

1位 “ポイントリペアピュア”

「プリュスオー」

 マスカラ形状のスタイリング剤で、髪の乱れが気になる部分をサッとなでるだけでスタイルが整う“ポイントリペアピュア”。一般的なアイメイク用マスカラよりも大型のブラシにジェル状の保湿ケア剤がついており、乱れた髪を包み周りの髪になじませる。手を汚さず、アホ毛やトップの短い浮き毛、まとめ髪のえり足などを抑える。人気のシースルーバングの仕上げにもいいと人気を集めた。ポーチに入るサイズで持ち運びにも便利。(10mL、1100円)

2位 “ボタニカルヘアバーム”

「ボタニスト」

 毛先にもみこむと、動きのあるウェットスタイルが作れると支持された「ボタニスト」“ボタニカルヘアバーム”。カカオ脂・シア脂・アーモンド油などの植物オイルがベースで、手に取ると体温でオイル状のテクスチャーになり、肌にスッとなじみ髪に潤いとツヤを与える。ヘアだけでなくハンドクリームとしても使える。「ボタニスト」インバスアイテムと併用する人も多い。レモングラスとゼラニウムの香り。(32g、1500円)

3位 “グロスバーム24H”

「ロンドGINZA Withミラボーテ」

 ヘアサロン「ロンド」とミラボーテが共同開発した“グロスバーム24H”。保湿成分であるシアバターを配合し、自然なまとまりと柔らかさのある質感が出せる。髪に潤いを与えながら毛束感を出せるため、初心者でも人気のウエットスタイルを作りやすい。オイルやクリームと比較すると軽い仕上がりで、カールや巻き髪などエアリーなスタイルにオススメ。シリコーン・パラベンフリーでハンド、ボディーの保湿クリームとしても使える。(40g、1600円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : MISA KOTAKE

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百貨店の本当の“余命” 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。百貨店に関してネガディブな報道が飛び交っているが、中には首を傾げたくなる記事もある。じっくり検証してみた。

 コロナ禍が長引いて、またぞろアパレルや小売業の“余命”予測が流行りのようだが、安直な計算で無闇に不安をあおる記事が横行している。「プレジデント・オンライン」の「『三越伊勢丹の“余命”はあと2年強』経済アナリストが試算する百貨店社の末路」と銘打った記事など、あまりに経営の現実から乖離して不安をあおるだけの無責任な計算だ。不要な誤解が広がらないよう百貨店の経営実態に即した“余命”を真っ当に計算して提示することにした。

経済アナリストが計算した百貨店の“余命”

 「プレジデント・オンライン」の記事は経済アナリストの馬渕磨理子氏によるもので、各社の2020年2月期と同3月期の実績を基準に売上総利益が7掛け、販管費が8掛けになって営業赤字が続いたと仮定した損失が最新中間期末の現預金を食い潰すのに何カ月かかるかという計算だ。それによれば三越伊勢丹ホールディングス(HD)は28カ月、高島屋は170カ月、エイチ・ツー・オー リテイリング(H20)など19カ月しか“余命”がない。

 その計算では三越伊勢丹HDは毎月16億円、高島屋は7億円、H20は14億円の赤字を垂れ流して現預金を食い潰していくが、J.フロント リテイリング(JFR)は14億円の黒字になって永遠の“余命”となる。現預金はキャッシュフローの一端に過ぎず、借り入れを増やせば容易に増やせるものだから“余命”の計算に使うには不適切で、借り入れ能力の元となる純資産、あるいはそれに含み益を加えた実態株主資産を基準とするべきだ。

 あまりに経営の現実から乖離した安直な計算で、“余命”を宣告された3社がその期限に前後して破綻する可能性はゼロだから、3社もアホらしくて反論もしないようだ。執筆者も三越伊勢丹HDには土地・建物が約7000億円、H20にも同2500億円の資産があるから資産を売却すれば“余命”は伸ばせると最後に補足しているが、企業の“余命”を予測してメディアにさらすには安直に過ぎるのではないか。

大手百貨店企業の“余命”は意外に長い

 企業が破綻するのはキャッシュフローの突発的異変(黒字倒産)でもない限り「超過債務」状態に陥ってからで、信用ある大企業は純資産(株主資本)が大きくマイナスにならないと破綻しない。今日の過剰資金供給環境では大企業の黒字倒産はあり得ないし、例え決算書上で純資産がマイナスになっても、不動産や有価証券の含み益で追加融資を受けられるし、売却して益出しすることもできるから即破綻ということはないが、最も現実に近い“余命”は純資産を食い潰すまでの期間だ。

 各社の今中間期末の純資産を起点に、通期の予想純損失が今後も続くという最悪の事態を想定すれば「超過債務」に陥るのに何年かかるかという計算をしてみたが、最も短いH20でも10.92年、三越伊勢丹で11.33年、高島屋で11.71年、不動産業化するJFRは20.32年と各社とも当分、破綻しそうにない。

 純資産対比の運転資金比率は三越伊勢丹HDで11.5%、高島屋で9.3%、H20で10.0%と低く、余命に関わるほど財務上の負担を考慮する必要がない。不動産業化が進むJFRでは棚資産が前期から半減しており、買掛金と営業債務が一括されているため正確ではないが、預かり売上金で492億円余の回転差資金が生じている計算になる。不動産投資が嵩んで純資産対比借入金比率は115.4%と、H20の70.7%、高島屋の54.1%、三越伊勢丹HDの36.1%より頭抜けて高いが、この順に不動産業化が進んでいるということだ。

 今中間期のような異常事態が続くとは思えないから非現実的に厳しい計算方法だが、それでも最低10年は潰れそうもないという結果だったから、各社の膨大な含み益を考えれば“余命”は半永久的な域になる。この結果を見て「百貨店は永遠です!」と言いたくなるかもしれないが、残念ながら小売業態としての百貨店はすでに“死に体”で、ことアパレルの消化仕入れ販売に関しては「終わった」と言わざるを得ない。
大手百貨店各社は過去の資本蓄積が厚く、都心の一等地に構える店舗の不動産価値も高く、アパレルメーカーやテナント出店型アパレルチェーンのような財務のひっ迫はないが、大手4社を比較すると「脱百貨店」の進展度合いで業績や財務状態に少なからぬ格差が開いており、もはや「百貨店業」として比較する意味さえ疑われる状況になっている。

「脱百貨店」の進展による明暗

 かつて「百貨店」として最も成功していた三越伊勢丹HDが「脱百貨店」が遅れて業績が暗転する一方、高島屋は子会社の東神開発を軸とした商業施設事業とクレジット・金融事業に救われ、JFRは百貨店のハイブリッド化という不動産事業化とパルコ事業に救われているどころか、永遠不滅と言いたくなるほどキャッシュフローが改善されている。H2Oは関西圏に集中した百貨店事業が例外的に上手く行っており、コロナ禍で百貨店事業が暗転する一方で食品事業(阪急オアシスとイズミヤの食品スーパー部門)が急浮上するなど、多分野化が報われた感がある。

 三越伊勢丹は20年3月期で百貨店事業売り上げが94.9%も占めたがセグメント利益は15.9%に過ぎず、その割に資産の73.5%も使って資本効率が極めて悪い。クレジット・金融事業は、売り上げは2.1%に過ぎないがセグメント利益の41.0%を占め、使用資産も15.4%と資本効率が高い。不動産事業も売り上げは3.0%だがセグメント利益は43.1%を占めて最大で、使用資産も11.1%と資本効率が高い。

 今中間期では百貨店事業が212億9700万円の赤字に転落し、クレジット・金融事業が12億8500万円、不動産事業が29億9700万円の黒字を計上しても焼け石に水で合計170億1500万円の赤字に沈み、「脱百貨店」の遅れに直撃された。

 高島屋は20年2月期で百貨店事業売り上げが89.1%と三越伊勢丹HDよりは低いが、セグメント利益は29.5%に過ぎず、使用資産は66.1%も占めて資本効率が悪い。クレジット・金融事業は売り上げこそ2.0%に過ぎないが、セグメント利益は20.7%を占め、使用資産は9.6%と資本効率が極めて高い。商業開発事業は売り上では5.2%だがセグメント利益は42.2%も占めて最大で、使用資産も22.4%と資本効率が金融事業並みに高い。建装業は売り上げの3.8%、セグメント利益の7.6%を占め、受注事業ゆえ使用資産は1.8%と限られる。

 今中間期では百貨店事業が138億8800万円の赤字に転落したが、クレジット・金融事業が21億600万円、商業開発事業も郊外施設に救われて32億3800万円の黒字を計上し、合計赤字額を86億6500万円と三越伊勢丹HDのほぼ半分に押しとどめている(三越伊勢丹と高島屋は「事業」と言わず「業」としているが、他社とそろえて「事業」と表記した)。

 JFRは20年2月期で百貨店事業売り上げが66.1%まで落ちたが、ハイブリッド化で採算性が改善されてセグメント利益の47.5%と最大を占め、使用資産も40.7%と利益貢献に見合っている。次いでパルコ事業が売り上げの28.0%、セグメント利益の29.2%を占め、使用資産も29.7%と利益貢献に見合っているから、パルコの買収は成功だったと評価される。不動産事業は売り上げの4.2%にとどまるがセグメント利益は18.1%も占めて収益性が高く、使用資産も22.8%と利益貢献にほぼ見合っている。クレジット・金融事業は売り上げの1.7%、セグメント利益で5.1%、使用資産も6.8%と限られる。

 今中間期では百貨店事業が213億5700万円の赤字、パルコ事業も26億400万円の赤字に転落し、不動産事業が16億3400万円、クレジット・金融事業が4億5300万円の黒字を稼いでも焼け石に水で、合計赤字は218億7300万円と4社で最大となった。不動産事業の都心集中がコロナ禍では裏目に出たわけで、東神開発のような郊外対応が急がれよう。

 H2Oは20年3月期で百貨店事業売り上げが52.7%とJFRよりさらに低いが、セグメント利益は62.0%も占めるほど好調で、使用資産も19.8%と資本効率も突出して高い。食品事業(スーパーマーケット)は売り上げの39.5%、資産の13.3%を占めるが、14年に経営統合したイズミヤが不振でセグメント利益は25億300万円の赤字だった。不動産事業は売り上げの1.0%に過ぎないが、セグメント利益は22.3%も占め、使用資産も15.5%と資本効率が高い。

 今中間期では百貨店事業が34億5600万円の赤字に転落、不動産事業も3億1800万円、その他事業も14億2800万円の赤字に転落したが、イズミヤの食品スーパー部門を分割して阪急オアシスと運営を統合した食品部門がコロナ禍で急浮上して29億200万円のセグメント利益を稼ぎ、合計赤字は23億100万円と4社で最もダメージが浅かった。

会社は残るが「百貨店」も従業員も消えていく

 日本の大手百貨店企業は簡単には潰れないことが分かったと思うが、これまでの「百貨店業」が続けられるわけではない。3フロアも4フロアも埋めてきたアパレルは業績悪化で退店が加速し半分も維持できないし、インバウンドが潰えた化粧品もこれ以上は広がらない。

 ハイブリッド化して定借賃貸のテナントに切り替えるにしてもアパレル関連は半減するし、化粧品も広がらず、雑貨や飲食ばかりになるが、コロナが収束しない限り、飲食も当分は苦しい。D2CブランドやRaaS※1.のショールームストアも話題にはなるが広がりは限られるから、いずれ売り場は埋まらなくなるし、その前に家賃収入が目減りして旨味がなくなってしまう。上層階はいっそオフィスに切り替えたいが、リモートワークの定着でそれも難しくなってきた。

 ECに活路を求めるにしても、ECモール事業者に対するアドバンテージとなるC&C(クリック&コレクト)※2.利便を提供するには店舗数の桁が致命的に足らないし(米国のコールズやしまむら級の千店前後の店舗数が必要)、それ以前に受注引き当てシステムや物流システムの段階で行き詰まり、大半を外部に依存する“張子の虎”で終わりかねない。それらのほとんどを実現してEC比率が30%を超えたニーマンマーカス(NEIMAN MARCUS)やノードストローム(NORDSTROM)とてフルプライス(百貨店)部門の赤字を埋めきれなくなり、ニーマンマーカスは破綻し、ノードストロムも減収減益を止められなくなっている。唯一、突破口となりそうなのはコールズ(KOHL’S)がアマゾン(AMAZON)と提携し、中国の銀泰百貨店がアリババ傘下で再生したように、フロント・決済・物流を備えたプラットフォーマーと連携することだろう。

 不動産業への転換は資本効率を高め財務体質を強固なものにするかもしれないが、その過程で「百貨店業」に従事して来た人々の9割を振り落とすことになるし、投資利回りもじりじりと下がっていく。会社は永らく残るが、「百貨店業」は遠からず一部の都心旗艦店や郊外・地方のサテライトストアを残して消えていき、従業員も大半が離散していく。

 コロナを契機にライフスタイルも社会関係も消費行動も都心集中志向から生活圏分散志向に転じ、服装マウンティングの必要も薄れてお洒落を競う意味もなくなり、久しく元には戻らないだろうから、商業施設もアパレルも生活圏へシフトし、カジュアル化・低コスト化が加速する。百貨店企業は不動産業化と並行して郊外シフトと低コスト化を急ぐべきだろう。


※1. RaaS(Retail as a Service)…小売事業者が蓄積する顧客データや販売ノウハウに、テクノロジーを掛け合わせ、支援サービスを開発・提供すること
 
※2. クリック&コレクト(C&C)…EC受注に顧客の近隣店舗の在庫を引き当て、店渡しやローカル直行宅配で最速かつ送料なしで届けるローカルOMO(店舗とECの融合)体制 

 

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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「時短だから仕事少ない方がいいよね」は「余計なお世話」 バロック・ママ社員による新部署での挑戦

 バロックジャパンリミテッドは、CSR強化や社員へのサステナビリティの観点から、ママ・パパ世代の働きやすさを考慮した「Eコンテンツ開発部」を新設し、同部署から10月に既存ブランド「イム(Y/M)」をEC専業ブランドとして再始動した。従来からある「EC事業部」は既存ブランドの通販業務を担っているのに対し、「Eコンテンツ開発部」はコンテンツやブランド開発から一気通貫で担当する。これにより「アパレルのEコンテンツの最大化と事業化」を目指す。

 「Eコンテンツ開発部」には、現在4人のママ社員が在籍。全員が「スライ(SLY)」「マウジー(MOUSSY)」「ロデオクラウンズ(RODEO CROWNS」の店長やMD、営業などで活躍し、産休・育休から復帰した経験豊富な敏腕メンバーだ。中でも第1号メンバーの牛込里沙マネジャーは、組織から仕組み作りまでを任せられる同部署のキーマンでもある。

 そもそも発足のきっかけは、「20代から会社を支えてくれている社員のライフスタイルの変化を受けて」と熊川大輔・上席執行役員 営業統括本部 副本部長。「店舗管理やスタッフ同士のコミュニケーションは、時短勤務だと難しいこともある。決定力とパワーのある子たちを既存事業に復帰させたかったのが本音だが、これらの課題解決に挑戦する新たな部署を作ってみようと思った」と加える。以前からの構想を、新型コロナウイルスとベテラン社員たちの産後復帰が重なったことが後押した。

 現場では、MDと生産に関する業務をペアで取り組み、急な休みでも「その人しかできない」状況を回避。内装から手作りしたという本社の1フロアには、デスクから撮影スタジオまでが1カ所にまとめられ、「(定時に帰るには)社内の移動時間でさえもったいない」というママたちの意見が、作業動線にまで反映されている。

メリットは「子育てを軸にサポートしあえる“雰囲気”」

 ママ・パパ世代を集めて“部署化”する効果について「1番のメリットは、理解してカバーし合える環境にある。子どもが体調不良のとき、快く休ませてあげられる“雰囲気”が大切。たとえ相手が悪く思っていなくても、心苦しい環境はある」と牛込マネジャーは語る。「育休復帰後の業務内容」や「子育てと仕事の両立」は、アパレルに限らず全ての企業の課題だが、この“休みづらさ”が“子育てへの理解のなさ”と表現される場合も多い。一方で「仕事へのモチベーションはとても高い。1番、結果主義の部署かもしれない」と補足する。

 4人が手掛ける「イム」は、アパレルD2Cブランドのプラットフォーム事業「YOUR BRAND PROJECT Powered by ZOZO」の1ブランドとして10月21日に、「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」で先行発売。「ウェア(WEAR)」公式ユーザーのウェアリスタである社内外の6人をディレクターに迎えた商品は、当初の見込み売上に対して120%と好調なスタートを切っている。特にウェアリスタの1人である「Misatoさんとのコレクションが売れ筋」で、カフタンニットワンピースは、200枚が完売。今後はコラボメンバーを増やし、反響のあるコレクションは単体でのブランド化も検討する。

 発足間もない「Eコンテンツ開発部」だが、牛込マネジャーは「時短だからそんなに仕事を与えない方がいいよね、は余計なお世話(笑)。それも周囲の優しさだが、女子の気持ちをもっと繊細にくみ取る必要がある」。実は牛込マネジャー自身、育休開けにスピード感がゆるやかな部署に配属され、「今日与えられた仕事が1時間で終わった。物足りない」と、逆に熊川大輔・副本部長を呼び出したエピソードがあるという。

 それを受けて「時短だからと変に仕事量を減らすのではなく、きちんと役割を与えた方が生き生きと働いている。会社はノルマを定めて、ルールはスタッフが決める方が、今の時代に合っているのでは」と熊川大輔・副本部長。

 産休・育休復帰で不安を抱えるママ社員が、仕事の感覚を取り戻せる環境を作ることは、さまざまな内情を抱える社員の多様な働き方の後押しになり、会社全体の活性化につながる。

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無限ループも可能に!?フィンランド発スタートアップが仕掛ける“サステナブル繊維革命”

 フィンランドの名門研究所VTT(フィンランド技術研究センター)からスピンアウトしたスピノバ(SPINOVA)は、木材パルプや農業廃棄物の小麦や大麦、わらといった天然素材の繊維質からセルロース繊維を精製する技術を開発したスタートアップ企業だ。レーヨンなどのビスコース繊維の生産時に長らく課題となっていた有害物質も一切使わず、廃棄物も出さず、しかもそうして生産した繊維はリサイクル可能で、服から服へ循環する無限ループも可能になるという。この画期的技術は世界中から注目を集めており、欧州セルロース繊維大手のレンチング・グループ(LENZING GROUP)は2015年の創業当初から出資。また、世界最大のパルプ生産者の一つであるブラジルのスザノ・パペル・エル・ローサ(SUZANO PAPEL EL CELULOSA)からも資金を調達しており、現在の調達額は2500万ユーロ(約31億5000万円)。スザノ・パペル・エル・ローサとは合弁で商業生産に向けた工場設立を計画中だ。「世界一サステナブルな繊維を開発した」とうたうユハ・サルメラ(Juha Salmela)=スピノバ共同創業者兼チーフ・テクニカル・オフィサー(CTO)にオンラインインタビューを行った。

WWD:スピノバは“世界一サステナブルな繊維の生産技術を開発した”と打ち出しているが、具体的にどのような繊維なのか。

ユハ・サルメラ共同創業者兼CTO(以下、サルメラ):全てがナチュラルなセルロース繊維で、現在は原料を木材にしているが、将来的には農業廃棄物の小麦や大麦、わらやタンパク質を含む他の廃棄物の利用も可能になる。わらに関してはフィンランドのエネルギー会社と協業して、すでに小麦のわらを原料にしたドレスのプロトタイプも作った。

WWD:木材からセルロースをつくる際に、劇薬を使わずクリーンに製造できるとか。

サルメラ:はい。私たちは天然素材を分解するために、溶解性のある有害な化学物質は一切使用しない(溶剤は製紙ではよく使われる無害な流動性の添加物)。また、機械的に行うので、洗浄もなく、廃棄も出ない。それこそが他のビスコースやテンセル、モダールやリヨセルモダールなどの既存のビスコース繊維生産と異なる点だ。私たちは木材パルプやその他のセルロース繊維からマイクロフィブリル化(ミクロ化)したセルロースを精製し、その後、水とファイバーの懸濁液の流動性質を修正し、天然ファイバーを特別にデザインしたノズルを通して押し出している。クモが糸を出すのに少し似ている。このセルロースファイバーを非常に細いノズルに通すことができ、この技術もわれわれが開発した専門性の高い技術の一つだ。そして最後に、懸濁液から水分を蒸発させれば、ファイバーが完成する。

WWD:その際に使われる水の使用料も少ないとか。

サルメラ:はい。バリューチェーン全体でみると綿花栽培と加工に比べて99%削減できる。

WWD:原料がわらでも木材由来と同じものができる?

