西武池袋本店から「エルメス」撤退 8月末で

西武池袋本店の「エルメス」が8月31日で閉店する。西武池袋本店は現在、店舗の大部分で改装工事を進めており、ラグジュアリーブランドのフロアは11月の開業を予定しているが、そこに「エルメス」は入らない。そごう・西武によると、西武池袋本店で「エルメス」は記録をたどれるかぎり45年以上にわたって営業していた。

西武池袋本店と「エルメス」はゆかりが深い。「エルメス」の日本導入の橋渡し役を果たしたのが、旧西武百貨店だった。1964年に代理店契約を結び、83年には仏エルメス本社と西武百貨店との合弁で日本法人エルメスジャポンを設立した。西武百貨店などが属したセゾングループ創始者の堤清二氏は、「エルメス」をはじめとしたラグジュアリーブランドを百貨店でいち早く導入したことで知られる。そうした戦略が的中して1980年代から90年代にかけて西武池袋本店(当時は西武百貨店池袋店)は売上高日本一に君臨した。

西武池袋本店は昨年夏から大規模改装に着手し、今年の夏以降、段階的なリニューアルオープンを進めている。7月9日には、第1弾の化粧品売り場が開業した。改装前の西武池袋本店は売り場面積8万8000平方メートルだったが、百貨店区画は半分(4万8000平方メートル)に縮小し、残り半分にヨドバシカメラが入る。百貨店区画は特選(ラグジュアリーブランド、時計・宝飾など)、化粧品、食品の3分野に特化し、新しいタイプの百貨店を目指す。中でも特選のブランドブティックの大型化は目玉だった。人気ブランド「エルメス」の撤退は痛手になる。

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シューズ売上高1470億円突破の「サロモン」 トレランに加えロードランシューズにも注力

アメアスポーツ傘下の「サロモン(SALOMON)」で社長兼CEOを務めるギヨーム・メイゼンク(Guillaume Meyzenq)氏が、米「WWD」の姉妹紙である「フットウエアニュース(Footwear News)」の単独インタビューに答えた。メイゼンク社長兼CEOは1994年にサロモンの仏アヌシー本社でインターンとして働き始め、以来「サロモン」歴30年という生え抜きだ。フットウエア担当副社長、最高製品責任者などの要職を歴任し、2025年1月に現職に就いた。

「『サロモン』はこの5年、大きな転換期にある」とメイゼンク社長兼CEO。「かつてはコアな層に支持されるパフォーマンスアウトドアブランドだったが、今ではライフスタイル向けを含め、より幅広い製品を提供している。われわれは今、自らを“モダンマウンテンスポーツブランド”と位置付けている。これは、デザインと技術開発というわれわれの原点や、イノベーション、山岳スポーツを重んじる文化を物語るものだ」。

製品のイノベーションについて話が及ぶと、メイゼンク社長兼CEOは、ブランドとして改めてランニングに注力していると語った。「サロモン」は最近、ロードランニングシューズの“エアロ ブレイズ 3(AERO BLAZE 3)”を発売した。ミッドソールにブランド独自の「オプティフォーム2 TPU(OptiFoam2 TPU)」を採用し、前足部は前モデルから改良したロッカー構造で、ニットアッパー、アウトソールの「ロードコンタグリップ(RoadContagrip)」テクノロジーなどを特徴とするシューズだ。

コラボが成長のカギ

「われわれの伝統はトレイルランニングにあるが、トレラン分野での成功を街でのランニングにも応用したいと考えている。ロードラン用のスーパーシューズと“エアロ ブレイズ3”がそれを担う。同時に、ライフスタイルシューズにも注力している。ライフスタイルとは、ハイキング、通勤、レストランでのディナーなど、消費者の1日のあらゆる時間やシーンに向けて製品を作ることだと定義している」。

同社の売り上げをけん引しているのは、ライフスタイル向け製品カテゴリーであるスポーツスタイルだ。「スポーツスタイルでは過去5年間、コラボレーション、つまり“交差点”を通じてさまざまなファッション&カルチャーコミュニティーとつながりを築いてきた。中でも、『エムエム6 メゾン マルジェラ(MM6 MAISON MARGIELA)』や、パリのコンセプトショップ『ザ・ブロークン・アーム(THE BROKEN ARM)』は強力なパートナーだ。これらのパートナーとは毎シーズン、新しいエネルギーに満ちた新しいストーリーの扉を開いている。それが、消費者の心に響き、長く愛されるクリエイティビティーにつながっている」。

販路戦略に関しては、大都市への直営出店に注力している。例えばロンドンでは、この5月にバタシー発電所跡の複合施設に出店し、パフォーマンスとスポーツスタイルの両カテゴリーを品ぞろえしている。ロンドンへの出店は、24年10月に出店したコヴェントガーデンの旗艦店、同11月にオープンしたソーホーのスポーツスタイルのみの店舗に続く3店舗目。1つの都市内に異なる製品ラインアップで複数出店する手法は、パリや東京でも行っている。米国は24年10月にニューヨークに初店舗をオープンしたが、同様に複数出店を検討中だ。「ロサンゼルスやマイアミへの出店も検討している」といい、26年末までに米国の直営店舗数を10まで増やしたいと話した。

ミラノ・コルティナ冬季五輪では
プレミアムパートナー

「サロモン」の親会社で、「アークテリクス(ARC'TERYX)」なども保有するアメアスポーツは24年2月にニューヨーク証券取引所でIPO(新規株式公開)し、13億7000万ドル(約2013億9000万円)を調達。豊富な資金を積極出店に生かしている。アメアスポーツの25年1〜3月期業績は、売上高が前年同期に対し23.4%増の14億7300万ドル(約2165億3100万円)だった。純利益は前年同期の500万ドル(約7億3500万円)から1億3500万ドル(約198億4500万円)に増加。アメアスポーツのジェームズ・ジェン(James Zheng)CEOは決算会見で、「サロモン」のシューズ売上高が24年12月期に10億ドル(約1470億円)を超えたと明かしたが、1800億ドル(約26兆4600億円)と言われる世界のスニーカー市場規模と比較すれば「まだまだ微々たるもの」とコメント。「『サロモン』のシューズはアスリート向けに開発しているが、日常の街履きシューズとしても適しており、市場の中で独自のポジションを占めている。消費者が新しいシューズブランドにこれまで以上に敏感になっている今、『サロモン』のユニークなスタイルと高い技術開発は、まさにそのニーズに合致する」と続けた。

メイゼンク社長兼CEOはインタビューの中で、26年2月に開催される伊ミラノ・コルティナ冬季五輪への期待も明かした。「サロモン」は同大会のプレミアムパートナーを務める。「われわれは、スキーやスノーボード向けのパフォーマンスギアからライフスタイル向けシューズまで、一貫したメッセージを打ち出すためのパッケージを準備している。消費者の皆さんにも楽しんでいただけるはずだ」と結んだ。

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シューズ売上高1470億円突破の「サロモン」 トレランに加えロードランシューズにも注力

アメアスポーツ傘下の「サロモン(SALOMON)」で社長兼CEOを務めるギヨーム・メイゼンク(Guillaume Meyzenq)氏が、米「WWD」の姉妹紙である「フットウエアニュース(Footwear News)」の単独インタビューに答えた。メイゼンク社長兼CEOは1994年にサロモンの仏アヌシー本社でインターンとして働き始め、以来「サロモン」歴30年という生え抜きだ。フットウエア担当副社長、最高製品責任者などの要職を歴任し、2025年1月に現職に就いた。

「『サロモン』はこの5年、大きな転換期にある」とメイゼンク社長兼CEO。「かつてはコアな層に支持されるパフォーマンスアウトドアブランドだったが、今ではライフスタイル向けを含め、より幅広い製品を提供している。われわれは今、自らを“モダンマウンテンスポーツブランド”と位置付けている。これは、デザインと技術開発というわれわれの原点や、イノベーション、山岳スポーツを重んじる文化を物語るものだ」。

製品のイノベーションについて話が及ぶと、メイゼンク社長兼CEOは、ブランドとして改めてランニングに注力していると語った。「サロモン」は最近、ロードランニングシューズの“エアロ ブレイズ 3(AERO BLAZE 3)”を発売した。ミッドソールにブランド独自の「オプティフォーム2 TPU(OptiFoam2 TPU)」を採用し、前足部は前モデルから改良したロッカー構造で、ニットアッパー、アウトソールの「ロードコンタグリップ(RoadContagrip)」テクノロジーなどを特徴とするシューズだ。

コラボが成長のカギ

「われわれの伝統はトレイルランニングにあるが、トレラン分野での成功を街でのランニングにも応用したいと考えている。ロードラン用のスーパーシューズと“エアロ ブレイズ3”がそれを担う。同時に、ライフスタイルシューズにも注力している。ライフスタイルとは、ハイキング、通勤、レストランでのディナーなど、消費者の1日のあらゆる時間やシーンに向けて製品を作ることだと定義している」。

同社の売り上げをけん引しているのは、ライフスタイル向け製品カテゴリーであるスポーツスタイルだ。「スポーツスタイルでは過去5年間、コラボレーション、つまり“交差点”を通じてさまざまなファッション&カルチャーコミュニティーとつながりを築いてきた。中でも、『エムエム6 メゾン マルジェラ(MM6 MAISON MARGIELA)』や、パリのコンセプトショップ『ザ・ブロークン・アーム(THE BROKEN ARM)』は強力なパートナーだ。これらのパートナーとは毎シーズン、新しいエネルギーに満ちた新しいストーリーの扉を開いている。それが、消費者の心に響き、長く愛されるクリエイティビティーにつながっている」。

販路戦略に関しては、大都市への直営出店に注力している。例えばロンドンでは、この5月にバタシー発電所跡の複合施設に出店し、パフォーマンスとスポーツスタイルの両カテゴリーを品ぞろえしている。ロンドンへの出店は、24年10月に出店したコヴェントガーデンの旗艦店、同11月にオープンしたソーホーのスポーツスタイルのみの店舗に続く3店舗目。1つの都市内に異なる製品ラインアップで複数出店する手法は、パリや東京でも行っている。米国は24年10月にニューヨークに初店舗をオープンしたが、同様に複数出店を検討中だ。「ロサンゼルスやマイアミへの出店も検討している」といい、26年末までに米国の直営店舗数を10まで増やしたいと話した。

ミラノ・コルティナ冬季五輪では
プレミアムパートナー

「サロモン」の親会社で、「アークテリクス(ARC'TERYX)」なども保有するアメアスポーツは24年2月にニューヨーク証券取引所でIPO(新規株式公開)し、13億7000万ドル(約2013億9000万円)を調達。豊富な資金を積極出店に生かしている。アメアスポーツの25年1〜3月期業績は、売上高が前年同期に対し23.4%増の14億7300万ドル(約2165億3100万円)だった。純利益は前年同期の500万ドル(約7億3500万円)から1億3500万ドル(約198億4500万円)に増加。アメアスポーツのジェームズ・ジェン(James Zheng)CEOは決算会見で、「サロモン」のシューズ売上高が24年12月期に10億ドル(約1470億円)を超えたと明かしたが、1800億ドル(約26兆4600億円)と言われる世界のスニーカー市場規模と比較すれば「まだまだ微々たるもの」とコメント。「『サロモン』のシューズはアスリート向けに開発しているが、日常の街履きシューズとしても適しており、市場の中で独自のポジションを占めている。消費者が新しいシューズブランドにこれまで以上に敏感になっている今、『サロモン』のユニークなスタイルと高い技術開発は、まさにそのニーズに合致する」と続けた。

メイゼンク社長兼CEOはインタビューの中で、26年2月に開催される伊ミラノ・コルティナ冬季五輪への期待も明かした。「サロモン」は同大会のプレミアムパートナーを務める。「われわれは、スキーやスノーボード向けのパフォーマンスギアからライフスタイル向けシューズまで、一貫したメッセージを打ち出すためのパッケージを準備している。消費者の皆さんにも楽しんでいただけるはずだ」と結んだ。

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フランス長者番付、LVMHのアルノー家が首位陥落 トップは「エルメス」創業家

仏経済誌「シャランジュ(Challenges)」が7月10日に発表した2025年版“フランスの大富豪トップ500ランキング”で、2017年から首位を維持してきたLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者(CEO)一族が2位に陥落し、話題を呼んでいる。

同誌は1996年から同ランキングを発表。株式や金融資産を中心に資産額を推定しており、個人所有の不動産や高級車、美術品などは含まれていないという。なお、LVMHは「シャランジュ」の大株主。

トップ3はラグジュアリー企業が独占

今年首位の座に着いたのは、「エルメス(HERMES)」のアクセル・デュマ(Axel Dumas)CEOら創業家一族で、その資産額は前年比5%増の1634億ユーロ(約28兆円)。なお、首位となったのは今回が初めて。ラグジュアリーセクターは23年から需要が世界的に“正常化”し、24年には減速しているが、そうした中でもエルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL以下、エルメス)は2024年12月期を増収増益で終えるなど圧倒的な強さを見せている。同誌は、「エルメス」の強みは「値上げしても顧客を失うことのないプライシングパワー」だと分析した。

2位となったアルノー一族は、同38%減の1167億ユーロ(約20兆円)。これは20年以来、最低レベルだという。前述の理由に加えて、中国市場の停滞でLVMHの業績が芳しくないところに、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領政権の二転三転する関税政策による先行き不透明感も加わり、株価が下落していることが響いた。

なお、25年4月15日にはエルメスの時価総額が2464億ユーロ(約42兆円)となり、LVMHの2441億ユーロ(約41兆円)を抜いて首位に。7月15日現在も、エルメスは2547億ユーロ(約43兆円)、LVMHは2407億ユーロ(約41兆円)とその順位は変わっていない。

3位は「シャネル(CHANEL)」を長年にわたって保有するヴェルタイマー(Wertheimer)一族の950億ユーロ(約16兆円)となっており、トップ3をラグジュアリーセクターが独占している。

LVMHの競合ケリングの創業家は?

4位はロレアル(L’OREAL)を創業したマイヤーズ(Meyers)一族の738億ユーロ(約12兆円)、5位は航空機メーカーやソフトウエア企業などを擁する仏コングロマリット、グループ・ダッソー(GROUPE DASSAULT)創業家一族の356億ユーロ(約6兆円)だった。

なお、LVMHの競合であるケリング(KERING)のフランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)会長兼CEOとその一族は、9位の150億ユーロ(約2兆円)だった。

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御殿場アウトレットの「圧倒的ブランドぞろえ」、その裏側とは? リーシング担当者に直撃

日本最大のアウトレットモールである御殿場プレミアム・アウトレットは7月13日で、開業25周年を迎えた。富士山の麓で年間1409億円(2025年3月期)を売り上げる同館は、アウトレットモールだけでなく、ショッピングモールとしても日本最大規模を誇る。「グッチ(GUCCI)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」といった高級ブランドから、「イッセイミヤケ」「ユナイテッドアローズ」「ビームス」などの国内有力ブランド、「ナイキ」「アディダス」などのスポーツ、静岡県の超人気ハンバーク店「さわやか」まで、超強力なブランド&店舗ラインアップで他のモールを圧倒してきた。こうした強さの源泉の一つが卓越したリーシング力だ。一体どのようにして人気ブランドを口説き落としているのか。リーシング部の担当者に聞いた。

PROFILE: 小野塚健/三菱地所・サイモン リーシング部マネージャー(左) 松野力/三菱地所・サイモン リーシング部ディレクター(右)と

小野塚健/三菱地所・サイモン リーシング部マネージャー(左) 松野力/三菱地所・サイモン リーシング部ディレクター(右)と
PROFILE: 左:(おのづか・けん)1991年6月生まれ。東京工業大学大学院社会理工学研究科修了。12〜16年にかけモデルとして活動。16年4月に三菱地所に入社し、商業施設運営事業部(アセットマネジメント業務)に入る。20年4月、新事業創造部(スタートアップ企業・ベンチャーキャピタル投資)を経て、23年から現職 右:(まつの・ちから)1974年9月生まれ。日本大学文理学部卒業。98年、サンエーインターナショナル入社後、営業・店舗開発を経験。2007年退社後、コーチ・ジャパンに入社し、ビジネスデベロップメントを手掛け、17年にフルラジャパンに移り、ビジネスデベロップメントとホールセールを担当。19年から現職 

リーシングというお仕事

WWDJAPAN(以下WWD):そもそもリーシングは、どんな仕事?

小野塚健リーシング部マネージャー(以下小野塚):一般的に“リーシング”とは、商業施設への出店誘致のことです。なのでリーシング部のスタッフはブランドに対し、アウトレット事業について説明したり、施設・区画について紹介しながら、「なぜこの場所にこのブランドが必要か」「『PO』出店のメリット」「出店後の売り上げ計画」といった提案をします。当社のような商業施設デベロッパーの場合はアセットマネージャーではなく、リーシング部が誘致テナントの選定・判断までできたり、契約締結後の店舗運営支援などまで担っていたりすることに特徴があります。

松野力リーシング部ディレクター(以下松野):三菱地所・サイモンのミッションは、「非日常のショッピング体験の提供」。リーシング部は、この体験を具現化すべく、圧倒的なブランドラインアップでお客さまをワクワクさせたい。これは「御殿場プレミアム・アウトレット(以下、御殿場アウトレット)」開業から25年間変わらない考え方です。

WWD:仕事のやりがいは?

小野塚:時間をかけて口説いたブランドが無事にオープンを迎えたときが一つ。そして何と言っても売り上げが好調に推移しているとき。売れているということは、アウトレットモール来場者という意味でのお客さまと、テナントとしてのお客さま、この2つの「お客さま」に価値提供がしっかりできているということになるからです。とても達成感がありますね。一方で、アウトレットモールならではの怖さもあります。プロパーでしっかり売れると、アウトレットに商品が回ってこないなんてことも。そういった場合はこまめにブランド側とコミュニケーションを取ることで対応しています。オープンして終わりではなく、オープンした後の店舗管理も業務の根幹の一つです。

松野:もともと出店する側だったブランドから、デベロッパー側に変わったのは街を作ってみたいと思ったから。一つの街でショッピングを楽しみながら、高揚感を感じてもらうことが何よりうれしい。もちろん売り上げが好調なのもうれしいが、アウトレットモール周辺にお住まいの地元の方々も含め、いろいろな方々に喜んでいただけるというのは、転職前にはなかった喜びです。「プレミアムアウトレット」という自分たちのブランドをしっかり売っていくような感覚で向き合い、成果を出していく。それが一番のやりがいです。

25周年に大幅リニューアル

WWD:25周年リニューアルのポイントは?

小野塚:「リ・スタート」です。2023年にプロジェクトを立ち上げた当時は、不確実性や曖昧性が問われる“ブーカ(VUCA、「Volatility:変動性」、「Uncertainty:不確実性」、「Complexity:複雑性」、「Ambiguity:曖昧性」の4つの単語の頭文字をとった造語)時代”と言われていて、コロナ禍が明けて消費動向も大きく変化しするタイミングでした。ただ、そうした中でも「御殿場アウトレット」の売上高は順調に伸びており、出店ラインアップは大きく変える必要はないという選択肢もあったほど。けど、先ほどもいった通り、われわれの使命は「お客さまにワクワク感を与え続けること」。周年というより、リニューアルのその先を見据えて、変化を加えよう、と。

松野:今回のリニューアルでは小野塚を中心に、若い世代や訪日客など新しい層へのアプローチを狙い、初出店のブランドに積極的にアプローチしました。特に若い世代に支持の高いブランドが揃う“イーストゾーン”の来街者を、すべてのゾーンに回遊させるべく、23年から「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」や「アミ パリス(AMI PARIS)」といった話題のブランドを“ウエストゾーン”に加えてきました。今回はさらに“ヒルサイド”に話題性あるブランドを集積・配置することで、全体の回遊を高める、という狙いがあります。

最初のコンタクトは出店の3年以上前
長く継続的にアプローチ

WWD:結果的に今回のリニューアルでは初出店のブランドが多くなった。アプローチはどうやって?

小野塚:実際には初出店であっても、リニューアルのオファー時にブランドや企業に初めてコンタクトする、ということはほとんどないですね。海外のブランドであれば日本上陸時、新ブランドであれば最初の店舗のオープン時など、基本的にはなるべく早いタイミングでコンタクトするようにしています。その後も定期的に会ったり、連絡を取ったり、常に接点を持つようにしています。結果的に出店していただくときには、最初のコンタクトから3〜4年後というのが大半です。

WWD:松野ディレクターは元々ブランド側の出身。その経験はどう生きている?

松野:国内外のブランドに長く携わっていたこともあり、テナント側のネットワークがあり、時には日本に進出を検討している海外ブランドの担当者から相談を受けることも。そういった情報を得たり、接点を持てたりするのは武器の一つですね。これまでの経験から百貨店内の店舗の位置や規模感から売上高を推計することもあります。小野塚も言っているように新ブランドや海外ブランドの店舗オープンや百貨店、ファッションビル、SCのリニューアルOPENにはなるべく顔を出すようにしていますし、そういった場に関係者がいれば、好調ブランドの話を仕入れたりもしています。僕はどちらかというと経験値や時代感を重視する感覚派。対して小野塚はデータ派だよね?

小野塚:私の場合は今回のリニューアルでも導入を検討したブランドの、類似ブランドの売り上げを参照したり、ポップアップショップをオープンしてもらって売れ行きを見たり。松野のようなベテラン比べるとまだまだ経験不足なので、それを補うべくSNSフォロワー数や成長具合、バズり方は常にチェックしていますし、加えて「WWDJAPAN」などの業界メディアでの取り扱われ方も参考にしています。また、出店オファーの際に売り上げ予測の数値や施設の概要をコンパクトにまとめた資料を提供しているのですが、資料はブランドや企業側の担当者が上司や事業部のトップに提出し、彼ら/彼女らが出店可否の判断材料にしてもらう、そのくらいのつもりで作っています。

WWD:リーシングのやり方は担当者によって十人十色?

松野:そうです。年齢が20歳も離れていると、世代も感覚も異なるので、それぞれの視点や考え方を持っています。部内には10人ほどいるが、それぞれのやり方や考え方を尊重していますね。

アウトレットでも売れるブランドとは?

WWD:百貨店やファッションビルで売れても、アウトレットで売れない場合もある?

松野:原則プロパー商品を販売する百貨店やファッションビルでの売り上げは大きな判断材料ですが、プロパー(定価販売)がすごく好調でも、アウトレットでは振るわないこともある。われわれがよく使うのが「奥行き」という考え方です。アウトレットのお客は、一般的な商業施設よりもずっと客層のバリエーションが多い。ファッションビルのようにファッション好きの人の特定の年代だけでなく、あらゆるカテゴリーの老若男女が訪れ、海外からの訪日客も多い。その意味ではブランドの認知度の広がりや、特定のカテゴリーであるにせよお客や市場にどれだけ深く刺さっているか、響いているかはとても重要な指標になる。既存の商業施設の売れ行きだけでなく、いろいろな角度から分析する必要がありますね。

WWD:ブランド側は、アウトレットをどう考えるべき?

松野:ブランドのビジビリティ(露出)を高めるため、幅広いお客さまが集まるアウトレットは最適と言えます。例えば、ハイブランド品を初めて購入する“ファースト◯◯(ブランド名)”といった場所になるし、その後プロパー店舗へつなげるタッチポイントにもなり得ます。「ブランディングの観点でオフプライスに出店を広げたくない」といった声もあるが、そういった場合でもプロパー販売の店舗をセール荒らさずキープしていくためにも、最後の出口として在庫品をアウトレットで販売しないかと提案しています。改めて説明することで、出店に意欲的になってくれる場合も少なくないですね。

WWD:「御殿場アウトレット」は、アウトレットモールのみならず、日本のショッピングモールとしても流通額は日本最大級。ブランドからの問い合わせも多いのでは。

松野:そんなに簡単ではない。むしろ、出店してほしいブランドであればあるほどほどガードが硬い。だからこそ、なるべく早い段階から接触し、時間をかけてブランド側との関係を醸成しています。

WWD:日本のアウトレットモール未出店のカテゴリーの一つにラグジュアリーブランドがある。出店の可能性は?

松野:難しい質問ですね。少なくとも今すぐに、ということはないです。ただ、同じ米サイモングループ「ウッドベリー・コモン・プレミアムアウトレット」(ニューヨーク州)や海外のアウトレットモールに出店しているケースもある。そう考えると日本での出店の可能性もないわけではない。

WWD:最後に目標は?

松野:「アウトレットモール」で世界一のラインアップを目指すことです!

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御殿場アウトレットの「圧倒的ブランドぞろえ」、その裏側とは? リーシング担当者に直撃

日本最大のアウトレットモールである御殿場プレミアム・アウトレットは7月13日で、開業25周年を迎えた。富士山の麓で年間1409億円(2025年3月期)を売り上げる同館は、アウトレットモールだけでなく、ショッピングモールとしても日本最大規模を誇る。「グッチ(GUCCI)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」といった高級ブランドから、「イッセイミヤケ」「ユナイテッドアローズ」「ビームス」などの国内有力ブランド、「ナイキ」「アディダス」などのスポーツ、静岡県の超人気ハンバーク店「さわやか」まで、超強力なブランド&店舗ラインアップで他のモールを圧倒してきた。こうした強さの源泉の一つが卓越したリーシング力だ。一体どのようにして人気ブランドを口説き落としているのか。リーシング部の担当者に聞いた。

PROFILE: 小野塚健/三菱地所・サイモン リーシング部マネージャー(左) 松野力/三菱地所・サイモン リーシング部ディレクター(右)と

小野塚健/三菱地所・サイモン リーシング部マネージャー(左) 松野力/三菱地所・サイモン リーシング部ディレクター(右)と
PROFILE: 左:(おのづか・けん)1991年6月生まれ。東京工業大学大学院社会理工学研究科修了。12〜16年にかけモデルとして活動。16年4月に三菱地所に入社し、商業施設運営事業部(アセットマネジメント業務)に入る。20年4月、新事業創造部(スタートアップ企業・ベンチャーキャピタル投資)を経て、23年から現職 右:(まつの・ちから)1974年9月生まれ。日本大学文理学部卒業。98年、サンエーインターナショナル入社後、営業・店舗開発を経験。2007年退社後、コーチ・ジャパンに入社し、ビジネスデベロップメントを手掛け、17年にフルラジャパンに移り、ビジネスデベロップメントとホールセールを担当。19年から現職 

リーシングというお仕事

WWDJAPAN(以下WWD):そもそもリーシングは、どんな仕事?

小野塚健リーシング部マネージャー(以下小野塚):一般的に“リーシング”とは、商業施設への出店誘致のことです。なのでリーシング部のスタッフはブランドに対し、アウトレット事業について説明したり、施設・区画について紹介しながら、「なぜこの場所にこのブランドが必要か」「『PO』出店のメリット」「出店後の売り上げ計画」といった提案をします。当社のような商業施設デベロッパーの場合はアセットマネージャーではなく、リーシング部が誘致テナントの選定・判断までできたり、契約締結後の店舗運営支援などまで担っていたりすることに特徴があります。

松野力リーシング部ディレクター(以下松野):三菱地所・サイモンのミッションは、「非日常のショッピング体験の提供」。リーシング部は、この体験を具現化すべく、圧倒的なブランドラインアップでお客さまをワクワクさせたい。これは「御殿場プレミアム・アウトレット(以下、御殿場アウトレット)」開業から25年間変わらない考え方です。

WWD:仕事のやりがいは?

小野塚:時間をかけて口説いたブランドが無事にオープンを迎えたときが一つ。そして何と言っても売り上げが好調に推移しているとき。売れているということは、アウトレットモール来場者という意味でのお客さまと、テナントとしてのお客さま、この2つの「お客さま」に価値提供がしっかりできているということになるからです。とても達成感がありますね。一方で、アウトレットモールならではの怖さもあります。プロパーでしっかり売れると、アウトレットに商品が回ってこないなんてことも。そういった場合はこまめにブランド側とコミュニケーションを取ることで対応しています。オープンして終わりではなく、オープンした後の店舗管理も業務の根幹の一つです。

松野:もともと出店する側だったブランドから、デベロッパー側に変わったのは街を作ってみたいと思ったから。一つの街でショッピングを楽しみながら、高揚感を感じてもらうことが何よりうれしい。もちろん売り上げが好調なのもうれしいが、アウトレットモール周辺にお住まいの地元の方々も含め、いろいろな方々に喜んでいただけるというのは、転職前にはなかった喜びです。「プレミアムアウトレット」という自分たちのブランドをしっかり売っていくような感覚で向き合い、成果を出していく。それが一番のやりがいです。

25周年に大幅リニューアル

WWD:25周年リニューアルのポイントは?

小野塚:「リ・スタート」です。2023年にプロジェクトを立ち上げた当時は、不確実性や曖昧性が問われる“ブーカ(VUCA、「Volatility:変動性」、「Uncertainty:不確実性」、「Complexity:複雑性」、「Ambiguity:曖昧性」の4つの単語の頭文字をとった造語)時代”と言われていて、コロナ禍が明けて消費動向も大きく変化しするタイミングでした。ただ、そうした中でも「御殿場アウトレット」の売上高は順調に伸びており、出店ラインアップは大きく変える必要はないという選択肢もあったほど。けど、先ほどもいった通り、われわれの使命は「お客さまにワクワク感を与え続けること」。周年というより、リニューアルのその先を見据えて、変化を加えよう、と。

松野:今回のリニューアルでは小野塚を中心に、若い世代や訪日客など新しい層へのアプローチを狙い、初出店のブランドに積極的にアプローチしました。特に若い世代に支持の高いブランドが揃う“イーストゾーン”の来街者を、すべてのゾーンに回遊させるべく、23年から「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」や「アミ パリス(AMI PARIS)」といった話題のブランドを“ウエストゾーン”に加えてきました。今回はさらに“ヒルサイド”に話題性あるブランドを集積・配置することで、全体の回遊を高める、という狙いがあります。

最初のコンタクトは出店の3年以上前
長く継続的にアプローチ

WWD:結果的に今回のリニューアルでは初出店のブランドが多くなった。アプローチはどうやって?

小野塚:実際には初出店であっても、リニューアルのオファー時にブランドや企業に初めてコンタクトする、ということはほとんどないですね。海外のブランドであれば日本上陸時、新ブランドであれば最初の店舗のオープン時など、基本的にはなるべく早いタイミングでコンタクトするようにしています。その後も定期的に会ったり、連絡を取ったり、常に接点を持つようにしています。結果的に出店していただくときには、最初のコンタクトから3〜4年後というのが大半です。

WWD:松野ディレクターは元々ブランド側の出身。その経験はどう生きている?

松野:国内外のブランドに長く携わっていたこともあり、テナント側のネットワークがあり、時には日本に進出を検討している海外ブランドの担当者から相談を受けることも。そういった情報を得たり、接点を持てたりするのは武器の一つですね。これまでの経験から百貨店内の店舗の位置や規模感から売上高を推計することもあります。小野塚も言っているように新ブランドや海外ブランドの店舗オープンや百貨店、ファッションビル、SCのリニューアルOPENにはなるべく顔を出すようにしていますし、そういった場に関係者がいれば、好調ブランドの話を仕入れたりもしています。僕はどちらかというと経験値や時代感を重視する感覚派。対して小野塚はデータ派だよね?

小野塚:私の場合は今回のリニューアルでも導入を検討したブランドの、類似ブランドの売り上げを参照したり、ポップアップショップをオープンしてもらって売れ行きを見たり。松野のようなベテラン比べるとまだまだ経験不足なので、それを補うべくSNSフォロワー数や成長具合、バズり方は常にチェックしていますし、加えて「WWDJAPAN」などの業界メディアでの取り扱われ方も参考にしています。また、出店オファーの際に売り上げ予測の数値や施設の概要をコンパクトにまとめた資料を提供しているのですが、資料はブランドや企業側の担当者が上司や事業部のトップに提出し、彼ら/彼女らが出店可否の判断材料にしてもらう、そのくらいのつもりで作っています。

WWD:リーシングのやり方は担当者によって十人十色?

松野:そうです。年齢が20歳も離れていると、世代も感覚も異なるので、それぞれの視点や考え方を持っています。部内には10人ほどいるが、それぞれのやり方や考え方を尊重していますね。

アウトレットでも売れるブランドとは?

WWD:百貨店やファッションビルで売れても、アウトレットで売れない場合もある?

松野:原則プロパー商品を販売する百貨店やファッションビルでの売り上げは大きな判断材料ですが、プロパー(定価販売)がすごく好調でも、アウトレットでは振るわないこともある。われわれがよく使うのが「奥行き」という考え方です。アウトレットのお客は、一般的な商業施設よりもずっと客層のバリエーションが多い。ファッションビルのようにファッション好きの人の特定の年代だけでなく、あらゆるカテゴリーの老若男女が訪れ、海外からの訪日客も多い。その意味ではブランドの認知度の広がりや、特定のカテゴリーであるにせよお客や市場にどれだけ深く刺さっているか、響いているかはとても重要な指標になる。既存の商業施設の売れ行きだけでなく、いろいろな角度から分析する必要がありますね。

WWD:ブランド側は、アウトレットをどう考えるべき?

松野:ブランドのビジビリティ(露出)を高めるため、幅広いお客さまが集まるアウトレットは最適と言えます。例えば、ハイブランド品を初めて購入する“ファースト◯◯(ブランド名)”といった場所になるし、その後プロパー店舗へつなげるタッチポイントにもなり得ます。「ブランディングの観点でオフプライスに出店を広げたくない」といった声もあるが、そういった場合でもプロパー販売の店舗をセール荒らさずキープしていくためにも、最後の出口として在庫品をアウトレットで販売しないかと提案しています。改めて説明することで、出店に意欲的になってくれる場合も少なくないですね。

WWD:「御殿場アウトレット」は、アウトレットモールのみならず、日本のショッピングモールとしても流通額は日本最大級。ブランドからの問い合わせも多いのでは。

松野:そんなに簡単ではない。むしろ、出店してほしいブランドであればあるほどほどガードが硬い。だからこそ、なるべく早い段階から接触し、時間をかけてブランド側との関係を醸成しています。

WWD:日本のアウトレットモール未出店のカテゴリーの一つにラグジュアリーブランドがある。出店の可能性は?

松野:難しい質問ですね。少なくとも今すぐに、ということはないです。ただ、同じ米サイモングループ「ウッドベリー・コモン・プレミアムアウトレット」(ニューヨーク州)や海外のアウトレットモールに出店しているケースもある。そう考えると日本での出店の可能性もないわけではない。

WWD:最後に目標は?

松野:「アウトレットモール」で世界一のラインアップを目指すことです!

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猛暑とファッション:記者談話室vol.185

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、記者たちが分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

今回のテーマは「猛暑とファッション」です。30度以上の真夏日、35度以上の猛暑日が珍しくなくなり、さらに長い夏・短い秋が常態化しています。暑い夏・長い夏はファッションビジネスのあり方を根本から変える事件ですが、アパレル各社の対応は追いついていません。1年の半分近くが夏になった日本において、どんな活路があるのか。無責任に話し合ってみました。

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TSIが「フリークス ストア」運営のデイトナを子会社化 取得金額は283億円

TSIホールディングスは14日、カジュアル衣料やライフスタイル雑貨を展開する「フリークス ストア(FREAK’S STORE)」などを運営するデイトナ・インターナショナルの株式を取得し、100%子会社化することを発表した。取得金額は283億円。取引は9月2日に完了予定だ。

デイトナは1990年に創業。「フリークス ストア」をはじめ、「ファーストハンド」「フリーダ」などファッションや雑貨、家具の企画・製造・販売を中心としたライフスタイル事業を展開している。2021年に持株会社として設立されたMustangが、旧デイトナ・インターナショナルを吸収合併し、現社名に商号変更した。21年にユニゾン・キャピタルが過半を出資し、売上高は25年2月期で約393億円だった。

TSIはストリート、カジュアル、アウトドア分野においてデイトナと高い親和性があると見ており、ブランドポートフォリオの戦略的な補完と、新たな顧客獲得につながると判断した。特に、OMOプラットフォームを活用することで、既存ブランドとの相互送客や関連商品のクロスセルによるシナジー創出が期待されている。

同社は2024年4月に発表した中期経営計画「TSI イノベーション プログラム 2027(TIP27)」において、ブランドポートフォリオの拡張と新市場への進出を成長戦略の柱に据えており、今回のM&Aもその一環となる。

なお、同社の25年2月期の売上高は前期比0.8%増の1566億円、営業利益は同7.1%減の16億円、純利益は214%増の152億円だった。純利益には東京・港区に保有する不動産売却による特別益239億円が反映されている。

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予測は無駄、物流費は惜しむな 「店間移動」で利益を取り戻せ!

WWDJAPAN.comは4月までマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」を連載していました。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか? 利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」「図解アパレルゲームチェンジャー」等の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説して行きます。今回も、第13話を取り上げます。

初回配分は当たらない? 物流費を惜しんで値下げ損?

前回は「“個店売れ筋”軽視に眠る売上拡大の伸びしろ」をテーマに解説しましたが、今回は「店間移動」について掘り下げます。

マンガ「在庫管理の魔術」の第13話は コチラ

第13話では、ある店で欠品している商品の68%は他の店でダブついていて、その過剰在庫を必要な店舗に取り寄せれば欠品率は10%まで下げられるという話がありました。

多店舗展開するチェーンストアでは、ある店舗でダブついている商品を、欠品しているあるいは欠品しそうな別の店舗に在庫移動させることを「店間移動」と呼びます。

仕入れた商品の店舗への在庫配分は、小規模事業であればバイヤーが自らが、中規模になるとディストリビューターや在庫コントローラーなどの担当者が販売予測に基づいて行いますが、未来の需要は、どんなに時間をかけて、根を詰めて計算しても、はたまた最新AIを持ってしても、正確に当てることはできません。

しかし、多くのチェーンストアの話を聞くと、担当者がこの初回配分、つまり予測精度を高めようと躍起になっているのが現実です。

さらに、倉庫に在庫が残っているのなら、他店に取られる前に確保してしまおうと、店舗が追加要望して過剰に自店に在庫を抱え込んでいるケースもあります。すると、発売間もなく倉庫に残した補充用在庫が底をつきます。

ある店舗では欠品、ある店舗では過剰という現象は、そんな予測できない需要に対して、配分担当者が欠品させまい、と多めに在庫を積み込んだり、店舗が自店に抱え込むことの積み重ねで起こっているのです。

その対処として行われるのが店間移動です。

店間移動にはもちろん、輸送コストがかかります。そのため、その在庫移動は本当にコストをかけてまでやる必要があるのか?が問題になり、物流経費だけを見ている管理部門からストップがかかったり、一方、店舗が他で売れる商品なら自店に置いておこうと、移動指示に従わないこともあります。その結果、せっかくプロパーで売れる販売チャンスを逃しているケースも少なくありません。

参考にすべき、しまむらの割り切り

この店間移動の是非は多くの会社で議論されていますが、業界の中には、積極活用している会社があります。その一つがファッションセンターしまむらを展開するしまむら社です。同社では、初回配分の予測なんて当たりっこない、であれば売り始めてから、店舗間で在庫の過不足を調整すればよいと割り切ります。

初回配分はほぼ一律同数を全店に配分しそして、商品ごとの実際の売れ行きを見て、すぐに売れて欠品する店に、売れずに滞留している店から在庫を店間移動(同社では店間移送と呼ぶ)させて需要にあわせて在庫を最適化することをルーティン業務にしています。

この業務は仕入れを行うバイヤーと二人三脚で、入荷後の在庫の売り切りの責任を持つ在庫コントローラーが行いますが、彼らは商品を入荷後約1カ月で、売り切るためにデータを見ながら適品適所適量を実現し、できるだけ値下をせずに売り切るのがミッションです。

独自で設計したシステムと自ら地域ごとに張り巡らせたトラック便網のインフラをフル活用し店間移動を頻繁に実施します。当然、物流費はかかりますが、同社では店間移動は無駄なコストではなく、それにかかる物流費はプロパー販売チャンスを逃すことで被る値下げロスに比べたら断然安いと考えます。

店間移動の賜物で、同社は、日本のアパレル企業の中でも最も値下率が低い、つまりプロパー消化率の最も高い会社の1社になっています。

さて、みなさんの会社では、店間移動をどう考えているでしょうか?

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予測は無駄、物流費は惜しむな 「店間移動」で利益を取り戻せ!

WWDJAPAN.comは4月までマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」を連載していました。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか? 利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」「図解アパレルゲームチェンジャー」等の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説して行きます。今回も、第13話を取り上げます。

初回配分は当たらない? 物流費を惜しんで値下げ損?

