ワコールHD4~12月期 主要ブランドが不調で国内事業は売上高5.2%減

ワコールホールディングス(HD)の2024年4〜12月期連結業績(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が前年同期比5.6%減の1335億円、営業損益が110億円の黒字(前年同期は19億円の赤字)、純損益が0億円の黒字(同39億円の赤字)。浅草橋ビルや旧福岡事業所跡地などの固定資産売却利益(93億円)の計上にによって営業黒字が押し上げられた。

国内ワコール事業の売上収益は、同5.2%減の687億円、営業利益は約3倍の92億円で固定資産売却利益の計上が効いた。店頭は低迷したがECは好調に推移。「ワコール(WACOAL)」や「ウイング(WING)」は苦戦したが、ノンワイヤーブラを中心に展開する“ゴコチ”やコンディショニングウエアの「CW-X(シーダブリュー・エックス)が伸長した。

海外ワコール事業は、売上収益が同0.6%減の500億円、営業損益は15億円の黒字(前年同期は53億円の赤字)だった。米国ワコールは、他社ECは好調に推移したものの、実店舗および自社ECが苦戦。欧州は、ドイツ・フランスの売上高が伸長した。中国は、実店舗・EC共に厳しい状況が続いている。ピーチ・ジョン事業は、売上収益が同2.7%減の78億円、営業損益は2300万円の黒字(同5000万円の赤字)だった。直営店・自社EC共に集客力が改善したが、購買率の回復は見られなかった。

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三菱商事ファッションの新社名「エムシーファッション」に ワールド傘下入りで変更

2月28日付でワールドの子会社になる三菱商事ファッションは10日、新社名を「エムシーファッション株式会社(英語名称MC Fashion Co., Ltd.)」にすると発表した。三菱商事ファッションの英語名称は「Mitsubishi Corporation Fashion Co., Ltd.」でMCファッションやMCFと略されることもあるが、新社名のMCは「More Challenge / More Change」の意味だという。幹部体制や社名は変更されるが、本社所在地、電話番号、公式ウェブサイト、従業員のメールアドレスなどは継続する。

新体制では、取締役・監査役の5人は代表取締役会長に就く西川信一氏(ワールドのグループ常務執行役員)をはじめ全員がワールドの出身、執行役員の4人は社長執行役員に就く幸晋也氏をはじめ全員が三菱商事ファッション出身となる。監督と執行を明確に分ける体制になる。

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三菱商事ファッションの新社名「エムシーファッション」に ワールド傘下入りで変更

2月28日付でワールドの子会社になる三菱商事ファッションは10日、新社名を「エムシーファッション株式会社(英語名称MC Fashion Co., Ltd.)」にすると発表した。三菱商事ファッションの英語名称は「Mitsubishi Corporation Fashion Co., Ltd.」でMCファッションやMCFと略されることもあるが、新社名のMCは「More Challenge / More Change」の意味だという。幹部体制や社名は変更されるが、本社所在地、電話番号、公式ウェブサイト、従業員のメールアドレスなどは継続する。

新体制では、取締役・監査役の5人は代表取締役会長に就く西川信一氏(ワールドのグループ常務執行役員)をはじめ全員がワールドの出身、執行役員の4人は社長執行役員に就く幸晋也氏をはじめ全員が三菱商事ファッション出身となる。監督と執行を明確に分ける体制になる。

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清宮海斗と拳王が登場 スタイリー、KDDIらが“アップル ビジョン プロ”向け3Dプロレスコンテンツを発表

スタイリー(STYLY)、KDDI、KDDI総合研究所、AbemaTVは、“アップル ビジョン プロ(Apple Vision Pro)”向け3D映像コンテンツ「バーチャルプロレス スペシャルマッチ 『清宮海斗vs拳王』 powered by Pontaパス」を発表。2月6日にメディア向けトークセッションと体験会を実施した。

スタイリーが提供するApple Vision Pro対応プラットフォームとKDDI総合研究所の3Dメッシュ映像圧縮技術を活用し、AbemaTVとプロレスリング・ノアが制作に協力。プロレスリング・ノアのトップレスラー、清宮海斗と拳王の対戦を360度の自由視点で楽しめる映像体験を提供する。“アップル ビジョン プロ”を装着することで、レフェリーの距離で試合を観戦できる迫力ある視点や、通常の会場では実現不可能なアングルからの観戦が可能となる。XR技術を活用したインタラクティブな演出やゲーム要素も加えられ、プロレス初心者でも楽しめる映像体験となっている。

今回のためにグリーンバックの部屋で360度から動きの撮影を行った拳王は、「出来上がったコンテンツを体験して驚いた。撮影の大変さが吹き飛んだ。相手や自分の裏側まで見ることができる。対戦相手の研究にも使えそうだ。子どもにも見てもらって、プロレスってカッコいいと思ってもらいたい」と語った。清宮も「体験してみたら、タイトルマッチの臨場感だった。場外マットで危険な技を受けたので、怪我をしないように、撮って確認を繰り返した。これを機にゲームやVRを好きな人がプロレスに興味をもって、観戦に来てくれるようになったらうれしい」とコメント。「劇団四季の舞台などもこの技術で見てみたい」と期待を示した。

本プロジェクトは、2024年4月にSTYLY、「ワイアード(WIRED)」日本版、KDDI、J.フロントリテイリングが発足した空間コンピューティング時代の事業創出を目的とする共創型オープンイノベーションラボ「STYLY Spatial Computing Lab(SSCL)」の活動の一環だ。

清宮海斗と拳王の試合を間近で観戦

実際に体験してみると、手で触れそうなほど目の前で両者の戦いを見ることができ、技が決まると光が舞うといったエフェクトが使われるなど、アニメやゲームっぽさもあり、10分程度のユニークなエンタメ体験になっている。“アップル ビジョン プロ”を使うと、その場の空間で戦いが行われているように見え、それもまた面白い。最後に出てきたボタンを押すと紙吹雪が舞う仕掛けになっている。エンターテインメントとしてはもちろん、新しい表現の形式としても大きな可能性がありそうだ。

一般向けには、3月2日に横浜武道館で行われる「プロレスリング・ノア25周年記念大会 ABEMA presents MEMORIAL VOYAGE 2025」で体験会を実施する。KDDIが提供するサブスクリプションサービス「Pontaパス」会員向けには、選手のサイン入りTシャツなどが当たる限定抽選会も用意する。

また、「Pontaパス」では、特典付き試合観戦チケットが当たるキャンペーンを実施する。応募期間は2月6〜16日。抽選で10人に試合観戦チケットと選手特典が贈られる。当選者には、海斗または拳王のサイン入りグッズに加え、選手が当選者の名前を呼ぶスペシャルメッセージ動画もプレゼントされる。

KDDIで「Pontaパス」を担当する佐野学パーソナル事業本部 サービス・商品本部サービス戦略部ビジネス開発Gグループリーダーは、「熱烈なファンがいるところがいいと考えた。音楽やアイドルのコンサートなどとの親和性も高いと考えている。新たなワクワク、いろんなサービスや体験の後押しをしていきたい」と語り、KDDI総合研究所の内藤整・執行役員先端技術研究所XR部門長は、「3Dメッシュ映像は高画質だとデータ量が大きく、圧縮する必要がある。ハイクオリティーなまま、スマホでも受けられるようにするための圧縮処理の簡素化を実現し、ライブで配信できるまでにした。これは世界初の技術。これにより、もっと豊かな視聴体験ができるようになる」と今後の可能性について説明した。

プロレスリング・ノアと共にサイバーエージェント傘下にあるAbemaTVの山中勇成CTOは「その場と配信の臨場感の間を埋める体験になりそう。インターネットメデイアとしてさまざまな視聴体験作りに力を発揮したい」と意欲を見せた。スタイリーの渡邊遼平執行役員CMO兼SSCL所長は、「スマホの場面を触ることで好きな視点から視聴できる。俳優の横に立った視点で舞台を見ることも可能だ。新しい技術が広まっていくには、エンドユーザーとのタッチポイントが重要になると考えている」と語り、空間コンピューティング時代到来への期待を顕にした。

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清宮海斗と拳王が登場 スタイリー、KDDIらが“アップル ビジョン プロ”向け3Dプロレスコンテンツを発表

スタイリー(STYLY)、KDDI、KDDI総合研究所、AbemaTVは、“アップル ビジョン プロ(Apple Vision Pro)”向け3D映像コンテンツ「バーチャルプロレス スペシャルマッチ 『清宮海斗vs拳王』 powered by Pontaパス」を発表。2月6日にメディア向けトークセッションと体験会を実施した。

スタイリーが提供するApple Vision Pro対応プラットフォームとKDDI総合研究所の3Dメッシュ映像圧縮技術を活用し、AbemaTVとプロレスリング・ノアが制作に協力。プロレスリング・ノアのトップレスラー、清宮海斗と拳王の対戦を360度の自由視点で楽しめる映像体験を提供する。“アップル ビジョン プロ”を装着することで、レフェリーの距離で試合を観戦できる迫力ある視点や、通常の会場では実現不可能なアングルからの観戦が可能となる。XR技術を活用したインタラクティブな演出やゲーム要素も加えられ、プロレス初心者でも楽しめる映像体験となっている。

今回のためにグリーンバックの部屋で360度から動きの撮影を行った拳王は、「出来上がったコンテンツを体験して驚いた。撮影の大変さが吹き飛んだ。相手や自分の裏側まで見ることができる。対戦相手の研究にも使えそうだ。子どもにも見てもらって、プロレスってカッコいいと思ってもらいたい」と語った。清宮も「体験してみたら、タイトルマッチの臨場感だった。場外マットで危険な技を受けたので、怪我をしないように、撮って確認を繰り返した。これを機にゲームやVRを好きな人がプロレスに興味をもって、観戦に来てくれるようになったらうれしい」とコメント。「劇団四季の舞台などもこの技術で見てみたい」と期待を示した。

本プロジェクトは、2024年4月にSTYLY、「ワイアード(WIRED)」日本版、KDDI、J.フロントリテイリングが発足した空間コンピューティング時代の事業創出を目的とする共創型オープンイノベーションラボ「STYLY Spatial Computing Lab(SSCL)」の活動の一環だ。

清宮海斗と拳王の試合を間近で観戦

実際に体験してみると、手で触れそうなほど目の前で両者の戦いを見ることができ、技が決まると光が舞うといったエフェクトが使われるなど、アニメやゲームっぽさもあり、10分程度のユニークなエンタメ体験になっている。“アップル ビジョン プロ”を使うと、その場の空間で戦いが行われているように見え、それもまた面白い。最後に出てきたボタンを押すと紙吹雪が舞う仕掛けになっている。エンターテインメントとしてはもちろん、新しい表現の形式としても大きな可能性がありそうだ。

一般向けには、3月2日に横浜武道館で行われる「プロレスリング・ノア25周年記念大会 ABEMA presents MEMORIAL VOYAGE 2025」で体験会を実施する。KDDIが提供するサブスクリプションサービス「Pontaパス」会員向けには、選手のサイン入りTシャツなどが当たる限定抽選会も用意する。

また、「Pontaパス」では、特典付き試合観戦チケットが当たるキャンペーンを実施する。応募期間は2月6〜16日。抽選で10人に試合観戦チケットと選手特典が贈られる。当選者には、海斗または拳王のサイン入りグッズに加え、選手が当選者の名前を呼ぶスペシャルメッセージ動画もプレゼントされる。

KDDIで「Pontaパス」を担当する佐野学パーソナル事業本部 サービス・商品本部サービス戦略部ビジネス開発Gグループリーダーは、「熱烈なファンがいるところがいいと考えた。音楽やアイドルのコンサートなどとの親和性も高いと考えている。新たなワクワク、いろんなサービスや体験の後押しをしていきたい」と語り、KDDI総合研究所の内藤整・執行役員先端技術研究所XR部門長は、「3Dメッシュ映像は高画質だとデータ量が大きく、圧縮する必要がある。ハイクオリティーなまま、スマホでも受けられるようにするための圧縮処理の簡素化を実現し、ライブで配信できるまでにした。これは世界初の技術。これにより、もっと豊かな視聴体験ができるようになる」と今後の可能性について説明した。

プロレスリング・ノアと共にサイバーエージェント傘下にあるAbemaTVの山中勇成CTOは「その場と配信の臨場感の間を埋める体験になりそう。インターネットメデイアとしてさまざまな視聴体験作りに力を発揮したい」と意欲を見せた。スタイリーの渡邊遼平執行役員CMO兼SSCL所長は、「スマホの場面を触ることで好きな視点から視聴できる。俳優の横に立った視点で舞台を見ることも可能だ。新しい技術が広まっていくには、エンドユーザーとのタッチポイントが重要になると考えている」と語り、空間コンピューティング時代到来への期待を顕にした。

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【レカルカ 梅田延稔 CEO】化粧品の枠を超えて、美しくなる“経験”を届けたい

PROFILE: 梅田延稔/CEO

梅田延稔/CEO
PROFILE: (うめだ・のぶとし)神奈川県出身。明治学院大学法学部在学中に、中国のジョイントベンチャー企業のインターンシップに参加。約1年間の中国駐在を経験する。2014年に大学を卒業し、IT系企業の経営企画部兼IPO準備室を経て、17年に起業。企業の新規事業立ち上げや医療機関のコンサルティングをしながら、梅田英姫会長とともに「レカルカ」を立ち上げ。18年に代表取締役CEOに就任 PHOTO : TAMEKI OSHIRO

「レカルカ」は2017年の立ち上げ以降、皮膚科学研究に基づいた良質なスキンケア製品を核に、美容高感度層から支持を拡大してきた美容サロン発の気鋭ビューティブランドだ。近年はEC、松屋銀座本店の直営店に加えて、美容クリニックでの販路拡大に力を入れている。「肌に悩む、あらゆる人を救うブランド」への飛躍へ向けて25年、梅田延稔レカルカCEOが考える次の一手とは。

美容サロン発の知見と
ユーザーとの関係値が武器に

WWD:「レカルカ」とはどのようなブランドか。

梅田延稔レカルカCEO(以下、梅田):ビジネスのスタート地点は、私の母であり、現会長の梅田英姫が20年前に創業したエステサロンだった。たちまち「結果の出る施術」と話題になってお客さまが全国から集まるようになり、肌に悩む女性の「駆け込み寺」のような存在になることができた。ただサロンの予約は常にいっぱいで、施術できる人はどうしても限られてしまっていた。よりたくさんの人の肌悩みを救いたいという彼女の思いもあり、18年に私が旗振り役となってスキンケアブランド「レカルカ」の開発に至った。

WWD:「レカルカ」の強みは?

梅田:年間数万人もの肌を施術する中で、たくさんの肌悩みやセルフケアについて知る機会に恵まれ、皮膚科学の専門家や医師の方々とセッションをする機会が多かった。エステで培った英姫会長の経験とお客さまのリアルな声、皮膚科学の専門知識を融合させることで、他にない化粧品が作れているという自負がある。悩みが深いほど、「レカルカ」を使うことで肌が劇的に変わり、その分得られる喜びは大きい。使用前と使用後の肌の変化を、写真とともにわざわざ報告してくれるユーザーもおり、インタラクティブで強固な関係が築けているのも当社ならではの特長。お客さまの声にじっくり傾けながら、肌悩みを解消し、人生をポジティブな方向に導いていく。そんな成功体験を積み上げながらユーザーの信頼を獲得してきた。

WWD:成長をけん引する要因は。

梅田:肌のターンオーバーを正常化することで、「肌荒れしにくくなった」と反響を多くいただいている化粧水“ラクトペプローション”(100mL、8800円)。そしてビタミンCを角層の奥まで届けることで、透明感とハリが実感できるという声が多い“CFセラムアドバンス”(30mL、1万3200円)、この2つが売れ筋製品だ。当初は直営のエステサロンとECのみで販売してきたが、20年に初のポップアップストアを松屋銀座本店で実施したことも認知拡大のきっかけとなり、同時に想像していた以上のお客さまの熱量、製品を試してみたいというモチベーションを感じた。21年には同店に常設店舗を出店し、客数、売り上げ共に順調に成長している。

また同年には美容クリニックの専売ライン“DREX”を立ち上げ、クリニックの販路開拓に特化した営業チームを発足した。アプローチを始めて3年ほどで、提携クリニックは900件超に達した。「レカルカ」のユーザーは美容クリニックに通っている人も多く、医師やナースにも愛用者がいらっしゃるため、商談がスムーズに進むことも多い。現在の売り上げ構成において、美容クリニックでの流通が4割ほどを占めるまでになっている。

WWD:25年はどのようなことに取り組むか。

梅田:コンシューマー向けの製品は、大胆にリブランディングを行う。クリニック専売品がきっかけとなって、ドクターズコスメとしてますます美容感度の高いコアな層を取り込めているからこそ、その価値を広く届けることに邁進していきたい。「レカルカ」は創業者の英姫会長がストーリーテラーとなって、エステサロン発の信頼のあるブランドというイメージを確立できてきた手応えがあるが、反面、「レカルカ」を知らない人にどう届けるかは、ずっと悩みどころだった。「レカルカ」を通じて肌が変われば人生まで変わる。それほどの可能性を持っているという確信が得られたからこそ、もっとたくさんの人たちに使ってもらいたいという思いがある。

年内に新たなコンセプト“Wake Your Beauty”のもと「その出会いは人生のターニングポイントになる」というメッセージと世界観を体現したポップアップストアを全国で実施する予定だ。また、販売チャネルを広げて、タッチポイントを増やすことも考えていきたい。価格帯が1万円台前半〜後半と比較的高額であるため、百貨店やそれに準ずる場所での販売に絞る。ポップアップでの反応を見ながら、松屋銀座本店に続く直営出店の機会もうかがっている。

WWD:さらなる躍進の年になりそうだ。

梅田:規模が大きくなろうと、一人一人のニーズに応えるためにプロダクトを改良し続ける、モノ作りの姿勢はブレることはない。もう少し先を見れば、われわれは“化粧品メーカー”に止まるつもりもない。化粧品メーカーの範疇を超えて、お客さまの人生を美しく変えていけるような存在を目指していく。化粧品以外の事業構想も検討しながら、ブランド設立当初からの目標である「売上高100億円」のマイルストーンに向かって全力で走り続けたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『映画をプロデュース!』

「レカルカ」は一部の顧客向けに周年施策を毎年実施している。これまでホテルやレストランを貸し切ってイベントをするなど趣向を凝らしてきた。記念すべき10周年は「レカルカ」プロデュースの映画作品を作って、映画館で上映したい!

COMPANY DATA
レカルカ

2005年に梅田英姫会長が東京・銀座にエステサロンを創業。多くの女性の肌に触れてきた知見と、最先端の皮膚科学研究を融合させて、スキンケアブランド「レカルカ」を17年に立ち上げ。21年には松屋銀座に出店し、各地の百貨店でポップアップを開催して人気を集めている。近年はエステサロンや美容クリニックでの展開を強化している


問い合わせ先
レカルカ
03-6432-4354

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【レカルカ 梅田延稔 CEO】化粧品の枠を超えて、美しくなる“経験”を届けたい

PROFILE: 梅田延稔/CEO

梅田延稔/CEO
PROFILE: (うめだ・のぶとし)神奈川県出身。明治学院大学法学部在学中に、中国のジョイントベンチャー企業のインターンシップに参加。約1年間の中国駐在を経験する。2014年に大学を卒業し、IT系企業の経営企画部兼IPO準備室を経て、17年に起業。企業の新規事業立ち上げや医療機関のコンサルティングをしながら、梅田英姫会長とともに「レカルカ」を立ち上げ。18年に代表取締役CEOに就任 PHOTO : TAMEKI OSHIRO

「レカルカ」は2017年の立ち上げ以降、皮膚科学研究に基づいた良質なスキンケア製品を核に、美容高感度層から支持を拡大してきた美容サロン発の気鋭ビューティブランドだ。近年はEC、松屋銀座本店の直営店に加えて、美容クリニックでの販路拡大に力を入れている。「肌に悩む、あらゆる人を救うブランド」への飛躍へ向けて25年、梅田延稔レカルカCEOが考える次の一手とは。

美容サロン発の知見と
ユーザーとの関係値が武器に

WWD:「レカルカ」とはどのようなブランドか。

梅田延稔レカルカCEO(以下、梅田):ビジネスのスタート地点は、私の母であり、現会長の梅田英姫が20年前に創業したエステサロンだった。たちまち「結果の出る施術」と話題になってお客さまが全国から集まるようになり、肌に悩む女性の「駆け込み寺」のような存在になることができた。ただサロンの予約は常にいっぱいで、施術できる人はどうしても限られてしまっていた。よりたくさんの人の肌悩みを救いたいという彼女の思いもあり、18年に私が旗振り役となってスキンケアブランド「レカルカ」の開発に至った。

WWD:「レカルカ」の強みは?

梅田:年間数万人もの肌を施術する中で、たくさんの肌悩みやセルフケアについて知る機会に恵まれ、皮膚科学の専門家や医師の方々とセッションをする機会が多かった。エステで培った英姫会長の経験とお客さまのリアルな声、皮膚科学の専門知識を融合させることで、他にない化粧品が作れているという自負がある。悩みが深いほど、「レカルカ」を使うことで肌が劇的に変わり、その分得られる喜びは大きい。使用前と使用後の肌の変化を、写真とともにわざわざ報告してくれるユーザーもおり、インタラクティブで強固な関係が築けているのも当社ならではの特長。お客さまの声にじっくり傾けながら、肌悩みを解消し、人生をポジティブな方向に導いていく。そんな成功体験を積み上げながらユーザーの信頼を獲得してきた。

WWD:成長をけん引する要因は。

梅田:肌のターンオーバーを正常化することで、「肌荒れしにくくなった」と反響を多くいただいている化粧水“ラクトペプローション”(100mL、8800円)。そしてビタミンCを角層の奥まで届けることで、透明感とハリが実感できるという声が多い“CFセラムアドバンス”(30mL、1万3200円)、この2つが売れ筋製品だ。当初は直営のエステサロンとECのみで販売してきたが、20年に初のポップアップストアを松屋銀座本店で実施したことも認知拡大のきっかけとなり、同時に想像していた以上のお客さまの熱量、製品を試してみたいというモチベーションを感じた。21年には同店に常設店舗を出店し、客数、売り上げ共に順調に成長している。

また同年には美容クリニックの専売ライン“DREX”を立ち上げ、クリニックの販路開拓に特化した営業チームを発足した。アプローチを始めて3年ほどで、提携クリニックは900件超に達した。「レカルカ」のユーザーは美容クリニックに通っている人も多く、医師やナースにも愛用者がいらっしゃるため、商談がスムーズに進むことも多い。現在の売り上げ構成において、美容クリニックでの流通が4割ほどを占めるまでになっている。

WWD:25年はどのようなことに取り組むか。

梅田:コンシューマー向けの製品は、大胆にリブランディングを行う。クリニック専売品がきっかけとなって、ドクターズコスメとしてますます美容感度の高いコアな層を取り込めているからこそ、その価値を広く届けることに邁進していきたい。「レカルカ」は創業者の英姫会長がストーリーテラーとなって、エステサロン発の信頼のあるブランドというイメージを確立できてきた手応えがあるが、反面、「レカルカ」を知らない人にどう届けるかは、ずっと悩みどころだった。「レカルカ」を通じて肌が変われば人生まで変わる。それほどの可能性を持っているという確信が得られたからこそ、もっとたくさんの人たちに使ってもらいたいという思いがある。

年内に新たなコンセプト“Wake Your Beauty”のもと「その出会いは人生のターニングポイントになる」というメッセージと世界観を体現したポップアップストアを全国で実施する予定だ。また、販売チャネルを広げて、タッチポイントを増やすことも考えていきたい。価格帯が1万円台前半〜後半と比較的高額であるため、百貨店やそれに準ずる場所での販売に絞る。ポップアップでの反応を見ながら、松屋銀座本店に続く直営出店の機会もうかがっている。

WWD:さらなる躍進の年になりそうだ。

梅田:規模が大きくなろうと、一人一人のニーズに応えるためにプロダクトを改良し続ける、モノ作りの姿勢はブレることはない。もう少し先を見れば、われわれは“化粧品メーカー”に止まるつもりもない。化粧品メーカーの範疇を超えて、お客さまの人生を美しく変えていけるような存在を目指していく。化粧品以外の事業構想も検討しながら、ブランド設立当初からの目標である「売上高100億円」のマイルストーンに向かって全力で走り続けたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『映画をプロデュース!』

「レカルカ」は一部の顧客向けに周年施策を毎年実施している。これまでホテルやレストランを貸し切ってイベントをするなど趣向を凝らしてきた。記念すべき10周年は「レカルカ」プロデュースの映画作品を作って、映画館で上映したい!

COMPANY DATA
レカルカ

2005年に梅田英姫会長が東京・銀座にエステサロンを創業。多くの女性の肌に触れてきた知見と、最先端の皮膚科学研究を融合させて、スキンケアブランド「レカルカ」を17年に立ち上げ。21年には松屋銀座に出店し、各地の百貨店でポップアップを開催して人気を集めている。近年はエステサロンや美容クリニックでの展開を強化している


問い合わせ先
レカルカ
03-6432-4354

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【リノビューティー 田中誠太朗社長】美容領域から地方創生をハイブリッドに実現

PROFILE: 田中誠太朗/社長

田中誠太朗/社長
PROFILE: (たなか・せいたろう)原宿・青山・六本木のトップヘアサロンで経験を積み、俳優ら多くの著名人を担当する。サロンワークのほか、雑誌・CM・広告のヘアメイク、メディア出演や、大手化粧品メーカーでのセミナーなど多岐に渡って活動。2015年にリノビューティーを設立し、17年に会員制ビューティサロン「リノ801」を広尾にオープン。19年に「クロノシャルム」を発売し、ラグジュアリーホテルでのアメニティーにも採用。故郷である北海道を中心に地方創生に取り組む PHOTO : YOHEI KICHIRAKU

リノビューティーは、ライフスタイルブランド「クロノシャルム」を通じて地方創生に正面から取り組む注目の会社だ。宿泊施設との連携など化粧品にとらわれない新発想でさまざまなプロジェクトを仕掛ける。

将来的には海外外資系の
ホテルへの導入を目指す

WWD:まず会員制ビューティサロンの経緯は?

田中誠太朗社長(以下、田中):美容師として都内のトップサロンに勤務していた時は、多くの芸能人や経営者ら富裕層を担当させて頂いた。そこで感じたのが、そういったゲストは時間を無駄にしたくない、プライベートな空間が欲しいということ。それを受け2017年に完全個室でマンツーマンの会員制サロン「Reno 801(リノ801)」をオープンした。最高金額が「年間契約100万円」となっているが、ヘアサロンメニューだけでなくプロのメイクアップやスパも受けられ、プランによってはヘアスタイルに合わせてホームケア製品も提供する。「ゲストの時間を大切に守る」というのがサロンのコンセプトで、ゲストにはまるで自分の家にいるかのように使ってもらっている。ゲストの時間を大切に守るというのは、弊社の製品・サービス全てに通じる思想だ。

WWD:19年には「クロノシャルム」を発売した。

田中:サロンを立ち上げる時点でオリジナルブランドを作る構想はあり、製品開発に注力する計画だった。「Reno 801」のお客さまに自宅でもサロンのクオリティーを提供したい、来られない人にもそれを感じてほしいとの思いで作ったのが「クロノシャルム」。そのためサロンクオリティーとラグジュアリー感にこだわった。クロノ(chrono)は時間、シャルム(charme)は魅力を意味し、その人の時間に魅力を与えるというのがブランドメッセージだ。

WWD:原料には北海道余市町のブドウを採用している。

田中:「クロノシャルム」には「サステナビリティ」「地方創生」というコンセプトもある。僕の出身は北海道で、ラベンダー、ハッカ、昆布など良い原料があるにもかかわらず、お土産化粧品でしか使われていないことが多い。それをアップデートしたかった。同ブランドには余市町のワイナリーで醸造の際に廃棄されてしまう白ブドウの皮から抽出したクロノシャルディをコンセプト成分として採用している。人間には体内時計を動かす時計遺伝子が存在し、頭皮にも存在する。クロノシャルディはその時計遺伝子に表皮レベルで働きかけ、正常な状態へとサポートする働きがあることが期待されている。富裕層をターゲットにした製品としてワインは共通言語になり得るし、時間というコンセプトにもつながる。現在はその協力ワイナリーが生産する白ワインをブランドオリジナルの“クロシャルム ユメワイン”としてふるさと納税の返礼品にも出品している。

WWD:ホテルのアメニティーとしての採用も活発だ。

田中:ビューティ製品として販路を広げたりラインアップを拡大したりするのが成長のセオリーかもしれないが、われわれはライフスタイルブランドとしてラグジュアリーホテルのアメニティーを目標の一つとした。ブランドデビューから3カ月後にはニセコのラグジュアリーな宿泊施設「シグチ」でのアメニティー採用が決まった。また、23年には北海道日本ハムファイターズの本拠地となる北海道ボールパークFビレッジ内の「ヴィラ ブラマーレ」にも採用された。この2つはそれぞれ独自のフレグランスを「シグチコレクション」「ブラマーレコレクション」というホテルコレクションとして販売もしている。他にも全国8施設でオリジナルラインが採用されており(24年12月現在)、将来的には海外外資系ホテルへの導入を目指したい。

WWD:ブランドデビューから5年。売り上げの推移は?

田中:規模は大きくないが、毎年1.5倍のペースで伸びている。ただ、広告を打ったりインフルエンサーを起用したりして垂直立ち上げ型のビジネスモデルを作るつもりは全くなく、20年30年と続いていくブランドとなるよう価値を上げていきたい。もちろん製品の売り上げは伸ばしたいが、今後はブランドを体現するサービスにより注力したい。

WWD:ブランドを体現するサービスとは?

田中:第一歩として23年10月に「クロノシャルム リトリート ツーリズム」を開始した。弊社は宿泊施設に製品を卸して終わりではなく、そこに人を送り出すところまでが、美容領域からの地方創生への取り組みだと思っている。そのため、「クロノシャルム」のサイトから取引先のホテルの予約サイトにアクセスできる導線を設けている。また、宿泊施設とコラボレーションし、応募者の中から抽選で宿泊体験をプレゼントするキャンペーンを実施している。

WWD:25年の抱負は?

田中:「クロノシャルム リトリート ツーリズム」は単発のプレゼントキャンペーンではなく、それ自体で機能するべきだと考えている。今よりもさらに地域、宿泊施設との連携を強固なものとしていき、「クロノシャルム」というブランドを通じて旅に行きたいと思ってもらえるような仕組みを構築していきたい。僕の故郷は北海道ではあるが、地方創生は日本全国の話。“美容領域から地方創生”は弊社のミッションの一つなので、ブランドに関わっていただく全ての人たちに還元していくことを目指したい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『自社プロデュースのホテル開業』

サービスやインテリアの勉強も兼ねラグジュアリーホテルに宿泊することが増えた。その過程で、いつか「自分が理想とするホテルを開業したい」と夢を持つように。ビル一棟を、日本の自然や文化を感じられる場所として打ち出したい。

COMPANY DATA
リノビューティー

「だからあなたは美しい/so you’re beautiful」をコンセプトに掲げ、美容にまつわる事業を幅広い視野で考えるトータルビューティカンパニーとして2015年に設立。会員制ビューティサロン「リノ801」の運営をはじめ、ヘアメイクサービスの提供、オリジナルブランド「クロノシャルム」の製品開発や製品プロデュースを行う。地方自治体との取り組みに力を入れており、アップサイクルされた成分の使用や、宿泊施設やワイナリーとのコラボレーション、各自治体のふるさと納税への参加などを展開する


問い合わせ先
リノビューティー
info@renobeauty.jp

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【リノビューティー 田中誠太朗社長】美容領域から地方創生をハイブリッドに実現

PROFILE: 田中誠太朗/社長

田中誠太朗/社長
PROFILE: (たなか・せいたろう)原宿・青山・六本木のトップヘアサロンで経験を積み、俳優ら多くの著名人を担当する。サロンワークのほか、雑誌・CM・広告のヘアメイク、メディア出演や、大手化粧品メーカーでのセミナーなど多岐に渡って活動。2015年にリノビューティーを設立し、17年に会員制ビューティサロン「リノ801」を広尾にオープン。19年に「クロノシャルム」を発売し、ラグジュアリーホテルでのアメニティーにも採用。故郷である北海道を中心に地方創生に取り組む PHOTO : YOHEI KICHIRAKU

リノビューティーは、ライフスタイルブランド「クロノシャルム」を通じて地方創生に正面から取り組む注目の会社だ。宿泊施設との連携など化粧品にとらわれない新発想でさまざまなプロジェクトを仕掛ける。

将来的には海外外資系の
ホテルへの導入を目指す

WWD:まず会員制ビューティサロンの経緯は?

田中誠太朗社長(以下、田中):美容師として都内のトップサロンに勤務していた時は、多くの芸能人や経営者ら富裕層を担当させて頂いた。そこで感じたのが、そういったゲストは時間を無駄にしたくない、プライベートな空間が欲しいということ。それを受け2017年に完全個室でマンツーマンの会員制サロン「Reno 801(リノ801)」をオープンした。最高金額が「年間契約100万円」となっているが、ヘアサロンメニューだけでなくプロのメイクアップやスパも受けられ、プランによってはヘアスタイルに合わせてホームケア製品も提供する。「ゲストの時間を大切に守る」というのがサロンのコンセプトで、ゲストにはまるで自分の家にいるかのように使ってもらっている。ゲストの時間を大切に守るというのは、弊社の製品・サービス全てに通じる思想だ。

WWD:19年には「クロノシャルム」を発売した。

田中:サロンを立ち上げる時点でオリジナルブランドを作る構想はあり、製品開発に注力する計画だった。「Reno 801」のお客さまに自宅でもサロンのクオリティーを提供したい、来られない人にもそれを感じてほしいとの思いで作ったのが「クロノシャルム」。そのためサロンクオリティーとラグジュアリー感にこだわった。クロノ(chrono)は時間、シャルム(charme)は魅力を意味し、その人の時間に魅力を与えるというのがブランドメッセージだ。

WWD:原料には北海道余市町のブドウを採用している。

田中:「クロノシャルム」には「サステナビリティ」「地方創生」というコンセプトもある。僕の出身は北海道で、ラベンダー、ハッカ、昆布など良い原料があるにもかかわらず、お土産化粧品でしか使われていないことが多い。それをアップデートしたかった。同ブランドには余市町のワイナリーで醸造の際に廃棄されてしまう白ブドウの皮から抽出したクロノシャルディをコンセプト成分として採用している。人間には体内時計を動かす時計遺伝子が存在し、頭皮にも存在する。クロノシャルディはその時計遺伝子に表皮レベルで働きかけ、正常な状態へとサポートする働きがあることが期待されている。富裕層をターゲットにした製品としてワインは共通言語になり得るし、時間というコンセプトにもつながる。現在はその協力ワイナリーが生産する白ワインをブランドオリジナルの“クロシャルム ユメワイン”としてふるさと納税の返礼品にも出品している。

WWD:ホテルのアメニティーとしての採用も活発だ。

田中:ビューティ製品として販路を広げたりラインアップを拡大したりするのが成長のセオリーかもしれないが、われわれはライフスタイルブランドとしてラグジュアリーホテルのアメニティーを目標の一つとした。ブランドデビューから3カ月後にはニセコのラグジュアリーな宿泊施設「シグチ」でのアメニティー採用が決まった。また、23年には北海道日本ハムファイターズの本拠地となる北海道ボールパークFビレッジ内の「ヴィラ ブラマーレ」にも採用された。この2つはそれぞれ独自のフレグランスを「シグチコレクション」「ブラマーレコレクション」というホテルコレクションとして販売もしている。他にも全国8施設でオリジナルラインが採用されており(24年12月現在)、将来的には海外外資系ホテルへの導入を目指したい。

WWD:ブランドデビューから5年。売り上げの推移は?

田中:規模は大きくないが、毎年1.5倍のペースで伸びている。ただ、広告を打ったりインフルエンサーを起用したりして垂直立ち上げ型のビジネスモデルを作るつもりは全くなく、20年30年と続いていくブランドとなるよう価値を上げていきたい。もちろん製品の売り上げは伸ばしたいが、今後はブランドを体現するサービスにより注力したい。

WWD:ブランドを体現するサービスとは?

田中:第一歩として23年10月に「クロノシャルム リトリート ツーリズム」を開始した。弊社は宿泊施設に製品を卸して終わりではなく、そこに人を送り出すところまでが、美容領域からの地方創生への取り組みだと思っている。そのため、「クロノシャルム」のサイトから取引先のホテルの予約サイトにアクセスできる導線を設けている。また、宿泊施設とコラボレーションし、応募者の中から抽選で宿泊体験をプレゼントするキャンペーンを実施している。

WWD:25年の抱負は?

田中:「クロノシャルム リトリート ツーリズム」は単発のプレゼントキャンペーンではなく、それ自体で機能するべきだと考えている。今よりもさらに地域、宿泊施設との連携を強固なものとしていき、「クロノシャルム」というブランドを通じて旅に行きたいと思ってもらえるような仕組みを構築していきたい。僕の故郷は北海道ではあるが、地方創生は日本全国の話。“美容領域から地方創生”は弊社のミッションの一つなので、ブランドに関わっていただく全ての人たちに還元していくことを目指したい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『自社プロデュースのホテル開業』

サービスやインテリアの勉強も兼ねラグジュアリーホテルに宿泊することが増えた。その過程で、いつか「自分が理想とするホテルを開業したい」と夢を持つように。ビル一棟を、日本の自然や文化を感じられる場所として打ち出したい。

COMPANY DATA
リノビューティー

「だからあなたは美しい/so you’re beautiful」をコンセプトに掲げ、美容にまつわる事業を幅広い視野で考えるトータルビューティカンパニーとして2015年に設立。会員制ビューティサロン「リノ801」の運営をはじめ、ヘアメイクサービスの提供、オリジナルブランド「クロノシャルム」の製品開発や製品プロデュースを行う。地方自治体との取り組みに力を入れており、アップサイクルされた成分の使用や、宿泊施設やワイナリーとのコラボレーション、各自治体のふるさと納税への参加などを展開する


問い合わせ先
リノビューティー
info@renobeauty.jp

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【メディプラス 内田恭平 社長】「オゾン化グリセリン」を人々の暮らしに役立てたい

PROFILE: 内田恭平/社長

内田恭平/社長
PROFILE: (うちだ・きょうへい)1992年ポーラ化粧品本舗入社。営業、製品開発を経てポーラのBtoB事業部の西日本部長、11年にポーラ・オルビスホールディングス広報IR室長、12年にオルラーヌジャポン代表取締役に就任。退職後、17年ニッピコラーゲン化粧品に常務取締役として入社。23年9月から現職 PHOTO:SHUHEI SHINE

2024年は、ロングセラーの“メディプラスゲル”をはじめ、基幹製品群に独自技術による「オゾン化グリセリン※」を新配合してフルリニューアル。順調な滑り出しによって2期連続増収増益を達成した。内田恭平社長は、敏感肌悩みに寄り添ってきた経営理念、研究力、製品力をさらに光らせるべく、CRM(顧客関係強化)の磨き上げに力を入れる。 ※整肌成分

「肌悩みから解放してあげたい」
妥協なき品質へのこだわり

WWD:昨年を振り返って。

内田恭平社長(以下、内田):“オゾン化グリセリン”を配合した主力スキンケアのリニューアルが無事に滑り出し、まずはほっとしている。原価の兼ね合いでどうしても値上げせざるを得ず、多少の離反はあったものの、特に2300万本以上のシリーズ販売実績がある中でも主力のオールインワンゲル状美容液“メディプラスゲル”(180g、4400円)は長年ご愛用くださっているファンも多く、売り上げ動向に大きな影響はなかった。新客も獲得できたことで、差し引きでは伸長している。

WWD:「オゾン化グリセリン」とは。

内田:当社の特許技術「オゾネーション」でオゾンとグリセリンを化合させたもの。医療の現場でも使われるオゾンに着目し、安定性のあるグリセリンと組み合わせた保水力に優れた成分だ。これを洗顔料の“ウォッシュムース”、“クレンジングミルク”、日焼け止めの“UVミルキーゲル”にも配合し、オゾン化グリセリンを使ったトータルステップケアができるようになった。
さらに昨年末にはリップケアに特化した“リペアリップパック”、今年1月には“メディプラスゲル”の2.5倍量のオゾン化グリセリンを配合した“メディプラスゲルコンク”を発売した。これから投入を予定しているミスト化粧水も積極的にプロモーションしていく。

WWD:社長就任から1年4カ月。自社の強みをどう分析するか。

内田:創業者の恒吉(明美会長)から受け継がれている、妥協のない製品へのこだわり。恒吉自身が肌悩みを抱えており、同じような悩みを持つ人の心の浮き沈みを知っている。敏感肌の人は、肌が刺激を感じた時に「ちりちり」という音が肌から聞こえるという。恒吉は、この「ちりちり」から1人でも多くの人が解放されるように、という一心で製品を作り続けている。

そんな熱量が、スキンケアの魂である「官能評価」へのこだわりに表れている。つまりテクスチャーのことだ。“メディプラスゲルコンク”の開発過程では私も恒吉と一緒になって製品評価を行ったが、彼女はサンプルを手に取り、拭き取って、また手に取ってと、納得するまで何度もやり直していた。作ったサンプル数は60を超えた。私も長らく化粧品メーカーでのキャリアを積んできたが、これは一般的な化粧品開発ではあり得ない数だ。それでも徹底して、納得いくまでこだわり続ける姿勢こそが、このブランドの他にはない価値を作っているのだと思う。そんな創業者の姿を見れば、現場も本気になるに決まっている。

WWD:D2Cのビジネスモデルも特徴だ。

内田:「オゾン化グリセリン」をキーにさらなるブランドの認知拡大を図りながらも、顧客満足を追求することが私のミッション。CRM(顧客関係管理)が肝要だ。かつて当社は2007年に通販事業に参入すると、一気にシェアを広げ、10年足らずで売上高80億円まで拡大した。入社してから当時のデータを見てみたら、1年で25万人もの新客をとったが、リピートにつなげられず、翌年継続した方は半分だった。お客さまと距離が近いビジネスだからこそ、化粧品を作って売るだけではダメだ。お客さまにお届けする製品梱包に一筆添えたり、必要なときに必要な情報をパーソナライズされたメルマガでお届けしたりと、きめ細やかな心遣いや温度感のあるコミュニケーションが大事だと思っている。まずCRMをしっかりと支える社内制度、体制、ヒトがベースにあって、その上でマーケティングとブランディングを乗っけていく。でないと一過性のブームで終わってしまうし、売れ続ける組織にはなれない。

WWD:25年8月期の見通しは?

内田:前期比8%増の48億5000万円を計画している。トップライン(売上高)を狙っていくよりも、お客さまの満足度やリピート率といった“中身”のクオリティーを重視している。新規獲得率は順調に伸びているため、既存のユーザーがもっと満足するような制度や仕組み作りに注力したい。誰よりも、社員がメディプラスの製品の一番のファンであり、魅力の体現者でなければいけないと思っているから、社員一人一人の愛着心が滲み出るようなブランディング戦略を考えていく。

WWD:未来に向けた可能性は?

内田:今までは敏感肌や肌がゆらぎやすい人たちに寄り添うブランドを目指してきたが、「オゾン化グリセリン」の可能性はこれにとどまらない。これからはライフスタイルにも入り込んでいきたいし、肌だけではなく体のさまざまな部位やインナービューティにも業容を広げながら、人々のよりよい暮らしに貢献していきたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『75歳までサーフィン』

サーフィンが趣味。お供はもちろん“UV ミルキーゲル”。来年は還暦を迎えるけれど、できれば75歳ぐらいまで続けたい。そのためには体力だけでなく精神も鍛えておかなければ。年々、冬の海の寒さが堪えるようになってきたので(笑)。

COMPANY DATA
メディプラス

2003年創業。幼少期より敏感肌に悩まされてきた創業者の恒吉明美氏が、自らの肌を実験台にスキンケア開発に着手。試行錯誤の末、エコー用のジェルに着想を得てゲル状スキンケア化粧品“メディプラスゲル”を完成させた。通販化粧品会社としてシェアを伸ばし、資金ゼロから売上高80億円を超えるブランドに成長させた。23年にはグループ会社のメディプラス製薬が特許を持つ独自成分「オゾン化グリセリン」を配合した製品を打ち出し、“悩みのない肌作り”を実現するブランドへ飛躍


問い合わせ先
メディプラス
0120-34-8748

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【メディプラス 内田恭平 社長】「オゾン化グリセリン」を人々の暮らしに役立てたい

PROFILE: 内田恭平/社長

内田恭平/社長
PROFILE: (うちだ・きょうへい)1992年ポーラ化粧品本舗入社。営業、製品開発を経てポーラのBtoB事業部の西日本部長、11年にポーラ・オルビスホールディングス広報IR室長、12年にオルラーヌジャポン代表取締役に就任。退職後、17年ニッピコラーゲン化粧品に常務取締役として入社。23年9月から現職 PHOTO:SHUHEI SHINE

2024年は、ロングセラーの“メディプラスゲル”をはじめ、基幹製品群に独自技術による「オゾン化グリセリン※」を新配合してフルリニューアル。順調な滑り出しによって2期連続増収増益を達成した。内田恭平社長は、敏感肌悩みに寄り添ってきた経営理念、研究力、製品力をさらに光らせるべく、CRM(顧客関係強化)の磨き上げに力を入れる。 ※整肌成分

「肌悩みから解放してあげたい」
妥協なき品質へのこだわり

WWD:昨年を振り返って。

内田恭平社長(以下、内田):“オゾン化グリセリン”を配合した主力スキンケアのリニューアルが無事に滑り出し、まずはほっとしている。原価の兼ね合いでどうしても値上げせざるを得ず、多少の離反はあったものの、特に2300万本以上のシリーズ販売実績がある中でも主力のオールインワンゲル状美容液“メディプラスゲル”(180g、4400円)は長年ご愛用くださっているファンも多く、売り上げ動向に大きな影響はなかった。新客も獲得できたことで、差し引きでは伸長している。

WWD:「オゾン化グリセリン」とは。

内田:当社の特許技術「オゾネーション」でオゾンとグリセリンを化合させたもの。医療の現場でも使われるオゾンに着目し、安定性のあるグリセリンと組み合わせた保水力に優れた成分だ。これを洗顔料の“ウォッシュムース”、“クレンジングミルク”、日焼け止めの“UVミルキーゲル”にも配合し、オゾン化グリセリンを使ったトータルステップケアができるようになった。
さらに昨年末にはリップケアに特化した“リペアリップパック”、今年1月には“メディプラスゲル”の2.5倍量のオゾン化グリセリンを配合した“メディプラスゲルコンク”を発売した。これから投入を予定しているミスト化粧水も積極的にプロモーションしていく。

WWD:社長就任から1年4カ月。自社の強みをどう分析するか。

内田:創業者の恒吉(明美会長)から受け継がれている、妥協のない製品へのこだわり。恒吉自身が肌悩みを抱えており、同じような悩みを持つ人の心の浮き沈みを知っている。敏感肌の人は、肌が刺激を感じた時に「ちりちり」という音が肌から聞こえるという。恒吉は、この「ちりちり」から1人でも多くの人が解放されるように、という一心で製品を作り続けている。

そんな熱量が、スキンケアの魂である「官能評価」へのこだわりに表れている。つまりテクスチャーのことだ。“メディプラスゲルコンク”の開発過程では私も恒吉と一緒になって製品評価を行ったが、彼女はサンプルを手に取り、拭き取って、また手に取ってと、納得するまで何度もやり直していた。作ったサンプル数は60を超えた。私も長らく化粧品メーカーでのキャリアを積んできたが、これは一般的な化粧品開発ではあり得ない数だ。それでも徹底して、納得いくまでこだわり続ける姿勢こそが、このブランドの他にはない価値を作っているのだと思う。そんな創業者の姿を見れば、現場も本気になるに決まっている。

WWD:D2Cのビジネスモデルも特徴だ。

内田:「オゾン化グリセリン」をキーにさらなるブランドの認知拡大を図りながらも、顧客満足を追求することが私のミッション。CRM(顧客関係管理)が肝要だ。かつて当社は2007年に通販事業に参入すると、一気にシェアを広げ、10年足らずで売上高80億円まで拡大した。入社してから当時のデータを見てみたら、1年で25万人もの新客をとったが、リピートにつなげられず、翌年継続した方は半分だった。お客さまと距離が近いビジネスだからこそ、化粧品を作って売るだけではダメだ。お客さまにお届けする製品梱包に一筆添えたり、必要なときに必要な情報をパーソナライズされたメルマガでお届けしたりと、きめ細やかな心遣いや温度感のあるコミュニケーションが大事だと思っている。まずCRMをしっかりと支える社内制度、体制、ヒトがベースにあって、その上でマーケティングとブランディングを乗っけていく。でないと一過性のブームで終わってしまうし、売れ続ける組織にはなれない。

WWD:25年8月期の見通しは?

内田:前期比8%増の48億5000万円を計画している。トップライン(売上高)を狙っていくよりも、お客さまの満足度やリピート率といった“中身”のクオリティーを重視している。新規獲得率は順調に伸びているため、既存のユーザーがもっと満足するような制度や仕組み作りに注力したい。誰よりも、社員がメディプラスの製品の一番のファンであり、魅力の体現者でなければいけないと思っているから、社員一人一人の愛着心が滲み出るようなブランディング戦略を考えていく。

WWD:未来に向けた可能性は?

