商品を追跡できるマップを公開 米「ザ・ノース・フェイス」親会社に聞くトレーサビリティーの取り組み

 サステナビリティ先進企業として知られ、トレーサビリティー(追跡可能性)への取り組みでも注目を集めるのが「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「ティンバーランド(TIMBERLAND)」「ヴァンズ(VANS)」、そして「シュプリーム(SUPREME)」を傘下に持つ米VFコーポレーション(VF CORPORATION以下、VFC)だ。同社はサプライチェーンの情報を消費者に共有するため、2016年に全製造工程を可視化したトレーサビリティーマップの開発に着手し、18年からホームページで掲載。現在、主要12ブランド計46製品が公開されている。

 アパレル産業のサプライチェーンは複雑で、把握するのが困難といわれている。だが自社の製品に責任を持つには、原材料生産から製品ができるまでの製造工程を把握することは必要不可欠だ。トレーサビリティーを追求することは、自社の労働環境や環境への負荷などの問題を浮き彫りにし、その解決の糸口となる。シャネル・オートン(Shanel Orton)=レスポンシブル・マテリアルズ&トレーサビリティー・シニアマネジャーに同社の取り組みを聞いた。

WWD:トレーサビリティーに着手したきっかけは?

シャネル・オートン=レスポンシブル・マテリアルズ&トレーサビリティー・シニアマネージャー(以下、オートン):2013年にバングラデシュの首都ダッカ近郊で死者1000人以上を出したラナ・プラザ崩落事故です。ラナ・プラザの縫製工場に発注はしていなかったものの、自社のサプライチェーンで働く労働者のために工場の安全性や人権問題を改善する必要があると痛感しました。世界中の工場で100万人以上の人々が当社の製品製造に携わっており、100万人以上の消費者がそれらを購入してくれています。品質はもちろん、労働者や消費者の安全に至るまで、私たちは製品に関わる全ての人々に対して責任があります。

WWD:トレーサビリティーマップは製品の製造背景を知ることができる画期的なシステムだ。

オートン:マップ上でサプライチェーンのデータをビジュアル化したことで、原材料や各パーツがどのような工程を経て製品化されたのかがクリアになりました。ただ、大企業の複雑なサプライチェーンに対応したプログラムを構築することは並大抵ではありませんでした。私たちは年間4億ユニット以上の製品を作っています。調達先は40カ国以上、一つの製品を作るのに50以上の工場が関わることもあり、仕入先は世界中に何千とあります。

WWD:どのように確立していったのか?

オートン:マップの開発を始めた頃は、現在ほどトレーサビリティーや透明性が社会に認知されていませんでした。でも、問題を認識しなければ解決策に取り組むことはできません。開発する過程で提携先のサプライチェーンと協業して信頼関係を築き、このプログラムの重要性や正確なデータが必要であることを理解してもらいました。また常に新たな原料やサプライヤーが加わるので、その都度課題を洗い出し、プログラムに含めていく必要があります。

WWD:現在マップ上でデータ化されている製品は?

オートン:「ティンバーランド」の“イエローブーツ”こと、“6インチ プレミアム ウォータープルーフ ブーツ”や「ヴァンズ」の白黒チェック柄の“チェッカーボード スリッポン”、「ザ・ノース・フェイス」の“サーモボール エコ フーディ”などです。追跡できる製品数は全体に対してまだ低い割合ですが、いずれも主要製品なのでボリュームは大きい。アイコニックな製品のサプライチェーンを完全にできたのは意義のあることだと思います。2021年末までに140製品に増やすことが目標です。

WWD:VFCでは、トレーサビリティーを徹底するために全工場をモニタリングしていると聞く。

モートン:タナリー(皮なめし工場)から織物工場、カッティングや縫製工場、スクリーン印刷会社、刺しゅうアトリエ、製品洗い工場、梱包施設、完成品の生産工場まで全てモニタリングしています。特に注視しているのが皮革で、現在はブラジル産の使用を禁じています。理由はアマゾン地域の大規模な森林火災をめぐり、傘下ブランドに使用される素材が環境の悪化につながっていないという確証が持てないためです。トレーサビリティーを推進することでこれまでモニタリングできなかった分野も可視化でき、“人と地球にポジティブな影響を与える”という目的主導型の経営判断が可能となりました。

そのほか、新規の森林伐採や森林劣化の原因となった土地で放牧された動物の皮革の使用も禁止しています。より信頼性の高いデータを得るために、オンライン調査に加え、原材料サプライヤーの施設へ現地調査も行っています。

WWD:トレーサビリティーへの積極的な投資の先に目指すものは?

オートン:「サステナブルなファッションを発展させるには、プロダクトデザインと開発、調達、生産など、事業全体のテクノロジーに投資する必要がある」という理念のもとに投資しています。私たちの根底にあるのは“人と地球にポジティブな影響を与えたい”という願い。その実現には、製品をエシカルかつサステナブルな方法で生産する事業戦略が不可欠です。トレーサビリティーの範囲を広げ、サプライチェーン全体の透明性を高めることは、よりよい経営判断につながります。

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商品を追跡できるマップを公開 米「ザ・ノース・フェイス」親会社に聞くトレーサビリティーの取り組み

 サステナビリティ先進企業として知られ、トレーサビリティー(追跡可能性)への取り組みでも注目を集めるのが「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「ティンバーランド(TIMBERLAND)」「ヴァンズ(VANS)」、そして「シュプリーム(SUPREME)」を傘下に持つ米VFコーポレーション(VF CORPORATION以下、VFC)だ。同社はサプライチェーンの情報を消費者に共有するため、2016年に全製造工程を可視化したトレーサビリティーマップの開発に着手し、18年からホームページで掲載。現在、主要12ブランド計46製品が公開されている。

 アパレル産業のサプライチェーンは複雑で、把握するのが困難といわれている。だが自社の製品に責任を持つには、原材料生産から製品ができるまでの製造工程を把握することは必要不可欠だ。トレーサビリティーを追求することは、自社の労働環境や環境への負荷などの問題を浮き彫りにし、その解決の糸口となる。シャネル・オートン(Shanel Orton)=レスポンシブル・マテリアルズ&トレーサビリティー・シニアマネジャーに同社の取り組みを聞いた。

WWD:トレーサビリティーに着手したきっかけは?

シャネル・オートン=レスポンシブル・マテリアルズ&トレーサビリティー・シニアマネージャー(以下、オートン):2013年にバングラデシュの首都ダッカ近郊で死者1000人以上を出したラナ・プラザ崩落事故です。ラナ・プラザの縫製工場に発注はしていなかったものの、自社のサプライチェーンで働く労働者のために工場の安全性や人権問題を改善する必要があると痛感しました。世界中の工場で100万人以上の人々が当社の製品製造に携わっており、100万人以上の消費者がそれらを購入してくれています。品質はもちろん、労働者や消費者の安全に至るまで、私たちは製品に関わる全ての人々に対して責任があります。

WWD:トレーサビリティーマップは製品の製造背景を知ることができる画期的なシステムだ。

オートン:マップ上でサプライチェーンのデータをビジュアル化したことで、原材料や各パーツがどのような工程を経て製品化されたのかがクリアになりました。ただ、大企業の複雑なサプライチェーンに対応したプログラムを構築することは並大抵ではありませんでした。私たちは年間4億ユニット以上の製品を作っています。調達先は40カ国以上、一つの製品を作るのに50以上の工場が関わることもあり、仕入先は世界中に何千とあります。

WWD:どのように確立していったのか?

オートン:マップの開発を始めた頃は、現在ほどトレーサビリティーや透明性が社会に認知されていませんでした。でも、問題を認識しなければ解決策に取り組むことはできません。開発する過程で提携先のサプライチェーンと協業して信頼関係を築き、このプログラムの重要性や正確なデータが必要であることを理解してもらいました。また常に新たな原料やサプライヤーが加わるので、その都度課題を洗い出し、プログラムに含めていく必要があります。

WWD:現在マップ上でデータ化されている製品は?

オートン:「ティンバーランド」の“イエローブーツ”こと、“6インチ プレミアム ウォータープルーフ ブーツ”や「ヴァンズ」の白黒チェック柄の“チェッカーボード スリッポン”、「ザ・ノース・フェイス」の“サーモボール エコ フーディ”などです。追跡できる製品数は全体に対してまだ低い割合ですが、いずれも主要製品なのでボリュームは大きい。アイコニックな製品のサプライチェーンを完全にできたのは意義のあることだと思います。2021年末までに140製品に増やすことが目標です。

WWD:VFCでは、トレーサビリティーを徹底するために全工場をモニタリングしていると聞く。

モートン:タナリー(皮なめし工場)から織物工場、カッティングや縫製工場、スクリーン印刷会社、刺しゅうアトリエ、製品洗い工場、梱包施設、完成品の生産工場まで全てモニタリングしています。特に注視しているのが皮革で、現在はブラジル産の使用を禁じています。理由はアマゾン地域の大規模な森林火災をめぐり、傘下ブランドに使用される素材が環境の悪化につながっていないという確証が持てないためです。トレーサビリティーを推進することでこれまでモニタリングできなかった分野も可視化でき、“人と地球にポジティブな影響を与える”という目的主導型の経営判断が可能となりました。

そのほか、新規の森林伐採や森林劣化の原因となった土地で放牧された動物の皮革の使用も禁止しています。より信頼性の高いデータを得るために、オンライン調査に加え、原材料サプライヤーの施設へ現地調査も行っています。

WWD:トレーサビリティーへの積極的な投資の先に目指すものは?

オートン:「サステナブルなファッションを発展させるには、プロダクトデザインと開発、調達、生産など、事業全体のテクノロジーに投資する必要がある」という理念のもとに投資しています。私たちの根底にあるのは“人と地球にポジティブな影響を与えたい”という願い。その実現には、製品をエシカルかつサステナブルな方法で生産する事業戦略が不可欠です。トレーサビリティーの範囲を広げ、サプライチェーン全体の透明性を高めることは、よりよい経営判断につながります。

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デザイナー夫婦が移住し始めたアトリエ兼ボードゲームカフェ「ふふふ」 いま、ローカルが面白い!桐生編 VOL.3

 群馬・桐生市の注目ショップ3店目は、2019年11月にオープンしたファッションのオープンアトリエ兼ボードゲームスペースの「ふふふ」。こちら、この連載の初回で紹介したセレクトショップ「エスティ―カンパニー(ST COMPANY)」の隣にあります。店のオーナーはデザイナーの和崎拓人(通称、大小=タイショー)さん、門井里緒さんご夫婦。この2人も群馬県や桐生市の出身者ではなく、街にほれ込んで移住したIターン組です。

 和崎さんは渋谷の個性派セレクトショップ「デスペラード(DESPERADO)」を経て自身のモノ作りを開始。門井さんは「アウアー・バイ・キンフォーク(OUUR BY KINFOLK)」「エイトン(ATON)」などの企画チームで働いてきた経歴の持ち主です。2人はデザイナーとしてモノ作りのために各地の産地を回る中で桐生に出合い、織物工場や染工場、刺しゅう工場、プリーツ工場といった、ファッションのモノ作りのための多様な技術が集積されている点にひかれたと語ります。「エスティーカンパニー」や同店を運営する環敏夫社長との出合い/出会いも、移住を決めた大きな要因だったそう。

飲食店なども巻き込んで街のマップを作成

 ガラス越しに商店街からも店の中がよく見える「ふふふ」は、ミシンや大きな作業台があり、共同のワーキングスペースやアトリエとして開放しています。和崎さんの趣味という世界各地の珍しいボードゲームも約550種(!)取りそろえており、時間料金制でそれらを楽しむことも可能。私が訪れた11月8日には、近隣に住んでいるという横振り刺しゅう(桐生が産地として知られる、熟練技がいる刺しゅうの技法)のアーティストの女性がお店に遊びに来ていて、私やほかのお客さんに店のミシンを使って横振り刺しゅうを披露してくれました。

 2人は得意とするイラストやグラフィックなどを生かして、桐生の飲食店や商店を紹介するおしゃれなマップやクーポンなども製作しています。「僕らは桐生の新参者ですが、老舗の飲食店などに『マップやクーポンを作って来街者にもっと街を楽しんでもらい、地域を活性化したい』と相談に行くと、皆さん歓迎してアイデアに乗ってくださる」そう。前回の連載で紹介した「パーヴェイヤーズ」同様、ここでも移住者によって街に新しい活気がプラスされていることを感じました。

■ふふふ
住所:群馬県桐生市本町6-400
営業時間:平日16~23時、休祝日13~22時
定休日:月曜

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脱サラから香水ベンチャーを立ち上げ 映画とのペアリングなどユニークなアイデアを生み出す「セレス」

 香水の総合販売サイト「セレス(CELES)」は香水を「試す」「相談する」「買う」の3つがかなうさまざまなサービスを展開し、注目を集めている。500種類以上の香りの現品サイズはもちろん、気楽に試せるムエット(無料)や0.7mL(15プッシュ分)・2.5mL(50プッシュ分)・5mL(100プッシュ分)を販売するほか、日本フレグランス協会の資格を持ったスタイリストにイメージに合わせた香水を提案してもらえる「セレス セレクト」、ランダムに香水が届く「セレス ガチャ」などさまざまなサービスをそろえる。また10月には好きな映画を選び、その映画をイメージした香りを提案する「セレス シネマ」をスタートし、12月28日まで提供している。

 そんな「セレス」を手掛けるのは、大学院卒業後に大手電力会社を2年で退職し、香水業界のホワイトスペースを見つけ起業した代表のソールズベリー夏生。そもそも香水ビジネスの着想源になったのは、アメリカでも行われている高級腕時計のレンタルサービスだったという。「昔から香水はつけていたが、すごく興味や知識があったわけではないし、絶対に独立して起業したい!と思っていたわけでもない。ただ、腕時計のレンタルビジネスには注目していて、ぼんやりとビジネスチャンスがあるのでは、と思っていた。高価な腕時計は簡単に買えるわけではないし、お店で試着するのも敷居が高い。そんな腕時計を気楽に試せるビジネスは需要があると思った」と話す。

 結局腕時計ビジネスはコスト面など諸々を考慮したときに断念したが、当時香水をネットで販売していた知り合いがビジネスを続けられなかったときに、在庫を買い取ったことが「セレス」のはじまりになった。「買い取った香水を小さな瓶に詰め替え、手ごろな価格で香水を試せるようにした。最初は友人や知り合いが買ってくれていた。注文数も増えていくにつれ、香水を低価格・少量で気楽に試せるサービスが日本にあまりはないことに気づいた」。腕時計同様にビジネスになると思ったソールズベリー代表は、副業でコツコツ続けていたウェブサイトを本格的にビジネスにすると決心し、27歳という若さで2018年に起業。「ちょうど電力会社の仕事でシンガポールへの転勤の話をされたタイミングだった。給料も待遇も上がる機会だったけれど、まだ若いときにいろいろチャレンジしたいという思いがあり、成功する確信や自信はなかったけれど、香水事業にかけることにした」と当時の心境を振り返る。

「香水をつけるハードルを下げたい」

 そこから始めた「セレス」は、ラテン語で「天国」を意味する“セレスト(Celeste)”から名前をつけた。古来エジプトでは香りは天国に捧げるものだったこと、さらにヘビーメタルバンド「セレスティア」のファンだったことから、「セレス」にしたという。最初は少ない人数で四苦八苦しながら始めたビジネスが、現在は香水の注文数がスタートから2万5000件を達成し、来月には3万件を超えると予測する。また、現状単独注文が取引の半数を占め、残りは「セレス セレクト」や「セレス ガチャ」など独自のサービスだという。「日本の香水市場はまだまだ小さい。同じアジアでも韓国の人口は日本の3分の1にもかかわらず、香水市場の規模は同等レベル。でも今は香水に対する意識も変わり、ファッション同様に自己表現として楽しむ手段になりつつある。ただ、まだどんな香水をつけたらいいのか分からないという人も多く、香水をつけるハードルを下げるためにも、気楽に試せるサービスをいろいろ考えている」と話す。

 デジタルで香りを売るのが難しいともされる中で、今までにない切り口で香りに触れられるサービスとして10月にスタートしたのが、映画とのペアリングだ。好きな映画を入力すると、映画と香水に詳しいスタイリストが選んだ、映画に合わせた香りをが、送られるという仕組みだ。一見映画と香水は遠い業界に感じるが、「映画ははっきりしたテーマやストーリーがあり、感じ方は人それぞれ。そこは香水と似ているものだと思った」と説明。「もちろん難しい映画もある。例えば『ホームアローン(英表記?)』。子どもが家に一人で残されていろいろなハプニングが起こるストーリーだが、実は子どもながら大人に憧れてシェービングクリームを塗っているシーンがあったり、泥棒を退治したり、親がいないときに“大人”になりきるシーンがたくさん出てくる。だからあえて幼い香りと言うより、少し背伸びするような、スモーキーで渋めな香りを提案してみた。あとは、ホラー映画も香りと結びつけるのは難しかったりする(笑)」。

香りのプラットフォーム化を目指す

 ユニークなサービス以外に、同社の強みの一つとして挙げるのは、現在1万件を超える消費者のレビューだ。「香水は主観的なものでもあり、いろいろな人の正直なレビューが求められる。ブランド公式ECだといいレビューが目立つが、実はネガティブな意見こそ参考にされる。いずれは一般消費者のレビューに加え、スタイリストのプロのレビューも掲載し、香水の図鑑のような役割を果たせるようになりたい」。なお現在人気なのは、「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「イソップ(AESOP)」だという。

 これまで香水をより身近な存在にするためにさまざまなサービスを展開してきたが、今後も同じ目標の元、オンラインのチャットサービスの導入やリアル店舗の出店も視野に入れる。「消費者のレビューを見られるだけでなく、スタイリストとリアルタイムでコミュニケーションをとったり、さらに香水を買ったり、香りのプラットフォーム化を目指す。また、いずれはリアルな空間で香りを体験できる場も作りたい」。

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SNSの口コミ、どう利用する?「オルビス」のオンライン販売戦略

 オンライン上の口コミが購買に大きな影響を与えることは周知の事実だが、近年はその影響力がより増している。特に今年は新型コロナにより、テスター使用ができない、カウンターで相談できないといった事情もあり、購入にあたって口コミを含むオンラインの情報が重視される傾向にあった。

 その中で一般消費者からの投稿、いわゆるUGC(User Generated Content)は欠かせない存在となっている。企業広告やインフルエンサーマーケティングが発展する中で、よりリアルで消費者に近い存在が発する声は、認知形成から購入の“最後の一押し”までを担っている。しかしUGCは自然発生的なもの。企業はどのようにUGCを活用しているのか。

 「オルビス(ORBIS)」はクレンジングクリーム“オフクリーム”のオンライン販売でランディングページ(LP)を制作しており、その中でUGCを活用している。通常、LPでは企業が発信したい効果や性能、開発ストーリーなどが語られ、スクロールしていくと販売リンクにたどり着く。“オフクリーム”の場合は、LPではそういった企業のメッセージの間に、インスタグラムで一般ユーザーが投稿した画像や動画を差し込んでいる。投稿はSNSを活用したマーケティング支援を行うアライドアーキテクツのUGC活用ツール、レトロ(Letro)を使用して埋め込んでおり、投稿全文を開いて見ることや、横スクロールで多くの投稿を見ることができる。

 オンライン販売戦略を担当するオルビスの松枝奏輔マーケティング戦略部部長は「時代的に広告や一方的な発信を嫌う消費者が多い。そこに課題があり、客観的な第三者の声をお伝えしていきたいとUGCを活用した。能動的にリアリティーのあるコンテンツを見せられるのが魅力的」と語る。使用するUGCは消費者が自発的に投稿したものや、発表会に招いたインフルエンサーの投稿で、自由な感想が綴られている。

 レトロではUGC毎に効果測定が可能で、「オルビス」が表示した投稿の中で一番反応がよかったのは動画だったという。その理由について新規顧客販売戦略を担当する山口直マーケティング戦略部 新規戦略グループマネジャーは、「動画はテクスチャーや肌への浸透具合が可視化でき、反応がいい」と説明する。そのほか、「今までのクレンジングで1番好き」いったシンプルな感想も、リアル感があって反響があったという。形のない化粧品の使用感を伝えるのに動画は効果的だ。

消費者が欲しい情報と企業が発信したい内容

 率直な声こそ消費者が求めたものであり、「オルビス」が提供したかったものだ。一方で、この活用にはクオリティーが高く、商品の良さが伝わる投稿が集まっていることが前提にあった。このような良質な投稿が集まったのはなぜか。

 同社はインフルエンサーには商品の良さを知ってもらうため、ギフティングだけでなく商品説明会に招待している。山口マネジャーによると、「バズったものの多くは説明会に参加した方の投稿」だという。発表会では商品の効果などの説明だけでなく、「ここちを美しく」というブランドメッセージとともに、「日々働いている女性の方にメイクオフの時間を楽しんでもらいたい」という開発ストーリーを伝えた。「投稿を確約してもらっていたわけではないが、メッセージの部分に共感して投稿してもらえた。消費者にもコンセプトがきっちりと届いているのが、UGC発生の大きい要素になっていると思う」と続ける。

 また、企業が発信しにくいことを発信してくれるのもユーザー発信ならではの魅力だ。「“オフクリーム”はボトルデザインに非常にこだわったアイテムだが、企業が広告宣伝で訴求すべきポイントではない。しかしその思いは消費者に伝わり、『見た目もかわいい』と口コミでも好評だった」という。注目してほしいことを必ずしも企業が発信する必要はないのだ。

 さらに公式オンラインショップでは、商品ページに使用したユーザーが評価を記入できるコメント欄「みんなのクチコミ」が設けられ、星評価とコメントが表示される。「サイトの口コミ欄は2014年に導入した。中にはマイナス評価もあるが、そういったところをオープンにしている方が消費者の方にとっては信頼できる、価値が高い情報なのではないか。消費者のリテラシーも上がっているので、評価の平均点ではなく、口コミ内容をしっかり見て判断すると考えている」。

SNSで「エゴサ」 検索数20倍のバズの正体は?

 通信販売からスタートした「オルビス」だが、松枝部長によると、既に1番大きなチャネルはオンラインだという。これまで同社は購入者に紙のカタログを発送し、商品情報だけでない情報発信を行ってきたが、そうしたコンテンツ発信もオンラインで展開している。「カタログのコンテンツは、毎月購入をしなくともブランドの存在を意識してもらえる機会となっている。現在はアプリでもコンテンツを配信し、紙媒体で提供できなかったテック領域のコンテンツのような体験価値も提供している」。

 特に話題となったのが顔の自撮りからAIが解析する「パーソナルカラー診断」と「AIアイブローシュミレーター」だ。これらの機能はローンチ後すぐツイッターなどで大きく取り上げられ、利用者数が急増。見込み以上の結果だったというが、「バズったから良し」ではない。「購入時の一回きりでなく、一連の流れとして『美容における成功体験を得たい』というニーズに応えられるかが重要だ」と松枝部長は語る。

 この機能だけでなく商品も、SNSの拡散、いわゆるバズが大きな購買要因となっている。「例えば10万の“いいね”がついた時には検索数が20倍になった。ツイッターやユーチューブの大きな影響力を感じている」と松枝部長。そのため常日頃、自社の関連ワードで検索する“エゴサーチ”をしていると語る。「当社は自社ECに加えてロハコやアマゾンでも販売しているが、コンテンツを見てそのまま購入する方が多いようで、EC全体の売り上げが伸びることもある」。

 時には予期せぬバズが湧いてくることもある。「あるとき、急にメンズラインのネイルが爆発的に売れた。いろいろと調査したが、某有名人がメンズネイルの話をインスタグラムにアップしていたタイミングで、考えられる原因がそれしかなかった。『オルビス』製品を紹介していたわけではなかったが、メンズネイルとして販売している製品は市場にまだ多くないので、検索などで引っかかって購買につながったのではないか」と語る。直接的な影響がどれほどあったかたどりにくい事象ではあるが、一種の口コミが購買を促した一例だ。

 前述の”オフクリーム”もツイッターなどで話題となった商品だ。ターゲットは20代後半の大人世代だが、多くのUGCが生まれたことで、SNS世代である20代前半の消費者など消費者層は拡大した。山口マネジャーは「LPに限らず、ブランドの新規顧客の開拓としてもUGCは今後必要な要素になってくる」と話す。今後は芸能人やインフルエンサーだけでなく、ますます消費者の発信がブランドの鍵を握るようになるだろう。

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もしも「ワークマン プラス」が違う名前だったら… エディターズレター(2020年10月20日配信分)

※この記事は2020年10月20日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

もしも「ワークマン プラス」が違う名前だったら…

 米マクドナルドの初期の実話を描いた映画「ザ・ファウンダー」(2016年)は、成功のためなら手段を選ばない強欲なビジネスマンの物語です。業務用ミキサーのセールスマンだった主人公レイ・クロックは、お客を待たせずにハンバーガーを提供する仕組みを作ったマクドナルド兄弟に近づき、ビジネスパートナーになります。同社が巨大チェーンになる前の1950年代のことです。やがて経営路線を巡って兄弟と対立したクロックは、法律のスキを突いて商標権を奪い取ってしまいます。

 自分たちの名前を封じられる屈辱を受けたマクドナルド兄弟は、一方で疑問に思いました。クロックは合理的な調理システムやレシピの詳細など経営の裏側まで熟知しているのだから自分で起業すればいいじゃないか、と。

 これに対し、クロックは答えます。

 「マクドナルドが持つ“特別な何か”に気づかないのか?それは、マクドナルドという輝かしい名前だ。制限もなくオープンで、音の感じがいかにもアメリカらしい。“クロック”って名前の店で食べようと思うか?マクドナルドは美しい響きだ」――。

 この引用だけではピンとこないかもしれませんが、映画全編を見れば、アメリカという移民国家や、その後の大量消費社会を示唆した逸話であることが分かります。

 昨今のワークマンの人気ぶりに、この映画を思い出しました。

 18年秋に始まったカジュアルウエア業態「ワークマンプラス」は、当初は「WMプラス」の屋号で展開する予定でした。ロゴデザインまで完成していたそうです。ワークマンという名前は汗臭くてダサい。一般消費者には受けないし、まして女性は敬遠するだろう。ワークマン側はそう思い込んでいました。

 しかし、1号店の出店先「ららぽーと立川立飛」を運営する三井不動産の担当者が反対します。ワークマンは建築や土木などの現場で長年支持されている。プロが認める機能性、安全性、高品質の服としてアピールすべきだ。大事な看板を外してはいけない。

 ワークマンの仕掛け人として今や時の人になった土屋哲雄専務は、「目からウロコだった」と当時を振り返ります。「ワークマンにそんなブランド価値があるとは想像できなかった。われわれは完全に自社の価値を見誤っていた」。

 「ワークマンプラス」は1号店から人気に火がつきます。作業服のブランド価値が一般消費者からも肯定されたことを知り、社員の士気も上がっていきました。

 ワークマンという名前は単純明快で、老若男女を問わず何の店か知っています。長年放送していた吉幾三のCMソングも多くの人に刷り込まれている。もし「WMプラス」の名前だったら、これほどの社会現象になっていたでしょうか。また、他の作業服メーカーが同じように機能的で安価なカジュアルウエアの店を作っても、これほどの反響を呼んだでしょうか。

 マクドナルドとワークマンの逸話は、マーケティングの妙味を教えてくれます。

MARKET VIEW:ファッション市場で日々発信されるホットなニュースを、「WWDジャパン」のビジネス担当記者がコンパクトに解説するメールマガジン。ニュースを読み解くヒントを提供します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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もしも「ワークマン プラス」が違う名前だったら… エディターズレター(2020年10月20日配信分)

※この記事は2020年10月20日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

もしも「ワークマン プラス」が違う名前だったら…

 米マクドナルドの初期の実話を描いた映画「ザ・ファウンダー」(2016年)は、成功のためなら手段を選ばない強欲なビジネスマンの物語です。業務用ミキサーのセールスマンだった主人公レイ・クロックは、お客を待たせずにハンバーガーを提供する仕組みを作ったマクドナルド兄弟に近づき、ビジネスパートナーになります。同社が巨大チェーンになる前の1950年代のことです。やがて経営路線を巡って兄弟と対立したクロックは、法律のスキを突いて商標権を奪い取ってしまいます。

 自分たちの名前を封じられる屈辱を受けたマクドナルド兄弟は、一方で疑問に思いました。クロックは合理的な調理システムやレシピの詳細など経営の裏側まで熟知しているのだから自分で起業すればいいじゃないか、と。

 これに対し、クロックは答えます。

 「マクドナルドが持つ“特別な何か”に気づかないのか?それは、マクドナルドという輝かしい名前だ。制限もなくオープンで、音の感じがいかにもアメリカらしい。“クロック”って名前の店で食べようと思うか?マクドナルドは美しい響きだ」――。

 この引用だけではピンとこないかもしれませんが、映画全編を見れば、アメリカという移民国家や、その後の大量消費社会を示唆した逸話であることが分かります。

 昨今のワークマンの人気ぶりに、この映画を思い出しました。

 18年秋に始まったカジュアルウエア業態「ワークマンプラス」は、当初は「WMプラス」の屋号で展開する予定でした。ロゴデザインまで完成していたそうです。ワークマンという名前は汗臭くてダサい。一般消費者には受けないし、まして女性は敬遠するだろう。ワークマン側はそう思い込んでいました。

 しかし、1号店の出店先「ららぽーと立川立飛」を運営する三井不動産の担当者が反対します。ワークマンは建築や土木などの現場で長年支持されている。プロが認める機能性、安全性、高品質の服としてアピールすべきだ。大事な看板を外してはいけない。

 ワークマンの仕掛け人として今や時の人になった土屋哲雄専務は、「目からウロコだった」と当時を振り返ります。「ワークマンにそんなブランド価値があるとは想像できなかった。われわれは完全に自社の価値を見誤っていた」。

 「ワークマンプラス」は1号店から人気に火がつきます。作業服のブランド価値が一般消費者からも肯定されたことを知り、社員の士気も上がっていきました。

 ワークマンという名前は単純明快で、老若男女を問わず何の店か知っています。長年放送していた吉幾三のCMソングも多くの人に刷り込まれている。もし「WMプラス」の名前だったら、これほどの社会現象になっていたでしょうか。また、他の作業服メーカーが同じように機能的で安価なカジュアルウエアの店を作っても、これほどの反響を呼んだでしょうか。

 マクドナルドとワークマンの逸話は、マーケティングの妙味を教えてくれます。

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」ポイントメイク・総合部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。ポイントメイク・総合部門の百貨店・セミセルフ1位は、「ディオール(DIOR)」の“ディオール アディクト リップ マキシマイザー”。「口コミが良く、根強い人気を誇っている。保湿力が高いのも特徴」と評価された。2位は「アディクション(ADDICTION)」の“ザ アイシャドウ”、3位は「セルヴォーク(CELVOKE)」の“ディグニファイド リップス”がランクインした。バラエティー・ドラッグストア1位は、「エクセル(EXCEL)」の“パウダー&ペンシル アイブロウEX”、2位は「ウズ(UZU)」の“アイオープニングライナー”、3位は「ケイト(KATE)」の“デザイニングアイブロウ3D”となった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “ディオール アディクト リップ マキシマイザー”

「ディオール」

 唇をケアしながら、ふっくらとしたボリューム感を演出するリッププランパー。ヒアルロン酸を配合したフォーミュラで、唇表面を滑らかに整え、重ねるごとにふっくらとしたボリューム感を演出。2020年6月には、日本限定色“019 トーキョー ピンク”が加わった。“ディオール バックステージ フェイス グロウ パレット”と連動した“103 ピュア ゴールド”“104 ローズ ゴールド”“105 コッパー ゴールド”の3色も数量限定で発売。(全10色、各3700円)

2位 “ザ アイシャドウ”

「アディクション」

 インドから着想を得た2020年夏コレクション“カララダズル(KALLARA DAZZLE)”も好調だった「アディクション」“ザ アイシャドウ”。2020年8月には、KANAKOクリエイティブディレクターにより全面リニューアルを果たした。リニューアル後は、パール・スパークル・マットの3つの質感に加えて、ティント・クリームと2つのテクスチャーを新たに追加。5つの質感と新しい99色を展開し、カラーと質感のレイヤードを自由に楽しめるアイシャドウにアップデート。(全99色、各2000円)

3位 “ディグニファイド リップス”

「セルヴォーク」

 2017年の発売以来、人気が衰えない“ディグニファイド リップス 09”が3位にランクイン。天然由来成分98%のナチュラル処方でありながら絶妙な艶感とニュアンスのあるカラーを楽しめる。ベストセラーの“09テラコッタ”は、赤みを帯びたくすんだオレンジで日本人の肌になじみやすい。「ひと塗りでアカぬけた印象に仕上がる」と指名買いする人も多い。再販しても欠品状態が続いていたことから「幻のリップ」とも呼ばれていた。(全39色、各3200円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “パウダー&ペンシル アイブロウEX”

「エクセル」

 ペンシル、パウダー、スクリューブラシの3機能が一体になったアイブロウ。繊細なラインを描きやすいペンシル、濃淡がつけやすいパール感のあるふんわりパウダー、描いたラインをぼかすためのスクリューブラシがセットになっていて、眉メイクが苦手な人でもナチュラルで立体的な眉を描きやすい。特に人気が高いのは“PD01ナチュラルブラウン”と“PD02キャメルブラウン”。(全8色、各1450円)

2位 “アイオープニングライナー”

「ウズ」

「フローフシ(FLOWFUSHI)」の新ブランドとして2019年3月に誕生した「ウズ(UZU)」。“アイオープニングライナー”は「大和匠筆」を使用し、コシのある描き心地を実現。水、湿気、皮脂に強いロングラスティング処方で、こすってもにじまず美しいラインを長時間キープする。定番のブラウン、カーキ、バーガンディに加えてネイビーやパープル、オレンジ、イエローなど遊び心あるカラーがそろう。ぬるま湯で簡単にオフできる。(全14色、各1500円)

3位 “デザイニングアイブロウ3D”

「ケイト」

 2001年の発売以来、不動の人気を誇る“デザイニングアイブロウ3D”。立体的なグラデーション眉だけでなく、薄いカラーはノーズシャドウとしても使える。3色の濃淡カラーは、色ごとの仕切りがなく、メイク初心者でもグラデーションを作りやすい。質感は、エアリーで肌になじむマットなテクスチャー。形状の異なるWブラシで、太いブラシは、眉頭、ノーズ、アイホール、シェードに。コシのある細いブラシは眉尻や色ムラ調整に使える。(全4種、各1100円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : MISA KOTAKE

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珍しくメディアの前に登場した川久保さんはきれいでした エディターズレター(2020年10月20日配信分)

※この記事は2020年10月20日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

珍しくメディアの前に登場した川久保さんはきれいでした

 「コム デ ギャルソン」は19日、2021年春夏コレクションを南青山のオフィスで発表しました。ソーシャルディスタンシングを保ったショー形式で、客席は50ほどでしょうか。パリコレでのギャルソンのショーはいつも“ギュウギュウ”でその密度の濃さが期待値を高めてもいました(以前、私の隣ではデザイナーのシモーン・ロシャが、誰かの膝の上で見ていました)。だからフェイスカバーを身に着けてソーシャルディスタンシングを保って見る「コム デ ギャルソン」はある意味新鮮で貴重な体験でした。

 ショーが終わって鳴りやまない拍手の中でもデザイナーの川久保玲さんが姿を見せないのはいつものこと。でもその後がいつもとは違いました。来場者がバックステージへ挨拶に向かおうとすると川久保さんの方から姿を見せ、自然と囲み取材になりました。そして穏やかに、質問に対して丁寧に答えました。

 >ショーの内容やコメントは大杉記者の渾身リポートに譲ります。

 話を聞きながら私が目を引かれたのは、川久保さんの肌でした。“おい貴重なインタビューの場面で何見てるんだよ!”と突っ込んでいただいて構いません(笑)。もちろんちゃんと話を聞きながらですが、パッツリ切った前髪とマスクの間からのぞく繊細なまつげがしっかり上がり、目の下に入れた(多分)赤色のアイラインとコントラストが効いていて、肌がきめ細やかだったことを私は見逃しませんでした。着ている服がライダースではなく黒のテーラードジャケットとバルーンスカートだったことや、話す口調が穏やかなことも関係しているかもしれませんが、とても優しく女性らしい印象を受けたのです。

 パリでの川久保さんは率直に言えばもっと近寄りがたく、時々街角を速足で歩く姿を見かけても気軽に声をかけることはできませんでした。そんな強い川久保さんと今日の川久保さんには小さなギャップがあり、私は優しい川久保さんがすごく好きでした。地元東京だから見せた表情なのだとしたらラッキーです。

 私の中に「“今”であり続けるファッションデザイナーは肌が若々しい」という説(?)があります。ブランドが「過去のもの」とならず“今”であり続けるには、デザイナー自身が自分もアップデートし続けることが不可欠だと思うからです。「もういいや、こんなもんでしょ」と投げだしたら終わり。ちなみにこれってお金や技術の話ではありません。もちろん永遠の若さを手に入れよう、という話でもありません。自分自身に関心を持ち、自分をケアし続けることで得られるその時々の健やかな美、という意味です。だから肌がきれいな川久保さんが手掛ける「コム デ ギャルソン」は改めて強し、と思ったのです。

 だからなんだ、というオチがある話ではありません。コロナにより強引に環境が変わったことで見えたひとつのできごととして受け取っていただければ幸いです。そして私も肌の手入れをもっとちゃんとしようっと、と思ったのでした。

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」ポイントメイク・新商品部門



 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。ポイントメイク・新製品部門には、人気ブランドのリニューアルしたシグネチャーアイテムがランクイン。百貨店・セミセルフの1位に「ディオール(DIOR)」“サンク クルール クチュール”が輝いた。「SNSで話題になり、リピーターの購入も多かった」との声が上がる。2位は「アディクション(ADDICTION)」の“ザ アイシャドウ”、3位は「ディオール(DIOR)」の“アディクト リップ グロウ オイル”となった。バラエティー・ドラッグストア部門1位はNMB48の吉田朱里がプロデュースする「ビーアイドル(B-IDOL)」“ザ アイパレ”、2位は「デジャヴュ(DEJAVU)」の“アイブロウカラー”、3位はユーチューバー・モデルの古川優香がプロデュースする「リカフロッシュ(RICAFROSH)」の“ジューシーリブティント”だ。発信力のあるアイドルや、ユーチューバー・モデルがプロデュースするブランドが2品ランクインするという結果になった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “サンク クルール クチュール”

「ディオール」

 ロングセラー「サンク クルール」が、“サンク クルール クチュール”として2020年8月にリニューアル。アロエベラ、パインオイル配合でケア効果がプラスされ、まぶたにしっかり密着する新処方に。新デザインのケースは6%サイズアップ。カラーはディオール クチュールのアイコニックなドレスにインスパイアされた全13種類がそろう。日本人の肌になじみやすいと、ブラウン、コッパー、ゴールドのグラデーションが楽しめる“689 ミッツァ”が大人気に。(全13種、各7600円)

2位 “ザ アイシャドウ”

「アディクション」

 2020年8月にKANAKOクリエイティブディレクターにより全面リニューアルを果たした「アディクション」“ザ アイシャドウ”がランクイン。肌に滑らかになじんで密着する「スキンメルトテクノロジー」を採用し、自然な立体感を演出。パール・スパークル・マット・クリーム・ティントという異なる5つの質感をそろえることで、質感同士を重ねる質感のレイヤードが可能になった。全99色をラインアップ。(全99色、各2000円)

3位 “アディクト リップ グロウ オイル”

「ディオール」

 チェリーオイル(セイヨウミザクラ種子油)でトリートメントしながら、ナチュラルな発色と艶が楽しめる“アディクト リップ グロウ オイル”。オイルなのにべたつかず、濃密なリップケアとグロスの艶を同時にかなる。「カラー リバイバル テクノロジー」を採用し、一人一人の唇の水分量に反応し、その人だけの血色感で唇を彩る。単品で使えば保湿とグロスに使えるほか、リップ前のベースやリップ後のトップコートなどマルチユースが可能。(全5色、各3800円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “ザ アイパレ”

「ビーアイドル」

 NMB48の吉田朱里がプロデュースする「ビーアイドル」。“ザ アイパレ”は、質感が異なるカラー3色と、ハイライト1色がセットになったカラーパレット。「アイドルになって、テレビに映る自分の目の小ささに驚いた。『目を大きくすること』にこだわってメイクを研究した」という彼女のこだわりが詰まったカラーパレット。アイカラーとしても使えるハイライトは、鼻筋、頬の高い位置、目頭から八の字に入れるメイクとして提案している。(全5種、各1800円)

2位 “アイブロウカラー”

「デジャヴュ」

 「発色の良さ」と「眉毛を固めない柔らかな質感」を実現する“アイブロウカラー”。一般的な眉マスカラがパリッとしていたのは「フィルム成分」の影響が。そこで従来のフィルム成分よりも粒子径が小さく、薄膜のフィルムを作る「ミクロフィルム成分」を採用することで、毛が固まることなく眉毛本来のやわらかな質感をかなえる。高発色ながらもナチュラルな仕上がりで、お湯だけで簡単にオフできることも支持につながった。(全3色、各800円)

3位 “ジューシーリブティント”

「リカフロッシュ」

 ユーチューバー・モデル古川優香がプロデュースするコスメブランド「リカフロッシュ」の“ジューシーリブティント”がランクイン。2020年8月には、“オランジェット”“バラタレッド”“ミアローズ”“クランベリー”に加えて、新色“ピーチスキン”“ルーブラウン”が加わった。一度塗りはほんのりとした色づきを、二度塗りではハッキリした色合いが楽しめる。ニュアンスの異なる仕上がりが楽しめるリップティントとして人気を集め、累計販売個数は50万個を超えた。(全6色、各4.5g、各1680円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : MISA KOTAKE

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ピルを届けるオンライン診療 累計37万ダウンロードの「スマルナ」が企業向けサービスを開始したわけ

 社員の健康を経営的な課題として取り組む、健康経営を推進する企業が増えている。これまで生理などの女性特有の健康課題は、公の場で語ることをダブー視されてきた歴史や女性が職場に少なかったことなどから、支援の手が差し伸べられてこなかった分野だ。米国では2014年にフェイスブックが卵子凍結のサポートを福利厚生に取り入れ、グーグルやアップルなども後に続いた。誰もが働きやすい環境を作る上で、これらの課題にきちんと向き合い、ソリューションの選択肢を提供する姿勢が今企業に求められている。

 テクノロジー技術を用いて女性の健康課題を解決するフェムテック市場が盛り上がりを見せるなか、個人だけでなく企業に向けたサービスを提供する事例も出てきた。ピルのオンライン処方アプリ「スマルナ」を運営するネクストイノベーションもその一つだ。同社の子会社ネクイノメディカルテクノロジーズは9月、企業に向けた“スマルナ for Biz”をスタートさせ、女性社員のピル服用支援や産婦人科専門医によるウェルネスセミナーの社内実施などのサービスを提供する。低容量ピルは高い避妊効果をはじめ、生理痛やPMSの緩和などのホルモンバランスの乱れによる不調にも効果が期待できる。

 ピルの支援額は各企業が自由に設定することができ、まずは補助なしで社員の利用状況を検証する企業や、ピル代を全額補助する企業など導入の仕方はさまざま。利用者はピル処方のためのオンライン診察に加えて、助産師や薬剤師にチャット形式で生理や避妊の悩みを相談することができる健康相談サービスも利用が可能だ。現在導入企業は、日清食品ホールディングスやオールアバウトなど6社で、来年の9月には100社まで伸ばすことを目標に掲げる。

「誰も声を上げない=ニーズがない」わけではない

 「スマルナ」は18年に個人向けサービスとして開始し、20年10月時点で累計37万ダウンロードを達成した。同社の菅沼名津季サービス担当は“スマルナ for Biz”を開始した背景について、「健康経営を推進する企業は、利用できるスポーツジムの拡充など社員から要望があるものに対して取り組んでいるようだが、生理に関しては要望がないので問題ではないと認識されていることが多い。これは私たちが個人向けのサービスを開始した当初、男性の投資家から『周りでピルを飲んでいる人がいない』『ニーズがないのでは』と言う意見をもらっていた状況と同じだ。実際に『スマルナ」の登録者は毎月伸びていることからも、企業と一緒に問題のあぶり出しからサポートするサービスが必要だと考えた」と話す。

 先行導入企業のオールアバウトと希望社員を対象に実施した実証実験では、“スマルナ for Biz”導入後、女性社員が生理を原因に仕事を休んだ日数は1人1カ月あたり1.1日減少、パフォーマンスは5.5ポイント改善、一人当たりの経済的損失額は2.9万円削減したと言う結果が出た。「導入企業からは、月経困難症やPMSの症状に苦しんでいた社員がピルの服用により明らかに改善し、マネジメント層からも効果を実感していると言う声をもらっている」と菅沼担当。

困っている人に必要なサポートを確実に届ける

 同社はマネジメント研修の一環としてセミナーを実施するなどし、ピルの正しい認識を広めると同時に男性社員にも自分ごと化してもらうきっかけ作りに取り組む。菅沼担当は「ピルを飲んで働けと言う意味ではなく、あくまで困っている人たちに手を差し伸べる選択肢の一つとして提案している。導入企業のみなさまにも伝え方には気を使っていただいているようだ。ピルに対するネガティブなイメージを急に変えていくことは難しい。必要としている人たちに必要な情報を確実に届けていきたい」と話す。

 同社は今後、10代向けの性教育の分野や妊活支援、更年期障害や生活習慣病のケアに寄り添えるサービスなどを視野に入れ、ひとりの女性が年を重ねる中で起こる体調の変化に伴走するプラットフォームを整備していくという。

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エンタメと旅、街をつなぐ「シークエンス水道橋」 都心初の顔認証を導入

 三井不動産による新ホテルブランド「シークエンス(SEQUENCE)」が11月25日、東京・水道橋にオープンした。同ホテルは渋谷のミヤシタパーク、京都・五条に続き3つ目。「シークエンス」は“やさしいつながり”をコンセプトにした次世代型ホテルで、自由に街や人がつながり体験をうながす工夫がされている。「シークエンス」ではチェックインが17時、チェックアウトが14時というユニークな時間帯を採用しており、非対面でセルフチェックイン・アウトができる。「シークエンス水道橋」では、京都・五条のホテルに続き、都心初の顔認証システムを導入し、ゲストに自由な時間と過ごし方を提供。宿泊客が利用できるセルフクロークもあり、館内各施設利用時にはキャッシュレスで対応する。

 「シークエンス水道橋」は地上12階で全119室。同ホテルは、JR水道橋駅から徒歩1分。東京ドームシティ至近なので、東京ドームのスポーツ観戦やライブなどの興奮がそのままホテルで味わえるようになっている。地上12階で全119室。駅近だが2重窓で騒音の心配は無用だ。ツインから4人まで滞在可能なバンクルームがあり、全客室にタブレットを配置し、レジャーからビジネスなどさまざまな需要に対応する。客室のデザインはシンプルかつ実用的で、バンクルームの中には、プロジェクターや65インチのテレビが設置された部屋もあり、ライブの前夜祭や後夜祭でワイワイ過ごせるようになっている。「シークエンス水道橋」では、女子旅やグループ需要の高まりに応じて、パーティープランを用意する予定だ。

スポーツやエンタメの感動や興奮の“瞬間”の共有がコンセプト

 シークエンス水道橋」のコンセプトは“瞬間”。宿泊客が感動や興奮などの“瞬間”を共有できるようになっている。2階には宿泊者専用のシアターラウンジがあり、スポーツ専門動画配信サービス「ダゾーン(DAZN)」やゲストが持参した映像コンテンツを120インチの大型スクリーンで味わうことができる。同ラウンジは、アートギャラリーとしての一面もあり、半蔵門のアートスペース「アナグラ(ANAGRA)」で活躍する新進気鋭のクリエイターによる作品を展示すると同時に、ビジネスラウンジや多目的スペースとしても使用が可能だ。

スポーツバー感覚で街とつながる「カンパイテラス」

 1階には、大型スクリーンやDJブースのあるバー&ダイニング「カンパイテラス」があり、カジュアルなスタイルで正午まで朝食が食べられる“エニタイムブレックファスト”サービスをはじめ昼食、カフェ、バーメニューを提供。朝食のセットメニューはビーガン対応のものもありボリュームたっぷりで、メインに本日のスープ、ヨーグルト、ドリンク付きで1200円と値頃感がある。スポーツバーのような開放的な雰囲気で、宿泊客でなくても気軽にランチや仕事後の一杯を楽しめるようになっている。1階にはボックスシートも用意されており、カジュアルなビジネスミーティングなどにも対応する。また、オリジナルグッズの販売も行う。旅行客も地元の人々がスポーツやライブなどの興奮を共感できて、つながれる自由度の高いホテルだ。

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」ベースメイク・総合部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。ベースメイク・総合の、百貨店・セミセルフ部門は、石けんでオフできるタイプやUVカット効果が高いアイテムがランクイン。1位は、「クレド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」の“ヴォワールコレクチュール”。「人気の下地がリニューアルして話題になった」との声。2位は「エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)」の“ダブル ウェア ステイ イン プレイス メークアップ”。3位は「ポール&ジョー(PAUL & JOE)」の“プロテクティング ファンデーション プライマー”と“モイスチャライジング ファンデーション プライマー S”が同率で並んだ。バラエティー・ドラッグストア部門の1位は、「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」の“UVイデア XL プロテクショントーンアップ ローズ”に決定。「マスク着用が定番化し、敏感肌需要が追い風になった」といった声。2位は「プリマヴィスタ(PRIMAVISTA)」の“皮脂くずれ防止化粧下地”、3位は「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」の“UVイデア XL プロテクショントーンアップ”がランクインした。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “ヴォワールコレクチュール”

「クレド・ポー ボーテ」

 クリームのようなテクスチャーで、小ジワ、毛穴、色ムラをカバーし、潤いのある美しい仕上がりを長時間持続させる化粧下地。肌表面の加水分解シルクなどを配合したブランド独自成分「イルミネイティングコンプレックス」(保湿成分)を配合していて、滑らかな素肌へ仕上げる。旧製品の“ヴォワールコレクチュール”の生産は終了しており、現在は“ヴォワールコレクチュールn”として販売している。<SPF20・PA++>(全1色、40g、6000円)

2位 “ダブル ウェア ステイ イン プレイス メークアップ”

「エスティ ローダー」

 1998年の発売以来、ロング&ベストセラーを誇るリキッドファンデーション。毛穴、くすみ、シミ、色ムラをしっかりカバーし、滑らかでセミマットな仕上がり。24時間続くロングラスティング力で、朝から夜までくすみのない美しい色をキープ。“ダブル ウェア”には、「シリコーン中水」処方を採用。肌に塗布すると、持続性ポリマーが肌に密着し、表情の動きに合わせてしなやかに伸びるため時間が経っても崩れにくい。カラーバリエーションは全10色、公式オンラインショップでは23色展開。<SPF10・PA++>(各30mL、各6000円)

3位 “プロテクティング ファンデーション プライマーS”

「ポール&ジョー」

 「ポール&ジョー」史上最高レベルのUVカット効果を備えながら、美容液のように心地良いみずみずしさと透明感のある仕上がりに。紫外線から肌を防御しながら、潤いと透明感のある肌に仕上げる。UV吸収剤をカプセル化して水層に配合することで、高いUVカット効果を実現した。艶のあるスキンフィットオイルを配合することで、みずみずしい使用感をかなえる。旧製品の“プロテクティング ファンデーション プライマーS”は生産を終了しており、現在はリニューアルして“プロテクティング ファンデーション プライマー”として販売している。<SPF50+・PA++++>(全2色、各30mL、各3500円)

3位 “モイスチャライジング ファンデーション プライマー S”

「ポール&ジョー」


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “UVイデア XL プロテクショントーンアップ ローズ”

「ラ ロッシュ ポゼ」

 光を乱反射し肌を美しく見せてくれる“トーンアップUV”の新色。肌なじみのいいピンク色で、艶があり透明感のある肌を演出する。PM2.5を含む大気中微粒子などの外的要因から肌を守るマルチプロテクションテクノロジーを採用し、敏感肌など幅広い肌質に使用できる。肌のバリア機能をサポートする、「ラ ロッシュ ポゼ ターマルウォーター(整肌成分)」を配合し、スキンケア効果も期待できる。メイク落とし不要で洗顔料でオフできる。<SPF50+・PA++++>(30mL、3400円)

2位 “皮脂くずれ防止 化粧下地”

「プリマヴィスタ」

 皮脂崩れしにくい「オイルブロック処方」で皮脂を広げず、テカりのないファンデーションの仕上がりが持続する。また、肌の密着度が高く、表情の動きでヨレやすい目元や口元もしっかりカバー。皮脂くずれが気になる夏場は全顔に、冬場はTゾーンのみにとシーズンによって塗る箇所を分ける愛用者も多い。ヒアルロン酸、カミツレ花エキス(保湿成分)を配合。<SPF20・PA++>(25mL、2800円)

3位 “UVイデア XL プロテクショントーンアップ”

「ラ ロッシュ ポゼ」

 アジア人の敏感肌向けに開発したアイテム。1位の“UVイデア XL プロテクショントーンアップ ローズ”はピンク色だが、こちらは無色。トーンアップ、日焼け止め、化粧下地を1本でかなえる。くすみ、色むらを自然にカバーし、まるで光のヴェールをまとっているかのような自然な艶感を演出。「ラ ロッシュ ポゼ ターマルウォーター(整肌成分)」を配合していてスキンケア効果も期待できる。無香料、パラベンフリー。石けんでオフできる。<SPF50+・PA++++>(30mL、3400円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : MISA KOTAKE

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」ベースメイク・新製品部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。ベースメイク新製品の、百貨店・セミセルフ部門1位は、「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」の“ヴォワールコレクチュールn”に決定。「SNSの口コミが良く、特に若年層の新客が多かった。リニューアル前からのファンも多く、リピート率が高いアイテム」と評価。2位は、「ローラ メルシエ(LAURA MERCIER)」“フローレス ルミエール ラディアンス パーフェクティング クッション”、3位は「スック(SUQQU)」の“ザ クリーム ファンデーション”となった。バラエティー・ドラッグストア部門1位はヘアメイクアップアーティストの河北裕介がプロデュースする「アンドビー(&BE)」“ファンシーラー”に決定。2位は「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」“UVイデア XL プロテクショントーンアップ ローズ”、3位は「アンドビー」“グロウハイライター”となった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “ヴォワールコレクチュールn”

「クレ・ド・ポー ボーテ」

 肌表面の乱れを補正し、肌の内側からまるでヴェールをまとったようなワントーン明るい肌に仕上げる化粧下地“ヴォワールコレクチュールn”が1位。落とした後も、潤いのある滑らかな肌が続くと話題に。小ジワ、毛穴、色ムラをカバーし、滑らかでしっとりとした肌に導く。皮脂によるテカリやヨレといった化粧崩れを防ぎ、美しい仕上がりを長時間キープ。肌につけると、白ワインとローズを再現した香りがほのかに感じられる。<SPF25・PA++>(全1色、40g、6500円)

2位 “フローレス ルミエール ラディアンス パーフェクティング クッション”

「ローラ メルシエ」

 ベースメイク“フローレス ルミエール”シリーズのクッションファンデーションが2位に登場。超微粒子のダイヤモンドパウダーを配合し、色ムラを補正して動くたびに光を反射して上品な艶感を与える。一度塗りはもちろん、重ね塗りしてもナチュラルで素肌のような仕上がりに。また、プロテクト成分を配合し、紫外線、花粉といった外的環境のストレスからもガードする。2020年9月30日に、新色“0C1(PEARL IVORY)”が加わった。<SPF50・PA+++>(全6色、各15g、各5800円)

3位 “ザ クリーム ファンデーション”

「スック」

 3位は、時間の経過とともに「移り変わる艶」が楽しめる「スック」のクリームファンデーション。新たに緑茶エキスやシルクプロテインの国産美容保湿エキスを配合することで、スキンケア効果がアップ。また、全てのピグメントにアミノ酸誘導体コーティングを施すことで、粉感の少ないテクスチャーに進化。イエロー系5色、オークル系5色、ピンク系2色と、それぞれ明度の異なる色をそろえることで求める肌色が見つかるカラーバリエーションに。<SPF20~SPF30・PA++~PA+++>(各30g、各1万円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “ファンシーラー”

「アンドビー」

 人気ヘアメイクアップアーティストの河北裕介がプロデュースする「アンドビー」のファンデとコンシーラーを兼ねた“ファンシーラー”が1位に。オレンジとベージュの2色からなり、ファンデーションのように軽く伸ばせながらコンシーラーのカバー力を持つ、いいとこ取りアイテム。伸びがよく少量で隠したい箇所をカバーできる。オレンジは、クマのカバーにも使えてひと塗りで表情が明るく。石けんタイプの洗顔料とお湯でオフできる。<SPF20・PA++>(全2種、各4g、各3500円)

2位 “UVイデア XLプロテクショントーンアップ ローズ”

「ラ ロッシュ ポゼ」

 2018年の発売以来、人気の“トーンアップUV”シリーズに新色ピンクが加わった。トーンアップ、日焼け止め、化粧下地を1本でかなえてくれる。スクワラン、グリセリンなどの保湿スキンケア成分を配合し、乾燥によるダメージから肌を守ってくれる。深海微生物由来のヴェニュセアン(サーマスサーモフィルス培養物)、シアバター由来のデトキシル、ビタミンE、ボタンエキスなどを配合し、敏感肌でも使える低刺激設計。<SPF50+・PA++++>(30mL、3400円)

3位 “グロウハイライター”

「アンドビー」

 バーム状ハイライター。シルバー、ブロンズ、ピンクの3色を独自ブレンドしたオリジナルカラーが⻩ぐすみ抑え、透明感を高める。微細なパールが入っていて、小ジワ、シミなどの肌のアラを光で飛ばし、柔らかな質感に。内側から発光しているかのような立体感を与え、奥行きのある小顔メイクがかなう。肌荒れを防ぐ整肌成分を配合しているため、肌に潤いを与え、健やかでキメの整った肌に。石けんタイプの洗顔料でオフできるのも特徴だ。(全1色、3g、3000円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : MISA KOTAKE

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」ベースメイク・新製品部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。ベースメイク新製品の、百貨店・セミセルフ部門1位は、「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」の“ヴォワールコレクチュールn”に決定。「SNSの口コミが良く、特に若年層の新客が多かった。リニューアル前からのファンも多く、リピート率が高いアイテム」と評価。2位は、「ローラ メルシエ(LAURA MERCIER)」“フローレス ルミエール ラディアンス パーフェクティング クッション”、3位は「スック(SUQQU)」の“ザ クリーム ファンデーション”となった。バラエティー・ドラッグストア部門1位はヘアメイクアップアーティストの河北裕介がプロデュースする「アンドビー(&BE)」“ファンシーラー”に決定。2位は「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」“UVイデア XL プロテクショントーンアップ ローズ”、3位は「アンドビー」“グロウハイライター”となった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “ヴォワールコレクチュールn”

「クレ・ド・ポー ボーテ」

 肌表面の乱れを補正し、肌の内側からまるでヴェールをまとったようなワントーン明るい肌に仕上げる化粧下地“ヴォワールコレクチュールn”が1位。落とした後も、潤いのある滑らかな肌が続くと話題に。小ジワ、毛穴、色ムラをカバーし、滑らかでしっとりとした肌に導く。皮脂によるテカリやヨレといった化粧崩れを防ぎ、美しい仕上がりを長時間キープ。肌につけると、白ワインとローズを再現した香りがほのかに感じられる。<SPF25・PA++>(全1色、40g、6500円)

2位 “フローレス ルミエール ラディアンス パーフェクティング クッション”

「ローラ メルシエ」

 ベースメイク“フローレス ルミエール”シリーズのクッションファンデーションが2位に登場。超微粒子のダイヤモンドパウダーを配合し、色ムラを補正して動くたびに光を反射して上品な艶感を与える。一度塗りはもちろん、重ね塗りしてもナチュラルで素肌のような仕上がりに。また、プロテクト成分を配合し、紫外線、花粉といった外的環境のストレスからもガードする。2020年9月30日に、新色“0C1(PEARL IVORY)”が加わった。<SPF50・PA+++>(全6色、各15g、各5800円)

3位 “ザ クリーム ファンデーション”