サルメラ:はい。手触りは非常に似たものになる。フィラメント(単繊維)のサイズ次第だ。重要なのは、木の種類やわらといった農業廃棄物の種類ではなく、生産するフィラメントの細かさで、なぜならそれが手触りに最大の違いをもたらすからだ。そして、とても重要な点は繊維をリサイクルできるという点で、私たちの作った繊維を精製工程に戻してリサイクルすることは非常に簡単で、品質も悪くならない。

WWD:コットンやセルロース繊維は服から服のリサイクルを行う際に、繊維が短くなり強度が落ちると聞いたことがあるが、スピノバの技術では強度は落ちないということ?

サルメラ:まさにその通りだ。それが鍵になっている。われわれはファイバーを化学的に分解しないので、繊維の長さは損なわれない。マイクロフィブリル化されたセルロースを機械的に精製し、再度つなぎ合わせている。そのため、品質は退化するのではなく、改善される。

WWD:それは分子レベルまでは戻さないということ?

サルメラ:そうだ。分子レベルのリサイクルではない。基本的には、生地を再び機械的に精製し、先ほど説明したのと同じサイクルをたどることになる。機械的精製後、押し出し、乾燥、そして新しいファイバーができる。

WWD:つまり繊維から繊維の無限ループが作れるということ?

サルメラ:そう願っている。これは理論的には実現可能で、科学者としてはこの仮説が有効かどうかを実験して確かめたいと思っている。今のところ、少なくとも数回のアップサイクル(品質を改善したリサイクル)が可能であることが分かっている。

WWD:他社の繊維と比較して、堅牢度、毛玉、コストなどはどうか?

サルメラ:われわれのファイバーは、ビスコースに似ている。乾燥した状態では綿の特質に近く、綿はぬれると強くなるが、われわれのファイバーの強度はぬれた状態ではビスコースに近い。でも、綿の強度にするのが目標だ。私たちの繊維の手触りは、他のどのセルロース繊維とも異なる。もっとナチュラルな手触りで、人工セルロースとは違って、麻や綿に近い。まだ、かなり粗いので肌に直接触れられるレベルではないため下着のようなものではなく、デニムやシャツ向けだが、現在改良に取り組んでいる。

WWD:価格については?

サルメラ:正確な価格は今はいえないが、商品になったときに、綿に対して競争力がなければ難しいと思っている。最初はもっと高額になってしまうだろうが。
WWD:現在の生産量と今後の見通しは?

サルメラ:今は年間3t程度だが、現在、商用向けの工場を設計している真っ只中で、2年後に完成する予定だ。そうすれば、商業規模になる。フル稼働で5万t程度の生産が可能になる。

ブレイクスルーは他分野の研究の融合

WWD:開発にあたり、ブレークスルーのポイントになったことは?

サルメラ:われわれのイノベーションは、紙パルプの研究とクモの巣紡績の研究の融合によって起きた。オックスフォード大学で開催されたカンファレンスで、クモの巣とタンパク質とナノセルロースの類似性を説明したクモ研究の第一人者のプレゼンテーションを聞いたとき、「この自然のプロセスと同じように木材繊維を紡績してテキスタイルにできないか」というアイデアがひらめいた。EUのプロジェクトの一環としてVTTで技術革新を推進し、このアイデアの特許を申請した。この技術がVTTのバイオマテリアル研究の責任者であるヤンネ・ポラネン(Janne Poranen)の目に留まり、事業がスピンアプトされることになった。VTTでは資金調達が難しかったので。適した人材を確保して、最高のチームを作った。最適な人材を得て、仕事に取り組むことが全てだからね。

WWD:チームは何人?

サルメラ:現在は40人。そして、もう一つ大事なことは、私たちの価値を分かり合える適切なパートナーを見つけ、工業規模までもっていくことだ。私たちには、工業生産規模にするための良いパートナーや良いオーナーたちがいる。良いチーム、良いオーナー、商用生産のための良いパートナーというコンビネーションが、これを可能にする。私たちには「マリメッコ(MARIMEKKO)」などブランドパートナーもいる。

WWD:「マリメッコ」とのコラボアイテムは今後販売される?

サルメラ:買えればよかったのだが、今はプロトタイプだ。生産できる繊維が少ないため、今はオーガニックコットンやリヨセルと混合している。

WWD:あなた自身、繊維が専門ではないのに、なぜ繊維に取り組もうと思ったのか?

サルメラ:イノベーションのためだ。クモが糸を紡ぐように、私もファイバーを紡げるのではないかと気付き、これが非常に大きな発見だった。なぜならテキスタイル業界をよりサステナブルにすることは明らかだったから。だから、必ずやり遂げようと決心した。

WWD:最後にあなたにとってサステナブルな素材とは?

サルメラ:本当にグリーンウォッシングが多いので、このトピックや言葉に関して嫌悪することがあるが、もしポリエステルで作っていてもその商品が25年持つというのであれば、ポリエステルでさえサステナブルになる。その商品のライフサイクル全体がサステナブルでなければならないと思う。

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【動画】ウオッチプラス “時計コングロマリット”を知れば時計はもっと楽しくなる!

 「WWDジャパン」とハースト婦人画報社の時計デジタルメディア「ホディンキー・ジャパン(HODINKEE JAPAN)」の時計番組「ウオッチプラス」の今回のテーマは、“時計コングロマリット”です。「オメガ(OMEGA)」や「ブレゲ(BREGUET)」などを擁する世界最大の時計企業スウォッチ グループ(SWATCH GROUP)をはじめ、ファッション関係者にもなじみ深いLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)、コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINACIERE RICHEMONT)、ケリング(KERING)の4グループを取り上げます。

 時計を知るために組織の勉強?と思うかもしれませんが、その時計がどんな背景から生まれたのか、そのストーリーを知ることでいっそう親近感がわきますし、ビジネス戦略的にどんな意味を持つのかを理解すれば、実用品や嗜好品とは別の顔が見えてくるはず。

 出演は、関口優「ホディンキー・ジャパン」編集長、和田将治「ホディンキー・ジャパン」ウェブプロデューサー、村上要「WWDJAPAN.com」編集長、三澤和也「WWDジャパン」記者(時計担当)の4人です。

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」シャンプー&コンディショナー・新製品部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。シャンプーとコンディショナーの新製品はバラエティー・ドラッグストアのみで集計した。1位は、「エイトザタラソ(8 THE THALASSO)」の“スムースシャンプー”に決定。「植物幹細胞を取り入れている点がユニーク。“ツルぷる”の仕上がりになると話題に」とのコメント。2位は「ザ パブリック オーガニック(THE PUBLIC ORGANIC)」の“スーパーポジティブ ダメージリペア シャンプー”。3位は韓国発「モレモ(MOREMO)」の“リペアシャンプーR”となった。コンディショナー・新製品部門の1位は、「モレモ」の“ウォータートリートメント ミラクル10”。「『水トリートメント』という新しい切り口が好評。トリートメントを塗布して10秒で洗い流せる手軽さもいい」との評価が。2位は「アンドハニー(&HONEY)」の“メルティ モイストリペアヘアトリートメント2.0”。3位は「ザ パブリック オーガニック」の“スーパーポジティブ トリートメント”だった。

シャンプー・新製品部門

1位 “スムースシャンプー”

「エイトザタラソ」

 スキンケア分野でも注目を集める植物の幹細胞成分を配合した“スムースシャンプー”。3種類の植物幹細胞のほかに、マリンコラーゲン、海藻エキスなど海洋由来成分、キューティクルのはがれや傷みを接着し、滑らかにコーティングするケラチンなどを新配合している。頭皮の汚れと髪の汚れを洗い、ダメージを受けてスカスカになった髪を保水し、毛先までさらさらの指通りをかなえる。フルーティーフローラルの香り。(475mL、1400円)

2位 “スーパーポジティブ ダメージリペア シャンプー”

「ザ パブリック オーガニック」

 髪を洗うだけで、天然精油の香りにより幸せホルモンの50.3%アップが期待できるシャンプー。98%以上が天然由来原料で、うち10%以上オーガニック成分を使用している。2020年9月にリニューアルし、容器もバイオマス容器に変更。新処方では、ムルムルバター、パッションフルーツオイル、モリンガエキスを配合し、髪のダメージケア効果を強化した。フランキンセンス精油×イランイラン精油の心休まる香り。(480mL、1580円 詰替用400mL、1180円 1dayトライアル10mL、130円)

3位 “リペアシャンプーR”

「モレモ」

 韓国発のナチュラルコスメブランド「モレモ」の“リペアシャンプーR”がランクイン。レシチン、17種類のアミノ酸がキューティクルを補正し、カラー、ブリーチ、ヘアアイロンなどで受けたダメージをケア。また、加水分解小麦などから構成される「毛髪ケアプロテインコンプレックス」が、髪にハリとコシを与える。合成界面活性剤ではなく、ココナツ由来界面活性剤を使っているのも特徴。シリコン、パラベン、硫酸フリー。(300mL、2100円)


コンディショナー新製品部門

1位 “ウォータートリートメント ミラクル10”

「モレモ」

 ブランドを代表する“ウォータートリートメント ミラクル10”がランクイン。トリートメントを塗布して10秒で洗い流せるスピーディーさが魅力。サラサラとしたウオータータイプのトリートメントを、ダメージが気になる部分に揉みこむように塗布すると、微熱でテクスチャーがクリーミーに変化する。加水分解タンパク質が毛髪の水分蒸発を防ぎ、毛髪の水分をキープ。シリコーンフリーながら、指通りのよい艶髪へと導く。(200mL、2280円)

2位 “メルティ モイストリペアヘアトリートメント2.0”

「アンドハニー」

 2020年3月にリニューアルした「アンドハニー」。新製品成分の90%以上がマヌカハチミツ、アルガンオイル、ローヤルゼリー、プロポリスなどの保湿&保護成分で構成されている。3種類のハチミツを独自比率で配合した「水分コントロール処方」により、髪の水分量をコントロールしうねりやくせ毛をケア。トリートメントは、スイートローズハニーの香りが楽しめる。ピンク色の愛らしいボトルデザインも人気を集めた。(445g、1400円)

3位 “スーパーポジティブ トリートメント”

「ザ パブリック オーガニック」

 99%以上が天然由来成分のトリートメント。シリコン、パラベンなど9つのフリーを掲げている。香りは、フランキンセンス精油、レモングラス精油をブレンドしていて幸せホルモンの分泌を促す働きも。トリートメントには、ムルムルバター、パッションフルーツオイル、モリンガエキス、ダメージ髪を補修する独自成分「4Dフィトリペアコンプレックス」を新たに配合した。ダメージ髪を補修し艶のある指通り滑らかな髪へと導く。(480mL、1580円 400mL、1180円 1dayトライアル10mL、130円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : MISA KOTAKE

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ウィズコロナで進化する幸せ産業 年末年始の過ごし方編

 早いものでもう師走。思いがけない展開に世界中が震撼した2020年が終わろうとしている。そしてどこでも話題になるのが「年末年始をどう過ごそうか問題」。クリスマスや忘年会はどうするのか、年越しは?そして実家に帰省すべきなのか、等々。Go Toキャンペーンで巻き返した観光業界や飲食業界も、徐々に感染が拡大している今、前に進むべきなのか、とどまるべきなのか、皆が決めあぐねている。いつもと違う年末年始になりそうだ。

いつもと違う年末年始を、「食」で晴れやかに

 クリスマスケーキやおせちの発表会はお盆明けに早くも始まっていたが、今年はこのコロナ禍を反映したコンセプトが目立った。外出できない分、「お家でぜいたく」は変わらぬコンセプトで、30万円を超えるような超高級おせちも好調だという。今年は個々で楽しむようなおせちも登場。例えばおせちもみんなでシェアするのではなく、高級弁当のように個別に詰められた一人用おせちや2、3人で食べ切れる小ぶりなお重だ。それぞれ一人用おせちを食べれば、シェアしない分、感染リスクも減るだろう。

 「ホテル椿山荘東京」による自宅用おせちと贈答用おせちのセットでの販売も画期的だ。「With You おせち『絆』」は2人前2セットの今年ならではのおせち。自宅用と離れた家族の2カ所に配送される。実家の両親に送れば、リアルで会えなくても、同じお重を囲んで、オンラインで孫と会話し、帰省した「気分」で遠隔でも時間を共有できるというわけだ。限定20セットは即、完売になるほど人気だったという。

 通常ではお取り寄せを展開しない高級レストランもコロナ禍ではお取り寄せやテイクアウトを開始した。自粛期間が始まってすぐの時期に話題となったのが、東京都港区麻布十番の名店「中国菜・老四川 飄香(ピャオシャン)」によるお取り寄せ「飄香デラックスBOX」(2、3人前で1万5000円)。有識者が選ぶ麻婆豆腐ランキングで1位に輝いた麻婆豆腐をはじめ、フカヒレ煮込みや黒酢の柔らかスペアリブなどの名物料理を自宅で再現できるというもの。毎週金曜日に冷蔵で発送され、週末には本格中華のコースを堪能できる。加熱するだけのメニューがほとんどだが、中にはよだれ鶏や麻婆豆腐などのソースが届き、自宅で調理する一皿も。それぞれの家庭で同じBOXをお取り寄せし、オンラインでつなげば、同じ味を共有しながらの遠隔大宴会も可能だろう。10月から本格的にテイクアウトを開始した「飄香小院」六本木ヒルズ店でもホリデーシーズンに向け、前菜からメイン、ウニ入りフカヒレあんかけご飯などの〆までコース仕立てで構成されたお持ち帰りセットを販売。盛り付けイメージをお手本にすれば、見目麗しい宮廷料理に。(四川名物よだれ鶏も入ったCセットは2人前で1万800円)

 800坪の敷地の庭園、80年以上の歴史を誇る料亭「つきじ治作」でも15年ぶりにおせちを販売。即、完売するほどの人気だったという。この老舗でも春からお取り寄せを展開し、「ごちそう箱」と一子相伝の名物「水たき」とのセットが話題となった。そのまま食べられる折詰と、玉ねぎを加えて煮込むだけで料亭の味に仕上がる鍋との組み合わせで、手軽でありながら、調理する手応えもあり、自宅でごちそう気分になる。

旅行はバーチャルで! 行った気分ツアーが新定番に?

 旅行商品では現地コーディネーターとオンラインでつなぐなど、バーチャルツアーが浸透し、さらには行った気分になれる周遊フライトツアーも登場して話題となった。全日空ホノルル便の機体を利用した、成田を離陸し成田に戻る遊覧飛行ツアーには定員の100倍を超える応募があった。あまりの反響に次のツアーでは、フライト時間を倍にしたという。アロハシャツやフラダンスの衣装を着た乗客もいて、ウミガメのデザインの世界最大級の旅客機エアバスA380型機でのフライトは盛り上がりにぎわった。こういった遊覧飛行には、旅客機の整備上の事情もあるという。コロナ禍での大幅な運休や減便という状況でも定期的に整備を行い、性能を維持するために一定期間飛行する必要があるのだ(飛行せず駐機したままの場合、20本以上の巨大タイヤを全て交換しなくてはならないのだとか!)。

 ジャルパックでもJALのチャーターフライトを利用したさまざまな遊覧飛行ツアーを展開。12月5日開催された「チャーターDE海外旅行気分を満喫!~シンガポール~」では実際のシンガポール便と同じ国際線ボーイング767-300ER(A44)の機材を使用し、参加者は成田空港発着の約3時間30分の遊覧飛行を楽しんだ。

 シンガポール料理が機内食で提供され、搭乗前にはシンガポール政府観光局の協力による模擬入国審査も実施。搭乗ゲートのシンガポールの景色のフォトブース、シンガポールの魅力を学べる謎解きゲーム、フライト中の抽選会など、シンガポール旅行に行く「気分」を盛り上げるためのコンテンツが満載だ。

 エコノミークラスは1席1万9000円から、ビジネスクラスは通路側1席4万3000円からで、いずれもフライト、飲み物や機内食、記念品代などが含まれている。今後もバーチャルな渡航先を「台湾」にするなど継続予定の人気ツアーだ。飛行機好きとしては機窓からの風景、エンジン音やフライト中の揺れさえ懐かしく、100倍以上の抽選に勝利し、プラチナチケットを手に入れた人がうらやましい!

 佐賀県観光連盟はバーチャルツアーと特産品のお取り寄せを組み合わせたプランを発表。ディアンドデパートメントプロジェクト(D&DEPARTMENT PROJECT)の企画・監修による「サガ トリップ パック(SAGA TRIP PACK)」はお取り寄せ商品と産地を訪ねるオンライン体験がセットになった商品。生産者や識者とオンラインでつながるセミナー、ウェビナーに参加でき、届いた商品を手に取って、リアルな五感で佐賀の旅気分を楽しめるのだ。のりや米、ふりかけなど材料が一式と美おいしいおむすび講座、実際に味比べしながらの利き酒講座などそれぞれ。工房見学など現地を訪れるバーチャルな体験も。個人的には唐津で感動した「川島豆腐店」の豆腐鍋セットの講座が気になる!あの味を自宅で再現できるなら、ぜひ試したい!

 これからのバーチャルツアーは五感に訴えるリアルとのミックスが主流になりそうだ。我慢、我慢の年末年始は、宴会した「気分」、旅行に行った「気分」で乗り切るべし。もともとこの時期は旅をせず、地元にこもる自分にとっては、楽しみ方の選択肢が広がってわくわくする。2021年はここへ行くぞ、これを食べるぞ、と妄想を繰り広げながら、自宅でぬくぬく過ごすのもいい。

間庭典子(まにわ・のりこ)/フリーライター:婦人画報社(現ハースト婦人画報社)を退社後、ニューヨークへ渡る。現在は東京を拠点に各メディアに旅、グルメ、インテリア、ウエルネスなど幅広いテーマで執筆。著書に「ホントに美味しいNY10ドルグルメ」「走れば人生見えてくる」(共に講談社)など

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ウィズコロナで進化する幸せ産業 年末年始の過ごし方編

 早いものでもう師走。思いがけない展開に世界中が震撼した2020年が終わろうとしている。そしてどこでも話題になるのが「年末年始をどう過ごそうか問題」。クリスマスや忘年会はどうするのか、年越しは?そして実家に帰省すべきなのか、等々。Go Toキャンペーンで巻き返した観光業界や飲食業界も、徐々に感染が拡大している今、前に進むべきなのか、とどまるべきなのか、皆が決めあぐねている。いつもと違う年末年始になりそうだ。

いつもと違う年末年始を、「食」で晴れやかに

 クリスマスケーキやおせちの発表会はお盆明けに早くも始まっていたが、今年はこのコロナ禍を反映したコンセプトが目立った。外出できない分、「お家でぜいたく」は変わらぬコンセプトで、30万円を超えるような超高級おせちも好調だという。今年は個々で楽しむようなおせちも登場。例えばおせちもみんなでシェアするのではなく、高級弁当のように個別に詰められた一人用おせちや2、3人で食べ切れる小ぶりなお重だ。それぞれ一人用おせちを食べれば、シェアしない分、感染リスクも減るだろう。

 「ホテル椿山荘東京」による自宅用おせちと贈答用おせちのセットでの販売も画期的だ。「With You おせち『絆』」は2人前2セットの今年ならではのおせち。自宅用と離れた家族の2カ所に配送される。実家の両親に送れば、リアルで会えなくても、同じお重を囲んで、オンラインで孫と会話し、帰省した「気分」で遠隔でも時間を共有できるというわけだ。限定20セットは即、完売になるほど人気だったという。

 通常ではお取り寄せを展開しない高級レストランもコロナ禍ではお取り寄せやテイクアウトを開始した。自粛期間が始まってすぐの時期に話題となったのが、東京都港区麻布十番の名店「中国菜・老四川 飄香(ピャオシャン)」によるお取り寄せ「飄香デラックスBOX」(2、3人前で1万5000円)。有識者が選ぶ麻婆豆腐ランキングで1位に輝いた麻婆豆腐をはじめ、フカヒレ煮込みや黒酢の柔らかスペアリブなどの名物料理を自宅で再現できるというもの。毎週金曜日に冷蔵で発送され、週末には本格中華のコースを堪能できる。加熱するだけのメニューがほとんどだが、中にはよだれ鶏や麻婆豆腐などのソースが届き、自宅で調理する一皿も。それぞれの家庭で同じBOXをお取り寄せし、オンラインでつなげば、同じ味を共有しながらの遠隔大宴会も可能だろう。10月から本格的にテイクアウトを開始した「飄香小院」六本木ヒルズ店でもホリデーシーズンに向け、前菜からメイン、ウニ入りフカヒレあんかけご飯などの〆までコース仕立てで構成されたお持ち帰りセットを販売。盛り付けイメージをお手本にすれば、見目麗しい宮廷料理に。(四川名物よだれ鶏も入ったCセットは2人前で1万800円)

 800坪の敷地の庭園、80年以上の歴史を誇る料亭「つきじ治作」でも15年ぶりにおせちを販売。即、完売するほどの人気だったという。この老舗でも春からお取り寄せを展開し、「ごちそう箱」と一子相伝の名物「水たき」とのセットが話題となった。そのまま食べられる折詰と、玉ねぎを加えて煮込むだけで料亭の味に仕上がる鍋との組み合わせで、手軽でありながら、調理する手応えもあり、自宅でごちそう気分になる。

旅行はバーチャルで! 行った気分ツアーが新定番に?