内田:今までは敏感肌や肌がゆらぎやすい人たちに寄り添うブランドを目指してきたが、「オゾン化グリセリン」の可能性はこれにとどまらない。これからはライフスタイルにも入り込んでいきたいし、肌だけではなく体のさまざまな部位やインナービューティにも業容を広げながら、人々のよりよい暮らしに貢献していきたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『75歳までサーフィン』

サーフィンが趣味。お供はもちろん“UV ミルキーゲル”。来年は還暦を迎えるけれど、できれば75歳ぐらいまで続けたい。そのためには体力だけでなく精神も鍛えておかなければ。年々、冬の海の寒さが堪えるようになってきたので(笑)。

COMPANY DATA
メディプラス

2003年創業。幼少期より敏感肌に悩まされてきた創業者の恒吉明美氏が、自らの肌を実験台にスキンケア開発に着手。試行錯誤の末、エコー用のジェルに着想を得てゲル状スキンケア化粧品“メディプラスゲル”を完成させた。通販化粧品会社としてシェアを伸ばし、資金ゼロから売上高80億円を超えるブランドに成長させた。23年にはグループ会社のメディプラス製薬が特許を持つ独自成分「オゾン化グリセリン」を配合した製品を打ち出し、“悩みのない肌作り”を実現するブランドへ飛躍


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メディプラス
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【エスヴィータ 篠﨑祥子代表取締役】再生医療着想のメーカー事業で外商ブランドとしての地位確立へ

PROFILE: 篠﨑祥子/代表取締役

篠﨑祥子/代表取締役
PROFILE: (しのざき・しょうこ)2006年に大手外資系化粧品メーカーでキャリアをスタートし、国内化粧品メーカーなどで約16年にわたり広報やマーケティングを担当。16年7月から現職。単純なPR代行で終わらず、ブランド力アップにつながる戦略的なPRから製品作り、ブランド立ち上げ、販路拡大までサポート。リレーションにもしっかり時間をかけ結果につなげる手腕は業界内で高い評価を得ている PHOTO : TOYOTA KAZUSHI

エスヴィータはメーカーとコンサル・PR業務、美容医療クリニック経営の3つの顔を持つ。昨年ローンチした完全オーダーメードスキンケアや、プレミアムスキンケアブランドを発展させ、3事業のワンストップ型ビジネスモデルの確立を目指す。

3事業のワンストップ型ビジネスモデルを確立

WWD:2024年は、長年思い描いていた化粧品メーカーとしての夢が実現した。

篠﨑祥子代表取締役(以下、篠﨑):世界初となるiPS細胞を用いた完全オーダーメードスキンケア「イプシア(IPSYA)」とプレミアムスキンケアブランド「テウズ(TEUDU)」を展開した。24年11月発売の「テウズ」は高価格帯であることを踏まえ、製品特性やバックグラウンドをしっかり伝えるために、プレ販売会やお披露目会、メディア発表会、インフルエンサー向けのイベント、一般のお客さま向けのイベントなど、発売日まで毎月のように戦略的に施策を重ねた。富裕層向けのメディアを中心に数多く取り上げていただけたほか、三越日本橋本店では1週間のポップアップイベントを開催できた。「売り上げと新たな客層を獲得できた」とバイヤーからも高評価を得ることができ、順調な滑り出しだった。

WWD:ターゲット層にリーチできたか?

篠﨑:美容感度の高い人や、日常的に上質なものに触れている外商のお客さまからの反響が高く安堵した。外商ビジネスに長けた三越日本橋本店との相性がよかったことも勝因だったと考えている。

WWD:「イプシア」は完全オーダーメードスキンケアのため、一般的なスキンケアと比べ価格帯のケタも違う。購買層は限られるが、現段階での動きは?

篠﨑:7月に受注販売で提供を開始したが、すでに7人のお客さまからお申し込みをいただいている。単純にオーダーメードコスメに興味を持っているというよりは、根本から美や健やかさを目指したいというように先端医療への関心が高い人が多い印象だ。

WWD:両ブランドの店舗展開は?

篠﨑:まずは「外商ブランド」という位置付けに持っていきたい。9月から施策を重ねているが、徐々に広がりを見せてきている。外商部からの反応も上々だ。現状は三越日本橋本店と東急百貨店で展開しており、伊勢丹新宿本店でも5月から展開予定だ。関西も視野に入れている。価格帯的にECで大きな収益を上げるようなブランドではないため、情報発信基地のような機能を持つ場所の必要性も感じている。実際に製品に触れ、われわれの思いやストーリーを体験していただけるような旗艦店を2〜3年以内に作りたい。

WWD:海外での展開は?

篠﨑:「イプシア」は、海外のお客さまが見込めるサービスだと思っている。現状は日本でしか厳重な管理体制でiPS細胞を作成できないため、運営する椿クリニックを活用し医療ツーリズムという形での展開を考えている。

WWD:これまではコンサル・PR業務とクリニック運営を主軸にしてきた。このタイミングでメーカーとしての機能を持つようになった経緯は?

篠﨑:化粧品メーカーでキャリアをスタートしたが、肌にとってよいものを追求していくとプロモーションやトレンド成分の処方だけでは限界があると感じていた。そこに向き合い、真の美と健康を伝えたいという思いがずっとあり、水面下で研究や構想を重ねてきた。「これだ!」という確信と、それを実現するための技術と特許がクリアになり、ようやく動き出すことができた。クライアントには意思表明をした上でご理解があり、契約を継続していただいている。自社工場を持つクライアントからは「『テウズ』をうちで作らないか」と声をかけていただくなど、よい関係を保っている。

WWD:売り上げの構成比は?

篠﨑:コンサル事業の割合が最も大きく、PR事業と合わせて6割程度。ここでプールした収益を「イプシア」や「テウズ」の開発などに充てている。ブランド事業は市場としてはまだ小さい。今は投資段階だが、「テウズ」を入り口に「イプシア」につなげられるようなビジネスモデルを徐々に確立し、ブランド事業の割合が最大になるように注力する。また「イプシア」のお客さまは、共同経営している椿クリニックでの審査を通しているため、クリニックも巻き込んだワンストップ型のビジネスモデルも見据えている。

WWD:コンサル事業とPR事業の展望は?

篠﨑:積極的に新規の案件を取ったり、営業をかけたりすることはあまり考えていない。既存のクライアントとの関係性を深掘りし、より発展性のあるプランを提案していくことが重要だ。

WWD:未来に見据える可能性は?

篠﨑:これからさらに医療と美容の垣根がなくなっていくと感じており、「イプシア」はこうした潮流を受けて、ますます需要が増すのではないか。加えて、弊社が積み上げてきた地産地消のモノ作り、本当の意味での循環型という可能性が、ブランドをより発展させていくだろうと期待している。地元の岩手県一関市への地域貢献や雇用の創出、化粧品の量り売りなども実現に向けて考えていきたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『猫と自給自足生活』

自然豊かな田園風景が広がる岩手県出身で、自給自足が珍しくない環境で育った。「いつか自分で食べるものを全て自分で作れたら」という思いがずっとある。猫と一緒にのんびりと、お米や野菜を育てながら暮らしてみたい!

COMPANY DATA
エスヴィータ

化粧品の戦略PR企画やEC事業、美容医療クリニック運営などを手掛けるワンストップ型の美容・健康コンサルティング会社。社名は「サステナビリティ・ファースト」と「サーキュラーエコノミー」の頭文字であるS、命や生き方という意味を持つVITAに由来し、サステナビリティや地域貢献にも力を注ぐ。昨年は完全オーダーメードスキンケア「イプシア」と、プレミアムスキンケアブランド「テウズ」を立ち上げ、化粧品メーカーとして事業を拡大

TEXT : NAOMI SAKAI
問い合わせ先
エスヴィータ
0120-623-722

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【エスヴィータ 篠﨑祥子代表取締役】再生医療着想のメーカー事業で外商ブランドとしての地位確立へ

PROFILE: 篠﨑祥子/代表取締役

篠﨑祥子/代表取締役
PROFILE: (しのざき・しょうこ)2006年に大手外資系化粧品メーカーでキャリアをスタートし、国内化粧品メーカーなどで約16年にわたり広報やマーケティングを担当。16年7月から現職。単純なPR代行で終わらず、ブランド力アップにつながる戦略的なPRから製品作り、ブランド立ち上げ、販路拡大までサポート。リレーションにもしっかり時間をかけ結果につなげる手腕は業界内で高い評価を得ている PHOTO : TOYOTA KAZUSHI

エスヴィータはメーカーとコンサル・PR業務、美容医療クリニック経営の3つの顔を持つ。昨年ローンチした完全オーダーメードスキンケアや、プレミアムスキンケアブランドを発展させ、3事業のワンストップ型ビジネスモデルの確立を目指す。

3事業のワンストップ型ビジネスモデルを確立

WWD:2024年は、長年思い描いていた化粧品メーカーとしての夢が実現した。

篠﨑祥子代表取締役(以下、篠﨑):世界初となるiPS細胞を用いた完全オーダーメードスキンケア「イプシア(IPSYA)」とプレミアムスキンケアブランド「テウズ(TEUDU)」を展開した。24年11月発売の「テウズ」は高価格帯であることを踏まえ、製品特性やバックグラウンドをしっかり伝えるために、プレ販売会やお披露目会、メディア発表会、インフルエンサー向けのイベント、一般のお客さま向けのイベントなど、発売日まで毎月のように戦略的に施策を重ねた。富裕層向けのメディアを中心に数多く取り上げていただけたほか、三越日本橋本店では1週間のポップアップイベントを開催できた。「売り上げと新たな客層を獲得できた」とバイヤーからも高評価を得ることができ、順調な滑り出しだった。

WWD:ターゲット層にリーチできたか?

篠﨑:美容感度の高い人や、日常的に上質なものに触れている外商のお客さまからの反響が高く安堵した。外商ビジネスに長けた三越日本橋本店との相性がよかったことも勝因だったと考えている。

WWD:「イプシア」は完全オーダーメードスキンケアのため、一般的なスキンケアと比べ価格帯のケタも違う。購買層は限られるが、現段階での動きは?

篠﨑:7月に受注販売で提供を開始したが、すでに7人のお客さまからお申し込みをいただいている。単純にオーダーメードコスメに興味を持っているというよりは、根本から美や健やかさを目指したいというように先端医療への関心が高い人が多い印象だ。

WWD:両ブランドの店舗展開は?

篠﨑:まずは「外商ブランド」という位置付けに持っていきたい。9月から施策を重ねているが、徐々に広がりを見せてきている。外商部からの反応も上々だ。現状は三越日本橋本店と東急百貨店で展開しており、伊勢丹新宿本店でも5月から展開予定だ。関西も視野に入れている。価格帯的にECで大きな収益を上げるようなブランドではないため、情報発信基地のような機能を持つ場所の必要性も感じている。実際に製品に触れ、われわれの思いやストーリーを体験していただけるような旗艦店を2〜3年以内に作りたい。

WWD:海外での展開は?

篠﨑:「イプシア」は、海外のお客さまが見込めるサービスだと思っている。現状は日本でしか厳重な管理体制でiPS細胞を作成できないため、運営する椿クリニックを活用し医療ツーリズムという形での展開を考えている。

WWD:これまではコンサル・PR業務とクリニック運営を主軸にしてきた。このタイミングでメーカーとしての機能を持つようになった経緯は?

篠﨑:化粧品メーカーでキャリアをスタートしたが、肌にとってよいものを追求していくとプロモーションやトレンド成分の処方だけでは限界があると感じていた。そこに向き合い、真の美と健康を伝えたいという思いがずっとあり、水面下で研究や構想を重ねてきた。「これだ!」という確信と、それを実現するための技術と特許がクリアになり、ようやく動き出すことができた。クライアントには意思表明をした上でご理解があり、契約を継続していただいている。自社工場を持つクライアントからは「『テウズ』をうちで作らないか」と声をかけていただくなど、よい関係を保っている。

WWD:売り上げの構成比は?

篠﨑:コンサル事業の割合が最も大きく、PR事業と合わせて6割程度。ここでプールした収益を「イプシア」や「テウズ」の開発などに充てている。ブランド事業は市場としてはまだ小さい。今は投資段階だが、「テウズ」を入り口に「イプシア」につなげられるようなビジネスモデルを徐々に確立し、ブランド事業の割合が最大になるように注力する。また「イプシア」のお客さまは、共同経営している椿クリニックでの審査を通しているため、クリニックも巻き込んだワンストップ型のビジネスモデルも見据えている。

WWD:コンサル事業とPR事業の展望は?

篠﨑:積極的に新規の案件を取ったり、営業をかけたりすることはあまり考えていない。既存のクライアントとの関係性を深掘りし、より発展性のあるプランを提案していくことが重要だ。

WWD:未来に見据える可能性は?

篠﨑:これからさらに医療と美容の垣根がなくなっていくと感じており、「イプシア」はこうした潮流を受けて、ますます需要が増すのではないか。加えて、弊社が積み上げてきた地産地消のモノ作り、本当の意味での循環型という可能性が、ブランドをより発展させていくだろうと期待している。地元の岩手県一関市への地域貢献や雇用の創出、化粧品の量り売りなども実現に向けて考えていきたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『猫と自給自足生活』

自然豊かな田園風景が広がる岩手県出身で、自給自足が珍しくない環境で育った。「いつか自分で食べるものを全て自分で作れたら」という思いがずっとある。猫と一緒にのんびりと、お米や野菜を育てながら暮らしてみたい!

COMPANY DATA
エスヴィータ

化粧品の戦略PR企画やEC事業、美容医療クリニック運営などを手掛けるワンストップ型の美容・健康コンサルティング会社。社名は「サステナビリティ・ファースト」と「サーキュラーエコノミー」の頭文字であるS、命や生き方という意味を持つVITAに由来し、サステナビリティや地域貢献にも力を注ぐ。昨年は完全オーダーメードスキンケア「イプシア」と、プレミアムスキンケアブランド「テウズ」を立ち上げ、化粧品メーカーとして事業を拡大

TEXT : NAOMI SAKAI
問い合わせ先
エスヴィータ
0120-623-722

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マンガで学ぶ「在庫管理の魔術」 第5話:きめ細やかな補充は、売り上げだけじゃなく利益率向上にも貢献!?

中堅アパレルのチェーンストア「ハンナズ」は、過剰在庫が原因で経営危機に瀕している。社長の安堂平磨は、娘でバイヤーの安堂あい、あいの夫で渋谷店店長の安堂徹に再生を期待するが、2人は「売れ残るリスクを抱えながら在庫を持つべきか?」それとも「売り上げが落ちるリスクを抱えながら在庫を減らすべきか?」で迷い続ける。

徹は、倉庫から毎日、こまめに商品が届いた結果、渋谷店の売り上げが爆増した原因を探るべく、南関東倉庫を取り仕切る先輩の加地を訪問。従来の仕組み以上にきめ細やかな補充が必要と学んだ。そして、細かな補充は売り上げのみならず、利益率さえ大きく伸ばすことを知る。

登場人物紹介

第五話

このマンガは、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)も経営陣で読んだとされるTOC(制約理論)の原点にして最高の入門書「ザ・ゴール」を原案としています。「ザ・ゴール」を中心としたマネジメント理論に関する書籍は、ダイヤモンド社が販売中です。

ORIGINAL WORKS:ELIYAHU GOLDRATT、JEF COX
SUPERVISION:YUJI KISHIRA
SCRIPT:TAKEO AOKI
COMICS:YAMA AOTA

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マンガで学ぶ「在庫管理の魔術」 第5話:きめ細やかな補充は、売り上げだけじゃなく利益率向上にも貢献!?

中堅アパレルのチェーンストア「ハンナズ」は、過剰在庫が原因で経営危機に瀕している。社長の安堂平磨は、娘でバイヤーの安堂あい、あいの夫で渋谷店店長の安堂徹に再生を期待するが、2人は「売れ残るリスクを抱えながら在庫を持つべきか?」それとも「売り上げが落ちるリスクを抱えながら在庫を減らすべきか?」で迷い続ける。

徹は、倉庫から毎日、こまめに商品が届いた結果、渋谷店の売り上げが爆増した原因を探るべく、南関東倉庫を取り仕切る先輩の加地を訪問。従来の仕組み以上にきめ細やかな補充が必要と学んだ。そして、細かな補充は売り上げのみならず、利益率さえ大きく伸ばすことを知る。

登場人物紹介

第五話

このマンガは、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)も経営陣で読んだとされるTOC(制約理論)の原点にして最高の入門書「ザ・ゴール」を原案としています。「ザ・ゴール」を中心としたマネジメント理論に関する書籍は、ダイヤモンド社が販売中です。

ORIGINAL WORKS:ELIYAHU GOLDRATT、JEF COX
SUPERVISION:YUJI KISHIRA
SCRIPT:TAKEO AOKI
COMICS:YAMA AOTA

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「東急プラザ銀座」約10年で幕引き 香港系ファンドが買収し、新しい商業施設に改修

香港の投資会社ガウ・キャピタル・パートナーズは、東京・銀座の商業施設「東急プラザ銀座」を買収する。東急プラザを展開する東急不動産ホールディングス(HD)は、23年に同物件を三井住友トラスト・パナソニックファイナンスに売却しているが、その後も商業施設としての運営を担ってきた。今回の買収後は、東急不動産HDは運営から撤退し、施設名称も変更される。26年にも施設の改修が始まる見通しだ。

7日午後、ガウ・キャピタルが正式に発表した。ガウ・キャピタルは、シンガポール系のペイシャンス・キャピタル・グループ(PCG)と合弁事業を立ち上げ、現在の保有者である三井住友トラスト・パナソニックファイナンスから買い取る。合弁事業の出資比率はガウ・キャピタル91%、PCG9%。買収額は10億ドル(約1500億円)と報じられている。

東急プラザ銀座は数寄屋橋交差点に立地。地上11階・地下2階に店舗面積2万2000平方メートルの大型商業施設として、16年3月オープンした。東急グループによる本格的な銀座進出として話題になり、グループの東急百貨店が3層のサテライトショップを出したり、外堀通りに面した1・2階に高級ブランドの旗艦店を誘致したりした。訪日客を目当てに、上層部の2層には大型のロッテ免税店も誘致した。

しかしコロナ禍になると、テナントの撤退が相次ぐようになる。コロナが明けて銀座に訪日客があふれるようになり、松屋銀座本店、三越銀座店、ギンザシックスなどの商業施設が過去最高売上高を更新するのとは対照的に、東急プラザギンザは複数箇所に大きな空きスペースが残ったままだった。銀座の中でも人通りが多い数寄屋橋交差点に立地しながら、そのポテンシャルを十分に生かすことができず、開業から約10年で幕引きとなった。

買収したガウ・キャピタルのアセットマネジメント部門マネージング・ディレクター兼プリンシパルのアルビン・ロー氏は「新たなテナント構成と一貫性のあるコンセプトを備えた、これまでにない活気ある商業施設として刷新し、新たなリテールのハブへと変革していく」とコメントしている。

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「東急プラザ銀座」約10年で幕引き 香港系ファンドが買収し、新しい商業施設に改修

香港の投資会社ガウ・キャピタル・パートナーズは、東京・銀座の商業施設「東急プラザ銀座」を買収する。東急プラザを展開する東急不動産ホールディングス(HD)は、23年に同物件を三井住友トラスト・パナソニックファイナンスに売却しているが、その後も商業施設としての運営を担ってきた。今回の買収後は、東急不動産HDは運営から撤退し、施設名称も変更される。26年にも施設の改修が始まる見通しだ。

7日午後、ガウ・キャピタルが正式に発表した。ガウ・キャピタルは、シンガポール系のペイシャンス・キャピタル・グループ(PCG)と合弁事業を立ち上げ、現在の保有者である三井住友トラスト・パナソニックファイナンスから買い取る。合弁事業の出資比率はガウ・キャピタル91%、PCG9%。買収額は10億ドル(約1500億円)と報じられている。

東急プラザ銀座は数寄屋橋交差点に立地。地上11階・地下2階に店舗面積2万2000平方メートルの大型商業施設として、16年3月オープンした。東急グループによる本格的な銀座進出として話題になり、グループの東急百貨店が3層のサテライトショップを出したり、外堀通りに面した1・2階に高級ブランドの旗艦店を誘致したりした。訪日客を目当てに、上層部の2層には大型のロッテ免税店も誘致した。

しかしコロナ禍になると、テナントの撤退が相次ぐようになる。コロナが明けて銀座に訪日客があふれるようになり、松屋銀座本店、三越銀座店、ギンザシックスなどの商業施設が過去最高売上高を更新するのとは対照的に、東急プラザギンザは複数箇所に大きな空きスペースが残ったままだった。銀座の中でも人通りが多い数寄屋橋交差点に立地しながら、そのポテンシャルを十分に生かすことができず、開業から約10年で幕引きとなった。

買収したガウ・キャピタルのアセットマネジメント部門マネージング・ディレクター兼プリンシパルのアルビン・ロー氏は「新たなテナント構成と一貫性のあるコンセプトを備えた、これまでにない活気ある商業施設として刷新し、新たなリテールのハブへと変革していく」とコメントしている。

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「ザラ 原宿店」が2月11日で閉店 2002年に開業

インディテックスが運営するスペイン発ファッションブランド「ザラ(ZARA)」は2月11日、東京・原宿の店舗「ザラ 原宿店」を閉店する。同店は2002年に開業していた。

店舗はJR原宿駅からすぐの表参道沿いで、2フロア構成。「ザラ」は日本には1998年に初出店し、24年6月時点で国内店舗数は67という。

「ザラ」は24年には、「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(OFFICINE UNIVERSELLE BULY)」復活の立役者であるラムダン・トゥアミ(Ramdane Touhami)が手掛けるオリジナルカフェを本国マドリードのメンズ旗艦店内にオープンしている。同カフェを25年に大阪でもオープンするという報道もある。

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「ザラ 原宿店」が2月11日で閉店 2002年に開業

インディテックスが運営するスペイン発ファッションブランド「ザラ(ZARA)」は2月11日、東京・原宿の店舗「ザラ 原宿店」を閉店する。同店は2002年に開業していた。

店舗はJR原宿駅からすぐの表参道沿いで、2フロア構成。「ザラ」は日本には1998年に初出店し、24年6月時点で国内店舗数は67という。

「ザラ」は24年には、「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(OFFICINE UNIVERSELLE BULY)」復活の立役者であるラムダン・トゥアミ(Ramdane Touhami)が手掛けるオリジナルカフェを本国マドリードのメンズ旗艦店内にオープンしている。同カフェを25年に大阪でもオープンするという報道もある。

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【ココバイ 阿部聖樹社長】“PLAY ORGANIC”で「オーガニックの民主化」を目指す

PROFILE: 阿部聖樹/社長

阿部聖樹/社長
PROFILE: (あべ・まさき)1983年4月24日生まれ。立教大学を卒業後、2006年にオンワード樫山に入社。百貨店婦人服営業に11年間従事し、マーケティング部、内部監査、ビューティー戦略部などの部門を経験。20年にココバイに異動し、営業に従事。既存ビジネスの強化に加え、デジタル領域への参入や他社とのコラボ事業などの新規事業にも注力した。23年9月から現職 PHOTO : KAZUSHI TOYODA

ココバイは2011年から米発オーガニックヘアケアブランド「ザ・プロダクト(PRODUCT)」を製造販売している。24年7月にはリブランディングを実施し、ヘアサロンやバラエティーショップに加え、ドラッグストアへも販路を拡げた。ミッションである「オーガニックの民主化」の実現に向けて攻勢をかける。

オーガニックブランドの固定概念を覆す
“PLAY感”のあるブランドへ

WWD:24年7月にリブランディングした理由は。

阿部聖樹社長(以下、阿部):現在、国内にオーガニックブランドは200以上あり、おそらく消費者は「肌や環境に優しくて安心安全だけど、少し価格が高い」「クリーンで凛としている」といったイメージを持っている。その中で独自性を出すために、オーガニックで楽しさやワクワクを感じて、気軽に楽しんでもらいたいという思いから“PLAY ORGANIC”をブランドスローガンに掲げた。何気なく選んだ製品が、ふとしたきっかけでブランドや企業の背景を知ることで、愛着の湧く存在となる。そういう道筋が自然だと思い、今後はマーケットインの考えで進める。コアターゲットをZ世代に定め、彼らに“刺さる”製品開発からブランディング、プロモーションを実施する。

WWD:同時にドラッグストアでの正規販売もスタートした。

阿部:われわれのミッションは「オーガニックの民主化」だ。サロン専売から始め、バラエティーショップにも販路を拡げていったが、民主化には生活動線に入ることが不可欠と考えた。既存の卸先も、新規層やライト層の獲得に力を入れたいという思いに賛同してくれた。

WWD:現在、ドラッグストアは何店舗に展開しているか。

阿部:約1万8000店だ。ヘアスタイリング剤は単品置きが基本だが、24年8月の発売当時は「マツキヨココカラ」には什器を置いてプロモーションを実施した。よりマス層に届けるために初のブランドアンバサダーとして起用した女優の森七菜さんのビジュアルボードもフックとなり、好調に推移している。

WWD:他チャネルにもよい波及効果があった。

阿部:バラエティーショップでは、リブランディング後の第1弾として発売した“ラスティングシリーズ”が、メイン商品である青色パッケージの“ヘアワックス”と同等に稼働している。小売りの売り上げで“ヘアワックス”が占める割合は約7割のため、かなり好調だ。40歳以下の60%以上が髪を染めているという昨今の状況から、退色防止を付加価値とした“ラスティングオイル”と“ラスティングワックス”を発売した。市場に「退色防止でお気に入りの髪色が持続する」というコンセプトと似通ったアイテムがないこともあり、売れ行きがいい。

WWD:商品ラインアップも45から15まで絞り込んだ。

阿部:アウトバスカテゴリーに集中することでブランドの強みが社内で明確になり、SNS発信や営業活動によい影響があった。「国内のオーガニックヘアケアブランドといえば『ザ・プロダクト』」を目指しており、今後もヘアカテゴリーを拡充していく。これまで扱っていたシャンプーとコンディショナーの市場は大きいが、大手の主戦場でもあるため難しい。そのため、われわれは切り口の面白さや細かいニーズを吸い上げることに注力したい。毎年、フレッシュな取り組みを実施し、「面白いブランドだよね」という印象につなげたい。

WWD:サステナビリティーの進捗はどうか。

阿部:資材や原料を自分たちで探して調達しているため、過剰在庫にならないように調整できている。オイルやワックスはセンシティブで難しいところもあるが、レフィル対応にも挑戦したい。再利用できるガラスを採用する製品もあるため、容器回収から着手していきたい。

WWD:その他、「オーガニックの民主化」に向けて必要なことは。

阿部:オーガニックブランド市場では、ヘアケア製品の価格帯は3000〜4000円が標準だが、これを買い続けやすい価格帯に設定することが必要だと考えている。今後は、ブランドサイトをリニューアルし、オーガニックコスメに関する知識や製品の使い方などのコンテンツを充実させていく予定だ。民主化によってブランドもマスになることを目指すが、ヘアサロンやオーガニックコスメのセレクトショップでも支持し続けてもらえるブランドでいたい。ファッション業界における「コンバース」のような存在がベンチマークだ。セレクトショップにも地方のショッピングモールにも置いてあり、老若男女が履いている。そんな立ち位置のブランドを目指す。

WWD:25年に注力していくことは。

阿部:現状、“ヘアワックス”を扱っている店舗数の方が多いため、“ラスティングシリーズ”をそれと同数に展開していきたい。半年に2商品ほどのペースで新製品の発売を予定しており、その間にコラボ品や企画品にもチャレンジしていく。直近では、2、3月にキャッチーで話題性のあるSNS施策を計画している。公式のTikTokアカウントも作成する予定だ。真面目に製品の背景などを伝えるだけではなく、“プレイ感”のあるSNSコミュニケーションに取り組んでいきたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『子どもとワールドカップを見る』

もうすぐ第4子が生まれる予定だ。サッカーがとても好きなので、26年のワールドカップを子ども4人とアメリカで観戦したい。「ザ・プロダクト」発祥の地はアメリカ・カリフォルニアなので、そのルーツも探ってみたい。

COMPANY DATA
ココバイ

「ザ・プロダクト」は、2007年にアメリカで美容師向けに天然成分を使ったヘアワックスからスタートしたオーガニックヘアケアブランド。11年にココバイが日本市場における製造販売を始めた。17年1月、オンワードホールディングスの傘下に。24年7月に「ザ・プロダクト」のリブランディングを実施し、ブランドパーパスやロゴを刷新。“PLAY ORGANIC”をスローガンに掲げている


問い合わせ先
ココバイ
info@kokobuy.co.jp

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【ココバイ 阿部聖樹社長】“PLAY ORGANIC”で「オーガニックの民主化」を目指す

PROFILE: 阿部聖樹/社長

阿部聖樹/社長
PROFILE: (あべ・まさき)1983年4月24日生まれ。立教大学を卒業後、2006年にオンワード樫山に入社。百貨店婦人服営業に11年間従事し、マーケティング部、内部監査、ビューティー戦略部などの部門を経験。20年にココバイに異動し、営業に従事。既存ビジネスの強化に加え、デジタル領域への参入や他社とのコラボ事業などの新規事業にも注力した。23年9月から現職 PHOTO : KAZUSHI TOYODA

ココバイは2011年から米発オーガニックヘアケアブランド「ザ・プロダクト(PRODUCT)」を製造販売している。24年7月にはリブランディングを実施し、ヘアサロンやバラエティーショップに加え、ドラッグストアへも販路を拡げた。ミッションである「オーガニックの民主化」の実現に向けて攻勢をかける。

オーガニックブランドの固定概念を覆す
“PLAY感”のあるブランドへ

WWD:24年7月にリブランディングした理由は。

阿部聖樹社長(以下、阿部):現在、国内にオーガニックブランドは200以上あり、おそらく消費者は「肌や環境に優しくて安心安全だけど、少し価格が高い」「クリーンで凛としている」といったイメージを持っている。その中で独自性を出すために、オーガニックで楽しさやワクワクを感じて、気軽に楽しんでもらいたいという思いから“PLAY ORGANIC”をブランドスローガンに掲げた。何気なく選んだ製品が、ふとしたきっかけでブランドや企業の背景を知ることで、愛着の湧く存在となる。そういう道筋が自然だと思い、今後はマーケットインの考えで進める。コアターゲットをZ世代に定め、彼らに“刺さる”製品開発からブランディング、プロモーションを実施する。

WWD:同時にドラッグストアでの正規販売もスタートした。

阿部:われわれのミッションは「オーガニックの民主化」だ。サロン専売から始め、バラエティーショップにも販路を拡げていったが、民主化には生活動線に入ることが不可欠と考えた。既存の卸先も、新規層やライト層の獲得に力を入れたいという思いに賛同してくれた。

WWD:現在、ドラッグストアは何店舗に展開しているか。

阿部:約1万8000店だ。ヘアスタイリング剤は単品置きが基本だが、24年8月の発売当時は「マツキヨココカラ」には什器を置いてプロモーションを実施した。よりマス層に届けるために初のブランドアンバサダーとして起用した女優の森七菜さんのビジュアルボードもフックとなり、好調に推移している。

WWD:他チャネルにもよい波及効果があった。

阿部:バラエティーショップでは、リブランディング後の第1弾として発売した“ラスティングシリーズ”が、メイン商品である青色パッケージの“ヘアワックス”と同等に稼働している。小売りの売り上げで“ヘアワックス”が占める割合は約7割のため、かなり好調だ。40歳以下の60%以上が髪を染めているという昨今の状況から、退色防止を付加価値とした“ラスティングオイル”と“ラスティングワックス”を発売した。市場に「退色防止でお気に入りの髪色が持続する」というコンセプトと似通ったアイテムがないこともあり、売れ行きがいい。

WWD:商品ラインアップも45から15まで絞り込んだ。

阿部:アウトバスカテゴリーに集中することでブランドの強みが社内で明確になり、SNS発信や営業活動によい影響があった。「国内のオーガニックヘアケアブランドといえば『ザ・プロダクト』」を目指しており、今後もヘアカテゴリーを拡充していく。これまで扱っていたシャンプーとコンディショナーの市場は大きいが、大手の主戦場でもあるため難しい。そのため、われわれは切り口の面白さや細かいニーズを吸い上げることに注力したい。毎年、フレッシュな取り組みを実施し、「面白いブランドだよね」という印象につなげたい。

WWD:サステナビリティーの進捗はどうか。

阿部:資材や原料を自分たちで探して調達しているため、過剰在庫にならないように調整できている。オイルやワックスはセンシティブで難しいところもあるが、レフィル対応にも挑戦したい。再利用できるガラスを採用する製品もあるため、容器回収から着手していきたい。

WWD:その他、「オーガニックの民主化」に向けて必要なことは。

阿部:オーガニックブランド市場では、ヘアケア製品の価格帯は3000〜4000円が標準だが、これを買い続けやすい価格帯に設定することが必要だと考えている。今後は、ブランドサイトをリニューアルし、オーガニックコスメに関する知識や製品の使い方などのコンテンツを充実させていく予定だ。民主化によってブランドもマスになることを目指すが、ヘアサロンやオーガニックコスメのセレクトショップでも支持し続けてもらえるブランドでいたい。ファッション業界における「コンバース」のような存在がベンチマークだ。セレクトショップにも地方のショッピングモールにも置いてあり、老若男女が履いている。そんな立ち位置のブランドを目指す。

WWD:25年に注力していくことは。

阿部:現状、“ヘアワックス”を扱っている店舗数の方が多いため、“ラスティングシリーズ”をそれと同数に展開していきたい。半年に2商品ほどのペースで新製品の発売を予定しており、その間にコラボ品や企画品にもチャレンジしていく。直近では、2、3月にキャッチーで話題性のあるSNS施策を計画している。公式のTikTokアカウントも作成する予定だ。真面目に製品の背景などを伝えるだけではなく、“プレイ感”のあるSNSコミュニケーションに取り組んでいきたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『子どもとワールドカップを見る』

もうすぐ第4子が生まれる予定だ。サッカーがとても好きなので、26年のワールドカップを子ども4人とアメリカで観戦したい。「ザ・プロダクト」発祥の地はアメリカ・カリフォルニアなので、そのルーツも探ってみたい。

COMPANY DATA
ココバイ

「ザ・プロダクト」は、2007年にアメリカで美容師向けに天然成分を使ったヘアワックスからスタートしたオーガニックヘアケアブランド。11年にココバイが日本市場における製造販売を始めた。17年1月、オンワードホールディングスの傘下に。24年7月に「ザ・プロダクト」のリブランディングを実施し、ブランドパーパスやロゴを刷新。“PLAY ORGANIC”をスローガンに掲げている


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ココバイ
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【イプサ 小田淳社長】肌・心・体への新領域 次世代の「イプサ」が始動

PROFILE: 小田淳/社長

小田淳/社長
PROFILE: (おだ・じゅん)1994年に資生堂に入社。97年にイプサの事業戦略本部で海外事業戦略の立案・オペレーション推進業務を担当。その後、2007年に資生堂に戻り経営企画部や国際事業企画部などを経て、15年にGPB事業本部事業戦略部兼グローバル事業推進部でSHISEIDO・CPBブランドの事業戦略の策定や事業マネジメントを担当。18年1月より現職 PHOTO : SHUNICHI ODA

独自理論に基づく先進的な肌測定で一人一人に最適な美容法(レシピ)を提案しているイプサは、“ザ・タイムR アクア”や“ME(エム・イー)”などが百貨店の売り上げ上位に常にランクインするロングセラー製品を有する。一方でイノベーションを取り入れた新製品開発も精力的に行う。2025年もその技術力で、「肌に良いだけのスキンケアブランド」からの脱却を目指す。

「美的生命力」を引き出す
取り組み強化

WWD:2024年も話題の製品を続々と投入した。

小田淳社長(以下、小田):24年の売り上げは日本やアジア、中国を含め計画通りに着地した。期間中の大きなトピックスは24年2月にブランド最高峰化粧水“エッセンスローション アルティメイト”を発売したこと。化粧水は、ブランド内で長年売り上げNo.1のポジションをキープし続けている“ザ・タイムR アクア”や、拭き取り化粧水の“リファイニングローションe”など人気製品が多く、スキンケアや化粧水=「イプサ(IPSA)」というイメージが定着している。そこから「ベスト・オブ・ベスト」の化粧水を投入することで、そのイメージをより強めていきたいという考えのもと開発した。発売後は幅広い層に受け入れられ、他製品に比べてリピート率も高い。月を追うごとに販売数量が伸びて売り上げをけん引している。

WWD:ブランドの強みである肌測定器「イプサライザー」による測定・分析もスキンケアの売り上げの後押しになっているのか。

小田:創業当時から人が美しくなろうとする力「美的生命力」を引き出すことを目指し、店頭では肌のスペシャリストであるレシピストによるヒアリングと、「イプサライザー」の測定・分析を基に、お客さまに合わせたお手入れ方法「レシピ」を提案している。より楽しみながら肌測定をしてほしいという思いもあり、昨年からは“心の状態”の可視化にもチャレンジ。新測定として心の状態やライフスタイルを数値化・分析し、ライフスタイルに寄り添うアドバイスを提供している。こうした測定・分析は、コロナ禍を経てますます大事だと実感している。来店者の3〜4割は「イプサライザー」を試し、男性の利用も増加している。この領域は今後も大切にしていく。

WWD:メイクカテゴリーの売れ筋は?

小田:9月にはファンデーションをリニューアルし、“クリーム ファウンデイションe”を発売したところリニューアル前と比べて3〜4倍の伸びを記録。それと共にリキッドファンデーションも高い支持を得ており、課題だったベースメイクカテゴリーが活性化できている。ポイントメイクは、フェイスカラー“デザイニング フェイスカラーパレット”やリップカラー“リップオイルe LE”の限定色を発売し好評だった。現在の売り上げ構成は、スキンケアが7割でメイク類が3割。割合は現状のままキープし、全体の売り上げを伸ばしたい。そのためにスキンケア以外のアイテムもさらに充実させていくことは今年のテーマでもある。

WWD:展開店舗が多い中国の状況については。

小田:この2年間は厳しいというのが本音だ。いくつか理由はあるが、中国の経済自体が減速していることや、需要が高価格帯と低価格帯の製品に集中して消費が二極化したこと、中国のローカルブランドが台頭してきたことなどが大きい。そんな状況下でも“ザ・タイムR アクア”は根強い人気があったほか、ハリ感の不均一性に着目したクリーム“バウンス インテンス クリーム”やリキッドファンデーションが寄与。24年後半はプラスに戻り、25年以降のベースが出来上がったという手応えを得ることができた。店舗は選択と集中の段階で、ピーク時の100店舗を現在は約40店舗にまで絞った。強みであるオフラインの体験強化により質を向上させ、1店舗あたりの生産性は上がっている。日本や香港、台湾ですでに好評を博している“エッセンスローション アルティメイト”を12月に中国でも発売したが、例えば、「朝は“ザ・タイムR アクア”、夜は“エッセンスローション アルティメイト”を」というような日本でも成功したマーケティングは中国でも通用する。そういった良い事例を国を超えて展開するといういい流れも生まれてきている。訪日客にどこでも「このブランド見たよね」という印象を残すことは大事だ。

WWD:25年に目指すことは。

小田:次世代の「イプサ」をスタートさせる、そんな重要な1年になる。「イプサ」は肌への安心感や着飾らないシンプルさ、肌測定などが評価されている。もちろんそこは進化させつつ、肌・心・体のバランスと調和がとれた状態に導いたり、気持ちが下がっている自分をも受け止めて寄り添えたりするブランドにならなければいけない。肌・心・体については長年研究してきたエビデンスの蓄積ができているため、そのサイエンスの視点を盛り込みながら、ただ肌を良くするだけのスキンケアブランドから1歩抜け出す。そこで、1年をかけて構想したビジョンを5月に発表する予定だ。「スキンケアにとどまらずその先にチャレンジ」する新領域として、インナーケアではない新しいアプローチをスタートさせるので期待してほしい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『ハーフマラソン出場』

23年に足をけがし、続けていたジョギングを長らく休んでいた。「運動と美肌の関係性」に着目した美容液“イプサ セラム アクティブ”の発売を機に、ジョギングを再開。今年の終わりにはハーフマラソンへの出場を目指す。

COMPANY DATA
イプサ

1986年に資生堂の子会社として設立。設立と同時に誕生したブランド「イプサ」は、スキンケア、ベースメイク、ポイントメイクを日本、アジアの6つの国と地域で展開する。ブランド名の由来はラテン語で「自ら」「自発的な」を意味し、スキンケアは独自の肌測定とカウンセリングによって、レシピスト(美容部員)と共に一人一人に合わせて最適な美容法「レシピ」を作り上げていくのが特徴。ロングセラーアイテムは“ザ・タイムR アクア”や“ME(エム・イー)”など

TEXT : WAKANA NAKADE


問い合わせ先
イプサ
03-3405-2432

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【イプサ 小田淳社長】肌・心・体への新領域 次世代の「イプサ」が始動

PROFILE: 小田淳/社長

小田淳/社長
PROFILE: (おだ・じゅん)1994年に資生堂に入社。97年にイプサの事業戦略本部で海外事業戦略の立案・オペレーション推進業務を担当。その後、2007年に資生堂に戻り経営企画部や国際事業企画部などを経て、15年にGPB事業本部事業戦略部兼グローバル事業推進部でSHISEIDO・CPBブランドの事業戦略の策定や事業マネジメントを担当。18年1月より現職 PHOTO : SHUNICHI ODA

独自理論に基づく先進的な肌測定で一人一人に最適な美容法(レシピ)を提案しているイプサは、“ザ・タイムR アクア”や“ME(エム・イー)”などが百貨店の売り上げ上位に常にランクインするロングセラー製品を有する。一方でイノベーションを取り入れた新製品開発も精力的に行う。2025年もその技術力で、「肌に良いだけのスキンケアブランド」からの脱却を目指す。

「美的生命力」を引き出す
取り組み強化

WWD:2024年も話題の製品を続々と投入した。

小田淳社長(以下、小田):24年の売り上げは日本やアジア、中国を含め計画通りに着地した。期間中の大きなトピックスは24年2月にブランド最高峰化粧水“エッセンスローション アルティメイト”を発売したこと。化粧水は、ブランド内で長年売り上げNo.1のポジションをキープし続けている“ザ・タイムR アクア”や、拭き取り化粧水の“リファイニングローションe”など人気製品が多く、スキンケアや化粧水=「イプサ(IPSA)」というイメージが定着している。そこから「ベスト・オブ・ベスト」の化粧水を投入することで、そのイメージをより強めていきたいという考えのもと開発した。発売後は幅広い層に受け入れられ、他製品に比べてリピート率も高い。月を追うごとに販売数量が伸びて売り上げをけん引している。

WWD:ブランドの強みである肌測定器「イプサライザー」による測定・分析もスキンケアの売り上げの後押しになっているのか。

小田:創業当時から人が美しくなろうとする力「美的生命力」を引き出すことを目指し、店頭では肌のスペシャリストであるレシピストによるヒアリングと、「イプサライザー」の測定・分析を基に、お客さまに合わせたお手入れ方法「レシピ」を提案している。より楽しみながら肌測定をしてほしいという思いもあり、昨年からは“心の状態”の可視化にもチャレンジ。新測定として心の状態やライフスタイルを数値化・分析し、ライフスタイルに寄り添うアドバイスを提供している。こうした測定・分析は、コロナ禍を経てますます大事だと実感している。来店者の3〜4割は「イプサライザー」を試し、男性の利用も増加している。この領域は今後も大切にしていく。

WWD:メイクカテゴリーの売れ筋は?

小田:9月にはファンデーションをリニューアルし、“クリーム ファウンデイションe”を発売したところリニューアル前と比べて3〜4倍の伸びを記録。それと共にリキッドファンデーションも高い支持を得ており、課題だったベースメイクカテゴリーが活性化できている。ポイントメイクは、フェイスカラー“デザイニング フェイスカラーパレット”やリップカラー“リップオイルe LE”の限定色を発売し好評だった。現在の売り上げ構成は、スキンケアが7割でメイク類が3割。割合は現状のままキープし、全体の売り上げを伸ばしたい。そのためにスキンケア以外のアイテムもさらに充実させていくことは今年のテーマでもある。

WWD:展開店舗が多い中国の状況については。

小田:この2年間は厳しいというのが本音だ。いくつか理由はあるが、中国の経済自体が減速していることや、需要が高価格帯と低価格帯の製品に集中して消費が二極化したこと、中国のローカルブランドが台頭してきたことなどが大きい。そんな状況下でも“ザ・タイムR アクア”は根強い人気があったほか、ハリ感の不均一性に着目したクリーム“バウンス インテンス クリーム”やリキッドファンデーションが寄与。24年後半はプラスに戻り、25年以降のベースが出来上がったという手応えを得ることができた。店舗は選択と集中の段階で、ピーク時の100店舗を現在は約40店舗にまで絞った。強みであるオフラインの体験強化により質を向上させ、1店舗あたりの生産性は上がっている。日本や香港、台湾ですでに好評を博している“エッセンスローション アルティメイト”を12月に中国でも発売したが、例えば、「朝は“ザ・タイムR アクア”、夜は“エッセンスローション アルティメイト”を」というような日本でも成功したマーケティングは中国でも通用する。そういった良い事例を国を超えて展開するといういい流れも生まれてきている。訪日客にどこでも「このブランド見たよね」という印象を残すことは大事だ。

WWD:25年に目指すことは。

小田:次世代の「イプサ」をスタートさせる、そんな重要な1年になる。「イプサ」は肌への安心感や着飾らないシンプルさ、肌測定などが評価されている。もちろんそこは進化させつつ、肌・心・体のバランスと調和がとれた状態に導いたり、気持ちが下がっている自分をも受け止めて寄り添えたりするブランドにならなければいけない。肌・心・体については長年研究してきたエビデンスの蓄積ができているため、そのサイエンスの視点を盛り込みながら、ただ肌を良くするだけのスキンケアブランドから1歩抜け出す。そこで、1年をかけて構想したビジョンを5月に発表する予定だ。「スキンケアにとどまらずその先にチャレンジ」する新領域として、インナーケアではない新しいアプローチをスタートさせるので期待してほしい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『ハーフマラソン出場』

23年に足をけがし、続けていたジョギングを長らく休んでいた。「運動と美肌の関係性」に着目した美容液“イプサ セラム アクティブ”の発売を機に、ジョギングを再開。今年の終わりにはハーフマラソンへの出場を目指す。

COMPANY DATA
イプサ

1986年に資生堂の子会社として設立。設立と同時に誕生したブランド「イプサ」は、スキンケア、ベースメイク、ポイントメイクを日本、アジアの6つの国と地域で展開する。ブランド名の由来はラテン語で「自ら」「自発的な」を意味し、スキンケアは独自の肌測定とカウンセリングによって、レシピスト(美容部員)と共に一人一人に合わせて最適な美容法「レシピ」を作り上げていくのが特徴。ロングセラーアイテムは“ザ・タイムR アクア”や“ME(エム・イー)”など

TEXT : WAKANA NAKADE


問い合わせ先
イプサ
03-3405-2432

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【BCLカンパニー 大村和重カンパニーエグゼクティブプレジデント】主力ブランドの拡大と並行し、新領域に果敢に挑戦

PROFILE: 大村和重/カンパニーエグゼクティブプレジデント

大村和重/カンパニーエグゼクティブプレジデント
PROFILE: (おおむら・かずしげ)2007年、BCLカンパニーの前身であるB&Cラボラトリーズに入社。18年にBCLカンパニー国内事業部の事業部長に就任する。19年からカンパニーエグゼクティブを兼任し、21年6月にカンパニーエグゼクティブプレジデントに昇格。スタイリングライフ・ホールディングスの執行役員も務める PHOTO : KAZUSHI TOYOTA

スタイリングライフ・ホールディングスのビューティ&ウエルネス事業を担うBCLカンパニーは、主力ブランドの「サボリーノ」を筆頭に、生活者のライフスタイルに彩りを添えるコスメを提供している。2025年は「+1の発想で、美しさを塗り替え 毎日を彩る」という理念のもと、さらなる挑戦へ踏み出す。

「サボリーノ」を筆頭に
スキンケアカテゴリーが成熟

WWD:24年は主力製品の「サボリーノ」をリニューアルした。

大村和重カンパニーエグゼクティブプレジデント(以下、大村):「サボリーノ」は15年のデビュー以来、“朝用シートマスク”という新習慣を提案してきた。当時は、日本でシートマスク文化がどこまで浸透するか半信半疑だったが、若年層から年配層まで多くのお客さまに愛される製品となった。しかし、幅広い人に届けるチャンスはまだまだある。そこで、10年目を迎えるにあたり、お客さまのライフスタイルにさらに寄り添うべく、初のリニューアルを決断した。その一環として、ブランド認知度をさらに向上させることを目指し、テレビCM戦略を本格的に強化した。24年1月から秋にかけて3度放映したテレビCMでは、50~70代の新規顧客を開拓。「サボリーノ」の認知度が10%上昇しただけでなく、地方のドラッグストアでも売り上げが増加し、テレビの影響力を改めて実感した。まずは“知ってもらう”ことに注力した結果、売り上げの底上げにつながった。

WWD:第二の中核を担う「乾燥さん」も急成長している。

大村:21年に誕生した「乾燥さん」は、日本人特有の乾燥肌や敏感肌の悩みを、キャッチーなキャラクターで表現するなどして親しみやすさを強めたところ、乾燥に悩む人たちの共感を得られた。また、23年からインフルエンサーに取り上げてもらうなどして、急激に売り上げを伸ばしている。製品そのものの品質に対する信頼とともに、自然と口コミが拡散され、コアなファン層を生み出している。

WWD:この好調の波をどう次につなげていくか。

大村:スキンケア市場で安定した成長を続ける「サボリーノ」と「乾燥さん」という両ブランドが確固たる地位を築けたことは、当社にとって大きな成果だ。しかしここで安心しているわけではない。当社はチャレンジ精神が非常に強い会社だ。ニッチな市場を積極的に攻めていこうと考えている。24年はサプリ市場に参入し、4月に夜の美容プロテイン提案「オヤスミタンパク」を発売した。25年には美容機器の発売も予定している。化粧品だけではなく、ライフスタイル全体をトータルでサポートできる企業でありたい。まず日本の各市場でしっかり地盤を固めて、3年後には海外進出も見据えている。

WWD:海外戦略の現状と今後の方針は?