前回は「“個店売れ筋”軽視に眠る売上拡大の伸びしろ」をテーマに解説しましたが、今回は「店間移動」について掘り下げます。

マンガ「在庫管理の魔術」の第13話は コチラ

第13話では、ある店で欠品している商品の68%は他の店でダブついていて、その過剰在庫を必要な店舗に取り寄せれば欠品率は10%まで下げられるという話がありました。

多店舗展開するチェーンストアでは、ある店舗でダブついている商品を、欠品しているあるいは欠品しそうな別の店舗に在庫移動させることを「店間移動」と呼びます。

仕入れた商品の店舗への在庫配分は、小規模事業であればバイヤーが自らが、中規模になるとディストリビューターや在庫コントローラーなどの担当者が販売予測に基づいて行いますが、未来の需要は、どんなに時間をかけて、根を詰めて計算しても、はたまた最新AIを持ってしても、正確に当てることはできません。

しかし、多くのチェーンストアの話を聞くと、担当者がこの初回配分、つまり予測精度を高めようと躍起になっているのが現実です。

さらに、倉庫に在庫が残っているのなら、他店に取られる前に確保してしまおうと、店舗が追加要望して過剰に自店に在庫を抱え込んでいるケースもあります。すると、発売間もなく倉庫に残した補充用在庫が底をつきます。

ある店舗では欠品、ある店舗では過剰という現象は、そんな予測できない需要に対して、配分担当者が欠品させまい、と多めに在庫を積み込んだり、店舗が自店に抱え込むことの積み重ねで起こっているのです。

その対処として行われるのが店間移動です。

店間移動にはもちろん、輸送コストがかかります。そのため、その在庫移動は本当にコストをかけてまでやる必要があるのか?が問題になり、物流経費だけを見ている管理部門からストップがかかったり、一方、店舗が他で売れる商品なら自店に置いておこうと、移動指示に従わないこともあります。その結果、せっかくプロパーで売れる販売チャンスを逃しているケースも少なくありません。

参考にすべき、しまむらの割り切り

この店間移動の是非は多くの会社で議論されていますが、業界の中には、積極活用している会社があります。その一つがファッションセンターしまむらを展開するしまむら社です。同社では、初回配分の予測なんて当たりっこない、であれば売り始めてから、店舗間で在庫の過不足を調整すればよいと割り切ります。

初回配分はほぼ一律同数を全店に配分しそして、商品ごとの実際の売れ行きを見て、すぐに売れて欠品する店に、売れずに滞留している店から在庫を店間移動(同社では店間移送と呼ぶ)させて需要にあわせて在庫を最適化することをルーティン業務にしています。

この業務は仕入れを行うバイヤーと二人三脚で、入荷後の在庫の売り切りの責任を持つ在庫コントローラーが行いますが、彼らは商品を入荷後約1カ月で、売り切るためにデータを見ながら適品適所適量を実現し、できるだけ値下をせずに売り切るのがミッションです。

独自で設計したシステムと自ら地域ごとに張り巡らせたトラック便網のインフラをフル活用し店間移動を頻繁に実施します。当然、物流費はかかりますが、同社では店間移動は無駄なコストではなく、それにかかる物流費はプロパー販売チャンスを逃すことで被る値下げロスに比べたら断然安いと考えます。

店間移動の賜物で、同社は、日本のアパレル企業の中でも最も値下率が低い、つまりプロパー消化率の最も高い会社の1社になっています。

さて、みなさんの会社では、店間移動をどう考えているでしょうか?

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良品計画、25年8月期業績予想を3度目の上方修正 絶好調で株式分割も実施

「無印良品」を運営する良品計画の2024年9月〜25年5月期業績は、引き続き営業収益、利益の各段階で過去最高を更新した。国内、海外の各セグメントで増収増益を達成。好調を受けて、25年8月期の通期業績予想を上方修正した。上方修正は1月、4月に続き今期3回目。株価も高値を更新していることから、株式分割も発表した。

「新しいお客さまを取り込み、スキンケアやキッチン周りの雑貨類が支持され、リピート購入につながっている。情報発信も強化したことでSNSで紹介されることにもつながり、10代などの若いお客さまも増えている」と清水智社長。

24年9月〜25年5月期の売上高にあたる営業収益は、前年同期比19.2%増の5910億円、営業利益が同39.9%増の594億円、純利益が同30.1%増の435億円だった。3月に行った、会員向けの値引きキャンペーン「無印良品週間」後も、反動で客数減とならなかったことに自信を深めている。「スキンケアを筆頭に、日々の暮らしで求められる商品がそろったことに加え、前社長(堂前宣夫・現会長)時代から注力してきた在庫コントロールが向上している。その結果、『良品週間』で店に来たら在庫がなくてガッカリ、といったことはなく、その後もリピート購入につながっている」。

修正後の通期業績予想は、営業収益が前期比17.3%増の7760億円(修正前は7700億円)、営業利益が同24.7%増の700億円(同670億円)、純利益が同13.1%増の470億円(同455億円)。

株式分割は、8月31日の株主に対し、1対2の分割を実施すると発表。投資単位あたりの金額を引き下げることで株式の流動性を高め、投資家層のさらなる拡大をはかる。

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良品計画、25年8月期業績予想を3度目の上方修正 絶好調で株式分割も実施

「無印良品」を運営する良品計画の2024年9月〜25年5月期業績は、引き続き営業収益、利益の各段階で過去最高を更新した。国内、海外の各セグメントで増収増益を達成。好調を受けて、25年8月期の通期業績予想を上方修正した。上方修正は1月、4月に続き今期3回目。株価も高値を更新していることから、株式分割も発表した。

「新しいお客さまを取り込み、スキンケアやキッチン周りの雑貨類が支持され、リピート購入につながっている。情報発信も強化したことでSNSで紹介されることにもつながり、10代などの若いお客さまも増えている」と清水智社長。

24年9月〜25年5月期の売上高にあたる営業収益は、前年同期比19.2%増の5910億円、営業利益が同39.9%増の594億円、純利益が同30.1%増の435億円だった。3月に行った、会員向けの値引きキャンペーン「無印良品週間」後も、反動で客数減とならなかったことに自信を深めている。「スキンケアを筆頭に、日々の暮らしで求められる商品がそろったことに加え、前社長(堂前宣夫・現会長)時代から注力してきた在庫コントロールが向上している。その結果、『良品週間』で店に来たら在庫がなくてガッカリ、といったことはなく、その後もリピート購入につながっている」。

修正後の通期業績予想は、営業収益が前期比17.3%増の7760億円(修正前は7700億円)、営業利益が同24.7%増の700億円(同670億円)、純利益が同13.1%増の470億円(同455億円)。

株式分割は、8月31日の株主に対し、1対2の分割を実施すると発表。投資単位あたりの金額を引き下げることで株式の流動性を高め、投資家層のさらなる拡大をはかる。

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英「ザボディショップ」が新CEOを任命 経営再建へ加速

英国発の自然派化粧品ブランド「ザボディショップ(THE BODYSHOP)」は10日、新たな最高経営責任者(CEO)として、英投資会社アウレアグループ(AUREA GROUP)の共同創業者であるマイク・ジャタニア(Mike Jatania)氏を任命した。ジャタニア新CEOは昨年、エグゼクティブ・チェアマンの職に就いており、今回の就任によりCEO職を兼務する。

同ブランドの英国法人であるザボディショップインターナショナルは昨年2月、破産管財人の管理下に入り店舗閉鎖や人員削減を進めながら買い手を探していた。同年9月、アウレアグループに買収され、新経営陣の下で経営再建を進めてきた。翌10月には、本社を創業の地である英ブライトンに移転。「新体制による文化的リセットの始まり」と位置付けていた。「ザボディショップ」は1976年に同地で1号店をオープンしている。

ジャタニア新CEOは、「『ザボディショップ』は先駆者としての卓越した伝統と驚くべき可能性を持っている。50周年を迎えるにあたり、業界の変革者としてブランドが築いてきた遺産に誇りを持ち、次のステージへ歩みを進める。(前CEOの)チャールズのリーダーシップの下、事業は安定し、強固な基盤から次章をスタートできる。今後はさらなる成長を目指しチームとより密に連携し、これからの世代にも愛されるブランドであり続けるよう全力を尽くす」と意欲を見せた。

チャールズ・デントン(Charles Denton)前CEOは、「ブランドの再生を支援し、その歩みの一端を担えたことは大きな喜びだった。チームの並はずれた献身に心から感謝する。これからもビジネスは良い方向に進むと確信している」と述べた。

アウレアグループは、パーソナルケア企業ローナメッド(LORNAMEAD)の元CEOであるジャタニア氏と金融業界出身のポール・ラファエル(Paul Raphael)氏が2021年に共同設立。ビューティ、ウェルネス、ライフスタイル領域に特化した投資会社として、多くののビューティおよびパーソナルケアブランドを手掛けている。

アウレアグループのヴィンディ・バンガ(Vindi Banga)広報担当は、「今回の人事は、事業が次の成長段階に進む転換点だ。チャールズの下で予定より早くビジネスの基盤が整った。マイクはビジネス成長の実績がずば抜けており、ブランド理解や経営手腕から見ても、今後の舵取りに最適な人材だ」とコメントした

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LVMH、子会社を通じて仏メディアグループを買収 金額は非公開

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は、フランスの日刊紙「ロピニオン(L'OPINION)」や経済紙「ラジェフィ(L'AGEFI)」を擁するメディアグループ、ベイメディア(BEY MEDIAS)を買収した。金額は非公開。

情報筋によれば、買収はLVMHの子会社で、フランスの日刊紙「ル パリジャン(LE PARISIEN)」や経済紙「レゼコー(LES ECHOS)」の持株会社であるユフィパル(UFIPAR)を通じて実施。LVMHは以前からベイメディアの少数株主で、今回残りの全株式をベイメディアおよび「ロピニオン」の創設者であるニコラ・ベイトー(Nicolas Beytout)社長や、その他の株主から取得した。ベイメディアはユフィパルの傘下となるが、今後も各組織や編集体制は独立性を維持し、ベイトー社長は引き続き同職および「ロピニオン」の社長兼出版ディレクターを務める。また、両紙の編集長や編集ディレクターらも続投する。

ベイトー社長は、2013年にベイメディアと「ロピニオン」を設立。それ以前には、「レゼコー」の社長や、やはりフランスの日刊紙「ル・フィガロ(LE FIGARO)」の出版ディレクターを務めていた。なお、「レゼコー」は07年にLVMHが買収している。また、ベイメディアは19年、LVMHの競合ケリング(KERING)を率いるフランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)会長兼最高経営責任者(CEO)一族の持株会社アルテミス(ARTEMIS)から、「ラジェフィ」を買収した。

LVMHは、メディア分野ではほかにフランスの写真週刊誌「パリ・マッチ(PARIS MATCH)」や、資産運用に関する専門誌「アンヴェスティール(INVESTIR)」を保有している。

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「トリンプ」新社長が語る全方位強化戦略 ボディーメイクのセグメントでブランド力アップ

PROFILE: アンドリュー・ブバラ/トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長

アンドリュー・ブバラ/トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長
PROFILE: 1973年アメリカ・インディアナ州出身。大学在学中に1年半日本に留学。1995年イエール大学卒業後、日本のソニーでキャリアをスタート。2001年、ヴァージニア大学ダーデン・スクール・オブ・ビジネスでMBA取得後、日本に戻り、ソニーエレクトロニクス入社。13年グーグル合同会社を経て15年、グループセブ ジャパン社長へ就任。24年12月から現職 PHOTO:SHUHEI SHINE

「トリンプ(TRIUMPH)」は3月、菜々緒をアンバサダーに起用し、新作“ハイブリッドブラ 秘めわざ(以下、ハイブリッドブラ)”を発売した。同ブランドは1886年にドイツで創業した老舗下着ブランド。日本法人であるトリンプ・インターナショナル・ジャパンは1964年に設立され、“天使のブラ”や“恋するブラ”などヒット商品を発売してきた。現在では、「トリンプ」以外にも快適下着の代表格「スロギー(SLOGGI)」などを展開している。ここ数年で、「ユニクロ(UNIQLO)」や「無印良品」により、下着市場を取り巻く環境は急変した。そんな中、下着大手「トリンプ」はどのようにそれら企業と戦うのか。昨年12月、新社長に就任したアンドリュー・ブバラ氏に、今後の戦略について話を聞いた。

WWD:家電業界から下着業界への転向の経緯・背景は?

アンドリュー・ブバラ=トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長(以下、ブバラ):約10年間、「ティファール(T-FAL)」などを展開するグループセブで勤務した。30~60代の女性を中心に日常生活に役立つ家電などの商材を販売してきた。商品は違うが、毎日着ける下着に付加価値をつけて日常を豊かにするという点では同じことだ。また、販路は、直営店、百貨店、ECなどほとんど同じ。だから、今までの経験が生かせる自信がある。

WWD:社長に就任後、フォーカスしてきたことは?

ブバラ:1番大切なのが商品。全社員に向けて、中長期的に商品軸で市場のニーズを把握していい商品を作るというメッセージを発信した。また、展開しているブランドのそれぞれの役割やターゲットについて見直し、再構築していく。販路の見直しも行う。業界のプロがそろっている会社なので、トップダウンというよりは社員の意見に耳を傾けながら、ボトムアップで効率化を図っていくつもりだ。

WWD:どのようにグローバルで連携をとっているか?現在のオペレーションは?

ブバラ:現在ヨーロッパ、アジア、日本の3つの市場で展開をしているが、各市場で気候も違えば文化も違う。また、女性の体型や下着に求めることが違うので、商品開発は各地域で行うことが多い。“スロギー ゼロフィール”は日本から世界へ広がっていった。素材や生産に関しては、グローバルでリソースを共有している。

WWD:ここ数年の、日本のトリンプの年商の推移は?

ブバラ:下着市場は縮小傾向にある。また、コロナ禍で消費者のニーズがよりコンフォートに変化し、販路も変化した。2020年、21年と売上高は1ケタ減が続いていたが、今年なってプラスに転換した。百貨店で販売している高価格帯の「フロラーレ リュクス(FLORALE RUX)」や手に取りやすい価格帯の「アモスタイル バイ トリンプ(AMOSTYLE BY TRIUMPH)」(以下、アモスタイル)は好調。中価格帯が厳しく、市場のニーズも快適さ+バストメイクへ変化したため“ハイブリッドブラ”を投入した。アンバサダーに起用した菜々緒の効果もあり好調だ。

WWD:日本市場で展開しているブランドのビジネスの割合は?

ブバラ:30~60代がターゲットの「トリンプ」が5割以上だ。10~20代「アモスタイル」が2割程度、10~70代と幅広い年齢層をカバーする「スロギー」が2割程度。

アンバサダーやキャラクターコラボで購買動機をアップ

WWD:日本における好調ブランドや商品は?

ブバラ:新しい柱として発売した“ハイブリッドブラ”が非常に好調。アンバサダーに田久保夏鈴を起用した「アモスタイル」では、毎月新作を導入しており、中でも“夢見るブラ”が好調。いずれも、アンバサダー効果が大きい。「スロギー」は、ハローキティやミッフィーなどキャラクターコラボにより新しいファンを獲得している。

WWD:昨年から、ブランドアンバサダー起用に積極的だが?

ブバラ:約10年前から日本人をブランドアンバサダーとして起用。一時期は世界共通のアンバサダーがいたこともあったが、再度、日本のアンバサダーに戻した。“ハイブリッドブラ”という新しいカテゴリーを立ち上げるにあたり、それを体現する存在が菜々緒だと思いアンバサダーに起用した。ターゲットにファン層が多いアンバサダーを起用することが、訴求につながっている。

WWD:“ハイブリッドブラ”を発売し、TVCMなどで露出強化を図っているが、市場の反響は?

ブバラ:ワイヤー・ノンワイヤーの先を行くカテゴリーとして作った商品だ。キャンペーンは期待通りの結果が出ている。今後も、常に新しい価値のある商品を出していくし、消費者の声を吸い上げて機能の改善も行っていく。

デジタル強化とボディーケア・メイクにフォーカス

WWD:現在の課題と、今後の戦略は?

ブバラ:ECやSNSなどデジタル強化を図る。インスタグラムは日本独自のアカウントを開設する。オムニチャネルの促進も図り、フィッティングの重要性もアピールしていきたい。また、オンラインでも店頭と同じような体験を提供できるようにし、ショッピングのシームレス化を図る。既存・新規客、全方位強化するために、あらゆる消費者に刺さる購買理由を探り発信していきたい。

WWD:日本における下着市場をどのように分析するか?「ユニクロ」「無印良品」とどのように戦う?

ブバラ:消費者のニーズはさまざま。だから、それぞれのセグメントに合うものを提供するだけ。「トリンプ」は、ボディーケア・メイクできるブランドとして付加価値を付け、商品開発をしていく。市場や顧客を見ながら、何をすべきか考え戦略を立てていく。

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「ニューバランス」が明治公園でランニングシューズ無料レンタル グローバルキャンペーンに田中希実選手登場

「ニューバランス(NEW BALANCE)」を運営するニューバランスジャパンは、東京のランニングカルチャーの育成・発信に一層力を入れ、ランニングブランドとしての存在感を強める。8月1日にスタートする都立明治公園が拠点のランニングコミュニティー「ランナーズパークトーキョー(Runner’s Park Tokyo)」(主催:Tokyo Legacy Parks)に協賛し、公園内でランニングシューズやウエアの無料レンタルを開始。7月12、13日には、同公園で行われるコミュニティーのオープニングイベントにも協賛する。東京で開催される9月の世界陸上やメジャーパートナーを務める10月の東京レガシーハーフマラソンに向け、製品とコミュニティーの両面でランニングシーンを盛り上げる。

「スポーツとクラフツマンシップを通じて、世界中のコミュニティーをエンパワメントするというのがわれわれのパーパスだ」と、鈴木健ニューバランスジャパン マーケティング部ディレクター。その言葉通り、2025年3月には代々木公園にランニングに特化した新店をオープンし、「これまでで既に40回のイベントを行い、のべ1200人のランナーが参加してきた。ビギナーランナー向けやヨガとランのミックスイベント、女性限定イベントなど、内容も多岐にわたる」と手応えを語る。

7月12、13日に明治公園で行われるイベントの名称は「ランユアウェイ パーク サポーテッド バイ ニューバランス(Run your way Park Supported by New Balance)」。同イベントで「ニューバランス」としては、ランニングインフルエンサーやアスリートなどのトークイベントのほか、契約アスリートで、先日の日本陸上競技選手権で女子1500メートル、5000メートル2冠となった田中希実選手の日頃のトレーニングメニューを体験できるプログラムを企画。イベント全体としては、2日間で800人のランナーの参加申し込みがあったという。

ブランドが22年から打ち出しているランニングカテゴリーのグローバルキャンペーン「Run your way. 見つけよう、あなたの道を」のビジュアルも、今年は世界陸上の行われる日本にフォーカスする。田中選手や、同じく「ニューバランス」が契約する順天堂大学陸上部の駅伝メンバー、ランニングインフルエンサーらのビジュアルをグローバルで展開。田中選手がナレーションを務めるテレビCMも放送予定だ。

「旅としてのランニングが好き」

製品として強化するのは、19年に初代モデルを発売した、反発性と軽量性を追求したランニングシューズ“フューエルセル レベル(FuelCell Rebel)”のシリーズ。7月1日に最新モデルの“フューエルセル レベル v5(FuelCell Rebel v5)”(1万6940円)を発売しており、10月にかけて毎月新色を投入する。エリートランナーにはジョグシューズとして、ファンランナーにはレースでも使える万能シューズとして打ち出す。「ランニングシューズとしては“フレッシュフォーム エックス テンエイティー(Fresh Foam X 1080)”シリーズが定評があるが、“フューエルセル レベル”も今年から来年にかけて定番に育てたい」(林錫峰ニューバランスジャパン パフォーマンスカテゴリーマーケティング アシスタントマネージャー)という。

“フューエルセル レベル v5”のお披露目イベントには、岐阜の御嶽山で合宿中という田中選手もオンラインで参加した。キャッチコピーの「Run your way. 見つけよう、あなたの道を」に絡めて、「今シーズンは(海外レースの経験を積むために)かなりいろんな国に行っているが、レース翌日にその国の風景の中をジョグするとすごく楽しい。私は走ることを通して、旅をしたり、見たことのないものを見たりすることが好きなんだと気づいた」とコメント。ほかに、順天堂大学駅伝部の石岡大侑キャプテンも登壇した。

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来場者数よりも“本気の商談“を重視するベルリンのB2Bイベント「ザ ユニオン」 日本ブランドも多数出展

世界的に見本市ビジネスが過渡期を迎える中、ドイツ・ベルリンを拠点とするザ ユニオンが主催するB2Bイベント「ザ ユニオン ベルリン(THE UNION BERLIN)」が活気づいている。同イベントは「良きビジネスのための場(A PLACE FOR GOOD BUSINESS)」をスローガンに掲げ、2022年夏にスタート。6月22〜24日に開催された26年春夏シーズンは、デニムやレザーウエア、アロハシャツからバッグ、シューズ、シルバージュエリーまでヘリテージファッションを中心に約70ブランドが出展した。その3割以上を日本が占め、比較的規模の小さな日本のブランドが欧州市場に進出したり、海外ビジネスを拡大したりする足掛かりにもなっている。

同イベントを手掛けるのは、ドイツで「ポーター(PORTER)」のディストリビューターなども務めているフェリックス・エンゲルマン(Felix Engelmann)=ザ ユニオン創業者だ。立ち上げの経緯について、彼は「自分自身もディストリビューションの仕事をしていて、従来のトレードショー(見本市)や合同展は多くの来場者がブースを訪れても、必ずしも商談や買い付けにつながるわけではないと感じていた。私たちが取り組んでいるのはブランドとショップが共にビジネスを行うための共同体。だから『トレードショー』とは呼びたくなく、シンプルに“連合”や”組合”を示す『ユニオン』という言葉を選んだ」と説明。「重視するのは、来場者数よりも本気で商談が行われる環境を整えることだ。そのため、ショップ関係者が来場するには出展ブランドまたは私たちからの招待が必要。支払いなどで待たされることの多い食事やコーヒーなどのドリンクを無料でスムーズに提供したり、必要に応じて現地での通訳を手配したりと、円滑なビジネスをサポートしている」と続ける。

また、常にイベントを改善していくため、「WhatsApp(メッセージングアプリ)」で出展ブランドや来場したショップの意見を聞いたり、出展料の改定などの際には多数決を取り入れたり。皆で作り上げるオープンで民主的な運営体制も特徴と言える。そういった背景もあり、ビジネスに重きを置いているものの、会場には親密でフレンドリーな雰囲気が漂う。

品質で勝負するブランドだけを厳選

そんな「ザ ユニオン ベルリン」は会場となっている元冷蔵倉庫の1フロアのみでスタートし、現在は中央が吹き抜けになった3フロアと完全アポイントメント制の1フロアを使用するまでになった。しかし、エンゲルマン創業者は「最も大切なのは、参加者全員が効率よくビジネスをできること。規模が大きくなりすぎると、自分たちがなりたくない従来型の見本市や合同展のようになってしまうリスクがある」とし、焦点を絞ってクオリティーを維持していく考えだ。

出展者の選考基準については、「マーケティングではなく“品質の証“としてブランドのラベルやロゴを用いているか。アイテムカテゴリーや価格帯は問わず、品質で勝負するブランドを選んでいる。そうすることで、来場する小売業者が“『ザ ユニオン』に行けば、すでに買い付けているブランドだけでなく、他の素晴らしいブランドにも出合える“と思えるような場所にしたい」と語る。「私が知る日本のブランドからは、製品やモノ作りに真摯に向き合う文化を感じる。そういったブランドの評価は欧米でも高く、その姿勢は“ディスカウント”を前提としない健全なビジネスを続けていくためにも重要だ」。

出展者が語る「ザ ユニオン」の意義

今回のイベントには、ドイツをはじめとするヨーロッパ、アメリカ、タイ、イスラエル、台湾、韓国、日本などの約180店舗のバイヤーが訪れたという。その数自体は大規模な見本市に比べると圧倒的に少ないものの、その狙い通り、ビジネスの場として機能しているようだ。

初めて出展したベーシックなニット中心の「ムーンキャッスル(MOONCASTLE)」を手掛ける月城亮一・月城ニット社長は、「海外ではすでにフィレンツェの『ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)』とパリの『ウェルカム エディション(WELCOME EDITION)』に出展している。他と比べて『ザ ユニオン』は来場人数が少ない分、バイヤーの方々にじっくりとブースを見てもらったり、製品について説明させてもらったりすることができた。結果、ビジネス的にもほかの海外展に引けを取らないくらいの手応えがあった」と振り返った。

一方、4回目の出展となるデニムブランド「フルカウント(FULLCOUNT)」を率いる辻田幹晴社長は、日本製デニムが世界で認知される前の1990年代後半から海外展開に挑戦しており、地道に販路を確立。その中で酸いも甘いも経験してきたという。現在は他の見本市には出展していないが、「ザ ユニオン」については「私たちの場合は、すでに海外に100アカウント以上の卸先がありビジネスも安定しているので、既存のお客さまと会うことが出展の大きな目的。一つのブランドとして成功すればいいというわけでなく、日本のモノ作りの背景をしっかり守っていくためにも、海外で日本の製品がしっかり評価される場になれば良いと考えている。その点、『ザ ユニオン』は日本の文化を尊重するフェリックスとの距離も近く、コンセプトに共感する部分も多い。他の新しいブランドにも声をかけたり、意見を交わしたりして、一緒に取り組んでいる」と話した。

今年から日本でのイベントも本格始動

さらにザ ユニオンは、「クロ(KURO)」などオリジナルブランドの生産・販売や海外ブランドのディストリビューション、合同展示会「マグ(MAG)」を手掛けてきた総合セールスエージェントのブルース(BLUES)とパートナーシップを締結。2年半にわたる話し合いの末、「ザ ユニオン ベルリン」のコンセプトを踏襲した日本でのイベント「ザ ユニオン トウキョウ(THE UNION TOKYO)」を始動した。3月のソフトローンチを経て、2026年春夏シーズンは7月15〜17日まで渋谷のクウォーツギャラリー(QUARTZ GALLERY)で開催する。今回は、国内外の約25ブランドが出展予定だ。

刑部健太郎ブルース社長は、「これまで開催していた『マグ』は一旦ストップし、『ザ ユニオン』にフォーカスする。今回の来場予定は国内のショップが多いが、将来的には韓国や中国、台湾などアジアのバイヤーが集まるハブにしていきたい。また、ベルリンでは欧米のショップから、東京ではアジアのショップからオーダーを取れるような環境を整え、両方に出展するブランドを増やすことを目指す」と語る。今後は、海外のブランドやバイヤーの参加も促すため、グローバルな買い付けや生産サイクルに合わせ、7月と2月の年2回開催していく予定だ。

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ファストリ24年9月〜25年5月期、「気温に左右されないMD」で過去最高業績 トランプ関税の影響は秋以降

ファーストリテイリングの2024年9月〜25年5月期業績は、売上高に相当する売上収益が前年同期比10.6%増の2兆6167億円、営業利益が同12.2%増の4509億円、純利益が同8.4%増の3390億円だった。ユニクロ事業の日本、欧州、北米、東南アジアなどが成長をけん引。一方、構造改革中のグレーターチャイナは直近3カ月は減収減益、ジーユー事業も同じく増収大幅減益だった。

ユニクロでは、猛暑に対応する夏物コア商品がよく売れているほか、通年で販売できる“定番のアップデート”商品がヒットし、気温に左右されにくい商売に手応えを得ている。具体的には「ユニクロ:C(UNIQLO:C)」の“スウェットワイドパンツ”(3990円)や、「ユニクロ アンド ジェイ ダブリュー アンダーソン(UNIQLO AND JW ANDERSON)」の“ストレートジーンズ”(4990円)など。「スエットやジーンズという定番に新しいデザインや新機軸を入れることで、これほど需要が得られるのかという学びがあった」と、岡﨑健 取締役グループ上席執行役員CFOは語る。

アメリカ市場では、トランプ関税の影響は現時点では出ていないと言うが、「25年秋冬以降はかなり影響を受けると見ている。ただし、状況は流動的であり、サプライチェーンの組み替えなどでここから右往左往してもしょうがない」。関税上昇分を価格に転嫁するかについては、「アイテム1つ1つについて、価格と価値のバランスを精査し、価格が上げられるものは上げるしかない」と話す。

ユニクロの中国事業は、直近3カ月で売上収益が現地通貨ベースで約3%減(円換算ベースでは約8.2%減)、営業利益は約8%減(同約11.5%減)だった。引き続き、非効率店舗のスクラップや増床などを進め、店舗の質の改善を進める。既存店を増床リニューアルし、中国大陸南西部初の旗艦店としてオープンした「ユニクロ 成都店」など、既に手応えを得ている事例もある。

ジーユー事業は“バレルレッグパンツ”や“スウェT”などの販売は好調だったが、ヒットの芽が見えた商品の欠品やマーケティング不足が響き、直近3カ月は業績予想を下回った。「ジーユーの課題は2つ。ユニクロと差別化した、マストレンドのど真ん中で“LifeWear”をいかに表現するかというのが1点と、2つ目は欠品や在庫過多を防ぐ情報製造小売業という仕組みを徹底実行する部分。1つ目に関しては、ユニクロのR&Dの中心メンバーもジーユーに加わって開発した、ジーユーらしさを追求した商品が25年秋冬以降、順次増えていく。2つ目については、4月に就任した黒瀬友和新社長はユニクロで長い経験があり、実行力に関して申し分ない。この2つが合わさることで精度が今後上がっていく」と語った。

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「シーイン」、虚偽の値引き表示で過去最高額の約68億円の制裁金 フランス競争当局が指摘

フランスの競争・消費・不正防止総局(DGCCRF)は、ファストファッション大手の「シーイン(SHEIN)」に対して、過去最高額となる4000万ユーロ(約68億円)の制裁金を科した。同局は、「シーイン」が消費者に対して存在しない“値引き”を表示するなど、欺瞞的な価格設定を行っていたと主張している。具体的には、「シーイン」が販売価格を一時的に引き上げた後に値下げを行い、あたかも大幅な割引が提供されているかのように装っていたという。

同局は2022年10月から23年8月にかけて調査を実施し、「シーイン」が顧客を欺いたと結論づけている。調査結果によれば、プロモーション表示のうち、57%は実際には値下げが行われておらず、19%は広告よりも小幅な値下げだったという。さらに、11%は値上げされていたにもかかわらず、“セール”として表示していた不正が確認された。

フランスでは、値引き表示に関する法律によって「過去30日間の販売価格の最安値」を基準に割引価格を表示することが義務付けられている。しかし、同局によれば、「シーイン」はこのルールを度々破り、実在しない“通常価格”を基にした割引を行ったという。

「シーイン」の広報担当者はフランス通信社(AFP)に対して、「当社のフランス法人は、23年3月に是正勧告を受け、その後2カ月以内にすべての問題を修正した」とコメントしている。また、「すべての指摘事項は1年以上前に対応済みであり、フランスにおける法令遵守に引き続き取り組んでいる」と強調した。

今年6月にはフランス上院が「シーイン」や「テム(TEMU)」などの“ウルトラ・ファストファッション”事業者を規制する「ファストファッション法案」をほぼ全会一致で可決した。この法案では、EU圏外から発送される小型荷物に対して2~4ユーロ(約340~680円)の課税を行うほか、製品および企業の広告を全面的に禁止する。

同法案は、「シーイン」や「テム」など実店舗を構えないファストファッションブランドを“ウルトラ・ファストファッション”と定義して規制対象としているが、「シーイン」のドナルド・タン(Donald Tang)エグゼクティブチェアは、パリで開催されたカンファレンスに登壇した際に、「当社はファストファッションではなく、“オンデマンド・ファッション”である」と反論し、「市場の需要に応じてのみ生産を行っている」と自社のビジネスモデルを擁護した。

同法案はEUレベルでの承認が必要となるため、フランス政府はまず欧州委員会への通知を行う。その後、最終調整が行われる予定で、成立は早くても9月末から10月と予想される。

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「シーイン」、虚偽の値引き表示で過去最高額の約68億円の制裁金 フランス競争当局が指摘

フランスの競争・消費・不正防止総局(DGCCRF)は、ファストファッション大手の「シーイン(SHEIN)」に対して、過去最高額となる4000万ユーロ(約68億円)の制裁金を科した。同局は、「シーイン」が消費者に対して存在しない“値引き”を表示するなど、欺瞞的な価格設定を行っていたと主張している。具体的には、「シーイン」が販売価格を一時的に引き上げた後に値下げを行い、あたかも大幅な割引が提供されているかのように装っていたという。

同局は2022年10月から23年8月にかけて調査を実施し、「シーイン」が顧客を欺いたと結論づけている。調査結果によれば、プロモーション表示のうち、57%は実際には値下げが行われておらず、19%は広告よりも小幅な値下げだったという。さらに、11%は値上げされていたにもかかわらず、“セール”として表示していた不正が確認された。

フランスでは、値引き表示に関する法律によって「過去30日間の販売価格の最安値」を基準に割引価格を表示することが義務付けられている。しかし、同局によれば、「シーイン」はこのルールを度々破り、実在しない“通常価格”を基にした割引を行ったという。

「シーイン」の広報担当者はフランス通信社(AFP)に対して、「当社のフランス法人は、23年3月に是正勧告を受け、その後2カ月以内にすべての問題を修正した」とコメントしている。また、「すべての指摘事項は1年以上前に対応済みであり、フランスにおける法令遵守に引き続き取り組んでいる」と強調した。

今年6月にはフランス上院が「シーイン」や「テム(TEMU)」などの“ウルトラ・ファストファッション”事業者を規制する「ファストファッション法案」をほぼ全会一致で可決した。この法案では、EU圏外から発送される小型荷物に対して2~4ユーロ(約340~680円)の課税を行うほか、製品および企業の広告を全面的に禁止する。

同法案は、「シーイン」や「テム」など実店舗を構えないファストファッションブランドを“ウルトラ・ファストファッション”と定義して規制対象としているが、「シーイン」のドナルド・タン(Donald Tang)エグゼクティブチェアは、パリで開催されたカンファレンスに登壇した際に、「当社はファストファッションではなく、“オンデマンド・ファッション”である」と反論し、「市場の需要に応じてのみ生産を行っている」と自社のビジネスモデルを擁護した。

同法案はEUレベルでの承認が必要となるため、フランス政府はまず欧州委員会への通知を行う。その後、最終調整が行われる予定で、成立は早くても9月末から10月と予想される。

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最近の「ユニクロ」「ジーユー」ビジネス考:記者談話室vol.184

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

184回目となる今回は、日本を代表するグローバルファッション企業、ファーストリテイリングの取材で最近気になったこと2つをお届け。「ユニクロ(UNIQLO)」の難民支援活動で注目の柳井家のアノ人と、「ジーユー(GU)」の本質課題探しについて、ゆるく薄口にお話しします!

この配信は以下のアプリでもご利用いただけます。
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西武池袋本店の「化粧品売り場」が生まれ変わる セシア副社長が語る“再生”の裏側

PROFILE: ダヴィデ・セシア/そごう西武副社長

ダヴィデ・セシア/そごう西武副社長
PROFILE: PROFILE:(DAVIDE SESIA)1967年、伊ミラノ生まれ。92年に来日し、数々の海外アパレルブランドの日本支社でマネジメントを経験。ベネトンジャパン取締役CFOを経て、2000年プラダジャパン社長に就任し「ミュウミュウ」「チャーチ」を含む日本および海外の子会社を統括。23年11月から現職 PHOTO:SYUHEI SHINE

そごう・西武は7月9日、旗艦店「池袋西武本店」の大規模改装第1弾として、3階に化粧品売り場をオープンする。売り場面積約1700平方メートルの1フロアに47ブランドを集積。都内最大級のブランド数を誇るコスメフロアが誕生する。ダヴィデ・セシア=そごう・西武副社長は「これはただの改装ではない。“リニューアル”の枠を超えた“リボーン(再生)”と言うべき」と語気を強める。

今回の改装を経て、「日本の百貨店と長年関わってきたが、ここまでのスピード感はなかった」と振り返る。背景には、米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループによる資本参加と、それに伴う経営体制の刷新がある。「新しいエネルギーが入り、プロジェクトが一気に動いた」。従来、百貨店の改装は数年単位で構想・実行されるのが通例だが、同店では意思決定の迅速化により、構想からわずか約1年でプロジェクトを具体化させた。

数あるカテゴリーの中で、なぜ化粧品売り場を最初に刷新したのか、その理由は明快だ。「化粧品と食品(9月以降開店)は、日々の生活に最も必要なもの。だから最初に手をつけた」。生活者目線での優先順位がはっきりとあったという。

“クロス・エクスペリエンス”へ進化

百貨店の化粧品売り場が多層階に分散する傾向が強まる中、「最近の百貨店リニューアルは、どこも似たようなものになりつつある。ただ広い空間にブランドを詰め込むだけでは意味がない」と語る。「必要なのは、明確なコンセプトだ」と強調する。

新たな化粧品売り場では、ブランドの世界観や体験価値を重視し、コンセプト性の高い空間づくりを追求。新業態も多数導入した。「従来の百貨店の延長では顧客の心は動かない。買い物をするだけでなく、ブランドの世界観に没入できる“場所”が求められている」とし、「都内でこれほど多くのブランドを1つのフロアに集積し、なおかつ全体で一貫した世界観をもたせた売り場は他にない」と自信を示す。

特徴的なのは、カフェ利用もできるチョコレートショップ「メゾン・デュ・ショコラ」を配置し、買い物目的でなくても立ち寄れる“余白”を持たせた点だ。百貨店にありがちな「化粧品フロアは人が多いが滞在が短い」という課題に対応し、「滞在し、発見し、回遊する」構造を導入。店舗全体の回遊性も高めている。

また、2週間ごとに企画が入れ替わるイベントスペースでは、コスメに限らずファッションやアクセサリー、雑貨など幅広い提案を展開する。第1弾は「セリーヌ」のポップアップイベントを実施する。「“インクルージョン”を全館リニューアルのコンセプトに掲げているが、セパレーションはもう古い。フロア全体を“クロスセル”を超えた“クロス・エクスペリエンス”の場へと進化させる」と、力を込める。

業界の新風なるか

3階のフロアは、隣接するヨドバシカメラとも2本の通路で接続する予定だ。ヨドバシ側とのMD(商品構成)や売り場としての世界観は「まったく異なる」が、相互送客による相乗効果も見込まれる。

12月には1階にフレグランスフロアがオープンする。売り場面積270平方メートルで「関東最大級のフレグランスブティックゾーン」が誕生する。3階の化粧品売り場と併せて、3年後には、改装前比45%増の売り上げを見込む。

“再生”を果たした新たな旗艦店モデルが、縮小均衡が続く百貨店業界に風穴を開けるか。今後の展開に注目が集まる。

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LVMHアルノー会長の“腹心”がアメリカ事業のトップに 重要市場のかじ取りを担う

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は7月7日、マイケル・バーク(Michael Burke)LVMHファッショングループ会長兼最高経営責任者(CEO)を、LVMHアメリカ(LVMH AMERICAS)の会長兼CEOに任命した。同日付で着任している。

同社によれば、これは北米および南米事業を統括する新たなポジションで、「地政学的な状況が複雑さを増し、進化し続ける中、当社の南北アメリカにおける最大利益を考え、促進する」ことが期待されるという。なお、今回の人事に伴い、アニッシュ・メルワニ(Anish Melwani)LVMH北米会長兼CEOと、ダビデ・マルコビッチ(Davide Marcovitch)LVMHラテンアメリカ社長は、バーク新会長兼CEOの直属となる。

ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼CEOは、「長年にわたって共に仕事をし、大きな成果を上げているマイケルは、当社の価値観を完璧に具現化してきた。また、その比類のないリーダーシップにより、業界全体の魅力と技能を新たな高みへと導くことに貢献している。彼の長期的なビジョンやユニークな起業家精神は、戦略的に取り組むべき時期にある南北アメリカ市場において、かけがえのない財産になるものと確信している」と語った。

アルノー会長兼CEOの“腹心”として長年活躍

バーク新会長兼CEOは、フランスの名門ビジネススクールとして知られるEDHEC経営大学院(EDHEC Business School)を卒業。アルノー会長兼CEO一族の持株会社グループ アルノー(GROUPE ARNAULT)に入社後、1980年代半ばから2010年代にかけて「ディオール(DIOR)」「フェンディ(FENDI)」「ブルガリ(BVLGARI)」とLVMHが擁するブランドの要職を歴任。13年から23年1月まで「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の会長兼CEOを務めた。LVMHはブランド別での業績を開示していないが、情報筋によれば、バーク会長兼CEOの任期中、同ブランドの売り上げは約3倍に、利益率は約4倍に成長したという。同年2月には、アルノー会長兼CEOの顧問に就任。また、21年には、「ティファニー(TIFFANY & CO.)」の取締役会の非業務執行会長にも就任している。

24年2月には、「セリーヌ(CELINE)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」「ロエベ(LOEWE)」「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」「ケンゾー(KENZO)」「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」「パトゥ(PATOU)」などのブランドを統括するLVMHファッショングループを率いるシドニー・トレダノ(Sidney Toledano)会長兼CEO(当時)がアルノー会長兼CEOの相談役に就任したことに伴い、その後任に就任。しかし同年5月、バーク会長兼CEOはファッショングループを統括する職務を離れており、再びトレダノ新相談役がその役割を担っているようだと複数の海外メディアが報じていた。

売り上げ全体の4分の1を占める米国市場

LVMHの24年12月期決算は、売上高が前期比1.7%減の846億8300万ユーロ(約14兆3961億円)、営業利益は同16.2%減の189億700万ユーロ(約3兆2141億円)、純利益は同17.3%減の125億5000万ユーロ(約2兆1335億円)と減収減益だった。なお、売り上げ全体のおよそ4分の1を占めている米国市場は、同1.0%減の215億5400万ユーロ(約3兆6641億円)と微減。米国内の店舗数の合計は、24年12月末の時点で1193店だった。

中国市場が停滞する中、回復基調にある米国市場はラグジュアリー企業にとってさらに重要性を増している。一方で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領政権による関税政策が二転三転している影響で複雑さも増しており、バーク新会長兼CEOは難しいかじ取りを担うこととなる。

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船場とコクヨが業務提携 空間構築事業の競争力強化とグローバル展開を目指す

国内外における空間づくりをトータルに手がける船場は7月1日、オフィス家具の開発やワークスタイルのコンサルティングを行うコクヨと業務提携を締結した。本提携は、両社が国内ならびにグローバル成長戦略の空間創造事業パートナーとして、国内外の空間構築事業の競争力を高めながら、持続可能なオフィス空間づくりの実現を目指す。また、相互の持つグローバルなネットワークとノウハウを活かし、家具と工事をクロスセルで提供することで、アジア諸国を中心にサービスの拡大を視野に入れる。

近年、働き方やライフスタイルの変化、サステナビリティへの関心の高まりにより、企業の競争力の源泉が「人」へと移り、人材戦略やイノベーション推進、経営戦略などと密接に連動したオフィス空間のニーズが増加。それを背景に本提携が始動した。また、グローバル展開を目標として掲げるほか、顧客の多様なニーズに対応した空間づくりの提案や、両社の知見を活用した新規事業の創出、協働による次世代の育成ならびに人材交流も期待する。

海外に5カ所の拠点を展開する船場の小田切潤社長は、「コクヨのワークプレイス構築力及び全国の強力な営業ネットワークに加え、船場の本業である総合的な設計・施工力を掛け合わせることで、グローバルでより高付加価値なサービスを提供できると確信している。これまでにないイノベーティブでラジカルなオフィス関連空間の構築を目指していきたい」と語る。