「スック」

 3位は、時間の経過とともに「移り変わる艶」が楽しめる「スック」のクリームファンデーション。新たに緑茶エキスやシルクプロテインの国産美容保湿エキスを配合することで、スキンケア効果がアップ。また、全てのピグメントにアミノ酸誘導体コーティングを施すことで、粉感の少ないテクスチャーに進化。イエロー系5色、オークル系5色、ピンク系2色と、それぞれ明度の異なる色をそろえることで求める肌色が見つかるカラーバリエーションに。<SPF20~SPF30・PA++~PA+++>(各30g、各1万円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “ファンシーラー”

「アンドビー」

 人気ヘアメイクアップアーティストの河北裕介がプロデュースする「アンドビー」のファンデとコンシーラーを兼ねた“ファンシーラー”が1位に。オレンジとベージュの2色からなり、ファンデーションのように軽く伸ばせながらコンシーラーのカバー力を持つ、いいとこ取りアイテム。伸びがよく少量で隠したい箇所をカバーできる。オレンジは、クマのカバーにも使えてひと塗りで表情が明るく。石けんタイプの洗顔料とお湯でオフできる。<SPF20・PA++>(全2種、各4g、各3500円)

2位 “UVイデア XLプロテクショントーンアップ ローズ”

「ラ ロッシュ ポゼ」

 2018年の発売以来、人気の“トーンアップUV”シリーズに新色ピンクが加わった。トーンアップ、日焼け止め、化粧下地を1本でかなえてくれる。スクワラン、グリセリンなどの保湿スキンケア成分を配合し、乾燥によるダメージから肌を守ってくれる。深海微生物由来のヴェニュセアン(サーマスサーモフィルス培養物)、シアバター由来のデトキシル、ビタミンE、ボタンエキスなどを配合し、敏感肌でも使える低刺激設計。<SPF50+・PA++++>(30mL、3400円)

3位 “グロウハイライター”

「アンドビー」

 バーム状ハイライター。シルバー、ブロンズ、ピンクの3色を独自ブレンドしたオリジナルカラーが⻩ぐすみ抑え、透明感を高める。微細なパールが入っていて、小ジワ、シミなどの肌のアラを光で飛ばし、柔らかな質感に。内側から発光しているかのような立体感を与え、奥行きのある小顔メイクがかなう。肌荒れを防ぐ整肌成分を配合しているため、肌に潤いを与え、健やかでキメの整った肌に。石けんタイプの洗顔料でオフできるのも特徴だ。(全1色、3g、3000円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : MISA KOTAKE

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」ベースメイク・新製品部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。ベースメイク新製品の、百貨店・セミセルフ部門1位は、「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」の“ヴォワールコレクチュールn”に決定。「SNSの口コミが良く、特に若年層の新客が多かった。リニューアル前からのファンも多く、リピート率が高いアイテム」と評価。2位は、「ローラ メルシエ(LAURA MERCIER)」“フローレス ルミエール ラディアンス パーフェクティング クッション”、3位は「スック(SUQQU)」の“ザ クリーム ファンデーション”となった。バラエティー・ドラッグストア部門1位はヘアメイクアップアーティストの河北裕介がプロデュースする「アンドビー(&BE)」“ファンシーラー”に決定。2位は「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」“UVイデア XL プロテクショントーンアップ ローズ”、3位は「アンドビー」“グロウハイライター”となった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “ヴォワールコレクチュールn”

「クレ・ド・ポー ボーテ」

 肌表面の乱れを補正し、肌の内側からまるでヴェールをまとったようなワントーン明るい肌に仕上げる化粧下地“ヴォワールコレクチュールn”が1位。落とした後も、潤いのある滑らかな肌が続くと話題に。小ジワ、毛穴、色ムラをカバーし、滑らかでしっとりとした肌に導く。皮脂によるテカリやヨレといった化粧崩れを防ぎ、美しい仕上がりを長時間キープ。肌につけると、白ワインとローズを再現した香りがほのかに感じられる。<SPF25・PA++>(全1色、40g、6500円)

2位 “フローレス ルミエール ラディアンス パーフェクティング クッション”

「ローラ メルシエ」

 ベースメイク“フローレス ルミエール”シリーズのクッションファンデーションが2位に登場。超微粒子のダイヤモンドパウダーを配合し、色ムラを補正して動くたびに光を反射して上品な艶感を与える。一度塗りはもちろん、重ね塗りしてもナチュラルで素肌のような仕上がりに。また、プロテクト成分を配合し、紫外線、花粉といった外的環境のストレスからもガードする。2020年9月30日に、新色“0C1(PEARL IVORY)”が加わった。<SPF50・PA+++>(全6色、各15g、各5800円)

3位 “ザ クリーム ファンデーション”

「スック」

 3位は、時間の経過とともに「移り変わる艶」が楽しめる「スック」のクリームファンデーション。新たに緑茶エキスやシルクプロテインの国産美容保湿エキスを配合することで、スキンケア効果がアップ。また、全てのピグメントにアミノ酸誘導体コーティングを施すことで、粉感の少ないテクスチャーに進化。イエロー系5色、オークル系5色、ピンク系2色と、それぞれ明度の異なる色をそろえることで求める肌色が見つかるカラーバリエーションに。<SPF20~SPF30・PA++~PA+++>(各30g、各1万円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “ファンシーラー”

「アンドビー」

 人気ヘアメイクアップアーティストの河北裕介がプロデュースする「アンドビー」のファンデとコンシーラーを兼ねた“ファンシーラー”が1位に。オレンジとベージュの2色からなり、ファンデーションのように軽く伸ばせながらコンシーラーのカバー力を持つ、いいとこ取りアイテム。伸びがよく少量で隠したい箇所をカバーできる。オレンジは、クマのカバーにも使えてひと塗りで表情が明るく。石けんタイプの洗顔料とお湯でオフできる。<SPF20・PA++>(全2種、各4g、各3500円)

2位 “UVイデア XLプロテクショントーンアップ ローズ”

「ラ ロッシュ ポゼ」

 2018年の発売以来、人気の“トーンアップUV”シリーズに新色ピンクが加わった。トーンアップ、日焼け止め、化粧下地を1本でかなえてくれる。スクワラン、グリセリンなどの保湿スキンケア成分を配合し、乾燥によるダメージから肌を守ってくれる。深海微生物由来のヴェニュセアン(サーマスサーモフィルス培養物)、シアバター由来のデトキシル、ビタミンE、ボタンエキスなどを配合し、敏感肌でも使える低刺激設計。<SPF50+・PA++++>(30mL、3400円)

3位 “グロウハイライター”

「アンドビー」

 バーム状ハイライター。シルバー、ブロンズ、ピンクの3色を独自ブレンドしたオリジナルカラーが⻩ぐすみ抑え、透明感を高める。微細なパールが入っていて、小ジワ、シミなどの肌のアラを光で飛ばし、柔らかな質感に。内側から発光しているかのような立体感を与え、奥行きのある小顔メイクがかなう。肌荒れを防ぐ整肌成分を配合しているため、肌に潤いを与え、健やかでキメの整った肌に。石けんタイプの洗顔料でオフできるのも特徴だ。(全1色、3g、3000円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : MISA KOTAKE

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」ベースメイク・新製品部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。ベースメイク新製品の、百貨店・セミセルフ部門1位は、「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」の“ヴォワールコレクチュールn”に決定。「SNSの口コミが良く、特に若年層の新客が多かった。リニューアル前からのファンも多く、リピート率が高いアイテム」と評価。2位は、「ローラ メルシエ(LAURA MERCIER)」“フローレス ルミエール ラディアンス パーフェクティング クッション”、3位は「スック(SUQQU)」の“ザ クリーム ファンデーション”となった。バラエティー・ドラッグストア部門1位はヘアメイクアップアーティストの河北裕介がプロデュースする「アンドビー(&BE)」“ファンシーラー”に決定。2位は「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」“UVイデア XL プロテクショントーンアップ ローズ”、3位は「アンドビー」“グロウハイライター”となった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “ヴォワールコレクチュールn”

「クレ・ド・ポー ボーテ」

 肌表面の乱れを補正し、肌の内側からまるでヴェールをまとったようなワントーン明るい肌に仕上げる化粧下地“ヴォワールコレクチュールn”が1位。落とした後も、潤いのある滑らかな肌が続くと話題に。小ジワ、毛穴、色ムラをカバーし、滑らかでしっとりとした肌に導く。皮脂によるテカリやヨレといった化粧崩れを防ぎ、美しい仕上がりを長時間キープ。肌につけると、白ワインとローズを再現した香りがほのかに感じられる。<SPF25・PA++>(全1色、40g、6500円)

2位 “フローレス ルミエール ラディアンス パーフェクティング クッション”

「ローラ メルシエ」

 ベースメイク“フローレス ルミエール”シリーズのクッションファンデーションが2位に登場。超微粒子のダイヤモンドパウダーを配合し、色ムラを補正して動くたびに光を反射して上品な艶感を与える。一度塗りはもちろん、重ね塗りしてもナチュラルで素肌のような仕上がりに。また、プロテクト成分を配合し、紫外線、花粉といった外的環境のストレスからもガードする。2020年9月30日に、新色“0C1(PEARL IVORY)”が加わった。<SPF50・PA+++>(全6色、各15g、各5800円)

3位 “ザ クリーム ファンデーション”

「スック」

 3位は、時間の経過とともに「移り変わる艶」が楽しめる「スック」のクリームファンデーション。新たに緑茶エキスやシルクプロテインの国産美容保湿エキスを配合することで、スキンケア効果がアップ。また、全てのピグメントにアミノ酸誘導体コーティングを施すことで、粉感の少ないテクスチャーに進化。イエロー系5色、オークル系5色、ピンク系2色と、それぞれ明度の異なる色をそろえることで求める肌色が見つかるカラーバリエーションに。<SPF20~SPF30・PA++~PA+++>(各30g、各1万円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “ファンシーラー”

「アンドビー」

 人気ヘアメイクアップアーティストの河北裕介がプロデュースする「アンドビー」のファンデとコンシーラーを兼ねた“ファンシーラー”が1位に。オレンジとベージュの2色からなり、ファンデーションのように軽く伸ばせながらコンシーラーのカバー力を持つ、いいとこ取りアイテム。伸びがよく少量で隠したい箇所をカバーできる。オレンジは、クマのカバーにも使えてひと塗りで表情が明るく。石けんタイプの洗顔料とお湯でオフできる。<SPF20・PA++>(全2種、各4g、各3500円)

2位 “UVイデア XLプロテクショントーンアップ ローズ”

「ラ ロッシュ ポゼ」

 2018年の発売以来、人気の“トーンアップUV”シリーズに新色ピンクが加わった。トーンアップ、日焼け止め、化粧下地を1本でかなえてくれる。スクワラン、グリセリンなどの保湿スキンケア成分を配合し、乾燥によるダメージから肌を守ってくれる。深海微生物由来のヴェニュセアン(サーマスサーモフィルス培養物)、シアバター由来のデトキシル、ビタミンE、ボタンエキスなどを配合し、敏感肌でも使える低刺激設計。<SPF50+・PA++++>(30mL、3400円)

3位 “グロウハイライター”

「アンドビー」

 バーム状ハイライター。シルバー、ブロンズ、ピンクの3色を独自ブレンドしたオリジナルカラーが⻩ぐすみ抑え、透明感を高める。微細なパールが入っていて、小ジワ、シミなどの肌のアラを光で飛ばし、柔らかな質感に。内側から発光しているかのような立体感を与え、奥行きのある小顔メイクがかなう。肌荒れを防ぐ整肌成分を配合しているため、肌に潤いを与え、健やかでキメの整った肌に。石けんタイプの洗顔料でオフできるのも特徴だ。(全1色、3g、3000円)

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「先陣は『LV』」に期待しているワタシ エディターズレター(2020年9月7日配信分)

※この記事は2020年9月7日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「先陣は『LV』」に期待しているワタシ

 先週行われた「ルイ・ヴィトン」のファッションショー、こんな時のリアルショーについては賛否両論あるのかもしれませんが、「先陣を切るのは、やっぱり『ルイ・ヴィトン』なんだな」と思いました。

 このメゾンについては同じこと、つまり「最初は、やっぱり『ルイ・ヴィトン』なんだ」と思う時が度々訪れ、正直、それを願っているフシさえあります。例えばヴァージル・アブローがアーティスティック・ディレクターに就任した時は、黒人で、建築出身で、ストリートな彼を、「ルイ・ヴィトン」という世界最大のメガ・ラグジュアリー・ブランドが選んだことに意義があると感じました。「いよいよファッション業界が人種や出自、経験にとらわれず、才能やビジョン、そして大義でジャッジする時代が到来する!!」と期待したのです。そのインパクトは、小さなブランドの似たような人事とはワケが違います。「ルイ・ヴィトン」の一挙手一投足はファッション業界を超え、ファッション代表として社会に認知され、ゆえに社会を変え得る力を持っていると考えています。だからこそ、「まずは『ルイ・ヴィトン』から」を期待してしまうのです。そしてヴァージルはデビュー以来、ダイバーシティー&インクルージョンというコアバリューを連打。これも、「ルイ・ヴィトン」が示すこと、「ルイ・ヴィトン」から示すことに意味があるのです。

 その意味で今回のショーは、ファッションがくじけていないこと、新しい形のランウエイショーを模索していること、本国の首脳陣は来日できないからジャパン社のスタッフに相当の権限を委譲して実行を託したローカライズなどの意味において、業界を前進させ得る1つの契機になり得るのでは?と思っています。さまざまな意見が飛び交っていることは承知の上で、私は、ブランド単体はもちろん業界全体の前進の原動力になり得ている動きを応援したいと思っています。そして規模はず~っと小さいけれど、ヴァージル同様に1つの組織を率いる人間として、大いに刺激を受けるのです。

 そう考えると、トップがこれだけ大胆かつ勇敢に、そしてSNSなどで意思を表明しながら道を開拓してくれる組織は強いですね。ヴァージル同様に意思表示に勇敢なのは、Twitterで存在感を増しているテック系企業のトップたちでしょうか?昔ながらの大企業は、そのあたりやっぱり難しいでしょうか?

 「正直に語る」「ウソをつかない」「直接語りかける」は、サステナブルに繋がる透明性においても、D2C的マインドのコミュニケーションにおいても欠かせません。そろそろ決断の時が迫っているように思うのですが、いかがでしょうか?

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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コロナ禍でも2ケタ成長を続ける「ラ ロッシュ ポゼ」 “トーンアップUV”が大ヒットした要因は 

 日本ロレアル(NIHON L’OREAL)が展開する、フランス発のダーマコスメブランド「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」はコロナ禍で成長が加速した稀有なブランドのひとつだ。過去2〜3年、毎年2ケタ成長し、新型コロナウイルスにより多くの経済活動にブレーキが掛かる中、時代に合った製品とコミュニケーションで成長をし続けている。同社の中でドクターズコスメブランドを主に扱うアクティブコスメティクス事業部をリードするブランドだ。

 「ラ ロッシュ ポゼ」はフランス中西部に位置するラ ロッシュ ポゼ村の皮膚ケア施設から生まれたブランドで、同地域の湧水、ターマルウォーターを配合している製品を展開している。敏感肌でも使えるアイテムを手掛け、一般消費者だけでなく世界中の皮膚科医からも推奨されている。中でも、肌色を自然に明るく見せる日焼け止め“UVイデア XL プロテクショントーンアップ”がブランドのキーアイテムとして存在感を発揮している。

 2020年1月に事業部長に就いたスティービー・キャメロン(Stevie Cameron)氏は人気の要因について「まずは、われわれが敏感肌のエキスパートとして信頼を得ていることが大きいだろう。肌を紫外線や大気中微粒子から守るプロテクション効果や肌を保湿するスキンケア効果、さらに自然にトーンアップしたり艶を出すメイクアップ効果も備えながら、敏感肌でも使えるというマルチ機能が大きなポイントだ。その信頼と製品力により多くの口コミを生み出し、さらにベストコスメ賞を数多く獲得したことがヒットにつながった」と説明する。
 
 コロナにより人々の意識は大きく変わった。体の内側から免疫力を高めることに加え、外的要因からプロテクトするという考え方が台頭している。化粧品ではスキンケアを重視する傾向が強くなっているが、加えてベースメイクでも守るといったコミュニケーションが人気の引き金になっている。“UVイデア XL プロテクショントーンアップ”はまさに、それをかなえる製品として好評で、さらには守るだけでなく、スキンケアやトーンアップ効果などのプラスαの差別化も人気を高めている。同アイテムで若年層を含む多くの新規顧客の獲得にも奏功し、使用者のリピート率も高くブランド顧客を増やしているという。

 差別化は製品開発の段階から始まっている。フランス発グローバルブランドでありながら、アジア人女性の肌悩みやニーズを研究して開発。「日本、中国、北米、ヨーロッパに研究所があり、ローカライズされた製品を生産している。日本の研究所で開発された製品は、日本と韓国マーケットに向けた製品を手掛けている」とし、「本社はフランスなので基本的に製品はフランス発のものが中心になるが、今後も日本人・韓国人特有の肌ニーズがあれば応えていきたい」と話す。

新型コロナで変化する消費者の意識も影響

 多くの化粧品ブランドはロックダウン中に実店舗の閉店でビジネスに影響を受けたが、ロックダウン中でも営業を続けていたドラッグストアで扱いがあるのは大きなプラスになったのではないかと考えたが、「実際、ドラッグストアも打撃を受けたので、成長し続けているのはそれだけではない。ますます健康に気を遣う人が増える中で、化粧品の中身や安全性に気を遣う人も増えている。創業当時から皮膚科医の協力を得て製品を開発し、世界中の皮膚科医から採用されているわれわれの製品への信頼が改めて厚くなったと考える。何十年もの間、医療従事者と協力して製品を開発し、敏感肌の人や赤ちゃんでも使える製品を作ってきた。今後も、肌の健康を追求し、肌トラブルに対するソリューションを提供する」と語る。混沌とする今の時代に求められる要素が詰まっている。

 さらに、今の時代に避けては通れない環境問題にも積極的だ。本国では、ロレアルがフランスのアルベア(ALBEA)と協業して開発したペーパーチューブの導入を同社のブランドの中で「ラ ロッシュ-ポゼ」が先行してはじめている。具体的な施策は現在計画中だが、日本市場でも同様にサステナビリティの取り組みを企画しているという。

 日本施策として11月12日(“皮膚の日”)から5週間にわたりライブ配信番組「#MySkinStories」も配信した。友利新・皮膚科医兼内科医や吉田貴子・皮膚科医兼美容皮膚科医ら皮膚科医が近藤千尋やクリス・ウェブ佳子など敏感肌のタレントとともにトークショーを行っており、敏感肌ならではの悩みを話し合ったり、視聴者とのコメントに応えたり、敏感肌コミュニティーをサポートする施策にも力を入れる。

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」スキンケア・総合部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。スキンケア・総合部門は、不動の人気を誇る製品がランクインした。百貨店の1位は、「イプサ(IPSA)」の“ザ・タイムR アクア”。「リピーターや口コミからの新客が多い」などの声。2位は長く愛され続ける「アルビオン(ALBION)」の“薬用スキンコンディショナー エッセンシャル”。3位は「ファンケル(FANCL)」の“マイルドクレンジング オイル”だった。バラエティー・ドラッグストアの1位は「毛穴無子」“お米のマスク”で、「マスクの着用で毛穴の悩みが増え再度売り上げが伸長」と評価。2位は「デュオ(DUO)」“ザ クレンジングバーム クリア”、3位は「オバジ(OBAGI)」の“C25セラム ネオ”が挙がった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “ザ・タイムR アクア”

「イプサ」

 “ザ・タイムR アクア”は、イプサ独自の保湿成分「アクアプレゼンターⅢ」の配合で角質表面の水分量を増やし、キメを整えみずみずしい肌へと導く薬用化粧水。水溶性保湿成分が、じっくりと時間をかけて角層に浸透し潤いが持続。肌を水分で満たす技術の採用で、水分不足が気になる肌も皮脂過剰が気になる肌にも使え、テカリにくくみずみずしい肌へと導く。2014年の発売以来、根強い人気を誇っている。(200mL、4000円)

2位 “薬用スキンコンディショナー エッセンシャル”

「アルビオン」

 “薬用スキンコンディショナー エッセンシャル” はこれまで紙面で展開してきた「WWDビューティ」ベストコスメでも常連。キー成分は、オーガニック濃縮ハトムギエキス(ヨクイニンエキス)で、100%純粋なハトムギ品種「北のはと」由来のヨクイニンを配合しているのは、国内の化粧水で唯一、同製品のみ。水分保持力のサポート、メラニン生成の抑制、代謝リズムを正常にする働きが期待でき、ハリのあるクリアな肌へと導く。(110ml、3500円 165ml、5000円 330ml、8500円)

3位 “マイルドクレンジングオイル”

「ファンケル」

 4秒に1本売れている “マイルドクレンジングオイル”。累計売上本数は1億本を突破した。(リニューアル前製品を含む。2003年4月~2020年9月6日まで)角栓を溶かす力の高いオイルを処方し、毛穴に詰まった角栓にアプローチ。落ちにくいメイクにもするりとなじみ、洗い流し時はスッキリ落とせて、メイクのヌルつきも残さないのが特徴。メイクだけでなく、つまった角栓、毛穴詰まりなどもスッキリすると人気を獲得する。(120mL、1700円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “お米のマスク”

「毛穴撫子」

 「毛穴撫子」“お米のマスク”は、「大容量タイプが欲しい」という声に応えて28枚入りが加わった人気製品。100%国産米由来の美容成分のライスセラムを配合。ライスセラムには、米発酵液、米ぬか油、米セラミド、米ぬかエキスの米由来成分で構成されており、乾燥による毛穴肌をふっくらもっちり肌に導く。ボックスには美容液を455mL使用し、厚手のシートを採用。普段使いできるリーズナブルな価格も魅力となっている。(10枚入り650円 28枚入り1600円)

2位 “ザ クレンジングバーム クリア”

「デュオ」

 「デュオ」“ザ クレンジングバーム クリア”はW洗顔不要のクレンジングバーム。肌にのせると、固形バームはとろりとしたテクスチャーに変化する。弾力のある微粒子カプセルが、メイク汚れ、毛穴汚れ、古い角質まで素早くしっかり落とす。31種類の美容成分を配合していて、使うほどに透明感のある肌をかなえる。パラベン・鉱物油・石油系合成界面活性剤・合成香料・合成着色料・アルコールフリー。(90g、3600円)

3位 “C25セラム ネオ”

「オバジ」

 「オバジ」“C25セラム ネオ”は、シリーズの中でも、整肌保湿成分の「アスコルビン酸」をもっとも多く配合。製薬会社だから実現できた美容液で、幅広い年代から支持されている。「アスコルビン酸」は肌を整える保湿成分で、潤いによって乾燥によるくすみにアプローチし肌に透明感を与える。アスコルビン酸に加えビタミンEも配合することで、毛穴、ハリ、くすみ、小ジワ、乾燥などあらゆる肌悩みにアプローチする。(12mL、1万円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : MISA KOTAKE

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」スキンケア・総合部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。スキンケア・総合部門は、不動の人気を誇る製品がランクインした。百貨店の1位は、「イプサ(IPSA)」の“ザ・タイムR アクア”。「リピーターや口コミからの新客が多い」などの声。2位は長く愛され続ける「アルビオン(ALBION)」の“薬用スキンコンディショナー エッセンシャル”。3位は「ファンケル(FANCL)」の“マイルドクレンジング オイル”だった。バラエティー・ドラッグストアの1位は「毛穴無子」“お米のマスク”で、「マスクの着用で毛穴の悩みが増え再度売り上げが伸長」と評価。2位は「デュオ(DUO)」“ザ クレンジングバーム クリア”、3位は「オバジ(OBAGI)」の“C25セラム ネオ”が挙がった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “ザ・タイムR アクア”

「イプサ」

 “ザ・タイムR アクア”は、イプサ独自の保湿成分「アクアプレゼンターⅢ」の配合で角質表面の水分量を増やし、キメを整えみずみずしい肌へと導く薬用化粧水。水溶性保湿成分が、じっくりと時間をかけて角層に浸透し潤いが持続。肌を水分で満たす技術の採用で、水分不足が気になる肌も皮脂過剰が気になる肌にも使え、テカリにくくみずみずしい肌へと導く。2014年の発売以来、根強い人気を誇っている。(200mL、4000円)

2位 “薬用スキンコンディショナー エッセンシャル”

「アルビオン」

 “薬用スキンコンディショナー エッセンシャル” はこれまで紙面で展開してきた「WWDビューティ」ベストコスメでも常連。キー成分は、オーガニック濃縮ハトムギエキス(ヨクイニンエキス)で、100%純粋なハトムギ品種「北のはと」由来のヨクイニンを配合しているのは、国内の化粧水で唯一、同製品のみ。水分保持力のサポート、メラニン生成の抑制、代謝リズムを正常にする働きが期待でき、ハリのあるクリアな肌へと導く。(110ml、3500円 165ml、5000円 330ml、8500円)

3位 “マイルドクレンジングオイル”

「ファンケル」

 4秒に1本売れている “マイルドクレンジングオイル”。累計売上本数は1億本を突破した。(リニューアル前製品を含む。2003年4月~2020年9月6日まで)角栓を溶かす力の高いオイルを処方し、毛穴に詰まった角栓にアプローチ。落ちにくいメイクにもするりとなじみ、洗い流し時はスッキリ落とせて、メイクのヌルつきも残さないのが特徴。メイクだけでなく、つまった角栓、毛穴詰まりなどもスッキリすると人気を獲得する。(120mL、1700円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “お米のマスク”

「毛穴撫子」

 「毛穴撫子」“お米のマスク”は、「大容量タイプが欲しい」という声に応えて28枚入りが加わった人気製品。100%国産米由来の美容成分のライスセラムを配合。ライスセラムには、米発酵液、米ぬか油、米セラミド、米ぬかエキスの米由来成分で構成されており、乾燥による毛穴肌をふっくらもっちり肌に導く。ボックスには美容液を455mL使用し、厚手のシートを採用。普段使いできるリーズナブルな価格も魅力となっている。(10枚入り650円 28枚入り1600円)

2位 “ザ クレンジングバーム クリア”

「デュオ」

 「デュオ」“ザ クレンジングバーム クリア”はW洗顔不要のクレンジングバーム。肌にのせると、固形バームはとろりとしたテクスチャーに変化する。弾力のある微粒子カプセルが、メイク汚れ、毛穴汚れ、古い角質まで素早くしっかり落とす。31種類の美容成分を配合していて、使うほどに透明感のある肌をかなえる。パラベン・鉱物油・石油系合成界面活性剤・合成香料・合成着色料・アルコールフリー。(90g、3600円)

3位 “C25セラム ネオ”

「オバジ」

 「オバジ」“C25セラム ネオ”は、シリーズの中でも、整肌保湿成分の「アスコルビン酸」をもっとも多く配合。製薬会社だから実現できた美容液で、幅広い年代から支持されている。「アスコルビン酸」は肌を整える保湿成分で、潤いによって乾燥によるくすみにアプローチし肌に透明感を与える。アスコルビン酸に加えビタミンEも配合することで、毛穴、ハリ、くすみ、小ジワ、乾燥などあらゆる肌悩みにアプローチする。(12mL、1万円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : MISA KOTAKE

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」スキンケア・新製品部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。スキンケア・新製品部門は、韓国のシカクリームなど2020年のトレンドを反映したアイテムがランクインした。百貨店・セミセルフの1位は、「ランコム(LANCOME)」の“クラリフィック デュアル エッセンス ローション”。「ベストコスメにも選ばれ支持を集めた。肌の酵素に着目している点もユニーク」と評価された。2位は「エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)」の“アドバンス ナイト リペア SMR コンプレックス”。3位は「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」“ピュアショット ナイトセラム”だった。バラエティー・ドラッグストアの1位は「VT」の“シカクリーム”で、「数ある韓国のシカクリームの中でも特に人気が高い」との声。2位も「VT」の“シカデイリースージングマスク”がランクイン。3位は、「アクアレーベル」の“スペシャルジェルクリーム ホワイト”という結果になった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “クラリフィック デュアル エッセンス ローション”

「ランコム」

 アジアの女性の肌タイプを考えて開発された2層タイプのエッセンス ローション。2種類のエッセンスを3:97の割合で融合。3%はリッチなエッセンスオイル、97%はフランス産のブナの芽エキスを配合したエッセンス。ブナの芽エキスには、美肌酵素の働きをサポートする働きが期待でき、くすみや毛穴にアプローチし、透明感のある肌へと導く。酵素は、古い角質をはがれやすくするなど、肌の生まれ変わりを促す役割があるとして注目を集めている。(150mL、1万1000円)

2位 “アドバンス ナイト リペア SMR コンプレックス”

「エスティ ローダー」

 「茶色の小瓶」で知られる、不動のロングセラー&ベストセラー美容液。独自成分クロノラックス パワー テクノロジーを配合した「アドバンス ナイト リペア」が肌本来の働きをサポート。ブルーライト、環境汚染などの外的ダメージに起因する乾燥から肌を守り、コラーゲン産生を促す働きも。とろみのあるテクスチャーで、肌にスッとなじむ。乾燥、キメの乱れによるくすみなどのエイジングサインから肌を守り、ハリを与え潤いのあるふっくらとした肌をかなえる。(30mL、9500円 50mL、1万3500円)

3位 “ピュアショット ナイトセラム”

「YSL」

 モロッコ原産ムーンライトカクタスのオイルを処方した2層式夜用美容液。2020年1月に発売した“過労肌”対策のエイジングケアライン「ピュアショット」のナイトセラムで、同セラムには独自成分モロッコ原産“ムーンライトカクタスオイル”を処方。ライン使いすることで、紫外線、ストレス、電磁波といった都市生活で疲れた“過労肌”をみずみずしく生き生きとした肌へと導く。(30mL、1万500円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “シカクリーム”

「VT」

 韓国のブランド「VT」の“シカクリーム”が1位に輝いた。シカはツボクサエキスを指し、肌荒れで弱った肌のケアに向いていると話題を集めた。ツボクサエキス、グリーンプロポリス抽出物などを配合したブランド独自の鎮静ケア成分「シカリオ」が、デリケートな肌を鎮静し、すこやかな肌に整える。クリームのテクスチャーは軽めで、しっとりとしたジェル状タイプ。テカリやベタつきもなく、肌にスッとなじむ。(50mL、2482円)

2位 “シカデイリースージングマスク”

「VT」

 0.25mmの薄さのシート生地が、肌にやさしく密着し肌の水分と鎮静ケアするフェイスマスク。乾燥して弱い肌を鎮静化する独自成分「シカリオ」に、3重のヒアルロン酸を配合した「シカヒアルロン酸」をプラスすることで、乾燥した肌に潤いを補給して落ちつかせる。シートは1枚ずつ取り出して使うティッシュタイプで、忙しい朝晩の時間も手軽にケアできる。乾燥した肌の水分バランスを整え、鎮静効果も期待できる。(30枚、2200円)

3位 “スペシャルジェルクリーム ホワイト”

「アクアレーベル」

 「まるでエステな美白ケア」をかなえるオールインワン。1品で化粧水、乳液、クリーム、美容液、マスクの5つ機能を搭載。美白有効成分4MSK(4-メトキシサリチル酸カリウム塩)と、希少成分D-アミノ酸(D-グルタミン酸)を含む、美肌必須成分のチャージアミノ酸WHを配合することで、美白ケアと保湿ケアが可能に。濃密なジェルクリームが、潤いに満ちた透明感のあるクリアな肌へと導く。医薬部外品。(90g、1800円編集部調べ)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : MISA KOTAKE

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「アンリアレイジ」森永邦彦、「信じ抜いたからこそ今がある」 音声座談会「蓉子の部屋」Vol.6

 「蓉子の部屋」は、川島蓉子・伊藤忠ファッションシステム取締役/ifs 未来研究所所長が、毎回ゲストを招き“未来”について考える音声番組です。未曾有の状況の中、業界にはこれからの“未来”について考えなければならない現実に直面しています。そんな中、少しでも業界人に役立つヒントやカケラを音声配信でお届けします。近所のスーパーに行く時や、通勤・通学時に気軽に聞いてください(笑)。

 第6回は、「アンリアレイジ(ANREALAGE)」のデザイナー、森永邦彦氏に迫りました。森永氏は、2005年の東京・コレクションデビューを皮切りに、14年にはパリ・コレクションへ進出。これまで、15年「アンダム ファッション アワード(ANDAM FASHION AWARD)」や、19年「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE)」のファイナリストに選出されたほか、第37回毎日ファッション大賞を受賞しています。

 今年1月に伊・ミラノで行われた2020-21年秋冬メンズ・コレクションでは、日本人デザイナー初となる「フェンディ(FENDI)」とのコラボコレクションを発表しました。同ブランドについて、森永デザイナーは「繊維を作る現場まで足を運び、もっと新しい工夫ができないかと試行錯誤する姿、惜しみなく投資するところには一番驚かされた」と話す。音声座談会では、先日発表した2021年春夏コレクションや独自の世界観、ファッションを続ける理由について語ります。

川島蓉子:1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役。ifs未来研究所所長。ジャーナリスト。日経ビジネスオンラインや読売新聞で連載を持つ。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)、『すいません、ほぼ日の経営。』などがある。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている

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婚約指輪のトレンドに変化あり 日常に寄り添うデザインにフォーカス

 婚約指輪に対する価値観は、男性が購入してプロポーズするのが当然というものから大きく変わり、給料3カ月分の予算という概念も薄れてきている。今では意思決定の場に女性の意見が大きく反映されるようになり、異性愛カップルのみならずあらゆる恋愛の形や予算に合う選択肢が用意され、購入の際にはサステナビリティが優先されることもある。

 中でも、若手ジュエリーブランドはオンラインサービスや、サステナビリティを重視してラボグロウン(合成)ダイヤモンドの取り入れなどに注力している。キャンペーンの内容もロマンチックなものから、朝刊を読んだり、ランチを食べたりする女性の手元など婚約指輪のある日常生活にフォーカスしたものが増えている。

 D2C(Direct to Consumerの略。オンラインを通じた直接販売)ブランドでエシカルに調達された宝石のみを扱う「フェントン(FENTON & CO.)」は、ブランドのミッションを“次世代に受け継がれる宝物”を作ることと掲げている。同ブランドのローラ・ランバート(Laura Lambert)最高経営責任者(CEO)は、1960年代にダイヤモンド業界によって生み出された婚約指輪に3カ月分の給料を費やす風潮について、婚約時に経済的プレッシャーを与えているようなもので「祝うどころか、重荷になっている」と主張する。

 「私たちはそのような先入観に対して働きかけ、ブライダル業界内で幅広い文化的背景や性的指向を持つ人々やカップルと対話を重ねてきた。愛や誓いといったトピックはまだまだ異性愛の視点のみで語られることが多く、その他の多くの人を排除してしまっている。婚約の主役は、婚約指輪ではなく、婚約する2人であるべきだ。しかしジュエリー業界の中には顧客に対する尊敬の気持ちが欠けているところがあると思う。今ある婚約指輪に対する価値観の多くは、マーケティングの産物であるに過ぎない。婚約当事者の考え方や気持ちが尊重されるべきだ」と述べた。

 ベルギー発のジュエリーブランド「キマイ(KIMAI)」は、コロナ禍における婚約指輪の需要の増加に合わせて、初のエンゲージメントリングコレクションを発表した。同コレクションは6つのタイプからなり、伝統的なダイヤモンドが施されたものもあれば、アシンメトリーなデザインで普段使いができる指輪もそろえてある。同ブランドはカジュアルなイメージの婚約指輪の広告も出しており、ジェシカ・ワーフ(Jessica Warch)共同創設者は「現代を生きる女性を描きたかった。広告に登場する女性は働いていたり、ジーンズやスニーカーを履いている。ドレスを着てパーティーに行くこともない。日常のカジュアルなシーンにあえてフォーカスした」と語る。

 同じくシドニー・ノイハウス(Sidney Neuhaus)共同創設者は、「指輪を身につける女性に焦点を合わせたかったし、婚約指輪に男性の給料の3カ月分を費やすというルールを取り除きたかった。婚約指輪は経済力の賜物ではなく、2人の愛や婚約の瞬間を祝うものだと思う。エゴや経済力を見せびらかすためのものではない」と述べた。

 「キマイ」はD2Cモデルを採用し、ラボグロウンダイヤモンドを使用することで、消費者の手にとりやすい価格設定に挑んでいる。宝石の品質は伝統的なジュエラーが提供するものに劣らないという。ワーフ共同創設者は「ラボグロウンダイヤモンドと、採掘されたダイヤモンドはどちらも同じ方法で鑑定を受け、等級がつけられる。この鑑定書により顧客との信頼関係が築けている」という。

 一方で、消費者の間でもラボグロウンダイヤモンドに対する需要が高まっているという。「キマイ」はそのコミュニティーをさらに活性化させ、パーソナライズされたサービスを提供することを目指している。「古い方法や伝統にとらわれている顧客を教育するつもりはないが、オープンマインドな顧客を啓蒙し、ダイヤモンドの採掘が及ぼす悪影響について認識してほしい」と述べた。

 ラボグロウンダイヤモンドを扱うブランド「ラーク&ベリー(LARK & BERRY)」も、“紛争に関与していないと保証され、地球への負荷が少ないダイヤモンドを求める倫理的な消費者”の増加を感じているという。ローラ・チャベス(Laura Chaves)創設者によると、「こういった消費者は従来の婚約指輪にありがちなものではないデザイン性の高いものを試している。だからブランドは、ブライダルコレクションを発展させるために、デザイン性の高いリングを次々と提案している」という。

 「婚約指輪がダイヤモンドでなければいけないというルールなんてものはない。私たちが今実感しているトレンドの1つは、アシンメトリーなデザインのクラスター(中央の石を中心に周りを一回り小さい石で囲む花のようなデザインの)リング。価格を抑えながらも、華やかさを演出することができる。従来のソリテール(一粒石の)デザインから大きく変わりつつある。オーダーメードの顧客には、指輪に隠された小さなディテールも人気だ」と語った。

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勝手に「悩み」に仕立てないでいただきたい エディターズレター(2020年9月4日配信分)

※この記事は2020年9月4日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

勝手に「悩み」に仕立てないでいただきたい

 以前「ビューティブランドには、①『プラスをもっと大きなプラスに』というブランドと、②『マイナスの幅を小さく、もしくは限りなくゼロに。可能ならプラスに』というブランドがあって、圧倒的に前者がスキ」的な話をしました。その思いは、日を追うごとに強くなっています。①のブランドは、「カワイイをもっと可愛く!」とか「テンション、さらに爆上がり!!」みたいなブランド。一方②のブランドは、「小さな目がハッキリ!!」とか「気になる体臭をカット」的なヤツ。いずれも一重で43歳のオジさん(=私w)にとって、気にならないと言えばウソな、マイナス(かもしれない)の「悩み」ですが、「その目を、さらに魅力的に」とか「新しい香りをまとおう」とアプローチして欲しいのです。ワガママですか?

 軽く嫌悪感さえ覚えるのは、「女性にとって永遠の悩み、ほうれい線が……」とか「アナタも、こんなことで悩んでいませんか?」みたいなブランドです。ほうれい線を大して気にしていない女性に対して、「女性にとって永遠」なんて言葉で恐怖を駆り立て、「買わねば」と思わせるアプローチは好きじゃない。悩んでもいないコトを、「みんな悩んでいますよ。アナタも、実はそうでしょう?」と近寄られるのは、もっとイヤ。心の奥底に土足で入り込み、“不安や恐怖のかけら”を勝手に掘り出し、くっつけ、「ホラ、悩んでいるでしょう?そんなアナタには、コチラです」って勝手に差し出されるのは、納得できなくなってきました。

 最近、とあるタイアップを「受けるべきか、受けざるべきか?」考える機会がありました。トピックスは女性器。クライアントになるかもしれない会社のホームページには、女性器への施術に関するイラストが掲載されており、「衝撃を受ける方もいるかもしれない」と思います。デスクと2人で、「どう思う?」のLINEが始まりました。そして彼女は、イラストに幾ばくかの抵抗を覚えているようでした。

 一方の私は、イラストも平気でした。唯一気になったのは、その会社が「女性が無自覚だった悩みを、無理やりほじくり出すことで不安を煽る」タイプじゃないか否か?答えはNOなので、「では、提案させていただきましょう!」との結論に達したのです。

 問題は、女性器とかイラストとかではありません。コンプレックスを煽るのはもちろん、コンプレックスとして自覚していない特徴を、他人が、勝手にコンプレックスに仕立てた上で「それ、解決します!」って提案してくるのがイヤなのです。「悩み」に応えるは、まだまだ大事。でも、勝手に「悩み」に仕立てあげられてから応えるは、受け入れ難い。めんどくさいヤツでしょうか(笑)?

 下のリンクのように、インフルエンサーにフォロワーからの質問を募っていただくと、彼女たちの多くが「コンプレックス、どうしたらいいの?」と聞いてくるようです。身近な存在だからこそ、本音を打ち明けられるのでしょう。でも個人的には「そんなの悩まなくて良いよ!」って思うし、インフルエンサーの多くもそう答えています。なのにコンプレックスは、なかなか減らない。悔しいのです。企業が、勝手に何かをほじくり出して、それをコンプレックスに仕立て上げないようになったら、皆、もう少し解放されるのかなぁ?なんて思っています。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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「お金で安心を買う」時代へ 「アットコスメ」100万件の口コミから2020年の美容消費動向をひも解く

 年末の風物詩ともいえる、「ベストコスメ」が美容媒体から続々と発表されている。“今年の顔”を選出するベスコスは大きな影響力を持つため、消費者はもとより業界からの注目度も高く、一大イベントとして各媒体が白熱する。一般的には、読者や有識者によるアンケート形式の投票が多いが、アイスタイルの「アットコスメ(@COSME)」が発表するベスコスは、口コミから選出する生活者視点に立った独自のアワードで、他媒体とは一線を画す。

 アイスタイルによると今年は外出自粛が余儀なくされ、店舗では気軽にテスターを試せない環境が長期化し、ECで化粧品を購入するユーザーが増えたという。さらには、おうち時間や隙間時間を活用して口コミ投稿が増加(前年比30%増)。テスターが試せない状況で「購入するにあたって必要な情報を届けたい」というユーザー同士の“助け合い”的な気持ちから投稿が促進したと解説する。今年は年間約100万件の口コミからベスコスを選出したが、その膨大な口コミデータから2020年の美容の消費動向を分析。ユーザーの気持ちを掴んだ3つのポイントを挙げた。

(ポイント1)
ロングセラーのリニューアル製品がヒット

 今年は新型コロナウイルスによる不安から“安心感”を求める心理が高まり、「失敗したくない」という思いから、長年支持されているロングセラーの中からリニューアルしたアイテムがランクインした。ベストコスメ大賞に選ばれた「ランコム(LANCOME)」の“ジェニフィック アドバンスト N”は、2009年にデビューしてから昨年2度目となるリニューアルを実施。3位の「コスメデコルテ(DECORTE)」の“フェイスパウダー”は、1998年のデビューから昨年4度目となるリニューアルを経て、今回の受賞に至った。さらに定期的にリニューアルを行うアルビオンの「エクサージュ(EXAGE)」と「アンフィネス(INFINESSE)」がベスト乳液の上位6位を独占したことも、この流れを汲んでいるといえる。

(ポイント2)
「お金で安心を買う」
高価格帯にシフト

 20年11月に実施した「アットコスメ」ユーザーを対象としたアンケートによると、3割が「いつもより高い化粧品を購入することが多かった」と回答。19年の上位2品はドラッグストアでも購入できる600~1500円のアイテムがランクインしたが、今年は価格帯が4000~1万4000円のデパコス(百貨店で取り扱うコスメ)がトップ3を独占した。新型コロナによる不安から、失敗を避けるために「お金で安心を買う」意識が高まったことが影響したという。

(ポイント3)
購入前の体験機会の重要性

 店頭で気軽にテスターを試せない環境が続き、EC購入も増えている中、「自分の肌に合うのだろうか」「失敗したくない」という慎重なユーザーにとって、事前に試せるサンプルは重要施策だと位置付ける。今回の大賞に選ばれた「ランコム」の美容液は、7mLのサンプルサイズを販売しており、購入前に試せる環境が整っていた。同製品は、30mLで1万円という価格帯であるため、事前に試せることで新客も安心して購入できる後押しとなり、今年の顔に輝いた要因の一つとして捉えている。今後、購入前の体験機会の提供は、商品がユーザーに広く支持されるための取り組みだと予測する。

2021年は“自分軸”での
商品を選択

 長期化する“ウィズマスク生活”によって、マスクによる肌荒れで悩む人が増加傾向に。「アットコスメ」では、肌への負担が少ないマスクや外部刺激から肌荒れを予防するバーム、肌のゆらぎを鎮静するフェイスマスクなど「レスキューアイテム」の支持が高いそうだ。特に、韓国発祥の炎症を抑えるスキンケア“シカクリーム”のワード出現率は19年と比較すると5.4倍に増加。“シカクリーム”から着想を得た“シカ”系のアイテム売り上げは、緊急事態宣言前・後で比較すると14倍に増えたという。

 さらには、日中の外的刺激から肌を守る効果のあるクリームやUVケア、バリア機能をサポートする美容液など「バリア系アイテム」がベスコスに選ばれ、「自分の身(肌)は自分で守る」といった意識が高まっているそうだ。今後もその傾向は続くと分析している。

 なお「WWDビューティ」では、12月21・28日合併号で、“忖度”せず、本当に売れたものを表彰するベストコスメ特集を掲載する。百貨店・セミセルフ、バラエティー・ドラッグストアで売れた製品は?総合(定番+新製品)で売れた製品に加え、今年の新製品だけの順位も日発表する。また、その魅力に迫るライブ配信プログラムも予定する。

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随時更新:2021年春コレクションまとめ くすみカラーやナチュラルトーンが旬

 2021年の春の新作コスメ情報が続々と到着。来春はくすみカラーやベージュなどのナチュラルトーンがトレンドの中心に。注目ブランドの春コレクションを発売日順に随時更新でお届けする。

ディオール


・2021年1月1日発売
・春を彩る花々に着想
・新アイテムとしてスティック状のハイライトも登場

「ディオール(DIOR)」の春コレクションをチェック

THREE


・2021年1月1日に新リップスティック“アライジングスピリットリップグロー”を発売
・13日に春のメイクアップコレクション“RE.EVOLUTION DANCE”が登場

「THREE」の春コレクションをチェック

アンプリチュード


・2021年1月1日発売
・スモーキーな色と質感で大人美を体現
・モザイク状に4つのカラーを配置したアイシャドウとチークが登場

「アンプリチュード(AMPLITUDE)」の春コレクションをチェック

RMK


・2021年1月4日発売
・コレクションのテーマは「ブルーミング イン ザ シティ」
・キーカラーはベージュ

「RMK」の春コレクションをチェック

スック


・2021年1月8日発売
・コレクションのテーマは“春の朝”
・人気の4色アイシャドウパレットを刷新

「スック(SUQQU)」の春コレクションをチェック

ジルスチュアート


・2021年1月8日発売
・テーマは“be Jeweled, be a Heroine”
・新リップスティックやアイカラーが登場

「ジルスチュアート(JILLSTUART)」の春コレクションをチェック

シャネル


・2021年1月8日発売
・テーマは“レ フルール ドゥ シャネル”
・アイシャドウパレット“レ キャトル オンブル”の限定色などが登場

「シャネル(CHANEL)」の春コレクションをチェック

コスメデコルテ


・2021年1月16日発売
・コレクションのテーマは「SWAY LIGHT」
・ナチュラルで使いやすい“ネオベーシック”なカラーをラインアップ

「コスメデコルテ(DECORTE)」の春コレクションをチェック

ジョルジオ アルマーニ ビューティ


・2021年1月29日
・人気アイシャドウから新色が登場
・カラーはバイオレット、オレンジ、ブルー、シルバーをラインアップ

「ジョルジオ アルマーニ ビューティ(GIORGIO ARMANI BEAUTY)」の春コレクションをチェック

YSL


・2021年2月19日発売
・アイスクリームに着想を得た甘いパステルカラーのパレットやミルキーなカラーのリップスティックが登場
・“ルージュ ヴォリュプテ シャイン”の新色も

「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」の春コレクションをチェック

2021年春コレクションの最新情報はこちらから

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“かわいい、値ごろ、サステナ”の三拍子 注目の欧州ブランド「ホルツワイラー」

 北欧を中心としたヨーロッパのコンテンポラリーブランドに勢いがある。その筆頭がコペンハーゲン・ファッション・ウイークに参加する「ホルツワイラー(HOLZWEILER)」「ガニー(GANNI)」「リクソ(RIXO)」、パリでコレクションを発表する「ナヌーシュカ(NANUSHKA)」「トム ウッド(TOM WOOD)」などだ。これらのブランドの共通点は、独自性のあるデザインと、値ごろ感があるバランスのいい価格帯、そして、環境や社会問題への取り組みを行い、透明性が高い点。それぞれのブランド哲学を持ちながらも、SNSマーケティングを強化し、ポッドキャストや動画などの新たな取り組みに挑戦するなど企業努力が感じられる。

 ノルウェー発の「ホルツワイラー」はアンドレアス(Andreas)&スザンヌ・ホルツワイラー(Susanne Holzweiler)兄妹がストールブランドとしてスタートさせた。ストールは全体の70%でラムウールやカシミヤなどのリサイクル素材を用いており、色や柄の豊かなデザインに定評がある。2014年にアンドレアスの妻マリア・スカッペル・ホルツワイラー(Maria Skappel Holzweiler)がヘッドデザイナーとして加入し、ウエアの展開を開始。SNSではジェンダーや人種の多様性にフォーカスしたキャンペーンで、社会問題へメッセージを打ち出している。

 価格は決して“安い”わけではないが、トップスが1万〜3万円、ドレスは2万〜4万円、アウターは5万〜7万円と、高価格帯のデザイナーズブランドが一緒に並ぶセレクトショップやECモールでは手に取りやすい設定になっている。「ホルツワイラー 」を買い付ける高島屋 スタイル&エディットの長尾悦美クリエイティブ・ディレクターは「プリントやファブリックがユニークで、プライスも買いやすい。ここ数年でクリエイティブがぐっと成長してきたのをランウエイやプロモーションから感じる。サステナビリティへの取り組みも先進的で、彼らの生活と、作るものが自然な流れで生み出されているので信頼できる。明るくて優しいチームの人柄も魅力」と語る。

 共同創業者のアンドレアスと、ブランドのデザイン責任者を務めるマリアにサステナビリティへの取り組みについて話を聞いた。

世界には変化が必要であり、
今後もサステナビリティが重要になっていくことは明らか

WWD:家族でブランドを運営している強みは?

アンドレアス・ホルツワイラー(以下、アンドレアス):私と妹のスザンヌは06年に会社を設立した後、両親を社員として雇用し、母はテキスタイル、父は物流部門の構築を担当しています。14年にレディ・トゥ・ウエアのコレクションを始めた際には妻のマリアがチームに加わりました。コミュニティー作りとストーリー性は私たちの大事にしている部分で、ファミリービジネスであることは、私たちのブランドの価値観に大きく影響しています。現在は70人以上の社員が“ホルツワイラー ファミリー”の一員になっています。

WWD:サステナビリティの取り組みを開始した理由は?

アンドレアス:最初のシーズンから取り組みを始めていますが、その頃から世界に変化が必要であり、今後もサステナビリティが重要になっていくことは明らかでした。通常の素材より、再生繊維を使用するほうが費用はかかりますが、私たちはウールとカシミアのリサイクル素材を70%使用することを選択しました。当初は適切なサプライヤーを見つけることは容易ではありませんでしたが、今日ではより適切な持続可能な意思決定ができるようになったと感じます。

WWD:ブランドを代表する商品であるスカーフはどのように誕生したのか?

アンドレアス:スカーフは私たちの最初の商品で、卸先がスカーフをメートル単位で購入できるようにロール状でスカーフを販売することから始めました。また早い段階からデジタルプリントの製作やアーティストとのコラボレーションにも着手。その後、ラムウールとカシミアのスカーフへと拡大していきました。

WWD:サステナビリティの取り組みはどのように推進している?

マリア・スカッペル・ホルツワイラー(以下、マリア):社内の異なる部署の人々を含めた1つのグループを作っています。シーズン毎に小さなことでも改善できるように、メンバーでサステナビリティの目標を一緒に設定しています。

常に洋服の目的を考え、“永遠”に生き続ける服を生み出していきたい

WWD:素材選びで重視していることは何ですか?

マリア:私たちは長く愛される服を作るために、時間を費やして高品質かつ持続可能な素材を選ぶことを心がけています。天然素材をなるべく多く使い、時にはシワになりにくい特性や何度洗濯しても着用しても型崩れしない素材を選ぶことがよりサステナブルということもあります。常に洋服の目的を考え、長年着用しても美しく見え、“永遠”に生き続ける服を生み出していきたいと考えています。個人的には風合いや重さを生かした素材が好きで、厚い・薄い、光沢のある・鈍い、フェミニン・マスキュリンというようなコントラストを加えるのが得意です。

WWD:デザインのインスピレーションはどのように得ている?

マリア:人々、自然、建築、アーティスト、友人、家族など私たちを取り巻く全てのものからインスピレーションを受けています。心地いいだけでなく、着用する人が強く感じられる服を作ることで他社と差別化をしたいと思っています。

WWD:新型コロナウイルスで、ブランドビジネスに影響はあったか?

アンドレアス:3月のパンデミックが始まった頃には、多くのクライアントからキャンセルがあり、3つの直営店を6週間閉店しました。その一方で、ECは急成長しています。卸ではクライアント数を減らし、より強固なパートナーとなることを選択しました。この結果、21年の前年同期比82%増。売り上げは予想より若干下がりましたが 、全体的なコスト削減によりEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は目標を上回りました。

WWD:来日した際の日本の印象は?

アンドレアス:14年に初めて日本を訪れ、東京の街に魅了されました。お店、行き交う人々、建築などに非常に刺激を受けたことを覚えています。伊勢丹新宿本店は14年の1月にブランドを発表した際に、コレクションとスカーフを買い付けてくれた初めての卸先でした。日本は店舗スペースの運営の方法、また洋服の扱い方において、何歩か先に進んでいるように感じます。日本のファッション市場は他国とは異なり、ディテール、素材、最終の製品をしっかりと見ています。個人的には「サカイ(SACAI)」の阿部千登勢、「ビズビム(VISVIM)」の中村ヒロキの大ファンです。

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“かわいい、値ごろ、サステナ”の三拍子 注目の欧州ブランド「ホルツワイラー」

 北欧を中心としたヨーロッパのコンテンポラリーブランドに勢いがある。その筆頭がコペンハーゲン・ファッション・ウイークに参加する「ホルツワイラー(HOLZWEILER)」「ガニー(GANNI)」「リクソ(RIXO)」、パリでコレクションを発表する「ナヌーシュカ(NANUSHKA)」「トム ウッド(TOM WOOD)」などだ。これらのブランドの共通点は、独自性のあるデザインと、値ごろ感があるバランスのいい価格帯、そして、環境や社会問題への取り組みを行い、透明性が高い点。それぞれのブランド哲学を持ちながらも、SNSマーケティングを強化し、ポッドキャストや動画などの新たな取り組みに挑戦するなど企業努力が感じられる。

 ノルウェー発の「ホルツワイラー」はアンドレアス(Andreas)&スザンヌ・ホルツワイラー(Susanne Holzweiler)兄妹がストールブランドとしてスタートさせた。ストールは全体の70%でラムウールやカシミヤなどのリサイクル素材を用いており、色や柄の豊かなデザインに定評がある。2014年にアンドレアスの妻マリア・スカッペル・ホルツワイラー(Maria Skappel Holzweiler)がヘッドデザイナーとして加入し、ウエアの展開を開始。SNSではジェンダーや人種の多様性にフォーカスしたキャンペーンで、社会問題へメッセージを打ち出している。

 価格は決して“安い”わけではないが、トップスが1万〜3万円、ドレスは2万〜4万円、アウターは5万〜7万円と、高価格帯のデザイナーズブランドが一緒に並ぶセレクトショップやECモールでは手に取りやすい設定になっている。「ホルツワイラー 」を買い付ける高島屋 スタイル&エディットの長尾悦美クリエイティブ・ディレクターは「プリントやファブリックがユニークで、プライスも買いやすい。ここ数年でクリエイティブがぐっと成長してきたのをランウエイやプロモーションから感じる。サステナビリティへの取り組みも先進的で、彼らの生活と、作るものが自然な流れで生み出されているので信頼できる。明るくて優しいチームの人柄も魅力」と語る。

 共同創業者のアンドレアスと、ブランドのデザイン責任者を務めるマリアにサステナビリティへの取り組みについて話を聞いた。

世界には変化が必要であり、
今後もサステナビリティが重要になっていくことは明らか

WWD:家族でブランドを運営している強みは?

アンドレアス・ホルツワイラー(以下、アンドレアス):私と妹のスザンヌは06年に会社を設立した後、両親を社員として雇用し、母はテキスタイル、父は物流部門の構築を担当しています。14年にレディ・トゥ・ウエアのコレクションを始めた際には妻のマリアがチームに加わりました。コミュニティー作りとストーリー性は私たちの大事にしている部分で、ファミリービジネスであることは、私たちのブランドの価値観に大きく影響しています。現在は70人以上の社員が“ホルツワイラー ファミリー”の一員になっています。

WWD:サステナビリティの取り組みを開始した理由は?

アンドレアス:最初のシーズンから取り組みを始めていますが、その頃から世界に変化が必要であり、今後もサステナビリティが重要になっていくことは明らかでした。通常の素材より、再生繊維を使用するほうが費用はかかりますが、私たちはウールとカシミアのリサイクル素材を70%使用することを選択しました。当初は適切なサプライヤーを見つけることは容易ではありませんでしたが、今日ではより適切な持続可能な意思決定ができるようになったと感じます。

WWD:ブランドを代表する商品であるスカーフはどのように誕生したのか?

アンドレアス:スカーフは私たちの最初の商品で、卸先がスカーフをメートル単位で購入できるようにロール状でスカーフを販売することから始めました。また早い段階からデジタルプリントの製作やアーティストとのコラボレーションにも着手。その後、ラムウールとカシミアのスカーフへと拡大していきました。

WWD:サステナビリティの取り組みはどのように推進している?

マリア・スカッペル・ホルツワイラー(以下、マリア):社内の異なる部署の人々を含めた1つのグループを作っています。シーズン毎に小さなことでも改善できるように、メンバーでサステナビリティの目標を一緒に設定しています。

常に洋服の目的を考え、“永遠”に生き続ける服を生み出していきたい

WWD:素材選びで重視していることは何ですか?

マリア:私たちは長く愛される服を作るために、時間を費やして高品質かつ持続可能な素材を選ぶことを心がけています。天然素材をなるべく多く使い、時にはシワになりにくい特性や何度洗濯しても着用しても型崩れしない素材を選ぶことがよりサステナブルということもあります。常に洋服の目的を考え、長年着用しても美しく見え、“永遠”に生き続ける服を生み出していきたいと考えています。個人的には風合いや重さを生かした素材が好きで、厚い・薄い、光沢のある・鈍い、フェミニン・マスキュリンというようなコントラストを加えるのが得意です。

WWD:デザインのインスピレーションはどのように得ている?

マリア:人々、自然、建築、アーティスト、友人、家族など私たちを取り巻く全てのものからインスピレーションを受けています。心地いいだけでなく、着用する人が強く感じられる服を作ることで他社と差別化をしたいと思っています。

WWD:新型コロナウイルスで、ブランドビジネスに影響はあったか?

アンドレアス:3月のパンデミックが始まった頃には、多くのクライアントからキャンセルがあり、3つの直営店を6週間閉店しました。その一方で、ECは急成長しています。卸ではクライアント数を減らし、より強固なパートナーとなることを選択しました。この結果、21年の前年同期比82%増。売り上げは予想より若干下がりましたが 、全体的なコスト削減によりEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は目標を上回りました。

WWD:来日した際の日本の印象は?

