箱根駅伝を制する者はランニングシューズ市場を制す:記者談話室vol.161

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

161回目となる今回はお正月の風物詩、箱根駅伝について。選手の力走と共に、近年特に注目を集めている各社のスーパーランニングシューズについてファッションビジネス紙視点で語ります。話の中に出てくる箱根のランシューマーケティングを支える縁の下の力持ち、“藤原さん”については、この記事をぜひお読みください。

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箱根駅伝を制する者はランニングシューズ市場を制す:記者談話室vol.161

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

161回目となる今回はお正月の風物詩、箱根駅伝について。選手の力走と共に、近年特に注目を集めている各社のスーパーランニングシューズについてファッションビジネス紙視点で語ります。話の中に出てくる箱根のランシューマーケティングを支える縁の下の力持ち、“藤原さん”については、この記事をぜひお読みください。

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イタリア発ジュエラー「ダミアーニ」の日本法人トップが交代 新体制で市場拡大を目指す

イタリア発ジュエラー「ダミアーニ(DAMIANI)」の日本法人の新最高経営責任者(CEO)に1月7日、同ブランドを傘下に持つダミアーニグループのマウロ・マルタ=アジア太平洋地域ディレクターが就任した。マウロ氏は、現職と日本法人CEOを兼任。沖早織前日本法人CEOの後任として業務を引き継ぐ。また同日付で、ティファニーやバカラなどで要職を歴任した幸田敏氏が日本法人の最高商務責任者(CCO)に就任。新体制で日本国内におけるさらなる成長を目指す。

「ダミアーニ」は昨年、創業100周年。創業以来、業界では珍しい一族経営で、創業以来ヴァレンツァで熟練の職人が手掛けるジュエリーを提供している。アイコンジュエリーの十字架モチーフの“ベル エポック”をはじめ、“ミモザ”や“マルゲリータ”などのかれんな花モチーフのジュエリーも人気が高い。

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ファストリ、ロサンゼルス山火事被災者に衣料支援 最大1億5700万円の寄付も実施

ファーストリテイリンググループのユニクロ、Fast Retailing USA, Inc.、UNIQLO USA, Inc.、GU USA LLC、Theory LLCは、米ロサンゼルスの山火事被災地への緊急支援として、最大100万米ドル(約1億5700万円)規模の衣料と、100万米ドル(同)の支援金の寄付を行う。

支援第一弾としては「ユニクロ(UNIQLO)」「セオリー(THEORY)」の商品約1750着(キッズのフリースジャケットやヒートテックレギンス、エアリズムTシャツなどを含む)を、現地で被災地支援にあたっているNGOを通して被災者に寄付した。また、1月26日には、ロサンゼルスにある「ユニクロ」5店で衣料の無料配布を行う。19日にも実施済みで、計7万米ドル(約1099万)相当を配布。

Fast Retailing USA, Inc.はカリフォルニア州森林保護防火局に2万5000米ドル(約392万円)の寄付を実施。また、「ユニクロ」「ジーユー(GU)」「セオリー」の店舗、公式ECを通して客から寄付を募り、食糧支援を行うNGOへの支援に充てる。10万米ドル(約1570万円)を上限に、客からの寄付と同額をFast Retailing USA, Inc.もNGOに寄付する。

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ファストリ、ロサンゼルス山火事被災者に衣料支援 最大1億5700万円の寄付も実施

ファーストリテイリンググループのユニクロ、Fast Retailing USA, Inc.、UNIQLO USA, Inc.、GU USA LLC、Theory LLCは、米ロサンゼルスの山火事被災地への緊急支援として、最大100万米ドル(約1億5700万円)規模の衣料と、100万米ドル(同)の支援金の寄付を行う。

支援第一弾としては「ユニクロ(UNIQLO)」「セオリー(THEORY)」の商品約1750着(キッズのフリースジャケットやヒートテックレギンス、エアリズムTシャツなどを含む)を、現地で被災地支援にあたっているNGOを通して被災者に寄付した。また、1月26日には、ロサンゼルスにある「ユニクロ」5店で衣料の無料配布を行う。19日にも実施済みで、計7万米ドル(約1099万)相当を配布。

Fast Retailing USA, Inc.はカリフォルニア州森林保護防火局に2万5000米ドル(約392万円)の寄付を実施。また、「ユニクロ」「ジーユー(GU)」「セオリー」の店舗、公式ECを通して客から寄付を募り、食糧支援を行うNGOへの支援に充てる。10万米ドル(約1570万円)を上限に、客からの寄付と同額をFast Retailing USA, Inc.もNGOに寄付する。

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マンガで学ぶ「在庫管理の魔術」 第2話:旗艦店で大事件発生 倉庫が水浸しで在庫管理に暗雲立ち込める

中堅アパレルのチェーンストア「ハンナズ」は、過剰在庫が原因で経営危機に瀕している。社長の安堂平磨は、娘でバイヤーの安堂あい、あいの夫で渋谷店店長の安堂徹に再生を期待するが、2人は「売れ残るリスクを抱えながら在庫を持つべきか?」それとも「売り上げが落ちるリスクを抱えながら在庫を減らすべきか?」で迷い続ける。そんな中、徹が店長を務める渋谷店で大事件が発生!天井の水道管が破裂し、倉庫が水浸しになってしまったのだ。徹は、在庫の置き場に奔走。元上司の加地奨吾に相談をすると……。

登場人物紹介

第二話

このマンガは、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)も経営陣で読んだとされるTOC(制約理論)の原点にして最高の入門書「ザ・ゴール」を原案としています。「ザ・ゴール」を中心としたマネジメント理論に関する書籍は、ダイヤモンド社が販売中です。

ORIGINAL WORKS:ELIYAHU GOLDRATT、JEF COX
SUPERVISION:YUJI KISHIRA
SCRIPT:TAKEO AOKI
COMICS:YAMA AOTA

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「エアコンの白を疑う」ダイキンが多彩な柄の空調ブランド セーレン「ビスコテックス」とコラボ

ダイキン工業とセーレンは、多様な正面パネルを展開する空調ブランド「ジ・アートライン(THE ART LINE)」をスタートする。セーレンのデジタルプリントシステム「ビスコテックス」を活用し、57種類のデザインを展開する。新ブランドのスタートに合わせて、障害のあるアーティストのライセンス事業を展開するヘラルボニーとコラボレーションし、4人のアーティストの作品を展開する。まずはルームエアコンと加湿空調清浄機の2アイテムで展開。東京と大阪のダイキンショールーム「フーハ東京/大阪」2つのショールームで予約販売を1月17日から開始する。ダイキン工業の石井克典・執行役員空調営業本部長は「ワクワクする空間を考えたときに、本当にエアコンが白だけでいいのかという考えに至った。『ビスコテックス』とコラボレーションですることで、空調を起点に空間をデザインする、という新しい挑戦に取り組む。今後はよりパーソナルなモノ作りにも取り組んでいく」と意気込む。

「ジ・アートライン」は57種のデザインは、アートや伝統工芸品を取り入れた「アート」、自然の素材感をイメージした「ネイチャー」、インテリアに溶け込む色と質感にこだわった「ブランド」も3つのシリーズで構成。今後は一品一様にも対応するという。本体に加わるパネルの価格は3万5000円から6万円ほど。まずはショールームのみでの展開になるが、いずれパネル単体での販売も行う考え。

また、今後は他の製品や。家庭用だけでなく業務用の空調製品でも、多彩なパネル柄を展開する。セーレンの川田浩司・代表取締役副社長は「これまで自動車やファッション向けで、そうしたカスタマイズの営業支援ツールを開発してきたノウハウもあり、そうした面でも協働でワークしていく」という。

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「エアコンの白を疑う」ダイキンが多彩な柄の空調ブランド セーレン「ビスコテックス」とコラボ

ダイキン工業とセーレンは、多様な正面パネルを展開する空調ブランド「ジ・アートライン(THE ART LINE)」をスタートする。セーレンのデジタルプリントシステム「ビスコテックス」を活用し、57種類のデザインを展開する。新ブランドのスタートに合わせて、障害のあるアーティストのライセンス事業を展開するヘラルボニーとコラボレーションし、4人のアーティストの作品を展開する。まずはルームエアコンと加湿空調清浄機の2アイテムで展開。東京と大阪のダイキンショールーム「フーハ東京/大阪」2つのショールームで予約販売を1月17日から開始する。ダイキン工業の石井克典・執行役員空調営業本部長は「ワクワクする空間を考えたときに、本当にエアコンが白だけでいいのかという考えに至った。『ビスコテックス』とコラボレーションですることで、空調を起点に空間をデザインする、という新しい挑戦に取り組む。今後はよりパーソナルなモノ作りにも取り組んでいく」と意気込む。

「ジ・アートライン」は57種のデザインは、アートや伝統工芸品を取り入れた「アート」、自然の素材感をイメージした「ネイチャー」、インテリアに溶け込む色と質感にこだわった「ブランド」も3つのシリーズで構成。今後は一品一様にも対応するという。本体に加わるパネルの価格は3万5000円から6万円ほど。まずはショールームのみでの展開になるが、いずれパネル単体での販売も行う考え。

また、今後は他の製品や。家庭用だけでなく業務用の空調製品でも、多彩なパネル柄を展開する。セーレンの川田浩司・代表取締役副社長は「これまで自動車やファッション向けで、そうしたカスタマイズの営業支援ツールを開発してきたノウハウもあり、そうした面でも協働でワークしていく」という。

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今の時代のホスピタリティーとは?

毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2025年1月13日号からの抜粋です)

村上:特にラグジュアリーの世界でホスピタリティーという言葉を頻繁に聞くようになり、実際ホスピタリティーを感じると、私もそのブランドを好きになってしまいます。今の時代におけるホスピタリティーの定義や実践を知りたいと考え、特集を企画しました。

益成:私は「ルレ・エ・シャトー」という世界各地580軒のユニークなホテルとレストランが加盟する非営利団体の日本・韓国の支部長を取材しました。その土地の“本物”を提供し、現地のコミュニティーを大事にするムーブメントを1954年から推進していて、加盟し続けるには2年に1度の覆面審査に合格するなど、厳しい基準が設けられています。

提供するのも、されるのも“人”

村上:加盟店のメリットは何ですか?

益成:“「ルレ・エ・シャトー」加盟店”と謳えることと共に、世界中のオーナーやシェフが集まって交流する機会が設けられ、理想のホスピタリティーを実現できるかという情報交換ができることが大きいようです。

村上:ナレッジの共有は魅力ですね。

益成:日本で一番長く加盟し続けている1489年創業の伊豆の旅館「あさば」にもオンラインで取材しました。能の舞台が見られる客室もあるそうで、その「景色」もホスピタリティーの一つのようです。

村上:まさにLVMHジャパンのノルベール・ルレ社長も「まず空間から感動していただくことが大事」と語っていました。加えて竹芝のラグジュアリーホテル「メズム東京、オートグラフコレクション」と同様に「ホスピタリティーを提供する側と提供される側は、フェアであるべき」と語っていたのが印象的でした。プロとして対等にサービスを提供する。「ルイ・ヴィトン」で欲しいバッグを気持ちよく買えるのは当たり前です。ブランドの歴史が紡ぐ夢や新たなインスピレーションを感じてもらうには、召使いのように指示を待つだけではダメなんでしょうね。

益成:提供するのも、されるのも“人”。感じ方は千差万別なので、絶対的な正解はありません。それをどう恒常的に提供するか。“人”にしかできない仕事だと思います。

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今の時代のホスピタリティーとは?

毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2025年1月13日号からの抜粋です)

村上:特にラグジュアリーの世界でホスピタリティーという言葉を頻繁に聞くようになり、実際ホスピタリティーを感じると、私もそのブランドを好きになってしまいます。今の時代におけるホスピタリティーの定義や実践を知りたいと考え、特集を企画しました。

益成:私は「ルレ・エ・シャトー」という世界各地580軒のユニークなホテルとレストランが加盟する非営利団体の日本・韓国の支部長を取材しました。その土地の“本物”を提供し、現地のコミュニティーを大事にするムーブメントを1954年から推進していて、加盟し続けるには2年に1度の覆面審査に合格するなど、厳しい基準が設けられています。

提供するのも、されるのも“人”

村上:加盟店のメリットは何ですか?

益成:“「ルレ・エ・シャトー」加盟店”と謳えることと共に、世界中のオーナーやシェフが集まって交流する機会が設けられ、理想のホスピタリティーを実現できるかという情報交換ができることが大きいようです。

村上:ナレッジの共有は魅力ですね。

益成:日本で一番長く加盟し続けている1489年創業の伊豆の旅館「あさば」にもオンラインで取材しました。能の舞台が見られる客室もあるそうで、その「景色」もホスピタリティーの一つのようです。

村上:まさにLVMHジャパンのノルベール・ルレ社長も「まず空間から感動していただくことが大事」と語っていました。加えて竹芝のラグジュアリーホテル「メズム東京、オートグラフコレクション」と同様に「ホスピタリティーを提供する側と提供される側は、フェアであるべき」と語っていたのが印象的でした。プロとして対等にサービスを提供する。「ルイ・ヴィトン」で欲しいバッグを気持ちよく買えるのは当たり前です。ブランドの歴史が紡ぐ夢や新たなインスピレーションを感じてもらうには、召使いのように指示を待つだけではダメなんでしょうね。

益成:提供するのも、されるのも“人”。感じ方は千差万別なので、絶対的な正解はありません。それをどう恒常的に提供するか。“人”にしかできない仕事だと思います。

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阪神大震災30年 大丸神戸店「復興への意志」に咲いた大輪の花

きょう1月17日は、1995年の阪神大震災から30年の節目。建物の3の2が倒壊した大丸神戸店は存続が危ぶまれる状況だったが、従業員たちの必死の努力によって、約3カ月後には縮小規模ながら営業を再開させた。その後も地元客との関係性を深め、神戸の一番店(売り上げ1位店舗)としての地位を盤石にする。さらに現在は売上高で初の1000億円台を目前にするなど、大きく花開いた。神戸生まれの百貨店関係者2人の目線から「震災と復興」を振り返る。(文中敬称略)

その朝、大学1年生の小野圭一は、神戸市東灘区の自宅マンションで飛び起きた。経験したことのない激しい揺れ。「戦争か何かが起きたのか、自分は死ぬのか」とパニックになった。家具が倒れ、ブラウン管のテレビは数メートル先に飛び、食器や本が散乱した。幸い、母と妹2人の家族は無事だった。

状況を確認しようと外に出た。北側には阪神高速道路の高架が東西に走る。その橋げたの下に見えるはずの六甲の山並みが見えない。なぜだろう。恐る恐る近づいた。「見慣れた高速道路が横倒しになったことに気づき、言葉を失いました」。繰り返し報道されたあの倒壊現場である。

自宅の被害は比較的軽かったが、電気・ガス・水道は止まった。昼は近所の炊き出しや配給に並び、夜は仏壇のロウソクに火を灯して過ごした。

正月に年賀状配達のバイトをしていた郵便局から連絡が入った。全国から届く救援物資を届ける仕事を頼まれた。原付バイクの荷台に水や食料を可能な限り積んで走る。道一本挟んで建物が全壊のエリアとほぼ被害がないエリアに分かれるのが不思議だった。「僕が『お届けに来ました』と告げると、皆さんはすごく喜んでくれました」。

百貨店の灯は消さない

大丸(当時)入社7年目の松原亜希子は、震災から約10日後に自宅待機の指示が解かれ、元町の大丸神戸店に出社した。被害が少なかった神戸市西区の自宅から途中までしか地下鉄が運行していなかった。倒壊したビルが多く、道路もガタガタのためバスもタクシーも走っていない。朝晩に片道1時間半を歩いて通勤した。

大丸神戸店は大部分が損壊し、とても営業できる状態ではない。だが震災が起きた1月半ばは初売りやバーゲンで購入された服の裾上げや丈詰めが完成する時期で、引き渡しを待つ商品がバックヤードにたくさん積まれていた。家財を失った顧客から問い合わせが来るようになった。「着るものに困っているお客さま、連絡もできないお客さまがたくさんいる。預かっている商品をリスト化し、電話をかけるチーム、リュックサックを背負ってご自宅まで届けるチームそれぞれしらみつぶしで対応しました」。店が開けられない中、地元の百貨店として何ができるのか、過酷な現実と向き合う日々が始まった。

スーツを購入した男性の自宅に電話したところ、「息子は地震で亡くなりました」と告げられた。「お辛いですね」と言うのが精一杯だった。通常であれば修繕したスーツは再販できないため、返金には応じられない。ただ、それが傷ついた人に寄り添う商売といえるのか。取引先に「大丸も半分持つので損切りしてもらえませんか」と掛け合い、返金に応じてもらった。袖を通すはずの顧客が亡くなり、行き場を失った服はたくさんあった。

3分の1からの再スタート

大丸神戸店長の森範二は店舗近くのビルに泊まり込み、営業再開の陣頭指揮を執った。森は従業員に「皆さんも被災して大変だろうが、どうか力を貸してほしい」と頭を下げた。損壊がひどかったため、再開できる売り場は3分の1だけ。4月8日の営業再開を知らせる新聞広告には「売場が、小さくなります。」のコピーとともに、下記の文章をつづった。

残された建物で、大丸は、できるだけのことをしたいと思います。
春のお洒落なお出かけ着、コーディネートしたい靴や雑貨を揃えます。
いつも焼きたてのパンをご用意します。

震災から3カ月足らず。市民の生活がまだ不自由な現状を踏まえ、営業再開時に衣料品や日用品を大々的にバーゲンする案も出たが、森は「絶対にダメだ」退けた。明るく華やいだ気分になってもらうことが百貨店の役割だと考えたのだ。震災の前の姿、それ以上のハレの場を提供することが、多くの人々を勇気づけると従業員に説いた。

松原は営業再開の日の光景が忘れられない。買い物を楽しむ顧客の笑顔。接客する従業員の弾む声。「大丸で買い物することは、普通の暮らしに戻る第一歩なんだ。それがすーっと体に染み込むように分かったのです」。

顧客と従業員が抱き合う姿をあちこちで見かけた。涙を浮かべて再会を喜び、励まし合う。実は休業中にも顧客から「あの婦人服売り場のスタッフさんは無事ですか」と従業員の安否を尋ねる電話やファックスが頻繁に届いていた。「神戸のお客さまとの深い関係がかけがえのない宝物であり、この期待に応える店を復活させなくては」と強く誓った。

華やかさに憧れて入社

98年4月、小野圭一は新卒で大丸に入社した。子供の頃から家族でたびたび訪れた大丸神戸店の華やかさに憧れていた。小野は震災の3年前に父を亡くした。父は同店勤務の百貨店マンだった。「でも震災で使命感に目覚めたとか、父の遺志を継ぎたいとか、そんな高尚な気持ちではありません。みんなが楽しみに集まる場所で、人を笑顔にする仕事したいと思ったのが志望動機です」。

小野は氷河期世代である。90年代末は金融機関の破綻も相次ぎ、消費増税も景気悪化に拍車をかけていた。百貨店も“冬の時代“と呼ばれ出していた。そんな中でも小野は目の前の顧客を喜ばせることにやりがいを感じ、販売促進やインバウンド施策で新しいアイデアの実現に汗をかいた。周囲を巻き込んで結果を出すことに人一倍こだわった。

2000年代に入ると、大丸は流通再編を先導する。東海地方を拠点にする松坂屋と統合し、大丸松坂屋百貨店が発足した。持ち株会社であるJ.フロントリテイリング(JFR)は、後にパルコを子会社化し、巨大流通グループへと変貌していった。

神戸店長として継承するもの

震災から28年後の2023年3月。松原亜希子は大丸神戸店の店長に就任した。入社以来、キャリアの半分以上を大丸神戸店や同芦屋店、同須磨店などの神戸エリアで過ごした。この数年は松坂屋上野店、大丸東京店の店長などを歴任したが、生まれ故郷である神戸への“帰任“は感慨深かった。

松原は復興の記録を何度も読み返し、退職した元上司たちを訪ねて当時の話を聞いた。「震災から復興は神戸店の原点。もう一度噛み締めないと神戸店のことを芯から分からない気がしたのです」。神戸店を預かる立場になって自問する。当時の店長の森はどんな覚悟で再建に取り組んだのか。店長のリーダーシップはどうあるべきか。自分たちは毎日、顧客に真摯に向き合えているのか――。

コロナ禍に見舞われた大丸東京店の店長時代、復興の経験は心の支えになった。東京駅直結の集客力を売りにした店の人流が途絶えた。従業員に「先が見えない状況だからこそ、前を向かなくてはいけないよ」と繰り返し呼びかけた。新しい催事やコラボレーションを積極的に実現し、パンデミックを乗り越えた。

もっと素晴らしい店にしよう

震災から29年後の24年3月。小野圭一はJFRの社長に就任した。48歳でのトップ就任は大手百貨店グループとしては異例の若さで、小売業の枠を超えた社会的なニュースになった。総額売上高1兆1519億円(24年2月期連結)の巨大流通グループを率いる小野は、「震災の経験が僕の生き方に影響を与えているかは分かりません。感覚としては、自分の心の奥底にあるもののような気がします」と話す。

年末年始に帰省し、救援物資の配達のバイトをしていた地域を久しぶりに訪れた。瓦礫の間を縫うように原付バイクで走った場所だ。「当時の面影が全くない、きれいな街になっていて驚きました」。歳月の流れと人間のたくましさに思いを馳せた。

阪神大震災を振り返る際、小野は「僕は、深刻な被害とその後の復興の力をセットで思い起こします」と言う。深い悲しみを経験したからこそ、震災の前よりもずっと素晴らしい街に再建しようとする人々のバイタリティー。震災の経験から学ぶべきは、そこだと指摘する。

1997年に損壊部分を建て替えて全館オープンした大丸神戸店は、外装に御影石を用いたり、建物の周囲に回廊を配したり、近代洋風建築の意匠を随所に取り入れ、洋館が並ぶ旧居留地のシンボルにふさわしい威容になった。

2024年2月期には売上高を15年ぶりに900億円台に戻し、25年2月期は994億円の見通しだ。初の1000億円の大台も目前となった。訪日客の割合が少ない神戸店は、地元消費によって支えられている。売上高だけが店舗価値のバロメーターではないものの、松原は地元との関係性の積み重ねの賜物だと考える。「神戸店には、一緒に震災の悲しみを乗り越え、一緒に復興を頑張ってきたお客さまとの特別な一体感があるのです。期待に応えるため、これからもピカピカに磨き続けます」。

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阪神大震災30年 大丸神戸店「復興への意志」に咲いた大輪の花

きょう1月17日は、1995年の阪神大震災から30年の節目。建物の3の2が倒壊した大丸神戸店は存続が危ぶまれる状況だったが、従業員たちの必死の努力によって、約3カ月後には縮小規模ながら営業を再開させた。その後も地元客との関係性を深め、神戸の一番店(売り上げ1位店舗)としての地位を盤石にする。さらに現在は売上高で初の1000億円台を目前にするなど、大きく花開いた。神戸生まれの百貨店関係者2人の目線から「震災と復興」を振り返る。(文中敬称略)

その朝、大学1年生の小野圭一は、神戸市東灘区の自宅マンションで飛び起きた。経験したことのない激しい揺れ。「戦争か何かが起きたのか、自分は死ぬのか」とパニックになった。家具が倒れ、ブラウン管のテレビは数メートル先に飛び、食器や本が散乱した。幸い、母と妹2人の家族は無事だった。

状況を確認しようと外に出た。北側には阪神高速道路の高架が東西に走る。その橋げたの下に見えるはずの六甲の山並みが見えない。なぜだろう。恐る恐る近づいた。「見慣れた高速道路が横倒しになったことに気づき、言葉を失いました」。繰り返し報道されたあの倒壊現場である。

自宅の被害は比較的軽かったが、電気・ガス・水道は止まった。昼は近所の炊き出しや配給に並び、夜は仏壇のロウソクに火を灯して過ごした。

正月に年賀状配達のバイトをしていた郵便局から連絡が入った。全国から届く救援物資を届ける仕事を頼まれた。原付バイクの荷台に水や食料を可能な限り積んで走る。道一本挟んで建物が全壊のエリアとほぼ被害がないエリアに分かれるのが不思議だった。「僕が『お届けに来ました』と告げると、皆さんはすごく喜んでくれました」。

百貨店の灯は消さない

大丸(当時)入社7年目の松原亜希子は、震災から約10日後に自宅待機の指示が解かれ、元町の大丸神戸店に出社した。被害が少なかった神戸市西区の自宅から途中までしか地下鉄が運行していなかった。倒壊したビルが多く、道路もガタガタのためバスもタクシーも走っていない。朝晩に片道1時間半を歩いて通勤した。

大丸神戸店は大部分が損壊し、とても営業できる状態ではない。だが震災が起きた1月半ばは初売りやバーゲンで購入された服の裾上げや丈詰めが完成する時期で、引き渡しを待つ商品がバックヤードにたくさん積まれていた。家財を失った顧客から問い合わせが来るようになった。「着るものに困っているお客さま、連絡もできないお客さまがたくさんいる。預かっている商品をリスト化し、電話をかけるチーム、リュックサックを背負ってご自宅まで届けるチームそれぞれしらみつぶしで対応しました」。店が開けられない中、地元の百貨店として何ができるのか、過酷な現実と向き合う日々が始まった。

スーツを購入した男性の自宅に電話したところ、「息子は地震で亡くなりました」と告げられた。「お辛いですね」と言うのが精一杯だった。通常であれば修繕したスーツは再販できないため、返金には応じられない。ただ、それが傷ついた人に寄り添う商売といえるのか。取引先に「大丸も半分持つので損切りしてもらえませんか」と掛け合い、返金に応じてもらった。袖を通すはずの顧客が亡くなり、行き場を失った服はたくさんあった。

3分の1からの再スタート

大丸神戸店長の森範二は店舗近くのビルに泊まり込み、営業再開の陣頭指揮を執った。森は従業員に「皆さんも被災して大変だろうが、どうか力を貸してほしい」と頭を下げた。損壊がひどかったため、再開できる売り場は3分の1だけ。4月8日の営業再開を知らせる新聞広告には「売場が、小さくなります。」のコピーとともに、下記の文章をつづった。

残された建物で、大丸は、できるだけのことをしたいと思います。
春のお洒落なお出かけ着、コーディネートしたい靴や雑貨を揃えます。
いつも焼きたてのパンをご用意します。

震災から3カ月足らず。市民の生活がまだ不自由な現状を踏まえ、営業再開時に衣料品や日用品を大々的にバーゲンする案も出たが、森は「絶対にダメだ」退けた。明るく華やいだ気分になってもらうことが百貨店の役割だと考えたのだ。震災の前の姿、それ以上のハレの場を提供することが、多くの人々を勇気づけると従業員に説いた。

松原は営業再開の日の光景が忘れられない。買い物を楽しむ顧客の笑顔。接客する従業員の弾む声。「大丸で買い物することは、普通の暮らしに戻る第一歩なんだ。それがすーっと体に染み込むように分かったのです」。

顧客と従業員が抱き合う姿をあちこちで見かけた。涙を浮かべて再会を喜び、励まし合う。実は休業中にも顧客から「あの婦人服売り場のスタッフさんは無事ですか」と従業員の安否を尋ねる電話やファックスが頻繁に届いていた。「神戸のお客さまとの深い関係がかけがえのない宝物であり、この期待に応える店を復活させなくては」と強く誓った。

華やかさに憧れて入社

98年4月、小野圭一は新卒で大丸に入社した。子供の頃から家族でたびたび訪れた大丸神戸店の華やかさに憧れていた。小野は震災の3年前に父を亡くした。父は同店勤務の百貨店マンだった。「でも震災で使命感に目覚めたとか、父の遺志を継ぎたいとか、そんな高尚な気持ちではありません。みんなが楽しみに集まる場所で、人を笑顔にする仕事したいと思ったのが志望動機です」。

小野は氷河期世代である。90年代末は金融機関の破綻も相次ぎ、消費増税も景気悪化に拍車をかけていた。百貨店も“冬の時代“と呼ばれ出していた。そんな中でも小野は目の前の顧客を喜ばせることにやりがいを感じ、販売促進やインバウンド施策で新しいアイデアの実現に汗をかいた。周囲を巻き込んで結果を出すことに人一倍こだわった。

2000年代に入ると、大丸は流通再編を先導する。東海地方を拠点にする松坂屋と統合し、大丸松坂屋百貨店が発足した。持ち株会社であるJ.フロントリテイリング(JFR)は、後にパルコを子会社化し、巨大流通グループへと変貌していった。

神戸店長として継承するもの

震災から28年後の2023年3月。松原亜希子は大丸神戸店の店長に就任した。入社以来、キャリアの半分以上を大丸神戸店や同芦屋店、同須磨店などの神戸エリアで過ごした。この数年は松坂屋上野店、大丸東京店の店長などを歴任したが、生まれ故郷である神戸への“帰任“は感慨深かった。

松原は復興の記録を何度も読み返し、退職した元上司たちを訪ねて当時の話を聞いた。「震災から復興は神戸店の原点。もう一度噛み締めないと神戸店のことを芯から分からない気がしたのです」。神戸店を預かる立場になって自問する。当時の店長の森はどんな覚悟で再建に取り組んだのか。店長のリーダーシップはどうあるべきか。自分たちは毎日、顧客に真摯に向き合えているのか――。

コロナ禍に見舞われた大丸東京店の店長時代、復興の経験は心の支えになった。東京駅直結の集客力を売りにした店の人流が途絶えた。従業員に「先が見えない状況だからこそ、前を向かなくてはいけないよ」と繰り返し呼びかけた。新しい催事やコラボレーションを積極的に実現し、パンデミックを乗り越えた。

もっと素晴らしい店にしよう

震災から29年後の24年3月。小野圭一はJFRの社長に就任した。48歳でのトップ就任は大手百貨店グループとしては異例の若さで、小売業の枠を超えた社会的なニュースになった。総額売上高1兆1519億円(24年2月期連結)の巨大流通グループを率いる小野は、「震災の経験が僕の生き方に影響を与えているかは分かりません。感覚としては、自分の心の奥底にあるもののような気がします」と話す。

年末年始に帰省し、救援物資の配達のバイトをしていた地域を久しぶりに訪れた。瓦礫の間を縫うように原付バイクで走った場所だ。「当時の面影が全くない、きれいな街になっていて驚きました」。歳月の流れと人間のたくましさに思いを馳せた。

阪神大震災を振り返る際、小野は「僕は、深刻な被害とその後の復興の力をセットで思い起こします」と言う。深い悲しみを経験したからこそ、震災の前よりもずっと素晴らしい街に再建しようとする人々のバイタリティー。震災の経験から学ぶべきは、そこだと指摘する。

1997年に損壊部分を建て替えて全館オープンした大丸神戸店は、外装に御影石を用いたり、建物の周囲に回廊を配したり、近代洋風建築の意匠を随所に取り入れ、洋館が並ぶ旧居留地のシンボルにふさわしい威容になった。

2024年2月期には売上高を15年ぶりに900億円台に戻し、25年2月期は994億円の見通しだ。初の1000億円の大台も目前となった。訪日客の割合が少ない神戸店は、地元消費によって支えられている。売上高だけが店舗価値のバロメーターではないものの、松原は地元との関係性の積み重ねの賜物だと考える。「神戸店には、一緒に震災の悲しみを乗り越え、一緒に復興を頑張ってきたお客さまとの特別な一体感があるのです。期待に応えるため、これからもピカピカに磨き続けます」。

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ミズノが京都に直営店を出店 初年度目標売上高は3億6000万円

ミズノは1月24日、京都に直営店「ミズノショップ京都四条」をオープンする。若年の国内客や訪日客が主要ターゲット。ファッションカテゴリーにあたるスポーツスタイルのシューズを中心に、トレーニングアパレル、ライフスタイルアパレル、ランニングシューズ、フットボールシューズなどをそろえる。初年度の目標売上高は3億6000万円。

店舗はセレクトショップやテーラーなども並ぶショッピングストリートにでき、1階ワンフロアで売り場面積は約283平方メートル。「京都らしさを表現する」ために、内装にはちょうちんとのれんを取り入れた。ちょうちんは京ちょうちんの老舗、小嶋商店で製作し、ショップ入り口に設置。のれんは、徳島発の藍染め集団BUAISOUが手掛けたものをレジ裏に使用する。

オープンに合わせて、スポーツスタイルのシューズ“ウエーブプロフェシーエルエス(WAVE PROPHECY LS、2万7500円)”“ウエーブライダーテン(WAVE RIDER 10、1万9800円)”の新色を先行販売する。他店での発売は31日予定。また、3万円以上購入した客先着100人には、BUAISOUが染めたオリジナルバンダナをノベルティとしてプレゼントする。開業初日には獅子舞のパフォーマンスも実施する。

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TSIホールディングス、港区の賃貸ビル売却で特別利益239億円

TSIホールディングスの3〜11月期連結業績は、売上高が前年同期比1.0%増の1160億円、営業利益が同2.0%減の21億円、純利益が同95.2%減の1億5900万円だった。

9〜11月の国内小売売上高は前年同期比1.3%増。百貨店チャネルが同10.2%減の48億円と苦戦したが、ファッションビルや駅ビルなどの非百貨店チャネルは同3.3%増の197億円と健闘した。

残暑の影響による秋冬商品の立ち上がりの遅れを、夏物の継続販売や気温低下後の復調でカバーした。在庫適正化に向けた値引き、為替による原料高騰などが利益の悪化要因となった一方、販売価格の引き上げや製販バランスの見直しを行い、粗利益率はほぼ横ばいにとどめた。

同社は資本・財務戦略の一環として、東京・港区に保有する不動産(建物面積:3896平方メートル、土地面積:954平方メートル)を売却する。25年2月期の通期連結業績において、特別利益239億円を計上する。物件の引き渡しは2月末を予定する。

これに伴い、通期連結業績予想を修正する。修正後の予想値は、売上高1570億円(修正前は1600億円)、営業利益20億円(修正)、純利益150億円(修正前は40億円)。

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TSIホールディングス、港区の賃貸ビル売却で特別利益239億円

TSIホールディングスの3〜11月期連結業績は、売上高が前年同期比1.0%増の1160億円、営業利益が同2.0%減の21億円、純利益が同95.2%減の1億5900万円だった。

9〜11月の国内小売売上高は前年同期比1.3%増。百貨店チャネルが同10.2%減の48億円と苦戦したが、ファッションビルや駅ビルなどの非百貨店チャネルは同3.3%増の197億円と健闘した。

残暑の影響による秋冬商品の立ち上がりの遅れを、夏物の継続販売や気温低下後の復調でカバーした。在庫適正化に向けた値引き、為替による原料高騰などが利益の悪化要因となった一方、販売価格の引き上げや製販バランスの見直しを行い、粗利益率はほぼ横ばいにとどめた。

同社は資本・財務戦略の一環として、東京・港区に保有する不動産(建物面積:3896平方メートル、土地面積:954平方メートル)を売却する。25年2月期の通期連結業績において、特別利益239億円を計上する。物件の引き渡しは2月末を予定する。

これに伴い、通期連結業績予想を修正する。修正後の予想値は、売上高1570億円(修正前は1600億円)、営業利益20億円(修正)、純利益150億円(修正前は40億円)。

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是枝裕和が向田邦子の代表作をリメイク Netflixシリーズ「阿修羅のごとく」で試みた女性像のアップデート

PROFILE: 是枝裕和/テレビディレクター・映画監督

PROFILE: (これえだ・ひろかず)1962年6月6日、東京都生まれ。87年に早稲田大学第一文学部文芸学科卒業後、テレビマンユニオンに参加。主にドキュメンタリー番組を演出、2014年に独立し、制作者集団「分福」を立ち上げる。1995年に「幻の光」で映画監督デビュー。「誰も知らない」(2004)、「歩いても 歩いても」(08)、「そして父になる」(13)、「海街 diary」(15)、「三度目の殺人」(17)などで、国内外の主要な映画賞を受賞。18年に「万引き家族」が第71回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞、第91回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた。映画「怪物」(23)は、第76回カンヌ国際映画祭にて脚本賞(坂元裕二)、クィア・パルム賞を W 受賞した。

映画「万引き家族」でカンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)を受賞し、2023年「怪物」で脚本賞(坂元裕二)とクィア・パルム賞をW受賞するなど、世界的にも注目を集める映画監督・是枝裕和の最新作、Netflixシリーズ「阿修羅のごとく」(全7話)の配信が1月9日からスタートした。1979〜80年にかけてNHKで放送された、向田邦子が脚本を手掛けたホームドラマを、是枝監督が新たに監督・脚色した。物語の中心になるのは竹沢家の四姉妹で、長女・綱子を宮沢りえが、次女・巻子を尾野真千子が、三女・滝子を蒼井優が、四女・咲子を広瀬すずが演じる。

「最も尊敬し、自分に一番影響を与えた」と敬愛する向田邦子の傑作をどう脚色し、四姉妹を演じる俳優たちをどう演出したのか。是枝監督に話を聞いた。

オリジナル版からの変更点

——「阿修羅のごとく」は八木康夫プロデューサーが企画して、是枝監督にオファーしたと聞いています。1979年から80年にかけて作られたドラマを、今の時代に再びドラマ化することに惹かれた理由から聞かせてください。

是枝裕和(以下、是枝):もちろん「これ(1979年の台本)をこのままやって、今伝わるかな」など、いろいろと考えましたが、はっきり言うと“今やる意義”みたいなことは後付けです。向田邦子さんには直接会えなかったから、書かれたものからしか分からないけれども、自分が一番影響を受けた脚本家の1人であることは間違いない。「阿修羅のごとく」は向田さんの代表作ですし、見事だなと思っていたので、自分のワークショップでも台本を使っていました。そこに、この4人(宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優、広瀬すず)で「阿修羅のごとく」をやらないか、という依頼が来たら断る理由がない。「お断りします」という演出家はいないんじゃないかな。

——ワークショップではどのシーンを使ったのでしょうか。また、是枝監督から見た「阿修羅のごとく」の脚本の見事さとは。

是枝:ワークショップで使ったのは1話の、お正月に4人が巻子の家に集まって、鏡餅で揚げ餅を作りながら父親の浮気について話す場面です。そこで4人それぞれの父親への距離感の違いが明らかになる。なおかつそれを通して、4人がどういう男性観を持っているのかという、娘たちの“側(がわ)”も見えてくる。ワンシチュエーションでのその書き分けが見事だなと、実際に演出してみてもすごく思いました。そして、台本を読み込んでいくと、あのシーンは実は巻子と(夫の)鷹男(本木雅弘)のシーンであることが分かってきた。「なるほど、そういう読み替えをしていくと、カット割りが変わってくるな」と。自分が撮るならどうするかを考え始めたのはそのへんからですね。

——今回、どのような方向性で脚色をされましたか。

是枝:オリジナルが相当に完成度の高い作品なので、初めは脚本を一字一句変えずにやろうと思っていました。制作するにあたり、実妹の向田和子さんにお会いしたところ、脚本は好きなようにしてくださいとおっしゃってくれて。それで少し手を入れてみようかと思い、脚色し始めたら、4人の俳優たちのキャラクターに沿って書き加えていくことが楽しくなってしまった。それなら女性像そのものもアップデートしていこうと思いました。

参考になった作品が「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」(グレタ・ガーウィグ監督、2020)です。「若草物語」という古典を現代的に解釈して、四姉妹の次女・ジョーが文筆業で自立するという着地のさせ方が非常に見事だった。もちろんオリジナルの映画も僕は大好きですが、不在だった父親が帰ってきたことで、欠けていたピースが埋まるというストーリーは、父親を家の中心であるとする古典的な家族観が色濃くあるようにもとれる。それを再解釈した「ストーリー〜」のような描き方ができるのであれば、「阿修羅のごとく」の中にあるそういう要素も、別の角度から描き直せると思ったんです。

読んだときに一番難しいなと思ったのは次女の巻子です。専業主婦で、家で夫の帰りを待ちながら、夫の浮気に悶々として、不安に苛まれて万引きまでしてしまう。そこを、尾野真千子さんのキャラクターも含めてどううまくアップデートできるかが1つのポイントでした。もう1つは、広瀬すずさんが演じた咲子の描き方。(NHKドラマ版で)風吹ジュンさんが演じた咲子は、姉との対比で言うと、自由恋愛をしていて、イメージとしてはとても現代的で、奔放な存在として描こうとして始まっている。にもかかわらず、意外と連れ合いに振り回されていて、実は一番古風で、むしろ母親と根底では近い男性観になっているところがやや気になりました。だから咲子も、広瀬さんの中にある「強い」イメージに寄せていき、男性のためではなく自分の幸せのために行動するという、ある種のエゴをちゃんと描く方向性でリライトしました。

——他に、NHKのドラマ版から改変はしましたか?

是枝:基本は変えていません。向田邦子ファンが不満に思う改変はしていないつもりです。僕もファンの1人なので。ただ、NHKのドラマ版は、もともと全3話で作ったものが好評で、パート2として4話プラスされて全7話になっているので、3話の終わりで「阿修羅だよね、女は」と鷹男が言ってしまう。これはもったいないなと思った。7話全体で1つのシリーズという捉え方で考えて、鷹男の台詞を7話まで取っておくという変更はしました。

「ローカルであることがネガティブには受け取られない」

——このドラマは、物事を全てつまびらかにしない、人が人を裁かないところにリアリティーがあり、そこが面白さだと感じました。近年の全てが説明される分かりやすいドラマに慣れている視聴者は困惑する気がします。私自身、10代の頃は映画やドラマに答えを求めていたので、当時の自分がこのドラマを見たら、心の底から面白みを感じられなかった気がします。是枝監督がそういう層への配慮をした部分はありますか? 

是枝:普段からあまりそういうことは考えないので、今回も考えていません。多分ね、年齢は関係ないと思いますよ。

——そうでしょうか。というのも私自身、今回の「阿修羅のごとく」を見て、「これが理解できるのは年を取ったからだ。年を取ってよかった」と思ったんです。

是枝:年を取ると理解できることが増えていくかもしれないけれど、「説明してくれよ」という意見は、年代、世代を問わずある。それに対しては「分かろうよ」という話ですよね。

——確かに……。ちなみに海外の視聴者は意識しましたか。

是枝:これもいつもと同じで、していません。配信の影響かどうかは分かりませんが、ローカルであることがネガティブには受け取られないということを、この10年で強く感じているので。ドメスティックとローカルは多分違うと思うんですけど。ある種の地域性や時代性を深く掘り下げても、それが伝わらなくなることはないと考えて作っています。

——今回の企画で、是枝監督がチャレンジしたことはありますか。今までやってなかったけれど、この作品だからできたことなど。

是枝:そういうことも最初は考えていなかったです。ただ、作り始めてから、昭和のあの時代のドラマを今作るのは、時代劇を作るのと同じぐらい大変だなと実感しました。風景も建物も残っていないから。すごく優秀な制作部が探してきてくれたロケーションを長く一緒に仕事をしている三ツ松さんの作ってくれた素晴らしいセットと組み合わせて何とかなりましたけど、「もうこんなに残ってないんだね」という感じです。

この4人だからこそできた演技

——4人でおしゃべりするシーンをワンカットで撮影した場面が圧巻でした。どう演出したのかお聞きしたいです。

是枝:事前に本読みをやって、ポイントポイントで、現場でももちろんリハ(ーサル)をしました。

——台詞は一字一句、台本通りですか?

是枝:宮沢りえさん以外の台詞は台本から変わっていないと思います。宮沢さんは3人をおそらく信頼しているから、あまり固めずに現場に入って、4人の掛け合いの中で「分かった。(尾野)真知子がそうやるなら、私はこう動く」とつかんでいくタイプでした。現場で1回やれば、もう入る。そういう人が1人いた方が、ライブ感が出るからいいし、うまくバランスが取れたと思います。

食べながら台詞を言うときは、普通は聞きにくくなるからあまり口の中に入れないけれど、今回は「入れてくれ」と言いました。「聞こえなかったら『何?』って聞き返してくれればいいからね」という話をして。だから宮沢さんは目一杯食べ物を口に入れて台詞を言っています。あと、「相手の台詞に自分の台詞をかぶせていいから」という話もしました。それがあの4人にしてみると、やりやすかったというか、すごく面白かったみたいです。他の現場だと「編集できなくなるからかぶせないでくれ」と言われる、もしくはかぶったときに、アフレコをせざるを得なくなる。今回はそれがなかったのが、4人にとって良かったようです。

——ものすごくハイレベルなことですよね。

是枝:あの4人だからできたことだと思います。4話の頭の、ボヤの片付けをするシーンで5分近く長回ししたんです。あれは楽しかったですね。みんなで畳を上げたりなんかしてのポジション取りも、展開も。畳が倒れたりするのは全然想定外だったので。4人ともあのシーンが好きで、「つらくなるとあれが見たくなる」「嫌なことがあるとあれを見てから寝る」と言ってました(笑)。

——監督が4人のすごさを感じたシーンをお聞きしたいです。

是枝:本当はさりげないシーンが好きなんだけど、こうやって選ぶとなると、どうしてもエモーショナルなシーンになってしまうなあ……。尾野さんは3話の、母親が倒れたあとの病室で、父親・恒太郎(國村隼)に食って掛かるところ。あれ、すごかったね。仲裁に入った鷹男のことを本当に殴っていた。テイク1が思ってたよりも激しくて、カメラが追えていないんですよ。テイク2もすさまじくていいんだけど、テイク1の勢いを選びました。あのシーンを撮ったあと、尾野さんが「お腹すいた」と言ってました。そして宮沢さんが「今日はたくさんお昼食べていいよ」と(笑)。

——それだけエネルギーを使うお芝居だったということですね。

是枝:ご一緒するのは初めてでしたが、蒼井さんも素晴らしかったです。緩急どちらも好きなんですけど、7話の、病室で啖呵(たんか)を切る芝居は「すげえな」と思わず声がもれそうになりました。松田龍平さんとの掛け合いもすごく良かったです。龍平がずるいんだよね。

——ずるい?