 旅行商品では現地コーディネーターとオンラインでつなぐなど、バーチャルツアーが浸透し、さらには行った気分になれる周遊フライトツアーも登場して話題となった。全日空ホノルル便の機体を利用した、成田を離陸し成田に戻る遊覧飛行ツアーには定員の100倍を超える応募があった。あまりの反響に次のツアーでは、フライト時間を倍にしたという。アロハシャツやフラダンスの衣装を着た乗客もいて、ウミガメのデザインの世界最大級の旅客機エアバスA380型機でのフライトは盛り上がりにぎわった。こういった遊覧飛行には、旅客機の整備上の事情もあるという。コロナ禍での大幅な運休や減便という状況でも定期的に整備を行い、性能を維持するために一定期間飛行する必要があるのだ(飛行せず駐機したままの場合、20本以上の巨大タイヤを全て交換しなくてはならないのだとか!)。

 ジャルパックでもJALのチャーターフライトを利用したさまざまな遊覧飛行ツアーを展開。12月5日開催された「チャーターDE海外旅行気分を満喫!~シンガポール~」では実際のシンガポール便と同じ国際線ボーイング767-300ER(A44)の機材を使用し、参加者は成田空港発着の約3時間30分の遊覧飛行を楽しんだ。

 シンガポール料理が機内食で提供され、搭乗前にはシンガポール政府観光局の協力による模擬入国審査も実施。搭乗ゲートのシンガポールの景色のフォトブース、シンガポールの魅力を学べる謎解きゲーム、フライト中の抽選会など、シンガポール旅行に行く「気分」を盛り上げるためのコンテンツが満載だ。

 エコノミークラスは1席1万9000円から、ビジネスクラスは通路側1席4万3000円からで、いずれもフライト、飲み物や機内食、記念品代などが含まれている。今後もバーチャルな渡航先を「台湾」にするなど継続予定の人気ツアーだ。飛行機好きとしては機窓からの風景、エンジン音やフライト中の揺れさえ懐かしく、100倍以上の抽選に勝利し、プラチナチケットを手に入れた人がうらやましい!

 佐賀県観光連盟はバーチャルツアーと特産品のお取り寄せを組み合わせたプランを発表。ディアンドデパートメントプロジェクト(D&DEPARTMENT PROJECT)の企画・監修による「サガ トリップ パック(SAGA TRIP PACK)」はお取り寄せ商品と産地を訪ねるオンライン体験がセットになった商品。生産者や識者とオンラインでつながるセミナー、ウェビナーに参加でき、届いた商品を手に取って、リアルな五感で佐賀の旅気分を楽しめるのだ。のりや米、ふりかけなど材料が一式と美おいしいおむすび講座、実際に味比べしながらの利き酒講座などそれぞれ。工房見学など現地を訪れるバーチャルな体験も。個人的には唐津で感動した「川島豆腐店」の豆腐鍋セットの講座が気になる!あの味を自宅で再現できるなら、ぜひ試したい!

 これからのバーチャルツアーは五感に訴えるリアルとのミックスが主流になりそうだ。我慢、我慢の年末年始は、宴会した「気分」、旅行に行った「気分」で乗り切るべし。もともとこの時期は旅をせず、地元にこもる自分にとっては、楽しみ方の選択肢が広がってわくわくする。2021年はここへ行くぞ、これを食べるぞ、と妄想を繰り広げながら、自宅でぬくぬく過ごすのもいい。

間庭典子(まにわ・のりこ)/フリーライター:婦人画報社(現ハースト婦人画報社)を退社後、ニューヨークへ渡る。現在は東京を拠点に各メディアに旅、グルメ、インテリア、ウエルネスなど幅広いテーマで執筆。著書に「ホントに美味しいNY10ドルグルメ」「走れば人生見えてくる」(共に講談社)など

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ヒット商品「首もとパックシート」開発の裏側 入社3年目に店舗薬剤師から商品開発に参加した若手社員が考案

 コロナ禍によるステイホーム推奨が続く中、おうちで気軽にできる美容グッズの人気が高まっていて、普段はしないようなパーツケアに興味を持ち、手に取った人も多い。そうした中、マツモトキヨシのPB「matsukiyo」の人気パーツケアシリーズ“貼るだけ美容パックシート”も売り上げを伸ばしている。コロナ禍においてその人気に拍車をかけたのが、20年5月に発売した“matsukiyo 首もとパックシート”だ。同商品のアイデアを考案したのは、入社3年目で薬剤師として働く若手社員の佐藤さやか氏。ここでは、その開発の裏側に迫る。

WWD:マツモトキヨシに入社した理由は?

佐藤さやか薬剤師(以下、佐藤):大学で薬剤師の免許を取って、周りには調剤薬局や病院の薬剤師として勤める人が多いのですが、私は商品開発に携わりたいという思いがあったので、薬剤師と商品開発の両立ができる会社を探している中でマツモトキヨシと出合いました。

WWD:入社してから商品開発に携わるまでの経緯は?

佐藤:最初は、薬剤師として調剤併設店に勤務しました。入社3年目の18年10月に“商品開発コミッティ”が発足してそのメンバーに選ばれ、調剤併設店の勤務と並行してPB商品の開発に携われるようになったんです。

WWD:商品開発コミッティとは?

佐藤:メンバーの9割を店舗スタッフで構成したコミッティで、当時のグループ会員6000万人超のデータや、SNS上のコメントを徹底的に分析し、データを活用した商品開発を行ってます。また、並行して客観的なデータだけでなく“生の情報”も企画に生かすため、17年から“PBアイデア創出コミッティ”と称して、全社から商品企画に関わりたい従業員を公募しました。私もそれに応募し、選考課題をクリアしてメンバーになれたんです。

WWD:どのような選考課題?

佐藤:そのときは自己PRと、商品アイデアもしくは“今のPBに対する意見”をレポートにして提出するというものでした。私は「matsukiyo」の認知度を上げるための活動提案をレポートにまとめて提出しました。

WWD:思い付いたきっかけは?

佐藤:入社3年目から薬剤師の採用面接の面接官を担当するようになったのですが、学生の前に立つ際、顔の美容にはもちろん気を付けていたのですが、年齢の出やすい首元も気になったので「ニーズがあるのでは」と考えました。また、首もとは年齢が出やすいといわれ、店舗に来店するお客さまの中にも 「年齢を重ねるにあたり気になるけれど、どうケアすればいいのか分からない」という方も多い印象でした。さらに昨今、スマホやパソコンを使う機会が増えたことで姿勢が崩れ、若い方の間でも首の年齢サインに対する意識が高まっています。そうした背景も踏まえ、自分自身も“貼るだけ美容パックシート”シリーズを使ってみて「手軽で使いやすい」と感じていたこともあり、“首もとパックシート”のアイデアが生まれました。

WWD:開発に当たりこだわったポイントは?

佐藤:“寝ながらでも使用できる”ことがポイントなのですが、試作品はシートの幅が太く、寝ながら使うと少し息苦しさを感じてしまいました。そこで幅を細くしてもらい、寝ながらでも快適に使える今の形状になりました。

WWD:ヒット商品となったが、ヒットの要因は?

佐藤:「首元が気になるけどケアする方法が分からない」という人が多かったのではないでしょうか。“首もとにも使える”という商品は市場にあったのですが、あまり認知されておらず、それに対して明確に“首もと”とうたったことも良かったと思います。“PBアイデア創出コミッティ”で重視しているのは“ありそうでなかったもの”というテーマなのですが、まさにそんな商品だと感じています。

WWD:自分のアイデアが商品化されたことに関する感想は?

佐藤:“貼るだけ美容パックシート”はヒットシリーズ(同シリーズは、同社の“フェイスマスクのパーツケア分類”の売り上げ数で“matsukiyo 目もとパックシート”が2017年5月~20年2月までの2年9カ月連続第1位、“matsukiyo 口もとパックシート”が同2位を記録している支持の高いシリーズ)というだけでなく、私が学生時代から愛用していた商品でもあるので、そのシリーズから商品化できてうれしかったです。

WWD:今後やりたいことは?

佐藤:これからも店舗で薬剤師として働きつつ、そこで感じたニーズを商品開発に反映させていきたいです。入社したときは「商品開発に携わりたい」という思いの方が強かったのですが、今は薬剤師の仕事にもより魅力を感じています。お客さまから見ると、薬剤師はまだまだ“薬をもらう場所にいる人”という認識なのですが、本当はそれぞれに得意分野があって、いろいろな情報を発信できる職業なんです。商品開発とともに、そうした認知も広げていきたいと考えています。

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新常態でも成長するアウトドア市場 エディターズレター(2020年10月29日配信分)

※この記事は2020年10月29日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

新常態でも成長するアウトドア市場

 アウトドア市場に勢いがあります。屋内の密を避けて、広々とした屋外で楽しめるレジャーだからでしょう。日経新聞の報道によると、矢野経済研究所はコロナの影響を加味した2020年のアウトドア用品の市場規模を前年比4%増の2748億円と算出し、ゴルフ用品市場を初めて逆転する見通しだそうです。

 「ザ・ノース・フェイス」「モンベル」「スノーピーク」といった人気アウトドアブランドは商業施設からも引っ張りだこ。社会現象になっている「ワークマン」だってアウトドアウエアとして売れています。ホームセンター大手のコーナン商事は9月からキャンプ専門店「キャンプ・デポ」、家電量販店のビックカメラは10月から新業態「ビックアウトドア」の出店に乗り出しました。昨年、ヨドバシカメラがアウトドア専門店の石井スポーツを買収したことも記憶に新しいところです。

 スポーツ・レジャー市場は、社会の変化を如実に反映します。大人が趣味として興じるスポーツは時代とともに変わってきました。

 高度経済成長期からバブル期にかけてはゴルフとスキーです。一億総中流といわれ、マイカーが浸透した時代背景にあります。“重厚長大”スポーツと呼ばれたゴルフとスキーは用具が高価なこともあって、市場規模は大きくなりました。日本では欧米の高級ブランドのライセンスによるゴルフウエアが人気を集め、百貨店のスポーツフロアの大部分がゴルフ売り場だったりしました。ゴルフウエアが「休日のお父さんのファッション」と言われた時代ですね。

 バブル崩壊以降は、フィットネスやヨガ、ランニングが人気を集めます。経済の低迷と健康志向の高まりが背景にあります。ゴルフとスキーに比べれば、格段にお金がかからず、気軽に始められる。あちこちでスポーツジムが開業し、大規模なマラソン大会が全国に新設されるなど、環境も整いました。シニアを含めた幅広い世代が汗を流すようになりました。

 アウトドアは21世紀に入って以降、ずっと右肩上がりでした。10年前後の山ガールブームなどを経て、特に女性の裾野が広がりました。家族や仲間同士でキャンプを楽しむ人も増えています。キャンプの食事や大自然の風景のなどSNSで映える写真が撮れることも人気の理由です。またコロナ以前から機能的なウエアやバッグなどを普段使いする人は男性だけでなく、女性でも当たり前になりました。新常態でますますこの傾向が強まりそうです。

MARKET VIEW:ファッション市場で日々発信されるホットなニュースを、「WWDジャパン」のビジネス担当記者がコンパクトに解説するメールマガジン。ニュースを読み解くヒントを提供します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」ボディーケア・総合部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。ボディーケア・総合の百貨店・セミセルフ部門の1位は、幅広い年齢層に親しまれる「ロクシタン(L’OCCITANE)」の“ヴァーベナ クリーンハンドジェル”が輝いた。「コロナ禍で需要が高まった」との声が多く聞かれた。2位は、「ローラ メルシエ(LAURA MERCIER)」の“ホイップトボディクリーム”。4つの香調を備えるロングセラーアイテムで、ベタつきを感じさせない使用感も好評。3位は、首位に続いて「ロクシタン」がベスト3入り。“ハンドクリーム”はブランドの主力のアイテムで、高い人気がある。バラエティー・ドラッグストア部門の1位は“恋するおしり ヒップケアソープ”で、昨今「パーツケアに力を入れる女性が増えており、中でもおしりをケアするアイテムは特に人気が高い」という。2位は、「バース(BARTH)」の“薬用中性重炭酸入浴剤”、「ヴェレダ(WELEDA)」の“ホワイトバーチ ボディオイル”は3位だった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “ヴァーベナ クリーンハンドジェル”

「ロクシタン」

 パンデミックの世情を反映した“ヴァーベナ クリーンハンドジェル”が首位。すっきり爽やかなヴァーベナの香りのハンドジェルは、エタノール(溶剤・清涼剤)を70vol%以上配合の、高濃度アルコール製品。手を洗いことが困難な外出先でもさっぱりとした使い心地でフレッシュに保つ。保湿成分のグリセリンを配合することで、優しくいたわりながら手肌をガードし、清々しい香りが強張った心を解きほぐす。今の時代に頼もしいアイテム。8月にはビッグボトルも登場した。(65mL、1400円 280mL、3900円)

2位 “ホイップトボディクリーム”

「ローラ メルシエ」

 2位の“ホイップトボディクリーム”は、空気を含んだ軽さでホイップクリームのようなテクスチャー。そのふわりと優しく肌を包み込むボディークリームが、シルクのようなしなやかな肌へとアプローチする。アンバーバニラ、クレームブリュレ、フレッシュフィグ、アーモンドココナッツミルクの4つの香りをラインアップする人気アイテムで、一日の終わる夜のケアで翌朝までほのかに香りが残る。カラーやベースメイクアイテムを主力とするブランドの隠れたベストセラー。(全4種、各300g、各6000円)

3位 “ハンドクリーム”

「ロクシタン」

 再び「ロクシタン」のベストセラーがランクイン。ブランドを広く知らしめた立役者といえる“シアバター”を配合したベストセラーの“シア ハンドクリーム”をはじめ、ユニークなフレーバーや公式通販限定品もラインアップする。そのバラエティー豊かな品ぞろえは、選ぶ楽しみをも与えてくれる。ポータビリティー性に優れたサイズ感は手荒れの気になる今は、とりわけ心強いアイテム。大切な人へのプレゼントとしても最適だ。(各30mL、各1400円)


バラエティー&ドラッグストア部門

1位 “恋するおしり ヒップケアソープ”

「ペリカン石鹸」

 1位は、「ペリカン石鹸」の“恋するおしり ヒップケアソープ”。角質をケアしながらも必要な潤いは守るダブル効果で、気になる黒ずみやざらつきなどの悩みを解消するヒップケアソープ。ピーチスクラブパウダーやこんにゃくボール、発酵ローズはちみつ、フルーツ酸を配合、古い角質を落とす。さらにモモ葉エキス、モモ種子エキス、ビワ葉エキス、キウイエキスアーチチョーク葉エキス、アロエベラ果汁の6種の保湿成分をプラス。甘いピーチの香りも好評だ。(80g、600円)

2位 “薬用中性重炭酸入浴剤”

「バース」

自然療養でも使われるドイツの希少な湯「中性重炭酸泉」を家庭のバスルームにも、との思いから生まれたブランドで、重炭酸の技術を詰め込んだプロダクト。2位に輝いた入浴剤は、さまざまな健康効果が期待できるバルネオトリートメント温浴法を推奨している。炭酸湯のキーとなるのは「重炭酸イオン」で、炭酸ガスがお湯に溶け込むことで生まれる。ほかにも自然由来のクエン酸、ビタミンCなどを配合する。(9錠、900円 30錠、2500円 90錠、6000円)

3位 “ホワイトバーチ ボディオイル”

「ヴェレダ」

 3位はドイツ発のオーガニックコスメブランドの「ヴェレダ」から、ヒップや太もも・二の腕まわりの肌のざらつきをケアするために開発されたボディーマッサージ用オイルがランクイン。ベースとなるアンズ核油などの植物オイルが肌をつるつるすべすべの肌へと整える、さらに、肌の引き締めやハリを保つために効果的なシラカバ葉エキスやナギイカダ根エキスをブレンド。マッサージしながらケアすることで気になる部分に働きかける。世界で累計1000万本を突破した人気作だ。(100mL、3800円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」ボディーケア・新製品部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。ボディーケア・新製品部門は、世情を反映した製品がランクインした。百貨店・セミセルフ部門の1位は、「ロクシタン(L’OCCITANE)」の“ヴァーベナ クリーンハンドジェル”。定番部門のダブル受賞となるほど注目されたアイテムで、「コロナ禍による需要増」の声は定番同様に数多あった。2位は長く愛され続ける「イプサ」(IPSA)」の“ザ・タイムR アクアオイル”。3位は「ディオール(DIOR)」から限定発売された、“ミス ディオール ブルーミング ボディ パウダー”だった。バラエティー・ドラッグストア部門の1位は、「紫外線予報」 の“さらさらUVスティック”。「昨年からUVスティックに注目が集まっている中、国産UVでは認知度のあるブランドからの発売ですぐに完売した」という。2位はパッケージリニューアルした「クナイプ(KNEIPP)」の“クナイプビオ オイル”、3位は「ニベア(NIVEA)」から新登場の高価格帯シリーズの“ニベア ロイヤルブルー ボディミルク”という結果となった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “ヴァーベナ クリーンハンドジェル”

「ロクシタン」

 パンデミックの世情を反映した“ヴァーベナ クリーンハンドジェル”が総合部門に続き、新製品部門でも首位を獲得。すっきり爽やかなヴァーベナの香りのハンドジェルは、エタノール(溶剤・清涼剤)を70vol%以上配合の、高濃度アルコール製品。手洗いが難しい外出先でもさっぱりとした使い心地でフレッシュに保つ。保湿成分のグリセリンを配合することで、優しくいたわりながら手肌をガードし、清々しい香りが強張った心を解きほぐす。今年8月にはビッグボトルも登場した。(65mL、1400円 280mL、3900円)

2位 “ザ・タイムR アクアオイル”

「イプサ」

 2位の“ザ・タイムRアクアオイル”は、滑らかな肌へと導く、オイル状美容液。ロングセラー化粧水の“ザ・タイムRアクア”の使い心地の良さと保水力を全身ケア用に応用して開発されたアイテム。独自のアクアオイル技術と保湿成分を採用し、肌に必要な水分量をキープ。水分補給効果を全身にたっぷり与える。ボディーだけでなく髪や指先、爪などにも使用できるマルチパーパス設計。20年1月に限定で発売された際、多くの支持を集めた。(100mL、5000円)※数量限定品

3位 “ミス ディオール ブルーミング ボディ パウダー”

「ディオール」

 3位は「ディオール」の限定品、“ミス ディオール ブルーミング ボディ パウダー”。「ミス ディオール」は、「ディオール」のフェミニニティーを象徴するシリーズで、ブランドのフィロソフィーである、モダンで好奇心旺盛な新たなエレガンスを伝える。繊細に、しかし眩いほどの輝きを放つ。カラブリアンベルガモットがみずみずしい輝きで体を包み込みながら、ホワイトムスクがふわりと混じり合うフレッシュフローラルな香りが特徴。(16g、5400円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “さらさらUVスティック”

「紫外線予報」

 1位は、UVケアブランド「紫外線予報」の“サラサラUVスティック”。手を汚さす使えるスティックタイプは、塗った直後にピタッと密着してパワフルにガードする。紫外線防御は極めて高い数値にも関わらず、デリケートな肌にも優しい無色素で無香料、ノンパラベン、ノンアルコール。さらに、アルブチンやコラーゲンなどの配合で肌の潤いにも考慮した。ウオータープルーフなのに石鹸で簡単に落とせるのもポイント。さまざまな肌質や環境にマッチする。SPF50+・PA++++(15g、1700円)※数量限定品

2位 “クナイプビオ オイル”

「クナイプ」

 完治した傷痕やニキビ痕などの肌の悩みのほか、肌の乾燥をケアなどにも活躍する100%天然由来成分のオーガニック美容オイル“クナイプビオ オイル”が2位。サンフラワー油にオリーブ果実油、グレープフルーツ果皮油などを配合し、フェイスはもちろんボディー、ヘアケアとしてマルチに使える。キメの整った滑らかな肌へとアプローチし、妊娠線予防対策オイルとしても一役を買う。高い基準を課すことで知られる、オーガニック国際認証のネイトゥルー(NATRUE)を取得するオイルは2014年にデビュー、20年9月にパッケージをリニューアルした。(20mL、500円 100mL、1800円)

2位 “ニベア ロイヤルブルー ボディミルク”

「ニベア花王」

 「ニベア」の新ライン、ロイヤルブルーが3位に。“美容ケア”と“乾燥トラブルケア”の2種をラインアップする。角層を潤わせるためにセラミドEやコレステロール、イソステアリン酸コレステリル、グリセリンなどを共通成分として採用し配合した。手に取った瞬間からとろけるような濃厚さからもニベア史上最高の価格帯を感じさせる。“美容ケア”はハリと透明感ある肌に、“乾燥トラブルケア”はしっとりとした健やかな肌にそれぞれ導く。【医薬部外品】(各200g、各1600円 ※編集部調べ)

2位 “ボディキュット”

「アガリズム(AGARISM)」

2位 “ホットボディジェル”

「バンビウォーター(BAMBI WATER)」

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

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ビンテージを軽やかに操る「ボーディ」 ウールマークプライズ受賞で波に乗る新鋭デザイナーの物作り

 ザ・ウールマーク・カンパニー(THE WOOLMARK COMPANY)が主催する「2020 インターナショナル・ウールマークプライズ(IWP)」イノベーション部門のカール・ラガーフェルド賞に、エミリー・アダムス・ボーディ(Emily Adams Bode)のメンズブランド「ボーディ(BODE)」が選出された。同賞は独創性と革新性が評価されたデザイナーに贈られる賞で、昨年死去したカール・ラガーフェルド(Karl Lagarfeld)の名にちなんで新設され、受賞者には10万豪ドル(約750万円)が贈られる。

 ニューヨークを拠点にするアメリカ人のボーディは、パーソンズ美術大学(Parsons School of Design)でメンズファッションデザインと哲学を学び、「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS」と「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」で経験を積んだ後に自身のブランドを2016年に立ち上げた。「手仕事の美しさをリスペクトし、新しい命を与える」というコンセプトのもと、アンティークのテキスタイルや工場で集めた余剰素材を使ってストーリー性のある服作りを行っている。IWPを受賞したコレクションは19〜20世紀のキルトやシルク、デッドストックのワッペン、馬用のブランケット、1930年代に稼働を終えたニット工場のステッチサンプルから着想を得たトレーサブル(追跡可能)認証済みのメリノウール・ジャカードニットなどを使っている。日本ではザ・ウールマーク・カンパニーのネットワークを通じてユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)やフリークスストア(FREAK'S STORE)、フェイ(FAYE) 、リリー デル サローネ(LILLY DEL SALONE)、ユニオン トーキョー(UNION TOKYO)、メイデンズショップ(MAIDENS SHOP)、HNWストア(HNW Store)などで12月末〜21年1月に販売される予定だ。受賞時の喜びやコレクションへの思い、日本との関係性についてをボーディに聞いた。

「チームを大きくするよりいい商品を届けたい」

——IWPに応募したきっかけは?