大村:中国、香港、台湾が厳しい中、EUや北米が好調だ。中でもドイツは50店舗で「サボリーノ」の取り扱いをスタートしたが好調に推移し、隣国のポーランドを含めると500店舗にまで広がっている。また、イタリアの見本市に出展した際も、ECや小売りのバイヤーからオファーが殺到した。EUなどでも韓国コスメが流行っているので、一巡してやや飽きが出たところにJビューティがうまく入り込めたと感じている。これを延ばすためには日本向けの製品を輸出するのではなく、ローカライズした製品が必要になってくる。チャンスのある市場なので、慎重に見定めたい。また、韓国コスメが席巻し、メード・イン・ジャパンの強みが薄れる中、“食”はまだまだ強い。インナービューティという分野は戦っていく価値や可能性を感じる。24年は世界的にビジネスとして戦っていくための戦略をスタートし、よい形で進みだすことができた。

WWD:競合の韓国コスメも勢いに乗っている。

大村:韓国ブランドに負けない“かわいい”ビジュアルとアイテム作りをする「カワイイプロジェクト」を立ち上げた。宣伝や営業などのメンバーも参加する。韓国では長期のブランド維持よりも3年程で大きな売り上げを狙う企業が多い。スピードで勝つために、現在1年半の開発期間を短縮し、3カ月から半年でトレンドに対応した製品開発を目指している。

WWD:未来にどんな可能性を見出しているか。

大村:BCLはアイデアの会社。これまで数々のアイデアを試し、その過程で多くの失敗も経験している。サプリや美容機器といった新領域においては、知見の不足を認識した上で、失敗を恐れず、その結果を次の改善へと結びつける作業を積み重ねていきたい。25年に限らず継続してチャレンジを続けていくが、それは根本に「人を笑顔にするものを総合的に提供できる会社になりたい」という思いがあるから。BCLが目指すのは、単に若さを追求するアンチエイジングではなく、年齢を重ねたその時々で、その年齢としてもっとも素敵でいられるライフスタイルを支えることだ。化粧品はもちろんのこと、健康をサポートできる製品にも注力していく。世代、ジェンダー、地域を問わず、全ての人が健康で笑顔になれるような製品を提供できる企業になることが理想だ。30、40年先を見据え、実現させるための基盤づくりに取り組んでいく。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『自社製品を持って宇宙へ』

子どもの頃、宇宙飛行士になる夢を視力が基準に満たないため諦めた。でも、今なら別の形で宇宙に行くチャンスがあるのではと期待している。宇宙関連の製品を自社で作って、それを持って宇宙に行ってみたい。片道切符でもいいので(笑)。

COMPANY DATA
BCLカンパニー

1979年、ソニー・クリエイティブプロダクツの一事業部門として、フランス・スタンダール社との技術提携により、化粧品ビジネスに参入。96年、化粧品事業のさらなる拡大を目指し、ソニーシーピーラボラトリーズとして分社独立。親会社であるスタイリングライフ・ホールディングスと合併し、スタイリングライフ・ホールディングス BCL カンパニーを発足。「サボリーノ」をはじめ、「ベキュアハニー」や「ロアリブ」「乾燥さん」などのコスメブランドを擁する

TEXT : MIKI IRIMAJIRI
問い合わせ先
BCLカンパニー
0120-303-820

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【BCLカンパニー 大村和重カンパニーエグゼクティブプレジデント】主力ブランドの拡大と並行し、新領域に果敢に挑戦

PROFILE: 大村和重/カンパニーエグゼクティブプレジデント

大村和重/カンパニーエグゼクティブプレジデント
PROFILE: (おおむら・かずしげ)2007年、BCLカンパニーの前身であるB&Cラボラトリーズに入社。18年にBCLカンパニー国内事業部の事業部長に就任する。19年からカンパニーエグゼクティブを兼任し、21年6月にカンパニーエグゼクティブプレジデントに昇格。スタイリングライフ・ホールディングスの執行役員も務める PHOTO : KAZUSHI TOYOTA

スタイリングライフ・ホールディングスのビューティ&ウエルネス事業を担うBCLカンパニーは、主力ブランドの「サボリーノ」を筆頭に、生活者のライフスタイルに彩りを添えるコスメを提供している。2025年は「+1の発想で、美しさを塗り替え 毎日を彩る」という理念のもと、さらなる挑戦へ踏み出す。

「サボリーノ」を筆頭に
スキンケアカテゴリーが成熟

WWD:24年は主力製品の「サボリーノ」をリニューアルした。

大村和重カンパニーエグゼクティブプレジデント(以下、大村):「サボリーノ」は15年のデビュー以来、“朝用シートマスク”という新習慣を提案してきた。当時は、日本でシートマスク文化がどこまで浸透するか半信半疑だったが、若年層から年配層まで多くのお客さまに愛される製品となった。しかし、幅広い人に届けるチャンスはまだまだある。そこで、10年目を迎えるにあたり、お客さまのライフスタイルにさらに寄り添うべく、初のリニューアルを決断した。その一環として、ブランド認知度をさらに向上させることを目指し、テレビCM戦略を本格的に強化した。24年1月から秋にかけて3度放映したテレビCMでは、50~70代の新規顧客を開拓。「サボリーノ」の認知度が10%上昇しただけでなく、地方のドラッグストアでも売り上げが増加し、テレビの影響力を改めて実感した。まずは“知ってもらう”ことに注力した結果、売り上げの底上げにつながった。

WWD:第二の中核を担う「乾燥さん」も急成長している。

大村:21年に誕生した「乾燥さん」は、日本人特有の乾燥肌や敏感肌の悩みを、キャッチーなキャラクターで表現するなどして親しみやすさを強めたところ、乾燥に悩む人たちの共感を得られた。また、23年からインフルエンサーに取り上げてもらうなどして、急激に売り上げを伸ばしている。製品そのものの品質に対する信頼とともに、自然と口コミが拡散され、コアなファン層を生み出している。

WWD:この好調の波をどう次につなげていくか。

大村:スキンケア市場で安定した成長を続ける「サボリーノ」と「乾燥さん」という両ブランドが確固たる地位を築けたことは、当社にとって大きな成果だ。しかしここで安心しているわけではない。当社はチャレンジ精神が非常に強い会社だ。ニッチな市場を積極的に攻めていこうと考えている。24年はサプリ市場に参入し、4月に夜の美容プロテイン提案「オヤスミタンパク」を発売した。25年には美容機器の発売も予定している。化粧品だけではなく、ライフスタイル全体をトータルでサポートできる企業でありたい。まず日本の各市場でしっかり地盤を固めて、3年後には海外進出も見据えている。

WWD:海外戦略の現状と今後の方針は?

大村:中国、香港、台湾が厳しい中、EUや北米が好調だ。中でもドイツは50店舗で「サボリーノ」の取り扱いをスタートしたが好調に推移し、隣国のポーランドを含めると500店舗にまで広がっている。また、イタリアの見本市に出展した際も、ECや小売りのバイヤーからオファーが殺到した。EUなどでも韓国コスメが流行っているので、一巡してやや飽きが出たところにJビューティがうまく入り込めたと感じている。これを延ばすためには日本向けの製品を輸出するのではなく、ローカライズした製品が必要になってくる。チャンスのある市場なので、慎重に見定めたい。また、韓国コスメが席巻し、メード・イン・ジャパンの強みが薄れる中、“食”はまだまだ強い。インナービューティという分野は戦っていく価値や可能性を感じる。24年は世界的にビジネスとして戦っていくための戦略をスタートし、よい形で進みだすことができた。

WWD:競合の韓国コスメも勢いに乗っている。

大村:韓国ブランドに負けない“かわいい”ビジュアルとアイテム作りをする「カワイイプロジェクト」を立ち上げた。宣伝や営業などのメンバーも参加する。韓国では長期のブランド維持よりも3年程で大きな売り上げを狙う企業が多い。スピードで勝つために、現在1年半の開発期間を短縮し、3カ月から半年でトレンドに対応した製品開発を目指している。

WWD:未来にどんな可能性を見出しているか。

大村:BCLはアイデアの会社。これまで数々のアイデアを試し、その過程で多くの失敗も経験している。サプリや美容機器といった新領域においては、知見の不足を認識した上で、失敗を恐れず、その結果を次の改善へと結びつける作業を積み重ねていきたい。25年に限らず継続してチャレンジを続けていくが、それは根本に「人を笑顔にするものを総合的に提供できる会社になりたい」という思いがあるから。BCLが目指すのは、単に若さを追求するアンチエイジングではなく、年齢を重ねたその時々で、その年齢としてもっとも素敵でいられるライフスタイルを支えることだ。化粧品はもちろんのこと、健康をサポートできる製品にも注力していく。世代、ジェンダー、地域を問わず、全ての人が健康で笑顔になれるような製品を提供できる企業になることが理想だ。30、40年先を見据え、実現させるための基盤づくりに取り組んでいく。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『自社製品を持って宇宙へ』

子どもの頃、宇宙飛行士になる夢を視力が基準に満たないため諦めた。でも、今なら別の形で宇宙に行くチャンスがあるのではと期待している。宇宙関連の製品を自社で作って、それを持って宇宙に行ってみたい。片道切符でもいいので(笑)。

COMPANY DATA
BCLカンパニー

1979年、ソニー・クリエイティブプロダクツの一事業部門として、フランス・スタンダール社との技術提携により、化粧品ビジネスに参入。96年、化粧品事業のさらなる拡大を目指し、ソニーシーピーラボラトリーズとして分社独立。親会社であるスタイリングライフ・ホールディングスと合併し、スタイリングライフ・ホールディングス BCL カンパニーを発足。「サボリーノ」をはじめ、「ベキュアハニー」や「ロアリブ」「乾燥さん」などのコスメブランドを擁する

TEXT : MIKI IRIMAJIRI
問い合わせ先
BCLカンパニー
0120-303-820

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【リンワン 崔萌芽代表取締役】会社の可能性イコール、スタッフのポテンシャル

PROFILE: 崔萌芽/代表取締役

崔萌芽/代表取締役
PROFILE: (さい・ほうが)1981年、中国生まれ。2002年留学のため来日。06年名城大学国際経営学科卒業後、アパレルメーカーに勤務し、11年に出産とともに退職。翌年アパレルOEM会社、カラフルワールドを設立。14年「リップサービス」の事業譲受を機にリンワン設立。現在に至る PHOTO : TAMEKI OSHIRO

リンワン(RINONE)は、アパレルブランド「リップサービス」を2014年に取得。“衣食住からのエンタテイメント融合でいまを繋ぎ、未来を造る”をコンセプトに、飲食やコスメ、レンタルスペースなど、事業を増やしている。

ポジティブなエネルギーと共存できる
ファッションや空間を提供

WWD:2024年を振り返ると?

崔萌芽代表取締役(以下、崔):ブランド誕生から20年を超えた基幹ブランド「リップサービス(LIP SERVICE)」のアップデートを図るため、あらゆる取捨選択を行い、ブランドの使命を見つめ直す中で、さまざまな「好き」を全力で楽しむ女性たちのポジティブなエネルギーにふさわしいファッションを追求した1年だった。個々のスタイルや価値観を重視する多様性に富んだ社会の中で、特に“推し活”パワーの勢いを感じている。ライブやカフェ巡りなどのおでかけに「リップサービス」のアイテムを着用し楽しむ様子をSNSで投稿してくださるお客さまが増えていることを知り、そこに向けて提案を強化したところ、支持が広がっている。

WWD:“推し活”は消費の大きな原動力になっている。

崔:アイドル推しだけではなく、カフェ巡りやアート巡りも“推し活”の一種ととらえている。特に写真でもパッと目を引く華やかな印象の“美シルエット”ワンピースがヒットした。「リップサービス」を譲受してから10年。今後もスタッフのブランド愛を大事にしながら、時代に即してアップデートしていく。同時に重視したのは、“作りすぎない”こと。適量生産、適量供給の意識付けを徹底し、店頭では客注システムを活用したOMO取り組みを主要店舗で実施して、機会ロスを最小限に抑えた。その結果、売上高は前期比30%増で在庫消化率は90%と好調に推移した。

WWD:飲食事業は?

崔:お茶とスイーツの店「ナナティーアンドツツミ」を中心に4店舗展開。特に青山本店は、つやつやでピンク色のハート型ムースケーキから人気に火が付き、7種類のカラフルな展開でさらに好評を得ている。“推し”の写真やぬいぐるみと一緒に写真を撮ってSNSへアップすることも“推し活”イベントの1つとして、おしゃれをして楽しむ女性が多く、「リップサービス」のアイテム着用を見かけることも。“推し活”はとにかく「楽しむ」ことが大事。そのわくわく感やポジティブなエネルギーと共存できるファッションや空間を提供できるよう、各ブランドの使命を考えた。

WWD:24年で一番好調だった事業は?

崔:空間ビジネスの「ランド(Rand)」だ。表参道にカフェ併設のレンタルスペースと青山に2階建てのレンタルスペースを構えている。コロナ禍が明けオフライン開催のイベントが増えたこともあり非常に好調だ。スペース自体を空白のキャンバスととらえ、無限の可能性をもって自由なチャレンジが実現できる場所を目指しており、ファッションやビューティブランドのポップアップや展示会、新作発表会などさまざまなイベントで活用いただいている。「ランド」として運用するインスタグラムでは開催イベントの情報発信も行っている。さまざまな“おもしろいこと”が行われる場所としてコミュニティーを築いていきたい。

WWD:KOL(キー・オピニオン・リーダー)によるライブコマース事業については?

崔:「リンワンセレクトショップ」として、中国のSNS、REDBOOK(小紅書)を通じてライブコマースした商品を掛け率を決めて受注するケースもあれば、KOLが店頭から配信し、注文に応じて店頭の商品をこちらで購入して発送するケースもある。中国に住む30代女性がメインの顧客なので、ある程度体型をカバーしながら、品のある上質な日本のブランドが人気。ブランド側からの配信依頼も増えている。ブランドと顧客間はもちろん、KOLやタイミングとのマッチングも非常に重要だ。

WWD:25年に注力するのは?

崔:「ランド」をより多様で流動的な社会にフィットする空間にし、そこを介したコミュニティー作りで、衣食住のさまざまなブランドの後押しをしていきたい。ファッションやビューティが提供する物質的・精神的な幸福も大事にしつつ、アートや学びといった内面的な充実を提案できるコンテンツも誘致するなど、情報発信の場としてブランディングする。同時に、空間ビジネスとして、時代のニーズや移り行く気分に合わせて「5㎡」のパーソナル空間を生み出すサービスの開発も進行中だ。人生をより豊かなものにする暮らしと心の充実感や、良いものを大切にシェアする心地よさを届けていきたいと考えている。

WWD:未来に見据える可能性は?

崔:会社の可能性イコール、スタッフのポテンシャルだ。すでに衣食住の全事業を行っているので、この先どの部分をより強化していくのか、どんな展開をしていくのかは各責任者の采配にかかっている。私自身は新規事業の立ち上げと、経営者の育成に注力する。2年ごとに自薦または他薦で副社長を決める制度を導入し、今期から「ランド」事業の責任者が副社長として経営に携わっている。経営者視点を持つ幹部を複数育てるつもりだ。年収1000万円超えプレーヤーの輩出も目指している。社会に必要とされる企業として、長く継続できる体制を作りたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『ロスが出ないお花屋さん』

フレッシュからドライまでロスがなく、なおかつ常温で働ける小さなお花屋さんがやりたい。花のロス問題や働く環境の過酷さ、それらをクリアする方法を見つけたら絶対に始めたい!

COMPANY DATA
リンワン

2014年に設立。同年にヤングレディースブランド「リップサービス」、16年にウィメンズアパレル「レディメイド」の全事業を継承した。「リップサービス」は国内直営6店とFC4店とEC、「レディメイド」はECを運営する。飲食事業では「ナナティーアンドツツミ」を中心とした4店、オーガニックスキンケア「S.life」を展開するほか、「ランド」事業として青山と表参道にレンタルスペースを運営する。KOLを起用したライブコマース事業も行う


問い合わせ先
リンワン
03-6433-5771

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【リンワン 崔萌芽代表取締役】会社の可能性イコール、スタッフのポテンシャル

PROFILE: 崔萌芽/代表取締役

崔萌芽/代表取締役
PROFILE: (さい・ほうが)1981年、中国生まれ。2002年留学のため来日。06年名城大学国際経営学科卒業後、アパレルメーカーに勤務し、11年に出産とともに退職。翌年アパレルOEM会社、カラフルワールドを設立。14年「リップサービス」の事業譲受を機にリンワン設立。現在に至る PHOTO : TAMEKI OSHIRO

リンワン(RINONE)は、アパレルブランド「リップサービス」を2014年に取得。“衣食住からのエンタテイメント融合でいまを繋ぎ、未来を造る”をコンセプトに、飲食やコスメ、レンタルスペースなど、事業を増やしている。

ポジティブなエネルギーと共存できる
ファッションや空間を提供

WWD:2024年を振り返ると?

崔萌芽代表取締役(以下、崔):ブランド誕生から20年を超えた基幹ブランド「リップサービス(LIP SERVICE)」のアップデートを図るため、あらゆる取捨選択を行い、ブランドの使命を見つめ直す中で、さまざまな「好き」を全力で楽しむ女性たちのポジティブなエネルギーにふさわしいファッションを追求した1年だった。個々のスタイルや価値観を重視する多様性に富んだ社会の中で、特に“推し活”パワーの勢いを感じている。ライブやカフェ巡りなどのおでかけに「リップサービス」のアイテムを着用し楽しむ様子をSNSで投稿してくださるお客さまが増えていることを知り、そこに向けて提案を強化したところ、支持が広がっている。

WWD:“推し活”は消費の大きな原動力になっている。

崔:アイドル推しだけではなく、カフェ巡りやアート巡りも“推し活”の一種ととらえている。特に写真でもパッと目を引く華やかな印象の“美シルエット”ワンピースがヒットした。「リップサービス」を譲受してから10年。今後もスタッフのブランド愛を大事にしながら、時代に即してアップデートしていく。同時に重視したのは、“作りすぎない”こと。適量生産、適量供給の意識付けを徹底し、店頭では客注システムを活用したOMO取り組みを主要店舗で実施して、機会ロスを最小限に抑えた。その結果、売上高は前期比30%増で在庫消化率は90%と好調に推移した。

WWD:飲食事業は?

崔:お茶とスイーツの店「ナナティーアンドツツミ」を中心に4店舗展開。特に青山本店は、つやつやでピンク色のハート型ムースケーキから人気に火が付き、7種類のカラフルな展開でさらに好評を得ている。“推し”の写真やぬいぐるみと一緒に写真を撮ってSNSへアップすることも“推し活”イベントの1つとして、おしゃれをして楽しむ女性が多く、「リップサービス」のアイテム着用を見かけることも。“推し活”はとにかく「楽しむ」ことが大事。そのわくわく感やポジティブなエネルギーと共存できるファッションや空間を提供できるよう、各ブランドの使命を考えた。

WWD:24年で一番好調だった事業は?

崔:空間ビジネスの「ランド(Rand)」だ。表参道にカフェ併設のレンタルスペースと青山に2階建てのレンタルスペースを構えている。コロナ禍が明けオフライン開催のイベントが増えたこともあり非常に好調だ。スペース自体を空白のキャンバスととらえ、無限の可能性をもって自由なチャレンジが実現できる場所を目指しており、ファッションやビューティブランドのポップアップや展示会、新作発表会などさまざまなイベントで活用いただいている。「ランド」として運用するインスタグラムでは開催イベントの情報発信も行っている。さまざまな“おもしろいこと”が行われる場所としてコミュニティーを築いていきたい。

WWD:KOL(キー・オピニオン・リーダー)によるライブコマース事業については?

崔:「リンワンセレクトショップ」として、中国のSNS、REDBOOK(小紅書)を通じてライブコマースした商品を掛け率を決めて受注するケースもあれば、KOLが店頭から配信し、注文に応じて店頭の商品をこちらで購入して発送するケースもある。中国に住む30代女性がメインの顧客なので、ある程度体型をカバーしながら、品のある上質な日本のブランドが人気。ブランド側からの配信依頼も増えている。ブランドと顧客間はもちろん、KOLやタイミングとのマッチングも非常に重要だ。

WWD:25年に注力するのは?

崔:「ランド」をより多様で流動的な社会にフィットする空間にし、そこを介したコミュニティー作りで、衣食住のさまざまなブランドの後押しをしていきたい。ファッションやビューティが提供する物質的・精神的な幸福も大事にしつつ、アートや学びといった内面的な充実を提案できるコンテンツも誘致するなど、情報発信の場としてブランディングする。同時に、空間ビジネスとして、時代のニーズや移り行く気分に合わせて「5㎡」のパーソナル空間を生み出すサービスの開発も進行中だ。人生をより豊かなものにする暮らしと心の充実感や、良いものを大切にシェアする心地よさを届けていきたいと考えている。

WWD:未来に見据える可能性は?

崔:会社の可能性イコール、スタッフのポテンシャルだ。すでに衣食住の全事業を行っているので、この先どの部分をより強化していくのか、どんな展開をしていくのかは各責任者の采配にかかっている。私自身は新規事業の立ち上げと、経営者の育成に注力する。2年ごとに自薦または他薦で副社長を決める制度を導入し、今期から「ランド」事業の責任者が副社長として経営に携わっている。経営者視点を持つ幹部を複数育てるつもりだ。年収1000万円超えプレーヤーの輩出も目指している。社会に必要とされる企業として、長く継続できる体制を作りたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『ロスが出ないお花屋さん』

フレッシュからドライまでロスがなく、なおかつ常温で働ける小さなお花屋さんがやりたい。花のロス問題や働く環境の過酷さ、それらをクリアする方法を見つけたら絶対に始めたい!

COMPANY DATA
リンワン

2014年に設立。同年にヤングレディースブランド「リップサービス」、16年にウィメンズアパレル「レディメイド」の全事業を継承した。「リップサービス」は国内直営6店とFC4店とEC、「レディメイド」はECを運営する。飲食事業では「ナナティーアンドツツミ」を中心とした4店、オーガニックスキンケア「S.life」を展開するほか、「ランド」事業として青山と表参道にレンタルスペースを運営する。KOLを起用したライブコマース事業も行う


問い合わせ先
リンワン
03-6433-5771

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【クレイジー 森山和彦CEO】人生の節目に寄り添い、人や企業の未来を共創する

PROFILE: 森山和彦/CEO

森山和彦/CEO
PROFILE: (もりやま・かずひこ)1982年東京都生まれ。大学卒業後、人材コンサルティング会社で6年半勤務。2012年にCRAZY設立。組織づくりでは、全社員が入社時に自身の理想の生き方をプレゼンする“ライフプレゼンテーション”や人生を豊かに生きるために必要な休暇を1カ月取得できる制度“グレート ジャーニー”を導入するなど、ユニークな企業文化を育んでいる PHOTO:SHUHEI SHINE

“人生を祝う空間”を通じて新たな価値を創造する企業CRAZYが手掛けるのは、ウエディングからファッションやビューティの企業のイベントプロデュースまでさまざまだ。2025年は新たにさらなる事業拡大を図る。

イベント企画サービスなど
法人向けサービスで事業が飛躍

WWD:創業時からウエディングブランドの「クレイジー ウエディング(CRAZY WEDDING)」を手掛けているが、他の企業と異なる点は?

森山和彦CEO(以下、森山):その人の人生を祝うという独自の哲学をベースにしたウエディングを提供している。私たちが提案する結婚式では、従来見られる高砂も装飾もない。自社で運営する施設の「IWAI OMOTESANDO(以下、IWAI)」もグレーが基調の落ち着いた空間で、一般的な結婚式場とは異なる。オープン当初は疑問の声もあったが、今ではお客さまからの口コミ評価が高く、毎年予約枠が埋まる状況だ。追求したのは、主催者二人だけでなく、式場に集う全員が“祝う”ことのできる空間づくり。主催者から参列者に宛てた手紙を入れる“レターギャラリー”を設置したり、パネルには参列者の名前だけでなく紹介文を添えたりしている。“セレブレーションホール”は丸窓から外光が差し込むシンプルな空間で、花は一点、旬のものを飾るだけ。既成概念に捉われず、参列者が主催者二人の人生を知り、心から祝えるような空間づくりを重視した。

WWD:現在のブライダル市場をどのように分析するか?

森山:人口が減り、価値観が多様化している。結婚式を挙げない人が増え、間違いなく衰退産業の一つだ。ただ、その中における成長企業になれる余地はあると考える。

WWD:2024年を振り返ると?

森山:前年比130%増で過去最高の売上高だった。ブライダル事業に加えて始めた法人向けのサービス“クレイジー カルチャー エージェンシー”に注力。それが大きく伸長した。ビジネスの成功の一番の理由は社員。挙式するお客さまと同様に対法人であっても、一人の人間として深くつながり、企業やブランドの思想をくみ取りサービスを提供したからだ。

WWD:法人向けサービスとはどのようなものか?

森山:今までも、ブランドの展示会やイベントスペースとして「IWAI」を提供してきたが、イベントの企画段階から入るコンテンツづくりのサポートも増えている。重要なのは、商品の背後にあるメッセージやストーリーをユーザーが理解し、ファンになること。展示会やイベント用の空間は、「商品を美しく見せる」以上に「ブランド体験をどう届けるか」が大切だ。だからこそ、単なる会場提供ではなく、企業やブランドの未来を共に形づくるパートナーでありたい。ブランドを深く理解し、法人のお客さまと同じ目線で空間づくりをしている。

WWD:今後の課題は?

森山:23年にキャリアエージェント事業として“クレイジー キャリア”を始めた。法人向けサービスも、企業のカルチャーや組織まで踏み込んだプロデュース事業を拡大させる。また、「IWAI」に続く新たな婚礼会場を作るつもりだ。そのため、23年にブライダルと法人の運営を一体化した。今後、さらなる事業拡大に向けて、採用に注力する。

WWD:組織再編後の変化は?

森山:法人向けのサービスは23年春まで、社員やお客さまの紹介による受注の割合が5%程度だったが、24年には約6割まで伸長、8割を超えることもある。婚礼のお客さまがビジネスでも利用するなど、婚礼と法人事業の垣根を取り払ったことで、相乗効果が生まれている。

WWD:広告戦略は?

森山:創業時から大手結婚情報誌に出稿していない。体験価値を重視しており、口コミがビジネスに結びついている。昨年7月、表参道駅に「伝える勇気」をテーマにした交通広告を出した。「ごめんね」「ありがとう」「愛してる」という伝えることが難しい3つのワードに着目し、伝えたい人の気持ちを切り取って表現。シンプルな広告だったが、足を止めて眺めたり、携帯電話で撮影したりする人の姿が見られた。直接的ではないが、私たちらしいメッセージの伝え方で反響があった。

WWD:サステナビリティやダイバーシティーに関して注力していることは?

森山:20年からダイバーシティー&インクルージョン(D&I)に取り組む企業を認定・表彰する「D&I アワード」を複数回受賞している。23年からは、最高評価の「ベストワークプレイス」の認定を2年連続で取得。LGBTQや障害のある人の結婚式の支援はもちろん、多様性の感覚の共有やそれら人々の理解を深める研修などを実践してきた結果だと思う。

WWD:未来の可能性については?

森山:「IWAI」で挙式したお客さま向けに記念日のための宿泊サービス“クレイジー アニバーサリー”も提供している。結婚式がゴールではなく、節目節目でそれぞれの人生に寄り添ったサービスを提供したいという考えからだ。法人にとっても、そのような存在でありたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『大きな愛に包まれた大家族をつくること』

家族の概念を拡張して、孫まで含めたら100人くらいの大家族をつくりたい。そして、家族みんなで帰って来られる家が欲しい。

COMPANY DATA
クレイジー

2012年設立。ウエディングブランド「クレイジー ウエディング」を運営。19年には東京・表参道に自社の施設「IWAI OMOTESANDO」をオープン。21年以降、大手業界クチコミサイト「ウエディングパーク」で、東京エリア900会場中で1位を3年連続で獲得。24年には人材エージェント事業 “クレイジー キャリア”の提供を開始するなど、人の人生に寄り添う企業としてサービスを拡大している


問い合わせ先
CRAZY
0120-181-904

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【クレイジー 森山和彦CEO】人生の節目に寄り添い、人や企業の未来を共創する

PROFILE: 森山和彦/CEO

森山和彦/CEO
PROFILE: (もりやま・かずひこ)1982年東京都生まれ。大学卒業後、人材コンサルティング会社で6年半勤務。2012年にCRAZY設立。組織づくりでは、全社員が入社時に自身の理想の生き方をプレゼンする“ライフプレゼンテーション”や人生を豊かに生きるために必要な休暇を1カ月取得できる制度“グレート ジャーニー”を導入するなど、ユニークな企業文化を育んでいる PHOTO:SHUHEI SHINE

“人生を祝う空間”を通じて新たな価値を創造する企業CRAZYが手掛けるのは、ウエディングからファッションやビューティの企業のイベントプロデュースまでさまざまだ。2025年は新たにさらなる事業拡大を図る。

イベント企画サービスなど
法人向けサービスで事業が飛躍

WWD:創業時からウエディングブランドの「クレイジー ウエディング(CRAZY WEDDING)」を手掛けているが、他の企業と異なる点は?

森山和彦CEO(以下、森山):その人の人生を祝うという独自の哲学をベースにしたウエディングを提供している。私たちが提案する結婚式では、従来見られる高砂も装飾もない。自社で運営する施設の「IWAI OMOTESANDO(以下、IWAI)」もグレーが基調の落ち着いた空間で、一般的な結婚式場とは異なる。オープン当初は疑問の声もあったが、今ではお客さまからの口コミ評価が高く、毎年予約枠が埋まる状況だ。追求したのは、主催者二人だけでなく、式場に集う全員が“祝う”ことのできる空間づくり。主催者から参列者に宛てた手紙を入れる“レターギャラリー”を設置したり、パネルには参列者の名前だけでなく紹介文を添えたりしている。“セレブレーションホール”は丸窓から外光が差し込むシンプルな空間で、花は一点、旬のものを飾るだけ。既成概念に捉われず、参列者が主催者二人の人生を知り、心から祝えるような空間づくりを重視した。

WWD:現在のブライダル市場をどのように分析するか?

森山:人口が減り、価値観が多様化している。結婚式を挙げない人が増え、間違いなく衰退産業の一つだ。ただ、その中における成長企業になれる余地はあると考える。

WWD:2024年を振り返ると?

森山:前年比130%増で過去最高の売上高だった。ブライダル事業に加えて始めた法人向けのサービス“クレイジー カルチャー エージェンシー”に注力。それが大きく伸長した。ビジネスの成功の一番の理由は社員。挙式するお客さまと同様に対法人であっても、一人の人間として深くつながり、企業やブランドの思想をくみ取りサービスを提供したからだ。

WWD:法人向けサービスとはどのようなものか?

森山:今までも、ブランドの展示会やイベントスペースとして「IWAI」を提供してきたが、イベントの企画段階から入るコンテンツづくりのサポートも増えている。重要なのは、商品の背後にあるメッセージやストーリーをユーザーが理解し、ファンになること。展示会やイベント用の空間は、「商品を美しく見せる」以上に「ブランド体験をどう届けるか」が大切だ。だからこそ、単なる会場提供ではなく、企業やブランドの未来を共に形づくるパートナーでありたい。ブランドを深く理解し、法人のお客さまと同じ目線で空間づくりをしている。

WWD:今後の課題は?

森山:23年にキャリアエージェント事業として“クレイジー キャリア”を始めた。法人向けサービスも、企業のカルチャーや組織まで踏み込んだプロデュース事業を拡大させる。また、「IWAI」に続く新たな婚礼会場を作るつもりだ。そのため、23年にブライダルと法人の運営を一体化した。今後、さらなる事業拡大に向けて、採用に注力する。

WWD:組織再編後の変化は?

森山:法人向けのサービスは23年春まで、社員やお客さまの紹介による受注の割合が5%程度だったが、24年には約6割まで伸長、8割を超えることもある。婚礼のお客さまがビジネスでも利用するなど、婚礼と法人事業の垣根を取り払ったことで、相乗効果が生まれている。

WWD:広告戦略は?

森山:創業時から大手結婚情報誌に出稿していない。体験価値を重視しており、口コミがビジネスに結びついている。昨年7月、表参道駅に「伝える勇気」をテーマにした交通広告を出した。「ごめんね」「ありがとう」「愛してる」という伝えることが難しい3つのワードに着目し、伝えたい人の気持ちを切り取って表現。シンプルな広告だったが、足を止めて眺めたり、携帯電話で撮影したりする人の姿が見られた。直接的ではないが、私たちらしいメッセージの伝え方で反響があった。

WWD:サステナビリティやダイバーシティーに関して注力していることは?

森山:20年からダイバーシティー&インクルージョン(D&I)に取り組む企業を認定・表彰する「D&I アワード」を複数回受賞している。23年からは、最高評価の「ベストワークプレイス」の認定を2年連続で取得。LGBTQや障害のある人の結婚式の支援はもちろん、多様性の感覚の共有やそれら人々の理解を深める研修などを実践してきた結果だと思う。

WWD:未来の可能性については?

森山:「IWAI」で挙式したお客さま向けに記念日のための宿泊サービス“クレイジー アニバーサリー”も提供している。結婚式がゴールではなく、節目節目でそれぞれの人生に寄り添ったサービスを提供したいという考えからだ。法人にとっても、そのような存在でありたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『大きな愛に包まれた大家族をつくること』

家族の概念を拡張して、孫まで含めたら100人くらいの大家族をつくりたい。そして、家族みんなで帰って来られる家が欲しい。

COMPANY DATA
クレイジー

2012年設立。ウエディングブランド「クレイジー ウエディング」を運営。19年には東京・表参道に自社の施設「IWAI OMOTESANDO」をオープン。21年以降、大手業界クチコミサイト「ウエディングパーク」で、東京エリア900会場中で1位を3年連続で獲得。24年には人材エージェント事業 “クレイジー キャリア”の提供を開始するなど、人の人生に寄り添う企業としてサービスを拡大している


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花王の24年12月期は増収増益 “稼ぐ力の改革”が着実な成果に

花王の2024年12月期連結決算(国際会計基準)は、売上高が前期比6.3%増(為替変動の影響を除く増減率では実質3.3%増)の1兆6284億円、営業利益が2.4倍の1466億円、純利益が2.4倍の1077億円と増収増益だった。23年に断行した構造改革の効果に加え、国内トイレタリーとケミカル事業が貢献した。

化粧品事業の売上高は同2.3%増(実質増減なし)の2441億円だった。順調に推移する日本市場では、「カネボウ(KANEBO)」が同30%増の成長を遂げ、売り上げをけん引。「ソフィーナiP(SOFINA IP)」、「キュレル(CUREL)」、「センサイ(SENSAI)」なども好調に推移した。中国を除くアジアでは、OMOの取り組み強化で「キュレル」「ケイト(KATE)」などが好調に推移した。一方、中国では市場伸長鈍化や競争環境激化の中で出荷抑制による流通在庫の適正化を実施したため、アジア全体の売り上げは同27%減と下回った。欧州では、「センサイ」の最高峰シリーズや唇用エイジングケア美容液“トータルリップトリートメントスティック”が好調、「モルトンブラウン(MOLTON BROWN)」も堅調に推移した。営業損益は中国での流通在庫の適正化が大きく影響し、37億円の赤字となった。

へルス&ビューティケア事業(スキンケア、ヘアケア・パーソナルヘルス製品を展開)の売上高は、スキンケアとヘアケアがけん引し、同7.9%増(実質4.1%増)の4240億円だった。日本のスキンケア部門は、「ビオレ(BIORE)」のメイク落としや、UVケア製品、シート関連の新製品が好調に推移。欧米では、23年11月に買収したプレミアムスキンケアブランド「ボンダイサンズ(BONDI SANDS)」の売り上げも寄与し、全体として売り上げは前年を上回った。日本のヘアケア部門は、「ケープ」の新製品、リブランディングした「エッセンシャル(ESSENTIAL)」、新ヘアケアブランド「メルト(MELT)」、「ジアンサー(THE ANSWER)」が好調。欧米では、「ジョン・フリーダ(JOHN FRIEDA)」の新製品が寄与し、全体として前年を上回った。ヘアサロン向け製品は、米国の「オリベ(ORIBE)」がECを中心に好調に推移したことで前期を上回った。パーソナルヘルスは「めぐりズム」のアイマスクなどが好調だったものの、オーラルケアが苦戦し、前年を下回った。営業利益は、成長のためのマーケティング費や欧米子会社で構造改革費を計上したことなどにより同19.6 %減の344億円だった。

25年はグローバル成長を加速

25年は、ROIC(投下資本利益率)視点でモノ作りの高度化・高速化を行うことにより稼ぐ力の強化を推進し、収益基盤を安定させる。エッジの効いたソリューションで世界No.1の貢献をする「グローバル・シャープトップ戦略」を遂行し、さらなるグローバル成長に取り組む。

グローバル成長の加速を目的に、2025年1月1日に組織機能を再編した。新たなビジネスの創出を目指し、「ビジネスコネクティッド部門」を新設。業務用衛生製品 (Washing Systems, LLC(米国)を除く)を編入することで、BtoBビジネスの成長を加速させる。これにより報告セグメントを“コンシューマープロダクツ事業”から“グローバルコンシューマーケア事業”に、“ハイジーン&リビングケア事業”を“ハイジーンリビングケア事業”に、“ヘルス&ビューティケア事業”を“ヘルスビューティケア事業”に改称し、“ビジネスコネクティッド事業”を追加する。

これらを踏まえた25年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比2.6%増(実質3,1%増)の1兆6700億円、営業利益が同9.1%増の1600億円、純利益が同7.6%増の1160億円を見込む。

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花王の24年12月期は増収増益 “稼ぐ力の改革”が着実な成果に

花王の2024年12月期連結決算(国際会計基準)は、売上高が前期比6.3%増(為替変動の影響を除く増減率では実質3.3%増)の1兆6284億円、営業利益が2.4倍の1466億円、純利益が2.4倍の1077億円と増収増益だった。23年に断行した構造改革の効果に加え、国内トイレタリーとケミカル事業が貢献した。

化粧品事業の売上高は同2.3%増(実質増減なし)の2441億円だった。順調に推移する日本市場では、「カネボウ(KANEBO)」が同30%増の成長を遂げ、売り上げをけん引。「ソフィーナiP(SOFINA IP)」、「キュレル(CUREL)」、「センサイ(SENSAI)」なども好調に推移した。中国を除くアジアでは、OMOの取り組み強化で「キュレル」「ケイト(KATE)」などが好調に推移した。一方、中国では市場伸長鈍化や競争環境激化の中で出荷抑制による流通在庫の適正化を実施したため、アジア全体の売り上げは同27%減と下回った。欧州では、「センサイ」の最高峰シリーズや唇用エイジングケア美容液“トータルリップトリートメントスティック”が好調、「モルトンブラウン(MOLTON BROWN)」も堅調に推移した。営業損益は中国での流通在庫の適正化が大きく影響し、37億円の赤字となった。

へルス&ビューティケア事業(スキンケア、ヘアケア・パーソナルヘルス製品を展開)の売上高は、スキンケアとヘアケアがけん引し、同7.9%増(実質4.1%増)の4240億円だった。日本のスキンケア部門は、「ビオレ(BIORE)」のメイク落としや、UVケア製品、シート関連の新製品が好調に推移。欧米では、23年11月に買収したプレミアムスキンケアブランド「ボンダイサンズ(BONDI SANDS)」の売り上げも寄与し、全体として売り上げは前年を上回った。日本のヘアケア部門は、「ケープ」の新製品、リブランディングした「エッセンシャル(ESSENTIAL)」、新ヘアケアブランド「メルト(MELT)」、「ジアンサー(THE ANSWER)」が好調。欧米では、「ジョン・フリーダ(JOHN FRIEDA)」の新製品が寄与し、全体として前年を上回った。ヘアサロン向け製品は、米国の「オリベ(ORIBE)」がECを中心に好調に推移したことで前期を上回った。パーソナルヘルスは「めぐりズム」のアイマスクなどが好調だったものの、オーラルケアが苦戦し、前年を下回った。営業利益は、成長のためのマーケティング費や欧米子会社で構造改革費を計上したことなどにより同19.6 %減の344億円だった。

25年はグローバル成長を加速

25年は、ROIC(投下資本利益率)視点でモノ作りの高度化・高速化を行うことにより稼ぐ力の強化を推進し、収益基盤を安定させる。エッジの効いたソリューションで世界No.1の貢献をする「グローバル・シャープトップ戦略」を遂行し、さらなるグローバル成長に取り組む。

グローバル成長の加速を目的に、2025年1月1日に組織機能を再編した。新たなビジネスの創出を目指し、「ビジネスコネクティッド部門」を新設。業務用衛生製品 (Washing Systems, LLC(米国)を除く)を編入することで、BtoBビジネスの成長を加速させる。これにより報告セグメントを“コンシューマープロダクツ事業”から“グローバルコンシューマーケア事業”に、“ハイジーン&リビングケア事業”を“ハイジーンリビングケア事業”に、“ヘルス&ビューティケア事業”を“ヘルスビューティケア事業”に改称し、“ビジネスコネクティッド事業”を追加する。

これらを踏まえた25年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比2.6%増(実質3,1%増)の1兆6700億円、営業利益が同9.1%増の1600億円、純利益が同7.6%増の1160億円を見込む。

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伊藤忠傘下2社で新社長 ジョイックス福垣氏、ドーム井出氏

伊藤忠商事は、4月1日付で事業会社のジョイックスコーポレーションとドームの2社の社長交代を発表した。

英ブランド「ポール・スミス」などを運営するジョイックスコーポレーションの次期社長には、伊藤忠の執行役員ブランドマーケティング部門長の福垣学氏が就任する。2020年から社長を務めてきた塩川弘晃氏は、伊藤忠に帰任し、東アジア総代表補佐(華南担当)兼伊藤忠香港会社社長に異動する。

スポーツブランド「アンダーアーマー」のドームの次期社長には、伊藤忠のファッションアパレル第二部スポーツウェア課長の井出和仁氏が就任する。22年7月から社長を務める北島義典氏は、代表権のない会長に就く。

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三陽商会・大江伸治社長が見据える「反転攻勢」の2025年

三陽商会が息を吹き返している。2025年2月期の通期連結営業利益は27億円の黒字で着地する見通し。20年、バーバリーショックの傷跡がまだ癒えぬ中で再建を託された大江伸治社長は、商品企画やコスト構造の抜本的見直しを進め、必達目標に掲げてきた「営業黒字化」を揺るがぬものにした。ただ、その表情に油断の色は見えない。25年を「反転攻勢の一年」と見据える大江社長に展望を聞いた。

WWD: 昨年を振り返ると。

大江伸治社長(以下、大江):第3四半期累計(3〜11月)は営業利益が前年同期比17.7%減の14億円。黒字は確保したが、一言で言い表すのであれば厳しい決算だった。春は、前年のコロナ明けのリベンジ消費の反動もあってやや数字を落とした。その後は盛り返したものの、鬼門となったのは10月。厳しい残暑は想定していたが、あれほどの高気温は誤算だった。

WWD:夏を「初夏・盛夏」と「猛暑」の2つのシーズンと捉えた“五季”のスローガンを掲げた。

大江:成果に結びついているかといえば、まだまだだ。夏物衣料品は「嗜好品」というより「実用品」に近づいている。「いいものなら多少値が張っても売れる」という思い込みを捨て、リアリスティックに考えなければダメだ。例えば上質できれいなドレスTシャツは、ジャケットインだけでなく1枚でもサマになり、夏場の需要が高い。昨夏は当社も多くのブランドがドレスTを企画し、1万2000円のものは売れたが高めのものは売れず、価格面の競争力が足りなかった。買い物のスタイルも、「必要なものを必要なときに買う」傾向が強まっている。確かな仮説に基づいたMDスケジュールは重要だが、それ以上に大事なのが期中の対応力だ。

WWD: 効果的な期中対応とは。

大江:この秋冬は、12月になって重衣料がようやく売れ出した。だいぶやきもきさせられたが、それだけ「考える猶予」があったということ。10月の段階で、アイテムごとの消化状況を細かく調べ、店頭の中身をかなり入れ替えた。動きのいいものは追加発注し、動きが鈍いものは早めにアウトレット店舗に流す。柔軟で機動的な店頭のフェイスチェンジが重要だ。12月の月次売上高は「マッキントッシュ ロンドン」が前年同月比11%増、「マッキントッシュ フィロソフィー」が同8%増と成果が出た。

WWD: 就任から5年。必達としてきた営業黒字化はすでに達成した。

大江:粗利率を上げて、販菅費率を下げる。当たり前のことをやって、利益を確実に出せる体質になった。山のように積み上がっていた在庫状況もだいぶ改善され、今はアウトレット店舗で販売する商品に困るくらいだ。セール品の値引き率もかなり改善できていて、一昔前のように数年前の型落ち商品を定価の半値や8割引で売るということはほとんどない。黒字化は達成したが、調達原価の抑制とインベントリー(在庫)コントロールは、今後の事業運営においても大前提になる。

WWD:25年、新しい動きはあるか。

大江:この春夏、「ザ・スコッチハウス」に代わり立ち上げる「ベイカー・ストリート」はポテンシャルが大きい。これまで「ザ・スコッチハウス」ではライセンス契約によって取引工場が限定され、商品価格が高止まりしていた。より値ごろ感のある価格やロゴTシャツなどキャッチーなアイテムで、若いお客さまを取り込む。また、23年9月に自社ブランドを統合して立ち上げた新たな自社EC「サンヨー オンラインストア」は、100%プロパーで売れるプラットフォームを目指す。EC専業ブランドの開発も検討したい。

WWD:中期的な展望は。

大江:25年3月に次の中期経営計画に入るが、基本方針はトップライン(売上高)をさらに引き上げ、会社の成長軌道を確かなものにすること。7つの基幹ブランドでそれぞれ売上高100億円を稼げる体制を早期に作り、「キャストコロン」「ラブレス」といったチャレンジ領域も採算ラインを確保する。その上で、さらなる伸び代は何か。まず一つは、三陽商会らしい“商品力”。21年に発足した社内プロジェクト「商品開発委員会」が中心となって、昨夏は「ポール・スチュアート」の中空糸を使ったジャケット、「マッキントッシュ フィロソフィー」のカラミ織のジャケットなど、猛暑に対応したヒット商品が生まれた。秋冬は漆黒にこだわって生地開発したブランド横断の「ブラック オブ ブラック」シリーズを発売し、ほとんどの在庫を早期に消化できた。昨年11〜12月は売れた商品の平均単価が前年同期比4%アップしたが、商品力のグレードアップが寄与しているのは間違いない。

そして“販売力”。当社の会員制度である「サンヨー・メンバーシップ」は176万人を抱え、その中の休眠会員をいかにアクティブ会員に引き上げるかを考えていく。会員向け施策についても、濃度の高いファンに向けたターゲティングを徹底して強化する。

WWD: 上顧客に向けた施策は。

大江:現在、当社の売り上げのうち6割が会員によるもの。プラチナ会員は年間100万円以上、最上位のダイヤモンド会員は200万円以上をご購入いただいている。当社の上位顧客リストに名を連ねる方々は1万3000人。昨年の8月と12月には、上顧客を招いた特別受注会を東京と大阪で実施した。各ブランドのトップ販売員がお客さまを1on1で接客し、中には一日で200万円ほど受注いただいたお客さまもいて、かなりのポテンシャルを感じられた。

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三陽商会・大江伸治社長が見据える「反転攻勢」の2025年

三陽商会が息を吹き返している。2025年2月期の通期連結営業利益は27億円の黒字で着地する見通し。20年、バーバリーショックの傷跡がまだ癒えぬ中で再建を託された大江伸治社長は、商品企画やコスト構造の抜本的見直しを進め、必達目標に掲げてきた「営業黒字化」を揺るがぬものにした。ただ、その表情に油断の色は見えない。25年を「反転攻勢の一年」と見据える大江社長に展望を聞いた。

WWD: 昨年を振り返ると。

大江伸治社長(以下、大江):第3四半期累計(3〜11月)は営業利益が前年同期比17.7%減の14億円。黒字は確保したが、一言で言い表すのであれば厳しい決算だった。春は、前年のコロナ明けのリベンジ消費の反動もあってやや数字を落とした。その後は盛り返したものの、鬼門となったのは10月。厳しい残暑は想定していたが、あれほどの高気温は誤算だった。