是枝:いいところを持っていくんだよね。何もしてないのに(笑)。広瀬さんは、3人に本当に負けていなかった。僕が一番好きなのは病室で……全部病室だな(笑)、義母に「あんた、(息子の)体の調子が悪いって前から知ってたのにあんなこと(ボクシング)やらせたんやろ」と詰められる7話のシーン。オリジナルで加えた部分ですが、義母の言葉を聞いているときの顔が素晴らしかったです。

宮沢さんは6話の、玄関の扉を挟んで巻子と対峙するシーン。「お姉さん、自分がやってること恥ずかしくないの?」と言われて、「恥ずかしくないわ」と言い返す。あそこが宮沢さんらしくて好きです。あれは僕が書き足した台詞なんですけど。オリジナルだと、後半まで綱子の日陰者感がちょっと強いんですよね。彼女は彼女なりの幸せを自分で選ぶ、それは別に家庭ではないというポジティブ感を出そうと思って足しました。宮沢さんがそこを引き受けてくれて、良かったです。

制作環境の改善は業界全体の課題

——今回、インティマシーコーディネーターを起用した理由を聞かせてください。

是枝:たしか(NHK版の演出をした)和田勉さんのエッセイにあったんですけど、「ホームドラマにセックスを持ち込みたい」という向田さんの意向があって、このドラマは始まった。きちんと性の問題をやるのだ、ということでスタートしている。地上波のドラマだからストレートではないけれども、そういう描写が脚本の随所にあるので、「怪物」でご一緒した浅田智穂さんにご相談して、入っていただきました。そういうシーンに関しては、事前に浅田さんが役者さんとミーティングを持ってから撮影に入りました。

——「そういうシーン」には、物理的な接触、セクシャルなムード、肌の露出など、いろいろな要素がありますが、どれを指しますか?

是枝:それは全部ですね。

——どれか一つでもあれば入れた方がいい?

是枝:浅田さんはそういうスタンスです。心理的な部分での抑圧があるものに関しては入る。だから「怪物」では少年同士がやりとりする場面で入っていただきました。

——今回、浅田さんが入ったことによって俳優のパフォーマンスにどのような良い影響があったと思いますか。

是枝:それは、もし聞かれるのであれば役者さんに聞いた方がいいと思います。僕が何か言うのは難しい。なぜかというと、役者さんは僕ら監督とのやり取りの中で、「私は全然大丈夫です」「どう撮っていただいてもいいです」「演技であれば触られても全然私は大丈夫です」と言うかもしれない。浅田さんに入ってもらっているのは、そこで僕が「僕にはそう言ってたからOKだよね」と言うことを避けるため。僕に言えないことも彼女になら言えるという理解のもとでやっていることだから、僕から彼女たちについてここで言及するのはルール違反になる。

——確かにその通りですね。勉強になりました。是枝監督は、映画業界の制作環境の課題を改善する活動もされています。テレビドラマの制作環境についてはどう見てらっしゃいますか?

是枝:大変そうですよね。時間がないんだろうなと思います。そもそも本数が多すぎる気がします。

——多すぎて、全然視聴が追いつきません。

是枝:追いつかないですよね。今のままの制作環境だと、きっと事故が起きるだろうなというぐらい、間に合っていない。役者がかわいそうな感じがします。

—なぜこんなにたくさん制作しなければいけないのか。

是枝:誰の都合なのかはわかりませんが、それは日本映画も一緒ですよね。でも、僕の立場の人間は「多いよね」とは言いにくい。「じゃあお前が映画を作るなよ」という話になってしまうから。ドラマも映画も制作環境の改善は、業界全体を見渡して、誰かがやっていかなければいけない課題ではあると思います。

PHOTOS:YUKI KAWASHIMA

■Netflix シリーズ「阿修羅のごとく」
独占配信中
キャスト:宮沢りえ 尾野真千子 蒼井優 広瀬すず
本木雅弘 / 松田龍平 藤原季節 / 内野聖陽
國村隼 / 松坂慶子
原作・脚本:向田邦子
監督・脚色・編集:是枝裕和
企画・プロデュース :八木康夫
プロデューサー:福間美由紀 北原栄治 田口聖
音楽:fox capture plan
撮影:瀧本幹也
照明:藤井稔恭
録音:冨田和彦
美術:三ツ松けいこ 布部雅人
装飾:龍田哲児 羽場しおり
衣裳デザイン:伊藤佐智子
ヘアメイク:酒井夢月
音響効果:岡瀬晶彦 長谷川剛
助監督:松尾崇
スクリプター:押田智子
制作担当:後藤一郎
ラインプロデューサー:菊地正亮
制作プロダクション:分福
製作:Netflix

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超薄口で語る「2025年のファッション業界大予測」:記者談話室vol.160

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

160回目であり、記念すべき2025年の初収録回は、「2025年のファッション業界大予測」です。年末年始に各記者が考えた新年の業界展望とともに、25年のヒットアイテムなどを予測します。

この配信は以下のアプリでもご利用いただけます。
Apple Podcast
Spotify

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「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

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ユニチカ藤井社長「事業譲渡は8月が絶対の期限」 25年3月期は243億円の最終赤字

経営再建中のユニチカの2025年3月期連結決算は、売上高が前期比6.8%増の1264億円、営業利益が59億円(前期は25億円の赤字)、経常利益が47億円(同10億円の赤字)と黒字に転換したものの、純損益は243億円の赤字だった。最終赤字は2期連続。同社は昨年11月に祖業の繊維事業からの撤退を含む構造改革に着手しており、379億円の減損損失を計上したため。

岡崎工場(愛知県岡崎市)や常磐工場(岡山県総社市)、大阪染工など、撤退を決めた繊維事業の譲渡の状況に関して、4月に社長に就任した藤井実社長は、「事業譲渡に関しては鋭意進めており、現時点で話せることはなにもない。ただ、再生計画の中で事業の譲渡、あるいはそれ以外の選択肢(=廃業)は8月中が絶対の期限になっている」と語った。

第4四半期(1〜3月)中に新たに発生した減損としては大阪府・山崎にある大阪染工で24億円を計上した。

繊維事業の中核会社であるユニチカトレーディングは売上高が260億円、営業損益が4億円の赤字(前期は6億円の赤字)、経常損益が5億円の赤字(同5億円の赤字)、純損益が3億円の赤字(同5億円の赤字)だった。

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パルグループ創業者・井上英隆氏に特別功労金31億円

パルグループホールディングス(HD)は、5月28日付で取締役を退任する創業者で元会長の井上英隆氏(89)に対し、特別功労金31億5800万円を支給すると発表した。同日付の株主総会での承認を経て実行する。

井上氏は1973年にパルを創業し、50年以上にわたって経営の舵を取った。仕入れ型からSPA(製造小売業)への移行、プチプラ雑貨「スリーコインズ」をはじめとした新規事業への挑戦など、時代の先を読んだ変革を推進。同社を連結で売上高1925億円、営業利益186億円、従業員約7000人の企業グループに発展させたことを評価し、支給を決めた。

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パルグループ創業者・井上英隆氏に特別功労金31億円

パルグループホールディングス(HD)は、5月28日付で取締役を退任する創業者で元会長の井上英隆氏(89)に対し、特別功労金31億5800万円を支給すると発表した。同日付の株主総会での承認を経て実行する。

井上氏は1973年にパルを創業し、50年以上にわたって経営の舵を取った。仕入れ型からSPA(製造小売業)への移行、プチプラ雑貨「スリーコインズ」をはじめとした新規事業への挑戦など、時代の先を読んだ変革を推進。同社を連結で売上高1925億円、営業利益186億円、従業員約7000人の企業グループに発展させたことを評価し、支給を決めた。

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「無印良品」25年8月期を上方修正 春から中国で化粧品を販売

「無印良品」を運営する良品計画は、2025年8月期連結業績予想を上方修正した。修正後は売上高に相当する営業収益が7540億円(修正前は7340億円)、営業利益が640億円(同550億円)、純利益が440億円(同380億円)。2年連続で最高益の更新を見込む。

10日に発表した24年9〜11月期の好調を受けて修正した。9〜11月期は営業収益が前年同期比21.3%増の1976億円、営業利益が同58.2%増の219億円、純利益が同52.6%増の149億円だった。スキンケアに代表される化粧品の好調と、10月25日から11月4日にかけての「無印良品週間」による集客によって国内既存店売上高(EC含む)が同17.6%増と計画を上回った。中国大陸の既存店売上高(同)も同10.0%増を想定以上に伸びた。

国内でヒットが続く「発酵導入美容液」などの化粧品を春から中国でも販売する。中国市場で日本の化粧品企業の苦戦が続く中での参入だが、オンラインの決算説明会に登壇した清水智社長は「商品に自信を持っている。これまでにないマーケティングを仕掛けていく」と自信を見せた。

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「無印良品」25年8月期を上方修正 春から中国で化粧品を販売

「無印良品」を運営する良品計画は、2025年8月期連結業績予想を上方修正した。修正後は売上高に相当する営業収益が7540億円(修正前は7340億円)、営業利益が640億円(同550億円)、純利益が440億円(同380億円)。2年連続で最高益の更新を見込む。

10日に発表した24年9〜11月期の好調を受けて修正した。9〜11月期は営業収益が前年同期比21.3%増の1976億円、営業利益が同58.2%増の219億円、純利益が同52.6%増の149億円だった。スキンケアに代表される化粧品の好調と、10月25日から11月4日にかけての「無印良品週間」による集客によって国内既存店売上高(EC含む)が同17.6%増と計画を上回った。中国大陸の既存店売上高(同)も同10.0%増を想定以上に伸びた。

国内でヒットが続く「発酵導入美容液」などの化粧品を春から中国でも販売する。中国市場で日本の化粧品企業の苦戦が続く中での参入だが、オンラインの決算説明会に登壇した清水智社長は「商品に自信を持っている。これまでにないマーケティングを仕掛けていく」と自信を見せた。

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マンガで学ぶ「在庫管理の魔術」 第1話:売れ残るリスクを抱えて在庫を持つ?売上減のリスクを抱えて在庫を減らす?

中堅アパレルのチェーンストア「ハンナズ」は、過剰在庫が原因で経営危機に瀕している。社長の安堂平磨は、娘でバイヤーの安堂あい、あいの夫で渋谷店店長の安堂徹に再生を期待するが、2人は「売れ残るリスクを抱えながら在庫を持つべきか?」それとも「売り上げが落ちるリスクを抱えながら在庫を減らすべきか?」で迷い続ける。果たして、2人は「在庫を仕入れて在庫を売る」ビジネスの本質をつかみ、「ハンナズ」を再建できるのか?“業界あるある”なエピソード盛りだくさんのマンガがスタート!

登場人物紹介

第一話

このマンガは、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)も経営陣で読んだとされるTOC(制約理論)の原点にして最高の入門書「ザ・ゴール」を原案としています。「ザ・ゴール」を中心としたマネジメント理論に関する書籍は、ダイヤモンド社が販売中です。

ORIGINAL WORKS:ELIYAHU GOLDRATT、JEF COX
SUPERVISION:YUJI KISHIRA
SCRIPT:TAKEO AOKI
COMICS:YAMA AOTA

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オンワードHD、3〜11月は11.8%の営業減益 高気温で冬服動かず

オンワードホールディングス(HD)の2024年3〜11月期は連結業績は、営業利益が前年同期比11.8%減の86億円だった。9〜11月の高気温により、売れ筋となるはずのコート、セーターなど冬物が動かなかったことで、粗利益が減少した。

連結売上高は前年同期比6.1%増の1499億円。秋冬衣料の低調を、在庫の店舗引き当て・試着サービスの「クリック&トライ」の利用増などでカバーし、増収は確保した。ブランド別では、「アンフィーロ(UNFILO)」が同87.2%増、オーダー業態の「カシヤマ(KASHIYAMA)」が同38.6%増と大きく伸ばした。

昨年10月に連結子会社化したウィゴーはカジュアル衣料品や雑貨などが好調で、10〜11月の売上高は54億円、営業利益は2億円の黒字だった。オンワードHDの保元道宣社長は、「オンワードグループが得意とする秋冬衣料は低調だったものの、残暑の中で、ウィゴーの夏に強いMDが生きた」と補完関係を強調する。今後はアジア展開を推進。先行して上海のショッピングモール「上海静安大悦」で 10月に実施した、痛バッグ(推し活バッグ)にフォーカスしたポップアップイベントは、6日間で1万8000人を集客した。

通期連結業績予想は、売上高2100億円(前期比10.7%増)、営業利益125億円(同11.0%増)の期初予想値を据え置く。12月以降を冬服の実売期として正価販売施策を強化し、通期では計画通りの利益を確保できるとみる。純利益は繰延税金資産の計上により上方修正し、85億円(同28.6%増)での着地を見込む。

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「Y/プロジェクト」がブランド終了 買い手候補と合意に至らず

「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」は1月9日、ブランドを終了することを発表した。同ブランドは以前から資金難に陥っており、昨年9月4日に債権者への支払いを停止。同月26日にパリ商業裁判所により破産管財人の管理下に置かれ、買い手を探していた。同裁判所の資料によれば、買い手候補は香港の投資会社AAインベストメント(AA INVESTMENTS)のみで、同社は4万5000ユーロ(約729万円)での買収案を提示したが、合意に至らなかったという。

「Y/プロジェクト」について

同ブランドは、2010年にデザイナーのヨハン・セルファティ(Yohan Serfaty)が起業家のジャイルズ・エレイルフ(Gilles Elalouf)と共に設立。13年にセルファティ=デザイナーががんで死去した後、当時ファーストアシスタントを務めていたグレン・マーティンス(Glenn Martens)がクリエイティブ・ディレクターに就任した。その後、24年6月にエレイルフ共同設立者が死去。マーティンス=クリエイティブ・ディレクターは9月6日に退任を発表し、同月のパリ・ファッション・ウイーク期間中に予定していた25年春夏コレクションのショーも中止となった。

なお、故エレイルフ共同設立者の死後、兄弟であるダニエル・エレイルフ(Daniel Elalouf)が「Y/プロジェクト」の過半数株式を相続した。また、23年12月に就任したパスカル・コンテ・ジョドラ(Pascal Conte-Jodra)最高経営責任者は、24年7月に退任している。

同裁判所によれば、「Y/プロジェクト」の従業員は24人で、23年度の売上高はおよそ1100万ユーロ(約17億円)だった。

「Y/プロジェクト」の声明

同ブランドは、「14年にわたって実りのある活動をしてきたが、ブランドを終了するという難しい決断をした。これまで『Y/プロジェクト』を揺るぎなく支えてくれた全てのパートナーとサポーターに感謝する。また、チームに創造と成長の場を与えてくれたグレン・マーティンス、パスカル・コンテ・ジョドラ、故ジャイルズ・エレイルフに深く感謝する」と声明を発表した。

なお、同ブランドは、フランス・オートクチュール&モード連盟(Federation de la Haute Couture et de la Mode)やパリ・ファッション・ウイーク関連の業務にも携わっていた故エレイルフ共同設立者に敬意を表し、アーカイブから複数のルックを米メトロポリタン美術館、パリ市立ガリエラ美術館・モード&コスチューム博物館、パリ装飾美術館、ベルギーのモード博物館などに寄付するという。

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ファストリ24年9〜11月、国内や米欧ユニクロけん引し最高益 不調ジーユーは「本質的な課題」言及

ファーストリテイリングの2024年9〜11月期連結業績は、売上高に相当する売上収益が前年同期比10.4%増の8951億円、営業利益が同7.4%増の1575億円、純利益が同51.8%増の2310億円と、第1四半期としての過去最高益を更新した。暖冬の逆風の中でも国内ユニクロが好調で、海外ユニクロも大型店出店を進める米欧や東南アジアが全体をけん引した。一方で、グレーターチャイナのユニクロやジーユー事業は精細を欠いている。

国内ユニクロの9〜11月の既存店売上高は同7.3%増。高気温で10月は前年同月実績を割り込んだが、気温が下がった11月以降は冬物がよく売れて勢いに乗り、12月は「単月売り上げとして過去最高を記録した」(岡﨑健 取締役グループ上席執行役員CFO)。業界全体で課題となっている気候変動に対応したMDについて、「(10月の苦戦はあったものの)気温に左右されにくい商売が確立しつつある」とコメント。スエット、ロングスリーブTシャツ、ポケッタブルパーカなどの年間定番商品の拡大や、気温に合わせてそれらをレイヤード提案することで、今後も対応を進める。

海外ユニクロは、9月以降米テキサス州のダラス、ヒューストンに計5店の出店を果たすなど、従来出店していなかった大都市に大型店を出店して認知を高めると共に、ドミナント的に周辺に複数店出店して成果をつかんだ。「テキサス州はオープン初日に1000人超の行列ができた店舗もあ離、計画を大幅に上回る推移」と手応えを語る。

中国市場全体の減速が影を落とすグレーターチャイナのユニクロ事業は、「減収、大幅な減益」。引き続き、従来のチェーン展開による拡大成長に代えて、個店ごとにエリアのニーズを汲み取って市場に浸透していくあり方へと構造改革に取り組んでいる。「中長期的に心配はしていないが、今はまさに改革の最中」だ。

ジーユー事業は、9月に米ニューヨークに初のグローバル旗艦店を出店し、真のグローバルブランドを目指すと掲げた中での「増収、大幅な減益」。「本質的な課題として、確固たるブランドポジションが国内外で明確に確立できていない」と厳しいコメントが飛んだ。バレルレッグジーンズなどグローバルヒットは出ているが、「売れ筋が欠品したり、それ以外が在庫となって売り場を圧迫したりと、商品計画のコントロール精度が未熟」。ユニクロ経験者をジーユーへ異動させるなど、グループ総動員で精度向上を進めている。

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アートディレクター千原徹也のクリエイティブスクールが好評につき第2期受講生を募集

アートディレクターで「れもんらいふ」代表を務める千原徹也が学長を務めるクリエイティブスクール「RE:DESIGN SCHOOL 専門学校を再デザインする」は、第1期の好評を踏まえ、1月9日17時から第2期生の募集を開始する。

「RE:DESIGN SCHOOL 専門学校を再デザインする」

「東急プラザ原宿 ハラカド」に位置する同スクールは、広告業界や音楽業界など現在第一線で活躍するプロたちを講師に迎え、クリエイティブの技術やカルチャーを学べる超実践型の専門学校。

クラスはその専門性に合わせ分かれており、対面で実施する“プロフェッショナルクラス”(定員10名)、“グラフィックデザインクラス”(定員20名)、“DTM音楽制作クラス”(定員20名)、“映像編集クラス”(定員20名)、“CG/VFXクラス”(定員20名)と、今期から新設する“グラフィックデザインクラス”(オンライン、定員なし)の全6クラスを展開する。詳細については、公式サイトに記載する。

さらに各クラスの講義とは別に月に1度、著名なアーティスト、タレント、クリエイター、経営者などを招いた特別講義を開催。2025年度の特別講師には、クリエイティブディレクターの箭内道彦、音楽家のTOWA TEI、モデル兼クリエイターの鈴木えみ、「ヌメロ トウキョウ(Numero TOKYO)」編集長の田中杏子、編集者の軍地彩弓、NewsPicks Studios代表取締役CEOの金泉俊輔、俳優兼タレントのMEGUMIを予定している。

毎週火曜日と金曜日に学長の千原徹也によるスクール説明会を開催中。特設サイトから申し込みを受け付けている。
特設サイト

■第2期生募集詳細

募集期間:1月9日17:00〜4月30日
第2期スクール開催日程:5月12日〜10月下旬予定
住所:東京都渋谷区神宮前6-31-21 東急プラザ原宿「ハラカド」3階
入学申し込みサイト

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ヤーマン25年4月期上期の最終利益は99.6%減 中国の消費回復の遅れとRF規制による市場の混乱で

ヤーマンの24年5〜10月期連結業績は、売上高が前年同期比32.4%減の127億円、営業利益が同71.3%減の6億円、経常利益が同89.1%減の2億円、純利益が同99.6%減の600万円だった。中国国内の消費回復の遅れとRF規制による美容機器市場の混乱を受け、同社をけん引してきた海外部門の売上高が同63.6%減の29億円と大幅に落ち込んだことが、業績不振の主要因だ。

そのほかの部門では、通販部門も地上波テレビ通販やショッピン専門チャンネルなどの業績が振るわず、売上高は同6.6%減の21億円だった。直販部門は、オーラルケアが好調だったもののリピート商材への投資が未だ先行していることから、売上高は同24.9%減の34億円だった。

一方、店販部門は23年11月にオープンした銀座の旗艦店や家電量販店を中心とした売り上げが堅調だったことに加え、新カテゴリーのヘアケアやオーラルケアが伸長したことから、売上高は同7.1%増の39億円で着地。営業利益も同40.5%増の9億円と、前年同期を上回った。

下期以降、国内では年末商戦に向けた施策や24年8月に連結子会社化した広告代理店のforty-fourでの新商品販売を実施し、売り上げの回復を目指す。海外では、中国での広告宣伝の強化やベトナムなど中国以外の海外市場の開拓を加速する。25年4月期の連結業績予想は、売上高が前期比9.3%増の350億円、営業利益が同約6倍の25億円、経常利益が同117.6%増の22億円、純利益が289.1%増の15億円を見込む。

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ファストリ、再賃上げで新卒初任給33万円に 「成長と賃上げの好循環を推進」

「ユニクロ(UNIQLO)」「ジーユー(GU)」などを運営するファーストリテイリンググループは2025年3月、改めて日本の従業員の賃上げを行う。「グローバル水準での競争力と成長力の強化」を掲げ、新入社員の初任給は現行の30万円から33万円に引き上げ、年収では約10%増の500万円強とする。入社1〜2年目で就任する新人店長の月収は39万円から41万円に引き上げ、年収では約5%増の約730万円とする。

7日には、三井住友銀行が26年4月入社の大卒初任給を25万5000円から30万円に引き上げると大きく報道されたばかり。一般的に報酬水準が低いと言われる小売業に属するファストリが、大手都銀の初任給を超えるというのはインパクトが大きい。「グローバル水準の少数精鋭組織へと変革を進め、企業としてさらに成長する。世界水準で働く意欲や能力のある優秀な人材の抜擢を強化する。パート・アルバイトから経営者まで、一人ひとりが高い目標を持って成長を続け、成長と賃上げの好循環を推進できるよう、今後も報酬を含む組織のあり方を継続的に見直していく」と、同社の柳井正会長はコメント。

同社は23年にも、店舗販売員や本部社員ら日本の全従業員の報酬の4〜40%の引き上げを実施済み。その際、新卒初任給は25万5000円から30万円にアップしていた。今回の賃上げでは「世界水準で仕事をする人材を確保し、意欲と能力のある従業員にしっかり報いる」ために、現行の報酬体系に加えて新しい報酬体系を導入する。生産性改善を常に進め、日本以外の世界各地でも、小売業に限らない全産業ベースで優位性のある報酬体系を追求。随時報酬体系の見直しを行っていくという。

新報酬体系では、本部・営業の正社員は、年収が最大で11%アップする。加えて、個々の抜擢や要職への登用によっては、最大で54%の賃上げとなる。23年時と同様に、「一律に上げるのではなく、個々の能力や意欲などを総合的に鑑みて、新報酬体系へ移行する」。

「ユニクロ」「ジーユー」のパート・アルバイト販売員の時給は、24年11〜12月に先立って見直した。各出店エリアの報酬動向を踏まえて、スタート時給を最大1700円に引き上げ。24年9月には、「販売員から店長を目指す従来のキャリアコースとは別に、販売員でありながら店長と同水準の処遇を目指すキャリアを洗濯できる制度」を新たに導入、「世界水準の店舗経営を担う人材の育成をさらに推進する」。

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ファストリ、再賃上げで新卒初任給33万円に 「成長と賃上げの好循環を推進」

「ユニクロ(UNIQLO)」「ジーユー(GU)」などを運営するファーストリテイリンググループは2025年3月、改めて日本の従業員の賃上げを行う。「グローバル水準での競争力と成長力の強化」を掲げ、新入社員の初任給は現行の30万円から33万円に引き上げ、年収では約10%増の500万円強とする。入社1〜2年目で就任する新人店長の月収は39万円から41万円に引き上げ、年収では約5%増の約730万円とする。

7日には、三井住友銀行が26年4月入社の大卒初任給を25万5000円から30万円に引き上げると大きく報道されたばかり。一般的に報酬水準が低いと言われる小売業に属するファストリが、大手都銀の初任給を超えるというのはインパクトが大きい。「グローバル水準の少数精鋭組織へと変革を進め、企業としてさらに成長する。世界水準で働く意欲や能力のある優秀な人材の抜擢を強化する。パート・アルバイトから経営者まで、一人ひとりが高い目標を持って成長を続け、成長と賃上げの好循環を推進できるよう、今後も報酬を含む組織のあり方を継続的に見直していく」と、同社の柳井正会長はコメント。

同社は23年にも、店舗販売員や本部社員ら日本の全従業員の報酬の4〜40%の引き上げを実施済み。その際、新卒初任給は25万5000円から30万円にアップしていた。今回の賃上げでは「世界水準で仕事をする人材を確保し、意欲と能力のある従業員にしっかり報いる」ために、現行の報酬体系に加えて新しい報酬体系を導入する。生産性改善を常に進め、日本以外の世界各地でも、小売業に限らない全産業ベースで優位性のある報酬体系を追求。随時報酬体系の見直しを行っていくという。

新報酬体系では、本部・営業の正社員は、年収が最大で11%アップする。加えて、個々の抜擢や要職への登用によっては、最大で54%の賃上げとなる。23年時と同様に、「一律に上げるのではなく、個々の能力や意欲などを総合的に鑑みて、新報酬体系へ移行する」。

「ユニクロ」「ジーユー」のパート・アルバイト販売員の時給は、24年11〜12月に先立って見直した。各出店エリアの報酬動向を踏まえて、スタート時給を最大1700円に引き上げ。24年9月には、「販売員から店長を目指す従来のキャリアコースとは別に、販売員でありながら店長と同水準の処遇を目指すキャリアを洗濯できる制度」を新たに導入、「世界水準の店舗経営を担う人材の育成をさらに推進する」。

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LVMH系の投資会社、日本のブランド「キャピタル」の過半数株式を取得 金額は非公開

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)系の投資会社Lキャタルトン(L CATTERTON)は、日本のアパレルブランド「キャピタル(KAPITAL)」の過半数株式を取得した。最近、同社の公式サイトに「キャピタル」の項目が作られたことで明らかになった。投資時期は2024年とあるものの、具体的な時期や金額などは非公開。

「キャピタル」は、1985年に平田俊清氏が日本有数のデニムの産地である岡山県倉敷市児島で創業。当初は縫製工場として「ヒステリックグラマー(HYSTERIC GLAMOUR)」などさまざまな国内ブランドのOEMを手掛けていたが、後にオリジナルのアパレルブランドを立ち上げた。アメリカンカジュアルを再解釈したアイテムや、刺し子や藍染といった日本の伝統的な技術を取り入れた商品が世界中でカルト的な人気を博しており、現在は国内に13店舗を構えている。

Lキャタルトンは89年の設立。「アー・ペー・セー(A.P.C.)」「ビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)」「エトロ(ETRO)」「トッズ(TOD'S)」など、現時点で約150のブランドに投資している。

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LVMH系の投資会社、日本のブランド「キャピタル」の過半数株式を取得 金額は非公開

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)系の投資会社Lキャタルトン(L CATTERTON)は、日本のアパレルブランド「キャピタル(KAPITAL)」の過半数株式を取得した。最近、同社の公式サイトに「キャピタル」の項目が作られたことで明らかになった。投資時期は2024年とあるものの、具体的な時期や金額などは非公開。

「キャピタル」は、1985年に平田俊清氏が日本有数のデニムの産地である岡山県倉敷市児島で創業。当初は縫製工場として「ヒステリックグラマー(HYSTERIC GLAMOUR)」などさまざまな国内ブランドのOEMを手掛けていたが、後にオリジナルのアパレルブランドを立ち上げた。アメリカンカジュアルを再解釈したアイテムや、刺し子や藍染といった日本の伝統的な技術を取り入れた商品が世界中でカルト的な人気を博しており、現在は国内に13店舗を構えている。

Lキャタルトンは89年の設立。「アー・ペー・セー(A.P.C.)」「ビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)」「エトロ(ETRO)」「トッズ(TOD'S)」など、現時点で約150のブランドに投資している。

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しまむら、無印、ユナイテッドアローズが2ケタ増 専門店12月度、低気温で冬物好調 

専門店チェーン、セレクトショップの2024年12月度業績(既存店ベース)は、気温低下のもとで引き続き冬物衣料の販売が進んだといった声が中心だ。なお、国内ユニクロは24年9〜11月期決算発表と合わせて1月9日に12月度業績を公開予定。

しまむらの「ファッションセンターしまむら」は前年同月比14.9%増。11月21日〜12月20日集計のため、11月末に急激に気温が下がった分の需要も反映している。特に好調だったのは、インフルエンサーコラボ企画商品やキャラクター商品、保温の機能性肌着や寝具など。

良品計画の「無印良品」は同15.3%増と、11月に続き2ケタ台後半の伸びを達成。衣服・雑貨カテゴリーに限れば同20.7%増とさらに伸びている。「衣服・雑貨は、前年冬物の在庫不足があった反動もあって高い伸びとなった」(発表資料から)。

アダストリアは同1.4%増と、前年実績は超えたものの他社と比べると控えめ。前年12月も同1.0%と発射台が高いわけでもない。「ニットや防寒アウターのほか、ブーツ、ストール、ホリデー向け生活雑貨やブランケットが好調だった」(発表資料から)。

ユナイテッドアローズは同17.2%増と、12カ月連続で前年実績超えを達成。低気温が後押しし、12月は11月に続き2ケタ増となった。「シャツ、ジャケット、パンツ、ワンピースなどが継続的に売れたことに加え、冬物アウターやマフラー、グローブなど防寒アイテムの動きが目立った」「前年よりもVIPセール対象会員が増加し、既存店客数も2ケタ増となった」(発表資料から)。

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2025年にオープンする話題の商業施設!:記者談話室vol.159

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

第159回のテーマは「2025年にオープンする話題の商業施設!」です。JR東日本が作る新しい街「高輪ゲートウェイシティ」にルミネの「ニュウマン高輪」が3月に一部開業するほか、大阪・梅田、福岡・天神でも大型プロジェクトが目白押しです。主だった商業施設のポイントについて解説します。

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2025年にオープンする話題の商業施設!:記者談話室vol.159

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

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百貨店、12月に冬服本格稼働 実需シフトより鮮明に

主要百貨店4社の2024年12月度売り上げ速報が出そろい、各社の業績はおしなべて1割程度の増収だった。11月下旬から12月にかけてぐっと冷え込んだことで冬物衣料の需要が高まり、コートなど高単価な重衣料が動いたことで業績を押し上げた。従来は冬物衣料の販売は10〜11月が最盛期だったが、暖冬により実需シフトの傾向がより鮮明になっている。

各社の12月度売上高は、三越伊勢丹が前年同月比8.1%増、高島屋が同8.4%増、大丸松坂屋百貨店が同7.8%増、阪急阪神百貨店が同8.7%増。

三越伊勢丹は基幹3店の売り上げ合計が前年同月比9.5%増で、内訳は伊勢丹新宿本店が同11%増、三越日本橋本店が同2.7%増、三越銀座店が同14.4%増。気温の低下に伴いコートやセーターなどがよく売れ、衣料品カテゴリー単体の売り上げは基幹3店計で同18%増だった。

阪急阪神百貨店の阪急本店は前年同月比13.4%増となり、12月単月での売上高のレコードを更新した。同店は24年の1年間を通じて、月次売上高の最高記録を全て塗り替えたことになる。12月は、やはりコートやブーツなどの冬らしいファッションアイテムが売れ、衣料品は婦人・紳士共に2ケタ増だった。

高島屋は日本橋店が前年同月比15.4%増、新宿店が同12.9%増と都心店が引き続き好調。大丸松坂屋百貨店も大丸心斎橋店が同15.2%増、札幌店が同13.6%増と、同様の傾向が見られる。

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百貨店、12月に冬服本格稼働 実需シフトより鮮明に

主要百貨店4社の2024年12月度売り上げ速報が出そろい、各社の業績はおしなべて1割程度の増収だった。11月下旬から12月にかけてぐっと冷え込んだことで冬物衣料の需要が高まり、コートなど高単価な重衣料が動いたことで業績を押し上げた。従来は冬物衣料の販売は10〜11月が最盛期だったが、暖冬により実需シフトの傾向がより鮮明になっている。

各社の12月度売上高は、三越伊勢丹が前年同月比8.1%増、高島屋が同8.4%増、大丸松坂屋百貨店が同7.8%増、阪急阪神百貨店が同8.7%増。

三越伊勢丹は基幹3店の売り上げ合計が前年同月比9.5%増で、内訳は伊勢丹新宿本店が同11%増、三越日本橋本店が同2.7%増、三越銀座店が同14.4%増。気温の低下に伴いコートやセーターなどがよく売れ、衣料品カテゴリー単体の売り上げは基幹3店計で同18%増だった。

阪急阪神百貨店の阪急本店は前年同月比13.4%増となり、12月単月での売上高のレコードを更新した。同店は24年の1年間を通じて、月次売上高の最高記録を全て塗り替えたことになる。12月は、やはりコートやブーツなどの冬らしいファッションアイテムが売れ、衣料品は婦人・紳士共に2ケタ増だった。

高島屋は日本橋店が前年同月比15.4%増、新宿店が同12.9%増と都心店が引き続き好調。大丸松坂屋百貨店も大丸心斎橋店が同15.2%増、札幌店が同13.6%増と、同様の傾向が見られる。

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“部屋着にならない”アーティストTシャツを目指す ユニバーサルミュージックのグループ企業が手掛けるブランド「ユーミュージック」とは?

PROFILE: (左)山崎勇次(右)堀内伸彦/ブラバド部長

(左)山崎勇次(右)堀内伸彦/ブラバド部長
PROFILE: 左:(やまざき・ゆうじ)1966年生まれ、長崎県出身。長崎のセレクトショップで経験を積んだ後、89年にビームスに入社。95年から26年間、同社でインターナショナルギャラリー ビームスのメンズバイヤー、ウィメンズとメンズのディレクターを務める。2021年にコンサルティングオフィスYCMIを設立。「ユーミュージック」には、外部ファッションディレクターとして参画する 右:(ほりうち・のぶひこ)1978年生まれ、奈良県出身。2001年に大学を卒業した後、繊維専門商社に就職し、アパレル製品の企画や生産、輸入に携わる。15年にユニバーサルミュージックに入社。主にブラバド事業部で、契約する海外アーティストのライセンス及びリテールに従事する。「ユーミュージック」では、年間MDの策定や企画立案を行う PHOTO:SHUHEI SHINE

ユニバーサルミュージックはこのほど、ファッションライン「ユーミュージック(U/MUSIC)」をローンチした。「従来のツアーグッズとは異なる、ファッション性を追求したモノ作り」をうたい、まずは“部屋着にならない”アーティストTシャツやロンT、スエットなどを製造・販売。ビームスでの経験が長い山崎勇次氏と業務委託契約を結び、ユニバーサルミュージックのグループ傘下でアーティストの公式/公認グッズを企画・製造・販売するブラバドが手掛ける。「ユーミュージック」の仕掛け人に、ブラバドや従来のアーティストTシャツとは異なる商品へのこだわりなどを聞いた。

音楽とファッションの不可分な関係性

WWD:「ユーミュージック」のビジネスのカギとなるのが、傘下にあるブラバドだ。

堀内伸彦ブラバド部長(以下、堀内):ブラバドは、米ニューヨークに本社を構える、現在はユニバーサルミュージックのグループ企業だ。アーティストの公式/公認ツアーグッズなどを製作するほか、彼らの姿やロゴ、ジャケット写真など、アーティストにまつわる知的財産(IP)を活用した商品を作ってもらいライセンス料を頂戴するエージェンシーとしても機能している。「ジュンヤ ワタナベ マン(JUNYA WATANABE MAN)」とジャミロクワイのコラボレーションが代表例だ。ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)など、200を超えるアーティストのIPを管理している。日本のビジネスは、ライセンス事業が8割だが、2023年からは来日するアーティストに関するグッズの企画や製造、販売を自ら手掛けている。来日期間中にはポップアップを開催するなどもしている。

WWD:「ユーミュージック」を立ち上げた経緯は?

山崎勇次(以下、山崎):長年勤めたビームスを退社する際、親交があったユニバーサルミュージックから「ブラバドが抱える豊富なアーティストを使ったビジネスを考えている」と話があった。そうそうたるラインアップにビジネスが大成する可能性を感じた。

堀内:ライセンスビジネスでは、例えばアーティストが来日するタイミングでのポップアップなど、我々が売り出したいタイミングで商品を企画・製作できないもどかしさを感じていた。このジレンマが「ユーミュージック」の立ち上げを後押しした。

WWD:さまざまな商品が考えられる中、まず「ユーミュージック」ではファッションに注力する。

堀内:これまでのライセンス先は、約9割がファッション企業だった。音楽とファッションは、切っても切れない関係。音楽がコレクションの着想源になることは珍しくない。

山崎:ビームスのバイヤーを務めていた頃から、音楽に着想した洋服を数多く見てきた。だから音楽とファッションの関係を、ツアーグッズだけに留めたくない。もともと、アーティストとのコラボをファッション業界に深く浸透できないかと考えていた。「ユーミュージック」での役割は、商品をディレクションするだけでなく、従来通りのライセンス事業も発展させてブランドとのコラボを仕掛けること。特に国内の中堅ブランドとアーティストとのコラボは少ないので、「ユーミュージック」が一助となれば嬉しい。

堀内:「ユーミュージック」が企画・製造・販売する洋服が広く認知されれば、さまざまなアパレルブランドにファッションと音楽の親和性が伝わり、ライセンス事業も今まで以上に活発になるだろう。

音楽とファッションが交錯するモノ作り

WWD :具体的に、どのような商品に仕上げたのか?

山崎:部屋着ではなく、一張羅として着られる商品を作りたかった。ブランドの核となるTシャツは、「フミト ガンリュウ(FUMITO GANRYU)」の丸龍文人デザイナーにパターンを依頼した。従来のツアーグッズとは一線を画す、ファッション好きにもアピールできるTシャツに仕上がったと思う。ツアーグッズでは大きくフロントプリントしがちなグラフィティーを、「ユーミュージック」ではバックプリントすることもある。ちょっとした機転でコーディネートに取り入れやすくなるはずだ。まずは半袖TシャツやロンT、スエットからスタートし、今後は重衣料や小物なども検討したい。

堀内:「部屋着になるか、ならないか?」は、「ユーミュージック」の“ブランド力”次第。そして「ユーミュージック」の“ブランド力”が高まり、アーティストのIPを活用した洋服が多くの人の日常生活に溶け込めば、アーティストのためにもなる。ゆくゆくは邦楽アーティストにも興味を持ってもらえるような存在になりたい。邦楽アーティストのブランディングはこれまで、海外公演をすることそのものだったが、ここ数年でビジネスとして成功させようという意識が生まれている。邦楽アーティストが海外進出する際にも、ファッションで後押しできるブランドになるよう育てたい。

従来のライセンスやロックTとの違い

WWD:これまでブラバドも手掛けてきたブランドコラボとの違いは?

堀内:コラボは、どうしても相手先のブランドストーリーに沿った商品作りになってしまう。一方「ユーミュージック」では、アーティストを軸に商品企画ができる。これは「アーティストの思いを適切に商品に落とし込む」という私たちの本懐。Tシャツのグラフィティーに興味を持った人がアーティストを好きになるなど、「ファッションから音楽へ」という人の流れを作りたい。

WWD:一方、市場にはすでにロックバンドのビンテージTシャツなどが存在し、近年ますます熱視線が注がれているように思う。

堀内:別のマーケットだと思う。時に消費者は重複するだろうが、既存の商品は歴史や希少性、「ユーミュージック」の商品はファッション性と、それぞれ別の魅力を放つものなので共存できる。むしろ、「ユーミュージック」の商品がビンテージとして後世も愛されるよう、モノ作りを追求したい。

山崎:「ユーミュージック」の目標は、あくまでファッションを入り口としてアーティストを知ってもらうこと。ロックバンドのビンテージTシャツを求めている人は、すでにアーティストが好きな人が大半だろう。商品を手に取る動機に大きな違いがあると思う。

WWD:販路やコレクション発表のタイミングは?

堀内:公式ECやユニバーサルミュージックストア原宿で販売するほか、セレクトショップへの卸売りやポップアップの開催も予定している。ファッションブランドのため、基本的にはシーズンごとにコレクションを発表する。一方、来日や周年など、音楽業界として見逃せないタイミングでは、カプセルコレクションの発表やポップアップの開催も可能だ。

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“部屋着にならない”アーティストTシャツを目指す ユニバーサルミュージックのグループ企業が手掛けるブランド「ユーミュージック」とは?

PROFILE: (左)山崎勇次(右)堀内伸彦/ブラバド部長

(左)山崎勇次(右)堀内伸彦/ブラバド部長
PROFILE: 左:(やまざき・ゆうじ)1966年生まれ、長崎県出身。長崎のセレクトショップで経験を積んだ後、89年にビームスに入社。95年から26年間、同社でインターナショナルギャラリー ビームスのメンズバイヤー、ウィメンズとメンズのディレクターを務める。2021年にコンサルティングオフィスYCMIを設立。「ユーミュージック」には、外部ファッションディレクターとして参画する 右:(ほりうち・のぶひこ)1978年生まれ、奈良県出身。2001年に大学を卒業した後、繊維専門商社に就職し、アパレル製品の企画や生産、輸入に携わる。15年にユニバーサルミュージックに入社。主にブラバド事業部で、契約する海外アーティストのライセンス及びリテールに従事する。「ユーミュージック」では、年間MDの策定や企画立案を行う PHOTO:SHUHEI SHINE

ユニバーサルミュージックはこのほど、ファッションライン「ユーミュージック(U/MUSIC)」をローンチした。「従来のツアーグッズとは異なる、ファッション性を追求したモノ作り」をうたい、まずは“部屋着にならない”アーティストTシャツやロンT、スエットなどを製造・販売。ビームスでの経験が長い山崎勇次氏と業務委託契約を結び、ユニバーサルミュージックのグループ傘下でアーティストの公式/公認グッズを企画・製造・販売するブラバドが手掛ける。「ユーミュージック」の仕掛け人に、ブラバドや従来のアーティストTシャツとは異なる商品へのこだわりなどを聞いた。

音楽とファッションの不可分な関係性

WWD:「ユーミュージック」のビジネスのカギとなるのが、傘下にあるブラバドだ。

堀内伸彦ブラバド部長(以下、堀内):ブラバドは、米ニューヨークに本社を構える、現在はユニバーサルミュージックのグループ企業だ。アーティストの公式/公認ツアーグッズなどを製作するほか、彼らの姿やロゴ、ジャケット写真など、アーティストにまつわる知的財産(IP)を活用した商品を作ってもらいライセンス料を頂戴するエージェンシーとしても機能している。「ジュンヤ ワタナベ マン(JUNYA WATANABE MAN)」とジャミロクワイのコラボレーションが代表例だ。ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)など、200を超えるアーティストのIPを管理している。日本のビジネスは、ライセンス事業が8割だが、2023年からは来日するアーティストに関するグッズの企画や製造、販売を自ら手掛けている。来日期間中にはポップアップを開催するなどもしている。

WWD:「ユーミュージック」を立ち上げた経緯は?

山崎勇次(以下、山崎):長年勤めたビームスを退社する際、親交があったユニバーサルミュージックから「ブラバドが抱える豊富なアーティストを使ったビジネスを考えている」と話があった。そうそうたるラインアップにビジネスが大成する可能性を感じた。

堀内:ライセンスビジネスでは、例えばアーティストが来日するタイミングでのポップアップなど、我々が売り出したいタイミングで商品を企画・製作できないもどかしさを感じていた。このジレンマが「ユーミュージック」の立ち上げを後押しした。

WWD:さまざまな商品が考えられる中、まず「ユーミュージック」ではファッションに注力する。

堀内:これまでのライセンス先は、約9割がファッション企業だった。音楽とファッションは、切っても切れない関係。音楽がコレクションの着想源になることは珍しくない。

山崎:ビームスのバイヤーを務めていた頃から、音楽に着想した洋服を数多く見てきた。だから音楽とファッションの関係を、ツアーグッズだけに留めたくない。もともと、アーティストとのコラボをファッション業界に深く浸透できないかと考えていた。「ユーミュージック」での役割は、商品をディレクションするだけでなく、従来通りのライセンス事業も発展させてブランドとのコラボを仕掛けること。特に国内の中堅ブランドとアーティストとのコラボは少ないので、「ユーミュージック」が一助となれば嬉しい。

堀内:「ユーミュージック」が企画・製造・販売する洋服が広く認知されれば、さまざまなアパレルブランドにファッションと音楽の親和性が伝わり、ライセンス事業も今まで以上に活発になるだろう。

音楽とファッションが交錯するモノ作り

WWD :具体的に、どのような商品に仕上げたのか?