アンドレアス:14年に初めて日本を訪れ、東京の街に魅了されました。お店、行き交う人々、建築などに非常に刺激を受けたことを覚えています。伊勢丹新宿本店は14年の1月にブランドを発表した際に、コレクションとスカーフを買い付けてくれた初めての卸先でした。日本は店舗スペースの運営の方法、また洋服の扱い方において、何歩か先に進んでいるように感じます。日本のファッション市場は他国とは異なり、ディテール、素材、最終の製品をしっかりと見ています。個人的には「サカイ(SACAI)」の阿部千登勢、「ビズビム(VISVIM)」の中村ヒロキの大ファンです。

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商品を擬人化のススメ エディターズレター(2020年9月2日配信分)

※この記事は2020年9月2日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

商品を擬人化のススメ

 リンク1本目で紹介する「シュウ ウエムラ」の新事業部長がインタビューで教えてくれた「信頼できるヒーロー・プロダクト(ヒーロー製品)」という言葉、ステキですね。早速マネして、この言葉使っていきましょう。業界人、特にベテランの域に達してきたPRの皆さんがおっしゃるところの「この子」ってヤツです。

 「『この子』は、な~んにもプロモーションしないのに、いろんなところに嫁いでいく孝行娘なんですぅ」。ファッション業界に飛び込んで十数年、こんな言葉を聞いたのは、2、3回どころじゃありません。一応、翻訳しておきましょう。順番に「この子」は、「シュウ ウエムラ」で言うところのヒーロー・プロダクトや定番のこと。「嫁いでいく」は、「消費者と恋仲になって、売り場から巣立っていく」こと。そして「孝行娘」は、「売り上げを支えてくれる健気な商品」の意味です。スゴい。めっちゃ擬人化。いや、もはや家族化。こんな言葉を聞くと、「正しい日本語とは?」なんて野暮な考えは吹っ飛び、「なんという愛でしょう!」と面白くなってしまいます。ちなみにこの擬人化、海外でもまぁまぁ耳にします。余談ですが「WWD JAPAN.com」は、というかワタクシは、こういう“業界あるある”を横澤夏子さんあたりに演じてもらい、動画にアップしたら面白そう!!と想像しています。皆さま、いかがですか?

 ナンシー関はその昔、TVに出てくる料理家の「お野菜を切ってあげましょうね~」とか「熱いうちに剥いてあげるの」という、食材を擬人化した表現に対する違和感に言及していました。「本来なら『野菜を切れ』『熱いうちに剥け』など、命令の連続で構成される料理番組を、視聴者向けに優しく構成するための工夫では?」と考察していましたが、ファッションやビューティ業界の擬人化は、料理界のソレとは違います。商品への愛に他なりません。

 育てたいですね~、擬人化できちゃう愛の結晶。まずは“一人”選ぶべきなのでしょうか?いきなり“三姉妹”とかダメですか(笑)?日本人、三姉妹とか三兄弟好きだし。「も~、“末っ子”は甘えん坊なんだから」と思いながら、“長女”以上にガッツリ接客して、花嫁として送り出し、涙ーー。側から見たら「若干キモい」かもしれませんが、私は好きですよ、そういうの。

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エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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クラフトビールも製造するアウトドア店「パーヴェイヤーズ」 いま、ローカルが面白い!桐生編 VOL.2

 群馬・桐生市の注目ショップ2店目は、“旅のコンセプトショップ”を掲げる「パーヴェイヤーズ(PURVEYORS)」。もともと古い鉄工所だったという大きな建物を生かして、テントなどのアウトドアギアを扱うお店として2017年3月にオープンしました。私が初めて同店を訪れたのは19年の春。それ以来の2回目の訪問として11月8日にお店を訪れましたが、今秋のリニューアルで1階がカフェレストランになり、3階はアパレルフロアとして本格オープンするなど、かなり進化していました。さらに、来年2月にはクラフトビールのブルワリーも1階にできるんだとか!

 同店のオーナーは小林宏明Perk社長。もともとアウトドアイベントや飲食業のプロデュース、映像制作などを手掛けていた小林社長は、桐生や群馬県の出身者ではありません。そんな小林社長が桐生に出店することになったきっかけは、前回の記事で紹介した桐生の老舗セレクト店「エスティーカンパニー」の環敏夫社長との出会い。「環さんと知り合わなければ桐生とは一生縁がなかったかもしれない」と笑いながら話します。小林社長が以前経営していた渋谷のカフェに環社長が客として通っていたことで知り合い、そこから桐生の街を知り、魅せられていったそう。「街の全体感が見渡せて、コンパクトな中に山や川や街がある絶妙な規模感が桐生の魅力」と語ります。

サボテンを求めて県外からリピート訪問

 11月7、8日に「パーヴェイヤーズ」「エスティ―カンパニー」、アトリエ兼ボードゲームカフェの「ふふふ」という桐生の3店で行われたグリーン(植栽)のイベント「プランツショー」は、「パーヴェイヤーズ」主導でスタートしたもの。今回で3回目の開催でした。「規格外のサボテンなどを売るイベントとして当初は自店だけで行っていたが、県外からのお客さまを含めて驚くほど集客があった。リピート客にもつながっている」ことを受けて、他2店とも組んで桐生の街全体に客を呼び込むようにしたんだとか。

 来年2月には、1階にクラフトビールのブルワリーも完成予定。桐生の水を使い、クラフトビール界では非常によく知られた醸造士だという阿久澤健志氏をパートナーに迎えて作るビールがどんなものになるのか、非常に楽しみです。

 桐生はもともと絹織物や刺しゅうなどのファッションの一大産地として栄えた街。それゆえ、「シンイチロウアラカワ(SHINICHIRO ARAKAWA)」の荒川眞一郎さん、「アンダーカバー(UNDERCOVER)」の高橋盾さん、「ハイク(HYKE)」の大出由紀子さんなど、数多くの有力デザイナーを輩出し、「エスティーカンパニー」がそうしたファッション文化を絶やさないように耕し続けてきました。そんな桐生に、アウトドアや飲食といった専門分野を持つ小林社長をはじめとする「パーヴェイヤーズ」のチームが新たに加わることで、街のカルチャーがさらに多方面に広がって、魅力が増していっているように感じます。

■PURVEYORS
住所:群馬県桐生市仲町2-11-4
営業時間:2、3階は11~22時(1階カフェは11時30分から営業)
定休日;月曜、火曜

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サステナ先進国デンマーク企業のマネジャーに聞く身近なサステナのすすめ

 デンマーク発インテリア「フリッツ・ハンセン(FRITZ HANSEN)」のイベントで、相澤真諭子アジア地区ブランドマネジャーと話をした際に、サステナビリティに関する話題になった。デンマークと言えばサステナビリティ先進国で知られている。相澤さんによると、東京のオフィスでもペットボトルのゴミが出ることはほぼないという。さすが、デンマーク企業だけあってサステナビリティに関する意識が高いと思い、彼女にオフィスおよび自宅におけるサステナビリティに関する取り組みや考え方について聞いた。

WWD:「フリッツ・ハンセン」のオフィスでどのようなサステナビリティの取り組みを行なっていますか?
相澤真諭子「フリッツ・ハンセン」アジア地区ブランドマネジャー(以下、相澤):オフィスでは、カプセルゴミが出ない豆から挽いて抽出するタイプのコーヒーマシーンを置いています。コーヒーはコーヒーマシーンから、水はウォーターサーバーから、オフィスのマグカップやグラスなどで飲むため、ペットボトルのゴミが出ることはほとんどありません。
WWD:オフィス内の業務関係における取り組みは?
相澤:ペーパーレス化しているので資料はPCの中に保存、プレゼンテーションではタブレットを利用するので古紙などの紙ゴミもほとんど出ることはありません。ペーパーレス化とリモートワークで、近々FAX番号も解約予定です。
WWD:オフィスで重宝しているサステナビリティのアイテムは?
相澤:エコバッグはすぐに使わなくなってしまうものが多いですが、「フリッツ・ハンセン」のエコバッグはサイズの大きさや丈夫な厚い生地、持ち手の長さや内ポケット付きなど使い勝手の良さにこだわって作りました。営業用や近所へのショッピングバッグとしてだけでなく、通勤バッグとしても使用しているスタッフもいます。

WWD:相澤さんがご自宅で取り組まれているサステナビリティは?
相澤:第一に、すぐに飽きてしまうようなものや壊れてしまうものではなく、良質で気に入ったものを選んで長く使うことを心がけています。またサステナビリティの観点からだけでなく、日々ゴミを大量に出すこと自体が億劫なので、家での晩酌はビール派からすっかりウイスキーとナチュラルワイン派になりました。ワインボトルは瓶なのでもちろん、リサイクル可能ゴミとして出しますが、大容量のウイスキーは、ロックやハイボール、ホットなど、いろいろと楽しむことができます。家で作る炭酸水マシンで使うガスシリンダーは、使用後は新しいものと交換時に回収されてリサイクルされます。子どもたちも家で作る炭酸水と果実酢などを混ぜてジュース替わりに飲んでいるので、ドリンク系のプラスチックゴミになるのは約1カ月にウィスキーボトル1本だけで、ドリンクを缶やペットボトルで購入していた頃に比べると生活ゴミが劇的に減りました。

WWD:相澤さんご自身が考えられるサステナビリティとは?もっと、こうなればいいと思うことや、デンマーク企業に勤務して感化されたことなど?
相澤:自分でできるサステナビリティは、いいものを長く使うことだと思っています。その場しのぎで購入したものは、使用期間が短く断捨離の対象になりやすいのでゴミになりがちです。一方で、こだわって購入したものは長期間使えるし、子どもや家族に譲ったりできます。我が家には私が10年以上前に購入した“エッグチェア”があり、私の癒しのスペースになっているのですが、私が使わなくなる日が来たら、きっと子どもたちは喜んで譲り受けてくれると思います。フリッツ・ハンセンに入社して15年目なので、入社してから少しずつお気に入りの家具を選んでコレクションしています。すべての家具はクオリティーもデザインも一生モノですし、将来は子どもたちが使い続けるだろうと思います。デンマークの同世代の友人たちの家では、ご両親や親戚から譲り受けた家具が使われていることが多く、品質とデザイン性が高いものを長く使うことが当たり前だなと感じます。それは、サステナブルでもあり素敵な文化の一つでもあると思います。

WWD:ご自宅からオフィスまで自転車通勤されているということですが?
相澤:私の主な移動手段が自転車であることもデンマークの影響が大きいのかも知れません。デンマーク・コペンハーゲンは“世界一の自転車都市”と呼ばれています。少し前までは、いわゆる“ママチャリ”を使用していましたが、今では子供たちが成長してそれぞれの自転車で移動できるようになったので、“ママチャリ”を卒業しました。そして、今ではデンマーク初「ヴェロビス(VELOBIS)」の自転車を愛用しています。日本では珍しいメーカーで、細部までこだわりが感じられるデザインの自転車です。この自転車がきっかけになり話しかけられて、会話が弾むようなこともあります。私は10年以上、通勤も日常生活の移動もほとんど自転車です。都内の自転車移動は便利ですし、車や電車よりも目的地に早く着けることもあります。コロナウイルスの心配もないし、自力で移動できる手段で、季節や街の移り変わりも感じることができます。

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子どもの頃に「覚悟」を身につけられたら エディターズレター(2020年8月31日配信分)

※この記事は2020年8月31日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

子どもの頃に「覚悟」を身につけられたら

 一人っ子の習い性だと思っていますが、子どもの頃は大人の顔色を伺っていました。いや、ちょっと違うな。「伺う」というより、「察する」のが得意でした。「この人は今、僕にコレを望んでいるな」という“勘”が働くタイプ。例えば「何が食べたいの?」と聞かれた時、実は刺身などあっさりしたものが食べたかったのに、「ハンバーグ!」とか「カレーライス!!」って言っちゃうコドモ。人様の御宅なのに、ご家族が探している文房具を誰よりも早く見つけるのも得意でした(笑)。「察する」ので、受験勉強も得意だったんです。アレって、先生や両親、ひいては日本の教育界が望む知識を身につけることですから。下のリンク1本目で知った、菅付さんの高校時代の成績にはビックリ。私は高校3年生の2学期までは、同じく地元で一番の進学校で400人中10番くらいを行ったり来たりでしたが、2学期中盤からイジメに遭って、学校に行かなくなって、成績が急降下して今に至っています(笑)。

 イジメに遭った原因は、「察する」のが苦手な人を、つまり当時は受験勉強が苦手だった人を、まぁまぁバカにしていたからです。今思えば我ながら、実にイヤなヤツでした。「察する」のが得意なので、「俺、勉強できるし、このくらいやっても怒られないよね」という予知能力も高かったんです。結果、自分だけルールを逸脱しても、怒られないからますますつけ上がる。それが、部活動が終了して一気に転落というカンジでした。

 その後は、イジメの原因は「つけあがった」からなのに、最終的には「察しすぎた」からだと思うに至り、大学の自由な校風も手伝い、「察する」ばかりに価値を置くことが少なくなりました。とはいえ、「察する」は習い性。なので現在は、察しつつも、察していないことを装い波風を意図的に立て、なんてケースも多く、「これは良いのか?それとも、自覚的なだけにタチが悪いのか?」なんて思っています。

 菅付さんの記事を読み、「私の『覚悟』は、察しているのに察してないフリをして波風を立てていることかもなぁ」なんて思ったのです。そして菅付さんも、「リトゥンアフターワーズ」の山縣さんも、「覚悟を持つこと」の必要性を説いています。だとしたら僕の、「察しているのに、察していないフリをして波風を立てていること」も許されるのかなぁ?と思っています。どうでしょう?ま、「正々堂々言ったり、やったりしなさいよ」と言われれば、「おっしゃる通り」なのですが(笑)。そして10代のうちから「覚悟」に触れることができたら、残りの80年くらい「人生、幸せかもしれないなぁ」と思ったのです。「察しているのに、察してないフリをして」なんてまどろっこしいコトから解放されますからね。

 14歳の少年が「勇気が必要なんですね」と話した後、菅付さんは、「でも何かを出したら、(中略)知恵をくれることも、人を紹介してくれることだってある」「なんにせよ強い願いを込めて出すと、反応してくれる」と続けます。そうなんですよね。共感できてもできなくても、強い思いは引っかかる。逆を言えば、強い思いがなければ引っかからずにスルーしちゃう。若いうちから、それを知り、その「覚悟」を持つことは、将来を大きく変える上で大事なコトです。

 「グッチ」のアレッサンドロ・ミケーレは2020-21年秋冬メンズで、画一的な男性観から解放されるため、幼年時代にタイムスリップすることを説きました。自身の原点に立ち返ったり、その頃を思い出しちゃう若者に声をかけたりは、パラダイムシフトが進む今こそ大事なのかもしれません。

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アバターでハロウィーンフェス! 「バーチャル渋谷」の成果と課題は?

 「バーチャル渋谷」はKDDI、一般社団法人渋谷未来デザイン、一般財団法人渋谷区観光協会を中心とする参画企業で組成する「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」が運営する渋谷区公認の配信プラットフォームだ。渋谷のスクランブル交差点一帯をバーチャル空間で再現。“第2の渋谷”として24時間世界中どこからでも無料でアクセス可能で、5月19日のオープニングイベントには延べ5万人が参加したという。そんな「バーチャル渋谷」が10月26日から6日間ハロウィーンフェスを開催した。

 初日20時に予定されていたきゃりーぱみゅぱみゅのバーチャルミニライブはアクセス殺到で延期に。28日に開催された。イベントに参加するには30分前から開設される専用ページに入るが、そこで選べるアバターはカボチャかオバケ。交差点ステージ前に集まり、ペンライトを振ったり拍手をしたり飛び跳ねたりができる。アバターを後ろから眺める視点だとオバケ越しにライブを見ることになり、ある意味リアル。2曲を披露した。他にもネットフリックスオリジナルアニメシリーズ「攻殻機動隊 SAC_2045」が特設スクリーンで上映されたり、アイドルグループBiSHのライブやVチューバーミライアカリのトークショー、和牛が視界を務めるお笑いライブなど、毎日さまざまなイベントが用意された。

 最終日、ハロウィーン当日の夜はバーチャルライブ配信アプリ「リアリティ(REALTY)」でアバターを作成し、「クラスター(Cluster)」と連携させて参加。さぞかし盛り上がっているだろうと思ったが、意外とオバケで徘徊する人が多かった。

 しかし、21時からのサージョン(SURGEON、バーミンガム)、エレン・エイリアン(Ellen Allien、ベルリン)、ケン・イシイ(Ken Ishii)、ダーシャ・ラッシュ(Dasha Rush、ベルリン)ら4組の世界的DJによるパフォーマンスは満員で会場に入れず。どうしても観たかったのでドミューンとユーチューブで視聴。バーミンガムにいるサージョンがプレイする動画をバックに、サージョンのアバターが渋谷のスクランブル交差点でオバケたちの前でプレイし、さらにスーパードミューンらしいAR技術も駆使されて、なんとも不思議な空間が広がっていた。

 エンターテインメントはもちろんだが、ファッションの分野でも大きな可能性を秘めていそうな「バーチャル渋谷」の課題と今後について渋谷未来デザインの長田新子理事に聞いた。

WWD:「バーチャル渋谷」でハロウィーンフェスを開催した経緯は?

長田新子渋谷未来デザイン理事(以下、長田):渋谷のハロウィーンは例年多くの人で賑わうが、路上にゴミがたくさん落ちていたり、お酒を飲んで大騒ぎしたりと、街としては警備などの課題があった。特に今年はコロナ禍ということもあり、長谷部健渋谷区長も自粛を呼びかけていたこともあり、「ニューノーマルのハロウィーンができないか」というところから企画が立ち上がった。

WWD:6日間で40万人が参加したというが目標値には達したか?

長田:アクセスは目標値をはるかに上回った。初日のアクセス集中によるダウンは予想以上の集客になったことによるもので、きゃりーぱみゅぱみゅさんは海外からのファンのアクセスも非常に多かった。そこからチームで日々改善を重ね、どうやってバーチャル空間で多くの人を受け入れればいいのか、滞在時間をどう伸ばせるかを研究しました。あの1週間でいろんなことが見えてきて、まさしくいろんな文化の実験の場として、課題と可能性が実感できた。

 一方でこのコロナ下で渋谷に人がたくさん集まらないように“ステイバーチャル”を掲げて取り組んだが、今年の渋谷のハロウィーンは仮装している人が例年に比べて少なかった。自粛を皆が受け入れてくれたことが最大の成果。ニューノーマルでのイベントのは、リアルとバーチャルの両面を持つことになると思うが、それを実現できたのではないか。31日にリアルな渋谷で大パニックが起こらなくて本当にうれしかった。

WWD:参加者からの反響は?

長田:アバターってある意味“自分”。例えばライブを普通に画面で見るよりも、その場に行ってインタラクティブに楽しめたという声が多かった。渋谷に行かなくても楽しい取り組みに参加できるというポジティブな意見をもらった。車が走らない渋谷のスクランブル交差点でライブが楽しめるというのもバーチャルならではの体験だったと思う。

WWD:ライブ会場の参加人数がだいぶ少ないように見えたが?

長田:見えている数が少ないだけ。見える人数を増やすとデータが重くなってしまうという技術的なところで制限をかけた。実際のアクセスは1000人を超えたりしていた。見た目に盛り上がりに欠けるかもしれないが、例えば会場に1万人見えたとしたら、重なりすぎて見えづらくなってしまう。アバターの種類を限定したのも同じ理由で、データを重くしないため。しかし、もう少し人数が見えた方が盛り上がりやすいかもしれないと話し合っている。

WWD:来場者の属性は?

長田:既にバーチャル空間に親しんでいる人がほとんどだったが、今回のハロウィーンフェスは、バーチャル空間が初めてという一般の人がかなり参加していた。Eテレのコンテンツも用意したりしたので親子で楽しんだりもしていたようだ。イベントによって年齢層や男女比、国籍もバラバラだったと思う。ただ、意外と若い人よりも上の年齢の人が多かった印象だ。

WWD:仮装コンテストは盛り上がったか?

長田:ハッシュタグを付けて応募してくれたのは100人以上。優勝者にはミライアカリちゃんが賞を授与したが、そこに皆集まって「おめでとう!」とコメントしたりして盛り上がっているのが見ていて面白かった。ハロウィーンの仮装って変身願望が満たされるという部分もあると思うので、そういう意味でもバーチャルとの親和性があると思う

WWD:「シブヤ・ファミリーセール」への誘導も行なっていたが?

長田:「シブヤ・ファミリーセール」については宣伝効果はあった。実は今回が初めての物販のトライアルで、ラインアップもまだまだ。「バーチャル渋谷」内で全て完結するのにはまだまだ時間がかかる。しかし、ゆくゆくは経済活動ができるようにしていきたいと考えている。来たからには何か買って帰りたいとう人たちにも対応したい。

WWD:ファッションビジネスの可能性は?

長田:渋谷にもともとある店やブランド、渋谷発のファッションと一緒にファッションショーをしたり、ここでしかできないことを世界的に見せていきたい。もう1つはブランド品をアバターが身につけられるようにして、ファッションやコミュニケーションを楽しんだりでできるようにしたい。街の良さって歩いたり、人と出会うの他に、着飾って楽しむということもあると思う。「バーチャル渋谷」はエンタメ、ファッション、デジタル技術、商業施設などいろんな人が一緒に取り組める。さまざまな技術があるし、行動心理学やブランディングやマーケテイングといった多角的な視点が必要だ。アバターの行動を分析して、そこから何が生み出せるかは個人的にも非常に楽しみ。

WWD:中でも力を入れていこうと思う分野は?

長田:バーチャルだけで完結しない仕組みを作りたい。もともと街を回遊させながら渋谷の街を楽しんでもらいたいというのがもともとのコンセプトとしてあるので、リアルとバーチャルの掛け合わせで新しい価値を作ることだった。リアルとの連動性を模索したい。

 もう1つは経済活動なり、街に還元できる仕組みを作りたい。ゴミ拾いなどの支援できる仕組みでもいい。渋谷ってもともと賑やかしの象徴になり、自粛の象徴になってしまったが、こうした街としての発信をし続けることも大事。実は海外メディアの取り上げがすごく多い。新しいバーチャルの都市として取り上げてもらえ、それがブランド価値になる。内閣府が世界に向けて発信してくれたので、そういうアイコニックな街としてどんどん進化させて発信していきたい。

WWD:課題は?

長田:デジタルの技術の発展と共にできることであって、皆さんが妄想するようなことは全部できないので、それをいかに早く実現していくか。5Gもまだごく一部でしか使えないし、多言語化もできていない。海外から来れないタイミングだからこそ、バーチャルの渋谷に行ってみようと思う人を受け入れる街としての土台を作らないと。「リアルでも行きたい」と思ってもらえるきっかけにしたい。皆さんにとって何が一番いいのかを優先順位をつけながらやっていく。

WWD:次の取り組みは?

長田:年末年始に向けてこの試みを受けてどうやるかを検討しているところ。季節に応じたことをどうやっていくかを考えているところだ。

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白タートルニットは名脇役だった! アレンジ自在の冬コーデ術

 寒さから首を守ってくれるタートルネックのニットは冬を象徴するアイテムです。なかでもおすすめは白。顔周りを明るくしてくれるのに加えて、コーディネートをうまい具合に取りまとめてくれる名脇役といえます。見慣れた感の強い白タートルですが、ファッショニスタはさすがのアレンジを加えて、オリジナルな着こなしに生かしています。

 たとえばレザーコートを肩掛けで羽織ったこちらの彼女は、ライトブラウンとホワイトのツートーンで整え小粋なたたずまいに。さらに帽子やパールイヤリングも白で統一することで品格を印象づけています。白タートルを生かした達人コーデのコツを披露します。

パーカやシャツとレイヤード チラ見せ加減でこなれ感を演出

 タートルネックは顔に近いので視線が行きやすく、実は目立ちやすいウエアです。そこで、見え具合をあえて控えめに操ることで、レイヤードのバランスを整える裏技をご紹介します。写真1枚目は、スウエットパーカの内側からタートルネックの首元だけをちらりとのぞかせるレイヤード。カジュアルなコーディネートにゴールドネックレスを合わせて、リュクスな雰囲気を盛り込みました。キュロットとロングブーツのレザーコンビネーションでトレンドコーデに。上下でムードを変えて味わい深く整えました。

 タートルニットの通な着こなしバリエーション2つ目は、シャツの下にタートルニットを着込むアレンジです。白タートルに薄いイエローシャツを重ねて、美しいカラーグラデーションを生み出しました。さらにピンクのアウターとレザーのショートパンツで、フェミニン×カジュアルのバランスが絶妙な着映えに。癖のない白タートルが色の響き合いを下支えする、巧みなレイヤードです。
宮田さま:薄黄色のシャツでくっきりではないと思うので、グラデーションに修正しました。

アウターと色を合わせて上品なカジュアルルックに

 タートルニットとコートを近い色でそろえれば、アンサンブル風にまとまって上品なムードに。特に白主体で整えると、ノーブルな装いを組み立てられます。1枚目は、デコルテにカットオフを施した白タートルの上に流麗なシルエットの白コートをオン。ニュアンスカラーのベージュをコットンパンツで迎えて、白のピュア感を引き立てました。バッグとブーツは穏やかなモカ系を添えて、洗練されたカジュアルコーデにまとめ上げています。

 白は色味のバリエーションが多いので、あえて少しずつずらした“ニアカラー”で束ねるホワイトルックはおすすめです。加えて、質感やボリュームにも“ずらし”を仕掛けると、雰囲気に奥行きが出ます。2枚目のオールホワイトコーデは、素材感や色味が少しずつ違うので、全体にこなれ感が備わりました。クリームがかったムートンジャケットのほっこりした質感と量感に、ピュアホワイトのタートルネック、パンツ、バッグ、ロングブーツと全て白系で合わせて、軽やかなホワイトルックの出来上がりです。
宮田さま:2枚目タートルに関する記載がなかったので追記しました。

レザーや派手パンツとミックスしてコントラスト使い

 白タートルニットは、コーデ次第でカジュアルにも華やかにも着こなせます。効果的なアレンジはレザーパンツとのミックスです。オフネックのタートルニットはカジュアルに見えやすいアイテムですが、レザーパンツならではのクールな表情のおかげで、ぐっとスタイリッシュにシフト。風合いが極端に異なるニットとレザーの異素材コントラストが際立ち、ありきたりに見えない仕掛けです。

 ややデイリー(普段着)感を帯びるタートルニットの持ち味を生かせば、“強め”なアイテムの印象をやわらげてくれます。程よく着地させるためのトーンダウン役として活用するスタイリングです。2枚目のキーピースは、舞台衣装のようにシルバーにきらめく総スパンコール仕立てのパンツ。これだけだと目立ちすぎてしまいそうですが、オフホワイト系タートルニットのおかげで、いくらかトーンを抑えられました。ライトグリーンのロングコートを重ねてパンツの露出をセーブすることで、全体のバランスを保っています。

 白タートルネックは印象がやさしげなので、コーデの“仲立ち役”としていい仕事をしてくれます。重ね着のまとめ役やホワイトルックの立役者、異素材コーデの引き立て役など、さまざまなミッションをそつなくこなしてくれる、冬コーデの頼れる名脇役です。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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「ファセッタズム」を見出した名店「エスティーカンパニー」 いま、ローカルが面白い!桐生編 VOL.1

 コロナ第3波の拡大で再び我慢の時を強いられていますが、こうした状況になる前の11月8日に、群馬・桐生市を訪れました。目当ては同地で約40年にわたって営業しているセレクトショップ「エスティーカンパニー(ST COMPANY)」。ファッション業界関係者の間では、「群馬に名店あり」として昔から非常によく知られる存在です。同店がファッション文化を育んできた桐生は今、IターンやUターンしてファッションやライフスタイル関連のお店を開く若者が多く、訪れる度に面白い街になっていきます。コロナ禍もあって東京一極集中の価値観が揺らぐ中、桐生のような個性ある地方都市は今後ますます注目を集めそうです。

 私が「エスティ―カンパニー」に出合ったのは今から7年ほど前。「『ハイク(HYKE)』の前身である『グリーン(GREEN)』が休止する前、都内の有力百貨店よりも『グリーン』を売っていた店が群馬にある」「今や海外でもよく知られるようになった『ファセッタズム(FACETASM)』を、まだ誰も知らない初期の初期から買い付けていた店がある」。そんな数々の伝説を確かめに、初めて桐生を訪れたのでした。

 出迎えてくださったのは環敏夫社長。前述の「グリーン」「ファセッタズム」をはじめ、才能あるデザイナーを見抜く目利き力が抜群で、面倒見がよくてとっても温かい。そんな環社長を“ファッション業界のお父さん”的に慕うデザイナーや業界関係者は非常に多く、私もその一人です。環社長だけでなく、スタッフもみんな家族のような雰囲気。顧客一人一人のワードローブを熟知していて、そのきめ細かな接客力やホスピタリティーは本当に「スゴイ」の一言です。

若い世代の新客もどんどん訪れる店に

 「エスティーカンパニー」は2018年に、桐生駅そばの旧店舗から古い商店街沿いの現在の場所に移転リニューアルしました。以前から有力店でしたが、移転リニューアルでさらに飛躍した印象です。和菓子の工場だったという建物をリノベーションしたカフェ併設の新店舗を目指して、県外から訪れる客も多数。一般的に、地方のセレクトショップは「長年の顧客との関係性は非常に深いが、新客の呼び込みが課題」といったケースが多いですが、同店は移転以降、ファッション好きの若い世代やカフェ目当ての近隣の客など、新客を多く取り込んでいます。東京や埼玉、新潟などから訪れる人も少なくなく、わざわざ出掛けていきたい“デスティネーションストア(そのためだけに行きたい店)”になっています。

 コロナ禍を受けて、都心のセレクトショップからは苦しい声が聞こえてきます。しかし、「(秋冬物の立ち上がり月として重要な)7月も非常に好調だったし、2021年春夏物も保守的にならずにしっかり買い付けた」と環社長。顧客をしっかりつかんでいて他に代替がきかない個性ある店は、コロナ禍という危機の中でもやはり強いですね。そんな「エスティーカンパニー」をリスペクトして、近年では協業やポップアップストアの依頼も増えているようです。例えば昨秋、新生・渋谷パルコがオープンした際にも、パルコに請われてポップアップストアを行っていました。

デザイナー、スタッフ、客の垣根を超えて親しくなれる街

 「エスティーカンパニー」では以前から、デザイナーが接客する受注会や地元の飲食店などと組んだマルシェなどを定期的に行っています。こうした企画力もファンを集める秘けつ。私もイベントに合わせて年1~2回ほど訪れているのですが、今回は同店からすぐ近くのアウトドアコンセプトショップ「パーヴェイヤーズ(PURVEYORS)」、アトリエ兼ボードゲームカフェ「ふふふ」の3店合同で、植栽を売るイベントを行うとのことだった(今回の企画の発案者は「パーヴェイヤーズ」だったそう)のでお邪魔してきました。「パーヴェイヤーズ」と「ふふふ」については次回以降の記事でご紹介します。

 私がお邪魔したのと同じ週末に、「エスティーカンパニー」と縁の深い「ファセッタズム」の落合宏理デザイナーも桐生を訪れており、落合さんご一家とは「ふふふ」で一緒にボードゲームもしちゃいました。そんなふうに有力デザイナーも交え、お客さん、お店のスタッフなどと親しくなれる街、コミュニティーを感じられる街。それが桐生の魅力だと思います。東京みたいなメガシティだと、なかなか難しいことですよね。

■ST COMPANY KIRYU
住所:群馬県桐生市川岸町177-4
営業時間:11~20時
定休日:水曜

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「メゾン キツネ」が賛同するトレーサブルオーガニックコットン糸のチャリティプロジェクトがスタート

 フランスのライフスタイルブランド「メゾン キツネ(MAISON KITSUNE)」は、繊維商社の豊島が手掛けるトレーサブルオーガニックコットン糸〝トゥルーコットン(TRUECOTTON)“から始動した環境保全のチャリティプロジェクト「セーブ・ネイチャー&アニマル・プロジェクト(Save nature and the animals project)」に賛同し、〝トゥルーコットン”を使用したエコバッグとTシャツを限定販売する。

 〝トゥルーコットン“は生産農場と紡績工場を特定できるオーガニックコットン糸で、その代表格であるトルコオーガニックの紡績グループのウチャクテクスティル(UCAK TEKSTIL)社と豊島が日系企業向けの独占販売契約を締結した。

 「セーブ・ネイチャー&アニマル・プロジェクト」の売り上げの一部は、豊島と昨年パートナーシップを結んだ環境保全団体のWWFジャパン(世界自然保護基金ジャパン)に寄付され、希少な野生生物と森や海を守る活動や、自然資源の持続可能な利用と地球温暖化の防止を目指した活動の支援に使用される。

 エコバッグとTシャツのデザインは、「WWF」と書かれたキャップを被るキツネのモチーフが特徴。コンパクトなエコバッグは持ち運びが便利で、付属のボタンは環境に配慮した廃棄魚網のリサイクル素材を使用している。また、Tシャツは心地よい肌触りのトゥルーコットン糸で編んだ生地を「メゾン キツネ」定番の型に仕上げた。エコバッグは12月24日に「メゾン キツネ」の東京・青山店、代官山店、大阪店、京都・新風館店、「カフェ キツネ」青山店とWWFの通販サイト「PANDA SHOP」で発売予定で、価格は3000円。Tシャツは来年1月発売予定で、価格および販売店舗は未定。

 同プロジェクトが実現した経緯について、「メゾン キツネ」の黒木理也ファウンダー、豊島の田中哲平氏、WWFジャパンの金子幸史・淡水グループジャパン テキスタイル リードに話を聞いた。

WWD:「セーブ・ネイチャー&アニマル・プロジェクト」に賛同した理由は?

黒木理也「メゾン キツネ」ファウンダー(以下、黒木):以前からサステナビリティについて大切に考えていたが、余力がなくてなかなか形にできなかった。今回、豊島とWWFジャパンとの協業できちんと取り組めたことをうれしく思う。何か始めないとリアクションがないし、進化しない。

WWD:エコバッグとTシャツに込めた思いは?

黒木:環境保全に対して率直な気持ちを伝えるメッセージだ。新しいスタートをイメージして、色を付けずにシンプルで気軽に使用できるデザインにした。ジェンダーレスでエイジレスなベーシックさは、誰でも愛用することができる。難解な問題なので、特に若者は理解しずらい点があるかもしれないが、このTシャツを着て遊びに出掛けたり、エコバッグを持ってコンビニに買い物に行くことがサステナブルな行動につながる。普段の生活の中で、自分なりにできることは何か。多くの人が環境問題について考えるきっかけになればいい。

田中哲平・豊島二部一課(以下、田中):豊島はオーガニックコットン普及プロジェクト「オーガビッツ(ORGABITS)」や、廃棄食料を再活用する「フードテキスタイル(FOOD TEXTILE)」など30年以上、サステナブルな活動に積極的に取り組んでいる。“トゥルーコットン”の使命は、多くの人にサステナビリティに興味を持ってもらい、環境保全や自然保護につながるちょっとしたいいことを広めていくこと。当社だけの発信では限りがあるが、「メゾン キツネ」とWWFジャパンとの協業は大きな効果を生むと思う。

WWD:WWFの資料によると、繊維産業は石油産業に次いで水の汚染が2番目に大きく、水の使用量が2番目に多い。

金子幸史WWFジャパン淡水グループジャパン テキスタイル リード(以下、金子):服飾・繊維関連分野をサステナブルに変えていくプロジェクトは、WWFの優先活動の1つ。WWFジャパンがパートナーとする初めての日系ファッション企業である豊島と、世界的に影響力のある「メゾン キツネ」との取り組みにより、多くの消費者のリアクションを期待している。

WWD:サステナビリティを重要視するきっかけとなったのは?

黒木:約5年前、ヨーロッパから東京に生活の拠点を移したとき。みんながエコバッグを持つなど環境保護の意識が高いヨーロッパと比較して、日本やアジアの街中であまりのゴミの多さを見て悲しい気持ちになって火が付いた。

WWD:今後、サステナビリティに対してどんな取り組みを進める?

黒木: バリ島に100%サステナブルなヴィラを来年開業する予定だ。他に自然や環境に配慮したリゾート開発も進んでる。(「メゾン キツネ」共同創業者の)ジルダ(・ロアエック/Gildas Loaec)ほどではないが、バリ島は好きだ。日本にサステナブルな旅館があっても面白いと思う。アイデアはたくさんあるので、慎重に考えていろいろと続けてみたい。行動力があり、創造力豊かな日本人は、さまざまなことができると思う。例えば、若者の理解をもっと深めるために、学校の授業にサステナビリティの課題に取り組むコンテンツを取り入れても良いのではないか。

金子:産学連携のサステナビリティの教育は面白いかもしれない。若者の将来が過酷なものにならないように、さまざまな立場の皆さんとの対話を通じて連携を深めながら、環境に高い負荷をかけている繊維産業の課題を克服していきたい。“トゥルーコットン”は、繊維企業の事業をサステナブルに変えていく大きなきっかけになると思う。

田中:これまで、勢いのある取り組みがまだ足りないと感じていた。今回のプロジェクトは、多くの人に強いメッセージとなるに違いない。今後も他社の力を借りながら、日本市場にサステナビリティを落とし込んでいきたい。

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店舗から「ダークストア」への転換 ファッション分野にも波及 鈴木敏仁USリポート

 アメリカ在住30年の鈴木敏仁氏が、現地のファッション&ビューティの最新ニュースを詳しく解説する連載。オンライン注文の物流に特化した「ダークストア」が増えている。棚に商品が陳列されているが、客は入ることはできず、EC(ネット通販)で受注された商品を出荷するための施設だ。スーパーマーケットが閉鎖された跡地に食品のダークストアが作られることが多かったが、一部ファッション分野にも広がりを見せている。

 百貨店のメイシーズ(MACY'S)がダークストアの実験を始めている。デラウェア州とコロラド州の2店舗で10月から開始した。名称はオムニサービスセンター。EC(ネット通販)の商品ピックアップと返品のみ可能で、その他の一般的なサービスを提供するカウンターはあるが、店内で買い物はできない。

 目的は急増しているECに対応するためで、ECで注文した商品をこの店からお客に配送するか(またはピックアップに来てもらうか)、他の近隣店舗に送る。同社広報がメディアの取材にそのように答えているが、今のところ情報はここまでだ。不採算店舗を転換したのか、家賃はどうなのかなど疑問は尽きないが、そういったテクニカルな疑問の答えを得るにはいましばらく時間が必要だろう。

 同社はもう一つ10月初頭にドアダッシュ(DOOR DASH)との提携を発表している。ドアダッシュはオンデマンド型の短時間宅配大手。もともと外食業界からスタートした企業だ。小売業界にも徐々に版図を広げはじめているのだが、百貨店との取引開始は私にとっては少々サプライズだった。外食宅配企業が百貨店と組むことと、百貨店がついに短時間宅配を始めることの2つの驚きである。

 料理、チルド、冷食など食品には短時間にお客に届けなければならない商品特性がある。だからそこからビジネスが生まれて市場が大きくなったわけで、これがとうとうファッション業界にも波及し始めたのである。ECで買った服を手数料を払ってまで2時間以内に手にしたい人がいるのかどうかを考えて悩むのではなくて、お客の選択肢を増やすことが正しいということなのだろう。

コロナの店舗休業で明暗が分かれる

 ご存知の通りアメリカの小売業界はコロナによる営業規制でリアル店舗に影響が大きく出る一方、ECの売り上げが急騰する地殻変動のような変化が生じている。ECはピークの5月には前年同月比で80%弱という伸び率を記録した。今も50%前後の増収で推移しているようで、まさにECシフトである。

 この大変化に対する小売業界の対応は、フルフィルメントセンターを急ごしらえで建設することなど不可能なので、店舗を有効活用するしか手がない。そして店舗を最大限に有効活できた企業とできなかった企業とで明暗が分かれた。その差は今まで準備していたかどうか。つまりデジタルにしっかり投資し変革に取り組んできたか否かで勝負が決まった。

 例えばルルレモン(LULU LEMON)がECによるインストアピックアップの実験をしたときに注文の半分以上が店頭欠品していることに気づき、在庫管理の精度を上げるために全商品にRFIDタグ(無線電子タグ)を付ける取り組みを始めたのは2015年のことである。そのためコロナによる営業規制がかかった直後からダークストア化が可能になって被害を最小限に食い止めている。一方のメイシーズはそういった準備ができていなかったので大きな減収に見舞われている。

ダークストアはデジタル小売業への実験場

 EC急増に対する店舗の対応は、おおよそ5つに集約されてきたと考えている。

(1)店内フルフィルメントスペースの設置:
 ネット注文に対する作業スペースは必須で、今は急ごしらえが多いがこれからは店舗計画の線引きの段階でスペースを確保することになるだろう

(2)BOPIS(バイオンライン・ピックアップインストア):
 アメリカには店内ピックアップと、駐車場に止めた車で受け取るカーブサイドピックアップと2つある

(3)オンデマンド型短時間宅配:
 インスタカートやドアダッシュといった専門企業を利用しての短時間宅配

(4)マイクロ・フルフィルメントセンター:
 売り場を大幅に縮小し、オートメーション化された小型のFCを店内に作る手法。ウォルマート(WALMART)、スーパーマーケットのアルバートソンズ(ALBERTSONS)やHEBが実験を始めている

(5)ダークストア:
 ダークストアは既存店を転換する試みでメイシーズに加えて、ウォルマート傘下のサムズクラブ(SAM’S CLUB)、スーパーマーケットのクローガー(KROGER)やレイリーズ(RALEY’S)など複数の企業が実験している。ゼロから作ったのがアマゾン傘下のホールフーズ(WHOLE FOODS )でNY近郊に1店舗、短時間宅配もドアダッシュがコンビニダークストアの実験を始めている。

 クローガーは3月から実験しているのだが、CFO(最高財務責任者)がメディアの取材に対して、「ダークストアはラーニングラボだ、そこから得た知見を適用することでネット注文を店頭で処理するコストが削減できた」と答えており、ECシフトへの対応だけではなくプロセス効率化の実験場としても機能しているようだ。

 モールから抜けた核店舗のあとをダークストア化、つまりフルフィルメントセンター化するというアイディアはかなり前から存在する。専門店が抜けた後を小さなフルフィルメントスペースとして他の複数の専門店に貸すという計画を聞いたこともある。ただ、お客が普通に行き来するモールの中にダークストアがあるという環境がお客のイメージにどう作用するのか、高い家賃を払ってROI(費用対効果)はどうなのか等々の課題もあって、業界では賛否が分かれている。

 メイシーズの実験はこういった諸々の疑問に答えてくれるかもしれない。やらないでゼロのままでいるよりも、とりあえずやってたとえ失敗したとしても少なくともノウハウを得ることができると考える方が重要なのだと私は考えている。

鈴木敏仁(すずき・としひと):東京都北区生まれ、早大法学部卒、西武百貨店を経て渡米、在米年数は30年以上。業界メディアへの執筆、流通企業やメーカーによる米国視察の企画、セミナー講演が主要業務。年間のべ店舗訪問数は600店舗超、製配販にわたる幅広い業界知識と現場の事実に基づいた分析による情報提供がモットー

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アーティスティックスイミング選手からメイクアップアーティストに転身 “スポーツ選手らしい”メイクに奮闘

 「音楽に合わせて水中で演技を行い、技の完成度や同調性、演技構成、芸術性や表現力を競い合う」と聞けば、シンクロナイズドスイミングを思い浮かべるだろう。実は2018年にアーティスティックスイミング(以下AS)と名前を新たに、より感情豊かな演技が求められている。その中には、美しい動きはもちろん、その表情を彩るメイクにも目を引きつけられるが、そのAS用メイクを選手に指導している荒井美帆メイクアップアーティストもまた、元アーティスティックスイミング選手だった。その経歴についてやメイクアップアーティストへの転身についてはもちろん、日常生活にも生かせる汗や水に強いメイク方法、アスリートに向けたメイク活動について話を聞いた。

WWD:AS選手からメイクアップアーティストになった経緯は?

荒井美帆メイクアップアーティスト(以下、荒井):AS選手時代、09年に日本代表チームに入ることができましたが、日本代表になるとアーティスティック日本代表オフィシャルスポンサーであるコーセーのメイクアップアーティストから試合用のメイクアップを教えてもらえる機会があるんです。メイク講習会が1年に2回ほどありましたが、その講習がとても楽しかったですね。それに、ASには必ずメイクアップが必要にもかかわらず、日本代表に選ばれない限りメイクを学ぶ機会がないんです。試合のたびに自身でメイクをしなければいけないため、私も小学生のときから先生にやってもらったり周りの先輩の真似をしたりしていました。ただ、その先輩も自己流なのでそれを真似ていてもひどい出来だったりもしましたね(笑)。そんな経験もあって、「代表以外の人にメイクを教える機会を設けたい」と思いメイクアップアーティストを目指しました。引退後に専門学校に通い、メイクアップアーティストになることができました。

WWD:メイク講習会ではどのようなことを教わりましたか?

荒井:まず色使いが違いました。教わる前までは、赤い水着のときは目元に赤いアイシャドウを入れたり、青い水着だったら青一色のメイクを施したりなどワンパターンなものでしたから。演技のテーマに合わせてアイシャドウの入れ方を変えたりチークの色を変えたり、メイクの使い分けを初めて知ることが多かったです。明るい曲のときは、表情が柔らかく見えるようにライトなカラーやアイラインの入れ方で変化を出しました。一方で、カッコよく見せたいときや怖さを表現したいときはアイラインを強めに入れてキリッとさせたりリップの色も濃い目の赤にしたりしましたね。

WWD:直近の活動は?

荒井:新型コロナウイルスが流行する前までは、アメリカを拠点にメイクアップアーティストとして活動していました。そして直近1年半は、ASのパフォーマーとしてカリブ海を回る世界最大級の豪華客船内で毎日開催される50分間ショーに出演していました。これまでに2回乗船しており、それぞれ9カ月と4カ月半乗船していました。もともと5月までパフォーマーをする予定だったのですが、コロナの影響で今年の3月に帰国し、再びメイクアップアーティストとして活動しています。

WWD:日本ではどのような活動をしているのか?

荒井:例えば、京都のAS選手に向けてなじみのある「よーじや」のメイクアイテムを使用したオンラインのメイク講習を行いました。オンラインでメイクを伝えるのは難しく、最初はライティングや画面に対して鏡をどこに向けて設置したら見えやすいかなど試行錯誤でした。画面越しで色の見え方も違いますし、アイラインがきれいにひけているかどうかの判断もしづらかった。しかし、北海道から沖縄まで離れた場所の人にも講習できるというのはオンラインならでは。これまでは関東のASチームを中心にメイク講習をしていたので新鮮でした。

WWD:AS用メイクで重視するポイントは?

荒井:水に強いのはもちろん、アイシャドウならグラデーションを作るのを大切にしています。AS選手がメイクを濃くするのは、遠くのお客さまにも表情をよく見せるためでもあります。年々ASメイクも多様化し、まつ毛を描いてみたり、アイシャドウもアートのように奇抜に入れてみたりするようになっていきました。しかしそのうち、「競技に相応しくない」「スポーツ選手らしくない」となり、数年前から“派手すぎるメイク”が禁止となりました。テーマに合わせたメイクを考えるのが楽しかったのでやはり寂しさもありましたが、“ショー”ではなく“競技”なので、「選手らしく」というのは仕方のないことだとも感じましたね。そのため、以前は2色を目元に強くいれるメイクを多用していましたが、それでは「濃いメイクでNG」と判断される恐れも。なので、同じ2色でもグラデーションを使って自然にきれいめに見えるようにしています。

WWD:元選手だからこそ分かる、現役選手に伝えられることとは。

荒井:私のメイクはコーセーのメイクアップアーティストに教わったことがベースにはなっていますが、それにプラスして元選手としての目線でも伝えています。例えば、早朝に試合があるときは練習をしてすぐ本番というタイトなスケジュールなので、選手は朝起きてホテルでメイクとヘアをセットします。その場合、「目の下のアイラインはにじみ防止のため練習後(本番前)に引いたほうがいいよ」「リップは試合の直前に塗ったほうがいいよ」などプラスのアドバイスができます。試合前はバタバタして一からメイクを直す時間がないので、ほんの少しのメイク直しで済むように教えていますね。そのほか、選手はまだメイクをしたことがない中学生や高校生が多いので、ファンデーションは簡単に塗れて化粧直しもしやすいパウダータイプをすすめています。スポンジを水に濡らして使えば、汗や水にも強くなる。これは日常生活も使える小技ですね。

WWD:AS用メイクにはもちろん、日常生活でも使える汗や水に強いメイクアイテムを教えてください。

荒井:AS用では、「メイクアップフォーエバー(MAKE UP FOR EVER)」の“アクアシール”がおすすめ。どんなパウダーやペンシルもウオータープルーフにできるリキッドで、例えばアイシャドウに混ぜて使用したり、アイシャドウを塗ってからリキッドを上に塗ったりすると一瞬でウオータープルーフになります。私はリキッドをアイシャドウ下地として塗り、その上にアイシャドウを重ねるという使い方が多いですね。「ファシオ(FASIO)」のアイブロウペンシルとマスカラは選手時代から使用していますが、使いやすく落ちにくいので今も使い続けている一品です。「キャンメイク(CANMAKE)」のジェルタイプアイシャドウ“ジェルスターアイズ”はパールとラメがたっぷりで選手にも使いやすい。手に取りやすい価格も魅力ですね。「エクセル(EXCEL)」の“ロングラスティングアイライナーEX”も汗や皮脂、水に強くおすすめです。また、「よーじや」「チャコット(CHACOTT)」のアイシャドウは発色が良く使っています。

WWD:今後の活動予定は?

荒井:メイクのオンライン講習は今後も続けていきます。普段は、アスリートがメディアに出るときに自分でできるセルフメイクの方法も伝えていますが、いま広げていきたいのは、新体操やフィギュアスケートの選手などメイクが必要な競技の選手に向けた競技用メイクです。そのほか、ウオータプルーフ重視のメイクとして、ランナーやインストラクターなど汗をかきやすい人に向けたメイク、ボディービルダーなどコンテストに出場するステージメイクといった、スポーツ全般に関わる人にメイクを広げていきたいですね。

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「肩入れ」してます、ダメですか? エディターズレター(2020年8月28日配信分)

※この記事は2020年8月28日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「肩入れ」してます、ダメですか?

 お読みいただいている方も多いと思いますが、「元ファストリ上級執行役員の心に火をつけた“トーチング”回顧録」を連載しています。連載は、お会いして1時間後に早くも決意。「10回やります!」と宣言し、初顔合わせを強引に締め括りました。編集長とは言え、独断にも程があるかもしれません。連載の主役、神保“隊長”に「肩入れ」しすぎているのは、分かっています。バランスを欠いており、記者らしくないかもしれません。

 とは言え、「肩入れ」の理由を1つ、ちゃんとお話してみようと思います。「この人、本物なんだな」と感じたのは、連載を告知するリンク1本目の記事をアップして間もなく、連載の舞台となる「ユニクロ」の某店舗で神保“隊長”と共に働いていたスタッフの方から、SNSでDMをいただいたからです。実名で「私たちの『奇跡』を、『軌跡』として残してくださることに感謝したい」という、ご丁寧なDMでした。

 時には匿名で辛辣なご意見を頂戴しますが(正直、いろいろ思いますよw)、このメルマガについては多くの皆さんから実名でお返事を頂戴しています。でも、そんなラヴい皆さんの連絡より、このDMはもっと素敵に思えました。ご本人が「奇跡」を「奇跡」と正々堂々発言しているからです。コレは、本当の「奇跡」を起こした人じゃなきゃ言えませんね。神保さんとDMを送ってくれた方、そして彼らの同僚は、本当に「ユニクロ」のありふれたロードサイド店に奇跡を起こした方なんだと実感し、批判されても(あんまりされないと思いますが)「肩入れ」する覚悟を決めました。

 最近で言うなら「ソーシャル・グッドに共感したドネーション的購買」みたいなモノです。皆さん、ソーシャル・グッドに惚れ込んだブランドの商品は、「ちょっと高いな」なんて思っても「ま、ソレがソーシャル・グッドだよね」と思って買っちゃいませんか?僕の場合は、「デザイン、もうちょっとあっても良いよねぇ」なんて思うのですが、「ミニマルな方が、CO2排出は少ない?」なんて思い込んで買っています。“トーチング”連載は、そんなカンジ。「ちょっとやりすぎ?」と思いつつ、「でも広がったら、業界が、社会がちょっと良くなるなぁ」と自分自身を正当化しているのです。

 というワケで、この風呂敷、まだまだ広げちゃいますよ。連載も背中を押し、トーチングは現在予約がパンパンだそうです。「そこをなんとか!!」と思う皆様は、このメールに簡単な自己紹介と悩みをご連絡ください。取材を条件に(企業名や個人名は匿名でもOKです)、神保“隊長”と相談し、「優先枠」を差し上げたいと思います(笑)。詳しくは、リンク2本目の記事の最後をご覧ください。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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#敦子スメ「新月・満月」ノート 未来をより良いものに変えるタイミングのふたご座満月(11月30日)

 この連載では、新月・満月の流れを最大限に引き出すためのサポートをしてくれるコスメやインナーケアアイテムも紹介していきます。最終回の第24回は、11月30日の満月とおすすめコスメについてお伝えします。

今回の満月(11月30日)はふたご座

 今回の満月はふたご座で起こります。拡大、楽観、冒険心を表すいて座の太陽に、好奇心、コミュニケーション、知識を表すふたご座の月という組み合わせ。何か新しいことや“未知のもの”にトライしたくなるような星の配置です。2020年は根本から生活や価値観を変えられるような1年でした。この変化をどう捉えているか、人それぞれかもしれませんが、これを機に未来をより良いものに変えていける希望を持つのにいいタイミング、そんな星の配置です。

 新型コロナウイルス感染拡大という大きな波をきっかけにさまざまなことが変化し、世の中を見ていても新しい世界や暮らしがじわじわ始まっていて、もうその入り口に立っている感じが感覚的にもありますよね。そんなタイミングの今回の満月ですが、これからの新しい時代にマッチした面白いアイテムを今回は紹介します。

今回の満月コスメ

 「コアフィット(COREFIT)」の“ハイミラープロフェッショナル”はAIが搭載された次世代型のビューティミラー。ミラーといってもただの鏡ではありません。顔の筋膜の癒着をリリースする美容ギア、フェイスポインターとセットで使うものですが、顔のコリ・たるみや肌の状態の測定ができる機能に加え、Zoomやユーチューブなどが見られる機能を搭載。画面の半分でメイク動画を見ながら、もう半分をミラー機能にしてメイクの練習をしたり、Zoomを使ってポインターのインストラクションを受けたり、物とも人とも新しいコミュニケーションの取り方で美容に向き合える、そんなアイテムです。


 「フォレオ(FOREO)」 の“UFO”は、スマホアプリと連動して肌のトリートメントが行える新しいスキンケアツール。専用のマスクシートをセットしてスマホのアプリを起動。そのガイダンスに従ってスキンケアを行うと、本体が温冷作用と光の効果で肌を柔らかくし保湿成分を浸透。エイジングケアもできる優れもの。順序やトリートメントの長さはアプリが管理してくれるのでとても楽にスキンケアが楽しめます。

 新しい時代になって変化する私たちの人とのコミュニケーションやあり方、その波は美容アイテムにも現れています。鍵となるのはインターネットやデバイスなどのツールなのかもしれません。


福本敦子(ふくもと・あつこ)/フリーランスPR・美容コラムニスト:コスメキッチンに14年間勤務後、現在はフリーランスPRとして活動するかたわら、ビューティコラムニストとしてイベント、SNSなど多方面で活躍。オーガニックに精通した知識を武器に、ライフスタイルに寄り添った独自のオーガニック美容論が、著名人やエディターをはじめ各方面から大人気。「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と多くの反響を呼び、紹介した商品の欠品や完売も多数。2019年秋、初の書籍となる「今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by敦子スメ」を出版。発売前に増刷が決まるなど話題を呼んでいる。旅を愛し、占星術にも精通 instagram:@uoza_26

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#敦子スメ「新月・満月」ノート 未来をより良いものに変えるタイミングのふたご座満月(11月30日)

 この連載では、新月・満月の流れを最大限に引き出すためのサポートをしてくれるコスメやインナーケアアイテムも紹介していきます。最終回の第24回は、11月30日の満月とおすすめコスメについてお伝えします。

今回の満月(11月30日)はふたご座

 今回の満月はふたご座で起こります。拡大、楽観、冒険心を表すいて座の太陽に、好奇心、コミュニケーション、知識を表すふたご座の月という組み合わせ。何か新しいことや“未知のもの”にトライしたくなるような星の配置です。2020年は根本から生活や価値観を変えられるような1年でした。この変化をどう捉えているか、人それぞれかもしれませんが、これを機に未来をより良いものに変えていける希望を持つのにいいタイミング、そんな星の配置です。

 新型コロナウイルス感染拡大という大きな波をきっかけにさまざまなことが変化し、世の中を見ていても新しい世界や暮らしがじわじわ始まっていて、もうその入り口に立っている感じが感覚的にもありますよね。そんなタイミングの今回の満月ですが、これからの新しい時代にマッチした面白いアイテムを今回は紹介します。

今回の満月コスメ

 「コアフィット(COREFIT)」の“ハイミラープロフェッショナル”はAIが搭載された次世代型のビューティミラー。ミラーといってもただの鏡ではありません。顔の筋膜の癒着をリリースする美容ギア、フェイスポインターとセットで使うものですが、顔のコリ・たるみや肌の状態の測定ができる機能に加え、Zoomやユーチューブなどが見られる機能を搭載。画面の半分でメイク動画を見ながら、もう半分をミラー機能にしてメイクの練習をしたり、Zoomを使ってポインターのインストラクションを受けたり、物とも人とも新しいコミュニケーションの取り方で美容に向き合える、そんなアイテムです。


 「フォレオ(FOREO)」 の“UFO”は、スマホアプリと連動して肌のトリートメントが行える新しいスキンケアツール。専用のマスクシートをセットしてスマホのアプリを起動。そのガイダンスに従ってスキンケアを行うと、本体が温冷作用と光の効果で肌を柔らかくし保湿成分を浸透。エイジングケアもできる優れもの。順序やトリートメントの長さはアプリが管理してくれるのでとても楽にスキンケアが楽しめます。

 新しい時代になって変化する私たちの人とのコミュニケーションやあり方、その波は美容アイテムにも現れています。鍵となるのはインターネットやデバイスなどのツールなのかもしれません。


福本敦子(ふくもと・あつこ)/フリーランスPR・美容コラムニスト:コスメキッチンに14年間勤務後、現在はフリーランスPRとして活動するかたわら、ビューティコラムニストとしてイベント、SNSなど多方面で活躍。オーガニックに精通した知識を武器に、ライフスタイルに寄り添った独自のオーガニック美容論が、著名人やエディターをはじめ各方面から大人気。「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と多くの反響を呼び、紹介した商品の欠品や完売も多数。2019年秋、初の書籍となる「今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by敦子スメ」を出版。発売前に増刷が決まるなど話題を呼んでいる。旅を愛し、占星術にも精通 instagram:@uoza_26

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「ナナナナ」をヒットさせたデザイナーによる「ラストフレーム」 有力店が注目する“長く愛されるモノ作り”

 コロナ禍を受けて欧米の有力百貨店やスペシャリティストアには元気がなく、それらの店での販売に力を入れてきた日本のデザイナーズブランドにとっても、難しい状況が続いています。そんな中にあって「海外からの引き合いが高まっている」というのが、奥出貴ノ洋(おくで・たかのひろ)さんが手掛けるバッグやスカーフのブランド「ラストフレーム(LASTFRAME)」。奥出さんは、ミニサイズのバッグが大ヒットした「ナナナナ(NANA-NANA)」のデザインも手掛けており、名前は出せませんがそれ以外にも関わってきたブランドをヒットさせています。そんなふうに時代を読むのに長けた奥出さんですが、「今はサステナブルじゃないということがファッションではない時代」と語ります。

 「ラストフレーム」は、2018年秋に奥出さんが個人で立ち上げたブランド。現在、国内ではGR8やリステア(RESTIR)、バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)などで販売しており、21年プレ・スプリングや21年春夏からは、英のEC大手マッチズファッション ドットコム(MATCHESFASHION.COM)、中国・北京の百貨店SKP、英の百貨店ブラウンズ(BROWNS)などでの販売も決まりました。「(コロナ禍もあってバイヤーは保守的になっていると思ったが)だからこそ、比較的買いやすい価格で元気の出るようなカラフルな色合いの商品が支持されているんだと思う」と奥出さん。