WWD:夏を「初夏・盛夏」と「猛暑」の2つのシーズンと捉えた“五季”のスローガンを掲げた。

大江:成果に結びついているかといえば、まだまだだ。夏物衣料品は「嗜好品」というより「実用品」に近づいている。「いいものなら多少値が張っても売れる」という思い込みを捨て、リアリスティックに考えなければダメだ。例えば上質できれいなドレスTシャツは、ジャケットインだけでなく1枚でもサマになり、夏場の需要が高い。昨夏は当社も多くのブランドがドレスTを企画し、1万2000円のものは売れたが高めのものは売れず、価格面の競争力が足りなかった。買い物のスタイルも、「必要なものを必要なときに買う」傾向が強まっている。確かな仮説に基づいたMDスケジュールは重要だが、それ以上に大事なのが期中の対応力だ。

WWD: 効果的な期中対応とは。

大江:この秋冬は、12月になって重衣料がようやく売れ出した。だいぶやきもきさせられたが、それだけ「考える猶予」があったということ。10月の段階で、アイテムごとの消化状況を細かく調べ、店頭の中身をかなり入れ替えた。動きのいいものは追加発注し、動きが鈍いものは早めにアウトレット店舗に流す。柔軟で機動的な店頭のフェイスチェンジが重要だ。12月の月次売上高は「マッキントッシュ ロンドン」が前年同月比11%増、「マッキントッシュ フィロソフィー」が同8%増と成果が出た。

WWD: 就任から5年。必達としてきた営業黒字化はすでに達成した。

大江:粗利率を上げて、販菅費率を下げる。当たり前のことをやって、利益を確実に出せる体質になった。山のように積み上がっていた在庫状況もだいぶ改善され、今はアウトレット店舗で販売する商品に困るくらいだ。セール品の値引き率もかなり改善できていて、一昔前のように数年前の型落ち商品を定価の半値や8割引で売るということはほとんどない。黒字化は達成したが、調達原価の抑制とインベントリー(在庫)コントロールは、今後の事業運営においても大前提になる。

WWD:25年、新しい動きはあるか。

大江:この春夏、「ザ・スコッチハウス」に代わり立ち上げる「ベイカー・ストリート」はポテンシャルが大きい。これまで「ザ・スコッチハウス」ではライセンス契約によって取引工場が限定され、商品価格が高止まりしていた。より値ごろ感のある価格やロゴTシャツなどキャッチーなアイテムで、若いお客さまを取り込む。また、23年9月に自社ブランドを統合して立ち上げた新たな自社EC「サンヨー オンラインストア」は、100%プロパーで売れるプラットフォームを目指す。EC専業ブランドの開発も検討したい。

WWD:中期的な展望は。

大江:25年3月に次の中期経営計画に入るが、基本方針はトップライン(売上高)をさらに引き上げ、会社の成長軌道を確かなものにすること。7つの基幹ブランドでそれぞれ売上高100億円を稼げる体制を早期に作り、「キャストコロン」「ラブレス」といったチャレンジ領域も採算ラインを確保する。その上で、さらなる伸び代は何か。まず一つは、三陽商会らしい“商品力”。21年に発足した社内プロジェクト「商品開発委員会」が中心となって、昨夏は「ポール・スチュアート」の中空糸を使ったジャケット、「マッキントッシュ フィロソフィー」のカラミ織のジャケットなど、猛暑に対応したヒット商品が生まれた。秋冬は漆黒にこだわって生地開発したブランド横断の「ブラック オブ ブラック」シリーズを発売し、ほとんどの在庫を早期に消化できた。昨年11〜12月は売れた商品の平均単価が前年同期比4%アップしたが、商品力のグレードアップが寄与しているのは間違いない。

そして“販売力”。当社の会員制度である「サンヨー・メンバーシップ」は176万人を抱え、その中の休眠会員をいかにアクティブ会員に引き上げるかを考えていく。会員向け施策についても、濃度の高いファンに向けたターゲティングを徹底して強化する。

WWD: 上顧客に向けた施策は。

大江:現在、当社の売り上げのうち6割が会員によるもの。プラチナ会員は年間100万円以上、最上位のダイヤモンド会員は200万円以上をご購入いただいている。当社の上位顧客リストに名を連ねる方々は1万3000人。昨年の8月と12月には、上顧客を招いた特別受注会を東京と大阪で実施した。各ブランドのトップ販売員がお客さまを1on1で接客し、中には一日で200万円ほど受注いただいたお客さまもいて、かなりのポテンシャルを感じられた。

問い合わせ先
三陽商会 カスタマーサポート

0120-340-460

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「ジル サンダー」、新CEOとして「フェンディ」のセルジュ・ブランシュウィッグ前CEOを任命

「ディーゼル(DIESEL)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「マルニ(MARNI)」「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)」などを擁するOTBは2月5日、同じく傘下に持つ「ジル サンダー(JIL SANDER)」の新たな最高経営責任者(CEO)およびOTBの最高戦略責任者(CSO)として、フェンディ(FENDI)のセルジュ・ブランシュウィッグ(Serge Brunschwig)前会長兼CEOを任命した。同氏は同日付で着任し、OTBのウバルド・ミネッリ(Ubaldo Minelli)CEOの直属となっている。

OTBは、2021年3月に「ジル サンダー」を傘下に収めた。これに伴う経営体制の見直しのため、18年から同ブランドを率いてきたアクセル・ケラー(Axel Keller)元CEOに代わり、21年9月からはミネッリCEOがジル サンダーのCEOも兼任。23年5月、新たなCEOとして、エルメネジルド ゼニア グループ(ERMENEGILDO ZEGNA GROUP)北米事業の社長兼CEOを務めていたルカ・ロ・クルツィオ(Luca Lo Curzio)を任命したものの、同氏は24年11月に退任した。

ミネッリCEOは、「当社にセルジュを迎えることができ、大変うれしく思う。ジル サンダーのCEOとして、計り知れないポテンシャルを持つ同ブランドの成長軌道を注意深く、かつ戦略的に導き、そのポジションをさらに高めてくれるだろう。また、その豊かな経験と国際的なビジョンにより、OTBにとっていっそう意欲的な戦略の策定に貢献してくれるものと考えている」と語った。

ブランシュウィッグ新CEOの経歴

ブランシュウィッグ=ジル サンダー新CEO兼OTB CSOは、フランス出身。パリのエコール・ポリテクニーク(Ecole Polytechnique)、国立高等通信学校(Ecole Nationale Superieure des Telecommunications)、およびパリ政治学院(Institut d’Etudes Politiques de Paris)を卒業後、1984年にIT企業でキャリアをスタート。マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKINSEY & CO.)などを経て、95年に香港のルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)のアジアパシフィック地区プレジデントに就任した。以降、セフォラ(SEPHORA)など同じくLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の傘下ブランドで要職を歴任し、06年にはセリーヌ(CELINE)のCEOに。08年にクリスチャン ディオール クチュール(CHRISTIAN DIOR COUTURE)の最高執行責任者に就任し、15年にはディオール オム(DIOR HOMME)のプレジデントの一人となった。18年2月にフェンディのCEOに就任し、24年5月に退任した。

当時、米「WWD」が入手した社内メモによれば、同氏はLVMH内で別の役職に就くと見られていた。なお、同氏の後任には、LVMHファッショングループのピエール・エマニュエル・アンジェログロウ(Pierre-Emmanuel Angeloglou)=マネジング・ディレクター(当時)が同年6月1日付で就任している。

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【シック・ジャパン 後藤秀夫社長】「シック」65周年の今年は過去最高の売り上げを宣言

PROFILE: 後藤秀夫/社長

後藤秀夫/社長
PROFILE: (ごとう・ひでお)MBA、米国サンダーバード国際経営大学院卒業後、1996年にジョンソン・エンド・ジョンソンでキャリアをスタート。営業・マーケティングを経験後、2005年から日本ロレアルで日本と台湾での事業部長の要職を歴任し、ターンアラウンドや事業拡大に貢献。17年にヘンケル ビューティーケアの日本兼韓国の代表としてコンシューマー及びプロフェッショナルの両事業を統括。22年8月から現職 PHOTO : TAMEKI OSHIRO

「日本で最も革新的なビューティーグルーミングカンパニー」を目指すシック・ジャパンは、2022年から社内環境整備しながら新市場を創造する製品開発など数多くのイノベーションを生み出している。「シック(SCHICK)」日本上陸65周年を迎える25年も、シェアNo.1※1ブランドとして市場拡大をけん引していく。

事業改革のテーマは
「ターンアラウンド」

WWD:“ビューティーグルーミングカンパニー”を目指す中期経営計画2年目の成果は。

後藤秀夫社長(以下、後藤):24年は「ターンアラウンド」をテーマに事業改革を行った。期待以上の成果で売り上げは2桁成長、利益率も予想を上回る結果で着地。社員のエンゲージメントスコアも前回の57%から大幅にアップし81%と満足度が高い結果だった。高いパフォーマンスを発揮しやすい環境作りが評価され、24年11月には、世界150カ国・年間1万社を超える企業の働きがい調査を行う調査機関が25年版「働きがい認定企業」に選出。社内外から評価される形で2年目を締めくくれた。

WWD:売り上げを大きく伸ばした要因は。

後藤:戦略ブランドを絞り投資する中で、24年は新市場を創造する新製品に注力した。女性用では当社初スティックタイプの顔剃り専用美容オイルバームや女性向けでは珍しい6枚刃のボディーシェーバー、角質ケアをサポートするボディーシェービング用エマルジョンを発売して新市場を創造。男性用ではシェービング剤不要で剃れるソープ付きシェーバーを登場させ、伸長するボディーシェービング市場をさらに加速することができた。

WWD:「シックファースト トーキョー(SCHICK FIRST TOKYO)」の反響は。

後藤:発売翌月にはメンズシェーバー市場※2の売り上げトップ10位にランクインした。メンズシェーバーは、 これまで深剃りを追い求める傾向にあり、やわらかい髭を持つ若年層向けの商品が市場に存在しなかった。若年層とシニア層では髭の硬さが異なる点に着目。はじめてシェービング体験をする若年層はシェービングに肌への安全性を求めているため日本のチームが日本で日本人の肌に合わせて、セーフティーワイヤーを搭載した製品を開発。「はじめてのシェービングにやさしさを。」というコンセプトで「シックファースト トーキョー」を発売した。美意識の高いZ世代にあわせて、ホルダーなどのデザインでもこれまでのカミソリから離れて、トレンドのニュアンスカラーやジェンダーレスなデザイン、サステナブルなパッケージにした。シェービングを安全でシンプル、かつファッショナブルに使えるビューティツールとして昇華させた。消費者起点のイノベーションが成功した要因だと考えている。ビューティアンバサダーのINIは、サバイバルオーディション番組の国民投票で誕生している背景から、ファンのエンゲージメントが非常に高い。ブランドとビューティアンバサダー、ファン、そして消費者と最終接点となる大切な店頭とが同じ目線でWIN-WIN-WIN-WIN-WINを形成し、一緒に日本のメンズビューティを盛り上げようとする新しいエンゲージメントモデルが生まれている。

WWD:目標としていたエンゲージメントスコアの8割超えを早々に達成できた理由は。

後藤:最初に設定したパーパスやビジョンが浸透し、共感が強まっているのが大きい。戦略ブランドを明確にし、28年までの新製品計画を立てているので社員が、「イノベーションを語れる新製品がいくつも控えている」と会社の未来にワクワクする状態でいられる。また、パーパスやビジョンと同時に、社員への行動指針として「ピープルファースト」「ムーブフォワード」「リッスンアップ、スピークアップ」「オウン イット トゥギャザー」という4つのバリューを定義し、社員が意識的に体現することで成果に結びつくリーダーシップ開発につなげている。3年目は新たなビジョンのもと、販売した製品を軸とした成長拡大を見込んでいる。行動規範が数字という形で見えると、それがまた新たな成功体験と結びつく。挑戦して失敗から学び成功体験が重なれば、その成功は正しい行動だという確信に変わり、それが組織の当然となり、やがて企業文化へと浸透していく。そんな環境下で社員が働けば必然的にポジティブスコアは高まっていく。

WWD:25年もイノベーションを控えている?

後藤:25年は「シック」が日本上陸65周年を迎える。2月には大人男性に向けて当社初のシェービングからスキンケアまでをワンストップで提案するトータル・グルーミングケアブランド「プロジスタ(PROGISTA)」が登場するほか、女性用「サロンプラス(SALON+)」からメイク直し感覚でうぶ毛やボディーの剃り残しをケアできるリップスティック型のコンパクトシェーバー、当社初の男性・女性用の除毛クリームなどを続々と発売する。65周年という節目の年に日本で過去最高の売り上げを作ることができれば象徴的な出来事になる。そして26年は売り上げ記録をさらに更新していく。実は26年こそ大規模イノベーションが控えており、全ての戦略ブランドからこれまでの市場にない新製品を投入する予定だ。来年はさらにもう1段階上のステージに行くことができると期待している。

※1 29年連続国内ウェットシェービング販売シェアNo.1:インテージSRI+カミソリ市場(ホルダー、ディスポーザブル、替刃)1995年11月~2024年10月各年メーカー別累計販売金額、
※2 インテージSRI+ カミソリ市場(ホルダー、ディスポーザブル、替刃)(2024年10月)メーカー別累計販売金額

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『世界中の人を美しく』

「美は人を変える」と信じて自身を含め日本人消費者を美しくすることを楽しんでいる。日本の枠を超えて世界中の人々を美しくして、ワクワク感と幸せを感じる毎日を届けていきたい。

COMPANY DATA
シック・ジャパン

世界50カ国以上でビジネスを展開しているエッジウェルパーソナルケアグループの一員で、「シック」は日本市場におけるウェットシェービング業界をけん引する存在。ビューティグルーミングを通して一人でも多くの顧客にワクワク感と幸せを感じてもらえる毎日を提供することをパーパスとし事業を推進している。主力製品は男性用の「ハイドロ5(HYDRO5)」「スタイリングパートナー(STYLING PARTNER)」「シックファースト トーキョー」、女性用の「サロンプラス」「ハイドロシルク(HYDROSILK)」「イントゥイション(INTUITION)」など

TEXT : WAKANA NAKADE


問い合わせ先
シック・ジャパンお客様相談室
03-5487-6801

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【シック・ジャパン 後藤秀夫社長】「シック」65周年の今年は過去最高の売り上げを宣言

PROFILE: 後藤秀夫/社長

後藤秀夫/社長
PROFILE: (ごとう・ひでお)MBA、米国サンダーバード国際経営大学院卒業後、1996年にジョンソン・エンド・ジョンソンでキャリアをスタート。営業・マーケティングを経験後、2005年から日本ロレアルで日本と台湾での事業部長の要職を歴任し、ターンアラウンドや事業拡大に貢献。17年にヘンケル ビューティーケアの日本兼韓国の代表としてコンシューマー及びプロフェッショナルの両事業を統括。22年8月から現職 PHOTO : TAMEKI OSHIRO

「日本で最も革新的なビューティーグルーミングカンパニー」を目指すシック・ジャパンは、2022年から社内環境整備しながら新市場を創造する製品開発など数多くのイノベーションを生み出している。「シック(SCHICK)」日本上陸65周年を迎える25年も、シェアNo.1※1ブランドとして市場拡大をけん引していく。

事業改革のテーマは
「ターンアラウンド」

WWD:“ビューティーグルーミングカンパニー”を目指す中期経営計画2年目の成果は。

後藤秀夫社長(以下、後藤):24年は「ターンアラウンド」をテーマに事業改革を行った。期待以上の成果で売り上げは2桁成長、利益率も予想を上回る結果で着地。社員のエンゲージメントスコアも前回の57%から大幅にアップし81%と満足度が高い結果だった。高いパフォーマンスを発揮しやすい環境作りが評価され、24年11月には、世界150カ国・年間1万社を超える企業の働きがい調査を行う調査機関が25年版「働きがい認定企業」に選出。社内外から評価される形で2年目を締めくくれた。

WWD:売り上げを大きく伸ばした要因は。

後藤:戦略ブランドを絞り投資する中で、24年は新市場を創造する新製品に注力した。女性用では当社初スティックタイプの顔剃り専用美容オイルバームや女性向けでは珍しい6枚刃のボディーシェーバー、角質ケアをサポートするボディーシェービング用エマルジョンを発売して新市場を創造。男性用ではシェービング剤不要で剃れるソープ付きシェーバーを登場させ、伸長するボディーシェービング市場をさらに加速することができた。

WWD:「シックファースト トーキョー(SCHICK FIRST TOKYO)」の反響は。

後藤:発売翌月にはメンズシェーバー市場※2の売り上げトップ10位にランクインした。メンズシェーバーは、 これまで深剃りを追い求める傾向にあり、やわらかい髭を持つ若年層向けの商品が市場に存在しなかった。若年層とシニア層では髭の硬さが異なる点に着目。はじめてシェービング体験をする若年層はシェービングに肌への安全性を求めているため日本のチームが日本で日本人の肌に合わせて、セーフティーワイヤーを搭載した製品を開発。「はじめてのシェービングにやさしさを。」というコンセプトで「シックファースト トーキョー」を発売した。美意識の高いZ世代にあわせて、ホルダーなどのデザインでもこれまでのカミソリから離れて、トレンドのニュアンスカラーやジェンダーレスなデザイン、サステナブルなパッケージにした。シェービングを安全でシンプル、かつファッショナブルに使えるビューティツールとして昇華させた。消費者起点のイノベーションが成功した要因だと考えている。ビューティアンバサダーのINIは、サバイバルオーディション番組の国民投票で誕生している背景から、ファンのエンゲージメントが非常に高い。ブランドとビューティアンバサダー、ファン、そして消費者と最終接点となる大切な店頭とが同じ目線でWIN-WIN-WIN-WIN-WINを形成し、一緒に日本のメンズビューティを盛り上げようとする新しいエンゲージメントモデルが生まれている。

WWD:目標としていたエンゲージメントスコアの8割超えを早々に達成できた理由は。

後藤:最初に設定したパーパスやビジョンが浸透し、共感が強まっているのが大きい。戦略ブランドを明確にし、28年までの新製品計画を立てているので社員が、「イノベーションを語れる新製品がいくつも控えている」と会社の未来にワクワクする状態でいられる。また、パーパスやビジョンと同時に、社員への行動指針として「ピープルファースト」「ムーブフォワード」「リッスンアップ、スピークアップ」「オウン イット トゥギャザー」という4つのバリューを定義し、社員が意識的に体現することで成果に結びつくリーダーシップ開発につなげている。3年目は新たなビジョンのもと、販売した製品を軸とした成長拡大を見込んでいる。行動規範が数字という形で見えると、それがまた新たな成功体験と結びつく。挑戦して失敗から学び成功体験が重なれば、その成功は正しい行動だという確信に変わり、それが組織の当然となり、やがて企業文化へと浸透していく。そんな環境下で社員が働けば必然的にポジティブスコアは高まっていく。

WWD:25年もイノベーションを控えている?

後藤:25年は「シック」が日本上陸65周年を迎える。2月には大人男性に向けて当社初のシェービングからスキンケアまでをワンストップで提案するトータル・グルーミングケアブランド「プロジスタ(PROGISTA)」が登場するほか、女性用「サロンプラス(SALON+)」からメイク直し感覚でうぶ毛やボディーの剃り残しをケアできるリップスティック型のコンパクトシェーバー、当社初の男性・女性用の除毛クリームなどを続々と発売する。65周年という節目の年に日本で過去最高の売り上げを作ることができれば象徴的な出来事になる。そして26年は売り上げ記録をさらに更新していく。実は26年こそ大規模イノベーションが控えており、全ての戦略ブランドからこれまでの市場にない新製品を投入する予定だ。来年はさらにもう1段階上のステージに行くことができると期待している。

※1 29年連続国内ウェットシェービング販売シェアNo.1:インテージSRI+カミソリ市場(ホルダー、ディスポーザブル、替刃)1995年11月~2024年10月各年メーカー別累計販売金額、
※2 インテージSRI+ カミソリ市場(ホルダー、ディスポーザブル、替刃)(2024年10月)メーカー別累計販売金額

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『世界中の人を美しく』

「美は人を変える」と信じて自身を含め日本人消費者を美しくすることを楽しんでいる。日本の枠を超えて世界中の人々を美しくして、ワクワク感と幸せを感じる毎日を届けていきたい。

COMPANY DATA
シック・ジャパン

世界50カ国以上でビジネスを展開しているエッジウェルパーソナルケアグループの一員で、「シック」は日本市場におけるウェットシェービング業界をけん引する存在。ビューティグルーミングを通して一人でも多くの顧客にワクワク感と幸せを感じてもらえる毎日を提供することをパーパスとし事業を推進している。主力製品は男性用の「ハイドロ5(HYDRO5)」「スタイリングパートナー(STYLING PARTNER)」「シックファースト トーキョー」、女性用の「サロンプラス」「ハイドロシルク(HYDROSILK)」「イントゥイション(INTUITION)」など

TEXT : WAKANA NAKADE


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03-5487-6801

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【プラザスタイル 鈴木努カンパニーエクゼクティブ プレジデント】日常の心拍数を上げ、ハーツアップさせる集団へ

PROFILE: 鈴木努/カンパニーエクゼクティブ プレジデント

鈴木努/カンパニーエクゼクティブ プレジデント
PROFILE: (すずき・つとむ)大手ファッション企業でブランド責任者や支店長、マッシュスタイルラボで執行役員を歴任。2022年8月にプラザスタイルカンパニーに入社し、23年6月から現職 PHOTO : TAMEKI OSHIRO

スタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイル カンパニーが運営するライフスタイルストア「プラザ(PLAZA)」は、2024年2月にリブランディングし新たなスローガン「HEARTS UP!」を掲げた。26年の創業60周年に向けて、勢いをつける。

「プラザ」愛が強い社員とともに
さらなる可能性に突き進む

WWD:24年に最も注力したことは?

鈴木努カンパニーエグゼクティブプレジデント(以下、鈴木):2月に行ったリブランディングの浸透に注力した。26年に60周年を迎えるにあたり、もう一度、われわれの強み、存在意義、社会に対してやらなければならないことは何かを社員全員で考え、導き出したのが「HEARTS UP!」というスローガン。カンパニーステートメントを「日常の心拍数を上げる」とし、これを社内外の人にも伝えてきた。われわれはただモノを売るのではなく、製品や店舗を通してお客さまの心拍数を上げるお手伝いをする会社なんだ、という意識を共通して持つことを徹底した。

WWD:プライベートブランド(PB)の進捗は?

鈴木:8月に誕生したプラザ初となるスキンケアPBブランド「デュナミス」は、おおむね順調だ。今年はより一層販促・宣伝を強化し、売り上げを伸ばしていきたい。9月に発売したウエアブランド「レイジースタイルズ」も同様。シーンやジェンダーにとらわれず自分らしさを楽しむというコンセプトは今の時代に合っていて、こちらもプロモーションに力を入れ、将来的には単独出店や卸も考えている。

WWD:新規出店と売り場の改装が目立つ。

鈴木:24年度は新規8店と改装8店があり、どこも好調だ。既存店も売上高が前年比2ケタ増で伸び、全カテゴリー全エリアで前年を超えた。中でも福岡天神の地下街に10月にオープンした40坪ほどの店が絶好調だ。トラフィックの多い改札前という立地もあり、他店に比べて年齢層が幅広く、男性客比率も高い。これまでプラザは80〜100坪の店が多く、その規模での出店は新しい商業施設に限られていた。40坪程度であれば案件も増える。天神地下街の成功事例を参考に同様の立地に出店したい。

WWD:好調の要因は?

鈴木:それぞれの店舗に合わせたMDに組み直したことが大きい。渋谷109店は化粧品が強いので、それに特化した作りでポップでカラフルな内装にしたり、羽田空港店は旅行を意識したディスプレイにしたり。長年働いている店長やスタッフの声を吸い上げ、レジの位置や、ストックから店頭の陳列台までの導線を効率良くするなど、働きやすい環境を整えたことも大きい。お客さまに見える部分と見えない部分の両方の改善が功を奏した。「プラザ」愛が強いアルバイトや社員が多いのは大きな財産。その声に耳を傾けることはやる気になり、会社の成長につながる。

WWD:25年の計画は?

鈴木:昨年9月、大阪のりんくうプレミアム・アウトレット(以下、りんくう)に10年ぶりのアウトレット店を出店した。10年の間にアウトレットに対するお客さまの考えは、安いモノを買う場所からエンターテインメントプレイスへと変わった。実際、軽井沢プリンスショッピングプラザ店はプロパーがよく売れる。私たちはアウトレットを在庫処分の場ではなく新たなマーケットプレイスとして捉え、りんくう店も撮影スポットを作るなど、お客さまがワクワクする仕掛けを用意した。その成功を元に、今年はアウトレット売り上げ規模が大きい御殿場プレミアム店を改装する。

WWD:グループで「キャス キッドソン(CATH KIDSTON)」のビジネスもスタートした。

鈴木:輸入販売権とともにライセンス権も取得し、日本独自の企画商品にも力を入れる。1番強化するのはアパレルで、すでに販売するECでは手応えを感じている。他にもタオル・ハンカチ、食器、ファブリック、ペットグッズと幅広く展開する予定で、3割を直輸入、7割を日本企画商品で構成する計画だ。また、3月には路面店をオープンし、年内に3〜4店の出店を予定している。「キャス キッドソン」は年齢関係なく愛される世界観を持つ。その人たちのライフスタイルに寄り添うブランドにしていきたい。

WWD:25年は新プロジェクトがめじろ押しだ。

鈴木:24年11月にブランドサイトとECサイトを統合し、12月にはアプリをリニューアルした。引き続き利便性のいい場所に130店舗を構えることを生かしたOMOを強化し、お客さまの買い物の煩わしさを解消する。また、2月にはルミネエスト新宿で「ケアベア™」のポップアップイベントを開催する。これまでも製品を並べたボップアップはあったが、よりエンタメ性のあるショップになるので期待してほしい。「プラザ」はほかにも「バーバパパ」や「スポンジ・ボブ」など魅力的なキャラクターの国内ライセンスを持つ。これらのオフィシャルストアは今年中に挑戦したい。

WWD:業績が絶好調の中、見えてきた課題は?

鈴木:1番は人材の確保。中途でも採用していき、業績が好調なことから昨年はグループ全体で社員に還元した。社員からの海外出張申請に「NO」と言ったことはない。現地に行って何か持ち帰ろう、それを仕事や店に生かそうという気持ちと体験は何にも変えられない。そんな社員とともに、さらなる可能性に突き進んでいきたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『映画・ドラマに役者として出演』

昔から人前に出るのは好きで、学生の頃はモデルになりたかった。アパレル勤務時代はファッションショーに出演したことも。役者も昔からの夢で、演技の経験はゼロだが、ぜひ挑戦したい。何でもジャンルは問わないし、もちろんノーギャラでOK!

COMPANY DATA
スタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイル カンパニー

1966年創立。スタイリングライフ グループの雑貨小売事業を展開する。同年、米国スタイルのドラッグストアとして、東京・銀座のソニービルに日本初の輸入生活雑貨店「プラザ」(当時ソニープラザ)第1号店をオープン。2024年2月、創業60周年を前にリブランディングを実施し「HEARTS UP!」を新たなスローガンとし、日常の心拍数を上げる「ライフモチベートブランド」へとアップデートした。現在は直営店事業、フランチャイズ事業、ライセンス事業を展開する

TEXT : YOSHIE KAWAHARA
問い合わせ先
スタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイル カンパニー
https://www.plazastyle.com/contents/company/contact/

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【プラザスタイル 鈴木努カンパニーエクゼクティブ プレジデント】日常の心拍数を上げ、ハーツアップさせる集団へ

PROFILE: 鈴木努/カンパニーエクゼクティブ プレジデント

鈴木努/カンパニーエクゼクティブ プレジデント
PROFILE: (すずき・つとむ)大手ファッション企業でブランド責任者や支店長、マッシュスタイルラボで執行役員を歴任。2022年8月にプラザスタイルカンパニーに入社し、23年6月から現職 PHOTO : TAMEKI OSHIRO

スタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイル カンパニーが運営するライフスタイルストア「プラザ(PLAZA)」は、2024年2月にリブランディングし新たなスローガン「HEARTS UP!」を掲げた。26年の創業60周年に向けて、勢いをつける。

「プラザ」愛が強い社員とともに
さらなる可能性に突き進む

WWD:24年に最も注力したことは?

鈴木努カンパニーエグゼクティブプレジデント(以下、鈴木):2月に行ったリブランディングの浸透に注力した。26年に60周年を迎えるにあたり、もう一度、われわれの強み、存在意義、社会に対してやらなければならないことは何かを社員全員で考え、導き出したのが「HEARTS UP!」というスローガン。カンパニーステートメントを「日常の心拍数を上げる」とし、これを社内外の人にも伝えてきた。われわれはただモノを売るのではなく、製品や店舗を通してお客さまの心拍数を上げるお手伝いをする会社なんだ、という意識を共通して持つことを徹底した。

WWD:プライベートブランド(PB)の進捗は?

鈴木:8月に誕生したプラザ初となるスキンケアPBブランド「デュナミス」は、おおむね順調だ。今年はより一層販促・宣伝を強化し、売り上げを伸ばしていきたい。9月に発売したウエアブランド「レイジースタイルズ」も同様。シーンやジェンダーにとらわれず自分らしさを楽しむというコンセプトは今の時代に合っていて、こちらもプロモーションに力を入れ、将来的には単独出店や卸も考えている。

WWD:新規出店と売り場の改装が目立つ。

鈴木:24年度は新規8店と改装8店があり、どこも好調だ。既存店も売上高が前年比2ケタ増で伸び、全カテゴリー全エリアで前年を超えた。中でも福岡天神の地下街に10月にオープンした40坪ほどの店が絶好調だ。トラフィックの多い改札前という立地もあり、他店に比べて年齢層が幅広く、男性客比率も高い。これまでプラザは80〜100坪の店が多く、その規模での出店は新しい商業施設に限られていた。40坪程度であれば案件も増える。天神地下街の成功事例を参考に同様の立地に出店したい。

WWD:好調の要因は?

鈴木:それぞれの店舗に合わせたMDに組み直したことが大きい。渋谷109店は化粧品が強いので、それに特化した作りでポップでカラフルな内装にしたり、羽田空港店は旅行を意識したディスプレイにしたり。長年働いている店長やスタッフの声を吸い上げ、レジの位置や、ストックから店頭の陳列台までの導線を効率良くするなど、働きやすい環境を整えたことも大きい。お客さまに見える部分と見えない部分の両方の改善が功を奏した。「プラザ」愛が強いアルバイトや社員が多いのは大きな財産。その声に耳を傾けることはやる気になり、会社の成長につながる。

WWD:25年の計画は?

鈴木:昨年9月、大阪のりんくうプレミアム・アウトレット(以下、りんくう)に10年ぶりのアウトレット店を出店した。10年の間にアウトレットに対するお客さまの考えは、安いモノを買う場所からエンターテインメントプレイスへと変わった。実際、軽井沢プリンスショッピングプラザ店はプロパーがよく売れる。私たちはアウトレットを在庫処分の場ではなく新たなマーケットプレイスとして捉え、りんくう店も撮影スポットを作るなど、お客さまがワクワクする仕掛けを用意した。その成功を元に、今年はアウトレット売り上げ規模が大きい御殿場プレミアム店を改装する。

WWD:グループで「キャス キッドソン(CATH KIDSTON)」のビジネスもスタートした。

鈴木:輸入販売権とともにライセンス権も取得し、日本独自の企画商品にも力を入れる。1番強化するのはアパレルで、すでに販売するECでは手応えを感じている。他にもタオル・ハンカチ、食器、ファブリック、ペットグッズと幅広く展開する予定で、3割を直輸入、7割を日本企画商品で構成する計画だ。また、3月には路面店をオープンし、年内に3〜4店の出店を予定している。「キャス キッドソン」は年齢関係なく愛される世界観を持つ。その人たちのライフスタイルに寄り添うブランドにしていきたい。

WWD:25年は新プロジェクトがめじろ押しだ。

鈴木:24年11月にブランドサイトとECサイトを統合し、12月にはアプリをリニューアルした。引き続き利便性のいい場所に130店舗を構えることを生かしたOMOを強化し、お客さまの買い物の煩わしさを解消する。また、2月にはルミネエスト新宿で「ケアベア™」のポップアップイベントを開催する。これまでも製品を並べたボップアップはあったが、よりエンタメ性のあるショップになるので期待してほしい。「プラザ」はほかにも「バーバパパ」や「スポンジ・ボブ」など魅力的なキャラクターの国内ライセンスを持つ。これらのオフィシャルストアは今年中に挑戦したい。

WWD:業績が絶好調の中、見えてきた課題は?

鈴木:1番は人材の確保。中途でも採用していき、業績が好調なことから昨年はグループ全体で社員に還元した。社員からの海外出張申請に「NO」と言ったことはない。現地に行って何か持ち帰ろう、それを仕事や店に生かそうという気持ちと体験は何にも変えられない。そんな社員とともに、さらなる可能性に突き進んでいきたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『映画・ドラマに役者として出演』

昔から人前に出るのは好きで、学生の頃はモデルになりたかった。アパレル勤務時代はファッションショーに出演したことも。役者も昔からの夢で、演技の経験はゼロだが、ぜひ挑戦したい。何でもジャンルは問わないし、もちろんノーギャラでOK!

COMPANY DATA
スタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイル カンパニー

1966年創立。スタイリングライフ グループの雑貨小売事業を展開する。同年、米国スタイルのドラッグストアとして、東京・銀座のソニービルに日本初の輸入生活雑貨店「プラザ」(当時ソニープラザ)第1号店をオープン。2024年2月、創業60周年を前にリブランディングを実施し「HEARTS UP!」を新たなスローガンとし、日常の心拍数を上げる「ライフモチベートブランド」へとアップデートした。現在は直営店事業、フランチャイズ事業、ライセンス事業を展開する

TEXT : YOSHIE KAWAHARA
問い合わせ先
スタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイル カンパニー
https://www.plazastyle.com/contents/company/contact/

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【msh 藤田智美社長】「ラブ・ライナー」を世界で通用するブランドに

PROFILE: 藤田智美/社長

藤田智美/社長
PROFILE: (ふじた・ともみ)東京理科大学薬学部卒業後、1999年に住商リテイルストアーズ(現トモズ)に入社。調剤、店舗業務を経て化粧品バイヤーを務める。化粧品全般のMD業務に加え、プライベートブランドの企画開発、ラグジュアリーコスメセレクトショップ「インクローバー」などの新規業態開発・運営、マネジメントと幅広い経験を積む。2020年4月にmshに入社し、同年7月から現職 PHOTO : SHUNICHI ODA

mshは2024年、10周年を迎えたミネラルコスメブランド「タイムシークレット」の新施策が奏功し、好調な年となった。シリーズ累計2700万本(08年9月〜24年11月)を突破した主力アイメイクブランド「ラブ・ライナー」はフランス進出を果たしたほか、「アットコスメ ベストコスメアワード2024」で殿堂入りを果たすなど勢いが衰えず、売上高の更新に貢献している。

銭湯やVTuberとの
コラボレーションを果敢に挑戦

WWD:売上高と利益が過去最高を達成した23年に対し、24年の実績は?

藤田智美社長(以下、藤田):「ラブ・ライナー」は22年にリフィル対応の製品にリニューアルし、話題を喚起した。リフィルが定着したことから24年は楽観視できなかったが、「タイムシークレット」が10周年を迎え、さまざまな施策を実施したことで多くのお客さまから支持を得て過去最高を更新できた。

WWD:「タイムシークレット」ではどんな施策を行ったか。

藤田:同じく10周年を迎えた5人組男性アーティスト、Da-iCEとコラボレーションした。男性アーティストと本格的にコラボするのは初めてで、撮り下ろしビジュアルを使用したオリジナルディスプレイとオリジナルパッケージを店頭展開したほか、渋谷駅では広告を掲出、東京と大阪ではラッピングバスを走らせた。また、10月10日からのキャンペーン初日が「銭湯の日」であることにちなみ、西新井にある創業80年の老舗銭湯「堀田湯」とコラボレーションし、暖簾や内装を「タイムシークレット」仕様にしたり、製品を試せるスペースを設けたりするなどして、5日間で2717人に来場いただいた。公式Xやインスタグラムのフォロワー数も2000以上増え、見込み以上の反響を得ることができた。

WWD:VTuberともコラボレーションした。

藤田:VTuberユニット「エデン組」のファン層との親和性が高いことから、「タイムシークレット」のフェイスパウダーと「ラブ・ライナー」のリキッドアイライナーでコラボレーションした。渋谷ではポップアップイベントと先行販売を行い、公式オンラインサイトでは受注販売をした。当社は以前「あんさんぶるスターズ!!」のKnightsとコラボレーションを行っており、推し活と紐づいた企画がファンの熱量や購買意欲に与える大きな影響を実感していた。今回もファンに喜んでもらえる企画を大切にしたいと考え、ビジュアルは本コラボレーション用に全て描き下ろしてもらった。製品に合わせてアイライナーが引かれているなどデザインが微妙に異なるように描いていただき、ファンが細かな違いを発見して楽しんでくれたようだ。受注販売にした結果、注文から手元に届くまでに半年ほどを要する形となったが、「転売の心配がなく安心して購入できる」と多くの顧客に好評を得た。

WWD:コラボレーションの効果とは。

藤田:どのブランドも時間と共にユーザーの年齢が上がり、新客獲得が課題になる。こうした施策を通してティーン向けの雑誌で話題にあがったり、若年層向けのベストコスメで賞をいただいたりで新客が流入している。

WWD:「ラブ・ライナー」は24年4月にフランスのル・ボン・マルシェに出店した。

藤田:本格参入は26年の春を目指すが、テスト期間として製品を知ってもらうことから始めている。フランスではアイライナーを使わない人も多いが、製品の説明を受けると複数本を購入する人も多い。フランスでのニーズを探りながら本格ローンチまでに調整する。アメリカとフランスに拠点があるクリエイティブエージェンシーと契約し、マーケットに入り込む狙いだ。日本の職人が作った筆など評価されている品質は変えずに、パッケージをローカライズする準備を進めている。

WWD:24年12月には公式オンラインサイトのリニューアルも行った。

藤田:これまで大手ポータルサイトで非公式の出品が見られたが、23年後半から転売出品者を排除して公式出店をスタートした。また、若年層の利用が多いQoo10にも公式ショップをオープン。ただ、やはり自社の公式オンラインストアは得られる顧客情報も多い。公式オンラインストア開設から時間もたち、ブランド数も増えてきたので操作性の改善のため、初めてリニューアルを行った。お客さまと直接コミュニケーションが取れる場所なので大切にし、自社で販売網を持っていることを生かしていきたい。

WWD:25年に見据える可能性とは。

藤田:25年は売り上げのコアになっている「ラブ・ライナー」をさらに強化していきたい。今はアイライナーが一番売れているカテゴリーだが、マスカラやアイブロウなどの製品も独り立ちできるように注力する。また、今春には2年以上温めてきた大きなブランドがデビューするので期待してほしい。24年から欧米へのチャレンジを掲げているが、当社の製品に限らず日本の化粧品はメード・イン・ジャパンとして世界に発信できるものだと感じている。そうした中で「ラブ・ライナー」を世界で通用するブランドに育てていきたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『健康と美容の相談ができる店』

健康あっての美容なので、正しい情報のもとに賢くエイジングできるように、ウェルビーイングとビューティを合体させた店を作りたい。日々の生活を快適にするためのサービスの提供や加齢の悩みなどを気軽に相談できる場所が理想だ。

COMPANY DATA
エムエスエイチ

2008年にアイメイクブランド「ラブ・ライナー」を立ち上げ、化粧品や雑貨の企画・販売、輸出入、海外ブランドの輸入代理を手掛ける。ミネラルコスメブランド「タイムシークレット」やニューヨーク発のスキンケアブランド「スーパーエッグ」など、現在8ブランドを展開。社名は「make someone happy(いつも誰かをハッピーに)」の頭文字から取り、幸せが循環する社会の実現を目指す

TEXT:MIKI IRIMAJIRI
問い合わせ先
msh
0120-131-370

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【msh 藤田智美社長】「ラブ・ライナー」を世界で通用するブランドに

PROFILE: 藤田智美/社長

藤田智美/社長
PROFILE: (ふじた・ともみ)東京理科大学薬学部卒業後、1999年に住商リテイルストアーズ(現トモズ)に入社。調剤、店舗業務を経て化粧品バイヤーを務める。化粧品全般のMD業務に加え、プライベートブランドの企画開発、ラグジュアリーコスメセレクトショップ「インクローバー」などの新規業態開発・運営、マネジメントと幅広い経験を積む。2020年4月にmshに入社し、同年7月から現職 PHOTO : SHUNICHI ODA

mshは2024年、10周年を迎えたミネラルコスメブランド「タイムシークレット」の新施策が奏功し、好調な年となった。シリーズ累計2700万本(08年9月〜24年11月)を突破した主力アイメイクブランド「ラブ・ライナー」はフランス進出を果たしたほか、「アットコスメ ベストコスメアワード2024」で殿堂入りを果たすなど勢いが衰えず、売上高の更新に貢献している。

銭湯やVTuberとの
コラボレーションを果敢に挑戦

WWD:売上高と利益が過去最高を達成した23年に対し、24年の実績は?

藤田智美社長(以下、藤田):「ラブ・ライナー」は22年にリフィル対応の製品にリニューアルし、話題を喚起した。リフィルが定着したことから24年は楽観視できなかったが、「タイムシークレット」が10周年を迎え、さまざまな施策を実施したことで多くのお客さまから支持を得て過去最高を更新できた。

WWD:「タイムシークレット」ではどんな施策を行ったか。

藤田:同じく10周年を迎えた5人組男性アーティスト、Da-iCEとコラボレーションした。男性アーティストと本格的にコラボするのは初めてで、撮り下ろしビジュアルを使用したオリジナルディスプレイとオリジナルパッケージを店頭展開したほか、渋谷駅では広告を掲出、東京と大阪ではラッピングバスを走らせた。また、10月10日からのキャンペーン初日が「銭湯の日」であることにちなみ、西新井にある創業80年の老舗銭湯「堀田湯」とコラボレーションし、暖簾や内装を「タイムシークレット」仕様にしたり、製品を試せるスペースを設けたりするなどして、5日間で2717人に来場いただいた。公式Xやインスタグラムのフォロワー数も2000以上増え、見込み以上の反響を得ることができた。

WWD:VTuberともコラボレーションした。

藤田:VTuberユニット「エデン組」のファン層との親和性が高いことから、「タイムシークレット」のフェイスパウダーと「ラブ・ライナー」のリキッドアイライナーでコラボレーションした。渋谷ではポップアップイベントと先行販売を行い、公式オンラインサイトでは受注販売をした。当社は以前「あんさんぶるスターズ!!」のKnightsとコラボレーションを行っており、推し活と紐づいた企画がファンの熱量や購買意欲に与える大きな影響を実感していた。今回もファンに喜んでもらえる企画を大切にしたいと考え、ビジュアルは本コラボレーション用に全て描き下ろしてもらった。製品に合わせてアイライナーが引かれているなどデザインが微妙に異なるように描いていただき、ファンが細かな違いを発見して楽しんでくれたようだ。受注販売にした結果、注文から手元に届くまでに半年ほどを要する形となったが、「転売の心配がなく安心して購入できる」と多くの顧客に好評を得た。

WWD:コラボレーションの効果とは。

藤田:どのブランドも時間と共にユーザーの年齢が上がり、新客獲得が課題になる。こうした施策を通してティーン向けの雑誌で話題にあがったり、若年層向けのベストコスメで賞をいただいたりで新客が流入している。

WWD:「ラブ・ライナー」は24年4月にフランスのル・ボン・マルシェに出店した。

藤田:本格参入は26年の春を目指すが、テスト期間として製品を知ってもらうことから始めている。フランスではアイライナーを使わない人も多いが、製品の説明を受けると複数本を購入する人も多い。フランスでのニーズを探りながら本格ローンチまでに調整する。アメリカとフランスに拠点があるクリエイティブエージェンシーと契約し、マーケットに入り込む狙いだ。日本の職人が作った筆など評価されている品質は変えずに、パッケージをローカライズする準備を進めている。

WWD:24年12月には公式オンラインサイトのリニューアルも行った。

藤田:これまで大手ポータルサイトで非公式の出品が見られたが、23年後半から転売出品者を排除して公式出店をスタートした。また、若年層の利用が多いQoo10にも公式ショップをオープン。ただ、やはり自社の公式オンラインストアは得られる顧客情報も多い。公式オンラインストア開設から時間もたち、ブランド数も増えてきたので操作性の改善のため、初めてリニューアルを行った。お客さまと直接コミュニケーションが取れる場所なので大切にし、自社で販売網を持っていることを生かしていきたい。

WWD:25年に見据える可能性とは。

藤田:25年は売り上げのコアになっている「ラブ・ライナー」をさらに強化していきたい。今はアイライナーが一番売れているカテゴリーだが、マスカラやアイブロウなどの製品も独り立ちできるように注力する。また、今春には2年以上温めてきた大きなブランドがデビューするので期待してほしい。24年から欧米へのチャレンジを掲げているが、当社の製品に限らず日本の化粧品はメード・イン・ジャパンとして世界に発信できるものだと感じている。そうした中で「ラブ・ライナー」を世界で通用するブランドに育てていきたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『健康と美容の相談ができる店』

健康あっての美容なので、正しい情報のもとに賢くエイジングできるように、ウェルビーイングとビューティを合体させた店を作りたい。日々の生活を快適にするためのサービスの提供や加齢の悩みなどを気軽に相談できる場所が理想だ。

COMPANY DATA
エムエスエイチ

2008年にアイメイクブランド「ラブ・ライナー」を立ち上げ、化粧品や雑貨の企画・販売、輸出入、海外ブランドの輸入代理を手掛ける。ミネラルコスメブランド「タイムシークレット」やニューヨーク発のスキンケアブランド「スーパーエッグ」など、現在8ブランドを展開。社名は「make someone happy(いつも誰かをハッピーに)」の頭文字から取り、幸せが循環する社会の実現を目指す

TEXT:MIKI IRIMAJIRI
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0120-131-370

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【GARDE 室賢治社長】40周年を記念、ニューヨークにアートギャラリー開設

PROFILE: 室賢治/社長

室賢治/社長
PROFILE: (むろ・けんじ)1965年生まれ、大阪府出身。武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科を卒業後、89年に三越に入社して店舗デザイン部に配属。2015年にGARDEに入社し、16年から香港駐在を経験。22年1月に現職に就任し、ラグジュアリーブランドの店舗やホテル、オフィスのデザイン、国内外の大型百貨店の全館デザインを手掛けるBtoBカンパニーGARDEの成長をけん引 PHOTO:SHUHEI SHINE

GARDE(ギャルド)はラグジュアリーブランドや百貨店、ホテル、オフィスなどの空間デザインとブランディングを手掛ける企業。特にラグジュアリーブランドの店舗設計においては国内トップシェアを誇り、世界11都市に事業拠点を構える。2025年に創業40周年を迎えた。

25年夏、西武池袋本店の
改装オープンも手掛ける

WWD:自社の強みをどう分析しているか。

室賢治社長(以下、室):世界の一流企業と数多く取引しており、信頼を得ている点が強みだ。ファッションでは、いわゆる3大コングロマリットを中心にインポートラグジュアリーブランドの店舗設計を80ブランド以上手掛けており、日本でトップシェアを誇っている。24年は新たな海外トップブランドとの新規契約もあり、可能性がより広がった。ほかにもGAFA系企業のオフィス、世界大手ホテルチェーン、レジデンスなどの内装設計を手掛けている。

WWD:シェアナンバーワンを維持する秘訣は。

室:ラグジュアリーブランドは、ジャパン社および本国のヘッドクオーターと信頼関係を築くこと。そのために常々意識していることが、顧客第一の姿勢とサービスのクオリティー向上だ。一流企業はジャンルを問わず、クオリティーを維持することが彼らのブランディング向上に何よりも直結する。当社は語学力と技術力に長けた少数精鋭のスタッフで、クオリティーを高めることを徹底している。

WWD:世界11都市に拠点があることも大きな特徴だ。

室:アジアから北米、欧州、中東まで主要都市にオフィスを構えている。24年11月には新たにインドネシアのジャカルタに拠点を作った。現地の建築事務所との提携で始動し、すでに依頼がかなり増えている。中国経済がここ1〜2年減速している一方で、コロナ禍以前から力を入れているASEANには大きな可能性を感じている。個人の消費意欲が高く、再開発投資案件も多い。

WWD:空間デザインにおいて重視していることは。

室:日本のミニマリズムの哲学だ。特に商業の空間においては、環境が語りすぎると本来の主役である商品が死んでしまう。ホテルも装飾過多は疲れるし、最近は長期滞在が主流なので、なおさら宿泊客の心を整えるミニマルな空間とホスピタリティーが求められている。機能性を残しながらミニマリズムを追求して削ぎ落とすアプローチは、技術力がないと安っぽくなってしまうため、難易度が高い。だからこそ、われわれの武器になっている。

WWD:24年の業績を振り返ると。

室:かなりの増収増益を達成した。多くのブランドが出店を加速し、さらにトップブランドは大型化と路面化が顕著だったことがその要因。売り上げ好調を背景に各社出店意欲が旺盛だったが、この傾向は日本に限られており、訪日客の恩恵に依る部分も大きい。日本人の購買が伴っていない状況を危惧しているブランドも少なくない。百貨店も本店や旗艦店の売り上げが絶好調のため、ブランド店舗の増床案件が続いた。25年も当社の業績は堅調が続くと見ているが、デベロッパーは建築コスト高騰で新規開業や改装を絞っている。楽観はしていない。

WWD:西武池袋本店の25年夏の改装オープンが業界内外で大きな話題だが、同店の設計も手掛ける。

室:西武池袋本店は内外装を担当している。私自身が百貨店の店舗デザイン部出身のため、百貨店の改装や出店は得意分野の1つ。これまで阪急うめだ本店の大規模改装や寧波阪急の立ち上げなどもご一緒してきた。VIPルームなど、顧客向けサロンの案件依頼も引き続き多い。

WWD:この1月には、新規事業としてニューヨークにアートギャラリーも開設した。その意図は。

室:創業40周年を記念する事業の一つとして、チェルシーに常設のギャラリーをオープンした。当社は空間デザインを本業としつつ、アーティスト支援にもこれまでも力を注いできた。09年には建築家やアーティストの社会的地位向上を目指した非営利団体ADF(青山デザインフォーラム)を設立し、創作活動をサポート。ホテルやレジデンスを設計する際、数多くのアートを施主に購入してもらうこともあり、現代アーティストとのネットワークが構築できている。ニューヨークに新設したギャラリーを通して、施主と作家をつなぐ場を提供したい。(観光名所でもある空中庭園の)ハイラインに直結する好立地で、240㎡のスペースにコンテンポラリーアートを展示する。このエリアはアジアの若手コンテンポラリーアーティストに限定したギャラリーが少なく、チャンスがあると期待する。ホテルやレジデンスだけでなく、ファッションブランドからも店内を飾るアートの問い合わせは多く、本業との親和性が高い事業だ。

WWD:改めて、25年の注力ポイントや戦略は。

室:空間デザインにおいては、長年仕込んできた大きなビジネスがいよいよお披露目できそうだ。ブランド店舗の大型化の流れは24年と同様に続くと見ている。取引先に対して顧客満足度を高め、ブランド価値向上に貢献して収益を上げていく。また、当社の認知度を上げる努力も強める。人材不足がますます深刻になる中で、人や働く環境に投資し、ここで働きたいとより強く思ってもらえる企業の姿を目指していく。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『チベットで瞑想』

宗教文化が息づく建築空間に身を置いて、都市では味わえない体験がしたい。きっかけは、昔観た映画の「セブン・イヤーズ・イン・チベット」。高山病などのリスクを伴い簡単には行けないような場所で瞑想をしたら、価値観が変わりそうだ。

COMPANY DATA
GARDE

1985年にギャルド21として創業。97年にミラノオフィスを開設し、イタリアブランドの日本市場出店をサポート。その後、ニューヨークやロサンゼルス、パリ、シンガポールなどに順次オフィスを開設すると共に、現地で法人登録。現在、世界11都市に拠点を構える。2018年に社名をGARDEに変更。20年に不動産仲介・売買サービス事業部を開設、23年に観光・地方創生事業、メタバース事業開始、24年エコバディスのサステナビリティ審査でシルバー取得

TEXT:CHIKAKO ICHINOI


問い合わせ先
GARDE
03-3407-0007

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【クイーポ 岡田敏社長】3つの事業でバッグのディストリビューターを目指す

PROFILE: 岡田敏/社長

岡田敏/社長
PROFILE: (おかだ・さとし)1960年富山県生まれ。82年、小杉産業(現コスギ)に入社。90年クイーポに入社。経理部・総務部配属後、営業本部長を経て、2009年に社長就任。岡田國久・創業者の意志を受け継ぎ、ファッションとエコロジーの融合を軸とした経営を行う PHOTO:KAZUO YOSHIDA

国内バッグメーカーの大手クイーポは、ライセンスビジネス全盛だった1990年代にオリジナルブランド「ゲンテン」をスタート。エコとファッション性を両立したブランドは、ビジネスモデルにおいても、ソーシャルグッドなブランディングにおいても先駆的存在となった。そんな会社が見通す、2025年のバッグ業界、そして会社の姿とは?