山崎:部屋着ではなく、一張羅として着られる商品を作りたかった。ブランドの核となるTシャツは、「フミト ガンリュウ(FUMITO GANRYU)」の丸龍文人デザイナーにパターンを依頼した。従来のツアーグッズとは一線を画す、ファッション好きにもアピールできるTシャツに仕上がったと思う。ツアーグッズでは大きくフロントプリントしがちなグラフィティーを、「ユーミュージック」ではバックプリントすることもある。ちょっとした機転でコーディネートに取り入れやすくなるはずだ。まずは半袖TシャツやロンT、スエットからスタートし、今後は重衣料や小物なども検討したい。

堀内:「部屋着になるか、ならないか?」は、「ユーミュージック」の“ブランド力”次第。そして「ユーミュージック」の“ブランド力”が高まり、アーティストのIPを活用した洋服が多くの人の日常生活に溶け込めば、アーティストのためにもなる。ゆくゆくは邦楽アーティストにも興味を持ってもらえるような存在になりたい。邦楽アーティストのブランディングはこれまで、海外公演をすることそのものだったが、ここ数年でビジネスとして成功させようという意識が生まれている。邦楽アーティストが海外進出する際にも、ファッションで後押しできるブランドになるよう育てたい。

従来のライセンスやロックTとの違い

WWD:これまでブラバドも手掛けてきたブランドコラボとの違いは?

堀内:コラボは、どうしても相手先のブランドストーリーに沿った商品作りになってしまう。一方「ユーミュージック」では、アーティストを軸に商品企画ができる。これは「アーティストの思いを適切に商品に落とし込む」という私たちの本懐。Tシャツのグラフィティーに興味を持った人がアーティストを好きになるなど、「ファッションから音楽へ」という人の流れを作りたい。

WWD:一方、市場にはすでにロックバンドのビンテージTシャツなどが存在し、近年ますます熱視線が注がれているように思う。

堀内:別のマーケットだと思う。時に消費者は重複するだろうが、既存の商品は歴史や希少性、「ユーミュージック」の商品はファッション性と、それぞれ別の魅力を放つものなので共存できる。むしろ、「ユーミュージック」の商品がビンテージとして後世も愛されるよう、モノ作りを追求したい。

山崎:「ユーミュージック」の目標は、あくまでファッションを入り口としてアーティストを知ってもらうこと。ロックバンドのビンテージTシャツを求めている人は、すでにアーティストが好きな人が大半だろう。商品を手に取る動機に大きな違いがあると思う。

WWD:販路やコレクション発表のタイミングは?

堀内:公式ECやユニバーサルミュージックストア原宿で販売するほか、セレクトショップへの卸売りやポップアップの開催も予定している。ファッションブランドのため、基本的にはシーズンごとにコレクションを発表する。一方、来日や周年など、音楽業界として見逃せないタイミングでは、カプセルコレクションの発表やポップアップの開催も可能だ。

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2025年の開業&閉店まとめ 高輪に新しい街が出現、新宿で40年の歴史に幕

2025年に「開業する主な商業施設」と「閉店する主な商業施設」を紹介する。2020年に山手線の新駅として誕生した高輪ゲートウェイ駅には、JR東日本グループが総力を上げて開発した新しい街「高輪ゲートウェイシティ」が完成し、中核の商業施設として「ニュウマン高輪」が開業する。一方、新宿駅で長年親しまれてきた「新宿ミロード」が再開発に伴い閉店する。

「松本パルコ」が閉店(2月28日)

長野県松本市の松本パルコは1984年8月にオープンした。商圏の若者の支持を集め、96年には増床も行っていた。店舗面積は2.2万平方メートル。だが、後発のショッピングセンターとの競合激化もあって売上高は後退していた。ピークである97年度の約95億円に対し、直近の23年度は40億円と全国のパルコの中で最小規模だった。

松本市では後述する井上百貨店も閉店を控える。また1月13日にはイトーヨーカドーの南松本店も閉店する。大型の商業施設が相次いで3店も閉店するため、関連する離職者は210人以上と報道されている。ハローワーク松本では従業員を対象にした就職面接会を開くなど対策を講じる。

「新宿ミロード」が閉店(3月16日)

小田急電鉄の子会社・小田急SCディベロップメントが運営する新宿ミロードは、「新宿駅西口地区再開発計画」の着工に伴って閉館する。小田急新宿駅直結で、甲州街道から見上げた際の台形のシルエットが印象的な新宿ミロードは1984年に開業。20歳前後の若者ファッションに強いファッションビルだった。

新宿駅西口地区再開発計画は小田急電鉄、東京メトロ、東急不動産による大型プロジェクトで、22年秋に閉店した小田急百貨店本館はA区、新宿ミロードはB区に位置する。新宿ミロードでは先行してモザイク通りと2階店舗の営業を23年3月に終了している。跡地に29年竣工予定の商業施設の詳細は明らかになっていないが、新宿ミロードのノウハウを生かすことを予定している。

「グラングリーン大阪 ショップ&レストラン 南館」が開業(3月21日)

大阪・梅田の再開発エリア「うめきた」に、新しい施設「グラングリーン大阪 南館」がオープンする。南館の店舗面積は1.6万平方メートル。ファッション関連ではカフェ併設の「ロンハーマン」、国内最大規模の「CFCL」のほか、「ナイキ」「ザラ」「カフェキツネ」「マーガレット・ハウエル ショップ アンド カフェ」などが入る。ショップ&レストランとは別に南館では、宿泊施設「ホテル阪急グランレスパイア大阪」、都市型スパ「うめきた温泉 蓮 ウェルビーイング パーク」も話題だ。またヒルトンの最上級ホテル「ウォルドーフ・アストリア」が日本に初上陸する・

グラングリーン大阪は三菱地所、オリックス不動産、積水ハウス、阪急電鉄など9事業者が参画し、官民連携で進められてきたプロジェクト。緑とイノベーションの融合拠点をまち作りの目標として掲げる。24年9月には先行してグラングリーン大阪の北館とうめきた公園の一部が開業した。野球場ほどの広さがある芝生広場は、梅田にはなかった開放感のある緑の空間として市民の憩いの場になっている。

「ミナモア」が開業(3月24日)

JR西日本グループの中国SC開発が広島駅に新しい駅ビルを開く。地下1階から地上7階の店舗面積2.5万平方メートルに約185店舗が出店する。「ユナイテッドアローズ」「ジェラート ピケ」「イル ビゾンテ」「アーバンリサーチ」「無印良品」「ラグタグ」「ユニクロ」などのファッション関連も充実している。

施設名には瀬戸内海を表す「ミナモ(水面)」と、「ミナ(みんな)」が「モア(もっと)」好きな場所になるという意味を込めた。

「ニュウマン高輪」が一部開業(3月27日)

JR東日本グループが約6000億円を投じて開発する「高輪ゲートウェイシティ」(東京都港区)は、車両基地の跡の広大な敷地に商業、オフィス、住宅、ホテル、文化などの機能を持った新しい街を作る巨大プロジェクトだ。2000年に誕生した山手線・高輪ゲートウェイ駅に直結する。高輪ゲートウェイシティは品川駅からも程近いため、新幹線や羽田空港など国内外からの来街者を見込む。グローバルに開かれた最先端の街を目指している。

その商業部分を担うのが、ルミネが運営する「ニュウマン高輪」だ。店舗面積は6万平方メートルで、ニュウマン新宿やニュウマン横浜を上回り、ニュウマンとしては最大になる。3月の一部先行開業、秋、来年春の3段階に分けてオープンし、ファッションや飲食を中心にあわせて約200店舗が出店する見通し。現時点でテナントの顔ぶれは明らかになっていない。車両基地跡にできる新しい街だけに商業地としてのポテンシャルは未知数だが、ファッション企業だけでも新宿や横浜に負けない顔ぶれになると言われている。高輪ゲートウェイシティが全面開業すれば1日に約10万人が訪れる場所になる。

「井上百貨店」が閉店(3月31日)

松本駅前で営業する地場の百貨店、井上百貨店が閉店する。呉服店として1885年に創業し、百貨店に業態転換してからは県内の商業施設では初のエスカレーターを設置するなど、松本市民にとっては何世代にもわたり親しまれてきた百貨店だった。いったん閉店し、新しいショッピングセンターとしての再出発を目指す。

「三井ショッピングパーク ららぽーと安城」が開業(4月)

名古屋市から南東に30kmの安城市(愛知県)に三井不動産のららぽーとが開業する。愛知県内のららぽーとは、名古屋みなとアクルス(2018年開業)、愛知東郷(20年開業)に続く3つ施設目だ。

店舗面積6万平方メートルに約210店舗が入る。大規模な店舗としてはスーパー「西友」、愛知県生まれの総合アミューズメント会社「コロナワールド」が出店する。3階には18店舗で構成するフードコート、飲食店13店舗を集積したレストランフロアができる。

「ワンビル」が開業(4月24日)

福岡市の大規模再開発プロジェクト「天神ビッグバン」の一環として、天神の福岡ビル、天神コア、天神ビブレの跡地に「ワン・フクオカ・ビルディング」が開業する。西日本鉄道が開発・運営し、通称を「ワンビル」と名づけた。地上19階・地下4階の建物のうち、地下2階から地上5階までが商業施設になる。店舗面積は1.6万平方メートルで、約120店が入る。

「シャネル」の3フロア構成の大型ブティックのほか、カフェ併設の「メゾンキツネ」や「ナイキ」「スノーピーク」、そして東京・青山の「スパイラルガーデン」がカフェ併設で九州に初進出する。1階には24年2月末に閉店したコンチネンタルカフェロイヤルの後継店として、「THE CONTINENTAL ROYAL&Goh」が入る。天神地下街と直結する地下1階の飲食ゾーン「天神のれん街」(7店舗・425席)、フードコート「IITO TENJIN」(6店舗・380席)も話題だ。

「三井アウトレットパーク岡崎」が開業(秋)

4月のららぽーと安城に続き、愛知県に同じ三井不動産による「三井アウトレットパーク岡崎」が開業する。店舗面積約5万平方メートルに、海外ブランドからスポーツ・アウトドア、キッズまで、バラエティー豊かな約170店舗が入る。東名、新東名および国道1号線などから近く、広域からのアクセスに優れ、名古屋鉄道本線・本宿駅からも徒歩圏内のため、多くの集客が見込める。三井不動産にとっては、三井アウトレットパーク ジャズドリーム長島(三重県桑名市)に続く、東海エリア2施設目のアウトレットモールになる。

番外編:西武池袋本店リニューアル・グランドオープン(夏)

夏に予定されている西武池袋本店のリニューアル・グランドオープンは、改装ではあるものの売り場は全面的に刷新される。大手百貨店の戦略転換として注目度が高い。百貨店区画の面積は従来の約半分の4.8万平方メートルに縮小し、ラグジュアリーブランド、化粧品、食品の3カテゴリー中心の店舗に生まれ変わる。親会社の米投資会社フォートレス・インベストメントグループの主導のもと、残りの約半分の区画はヨドバシカメラに変わる。

品ぞろえも空間演出も高級感を追求し、個々のブランドの世界観を表現できる旗艦店に力を入れる。改装前は消化仕入れとテナント契約の割合が7対3だったが、改装後は3対7へと逆転する。

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2024年にZ世代を夢中にしたブランドや企業は? トップ25社をまとめて紹介

ファッション、ビューティ、フード、エンターテインメントなど、さまざまなジャンルのトレンドをけん引するZ世代。概ね1990年代後半~2010年代前半に生まれた世代を指すが、年齢を重ねた彼らの購買力がアップするにつれ、消費市場での存在感もさらに増している。

そうした中、Z世代を対象とした市場調査を専門とし、ブランドの戦略策定などを支援する米マーケティング会社DCDXは「24年にZ世代を夢中にしたブランド&企業トップ25」を発表。市場調査への協力者として30万人以上のZ世代ネットワークを持つという同社によれば、現代の若年層はインフルエンサーによる作り込まれた投稿より、ユーザー生成コンテンツ(User Generated Content、UGC)に強く影響される傾向にあるという。このため、今回のランキングではTikTok上に投稿されたUGCを中心に、複数のアルゴリズムを組み合わせてブランドのエンゲージメントを測定し、100点満点から減点方式で評価した。

同社のアンドリュー・ロス創業者兼最高経営責任者は、「今回ランクインしたブランドは、カルチャーを非常に重視している。それに引き付けられた消費者がファンとなり、ブランドに対する思い入れや情報を自ら発信することでコミュニティーを形成し、自然に盛り上がっていったという文脈だ」と解説。「こうしたブランドは、トレンドを後追いするのではなく、ファンと共に(熱気を)作り上げていったと言えるだろう」。ここでは、同社によるランキング結果をまとめて紹介する。

1. ディズニー(DISNEY):98.4

2. ロブロックス(ROBLOX):98.3

3. ツイッチ(TWITCH):97.6

4. 全米バスケットボール協会(NBA):96.3

5. アップル(APPLE):96.2

6. ネットフリックス(NETFLIX):94.3

7. アマゾン(AMAZON):93.4

8. ターゲット(TARGET):92.7

9. スポティファイ(SPOTIFY):91.9

10. マクドナルド(McDONALD'S):91.8

11. ウィングストップ(WINGSTOP):89.5 ※チキン専門のファーストフードチェーン

12. ウォルマート(WALMART):89.0

13. セフォラ(SEPHORA):88.9

14. ナショナル・フットボール・リーグ(NFL):87.9

15. レイジング・ケインズ(RAISING CANE'S):87.6 ※チキン専門のファーストフードチェーン

16. チポトレ(CHIPOTLE):86.6 ※メキシカンのファーストフードチェーン

17. スターバックス(STARBUCKS):86.1

18. ドアダッシュ(DOORDASH):84.0 ※フードデリバリーサービス

19. チャットGPT(CHATGPT):83.6

20. クロックス(CROCS):82.4

21. レッドブル(RED BULL):82.3

22. 任天堂:81.9

23. コカ・コーラ(COCA-COLA):81.6

24. グーグル(GOOGLE):81.3

25. シーイン(SHEIN):81.1

なお、大きな動きがあったブランドとして、NFLは昨年の27位から14位に、ウォルマートは24位から12位にランクアップ。一方、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)の補正下着ブランド「スキムス(SKIMS)」は昨年の14位から42位に、「ナイキ(NIKE)」は11位から32位にランクダウンしている。

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2024年にZ世代を夢中にしたブランドや企業は? トップ25社をまとめて紹介

ファッション、ビューティ、フード、エンターテインメントなど、さまざまなジャンルのトレンドをけん引するZ世代。概ね1990年代後半~2010年代前半に生まれた世代を指すが、年齢を重ねた彼らの購買力がアップするにつれ、消費市場での存在感もさらに増している。

そうした中、Z世代を対象とした市場調査を専門とし、ブランドの戦略策定などを支援する米マーケティング会社DCDXは「24年にZ世代を夢中にしたブランド&企業トップ25」を発表。市場調査への協力者として30万人以上のZ世代ネットワークを持つという同社によれば、現代の若年層はインフルエンサーによる作り込まれた投稿より、ユーザー生成コンテンツ(User Generated Content、UGC)に強く影響される傾向にあるという。このため、今回のランキングではTikTok上に投稿されたUGCを中心に、複数のアルゴリズムを組み合わせてブランドのエンゲージメントを測定し、100点満点から減点方式で評価した。

同社のアンドリュー・ロス創業者兼最高経営責任者は、「今回ランクインしたブランドは、カルチャーを非常に重視している。それに引き付けられた消費者がファンとなり、ブランドに対する思い入れや情報を自ら発信することでコミュニティーを形成し、自然に盛り上がっていったという文脈だ」と解説。「こうしたブランドは、トレンドを後追いするのではなく、ファンと共に(熱気を)作り上げていったと言えるだろう」。ここでは、同社によるランキング結果をまとめて紹介する。

1. ディズニー(DISNEY):98.4

2. ロブロックス(ROBLOX):98.3

3. ツイッチ(TWITCH):97.6

4. 全米バスケットボール協会(NBA):96.3

5. アップル(APPLE):96.2

6. ネットフリックス(NETFLIX):94.3

7. アマゾン(AMAZON):93.4

8. ターゲット(TARGET):92.7

9. スポティファイ(SPOTIFY):91.9

10. マクドナルド(McDONALD'S):91.8

11. ウィングストップ(WINGSTOP):89.5 ※チキン専門のファーストフードチェーン

12. ウォルマート(WALMART):89.0

13. セフォラ(SEPHORA):88.9

14. ナショナル・フットボール・リーグ(NFL):87.9

15. レイジング・ケインズ(RAISING CANE'S):87.6 ※チキン専門のファーストフードチェーン

16. チポトレ(CHIPOTLE):86.6 ※メキシカンのファーストフードチェーン

17. スターバックス(STARBUCKS):86.1

18. ドアダッシュ(DOORDASH):84.0 ※フードデリバリーサービス

19. チャットGPT(CHATGPT):83.6

20. クロックス(CROCS):82.4

21. レッドブル(RED BULL):82.3

22. 任天堂:81.9

23. コカ・コーラ(COCA-COLA):81.6

24. グーグル(GOOGLE):81.3

25. シーイン(SHEIN):81.1

なお、大きな動きがあったブランドとして、NFLは昨年の27位から14位に、ウォルマートは24位から12位にランクアップ。一方、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)の補正下着ブランド「スキムス(SKIMS)」は昨年の14位から42位に、「ナイキ(NIKE)」は11位から32位にランクダウンしている。

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CEOの就任&退任で振り返る2024年 ラグジュアリーブランドなどトップ交代まとめ

2024年は、欧州や中東などで続く地政学上の先行き不透明感に加えて、米国におけるインフレの加速、中国の景気減退などマクロ経済の悪化などの影響により、海外のファッション業界では業績が低迷する企業が続出した。コロナ禍後の爆発的な需要増に支えられていた高級ブランド消費も“正常化”し、ラグジュアリー企業も一部を除いて軒並み減収に。中でも、主力の「グッチ(GUCCI)」の不調が続くケリング(KERING)は苦戦しており、立て直しが急務となっている。こうした経済的な要因のほか、世代交代などの理由により、今年もさまざまな企業で最高経営責任者(CEO)の交代が見られた。ここでは、ラグジュアリー各社をはじめ、主要なブランドにおけるCEOの就任(IN)と退任(OUT)をまとめて振り返る。

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン
(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)

ウオッチ部門

IN:フレデリック・アルノー(Frederic Arnault)
※新設された役職

ワイン&スピリッツ部門

OUT:フィリップ・シャウス(Philippe Schaus)
※グループ内の別の役職に就任予定
IN:ジャン・ジャック・ギヨニー(Jean-Jacques Guiony)

フェンディ(FENDI)

OUT:セルジュ・ブランシュウィッグ(Serge Brunschwig)
IN:ピエール・エマニュエル・アンジェログロウ(Pierre-Emmanuel Angeloglou)

ジバンシィ(GIVENCHY)

OUT:ルノー・ド・レスケン(Renaud de Lesquen)
IN:アレッサンドロ・ヴァレンティ(Alessandro Valenti)

アー・ペー・セー(A.P.C.)

IN:ピエール・アルノー・グレネード(Pierre-Arnaud Grenade)
※同ブランドはLVMH系の投資会社Lキャタルトン(L CATTERTON)が保有

ケリング
(KERING)

グッチ(GUCCI)

OUT:ジャン・フランソワ・パリュ(Jean-Francois Palus)
IN:ステファノ・カンティーノ(Stefano Cantino)

サンローラン(SAINT LAURENT)

 
OUT:フランチェスカ・ベレッティーニ(Francesca Bellettini)
※23年から兼任しているケリングのブランド開発担当副CEO職に専念
IN:セドリック・シャルビ(Cedric Charbit)

バレンシアガ(BALENCIAGA)

OUT:セドリック・シャルビ
IN:ジャンフランコ・ジャナンジェリ(Gianfranco Gianangeli)

クレージュ(COURREGES)

OUT:アドリアン・ダ・マイア(Adrien Da Maia)
IN:マリー・ルブラン(Marie Leblanc)
※同ブランドはフランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)=ケリング会長兼最高経営責任者(CEO)の一族の持株会社アルテミス(ARTEMIS)が保有

コンパニー フィナンシエール リシュモン
(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)

OUT:ジェローム・ランバート(Jerome Lambert)
IN:ニコラ・ボス(Nicolas Bos)

カルティエ(CARTIER)

OUT:シリル・ヴィニュロン(Cyrille Vigneron)
IN:ルイ・フェルラ(Louis Ferla)

ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)

IN:ローラン・ペルヴェ(Laurent Perves)

ジャガー・ルクルト(JAEGER LECOULTRE)

IN:ジェローム・ランバート

▼以下、アルファベット順▼

オールバーズ(ALLBIRDS)

OUT:ジョーイ・ズウィリンガー(Joey Zwillinger)
IN:ジョー・ヴァーナチオ(Joe Vernachio)

バリー(BALLY)

OUT:ニコラ・ジロット(Nicolas Girotto)

バルマン(BALMAIN)

OUT:ジャン・ジャック・ゲヴェル(Jean-Jacques Guevel)
IN:マテオ・スガルボッサ(Matteo Sgarbossa)

バナナ・リパブリック(BANANA REPUBLIC)

OUT:サンドラ・スタングル(Sandra Stangl)

ベネトン グループ(BENETTON GROUP)

OUT:マッシモ・レノン(Massimo Renon)
IN:クラウディオ・スフォルツァ(Claudio Sforza)

バーバリー(BURBERRY)

OUT:ジョナサン・エイクロイド(Jonathan Akeroyd)
IN:ジョシュア・シュルマン(Joshua Schulman)

ドクターマーチン(DR.MARTENS)

OUT:ケニー・ウィルソン(Kenny Wilson)
IN:イジェ・ンワーコリー(Ije Nwokorie)

ファーフェッチ(FARFETCH)

OUT:ジョゼ・ネヴェス(Jose Neves)
※現在は親会社クーパン(COUPANG)のボム・キム(Bom Kim)CEOとファーフェッチのエグゼクティブチームが事業を率いている

ガニー(GANNI)

OUT:アンドレア・バルドー(Andrea Baldo)
IN:ローラ・デュ・リュスケック(Laura du Rusquec)

H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ)

OUT:ヘレナ・ヘルマーソン(Helena Helmersson)
IN:ダニエル・エルヴェール(Daniel Erver)

ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)

OUT:リズ・フレイザー(Liz Fraser)
IN:エヴァ・アードマン(Eva Erdmann)

リーバイ・ストラウス(LEVI STRAUSS)

OUT:チップ・バーグ(Chip Bergh)
IN:ミシェル・ガス(Michelle Gass)

マルニ(MARNI)

OUT:バーバラ・カロ(Barbara Calo)
IN:ステファノ・ロッソ(Stefano Rosso)
※親会社OTBが擁する「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」の会長職と兼任

マイケル・コース(MICHAEL KORS)

OUT:セドリック・ウィルモット(Cedric Wilmotte)
IN:ジョン・アイドル(John Idol)
※親会社カプリ ホールディングス(CAPRI HOLDINGS)の会長兼CEOと兼任

マルベリー・グループ(MULBERRY GROUP)

OUT:ティエリー・アンドレッタ(Thierry Andretta)
IN:アンドレア・バルドー(Andrea Baldo)

ナイキ(NIKE)

OUT:ジョン・ドナホー(John Donahoe)
IN:エリオット・ヒル(Elliott Hill)

プロエンザ スクーラー(PROENZA SCHOULER)

OUT:ケイ・ホン(Kay Hong)
IN:シーラ・スヴェイケ・スナイダー(Shira Suveyke Snyder)

サロモン(SALOMON)

OUT:フランコ・フォリアート(Franco Fogliato)
IN:ジェームズ・チェン(James Zheng)
※親会社アメアスポーツ(AMER SPORTS)のCEOと暫定的に兼任

トッズ・グループ(TOD’S GROUP)

OUT:ディエゴ・デッラ・ヴァッレ(Diego Della Valle)
※会長職に専念
IN:ジョン・ギャランティック(John Galantic)

トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)

OUT:マルタイン・ハグマン(Martijn Hagman)
IN:リー・リッツ・ゴールドマン(Lea Rytz Goldman)

アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)

OUT:ステファニー・リナーツ(Stephanie Linnartz)
IN:ケビン・プランク(Kevin Plank)

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CEOの就任&退任で振り返る2024年 ラグジュアリーブランドなどトップ交代まとめ

2024年は、欧州や中東などで続く地政学上の先行き不透明感に加えて、米国におけるインフレの加速、中国の景気減退などマクロ経済の悪化などの影響により、海外のファッション業界では業績が低迷する企業が続出した。コロナ禍後の爆発的な需要増に支えられていた高級ブランド消費も“正常化”し、ラグジュアリー企業も一部を除いて軒並み減収に。中でも、主力の「グッチ(GUCCI)」の不調が続くケリング(KERING)は苦戦しており、立て直しが急務となっている。こうした経済的な要因のほか、世代交代などの理由により、今年もさまざまな企業で最高経営責任者(CEO)の交代が見られた。ここでは、ラグジュアリー各社をはじめ、主要なブランドにおけるCEOの就任(IN)と退任(OUT)をまとめて振り返る。

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン
(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)

ウオッチ部門

IN:フレデリック・アルノー(Frederic Arnault)
※新設された役職

ワイン&スピリッツ部門

OUT:フィリップ・シャウス(Philippe Schaus)
※グループ内の別の役職に就任予定
IN:ジャン・ジャック・ギヨニー(Jean-Jacques Guiony)

フェンディ(FENDI)

OUT:セルジュ・ブランシュウィッグ(Serge Brunschwig)
IN:ピエール・エマニュエル・アンジェログロウ(Pierre-Emmanuel Angeloglou)

ジバンシィ(GIVENCHY)

OUT:ルノー・ド・レスケン(Renaud de Lesquen)
IN:アレッサンドロ・ヴァレンティ(Alessandro Valenti)

アー・ペー・セー(A.P.C.)

IN:ピエール・アルノー・グレネード(Pierre-Arnaud Grenade)
※同ブランドはLVMH系の投資会社Lキャタルトン(L CATTERTON)が保有

ケリング
(KERING)

グッチ(GUCCI)

OUT:ジャン・フランソワ・パリュ(Jean-Francois Palus)
IN:ステファノ・カンティーノ(Stefano Cantino)

サンローラン(SAINT LAURENT)

 
OUT:フランチェスカ・ベレッティーニ(Francesca Bellettini)
※23年から兼任しているケリングのブランド開発担当副CEO職に専念
IN:セドリック・シャルビ(Cedric Charbit)

バレンシアガ(BALENCIAGA)

OUT:セドリック・シャルビ
IN:ジャンフランコ・ジャナンジェリ(Gianfranco Gianangeli)

クレージュ(COURREGES)

OUT:アドリアン・ダ・マイア(Adrien Da Maia)
IN:マリー・ルブラン(Marie Leblanc)
※同ブランドはフランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)=ケリング会長兼最高経営責任者(CEO)の一族の持株会社アルテミス(ARTEMIS)が保有

コンパニー フィナンシエール リシュモン
(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)

OUT:ジェローム・ランバート(Jerome Lambert)
IN:ニコラ・ボス(Nicolas Bos)

カルティエ(CARTIER)

OUT:シリル・ヴィニュロン(Cyrille Vigneron)
IN:ルイ・フェルラ(Louis Ferla)

ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)

IN:ローラン・ペルヴェ(Laurent Perves)

ジャガー・ルクルト(JAEGER LECOULTRE)

IN:ジェローム・ランバート

▼以下、アルファベット順▼

オールバーズ(ALLBIRDS)

OUT:ジョーイ・ズウィリンガー(Joey Zwillinger)
IN:ジョー・ヴァーナチオ(Joe Vernachio)

バリー(BALLY)

OUT:ニコラ・ジロット(Nicolas Girotto)

バルマン(BALMAIN)

OUT:ジャン・ジャック・ゲヴェル(Jean-Jacques Guevel)
IN:マテオ・スガルボッサ(Matteo Sgarbossa)

バナナ・リパブリック(BANANA REPUBLIC)

OUT:サンドラ・スタングル(Sandra Stangl)

ベネトン グループ(BENETTON GROUP)

OUT:マッシモ・レノン(Massimo Renon)
IN:クラウディオ・スフォルツァ(Claudio Sforza)

バーバリー(BURBERRY)

OUT:ジョナサン・エイクロイド(Jonathan Akeroyd)
IN:ジョシュア・シュルマン(Joshua Schulman)

ドクターマーチン(DR.MARTENS)

OUT:ケニー・ウィルソン(Kenny Wilson)
IN:イジェ・ンワーコリー(Ije Nwokorie)

ファーフェッチ(FARFETCH)

OUT:ジョゼ・ネヴェス(Jose Neves)
※現在は親会社クーパン(COUPANG)のボム・キム(Bom Kim)CEOとファーフェッチのエグゼクティブチームが事業を率いている

ガニー(GANNI)

OUT:アンドレア・バルドー(Andrea Baldo)
IN:ローラ・デュ・リュスケック(Laura du Rusquec)

H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ)

OUT:ヘレナ・ヘルマーソン(Helena Helmersson)
IN:ダニエル・エルヴェール(Daniel Erver)

ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)

OUT:リズ・フレイザー(Liz Fraser)
IN:エヴァ・アードマン(Eva Erdmann)

リーバイ・ストラウス(LEVI STRAUSS)

OUT:チップ・バーグ(Chip Bergh)
IN:ミシェル・ガス(Michelle Gass)

マルニ(MARNI)

OUT:バーバラ・カロ(Barbara Calo)
IN:ステファノ・ロッソ(Stefano Rosso)
※親会社OTBが擁する「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」の会長職と兼任

マイケル・コース(MICHAEL KORS)

OUT:セドリック・ウィルモット(Cedric Wilmotte)
IN:ジョン・アイドル(John Idol)
※親会社カプリ ホールディングス(CAPRI HOLDINGS)の会長兼CEOと兼任

マルベリー・グループ(MULBERRY GROUP)

OUT:ティエリー・アンドレッタ(Thierry Andretta)
IN:アンドレア・バルドー(Andrea Baldo)

ナイキ(NIKE)

OUT:ジョン・ドナホー(John Donahoe)
IN:エリオット・ヒル(Elliott Hill)

プロエンザ スクーラー(PROENZA SCHOULER)

OUT:ケイ・ホン(Kay Hong)
IN:シーラ・スヴェイケ・スナイダー(Shira Suveyke Snyder)

サロモン(SALOMON)

OUT:フランコ・フォリアート(Franco Fogliato)
IN:ジェームズ・チェン(James Zheng)
※親会社アメアスポーツ(AMER SPORTS)のCEOと暫定的に兼任

トッズ・グループ(TOD’S GROUP)

OUT:ディエゴ・デッラ・ヴァッレ(Diego Della Valle)
※会長職に専念
IN:ジョン・ギャランティック(John Galantic)

トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)

OUT:マルタイン・ハグマン(Martijn Hagman)
IN:リー・リッツ・ゴールドマン(Lea Rytz Goldman)

アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)

OUT:ステファニー・リナーツ(Stephanie Linnartz)
IN:ケビン・プランク(Kevin Plank)

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【総括:2024】中国は「ラグジュアリー失速」「AI制作コンテンツ」「越境EC新兵器」「POPMART株の爆騰」

世界第2位の経済大国となった中国は、生産拠点、マーケット、そしてイノベーション・トレンドの参照軸として見逃すことはできない存在だ。中国専門ジャーナリストの高口康太が、2024年のホットトレンドをファッション&ビューティと小売りの視点からまとめてお届けする。

中国ラグジュアリー市場の失速

2024年は中国ラグジュアリー市場の減速が注目された。LVMH、ケリング、バーバリーなど国際ラグジュアリー大手の中国市場における低迷が注目されているが、それだけではない。

最初にネガティブ・トレンドに突入したのが高級時計の「ロレックス」だ。高級時計情報サイト「ウォッチチャート(WatchCharts)」のロレックス・インデックス・バリューを見ると、2022年3月に3万ドルの最高値をつけた後に下落が始まり、直近では2万ドルにまで落ち込んでいる。当時はまだ他のラグジュアリーは堅調で「ロレックス」だけが下落していたため、「コロナで建設プロジェクトがストップしたため、賄賂に使われるロレックスの価値が下落した」という珍説も聞かれた。その後、女性向けのラグジュアリーや宝飾品などに影響は拡大している。

意外なところでは中国を代表する高級酒マオタイ酒の価格も下がっている。新酒二次流通価格は今年初頭の2700人民元(約5万8000円)から現在では2000人民元(約4万3000円)にまで下落した。ロレックス同様、時間が経てば値上がりする投資商品として扱われていたため、これ以上価格が下落すれば投資家の投げ売りが始まるのではとの不安が広がっている。転売目当てで購入されていた商品は、今後も価格調整が続きそうだ。

AIGCが変える中国のマーケティング

AIGCとはAI Generated Content(人工知能が作ったコンテンツ)の略語だ。テキスト、画像、動画、音楽などのコンテンツがAIによって短時間ローコストで作り出せる世界が到来している。日本でも活用が進むが、中国の歩みは少し異なる。

そもそも、中国のマーケティングは既存メディアからインフルエンサーやKOC(キー・オピニオン・コンシューマー、発信力のある消費者)の口コミへと大きく転換していた。いわゆるUGC(User Generated Content、ユーザーが作ったコンテンツ)だが、ここにAIが入り込みつつあるのだ。

低コストでもプロ並みの美しい画像や動画が作成できるようになったという正しい道もあれば、商品をほめたたえる書き込みをAIで粗製濫造する、動画を加工しロシア美女インフルエンサーと偽って宣伝を行うという悪の道まで振れ幅は大きい。報道によると、たったの2元(約40円)でロシア美女の顔は買えるのだとか。おじさんが40円で美女の顔を購入し、「中国人の男の人ってステキ」などとコメントを添えてSNSに投稿してファンを集めて行くという新時代が到来しているのだ。

実は中国は世界に先駆けてAI規制、ディープフェイク規制を法制化している。AIが作ったコンテンツにはマークをつけて明示すること、国民IDによる認証がサービス利用の前提になるなどの規制を設けているが、現時点では抑止力とはなっていない。

インフルエンサーとKOCを中心に組み立てられてきた中国マーケティングの世界が、AIによって大きく塗り替えられることは間違いなさそうだ。

アリババが銀泰百貨(インタイム)を売却

インタイム(銀泰百貨)は1998年、浙江省杭州市で創業した百貨店チェーン。2017年にEC大手アリババグループに買収された。その後は、デジタル技術で小売業のアップグレードを目指す「新小売」の旗手として活躍する。対面販売とECの統合、特典でロイヤルカスタマーを集める有料会員制度、アプリによる顧客との接点確保、D2Cブランドと海外ブランドの「中国初オフライン店舗」の積極招致、売り場からのライブコマース販売などの施策を次々打ちだし、中国のみならず、日本の小売業関係者からも注目される存在となった。

ところが12月、アリババはインタイムを売却した。インタイムの業績は非公開で経営状況は明らかになっていないが、取得費用の半額以下となる74億元(約1590億円)で売却したことを考えると、厳しい状況に置かれていたことは間違いなさそうだ。

ただし、売却の理由はアリババの戦略転換にある。小売業を革新する「新小売」を断念し、祖業のECに集約する方針を打ち出している。今年3月には中小店舗向けのB2Bプラットフォーム「LST」も停止。スーパーチェーンのフーマーフレッシュやサンアートも売却対象と噂されている。

コロナの流行や中国経済の低迷といった外部環境の変化があるとはいえ、デジタル技術で既存産業が変革する、壮大な未来図を描いたアリババの大戦略が静かに終焉を迎えたことには一抹の寂しさも禁じ得ない。

「TEMU」などの中国越境EC、新トレンドは「海外倉庫」

中国発の越境ECプラットフォームといえば、「普通のネットショッピングよりも配送時間がかかるがともかく安い」がこれまでの相場だったのだが、状況が変わりはじめている。大手越境ECプラットフォームの「TEMU」を見ると、一部の商品には「国内配送」のタグがついており、最短で1営業日で配送される。

よりスピーディーに配送するために海外倉庫に在庫を置くトレンドが広がっているのだ。今年6月には中国政府は「越境EC輸出開拓に関する海外倉庫建設推進に関する意見」という政策文書を発表し、海外倉庫の拡充を国としても推進している。越境ECとは異なり関税を支払う必要はあるものの、スピーディーに配送できるのが強みだ。また、郵便や宅配便では扱えない家具やマッサージ椅子などの大型商品も扱うことができる。

中国国営テレビ局CCTVの今年9月の報道によると、すでに全世界に2500以上もの海外倉庫が運用されている。プラットフォーム企業が倉庫を持つケースもあれば、メーカーが独自に倉庫を持つケースもあるという。報道ではショベルカーやロードローラーなどを製造する重機メーカーまでもが、海外倉庫を使った越境ECに取り組んでいることが紹介されている。

販売サイトは中国だが、在庫は日本に置いている。このケースを越境ECと言っていいのかどうか、定義すらあいまいになるほどの変化だが、アパレルやコスメ、プラスチック製品などの“軽いもの“中心だった越境ECが、海外倉庫によってカバーする範囲を大きく広げることになりそうだ。

中国発フィギュア「POPMART」株が爆騰、時価総額は2.4兆円に

中国発のフィギュア企業「ポップマート」の成長がすさまじい。株価は年初から4倍以上に高騰し、直近の時価総額は1170億香港ドル(約2兆4000億円)に達した。あの好調サンリオでさえ1兆3000億円で、今年8月に「時価総額でサンリオに肉薄」という記事を書いただが、それから4カ月で追い抜くどころか、1兆円以上も差をつけている。

株価が上げ潮の要因は、海外事業の好調さにある。特にタイを中心とした東南アジアでは、韓国ガールズグループ「BLACKPINK」のリサがインスタグラムで紹介したことで爆発的な人気になったという。8月記事の取材では「2023年は日韓、2024年は東南アジアが主要ターゲット」と聞いていた。その時点ですでに東南アジアで一定の知名度を得ていたが、ブラックピンクの投稿で最後の仕上げに成功したということなのだろう。

世界的スターの投稿でバズらせたように見えるが、着実なマーケティングの勝利というわけだ。

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箱根駅伝だけがなぜ特別? 有識者が語る、“厚底旋風”以降の箱根とシューズの関係

PROFILE: 藤原岳久/FS☆ランニング代表

藤原岳久/FS☆ランニング代表
PROFILE: (ふじわら・たけひさ):1971年1月3日(箱根の復路!)生まれ、神奈川県出身。箱根駅伝出場を目指して東海大学に入学し、陸上部に所属。大学卒業後に営業職として就職し、その後1年間ニュージーランドに滞在。現地でのランニング体験が忘れられず、帰国後はナイキ、アシックス、ニューバランスでシューズの販売員を経験。2013年に独立し、シューズ選びや走り方のコンサルタント、スポーツシューフィッター講師などとして活躍中 PHOTO:KAZUO YOSHIDA

年が明けたら、1月2、3日は箱根駅伝!選手の活躍はもちろん、近年は選手がどのブランドのどんなランニングシューズを履いているかも、メディアやSNSで大きな話題を呼ぶ。箱根路の神奈川・平塚でシューズ選びのコンサルタントをしている藤原岳久FS☆ランニング代表は、ここ10年ほど選手の着用シューズをブランド別に計測・分析しており、ランニング業界ではよく知られた人物。藤原代表に、近年の各社の傾向と2025年のシューズ争いの行方を聞いた。

WWD:藤原代表は箱根駅伝の選手のシューズ動向について、「アルペン グループ マガジン」上などで毎年分析をしている。他はどういった活動をしているのか。

藤原岳久FS☆ランニング代表(以下、藤原):もともとスポーツメーカーでランニングシューズの販売員をしており、独立後は平塚で、ランニングシューズの選び方や走り方のコンサルタントをしている。YouTubeやnoteでランニング業界の動向やシューズの新製品についての発信もしているほか、スポーツシューフィッターという資格講座の講師も10年ほど務めている。

箱根の選手の着用シューズを計測し始めたのは10年ほど前から。地元である往路の3、4区と、復路の7、8区を妻と手分けして現場で見て、それ以外はテレビ中継で計測。10年前は計測している人はわれわれ以外にあまりいなかった印象だが、17年に「ナイキ(NIKE)」が“ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%”を発売し、21年に箱根での「ナイキ」着用率が95.7%を記録したあたりから、急激にシューズに着目する人が増えたように感じる。

WWD:21年の「ナイキ」厚底シューズ旋風は一般メディアでも大きく取り上げられた。まずはおさらいとして、「ナイキ」のシューズは何がすごかったのか。

藤原:「ナイキ」は速く走るという概念自体を変えた。それまでの薄底のシューズは接地感覚があって、自身の力を地面に伝えられる選手が速く走れるもの。一方、厚底のカーボンプレート入りシューズは、走り方や道具(シューズ)に対する考え方、接地感覚などが従来とは全く違うものだ。衝撃を受けた競合各社は、「ナイキ」の速く走るためのロジックを後追いで研究。まずは模倣から始め、徐々に個性あるシューズや素材の開発を進めてきた。

厚底のカーボン入りシューズが広がったことで、選手のランニングフォームはダイナミックになった。以前は独特な走り方をする有力選手もおり、それも個性だったが、スーパーシューズは靴に合わせた走り方が要求されるため、フォームの個性は無くなってきたと感じる。ケガもしやすくなった。それらはスーパーシューズの功罪の罪の部分だ。一方で、一昔前と比べて駅伝は非常に高速化している。世界で戦える選手の土壌ができてきたというのは、間違いなく功の部分だ。

「『アディダス』が
一歩抜きん出ている印象」

WWD:開発競争激化の中で、「ナイキ」は21年をピークに徐々にシェアを落としつつ、24年も着用率は42.6%で首位を維持した。ズバリ、25年のブランド別の着用率はどうなると予想するか。

藤原:「アディダス(ADIDAS)」「アシックス(ASICS)」「ナイキ」がそれぞれ30%前後となるんじゃないかと見ている。もしかしたら、「ナイキ」は一気に三番手になるかもしれない。各社拮抗しているが、個人的にはシリーズ最軽量を実現した“アディゼロ アディオス プロ エヴォ 1”を開発した「アディダス」が一歩抜きん出ている印象だ。三つ巴の次が「プーマ(PUMA)」。「プーマ」は学生とのコミュニケーションを深めており、ブランドがサポート契約している大学の選手は皆他社のシューズに浮気せず、「プーマ」を履きそうだといった噂も耳にしている。その次は昨年、全230人の出場選手の中、3人の着用者が出た「オン(ON)」と予想。「オン」は、どの区間でも誰かしらが履いているといったレベルのサプライズを起こすかもしれない。ただし、最終的に験担ぎを重視してシューズを決める選手もいるし、予想はあくまで予想だ。

WWD:箱根で選手に履いてもらうために、ブランド側はどのような取り組みをしているのか。

藤原:日本では箱根に合わせて11〜12月にシューズの新モデルを発売するブランドが多いが、選手は夏合宿の段階でいいと思わなければ履いてくれない。そのために、ブランド側の仕込みは春ごろから始まる。大学の合宿所を行脚してとにかく試着してもらう。例えば「プーマ」は、学生の夏の合宿のメッカである菅平高原(長野)に、無料で利用できるリカバリーステーションを24年夏に開設したが、それも学生と接点を広げるのが狙い。シューズは提供するが、学生とブランドとの間にお金のやり取りはなく、お金が発生するのはブランドが大学陸上部に対してサポート契約を結んでいるケース。その場合はブランドが大学側に強化費を支払う。そのように大学とブランドが契約していても、レースでどこのブランドのシューズを履くかの選択権は選手にある。

WWD:箱根駅伝は、シューズについての決まりごとなどはあるのか。

藤原:五輪や世界陸上では、世界陸連(ワールドアスレティックス)のシューズ規則に則ったシューズしか履くことができない。一般向けに発売している製品で、世界陸連に登録しているシューズでないとダメ、といったものだ。しかし、箱根は世界陸連の規制の範囲外であり、それゆえまだ発売されていないプロトタイプ(試作品)を履いた選手が多数登場する。“プロトタイプ天国”というのも、箱根駅伝の側面の一つ。メーカーにとってのテストの場であり、プロトタイプを履かせてもらえることに気概を持って走っている選手ももちろんいる。メーカー側はプロトタイプを提供していることがあからさまになることに配慮してか、プロトタイプであっても色合いやデザインを発売済みのモデルとあえて似せて、見分けがつきにくくしていることもある。

「市民ランナーは
ソール60ミリが当たり前になる」

WWD:箱根には規制が適用されないとのことだが、なぜ世界陸連は「一般発売している製品でないといけない」などのシューズ規制を設けているのか。

藤原:「ナイキ」が17年に“ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%”を発売する前年の16年のリオ五輪で、ケニアのキプチョゲ選手ら有力選手が「ナイキ」のプロトタイプで出走し、キプチョゲ選手は男子マラソンで金メダルに輝いた。その後、20年に予定されていた東京五輪に向けて規制の議論が活発化した流れだ。一般販売していないプロトタイプでは、入手できる選手とできない選手とで不公平になってしまう。厚底やカーボンプレートについても、水着の“レーザーレーサー”のように可否が議論されたが、結果的にロードランではソールの厚さが40ミリまで、プレート1枚までならば世界陸連はオッケーとした。