両社はこれまでにも、国内外のオフィス構築プロジェクトで多数の連携実績を上げている。コクヨが持つ働く場の設計力、家具、建材の商品力と、船場の賑わいの設計力、演出力、施工、エシカルネットワークが融合し、完遂した国内外の企業オフィスの設計施工、サステナブルワークプレイスの共同研究が事例としてあげられる。

海外に7カ所の拠点を構えるコクヨの矢田章執行役員グローバルワークプレイス事業本部事業本部長は、「本提携は、両社の技術と経験を融合し、グローバル市場での競争力を飛躍的に高める重要な一歩だ。今後は、国境を越えて新たな価値を共創し、変化の激しい世界市場に柔軟かつ力強く挑んでいく。両社のシナジーを最大限に活かし、持続的な成長とイノベーションを実現していく」と述べる。

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「オニツカタイガー」、コロナ前に比べて利益が5.4倍に成長 機能とデザイン融合した開発を強化

アシックスは、近年の躍進の原動力の1つになっており、“ラグジュアリーライフスタイルブランド”と位置付けて社内で独立カンパニー制を採る「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」事業の成長戦略を発表した。2030年までに「世界の主要都市に、1500平方メートルクラスの旗艦店を新規で4店舗以上出店する」(庄田良二オニツカタイガーカンパニー長)。企画開発面においては26年1月1日付で、アシックスの100%子会社である山陰アシックス工業を「オニツカタイガー」専用生産拠点のオニツカイノベーティブファクトリーに転換。機能とデザインを融合したモノ作りを強化する。

改めて、25年12月期のオニツカタイガーカンパニーの業績予想として、売上高1200億円(コロナ禍前の19年12月期との比較で約2.6倍)、利益450億円(同約5.4倍)を見込んでいると発表。国内主要店舗では訪日客を中心に常に行列ができている状況だが、「国内客による売り上げも24年12月期は前期に対し1.7倍だった」と庄田カンパニー長はコメント。24年度実績で、国内店舗売り上げの7割が訪日客によるものだが、「(他国の客が日本に来て購入するため現地での売り上げが落ちるといったことはなく)グローバルで売り上げが伸びているため問題ない」(廣田康人アシックス会長CEO)という。

庄田カンパニー長が参画した11年以降、それまでの卸販売から直営展開にビジネスの舵を切ってきた。売り上げに占める直営比率は11年度が5%だったのに対し、24年度は99%(内訳は、店舗58%、EC27%、フランチャイズ14%)。「卸販売はトレンド動向に売り上げが左右され、常に新製品が求められる。値引きのコントロールもできない。直営で定番品を充実させ、値引きせず売っていくことがブランド価値の毀損を防ぎ、ブランドとして持続可能な成長につながる」(庄田カンパニー長)と強調する。

出店においては、この7月に世界有数のショッピングストリートであるパリ・シャンゼリゼ通りにグローバル旗艦店を出店した。同通りへの出店は、「日本企業のブランドとして初」(発表リリースから)という。これで、フランチャイズを含まない直営店舗数は日本48、グレーターチャイナ83、韓国32、東南アジア19、欧州7、豪州3となった。現状の最大店舗は上海・張園(ちょうえん)の約1000平方メートルだが、この規模でもフルラインアップ展開はできていないといい、今後、1500平方メートル規模での旗艦店の出店をグローバルで目指す。

「かつて積極出店したことで不採算店舗を抱えた反省から、出店は厳しく精査しながら行っていく」と廣田会長CEO。23年末には北米市場から撤退した経緯もあるが、「実店舗がいいのか、EC がいいのかなどを見極めつつ、27年中には北米で新たな販売の仕組みを立ち上げたい」(庄田カンパニー長)。

3箇所の開発拠点の連動強化

「オニツカタイガー」専用のオニツカイノベーティブファクトリーに転換する山陰アシックス工業は、創業者、鬼束喜八郎の出身地の鳥取にある。これまで数量ベースで「オニツカタイガー」の約4%のシューズを生産しており、転換によってこの数値を大きく変えることはないというが、人気の“ニッポンメイド”シリーズなど高付加価値製品の生産拡大、生産効率向上、職人を育成しての海外拠点の支援などにつなげる。

また、オニツカイノベーティブファクトリーには従来通りの生産機能だけでなく、企画機能も持たせ、オニツカイノベーティブファクトリー、アシックスが誇る神戸のスポーツ工学研究所、「オニツカタイガー」がミラノに持つデザイン拠点のミラノデザインセンターの3箇所が連動することで、これまで以上に企画・開発力に磨きをかける。「アシックスの強みである機能に、ファッションやデザインの力を融合するというのが『オニツカタイガー』ならではの魅力。そうしたビジネスをわれわれと同等の売り上げ規模や利益率で行えている企業は世界でもそうそうない」と、庄田カンパニー長手応えを語る。

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「オニツカタイガー」、コロナ前に比べて利益が5.4倍に成長 機能とデザイン融合した開発を強化

アシックスは、近年の躍進の原動力の1つになっており、“ラグジュアリーライフスタイルブランド”と位置付けて社内で独立カンパニー制を採る「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」事業の成長戦略を発表した。2030年までに「世界の主要都市に、1500平方メートルクラスの旗艦店を新規で4店舗以上出店する」(庄田良二オニツカタイガーカンパニー長)。企画開発面においては26年1月1日付で、アシックスの100%子会社である山陰アシックス工業を「オニツカタイガー」専用生産拠点のオニツカイノベーティブファクトリーに転換。機能とデザインを融合したモノ作りを強化する。

改めて、25年12月期のオニツカタイガーカンパニーの業績予想として、売上高1200億円(コロナ禍前の19年12月期との比較で約2.6倍)、利益450億円(同約5.4倍)を見込んでいると発表。国内主要店舗では訪日客を中心に常に行列ができている状況だが、「国内客による売り上げも24年12月期は前期に対し1.7倍だった」と庄田カンパニー長はコメント。24年度実績で、国内店舗売り上げの7割が訪日客によるものだが、「(他国の客が日本に来て購入するため現地での売り上げが落ちるといったことはなく)グローバルで売り上げが伸びているため問題ない」(廣田康人アシックス会長CEO)という。

庄田カンパニー長が参画した11年以降、それまでの卸販売から直営展開にビジネスの舵を切ってきた。売り上げに占める直営比率は11年度が5%だったのに対し、24年度は99%(内訳は、店舗58%、EC27%、フランチャイズ14%)。「卸販売はトレンド動向に売り上げが左右され、常に新製品が求められる。値引きのコントロールもできない。直営で定番品を充実させ、値引きせず売っていくことがブランド価値の毀損を防ぎ、ブランドとして持続可能な成長につながる」(庄田カンパニー長)と強調する。

出店においては、この7月に世界有数のショッピングストリートであるパリ・シャンゼリゼ通りにグローバル旗艦店を出店した。同通りへの出店は、「日本企業のブランドとして初」(発表リリースから)という。これで、フランチャイズを含まない直営店舗数は日本48、グレーターチャイナ83、韓国32、東南アジア19、欧州7、豪州3となった。現状の最大店舗は上海・張園(ちょうえん)の約1000平方メートルだが、この規模でもフルラインアップ展開はできていないといい、今後、1500平方メートル規模での旗艦店の出店をグローバルで目指す。

「かつて積極出店したことで不採算店舗を抱えた反省から、出店は厳しく精査しながら行っていく」と廣田会長CEO。23年末には北米市場から撤退した経緯もあるが、「実店舗がいいのか、EC がいいのかなどを見極めつつ、27年中には北米で新たな販売の仕組みを立ち上げたい」(庄田カンパニー長)。

3箇所の開発拠点の連動強化

「オニツカタイガー」専用のオニツカイノベーティブファクトリーに転換する山陰アシックス工業は、創業者、鬼束喜八郎の出身地の鳥取にある。これまで数量ベースで「オニツカタイガー」の約4%のシューズを生産しており、転換によってこの数値を大きく変えることはないというが、人気の“ニッポンメイド”シリーズなど高付加価値製品の生産拡大、生産効率向上、職人を育成しての海外拠点の支援などにつなげる。

また、オニツカイノベーティブファクトリーには従来通りの生産機能だけでなく、企画機能も持たせ、オニツカイノベーティブファクトリー、アシックスが誇る神戸のスポーツ工学研究所、「オニツカタイガー」がミラノに持つデザイン拠点のミラノデザインセンターの3箇所が連動することで、これまで以上に企画・開発力に磨きをかける。「アシックスの強みである機能に、ファッションやデザインの力を融合するというのが『オニツカタイガー』ならではの魅力。そうしたビジネスをわれわれと同等の売り上げ規模や利益率で行えている企業は世界でもそうそうない」と、庄田カンパニー長手応えを語る。

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「オニツカタイガー」がパリ・シャンゼリゼに旗艦店出店 今秋、ブランド初の香水も発売

アシックスのファッションブランド「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」は7月3日、世界有数のショッピングストリートであるパリのシャンゼリゼ通りに、グローバルフラッグシップストアをオープンした。ブランドのシグネチャーカラー“タイガーイエロー”が主張する2フロアで、1階にはカフェも備え、テイクアウトで楽しめるようにする。また、同ブランドは今秋、初となる香水を発売することも発表した。

シャンゼリゼの新店は、1856年に建てられたという邸宅を生かして出店。ミラノを拠点とする建築事務所のスタジオディニカタルディ(Studio Dini Cataldi)が内装設計を監修し、「日本の伝統とパリの洗練を融合させ、細部までこだわり抜いた」(発表リリースから)。ミラノ・ファッション・ウイークで発表しているランウエイコレクション、日本製デニム生地を採用したライン“デニヴィータ(DENIVITA)”、日本製の“ニッポンメイド”ライン、近年人気が増しているシューズなど、ウエアから雑貨まで多様なアイテムを品ぞろえする。

オープンを記念し、パリを拠点とするミシュランスターシェフ手島竜司氏が手掛けたディナーパーティーも開催。店舗では限定商品として、アイコンスニーカー“メキシコ66”の日本製の限定モデルを販売している。

出店にあたり、「オニツカタイガー」の庄田良二カンパニー長は「シャンゼリゼへの旗艦店出店は、ブランドにとって大きな意味を持つ」とコメント。「街並みに調和し、地元に愛されてきた歴史的建造物を活用したストアを完成させることは決して容易ではない。日本から世界に発信する文化的ブランドとして、この通りに敬意を払い、街の文化と共生する店作り、環境作りを目指す」と語った。

秋に発売するブランド初の香水は4種の香りで、調香師兼クリエイターのマーク・バクストン(Mark Buxton)氏が手掛けた。世界的な香水産地として知られる南仏プロヴァンス地方のグラースで原料選定、抽出、調合、ボトリングまで一貫して行う。4種とも、ブランドのシグネチャーカラーのイエローのボトルがポイント。

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「売れ筋」は全店共通じゃない? “個店売れ筋”軽視に眠る売上拡大の伸びしろ

WWDJAPAN.comは4月までマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」を連載していました。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか? 利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」「図解アパレルゲームチェンジャー」等の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説して行きます。今回は、第13話を取り上げます。

売れ筋は店ごとに異なる

今回のテーマは「“個店売れ筋”軽視に眠る売上拡大の伸びしろ」です。

マンガ「在庫管理の魔術」の第13話は コチラ

前回(第12話)のストーリーで、主人公の徹が勤務する「ハンナズ」では「どこか一店舗で欠品を起こしている品番全体の68%は同じ地域の別の店で在庫がダブついている」という話題が出てきました。

読者の多くの方は、「売れ筋はどこの店でも欠品しているのではないか」と思ったかも知れません。チェーンストアにおいては、「売れ筋商品はどの店に持って行っても売れるもの」という通説がありますが、ここで言う売れ筋とは、みなさんが毎週、関心をもって見ている全社のベストセラートップ10やトップ30のような帳票の上位にランクインしている全店売れ筋商品のことです。

一方、各店の個店ごとベストセラーを見てみると、そういった「全店売れ筋」ばかりかと思うと、全店レベルではランキングのトップ20や30に入らないような商品がいくつも上位にランクインしていることがよくあります。その立地ならではの客層に支持される、ちょっと先を行ったデザイン商品だったり、逆にコンサバな商品だったり……これを「個店売れ筋」と呼びます。

チェーンストア本部では、「売れ筋商品の上位を徹底的に売れば売上目標が達成できる!」と全店売れ筋が話題になることはあります。また、全店どこでも売れず、大量に売れ残りそうな在庫を「全店死に筋」と呼び、値下げ対策が取られるものです。しかし、全体では大して売れていない個店売れ筋が話題になることは、まずありません。そして、こういった個店売れ筋が、他店ではほとんど売れない「個店死に筋」になっているケースも少なくないのです。

ストーリーで話題にしている、「どこか一店舗で欠品を起こしている品番全体の68%は同じ地域の別の店で在庫がダブついている」というのは、本部では話題にならず、放置されがちな、しかし、品番数にすると多数を占める、「個店売れ筋」と「個店死に筋」のことを意味しているようです。

個店の売れ筋と個店の死に筋を上手くマッチングさせる

本部が注目する、全店売れ筋商品の販売強化と全店死に筋商品の対処、限られた時間の中で、優先順位が高いのはこの2つで間違いありませんが、その一方で、個店売れ筋と個店死に筋対策には手が付けられていないのが現実です。裏を返せば、個店の売れ筋と個店の死に筋を上手くマッチングさせて在庫を移動させることができれば、売上げが伸びる可能性が高い、「伸びしろ」と言えます。

徹が店長を務める渋谷店が地域倉庫の協力を得て行ったことは、当初は意図していなかったかも知れませんが、正しく、この「伸びしろ」への取り組みだったわけです。

次回以降で、この取り組みを地域規模、全店規模に広げるための対策の全貌が明らかになります。

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「売れ筋」は全店共通じゃない? “個店売れ筋”軽視に眠る売上拡大の伸びしろ

WWDJAPAN.comは4月までマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」を連載していました。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか? 利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」「図解アパレルゲームチェンジャー」等の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説して行きます。今回は、第13話を取り上げます。

売れ筋は店ごとに異なる

今回のテーマは「“個店売れ筋”軽視に眠る売上拡大の伸びしろ」です。

マンガ「在庫管理の魔術」の第13話は コチラ

前回(第12話)のストーリーで、主人公の徹が勤務する「ハンナズ」では「どこか一店舗で欠品を起こしている品番全体の68%は同じ地域の別の店で在庫がダブついている」という話題が出てきました。

読者の多くの方は、「売れ筋はどこの店でも欠品しているのではないか」と思ったかも知れません。チェーンストアにおいては、「売れ筋商品はどの店に持って行っても売れるもの」という通説がありますが、ここで言う売れ筋とは、みなさんが毎週、関心をもって見ている全社のベストセラートップ10やトップ30のような帳票の上位にランクインしている全店売れ筋商品のことです。

一方、各店の個店ごとベストセラーを見てみると、そういった「全店売れ筋」ばかりかと思うと、全店レベルではランキングのトップ20や30に入らないような商品がいくつも上位にランクインしていることがよくあります。その立地ならではの客層に支持される、ちょっと先を行ったデザイン商品だったり、逆にコンサバな商品だったり……これを「個店売れ筋」と呼びます。

チェーンストア本部では、「売れ筋商品の上位を徹底的に売れば売上目標が達成できる!」と全店売れ筋が話題になることはあります。また、全店どこでも売れず、大量に売れ残りそうな在庫を「全店死に筋」と呼び、値下げ対策が取られるものです。しかし、全体では大して売れていない個店売れ筋が話題になることは、まずありません。そして、こういった個店売れ筋が、他店ではほとんど売れない「個店死に筋」になっているケースも少なくないのです。

ストーリーで話題にしている、「どこか一店舗で欠品を起こしている品番全体の68%は同じ地域の別の店で在庫がダブついている」というのは、本部では話題にならず、放置されがちな、しかし、品番数にすると多数を占める、「個店売れ筋」と「個店死に筋」のことを意味しているようです。

個店の売れ筋と個店の死に筋を上手くマッチングさせる

本部が注目する、全店売れ筋商品の販売強化と全店死に筋商品の対処、限られた時間の中で、優先順位が高いのはこの2つで間違いありませんが、その一方で、個店売れ筋と個店死に筋対策には手が付けられていないのが現実です。裏を返せば、個店の売れ筋と個店の死に筋を上手くマッチングさせて在庫を移動させることができれば、売上げが伸びる可能性が高い、「伸びしろ」と言えます。

徹が店長を務める渋谷店が地域倉庫の協力を得て行ったことは、当初は意図していなかったかも知れませんが、正しく、この「伸びしろ」への取り組みだったわけです。

次回以降で、この取り組みを地域規模、全店規模に広げるための対策の全貌が明らかになります。

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「フートウキョウ」がリカバリーウェアを開発 東京大学で公開

ナイトウエアブランド「フートウキョウ(FOO TOKYO)」は、アレン・ユギノビッチ=ハーバード大学医学部神経生物学教授と共にリカバリーウエアを開発。長袖トップスとロングパンツ(各2万3100円)を9月に発売する。それに先駆けて6月24日、東京大学安田講堂で行われた「スポーツドクターズ ネットワーク カンファレンス(以下、SDNC)」で商品を公開した。

同リカバリーウエアは、高純度の微粒子セラミックスを繊維に練り込んだ特殊素材「光電子」と長繊維綿を使用し、通気性と遠赤外線による温もりを両立。さらに、眠るときの姿勢まで考慮したパターン設計と臨床実験に基づくデータを背景に、「心地よさ」と「科学的根拠」の双方を兼ね備えた。一般医療機器としての届け出を完了しており、効果・効能がうたえる商品になっている。

パターンにイッセイ ミヤケ出身の経験者を起用し、“何もしないという贅沢”というブランドコンセプトをリカバリーウエアでも全うする。胸や肩にゆとりを持たせた立体的な構造に加え、腕や肩が動かしやすいラグランスリーブを取り入れることで、寝返りや腕の動きにも対応。ボトムスもヒップまわりにゆとりをもたせ、圧迫感を軽減した。

「フートウキョウ」を展開するネクストブランダーズの桑原真明CEOは、「化学繊維100%のリカバリーウエアは、吸湿性がよくないために蒸し暑くなりがちだ。今回、僕らはコットン比率を76%にし、吸湿性を保ち、着心地のいいものを目指した。企画から素材調達、縫製まで全て日本で行っており、クオリティーには自信がある」と語る。

「SNDC」への参加は主催するSNDCアジアパシフィックの代表者と桑原CEOが知人だったことからだという。「日本の技術やモノ作りの力が生物学や医療などの専門家の言葉を通じて発信されることに意義を感じた」。アレン・ユギノビッチ教授とは今後も協業していく計画だという。

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「クリスチャン ラクロワ」を20年率いたCEOが退任 1月にスペインのテキスタイル大手が買収

フランスのメゾン、クリスチャン ラクロワ(CHRISTIAN LACROIX)を20年にわたって率いたニコラ・トピオル(Nicolas Topiol)最高経営責任者(CEO)は、退任することをビジネスSNSの「リンクトイン(LinkedIn)」で明らかにした。同ブランドは1月7日、スペインのテキスタイル企業ソシエダ・テクスティル・ロニア(SOCIEDAD TEXTIL LONIA以下、STL)に買収されており、同氏はこれを機に退任を検討し始めたという。現時点で後任は発表されていない。

民事再生法の適用後はライセンス事業に注力

「クリスチャン ラクロワ」は、「エルメス(HERMES)」や「パトゥ(PATOU)」などで経験を積んだデザイナーのクリスチャン・ラクロワと、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼CEOが、1987年に共同で設立した。歴史劇の衣装のように華やかでファンタジックな作風で人気を博したものの、よりミニマルなスタイルが主流となるにつれて失速し、2005年には米小売り企業ファリック・グループ(FALIC GROUP以下、ファリック)が買収。トピオル前CEOは、このタイミングでクリスチャン ラクロワに加わっている。09年には、創業から累積でおよそ1億5000万ドル(約216億円)の損失となっていることが響き、経営破綻の危機に。民事再生法が適用されたが、ラクロワ創業デザイナーはブランドを離れた。その後、ファリックによる再建案が裁判所に受理され、同ブランドはトピオル前CEOの指揮の下、莫大な費用がかかるオートクチュール部門とウエア部門を終了。アクセサリーやライフスタイルカテゴリーのライセンス事業を軸とする方向にかじを切った。

トピオル前CEOの今後は?

なお、STLの広報担当者によれば、クリスチャン ラクロワ側の人員が少ないこともあり、経営に関する責任は全てSTL側に移っているという。トピオル前CEOは今後、M&Aや戦略的投資に関するアドバイザリーであるベッヘルト・コーポレーション(BECHERT CORPORATION)の社長職に注力する。

ラクロワ創業デザイナーは、主に欧州のオペラやバレエ作品の衣装デザインを手掛けているほか、「デシグアル(DESIGUAL)」と複数シーズンにわたって協業している。

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伊藤忠・岡藤会長の報酬が18億円に 報酬額でも商社トップ

伊藤忠商事が6月18日に公表した有価証券報告書によると、2025年3月期の岡藤正広会長CEOの報酬は18億2400万円(前年は10億300万円)で過去最高だった。同社の25年3月期の業績は純利益が8803億円と過去最高となり、株価や業績連動型の報酬が大幅に上乗せになった。役員だけでなく全社的に給与水準の引き上げを進めており、本体の社員の平均年間給与は前年比2.9%増の1804万円だった。

石井敬太社長COOが10億1100万円(同7億2900万円)だった。繊維出身の中宏之代表取締役CXOが2億7000万円(同2億4600万円)、前エドウイン社長で現第8カンパニープレジデントの小谷達夫氏が2億3000万円、繊維トップの武内秀人・繊維カンパニープレジデントが1億9500万円(同1億9300万円)、前ファッションアパレル部門長で現・東アジア総代表の三村剛氏は1億1100万円(同1億1100万円)だった。

伊藤忠の経営層の報酬は他の財閥系商社より高水準にある。26年3月期の純利益は9000億円を見込み、商社トップへの返り咲きを計画するほか、同社の時価総額(7月4日時点)は三菱商事を上回り11兆9300億円とこちらもトップの座にある。

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「クロムハーツ」が出品から8秒で即売れ メルカリがサービスの利用動向を公開

メルカリは6月30日、サービス開始から12周年に迎えた2025年7月2日を記念して、サービスの利用動向などをまとめたインフォグラフィックスを公開した。

同企画は、取引されたアイテムカテゴリー、世代別出品カテゴリー、世代別購入カテゴリー、「AI出品サポート」利用が多い出品カテゴリー、「あんしん鑑定」の人気ブランド、「まとめ買い」人気カテゴリー、「画像検索」の人気カテゴリー、出品者バッジ達成度に分類し、利用動向をまとめている。ほか、番外編として都道府県別の特徴をピックアップしている。

果物、野菜を買う「食材買い」が増加
メルカリ内で最も取引されたアイテムを世代別でまとめ

メルカリ内で最も取引されたカテゴリーは「エンタメ・ホビー」で、全体の約43%を占めた。具体的なアイテムとしては「キャラクターグッズ」や「タレントグッズ」が上位を占めており、近年の「推し活」トレンドが取引を牽引している。

また、世代別の利用傾向を見ると、10代から30代では「キャラクターグッズ」やK-POP関連の「タレントカード」が出品・購入ともに上位を占めており、推し活を支える手段としてメルカリが活用されている。一方、50代以上では、売上金を使って趣味や読書関連の商品を購入する傾向が見られ、メルカリを通じたモノの循環という合理的な消費スタイルが支持されている。特に、70代以上においては、「文学・小説」などの書籍に加え、「果物」や「野菜」などの実用的な食品カテゴリーが購入上位に挙がっており、物価上昇が続く中で生活に密着した使い方が浸透している点が特徴。

「ナイキ」が「ルイ・ヴィトン」を超え、売れ筋首位に

「あんしん鑑定サービス」は、購入商品を専門業者が鑑定する機能であり、高額ブランド品の取引において、購入の後押しや売却スピードの向上に貢献しているという。実際に「あんしん鑑定サービス」を利用して出品された「クロムハーツ(CHROME HEARTS)」のアイテムは最速8秒で取引成立し、鑑定への信頼が購入の決断を後押ししている。また、売れ筋ブランドには1位に「ナイキ(NIKE)」や2位に「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」などもランクインしており、幅広い高額ブランド品で「あんしん鑑定サービス」が活用されている。

「AI出品サポート」は、「商品説明や価格設定を考えることが手間」という出品の心理的・作業的なハードルを大幅に下げる機能であり、初出品者の約3人に1人が利用している。AIが「綱引きシューズ」や「ビデオテープのアジア映画」といったニッチな商品の説明文作成をガイドすることで、誰もがかんたんに出品を始められる体験を提供している。「AI出品サポート」利用が多い出品カテゴリーの1位に「スポーツ/網引きシューズ」、2位に「スポーツ/アメリカンフットボールウォームアップウェア」がランクイン。

「画像検索」機能は、名前がわからない商品でも写真1枚で検索できる、宝探しのような体験を提供する機能だ。街で見かけたアイテムやSNSで話題のキャラクターグッズなども、視覚情報をもとに簡単に探すことが可能。「画像検索」の人気カテゴリーにおいて、日本のお客さまには日常遣いのファッションアイテム、キャラクター、アイドルグッズが人気。1位に「トップス」、2位に「バッグ」がランクイン。一方、日本語が読めない台湾のお客さまには、日本のキャラクターグッズを探す手段として活用されており、「ちいかわ」や「サンリオ」などの人気IPが多く検索されている。

ほか、メルカリは都道府県別の特徴をピックアップしている。例えば、「アメちゃん文化」に象徴されるように、人との距離が近く、良いものを分かち合う文化が根付く大阪府では、「紙袋」の取引が最も活発だとしている。

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繊維商社の底力

毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2025年6月30日号からの抜粋です)

横山:毎年恒例の繊維商社特集です。トランプ関税の導入が発表されて、グローバルサプライチェーンの産物であるアパレルは、大きな影響を受けようとしています。そんな危機に頼れるパートナーが繊維商社です。改めてどの商社がどこに拠点を持って、どんな強みがあるかをまとめました。

伊藤:想像以上にモノ作りの全般に関わっていて、アパレル業界を支えているのは繊維商社なのだと実感しました。記者歴数年で本特集初参戦の私には、まだこの世界のことが全然把握しきれていないと思います。「こういうモノを作りたい」というブランドのリクエストに対して素材選びから生産管理、コスト管理まで提案していて、「本当にすごい!」というのがシンプルな感想です。

前代未聞!編み地で表紙を制作!

横山:ところで今回の目玉は何と言っても表紙!イラストでも写真でもCGでもなく、編み地。しかもロゴまで全部。これができて満足です。

伊藤:いつから温めていたんですか?

横山:島精機の編み機はデジタル化がかなり進んでいて、ニット×デジタルで面白いことができると知ってはいたのですが、表紙会議の前日に急にアイデアが降りてきたんですよね。そしたら、トントン拍子に進み、ロゴまで含めて編み地で表現する案についても、米「WWD」の許可がもらえて。伊藤さんは今回の特集で、何が一番印象的でしたか?

伊藤:前年に引き続きの「子育てと仕事の両立」をテーマに実施した座談会です。男性の参加も重要と判断し、未婚・既婚問わずさまざまなメンバーに集まってもらいました。仕事と子育てに必要な時間のバランスは、常にクライアントに寄り添う商社パーソンにこそ深刻な課題だと感じました。座談会の間にもクライアントから「今どこ?」と連絡が来ている参加者もいて、本当に大変な仕事だと。出産後の女性の復帰が難しいことについては、女性として思うことがいろいろありました。また、モノを作る上では、デザインだけでなく、様々な知識や経営センスも重要なのだと理解しました。

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ユナイテッドアローズが東京・千駄ヶ谷にイベントや展示会を行う店舗をオープン

ユナイテッドアローズ(以下、UA)は7月3日、さまざまなイベントや展示会を行う「ユナイテッドアローズ エルティーディー ストア(UNITED ARROWS LTD. STORE)」を3月に移転した東京・千駄ヶ谷の本部オフィス1 階にオープンする。店舗面積は約100平方メートル。オープン当初は、同社が掲げるサステナビリティ活動「サローズ(SARROWS)」の取り組みとして、商品廃棄の極小化を目的に、規格外品やリペア品、サンプル品を取り扱う。

同社が展開する各ブランドのメンズ・ウィメンズのウエアや、シューズ、バッグなどから、生産や流通の過程において傷が付いたり基準から外れたりすることで規格外となった商品、またはそれらを丁寧に修理したリペア品、開発段階で制作されるサンプル品を取り上げ、新たな背景やストーリーを吹き込んで販売を行う予定だ。なお、返品や二次流通品等の取り扱いはない。

UAは、サステナビリティ活動の合言葉に「サローズ」を掲げ、5つのテーマと 16のマテリアリティ(重要課題)を定めて推進している。また、2030 年に向けた 3 つの活動目標:「サーキュラリティー(循環するファッション)」「カーボンニュートラティー(カーボンニュートラルな世界へ)」「ヒューマニティー(健やかに働く、暮らす)」と、この3つのカテゴリーに紐づく数値目標を設定し、さまざまな取り組みを進めている。

■ユナイテッドアローズ エルティーディー ストア
オープン日:7月3日
営業時間:平日12:00〜20:00
定休日:土日・祝日
住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷 1-18-5 ヒューリック将棋会館千駄ヶ谷ビル 1F

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“黒カネボウ”が挑むクリームの再定義 新処方で市場拡大狙う

カネボウ化粧品のグローバルプレステージブランド「カネボウ(KANEBO)」は9月5日、朝用・夜用クリームをリニューアル発売する。肌を乾燥から守る“胎脂”の機能に着想した成分を新たに配合し、ブランドを象徴するアイテムとして日本を含むアジア10の国・地域での販売を強化する。

“胎脂”は、角層機能が未熟な胎児の肌を守り、出生時の急激な環境変化による乾燥から肌を守るはたらきを持つとされる。新クリームの共通成分として、保水性と抱水性をもつ胎脂の擬似機能成分を配合する。

“クリーム イン デイⅡ”【医薬部外品】[SPF30・PA+++](40g、9350円)は、ニコチン酸アミドとグリチルリチン酸ジカリウムを配合。肌荒れやニキビを防ぎながら、伸縮性のある塗膜技術によりスキンケア効果が長時間持続する。朝の使用後から夕方まで肌の潤いを保ち、乾燥や皮脂によるメイク崩れを防ぐ。初代製品に比べ紫外線防止機能も向上した。

“クリーム イン ナイトⅡ”【医薬部外品】(50g、1万3750円)には、ナイアシンアミドを配合し、真皮・表皮双方に働きかけ、シワを改善する。メラニンの生成を抑制し、シミやそばかすも防ぐ。塗布直後の潤い感が翌朝まで持続する処方で、洗顔後も柔らかくなめらかな肌へ導く塗膜技術により、夜間の乾燥から肌を守る。

カネボウ化粧品は、胎脂に着想を得たクリーム開発において約30年にわたる研究実績を有する。同社は1994年に胎脂研究に着手し、翌95年にはその主要成分の化粧品原料化に成功。97年には、高い水分保持機能に着目した「ベビーソフトオイル処方」を採用した初のクリームを市場に投入した。

クリームは「ブランドの宝物」

「カネボウ」は、2016年のブランド誕生とともに、ベビーソフトオイル処方を取り入れた朝用“フレッシュ デイ クリーム”と夜用“ナイト リピッド ウェア”を発売(現在も販売中)。20年には、同処方を進化した“クリーム イン デイ”と“クリーム イン ナイト”を発売した。今回の新製品はその2代目にあたり、処方技術を一段と進化させた。

同ブランドにおけるクリームカテゴリーは、国内百貨店での販売実績で全体の2割強を占める。クリームは「ブランドの宝物」として位置づけ、主力製品として育成を進めてきた。木津裕美ブランドマネジャーは「クリームはスキンケアの最後に使う“肌のふた”であり、安心感をもたらす存在だが、見過ごされがちなカテゴリーでもある。私たちは、そこにこそブランドが掲げる“希望”を託したい」と語る。今回のリニューアルにあたっては「化粧品よ、大志を抱け」のメッセージを掲げ、機能性だけでなく、ブランドの価値観や世界観の発信にも力を入れていく。

販売が好調なタイでは、現地プロモーションも強化。バンコク中心部の大型商業施設「PARC PARAGON」にて、新クリームの体験イベントを開催する。会場には香港、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ミャンマーなどからインフルエンサーを招致し、製品の世界観を発信する。

売り上げが約2.8倍に拡大

「カネボウ」は20年のリブランディング以降、売り上げが約2.8倍に拡大。ビジュアルやメッセージを通じて「既成概念にとらわれず、新たな自分に出会える感覚を届けたい」とし、ブランドの世界観に共感する顧客との関係性の構築に注力してきた。木津ブランドマネジャーは「化粧品が楽しく生きるための相棒となり、自分の肌やパーツをもっと好きになるきっかけになれば」と力強く語る。

これまで、口紅、美容液、化粧水、ファンデーションといった各カテゴリーにおいて、“希望”という視点から製品開発を進めてきた。今秋発売する新クリームも同様に、ブランドの信念を体現するアイテムとして、グローバル市場での訴求力を一段と高めていく。

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“黒カネボウ”が挑むクリームの再定義 新処方で市場拡大狙う

カネボウ化粧品のグローバルプレステージブランド「カネボウ(KANEBO)」は9月5日、朝用・夜用クリームをリニューアル発売する。肌を乾燥から守る“胎脂”の機能に着想した成分を新たに配合し、ブランドを象徴するアイテムとして日本を含むアジア10の国・地域での販売を強化する。

“胎脂”は、角層機能が未熟な胎児の肌を守り、出生時の急激な環境変化による乾燥から肌を守るはたらきを持つとされる。新クリームの共通成分として、保水性と抱水性をもつ胎脂の擬似機能成分を配合する。

“クリーム イン デイⅡ”【医薬部外品】[SPF30・PA+++](40g、9350円)は、ニコチン酸アミドとグリチルリチン酸ジカリウムを配合。肌荒れやニキビを防ぎながら、伸縮性のある塗膜技術によりスキンケア効果が長時間持続する。朝の使用後から夕方まで肌の潤いを保ち、乾燥や皮脂によるメイク崩れを防ぐ。初代製品に比べ紫外線防止機能も向上した。

“クリーム イン ナイトⅡ”【医薬部外品】(50g、1万3750円)には、ナイアシンアミドを配合し、真皮・表皮双方に働きかけ、シワを改善する。メラニンの生成を抑制し、シミやそばかすも防ぐ。塗布直後の潤い感が翌朝まで持続する処方で、洗顔後も柔らかくなめらかな肌へ導く塗膜技術により、夜間の乾燥から肌を守る。

カネボウ化粧品は、胎脂に着想を得たクリーム開発において約30年にわたる研究実績を有する。同社は1994年に胎脂研究に着手し、翌95年にはその主要成分の化粧品原料化に成功。97年には、高い水分保持機能に着目した「ベビーソフトオイル処方」を採用した初のクリームを市場に投入した。

クリームは「ブランドの宝物」

「カネボウ」は、2016年のブランド誕生とともに、ベビーソフトオイル処方を取り入れた朝用“フレッシュ デイ クリーム”と夜用“ナイト リピッド ウェア”を発売(現在も販売中)。20年には、同処方を進化した“クリーム イン デイ”と“クリーム イン ナイト”を発売した。今回の新製品はその2代目にあたり、処方技術を一段と進化させた。

同ブランドにおけるクリームカテゴリーは、国内百貨店での販売実績で全体の2割強を占める。クリームは「ブランドの宝物」として位置づけ、主力製品として育成を進めてきた。木津裕美ブランドマネジャーは「クリームはスキンケアの最後に使う“肌のふた”であり、安心感をもたらす存在だが、見過ごされがちなカテゴリーでもある。私たちは、そこにこそブランドが掲げる“希望”を託したい」と語る。今回のリニューアルにあたっては「化粧品よ、大志を抱け」のメッセージを掲げ、機能性だけでなく、ブランドの価値観や世界観の発信にも力を入れていく。

販売が好調なタイでは、現地プロモーションも強化。バンコク中心部の大型商業施設「PARC PARAGON」にて、新クリームの体験イベントを開催する。会場には香港、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ミャンマーなどからインフルエンサーを招致し、製品の世界観を発信する。

売り上げが約2.8倍に拡大

「カネボウ」は20年のリブランディング以降、売り上げが約2.8倍に拡大。ビジュアルやメッセージを通じて「既成概念にとらわれず、新たな自分に出会える感覚を届けたい」とし、ブランドの世界観に共感する顧客との関係性の構築に注力してきた。木津ブランドマネジャーは「化粧品が楽しく生きるための相棒となり、自分の肌やパーツをもっと好きになるきっかけになれば」と力強く語る。

これまで、口紅、美容液、化粧水、ファンデーションといった各カテゴリーにおいて、“希望”という視点から製品開発を進めてきた。今秋発売する新クリームも同様に、ブランドの信念を体現するアイテムとして、グローバル市場での訴求力を一段と高めていく。

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ユニクロ6月度は6.4%増 高気温で夏物好調、サングラスやフェイスカバーもヒット

専門店チェーン、セレクトショップの2025年6月度売上高(既存店ベース)は、高気温に支えられて夏物の動きが好調だった。休日が前年に対し1日少なかった中でも、前年実績を超えたという声が中心だ。梅雨が飛んでしまったような気候には、「想定よりも夏が早い」という戸惑いの声も聞かれる。

国内ユニクロの売上高は前年同月比6.4%増。昨年同月が同14.9%増と発射台が高かったにも関わらず、「月を通して平年以上の気温が続き、エアリズムインナーや感動パンツ、UVカットパーカ、ブラトップ、Tシャツなど、CMで訴求している夏のコア商品が軒並み好調だった」。サングラスや男性も使える日傘、UVカットフェイスカバーなど、盛夏向け商材も早くも動いている。

良品計画の「無印良品」は同7.1%増。「機能性インナーと夏物がけん引した」(発表資料から)という衣服・雑貨カテゴリーに限れば、同9.5%増とさらに好調だった。既存店売り上げが前年実績を超えるのは、これで17カ月連続となった。

しまむらグループの「ファッションセンターしまむら」は同2.6%増。5月21日〜6月20日での集計のため、5月下旬の気温低下の影響も受けている。「期間最終週に気温が上昇したことで、婦人のアウター衣料、機能性インナー、冷感機能の敷きパッドや寝具などが好調だった」(発表資料から)。

ユナイテッドアローズは同9.3%増で、「シャツ、カットソーなどの軽衣料に加え、ジャケット、パンツなどのきれいめアイテム、シューズ、バッグなどが満遍なく好調だった」(発表資料から)。

アダストリアは同0.2%減とややさえない結果。5月は同4.2%増だったものの、4月も同5.0%減と前年を割り込んでおり、3月以降の今期累計では同0.8%増とかろうじて前年を上回っている。「月初の夏物の動き出しが鈍かったが、月後半は気温上昇に伴い堅調に推移した」(発表資料から)。

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ユニクロ6月度は6.4%増 高気温で夏物好調、サングラスやフェイスカバーもヒット

専門店チェーン、セレクトショップの2025年6月度売上高(既存店ベース)は、高気温に支えられて夏物の動きが好調だった。休日が前年に対し1日少なかった中でも、前年実績を超えたという声が中心だ。梅雨が飛んでしまったような気候には、「想定よりも夏が早い」という戸惑いの声も聞かれる。

国内ユニクロの売上高は前年同月比6.4%増。昨年同月が同14.9%増と発射台が高かったにも関わらず、「月を通して平年以上の気温が続き、エアリズムインナーや感動パンツ、UVカットパーカ、ブラトップ、Tシャツなど、CMで訴求している夏のコア商品が軒並み好調だった」。サングラスや男性も使える日傘、UVカットフェイスカバーなど、盛夏向け商材も早くも動いている。

良品計画の「無印良品」は同7.1%増。「機能性インナーと夏物がけん引した」(発表資料から)という衣服・雑貨カテゴリーに限れば、同9.5%増とさらに好調だった。既存店売り上げが前年実績を超えるのは、これで17カ月連続となった。

しまむらグループの「ファッションセンターしまむら」は同2.6%増。5月21日〜6月20日での集計のため、5月下旬の気温低下の影響も受けている。「期間最終週に気温が上昇したことで、婦人のアウター衣料、機能性インナー、冷感機能の敷きパッドや寝具などが好調だった」(発表資料から)。

ユナイテッドアローズは同9.3%増で、「シャツ、カットソーなどの軽衣料に加え、ジャケット、パンツなどのきれいめアイテム、シューズ、バッグなどが満遍なく好調だった」(発表資料から)。

アダストリアは同0.2%減とややさえない結果。5月は同4.2%増だったものの、4月も同5.0%減と前年を割り込んでおり、3月以降の今期累計では同0.8%増とかろうじて前年を上回っている。「月初の夏物の動き出しが鈍かったが、月後半は気温上昇に伴い堅調に推移した」(発表資料から)。

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「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン」がファーフェッチとのライセンス契約を終了

「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン(MARCELO BURLON COUNTY OF MILAN)」は、高級ECファーフェッチ(FARFETCH)とのライセンス契約を終了し、代わりに伊アパレル企業ダダト・ネクスト(DADDATO NEXT)と契約を締結した。今後、同社は「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン」のグローバルでのデザイン、製造、販売を担う。