ライセンス、インポート、オリジナルの3本柱に
OEMやODMの機能を拡充

WWD:バッグ業界、そしてクイーポの2024年は?

岡田敏社長(以下、岡田):市場の二極化はますます進行し、売れるアイテムも多様化が進んでいる。バッグ業界は、企業やブランドごとの好不調が鮮明になっている印象だ。クイーポは新事業の推進に伴う新しい顧客の獲得と、既存事業の活性化で、売り上げは23年に比べて2ケタ増。為替も含めて外部環境は厳しいが、アフターコロナは成長を続けている。コロナ禍で推進したDXと職務の効率化で、構造改革やブランド・販路の見直しを進めることができた。当時から百貨店の平場が将来的に減ることは予測していたので、直営の強化とオリジナルブランド「ゲンテン」の活性化、そしてECを含むDXに取り組んできた。今の売り上げは、百貨店で全体の半分、直営店で2割、ECで2割、そのほかの事業で1割だ。

WWD:かつての主力だったライセンスブランドも堅調か?業界全体では、残存者利益を奪い合っている印象だ。

岡田:一世を風靡した「ユナイテッド カラーズ オブ ベネトン」で、我々はライセンスビジネスの良さも怖さも知った。今はいずれも順調だ。四半世紀以上続ける「アナ スイ」や「ダックス」は、企画担当者が独創性やクリエイティビティーを追求する一方で販売員の声を聞き、同質化することなく独自性を保っている。一方の「クレイサス」は、完全にマーケットイン。「今、求められているもの」を常に研究して、我々のモノ作りで品質を担保している。「ランバン オン ブルー」は、ランバン グループと提携する伊藤忠商事がブランドを育み、ライセンシー各社と共に元気だ。

WWD:とはいえ、かつて販路の中心だった百貨店の平場は減少している。

岡田:それでも地方などに目を向ければ、平場を大事にしている百貨店は今も多い。だが百貨店が消滅した県が増えていることを考えると、今後は専門店と深く取り組んだり、インポーターのように自社ブランドを集積したセレクト業態などを検討したりの必要があるだろう。

WWD:インポーターとしての役割も加速している。

岡田:「ゲラルディーニ」は、軽量素材中心だが、しっかり戦えている。軽くて扱いやすい“ソフティ”のバッグは、高齢社会が進行する中でますます重要になるだろう。レザーアイテムも売れており、今年はすでに2店舗の拡大が決まっている。「フォレ・ル・パージュ」は18世紀からの歴史と、アイコニックな“エカイユ”のモチーフでインバウンドに人気。東南アジアのファンが日本橋三越本店に大挙してくださっている。韓国ブランドの「ジョセフアンドステイシー」で20代を、「RSVP」で30代の高感度層を捉えたい。今後も新たな年齢層にリーチできそうな、独特の素材を使ったブランドがあれば、積極的にインポートしたい。ゆくゆくはインポートブランドを集積して、新しい時代の百貨店のコーナーを作りたい。

WWD:インポートが主体の平場は、7万〜10万円くらいのバッグを欲する百貨店の需要に応えそうだ。

岡田:構造改革の一環で、インポートブランドを担う事業部が立ち上がっている。

WWD:「ゲンテン」は、昨年25周年を迎えた。

岡田:日本にサステナブルなんて言葉がない頃から、エコロジーとファッションの両立を目指してきた。幸い、得意先が早々に賛同して下さって、ナイロンバッグ全盛の時代、若い世代には新鮮で、年配にはなつかしいバッグとして支持を集めた。タンニンなめしのレザーの研究を続け、「経年変化」という言葉を使った第一人者だと自負している。先代の岡田國久は常々、「『ゲンテン』で大海に波紋を投げかけたい」と話していた。エコロジーという言葉はサステナブルに変わったが、結果彼の言葉通り、世の中の多くのブランドは地球環境とファッション性を両立するようになった。上代を抑えるために構えたタイの自社工場を含め、25年前からサステナブルなブランドとして先行投資してきた「ゲンテン」を日本発信のラグジュアリーブランドにしたい。海外のラグジュアリーブランドに絶対勝てないのは、歴史だけ。それ以外は、「ゲンテン」ならではのラグジュアリーを定義して、課題を一つずつクリアしていけば、絶対に勝てると思っている。付加価値を追求して高価格帯の商品を作ったり、環境意識が高い若い世代にアピールしたりの努力を続け、「ゲンテン」を常に輝きを持ったブランドに誘いたい。

WWD:ライセンス、インポート、そしてオリジナル、数千円から十数万円まで、さまざまなブランドを取り扱う。

岡田:目指すのは、バッグのディストリビューター。ここにOEM、ODMの機能も加え、バッグのことならクイーポに相談しようという存在になりたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『先代が夢見たゲンテン村』

先代が夢見つつも形にできなかった「ゲンテン村」の準備を進めたい。美術館や博物館を周り感性を磨いて、次の3代目が「ゲンテン村」を実現できる土台を作る。

COMPANY DATA
クイーポ

創業は1965年。ハンドバッグを中心としたファッションアイテムの企画・製造・販売を手掛け、創業60周年を迎えた。70年代には日本で初めてライセンスというビジネススタイルを始め、80年代からは数々のブランドと契約を結んで日本のバッグシーンをリードした。現在は「ゲンテン」などのオリジナルと、「アナ スイ」をはじめとしたライセンスブランドのほか、「フォレ・ル・パージュ」や「RSVP」「ジョセフアンドステイシー」などのインポートブランドを扱いタイに自社工場を構える。従業員数は200人


問い合わせ先
クイーポ(代表)
03-3268-9111

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【エスモードアート 祢冝裕貴CEO】人を笑顔にするビジネスを 心身健やかに暮らせる社会を目指して

PROFILE: 祢冝裕貴/CEO

祢冝裕貴/CEO
PROFILE: (ねぎ・ひろき)1978年6月28日生まれ、大阪府出身。関西学院大学大学院の経営戦略科を修了。新聞社の広告局で勤務し、ファッションイベントの運営や協賛営業、大手流通会社の広告営業を担当した。その後PR企業に転職し、CMをはじめとするメディア戦略や、タレント・モデルとの商品開発コンサルティング業に従事。2012年にジュエリーブランド「ステラハリウッド」を創業し、21年にエスモードアートを設立した PHOTO : MARIKO KOBAYASHI

表参道に実店舗を構えるジュエリーブランド「ステラハリウッド」とビーガンフードショップ「ザ ビー(THE_B)」が、20~40代の女性を中心に支持を集めている。これらを手掛けるのは、2021年創業のエスモードアート。祢冝裕貴CEOは「人を笑顔にするtoCビジネスがしたい」と話す。

ジュエリーとフードに次ぐ
基幹ブランドの開発目指す

WWD:エスモードアート創業の経緯は?

祢冝裕貴CEO(以下、祢冝):私は当社を立ち上げる以前、新聞社に広告営業として勤務したり、ファッションアイテムを扱うPR企業に所属したりしていた。どちらもtoBビジネスであり、「お客さまに直接アプローチできる事業を行いたい」という思いが高まっていたところ、ジュエリー市場に詳しい知人と共に「ステラハリウッド」をスタートした。そこから程なくしてサラダボウルやアサイーボウルを提供するカフェ「ザ ビー」もオープンし、これらを取りまとめる会社としてエスモードアートを設立した。“心身共に豊かに暮らせる社会を実現する”をミッションにしており、社名の「エス」にはソーシャルグッドなことをしたいという思いを込めて、“サステナブル”“ソーシャル”“ソリューション”などの頭文字「S」を盛り込んだ。

WWD:「ステラハリウッド」「ザ ビー」以外の事業は?

祢冝:アーティストやインフルエンサーが、アクセサリーや香水の新規ブランドを立ち上げる際のサポートもしている。そのほか、オリジナルのスキンケアブランド「ベグスキン」の企画販売や、韓国アパレルブランド「ビバスタジオ」の代理店業務を行う。

WWD:会社としての強みは?

祢冝:ファンマーケティングだ。人々は今、“誰から買うか”を重要視している。「商品の背景にいる人にどれほど共感を持てるか?」が消費者にとって購買の決め手になるし、共感を誘うアーティストやインフルエンサーをブランドの“顔”とすることで、彼らに納得度の高いショッピング体験を提供できる。私自身、広告やPRの現場にいたので、どんなアーティストやインフルエンサーが今、影響力が大きいのかは、自然に追えている。当社の社員も、ブランドとの親和性が高い魅力あふれるインフルエンサーを発掘することを得意としており、これまでに多くの協業を実施してきた。例えば「ステラハリウッド」では、24年のホリデーはジェンダーレスなイメージを打ち出したいと考え、ネットフリックスシリーズ「ボーイフレンド」で人気に火が付いた同性カップルのダイシュン(中井大&中西瞬)とコラボジュエリーを発売し、良い反響を得た。気兼ねなく提案したり、最近のトレンドなどについて意見をかったつに交換したりできる自由な社風も相まって、社員からの意見を吸い上げられている。23年3月にスタートした俳優の高橋文哉さんプロデュースのアクセサリーブランド「ブランク スペース」のように、こちらからブランド立ち上げを提案して、協業することもある。

WWD:業績は順調か?

祢冝:設立から10年以上がたつ「ステラハリウッド」は、堅調に売り上げを伸ばしてきた。卸はほとんど行わず、直営店とECで直販することによって、ブランドイメージと流通をコントロールし、少しずつ成長できる状態を作っている。映画のヒロインのように身に着ける人を輝かせるアクセサリーというコンセプトで、特にシェルパールのアイテムが人気。価格以上に見える品質とデザインのバランスが支持される要因と考えている。今後20年、30年続くブランドに育てるためには、お客さまに飽きられない状態を作る必要がある。フレグランスなど、カテゴリーを増やすことも検討している。「ザ ビー」もアサイーボウルブームを追い風に、店舗には連日行列ができており好調だ。24年12月には中目黒に2号店をオープンした。アサイーペーストなどECでの販売を強化する。食事は心身の健康を作る。お客さまに笑顔で過ごしてもらいたいと願っている。

WWD:現在の課題は?

祢冝:社員のお客さまに対する意識をさらに高めることだ。「ステラハリウッド」はECの売り上げ割合が大きく、直接顧客と接する機会が限られている。多くのお客さまに商品を手に取っていただいているにもかかわらず、その実感が持ちづらく、社員が顧客視点に立って考えることが難しいと感じている。

WWD:今後の展望は?

祢冝:現在の基幹ブランドを成長させながら、新事業の種まきを行う。具体的に25年に実施したいのは、サステナブルでウェルビーイングなブランドのローンチだ。人を笑顔にするためには、ウェルビーイング領域の強化が欠かせない。快適な生活をサポートできる着心地のよいアパレルアイテムを開発したい。また、ゆくゆくはアジア市場を中心に海外進出をしたいと考えている。韓国がエンタメやファッションの分野で勢いづいているように、日本も負けていられない。ただ、当社は、ビジネスの急成長に重きを置いていない。ゆっくり着実にお客さまのニーズに応えた上で、心身共に豊に暮らせる社会の輪を海外市場にも広げていきたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『結婚』

独身なので結婚したい。現在、公私共に良きパートナーを見つけるため婚活中。エスモードアートは創業から3年がたち、事業数も増えて今が踏ん張りどころ。すてきな人に巡り会えれば、それが仕事に生きるはず。

COMPANY DATA
エスモードアート

2021年に祢冝裕貴CEOが設立。12年にジュエリーブランド「ステラハリウッド」を、18年にビーガンフードショップ「ザ ビー」を立ち上げたことから、両ブランドを運営する企業として始まった。現在は、これらに加えてスキンケアブランド「ベグスキン」の企画販売や韓国アパレルブランド「ビバスタジオ」の販売代理業務を手掛ける。モデルの梨花やインフルエンサーのダイシュンらとコラボ企画も実施してきた。現在の従業員数は68人で、売り上げは非公開


問い合わせ先
エスモードアート
03-6712-6461

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【和光 庭崎紀代子社長】対話を大切に、「新たな和光像」を提示する

PROFILE: 庭崎紀代子/社長

庭崎紀代子/社長
PROFILE: ((にわさき・きよこ)1986年に服部セイコー(現セイコーグループ)に入社。2001年からセイコーウオッチにて、主力ブランドである「グランドセイコー」などのグローバル・マーケティングを牽引。20年以降は、セイコーグループおよび和光の役員として、セイコーハウスを発信拠点とするグループのブランディング施策をリードするほか、和光の成長戦略策定とその推進に深く携わる。23年11月から現職 PHOTO : MIKA HASHIMOTO

セイコーグループの傘下にあり、セイコーのラグジュアリーウオッチ「グランドセイコー」をはじめ、時計・宝飾品やアパレル、革製品、室内用品、食品を幅広く取りそろえる和光。銀座4丁目交差点に面し、銀座のランドマーク的存在でもある。2023年に社長に就任し、地階を「アーツアンドカルチャー」フロアにリニューアルするなど、歴史と伝統ある和光に変革をもたらしてきた庭崎紀代子社長に話を聞く。

WWD:和光の社長に就任して1年。2024年はどんな年だったか。

庭崎紀代子社長(以下、庭崎):総じて大変好調な1年だった。訪日外国人客の増加を背景に、和光にも海外からのお客さまがかなり増えている。国内のお客さまの売り上げも増加しているが、伸び率としてはインバウンド売り上げの方が若干高い。「グランドセイコー」などのウオッチはもちろん、近年注力している「アショカダイヤモンド」など、高額ジュエリーも好調に推移している。ファッションもオリジナル商材を増やしていて、レザーアイテムや、シーンに合わせて自由な組み合わせでコーディネートを楽しめるウィメンズアパレル「ニュークローゼット」も売り上げを伸ばしている。加えて、7月にリニューアルした地階の「アーツアンドカルチャー」フロアが20〜40代の新しいお客さまを呼び込み、和光の新たな入り口になっている。

WWD:地階のリニューアルに象徴される和光の変革はどのような経緯で進んだのか。

庭崎:和光は、お客さまと共に歳を重ね、危機感を抱いていた。ブランドは常に進化する必要がある。社内には変革に対する心配の声や抵抗もあったが、結果的に、コロナ禍が変革の直接的なきっかけとなった。銀座から人が消え、店舗を閉めざるを得ない期間に、前任の石井俊太郎(現・セイコーミュージアム 銀座館長)と「新たな和光像」について議論を重ねることができた。

人と人がつながる
日本文化の発信拠点へ

    WWD:目指すべき「新たな和光像」とは何か。

    庭崎:インバウンド需要に見て取れるように、日本の文化やクラフツマンシップに対して、世界から関心と敬意が寄せられている。セイコーグループ全体として、時計やシステムソリューションを販売して高い技術力を提供するだけでなく、社会的価値や、人の心を動かす感性的価値も提供することを目指すなかで、和光こそ、日本の奥深い美意識、手仕事の繊細さ、おもてなし精神などの感性的価値を、実際に体験できる場所として存在意義があると感じる。「グランドセイコー」のように海外に出てていくのではなく、日本の素晴らしさを体感したいと考える海外の富裕層を迎え入れるのが、和光なりの目指すべきグローバルなあり方だ。

    WWD:変革が必要な部分と、大事にすべき部分のバランスは、どのようにとっているのか。

    庭崎:社員とオープンに議論をしている。ディレクターの強いリーダーシップで方向転換をする海外ブランドとは違い、組織で動くため、社員全体の考え方を変えていくには時間が必要だ。セイコーグループ創業者の服部金太郎が残した「常に時代の一歩先を行く」という言葉に象徴される創業精神など、大切なDNAは残しつつ、時代に応じて変化が必要な部分には手を加えていく。

    WWD:地階「アーツアンドカルチャー」フロアは今後どのように発展していくのか。

    庭崎:地階は、日本のクラフツマンシップや美意識を、より尖った形で表現できる場所。それは「CFCL」や「セッチュウ」などの取り扱いブランドや、フロア中央の舞台で行う展示にも現れている。展示作家も頻繁に在廊し、いつの間にかお客さまや作家同士で話し込んでいることもある。このように人と人とが自然につながっていくのが、モノを売る場所としてのあるべき姿だと感じる。時計の針を模した什器も、人が交差するイメージや、隣の人との会話が自然に生まれるヨーロッパのカフェの長テーブルに着想を得ている。今後、日本の作り手たちに場を提供し、交流の基盤になるような場所を目指す。

    WWD:格式の高さや重厚感に目が行く従来の和光とは一味違った空間構成だ。

    庭崎:新しいラグジュアリーを提示するため、軽やかで開放感のある空間を意識している。肩肘張らずに心地よく過ごせる場所こそ、現代の富裕層に響くのではないか。その上で「アメイジング 和光」というキャッチフレーズに象徴される「驚き」を提供していく。魅力的な売り場作りを通して、「セイコーグループの発信拠点」と言われる和光を、いずれは「日本文化の発信拠点」と言ってもらいたい。

    WWD:25年以降の展望と目標について。

    庭崎:一昨年、ディズニー創立100周年を記念し、期間限定で時計塔をミッキーマウスのデザインにした。賛否はあったが、多くの人は喜んでくれた。今後も、時に大胆に、日本のラグジュアリーブランドとしての和光を世界に発信するための施策を打つ。今、社内のモチベーションが非常に高く、自発的に提案をしてくれる社員が増えている。保守的にならず、皆でいろんなチャレンジをしたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『世界50カ国の訪問を目指す』

幾度も海外出張をしてきたが、訪問国カウントアプリによれば、訪れたことがあるのは約30カ国。治安の悪い地域は除き、現実的に50カ国を訪問するのが夢。今年は、スペインのリゾート地、サン・セバスチャンを訪れ、豊かな食文化を楽しみたい。

COMPANY DATA
和光

1881年創業の服部時計店の小売り部門を継承し、1947年に設立。銀座のランドマークとして知られる時計塔のある建物で、時計をはじめ、宝飾品、紳士・婦人用品、美術工芸品など、多岐にわたる品物を取り扱う。顧客の声を取り入れて独自に開発したオリジナルアイテムや、国内外から厳しい目で選び抜いた高品質の品物が店頭に並ぶ。長い歴史と伝統の中で培ってきた上質へのこだわりと、おもてなしの精神を大切にしている


問い合わせ先
和光
03-3562-2111

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中国政府、「カルバン・クライン」の親会社PVHを“信頼できない事業体のリスト”に追加

中国政府は2月4日、「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」と「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」を擁するPVHコープ(PVH CORP以下、PVH)を“信頼できない事業体のリスト”に追加したことを明らかにした。同政府は、PVHが新疆ウイグル自治区で生産されたコットンを“不当にボイコット”している疑いがあるとして、調査を開始することを2024年9月に発表。25年1月、同社が“不適切な行為”を行っているとの仮決定を下している。

この背景には、20年6月に中国による少数民族ウイグル人への強制労働問題などが報じられたことから、多くの企業やブランドが新疆ウイグル自治区に工場を持つ中国企業との取引停止や、同自治区で生産された綿花の調達の中止を発表したことがある。米国は22年6月に、ウイグル自治区が関与する製品の輸入を原則禁止する「ウイグル強制労働防止法(Uyghur Forced Labor Prevention Act以下、UFLPA)」を施行しているが、PVHはそれ以前の21年に同自治区からの調達を中止した。なお、UFLPAが施行されている以上、米国企業が新疆綿に対する姿勢を変えることは難しいだろう。

中国の“信頼できない事業体のリスト”とは

中国商務省は19年、“信頼できない事業体のリスト”を作成することを明らかにし、20年9月に公布。外国の企業やその他の組織および個人が、中国の主権、安全、発展の利益を害したり、中国企業や組織に差別的な措置を取りその権益を損ねたりした場合などに掲載の対象になるとしている。措置内容としては、中国と関係する輸出入活動や中国内での投資の制限あるいは禁止、関連する人員や運輸手段の入境を制限あるいは禁止、中国内での滞在資格や就業許可の制限あるいは取り消しのほか、罰金を科される場合もあり、状況の軽重により措置が異なるという。なお、これまで同リストの対象となったのはハイテク企業や軍事企業が多いようだ。

PVHは最悪のシナリオでは中国撤退も?

PVHは今回の事態を受け、「中国商務省の決定にとても驚き、非常に残念に思っている。当社は20年にわたって中国で事業を運営し、消費者に仕えてきた。また、全ての関連した法律や規制を厳に順守し、業界基準や慣例に基づいて事業を行っている。関連当局と引き続き連絡を取り、前向きに解決できるよう尽力する」との声明を発表した。なお、中国市場は、23年度におけるPVHの売上高のおよそ6%を、同じくEBIT(利払前・税引前利益)の15%程度を占めている。

また、PVHは米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission)に提出した文書で、中国商務省による措置がどの程度のものになるのかは現時点で不明であり、その影響を推し量るのは難しいと説明。「措置内容によっては、中国内での生産、卸、小売事業に加えて、投資すら難しくなる可能性がある。その結果として中国市場から完全に撤退せざるを得なくなった場合には、余剰在庫や売掛債権の回収難など、さまざまな問題が浮上することが考えられる」と述べている。

株式市場は今回の事態を嫌気し、PVHの株価は一時3.5%安となったが、その後持ち直し、4日終値は前日比1.0%安の82.51ドル(約1万2789円)となった。

再び激化しつつある米中の貿易摩擦

今回の中国政府による動きを、米国への牽制の一環と見る専門家も多い。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、自ら“関税男”と名乗る通り、以前から関税を政治の交渉カードに用いている。直近では、メキシコとカナダに課すとしていた25%の関税措置を1カ月停止することで両国と合意したことを明らかに。一方、中国に対する10%の追加関税は4日に発動。これに対し、中国は報復措置として米国の石炭や液化天然ガスなどに最大15%の追加関税を課すことを発表するなど、両国間の貿易摩擦は第1次トランプ政権時に続いて再び激化しつつある。なお、トランプ大統領と中国の習近平主席は近日中に会談を行うと見られている。

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ビギがメンズ・ビギを吸収合併 シナジー見込む

ビギホールディングス(HD)は5日、傘下のビギ(東京、中野仁社長)が子会社メンズ・ビギ(清水英幸社長)を4月1日付で合併すると発表した。ビギを存続会社とする吸収合併で、メンズ・ビギは解散する。販路によってウィメンズとメンズの垣根が低くなっていることを鑑み、効率化と相乗効果を見込む。

メンズ・ビギは、1970年設立のビギのメンズ部門を独立させるかたちで75年に設立した。デザイナー菊池武夫氏の作る服で一世を風靡した。今年が設立50周年の節目だった。現在は「メンズ・ビギ」「ユニオンステーション」「ラトルトラップ」などを運営する。両社の24年2月期の売上高は、ビギが121億円、メンズ・ビギが43億円。

またビギHDは、同じく傘下のメルローズの子会社で「ジョンスメドレー」などを輸入販売するリーミルズエージェンシー(東京、楫野敏正社長)を4月1日付で完全子会社にする。ビギHDの完全子会社への移行で、新規海外ブランドの導入などを機動的に行えるようにする。リーミルズエージェンシーの24年2月期の売上高は20億円だった。

今回の再編によって、ビギHDは傘下にビギ、メルローズ、パパス、リーミルズエージェンシー、ビートレーディングの5社が並ぶ事業体制になる。

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【ミルボン 坂下秀憲 社長】付加価値創造を支援し、プライシング力を高める

PROFILE: 坂下秀憲/社長

坂下秀憲/社長
PROFILE: (さかした・ひでのり)1976年2月3日生まれ、千葉県出身。2001年に中央大学大学院の理工学研究科修士課程を修了後、同年にミルボンに入社。マーケティング部商品企画課や経営企画室マネージャーなどを経て、10年にミルボンUSAの社長に。帰国後18年に経営戦略部長に就任し「milbon:iD」の立ち上げに関わる。22年に取締役 経営戦略部長・コスメティクス企画・情報企画担当に就任、24年1月から現職  PHOTO : SHUNICHI ODA

サロン専売化粧品最大手のミルボン社長に坂下秀憲氏が就任して1年。自ら立ち上げた「milbon:iD」やスマートサロンなどの製品販売に関するインフラ整備、新たな教育コンテンツの導入などによって、美容師と美容室の付加価値創造を支援する。

付加価値向上、インフラ整備、ビューティソムリエの3つで
客数減少時代の成長戦略を描く

WWD:就任1年目に注力したことは?

坂下秀憲社長(以下、坂下):24年は初心者マークをつけて、二度と経験できない社長1年目を過ごした。創業者や先代の社長同様に行ったのは市場を回ること。国内外のサロン訪問300店、取引会社訪問30社、投資家面談30回、採用の最終面接100人以上を行った。これは毎年のレギュラーだが、さらに24年は全国20の営業所を回り、フィールドパーソン(営業・以下、FP)とわれわれの強みと課題についてディスカッションした。その結果、課題は社内にあることがよく分かった。これは5、10年後も同じかもしれないが、課題を現場と経営陣が共有し理解することが大切。社長2年目は他の部門でも同じことをやる。その積み重ねが自らの思考となり、社長としての使命感となる。

WWD:ディスカッションから見えてきた強みと課題は?

坂下:各自が個店対応し、課題を聞き出し、それを解決するのが弊社の営業スタイル。このやり方は時間がかかる面もあるが、うちの強みでもある。FP同士の会話の中で、担当美容室の入社1、2年目のスタッフの名前が出てくるのは、BtoBでも一般的な会社ではなかなかないと思う。一方で、教育担当の女性社員が結婚してからも仕事を続けるのが難しいという声も。今年はその課題を解決しつつ弊社の強みも出せる入店教育に力を入れる。

WWD:入店教育とは?

坂下:通常、美容室は閉店後に講習会などを開くことが多いが、営業時間中に入店して店の隅で講習やアドバイスを行う。海外では普通だが、日本では浸透していない。お客さまに実際に接している営業時間中だからこそ課題が発見できるし、その課題を解決することもできる。最近はヘアカラーを学ぶのもオンライン講習が主流。効率はいいが、アウトプットの検証ができない課題が残る。以前はそれを閉店後に行っていたが、働き方改革や家庭を持つ美容師が増え、残業が難しくなった今、営業時間中の入店教育はそれらを解決する方法だ。すでにやり始めているが、あらためて言語化して年始に発表し、多くの賛同を得た。結果的に美容室の業務メニューの付加価値向上となる。

WWD:好調な業績をけん引した製品は?

坂下:うねり毛髪に悩む人向けのアウトバストリートメント「エルジューダ(ELUJUDA)」の“フリッズフィクサー”が、画期的な製品としてヒットした。韓国の艶髪ブームが追い風となったため、今年は韓国の人気美容室と組んだ韓流ヘアのセミナーやコンテンツ発信も計画している。美髪への関心の高まりからスカルプケアにも注目が集まり、「オージュア(AUJUA)」の“プレセディア”も好調だった。オーガニックブランド「ヴィラロドラ(VILLA LODOLA)」のヘアカラー人気も根強く、付加価値向上に貢献している。

WWD:今後の美容室経営は厳しいという見方もある。

坂下:人口減少によって客数が減れば集客コストが高まり、働き手が減れば採用コストが高まる。さらにインフレで全てのコストが上がると予測できる。そういう時代に採るべき戦略は、業務メニューに高い付加価値をつけてプライシング力を高めること。先ほど話した入店教育もその支援の一つだ。できる挑戦はまだある。

WWD:その変化に対応しようとする美容室も多い。

坂下:そういった美容室に寄り添っていきたい。公式オンラインストア「milbon:iD」然り、スマートサロン然り、弊社の戦略がそうなっている。これは未来に向けた成長戦略であり、製品販売を最大化するためのインフラだ。「milbon:iD」は契約美容室がストア内にECサイトを出店し販売するもので、売り上げは美容室に計上され、サイト運営や物流業務を弊社が受託する。現在、会員数87万人で流通金額は43億円となり(24年12月現在)、昨年に比べ約6億5000万円増となっている。また、ミルボン社員やゲストが出演するライブコマースも、年間1億8000万円の流通金額と貢献した。お客さまが美容室内で手軽にサロン専売品を手に取り体験できるスマートサロンは50都市62店舗となった。今年はスマートサロンの交通広告の出稿なども考えている。

WWD:新たな試みが成功する美容室の要因は?

坂下:それらのインフラは整えたが、成長戦略の主役はあくまで美容師。力を発揮してもらうための美容師育成制度「ビューティソムリエ」を展開している。これは、技術、製品知識、提案力、カウンセリング力などを総合的に取得していることを認定するもので、今年もその育成に注力する。価格競争は根本的な解決策にはならないため、いずれ終焉するだろうし、プライシング力がなければ美容室経営は立ち行かなくなる。業務の付加価値向上、製品販売のインフラ整備、主役となるビューティソムリエ、この3つがそろうことで、客数減少時代の成長戦略が描ける。その成長戦略を美容室と共に進めていく。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『「万葉倶楽部」プラチナ会員へ』

近所の「万葉の湯」は体を癒やしながら考えごとを整理するのに最適。2024年はゴールド会員になれたので、25年はさらに上のプラチナ会員を狙う。今年、研修センターが小田原に移転するが、その近くにも同施設があるため目標達成できるかも(笑)。

COMPANY DATA
ミルボン

1960年、業務用ヘア化粧品の専売メーカーとしてユタカ美容化学が創立。65年、社名をミルボンに変更。2001年、東証一部銘柄に指定。04年にはニューヨークに連結子会社を設立するなど、積極的なグローバル展開を行う。17年にはコーセーとの合弁会社コーセー ミルボン コスメティクスを設立。24年12月期第3四半期累計売上高は前期比8.3%増の369億9300万円となった

TEXT : YOSHIE KAWAHARA
問い合わせ先
ミルボンお客様窓口
0120-658-894

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【ミルボン 坂下秀憲 社長】付加価値創造を支援し、プライシング力を高める

PROFILE: 坂下秀憲/社長

坂下秀憲/社長
PROFILE: (さかした・ひでのり)1976年2月3日生まれ、千葉県出身。2001年に中央大学大学院の理工学研究科修士課程を修了後、同年にミルボンに入社。マーケティング部商品企画課や経営企画室マネージャーなどを経て、10年にミルボンUSAの社長に。帰国後18年に経営戦略部長に就任し「milbon:iD」の立ち上げに関わる。22年に取締役 経営戦略部長・コスメティクス企画・情報企画担当に就任、24年1月から現職  PHOTO : SHUNICHI ODA

サロン専売化粧品最大手のミルボン社長に坂下秀憲氏が就任して1年。自ら立ち上げた「milbon:iD」やスマートサロンなどの製品販売に関するインフラ整備、新たな教育コンテンツの導入などによって、美容師と美容室の付加価値創造を支援する。

付加価値向上、インフラ整備、ビューティソムリエの3つで
客数減少時代の成長戦略を描く

WWD:就任1年目に注力したことは?

坂下秀憲社長(以下、坂下):24年は初心者マークをつけて、二度と経験できない社長1年目を過ごした。創業者や先代の社長同様に行ったのは市場を回ること。国内外のサロン訪問300店、取引会社訪問30社、投資家面談30回、採用の最終面接100人以上を行った。これは毎年のレギュラーだが、さらに24年は全国20の営業所を回り、フィールドパーソン(営業・以下、FP)とわれわれの強みと課題についてディスカッションした。その結果、課題は社内にあることがよく分かった。これは5、10年後も同じかもしれないが、課題を現場と経営陣が共有し理解することが大切。社長2年目は他の部門でも同じことをやる。その積み重ねが自らの思考となり、社長としての使命感となる。

WWD:ディスカッションから見えてきた強みと課題は?

坂下:各自が個店対応し、課題を聞き出し、それを解決するのが弊社の営業スタイル。このやり方は時間がかかる面もあるが、うちの強みでもある。FP同士の会話の中で、担当美容室の入社1、2年目のスタッフの名前が出てくるのは、BtoBでも一般的な会社ではなかなかないと思う。一方で、教育担当の女性社員が結婚してからも仕事を続けるのが難しいという声も。今年はその課題を解決しつつ弊社の強みも出せる入店教育に力を入れる。

WWD:入店教育とは?

坂下:通常、美容室は閉店後に講習会などを開くことが多いが、営業時間中に入店して店の隅で講習やアドバイスを行う。海外では普通だが、日本では浸透していない。お客さまに実際に接している営業時間中だからこそ課題が発見できるし、その課題を解決することもできる。最近はヘアカラーを学ぶのもオンライン講習が主流。効率はいいが、アウトプットの検証ができない課題が残る。以前はそれを閉店後に行っていたが、働き方改革や家庭を持つ美容師が増え、残業が難しくなった今、営業時間中の入店教育はそれらを解決する方法だ。すでにやり始めているが、あらためて言語化して年始に発表し、多くの賛同を得た。結果的に美容室の業務メニューの付加価値向上となる。

WWD:好調な業績をけん引した製品は?

坂下:うねり毛髪に悩む人向けのアウトバストリートメント「エルジューダ(ELUJUDA)」の“フリッズフィクサー”が、画期的な製品としてヒットした。韓国の艶髪ブームが追い風となったため、今年は韓国の人気美容室と組んだ韓流ヘアのセミナーやコンテンツ発信も計画している。美髪への関心の高まりからスカルプケアにも注目が集まり、「オージュア(AUJUA)」の“プレセディア”も好調だった。オーガニックブランド「ヴィラロドラ(VILLA LODOLA)」のヘアカラー人気も根強く、付加価値向上に貢献している。

WWD:今後の美容室経営は厳しいという見方もある。

坂下:人口減少によって客数が減れば集客コストが高まり、働き手が減れば採用コストが高まる。さらにインフレで全てのコストが上がると予測できる。そういう時代に採るべき戦略は、業務メニューに高い付加価値をつけてプライシング力を高めること。先ほど話した入店教育もその支援の一つだ。できる挑戦はまだある。

WWD:その変化に対応しようとする美容室も多い。

坂下:そういった美容室に寄り添っていきたい。公式オンラインストア「milbon:iD」然り、スマートサロン然り、弊社の戦略がそうなっている。これは未来に向けた成長戦略であり、製品販売を最大化するためのインフラだ。「milbon:iD」は契約美容室がストア内にECサイトを出店し販売するもので、売り上げは美容室に計上され、サイト運営や物流業務を弊社が受託する。現在、会員数87万人で流通金額は43億円となり(24年12月現在)、昨年に比べ約6億5000万円増となっている。また、ミルボン社員やゲストが出演するライブコマースも、年間1億8000万円の流通金額と貢献した。お客さまが美容室内で手軽にサロン専売品を手に取り体験できるスマートサロンは50都市62店舗となった。今年はスマートサロンの交通広告の出稿なども考えている。

WWD:新たな試みが成功する美容室の要因は?

坂下:それらのインフラは整えたが、成長戦略の主役はあくまで美容師。力を発揮してもらうための美容師育成制度「ビューティソムリエ」を展開している。これは、技術、製品知識、提案力、カウンセリング力などを総合的に取得していることを認定するもので、今年もその育成に注力する。価格競争は根本的な解決策にはならないため、いずれ終焉するだろうし、プライシング力がなければ美容室経営は立ち行かなくなる。業務の付加価値向上、製品販売のインフラ整備、主役となるビューティソムリエ、この3つがそろうことで、客数減少時代の成長戦略が描ける。その成長戦略を美容室と共に進めていく。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『「万葉倶楽部」プラチナ会員へ』

近所の「万葉の湯」は体を癒やしながら考えごとを整理するのに最適。2024年はゴールド会員になれたので、25年はさらに上のプラチナ会員を狙う。今年、研修センターが小田原に移転するが、その近くにも同施設があるため目標達成できるかも(笑)。

COMPANY DATA
ミルボン

1960年、業務用ヘア化粧品の専売メーカーとしてユタカ美容化学が創立。65年、社名をミルボンに変更。2001年、東証一部銘柄に指定。04年にはニューヨークに連結子会社を設立するなど、積極的なグローバル展開を行う。17年にはコーセーとの合弁会社コーセー ミルボン コスメティクスを設立。24年12月期第3四半期累計売上高は前期比8.3%増の369億9300万円となった

TEXT : YOSHIE KAWAHARA
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ミルボンお客様窓口
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【タカラベルモント 吉川秀隆会長兼社長】堅調な国内を基盤にヘッドスパカルチャーを海外へ

PROFILE: 吉川秀隆/会長兼社長

吉川秀隆/会長兼社長
PROFILE: (よしかわ・ひでたか)1949年生まれ、大阪市出身。日本大学経済学部卒業後、自動車販売会社勤務。74年に祖父の吉川秀信が創業したタカラベルモントに経理担当で入社した後、デンタル・メディカル機器の営業および製品企画、理美容機器の営業を担当。85年に東京支社長に就任。89年に40歳で社長就任後、99年から会長を兼務している PHOTO : SHUNICHI ODA

タカラベルモントは、理容室・美容室の設備機器、エステ・ネイルサロンおよび歯科・医療クリニックの業務用設備機器や化粧品などを製造販売している。昨年は堅調な国内市場を基盤とし、グローバルな成長が見込める美容室の設備機器や“ヘッドスパ”の浸透に注力した。

変化するヘアサロン業界の需要に
マッチする機器が好調

WWD:2024年はどんな1年だったか。

吉川秀隆会長兼社長(以下、吉川):24年は本格的にコロナ禍が明けて世の中が活発に動いた。コロナ禍を経てリモートという選択肢もできたが、だからこそフェイストゥフェイスのコミュニケーションの重要度が増している。そういった思いがあり、100周年を迎えた21年から自分自身で全ての営業所や工場に足を運んでいる。現場には必ず気づきがある。展示会やヘアサロンで聞く理美容師の皆さんの声は大切にしているし、それを形に変えていくのがわれわれメーカーの役割だ。

WWD:昨今のヘアサロン業界をどう見ているか。

吉川:サロンビジネスの在り方はここ10年で大きく変化している。24年も美容室の倒産件数は過去最多を更新し、大型チェーンの時代から個人店やフリーランスの時代に移行した。自宅を改造して1人で営むなど、開業手段のバリエーションも増えている。そのような背景も相まって、24年は23年7月に発売したシャンプー機器“ミニマルサロンユニット ワン”が順調に売り上げを積み上げた。スタイリングチェアとシャンプー台が一体となり、省スペースとフレキシブルな施術対応をかなえる機器で、人材不足という昨今の業界の課題解決につながったことも好調要因だ。

WWD:化粧品はどうか。

吉川:22年2月にローンチした髪質ケアシリーズ「ヒタ(HITA)」が好調だ。悩みが深く、複雑化するクセ毛マーケットにアプローチできないかという思いで製品開発がスタートした。悩みが深いぶん、自宅でケアを継続したいという需要も高く、店販が売れている。

WWD:美容室事業の柱でもあるシャンプー機器“YUMEシャンプー”はどうか。

吉川:国内では導入サロンが5万軒を超え、今は海外の導入店舗数を増やす段階にある。国内と同様、欧米でも中間層以上の美容室で支持を獲得しており、24年、ヨーロッパにおける“YUMEシャンプー”の売り上げは前期の2倍を超えた。ヨーロッパでは、シャンプーにリラクゼーションを求める文化が浸透しておらず、洗い流すだけの場合も多いため、心地よい場所でシャンプーをする体験はより新鮮味が増す。弊社の理・美容用椅子に座っていただくと違いがはっきりする。首が痛かったり、顔周りが濡れたり、座り心地が悪かったりするマイナスポイントを解消しており、そのまま眠ってしまうほど心地よい。そのような体験をした顧客からリピートの要望が増えれば、導入する美容室も増えていく。その流れで今後も浸透すると踏んでいるが、シャンプーメニューが客単価アップにつながると気づいていないオーナーも多いため、導入のメリットを同時に伝える必要がある。また、ヨーロッパの美容学校ではシャンプー教育にあまり重きが置かれていない。そのため、弊社の教育担当がシャンプーやヘッドスパの技術を伝授している。

WWD:海外に“YUMEシャンプー”が広がればヘッドスパサービスも同様に広がる。

吉川:導入店舗の増加とともに、“ジャパニーズヘッドスパ”としてヨーロッパで広がっている。24年9月に香港でホリスティックビューティブランド「エステシモ(ESTESSIMO)」をローンチした。この2つを弊社が提案するヘッドスパメニューとして今後アジアでも広げていきたい。国内でも、コロナ禍のリラックス需要がけん引し、ヘッドスパメニューが伸長した。訪日客の体験としても需要が高く、国内外ともにさらなる成長が見込める。

WWD:医療事業も持つからこその強みはあるか。

吉川:免疫力を高めることは肌や髪の美しさにつながると言われている。両者は相関関係があると考えており、そういったわれわれの融合が形になるのが25年の大阪・関西万博だ。美容と医療を融合して提案する美が30年、40年、50年先にどうなるかをイメージできる展示を予定している。例えば、宇宙での暮らしも夢じゃない時代に、シャンプーやトリートメント、ヘアスタイルがどう変化しているかなどの想像が膨らむ内容だ。

WWD:25年に注力することは。

吉川:万博を主軸に既存のベースアップが事業のポイントになる。55年前の大阪万博に参加した際、世界中の人にタカラベルモントを知ってもらい、それを機に弊社は飛躍していった。今回も世界中から来る人にタカラベルモントを知ってもらい、次なる飛躍のきっかけとしたい。また、24年10月にフランスの美容家具ブランドの商標権を取得。60年の歴史があり、海外のチェーン店とコネクションを持つブランドだ。これまではわれわれの製品がチェーンの美容室に広がっていなかったが、この変化がヨーロッパに弊社の製品が広がる起爆剤となることを期待する。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『5m級のカジキを釣りたい』

アウトドアの趣味が多く、釣りは30〜40年前からやっている。特に海釣りが好きで、和歌山の海に船で行くことが多い。2023年に、和歌山の海で4m40cmのカジキを釣り上げた。今年は、5m級のカジキを釣りたい。

COMPANY DATA
タカラベルモント

1921年に鋳物工場としてスタート。31年に理容椅子の製造を開始し理容・美容業界に進出。56年にニューヨークに現地法人を構え、海外事業をスタート。67年に歯科・医療機器の製造を開始。73年に日本に初めて機器を使用したエステティックを紹介し、77年に自社化粧品ブランド(現ルベル)を立ち上げる。82年には基礎化粧品の発売をスタート。2021年に創業100周年を迎えた

TEXT : YOSHIE KAWAHARA
問い合わせ先
タカラベルモント広報室
06-7636-0856

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【タカラベルモント 吉川秀隆会長兼社長】堅調な国内を基盤にヘッドスパカルチャーを海外へ

PROFILE: 吉川秀隆/会長兼社長

吉川秀隆/会長兼社長
PROFILE: (よしかわ・ひでたか)1949年生まれ、大阪市出身。日本大学経済学部卒業後、自動車販売会社勤務。74年に祖父の吉川秀信が創業したタカラベルモントに経理担当で入社した後、デンタル・メディカル機器の営業および製品企画、理美容機器の営業を担当。85年に東京支社長に就任。89年に40歳で社長就任後、99年から会長を兼務している PHOTO : SHUNICHI ODA

タカラベルモントは、理容室・美容室の設備機器、エステ・ネイルサロンおよび歯科・医療クリニックの業務用設備機器や化粧品などを製造販売している。昨年は堅調な国内市場を基盤とし、グローバルな成長が見込める美容室の設備機器や“ヘッドスパ”の浸透に注力した。

変化するヘアサロン業界の需要に
マッチする機器が好調

WWD:2024年はどんな1年だったか。

吉川秀隆会長兼社長(以下、吉川):24年は本格的にコロナ禍が明けて世の中が活発に動いた。コロナ禍を経てリモートという選択肢もできたが、だからこそフェイストゥフェイスのコミュニケーションの重要度が増している。そういった思いがあり、100周年を迎えた21年から自分自身で全ての営業所や工場に足を運んでいる。現場には必ず気づきがある。展示会やヘアサロンで聞く理美容師の皆さんの声は大切にしているし、それを形に変えていくのがわれわれメーカーの役割だ。

WWD:昨今のヘアサロン業界をどう見ているか。

吉川:サロンビジネスの在り方はここ10年で大きく変化している。24年も美容室の倒産件数は過去最多を更新し、大型チェーンの時代から個人店やフリーランスの時代に移行した。自宅を改造して1人で営むなど、開業手段のバリエーションも増えている。そのような背景も相まって、24年は23年7月に発売したシャンプー機器“ミニマルサロンユニット ワン”が順調に売り上げを積み上げた。スタイリングチェアとシャンプー台が一体となり、省スペースとフレキシブルな施術対応をかなえる機器で、人材不足という昨今の業界の課題解決につながったことも好調要因だ。

WWD:化粧品はどうか。

吉川:22年2月にローンチした髪質ケアシリーズ「ヒタ(HITA)」が好調だ。悩みが深く、複雑化するクセ毛マーケットにアプローチできないかという思いで製品開発がスタートした。悩みが深いぶん、自宅でケアを継続したいという需要も高く、店販が売れている。

WWD:美容室事業の柱でもあるシャンプー機器“YUMEシャンプー”はどうか。

吉川:国内では導入サロンが5万軒を超え、今は海外の導入店舗数を増やす段階にある。国内と同様、欧米でも中間層以上の美容室で支持を獲得しており、24年、ヨーロッパにおける“YUMEシャンプー”の売り上げは前期の2倍を超えた。ヨーロッパでは、シャンプーにリラクゼーションを求める文化が浸透しておらず、洗い流すだけの場合も多いため、心地よい場所でシャンプーをする体験はより新鮮味が増す。弊社の理・美容用椅子に座っていただくと違いがはっきりする。首が痛かったり、顔周りが濡れたり、座り心地が悪かったりするマイナスポイントを解消しており、そのまま眠ってしまうほど心地よい。そのような体験をした顧客からリピートの要望が増えれば、導入する美容室も増えていく。その流れで今後も浸透すると踏んでいるが、シャンプーメニューが客単価アップにつながると気づいていないオーナーも多いため、導入のメリットを同時に伝える必要がある。また、ヨーロッパの美容学校ではシャンプー教育にあまり重きが置かれていない。そのため、弊社の教育担当がシャンプーやヘッドスパの技術を伝授している。

WWD:海外に“YUMEシャンプー”が広がればヘッドスパサービスも同様に広がる。

吉川:導入店舗の増加とともに、“ジャパニーズヘッドスパ”としてヨーロッパで広がっている。24年9月に香港でホリスティックビューティブランド「エステシモ(ESTESSIMO)」をローンチした。この2つを弊社が提案するヘッドスパメニューとして今後アジアでも広げていきたい。国内でも、コロナ禍のリラックス需要がけん引し、ヘッドスパメニューが伸長した。訪日客の体験としても需要が高く、国内外ともにさらなる成長が見込める。

WWD:医療事業も持つからこその強みはあるか。

吉川:免疫力を高めることは肌や髪の美しさにつながると言われている。両者は相関関係があると考えており、そういったわれわれの融合が形になるのが25年の大阪・関西万博だ。美容と医療を融合して提案する美が30年、40年、50年先にどうなるかをイメージできる展示を予定している。例えば、宇宙での暮らしも夢じゃない時代に、シャンプーやトリートメント、ヘアスタイルがどう変化しているかなどの想像が膨らむ内容だ。

WWD:25年に注力することは。

吉川:万博を主軸に既存のベースアップが事業のポイントになる。55年前の大阪万博に参加した際、世界中の人にタカラベルモントを知ってもらい、それを機に弊社は飛躍していった。今回も世界中から来る人にタカラベルモントを知ってもらい、次なる飛躍のきっかけとしたい。また、24年10月にフランスの美容家具ブランドの商標権を取得。60年の歴史があり、海外のチェーン店とコネクションを持つブランドだ。これまではわれわれの製品がチェーンの美容室に広がっていなかったが、この変化がヨーロッパに弊社の製品が広がる起爆剤となることを期待する。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『5m級のカジキを釣りたい』

アウトドアの趣味が多く、釣りは30〜40年前からやっている。特に海釣りが好きで、和歌山の海に船で行くことが多い。2023年に、和歌山の海で4m40cmのカジキを釣り上げた。今年は、5m級のカジキを釣りたい。

COMPANY DATA
タカラベルモント

1921年に鋳物工場としてスタート。31年に理容椅子の製造を開始し理容・美容業界に進出。56年にニューヨークに現地法人を構え、海外事業をスタート。67年に歯科・医療機器の製造を開始。73年に日本に初めて機器を使用したエステティックを紹介し、77年に自社化粧品ブランド(現ルベル)を立ち上げる。82年には基礎化粧品の発売をスタート。2021年に創業100周年を迎えた

TEXT : YOSHIE KAWAHARA
問い合わせ先
タカラベルモント広報室
06-7636-0856

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【セイコーウオッチ 内藤昭男社長】日本の時計として存在感を世界にアピールし、国内外で販売拡大へ

PROFILE: 内藤昭男/社長

内藤昭男/社長
PROFILE: (ないとう・あきお)1960年11月9日生まれ、茨城県出身。84年に上智大学を卒業し、同年、服部セイコー(現セイコーグループ)に入社。セイコー・オーストラリア社長、セイコーHD(現セイコーグループ)法務部長、常務取締役、セイコー・アメリカ社長などを経て、2019年12月にセイコーウオッチの副社長に就任。21年4月から現職 PHOTO : KENTARO OSHIO

セイコーウオッチは「グランドセイコー(GRAND SEIKO)」として、スイス・ジュネーブの時計フェア「ウォッチズ・アンド・ワンダーズ・ジュネーブ」に2022年から継続して出展。また昨年は、北米にも「グランドセイコー」の専門ブティックを開店した。その成果もあり、日本国内外でジャパニーズ・ラグジュアリー・ウオッチの地位を確立している。24年の世界戦略や国内外での商況はどうだったのか。内藤昭男社長に話を聞く。

「グランドセイコー」で
高級時計市場に風穴を

WWD:2024年は、セイコーウオッチにとってどんな年だったか。

内藤昭男社長(以下、内藤):昨年は「セイコー(SEIKO)」ブランドが誕生してちょうど100年という記念すべき年。「贅沢な旅行ができない代わりに高級品を購入する」という“コロナ消費”が終わり、国内外でラグジュアリービジネス全体が厳しい状況だった。そのため時計業界も、あまり良い状況ではない。しかし当社は、数字はまだ第3四半期までしか出ていないが、「グランドセイコー」と「セイコー」ブランド全体を合わせて、また国内市場と海外市場を合わせて、セイコーウオッチの創業以来、最高益を達成している。海外でも売り上げは堅調だが、インバウンド需要の高まりもあり、特に国内での売り上げが非常に好調で、逆境の中でも良い1年だった。

WWD:逆境の中でも好調の理由は?