ただし、規制があると発想やデザインは画一的になりがち。がんじがらめの規制を破ってランナーの可能性を広げるという意気込みで、世界陸連の規制外のスーパーシューズを作っているブランドもある。そもそも、大会で優勝や入賞に関わらない市民ランナーならば、どんな靴を履いていたって問題はない。将来的には市民ランナーは、ソール60ミリ前後のクッション性が非常に大きいシューズを履くようになるんじゃないかと僕は思っている。有力選手の履くシューズだけが規制に縛られ、かごの鳥であるというように見ることもできる。

WWD:話を箱根に戻すと、学生駅伝には出雲(10月)や全日本(11月)もあるが、一般知名度は箱根だけが段違いだ。何が違うのか。

藤原:日本人初の五輪マラソン選手であり、日本マラソンの功労者の金栗四三が考案して1920年に始まったのが箱根駅伝だ。ただ、箱根はあくまで関東地方のローカル大会で、87年にテレビ中継が開始されるまではそこまでの注目度はなかったと認識している。テレビ中継以降は人気が異常に高まって、高校ラグビーの選手が花園を目指すように、全国から有力選手が関東ローカル大会の箱根に集まってくるようになった。人気や注目度の高さゆえ、ブランドは箱根の出場選手にマーケティングの照準を合わせる。出雲や全日本で選手の着用シューズを計測すると、箱根の結果とは結構違っており、市民ランナーの着用率と近い。それは、関東以外の大学の選手は箱根の出場機会がないため、ブランドからシューズの提供を受けるといったことがなく、自分でシューズを買っているケースが多いからだ。

海外に目を向けると、アフリカや米欧の有力選手は、大学の段階ではシニアのステージに向けて無理せず準備をしているということも多い。一方で、日本は箱根で良くも悪くもかなり注目されてしまう。テレビで特番が組まれ、ブランドからシューズが提供され、選手を推す“駅女(エキジョ)”から黄色い声援も飛んでくる。選手にかかるプレッシャーはかなり大きい。箱根があれだけ盛り上がるのに、シニアで有力な結果を残す選手がそれほどは出てこないというのは、箱根以上の舞台がなかなか見つからないという面もあるのかもしれない。

「もっと気軽に走ることを楽しんで」

WWD:選手が箱根で履いたシューズは、実際に市民ランナーにも売れるのか。

藤原:箱根が終わると、スポーツ量販店では選手の履いていたシューズが売れるし、それを履いて普段のジョギングをしている市民ランナーをここ平塚ではよく見掛ける。レース用のスーパーシューズは耐久性もないため、ジョグで使うのはもったいないし、うまく走ることもできないと思う。僕自身もトレーニングでスーパーシューズは選ばない。ちゃんと自分のレベルに合ったシューズを選んでもらうため、ブランド側は駅伝向けパックとして発売する製品群にトレーニングシューズを含めている。色やデザインは選手用のレースシューズと似せることで、同じ気分を味わえるように工夫している。

WWD:選手が箱根の主役であることは大前提だが、改めてシューズを切り口にした箱根観戦の楽しみ方や、ランニングへの取り組み方などについて教えてほしい。

藤原:選手が履くシューズのために開発された最先端技術は、ゆくゆくは必ず一般向けのシューズに落とし込まれていく。ランナーではない人が履いている普段履きスニーカーのソールのフォーム素材が、実はスーパーシューズ用に開発されたものだった、ということがあり得る。誰もが必ず技術を満喫する日が訪れるので、無関係ではない。そう思って箱根の選手たちのシューズを観察すると、これまでとは違う興味もわいてくるのでは。

皆さんにはもっと気軽に走ることを楽しんでほしい。日本人は走るとなったらいきなりフルマラソン!という感じで、走ることのハードルが高い。5キロメートルの大会なら、練習不要で多くの人が明日にでも完走できるが、5キロの大会に出ることがどうも共感されづらいのが日本。24年の東京マラソンの参加人数は約3万7000人だったが、ぜひ6万人規模の大会になっていってほしいし、5キロの部も設けてほしい。ゴール地点をフルマラソンと同じに設定した5キロだったら、応援に来た人が思わず走ってしまうなんてことがあると思う。走ること自体は心にも体にもとてもいい。僕自身が、日々それを深く実感している。ランニングが選手や一部の人だけのものではなく、草の根のカルチャーとして日本に根付いていけばいいなと思っている。

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箱根駅伝だけがなぜ特別? 有識者が語る、“厚底旋風”以降の箱根とシューズの関係

PROFILE: 藤原岳久/FS☆ランニング代表

藤原岳久/FS☆ランニング代表
PROFILE: (ふじわら・たけひさ):1971年1月3日(箱根の復路!)生まれ、神奈川県出身。箱根駅伝出場を目指して東海大学に入学し、陸上部に所属。大学卒業後に営業職として就職し、その後1年間ニュージーランドに滞在。現地でのランニング体験が忘れられず、帰国後はナイキ、アシックス、ニューバランスでシューズの販売員を経験。2013年に独立し、シューズ選びや走り方のコンサルタント、スポーツシューフィッター講師などとして活躍中 PHOTO:KAZUO YOSHIDA

年が明けたら、1月2、3日は箱根駅伝!選手の活躍はもちろん、近年は選手がどのブランドのどんなランニングシューズを履いているかも、メディアやSNSで大きな話題を呼ぶ。箱根路の神奈川・平塚でシューズ選びのコンサルタントをしている藤原岳久FS☆ランニング代表は、ここ10年ほど選手の着用シューズをブランド別に計測・分析しており、ランニング業界ではよく知られた人物。藤原代表に、近年の各社の傾向と2025年のシューズ争いの行方を聞いた。

WWD:藤原代表は箱根駅伝の選手のシューズ動向について、「アルペン グループ マガジン」上などで毎年分析をしている。他はどういった活動をしているのか。

藤原岳久FS☆ランニング代表(以下、藤原):もともとスポーツメーカーでランニングシューズの販売員をしており、独立後は平塚で、ランニングシューズの選び方や走り方のコンサルタントをしている。YouTubeやnoteでランニング業界の動向やシューズの新製品についての発信もしているほか、スポーツシューフィッターという資格講座の講師も10年ほど務めている。

箱根の選手の着用シューズを計測し始めたのは10年ほど前から。地元である往路の3、4区と、復路の7、8区を妻と手分けして現場で見て、それ以外はテレビ中継で計測。10年前は計測している人はわれわれ以外にあまりいなかった印象だが、17年に「ナイキ(NIKE)」が“ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%”を発売し、21年に箱根での「ナイキ」着用率が95.7%を記録したあたりから、急激にシューズに着目する人が増えたように感じる。

WWD:21年の「ナイキ」厚底シューズ旋風は一般メディアでも大きく取り上げられた。まずはおさらいとして、「ナイキ」のシューズは何がすごかったのか。

藤原:「ナイキ」は速く走るという概念自体を変えた。それまでの薄底のシューズは接地感覚があって、自身の力を地面に伝えられる選手が速く走れるもの。一方、厚底のカーボンプレート入りシューズは、走り方や道具(シューズ)に対する考え方、接地感覚などが従来とは全く違うものだ。衝撃を受けた競合各社は、「ナイキ」の速く走るためのロジックを後追いで研究。まずは模倣から始め、徐々に個性あるシューズや素材の開発を進めてきた。

厚底のカーボン入りシューズが広がったことで、選手のランニングフォームはダイナミックになった。以前は独特な走り方をする有力選手もおり、それも個性だったが、スーパーシューズは靴に合わせた走り方が要求されるため、フォームの個性は無くなってきたと感じる。ケガもしやすくなった。それらはスーパーシューズの功罪の罪の部分だ。一方で、一昔前と比べて駅伝は非常に高速化している。世界で戦える選手の土壌ができてきたというのは、間違いなく功の部分だ。

「『アディダス』が
一歩抜きん出ている印象」

WWD:開発競争激化の中で、「ナイキ」は21年をピークに徐々にシェアを落としつつ、24年も着用率は42.6%で首位を維持した。ズバリ、25年のブランド別の着用率はどうなると予想するか。

藤原:「アディダス(ADIDAS)」「アシックス(ASICS)」「ナイキ」がそれぞれ30%前後となるんじゃないかと見ている。もしかしたら、「ナイキ」は一気に三番手になるかもしれない。各社拮抗しているが、個人的にはシリーズ最軽量を実現した“アディゼロ アディオス プロ エヴォ 1”を開発した「アディダス」が一歩抜きん出ている印象だ。三つ巴の次が「プーマ(PUMA)」。「プーマ」は学生とのコミュニケーションを深めており、ブランドがサポート契約している大学の選手は皆他社のシューズに浮気せず、「プーマ」を履きそうだといった噂も耳にしている。その次は昨年、全230人の出場選手の中、3人の着用者が出た「オン(ON)」と予想。「オン」は、どの区間でも誰かしらが履いているといったレベルのサプライズを起こすかもしれない。ただし、最終的に験担ぎを重視してシューズを決める選手もいるし、予想はあくまで予想だ。

WWD:箱根で選手に履いてもらうために、ブランド側はどのような取り組みをしているのか。

藤原:日本では箱根に合わせて11〜12月にシューズの新モデルを発売するブランドが多いが、選手は夏合宿の段階でいいと思わなければ履いてくれない。そのために、ブランド側の仕込みは春ごろから始まる。大学の合宿所を行脚してとにかく試着してもらう。例えば「プーマ」は、学生の夏の合宿のメッカである菅平高原(長野)に、無料で利用できるリカバリーステーションを24年夏に開設したが、それも学生と接点を広げるのが狙い。シューズは提供するが、学生とブランドとの間にお金のやり取りはなく、お金が発生するのはブランドが大学陸上部に対してサポート契約を結んでいるケース。その場合はブランドが大学側に強化費を支払う。そのように大学とブランドが契約していても、レースでどこのブランドのシューズを履くかの選択権は選手にある。

WWD:箱根駅伝は、シューズについての決まりごとなどはあるのか。

藤原:五輪や世界陸上では、世界陸連(ワールドアスレティックス)のシューズ規則に則ったシューズしか履くことができない。一般向けに発売している製品で、世界陸連に登録しているシューズでないとダメ、といったものだ。しかし、箱根は世界陸連の規制の範囲外であり、それゆえまだ発売されていないプロトタイプ(試作品)を履いた選手が多数登場する。“プロトタイプ天国”というのも、箱根駅伝の側面の一つ。メーカーにとってのテストの場であり、プロトタイプを履かせてもらえることに気概を持って走っている選手ももちろんいる。メーカー側はプロトタイプを提供していることがあからさまになることに配慮してか、プロトタイプであっても色合いやデザインを発売済みのモデルとあえて似せて、見分けがつきにくくしていることもある。

「市民ランナーは
ソール60ミリが当たり前になる」

WWD:箱根には規制が適用されないとのことだが、なぜ世界陸連は「一般発売している製品でないといけない」などのシューズ規制を設けているのか。

藤原:「ナイキ」が17年に“ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%”を発売する前年の16年のリオ五輪で、ケニアのキプチョゲ選手ら有力選手が「ナイキ」のプロトタイプで出走し、キプチョゲ選手は男子マラソンで金メダルに輝いた。その後、20年に予定されていた東京五輪に向けて規制の議論が活発化した流れだ。一般販売していないプロトタイプでは、入手できる選手とできない選手とで不公平になってしまう。厚底やカーボンプレートについても、水着の“レーザーレーサー”のように可否が議論されたが、結果的にロードランではソールの厚さが40ミリまで、プレート1枚までならば世界陸連はオッケーとした。

ただし、規制があると発想やデザインは画一的になりがち。がんじがらめの規制を破ってランナーの可能性を広げるという意気込みで、世界陸連の規制外のスーパーシューズを作っているブランドもある。そもそも、大会で優勝や入賞に関わらない市民ランナーならば、どんな靴を履いていたって問題はない。将来的には市民ランナーは、ソール60ミリ前後のクッション性が非常に大きいシューズを履くようになるんじゃないかと僕は思っている。有力選手の履くシューズだけが規制に縛られ、かごの鳥であるというように見ることもできる。

WWD:話を箱根に戻すと、学生駅伝には出雲(10月)や全日本(11月)もあるが、一般知名度は箱根だけが段違いだ。何が違うのか。

藤原:日本人初の五輪マラソン選手であり、日本マラソンの功労者の金栗四三が考案して1920年に始まったのが箱根駅伝だ。ただ、箱根はあくまで関東地方のローカル大会で、87年にテレビ中継が開始されるまではそこまでの注目度はなかったと認識している。テレビ中継以降は人気が異常に高まって、高校ラグビーの選手が花園を目指すように、全国から有力選手が関東ローカル大会の箱根に集まってくるようになった。人気や注目度の高さゆえ、ブランドは箱根の出場選手にマーケティングの照準を合わせる。出雲や全日本で選手の着用シューズを計測すると、箱根の結果とは結構違っており、市民ランナーの着用率と近い。それは、関東以外の大学の選手は箱根の出場機会がないため、ブランドからシューズの提供を受けるといったことがなく、自分でシューズを買っているケースが多いからだ。

海外に目を向けると、アフリカや米欧の有力選手は、大学の段階ではシニアのステージに向けて無理せず準備をしているということも多い。一方で、日本は箱根で良くも悪くもかなり注目されてしまう。テレビで特番が組まれ、ブランドからシューズが提供され、選手を推す“駅女(エキジョ)”から黄色い声援も飛んでくる。選手にかかるプレッシャーはかなり大きい。箱根があれだけ盛り上がるのに、シニアで有力な結果を残す選手がそれほどは出てこないというのは、箱根以上の舞台がなかなか見つからないという面もあるのかもしれない。

「もっと気軽に走ることを楽しんで」

WWD:選手が箱根で履いたシューズは、実際に市民ランナーにも売れるのか。

藤原:箱根が終わると、スポーツ量販店では選手の履いていたシューズが売れるし、それを履いて普段のジョギングをしている市民ランナーをここ平塚ではよく見掛ける。レース用のスーパーシューズは耐久性もないため、ジョグで使うのはもったいないし、うまく走ることもできないと思う。僕自身もトレーニングでスーパーシューズは選ばない。ちゃんと自分のレベルに合ったシューズを選んでもらうため、ブランド側は駅伝向けパックとして発売する製品群にトレーニングシューズを含めている。色やデザインは選手用のレースシューズと似せることで、同じ気分を味わえるように工夫している。

WWD:選手が箱根の主役であることは大前提だが、改めてシューズを切り口にした箱根観戦の楽しみ方や、ランニングへの取り組み方などについて教えてほしい。

藤原:選手が履くシューズのために開発された最先端技術は、ゆくゆくは必ず一般向けのシューズに落とし込まれていく。ランナーではない人が履いている普段履きスニーカーのソールのフォーム素材が、実はスーパーシューズ用に開発されたものだった、ということがあり得る。誰もが必ず技術を満喫する日が訪れるので、無関係ではない。そう思って箱根の選手たちのシューズを観察すると、これまでとは違う興味もわいてくるのでは。

皆さんにはもっと気軽に走ることを楽しんでほしい。日本人は走るとなったらいきなりフルマラソン!という感じで、走ることのハードルが高い。5キロメートルの大会なら、練習不要で多くの人が明日にでも完走できるが、5キロの大会に出ることがどうも共感されづらいのが日本。24年の東京マラソンの参加人数は約3万7000人だったが、ぜひ6万人規模の大会になっていってほしいし、5キロの部も設けてほしい。ゴール地点をフルマラソンと同じに設定した5キロだったら、応援に来た人が思わず走ってしまうなんてことがあると思う。走ること自体は心にも体にもとてもいい。僕自身が、日々それを深く実感している。ランニングが選手や一部の人だけのものではなく、草の根のカルチャーとして日本に根付いていけばいいなと思っている。

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名鉄百貨店も閉店へ 電鉄系「大衆百貨店」の黄昏

名古屋駅に直結する名鉄百貨店本店が2026年春に閉店すると複数のメディアが報じた。12月末時点で正式な発表はされていない。だが親会社である名古屋鉄道(名鉄)のターミナル再開発に伴い、コロナ前から閉店が取り沙汰されており、小売関係者の多くは既定路線と見る。近年は同店に限らず、電鉄系百貨店の事業縮小が相次ぐ。電鉄系が担ってきた“大衆百貨店”が岐路に立っている。

同店は名鉄名古屋駅直結の百貨店として1954年開業。名古屋の百貨店では長らく松坂屋、三越、丸栄(18年に閉店)と並ぶ“4M”の一角を占めた。73年から設置された巨大マスコット「ナナちゃん」も市民に愛されてきた。

転機は2000年、隣り合うJR名古屋駅の再開発によってジェイアール名古屋タカシマヤ(JR名古屋高島屋)が開業したことだ。JR名古屋高島屋は広域から集客できるJR直結の強みと若い世代の取り込みによって、エリアの最大の百貨店へと成長した。23年度の売上高は名鉄百貨店本店が352億円であるのに対し、JR名古屋高島屋が1891億円(タカシマヤゲートタワーモール含む)と5倍以上の差をつけられてしまった。

名古屋鉄道は同店周辺のビルを取り壊して、商業施設、オフィス、ホテルなどが入る高層ビルを3棟建てる。駅のプラットフォームの移設も含むため、最終的な工事終了は40年になる。

東急、小田急、京王、東武も

電鉄系百貨店の事業縮小は名古屋に限った話ではない。

東京・渋谷駅の東急百貨店は、駅直結の東急東横店を20年に閉めた。親会社・東急の再開発に伴うものだ。跡地には東急が主体で運営し、商業やオフィスが入る渋谷スクランブルスクエアの2期棟(中央棟、西棟)が27年の完成を目指して建設中だ。東急百貨店は渋谷駅から徒歩圏にあった東急本店も23年に閉店している。こちらの跡地には東急、東急百貨店、LVMHグループのLキャタルトンによる複合ビルが建設中だ。低層部は商業施設の予定だが、東急百貨店になるかは不透明だ。

新宿駅の小田急百貨店は、駅直結の本館を22年に閉めた。これも親会社・小田急電鉄の再開発に伴う措置だった。現在は別館(ハルク)でラグジュアリーブランド、化粧品、食品の3分野に特化した8割減の売り場で営業している。本館の跡地には29年に複合ビルが完成し、低層部に商業施設が入る予定だが、小田急百貨店が入るかは言及されていない。

同じく新宿駅では京王百貨店を含む周辺エリアの再開発も発表されている。親会社・京王電鉄とJR東日本などによる大規模プロジェクトで、28年から段階的に開業して完成は40年代になる。やはり低層部は商業施設になる見通しだが、そこに京王百貨店が入るかは決まっていない。

池袋駅西口でも再開発が予定されており、現在の東武百貨店の建物が対象エリアになる。親会社の東武鉄道の動向に注目が集まる。

いずれも再開発後に新しい商業施設が入ることは決まっている。商業施設は集客装置として欠かせないからだ。しかし大家である鉄道会社は消化仕入れで売れ行きに大きく左右される百貨店よりも、テナントから安定した家賃収入が得られるショッピングセンターを選ぶ公算が高い。本業の鉄道が少子高齢化で長期的に利用減が避けられない中、百貨店に固執する理由はない。

富裕層に強い「呉服系」、大衆に支持される「電鉄系」

電鉄系百貨店の事業縮小は鉄道会社の構造改革だけの話ではない。日本の社会構造の変化の反映ともいえる。

日本の百貨店には2つの系統がある。一つは呉服屋を祖業とする「呉服系」。三越、伊勢丹、高島屋、大丸、松坂屋、そごう、松屋などである。もう一つが鉄道会社が沿線価値を高めるためターミナルに作った「電鉄系」。こちらは阪急、東急、近鉄、西武、小田急、京王、東武、阪神、名鉄などである。企業再編もあって現在は必ずしも呉服系・電鉄系に二分できるわけではない。たとえば西武は発祥こそ電鉄系だが、そごうとともに06年にセブン&アイ ホールディングス傘下になり、23年には米投資ファンドに売却された。

呉服系の多くは江戸時代や明治時代に創業し、昭和初期に百貨店に業態転換している。電鉄系の元祖である阪急百貨店は1929年開店、それに触発された東急百貨店は34年開店(後に合併した白木屋は除く)だが、それ以外のほとんどの電鉄系は戦後の高度成長期に豊かになった大衆に向けて百貨店に進出した。

戦前からある呉服系は富裕層の顧客基盤を保ちつつ、戦後豊かになった大衆にウイングを広げた。一方、後発の電鉄系は当初から大衆からの支持を集めて発展した歴史がある。ターミナルに立地するため客層も幅広い。所得が上昇し、背伸びした消費を楽しめるようになった大衆にとっての「ハレの場」だった。

これも明確に二分できるわけではないが、歴史のDNAは案外いまも継承されている。関西で圧倒的なブランド力を誇り、百貨店売上高で国内2位の位置にある阪急本店(阪急うめだ本店、阪急メンズ大阪)でさえ、「長年、富裕層向けの外商に関しては呉服系にかなわない部分があった。外商で戦えるようになったのは12年に建て替え開業してからだ」(関係者)と振り返る。

百貨店は「一億総中流」と呼ばれた時代に全盛期を迎えた。全国百貨店売上高は91年に9.7兆円をピークに2023年には5.4兆円まで下がった。この30年間で「ユニクロ」に代表されるカテゴリーキラーが台頭。また2000年の規制緩和によって全国に大型のショッピングセンターが乱立した。特に百貨店の最大の稼ぎ頭だった衣料品は競争力を削がれていった。百貨店の店舗数は直近の20年間で4割も減っている。

一方で、コロナ後に大都市の旗艦店ではバブル期を越える過去最高売上高が相次いでいる。24年度の見通しでは、売上高1位の伊勢丹新宿本店は4240億円(20年度は2740億円)、2位の阪急本店が3588億円(同2412億円)と大きく伸びる。JR名古屋高島屋、松屋銀座本店、三越銀座店、高島屋新宿店、大丸神戸店なども過去最高を更新する見通しだ。

東京に関しては東急や小田急の事業縮小に伴う受け皿になった面もあるが、好調を支えているのは国内と海外の富裕層である。国内の富裕層は株高の恩恵、海外の富裕層は円安の恩恵を受けて、ラグジュアリーブランドや時計・宝飾品などの高額品を旺盛に消費する。カテゴリーキラーやショッピングセンターと競合しない百貨店独自のマーケットである。

社会構造の変化と百貨店の進む道

UBS証券の風早隆弘氏は「日本は人口減少のイメージばかりが先行するが、富裕層の増加では世界をリードする。UBS証券では、100万ドル以上の資産保有者が2028年に2023年比で28%増 の362.5万人となり、国・地域別では、米国、中国に続き、世界で3位となると予想している」と述べる。

「マス(大衆)から個へ」を掲げる三越伊勢丹ホールディングスの細谷敏幸社長は、こうした変化に自覚的だ。「日本の個人消費が280兆円といわれている中、百貨店の市場規模は5兆円で、割合では2%しかない。われわれは超ニッチなビジネスをしていることを自覚しなくてはならない」「目下好調のラグジュアリーブランド、宝飾・時計、美術などをはじめ、背後にクラフツマンシップや哲学があり、お客さまが納得した上で買われるものについては優位性を持っている。百貨店での買い物はそういったストーリーや特別感を楽しむ、一種のエンターテインメントであるべきだ」。伊勢丹新宿本店や三越日本橋本店では、外商を中心に富裕層のニーズに徹底的に応える道を選ぶ。

百貨店の現実的な勝ちパターンは、富裕層や訪日客の顧客基盤を持ち、高額品の品ぞろえを拡充することへと変化した。ただし、これに対応できるのは大都市の一部店舗に限られる。電鉄系が得意としてきた、幅広い大衆に手を伸ばせば届く上質な商品を提案する手法は通じにくくなっているのだ。分厚い中間層という日本の百貨店マーケットの前提は崩れつつある。ターミナルの再開発を機に、電鉄系はビジネスモデルの見直しを迫られる。

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箱根駅伝2025、注目を集めるのはどのシューズ? 10ブランドを一挙紹介

お正月の風物詩と言えば、お雑煮に初もうで、そして1月2、3日の箱根駅伝!2日間にわたって全国的に放送されるレースは世界でも珍しく、宣伝効果は絶大だ。スポーツメーカーは箱根に照準を合わせて新型シューズを仕込んでおり、熾烈なシェア争いの場にもなっている。ここでは、24年の箱根で着用者がいたブランドの、25年の期待のシューズを紹介。「ナイキ」一強時代を経て各社の開発競争は激化・混戦しており、24年は初登場3ブランドを含む10ブランドが箱根路に登場した。
※以下、年ごとの着用者数、シェア率の出典は全て「アルペン グループ マガジン」

「ナイキ」
前回着用者:98人(42.6%)
注目モデル:“アルファフライ3”

21年にシェア率95.7%を記録し、経済誌などでも話題になった「ナイキ(NIKE)」。そこから徐々に着用率は落としてきたが、24年もシェア率で首位を維持。各社の追い上の中、数字をどこまで保てるかに注目が集まる。

注目モデルの“アルファフライ3”は、昨年の箱根でも選手に選ばれたモデル。歴代“アルファフライ”の中で最軽量で、前足部に2つ搭載した“エア ズーム ユニット”、“ズームX フォーム”による厚めのミッドソール、カーボンファイバーの“フライプレート”からなる独自のシステムがパワーを生み出す。11月22日に発売した24-25年向けの“エキデン パック”の“アルファフライ3”(3万9655円)は、白地に赤のファイヤーパターンが特徴。駅伝競争黎明期のころに夜道を照らした松明(たいまつ)が着想源という。

「アシックス」
前回着用者:57人(24.8%)
注目モデル:“メタスピードスカイパリ”

箱根の定番だった「アシックス(ASICS)」だが、「ナイキ」旋風が吹き荒れた21年は着用者ゼロの屈辱を味わった。しかし、“メタスピード”発売以降の22年は11.4%、23年は15.2%と巻き返し、24年は24.8%まで回復。25年は「ナイキ」にどこまで迫れるか。

箱根に向けては、走法の違いに合わせストライド型の“メタスピードスカイパリ”、ピッチ型の“メタスピードエッジパリ”の新色(共に2万7500円)を12月5日に発売した。独自の軽量クッションフォーム材“エフエフターボプラス”をミッドソールに採用。新色は、ピンクとイエローの爽やかな色使いがポイント。24年夏のパリ五輪でも、イエローの“メタスピード”シリーズのシューズを履いた選手は大活躍、特に、男子マラソンのバジル・アブディ選手(ベルギー)は銀メダルにも輝いた。

「アディダス」
前回着用者:42人(18.3%)
注目モデル:“アディゼロ アディオス プロ 4”

24年の箱根で、2年ぶり7度目の総合優勝を果たした青山学院大学。出場選手10人中6人が履いていたのが「アディダス」だ。また、「アディダス」は青学に加えて、今シーズンの大学駅伝で既に2冠を手にしている國學院大学ともパートナーシップを結んでいる。25年に旋風を巻き起こすか、期待が高まる。

注目モデルは“アディゼロ アディオス プロ 4”(2万8600円)。カーボンプレートではなく、足の指の形に沿うような5本骨形状のカーボンバー“エナジーロッド 2.0”を搭載し、前足部は船底のようなロッカーポイント構造を採用している。11月27日に発売した“アディゼロ エキデン コレクション”では、集中と情熱をイメージしたというシルバー×赤のカラーリングの“アディゼロ アディオス プロ 4”をそろえた。

「プーマ」
前回着用者:20人(8.7%)
注目モデル:“ディヴィエイト ニトロ エリート3”

箱根を「ナイキ」が席巻した21年から、改めてパフォーマンスランニングを強化している「プーマ(PUMA)」。24年夏は、多くの大学が合宿地とする長野・菅平に無料のリカバリーステーションも設けた。

注目モデルは“ディヴィエイト ニトロ エリート3”(3万800円)。“ニトロフォーム エリート”搭載のミッドソールは前作よりも4ミリ厚くなり、優れたエネルギーリターンを実現する。11月29日に発売された“エキデン グロー パック”では、「毎朝トレーニングに励むランナーが目にする、夜明け前の空を表現した」というパープルからイエローのグラデーションカラーが印象的。

「ミズノ」
前回着用者:5人(2.2%)
注目モデル:“ウエーブ リベリオン プロ ロー“

「ミズノ(MIZUNO)」も「アシックス」と共に、かつては箱根の定番だった。しかし、「ナイキ」の躍進と共にシェアを減らし、21年以降はシェア1〜2%前後で推移している。

「反発こそ、勝利への一歩。」と銘打ち、“ウエーブ リベリオン プロ ロー“(中足接地の選手向け)、“ウエーブ リベリオン プロ スリー”(前足部接地の選手向け)を11月29日に発売した。共に2万9700円。「爆発的な反発でスピードをアシストする」ため、従来使ってきたものより柔らかい独自のソール素材“ミズノ エナジーXP”を採用。柔らかいソールでも走りやすいよう、接地エリアが広くフラットになるソール構造もポイントだ。繊維強化ナイロンプレート“ミズノ ウェーブ”も搭載。

「オン」
前回着用者:3人(1.3%)
注目モデル:“クラウドブーム ストライク LS”

スイス発「オン」は、24年に初めて箱根での着用者が出た。五輪やワールドマラソンメジャーズ(マラソンの世界6大大会)では、着用した選手が好成績を多数残している。箱根での露出も今後さらに増えていきそうだ。

注目モデルは、パリ五輪に合わせて今夏パリで製法をお披露目した“クラウドブーム ストライク LS”(4万4000円)。ロボットアームからスプレー噴射してアッパーを高速製造する新技術「LightSpray」で作られており、アッパーは極薄でシームレス、シューレースも不要。廃棄物やCO2排出量も大幅に削減できるという。パリ五輪では、女子マラソンのヘレン・オビリ選手(ケニア)が同シューズを着用して銅メダルに輝いた。日本では10月31日に数量限定で発売した。

「ホカ」
前回着用者:2人(0.9%)
注目モデル:“ロケット X 2”

「オン」と同じく、米「ホカ(HOKA)」も24年は初めて箱根で着用者が出た。果たしてその流れは25年も続くのか、要注目だ。

注目モデル“ロケット X 2”(3万5200円)は、カーボンプレートをより反り上がった形状にすることで、高い推進力を実現。一新した高反発な新素材の2層ミッドソールのPEBAフォームでカーボンプレートを挟み込んでいる。独自のクッション性の高さによって、「シューズに走り方を合わせずに、よりスピードに乗ることを可能にした」。

「ニューバランス」
前回着用者:1人(0.4%)
注目モデル:“フューエルセル スーパーコンプ エリート v4”

日本ではライフスタイルスニーカーのイメージが強い「ニューバランス(NEW BALANCE)」だが、老舗ランニングシューズブランドとして、「ナイキ」旋風以前も以降も、箱根では継続して着用者がいる。順天堂大学とはサポート契約を結んでいる。

注目モデルは“フューエルセル スーパーコンプ エリート v4”(2万9700円)の新色。繊維とその編み込み構造を改良した新たなカーボンファイバープレートを採用。PEBA配合の“フューエルセル”ミッドソールや、湾曲させたカーボンファイバープレートを挟み込み、ミッドソールの空洞構造との相乗効果で最大限のエネルギーリターンを生み出す仕組みの“エナジーアーク”が連動し、さらなる前への推進力を実現。

「アンダーアーマー」
前回着用者:1人(0.4%)
注目モデル:“ベロシティ エリート2”

トレーニングウエアの印象が強い「アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)」だが、近年はシューズ着用者を街でもよく見掛ける。箱根では、23年、24年と連続で着用選手が出た。

注目モデルは“ベロシティ エリート2”(2万6400円)。前モデルと比べて、カーボンプレートの厚みを増して1.2ミリとし、セッティングも変更した。前足部のソールの厚みも20%以上増量している。

「ブルックス」
前回着用者:1人(0.4%)
注目モデル:“ハイペリオン エリート 4 PB”

米国のランニング専門店での卸売り上げシェア1位を誇り、米国の市民ランナーから支持が厚い「ブルックス」。箱根では24年に初めて着用者が出た。果たして2年連続となるか。

注目モデル“ハイペリオン エリート 4 PB”(3万5200円)は、箱根の翌日の1月4日に限定発売予定。既存モデルの“ハイペリオン エリート 4”を進化させてカーボンプレートを搭載し、ミッドソールのフォーム材には新たに“DNAゴールド”を採用。ブランド史上最も柔らかくて、高いエネルギーリターンを提供する。モデル名のPBはパーソナルベストの意。

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スノーピークが群馬県「県立赤城公園」内2施設の指定管理者に選定 キャンプ場を新たに開業予定

スノーピーク(SNOW PEAK)は、群馬県から「県立赤城公園」内にある2施設の運営を担う指定管理者に選定されたことを発表した。同社は、公園内の「県立赤城公園キャンプ場」と「県立赤城公園ビジターセンター」を再整備後、「キャンプフィールド」と周遊拠点施設「ランドステーション」として新たに開業する予定だが、時期は未定。

「県立赤城公園」は、群馬県前橋市に位置し、日本百名山の一つにも数えられる赤城山の山頂エリアに広がる県立公園。広さは約1290ヘクタール(東京ドーム約278個分)で、都心からのアクセスは、車で約2時間半ほど。公園内では、火山活動で形成されたカルデラ湖“大沼(おの)”でのボート遊びや、湿原“覚満淵(かくまんぶち)”での野鳥観察に加えて、冬には、雪山登山やワカサギ釣りなどのアクティビティを楽しめる。

開業予定の「キャンプフィールド」は、フリーサイトや電源区画サイトをはじめ、ドックランや建築家の隈研吾と共同開発したモバイルハウス“住箱(JYOBAKO)”のエリアを作るほか、「ランドステーション」では、テント、キャンプギアに加えてアパレル、地元土産などをそろえるスノーピーク直営店やカフェ、観光案内所などを設置予定。

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スノーピークが群馬県「県立赤城公園」内2施設の指定管理者に選定 キャンプ場を新たに開業予定

スノーピーク(SNOW PEAK)は、群馬県から「県立赤城公園」内にある2施設の運営を担う指定管理者に選定されたことを発表した。同社は、公園内の「県立赤城公園キャンプ場」と「県立赤城公園ビジターセンター」を再整備後、「キャンプフィールド」と周遊拠点施設「ランドステーション」として新たに開業する予定だが、時期は未定。

「県立赤城公園」は、群馬県前橋市に位置し、日本百名山の一つにも数えられる赤城山の山頂エリアに広がる県立公園。広さは約1290ヘクタール(東京ドーム約278個分)で、都心からのアクセスは、車で約2時間半ほど。公園内では、火山活動で形成されたカルデラ湖“大沼(おの)”でのボート遊びや、湿原“覚満淵(かくまんぶち)”での野鳥観察に加えて、冬には、雪山登山やワカサギ釣りなどのアクティビティを楽しめる。

開業予定の「キャンプフィールド」は、フリーサイトや電源区画サイトをはじめ、ドックランや建築家の隈研吾と共同開発したモバイルハウス“住箱(JYOBAKO)”のエリアを作るほか、「ランドステーション」では、テント、キャンプギアに加えてアパレル、地元土産などをそろえるスノーピーク直営店やカフェ、観光案内所などを設置予定。

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アダストリア24年3〜11月期、10月の残暑が響いて純利益2ケタ減

アダストリアの2024年3〜11月期の連結業績は、売上高が前年同期比8.3%増の2200億円、営業利益が同9.4%減の147億円、純利益が同14.2%減の99億円の増収減益で着地した。10月の残暑やポイント利用率変動による粗利率の低下が減益につながった。

「長い夏、暑い秋に対する準備をして秋商戦に臨んだが、10月の残暑はわれわれの想像以上だった。消化しなければならない秋物在庫は値引きを行い、粗利率の低下につながった」(福田泰己専務)。ほか、米国子会社が景気減速により卸売りが不調で減収減益、飲食子会社ゼットンが出店費用や人件費の増加で増収減益となった。

気温低下に伴い、11月後半以降の売れ行きは「好調に推移している」。第3四半期までで計画に対し未達となったが、25年2月期業績予想は据え置く。売上高が前期比5.2%増の2900億円、営業利益が同5.5%増の190億円、純利益が同6.0%減の127億円を見込む。

なお、25年春は東京・原宿駅前の「ユニクロ(UNIQLO)」「イケア(IKEA)」などが入る商業施設「ウィズ原宿」に、OMO業態の「アンドエスティストア(AND ST STORE)」を出店する。以前は「資生堂ビューティ・スクエア」だった場所。また、来春は銀座に「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」の旗艦店もオープン予定。

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齊藤工 × 竹林亮 ドキュメンタリー映画「大きな家」から考える「普通の家庭」

PROFILE: 齊藤工/俳優、映画監督(右)、竹林亮/映画監督(左)

PROFILE: (さいとう・たくみ)※俳優名義は斎藤工。モデル活動を経て2001年に俳優デビュー。映像制作にも積極的に携わり、齊藤工名義での初⻑編監督作「blank13」(18)では国内外の映画祭で 8冠を獲得。23年には監督最新作「スイート・マイホーム」が公開された。劇場体験が難しい被災地や途上国の子どもたちに映画を届ける移動映画館「cinema bird」の主宰や全国のミニシアターを俳優主導で支援するプラットフォーム「Mini Theater Park」の立ち上げ、白黒写真家など、活動は多岐にわたる。近年の主な出演作に、映画「シン・ウルトラマン」(22)、映画「碁盤斬り」(24)、Netflix「極悪女王」(24)、TBS日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」(24)などがある。 (たけばやし・りょう)CM監督としてキャリアをスタートし、JICAの国際協力映像プロジェクトやさまざまなドキュメンタリー番組を手掛け、同時にMV、リモート演劇、映画等、活動範囲は多岐にわたる。 2021年3月に公開した⻘春リアリティ映画「14歳の栞」は1館からのスタートだったが、SNSで話題となり45都市まで拡大した。 監督・共同脚本を務めた⻑編映画「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」(22年公開)は、第32回日本映画批評家大賞にて新人監督賞・編集賞を受賞。同作はシッチェス・カタロニア国際映画祭ニュービジョンズ部門にノミネート、ヴヴェイ・ファニー国際映画祭でグランプリを受賞するなど、国際的な評価を得ている。

俳優としても活動する齊藤工が企画・プロデュースを手掛けたドキュメンタリー映画「大きな家」の全国上映がスタートした。本作は、さまざまな理由で親と離れ、児童養護施設で暮らす子どもたちに焦点を当てた作品だ。監督は、青春リアリティー映画「14歳の栞」(2021年)を手掛けた竹林亮が務める。

本作は、親と離れて暮らす子どもたちが何を想い、何に悩み、そしてどのように大人へと成長していくのかを描く。7歳、11歳、14歳といった年齢ごとに子どもたちの姿を追い、それぞれの個別の物語に焦点を当てながら、その成長の過程を追っていく。また、配信やDVDなどでのパッケージ化は行わず、劇場公開のみで公開する。

齊藤は公開に先立ち、「私はこの作品を作るために、ずっと映画に関わってきたのかもしれません。そんな、自分の理由になるくらいの作品ができました」とコメントする。制作を通じて、齊藤と竹林が何を感じ、何を伝えたいと思ったのか。その想いを聞いた。

時間をかけて撮影

WWD:齊藤さんが児童養護施設と関わるようになったきっかけは何だったのでしょうか?

齊藤工(以下、齊藤):あるイベントで初めて児童養護施設を訪れたのがきっかけです。そのイベントは1日限りのものでしたが、そこで「今度来た時にピアノを弾いてあげる」と言ってくれた子がいました。でも、その当時は再訪する予定がなく、その気持ちが表情に出てしまったんだと思います。それを見逃さなかったその子の眼差しが心に残り、自然と何度も足を運ぶようになりました。施設に通う中で、「ここで暮らす子どもたちのために記録映像を作れば喜んでもらえるかもしれない」と考え始めました。その頃、竹林監督のドキュメンタリー映画「14歳の栞」を観て、劇場限定で公開するという上映スタイルなら、子どもたちを守りながら映画にすることができるのではと思い、竹林監督にオファーをしました。そこから劇場公開に向けた話を進めていきました。

WWD:竹林監督は、最初にオファーを受けた時、どう思われましたか?

竹林亮(以下、竹林):ドキュメンタリー映画を作るには相当な体力と覚悟が必要です。ただ、齊藤さんとは以前にJICAの海外協力隊に密着した「いつか世界を変える力になる」という番組で約3年間一緒に仕事をしていて、その中で仕事への姿勢や映画に対する深い愛情を持っていて、とても尊敬していました。ですので、これもご縁だと思い、まずは児童養護施設を訪れてみることから始めることにしました。

当時、児童養護施設や「社会的養護」については詳しく知りませんでしたが、現場に足を運ぶと、職員の皆さんが子どもたちの人生と真摯に向き合う姿勢に心を打たれました。また、施設で暮らす子どもたちは葛藤を抱えながらも、人懐っこくてとても魅力的でした。そんな彼らに触れるうちに、「この場所を撮影したい」という気持ちが芽生えました。本作は、じっくりと時間をかける必要がある作品だと感じたため、覚悟を持ってゆっくり撮影を進めることにしました。

WWD:撮影を始める前に、カメラを持たず子どもたちと交流することから始めたそうですね。

竹林:しっかりと関係性を築かないと、撮られる側の子どもたちや職員の方たちにとっても、負荷が高いと思いました。そこで、最初の1年ほどは齊藤さんやプロデューサーの方々と共に、1〜2カ月に1回の頻度で施設を訪れ、挨拶をしたり、ハロウィンのお菓子を配ったりと、まずは顔を覚えてもらう活動をしました。その後、月に2〜3日程度の撮影から始め、徐々に撮影の日数を増やしていきました。子どもたちの信頼を得ることを第一に考えた結果、このようなスタートになりました。

子どもたちへの手紙のような映画

WWD:児童養護施設の子どもたちを撮影するにあたって、プライバシーの保護が非常に重要なポイントだったと思います。スタッフの間で、撮影に関して「こういうことは避けよう」といったルールを設けたのでしょうか?

齊藤:竹林監督の作品に被写体として参加した経験がある僕にとって、まず大前提として監督への全幅の信頼がありました。ただ、子どもたちをどう守るべきかについては慎重に考えました。

目線を隠したりモザイクをかけたりする方法はプライバシーの保護にはなりますが、それを見た本人がどう感じるか、という問題もあります。中には「自分の存在を認識してほしい」と感じる子どももいます。彼らは隠されるべき存在ではなく、限られた劇場公開という形であれば、むしろその存在が証明されるのではないかと思いました。

また、撮影において監督と具体的なルールを言葉で決めたわけではありませんが、「聞かれたくないことは聞かない」というスタンスは共有していました。もしかしたら壮絶な過去を子どもたちが涙ながらに語るような作品をイメージされる方もいるかもしれませんが、この映画はそういう内容ではありません。無理にドラマ性を作り出すようなことは一切しない、監督も現場で自然とそれを徹底してくださいました。

竹林:まずは出演してくれた子どもたちに「この作品に出て良かった」と思ってもらうことを何より大切にしました。作品完成前には本人や施設の職員の方々に観てもらい、感想を聞いて気になる点を修正する、といったプロセスを繰り返しました。

通常のテレビ番組制作では、こうした工程を取るのは難しいのですが、この作品に関してはそうした時間をかけることが必要でした。その結果、出演者たちも作品を気に入ってくれて、愛着を持ってくれています。この作り方を選んで本当に良かったと思っています。

WWD:ドキュメンタリー映画であっても、編集には監督の意図が反映されると思います。編集する上で特に意識したことは何でしょうか?

竹林:映像を編集する以上、何かしら作り手の意思が反映されるのは避けられません。だからこそ、どのような意思を持つかが非常に重要です。今回は、どんな形であれ、本人たちにとってとにかくいい影響が訪れるように願いながら撮る、編集することを心掛けました。

商業的なことはあまり考えず、「この場面をぜひ10年後に振り返ってみてほしい」「あなたのこういう面が本当にすてきだよ」など、出演してくれた子どもたちへの手紙のような気持ちで作りました。その純度を高く保つことだけを意識しました。

WWD:劇場でのみ公開するという形もいいですね。

齊藤:監督もおっしゃった通り、このプロジェクトは商業的な目的で立ち上げられたものではありません。竹林監督の「14歳の栞」のスタイルが参考になりましたが、こうした映画が存在することで、映画制作の新たな選択肢や劇場の意義、未来の映画館のあり方を示すものになるのではと考えました。

全国公開が始まり、これからが本当のスタートだと思っています。少しずつでも純度の高い形で上映を長く続け、作品を手渡しで届けていけたらと思っています。

まずは知ってもらうことが大事

WWD:本作を観た人に「こんなアクションを起こしてほしい」など、そういった思いはありますか?

齊藤:意図していたわけではないのですが、試写を観た方々から「自分の地元や住んでいるエリアに児童養護施設があるのは知っていたけれど、関わる方法を考えたり調べたりしたことがなかった。本作を観て、何かできることはないか調べてみた」といった声をいただきました。また、アーティストの方々からは「施設で演奏をしてみたい」というお話もありました。このように、作品をきっかけに児童養護施設との関わり方を考えたり、行動を起こそうとする声が多く届いていて、この映画の持つ強さを改めて感じています。僕自身も、偶然施設の存在を知ったことがきっかけで関わるようになりましたが、まずは知ることでこうした行動につながるのだなと実感しています。

WWD:竹林監督はいかがですか?