“ラグジュアリー・ストリート”ブームをけん引

同ブランドのマルセロ・ブロン(Marcelo Burlon)創業者は、アルゼンチン・パタゴニア地域生まれ。ティーンエイジャーの頃にイタリアに移り、1990年代後半にミラノのクラブでドアマンとして働き始めたことを機会に、ファッション関連の業界人と顔見知りになった。友人らのために制作したTシャツが話題を集めたことから、2012年に「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン」を設立。ルーツである南米のカルチャーとテクノを融合した作風で人気を博し、“ラグジュアリー・ストリート”ブームをけん引した。15年には、人気セレクトショップのアントニオーリ(ANTONIOLI)を運営するクラウディオ・アントニオーリ(Claudio Antonioli)と、ミラノ発のカジュアルブランド「ヴィンテージ55(VINTAGE 55)」の創業者ダヴィデ・ドゥ・ジーリオ(Davide De Giglio)と共同で出資し、伊アパレル企業ニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP以下、NGG)を立ち上げた。

瓦解が進むNGG

NGGは「アンブッシュ(AMBUSH)」「パーム エンジェルス(PALM ANGELS)」「ヘロン・プレストン(HERON PRESTON)」「アラヌイ(ALANUI)」などのブランドを擁し、ブロン創業者が保有する「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン」や故ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)による「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」のライセンス生産を行っていたが、19年8月にファーフェッチがNGGを6億7500万ドル(約972億円)で買収。しかし、23年12月にはファーフェッチが経営破綻に陥っていることが明らかになり、韓国の大手EC企業クーパン(COUPANG)に買収された。

なお、NGGは「リーボック(REEBOK)」を保有する米ブランドマネジメント会社オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)と22年3月に提携し、23年5月には同ブランドの欧州における販売代理店業務などを手掛けるNGG++部門を立ち上げている。しかし、新たな契約条件で合意に至らなかったことから、ABGは24年11月初旬に同契約を終了。情報筋によれば、これに伴い、NGGはABGに対しておよそ3億ドル(約432億円)のロイヤルティーを支払う義務があるという。

それに加えて、24年4月には「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン」のクリエイティブ・ディレクターを務めていたブロン創業者がブランドを離脱。こうしたさまざまな要因が重なり、NGGは同年11月、日本の民事再生法にあたるイタリア倒産法(Composizione Negoziata della Crisi、CNC)の適用を申請した。25年2月には、米ブランド管理会社ブルースター・アライアンス(BLUESTAR ALLIANCE)が「パーム エンジェルス」を買収。また、3月には「アラヌイ」が、4月には「アンブッシュ」がNGGから過半数株式などを取得してブランドの所有権を取り戻している。

現在、NGGは「アンラベル プロジェクト(UNRAVEL PROJECT)」「ヘロン プレストン」「キリン ペギー グー(KIRIN PEGGY GOU)」などを擁しているが、瓦解が進んでいることは否めないだろう。

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TikTokがEC機能“TikTok Shop”を日本ローンチ ブランド認知向上から購買獲得までをサポート

TikTok for Businessは、TikTokアプリ内で商品の販売、購入を可能とするEC機能“TikTok Shop”を、7月から日本で段階的にローンチしていく。他国では2021年から開始している同機能は、おすすめフィードや検索、ライブ配信などから商品を発見し、手軽なプロセスでの商品購入を可能にする。TikTokならではの“発見“を強みとし、“ディスカバリーEコマース“としてブランドの認知向上や購買獲得までを一期通貫で完結し、高いエンゲージメントへとつなげるサービスを目指すという。現時点では日清食品やヤーマン、花王、ウィゴー、アイエヌイー、ショップリスト、ラコステジャパン、ユニリーバ・ジャパン、ヨギボーなどの企業の参加が決定している。

TikTok Shopに出展するには、出展申請・審査、初期設定、商品登録、アフィリエイト設定を経て販売。商品の真正性や安全性については、知的財産及び模倣対策ポリシーを設け、それらを侵害する行為に対しては厳格に審査を行う。2024年7〜12月のグローバル調査結果では、要件を満たさない160万件以上のセラーの申請を却下。さらにショップ単位での医薬規範により、累計45万件以上のセラーアカウント、9万点以上の商品を削除するなど、安全性を担保するために取り締まりを強化している。

カルロス・リウ(Carlos Qiu)TikTok Shop Japanゼネラルマネジャーは「日本国内で約3300万のユーザーがいるTikTok。他国でのTIkTok Shopの成功事例をもとに、新たな体験を提供していきたい。グローバルで見て、日本はかなり特殊な市場だ。イギリスとインドネシアから始まったTikTok Shopは、欧米を中心に行ってきた。日本はアジアで、先進国であることもあり、どんな発展をしていくのかとても楽しみだ」とコメントし、今後の可能性に期待を寄せている。

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百貨店の免税売上高3〜4割減 6月も大手4社苦戦

百貨店大手4社の6月度の売上高速報が出そろい、全社が前年同月の実績を下回った。円高に転じた3月以降、インバウンド(訪日客)による高額消費が落ち込んでおり、免税売上高は引き続き大幅な減収で推移した。

6月度の売上高は三越伊勢丹が前年同月比9.1%減、高島屋が同2.2%減、大丸松坂屋百貨店が同4.5%減、阪急阪神百貨店が同12.0%減だった。国内顧客は微増もしくは微減で収まっているものの、訪日客による免税売上高が大幅に落ちている。

免税売上高は三越伊勢丹が同38.6%減、高島屋が同35.9%減、大丸松坂屋が同31.4%減だった。阪急阪神百貨店の旗艦店である阪急本店(阪急うめだ本店、阪急メンズ大阪)は、同5割減と振るわなかった。訪日客が買い支えてきたラグジュアリーブランドや時計・宝飾といった高額品の動きが引き続き鈍い。一方、化粧品などの消耗品は堅調に売れている。

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ゴールドウイン「ザ・ノース・フェイス」、ソックスなど一部商品値上げ

ゴールドウインの「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」は8月1日から、一部商品を値上げする。「原材料価格や人件費を含む製造コスト、物流コスト等の上昇により、価格維持が困難な状況となっている」ため。

現在税込で2万6000円の“ビッグウォールパンツ”は2万8000円に、1万5000円の“サーマルバーサグリッドフーディー”は1万6000円に、1700円の“TNFジャカードロゴ3Pクルー”は1800円に、3600円の“Bヌプシレッグウォーマー&ソックスセット”は4500円に、1500円の“K TNFジャカードロゴ3Pクルー” は1800円になる。

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「WWDJAPAN」6月30日号、絶対読んでくれよな:記者談話室vol.183

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

183回目のテーマは「WWDJAPAN 6月30日号」です。10数年続く長寿&人気特集の「繊維商社特集」であり、「WWDJAPAN」史上初めてロゴやタイトルも含め表紙を編地で制作した同号の魅力を3人で熱く語ります。同号は繊維商社だけでなく、最近超話題のスパイバーの関山和秀社長も登場。その裏側についても明かしています。

「記者談話室」ではみなさまからのお便りをお待ちしております。ご感想ご意見を聞かせてください。メールアドレスは、danwashitu@infaspub.co.jp です。


この配信は以下のアプリでもご利用いただけます。
Apple Podcast Spotify

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アイスタイルがインナーケア市場に参入 新ブランド「アットコスメプラス」始動

「アットコスメ(@cosme)」を運営するアイスタイルは、インナーケア事業に本格的に乗り出す。傘下のアイスタイルプロダクツ(2024年設立)がインナーケアブランド「アットコスメプラス(@cosme+)」を立ち上げ、7月1日に第1弾製品として顆粒タイプのサプリメントを発売する。ブランド公式オンラインストアと全国のアットコスメストアで取り扱う。

新製品“ザ ベーシック サプリメント(The Basic Supplement)”は、多くの肌悩みの原因となる”乾燥”に着目。セラミドと7種のビタミン(A、B1、B2、B6、C、E、ナイアシン)を配合した顆粒タイプのサプリメントで、ピュアセラミド、フレッシュピーチ、ビターオレンジの3フレーバーをそろえる。製造は、岡山の医薬品・健康食品OEMメーカーの備前化成が担当。

価格は10包入りが1144円(店頭限定)、30包入りが3262円。ブランド公式オンラインストアではサブスクリプションも用意し、30包2980円で提供する。

インナーケア市場への参入背景について寺田麻佑子ブランドティレクターは、「インナーケアは従来、健康目的で捉えられてきたが、今後は美容目的での活用も当たり前になっていく」と説明。近年、美と健康のための栄養素が足りていない“現代型栄養失調”が課題となる中、「効率的かつ手頃に栄養を取り入れたいという声に応えるべく、私たちとしてもしっかりとサポートをしていきたい」と意欲を見せる。

ブランドの立ち上げに先立ち、24年11月には公式インスタグラムを開設し、コミュニティー「プラスメンバーズ」を形成。ライブ配信や体験イベント、サンプル配布などを通じてユーザーとの接点を増やしてきた。25年1月には限定的な先行販売も実施した。

寺田ブランドディレクターは「単に製品を売るだけではなく、無理なく続けられる“日常のインナーケア”として定着させたい」と、今後もコミュニティー活動も広げながら、ユーザーの声を生かした製品開発やサービスの展開を目指す。

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デンマークのバイオ企業がEUから約13億円調達 化粧品向け石油代替素材の商業化で

デンマーク発のバイオベンチャー企業セルジー(CELLUGY)はこのほど、欧州委員会から環境・気候変動対策を支援するためのLIFEプログラムを通じて810万ユーロ(約13億円)の助成金を受領した。対象となったのは同社の「バイオケア・フォー・ライフ(BIOCARE4LIFE)」プロジェクトで、今回の資金調達により、石油代替原料となる新素材“エコフレクシー(EcoFLEXY)”の生産体制を増強し、商業化を本格化させる。

バイオ由来の新素材
“エコフレクシー”の革新性

セルジーが開発した新素材“エコフレクシー”は、セルロースをベースとしたレオロジー調整材(質感の調整や安定化のために添加する成分)で、化粧品業界で広く使用されるマイクロプラスチックと石油由来原料に代わるサステナブルな選択肢を提供する。完全バイオベースの同素材は、生分解性と競争力のある価格を持つ高性能なレオロジー調整材として開発した。

同社は声明で、「“エコフレクシー”は、有害なマイクロプラスチックとして知られる合成高分子ポリマーのカルボマーを置き換えられるように設計した。化粧品産業における有害化学物質使用と環境負荷を大幅に減らすことができる。優れた性能と質感により、サステナビリティとイノベーションの観点で急速に変化するニーズに対応し、大量生産可能で高効率の製造プロセスを実現している」とコメントした。

マイクロプラスチックに広がる懸念
調整材市場の約70%が石油由来に依存

同社は続けて、「フェイシャルスクラブや液体石けんなどパーソナルケア製品の多くは、マイクロプラスチックを放出する可能性があり、環境汚染に悪影響を及ぼしている。最近の研究では、マイクロプラスチックが吸入や経口摂取、皮膚接触を通じて人体に侵入する可能性が示唆されており、その影響について懸念が広がっている」と説明した。しかし同社は、全てのパーソナルケア製品にレオロジー調整剤が不可欠だといい、28億ユーロ(約4731億円)規模のレオロジー調整剤市場で、約70%が欧州連合(EU)の化学物質管理規制であるリーチ(REACH)規則が指定する石油由来のカルボマーとアクリレートに依存していると指摘した。

“エコフレクシー”は、「バイオケア・フォー・ライフ」プロジェクトの完了までに年間259トンのマイクロプラスチック放出を防止し、34年までに同1289トンの削減まで拡大する見込みだという。セルジーは、EUのマイクロプラスチック添加製品の販売禁止措置と米国のPFAS(永久に残る化学物質)規制により、ビューティ業界が約120億ユーロ(約2兆277億円)の損失を受ける可能性があるとの報告を踏まえ、(代替原料に切り替える)タイミングが重要だと述べた。

化粧品業界の変革には
石油由来を上回る性能が課題

セルジーのイザベル・アルヴァレス・マルトス(Isabel Alvarez-Martos)共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は、「単に持続可能性を追求するだけでは不十分だ。真の課題はテクスチャーや機能性、ユーザー体験などの性能において石油化学製品を上回るソリューションを提供し、同時に大量生産可能で運用効率の高いものを実現しなければならない。意図が良いだけでは業界の変革は起こらない。“エコフレクシー”のような高品質な代替品が必要で、化粧品ブランドが持続可能性を選択するのを容易にすることが重要だ。バイオベース素材が伝統的な原料の性能と経済性を同等か上回るまで、人間の健康と地球を守るための変革は実現しない」と語った。

「バイオケア・フォー・ライフ」プロジェクトは、専門家からなるコンソーシアムが“エコフレクシー”の商業化を目的に運営する。参画企業には、循環型経済ソリューションと環境影響評価に特化したコンサルティング会社のザ・フットプリント・ファーム(THE FOOTPRINT FIRM)や、データ管理と機械学習、AI駆動型プロセス最適化を手掛けるスタートアップのサイ・トゥー・サイ(SCI2SCI)が名を連ねる。

ザ・フットプリント・ファームのウィル・ナーン(Will Nunn)=マネージャーは、「このプロジェクトは、パーソナルケア業界におけるよりサステナブルな製造への真の進展を示している。プロジェクトの技術革新と持続可能性の検証を組み合わせたアプローチは、“エコフレクシー”の市場参入における優位性を強固にし、EUのより資源効率の高い経済への移行を支後押しする」と述べた。サイ・トゥー・サイのアンジェリーナ・レスニコワ(Angelina Lesnikova)CEOは、「バイオテクノロジーソリューションのスケールアップは簡単ではないが、そこに真の価値が生まれる。われわれは、サステナブルな“化学”を、経済的に魅力があり環境的に不可欠なものにする可能性を持っている」と述べた。

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インバウンド消費が急失速 高島屋の営業利益27%減、3〜5月

インバウンド(訪日客)の高額品消費の減速で、大手百貨店の業績が悪化している。30日に2025年3〜5月期連結業績を発表した高島屋とJ.フロント リテイリング(JFR)は、主に免税売上高の落ち込みで減益になった。

高島屋は小売業の売上高に相当する総額売上高が前年同期比5.7%減の2412億円、営業利益が同26.9%減の126億円だった。国内百貨店事業の店頭売上高で国内顧客が同1%増だったものの、訪日客が同30%減に落ち込んだ。訪日客による免税売上高は前年度期に比べて100億円少ない229億円に終わった。前年同期の為替(米ドル/円)が155円だったの対し、当期は145円と円高にふれたことが痛手になった。過半以上のシェアを占めるラグジュアリーブランドなどの高額品の免税売上高は41%も減少した。

JFR(国際会計基準)は総額売上高が前年同期比2.6%増の3074億円、事業利益が同15.4%減の138億円だった。大丸松坂屋百貨店による国内百貨店事業は、総額売上高が同2.5%減の1925億円、事業利益が同21.8%減の82億円だった。免税売上高は同24%減で、客数が14%増えたにもかかわらず客単価が33%減少している。

高島屋はインバウンド失速を受けて通期(26年2月期)の業績予想を下方修正した。免税売上高は期初計画では1100億円(前期は1160億円)を想定していたが、円安基調を考慮して820億円に下げる。

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インバウンド消費が急失速 高島屋の営業利益27%減、3〜5月

インバウンド(訪日客)の高額品消費の減速で、大手百貨店の業績が悪化している。30日に2025年3〜5月期連結業績を発表した高島屋とJ.フロント リテイリング(JFR)は、主に免税売上高の落ち込みで減益になった。

高島屋は小売業の売上高に相当する総額売上高が前年同期比5.7%減の2412億円、営業利益が同26.9%減の126億円だった。国内百貨店事業の店頭売上高で国内顧客が同1%増だったものの、訪日客が同30%減に落ち込んだ。訪日客による免税売上高は前年度期に比べて100億円少ない229億円に終わった。前年同期の為替(米ドル/円)が155円だったの対し、当期は145円と円高にふれたことが痛手になった。過半以上のシェアを占めるラグジュアリーブランドなどの高額品の免税売上高は41%も減少した。

JFR(国際会計基準)は総額売上高が前年同期比2.6%増の3074億円、事業利益が同15.4%減の138億円だった。大丸松坂屋百貨店による国内百貨店事業は、総額売上高が同2.5%減の1925億円、事業利益が同21.8%減の82億円だった。免税売上高は同24%減で、客数が14%増えたにもかかわらず客単価が33%減少している。

高島屋はインバウンド失速を受けて通期(26年2月期)の業績予想を下方修正した。免税売上高は期初計画では1100億円(前期は1160億円)を想定していたが、円安基調を考慮して820億円に下げる。

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インフォメーション

日時

2025年7月16日(水)13:00〜16:00
※講座開始30分前から会場受付開始

実施方法

会場 または オンライン受講
※受講前日17時と当日9時を目安に、ご案内メールをお送りしますので、ご入力にお間違いがないようご注意ください。セミナー当日は受付でメールをご提示ください。
※オンライン受講の方は、ご案内メールに視聴用URLを記載しております。また、OneStreamでの配信を予定しています。
※ご案内メールが届かない場合は迷惑メールフォルダなどもご確認ください。
※セミナー終了後、会場&オンライン受講者へのアーカイブ配信の案内はありませんのでご了承ください。後日アーカイブ動画は、単体で購入することが可能です。

会場

株式会社ヤプリ
東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー 41階

募集人数

会場:先着50名
オンライン:100名

募集期間

2025年6月12日(木)〜 2025年7月15日(火)12時まで

受講料金

一般価格:16,500円
スタンダードプラン:11,550円 30%OFF
ライトプラン:14,850円 10%OFF
※表示価格は全て1名様分、税込です。
※他のクーポンとの併用はできません。

 

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講座終了後、アーカイブ受講の販売を予定しております。




プログラム

 

今、最も注目すべきファッションブランドの1つ「CFCL」は、2020年に高橋悠介代表兼クリエイティブディレクターが設立。次世代のリーダーは「社会貢献と事業成長の両立」や「ステークホルダーへの価値提供」などを目指し、投資ファンド・ペルミラ出身の松浦直彦代表取締役副社長兼COOとタッグを組みました。以降、毎シーズンのコレクションのみならず、実践的な組織づくりもクリエイトしています。業界ではサステナビリティのイメージが強いですが、パーパスドリブンなクリエイションと経営は、設立5年で国内外200以上の卸先をもつ“パリコレブランド”へと結実しています。
本セミナーでは、高橋・松浦の2トップが、ブランド哲学から、社会性と収益性を実現するクリエイション、組織論、実践例までを紹介。皆さんに、新たな知見や具体的なアクションに繋がるヒントを伝授します。

【Introduction】13:00~13:10(10分)

社会課題に向き合うブランドは、いかにして持続的な競争優位性を築いているのか?

オープニングは、「WWDJAPAN」編集長の村上要がサステナビリティを筆頭とする社会課題をCSR(企業の社会的責任)と捉えるのではなく、持続的な競争優位性につなげている企業・ブランドを紹介。離職率の低下やエンゲージメントの強化&コミュニティーの醸成、結果、売り上げの拡大につなげ、事業の拡大が更なるアクションを導いているポジティブなサイクルが存在し得ることをお伝えしたのち、特集の制作を踏まえ、「ファッションを社会装置と捉えてファンを生み出している『CFCL』」の概要をリポートします。

スピーカー:村上 要/WWDJAPAN編集長
PROFILE:(むらかみ・かなめ)1977年7月7日生まれ。東北大学教育学部卒業後、地元の静岡新聞社で社会部記者を務める。退職後、ニューヨーク州立ファッション工科大学(F.I.T.)でファッション・ジャーナリズムを含むファッション・コミュニケーションを専攻。2度目の大学卒業後、現地でのファッション誌アシスタントを経て帰国。タイアップ制作、「WWDビューティ」デスク、「WWDモバイル」デスク、「ファッションニュース」編集長、「WWDJAPAN.com」編集長を経て、2021年4月から現職

 

【Session#1】13:10~13:50(40分)

なぜ『CFCL』は、社会貢献と事業成長の両立を目指すのか?

第1部は、高橋悠介代表兼クリエイティブディレクターが登壇し、「公益性」と定義するソーシャルグッドをブランドの世界に持ち込んだ理由を話します。ブランド立ち上げの頃の社会に思いを馳せながら、「なぜ、世界で戦うには社会性が必要と考えたのか?」はもちろん、「その社会性を、どのようなデザイン哲学で表現するのか?」「公益性は、どのような形で独自性や優位性につながっているのか?」など、これまでファッションの世界が解決できなかった消費者のペインや業界の課題を踏まえながら、「CFCL」のブランド哲学の根幹を開陳します。また「公益性」を追求するには「多様性」が必要との考えに至った背景のほか、意思決定や組織運営に活かしている「資本経営」というビジネス理論も伺います。

ゲストスピーカー:高橋 悠介/代表兼クリエイティブディレクター
PROFILE:(たかはし・ゆうすけ)1985年生まれ、東京都出身。文化ファッション大学院大学修了後、2010年三宅デザイン事務所入社。13年に「イッセイミヤケ メン」のデザイナーに就任し、6年にわたりチームを率いる。20年同社を退社後、CFCLを設立。21年、第39回毎日ファッション大賞 新人賞・資生堂奨励賞及びFASHION PRIZE OF TOKYO 2022を受賞。2022年よりパリ・ファッションウィークに参加。2024年、Vogue Business 100 Innovators: Sustainability thought leaders の1人に選出された。
モデレーター:村上 要/WWDJAPAN編集長

 

【Session#2】13:50~14:30(40分)

社会貢献できるブランド事業を加速する組織運営論

第2部は、松浦直彦代表取締役副社長兼COOが登壇。前職で痛感した日本ブランドが直面する“スケールの壁”を踏まえ、高橋代表兼クリエイティブディレクターが思い描くブランド哲学を経営、特にグローバルなビジネスへと拡張できる可能性の視点で解釈しながら、組織をどのように構築しているのか?などを伺います。特に異業種からの参画と、それゆえの教育システム、公平性のある報酬体系などは、ファッション好きの頑張りに依存しすぎている業界人にとって必聴の内容。さまざまな取り組みの結果のES(従業員満足度)や直面する課題などを正直に語りながら、理想のブランドを目指すための、理想の組織作りのアクションを考えます。

ゲストスピーカー:松浦 直彦/代表取締役副社長兼COO
PROFILE:(まつうら・なおひこ)1982年生まれ、東京都出身。慶応義塾大学卒業後、2005年メリルリンチ日本証券に入社、東京およびニューヨークで8年間投資銀行業務を担当。13年以降、カーライル・グループ、日本成長投資アライアンス、ペルミラ・アドバイザーズにて9年間プライベート・エクイティ業務に従事。投資先企業において取締役、監査役、執行役員を歴任。22年にCFCLに入社
モデレーター:村上 要/WWDJAPAN編集長

 

【Crosstalk】14:40~15:10(30分)

100年後に“社会を変えたブランド”と語られるための、今後のビジョン

最後のパートは、高橋悠介代表兼クリエイティブディレクターと松浦直彦代表取締役副社長兼COOのクロストーク。公益性を目指した様々な取り組みは現状、ステークホルダー全般にどう捉えられているのか?を起点に、立て続けに発表したオーダーメイドや二次流通ビジネスなどのビジョン(哲学)と実践方法(ビジネス)を語っていただきます。また、最終的なビジョンの1つである分散型モデルのビジョンとメリットを語りながら、業界の永遠の課題であるクリエイションとビジネスのシナジーの生み出し方に迫ります。

ゲストスピーカー:高橋 悠介/代表兼クリエイティブディレクター
ゲストスピーカー:松浦 直彦/代表取締役副社長兼COO
モデレーター:村上 要/WWDJAPAN編集長

※講義内容やタイトルは予告なく変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。
【Extra】ミートアップ:15:15~16:00(45分)

ミートアップ

会場受講の皆様はセミナー終了後、ミートアップにご参加いただきます。高橋・松浦の両トップはもちろん、「CFCL」のスタッフにもご参加いただきます。2人のビジョンを従業員がどう受けとめ、どのようにやりがいへと繋げているのかなど、お聞きください。学生の皆さんは、未来の先輩の働き方に耳を傾けてみては?

 

特典

 

注意事項

・受講料は会場とオンライン同額です。
・割引価格はクーポンをご利用時に適用となります。スタンダードとライトのクーポンコードはマイページをご確認の上、申し込み画面で入力してください。
・申し込みの受け付けは先着順です。募集人数に達し次第締め切らせていただきます。
・申し込み完了後のキャンセルは受け付けておりません。
・定期購読者で会員登録がお済みでない方はこちら
・本ページでのお支払いはクレジットカードのみとなります。コンビニ支払いをご希望の方はこちら
・適格請求書(領収書)の発行は、こちらから。記載のお宛名をご入力の上ご連絡ください。
弊社登録番号:T5-0110-0104-4278
・当日は会場内に撮影用のカメラが入ります。撮影した動画や写真は、「WWDJAPAN」Weeklyやウェブサイト、公式SNSなどで掲載する場合があります。ご了承いただける方のみお申し込みください。

 

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問い合わせ先
INFASパブリケーションズ カスタマーサポート
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【受講受付中】「CFCL」に学ぶクリエイションとビジネスを両立するブランド運営論

「何のために服をつくり、売るか?」を突き詰める2トップによる
ブランド哲学と持続可能な事業成長、市場創造の未来論

このような人におすすめ

・世界を相手に戦うブランド戦略を考えるアパレル・ビューティブランドの経営者・責任者
・「サステナビリティ」や「ステークホルダー」などの社会的キーワードを収益に繋げたいビジネスパーソン
・異業種の出身者ら多彩な人材を取り入れ組織に多様なビジネス視点を組み込みたい人事・マネージメント層
・ソーシャルグッドなブランドやファッション業界への就職を視野に入れる学生

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インフォメーション

日時

2025年7月16日(水)13:00〜16:00
※講座開始30分前から会場受付開始

実施方法

会場 または オンライン受講
※受講前日17時と当日9時を目安に、ご案内メールをお送りしますので、ご入力にお間違いがないようご注意ください。セミナー当日は受付でメールをご提示ください。
※オンライン受講の方は、ご案内メールに視聴用URLを記載しております。また、OneStreamでの配信を予定しています。
※ご案内メールが届かない場合は迷惑メールフォルダなどもご確認ください。
※セミナー終了後、会場&オンライン受講者へのアーカイブ配信の案内はありませんのでご了承ください。後日アーカイブ動画は、単体で購入することが可能です。

会場

株式会社ヤプリ
東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー 41階

募集人数

会場:先着50名
オンライン:100名

募集期間

2025年6月12日(木)〜 2025年7月15日(火)12時まで

受講料金

一般価格:16,500円
スタンダードプラン:11,550円 30%OFF
ライトプラン:14,850円 10%OFF
※表示価格は全て1名様分、税込です。
※他のクーポンとの併用はできません。

 

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今、最も注目すべきファッションブランドの1つ「CFCL」は、2020年に高橋悠介代表兼クリエイティブディレクターが設立。次世代のリーダーは「社会貢献と事業成長の両立」や「ステークホルダーへの価値提供」などを目指し、投資ファンド・ペルミラ出身の松浦直彦代表取締役副社長兼COOとタッグを組みました。以降、毎シーズンのコレクションのみならず、実践的な組織づくりもクリエイトしています。業界ではサステナビリティのイメージが強いですが、パーパスドリブンなクリエイションと経営は、設立5年で国内外200以上の卸先をもつ“パリコレブランド”へと結実しています。
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社会課題に向き合うブランドは、いかにして持続的な競争優位性を築いているのか?

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PROFILE:(むらかみ・かなめ)1977年7月7日生まれ。東北大学教育学部卒業後、地元の静岡新聞社で社会部記者を務める。退職後、ニューヨーク州立ファッション工科大学(F.I.T.)でファッション・ジャーナリズムを含むファッション・コミュニケーションを専攻。2度目の大学卒業後、現地でのファッション誌アシスタントを経て帰国。タイアップ制作、「WWDビューティ」デスク、「WWDモバイル」デスク、「ファッションニュース」編集長、「WWDJAPAN.com」編集長を経て、2021年4月から現職

 

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なぜ『CFCL』は、社会貢献と事業成長の両立を目指すのか?

第1部は、高橋悠介代表兼クリエイティブディレクターが登壇し、「公益性」と定義するソーシャルグッドをブランドの世界に持ち込んだ理由を話します。ブランド立ち上げの頃の社会に思いを馳せながら、「なぜ、世界で戦うには社会性が必要と考えたのか?」はもちろん、「その社会性を、どのようなデザイン哲学で表現するのか?」「公益性は、どのような形で独自性や優位性につながっているのか?」など、これまでファッションの世界が解決できなかった消費者のペインや業界の課題を踏まえながら、「CFCL」のブランド哲学の根幹を開陳します。また「公益性」を追求するには「多様性」が必要との考えに至った背景のほか、意思決定や組織運営に活かしている「資本経営」というビジネス理論も伺います。

ゲストスピーカー:高橋 悠介/代表兼クリエイティブディレクター
PROFILE:(たかはし・ゆうすけ)1985年生まれ、東京都出身。文化ファッション大学院大学修了後、2010年三宅デザイン事務所入社。13年に「イッセイミヤケ メン」のデザイナーに就任し、6年にわたりチームを率いる。20年同社を退社後、CFCLを設立。21年、第39回毎日ファッション大賞 新人賞・資生堂奨励賞及びFASHION PRIZE OF TOKYO 2022を受賞。2022年よりパリ・ファッションウィークに参加。2024年、Vogue Business 100 Innovators: Sustainability thought leaders の1人に選出された。
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第2部は、松浦直彦代表取締役副社長兼COOが登壇。前職で痛感した日本ブランドが直面する“スケールの壁”を踏まえ、高橋代表兼クリエイティブディレクターが思い描くブランド哲学を経営、特にグローバルなビジネスへと拡張できる可能性の視点で解釈しながら、組織をどのように構築しているのか?などを伺います。特に異業種からの参画と、それゆえの教育システム、公平性のある報酬体系などは、ファッション好きの頑張りに依存しすぎている業界人にとって必聴の内容。さまざまな取り組みの結果のES(従業員満足度)や直面する課題などを正直に語りながら、理想のブランドを目指すための、理想の組織作りのアクションを考えます。

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「ラコステ」、新たなCEOを任命 仏酒類大手レミー コアントローの前CEO

スイスのアパレル企業MFブランズ・グループ(MF BRANDS GROUP以下、MFブランズ)は6月27日、傘下に持つラコステ(LACOSTE)の新たな最高経営責任者(CEO)として、仏酒類メーカー、レミー コアントロー(REMY COINTREAU)のエリック・ヴァラ(Eric Vallat)前CEOを任命した。9月1日付で着任する。

これに伴い、2015年からMFブランズおよびラコステを率いてきたティエリー・ギベール(Thierry Guibert)CEOは、MFブランズのCEOとして続投する。なお、同氏はMFブランズを擁するモウス・フレール・グループ(MAUS FRERES GROUP)のCEOも21年から務めている。

ヴァラ新CEOの経歴

ヴァラ新CEOは、1970年フランス生まれ。パリの名門校HECビジネススクール(HEC Business School)を卒業後、投資銀行でキャリアをスタートした。LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)が擁するルイ・ヴィトンの欧州事業やクリスチャン ディオール クチュール(CHRISTIAN DIOR COUTURE)の日本事業に加えて、キッズウエアのボンポワン(BONPOINT)やシューズブランドのジェイエムウエストン(J.M. WESTON)で要職を歴任。14年から18年まで、レミー コアントローが擁するレミーマルタンのCEOを務めた。その後、コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)のファッションおよびアクセサリーメゾン部門ヘッドを務め、19年12月にレミー コアントローのCEOに就任。25年4月に退任した。

MFブランズについて

MFブランズは、12年に「ラコステ」を買収。ほかに仏ライフスタイルブランド「エーグル(AIGLE)」、米カジュアルウエアブランド「ガント(GANT)」、仏スポーツ用品ブランド「テクニファイバー(TECNIFIBRE)」などを擁している。なお、情報筋によれば、「ラコステ」はここ10年で売上高が3倍程度に成長しており、30億ユーロ(約5070億円)に迫る勢いだという。

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伝統の技を基盤にラジカルなイノベーションを 船場が目指す空間作りとは?

国内外の空間作りに関するさまざまな業務をトータルにサポートするのが、1947年創業の船場(せんば)だ。立地の調査・企画・コンサルティングからデザイン・設計、制作・施工まで一貫して行うことができ、国内に8拠点、アジアに5拠点を構える。3月に着任した小田切潤新社長の指揮のもと、強みを生かした事業拡大にアクセルを踏む。

船場は、多くの外資系企業が拠点を構える麻布台ヒルズの半分以上のオフィスの施工を請け負っている。「コロナ禍が収束し、リアルでのコミュニケーションの重要性が見直されている。オフィスのデザイン・施工の需要が非常に伸びている」と小田切潤社長は語る。「オフィス空間が社員同士の交流を促すし、出社したいと思えるオフィスかは、人材の採用にも影響する。そこに投資する企業が急速に増えている」。

デベロッパーである森ビルとは30年来の付き合いだ。「設計・施工の技術力と安心度こそ、船場の強みだ。特に施工においては、技術者の育成を含めて、長年培ってきたノウハウとネットワークを持っている。クオリティーは大手に負けない自信があるが、職人気質でアピール下手な部分が少なからずあった。これからは強みを打ち出し、より積極的に営業活動を行う。オフィスといっても、さまざまだ。物流関連のオフィスやショールーミングスペースなど、幅広く対応している」。

1947年、陳列ケース店として大阪で創業した。店の内外装や売り場作りを手掛けるようになり、事業を拡大。イオングループとは、その前身である岡田屋時代からの付き合いで、国内外のイオンモールを多数手掛けてきた。また、三井不動産のららぽーとも、台湾や福岡、大阪・門真など、リサーチや開発から携わった。2016年に東京証券取引所(スタンダード市場)に上場した。

海外には84年に香港に現地法人を設立。現在、上海、ベトナム、台湾、マレーシア、シンガポールの5カ所に拠点を構える。「海外への出店、設計・施工にはローカルネットワークが欠かせない。特に台湾では35年以上の歴史がある。アジアに進出する日本企業をぜひサポートしたい」。

サステナビリティにも注力する。専任チーム「エシカルイノベーションハブ」がグローバルでリサーチをし、提案・実装までを行う。大阪・関西万博のルクセンブルク館では、施工からパビリオンの建材を会期終了後に神戸のリゾート施設で再利用することまでを実行する。「再利用しやすい素材選びや設計はもちろん、廃材の利用や、今使っている素材や家具を次の空間にも生かすことを提案したりしている」。

5月末には世界的な組織・人事のコンサルティングファーム、マーサージャパンと協業し、グローバル企業のためのワークスペースを再設計するサービスを開始した。マーサージャパンがグローバル基準の調査でワークスタイルの課題を可視化し、それに対する空間的な最適解を船場が企画・設計・施工まで提供する。「店舗や公共施設のノウハウなども生かしながら、その企業と時代性により合う空間を作っていく」。

24年12月期の売上高は前期比16.4%の289億円と好調だった。27年12月期で400億円を目標に掲げる。目下注力しているのが、オフィスとラグジュアリー空間だ。それぞれ専門チームを設けて、事業を強化している。

シナジーを見込める企業のM&Aも視野に、まずは年商1000億円を目指す。「国内の内装市場は約1.8兆円で、前年は約12%伸びており、市場の3〜4%のシェアを獲得できれば、十分に可能な数字だ。今売上高の15%程度の海外事業も伸ばしていく」。

小田切社長は新卒で広告代理店に入り、丸紅、アクセンチュアを経て、オンワードホールディングスで戦略企画室長を務めた。「クリエイティブとビジネスをどう融合するかは、経営者として私自身のテーマでもある。安定性と信頼を基盤に、ラジカルなイノベーションを引き起こす」と未来を見据える。

問い合わせ先
船場
03-6865-1008

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伝統の技を基盤にラジカルなイノベーションを 船場が目指す空間作りとは?

国内外の空間作りに関するさまざまな業務をトータルにサポートするのが、1947年創業の船場(せんば)だ。立地の調査・企画・コンサルティングからデザイン・設計、制作・施工まで一貫して行うことができ、国内に8拠点、アジアに5拠点を構える。3月に着任した小田切潤新社長の指揮のもと、強みを生かした事業拡大にアクセルを踏む。

船場は、多くの外資系企業が拠点を構える麻布台ヒルズの半分以上のオフィスの施工を請け負っている。「コロナ禍が収束し、リアルでのコミュニケーションの重要性が見直されている。オフィスのデザイン・施工の需要が非常に伸びている」と小田切潤社長は語る。「オフィス空間が社員同士の交流を促すし、出社したいと思えるオフィスかは、人材の採用にも影響する。そこに投資する企業が急速に増えている」。

デベロッパーである森ビルとは30年来の付き合いだ。「設計・施工の技術力と安心度こそ、船場の強みだ。特に施工においては、技術者の育成を含めて、長年培ってきたノウハウとネットワークを持っている。クオリティーは大手に負けない自信があるが、職人気質でアピール下手な部分が少なからずあった。これからは強みを打ち出し、より積極的に営業活動を行う。オフィスといっても、さまざまだ。物流関連のオフィスやショールーミングスペースなど、幅広く対応している」。

1947年、陳列ケース店として大阪で創業した。店の内外装や売り場作りを手掛けるようになり、事業を拡大。イオングループとは、その前身である岡田屋時代からの付き合いで、国内外のイオンモールを多数手掛けてきた。また、三井不動産のららぽーとも、台湾や福岡、大阪・門真など、リサーチや開発から携わった。2016年に東京証券取引所(スタンダード市場)に上場した。

海外には84年に香港に現地法人を設立。現在、上海、ベトナム、台湾、マレーシア、シンガポールの5カ所に拠点を構える。「海外への出店、設計・施工にはローカルネットワークが欠かせない。特に台湾では35年以上の歴史がある。アジアに進出する日本企業をぜひサポートしたい」。

サステナビリティにも注力する。専任チーム「エシカルイノベーションハブ」がグローバルでリサーチをし、提案・実装までを行う。大阪・関西万博のルクセンブルク館では、施工からパビリオンの建材を会期終了後に神戸のリゾート施設で再利用することまでを実行する。「再利用しやすい素材選びや設計はもちろん、廃材の利用や、今使っている素材や家具を次の空間にも生かすことを提案したりしている」。

5月末には世界的な組織・人事のコンサルティングファーム、マーサージャパンと協業し、グローバル企業のためのワークスペースを再設計するサービスを開始した。マーサージャパンがグローバル基準の調査でワークスタイルの課題を可視化し、それに対する空間的な最適解を船場が企画・設計・施工まで提供する。「店舗や公共施設のノウハウなども生かしながら、その企業と時代性により合う空間を作っていく」。

24年12月期の売上高は前期比16.4%の289億円と好調だった。27年12月期で400億円を目標に掲げる。目下注力しているのが、オフィスとラグジュアリー空間だ。それぞれ専門チームを設けて、事業を強化している。

シナジーを見込める企業のM&Aも視野に、まずは年商1000億円を目指す。「国内の内装市場は約1.8兆円で、前年は約12%伸びており、市場の3〜4%のシェアを獲得できれば、十分に可能な数字だ。今売上高の15%程度の海外事業も伸ばしていく」。

小田切社長は新卒で広告代理店に入り、丸紅、アクセンチュアを経て、オンワードホールディングスで戦略企画室長を務めた。「クリエイティブとビジネスをどう融合するかは、経営者として私自身のテーマでもある。安定性と信頼を基盤に、ラジカルなイノベーションを引き起こす」と未来を見据える。

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予測精度が3倍・5倍・10倍に! マーチャンダイザーやバイヤーなら知っておくべき“統計の集約効果”とは?

WWDJAPAN.comは4月までマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」を連載していました。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか? 利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」「図解アパレルゲームチェンジャー」等の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説して行きます。今回は、第12話を取り上げます。

本部のバイヤーと店舗 どちらが正確に需要を予測できるのか

今回のテーマは、「統計の集約効果」です。

マンガ「在庫管理の魔術」の第12話は コチラ

アパレル業界では、古くから「本部のバイヤーと店舗のどちらが、より正確に需要を予測できるのか」という議論があります。多くの経営者は「お客さまに近いところにいる店舗の方が、お客さまのことをバイヤーよりずっと分かっているから、店舗に発注させた方が良い」と語ります。

これはもっともらしく聞こえますが、実は、この考え方は統計学的には間違っているのです。

その理由は、店舗ごとに見ると売れる商品もあれば、売れないものもある、また、売れる日もあれば、売れない日もある。つまり、店舗ごと、商品、日によって売り上げにはかなりのバラつきがあるからで、そのバラつきを個店ごとに予測するのは極めて難しいものです。

今回のストーリーでも「ある店舗のある品番の需要を予測するのは、ひと月先の天気を的中させるくらい難しい」と説明されています。

これに対して、店舗の需要をグロス、つまり、地域や全店など、まとまった店舗数の合計で考えると、個店ごとのバラつき、つまりプラス分、マイナス分が相殺され、一定のビジネストレンドに収れんされ、全体の傾向がつかみやすくなります。これが、統計の集約効果です。

統計学では、9店舗の売り上げデータを集約すると店舗ごとに需要予測をするよりも精度が3倍に、16店舗ならば4倍に、25店舗なら5倍に、100店舗なら10倍に向上することが立証されています。店舗数が多い大手チェーンストアが、本部で一括して仕入れる「セントラルバイイング」を導入しているのは、このためです。

欠品品番の在庫の68%はどこか他のお店でダブついている?