エミリー・アダムス・ボーディ(以下、ボーディ):デザインを学んでいた学生時代から歴史あるIWPに憧れていたけれど、当時はどこか遠い存在のように感じていたわ。でもブランドを立ち上げてから数シーズンを経て自分がやってきたことに自信を持てるようになったし、取引先とも良好な関係を築けている今が挑戦するのにぴったりのタイミングだと思ったの。

——受賞が決まった時の率直な感想は?

ボーディ:とっても感動した!IWPはカール・ラガーフェルドら数多くの有名デザイナーの才能を早くから見出していたし、そんな素晴らしい受賞者と肩を並べられて魔法のような瞬間だった。チームとともにこれまで創作に熱心に取り組み、一生懸命積み重ねてきた努力が実を結んだと実感したわ。私たちが評価されたのは、生産過程の工程で異なる要素が相互的に構成されている点じゃないかしら。具体的には、素材の製造背景とトレーサビリティ、ビジネスの透明性、クラシックでありながらイノベーションの要素も備えている点ね。

——賞金はどのように使う?

ボーディ:素材面に投資してさらにいい商品を作りたいわ。例えばメリノウール100%にしたり、トレーサビリティがより明確な素材を使用したりするとかね。今年はロックダウンを経験して、ビジネスにおいて成功とは何を意味するのかや、「ボーディ」にとっての成功とは何かを塾考したの。私たちが目指すのはショーを行ってチームを大きくすることじゃなくていい商品を届けることだから、生産面に投資しようという結論に至ったのよ。

——IWPの審査に向けて2020-21年秋冬コレクションでメリノウールを使用して何か新しい発見はあった?

ボーディ:ウールの中でも最高品質なうえに、天然繊維のため生分解性で再生可能な繊維だという魅力をより多くの人に伝えたいと思ったわ。IWPを意識したことでほかの素材についても改めて考える機会になり、繊維がどこで生まれ、どのように製造され、どんな生産者を選ぶべきかなどね。メリノウールの製造背景がとても明確だからこそ、素材を見て選ぶだけではなく、より深く考えて選択するべきなのだと学んだわ。

「日本は関係性が最も早く深まった国」

——点物や少量生産のアイテムが多い中でビジネスとのバランスをどのようにとっている?

ボーディ:一点物の商品の売り上げは全体の半分くらい。あとはデッドストックやアンティークのテキスタイルを使ってニューヨークとインドで生産しているの。ニューヨークでは仕立て屋や100年の歴史がある工場と、インドでは家族経営や女性だけが働いている小さな工場に依頼しているわ。IWPを通じてインドのウールの製造業者とつながることができたから、これからもっと多く生産ができるはずよ。これまでも製造業者や工場、サプライヤーとの関係性を強くして生産数を徐々に増やし、ブランドを少しずつ成長させてきたから今後も続けたいわ。大量生産できないからこそ顧客に特別感持ってもらえるしね。

——「ボーディ」の服を女性が着用しているのをよく見かけるが、ウィメンズのコレクションを制作する予定は?

ボーディ:今の顧客の半分は女性なのよ。日本を含め世界のいくつかの小売店は、女性顧客に向けて買い付けてくれている。だから「ボーディ」がメンズブランドだとうたう必要はないと思っているわ。ウィメンズのコレクションを作る予定は今のところないけれど、市場に参入すべきタイミングだと感じたら可能性はあるかもしれないわね。

——日本ではデビュー時から卸先が決まるなど支持を集めているがなぜだと思う?

ボーディ:日本はファーストシーズンから3か4店舗の小さな店が買い付けてくれて、関係性が最も早く深まった国の一つなの。今もシーズンごとに成長を続けているのよ。初期のころは今よりもっと限られた生産数だったのに、私たちの物作りを深く理解し消費者に届けてくれた。一点物やビンテージに扱いに慣れていたのかしら。だってイギリスのブラウンズ(BROWNS)やECのマッチズ ファッション(MATCHES FASHION)、ミスターポーター(MR PORTER)などはどのように販売すべきかを最初の数シーズンは模索していたように見えたから。今では理解してくれているけどね。

——日本の顧客の印象は?

ボーディ:日本はクラフトやビンテージへの敬意を持っているし、時間をかけて物を大切に育てることや愛着を持つ意識が強いから、「ボーディ」の価値を見出してくれたんじゃないかしら。本当は3月に初めて日本に行く予定だったのにキャンセルになってしまったから、次の機会に期待しているわ。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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子どもが嫌がる日焼け止め、虫除け、さらにマスク……、1つで3役になるアイテム、何か考えられませんか? エディターズレター(2020年10月28日配信分)

※この記事は2020年10月28日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

 

子どもが嫌がる日焼け止め、虫除け、さらにマスク……、1つで3役になるアイテム、何か考えられませんか?

 だいぶん秋が深まってきましたが、みなさんは自身の日焼け止めもそうですが、子どもの日焼け止め対策はどのようにしていますか?私が小さい時は、「子どもは太陽の光をいっぱい浴びて遊びなさい」と言われたものですが、今では子どもたちには「太陽の直接当たるところは避けて日陰で遊びなさい。(冬になっても紫外線はあるから)出かけるなら日焼け止めは忘れないでね。毎日必ず塗るんだよ」と繰り返しています。夏場は子どもも意識できますが、冬場はどうもないがしろにしがち……。時代が変わったというよりも、オゾン層の破壊による有害な紫外線が増えていることからですよね。

 私自身は年中、UV効果のある下地やファンデーションを使うので大丈夫ですが、子どもの日焼け止めは本当にやっかいです。小学校に上がる前の小さい子ではなおさらです。平日の朝はあんまり優雅ではありません。朝起こして、ご飯を作って、ご飯を食べさせて、服を着替えさせて、保育園で着替える服やタオル、エプロンなどを用意して、自分もご飯を食べて、服を着替えて、お化粧して、持っていくものを用意して……。自分が用意している間に、子どもがコップの牛乳をこぼして、服を着替えさせて、泣きわめき出したり、しまいには「保育園行きたくない」と駄々をこね出したり……。そんな状況の中、日焼け止め塗るのって至難の技。すんなり塗らせてくれたらいいけど、イヤイヤっていうことも多いし……あぁ大変。だから、会社の始業時間に間に合わなくなるので、日焼け止めは塗らないことも多かったりします。小学校に上がった子どもでも、「付けなさい」と言って、素直に毎日付けていく訳でもないので、口を酸っぱくして「付けていきなさいよ!」と言わなきゃいけないし、ほんと、バタバタ(苦笑)。

 さらに私の場合ですが、夏は日焼け止めよりも、虫除けに注意が向きがち。どっちかを塗るとしたら、虫除けにしちゃいます。蚊にでも刺されたら、子どもの柔らかく薄い肌は、真っ赤に膨れ上がったり、化膿したり、結構やっかいなんです。冬になったら虫除けはあまり必要なさそうですが、それでも虫はいます。さらにさらにですが、コロナ下でマスクが必須になった今、「マスク忘れないで」というのがプラスα。日焼け止め、虫除け、マスク……。大げさではなく、命にも関わることなので、ないがしろにできないですが、怒ってばっかりだと子どもに伝わらない……。

 いっそうのこと、1つで3役こなせたらいいのに。それを考えると日焼け止めと虫除けは一つで済む製品が出てきてくれるといいと思う(これは今でも出てきていますが、多くないとことをみると、開発は難しいんだろうなと思います)。さて、日焼け止めと虫除けとマスクは1回で“装着”となるでしょうか?マスクに日焼け止めや虫除けがかなう何かが付いている?そしたら目元は?フルフェイスだと何か可能なのかしら?でも子どもがそれを付けてずっといられる?うーん、悩ましい……。1つで3役になる何か、いいアイデアはありませんか?もしくは、子どもがすんなり受けて入れてくれる方法をご存知の方、教えてください!

HER OPINION:ママ、女性に関連するファッション&ビューティ業界の話題をお届けします。今、働くママを含めた社会進出が進む女性に関わる情報が増えてきました。彼女らにまつわるニュースをピックアップすることで、彼女らを支える彼らにも役立つニュースを紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」ヘアシャンプー・総合部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。ヘアシャンプー・総合部門の百貨店・セミセルフは香りも豊かな植物由来成分を配合したアイテムが並んだ。1位は、「ロクシタン(L’OCCITANE)」の“ファイブハーブス リペアリングシャンプー”。「香りだけでなく、さらっとした仕上がりも人気でリピーターが多い」という。2位に「ジョンマスターオーガニック(JOHN MASTERS ORGANICS)」の“イブニングPシャンプー N”、3位は、「アヴェダ(AVEDA)」の“インヴァティ アドバンス エクスフォリエイティング シャンプー”という結果だった。バラエティー・ドラッグストア部門では、「頭皮系シャンプー不動の人気商品」との声を受け、「スカルプD(SCALP D)」の“薬用スカルプシャンプー オイリー ”[脂性肌用] [医薬部外品]が首位。2位は、「ザ パブリック オーガニック(THE PUBLIC ORGANIC)」の“スーパーポジティブ ダメージリペア シャンプー”と、「ルメント(LE MENT)」の“スパークリングオイル クレンジング&シャンプー”がランクインした。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “ファイブハーブス リペアリングシャンプー”

「ロクシタン」

 熱や紫外線、乾燥などの環境による外的要因や、切れ毛や枝毛のダメージなどの悩みから救う“ファイブハーブス リペアリングシャンプー”が首位。従来の3倍にパワーアップした、独自の修復成分リペアリッチコンプレックスを新たに配合。豊かな泡が髪の内部に働きかけることで補正へと導く。ラベンダーにゼラニウム、スイートオレンジ、アンジェリカ、イランイランの5つのハーブをブレンドしたシャンプーは、洗うたびに潤いをプラスしながらダメージをケア。しなやかでさらさらの美しい髪をかなえる。(300mL、2600円 500mL、3800円)

2位 “イブニングPシャンプー N”

「ジョンマスターオーガニック」

 2位は、“イブニングPシャンプー N”。イランイランとゼラニウムが心地よく香る女性人気No.1で知られるシャンプーで、乾燥した髪と頭皮を潤すことに注力したリニューアル版。しっとりとした使用感で頭皮と髪の乾燥をケアする働きはそのままに、ココナツ由来などの洗浄成分を配合することで泡立ちがより豊かになった。ホホバ種子油やアボカド油、月見草油を配合した処方は地肌に優しく、しなやかで美しい髪へと導く。ハリとコシにも考慮してパワフルに進化した。(236mL、2900円 473mL 、4900円)

3位 “インヴァティ アドバンス エクスフォリエイティング シャンプー”

「アヴェダ」

 3位の“インヴァティ アドバンス エクスフォリエイティング シャンプー”は、アーユルヴェーダの知恵と先進の植物科学を融合して生まれたヘア&スカルプケアシリーズから、12年にデビューし、18年1月にリニューアルした「アヴェダ」のヒーロープロダクト。クリーンな頭皮にこそ健康な頭皮との考えをもとに作られたシャンプーにはウインターグリーン由来のサリチル酸やグルコサミンを配合した。汚れをしっかり除去しながら、頭皮の皮脂をコントロールする。(200mL、3300円 1000mL1万2375円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “薬用スカルプシャンプー オイリー”

「スカルプD」

 頭皮の健康こそ発毛の基本とするブランドフィロソフィーを体現する、“薬用スカルプシャンプー オイリー[脂性肌用] [医薬部外品]”が1位。19年に発売した14代目には、髪と頭皮の健康に導くゲットウ葉エキス、メリッサエキス、オオバクエキスのトリプル配合をメインに、湿潤剤である豆乳発酵液とカッコンエキスをプラス。頭皮環境を調整しながら、独自成分のアミノDウォッシュがパワフルに洗浄。頭皮が優しく潤う。(350mL、3612円)


2位 “スーパーポジティブ ダメージリペア シャンプー”

「ザ パブリック オーガニック」

 幸せホルモンに着目した“スーパーポジティブ ダメージリペア シャンプー”が2位。鍵を握るのは、独自にブレンドした3つの精油で、ソマリア産フランキンセンス精油、マダガスカル産イランイラン精油、グアテマラ産レモングラス精油をブレンドして配合。他者への愛情が増すホルモンのオキシトシンが大幅にアップする作用に加え、独自に配合した植物由来の濃密泡で外的ストレスからダメージを受けた髪を補修する。(480mL、1580円 詰替用 400mL、1180円)

2位 “”ルメント スパークリングオイル クレンジング&シャンプー”

「ルメント」

 販売本数はシリーズ累計160万本(2020年10月31日時点)を誇る“ルメント スパークリングオイル クレンジング&シャンプー”が同率2位。高濃度炭酸と希少価値の高いレアオイルと、厳選の美容成分を配合した濃密泡タイプのノンシリコーンシャンプー。3日に1度、いつものシャンプーに代えて使用することで艶やかで健康的な髪へと導く。高濃度炭酸で頭皮をしっかり洗浄しながら、低刺激のアミノ酸系成分で余分な油分だけを除去する。植物オイルや9種類の植物エキスが頭皮環境を整えながら、しなやかな髪とハリのある肌へと導く。
(200g、2400円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

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ガジェット好きに贈るテックギフト14選

 最新技術を備えたガジェット(電子小物など)は、年々新しい電化製品やアクセサリーが生み出されやすい分野でもあり、生活を便利に、そして豊かにするアイテムがそろう。使いこなせば、おうち時間の充実や仕事の効率アップを図ったり、スマートテクノロジーを活用して健康を管理したりすることもできる。バリエーションは、スマートフォンやイヤホンなどのデジタルデバイス向けの周辺アクセサリーからアプリと連動して使用する先進的なデジタルガジェットまで多彩だ。そんな中から、ソーシャルメディアを日常的に使いこなす人や、新しい電化製品や便利な道具が発売されるとすぐに試したくなる“ガジェット好き”が喜びそうなテックギフト14選をお届け!

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インフルエンサー名鑑Vol.6 プチプラファッションを発信する2児の母たいようがコーディネートやマイルール、子どものこと回答

 インスタグラムを筆頭とするSNSの普及で、「憧れの人」「なりたい人」が細分化している。今は、誰もが、それぞれの「なりたい人」を持っている時代。ならば、そんな身の回りの人を改めて知るべきではないか?そこで「WWDJAPAN.com」は、インフルエンサーをはじめとするソーシャルリレーション マーケティング事業を手がけるリデルの協力を得て、身近な新世代インフルエンサー名鑑を作成する。

 今回はプチプラブランドを中心に、アイテム情報やコーディネートなどを発信するたいよう。私生活では2児の母で、同世代のフォロワーを中心に支持を集める彼女には、コーディネートのポイントやアイテム選びのほか、インフルエンサー業と子育てについてなど私生活に関する質問も寄せられた。本人のパーソナルな考えも含めた質問と回答を一挙に公開する(2020年12月14日号の「WWDジャパン」には、彼女が現在に至るまでの経緯などを聞いたインタビュー記事を掲載します)。

プチプラファッションや着こなしについて

Q.:プチプラブランドを好きになったきっかけは?
A :インスタグラムで発信するようになってから、気付けば大好きになっていました。フォロワーさんとプチプラファッションの「可愛い!」を共感するのが本当に楽しいです。

Q.:一番洋服を買っているお店は?
A.:「しまむら」が一番多いです。宝探しみたいな感じで可愛いお洋服を見つけると、ついニヤニヤしてしまいます(笑)。

Q.:今年買ってよかったアイテムは?
A :しまむらで全色買いしたデニム。悩みだった下半身太りも、カバーしてくれて
テーパードデニムなので合わせやすい!このデニムに出会えて良かったです!

Q.:コーディネートを組む時のマイルールを教えてください。
A :カジュアルすぎない、フェミニンすぎないなど過度にならないことです。花柄スカートの場合、トップスをスエットにしたり、足元をスニーカーで外したり工夫します。デニムだったら、小物で女性らしさを加えて、コーディネートの中和を大切にしています。たまにすごくカジュアルなコーデをしたくなる時もありますが(笑)。あとは、小物を含め使う色は3色に抑えています。

Q.:コーディネートはどこから決めますか?
A.:まず始めにその日着たいアイテムを決めます。トップスだったり、ボトムスだったり、とくにアイテムに縛りはないです。アイテムが決まったら、カジュアルかフェミニンなどスタイルをイメージします。そして最後に小物でバランスを取る。小物使いがかなり重要です。

Q.:これは鉄板!というアイテムを教えてください。
A :ベージュのスニーカーです。基本どんなコーデにも合いますし、オールシーズン使えるので持っていて間違いなしです!

Q.:20代後半でもプチプラブランドを着こなすコツを教えて欲しい。
A :シンプルなコーディネートに、インパクトのあるアイテムを取り入れることです。例えば服も小物もシンプルだと、パッとしないコーディネートになってしまいがちなので、小物、または足元にインパクトのある物を取り入れるとグッと垢抜けます。

Q.:オシャレで防寒対策できるアイテムを教えてください。
「ユニクロ」の"ヒートテックコットンクルーネックT"がオススメです。今年は、レイヤードコーデがトレンドなので、ニットやパーカーなどのアイテムの中に着てお洒落を楽しんでいます。暖かいのですごく優秀です!私は、メンズのLサイズを購入しました。

Q.:よく買う色は?
A.:ベージュが多いです。何にでも合わせやすくて可愛いし、ついつい買ってしまいます。「あー、またベージュ買っちゃったよ」って後悔するときもあります(笑)。ベージュは大好きなので止められないです。

幸せな瞬間や子育て、人生の目標など

Q.:理想のデートは?
A :赤提灯系の焼き鳥屋でビールを飲むみたいなラフな感じが好きです。飾らなく自然体で楽しめるのが好きです。

Q.:好きな食べ物は?
A :カプリチョーザの"トマトとニンニクのパスタ"です!初めて食べた時は、衝撃的に美味しくて驚きました。最近は、中々食べに行けていないのでウズウズしています。

Q.:全身を自撮りするときのポイントを教えてください。
A :全身が入る距離で三脚で膝くらいの高さにカメラを置いて、スクエアで撮るとスッキリします。

Q.:インフルエンサーをしていて幸せを感じることは?
A :フォロワーさんに参考にしてもらえること。また温かいコメントやDMをいただけると、本当幸せだなぁと思います!いつも見てくださる皆様、ありがとうございます!