竹林:映画に登場する子どもたちと「友達になった」ような気持ちになってもらえたらうれしいですね。その上で、児童養護施設についてもっと調べてみたり、観た人同士で感想を語り合ったりと、より興味を持つきっかけになればいいなと思います。

加えて、親の立場であれば「親として子どもにどう向き合うべきか」や「自分は他者に対して何ができるのか」など、それぞれの立場で、人と人の関係性や「人に何ができるのか」について思いを巡らせてもらえたら、すごくいいなと思います。

WWD:私自身、児童養護施設の実情を全く知らなかったので、映画を通じて子どもたちの様子を知ることができたのは、とてもいいきっかけになりました。

竹林:全国には約600の児童養護施設があります。それぞれの施設ごとに状況や背景は異なるので、本作が児童養護施設全体を代弁するような発信の仕方にならないようには十分注意しなければならないと考えています。ただ、それでも全国にある600施設のうちの1つのリアルを知ることができるのは間違いありません。この作品がそのきっかけになればうれしいです。

「家族」について

WWD:作品の中で、施設で一緒に暮らす人との関係性について、「家族ではない」と答える子どもたちが多かったのが印象的でした。とても客観的に自分たちの状況を見ているように感じました。

竹林:客観的というよりは、「家族」という言葉自体の解釈に苦労しているのかなと感じました。「なぜ自分はここにいるんだろう」と思う時もあれば、逆に「ここにいることが自分にとって自然だ」と感じる時もある。そういった気持ちが日々揺れ動いていて、何を言葉として選べばいいのか分からない状態なのかもしれません。言葉の落としどころが見つからないまま、それぞれが変化し続けているように見えました。

ただ、長い時間を一緒に過ごすことで、実感として深いつながりを感じる瞬間もあるのだと思います。施設を卒業した男の子が「(施設で一緒に暮らした人は)家族だ」と答えたのは、そういったつながりを時間の中で育んだからではないかと感じています。

WWD:一般的には戸籍上の「家族」という概念があります。そのため、施設の子どもたちが「家族ではない」と答えたのも、そうした背景が影響しているのかもしれません。私自身は両親がいる家庭で育ちましたが、この作品についてコメントしようとする際に、「意図せず傷つけてしまうのでは?」と、どこか躊躇してしまう部分があります。

齊藤:施設で育っていない17、18歳の子どもでも、家族との関係に悩んでいる人は多いと思います。そのため、どんな「家族」なのかというよりも、むしろ個人差の方が大きいのではないかと感じます。施設を卒業した男の子などを見ていると、施設での生活が長ければ長いほど、口ではドライな表現をしていても、一緒に過ごした時間や共有した経験は揺るぎないもので、それが血のつながりを超えた特別な関係を生むこともあるように見えました。

ただ、施設の子どもたちや職員の方々も、いわゆる「普通の家庭」と比較することで、自分たちに対して何か構えてしまう部分があるように思います。例えば、学校のクラスメイトと比較して、行動にブレーキをかけてしまうことも少なくありません。そういった点を考えると、この作品で一番に考えるべきなのは、その「普通の家庭」というイメージのありようなのかなという気がするんです。

施設では、親ではないけれど、親のように深い言葉をかけてくれる職員の方々がいます。そうした環境をうらやましいと感じる人もきっといるのではないでしょうか。「普通の家庭」という概念の境界線がどこにあるのか分からないからこそ、この作品を通じて、その境界線を行き来するような体験をしてもらえるのではないかと思います。

竹林:本作では、「家族」や「親子」といった言葉ではくくられない、もっと広い意味での人と人のつながりに焦点を当てています。だからこそ、多くの人に「これは自分たちの話なんだ」と感じてもらえるのではないかと思います。

もし、「自分にはこういった環境に踏み込む資格がないのでは」と気を使いすぎてしまう人がいるなら、その壁を取っ払ってほしいですね。この作品がそういった壁をなくし、より深いつながりを考えるきっかけになればいいなと思います。

制作を通して知った新たな問題

WWD:実際に作品を通して、長期間にわたり児童養護施設で暮らす子どもたちと関わって、どのように感じましたか?

齊藤:作品に出演してくれた子どもたちのうち、何人かが撮影後に進路や将来について、竹林監督や僕に相談してくれることがありました。彼らが僕たちのことを仲間だと思ってくれているのは本当にうれしいですし、今回の撮影を通じて、彼らの未来への選択肢が広がったり、将来のことをより具体的に描けるきっかけになったのであれば、それは大きな希望だと感じています。

竹林:最初は、子どもたちとの距離感に気を使って、「これ以上踏み込むのは失礼かな」と思う場面もありましたが、関わっていくうちに、「損得勘定を抜きにして、その人のためにできることをやる」というスタンスでいいんだと思えるようになりました。ある意味では「おせっかいおじさん」みたいな存在になってもいいのかなと(笑)。もちろん、うざがられる場合もあるでしょうが、そうなったらやめればいいだけなので。

WWD:今後、取材した施設とはどのように関わっていく予定ですか?

齊藤:今でも施設とはつながりが続いていて、引き続き応援していきたいと思っています。また、子どもたちにとっても、この撮影が良い思い出だったと感じてもらえるよう、それを守っていきたいとも考えています。

一方で、施設が特定されないよう配慮することも大事だと感じています。実際、当初はさまざまな施設での上映を考えていたのですが、取材した施設が比較的環境が整っているという感想を他の施設関係者からいただいたこともあり、そうした意見にもしっかりと配慮しなければと思いました。

また、取材を始める前は、児童養護施設が「最後の砦」のような存在だと考えていたのですが、実際にはさまざまな事情で施設にすら入れない子どもたちがいるという現実を知りました。そうした子どもたちの行き場についても考えさせられましたし、さらに施設を卒業した後には本当に大変な試練が待っているということも知り、今作では描けていない卒業後の現実にも目を向ける必要があると感じました。その2つについて、個人としてできることを模索していきたいと思っています。

竹林:齊藤さんのおっしゃる通り、広い視野を持ちながら今後も施設との関わりを深めていきたいと思っています。また、一緒に映画を作った出演者の子どもたちとは、これからも末永く関係を続けていきたいですね。彼らが「この映画に出て良かった」とずっと思えるような関係でありたいと思っています。

PHOTOS:TAMEKI OSHIRO

「大きな家」

日本には、社会的養護が必要とされる子どもが約4万2000人おり、その約半数は児童養護施設で暮らしている。児童養護施設で暮らす子どもたちは、基本的に18歳になり、自立の準備ができた者から施設を退所し、そこからは自分の力で暮らしていかなければならない。本作は、そんな児童養護施設で育つ子どもたちの成長を追った長編映画。

■「大きな家」
12月20日から全国公開
監督・編集:竹林亮
企画・プロデュース:齊藤工
プロデューサー:山本妙 福田文香 永井千晴 竹林亮
音楽:大木嵩雄
撮影:幸前達之
録音:大高真吾
音響効果:西川良
編集:小林譲 佐川正弘 毛利陽平
カラリスト:平田藍
制作統括:福田文香
題字:大原大次郎
主題歌:ハンバート ハンバート「トンネル」
配給:PARCO
企画・製作:CHOCOLATE Inc.
©CHOCOLATE
https://bighome-cinema.com

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資生堂“ファンデ美容液”ビッグヒットの裏側 TikTokを重要視する理由とは?

1872年の創業以来、常に新しい化粧文化を創造してきた資生堂は、伝統と時代性が融合した革新的な商品や広告展開を続けてきた。デジタル化が進んだ今、新たに注力しているのはTikTokでのプロモーションだという。最近では“ファンデ美容液”の呼び名でブームを巻き起こした「SHISEIDO エッセンス スキングロウ ファンデーション」がデパートファンデーション市場でシェアNo.1※1を、「マキアージュ ドラマティックエッセンスリキッド」がGMS・ドラッグストア市場でシェアNo.1※2を獲得し、発売3年目の既存品にも関わらず、2024年5月に過去最高売上を記録した。

同プロジェクトのプロモーションをリードしたのは、北原規稚子資⽣堂ジャパン新価値創造マーケティング本部本部長と同マーケティングソリューション部メディアプランニンググループの永田健人。伴走したのは武井俊一TikTok for Business Japanグローバルビジネスソリューションズ ビューティー&ラグジュアリー クライアントパートナー、平田朝穂同クライアントソリューションズマネジャーだ。双方が今回の取り組みの背景やキーポイントを明かした。

※1:インテージSLI デパートファンデーション市場品種シェア(金額)、期間23年9月~24年8月
※2:インテージSRI+ ファンデーション市場(リキッド形状)、推計販売金額ブランドランキング、期間23年3月~24年8月

メイクの概念を“肌を育み、
未来の美しさへとつながるもの”へ
資生堂が目指す新価値創造

WWD:今回の施策の背景にある資生堂の課題とは?

北原規稚子資⽣堂ジャパン新価値創造マーケティング本部本部長(以下、北原):2010年に資生堂ジャパン入社後、数々のブランドのマーケティングの経験を経て、今年7月1日に発足した新価値創造マーケティング本部を担当。資生堂が強みとしてきた新たな化粧文化創造を実行していく、成長戦略の重要な役割を担う部署だ。若年層を中心にSNSやデジタルプラットフォームの中で生まれるトレンドのサイクルは早まり、1~2年かけての価値開発では時代に遅れをとってしまう。新価値創造マーケティング本部の意義は、時代の半歩先を読み、素早く、今までとは違うスキームで価値開発をしていくこと、そしてブランドを横断した新価値創出により新市場を開拓していくことである。

コロナ禍を経て“ご自愛思考”が高まり、「自分のために心地よく過ごせる時間をあげたい」「未来の自分の肌へ投資をしたい」という人が増えている。自分の肌は一生ものであり、スキンケアは未来の自分自身への投資であることに対し、ファンデーションは“今”のための一時的に装う負担になるものであるという心理ギャップが生まれている。資生堂はこうした“今日のために装うもの”というメイクの概念を、“肌を育み、未来の美しさへとつながるもの”という概念に変えていきたい。新価値創造において、“じゃないほう”市場に目を向けることは重要だ。ファンデーションを使わない人、つまりファンデーション“じゃないほう”の市場ができつつある━━その裏側にある人の心理を深掘りし、生活者と共にどのように価値を共創していくか。この課題に対応する商品として、すでにTikTokやSNSで話題となっていた「シセイドウ」“エッセンス スキングロウ ファンデーション”と「マキアージュ」“ドラマティックエッセンスリキッド”を取り上げた。

TikTokユーザーと共創する新たな価値
“ファンデ美容液”がビッグヒット

WWD:“ファンデ美容液”はどのように生まれたのか?

北原:先述した2商品に対して、TikTokなどで施策前から多くのUGCが生まれていた。ユーザーたちが作るキャッチコピーはどれも秀逸だ。これらの商品には、ファンデーションに美容液を配合するのではなく、逆転の発想で美容液にファンデを閉じ込めて、美容液で肌を彩るという世界初“セラムファースト技術”が採用されており、多くのユーザーが“もはや色付き美容液”“ファンデのふりした美容液”“美容液のような使用感”など、「これはファンデではなく美容液なんだ」と発信していた。われわれは、TikTokは広告媒体として活用するだけでなく、TikTokユーザーの声、すなわちUGCからコンセプトを魅力的にするヒントが得られる時代になっていると考えているため、この生活者の発話から“ファンデ美容液”というネーミングを採用し、プロモーションを行うことに決めた。つまり、UGCアップサイクルマーケティングだ。ファンであるユーザーの声を基にコンセプトを作り、一貫して発信することで、再び上質な口コミにつながる。そして単に統一したキービジュアルやキーフィルムをいろいろな場所で展開するだけではなく、未来の新価値を創造する若年層や、彼らが見る媒体に最適化した形で発信する必要性も感じた。TikTokは動画を視聴すること自体をユーザーが楽しんでいるプラットフォームであり、視聴態度が非常に良い。だからこそUGCを一緒に創っていくパートナーとしてTikTokを選定し、若年層が自分事化し、話題にしたくなるようなプロモーションを企画した。

WWD:広告配信と共にブランドリフトを始めとした調査を行い、各調査項目で良好だった。この結果をどのように受け止めている?

永田健人同マーケティングソリューション部メディアプランニンググループ所属(以下、永田):TikTokは以前からUGCが生まれやすく、広告においてもコンテンツとして成立しやすいのが特徴だと捉えていた。そのため今回の施策でも、ユーザーが広告をポジティブに受容し、さらなるUGCの創出につながることを期待した。実際にTikTok for Businessのブランドリフト調査の結果、「広告認知」は+11%、と「購入意向」は+4%向上し、高い結果を得ることができた。

北原:良質な広告のおかげでUGCが生まれ、多くの視聴数獲得につながった。コメント数と検索数においても増加がみられ、商品への興味関心が高まったことが伺える。そして「シセイドウ」「マキアージュ」を初めて購入する新規ユーザー、さらにはファンデーションカテゴリーの新規ユーザーも伸長。普段ファンデーションを使用しない人にとっては、動画の最初にファンデーションが出てきた瞬間に他人事となってしまうが、TikTokならではのトレンドフォーマットをフックにしてコンセプトを伝達し、関心を引くことができたと感じる。多くの新規ファンを獲得するきっかけとなり、市場創造の兆しとも言える結果だ。

WWD:2商品の中でも特に「シセイドウ」“エッセンス スキングロウ ファンデーション”は高価格帯と言えるが、非常に良い反響を得た。昨今のTikTokのユーザー属性の特徴とは?

武井俊一TikTok for Business Japanグローバルビジネスソリューションズ ビューティー&ラグジュアリー クライアントパートナー(以下、武井):元々、TikTokでの美容カテゴリのコンテンツは非常にユーザーの関心が高い。現在、TikTokとTikTok Liteを合わせて、日本国内で毎月3300万人以上が利用し、より幅広いユーザー層にリーチできる広告プラットフォームへと成長している。ユーザー数の拡大とともに年齢幅に広がりが出ており、博報堂の調査によれば平均年齢は36歳だという。(博報堂DYホールディングス、博報堂、博報堂DYメディアパートナーズによる共同調査「コンテンツファン消費行動調査2023」)

ユーザー層の増加にともない、美容カテゴリの中でもそれぞれの関心ごとが多様化し、今回のようにスキンケアができるファンデーションというトピックも受容されやすい状況になっていると考えている。特に“エッセンス スキングロウ ファンデーション”は高価格帯の商品ではあるものの、最近のTikTokではデパコスなどの価格帯商品でも高い関心が寄せられる傾向にある。

フルファネル施策で
各段階に適した広告を発信

WWD:今回、トップビューやインフィード広告に加え、TikTok Pulseやハッシュタグジャックを盛り込んだフルファネル施策を採用し、2カ月間で段階的に多様な広告を発信した。具体的にはどのようなプロセスを踏んだのか。

平田朝穂TikTok for Business Japanグローバルビジネスソリューションズ ビューティー&ラグジュアリー クライアントソリューションズマネジャー(以下、平田):フルファネル施策は認知拡大や商品概念の理解促進、そして購入意向の後押しなど、段階ごとのユーザーの態度変容に合わせ、バリエーション豊富な広告でアプローチを変えていくソリューションだ。これまでのビューティ企業との実績を踏まえ、ベストな形へと導くことができた。

北原:認知の段階では俳優の河合優実さんを起用し、ブランドとしてのイメージを担保したクリエイティブを配信。その後、“ノーファンデ”“レスファンデ”派の人も関心を持てるよう、TikTokらしいユニークな要素をフックにしたクリエイティブを展開していく。最後の購入を後押しするフェーズではクリエイターが実際に商品を使って魅力を伝えた。段階に合わせて役割を変えたクリエイティブを発信することができるTikTokは、「小規模から拡大していく」という私たちの価値創造の考え方に非常にフィットしていた。今はTikTokやSNSの中で化粧品のトレンドが生まれる時代で、TikTok上のクリエイターから情報を得て化粧品選びをする人はとても多い。ユーザーの視聴態度が良く、若年層中心に話題によって価値を共創したい場合に最適なプラットフォームだと感じる。

多様なクリエイティブを発信したが、一貫して商品の本質がきちんと伝わる最終的な落とし込みにすることに注力した。「TikTokで多様なクリエイティブを発信することで、ブランドの世界観に影響が出るのでは」と考える人もいるかもしれないが、企業がどのようなスタンスで発信していくのかということが重要だ。その軸さえぶれなければ、ブランドや商品のイメージにもプラスに働くはずだ。

永田:“餃子包み器”や“フリーズチャレンジ”など、TikTokでのはやりのフォーマットを利用しているものの、伝えたいことの本質は変わらない。ユーザーからのコメントを見ても、資生堂の意外な遊び心として好意的に受け止めているように感じる。

WWD:日本の美容業界で初のTikTok Pulseを採用した。このソリューションによりどのような効果が得られたのか?

武井:TikTok Pulse(日本では現在β版テスト中)を使用することで、トレンド上位4%に入る動画の次に広告を配信することが可能だ。好感度が高い動画を見て気持ちが盛り上がっているタイミングで広告が流れてくることで、視聴者は自然と広告を受容しやすくなる。

永田:TikTokは元々、広告が好意的に見られやすいプラットフォームだが、昨今はデジタル広告の発展が非常に目覚ましい。広告枠を買う従来のやり方に対して、最近ではターゲティング手法が定番となり個人に向かって発信するようになった。もちろん広告効果を上げるという面ではターゲティングは有効だが、ユーザー側の受容の質については疑問点が残っていた。そんな中、TikTok Pulseでは視聴者の受容態度にポジティブな影響をもたらすことができる。今回、実際に同じ素材を使い、通常のインフィード広告とTikTok Pulseでの配信を実施したが、広告配信レポートによると、TikTok Pulseの方が視聴完了率が5倍高く、視聴完了単価も倍以上安価という結果になった。

資生堂とTikTok for Business Japan
今後の展望とは?

WWD:全体を振り返り、非常にポジティブな結果を得られたと言えるが、今後の両者の展望は?

武井:今回の商材「シセイドウ」の“エッセンス スキングロウ ファンデーション”は高価格帯と言える。いわゆる“デパコス”商材を対象としたTikTokのキャンペーンにおいて今回のような認知から購入意向にまで大きな広告効果を発揮できた事例はまだ少なく、われわれにとってもうれしい結果だ。

平田:ビューティ業界の中でも特に大きな存在感を持つ資生堂とこのような取り組みができ、良い事例を生み出せた。今後も資生堂と共に積極的に新しいチャレンジを続ける中で、時代の潮流に合わせながら適切なサポートを続けていきたい。

永田:今回、特に「シセイドウ」というプレステージブランドで出した素晴らしい結果は、弊社の多くのブランドにとっても意外な発見になるはずだ。今回の結果を基に、他ブランドでの広告展開も検討していきたい。

北原:TikTokのみで認知から購入まで、あらゆるフェーズの認識変容を起こす広告が一気通貫で完結するのは大きな魅力の1つ。特に新価値創造の立場として、若年層からバズを生み、反響を広げていくためにはTikTokは欠かせない存在だ。そして今後はコンセプトのプランニング段階からTikTok for Businessのメンバーに伴走していただき、TikTokユーザーや生活者、クリエイターとともに、社会的価値を生み出せるような新価値創造を目指していく。

問い合わせ先
TikTok for Business Japan
https://tiktok-for-business.co.jp/contact/

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YKKの新社長に松嶋副社長、現社長の大谷氏は代表権のある会長に

YKKは4月1日付で、松嶋耕一・取締役副社長が社長に就任すると発表した。大谷裕明・現社長は代表取締役会長になる。中国とアジアに強い大谷氏&松嶋氏の2人が代表権を持つ体制に移行し、DXなど新しいビジネスモデルへのシフトを加速する。猿丸雅之・代表取締役会長は代表権のない取締役に就く。

松嶋新社長は1968年9月1日生まれ、大阪府出身。大阪経済大学を卒業後、1991年4月にYKK入社。98年のYKKイタリアを皮切りにYKKポーランド(社長)、上海YKKジッパー、YKKジプコ・インドネシア(社長)、YKKバングラデシュ(社長)と海外生活が長く、17年4月に帰国し、副社長ファスニング本部長に就任。21年4月取締役副社長営業本部長、23年4月に取締役副社長事業戦略担当兼事業戦略本部長を務めていた。

YKKはファスナーの世界最大手。この数年は新しいファスナー製造機の開発や日本や米国、欧州、ASEAN、中東、南アジアなど主要エリアでのR&D拠点の増設などを行う一方で、DXや中国を中心とした新興アパレルの取り込みにも力を入れている。

猿丸・現会長は米国勤務が長く、ナイキやアディダス、ユニクロなどのグローバルブランドに統一窓口で多地域から同一品質のファスナーを供給する、YKKの現在のグローバルマーケティング/販売体制を構築&指揮。YKKのグローバルブランド化を確立した立役者の一人。2011年に創業家以外からは初となる社長に就任した。

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YKKの新社長に松嶋副社長、現社長の大谷氏は代表権のある会長に

YKKは4月1日付で、松嶋耕一・取締役副社長が社長に就任すると発表した。大谷裕明・現社長は代表取締役会長になる。中国とアジアに強い大谷氏&松嶋氏の2人が代表権を持つ体制に移行し、DXなど新しいビジネスモデルへのシフトを加速する。猿丸雅之・代表取締役会長は代表権のない取締役に就く。

松嶋新社長は1968年9月1日生まれ、大阪府出身。大阪経済大学を卒業後、1991年4月にYKK入社。98年のYKKイタリアを皮切りにYKKポーランド(社長)、上海YKKジッパー、YKKジプコ・インドネシア(社長)、YKKバングラデシュ(社長)と海外生活が長く、17年4月に帰国し、副社長ファスニング本部長に就任。21年4月取締役副社長営業本部長、23年4月に取締役副社長事業戦略担当兼事業戦略本部長を務めていた。

YKKはファスナーの世界最大手。この数年は新しいファスナー製造機の開発や日本や米国、欧州、ASEAN、中東、南アジアなど主要エリアでのR&D拠点の増設などを行う一方で、DXや中国を中心とした新興アパレルの取り込みにも力を入れている。

猿丸・現会長は米国勤務が長く、ナイキやアディダス、ユニクロなどのグローバルブランドに統一窓口で多地域から同一品質のファスナーを供給する、YKKの現在のグローバルマーケティング/販売体制を構築&指揮。YKKのグローバルブランド化を確立した立役者の一人。2011年に創業家以外からは初となる社長に就任した。

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「飯沼一家に謝罪します」大森時生 × 皆口大地 「今回は徹底的に『謝罪』の怖さに向き合った」

PROFILE: 大森時生/プロデューサー・ディレクター(左)、皆口大地/映像作家

PROFILE: 左:(おおもり・ときお)1995年生まれ、東京都出身。2019年にテレビ東京へ入社。「Aマッソのがんばれ奥様ッソ!」「このテープもってないですか?」「SIX HACK」「祓除」「フィクショナル」を担当。Aマッソの単独公演「滑稽」でも企画・演出を務めた。昨年「世界を変える30歳未満 Forbes JAPAN 30 UNDER 30」に選出。今夏イベント「行方不明展」も手掛けた。 右:(みなぐち・だいち)1987年生まれ、埼玉県出身。WEBデザイナーとして勤務しながら、2018年にディレクターとしてYouTube番組「ゾゾゾ」を立ち上げる。その後、21年8月から『フェイクドキュメンタリー「Q」』をYouTubeで配信スタート。「TXQ FICTION」の制作にも参加した。

今年5月に放送されたTXQ FICTION第1弾「イシナガキクエを探しています」は、放送の度にXで日本トレンド1位を獲得するなど、大きな話題となった。そのTXQ FICTIONの第2弾、「飯沼一家に謝罪します」が12月23日から26日まで、4夜連続でテレビ東京で放送される。

制作スタッフは前作と同じく、テレビ東京の大森時生、「ゾゾゾ」「フェイクドキュメンタリーQ」の皆口大地、「フェイクドキュメンタリーQ」「心霊マスターテープ」の寺内康太郎、第2回日本ホラー映画大賞を受賞し、来年「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」の上映を控える近藤亮太が参加している。

「イシナガキクエ」では公開捜索番組がモチーフだったが、新作「飯沼一家に謝罪します」は家族チャレンジ番組がモチーフだ。なぜ、そのモチーフを選んだのか。そしてなぜ「謝罪」というテーマにしたのか。「イシナガキクエ」を振り返りつつ、「飯沼一家に謝罪します」について大森と皆口に聞いた。

※本文中には一部「飯沼一家に謝罪します」の内容に触れる記述があります。

前作「イシナガキクエを探しています」の反響

——前作「イシナガキクエを探しています」の反響は?

皆口大地(以下、皆口):自分の周りでもテレビで見ていただいた方が多くて、改めてテレビの力というか、規模が違うんだなというのはすごく実感しました。

大森時生(以下、大森):僕は「フェイクドキュメンタリーQ」にいちファンとして夢中になっていたので、何かのタイミングで皆口さんをはじめとした「Q」のスタッフの方々とご一緒としたいと思っていました。そして「イシナガキクエ」を放送したとき、テレビの同時性=同時間にみんなが見ることの面白さを、改めて感じました。

——ネット上では盛んに考察などが行われていました。

皆口:作っていく中で、チームの中ではストーリーのちゃんとした縦軸みたいなものはしっかりあったんですけど、見られた方々が展開する考察って、受け取り方やアングル次第で作品の見え方が変わるんだなという印象がすごく強かったですね。だから、「この人が言っているのは全然違うな」とかは思わなくて。正解・不正解みたいなものではなく、そういう見え方もするんだという。作品に深みが増した感じがしました。

大森:フェイクドキュメンタリーって本当に生き物っぽいところがあるなあと思っていて。例えば、僕という人間をAさんが話すときとBさんが話すときで、まったく違うことを言うと思うんですよね。それがフェイクドキュメンタリーでもそのまま起こっている。そのアングルによって語り方、見える部分とか怖がる部分、持つ感情とかも変わっていく。ドラマ的なフィクションほど、感情の行く先がサジェストされていないから、こんなにそれが出るかと驚きました。

——これまでの作品よりもそれが顕著だった?

大森:「イシナガキクエ」は、疑似生放送の体裁だったじゃないですか。だからスタジオの安東(弘樹)さんは、普通のフェイクドキュメンタリーよりも自由にしゃべれないんですよね。公開捜索番組という設定上、安藤さんは特に自分の感情については一切出すことができない。テレビに出ている人が何を考えているのかよく分からないから、より想像力が膨らむ。それが良い方向に行った部分もあれば、悪い方向に行った部分もあるなと個人的には思いました。「Q」は余白の具合が絶妙なんですよね。それでコアなファンにも新規のファンにもウケているところがすごく大きいと思うんですけど、「イシナガキクエ」は「Q」よりも余白の部分が少し大きくなっていたかもしれないというのは、今回の2作目をやる会議の最初に話題に上がりましたね。

——前作は電話番号も公開して視聴者に情報提供を呼びかけましたね。

大森:こんなに一瞬で電話回線がパンクしてしまうんだっていうのは驚きました。特に1話のときは開始5秒くらいでパンクしちゃって。

皆口:よく(電話を)かけますよね。自分だったら怖くてかけられない。だから、それにびっくりしました。

大森:しかも次の日から留守電に残っている人たちにかけ直したわけですから。ちゃんとビビってましたね、かけ直された人たちは。

——かけ直すっていうのは最初から決めていたんですか?

大森:いや、第1話の後に、こんなにかけてくれるんならかけ直そうってなりました。留守電の音声を聴くとすごく面白かったんですよ。ある種、フェイクドキュメンタリーに対するリテラシーも上がっているから、たぶんフェイクだとはわかった上で、そのことには一切触れずに、出演者の1人のような形でコメントしてくれている人が多くて。

——乗っかってくれているんですね。

大森:そうなんです。例えば、霊能でお祓いをやっているという人にかけ直したら、「イシナガキクエさんが狭いところに閉じ込められているのが見える」っていう話を30分くらい話しているんですよ。さすがにそのまま切るのは倫理的に良くないなと思って、この番組がフェイクドキュメンタリーであることを説明したら、「もちろん分かってます」って。先ほど触れた通り、演者が言える部分が少ない分、「イシナガキクエ」では視聴者との相互コミュニケーションのような形式にしましたけど、今回の「飯沼一家に謝罪します」はどちらかというともう少し、フィクション=物語に寄っていると思います。

「根幹を担ってくださっているのは寺内さん」

——錚々たるメンバーが集結して作られていますが、役割分担はどのようになっているんですか?

大森:結構ファジーですよね。

皆口:そうですね。最初にどんなことをやりたいかをみんなで集まって話をしてできるものの中から現実的に面白そうなものはどれだろうと組んでいく感じです。

大森:「Q」の寺内(康太郎)さんと福井(鶴)さんにアイデアを持ってきていただき、それについて話し合う。その後ドラマでいう脚本的なものをつくってもらい、それを元にまたみんなで話し合うという感じです。だから現場の監督は寺内さんで、出演もしている演出部の近藤(亮太)さんが、出演者として演技をすることも多く「これをスタッフは言いにくい」といったジャッジをしてくれる。僕や皆口さんは、ある程度俯瞰で見ながら気になったところを言っていくというスタイルですね。だから、強く言っておきたいのは、こういう取材でも僕が前面に出させていただいてますけど、根幹を担ってくださっているのは寺内さん、福井さんなんです。

——2人から見て寺内さんのスゴさは?

皆口:寺内さんって実際に料理がお上手なんですけど、まさに監督としてもそんな感じ。「こういうテーマで作ったら面白くないですか?」みたいな、ある意味無茶振りのようなことをバーっと言っても、それを形にできる力は、絶対に真似できない。食材はこれとこれと言ったら、おいしいものをつくってくれるという信頼があります。

大森:現場的なことで言えば、素材でまず本物じゃないと許さない感じがすごく面白いなと思います。僕はテレビの人間なので、やっぱり編集文化で育っているんですよ。編集して最終的にできあがったものが成立していればいいと思ってしまう。撮影したAの部分とBの部分を組み合わせて、順番を入れ替えたりすれば、こういうふうにつながるなみたいに考えるんですけど、寺内さんは、それをあまり好まない。1回の撮影で、さらにいうとワンカットで本物だと思えるようなものを撮る。その嗅覚みたいなものが一朝一夕で身につけたものじゃない感じがあってスゴいなと思います。

——それは具体的にはどのようなやり方なんですか?

大森:僕からしたら、そんなにダメだったかな?ってところでも粘って撮影を続けるんです。1回目のテイクとそこまで変わらないかなと思うんですけど、編集で上がってきたものを見ると、ああ、寺内さんはこの表情を撮りたいと思ったんだっていうのがすごく分かる。寺内さんの中で、それが明確に見えているんだと思います。でも、寺内さんは俳優の方たちに「僕が言った通りに直さないでいいですよ」って言うこともあるんです。「僕がこういうところがダメだと思っていることを理解して、その上であなたが咀嚼(そしゃく)してもう1回やってほしい」と。そしたら本当に狙って起こせないような怖さだったり、不気味さが撮れるんですよ。寺内さんは、もう普通の本物っぽさでは満足できないくらい変態的なレベルに達しているのかもしれないです(笑)。僕は自分の脳内に浮かぶものをちゃんと反映させることを目指すけど、寺内さんはそれを超えたものを見せてくれっていう発想なんです。

——「イシナガキクエ」でいえば、米原さんの存在感も得も言われぬ不気味さでした。

大森:最初は米原さん役の方の顔を見ても不気味だとかはまったく思ってなかったんです。でも、いざ現場で寺内さんが演出をつけると不気味になる。たぶん、「イシナガキクエ」で一番リテイクしたのが、「イシナガキクエはいないんじゃないですか?」ってスタッフに聞かれて「え?」って米原さんが聞き返すシーン。ネットでも一番反響があったシーンですけど、あれはさっきの寺内さん流の演出の結果、スゴいところにたどり着いたなってシーンでしたね。

——カメラワークも印象的ですね。

大森:実は「TXQ FICTION」では、川滝(悟司)さんという「情熱大陸」などでもディレクターをしている方がカメラで入っていて、自分の意思で動かしているんです。「ドキュメンタリーで自分が密着するとしたら、どういうカメラワークにするかで撮ってください」と全部お任せ。カメラマンって、特にバラエティーのカメラマンはディレクターが撮ってほしいものを撮る職人でもあるから、例えば、グッと目だけに寄るみたいなことは指示を受けない限りすることは少ないです。ディレクターがそうじゃないと思ったときに替えがきかなくなってしまうから。でも川滝さんは、それを自ら画をディレクションしてくださり、画を決めてくださるからこそ出せる迫力がある。今回の「飯沼一家」でも、まさにそういう大胆なカメラワークのシーンがありました。

皆口:そうですね。すごく生き生きとしたものが撮れましたね。

大森:逆にここで表情を撮らないんだ、みたいなことも多い。僕とかだとやっぱり保険のためにここは顔も撮っておいて、後でインサートで物を撮ろうとか思うんですけど、それよりもグルーヴみたいなものを大事にして撮るものを瞬時に決めている。それがリアルっぽさと迫力につながっているなと思いました。

「より密度が濃い作品」

——「イシナガキクエ」では、公開捜索番組がモチーフでしたが、新作「飯沼一家に謝罪します」は、家族チャレンジ番組がモチーフになっています。

大森:「番組枠を買い取ったっていう概念が面白いよね」というのが最初のスタートで、買い取った先に何をするかで「謝罪」というテーマが出てきた。謝罪の対象者として、幸せそうな家族に謝るというのは面白いだろうと。

皆口:やっぱり「しあわせ家族計画」(TBS)のような家族チャレンジものって幸せの象徴みたいな番組じゃないですか。失敗しても別に地獄に落ちるわけでもないし。だからその幸せの象徴みたいなものの裏に「TXQ FICTION」味の不穏なものがバックボーンにくっついていたりしたら面白いんじゃないかと。

大森:「謝罪」というテーマも面白いんじゃないかと思いましたね。「謝罪」って現代社会ですごく怖い。とにかく隙あらば謝罪に追い込まれるし、謝罪も必要に迫られたから謝罪しますっていうのがほとんどで、その謝罪も別に何の効果もない。みんなその謝罪にまた怒るだけ。もうこの5年くらいで、謝罪というものの曖昧さがすごく増した感じがするんですよね。だから「謝罪」というテーマが出てきたときに、とてもいいなと思いました。字もよく考えたら怖いですよね。「罪」を「謝」る。

——確かに。

大森:今回は「イシナガキクエ」より圧倒的に渋くなっていて、「イシナガキクエ」ともまったく違う手触り・面白さだと思います。

皆口:自分は京都が好きなんですけど、京都って入り口がめちゃくちゃ狭いじゃないですか。でも入って見ると道がすごく広がっている。今回の作品はそれに近いんじゃないかと思います。

大森:冒頭の第1話が特に渋いですからね(笑)。

皆口:ちゃんと2話、3話、4話と見ていただければ、面白くなったと言っていただけると思います。自分は根が曲がっている人間なので、こういう作品の方がやっていて楽しいし、見ていただきたいなと思いますね。今回は4夜連続なので、毎日続けて見られるからこそ許される複雑さもあります。

——そういう入り口の狭さや分かりにくさみたいなものは、視聴者をある程度信頼していないとできないことだと思いますが、視聴者にはどのような思いがありますか?

皆口:こんなことを言ったら怒られるかもしれないですけど、自分は視聴者の方に対する思いってそんなにないんです。自分が見たいものを愚直に追い求めている。だから視聴者の方にメッセージがあるとしたら「こういうの見たかったよね!」っていうことですね。視聴者が望むことばかりを追いかけても、シリーズが丸くなっていくだけだと思うので。

大森:それは本当にそうですね。

皆口:やっぱりどこかでエゴを出していかないといけないし、それが求められているんだろうなとも思います。教科書のような“いい子”のフェイクドキュメンタリーはもっとちゃんとしたところが作ってくれるんじゃないかなって(笑)。

大森:僕も感覚的には近いところがあって、やっぱりマーケティング的にものを作るってかなり危険でもあると思っているんです。短期的には成功する可能性はあるけど、それによって作品の寿命が縮むことがある。僕の中にもやっぱりクリエイター寄りの自分と、マーケター寄りの自分がいるんですけど、やっぱり自分たちが一番面白いと思っているもの、自分たちが打てる一番強いパンチを打つことがまず先にあって、その上で、一番広がる方法はなんだろうっていうのをいつも考えたいと思っています。

「大森さんとストレートな心霊番組を作ってみたい」

——皆口さんは「TXQ FICTION」について「自分のテレビ愛を込めたかった」とおっしゃっていますが、昔からテレビは好きだったんですか?

皆口:テレビっ子ですね。いまでも家にいるときはずっとテレビをつけっぱなしです。自分はYouTubeで「ゾゾゾ」という番組をやっていますけど、YouTubeで活躍されている方って、テレビと比べられがちなところがあるじゃないですか。YouTubeの方が面白いよね、とか。自分は一切そういうのを感じなくて。だから、そんな意見へのアンチテーゼじゃないですけど、テレビを愛している人間もここにいるんだぞ、みたいな気持ちもあって「ザ・テレビ」みたいな題材を選んだんです。「イシナガキクエ」や「飯沼一家」をYouTubeやNetflixでやっても意味がない。テレビでやるからこそ意味があるんだっていうテレビっ子なりのこだわりがありましたね。

——どんなテレビ番組が好きだったんですか?

皆口:ドラマも好きでしたし、バラエティも、それこそ心霊番組とかが好きですね。世代的にバラエティーでいえば「ガチンコ!」(TBS)とか、心霊系では、「奇跡体験!アンビリバボー」(フジテレビ)や「USO!?ジャパン」(TBS)を見てましたね。

——そういう真っすぐな心霊番組をテレビでやりたいという気持ちは?

皆口:すごくありますね! それこそ大森さんとストレートな心霊番組を作ってみたい。大森さんとやったらどんなものができるのかなって。大森さんが心霊番組に真剣に向き合うとどういう発想と作り方をするのかすごく興味がありますね。

大森:逆に僕はそんなに心霊を通ってきてない。だから、心霊番組を作るとしたらちょっと楽しいかもと思いますね。たぶん、皆口さんからしたら「今更そこ?」みたいな部分が気になってしまうかもしれないですが。それに、心霊番組だったら、めちゃめちゃいい時間でできますし(笑)。「真夏の絶恐映像」みたいにゴールデンで3時間スペシャルとかテレ東は毎年のようにやっているので。

——大森さんたちが作る「真夏の絶恐映像」は、「TXQ FICTION」とはまた一味違う面白さがありそうです!