また、このストーリーに出てくる「ハンナズ」のように、ある店舗で売り切れた商品の68%は他の多くのお店に在庫があるという状態はよくある話で、在庫を必要以上に持っている別の店舗から、欠品しているあるいは欠品しそうなお店に在庫を回すような体制をつくれば、機会損失が劇的に減って定価販売率が上がり、最終消化率も上がることになります。

主人公の徹が言うように、平均3割の商品が欠品しているという状態の中で、他店から在庫を回してもらえれば、欠品は1割程度に抑えられ、つまり、20%の機会損失が解消され、売り上げが20%増えるということも夢ではありません。

店舗ごとの予測よりも本部でまとめて予測した方が、精度が上がる「統計の集約効果」、あるお店で欠品している商品の在庫の68%はどこか他のお店でダブついている可能性があるという統計はマーチャンダイザーやバイヤーなど仕入れ担当の方や、ディストリビューターや在庫コントローラーのような在庫運用担当者の方々は、ぜひ覚えておいてください。

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「デサント」、新丸ビルの店舗を2倍に増床 シューズやアーバンユニホームライン充実

「デサント(DESCENTE)」は6月27日、東京・丸の内の新丸ビル4階にある店舗を増床リニューアルオープンした。売り場面積は約151平方メートルと、リニューアル前の2倍以上に拡がった。“ラボ(実験室)”をイメージしたクリーンな内装が特徴で、強化中のシューズや、アーバンユニホームラインと位置付ける“デサント オルテライン アイオー(DESCENTE ALLTERRAIN I/O”などの品ぞろえを強化している。

スキーが原点にあるブランドとして、店舗奥の壁面には、早朝のゲレンデのピステンを思わせるストライプ模様を表現。手仕事ならではのムラがある左官仕上げがポイントだ。また、床の一部にはログハウスのような組み木も採用。無機質でシャープなイメージの中に温かみを添えている。レジ前にはソファも置いた。

横長の店舗の中央部分のファサードには、ガラスウォールにシューズを陳列している。シューズは「ゆくゆくはカテゴリー単独での展開も視野に入れている」という強化分野で、透湿防水素材と「ヴィブラム(VIBRAM)」ソールを採用した“ヴェルサー(VERTHER)”(2万2000円)や、アウトドアシューズ“モジュラライズ(MODULARIZE)”(2万4200円)などをラインアップする。

同フロアに「サロモン」、
「ザ・ノース・フェイス」も出店

シェルジャケットの“クレアス”(6万500円)や、5月の月間販売点数がブランド内で1位だったという日本製ポロシャツの“オリエリ”(1万7600円)など、看板アイテムである“水沢ダウン”に続くヒット商品が順次育ってきた。それらをカラーバリエーションをそろえて提案。アーバンユニホームラインの“デサント オルテライン アイオー”では、従来よりも軽い素材感のセットアップ(ジャケット3万5200円、パンツ2万4200円)をラインアップした。

週末のアウトドアシーン向けの本格的なシェルジャケットや、ランニングやトレーニングに対応したウエアもそろえる。メンズのイメージが強いが、ウィメンズも1ラックで展開している。

新丸ビル4階には、国産ダウンブランドの「ナンガ(NANGA)」が4月に出店。今夏にかけ、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」の都内最大店舗や、「サロモン(SALOMON)」もオープン予定だ。

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米ナイキ、25年5月期は大幅減収減益 純利益44%減 

米ナイキの2025年5月期業績は、売上高が前期比10%減の463億900万ドル(6兆7611億円)、純利益は同44%減の32億1900万ドル(4699億円)だった。第4四半期(3〜5月期)は売上高が前年同期比12%減の110億9700万ドル(1兆6201億円)、純利益は同86%減の2億1100万ドル(308億円)。24年10月に就任し、テコ入れに取り組むエリオット・ヒル(Elliott Hill)社長兼CEOは、「業績は予想通りではあるが、期待していた水準に達していない」とコメントしている。

地域別売上高では、北米が同9%減、欧州・中東・アフリカが同10%減、グレーターチャイナが同13%減、それ以外のアジア太平洋&ラテンアメリカが同7%減だった。「ナイキ(NIKE)」ブランドの売り上げの65%超を占める主力のフットウエアの売り上げが、北米、グレーターチャイナ共に同13%減と苦しんでいる。

「ナイキ(NIKE)」ブランドの売上高は前期比9%減の447億1400万ドル(6兆5282億円)だった。直営事業の売上高は同13%減。ECが20%減、直営店事業は横ばい。ヒルCEOのもとで再強化を進めている卸売事業は7%減。

引き続き、ライフスタイルやファッションではなくスポーツを事業の中心に据え、「スポーツオフェンス」と呼ぶ強化策を進める。「スポーツオフェンス」では、「主要スポーツでの差別化の推進、包括的な製品ポートフォリオの構築、消費者を刺激しつながるストーリーの創出」(決算資料から)などを行う。

なお、決算発表と同日の26日に、契約アスリートのフェイス・キピエゴン(Faith Kipyegon)選手と挑んだ、女子1マイル(約1.6キロメートル)走4分切りを目指すプロジェクト“ブレーキング4”の結果は4分6秒42と、4分切りはならなかった。キピエゴン選手自身が持つ世界記録(4分7秒64)は超えたものの、世界陸連が規定する公式記録ではないため、世界新記録更新とはならない。

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ダイドーリミテッドが「モモタロウジーンズ」運営会社を買収

ダイドーリミテッドは26日、「モモタロウジーンズ(MOMOTARO JEANS)」などを運営するジャパンブルー(岡山県倉敷市)の株式の80%を取得し、子会社にすると発表した。取得金額は約58億円。毛織物で発展したダイドーはスーツなどの重衣料アパレルを主力にするが、ジャパンブルーを傘下に入れることでジーンズカジュアルおよびデニム素材に事業領域を広げる。

ジャパンブルーはデニム産業が盛んな岡山の児島地区を拠点にしており、ジーンズブランド「モモタロウジーンズ」「ジャパンブルージーンズ(JAPAN BULE JEANS)」を展開するほか、デニム素材の製造・販売を行っている。特に「モモタロウジーンズ」は高品質な国産ジーンズとして有名で、国内だけでなく海外でも人気がある。24年8月期の業績は、売上高が前期比10.1%増の54億円、営業利益が同7.0%減の4億5200万円、純利益が同9.5%増の2億7600万円だった。

一方、ダイドーリミテッドは衣料事業と不動産賃貸事業の2つの柱を持つ。衣料事業は「ニューヨーカー」のほか、21年に連結子会社化したブルックスブラザーズジャパン、中国の自社縫製工場、16年に買収した伊素材メーカーのポルテトルトなどで構成する。不動産賃貸事業は毛織物工場跡地の再開発で1993年に開業した大型ショッピングセンター、ダイナシティ(神奈川県小田原市)などを手掛ける。2025年3月期の業績は、売上高が前期比0.3%減の286億円、営業損益が6400万円の赤字(前年同期が4億4200万円の赤字)、純損益が24億8300万円の赤字(同2億9100万円の黒字)だった。

ダイドーリミテッドをめぐっては、昨年6月、11年連続営業赤字の同社に対してアクティビスト(物言う株主)のストラテジックキャピタルが経営陣の刷新を求めて応酬を繰り返す異例の事態になった。株主総会を経て、ダイドー側が推す取締役とストラテジック側が株主提案する取締役で構成された新体制がスタートし、経営の立て直しを進めている。

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「タカキュー」改め「ティーキュー」に 61年ぶり屋号変更

メンズウエア専門店のタカキュー(東京、伊藤健治社長)は、主力業態「タカキュー(TAKA-Q)」の屋号を「ティーキュー(T/Q)」に改称する。27日に改装オープンするモラージュ菖蒲店(埼玉県久喜市)を皮切りに、新規店舗や改装店舗を順次、新しい屋号と新しい内装に変更していく。

同社は創業者の高久泰憲(たかく・たいけん)氏の名前からとった屋号「高久(たかきゅう)」を1964年に「TAKA-Q(タカキュー)」に改称し、今日に至るまで使用してきた。「タカキュー」は今年3月末時点で全国に約100店舗ある。新屋号「ティーキュー」はこれまで社内や一部顧客の間で呼ばれてきた愛称で、今年春以降の商品からタグに採用されている。従来のブランドイメージからの脱却し、新しい顧客を呼び込む狙いだ。

タカキューは東証スタンダードの上場企業。1950年6月30日設立で、まもなく75周年を迎える。近年は販売不振によって債務超過に陥り、24年春から官民ファンドの地域経済活性化支援機構の支援のもと、再建を進めている。25年2月期の業績は、売上高が前期比3.8%減の96億円、営業損益が2億300万円の黒字(前期は4000万円の赤字)、純損益は19億円の黒字(同1億200万円の赤字)だった。

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D2Cコスメの先駆け「グロシエ」、V字回復率いたCEOが年内退任 後任人選開始

米コスメブランド「グロシエ(GLOSSIER)」のカイル・リーヒー(Kyle Leahy)最高経営責任者(CEO)が年内で退任する。米「WWD」が入手した社内メモで明らかになった。同氏は移行期間中、現職を継続して務める。創設者であり前CEOのエミリー・ワイス(Emily Weiss)=エグゼクティブ・チェアマンは現職を継続する予定で、CEOに就くことはないという。

セフォラ進出で
D2Cからの脱却に成功

リーヒーCEOは、21年に同社初のチーフ・コマーシャル・オフィサー(CCO)として入社。翌22年5月にワイス前CEOから引き継ぐ形で就任した。同氏の指揮下、「グロシエ」は23年2月にセフォラ(SEPHORA)での展開を開始。それまでのD2Cモデルから一転、オムニチャネル戦略への転換を図った。セフォラとの提携前、業界筋は同ブランドの売り上げと話題性が低迷していると指摘していた。セフォラへの展開後、同社の23年の売上高は約2億7500万ドル(約396億円)と過去最高の売り上げを記録したと推定されている。今月、英国、中東、メキシコに続き、仏セフォラへも進出する予定だ。また、同社はコロナ禍の大幅な人員削減以降、戦略転換を進める中で、組織構造や人員配置の見直しを行った。

同氏は、「グロシエ」のフレグランス事業の拡大も指揮した。フレグランスは現在、同社で最も速く成長しているカテゴリーとなっている。昨秋、ヒット製品“ユー(You)”のシリーズとして、“ユー ドゥー(You Doux)”、“ユー レーヴ(You Reve)”の2種を各78ドル(各約1万1000円)で発売した。同氏は、フレグランスの売上高が1億ドル(約144億円)を超え、ブランド最大のカテゴリーであることを明かしている。さらに今月、トレンドのボディーケアカテゴリーにも参入した。既存のデオドラント製品の香り“サンドストーン(Sandstone)”を使ったボディーローションやボディーウォッシュ、ボディースプレーを発売した。

リーヒーCEOは従業員に宛てたメモの中で、「3年前、エミリーと私は『グロシエ』の次の章に関して気持ちが高ぶるニュースを共有し、エミリーが築いたこの会社のCEOを引き受けることを光栄に思った。今日、我々はビジネス規模、収益性、ブランド力の3つで定義される新たな章に到達した。この基盤を築いた今、取締役会と私は、この新たな成長フェーズを率いる新CEOを迎える適切なタイミングだと信じている」と述べた。

ワイス=エグゼクティブ・チェアマンは、「彼女の過去3年半にわたるリーダーシップと誠実な企業運営に心から感謝している。彼女は『グロシエ』の唯一無二の価値を深く理解している。持続可能性と利益追求のためビジネスモデルを進化させブランドの拡大を目指す中で、CEOとして最適な人物だった。次なるリーダーを彼女と協力して探すことを楽しみにしている」と述べた。

グロシエに出資する投資会社フォアランナーベンチャーズ(FORERUNNER VENTURES )のキルステン・グリーン(Kirsten Green)創業者兼パートナーは、「カイルは明確なビジョンと創造性、そして価値観と顧客への深いコミットメントを持って、会社の重要な転換期を導いてきた。 彼女のリーダーシップにより、『グロシエ』はこれまで以上に強固で野心的な企業となった。持続的な成長と文化的影響力の基盤は整っており、チームが次にどこへ向かうのか非常に楽しみにしている」とコメントした。

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アシックス、アジアパラリンピック委員会と公式サプライヤー契約締結

アシックスは、アジアパラリンピック委員会(以下、APC)と公式サプライヤー契約を締結した。契約期間は2026年12月31日まで。これにより、26年10月に名古屋で開催される第5回アジアパラ競技大会で、アシックスはAPCスタッフが使用するスポーツウエアやシューズなどを提供する。アジアパラ競技大会が日本で開催されるのは今回が初。

契約の調印に臨んだ廣田康人アシックス会長CEOは、「APCと協力しながら、多様性や創意工夫に満ちたパラスポーツの価値、無限の可能性を体現するパラアスリートの魅力を世界に発信し、一人でも多くの方に勇気と希望を感じていただきたい」とコメント。

アシックスは、日本パラスポーツ協会、日本パラリンピック委員会、日本パラ陸上競技連盟のオフィシャルパートナーも務めている。日本デフ陸上競技協会のオフィシャルパートナーでもあり、25年11月に東京で開催される第25回夏季デフリンピック競技大会のトータルサポートメンバーも務める。

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「無印良品」薬用コンシーラーなど4品を自主回収 容量記載漏れ

良品計画は26日、「無印良品」で6月に発売した薬用コンシーラー2品と薬用リキッドコンシーラー2品の計4製品について、自主回収すると発表した。化粧箱に内容量の記載がないことが判明したため。製品の品質には問題ないとしている。

回収対象は、トキワが製造した“薬用コンシーラー ナチュラル”と“同 オークル”、東色ピグメントが製造した東色ピグメントが製造した“薬用リキッドコンシーラー ナチュラル”、“同 オークル”の4品。

回収は、全国の無印良品店舗の持ち込みか、専用ウェブフォームを通じて実施する。フリーダイヤルでの問い合わせにも対応する。

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東京ガールズコレクション人気の立役者が語る、ファッションと観光が交わる未来

PROFILE: 永谷亜矢子/立教大学経営学部客員教授

永谷亜矢子/立教大学経営学部客員教授
PROFILE: (ながたに・あやこ)今年3月に「観光”未”立国 ニッポンの現状」を上梓。大学卒業後、リクルートで営業、企画、編集を担当。退社後「東京ガールズコレクション」の設立時にプロデューサー及び同運営会社の代表取締役を兼任、退任後、吉本興業にて全社PRや海外事業を担当し2016年に独立。現在は民間企業や地方自治体の事業プロデュースやマーケティング・PRコンサルタントを担う。観光庁、文化庁アドバイザーほか現在8自治体のアドバイザーとしてハンズオンで関わっている。

東京ガールズコレクション(TGC)を一大イベントに育てた立役者であり、現在は文化庁・観光庁の政策現場に身を置く永谷亜矢子氏がこのほど、著書『観光 立国〜ニッポンの現状〜』(扶桑社)を上梓した。

ガールズトレンドの最前線から、日本の観光施策の設計者へ。雑誌編集やTGCの運営で培ったコンテンツメーカーとしての感覚値と編集力を武器に、地方と国の未来に向き合っている。「日本には優れた観光資源があるが、マーケティングが決定的に欠けている」と語る彼女の視点は、ファッションと地方創生が交差する新たな文脈を浮かび上がらせる。

WWD:まず、これまでのキャリアについて聞きたい。

永谷:新卒でリクルートに入社し、営業と企画・編集を8年ほど担当した。当時のリクルートは営業至上主義的な情報誌の会社で、私が担当していたのは「ABロード」(現在は刊行終了)という海外旅行雑誌だった。

印象に残っているのは、ブータン取材。営業をしていたときに、編集長が急遽行けなくなり、私が代わりに行くことになった。取材なんて初めての経験だったのに、編集・ライティング・撮影ディレクションまで全部自分でやれと言われた。普通の出版社なら営業マンにそんなことはやらせないと思うが、リクルートでは「お前、書けそうだからやってみろ」と。当時は雑誌がバカ売れしていた時代。「ABロード」は広告情報が詰まった情報誌で、編集記事には、広告ページの申し込みの誘引が強く求められていた。

たとえば「4ページでタイのリゾート特集をつくる」となったら、「この限られた情報量でどう“行きたい”と思わせるか」「予約申し込みにどう誘導するか」を徹底的に考えなければならなかった。そうした訓練が、のちのTGCのコンテンツメイキングにすべて生きたと感じている。

WWD:TGCに関わるようになった経緯とは?

永谷:2003年にリクルートを退社後、携帯向けのファッションコンテンツ事業に携わり、05年に東京ガールズコレクション(TGC)を立ち上げ時にチーフプロデューサーに就任してイベント全体を統括することに。

当時のTGC運営事業社であったゼイヴェル社はTGCに加え「ガールズウォーカー」という女性向けケータイメディアと、「ファッションウォーカー」というECサイトも運営していた。通常、こうしたメディアやEC、イベントは別会社が担うため、競合関係になりやすい。しかし、私たちはそれらをひとつのグループ内で横断的に連携できた。それが大きな強みだった。

WWD:当時はガラケー全盛期。

永谷:「iモード」に代表される日本のモバイルコンテンツは世界でもトップレベルと称されていた。携帯で商品を買えるという仕組みは非常に注目されていた。だからこそTGCもPR設計を逆算し、会場で見たリアルクローズをその場で購入できる仕掛けに徹した。

それまでのファッションショーは、半年先のシーズンを関係者だけに見せる閉じた世界だったが、TGCは一般客に開かれたイベントであり、リアルタイムで「見て、買う」ことを可能にした。当時としては革新的な取り組みだったと思う。

WWD:ファッショントレンドは一般に「上から下へ」降りていくピラミッド構造。だがTGCはその“裾野”の部分でリアルクローズを再編集し、新しいトレンドを発信してきた。

永谷:まさにその通り。TGCでは、女性誌全盛期の勢いもあり、女の子たちのリアルに寄り添ったスタイル提案が刺さった。当時は「CanCam」が60万部、「ViVi」が50万部、「SWEET」は100万部というように、女性ファッション誌全体で1000万部時代だった。「JELLY」や「S Cawaii!」などのギャル系も絶好調で、「モテ系」「ギャル系」「青文字系」など、さまざまな女子カルチャーが日本のファッションビジネスを活気づけていた。

その勢いは中国やアジア各国にも波及し、「Ray」や「ViVi」などの日本のライセンス誌が現地で大量に売れていた。「コレクションからトレンドを落とす」というよりも、日本発の“カワイイ”が明確にカテゴリ化され、新たなクリエイティブが生まれていた。

WWD:当時は人気モデルに会えるリアルイベントの価値は非常に高かった。

永谷:TGCにエビちゃん(蛯原友里)が着用すれば、売り上げも爆発的に跳ね上がった。彼女が着用した服は即完売。経済効果は8000億円とも言われていた。専属モデル制度があったため、『CanCam』と『ViVi』のモデルが同じイベントに出るなど通常では考えられなかったが、TGCではそれが可能だった。

当然、事務所や出版社から抗議されることもあった。しかし「観客が本当に見たいものは何か」を突き詰めて考えた上で、あえて“裏切り”を演出することで、ファンの満足度はむしろ高まったと感じている。

WWD:今ではTGCも地方開催が定着しているが、当時から地方展開を行っていたのか?

永谷:名古屋、沖縄、宮崎など、さまざまな地域で開催していた。名古屋では母娘でショッピングする文化に合わせて、会場を半分ショッピングエリア化したり、百貨店と連動してその場で買い物ができるようにした。TGCとコラボしたクーポンを配布したり、会場限定メニューを開発したりもした。

東京発のコンテンツをそのまま持ち込むだけでなく、あえて“その土地の観光資源”に寄せた仕掛けを行うことに意味があった。たとえば「世界の山ちゃん」との手羽先天ぷらは、TGCとのコラボから生まれた。美味しかったため、現在では通常メニューとして定着している。沖縄ではビーチに近い会場で水着ショーを開催するなど、各地域ごとにカスタマイズしてイベントを構成していた。

WWD:そういった地方の魅力を発掘・編集する手腕が買われ、現在の仕事にも繋がっていく。行政に関わるきっかけは何だったのか。

永谷:観光庁・文化庁に関わるようになったのは19年ごろ。オリンピック前年の「日本の夜はつまらない」をどうにかせねばから始まった。観光消費額を増やすためには、夜間や早朝に過ごせるコンテンツが必要になる。宿泊を促すには「夜に何をするか」が重要で、ナイトタイムエコノミーが観光政策の柱として浮上してきた。

その中で観光庁のナイトタイムエコノミー推進協議会の理事として声がかかり、実際に現場の事業者支援や、自治体への伴走支援などを担うようになった。文化庁の取り組みでも、有形文化財の活用や夜間・早朝の文化プログラム開発に携わっている。

地方観光には「マーケティングが存在していない」

WWD:永谷さんが考える観光ビジネスのあり方とは。

永谷:まず観光とは、移住・定住・産業振興の「最初の接点」である。「一度訪れた土地が忘れられなくて、移住を考えるようになった」「地域の素材や文化に惹かれて商品開発したくなった」。そんな流れは珍しくない。

だからこそ、観光は“ただの誘客”ではなく、“関係人口を育てる設計”であるべきだ。“映え”だけを求めて写真を撮って帰る観光では、何も残らない。大事なのは、訪れた人が「この土地の文化や価値観が好きだ」と思い、何度も戻ってきたくなる関係をつくること。そういうファンをつくるのが、観光の本質であり、継続する地域経済の土台になる。

WWD:“質”が重要であると。

永谷:きちんとした「体験」を作らなくてはならない。きれいな景色がある「だけ」ではダメ。その背景にある歴史や文化、職人の技や食の哲学など、「知ったらもっと面白くなる情報」をしっかり伝える必要がある。観光客がその場で深く関われる導線も設計しておくべきだ。

加えて、訪れた人に「自分もこの地域の一部になれた」と思ってもらえるような関係性を作ること。たとえば伝統工芸の体験を通じて職人の話を聞く。郷土料理をつくるワークショップに参加する。それをSNSで発信してくれる。そうして関係性ができれば、再訪率も自然と上がっていく。

WWD:まず手をつけるべき課題は。

永谷:多くの自治体や官公庁の施策は「コンテンツをつくる」ことは頑張っているけれど、それを「どう届けるか」「どう買わせるか」の視点がまったく抜けている。つまりは、「マーケティングが存在していない」ということが一番の問題だと思う。

たとえば、どこにでもあるようなSUP(パドルボード)をアピールしても差別化は難しい。「漁師の船に乗って、自分で釣った魚をその場で調理して食べられる」という体験なら、それだけで十分に旅の目的になる。

そうした体験が「どこでできるのか」「どう予約するのか」「いつ空いているのか」が、ユーザーの目に見える形で提示されていることも大事。そこが整っていなければ、誰も知らず、来ない。Googleマップに載っていない、載っていても営業時間や定休日、アクセス情報が間違っている、有名観光地の公式サイトが機能していない。そんなケースも珍しくない。

WWD:新たなコンテンツをつくるよりも、既存資源を“見せる”ことが先決と。

永谷:そして、観光というのは、ただ一度人を呼んで終わりではない。どう継続させるか、どう熱量を維持していくかが重要で、それには「愛」と「必然性」が不可欠。

今、観光の現場や事業者の多くが、「来てくれたらラッキー」くらいの温度でしか動いていない。でも、実際はそんな簡単な話ではない。来た人がもう一度来たいと思うかどうか、そこに何を感じて、何を持ち帰るかが、次につながる鍵になる。

WWD:著書においても、「継続」の大切さを説いていた。そのエンジンになるのは。

永谷:私は、地域の若い事業承継者だと考えている。たとえば、100年続く酒蔵の5代目が、「このままじゃ無理だ」と感じて動き出す瞬間がある。古いラベルでは売れない。販路がない。ブランド価値も伝わっていない。そんなとき、彼らは一念発起して、海外向けの限定ラベルを開発したり、酒粕を入浴剤にしてコスメ展開したりする。

でも、それを実現するには、ものすごいエネルギーがいる。銀行に頭を下げて資金を確保し、デザイナーを探し、社内の30歳年上の職人たちを説得して動かす。誰もやり方を教えてくれない中で、自分で調べて、一歩一歩かたちにしていく。そこにはマーケティング、営業、マネジメント、すべてのスキルが必要とされる。

WWD:ファッション業界のノウハウやリソースが、そこに役立つことはあるか。

永谷:間違いなくある。今は、工芸品でも「売れない理由」が山ほどある。たとえば「肩掛けできないバッグ」「開口部が狭すぎて物が入らないポーチ」など。職人にとっては“伝統”でも、今の生活者には使いにくい。

そこにファッションの知見が入れば、「使える形に直す」「見せ方を変える」「価格を再設定する」ことができる。たとえば「地元の素材を使ったバッグ」を作るとしても、職人任せでは肩掛けひとつ設計できないことが多い。そこに、アパレル出身者が入って「このストラップの長さで、こういう使い勝手で」と具体的に詰めていけば、全然違う商品が生まれる。それをちゃんと売る、流通に乗せることもできる。

その“直した”事例がひとつでも売れれば、他の職人たちにも説得力が生まれるだろう。事例化と可視化がカギだ。

WWD:モノに付加価値をつけることも、ファッションの得意分野だ。

永谷:その通り。見る人によっては「ただの布」であっても、それに価値をつけ、数万円、数十万円で売るロジックとマジックを持っている。ブランドの文脈や物語性、デザインの力を使って価値を生む。その手法は地方の伝統工芸や観光資源にも応用できるはずだ。

たとえば藍染の反物。38cm幅で着物にしか使えない、家財や小物に使うにしても限界がある。ならば、糸から染めてはどうか?インテリアやアートに転用すればいい。藍染のカーテン、藍染のタペストリー、藍染のアートパネル。すべて再構築によって新しい市場が生まれる。

WWD:体験やストーリーが伴えば、さらに心に響く。

永谷:たとえば錫の器を、自分で叩いてつくるワークショップにするだけでいい。「見て」「買う」だけなら数千円の商品が、体験を伴うことで1万〜2万円に化ける。自分が手をかけた、一点ものという実感が価値になる時代だ。

ファッション業界の人間は、マーチャンダイジング、シーズン設計、サイズ感の最適化、販路戦略、ストーリーテリングまで、商品を“売る”ための全方位的な知見を備えている。しかもそれを、年に何度も高速でPDCAを回しながら実践し、知見を蓄えている。

伝統や技術に裏打ちされたモノ作りと、ファッション業界が得意とする“売れる仕組み”のノウハウ。それが掛け合わされば、地域産業に新たな価値が生まれるはずだ。

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「傘」ビジネスから見た気候変動 いつのまにか“主役“交代

PROFILE: 吉野哲/ウォーターフロント社長

吉野哲/ウォーターフロント社長
PROFILE: (よしの・さとし)1958年生まれ。中央大学経済学部卒業後、伊勢丹(現三越伊勢丹)に入社。サザビー(現サザビーリーグ)でのエストネーションの立ち上げ経て、レッグウエアの福助、タオルの小原およびタオル美術館の社長を歴任。23年3月にシューズセレクト(現ウォーターフロント)の社長に就任した

今年は6月だというのに真夏のように暑い日が多く、雨は比較的少なかった。気候変動による長い夏はアパレルビジネスに多大な影響を与えているが、雨が降ってこその傘ビジネスはどうなっているのか。大手傘メーカー、ウォーターフロント(東京)の吉野哲社長に聞いた。

WWD:6月中盤まで梅雨がどこかに行ってしまったかのような晴天と猛暑続きでした。傘ビジネスにとっては逆風ですか?

吉野哲ウォーターフロント社長(以下、吉野):いいえ、むしろ傘マーケットは好調です。傘は雨の日に使うものと考えがちですが、特にコロナが明け以降は晴雨兼用の折傘(折り畳み傘)が急速に市民権を得ました。当社も晴雨兼用の折傘がけん引する形で、今期(25年12月期)は過去最高の売り上げペースが続いています。

WWD:傘ビジネスはもはや雨頼みではない?

吉野:財務省の貿易統計をベースに、コロナ前の19年とコロナ後の24年で傘の市場がどう変化したか説明しましょう。傘は約99%が輸入品のため、貿易統計をみれば市場の概要をつかめます。

傘の輸入金額は19年が299億円でしたが、24年は405億円と約35%拡大しています。でも本数ベースでは19年に約1億本あったのが、24年には約14%減少している。つまり1本あたりの単価が1.5倍に上昇しているのです。

折り畳み傘が長傘を逆転

WWD:円安だからですか?

吉野:もちろん為替の影響は大きいのですが、それ以外の理由もあります。

一つは、ビニール傘の縮小。エコ意識の高まりもあって、使い捨てを前提にしたような安価なビニール傘から消費者が離れています。作る側もビニール傘の素材や強度を見直して、長く使用できる比較的高い商品を増やしたため、販売本数自体は減る傾向にあります。

二つめは、晴雨兼用の折傘を持つ人が急増している。夏の期間が長くなり、30度、35度を超えるような猛暑がずっと続きます。強い日差しから身を守るために日傘を使うのが当たり前になりました。突然のゲリラ豪雨もいまや日常です。紫外線のカットや遮熱効果のある日傘としての機能性。雨風に負けない雨傘としての機能性。この2つの機能性を兼ね備えた付加価値の高い晴雨兼用の折傘が売れ続けています。貿易統計でも金額ベースでみれば24年に初めて折傘が長傘を逆転しました(長傘が約196億円、折傘が約209億円)。

WWD:エコ意識と気候変動で傘に新しい需要が生まれていると?

吉野:かつて傘屋は雨が降らないと商売が干上がると言われていました。日傘のニーズ拡大でビジネスモデルがだいぶ変わったのです。晴雨兼用の折傘は、当社でもこの数年は倍増で成長しており、売り上げに占めるシェアも10数%まで上昇しました。傘業界でも毎年1.5倍くらいの速度で拡大しています。将来は晴雨兼用がスタンダードになる可能性もあります。

WWD:日傘は女性だけでなく男性の利用も増えていると聞きます。

吉野:日傘男子ですね。若い男性に限った話ではなく、最近は40代以上の男性も珍しくありません。週末に河川敷で子供のサッカーの練習を見守る父さんが日傘を差す姿をよく見かけます。夏のゴルフでも日傘は必需品です。日傘は男女に関係なく、熱中症から身を守るための備え。水筒やペットボトルと同じようにバッグに携帯するのが当たり前になるでしょう。

実は当社は男性向けの日傘では先駆者です。20年以上のロングセラー商品“銀行員の日傘“は、創業者の林秀信氏が当社担当の銀行員のために開発した傘です。大雨の日も炎天下の日も足繁く取引先を回る彼を喜ばせるために、男性が持っても違和感がないユニセックスデザインの晴雨兼用の折傘を作りました。ただ少し早すぎたようで、“銀行員の日傘“がヒットするのはだいぶ後のことでした。美白を意識した女優さんやモデルさんが愛用してくれて認知が広がったのです。

「傘は脇役でいい」

WWD:どんな商品が売れ筋なのですか?

吉野:“COKAGE +(コカゲプラス)“は、木陰のようなやさしさのある日傘をうたった高機能シリーズで、EC(ネット通販)で再入荷のたびに即日完売しています。UVカット率、遮光性、遮熱性に優れた東レの生地「サマーシールドⅡ」を使った機能性と洗練されたデザインが支持を集めています。弊社は卸売りが中心で平均的な価格は2000〜3000円台。一方“コカゲプラス“は7000円台。遮熱による涼しさを体感したという口コミがSNSで拡散され、この価格でも引っ張りだこです。

もう一つが“ZENTENKOU(ゼンテンコウ)“。UVカットに遮光性、そして風に強いのが特徴です。傘の骨にポリカーポネートというしなやかな素材を用いることで、強い雨風に耐えて壊れにくい。価格も2200円とお求めやすい。昨年は10万本以上を売りましたが、今年は30万本以上の受注を受けています。男女を選ばないユニセックスなデザインも好評です。“ゼンテンコウ“はファッションブランドとの協業も増えています。

WWD:とはいえ、晴雨兼用の折傘も競争が激化しています。どう差別化しますか。

吉野:大切なのは実用性とデザイン性です。私たちは傘をファッションアイテムとして売ろうとは考えていません。合理的な価格と機能美を追求します。傘は脇役でいい。服の邪魔をしてはいけない。でもデザインにはこだわる。クリエイティブディレクターを起用して、「ウォーターフロント」のブランディングに本腰を入れ始めたところです。ペールトーンの色の出し一つとっても独自の基準に従っています。

「ウォーターフロント」の躍進の一つのきっかけになった“ポケットフラット“は、畳むと厚さ2.5cmになる超薄型の折傘です。2004年の発売以来、累計2400万本を売っています。バッグに入れてもかさ張ることなく、しっかり雨傘として機能する。傘に新しい価値を与えたわけです。何を解決し、何を提供するか。傘専業メーカーとして地道に取り組んでいくつもりです。

WWD:2025年12月期は、売上高目標を40%増に設定しています。

吉野:晴雨兼用を中心に傘マーケット自体が成長軌道に乗っています。私たちも商品ラインナップの充実によってヒット商品がたくさん生まれているので、十分に可能と考えています。まだ当社のビジネス規模は小さいものの、中国や東南アジア市場も有望です。海外では雨が降っても日本ほど傘をささないと言われてきましたが、温暖化と猛暑化によって紫外線を避けたいと考える人が増えています。伸び代は大きいと思います。

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好調のオーダースーツ「カシヤマ」 SNS戦略や学割で10〜20代客が1.5倍に

オンワードパーソナルスタイルが運営するスーツを主力としたオーダーメード業態「カシヤマ(KASHIYAMA)」が実店舗ビジネスで急成長を遂げている。2024年度(25年2月期)の実店舗の売上高は前年比52%増と好調で、今期はさらに出店拡大を図っている。5月2日には京都初となる四条店を、24日には横浜駅西口から徒歩2分の場所に路面店をオープンし、66店舗に達した。

横浜西口店の売り場面積は約160平方メートル。オーダーメード店にありがちな“入りにくさ”を解消するため、ガラス張りの開放的なエントランスを採用し、店内は白を基調にした明るく洗練された空間に設計した。通路には明るい木材のハイチェアを設置し、「若者が自由に行き交うアップルストアのようなストアデザインを目指した」(関口猛社長)という。

試着室は大きな鏡を設置した6つを完備。目的や好みなどをヒアリングし、ウールベースの定番「クラシック」に加え、人気の高い“自宅で洗える”「コンフォート」などのカテゴリーを提案した後、3〜29号のサイズ、常時1000種類以上そろえる生地から選びながら、店頭のプロトタイプを試着し、専門スタッフが細かく採寸する。オーダーの内容は全てタブレットに記録され、決済が完了すれば、そのまま中国・大連にある工場にデータが送られる。完成したスーツは圧縮パックにていねいに梱包され、そのまま自宅に届く仕組みだ。その期間、わずか1週間ほど。このスピード感こそ、「カシヤマ」が2017年の設立から業界初の試みとして「カシヤマ」が強みとしてきたF2C(ファクトリー・トゥ・カスタマー)だ。

狙うは、オーダースーツに関心高い若年層と経験が少ない女性

「カシヤマ」はSNSを中心としたデジタルプロモーションや学割制度を通して、若年層の取り込みを強化してきた。1着2万円からオーダーできる学割の使用者は年々増え、24年度の10〜20代の顧客数は1.5倍に伸長。学割使用の売上高は同92%増を達成した。調査によると、既製品のサイズが合わない若者も多く、大半が「オーダースーツを買いたい」と回答しているという。またTikTokの公式アカウントでは、専門的なハウツー動画が特に好評で、600万回以上再生されているものも。若者の間でスーツへの関心が高まっていることがうかがえる。

横浜西口店の売り上げ目標は3億円。東口に構えるそごう横浜店との相乗効果と差別化を図る狙いだ。関口社長は、「横浜エリアだけでもまだまだ成長の余地があると期待している。今後さらに、世代別のプロモーション施策にも注力し、エントリー層のさらなる開拓やウィメンズの強化に取り組む。特にウィメンズは、若年層よりもオーダースーツに対する課題が多く、ファッション性のある商品力に加え、体験価値やコストパフォーマンスといった『カシヤマ』ならではの強みを活かして、新たな市場を切り拓きたい」と意気込む。今秋には新業態をローンチし、さらに出店を加速させる。

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「プラダ」のCEOが退任 後任は未定、親会社のCEOが暫定的に兼任

プラダ(PRADA)のジャンフランコ・ダティス(Gianfranco D’Attis)最高経営責任者(CEO)が、6月30日付で退任する。22日に開催した「プラダ」2026年春夏メンズ・コレクションのショーに同氏が来場していなかったため、海外メディアが同社に問い合わせたところ、「彼は互いの同意の上で退任することになった」とコメントしたことから明らかになった。

なお、情報筋の話によれば、事業戦略上の意見の相違などにより、グループのオーナーや経営陣との関係が硬化したことが退任の原因だという。

後任は現時点では未定。当面は、親会社であるプラダ グループ(PRADA GROUP以下、プラダ)のアンドレア・グエラ(Andrea Guerra)CEOが暫定的にブランドのCEOも兼任する。

ダティスCEOの経歴

ダティスCEOは、23年1月2日付で現職に就任。それ以前には、コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)が擁するジャガー・ルクルト(JAEGER LECOULTRE)のインターナショナル・マネージング・ディレクターや、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が擁するクリスチャン ディオール クチュール(CHRISTIAN DIOR COUTURE)アメリカ事業の社長を務めていた。

プラダの最近の動きについて

プラダは22年12月、当時LVMHで戦略開発シニア・アドバイザーを務めていたグエラを新たなCEOに任命。これに伴い、創業一族の出身でクリエイティブ面を率いるミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)共同CEO(当時)は同職から退き、パトリツィオ・ベルテッリ(Patrizio Bertelli)共同CEO(当時)は会長兼エグゼクティブ・ディレクターに就任した。これはグループのさらなる進化を促進しつつ、ミウッチャとベルテッリ会長兼エグゼクティブ・ディレクターの息子であるロレンツォ・ベルテッリ(Lorenzo Bertelli)最高マーケティング責任者兼CSR部門ヘッドが、将来的にスムーズに後継者となるための第一歩だとしている。

また、同社の最近の主な動きとしては、カプリ ホールディングス(CAPRI HOLDINGS)から「ヴェルサーチェ(VERSACE)」を12億5000万ユーロ(約2100億円)で買収したことが挙げられる。

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ユニリーバ、英国発の男性向けパーソナルケアブランドを買収

ユニリーバ(UNILEVER)は23日、米投資会社のサミット パートナーズ(SUMMIT PARTNERS)から英国発のパーソナルケアブランド「ドクター スクワッチ(DR. SQUATCH)」を買収することで合意したと発表した。取引の詳細は非公開だが、同ブランドの売上高は4億ドル(約576円)を超えると推定されている。

同ブランドは、2013年に米カリフォルニア州でジャック・ハルドルプ(Jack Haldrup)創業者によるハンドメイドソープから始まり、デオドラント、ヘアケア、コロンなど製品カテゴリーを広げた。19年にシードラウンドで資金を調達し、22年にはサミット パートナーズが過半数株式を取得した。複数の報道によると、同社は約1年にわたり売却先を模索しており、20億ドル(約2880億円)の評価額を目標にしていた。「ドクター スクワッチ」は北米と欧州を中心に展開し、昨年は俳優のシドニー・スウィーニー(Sydney Sweeney)やニック・キャノン(Nick Cannon)などを起用した広告を米最大のスポーツイベント「スーパーボウル」で公開した。

ユニリーバのファビアン・ガルシア(Fabian Garcia)=パーソナルケア部門社長は「『ドクター スクワッチ』は、魅力的な製品と卓越したデジタルエンゲージメント戦略で強固な基盤とロイヤルティーの高い顧客層を築いてきた。米国での成功を基盤に、国際的に拡大し、急成長する男性向けパーソナルケアカテゴリーにおける当社の製品ラインアップを強化できることを楽しみにしている」と述べた。

「ドクター スクワッチ」のジョシュ・フリードマン(Josh Friedman)最高経営責任者(CEO)は、「『ドクター スクワッチ』のミッションは、男性がより幸せで健康になるようインスパイアすることだ。ユニリーバと共に次の章でミッションに取り組めることを嬉しく思う。『ドクター スクワッチ』は始まったばかりだが、新たな高みを目指してブランドの規模を拡大し、高品質で自然な製品を求める世界中の消費者と出会う機会を得られることを嬉しく思う」と語った。

ユニリーバは、パーソナルケアブランドのポートフォリオを拡大する買収攻勢を強めている。同社は4月、英国のプレミアムパーソナルケアブランド「ワイルド(WILD)」を買収した。報道によると、取引額は2億3000万ポンド(約453億円)とみられている。同ブランドは20年に設立。再利用可能なアルミニウムケース入りと生分解性リフィルを特徴とするデオドラントを発売した後、ボディーソープやハンドソープ、リップバームなど、リフィル可能なパッケージを採用した製品ラインを拡大している。  

新たなブランドを取得する一方、ユニリーバは既存ブランドの終了や売却も続いている。昨夏に、米投資会社のイエロー・ウッド・パートナーズ(YELLOW WOOD PARTNERS)に「Qティップ(Q-TIPS)」「カレス(CARESS)」「ポンズ(POND’S)」「セントアイブス(ST.IVES)」などを含むエリダ・ビューティ(ELIDA BEAUTY)部門の売却を完了。5月には、内部要因と市場環境の悪化が重なったとして、自然派スキンケアブランド「レン(REN)」を終了した。フェルナンド・フェルナンデス(Fernando Fernandez)CEOは、業績不振の食品ブランドを売却する計画も明らかにしている。

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ユニリーバ、英国発の男性向けパーソナルケアブランドを買収

ユニリーバ(UNILEVER)は23日、米投資会社のサミット パートナーズ(SUMMIT PARTNERS)から英国発のパーソナルケアブランド「ドクター スクワッチ(DR. SQUATCH)」を買収することで合意したと発表した。取引の詳細は非公開だが、同ブランドの売上高は4億ドル(約576円)を超えると推定されている。

同ブランドは、2013年に米カリフォルニア州でジャック・ハルドルプ(Jack Haldrup)創業者によるハンドメイドソープから始まり、デオドラント、ヘアケア、コロンなど製品カテゴリーを広げた。19年にシードラウンドで資金を調達し、22年にはサミット パートナーズが過半数株式を取得した。複数の報道によると、同社は約1年にわたり売却先を模索しており、20億ドル(約2880億円)の評価額を目標にしていた。「ドクター スクワッチ」は北米と欧州を中心に展開し、昨年は俳優のシドニー・スウィーニー(Sydney Sweeney)やニック・キャノン(Nick Cannon)などを起用した広告を米最大のスポーツイベント「スーパーボウル」で公開した。