内藤:ここ数年、「グランドセイコー」を中心に、世界的に推進してきたラグジュアリー化戦略の成果だと考えている。具体的には、22年に始まった欧州の老舗・名門ブランドのみが出展する国際的な時計フェア「ウォッチズ・アンド・ワンダーズ・ジュネーブ(以下、WWG)」への出展。また流通面においては「グランドセイコー」の取扱店舗を、優秀な販売員を配し上顧客を持つ小売店に限定したこと。さらには富裕層顧客に直接リーチするイベントの開催などだ。WWGへの出展は円安・スイスフラン高という為替レートの問題もあり莫大な費用を要するが、こうしたブランドイメージの向上に取り組んだ結果、かつては知名度が低かった「グランドセイコー」が「本当にラグジュアリーな時計ブランド」として評価を得て、国内でも海外でもスイスの名門ブランドと同等の扱いをしていただけるようになってきた。国内でもこれまで「グランドセイコー」を取り扱ってこなかった時計販売店から「『グランドセイコー』をぜひ」といわれている。

WWD:国内市場で注目していることは?

内藤:インバウンド需要の内容が、かつてのピークだった15年とはまったく違うものになっている状況に注目している。当時、インバウンドのお客さまは中国の方が中心で、価格帯では手頃な製品がよく売れ、「グランドセイコー」はほぼゼロだった。だが現在は欧米の方が中心で、「グランドセイコー」が売り上げのメーンだ。特にアメリカのお客さまは、インバウンド需要の半分を占めている。現場からは「日本に来たから『グランドセイコー』を買いたい」と来店された方が多いと聞く。これも海外での「ジャパニーズ・ラグジュアリー・ウオッチブランド」戦略の成果だ。

WWD:海外市場の状況は? 24年は北米市場に加えてヨーロッパでも「グランドセイコー」を「ジャパニーズ・ラグジュアリー・ウオッチブランド」として発展させるのが目標だった。

内藤:海外市場の状況は、地域により大きく違う。金利の上昇とインフレでラグジュアリービジネスが苦境に陥っているのは確かで、海外での売り上げは実は少し下がっている。だが、中国市場のように厳しいところがある一方で、好調な地域も多い。たとえばインドのように、2ケタで伸びていて、今後も大きな成長が期待できるところもある。また、昨年の大きな目標だったヨーロッパでの「グランドセイコー」の販売拡大については、不況の影響から時計販売店が仕入れ予算を削っているため、残念ながら計画通りに進んでいない。だが北米でもヨーロッパでも、直営ブティックでの「グランドセイコー」の売り上げが絶好調。昨年はアメリカ・ニューヨークのマンハッタンに売り場面積580㎡の直営ブティックをオープンしたが、ここでの売り上げも期待を大きく超えた。今後も、直営ブティックを、ヨーロッパをはじめ世界中の主要都市の中でも厳選されたエリアでオープンしていく。

WWD:25年の国内、海外での戦略と目標は?

内藤:昨年に続き、日本発の「ジャパニーズ・ラグジュアリー・ウォッチブランド」である「グランドセイコー」を中心に、「日本の時計」としての存在感を世界にアピールし、国内外で販売拡大を図る。この戦略でカギになるのが、かつての「異質なもの」から、マンガや食文化を通じて「素晴らしいもの」へと変わった“日本のイメージ”だ。このイメージを徹底的に活用することで、「グランドセイコー」でも「セイコー」ブランドでも、さらなる販売の拡大が図れると確信している。また、日本文化の魅力をクリエイターと発信するプロジェクト「THE GIFT OF TIME」などを通して、時計にこれまで興味がなかった人々、特に若い人々に興味を持っていただきたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『時計サロンを作りたい』

メーカーの技術者や独立時計師ら、世界中の時計技術を志向する人たちが垣根を越えて集まり、交流し、ともに勉強して、一緒に全く新しい時計を作ることを目指せるような「時計サロン」を作りたい。

COMPANY DATA
セイコーウオッチ

セイコーは1881年、服部金太郎が時計の小売りと修理を生業とする服部時計店を創業し、外国商館から信用を得て発展するところから始まる。92年には小売業の成功を背景に精工舎を設立し、壁掛け時計の製造を開始。95年には懐中時計、1913年には国産初の腕時計“ローレル”を発売した。32年には現在のセイコーハウスにあたる銀座四丁目時計塔を竣工。60年、「グランドセイコー」を発売。2001年、純粋持株会社に移行して腕時計事業部門を分社化。セイコーウオッチを設立した

INTERVIEW& TEXT: YASUHITO SHIBUYA
問い合わせ先
セイコーウオッチお客様相談室
0120-061-012

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【セイコーウオッチ 内藤昭男社長】日本の時計として存在感を世界にアピールし、国内外で販売拡大へ

PROFILE: 内藤昭男/社長

内藤昭男/社長
PROFILE: (ないとう・あきお)1960年11月9日生まれ、茨城県出身。84年に上智大学を卒業し、同年、服部セイコー(現セイコーグループ)に入社。セイコー・オーストラリア社長、セイコーHD(現セイコーグループ)法務部長、常務取締役、セイコー・アメリカ社長などを経て、2019年12月にセイコーウオッチの副社長に就任。21年4月から現職 PHOTO : KENTARO OSHIO

セイコーウオッチは「グランドセイコー(GRAND SEIKO)」として、スイス・ジュネーブの時計フェア「ウォッチズ・アンド・ワンダーズ・ジュネーブ」に2022年から継続して出展。また昨年は、北米にも「グランドセイコー」の専門ブティックを開店した。その成果もあり、日本国内外でジャパニーズ・ラグジュアリー・ウオッチの地位を確立している。24年の世界戦略や国内外での商況はどうだったのか。内藤昭男社長に話を聞く。

「グランドセイコー」で
高級時計市場に風穴を

WWD:2024年は、セイコーウオッチにとってどんな年だったか。

内藤昭男社長(以下、内藤):昨年は「セイコー(SEIKO)」ブランドが誕生してちょうど100年という記念すべき年。「贅沢な旅行ができない代わりに高級品を購入する」という“コロナ消費”が終わり、国内外でラグジュアリービジネス全体が厳しい状況だった。そのため時計業界も、あまり良い状況ではない。しかし当社は、数字はまだ第3四半期までしか出ていないが、「グランドセイコー」と「セイコー」ブランド全体を合わせて、また国内市場と海外市場を合わせて、セイコーウオッチの創業以来、最高益を達成している。海外でも売り上げは堅調だが、インバウンド需要の高まりもあり、特に国内での売り上げが非常に好調で、逆境の中でも良い1年だった。

WWD:逆境の中でも好調の理由は?

内藤:ここ数年、「グランドセイコー」を中心に、世界的に推進してきたラグジュアリー化戦略の成果だと考えている。具体的には、22年に始まった欧州の老舗・名門ブランドのみが出展する国際的な時計フェア「ウォッチズ・アンド・ワンダーズ・ジュネーブ(以下、WWG)」への出展。また流通面においては「グランドセイコー」の取扱店舗を、優秀な販売員を配し上顧客を持つ小売店に限定したこと。さらには富裕層顧客に直接リーチするイベントの開催などだ。WWGへの出展は円安・スイスフラン高という為替レートの問題もあり莫大な費用を要するが、こうしたブランドイメージの向上に取り組んだ結果、かつては知名度が低かった「グランドセイコー」が「本当にラグジュアリーな時計ブランド」として評価を得て、国内でも海外でもスイスの名門ブランドと同等の扱いをしていただけるようになってきた。国内でもこれまで「グランドセイコー」を取り扱ってこなかった時計販売店から「『グランドセイコー』をぜひ」といわれている。

WWD:国内市場で注目していることは?

内藤:インバウンド需要の内容が、かつてのピークだった15年とはまったく違うものになっている状況に注目している。当時、インバウンドのお客さまは中国の方が中心で、価格帯では手頃な製品がよく売れ、「グランドセイコー」はほぼゼロだった。だが現在は欧米の方が中心で、「グランドセイコー」が売り上げのメーンだ。特にアメリカのお客さまは、インバウンド需要の半分を占めている。現場からは「日本に来たから『グランドセイコー』を買いたい」と来店された方が多いと聞く。これも海外での「ジャパニーズ・ラグジュアリー・ウオッチブランド」戦略の成果だ。

WWD:海外市場の状況は? 24年は北米市場に加えてヨーロッパでも「グランドセイコー」を「ジャパニーズ・ラグジュアリー・ウオッチブランド」として発展させるのが目標だった。

内藤:海外市場の状況は、地域により大きく違う。金利の上昇とインフレでラグジュアリービジネスが苦境に陥っているのは確かで、海外での売り上げは実は少し下がっている。だが、中国市場のように厳しいところがある一方で、好調な地域も多い。たとえばインドのように、2ケタで伸びていて、今後も大きな成長が期待できるところもある。また、昨年の大きな目標だったヨーロッパでの「グランドセイコー」の販売拡大については、不況の影響から時計販売店が仕入れ予算を削っているため、残念ながら計画通りに進んでいない。だが北米でもヨーロッパでも、直営ブティックでの「グランドセイコー」の売り上げが絶好調。昨年はアメリカ・ニューヨークのマンハッタンに売り場面積580㎡の直営ブティックをオープンしたが、ここでの売り上げも期待を大きく超えた。今後も、直営ブティックを、ヨーロッパをはじめ世界中の主要都市の中でも厳選されたエリアでオープンしていく。

WWD:25年の国内、海外での戦略と目標は?

内藤:昨年に続き、日本発の「ジャパニーズ・ラグジュアリー・ウォッチブランド」である「グランドセイコー」を中心に、「日本の時計」としての存在感を世界にアピールし、国内外で販売拡大を図る。この戦略でカギになるのが、かつての「異質なもの」から、マンガや食文化を通じて「素晴らしいもの」へと変わった“日本のイメージ”だ。このイメージを徹底的に活用することで、「グランドセイコー」でも「セイコー」ブランドでも、さらなる販売の拡大が図れると確信している。また、日本文化の魅力をクリエイターと発信するプロジェクト「THE GIFT OF TIME」などを通して、時計にこれまで興味がなかった人々、特に若い人々に興味を持っていただきたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『時計サロンを作りたい』

メーカーの技術者や独立時計師ら、世界中の時計技術を志向する人たちが垣根を越えて集まり、交流し、ともに勉強して、一緒に全く新しい時計を作ることを目指せるような「時計サロン」を作りたい。

COMPANY DATA
セイコーウオッチ

セイコーは1881年、服部金太郎が時計の小売りと修理を生業とする服部時計店を創業し、外国商館から信用を得て発展するところから始まる。92年には小売業の成功を背景に精工舎を設立し、壁掛け時計の製造を開始。95年には懐中時計、1913年には国産初の腕時計“ローレル”を発売した。32年には現在のセイコーハウスにあたる銀座四丁目時計塔を竣工。60年、「グランドセイコー」を発売。2001年、純粋持株会社に移行して腕時計事業部門を分社化。セイコーウオッチを設立した

INTERVIEW& TEXT: YASUHITO SHIBUYA
問い合わせ先
セイコーウオッチお客様相談室
0120-061-012

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【バロックジャパンリミテッド 村井博之 社長】“ニッチ”を突き詰め、再成長へ地盤固めの一年に

PROFILE: 村井博之/バロックジャパンリミテッド社長

村井博之/バロックジャパンリミテッド社長
PROFILE: (むらい・ひろゆき)1961年生まれ、東京都出身。84年立教大学文学部を卒業後、中国国立北京師範大学への留学をへてキヤノンに入社し、中国での支店開設などに携わる。97年に日本エアシステム(現日本航空)でJAS 香港 社長に就任。2006年にフェイクデリックホールディングス会長兼社長に就任、07年にフェイクデリックホールディングスなど3社を統合しバロックジャパンリミテッド設立。08年から現職

成長のエンジンだった中国事業が不況で低迷し、屋台骨の国内SC事業もさえない。バロックジャパンリミテッドの村井博之社長は、そんな2024年を苦しい1年だったと振り返るが、表情に悲観の色は見えない。「25年は再出発の年になる」。“バロックらしさ”に立ち返り、商品企画の抜本的見直しで浮上を期す。

「不本意でもどかしい」24年からの再出発

WWD:24年を振り返って。

村井博之社長(以下、村井):不本意でもどかしい1年だった。中国は、ついさっきまで晴れていた空から急に雨が降ってきたような状況。それも1、2年で降り止まない大雨だ。(中国事業を)諦めるつもりはないが、いったんは北京、上海などの都心店を残しながらスクラップ&ビルドを進める。タフで我慢が必要な戦いになるだろう。

日本もかつてはバブル崩壊の不況の中から、渋谷109がけん引するギャルカルチャーが生まれ、バロックもその中心にいた。悲観的な状況の中でも前向きなパワーを生み出すのがファッション。中国でも今のどん底の状況から、また新しいカルチャーが萌芽するはずだ。現地の10〜30代のライフスタイルを常に観察し続け、変化の機微を捉えていく。

WWD:「アズールバイマウジー」を中心とする主力のSC事業が停滞している。

村井:マーケットがしぼんだのではなく、作り手である当社の問題。「アズール」の主戦場であるマス市場では、ファストファッションをはじめ競合との競争が苛烈さを増している。われわれの業績のふがいなさは、「バロックらしさとは?」に対する答えが提示できていないことの表れ。モノ作り、MD、価格設定を含めて、「自分たちが正しい」という思い込みを捨てて抜本的に変える。大胆なテコ入れも必要と考えている。

WWD:どんな方向性に変える?

村井:一つ言えるのは、「バロックじゃなくてもできるもの」は作らなくてもいいということ。かつてバロックのブランドというのは、どれをとっても“ニッチ”だった。売り上げの多寡ではなく、商品や店舗運営のスタイルが尖っていた。芸能人やモデルがこぞってバロックブランドを着用し、それに憧れる若い女の子の親御さんからは、「娘に着せたくない」という声も上がったくらい(笑)。少々のハレーションが起こるくらいのエッジィさが私たちの持ち味でもある。他の店でも手に入るような服なら、うちに置く必要はない。「路面店だから」「SC店だから」というふうにMDをはめ込んでいくから、店が面白みを失っていく。既成概念を取り払って、ゼロから品ぞろえを考える。

WWD:原宿の旗艦店「ザ・シェルター トーキョー」は免税売上高が前期比15%増と好調だ。

村井:入店客の約40%を海外のお客さまが占めている。欧米・アジアがメインだが、実は中東からのお客さまも一定数いらっしゃる。われわれの想像の範疇になかったビジネスチャンスを見出す場にもなっている。今後は、国内のお客さまにもさらなる面白みを提供したい。これまでは1階の明治通り側の区画で外部ブランドを誘致したポップアップ企画を実施してきたが、3層(地下1階〜地上2階)の空間を生かし、より大きなスケールでキュレーション展開する。ポップアップのスパンもより短サイクルにして、常に鮮度のある店を作りたい。

WWD:「ブラックバイマウジー」の今春での休止が発表された。SNSでは惜しむ声も多かった。

村井:近い将来、お客さまをあっと言わせる形での新しい展開を考えている。しっかりとしたファンダムがあることが分かっているからこそ、現在のコアな規模から、よりスケールアップした形で出直す。25年内には具体的な発表ができるはずだ。ブランド名は変わる。デニム軸のスタイリング提案というコンセプトにも捉われず、大人がより自分らしいファッションを楽しんでいただけるよう提案する。休止前は実店舗は2つだったが、より大きな規模で展開したい。
アパレルはデザイナー、販売員などあらゆる業種で“人”ありきのビジネスだ。限られた人材を最大限に生かすという意味では、「ブラックバイマウジー」に限らず、小規模なプロジェクトをある程度整理・統合していく必要があると考えている。

WWD:25年の展望は?

村井:再成長に向けた地盤を固める。好材料の一つが「マウジー」の25周年だ。手前味噌だが、ここまで長くお客さまの心を掴めるブランドはそうそうない。ずっとファンでいてくださるお客さまが年齢を重ねる一方、あるメディアの調査によれば、服飾系専門学生の「よく買うブランド」のランキング上位に食い込んでいる。後押ししているのがレトロブームによる渋谷109のリバイバルで、館の店舗も売り上げ好調だ。大人層からの人気商品とはまた違った商品を手に取り、自由にスタイリングを楽しむ若いお客さまがおり、ブランドにとって大いに刺激になっている。周年施策は、大人も若いお客さまも心から楽しんでいただけるものにしたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『財団からノーベル賞を輩出!』

2020年に設立したバロック村井博之財団では、若者の進学や研究に資金援助している。私自身にとっても、アパレルと違う世界の学問に触れることは大いに刺激になる。近い将来、財団からノーベル賞受賞者が生まれたら。

COMPANY DATA
バロックジャパンリミテッド

2000年にフェイクデリックとして設立し、「マウジー」「スライ」が“平成ギャルブーム”をけん引し大ヒット。08年にバロックジャパンリミテッドに商号変更。13年に中国の靴小売り大手ベル・インターナショナルとの合弁会社バロックチャイナを設立し、中国出店を加速。16年に東証1部(現プライム)市場上場。24年2月期の売上高は前期比2.5%増の602億円、営業利益は同9.1%減の19億円


問い合わせ先
バロックジャパンリミテッド
03-5738-5775

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【バロックジャパンリミテッド 村井博之 社長】“ニッチ”を突き詰め、再成長へ地盤固めの一年に

PROFILE: 村井博之/バロックジャパンリミテッド社長

村井博之/バロックジャパンリミテッド社長
PROFILE: (むらい・ひろゆき)1961年生まれ、東京都出身。84年立教大学文学部を卒業後、中国国立北京師範大学への留学をへてキヤノンに入社し、中国での支店開設などに携わる。97年に日本エアシステム(現日本航空)でJAS 香港 社長に就任。2006年にフェイクデリックホールディングス会長兼社長に就任、07年にフェイクデリックホールディングスなど3社を統合しバロックジャパンリミテッド設立。08年から現職

成長のエンジンだった中国事業が不況で低迷し、屋台骨の国内SC事業もさえない。バロックジャパンリミテッドの村井博之社長は、そんな2024年を苦しい1年だったと振り返るが、表情に悲観の色は見えない。「25年は再出発の年になる」。“バロックらしさ”に立ち返り、商品企画の抜本的見直しで浮上を期す。

「不本意でもどかしい」24年からの再出発

WWD:24年を振り返って。

村井博之社長(以下、村井):不本意でもどかしい1年だった。中国は、ついさっきまで晴れていた空から急に雨が降ってきたような状況。それも1、2年で降り止まない大雨だ。(中国事業を)諦めるつもりはないが、いったんは北京、上海などの都心店を残しながらスクラップ&ビルドを進める。タフで我慢が必要な戦いになるだろう。

日本もかつてはバブル崩壊の不況の中から、渋谷109がけん引するギャルカルチャーが生まれ、バロックもその中心にいた。悲観的な状況の中でも前向きなパワーを生み出すのがファッション。中国でも今のどん底の状況から、また新しいカルチャーが萌芽するはずだ。現地の10〜30代のライフスタイルを常に観察し続け、変化の機微を捉えていく。

WWD:「アズールバイマウジー」を中心とする主力のSC事業が停滞している。

村井:マーケットがしぼんだのではなく、作り手である当社の問題。「アズール」の主戦場であるマス市場では、ファストファッションをはじめ競合との競争が苛烈さを増している。われわれの業績のふがいなさは、「バロックらしさとは?」に対する答えが提示できていないことの表れ。モノ作り、MD、価格設定を含めて、「自分たちが正しい」という思い込みを捨てて抜本的に変える。大胆なテコ入れも必要と考えている。

WWD:どんな方向性に変える?

村井:一つ言えるのは、「バロックじゃなくてもできるもの」は作らなくてもいいということ。かつてバロックのブランドというのは、どれをとっても“ニッチ”だった。売り上げの多寡ではなく、商品や店舗運営のスタイルが尖っていた。芸能人やモデルがこぞってバロックブランドを着用し、それに憧れる若い女の子の親御さんからは、「娘に着せたくない」という声も上がったくらい(笑)。少々のハレーションが起こるくらいのエッジィさが私たちの持ち味でもある。他の店でも手に入るような服なら、うちに置く必要はない。「路面店だから」「SC店だから」というふうにMDをはめ込んでいくから、店が面白みを失っていく。既成概念を取り払って、ゼロから品ぞろえを考える。

WWD:原宿の旗艦店「ザ・シェルター トーキョー」は免税売上高が前期比15%増と好調だ。

村井:入店客の約40%を海外のお客さまが占めている。欧米・アジアがメインだが、実は中東からのお客さまも一定数いらっしゃる。われわれの想像の範疇になかったビジネスチャンスを見出す場にもなっている。今後は、国内のお客さまにもさらなる面白みを提供したい。これまでは1階の明治通り側の区画で外部ブランドを誘致したポップアップ企画を実施してきたが、3層(地下1階〜地上2階)の空間を生かし、より大きなスケールでキュレーション展開する。ポップアップのスパンもより短サイクルにして、常に鮮度のある店を作りたい。

WWD:「ブラックバイマウジー」の今春での休止が発表された。SNSでは惜しむ声も多かった。

村井:近い将来、お客さまをあっと言わせる形での新しい展開を考えている。しっかりとしたファンダムがあることが分かっているからこそ、現在のコアな規模から、よりスケールアップした形で出直す。25年内には具体的な発表ができるはずだ。ブランド名は変わる。デニム軸のスタイリング提案というコンセプトにも捉われず、大人がより自分らしいファッションを楽しんでいただけるよう提案する。休止前は実店舗は2つだったが、より大きな規模で展開したい。
アパレルはデザイナー、販売員などあらゆる業種で“人”ありきのビジネスだ。限られた人材を最大限に生かすという意味では、「ブラックバイマウジー」に限らず、小規模なプロジェクトをある程度整理・統合していく必要があると考えている。

WWD:25年の展望は?

村井:再成長に向けた地盤を固める。好材料の一つが「マウジー」の25周年だ。手前味噌だが、ここまで長くお客さまの心を掴めるブランドはそうそうない。ずっとファンでいてくださるお客さまが年齢を重ねる一方、あるメディアの調査によれば、服飾系専門学生の「よく買うブランド」のランキング上位に食い込んでいる。後押ししているのがレトロブームによる渋谷109のリバイバルで、館の店舗も売り上げ好調だ。大人層からの人気商品とはまた違った商品を手に取り、自由にスタイリングを楽しむ若いお客さまがおり、ブランドにとって大いに刺激になっている。周年施策は、大人も若いお客さまも心から楽しんでいただけるものにしたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『財団からノーベル賞を輩出!』

2020年に設立したバロック村井博之財団では、若者の進学や研究に資金援助している。私自身にとっても、アパレルと違う世界の学問に触れることは大いに刺激になる。近い将来、財団からノーベル賞受賞者が生まれたら。

COMPANY DATA
バロックジャパンリミテッド

2000年にフェイクデリックとして設立し、「マウジー」「スライ」が“平成ギャルブーム”をけん引し大ヒット。08年にバロックジャパンリミテッドに商号変更。13年に中国の靴小売り大手ベル・インターナショナルとの合弁会社バロックチャイナを設立し、中国出店を加速。16年に東証1部(現プライム)市場上場。24年2月期の売上高は前期比2.5%増の602億円、営業利益は同9.1%減の19億円


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バロックジャパンリミテッド
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低気温でユニクロ、無印、しまむら、アローズ好調も、アダストリア3%減 【専門店25年1月度】

専門店チェーン、セレクトショップの2025年1月度業績(既存店ベース)は、気温低下に後押しされ、好調だったという声が目立つ。一方で、アダストリアは前年同月比3.0%減と、やや変調が見える。

国内ユニクロの売上高は前年同月比8.6%増だった。「特に月前半の気温が低かったことで、ハイブリッドダウン、シームレスダウン、パフテックアウター、カシミヤニットなどの冬物の防寒衣料がよく売れた」と広報担当者。年始が長期連休となったこともあり、新年祭商戦も好調だったという。

しまむらの「ファッションセンターしまむら」(24年12月21日〜25年1月20日)は同4.6%増。PBの防寒機能性肌着が好調だったことに加え、「Tシャツやパンツ、肌着や靴下が大きく売り上げを伸ばした」(発表資料から)。

良品計画の「無印良品」は同11.3%増と2ケタ増。中でも衣服・雑貨カテゴリーは同15.5%増となった。これで、12カ月連続前年実績超えを達成、他社が暖冬に苦しんだ24年10月も、売上高全体と衣服・雑貨カテゴリー共に、前年実績を超えていた。

ユナイテッドアローズは同8.7%増で、13カ月連続の前年実績超え。「セール売り上げが前年を下回ったものの、冬物、春物共に定価販売が好調だった」(発表資料から)。売れ筋はシャツ、カットソートップス、パンツ、ブラウス、ジャケットなど。

アダストリアは同3.0%減と、24年10以来の前年割れを記録。「春物の立ち上がりは好調だったが、冬物在庫が不足し、販売が伸び悩んだ」(発表資料から)。客単価は同4.2%増だったが、客数が同6.9%減だった。

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低気温でユニクロ、無印、しまむら、アローズ好調も、アダストリア3%減 【専門店25年1月度】

専門店チェーン、セレクトショップの2025年1月度業績(既存店ベース)は、気温低下に後押しされ、好調だったという声が目立つ。一方で、アダストリアは前年同月比3.0%減と、やや変調が見える。

国内ユニクロの売上高は前年同月比8.6%増だった。「特に月前半の気温が低かったことで、ハイブリッドダウン、シームレスダウン、パフテックアウター、カシミヤニットなどの冬物の防寒衣料がよく売れた」と広報担当者。年始が長期連休となったこともあり、新年祭商戦も好調だったという。

しまむらの「ファッションセンターしまむら」(24年12月21日〜25年1月20日)は同4.6%増。PBの防寒機能性肌着が好調だったことに加え、「Tシャツやパンツ、肌着や靴下が大きく売り上げを伸ばした」(発表資料から)。

良品計画の「無印良品」は同11.3%増と2ケタ増。中でも衣服・雑貨カテゴリーは同15.5%増となった。これで、12カ月連続前年実績超えを達成、他社が暖冬に苦しんだ24年10月も、売上高全体と衣服・雑貨カテゴリー共に、前年実績を超えていた。

ユナイテッドアローズは同8.7%増で、13カ月連続の前年実績超え。「セール売り上げが前年を下回ったものの、冬物、春物共に定価販売が好調だった」(発表資料から)。売れ筋はシャツ、カットソートップス、パンツ、ブラウス、ジャケットなど。

アダストリアは同3.0%減と、24年10以来の前年割れを記録。「春物の立ち上がりは好調だったが、冬物在庫が不足し、販売が伸び悩んだ」(発表資料から)。客単価は同4.2%増だったが、客数が同6.9%減だった。

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フェラガモのマルコ・ゴベッティCEOが3月6日付で退任、後任は未定

サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO以下、フェラガモ)は2月3日、マルコ・ゴベッティ(Marco Gobbetti)最高経営責任者(CEO)が3月6日付で退任することを発表した。これは双方の同意に基づく友好的なもので、同社は後任の選考を開始したという。

ゴベッティCEOは、キャリアの初期に「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」やイタリアの老舗レザーブランド「ヴァレクストラ(VALEXTRA)」で経験を積んだ後、1993年から2004年までモスキーノ(MOSCHINO)のCEOを、その後はジバンシィ(GIVENCHY)の会長兼CEOを務めた。08年から16年まではセリーヌ(CELINE)の会長兼CEOとして指揮を執り、17年7月にバーバリー(BURBERRY)のCEOに就任。22年1月から現職。

業績低迷が続くフェラガモ

業績低迷が続いているフェラガモは、ゴベッティCEOが就任する以前の5年間で3人のCEOが入れ替わっている。やはり業績が芳しくなかったバーバリーを成功に導いた立役者として知られる同氏の経営手腕に期待がかかっていたが、フェラガモはその後も苦戦。同社の24年12月期決算(速報値)は、売上高が前期比10.5%減の10億3510万ユーロ(約1645億円)と2ケタ減収。全ての市場で減収だったが、中でも売り上げの30%程度を占めるアジア太平洋地域が同19.7%減と非常に不調だった。

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フェラガモのマルコ・ゴベッティCEOが3月6日付で退任、後任は未定

サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO以下、フェラガモ)は2月3日、マルコ・ゴベッティ(Marco Gobbetti)最高経営責任者(CEO)が3月6日付で退任することを発表した。これは双方の同意に基づく友好的なもので、同社は後任の選考を開始したという。

ゴベッティCEOは、キャリアの初期に「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」やイタリアの老舗レザーブランド「ヴァレクストラ(VALEXTRA)」で経験を積んだ後、1993年から2004年までモスキーノ(MOSCHINO)のCEOを、その後はジバンシィ(GIVENCHY)の会長兼CEOを務めた。08年から16年まではセリーヌ(CELINE)の会長兼CEOとして指揮を執り、17年7月にバーバリー(BURBERRY)のCEOに就任。22年1月から現職。

業績低迷が続くフェラガモ

業績低迷が続いているフェラガモは、ゴベッティCEOが就任する以前の5年間で3人のCEOが入れ替わっている。やはり業績が芳しくなかったバーバリーを成功に導いた立役者として知られる同氏の経営手腕に期待がかかっていたが、フェラガモはその後も苦戦。同社の24年12月期決算(速報値)は、売上高が前期比10.5%減の10億3510万ユーロ(約1645億円)と2ケタ減収。全ての市場で減収だったが、中でも売り上げの30%程度を占めるアジア太平洋地域が同19.7%減と非常に不調だった。

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【ポーラ 小林琢磨社長】ブランド価値や現場資産を活用 独自性で経営を“サイエンス”

PROFILE: 小林琢磨/社長

小林琢磨/社長
PROFILE: (こばやし・たくま)1977年9月1日生まれ。2002年にポーラ化粧品本舗(現ポーラ)に入社した後、10年にディセンシアの社長に就任して同社を急成長させた。18年にオルビスの社長に就任し、リブランディングによる構造改革により数々のヒット製品を生み出すとともに、リアルとデジタルを融合したCX戦略などをけん引して成果を創出。25年1月1日付でポーラの社長に就任 PHOTO : TAMEKI OSHIRO

2025年1月1日付でポーラの社長に就任した小林琢磨社長は、これまでディセンシア、オルビスの事業構造を改革し大きな成果を創出している。ポーラでもその手腕を生かし、さらなるブランド価値向上と中長期的な顧客基盤構築推進のため経営を“サイエンス”していく。

「Science. Art. Love.」を合言葉に
ブランド価値を最大化

WWD:24年の取り組みとその成果は。

小林琢磨(以下、小林):直近まで経営をしたオルビスは、非常に好調な1年だった。売り上げ比率が高いスキンケアの中で最も高価格帯の製品が、売り上げや販売個数、客数の面で突出した成果を挙げることができた。中価格帯を主戦場とするオルビスにとって、一番高い製品が売れているのはとても稀有なこと。これはお客さまにブランドの付加価値を認められている証ともいえる。特に高価格ラインの“オルビスユー ドット”を中心に、高付加価値の美容液などのクロスセルが奏功。これにより全体の売り上げが大きく伸長した。また、エイジングケアシリーズ“ショットプラス”を立ち上げ、ドラッグストア市場への参入を果たした。オルビスはこれまで、ダイレクトマーケティングを主軸に展開してきたが、同シリーズはスキンケアラインとして初めて直販を行わない形態を採用。社内でも議論を呼んだが、生活者の購入生活圏に直接アプローチする必要性を考慮し決断した。

WWD:オルビスは18年から「量より質」のリブランディングで構造改革を行い、成果を出している。ポーラではどう取り組んでいく考えか?

小林:基幹ブランドの「ポーラ」は、24年9月までの実績では販売チャネルの店舗数減少による顧客接点の縮小が響き、国内事業全体で前年を下回る業績だ。加えて、海外事業においても中国大陸を中心に景気減速の影響が続き、売上高・営業利益共に前年を下回る厳しい状況となっている。しかし、“現場の強さ”は当社の競争優位の源泉。ポーラの合言葉でもある企業理念「Science. Art. Love.」は、その精神を的確に表現している。コロナ禍を経て生活者の価値観や購買行動が変化した一方、化粧品市場におけるEC比率の上昇は約2割にとどまった。このようにリアル店舗で購入したい人が大半の中、当社で活躍する地域に根付いた約2万3000人のビューティディレクター(BD)の存在は大きな財産である。「日本はおもてなしの国」と言われているが、人口減少による人手不足でAIの投入や隙間時間に働けるバイトアプリも盛んになり、満足な接客は受けられなくなりつつある。その中でブランドと共に何十年もの間歩み続けてきた愛を持ったBD組織を有することは、大きな強みだ。汗と資源の上に成り立つ差別性が独自性となる。

WWD:ダイレクトセリングの強みをさらに生かしていくためには。

小林:ポーラは創業からダイレクトセリングでブランドポートフォリオを築いてきたため、直接つながるお客さまとの解像度が高い状態。OMO戦略を推進し、新規顧客獲得から高LTV(顧客生涯価値)化までの転換促進を実現するブランド体験「One POLAモデル」の構築に注力している。23年から全チャネルを対象とするメンバーシッププログラム「ポーラ プレミアム パス」を始動し、顧客IDを統合したことにより国内で共通のサービス体験の提供が可能となった。この先は、一本化したIDから次に何を生み出すべきかを課題としている。

WWD:どのような構想か。

小林:ダイレクトマーケティングでは顧客のRFM分析(Recency=最終購入日、Frequency=購買回数、Monetary=購買金額)を実施しているが、例えばレスポンス率が下がっている場合、どこに手を打つか、どこを訪問すべきかなどを現場責任者であるコンサルタントと本社が一緒になり考えていくべき。ポーラのすごい点は、業績が下がっている時もブランドの資産価値は下がっていないこと。これは、製品の技術価値やクリエイティビティ、そして強い製品知識と愛を持って活動する販売現場の強さなど積み重ねてきた独自性があるから。これらのベースをもとに一本化した顧客IDを生かしながらコンサルタントと本社が一丸となり経営をサイエンスしていくことが重要だと考えている。

WWD:製品やブランドポートフォリオにおける課題は。

小林:すでに製品企画の開発力が非常に高く、ブランドの資産価値も高い。この強みは変えずにさらに強化していくことに注力するべきだと考えている。また、ハイプレステージブランド「B.A」については、グローバル市場で十分に競争力を発揮できる水準に達している。加えて、国内市場では若年層の富裕層が増加しており、ここにもチャンスがあるとみている。

WWD:25年は強みを伸ばしていくことに注力する。

小林:生かしきれていなかったブランド資産価値や現場の資産を高めていく。これを前提に、経営やマーケティングを“サイエンス”していく。ダイレクトセリングの強みを生かしてきたことはオルビスで経験済み。この得意分野をポーラでも築き上げていきたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『映画マニアによる映画監督』

学生時代は東宝でバイトし、年間200本以上を観る映画マニア。紀里谷和明監督の引退作「世界の終わりから」の制作総指揮を務めた経験を持つ。かつてはクリエイティブの才能がないと諦めたが、また映画監督や映像制作に挑戦したい。

COMPANY DATA
ポーラ

1929年に静岡市で創業。企業理念である「Science. Art. Love.」を軸として、「B.A」「リンクルショット」「ホワイトショット」「アペックス」などのスキンケアやメイクブランド、エステなどの美容サービスを展開。創業者の「最上のものを一人一人にあったお手入れとともに直接お手渡ししたい」という思いを大切に、一人一人の顧客と向き合い、美を提供


問い合わせ先
ポーラお客さま相談室
0120-117111

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TaiTanさんと「歩く」を考える:記者談話室vol.163

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

163回目の今回は、ラッパーでクリエイティブディレクターのTaiTanさんをゲストに迎えたスペシャル版です。人気ポッドキャスト番組「奇奇怪怪」「脳盗」「流通空論」のパーソナリティーとして知られるTaiTanさんは、実は「記者談話室」のヘビーリスナーでもあります。このたびマイクブランド「シュア」とのコラボレーションでオリジナルスニーカーを企画したTaiTanさんに、ポッドキャスターにとって大切な「歩く」をテーマに話を聞きました。

この配信は以下のアプリでもご利用いただけます。
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百貨店1月度 東西1番店は初売りセールよりもインバウンドにわく

百貨店主要4社の2025年1月度売上高は、おしなべて1割程度の増収だった。各社で年始営業を後ろ倒しにする動きがあったものの、業績にマイナス影響はほとんど見られない。業績を押し上げたのは富裕層やインバウンド。彼らの目覚ましい購買力の前に、初売りセールの存在感はどんどん小さくなっている。

各社の業績は、三越伊勢丹が前年同月比18.8%増、高島屋が同8.1%増、大丸松坂屋百貨店が同12.2%増、阪急阪神百貨店が同6.1%増。

阪急阪神百貨店の阪急本店の1月度売上高は、前年同月比12.3%増。 同社は15店舗中、11店舗で年始休業を1日増やした。阪急本店も、初売りが前年から1日後ろ倒しとなり、1月3日に営業開始した。同日は開店前に長蛇の並び列となったため、予定より30分早めて開店。3、4日の累計来店客数は、前年の初動2日間(2、3日)と比較して1割増、売上高は2割増だった。ただし、売り上げの嵩上げ要因となったのは「クリアランスセール品よりも定価商品」(同社)であり、免税売上高は前年同月比1.5倍、100万円以上の高額品の売り上げは同約40%増だった。

三越伊勢丹の伊勢丹新宿本店は、前年同月比25.3%増。内訳は、国内売上高が同22.7%増、免税売上高が同38.9%増だった。やはり、高単価商品の好調とインバウンドの旺盛な購買が支える構図は変わらない。全体の客数は同微減ながら、客単価が23.9%増と大きく伸びた。初売りの4日間(2〜5日)の売り上げは、前年同期比28%増。クリアランスセール品よりも「プロパー(正価品)がけん引した」(同社広報)という。

大丸松坂屋百貨店も初売りを例年より1日遅くスタートしたことで、営業日数では1日分のマイナス影響があったが、免税客売上高が前年同月比87.5%と、単月として過去最高を更新する好調ぶりでカバーした。高島屋も年始営業は3日からで営業日を1日減らすも、免税売上高の好調(同45.7%)で補った。

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デビアスによるダイヤモンド「フォーエバーマーク」の販売権がジュエリー企業の柏圭に移行

デビアスは2月末、ダイヤモンドブランド「フォーエバーマーク(FOREVER MARK)」の日本国内における販売を終了する。同社は、2021年11月にジュエリー企業の柏圭との合弁会社として「デビアス フォーエバーマーク(DEBEERS FOREVER MARK)」の事業を展開してきた。1月にはブランド名を「フォーエバーマーク」に変更。2月末の合弁会社の解消に伴い、柏圭が事業を引き継ぐ。

「フォーエバーマーク」は、“ビルディング フォーエバー(永遠を築く)”をテーマに、責任ある採掘から消費者に届くまであらゆる過程において、独自の基準を満たしたエシカルなダイヤモンドを使用したジュエリーを提案。世界各国2000店以上の認定ジュエラーで販売されている。

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デビアスによるダイヤモンド「フォーエバーマーク」の販売権がジュエリー企業の柏圭に移行

デビアスは2月末、ダイヤモンドブランド「フォーエバーマーク(FOREVER MARK)」の日本国内における販売を終了する。同社は、2021年11月にジュエリー企業の柏圭との合弁会社として「デビアス フォーエバーマーク(DEBEERS FOREVER MARK)」の事業を展開してきた。1月にはブランド名を「フォーエバーマーク」に変更。2月末の合弁会社の解消に伴い、柏圭が事業を引き継ぐ。

「フォーエバーマーク」は、“ビルディング フォーエバー(永遠を築く)”をテーマに、責任ある採掘から消費者に届くまであらゆる過程において、独自の基準を満たしたエシカルなダイヤモンドを使用したジュエリーを提案。世界各国2000店以上の認定ジュエラーで販売されている。

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オンワードが「カスハラ対策」に本腰 

オンワードホールディングス(HD)は3日、カスタマーハラスメント(カスハラ)に対する基本方針をホームページ上で公開した。客からの要望内容が過剰で妥当性を欠いていたり、従業員の人権が害されると判断された事案に対しては、商品やサービスの提供を取り止めたり、さらに悪質な場合は警察や弁護士に連絡して厳正に対処する。

対象となる行為の一例として「長時間の拘束」「断っているにもかかわらず、執拗に要求を続ける」「暴力、暴言、人格を否定する発言」「(SNSへの投稿などを含めて)従業員の信用を毀損したり、業務を妨害したり行為」などを挙げている。会社としての姿勢を明確にすると同時に、社内にカスハラの報告・相談体制を整備する。

近年カスハラは社会問題化しており、厚生労働省は全ての企業に対して従業員を守る対策を義務付ける方針を示している。また東京都でも「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を4月から施行するなどの動きが見られる。高島屋やしまむらも昨年、カスハラに対する方針を打ち出した。

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【ポーラ・オルビスホールディングス 横手喜一社長】個×個から生まれる化学反応に期待

PROFILE: 横手喜一/社長

横手喜一/社長
PROFILE: (よこて・よしかず)1967年東京都生まれ。一橋大学社会学部卒業後、1990年4月ポーラ化粧品本舗(現ポーラ)入社。2006年フューチャーラボ社長や11年宝麗(中国)美容(ポーラ瀋陽)董事長兼総経理を経て、15年からポーラ執行役員商品企画部長、16年1月にポーラ社長に就任。20年1月ポーラ・オルビスホールディングス取締役グループ海外展開担当などを経て、23年1月から現職 PHOTO : SHUNICHI ODA

紛争や中国経済の低迷など不透明な時代の中でビジネスを遂行するには、スタッフ一人一人の自己理解の深化が必須とし、ポーラ・オルビスホールディングスの横手喜一社長は人材育成に徹する。1月1日付で実施した子会社のポーラ、オルビス、ディセンシアのトップ交代は個々の可能性を広げ、企業の進展を引き起こす一歩となる。

グループ内交流を積極化

WWD:一人一人が持つ思いやこだわり、強みなどを最大限引き出すA Person-Centered Managementを重視する。

横手喜一社長(以下、横手):組織の慣習や業界の常識が通用しない時代に入り、社会や生活者の変化も大きい中で、過去の成功例をなぞる事業のあり方は意味がなくなる。従来にない思いや観点で物事をとらえる必要がある。その元になるのは個が持つ課題認識や問いかけなどの内発的動機付け。それをどう吸い上げてエンパワーメントしていくかが自分の役割だと思っている。

WWD:それを具現化した一例が子会社のトップ交代の人事となる。

横手:ファッションメゾンのデザイナーは3〜5年で交代し、新たなデザイナーがブランドの歴史を再解釈し進化させている。それと同様に経験を積んできた人材に、別のステージに活躍の場を移してもらう。今回、オルビスの社長経験者がポーラの社長に就任、ディセンシア社長経験者がオルビスの社長に就いたが、ぶつかり合いや意見交換があるかもしれない。しかしそこに新しい問いや掛け合わせが生まれるはずだ。これはグループ全従業員にも当てはまることで、さまざまな環境を経験してもらい最適解を見つけてもらいたい。

WWD:グループ内の交流も積極的に実施する。

横手:自分自身もポーラ、フューチャーラボ(16年に売却)、中国の現地法人を経験したことが強みとなっていることもあり、さまざまなグループ横断研修を実施している。幹部クラスが対象の「ビジネス変革塾」や20〜30代の「未来研究会」などを実行してきたが、24年は新入社員を対象とした研修を開始した。従来の枠組みの中ではなく新しい価値観に触れて成長してもらうのが狙いだ。新卒採用に関してもこれまでの子会社ごとに加え、ホールディングス採用も始めた。来春は5人程度入社する予定で、各子会社に数年単位で横断配属し各種ビジネスモデルを経験してもらう。多様なビジネスモデルに触れながらキャリアを積むことは経営者育成にもつながるだろう。

WWD:子会社をどう捉えているのか。

横手:それぞれターゲットとするお客さま像がある。ポーラは美容意識が高く、感受性が豊かで自分の人生を楽しんでいる人から支持されている。ポーラではデジタルカルテを導入したが、カルテを確認すると購入商品のリストはもちろんだが日々の生活に関する会話の内容が記載してあるケースも。販売スタッフとのやりとりを見ていると“お客さま”というより“生活者”と捉えるべきと感じている。彼らの生活を豊かにするサポート役を果たすべきだろう。オルビスは人生で初めて出会うワクワクとドキドキを楽しみたい人に向けて商品やサービスを提供する。24年にドラッグコスメ市場に参入したのもその一環だ。1987年の創業時からの愛用者が1000人以上おり、約200万人の会員を有す。ワクワクの裏側にある繊細な感受性を持つお客さまに手を差し伸べる。アクロは都市生活を送る中で、本来人が持つエネルギーを植物の力で活気づけたいと感じている人に向けて、精油を活用しながら商品やストーリーを伝えていく。

WWD:海外市場については。

横手:ジュリークは現状厳しい状況下にあるが、今後3年で中国と香港、オーストラリア市場で基盤を固め収益性のある体制を構築していく。ポーラは、これまで中国のショッピングモールなどに出店してきたが、25年は富裕層に軸足を向ける。富裕層が住むマンションの近隣に隠れ家的なサロンを開設するなど生活圏に寄り添っていく。富裕層に人脈を持つオーナーを起用し、お客さまファーストの接客を徹底する。こうしたサロンを年内に展開する予定だ。

WWD:4年後に迎える創業100周年に向け、新たな地固めが進んでいる。

横手:売上高は年平均成長率約5%を見込むなど数値目標を達成するのはもちろんだが、当社らしさの再定義をグループ全体で自分事化してもらうことに注力する。A Person-Centered Managementや人と人との掛け合わせなど大切にしている価値観や姿勢を再解釈すると将来が見えてくるだろう。実務的なことでは、既存の化粧品事業だけでなく、美容医療事業などにも取り組み始めている。90年以上肌と心と体のメカニズムを研究してきたデータの蓄積を生かし、社会課題の解決やウェルビーイングの実現など新しい領域を開拓していく。

WWD:未来に掲げる可能性は?