 同ブランドがコンセプトとして掲げているのは、「年々職人が減少している日本の伝統技術を未来につなげる」こと。奥出さんがこれまで関わってきたブランドは、「ナナナナ」しかりカジュアルやストリートといったジャンルなので、このコンセプトはやや意外に感じます。「(これまで関わってきたブランドで海外のバイヤーなどと話す中で)『日本人なんだから、もっと日本のいいものを世界に発信すればいいのに』と言われる機会があった。そう言われても何をやればいいのか分からなかったが、偶然地元の石川県のシルクの機屋と知り合う機会があり、そこから日本の素材産地に足を運び、伝統技術について調べるようになった」そう。

 その結果生まれた第1弾商品がシルクスカーフです。石川県で作られる紋織りという技法のシルク織物にプリントを重ねていて、手触りや仕上がりは非常に繊細。でも、プリントではバンダナ風のペイズリーとチェッカーフラッグを組み合わせたりしていて、毒っ気を感じるところがポイント。価格は90センチ×90センチの商品が2万円前後です。奈良県のニッターとの出合いから生まれたというスーパーのビニル袋風ニットバッグ(2万2500円)もアイコン商品。日本に数台しかない特殊な編み機で編んだ生地を使っているといいます。

廃盤にはせず、年間を通して販売

 毎シーズン、少しずつ新商品を増やしていきますが、基本的にどの商品も廃盤にはせず、通年で提案し続けていくそう。そんな考えを象徴するように、21年春夏の展示会では“SSAW”という文字を無数にプリントしたスカーフも企画していました。通常は「2021SS」で2021年春夏シーズンを、「2021AW」で21年秋冬シーズンを表しますが、年を示す数字は組み合わせず、SSAWと4文字全て並べることで、いつのシーズンかを限定しないようにしているんだとか。そういった話をしていた時に奥出さんから出てきた言葉が、冒頭で紹介した「今はサステナブルじゃないということがファッションではない時代」というものでした。半年ごとに新しいトレンドを打ち出して、買い替え(つまり廃棄)を促してきた今までのファッション業界のシステム自体が、もはやファッショナブルではなくなっているという皮肉を表していますね。

 サステナビリティって、近年急速にファッション業界内で意識されるようになりました。でも正直なところ、完全な循環型商品の開発などが自社内でできるのはグローバルSPAやスポーツブランド、ラグジュアリーブランドなどの大資本に限られます。そういった中で、中小のデザイナーズブランドがサステナビリティの問題とどう向き合うべきかの好例の一つが、「ラストフレーム」のように“シーズンを超えて、長く使えて愛される商品を作る”といったことかもしれません。

 さて、これまでいくつもヒットを生んできた奥出さんに、「なぜみんなが欲しがるモノが分かるのか」なんてことも聞いてみました。その答えは、「自分がゼロからデザインしている感覚ではなく、世の中で広がっているものとか、自分の中で気になるもの、好きなものがホワッとある。それらが重なって形になったときに『あ、これだな』と形になる。ヒットするアイテムの時は企画の段階からそれが分かる」というものでした。商品企画に携わる人なら多かれ少なかれみんな同じような思考をしていると思いますが、そう簡単にはいかないもの。それがサラリとできちゃうというのが嗅覚というものなんですね。奥出さんのようにストリートやカジュアルといったリアルなマーケットを主戦場にしてきた人が、技術を次代につなげる、長く愛されるサステナブルなモノ作りを志向しているということが、まさに今の時代だなと感じます。

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「ナナナナ」をヒットさせたデザイナーによる「ラストフレーム」 有力店が注目する“長く愛されるモノ作り”

 コロナ禍を受けて欧米の有力百貨店やスペシャリティストアには元気がなく、それらの店での販売に力を入れてきた日本のデザイナーズブランドにとっても、難しい状況が続いています。そんな中にあって「海外からの引き合いが高まっている」というのが、奥出貴ノ洋(おくで・たかのひろ)さんが手掛けるバッグやスカーフのブランド「ラストフレーム(LASTFRAME)」。奥出さんは、ミニサイズのバッグが大ヒットした「ナナナナ(NANA-NANA)」のデザインも手掛けており、名前は出せませんがそれ以外にも関わってきたブランドをヒットさせています。そんなふうに時代を読むのに長けた奥出さんですが、「今はサステナブルじゃないということがファッションではない時代」と語ります。

 「ラストフレーム」は、2018年秋に奥出さんが個人で立ち上げたブランド。現在、国内ではGR8やリステア(RESTIR)、バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)などで販売しており、21年プレ・スプリングや21年春夏からは、英のEC大手マッチズファッション ドットコム(MATCHESFASHION.COM)、中国・北京の百貨店SKP、英の百貨店ブラウンズ(BROWNS)などでの販売も決まりました。「(コロナ禍もあってバイヤーは保守的になっていると思ったが)だからこそ、比較的買いやすい価格で元気の出るようなカラフルな色合いの商品が支持されているんだと思う」と奥出さん。

 同ブランドがコンセプトとして掲げているのは、「年々職人が減少している日本の伝統技術を未来につなげる」こと。奥出さんがこれまで関わってきたブランドは、「ナナナナ」しかりカジュアルやストリートといったジャンルなので、このコンセプトはやや意外に感じます。「(これまで関わってきたブランドで海外のバイヤーなどと話す中で)『日本人なんだから、もっと日本のいいものを世界に発信すればいいのに』と言われる機会があった。そう言われても何をやればいいのか分からなかったが、偶然地元の石川県のシルクの機屋と知り合う機会があり、そこから日本の素材産地に足を運び、伝統技術について調べるようになった」そう。

 その結果生まれた第1弾商品がシルクスカーフです。石川県で作られる紋織りという技法のシルク織物にプリントを重ねていて、手触りや仕上がりは非常に繊細。でも、プリントではバンダナ風のペイズリーとチェッカーフラッグを組み合わせたりしていて、毒っ気を感じるところがポイント。価格は90センチ×90センチの商品が2万円前後です。奈良県のニッターとの出合いから生まれたというスーパーのビニル袋風ニットバッグ(2万2500円)もアイコン商品。日本に数台しかない特殊な編み機で編んだ生地を使っているといいます。

廃盤にはせず、年間を通して販売

 毎シーズン、少しずつ新商品を増やしていきますが、基本的にどの商品も廃盤にはせず、通年で提案し続けていくそう。そんな考えを象徴するように、21年春夏の展示会では“SSAW”という文字を無数にプリントしたスカーフも企画していました。通常は「2021SS」で2021年春夏シーズンを、「2021AW」で21年秋冬シーズンを表しますが、年を示す数字は組み合わせず、SSAWと4文字全て並べることで、いつのシーズンかを限定しないようにしているんだとか。そういった話をしていた時に奥出さんから出てきた言葉が、冒頭で紹介した「今はサステナブルじゃないということがファッションではない時代」というものでした。半年ごとに新しいトレンドを打ち出して、買い替え(つまり廃棄)を促してきた今までのファッション業界のシステム自体が、もはやファッショナブルではなくなっているという皮肉を表していますね。

 サステナビリティって、近年急速にファッション業界内で意識されるようになりました。でも正直なところ、完全な循環型商品の開発などが自社内でできるのはグローバルSPAやスポーツブランド、ラグジュアリーブランドなどの大資本に限られます。そういった中で、中小のデザイナーズブランドがサステナビリティの問題とどう向き合うべきかの好例の一つが、「ラストフレーム」のように“シーズンを超えて、長く使えて愛される商品を作る”といったことかもしれません。

 さて、これまでいくつもヒットを生んできた奥出さんに、「なぜみんなが欲しがるモノが分かるのか」なんてことも聞いてみました。その答えは、「自分がゼロからデザインしている感覚ではなく、世の中で広がっているものとか、自分の中で気になるもの、好きなものがホワッとある。それらが重なって形になったときに『あ、これだな』と形になる。ヒットするアイテムの時は企画の段階からそれが分かる」というものでした。商品企画に携わる人なら多かれ少なかれみんな同じような思考をしていると思いますが、そう簡単にはいかないもの。それがサラリとできちゃうというのが嗅覚というものなんですね。奥出さんのようにストリートやカジュアルといったリアルなマーケットを主戦場にしてきた人が、技術を次代につなげる、長く愛されるサステナブルなモノ作りを志向しているということが、まさに今の時代だなと感じます。

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キャリア20年のデニム担当も思わず「いいね!」の沖縄発のサステナブルジーンズ

 ファッションビジネスの世界に生きていて、“サステナブル”という言葉を聞かない日はない。そして、日々なされる会話の代表格が「サステナビリティとクリエイティビティは共存するのか?」だ。作り手としては「NO」と言えず、ただし受け手としては「う~ん……」と頭を抱えてしまうこともしばしば。そんな中にあって、思わず「いいじゃない!」と身を乗り出したジーンズがある。それがサステナブルプロジェクト「キセキレーベル(KISEKI LABEL)」と日本を代表するジーンズブランド「エヴィス(EVISU)」が協業した一本だ。

 最大の魅力は素材感で、パイナップル繊維が濃紺のデニムの上で白く毛羽立っている。ツイードを想起させる見た目と風合いで、20年間デニムを取材してきた僕も「こんなの見たことない」だった。これについて山根英彦エヴィスジャパン社長は、「シルクのように繊維長のあるパイナップルの特徴を生かした。セカンドサンプル、サードサンプルではこれを推し進めて、ネップ感を表現してみても面白いだろう」と話す。

 「キセキレーベル」は、食品関連の研究・開発・販売を行うフードリボン(沖縄県、宇田悦子社長)が2020年7月にスタートさせたプロジェクトで、本来廃棄されるパイナップルの葉を再利用している。パイナップルの葉の60%は水分であり、残りの40%の内39%をバイオプラスチック化してストローやカトラリーに、さらに残った1%から繊維を抽出している。宇田社長は、「パイナップルの葉は水分が多く固いため燃やすこともできず、堆肥への転用も難しい“厄介者”だった。そのため畑に放置されていたが、『キセキレーベル』はそれを価値あるものに変える。すでにパイナップルの生産量日本一の沖縄県北部・東村に加工場を作り、機械を導入した。年始をめどに製造ラインを稼働させる。パイナップルの葉から抽出した繊維を大阪の紡績会社に持ち込み、オーガニックコットンと混ぜて糸にする」と話す。

 「キセキレーベル」は「エヴィス」のほか、2021年春夏シーズンに沖縄のアロハシャツブランド「パイカジ(PAIKAJI)」とも商品を製作する。

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“Toxic Positivity(有害なポジティブさ)”とは? 常に前向きじゃなくていい、ファッションも人に寄り添うものに

 “トキシック・ポジティビティ(Toxic Positivity)”という言葉を知っているだろうか。コロナ禍で先が見えない状況を反映して6月ごろから英語メディアを中心に見かけることが多くなった。日本語にすれば“有害なポジティブさ”で、米フロリダ州フォート・ローダーデール拠点のセラピストグループ、ザ・サイコロジー・グループ(THE PSYCHOLOGY GROUP)は「どんな状況下においても幸せで楽観的な状態でいることを過度かつ無益に一般化しすぎること。その結果純粋な感情を否定、矮小化、無効化すること」と定義している。

 同グループは同時に、怒りや悲しみなどネガティブな感情を抑圧し、言葉にしたり表情に出さないことで後に不安やうつ、身体的不調につながる可能性があることを警告している。例えば、落ち込んでいる時に無理やりポジティブに振る舞ったり、元気でないことに罪悪感を覚えてまた落ち込んだりと、元気な状態がデフォルトでなければならないと過度に断定してしまうと逆効果を生むというのである。

 また落ち込んでいる人に対して「元気出して!なんとかなるよ」「そのくらいで済んでよかった」「良いこともあるよ」などと励ますことも純粋な感情から目を逸らせるもので“トキシック・ポジティビティ”になり得るという。ザ・サイコロジー・グループはそのような言葉ではなく落ち込んでいる人を受け入れ、共感し、話を聞くことが大切だと説く。

 なぜ突然この言葉を紹介したかといえば、まず今年は常に元気でいること、そして常に大丈夫な状態であることがいかに難しいかを各々味わった年であるからだ。ファッション業界でいえば、国内の大手アパレル5社だけで3100店舗以上を閉店する見込みだ。そして閉店には人員解雇が伴う。そのような状況で、常に前向きで元気でいることははっきり言って無理だ。

 しかしながら、現実世界では“前向きであること・元気であること”が当然で推奨されるべきこととして扱われる。「頑張って」は元気がない人にとりあえずかける常套句であるし、自粛期間中には外に出られない分、新たなスキルを身につけたり、苦しい状況でも笑顔をたやさず頑張ることがもてはやされた。もちろんポジティブでいられるときにポジティブでいることは悪いことではない。ただ、ポジティブでいられないときの感情も認め、一般化する必要がある。ネガティブな日があるのは当然なこと。自分自身、また他の人に対しても無益にプレッシャーを与えていないか今一度確かめるべきだ。

ファッションができるアプローチとは

 ファッションといえば、人に元気を与えるものと認識されてきた。実際に新しい服やメイクに身を包むことで得られる高揚感は多くの人が経験したことがあるだろう。ただ、元気を与えるアプローチは独りよがりな“元気の押し売り”ではなく人の感情に寄り添い、安らぎや癒しをを与えるアプローチのほうが今は適切かもしれない。コロナ禍により予定より数カ月遅れてオープンしたミヤシタパーク近くのビルボード広告にソフ(SOPH.)が掲げた「まいったな2020」のコピーは多くの反響を呼んだが、これも共感を得たからだろう。

 「ファッションは時代を反映する」とはよく言われたものだが21年春夏シーズンは、華やかさや派手さで元気を与えるというものよりも、圧倒的に安らぎムードが席巻していた。ベージュや白など優しい色使い、ゆったりとしたシルエットや着心地の良い素材が多く登場し、「WWDジャパン」の21年春夏のトレンドブックの副題も“家でも外でも心地よさをまとう”になっている。時代の空気に敏感なデザイナーたちが提案したのは、ネガティブな日も人を優しく包み、無理なく寄り添うファッションだ。

 社会の規範に則れば人々にポジティブでいることを呼びかけるのは企業として当然のようなことのように思われる。もちろんブランドや企業によってはそうしたアプローチを求める顧客もいるかもしれない。しかし今は、いやこれからも、自分たちの顧客は何を求めているのか常に追求し、それに寄り添うアプローチをすべきだ。またファッション業界がもし自らに「常にポジティブなメッセージを発信しなければいけない、そのためには自らも常にポジティブでなければならない」という考えを課しているなら、その考えから自らを解放する必要がある。

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全国のロフトで売れている環境に優しい商品トップ10は?

 突然ですが、皆さんは環境に優しい取り組みを何かしていますか?ーー地球環境のことを考えると壮大で、「自分にできることなんて微力かも・・・」と思ってしまいがちですが、まずは自分が楽しく続けられる、身近な取り組みから始めてみたい!ということで、全国のロフト(LOFT)で9月1日~11月16日までに売れた、コスメ、雑貨のカテゴリーをメインとする環境に優しい商品の売り上げトップ10を集計し、その理由を広報の高橋結衣さんに聞いてみました。皆さんもぜひ参考にしてみては?(一部の店舗では取り扱っていない商品もあります)

10位 「ゾク ポケットストロー」 1200円

 ロフトでは「ストローをプラスチックから紙やステンレスに変更するカフェが増え、メディでも取り上げられるようになった数年前から商品ラインアップを強化しています」と広報の高橋さん。中でも人気なのが外出に便利なポケットタイプで長さが調整できる「ゾク(ZOKU) ポケットストロー」。携帯するケースには、掃除用のブラシまでついている。ストロー部分はステンレスだが、子どもでも飲みやすいように口に触れる部分はシリコンになっているのがポイント。

9位 「ミアー」カップ&タンブラー 3700円、3000円

 真空断熱材ボトルで知られる米シアトル発のミアー(MIIR)社の新色のタンブラーとカップがラインクイン。同社は“製品そのものをプロジェクト化する”をコンセプトに掲げ、「水や教育、移動手段が十分に行き届いていない地域に売り上げの一部を寄付しています」とのこと。高い保温、保冷機能とシンプルかつスタイリッシュなデザインで、「キャンプで使用する人やテレワークの増加で家で長い時間仕事をする人、さらにはギフト需要でも人気です」。

8位 「ハザイ プロジェクト」の天然木カッティングボード 1500円、3800円

 一枚板のテーブルを製作している愛知県の岡崎製材が加工する際に余った木材で製作した天然木のカッティングボード。「ハザイ プロジェクト(HAZAI PROJECT)」とは、その名の通り端材から作られた商品。サイズ展開も豊富だがロフトでは使いやすいミドルとミニサイズが人気。「ケヤキやヒノキ、カバの木などの無垢の木の風合いが良く、パンやチーズをのせて食卓を彩る、お家時間のちょっとした充実に購入される方が多いですね」。

7位 電子メモパッド「ブギー ボード」2700円

 従来のA4サイズ、B5サイズに加え、新たに付箋サイズの電子メモパッド「ブギー ボード(BOOGIE BOARD)」が登場。裏面にマグネットが付いており、冷蔵庫に貼るのみならず、例えば木面でも付属のマグネットを付ければ貼ることができる。付属のペンで書き、中央のボタンを押すと文字が消えるようになっている。コイン電池1つで約3万回消去できる。「紙の節約になると同時にあとに書き込んだ内容が残らないため、個人情報を扱うコールセンターでも重宝されています」。

6位 「ロジカル・ペーパーリング」280~420円

 「もう分別廃棄しなくていいんです!!」と書いてある通り、ノートのリングの部分がプラスチックや金具ではなく紙でできているため、雑紙として廃棄した後にリサイクルすることができる「ロジカル・ペーパーリング」。「中央部分はリングがないため、書く際にも手に当たらないのがポイントです」と高橋さん。サイズもスリムやワイド、紙面も方眼や罫線タイプなど豊富にそろう。

5位 「Gゼロ マグボトル」 1800円

 2年前に爆発的にミニボトルが売れて以降、さまざまなタイプが販売されている中、200ml の「Gゼロ マグボトル」がランクイン。「500mlを一日で飲みきれない女性に支持されています。ちょっとした散歩や、薬を飲む際にも利用できると年配の女性の購入も多いです。断熱、二重構造で保温保冷効果も高く、90gと軽くて持ち運びに便利なのも人気の理由です」。

4位 ベジシャキちゃん 2個組 580円

 商品名の通り、野菜をシャキっと保つためのスティック。キャベツやレタス、白菜などの芯に刺すだけで成長のスピードを抑え、野菜の鮮度を保つという優れもの。「野菜の傷みが激しい夏場に特に売れた商品です。加えてコロナ禍で食材をまとめ買いする消費者が増えたことも後押しました」。食品ロスに貢献するだけでなく、繰り返し使えて経済的なのもうれしい。

3位 「ドクターブロナー マジックソープ」 各1200円

 リピーターも多く、長年愛されている米国発の全身用ソープ「ドクターブロナー マジックソープ(DR.BRONNER'S MAGIC SOAP)」。100%オーガニック成分で容器も100%リサイクルプラスチックを採用している。「素材が全て有機栽培で作られているので、生分解性で人と地球に優しいのが特徴です。この3カ月で一番売れたのはベビー用(敏感肌用)で、その次にシトラス、ティーツリーなどの香りが人気です。夏場はペパーミントのクールタイプもよく動きました。私はシトラスを愛用しています」と高橋さん。

2位 洗たく マグちゃん 1800円

 洗濯機に入れて一緒に洗うだけで、水道水がアルカリイオンの水素水になり、5キロの洗濯量の場合、2個入れると洗剤を使わなくても大丈夫なくらいの洗浄力。「洗剤の量を減らして併用するのをおすすめしています。部屋干しのイヤな臭いを解消し、消臭、洗浄、除菌の3つの効果が期待できます。また使用し続けることで、洗濯槽の汚れ防止にもなり、1個につき約300回使用可能です。洗剤の量を減らせて何度も使えるということで、メディアでも取り上げられ、その後の反響が大きかった商品です」。使用後は、中身のマグネシウムの粒を庭や鉢の植物に与えれば肥料のような役割を果たし、植物を元気にしてくれる。

1位 エコバッグ「クルリト」 700円~

 栄えある第1位はエコバッグの「クルリト」。ロフトでは、レジ袋有料化のタイミングで商品の取り扱いを拡大し、現在200点ほどをそろえる。「当初は、“シュパット(SHUPATTO)"という瞬時にたためるタイプのエコバッグが人気でしたが、じわじわ『クルリト』シリーズが人気に。シャカシャカしている素材のエコバッグが多い中、布に近い素材感でエコバッグに慣れていなかった男性からも支持を得たことが人気の理由です。リュックタイプ、マルシェタイプなどもあり、肩に当たる部分が太めなので、肩が痛くならないのもポイント。また、付属の袋をなくしがちですが、これは袋なしでまとめられ、価格も手ごろなことも後押ししました」。

番外編 ロフト エコバッグ小 300円

 エコバッグを持参するのを忘れて、レジ横にあるロフトのオリジナルエコバッグを購入する人が多数。「ひもがショルダー用と手持ち用の2ウェイになっており、ピンクのカラーリングのかわいらしさから購入する人もいますね。3カ月で3800個売れた人気商品です」。大きいサイズもあり、価格は500円

 最後に広報の高橋さんに売り上げトップ10の商品を総評してもらうと、「売れたものの共通点で全体的に言えることは、エコ視点や環境にいいだけではなく、色合いも明るくポップで、デザインや機能性も優れているということですね。まだまだ消費者の方は環境に良いだけでは手に取らないというのが実感です。加えて何度も使用でき、経済的であることもポイントです。今後も環境に優しい商品を増やしていく予定です」とのことでした。自分の気に入ったデザインで、機能的かつ環境に優しいなら、長く使用したいと思うはず。まずは身近な生活でできることから取り組んでいきたいですね。

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あなたの「MUJI愛」をチェック! 約2000人に「無印良品」に関するアンケート調査を実施

 「WWDジャパン」11月9日号では、「無印良品」特集を実施した。特集にあたり、一般消費者が抱く「無印良品」に対するイメージを調べるため、「WWDJAPAN.com」および公式SNSを通して約2000人の消費者にアンケート調査を実施した。今年の10月に実施し、質問は計6問で、対象は1163~2850人の男女(対象人数は質問により異なる)。アンケート結果からは、今の消費者のリアルな“MUJI愛”が見えてきた。

 Q1は“「無印良品」の店舗に行く頻度は?”。
 ECは含めずリアル店舗に行く頻度を聞いた結果、“月に1~2回”の利用が最も多く46.5%。次が“数カ月に1回かそれ以下”で42.1%、続いて“週1回”が9.6%だった。“毎日”という回答も1.8%あり、“月に1~2回”“週1回”“毎日”の回答数を合わせると、実に過半数が月に1~2回以上利用している実態が明らかになった。

 Q2は“「MUJIパスポート」をダウンロードしている?”
 「MUJIパスポート」とは「無印良品」のアプリで、2020年8月末時点で国内の累計ダウンロード数が2111万、海外を含むダウンロード数は4937万を誇っている。今回のアンケート調査でも、6割超がダウンロードしているという驚きの結果を示した。

 Q3は“あなたにとって「無印良品といえばコレ!」という定番カテゴリーは?”。
 生活に密着したあらゆるジャンルの商品を扱う「無印良品」ならではの質問で、取り扱い商品を全14カテゴリーに分けて回答を求めた。結果、“食品”という回答が20.9%と最も多く、2位が“収納用品”で18.7%、3位が“文房具・ファイル”で12.3%、それに“化粧品・アロマ”(11.6%)、“家具・インテリア”(10.6%)という回答が続いた。“食品”と“収納用品”の割合の高さが目立つものの、全カテゴリーがある程度の回答数を得て、“日々の生活に必要なものがそろっている”という「無印良品」の特徴が表れた。

 Q4は“あなたにとって「無印良品といえばコレ!」という定番商品は?”。
 Q3では“定番カテゴリー”を聞いたが、それよりも具体的な“定番商品”を聞いたもので、回答者の“MUJI愛”の対象が分かる質問だ。結果、さまざまな形状・サイズのラインアップがあることで人気の収納アイテム“ポリプロピレン・ポリエチレン収納ボックス”が1位になった。同様の形状だけでも、幅26、34、37、40、44、55cmから選べるようになっているなど、どのような収納スペースにも合うようサイズ展開が豊富なことも魅力の1つ。基本的に用途は自由だが、“衣装ケース”と記載した回答が多かったため、服を収納している消費者が多いようだ。

 2位は、“食品”カテゴリーの中で圧倒的な回答数を得た“カレー”。中でも無印カレーの代名詞ともいえる“素材を生かしたカレー バターチキン”が1番人気で、続いて“素材を生かしたカレー グリーン”が人気だった。なお“食品”カテゴリーでは、“バウム”や“チョコがけいちご”などの回答も多かった。ちなみに“カレー”“バウム”“チョコがけいちご”の3商品は、各店舗のレジ横に並べられていることが多く、会計前に思わず手に取ってしまうため“レジ横3大誘惑商品”と呼ばれているという。

 3位は、“高保湿タイプ”“しっとりタイプ”“さっぱりタイプ”の3種類がある“化粧水・敏感肌用”。実際、ヘルス&ビューティカテゴリーで最も売れているアイテムで、老若男女使える処方であることから認知度も高い。SNSに投稿する美容家も常にいてロングセラーになっている。また400mL、200mL、50mL(携帯用)の3タイプのサイズ展開があることも人気の秘訣。50mLは旅行にも持って行きやすくて便利で、400mLは化粧水としては珍しいくらいの大容量で、ファミリーで使っているケースも多いという。

「無印良品」を「ユニクロ」と比較する人も多い

 Q5は“「無印良品」の好きなところは?”。
 記述式で回答を求めたところ、“定番商品を長く扱ってくれるので買い足ししやすい”“いくつになっても手にすることができ、どんな生活環境にも合うところ”“商品、ニュースレター、店舗のディスプレーを通し、日々の暮らしのさまざまな点を整理するアイデアに気付ける点”“シンプルなデザインと見やすい店内”“衣料品は素材がよく、着心地がよいためユニクロからシフトした”“商品そのもので勝負しているところ”“ブランドに頼ることなく、適正価格で商品を販売しているところ”などの回答を得た。

 Q6では、Q5とは反対の視点で“「無印良品」に今後望むことや改善してほしいことは?”を聞いた。
 結果、“衣料品に関して、価格が上がってもデザイン性や素材をよくしてほしい”“自給自足キットとか、これからの暮らしに合うアイデア”“「無印良品村」を作ってほしい”“子ども服の種類を増やしてほしい”“以前より価格と敷居が高くなったと思う。お手頃価格を期待したい”“事業を広げ過ぎないでほしい。身近な位置で現状なままくらいがよい”“衣服のデザインや形をもう少し凝ったものにしてほしい”などの回答を得た。「無印良品」の衣料品を「ユニクロ」と比較した意見が複数見られ、衣料品に関しては両者を比較検討して購入を決めている人も少なくないようだ。

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ベルリンの日常に溶け込むサステナブルな取り組み

 先進国の一つと言われているドイツでは、環境のことを考えたシステムや活動が暮らしの中にごく当たり前に溶け込んでいるように感じます。実際、ベルリンに住み始めてからサステナブルな取り組みをより身近に感じるようになり、関心も高まりました。「サステナビリティ」や「SDGs」と言う言葉だけを聞くと、難しく考えてしまったり自分事化しづらかったりしますよね。僕自身もそうでしたし、今でも環境に配慮した暮らしを“完璧”に実践しているわけではありません。でも大事なのは、自分の身の回りでできることをやってみること。そして何よりも継続することではないでしょうか。ドイツや北欧諸国などでは特に目新しいことがあるというわけではないのですが、今日は日常に根付いているサステナブルな取り組みを紹介します。
   

飲み物は購入時にはデポジットが必要

 ドイツではペットボトルや瓶、缶入りの飲み物を購入するときに、 “プファンド(Pfand)”と呼ばれるデポジットを商品代金と一緒に支払う必要があります。これは容器の再利用やリサイクルを促すために始まったシステムなのですが、1本につき瓶は8~15セント、ペットボトルなどのプラスチックボトルは15〜25セント、缶は25セントとなっていて、まとめ買いすると意外と高額になるのです。さすがにもう慣れましたが、ベルリンに住み始めた頃はレジで合計金額を見てびっくりすることもありました。

 そしてスーパーマーケット各店には回収専用の機械が設置されているので、飲んだ後はどこのお店でも返却可能。その都度返すというよりは、家に溜めておいてまとめて持っていく人が多いです。返却すると合計金額とバーコードが記載されたレシートが発行されるので、それをレジで換金してもらうか新たに購入する商品の合計から割り引いてもらうという仕組みになっています。

 ちなみに“プファンド”システムの対象となっているのは、「Mehrweg(再利用可能)」と書かれたボトルと「Einweg(使い捨て)」マークのついた商品のみ。瓶でもワインボトルなどは対象外なので、ゴミ置き場や街中に設置された色別の回収ボックスに入れます(透明、緑、茶色と分ける必要があります)。また輸入品やフルーツジュースの一部なども対象外なので、分別して捨てます。
 

自分がいらなくなっても、捨てずに欲しい人を探す

 日本では断捨離したら、捨てる、もしくはフリーマーケットやメルカリで売ったりするというのが一般的ではないでしょうか?ベルリンでも週末の蚤の市は人気で、家でいらなくなったものを売りに来ている感じの人もいます。ただ、それよりも僕が驚いたのは、普段からアパートのエントランスや家の前に「zu verschenken(差し上げます)」と書いて、家庭でいらなくなったものを置く人が非常に多いこと。10分ほど住宅街を歩いていたら、必ずと言っていいほど目にします。

 置いてあるものは、割と大きな家具や家電から、服や靴、本、食器、植物までさまざま。正直、どう見ても“がらくた”じゃないか!!と思うようなものもありますが、中にはアンティークの素敵なグラスや雑貨なんかが置かれていることもあるので捨てたもんじゃありません。日本だとちょっと人目が気になったりして物色するのは勇気がいるかもしれませんが、こちらでは皆、普通に立ち止まって見ているので気にする必要は一切なし。僕自身もまだまだ使える立派な穴あけパンチを拾ったことがあり、今でも使っています。そして、最近引っ越しのために断捨離をしたので、“ご自由にどうぞ!”ボックスを試してみたのですが、夜遅くに段ボールに10点ほど入れて家の前の通りに出しておいたら、翌朝にはすっからかんに!自分には必要なくなったものでも欲しい人がいるというのは、本当でした。

 最近のリサイクル事情でいうと、8月にベルリン郊外に“捨てる代わりに再利用”をモットーに掲げ、中古品のみを集めたデパート「ノッホ・モール(NOCH MALL)」がオープンしました。母体はベルリンのゴミ収集やリサイクルセンターの運営を行っているBSR(BERLINER STADTREINIGUNG、ベルリン市清掃局)で、2000平方メートルの店内に状態の良い家具や電化製品から洋服、おもちゃ、本、スポーツ用品まで約1万5000点が並んでいます。このお店の特徴は、街中にたくさんあるリサイクルショップやビンテージショップとは違って営利目的ではなく、持続可能な消費を啓蒙するプラットフォームとしての役割を担っているということ。そのため、修理やアップサイクルのワークショップなども企画しています。まだ実際に足を運んだことはないのですが、近所にあるデパートの1フロアで現在ポップアップストアもやっているそうなので、今度行ってみようと思います。

フードロス削減に取り組む“廃棄食品”のスーパーマーケット

 ベルリンはスタートアップ企業が多いことでも知られている街ですが、フードロス削減に取り組むスーパーマーケット「サープラス(SIRPLUS)」もその一つです。2017年に1号店をオープンして以来、着実に成長を続け、現在はベルリン市内に6店舗とオンラインショップ、そして2つの自動販売機を構えています。

 取り扱っているのは、全て廃棄食品。賞味期限が切れたものや近いものが多いですが、それだけではなく過剰生産された商品やイースターなど季節限定商品の売れ残り、規格外の野菜や果物などもあり、生鮮食品やパンから缶詰めや瓶入りの食品、お菓子、調味料、飲料、アルコールまでがそろっています。商品は主に理念に賛同したメーカーや卸業者から仕入れていて、オーガニックやエシカルな商品も多いのも特徴です。行く時期によって品ぞろえは随分変わるのですが、それもまた楽しみの一つ。普段スーパーで普通に買っている商品があったり、ビックリするようなお買い得品を見つけたりすることもあります。

 また「サープラス」のオンラインショップでは、「パッケージにプラスチック不使用もしくは削減」や「ビーガン」「オーガニック」といった項目で商品を絞り込むことが可能。それぞれのライフスタイルに合った商品を見つけやすいというのも好印象です。
 

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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「データから想像」に必要なのは「現場力」 エディターズレター(2020年8月26日配信分)

※この記事は2020年8月26日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「データから想像」に必要なのは「現場力」

 プリントからデジタルメディアに軸足を移して、最大の変化は「データから想像するようになった」ことです。

 「分析」ではなく、「想像」だと思っています。私たちメディアが読み解くデータは、PV、UU、SS、PV/SS、SS/UU、TET(Total Engagement Time. 全読者の該当記事の滞在時間の総和を指します)などですが、指標ごとに並べ替えたり、ABテストで比較したりは、正直苦手(笑)。それは、隣にいる頼もしきデジタル・マーケティング部に依存しています。「想像」とは例えば、ロイヤルユーザーの滞在時間が長い記事を見つけては、「この記事はなぜ、ロイヤルユーザーに刺さっているの?」からスタートし、「彼らは、どこからサイトに来たの?Facebook?Twitter?」「今は、彼らにとってどんな時間?」なんて想像を膨らませること。最終的には往々にして、ユーザーのライフスタイルに思いを馳せることになります。下のリンクにある通り、私の記事が働き方や組織論などに傾倒しがちなのは、まぁまぁ大きな集団と予想される特定のロイヤルユーザー(乱暴に言えば、業界人です)のニーズと期待されるネタの中から、同僚が応えきれていないリクエストに対応したものです。想像する業界人と私自身は大差ないので、正直、“打率”は結構良いんですよ(笑)。PVは「中の上」くらいかもしれませんが、TETは「上の中」くらいだと思っています(笑)。

 こんな風に「記事そのもの」を考えることに加え、「記事を読んでくれそうなユーザー」を考え出したら、いろんなことがやりやすくなりました。「どんな記事がバズるか?」とは考えないようになっているので、他媒体を常時チェックして、バズっている記事をマネることはありません。自分らしくない記事を無理やり吐き出すこともありません。そして私の記事やメルマガはお気に召さない方もいるでしょうが(笑)、一方で興味を持ってくださる皆さんとのエンゲージメントは日に日に強くなっている実感があります。上述の“打率”も、よほどの新機軸以外は向上している実感もあります。「プロダクト・セントリック」から「カスタマー・セントリック」に移行できているのかなぁ?なんて考えるワケです。

 こんな経験を重ねると、「データから想像すること」「カスタマー・セントリックに進化すること」には、現場力が必要だと痛感します。私の場合は、データと、実際のコミュニケーションを掛け合わせることで「データから想像」できるようになったからです。実際のコミュニケーションがなければ、私は「データから想像」なんてできなかったでしょう。「データを分析する」では、導き出される答えは、おそらく1つに収斂します。差別化ができません。一方で「データから想像」ができなければ、書く記事は「当たればラッキー」くらいの散弾銃になってしまい、費用対効果が良くありません。

 そう考えると、個人においても組織においても、机上と現場の融合は不可避ですね。データ・ドリブンなチームと顧客ファーストのチーム、本部のEC担当とショップスタッフはイーブンな立場で交わらないと、「データから想像し、カスタマー・セントリックに移行する」は難しい気がします。

 と同時にリアル店舗は減少しているけれど、そこでキャリアを築いてきたスタッフには、まだまだ輝ける場所がいっぱいあると思っています。データを、現場を知るスタッフが想像して戦略が導き出せたら、それは強そうな予感です。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
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身近なゴミが服に!? 廃棄物から生まれたファッションアイテム【今知りたいサステナビリティQ&A】

 「サステナビリティなしに未来はない」といわれているが、具体的な問題や取り組みについてはまだまだ知らないことは多い。「今知りたいサステナビリティQ&A」は、SNSで読者に募った「サステナビリティに関する気になるトピックス」に対して、「WWDジャパン」の先輩&若手記者の対談と過去記事を引用して回答していくインタラクティブな新連載だ。第1回目は、廃棄物から生まれたファッションアイテムを取り上げる。

【対談参加者】
廣田悠子:サステナビリティ担当記者
皆合友紀子:ファッション担当記者

皆合友紀子(以下、皆合):読者が気になるサステナビリティのトピックスについて話し合う連載が始まりました!インスタの読者アンケートで最も関心が高かったのが、廃棄問題や循環型ファッションでした。今はゴミからいろいろなものが作られていますよね。最近だと、9月に発売されたリサイクルナイロン「エコニール(ECONYL)」を使った「プラダ(PRADA)」のリナイロン(Re-Nylon)コレクションがかわいかった!

廣田悠子(以下、廣田):ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)とラフ・シモンズ(Raf Simons)による「プラダ」2021年春夏コレクションでも「エコニール」を使ったアイテムがあったよね。サーキュラースカートが欲しい!

皆合:「プラダ」は21年までに全てのナイロンを「エコニール」に切り替えると発表していますよね。ナイロン製品が主力の一つである「プラダ」の決断に、環境への意識の高まりを感じました。廣田さんも取材していましたが、「プラダ」をはじめ「グッチ(GUCCI)」や「バーバリー(BURBERRY)」「H&M」などサステナビリティ推進企業が注目する「エコニール」のすごさって何ですか?

廣田:不純物が混ざった廃棄物から作られているところ。これまでのリサイクルナイロンは、製造工程で出た歯切れなど不純物が比較的混じっていないものから作られていたの。でも回収されたゴミから作るにはさらに高い技術が必要とされる。しかも「エコニール」は製造工程もクリーンで危険な化学物質を使っていない。「危険な化学物質を使わずに作る」「新たな資源を使わずに作る」というテキスタイル業界の2大課題を実現したといえるんじゃないかな。

皆合:「エコニール」は50%が漁網と使い古したカーペットなどの廃棄物から作られているんですよね。漁網は海洋汚染としても問題視されています。

廣田:「科学者は、65万以上の海洋生物が漁網に捕らえられて命を奪われるか、怪我をしていて、生態に重大な悪影響を及ぼしていると推定している」と「パタゴニア(PATAGONIA)」の方が教えてくれましたが改めて「海はゴミ箱じゃないんです!」と言いたいね。

皆合:本当ですね。他に気になるのが食糧廃棄物のリサイクル。過去にパイナップルの葉の繊維やオレンジの皮から作られたスニーカーや服が「H&M」や「シャネル(CHANEL)」「ボス(BOSS)」から商品化されて話題になっていましたよね。もはやゴミは資源になりうるのだなと。

廣田:“パイナップルレザー”を作るロンドンのスタートアップ企業の創業者は、もともとラグジュアリーブランド向けの革製ハンドバッグのデザインやコンサルをしていた方。サプライチェーンの理解のために原料を調達していた南米やフィリピンを訪れたときに、現場の劣悪な環境にショックを受けたそう。「レザーはサステナブルではない。こんな生産方法でいいのか」と自問して大学へ入り直し、一からテキスタイルを学びなんと博士号まで取って、パイナップルの葉から作るレザー風のテキスタイルを開発。パイナップルの葉は硬くて土に埋めても分解に時間がかかるらしいから、再利用するのはいい取り組みだよね。

皆合:他に気になっている食糧廃棄物からのリサイクルはありますか?

廣田:ブドウの搾りかすの皮を原料にしたビーガンレザーかな。ワイン、そしてグラッパのために使われたへとへとなブドウの搾りかすだから、とても有効活用しているよね。12月1日発売の「H&M」コンシャス・エクスクルーシブ・コレクションのブーツにも使用されていましたよ。

「グッチ」「プラダ」も採用するリサイクルナイロン 創業者に開発秘話を直撃

■イタリアのアクアフィルが開発
■原料は使い古しの漁網やカーペット
■「『エコニール』はマジカルな商品」
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「プラダ」の“リナイロン”コレクションから新作発売 再生ナイロンを使用したアパレルからシューズまで

■ラインアップを拡張
■ロゴでタイムレスを表現
■青山店でインスタレーションも
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「シャネル」も注目する“パイナップルから作るレザー”、ロンドンのスタートアップ創業者が語るその意義

■開発者はレザーグッズのデザイナーから転身
■開発に10年
■「日々の選択を全力で行って」
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ヒューゴ ボスがパイナップル由来の人工レザースニーカーを発売

■パイナップルの葉からレザーに似た不織布ができる
■染色も植物を用いる
■ソールはリサイクルTPU
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ブドウの搾りかすから人工皮革 「ベントレー」が注目する伊ベンチャー

■建築家と化学者が設立
■英国の高級車「ベントレー」とコラボ
■2019年9月から量産へ
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入社のきっかけは就活スーツ購入時に受けた接客 逆風下で挑む“傾聴接客” AOKI高橋哲平

 「クールビズ」からスタートした夏の通勤着改革の勢いは年々増しており、「ノーネクタイデー」「カジュアルフライデー」など新たな通勤スタイルの提案も相次ぐ。多くの企業でも服装規定が緩まり、スーツ需要は減少している。今年は追い打ちをかけるように、コロナ禍をきっかけに在宅ワークが広まり、ますますスーツ需要の減少に拍車をかけた。スーツ大手のAOKIの店頭販売員は、そうした現実にどう立ち向かっているのか。平和台店の高橋哲平店長に話を聞いた。

―今年の4~5月にかけて首都圏の大型商業施設は休業しました。路面店はどうしていました?

高橋哲平さん(以下、高橋):路面店は感染防止対策を行った上で、時短営業をしておりました。確かにコロナ禍でテレワークになった方は増えましたが、それでも一部の方は出社していましたし、急用でビジネスウェアやフォーマルウェアをお買い求めになるお客さまから、「開いてて良かった!」という声もいただきました。そうした時は営業していて良かったな、と思いましたし、自社の強みや存在意義を改めて感じることができました。

―とはいえ、近年「ノーネクタイデー」「カジュアルフライデー」と脱スーツの傾向が高まっています。どう感じている?

高橋:それは、自社だけでなく、紳士服業界全体の課題だと感じています。当社でも、これからはかっちりとしたスーツだけを提案するのではなく、いろんなコーディネートに対してのアプローチをしていこうと動いていて、ビジネスシーンにもカジュアルにも着られる商品が店頭には並んいます。
 
ただ、AOKIに対するお客さまのイメージはまだ「ビジネススーツ専門店」だと思います。そんなこともあって販売員スナップツール「スタッフスタート」を導入し、SNSや自社ECサイトで自分のコーディネートを発信して、多様な服装対応のできる「ビジネスウェア」のAOKIというイメージに変えていきたいと考えています。

―AOKIでもスタッフスタートを導入したのですね。

高橋:2019年夏からスタートしたのですが、スーツ業界では初の試みでした。その初期メンバーとしてコーディネートを発信しています。今は30名程度のスタッフが発信をしており、11月からはメンバーがさらに増える予定です。

―導入前からインスタとかSNSは積極的に発信していたんですか?

高橋:私個人は以前からSNSを情報収集ツールとして、かなり使っていました。元々、洋服が好きで、最近は特に雑誌よりもインスタでコーディネートをチェックすることが多いですね。自分が発信するようになってからは、写真の撮り方を気にして見ています。

―投稿するときに心がけていることは?

高橋:現実味のあるスタイル、親しみやすいスタイルを追求しています。私は身長186cmと大柄のため、写真に納まった時のサイズ感やコーディネートが現実的に見えるように心がけています。あと、写真と一緒に投稿するコメントは接客に置き換わる部分になるので、とても重視しており、時間も非常に掛けています。商品の詳細など必要最低限のことも書きますが、写真では伝わらない商品の良いところ、このコーディネートであればこういうシーンに使える、こんなシーンに着れば仕事とマッチする!など対面接客のシーンでも伝えるであろう言葉を書くようにしています。

―元々、洋服がお好きだそうですか、なぜAOKIに?

高橋:就活のためにスーツを買いに行ったのがきっかけです。大学は経営学部だったので、学生時代からスーツを着ることが度々あったのですが、実はそれまでAOKIでスーツを買ったことがありませんでした。学生のころは「ナノ・ユニバース」さんなど、セレクトショップで買ってましたね。AOKIは敷居が高いイメージがあったので、就活スーツを買いに行くときは緊張しました。でも大学近くのAOKIに行ったら、その接客に感動しました。スーツの相談に加え、自然と社会人の先輩としての体験談まで話してくれて、就活の不安も少し解消できました。本当に気持ちよく買い物ができたんです。

―そうなんですね!ちなみにどんな相談をしたんですか?

高橋:当時はどの業界がいいのか、どの企業がいいのかすら定まっておらず、まずは就活そのものに慣れようと色んな企業を受けようとしていたところだったんです。良い接客を受けた縁もあったのでAOKIも受けたのですが、その面接の対応も印象が良く、ここで働きたいと思いました。

―就活スーツを買いに行ったことがターニングポイントになったのですね。社員として、販売員として働き始めて以降は、どうでしたか?

高橋:元々、人と話すことが好きだったので、そのまま仕事に生かすことができていると思います。いろんなお客さまが来店されるのですが、商品のことはもちろん、それ以外のことも話をします。その結果、お客さまから「次もお願いしたい」と思っていただけることに、やりがいを感じています。

―経営学部出身で人と話をすることが好きなら、ほかの業界は考えなかった?

高橋:実は旅行も好きで、旅行会社も視野に入れていましたが、旅行は趣味として楽しむことにしました(笑)。それにしても旅行好きの人間としては、コロナ禍の広がったこの数カ月間はとてもしんどかったですね(苦笑)。自分の目標は全都道府県制覇で、大学時代からコツコツと旅行してきたのです。全国制覇まであと5~6県で、今年中に達成できると思っていたんですよ!

―それは残念でしたね……。

高橋:でも、この趣味の良いところは、お客さまと共通点が持てることです。ほとんどの都道府県に行っているので、お客さまの出身地の話で盛り上がったりしています。

―確かに!自分と同郷だったり、出身地を知っている人と話すと盛り上がりますね(笑)

高橋:印象的な会話ができるとお客さまも私のことを覚えてくださいますし、私もお客さまのことをより深く覚えることができるのです。しっかりお話しすることが、他の店舗との差別化につながるのではないかと考えています。

―取材をしていると、お客さまとの会話が苦手という販売員さんが意外と多いのですが、お客さまとの会話で気を付けていることは?

高橋:接客は会話が重要な要素ですが、もっとも大切なのは「聞き上手になること」だと思います。話をするのが好きと言いましたが、以前は話を聞くより自分の話を一方的にしているだけでした(苦笑)。本来、会話は言葉のキャッチボールなので、相手の話をしっかり聞いた上でのこちらの発信がすごく大切なのですが…。

―たまに接客を受けると、商品説明ばかりで一方通行な販売員さんに出会います。会話の訓練はどうされてきたのですか?

高橋:例えば、相手の話したことをもう一回自分の言葉に置き換えて伝えるということから始めました。それをお客さまとの会話だけでなく、友人や同僚、スタッフなど仕事以外の会話でも心がけました。最近、その「傾聴」が店長としてのマネジメントにも役立っていることを実感しています。もちろん、商品知識を身につけることなども大切なのですが、まずは「傾聴」と「会話力」を高めることに注力してみるのは良いかもしれません。

―接客業にとって、“傾聴力”は大事ですよね。それを日頃の会話から気を付けているんですね。特にAOKIの場合、夫の服を奥さんが買いに来るというパターンが多いと以前に伺いました。

高橋:確かに、その場にいない方の洋服を提案するためにはたくさんの質問が必要になります。この仕事を始めた頃は質問することが失礼にならないかと心配しましたが、今は色んな質問をさせていただきます。特にサイズ感や体形によって、お勧めする色・柄も変わるので……。

―体型によってお勧めする柄も違うんですか?

高橋:ファッションの良い点は、コンプレックスを解消できることです。例えば、体が小さいことが悩みでしたら、体を大きく見せる明るめの膨張色、ライトグレーやベージュをお勧めしますし、柄もストライプを着るよりもチェックを着たり、身につける色や柄によってコンプレックスを緩和することができます。こういったことを店頭での接客だけでなく、スタッフスタートでも発信しています。

―とても勉強になりました!それでは最後に今後の目標は?

高橋:インターネットで見たと言って来店される方を増やしていきたいです。今までのように気軽に来店していただければいいのですが、テレワークが増え、スーツも需要が減り、店や接客の概念が大きく変化してきています。つい最近、私が投稿したナノ・ユニバースさんプロデュースの商品が見たいといって、来店されたお客さまがいらっしゃいました。自分も好きなブランドなので、お客さまと意気投合して、当初は試着だけだったところを、最終的にはお買い上げしていただきました。とてもうれしかったのと同時に、お客さまに足を運んでいただけるきっかけになる可能性を秘めているのだと感じました。時代の変化に対応するために、どんどん新しいことにチャレンジして、その中で身をもって体験したことを周囲に共有して、やりがいをもって働けるスタッフを増やしていければいいなと思います。

苫米地香織:服が作れて、グラフィックデザインができて、写真が撮れるファッションビジネスライター。高校でインテリア、専門学校で服飾を学び、販売員として働き始める。その後、アパレル企画会社へ転職し、商品企画、デザイン、マーケティング、業界誌への執筆などに携わる。自他ともに認める“日本で一番アパレル販売員を取材しているライター”

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ロレアルが「EC化率50%を目指す」と宣言 ゲームやeスポーツなどの“リテールテインメント”に注力

 2020年1〜9月のデジタル事業での売上高が48億ユーロ(約5904億円)を記録したロレアル(L’OREAL)は、今後売り上げの50%、売り上げをけん引するグロースドライバー(成長推進力)の50%、さらに消費者とのコミュニケーションの80%をデジタルに移行する方針を明らかにした。現在グループ全体の売上高の24%を占めるEC事業だが、さらなる成長を促進するため、D2Cから従来のオンライン販売まで、さまざまな形態のデジタルリテールを活用する。

 なお、同社は米国でビデオチャットを用いた個人向けのカスタマイズ・ヘアカラーサービス「カラー アンド コー(COLOR & CO)」を通じて、サブスクリプション(定額制)を基本としたEC事業モデルを展開している。また、SNSを活用したソーシャルショッピングは中国ではすでに約1300億ドル(13兆5200億円)を生み出す巨大市場となりつつあり、同市場のEC売り上げの10%ほどを占めている。このように、すでにさまざまなデジタル戦略を施行している同社だが、ルボミラ・ロシェ(Lubomira Rochet)=チーフ・デジタル・オフィサーは11月5日に行われたデジタル記者会見で、今後のDXのためにさらに強化するデジタル戦略について説明した。中でも注力するのは、最近台頭しているリテールテインメント(リテール+エンターテインメント)やソーシャルコマース、ビューティテックなどだ。

ゲームやSNSを活用したショッピング体験

 ゲームやeスポーツなどのリテールテインメントは、さらなるデジタル化に一役買うと期待を寄せる。「今の消費者にとって、エンターテインメント要素があることも重要だ。特にZ世代を中心とした若者の間では美容製品の消費の仕方が変わりつつある。ビューティ市場の未来には、ライブ配信、ゲーム、ビューティテック、リテールエンターテインメントが大きな要となるだろう」と話す。このことから、「メイベリン ニューヨーク(MAYBELLINE NEW YORK)」はツイッチ(TWITCH)でライブ配信を行い、中国のテンセントQQ(TENCENT QQ)でユーザーがゲーム内のアバターにメイクを施せるサービスを開始した。

 また最近は皮膚科医や化粧品研究員、美容部員、メイクアップアーティストをはじめとするプロのコンシューマー (通称プロシューマー)やマイクロインフルエンサーによる情報発信も、消費者の購入に影響を与えている。このようにメーカーからの発信だけでなく消費者同士のコミュニケーションが活発になる中で、ソーシャルメディアを活用したソーシャルセリングも盛り上がりを見せている。この動きは、110年以上もの間にわたり世界中のヘアスタイリストや皮膚科医、メイクアップアーティストと関係を保ってきた同社にとっては強みなると続ける。「彼らがオンライン上で発信し、インフルエンサー化すると、われわれのブランドや製品をSNS上で宣伝・販促するソーシャルセラーになる」。そのため、「ランコム」は3月8日の国際女性デーに向けて、中国で2300人のビューティーアドバイザーをソーシャルセラーおよびインフルエンサーにするためのトレーニング行った。

 また、消費者同士のコミュニケーションは、消費者とメーカーの関係性にも影響を与えたという。これまではメーカーが消費者に対して一方的に訴えかけるマーケティング手法が主流であったが、消費者がメーカーに対して声を上げることも増え、特に新型コロナウイルスでその動きはさらに活発になっている。その証に、全ての販売チャネルで消費者からの(製品やサービスに対する)リクエストが40%増加しているという。それら全てのリクエストに対応することが顧客満足度やブランドに対する信頼、支持につながると話す。

ビューティテックも拡大

 ビューティテックも、同社が以前から投資を続けてきた分野だ。Tモール(TMALL)やアマゾン(AMAZON)、ウィーチャット(WECHAT)、ピンタレスト(PINTEREST)といったプラットフォームにモディフェイス(MODIFACE)のAR技術を導入しており、バーチャルのタッチアップを提供している。その結果、消費者はバーチャルのタッチアップを7分以上も行い、購入率は(通常に比べ)3倍となっているという。
 
 今後はモディフェイス(MODIFACE)の技術をグーグル(GOOGLE)傘下のユーチューブ(YOUTUBE)や検索エンジンに組み込む計画だ。例えば、アイライナーやリップスティックをグーグル検索すると、検索結果のページから直接タッチアップのバーチャル体験に進むことができたり、インフルエンサーの動画で紹介されている製品のバーチャルタッチアップを体験したりすることも可能となる。なお、グーグルが自社のソフトウエア・システムに外部の技術を適用するのは初めての試みだ。

 これらDXにより「美容は今後ますますパーソナライズ化されるとともに、よりプライベートなものになるだろう。プライバシーや個人情報の保護はますます重要になる」とロシェ氏。美容サービスをパーソナライズ化するためには、データの集積やアルゴリズムの構築が必要だが、ロレアルはそうしたデータの保護に慎重な姿勢だ。同社が運営するウェブサイトでは、データの収集方法や利用目的を説明したプライバシーポリシーを表示している。「それだけでは十分で、消費者から個人のデータを収集する代わりに、それに値する付加価値を提供しなければならない」と話す。例えば肌診断器で消費者の肌データを集積する代わりに、消費者に対してこれまで以上に精密で信頼できる肌分析結果を届けないと、信頼につながらないと指摘する。これを「バリュー(価値)のエクスチェンジ(交換)」と言い、デジタル化が加速するにつれ、ますます重要になると予測する。

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小泉環境大臣が業界へ提言「今のままじゃダメだ、世界の土俵で発言を」

 小泉進次郎環境大臣が就任後、環境省とファッション業界の対話が増えている。8月には任意団体ファッション レボリューション ジャパンの提言を受け、伊藤忠商事や豊島、ファーストリテイリング、H&Mジャパン、アダストリア、帝人フロンティアなど9社との意見交換会を行い、日本の企業が国際的な枠組みへ参加することへの期待などを語った。環境大臣はファッション産業をどう見て、どのようなアクションを考えているのか。単独インタビューを行った。(この記事はWWDジャパン2020年11月23日号からの抜粋です)

WWDジャパン(以下WWD):8月にファッション関連企業と意見交換会を実施したが、率直にどのようなことを感じたか?

小泉進次郎環境大臣(以下小泉):意見交換会でも伝えたのは、今のままじゃいけない、変えたいということ。日本のファッションの評価は世界で高いのに、サステナビリティの文脈でいうとその評価が追い付いてこない。出席した企業の皆さんからは、そのギャップを何とか埋めたい、日本のファッションブランドをサステナビリティの観点でもワールドクラスに持っていきたいという熱意を受け取った。課題はたくさんあるだろう。国内生産が激減し、流通している服の9割以上が海外生産であることもその一つだ。だけどこのままじゃいけない。それを何とかしようという前向きな思いを感じることができた。

WWD:ファッション業界のサプライチェーンは細分化されて長く、全体の意思疎通が難しい。

小泉:同じような状況の産業は他にもあるが、ファッションの分野は前向きな方だと思う。実は今回、環境省の音頭で川上から川下までの企業が集まってくれるのか?という懸念があった。結果、繊維メーカーからグローバルSPA、商社などあれだけのプレーヤーがそろったことはまずよかった。いいスタートが切れたと思う。

WWD:印象に残ったやりとりは?

小泉:フランスのブリュヌ・ポワルソン環境連帯移行大臣付副大臣が2019年のG7サミットで提案した「ファッション協定」に日本の企業が賛同していないなど、国際社会へのメッセージが不十分なのでは?と思った。どれだけいい取り組みをしていてもファッション協定に日本企業の参加がゼロの時点で日本のファッション企業はサステナビリティに関心がないと見られても仕方ないだろう。協定の指標が日本と合わないという懸念もあるようだが、国際社会にメッセージを届けるという大局から考えると参加せずに外で発言していても始まらない。まず土俵に上がり、日本の意見や立場を伝え始めないと非常にもったいない。これは実は安倍内閣での第1期の環境大臣時に石炭政策について国際社会から受けた日本に対する強い批判と共通する問題意識だ。

WWD:決定に従うのではなく、枠組みを議論する土俵に上がらねば。

小泉:気候変動の世界では、菅内閣が2050年カーボンニュートラル宣言をし、米国ではバイデン大統領候補(11月11日時点)が積極的だ。EUはすでに宣言しており、クリーンな産業とダーティな産業の2分類でルールを作ろうという動きがある。これに対して日本の産業界には「そんなこと、たまったもんじゃない」という思いがあり、EUに対して外から文句を言ってきたが、日本も2050年カーボンニュートラルを宣言したのでこれからは違う。菅総理の脱炭素宣言はいわば日本固有のコミュニケーションからの脱却だ。減点方式ではなく、まず高い目標を掲げてどこまでできるかやってみよう、という発想の転換だ。「ファッション協定」の話はそれに近い。ファッションというライフスタイルにかかわるサステナビリティについて日本の政治家が国際社会で語るときに「日本の企業はファッション協定にこれだけ入っています」と言えれば、一言で語れる。逆に「参加企業はゼロですが実はこういうことをやっています」では説明にものすごく時間がかかる。

WWD:日本の中でまず枠組みを作る、という考え方もあるが。

小泉:「日本版〇〇を作る」はよくある手法だが、その取り組みはたいていグローバルな取り組みほどは飛躍しない。日本固有のファッションのカルチャーがあるという思いや、サプライチェーンの構造が違うからグローバルスタンダードの指標で評価をされても損をするだけだとの思いは分かるが、併せて考えたいのが世界に対するメッセージだ。高い技術やクリエイティビティを伝えることができるのはどちらなのか?「日本版〇〇」の中での高得点をアピールしてもそれは一つのマーケットの話にすぎない。

WWD: 2013年、バングラデシュで縫製工場が入ったビル、ラナ・プラザの崩落事故などをきっかけにここ数年、「ファッション業界は大量生産・大量廃棄を当然と思っている、環境意識の低い産業」というイメージが世の中に広がっている。率直にこの業界にどんな印象を抱いているか。

小泉:映画「ザ・トゥルー・コスト」を見たが、あれを見ると自分のクローゼットあらためて見直す。罪悪感なく着られるものを当たり前に選べる社会にしなければ。僕も身の回りからライフスタイルを変えており、再エネ100%で作られたネクタイや、オーガニックコットンのマスクのレパートリーなどは持っている。今はまだそれが当たり前の選択肢として世の中にラインアップされてはいない。一方で、私自身も環境大臣になってから初めて知ったことはたくさんある。無知であることで、気付かないうちに世の中に負の影響を与えている。どこで、どういう環境で作られているかを知るだけで消費者の行動は変わると思う。環境省でもファッションチームを立ち上げて具体的な施策に取り組んでいく。

WWD:ファッション業界は中小企業の割合が高い業界。中小企業ではサステナビリティ促進に向けてできることは限られるという嘆きも業界内にはある。

小泉:評価の可視化、評価される指標作りも大切。そしてそこでは大きなプレーヤーだけではなく、小さなプレーヤーも評価されるべき。先日、ファッションの会社を立ち上げたばかりの方に会った。彼は認証Bコーポレーションに申請しようとしており、評価されれば一気に日本の中でトップに躍り出る可能性がある仕事をしている。ビッグプレーヤーでなくても世界の指標の中に躍り出ることができる。それが可能になった世界に希望を見る。こういった人がこれから次々に出てくるのだろう。社会全体が脱炭素に向かう中でその思いに応えられる正当なマーケット、サステナブルな活動をしているところが報われるマーケットを作ることはとても大切だ。例えばアップルは再生可能エネルギー100%(RE100)を宣言した。それはアップルの部品を作っている日本の中小企業を含む全てのプレーヤーに再エネを求めるということ。できなければサプライチェーンから外される。

WWD:認証取得を政府がサポートするという形での支援はあり得るか?