ユニリーバのファビアン・ガルシア(Fabian Garcia)=パーソナルケア部門社長は「『ドクター スクワッチ』は、魅力的な製品と卓越したデジタルエンゲージメント戦略で強固な基盤とロイヤルティーの高い顧客層を築いてきた。米国での成功を基盤に、国際的に拡大し、急成長する男性向けパーソナルケアカテゴリーにおける当社の製品ラインアップを強化できることを楽しみにしている」と述べた。

「ドクター スクワッチ」のジョシュ・フリードマン(Josh Friedman)最高経営責任者(CEO)は、「『ドクター スクワッチ』のミッションは、男性がより幸せで健康になるようインスパイアすることだ。ユニリーバと共に次の章でミッションに取り組めることを嬉しく思う。『ドクター スクワッチ』は始まったばかりだが、新たな高みを目指してブランドの規模を拡大し、高品質で自然な製品を求める世界中の消費者と出会う機会を得られることを嬉しく思う」と語った。

ユニリーバは、パーソナルケアブランドのポートフォリオを拡大する買収攻勢を強めている。同社は4月、英国のプレミアムパーソナルケアブランド「ワイルド(WILD)」を買収した。報道によると、取引額は2億3000万ポンド(約453億円)とみられている。同ブランドは20年に設立。再利用可能なアルミニウムケース入りと生分解性リフィルを特徴とするデオドラントを発売した後、ボディーソープやハンドソープ、リップバームなど、リフィル可能なパッケージを採用した製品ラインを拡大している。  

新たなブランドを取得する一方、ユニリーバは既存ブランドの終了や売却も続いている。昨夏に、米投資会社のイエロー・ウッド・パートナーズ(YELLOW WOOD PARTNERS)に「Qティップ(Q-TIPS)」「カレス(CARESS)」「ポンズ(POND’S)」「セントアイブス(ST.IVES)」などを含むエリダ・ビューティ(ELIDA BEAUTY)部門の売却を完了。5月には、内部要因と市場環境の悪化が重なったとして、自然派スキンケアブランド「レン(REN)」を終了した。フェルナンド・フェルナンデス(Fernando Fernandez)CEOは、業績不振の食品ブランドを売却する計画も明らかにしている。

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“尖った”日本発コスメ「アーレス」の勢い加速 海外も熱視線

ビューティブランド「アーレス(AHRES)」が、右肩上がりの成長を続けている。2022年12月の立ち上げ以降、百貨店を中心に販路を広げ、現在は国内で7店舗を展開。25年4月には、約1年半にわたりポップアップ展開していた阪急うめだ本店に常設店を開設した。同店3階の「ビヨンドワールド」内に位置し、ブランドの認知向上と売上増につながっている。

アジア市場への本格展開も進める。24年には、台湾の10/10グループが展開するセレクトショップ「10/10 HOPE」と「10X」の計7店舗で取り扱いを開始し、ECも展開。25年6月からは香港の「10/10 HOPE」4店舗およびECでも販売を開始した。今後もアジア圏を中心に海外展開を拡大する方針だ。

国内においては、訪日観光客による売り上げが堅調だ。旗艦店の表参道店では、来店客の6〜7割がインバウンド客で、特に中国、台湾に加え、アメリカ、ロシア、アラブ諸国の訪日客も増加している。大阪高島屋店も訪日客による売上構成比が高く、「“尖った”ジャパンビューティブランドとして高評価を得ている」(小野地貴志ゼネラルマネージャー)と、自信を見せる。

顧客は男女問わず広がっており、購入比率は女性7割、男性3割。女性はスキンケア製品、男性はフレグランスからのエントリーが多いという。売れ筋はクレンジングや、フレグランスの“サユ”が人気を集めており、3月に発売した“ザ リップ”(3種、 各5500円)も順調な滑り出しとなっている。

酒粕を用いた新製品で“土壌美容”を体現

「アーレス」が掲げるのは、“ニュージャパンラグジュアリー”という価値観だ。日本古来の素材や文化を現代的に昇華させた製品開発を進めており、9月には新たな象徴となる化粧水“PÅWN/ポーン”(300mL、9900円)を発売する。

同製品は、神奈川・茅ヶ崎の老舗酒蔵・熊澤酒造の酒粕を使用し、3年以上熟成させた後に再度酵母で発酵させた独自の“二段仕立て熟成発酵液”を配合。「アーレス」が提唱する「土壌美容」理論に基づき、肌の常在菌が快適に過ごせる潤い環境を素早く整えるという。

今後も「アーレス」は、スキンケア、フレグランス、メイクアップの3カテゴリーで独自性を追求しながら、国内外でのブランド価値向上を図る。ジャパンビューティの新たな形として、アジアを起点に世界市場でのプレゼンス拡大を狙う。

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佳子さまファッションを考察してみた:記者談話室vol.182

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、記者たちが分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

今回のテーマは「佳子さまファッションを考察してみた」です。秋篠宮家の次女・佳子さまのファッションが話題です。6月のブラジル訪問では、視察先でお召しになる服がメディアで連日紹介され、その服装に込められたメッセージを考察する記事もたくさん出ていました。皇室あるいは政治家などが着る服の意味を話し合ってみました。

この配信は以下のアプリでもご利用いただけます。
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ファストリ、仏子会社で法的再生手続き申請 「コントワー・デ・コトニエ」「プリンセス タム・タム」を運営

ファーストリテイリングは、連結子会社であるファーストリテイリング フランス(FAST RETAILING FRANS S.A.S.)が現地時間6月20日に、パリ商業裁判所に法的再生手続きの申し立てを行ったと発表した。ファーストリテイリング フランスはウィメンズのカジュアルウエア「コントワー・デ・コトニエ(COMPTOIR DES COTONNIERS)」とランジェリー「プリンセス タム・タム(PRINCESS TAM TAM)」を運営している。

同申し立てにより、「コントワー・デ・コトニエ」と「プリンセス タム・タム」の「事業再生計画を進め、財務基盤を安定化し、事業の持続的な成長を確立することを目指す」(発表リリースから)。両ブランドにつき、「客の需要の変化に対応して店舗網を刷新し、小型店舗で接客販売する旧来型事業から、客に新しい購買体験を提供できる事業への変革を実行する」。

法的再生により、「主要都市への店舗網の集約や両ブランドを同一店舗で販売するなどの辞表構造改革を加速する。これにより、ランジェリーからカジュアルウエアまで、高品質・適正価格の“フレンチ・ワードローブ”コレクションを、ワンストップで、より便利かつ快適に購入できる業態に転換していく」。

なお、こうした申し立ては「迅速な店舗網の縮小に必要となるフランス法に規定された手続きであり、一時的に事業環境が悪化しているものの、再生が可能と判断された企業が申請できるもの」と説明する。

ファーストリテイリングは2005年に「コントワー・デ・コトニエ」事業を、06年に「プリンセス タム・タム」事業を買収。近年は、「ユニクロ(UNIQLO)」が両ブランドとのコラボ商品を、それぞれのインライン商品よりも買いやすい「ユニクロ」価格で企画し、認知向上につなげると同時にテストマーケティングを行なっていた。

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ファストリ、仏子会社で法的再生手続き申請 「コントワー・デ・コトニエ」「プリンセス タム・タム」を運営

ファーストリテイリングは、連結子会社であるファーストリテイリング フランス(FAST RETAILING FRANS S.A.S.)が現地時間6月20日に、パリ商業裁判所に法的再生手続きの申し立てを行ったと発表した。ファーストリテイリング フランスはウィメンズのカジュアルウエア「コントワー・デ・コトニエ(COMPTOIR DES COTONNIERS)」とランジェリー「プリンセス タム・タム(PRINCESS TAM TAM)」を運営している。

同申し立てにより、「コントワー・デ・コトニエ」と「プリンセス タム・タム」の「事業再生計画を進め、財務基盤を安定化し、事業の持続的な成長を確立することを目指す」(発表リリースから)。両ブランドにつき、「客の需要の変化に対応して店舗網を刷新し、小型店舗で接客販売する旧来型事業から、客に新しい購買体験を提供できる事業への変革を実行する」。

法的再生により、「主要都市への店舗網の集約や両ブランドを同一店舗で販売するなどの辞表構造改革を加速する。これにより、ランジェリーからカジュアルウエアまで、高品質・適正価格の“フレンチ・ワードローブ”コレクションを、ワンストップで、より便利かつ快適に購入できる業態に転換していく」。

なお、こうした申し立ては「迅速な店舗網の縮小に必要となるフランス法に規定された手続きであり、一時的に事業環境が悪化しているものの、再生が可能と判断された企業が申請できるもの」と説明する。

ファーストリテイリングは2005年に「コントワー・デ・コトニエ」事業を、06年に「プリンセス タム・タム」事業を買収。近年は、「ユニクロ(UNIQLO)」が両ブランドとのコラボ商品を、それぞれのインライン商品よりも買いやすい「ユニクロ」価格で企画し、認知向上につなげると同時にテストマーケティングを行なっていた。

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ファッション&ビューティ業界人の必修科目 有力企業の成長戦略を学ぶ

「WWDJAPAN」は毎年4月に「ファッション&ビューティ業界入門」の特集を発行している。今年は、LVMHグループやファーストリテイリング、ロレアルなど、国内外の有力68社とその傘下のブランドの最新動向を一挙にまとめ上げた。5月下旬、この特集を深掘りする場として、担当記者が登壇する「業界分析セミナー」を開催。フレッシャーズからベテランまで、業界人必見の内容をリポートする。

購入には事前にOneStreamの会員登録が必要です。
視聴期限:2026年6月6日(日)23:59 まで
「アカウント作成はこちら」から作成してください。
※10分間のお試し視聴ののち、「購入する」ボタンが表示されます。

セミナーは、コレクションサーキットを取材する村上要「WWDJAPAN」編集長が、ラグジュアリーブランドの好不調の要因を探るところからスタート。業界の巨人・LVMHグループの傘下ブランドから学べることは何か。

今や「エルメス(HERMES)」や「シャネル(CHANEL)」と肩を並べる「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、エレベーション戦略がうまい。同ブランドはかつて、当時のアイコンバッグ“ネヴァーフル”(現在は20万円台〜)に代わり、“カプシーヌ”(100万円台〜)の打ち出しを強化した。これにより、「ブランドイメージのアップグレードに成功。多くのブランドがエレベーションのお手本としてきた」。一方、「ロエベ(LOEWE)」の強さは10万円台のバッグに始まり、“ペブル”(30万円台〜)、“パズル”や“フラメンコ”(50万円台〜)、“マドリード”(70万円台〜)と、価格帯別にアイコンバッグを抱える点にある。マフラーやブローチなど、エントリー商材も充実し、「実際は値上げしているが、『値上げしていない』という感覚が生まれ、幅広い人々に人気となった」。

続いて、林芳樹「WWDJAPAN」編集委員による、グローバルSPAの解説に移った。同カテゴリーで、2024年の売上高が3位にランクインした国内企業・ファーストリテイリングの説明に熱が入る。「『ユニクロ(UNIQLO)』はまさに“服のインフラ”。24年、クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Kellar)がクリエイティブ・ディレクターに就任してからは、そこに“情緒”も加わった」。商品の普遍性にあぐらをかかず、各国の気候や生活に対応したMDも実施。結果、24年8月期は、前期比12.2 %増の売上高3兆1038億円、営業利益は同16.1%増の5009億円と、ともに過去最高を更新した。

アシックスの成長速度も加速している。売上高は20年間で約4倍。うち、8割以上が海外での売り上げだ。加えて「稼ぎ頭が国や地域で異なる。日本や東南アジアでは“オニツカタイガー”が、北米や欧州では“ランニング”が主力商品。業界を見渡しても、ユニークな売り上げ構成」。20年ぶりに最終赤字を発表した18年の「北米の悲劇」、箱根駅伝で着用選手がゼロ人になった21年の「箱根の屈辱」も乗り越え、「売上高1兆円」を目標に掲げる企業になった。

ビューティ企業の動向はどうか。今回研究対象として取り上げたのはロート製薬だ。2024年3月期の売上高は、前期比12.8% 増の1768億円。ポーラ・オルビス ホールディングスを上回り、国内4位に浮上した。新関瑠里「WWDJAPAN」ヘッドリポーターは、同社の強みを次のように語る。「ロート製薬は製薬会社。スキンケアに『(美容医療並みの)効果・効能を今すぐ』求める昨今の消費者マインドに合っている」。また、「ビューティ=健康」という考えを、健康意識が高まったコロナ禍の前から打ち出してきた。近年注目度が高まるグローバルサウスにも、競合他社より早く乗り出した。時代の追い風もあるが、好調の背景には、ほかならぬ先見の明があったからに違いない。

セミナー後は、登壇者と聴講者で恒例のミートアップを実施。学びに溢れた2時間半を締めくくった。

購入には事前にOneStreamの会員登録が必要です。
視聴期限:2026年6月6日(日)23:59 まで
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※10分間のお試し視聴ののち、「購入する」ボタンが表示されます。

問い合わせ先
INFASパブリケーションズ カスタマーサポート
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「スティーブマデン」、「『アディダス』は全てのストライプの権利を持つわけではない」と裁判で主張

ニューヨーク発のシューズブランド「スティーブマデン(STEVE MADDEN)」は、「アディダス(ADIDAS)」が「ファッション業界における一般的なデザイン要素の独占的支配を試みている」として、非侵害および不公正競争不存在の確認を求めて同社を提訴した。「スティーブマデン」によると、「『アディダス』の“スリーストライプス”と何ら似ていないデザイン要素に対して繰り返し標的にされてきたことに疲弊している」ことが今回の訴訟提起につながったといい、「これらのデザインを含む当社のフットウエアを、『アディダス』が製造または承認した、あるいは同社と関連していると消費者が考える可能性はない」と主張する。「アディダス」の担当者は、「係争中の法的問題についてはコメントしない」と取材に対して回答した。

訴状によると、「アディダス」は長年にわたり、「スティーブマデン」および他の企業に対して、同社の「“スリーストライプス”商標を侵害している」として、「攻撃的な権利行使を行ってきた」という。また、「『アディダス』は、いかなる種類・配置のストライプであっても、それが自社の“スリーストライプス”と混同される可能性があるとみなした場合、製造業者や小売業者に対し訴訟または訴訟を提起すると脅してきた」と主張。「スティーブマデン」は、こうした「アディダス」の法的圧力の「被害者になってきた」と主張し、2002年以降、複数回にわたり「アディダス」に提訴されたと主張した。特に02年には、四本線や二本線のフットウエアが“スリーストライプス”を侵害しているとして、「アディダス」から2件の訴訟を提起されたという。これらは統合され、03年に和解に至った。

しかし、その後も「スティーブマン」は「アディダス」によって継続的に異議を申し立てられてきたとし、直近も24年に発売した2種類のスニーカーに対しても異議を唱えられ、そのうち1種類については、「消費者の混乱を招く恐れがある」として、「アディダス」から販売中止を求める要求があったという。

「スティーブマン」は、「『アディダス』はすべてのストライプを所有しているわけではない。ストライプ、バー、バンド、四辺の形状(直線・平行であるか否かを問わず)を含むフットウエアに対して、独占的権利を主張することなど許されるべきではない」と強く主張している。

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欠品しているのに在庫が余るのはなぜか? 店舗と本部の信頼関係から生まれる発注精度の向上

WWDJAPAN.comは4月までマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」を連載していました。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか? 利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」「図解アパレルゲームチェンジャー」等の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説して行きます。今回は、第11話を取り上げます。

欠品と余剰が同時に起こるカラクリとは

今回のテーマは「欠品しているのに在庫が余るのはなぜか?店舗と本部の信頼関係から生まれる発注精度の向上」です。

マンガ「在庫管理の魔術」の第11話は コチラ

チェーンストアにおいて、バイヤー(仕入れ担当者)は実際の需要よりも多めに商品を発注する傾向があります。その背景には、店舗で欠品が発生すると販売チャンスを逃すことになるため、多少多めに仕入れておこうという意識があるためです。また、店舗に商品を配分するディストリビューターや在庫コントローラーも、欠品によって営業側から指摘されることを恐れ、初回配分を厚くする傾向があります。

その結果として、一部の店舗ではよく売れて欠品を起こし、倉庫には補充在庫がなくなる。一方で、売れ行きが鈍い店舗には商品が過剰に残ってしまう。この在庫の偏りこそが、チェーン全体で在庫が過多になる大きな原因となっているのです。

さらに問題を深刻にするのが、欠品を起こした店舗からの「売れ筋が欠品しているので売上目標が達成できない」という苦情に対し、バイヤーが追加発注してしまうこと。こうして、チェーン全体として実需を上回る在庫が積み上がっていくのです。

そもそも、店舗の最重要ミッションは売上目標の達成であり、そのためには売れ筋商品を切らすことは避けたいものです。だからこそ、倉庫に在庫があると知れば、他店に取られる前に、自店の分を確保しようと多めに在庫を抱えがちになります。しかし、これが結果的に、各店の過剰在庫を生む原因にもなっています。

では、もし「売れた分だけが翌日に必ず届く」体制が整っていたらどうでしょうか。店舗側から見れば、必要な時に必要な商品が必要な分だけ届くという信頼があれば、不安からくる過剰在庫の確保は不要になります。言い換えれば、本部と店舗の間に「適時適量で在庫が補充される」という信頼関係が築かれていないからこそ、現場は自衛的に在庫を抱え込んでしまうのです。

仕入れ担当者の発注精度を高めるには

過剰在庫問題の解決には、まずこの信頼の土台を築くことが不可欠です。そしてそのためには、仕入れ担当者が発注量を高い精度で見極められることが求められます。仕入れ精度が低ければ、いくら配送体制を整えても、結局は欠品と余剰が同時に発生してしまいます。

仕入れ担当者の発注精度を高めるにはどうしたらいいのか?これはよく経営者の方々から受ける相談のひとつです。しかし、ここで誤解してはならないのは、「仕入れ精度の向上=担当者の経験や勘の熟練化」ではないという点です。実際には、店舗在庫が最適化されていなければ、正しい全体需要を把握することはできません。逆に言えば、店舗在庫が適正であれば、全店の需要と倉庫在庫から計算できる“本当に必要な量”をバイヤーが見極めやすくなります。実は、これが、仕入れの精度を高めるための第一歩なのです。

今回のストーリーでも、よく在庫管理のテキストに書いてある「安全在庫」や「リードタイム」に関する基本原則が登場します。たしかに理屈としては正しいのですが、実際の現場では理論通りにやっていても欠品や過剰在庫がなくならないことは多々あります。その背景には、担当者や現場が「欠品を恐れるあまり余計に在庫を持ってしまう」という行動心理があるのです。

欠品と過剰在庫を本質的に解消するためには、発注精度のスキルの向上だけでなく、それを支える店舗と本部の信頼関係と店舗在庫の最適化が必要です。まずは本部と店舗の相互理解を深め、現場に「安心して任せられる」環境を整えること。それこそが、発注精度を高め、在庫問題の本質的な解決につながる第一歩なのです。

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三井アウトレットパーク木更津、中長期で売上高1000億円めざす

三井不動産は20日、千葉県の三井アウトレットパーク(MOP)木更津の第4期増床エリアを23日のオープンに先駆けて関係者に公開した。30店舗が出店することで、計330店舗の店舗数日本最大のアウトレットモールになる。スポーツなどのイベントが開催できる広場など、より長く滞在できる仕掛けを充実させた。今回の増床分が年間でフルに稼働する26年度(27年3月期)に売上高850億円を計画する。

第4期増床エリアにはプロパー店舗含めて日本最大面積となる「ナイキ」、関東のアウトレットでは初店舗となる「ルルレモン」「メゾンキツネ」「アミリ」のほか、「ロンハーマン」「ザ・ノース・フェイス/ヘリーハンセン/ゴールドウイン」「ドルチェ&ガッバーナ」「ソフ」「インスタント」「バブアー」「サロモン」「フェラガモ」「PXG」などバラエティに富んだ顔ぶれがそろった。

店舗だけでなくイベントスペースに力を入れる。人工芝を敷き詰めた700平方メートルの大屋根広場では、スポーツや食のイベントを定期的に開く。出店する「ルルレモン」はヨガ教室を実施する。また子供を含めた若い世代の利用を見込んだスケートボードパークは、スケートボードブランド「インスタント」が教室や競技会などを行う。

「バブアー」を出店したマッシュホールディングスの蓮見裕基・店舗開発本部長は「木更津は都内からのアクセスが良く、特に23区の南部(品川区、大田区、目黒区など)にお住まいの富裕層の集客が見込める」と期待を寄せる。「ホカ」を運営するデッカーズジャパンの徳田真利マネージャーは「千葉県内にはプロパーの直営店がないため、ファーストユーザーとの接点を作る場にしたい」と話す。

MOP木更津は2012年4月に開業。14年と18年の増床によってラグジュアリーからカジュアル、スポーツブランドまで豊富な品ぞろえが支持され、25年3月期の売上高は前期比8%増の690億円に達した。東京都心からアクアラインで東京湾を渡って60分前後という利便性も特徴で、客の約6割は千葉県外からやってくる。

今回の増床を機に26年度に売上高850億円、長期的には1000億円の達成を目指す。日本のアウトレットモールの24年度の売上規模としては、1位の御殿場プレミアム・アウトレット(運営:三菱地所サイモン)の1409億円、2位の神戸三田プレミアム・アウトレット(同)がMOP木更津の上位にいるが、これらに迫る規模へと成長させる。

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三井アウトレットパーク木更津、中長期で売上高1000億円めざす

三井不動産は20日、千葉県の三井アウトレットパーク(MOP)木更津の第4期増床エリアを23日のオープンに先駆けて関係者に公開した。30店舗が出店することで、計330店舗の店舗数日本最大のアウトレットモールになる。スポーツなどのイベントが開催できる広場など、より長く滞在できる仕掛けを充実させた。今回の増床分が年間でフルに稼働する26年度(27年3月期)に売上高850億円を計画する。

第4期増床エリアにはプロパー店舗含めて日本最大面積となる「ナイキ」、関東のアウトレットでは初店舗となる「ルルレモン」「メゾンキツネ」「アミリ」のほか、「ロンハーマン」「ザ・ノース・フェイス/ヘリーハンセン/ゴールドウイン」「ドルチェ&ガッバーナ」「ソフ」「インスタント」「バブアー」「サロモン」「フェラガモ」「PXG」などバラエティに富んだ顔ぶれがそろった。

店舗だけでなくイベントスペースに力を入れる。人工芝を敷き詰めた700平方メートルの大屋根広場では、スポーツや食のイベントを定期的に開く。出店する「ルルレモン」はヨガ教室を実施する。また子供を含めた若い世代の利用を見込んだスケートボードパークは、スケートボードブランド「インスタント」が教室や競技会などを行う。

「バブアー」を出店したマッシュホールディングスの蓮見裕基・店舗開発本部長は「木更津は都内からのアクセスが良く、特に23区の南部(品川区、大田区、目黒区など)にお住まいの富裕層の集客が見込める」と期待を寄せる。「ホカ」を運営するデッカーズジャパンの徳田真利マネージャーは「千葉県内にはプロパーの直営店がないため、ファーストユーザーとの接点を作る場にしたい」と話す。

MOP木更津は2012年4月に開業。14年と18年の増床によってラグジュアリーからカジュアル、スポーツブランドまで豊富な品ぞろえが支持され、25年3月期の売上高は前期比8%増の690億円に達した。東京都心からアクアラインで東京湾を渡って60分前後という利便性も特徴で、客の約6割は千葉県外からやってくる。

今回の増床を機に26年度に売上高850億円、長期的には1000億円の達成を目指す。日本のアウトレットモールの24年度の売上規模としては、1位の御殿場プレミアム・アウトレット(運営:三菱地所サイモン)の1409億円、2位の神戸三田プレミアム・アウトレット(同)がMOP木更津の上位にいるが、これらに迫る規模へと成長させる。

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セーレン、ユニチカの岡崎事業所を買収 敷地面積は「レイクタウン」とほぼ同じ

経営再建中のユニチカは6月20日、ポリエステル繊維の主力拠点である岡崎事業所(愛知県岡崎市)をセーレンに売却することで基本合意した。岡崎事業所はポリエステルの重合と繊維生産、不織布の製造などを行っており、敷地面積は約32万㎡。セーレンは、2005年にも経営不振に陥った名門のカネボウから合成繊維事業を買い取り、KBセーレンとして再建し、高収益企業として立て直していた。

岡崎事業所は1935年に日本レイヨン(現ユニチカ)岡崎工場として創業を開始。1966年に日本エステルを設立。敷地面積は、日本最大のショッピングセンターである「イオンレイクタウン」とほぼ同じ32万㎡。ユニチカのポリエステルの重合やポリエステル繊維の製造の主要拠点で、吸水・汗拡散素材の「ルミエース」、太陽光遮蔽素材の「サラクール」、バイメタル構造を持つナチュラルストレッチ素材ポリエステル「ゼットテン(Z-10)」、日本初のポリ乳酸(PLA)繊維「テラマック」などを生産。不織布(スパンボンド)の生産も行っている。

今回譲渡対象の事業には、上記のほか、岡崎事業所で生産する産業用のポリエステルやポリエステル高強力糸も含まれる。8月中の最終契約、年内の譲渡を計画している。

経営再建中のユニチカは昨年11月に祖業の繊維事業からの撤退を明らかにしており、今年8月中を期限に事業の譲渡先を探している。国内の繊維工場では他に、ポリエステルとコットンの複合素材「パルパー」やインドの超長綿「スビン」綿の極細番手糸を使った超高密度織物「舞鳳凰」などを生産する常磐工場(岡山県総社市)、子会社で「リバティ」のプリントを手掛ける染色工場の大阪染工(大阪・山崎)などがある。

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【27日まで早割受付中】「#FR2」とPlan・Do・Seeに学ぶ、リアル時代における“体験資本主義”の進化系

“体験主義”の進化系
「#FR2」とPlan・Do・Seeが切り拓く、熱狂的ファンを生む哲学

このような人におすすめ

・D2Cブランドの経営層・事業責任者
・ファッション/ライフスタイル企業のマーケティング・販促責任者
・店舗開発や空間設計、コミュニティービルディングに関わる実務層
・次世代の事業責任者

 


インフォメーション

日時

2025年7月25日(金)13:00〜16:00
※講座開始30分前から会場受付開始

実施方法

会場 または オンライン受講
※受講前日17時と当日9時を目安に、ご案内メールをお送りしますので、ご入力にお間違いがないようご注意ください。セミナー当日は受付でメールをご提示ください。
※オンライン受講の方は、ご案内メールに視聴用URLを記載しております。また、OneStreamでの配信を予定しています。
※ご案内メールが届かない場合は迷惑メールフォルダなどもご確認ください。
※セミナー終了後、会場&オンライン受講者へのアーカイブ配信の案内はありませんのでご了承ください。後日アーカイブ動画は、単体で購入することが可能です。

会場

株式会社TSIホールディングス 本社
東京都港区赤坂 8-5-27 住友不動産青山ビル東館

募集人数

会場:先着50名
オンライン:100名

募集期間

2025年6月20日(金)〜 2025年7月24日(木)12時まで
【早割10%OFFキャンペーン】
6/27(金)18時までのお申し込みで、一般価格から10%OFFで受講いただけます。
申し込み画面でクーポンコードを入力してください。
クーポンコード:HVA70F8L6J

受講料金

一般価格:22,000円19,800円早割10%OFF
スタンダードプラン:15,400円 30%OFF
ライトプラン:19,800円 10%OFF
※表示価格は全て1名様分、税込です。
※他のクーポンとの併用はできません。
※早割期間内であっても、募集人数に達し次第受け付けを締め切らせていただく場合がございます。


クーポンコードをご利用の方は、申し込み画面で入力してください
早割クーポンコード【HVA70F8L6J】/有料会員の方はこちらからクーポンコードを取得してください



プログラム

 

変化の激しい時代において、ファッション・ライフスタイルブランドが成長するには、モノだけではなく「語られる体験」をいかに構築し、“売り上げ”に繋げるかが重要です。このセミナーでは、「空間」や「カルチャー」「世界観」「コミュニティー」といったブランドの無形資産を重視し、熱狂的ファンを生み出して事業を拡張している2つの先進ブランドの戦略と実践を紐解きます。
テーマは「“体験主義”の進化系」。
「#FR2」が構築する“熱狂を生むファンベース”と、Plan・Do・Seeが取り組む関わる人の誇りと街の価値を向上する“おもてなし”というアプローチを比較しながら、実現可能な体験設計の共通項を探りつつ、ブランド拡張戦略を掘り下げます。スタートアップから大手まで、ブランド担当者による実践知の獲得を目指すセッションです。

【Introduction】13:00~13:10(10分)

改めてファッション&ビューティ業界の「体験資本主義とは何か」?

最初のパートでは「体験資本主義」、商品やサービスを購入するだけでなく、体験そのものを重視する消費行動や経済活動に改めて迫ります。なぜ、若い世代はモノの所有よりも、思い出や感情、経験を重視するのか?そしてファッションやビューティ業界各社は、その兆候をどのように捉えてビジネスに活用しているのか?いくつかの事例を交えながら、価値観が大きくシフトしていることを確認します。

スピーカー:村上 要/WWDJAPAN編集長
PROFILE:(むらかみ・かなめ)1977年7月7日生まれ。東北大学教育学部卒業後、地元の静岡新聞社で社会部記者を務める。退職後、ニューヨーク州立ファッション工科大学(F.I.T.)でファッション・ジャーナリズムを含むファッション・コミュニケーションを専攻。2度目の大学卒業後、現地でのファッション誌アシスタントを経て帰国。タイアップ制作、「WWDビューティ」デスク、「WWDモバイル」デスク、「ファッションニュース」編集長、「WWDJAPAN.com」編集長を経て、2021年4月から現職

 

【Session#1】13:10~13:50(40分)

Plan・Do・Seeに学ぶ、社会的価値観とトップブランドになることの両立術

Plan・Do・Seeは、「日本のおもてなしを世界中の人々へ」というミッションのもと、国内外でホテルやレストランなどのバンケット運営を中心に、ブライダルドレスや海外人材派遣事業など、数々のサービスを手掛けています。青山グランドホテルなど、ファッション・ビューティ業界にも馴染み深い施設を運営している企業です。このパートでは浅葉翔平社長に、関わる人すべてが誇りを持てるような空間を作りながら、街の価値を上げ、「おもてなし業界のトップメゾン」を目指すビジョンを語っていただきます。そして社会的価値観を叶えると同時にトップブランドになることが可能なのか?を考えます。「社会課題を解決しながら持続可能な成長を叶えるというビジネスモデルは、実現可能なのか?」「その中で空間や、そこで提供する体験価値はどのくらい重要なのか?」ーー。ファッション&ビューティ業界も使える顧客価値の共創について伝授していただきます。

ゲストスピーカー:浅葉 翔平/Plan・Do・See 代表取締役社長
PROFILE:(あさば・しょうへい) 1986年生まれ、京都府出身。2009年にPlan・Do・Seeに新卒で入社。ダイニング・ウェディングプランナー・人事室・コンサルティング室・店舗責任者等を経験。19年に人事部長就任後、22年に社内起業でPlan・Do・See Globalを創業して代表に就任。24年4月1日、Plan・Do・See 代表に就任
モデレーター:村上 要/WWDJAPAN編集長

 

【Session#2】13:50~14:30(40分)

「#FR2」が語る、国内外の消費者を惹きつける熱狂的体験価値

ファッション業界からは、業界の常識を逸脱したカルチャー共創型マーケティングで国内外でファンを拡大し続ける「#FR2」を展開する、株式会社せーの代表の石川涼社長に登壇いただきます。出店するショップは、まるでギャラリーやアートスペース。高感度エリアに小規模でも異彩を放つ店舗を構え、地域や期間、数量限定商品を販売する「#FR2」は、「今、買わないと手に入らない」商品を販売することで、「今、店舗を訪れる意味」を醸成し、SNSネイティブのUGCやハイプを獲得してきました。全国各地に突如出現し話題を呼んだ「#FR2DOKO」から、反対に完全小回生のイベントまで。石川社長に熱狂的なファンを生み出すブランドストーリーと、店舗体験の関係を伺います。石川社長ならではの、忌憚のない業界への提言やグローバルな野望に注目です。

ゲストスピーカー:石川 涼/せーの 代表取締役
PROFILE:(いしかわ・りょう)1975年生まれ、静岡県出身。2000年起業。04年ファッションブランド「ヴァンキッシュ」創設。10年にジャパンファッションウィーク(JFW)に109ブランドとして史上初めて参加し、コレクションをショー形式で発表。14年、Instagramから始まり世界から注目を集めるコンテンツ「#FR2」を立ち上げ、現在も仕掛け人を務めている
モデレーター:村上 要/WWDJAPAN編集長

 

【Crosstalk】14:40~15:10(30分)

体験を踏まえ、「語られるブランド」になるための条件とは?

最後のパートは、浅葉&石川の両社長によるクロストーク。Plan・Do・Seeや「#FR2」でしか楽しめない体験の先にある、「語られるブランド」になるための条件などを伺います。個人的な挑戦・失敗談なども引き出しつつ、経営と感性を結びつける視座を共有すべく、ファシリテーターを務めるのは、このたび「WWDJAPAN」のエデュケーションズ事業におけるBXマネージャーに就任いただいた藤原義昭。コメ兵からユナイテッドアローズを経て、現在はファッション業界のBX(ビジネス・トランスフォーメーション)を支援する藤原が、具体的な学びと受講者のキャリアアップにつながるクロストークを導きます。

ゲストスピーカー:浅葉 翔平/Plan・Do・See 代表取締役社長
ゲストスピーカー:石川 涼/せーの 代表取締役
モデレーター:藤原 義昭/WWDJAPAN Educations BXパートナー
PROFILE:(ふじはら・よしあき)1999年コメ兵ホールディングス入社。ECの立ち上げ、販売や物流などマーケティングの変革を牽引。2010年からIT事業部の部長に就任し、ウェブ事業やデジタルマーケティング、社内システムを統括する。21年4月にユナイテッドアローズに転職、その後プライベベートエクイティファンドであるアドバンテッジパートナーズを経て、BX(Business transformation)カンパニーである300Bridgeを創業して代表に就任
ファシリテーター:村上 要/WWDJAPAN編集長

※講義内容やタイトルは予告なく変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。
【Extra】ミートアップ:15:15~16:00(45分)

ミートアップ

会場受講の方はセミナー終了後、登壇記者も参加するミートアップにご参加いただけます。ドリンクを用意しておりますので、さらなるコミュニケーションの場としてご活用ください。

 

注意事項

・受講料は会場とオンライン同額です。
・割引価格はクーポンをご利用時に適用となります。スタンダードとライトのクーポンコードはマイページをご確認の上、申し込み画面で入力してください。
・申し込みの受け付けは先着順です。募集人数に達し次第締め切らせていただきます。
・申し込み完了後のキャンセルは受け付けておりません。
・定期購読者で会員登録がお済みでない方はこちら
・本ページでのお支払いはクレジットカードのみとなります。コンビニ支払いをご希望の方はこちら
・適格請求書(領収書)の発行は、こちらから。記載のお宛名をご入力の上ご連絡ください。
弊社登録番号:T5-0110-0104-4278
・当日は会場内に撮影用のカメラが入ります。撮影した動画や写真は、「WWDJAPAN」Weeklyやウェブサイト、公式SNSなどで掲載する場合があります。ご了承いただける方のみお申し込みください。

 

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問い合わせ先
INFASパブリケーションズ カスタマーサポート
お問い合わせフォームはこちら

「ディースクエアード」とスタッフインターナショナル、法的対立を解消

「ディースクエアード(DSQUARED2)」と同ブランドの生産および流通を担うスタッフインターナショナル(STAFF INTERNATIONAL)が契約を巡って争っていた件について、両社は法的対立が解決に至ったことを発表した。2027年のライセンス契約満了時まで、スタッフインターナショナルは「ディースクエアード(DSQUARED2)」の生産及び流通を継続する。また、両社はOTBグループ傘下の「ブレイブ キッド(BRAVE KID)」が手がける子供服コレクションについても、30年まで協業を継続することで合意した。

スタッフインターナショナルは、「ディーゼル(DIESEL)」「ジル サンダー(JIL SANDER)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「マルニ(MARNI)」「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR & ROLF)などを傘下に持つOTBの製造部門であり、「ディースクエアード」のウィメンズコレクションの生産や流通を手掛けている。

「ディースクエアード」の創業デザイナーであるディーン・ケイティン(Dean Caten)とダン・ケイティン(Dan Caten)兄弟は、27年に満了予定のライセンス契約を前倒しで終了させる意向を示していた。この際、ケイティン兄弟は、「契約違反があった」とスタッフインターナショナル側を非難したが、同社はこれを否定していた。「ディースクエアード」がライセンス契約終了の意向を示した後、スタッフインターナショナルはミラノの裁判所に対して訴訟を提起。「27年までのライセンス契約を完全に履行する意志がある」ことを明言し、「契約関係の早期終了は一切認められず、その法的根拠も存在しない」と主張していた。

和解後の両社の共同声明では、「今回の措置は、両グループ間の歴史的な協業およびブランド成功を強化するための、共有された未来志向のビジョンを反映したものだ」と述べている。また、「透明性と相乗効果に基づいたアプローチを採用することで、ノウハウ・技術・流通資源の積極的な共有を促進し、コレクションの進化と成長を牽引する。さらに、安定した協業体制を維持しつつ、内製化に向けた『ディースクエアード』の変革を支援する。この変革は、透明性・敬意・相互信頼に基づいた構造的な引継ぎプランの下、共同で運営される」と説明している。

両社は初めて2000年に契約を締結し、10年には10年更新のライセンス契約を締結。この契約は27年まで延長されていた。

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デイトナが長野県と包括連携協定締結 信州ブランドを県内外へ発信

「フリークス ストア(FREAK'S STORE)」などを運営するデイトナ・インターナショナルはこのほど、長野県と包括連携協定を締結した。県庁と連携しながら、信州ブランドの県内外への情報発信や社会課題の認知向上にまつわるプロジェクトを進める。

同社はこれまでにも、長野県の獣害問題に着目したジビエ活用企画や、耕作放棄地を活用した再エネプロジェクト「フリークス電気」、県内高校と連携した交通安全意識を高める企画などを実施し、県が抱える課題解決に取り組んできた。これらの実績を踏まえ、包括連携協定を締結するに至った。

協定締結を記念して、長野県PRキャラクターの「アルクマ」を用いたオリジナルTシャツを製作。公式ECサイトで受注を受け付ける。価格は3993円。収益の一部は、企業版ふるさと納税を通じて寄付する。

同社は社内のコンテンツ力を活かした地域創生の取り組みに力を入れている。静岡県静岡市とも包括連携協定を結び、農業や観光、中心商店街の活性化などに取り組んでいる。

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デイトナが長野県と包括連携協定締結 信州ブランドを県内外へ発信

「フリークス ストア(FREAK'S STORE)」などを運営するデイトナ・インターナショナルはこのほど、長野県と包括連携協定を締結した。県庁と連携しながら、信州ブランドの県内外への情報発信や社会課題の認知向上にまつわるプロジェクトを進める。

同社はこれまでにも、長野県の獣害問題に着目したジビエ活用企画や、耕作放棄地を活用した再エネプロジェクト「フリークス電気」、県内高校と連携した交通安全意識を高める企画などを実施し、県が抱える課題解決に取り組んできた。これらの実績を踏まえ、包括連携協定を締結するに至った。

協定締結を記念して、長野県PRキャラクターの「アルクマ」を用いたオリジナルTシャツを製作。公式ECサイトで受注を受け付ける。価格は3993円。収益の一部は、企業版ふるさと納税を通じて寄付する。

同社は社内のコンテンツ力を活かした地域創生の取り組みに力を入れている。静岡県静岡市とも包括連携協定を結び、農業や観光、中心商店街の活性化などに取り組んでいる。

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百貨店のコスメ売り場に地殻変動 「アットコスメ」名古屋旗艦店の挑戦

化粧品クチコミサイト「アットコスメ(@cosme)」を展開するアイスタイルが、リアル店舗の展開で新たな一手を打つ。グループ傘下で店舗事業を担うアイスタイルリテールが6月19日、名古屋駅直結のショッピングモール「タカシマヤゲートタワーモール(TGM)」に、旗艦店「アットコスメ ナゴヤ」をオープンした。初年度の売上目標は30億円。今回、ジェイアール名古屋タカシマヤ(JR名古屋高島屋)とも連携し、初となる百貨店との本格協働に踏み切る。

注目は、単なる旗艦店の出店ではなく、百貨店との相互送客を軸とした新たなビジネスモデルの構築に踏み込んだ点だ。アットコスメで商品に関心を持った顧客を、百貨店のカウンターへと誘導し、ブランドスタッフによるカウンセリングやサンプル提供といったサービスへとつなげる。チャネル横断型の顧客体験を創出し、ブランドとの接点を多層化する狙いだ。

佐渡研二ジェイアール名古屋タカシマヤ 取締役 モール事業本部長は、「アットコスメで獲得した新規顧客を本館へ誘導できれば、TGMの歴史においても大きな転機になる」と期待する。従来の百貨店顧客とは異なる、特に若年層との接点を拡大する意義も大きい。

背景には、TGM自体の構造改革もある。2024年には43区画を対象とした大規模改装を実施。中でもコスメやフレグランスといったカテゴリーは着実に売り上げを伸ばしており、ファッション主体のモール内で存在感を増している。

名古屋の旗艦店は東京&大阪店を“凝縮”

アットコスメストアは、TGMが開業した2017年から同施設内で営業を続けてきた。今回の新店舗は、その既存店を移転し、業態を進化させた形となる。東京・原宿の「アットコスメトーキョー」、大阪・梅田の「アットコスメオーサカ」に続く“第3の旗艦店”として位置づけられる。

遠藤宗アイスタイル社長は「東京や大阪の旗艦店を経て、高島屋から『名古屋でもチャレンジしてみないか』と声をかけていただいた。われわれとしても、東海エリアの中核都市である名古屋に大型店舗を構えたいという思いがあった」と振り返る。