横手:人の可能性に尽きる。人が成長する、経験する、重なり合う、掛け合わさることで生まれる化学反応を期待している。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『取材で自分の出番がなくなること』

子会社の社長はそれぞれユニークで個性的。各社長が手腕を発揮し、それが報じられることで統率するホールディングスからの発信は不要だと「WWDJAPAN」から言われたい。

COMPANY DATA
ポーラ・オルビスホールディングス

基幹ブランドを展開するポーラは1929年創業。2006年に純粋持株会社のポーラ・オルビスホールディングスを設立、10年上場。「ポーラ(POLA)」「オルビス(ORBIS)」を中心に「ディセンシア(DECENCIA)」など多様なブランドを展開し、個々のブランドが持つ独自性を生かしてターゲットにアプローチするマルチブランド戦略をとっている


問い合わせ先
ポーラ・オルビスホールディングス
03-3563-5517

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【ポーラ・オルビスホールディングス 横手喜一社長】個×個から生まれる化学反応に期待

PROFILE: 横手喜一/社長

横手喜一/社長
PROFILE: (よこて・よしかず)1967年東京都生まれ。一橋大学社会学部卒業後、1990年4月ポーラ化粧品本舗(現ポーラ)入社。2006年フューチャーラボ社長や11年宝麗(中国)美容(ポーラ瀋陽)董事長兼総経理を経て、15年からポーラ執行役員商品企画部長、16年1月にポーラ社長に就任。20年1月ポーラ・オルビスホールディングス取締役グループ海外展開担当などを経て、23年1月から現職 PHOTO : SHUNICHI ODA

紛争や中国経済の低迷など不透明な時代の中でビジネスを遂行するには、スタッフ一人一人の自己理解の深化が必須とし、ポーラ・オルビスホールディングスの横手喜一社長は人材育成に徹する。1月1日付で実施した子会社のポーラ、オルビス、ディセンシアのトップ交代は個々の可能性を広げ、企業の進展を引き起こす一歩となる。

グループ内交流を積極化

WWD:一人一人が持つ思いやこだわり、強みなどを最大限引き出すA Person-Centered Managementを重視する。

横手喜一社長(以下、横手):組織の慣習や業界の常識が通用しない時代に入り、社会や生活者の変化も大きい中で、過去の成功例をなぞる事業のあり方は意味がなくなる。従来にない思いや観点で物事をとらえる必要がある。その元になるのは個が持つ課題認識や問いかけなどの内発的動機付け。それをどう吸い上げてエンパワーメントしていくかが自分の役割だと思っている。

WWD:それを具現化した一例が子会社のトップ交代の人事となる。

横手:ファッションメゾンのデザイナーは3〜5年で交代し、新たなデザイナーがブランドの歴史を再解釈し進化させている。それと同様に経験を積んできた人材に、別のステージに活躍の場を移してもらう。今回、オルビスの社長経験者がポーラの社長に就任、ディセンシア社長経験者がオルビスの社長に就いたが、ぶつかり合いや意見交換があるかもしれない。しかしそこに新しい問いや掛け合わせが生まれるはずだ。これはグループ全従業員にも当てはまることで、さまざまな環境を経験してもらい最適解を見つけてもらいたい。

WWD:グループ内の交流も積極的に実施する。

横手:自分自身もポーラ、フューチャーラボ(16年に売却)、中国の現地法人を経験したことが強みとなっていることもあり、さまざまなグループ横断研修を実施している。幹部クラスが対象の「ビジネス変革塾」や20〜30代の「未来研究会」などを実行してきたが、24年は新入社員を対象とした研修を開始した。従来の枠組みの中ではなく新しい価値観に触れて成長してもらうのが狙いだ。新卒採用に関してもこれまでの子会社ごとに加え、ホールディングス採用も始めた。来春は5人程度入社する予定で、各子会社に数年単位で横断配属し各種ビジネスモデルを経験してもらう。多様なビジネスモデルに触れながらキャリアを積むことは経営者育成にもつながるだろう。

WWD:子会社をどう捉えているのか。

横手:それぞれターゲットとするお客さま像がある。ポーラは美容意識が高く、感受性が豊かで自分の人生を楽しんでいる人から支持されている。ポーラではデジタルカルテを導入したが、カルテを確認すると購入商品のリストはもちろんだが日々の生活に関する会話の内容が記載してあるケースも。販売スタッフとのやりとりを見ていると“お客さま”というより“生活者”と捉えるべきと感じている。彼らの生活を豊かにするサポート役を果たすべきだろう。オルビスは人生で初めて出会うワクワクとドキドキを楽しみたい人に向けて商品やサービスを提供する。24年にドラッグコスメ市場に参入したのもその一環だ。1987年の創業時からの愛用者が1000人以上おり、約200万人の会員を有す。ワクワクの裏側にある繊細な感受性を持つお客さまに手を差し伸べる。アクロは都市生活を送る中で、本来人が持つエネルギーを植物の力で活気づけたいと感じている人に向けて、精油を活用しながら商品やストーリーを伝えていく。

WWD:海外市場については。

横手:ジュリークは現状厳しい状況下にあるが、今後3年で中国と香港、オーストラリア市場で基盤を固め収益性のある体制を構築していく。ポーラは、これまで中国のショッピングモールなどに出店してきたが、25年は富裕層に軸足を向ける。富裕層が住むマンションの近隣に隠れ家的なサロンを開設するなど生活圏に寄り添っていく。富裕層に人脈を持つオーナーを起用し、お客さまファーストの接客を徹底する。こうしたサロンを年内に展開する予定だ。

WWD:4年後に迎える創業100周年に向け、新たな地固めが進んでいる。

横手:売上高は年平均成長率約5%を見込むなど数値目標を達成するのはもちろんだが、当社らしさの再定義をグループ全体で自分事化してもらうことに注力する。A Person-Centered Managementや人と人との掛け合わせなど大切にしている価値観や姿勢を再解釈すると将来が見えてくるだろう。実務的なことでは、既存の化粧品事業だけでなく、美容医療事業などにも取り組み始めている。90年以上肌と心と体のメカニズムを研究してきたデータの蓄積を生かし、社会課題の解決やウェルビーイングの実現など新しい領域を開拓していく。

WWD:未来に掲げる可能性は?

横手:人の可能性に尽きる。人が成長する、経験する、重なり合う、掛け合わさることで生まれる化学反応を期待している。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『取材で自分の出番がなくなること』

子会社の社長はそれぞれユニークで個性的。各社長が手腕を発揮し、それが報じられることで統率するホールディングスからの発信は不要だと「WWDJAPAN」から言われたい。

COMPANY DATA
ポーラ・オルビスホールディングス

基幹ブランドを展開するポーラは1929年創業。2006年に純粋持株会社のポーラ・オルビスホールディングスを設立、10年上場。「ポーラ(POLA)」「オルビス(ORBIS)」を中心に「ディセンシア(DECENCIA)」など多様なブランドを展開し、個々のブランドが持つ独自性を生かしてターゲットにアプローチするマルチブランド戦略をとっている


問い合わせ先
ポーラ・オルビスホールディングス
03-3563-5517

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【デイトナ・インターナショナル 佐々木聡社長執行役員CEO】世界のワクワク・ドキドキを届けるカルチャーメーカーに

PROFILE: 佐々木聡/社長執行役員CEO

佐々木聡/社長執行役員CEO
PROFILE: (ささき・あきら)1965年9月3日生まれ、北海道出身。古着店、アパレルメーカーを経て2021年デイトナ・インターナショナル社長執行役員CEOに着任 PHOTO : YOW TAKAHASHI

 NFTプラットフォームの開発や地方自治体と組んだSDGsプロジェクト、映画の配給・宣伝など、さまざまな“フリーク”(熱狂)を内包しながら、多方面に成長する。次に目指すは世界に向けてワクワク・ドキドキを発信するカルチャーメーカーだ。

多様なコミュニティーに向け
新しい体験価値を提供する

WWD:2024年を振り返ると?

佐々木聡社長執行役員CEO(以下、佐々木):人をワクワク・ドキドキさせるクリエイションを生み出し続けることが私たちの変わらないミッションだ。クリエイションというと、モノが想起されがちだが、店舗での接客などすべての業務も同じ。私たちは全てのサービスの根幹にはクリエイションがあると考える。24年も、大きく変化する環境の中で、柔軟にミッションに取り組んできたことで業績も好調だった。また「バイタミックス」などを取り扱うアントレックスとの業務提携やNFTプロジェクトなど新しい挑戦を通して、お客さまにワクワク・ドキドキを提供する幅が広げられたことは成果だ。

WWD:25年、具体的に注力するポイントは?

佐々木:海外展開および取り扱い商品の拡張をさらに強め、それを通じ新しい体験価値を提供する。私たちが目指すのは、お客さまにクリエイションを通じてワクワク・ドキドキをお届けするカルチャーメーカーになることだ。

WWD:カルチャーメーカーになるために必要なことは?

佐々木:売れた、売れないという数字のファクトばかりを見ていては、お客さまが何にワクワク・ドキドキしているのかが分からなくなってしまうので、大切にしていることは「人を感じる」ということ。「これが売れた」といったモノの話で終わらせず、その奥にどんな人々がいるのか、感動、カルチャー、価値観があるのか、を想像し感じることが大切だ。表層的なファクトばかりを見ていては、気持ちの動線が見えなくなってしまう。次の時代のベクトルを見据えてクリエイションすることがワクワク・ドキドキを作るうえで大切にしていること。

WWD:静岡市との包括連携をはじめ、地方自治体との連携を強めている印象だ。

佐々木:さまざまな取り組みの始まりは、茨城県古河市と組んで、当社の店舗の2階にコワーキングスペースを作ったこと。年間何万人といった来店がある中で、お客さまと買い物以外のコミュニケーションが取れるいいコミュニティーになった。静岡では、廃棄される地域の鰹の未利用部位を使ったパスタソースを開発したことを皮切りに始まった。取り組みを進めていくと、今度はわさびの生産者から若者のわさび離れをどうにかしてほしいという依頼があり、その解決のためのアクションなどを行っている。そのほかにも、長野県の耕作放棄地の再生など、デイトナと組むと地域の課題を魅力に変えられるという評価をいただいている。さまざまな取り組みがきっかけとなり、北九州市の小倉城で開催したイベントも、地元コミュニティーの方々からとても喜ばれた。一方で、ローソンと協業し「フリークス ストア」がコンビニアパレル商品を企画するといった取り組みもしている。こうしたさまざまなプロジェクトが、もしかしたらどこかでつながり発展する可能性もある。今はマーケットが「東名阪」と「ローカル」で語られる時代ではなく、どちらの魅力も等価値だ。そんな私たちが感じる各地の魅力を、できるだけ多くの人とシェアしたいし、まだ知られていない新たな魅力の発見にも貢献していきたい。

WWD:地域の課題解決に取り組むメリットをあらためて教えてほしい。

佐々木:私たちが大切にしていることは、「多様な価値観を尊重し繋がる」こと。私たちは、多様な「かっこいい」があり、つながるからこそケミストリーが生まれ、新しいビジネス=ワクワク・ドキドキを生み出すと信じている。地域コミュニティーでの取り組みにおけるメリットは、私たちが多様性を感じ、共創ができる点だろう。自分たちが多様性に対してオープンマインドで接していくことを通じ、自然と次のワクワク・ドキドキとの出合いが生まれることを学んだ。課題がテーマという入り口からさまざな制限がある中でソリューションを生み出すことに意義があり、私たちのクリエイティビティーも成長しコミュニティーが生まれている。

WWD:デイトナ・インターナショナルが感じる未来の可能性とは?

佐々木:コミュニティー(場)・人(クリエイション)・AIの掛け合わせに可能性を感じる。人とAIが生み出していくイノベーションが社会(コミュニティー)の構造を大きく変えていくと感じている。そして人のクリエイションがさらに新しいワクワク・ドキドキを紡いでいく。私たちは先進的なAI企業パークシャ・テクノロジーやサピートとの取り組みなどを通じ、さまざまな領域にAIの導入を進めていく。社員がクリエイティブな業務に使える時間を増やしていった結果、どんな新しいクリエイションが生まれてくるのだろうということに私が大きなワクワク・ドキドキを感じている。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『朝限定ヴァイスヴルスト店を日本で』

ドイツの伝統的なソーセージ、ヴァイスヴルストが好物。現地では出来たてのヴァイスヴルストを朝食に供する。日本の豆腐のように出来たてだけが美味しいこのソーセージの朝限定営業店を作る、または買えるお店ができてほしい。

COMPANY DATA
デイトナ・インターナショナル

1986年茨城県古河市に「フリークス ストア」1号店をオープン。90年デイトナ・インターナショナル設立。96年に渋谷店をオープンし全国へ展開。協業規格住宅「フリークスハウス」、コワーキングスペース「アンドフリーク」、再エネ電カプロジェクト「フリークス電気」、映像事業「フリークスムービー」など幅広く手がける。2024年には、NFTプロジェクト「NFTフリーク」を始動。グループ企業に「イノベーションスタジオ」や「スモーキーサンデー」など。従業員数は811人


問い合わせ先
デイトナ・インターナショナル
03-5770-8798

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【ユナイテッドアローズ 松崎善則社長】新しい価値創造に挑戦し、多面化・多層化を加速する

PROFILE: 松崎善則/社長執行役員CEO

松崎善則/社長執行役員CEO
PROFILE: (まつざき・よしのり)1974年2月22日生まれ。98年4月にユナイテッドアローズに入社。ユナイテッドアローズ渋谷店からキャリアをスタートし、店長職やBY本部長などを経て、2018年4月に上席執行役員に昇格し、同年6月に取締役常務執行役員に着任。20年11月に取締役副社長執行役員に就任。21年4月から現職 PHOTO : KAZUO YOSHIDA

コンサバティブだけでは語れないのが、今のユナイテッドアローズだ。「お客さまの明日を創り、生活文化のスタンダードを創造し続ける」理念に沿って、多面的な可能性の広がりを模索する。

挑戦する社風が生まれた24年
若手社員も活躍

WWD:2025年はどんな1年を目指す?

松崎善則社長執行役員CEO(以下、松崎):新しい価値創造を加速する。ひとつは海外展開の本格化だ。1月には中国・上海の中心部に直営店を初出店する。「ユナイテッドアローズ」の屋号で複数のレーベルを集結する。24年は現地にもよく足を運んだ。一時のバブル景気は終了したものの、5年前、10年前と比べるとだいぶ成熟したマーケットになった印象だ。「ロク」や「エイチ ビューティー&ユース」「ロエフ」などと親和性の高いファッション感度の高い層も多くいる。期待値は高い。もうひとつは日本のよさを再構築する新規事業に挑戦したい。まだ詳しくは言えないが、日本が今日まで大事にしてきたモノ作りや美意識を洋服以外の形で伝え、磨く取り組みを予定している。日本の美意識は、私たちのアイデンティティーとも重なる。今後ユナイテッドアローズを多面化・多層化していく上で、一つのキーワードになる。

WWD:24年は「チャレンジングな1年」を掲げ、さまざまな新規事業を始動した。

松崎:挑戦する社風が醸成されてきた。自発的に新しいスキルを学ぼうとする成長意欲の高い社員も増えた。ただ理想のポートフォリオに向けては、まだ1合目。25年もさまざまなチャレンジを計画しているところだ。

WWD:若手社員の活躍も目立ってきた。

松崎:20代社員をディレクターに起用した「アティセッション」は象徴的だが、そのほかにも「ビューティー&ユース」メンズで若手社員の視点で商品企画やバイイングをしてもらうなど、各ブランドで若手軸の取り組みが増えている。引き続き、次世代社員の活躍にも力を入れる。

WWD:25年3月期の連結営業利益は77億円を見込む。期中に予想を上方修正した。

松崎:24年も気候変動と円安の影響がビジネスを左右する2大要因だったが、いずれについてもうまく対応できた。主力事業は軒並み成長している。長い夏を見越したMDや気温に左右されずファッションへの好奇心を喚起する商品企画が功を奏した。円安や原料高を踏まえた値上げも、きちんと商品の質の改善を伴うことでお客さまにご理解いただけた。今後もシーズンレス対応ができるファッション性の高い商品を拡充する方針だ。これまでオリジナル商品は、インポート商品に比べて利幅が大きいことが優位点だった。しかし、その認識を変えて円安の状況下ならではの戦い方が確立できた。

WWD:新しい立地での挑戦となった麻布台ヒルズ店(UAウィメンズ)の手応えは?

松崎:非常に好調だ。虎ノ門エリアを含め近隣の住人やビジネスパーソンが、少し華やかな日常着を求めに立ち寄る。映画館や美術館などの娯楽施設のある六本木ヒルズとはまた違う買い方が目立つ。当初描いていたような理想的な形になっている。

WWD:24年は茨城県境町と包括協定を締結したことも話題になった。

松崎:日本の人口が減っていく中で、私たちのセンスを活用して何か地方の町に活力を与えるお手伝いができればと考えた次第だ。私たちとしても、普段出店しないような場所に新しい形でユナイテッドアローズに触れていただける機会を作れるのはありがたい。これを機に、各地に取り組みを広げられたらと思っている。

WWD:中期経営計画の主要戦略に掲げる「OMOの推進」ではどんな成果が生まれている?

松崎:24年10月に自社ECサイトの公式アプリのリニューアルを行った。各ユーザーのニーズに沿ったインターフェースの設計の過程にある。当社で買い物してくださるお客さまのうち、会員登録のある方の割合は5割以上に伸びてきた。お客さまの情報があれば、こちらも適切なサービスを届けられる。結果的に高いリピート率も見込める。会員向けプログラムも充実させたことで、年間500万円以上購入される上位顧客数も増えている。

WWD:サステナビリティ活動「サローズ」の進捗は?

松崎:複数の素材メーカーと環境負荷の低い商品開発に力を入れている。「サローズ」と銘打って発信したことで、社内でも環境負荷を下げようというマインドが浸透してきた。次はそれをお客さまに伝えるためにどうコミュニケーション取るか。店頭では、従来品よりも環境負荷の低い商品には下げ札を付けて販売するなどして試みている。

WWD:ユナイテッドアローズが見据える未来の可能性を教えてほしい。

松崎:ユナイテッドアローズがあらゆる形でお客さまの生活に携わらせていただくのが理想だ。ワードローブに1着、洗面所に化粧品が1個、もしくは私たちがリノベーションした住居に住んでいただくなど。お客さまに触れてもらえる可能性はまだまだある。そのためにユナイテッドアローズの多面化・多層化を進めていく。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『世界一周旅行』

時間をかけて、地球のすばらしさを体感するために世界一周旅行をしてみたい。ファッション都市以外にも、訪問したことがない国々で、土地それぞれの風土や暮らしを体感したり、世界遺産を巡ったり、趣味のゴルフもスコットランドなどでしてみたい。

COMPANY DATA
ユナイテッドアローズ

1989年10月設立。90年7月、原宿にセレクトショップ「ユナイテッドアローズ」1号店を開く。東証プライム市場に上場。主力事業は「ユナイテッドアローズ」「ビューティー&ユース」「グリーンレーベル リラクシング」。主なグループ会社にコーエンなど。24年3月期の連結業績は、売上高1342億円、純利益48億円だった。従業員数は3646人


問い合わせ先
ユナイテッドアローズ
03-5785-6325

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マンガで学ぶ「在庫管理の魔術」 第4話:欠品による売上減ってどのくらい? 数%? それとも、時には数十%?

中堅アパレルのチェーンストア「ハンナズ」は、過剰在庫が原因で経営危機に瀕している。社長の安堂平磨は、娘でバイヤーの安堂あい、あいの夫で渋谷店店長の安堂徹に再生を期待するが、2人は「売れ残るリスクを抱えながら在庫を持つべきか?」それとも「売り上げが落ちるリスクを抱えながら在庫を減らすべきか?」で迷い続ける。

「売れた分だけ」補充した渋谷店の売り上げが全国で断トツの1位に輝き、2人は欠品と売り上げの関係性を改めて考えるように。徹は欠品による売上減は数%と軽く見積もるが、あいは「その程度だと思っているの?」と猛反発!

登場人物紹介

第四話

このマンガは、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)も経営陣で読んだとされるTOC(制約理論)の原点にして最高の入門書「ザ・ゴール」を原案としています。「ザ・ゴール」を中心としたマネジメント理論に関する書籍は、ダイヤモンド社が販売中です。

ORIGINAL WORKS:ELIYAHU GOLDRATT、JEF COX
SUPERVISION:YUJI KISHIRA
SCRIPT:TAKEO AOKI
COMICS:YAMA AOTA

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J.フロントが心斎橋で新たな再開発 有力ブランドを誘致

J.フロント リテイリング(JFR)は31日、子会社を通じて大阪・心斎橋の銀行跡地の再開発に参画すると発表した。現在の建物を解体した後、低層店舗を2028年末に開く。有力ブランドの旗艦店を誘致する。

再開発の対象は、御堂筋を挟んで大丸心斎橋店と心斎橋パルコの斜向かいにある心斎橋ビル(旧関西アーバン銀行本社)の土地・建物。敷地面積は約2300平方メートルに、現在、16階建てのオフィスビルが建っている。再開発は、子会社J.フロント都市開発が大阪メトロ、関西みらい銀行、アサヒプロパティズと共に出資する特定目的会社が主導する。出資額や出資比率は非公開。

低層店舗は一等地の利用効率からすれば不釣り合いだが、建築費高騰や人手不足による工期遅れと、訪日客が殺到して店舗の空室率がゼロという心斎橋エリアの状況を鑑み、再開発のスピードを優先させた。将来の高層化も視野に入れる。

JFRは心斎橋エリアを長期的な戦略拠点と位置づけ、大丸心斎橋店と心斎橋パルコの周辺開発を積極的に進めている。御堂筋と長堀通の交差点の角地では、LVMHの不動産開発投資会社と共に「(仮称)心斎橋プロジェクト」を26年開業予定で建設中だ。また24年7月には大丸心斎橋店・南館の土地・建物を保有する会社を子会社化した。エリアの回遊性を高めて、大型商業施設が林立する梅田や難波に対抗する。

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リーバイス、24年度は3%増収 第4四半期は12%増収なるも25年度の見通しは予想を下回る

リーバイ・ストラウス(LEVI STRAUSS以下、リーバイス)の2024年11月期決算は、売上高が前期比2.9%増の63億5530万ドル(約9850億円)、営業利益は同25.2%減の2億6410万ドル(約409億円)、純利益は同15.6%減の2億1060万ドル(約326億円)だった。営業利益と純利益の大幅な減少には、人員削減に関連した費用や資産の減損処理などが影響している。

地域別での売上高は、南北アメリカが同3.7%増の32億60万ドル(約4960億円)、欧州は同2.4%増の16億1790万ドル(約2507億円)、アジアは同2.1%増の10億8240万ドル(約1677億円)だった。販売チャネル別で見ると、卸の売上高が同3.4%減の34億3150万ドル(約5318億円)、小売は同11.3%増の29億2380万ドル(約4531億円)だった。

なお、24年9〜11月期(第4四半期)の売上高は、前年同期比12.0%増の18億3970万ドル(約2851億円)、営業利益は同40.3%増の2億1220万ドル(約328億円)、純利益は同44.0%増の1億8260万ドル(約283億円)と非常に好調だった。

利益率の低い事業から撤退し本業に注力

24年1月に就任したミシェル・ガス(Michelle Gass)社長兼最高経営責任者(CEO)の指揮の下、同社は同年2月、2年にわたる生産性向上計画の一環として、上半期に本社人員の10~15%(500~750人)の削減を発表。4月には利益率が低かったカジュアルライン“デニゼン(DENIZEN)”とフットウエア事業の終了を、10月には傘下ブランド「ドッカーズ(DOCKERS)」の売却先を探していることを明らかにした。こうして非中核事業を整理する一方で、「リーバイス(LEVI'S)」ブランドのさらなる開発に注力し、ウィメンズの強化に取り組んだことが奏功した。

同氏は、「利益率の低い事業から撤退し、ブランド強化に注力したことで、さらに盤石な会社となった。小売と卸のバランスも取れており、改革がしっかりと業績に結び付いている」と語った。

トランプ大統領による関税引き上げへの対策は?

自ら“関税男”を名乗るドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の就任により、米国のアパレルおよび小売業界は関税の引き上げを警戒している。ガス社長兼CEOはこれについて、「当社は現在、世界の25カ国以上から幅広く調達している。また、(トランプ大統領が関税の引き上げ対象として名指しした)中国からの調達は全体の1%未満、メキシコは5%程度と比較的少ない」と説明。「当社の準備は整っている」と懸念の払拭に努めた。

同氏はまた、25年の業績は既存事業ベースで3.5〜4.5%の成長を見込んでいると述べた。しかし、これがアナリスト予想をやや下回っていたことから、同社の株価は決算発表当日の1月29日の時間外取引で、一時は前日比5.8%安の17.29ドル(約2679円)となった。

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リーバイス、24年度は3%増収 第4四半期は12%増収なるも25年度の見通しは予想を下回る

リーバイ・ストラウス(LEVI STRAUSS以下、リーバイス)の2024年11月期決算は、売上高が前期比2.9%増の63億5530万ドル(約9850億円)、営業利益は同25.2%減の2億6410万ドル(約409億円)、純利益は同15.6%減の2億1060万ドル(約326億円)だった。営業利益と純利益の大幅な減少には、人員削減に関連した費用や資産の減損処理などが影響している。

地域別での売上高は、南北アメリカが同3.7%増の32億60万ドル(約4960億円)、欧州は同2.4%増の16億1790万ドル(約2507億円)、アジアは同2.1%増の10億8240万ドル(約1677億円)だった。販売チャネル別で見ると、卸の売上高が同3.4%減の34億3150万ドル(約5318億円)、小売は同11.3%増の29億2380万ドル(約4531億円)だった。

なお、24年9〜11月期(第4四半期)の売上高は、前年同期比12.0%増の18億3970万ドル(約2851億円)、営業利益は同40.3%増の2億1220万ドル(約328億円)、純利益は同44.0%増の1億8260万ドル(約283億円)と非常に好調だった。

利益率の低い事業から撤退し本業に注力

24年1月に就任したミシェル・ガス(Michelle Gass)社長兼最高経営責任者(CEO)の指揮の下、同社は同年2月、2年にわたる生産性向上計画の一環として、上半期に本社人員の10~15%(500~750人)の削減を発表。4月には利益率が低かったカジュアルライン“デニゼン(DENIZEN)”とフットウエア事業の終了を、10月には傘下ブランド「ドッカーズ(DOCKERS)」の売却先を探していることを明らかにした。こうして非中核事業を整理する一方で、「リーバイス(LEVI'S)」ブランドのさらなる開発に注力し、ウィメンズの強化に取り組んだことが奏功した。

同氏は、「利益率の低い事業から撤退し、ブランド強化に注力したことで、さらに盤石な会社となった。小売と卸のバランスも取れており、改革がしっかりと業績に結び付いている」と語った。

トランプ大統領による関税引き上げへの対策は?

自ら“関税男”を名乗るドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の就任により、米国のアパレルおよび小売業界は関税の引き上げを警戒している。ガス社長兼CEOはこれについて、「当社は現在、世界の25カ国以上から幅広く調達している。また、(トランプ大統領が関税の引き上げ対象として名指しした)中国からの調達は全体の1%未満、メキシコは5%程度と比較的少ない」と説明。「当社の準備は整っている」と懸念の払拭に努めた。

同氏はまた、25年の業績は既存事業ベースで3.5〜4.5%の成長を見込んでいると述べた。しかし、これがアナリスト予想をやや下回っていたことから、同社の株価は決算発表当日の1月29日の時間外取引で、一時は前日比5.8%安の17.29ドル(約2679円)となった。

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三菱商事ファッション次期社長に幸氏 2月28日からワールド子会社

2月28日付でワールドが子会社化する三菱商事ファッションは31日、新しいトップ人事を発表した。代表権を持つ会長にワールド出身の西川信一氏、代表権を持たない社長執行役員ライフスタイル本部長に三菱商事ファッション出身の幸晋也(ゆき・しんや)氏がそれぞれ就任する。現任の村田茂・代表取締役社長執行役員兼コンプライアンスオフィサーは退任する。ワールド傘下入りに伴う新社名は後日発表する。

次期社長の幸氏は1991年に三菱商事に入社後、繊維部門や生活産業グループを経て2015年1月に子会社の三菱商事ファッションに移った。営業の要職を歴任し、24年4月に執行役員ライフスタイル本部長に就いた。

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YKKが東京にR&D拠点開設、AIやロボット分野の研究機関やスタートアップと連携

YKKは2月3日、R&D(研究開発)センターの東京オフィスを東京・三田(住所:港区三田3-5-27 住友不動産東京三田サウスタワー19階)に開設する。YKKは世界70カ国・地域に拠点があるが、富山県黒部の本社にあるR&Dセンターを「技術の総本山」として位置づけている。さらなる技術開発力の強化と技術人材の確保などを目的に首都圏に拠点を構えることで、専門技術を有する大学や研究所、スタートアップと連携する。東京オフィスの床面積は約400㎡でオフィス機能に加え、最先端の機器などを設置した実験室も備える。

ターゲットとするのはデジタル技術分野で、具体的にはロボティクス、シミュレーション、スマートファクトリーの専門技術機関とコラボレーションする環境を整える。テーマごとに社外の技術者とネットワークを形成し、より高度なレベルで技術を展開する狙い。当初は5人が常駐し、3年後には30人まで増やす。実験室に設置する機器は「詳細はあかせないが、AIによる画像解析機能を備えたロボットなどを設置する」(YKK広報)という。

YKKは主にファスナーとサッシ/窓事業を展開しているがR&Dセンターはこの2つの事業にまたがる。ファスナー事業では、ファスナーの製造装置から自社で開発・生産、世界の自社ファスナー工場に供給し、ファスナーを生産していることが、同社のファスナー事業の強みの源泉になっている。東京のR&Dオフィスでは28年度までに数テーマを事業分野に落とし込む。

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【コーセー 小林一俊 社長】脱・自前でグローバル化加速 協業などで持続的な未来へ

PROFILE: 小林一俊/社長

小林一俊/社長
PROFILE: (こばやし・かずとし)1962年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、86年にコーセーに入社。91年に取締役マーティング副本部長兼宣伝部長、2004年から副社長を務める。07年から現職。就任直後に「守りの改革」と「攻めの改革」を実行し、V字回復を実現。現在、「Your Lifelong Beauty Partner」を掲げ、一人一人の生涯を彩る活動を推進している PHTO : SHUHEI SHINE

2026年に創業80周年を迎えるコーセーは、純粋持株会社体制への移行を表明した。グループのシナジーを極大化するとともにグローバルでの事業成長と基盤再構築を目指し、同社は“自前主義”脱却へと大きく舵を切る。

M&Aや提携でブランドポートフォリオをより強固に

WWD:昨年、中長期ビジョン「Vison for Lifelong Beauty Partner-Milestone2030」を発表した。

小林一俊社長(以下、小林):30年をマイルストーンとした大きな転換となる指針だ。当社と同じ思いを持つ企業やブランドと相互的な連携を図り、持続的な成長と企業価値向上を目指す「ビューティコンソーシアム構想」の実現を目的とする。これまで研究開発、生産、販促などあらゆる面において自社のリソースで完結することを信条としてきたが、今の時代それが強みになるとは限らない。そこでグローバル戦略の突破口として“脱・自前”に踏み切ることにした。他社と手を組み、当社にない知見を積極的に取り入れ、さらに地域に根付いたブランドを獲得するM&Aや提携によって当社のポートフォリオをより強固にしていくことを目指す。

WWD:タイ発のウェルネスブランド「パンピューリ(PANPURI)」を買収した。その狙いは?

小林:当社が注力するウェルネス領域との親和性も高く、最優先市場となるグローバルサウスを攻略するための一手である。オリエンタルな世界観と香りを打ち出す「パンピューリ」の製品は中国人観光客にも非常に人気があり、現在低調傾向にある中華圏からの需要も見込めるだろう。ありがたいことに百貨店や化粧品専門店からの問い合わせが殺到している。しかしまずはタイ国内でスパブランドである独自の世界観をじっくりと浸透させつつ、グローバルサウスでの展開に注力する。今後もグローバルサウスや欧米での当社のプレゼンスを高めるべく、さらなるM&Aや提携を進めていく。

WWD:30年には海外売り上げ比率を50%以上まで引き上げることを掲げる。

小林:そのためには現地起点のモノ作りやマーケティングも不可欠だ。これまでは日本で企画、開発、製造したメード・イン・ジャパンを強みとしてグローバル展開を推し進めていたため、なかなか海外に根付かせることが難しかった。今後は、モノ作りのローカライズや現地法人への権限移譲も進めていく。さらに、成分やエビデンス重視というグローバルでのトレンドに即応することでスピーディーな韓国コスメに太刀打ちしていくことも急務といえる。当社の厳格な品質基準のため自社製造では難しいものも多かったが、これも“脱・自前”を目指し、最先端の化粧品製造技術やトレンドを知り尽くす海外の大手ODM・OBMメーカーを積極的に活用すればより生産性を上げられるだろう。一方で、昨年7月には山梨県に「南アルプス工場」の建設を開始した。これに伴い、コーセー、生産子会社コーセーインダストリーズ、山梨県の3者で山梨県の豊かな水資源活用による持続可能な社会構築に向けた連携に基本合意した。日本の地産地消モデル工場として発展させていく。南アルプスから湧き出る清冽な水を活用した化粧品はこの土地でしか生み出せない。世界に誇れる唯一無二の価値を提供できるはずだ。

WWD:最近はブランド担当者の顔が生き生きしていると外部からも評判だ。

小林:ここ数年で取り組んでいる組織改革の成果が出てきた。ブランドごとに企画から販促、PRまで一気通貫して取り組める組織体制になったことで、各々が自律的に判断する姿勢が強まった。18年も社長職に就いているおかげで方針がぶれず社員に浸透するのも早くなっている。米MLBロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手に広告出演いただいている「コスメデコルテ(DECORTE)」が表参道エリアをジャックした大型プロモーションは若手の男性社員が企画したもの。若手にも積極的に意見を出してもらい、ブランドの担当者として力をどんどん発揮してもらいたい。

WWD:利益創出にも力を入れる。そのための課題は?

小林:コロナ禍の攻めの戦略として、「コスメデコルテ」「雪肌精(SEKKISEI)」などで広告やプロモーションを積極的に投下した。一定の成果も残せたので、今後は事業の収益性、効率性改善のため、財務面を引き締め、「稼ぐ力」に磨きをかけ新たな市場攻略に振り向けていく。

WWD:25年以降はどんな可能性を見据えている?

小林:iPS細胞技術を活用したパーソナライズ美容製品の開発に向け、アイ・ピースとレジュの2社と技術提携し、医療機関を通じて提供するプロジェクトも始動した。これを機に美容医療分野や異業種からの引き合いも増えた。今後は大学研究機関やODMメーカーとの提携などもありうるだろう。“Your Lifelong Beauty Partner”のビジョンの下、多様なウェルビーイング製品や体験を提供する事業会社を傘下に置く“ホールディングスカンパニー”を目指していく。化粧品の枠を超えて一人一人の健康と美しさを彩る、そんな可能性に満ちた未来を描いている。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『朝の連ドラにコーセー』

NHKの朝の連続テレビ小説で創業者の奮闘ぶりなどを題材にしてもらう。日本の化粧文化や当社の歴史を日本国民に知ってもらうための良い機会になるだろう。キャスティングや配役も勝手に頭に描いており、ぜひとも実現させたい。

COMPANY DATA
コーセー

1946年に、小林孝三郎氏が化粧品の製造販売を行う小林合名会社を創業。48年小林コーセーを設立。60年代後半から香港、シンガポールなどアジア市場を皮切りに、北米、欧州にも積極的に進出。91年CIを導入し、コーセーに社名変更。企業メッセージとして「美しい知恵 人へ、地球へ。」を掲げ、あらゆる活動に組み込むと共に、一人一人の美しさを大切にするアダプタビリティの観点における価値提供を推進している。ブランドは「コスメデコルテ」「雪肌精」「アディクション(ADDICTION)」など


問い合わせ先
コーセー
03-3273-1511

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【日本ロレアル ジャン-ピエール・シャリトン社長】気鋭ブランドが続々と日本上陸 力強い成長を実現

PROFILE: ジャン-ピエール・シャリトン/社長

ジャン-ピエール・シャリトン/社長
PROFILE: 1966年3月13日生まれ、フランス・パリ出身。89年に仏EMリヨン経営大学院を卒業し、91年に仏ロレアル本社に入社。スキンケアブランド「ビオテルム」でキャリアをスタートする。タイや韓国、イギリス、アイルランドにおけるロレアル リュクス事業本部本部長を経て、2008年に「アルマーニ ビューティ」のグローバルプレジデントに就任。13年にアジア太平洋地域(APAC)ロレアル リュクス事業本部ジェネラルマネジャーに就任。21年11月から現職 PHOTO : MASASHI URA

世界最大のビューティ企業、ロレアルグループの日本法人である日本ロレアルは、2024年3月に「プラダ ビューティ」のメイクアップ&スキンケアラインを本格ローンチした。9月には「3CE」、10月には「スキンシューティカルズ」の日本再上陸を果たすなど、日本市場でビジネスを精力的に拡大している。

勢いに乗る多様なブランドを擁し
ビューティ市場をけん引

WWD:24年も日本のビューティ市場は成長したが、そのペースを上回っている。

ジャン-ピエール・シャリトン社長(以下、シャリトン):国内のビューティ市場は24年、インバウンドとローカルの双方の購買力が後押しして、最終的に前年比4〜5%増※1の成長が見込まれている。その中で当社は、昨年に続いて市場を超える成長を遂げる見込みだ。マーケットの成長には、イノベーション、ディストリビューション(流通)、コミュニケーションの3要素が重要だ。革新的な技術を取り入れているか、オフラインとオンラインの流通が強固か、消費者とのエンゲージメントを高めているかが鍵となる。

WWD:3要素にどう取り組んだか。

シャリトン:イノベーションの観点では、「ランコム」を代表する美容液をリニューアルし、新製品“ジェニフィック アルティメ セラム”を発売した。肌本来の自己回復力を促進させる次世代成分を配合するなど卓越した技術が詰まっている。「ラ ロッシュ ポゼ」の保湿クリーム“シカプラスト リペアクリーム B5+​”も日本処方で発売後、「アットコスメ」で上位にランクイン。流通の観点では、楽天と戦略的パートナーシップ契約の締結に向けて合意し、楽天のプラットフォームの消費者データを活用できる目処が立った。2大ブランド「ランコム」と「タカミ」はアマゾンにショップを開店し、百貨店ビジネスも好調だった。消費者とのコミュニケーションとしてインフルエンサー施策も積極的に行っている。

WWD:新ブランドの導入も重なった。

シャリトン:9月に韓国コスメブランド「3CE」、10月に美容施術スキンケアブランド「スキンシューティカルズ」が日本に再上陸した。「3CE」はファッション性の高さで競合優位性がある。拡大に時間はかかるが、初動は良く今後も投資を続けていく。「スキンシューティカルズ」は美容医療機器の研究開発や製造、販売を行うキュテラとのパートナーシップを通じて医師と協働して販売する。あたたかく迎えられて好調なスタートを切った。

WWD:21年に買収した「タカミ」の商況は?

シャリトン:日本ロレアルを介した買収事例における素晴らしい成功例となっている。買収時と比較して売り上げは4倍だ。リピーターの多さとヒーロープロダクト“タカミスキンピール”が売り上げをけん引している。中国や香港、台湾などでも発売しており、欧米への展開も見据える。予想を超える飛躍的な成長で、今後にも期待している。

WWD:「メイベリン ニューヨーク」も成長軌道に乗る。

シャリトン:コミュニケーションをラストマイルマーケティング(ローカルに合わせて調整するマーケティング戦略)という考え方に刷新した。“スカイハイ”の新色“ゆうぐもグレージュ”はその一例。“SPステイ ルミマット リキッド ファンデーション”のアンバサダーにTREASUREの4人を起用し、推し活する消費者の心をしっかりとつかんだ。数週間売り上げ1位※2をキープするなど成功を収めている。

WWD:オンラインの購入体験の向上にも力を注ぐ。

シャリトン:ECは戦略的な成長チャネルだ。ECの売り上げ比率は業界平均の2割を上回って伸長している。自社のECサイトはEフラッグシップと呼び、製品を選んで購入し、受け取った後まで最適な顧客体験を提供する。一方で、楽天やアマゾンではリーチの拡大を狙う。

WWD:サステナビリティ関連で掲げる目標は?

シャリトン:ロレアルグループは25年、全世界の自社拠点を100%再生可能エネルギーに切り替え、プラスチック製パッケージの100%を詰め替えもしくは再利用、リサイクル、堆肥化可能なものに変更する。30年までには製品輸送に関わる温室効果ガスの排出量を16年比で平均50%削減する。一方日本では、社内の250人がプライドパレードに参加したり、同性のパートナーシップ婚も正規の福利厚生を受けられる制度を導入したりするなど、ダイバーシティ&インクルージョンにも注力している。科学の分野で女性の躍進を表彰する「ジュン アシダ賞」も受賞した。

WWD:25年にビジネスで注力することは?

シャリトン:一つは新たなブランド「プラダ ビューティ」「3CE」「スキンシューティカルズ」を成功させること。二つ目は既存のブランドのイノベーションを成長させていくこと。引き続きイノベーション、ディストリビューション、コミュニケーションを軸に拡大していく。

WWD:未来に見据える可能性は?

シャリトン:ロレアルグループにおいて、日本はこれからもインスピレーション源であり続ける。日本は成熟したマーケットで消費者は洗練されており、国内で成功しているアイデアは世界でも通用する。日本ロレアルがアイデアを模索し、世界に広げていきたい。

※1矢野経済研究所調べ
※2インテージ調べ。2024年2〜12月までのバラエティー・ドラッグストアカテゴリー店舗(オンラインを除く)におけるリキッドファンデーション部門での売り上げ金額

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『日本人の才能を開花させたい』

日本には素晴らしい才能にあふれる優秀な人材がたくさんいる。彼らをサポートし、いつの日か私の役職に日本人が就任することを願っている。

COMPANY DATA
日本ロレアル

世界最大の化粧品会社であるロレアルは、小林コーセー(現:コーセー)と提携しサロン向け商品の開発を行う合弁会社ロレコスを1963年に設立。76年に一般向け製品の販売をスタートし、95年には基礎研究所を茨城県つくば市に開設。96年にロレアルの日本法人である日本ロレアルを設立した。2009年、ロレアルが資本参加していた「シュウ ウエムラ」の株式を100%取得。グループ傘下に初めて日本発のブランドが加わった。21年には「タカミ」を買収した


問い合わせ先
日本ロレアル
03-6911-8100

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【ワールド 鈴木信輝社長】アパレル企業の枠を超えた、総合ファッションサービスの実現へ

PROFILE: 鈴木信輝/社長

鈴木信輝/社長
PROFILE: (すずき・のぶてる)1974年8月23日生まれ。京都大学大学院法学研究科卒。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)やローランドベルガー、ボストンコンサルティンググループなどを経て2012年ワールドに入社。15年から常務執行役員。18年から専務執行役員。20年6月から現職 PHOTO : TAMEKI OSHIRO

ワールドは2024年11月に繊維商社・三菱商事ファッション(MCF)の子会社化を発表し、世間をあっと言わせた。また傘下の投資会社を通じてライトオンの経営再建にも乗り出す。鈴木信輝社長はアパレル企業の枠を超えた「総合ファッションサービスグループ」の実現に着々と手を打つ。

川上から川下まで連携し、
さらなる持続的成長をめざす

WWD:MCFの子会社化の狙いは?

鈴木信輝社長(以下、鈴木):BtoB領域を拡大してきたが、ワールドのプラットフォーム事業をもう一段上のステージに上げるためだ。MCFは長くBtoB事業を本業として営んできたBtoB事業運営の知見があり、世界的なサプライチェーンを有し、モノ作りのクオリティーやコストの面で競争力がある。モノ作りのエキスパートが豊富にいる。当社のプラットフォーム事業の成長のドライバーになる。

WWD:川上への投資としては大型案件だ。

鈴木:アパレルでは川下が注目される時代が長く続いた。EC(ネット通販)も含めて消費者起点が何より重要とされた。だが、今は川上にウイングを広げることも求められる。円安や原料高に加えて、地政学上のリスク、サステナビリティの高まりなど、生産の重要性が年々増している。原料までさかのぼるトレーサビリティが求められるし、環境問題の高まりで再生素材も増やす必要がある。時代によって川下と川上の重要性は振り子のように動く。

WWD:ワールドは消費者を起点に小売りから生産までを一気通貫させる「スパークス構想」を1990年代から打ち出してきた。

鈴木:やるべきことの本質は変わらない。お客さまとの接点である売り場と工場をいかにロスなくつなぐか。付加価値の源泉はそこにある。当社には素材や染色など川上の工場を傘下に入れ、川下とつないできた実績がある。誤解のないように言うが、MCFを自社ブランドの生産機能に組み込みたいわけでなく、あくまで他のアパレル企業に向けたBtoBを強化する。昔と今との違いは、スパークス構想をファッション産業全体に広げようとしていることだ。

WWD:普通のアパレル企業とは異なる事業領域だ。

鈴木:当社は「ストラスブルゴ」のような高級セレクトショップから「シューラルー」のような低価格業態、リユース品の買取・販売の「ラグタグ」、高級ブランドバッグの定額レンタルの「ラクサス」(24年12月から持分法適用会社に移行)まで幅広い業能を持っている。一方で生産・販売・店舗開発・内装・システムなどBtoBのプラットフォーム事業も拡充している。ファッションに関する仕事なら何でもできる企業になる。それぞれの事業が緩やかに連帯することで、ファッション産業全体の発展に貢献する。

WWD:傘下の投資会社W&Dインベストメントデザイン(W&DiD)を通じ、ライトオンにTOB(株式公開買い付け)を実施した。

鈴木:これまでもさまざまな経緯で企業の再生に取り組んできた。同じW&DiD経由で、ストラスブルゴや子供服のKPも早々に黒字化させた。なぜ早く立て直せたかといえば、当社のBtoBのプラットフォーム事業が有効に働くからだ。ライトオンは従来に比べて大型案件であり、当社としても腰を据えて再建していく。こうした再生型投資に関しては相談が次々に舞い込む。活躍できる場面はますます多くなるだろう。

WWD:将来への種まきが続いている印象だ。

鈴木:かれこれ10年以上、たくさんの種をまいてきた。見切りをつけたものもあれば、形になったものもある。目指すべき姿のために種をまき、水をやり続けるのが現在のフェーズだ。25年は海外市場にも種をまく。「ラグタグ」でタイの大手企業サハグループと組んで合弁会社を設立し、バンコクに1号店を開く予定だ。24年春にバンコクでポップアップを開催し、ブランド品のリユース販売の潜在需要を感じた。サハグループとは17年に合弁会社ワールド サハ ファッションを設立し、「タケオキクチ」をタイや台湾に出店してきた実績がある。

WWD:屋台骨であるブランド事業では長い夏に対応したMDの再構築が課題だ。

鈴木:気候とお客さまの服選びが変わっているのに、従来の常識を押し付けたら売れないのは当たり前。成功例として「オペーク ドット クリップ」は柔軟なMDできちんと結果を残した。24年秋から私と各ブランドの担当者が大きな部屋に全商品サンプルとカレンダーを広げて、改めてお客さま起点で「この週の各地の気温は?」「どんな仮説でこの週にこの商品を売るのか?」と是々非々で議論することを始めている。商売の基本を改めて徹底するのみだ。

WWD:ブランド事業で成長を見込む業態は?