小泉:実はすでに一部補助をしている。例えばTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)やSBT(サイエンス・ベースド・ターゲット)などがそうだ。

WWD:ファッション関係者はインディペンデント気質が強い傾向にあることも関係してか、政治との関わり方、距離の取り方がうまいとは言えない業界。政治と産業が協業するために必要なこととは?また、企業や団体、業界を超えた協業において政治の役割とは?

小泉:ファッション業界の人は誇りを持って責任と使命感を持ってやられている方が多いと思う。ただそれが新しい国際社会の評価に耐えうるのか、時代変化に合っているのかは常に見直す必要がある。日本の中の情報格差もあるだろう。霞が関、永田町で仕事をしているとグローバルな情報も比較的入ってきやすいが、自分の出身地である神奈川県の横須賀、三浦という東京から車で1時間半の場所でさえ、情報格差はある。これを全国規模で考えたら?ファッション関係者は全国にいるわけで、情報をどう共有するかも重要なことだと思う。環境省は集まる場、プラットフォームを提供することが可能だ。2050年カーボンニュートラルはエネルギーだけではなく衣、食、住、移動などあらゆるところを変えないと実現できない。ファッションは政治と同じで無関心でいられても無関係ではいられない産業だからとても重要だ。

WWD:「無駄なものを作らない、捨てない、循環させる」サステナビリティは、新しい物を生み出す産業と時に矛盾するが。

小泉:そこはサーキュラーエコノミーが鍵になる。実は11月10日に環境省は経団連と意見交換をして、史上初の脱炭素社会に向けた合意書を結んだ。次の意見交換会のテーマはサーキュラーエコノミー。日本最大の経済団体がとうとうサーキュラーエコノミーに取り組むのだから日本は変わりつつある。サーキュラーエコノミーとは新たな資源を投入せずに廃棄をできるだけ減らし、経済を回す仕組み作りだ。この循環経済は国際的な潮流として大きくなってきており、オランダは2050年サーキュラーエコノミー化を国家の目標としている。日本でもサーキュラーエコノミーのビジネスモデルは始まりつつある。ブリヂストンはタイヤを売るだけでなく、メンテナンスを含めたサービスを提供し[A1] [向2] 、パナソニックは電球を売るのではなくどれだけ使ったかで課金をする。私も子どもがゼロ歳なので分かるが、服は子どもの成長に追いつかないから成長に合わせてリースするのもよいだろう。環境省としてはそうしたサーキュラーエコノミーのビジネスを支援し経済と環境の好循環を起こし、二つの両立を実現したい。

WWD:再任されて、あらためてどんな目標を抱いているか?理想とする社会像とは。

小泉:安倍内閣での環境大臣1期目から、環境先進国日本の復権をしたいと取り組んできた。1期目に力を入れたのは石炭政策。国内では石炭に対する意識が薄いが、海外では日本=石炭が批判の対象になっている。これを何とかしないと本来評価されるべきことが埋もれてしまう。京都議定書までまとめた国なのに今はリーダーシップをとれていない。石炭政策の見直しにようやく風穴が開いたのが1期目。同時に政府の長期目標を引き上げることに取り組んできた。2期目に入り、2050年カーボンニュートラルは菅総理の発信によってすぐに宣言が実現した。実現した以上今後は具体的な道筋を描き、国民運動につなげていかないといけない。国、行政、企業だけではできない。CO2を出さない社会を作ることで環境と経済が好循環する新たな社会に向かって、一人一人が前向きに参加できる環境を作りたい。ファッションでいえば、サステナブルなファッションが当たり前の選択肢となり意識もしなくなることだ。

WWD:リーダーたるもの、そのファッションはどうあるべきだと考えるか?

小泉:僕にとってファッションは自分に自信を与えてくれるもの。サイズが合っていない服を着ているときは人前に出たくなかったり、ネクタイとスーツがしっくりきていないと力が出なかったり。お気に入りの靴を履いているときは歩く度にエネルギーが湧く気がする。だけど、今のファッションに関する課題を知ってからはサイズ感やコーディネートだけでは誇りが持てなくなっている。このスーツはどこから来ていて、原材料を生産をしている農家はここ、などとまだ言えないことが自分でももどかしい。それを当たり前に言えるような社会を、ファッション業界を変えたいと思っている人たちと作りたい。

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化粧品の売れ残りはどうしてる?透明性は進んでる? 大手化粧品メーカーOGによる覆面座談会

 食品ロスや衣料品の大量廃棄問題への関心が高まり、削減に向けた動きが活発になっている。化粧品業界でも環境問題への取り組みがさまざまな角度から行われているが、具体的な数字とともに廃棄ロスが語られることは少ない。大手化粧品メーカーやアパレルメーカーで化粧品の商品企画や営業として勤めてきた4人に集まってもらい、化粧品の廃棄ロスの裏側について聞いた。

WWD:アパレル業界では大量廃棄が大きな問題になっています。衣料品の国内の年間供給数量約29億点に対して、消費数量は約14億点。約15億点が売れ残り、100万トンを超える衣料品が廃棄されているという推計もあります。化粧品業界ではどうですか?

Aさん:私が勤めていたメーカーの主力スキンケアブランドは、定番品が売り上げの主体になっていたため欠品しないことが何より重視され、常に商品が回転し続けている状態。なので、アパレルのように消化率が指標になることはあまりなく、生産量に対してどのくらいが売れ残っているかを追うのが難しいですね。限定品はヒットしなかった商品が店頭に長く置いておけないため戻ってくることがありますが、使用期限が近いという理由で返品されることはほとんどないです。定番品、限定品を含めてどれくらいの商品が廃棄処分にまわっているかは正直なところ把握できていなかったです。

WWD:限定品は使用期限前に返品されることもあるということですが、商品全体の中で定番品と限定品の割合はどのくらいですか?

Aさん:売り上げでは全体の20%程度が限定品で、SKU数では30%程度でしょうか。

Bさん:ブランドによりますが、スキンケアブランドは定番品がほとんどを占めていて、たまに大容量サイズなど限定品を発売するイメージ。メイクアップブランドだったら毎月限定品を発売しているようなブランドもあります。

Aさん:メイクアップブランドを担当していたときは、限定品や色数も多かったので、人気がなく売れなかった色は社販にまわしていました。全ての商品が9~10割売り切ることを目指して生産数を設定していますが、売れないものは5割程度しかいかないものもあります。限定品に関しては、百貨店で発売から2カ月たっても「まだある」というのはよくないので、使用期限がまだ先でも店頭から下げるということもありました。

WWD:店頭から引いた商品を社販で販売する際、何割引きくらいで販売しますか?

Aさん:3~5割引きくらいが通常で、何回か社販を繰り返して使用期限が近づいてくると、最終的には何百円など、原価を割ったとしてもとにかく価格を下げて売り切ることを目指していました。

Bさん:社販では利益を出すことは考えず、廃棄にかかるコストよりは安く済むという考え方ではけさせます。現場の美容部員さんが優先的に購入できる決まりになっていたと思います。

Cさん:私がいた会社では、社販専用のカタログやウェブサイトがあって、ブランドリニューアルなどで発生する旧品や、得意先から返品された商品を、社員やOB・OGとその家族を対象に販売していました。申し込むと半永久的に、カタログ冊子が定期的に届きます。

Dさん:使用上の問題がない商品ですから、安く買えるのは福利厚生としてもいいですよね。

Aさん:社員はその会社の化粧品のコアな愛用者であることが多いので、社販は非常によく売れます。それでも全ての商品を売り切るのは難しいですが。

WWD:使用期限までどのくらい近くなった商品が店頭から引かれますか?

Aさん:百貨店や専門店など商業施設によってルールが異なりますが、化粧品は一般的に未開封の場合、製造から約3年間が使用期限となっています。2年たったらNGというところが多いと思います。

Cさん:卸売りは3分の2が残っていないとダメですよね。私は営業として専門店を担当していましたが、当時は返品が得意先との商談において重要なカードの一つになっていました。専門店も買取や委託、取引形態はさまざまですが、例えば決算月などに、仕入れてもらいたい商品を仕入れてもらう代わりに、売れていない商品の返品を受けるということです。こちらとしては現金を返すことになるので返品はとりたくないですけど、それを上回る商談を成功させたいときに交渉材料として承ることはありました。

Aさん:売れなくて返品されたり、リニューアで戻ってきたりすることはありますが、需給をコントロールする専門の部署があってなるべく商品が残らないように調整するので、使用期限が近いという理由で商品が戻ってくることはほとんどなかったとように思います。

Bさん:使用期限が来るよりも前に「棚落ち」「売れない商品」の烙印が押されてしまうので、使用期限いっぱいまで店頭に残すというスタンスがないですよね。ロスを減らすにはMD担当の努力が大きいです。生産数のコントロールと消化案をひたすら考えていると思います。以前は“捨て色”だから返品がきてもしょうがないよねという暗黙の了解がありましたが、今は全色売ろうというふうに年々変わってきていると思います。

化粧品の廃棄処分量は年間どのぐらいあるのか

WWD:廃棄処分される製品量を、メーカー社員は把握している?

Aさん:どのぐらいの量が廃棄処分になっているか、具体的な数字や処分法について社内で共有されておらず、不透明だったと思います。社員の中にも廃棄量を減らそうという意識はなかったですね。

Cさん:私がいた会社ではPL(損益計算書)の問題の一つとして、廃棄にコストがこれだけかかるから店頭売り上げを上げようという伝え方でした。今は環境保護の観点から廃棄処分を減らそうという伝え方になっていますよね。

WWD:化粧品の廃棄問題があまり表に出てこない理由は?

Cさん:人をきれいにするという化粧品の特性上、返品や廃棄処分の情報はイメージが悪いので公表したくないのでは?具体的な改善事例と共に出せればいいのですが、そこまで行き着いていないんじゃないでしょうか。現時点では開示するメリットがないですよね。昨今のサステナビリティへの関心の高まりを考えると、今後は負の情報も開示している企業から商品を買おうという流れになっていくかもしれませんが。

Aさん:化粧品は洋服ほど技術面でも仕組み面でまだリサイクルと結びついていないからかもしれないですね。中身は捨てるしかないし、容器も洗浄が必要ですし、ガラスやアルミ、プラスチックなどさまざまな素材のパーツを組み合わせたものが多くリサイクルを難しくしています。ポジティブな話として消費者に伝えるところにまだ来ていないですよね。

Bさん:洋服のようにきれいな繊維にして安全に使えますとはならない難しさがあると思います。外箱にリサイクル再生紙を使うことはできますが、容器は衛生上の問題やコスト面からリサイクル資源を積極的に使うのはまだまだ難しいのが現状です。

Dさん:化粧品は広告に人気女優を起用したりしてきらきらとしたイメージで訴求しているのに、真逆ともいえる廃棄問題や環境負荷を表に出すというのは、あまりにギャップがあり過ぎて社内外を問わず耐えられないんじゃないですかね。せっかく掲げているブランドイメージを揺るがしてしまいかねないですから。

WWD:化粧品業界の環境配慮への取り組みで足りないところは?

Aさん:アウトレットやディスカウント販売はもう少し増えてもいいのかなと思います。外資系の大手メーカーが期間限定で、ときどき公式サイト上でアウトレットコーナーを設けて販売していますよね。国内メーカーではまだあまりないですが、公式サイトであれば信頼感もありますし、リピートしている商品などは使用期限が近いものであっても需要がありますよね。郊外のアウトレットモールなどでは化粧品のアウトレットショップがよく出店していますが、もっと街中でも気軽に買えるようになったらいいと思います。

Bさん:中身にはまったく問題がなくて外箱や容器にちょっとした傷がついている訳あり品などは商品として売るのにまったく問題がないので、アウトレットなどでもっと販売されてもいいのでは。箱がちょっとつぶれているだけで不良品とみなす消費者の感覚も変えていかなければいけないと思います。大手メーカーが一斉に呼び掛けたら一気に変わるような気がしますけどね。

Aさん:あと包装についてはかなり改善の余地があると思います。高級品ならではの過剰包装は、「消費者は夢を一緒に買っているのですてきな包装であるべき」という考え方もありますが、振り返ると必要なのかなという包装は結構あります。バージンの商品である証拠にフィルム状のシュリンク包装を施す慣習がありますが、メーカー側も本当に必要なのか考えてもいいのではないでしょうか。

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教えて!パタゴニアさん 連載第2回 環境にやさしい素材

 サステナビリティ先進企業のパタゴニアの担当者にその取り組みを聞く連載第2回。環境への負荷が高いと指摘されているファッション産業は、どのようにして環境負荷を軽減すればいいのでしょうか。ファッション産業のCO2排出量は世界全体の8~10%、水質汚染は約20%を占めるともいわれています。アパレルやフットウエアの製品ができるまでの水やエネルギーの使用量、CO2排出量や水質汚染といった環境負荷を数値化した場合、約6~8割が原材料生産から素材になるまでの工程に由来します。つまり、素材選びが大切だといえます。では環境にやさしい素材とはどういう素材なのでしょうか。細野雅子マーチャンダイジング部ライフスタイル・スポーツウェア担当に聞きます。

WWD:環境に配慮した素材とはどんな素材だと思いますか?

細野雅子マーチャンダイジング部ライフスタイル・スポーツウェア担当(以下、細野):パタゴニアが取り組む環境に配慮した素材とは、「可能な限り環境への負荷を抑えた素材」と「地球環境を再生することが可能な素材」です。

WWD:「環境への負荷を抑えた素材」とはどんなものですか?

細野:例えば、リサイクル素材やオーガニック栽培された原料を用いることです。私たちは1993年にペットボトルを再生したポリエステルを採用したフリースを発表し、1996年にはオーガニック・コットンへの切り替えを完了しました。

WWD:90年代から行っていたのは早いですよね。リサイクルポリエステルだけではなく、今はほかにもリサイクル繊維の開発・利用を行っていますよね。

細野:はい。海洋に流れ出したプラスチックごみや漁網などを再生して新素材として利用することで、環境への負荷を抑えるだけではなく、地球温暖化の緩和やダメージを受けた「地球環境を再生する」ことが可能だと考えます。

WWD:確かにごみを回収して素材にすることは「地球環境を再生する」といえますね。

細野:ポストコンシューマー(使用した後に回収された材料)からのリサイクルや、すでに地球上にごみとして捨てられた物を回収して再生することは、地球環境の再生に貢献する方法だと考えています。

WWD;具体例を教えてください。

細野:2019年から、使用ができなくなり海中に廃棄された漁網を回収してナイロン素材として再生したブレオ社の“ネットプラス(NetPlus)”という素材を用いています。ほとんどの使い古された漁網はそのまま海に廃棄されていて、科学者は65万以上の海洋生物が漁網に捕らえられて生命を奪われるか、あるいはケガをしており、生態系に重大な悪影響を及ぼしていると推定しています。私たちはこの素材を特に売り上げの大きいカテゴリーや製品に採用することによって多くの漁網を海中から回収し、有害な廃棄物が海に流出することを防ぎます。またこのプロジェクトを通してブレオ社は放棄された漁網が海に捨てられることを防ぎ、地元の漁業従事者に補足的収入を提供しています。

WWD:「地球環境を再生する」という意味では環境再生型農業にも力を入れていますね。パタゴニアは“リジェネラティブ・オーガニック(RO)”農法と呼んでいますが、あらためてRO農法について教えてください。

細野:土壌の健康、動物福祉、社会的公平性の3本の柱を軸にしています。多種多様な作物を同時に生産し、耕さない、あるいは耕す回数を減らす農法によって、土壌微生物の増加やCO2の土壌への吸収に加え、農家の皆さんの持続可能な経営につながります。現在RO農法に移行中のコットンを用いた商品を販売しています。もちろん、従来のオーガニック・コットン栽培でも、大量の農薬を削減することで、限りなく環境負荷を軽減できます。

WWD:健康な土壌は炭素を多く吸収するといわれているので、環境再生型農業の導入が進めば気候変動対策にもなると注目を集めています。

細野:はい、そのとおりです。また私たちは「産業用ヘンプ(大麻)」にも注目しています。日本のような高温多湿な環境でも快適に過ごせ、天然繊維の中でも抜群な強度があるという機能面はもちろん、環境再生要素が大きいからです。ヘンプはかんがいをほとんど必要とせず、他の作物に比べて肥料の使用量も少なくて済みます。栽培に合成肥料を必要とせず、重要な栄養素を供給して浸食を防ぎます。ヘンプもまた地球環境再生のために最も必要な健康な土壌の維持を支えることができます。

WWD:最後に理想とする環境に配慮した素材はどういうものだと思いますか?

細野:今最も理想とする素材は環境再生型プロセスを経て生産された素材で、強度があり出来上がった製品を購入者が捨てることなく長く使用し続けることができる素材だと考えます。天然繊維ならばRO農法のコットンや産業用ヘンプ、化学繊維ならば、使用した後に回収された廃棄物で再生した素材ではないでしょうか。また、それらの素材を育て生産を担ってくれている生産者の生活も、環境を守るフェアトレード認証の取り組みも同じく重要です。

答えてくれた人:細野雅子/マーチャンダイジング部ライフスタイル・スポーツウェア担当:栃木県出身。2016年入社。パタゴニア入社前は米国で約2000店を展開する大手ディスカウントチェーン本社に製品開発担当として約10年勤める。大量生産・大量消費の現場、大量生産品でもちゃんと人の手で作られている製品がすぐに捨てられてしまうビジネスに心を痛め、帰国後ベターなビジネスモデルを探しているときにパタゴニア日本支社に出合う。「入社当初はフェアトレード認証を積極的に進めるところに引かれていましたが、環境面での取り組みが革新的であることに驚きました」。US開発チームと深くかかわり、日本市場のニーズ(デザイン、カラー、素材の良し悪しなど)に合う製品のリクエストやフィードバックを行う。日本のニーズが反映された製品としては、US本国よりも高温多湿な日本のリクエストを受けた“メンズ・シティ・ストーム・レイン・パーカ”や“クラウドリッジ・ジャケット”(2019秋冬まで展開)などがある。好きなアウトドアは山や海で遊ぶこと。日常生活ではゼロウェイスト(廃棄ゼロ)を目標にゴミを減らすことに取り組む

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1400足を収集してきたスニーカーマニアと辿る「スニーカーの過去・現在・未来」

 数年前から巻き起こっているスニーカーブーム。しかし現在は、ブームから定着へと移行しており、少し前までの熱狂は徐々に落ち着き始めているようにも見える。そんな現状を、スニーカーマニアはどのように思っているのか?スニーカーを追い続けて20年以上、累計1400足は買ってきたというスニーカーマニアのKOBA Shunsuke氏に、スニーカーを好きになったきっかけや注目のモデル、そして今後の行く末などを聞いた。

WWD:スニーカー愛に目覚めたきっかけは?

KOBA Shunsuke(以下、KOBA):僕がスニーカーに明確に興味を持ちはじめた理由は2つあります。1つは、僕ら世代のバイブル的ファッション誌である「ブーン(Boon)」(祥伝社)で見た街中スナップです。ピーコートにモヘアのタートルネック、黒のスリムパンツに「アディダス(ADIDAS)」の“コンコルド(CONCORD)”の黒を合わせていた方のスナップがあり、単純にかっこいいなと思ったのと同時に、スポーツシューズをファッションアイテムとして明確に意識するようになりましたね。

もう1つが、マイケル・ジョーダン(Michael Jordan)と“エア ジョーダン(AIR JORDAN)”への憧れです。僕が小学生だった当時、マイケル・ジョーダン本人は全盛期で、彼と彼が履いていたシューズには本当に憧れていました。僕が中学1年生だった1994年に、“エア ジョーダン”のファーストモデルの復刻があったのですが、なんとかして手に入れようと「月刊バスケットボール」(日本文化出版)とかに載っている通販可能なショップに片っ端から電話して購入したのを覚えています。

WWD:一番最初に買った一足は?

KOBA:自分のお小遣いで一番最初に買ったのは、「アディダス」の“ガゼル(GAZELLE)”ですね。当時は“ガッツレー”と呼ばれていました。本当は“フォーミュラー1(FORMEL 1)”や“コンコルド”が欲しかったのですが、小学生のお小遣いには限界があったので(笑)。最終的にはジャミロクワイ(Jamiroquai)のJKが履いていたスウェードアッパーの“ガッツレー”を買いました。

WWD:現在は週にどのくらいのペースでスニーカーを買っているのか?

KOBA:細かくは把握していないのですが、少なくとも週に1足以上、多いと月に15足は買っていると思います。

WWD:二次流通市場で定価以上の“プレ値”となっているスニーカーを買うことはある?

KOBA:あまりないですね。例えば「ナイキ(NIKE)」の特定のモデルしか買わない、という人はプレ値でも購入するのかな、と思います。一方で僕は、特定のブランドに強いこだわりを持っているわけではない。興味があって、足を入れてみたいという動機があればなんでも動いています。逆に範囲が広すぎて制限したいくらいです(笑)。ただ、ずっと探していたモデルだったり、今買わないとさらに値上がりして入手が困難になりそうだったりするものに関しては少しプレ値が付いていても買うことはあります。

WWD:自身がフリマアプリや二次流通サイトを通じて販売することはあるのか?

KOBA:あります。基本的には、欲しいモデルを購入するためにいろいろと手を打った結果、複数購入できた場合、1足を残して売るという形ですね。フリマアプリだと楽天の「ラクマ」などをよく使っています。逆に自分が欲しいモノで、2足手に入れられそうなモデルがあっても、売るのは厳しいかも、と感じた場合は、下手に応募しまくらないようにしています。

WWD:その判断には何か基準があるのか?

KOBA:1つは経験則ですね。特にここ20年くらいは、各ブランドから新しい定番のモデルが出てきていないんですよ。「ナイキ」でも売れるのは“ジョーダン 1”とか、“エア フォース1”なんかで、ほかはコラボモデルか、著名人が履いたモノがメインになっている。見方によってはあまり面白くないとも言えます。あとは、海外の方で先行発売されているものに関しては「ストックX(STOCK X)」などで相場を見る場合もあります。

WWD:スニーカーだけでなく、服にも興味はある?

KOBA:そうですね。僕がスニーカーに興味を持ちはじめた90年代は、ビンテージが人気でありつつ、NIGOさん、高橋盾さんたちによるノーウェア(NOWHERE)や藤原ヒロシさんなどに代表される、裏原ブームも起こっていました。僕もその中で、レプリカントと呼ばれる復刻モノを買っていましたね。デニムだとエヴィス(EVIS)とかフルカウント(FULLCOUNT)とか、関西のダルチザン(D'ARTISAN)といったところのモノを古着屋でよく探していました。

WWD:服は現在もよく買っているのか?

KOBA:今はスニーカーがメインになっています。服も買うことは買いますが、基本的には品質以外は特にこだわらなくなってきているかも。普段は「ユニクロ(UNIQLO)」をよく着ていますね。それ以外だと、自分が今までずっと着ているブランドだったり、個人的にサッカーが好きなので、サッカーシャツだったりを買っています。

WWD:服やスニーカーにおいて、自分が買う基準のようなものはあるのか?

KOBA:前代未聞のコラボとかだとやはり欲しくなってしまいますね(笑)。ただ、自分が買いたいと思ったモノが、多くの人も欲しいと思うようなモノだった場合は、どのくらい購入のハードルが高いのかを知っておくようにはしています。買えそうにない第一候補を追いすぎると、第二候補のアイテムを買い逃すことにもなりかねないので。そのためにもトレンドの情報や、発売時期などは常にチェックしています。

WWD:どういったところから情報は得ているのか?

KOBA:主に2つあります。1つはインスタを中心としたSNSです。最近はリークサイトやアカウントがかなり充実してきている印象を受けます。僕がメインで見ているのは、「Sneaker Bar Detroit」と、サッカー系の情報に強い「Footy Headline」ですね。あとはブランドやショップ、そしてそれらに関わるディレクターやクリエイターの方のアカウントもチェックしています。

情報収集源のもう一つが、友人たちから寄せられる情報です。みんな同じような行動を取っていますが、それぞれ好きな分野などが違うので、お互いに情報を出し合うことで情報を濃密になるし、自分が追いきれていない範囲のことも知ることができます。

WWD:友人たちの間で注目されているモデルは?

KOBA:ここ最近だと、「ホカ オネオネ(HOKA ONEONE)」や「サロモン(SALOMON)」、「オン(ON)」の評判は良く聞きますね。「ホカ」と「サロモン」はアウトドアギアがベースにあるので、スペックがしっかりしているし、ソールのチャンキーな感じが今の雰囲気にも合っている。ファッション業界の方が率先して履いていることもあったり、「サロモン」はビームス(BEAMS)や「パレス スケートボード(PALACE SKATEBOARDS)」と、「ホカ」は「エンジニアド ガーメンツ(ENGINEERED GARMENTS)」やオープニングセレモニー(OPENING CEREMONY)などとコラボしたりして、ファッションアイテムとしての認知も広げている印象を受けています。「オン」は比較的新参ブランドですが、「ナイキ」との契約を終えたロジャー・フェデラーが製品開発のアドバイザーやマーケティングを担当しているのと、8月にドーバー ストリート マーケット ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA)で発売した”クラウドノヴァ(CLOUDNOVA)”というモデルが即完売したことから注目度は高いと思っています。

WWD:KOBAさんが個人的に注目しているモデルはある?

KOBA:僕個人は「ニューバランス(NEW BALANCE)」に注目しています。“M1300”や“992”といったヘリテージナンバーの復刻などもさることながら、昨年ごろから、パリの「ペイパーボーイ(PAPERBOY)」や吉祥寺の「アパートメント(THE APARTMENT)」、「スノーピーク」といった規模の小さな地域密着型のブランド、ショップとのコラボモデルをリリースしているのもポイントです。既存のファンだけでなく、新規のファンにも満遍なく訴求するようなマーケティングとリリースを両立しているのは純粋にすごいことだと思っています。

WWD:現在もスニーカーマーケット自体は、やはり盛り上がっているのか?

KOBA:マーケット自体は盛り上がっているのかもしれませんが、全体としてはスニーカーに対して持っている熱量の維持が難しくなっているなと感じています。特に“ハイプ”なイメージがあるスニーカーやウエアを追いかけている人たちは、転売ヤーやリセール関連の人を除くとモノを買えなくなってきている。あまりに買えなさすぎて情熱が続かないという人も多いんじゃないかなと思っています。僕も周囲の友人に気になっているブランドやモデルがあるのかを聞いたのですが、「そもそもスニーカーに対しての熱量が落ちて来ている」という意見も多かったです。

WWD:KOBAさん自身は今後もスニーカーは買い続けていく?

KOBA:正直、今のようなスタンスは年齢的にも、家庭的にも続かないのかなと思っています。でも、これだけスニーカーが好きで、ずっと動いて来たので、全く買わなくなることはないだろうし、情報を追い続けていくんだろうなとは考えています。ただ、ゆくゆくはスニーカーとの関わり方を変えていきたいですね。現在パーソナルトレーナーとしても活動する中で、お客さんの身体を見て、おすすめのスニーカーを提案することもしているので、そういった活動にも注力していきたいと考えています。

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スタバとコーヒー産業をサステナブルに変えた 企業と共創する環境NGOのキーマン日比保史さんに聞く 後編

 米国バージニア州を拠点にする国際環境NGOのコンサベーション・インターナショナル(CONSERVATION INTERNATIONAL、以下CI)は各国の地域コミュニティーや政府、民間企業とタッグを組み、持続可能な社会の実現を目指した仕組み作りに取り組んできた。後編ではスターバックス(STARBUCKS CORPORATION)との取り組みをきっかけにコーヒー産業の生産および調達に変革をもたらし、産業全体のサステナビリティ向上をもたらしたプロジェクトについて聞いた。

WWD:CIの成り立ちは?

日比保史CIジャパン代表理事兼CIバイスプレジデント(以下、日比):1987年に生物多様性をグローバルに守ろうと、生物博士号を持つような人30人ぐらいが集まって始まりました。発展途上国で生物多様性が豊かで、それが危機に瀕している地域にフォーカスをしています。これまでに77カ国1200の保護地域の創設に貢献してきました。

WWD:その危機とは?

日比:人が住んで農業を営んだり、大資本が入り大規模な伐採を進めたり、鉱山開発をしたりといろいろあります。そうした地域の自然は、地球全体でみると非常に貴重で価値があります。ただし、われわれの活動は保護区を作り単に自然を守ればいいということではないんです。そうすると住んでいる人々は困っちゃいますよね。そこに住む人たちと“ハーモニー”を作ることを大切にしています。

WWD:“ハーモニー”とは?

日比:「自然を守る」ことを第一に自然とのハーモニーを作ることで保護できた地域もありますが、設立から約20年たったころ、活動を総括すると、地球の生態系全体で見たらむしろ状況は悪化していました。そこで2010年ごろにこれではだめだとやり方を変えることにしました。“human well-being”の定義と最終目標を「衣食住が足りて、健やかで、選択の自由があり、社会とのつながりの中で平和に暮らせること」に変えました。今でいえばSDGsですね。人間はさまざまな自然から恵みを得ています。食べ物や水はもちろん、ファッションも繊維の原料は自然の恵みですよね。こうした状態は、健全な自然生態系があって初めて成立します。「人のために自然を守ろう」と考え方を変え「自然を守ることは、人間を守ること」をモットーにしています。

WWD:科学的調査に基づいた方法論を開発してきた。

日比:はい。人間を支えている自然がどういう状態なのかを科学的に押さえないと守れないので、力を入れています。そこがわれわれの活動の一番コアかな。もう一つ大切にしているのは、現場での活動です。現場に拠点を構えて自然を守ることで人々が幸せになるモデルを作ることーー当然そこに住む人々が一番大切なので、地域のコミュニティーや先住住民、現地の政府とのパートナーシップを非常に重視しながら、現地の人に一番貢献できる仕組み作りに取り組んでいます。

WWD:具体的には?

日比:単に絶滅危惧種を守りましょうではなくて、絶滅危惧種を守れば学校に行けなかった子供たちが学校に通えるようになるというような仕組みを作ったり、政府に働きかけて政策を作ったりします。特に力を入れているのは民間企業との連携です。

WWD:今でこそ、NGOと政府や民間企業が協働するのは当たり前になってきたが、設立当初は対立構造で厳しかったのでは?

日比:はい。設立当初、日本にはまだNGOという言葉もないころですが、欧米ではNGOの活動が非常に盛んでした。でもわれわれはそうじゃない。(企業批判をすることを主としたNGOとは異なり)ダメなことはダメということも大事ですが、むしろ企業などと一緒に取り組まないと地球規模の問題解決にはならないので、立ち上げ当初から連携を重視していました。民間企業の支援を得られれば、絶滅危惧種を守れる可能性は高くなり、そこに住む人々の生活も良くなり、さらに言えばそこに関わる民間企業のビジネスも良くなる。そういう枠組みというかシステム、仕掛けを作ることを目指しています。

WWD:民間企業の巻き込み方は?

日比:方法はいろいろあります。コンサルティング的な入り方もしますが多くの場合はごく一部です。われわれとの関係が長期的かつ広範型のパートナーシップに発展したのはスターバックスとのそれですね。

森を切り開かずに森の中でコーヒー栽培をしよう

WWD:そもそもコーヒーに取り組むきっかけは?

日比:あれは確か1990年代半ばのことだったと思います。本部の科学者が、コーヒーの栽培地域とわれわれが事務所を構える地域がほぼ重なっていることに気付き、調べ始めました。コーヒーは熱帯、亜熱帯の植物で非常に豊かな自然の恵みを得て成長する植物なのです。なので、われわれの活動エリアとコーヒーの生産適地が重なるのは当然といえば当然でした。

WWD:90年代といえばコーヒーチェーンのグローバル化が進んだころだ。

日比:マーケットがどんどん拡大していて、コーヒーの生産量が伸びていました。そうすると普通の経営センスでいえば、いかにコストを下げて品質を確保しながら量を増やすか、となる。森林を更地にしてコーヒーの木をダーっと植えると、管理もしやすいし収穫もしやすいとなりますよね。こういうコーヒーを、日なたで育てるという意味でSUN COFFEE(サンコーヒー)と言ったりするんですが、そうすると当然森が失われていきます。需要が増えて生産量を増やすとどんどん森が切り開かれて、森が失われていく――そうした問題がちょうど顕在化していました。

WWD:CIはどうアプローチした?

日比:コーヒーはもともと森の中に生えている木です。だとしたら森の中でコーヒーを栽培しようと考えました。まずは、コスタリカの小さな規模の実験農園の相手を見つけて取り組み始めました。

WWD:スターバックスとパートナーシップを結ぶことになったきっかけは?

日比:99年にWTO(世界貿易機関)の総会がシアトルで開かれることになったことでした。ちょうどそのころ、グローバライゼーションが進み、特に途上国の貧困層の負担を元にしているのではないか、という批判がありました。欧州の人権系NGOは、スターバックスはもちろん、グローバル企業をターゲットにしていましたが、特に発展途上国との関係がじかに見えるスターバックスが総会前から標的にされていました。そうしてスターバックスはわれわれの取り組みを知り何か一緒にできないかという話になりました。

WWD:出発点はNGOからの批判だった。

日比:はい。まずはコーヒー栽培とは直接関係がなかったのですが、コスタリカの保護区への寄付から始まり、われわれが進めていたコーヒープロジェクトも一緒に取り組むことになりました。品質や量の確保も必要なので単に森を守ってコーヒーができました、ではもちろんだめで、技術的な部分でも連携しました。森を切らずに商業ベースで成り立つコーヒーの研究を重ねて、技術的にも確立できたところで、スターバックスと一緒にガイドラインを作りました。ガイドラインは環境面だけではなくてフェアトレードといった社会面も含んでいて、サステナブル調達やエシカル調達のガイドラインの先駆けになりました。

WWD:それはいつから?

日比:2000年から2000年代半ばごろです。栽培エリアはコロンビアやメキシコ、ペルーやパナマにも広がっていきました。一般的にはSHADE GROWN COFFEE(森の日陰で育つコーヒー)と呼ばれていました。

WWD:価格は少し上がるが?

日比:はい、どうしても少し高くなります。スターバックスとしては、自然を守りながら現地の農家のコミュニティーの状況が良くなるコーヒー栽培を目指していると言いたいし、われわれもこうしたプロジェクトがもっと広がれば森を切らずにコーヒーが作れるようになるので、どうやったらこれを推進できるかを考えました。“シェード・グロウン・メキシコ”という商品を新たに作って市場に投入し、サステナブルコーヒーがマーケットでも成立するモデル作りを一緒に行いました。

WWD:その後は?

日比:軌道に乗ってきたころ、気候変動の影響が顕在化してきて、特に品質のいいコーヒーであるアラビカ種に影響が出てきました。この種は熱帯の、標高の高い山岳地帯で栽培されるのですが、気候変動は標高の高いところがその影響を受けやすく、品質の維持が難しくなったり、さび病(植物の病気)のような病気が広がったりします。国の経済を揺るがすくらいに生産量が落ち込みました。こうした気候変動問題にコーヒー産業はどう対処すべきかについてもスターバックスと一緒に取り組むことになりました。

WWD:業界トップシェアだったとしても1社で取り組むには限界がある。

日比:はい。コーヒー業界全体を、産地全体をサステナブルにするにはサプライチェーン全体で取り組むネットワークが必要だと考えました。そこで、コーヒーに関わるさまざまな業者が集まってサステナビリティについて考え、議論して共有する枠組み「サステナブル・コーヒー・チャレンジ(SUSTAINABLE COFFEE CHALLENGE)」を作り、目標を設定しました。現在までに160の企業、政府、組織、機関などが参画していて、運営事務局はCI内にあります。

WWD:今、まさにファッション業界もその段階にある。アパレルやテキスタイルメーカーから小売りまでがサステナブルなファッション産業を目指す枠組み「ファッション協定(FASHION PACT)」などもそうだ。

日比:はい。みんなで共通の目標を作りさらに各社が独自の目標を作る。毎年モニタリングして進捗をチェックしていきましょうというものなので、プラットフォームとしては「ファッション協定」に近いですね。コーヒー版はスターバックスとCIが立ち上げましたが、今ではスターバックス色は薄れて、そこに集まった有志が分科会のような形で研究をしています。

WWD:小さく始めてさまざまな企業を巻き込みながら大きくしていく必要がある。

日比:CIが目指すモデルの代表例ですね。現地のプロジェクト自体もとても重要ですが、それを足掛かりにどう業界全体を変えるのか、消費者のマインドを変えるのか、政策を変えるのか、企業経営の在り方を変えるのか、が最終的に目指すところなので、コーヒーは紆余(うよ)曲折ありながらも、ここまで来たかなというところです。

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爆裂!健康美容マニア道 脱・ヘトヘト!スーパー酵母原液で免疫力強化

 1日8食、ジャンクフード漬けの超不健康児から超健康優良児へと大変身を遂げたフリーアナウンサーの名越涼。およそ15年かけて自らの体で人体実験を繰り返してきた結果、“超絶良かったもの”だけをここで余すことなくお伝えする。今回は免疫力をアップさせる酵母について。

また、本物と出合ってしまった

 パン酵母に、ビール酵母。「酵母」はとても身近なものであり、酵母が含まれるサプリやドリンクはすっかりメジャーなものになった。もちろん、健康オタクの名越もこれまでさまざまな酵母サプリを試してきた。しかし、期待を超えるものに出合ったことがなかった。が、今回は違った。ついに、本物と巡り合えたのだ。その名も「アミノン酵母原液」。かわいらしいネーミングとギャップのある、いかつい雰囲気と実直なパッケージ。「心とからだ ヘルシーリフレッシュ!!」のキャッチフレーズに釣られて試してみたけど、これが本当にすごかったのだ。

職人による手作り酵母原液の、すさまじい万能さ

 ふたを開けようとキュッとひねった瞬間、「ボンっ!!!」という音と共にすさまじい勢いで中栓が飛んでいった。しまった。ちゃんと説明書きを読んでいなかった。生きた酵母の発酵によって二酸化炭素が増え、開栓時に中栓と気泡が飛び出すことがある、と記載されていたのに(通常は冷蔵庫で十分に冷やしながらゆっくりガスを抜く)。そのくらい、豊富に酵母が生きているのだ。だって作り方のこだわりが尋常じゃない。吉野杉の杉だるに旬の野菜や果物を仕込み、シャクナゲやアケビ等の植物から採取した野生酵母を添加・培養。そこから抽出したものが、アミノン酵母原液となる。仕込みは全て職人の手作業で、60年以上製法を変えていないのだそう。酵母にはビタミンB群やカルシウム、カリウム、鉄、亜鉛などのミネラル類やアミノ酸、食物繊維など豊富な栄養素が含まれていて、腸管の免疫機能を高める働きもある。しかも、食物酵素や消化酵素、代謝酵素の生産や不足までカバーしてくれるという万能さ。え、もうこれ、最強じゃないか。
 

次元を超える目覚めの良さ

 とろみのある原液は、そのままなめると砂糖水のような甘さで、「おお!酵母が生きてる!」と実感できるしゅわしゅわした発酵感。そしてとても飲みやすいではないか。毎日30mLを水で希釈して飲むのが基本だけど、たまにヨーグルトやスムージーに混ぜて味の変化を楽しんでいる。ちょっとしたデザート感覚でも飲めるので、口寂しい時にもくいっといける。飲み続けてまず実感するのは、おなかの調子の良さ。生理前の便秘になりがちな期間でも酵母はよく働いてくれる。ありがたし。腸内がきれいになっていくから、当然肌艶も良くなる。もちろん、それだけじゃない。驚いたのは、目覚めの良さである。超絶低血圧(上は80、下は40)の私にとって朝は自分との闘い。目覚まし時計を10回くらい鳴らし続けて「……ぅぅ」とうめき声を上げて起きる毎日が、明らかに変わった。体が軽い。スキッと起きられる軽さなのだ。「え?羽でも生えた?」と勘違いしそうなほど朝の時間が楽になった。鉛のような重さからの解放は、正直感動ものだった。あぁ、酵母よ、酵母さま。今まで見くびっていてごめんなさい。こんなにすごい力があるなんて知りませんでした。改めて実感した酵母の実力。「本物ってすごいわ」って思わずつぶやいてしまう感激体験を、ぜひあなたも。

健康メモ
〈酵母と乳酸菌ってどう違うの?〉
食品を発酵させたり、腸内環境を整えたりする働きを持つ酵母と乳酸菌。よく似ているけれど、生物学的には大きく違うもの。また、酵母は小腸と大腸の両方で働くけど、乳酸菌は主に大腸で働くといわれているそう。

名越涼/フリーアナウンサー。香港出身。福井と愛知のテレビ局アナウンサーを経て独立。司会やライター、セミナー講師、企画・プロデュースなど幅広く活躍するパラレルワーカー。趣味・特技は手作り発酵食、食文化研究、ヨガ(歴15年)eスポーツと農業にも精通

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サステナには「恐れの入り口」から入らない エディターズレター(2020年8月24日配信分)

※この記事は2020年8月24日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

サステナには「恐れの入り口」から入らない

 先日、「改めて、サステナブルなマインドを押し出します!!」と宣言してくれた「シチズン L」というレディス時計のオンライン発表会に参加しました。フリージャーナリストの生駒芳子さんに参画を仰ぐなどしてサステナマインドを磨いてきたブランドは、合成ダイヤモンドやパイナップル由来の人工レザー、そしてペットボトルからの再生素材などを、地球を思わせる美しき時計に積極活用。小さな時計で大きな世界を変えるのは容易ではありませんが、シチズン(=市民)を名乗るブランドが、みんなの地球を考えるって素敵ですよね。リンク1本目にある通り広がりつつある「世界市民」という概念、シチズンにはぜひ取り入れてほしいな、と思います。

 そんなブランドの担当者からは、「サステナブルの世界に、『恐れの入り口』から入りたくない。地球の美しさから考えたいんです」という話をいただきました。「恐れの入り口」から入っちゃうサステナブル、多いですよね。「このままだと、地球は……」という記事、私たちも書き続けていますが、そろそろ考えて良い頃だと思います。「恐れの入り口」から入ると、気落ちして、疲れるんですよね(苦笑)。いや、「このままだと、地球は……」という状況であることは、私も理解しています。でも、自分一人では抗いきれないこと、そんな自分だって完璧じゃないことを考えると、「恐れの入り口」からのアプローチには「ごめんなさい……」と言って、逃げたくなってしまうのです。でも、それが一番サステナブル(=持続可能)じゃない。「この美しい地球を守りたい。そのために、私たちにできることは?」のマインドセットだと、もっとずっと前向きかつ積極的に取り組めるような気がします。

 なんてことを考えながら、先週末は「MERY」とのコラボイベントに挑戦し、U-25の女性を誰よりも知る編集部員の皆さんとトークセッションしてきました。リンク2本目で紹介する自己啓発ノート、通称“シンデレラノート”の存在に改めて驚いたり、環境意識の高まりに舌を巻いたりと発見はさまざまありましたが、改めて「こんな状況でも前向きな世代だなぁ」と痛感しました。一番ウケたのは、「マスクを着用するとまつ毛が下がるので、あえての『すだれまつ毛』」というフレーズ!!43歳のオジさんには、「マスクでまつ毛が下がる?」「すだれまつ毛?」とハテナだらけでしたが、「マスク内の湿気が隙間から上に上がると、上向きカールも台無し。そこであえて、まつ毛を下にキレイに伸ばす『すだれまつ毛』」なのだと言います。「MERY」世代、ポジティブ!!

 そんな人にはサステナも、「恐れの入り口」から語るのではなく、理想の地球から語りたいですね。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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サステナには「恐れの入り口」から入らない エディターズレター(2020年8月24日配信分)

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サステナには「恐れの入り口」から入らない

 先日、「改めて、サステナブルなマインドを押し出します!!」と宣言してくれた「シチズン L」というレディス時計のオンライン発表会に参加しました。フリージャーナリストの生駒芳子さんに参画を仰ぐなどしてサステナマインドを磨いてきたブランドは、合成ダイヤモンドやパイナップル由来の人工レザー、そしてペットボトルからの再生素材などを、地球を思わせる美しき時計に積極活用。小さな時計で大きな世界を変えるのは容易ではありませんが、シチズン(=市民)を名乗るブランドが、みんなの地球を考えるって素敵ですよね。リンク1本目にある通り広がりつつある「世界市民」という概念、シチズンにはぜひ取り入れてほしいな、と思います。

 そんなブランドの担当者からは、「サステナブルの世界に、『恐れの入り口』から入りたくない。地球の美しさから考えたいんです」という話をいただきました。「恐れの入り口」から入っちゃうサステナブル、多いですよね。「このままだと、地球は……」という記事、私たちも書き続けていますが、そろそろ考えて良い頃だと思います。「恐れの入り口」から入ると、気落ちして、疲れるんですよね(苦笑)。いや、「このままだと、地球は……」という状況であることは、私も理解しています。でも、自分一人では抗いきれないこと、そんな自分だって完璧じゃないことを考えると、「恐れの入り口」からのアプローチには「ごめんなさい……」と言って、逃げたくなってしまうのです。でも、それが一番サステナブル(=持続可能)じゃない。「この美しい地球を守りたい。そのために、私たちにできることは?」のマインドセットだと、もっとずっと前向きかつ積極的に取り組めるような気がします。

 なんてことを考えながら、先週末は「MERY」とのコラボイベントに挑戦し、U-25の女性を誰よりも知る編集部員の皆さんとトークセッションしてきました。リンク2本目で紹介する自己啓発ノート、通称“シンデレラノート”の存在に改めて驚いたり、環境意識の高まりに舌を巻いたりと発見はさまざまありましたが、改めて「こんな状況でも前向きな世代だなぁ」と痛感しました。一番ウケたのは、「マスクを着用するとまつ毛が下がるので、あえての『すだれまつ毛』」というフレーズ!!43歳のオジさんには、「マスクでまつ毛が下がる?」「すだれまつ毛?」とハテナだらけでしたが、「マスク内の湿気が隙間から上に上がると、上向きカールも台無し。そこであえて、まつ毛を下にキレイに伸ばす『すだれまつ毛』」なのだと言います。「MERY」世代、ポジティブ!!

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AYAKOメイクアップアーティストが語る「Nº21」とのコラボの裏側 「透明感と大胆さを両立したメイク」

 アレッサンドロ・デラクア(Alessandro Dell’Acqua)が手掛ける「ヌメロ ヴェントゥーノ(Nº21)」は、ブランド設立10周年を記念したプロジェクト「ガラージュ ヴェントゥーノ」を始動した。11月4〜10日に阪急うめだ本店1階コトコトステージ 11、11月11日〜2021年1月31日に同店3階イベントスペースでポップアップを行い、そこで限定のグッズやビューティアイテム、フードをそろえる。
 
 ブランド初のビューティアイテムを手掛けたのは、コスメブランド「アディクション(ADDICTION)」の前ディレクター、AYAKOメイクアップアーティスト。「ヌメロ ヴェントゥーノ」を代表するブラックとヌードをコンセプトにスキンケアとメイクアップ製品5つをセットにした。「アディクション」を離れて約1年のAYAKO氏。最近はクリーンビューティにも目覚め、「ヌメロ ヴェントゥーノ」とのコラボも動物実験を行わないなどビーガン処方にこだわり、またパラベン(防腐剤)も含まないなどできる限りのクリーンビューティを目指した。今回はファッションのブランドのために作るメイクと、これまでとは異なるアプローチでの化粧品作りだが、どのような思いが込められているのかーー。

WWD:今回「ヌメロ ヴェントゥーノ」と協業したきっかけは?

AYAKOメイクアップアーティスト(以下、AYAKO):もともとデラクア氏の服が好きでした。日本で「ヌメロ ヴェントゥーノ」を輸入販売するグルッポタナカの田中タキ副社長と2年前にお会いしたのがきっかけで、昨年、日本でスタートする「ガラージュ ヴェントゥーノ」の話を伺い、ビューティの提案をしたことでスタートしました。

WWD:デラクア=デザイナーの服の魅力は?

AYAKO:セクシーだけれど少しメンズ仕立てになっていたり、ガーリーでありながらハンサムであったり。甘すぎず、モードすぎず、そのバランスが絶妙。また、彼はシアーやヌードの素材の使い方が美しく、服に透明感があるように感じます。透明感がありながら、ボールド(大胆さ)もあって、その相反した使い方が素敵です。

WWD:今回のメイクも“透明感”と“大胆さ”を兼ね備えたコンセプトになっている。

AYAKO:そうです。ブラックにフォーカスしたボールドなコレクションと、シアーヌードを意識したコレクションの二つを作りました。ボールドな黒のコレクションは黒のマットなネイルやリキッドアイライナー、深みのあるボルドーのリップスティックと艶やかな透明のグロスのようなリップエンハンサーなど異なる質感も楽しむことができます。一方でシアーなヌードのコレクションは艶やかなネイルやシアーなリップスティック、肌に溶け込むようなアイ&チークのパウダーやヌードカラーのアイライナーなどをそろえました。彼のコレクションから、肌が透けるくらいのシアーな素材に着想を得ました。この2つのコレクションを並べた時にガラスから見えるネイルカラーと、ヌードとブラックの色が見えるマスクでインパクトを加えました。

WWD:今回、単品ではなくセットにこだわった理由は?

AYAKO:これは新しいアプローチです。常々ビューティとファッションが別々に語られることに違和感を感じていたので、「ガラージュ ヴェントゥーノ」だからこそできる提案を考えました。それはつまり、ファッションのフロアで潔くビューティを提案することでした。化粧品カウンターとは違い、ビューティアドバイザーのいないスペースなのでセットで使えば1つのルックが完成するようなものを作りました。また、ジェンダーフリーに使えるようにもこだわりました。

WWD:メイクだけでなく、スキンケアもセットに入れている。

AYAKO:メイクアップの土台となる肌のケアもできるアイテムをどう入れるか。カウンセリングを必要とせず、全てのスキンタイプで誰もが簡単に使えるもの、それであって魅力的なものにこだわりました。ブラックのコレクションには肌をデトックスするチャコールマスク、ヌードのコレクションは肌をふっくら保湿するローズウオーターのマスクを入れています。

WWD:成分にもこだわり、クリーンビューティをうたっているのもポイント。

AYAKO:今話題のクリーンビューティは私自身、今とても関心があるものです。アイテムはビーガン処方でもちろん動物実験も行っていません。パラベンフリーであることを前提に、物によっては、シリコーンやアルコールフリー、無香料で作るには結構大変で(笑)。試行錯誤を繰り返しました。

WWD:セットにつくバッグもAYAKOさんがセレクトしたもの?

AYAKO:バッグもこだわりました。アーカイブから選んだバッグの縮小版をエコレザーで再現していただきました。化粧品なのでメイクを入れるポーチが通常は定番ですが、今回はファッションブランドとのコラボレーションですから、あえてバッグにしたかったんです。ちょっとランチタイムに持っていけるくらいのサイズで、いろんなシーンで使えると思います。実は製品が入っている外箱もガレージをイメージしてピザ箱のように仕立てたり、細かいディテールにも目を配りました。

WWD:「アディクション」で製品を作っていたときと、今回のコラボの違いは?

AYAKO:クリエイティブの部分では大きな違いはありませんでした。「アディクション」では常に旅をテーマにクリエイションをしていましたが、今回の旅はN21の旅でした。ブランドの世界観や価値観をビューティで表現する旅はとてもエキサイティングで、幸いデラックア氏は快く私のクリエイションやビジョンを受け入れてくれて、とてもスムーズに進みました。ただなんと言っても大きな違いはアメリカでラボを探すところから全て一から一人でやらなくてはいけなかった部分です。ものすごく勉強になりました。

WWD:今後もファッションブランドとコラボしたいと思うか?

AYAKO:そうですね。今回のお仕事は初めてのことも多く、とても勉強になりました。特にコロナ禍での作業だったので、遠隔でのコミュニケーションやサンプル製作など、チャレンジングなこともたくさんありました。今後はファッションに限らず、いろいろなコラボレーションやプロジェクトに挑戦したいですし、クリーンビューティの知識ももっと深めていきたいですね。また、今回の経験で良かったと思うのは、ビューティとファッションをつなげられたこと。以前からビューティとファッションが切り離されて扱われることに違和感を抱いていました。アディクションの前には「ナーズ(NARS)」でインターナショナルメイクアップディレクターという立場で ファッションショーや広告などを手掛けていましたが、同時にストアアピアランスを世界中で行った経験があります。アメリカのカウンターとロンドンやパリ、マドリッドではまた違ういろいろな反応がありましたが共通していたのは、ファッションを基盤にメイクアップの提案をすると、人種に限らず必ず納得してもらえたという経験でした。今回も、大阪の売り場での反応は想像以上で、化粧品カウンターでないからこそ違ったアプローチで提案したことが無条件にお客さまにストレートに伝わったことが実感できました。今後のビューティのあり方に、少しでも新しい道を提供できたのではないかと思います。

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ダウンに動物以外の選択肢を 木の実由来のダウンブランド「カポックノット」

 植物由来のダウンブランド「カポックノット(KAPOK KNOT)」は、羽毛の代わりに東南アジアに自生する植物カポックの実からできた繊維を使用し、デザインバリエーション豊かなアイテムを提案する。

 創業者の深井喜翔は、大手繊維メーカーに勤め、アパレル業界の大量生産、大量廃棄の現状に課題を感じ、28歳の時に同ブランドを立ち上げた。2019年10月にファーストアイテムとなるコートをクラウドファンディングサイトの「マクアケ(MAKUAKE)」で販売したところ、開始9分で目標の50万円を達成し、合計1700万円以上を調達した。また日本での反響を受けてこのほど、アメリカでのオンライン販売も開始した。

 原料となるカポックの木1本からは、約コート30着分のコットンを採集することができる。木の実由来のため、木を伐採せず土地の環境を破壊することなく調達ができるというメリットに加えて、通常のコットンの1/8の軽さで、吸湿発熱といった機能性も備える。アイテムはこのカポックの機能性や着膨れしない特徴を生かしたダウンやチェスターコート、ステンカラーコートなどで、メンズ、ウィメンズ合わせて10型をそろえる。価格は3〜5万4000円。公式ECサイトを軸に、新宿マルイと有楽町電気ビルにある体験型店舗「ベータ(B8TA)」でも取り扱う。

 今季から同ブランドのデザインを手掛ける満汐国明は、江角泰俊が手掛ける「エズミ(EZUMI)」やイタリアの「コスチューム ナショナル(COSTUME NATIONAL)」でデザイナーを務めた経験を持つ人物だ。満汐デザイナーは「長く着用してもらうため、1970年代や80年代のディテールを参照したクラシックなアイテムを提案していく。コートの購入を通して、自分の選択が地球環境の再生に貢献していると感じられる体験を提供したい」と言う。

 自社ECサイトはメディア機能を持たせ、サステナブルな衣食住にまつわる情報を網羅的に発信していく。さらに、購入者を中心としたオンライン上のコミュニティーを運営し、環境問題解決に向けたアクションや情報交換なども行う予定だ。

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ワコールのアバター接客体験リポート 本音トークでより深いカウンセリングが可能に

 ワコールは、アバターを活用した新しい接客システム「アバカウンセリング パルレ(以下、パルレ)」を10月末、東京の「3Dスマート&トライ」東急プラザ表参道原宿店に導入した。2019年に同社がスタートした「3D スマート&トライ」とは、3Dボディースキャナーで約5秒でバストをはじめ全身18カ所を計測し、A Iを用いて最適な下着を提案するサービスで、現在日本国内の12店舗で提供されており年内に数店舗に導入予定だ。「対面接客は苦手」という消費者や体のメンテナンスへの意識が高い20〜30代を中心に、今年の10月末までに約3万人が計測した。「3Dスマート&トライ」の店舗ではカウンセリングルームを設けて予約制でサービスを提供していたが、新型コロナ感染拡大で現在は行っていない。その代わりに登場したのがアバター接客「パルレ」だ。「パルレ」とはどのようなサービスか、ここでリポートする。

 店舗に到着するとカウンセリングルームに案内される。スクリーン上に2人のアバターが登場。ショートヘアの進藤みなみさんか、セミロングヘアの明石舞さん、どちらかを選ぶ。まず、アバターによるカウンセリングがあり、奥の3Dボディスキャナーで計測後、アバターがおすすめのインナーやアドバイスをしてくれるという流れだ。カウンセリングにかかる時間は約1時間。アバターの進藤さんを選び、カウンセリングをスタートした。アバターはお辞儀をしたり、自然な仕草や目線で想像以上にリアルだ。下着に関する悩みや理想のバスト、好みのつけ心地について聞かれた。自分の体に関することなので対面だとどうしても控えめになりがちだが、相手がアバターなのでざっくばらんに話せる。

計測結果やおすすめ商品を丁寧に解説

 3Dボディースキャナーの計測方法の説明があり、セルフで計測が終わるとタブレットに必要情報を入力して登録、そうすると計測データを見ることができる。自分自身の体型を360度客観的に見るのは初めてという人も多いだろう。私自身、想像以上にお尻が下がっていてがっかり。進藤さんは「皆さん、お尻や下腹の話をされます」と言う。このデータをアバターの進藤さんと共有することで、体型の特徴や体型に合う下着選びのポイントを説明してくれる。計測結果のパーソナルシートをはじめ、タブレットでA Iによる商品の提案からお気に入りを選びプリントアウトすることもできる。進藤さんはカウンセリングと計測結果から、「すっきり3/4カップのブラジャーがおすすめです。後ろの棚にサンプルが幾つかあるので、実際商品に触って見てください」と言う。カウンセリングルーム内にある棚からサンプルを取り出して、実際触りながらその商品の特徴について進藤さんが説明してくれる。気に入った商品の在庫が店舗にあれば、購入可能だ。店舗スタッフに頼めば、試着も可能。また、即決しなくてもお気に入りアイテム情報をプリントアウトして、後にワコールウェブストアやショップで購入してもO Kとフレキシブルだ。カウンセリングが終了すると進藤さんは、うやうやしくお辞儀をして、さようならと手を振ってくれた。対面のストレスもなく、可愛らしいアバターとおしゃべりしながら楽しく下着選びができる「パルレ」。しかも、そこで購入しなくてもいいという自由度も魅力だ。カウンセリングルームへの案内以外は、対面接客はなく、全てセルフで完結するコロナ時代にはぴったりのサービスといえる。だが、「パルレ」はコロナ対策ではなく、別の目的から開発されたサービスなのだ。

消費者、販売員どちらにとっても画期的なシステム

 「パルレ」の着想は2019年秋。下着についての相談は抵抗があると人も多い。だが、アバターだったら、相手の顔色を伺うことなくより深いカウンセリングができるのではという理由から。今年に入って、ワコールが持つビューティーアドバイザー(BA)の接客技術とソーシャルデザイン企業のヒーローズのアバターコミュニケーション技術である“アヴァ・トーク(Ava Talk)”を融合させて開発を進めた。ワコールは、システム開発企業のテックファームにシステム開発および運用に関する技術支援を受けている。

 アバターとBAの融合はどのように行われているのだろうか。PCのカメラがBAの動きを感知しアバターに反映。まばたきは連動しているので、とても自然な反応だ。BAがお辞儀をしたり手を振ればアバターも同じ動きをするという仕組みになっている。BAにとっても仕事とはいえ、1時間対面カウンセリングをするのはプレッシャーだという。しかし、アバターを介せばBAも消費者もお互い楽に、悩みや感情の共有ができる。

 また、このシステムは、“接客員は店頭に立たないと仕事ができない”という概念を覆すものでもある。ワコールでは、将来的にこのシステムを活用することで、B Aのリモートワーク環境を実現し、自宅からでも接客できる新しい働き方の創造を目指している。コスト削減や効率化ではなく、消費者もBAも両方ハッピーになれるシステム「パルレ」。これからのアバター接客の大きな布石になりそうだ。

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ワコールのアバター接客体験リポート 本音トークでより深いカウンセリングが可能に

 ワコールは、アバターを活用した新しい接客システム「アバカウンセリング パルレ(以下、パルレ)」を10月末、東京の「3Dスマート&トライ」東急プラザ表参道原宿店に導入した。2019年に同社がスタートした「3D スマート&トライ」とは、3Dボディースキャナーで約5秒でバストをはじめ全身18カ所を計測し、A Iを用いて最適な下着を提案するサービスで、現在日本国内の12店舗で提供されており年内に数店舗に導入予定だ。「対面接客は苦手」という消費者や体のメンテナンスへの意識が高い20〜30代を中心に、今年の10月末までに約3万人が計測した。「3Dスマート&トライ」の店舗ではカウンセリングルームを設けて予約制でサービスを提供していたが、新型コロナ感染拡大で現在は行っていない。その代わりに登場したのがアバター接客「パルレ」だ。「パルレ」とはどのようなサービスか、ここでリポートする。

 店舗に到着するとカウンセリングルームに案内される。スクリーン上に2人のアバターが登場。ショートヘアの進藤みなみさんか、セミロングヘアの明石舞さん、どちらかを選ぶ。まず、アバターによるカウンセリングがあり、奥の3Dボディスキャナーで計測後、アバターがおすすめのインナーやアドバイスをしてくれるという流れだ。カウンセリングにかかる時間は約1時間。アバターの進藤さんを選び、カウンセリングをスタートした。アバターはお辞儀をしたり、自然な仕草や目線で想像以上にリアルだ。下着に関する悩みや理想のバスト、好みのつけ心地について聞かれた。自分の体に関することなので対面だとどうしても控えめになりがちだが、相手がアバターなのでざっくばらんに話せる。

計測結果やおすすめ商品を丁寧に解説

 3Dボディースキャナーの計測方法の説明があり、セルフで計測が終わるとタブレットに必要情報を入力して登録、そうすると計測データを見ることができる。自分自身の体型を360度客観的に見るのは初めてという人も多いだろう。私自身、想像以上にお尻が下がっていてがっかり。進藤さんは「皆さん、お尻や下腹の話をされます」と言う。このデータをアバターの進藤さんと共有することで、体型の特徴や体型に合う下着選びのポイントを説明してくれる。計測結果のパーソナルシートをはじめ、タブレットでA Iによる商品の提案からお気に入りを選びプリントアウトすることもできる。進藤さんはカウンセリングと計測結果から、「すっきり3/4カップのブラジャーがおすすめです。後ろの棚にサンプルが幾つかあるので、実際商品に触って見てください」と言う。カウンセリングルーム内にある棚からサンプルを取り出して、実際触りながらその商品の特徴について進藤さんが説明してくれる。気に入った商品の在庫が店舗にあれば、購入可能だ。店舗スタッフに頼めば、試着も可能。また、即決しなくてもお気に入りアイテム情報をプリントアウトして、後にワコールウェブストアやショップで購入してもO Kとフレキシブルだ。カウンセリングが終了すると進藤さんは、うやうやしくお辞儀をして、さようならと手を振ってくれた。対面のストレスもなく、可愛らしいアバターとおしゃべりしながら楽しく下着選びができる「パルレ」。しかも、そこで購入しなくてもいいという自由度も魅力だ。カウンセリングルームへの案内以外は、対面接客はなく、全てセルフで完結するコロナ時代にはぴったりのサービスといえる。だが、「パルレ」はコロナ対策ではなく、別の目的から開発されたサービスなのだ。

消費者、販売員どちらにとっても画期的なシステム

 「パルレ」の着想は2019年秋。下着についての相談は抵抗があると人も多い。だが、アバターだったら、相手の顔色を伺うことなくより深いカウンセリングができるのではという理由から。今年に入って、ワコールが持つビューティーアドバイザー(BA)の接客技術とソーシャルデザイン企業のヒーローズのアバターコミュニケーション技術である“アヴァ・トーク(Ava Talk)”を融合させて開発を進めた。ワコールは、システム開発企業のテックファームにシステム開発および運用に関する技術支援を受けている。

 アバターとBAの融合はどのように行われているのだろうか。PCのカメラがBAの動きを感知しアバターに反映。まばたきは連動しているので、とても自然な反応だ。BAがお辞儀をしたり手を振ればアバターも同じ動きをするという仕組みになっている。BAにとっても仕事とはいえ、1時間対面カウンセリングをするのはプレッシャーだという。しかし、アバターを介せばBAも消費者もお互い楽に、悩みや感情の共有ができる。

 また、このシステムは、“接客員は店頭に立たないと仕事ができない”という概念を覆すものでもある。ワコールでは、将来的にこのシステムを活用することで、B Aのリモートワーク環境を実現し、自宅からでも接客できる新しい働き方の創造を目指している。コスト削減や効率化ではなく、消費者もBAも両方ハッピーになれるシステム「パルレ」。これからのアバター接客の大きな布石になりそうだ。

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「アグ」がサステナビリティに特化したサイトを開設

 「アグ(UGG)」は10月15日、“環境”“コミュニティー”“革新”の3つの柱に焦点を当てたウェブサイト「フィールグッド(Feel Good)」を立ち上げた。透明性と説明責任を育むことを目的としており、消費者がブランドの活動を知ることで、その影響を理解することができるようになっている。

 1978年創業の「アグ」は、クラシックなシープスキンブーツからアパレル、アクセサリー、ホームウエアへと多角化し、拡大を続けている。同社は2016年にデッカーズ ブランズ(DECKERS BRANDS)傘下ブランドとして国連グローバル・コンパクトに加盟。多様性、ジェンダー平等、女性のエンパワーメント、インクルージョンの重要性を掲げて、3万3000人以上の女性にトレーニングを行い、27年までにその数を10万人とする計画を立てている。

 また、パリ協定に沿って環境への影響を監視し、温室効果ガスの排出量を削減するために専門家のパートナーと協力して活動を開始し、21年までに科学的根拠に基づいた目標を設定することを計画している。さらに27年までにリサイクル、再利用、植物由来素材、バイオ由来素材、認証繊維の使用量を35%増やすことも掲げている。

 アンドレア・オドネル(Andrea O'Donnell)「アグ」ブランドプレジデントに米「WWD」が聞いた。

WWD:新たなイノベーション、そして新たなステップとは何か?