佐渡本部長は、「大阪の旗艦店には何度も足を運んだ。圧倒的な品ぞろえと、テーマパークのような空間づくりは名古屋のお客さまにも体験してほしいと強く感じた」と話す。今回の導入については、「品ぞろえやコンテンツは非常に魅力的で、百貨店単体では実現できない内容。商品のカニバリゼーションはあるかもしれないが、ターゲットや販売手法など考え方は全く異なる。新しい価値提供につながると考えている」と語る。

新店舗は、これまでの旗艦店の運営で得た知見を凝縮した集大成ともいえる存在だ。旗艦店ではあるが、スペースは東京・大阪よりもコンパクト。しかし、稲垣和奏店長は「ぎゅっと詰め込んだ楽しい店舗」と語り、成長への意欲をにじませる。「完成がゴールではない。大阪を超える店舗を目指したい」と意気込む。

実際、東京店は年商80億円を突破し、次期には100億円に届く勢いだ。大阪店も順調に売り上げを伸ばしており、名古屋で掲げる年商30億円という目標は、むしろ控えめな数字といえる。

“競合”ではなく“共創”へ

今回の協業の核心は、施設間の連携を超えた新たな顧客体験の共創にある。その第1弾として、6月28日から7月13日までの期間、アットコスメナゴヤとJR名古屋高島屋が連携し、17のビューティブランドと共同でキャンペーンを実施する。

アットコスメナゴヤで対象ブランドの商品を購入した際のレシートを、JR名古屋高島屋の各カウンターで提示すると、サンプルなどの特典が受けられる仕組みだ。これにより、施設内の回遊性を高めるとともに、百貨店側のカウンターにも新たな顧客を呼び込む波及効果が期待されている。

百貨店の未来を示す試金石に

今後は協業をさらに深め、11月にはフレグランスイベント、12月にはアットコスメ・TGM・JR名古屋高島屋の3社合同で「コスメフェア」を開催する予定だ。佐渡本部長は「JR名古屋高島が開催する日本最大級のショコラの祭典に匹敵する存在にしたい」と意欲を見せる。

化粧品専門店最大手のアットコスメストアが百貨店と手を組んだ今回の試みは、既存の流通構造に一石を投じるものとなる。青木強アイスタイルリテール 名古屋事業部部長は「地方の百貨店もさまざまな課題を抱えるなか、今回のような形で新たなビジネスモデルが構築できれば、地方経済の活性化にもつながる。名古屋で取り組む意味は大きい」。

かつては競合関係にあったプレイヤー同士が手を取り合うことで、新たな集客モデルが立ち上がろうとしている。アットコスメ ナゴヤは、その成否を測る試金石となりそうだ。

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「バイレード」のベン・ゴーラム=チーフ・クリエイティブ・オフィサーが退任へ

「バイレード(BYREDO)」のベン・ゴーラム(Ben Gorham)創業者兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーが、今月末で退任する。

スウェーデン・ストックホルム発のフレグランスブランド「バイレード」は、プロのバスケットボール選手だったゴーラム創業者が2006年に設立。ミニマリスティックなパッケージとシンプルながらもユニークな香りが人気で、ファッション業界の愛用者が多いことでも知られる。13年に、同じくフレグランスの「ディプティック(DYPTIQUE)」などを保有する投資会社マンザニータ・キャピタル(MANZANITA CAPITAL以下、マンザニータ)の傘下となり、近年はホームフレグランス、カラーコスメ、レザーグッズ、ジュエリー、アイウエア、スリープウェアとカテゴリーを拡大している。

ラグジュアリーファッション・フレグランス企業のプーチ(PUIG)が、22年にマンザニータ・キャピタルから「バイレード」の過半数株式を取得し、「バイレード」はプーチの傘下に入った。当時、「バイレード」の企業価値は10億ユーロ(約1640億円)を超えると報じられた。プーチによると、この買収条件の一部として、ゴーラム創業者が25年6月までチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めることで両者は合意していた。その後、プーチは24年5月にスペインの証券取引所に上場を果たし、それと並行して「バイレード」の株式100%を取得。プーチはその目的を、「バイレード」の可能性を多様な製品カテゴリーに拡張し、ラグジュアリーフレグランスやビューティ分野におけるプーチの地位を強固なものにするとしていた。

ゴーラム創業者は、「プーチのビューティとファッションにおけるノウハウは、ブランドの将来的な成長に不可欠であり、『バイレード』が複数のカテゴリーで潜在能力を発揮する助けになるだろう。20年におよぶ旅で成し遂げた成果を誇りに思い、『バイレード』の明るい未来に自信を持っている。『バイレード』には強いアイデンティティーがあり、新たな機会を追求する中でプーチにこのアイデンティティーを完全に委ねる」と述べた。

マーク・プーチ(Marc Puig)=プーチ会長兼最高経営責任者(CEO)は、「このような高いレベルの創業者と協業できたことは大きな栄誉だ。過去3年間にわたるベン・ゴーラムとのパートナーシップを誇りに思う。プーチは、ブランドの創業者から受け継いだ遺産を尊重している。ブランドのルーツと存在意義を大切にしながら、次の成長段階を育むことに実績がある。ベンは、『バイレード』においてユニークで特別な価値を創造する素晴らしい仕事をしてきた。私たちはそのアイデンティティーを守りつつ、未来の途方もない可能性を解き放つために尽力する」と述べた。

「バイレード」とプーチは、共にラグジュアリーにおけるデザインの役割に高い価値を置いている点で共通しておりマッチした。プーチはファッションとビューティの分野をまたいでブランドを擁し、「バイレード」は多彩なカテゴリーで製品を展開している。例えば「バイレード」は、20年にイギリス人メイクアップアーティストのイサマヤ・フレンチ(Isamaya Ffrench)とコラボレーションした革新的なコレクション「ゴラム」を発表し、メイクアップシーンに衝撃を与えた。感情を喚起する非伝統的な色合い、クリーンなフォーミュラ、パッケージング、製品ラインアップ、イメージングなど、従来の枠組みを超えるデザインが注目を集めた。22年には、「シャネル(CHANEL)」のクリエイティブメイクアップ&カラーデザイナーを務めたイタリア・ナポリ出身のメイクアップアーティスト、ルチア・ピカ(Lucia Pica)をクリエイティブイメージ&メイクアップパートナーに迎えていた。

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米コティ、プレステージとマス部門を分割売却検討か 「グッチ」「バーバリー」など展開

複数の情報筋によれば、米化粧品大手コティ(COTY)はプレステージ部門とコンシューマービューティー部門を分割して売却することを検討しているようだ。交渉は初期段階にあるとされるが、同社の広報担当者は本件について「噂や憶測にはコメントしない」としている。

コティのプレステージ部門は、「グッチ ビューティ(GUCCI BEAUTY)」「バーバリー ビューティ(BURBERRY BEAUTY)」「ジル サンダー(JIL SANDER)」「ヒューゴ ボス(HUGO BOSS)」などを傘下に持ち、多くのブランドがフレグランスを中心に展開するが、一部のブランドでカラーコスメやスキンケアも取り扱う。コンシューマービューティー部門は、メイクアップブランドの「カバーガール(COVERGIRL)」「リンメル(RIMMEL)」「マックスファクター(MAX FACTOR)」など、マス市場向けのブランドを擁する。

香水中心のプレステージ部門
売却先にインターパルファムの名も

関係者によると、同社はプレステージ部門に関してインターパルファム(INTERPARFUMS)と交渉中だというが、インターパルファムの関心は「バーバリー ビューティ」と「ヒューゴ ボス」だけにあると推測されている。ただし、2023年にコティが発売した香水“バーバリー ゴッデス”は同社史上最大規模の新製品であり、「ヒューゴ ボス」も昨年欧州で下半期の男性用フレグランス売り上げの2位に浮上した。そのため関係者は、完全買収ではなく戦略的提携や合併の形態を取る可能性があると指摘する。インターパルファムは過去にも、1993年から2013年末まで「バーバリー ビューティ」のライセンスを保有していた。既に再契約を申し出ているともいわれているが、インターパルファムの広報担当者は「機会があれば常に検討する」と述べるに留めた。

「グッチ」はライセンス終了で
ケリングに統合の可能性

一方で、プレステージ部門の要である「グッチ ビューティ」もコティとのライセンス契約期限が迫っている。しかし、業界内では「グッチ」の親会社であるケリング(KERING)の下以外では短命に終わる可能性が高いといわれている。ケリングは近年ビューティ部門の拡大を進めており、「グッチ ビューティ」のライセンス契約終了後は、自社に統合する計画だと長年噂されてきた。「グッチ ビューティ」のライセンス契約の有効期間は50年とされ、28年にその契約が切れるといわれている。コティのスー・ナビ(Sue Nabi)最高経営責任者(CEO)は、23年に行われた記者会見で、ライセンス更新に関する議論は今後少なくとも5年は行わないと示唆していた。

マスブランド部門は減収
買い手探しが難航か

業界筋によると、コティ売却に関する最大の障壁はマス向けブランドを扱うコンシューマー ビューティー部門の買い手を探せるかどうかにあるという。同社の25年2025年1〜3月期(第3四半期)の売上高は、前年同期比6%減の12億9910万ドル(約1870億円)で、コンシューマービューティー部門の売上高は同9%減の4億6970万ドル(約676億円)の減収だった。これは、マスビューティ市場全体の需要鈍化を反映している。別の情報筋は、コティがアジアでコンシューマー ビューティー部門の買い手を見つけることを希望していたが、アジア地域の景気減速と米国との関税摩擦の影響により、この可能性はますます低くなっているとの見方を示した。

さらに、コンシューマー ビューティ部門はいくつかの課題に直面している。マスブランド市場はD2Cブランドとの競争が激化しており、投資家はマスブランドをラグジュアリーブランドほど魅力的ではないとみている傾向がある。それでも、コンシューマー ビューティー部門がプライベートエクイティの関心対象になる可能性があると指摘する情報筋もいる。しかし、全ての関係者が独占禁止法上の問題をはじめとするさまざまな要因から、コティの事業全体を単一の企業に売却するのは不可能だと考えている。ある関係者は、「コンシューマー ビューティー部門の買い手が見つかれば、フレグランス事業(プレステージ部門)は明日でにも売却されるだろう」と述べた。

ウエラの保有株売却の計画進まず
スー・ナビCEO退任の噂も

コティはまた、保有するヘアケア大手ウエラカンパニー(WELLA COMPANY以下、ウエラ)の残りの株式の売却も試みている。投資会社IGFウェルス マネジメント(IGF WEALTH MANAGEMENT)への売却提案で合意寸前まで進んだものの、23年10月に最終的に破談となった。コティは25年までにウエラの株式を完全に売却すると計画していた。

一方、コティのナビCEOの任期に関する業界の憶測も高まっている。一部の情報筋は、同氏が今夏にも退任する可能性があると推測している。ナビCEOはロレアル(L’OREAL)に20年間在籍した後、ビーガンスキンケアブランド「オルヴェーダ(ORVEDA)」を設立。20年にピーター・ハーフ(Peter Harf)前CEOの後任としてコティのCEOに就任した。

売却の可能性が高まる理由
背景に株価の急落、提携失敗も

複数の要因が重なり、コティが売却される可能性が高まっている。まず、同社の株価は大幅に下落している。年初来、コティの株価は30.7%下落しており、9.9%上昇したロレアルや、2.4%下落したエスティ ローダー カンパニーズ(ESTTEE LAUDER COMPANIES)とは対照的だ。さらに、「グッチ」のライセンス問題も懸念材料だ。このライセンス契約の終了は、コティにとって大きな打撃となる可能性がある。

また、5月には第3四半期の売上収益が減収となる中、保有していたキム・カーダシアン(Kim Kardashian)のビューティブランド「スキンバイキム(SKKN BY KIM)」の少数株式20%を手放し、7110万ドル(約102億円)の損失を計上した。 コティは22年に2億ドル(約288億円)を投じてカーダシアンのコスメブランド「KKW ビューティ(KKW BEAUTY)」の株式20%を取得し、共同でスキンケアとカラーコスメのブランド「スキンバイキム」を立ち上げた。しかし、これらの取り組みは以前ほどの成功を収めていないようだ。その後、3月にカーダシアンは自身の補正下着とアパレルの会社であるスキムス(SKIMS)を通じてコティが保有する株式を買い戻し過半数株式を保有するに至った。

もう一つの要因は、カイリー・ジェンナー(Kylie Jenner)がプロデュースする「カイリー・コスメティクス(KYLIE COSMETICS)」も期待通りに伸びていないといわれている点だ。コティは19年11月に、約6億ドル(約864億円)で同ブランドの過半数株式を取得していた。ただし、同ブランドは昨年、香水事業への参入で好調な成績を上げている。

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世界を熱狂させる謎のキャラクター「ラブブ」 中国発の玩具メーカーが仕掛けるIPビジネス

2010年に設立した中国発の玩具メーカー・ポップマートは、現在30カ国以上の国と地域で500を超える店舗を展開している。日本でも東京を中心に9つの直営店をオープンし、連日行列が絶えない店舗も少なくない。そんな今注目の企業が生み出したキャラクター「ラブブ」が、世界で急激に人気を高めている。日本でも“ぶさカワ(ぶさいくでカワイイ)”人形として、少しずつメディアに取り上げられることが増えてきたものの、すでにグローバル規模では品薄状態が続くほどの熱狂ぶりだ。キャラクターIPビジネスに強いことで知られてきた日本にとって、「ラブブ」の出現は脅威かもしれない。

「ラブブ」の生みの親は香港出身のアーティストであるカシン・ロン(龍家昇)だ。同氏が2013年に台湾で発表した絵本作品「マイ リトル プラネット」で初めて描き、15年発売のシリーズ作「ザ・モンスターズ」を出版したことで、世間に知られるようになった。ウサギのような耳と不敵な笑みを浮かべたシニカルな表情が特徴で、中国発の玩具メーカーであるポップマートとのコラボレーションによって、19年にフィギュアとして発売されて以降、コレクターズトイとして成長。これまでに、コラボアイテムやバッグチャームを含めて300型以上を販売してきた。

起爆剤となったのはSNSで、25年に入ってからインターネット上で急激に関心が高まり、TikTokでは「#ラブブ」のタグがついた動画が160万本以上、インスタグラムでは100万本以上存在する(5月12日時点)。最近の“バッグチャームじゃら付け”のトレンドにも乗っており、ラグジュアリー市場を席巻している。BLACKPINKのリサ、リアーナ、デュア・リパ、ポスト・マローンらのセレブリティーや、タイの王族までもが「ラブブ」のファンであると公言しているほどだ。

ポップマートのアメリカ地域のIP担当者のエミリー・ブラフによれば、「『ラブブ』は単なるコレクターズアイテムの枠を超え、個人のスタイルを大胆に表現するツールになっている」という。実際、3月のパリ・ファッション・ウイークや5月のカンヌ国際映画祭でも、バッグに「ラブブ」のキーチャームを付けたスタイルが見られた。ポップマートはほかにも、パンダの着ぐるみを着た子どもがモチーフの「スカルパンダ」や、架空のガールズパンクバンドのメンバーがモチーフの「ピーチライオット」などの人気キャラクターを送り出してきたが、「それらと同様に『ラブブ』はファッション文脈にコレクターズアイテムを持ち込むのに適した存在で、セレブリティーやスタイリストの関心の高さからも可能性の広がりを感じる」とブラフIP担当者は話す。

今年3月にはイギリスの老舗百貨店ハロッズが、6週間にわたるポップアップを開催したことからも、「ラブブ」に対する世間の熱狂がうかがえる。レアな限定モデルを購入し、在廊する作者のロンを一目見るために、熱烈なファンたちが開店前から店の外に長い列を作った。また、ロンがファッション誌の「パーフェクト」と共に、同月にロンドンのドーバー ストリート マーケットでサインイベントを実施した際にも、抽選に当たった約100人のファンによる行列が見られた。彼らは自分の「ラブブ」コレクションを持参しただけでなく、中には「ラブブ」風の服を着せたペットを連れてきた人もいた。

人気の秘密は
“ブラインドボックス戦略”にアリ

「ラブブ」がこれほどまでに注目度を高めた理由の一つに、ポップマートによるブラインドボックス戦略がある。箱を開けるまでどのフィギュアが入っているか分からないというガチャガチャのような仕様で、購入者に驚きと発見を与えて気分を盛り上げる狙いだ。各シリーズには標準的なフィギュアのパターンのほかに、少なくとも一つ以上のシークレットフィギュアを入れており、入手困難さがコレクター心に火を付けてきた。ブラフIP担当者いわく、「これは単なる製品に体験価値を持ち込み、他者とその体験を共有したり、商品を交換したりする楽しさを演出する。また、ポップマートが売り出す新たなキャラクターと世間とのエンゲージメントを即座に築く効果もある」。SNS上ではインフルエンサーの多くがブラインドボックスの開封動画を投稿している。

他のキャラクターシリーズと比較すると、「ラブブ」はファッション業界での人気が非常に高く、限定スニーカーや「エルメス」の“バーキン”のような希少性を誇るアイテムもある。他のキャラクターのブラインドボックスが平均して13〜16ドル(約1872〜2304円)であるのに対し、「ラブブ」の最新シリーズは27ドル(約3888円)と高めの価格設定。とはいえ、ブラフIP担当者は「ファンが参入障壁を感じることなく収集できるように、ポップマートは手頃な価格帯を維持しようと意識している。もちろん、フィギュアの素材や作りの複雑さによって価格が多少変動することはあるが、“手に入れやすさ”を重視する姿勢に変わりはない」と強調する。「ラブブ」は転売業者の買い占め対象になっており、商品によってはオンライン市場の「ストックX」や「eBay」などで3134ドル(約45万1296円)もの高値を付けているものも存在する。

積極的なコラボレーション企画

「ラブブ」はさまざまなアーティストや企業とコラボレーションをしてきた。代表的なのは、SFイラストレーターの横山宏やコカ・コーラ、ユニクロ、中国発のデザイナーズブランド「プロナウンス」との協業だ。中でも、ファッション業界での注目企画は、6月10日に発表した「サカイ」とK-Popアイドルのセブンティーン、ファレル・ウィリアムスが運営するオークションサイト「ジュピター」とのプロジェクトだろう。セブンティーンの新曲「Bad Influence」をファレルがプロデュースしたことと、そのMVの中でメンバーが「サカイ」の衣装をまとっていることが背景にある。同グループは13人のメンバーで構成しているため、「サカイ」がデザインしたベージュのオールインワンを着用した「ラブブ」13体と、シークレットモデル1体を「ジュピター」に出品し、18日まで入札を受け付けている。

ブラフIP担当者は、「われわれのビジネスはまだ始まったばかりだ。『ラブブ』の新商品を世界規模で発表し続けるつもりだし、同時に全ての人が自分にとって親しみやすいキャラクターを見つけられるように、他のキャラクターのリーチを広げていく」という。「世界観に没入できる店舗からオンライン販売まで、クリエイティブな世界に命を吹き込める新たな方法を模索中だ。ファンダムを成長させるとともに、ポップマートの世界観も成長するだろう」。

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ケリング次期CEOにルノーのデメオCEO就任が決定 低迷続くラグジュアリーグループにもたらす「新たな視点」に期待

「グッチ(GUCCI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」などを擁するケリング(KERING)は6月16日、次期最高経営責任者(CEO)に仏自動車メーカー、ルノー・グループ(RENAULT GROUP)のルカ・デメオ(Luca de Meo)CEOが就任することを認めた。自動車業界で約30年以上キャリアを積んできたデメオ次期CEOは、取締役会の最終承認を経て、9月15日付で着任予定。さまざまな逆風と「構造変化」に直面しているラグジュアリー業界に、新鮮なビジョンをもたらすことが期待される。

また、2005年から数々の変革に取り組み、絶頂期も困難期もファミリーが所有する同社を率いてきたフランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)会長兼CEOは、会長職に専念することになる。16日夕方に行われた電話会議でピノー会長兼CEOは、「彼は新たな視点をもたらしてくれるだろう」とコメントし、CEO交代を発表。そして、「会長としてグループの戦略的方向性に全面的に関与していくが、グループの優先事項、組織、重要な人事に関するCEOの権限に介入したり、それを妨害したりすることは一切ない」と話した。

今回の人事に関する声明の中で、ケリングは「フランソワ・アンリ・ピノーが主導したこの決定は、ケリングのガバナンスの進化における決定的な一歩であり、新たな発展段階に入ったグループのリーダーシップを強化するものだ」と説明。ピノー会長兼CEOは「私たちの相性が良いことは、ものの数分もしないうちに明らかだった」とし、デメオ次期CEOを「市場と成長に関するグローバルな視点を持ち、製品面への親和性とブランドを活性化させる才能を備えた開発者」と称賛した。

そんなデメオ次期CEOに求められるのは、主力ブランド「グッチ」の急激な減速や「サンローラン」と「マックイーン(McQUEEN)」の不安定な状況により、苦境に陥っているラグジュアリーグループの立て直しを指揮することだ。声明の中で、彼は「グループのブランド力と社員の専門性に触発され、熱意と自信を持ってこの新たなプロフェッショナルとしての挑戦に臨む。皆と共にケリングをラグジュアリー業界において引き続き必要不可欠な存在にしていくことができると確信している」と述べた。

なお、ケリングの株価は経営継承への期待から16日に11.8%急騰。複数の株式アナリストが好意的な反応を示した。

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ケリング、テコ入れのため新CEOを任命か ルノーのCEOを起用と仏紙が報道

仏紙ル・フィガロ(LE FIGARO)は6月15日、「グッチ(GUCCI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」などを擁するケリング(KERING)が、次期最高経営責任者(CEO)として仏自動車メーカー、ルノー・グループ(RENAULT GROUP)のルカ・デメオ(Luca de Meo)CEOの任命を検討していると報じた。本件について、ケリングはコメントを差し控えるとしている。

デメオCEOは自動車業界で30年以上の経験を有し、ルノーを5年間にわたって率いた。同社は15日、同氏が「自動車業界以外の分野で新たな挑戦に取り組みたい」として、7月15日付で退任することを発表した。

業績不振が続くケリング

ケリングはここ数年、業績の低迷に苦しんでおり、2024年12月通期決算は売上高が前期比12.1%減の171億9400万ユーロ(約2兆8542億円)、純利益は同62.0%減の11億3300万ユーロ(約1880億円)と大幅な減収減益に。株価も下落していることから、売り上げ全体の半分程度を占める「グッチ」の立て直しが急務となっており、3月にはやはり同社が擁する「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のデムナ(Demna)=アーティスティック・ディレクターが「グッチ」に移籍することを発表した。

なお、ケリングは05年から、創業者の息子であるフランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)会長兼CEOが率いているが、先週には同社が会長職とCEO職の分離を検討していると複数の海外メディアが報じた。このため、新たなCEOを迎えた場合は、ピノー会長兼CEOは会長職に専念するのではないかと見られている。

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在庫を減らして最高益! 筆者が見た現場の不安と経営のリーダーシップ

WWDJAPAN.comは4月までマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」を連載していました。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか? 利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」「図解アパレルゲームチェンジャー」等の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説して行きます。今回は、第10話を取り上げます。

店舗も倉庫も不安を抱える「在庫改革」の壁

前回までのストーリーで、主人公の徹が店長を務める渋谷店は、在庫を減らしながらも売り上げを伸ばすことに成功しました。

今回から数回にわたってのテーマは個店の成功をいかに他店に広げて行くことができるか、です。

マンガ「在庫管理の魔術」の第10話は コチラ

店舗で働く人の大半は、販売機会を逃さないために「できるだけ多くの在庫を手元に確保しておきたい」と考えています。このため、在庫を減らしても売り上げを伸ばせるという話は信じられないのです。実際にそれを体験した人でないと、そんなことができるとは考えられないでしょう。

筆者は、小売りチェーン勤務時代、全店のバックヤードに眠っている在庫から、売れ筋以外の商品をすべて回収するプロジェクトを主導したことがあります。このプロジェクトでは、会社始まって以来の過去最高の消化率と最高益を達成し、みんなが決算賞与を頂きました。独立後、クライアント先と取り組んだプロジェクトでは、店舗に過剰に在庫を置かずに、倉庫にフリー在庫を十分に持つことで定価販売率を向上させたこともあります。

多くの店舗で働く人たちは「在庫が多いほど売り上げが伸びる」という思い込みを持っているのが現実です。自分たちを評価する唯一のKPI(重要業績評価指標)が売上予算達成で、売れ残り在庫の責任が自分たちにあるわけではないことから、このような「思い込み」が生まれてくるのです。今回のストーリーでは、成績トップの常連2店の店長が反対していることが、これを象徴しています。

店舗のバックヤード在庫を減らすことで全店の販売効率を高めるプロジェクトを始めると、必ず起こることがあります。それは、店舗で働く人が、在庫が減ったことで、欠品が起こり、売り上げが落ちるのではないかないかと不安を訴えることです。

もうひとつ、店舗の在庫を減らし、倉庫に持つようにすると、倉庫の人たちも以前より在庫が増え、不安を覚えるようになります。このストーリーでは倉庫のマネジャーが理解のある方で、とても協力的でしたが、一般的には、倉庫の責任者、担当者は、いままでほど店舗に在庫が出て行かず、倉庫の在庫が増えるので、「店舗での売れ行きが悪いのでないか」「多くの売り逃しをしているのではないか」と心配になるものです。

不安を乗り越えた先に見える新たな景色

私も、数々のプロジェクトで、こうした場面に遭遇しました。店舗と倉庫の双方が不安になり、中には社長や経営幹部に訴える人たちも出てくるため、こうしたプロジェクトを推進するには、経営者の理解とリーダーシップが欠かせません。

そして、店舗の方々には、「もし、欠品して、売り逃していると感じたら、改善しますので、遠慮なく申し出て下さい」と伝えるのです。しばらくすると、当初の不安の声はなくなります。なぜならば、売れ筋は売り逃さないように、倉庫から全店にタイムリーに補充しているからです。むしろ、バックヤード在庫が減って、店舗で仕事がしやすくなった、と感謝される声が増えて行きます。

まだ体験したことのない店長たちに対して、主人公たちは、どのようにその不安を払しょくし、プロジェクトを進めて行くのか?ここからが楽しみです。

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ヤーマン、2期連続の減収 25年4月期は中国市場の低迷と広告投資抑制が影響

ヤーマンの2025年4月期連結業績は、売上高が前年比21.8%減の250億円、営業利益が同50.9%増の6億円、経常利益が同69.3%減の3億円、純利益が同77.5%増の7億円だった。中国国内の化粧品市場の低迷と利益最大化を目的とした広告投資の抑制が影響し、大幅な減収となった。24年4月期に続く、2期連続の減収だ。純利益は関係会社株式売却益の計上が寄与し、増益を確保した。

部門別では、通販部門はテレビ通販およびショッピング専門チャンネルの不振により、売上高が同21.0%減の33億円。一方で広告投資の抑制により、セグメント利益は同10.0%増の10億円となった。店販部門は23年11月にオープンした銀座の旗艦店や百貨店、家電量販店の販売が堅調に推移し、売上高が同8.0%増の80億円、広告投資の抑制効果もあり、セグメント利益は同88.9%増の18億円に伸長した。

直販部門は、コロナ禍後の外出型消費傾向の影響や広告投資の抑制により、売上高が同25.7%減の63億円、セグメント利益が同35.2%減の17億円となった。海外部門は、中国国内の化粧品市場の低迷が主要因で、売上高が同48.0%減の58億円、セグメント利益は同56.3%減の13億円と大きく落ち込んだ。

同社は25年7月開催予定の定時株主総会での承認を条件に、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行を予定している。併せて、現在の4月期決算を今期から12月期決算に変更する方針だ。これらは、独自技術の開発やグローバル展開の加速、経営意思決定のスピード向上を目的とした狙いがある。

同社は23年6月に策定した中期経営計画で、30年度末までに売上高1000億円を達成する目標を掲げている。当初は自社グループ単体で売上高500億円を達成後にM&Aや資本提携を加速すると計画していたが、これを前倒しして着手する方針に転換する。詳細は25年12月末までに新たな中長期経営計画として発表する予定だ。

25年12月期(移行期につき5〜12月の8カ月間)は、売上高180億円、営業利益4億円、経常利益4億円、純利益2億円を目指す。この期間においても、成長市場での戦略的投資、多角的な事業・販路の拡大、経営基盤の強化を通じて、持続的成長の実現を目指すとしている。

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映画「JUNK HEAD」&「JUNK WORLD」監督・堀貴秀の挑戦 映画作りの根源は「観たことがないものを観たい」

PROFILE: 堀貴秀/映画監督

PROFILE: (ほり・たかひで)1990年大分県立芸術緑丘高等学校卒。2000年にアートワーク専門の仕事で独立。09年12月に短編「JUNK HEAD1」(30分版)を自主製作として制作開始。13年10月に短編「JUNK HEAD1」(30分版)完成。14年2月クレルモンフェラン国際映画祭(フランス)アニメーション賞受賞。同年3月ゆうばりファンタスティック映画祭(北海道)短編部門グランプリ受賞。15年1月やみけん設立。長編「JUNK HEAD」制作開始。17年4月長編「JUNK HEAD」完成。海外国際映画祭で入賞入選多数。21年3月26日「JUNK HEAD」劇場公開。22年6月にシリーズ第2弾「JUNK WORLD」制作開始。

一人のクリエイターが独学で制作を始め、7年もの歳月をかけて作り上げたSFストップモーション・アニメ映画「JUNK HEAD」。その執念の一作はアカデミー賞監督ギレルモ・デル・トロから絶賛され、北米最大のジャンル映画祭と称されるファンタジア国際映画祭で最優秀長編アニメーション賞を獲得するという偉業を達成。

2021年、逆輸入的に日本で公開されると瞬く間に話題を呼び、その唯一無二の世界観とユニークな物語に大勢が夢中になった。そして6月13日には、その待望の続編となる「JUNK WORLD」が公開された。全3部作として構成された「JUNK」シリーズの2作目であるが、位置付けは「JUNK HEAD」の前日譚。前作から1042年前の地下世界を舞台に、人類と人工生命体「マリガン」が協力して大冒険を繰り広げる。

メガホンを取るのはもちろん前作に続き堀貴秀監督。「JUNK WORLD」では脚本、照明、撮影、編集、声優なども手掛けているという。本作の特徴はその緻密で複雑な構成であるが、堀監督はどのように「JUNK HEAD」から話を膨らませ、物語として作り上げていったのか。「JUNK HEAD」公開時の体験からクリエイターとしてのこだわり、制作体制の変化から今後の構想まで、堀監督にたっぷり語ってもらった。

前作「JUNK HEAD」の反響

——40歳を目前に衝動に突き動かされ、映画制作経験もないまま作り始めた「JUNK HEAD」が世界中で大旋風を巻き起こす、というとんでもない体験をされたわけですが、今改めて「JUNK HEAD」の反響を振り返ってみていかがですか?

堀貴秀(以下、堀):何の経験もなしにいきなり作り始めた1本の映画がこんなことになるんだ……という驚きはもちろんありましたが、作っている最中は「これが完成すれば世の中が変わるぞ」という謎の自信があったんですよね。ただB級っぽい作品だし好きな人は限られているだろうなと思っていましたが、想像以上に広がって評価されたことは意外でした。

ただ、いざ公開となったときにはコロナ禍の真っ最中で、話題にはなったけど全然儲けにはならなくて……。最初から3部作を謳っていたものの、これで果たして続編は作れるのかという不安もありましたが、クラウドファンディングでも皆さんが応援してくれて、運良く作ることができました。以前は芸術家を目指しながらも日雇いのペンキ屋バイトや内装業で生活していたんですが、今は映画だけで食えるようになったので本当にうれしいし良かったなと思います。

——「JUNK HEAD」を機に、フィル・ティペット監督やギレルモ・デル・トロ監督、ヒグチユウコさんといった一流のクリエイターと関わる機会があったと思います。そのことは堀監督の制作スタイルや考え方に何かしらの影響を与えましたか?

堀:皆さんと交流する中で、それぞれが制作の苦しみを感じていると知って安心感を覚えました。「この苦悩を分かってくれる同志がいた!」というような感覚で(笑)。

「JUNK WORLD」での新たな取り組み

——「JUNK HEAD」公開時には既に「JUNK WORLD」の絵コンテができているというお話をされていたかと思います。前作とは制作環境や規模感、制作機器にも変化があったかと思いますが、想定していたストーリーや展開に変化はありましたか?

堀:基本的にはそのままですね。「時間もの」というセットを使い回せる設定を選んだのは、続編も予算は少ないということを前提としていたから。「JUNK HEAD」もそうですが、「JUNK WORLD」も予算感を見越して逆算して話を組み立てたので、そこはブレずに作っていきました。

——「JUNK HEAD」は脚本なしで、いきなり絵コンテから描き始めたと伺いました。「JUNK WORLD」は非常に複雑なストーリー展開が特徴的ですが、同じく脚本を書かずに進めていったのですか?

堀:確かに前作はいきなり絵コンテから始めたんですが、それは最初に作った30分の短編ありきで構成したからなんです。一方で今回は最初から長編として作ったので、脚本もちゃんとあります。だからこそ構成的な部分は前作より進化しているかなと思います。

——視点や時間軸を自由に行き交い、さまざまなツイストが加えられた全4部の複雑な構成となっていますが、この設定や構成のアイデアはどのように生まれたのでしょうか?

堀:「時間もの」ってSFの中でも定番のアイデアですし、セットも使い回しができるということで挑戦したいジャンルではあったんです。ただよくある単純なタイムループにしたくないなと思って、時間移動にパラドックスと並行世界という要素を組み合わせることにしました。

難解な物語ではあるんですが、流れを理解したときに「そうか!」という発見のような感覚が生まれると思うんです。ぜひ何度でも観て、その感覚を味わってほしいと思いますね。あと自主制作したパンフレットで説明を尽くしているので、ぜひそれも読んでもらえたらうれしいです(笑)。

——登場人物が日本語を話す、というのは前作との大きな違いですよね。

堀:台詞の内容量が「JUNK HEAD」の倍くらいあったので、字幕じゃ追いつかないなと思ったんです。でも声優さんを雇う予算もないので、自分を含むスタッフ3人でアフレコをやってみたらそれっぽくなりました。

——そこも自分たちで⁉︎ 日本語吹替版と同時に、前作同様のゴニョゴニョ版(日本語字幕)も公開されると聞きました。

堀:僕は日本語版のみでいいと思ったんですが、アニプレックスさんから「人気だから」とゴニョゴニョ版も作るように言われたんです。それほど面白くなるとは思えなかったのですが、完成品を観たらめちゃくちゃ面白くって(笑)。ゴニョゴニョと言ってる言葉に遊び心も盛り込まれていて思いもよらぬシーンで笑えたりするんですよ。下手したらそっちの方が面白いかもしれないので、ぜひどちらも観てほしいですね。

——ストップモーションでありながら、カメラが実写映画的なアクション性のある動きをすることも特徴的ですよね。

堀:自分の中に「実写のような画が撮りたい」ということがまず大前提としてあるんです。自分はゼロから自己流で「コマ撮りを実写のように表現するならこうかな」って試行錯誤していった結果こういう表現になりました。コマ撮りで人形を長時間動かそうと思うと歩かせるだけでも大変なんですが、それをできる限り格好良い構図からたくさんカット割りしたことも実写っぽくなった理由の一つかと思います。

——本作での新たな取り組みとして3Dプリンターを導入したことがあります。複製がいくつも作れるというメリットを語っていましたが、実際3Dプリンターを使用して制作を終えた今、表現的・制作的に変わったことを教えてください。

堀:本当に作り方がガラッと変わりました。「JUNK HEAD」のときは3Dプリンターもなく、粘土をこねて1個ずつ人形を作っていったんですが、今回は代理店が安く3Dプリンターを売ってくれたりしてかなり楽に人形を作ることができました。全部で20台くらい購入したんですが、造形における革命的なアイテムでしたね。

3Dプリンターで作った人形は細部まできれいなので、カメラがパッと寄っても画になるんです。同じ人形を作れるので、別の場所で同時に撮影もできるし、あるとないではまったく別物でした。ただ細かいところを作り込もうと思えば際限がないので、時間やストレスは逆に前より増えたかもしれません(笑)。

自動化できない
人形の色付け

——エンドロールでは撮影風景のほかに、人形の動きを決めるために監督が動きをシュミレーションする様子も映りますよね。

堀:それは「JUNK HEAD」からやっていて、基本的にコマ撮りするときはまず動画で人の動きを撮影するんです。その動画をコマ撮りソフトに入れて、同じ動きを人形で再現していくんですよね。

——今回はどれくらいのセットと人形を作成・使用したんですか?

堀:正式な数はまだ算出していないんですが、セット数は20〜30くらいで、人形は動かせるものだけで200体くらいですね。動かない小さなものなどを含めると倍以上あると思います。

——人形の制作は3Dプリンターの導入で楽になったと思うんですが、セットに関しては手作業ですよね。セットの制作風景がエンドロールに流れますが、改めてものすごく手間がかかっているなと。

堀:赤いグニュグニュに覆われた街が一番大きなセットなんですが、それをメインにしたいなと思ったのでスタジオの一部屋まるまる使って作りました。大工のような仕事ができるスタッフがほぼ1人で、4〜5カ月をかけて完成させてくれたんです。

——カット数はトータルで約2750カットと、前作よりも大幅に増えているそうですね。その分手間も増えたと思いますが、その中で特に苦労したことは何でしょうか?

堀:まず苦労したのは導入した3Dプリンターの使い方も覚えること。「JUNK HEAD」のときも映像作りの勉強から始めたんですが、初めのうちは勉強したことがなかなか結果につながらなくて。前回も今回もそういった時期は焦りがすごくて大変でしたが、その経験は3作目に活きてくると思います。

あと作業的に一番大変だったのが人形の色付けです。そこは自動化できないので、ずっと手作業でした。劇中に別の次元からたくさん出てくるキャラクターがいるんですが、実は画面上で複製しているだけで本当は1体しかいないんです。できれば人形を10体くらい作って撮りたかったんですが、色を塗る作業が大変すぎてそこは楽をさせてもらいました。

——3Dプリンター以外に制作面で大きく変わったことはありますか?

堀:今回から明確に変わったのはフル3DCGのシーンが入っているということ。実は造形物がまったくないカットも何カ所かあります。今回は6人くらいのチームだったんですが、CG経験者も特にいなかったので撮影を進めながらスタッフにCGの使い方を勉強してもらって実践していきました。なのでどアップでもリアルなCGを作れるほどの技術はなかったんですが、人形が少し歩く引きのシーンなどは自然なCGに置き換えることができたかなと。コマ撮りせずに済んだので、時間が短縮できましたし、表現の幅がかなり広がりましたね。

「あるのは妥協する苦しみばかり」

——確かにエンドロールでもグリーンバックが使われている様子が出てきますね。それにしても3、4人で作った前作に続き、今作も6人ほどの少ないチーム編成で作られたことに驚きました。

堀:少なすぎますよね(笑)。以前よりかは少し増えたとはいえ、なんとかやりくりしてギリギリ完成させた感じです。たださすがに今回までですね。身体の負担もすごいので、何とか今回稼いで次はもっと人数を増やしてできればなと。

——ただ少人数だからこそイメージが共有しやすく小回りが利くというメリットもありますよね。今回は以前より少し人数が増えたことで、監督として全体を統率する大変さは以前よりもあったのでは?

堀:その大変さはありましたが、そこはもう諦めるしかない。自分が思い描いた通りにいくことなんて絶対にないから、どこまで妥協してそれっぽく近づけるかというストレスとの戦いです。どこまでこだわるか、どこで妥協するかというせめぎ合いは自分の中ではずっとあるんですが、いずれは克服しなきゃいけないことなので。完璧にイメージ通りにしようと思うと全部自分一人でやるしかないけど、そんなことは無理ですから。だからできることは自分と似た感性のスタッフを集めて、みんなでレベルアップしながらベストを尽くすこと。それはこれからも変わらないと思います。

——本作を観ていると妥協があったとは全然感じないのですが……。

堀:基本的に本作の制作過程ですることは全て妥協なんですよ。というのも自分の頭の中には、何百億円レベルの製作費をかけて作るような「JUNK WORLD」のイメージが明確にあるんです。でもそれをいかに少ない予算の中コマ撮りで再現して、どこまでの表現であれば許容できるかと常に葛藤していて。だから映画制作中に「何かを作り出す喜び」は自分にはほとんどないんです。あるのは妥協する苦しみばかりなので(笑)。

——監督の脳内には、それこそ「スター・ウォーズ」並に壮大な“JUNK”シリーズの世界があるということですね。その壮大な世界観のイメージは初期段階から出来上がっていたのですか?

堀:3部作構成自体は頭にありましたが、「JUNK WORLD」の詳細が浮かんだのは「JUNK HEAD」が完成してからですね。完成してからもしばらく公開できなくて、このままでは3部作として作れないかもと思っていた時期がありまして。なら続編は前日譚として作って、それだけでも成り立つ物語にしようと思ったんです。

——ちなみに前作のカメラはCanonのkiss X4を使用していたかと思います。そこは変化なしですか?

堀:モデル名は忘れましたが今回はSonyのカメラを使用しました。前作は初めての映画制作ということもあり、映画の撮影としては比較的安価なカメラを使ったんです。それでも上手くできたのはコマ撮りだからこそですね。

——例えばギレルモ・デル・トロ監督は、ストップモーションについて「アニメーターと人形の絆を感じる最も美しいアニメーション。制作の過程が分かる不完全さこそ魅力」と語っていました。唯一無二の質感と動きを見せるストップモーションの魅力について、監督はどのように考えていますか?

堀:僕の場合、「どうしても映画を作りたい」と考えて手段を探した結果、コマ撮りを選んだので好きというわけではないんですよね。楽しいですけど、たまに「なんでこんな面倒くさいことを……」と思うときもありますし(笑)。ただ、置いてあるだけだとモノにしか見えない人形を、触り動かすことで命が宿る瞬間というのはやはり良いですよね。人形が感情を持ったと感じると、愛着が湧いてもうほっとけなくなっちゃいますから。実は「JUNK WORLD」で制作した人形はほぼほぼオークションで売る予定なんですよ。それも作品の売りにしようかなと思っています(笑)。

SF的な物語に惹かれる理由

——監督は前作に影響を与えた作品を質問された際に「不思議惑星キン・ザ・ザ」と答えていましたが、「JUNK WORLD」ではより色濃くその影響を感じました。それ以外にも、映画に限らずインスピレーション源となった作品はあるんですか?