大森:「TXQ FICTION」は、まさかの1作目より時間帯が深くなるという(笑)。でも、深夜2時に見るという面白さは絶対にあると思っていて。深夜2時に誰かが誰かに謝罪しているところを見たい人はいるんじゃないかと。

PHOTOS:TAMEKI OSHIRO

■TXQ FICTION「飯沼一家に謝罪します」
放送日:2024年12月23〜26日
時間:(毎夜)深夜2時00分〜2時30分
放送局:テレビ東京
https://tver.jp/series/srog0v9atu?utm_source=tvtokyo_plus&utm_medium=article&utm_campaign=txqfiction_20241216

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米百貨店ノードストローム、創業家らによる1兆円規模のMBOで非公開化

米百貨店ノードストローム(NORDSTROM)は12月23日、創業一族のエリック・ノードストローム(Erik Nordstrom)最高経営責任者とピーター・ノードストローム(Peter Nordstrom)社長兼チーフ・ブランド・オフィサーらが提示したMBO(経営陣による買収)案について合意し、最終契約を締結したことを発表した。

両氏および一族は9月の段階で、メキシコの百貨店リバプール(LIVERPOOL)などを運営するエル・プエルト・デ・リバプール(EL PUERTO DE LIVERPOOL)と手を組み、ノードストロームの非公開化を目指すことを明らかに。当初は1株あたり23ドル(約3588円)での買収案を提示していたが、今回1株あたり24.25ドル(約3783円)、企業価値にして62億5000万ドル(約9750億円)での合意となった。全て現金で買い付けるという。なお、これはMBOに関して海外メディアが報じる以前の3月18日の同社の株価と比べ、約42%のプレミアムが上乗せされている。買収の完了後、持分は一族が50.1%、リバプールが49.9%となる。

規制当局による承認が下りるタイミングにもよるが、取引は2025年上半期に完了する予定。その際、普通株主に1株あたり最大0.25ドル(約39円)の特別配当を支払うという。

ノードストロームとリバプールの歴史

ノードストロームは、1901年にジョン・W・ノードストローム(John W. Nordstrom)がシアトルで開いた靴店を祖業とする大手百貨店。ジョンの引退後は息子らが経営を引き継いで事業を拡大し、71年に米ナスダック(NASDAQ)に、99年にはニューヨーク証券取引所に上場した。現在、同社を率いるエリックとピーターはジョンのひ孫にあたる。2018年4月にマンハッタンにメンズ館を、19年10月にはマンハッタン旗艦店をオープンし、ニューヨークに本格的に進出。比較的早い段階からECの強化に取り組み、オンラインで注文した商品を店頭で受け取れるシームレスなショッピング体験に力を入れているのが特徴だ。現在、売り上げの36%をECが占めている。

リバプールは創業177年を迎えたメキシコの大手百貨店で、同国内で約120店を運営。その親会社であるエル・プエルト・デ・リバプールは、ショッピングモールや専門店の運営を手掛けているほか、保険や消費者金融業なども行っている。22年にノードストロームの株主となり、24年6月末の時点で約9.6%を保有する、一族以外では最大の株主。

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米百貨店ノードストローム、創業家らによる1兆円規模のMBOで非公開化

米百貨店ノードストローム(NORDSTROM)は12月23日、創業一族のエリック・ノードストローム(Erik Nordstrom)最高経営責任者とピーター・ノードストローム(Peter Nordstrom)社長兼チーフ・ブランド・オフィサーらが提示したMBO(経営陣による買収)案について合意し、最終契約を締結したことを発表した。

両氏および一族は9月の段階で、メキシコの百貨店リバプール(LIVERPOOL)などを運営するエル・プエルト・デ・リバプール(EL PUERTO DE LIVERPOOL)と手を組み、ノードストロームの非公開化を目指すことを明らかに。当初は1株あたり23ドル(約3588円)での買収案を提示していたが、今回1株あたり24.25ドル(約3783円)、企業価値にして62億5000万ドル(約9750億円)での合意となった。全て現金で買い付けるという。なお、これはMBOに関して海外メディアが報じる以前の3月18日の同社の株価と比べ、約42%のプレミアムが上乗せされている。買収の完了後、持分は一族が50.1%、リバプールが49.9%となる。

規制当局による承認が下りるタイミングにもよるが、取引は2025年上半期に完了する予定。その際、普通株主に1株あたり最大0.25ドル(約39円)の特別配当を支払うという。

ノードストロームとリバプールの歴史

ノードストロームは、1901年にジョン・W・ノードストローム(John W. Nordstrom)がシアトルで開いた靴店を祖業とする大手百貨店。ジョンの引退後は息子らが経営を引き継いで事業を拡大し、71年に米ナスダック(NASDAQ)に、99年にはニューヨーク証券取引所に上場した。現在、同社を率いるエリックとピーターはジョンのひ孫にあたる。2018年4月にマンハッタンにメンズ館を、19年10月にはマンハッタン旗艦店をオープンし、ニューヨークに本格的に進出。比較的早い段階からECの強化に取り組み、オンラインで注文した商品を店頭で受け取れるシームレスなショッピング体験に力を入れているのが特徴だ。現在、売り上げの36%をECが占めている。

リバプールは創業177年を迎えたメキシコの大手百貨店で、同国内で約120店を運営。その親会社であるエル・プエルト・デ・リバプールは、ショッピングモールや専門店の運営を手掛けているほか、保険や消費者金融業なども行っている。22年にノードストロームの株主となり、24年6月末の時点で約9.6%を保有する、一族以外では最大の株主。

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「M-1グランプリ2024」鑑賞記——そこにはただ、輝く漫才があるだけ

「ゼロ年代お笑いクロニクル おもしろさの価値、その後。」や「2020年代お笑いプロローグ 優しい笑いと傷つけるものの正体」「漫才論争 不寛容な社会と思想なき言及」などの同人誌を発行する会社員兼評論作家の手条萌(てじょう・もえ)が「M-1グランプリ2024」をどう見たのか、寄稿してもらった。

20周年を迎えた「M-1グランプリ」の今年のスローガンは「お前たちが一番おもしろい」。歴代のチャンピオンが観客席に座り、舞台を指さして爆笑するキービジュアルが印象的だ。そんなアニバーサリーイヤーであるが、予選期間中もしばしば開催意義を問われる声が聞こえてきた。主には松本人志氏の不在について、または令和ロマンの再エントリーについてが議題に挙げられ、「M-1」は2010年のように一定の役割を終えたのだから、もう1度終了してもいいのでは」という言説を見聞きする機会が多かった。それでも松本氏の忘れえぬ存在感をリライトするためにそれぞれがそれぞれの場所で戦った1年だったように思う。ただ、このような物語性もお笑い評論好きが設定したがるテーマでしかなく、実際は誰が審査員席に座ろうがそれはそれとして、「M-1」を開催しなくてはならない、という事実があるのみだ。

とはいえ、やはり今回の最も特筆すべきことは審査員の一新である。松本氏の不在のみならず、山田邦子氏やサンドウィッチマン富澤氏の降板、そして9人制に変更というのは大きな話題となった。自身も最高順位2位であり、YouTubeやABCお笑いグランプリ、昨年の敗者復活戦で、審査員として高評価だったかまいたち山内氏や、かつて敗者復活戦から2位となった経験のあるオードリー若林氏の抜擢など、過去のプレーヤー陣がここに審査員として舞い戻ってくるという構図はエモーショナルな出来事として歓迎された。彼らはそれぞれにファンも多くついており、今もなお単独ライブや公演に出演する現役の漫才師である。漫才師が漫才師を審査するということについては、よりプレーヤー目線の審査基準となることも期待されたことだろう。また、単純に平均年齢が下がっていることのみならず、人数の増加によって、審査の目や基準の幅がつけられることも望まれているように見えた。

決勝戦冒頭で放送された、創始者である島田紳助氏の「いつまでもM-1が夢の入口でありますように」というメッセージは、放送したことそのものも含めて非常に賛否が分かれているが避けられなかったことに思える。その理由は開催意義の再定義のためだ。「M-1」を語る際に今でも掘り起こされる島田氏の「漫才を辞めるきっかけを作る」という開催定義だが、辞めるきっかけよりも大きい意味を「M-1」自身が含むようになったのは自明の事実である。国民的なビッグコンテンツとなった今、辞めるためのきっかけという定義をいちいち思い出してトーンダウンし悲しくなる必要はない。そんな開催意義を持ち出すまでもなく実際に何人もが去っていく以上は、大きいコンテンツであることを押し出すほうが意味の通りが良いに決まっている。「M-1」自身が20年という長い月日をかけて自己をハックしつづけてきた結果、「辞めるきっかけ」を「夢の入り口」と言い換えることに成功したのだった。実は同じことを言っているようにも見えるが、再定義がなされたということ自体に大きな意味がある。

敗者復活戦

2023年大会からシステムが変更された敗者復活戦だが、会場の新宿・三角広場の声の反響や会場のスケールを鑑みると繊細な構造のネタや寄席向けのネタは伝わりにくいと思われる。そのため、国民投票制だった22年までとはまた違う理由でローコンテクストなネタを選定した方が有利という考え方がある。つまりファイナリストの選定基準と敗者復活のそれとは明らかに異なるので、たとえ勝ち上がって決勝の舞台に立ったとしても、マユリカ阪本氏の言うところの「爆速で負けに来た」という事象が発生してしまう。

その原因として考えられることは多数あるが、決勝当日までのプロモーションや露出に差があることも大きく影響しているだろう。ファイナリストとして半月ほどの露出機会が与えられるのと、暫定的に入れられていた「敗者復活」の文字に代入され、テレビ朝日に到着する30分ほどの間だけカギカッコつきの「ファイナリスト」として扱われるのでは、階層も意味も重みも異なる。よって、決勝戦のテーマを解釈しきれないままにネタを選定することになるので、決勝から浮いた存在となりリジェクトされるという展開となることがほとんどである。立場が人を作ると表現すると残酷に聞こえるが、ファイナリストたちは半月の間自覚を持ち、自分たちが選定された意味を自問自答し、可能な限り最適解を出そうと試みる。その意味では、年末の東京をタクシーで移動するドラマテチックさと物語性、高揚感のためにすぐに消える花火としての1組を選定する作業としては、現状の敗者復活戦のシステムはいささか真面目すぎるかもしれない。公平さを重視しているということになっているが基本的には後攻が有利になっている印象もある。しかしその建て付け上ネタの選定自体は派手なものの場合が多いので、お祭り的要素はかなり大きい。そのため数字としては記録されないが、記憶には残る名作が生まれやすい。各ブロックで個人的に特に印象に残った組を振り返る。

敗者復活戦(TVer)
Aブロック 1~7組目
https://tver.jp/episodes/ep1v68to4i
Bブロック 8~14組目
https://tver.jp/episodes/epqe3e59zn
Cブロック 15~21組目+結果発表
https://tver.jp/episodes/epyf3jw4uk

ダンビラムーチョ(Aブロック)

得意としている歌唱要素も取り入れつつ虫を顔芸で表現するという、構造としてはかなり技術が必要な漫才をやってのけていた。非常に牧歌的なモチーフとムードに、フニャオ氏のちいかわのようなツッコミがベストマッチし、言語化の外にある「なぜその顔がその虫なのか」という疑問と「でもなんとなく分かる」という暗黙の共通認識があぶり出されて笑いを誘う。ちいかわの世界のような、あるいは故郷の長野や山梨のような広大で神秘的、だが畏怖を感じさせる自然が喚起され、ほかではあまり見かけない唯一無二のネタとなっている。

滝音(Bブロック)

滝音がひさしぶりに敗者復活戦に出場するということで、高揚を隠し切れないお笑いファンも多かったことだろう。圧倒的に洗練されたネタは聴く者の心地よさを刺激する。これまでの主な彼らの落選理由は、主軸のなさや必然性のないワードの無理のある挿入が挙げられがちだが、今回は全てが解決されていた。かつ、ものすごいスキルアップをしていたように見受けられる。努力の積み重ねで常にゾーンに入れることを可能にしていた。全ての展開にもワードにもまったく違和感がなく、ストレートでの決勝進出も不可能ではなかったと確信した。しかしそんな滝音が、同じく大阪の「よしもと漫才劇場」出身のマユリカや豪快キャプテンと同じブロックで戦わなくてはならないなど、なんという悲しいことだろうか。

インディアンス(Cブロック)

かつて国民投票時代の敗者復活戦での復活を果たしたことがあるため、ちょうどいい塩梅を知っているのでは、という視点で有力視されていたインディアンス。今回のネタは劇場や寄席ではかなりウケていた。出ハケをネタにする漫才やメタなものは予選の審査員には評価がされにくいとされているが、芸人審査員かつ客席審査の場合はそのロジックはたしかに無効化されていて、非常に盛り上がりやすいものとなっていた。しかし細かい要素なども大いに含んでいるため、大きいハコよりは劇場の方が分かりやすいネタではあるだろう。

決勝戦 ファーストラウンド

システム変更された23年から特に敗者復活戦の鑑賞カロリーが高く、本編の決勝戦にたどり着くまでに鑑賞側もかなり消耗している。それをミーム化すると「お風呂に入る時間がない」ということになり、文字通りずっと「M-1」にかじりついていることになる。一息ついたところで始まる決勝戦の華やかな演出と舞台を見て、ここでようやく“Mおじ”よろしく「M-1やなあ」と実感する人も多いことだろう。夏から始まった戦いももう今日で終わりだと思うと感慨深くなり、最後の日までネタができる組、そして一番多くネタができる組は幸せだろうと思いをはせる神聖な時間となる。さて、ここからは順を追ってそれぞれのパフォーマンスを振り返る。

決勝戦 ファーストラウンド(TVer)
決勝戦 FIRST ROUND 前半戦 1~5組目
https://tver.jp/episodes/epe7627fyg
決勝戦 FIRST ROUND 後半戦 6~10組目
https://tver.jp/episodes/eppbvdgnqj

令和ロマン

「M-1」鑑賞者にとっての知名度は間違いなく100%だろう令和ロマン。消費されないように戦略を練りつつも本来なら半月ほどで行うファイナリストとしてのプロモーションを1年かけて行ってきた。本人たちはヒールであろうとしていたがおそらくそれも計算で、1年間ずっと、人々から連覇を願われた存在だった。阿部一二三選手が笑御籤(えみくじ)を引いた時、全ての運命が決定づけられた。トップバッターということはつまり勝てると、昨年の経験から全員が脊髄反射的に思ったことだろう。彼らがせりあがって来た時、全員が令和ロマンの登場を待ち望んでいたという空気に包まれ、会場自体の高揚感は早くも最高潮を迎えた。おそらく多くの人が連覇を予感し、「ということはこのあとが低調になるとまた、彼らの望みが果たされないのでは?」というところまで爆速で思考を巡らせたことだろう。大会自体の展開への一抹の不安はありつつも、令和ロマンのこと自体はもう誰も心配していなかった。手垢のついた言葉で言うなら、運命が味方をしていて、実力があるからどんな状況も「運がいい」状態にしていっている。もはや全員が忘れていると思うが、昨年まではトップバッターは死刑宣告ではなかったか? しかし彼らはそんな悲壮な呪いをすべて解いていった。自分自身のために、そしてお笑いの未来のために。

ヤーレンズ

この1年、「ヤレロマ」として令和ロマンと肩を並べて語られていた存在である。そんな盟友の令和ロマンが場を温めまくったあとの登場となり、運命の皮肉さを感じさせる一幕だった。審査員の海原ともこ氏の言うとおり、ディテールのくだらなさをもっと求めたくなる漫才だった。加えて、この形式の漫才は安定的なおもしろさを担保するにはうってつけではあるが、爆発箇所を作ることが肝要であるという見方を多くの人に提示させるネタとなっただろう。

真空ジェシカ

審査員の平均年齢が下がったことによって評価されるようになった……と言われがちであるが、実は彼ら自身の調整力にもすさまじいものがあったように思う。調整というのは往々にして丸くしすぎて良さが失われることが多いが、リスクを恐れずにエッジを残し、迎合しすぎないようにしていたところだった。代入するワードを選定する大喜利力が構成を凌駕してしまえば、ベースの整合性や流れはそこまで重視されない。というかもう、それを放棄してまで評価したくなるような強さがあれば何も問題ない。長年唐突感が課題と言われていた彼らだが、ぶつ切り上等でパワーを見せつけつつ悪辣度は下げながらも怖さは残す、という正解に導けた結果がファイナルラウンド進出として結実し、青春の疾走感として見る者の心をつかんだ。

マユリカ

敗者復活戦ではかなり強度の高いネタで、お笑いウォッチャーの期待値が上がっていた。ちなみにクレイジー舞妓ものは見取り図やドーナツ・ピーナツなど大阪吉本からキャリアスタートした組で名作が多く、マユリカのチャキ姐もその系譜である。

ファイナルで披露した同窓会は、チャキ姐や過去の「へんてこしっこ」に比べると物足りない感覚になった人たちが多かったかもしれない。ただ、いきなりの本番で最適なネタを出すのも難易度が高く、この場合に比較されるのはほかのファイナリストのみならず、過去の敗者復活戦からの進出者、そして過去のファイナリストとしての自分たちだ。即敗退してしまったが、マユリカの力は多くの人に認知されており、その期待が高かったという共通認識を皆が抱いている証左であり、決して悲観するようなことではない。このスパイラルに飲み込まれると苦しくなってくるのだが、圧倒的平場力で負け顔を見せつけるキモダチムーブはカラッと明るく、悲しみから一番遠い場所での敗退だったと思う。

ダイタク

満を持して、というべきだろうか。アニバーサリーイヤーとしては、第1回のチャンピオンが兄弟であったということから、双子漫才は原点回帰かもしれない。伝統的な兄弟漫才からさらに踏み込んだ、ダイタクならではの双子漫才というおもしろさを多くの人に見せつけることができた。昭和とまではいわないがいい意味での平成らしさと、東京吉本らしい安定的な漫才は芸人の中にもファンが多い。多くの人に愛されて、最高の形でラストイヤーを終えることができたと思う。

ジョックロック

一発で仕留めるという手法がもっとも美しいと多くの人が知っている今、それが可能な初出場組に期待がかかる。大喜利力という面では最後までもう少し山が何度かあるとなおおもしろさが増していたと思うが、大阪センス系と呼ばれかねないネタをここまでポップに押し出し、誰にも悪い印象を抱かせないのは実力だろう。

バッテリィズ

一発で仕留めることについて諦めなかった人々の願いと、あの伝説の2019年を繰り返しているかもしれない高揚にボルテージが最高潮を迎えたとも言えるが、実際は、ただただバッテリィズが素晴らしくて、研鑽を続けていたからこその結果だ。それに他ならない。宝物がバレた。ネタを見ている時に数分後の絶賛を確信するあの感覚、1年のベストパフォーマンスがこの日にできるという喜び、全てがただただうれしく、鳥肌が立ち、涙が止まらなくなる。ネタが終わってほしくない、ずっとこの気持ちでいたいという気持ち。個人的な感情として、私は何度も何度も愛する漫才師と別れを告げ、競技漫才論も増え、自分のような人間なんてもう老害で、東京の大学お笑いにリライトされちゃう側だからもう「M-1」を見る必要なんてないんだろうな、と思ってクサクサした気持ちでこの数年間過ごしていた。だから、またこんな日がくるなんて思ってなかった。何も信じられなくて、こんなにバッテリィズがおもしろいのにどうせ空気ってことにするんだろと思ってた。でもそんなことは思ってはいけなかった。信じること以外ないのに、一番大切なことを手放そうとしてしまっていた。Xでは、生を肯定するバッテリィズが救済系などと呼ばれ始めているが、私もバッテリィズに救われた一人である。

エース氏の「生きているだけでいい」的思想は、まぎれもなく彼が憧れている明石家さんま氏の「生きてるだけで丸儲け」を継いでいる。好きとか嫌いとか、大学お笑いだとか養成所だとか、何が知性で何が知性じゃないとか、東京だとか大阪だとか、吉本だとかそうじゃないとか、若いとか若くないとか、全部関係ない。そこにはただ、輝く漫才があるだけなのに。それだけでいいのに。それだけでよかった。

ママタルト

この形式だと類似の漫才との比較で不利になっている。今年割と芸人やファン界隈で言及された表現として「シャバい」というものがある。額面通り受け取ると俗っぽいとか、大衆迎合しすぎという表現だが、M-1が国民的なものである以上はある程度のシャバさは必要である。その調整がなかなか難しいところである。

エバース

お笑いファンは長い間この日を待ち望んでいたことだろう。逆に言うと彼らにとってはかなりプレッシャーの多い年だったように見受けられる。そもそも過去に「M-1」のファイナリストだったことはないのに、ものすごく期待されすぎていた。その期待や、ABCお笑いグランプリでの悔しさを糧にジャンプアップし、今年1年の中でもベストのパフォーマンスを発揮できたのではないだろうか。ネタ自体もいい塩梅のモチーフと展開である。「どうでもいい」と思われて心が離れない程度の没入感を与えることに長けていた。消費されすぎることもなく、世間にも印象づけることができ、かなりの健闘だったと思う。

トム・ブラウン

ベースの展開に整合性を求めたいが大喜利力の強さもほしい、そして競技漫才としての戦略も立ててほしい。すなわち、なにもかものバランスを取った漫才でなければ……とか思っていると、先述した通り何も分からなくなり、もう漫才を見るのをやめようかなとすら思う日々を過ごしていた。今回のファイナリストが発表された時、「バッテリィズが無理なら、トム・ブラウンに優勝してほしい」という、トムブラ待望論を抱いた。

しかし、自分がそのような気持ちを抱くことが不思議でならなかった。なぜなら志らく系……もとい、破壊系の漫才はあまり好みでなく、笑えればなんでもいいというわけではないと思っていたからだった。それなのに、なぜかトムブラを待望した。その理由は審査員のNON STYLE石田明氏の「普通の漫才がもう笑えない人向けの漫才」という講評に詰め込まれていた。一定数のウォッチャーはもう普通の漫才で笑えなくなっていたんだろう。笑えればなんでもいいというわけではないと思っているのに笑えないと、それはもう漫才を見ることをやめるどころか、今後の人生で笑うことをやめなくてはいけなくなる。だから私はまだお笑いや漫才や「M-1」をこれからも見ていたくて、自分の人生からお笑いを捨てたくなくて、無意識のうちにトムブラに助けを求めていた。ネタ自体は無秩序で、ハッピーエンドではあるが無理矢理なので怖い。とにかく怖いのに優しいので余計怖い。だかおもしろい。死と再生。必然性があるようでない、ないようである不気味なアイテムと行動原理は死をもって生を肯定する。それはつまり逆説的にバッテリィズと同じテーマで人々をエンパワメントしている。トム・ブラウンに助けられた私は、これからも笑うことをやめない人生を歩んでいけるはずだ。

決勝戦 最終決戦

決勝戦 最終決戦(TVer)
https://tver.jp/episodes/eppud7i9f1

令和ロマンはABCお笑いグランプリやこれまでの予選でも評価の高い路線である、不気味系民俗ものともいうべきネタだった。このネタをファイナルラウンドで披露しはじめた瞬間、さらにいうとバッテリィズという1年間待ち望んだ好敵手が浮上したほんの数十分前に、令和ロマンの願いは果たされたことになる。この大会を良きものにしたい、という義務が肩の荷から下りた瞬間に全てを爆発させた。正直かなりネタとしては荒い部分もあるが、そんなことは一切関係ない。というか関係ないということにさせた。いくらエリートでも高学歴でも最初から主人公になれるわけではない。令和ロマンは物語も挫折もないから主人公になれないとか、出来がいいから孤高の存在だとか、そういう言説を全部拒否し続けたのだった。物語がないなら作ればいいし、一生懸命になればライバルは現れてくるものだというのをこの1年8分で見せつけてきた。その流れに真空ジェシカも追随した。やれ4回目のファイナリストがどうだとか、何度も出場しているだとか、だからなんなんだよといわんばかりの大暴れっぷりは気持ちよくすらあった。さや香の見せ算的マインドが報われる瞬間でもあったのだった。バッテリィズがファイナルラウンドで2回目のネタをしているという事実は、多くの人々にとって希望として心に刻まれたことだろう。バッテリィズが準優勝といううれしさは、これからも漫才を愛する十分な理由になるはずだ。

PVではバッテリィズVS令和ロマン&真空ジェシカで反知性VS知性という構図が描かれており、その解釈を求める向きも強いが、それは表面のモチーフにすぎない。大学お笑いをリライトするのはおバカだ! ライフイズビューティフルはやはり正義! とか言ってしまうのは簡単だがそれは代理店脳すぎである。そもそも大学に在籍したことがある人や、都知事選とかネットミーム的なワードを知性というのは、ちょっと知性というものをバカにしすぎやしないだろうか。どちらかというと真空ジェシカや令和ロマンの挙げるモチーフや展開は、知性というよりあるあるで、加えておバカ系とも言える勢いがあったから評価が高かったのではないだろうか。知性と反知性の二項対立的発想を、マーケ的視点に引っ張られると大切なもの、つまりお笑いの見方も分からなくなり、自分の好きなものも分からなくなる。そうするとまたトム・ブラウンが化けて出てくる。気を付けた方がいい。

まとめ

権威とは、審査員の面子でも印象でもなく、歴史のことである。歴史があるから、そして茶化さずに「ガチ」で向き合ってきた先輩方がいるから重みがある。つまりみんなで作り上げた20年間で、それらを全て却下するようなことはできない。キャンセルしていいことと、そうでないことがあるという是々非々の視点を持っていることがお笑いに関連する人たちの矜持なんだろうと思う。良いことも悪いことも、全て内包して進んでいくのが生きることである以上、過去を想うこともまた必要なことだろう。

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「M-1グランプリ2024」鑑賞記——そこにはただ、輝く漫才があるだけ

「ゼロ年代お笑いクロニクル おもしろさの価値、その後。」や「2020年代お笑いプロローグ 優しい笑いと傷つけるものの正体」「漫才論争 不寛容な社会と思想なき言及」などの同人誌を発行する会社員兼評論作家の手条萌(てじょう・もえ)が「M-1グランプリ2024」をどう見たのか、寄稿してもらった。

20周年を迎えた「M-1グランプリ」の今年のスローガンは「お前たちが一番おもしろい」。歴代のチャンピオンが観客席に座り、舞台を指さして爆笑するキービジュアルが印象的だ。そんなアニバーサリーイヤーであるが、予選期間中もしばしば開催意義を問われる声が聞こえてきた。主には松本人志氏の不在について、または令和ロマンの再エントリーについてが議題に挙げられ、「M-1」は2010年のように一定の役割を終えたのだから、もう1度終了してもいいのでは」という言説を見聞きする機会が多かった。それでも松本氏の忘れえぬ存在感をリライトするためにそれぞれがそれぞれの場所で戦った1年だったように思う。ただ、このような物語性もお笑い評論好きが設定したがるテーマでしかなく、実際は誰が審査員席に座ろうがそれはそれとして、「M-1」を開催しなくてはならない、という事実があるのみだ。

とはいえ、やはり今回の最も特筆すべきことは審査員の一新である。松本氏の不在のみならず、山田邦子氏やサンドウィッチマン富澤氏の降板、そして9人制に変更というのは大きな話題となった。自身も最高順位2位であり、YouTubeやABCお笑いグランプリ、昨年の敗者復活戦で、審査員として高評価だったかまいたち山内氏や、かつて敗者復活戦から2位となった経験のあるオードリー若林氏の抜擢など、過去のプレーヤー陣がここに審査員として舞い戻ってくるという構図はエモーショナルな出来事として歓迎された。彼らはそれぞれにファンも多くついており、今もなお単独ライブや公演に出演する現役の漫才師である。漫才師が漫才師を審査するということについては、よりプレーヤー目線の審査基準となることも期待されたことだろう。また、単純に平均年齢が下がっていることのみならず、人数の増加によって、審査の目や基準の幅がつけられることも望まれているように見えた。

決勝戦冒頭で放送された、創始者である島田紳助氏の「いつまでもM-1が夢の入口でありますように」というメッセージは、放送したことそのものも含めて非常に賛否が分かれているが避けられなかったことに思える。その理由は開催意義の再定義のためだ。「M-1」を語る際に今でも掘り起こされる島田氏の「漫才を辞めるきっかけを作る」という開催定義だが、辞めるきっかけよりも大きい意味を「M-1」自身が含むようになったのは自明の事実である。国民的なビッグコンテンツとなった今、辞めるためのきっかけという定義をいちいち思い出してトーンダウンし悲しくなる必要はない。そんな開催意義を持ち出すまでもなく実際に何人もが去っていく以上は、大きいコンテンツであることを押し出すほうが意味の通りが良いに決まっている。「M-1」自身が20年という長い月日をかけて自己をハックしつづけてきた結果、「辞めるきっかけ」を「夢の入り口」と言い換えることに成功したのだった。実は同じことを言っているようにも見えるが、再定義がなされたということ自体に大きな意味がある。

敗者復活戦

2023年大会からシステムが変更された敗者復活戦だが、会場の新宿・三角広場の声の反響や会場のスケールを鑑みると繊細な構造のネタや寄席向けのネタは伝わりにくいと思われる。そのため、国民投票制だった22年までとはまた違う理由でローコンテクストなネタを選定した方が有利という考え方がある。つまりファイナリストの選定基準と敗者復活のそれとは明らかに異なるので、たとえ勝ち上がって決勝の舞台に立ったとしても、マユリカ阪本氏の言うところの「爆速で負けに来た」という事象が発生してしまう。

その原因として考えられることは多数あるが、決勝当日までのプロモーションや露出に差があることも大きく影響しているだろう。ファイナリストとして半月ほどの露出機会が与えられるのと、暫定的に入れられていた「敗者復活」の文字に代入され、テレビ朝日に到着する30分ほどの間だけカギカッコつきの「ファイナリスト」として扱われるのでは、階層も意味も重みも異なる。よって、決勝戦のテーマを解釈しきれないままにネタを選定することになるので、決勝から浮いた存在となりリジェクトされるという展開となることがほとんどである。立場が人を作ると表現すると残酷に聞こえるが、ファイナリストたちは半月の間自覚を持ち、自分たちが選定された意味を自問自答し、可能な限り最適解を出そうと試みる。その意味では、年末の東京をタクシーで移動するドラマテチックさと物語性、高揚感のためにすぐに消える花火としての1組を選定する作業としては、現状の敗者復活戦のシステムはいささか真面目すぎるかもしれない。公平さを重視しているということになっているが基本的には後攻が有利になっている印象もある。しかしその建て付け上ネタの選定自体は派手なものの場合が多いので、お祭り的要素はかなり大きい。そのため数字としては記録されないが、記憶には残る名作が生まれやすい。各ブロックで個人的に特に印象に残った組を振り返る。

敗者復活戦(TVer)
Aブロック 1~7組目
https://tver.jp/episodes/ep1v68to4i
Bブロック 8~14組目
https://tver.jp/episodes/epqe3e59zn
Cブロック 15~21組目+結果発表
https://tver.jp/episodes/epyf3jw4uk

ダンビラムーチョ(Aブロック)

得意としている歌唱要素も取り入れつつ虫を顔芸で表現するという、構造としてはかなり技術が必要な漫才をやってのけていた。非常に牧歌的なモチーフとムードに、フニャオ氏のちいかわのようなツッコミがベストマッチし、言語化の外にある「なぜその顔がその虫なのか」という疑問と「でもなんとなく分かる」という暗黙の共通認識があぶり出されて笑いを誘う。ちいかわの世界のような、あるいは故郷の長野や山梨のような広大で神秘的、だが畏怖を感じさせる自然が喚起され、ほかではあまり見かけない唯一無二のネタとなっている。

滝音(Bブロック)

滝音がひさしぶりに敗者復活戦に出場するということで、高揚を隠し切れないお笑いファンも多かったことだろう。圧倒的に洗練されたネタは聴く者の心地よさを刺激する。これまでの主な彼らの落選理由は、主軸のなさや必然性のないワードの無理のある挿入が挙げられがちだが、今回は全てが解決されていた。かつ、ものすごいスキルアップをしていたように見受けられる。努力の積み重ねで常にゾーンに入れることを可能にしていた。全ての展開にもワードにもまったく違和感がなく、ストレートでの決勝進出も不可能ではなかったと確信した。しかしそんな滝音が、同じく大阪の「よしもと漫才劇場」出身のマユリカや豪快キャプテンと同じブロックで戦わなくてはならないなど、なんという悲しいことだろうか。

インディアンス(Cブロック)

かつて国民投票時代の敗者復活戦での復活を果たしたことがあるため、ちょうどいい塩梅を知っているのでは、という視点で有力視されていたインディアンス。今回のネタは劇場や寄席ではかなりウケていた。出ハケをネタにする漫才やメタなものは予選の審査員には評価がされにくいとされているが、芸人審査員かつ客席審査の場合はそのロジックはたしかに無効化されていて、非常に盛り上がりやすいものとなっていた。しかし細かい要素なども大いに含んでいるため、大きいハコよりは劇場の方が分かりやすいネタではあるだろう。

決勝戦 ファーストラウンド

システム変更された23年から特に敗者復活戦の鑑賞カロリーが高く、本編の決勝戦にたどり着くまでに鑑賞側もかなり消耗している。それをミーム化すると「お風呂に入る時間がない」ということになり、文字通りずっと「M-1」にかじりついていることになる。一息ついたところで始まる決勝戦の華やかな演出と舞台を見て、ここでようやく“Mおじ”よろしく「M-1やなあ」と実感する人も多いことだろう。夏から始まった戦いももう今日で終わりだと思うと感慨深くなり、最後の日までネタができる組、そして一番多くネタができる組は幸せだろうと思いをはせる神聖な時間となる。さて、ここからは順を追ってそれぞれのパフォーマンスを振り返る。

決勝戦 ファーストラウンド(TVer)
決勝戦 FIRST ROUND 前半戦 1~5組目
https://tver.jp/episodes/epe7627fyg
決勝戦 FIRST ROUND 後半戦 6~10組目
https://tver.jp/episodes/eppbvdgnqj

令和ロマン

「M-1」鑑賞者にとっての知名度は間違いなく100%だろう令和ロマン。消費されないように戦略を練りつつも本来なら半月ほどで行うファイナリストとしてのプロモーションを1年かけて行ってきた。本人たちはヒールであろうとしていたがおそらくそれも計算で、1年間ずっと、人々から連覇を願われた存在だった。阿部一二三選手が笑御籤(えみくじ)を引いた時、全ての運命が決定づけられた。トップバッターということはつまり勝てると、昨年の経験から全員が脊髄反射的に思ったことだろう。彼らがせりあがって来た時、全員が令和ロマンの登場を待ち望んでいたという空気に包まれ、会場自体の高揚感は早くも最高潮を迎えた。おそらく多くの人が連覇を予感し、「ということはこのあとが低調になるとまた、彼らの望みが果たされないのでは?」というところまで爆速で思考を巡らせたことだろう。大会自体の展開への一抹の不安はありつつも、令和ロマンのこと自体はもう誰も心配していなかった。手垢のついた言葉で言うなら、運命が味方をしていて、実力があるからどんな状況も「運がいい」状態にしていっている。もはや全員が忘れていると思うが、昨年まではトップバッターは死刑宣告ではなかったか? しかし彼らはそんな悲壮な呪いをすべて解いていった。自分自身のために、そしてお笑いの未来のために。

ヤーレンズ

この1年、「ヤレロマ」として令和ロマンと肩を並べて語られていた存在である。そんな盟友の令和ロマンが場を温めまくったあとの登場となり、運命の皮肉さを感じさせる一幕だった。審査員の海原ともこ氏の言うとおり、ディテールのくだらなさをもっと求めたくなる漫才だった。加えて、この形式の漫才は安定的なおもしろさを担保するにはうってつけではあるが、爆発箇所を作ることが肝要であるという見方を多くの人に提示させるネタとなっただろう。

真空ジェシカ

審査員の平均年齢が下がったことによって評価されるようになった……と言われがちであるが、実は彼ら自身の調整力にもすさまじいものがあったように思う。調整というのは往々にして丸くしすぎて良さが失われることが多いが、リスクを恐れずにエッジを残し、迎合しすぎないようにしていたところだった。代入するワードを選定する大喜利力が構成を凌駕してしまえば、ベースの整合性や流れはそこまで重視されない。というかもう、それを放棄してまで評価したくなるような強さがあれば何も問題ない。長年唐突感が課題と言われていた彼らだが、ぶつ切り上等でパワーを見せつけつつ悪辣度は下げながらも怖さは残す、という正解に導けた結果がファイナルラウンド進出として結実し、青春の疾走感として見る者の心をつかんだ。

マユリカ

敗者復活戦ではかなり強度の高いネタで、お笑いウォッチャーの期待値が上がっていた。ちなみにクレイジー舞妓ものは見取り図やドーナツ・ピーナツなど大阪吉本からキャリアスタートした組で名作が多く、マユリカのチャキ姐もその系譜である。

ファイナルで披露した同窓会は、チャキ姐や過去の「へんてこしっこ」に比べると物足りない感覚になった人たちが多かったかもしれない。ただ、いきなりの本番で最適なネタを出すのも難易度が高く、この場合に比較されるのはほかのファイナリストのみならず、過去の敗者復活戦からの進出者、そして過去のファイナリストとしての自分たちだ。即敗退してしまったが、マユリカの力は多くの人に認知されており、その期待が高かったという共通認識を皆が抱いている証左であり、決して悲観するようなことではない。このスパイラルに飲み込まれると苦しくなってくるのだが、圧倒的平場力で負け顔を見せつけるキモダチムーブはカラッと明るく、悲しみから一番遠い場所での敗退だったと思う。

ダイタク

満を持して、というべきだろうか。アニバーサリーイヤーとしては、第1回のチャンピオンが兄弟であったということから、双子漫才は原点回帰かもしれない。伝統的な兄弟漫才からさらに踏み込んだ、ダイタクならではの双子漫才というおもしろさを多くの人に見せつけることができた。昭和とまではいわないがいい意味での平成らしさと、東京吉本らしい安定的な漫才は芸人の中にもファンが多い。多くの人に愛されて、最高の形でラストイヤーを終えることができたと思う。

ジョックロック

一発で仕留めるという手法がもっとも美しいと多くの人が知っている今、それが可能な初出場組に期待がかかる。大喜利力という面では最後までもう少し山が何度かあるとなおおもしろさが増していたと思うが、大阪センス系と呼ばれかねないネタをここまでポップに押し出し、誰にも悪い印象を抱かせないのは実力だろう。

バッテリィズ

一発で仕留めることについて諦めなかった人々の願いと、あの伝説の2019年を繰り返しているかもしれない高揚にボルテージが最高潮を迎えたとも言えるが、実際は、ただただバッテリィズが素晴らしくて、研鑽を続けていたからこその結果だ。それに他ならない。宝物がバレた。ネタを見ている時に数分後の絶賛を確信するあの感覚、1年のベストパフォーマンスがこの日にできるという喜び、全てがただただうれしく、鳥肌が立ち、涙が止まらなくなる。ネタが終わってほしくない、ずっとこの気持ちでいたいという気持ち。個人的な感情として、私は何度も何度も愛する漫才師と別れを告げ、競技漫才論も増え、自分のような人間なんてもう老害で、東京の大学お笑いにリライトされちゃう側だからもう「M-1」を見る必要なんてないんだろうな、と思ってクサクサした気持ちでこの数年間過ごしていた。だから、またこんな日がくるなんて思ってなかった。何も信じられなくて、こんなにバッテリィズがおもしろいのにどうせ空気ってことにするんだろと思ってた。でもそんなことは思ってはいけなかった。信じること以外ないのに、一番大切なことを手放そうとしてしまっていた。Xでは、生を肯定するバッテリィズが救済系などと呼ばれ始めているが、私もバッテリィズに救われた一人である。

エース氏の「生きているだけでいい」的思想は、まぎれもなく彼が憧れている明石家さんま氏の「生きてるだけで丸儲け」を継いでいる。好きとか嫌いとか、大学お笑いだとか養成所だとか、何が知性で何が知性じゃないとか、東京だとか大阪だとか、吉本だとかそうじゃないとか、若いとか若くないとか、全部関係ない。そこにはただ、輝く漫才があるだけなのに。それだけでいいのに。それだけでよかった。

ママタルト

この形式だと類似の漫才との比較で不利になっている。今年割と芸人やファン界隈で言及された表現として「シャバい」というものがある。額面通り受け取ると俗っぽいとか、大衆迎合しすぎという表現だが、M-1が国民的なものである以上はある程度のシャバさは必要である。その調整がなかなか難しいところである。

エバース

お笑いファンは長い間この日を待ち望んでいたことだろう。逆に言うと彼らにとってはかなりプレッシャーの多い年だったように見受けられる。そもそも過去に「M-1」のファイナリストだったことはないのに、ものすごく期待されすぎていた。その期待や、ABCお笑いグランプリでの悔しさを糧にジャンプアップし、今年1年の中でもベストのパフォーマンスを発揮できたのではないだろうか。ネタ自体もいい塩梅のモチーフと展開である。「どうでもいい」と思われて心が離れない程度の没入感を与えることに長けていた。消費されすぎることもなく、世間にも印象づけることができ、かなりの健闘だったと思う。

トム・ブラウン

ベースの展開に整合性を求めたいが大喜利力の強さもほしい、そして競技漫才としての戦略も立ててほしい。すなわち、なにもかものバランスを取った漫才でなければ……とか思っていると、先述した通り何も分からなくなり、もう漫才を見るのをやめようかなとすら思う日々を過ごしていた。今回のファイナリストが発表された時、「バッテリィズが無理なら、トム・ブラウンに優勝してほしい」という、トムブラ待望論を抱いた。

しかし、自分がそのような気持ちを抱くことが不思議でならなかった。なぜなら志らく系……もとい、破壊系の漫才はあまり好みでなく、笑えればなんでもいいというわけではないと思っていたからだった。それなのに、なぜかトムブラを待望した。その理由は審査員のNON STYLE石田明氏の「普通の漫才がもう笑えない人向けの漫才」という講評に詰め込まれていた。一定数のウォッチャーはもう普通の漫才で笑えなくなっていたんだろう。笑えればなんでもいいというわけではないと思っているのに笑えないと、それはもう漫才を見ることをやめるどころか、今後の人生で笑うことをやめなくてはいけなくなる。だから私はまだお笑いや漫才や「M-1」をこれからも見ていたくて、自分の人生からお笑いを捨てたくなくて、無意識のうちにトムブラに助けを求めていた。ネタ自体は無秩序で、ハッピーエンドではあるが無理矢理なので怖い。とにかく怖いのに優しいので余計怖い。だかおもしろい。死と再生。必然性があるようでない、ないようである不気味なアイテムと行動原理は死をもって生を肯定する。それはつまり逆説的にバッテリィズと同じテーマで人々をエンパワメントしている。トム・ブラウンに助けられた私は、これからも笑うことをやめない人生を歩んでいけるはずだ。

決勝戦 最終決戦

決勝戦 最終決戦(TVer)
https://tver.jp/episodes/eppud7i9f1

令和ロマンはABCお笑いグランプリやこれまでの予選でも評価の高い路線である、不気味系民俗ものともいうべきネタだった。このネタをファイナルラウンドで披露しはじめた瞬間、さらにいうとバッテリィズという1年間待ち望んだ好敵手が浮上したほんの数十分前に、令和ロマンの願いは果たされたことになる。この大会を良きものにしたい、という義務が肩の荷から下りた瞬間に全てを爆発させた。正直かなりネタとしては荒い部分もあるが、そんなことは一切関係ない。というか関係ないということにさせた。いくらエリートでも高学歴でも最初から主人公になれるわけではない。令和ロマンは物語も挫折もないから主人公になれないとか、出来がいいから孤高の存在だとか、そういう言説を全部拒否し続けたのだった。物語がないなら作ればいいし、一生懸命になればライバルは現れてくるものだというのをこの1年8分で見せつけてきた。その流れに真空ジェシカも追随した。やれ4回目のファイナリストがどうだとか、何度も出場しているだとか、だからなんなんだよといわんばかりの大暴れっぷりは気持ちよくすらあった。さや香の見せ算的マインドが報われる瞬間でもあったのだった。バッテリィズがファイナルラウンドで2回目のネタをしているという事実は、多くの人々にとって希望として心に刻まれたことだろう。バッテリィズが準優勝といううれしさは、これからも漫才を愛する十分な理由になるはずだ。

PVではバッテリィズVS令和ロマン&真空ジェシカで反知性VS知性という構図が描かれており、その解釈を求める向きも強いが、それは表面のモチーフにすぎない。大学お笑いをリライトするのはおバカだ! ライフイズビューティフルはやはり正義! とか言ってしまうのは簡単だがそれは代理店脳すぎである。そもそも大学に在籍したことがある人や、都知事選とかネットミーム的なワードを知性というのは、ちょっと知性というものをバカにしすぎやしないだろうか。どちらかというと真空ジェシカや令和ロマンの挙げるモチーフや展開は、知性というよりあるあるで、加えておバカ系とも言える勢いがあったから評価が高かったのではないだろうか。知性と反知性の二項対立的発想を、マーケ的視点に引っ張られると大切なもの、つまりお笑いの見方も分からなくなり、自分の好きなものも分からなくなる。そうするとまたトム・ブラウンが化けて出てくる。気を付けた方がいい。

まとめ

権威とは、審査員の面子でも印象でもなく、歴史のことである。歴史があるから、そして茶化さずに「ガチ」で向き合ってきた先輩方がいるから重みがある。つまりみんなで作り上げた20年間で、それらを全て却下するようなことはできない。キャンセルしていいことと、そうでないことがあるという是々非々の視点を持っていることがお笑いに関連する人たちの矜持なんだろうと思う。良いことも悪いことも、全て内包して進んでいくのが生きることである以上、過去を想うこともまた必要なことだろう。

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青山グランドホテル運営会社が湯ヶ島の登録有形文化財の旅館をサウナ付き貸切別邸に刷新

国内外の主要都市でホテルやレストラン、バンケットなどを手掛けるPlan・Do・See(本社・東京都港区)はこのほど、1874年(明治7年)の創業で登録有形文化財にも指定されている温泉宿「おちあいろう」の150周年を記念し、登録文化財の建物一棟をサウナを備えた貸し切り施設「石楠花(しゃくなげ)」としてリニューアルオープンした。

登録有形文化財に指定されている3階建ての建物を含む547㎡の敷地には、3つの寝室やプライベートリビング&ダイニング、キッチンのほか、露天温泉や室内温泉、囲炉裏をモチーフにした専用サウナを備えた。食事は、ミシュランで星も獲得してきたPlan・Do・Seeグループのシェフが棟内のプライベートダイニングルームで提供する。

温泉宿「おちあいろう」は、山岡鉄舟が「落合楼」と命名。島崎藤村や川端康成ら名高い文人も訪れ、作品の中に滞在時の思い出を記している。400坪の敷地では、全客室含め7箇所の建物が有形文化財に登録されている。「訪れる人に癒しを与えたい」という思いで創業された旅館は長年、湯ヶ島のみならず伊豆半島全体に多くの雇用を生み出してきた。青山グランドホテルや赤坂プリンス クラシックハウスなどを手掛けるPlan・Do・Seeは、2018年にこの温泉宿を継承。今年、日本初のミシュランガイドのホテルカテゴリーで1ミシュランキーを獲得した。

貸切別邸 石楠花(しゃくなげ)
寝室:3室
面積:547m²
料金:一棟60万円/泊/2人、1人様追加ごとに6万円
施設:リビング、ダイニング、キッチン、室内温泉、露天風呂、サウナ、水風呂
ご利用可能人数:最大定員12人
時間:チェックイン15時/チェックアウト11時

おちあいろう
所在地:静岡県伊豆市湯ヶ島1887-1
客室:16室(うち3室は露天風呂付き)
料金:7万1000 円~10万6000 円
(いずれも1室2人利用時、1人料金 1泊2食付き、税・サ・入湯税・宿泊中の飲料代も込み)
時間:チェックイン15時/チェックアウト11時まで
公式サイト

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急成長するショッピングエリア 「港区マーケット」の可能性を探る

「WWDJAPAN」は9月2日発売号で「港区マーケット」を特集し、大きな反響を得た。これを受けて、12月3日には特集を発展させたセミナーを開催。林芳樹「WWDJAPAN」シニアエディターによる進行のもと、港区マーケットの成功事例として森ビルの栗原弘一・常務執行役員商業施設事業部統括部長とエストネーション(ESTNATION)の大田直輝社長が登壇した。同エリアでの商機を狙うブランドやデベロッパー、小売業のMDなどが受講した、注目のセミナーをリポートする。

購入には事前にOneStreamの会員登録が必要です。
視聴期限:2025年12月10日(水)23:59 まで
「アカウント作成はこちら」から作成してください。
※10分間のお試し視聴ののち、「購入する」ボタンが表示されます。

「かつて夜の街としてのイメージが強かった六本木が、ファッションアイテムの売れる商業地に変わった」。冒頭、林シニアエディターは港区マーケットの変化を象徴する六本木について言及した。2003年の六本木ヒルズ開業を皮切りに、街の姿が変貌し、都内でも有数のショッピングエリアへと発展した。
 要因の一つは、職住近接の環境を求める若年富裕層だ。六本木ヒルズに加えて、東京ミッドタウン、近年は虎ノ門ヒルズや麻布台ヒルズが開発され、エリアの魅力が高まった。彼らが移り住み、肥沃な足元商圏が生まれている。銀座や新宿、渋谷に比べて、トラフィック(通行する人の数)は少ないものの、客単価が圧倒的に高い。セレクトショップでは売上高全国1位の店舗が六本木というケースが多い。ラグジュアリーブランドの出店意欲も旺盛だ。

森ビルの“ヒルズ文化経済圏”とは?