Q.:育児とインフルエンサー業というオンオフのバランスで気を付けていることは?
A :しっかり時間を決めて、オンとオフを明確にする。もし、時間内に終わらない時は、子どもが寝てからSNSの時間にするなど家族と過ごす時間を大事にしています。

Q.:座右の銘は?
A :イチローさんの言葉「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道」です。

Q.:今後の人生・仕事での目標は?
A :仕事での目標は、"身近でつい真似したくなるような着回しコーデ"を集約した本を出版することです!いつか実現出来て、誰かの身近な一冊になったらいいなと妄想しています。人生の目標は、子供との時間をたくさん作ること。子供の成長はあっという間なので、まだ「ママ〜!ママ〜!」な時期に、少しでもたくさん一緒

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」フレグランス・総合部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。フレグランス・総合の百貨店・セミセルフ部門はフレッシュな香りがそろった。1位は、「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」の“イングリッシュ ぺアー & フリージア コロン”。ブランド内でも揺るがない人気で、「SNSなどの口コミ」「リピート客、新客ともに多く、ギフト需要が高い」ことによる受賞となった。2位は「シロ(SHIRO)」の“サボン オードパルファン”、3位は「ディオール(DIOR)」の“ミス ディオール ヘアミスト”だった。バラエティー・ドラッグストア部門では日常に変化を与える、とりわけ「モテ」をキーワードにするアイテムが目立った。1位は、「フィアンセ(FIANCEE)」の“ボディミスト ピュアシャンプーの香り”。2位は「フェルナンダ」の“フレグランス ボディミスト(マリアリゲル)”、3位は「ジュテームH(JE T'AIME H)」の“オードトワレ”という結果だった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “イングリッシュ ぺアー & フリージア コロン”

「ジョー マローン ロンドン」

 「ジョー マローン ロンドン」のブランド内で不動の人気No.1を誇る“イングリッシュ ぺアー & フリージア コロン”がトップに輝いた。英国の果樹園で収穫したばかりの熟れた洋梨が持つ官能的なみずみずしさが香り立ち、白いフリージアのブーケで優しく包む。アンバーにパチョリの芳しくもパワーに満ちた香りに、エッジの効いたウッドが溶け出し、温かみをも感じさせる。その独創的でエレガントな香りはブランドフィロソフィーを具現化する。(30mL、8000円 50mL、1万1200円 100mL、1万6000円)


2位 “サボン オードパルファン”

「シロ」

 2位は、ミスト状香水“サボン オードパルファン”。時間とともに変わる香りを最大限に楽しめるように開発された一本。レモン、オレンジ、ブラックカラント、ライチのジューシーな色鮮やかなフルーツが重なり合いながら香り立つ。軽やか透明感のあるフレッシュな印象のトップノートから、ローズやジャスミン、スズラン、プラムを配したミドルへ。ベースのムスクやアンバーなどが力強く響かせ、柔らかくて深い香りで包み込む。(40mL、3800円)

3位 “ミス ディオール ヘアミスト”

「ディオール」

 「髪に香りを纏うことは、エレガントで心に響く所作。いにしえから続く、神秘的なフェミニティのサイン」と考える「ディオール」のフィロソフィーを具現化して誕生したヘアミストは、その魅惑的なエレガンスを投影。フレッシュな香りが長く持続させながら、髪を健やかに整えるための成分を配合した。髪の保護に有用な成分を含んだフォーミュラにほのかな香りを髪にプラス。上品に広がる香りでヘアからドレスアップする。(30mL、4500円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “ボディミスト ピュアシャンプーの香り”

「フィアンセ」

 1位の“ボディミスト ピュアシャンプーの香り”は、シャンプーを思わせる、ほのかに優しく広がる香り。シューとひと吹きした瞬間からお風呂上がりのような気分も与える香りは、場所やシーンを選ばず使えるカジュアルさが魅力。トップのグリーンアップルとレモンがフレッシュに香りながら、ミドルのジャスミンとミュゲの華々しさを引き出す。ムスクやウッディーが溶け出すラストにも清潔感を持たせた。(50mL、1200円)

2位 “フレグランス ボディミスト(マリアリゲル)”

「フェルナンダ」

 2位は、アクセサリー感覚でカジュアルに楽しめるボディミスト“フレグランス ボディミスト(マリアリゲル)”。「フェルナンダ」ブランド内の人気No.1のボディミストは、ヒアルロン酸などの保湿成分を配合。香りを楽しみながら美肌へとアプローチする。入浴後にひと吹きすれば、心身がリフレッシュ。ジャスミンと洋梨の甘やかな香りをベースに、すずらんのあたたかさで包み込む。ふわりと香る上品なウォータリーフレーバー。(100mL、1400円)

3位 “オードトワレ”

「ジュテームH 」

 「究極のモテ香水」の愛称で親しまれる、“ジュテームH オードトワレ”が3位にランクイン。キーとなるのはクレオパトラが愛し、いにしえより媚薬としても知られるジャスミン。そして、女性ホルモンの一つであるオスモフェリン。カシスやピーチの香りがみずみずしく弾け飛ぶ序章に、ジャスミンやムスクが華々しく混じり合うフローラルノート。「モテ」にフォーカスしたユニークなフレグランスは、フェロモンに着目して開発。(30mL、3000円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

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セクシービキニな香水の広告戦線に「異常アリ」? エディターズレター(2020年9月16日配信分)

※この記事は2020年9月16日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

セクシービキニな香水の広告戦線に「異常アリ」?

 今日は、「ドルチェ&ガッバーナ」の香水にまつわるお話。とはいえ、瑛人さんやTikTokではありません。

 皆さん、「ドルチェ&ガッバーナ ライトブルー 広告」とグーグルで画像検索してみてください。イタリア・シチリアかと思われますが、青空の下に澄んだ海、そこにメンズとウィメンズの香水“ライトブルー”というビジュアルをたくさんご覧いただけるでしょう。

 では今度は、同じ言葉を英語で打ち込み、検索してみましょう。打ち込むキーワードは、「DOLCE&GABBANA LIGHT BLUE AD」。すると、なんということでしょう!!真っ白なビキニ姿のモデル、ビアンカ・バルティとデイヴィッド・ガンディがボートに密着して寝そべったり、体を絡めあったりのビジュアルが勢ぞろいします。「同じ香水でも、日本と海外ではこんなに違うか!?」と驚愕するハズです。

 日本と海外でこんなにビジュアルが違うのは、イタリアンブランドのフレグランスと、コリアンドラマではないか?と思っています。イタリアンブランドならではの「男性らしさ」や「女性らしさ」が確立したのは、ミケランジェロの頃なのか?それとも、ムッソリーニの頃なのか?なんて考えることもありますが、いずれにせよ、イタリアンブランドによるフレグランス(特にメンズ)の海外ADは、「真夏の海辺で撮影しがち」「メンズモデルは日焼け肌でビキニになりがち」「男女ともにプールから上がりがち」です。でもそれは、日本では別の話。「セクシー」とか「セダクション(誘惑)」という概念は受け入れがたい人が多いと考えられている日本では、一線を画したビジュアルでコミュニケーションを図るブランドが多い印象です。反対にコリアンドラマの日本の広告ビジュアルは、「男女が1:1(もしくは2:1)になりがち」「背景ピンクに染まりがち」「タイトルにハートマークが入りがち」ですね(笑)。

 前置きが長くなりましたが、そんなイタリアンフレグランスの海外ADも、最近は変化しているそうです。海外でも「セクシー」や「セダクション」の要素は共感しがたいモノになっているようで、ビジュアルの刷新が相次いでいます。原因はジェンダーレスの潮流と、コロナによるマインドの転換でしょう。海外ADも、ステレオタイプや既成概念から脱却し始めているのです。「ヴィクトリアズ シークレット」の衰退を思い出します。

 香水の世界は今、店頭で香りを確かめるという行為が制限されているので、なかなかに厳しいという話を聞きます。セクシーなADもダメ、テスターの設置もダメとなると、残された手段はなんでしょう?そう、メッセージの発信です。多くの業界でブランドが消費者に直接語りかけるD2Cコミュニケーションが盛り上がっていますが、香水もまた調香師が自らの思いを香りのみならず、言葉でも表現する時代に突入しそうです。

 さぁ、一番共感できる香りを生み出し、言葉を紡ぐ調香師は誰でしょう?しばらくはそんな視点で、新作フレグランスをチェックしたいと思います。

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」フレグランス・新製品部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。フレグランス・新製品は、百貨店・セミセルフ部門で花々の芳しい香りの魅力に改めて気付かされるラインアップ。その首位に輝いたのは「ディオール(DIOR)」の“ミス ディオール ローズ&ローズ”で、「SNS効果もあり購入につながった」という。次ぐ2位は「シャネル(CHANEL)」の“ココ マドモアゼル ロー プリヴェ 〈ヘア&ボディ ミスト〉”、3位に「ティファニー(TIFFANY & CO.)」の“ティファニー & ラブ フォーハー オードパルファム”がランクインした。バラエティー・ドラッグストア部門の1位は「フィアンセ(FIANCEE)」の“パルファンラスティングスティック ピュアシャンプー”。「周りを気にせずどこでも付けられるのも人気の要因」との声があった。2位は、デビュー間もない「サンロクロク(366)」の“バースデーフレグランス”と、「ベキュアハニー(VECUA HONEY)」“ワンダーハニー ファンファントワレ ピュアキンモクセイ〈オードトワレ〉”などが上がった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “ミス ディオール ローズ&ローズ”

「ディオール」

 1位の“ミス ディオール ローズ&ローズ”は、明るいピンクの色調を香りでクリエイトした新作。ローズを色彩豊かな表情を持たせた「ディオール」パフューマー クリエイターのフランソワ・ドゥマシー(Francois Demachy)は、好奇心に溢れた新しいエレガンスを表現。摘み取ったばかりの香り高いローズに、ベルガモットとマンダリンのフルーティーでみずみずしい香りが鮮やかに弾ける。繊細で大胆に描かれた、カラフルなスパークリング フローラルが華麗に心を彩る。(50mL、9000円)

PHOTO : ©CHANEL

2位 “ココ マドモアゼル ロー プリヴェ 〈ヘア&ボディ ミスト〉”

「シャネル」

 「シャネル」初のナイト フレグランス“ココ マドモアゼル ロー プリヴェ 〈ヘア&ボディ ミスト〉”が2位。4代目の専属調香師を務めるオリヴィエ・ポルジュ(Olivier Polge)が手掛けた、この上なく柔らかでセンシュアルなオリエンタルフレッシュフルーティーの香りが眠りに就く前の時間を変える。ジャスミンとローズの花びらが繊細に調和しながら際立たせるのは、軽やかでセンシュアルなホワイトムスク。“ココ マドモアゼル”を軽やかで繊細に描いた新作が、肌やシーツに柔らかなベールをかける。(50mL、9800円 100mL、1万4500円)

3位 “ティファニー & ラブ フォーハー オードパルファム”

「ティファニー」

 3位は、フィルメニッヒ(FIRMENICH)を支える著名なパフューマーであるホノリン・ブランク(Honorine Blanc)とマリ・サラマーニュ(Marie Salamagne)の協働で調香した、“ティファニー & ラブ フォーハー オードパルファム”。ボタニカルなブルー バジルにジューシーなグレープフルーツがリズミカルに入り混じるトップ。そこにネロリやブルーセコイヤが調和しながら、温かみを与えたエピローグでフェミニンな色を残す。爽快でありながら豊潤な香りを内包する、モダンなフローラルウッディー。(50mL、1万3200円 90mL、1万8000円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “パルファンラスティングスティック ピュアシャンプー”

「フィアンセ」

 1位は、“パルファンラスティングスティック ピュアシャンプー”。人気作の同パルファンドトワレがスティックタイプになって登場。ヒアルロン酸Naとホホバ種子油の保湿成分を配合し、エタノールフリーの処方をかなえた。携帯に便利なスティック型の容器は、蒸着設計を採用。グリーンアップルとレモンが爽快にほとばしるトップノート。華やかさを添えるジャスミンとミュゲを、ベースのムスクとウッディーが柔らかくて深い香りで包む。やさしく寄り添うように、さりげなく芳香する。(3.5g、1350円)※数量限定発売

2位 “バースデーフレグランス”

「サンロクロク」

 年に一度の、自分だけの特別な日である誕生日に着目した新ブランドの“バースデーフレグランス”が2位。12種類のオイルと31種類のフレグランスを掛け合わせてクリエイトした366種をラインアップする。香りそれぞれに添えられたメッセージは、開封することで見ることができる。「わたしからあなたへ。あなたから大切な人へ」という幸せの連鎖が続くことを願い作られたフレグランスは親しい人へのプレゼントとしても一興。(全366種 各10mL、各2000円)

2位 “ワンダーハニー ファンファントワレ ピュアキンモクセイ〈オードトワレ〉”

「ベキュアハニー」

 2位は、“ワンダーハニー ファンファントワレ ピュアキンモクセイ〈オードトワレ〉”。胸を揺さぶるように芳香しながら、秋の訪れを告ぐ金木犀。咲きはじめた頃のピュアキンモクセイにベルガモットの爽やかさを与え、切なくも甘い記憶を蘇らせる。木々の葉の色付きが日増しに赤く染まるように、時間の経過とともに変化する香りを楽しめる。同シリーズは、フレグランスのほかにハンドクリーム、オールインワン保湿ジェル、浴用化粧料の4アイテムで構成。(13mL、1400円)※数量限定発売

2位 “ファンタジア オーデトワレ”

「アナ スイ(ANNA SUI)」

2位 “フレグランスヘアミスト ピカケ アウリィ”

「オハナ・マハロ(OHANA MAHAALO)」

2位 “ボディスプレー ウェディングデイ”

「ボディファンタジー(BODY FANTASIES)」

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」フレグランス・新製品部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。フレグランス・新製品は、百貨店・セミセルフ部門で花々の芳しい香りの魅力に改めて気付かされるラインアップ。その首位に輝いたのは「ディオール(DIOR)」の“ミス ディオール ローズ&ローズ”で、「SNS効果もあり購入につながった」という。次ぐ2位は「シャネル(CHANEL)」の“ココ マドモアゼル ロー プリヴェ 〈ヘア&ボディ ミスト〉”、3位に「ティファニー(TIFFANY & CO.)」の“ティファニー & ラブ フォーハー オードパルファム”がランクインした。バラエティー・ドラッグストア部門の1位は「フィアンセ(FIANCEE)」の“パルファンラスティングスティック ピュアシャンプー”。「周りを気にせずどこでも付けられるのも人気の要因」との声があった。2位は、デビュー間もない「サンロクロク(366)」の“バースデーフレグランス”と、「ベキュアハニー(VECUA HONEY)」“ワンダーハニー ファンファントワレ ピュアキンモクセイ〈オードトワレ〉”などが上がった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “ミス ディオール ローズ&ローズ”

「ディオール」

 1位の“ミス ディオール ローズ&ローズ”は、明るいピンクの色調を香りでクリエイトした新作。ローズを色彩豊かな表情を持たせた「ディオール」パフューマー クリエイターのフランソワ・ドゥマシー(Francois Demachy)は、好奇心に溢れた新しいエレガンスを表現。摘み取ったばかりの香り高いローズに、ベルガモットとマンダリンのフルーティーでみずみずしい香りが鮮やかに弾ける。繊細で大胆に描かれた、カラフルなスパークリング フローラルが華麗に心を彩る。(50mL、9000円)

PHOTO : ©CHANEL

2位 “ココ マドモアゼル ロー プリヴェ 〈ヘア&ボディ ミスト〉”

「シャネル」

 「シャネル」初のナイト フレグランス“ココ マドモアゼル ロー プリヴェ 〈ヘア&ボディ ミスト〉”が2位。4代目の専属調香師を務めるオリヴィエ・ポルジュ(Olivier Polge)が手掛けた、この上なく柔らかでセンシュアルなオリエンタルフレッシュフルーティーの香りが眠りに就く前の時間を変える。ジャスミンとローズの花びらが繊細に調和しながら際立たせるのは、軽やかでセンシュアルなホワイトムスク。“ココ マドモアゼル”を軽やかで繊細に描いた新作が、肌やシーツに柔らかなベールをかける。(50mL、9800円 100mL、1万4500円)

3位 “ティファニー & ラブ フォーハー オードパルファム”

「ティファニー」

 3位は、フィルメニッヒ(FIRMENICH)を支える著名なパフューマーであるホノリン・ブランク(Honorine Blanc)とマリ・サラマーニュ(Marie Salamagne)の協働で調香した、“ティファニー & ラブ フォーハー オードパルファム”。ボタニカルなブルー バジルにジューシーなグレープフルーツがリズミカルに入り混じるトップ。そこにネロリやブルーセコイヤが調和しながら、温かみを与えたエピローグでフェミニンな色を残す。爽快でありながら豊潤な香りを内包する、モダンなフローラルウッディー。(50mL、1万3200円 90mL、1万8000円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “パルファンラスティングスティック ピュアシャンプー”

「フィアンセ」

 1位は、“パルファンラスティングスティック ピュアシャンプー”。人気作の同パルファンドトワレがスティックタイプになって登場。ヒアルロン酸Naとホホバ種子油の保湿成分を配合し、エタノールフリーの処方をかなえた。携帯に便利なスティック型の容器は、蒸着設計を採用。グリーンアップルとレモンが爽快にほとばしるトップノート。華やかさを添えるジャスミンとミュゲを、ベースのムスクとウッディーが柔らかくて深い香りで包む。やさしく寄り添うように、さりげなく芳香する。(3.5g、1350円)※数量限定発売

2位 “バースデーフレグランス”

「サンロクロク」

 年に一度の、自分だけの特別な日である誕生日に着目した新ブランドの“バースデーフレグランス”が2位。12種類のオイルと31種類のフレグランスを掛け合わせてクリエイトした366種をラインアップする。香りそれぞれに添えられたメッセージは、開封することで見ることができる。「わたしからあなたへ。あなたから大切な人へ」という幸せの連鎖が続くことを願い作られたフレグランスは親しい人へのプレゼントとしても一興。(全366種 各10mL、各2000円)

2位 “ワンダーハニー ファンファントワレ ピュアキンモクセイ〈オードトワレ〉”

「ベキュアハニー」

 2位は、“ワンダーハニー ファンファントワレ ピュアキンモクセイ〈オードトワレ〉”。胸を揺さぶるように芳香しながら、秋の訪れを告ぐ金木犀。咲きはじめた頃のピュアキンモクセイにベルガモットの爽やかさを与え、切なくも甘い記憶を蘇らせる。木々の葉の色付きが日増しに赤く染まるように、時間の経過とともに変化する香りを楽しめる。同シリーズは、フレグランスのほかにハンドクリーム、オールインワン保湿ジェル、浴用化粧料の4アイテムで構成。(13mL、1400円)※数量限定発売

2位 “ファンタジア オーデトワレ”

「アナ スイ(ANNA SUI)」

2位 “フレグランスヘアミスト ピカケ アウリィ”

「オハナ・マハロ(OHANA MAHAALO)」

2位 “ボディスプレー ウェディングデイ”

「ボディファンタジー(BODY FANTASIES)」

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

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教えて!パタゴニアさん 連載第3回 トレーサビリティーが大切な理由

 サステナビリティ先進企業のパタゴニアの担当者にその取り組みを聞く連載第3回。今、全産業的に重視されているのが企業活動における“透明性”ですが、ファッション産業では特に、商品をトレーサブル(追跡可能)にすることが重視されています。とても複雑なサプライチェーンを、労働環境や環境への負荷を把握して透明化するのは至難の業。パタゴニアはこの難しいテーマにどう取り組んでいるのでしょうか。篠健司・環境社会部ブランド・レスポンシビリティ・マネージャーに聞きます。

WWD:なぜ衣料品はトレーサブル(追跡可能)であるべきなのでしょうか。

篠健司・環境社会部ブランド・レスポンシビリティ・マネージャー(以下、篠):トレーサビリティーは、複雑なサプライチェーンによって生産される製品に、当社が使用している環境的、社会的な責任を追及した素材・慣行が、実際に用いられていることを証明する最善の方法と言えます。

WWD:改めてサプライチェーンを整理すると。

篠:衣料品のサプライチェーンは、糸の原料となる作物の栽培や毛をとる動物の飼育から、生地を縫製して衣類を製造し、完成した製品を倉庫や店舗、そしてお客さまの玄関先に配送するまでの全ての行程を包括する言葉です。繊維の産地から製品の完成に至るまで、サプライチェーンは多くの関係者によって成立しています。当社の場合も、多くの製造工場、繊維工場、紡績工場、加工工場、リサイクル工場、農場に依存していて、とても複雑です。

WWD:生産過程で環境に負荷が大きくかかっています。

篠:アパレル生産は、あらゆる段階で自然資源に依存していて気候変動に関与しています。例えば、石油を原料とするポリエステル、化石燃料で稼働する機械による織物、化学染料を使った染色や防水処理、工場と倉庫、店舗間の製品輸送、プラスチック製梱包資材を使ったお客さまへの配送などを通じて温室効果ガスを排出しています。

WWD:そうした中でどのように環境や人権に配慮したモノ作りをしていますか?