アンドレア・オドネル「アグ」ブランドプレジデント(以下、オドネル):私たちはこれまで、特にウールとリヨセルの混紡“アグプラッシュ(UGGplush)”と、天然ウールの“UGGpure(アグピュア)”を使って、廃棄物を減らし、環境への影響を最小限に抑えることに取り組んできた。さらに、アウトソールの“シュガーソール(SugarSole)”など、革新的なソリューションを含む、エキサイティングな新コレクションも発表する。同コレクションでは、成長が早く、雨水に依存し、灌漑を必要としない再生可能なサトウキビを採用。また、テンセルと植物由来の染料を使用し、化学物質への影響を軽減している。これは、私たちが取り組むイノベーションの一例に過ぎず、今後もシーズンごとに拡大していく。

 パートナーも重要だ。サヴォリー・インスティテュート(THE SAVORY INSTITUTE)とは、非営利団体「ランド・トゥ・マーケット」のプログラムの一環として、再生可能な農業プロジェクトのためのコラボレーションを開始した。同プログラムは、私たちが暮らす土地を保護し、回復させるために農家と協力し、人と地球の両方に良い影響を与えている。また、業界の専門家と協力して、パリ協定の目標に沿った温室効果ガスの計測や排出削減対策支援も行っている。

WWD:なぜサステナビリティに投資するようになったのか?

オドネル:私たちは皆、未来の世代のために地球を守る役割を担っており、このメッセージを伝え、推進していくことが重要だと考えた。それにはまず、自分たちが今どこにいるのかを理解し、環境への影響を最小限に抑えるためにブランドレベルで何ができるのかを正直に評価する必要があった。そこで専門家のパートナーに依頼して、積極的な変化を促進してきた。変化は一朝一夕には起こらないことは分かっているが、私たちは現在地と今後の方向性について、透明性を保ちたいと考えている。

WWD:踏み込んだステップをどのように伝えていくのか?

オドネル:ウェブサイト「フィールグッド」で、私たちの長期的な持続可能性の目標や計画、提携についての情報を提供したいと考えている。“環境”“コミュニティー”“革新”という3つの柱に基づいた活動や情報を閲覧したり、体験することができる。“環境”とは、地球を大切にし、事業が与える影響を最小限に抑えることだ。“コミュニティー”とは、従業員、お客さま、地域社会、そしてその先の人々を第一に考えること。そして最後に、“革新”とは、地域社会と地球のために、より良い製品を生み出すために努力し続けることだ。その3つにどのように取り組んでいるかを発信していく。

WWD:消費者との関係は?

オドネル:「アグ」は、“人々を感じさせる”ことで知られているブランドであり、私たちは消費者と密接で個人的な関係を持っている。サステナビリティと透明性が消費者にとって重要だ。このサイトで私たちの取り組みや計画を共有していく。

WWD:そのような消費者がいるからこそ、持続可能性を高めるための努力が必要か?

オドネル:消費者は私たちの原動力であり、消費者にとっての透明性を保つことが鍵だと思う。ファッションは現実的で、民主的で、同時に野心的なものであり得るというのが、私たちの信念だ。また、美しいだけでなく、革新的で、長持ちし、ポジティブなインパクトを与える商品を作っていきたい。

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「原料といえば伊藤忠」から「環境配慮型素材といえば伊藤忠」へ 循環型経済の実現目指す

 伊藤忠商事はリサイクルポリエステル素材を軸とした「レニュー」プロジェクトを通して、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現を目指す。核となるリサイクルポリエステル素材「レニュー」の原料は中国の協力工場で回収した端切れや残たんに加えて使用済衣服で、年間約3万トンの衣料品生地を回収する。それらを化学的に分解することで元の原料にまで戻し、機能を落とすことなく新しい繊維に再生するケミカルリサイクル技術で、バージンポリエステル同様の安定した染色性と品質を備える。下田祥郎繊維カンパニーファッションアパレル第三部繊維原料課長に話を聞いた。

WWD:「レニュー」を立ち上げたきっかけは?

下田祥郎繊維カンパニーファッションアパレル第三部繊維原料課長(以下、下田課長):私が所属する繊維原料課では2000年頃からコットン生産者のオーガニック農法への移行をサポートするプレオーガニックコットンの販売を開始し、常に環境に重点を置いたビジネスを行ってきた。さらに海外を含めた繊維業界の大量廃棄と環境の問題にわれわれとして何か貢献できないかと考え、19年度に循環型経済の実現を目指す「レニュー」プロジェクトを立ち上げた。

WWD:サステナビリティにはさまざまなアプローチがあるが、循環型に注目した理由は?

下田課長:これまでのペットボトルを原料としたマテリアルリサイクルでは、一度しかリサイクルができないためペットボトルのゴミを繊維のゴミに変えているだけだった。それではサステナブルとは呼べないだろう。繊維で作ったものを繊維にリサイクルして循環させることこそが、繊維業界の責任だと考えたからだ。

WWD:「レニュー」素材の優位性は?

下田課長:バージンポリエステルと同様の機能性と品質を持つことが最大の強みだ。お客さまは繊維から繊維のリサイクルというストーリーの部分に共感していただいているようだ。

WWD:現在はどのようなブランドと取り組んでいる?

下田課長:最近では「H&M」「GU」、デサントの「リ:デサント(RE:DESCENTE)」、アダストリアが手掛ける「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」の一部の商品で採用してもらっている。国内外ともに反応がよく、次の春夏に向けて商品展開を拡大していく。

WWD:トレーサビリティーはどのように担保している?

下田課長:われわれは環境に配慮した繊維素材の普及を進める国際NGOのテキスタイルエクスチェンジ(TEXTILE EXCHANGE)が発行する環境認証GRS(GLOBAL RECYCLE STANDARD)を取得している。これは、毎年の監査でわれわれの部署だけでなく、工場、糸の売り先も同じ基準をクリアすることで、トレーサビリティーのある生産体制を認証する仕組みになっている。

WWD:循環型経済実現に向けた技術で注目しているものは?

下田課長:特に最近増えているのが。イタリアのアクアフィル(AQUAFIL)社が手掛けているようなリサイクルナイロンだ。そのほか、レンチング社のリサイクルレーヨンにも注目している。世界的に繊維業界における温室効果ガス削減への取り組みは加速していくため、これからさらにリサイクル素材は増えるだろう。ケミカルリサイクルはさまざまな技術開発が現在ラボレベルで行われている。それらをどのように商業化していくかが、この5年での課題となるだろう。われわれもそこをサポートしていきたい。

WWD:循環型経済を目指す上での課題は?

下田課長:企業ごとの開発に加えて、消費者の文化レベルで衣料品の回収を定着させる必要がある。以前イタリアに住んでいた時には家の近所に衣料回収ボックスが常設してあり、生活に溶け込んでいた。モノを捨てて焼却するのが当たり前になっている日本では、新しい制度や仕組み作りから取り組むべきだろう。

WWD:「ファッション協定(The Fashion Pact)」のようなグローバルな枠組みに参加する予定はあるか?

下田課長:まずはテキスタイルエクスチェンジの会員として、カンファレンスに参加し意見交換している。ほかにも、エレンマッカーサー財団や環境NPOのキャノピー(Canopy)ともコミュニケーションが取れている。同時に当社が繊維業界の旗振り役となり、日本での枠組み作りにも取り組んでいきたい。9月にはクラボウと業務資本提携を結び、環境を軸にしたコンソーシアム作り目指すことを発表した。ここから消費者も巻き込んだ循環型社会を目指していく。サステナビリティは、業界全体が手を取り合って取り組むべき課題だ。「レニュー」プロジェクトは横のつながりを作るための一つのツールとしても機能するだろう。これまでは「原料といえば伊藤忠」とうたってきたが、今後は「環境素材といえば伊藤忠」というステータスを世界で作っていきたい。

WWD:「レニュー」プロジェクトの今後の目標は?

下田課長:消費者が欲しいと思って買った商品が、実は「レニュー」素材を使っていた、というような世界の実現を目指す。しかし、まだ完全にクローズドループは実現できていない。回収して繊維に戻す工程をわれわれとしてもさらに注力していきたい。究極の目標は、世界各地でこのプロジェクトを地産地消できるまでに拡大していくことだ。

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まだ、あなたが知らないニューヨーク最新トレンド 女性初副大統領の登場で沸くファッション業界 Arrival of New Ladies

 ニューヨークのファッション業界で活躍するクリエイティブ・ディレクター、メイ(May)と、仕事仲間でファッションエディターのスティービー(Stevie)による連載も第15回。“You’d Better Be Handsome”では、トレンドに敏感なレイチェル(Rachel)も加って、ニューヨークのトレンドや新常識について毎回トーク。今回のテーマは、バイデン勝利で終わった大統領選挙から生まれた新世代のアイコン、カマラ・ハリス、そしてトランプのテイラースーツなどなど。

 1週間続いた冷たい雨がやみ、初冬にしては暖かい外の陽気に久しぶりに外でランチをせずにはいられなかった今回は、オフィスからも近くトライベッカの住人から長く愛されている「ペトラーカ カックチーネ ヴィノ(PETRARCA CUCINA E VINO)」をチョイス。シェフのレオナルド・プリト(Leonardo Pulito)と2人の息子、さらにボスと呼ばれる奥さんの家族経営ならではの温かな本場のイタリアン料理を楽しめる。
34 White St, New York, NY 10013

メイ:長い長い大統領選挙がようやく終わったはずなのに、なんだかスッキリしないよね。

スティービー: ドナルド・トランプ(Donald Trump)が負けを認めずゴルフばっかりやっているから?彼の護衛や家族も、彼が大統領じゃなくなると無職になるからか粘っている。こうなることは分かっていたとはいえ醜い。

メイ:実際のところ、引退したトランプを待っているのは、数多くの裁判だろうし。返済しないといけない借金や未払いの税金も山のように抱えていて、それを選挙の不正とかいって時間稼ぎしている。

レイチェル:それにしても今回よく分かったけど、アメリカが広いとはいえ、ウソばかりついて何にもしないトランプをヒーローのように祭り上げる人たちが多くいて、本当に衝撃だった。選挙の後も、トランプのニセ情報に踊らされて、選挙に不正があったと抗議したり。自分たちに有利だと票を数えろと言い、不利になりそうだと票を数えるなと言う。

スティービー:破茶滅茶過ぎてストレスになるから、もうニュースを見ないという人たちがニューヨークにも多くいるけど、それももっとも。いまセラピーに通う人たちは、ストレスの理由の一つに大統領選挙を必ず挙げるらしい。ただ今回の選挙を見ているなかで、ジャーナリズムの重要性というか、作り話をネタ元も確認せずにすぐ信じる人たちがたくさんいて驚かされた。

メイ:いちばんいい例がキューアノン(QAnon)。ジョー・バイデン(Joe Biden)をはじめ、前大統領のバラク・オバマ(Barak Obama)や大統領候補だったヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)といった民主党の数名、セレブリティーらが児童売春の組織を運営しているという陰謀論。

レイチェル:それだけでも不明な発想なのに、その救世主としてトランプが登場するんだから、みんなしっかり目を開いてほしいと思う。トランプが困っている子どもを助けに行くような大統領だったら、アメリカで新型コロナの死者が250万人に達するいま、ワクチンをニューヨーク州にはあげないとか、幼稚園児みたいな発言はしていないはず。

スティービー:ソーシャルメディアも、右寄りの人たちには、右寄りの情報ばかりが入っていくシステムだから、自分で情報源をきちんと選ばないと。当たり前のこととはいえ、一人一人が真実とウソを見分けていく力、メディアリテラシーを身につけていかないと。もちろんアメリカだけの話ではなくて。

初女性副大統領に興奮のファッション界

レイチェル: 先行きが見えない2020年だけど、残すところ1カ月。それにしても、勝利演説のときのカマラ・ハリス(Kamala Harris)新副大統領は白いシルキーなパンツスーツで、まさにハンサムウーマン。久々に希望が見えた!

メイ:あれは「キャロリーナ・ヘレラ(CAROLINA HERRERA)」のパンツスーツだったらしい。18年からは、ウェス・ゴードン(Wes Gordon)がクリエイティブ・ディレクターを務めているけど。キャロリーナ自身はベネズエラ出身。カマラは初の女性副大統領として、女性が創業者のブランドを選んだのかしら。

スティービー: 堂々としているからか、彼女ってミシェル・オバマ(Michelle Obama)ほどではないとしても、身長も高いのかと思っていたら、身長が157cmと知って驚いた。

メイ:それは意外、少なくとも170cmくらいはありそうだったから。ミシェル・オバマも、メラニア・トランプ(Melania Trump)も、身長180cmと大きいからね。ちなみにトランプは190cmあるらしいけど…。

スティービー:ファーストファミリー(大統領一家)ではないけれど、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)も大きく見えて、実際は155cmくらいらしい。彼女の場合はあらゆる手を尽くして背が高く見えるようにバランスを研究しているだろうけど、カマラと共通しているのは堂々とした存在感。

メイ:ミシェル・オバマが、アメリカのデザイナーの服を積極的に着てプロモートしたことは記憶に新しい。就任式にはジェイソン・ウー(JASON WU)のドレスを着たことで、彼の知名度が一気にアップしたり。アメリカのデザイナーたちには、振り返ってみるといい時代だった。それを指揮していたのが、シカゴのセレクトショップ、イクラム(IKRAM)。

レイチェル:一方のメラニアは、モデル出身で何でも似合うルックスなのに、アンチトランプばかりが圧倒的に多いニューヨークのファッション業界からは歓迎されていなかった。

スティービー:そういう意味でも4年ぶりにファッション業界も可能性を感じている。ファーストレディーで大学教授のジル・バイデン(Jill Biden)は、勝利宣言のとき「オスカー デ ラ レンタ(OSCAR DE LA RENTA)」を着用していたね。カジュアルだけど華のあるデザインだった。

レイチェル:故オスカー自身はドミニカ共和国出身のデザイナー。16年から韓国出身のローラ・キム(Laura Kim)と、ドミニカ共和国出身のフェルナンド・ガルシア(Fernando Garcia)が共同クリエイティブ・ディレクター。キャロリーナ・ヘレラも、オスカーも、歴代のファーストレディーに愛されてきたブランド。

メイ:カマラみたいに初の女性副大統領として歴史を大きく変えている人には、今後は新しいデザイナーブランドにも挑戦してほしいな。

スティービー:こういう場合、アメリカのデザイナーが中心になるとは思うけど、最近元気のないニューヨークのファッション業界に誰がいる?

レイチェル:そうね、現在CFDA(アメリカファッション協議会)の会長も務めるトム・フォード(Tom Ford)とかはどうかな?似合いそうじゃない?シルキーなパンツスーツに、彼女のシグニチャーであるパールネックレスで。

メイ:あとは、今回もバイデン新大統領を一生懸命応援していたレディー・ガガ(Lady GaGa)のスタイリストもしていたブランドン・マックスウェル(Brandon Maxwell)、シックに「ザ・ロウ(THE ROW)」、または「ガブリエラ ハースト(GABRIELA HEARST)」とかも似合いそう?

スティービー:イメージとしては、「ダナ キャラン(DONNA KARAN)」とかもいいかと思うんだけど、最近はどこで売っているかよく分からないから残念。それか、「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」、「ダナ キャラン」で経験を持つ、ネリー・パートウ(Nellie Partow)のアメリカンスポーツウェアブランド、「パートウ(PARTOW)」もカマラにとても似合いそう。

レイチェル:ネリー自身も小柄でかつ有色人種の女性デザイナー。カマラにぜひ着てほしい。それと個人的には、「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」とかも似合いそうと思っている。ディレクションだけでなく、今では数少ない(?)服を作れるデザイナー兼ディレクターであるマークは、店頭で見る派手なものだけでなく、ジャケットなどの少し硬い服も再評価されてもよいころかと。

メイ:どちらにしても、ホワイトハウスに女性がいる方がファッション界的には話題があっていいよね。

スティービー:誰も話題にしないけど、トランプって実はブルックリンにあるカルト的テイラー、マーティン・グリーンフィールド(Martin Greenfield)に仕立ててもらっていたのは知ってた?

レイチェル:え?あのダブダブのシルエットのスーツ?マーティン・グリーンフィールドって、どちらかというと細身のシルエットかと思っていた。「トム ブラウン(THOM BROWNE)」のスーツとかも仕立てていたような記憶が。オバマ前大統領のスーツとか。

スティービー:何着か仕立てただけだと思うけど。ほかにもトランプは「ブリオーニ(BRIONI)」を愛用しているらしいけど、全く気付かなかった。

メイ:前副大統領というか新大統領のバイデンは、すらっとスーツをかっこよく着こなしているけどね。どこのブランドかまでは分からないけど、体にフィットしているという印象。

政界のニューミューズ

レイチェル:大統領レベルではないけれど、AOCの頭文字で知られるニューヨーク出身の若手アレクサンドラ・オカシオ・コルテス(Alexandra Ocasio-Cortez)議員も、最近「ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)」誌の表誌を飾ったり、話題の女性政治家よね。

スティービー:19年の当選のときはウエイトレスをしながら選挙活動をしていたという!当時29歳。おしゃれにすごく敏感というわけではなさそうだけど、「ヴァニティ・フェア」誌ではいろんなスーツをクールに着こなしていたという印象。

レイチェル:フォトグラファーは、「ヴォーグ(VOGUE)」史上初めてカバーを撮影した黒人フォトグラファーのタイラー・ミッチェル(Tyler Mitchell)が担当。ワードローブも、クリストファー・ジョン・ロジャーズ(Christopher John Rogers)やウェールズ・ボナー(Wales Bonner)ら注目の若手から、キャロリーナ・ヘレラや「ロエベ(LOEWE)」など大御所からビッグブランドまで、面白い企画だった。

メイ:今年はどんなセレブリティーよりも、政治家が良くも悪くも目立っていたから。AOCは彼女のスタイルというよりも、発言力で目立ってはいるんだけどね。

レイチェル:夏に「VOGUE.COM」の人気ビデオシリーズ、ビューティシークレット(Beauty Secrets)で、彼女自身の毎日のルーティンを披露していた。

スティービー:鏡に向かって自分で語りながら、すっぴんからメイクしていく人気シリーズだね。ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)、ミランダ・カー(Miranda Kerr)、ヴィクトリア・ベッカム(Victoria Beckham)、リアーナ(Rihanna)、ベラ・ハディッド(Bella Hadid)、マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)、渡辺直美、水原希子までゴージャスなラインアップ。

メイ:政治家は見かけたことがないような。AOCいわく、毎日テレビに出たり、さらにニューヨークとワシントンDCを行ったり来たりの生活らしいけれど、コントゥアーもカーダシアン並みにしっかり入れ、ハイライトもきちんと入れ、熱い演説のようなトークをしながらも、レッドリップスティックで仕上げるテクニックは見ていて気持ち良かった。

レイチェル:周りの人々からどう思われるかではなく、自分を愛するという意味でメイクアップが彼女にとっては大切だという。ビューティ哲学の根本を語ってくれた気がする。ミレニアル世代として、メイクアップはユーチューブで学んだらしいけどね。

スティービー:彼女のファンが増えるのも分かるね。米「ヴォーグ」のアナ・ウィンター(Anna Wintour)編集長も彼女のことを褒めていたよね。スタイルではなく、彼女が話していることの本質にもっと目を向けるべきと。

メイ:AOCが仲良くしている若い女性議員が何人かいて、彼女たちの今後の活躍も期待したい。

メイ/クリエイティブディレクター : ファッションやビューティの広告キャンペーンやブランドコンサルティングを手掛ける。トップクリエイティブエージェンシーで経験を積んだ後、独立。自分のエージェンシーを経営する。仕事で海外、特にアジアに頻繁に足を運ぶ。オフィスから徒歩3分、トライベッカのロフトに暮らす

スティービー/ファッションエディター : アメリカを代表する某ファッション誌の有名編集長のもとでキャリアをスタート。ファッションおよびビューティエディトリアルのディレクションを行うほか、広告キャンペーンにも積極的に参加。10年前にチェルシーを引き上げ、現在はブルックリンのフォートグリーン在住

レイチェル/プロデューサー : PR会社およびキャスティングエージェンシーでの経験が買われ、プロデューサーとしてメイの運営するクリエイティブ・エージェンシーで働くようになって早3年。アーティストがこぞってスタジオを構えるヒップなブルックリンのブシュウィックに暮らし、最新のイベントに繰り出し、ファッション、ビューティ、モデル、セレブゴシップなどさまざまなトレンドを収集するのが日課

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ロート製薬が化粧品の廃棄ロスに取り組む理由とは 「汗水流して作った製品が大量廃棄されることに心が痛んだ」

 ロート製薬はこのほど、化粧品・日用品の廃棄ロスや廃棄物を減らす取り組みの一環として、2つのプロジェクトを始動した。1つはロハコと協業して、従来は廃棄処分対象となっていた製品で品質に問題ないものをアウトレット売り場で再販売することを7月に始めた。もう1つは、マツモトキヨシと共同で始めた「地球も肌も潤うリサイクルプログラム」と題し、全国のマツキヨ ラボでスキンケア製品(他社製品も含む)の空き容器の回収を行うものだ。

 化粧品は使用期限が設定されているものもあり、毎年大量の製品が廃棄処分されている。そのことから、同社は化粧品業界ではほとんど行われていないアウトレットを活用を決めた。また、化粧品業界のプラスチック消費量も問題になる中で自社製品の空き容器の回収は化粧品ブランドでも最近増えているが、メーカーが他社製品も回収対象にするのはめずらしい。以前からもさまざまなサステナビリティ施策を行ってきたが、同社は日本をけん引する製薬メーカーとして、まだ課題が多く残る化粧品の廃棄ロスの減少を目指す。そこで自身も数多くの商品開発に携わり現場を見てきた角田康之マーケティング&コミュニケーション部部長に、プロジェクト始動のきっかけや思いを聞いた。

WWD:廃棄ロスは化粧品業界でも大きな問題になっている。今回の取り組みを始めるきっかけは?

角田康之ロート製薬マーケティング&コミュニケーション部部長(以下、角田):まず、メーカーの役割が変わったことが大きい。作る側の責任はより良い製品を作って、買って頂いたらそれで終わり、ではなくなっている。また、ビューティ・日用品業界においても、大量生産・大量消費を前提としたビジネスモデルの時代ではなくなっている。環境や人間以外の生命にも配慮した容器・成分などにフォーカスした、よりサステナブルな製品設計が必要だ。今後は、お客さまが製品を手に取っていただくまでの間、使っていただく最中、そして使い終えたあとの製品がどのような形で環境に戻るか、製品のライフサイクル全てにおいて作る側に責任があると考える。廃棄を減らす、サーキュラーエコノミー型ビジネスを目指さなければ、と考えていた。

さらに背景を話すと、われわれはシーズンに特化した製品やブランドを多く手掛けている。例えば1980年代後半に誕生した「アルガード」という花粉症対策のトップブランドを抱えているが、製品は花粉の飛散期は大きな売り上げを作っている。しかし花粉シーズンが過ぎると、相当量が小売店から返品されることもあった。日焼け止めブランド「スキンアクア(SKIN AQUA)」もカテゴリーで大きなシェアを持っているが、1990年代後半から日焼け止め市場も拡大傾向となり、花粉カテゴリー同様にピーク時にに向けて十分な商品供給を行なったことでシーズン終了とともに返品が増える傾向にあった。日焼け止め以外にも、制汗剤、リップ、皮膚治療薬など、所有する人気ブランドの製品の多くがいわゆる季節商材であり、季節が終わるとその多くは返品となっていた。実際に製品開発にも携わっていたが、工場に製品が大量に返品され、ゆくゆくは廃棄処分されることを想像すると、汗水流して製品を作っている側としては心が痛む思いだった。

小売店側も同様で、多くは季節の変わり目に合わせて店内の品ぞろえを大きく変更し、シーズン商品は棚替えのタイミングで返品が増える。これらシーズン商品は短期間で集中的に販売するため、大量に陳列してお客様にアピールする必要があり、緻密に計画しても売れ残りはどうしても発生してしまう。取り扱い店舗数が多い、生活必需品の人気ブランドほど、返品数絶対値も多くなる傾向にあるだろう。売らんがためのビジネスによって大量に作り、返品も多く生み出す……。じきにこの現象は、社員の間でも課題意識が高まっていた。

WWD:品切れを起こさないためにも少し多めに生産することは理解できるが、大量返品を防ぐために需要を予測し、それだけの分を作ることはやはり難しいのか?

角田:季節商材は天候が大きく影響するので、どうしても生産時点で正確に予測を立てることが難しい。例えばどんなに「今年は夏が長い、猛暑が続く」と予報されていても、実際は曇りの日が多かったりすると、日焼け止めの売り上げは左右される。返品抑制のための試行錯誤は長年繰り返してきており、メーカー1社だけで動いても成果が出ないと考え、お客さまの動向をいち早くキャッチできる小売りとの議論を重ねてさまざまな対策を打ってきた。その一例が、全国有数の小売りから販売POSデータを購入し、適正在庫・適正発注量コントロールによってリニューアルや季節品・棚替えに伴う返品を減らす対策。小さな一歩でも、新しい取り組みを続けてきたと思う。そんな試行錯誤を繰り返している中で、アスクルのロハコから新しい返品廃棄の削減取組のお話をいただき、またマツモトキヨシとは業界での環境問題に対する課題認識をお互いに話し合う中で、取り組みの必要性を強く感じ、協業することになった。

WWD:アウトレットで再販する製品の基準は?

角田:基本的に未開封かつ品質的に長期間保存しても変質しにくいアイテム。一般製品と同様に、製薬会社としての品質管理基準にかなった製品だけを販売することにしている。基準は社内で議論を重ね、100%廃棄することにしていた店頭戻り品と、廃棄率がきわめて高かった旧商品の不動在庫の中から選んでいる。ロット、使用期限の管理の徹底などを盛り込んだ「選定基準」をそれぞれの商品ごとに細かく定めている。

WWD:自社の製品の空き容器回収をしている企業はほかにもある。他社製品も回収対象にするのはコストや手間もかかると思うが、あえてそうする理由は?

角田:基礎化粧品カテゴリーでは、「肌ラボ」はブランド全体で販売個数がナンバーワンで、ゆえにプラスチックの排出量も多い。発売時から詰替えパウチを準備するなど製品単位では無駄を省くことは常に考えてきたが、カテゴリー全体で環境への取組を加速化させていきたいと考えた。また、正直に言えばリサイクルするにはボリュームが必要。ペットボトルなど生産量・消費量が多大なものは大量にリサイクルの資材が出るため再利用できているが、われわれの場合自社製品だけだと足りないため、他社製品も受け付けることにした。リサイクルした製品は、今後植木鉢にして再生させ、地球にも社会にもやさしく潤いを与えられるようにしていきたい。

WWD:ファッションは某ラグジュアリーブランドが洋服を廃棄処分したことで炎上したり、一部のファストファッションも問題になっていたりする。一方で化粧品の廃棄ロスはそこまで話題になっていないように感じる。

角田:化粧品は基本的には3年以上の使用期限を担保している。1年で販売しきれなくても、もう1シーズン販売することが可能。シーズンごとに製品を入れ替えるファッションと違って化粧品、特に通年売れるような定番製品は長く販売できる。店頭に置ける。ファッションや食品に比べるとサイクルが長いことから、店頭まで並ばずに廃棄される商品の量は他の業界と比べても少ないかもしれず、棄物量総量の規模は違うかもしれない。でも、どんなに数量が少なくても無駄が発生し環境に負荷をかけているのは事実。またシーズン終盤によるディスカウントやアウトレットも、まだ常識とまではなっていない。依然、店頭からの返品が生まれてしまう状況にはあるので、これは課題だと考えている。

WWD:今後、どのようにプロジェクトを拡大させていきたいか?

角田:ロハコとの取組はすべての返品商品が再販売できているわけではないので、品質確認体制や流通協力体制を整えて出来る限り無駄をなくすべく、取扱商品を増やしていきたい。またマツモトキヨシとの取組みについては結果をお互いに確認しながらどういった環境取り組みが出来るのか?議論を重ねていきながらお互いの課題認識を合わせてさらなるアクションにつなげて行ければと考えている。作る側の責任として、地球に優しい製品設計に加え、廃棄ロスを削減することは、今後も取り組むべき重要な課題。化粧品も、大量生産・大量消費をしてきた時代もあったが、これからは、小売店様とも協力しながら問題提議や取り組みを続けていきたい。

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この週末は「ザラ」と「日経電子版」アプリを エディターズレター(2020年8月21日配信分)

※この記事は2020年8月21日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

この週末は「ザラ」と「日経電子版」アプリを

 UI・UXとクリエイティブの両立は、正直なかなか難しいものであります。例えばSP(スマートフォン)で見るウェブメディアの場合、私は、デザインは「WWDJAPAN.com」風と「TOKION」風に大別されると考えています(笑)。乱暴に言えば、前者は全世代に向けた情報サイトの王道で、後者はデジタルネイティブ世代に重きを置いたイマドキのデザインでありUI・UXです。「日経電子版」は「WWDJAPAN.com」風、「MEN’S NON-NO WEB」は「TOKION」風など、多くのメディアは2つのグループのいずれかに属すると思っています。「FASHIONSNAP.COM」は、両者の中間っぽいカンジでしょうか?独特なのは、「新R25」です。

 各社・各ブランドが積極開発したり、既存のサービスを利用したりで広がり続けるオンライン買い付けシステムについては、「SSENSE」や「マッチズファッション ドットコム」を思わせるUI・UXを採用するケースが多いように思います。実際、「それを意識しています」という開発担当も多いです。大手ECやプラットフォームはUI・UXを研究し続けているでしょうし、私たちも慣れてきましたよね。となると、多くのデザインがそこに収斂されるのは当然のハナシです。

 数年前は、「バーバリー」や「セリーヌ」「フルラ」など、あらゆるブランドのロゴがサンセリフ体の太字に変わり、ニュースに触れるたび私たちは「『バルマン』よ!!お前もか……!?」と、シェイクスピアの悲劇よろしくニュースをお伝えしました。アレなんかはまさに、「スマホの画面の中で、高速でスクロールされちゃうSNSのタイムラインの中で、どんな書体に変えたら視認性が高いだろう?」を考えた末の決断かと思われます。「クリエイティブか?」と聞かれたら、下の記事の通り賛否両論あるでしょう。でもUI・UX的デジタル観点から考えれば「ベター」。ゆえにUI・UXとクリエイティブの両立は、なかなか難しいと思うのです。

 そんな中、「やっぱスゴいな」と思うのは、「ザラ」のスマホアプリです。皆さん、最近ご覧になってますか?最近、ちょっとシンプルになった感はあるのですが、それでもなお先鋭的。全画面表示を基本に、モーションてんこ盛り。画面が上下左右から飛び込んできます。正直ありがちなUI・UXに慣れきった人には、多分チョット使いづらい(笑)。でも「これは、未来かもしれない」と思わせてくれるのです。ごくごく一部の消費者に向けたブランドならまだしも、「ザラ」ですからね。「ザラ」が提供するEC体験は、「将来のメジャーになるのだろうか?」なんて考えながら操作すると、Z世代のスマホ使い含め学ぶべきが多いと思います。

 メディアの世界では、「WWDJAPAN.com」風なんて生意気申し上げましたが、「日経電子版」の「ビジュアルデータ」というコンテンツに未来を感じます。トップページ下段のタブを、一番右までスクロールしてください。既存のニュースを、クリッカブルなモーション付きで再構築してデータ化。「この1タップで、1PV?」なんて考えながら、イロイロ操作しています。新たな取材はほとんどせずに価値を生み出す挑戦は、編集者としても学ぶべきが多いです。みなさま、ぜひお試しあれ。そして未来を感じるUI・UXがありましたら、ぜひ教えてください。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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「グッチ」「プラダ」も採用するリサイクルナイロン 創業者に開発秘話を直撃

 イタリアのアクアフィル(AQUAFIL)が開発したリサイクルナイロン「エコニール(ECONYL)」に環境配慮型素材として世界中から注目が集まっている。「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」「グッチ(GUCCI)」「バーバリー(BURBERRY)」「H&M」などサステナビリティを推進するブランドがこぞって採用。特にインパクトが大きかったのは、環境意識の高まりを受けて、ナイロン製品を主力の一つとする「プラダ(PRADA)」が、21年までに使用するナイロンを全て「エコニール」に切り替えると発表したことだろう。

 「エコニール」は漁網や使い古したカーペットなどの廃棄物を100%原料にしたリサイクルナイロンで、アクアフィル社は廃棄物をナイロンの原料に戻す技術を4年かけて開発した。しかもこの過程で使う溶剤は無害なもので、これまでになかった画期的な技術で特許も取得している。実はアクアフィルはこの技術開発の10年以上も前から、リサイクルナイロンの開発に力を入れていた。なぜ、リサイクルナイロンなのか。ジュリオ・ボナッツィ(Giulio Bonazzi)会長にオンラインインタビューを行った。

WWD:「エコニール」を開発しようと思ったきっかけは?

ジュリオ・ボナッツィ会長(以下、ボナッツィ会長):人は「生きるか死ぬか」ではなく「どのように生きるか?」ということが大切で、私は“エコニール”で一つの答えを出したかった。合成繊維は石油からできていて、エネルギーをたくさん消費します。加えて、そうした石油から作られたものが海にたくさん捨てられていて地球にとって有害なものになっています。私たちは今、できることをやらなければならないのです。

WWD:あなた自身の中で環境への意識が高まったきっかけを教えてください。

ボナッツィ会長:まず、妻から学びました。私たちは結婚した当初、2000本のオリーブの木がある畑の中で暮らし始めました。私の家族所有の畑でしたが、ほぼ放置された状態。そこで妻は、有機栽培でオリーブオイルの生産を始めました。今ではビオロジック(有機栽培でブドウを育て自然酵母で発酵させる製法)のワインも生産しています。今でこそ、有機栽培やビオロジックは普通になっていますが、30年前はまだ珍しかったんです。

そして、1990年代半ばに本を読んで知った業界の改革者の2人から影響を受けました。一人目は、タイル型になった(四角い形の)カーペットを作ったレイ・アンダーソン(Ray Anderson:タイルカーペット世界シェアナンバーワンの米国インターフェイス〈Interface〉社の創業者。廃棄物ゼロ、環境に悪影響を与えない排出、再生可能エネルギーの利用、再利用材やバイオベース素材の利用などで2020年までに環境への負荷をゼロにすることに取り組む)。そして、もう一人は「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」と「エスプリ(ESPRIT)」の創業者ダグ・トンプキンス(Douglas Tompkins:パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナード〈Yvon Chouinard 〉と並んで環境保護活動家としても知られる)です。この2人が、“変えることができる”と教えてくれました。

WWD:もともとアクアフィルはレインコートの製造から始まり、そこからナイロンの糸やテキスタイルの製造を始めました。

ボナッツィ会長:まずは90年代に、プレコンシューマーの素材(製造工程などで出る端切れなど)からリサイクルナイロンを作ろうと技術開発を始めて、10年後の2007年に作れるようになりました。これが最初の「エコニール」でした。けれど、もっとポテンシャルが高い技術開発をしなければと、さらに開発を加速させることを決めました。

WWD:というと?

ボナッツィ会長:どんなタイプのナイロンでもリサイクルできる機械があればと思いませんか?そこで、当時ケミカルリサイクルで主流だったポリマー(重合によってできる高分子化合物のこと)にとどまらず、さらにさかのぼったモノマー(単量体。高分子であるポリマーの分子結合を分解した状態)に戻す技術開発に取り組み、ナイロンの原料であるカプロラクタムまで戻す技術“デポリマライゼーション”を4年かけて開発しました。11年に初めていろんなナイロンの廃棄物から、リサイクルナイロンが作れるようになりました。

WWD:「エコニール」の優位性を教えてください。

ボナッツィ会長:「エコニール」はマジカルな商品で、ポリエステルやポリプロピレンといった他のマテリアルを使っている部分の代替品になれます。そして、染色されたさまざまな廃棄物を再生できる技術は他にはありません。他社のリサイクルナイロンは自社の何も加工されていない廃棄物をリサイクルしていて、それは比較的簡単です。

エコニールの基本的な特徴は3つあります。100%廃棄物からできているので、地球の資源を使わずに無限に繰り返し利用ができます。そして、エンジニアやデザイナーが作りたいと思うものの可能性が無限です。通常のナイロンに比べてエネルギー消費量は60%削減できていて、われわれは自然エネルギーを用いているので、通常のナイロンに比べてCO2排出量は90%削減できます。

WWD:原料は全て漁網などの使い古した素材なのですか?

ボナッツィ会長:50%がポストコンシューマー(使用済み、使用できなくなった製品)からという規格を作っています。その多くは漁網かカーペットです。今、漁網は海を汚染していると問題になっているので漁網を用いることはとても重要です。私たちはNGOと組んで、破棄された漁網などの漂流ゴミを取り除くこともしています。そして、なぜカーペットか、というとわれわれはカーペット用の糸のサプライヤーとして世界でトップシェアを誇っています。ですので、カーペットの循環を作り上げることはとても大事です。もう半分の50%というのはプレコンシューマー素材です。われわれが再利用するまでは、誰もそれをリサイクルしなかった。重要なのは、今まで誰も扱っていなかった、リサイクルできなかったものをリサイクルするということです。

WWD:材料となる廃棄物はどのように回収するのですか?

ボナッツィ会長:プレコンシューマー素材は私たちの取引先から回収しています。例えば「グッチ」「ステラ マッカートニー」「スピード(SPEED)」などです。漁網の回収で一番簡単なのは養殖をしているところに取りに行くこと。漁網は世界各国のものを集めています。日本から届くものもありますよ。

WWD:回収するにあたり難しいことは?

ボナッツィ会長:今市場に出ているほとんどの商品は、最終の目的を考えずに生産されています。例えば魚網は、100%ナイロンでできていない場合もあるし、危険な物質が入っている場合もあります。

WWD:リサイクル前提にしたデザインが求められていますよね。

ボナッツィ会長:リサイクルしやすいモノを作ることを始めた企業も増えてきました。例えばVFコーポレーションの「ナパピリ(NAPAPIJRI)」は、ジャケットを100%ナイロン6(エコニール)で作ることを試みました。ライニングもファスナー全てナイロン6で作るので完成まで3年かかりました。

WWD:現在の「エコニール」の生産量は?

ボナッツィ会長:年間4万トンです。昨年大きな投資をして、機械を大きくして今年完成し、6万トンまで生産できるようになりました。昨年の当社の売上高の38%が「エコニール」です。目標は5~6年以内に商品を100%廃棄物から生産することです。

WWD:昨年の売上高と今年の見込みは?

ボナッツィ会長:昨年は5億4900万ユーロ(約675億円)でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響と原油の価格下落で20%減ぐらいになるでしょう。

WWD:技術開発のチームについて教えてください。

ボナッツィ会長:アクアフィルの内部だけでなく、いろんな大学の研究室やリサーチセンターと協力しています。イタリア、ドイツ、アメリカ、スロベニア4カ国のリサーチセンターと組んでいますが、研究のために年商の2%を投資しています。今現在、新型コロナウイルスの問題が起こっていますが、それにもかかわらず会社内部のリサーチ部の人数を増やしました。今世界中で起こっている問題を解決していくためには、リサーチが一番重要だと思うからです。

WWD:人数を増やすということはさらなる新技術の開発に取り込んでいるのですか?

ボナッツィ会長:はい。「エコニール」の旅は始まったばかりで、いろいろな問題があります。完全なものにするには研究が欠かせません。循環性を高めるために、簡単にリサイクルできるようにすることに取り組んでいます。方法は2つあります。モノマテリアルで作るか、分解しやすいものを作るか。

WWD:「エコニール」で資材も作っているということですか?

ボナッツィ会長:ファスナーや、ボタン、面ファスナーなどに取り組んでいます。そしてもう一つ、染料の原料に少し問題があります。今、化学染料を使っているのですが、より環境に配慮した染色ができないかも研究しています。大前提として商品は美しくなくてはいけません。そうじゃないと誰も買いませんから。

WWD:今、「エコニール」でどういうものが作れますか?

ボナッツィ会長:いろいろな種類の商品ができますよ。これは(画面で見せながら)私の「プラダ」のリュックですが、「グッチ」のスニーカーも持っています。妻は「ステラ マッカートニー」のリュックや「バーバリー」のレインコート、「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」のサングラスを持っています。

WWD:メーカーは今何kgから購入可能なのですか?

ボナッツィ会長:スタンダードのものであれば、50kgから可能ですが、商品のタイプにもよります。カーペットに関しては、カーペット用の材料として色を染めたもので100kgから可能です。

WWD:最後にボナッツィさんが考える環境に配慮した素材はどんなものだと思いますか?

ボナッツィ会長:環境に対してリスクのある物質を使わないもの、地球の資源を消耗しないもの。だからとても難しいんです。

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「グッチ」「プラダ」も採用するリサイクルナイロン 創業者に開発秘話を直撃

 イタリアのアクアフィル(AQUAFIL)が開発したリサイクルナイロン「エコニール(ECONYL)」に環境配慮型素材として世界中から注目が集まっている。「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」「グッチ(GUCCI)」「バーバリー(BURBERRY)」「H&M」などサステナビリティを推進するブランドがこぞって採用。特にインパクトが大きかったのは、環境意識の高まりを受けて、ナイロン製品を主力の一つとする「プラダ(PRADA)」が、21年までに使用するナイロンを全て「エコニール」に切り替えると発表したことだろう。

 「エコニール」は漁網や使い古したカーペットなどの廃棄物を100%原料にしたリサイクルナイロンで、アクアフィル社は廃棄物をナイロンの原料に戻す技術を4年かけて開発した。しかもこの過程で使う溶剤は無害なもので、これまでになかった画期的な技術で特許も取得している。実はアクアフィルはこの技術開発の10年以上も前から、リサイクルナイロンの開発に力を入れていた。なぜ、リサイクルナイロンなのか。ジュリオ・ボナッツィ(Giulio Bonazzi)会長にオンラインインタビューを行った。

WWD:「エコニール」を開発しようと思ったきっかけは?

ジュリオ・ボナッツィ会長(以下、ボナッツィ会長):人は「生きるか死ぬか」ではなく「どのように生きるか?」ということが大切で、私は“エコニール”で一つの答えを出したかった。合成繊維は石油からできていて、エネルギーをたくさん消費します。加えて、そうした石油から作られたものが海にたくさん捨てられていて地球にとって有害なものになっています。私たちは今、できることをやらなければならないのです。

WWD:あなた自身の中で環境への意識が高まったきっかけを教えてください。

ボナッツィ会長:まず、妻から学びました。私たちは結婚した当初、2000本のオリーブの木がある畑の中で暮らし始めました。私の家族所有の畑でしたが、ほぼ放置された状態。そこで妻は、有機栽培でオリーブオイルの生産を始めました。今ではビオロジック(有機栽培でブドウを育て自然酵母で発酵させる製法)のワインも生産しています。今でこそ、有機栽培やビオロジックは普通になっていますが、30年前はまだ珍しかったんです。

そして、1990年代半ばに本を読んで知った業界の改革者の2人から影響を受けました。一人目は、タイル型になった(四角い形の)カーペットを作ったレイ・アンダーソン(Ray Anderson:タイルカーペット世界シェアナンバーワンの米国インターフェイス〈Interface〉社の創業者。廃棄物ゼロ、環境に悪影響を与えない排出、再生可能エネルギーの利用、再利用材やバイオベース素材の利用などで2020年までに環境への負荷をゼロにすることに取り組む)。そして、もう一人は「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」と「エスプリ(ESPRIT)」の創業者ダグ・トンプキンス(Douglas Tompkins:パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナード〈Yvon Chouinard 〉と並んで環境保護活動家としても知られる)です。この2人が、“変えることができる”と教えてくれました。

WWD:もともとアクアフィルはレインコートの製造から始まり、そこからナイロンの糸やテキスタイルの製造を始めました。

ボナッツィ会長:まずは90年代に、プレコンシューマーの素材(製造工程などで出る端切れなど)からリサイクルナイロンを作ろうと技術開発を始めて、10年後の2007年に作れるようになりました。これが最初の「エコニール」でした。けれど、もっとポテンシャルが高い技術開発をしなければと、さらに開発を加速させることを決めました。

WWD:というと?

ボナッツィ会長:どんなタイプのナイロンでもリサイクルできる機械があればと思いませんか?そこで、当時ケミカルリサイクルで主流だったポリマー(重合によってできる高分子化合物のこと)にとどまらず、さらにさかのぼったモノマー(単量体。高分子であるポリマーの分子結合を分解した状態)に戻す技術開発に取り組み、ナイロンの原料であるカプロラクタムまで戻す技術“デポリマライゼーション”を4年かけて開発しました。11年に初めていろんなナイロンの廃棄物から、リサイクルナイロンが作れるようになりました。

WWD:「エコニール」の優位性を教えてください。

ボナッツィ会長:「エコニール」はマジカルな商品で、ポリエステルやポリプロピレンといった他のマテリアルを使っている部分の代替品になれます。そして、染色されたさまざまな廃棄物を再生できる技術は他にはありません。他社のリサイクルナイロンは自社の何も加工されていない廃棄物をリサイクルしていて、それは比較的簡単です。

エコニールの基本的な特徴は3つあります。100%廃棄物からできているので、地球の資源を使わずに無限に繰り返し利用ができます。そして、エンジニアやデザイナーが作りたいと思うものの可能性が無限です。通常のナイロンに比べてエネルギー消費量は60%削減できていて、われわれは自然エネルギーを用いているので、通常のナイロンに比べてCO2排出量は90%削減できます。

WWD:原料は全て漁網などの使い古した素材なのですか?

ボナッツィ会長:50%がポストコンシューマー(使用済み、使用できなくなった製品)からという規格を作っています。その多くは漁網かカーペットです。今、漁網は海を汚染していると問題になっているので漁網を用いることはとても重要です。私たちはNGOと組んで、破棄された漁網などの漂流ゴミを取り除くこともしています。そして、なぜカーペットか、というとわれわれはカーペット用の糸のサプライヤーとして世界でトップシェアを誇っています。ですので、カーペットの循環を作り上げることはとても大事です。もう半分の50%というのはプレコンシューマー素材です。われわれが再利用するまでは、誰もそれをリサイクルしなかった。重要なのは、今まで誰も扱っていなかった、リサイクルできなかったものをリサイクルするということです。

WWD:材料となる廃棄物はどのように回収するのですか?

ボナッツィ会長:プレコンシューマー素材は私たちの取引先から回収しています。例えば「グッチ」「ステラ マッカートニー」「スピード(SPEED)」などです。漁網の回収で一番簡単なのは養殖をしているところに取りに行くこと。漁網は世界各国のものを集めています。日本から届くものもありますよ。

WWD:回収するにあたり難しいことは?

ボナッツィ会長:今市場に出ているほとんどの商品は、最終の目的を考えずに生産されています。例えば魚網は、100%ナイロンでできていない場合もあるし、危険な物質が入っている場合もあります。

WWD:リサイクル前提にしたデザインが求められていますよね。

ボナッツィ会長:リサイクルしやすいモノを作ることを始めた企業も増えてきました。例えばVFコーポレーションの「ナパピリ(NAPAPIJRI)」は、ジャケットを100%ナイロン6(エコニール)で作ることを試みました。ライニングもファスナー全てナイロン6で作るので完成まで3年かかりました。

WWD:現在の「エコニール」の生産量は?

ボナッツィ会長:年間4万トンです。昨年大きな投資をして、機械を大きくして今年完成し、6万トンまで生産できるようになりました。昨年の当社の売上高の38%が「エコニール」です。目標は5~6年以内に商品を100%廃棄物から生産することです。

WWD:昨年の売上高と今年の見込みは?

ボナッツィ会長:昨年は5億4900万ユーロ(約675億円)でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響と原油の価格下落で20%減ぐらいになるでしょう。

WWD:技術開発のチームについて教えてください。

ボナッツィ会長:アクアフィルの内部だけでなく、いろんな大学の研究室やリサーチセンターと協力しています。イタリア、ドイツ、アメリカ、スロベニア4カ国のリサーチセンターと組んでいますが、研究のために年商の2%を投資しています。今現在、新型コロナウイルスの問題が起こっていますが、それにもかかわらず会社内部のリサーチ部の人数を増やしました。今世界中で起こっている問題を解決していくためには、リサーチが一番重要だと思うからです。

WWD:人数を増やすということはさらなる新技術の開発に取り込んでいるのですか?

ボナッツィ会長:はい。「エコニール」の旅は始まったばかりで、いろいろな問題があります。完全なものにするには研究が欠かせません。循環性を高めるために、簡単にリサイクルできるようにすることに取り組んでいます。方法は2つあります。モノマテリアルで作るか、分解しやすいものを作るか。

WWD:「エコニール」で資材も作っているということですか?

ボナッツィ会長:ファスナーや、ボタン、面ファスナーなどに取り組んでいます。そしてもう一つ、染料の原料に少し問題があります。今、化学染料を使っているのですが、より環境に配慮した染色ができないかも研究しています。大前提として商品は美しくなくてはいけません。そうじゃないと誰も買いませんから。

WWD:今、「エコニール」でどういうものが作れますか?

ボナッツィ会長:いろいろな種類の商品ができますよ。これは(画面で見せながら)私の「プラダ」のリュックですが、「グッチ」のスニーカーも持っています。妻は「ステラ マッカートニー」のリュックや「バーバリー」のレインコート、「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」のサングラスを持っています。

WWD:メーカーは今何kgから購入可能なのですか?

ボナッツィ会長:スタンダードのものであれば、50kgから可能ですが、商品のタイプにもよります。カーペットに関しては、カーペット用の材料として色を染めたもので100kgから可能です。

WWD:最後にボナッツィさんが考える環境に配慮した素材はどんなものだと思いますか?