数あるデベロッパーの中で港区で存在感を放つ森ビルは、どんな街づくりを行ってきたのか。第1幕では森ビルの栗原常務執行役員が“ヒルズ文化経済圏”を解説した。「世界は都市間競争の時代。東京に中心部を作って都市の『磁力』を高め、企業や経営資源を集中させる場所にしたい」。森ビルは1986年、大型複合施設の先駆けとなるアークヒルズから本格的な街づくりに乗り出した。

商業施設など特定の機能ではなく、あくまでも街全体が魅力を追求し、そのためにどうコンテンツをそろえるべきかを考えるという。現在、それぞれのヒルズが抱える機能は、物販や飲食のほか、オフィスや住宅、美術館、学校・保育園、広場・緑地、予防医療センターなど多岐にわたる。

街づくりは建物を作って終わりではない。住む人、働く人、訪れる人たちの関係を深める日々の取り組みが欠かせない。いま力を入れているのが「ヒルズアプリ」と独自のイベント企画だ。ヒルズアプリは利用者の利便性を高めると同時に、顧客データを集積・分析するツールになっているほか、さまざまな情報発信を通じてコミュニケーションを生む。栗原常務執行役員はその具体的な内容、データ活用、年間1200ほど実施するというイベントの事例を紹介しながら、「これまで売り場としての機能が強かった商業施設は、今後企業が顧客とのエンゲージメントを高める場に変貌するだろう」と結んだ。

六本木ヒルズに21年、「エストネーション」の強さの理由

第2幕ではセレクトショップ「エストネーション」の大田社長が登場した。六本木ヒルズ開業時から21年にわたって旗艦店を構えてきた同社が語る、港区マーケットの本質と六本木ヒルズとの連携した取り組みが面白い。

「投資価値があるか?という視点が、港区マーケットには欠かせない」。大田社長によれば、富裕層は自由に使える資金が潤沢にあるからこそ、“多くのものを買う”よりも“より良いものを選択する”傾向にある。だからこそ、幅広い顧客に刺さる商品を開発するのではなく、特にファッション感度の高いオピニオンリーダーに合わせた価値提供をする。

森ビルの六本木ビルズ担当者とは定期的に商況を共有するミーティングを重ねる。六本木ヒルズ全体の動向を知るだけでなく、「ヒルズアプリ」の会員データも確認することで、潜在顧客の需要を分析し、店頭でのさらなる提案につなげている。「六本木ヒルズ内レジデンスに住むお客さまにとっては、『エストネーション』は重要なインフラの一つだから」と店の存在意義を語った。

講義後には、受講者から「六本木の顧客に対応するために、特別な社員教育はしているか」などの質問が寄せられ、大田社長はていねいに回答した。

セミナーをもっと楽しむ!
特設コーナー登場

「WWDJAPAN」は月1の頻度でセミナーを開催しているが、今回から会場にはセミナーをもっと楽しむためのスペシャルコーナーを用意した。「WWDJAPAN」のバックナンバーのほか、「港区マーケット」特集号の表紙を飾ったウィメンズブランド「ヘンネ(HAENGNAE)」のドレスや、森ビル関連の書籍、麻布台ヒルズの低層棟の設計とデザインを手掛けた「ヘザウィック・スタジオ」の写真集などを展示。同時に液晶モニターも設置し、同スタジオのドキュメンタリーや「エストネーション」20周年を記念して六本木ヒルズ店で実施したファッションショーのムービーを上映した。今後もセミナーの内容にちなんだコーナーを企画する予定なので、ぜひチェックしてほしい。

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「エディー・バウアー」、新体制での都内1号店を吉祥寺に開業 今後も「年間5店を出店」

メンズアパレルの水甚(岐阜、中村好成社長)は、2023年に取り扱いを開始した米カジュアルブランド「エディー・バウアー(EDDIE BAUER)」の都内初店舗を吉祥寺にオープンした。水甚が日本の商標権を持つ米「ファーストダウン(FIRST DOWN)」との複合店で、23年10月に出店を開始してこれが9店目。路面店は初となる。「23年秋以降、売り上げは予算通りにきている。今後も年間5店の出店を目指す」(中村有孝 取締役本部長)と積極姿勢だ。

店舗面積は「エディー・バウアー」が約198平方メートル、「ファーストダウン」が約66平方メートル。JR吉祥寺駅からすぐで、近隣には、同じく米カジュアルの「エル・エル・ビーン(L.L.BEAN)」も大型店を構えている。

20〜30代の認知拡大へ

吉祥寺以外ではららぽーとTOKYO-BAY、モザイクモール港北などの大型商業施設に出店している。「21年12月までは日本法人エディー・バウワー ジャパンがブランドを手掛けており、当時からのファンである50〜60代が客層の中心。25年秋冬に向けてセレクトショップへの卸販売も行い、20〜30代の認知も拡大したい」。

23年秋冬以降の売れ筋は、米国初のダウンジャケットとして開発された“スカイライナー”(3万8500円)や、1953年にヒマラヤK2の米登山隊に提供されたダウンジャケット“カラコラム”(4万9500円)、チェック柄のネルシャツ類など。吉祥寺店では、本格的な登山家に選ばれてきたアウトドアブランドというヒストリーも柱周りで展示。ブランドとしてイメージの強いカジュアルな日常着の印象と共に、アウトドアの要素も伝えていく。

「ファーストダウン」は初の直営出店

セレクトショップへの卸を行ってきた「ファーストダウン」は今回が初の直営展開。「反応を見つつ、今後は主要都市への出店やポップアップを模索していく」。

「エディー・バウアー」は1920年に米シアトルで設立。2021年5月には、米ブランドマネジメント企業のオーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP 以下、ABG)とスパーク・グループが買収。同年12月には日本の全店舗やECなど全事業を終了し、日本市場から撤退していた。伊藤忠商事が22年にABGと契約して日本市場における販売権とライセンス権を取得。水甚は伊藤忠とサブライセンス契約を締結している。

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「エディー・バウアー」、新体制での都内1号店を吉祥寺に開業 今後も「年間5店を出店」

メンズアパレルの水甚(岐阜、中村好成社長)は、2023年に取り扱いを開始した米カジュアルブランド「エディー・バウアー(EDDIE BAUER)」の都内初店舗を吉祥寺にオープンした。水甚が日本の商標権を持つ米「ファーストダウン(FIRST DOWN)」との複合店で、23年10月に出店を開始してこれが9店目。路面店は初となる。「23年秋以降、売り上げは予算通りにきている。今後も年間5店の出店を目指す」(中村有孝 取締役本部長)と積極姿勢だ。

店舗面積は「エディー・バウアー」が約198平方メートル、「ファーストダウン」が約66平方メートル。JR吉祥寺駅からすぐで、近隣には、同じく米カジュアルの「エル・エル・ビーン(L.L.BEAN)」も大型店を構えている。

20〜30代の認知拡大へ

吉祥寺以外ではららぽーとTOKYO-BAY、モザイクモール港北などの大型商業施設に出店している。「21年12月までは日本法人エディー・バウワー ジャパンがブランドを手掛けており、当時からのファンである50〜60代が客層の中心。25年秋冬に向けてセレクトショップへの卸販売も行い、20〜30代の認知も拡大したい」。

23年秋冬以降の売れ筋は、米国初のダウンジャケットとして開発された“スカイライナー”(3万8500円)や、1953年にヒマラヤK2の米登山隊に提供されたダウンジャケット“カラコラム”(4万9500円)、チェック柄のネルシャツ類など。吉祥寺店では、本格的な登山家に選ばれてきたアウトドアブランドというヒストリーも柱周りで展示。ブランドとしてイメージの強いカジュアルな日常着の印象と共に、アウトドアの要素も伝えていく。

「ファーストダウン」は初の直営出店

セレクトショップへの卸を行ってきた「ファーストダウン」は今回が初の直営展開。「反応を見つつ、今後は主要都市への出店やポップアップを模索していく」。

「エディー・バウアー」は1920年に米シアトルで設立。2021年5月には、米ブランドマネジメント企業のオーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP 以下、ABG)とスパーク・グループが買収。同年12月には日本の全店舗やECなど全事業を終了し、日本市場から撤退していた。伊藤忠商事が22年にABGと契約して日本市場における販売権とライセンス権を取得。水甚は伊藤忠とサブライセンス契約を締結している。

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ナイキ9〜11月期、減収も市場予想を上回る着地 株価は一時10%上昇

ナイキ(NIKE)が19日に発表した9〜11月期業績は、売上高が発表資料ベースで前年同期比8%減の123億5400万ドル(約1兆8901億円)、純利益は同26%減11億6300万円(約1779億円)で着地し、市場予想を上回ったことで株価は19日の時間外取引で一時10%急騰した。10月に就任したエリオット・ヒル(Elliott Hill)社長兼CEOは自身の最優先事項として、「スポーツをナイキのあらゆる活動の中心に戻す」と語った。

大量に積み上がった在庫に対し、値引きプロモーションを導入して需要の再調整を実施している。それにより、9〜11月期決算は「予想を概ね満たすことができた」とマシュー・フレンド(Matthew Friend)最高財務責任者はコメント。“エアフォースワン”“エアジョーダンワン”“ダンク”など人気シリーズを減らすことで、需要をリセットした。

ブランド別では、「ナイキ」売上高は全地域での売り上げ減により同7%減の119億5000万ドル(約1兆8283万円)、「コンバース(CONVERSE)」は同17%減の4億2900万ドル(約656億円)だった。チャネル別売上高では、直販(EC、直営店)が同13%減の50億ドル(約7650億円)、卸が同3%減の69億ドル(約1兆557億円)。在庫量は前年ほぼ横ばい。

ヒルCEOは、イノベーションある製品開発や企業文化の改善を進め、業績回復につなげている。中でも最も注目すべきは新たな卸売り戦略だ。ナイキはジョン・ドナホー(John Donahoe)前社長兼CEOのもと、コロナ禍の21年以降、卸先のスポーツ量販店と手を切って直販戦略を強化してきた。結果、足元の苦戦につながったとして、ヒルCEOのもと卸販売の再強化を図っており、卸先との関係性再構築に努めている。

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【12/26まで早割受付中】小島健輔が分析する『2025年ファッション小売業の大展望』

\「WWDJAPAN」大人気連載から初のセミナー開催!/
デフレに打ち勝つ「ヒト・モノ・カネの”リソース革命”」

「WWDJAPAN」は、小島健輔氏によるセミナー「2025年ファッション小売業の大展望」を開催します。止まらないインフレを踏まえ、ファッション業界にはヒト・モノ・カネの軸で“リソース革命”が求められます。アパレルは生産性や収益性で他業種に劣り、低賃金が長年の課題です。こから抜け出さないかぎり明るい未来はありません。では、先鋭企業はどのようにイノベーションを生み、転換しようとているのか。「WWDJAPAN Digital」の数ある連載で最もアクセスを集める「小島健輔リポート」でお馴染みの小島氏が、有力企業のゲストと共にこの難題に迫ります。

まず“セッション1”で小島氏が基調講演として、顧客、従業員、取引先の「三方よし」の実現のためにファッション小売業がすべきことを提案します。続く“セッション2”では、話題のアパレル企業yutoriの青嶋剣士郎サプライチェンマネージャー、OEMで革新を重ねるレオン・インターナショナルの林真吾社長と小島氏との鼎談でさらに深く掘り下げます。
本セミナーでは、ファッション小売業を取り巻く変化と具体的な実例を交えて、ファッション業界が進むべき指針を探ります。アパレル関係者のみならず、多くのビジネスパーソンにとって有益な情報収集の機会になるでしょう。

このような人におすすめ

・生産性・収益性を抜本的に高めたいと考えるアパレル小売業の関係者
・アパレルDX(デジタルトランスフォーメーション)に関心を持つビジネスパーソン
・従業員の賃上げを実現したい経営者
・衣料品のサプライチェーンの変革の実例を知りたいビジネスパーソン
・顧客とのデジタルコミュニケーションを学びたいマーケティング担当者

 

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早割クーポンコード【F795ZAJ6】/有料会員の方はこちらからクーポンコードを取得してください

 


プログラム

【Session#1】19:00~19:50(50分)

アパレル小売業が顧客・従業員・取引先の「三方よし」実現のためにすべきこと

小島健輔氏はファッションビジネスコンサルタントの第一人者で、豊富な実務経験と精緻なデータ分析に基づく論評は業界関係者の信頼を集めてきました。また「WWDJAPAN Digital」で2019年から続く連載「小島健輔リポート」でも、忌憚のなく本質を突くオピニオンで多くの読者を獲得しています。グローバル化とデジタル化の波は、今後のファッション小売業にどのような影響を与えるのか。国内外の先進事例を踏まえ、顧客、従業員、取引先の「三方よし」の実現のためにファッション小売業がすべき対策を論じます。

ゲストスピーカー:小島 健輔/小島ファッションマーケッティング代表取締役
PROFILE:(こじま・けんすけ)慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで一体に捉え、テザリングによる店受け取り・店出荷のローカルOMO、DXによる店舗運営の効率化とメディア化、PDMによるサプライチェーンの高速化などを提唱。「ユニクロ症候群」(東洋経済)、「店は生き残れるか」(商業界)、「アパレルの終焉と再生」(朝日新書)など著書も多数
モデレーター:林 芳樹/WWDJAPANシニアエディター
PROFILE:(はやし・よしき)1972年、千葉県生まれ。大学卒業後、出版社勤務を経て、98年に業界紙の日本繊維新聞社に入社。広告営業を経て編集記者になり、メンズウエア、スポーツウエア、SPAなどを取材する。2009年2月にINFASパブリケーションズに入社。「WWDジャパン」編集部に配属され、主にビジネスニュースを担当する
【Session#2】19:50~20:40(50分)

yutori とレオン・インターナショナルに学ぶ デジタルで業務はどう変わるのか

アパレル業界が生産性や収益性を高めるために不可欠なのがデジタルコミュニケーションです。2023年に上場したyutoriは、中間流通業者や小売を介さずに製品企画から販売まで自社で一貫して行うD2Cを軸に複数のファッションブランドを展開し、急成長を遂げています。OEM会社のレオン・インターナショナルは、3DCGやメタバースを活用した革新的なビジネスモデルで注目を集めています。ものづくりから顧客マーケティングまでデジタルコミュニケーションによって仕事はどう変わるのか。yutoriの青嶋剣士郎サプライチェーンマネージャーとレオン・インターナショナルの林真吾社長社長に、小島氏が切り込みます。

ゲストスピーカー:青嶋 剣士郎/yutori/サプライチェーンマネージャー
PROFILE:(あおしま・けんしろう)1996年静岡県生まれ。大学卒業後、金融系シンクタンクにてシステムエンジニアを経てyutoriに入社。これまで、物流生産、バックオフィスなどブランド横串のマネージャーを経験後、現在はサプライチェーン・店舗・海外展開を統括
ゲストスピーカー:林 真吾/レオン・インターナショナル 代表取締役社長
PROFILE:(はやし・しんご)岐阜県生まれ 中国上海での留学後、紡績会社勤務を経て2005年に現在の前身である(有)レオン・インターナショナルに入社。2017年にOEM・ODM・デザイン企画・ブランド事業・デジタルファッション開発などを手掛ける現在の㈱レオン・インターナショナルを設立。代表取締役に就任
ゲストスピーカー:小島 健輔/小島ファッションマーケッティング代表取締役
モデレーター:林 芳樹/WWDJAPANシニアエディター

※講義内容は予告なく変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。

【Extra】20:45 ~21:30(45分)

ミートアップ

会場受講の方はセミナー終了後、登壇記者も参加するミートアップにご参加いただけます。ドリンクを用意しておりますので、さらなるコミュニケーションの場としてご活用ください。また、ミートアップ開始前に、本セミナーの会場である株式会社ヤプリよりサービスをご紹介させていただく時間がございます。

 


インフォメーション

日時

2025年1月21日(火)19:00〜21:30
※講座開始30分前から会場受付開始

実施方法

会場 または オンライン受講
※受講前日と当日に、ご案内メールをお送りしますので、ご入力にお間違いがないようご注意ください。セミナー当日は受付にてメールをご提示ください。
※オンライン受講の方は、ご案内メールに視聴用URLを記載しております。また、OneStreamでの配信を予定しています。
※ご案内メールが届かない場合は迷惑メールフォルダなどもご確認ください。
※セミナー終了後、会場&オンライン受講者へのアーカイブ配信の案内はありませんのでご了承ください。後日アーカイブ動画は、単体で購入することが可能です。

会場

株式会社ヤプリ
東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー 41階

募集人数

会場:50名
オンライン:100名

募集期間

2024年12月20日(金)〜 2025年1月20日(月)12時まで
【早割10%OFFキャンペーン】
12/26(木)12:00までのお申し込みで、一般価格から10%OFFで受講いただけます。
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クーポンコード:F795ZAJ6

受講料金

一般価格:16,500円14,850円 早割10%OFF
スタンダードプラン:11,550円 30%OFF
ライトプラン:14,850円 10%OFF
※表示価格は全て1名様分、税込です。
※他のクーポンとの併用はできません。
※早割期間内であっても、募集人数に達し次第受け付けを締め切らせていただく場合がございます。

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注意事項

・受講料は会場とオンライン同額です。
・割引価格はクーポンをご利用時に適用となります。スタンダードとライトのクーポンコードはマイページをご確認の上、申し込み画面で入力してください。
・申し込みの受け付けは先着順です。募集人数に達し次第締め切らせていただきます。
・申し込み完了後のキャンセルは受け付けておりません。
・定期購読者で会員登録がお済みでない方はこちら
・本ページでのお支払いはクレジットカードのみとなります。コンビニ支払いをご希望の方はこちら
・適格請求書(領収書)の発行は、こちらから。記載のお宛名をご入力の上ご連絡ください。
弊社登録番号:T5-0110-0104-4278
・当日は会場内に撮影用のカメラが入ります。撮影した動画や写真は、「WWDJAPAN」Weeklyやウェブサイト、公式SNSなどで掲載する場合があります。ご了承いただける方のみお申し込みください。

 

講座終了後、アーカイブ受講の販売を予定しております。

 

問い合わせ先
INFASパブリケーションズ カスタマーサポート
お問い合わせフォームはこちら

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伊藤忠・繊維、25年は「子会社で稼ぐ」 傘下ブランドの出店とECも強化

伊藤忠商事の繊維カンパニーは、子会社の経営支援を強化する。同社は10月、約1826億円を投じたデサントへのTOB(株式公開買い付け)が成立し、安定的に基礎収益300億円を稼ぐ体制が整った。これまで傘下のブランドや子会社は本体からの出向者でハンズオン型の経営支援を行ってきたが、今後は外部人材の登用も積極的に行う。また、デサントを筆頭にエドウインや「コンバース」「アンダーアーマー」など主要子会社とブランドの直営店の出店とECも強化する。主要子会社の収益力高めることで「できるだけ早く事業収益で500億円を稼ぐよう引き上げる」(武内秀人・執行役員繊維カンパニープレジデント)考え。

繊維カンパニーの2025年3月期の純利益は、デサントの子会社化に伴う再評価益で730億円を見込むが、期初は330億円と発表しており、一過性の利益を計上しない基礎収益はその近辺になる。武内カンパニープレジデントは「スポーツアパレルはまだまだ伸ばせる余地が大きい。競合他社に負けない成長スピード実現のために100%子会社化する。現在の主力市場である日中韓だけでなく、米国、欧州も含めた全世界で拡大し、成長戦略を加速する」。9月に福岡・天神にゴルフウエアの複合ショップを出店するなどデサントは直営店の出店も拡大する。

直営店はデサントだけでなく、エドウインや「アンダーアーマー」を展開するドーム、数多くのブランドを取り扱うインポートブランドも同様だ。今年はマッシュホールディングスと組み、バッグの「ファブリカ ペレッテリエ ミラノ(FABBRICA PELLETTERIE MILANO、以下FPM)」、「レスポートサック」と立て続けに事業を展開しており、「今後はリテールに強いセレクト企業との提携を増やす」(武内カンパニープレジデント)という。

インポート及びライセンスブランドを数多く取り扱うブランドマーケティング部門も、「フィラ」「コンバース」「ポール・スミス」「オロビアンコ」などで出店を強化するほか、ECも強化する。「ポール・スミス」を展開する子会社のジョイックス・コーポレーションではECが伸びており、こうしたノウハウを他ブランドにも波及させる考え。

注目は、伊藤忠が創業母体となったマガシークを2月に傘下におさめたジェイドグループ(旧ロコンド)との関係だ。伊藤忠とジェイドは、「リーボック」の日本法人RBKJにともに出資する(ジェイド66%、伊藤忠34%)のパートナー関係にあり、また伊藤忠はマガシーク株を引き続き22%保有しており、浅からぬ関係にある。ジェイドは「リーボック」に関してECだけでなく店舗運営にも関与している。ジェイドは自社開発したECの基幹システムやリアル店舗/ECで共通で使えるPOSなども外部にほぼ無料に近い形で提供している。

伊藤忠は全社的に「直営店出店」と「EC」を掲げる中で、どこまで連携するのか。伊藤忠が主体的に展開するブランドの自社ECの多くは、マガシークに運営を委託していたが、武内カンパニープレジデントは「経営母体が変わり、そうした運営体制も変わっており、(委託の)切り替えなども含めて調整中だ」と語るにとどめている。

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伊藤忠・繊維、25年は「子会社で稼ぐ」 傘下ブランドの出店とECも強化

伊藤忠商事の繊維カンパニーは、子会社の経営支援を強化する。同社は10月、約1826億円を投じたデサントへのTOB(株式公開買い付け)が成立し、安定的に基礎収益300億円を稼ぐ体制が整った。これまで傘下のブランドや子会社は本体からの出向者でハンズオン型の経営支援を行ってきたが、今後は外部人材の登用も積極的に行う。また、デサントを筆頭にエドウインや「コンバース」「アンダーアーマー」など主要子会社とブランドの直営店の出店とECも強化する。主要子会社の収益力高めることで「できるだけ早く事業収益で500億円を稼ぐよう引き上げる」(武内秀人・執行役員繊維カンパニープレジデント)考え。

繊維カンパニーの2025年3月期の純利益は、デサントの子会社化に伴う再評価益で730億円を見込むが、期初は330億円と発表しており、一過性の利益を計上しない基礎収益はその近辺になる。武内カンパニープレジデントは「スポーツアパレルはまだまだ伸ばせる余地が大きい。競合他社に負けない成長スピード実現のために100%子会社化する。現在の主力市場である日中韓だけでなく、米国、欧州も含めた全世界で拡大し、成長戦略を加速する」。9月に福岡・天神にゴルフウエアの複合ショップを出店するなどデサントは直営店の出店も拡大する。

直営店はデサントだけでなく、エドウインや「アンダーアーマー」を展開するドーム、数多くのブランドを取り扱うインポートブランドも同様だ。今年はマッシュホールディングスと組み、バッグの「ファブリカ ペレッテリエ ミラノ(FABBRICA PELLETTERIE MILANO、以下FPM)」、「レスポートサック」と立て続けに事業を展開しており、「今後はリテールに強いセレクト企業との提携を増やす」(武内カンパニープレジデント)という。

インポート及びライセンスブランドを数多く取り扱うブランドマーケティング部門も、「フィラ」「コンバース」「ポール・スミス」「オロビアンコ」などで出店を強化するほか、ECも強化する。「ポール・スミス」を展開する子会社のジョイックス・コーポレーションではECが伸びており、こうしたノウハウを他ブランドにも波及させる考え。

注目は、伊藤忠が創業母体となったマガシークを2月に傘下におさめたジェイドグループ(旧ロコンド)との関係だ。伊藤忠とジェイドは、「リーボック」の日本法人RBKJにともに出資する(ジェイド66%、伊藤忠34%)のパートナー関係にあり、また伊藤忠はマガシーク株を引き続き22%保有しており、浅からぬ関係にある。ジェイドは「リーボック」に関してECだけでなく店舗運営にも関与している。ジェイドは自社開発したECの基幹システムやリアル店舗/ECで共通で使えるPOSなども外部にほぼ無料に近い形で提供している。

伊藤忠は全社的に「直営店出店」と「EC」を掲げる中で、どこまで連携するのか。伊藤忠が主体的に展開するブランドの自社ECの多くは、マガシークに運営を委託していたが、武内カンパニープレジデントは「経営母体が変わり、そうした運営体制も変わっており、(委託の)切り替えなども含めて調整中だ」と語るにとどめている。

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ジュンの新店舗「V.A.」 日商1000万円以上の滑り出し

ジュンが藤原ヒロシ氏をディレクターに迎えて東京・表参道に12月15日オープンした新店舗「V.A.(ヴイエー)」が好調だ。店舗が小ぶりなこともあってウェブによる事前予約制をとるが、初日の15日(13日の関係者内覧会を含む)に3000万円近くの売上高を記録し、その後も毎日1000万円以上の売上高を継続している。人気ブランドと協業したアパレル、バッグ、シューズがよく売れている。

「V.A.」は長年ジュンが運営し2022年3月に閉めたカフェ「モントーク」の建物をそのまま生かし、物販スペースと飲食スペースで構成する。4層に分かれた約220平方メートルのコンパクトな空間は、藤原ヒロシ氏のほか、カフェ監修として「モントーク」も手がけた山本宇一氏が再び参画し、ストアデザインは荒木信雄氏が担当した。

物販スペースは、ウェブの事前抽選の予約客を1時間単位の入れ替え制で集客する。一方、飲食スペースは、当日訪れても待てば入れるようにした。開店以降、コラボレーションした「エル・エル・ビーン(L.L.BEAN)」のトートバッグ、「コンバース(CONVERSE)」のスニーカーが特に人気を集めた。39万6000円の「オーデパールパリ(AU DEPART PARIS)」のトートバッグも高価にもかかわらず売れた。

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ジュンの新店舗「V.A.」 日商1000万円以上の滑り出し

ジュンが藤原ヒロシ氏をディレクターに迎えて東京・表参道に12月15日オープンした新店舗「V.A.(ヴイエー)」が好調だ。店舗が小ぶりなこともあってウェブによる事前予約制をとるが、初日の15日(13日の関係者内覧会を含む)に3000万円近くの売上高を記録し、その後も毎日1000万円以上の売上高を継続している。人気ブランドと協業したアパレル、バッグ、シューズがよく売れている。

「V.A.」は長年ジュンが運営し2022年3月に閉めたカフェ「モントーク」の建物をそのまま生かし、物販スペースと飲食スペースで構成する。4層に分かれた約220平方メートルのコンパクトな空間は、藤原ヒロシ氏のほか、カフェ監修として「モントーク」も手がけた山本宇一氏が再び参画し、ストアデザインは荒木信雄氏が担当した。

物販スペースは、ウェブの事前抽選の予約客を1時間単位の入れ替え制で集客する。一方、飲食スペースは、当日訪れても待てば入れるようにした。開店以降、コラボレーションした「エル・エル・ビーン(L.L.BEAN)」のトートバッグ、「コンバース(CONVERSE)」のスニーカーが特に人気を集めた。39万6000円の「オーデパールパリ(AU DEPART PARIS)」のトートバッグも高価にもかかわらず売れた。

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スペイン発ファストファッション「マンゴ」の創業者が死去 享年71

スペイン発のファストファッションブランド「マンゴ(MANGO)」は、創業者のアイザック・アンディク(Isak Andic)非常勤会長が12月14日に死去したことを明らかにした。71歳だった。海外メディアの報道によれば、バルセロナ近郊のモンセラート山で家族とハイキング中に転落死したという。

同氏は1953年、トルコ・インスタブール生まれ。69年に家族とともにスペインに移住し、84年にバルセロナで「マンゴ」を創業した。92年にポルトガルに進出し、95年にはシンガポールと台湾に出店。97年には、海外市場がスペイン国内の売り上げを上回った。その後も海外事業を拡大しつつ、2000年に自社ECを立ち上げた。08年にはメンズを、13年にはキッズウエアをスタート。現在は世界120の市場で約2800店を運営し、23年の売上高は前年比15%増の31億ユーロ(約4991億円)だった。なお、米「フォーブス(FORBES)」誌によれば、同氏の資産はおよそ45億ドル(約6885億円)に上るという。

日本での取り扱いは?

日本では、ECサイト「ロコンド」を運営するロコンド(現ジェイドグループ)が、16年に日本国内における独占的パートナーシップ契約を締結した。「マンゴ」の自社ECサイトの開発・運営だけでなく、在庫管理、実店舗のPOSシステム、物流などを一括して担っている。

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スペイン発ファストファッション「マンゴ」の創業者が死去 享年71

スペイン発のファストファッションブランド「マンゴ(MANGO)」は、創業者のアイザック・アンディク(Isak Andic)非常勤会長が12月14日に死去したことを明らかにした。71歳だった。海外メディアの報道によれば、バルセロナ近郊のモンセラート山で家族とハイキング中に転落死したという。

同氏は1953年、トルコ・インスタブール生まれ。69年に家族とともにスペインに移住し、84年にバルセロナで「マンゴ」を創業した。92年にポルトガルに進出し、95年にはシンガポールと台湾に出店。97年には、海外市場がスペイン国内の売り上げを上回った。その後も海外事業を拡大しつつ、2000年に自社ECを立ち上げた。08年にはメンズを、13年にはキッズウエアをスタート。現在は世界120の市場で約2800店を運営し、23年の売上高は前年比15%増の31億ユーロ(約4991億円)だった。なお、米「フォーブス(FORBES)」誌によれば、同氏の資産はおよそ45億ドル(約6885億円)に上るという。

日本での取り扱いは?

日本では、ECサイト「ロコンド」を運営するロコンド(現ジェイドグループ)が、16年に日本国内における独占的パートナーシップ契約を締結した。「マンゴ」の自社ECサイトの開発・運営だけでなく、在庫管理、実店舗のPOSシステム、物流などを一括して担っている。

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日本人がなぜか知らない老舗ランニングシューズ「ブルックス」 米国のラン専門店でシェア1位

2024年春からスポーツやアウトドア分野を取材するようになりましたが、その中で一つ疑問に思ってきたことがあります。それは米シアトル発の老舗(なんと1914年創業)のランニングシューズブランド「ブルックス(BROOKS)」について。日本人でこのブランドを知っている人は結構なランニング通だと思います。その証拠に、「ブルックス」と言うと、少なくない頻度で「ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」と勘違いされます。しかしこのブランド、実は米国のランニング専門店への卸販売額では、並み居る競合を抑えて1位なんです。例えばアシックスの会見では、経営陣から「米国の卸シェアで『ブルックス』を追い越す!」的なコメントもよく出ます。

基本的に米国で流行っているモノはなんでも好きな日本人なのに、「ブルックス」が日本でそれほど浸透していないのはなぜなのか。実に興味深い。というわけで先日、「ブルックス」の日本を含むアジア太平洋&南米のディレクターであるジャスティン・デンプシー・チャンさんが、25年秋冬の展示会に合わせて来日していたので、率直に聞いてみました。「なぜ米国では非常に成功しているのに、日本では知名度が低いんですか?」。

ジャスティンさんいわく、その理由は2つ。「『ブルックス』はこれまで、速さにフォーカスしてこなかった。日本は一般ランナーであってもフルマラソンで3時間切りを目指すといったように、シリアスに速さを追求しているケースが多い。われわれはスピードシューズを歴史的に開発してこなかったし、販促においても“速く走れるシューズ”といった打ち出しをしてこなかった」というのが理由の1つ目です。

確かに日本では、一般ランナーも箱根駅伝の選手が履くようなスピードシューズを欲しがります。だから、各社が箱根駅伝をマーケティングの場として非常に重視し、一般メディアも呼んで箱根用シューズのお披露目会見を行っています。一方で米国は、一般ランナーはタイムや距離に関係なく走ること自体を楽しんでいて、それがカルチャーとして生活に根付いている。スポーツ担当になって以降、そんな日米比較を何度か耳にしました。

「日本では一般ランナーも
速さを追求する」

振り返れば23年3月に、東京マラソンの視察に訪れていた「ブルックス」のR&D担当者に会った際も、「東京マラソンでは、一般ランナーもスピード志向の厚底カーボンシューズを履いていて驚いた」と話していたのが印象的です。「ブルックス」は米国の一般ランナーに向けて安全に楽しく走れるシューズを開発してきた結果、スピード志向の日本市場とやや合っていなかったということですね。

2つ目の理由としてジャスティンさんがあげていたのが、「日本はスニーカーを、ライフスタイルやファッションの文脈で捉える傾向も強い」という点。安全に走れるシューズを無骨に追求してきた結果、ファッションとして履ける街履きスニーカー開発が「ブルックス」は遅れていました。競合のアシックスを例にとれば、同社も数年前までは無骨にパフォーマンス用途のシューズを追求する企業のイメージが強かったですが、今やファッション文脈でも支持されるように様変わりしています。

以上がジャスティンさんが語った日本市場での課題2つですが、実はどちらも動きがあるんです。1つ目の課題については、「ブルックス」はスピード志向のシューズの開発や速さにフォーカスしたマーケティングを既に始めています。“ブルーライン”と呼ばれるチームがアスリートの声を生かした製品開発を担い、その結果24年の箱根駅伝では、なんと全230人の出場選手の中で1人、「ブルックス」着用者が出ました。25年の箱根でも着用者が出るかどうかは選手の選択によるので現段階でなんとも言えませんが、スピードシューズの最新モデル“ハイペリオン エリート 4 PB”(3万5200円)は、箱根の復路の翌日、25年1月4日に国内発売予定です。

「サタデーズNYC」コラボは
米国で「大きな反響」

そして2つ目の「街履きとしてのファッションスニーカー」ですが、こちらは11月に、「サタデーズ ニューヨークシティ(SATURDAYS NYC)」とのコラボシューズ(2万4200円)を発売済み。ファッションスニーカーの文脈において、コラボの重要性は言わずもがなですね。「ブルックス」のアイコンのランニングシューズ“ゴースト”をベースにしたコラボスニーカーは、インラインではなかなか見ない落ち着いた色合いのニットアッパーがおしゃれな雰囲気。「サタデーズ ニューヨークシティ」は国内ではジュンが事業を手掛けていますが、元々はニューヨークのセレクトショップであり、オーストラリアにも店舗があります。米豪日で発売したこのコラボモデル、特に本国のニューヨークでは「非常に反響が大きくて、すぐに売り切れていた」と、ジュンのブランド担当者は話していました。

ファッションスニーカーとしてはコラボに加え、25年には過去の自社のアーカイブモデルも復刻販売します。世界的なトレンドとなっているレトロランニングテーストに合致するシューズを打ち出していくそうです。

「ブルックス」は、伊藤忠商事が19年に日本市場での独占輸入販売権を取得し、20年春夏から子ども用スニーカー「瞬足」で知られるアキレスを通じて国内で販売しています。伊藤忠も、「米国でこれだけ知名度があるブランドなんだから、日本でのポテンシャルも高い」と判断して契約に至っているはず。17年のナイキ(NIKE)の厚底革命以降の各社のイノベーション合戦や、グローバルでのランナー人口増加で市場全体として活気づいているランニングシューズ。「ブルックス」も、国内でここからさらに認知を高めていきそうです。

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日本人がなぜか知らない老舗ランニングシューズ「ブルックス」 米国のラン専門店でシェア1位

2024年春からスポーツやアウトドア分野を取材するようになりましたが、その中で一つ疑問に思ってきたことがあります。それは米シアトル発の老舗(なんと1914年創業)のランニングシューズブランド「ブルックス(BROOKS)」について。日本人でこのブランドを知っている人は結構なランニング通だと思います。その証拠に、「ブルックス」と言うと、少なくない頻度で「ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」と勘違いされます。しかしこのブランド、実は米国のランニング専門店への卸販売額では、並み居る競合を抑えて1位なんです。例えばアシックスの会見では、経営陣から「米国の卸シェアで『ブルックス』を追い越す!」的なコメントもよく出ます。

基本的に米国で流行っているモノはなんでも好きな日本人なのに、「ブルックス」が日本でそれほど浸透していないのはなぜなのか。実に興味深い。というわけで先日、「ブルックス」の日本を含むアジア太平洋&南米のディレクターであるジャスティン・デンプシー・チャンさんが、25年秋冬の展示会に合わせて来日していたので、率直に聞いてみました。「なぜ米国では非常に成功しているのに、日本では知名度が低いんですか?」。

ジャスティンさんいわく、その理由は2つ。「『ブルックス』はこれまで、速さにフォーカスしてこなかった。日本は一般ランナーであってもフルマラソンで3時間切りを目指すといったように、シリアスに速さを追求しているケースが多い。われわれはスピードシューズを歴史的に開発してこなかったし、販促においても“速く走れるシューズ”といった打ち出しをしてこなかった」というのが理由の1つ目です。

確かに日本では、一般ランナーも箱根駅伝の選手が履くようなスピードシューズを欲しがります。だから、各社が箱根駅伝をマーケティングの場として非常に重視し、一般メディアも呼んで箱根用シューズのお披露目会見を行っています。一方で米国は、一般ランナーはタイムや距離に関係なく走ること自体を楽しんでいて、それがカルチャーとして生活に根付いている。スポーツ担当になって以降、そんな日米比較を何度か耳にしました。

「日本では一般ランナーも
速さを追求する」

振り返れば23年3月に、東京マラソンの視察に訪れていた「ブルックス」のR&D担当者に会った際も、「東京マラソンでは、一般ランナーもスピード志向の厚底カーボンシューズを履いていて驚いた」と話していたのが印象的です。「ブルックス」は米国の一般ランナーに向けて安全に楽しく走れるシューズを開発してきた結果、スピード志向の日本市場とやや合っていなかったということですね。

2つ目の理由としてジャスティンさんがあげていたのが、「日本はスニーカーを、ライフスタイルやファッションの文脈で捉える傾向も強い」という点。安全に走れるシューズを無骨に追求してきた結果、ファッションとして履ける街履きスニーカー開発が「ブルックス」は遅れていました。競合のアシックスを例にとれば、同社も数年前までは無骨にパフォーマンス用途のシューズを追求する企業のイメージが強かったですが、今やファッション文脈でも支持されるように様変わりしています。

以上がジャスティンさんが語った日本市場での課題2つですが、実はどちらも動きがあるんです。1つ目の課題については、「ブルックス」はスピード志向のシューズの開発や速さにフォーカスしたマーケティングを既に始めています。“ブルーライン”と呼ばれるチームがアスリートの声を生かした製品開発を担い、その結果24年の箱根駅伝では、なんと全230人の出場選手の中で1人、「ブルックス」着用者が出ました。25年の箱根でも着用者が出るかどうかは選手の選択によるので現段階でなんとも言えませんが、スピードシューズの最新モデル“ハイペリオン エリート 4 PB”(3万5200円)は、箱根の復路の翌日、25年1月4日に国内発売予定です。

「サタデーズNYC」コラボは
米国で「大きな反響」

そして2つ目の「街履きとしてのファッションスニーカー」ですが、こちらは11月に、「サタデーズ ニューヨークシティ(SATURDAYS NYC)」とのコラボシューズ(2万4200円)を発売済み。ファッションスニーカーの文脈において、コラボの重要性は言わずもがなですね。「ブルックス」のアイコンのランニングシューズ“ゴースト”をベースにしたコラボスニーカーは、インラインではなかなか見ない落ち着いた色合いのニットアッパーがおしゃれな雰囲気。「サタデーズ ニューヨークシティ」は国内ではジュンが事業を手掛けていますが、元々はニューヨークのセレクトショップであり、オーストラリアにも店舗があります。米豪日で発売したこのコラボモデル、特に本国のニューヨークでは「非常に反響が大きくて、すぐに売り切れていた」と、ジュンのブランド担当者は話していました。

ファッションスニーカーとしてはコラボに加え、25年には過去の自社のアーカイブモデルも復刻販売します。世界的なトレンドとなっているレトロランニングテーストに合致するシューズを打ち出していくそうです。

「ブルックス」は、伊藤忠商事が19年に日本市場での独占輸入販売権を取得し、20年春夏から子ども用スニーカー「瞬足」で知られるアキレスを通じて国内で販売しています。伊藤忠も、「米国でこれだけ知名度があるブランドなんだから、日本でのポテンシャルも高い」と判断して契約に至っているはず。17年のナイキ(NIKE)の厚底革命以降の各社のイノベーション合戦や、グローバルでのランナー人口増加で市場全体として活気づいているランニングシューズ。「ブルックス」も、国内でここからさらに認知を高めていきそうです。

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誰もが映像監督になれる! 「TOYOTA DIRECTORSCUT」第3弾が作品募集中 テーマは「SUPER FORMULA」

TOYOTA,トヨタ自動車,トヨタ ディレクターズカット,全日本スーパーフォーミュラ選手権,SUPER FORMULA DIRECTORSCUT
TOYOTA,トヨタ自動車,トヨタ ディレクターズカット,全日本スーパーフォーミュラ選手権,SUPER FORMULA DIRECTORSCUT
トヨタ自動車(以下:トヨタ)は、クリエイターとの共創プロジェクト「TOYOTA DIRECTORSCUT(トヨタ ディレクターズカット)」の第3弾である「SUPER FORMULA DIRECTORSCUT(スーパーフォーミュラ ディレクターズカット」をスタートした。同プロジェクトは、創造的な挑戦を続けるあらゆるクリエイターの活躍の場を作ることを目的として、過去には「ヤリス」シリーズと「アスリート(GTTA)」をテーマに、クリエイターの自由な創作を世界中に発信してきた。

第3弾となる今回は、国内最高峰で最速のフォーミュラレースシリーズ「全日本スーパーフォーミュラ選手権(SUPER FORMULA)」をテーマに、新撮300カット以上の映像素材、アーティスト14組による合計20曲のオリジナル楽曲を素材として提供。クリエイターは、それらを自由に使って映像作品を作ることができる。審査員によって選定された優秀作品は、2025年3⽉上旬に行われる開幕戦のレース告知として、多様なメディアで大々的に取り上げられるなど、多くの人の目に触れる機会を得る。クリエイターとして、新たな可能性が無限に広がるだろう。

国内最高峰で最高の
フォーミュラレース

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TOYOTA,トヨタ自動車,トヨタ ディレクターズカット,全日本スーパーフォーミュラ選手権,SUPER FORMULA DIRECTORSCUT

「SUPER FORMULA」は、日本で開催されるトップクラスのフォーミュラカーレースシリーズだ。全チームが基本的に同じ車両を使用する「ワンメイク方式」が採用される。これは参加者間の公平性を保ち、レースの勝敗をドライバーの技量やチームの戦略に依存させるため。世界中から優れたドライバーが参戦し、富士スピードウェイや鈴鹿サーキットといった日本屈指の有名サーキットで開催。高い技術レベルと戦略性が必要とされ、世界中のモータースポーツファンに支持されている。また近年、環境対応技術を積極的に導入しており、カーボンニュートラル燃料の採用や車両開発でのエコロジー技術のテストを進めている。「SUPER FORMULA」の車両は、モータースポーツの未来を切り開く技術の集大成であり、見る者を魅了するスピードと技術の結晶と言えるのだ。

本プロジェクトに賛同し、レーシングチーム「KONDO RACING TEAM」の監督であり、日本レースプロモーション(JRP)の会長でもある歌手の近藤真彦、音楽プロデューサーの中臺孝樹、動画ディレクターの田中裕介が審査員として参加。さらに、2024年「SUPER FORMULA」のチャンピオンドライバー、坪井翔も加わる。そのほかの審査員は後日発表予定。
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TOYOTA,トヨタ自動車,トヨタ ディレクターズカット,全日本スーパーフォーミュラ選手権,SUPER FORMULA DIRECTORSCUT
オリジナル楽曲制作に参加した14組のアーティスト、AIJ、Aya Taniguchi、Double Clapperz、GRP、Kaito Mori、KAY、Masayoshi Iimori、松隈ケンタ feat 蝶(GBB)、MAYKIDZ、中村佳紀、RINZO、SARUKANI、TOMOKO IDA、Zuma(順不同)。「SUPER FORMULA」からインスピレーションを得た全20曲を素材として提供する。

若き映像クリエイター
RYO SUGIMOTOが映像を製作

クリエイティブ制作を行うアンノウンノウンズのRYO SUGIMOTOクリエイティブ・ディレクターが「SUPER FORMULA DIRECTORSCUT」の動画を手掛けた。デジタルネイティブの知見を生かした映像が、ファッション業界からも高い評価を得る1998年生まれの25歳が設けたテーマは、“「時間はコントロールできる。それを信じた者だけが勝つ」―意思と絆が新しい未来を創る―”。プロジェクトに対して、「クリエイターではなくても、誰でも簡単に映像を作れる気軽さがいい」と語る。だが、そのコンセプトには、やはりプロフェッショナルさを感じさせる。RYO SUGIMOTOに、製作した動画について聞いた。

競技と人生に通じる
“時間のコントロール”

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──映像のテーマについて、詳しく教えてください。

RYO SUGIMOTO(以下、SUGIMOTO):「SUPER FORMULA」という競技のルールでは、タイムや時間が重要なポイントになりますよね。それをチームメイトとコントロールするという考え方が、競技だけでなく、人生にも通じると考えました。僕らも限られた24時間というルールの中で生きていますから。最近、特にこのテーマを意識するようになりましたし、このプロジェクトを通じてその意識がさらに強まりました。

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──特にこだわった点はなんですか?

SUGIMOTO:まずは、素材比率として表方のドライバーに偏ることのない構成を意識しました。全ての人間の力が組み合わさり、この車体を動かしているということが視覚的に伝達できるようにこだわりました。また、現実世界のフォーミュラは“スピード/時間”のコントロールが勝敗を分ける競技ですが、デジタルならではの表現として、“スピード/時間”のコントロールにより視覚的エンターテイメント性を生み出すということを意識しています。

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資本主義から少し外れた
「平等な競争」

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──「SUPER FORMULA」について、どのような魅力や面白さを感じましたか?