篠:こうした環境的・社会的影響を最小限に抑えるために、当社は製品の大部分に、オーガニックコットン、トレーサブルダウン、レスポンシブル・ウール・スタンダードを満たしているウール、天然ラバー、あるいはその他のリサイクル素材を含む、環境的に最も持続可能な、あるいは動物福祉に配慮した素材を開発・採用しています。またその公正な労働を推進するためにフェアトレードに取り組んでいます。

WWD:そうした取り組みを証明するためにトレーサビリティーが有効だということですね。

篠:はい。当社では厳格な第三者機関認証を得るためにサプライヤーと協力してきました。第三者認証を受けたトレーサビリティーは、製品に使用している素材が選択したものであることを保証するだけでなく、最終製品に至るまでの多数の工程において、別素材の混在や代替が行われていないことを保証します。

パタゴニアが取り組むトレーサビリティー

WWD:そんな中で、パタゴニアは透明性、トレーサビリティーにどのように取り組んでいるのでしょう?
篠:07年に透明性を最大限にするためにサプライチェーン情報を提供するサイト「フットプリント・クロニクル」をローンチし、ウェブサイトに全ての契約工場のリストを公開しています。現在、弊社のオンラインショップでは、弊社製品が製造された工場の名前と所在地を含む社会的・環境的属性を掲載しており、お客さまが購入前に確認することが可能です。

WWD:具体的なトレーサビリティーへの取り組みを教えてください。

篠:全ての最終製品工場(一次サプライチェーン)に対して社会的・環境的監査を行っています。

・全ての縫製工場とその下請工場(スクリーンプリント、洗浄、刺繍工場など)を含む一次サプライヤーについては、公正な労働慣行、安全な就労環境および環境への責任を促進・維持するために、「サプライヤー職場行動規範」を適用して米国のNGOである公正労働協会(Fair Labor Association)による監査など数々の適正評価を実施しています。

・全ての新しい工場との契約前に、厳密な水準を満たすことのできないサプライヤーを除外する効果的なプロセスとして「4段階スクリーニング・アプローチ」と呼ぶ評価システムを導入しています。

主要原材料サプライヤー(二次サプライチェーン)も監視し、それらの工場に対しても一次サプライヤーに適用しているものと同等の監査/是正工程を採用しています。

・原材料の原産地情報は、品質と環境および社会面での影響を管理するために必要であり、サプライヤーには、調達アンケートとサプライチェーン・マッピング全ての提出を要求しています。

・生地や飾り付け部品に関しては、プロフィールシート、サプライチェーン追跡シート、関連する全ての第三者機関の認定書を要求しています。

・社会的責任プログラムについても、全ての生地と飾り付け部品のサプライヤーが、雇用慣行、従業員の苦情対処方法、リサイクル方針、その他の社会的・環境的の取り組みなどの主要な社会的責任に関する指標について工場の監査をすることを義務づけています。

現在、農場レベルまでのサプライチェーン・マッピングを開始しています。

・パタゴニアが使用する環境に配慮した素材には、オーガニックコットン、トレーサブルダウン、テンセル・リヨセル、ヘンプ、バイオラバーなどの農場に由来する素材を含んでいます。

・適用可能な場合には、NSFトレーサブル・ダウン・スダンダード、GOTS(Global Organic Textile Standard)、オーガニック・コットン・スタンダード、フェアトレードなどの認証を活用しています。

WWD:全てをトレーサブルにするための課題は何ですか?

篠:2007年に「フットプリント・クロニクル」を開始したときの当社の目標は、「全ての製品のサプライチェーンの全段階を示すこと」でした。当社のサプライチェーンは深く、複雑で、変化し続けています。そのためサプライヤーと強固な関係の構築に努めており、多くのサプライヤーが「フットプリント・クロニクル」に掲載されることを喜んでいます。しかし、さまざまな懸念から非公開を希望するサプライヤーもいるのが現状であり、当社はそうした要望を尊重しているため、全てのサプライヤーの所在地を開示することはできておらず、完全な透明性には至っていません。また、当社は、あらゆる場所で何が起こっているのかを瞬時に知ることはできませんが、定期的にサプライヤーを監査し、重要な発見を共有しています。

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それでも、「欠品」はダメですか? エディターズレター(2020年9月14日配信分)

※この記事は2020年9月14日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

それでも、「欠品」はダメですか?

 ファーストリテイリングの上級執行役員だった神保さんの連載を担当して、店舗における「欠品」という“事態”の深刻さの一端を垣間見た気がします。店舗の評価に直結する重要なチェックポイントなんですね。

 「そんなコトも知らなかったのかよ!」と怒られてしまいそうですが、改めてボリュームゾーンでは「欠品=機会損失」という認識なのだと学びました。でもラグジュアリーでは「欠品=人気の証」でもありますよね(違いますか!?)。だとしたら、ボリュームゾーンでも「いやぁ、人気であっという間に売れちゃったんすよ」じゃダメでしょうか?甘っちょろいでしょうか?だとしたらファッション&ビューティ(カラーコスメ)の世界は、大変ですね。「欠品はダメ」、なのに「シーズン終わりに売れ残ってもダメ」なんて。僕なら「そんなの、ムリです!」って逃げ出してしまいそうです。

 やっぱり「甘い」と言われるかもしれませんが、もうちょっと続けさせてください。「欠品」で怒り狂う人って、そんなにいるのでしょうか?1分間想像してみましたが(余談ですが、この「1分間だけ真剣に想像する」、オススメです。1分だけ、でもあらゆる業務をストップして想像すると、何かが見える時って結構ありますよw)、百貨店のバイヤー以外、思い浮かびませんでした(笑)。確かにこの方々は、「欠品」に対してとってもシビア!でも、消費者はどうでしょう?そりゃ私も「え~、マジか」くらいは口からポロリと出ちゃうかもしれないくらいガッカリはしますが、美味しいご飯を1回食べれば忘れます(笑)。友人は常に「じゃあ、メルカリで探すか?」と“リセット上手”です。Twitterでは、「サーバが落ちた!」とか「カートには入れられたのに……」とか「いつか、買えるときが来るんだろうか?」なんて投稿を目にしますが、いずれも「怒り心頭!!」ではなく、むしろ投稿までの一連をエンターテインメントとして楽しんだ感さえあります。そんな投稿を見るたび、「売り切り御免」でいいんじゃない?って思うのです。

 もしくは「再販」でいいんじゃないですかね?「追加生産」・「追加入荷」だと「発売」したシーズンのセール期間が終わるまでに売り切るプレッシャーに駆られてしまいそうなので、「再販」で仕切り直すのはいかがでしょう?些細な違いなように思うかもしれませんが、「言霊」なんて言葉もある国です。言葉は心を、そして体を支配するほどの力を持っています。だから「追加生産」・「追加入荷」ではなく、「再販」。これが許されるブランドへの進化を遂げることができたら、「欠品」はだいぶコワくなくなるのでは?って思うのです。「フーフー」の高坂マールくんは、「買えなかった~」という投稿さえ結構リツイートしています。「欠品」は深刻なものではなく、「再販」への通過点と捉えているのかな?

 サステナブルなマインドが浸透し、私たちのビジネスは、3年前と大きく変わりました。3年前は「暗黙の了解」だった廃棄も、今は許されないムードです。ならば在庫というリスクと背中合わせの、「欠品」を必要以上に忌み嫌う感覚もアップデートすべきでは?と思います。それでも、「欠品」はダメですか?

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」美容機器&ツール・総合部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。美容機器&ツール・総合の、百貨店・セミセルフ部門の結果は、昨今のステイホームにおけるホームケアが注目されていることを思わせる結果に。1位の「リファ(REFA)」“リファモーションカラット”には「定番の型で全身に使用できる汎用性の高さが人気」の声が聞かれた。2位は「アヴェダ(AVEDA)」の“パドル ブラシ”、3位は「エスト(EST)」の話題作“バイオミメシス ヴェール”がランクインした。バラエティー・ドラッグストア部門はユニークなアイテムが目を引いた。1位に「アイプチ(R)(EYEPUTTI)」の“ひとえ・奥ぶたえ用カーラー”は、「ひとえや奥ぶたえの悩みを解消してくれる、ありそうでなかったカーラー」と斬新なアイデアでヒット。新見千晶ヘアメイクアップアーティストがプロデュースする「シュガーシービューティー(SUGAR.C BEAUTY)」の“クウォーツ フェイシャル ローラー”と、「リファ」の“リファカラット”が同率2位だった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “リファモーションカラット”

「リファ」

 “リファ プロ”と“リファ カラット”を発表してから約10年、美容機器メーカーのパイオニアはお客の声に応えて進化し続ける。1位に輝いた“リファモーションカラット”は体のどのパーツにもしっかりフィットしながらつまみ出し、より肌に優しい設計を実現。その秘密は独自に開発されたモーションローリングによるディープドレナージュ作用で、深く、広く、優しくアプローチすることを可能にした。プラチナムコートと防水構造を施し、時間や場所を選ぶことなく、フェイスからボディーまでケアできる。緩やかに可動するローラーが肌のあらゆるパーツの起状にフィットして捉えながらしなやかで美しく整える。(2万8500円)

2位 “パドル ブラシ”

「アヴェダ」

 どんな髪質でも使えるように考慮された、木製のヘアブラシが2位を獲得。長さ251mm×ブラシ幅86mmの広い面と優れたクッション性を備えているのが特徴。細部にわたるケアしやすい配慮で03年9月の発売以来、多くの支持を得ている。ブローやスタイリング時の髪や頭皮を優しくケアし、ダメージを緩和。さらに、ヘッドマッサージ用としても活躍するため、撮影現場で愛用するヘアメイクアップアーティストやモデルなど、美容のプロフェッショナルからの支持も高い。(3000円)

3位 “バイオミメシス ヴェール”

「エスト」

 センセーショナルに誕生した「花王」の“エスト バイオミメシス ヴェール”が3位にランクインした。最新の技術と研究の粋を集め、独自に開発した一本の糸。それを“バイオミメシス ディフューザー”から吹き付けて肌を透明のベールで包み込む。翌朝まで湿潤環境を維持しながら整え続けるというものだ。最初に専用美容液の“ヴェールエフェクター”を塗布した後、ディフューザーに“ヴェールポーション”をセットして肌に噴射する。叡智を結集した最先端のフェイスマスク。(バイオミメシス ヴェール ディフューザー 5万円 同ヴェールエフェクター 40g、1万2000円、同ヴェールポーション 9mL、8000円)

3位 “ヘアビューロン 4D Plus[ストレート]”

「バイオプログラミング(BIOPROGRAMMING)」

3位 “リファビューテック ドライヤー”

「リファ」


バラエティー&ドラッグストア部門

1位 “ひとえ・奥ぶたえ用カーラー”

「アイプチ(R)」

 日本人の眼球サイズとまぶたの厚みに着目した、“ひとえ・奥ぶたえ用カーラー”が首位を獲得。アイデアの斬新さだけでなく細部に至るまでこだわりの詰まった製品で、独自のカーブと山型に盛り上がったプレートを採用。まつげを残すことなく根本からキャッチして立ち上げる。まぶたを押し上げることで、隠れたまつげの生え際の引き出しやすさも考慮した設計だ。さらにまつげの負担を軽減しながらも簡単に、思い通りの仕上がりを可能にした。替えゴム2個付き。(1500円)

2位 “クウォーツ フェイシャル ローラー”

「シュガーシービューティー」

 大小、異なる大きさの天然石が血行を促しながら、すっきりとした表情に整える美顔ローラー“クウォーツ フェイシャル ローラー”が2位。メークアップアーティストがプロデュース。わずかな時間で肌のコンディションがアップし、フレッシュな印象へと導く。使い方は簡単で、メイク前に、またお風呂上がりに3分ほどころころと転がしてケアするだけ。ローラーに用いられているパワーストーンの天然石は全4種、直感で選ぶことを推奨。長さ140mm×幅大43mm×幅小24mm。(全4種、各3800円)

2位 “リファカラット”

「リファ」

 12年のデビュー以来、多くの支持を得続ける“リファカラット”が3位。360度マルチアングル構造の採用がエステティシャンのニーディング手技を再現。深くつまみ流す、複合的な動きは、搭載されているダブルドレナージュローラーとアークハンドルが可能にした。これらが血流やリンパに働きかけながら全身を美しく整える。マイクロカレントを発生する機能も備え、肌にハリと艶をもたらす。バスタブでもケアできる防水仕様で頼もしい一台。(2万3800円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」美容機器&ツール・新製品部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。美容機器&ツール・新製品部門は美容意識の高まりや自分のために行うものとしてのケアを支えるアイテムが目立った。百貨店・セミセルフの1位と2位は「リファ(REFA)」で、 “リファビューテック ドライヤー”と“リファビューテック ストレートアイロン”がランクイン。1位のドライヤーには「髪に潤いを残しつつ、しっとりとした仕上がりに支持」などの声があった。3位は今年百貨店の全国展開がスタートした「エスト(EST)」の“バイオミメシス ヴェールディフューザー”。バラエティー・ドラッグストアは3製品が同率1位。「サロニア(SALONIA)」“スピーディーイオンドライヤー”は、「細身でカールもしやすく、コスパが高いと評判」の声。ほか、「アイプチ(R)(EYEPUTTI)」 “ひとえ・奥ぶたえ用カーラー”と、アテックスの新ブランド「ルルドスタイル(LOURDES STYLE)」の“EMSシート”が同率1位だった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “リファビューテック ドライヤー”

「リファ」

1位は、日本のプロフェッショナルの技を最新の技術で再現する「リファ」の新シリーズ、第一弾の“リファビューテック ドライヤー”。20社以上のサロンと協働開発したドライヤーが、サロンで仕上げた直後のような美しい髪を実現する。髪の温度を60度以下にキープできるようコントロールしながら、髪の水分量を高めるハイドロイオン機能を付与。しっとり、あるいはボリュームアップさせたいなどの好みの仕上がりによってモードも選択できる。(全2色、各3万3000円)

2位 “リファビューテック ストレートアイロン”

「リファ」

 1位に続き、2位も「リファ」の新シリーズがランクイン。“リファビューテック ストレートアイロン”はドライヤーと同時に発表、発売されたアイテムで、プロフェッショナルの技術を再現することに注力。独自のカーボンを搭載した3枚構造が、熱、圧、水による髪のダメージを軽減し、美しいストレートヘアに仕上げる。また「WWDビューティ」の2019年下半期ベストコスメ 美容機器・ツール部門でも“リファビューテック ドライヤー”とダブル受賞している。(1万8000円)

3位 “バイオミメシス ヴェールディフューザー”

「エスト」

 最新の技術と研究の粋を集め、ファインファイバーテクノロジーを応用して開発された一本の糸。それを“バイオミメシス ヴェールディフューザー”から吹き付け肌に透明のベールで包み込む。翌朝まで湿潤環境を維持しながら整え続ける。最初に専用美容液の“ヴェールエフェクター”を塗布した後、ディフューザーに“ヴェールポーション”をセットして肌に噴射。エポックメーキング的といえる、このアイテムが新たな美容の扉を開く。20年9月4日には“ヴェールエフェクター”、“ヴェールポーション”、“ヴェールアプリケーター”の4品セットのレンタルサービスも開始した。(5万円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “スピーディーイオンドライヤー”

「サロニア」

 大風量でスピーディに乾かしながら、髪の優しさに考慮したマイナスイオンを搭載した“スピーディーイオンドライヤー”。2.3平方メートル/分の大風量で、ドライ時間を大幅にカット(他サロニア製品比30%短縮)することでキューティクルのダメージを軽減した。折り畳み式の採用と軽量設計の優れたポータビリティー性は、外出先でのケアでも活躍する。ターボ、セット、クールの3モードの切り替えはシンプル。(全4色、各4980円)

1位 “ひとえ・奥ぶたえ用カーラー”

「アイプチ(R)」

 同率1位で、“ひとえ・奥ぶたえ用カーラー”がランクイン。日本人の眼球サイズとまぶたの厚みに着目した。アイデアの斬新さだけでなく細部に至るまでこだわりの詰まった製品で、独自のカーブと山型に盛り上がったプレートを採用。まつげを残すことなく根本からキャッチして立ち上げる。まぶたを押し上げることで、隠れたまつげの生え際の引き出しやすさも考慮した設計だ。さらにまつげの負担を軽減しながらも簡単に、思い通りの仕上がりを可能にした。替えゴム2個付き。(1500円)

1位 “EMSシート”

「ルルドスタイル」

 同率1位の“EMSシート” は、「自宅で手軽に、理想のカラダへ。」を惹句にする新ブランド「ルルドスタイル」の第一弾。光の方向によってオーロラ色に変化するユニークなデザインのシートはわずか1mmと薄く、シルバーのウェーブ柄をプリント。脚と腕にパワフルに働くEMSの機能をより効果的にする。水を入れて用いるアトマイザーも付属されている。また低、中、高周波の3つのモードと8段階の強弱調整も自在に設定できる。シートの上に乗った瞬間に、本格的なトレーニングがスタート。(5000円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

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爆裂!健康美容マニア道 口コミで爆発的人気!元力士の小顔整体

 1日8食、ジャンクフード漬けの超不健康児から超健康優良児へと大変身を遂げたフリーアナウンサーの名越涼。およそ15年かけて自らの体で人体実験を繰り返してきた結果、“超絶良かったもの”だけをここで余すことなくお伝えする。今回は元力士が施術する小顔整体について。

 ゆるみ・たるみ・むくみ。これ、勘弁してほしい3大「◯◯み」であり、年齢と共に向き合わざるをえなくなってくる問題である。「いいの。私はたるんでいても、わ・た・し」と言える強さがあればいいんだけど、年々横と下に広がっていく自分の顔にガクブル。恐ろしいのは、この「◯◯み」を放っておくとパンパン顔が定着してしまうこと。そしてそうした自分の姿にハッと気付き、つぶやくのだ。「あぁ。小顔になりたい」と。しかし、今は違う。ゴッドハンドに出合ったのだ。かれこれ6年間も足しげく通っているのには、れっきとした理由がある。そう、それは圧倒的な結果。それが数字で見える化されるから「なんとなく、顔、小さくなったかも♡」ではなく「ほ、本当だ……!」と確信できる。今回は、ゴッドハンドを持つ元力士のすんごい小顔術をご紹介しよう。

確かな経験に基づいた小顔掌術

 来年4月で10周年を迎える酒井流整体。スポーツ選手や芸能関係者など健康美容のプロたちからも絶大なる信頼を得ているところである。もともと力士だった酒井政秀先生。20 歳で引退し、カナダで半年間カイロプラクティックを勉強、その後中国で経絡や漢方整体を学んだ。帰国後は山梨県を拠点に、ひどい腰痛や四十肩を専門に開業。偏頭痛の治療をしていたときに顔が小さくなるのが分かり、そこから研究を始め「酒井流整体」を確立。その後は、結果に驚いた人たちによる口コミで爆発的に広がっていったのだ。

 施術はまず、体の整体から始まる。気の流れやリンパの流れを整え、滞りをなくし、老廃物をきちんと出せるように整えていくのだそう。これが正直、叫ぶレベルで痛い。どんな整体に行ったって「強めでお願いします♡」ってオーダーする名越でも「うおお!」って声を放ったレベル。だって、体のツボというツボに真っ直ぐに向かってくる圧倒的なパワーのすごさっていったら。老廃物がたまりすぎてるブラックボックス的なところに「はいは〜い!悪いもの発見!」って容赦なくやってくるから、もうね、異次元の痛さなのですよ。

 老廃物の塊をやっつけられてぐったりしているところに「流しますね〜♡」と女神登場。奥様のゆりさんが悪いものを振動マシンで流して仕上げてくれる。そうして体を整えたら、いよいよ顔の施術が始まる。

下顎−2㎝弱の圧倒的な結果

 小顔掌術は基本1セット2回。頭をもみながらほぐし、ゆがみを指先で把握しながら調整していく。1回だけでも「あれ⁉︎顔が小さくなった⁉︎」と心躍るのだが、2回目が終わった時点でそれは確信に変わる。「これは、本物だ」と。酒井流整体では最初の施術前に顔の大きさを計測する。そう、ビフォー・アフターの違いが数字で分かるから、そのすごさを実感できるのだ。私自身、通い始めたころと今の顔の大きさを比べると、なんと頬骨は12.7㎝から11.6㎝に。下顎は11㎝から9.4㎝になっていた。顔という範囲の狭い中の1㎝縮小はとてつもなく大きい。「骨は呼吸と共に動く。ただ押せば小さくなるのではなく、骨の仕組みを分かっているかが大事」という酒井先生。骨へのアプローチだからこその圧倒的な結果。その後、サイズをキープできるかは生活習慣によって変わるため、定期的にメンテナンスするのがおすすめ。そうそう、月1回を4〜5カ月続ければ、大体の戻り幅と骨の性質が分かるそう。

 ちなみに、酒井先生がプロデュースした水も販売されている。DNAの修復作用があるとされる528Hzを含んでいる水で、細胞レベルからの回復が期待されるそう。なにそれ!健康マニア的に、たまらん!