ボナッツィ会長:環境に対してリスクのある物質を使わないもの、地球の資源を消耗しないもの。だからとても難しいんです。

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「わけあって、安い」の限界 コロナ後の価格革命に備えよ 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。12月で40周年を迎える「無印良品」(運営:良品計画)が、衣料品の価格見直しによって攻勢をかけている。そこに死角はないのか。

 「わけあって、安い」は「無印良品」の原点的キャッチフレーズでレーゾン・デートル(存在意義)と言ってもよいだろう。だが、「わけあって、安い」商品開発は“トレード・オフ(trade-off)”であり、「お、ねだん以上。」とは限らない。そこに現在の「無印良品」の限界がある。

ユニクロに引き離される良品計画

 10月21日掲載の本リポート「『ユニクロ』と『無印良品』の明暗を分けたコロナ禍決算」で詳説したように、ファーストリテイリングと良品計画、国内ユニクロ事業と良品計画国内事業の業績格差は年々開き、コロナ禍決算では一段と明暗が広がった。なぜそうなったのか、詳細は当リポートを読み返してほしいが、コンセプト先行で食住衣遊と際限なく広がっていく領域に商品開発が追いつけず、「わけあって、安い」がブラックジョークになりかねない状況に陥っている。

 衣料関連の売り上げを比較すべく2020年3〜8月期の国内ユニクロ事業商品売り上げと良品計画単体商品売り上げ(連結の「国内事業」には衣料売り上げの開示がない)を比較すれば、国内ユニクロ事業が前年同期比89.7%の3304億1300万円を売り上げたのに対し良品計画単体は同84.1%の1406億300万円と、国内ユニクロ事業商品売り上げに対する良品計画単体商品売り上げの比率は前年同期の45.4%から42.6%に低下した。同期間の良品計画単体商品売り上げに占める衣料・雑貨比率は34.7%、実額で487億1900万円に過ぎないから、良品計画単体の衣料・雑貨売り上げはユニクロの14.7%(7分の1強)でしかない。それでいて年間の展開アイテム数は年々増えて20年2月期では1854にも達していたから、1品目当たりの売り上げは7200万円弱でしかなかった。国内ユニクロの年間展開アイテム数を660と見れば1品目当たりの売り上げは前期で12億7500万円ほどだから、両者の1品目当たり売り上げ規模は17.7倍も違う。

 良品計画単体衣料・雑貨売り上げの中身も服飾雑貨・靴・バッグが21.3%、インナーウエアが16.3%を占め、紳士ウエアは18.9%の91億9000万円、婦人ウエアは39.1%の190億6500万円、子供服は4.4%の21億2400万円、アパレル合計は303億7900万円と中堅チェーンほどの売り上げ規模でしかない。国内ユニクロ事業のメンズは40.4%を占めて良品計画より圧倒的に比率が高く1335億1900万円、ウィメンズは45.1%の1491億1500万円、キッズ・ベビーは7.7%の255億2700万円だから、良品計画の紳士ウエアはユニクロの6.9%、婦人ウエアは12.8%、子供服は8.3%の規模でしかない。これでは調達ロットもケタ違いで、「ユニクロ」と品質とお値打ちを競えるはずもない。

壁にぶつかる「わけあって、安い」

 「無印良品」の「わけあって、安い」は元々、ブランド商品の宣伝費や包装費、流通コストなどマーケティング費用を省くという一面と並んで、素材はもちろんパターンと生産仕様、縫製工程や仕上げ工程を工夫して生産コストを落とすという“トレード・オフ”が前提となっていた。

 “トレード・オフ”とは何かを実現するために別の何かを犠牲にする、という交渉事や商品開発における「代償行為」であり、商品開発では主要な企画意図を実現しながらコストを抑制すべく、素材を落としたり生産仕様を簡略化したりすることが多い。見た目の織り組織は同じでも糸のクオリティーを落とせば素材のコストは倍も変わるし(大手商社は毎シーズン、同タイプで3段階の素材を用意する)、パターンとマーキングを工夫すれば用尺を節約し、縫製工程数を減らすことができるが、玄人目には手抜きは一目瞭然だし、やり過ぎれば素人客でも手抜きが見えてしまう。

 工場の閑散期に生産したりロットを増やしたりしてもコストは落とせるし、製品在庫を市場投入直前まで生産地倉庫に保管し、生産地で店舗仕分けと物流加工を済ませてからコンテナ単位でパッキン物流するなど物流方法でもコストは落とせる。閑散期生産や過大ロット生産は需給ギャップを肥大させ、物流の集約はサプライ効率を切り下げ、パッキン物流は畳みシワや型崩れの原因となるから“トレード・オフ”にはなってしまうが、それで商品の品質が落ちるわけではない。

 「無印良品」の衣料品は売り上げ規模が限られるのにアイテム数が多く、MDも流動するからロットでコストを落とすのが難しく、“トレード・オフ”に頼ることになる。ブランド流通が大勢でSPA的な商品開発がまだマイナーだった1990年代半ばまでは、「無印良品」の“トレード・オフ”はブランド商品より「わけあって、安い」を実現してインパクトがあったが、98年に「ユニクロ」がフリースでブレークしてSPA流通が大勢になって以降、単品でお値打ちを比較されれば苦しくなっていった。とりわけリーマンショック以降、デフレが再燃して価格がジリジリと下がっていく中、衣料品は「ユニクロ」や「ジーユー」、生活雑貨は100円ショップとの価格競争にさらされ、割高感から値引き販売が増え、シーズンごとに政策的に価格切り下げを繰り返すようになった。

価格と品質のポジション是正が不可避

 「無印良品」の衣料品は「価格」を「ユニクロ」と張っても、素材や縫製仕様、工業パターンは「ジーユー」にも見劣りするものがあり、エコナチュラルでサステナブルなコンセプトやライフスタイルをうたっても「正価」を通すのは難しくなっていた。玄人目には「ジーユー」に及ばず、「ファッションセンターしまむら」やホームセンターの衣料と比較したくなるようなものもある。自然素材志向のコンセプトゆえ、近年の機能素材アクティブウエアや機能性アウトドアウエアにも手を伸ばせず、店頭在庫は抑えても過剰在庫が倉庫に積み上がり(2019年2月期から20年2月期で41.6%増、さらに20年8月期で45.0%増。19年2月期との比較では2.05倍)、値下げによって在庫の消化を図る図式が強まっていた。

 コロナ禍はそんな「無印良品」の苦境を突き、割高感をコンセプトでカバーできない海外市場はもちろん、支持基盤が厚い国内市場でも打撃は大きく、回復も鈍かった。3〜8月期の国内ユニクロ既存店売り上げ(EC含む、良品計画も同じ)が9.6%の減少にとどまったのに対し良品計画単体衣料・雑貨は28.7%(商品売り上げベース)も落ち込み、9月も国内ユニクロの10%増に対して良品計画衣料・雑貨は15.5%減と差が開き、10月は前年の消費増税の反動もあって国内ユニクロが16.2%増と加速する中、良品計画衣料・雑貨は6.5%増にとどまった。

 アイテムを集約して調達ロットを1ケタ上げるとともに原価率を切り上げて抜本的に品質を高めない限り、「ユニクロ」と同じ価格ポジションを維持するのは難しく、現行の調達ロットと品質のままなら「ジーユー」の価格ポジションに切り下げるしか「無印良品」衣料品の立ち位置はないのではないか。そのどちらも難しいのなら、「無印良品」のコンセプトを無理なく訴求できるアイテムに絞り込んで一から出直すしかない。

 「顧客がコンセプトに共感してくれるなら、商品開発や在庫運用のスキルが至らず多少は割高になっても受け入れてもらえる」とスタートアップのD2Cブランドみたいに考えているとしたら、良品計画は自らの事業規模をあまりに見誤っている。国内でも海外でも「ユニクロ」と張り合って事業を拡大していきたいなら、事業の構造と組織、商品開発手法とサプライ同盟を抜本から再構築して出直すべきだ。

コロナを契機にデフレが加速する

 そんな指摘は良品計画だけに限らない。「ユニクロ」が価格と品質のデフェクトスタンダード(事実上の標準)として定着した今日、店頭で商品を手に取れば一般消費者も、つい「ユニクロ」の同一アイテムと比較してしまう。「ユニクロ」で3990円のアイテムに4500円とか4900円とか、中には5900円とか付けているブランドをしばしば見かけるが、そんな価格で買う消費者はまれだから早々に値引きすることになる。そんなことを繰り返していては、どこかのアパレルチェーンのように二重価格商法なのかといぶかられるのがオチだ。

 「ユニクロ」でも厳しいのに「ジーユー」や「ワークマン」が次のデフェクトスタンダードになるとしたら、アパレルの価格はもう一段のデフレが避けられない。コロナ禍の過剰在庫が大量にたたき売られるのを目の当たりにした消費者が素直に「正札」を信用するとも思えない。ならば、業界都合のコストとロスを積み上げた無理強い価格はもう通らないと覚悟するべきだろう。

 半世紀前のブティックは65掛けで買い取っても8割以上をプロパー消化して利益を確保していた。商店街の自前店舗で家族労働プラスαというエコ経営だったからできた芸当だが、今やそんなプロパー消化率など望むべくもなく、テナント店舗では不動産費と人件費やキャッシュレス決済手数料など販売費で売り上げの40%が消えていく(百貨店のインショップなら50%)。そんな法外コストを前提とした価格と品質のバランスがもはや通らない以上、販売コストを切り下げるか、高いプロパー消化率が望めるお値打ち価格を「正札」とするしかアパレルの生き残る道はない。高コストな販路から早々に脱出し、LCC型商業施設(オープンモール型の低コスト商業施設)やD2C、C2M※1.など格段に低コストで低ロスな販路や販売手法に転ずるべきだろう。

※1.C2M(Customer to Manufactory)……ネットやショールームで受注してからデジタル生産や3Dプリンタで素早く生産して“個客”に届けるパーソナル対応の無在庫販売手法

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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洋服はシーズンに10型だけ 「トム ウッド」が新プロジェクトでサステナブルに挑む

 ジュエリーからスタートした「トム ウッド(TOM WOOD)」は2021年春夏シーズン、ヘッドデザイナーにマティア・ヴァン・セヴェレン(Mattia Van Severen. 以下、マティア)を起用し、テーラードを主軸とするウエアのコレクション「テン・バイ・トム ウッド」をスタートする。マティアはベルギー・アントワープの王立芸術アカデミーで修士課程を修了後、「ハイダー アッカーマン(HAIDER ACKERMANN)や「アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」で経験を積み、現在はノルウェーのオスロを拠点に活動。今後も北欧でメンズとウィメンズそれぞれ10型のアイテムで構成するウエアを手がける。

 デッドストックのイタリアンウールや、オーガニック認証を取得したコットンを用い、性別や年齢を問わずに楽しめるサステナブル&ジェンダーレスなテーラードやデニム、スエット、Tシャツなどを揃えた。コレクションへの思いをマティア、そしてブランドを立ち上げたモナ・ヤンセン(Mona Jensen)クリエイティブ・ディレクターに聞いた。

WWD:「テン・バイ・トム ウッド」でウエアのコレクションを拡充する理由は?

モナ・ヤンセン「トム ウッド」創業者兼クリエイティブ・ディレクター(以下、モナ創業者):アイデア自体は、私の“スケッチブック”の中にずっと存在したんです。ブランドとして、クラシックゆえに力強く、トレンドに流されない洋服を提案したいという思いがありました。そんな中でマティアに出会い、「ワードローブは、“ステイプル(重要)”なアイテムだけで十分。シルエットやディテール、サステナブルな作り方で一着一着にこだわるという方向性で共鳴したんです。

WWD:「テン・バイ・トム ウッド」というくらいだから、本当にメンズとウィメンズで10型ずつしか提案しない?

モナ創業者:色のオプションはあるけれど、本当に10型ずつです(笑)。「テン・バイ・トム ウッド」は、私たちのDNAになるでしょう。提案するのは、ライフスタイルに基づく構築的なテーラード。これまでのウエアよりちょっぴり大人っぽいと思います。私たちは「トム ウッド」をデザイナーズブランドに育てないワケではなく、トレンディな洋服を着る人だけに捧げるつもりもありません。

WWD:提案できる洋服は、毎シーズン全部で20型。普通のブランドに比べるとずっと少ない。デザイナーとして、表現が制限される不安はなかった?

マティア・ヴァン・セヴェレン「トム ウッド」ヘッドデザイナー(以下、マティア・ヘッドデザイナー):これまでのブランドでは1シーズンで30~40ルックを作るのが当たり前だった。男女10型ずつというのは、新しい挑戦だったよ。コンパクトにまとめる過程で、アイデアはよりコンセプチュアルに、イメージはさらにコンクリート(具体的)に進化したよ。提案を絞り込むのは、自然の流れだった。自分自身もワードローブを厳選するようになっているし、それぞれの洋服は好きなように楽しめるものばかり。仕事にも、レストランにも、パーティーにも使える汎用性の高い洋服だ。

モナ創業者:それが「トム ウッド」らしいと思ったの。だって「トム ウッド」のジュエリーは、いつでも、どこでも、誰でも楽しめるから。シーズンで10型は、とってもコンパクト。もしかしたらバイヤーは、欲しい洋服が見つけられないかもしれない。でも「トム ウッド」は創業時から、「そんな時もあるわ」と腹をくくっているの。ジュエリーのデザインも大きく変わらず、創業当初は「マスキュリンで好きじゃない」と評するメディアもあった。7年でバリエーションは増えたけれど、本質は変わらないわ。

マティア・ヘッドデザイナー:良い素材を使ってボリュームなどを変えていけば、アイコニックな洋服は常にモダンになる。ブレザーが、クールになる。今はナチュラルな思考を大事に、自分たちらしく、「テン・バイ・トム ウッド」を育てたいんだ。

WWD:世界が分断されている今、新しいプロジェクトを始めるのは大変だったと思う。

マティア:ニットファクトリーなどはあるけれど、ノルウェーのアパレルの生産背景は限られている。特に素材調達は大変だった。これまでの環境が、どれだけ恵まれていたのか思い知ったよ(笑)。でも、パタンナーなど素晴らしい人材に巡り会い、こんな時でも完成に導くことができた。プライスは、これまでの洋服に比べると多少高い。でも、小さなブティックから大手まで、反応は総じてポジティブだよ。

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エクアドルの小さな村での取り組みが国連へ 企業と共創する環境NGOキーマン日比保史さんに聞く 前編

 今、ますますNGOやNPOの存在感が増している。特に欧米では政府や企業、メディアよりもNGO/NPOの信頼度が高いという調査結果も出ている。実際、私たちが今抱えている環境や人権、社会などの課題解決にはNGO/NPOの力は欠かせなくなっており、企業はもちろん国連や政府もNGO/NPOと組んで持続可能な社会実現に取り組んでいる。

 ファッション産業に目を向けると、例えば「ゴアテックス(GORE-TEX)」で知られるゴア(W. L. GORE & ASSOCIATES)社は、環境NGOのグリーンピース(GREEN PEACE)と協業して環境負荷の軽減に取り組んでいるし、「グッチ(GUCCI)」の親会社のケリング(KERING)は、環境NGOコンサベーション・インターナショナル(CONSERVATION INTERNATIONAL、以下CI)と連携して生物多様性の保全に取り組む。NGO/NPOといえば、企業の不正義を告発する団体として、民間企業とはVS構造で語られることが多かったが、その考えを持っているとしたらさまざまなことを見誤るだろう。

 CIは、30年以上にわたり自然環境の保全に取り組んできた。「自然を守ることは、人間を守ること」というモットーで地域コミュニティや政府、民間企業、研究機関と協働しながら、社会全体をより健全にする仕組みを作ってきた。CIの小さく始めたプロジェクトがコーヒー産業の構造を変え、気候変動対策の仕組みは国連レベルの取り組みに発展するなどその取り組みが解決策への具体的な道筋になっている。どのようにプロジェクトを推進するのか。日比保史CIジャパン代表理事兼CIバイスプレジデントに聞く。

WWD:今、力を入れていることは?

日比保史CIジャパン代表理事兼CIバイスプレジデント(以下、日比):気候変動の分野で、科学的な研究を実証し、そして実装させることに力を入れています。CO2排出量削減に関しては、エネルギーの分野で化石燃料をどこまで減らせるかが王道でもちろん重要なのですが、われわれは森林に注目しています。森林、植物は光合成によって成長します。光合成はCO2を吸収して固定するので大気中のCO2を吸収し固定する装置としては極めて優秀で、しかも効率的なオプションなんです。この仕組み作りは私たちCIジャパンも直接関わりました。

WWD:始めたのはいつ頃から?

日比:2003~04年頃です。森を守り再生することがどれだけCO2を吸収しているのかは目に見えないのでわかりませんよね。それを第三者から見ても明らかにすることに取り組みました。科学的な根拠や測定方法、モニタリング、統計学、衛星画像などを駆使して(今はドローンも利用)、計算の方法論を作りました。測定だけではなく、実装させるためのプロジェクトの仕組みも作り、国連に承認してもらいました。森林を通じてのCO2吸収、固定排出削減プロジェクトの方法論でいうと、国連に認証されたのは世界2番目で、NGOが関わるものとしては初めてでした。

WWD:方法論はどこで?

日比:エクアドルです。現地チームと本部スタッフ、CIジャパンで開発しました。当時、リコー(RICHO)が資金援助をしてくれ、そのカーボンクレジットをリコーが買い取るというスキームを考えていましたが、リーマンショックによってプロジェクトの継続が難しくなりました。しかし、そこで得た方法論や知見から権利関係を明確にするような法律を現地政府と一緒に作りました。さらにそこから国連レベルの取り組みに発展していきました。

WWD:権利関係の法律とは?

日比:エクアドルはじめとした途上国の多くでは、まず土地の所有・利用の権利が明確になっていないことがよくあります。これは、法制度あるいは登記簿の未整備や不適切な管理などもあれば、そもそも先住民族などの伝統的・慣例的な土地の利用の考え方と近代的な法律がうまく調和しない場合などがあります。ただ、国際的に炭素吸収量をクレジットとして取引するとなれば、権利関係が明確にできなければ、クレジットの対価(金銭収入)が誰に帰属するのか、などの問題が発生するので、事業開始前にそれらを明確にする必要があったわけです。また、そもそも森が吸収した「炭素」という物質について、所有権という考え方が成り立つのか、というような法理論の整理なども必要となりました。エクアドルでは、もちろんCIからの働きかけやカーボンプロジェクトだけがきっかけというわけではないですが、これらの課題への対応も視野に、憲法を改正して世界で確か初めて「環境権」を位置付けるという「改憲」もしたりしました。

WWD:それがREDD+(レッドプラス:Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradationの略)につながった。

日比:はい。REDD+は気候変動枠組条約の下で合意された、途上国の森林から温室効果ガスの排出を減らすための仕組みで、森林を保全・回復する途上国は、先進国から資金を受け取ることができるものです。例えば、コミュニティが森林の開発を控えると、その代わりに、REDD+の資金を受け取ったり、既存の農地をより効率的に活用して収量を上げるための研修を受けたりできます。

WWD:ファッション産業ではケリング(KERING)もREDD+と取り組んでいる。

日比:はい。一緒に取り組んでいます。小さなプロジェクトから、国際条約の動きに発展して、REDD+は森林のある国々の持続可能な経済のためのエンジンの役割を果たすところに来ています。例えば南アメリカの北東部、アマゾンの北にあるスリナム共和国では、国土の9割が森林で、結構地中には資源が埋蔵されています。これまでの開発モデルだったら、森を拓いて地中の資源を掘ってそれを売るとなりますが、それをせずに森林を守ることでスリナムが発展するモデルを作ろうとしています。

WWD:大切なのは地域レベルで取り組み、それを大きくしていくこと?

日比:最終的なインパクトをもたらすには、地域でのコミュニティ、政治、行政、民間企業が関わることが大切です。スケールが大きければいいのか、という批判もありますが、地球環境がどんどん悪化している状況でいえば、規模感を持って取り組むことが重要になってきます。小さいけれどきらりと光るいいことやっています、というのももちろん重要なんですが、残念ながら、それだけでは問題解決できないところに来てしまっています。

WWD:アパレル産業が抱える課題とそれに対して企業がとるべきアクションは?

日比:アパレル産業をちゃんと理解していないという前提でお話しますが、ケリングが「ファッションは農業から始まる」と発信しているように、私もそれが本質だなと思っています。自然の恵みをいかにサステナブルに、品質良くサステナブルに作っていくか――環境や地域社会皆がハッピーになる調達を続けていくことが大切なのではないでしょうか。衣料は食べ物と似ていますよね。サステナブルでなくても必要だから産業自体はなくならない。サステナブルにしないと生き残れないコーヒーとは違います。コーヒーはなくても生きていけますから。ただ、20~30年で20~30億人増え、全体的に経済水準が高まり、皆が消費していく世界になると、どうやってその需要に応えていくのか――制約条件としては極めて厳しい条件です。環境や人に配慮して長期的に安定的に品質が確保された原料の調達が求められるので、上流部分のサステナビリティ確保が一番の課題なのではないでしょうか。

WWD:上流=素材メーカーの負担が大きくなるが。

日比:上流ががんばることの意味を下流にいるアパレルメーカーや消費者も理解しないと絶対に成り立ちません。

WWD:「高いから買わない」という考えではいけない、と?

日比:安いものは決してただ安いんじゃないということを消費者が理解しなくちゃいけないし、それを売る側も情報を提供していかなきゃいけないのですが、なかなか難しいかなと思います。

WWD:どのくらい環境への負荷があるか、共通の指標がないと消費者は選べないし、企業が同じ指標を使うなど、グローバルレベルで同じ土俵に立たないと比較もできない。そうしたグローバルの土壌に上がる日本企業は少ない。

日比:いやーそうなんですよ。ESG(環境・社会・ガバナンス)経営や環境経営を頑張っている日本企業があるのも事実。「うちは前からやっているよ」という反応もあります。でも前からやっていたから今OKではないんです。今の世界の現状を見たらOKじゃない。もちろん一社では変えられるものではないとはいえ、今、現在、地球全体でうまくいっていないことの責任はシェアしなければいけないんです。不十分だったという多分認識を持って、「我が社がすべきことは何だろう」という発想を持ってもらいたいなと思います。その時に、国際的にはどういう議論がなされていて、どういう方向に進もうとしているのかを把握して先取りするような動きができたらいいですよね。

WWD:数値的な話でいうとCO2排出量は、気候変動の原因にもなっているのでわかりやすい。まずはCO2排出量の削減を目指すのも一つだと思う一方で、オフセットを免罪符にするのを疑問視する声もある。日本は京都議定書では6%の削減を目標にしていたものの、実際は1.4%増。でも外国でのCO2削減に貢献した分を自国での削減として認める制度を使って最終的に8.4%減にしたというのを本で読み、複雑な気持ちになった。

日比:現実的にも科学的にもCO2はどこで出しても1トンは1トン。日本国内で減らすのも途上国で減らすのも変わんないです。で、日本は1トン削減するのにコストが高い国です。減らしにくい体質になっています。政府や産業界が言うほどではないですが、途上国に比べたら高いです。日本は1トンあたり1万6000円(2020年時点)、途上国で森林吸収源を活用した場合10~20ドル程度です。なので、同じ費用をかけるのであれば、途上国で効率的に使った方が気候変動対策にはなります。削減努力はどうだったかはさておき、で話しています。減らす努力を何もせずに金に任せて買ってくるのがいいのかというと、それはまた別の議論としてありますが、努力で減らせない部分を途上国で、しかもCO2の吸収だけではなく、地域の人や生物多様性なんかにも貢献できるプロジェクトのクレジットであれば、それはむしろやるべきなのではないかなと思いますよ。

WWD:アパレル企業もCIと一緒にプログラムに取り組むとしたら、どういった取り組みができるのでしょうか?

日比:自分たちの努力だけでは減らせないCO2排出というのは必ずあるのでその分はオフセットを使って減らすのがいいのではないでしょうか。今はサプライチェーンまで含めて責任を持つという考えになってきているので、自社のビジネスと間接的ではあるけれど、原料や素材を得ている地域が良くなるのは、自社のビジネスやサプライチェーンをよくすることにつながるので、サステナブルに変えていく方法の一つとしてあり得るのではないでしょうか。

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逆境に立ち向かう東コレ 新事務局長は2021年に飛躍を誓う

 10月に開催された「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」は、半数以上がオンラインのみでコレクションを発表するという異例のシーズンだった。パンデミックによって世界の価値観が一変し、各都市のファッション・ウイークも新常態に向けて模索を続ける中、東京が目指すべき方向性とは何なのだろうか。また有力ブランドが続々と海外に発表の場を移したり、韓国や中国などのファッション・ウイークが存在感を徐々に強めたりする影響もあり、「東コレは盛り上がってない」という声が強まる状況に対してどう向き合っていくのか。7月に日本ファッション・ウィーク推進機構に加わった古茂田博事務局長に聞いた。

課題山積も今後に手応え

WWDジャパン(以下、WWD):今シーズンを振り返ってどうだった?

古茂田博JFWO事務局長(以下、古茂田):東コレ期間中の感染対策がひとまずはうまくいってホッとしている。今回からデジタルの施策を強化し、インフルエンサーがSNS投稿で盛り上げる“デジタル ボイス”や「ニューズピックス(NewsPicks)」との共催でオンラインカンファレンスを実施するなど新たな試みを始めた。課題は山積みだが、実行できたことは今後に向けての大きな一歩になるだろう。それに、新しいファッションの表現が生まれそうなポジティブな雰囲気も感じられた。JFWOとしては、まずはブランドの発信力を高めるインフラ作りに努めたい。「ファッションは面白い」というメッセージを届けるサポートをするのはわれわれの使命であるから。

WWD:東コレは以前よりも盛り上がりに欠けると言われているが?

古茂田:私自身もそれはすごく感じている。かつての東コレは大御所デザイナーも参加して熱量が高かった。またほかの都市に先駆けて消費者を巻き込み、会場にできた長い行列がニュースとしてメディアにも取り上げられた。それからインターネットやSNSの普及で価値観が変わり、昨今は生活様式も大きく変化している。これはもう元に戻るものではない。時代を映す鏡であるデザイナーもそれらを感じないとクリエイションで強いメッセージは届けられないだろうし、われわれも時代に合わせて進化していきたい。

WWD:東コレは今後どういった方向性に進むべき?

古茂田:ブランドをいかに認知してもらうかどうかを考え、全く新しいファッション・ウイークを組み立てていく必要がある。今、ファッションは服だけで表現するものではない。東京の強みである音楽やアートを絡めたイベントをさらに強化したり、サステナビリティに関する施策を次回以降は検討したりしている。ライフスタイルを提案するブランドもどんどん巻き込んでいくつもりだ。実は今回のキービジュアルでもモデルの中にバーチャルモデルを混ぜる試みに挑戦している。

2021年には目に見える結果を

WWD:来年に向けての計画は?

古茂田:次回3月は計画通りに進めて、その次は従来の10月から8月開催に切り替えるため場所も含めて未定だ。ホップステップジャンプという言葉があるが、今回はいろいろ挑戦したホップで、次が改善点を実績にするステップ。そして8月は集大成のジャンプとして、目に見える結果を残したい。

WWD:海外で発表していた日本のブランドが東コレに参加する予定は?

古茂田:現段階では未定だが、いくつか話はきている。お互いにとってチャンスなのであれば、発表できる準備を積極的に進めていきたい。そういったブランドが参加できるように、東京だけではなく世界の各都市がしっかり連携して考えていくべきだ。時代は変わっているのだから、もしかするとファッション・ウイークではなくファッション・マンスぐらいの考えがあってもいいのかもしれない。

WWD:自身のキャリアを現職にどう生かしていきたい?

古茂田:東レ時代からデザイナーズブランドに通い詰めて素材を提案し続けてきた。デザイナーを納得させるためには、同じ熱量や感度が必要だった。出る杭は打たれまくってきたけれど、その分ブランドへの思いは強いし、新しい文化を一緒に作っていきたい気持ちもある。それとサプライチェーンを構築し、いかに消費者に届けるかということを考えてきた。ショーに関わる仕事でも同じ。新しいことをやりたいという信念は常に持ち続けているので、「RFWT」でもその姿勢は持ち続けたい。

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レナウンの売却価格 たった11億円の衝撃 エディターズレター(2020年10月2日配信分)

※この記事は2020年10月2日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

レナウンの売却価格 たった11億円の衝撃

 テレビのバラエティ番組で美術品などの鑑定士が一般家庭を訪問して、その家の絵画や陶器の価格を言い渡す場面をたまに見かけます。先祖代々のお宝として継承されていた掛け軸が二束三文だったり、逆にぞんざいに扱われてきた壺(つぼ)に高値がついたり、見ているこちらまで一喜一憂してしまう。バラエティ番組なので、想定よりもケタ違いの安値がつけられても笑い話に落ち着きます。

 でも、企業ビジネスの場での査定は時に非情です。

 経営破綻したレナウンの債権者集会が9月9日に行われました。レナウンが保有する主要ブランドは大阪の小泉グループに切り売りされたわけですが、その売却価格が発表になったのです。「アクアスキュータム」「ダーバン(「スタジオバイダーバン」を含む)」が10億円、「シンプルライフ」「エレメントオブシンプルライフ」が1億円。合わせて11億円でした。300〜400店舗を継承するにもかかわらず、です。

 ピーク時の1991年には売上高が2438億円に達し、グループ会社(当時)のダーバン、レナウンルック、レリアンなどを加えれば3000億円を優に超え、日本のファッション業界のリーディングカンパニーとして君臨していた企業の価値が、倒産後とはいえ、たったの11億円。

 紳士服の「ダーバン」は百貨店ではビジネススーツの代表的なブランドだったはずだし、「アクアスキュータム」のトレンチコートは「バーバリー」と並ぶ逸品とされてきました。歴史や伝統などの無形のブランド価値よりも、現在の市場で実績や将来性で容赦なく査定した金額なのでしょう。かつて傘マークで一世を風靡した「アーノルド・パーマー」の後継である「アーノルド・パーマー・タイムレス」や、婦人服の「エンスウィート」などは値段さえつかず、廃止されることになりそうです。

 往年を知る業界人にとって11億円という金額はショッキングでしょう。さらにブランドに誇りを持って働いてきたレナウンの従業員の気持ちを考えると言葉もありません。

 ブランド価値とは何か。維持して、高めるためには何が必要なのか。とても考えさせられるニュースでした。

MARKET VIEW:ファッション市場で日々発信されるホットなニュースを、「WWDジャパン」のビジネス担当記者がコンパクトに解説するメールマガジン。ニュースを読み解くヒントを提供します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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「グッチ」と「ナイキ」のデジタルアイテム戦略 エディターズレター(2020年10月23日配信分)

※この記事は2020年10月23日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「グッチ」と「ナイキ」のデジタルアイテム戦略

 オンラインに費やす時間が増える中、ブランドはどうやって顧客とコミュニケーションするかに腐心しています。もちろん、私たちメディアもですが(笑)。

 小売りにおいてはOMO(Online Merges with Offline)が提唱され、このコロナ禍でさらにその流れに拍車がかかりました。ECで買えることはもはや当たり前で、ブランドはSNSなどを介してあのテこのテで顧客にアプローチしています。

 そんな中、個人的に注目しているのがデジタルアイテムです。何のことかというとアバターに着せる服やアクセサリーです。ゲームも含めてオンライン上で時間を過ごす人が増えるにつけ、アバターもより身近なものになっているように思います。コミュニケーションの場として機能していたりもするので、バーチャル空間で大半の時間を過ごすような人も結構多いのでは?オンラインでの会議や取材が当たり前になってきましたが、そのうちバーチャルオフィスでアバターが会議する日も来るんだろうなぁと考えています。

 というわけで、3Dアバターのデジタルアイテムに投資する「グッチ」に激しく納得です(1番目の関連記事参照)。ブランドファンや社員がSNSやバーチャル空間で「グッチ」を楽しめる環境を用意するというのに、妙味を感じます。こちら、2年前の記事によればシステムの導入費用は10万~300万ドル(約1050万~3億1500万円)。サービスが開始したら、即トライしてみたいと思っています。

 「グッチ」はこれ以外にもデジタルコンテンツに非常に積極的です。アプリは試着機能もゲームもあって楽しいです。デジタルネイティブ世代に刺さるでしょうし、接触時間も長そう。売り上げに繋がる可能性は十分あると思います。

 このデジタルアイテムについて考えると思い出されるのが、昨年末に上げた「ナイキ」のブロックチェーン特許取得の記事です(2番目の関連記事)。ブロックチェーン技術を本物であることの保証に使うということなのですが、大いに注目したいのが、デジタルアイテムについてもその技術を適用するということです。

 デジタルアイテムの需要が増えれば、偽物が出回るのもすぐに想像できますよね?それを早くもブロックする動き!さすが!「ナイキ」がバーチャル空間を作り、そこにファンやコレクターのアバターが自慢のアイテム(本物認証付き)を着用して集い、大いに盛り上がるという世界もそう遠くないんじゃないかなと妄想してしまいます。

 というわけで、12月7〜11日の「コンプレックスランド」(3番目の関連記事)には是非参加してみたいと思っています。皆さまも是非!

VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。

エディターズレターとは?
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創設者の自宅の一室でのブランド立ち上げを経て、新宿に路面店をオープン 世界を目指すビューティブランド「ユブネ」とは?

 “日本初のメディテーションブランド”をうたう新ビューティブランド「ユブネ(YUBUNE)」がデビューし、10月8日に体験型ショップを東京・新宿にオープンした。スキンケアからヘアケア、フレグランスまで約60SKUでスタートした同ブランドは、100%天然の動物性油脂を使った原液美容液“ロー エミュー オイル”や、酸素が溶け込んだ水を主原料とする“オキシジョン スキン ミスト”などユニークなアイテムがそろう。ブランド創設者の渡邊寛氏は10年以上前に通販のヘアケアブランド「クイーンズバスルーム(QUEEN’S BATHROOM)」を立ち上げ現在まで着実に成長させてきた人物だ。新ブランド「ユブネ」は「日本から世界を目指すブランドを」という、渡邊代表の思いを聞いた。

WWD:化粧品業界にはどのように入ったんですか?

渡邊寛YUBUNE代表取締役(以下、渡邊):ビジネス系の専門学校を出た後、香水に興味があり香水の販売会社に就職しました。販売員をしたりメーカーの人と商談をしたりしていたのですが、彼らの話を聞くうちに自分で商品を作ったら楽しそうだなと思い、ブランドを作ることにしたんです。当時はようやくインターネットが普及したぐらいの時代だったんですが、インターネット通販であれば販路を持たない状態でもやっていけるのではと考えました。

WWD:2007年に立ち上げたヘアケアブランド「クイーンズバスルーム」のアイデアはどこから?

渡邊:何か化粧品を作ろうと思っていたんですが、悩みに訴求する商品が最も世の中に求められていると感じ、自分がくせ毛に悩んでいたので、髪の毛のくせを扱いやすくするヘアケア商品は需要があると発想しました。「クイーンズバスルーム」では薬用シャンプーや2剤式のシステムトリートメントなど、しなやかでまとまりのある髪に導くヘアケア商品や、皮脂を再現したオイルクリームをはじめスキンケアアイテムもそろえています。OEM会社を探すところからだったんですが、個人だとなかなか相手にしてくれなくて、資金を用意して会社を作って掛け合っていくうちに一社、サロン専売のヘアケア商材を扱う会社から「そんなに言うんだったら協力しますよ」という返事があったんですね。

WWD:そこからビジネスは順調に進みましたか?

渡邊:最初は倉庫を借りるお金もないですから、自宅の一室に何千本という在庫を置いてそこから発送していました。初月の売り上げは7万円だったのですが、それでも海の物とも山の物とも分からない状態でも売れるんだということで成功体験になり、売り上げを上げていく自信がつきました。少しずつインターネット広告を出したり、商品の訴求方法を変えてみたり試行錯誤を重ねて、7月にオンラインショップをオープンしたのですが、その年の12月には月商100万ぐらいにはなりました。

WWD:現在の販路は?

渡邊:自社ECのほかに楽天などにも直営ショップを出店しています。ほとんどがネットショップを通じてお客さまに直接販売していますが、一部ヘアサロンなどに卸しているものもあります。

海外市場を見据え、香りや日本らしさにこだわり開発

WWD:10月にデビューしたメディテーションブランド「ユブネ」を立ち上げた理由を教えてください。

渡邊:日本は超高齢化社会を迎えて、市場が縮小傾向にあるわけですが、一方で海外に目を向けると人口は増えています。これからは日本村にとどまるのではなく、世界市という思考で販路を広げていかないといけないと考えました。はじめは「クイーンズバスルーム」で海外市場を目指そうと思ったのですが、日本人とは異なる毛質や、言葉の壁により商品の微妙なニュアンスを伝えるのが難しいと感じ、別のブランドを作って、海外の人にも分かりやく、日本人である自分にしか作れない商品をラインアップしようとスタートしました。

WWD:ブランドコンセプトやアイテム構成は?

渡邊:ブランドコンセプトはことわざからお借りした“命の洗濯”を掲げています。ニューヨークなど世界中の人が集まる場所を視察する中で、長野の白骨温泉に日本らしい美しさの真髄を感じ、多くのインスピレーションを得ました。その雰囲気を分かりやすく化粧品に落とし込めないかと考え商品開発にあたりました。商品構成はスキンケア、ボディーケア、ヘアケア、フレグランス、マインドフルネスツール(お香や和ろうそくなど)など5カテゴリーを設け、SKUとしては約60あります。スキンケアが最も多くて約4割、残りはほかのカテゴリーで等分という構成です。ブランドを象徴するアイテムが、髪を洗う“シャワージェル”です。珪酸母岩が主原料の鉱石粉末や、ケラチン由来の低刺激で高価な洗浄成分を高濃度で配合し、髪に潤いとハリ、コシを与えます。ニューヨークやバリ島など、世界の場所から着想した8種の香りを用意しています。

WWD:ユニークなアイテムがそろっていますが商品開発はどのように行っていますか?

渡邊:最新の処方やはやりの成分や色、ということではなく、もう少し感覚的にいいものだなというのが伝わる商品にしようと思いました。世界中の人が分かりやすい香りであったり、シンプルな原料、ブランドアイデンティティーを強く伝えるパッケージなどであったりを重視しています。いい原料と出合ってどんな商品を作れるか考える場合もありますし、作りたい商品があってそれを構築できる原料や処方を追求する場合もあります。原料の展示会に行ったり、原料リストを眺めたり、後は自分の体を観察して汗や皮脂が出るメカニズムを調べたり、肌の不調はどの機能が弱まって起きるのかを調べたり。そうしてできあがります。

ショールームを兼ねた足湯併設のショップをオープン

WWD:ブランド立ち上げと同時に新宿に路面店をオープンした理由は?

渡邊:伝わりやすい商品を作ると言ったのですが、僕の性格上、どうしても難しい商品が多くなってしまう(笑)。ブランドの世界観を伝え、商品についてしっかり説明するには実店舗がないと無理だなと思ったんです。今は実店舗をなくしてオンラインで売るという流れがありますが、実店舗があることで信頼性が増し、海外展開を目指すにあたり有利に働くと考えました。海外からの観光客が多く集まる立地ということで新宿を選びました。日本に視察に来たときに、実際にお客さまの様子も見てもらえると、自国で展開した場合の想像がしやすくなるので、ショールームとしての役割もあります。店舗のデザインは、異世界に入っていくような世界観にしたかったのと、地下に足湯を作ったのは“命の洗濯”というブランドコンセプトもありますし、都会の真ん中でふらっと立ち寄ってリフレッシュしてもらえたらという思いからです。

WWD:卸販売は考えていますか?

渡邊:かなり原価率が高い商品ばかりなので、卸では利益がほとんど出ません。なのでその小売店に置いてあることでブランドイメージがよくなったり、ブランド認知の拡大に寄与したりしそうであれば、利益度外視で置いていただくという考えはあります。ですが、販売としての卸は基本的に考えていません。

WWD:今後の商品展開の構想と初年度の売り上げ目標を教えてください。

渡邊:今企画が進んでいるのがメイクアップカテゴリーです。ファンデーションが先行して進んでいて、顔料を使わず色のついた泥をミックスして色を作る、という商品を開発中です。いろいろなOEMからできないといわれたのですが、ようやく一社で形になりそうです。クレイは鉱石の粉末なので、皮脂を抑えたり遠赤外線を発したりそれぞれに生理活性作用があります。それらの組み合わせによって肌に与える効果が変わるという面白い商品です。とはいえまだブランド認知が低いので、SNSを中心にプロモーションに力を入れ、もう少し認知度が上がったいいタイミングで発売しようと思っています。初年度の売り上げは正直あまり多くを見込んでいなくて、3000万円行けばいいかなと思っています。

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故ダイアナ妃とキャサリン妃のファッションがそっくり! 13の場面を紹介

 ケンブリッジ公爵夫人ケイト・ミドルトン(Duchess of Cambridge, Kate Middleton以下、キャサリン妃)のファッションは、英国ブランドを着こなしながら、コートジャケットなどを愛用する洗練されたスタイルで知られる。キャサリン妃は自分流のファッションを楽しむかたわら、故ダイアナ・フランセス(Diana Frances)元英国皇太子妃(以下、ダイアナ妃)にオマージュを捧げるルックも度々披露している。

 ジュエリーでは10年にケンブリッジ公ウィリアム王子(Prince William, Duke and Duchess of Cambridge以下、ウィリアム王子)からプロポーズをされた際に、ダイアナ妃が所有していた12カラットのサファイアが輝く指輪を贈られた。キャサリン妃が愛用しているラバーズ・ノット・ティアラ(Lover’s Knot Tiara)はダイアナ妃のお気に入りの1つで、トレードマークとしても知られている。19粒のバロックパールとローズカットのダイヤモンドがハート型にあしらわれた同ティアラは元々、ダイアナ妃がエリザベス女王(Queen Elizabeth II)から結婚祝いに贈られたものだった。

 またキャサリン妃とウィリアム王子は王室の伝統に沿って、子どもたちが誕生した際はロンドンのセントメアリーズ病院の階段でお披露目をしている。ジョージ王子(Prince George)が生まれた2013年には、ファッションもドットのワンピースで合わせてオマージュを捧げた。ルイ王子(Prince Louis)を18年に出産した際も、キャサリン妃は白い襟がアクセントの赤いドレスに身を包み登場。そのルックは1984年にダイアナ妃がハリー王子(Prince Harry)を出産した際に着用したドレスによく似ている。

 19年のパキスタンでの公務では、同国の文化に敬意を払いながら90年代にダイアナ妃が訪れたときと似た着こなしを披露した。キャサリン妃は英国人デザイナーのキャサリン・ウォーカー(Catherine Walker)やパキスタン人デザイナー、マヒーン・カーン(Maheen Khan)のアイテムを使用。ターコイズブルーのヘッドスカーフで1991年にダイアナ妃が訪れたラホールのバッドシャヒ・モスクを訪れている。

 2人が実際に対面することは叶わなかったが、ダイアナ妃の死から20年以上が経った今でも、彼女のアイコニックなファッションセンスはキャサリン妃に受け継がれているようだ。

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ユーチューバー時代到来。彼らは“生きることが仕事”である エディターズレター(2020年10月14日配信分)

※この記事は2020年10月14日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

ユーチューバー時代到来。彼らは“生きることが仕事”である

 「WWDジャパン」10月5日号の特集は「大解剖 ユーチューバー時代」でした。いや~取材が楽しかったです。特集制作はユーチューバーと同世代の若手記者が担当しました。私が出しゃばったりしない方がよいと頭では分かっているのですが、どうしても直接話を聞きたくていくつかの対面&オンライン取材に同行しました。「顔や生活、言葉をオープンにすることで時に傷ついたりしない?」とか、「企業案件を引き受ける基準は?」とか、「何歳までユーチューバーを続けるの?」とか、「ぶっちゃけ、どのくらい稼いでいらっしゃるの?」など知りたいことがありすぎたから(笑)。

 共通していたのは、「徹底したリアル」でした。何度も聞いたのは「本当に思っていることしか言わないし、良いと思っているものしか紹介しない」といった言葉。ガッツリ食べる姿やくじける姿、何かに失敗した姿など決して美しいとは言えない姿を見せることでファンを獲得しているユーチューバーは多いですが、視聴者は「嘘」に敏感であり、それが「本当」でなければ離れます。これだけフェイクがあふれている今、なぜ一部のユーチューバーが支持されるのか、それは「嘘がないから」なんだと思います。

 表紙にも登場した、あさぎーにょには企業案件がビジバシ届いているようですが、「ファンは私以上に私の好みを知っているから、嘘は絶対につかない」とブレません。彼女の強みは企画力で、ファッションや食ネタ以外に田舎の祖母との対話、飼っていた愛猫の死、友だちへのバースデーサプライズなどなど(おもしろくて見まくりました!)、生活そのものがコンテンツになっています。「人生のストーリーをそのまま発信している」とは、何と強い精神力でしょうか!私には絶対に、真似はできません(笑)。そんな彼女のオリジナルブランドの服はブラウス1型で1600枚を売ったそうです。

 成功しているユーチューバーはよい意味で野心がある人が多いですね。チャンネル登録者数が79万人(これは福井県の全人口に相当する数です)の古川優香さんは、オリジナルコスメ「リカフロッシュ」の開発などが話題ですが、「私の手に負えないくらいの大きいブランドになってほしい」という〆の言葉がよかった。モノづくりをする人にはその位、自分が作るモノやブランドの未来を信じてほしいです。「業界が盛り上がらないと僕はやっていけないし、このまま終わってゆくものを見届けたくない」とは、なかむさん。彼らはそんな風に呼ばれたくないかもしれないけど、新しいタイプの “ファッション&ビューティの業界人”の登場だと痛感して自分も頑張ろう、と思ったのでした。

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

エディターズレターとは?
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秋冬は躍動感あふれるロングフリンジ! シンプルな服とも好相性

 フォークロアや70年代ヒッピーのトレンドの影響で、フリンジ人気が続いています。この秋冬は、長さがたっぷりあるロングフリンジへと発展。有力ブランドが相次いでロングフリンジで装いを弾ませています。背景にあるのはきれいめやミニマルからの流れ。シルエットは細感を保ちつつ、ロングフリンジで動きを出した“ミニマル+α”のスタイリングが提案されています。

 「ディオール(DIOR)」は、シックなシャツ&ジャケットに艶感のある黒のロングフリンジをスカートのように重ねました。足元は白のコンバット系ブーツを合わせて今年らしく。これまでの“ヒッピー調からアートライク”へ、“部分的な装飾使いから服本体の素材へ”という2大変化がフリンジの新傾向です。モードを牽引する有力ブランドの秋冬ルックから、ロングフリンジの最旬スタイリングを見ていきましょう。

シンプルなワンピースをあでやかに格上げ

 フリンジの色や素材を服地とずらすと新たなムードが加わります。さらに襟回りやひじ先など裾以外の位置にフリンジをあしらったり、長短のフリンジをミックスするのも変化を出しやすいアレンジです。

 「プラダ(PRADA)」はシンプルなタートルネックの装いを多彩なフリンジ使いで弾ませました。裾周りに加えた、ビーズ風の装飾をあしらった色も素材も異なるロングフリンジが表情に富む理由。さらに首周りやひじ先にもショートフリンジを配して、長短の違いを際立たせています。

楽ちんニットをドラマチックに昇華

 腰から下にロングフリンジをあしらうと、歩くたびにダイナミックな動きを生みます。ワントーンの装いにも意外性を与えられる演出です。

 「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」はマスタードイエローのニットのセットアップを披露。ボディラインにフィットしたしなやかルックを腰下からのロングフリンジでざわめかせています。足さばきで不規則に跳ね動くフリンジが楽しげ。ワントーンの装いに、ビッグバッグとボリュームブーツでアクセントを添えています。

フリンジを“着る”感覚で流れ落ちるシルエットに

 20-21年秋冬で目立ったのは、フリンジをそのまま服地のように操る手法です。もはやフリンジを“着る”という感じ。流れ落ちるような“フリュイドライン”効果が期待できます。

 「ジル サンダー(JIL SANDER)」のロングドレスは、つややかなフリンジだけが見えるアートライクな着映え。黒と白のフリンジは長さが異なり、さらに落ち感が際立っています。体を動かすたびにフリンジのどこかが揺れドラマチックな印象に。フリンジが躍るような感覚に気分が上がりそうです。

フェザー風グラデーションで“きちんとドレッシー”

 極細のフリンジは、まるでフェザー(羽毛)のような見え具合。長さや色のバランスでいっそう優美なムードに整うので、ドレッシーな装いの雰囲気作りに効果的です。

 フェザー風のフリンジをジャケットの裾から垂らしたのは、パリコレの「ビクトリア トマス(VICTORIA/TOMAS)」。細いロングフリンジがまるでドレスのよう。グラデーションの利いた色合いがリズミカルな印象も与えます。端正なジャケットと繊細なフリンジとのコントラストが際立ち、意外感が生まれました。

トップスに組み込み質感ミックス ハイウエスト効果も

 ボトムスの裾にあしらうことが多いフリンジですが、トップスにあしらうタイプも増えてきました。ボトムスと比べて扱いやすいので、ロングフリンジ・デビューにうってつけです。

 「ハイク(HYKE)」のニットベストは胸下からロングフリンジに切り替え。高めの位置からフリンジが始まっている分、ウエスト位置を高く見せるスタイルアップ効果も狙えます。さらに質感が異なるシャツの上から重ねることで、装いに深みももたらしています。シンプルなトップスはもちろん、長袖の柄ワンピースなどの上から重ねるような多彩なアレンジが楽しめそうです。

 ロングフリンジの魅力は落ち感や躍動感にあります。動きや表情に富んでいるので、シンプルな服や定番ウエアに合わせるだけでムードをガラリと変えられます。手持ちのワードローブから新たなスタイリングを引き出せるアイテムといえるでしょう。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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ファッション通信簿Vol.60 人気ドラマ「ザ・クラウン」に遂に登場! 故ダイアナ妃のエターナルシックな装いを米「WWD」が勝手にジャッジ!

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットに至るまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。評価を絵文字でお伝えするとともに、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第60回は、ネットフリックス(NETFLIX)の人気ドラマ「ザ・クラウン(The Crown)」のシーズン4の配信開始に合わせて、ダイアナ・フランセス(Diana Frances)元英国皇太子妃(以下、ダイアナ妃)が登場。英国王室を舞台にした「ザ・クラウン」の新シリーズは11月15日に配信がスタートした。いよいよ登場したダイアナ妃――フォーマルもカジュアルも完璧に着こなした永遠のアイコンによる懐かしのファッションの数々を振り返りたい。

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セレクト内ポップアップで「実験」を エディターズレター(2020年8月17日配信分)

※この記事は2020年8月17日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

セレクト内ポップアップで「実験」を

 高校は静岡、大学は仙台、そして卒業後は再び静岡、からのニューヨーク!!「WWDジャパン」で働くことになって初めて上京した(と言っても、東京暮らしは1年でイヤになり、横浜に引っ越して10年以上が経ちましたw)私にとって、東京のブランドショップは憧れでした。

 いや、静岡はもちろん、仙台はスゴいんですよ。下のリンク1本目で触れている「リヴォリューション」は、仙台はおろか宮城、いや東北ファッションの総本山。私もここでいろんなブランドに触れ、憧れ、購入し(ちなみに当時ご執心だったのは「プリ・ド・ボテ」というブランドです)、結果バイト代が右から左に流れる生活を送ってしまいました(苦笑)。私の“ファッション愛”の原点は、「仙台のリヴォリューションにあり!!」と言っても過言ではありません。でも心の中では時々、「東京には、このブランドのオンリーショップがあって、この数倍も洋服があるんだろうなぁ」なんて思うこともありました。ECなんてない時代です。だから「カラー」のポップアップツアーという発想、とってもステキだと思います。“kolor is everywhere”って名前もいいですね。「地方にいる、俺のそばにも『カラー』はいる!!」そんな風に思わせるネーミング、カッコ良きです。

 この「カラー」同様、セレクトショップの中にポップアップを開くことについては、結構なポテンシャルを感じています。リンク2本目の「ミッドウエスト」大澤バイヤーが妄想するのは、セレクトショップ内セレクトショップ。これなら普段取り扱っていないブランドを売り場に並べるハードルも低そうだし、同じブランドを取り扱っていてもキュレーションの違いが表現できそう。出店時の初期投資、そこで生まれるバイヤーやショップスタッフ、顧客同士のコミュニケーションなどを考えても、「良き」と思います。都内では「ユナイテッド ヌード」旗艦店の上に、福岡のセレクト「マギークープ」が出店なんてニュースが、コレに近いでしょうか?リンク3本目をご覧ください。

 そして、コレをビューティでやってみては?と思うのですよ。特に「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー」や「Y-3」的なラグジュアリー・ストリートのウィメンズを扱うようなセレクトは是非、コスメブランドのポップアップに名乗りをあげていただけないでしょうか?

 そう思うようになったのは2、3年前。ビューティ業界の友人に、「ああいうストリートなスタイルの女性は、どんなビューティブランドを使ってるの?」と聞かれ、「ん~、確かによくわかんないかも」と思ってからです。「アディクション」や「ナーズ」「M・A・C」でしょうか?「スリー」とかなのかしら?個人的には「イヴ・サンローラン」や「ジバンシイ」を期待してしまったり。ムムム~、1つに絞れないということは、いろんな可能性があるのではないか?そう思ってしまい、以来「いつか、どこかで実験してくれないか?」なんて思っているのです。「だったら、百貨店で買い回りを聞いてみたら?」という声もあるでしょう。でも、質問したのが百貨店で働く友人なのです(笑)。

 ということでビューティも含め、ポップアップでセレクトショップにいろんな実験をして欲しいと思う今日この頃。そして、その縁を生み出すのは、私たち「WWDジャパン」だとも思っています。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

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【動画】Youth in focus Vol.1 ジェンダーの課題にクリエイションの力で挑戦するエド・オリバー

 「WWDJAPAN.com」はU30の若者たちにフォーカスした新連載「ユース イン フォーカス(Youth in focus)」をスタートする。ミレニアルズやZ世代と呼ばれる若者たちは情報感度が高く、ジェンダー平等やサステナビリティなど社会課題に関心が強いと言われている。彼ら/彼女らは今何を考え、ファッションやビューティーと向き合い、どんな未来を作ろうとしているのだろうか。同企画では業界に新たな価値観を持ち込み、変化を起こそうと挑戦する若者たちを紹介する。

 連載の1回目は、クリエイティブスタジオのリング(REING)でクリエイティブ・ディレクターを務めるエド・オリバー(Edo Oliver)にファーカスする。リングは性別や人種、年齢、体形に対する他者からのラベリングや社会の枠組みから個人を解放することを目的に活動する。企業やブランドのクリエイティブ制作、ジェンダーニュートラルなアンダーウエアや指輪などの商品の製造・販売に加え、ジェンダーを多角的に考察する対話型イベントを通じたコミュニティ運営なども手掛ける。同氏にリングの活動から、社会を変えるために必要だと思うこと、今後の目標などについて語ってもらった。

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【動画】Youth in focus Vol.1 ジェンダーの課題にクリエイションの力で挑戦するエド・オリバー

 「WWDJAPAN.com」はU30の若者たちにフォーカスした新連載「ユース イン フォーカス(Youth in focus)」をスタートする。ミレニアルズやZ世代と呼ばれる若者たちは情報感度が高く、ジェンダー平等やサステナビリティなど社会課題に関心が強いと言われている。彼ら/彼女らは今何を考え、ファッションやビューティーと向き合い、どんな未来を作ろうとしているのだろうか。同企画では業界に新たな価値観を持ち込み、変化を起こそうと挑戦する若者たちを紹介する。

 連載の1回目は、クリエイティブスタジオのリング(REING)でクリエイティブ・ディレクターを務めるエド・オリバー(Edo Oliver)にファーカスする。リングは性別や人種、年齢、体形に対する他者からのラベリングや社会の枠組みから個人を解放することを目的に活動する。企業やブランドのクリエイティブ制作、ジェンダーニュートラルなアンダーウエアや指輪などの商品の製造・販売に加え、ジェンダーを多角的に考察する対話型イベントを通じたコミュニティ運営なども手掛ける。同氏にリングの活動から、社会を変えるために必要だと思うこと、今後の目標などについて語ってもらった。

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中国進出支援のトレンドExpressに聞く、中国マーケティングを成功させる3つのポイント

 新型コロナで、これまでインバウンドやトラベルリテール需要の大きかった企業は痛手を受けた。特に中国客に期待していた企業の中には、越境ECや一般貿易など、中国客へ新たなアプローチを模索するところも少なくない。そのハードルは低くないが、勝ちパターンはあるのだろうか。

 日本企業の中国進出サポートやマーケティングを手掛けるトレンドエクスプレス(トレンドExpress)の濱野智成社長に、今の中国のニーズと消費者動向を取材。その中から見えた3つのポイントを紹介する。

在日中国人から熱意あるUGCを増やす

 中国ではインフルエンサーのことをKOL(Key Opinion Leader)と呼ぶ。これに加えて、フォロワー数百〜1万以下で、より消費者に近いKOC(Key Opinion Consumer)もいる。どちらもプロモーションで起用される欠かせない存在だが、KOLを起用するより先に注力すべきはUGC(User Generated Contents)を増やすことだ。

 「プロモーションの初期は在日中国人や、在日ソーシャルバイヤー(代購)をターゲットとするべきだ。彼らは日本の商品を中国向けに展開するコンシェルジュのような役割を果たしている。彼らの認知を拡大していかないと、いきなり中国SNSで広告を打っても費用対効果が見合わない。中国の方から『進出してほしい』と思われることが第一優先だ」と濱野社長。こうした在日中国人の理解を深め、熱意のある口コミ(UGC)を投稿してもらうことが重要だ。

 これと並行して、公式情報を発信する基地として公式アカウントを設置、発信する。その次に、流通開拓をしてくれる代理店とともに、いつ公式旗艦店を開くか、KOLを起用するかのタイミングを模索していくことになる。

 濱野社長によると、越境ECを開始するタイミングは「おおよその目安は、タオバオで1カ月に1万件ほど検索をされ、またUGCが1000件投稿されている状態(小紅書の場合)」。日本で実績のある商品であれば、中国向けのプロモーションをしていなくてもすでに1000件ほど投稿はあることが多いという。

日本市場におけるブランドステータスより上を狙う

 また、濱野社長は「日本の化粧品ブランドで勝ち筋を見つけるとしたら、プレステージカテゴリーを目指す必要がある。低価格帯は中国のローカルブランドが市場を作り飽和しつつあるため、先行優位性が相当ない限り勝っていくのは難しい。新規で参入するブランドは、日本市場で得ているブランドステータスより少し上を狙わなければいけない」と語る。

 ブランド価値を高めるには、ブランドのストーリーを伝える施策が重要だ。例えば、ブランドマネージャーや研究者、社長といった“ブランドの中の人”が語るコンテンツも大きな力を持つ。「研究者が話すときに、技術や開発力についての話(How)をしがちだが、なぜその商品を作ろうと思ったのかの話(Why)を掘り下げると、消費者がより共感しやすい情報になる」と濱野社長。

 こういった大掛かりなマーケティング手法はプレステージブランドが行うことが多いが、中国では地元の中価格帯ブランド「完美日記(Perfect Diary)」や「花西子(Hua xi zi)」も同様の手法でストーリテリングを行っているという。両ブランドは中国化粧品業界でも注目を集める成功ブランドで、他社よりも高級路線をとっている。

いざ中国進出、旗艦店立ち上げのタイミングは?