鈴木:ショッピングセンター向けでは「オペーク ドット クリップ」「グローブ」「インデックス」は堅調だ。百貨店向けでは規模は小さいが「ギャレスト」「オブリオ」が期待できる。ファインジュエリーの「ココシュニック」も新しいニーズをとらえることに成功し、よく売れている。気候対応もそうだが、MDの精度を高めれば、収益はまだまだ底上げできる。既存店の伸び代は大きい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『より深く学びたい』

日々の仕事に追われていると、新しい分野をじっくり勉強する機会がどうしても減ってしまう。世界はこの10年で様変わりした。哲学、地政学、芸術、テクノロジーといった多様な分野の知識を学び直しながら、自分の視座をもっと磨き続けたい。

COMPANY DATA
ワールド

1959年、神戸で婦人ニットの卸売業として設立。93年、小売業に進出。「アンタイトル」「インディヴィ」「タケオキクチ」「シューラルー」「オペーク ドット クリップ」などのブランド事業のほか、プラットフォーム事業、デジタル事業の3セグメントを推進する。子会社として子供服のナルミヤ・インターナショナル、ブランド古着の買取・販売店「ラグタグ」を運営するティンパンアレイなどがある。2024年2月期(国際会計基準、決算期変更のため11カ月の変則決算)業績は、売上収益2023億円、純利益67億円


問い合わせ先
ワールド(代表)
078-302-3111

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【ジョイックスコーポレーション 塩川弘晃社長】「ポール・スミス」を磨き 次世代顧客を獲得する

PROFILE: 塩川弘晃/社長

塩川弘晃/社長
PROFILE: (しおかわ・ひろあき)1967年4月24日生まれ。大阪府出身。大阪大学卒業後、90年に伊藤忠商事入社。「ポール・スミス」「ランバン」「ザ・ダファー・オブ・セントジョージ」などに携わる。伊藤忠イタリー会社(ミラノ)社長、欧州総支配人補佐(ロンドン駐在)などを経て、2020年から現職 PHTO : KAZUO YOSHIDA

ジョイックスコーポレーションは、主力ブランド「ポール・スミス」を磨き上げる。リアル店舗とデジタルを活用し、新しい顧客との接点を作ることが最大のテーマだ。強みであるテーラリング、革小物をはじめとした雑貨の潜在需要はまだまだ大きいと塩川弘晃社長は考える。

革小物とジュエリー、
そして強みのテーラリング

WWD:「ポール・スミス」は2024年ホリデーシーズンのキャンペーンにSEVENTEENのJEONGHANを起用した。

塩川弘晃社長(以下、塩川):力を入れたキャンペーンだった。既存店はもちろん、ラフォーレ原宿と心斎橋パルコでは革小物やジュエリーなどギフトをテーマにしたポップアップを開催した。渋谷駅ハチ公口でのインパクトのある屋外広告、加えてSNSでの露出も積極的に仕掛けた。日本上陸から40年以上が過ぎ、お客さまも40〜50代が中心になっている。KOL(キー・オピニオン・リーダー)の起用によって20〜30代にリーチするのが目的だ。反響は大きく、手応えを感じている。今後もマーケティング投資に注力するつもりだ。

WWD:25年は何を仕掛けるのか。

塩川:2つの軸がある。1つはKOLの起用に代表される若い世代の取り込み。ここでは革小物やジュエリーを前面に押し出す。もう1つは大人の世代を中心に、改めてテーラリングを訴求する。テーラリングはポール・スミス氏が最も得意とするところ。ブランドの強みのカテゴリーを生かす正攻法だ。

WWD:新しい顧客をつかむ策はあるか。

塩川:デジタルの活用で接点を増やさなければいけない。若い世代ほど価値と価格のバランスに厳しい目を持つ。商品を探す際、まずECサイトで価格のフィルターをかけ、気に入ったものがあれば来店する。ブランドの感度と品質を守った上で、手を伸ばせば届くエントリー商品が必要だ。財布などの革小物であれば2万円以下、スーツであれば10万円以下。全体の価格を下げるのではなく、あくまで入り口を広げ「ポール・スミス」の商品を体験してもらいやすくすることで新しい顧客を獲得していく。

WWD:革小物が入り口になっている例が多いと聞く。

塩川:そう、革小物は重要だ。25年春から当社企画の商品も市場に投入することになった。これまで以上にマーケットインのMDを組めるだろう。百貨店の平場は当社にとって初の取り組み。情報の収集・分析をしっかり行い、平場とブティックとで相乗効果を出す。23年から当社に移管されたウィメンズとともにブランドの世界観を磨いていきたい。

塩川:長い夏への対応も課題だ。

鈴木:「ポール・スミス」に関しては5月から10月の6カ月間を夏と捉え、5〜7月と8〜10月の前半・後半に分けてMDを考える。カットソーや布帛シャツなどの軽衣料でメリハリを出し、鮮度を高める。また話題性のあるコラボレーションや雑貨類を充実させ、天候リスクに左右されないようにする。重衣料で成長した会社だけに意識の切り替えはなかなか難しいが、もうけの構造にメスを入れないと立ち行かなくなる。スーツ、ジャケット、コートは売るべき時期にしっかり売ればいい。もともと「ポール・スミス」は店頭でセールをしない。それだけに適時・適品の精緻なMDを追求しなければいけない。

WWD:「ポール・スミス」は独立した会員プログラムを23年に導入している。

塩川::リアル店舗と自社ECの顧客データを一元化し、活用する体制は整った。現在はカスタマープロファイル別に施策を実施し、その効果を検証している。1度購入していただいたお客さまを2度目の購入に促すコミュニケーションの仕組みを構築したり、また、お客さまにブランドへロイヤルティーを感じてもらえるようさまざまなCRM施策を仕掛ける。

WWD:それ以外のブランドは?

塩川:「ランバン オン ブルー」から昨年4月、ファミリー層を対象にした実験的なライン「エッセンシャル」をスタートした。ラフォーレ原宿のポップアップではインバウンド(訪日客)がけん引してよく売れた。引き続きECでテストを重ねていく。「ザ・ダファー・オブ・セントジョージ」でも23年に始めた「ザ・ダファー・アンド・ネフューズ」の調子がいい。高感度なセレクトショップに絞った展開だが、若い世代からの評価が高く、ブランド価値向上にもつながっている。

WWD:将来を担う人材は育っているか。

塩川:一昨年「ポール・スミス」のウィメンズ事業が当社に移管され、約20店舗の販売員や内勤スタッフが入社した。女性社員が一気に40人前後増えた。その中には当社の将来を担う幹部候補となる人材もいる。当社は紳士服出身のため、良くも悪くも男性的な企業体質があったが、女性社員が増えたことによる化学変化が起こりつつある。従来の常識にとらわれないアイデアが現場から上がってきている。彼女たちの力を最大限に生かせる環境を作るのが私の仕事だ。女性社員の活躍に大きな可能性を感じている。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『ゴルフでシングルプレーヤーになる』

ゴルフではさいわい80台のスコアは出せるものの、何度挑戦しても80を切れない。今年は必ず70台でシングルプレーヤーの仲間入りをしたい。グリーン上では全身、当社の「サイコバニー」を着て、私自身が広告塔になる。だからスコアにはこだわる。

COMPANY DATA
ジョイックスコーポレーション

1971年設立。82年に英国ポール・スミス社と提携。その後、海外の複数のブランドとパートナーシップを結び、現在日本に170店舗以上を運営する。2024年3月期の売上高は304億円。伊藤忠商事のグループ会社の一つ


問い合わせ先
ジョイックスコーポレーション
03-5213-2500

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スイス発「オン」、大学陸上界を代表するランナー篠原倖太朗選手とアスリート契約

スイス発のスポーツブランド「オン(ON)」はこのほど、駒澤大学陸上競技部主将で、5000メートルとハーフマラソンの日本人学生記録保持者である篠原倖太朗選手とアスリート契約を結んだ。「日本のランニングシーンは、長い歴史と熱狂的なファンに支えられており、大きなポテンシャルを秘めている。今回の契約は、日本をはじめとする新たな市場に積極的に展開していく上で重要な一歩」と、「オン」のアスリートマネジメント担当者はコメントしている。

篠原選手は、「大学陸上界を代表するランナーの1人」(発表リリースから)であり、日本だけでなく近年は中華圏からの注目度も高まっている箱根駅伝には2年時から3年連続出場を果たした。今年は各大学のエースが集まる2区を「オン」の“クラウドブーム 4(Cloudboom 4)”で走り区間4位、駒沢大学は総合で2位となった。4月からは富士通陸上競技部に所属し、9月に東京で開催される世界陸上や28年のロサンゼルス五輪出場を目指す。

篠原選手は、「『オン』は自分に寄り添ってくれるブランド。東京で開催される世界陸上に日本代表として出場する序とが、今年最大の目標」とコメントしている。

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スイス発「オン」、大学陸上界を代表するランナー篠原倖太朗選手とアスリート契約

スイス発のスポーツブランド「オン(ON)」はこのほど、駒澤大学陸上競技部主将で、5000メートルとハーフマラソンの日本人学生記録保持者である篠原倖太朗選手とアスリート契約を結んだ。「日本のランニングシーンは、長い歴史と熱狂的なファンに支えられており、大きなポテンシャルを秘めている。今回の契約は、日本をはじめとする新たな市場に積極的に展開していく上で重要な一歩」と、「オン」のアスリートマネジメント担当者はコメントしている。

篠原選手は、「大学陸上界を代表するランナーの1人」(発表リリースから)であり、日本だけでなく近年は中華圏からの注目度も高まっている箱根駅伝には2年時から3年連続出場を果たした。今年は各大学のエースが集まる2区を「オン」の“クラウドブーム 4(Cloudboom 4)”で走り区間4位、駒沢大学は総合で2位となった。4月からは富士通陸上競技部に所属し、9月に東京で開催される世界陸上や28年のロサンゼルス五輪出場を目指す。

篠原選手は、「『オン』は自分に寄り添ってくれるブランド。東京で開催される世界陸上に日本代表として出場する序とが、今年最大の目標」とコメントしている。

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LVMH、24年は減収減益 アルノー会長は米国での製造拠点拡大を検討と発言

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の2024年12月期決算は、売上高が前期比1.7%減の846億8300万ユーロ(約13兆7186億円)、営業利益は同16.2%減の189億700万ユーロ(約3兆629億円)、純利益は同17.3%減の125億5000万ユーロ(約2兆331億円)と減収減益だった。

なお、24年10~12月期(第4四半期)の売上高は前年同期比0.07%減の239億3000万ユーロ(約3兆8766億円)とほぼ横ばいで、7~9月期(第3四半期)の同4.4%減の190億7600万ユーロ(約3兆903億円)と比べ回復の兆しが見えている。

部門別の通期の売上高は、スターブランドの「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」と「ディオール(DIOR)」を抱える主要事業のファッション・レザーグッズ部門は前期比2.6%減の410億6000万ユーロ(約6兆6517億円)、「ティファニー(TIFFANY & CO.)」「ブルガリ(BVLGARI)」「タグ・ホイヤー(TAG HEUER)」などを擁するウオッチ&ジュエリー部門は同3.0%減の105億7700万ユーロ(約1兆7134億円)といずれも減収。ワイン&スピリッツ部門は、主に中国市場における高級酒の需要が減速していることや為替の影響により、同11.2%減の58億6200万ユーロ(約9496億円)だった。

免税店のDFSなどを運営するセレクティブ・リテール部門は、化粧品のセレクトショップ、セフォラ(SEPHORA)が貢献し、同2.1%増の182億6200万ユーロ(約2兆9584億円)と微増。香水&コスメティクス部門はフレグランスが引き続き堅調で、同1.8%増の84億1800万ユーロ(約1兆3632億円)だった。

地域別の売上高を見ると、フランスが同2.6%増の70億900万ユーロ(約1兆1354億円)、フランスを除く欧州は同2.8%増の145億3800万ユーロ(約2兆3551億円)と堅調。円安とインバウンド需要が続く日本は同18.4%増の74億7500万ユーロ(約1兆2109億円)と好調だったものの、日本を除くアジア太平洋地域は景気回復が遅れている中国を抱えていることから、同12.5%減の232億4600万ユーロ(約3兆7658億円)だった。回復基調にある米国は、同1.0%減の215億5400万ユーロ(約3兆4917億円)と微減だった。

「米国には楽観主義的な風が吹いている」とアルノー会長兼CEO

ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者(CEO)は、アナリスト向けの決算説明会で、1月20日に行われたドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の就任式に出席したことについての質問を受け、「米大統領の就任式に招かれて断る人などいない」と回答。「私はロナルド・レーガン(Ronald Reagan)元大統領の時代から米国の大統領と親交があり、トランプ大統領とも長年のつきあいがある」と説明した。実際、アルノー会長兼CEOは、17年1月には第一次トランプ政権の発足に先立ちニューヨークのトランプ・タワーで会談している。また、19年に「ルイ・ヴィトン」がテキサス州・ジョンソン郡にレザーグッズ用の工房を新設した際には、オープンを記念した式典にトランプ米大統領が参加した。

アルノー会長兼CEOは、トランプ大統領が米国に製造拠点を置く企業の法人税率を21%から15%に引き下げることを掲げていることに触れ、「当社は米国内でさらに工場を新設してほしいと関係当局から要請されているが、前向きに検討したいと思う」と述べた。一方、フランスでは国家予算の穴埋めのため大企業に追加課税をする案が検討されており、冷たいシャワーを浴びせられたような心地がする上、官僚主義がはびこっていると指摘。「米国には楽観主義的な風が吹いている」とトランプ政権を評価したが、同大統領が行うと見られている関税の引き上げについては言及しなかった。

同氏ははまた、中国市場の景気停滞について、「中国では引き続き高品質な商品の人気は高い。いずれ需要は回復すると見込まれるが、(回復基調にある)米国市場よりも時間がかかると思う。2年程度はかかるのではないか」との見方を示した。

短期間でのデザイナー交代は「厳しい」

最近、ブルームバーグ(BLOOMBERG)は「ティファニー」の、投資銀行HSBCは「ディオール」の業績が芳しくないと報じた。アルノー会長兼CEOはこれについて、「ティファニー」の24年第4四半期の売上高は現地通貨ベースで9%増だったことを説明。「ディオール」についても、他社傘下のクチュールメゾンと比べて好調だったと述べた。

同氏はまた、LVMHが擁する「ロエベ(LOEWE)」のジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)=クリエイティブ・ディレクターが、「ディオール」のウィメンズを率いるマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)=アーティスティック・ディレクターの後任となるのではないかという臆測について、「それは仮説であり、何もアナウンスされていない」と話し、うわさに関するコメントは差し控えるとした。

なお、LVMHが擁するブランドの中では、「ジバンシィ(GIVENCHY)」が24年9月にサラ・バートン(Sarah Burton)を、「セリーヌ(CELINE)」が同10月にマイケル・ライダー(Michael Rider)を、それぞれクリエイティブのトップに迎えている。人事異動は企業活動に付き物としつつも、アルノー会長兼CEOは、クリエイティブ・ディレクターが短期間で交代する昨今の風潮を好ましく思っていないことを示唆。「グループ内に最高のデザイナーが何人もいて、長期的な関係を築けていることをとても幸運に思う。彼らとは、ほかのメゾンで見かけるようなビジネスライクなものではない、それをはるかに超えた深い関係にある。継続性は非常に重要であり、(ラグジュアリーブランドにおいて)あまりに頻繁にデザイナーが交代するのは厳しい」と述べた。

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【2月5日まで早割受付中】2025-26年秋冬メンズトレンドセミナー ミラノ&パリコレから爆速で単独初開催

トレンドキーワードからヒットアイテムまで
「WWDJAPAN」恒例トレンドセミナーのメンズ版を開催!

「WWDJAPAN」は2月26日、毎シーズンの恒例となったトレンドセミナーのメンズ版を単独初開催します。ご好評いただいているウィメンズのトレンドセミナー同様、第1部は1月に開かれた2025-26年秋冬のミラノ&パリ・メンズ・ファッション・ウイークから、時流を読み解くキーワードと共に注目ブランドの最新コレクションを解説。実際パリに参加したデザイナーも招き、トップクリエイターが今という時代をどう捉え、ゆえにどんな洋服を提案しようと考えたのか、クリエイションの源泉や背景を探ります。第2部は、百貨店のトップバイヤーを招き、同じくミラノ&パリのメンズブランドから、アイテムや素材、色柄、スタイリングなどのトレンドをディスカッション。最新コレクションの発表から1カ月で、発売前の「WWDJAPAN」メンズ特集号をお手元に届けて、来季のメンズシーンを展望します。

このような人におすすめ

・メンズブランドのデザインや企画、MDを担当する皆さん
・ブランドと共にメンズウエアを手掛けるOEM、ODM企業の皆さん
・来季の売り場を考えるバイヤーやショップスタッフの皆さん
・メンズファッションの情報を発信するメディアやインフルエンサーの皆さん
・ライバルブランドがどんな思いを込めて、何を発表したのか知りたいラグジュアリーブランドの皆さん

 

クーポンコードをご利用の方は、申し込み画面で入力してください
有料会員の方はこちらからクーポンコードを取得してください



プログラム

【Session#1】19:00~19:45(45分)

デザイナーと探る 2025-26年秋冬メンズの潮流とは?

第1部では、「WWDJAPAN」のメンズ担当記者が25-26年秋冬メンズのトレンドを総括。前シーズンまでの流れや、リアルマーケットの動向を踏まえ、新しいシーズンの潮流をキーワードと共に解説。こうしたムードを体現したコレクションを発表した代表的なブランドを動画を交えて読み解きます。さらに台頭する日本人デザイナーにフォーカスする特集を踏まえ、パリでコレクションを発表したばかりのデザイナーが登壇。トップクリエイターは今という時代をどう読み解き、どのようにしてブランドらしく、現代を生きる消費者に向けた洋服を作り、パリコレで発表したのかを伺います。

ゲストスピーカー:近日公開
スピーカー:大塚 千践/WWDJAPAN副編集長
PROFILE:(おおつか・かずふみ)1982年生まれ。書籍やカタログ、メンズファッション誌などの編集を経て2015年にINFASパブリケーションズに入社。主な取材分野は国内外のメンズファッション。「WWDJAPAN」「WWDJAPAN.com」の海外メンズ・コレクションや東京ファッション・ウイークの速報、メンズのリアルトレンド特集などを担当している
スピーカー:藪野 淳/WWDJAPAN欧州通信員
PROFILE:(やぶの・じゅん)大阪府出身。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション卒業後、「WWDJAPAN」の編集記者として、パリやミラノのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手がけている。20年2月から「WWDJAPAN」欧州通信員。20-21年秋冬シーズンからウィメンズ、24-25年秋冬からはメンズ・ウィメンズ両方のトレンド分析を担当している

【Session#2】19:45~20:30(45分)

トップバイヤーと分析する、25-26年秋冬のヒット候補は?

第2部は、引き続きメンズ担当記者がアイテムから素材、色柄、ディテール、バッグ&シューズに至るまでトレンドを解説。伊勢丹新宿本店メンズ館の椋田暁バイヤーは、売り場から海外コレクションの動向を踏まえ、「WWDJAPAN」が提案するトレンドがヒットする可能性を展望します。このパートの資料は、3月3日に発売する「WWDJAPAN」のメンズ特集号。ご受講いただく皆さんには、一足早く、「WWDJAPAN」を手にしていただけます。企画はもちろん、売り場づくりや接客フレーズまで、来シーズンのマーケットに臨むためのアイデアを蓄えてください。

ゲストスピーカー:椋田 暁/三越伊勢丹 第2MDグループ 新宿紳士商品部 メンズクリエーターズ2 バイヤー
PROFILE:(むくた・あきら)2018年に株式会社三越伊勢丹に入社。入社以来、伊勢丹新宿店メンズ館 メンズクリエーターズにて販売・バイヤー業務に従事。2024年より現担当の伊勢丹新宿店メンズ館 メンズクリエーターズ2のバイヤーに着任。TOKYO FASHION AWARD 2025 審査員
スピーカー:大塚 千践/WWDJAPAN副編集長
スピーカー:藪野 淳/WWDJAPAN欧州通信員

※講義内容は予告なく変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。

【Extra】20:40 ~21:30(40分)

ミートアップ

会場受講の方はセミナー終了後、登壇記者も参加するミートアップにご参加いただけます。ドリンクを用意しておりますので、さらなるコミュニケーションの場としてご活用ください。また、ミートアップ開始前に、本セミナーの会場であるWovn Technologies株式会社よりサービスをご紹介させていただく時間がございます。

 


インフォメーション

日時

2025年2月26日(水)19:00〜21:30
※講座開始30分前から会場受付開始

実施方法

会場 または オンライン受講
※受講前日と当日に、ご案内メールをお送りしますので、ご入力にお間違いがないようご注意ください。セミナー当日は受付にてメールをご提示ください。
※オンライン受講の方は、ご案内メールに視聴用URLを記載しております。また、OneStreamでの配信を予定しています。
※ご案内メールが届かない場合は迷惑メールフォルダなどもご確認ください。
※セミナー終了後、会場&オンライン受講者へのアーカイブ配信の案内はありませんのでご了承ください。後日アーカイブ動画は、単体で購入することが可能です。

会場

WOVN Studio Tokyo
東京都港区南青山2-26-1D-LIFEPLACE南青山9F

募集人数

会場:50名
オンライン:100名

募集期間

2025年1月29日(水)〜 2025年2月25日(火)12時まで
【早割10%OFFキャンペーン】
2/5(水)18時までのお申し込みで、一般価格から10%OFFで受講いただけます。
申し込み画面でクーポンコードを入力してください。
クーポンコード:D4MAVT3N

受講料金

一般価格:22,000円19,800円 早割10%OFF
スタンダードプラン:15,400円 30%OFF
ライトプラン:19,800円 10%OFF
※表示価格は全て1名様分、税込です。
※他のクーポンとの併用はできません。
※早割期間内であっても、募集人数に達し次第受け付けを締め切らせていただく場合がございます。

特典

2月3日発行「2025-26年秋冬メンズコレクション速報」特集

クーポンコードをご利用の方は、申し込み画面で入力してください
早割クーポンコード【D4MAVT3N】/有料会員の方はこちらからクーポンコードを取得してください

注意事項

・受講料は会場とオンライン同額です。
・割引価格はクーポンをご利用時に適用となります。スタンダードとライトのクーポンコードはマイページをご確認の上、申し込み画面で入力してください。
・申し込みの受け付けは先着順です。募集人数に達し次第締め切らせていただきます。
・申し込み完了後のキャンセルは受け付けておりません。
・定期購読者で会員登録がお済みでない方はこちら
・本ページでのお支払いはクレジットカードのみとなります。コンビニ支払いをご希望の方はこちら
・適格請求書(領収書)の発行は、こちらから。記載のお宛名をご入力の上ご連絡ください。
弊社登録番号:T5-0110-0104-4278
・当日は会場内に撮影用のカメラが入ります。撮影した動画や写真は、「WWDJAPAN」Weeklyやウェブサイト、公式SNSなどで掲載する場合があります。ご了承いただける方のみお申し込みください。

 

講座終了後、アーカイブ受講の販売を予定しております。

 

問い合わせ先
INFASパブリケーションズ カスタマーサポート
お問い合わせフォームはこちら

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デザイナーと探る 2025-26年秋冬メンズの潮流とは?

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トップバイヤーと分析する、25-26年秋冬のヒット候補は?

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会場

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「コーチ」グローバルCMOが語る バッグメーカーから“自己表現のプラットフォーム”への脱皮

米タペストリー傘下の「コーチ(COACH)」はここ数年、老舗レザーブランドとしてのヘリテージを守りながら、着実に進歩を遂げてきた。

高品質な製品を、手に届くリアルな価格で提供する。そんな“アフォーダブル・ラグジュアリー”の先にある価値を追求するため、“エクスプレッシブ・ラグジュアリー”を合言葉に、Z世代やアルファ世代などの若者の間で共感と支持を広げてきた。

バッグなどの生産工程で派生した端材などを生まれ変わらせて作る姉妹ブランド「コーチトピア(COACHTOPIA)」が象徴的な取り組みの一つだ。世界中のZ世代と「ベータ・コミュニティー」を形成し、サステナブルな価値観や考えを深めている。

「私たちはバッグを作るメーカーから、次世代の若者の自己表現のプラットフォームとして生まれ変わりたい」。そう語るのは、このほど来日した「コーチ」のグローバルチーフマーケティングオフィサー(CMO)であるサンディープ・セス(Sandeep Seth)氏。革製品メーカーを超えた視座でビジネスに取り組む「コーチ」のこれからをサンディープ氏に聞いた。

WWD:まず「コーチ」のグローバルビジネスの概況について聞きたい。

サンディープ・セス「コーチ」グローバルCMO(以下、サンディープ):堅調に成長している。それも健全に、値引きに頼らないビジネスができている。地域別では、まずアジアが好調だ。韓国では一昨年12月に着任した責任者の下で、商品企画の全面ローカライズを行った。また、ラッパーのイ・ヨンジを起用した2023秋のグローバルプロモーションは、現地のセレブのファッションや生活様式などを反映したクリエイティブが反響を呼んだ。

中国はマクロ経済の見通しが厳しいが、同国のZ世代の人口は5000万を超えるほどの規模がある。データ上では、私たちはそのわずか1%しか顧客化できていない。伸び代はまだまだあるということだ。北米もここしばらく景気が後退していたが、状況は良くなっている。ニューヨークの旗艦店のスタッフからは先日、「これまでで(単日の)最高の売り上げを達成した」という報告のメッセージが届いた。そして欧州ではここ2、3年、過去にないほどの伸長率を見せている。

WWD :好調要因をどう分析するか。

サンディープ:ターゲットを的確に理解し、求められている体験を届けられれば、よい反応を得られるということだ。コーチの80年以上のヘリテージは、変化の上では足かせにもなり得る。ときに、「シニアのためのブランド」と捉えられることもあった。だが近年は、次世代にふさわしいブランドに向け、着実なアップデートができている。強みのレザーバッグは、ブランドのヘリテージを大切にしながら若い層に向けて新鮮なエッセンスを提供できている。例えばアイコンバッグの“タビー”(TABBY)はZ世代の関心を引くような、これまでにない色や形の展開を広げた。“ブルックリン”“エンパイア”といった、ブランドのコアを再解釈し、新鮮な要素を取り入れた商品開発にも取り組んでいる。フットウエア、特にスニーカーは次なる柱に成長させられる確信があるから、もっと展開を強化したい。25年春夏のランウエイにも登場したスニーカーの“ソーホー”は私自身も愛用している、すばらしい一足だ。

WWD:ニューヨークで発表した25年春夏コレクションは、自由でポジティブな表現が目を引いた。

サンディープ:それが伝わって何よりだ。私たちは高品質な製品を通じたラグジュアリーな体験を、インクルーシブな価格帯で、なるべく多くの人に提供する。この価値はこれからも変わらないだろう。ただ、商品はあくまでブランドの一部であり、“Courage To Be Real(リアルに生きる勇気)”という我々のパーパスを実現する上での、重要なピースの一つだと捉えている。私たちは3年ほど前から“エクスプレッシブ・ラグジュアリー”という新しい合言葉の下に変革を進めている。

WWD:“エクスプレッシブ・ラグジュアリー”とは。

サンディープ:セルフ・エクスプレッション。つまり自己表現をする人に自信を持ってもらえるような、新しい価値のこと。ラグジュアリーはこれまでステータスやロゴが重要視されてきたが、その価値観はZ世代やα世代の中で大きく変容している。彼・彼女たちにとってラグジュアリーとは、「見せびらかし」ではなく、自己表現そのものだ。

今、若い世代は2つの大きな変化の中にいる。一つはソーシャルメディアによる世界の変容。SNSでは、自分たちの行いや思いが全て記述されている。私の子供時代は、私のことは私の周りの友人しか知り得なかったが、今はそこに自分の全てが表現されているわけだ。今の若者は、自己表現への感度や意識が、私たちの子供の頃とまるで違う。

オンラインとオフラインが融和した世界の複雑さが、さまざまな個性や表現を生んでいる。1人のおとなしい若者が、ティックトックだとアグレッシブな性格に変わり、インスタでは別の人格で表現している。そんなことはザラにあるだろう。バーチャルアバターを持っているかもしれない。たくさんの自己表現の形が生まれる中で、「コーチ」は若い世代の自己表現のプラットフォームになりたいと考えている。

自己表現は、「Courage to Be Real」のパーパスを実現する上で欠かせないもの。24年秋冬の“Unlock Your Courage”(自分らしさの、その先へ)』のキャンペーンは、完璧さを求めることは、時に自己表現の妨げになることもあるからこそ、「ありのままの自分を受け入れる勇気を持ってもらいたい」というメッセージを込めた。

WWD:23年にスタートした姉妹ブランド「コーチトピア」は、Z世代を巻き込みながら、サステナビリティに本気でコミットしている。

サンディープ:「コーチトピア」は、「コーチ」のバッグを製造する上で生まれた歯切れから作られている。エンジニアリングに求められる投資や技術力は非常にヘビーなものだが、このようなイノベーションに、商品開発レベルから深く取り組んでいるファッション企業は他にはないと自負している。若い顧客を中心に非常にいいリアクションを頂いていて、発売後はすぐに完売することが多々ある。

「コーチトピア」では、Z世代を巻き込んだ「ベータ・コミュニティー」というグローバルコミュニティーを作っている。ファッション業界が与える環境負荷への課題認識を共有する学生やクリエイター、環境活動家など約200人が所属していて、各地でサステナビリティにまつわる意見交換などを通じ、考えを深めている。これも「自己表現の場」として、コーチが目指すべきモデルケースの一つになっている。

「コーチ」、Z世代200人と共創 循環型ブランド起点に広がるコミュニティー

WWD:新世代の価値観にキャッチアップするためには?

サンディープ:新しいチャレンジを連続すること。多くの人は壊れそうなものがあったら、そっとしておくはずだ。だが私は、まだ壊れていないものがあったら「壊せ」と言う。そこからまた、新しいものを作ることができる。でないと、周りから取り残されてしまう。足を止めてしまってはダメなんだ。今の世の中において物事の移り変わるスピードは加速度的だ。変化を理解し、予測するには、消費者を洞察することが欠かせない。

WWD:「洞察」とは具体的に?

サンディープ:僕はビジネスで「マジック」と「ロジック」という言葉を頻繁に使う。お客さまを魅了するマジック(魔法)を使うには、ビジネスのターゲットについて理解しないと、効力を発揮しない。そのロジック(論理)を理解するための材料がデータだ。ただ、定量調査だけでは足りない。傾向が分かっても、その背景が分からなければ、使い物にならない。だから定性調査、つまりリアルに“人”と接することが必要だ。

私は、オフィスで腰を落ち着けていることはあまりない。世界を飛び回り、各国のお客さまの自宅を訪問し、今の生活についてや憧れ、リアルな思いを聞いている。クローゼットの中身も見せてもらう。服を着たとき、バッグを持ったときにどういう気持ちになるか?を聞く。もちろん、お買い物にも同行させていただく。お客さま1人と4、5時間を一緒に過ごしていることはザラだ。

この前はソウルで、男の子のコンピューターゲームの集まりについて行って、若者たちに怪訝な目で見られたよ(笑)。福岡では24歳の女性に会って、ひどく感銘を受けた。彼女は学校を中退していて、ソーシャルメディアで2万人のフォロワーがいた。彼女が世の中をどういうふうに見ているかを話してくれた。きっとこの世代だったら、世界のあらゆることを変えられると感じた。そして、私の家にいる2人のZ世代、19歳の息子と14歳の娘からも常に学ぼうとしている。

WWD:若者たちから感じることは?

サンディープ:みんな、葛藤している。自己表現はしたいけれど、周りが受け止めてくれるかどうか?と悩んでいる。服をどう着こなし、どう行動したらいいか分からない。一歩が踏み出せないんだ。だから「コーチ」は彼・彼女たちに寄り添える、自己表現のプラットフォームになりたい。自信を持って自己表現するための、インスピレーション源になりたい。

だからバッグマーケットのシェアをひたすら奪取しようという視点からは、もうすでに離れている。「コーチ」といえば“バッグ”ではなく、“自己表現の場所”。皆さんからそう思ってもらえることを、心から望んでいるんだ。

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「ヴェルサーチェ」売却を巡ってうわさが飛び交う 「プラダ」が獲得に関心?

カプリ ホールディングス(CAPRI HOLDINGS以下、カプリ)が保有する「ヴェルサーチェ(VERSACE)」と「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」の売却について、さまざまな臆測が広まっている。情報筋によれば、両ブランドの競売が最近行われ、15社程度の買い手候補が参加。現在はその中から約半数に絞られており、2月初旬には次の入札が行われる予定だという。

買い手候補としては、以前から買収に関心を示しているとの臆測が広まっているプラダ グループ(PRADA GROUP)に加えて、グッチ(GUCCI)の社長兼最高経営責任者(CEO)を2023年9月23日付で退任したマルコ・ビッザーリ(Marco Bizzarri)の名前も浮上。同氏は24年4月に新たな投資会社ネッシファッション(NESSIFASHION)を設立し、「素晴らしいイタリアブランドに優先的に投資する」として、イタリア・ボローニャに本社を構えるブランド「エリザベッタ フランキ(ELISABETTA FRANCHI)」の株式の23%を取得している。

ほかには、ゴールデン グース(GOLDEN GOOSE)を保有する投資ファンドのペルミラ(PERMILA)や、イタリアのメンズブランド「コルネリアーニ(CORNELIANI)」の株式を保有する中東の投資ファンド、インベストコープ(INVESTCORP)などが競売に参加しているようだ。なお、イタリアの財閥でフェラーリ(FERRARI)社のオーナーとしても知られるアニェッリ(Agnelli)家の投資会社エクソール(EXOR)も、当初は関心を示しているといわれていたが、その後競売への参加を止めたと見られている。

本件に関し、上述の企業やブランドからのコメントは得られなかった。

カプリが「ヴェルサーチェ」などを売却したい理由

「ヴェルサーチェ」と「ジミー チュウ」に加えて「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」を擁するカプリは23年8月、「コーチ(COACH)」「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」「スチュアート・ワイツマン(STUART WEITZMAN)」を傘下に持つタペストリー(TAPESTRY)に85億ドル(約1兆3175億円)で事業を売却することに合意した。

しかし、両社が保有するブランド間の競争がなくなることで独占状態になるとし、米連邦取引委員会(FTC)は本件を停止する仮処分を求めて4月に提訴。10月に米連邦地方裁判所がFTCの申し立てを認める判決を下したことから、11月に両社は買収契約を双方の合意の上で正式に解消している。業績が悪化しているカプリは、主力の「マイケル・コース」の業績回復に注力するため、ほかの2ブランドを売却するのではないかと見る専門家も多い。両ブランドをまとめて、もしくはバラバラに売却するのかなどは明らかにされていないが、買い手の注目は「ヴェルサーチェ」に集まっているという。

ドナテラの契約期限やその後任に関するうわさも

その「ヴェルサーチェ」だが、別の情報筋によれば、同ブランドのドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)=チーフ・クリエイティブ・オフィサーの契約が25年2月に期限を迎えるようだ。前述の通り「ヴェルサーチェ」は売却の可能性があることから、ドナテラの契約更新についてもさまざまな臆測が流れているが、「ヴェルサーチェ」は「うわさに対するコメントは差し控える」としている。なお、ドナテラがブランドを離れる場合の後任候補としては、プラダが擁する「ミュウミュウ(MIU MIU)」のデザイン・ディレクターを務めていたダリオ・ヴィターレ(Dario Vitale)が業界内で有力視されているという。

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松屋の元社長の古屋勝彦さんが死去 87歳

松屋の社長、会長を歴任した古屋勝彦さんが1月18日に老衰のため自宅で死去した。87歳だった。通夜、葬儀・告別式は近親者で執り行った。後日お別れの会を開く。現社長の古屋毅彦氏の父。

1937年に松屋の創業家に生まれ、学習院大学を卒業後に三菱銀行を経て、63年に松屋に入社した。経営再建のために伊勢丹から招いた山中鏆社長の後任として89年12月に6代目社長に就任。そのすぐ後にバブル景気が崩壊し、平成不況が続いた難しい時代に舵取りした。03年5月から会長、10年5月から名誉会長、21年5月から名誉相談役に就いた。

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「ステラ マッカートニー」、LVMH保有の少数株式を買い戻し サステナビリティ関連の助言役は継続

ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)は、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が保有する自社の少数株式を買い戻すことを明らかにした。

デザイナーのステラ・マッカートニー(Stella McCartney)は2001年、「グッチ(GUCCI)」などを保有するケリング(KERING)と50%ずつの出資比率でジョイントベンチャーを設立し、自身のブランド「ステラ マッカートニー」を立ち上げた。18年3月、ケリングの持分を買い戻して独立。その後、19年7月にLVMHとの提携を発表。ステラが過半数株式を保有し、引き続きクリエイティブ・ディレクターを務めつつ、ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者(CEO)や取締役会メンバーへのサステナビリティに関する特別アドバイザーの役割も担っていた。なお、今回の取引後も、ステラはサステナビリティ担当グローバル・アンバサダーとしてアルノー会長兼CEOや経営陣への助言を続けるという。

LVMHとビューティ事業も設立

LVMHの傘下にあった約5年の間に、「ステラ マッカートニー」はキノコの菌糸体やブドウの搾りカスを原料としたレザー代替素材を使用したさまざまなアイテムを発表。また、20年にはイタリアのティリオス(THELIOS)とアイウエアのライセンス契約を締結した。22年には、LVMHと99%ナチュラルでクルエルティフリー(動物実験を行わない)のスキンケアライン「ステラ バイ ステラ マッカートニー(STELLA BY STELLA McCARTNEY)」を立ち上げている。

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「ステラ マッカートニー」、LVMH保有の少数株式を買い戻し サステナビリティ関連の助言役は継続

ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)は、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が保有する自社の少数株式を買い戻すことを明らかにした。

デザイナーのステラ・マッカートニー(Stella McCartney)は2001年、「グッチ(GUCCI)」などを保有するケリング(KERING)と50%ずつの出資比率でジョイントベンチャーを設立し、自身のブランド「ステラ マッカートニー」を立ち上げた。18年3月、ケリングの持分を買い戻して独立。その後、19年7月にLVMHとの提携を発表。ステラが過半数株式を保有し、引き続きクリエイティブ・ディレクターを務めつつ、ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者(CEO)や取締役会メンバーへのサステナビリティに関する特別アドバイザーの役割も担っていた。なお、今回の取引後も、ステラはサステナビリティ担当グローバル・アンバサダーとしてアルノー会長兼CEOや経営陣への助言を続けるという。

LVMHとビューティ事業も設立

LVMHの傘下にあった約5年の間に、「ステラ マッカートニー」はキノコの菌糸体やブドウの搾りカスを原料としたレザー代替素材を使用したさまざまなアイテムを発表。また、20年にはイタリアのティリオス(THELIOS)とアイウエアのライセンス契約を締結した。22年には、LVMHと99%ナチュラルでクルエルティフリー(動物実験を行わない)のスキンケアライン「ステラ バイ ステラ マッカートニー(STELLA BY STELLA McCARTNEY)」を立ち上げている。

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ファッション企業の社長ってどんな人?:記者談話室vol.162

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

「WWDJAPAN」恒例の「CEO特集」が1月27日号に掲載されました。ファッション&ビューティ業界の有力企業60社の経営トップが「可能性」について語るインタビューは、業界関係者にとって必読です。詳しい内容は本紙に譲るとして、ここでは紙面では紹介できなかったファッション企業の経営トップたちのあまり知られていない横顔を語らいました。

この配信は以下のアプリでもご利用いただけます。
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ファッション企業の社長ってどんな人?:記者談話室vol.162

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

「WWDJAPAN」恒例の「CEO特集」が1月27日号に掲載されました。ファッション&ビューティ業界の有力企業60社の経営トップが「可能性」について語るインタビューは、業界関係者にとって必読です。詳しい内容は本紙に譲るとして、ここでは紙面では紹介できなかったファッション企業の経営トップたちのあまり知られていない横顔を語らいました。

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しまむら次期社長に高橋氏 商品改革の立役者

しまむらは27日、次期社長に高橋維一郎・取締役上席執行役員(50)が2月21日付で昇格するトップ人事を発表した。現任の鈴木誠社長(59)は代表権を持った会長に異動する。代表権を持った会長と社長による2人の新経営体制によって、さまざまな課題への対応スピードを上げる。

高橋氏は1974年8月25日生まれの50歳。1999年にしまむらに入社し、店舗、商品、物流、システムなどの要職を務めて、2020年に取締役執行役員に就いた。コロナ禍に担当役員として主導した商品改革は、24年3月期まで3期連続で過去最高業績を更新するV字回復の原動力になった。

しまむらは27年2月期を最終年度とした中期経営計画で売上高7190億円、営業利益660億円、営業利益率9.2%(24年2月期は売上高が前期比6350億円、営業利益553億円、営業利益率8.8%)の達成を掲げる。新経営体制のもと、手薄だった都市部への出店にも積極的に取り組む。

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マンガで学ぶ「在庫管理の魔術」 第3話:「売れた分だけ発注」したら、売り上げが断トツの1位に!

中堅アパレルのチェーンストア「ハンナズ」は、過剰在庫が原因で経営危機に瀕している。社長の安堂平磨は、娘でバイヤーの安堂あい、あいの夫で渋谷店店長の安堂徹に再生を期待するが、2人は「売れ残るリスクを抱えながら在庫を持つべきか?」それとも「売り上げが落ちるリスクを抱えながら在庫を減らすべきか?」で迷い続ける。

徹は倉庫から毎日商品が届く環境を整えたが、欠品を怖がるスタッフは発注を増やしがち。そこでPOSデータを活用して「売れた分だけ」補充すると、渋谷店の売り上げは全国で断トツの1位に輝いた!

登場人物紹介

第三話

このマンガは、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)も経営陣で読んだとされるTOC(制約理論)の原点にして最高の入門書「ザ・ゴール」を原案としています。「ザ・ゴール」を中心としたマネジメント理論に関する書籍は、ダイヤモンド社が販売中です。

ORIGINAL WORKS:ELIYAHU GOLDRATT、JEF COX
SUPERVISION:YUJI KISHIRA
SCRIPT:TAKEO AOKI
COMICS:YAMA AOTA

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アディダス、本社で人員整理 最大500人解雇と海外メディア

アディダス(ADIDAS)は1月23日、ドイツ本社の人員整理を行うことを明らかにした。同社によれば、これはコスト削減計画の一環ではなく、持続的な成長に向けて組織の合理化を図るためだという。

同社は、「過去2年にわたり、私たちは『アディダス』のビジネス、ブランド、プロダクトを力強く前進させる勢いを構築してきており、消費者に向けたアプローチは適切なものだと証明してきた。一方で、変化し続ける世界において、現在の社内体制は複雑すぎることが判明した。そこで、長期的な成功のため、運営モデルと実際の業務状況を一致させるべく、さまざまな見直しを行うこととなった。これにより、ドイツ本社の組織構造や役職などに影響がある可能性がある」と声明を発表した。

なお、同社は組織の評価に着手し始めたばかりのため、現時点では詳細は未定としているが、ロイター(REUTERS)の報道によれば、5800人の本社従業員のうち最大500人が解雇の対象になるという。

アディダスの業績は?

アディダスは、21日に2024年12月期決算の速報値を発表。売上高は前期比12%増の236億8300万ユーロ(約3兆7892億円)、営業利益は前年より10億ユーロ(約1600億円)以上増加し13億3700万ユーロ(約2139億円)と予想を上回る結果となった。

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ワールド本社にアルページュの野口社長が登場 ライバルから学ぶ「商品力」に必要なこと

「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティ企業やブランドを対象に、それぞれの課題やニーズの解決につながるカスタマイズセミナーを開催している。今回は、大手アパレル企業・ワールドの企画開発に携わる社員に向け、商品力の向上に焦点を当てたセミナーを実施した。

同セミナーのゲストにはなんと、ライバル企業であるTSIのグループ会社・アルページュから野口麻衣子社長を招へい。野口社長は、2020年からTSIの主力婦人服ブランド「ナチュラルビューティベーシック(NATURAL BEAUTY BASIC 以下、NBB)」のリブランディングを主導し、ブランドを再建へと導いている。ワールドもキャリア向けブランドを多く抱えるため、学べることが多いと見込んでの大胆な人選だ。

オフィスカジュアル服を提案してきた「NBB」は、働く女性の服装の変化に伴い、ブランドの立て直しを迫られた。野口社長は「“キャリアブランド”を再定義する必要があった。“通勤着”の固定観念を壊し、メインターゲットである20〜30代に響くよう仕掛けていった」と振り返る。とはいえ、20年以上続くブランドのため、頭ごなしに方向性を変えても良い結果は望めない。「今までのビジネスを生かしつつ、時代に合わせたブランドにアップデートする。それが私の使命だった」。

組織改革や重要店舗の見直し、ECサイトで使用するビジュアルの刷新などを行っていく中で、やはり一番の課題は商品だった。「当時の『NBB』は、前年踏襲型のデザインが多く、『この商品を作り続けなければいけない』という思い込みがあった。しかし、企画に必要なのは“マスト”より“ウォント”。『私はこれを着たい』という等身大の感覚が、売れる服を作る原動力になる」(野口社長)。一方、商品の大幅な軌道修正は既存顧客の離反を招くリスクもあったはずだ。野口社長は、「定番アイテムを進化させる感覚で、シルエットやカラー展開に少しずつバリエーションを加えていった。このさじ加減は、5%くらいがベスト。そうすれば長年のファンを驚かせず、今リアルに着たいデザインになる」と語る。長年そのままだった着丈や身幅など寸法も細かく見直し、徹底的に“欲しい服”作りに向き合った。国内のウィメンズブランドを取材する本橋涼介「WWDJAPAN」シニアエディターは「『NBB』の成功要因は、社内外に目指すブランドの方向性をはっきりさせたこと。社員にも顧客に対しても丁寧なリブランディングだった」と述べた。

セミナーの後には、社員同士でディスカッションを実施。「前年踏襲型のデザインとの向き合い方を見直したい」「『私だったら』という視点を入れ商品企画していきたい」などセミナーからの学びを話し合った。野口社長は「歴史ある会社が存続できるよう、ときに新しいことにも挑戦しなければならない。第一人者になるのは難しいかもしれないが、賛同者であってほしい」とエールを送った。

【お問い合わせ】

ファッション&ビューティ業界の“今”をキャッチアップするなら「WWDJAPAN」。企業ごとにカスタマイズしたセミナーについてもお問い合わせください。


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「カルティエ」が銀座に大型店 「ギャップ」跡地に

「カルティエ(CARTIER)」は、東京・銀座に大型店舗を出店する。銀座4丁目で晴海通りと並木通りが交わるヒューリック銀座数寄屋橋ビルの低層部で、23年7月まで「ギャップ(GAP)」の旗艦店(4層・売り場面積1445平方メートル)が営業していた。開店時期や概要について「カルティエ」を運営するリシュモン ジャパンは「現時点では答えられない」としているが、改装工事中のファサードには既に「CARTIER」の看板が取り付けられている。

「カルティエ」は現在、銀座で2丁目の本店、並木通り店、ギンザ シックス内のブティックの計3店舗を運営している。

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トランプ米大統領就任式 LVMHのアルノー会長やイーロン・マスク、マーク・ザッカーバーグらが出席

ドナルド・トランプ(Donald Trump)第47代米大統領の就任式が、1月20日(現地時間)に行われた。式には、新政権の閣僚のほか、ジョー・バイデン(Joe Biden)前米大統領夫妻、ビル・クリントン(Bill Clinton)元米大統領とその妻であるヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)元米国務長官、バラク・オバマ(Barack Obama)元米大統領のほか、各国の駐米大使、トランプ大統領と近い関係にあるといわれる国の首脳らが出席した。

米IT業界の大物が勢ぞろい

また、メタ(META)のマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)最高経営責任者(CEO)、テスラ(TESLA)やX(旧ツイッター)などを率いるイーロン・マスク(Elon Musk)、アマゾン(AMAZON)のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)創業者兼エグゼクティブ・チェアマン、グーグル(GOOGLE)のサンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)CEOら米IT業界の大物がそろって出席し、話題を集めた。

LVMHのアルノー会長とトランプ大統領の親交

それに加えて、“ラグジュアリー帝国”とも呼ばれるLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)を率いるベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼CEO夫妻と、長女のデルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)=クリスチャン ディオール クチュール会長兼CEO、次男のアレクサンドル・アルノー(Alexandre Arnault)LVMHワイン&スピリッツ部門副CEOも就任式に出席。

アルノー会長兼CEOは以前からトランプ大統領と親交があり、2017年1月には第一次トランプ政権の発足に先立ちニューヨークのトランプ・タワーで会談している。この際にも、アレクサンドルが同行した。また、19年にLVMHが擁する「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」がテキサス州・ジョンソン郡にレザーグッズ用の工房を新設した際には、オープンを記念した式典にトランプ米大統領(第一次政権時)や長女のイヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump)大統領補佐官(当時)が参加。なお、アレクサンドルはこの時にも同行している。

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箱根駅伝を制する者はランニングシューズ市場を制す:記者談話室vol.161

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

161回目となる今回はお正月の風物詩、箱根駅伝について。選手の力走と共に、近年特に注目を集めている各社のスーパーランニングシューズについてファッションビジネス紙視点で語ります。話の中に出てくる箱根のランシューマーケティングを支える縁の下の力持ち、“藤原さん”については、この記事をぜひお読みください。

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