酒井流整体
営業時間:11:00~20:00
定休日:水曜日・木曜日
電話番号:070-5024-4976
住所:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-7-5 青山セブンハイツ605

名越涼/フリーアナウンサー。香港出身。福井と愛知のテレビ局アナウンサーを経て独立。司会やライター、セミナー講師、企画・プロデュースなど幅広く活躍するパラレルワーカー。趣味・特技は手作り発酵食、食文化研究、ヨガ(歴15年)eスポーツと農業にも精通

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「オーシャントーキョー」の高木琢也代表 バズった「カリスマシール」の裏側を語る

 人気ヘアサロン「オーシャントーキョー(OCEAN TOKYO)」の高木琢也代表が10月に始めた“カリスマシール”の施策が話題を集めている。高木代表を含めた同サロンの9人の幹部のシールを作り、オリジナルヘアケア「オーシャントリコ アンサーシャンプー」か「同 トリートメント」を購入すると1枚付いてくるという企画で、シールが数量限定ということもありSNSで大いに“バズった”。ここではその背景や目的を、企画の発案者でもある高木代表に聞いた。

WWD:企画を思い付いたきっかけは?

高木代表(以下、高木):僕はいつもスタッフやメディアに「自分たちの仕事は髪をカッコよくするのは当たり前で、プラスアルファがないとだめ」と言っていて、考え方のベースは常にそこにあります。商品にしても、使って髪がきれいになるのは当たり前で、さらなるワクワク感を提供したいと考えていました。髪だけじゃなく心を動かすものを作りたかったんです。シールに関しては、僕自身も「ドラゴンボール」や「キングダム」の“どの種類が入っているか分からない”シールでワクワクした経験があるので、以前からうちでもやりたいと考えていました。そのうちにコロナ禍で世の中のムードが沈んでしまい、改めてお店に来てくれる人にはワクワクしてほしいという思いが強くなったので、このタイミングでスタートしました。

WWD:バズりましたね。

高木:狙い通りですね。バラエティーショップでも販売しているのですが、とある店舗では(シャンプーが)1カ月に400本売れれば大ヒットとされるところ、1日で400本売れたみたいです。

WWD:バズらせるためにこだわったポイントは?

高木:一番こだわったのは「キラシールじゃないとだめ!」ということ(笑)。普通のシールならもっと作りやすかったけど、キラキラしていないとアガらないですよね。あとディテールにもかなりこだわりました。例えば僕のシールは、ヘアコンテスト(業界最大級の「ホットペッパービューティー」主催のヘアコンテスト)で3連覇しているのでトロフィーが3つあって、背景が富士山で、天下を取った将軍がひれ伏しているんです(笑)。幹部たちのシールに関しても「いつも自分が着ているような服にしよう」と話したほか、例えばフェードスタイルが得意な七五三掛代表はバリカンを持っていたり、パーマが得意な森田店長のパーカのフードにロッドが入っていたりと、個性を出すためのアイデアは時間をかけて練りました。

WWD:確かに、見れば見るほどこだわりを感じる。

高木:そうですね。あとこれは仕事にも通じるところがあって、僕は「技術の細部へのこだわりが個性を生んで、その個性を打ち出せないとスタイリストとして売れない」と考えているんです。このシール作りを通してそのことが伝われば、という裏の狙いもあります。

WWD:シールになった幹部たちも絶対嬉しいと思う。

高木:幹部たちも喜んでくれたし、その下のスタッフたちも「自分も頑張ればシールになれる!」と夢を持ってくれたと思います。一人のスターがいる会社はたくさんあるけど、当社はそうではなく、全員にスターになってほしいと考えているんです。僕だけでなく、幹部たちのシールも作ったことで、その姿勢を表現したつもりです。幹部が9人いるので、よく最近の幹部会では「(人気漫画『鬼滅の刃』になぞらえて)自分を“柱”だと思ってそれぞれの店舗を盛り上げてほしい」と話しています。そうすると、幹部から「高木さんはどの“柱”ですか?」と言われてしまうんですか……。

WWD:どの“柱”ですか?

高木:いや、お館様(産屋敷耀哉)しかないでしょう(笑)。

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「プレゼントですか?」と言われないための脅迫を懺悔 エディターズレター(2020年9月11日配信分)

※この記事は2020年9月11日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「プレゼントですか?」と言われないための脅迫を懺悔

 脅迫罪の時効は、3年だそうです。ということで既に時効が成立しておりますので、本日は私の懺悔をお話します。気恥ずかしさゆえ迷走を極め、美容部員をビビらせていた買い物の話です。

 数年前は「イプサ」の化粧液、「ME」こと「メタボライザー」を愛用していました。この化粧液、肌実感はもちろん、価格と使いやすさ、そして男子の自宅にも溶け込むデザインで、ものすごく気に入っていたのです。最初は思い切って、横浜高島屋のカウンターで肌診断。自分の肌が、「ME」独自のマトリックスで「右上」のゾーンに位置することを知ると、次回以降はカウンターに行っても「『メタボライザー』の右上で、美白とかないヤツください」とだけ発声。「よろしかったら、コチラにどうぞ」とカウンターを勧められても「イヤ、急いでいるので」とだけ返し、「あ、でも青い石鹸のサンプルがあったらください」と付け加え、「クレンジング マリンケイク」の試供品はちゃっかりゲットしておりました。出張にちょうどいいんです、コレ(笑)。ちなみに、青い石鹸が「クレンジング マリンケイク」という名称なのは、知っていました。が、「男子なのに、製品名がスラスラ言えるなんて恥ずかしい」というナゾな自意識が働き、「青い石鹸」という言葉を繰り返したのです。

 そう、今思えば「気恥ずかしかった」のです。その気恥ずかしさは徐々にこじれ始め、ある時、「そうか。ビューティ業界の人を装えばいいんだ!」との考えに達し、以降は比較的通好みなビューティブランドのショッパーを持って「イプサ」のカウンターに向かう、という行為に発展します。当時愛用していたショッパーは、「ジョンマスターオーガニック」や「ウカ」。今思えば、こんなショッパー持っても美容部員さんはビューティ業界人とは思わず、「あぁ、本当にビューティ好きな男性なのね。うれしいわ」って考えるでしょうが(笑)、本人は業界人を装っています。ショッパーを持って、なんとなく眉間にシワを寄せながらカウンターに向かい、コルトンとかコフレをチェックして“業界人感”を表現し、最速で立ち去っていたのです。なんてプレッシャーな顧客でしょう。振り返れば「軽い脅迫?」と思いますが、男子は男子なりに大変なんですよ(笑)。横浜高島屋の皆様、ご迷惑をお掛けしました。ちなみに「キールズ」の「ナイト モイスチャー マスク」も愛用しておりましたので、季節に1回は全く同じことを「キールズ」のカウンターでも繰り返しておりました。重ねてお詫び申し上げます。

 ということで、しばらく前に話題になった「いちとせしをり」さん(Twitter検索をどうぞ!)が、「プレゼント用ですか?」と聞かれずにコスメが買えた喜びを語ったツイートには、大変共感した次第です。さすがに私は、もはやジェルネイルの指で伊勢丹新宿本店の地下2階でオーガニック&ナチュラルコスメを物色してもへっちゃらですが(美容部員さんは、尚も(さらに!?)ビビってるかもしれませんw)、「プレゼント用ですか?」に傷つく人は多いって言いますよね。私もいまだウィメンズのスポーツウエアを物色している時は、「プレゼントをお探しですか?」なんて話しかけられないよう、変なオーラを出しているフシがまだまだあります。「接客バリア」を発動しているのです。そう考えるともうこの言葉、ショップスタッフから発しなくても良いのかな?って思います。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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海外セレブも愛用するオーストラリア発「メゾン・ド・サブレ」のカスタマイズレザーグッズを体験

 個性を尊重する潮流と、1点モノの制作が容易・可能になった技術革新の結果、ファッション&ビューティ業界では「パーソナライズ」や「カスタマイズ」、いわゆる世界に(ほぼ)1つの品物を作るサービスを提供するブランドや企業が増えています。そこで「WWDJAPAN.com」は、トレンドや最新ムーブメントを知るからこそのアイデアを形にしてもらいながら、サービスの利便性や価格などを検証します。

 今回は、オーストラリア発のプレミアムレザーグッズブランド「メゾン・ド・サブレ(MAISON DE SABRE)」のカスタマイズを体験!実はこのブランド、iPhoneやAirPodsなどのガジェットケースのほか、財布やバッグなどのレザーグッズに名前やイニシャルを無料で入れられることを特徴としているD2Cブランドで、海外だけでなく日本でも最近SNSを発端に注目を集めています。また、シンディ・クロフォード(Cindy Crawford)の娘でトップモデルのカイア・ガーバー(Kaia Gerber)や、ネットフリックスドラマ「ストレンジャー・シングス」に出演する女優のミリー・ボビイ・ブラウン(Millie Bobbie Brown)らセレブからのラブコールも多いブランドです。ニュージーランド出身の兄弟オマー(Omar)とゼイン・サブレ(Zane Sabre)が2017年に立ち上げ、18年に日本上陸。現在131カ国以上で展開しています。

 ということで今回、私は最も人気というスマホケースを選びました。オーダーは、至って簡単。オンラインサイトからスマホのサイズを選び(私はiPhone XS Max)、そこから色と刻印する文字を選択するだけです。最高品質の牛革のみを使用して職人の手作業で丁寧に仕上げられています。内側にはベルベット製のスエードで仕上げられ本体をしっかり保護するほか、外側のレザーもペブルレザーで汚れや傷が目立ちません。ワイヤレス充電にも対応しています。私は日本のためだけに作ったという人気カラー“抹茶グリーン”をチョイス。落ち着いたソフトなグリーンで、ほかの人と被らないから良いと思ったのですが、記事執筆時にはあまりもの人気で売り切れていました……!名前の”ERI”を入力し、文字の色を選んで(ゴールドとシルバーから選べます)決済を済ませると、2日後に届きました(海外発送なのにすごい。)!

 配送のスピードもですが、届いた実物を手にすると想像以上の高級感にも驚きました。革製のスマホケースはほかにも買ったことありますが、「メゾン・ド・サブレ」のものはとっても革が柔らかいんです。このクオリティーで1万900円(送料無料)はなかなかだと思います。ほかにも名刺ケースやクラッチ、トートバッグなどいろいろなものをカスタマイズできるそうです。今年のホリデー、自分へのご褒美として、または大切な人に贈るのはいかがでしょうか?

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化粧品から食品、トイレットペーパーまで サブスクでSDGsな日用品を販売する急成長中D2Cブランド「パブリック・グッズ」 海外ビューティ通信ニューヨーク編

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」ではパリやニューヨーク、ソウル、ベルリンの4都市に住む美容通に最新ビューティ事業をリポートしてもらう。(本文中の円換算レート:1ドル=104円)

 新型コロナウイルスによって、2020年はニューヨーカーの暮らしぶりも激変した。物を大量に消費するより、SDGs(国連サミットで採択された持続可能な開発目標)に沿ったサステナブルな暮らしにシフトしている。バイデン次期大統領の得票に大きな力となったのがZ世代(1996年から2010年までに生まれた世代)といわれているが、彼らはサステナブルで、ノントキシック(毒性のない)、オーガニックな商品を好む世代だ。今や企業の商品開発においてSDGs へのコミットは欠かせず、巷には“サステナブル”をうたう商品が溢れている。

 その中で注目したいのが、D2Cブランドの「パブリック・グッズ(PUBLIC GOODS)」だ。16年に創業し、17年にはクラウドファンディングサイト「キックスターター(KICKSTARTER)」で68万6748ドル(約7142万円)を資金調達。ハウスホールド(家庭用品)とパーソナルケア(個人のグルーミング用品)商品から出発したブランドだが、19年には食品にもカテゴリーを広げ再びクラウドファンディングで41万6676ドル(約4333万円)を調達し事業を拡大した。

 特徴は、コストコ(COSTCO)のように59ドル(約6100円)の年会費を払った会員だけが商品を購入できるサブスクリプション(定額制)型のサービスである点だ。モーガン・ハーシュ(Morgan Hirsch)創業者は、故郷モントリオールで家業の皮革製造業にかかわったときに、製品が消費者に届くまでにいかに余計な中間コストがかかっているかを見て、商品を直接消費者に販売するD2C (Direst to Consumer)ビジネスを考えたという。そして良質でエコ、ミニマルな商品を打ち出そうとマイク・ファーチャック(Michael Ferchak)COOと共同で「パブリック・グッズ」を創設した。

商品数は250点以上、食品はオーガニック&フェアトレードが基本

 安定的な売り上げを見込めるサブスクにすることで、エコ商品は高いというイメージに反し、リーズナブルな価格でサステナブルな生活用品を販売している。公式サイトでは、「地球を守るためにスーパーヒーローになる必要はない。私たちの小さな選択が大きなインパクトをもたらす」「私たちが直面している問題は、使うことを選んだ商品による結果だ」などのメッセージを発信している。20年2月以降、新型コロナウイルスの影響もあり会員数は2倍に、売り上げは5倍に急増したという。

 圧巻なのは商品のラインアップで、取り扱う商品は250点に達する。ヘア&ボディー用品はパラベンや硫酸塩などの有害な化学物質を含まず、シャンプー(4.5ドル、約600円)、コンディショナー(4.5ドル)からボディーウォッシュ(4.5ドル)、ボディーローション(4.5ドル)、モイスチャライザー(4ドル、約500円)まで基本的なケア製品をそろえ詰め替え用のレフィルも豊富に用意する。エッセンシャルオイルはアロガンオイル(9.25ドル、約1200円)、ティーツリーオイル(7.75ドル、約1000円)など6種類がある。紙製品はトイレットペーパー(6個で6ドル)やキッチンペーパー(2個で6.5ドル、約900円)、ティッシュペーパー、さらには生理用ナプキンなどがあり、再生紙やバンブーを使用したツリーフリー(木から採取されるのではない)紙でできている。

 食品はオーガニック&フェアトレードを基本とし、小麦粉からパスタ、調味料、オイル、スープ、缶詰、スナックまでパントリーに必要なものを用意。エキストラバージンオリーブオイル(9ドル、約1200円)コーヒー豆(6.5ドル、約900円)パスタ(5ドル、約700円)などを手ごろな値段で提供している。ビタミンなどのサプリメントやペット用品なども扱い、全米に配送可能でワンストップ・ショッピング(さまざまな商品を1カ所で買い求めること)としても便利だ。インテリアの邪魔にならないミニマルなデザインも人気の秘密だ。

 17年に、同じくエコフレンドリーな商品を低価格で提供するECスタートアップ「ブランドレス(BRANDLESS)」がソフトバンクの出資を受けて立ちあがったが、こちらは資金繰りが続かず20年2月に廃業となった。全商品3ドル(約300円)の低価格戦略の失敗と、ポップアップストアなどに投資を行ったわりに売り上げが上がらなかったことが要因といわれている。コロナ時代のオンラインデリバリー特需の恩恵にあずかれなかったのもタイミングが悪かったのだろう。

 「パブリック・グッズ」は全米に展開する大手ドラッグストチェーン「CVS」と提携し、今年から一部店舗でテスト販売している。ECよりも実店舗で購入する方が高くなり、5.25ドル(約700円)のフェイシャルクレンザーは、CVSでは8ドル(約1100円)で販売する。手ごろに“SDGsな暮らし”を送るための手段として、「D2C×サブスク」でビジネスを展開する「パブリック・グッズ」の今後の成長に注目したい。

黒部エリ(くろべ・えり)/ライター:東京都出身。雑誌ライター、ジュニア小説家を経て1994年からニューヨーク在住。ニューヨークのトレンドやビューティ情報を女性誌などで発信している。著書に「生にゅー 生のニューヨーク通信」(文藝春秋社) ブログ「黒部エリぞうのNY通信」

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若い世代が行列を作るブランドを見て エディターズレター(2020年9月9日配信分)

※この記事は2020年9月9日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

若い世代が行列を作るブランドを見て

 リンク1本目にある「ディーゼル」 × GR8 × 東京ブランドというトリプルコラボの発表会に出掛け、面白い話を聞きました。「このご時世でも行列、特に若い世代が行列を作っているブランドって、どこだと思う?」と話を振られたのです。

 さて、どこでしょう?確かにインバウンドがほとんどゼロになって、ファッション&ビューティ業界では行列を見かける機会が減っています。そんな中でも行列を作るのは、そう、「ディーゼル」とGR8がコラボした東京のブランドたちです。石川涼社長をフォローしているせいか「#FR2」の行列はTwitterでよく見かけるし、「レディメイド」なんかは引き続きとんでもないことになっていますね。特に後者は小ロット生産で渇望感をかき立てまくっている感もありますが、いずれにしてもこのご時世、行列は海外のラグジュアリーから東京のストリートブランドにシフトしているのかもしれません。と言うより、後者の行列はまだまだ健在!!って感じでしょうか?前者の行列が少なくなった分、東京のストリートブランドの行列の存在感が際立ちます。「ディーゼル」に話を聞くと、そんなブランドと手を組むことで今なおファッション意欲旺盛な若い世代にリーチしないと「生き残れない」と明言します。なるほど。海外ブランドだけに肩入れしないフラットな世代の感覚を捉えようとするビジネスが本格化してきた印象です。

 若い世代は、特定のブランドの全てを愛するのではなく、TPOに応じ使い分けているとも聞きます。「好きなブランドは?」と聞かれて、「特になし」という回答が一番多い(ときに全体の6、7割を占めるときさえあると言います)のは、それも理由。「洋服に興味がない」のではなく、「どれか1つを挙げるほど、特定のブランドを偏愛していない」が正解なのです。

 それに対して、業界はどうでしょうか?こと古い世代は、未だヒエラルキーに縛られ、「もう、若い世代には通用しませんよ。その神通力」って思うことがあります。若い世代には、ラグジュアリーとかパリコレブランドとか、あんまり関係ありません。弊社の若手を見ていても、そう思います。パリコレブランドでも、ダメなものはダメ。盲目的ではありません。だから「まぁまぁ、相手が相手ですから」と、われわれ世代が“なだめる”ようなコミュニケーションは、本当に通じなくなっています。そこに依拠したコミュニケーションを続けていると、若い世代が業界をけん引する数年後には、「なんで威張ってんの、このブランド?」みたいなカンジで捉えられちゃうでしょう。ミヤシタパークの向かいにある「ディーゼル」の旗艦店で、オジさんは、そんなことを考えるのでした。

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エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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52週MDの誤解とあるべきMDサイクル 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。ファッションビジネスの根幹と言われているマーチャンダイジング(MD)はどうあるべきなのか。具体的な事例とともに考える。

 一時、「52週MD」が話題になるなどマーチャンダイジングの多サイクル化が試みられたが、現実の消化回転とかけ離れて在庫と値引きロスの肥大を招き、コロナ禍で売り上げが激減して以降は話題にものぼらなくなった。「52週MD」は品ぞろえと消化進行管理の精度を図るものであってMDサイクルを意味するものではないし、MDサイクルは消化回転との一致が必要だから多サイクル化にも限界がある。現実的なMDサイクルはどうあるべきか、MDの性格やサプライ手法との関連から問い直してみたい。

MDサイクルと在庫回転は一致しない

 ファストファッションがブームとなったのはもう一昔も前のことだが、「H&M」も「ザラ(ZARA)」も週サイクルで新商品を投入しても現実の在庫回転は「H&M」で2.92回(コロナ前の19年11月期)とスローファッションの「ユニクロ」の2.68回(ファーストリテイリングの19年8月期/国内ユニクロは2.78回)と大差なく、ロットを抑えてリードタイムが格段に短いインディテックス(INDITEX、20年1月期では「ザラ」が売り上げの69.2%を占める)でも5.01回に留まる。

 ファストファッションは「リードタイムが短い小ロット生産のトレンド商品を短サイクルに売り切るマーチャンダイジング」だから本来は高速回転するはずで、ODM業者が持ち込む企画をロット買取するバイイングSPAでは最盛期の「セシルマクビー(CECIL McBEE)」のように20回転を超えるケースもあった。それに比べると大規模化したグローバルなファストSPAは自社企画でロットもケタ違いに大きく、生産リードタイムもファストとは到底いえないくらい長くなり、投入サイクルと消化回転が大きく乖離している。