 こうしたプロセスを経て、公式旗艦店を開くタイミングになる。多くのブランドが選択するのがTモール国際などの越境ECだ。越境ECであればNMPA(中国国家食品薬品監督管理局)に申請することなく販売できる大きなメリットがある。一方で越境ECは消費者とオフラインでの接点は持つことができない。濱野社長は「越境ECのみではブランド規模が成長しない原因には、オフライン接点を持てないことにあると考えている」と指摘する。

 その欠点を補うのが、トレンドエクスプレスが新たに開始するサービス「意中盒 -SURPRISE BOX-」だ。同社が提携するアプリやカルチャーセンター、ジムなどを利用する中国本土に住む1500万人の中から、企業の狙いに合った人にのみギフティングを行うサービスで、「リアル店舗のように実際に手に取って使うことで商品の良さを体感してもらいたい」という企業側のニーズに応える。

 仕組みとしては越境ECに商品を展示し、ユーザーにそこから商品を購入してもらう。購入費用はサービス側で補てんするため、消費者は無料で商品を試すことができる。また通常の発送とは異なり、ブランドイメージをつくる豪華な箱でラッピングするなどの演出で体験価値を上げるという。

 ギフティング後、企業側はユーザーアンケートを取ることができ、結果から商品の評価されているポイントや消費者像を知ることができ、中国での訴求ポイントの戦略を練る中で活用できる。例えばある男性向け化粧品ブランドは、これまで対象としてこなかった若年の寮生活をしている学生に商品を試してもらい、新たな商機を見つけるとともに「化粧品を使うべき場面がイメージできない」という消費者側の思いを理解するに至ったという。

 同社の中国事業を統括する子会社・数慧光(上海)商務諮詢有限公司(Trend Express China)の渡辺健太COO(最高執行責任者)は「単に市場調査をするだけでなく、消費者には商品を気に入ってもらい、リピートしていただく機会にしたいと考えている。また今後は本サービスからUGCを生み出す施策も考えていく」と語った。

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さよなら「セシルマクビー」! 全盛期を支えた元社員らが語る「キラキラ輝いていたあの時代」

 1990年代半ばから2000年代にかけて、若い女性のファッションを象徴する存在として社会現象も巻き起こした「セシルマクビー(CECIL McBEE、以下セシル)」(ジャパンイマジネーション)が、いよいよ幕を下ろす。旗艦店であり、往時は月商1億円を誇った渋谷109内の店舗が11月30日をもって閉店し、これで全店閉店となる。閉店を前に渋谷109店では、かつての人気商品やムック本などを展示するイベントを11月21~30日に実施。同イベントのために、現役社員だけでなく全盛期を支えたディレクターやプレス担当者らが再結集した。彼らにキラキラ輝いていた時代の「セシル」を振り返ってもらった。

 「『セシル』での10年間があったからこそ、今の自分がある」と話すのは、00年代の “東京エレガンス”ブーム時代の「セシル」を支えた名越万理・元ディレクター。90年代後半の“セクシーカジュアル”“ギャルファッション”のムーブメントで「セシル」に憧れ、大阪文化服装学院を卒業してジャパンイマジネーションに入社。13年に退社するまで、企画やディレクションを担った人物だ。現在はフリーランスとして、大手カジュアルSPAなどのディレクションに携わる。1990年代後半からブランドを支え続けてきたメンバーもいる。「渋谷109店で店長をしていた97~98年は、お客さんが絶えることが全くなかった。朝10時から夜9時まで休憩を取る間もなくレジを打ち続けていたし、販売員として働きたいという応募も多くて、毎日10~15人は面接していた」と振り返るのは、現役社員の手塚邦洋セシルマクビー営業部次長だ。手塚次長は95年にアルバイトとして入社。現在入社25年目の43歳で、まさに「セシル」と共に人生を歩んできた。

 閉店を前にして、何かイベントができないかと渋谷109から打診を受けたのが10月上旬。そこから急ピッチで準備を進めてきた。ただし、コロナ禍の中ではイベントとしてやれることも限られる。加えて、「現在の本社の事業部人員は自分も含めて4人とかなり減っている。そこで、名越元ディレクターや当時のプレスチーフに声をかけた」と手塚次長。再結集したメンバーで話し合ったのは、「『セシル』とは何か」。それに対する回答としてメンバーから口々にあがったのが、レオパード柄のミニワンピースやツイードジャケット、クラッシュベロアのベアトップやキャミソール、ロールカラーのAラインコートといったアイテムだった。当時を知っていれば「懐かしい!」「まさに『セシル』!」と言いたくなるものばかりだ。イベント用にそれらを復刻生産し、展示することを決めた(販売はしない)。

 近年の「セシル」店頭では白のシンプルなマネキンを使っていたが、復刻アイテムを展示するためのマネキンはゴールドがかった塗装を施して当時を再現。「全盛期の『セシル』のマネキンは、美容師と組んでメッシュや巻き髪などのトレンドを取り入れたウィッグを付けているのも特徴だった。当時の資料を探し出して、同じような華やかな巻き髪ウィッグを作った」と名越元ディレクター。他にも、往年の顧客を楽しませるためにアイコニックなロゴ入りショッパーや四角いミラーを復刻。DMを持参し来店した客にはそれらをプレゼントする。「今となってはよくある手法だが、20年前は『セシル』が他ブランドに先駆けて始めたものだった」と手塚次長が語るノベルティグッズやブランドムック本も、年代順に並べて「『セシル』のミュージアムのような空間を作る」という。

倉庫作業でもハイヒールは死守

 一時代を築いたブランドだけに、印象的なエピソードや思い出話が次から次へと出てくる。「僕は安室奈美恵さんと同い年だけど、97~98年頃は安室さんやMAXさんにワンボタンのパンツスーツなどを頻繁に貸し出していた。当時はまだプレスルームやプレス担当者といったものがカジュアルブランドにはなかった時代で、全て渋谷109の店頭でスタイリストに貸し出し対応していた」と手塚次長。「あの頃は毎日渋谷の日焼けサロンに通って肌を焼いていた。渋谷109で働いている販売員には、日焼けサロン側が割り引きしてくれていた(笑)」といった小話も。カリスマ店員の影響力が強かった時代だからこそだ。

 名越元ディレクターが在籍した“東京エレガンス”時代のエピソードとして出てきたのは、「今となってはハラスメントになってしまうが、どこでお客さまに見られても『セシル』のイメージが保てるように、販売員には通勤時も5センチ以上のハイヒールを履くように指示していた」(名越元ディレクター)というもの。「言い出しっぺの自分がそれを破るわけにはいかないので、年末に倉庫を掃除する時も毎年ハイヒールで通していた」と話す。「セシル」といえば、接客のしっかりした優秀な販売員が多いことも業界内ではよく知られていた。「個人の売り上げ額に対してプライドを持っている販売員が同業他社と比べても多かったと思う。とにかくみんなブランド愛が強かった。ノベルティイベントの告知などで各販売員は毎月のように顧客に300~400枚のDMを送っていたが、シールを貼るなど1枚1枚すごく作り込んでいたのをよく覚えている。お客さまとの関係も非常に近く、接客をしながら“人生相談”のような深い話をしているケースもよくあった」と手塚次長。

少女漫画の題材にもなった「セシル」

 ファッション誌はもちろんのこと、テレビの情報番組などにもよく取り上げられ、とにかくメディアへの露出が多かったのも全盛期の「セシル」の特色だった。これについては、2006~13年に同社に在籍し、今回のイベントにも関わっている中道あすか元プレスチーフがコメントを寄せてくれた。「ファッション誌は対象年齢やテイストの枠を超えて、当時の他ブランドでは考えられないほど幅広い媒体に掲載いただいていた。テレビの情報番組に取り上げられるケースも多く、その商品が発売される日は店のオープンと同時に大勢のお客さまが走り込むような状態だった」という。中でも「さすが『セシル』!」と思わせるエピソードが、「『セシル』を題材にした漫画もあった」という話。集英社の少女漫画誌「マーガレット」で、12年に「LOOK~CECIL McBEEの恋の魔法~」が連載され、コラボレーションアイテムなども企画していた。中道元プレスチーフ自身も漫画内に登場している。

 「セシル」は00~13年の14年間にわたって、渋谷109で売り上げナンバーワンの座に君臨。しかし、その後はマーケットの変化に対応しきれず、右肩下がりが続いてきた。模索の中で、シーズンごとにリブランディングを繰り返していた印象だ。「時代の半歩先を行くというのが、かつては『セシル』のプライドだった。それが、この5~10年は半歩先でなく、時代の主流と同じになってしまっていた」と手塚次長は省みる。「店舗数も増え、ブランドの規模はすごく大きくなっていた。一方で、世の中は“私だけのブランド”と思えるようなストーリー性のあるものを個々が発信していく時代に変わっていった。そこにギャップがあった。変えたいけど変えられない。作り手の側には、そういったジレンマがあったと思う」と、名越元ディレクターは外から見ていて感じていたという。

 「セシル」は1987年にスタート。96年頃に渋谷109を発信源に“セクシーカジュアル”“ギャルファッション”ブームに火が付くと、その代表ブランドの1つとなった。2000年代中盤以降は、赤文字系雑誌や「東京ガールズコレクション」と連動した“東京エレガンス”の波をつかんで成長。しかし、08年の「H&M」上陸や15年の「ジーユー(GU)」のガウチョのヒットに象徴される競合状況の激化、SNSの拡大などの中で、次第に影響力を失った。ジャパンイマジネーションは今後は「アンクルージュ(ANK ROUGE)」「ジェイミーエーエヌケー(JAMIE エーエヌケー)」「スタニングルアー(STUNNING LURE)」「デイシー(DEICY)」の4ブランド事業に集中する。

■「CECIL McBEE THANK YOU CLOSE EVENT」
開催期間:11月21~30日
場所:渋谷109の2階
住所:東京都渋谷区道玄坂2-29-1
注:新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、混雑時は展示ブースは20分ごとの総入れ替え制を予定。その際は店頭で入場時間を指定したチケットを配布する。渋谷109内で行列を作り、待機することは不可

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中国コスメはなぜコラボするのか?人気アイテムから見る拡散戦略

 中国では国産コスメが急成長しており、日本や東南アジアでも話題となっている。それらの製品の中で目につくのが、キャラクター、ブランド、建造物など多様なコラボレーションだ。

 中国市場では2015年ごろから、IP(Intellectual Property、知的財産)が注目されている。IPとは一般に認知度が高く、大規模なファン層が存在し、強力な収益化能力を持つものを指す。具体的にはブランドやコンテンツ、キャラクター、人物などがIPと呼ばれる。

 こういった異業種のIPとブランドがコラボすることで話題を生んだり、新客を獲得したり、ブランド理解を深めたりと多くの効果が期待できる。こうしたブランドやキャラクターと自社の商品を掛け合わせて目新しさや希少性を提供する戦略をクロスボーダーマーケティングという。

 こういったコラボアイテムは、特に1990年代生まれ以降(30歳以下)の若者が主な消費者とされており、ファッションや化粧品のメイン消費者層とも重なる。今回は実際に中国で販売されたコラボ商品の事例から、成功するコラボの秘訣を読み解きたい。

世界的に有名な芸術とのコラボ

 この数年、中国の化粧品企業は多くの芸術関連コラボを販売した。CBNデータによると、19年の国内IPライセンス市場では、芸術、文化、美術館との共同コラボレーションが17%を占めており、若い消費者が文化的に意味のある製品への関心を高めているという。

 日本でも販売される中国コスメ「ズーシー(ZEESEA)」は、特に芸術との結びつきが深い。ブランドは「使用する人に芸術のような美しさを与え、日々をよりカラフルなものにする」という理念があり、その表現方法として芸術関連コラボを選択している。これまでに大英博物館や、画家パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)などとコラボし、特に大英博物館コラボの「ミステリーエジプト」シリーズのルースパウダーは18年に美容アワードのひとつ、美粧V賞 でメイクアップ製品の年間トップ10に選ばれた。

 このほか、中国スキンケア「阿芙(AFU)」は画家フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)とのコラボ製品、中国コスメ「ランサー(LANSUR)」は英V&A博物館に所蔵される画家アルフォンス・ミュシャ(Alfons Mucha)の作品とのコラボ製品を販売し、いずれも話題となった。 また最近ではルーブル美術館がTモール(天猫)に旗艦店を出店し、中国のメイクアップアーティストブランド「マリー ダルガー(MARIE DARGAL、瑪麗黛佳)」とコラボ製品を販売している。

中国風“国潮”を取り入れる

 中国では18年ごろから“国潮(グオチャオ)”という、中国伝統文化の要素を取り入れたトレンドが起こった。検索エンジン百度(バイドゥ)のレポート「国潮プライドビッグデータ」によると、特に人気のあるIPには故宮(紫禁城)や敦煌といった歴史的建造物や都市も入った。

 中国コスメでも“国潮”を取り入れるブランドは多く、コスメブランド「毛戈平(MAOGEPING、マオ グァ ピン)」は故宮と、中国コスメ「カズラン(CARSLAN)」は敦煌博物館とコラボして話題に。 また中国コスメ「キャットキン(CATKIN)」は北京・頤和園とコラボし、頤和園の楽寿堂にある屏風「百鳥朝鳳」をモチーフにした3Dパッケージを製作。口紅の一部カラーは売り切れとなる人気だった。  

 中国コスメ「完美日記(パーフェクトダイアリー)」の人気アイシャドウは、中国の自然や地理に関する雑誌「中国国家地理」とコラボしている。中国の美しい景色や自然からインスパイアされたカラーをまぶたにまとうというコンセプトのアイテムで、ウェイボーでは愛国心を持つユーザーたちから「アイラブチャイナ」といったコメントが多数寄せられている。 愛国心という多くの人が持つ要素を持つIPと国産ブランドのコラボは相性が良く、受け入れられやすい反面、“国潮”ブランドの差別化が難しくなっているという声もある。

国民的アイテムとの異業種コラボ

 中国の若者トレンド“国潮”は、コスメとは縁遠い存在をも結びつける。中でも大きな話題になったのは、国民的なキャンディー「大白兔奶糖」の香りを再現した、香水ブランド「気味図書館(SCENT LIBRARY)」のフレグランスだ。“子どものころの思い出”として親しまれるミルキーなフレーバーに、多くの人が懐かしさを感じて買い求めた。

 同じように大衆の懐かしい思い出を喚起させたのは、ロレアル傘下の「羽西(YUESAI)」と「新華字典」のコラボだ。「新華字典」は1953年の初版以来続くロングセラーの国民的字典。このIPを使用することで、2000年に設立したブランドの若返りを図るだけでなく、中国医学と漢方スキンケアというブランドアイデンティティーと、中国文化と伝統の知恵を継承する字典の要素を結びつけイメージ作りを行った。

 また、昨年9月に越境ECのTモール国際への出店で中国進出した「フェンティ ビューティ バイ リアーナ(FENTY BEAUTY BY RIHANNA以下、フェンティ ビューティ)」は今年5月、若者に人気のティースタンド「喜茶(HEYTEA)」とのコラボ製品を発売。「フェンティ ビューティ」は既にハイライトなど人気製品も一部あったが、ブランドとしての人気は同価格帯の海外ブランドに劣る。また価格帯も高く、よりブランド認知を広げる必要があった。そこでこのコラボを発表すると瞬く間に話題となり、ウェイボーのホットリストにも登場した。

アニメ、ゲーム、コミックとのコラボ

 「M・A・C」と中国の人気ゲーム「ストライク オブ キングス(STRIKE OF KINGS、王者荣耀)」のコラボコレクション「M・A・C アーナー オブ キングス」は、そういった若者の心を反映している。元々ネットユーザーの間ではキャラクターのイメージに近い既製品を探すのが人気で、製品はその流れを汲む形で作られた。リップカラーはゲームの登場人物の性格や物語、イメージを反映しており、ゲームファンの評判もよく、大きく拡散された。

 また、今年公開になったディズニー映画「ムーラン」関連の製品も多数発売された。主人公のムーランは中国の伝説の女性をモデルとしており、その勇ましい姿から人気が高い。中国スキンケアブランド「三草両木」はこの国民的IPとコラボすることで全ての自立した女性に敬意を表し、“現代のムーラン”の肌を守るというメッセージを発信している。

 中国コスメ「カラーキー(COLORKEY)」も、ムーランとのコラボ製品を販売した。アイテムにはムーランが持つ国への忠誠心、勇気、誠実さという精神的な象徴をそのままデザインしている。さらにブランドアンバサダーの蔣一僑にムーランのイメージメイクを施したビジュアルを公開。消費者向けには画像加工アプリ「フェイスユー(FaceU、激萌)」で、手軽にムーランのイメージメイクを楽しめるフィルターを配布し、話題と拡散を狙った。

 これらのコラボは話題を生んだ成功例だが、うまくいかなかったコラボ製品との違いは何か。中国ではコラボは「1 + 1 > 2」だといわれている。コラボとは単純に「2」にするために行うものではなく、相互のシナジーを生むことで「2」以上の成果を得るものという意味だ。そのためには、流行りやIPの人気だけでなく、よりブランド価値を消費者に理解してもらうためのコラボ相手を見つけ、またそのコラボ意図を明確化することが重要だ。

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ティックトックだけではない 中国でホットな動画アプリ

 何かと話題のティックトック(TikTok)が中国発のアプリであることは広く知られているが、中国にはそのほかにもさまざまな動画アプリがある。

 中国インターネットネットワーク情報センター(CNNIC)の「中国インターネット開発状況に関する統計報告」によると、 今年6月時点で中国のオンラインビデオ(短時間動画を含む)のユーザー数は8億8800万人に達した。これは全体の94.5%を占めており、ネットを利用する大半の人が動画から情報を得ているということになる。

 国民のライフスタイルに密接する動画は、ファッションや化粧品業界にとっても欠かせない。中でも知っておくべき動画アプリやプラットフォームを活用事例とともに紹介する。

抖音(Douyin、ドウイン)

 抖音はティックトックを運営する中国バイトダンスが、中国向けに展開するアプリだ。見た目はティックトックそっくりの短時間動画アプリだが、実際には別アプリで、中国アカウントでなければダウンロードすることもできない。

 中国のインターネットデータ分析を行うクエストモバイル(QuestMobile)によると、新型コロナ禍の今年3月には月間アクティブユーザー数(Monthly Active Users、MAU)が5億を超えた。若年層に加えて30歳以上のユーザーも多く、60歳を超えた中高年世代ユーザーも増えている。芸能人や企業、KOL(Key Opinion Leader、中国のインフルエンサーのこと)が発信する高品質な動画が多いのも特徴だ。またアプリには抖音小店というEC機能があり、商品や外部ECへのリンクを貼ったライブコマースを行うことができる。

 抖音の活用事例として、中国コスメ「完美日記(PERFECT DIARY)」が新作のアイシャドウパレットを販売する際、短時間動画の配信とライブコマースを行った。まず短時間動画では新しいアイパレットを紹介するため、コロナ禍で定番になったマスク着用時のための“マスクメイク”紹介動画を制作し、役立つ情報を得られるコンテンツとしてユーザーの興味を引いた。ライブコマースでは8人のスターを招き、抖音で芸能人コンテンツを視聴するファンを呼び寄せた。短時間動画とライブコマースを組み合わせることで、商品の認知獲得から購買促進までをひとつのアプリで行っている。

快手(Kuaishou、クアイショウ)

 快手は抖音に近い短時間動画アプリだ。抖音と異なるのはユーザー層で、人口の多い内陸部(3〜5線都市、または3~5級都市)のユーザーが多い。特徴としては、ユーザー発信のコンテンツが多く、エンゲージメントが高いことを売りにしている。一般人の口コミやライフスタイルの共有が盛んだ。また抖音と同じく快手小店というEC機能を持ち、外部ECとの連携が可能なライブコマース機能もある。

 中国スキンケアブランドの「韓束(KANS)」が販売する“金剛侠マスク”は、ゴールドと炭を用いたフェイスマスクとして人気が高い。その一因に、“短時間動画映え”する見た目がある。マスクは着けると蜂の巣状のゴールド模様が現れ、誰が動画を撮っても興味深く目を引くコンテンツになる。KOLから一般人まで多くの人が着用動画をアップしており、ブランド認知の向上に役立っている。

ビリビリ(Bilibili)

 ビリビリは2009年にスタートした動画共有サイトで、日本のニコニコ動画に近いサービスだ。視聴者のコメントが動画の上を流れる“弾幕コメント”機能があり、参加型のサイトとなっている。特筆すべきは、ユーザーの8割が11〜30歳と若者が多いこと。そのため、若者にリーチしたい企業から注目されている。

 元々アニメ、コミック、ゲーム(ACG)などのサブカルチャーがコンテンツの大多数を占めていたが、現在は美容やファッションなどライフスタイルコンテンツも徐々に増えている。ほかのプラットフォームと比べて長めの動画(3〜10分程)を投稿するため、より専門的知識を持つ人や、ビューティテクニックのある投稿者が多い。

 企業はKOLとコラボして発信したり、生放送で視聴者とのコミュニケーションを図ったりしている。またドラマ仕立ての動画を配信して娯楽を提供しつつブランド理解を深めてもらうケースも多く、中国スキンケアブランド「自然堂(CHANDO)」はロリータやコスプレイヤーが登場する動画「支流大学」を、「ロレアル パリ(LOREAL PARIS)」は15分弱にもなる芸能人出演の短編ドラマ「時光魔暦」を配信している。

ライブコマース

 新型コロナ禍でライブコマースはさらに人びとの身近な存在になった。中国・iiメディアコンサルティングの調査によると、中国ライブコマースの市場規模は年内に9610億元(約14兆4150億円)に達し、中国の小売総額の約8.7%を占める見通しだ。

 ライブコマースは商品を売るための配信ではあるが、ブランドの認知を拡大し、理解を深めるという効果もある。最近では芸能人をゲスト起用する配信も多く、独身の日(W11)の販売期間にもさまざまな出演者が登場。中国トップのライブ配信者、薇婭(Viya)の放送には人気女優アンジェラベイビー(Angelababy)が出演。また“口紅王子”として知られる人気ライブ配信者、李佳琦(Austin)の配信にはコスメブランド「レッドアース(RED EARTH)」のアンバサダーで女優の舒淇(スー・チー)が出演した。

 さまざまな娯楽要素をライブコマースにプラスすることで、消費者は賢く買う以外の目的で視聴し、より広く拡散されるようになった。

 このほか、短時間動画にはタオバオ(淘宝)の店舗SNS機能、微淘(Weitao、ウェイタオ)やSNSアプリのRED(小紅書、Xiaohongshu、シャオホンシュ―)、ウェイボー(微博)、ウィーチャット(微信)などさまざまなアプリで動画発信が可能だ。

 情報過多な中国では、品質が成熟し娯楽性や情報性に優れた動画コンテンツは、消費者をよりひきつけるために不可欠な存在となっている。

 

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40代ショップオーナーと20代ユーチューバーが語る「古着」の現在地点

 東京・高円寺と吉祥寺に古着店「サファリ」を6店舗経営する村山佳人フォーリーフ社長と、古着系ユーチューバーのゆーみん&きうてぃ。世代も立場も異なる3人に、「古着」を取り巻く環境の変化や未来について聞いた。

WWD:コロナショックを受けて世の中がさまざまに変化した。その中にあって古着は今、逆境にある?それともピンチをチャンスに変えられている?

村山佳人フォーリーフ社長(以下、村山):“古着”とひと口に言っても、現在ではかなり広義な意味を持つと思う。菅田将暉さんやりゅうちぇるさんがけん引した古着スタイルは、ファストファッションの同質化に飽きた10~20代の若年層を引き付け、下北沢を中心に原宿や三軒茶屋などでバブルともいえる状態を生み出した。やはり若者は手軽に、つまり安価に個性を主張したいのだと思う。下北沢では、すでにコロナ以前の売り上げをクリアしていると聞く。僕ら40代が彼らくらいだった時の、つまりファストファッション前夜の“安い服といえば古着しかなかった”時の感覚に戻っているのかもしれない。一方で、ビンテージを頂点とするアメリカ古着は“オジサン化”してしまっている。もちろん、そこにゆるぎない信念を持つ層は一定数いて、日本人が少しずつ研究・開発してグローバルスタンダード化した体系を引き続き礼賛する動きもある。要するに二極化しており、後者にとってはここが正念場だとも思っている。だからサファリはランチェスター経営を目指している。とにかく質にこだわり、一番店でありたい。

WWD:20代のゆーみん&きうてぃの意見は?

きうてぃ:僕の入り口がまさに、菅田将暉さんやりゅうちぇるさん的“なんちゃって古着”だった。それから現行品(ブランド物)を通って、現在は“オーセンティック古着”が楽しい。それをユーチューブを通して視聴者に伝えている。好きだから市場として活性化してほしいし、おこがましいがその啓蒙活動をしているつもりだ。

WWD:視聴者は同世代が多い?

ゆーみん:25~35歳が25%ほどで中心だが、10代もいるし50代もいる。われわれ20代にとってなんちゃって古着も流行であり、SNS等に影響されてその波に乗った人は多い。ただ若年層のサイクルは早く、火の付いたものが廃れるのもあっという間。しかし上っ面を流れていくだけはつまらないし、皆トレンドを追いかけることに疲れていると感じる。だから、ユーチューブでオーセンティック古着の魅力を伝える活動を始めた。オーセンティック古着にはメンズ服の基礎が詰まっているので。

WWD:ユーチューブの視聴者からリクエストが届くことも多い?

きうてぃ:僕らのもとに届くのはミリタリーを求める声。「ナイジェル・ケーボン(NIGEL CABOURN)」や「コモリ(COMOLI)」の影響もあると思うが、決定的なのはなんちゃって古着にはミリタリーがない(少ない)ということかと。

WWD:彼らのような若者の存在は、サファリにとっても応援団なのでは?

村山:その通りで、アメリカンビンテージをモチーフにしたメンズファッション誌「フリーアンドイージー(FREE & EASY)」(イースト・コミュニケーションズ)が休刊した時は、“さぁ、これからどう市場を維持してこう?”と悩んだ。ゆーみん&きうてぃの専門はヨーロッパ古着だが、きうてぃの働く「アンコール」は高円寺におけるUK古着の先駆的ショップで、正直、最初は“高円寺で英国物は無理なのでは?”と思ったが今や行列店に成長している。これからはアメリカではなく、英国をはじめとするヨーロッパなのだろうと感じた。

WWD:ヨーロッパ物の追い風は感じる?

ゆーみん:僕らのチャンネルが跳ねたきっかけはフランス軍のカーゴパンツ“M-47”の解説動画だったのだが、これが今やバブル状態で価格も高騰。4万~5万円が中心で、サイズがよければ7万円で売買されている。

村山:僕ら世代の感覚では8000円なので、ものすごい値上がり率だ!

ゆーみん:ジャンルではなく、アイテム単位で火が付くのが若年層の特徴だと思う。オーセンティック古着の価値が認められることはうれしいが、それは点でしかないから危険だ。一方で、単純に“知らない”ことの裏返しだとも思う。だから僕らがもっともっとがんばらなくては。

きうてぃ:チャンネルを運営していて、視聴者の古着感が変わってきていると感じる。皆がミーハーでいてくれたから盛り上がったことは事実だが、最近は“もっと深い情報を知りたい”というコメントも届くようになり、内心“やった!”と思っている。

WWD:かたや古着の体系化が進み、ビンテージが投資対象となっている一面もある。

村山:残念ながら、指摘の通りだ。「リーバイス(LEVI'S)」「ロレックス(ROLEX)」「ゴローズ(GORO'S)」がサファリの人気トップ3で、古着店としてはやはり好きな人に買ってほしいが、そうも言っていられない状況になっている。もちろん、これもビジネスなのだが……。

WWD:自粛期間中、総じてアパレルECは伸長した。古着は?

村山:サファリでも4月にEC制作サービスのベイス(BASE)を導入した。まさに救世主的活躍で、それまでEC化率はほぼゼロだったが、6~7月の売り上げの6~7割を占めるまでに急成長した。

きうてぃ:僕の働いている「ミリタリア」や「アンコール」でもベイスを始めた。緊急事態宣言を受けて実店舗を約2カ月閉めたが、その間の売り上げを維持することができた。

ゆーみん:僕が運営する古着EC「フロムアンティーク」も、19年の売り上げがまだ小さかったこともあるが、3~6月は前年同期比をクリアできた。当然、ユーチューブの影響が大きい。

村山:古着というジャンルは案外、コロナのダメージを受けていないのだと思う。少なくとも古着店が閉店したという話を現時点で聞いていない。

WWD:それはベイスやユーチューブなどデジタルツールで、実店舗休業中も顧客とつながり続けられたことが一因?

きうてぃ:そうだと思う。それに、これは古着ファンとして意見だが、ひいきのショップが大変な時に応援したいという気持ちもある。続けてほしいから、それが消費行動につながったのでは?

WWD:サファリは今後もデジタル化を進める?

村山:そう考えている。それこそユーチューブを始めようかと(笑)。

ゆーみん&きうてぃ:ぜひ!

村山:古着の持ち込み客はもちろん新客を増やしたくて、そのためには認知拡大が必要。だからこそのユーチューブだ。

 「WWDJAPAN.com」では近日、3人の“今、気になるアイテム”や“プロが教える値上がり必至のアイテム”について紹介する動画もアップ予定なので、そちらも楽しみにしてほしい。

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“そんな時”こそ「真実を語って」欲しい エディターズレター(2020年8月14日配信分)

※この記事は2020年8月14日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

“そんな時”こそ「真実を語って」欲しい

 このメルマガで何度かお話した、「レベッカ ブティック」の赤澤えるチャンが新会社「私たちの株式会社」を立ち上げたそうです。「レベッカ ブティック」は、ストライプインターナショナル傘下のブランド。ストライプと決別するワケではなく、ストライプではできないことに「私たちの株式会社」で挑戦する。そんなカンジのようです。

 「面白いな」と思ったのは、このニュースの発表方法でした。「私たちの株式会社」はこのニュースを、PR TIMESと赤澤えるチャンのnoteで発表。PR TIMESの文言は極めてシンプルで、「ファッションブランド『LEBECCA boutique(レベッカ ブティック)』の総合ディレクターをはじめ、音楽や映像などの領域でクリエイターとして活動してきた赤澤えるは、この度『私たちの株式会社』を設立いたしました。」だけ。マジでコレだけ。一方、本人のnoteはこれまでの想いなどを存分に語っており、総文字数は8000を超えています(笑)。「共感してくれる人(つまりは「私たち」なのでしょう)には、ちゃんと伝えたい」ーー。本人のそんな思いが透けてみえる気がします。

 「ファンにはちゃんと、この想いを届けたい」、逆を言えば「ファンじゃない人には、まぁそれなりに(笑)」くらいの考えは、今から3年前、下のリンク1本目で紹介する「アレキサンダー ワン」のゲリラショーで、「アリだな」と思いました。下の記事をかいつまんで話しますと、ワンはこの時、当初のスケジュールの事前に開くゲリラショーをインスタグラムだけで告知。そっちのショーの方がよっぽど豪華で、対照的にギョーカイ人に広く伝えた当初のショーは「あっさり」終えました。「インスタグラムをチェックしている本当のファンや、感度の高い人にこそ、素敵なショーを届けたい。不快感を示すメディアもあったけれどね(苦笑)」。「あっさり」したショーを見終えた翌日、ブランドのPRがそう話していたのが印象的でした。同じように、「まずは本当のファンにこそ、素敵なコミュニケーションを」と考えるブランドはビューティ業界にも存在し、近々、その概要は明らかになるでしょう。コレも従来の常識を覆す、でも、本質的なコミュニケーションだと思っています。

 赤澤えるチャンに「アレキサンダー ワン」、ビューティブランドを見ていると、コミュニティーの作り方を学べそうな気がします。そして、えるチャンの8000文字以上のラブレター(と私は解釈しました)を読むと、やっぱり「真実を語る」「吐露する」、今っぽく言えば「晒す」って、大事なんだと痛感します。

 残念ながらブランドの休止や撤退のニュースが相次いでいますが、こんな時も、いや、こんな時こそ「真実を語る」が大事なのでしょう。この手のニュースは、最低限のリリースさえ出ないことも多く、取材しても「コメントできない」と返されることが多々あるのですが、私たちを介さずとも、ブランド側には「真実を語って」欲しい。それが、ロイヤリティーの高い顧客への当然の対応であり、次につながるポジティブな一歩であり、大局的に見れば業界全体の透明性を担保するための1つの手段だと思うのです。その意味で「イッセイ ミヤケ メン」は、立派でした。取材した大塚デスクの「愛」も垣間見えた記事から得た印象は「有終の美」であり、記事内の「新たな可能性」を期待させます。これが「ノーコメント」だったら、記事を読んで得る印象は、だいぶ違ったハズです。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

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大量閉店時代の配置転換に望むこと エディターズレター(2020年8月12日配信分)

※この記事は2020年8月12日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

大量閉店時代の配置転換に望むこと

 リアル店舗の大量閉店が始まる中、スタッフの処遇は今後、大きな問題になることでしょう。多くの企業は配置転換を検討していますが、ぜひ「売り場→売り場」以外の異動も念頭に入れて欲しいと思います。もちろん希望する方には、最前線で働くプロの道を極めてほしいですね。

 最近聞いて「ほぅ」と思ったのは、Zoomバイイング(ブランドにとっては、Zoomセリングですね)にショップスタッフを呼んじゃう、とあるインポートブランドのお話です。このメルマガでは再三再四お話していますが、バイヤーに向けてのZoom接客は、素材感の伝達を筆頭になかなかに難しい。だから、ショップスタッフを呼んじゃうそうなのです。

 ショップスタッフは、エンドユーザーをよく知る人物です。だからZoomバイイングに付き合ってもらえると、「この洋服、私だったらこんな女性に提案します」とか「これなら、体型が気になる方にもオススメしやすいです」とか「私コレ、10着は売れる自信があります!」とか言ってくれそう。その一言一言が、ブランドにとってはバイヤーへの「営業トーク」なるのです。まぁ、なんて説得力のある「営業トーク」なのでしょう。もしかしたら、営業担当より切れ味のある「営業トーク」かもしれません。つまりショップスタッフは、営業にジョブチェンジできるのです。新型コロナの影響で、海外はおろか、国内ブランドでもZoomバイイングが増えていると聞きます。ショップスタッフを営業に起用できるチャンスは今、飛躍的に高まっています。

 そう考えると、最前線を知るショップスタッフの知識は、正直どこでも転用できそうですね。「コレは売れそう、コッチはキツそう」のアドバイスができるからMDの参考にするブランドは多いと聞きますが、「キラーワードはコレです」なんてノウハウを伝授してくれたらプレスにだってなれちゃいそう(笑)。そう考えると、この配置転換は組織全体をブラッシュアップする良きチャンスですし、人をきっかけにイロイロ妄想できるのは楽しいかもしれません。

 外資はもちろんセレクトショップでも、店舗や個人単位のSNS発信を禁止したり、そこには本部が介入したりの事例が多いと聞きます。「何が上がってくるのか不安」とか「トンマナをそろえたい」という気持ちは、分からなくもありません。でも、「そろそろ、任せてみません?」。だいたいエース販売員は、しょうもないミスなんて犯しませんよ。彼ら・彼女たちほどプロ意識が高く、ブランドのことを大事に思うプロフェッショナルはいないでしょうから。だから、そんな人には発信してもらうべきなのです。そこに本社スタッフが介入するのは、あんまり意味のないヒエラルキーの名残りのような気がします。

 正直ショップスタッフが苦手なのは、「自分たちのブランド以外」のことくらいです。ただそれも、自分たちをよく知っているからこそ、すぐに理解できると思います。そんな視点で、配置転換が始まることを願ってやみません。

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「パトゥ」CEOが語るトレーサビリティーへの取り組み 「ブランドビジネスで重要なのは生産背景の共有」

 2020年春夏シーズンにギョーム・アンリ(Guillaume Henry)=アーティスティック・ディレクターによって復活を遂げた「パトゥ(PATOU)」は、サステビリティに力を入れている。コレクション全体の10%は、“エッセンシャル”と呼ぶ定番アイテムで構成。シーズンを超えて使用できるアイテムとして提案している。またショッピングバッグや商品タグ、店内設備も環境に配慮し、リサイクル材料もしくはリサイクル可能な材料を100%使用している。さらに、トレーサビリティーに特化した製品追跡アプリを独自に開発。商品タグのQRコードを読み取ると、衣服や原材料の詳細だけでなく、サプライヤーのショートインタビューを再生することもできる。

 本アプリについてソフィー・ブロカール(Sophie Brocart)=「パトゥ」最高経営責任者(以下、ブロカールCEO)は、「トレーサビリティーの認証システムは大事だが、それ以上にブランドの透明性と生産情報の共有に重きを置いている。特に注力しているのが生産背景の可視化だ。私たちは早い段階から職人による手仕事やクリエーションプロセスの公開と説明、デザイナー以外のクリエーションに関わる全ての人々への敬意など、生産背景を消費者に共有することはブランドビジネスにとって重要だと考えてきた」と語る。近年加速するデジタル化や新型コロナウイルスのパンデミックも重なり、ブランドとしてその意識はさらに強まっているという。

 また透明性を高めるために、サプライヤーの選定にも慎重だ。「サプライヤーの選択は、LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON、以下LVMH)グループの他のメゾン同様、品質や技術的専門知識、サプライヤーの経験に基づいて慎重に判断している。長期にわたり建設的で信頼できる関係を築けるサプライヤーが理想」とブロカールCEO。特に原材料においては、ラグジュアリーブランドが求める品質を提供できるサプライヤーは限られていて、「そのほとんどがごく一部のイタリアの機織り職人だ」と説明する。

 サプライヤーの条件については、「パトゥ」とLVMHグループ双方の条件を満たす必要があるという。「独立機関の専門的な見解を得ながら、各サプライヤーを労働環境や条件に加えて環境活動も含めて監査している。サプライヤーは、われわれと契約を結ぶ際、LVMHグループが掲げる厳格な倫理およびコンプライアンス行動規範にも署名する必要がある」と語る。「もちろん監査を行ってもリスクはあるので完璧とは言えない。だが、トレーサビリティーを推進する上でこれらはブランドが優先すべき事項。強い関心を持ちながら可能な限り取り組んでいる」と、積極的な姿勢を示した。

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「パトゥ」CEOが語るトレーサビリティーへの取り組み 「ブランドビジネスで重要なのは生産背景の共有」

 2020年春夏シーズンにギョーム・アンリ(Guillaume Henry)=アーティスティック・ディレクターによって復活を遂げた「パトゥ(PATOU)」は、サステビリティに力を入れている。コレクション全体の10%は、“エッセンシャル”と呼ぶ定番アイテムで構成。シーズンを超えて使用できるアイテムとして提案している。またショッピングバッグや商品タグ、店内設備も環境に配慮し、リサイクル材料もしくはリサイクル可能な材料を100%使用している。さらに、トレーサビリティーに特化した製品追跡アプリを独自に開発。商品タグのQRコードを読み取ると、衣服や原材料の詳細だけでなく、サプライヤーのショートインタビューを再生することもできる。

 本アプリについてソフィー・ブロカール(Sophie Brocart)=「パトゥ」最高経営責任者(以下、ブロカールCEO)は、「トレーサビリティーの認証システムは大事だが、それ以上にブランドの透明性と生産情報の共有に重きを置いている。特に注力しているのが生産背景の可視化だ。私たちは早い段階から職人による手仕事やクリエーションプロセスの公開と説明、デザイナー以外のクリエーションに関わる全ての人々への敬意など、生産背景を消費者に共有することはブランドビジネスにとって重要だと考えてきた」と語る。近年加速するデジタル化や新型コロナウイルスのパンデミックも重なり、ブランドとしてその意識はさらに強まっているという。

 また透明性を高めるために、サプライヤーの選定にも慎重だ。「サプライヤーの選択は、LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON、以下LVMH)グループの他のメゾン同様、品質や技術的専門知識、サプライヤーの経験に基づいて慎重に判断している。長期にわたり建設的で信頼できる関係を築けるサプライヤーが理想」とブロカールCEO。特に原材料においては、ラグジュアリーブランドが求める品質を提供できるサプライヤーは限られていて、「そのほとんどがごく一部のイタリアの機織り職人だ」と説明する。

 サプライヤーの条件については、「パトゥ」とLVMHグループ双方の条件を満たす必要があるという。「独立機関の専門的な見解を得ながら、各サプライヤーを労働環境や条件に加えて環境活動も含めて監査している。サプライヤーは、われわれと契約を結ぶ際、LVMHグループが掲げる厳格な倫理およびコンプライアンス行動規範にも署名する必要がある」と語る。「もちろん監査を行ってもリスクはあるので完璧とは言えない。だが、トレーサビリティーを推進する上でこれらはブランドが優先すべき事項。強い関心を持ちながら可能な限り取り組んでいる」と、積極的な姿勢を示した。

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「グッチ」が7日連続の映画公開で最新コレクション発表 ミケーレの思いは?

 「グッチ(GUCCI)」のクリエイティブ・ディレクターを務めるアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)は16日、1週間連続で7本のショートフィルムをアップして最新コレクションを紹介するプロジェクト「グッチフェスト(GUCCIFEST)」をスタートした。30年来の憧れという映画監督ガス・ヴァン・サント(Gus Van Sant)を招き、“終わることのない序曲(Ouverture of Something That Never Ended)”と銘打ったムービーとコレクションの発表を続けている。以前のインタビューで、「使い古されたシーズンという業界慣習を捨て去り、私の表現タイミングに近い頻度でショーを開催する。年に2回だけ集うこととし、そこで物語の新たな1章を共有する。それはイレギュラーで喜びにあふれ、完全に自由な1章だ。ルールやジャンルはブレンドされ、新たな空間や言語、コミュニケーションプラットフォームの中で発表する」としていたミケーレの思いとは?日本で唯一招かれた、ガス・ヴァン・サントとのオンライン会見のやりとりは、以下の通り。

今のスタイルの起源は「マイ・プライベート・アイダホ」

Q.なぜ、ガス・ヴァン・サントを選んだのか?

ミケーレ:ガスと働けるなんて、本当に光栄だ。彼の「マイ・プライベート・アイダホ(My Own Private Idaho)」を見たのは、30年以上前。感動した。自分自身が何者なのかをより深く理解できるようにり、以来、Tシャツに茶色のコーデュロイパンツを合わせ、ケープのようにフェイクファーのコートを羽織っている。全ての指に指輪を、両方の手首にバングルをつけるようになったのも、あれ以来だ。

Q.映画で発表する洋服は、どのように映った?

ミケーレ:ランウエイよりずっと自由で、解放されているように思えた。「衣装」とも違う。洋服は映画の中に溶け込み、映画も洋服の中に溶け込んだ。そして、私が思い描くストーリーを余すことなく伝えている。私が重んじている「対話」のツールとして、完璧だ。もしミケランジェロ(イタリアのルネサンス期を代表する彫刻家で画家)が現代に生きていたら、彼は映画監督になっているだろう。映画は、とてもパワフルだ。

ガス:映画に現れる洋服が全て「グッチ」というのは、私には新鮮な経験だった。普段は子役にも3コーディネートを提案し、どれが好きか選んでもらう。だから演者にフィットするんだ。でも「グッチ」の洋服だけでも、それは何も変わらなかった。映画に自然と溶け込んだ。

オンライン会見が開かれたのは、11月13日の昼間(イタリア時間)。ミケーレとガス・ヴァン・サントは、「今日、ようやく作品が完成した」と語った。構想段階は遠隔でのキャッチボールを繰り返したが、撮影はリアル。ローマで、1カ月を費やした。

Q.ファッションショーに比べ、準備は大変だった?

ミケーレ:とても疲れた。でも食事さえ忘れ、夜明けと共に眠りにつく日々は、とっても楽しかった。

ガス:いまだコロナが猛威を振るうローマでの撮影は、決して簡単なものではなかった。(感染の再拡大に伴い)政府の規制は日を追うごとに強くなった。だが状況が厳しくなるにつれ、やり甲斐が増したのも事実。こんな状況下で作品作りを続けることの意味が増したからね。

ミケーレ:これまで洋服は、ファッションショーの直前までに仕上げれば間に合った。でも、今回はそれじゃダメ。(映画の撮影をスタートした)1カ月前には、揃っていなくちゃならない。撮影に1、2年を費やすことさえ珍しくない映画とのコラボレーションは、とっても大変だと痛感した(笑)。でも、挑戦する価値があったと思う。

ガス:ただ振り返れば、大変だったのは皆がPCR検査を受けたことくらいだったかもしれない。撮影期間中、ローマの街は普段よりずっと静かだった。

Q.7つのショートムービーに分けた理由は?

ミケーレ:決して終わることのない「時間」を描いてみたかった。クリエイティビティーは、循環する。決して終わらない。新たなキックオフは、過去の延長戦なのかもしれない。そんな感覚だ。映画では、従来よりもスローな生活を描きたかった。今「ラグジュアリー」なのは、「時間がゆっくり流れること」。急いで飛行機に搭乗するのではなく、自宅でゆっくり一杯の紅茶を楽しむ。そんなイメージだ。
ガス:ありふれた、でも美しい場所での撮影もポイントだね。7つのエピソードは、すべてが美しく繋がっていない。大きな作品の中の、バラバラのエピソードかもしれない。蚤の市みたいな感覚かもしれないね。大きなフェアに、個性的な店が軒を連ねている。

ビョークなら、洋服に「命」を与えられるかも

Q.次のコレクションもムービーを通して発表するとしたら、どんな映画を作りたい?

ミケーレ:難しい質問だ。ハリウッド映画からドキュメンタリーまで、いろんな映画を見ている。母が映画産業に携わっていたからね(編集部注:母親は、イタリアの映画会社でプロデューサーのアシスタントを務めていた)。人生の中で一番泣いたのは、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」。ビョーク(Bjork)は、素晴らしいパワーをもたらしてくれるだろう。ファッションにとって必要な力だ。昔は、コスチュームデザイナーになりたかった。今回映画を作って、自分の仕事はデザイナーなのか、コスチューム・デザイナーなのか、曖昧になった。でも、それで良い。私の仕事は、洋服に「命」を与えることだ。

撮影はローマで行われ、俳優兼アーティストのシルヴィア・カルデローニ(Silvia Calderoni)が主役を務めた。ほかにもビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)やハリー・スタイルズ(Harry Styles)、スペイン出身の作家であるポール・B・プレシアード(Paul B. Preciado)、美術評論家のアシール・ボニート・オリバ(Achille Bonito Oliva)、アーティストのダリウス・コンサリー(Darius Khonsary)、歌手兼俳優のルハン(鹿晗、Lu Han)、俳優で劇作家のジェレミー・O・ハリス(Jeremy O. Harris)、振付師のサシャ・ヴァルツ(Sasha Waltz)らが出演する。

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「グッチ」が7日連続の映画公開で最新コレクション発表 ミケーレの思いは?

 「グッチ(GUCCI)」のクリエイティブ・ディレクターを務めるアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)は16日、1週間連続で7本のショートフィルムをアップして最新コレクションを紹介するプロジェクト「グッチフェスト(GUCCIFEST)」をスタートした。30年来の憧れという映画監督ガス・ヴァン・サント(Gus Van Sant)を招き、“終わることのない序曲(Ouverture of Something That Never Ended)”と銘打ったムービーとコレクションの発表を続けている。以前のインタビューで、「使い古されたシーズンという業界慣習を捨て去り、私の表現タイミングに近い頻度でショーを開催する。年に2回だけ集うこととし、そこで物語の新たな1章を共有する。それはイレギュラーで喜びにあふれ、完全に自由な1章だ。ルールやジャンルはブレンドされ、新たな空間や言語、コミュニケーションプラットフォームの中で発表する」としていたミケーレの思いとは?日本で唯一招かれた、ガス・ヴァン・サントとのオンライン会見のやりとりは、以下の通り。

今のスタイルの起源は「マイ・プライベート・アイダホ」

Q.なぜ、ガス・ヴァン・サントを選んだのか?

ミケーレ:ガスと働けるなんて、本当に光栄だ。彼の「マイ・プライベート・アイダホ(My Own Private Idaho)」を見たのは、30年以上前。感動した。自分自身が何者なのかをより深く理解できるようにり、以来、Tシャツに茶色のコーデュロイパンツを合わせ、ケープのようにフェイクファーのコートを羽織っている。全ての指に指輪を、両方の手首にバングルをつけるようになったのも、あれ以来だ。

Q.映画で発表する洋服は、どのように映った?

ミケーレ:ランウエイよりずっと自由で、解放されているように思えた。「衣装」とも違う。洋服は映画の中に溶け込み、映画も洋服の中に溶け込んだ。そして、私が思い描くストーリーを余すことなく伝えている。私が重んじている「対話」のツールとして、完璧だ。もしミケランジェロ(イタリアのルネサンス期を代表する彫刻家で画家)が現代に生きていたら、彼は映画監督になっているだろう。映画は、とてもパワフルだ。

ガス:映画に現れる洋服が全て「グッチ」というのは、私には新鮮な経験だった。普段は子役にも3コーディネートを提案し、どれが好きか選んでもらう。だから演者にフィットするんだ。でも「グッチ」の洋服だけでも、それは何も変わらなかった。映画に自然と溶け込んだ。

オンライン会見が開かれたのは、11月13日の昼間(イタリア時間)。ミケーレとガス・ヴァン・サントは、「今日、ようやく作品が完成した」と語った。構想段階は遠隔でのキャッチボールを繰り返したが、撮影はリアル。ローマで、1カ月を費やした。

Q.ファッションショーに比べ、準備は大変だった?

ミケーレ:とても疲れた。でも食事さえ忘れ、夜明けと共に眠りにつく日々は、とっても楽しかった。

ガス:いまだコロナが猛威を振るうローマでの撮影は、決して簡単なものではなかった。(感染の再拡大に伴い)政府の規制は日を追うごとに強くなった。だが状況が厳しくなるにつれ、やり甲斐が増したのも事実。こんな状況下で作品作りを続けることの意味が増したからね。

ミケーレ:これまで洋服は、ファッションショーの直前までに仕上げれば間に合った。でも、今回はそれじゃダメ。(映画の撮影をスタートした)1カ月前には、揃っていなくちゃならない。撮影に1、2年を費やすことさえ珍しくない映画とのコラボレーションは、とっても大変だと痛感した(笑)。でも、挑戦する価値があったと思う。

ガス:ただ振り返れば、大変だったのは皆がPCR検査を受けたことくらいだったかもしれない。撮影期間中、ローマの街は普段よりずっと静かだった。

Q.7つのショートムービーに分けた理由は?

ミケーレ:決して終わることのない「時間」を描いてみたかった。クリエイティビティーは、循環する。決して終わらない。新たなキックオフは、過去の延長戦なのかもしれない。そんな感覚だ。映画では、従来よりもスローな生活を描きたかった。今「ラグジュアリー」なのは、「時間がゆっくり流れること」。急いで飛行機に搭乗するのではなく、自宅でゆっくり一杯の紅茶を楽しむ。そんなイメージだ。
ガス:ありふれた、でも美しい場所での撮影もポイントだね。7つのエピソードは、すべてが美しく繋がっていない。大きな作品の中の、バラバラのエピソードかもしれない。蚤の市みたいな感覚かもしれないね。大きなフェアに、個性的な店が軒を連ねている。

ビョークなら、洋服に「命」を与えられるかも

Q.次のコレクションもムービーを通して発表するとしたら、どんな映画を作りたい?

ミケーレ:難しい質問だ。ハリウッド映画からドキュメンタリーまで、いろんな映画を見ている。母が映画産業に携わっていたからね(編集部注:母親は、イタリアの映画会社でプロデューサーのアシスタントを務めていた)。人生の中で一番泣いたのは、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」。ビョーク(Bjork)は、素晴らしいパワーをもたらしてくれるだろう。ファッションにとって必要な力だ。昔は、コスチュームデザイナーになりたかった。今回映画を作って、自分の仕事はデザイナーなのか、コスチューム・デザイナーなのか、曖昧になった。でも、それで良い。私の仕事は、洋服に「命」を与えることだ。

撮影はローマで行われ、俳優兼アーティストのシルヴィア・カルデローニ(Silvia Calderoni)が主役を務めた。ほかにもビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)やハリー・スタイルズ(Harry Styles)、スペイン出身の作家であるポール・B・プレシアード(Paul B. Preciado)、美術評論家のアシール・ボニート・オリバ(Achille Bonito Oliva)、アーティストのダリウス・コンサリー(Darius Khonsary)、歌手兼俳優のルハン(鹿晗、Lu Han)、俳優で劇作家のジェレミー・O・ハリス(Jeremy O. Harris)、振付師のサシャ・ヴァルツ(Sasha Waltz)らが出演する。

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再ロックダウンのパリ、セルフマッサージの人気が高まり日本式「KOBIDO」やフェイスヨガがブームに 海外ビューティ通信パリ編

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」では、パリやニューヨーク、ソウル、ベルリンの4都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。(本文中の円換算レート:1ユーロ=122円)

 全土で再びロックダウン(都市封鎖)が実施されているフランスではセルフマッサージに注目が集まっている。特に美容好きのパリジェンヌの間で「KOBIDO」という言葉を頻繁に耳にする。日本人にはあまりなじみのない単語だが、KOBIDOは「古美道」と書き、日本古来より受け継がれてきた美顔道を指す。約540年前から存在し、按摩師の技術を取り入れた48の手技から成るフェイスマッサージのメソッドなのだ。

 そのKOBIDOをフランスで一躍有名にしたのが、フェイシャリストとして活躍するデルフィーヌ・ラングロワーズ(Delphine Langlois)。パラスホテルの高級エステルームで13年働いた後、古美道の26代目家元であり医師でもある望月正吾から数年かけて技術を学び、自身のスタジオを開設。今年、アカデミーを立ち上げた。「KOBIDOのフェイスマッサージは顔筋をつかみ、つまみ、スピーディーに筋肉収縮を働きかけます。リフティングと引き締め効果が高く、エイジングケアの芸術です。アカデミーには日本の技術を学びたいというエステティシャンが既に2000人も登録しているのですよ」とデルフィーヌ。フェイスマッサージに天然石のかっさやフェイスローラーを加えたメニューや、その人の顔の形や悩みに応じてパーソナライズした自宅でできるマッサージ法を伝授する個人レッスンも受けられる。彼女がオリジナルで開発したローズクォーツのフェイスマスクとアイマスクは、肌を鎮静させ目元のクマやくすみを取り除く効果も期待できるという。

 KOBIDOのほかにも、フェイスヨガも注目されている。「フェイスヨガ(YOGA du VISAGE)」の著者シルヴィー・ルフラン(Sylvie Lafranc)は、その名の通りフランスでフェイスヨガを広めるヨガマスターだ。米国のスキンケアブランド「オダシテ(ODACITE)」や、昨年スタイリストのメラニー・ヒューン(Melanie Huynh)が始めたホリスティックビューティブランド「ホリデルミ(HOLIDERMIE)」にも、セミナー講師として度々招待されコラボレーションを行っている。シルヴィーが打ち出すのは約50から構成される顔の筋肉のこりをほぐし、適度なボリュームと硬さを取り戻す、エイジングケアを目的としたフェイスヨガだ。コラーゲンの工場と呼ばれる繊維芽細胞を刺激することで細胞を活性化させ、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の消失を防ぐという。シルヴィーは「以前の美容は美しくなるためには苦しみが伴うといわれていましたが、今日のフェイシャルヨガは美しくなるためには幸せである必要があるという逆の発想を提案しています。美と幸福、自己愛は全てつながっています」と言う。

 シルヴィーは最近フランス人がセルフマッサージに興味を持ち始めている現状を、「化粧品が全てではなく、自分でエイジングの予防や癖の改善を行うことは楽しい時間で、既にスキンケアに必要不可欠なステップです。今欧州では再びロックダウンが実施されていますが、エステや美容皮膚科に行くことが困難な時期だからこそ、自分で自分をいたわり自宅でフェイスヨガを行うことは自分の顔と肌を知る良いきっかけとなるでしょう」と語る。

 前出のデルフィーヌも「多くのエイジングケアコスメはもちろん表皮に働きかけますが、ただ化粧品を塗布するだけでは効果が発揮されないことを語っていません。顔の老化は筋肉のたるみ、リンパの滞り、再生力の低下等が原因で、それらは毎日数分のフェイスマッサージによって改善できます」と話す。彼女たちはほぼ毎日インスタライブや個人レッスンを行い、セルフフェイスマッサージやフェイスヨガを伝授している。既に美容業界でも注目の的となり、新しいムーブメントとしてフランス人の心をつかんでいる。

須山佳子(すやま・けいこ)/コンサルタント:2001年に渡仏しMBAを取得。ファッション業界で働き、09年に日本の美容ブランドを欧州市場へ売り込むコンサルティング会社を設立。取引先は欧州の高級百貨店、美容ストア等。パリ市内でポップアップストア「Bijo;」主宰。インスタグラムアカウントは@bijo.paris

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高橋悠介が新ブランド「CFCL」で業界の固定観念に挑む 「服で世の中は変えられる」

 「イッセイ ミヤケ メン(ISSEY MIYAKE MEN)」を6年にわたって率いた高橋悠介が今年2月に独立し、2021年春夏シーズンから新ブランド「CFCL」を立ち上げた。デビューシーズンは糸から制作したニットを使い、3Dコンピューター・ニッティングと島精機製作所のホールガーメント技術を用いた無縫製のニットウエア22型をそろえる。ミニマルなデザインと遊び心のあるフォーム、シワになりにくく洗濯機で洗えて速乾性にも優れているという機能面、コート7万9000円やドレス3万9000~5万9000円、シャツ3万2000円という手の届きやすい価格帯が好評で、卸先は40店舗が決まるという上々のスタートを切った。伊勢丹やユナイテッドアローズなど国内主要店をはじめ、中国・上海のギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)やSKP、エッセンス(SSENSE)など海外アカウントも半数近くを占める。そして、サステナブルの意識が強いのも同ブランドの特徴の一つだろう。一点一点の物作りからビジネスのやり方まで、移りゆく時代や人々の生活に寄り添う最適なかたちを目指す。

全プロダクトの70%が再生素材

WWDジャパン(以下、 WWD):「CFCL」というネーミングの由来は?

高橋悠介「CFCL」デザイナー(以下、高橋):ネーミングは“クロージング・フォー・コンテンポラリー・ライフ”の頭文字からとった。ブランド名を自分の名前にして服にパーソナルな感情を込めるというより、時代が求める服を作り、世の中をよく変えていきたいという思いで名付けている。前職で服を作ることは社会を作ることだというのを学んだ。技術と革新性で社会をよくしていこうという思いが会社の根底にあり、今の自分にも生かされている。

WWD:イッセイ ミヤケ時代はメンズを手掛けていたが、なぜウィメンズなのか?

高橋:僕のルーツの一つであるコンピューター・ニッティングでワンピースを作りたいと思ったことがきっかけ。でもたまたまスカートやワンピースがあるだけでウィメンズ6割、ユニセックス4割という構成だ。それと物作りにおいてウィメンズやメンズという分け方はあまり関係ないと思っている。

WWD:ブランド設立の経緯は?

高橋:学生時代からいつかは自分のブランドを立ち上げたいと考えていて、人との出会いや時代の流れなどがいろいろと一致したタイミングだったので設立する決意をした。

WWD:時代の流れとは?

高橋:機能的な服や環境に配慮したものが求められているなと感じている。例えば公園で子供と遊んだ後に仕事をし、夜はそのままヒールを履いてレストランに行くまでが一着で完結できて、自宅で洗うこともできる。ジュエリーや小物で自由に味付けができて、生活に寄り添うような服が作りたかった。それと、ラグジュアリーの価値観も変化している。わかりやすい高級感だけではなく、生産背景や環境、サプライチェーンの透明性が証明されているオーガニックなものもラグジュアリーだとする価値観がファッションでも生まれ始めている。今後はその考えがより広がっていくはずだ。

WWD:サステナビリティにこだわるということ?

高橋:その部分を押し出していきたいわけではなく、社会全体がそういう意識になるきっかけの一つになればいいと考えている。ファッションでもその価値観を与えることができるはずだから。そのためにスタートのタイミングからCSO(Chief Sustainability & Strategy Officer)という役職を設けて岡田康介さんに参加してもらっている。環境に配慮したビジネスやクリエイションは責任をもって徹底していきたい。現在は全プロダクトの70%を再生素材が占めており、服のラベルにその使用率を記載している。今は20〜100%だが、近い将来全て100%にしたい。そのためには量が必要になるので、もし生産しているメーカーがあれば話を聞いてみたい。ただ、最終的には服に魅力がないといけないので、モードの文脈を取り入れたクリエイションにもこだわっていきたい。

精鋭を集めたクリエイション

WWD:日本のデザイナーズで立ち上げからサステナブルを徹底しているブランドは珍しいのでは?

高橋:特別なことをしているわけではなく、将来当たり前になることを前もってやっているだけ。サステナブルをセールスポイントにしているブランドも最近は増えているが、それだけでは続かないと思う。僕たちは物でサステナブルを訴求するというより、ただ物作りに対してしっかり責任を持ちたい。

WWD:再生素材以外に取り組んでいることは?

高橋:日本ではまだ5社しか認証を取得していないBコーポレーション(B Corporation、B corp)にも申請している。B corpは環境や社会への配慮、透明性などの基準を満たしている企業に与えられる民間認証だが、取得することでブランド価値を高めたいのではない。従業員の雇用や福利厚生、物作りで排出する産業廃棄物やCO2の量などに対し、最初の段階から向き合うためだ。それに、透明性が証明されている服を着たいという人が今後は増えていくはずだから。

WWD:会社は何人で運営している?

高橋:会社として運営しているが、社員は雇っていない。CSOのほかにも、Seiya Nakamura 2.24の中村聖哉さんがCMO(Chief Marketing Officer)としてマーケティング全般を担っている。またCLO(Chief Legal Officer)として小松隼也さん、AD兼スタイリストとして大田由香梨さんも参加してもらうなど、専門的なスペシャリストを集めてチームを組んでいる。

WWD:なぜその運営体制に?

高橋:今の時代は能力さえあれば会社に属さなくても仕事はできる。会社としてのビジネスや、クリエイションも身の丈に合ったオーガニックなやり方によりシフトしていくはずだ。デザインは全て僕1人が3Dコンピューター・ニッティングで行い、なるべく人の手を介さない作り方をしているので価格帯も抑えられている。原価率を無理して抑えているわけではないので、ビジネスとしても持続可能だ。工場あっての会社だしブランドなので、無理なことは絶対にしない。

WWD:今後の展望や狙いは?

高橋:次に向けてニット以外の素材も作っているし型数も徐々に増やしていきたいが、ブランド名の“コンテンポラリー・ライフ”に沿いながら時代が求める服を作り続けることは変わらない。定番の型数を増やしていき、シーズンが古いから着られない、発売してからすぐ安売りされるといったファッション業界の固定観念を変えていきたい。

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語源から想像した「育む」の魅力 エディターズレター(2020年8月7日配信分)

※この記事は2020年8月7日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

語源から想像した「育む」の魅力

 久々ビューティ業界に“どっぷり”浸かることになり、今、いろんな方々にお会いしています(オンラインも多数です)。すると案の定ファッション業界の話になりまして(ファッション業界の皆様、朗報です。やっぱりビューティ業界は、ファッションに興味津々ですw)、良きも悪きもざっくばらんに話して本心を伺うのですが、結構な頻度で「『育む』の姿勢があればいいのに!」とのお声を頂戴します。

 なるほど。確かに「育む」は、ビューティ業界ではよく聞く言葉、なのにファッション業界ではなかなか聞かない言葉です。

 ビューティの「育む」は、説明するまでもありませんね。スキンケアでは、お客さまの健やかな肌を「育む」。ホリスティックなら、心地よいライフスタイルを「育む」。最近はメイクアップにさえスキンケア成分を配合していますから、「装いながら『育む』」なんて解釈も可能です。で、百貨店ブランドの美容部員などは、まさに消費者の肌を「育む」接客をすることで、その関係性さえ「育んで」いるワケです。

 一方ファッションは、消費者をどう「育んで」いるでしょうか?ん~、例えば地方のセレクトショップは顧客のワードローブを把握してクローゼットを「育んで」いるでしょうし、他の小売りも外商顧客や上顧客には「育む」接客を少なからず実践しているでしょうが、ビューティほどではないかもしれません。思い浮かんだのは、「ブルネロ クチネリ」。毎シーズンのクリエイションはもちろん、接客においても「昨年のアレにピッタリ」なんて提案をしてくれます。ワードローブを「育む」提案で、素敵ですよね。

 「育む」という言葉の語源は「羽(は)で含(くく)む」、つまりは親鳥が小鳥を大事に「羽で包んで育てる」にあるそうです。「羽で包まれた」小鳥は、どんな気持ちでしょう?安心感を覚え、甘え、離れず、なんだか親離れ・子離れに苦労しそうです(笑)。でも、この関係性がブランドと消費者で構築できたら、最高じゃん!!「大辞林」で語源を調べながら、そんなコトを考えました。

 ファッション業界は、どうすれば「育む」のマインドを取り入れられるでしょうか?経年変化が楽しめる商品?結構地道な直筆のお手紙?双方向なLIVE配信?それも含めたOMO?イロイロありそうですね。でも一番大事なのは、下のリンク1本目で紹介している通り、そしてビューティ業界の美容部員の接客のように「販売する」こと自体が、「関係性を『育む』こと」と認識することでしょう。「売っておしまい」の人が多すぎる!一度ビューティ業界の方に、「育む」ってなんですか?と聞いてみるのも良いかもしれません。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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