堀:「不思議惑星キン・ザ・ザ」のシュールなクスッとくる笑いが好きなんですよね。その辺りはクリエイティブ面で影響を受けていると思いますし、映画だと「エイリアン」や「ヘルレイザー」などにも影響を受けたと思います。漫画であれば弐瓶勉さんの「BLAME!」とか。だけど一番大きいのは夢枕獏さんの作品をはじめとする小説だと思います。基本的にあまり文字が読めない体質なんですが、すごく読みやすいと感じる小説がたまにあって。それを読んでいるときに頭の中に浮かんでくる風景が、映画作りをする上で何よりのインスピレーション源になっていると思います。

——本作も最初から鮮明なイメージがあったと仰っていましたが、そうやって頭の中に鮮明な映像が浮かぶのは昔からなんですか?

堀:そうですね。例えば小さくなってこの机にある溝の上を飛んだり、アリ目線で自分を見上げたらどう見えるのか……といった風景をイメージすることは昔からやっています。

——監督がとりわけSF的な物語に惹かれる理由はなんなのでしょうか?

堀:映画はジャンルに限らず好きですが、SFは見たことがないものを見られる興奮があって惹かれるんですよね。ただほとんどが変わった設定やビジュアル頼りで、ヒューマンドラマなどに比べると物語的に面白いとか揺さぶられたと感じるSFはなかなかなくて。だから自分で作る映画では、登場人物に魅力がある物語的にも面白い作品にしたいと思っていますね。あと笑いを交えたSFが少ないので、あえて自分はユーモアを積極的に入れるようにしています。

——前作に続き今作もアクションシーンにこだわりを感じますが、アクション映画も好きなんですか?

堀:先ほどジャンルに限らず好き……と言いましたが、実はアクション映画は嫌いなんですよ。アクションそのものは映画の味付けとして必要だと思いますし好きなんですが、アクション映画ってひたすらアクションしているじゃないですか。それを観てると「いつ終わるんだろう……」となっちゃって(笑)。みんなアクションが好きなのは知っているので動きの参考として観ることはありますが、ジャンルとしては好きになれないんですよね。

——監督自身が面白いと感じた映画を、制作スタッフのみんなで観る会を毎週していると発信されていましたね。

堀:最初の方はやっていたんですが、やはり制作が忙しくなると同時に開催されなくなりました。映画を選ぶのにも時間がかかるしその時間で勉強した方が良いなと思いまして。でも作品のイメージや目指す面白さを共有できたし、「スカーフェイス」や「バグダッド・カフェ」など自分が昔観て影響を受けた作品をみんなで観られたのは良かったですね。

——「JUNK」シリーズ最終章の「JUNK END」の制作はどの段階なのでしょうか?

堀:あらすじはできているんですが、脚本や絵コンテはこれからですね。それを作るために九州の実家にこもってしばらく集中しようかなと思っています。ただキャラのデザインはおおよそできているので、スタジオのスタッフにはそれを基に先行して造形物を進めてもらう予定です。数年後の公開予定で進めているのでご期待ください。

——Xの投稿によれば、実写作品の構想もあるそうですね。

堀:はい。紹介文で「アニメーション監督」って書かれるのが嫌なので、実写映画はなんとしてもやりたいなと思っています。いくつかアイデアはあって、ヒグチユウコさんのキャラクターを登場させる映画や、これまでなかったゾンビ映画なんかを構想中です。あと実家が九州の山奥にあるんですが、そういう山奥で作れる映画もないかなと考えたり。

——「JUNK」シリーズのみならず、監督が作品を作る上で心掛けていることを教えてもらえますか?

堀:映画作りをする上で根源にあるのが「観たことがないものを観たい」という欲求なので、重視しているのは新しい価値観や世界観を描くことですね。さらに観た人には感動もしてほしいので、プラスで魅力的なキャラクターや展開を作っていきたいなと。あと映画は当然ビジネスなので、何回も観たくなるような映画にもしなきゃいけない。でも結局一番大事なのは、自分が観て面白い作品かどうかということですね。だから今後も自分が観て楽しめる映画を作っていきたいと思います。

PHOTOS:HIRONORI SAKUNAGA

「JUNK WORLD」

■「JUNK WORLD」
監督・脚本・撮影・照明・編集:堀貴秀
全国公開中
配給:アニプレックス
©YAMIKEN
https://junkworld-movie.com/

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映画「JUNK HEAD」&「JUNK WORLD」監督・堀貴秀の挑戦 映画作りの根源は「観たことがないものを観たい」

PROFILE: 堀貴秀/映画監督

PROFILE: (ほり・たかひで)1990年大分県立芸術緑丘高等学校卒。2000年にアートワーク専門の仕事で独立。09年12月に短編「JUNK HEAD1」(30分版)を自主製作として制作開始。13年10月に短編「JUNK HEAD1」(30分版)完成。14年2月クレルモンフェラン国際映画祭(フランス)アニメーション賞受賞。同年3月ゆうばりファンタスティック映画祭(北海道)短編部門グランプリ受賞。15年1月やみけん設立。長編「JUNK HEAD」制作開始。17年4月長編「JUNK HEAD」完成。海外国際映画祭で入賞入選多数。21年3月26日「JUNK HEAD」劇場公開。22年6月にシリーズ第2弾「JUNK WORLD」制作開始。

一人のクリエイターが独学で制作を始め、7年もの歳月をかけて作り上げたSFストップモーション・アニメ映画「JUNK HEAD」。その執念の一作はアカデミー賞監督ギレルモ・デル・トロから絶賛され、北米最大のジャンル映画祭と称されるファンタジア国際映画祭で最優秀長編アニメーション賞を獲得するという偉業を達成。

2021年、逆輸入的に日本で公開されると瞬く間に話題を呼び、その唯一無二の世界観とユニークな物語に大勢が夢中になった。そして6月13日には、その待望の続編となる「JUNK WORLD」が公開された。全3部作として構成された「JUNK」シリーズの2作目であるが、位置付けは「JUNK HEAD」の前日譚。前作から1042年前の地下世界を舞台に、人類と人工生命体「マリガン」が協力して大冒険を繰り広げる。

メガホンを取るのはもちろん前作に続き堀貴秀監督。「JUNK WORLD」では脚本、照明、撮影、編集、声優なども手掛けているという。本作の特徴はその緻密で複雑な構成であるが、堀監督はどのように「JUNK HEAD」から話を膨らませ、物語として作り上げていったのか。「JUNK HEAD」公開時の体験からクリエイターとしてのこだわり、制作体制の変化から今後の構想まで、堀監督にたっぷり語ってもらった。

前作「JUNK HEAD」の反響

——40歳を目前に衝動に突き動かされ、映画制作経験もないまま作り始めた「JUNK HEAD」が世界中で大旋風を巻き起こす、というとんでもない体験をされたわけですが、今改めて「JUNK HEAD」の反響を振り返ってみていかがですか?

堀貴秀(以下、堀):何の経験もなしにいきなり作り始めた1本の映画がこんなことになるんだ……という驚きはもちろんありましたが、作っている最中は「これが完成すれば世の中が変わるぞ」という謎の自信があったんですよね。ただB級っぽい作品だし好きな人は限られているだろうなと思っていましたが、想像以上に広がって評価されたことは意外でした。

ただ、いざ公開となったときにはコロナ禍の真っ最中で、話題にはなったけど全然儲けにはならなくて……。最初から3部作を謳っていたものの、これで果たして続編は作れるのかという不安もありましたが、クラウドファンディングでも皆さんが応援してくれて、運良く作ることができました。以前は芸術家を目指しながらも日雇いのペンキ屋バイトや内装業で生活していたんですが、今は映画だけで食えるようになったので本当にうれしいし良かったなと思います。

——「JUNK HEAD」を機に、フィル・ティペット監督やギレルモ・デル・トロ監督、ヒグチユウコさんといった一流のクリエイターと関わる機会があったと思います。そのことは堀監督の制作スタイルや考え方に何かしらの影響を与えましたか?

堀:皆さんと交流する中で、それぞれが制作の苦しみを感じていると知って安心感を覚えました。「この苦悩を分かってくれる同志がいた!」というような感覚で(笑)。

「JUNK WORLD」での新たな取り組み

——「JUNK HEAD」公開時には既に「JUNK WORLD」の絵コンテができているというお話をされていたかと思います。前作とは制作環境や規模感、制作機器にも変化があったかと思いますが、想定していたストーリーや展開に変化はありましたか?

堀:基本的にはそのままですね。「時間もの」というセットを使い回せる設定を選んだのは、続編も予算は少ないということを前提としていたから。「JUNK HEAD」もそうですが、「JUNK WORLD」も予算感を見越して逆算して話を組み立てたので、そこはブレずに作っていきました。

——「JUNK HEAD」は脚本なしで、いきなり絵コンテから描き始めたと伺いました。「JUNK WORLD」は非常に複雑なストーリー展開が特徴的ですが、同じく脚本を書かずに進めていったのですか?

堀:確かに前作はいきなり絵コンテから始めたんですが、それは最初に作った30分の短編ありきで構成したからなんです。一方で今回は最初から長編として作ったので、脚本もちゃんとあります。だからこそ構成的な部分は前作より進化しているかなと思います。

——視点や時間軸を自由に行き交い、さまざまなツイストが加えられた全4部の複雑な構成となっていますが、この設定や構成のアイデアはどのように生まれたのでしょうか?

堀:「時間もの」ってSFの中でも定番のアイデアですし、セットも使い回しができるということで挑戦したいジャンルではあったんです。ただよくある単純なタイムループにしたくないなと思って、時間移動にパラドックスと並行世界という要素を組み合わせることにしました。

難解な物語ではあるんですが、流れを理解したときに「そうか!」という発見のような感覚が生まれると思うんです。ぜひ何度でも観て、その感覚を味わってほしいと思いますね。あと自主制作したパンフレットで説明を尽くしているので、ぜひそれも読んでもらえたらうれしいです(笑)。

——登場人物が日本語を話す、というのは前作との大きな違いですよね。

堀:台詞の内容量が「JUNK HEAD」の倍くらいあったので、字幕じゃ追いつかないなと思ったんです。でも声優さんを雇う予算もないので、自分を含むスタッフ3人でアフレコをやってみたらそれっぽくなりました。

——そこも自分たちで⁉︎ 日本語吹替版と同時に、前作同様のゴニョゴニョ版(日本語字幕)も公開されると聞きました。

堀:僕は日本語版のみでいいと思ったんですが、アニプレックスさんから「人気だから」とゴニョゴニョ版も作るように言われたんです。それほど面白くなるとは思えなかったのですが、完成品を観たらめちゃくちゃ面白くって(笑)。ゴニョゴニョと言ってる言葉に遊び心も盛り込まれていて思いもよらぬシーンで笑えたりするんですよ。下手したらそっちの方が面白いかもしれないので、ぜひどちらも観てほしいですね。

——ストップモーションでありながら、カメラが実写映画的なアクション性のある動きをすることも特徴的ですよね。

堀:自分の中に「実写のような画が撮りたい」ということがまず大前提としてあるんです。自分はゼロから自己流で「コマ撮りを実写のように表現するならこうかな」って試行錯誤していった結果こういう表現になりました。コマ撮りで人形を長時間動かそうと思うと歩かせるだけでも大変なんですが、それをできる限り格好良い構図からたくさんカット割りしたことも実写っぽくなった理由の一つかと思います。

——本作での新たな取り組みとして3Dプリンターを導入したことがあります。複製がいくつも作れるというメリットを語っていましたが、実際3Dプリンターを使用して制作を終えた今、表現的・制作的に変わったことを教えてください。

堀:本当に作り方がガラッと変わりました。「JUNK HEAD」のときは3Dプリンターもなく、粘土をこねて1個ずつ人形を作っていったんですが、今回は代理店が安く3Dプリンターを売ってくれたりしてかなり楽に人形を作ることができました。全部で20台くらい購入したんですが、造形における革命的なアイテムでしたね。

3Dプリンターで作った人形は細部まできれいなので、カメラがパッと寄っても画になるんです。同じ人形を作れるので、別の場所で同時に撮影もできるし、あるとないではまったく別物でした。ただ細かいところを作り込もうと思えば際限がないので、時間やストレスは逆に前より増えたかもしれません(笑)。

自動化できない
人形の色付け

——エンドロールでは撮影風景のほかに、人形の動きを決めるために監督が動きをシュミレーションする様子も映りますよね。

堀:それは「JUNK HEAD」からやっていて、基本的にコマ撮りするときはまず動画で人の動きを撮影するんです。その動画をコマ撮りソフトに入れて、同じ動きを人形で再現していくんですよね。

——今回はどれくらいのセットと人形を作成・使用したんですか?

堀:正式な数はまだ算出していないんですが、セット数は20〜30くらいで、人形は動かせるものだけで200体くらいですね。動かない小さなものなどを含めると倍以上あると思います。

——人形の制作は3Dプリンターの導入で楽になったと思うんですが、セットに関しては手作業ですよね。セットの制作風景がエンドロールに流れますが、改めてものすごく手間がかかっているなと。

堀:赤いグニュグニュに覆われた街が一番大きなセットなんですが、それをメインにしたいなと思ったのでスタジオの一部屋まるまる使って作りました。大工のような仕事ができるスタッフがほぼ1人で、4〜5カ月をかけて完成させてくれたんです。

——カット数はトータルで約2750カットと、前作よりも大幅に増えているそうですね。その分手間も増えたと思いますが、その中で特に苦労したことは何でしょうか?

堀:まず苦労したのは導入した3Dプリンターの使い方も覚えること。「JUNK HEAD」のときも映像作りの勉強から始めたんですが、初めのうちは勉強したことがなかなか結果につながらなくて。前回も今回もそういった時期は焦りがすごくて大変でしたが、その経験は3作目に活きてくると思います。

あと作業的に一番大変だったのが人形の色付けです。そこは自動化できないので、ずっと手作業でした。劇中に別の次元からたくさん出てくるキャラクターがいるんですが、実は画面上で複製しているだけで本当は1体しかいないんです。できれば人形を10体くらい作って撮りたかったんですが、色を塗る作業が大変すぎてそこは楽をさせてもらいました。

——3Dプリンター以外に制作面で大きく変わったことはありますか?

堀:今回から明確に変わったのはフル3DCGのシーンが入っているということ。実は造形物がまったくないカットも何カ所かあります。今回は6人くらいのチームだったんですが、CG経験者も特にいなかったので撮影を進めながらスタッフにCGの使い方を勉強してもらって実践していきました。なのでどアップでもリアルなCGを作れるほどの技術はなかったんですが、人形が少し歩く引きのシーンなどは自然なCGに置き換えることができたかなと。コマ撮りせずに済んだので、時間が短縮できましたし、表現の幅がかなり広がりましたね。

「あるのは妥協する苦しみばかり」

——確かにエンドロールでもグリーンバックが使われている様子が出てきますね。それにしても3、4人で作った前作に続き、今作も6人ほどの少ないチーム編成で作られたことに驚きました。

堀:少なすぎますよね(笑)。以前よりかは少し増えたとはいえ、なんとかやりくりしてギリギリ完成させた感じです。たださすがに今回までですね。身体の負担もすごいので、何とか今回稼いで次はもっと人数を増やしてできればなと。

——ただ少人数だからこそイメージが共有しやすく小回りが利くというメリットもありますよね。今回は以前より少し人数が増えたことで、監督として全体を統率する大変さは以前よりもあったのでは?

堀:その大変さはありましたが、そこはもう諦めるしかない。自分が思い描いた通りにいくことなんて絶対にないから、どこまで妥協してそれっぽく近づけるかというストレスとの戦いです。どこまでこだわるか、どこで妥協するかというせめぎ合いは自分の中ではずっとあるんですが、いずれは克服しなきゃいけないことなので。完璧にイメージ通りにしようと思うと全部自分一人でやるしかないけど、そんなことは無理ですから。だからできることは自分と似た感性のスタッフを集めて、みんなでレベルアップしながらベストを尽くすこと。それはこれからも変わらないと思います。

——本作を観ていると妥協があったとは全然感じないのですが……。

堀:基本的に本作の制作過程ですることは全て妥協なんですよ。というのも自分の頭の中には、何百億円レベルの製作費をかけて作るような「JUNK WORLD」のイメージが明確にあるんです。でもそれをいかに少ない予算の中コマ撮りで再現して、どこまでの表現であれば許容できるかと常に葛藤していて。だから映画制作中に「何かを作り出す喜び」は自分にはほとんどないんです。あるのは妥協する苦しみばかりなので(笑)。

——監督の脳内には、それこそ「スター・ウォーズ」並に壮大な“JUNK”シリーズの世界があるということですね。その壮大な世界観のイメージは初期段階から出来上がっていたのですか?

堀:3部作構成自体は頭にありましたが、「JUNK WORLD」の詳細が浮かんだのは「JUNK HEAD」が完成してからですね。完成してからもしばらく公開できなくて、このままでは3部作として作れないかもと思っていた時期がありまして。なら続編は前日譚として作って、それだけでも成り立つ物語にしようと思ったんです。

——ちなみに前作のカメラはCanonのkiss X4を使用していたかと思います。そこは変化なしですか?

堀:モデル名は忘れましたが今回はSonyのカメラを使用しました。前作は初めての映画制作ということもあり、映画の撮影としては比較的安価なカメラを使ったんです。それでも上手くできたのはコマ撮りだからこそですね。

——例えばギレルモ・デル・トロ監督は、ストップモーションについて「アニメーターと人形の絆を感じる最も美しいアニメーション。制作の過程が分かる不完全さこそ魅力」と語っていました。唯一無二の質感と動きを見せるストップモーションの魅力について、監督はどのように考えていますか?

堀:僕の場合、「どうしても映画を作りたい」と考えて手段を探した結果、コマ撮りを選んだので好きというわけではないんですよね。楽しいですけど、たまに「なんでこんな面倒くさいことを……」と思うときもありますし(笑)。ただ、置いてあるだけだとモノにしか見えない人形を、触り動かすことで命が宿る瞬間というのはやはり良いですよね。人形が感情を持ったと感じると、愛着が湧いてもうほっとけなくなっちゃいますから。実は「JUNK WORLD」で制作した人形はほぼほぼオークションで売る予定なんですよ。それも作品の売りにしようかなと思っています(笑)。

SF的な物語に惹かれる理由

——監督は前作に影響を与えた作品を質問された際に「不思議惑星キン・ザ・ザ」と答えていましたが、「JUNK WORLD」ではより色濃くその影響を感じました。それ以外にも、映画に限らずインスピレーション源となった作品はあるんですか?

堀:「不思議惑星キン・ザ・ザ」のシュールなクスッとくる笑いが好きなんですよね。その辺りはクリエイティブ面で影響を受けていると思いますし、映画だと「エイリアン」や「ヘルレイザー」などにも影響を受けたと思います。漫画であれば弐瓶勉さんの「BLAME!」とか。だけど一番大きいのは夢枕獏さんの作品をはじめとする小説だと思います。基本的にあまり文字が読めない体質なんですが、すごく読みやすいと感じる小説がたまにあって。それを読んでいるときに頭の中に浮かんでくる風景が、映画作りをする上で何よりのインスピレーション源になっていると思います。

——本作も最初から鮮明なイメージがあったと仰っていましたが、そうやって頭の中に鮮明な映像が浮かぶのは昔からなんですか?

堀:そうですね。例えば小さくなってこの机にある溝の上を飛んだり、アリ目線で自分を見上げたらどう見えるのか……といった風景をイメージすることは昔からやっています。

——監督がとりわけSF的な物語に惹かれる理由はなんなのでしょうか?

堀:映画はジャンルに限らず好きですが、SFは見たことがないものを見られる興奮があって惹かれるんですよね。ただほとんどが変わった設定やビジュアル頼りで、ヒューマンドラマなどに比べると物語的に面白いとか揺さぶられたと感じるSFはなかなかなくて。だから自分で作る映画では、登場人物に魅力がある物語的にも面白い作品にしたいと思っていますね。あと笑いを交えたSFが少ないので、あえて自分はユーモアを積極的に入れるようにしています。

——前作に続き今作もアクションシーンにこだわりを感じますが、アクション映画も好きなんですか?

堀:先ほどジャンルに限らず好き……と言いましたが、実はアクション映画は嫌いなんですよ。アクションそのものは映画の味付けとして必要だと思いますし好きなんですが、アクション映画ってひたすらアクションしているじゃないですか。それを観てると「いつ終わるんだろう……」となっちゃって(笑)。みんなアクションが好きなのは知っているので動きの参考として観ることはありますが、ジャンルとしては好きになれないんですよね。

——監督自身が面白いと感じた映画を、制作スタッフのみんなで観る会を毎週していると発信されていましたね。

堀:最初の方はやっていたんですが、やはり制作が忙しくなると同時に開催されなくなりました。映画を選ぶのにも時間がかかるしその時間で勉強した方が良いなと思いまして。でも作品のイメージや目指す面白さを共有できたし、「スカーフェイス」や「バグダッド・カフェ」など自分が昔観て影響を受けた作品をみんなで観られたのは良かったですね。

——「JUNK」シリーズ最終章の「JUNK END」の制作はどの段階なのでしょうか?

堀:あらすじはできているんですが、脚本や絵コンテはこれからですね。それを作るために九州の実家にこもってしばらく集中しようかなと思っています。ただキャラのデザインはおおよそできているので、スタジオのスタッフにはそれを基に先行して造形物を進めてもらう予定です。数年後の公開予定で進めているのでご期待ください。

——Xの投稿によれば、実写作品の構想もあるそうですね。

堀:はい。紹介文で「アニメーション監督」って書かれるのが嫌なので、実写映画はなんとしてもやりたいなと思っています。いくつかアイデアはあって、ヒグチユウコさんのキャラクターを登場させる映画や、これまでなかったゾンビ映画なんかを構想中です。あと実家が九州の山奥にあるんですが、そういう山奥で作れる映画もないかなと考えたり。

——「JUNK」シリーズのみならず、監督が作品を作る上で心掛けていることを教えてもらえますか?

堀:映画作りをする上で根源にあるのが「観たことがないものを観たい」という欲求なので、重視しているのは新しい価値観や世界観を描くことですね。さらに観た人には感動もしてほしいので、プラスで魅力的なキャラクターや展開を作っていきたいなと。あと映画は当然ビジネスなので、何回も観たくなるような映画にもしなきゃいけない。でも結局一番大事なのは、自分が観て面白い作品かどうかということですね。だから今後も自分が観て楽しめる映画を作っていきたいと思います。

PHOTOS:HIRONORI SAKUNAGA

「JUNK WORLD」

■「JUNK WORLD」
監督・脚本・撮影・照明・編集:堀貴秀
全国公開中
配給:アニプレックス
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アパレルの国産比率「1.4%」に低下 四半世紀で生産量9分の1

2024年に日本で供給された衣料品のうち国産品が占める割合は、数量ベースで1.4%だった。23年に比べて0.1ポイント下がって過去最低を更新した。生産量は前年比6.6%減の6001万点。14年は1億2049万点だったため、10年間で半分になった。00年の5億5159万点と比べると四半世紀で9分の1に激減したことになる。

日本繊維輸入組合が13日に発表した「日本のアパレル市場と輸入品概況2025年版」で明らかにした。

24年の衣料品の国内供給量は35億1204万点で、そのうち輸入品は34億6193万点(同1.0%減)だった。国内供給量の98.6%を占める輸入品のシェア1位は、中国の19億2821万点だった。

1990年には50.1%あった国産品の割合は、生産拠点が中国を中心としたアジアに移り出した90年代半ば以降、減少に拍車がかかった。2000年に14.5%、10年には4.0%、20年には2.0%まで縮んでいた。日本の縫製工場は中小・零細企業が多く、長年の経営不振や人手不足から廃業する例が相次いでいる。

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アパレルの国産比率「1.4%」に低下 四半世紀で生産量9分の1

2024年に日本で供給された衣料品のうち国産品が占める割合は、数量ベースで1.4%だった。23年に比べて0.1ポイント下がって過去最低を更新した。生産量は前年比6.6%減の6001万点。14年は1億2049万点だったため、10年間で半分になった。00年の5億5159万点と比べると四半世紀で9分の1に激減したことになる。

日本繊維輸入組合が13日に発表した「日本のアパレル市場と輸入品概況2025年版」で明らかにした。

24年の衣料品の国内供給量は35億1204万点で、そのうち輸入品は34億6193万点(同1.0%減)だった。国内供給量の98.6%を占める輸入品のシェア1位は、中国の19億2821万点だった。

1990年には50.1%あった国産品の割合は、生産拠点が中国を中心としたアジアに移り出した90年代半ば以降、減少に拍車がかかった。2000年に14.5%、10年には4.0%、20年には2.0%まで縮んでいた。日本の縫製工場は中小・零細企業が多く、長年の経営不振や人手不足から廃業する例が相次いでいる。

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ナイキ、女子初の1マイル走4分切り計画“ブレーキング4”向け製品を発表 3Dプリントのスポブラ等

ナイキは、ケニア出身の陸上中距離選手フェイス・キピエゴン(Faith Kipyegon)と組み、6月26日に仏パリで開催する女子初の1マイル(約1.6キロメートル)走4分切りを目指すプロジェクト“ブレーキング4(Breaking4)”において、キピエゴン選手が着用するスピードキットを発表した。イノベーター、ナイキスポーツ研究所の科学者、デザイナーらによる「ドリームチーム」(発表リリース)が開発に携わり、キピエゴン選手の4分切り達成を支える。

スピードキットは、「前例のないスピードスーツ、革命的な3Dプリントの機能的素材を使用したスポーツブラ、革新的な機能を最大限に高めた軽量スパイク」で構成する。スピードスーツの“ナイキ フライ スーツ”は、「身体全体にフィットする1枚構造で、スリムで伸縮性のある素材を生かし、空気の中を最大限効率的に通り抜けられるように設計されている」。空気抵抗を軽減するためのイノベーションとして、半球形の生地構造“ナイキ エアロノード”を採用した。

“ナイキ フライウェブ ブラ”はTPU素材を3Dプリントすることで作成しており、「典型的なスポーツブラにある欠点」という、水分を多く保持してしまう点や、熱源となってしまう点に挑戦した。「この3Dプリント素材のイノベーションは、視覚的にも感覚的にも全く新しいものになっている。軽く、柔らかく、驚くほどサポート力があり、同時に何も着ていないような感覚もある」と、ナイキのイノベーション担当のバイスプレジデント(VP)、ジャネット・ニコルはコメントしている。

「新たなアパレルの可能性」に言及

スパイクの“ナイキ ヴィクトリー エリート FK”は、2016年のリオ、21年の東京、24年のパリと、キピエゴンが女子1500メートルで五輪3連覇を果たした際や、23年に女子1マイル走の世界記録(4分7秒64)を出した際に着用していた“ナイキ ヴィクトリー 2”がベース。キピエゴン選手がこれまでに着用したどのスパイクより大幅に軽量化されているという。

ナイキはこれらのR&D成果を、ゆくゆくは一般消費者向けの製品にも落とし込む。特に、ブラに採用した3Dプリントの“ナイキ フライウェブ”については、「フットウエア業界やナイキにとって、3Dプリントは目新しいものではないが、アスリート向け高性能スポーツウエアに採用することは今回が初めて」と、ニコルVP。「この新素材が実現したことで、新たなアパレルの可能性が明らかになる」(リリースから)と、期待は高い。「ルルレモン(LULULEMON)」などに客を奪われていると指摘される、弱みのウィメンズカテゴリー強化につなげる狙い。

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ナイキ、女子初の1マイル走4分切り計画“ブレーキング4”向け製品を発表 3Dプリントのスポブラ等

ナイキは、ケニア出身の陸上中距離選手フェイス・キピエゴン(Faith Kipyegon)と組み、6月26日に仏パリで開催する女子初の1マイル(約1.6キロメートル)走4分切りを目指すプロジェクト“ブレーキング4(Breaking4)”において、キピエゴン選手が着用するスピードキットを発表した。イノベーター、ナイキスポーツ研究所の科学者、デザイナーらによる「ドリームチーム」(発表リリース)が開発に携わり、キピエゴン選手の4分切り達成を支える。

スピードキットは、「前例のないスピードスーツ、革命的な3Dプリントの機能的素材を使用したスポーツブラ、革新的な機能を最大限に高めた軽量スパイク」で構成する。スピードスーツの“ナイキ フライ スーツ”は、「身体全体にフィットする1枚構造で、スリムで伸縮性のある素材を生かし、空気の中を最大限効率的に通り抜けられるように設計されている」。空気抵抗を軽減するためのイノベーションとして、半球形の生地構造“ナイキ エアロノード”を採用した。

“ナイキ フライウェブ ブラ”はTPU素材を3Dプリントすることで作成しており、「典型的なスポーツブラにある欠点」という、水分を多く保持してしまう点や、熱源となってしまう点に挑戦した。「この3Dプリント素材のイノベーションは、視覚的にも感覚的にも全く新しいものになっている。軽く、柔らかく、驚くほどサポート力があり、同時に何も着ていないような感覚もある」と、ナイキのイノベーション担当のバイスプレジデント(VP)、ジャネット・ニコルはコメントしている。

「新たなアパレルの可能性」に言及

スパイクの“ナイキ ヴィクトリー エリート FK”は、2016年のリオ、21年の東京、24年のパリと、キピエゴンが女子1500メートルで五輪3連覇を果たした際や、23年に女子1マイル走の世界記録(4分7秒64)を出した際に着用していた“ナイキ ヴィクトリー 2”がベース。キピエゴン選手がこれまでに着用したどのスパイクより大幅に軽量化されているという。

ナイキはこれらのR&D成果を、ゆくゆくは一般消費者向けの製品にも落とし込む。特に、ブラに採用した3Dプリントの“ナイキ フライウェブ”については、「フットウエア業界やナイキにとって、3Dプリントは目新しいものではないが、アスリート向け高性能スポーツウエアに採用することは今回が初めて」と、ニコルVP。「この新素材が実現したことで、新たなアパレルの可能性が明らかになる」(リリースから)と、期待は高い。「ルルレモン(LULULEMON)」などに客を奪われていると指摘される、弱みのウィメンズカテゴリー強化につなげる狙い。

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ナイキ、女子初の1マイル走4分切り計画“ブレーキング4”向け製品を発表 3Dプリントのスポブラ等

ナイキは、ケニア出身の陸上中距離選手フェイス・キピエゴン(Faith Kipyegon)と組み、6月26日に仏パリで開催する女子初の1マイル(約1.6キロメートル)走4分切りを目指すプロジェクト“ブレーキング4(Breaking4)”において、キピエゴン選手が着用するスピードキットを発表した。イノベーター、ナイキスポーツ研究所の科学者、デザイナーらによる「ドリームチーム」(発表リリース)が開発に携わり、キピエゴン選手の4分切り達成を支える。

スピードキットは、「前例のないスピードスーツ、革命的な3Dプリントの機能的素材を使用したスポーツブラ、革新的な機能を最大限に高めた軽量スパイク」で構成する。スピードスーツの“ナイキ フライ スーツ”は、「身体全体にフィットする1枚構造で、スリムで伸縮性のある素材を生かし、空気の中を最大限効率的に通り抜けられるように設計されている」。空気抵抗を軽減するためのイノベーションとして、半球形の生地構造“ナイキ エアロノード”を採用した。

“ナイキ フライウェブ ブラ”はTPU素材を3Dプリントすることで作成しており、「典型的なスポーツブラにある欠点」という、水分を多く保持してしまう点や、熱源となってしまう点に挑戦した。「この3Dプリント素材のイノベーションは、視覚的にも感覚的にも全く新しいものになっている。軽く、柔らかく、驚くほどサポート力があり、同時に何も着ていないような感覚もある」と、ナイキのイノベーション担当のバイスプレジデント(VP)、ジャネット・ニコルはコメントしている。

「新たなアパレルの可能性」に言及

スパイクの“ナイキ ヴィクトリー エリート FK”は、2016年のリオ、21年の東京、24年のパリと、キピエゴンが女子1500メートルで五輪3連覇を果たした際や、23年に女子1マイル走の世界記録(4分7秒64)を出した際に着用していた“ナイキ ヴィクトリー 2”がベース。キピエゴン選手がこれまでに着用したどのスパイクより大幅に軽量化されているという。

ナイキはこれらのR&D成果を、ゆくゆくは一般消費者向けの製品にも落とし込む。特に、ブラに採用した3Dプリントの“ナイキ フライウェブ”については、「フットウエア業界やナイキにとって、3Dプリントは目新しいものではないが、アスリート向け高性能スポーツウエアに採用することは今回が初めて」と、ニコルVP。「この新素材が実現したことで、新たなアパレルの可能性が明らかになる」(リリースから)と、期待は高い。「ルルレモン(LULULEMON)」などに客を奪われていると指摘される、弱みのウィメンズカテゴリー強化につなげる狙い。

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リカバリーウエアのテンシャルが25年8月期の売上高を大幅上方修正 当初予想比1.5倍に

リカバリーウエアを手掛けるテンシャル(TENTIAL)は6月13日、2025年8月期(25年2月1日〜8月31日)の通期業績予想を大幅に上方修正した。修正後の予想値は、売上高が95億600万円(前回予想は65億1400万円)、営業利益が6億4900万円(同3億9000万円)、純利益が4億6400万円(3億1500万円)。

消費者の健康意識の高まりや認知度の拡大を背景に、主力製品のリカバリーウエア“バクネ”を中心に販売が想定を大きく上回り、第1四半期決算の業績は好調に推移した。5〜6月にかけてのギフト需要も想定以上に取り込めていることから、前回予想を上回ると判断した。

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リカバリーウエアのテンシャルが25年8月期の売上高を大幅上方修正 当初予想比1.5倍に

リカバリーウエアを手掛けるテンシャル(TENTIAL)は6月13日、2025年8月期(25年2月1日〜8月31日)の通期業績予想を大幅に上方修正した。修正後の予想値は、売上高が95億600万円(前回予想は65億1400万円)、営業利益が6億4900万円(同3億9000万円)、純利益が4億6400万円(3億1500万円)。

消費者の健康意識の高まりや認知度の拡大を背景に、主力製品のリカバリーウエア“バクネ”を中心に販売が想定を大きく上回り、第1四半期決算の業績は好調に推移した。5〜6月にかけてのギフト需要も想定以上に取り込めていることから、前回予想を上回ると判断した。

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ロレアルが米AI半導体大手エヌビディアと提携 「想像を超える」ビューティ体験を共創へ

ロレアル(L’OREAL)は12日(現地時間)、仏パリで開催されている世界最大級のテックイベント「ビバ・テクノロジー(VIVA TECHNOLOGY)」で、米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)と提携することを発表した。共同声明によると、今回の提携により創造性とスケール性を高めて「これまでに想像したことのない革新的なビューティ体験」の創出を目指す。

AIで進化する3Dレンダリングと
ビューティ体験

ロレアルは声明で、「本提携により当社とパートナー企業群は、AIプラットフォーム“エヌビディア AI エンタープライズ(NVIDIA AI Enterprise)”を活用し、ロレアル製品の3Dレンダリング(3Dデータを2D画像や映像として表現する)のスケーリング(大規模展開)をはじめとするAIの迅速な開発と導入を推進する。物理的AI(ロボットなど現実の世界で動くAI)と生成AI(画像や文章などを作り出すAI)の融合により、クリエイティブの可能性をさらに広げる」と述べた。アスミタ・デュバイ(Asmita Dubey)=ロレアルグループ チーフデジタル&マーケティングオフィサーは、「生成AIやエージェンティックAI(自律的に目標を持って行動するAI)といった革新的なテクノロジーが消費者の期待を再定義する中、創造性とテクノロジーの両面で、比類ない消費者エンゲージメントを推進することに注力する」と語った。

一方、エヌビディアのアジータ・マーティン(Azita Martin)小売・消費財部門担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーは、AIが企業にデジタルインテリジェンスと俊敏性をもたらすことを強調した。「ロレアルは“エヌビディア AI エンタープライズ”を活用することで、迅速なイノベーション、スケーラビリティ、パーソナライズされたマーケティングと広告を実現し、消費者のエンゲージメントとCVR(コンバージョンレート)を向上させている。協業により、美容におけるAIの可能性を最大限に引き出し、消費者の美容体験をよりシームレスでやりがいのある楽しいものにしている」と述べた。

マーケティングや広告で活用
次世代のマーケットプレイスでも

両社はすでに2つのプロジェクトで協業している。ロレアルのAIコンテンツ開発プラットフォームである“クリエイテック(CREAITECH)”は、ロレアル製品を3Dでデジタルレンダリングし、マーケティングや広告キャンペーンの開発に活用している。「“クリエイティック”は、“エヌビディアAI エンタープライズ”を使用して3D機能を拡張し、より高い創造性と品質管理、生産スケーラビリティを実現することを目指している」とロレアルは説明する。

もう一つは、ロレアルが設立し支援するAI搭載型マルチブランド・マーケットプレイスのスタートアップ「ノリ(Noli )」だ。名前の由来は、「No one like I(私のような人はいない)」。ロレアルは同マーケットプレイスについて、「消費者を溢れる情報から遮断するAI美容マッチメーカーとしての役割を果たす。100万件以上の肌データと数千件の製品処方分析に基づく強力なAI肌診断機能を用い、ユーザーの美容プロフィールを解読して最適な製品を提案し自宅に届ける」と説明する。

さらに最新の取り組みとして、ロレアルはエヌビディアとアクセンチュア(ACCENTURE)と共同で、“エヌビディア AI エンタープライズ”を活用した“AIリファイナリー(AI Refinery)”を開発した。これはマイクロソフト アジュール(Microsoft Azure)上で利用できる。“AIリファイナリー”は、AIが個々のニーズに応じた製品を選定し、科学的な根拠に基づく製品を推奨する。ロレアルは同プラットフォームを「“ノリ”にとって急速に変化するAI環境と消費者の期待に対応しながら、迅速な実験と責任あるAIの開発や展開を可能にするもの」だとして、「消費者にとっての美容における発見や購買体験を大きく変革することを目指す」と述べた。

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ロレアルが米AI半導体大手エヌビディアと提携 「想像を超える」ビューティ体験を共創へ

ロレアル(L’OREAL)は12日(現地時間)、仏パリで開催されている世界最大級のテックイベント「ビバ・テクノロジー(VIVA TECHNOLOGY)」で、米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)と提携することを発表した。共同声明によると、今回の提携により創造性とスケール性を高めて「これまでに想像したことのない革新的なビューティ体験」の創出を目指す。

AIで進化する3Dレンダリングと
ビューティ体験

ロレアルは声明で、「本提携により当社とパートナー企業群は、AIプラットフォーム“エヌビディア AI エンタープライズ(NVIDIA AI Enterprise)”を活用し、ロレアル製品の3Dレンダリング(3Dデータを2D画像や映像として表現する)のスケーリング(大規模展開)をはじめとするAIの迅速な開発と導入を推進する。物理的AI(ロボットなど現実の世界で動くAI)と生成AI(画像や文章などを作り出すAI)の融合により、クリエイティブの可能性をさらに広げる」と述べた。アスミタ・デュバイ(Asmita Dubey)=ロレアルグループ チーフデジタル&マーケティングオフィサーは、「生成AIやエージェンティックAI(自律的に目標を持って行動するAI)といった革新的なテクノロジーが消費者の期待を再定義する中、創造性とテクノロジーの両面で、比類ない消費者エンゲージメントを推進することに注力する」と語った。

一方、エヌビディアのアジータ・マーティン(Azita Martin)小売・消費財部門担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーは、AIが企業にデジタルインテリジェンスと俊敏性をもたらすことを強調した。「ロレアルは“エヌビディア AI エンタープライズ”を活用することで、迅速なイノベーション、スケーラビリティ、パーソナライズされたマーケティングと広告を実現し、消費者のエンゲージメントとCVR(コンバージョンレート)を向上させている。協業により、美容におけるAIの可能性を最大限に引き出し、消費者の美容体験をよりシームレスでやりがいのある楽しいものにしている」と述べた。

マーケティングや広告で活用
次世代のマーケットプレイスでも

両社はすでに2つのプロジェクトで協業している。ロレアルのAIコンテンツ開発プラットフォームである“クリエイテック(CREAITECH)”は、ロレアル製品を3Dでデジタルレンダリングし、マーケティングや広告キャンペーンの開発に活用している。「“クリエイティック”は、“エヌビディアAI エンタープライズ”を使用して3D機能を拡張し、より高い創造性と品質管理、生産スケーラビリティを実現することを目指している」とロレアルは説明する。

もう一つは、ロレアルが設立し支援するAI搭載型マルチブランド・マーケットプレイスのスタートアップ「ノリ(Noli )」だ。名前の由来は、「No one like I(私のような人はいない)」。ロレアルは同マーケットプレイスについて、「消費者を溢れる情報から遮断するAI美容マッチメーカーとしての役割を果たす。100万件以上の肌データと数千件の製品処方分析に基づく強力なAI肌診断機能を用い、ユーザーの美容プロフィールを解読して最適な製品を提案し自宅に届ける」と説明する。

さらに最新の取り組みとして、ロレアルはエヌビディアとアクセンチュア(ACCENTURE)と共同で、“エヌビディア AI エンタープライズ”を活用した“AIリファイナリー(AI Refinery)”を開発した。これはマイクロソフト アジュール(Microsoft Azure)上で利用できる。“AIリファイナリー”は、AIが個々のニーズに応じた製品を選定し、科学的な根拠に基づく製品を推奨する。ロレアルは同プラットフォームを「“ノリ”にとって急速に変化するAI環境と消費者の期待に対応しながら、迅速な実験と責任あるAIの開発や展開を可能にするもの」だとして、「消費者にとっての美容における発見や購買体験を大きく変革することを目指す」と述べた。

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