 発注から2週間という「ザラ」の裁断素材&副資材支給・工賃払いローカル調達(スペインとポルトガル、全商品の10%程度)は例外として、製品買い上げのグローバル水平分業調達では3カ月以上、工場の閑散期に入れてコストを落とす大ロット調達では6カ月以上もかかる。それでは企画決定から販売までのタイムラグが大きく需給ギャップが広がるから、当たり外れが生じて在庫回転がスローになり値引きロスも肥大する。

 スローファッションは「リードタイムの長い大ロット生産の定番的商品を長期サイクルで継続販売するマーチャンダイジング」と定義したい。定番的商品はシーズン末に売れ残っても翌シーズンに持ち越して「正価」販売できるから、在庫回転は遅くとも収益性は安定している。ファストを志向して結果、スロー回転になってしまうより確実なビジネスモデルで、プロ向け定番商品は「10年継続販売」を謳うワークマンや定番を年々進化させるユニクロに代表される。定番的商品もアパレルはフィットやディティールがデリケートに変化するから、持ち越しても翌シーズン中には売り切るべきで、ワークマンのプロ向け「10年継続販売」商品は例外だ。

 定番商品を大ロット一括調達してはシーズンかけた売り減らしになって年2回転が上限になるから、ユニクロは商社に生産地在庫を負担させ(18年8月期の上期までは国内倉庫在庫も負担させていた)、ワークマンはベンダーにVMI※1.で補給と補充生産を委任している。

※1.VMI(Vendor Managed Inventory)…あらかじめ定めた陳列棚割と販売計画に基づいてベンダーに補給と在庫管理を委任する取引形態

「線」と「面」のMD

 トレンド性の売り切り商品と定番性の継続商品では販売期間が異なるから、同じブランドや業態でもMDサイクルは分けて計画する必要があるし、前サイクル商品の売り切り消化も考慮する必要がある。

 小ロット短サイクルに投入して売り切るファスト商品はロットをミニマムに抑えれば週サイクル投入も可能だが、実際には月度やシーズンで残品を売り切って在庫調整する期間を要するから、キャリーSPA※2.やバイイングSPAでも年間36回が投入サイクルの上限になる。

 前サイクル商品と全く関係のない商品に切り替えると前サイクル商品の売り切り編集が困難になるから、慣れたマーチャンダイザーは同じサプライヤーと「トコロテンMD」を組む。同一デザイン&パターンの素材や柄、同一素材アイテムのディティールや色組みを替えて鮮度を維持し、リレー方式で需要を確実に捉え続けるマーチャンダイジング手法で、同一ラックに新旧商品をトコロテン式に編集陳列して売り切っていけるし、トップとボトムで「定型ルック」を組んでWトコロテン運用することもできる。ファスト商品ではSKU数を絞った「点」のMDを時系列にリレーする「線のストーリー」が問われるのだ。

 定番性継続商品のMDサイクルは、季節的な販売期間とサプライ方法によって年4サイクルか2サイクルになる。定番性の商品に限らず長期展開商品の店舗販売には「周知期間」「実売期間」「売り切り期間」が必要で、少なくとも12週を要する。一括調達の売り減らし商品は12週を目処に売り切り、VMI補給する継続商品は季節的性格によって12週または24週、陳列フェイスを維持し、フェイス解体後の売り切り期間を2週程度見ておく。

 素材軸で色やサイズ、アイテムの多SKUを一覧する陳列フェイス(VMD)を組んで継続展開する「面のストーリー」が問われ、VMI補給では陳列フェイスを維持すべく生機を積んでサイズや色の在庫バランスを補正生産したり、季節感を切り替える差し色を追加生産したりする。

 アパレルのマーチャンダイジングは小さな「点」のMDをリレーする「線のストーリー」で表層を流れる鮮度を訴求する一方、大きな「面」のMDを継続して売り上げのボリュームを稼ぐという二重構造が必要だが、両者のMDサイクルは対極に異なる。定番性継続商品が大半のユニクロでも、数量限定のタイアップ企画商品やスポットの季節商品が鮮度訴求を担っている。

※2.キャリーSPA…東大門など現物市場で調達した素材を使いサンプル商品をベースにビル内縫製工場で一両日で小ロット生産して持ち帰る即席型小規模SPA。韓国ではローカル専門店のオリジナル開発手法として定着しており、渋谷109の黎明期にも活用されていた  

年間のMDサイクルはいくつが適切か

 ファストMDを「スポット企画」と言い換え、「継続企画」と組み合わせて考えれば、MDサイクルを単純に年6シーズンとか8シーズンとか、ざっくり割り切るのは非現実的だと解ってもらえるだろう。実際、15年春夏期から8シーズンに多サイクル化したユナイテッドアローズの在庫回転と粗利益率は15年(3月期、以下同)の2.87回/51.9%から16年は2.92回/50.8%、17年は2.85回/51.0%、18年も2.94回/51.5%とほとんど改善されず、19年こそ3.10回/51.4%と上向いたものの20年には2.93回/50.8%に逆戻りしている。数字の動きは消費動向や天候変化で振れる範囲内で、多サイクル化は功罪半ばしてMDの効率化には至らなかったと推察される。

 店舗展開を前提とする限り、「スポット企画」と「継続企画」をはっきり区分けて毎シーズン、その比率を政策的に定め、「スポット企画」と「継続企画」を個々に積み上げて商品展開を構築すべきで、コレクション受注型のブランドでもない限り全体を何シーズンと設定するのは無理がある。ブランドや業態のMD性格やサプライ方法から年間の在庫回転の範囲は定まってしまうから、MDサイクルは在庫回転と乖離しない範囲で設定するべきで、それ以上を求めるならMD性格とサプライ方法を根本から変えて別のビジネスを模索するしかない。

 コレクションMDなら年2サイクルが基本で、プレフォールやクルーズを加えても年間の商品回転は2回転以上にはならない。定番性継続MDなら年2サイクルと4サイクルの組み合わせになるから年間3回転を目安にするべきで、スポット企画を増やしても値引きロスが肥大する弊害もあり、商品回転が大きく上向くわけではない。

 ユナイテッドアローズの場合、コロナ禍でようやく思い切ったとは言え、コレクション発注のセレクト商品が主体でビジネスウエアの比率も高く、定番商品のVMI化を進めない限り年間3回転が上限だったと思われる。カジュアルシフトして「スポット企画」の比率を高めれば4回転までは改善できるだろうが、商品単価が落ちて販売効率も落ちるから1人当たり販売額が維持できなくなり、経費倒れになって収益性はかえって悪化するリスクが指摘される。
 

MDサイクルだけで収益性は改善できない

 1人当たり販売額は商品単価との相関性が極めて強く、コロナ禍前のユナイテッドアローズは3431万円(19年3月期)と国内ユニクロの3119万円(19年8月期)や良品計画国内直営店の2503万円(19年2月期)を引き離し、1人当たり人件費も489.0万円と国内ユニクロ直営店の386.8万円、良品計画直営店の384.3万円を大きく凌駕して販売力を支えていたが、このロジックが崩れると15%台に収めてきた売上対比人件費率が上昇して収益を圧迫する。

 商品単価を下げれば在庫回転は上向くが、1人当たり販売額が下がれば収益性は悪化する。コレクション受注に基づいて自社工場中心に計画生産するラグジュアリービジネスの在庫回転は2回転に届かないが(19年12月期のLVMHは1.38回/ケリングは1.53回)、単価が高いゆえ1人当たり販売額も極端に高く、売上対比30%前後(LVMHは低収益のセレクティブリテイリング部門を除く)の営業利益率を稼いでいる。

 MDサイクルを細分化することがマーチャンダイジングの効率を高めるとは限らず、MDサイクルと在庫回転の乖離を最小化することがロスを圧縮して粗利益率を高め収益を押し上げる。定番性継続商品中心のビジネスなら売れ残っても持ち越して販売すれば収益の圧迫は最小限に抑制できるから、MDサイクルも在庫回転もスローでも両者が乖離しない限り手堅く収益が得られる。トレンド性のファスト商品でも小ロット短サイクルMDのリレーに徹すればMDサイクルと在庫回転の乖離が最小化され、高回転が高収益に直結する。

 マーチャンダイジングの収益は計画と実現の乖離を縮めるほど高まるから、過剰なギャンブルを回避して無理のないMD計画を組み、VMIやテザリング※3.で最適補給を図り、「52週MD」で週サイクルの消化進行管理を緻密に行って編集陳列やキックオフなどの販売消化ドライブに努め、計画値の実現を追求するべきだ。

※3.テザリング…店舗間で在庫を融通して在庫効率を高めるローカル・ディストリビューション手法で、修理加工の集約やC&Cの店出荷と連携される 
 

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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「バレンシアガ」がゲーム内で発表したコレクションを記者が体験リポート 2031年の世界で「NASA」や「PS5」とのコラボも

 「バレンシアガ(BALENCIAGA)」は6日、2021年秋コレクション(2021-22年秋冬シーズンに相当)を、オリジナルのビデオゲーム「アフターワールド:ザ・エージ・オブ・トゥモロー(Afterworld: The Age of Tomorrow」内で発表した。ゲームは一般向けにオンラインで公開され、「WWDJAPAN.com」の取材班も公開と同時にチャレンジ。また、編集部には米フェイスブックが開発したVRヘッドセット“オキュラス クエスト(OCULUS QUEST)”が届き、VRでショーを見られるという仕掛けも用意されていた。

 ここでは、ウィメンズ・ファッション・ウイーク取材担当の記者の大杉真心と、入社2年目の若手記者で普段からゲーマーでもある大澤錬の2人がゲームを体験。それぞれの視点から今回のコレクションを読み解く。

VRで360度で見渡せるショーに大興奮

大杉真心「WWDジャパン」記者(以下、大杉):ゲームの中で発表するって聞いて、数日前からこの日を楽しみにしていました。私はまずはスマホでプレイして、2回目はパソコンから操作してみたんですが、デバイスが変わるだけで見え方や表示画面が全然異なって驚き!パソコンの方が画面が大きいから迫力が出るし、最初にキャラクター選択画面のような動くルックが見られて興奮(笑)。これはスマホでは見れなかったです。大澤くんは会社に届いたヘッドセットでコレクションを見たんだよね? 

大澤錬「WWDJAPAN.com」記者(以下、大澤):始まる前から「わ!“オキュラス クエスト”だ。お高いものだから丁重に扱わないと」とちょっと緊張しました。ヘッドセットの調整をし、両手にはコントローラーを持ち、準備万端で22時のスタートと同時に自宅で見ました。始まると歓声と共にBGMが流れ始め、本当のショーのように、目の前のステージを原寸大のモデルがウオーキングして、360度で見渡せてとても興奮。ショー中にコントローラーを左右上下に振り回したときには何も反応せず…..でしたが、贅沢にもフロントローの中央の席でショーを見れたのは嬉しかったですね。ショー内の周りの観客は全てアバターで構成されていて、家の中で頭を左右に動かして横の人を確認したり、ランウエイの方に近づいてみたりしてました。

大杉:すごく近未来的!デジタルの中に入り込んだように没入できちゃうよね。フロントローでショーを見れるのも貴重な体験だね。ショーの音楽など演出はどうだった?

大澤:BGMは、2017年のメンズコレクションからデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)のショー音楽を手掛けているBFRNDことロイク・ゴメス(Loik Gomez)の「エージ・オブ・トゥモロー(The Age of Tomorrow)」が流れていました。

大杉:本題のゲームも「アフターワールド:ザ・エージ・オブ・トゥモロー」というタイトルでリンクしているね。操作は普段からゲームをしていない私には難しかったな。最初の10分間は進行方向に進むことすらできず、壁にぶつかってばっかりで四苦八苦(笑)。この時点で酔っちゃった人もいたみたい。モデルのアバターたちの間を通りながら進むと、途中で一輪のバラを持った男性が目の前に現れたり、手から火を出す男性の前でバスが宙に浮いたりとサプライズが待っていたよね。あと、アバターの中にはデーモン閣下みたいな白塗りに黒いアイメイクの人とか、口から血が垂れた流血メイクもシュールだった!スクリーンショットを撮りながら、ゆっくり進んでたらあっという間にゲームオーバーになっちゃって、最終面のゾーン5に行くまでに50分はかかったよ。普段からゲームに慣れている大澤くんには簡単だった?

大澤:操作方法としては単純で左側が進行方向キー、右側がカメラワークでしたね。僕はスマホでプレイしている時に一度落ちてしまい、最初からやり直しというハプニングが(笑)。恐らくゲームの性能・質が高すぎて、スマホでは耐えきれなかったのが原因かもしれません。僕はひたすら本気モードで、右上の時間制限なんか気にせず、楽勝でゴールまで駆け抜けました。各ステージは店舗から街並み、森林まで、さまざまなロケーションで楽しむことができました。最初は“ゲームあるある”で、アバターに近付くと何か喋ったり説明したりしてくれるのかと思いましたがそれはなく、360度でアイテムを見るための仕様でしたね。ヘッドセットでコレクションを見た最後のルックの騎士がゲームのエンディングでも登場してきました! 

2031年の世界を舞台にした未来の服

大杉:騎士はジャンヌ・ダルク(Jeanne d'Arc)のようでかっこよかったね!ゲームの世界は2031年が舞台になっていて、デムナは未来の服を想像しながら、何十年も着用できる洋服をデザインしたとのこと。実はテーラードスーツはジャージー素材で作られていて、ストーンウオッシュ加工で着古されたような仕上がりになっていたり、メッシュ裏地が付いたストレッチ素材のスーツは、パフォーマンスウエアのような着心地だったりと、こだわりが詰まっているんだって。ダッフルバッグにもなるパーカや、コートになったブランケットなど、変身しているアイテムも多かったね。そこに、ゲームキャラクターらしいアーマー風のブーツをあわせて、非日常的なデザインのバランスがよかった。あれ、400年前の本当の鎧の形を3Dプリンターで再現しつつ、鋼よりも軽い素材でできているらしい。日本での販売は未定だけど、ちゃんと商品化されるそう!

大澤:ゲームの世界で登場するようなウエアで出てきて面白かったです。また「ナサ(NASA)」や、先日発売された「プレイステーション5(PLAY STATION 5以下、PS5)」とのコラボアイテムも登場しましたね。「ナサ」とのコラボでは、宇宙服をほうふつとさせるアウターのほか、MA1やショルダーバッグなどがあり、特にバックパックは多くのモデルが着用していたのでイチ押しだということが分かりました。「PS5」とのコラボパーカは、ゲーマーの人たちがかなり欲しがるんじゃないでしょうか。フロントに「プレイステーション」のアイコニックなロゴと「PS5」の文字、アームには「バレンシアガ」のロゴも施されていてコーディネートに取り入れやすそうです。ゲームとファッションの融合が少し、現実味を帯びてきた気がします。

大杉:Tシャツのメッセージも目を引いて「If I am lost, take me to the Balenciaga store(私が迷子になったら、バレンシアガ店舗に連れてってください)」とクスッと笑えた。シャツには「When I am done with this shirt, I will donate(このシャツを着なくなったら、寄付します)」とあって、ユーモアを混ぜながら、循環型経済をちゃんと促しているのもさすがだなと思いました。これまでもWFP(国連世界食糧計画)などとのチャリティー商品もあったけど、こういう風にソーシャルグッドな発信を自然に取り入れているのはすごく共感できる。クリエイションの雰囲気は大きく変化はないけれど、毎回新しい取り組みや素材のアップデートがあって「バレンシアガ」はやはり先進的なブランドだと感じたな。

大澤:僕のようなZ世代は特に小さい時からゲームで遊ぶ環境があったので、やはり自然とワクワクしちゃいました。ファッション好きだけでない、幅広い層へ刺さるコレクションだったと思います。ゲームだけにフォーカスするのではなく、『バレンシアガ』らしさは残しつつ、さまざまな取り組みを同時に見せていくのは素晴らしいですね。異業種と掛け合わさることで、どんなハレーションが起きるのか今後も楽しみにしています!

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ファッション愛にまみれた「WWDジャパン」スタッフのベストバイ 「THE TEN」や「マルニ」、中国コスメなど

 ファッション業界で働く人たち、ファッション好きな人であれば、一度は聞いたことがあるであろう「アパレル不況」「潰れないと変われないのか」。心ない言葉が飛び交う度、あるいは業界に対するイメージで、希望のある若者は入社を拒み、両親から反対されるケースも少なくないでしょう。また新型コロナウイルスにより、“倒産”、“破綻”というニュースを見る機会も増えました。けれど業界で働く人たちは必死に毎日働き、周りから何を言われようと、見えない敵と戦い続けています。一番の理由は「ファッションが好きだから」。「WWDジャパン」のスタッフたちもアパレルの皆さん同様にファッション愛にまみれた、お気に入りのアイテムを一挙に紹介します。

世界で一番開くのを躊躇する雑誌

 ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)とコラボして制作された「ハイプビースト(HYPEBEAST)」の第20号。雑誌をカバーする袋には"DO NOT OPEN(開けるな)"の文字。買ったは良いものの、このメッセージのおかげで開けるのを躊躇し数カ月後に満を辞して開けました。レアものかどうかは分からないですが、きっと世界で一番開けるのを躊躇する雑誌です(笑)。開けずにはいられないからこそ"開けるな"という文字を置くところが、彼らしいユーモアです。

 雑誌が発行されたのはヴァージルが「ルイ ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズ アーティスティック・ディレクターに就任する以前で、「ナイキ(NIKE)」とのコラボ「THE TEN」が話題になっていたころのインタビューが掲載されています。コラボというだけあり、ヴァージルの落書きが至る所にされています。本人による注釈によれば、自分について書かれた記事は絶対読まないそう。
(デジタルマーケティング部 丸山瑠璃)

「THE TEN」を自分だけの一足に

 ナイキ(NIKE)とヴァージル・アブローによる、ナイキのアイコニックなスニーカーを再構築するデザインプロジェクト「The Ten」の“エア ジョーダン 1(AIR JORDAN 1)”。恐らくこれを手にしたマニアたちは履かずに、大事に保管、観賞用にするのが大半だと思います。僕は履きまくっていますが(笑)。というのも、学生時代にパリに行った際、アパレル業界で働く外国人(恐らくどこかのバイヤーかな?)が、かなりの味が出ている同スニーカーを履いているのを見て、「カッコいい!」と思ったのがきっかけです。改めて、「スニーカーは履いてナンボや」というのを感じた瞬間でした!
(WWD JAPAN.com編集部 大澤錬)

手持ちコスメの中で最重量⁉︎中国コスメに一目惚れ

 韓国コスメの人気もさることながら、今熱いのは中国コスメ!パッケージデザインや世界観にこだわったブランドが多く、ユニークなアイテムと出合えます。今回自慢したいアイテムは、SNSパトロールをしていた際に一目惚れして即購入した中国のコスメブランドのアイシャドウパレット。木箱に入っていて、本体のケースはかなり重さがあります。(計量してみたところ、約1.5kgありました。)繊細な彫刻と立体の花のデザインが美しく、眺めているだけで幸せ……。もちろん中のアイシャドウも質が良く、しっとりとした粉質で高発色です。現在、中国コスメのほとんどは限られた通版でしか購入できないため、日本上陸が待ち遠しいです。
(デジタルマーケティング部 浅野ひかる)

命の重みを感じるきれいなハンティングジャケット

 

 古着屋をあてもなく見て回っている時に出合った老舗ハンティングウエアメーカー「ボブ アレン(BOB ALLENE)」のジャケットです。ハンティングジャケットは男臭いものや野暮ったいものが多い中で、ハリ感のある素材で、きれいなシルエットに惹かれました。前の所有者がハンティングしていた際に付いたであろう動物の血痕のようなシミがあり、命の重みを感じる1着です。
(デジタルマーケティング部 森川竜生)

思わず運命を感じてしまったハワイアンシャツ

 映画「ロミオ+ジュリエット(Romeo + Juliet)」のレオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)に憧れハワイアンシャツにハマっていた学生時代、たまたま見つけた「ポール・スミス(PAUL SMITH)」のシャツ。偶然にも大好きな絵本「かいじゅうたちのいるところ」を思わせるプリントに運命を感じました(笑)。「ポール・スミス」日本公式アカウントが、自分のインスタグラムにアップした着用写真をリポストしてくれた思い出もあって、今もお気に入りの一着です。
(デジタルマーケティング部 佐立武士)

新社会人、自分へのプレゼントに購入した財布と名刺入れ

 好きなブランドは特にない私ですが、色合いにひかれ、「マルニ(MARNI)」の財布と名刺入れを購入しました。長く使えるものをと思い、ついにブランド品デビュー。特に「マルニ」の財布は、手のひらサイズでポケットに入り、使い勝手がとても良いです。ゲットしてから半年が経ちますが、見る度にウキウキします!
(ビジネスプランニング部 笹谷南月)

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