SUGIMOTO:「SUPER FORMULA」の特徴は、機械的な性能や拡張性を度外視している点だと思います。例えば、機械的な機能を拡張すると資本力の戦いになりがちですが、この競技はそうではなく、同じルールの中で競い合う点が非常に面白い。均一な車両性能を採用している背景には、資本力における優位性を抑え、チームやドライバーの実力、戦略、団結力に焦点を当てているからだと思います。資本主義の中で見落としがちな「根本の人間力」というテーマを実現しようとしているところにも共感できます。資本主義の世界の中で、僕らは「根本の人間力」と「オーガニックでオリジナリティ溢れるアイデア」を武器に戦って行かないくてはいけません。SNSという社会がそれを多少自由に解放してくれたことで、その気付きの加速は感じますが、競技のルールに反映して、その概念を伝えていく活動団体はとても大切だと感じました。同時に、この「TOYOTA DIRECTORSCUT」プロジェクトは、資本主義から少し外れた「平等な競争」が共感を得ているのではないか、と個人的には感じています。誰でも参加できるこのプロジェクトの“平等なルール”がもっと広まれば、多くの人に受け入れられるのではないでしょうか。

──今後、「TOYOTA DIRECTORSCUT」で手掛けてみたいテーマを教えてください。

SUGIMOTO:電動車の“開発”や“お客さまの元に届くまで”というテーマには、とても興味があります。これは、未来を創る一つの要素であり、現在世界で開発競争が激化している分野と認識しています。お客さまに届くまでの間に開発研究、製造ライン、運輸など予想すらできない多くの人々が関わっています。将来的には電動車が主流になっていると思います。その未来を作る要素として、電動車について深く考え、作品を通じてその未来を表現することは、とても意義深いと感じます。そのビハインドをもっと届けて、普段、僕らが使用している自動車をただの自動車と思わせないような感情を与えることができたらうれしいです。

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RYO SUGIMOTO/クリエイティブディレクター
PROFILE:1998年神奈川生まれ。中学、高校時代をバドミントンに捧げる。高校最後の大会は神奈川ベスト8で惜しくも全国への切符を逃す。大学で英語を学び、オーストラリアをはじめ海外を放浪する。海外滞在中に写真や映像に出会い、帰国後、企業のスチールや映像制作を請け負う。大学卒業後、2022年にアンノウンノウンズ設立。現在、同社CEO兼クリエイティブ・ディレクター

募集要項は以下の通り。応募期間は11月8日~25年1月10日。映像制作のルールは、提供するいずれかの映像素材を入れること。車両映像は、提供されたもののみの使用に限り、独自で撮影することは禁止。提供する楽曲の中から映像楽曲を選定すること。そして、提供する「SUPER FORMULA DIRECTORSCUT」のロゴを映像のどこかに入れること。

25年1月中の審査を予定し、最優秀賞1人、優秀賞1人を2月中旬に発表(その他、審査員賞などの特別賞を設ける予定)する。優秀作品には、各審査員がコメントをフィードバックし、3⽉上旬の「SUPER FORMULA」開幕戦におけるレース告知として各メディアで使用する。

「TOYOTA DIRECTORSCUT」は、トヨタとクリエイターがオープンにつながることのできる共創プラットフォームだ。第1弾の「YARIS DIRECTORSCUT」では、ヤリスシリーズ3車種の映像素材279カットとサカナクションの映像素材全40カットに加え、楽曲「エウリュノメー」のトラックデータ全21素材を公開し、クリエイターがアレンジ可能な素材として提供。3223人のクリエイターと共創した総計301の作品をプロジェクトサイトや公式SNS、CMなどで公開した。

アスリート×クリエイターの共創をテーマにした第2弾「GTTA DIRECTORSCUT」では、国籍、競技、パラスポーツと健常者スポーツの垣根を越えて、はるかな高みを目指すアスリートが集う「グローバルチームトヨタアスリート(GTTA)」と映像を共創した。

INTERVIEW & TEXT : YUKI KOIKE
問い合わせ先
SUPER FORMULA DIRECTORSCUT事務局

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「ビルボードジャパン」2024年の年間チャートを発表 Creepy NutsやSnow Man、Mrs. GREEN APPLE、Number_iなどが受賞

「ビルボードジャパン」が2024年の年間チャートの受賞楽曲・アーティストを発表した。ビルボードジャパンチャートは、アメリカのビルボードのメソッドに則り、ラジオオンエア回数、CDセールス、ストリーミング回数、ダウンロード数、動画再生、カラオケなど6種のデータを集計・合算した総合音楽チャート。集計期間は2023年11月27日~24年11月24日。Global Japan Songs Excl. Japanほか国別チャートは23年11月24日~24年11月21日。

総合ソング・チャート

全国推定売上枚数、ダウンロード回数、ラジオ放送回数、ストリーミング数、YouTubeの動画再生回数、カラオケ歌唱回数を元にした独自ポイントを合算した、米国でもBillboard音楽チャートの中心となるチャート「JAPAN Hot 100」では、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」 が総合首位を獲得。1月7日に配信スタートした同曲は、アニメ「マッシュル-MASHLE-神覚者候補選抜試験編」のオープニングテーマで、集計期間内に5億4731万791回ストリーミング再生を記録。2位はシンガーソングライター、tuki.の「晩餐歌」、3位はドラマ「Eye Love You」の主題歌のOmoinotake「幾億光年」がチャートインした。

1位を獲得したCreepy NutsのR-指定は、「俺らも音楽で生活できるようになった!」みたいな気持ちがまだあるくらいなんで、世界で聴いてもらえる曲を作る予定ではまったくなかった。ほんまに、自分たちの“吐き出したいもの”とか、自分らの“溜め込んだ表現の解放”なんです」とコメント。一方のDJ松永は、「また音楽に特化したような生活の仕方に戻った今となっては、前くらいの“無責任さ”みたいなのが戻ってきてるなっていう感じはありますね。よくないものはよくないまま表現して。その勇気も、いま一度持てた感じがする」と話す。

1:「Bling-Bang-Bang-Born」Creepy Nuts
2:「晩餐歌」tuki.
3:「幾億光年」Omoinotake
4:「アイドル」YOASOBI
5:「ライラック」Mrs. GREEN APPLE
6:「ケセラセラ」Mrs. GREEN APPLE
7:「唱」Ado
8:「怪獣の花唄」Vaundy
9:「青と夏」Mrs. GREEN APPLE
10:「ダンスホール」Mrs. GREEN APPLE

総合アルバム・チャート

全国推定売上枚数とダウンロード数のデータを合算した総合アルバム・チャート。総合アルバム・チャート「Hot Albums」では、Snow Manの4thアルバム「RAYS」が首位を獲得。10月30日発売の同作は、集計期間内で累計118万3100枚を売り上げて、CDセールス1位も記録。2位に米津玄師「LOST CORNER」、3位にSEVENTEEN「17 IS RIGHT HERE」が続く。

1位を獲得したSnow Manのラウールは、「この度はSnow Manの4th Album『RAYS』がBillboard JAPAN Hot Albums of the Year 2024を受賞させていただき、大変嬉しく思います。自分達の作品を受け取っていただき、音楽に触れてくださったみなさま、また制作に関わっていただいた心強いスタッフのみなさまに本当に感謝しています。4th Album『RAYS』はデビューしてから4年間に磨いた力、頂いた応援を音楽に昇華させた、いわばデビュー後のSnow Man第1章の集大成とも捉えられる、かなり思い入れの強い作品です。挑戦的でありながらも常にファンのみなさんの存在を近くに想像しながら制作をしました。そんな大切なファンのみなさんに聴いていただき、また嬉しい感想も沢山いただいて胸がいっぱいです。2025年はグループとしてデビューから5周年を迎え、デビュー日の1月22日はベストアルバムを発売することから始まります。また、ファンのみなさんとの時間を増やせるよう絶賛計画中なので是非楽しみに待っていていただけたらと思います!」とコメントする。

1:「RAYS」Snow Man
2:「LOST CORNER」米津玄師
3:「17 IS RIGHT HERE」SEVENTEEN
4:「THE VIBES」SixTONES
5:「SPILL THE FEELS」SEVENTEEN
6:「No.I」Number_i
7:「GIANT」Stray Kids
8:「No.O -ring-」Number_i
9:「SCIENCE FICTION」宇多田ヒカル
10:「+Alpha」なにわ男子

アーティスト・チャート「Artist 100」

総合ソングと総合アルバムのポイントを合算したアーティスト・チャート「Artist 100」では、Mrs. GREEN APPLEが1位に。「ライラック」「ケセラセラ」など、計17曲が総合ソングトップ100以内にランクイン。2位には「水平線」「高嶺の花子さん」など計10曲が100位以内に入り、上半期より1ランクアップのback number、3位には今年4月に開催されたアメリカ最大級の音楽フェスティバル「コーチェラ・バレー・ミュージック&アート・フェスティバル2024」の出演が話題を呼んだ YOASOBIが入った。

1位の、Mrs. GREEN APPLEは、「とてもありがたいです。驚いて少し涙腺にきました」(藤澤涼架)、「今年はたくさん曲をリリースしたので、それらがたくさんの方にきちんと届いているのが純粋にありがたいです」(若井滉斗)、「僕は昨年、作詞家チャートと作曲家チャートで年間1位をいただいたからこそ、この1年間はとてもいい意味で自分が作るもの、自分たちが面白いと思えるものを信じて活動できました。その楽しかった年にこういった評価をいただけたのがうれしいです」(大森元貴)と語る。

1:Mrs. GREEN APPLE
2:back number
3:YOASOBI
4:Vaundy
5:Official髭男dism
6:Ado
7:Creepy Nuts
8:米津玄師
9:King Gnu
10:あいみょん

ダウンロード・アルバム・チャート

ダウンロード数を集計したアルバムチャート。1位のNumber_iは、「この度、僕たちのミニアルバム『No.O -ring-』が、ビルボードジャパンさんの2024年年間ダウンロード・アルバムチャートで首位を獲得しました。ありがとうございます!本当にたくさんの人に聴いていただいて、とても嬉しいなと思っております。これからも、より多くの方々にNumber_iの音楽を届けられるように頑張りますので、ぜひ応援よろしくお願いします!」とコメントする。

1:「No.O -ring-」Number_i
2:「SCIENCE FICTION」宇多田ヒカル
3:「LOST CORNER」米津玄師
4:「No.I」Number_i
5:「THE GREATEST UNKNOWN」King Gnu
6:「Adoの歌ってみたアルバム」Ado
7:「THE BOOK 3」YOASOBI
8:「Road to A」Travis Japan
9:「残夢」Ado
10:「ANTENNA」Mrs. GREEN APPLE

ダウンロード・ソング・チャート

ダウンロード数を集計した楽曲チャート。

1:「Bling-Bang-Bang-Born」Creepy Nuts
2:「晩餐歌」tuki.
3:「唱」Ado
4:「さよーならまたいつか!」米津玄師
5:「ライラック」Mrs. GREEN APPLE
6:「幾億光年」Omoinotake
7:「GOAT」Number_i
8:「晴る」ヨルシカ
9:「夢幻」MY FIRST STORY × HYDE
10:「花になって」緑黄色社会

ストリーミング・ソング・チャート

1:「Bling-Bang-Bang-Born」Creepy Nuts
2:「晩餐歌」tuki.
3:「幾億光年」Omoinotake
4:「ライラック」Mrs. GREEN APPLE
5:「アイドル」YOASOBI
6:「ケセラセラ」Mrs. GREEN APPLE
7:「唱」Ado
8:「怪獣の花唄」Vaundy
9:「青と夏」Mrs. GREEN APPLE
10:「Soranji」Mrs. GREEN APPLE

総合アニメソング・チャート

「Hot 100」からTアニメ/映画のタイアップ楽曲と、アニメ声優による楽曲を抽出したアニメソング・チャート。

1:「Bling-Bang-Bang-Born」Creepy Nuts
2:「アイドル」YOASOBI
3:「ライラック」Mrs. GREEN APPLE
4:「SPECIALZ」King Gnu
5:「タイムパラドックス」Vaundy
6:「勇者」YOASOBI
7:「晴る」ヨルシカ
8:「花になって」緑黄色社会
9:「青のすみか」キタニタツヤ
10:「最高到達点」SEKAI NO OWARI

ヒートシーカーズ・ソング・チャート

「Hot 100」を構成するデータのうち、ラジオ、ダウンロード、ストリーミング、週間動画再生数を集計し、その中から急上昇中のアーティストを抽出したチャート

1:「はいよろこんで」こっちのけんと
2:「鬼ノ宴」友成空
3:「ラブソング」マルシィ
4:「初恋キラー」乃紫
5:「わたしの一番かわいいところ」FRUITS ZIPPER
6:「Bunny Girl」AKASAKI
7:「SHEESH」BABYMONSTER
8:「You」808
9:「junkie」swetty
10:「オーバーライド」吉田夜世

ユーザー・ジェネレイテッド・ソング・チャート

YouTubeの再生数のうち、UGC(ユーザー生成コンテンツ)のみを集計したチャート。

1:「Bling-Bang-Bang-Born」Creepy Nuts
2:「アイドル」YOASOBI
3:「人マニア」原口沙輔
4:「唱」Ado
5:「酔いどれ知らず」Kanaria
6:「神っぽいな」ピノキオピー
7:「KING」Kanaria
8:「オーバーライド」吉田夜世
9:「Overdose」なとり
10:「晩餐歌」tuki.

シングル・セールス・チャート

初回盤や限定盤、通常盤などの商品分類上別商品となる売上推定枚数をタイトルごとに合算したシングル・セールス・チャート。

1:「LOVE TRIGGER / We'll go together」Snow Man
2:「BREAKOUT / 君は僕のもの」Snow Man
3:「THE FRAME」INI
4:「《A》BEGINNING」Aぇ! group
5:「THE VIEW」INI
6:「チャンスは平等」乃木坂46
7:「Monopoly」乃木坂46
8:「自業自得」櫻坂46
9:「HITCHHIKER」JO1
10:「WHERE DO WE GO」JO1

アルバム・セールス・チャート

初回盤や限定盤、通常盤などの商品分類上別商品となる売上推定枚数をタイトルごとに合算したアルバム・セールス・チャート。

1:「RAYS」Snow Man
2:「17 IS RIGHT HERE」SEVENTEEN
3:「THE VIBES」SixTONES
4:「SPILL THE FEELS」SEVENTEEN
5:「LOST CORNER」米津玄師
6:「GIANT」Stray Kids
7:「+Alpha」なにわ男子
8:「No.I」Number_i
9:「SEVENTEENTH HEAVEN」SEVENTEEN
10:「ROMANCE : UNTOLD」ENHYPEN

TikTok チャート

TikTok上における楽曲人気を測るチャート。

1:「Bling-Bang-Bang-Born」Creepy Nuts
2:「Athletic Meet "Heaven and Hell"」Shinonome
3:「Giri Giri」KOMOREBI
4:「Magnetic」ILLIT
5:「おともだち」edhiii boi
6:「全方向美少女」乃紫
7:「Piano music and BGM that match the emotional scene」syummacha
8:「かわいいだけじゃだめですか?」CUTIE STREET
9:「はいよろこんで」こっちのけんと
10:「愛とU (Sped Up Ver.)」Mega Shinnosuke

ニコニコ VOCALOID SONGS

動画配信サービス「ニコニコ動画」上におけるVOCALOID曲の人気を測るチャート。

1:「オーバーライド」吉田夜世
2:「メズマライザー」サツキ
3:「混沌ブギ」jon-YAKITORY
4:「人マニア」原口沙輔
5:「イガク」原口沙輔
6:「ラビットホール」DECO*27
7:「テレキャスタービーボーイ(long ver.)」すりぃ
8:「好きな惣菜発表ドラゴン」ンバヂ (nbaji)
9:「きゅうくらりん」いよわ
10:「春嵐」john

Global Japan Songs Excl. Japan

日本の楽曲を対象に、Luminate Data LLCが集計した、日本を除く(excluding)世界200以上の国と地域の主要デジタル・プラットフォームの定額課金型(サブスクリプション)と広告支援型の公式ストリーミング、ダウンロードにそれぞれ比重をつけて算出し、ランク付けしたチャート。

1:「Bling-Bang-Bang-Born」Creepy Nuts
2:「アイドル」YOASOBI
3:「SPECIALZ」King Gnu
4:「NIGHT DANCER」imase
5:「死ぬのがいいわ」藤井風
6:「KICK BACK」米津玄師
7:「青のすみか」キタニタツヤ
8:「夜に駆ける」YOASOBI
9:「TOKYO DRIFT(FAST & FURIOUS)」TERIYAKI BOYZ
10:「真夜中のドア~stay with me」松原みき

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ミズノの隠れたヒット商品ドライビングシューズ スポーツギアのノウハウ生かし開発

ミズノは12月20日、ソールに自動車の運転操作をサポートする機能を搭載したレザーシューズ“ベアクラッチ エル(BARECLUTCH L)”を、公式ECと一部の「ミズノ(MIZUNO)」取扱店で発売する。野球やサッカー、ランニングなどのイメージが強いミズノだが、2022年に初めてドライビングシューズを発売。その結果、初年度年間販売目標数を4カ月で達成し、隠れたヒット商品となっている。公式ECでの販売価格は1万9800円。

一般的なドライビングシューズのソールは薄くて硬いケースが多く、「歩行などの日常的な使用が難しいという課題があった」と広報担当者。そこで、自動車運転時にペダルの感覚が分かりやすく、同時に街を軽く歩く際などにも適したソールを追求。ヒントとなったのは、アスリートが筋トレなどのトレーニング時に履く、繊細な足裏感覚を伝えるミズノのトレーニングシューズだ。

ミッドソールの凹凸がカギ

トレーニングシューズと同様に、足裏と接するミッドソールの上面にアウトソールの凹凸と連動する凹凸構造を配している。それにより、アウトソールで得た感触をより正確に足裏に伝える。今モデルでは初めてアッパーにレザーを使用し、より上質なイメージを打ち出している。

ドライビングシューズをはじめ、ミズノは祖業であるスポーツギアやスポーツアパレル向けの商品開発でつちかった知見を他分野に生かす事業開発を進めている。1997年から機能性を生かした企業ユニホームを企画・販売する専門部署を持ち、これまで1200社以上に納品。また、建設業や運輸業、製造業などに向けたワークシューズやワークアパレルなども手掛け、19年にはワークビジネス事業部を新設した。ワークビジネスを強化し、28年3月期にワークビジネスで売上高180億円を目指している。

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「ヴェラ・ウォン」の知的財産をブランド管理会社WHPグローバルが買収 金額は非公開

米ブランドマネジメント会社WHPグローバル(WHP GLOBAL)は12月16日、「ヴェラ・ウォン(VERA WANG)」のIP(知的財産)を買収したことを発表した。取引の金額など詳細は非公開。創業デザイナーであるヴェラ・ウォン=チーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)は引き続き同職を務めるほか、WHPグローバルの株主となる。取引は2025年1月中に完了する見込み。

ウォンCCOは、米「ヴォーグ(VOGUE)」誌のエディターとしてキャリアをスタート。同誌で約17年勤めた後、「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」のアクセサリーデザイナーに。その後、自身のウエディングドレスを探す際にブライダルウエアに関心を持ち、1990年にブランドを立ち上げた。現在、「ヴェラ・ウォン」はブライダルウエアに加えて、ウィメンズ、メンズ、ジュエリー、フレグランス、ホームカテゴリーを展開し、小売りの年間売上高はおよそ7億ドル(約1071億円)となっている。

同氏は、「30年以上にスタートした『ヴェラ・ウォン』の新章を開始するにあたり、WHPグローバルとの新たなパートナーシップを発表することができてうれしく思う。同社の先進的なアプローチは、私の将来的なビジョンと合致しており、共に新たなカテゴリーや市場における機会を開拓していくことを楽しみにしている」と語った。

WHPグローバルについて

WHPグローバルは、19年の設立。ほかに「アン・クライン(ANNE KLEIN)」「アイザック ミズラヒ(ISAAC MIZRAHI)」「ジースター ロゥ(G-STAR RAW)」「ボノボス(BONOBOS)」「エクスプレス(EXPRESS)」「ラグ & ボーン(RAG & BONE)」などのブランドを保有している。

同社のイェフダ・シュミドマン(Yehuda Shmidman)会長兼最高経営責任者は、「ヴェラはレジェンドだ。モダンでスタイリッシュな『ヴェラ・ウォン』のパートナーとなることができて光栄に思う。世界中の新たなビジネスチャンスを捉え、ブランドのレガシーをさらに築いていくことを楽しみにしている」と述べた。

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40歳おじさんパーカ問題:記者談話室vol.157

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

157回目となる今回は、「40歳おじさんパーカ問題」です。タレントの妹尾ユウカさんの発言をきっかけに、ホリエモンやひろゆきなども巻き込んだ大論争になったこの問題を、3人で話し合いました。アラフォーの皆さんはパーカ、いくつ持ってますか?

この配信は以下のアプリでもご利用いただけます。
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40歳おじさんパーカ問題:記者談話室vol.157

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

157回目となる今回は、「40歳おじさんパーカ問題」です。タレントの妹尾ユウカさんの発言をきっかけに、ホリエモンやひろゆきなども巻き込んだ大論争になったこの問題を、3人で話し合いました。アラフォーの皆さんはパーカ、いくつ持ってますか?

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カプリ、傘下の「ヴェルサーチェ」と「ジミー チュウ」の売却を本格的に検討か

「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」を擁するカプリ ホールディングス(CAPRI HOLDINGS以下、カプリ)は、同じく傘下に持つ「ヴェルサーチェ(VERSACE)」と「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」の売却を本格的に検討しているようだ。情報筋によれば、カプリは英投資銀行バークレイズ(BARCLAYS)と提携し、機密情報の整理など買い手候補を探すための準備を始めたという。

カプリは2023年8月、「コーチ(COACH)」「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」「スチュアート・ワイツマン(STUART WEITZMAN)」を傘下に持つタペストリー(TAPESTRY)に85億ドル(約1兆3000億円)で事業を売却することに合意した。しかし、両社が保有するブランド間の競争がなくなることで独占状態になるとし、米連邦取引委員会(FTC)は本件を停止する仮処分を求めて4月に提訴。10月に米連邦地方裁判所がFTCの申し立てを認める判決を下したことから、11月に両社は買収契約を双方の合意の上で正式に解消している。

カプリは2022年にも両ブランド売却を検討

近年、カプリは業績が悪化していたが、買収が成立した暁には、タペストリーが「コーチ」を復活させたノウハウを用いて、ビジネスが低迷している「マイケル・コース」を立て直すことが期待されていた。しかし、これが白紙となったことから、カプリは主力の「マイケル・コース」の業績回復に注力するため、ほかの2ブランドを売却するのではないかとの憶測が広まっていた。なお、22年にもカプリは事業全体もしくは「ヴェルサーチェ」と「ジミー チュウ」の売却についてバークレイズに相談している。その際は少数の買い手候補から接触があったものの、タペストリーによる買収が具体的に進み始めた段階で断ったという。

前述の情報筋によれば、今回の買い手候補探しは始まったばかりで、両ブランドを同じ買い手に、もしくはそれぞれ異なる買い手に売却するのかなどは決まっておらず、最終的にいずれも売却しない可能性もあるという。

本件に関して、カプリおよびバークレイズからのコメントは得られなかった。

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抽選販売12月16日まで 日本酒産業課題解決を目指し「サケハンドレッド」の「百光」が原料米から刷新

Clearが運営する日本酒ブランド「サケハンドレッド(SAKE HUNDRED)」が、代表銘柄「百光(びゃっこう)」のリニューアルを実施した。2024 年醸造の「百光」※には、約1万本の抽選販売に対して約7万人の応募があり、7月までで一般販売分全てが完売した。新生「百光」(720mL、3万8500円、楯の川酒造)は、10月から2025年春にかけて醸造。抽選販売の応募受付をブランド公式サイトで12月16日まで行なう。

※一般向け販売分完売。一部小売店や飲食店、ホテル、法人、海外輸出向け販売は含まない

日本酒産業は1973年をピークに消費量は右肩下がりで、この20年間で毎月平均2.4社が廃業するなど低利益が常態化している。「サケハンドレッド」は、日本酒産業における量から質への転換と酒蔵をはじめとする日本酒産業全体のサステナブルな成⻑を目指し、2018年、「“上質”を極める、至高の1本」として「百光」を販売した。以降、同酒は日本酒における高価格帯市場の創出を担うブランドの旗艦銘柄として、売り上げをけん引。現在、「サケハンドレッド」の平均購入価格は5万円を超える(24年5月現在)。利益は醸造パートナーである全国8カ所の酒蔵や酒米農家、種麹メーカーなど産業全体に還元している。

「百光」の新しい原料米には「山形県産・雪女神」を採用。「雪女神」は山形県が独自に開発した品種で、大吟醸を造ることに特化した酒米だ。高精白に耐えられ、醸造時のコントロールがしやすいため精度の高い発酵管理をかなえる。酒質はよりエレガントできめ細やかな味わいに仕上げた。これまで採用していた酒米は有機栽培米であり、昨今の異常気象や人手不足の中での安定的供給という点で課題を感じていたという。日本酒産業界における新規市場の創出に必要な供給量を確保するためにも、高価格日本酒がより広く認知され、⻑期的に多くの商品が流通し続けることの重要性をより強く発信していく。「高級=希少な米という前提からの脱却を図ると共に、希少性に頼りすぎることのない魅力を伝えていきたい。今回のリニューアルは、『百光』が王道定番の高級酒になるための第一歩だと考えている」と、生駒龍史Clear代表取締役CEO兼ブランドオーナーは語る。

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ラクサス上場 高級バッグのシェアリング事業に「伸び代」

ブランドバッグの定額レンタルサービスを運営するラクサス・テクノロジーズ(広島市、高橋啓介社長)は13日、東証グロース市場に新規上場した。公開価格281円に対して初日の終値は377円だった。日本橋兜町の東京証券取引所で会見に臨んだ高橋社長は「マーケットから良い評価をいただけた」と話した。

06年に創業し、15年からブランドバッグの定額レンタルサービスを開始した。19年にワールドの傘下に入り、支援を受けて事業を成長させてきた。最も一般的なシングル契約だと、月額9800円(税別)で「ルイ・ヴィトン」「シャネル」「エルメス」といった高級ブランドの人気商品を交換し放題で借りられる。24年3月期業績は売上高22億円、営業利益4億7400万円。過去4年の年平均成長率は約19%だった。営業損益は23年3月期に黒字化して以降、順調に伸びている。

ラクサスの創業社長である児玉昇司氏は非常勤取締役に退き、22年6月から高橋氏が社長に就いた。高橋氏はローランドベルガー出身で、20年8月からワールドに転じて執行役員グループ企画本部長などの要職を歴任してきた。今回の上場に伴い、ワールドのラクサス株の保有割合は62.5%から44.3%になり、持ち分法適用会社に移行した。

上場で得た資金は、生命線であるブランドバッグの仕入れに充てる。高橋社長は「当社の事業は仕入れのキャッシュアウトが先行する。成長には資産を増やすことが欠かせない」と説明した。

ブランドバッグはコロナ前に比べて小売価格が大幅に上昇し、中古品の仕入れ価格もまた高騰した。これまで以上にブランドバッグを高嶺の花と感じる消費者も増えており、所有ではなくシェアリングを選択する傾向が強まった。ラクサスの場合は、首都圏に住む世帯収入が高い女性が多いという。高橋社長は「有料会員はまだ2万人程度。伸び代は大きい」と述べた。

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ラクサス上場 高級バッグのシェアリング事業に「伸び代」

ブランドバッグの定額レンタルサービスを運営するラクサス・テクノロジーズ(広島市、高橋啓介社長)は13日、東証グロース市場に新規上場した。公開価格281円に対して初日の終値は377円だった。日本橋兜町の東京証券取引所で会見に臨んだ高橋社長は「マーケットから良い評価をいただけた」と話した。

06年に創業し、15年からブランドバッグの定額レンタルサービスを開始した。19年にワールドの傘下に入り、支援を受けて事業を成長させてきた。最も一般的なシングル契約だと、月額9800円(税別)で「ルイ・ヴィトン」「シャネル」「エルメス」といった高級ブランドの人気商品を交換し放題で借りられる。24年3月期業績は売上高22億円、営業利益4億7400万円。過去4年の年平均成長率は約19%だった。営業損益は23年3月期に黒字化して以降、順調に伸びている。

ラクサスの創業社長である児玉昇司氏は非常勤取締役に退き、22年6月から高橋氏が社長に就いた。高橋氏はローランドベルガー出身で、20年8月からワールドに転じて執行役員グループ企画本部長などの要職を歴任してきた。今回の上場に伴い、ワールドのラクサス株の保有割合は62.5%から44.3%になり、持ち分法適用会社に移行した。

上場で得た資金は、生命線であるブランドバッグの仕入れに充てる。高橋社長は「当社の事業は仕入れのキャッシュアウトが先行する。成長には資産を増やすことが欠かせない」と説明した。

ブランドバッグはコロナ前に比べて小売価格が大幅に上昇し、中古品の仕入れ価格もまた高騰した。これまで以上にブランドバッグを高嶺の花と感じる消費者も増えており、所有ではなくシェアリングを選択する傾向が強まった。ラクサスの場合は、首都圏に住む世帯収入が高い女性が多いという。高橋社長は「有料会員はまだ2万人程度。伸び代は大きい」と述べた。

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「ナイキ」が渋谷にパフォーマンスもそろう大型店開業 「ルルレモン」とガチンコ

「ナイキ(NIKE)」は12月14日、東京・渋谷に直営店「ナイキ シブヤ」をオープンする。公園通りを挟んで渋谷モディの向かいに立地するビルの地下1階〜地上2階の3フロア構成で、売り場面積は約1022平方メートル。近隣には、同じく14日に「ルルレモン(LULULEMON)」も2フロア約651平方メートルで開業予定。広域な渋谷エリアとしては、「サロモン(SALOMON)」も明治通り沿いに11月に直営店を移転増床している。渋谷はスポーツブランドの大型店が集まる地域として、訪日客を含め改めて注目を集めそうだ。

「スポーツに情熱を持つ客」へ

「ナイキ」は2019年に、渋谷スクランブルスクエア2階にも小型店を出店している。ライフスタイルカテゴリーの商品を中心に、小型店ながらECとも連動してサービスを行う渋谷スクランブルスクエア店舗に対して、新店の「ナイキ シブヤ」は、ライフスタイルカテゴリーだけでなく、ランニングを軸にパフォーマンスアイテムも豊富にそろえる。「スポーツに情熱を持ち、渋谷の街で新たなことにチャレンジし、アクティブな生活を楽しんでいるコンシューマー」(発表資料から)を対象とした店だ。

新店でもデジタルと連動し、買い物が楽しめるようにする。アプリを通じてスキャンによる商品情報提供を行うほか、メンバー特典の提供なども実施。同店を拠点にランニングセッションなども行い、コミュニティーとして渋谷に根ざすことを目指す。

アスリート向けレースシューズも

地下1階がメンズのパフォーマンスとライフスタイル、「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」の売り場。ウォールにはロードランやトレイルラン用、トレーニング用、ライフスタイル向けなど、多様なスポーツシューズを展示する。ロードラン向けは、11月に発売した“駅伝パック”など、トップアスリート向けもそろえる。

カスタマイズコーナーも導入

地上2階がウィメンズフロアで、メンズと同様にウォールにシューズを展示しているほか、サポート力の異なるレギンスやブラトップをそろえたコーナーも設けた。アパレルやスニーカーをカスタマイズできる「ナイキ バイ ユー」コーナーも2階に設置。熱圧着マシンでTシャツやスエットにワッペンやシールを載せてのカスタムができるほか、シューズにレーザーで図柄を載せることも可能だ。

地上1階はメンズ、ウィメンズの共同フロア。ライフスタイルアイテムを中心にそろえる。レトロランニングのトレンドに合わせて、同店オープン時は“ナイキ ボメロ”などをライフスタイルカテゴリーでも打ち出している。

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「ナイキ」が渋谷にパフォーマンスもそろう大型店開業 「ルルレモン」とガチンコ

「ナイキ(NIKE)」は12月14日、東京・渋谷に直営店「ナイキ シブヤ」をオープンする。公園通りを挟んで渋谷モディの向かいに立地するビルの地下1階〜地上2階の3フロア構成で、売り場面積は約1022平方メートル。近隣には、同じく14日に「ルルレモン(LULULEMON)」も2フロア約651平方メートルで開業予定。広域な渋谷エリアとしては、「サロモン(SALOMON)」も明治通り沿いに11月に直営店を移転増床している。渋谷はスポーツブランドの大型店が集まる地域として、訪日客を含め改めて注目を集めそうだ。

「スポーツに情熱を持つ客」へ

「ナイキ」は2019年に、渋谷スクランブルスクエア2階にも小型店を出店している。ライフスタイルカテゴリーの商品を中心に、小型店ながらECとも連動してサービスを行う渋谷スクランブルスクエア店舗に対して、新店の「ナイキ シブヤ」は、ライフスタイルカテゴリーだけでなく、ランニングを軸にパフォーマンスアイテムも豊富にそろえる。「スポーツに情熱を持ち、渋谷の街で新たなことにチャレンジし、アクティブな生活を楽しんでいるコンシューマー」(発表資料から)を対象とした店だ。

新店でもデジタルと連動し、買い物が楽しめるようにする。アプリを通じてスキャンによる商品情報提供を行うほか、メンバー特典の提供なども実施。同店を拠点にランニングセッションなども行い、コミュニティーとして渋谷に根ざすことを目指す。

アスリート向けレースシューズも

地下1階がメンズのパフォーマンスとライフスタイル、「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」の売り場。ウォールにはロードランやトレイルラン用、トレーニング用、ライフスタイル向けなど、多様なスポーツシューズを展示する。ロードラン向けは、11月に発売した“駅伝パック”など、トップアスリート向けもそろえる。

カスタマイズコーナーも導入

地上2階がウィメンズフロアで、メンズと同様にウォールにシューズを展示しているほか、サポート力の異なるレギンスやブラトップをそろえたコーナーも設けた。アパレルやスニーカーをカスタマイズできる「ナイキ バイ ユー」コーナーも2階に設置。熱圧着マシンでTシャツやスエットにワッペンやシールを載せてのカスタムができるほか、シューズにレーザーで図柄を載せることも可能だ。

地上1階はメンズ、ウィメンズの共同フロア。ライフスタイルアイテムを中心にそろえる。レトロランニングのトレンドに合わせて、同店オープン時は“ナイキ ボメロ”などをライフスタイルカテゴリーでも打ち出している。

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東レと学生服飾団体「KFC」がコラボ 未来のファッションを語った!作った!

繊維大手の東レは、学生服飾団体の「Keio Fashion Creater(以下、KFC)」とコラボレーションを行う。回収ペットボトルをリサイクルした「アンドプラス(&+)」使用の素材を提供し、KFCが年に1度に全てを注ぎ込むファッションショーをサポートする。2年後の2026年に創業100周年を迎える東レは、なぜKFCとコラボレーションしたのか。東レの工場や現場で奮闘する若手社員とKFCのコラボレーションを3回に分けて追っていく。

東レが繊維研究所を構え、ナノテクノロジーを駆使した最先端繊維素材「ナノデザイン」の生産拠点であり、研修センターなども備える静岡県の三島工場を訪れたKFCのメンバーは、「アンドプラス」や東レの繊維事業の歴史に触れ、「多くの人が関わって巨大な設備で生産する糸も、過去から多くの人の熱い思いがつないできたことを実感した」と語った。

一方で東レのモノ作りを支える若手スタッフも、新しく開発したばかりの糸を生産することの難しさに触れつつ、「目標は(自分が生産の立ち上げに関わった糸が)30年、40年とロングセラーとなって続いていくこと」とやりがいを語る。東レには、当時まだ和装も盛んだった1964年に開発し、現在でもバージョンアップを繰り返しながら続く「シルック」がある。40年続くロングセラーを目指すという目標は、決して絵空事ではない強い思いの裏返しでもある。

100年近くにわたる繊維技術を次代につなげ、かつファッション産業を進化させられるのか。KFCのメンバーが「工場見学ですごく真摯にサステナビリティをはじめとした社会課題に向き合っていると感じた一方で、それが消費者やファッションの作り手に届いていないのでは?」といった忖度なしの意見をぶつける一方、「サステナブルを義務感ではなく、面白いテクノロジーや面白い素材を開発するための手段になっていて、その結果として持続可能なデザインにつながっていることを改めて実感した」といった意見も出た。対して東レの若手社員は、モノ作りの難しさに触れつつ、その楽しさややりがい、その先に広がる新しいファッションなどを語った。

次回の2回目は、東レの若手社員とKFCメンバーが互いの意見を本気でぶつけ合った座談会をお届けする。これまで培ってきた繊維の技術を継承しつつ、未来のためにサステナビリティにどう向き合っていくべきか。また、ファッションの持つ楽しさや喜びとは?

注:現在「アンドプラス(&+)」は、回収したペットボトルなどをリサイクルしたポリエステル繊維と、回収した漁網などをリサイクルしたナイロン繊維の2種類を展開している。なお、回収したペットボトルをチップにする工程は社外の協力企業にておこなわれている。

問い合わせ先
東レ 繊維事業本部新流通開拓室
ft-marketing-ig.toray.mb@mail.toray

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「ラグタグ」がタイに進出 ワールドがサハと合弁でブランド古着を販売

ワールドは、ブランド品の買取・販売店「ラグタグ(RAGTAG)」でタイに進出する。現地大手企業サハグループと組んで合弁会社を設立する。2025年春にバンコクに1号店を開く。

タイを中心としたASEANでの二次流通市場の発展を見込む。今年3月からバンコクで2カ月半にわたってポップアップストアを営業したところ、想定以上に反響があった。「ラグタグ」の原宿店などで、アジアの訪日客の購買が活発なことも背中を押した。

合弁先のサハグループは財閥系の企業グループで、化粧品や衣料品、日用品など幅広い消費財の製造や販売を手掛ける。すでにワールドとは17年に合弁会社ワールド サハ ファッションを設立し、タイを中心に「タケオキクチ(TAKEO KIKUCHI)」の事業を展開している。

「ラグタグ」はワールド傘下のティンパンアレイ(東京、平野大輔社長)が運営する。デザイナーズブランドを中心としたアパレル、バッグ、シューズを消費者から買い取って販売する。国内で23店舗を運営するほか、EC(ネット通販)に強いことでも知られる。

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「ラグタグ」がタイに進出 ワールドがサハと合弁でブランド古着を販売

ワールドは、ブランド品の買取・販売店「ラグタグ(RAGTAG)」でタイに進出する。現地大手企業サハグループと組んで合弁会社を設立する。2025年春にバンコクに1号店を開く。

タイを中心としたASEANでの二次流通市場の発展を見込む。今年3月からバンコクで2カ月半にわたってポップアップストアを営業したところ、想定以上に反響があった。「ラグタグ」の原宿店などで、アジアの訪日客の購買が活発なことも背中を押した。

合弁先のサハグループは財閥系の企業グループで、化粧品や衣料品、日用品など幅広い消費財の製造や販売を手掛ける。すでにワールドとは17年に合弁会社ワールド サハ ファッションを設立し、タイを中心に「タケオキクチ(TAKEO KIKUCHI)」の事業を展開している。

「ラグタグ」はワールド傘下のティンパンアレイ(東京、平野大輔社長)が運営する。デザイナーズブランドを中心としたアパレル、バッグ、シューズを消費者から買い取って販売する。国内で23店舗を運営するほか、EC(ネット通販)に強いことでも知られる。

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【ハースト婦人画報社 ハースト メディア ソリューションズ】新規事業を創出する“感性×データ”の強力な掛け合わせ

ハースト婦人画報社は、1996年の「エル・オンライン(ELLE ONLINE)」立ち上げなど、出版社としていち早くデジタルに参入した。現在は、16メディアと3つのeコマースを運営し、そのCRM(顧客関係管理)やビッグデータは同社の大きな財産だ。それらを新事業へとつなげるのが、2020年に発足したハースト メディア ソリューションズである。組織にはビデオ制作の機能もあり、クライアントに対し最適解を導き出す体制を整えている。

WWD:「エル」のデジタル参入は、紙媒体が主流だった当時のファッションメディアにおいて先進的な取り組みだった。

山口大介・本部長(以下、山口):「エル」というメディアを軸に、情報発信をしながら、ファッションからフード、インテリアまで360度の生活の中で「エル」を感じてほしいと立ち上げました。さらに、eコマースやイベントでも多角的にユーザーを増やして得た情報が、私たちが大切にしているデータです。当社は定期購読のプロモーションも積極的に行ってきたので、メディアの価値を丁寧に伝えてきたことも多くのユーザー獲得につながった一因です。11年には「婦人画報のお取り寄せ」、21年には「ウィメンズヘルスショップ(Women's Health SHOP)」のeコマースも始め、自社で保有するデータは現在115万IDに達しています。

WWD:そのデータを生かす、データソリューションズの役割とは。

前西克哉マーケティング部 データ ソリューションズ ジェネラル マネージャー(以下、前西):データを使った、マーケティング課題解決のための専門部隊です。当社の強みである具体的なユーザーデータを年齢や職業などのデモグラフィックから、ライフスタイルなどを分析したサイコグラフィックまで可視化し、クライアントニーズに応えます。富裕層のデータを、ラグジュアリーブランドのターゲティングや、事前調査などに役立てるケースも増えています。例えば、購買データはパフォーマンスを求めるクライアントに重宝されています。また、フルファネルソリューションというサービスを活用し、通期で広告商品の訴求を可能にする取り組みも始めました。今後は各メディアでもログイン機能を導入し、カスタマージャーニーを細分化するなど、オリジナルの指標を作成して、データ活用における施策効果の可視化と最適化に挑戦していきたいです。

WWD:ビデオソリューションズは20年の発足から急成長している。要因は?

小林敬太マーケティング部 ビデオ ソリューションズ ジェネラル マネージャー(以下、小林):組織が発足した20年はちょうどコロナ禍で、ファッションにおいてもデジタル活用の動きが活発になり、クライアントとのライブ配信もすぐに取り組むことができました。SNSを軸に動画広告市場は年々活性化していて、動画制作とプランニングを行うデジタル領域の売上高も毎年2ケタ増の成長を遂げています。今年はすでに1000本を超える動画広告を制作しました。

WWD:最近特にニーズが高いのは?

小林:ショート動画が一番伸びており、あらゆるSNSに合わせたパターンを制作し、それぞれ異なる結果を分析することで、次のプランニングに生かしています。例えば、あるブランドのファッションチームの成功事例を同社のビューティチームが参考にすることで、同じ世界観を違う形で制作することも可能です。一方で、中長期的に提案するブランデッドムービーは、クリエイティブチームの創造性と作家性を強みに、出版社レベルを超えたクオリティーだと大変好評です。ブランドスータビリティ(広告とコンテンツの適合性)を意識することで、メディアの編集コンテンツ力との相乗効果となり、好感度がどれだけ増したかのブランドリフト調査にも大きく影響しています。

新たなチャレンジを蓄積し
財産に変えていく

WWD:組織として、他社にはない“ナンバーワン”の強みは?

小林:編集者の感性と、データが融合できる点です。編集者が思うトレンドなど、ユーザーのインサイトの目利きが制作側の“感性”にあたります。新たに取り組む場合は彼らのアイデアを基にチャレンジし、オリジナルの数値として可視化させます。そうした編集制作のさまざまな試みが徐々に蓄積し、ブランドとの継続的な関係性にも奏功しています。

WWD:デジタルの売上成長についてはどう分析している?

前西:前年比で20%伸びており、タイアップ案件の約4分の1はデータ活用したものになっています。もともとメディアブランドとして、ブランディングや広告の観点でのクリエイティブの高さをクライアントから評価いただいていました。そのユーザーのデータを活用することで特定のニーズにもアプローチでき、戦略的な広告を打ち出すことができています。

WWD:新たな領域を見いだす富裕層マーケティング活動「ビジネス トゥ ラグジュアリー(B2L)」とは何か。

山口:当社のメディアに存在する、感度の高い富裕層の女性に特化した消費動向のレポートです。男性の例はありますが、女性に特化したデータ保有は企業としては非常に珍しいと自負しています。リサーチから戦略策定まで提供するマーケティングサービスは、私たちのユニークな部分であり、強みとしているところ。「B2L」の調査レポート平均回答ユーザー数は3000人で、そこから女性の“消費スイッチ”が発動するポイントを分析することで、より精度の高い提案が可能となります。

WWD:今後の計画は。

山口:まずは、今後も当社メディアのユーザーインサイトをあらゆるデータから可視化すること、その精度を上げ続ける事が重要と考えます。そのデータを基に根拠ある提案と分析をクライアント企業に提供しプレミアムマーケティング領域のパートナーとなることを目指します。組織としての役割は増えますがチームをただ拡大するのではなく、既存メンバーから市場価値の高いマーケターを育てていく人材育成にも注力していきます。

TEXT : RIE KAMOI
PHOTO : HIDEAKI NAGATA

問い合わせ先
ハースト婦人画報社 広報
corporatepr@hearst.co.jp

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【ハースト婦人画報社 ハースト メディア ソリューションズ】新規事業を創出する“感性×データ”の強力な掛け合わせ

ハースト婦人画報社は、1996年の「エル・オンライン(ELLE ONLINE)」立ち上げなど、出版社としていち早くデジタルに参入した。現在は、16メディアと3つのeコマースを運営し、そのCRM(顧客関係管理)やビッグデータは同社の大きな財産だ。それらを新事業へとつなげるのが、2020年に発足したハースト メディア ソリューションズである。組織にはビデオ制作の機能もあり、クライアントに対し最適解を導き出す体制を整えている。

WWD:「エル」のデジタル参入は、紙媒体が主流だった当時のファッションメディアにおいて先進的な取り組みだった。

山口大介・本部長(以下、山口):「エル」というメディアを軸に、情報発信をしながら、ファッションからフード、インテリアまで360度の生活の中で「エル」を感じてほしいと立ち上げました。さらに、eコマースやイベントでも多角的にユーザーを増やして得た情報が、私たちが大切にしているデータです。当社は定期購読のプロモーションも積極的に行ってきたので、メディアの価値を丁寧に伝えてきたことも多くのユーザー獲得につながった一因です。11年には「婦人画報のお取り寄せ」、21年には「ウィメンズヘルスショップ(Women's Health SHOP)」のeコマースも始め、自社で保有するデータは現在115万IDに達しています。

WWD:そのデータを生かす、データソリューションズの役割とは。

前西克哉マーケティング部 データ ソリューションズ ジェネラル マネージャー(以下、前西):データを使った、マーケティング課題解決のための専門部隊です。当社の強みである具体的なユーザーデータを年齢や職業などのデモグラフィックから、ライフスタイルなどを分析したサイコグラフィックまで可視化し、クライアントニーズに応えます。富裕層のデータを、ラグジュアリーブランドのターゲティングや、事前調査などに役立てるケースも増えています。例えば、購買データはパフォーマンスを求めるクライアントに重宝されています。また、フルファネルソリューションというサービスを活用し、通期で広告商品の訴求を可能にする取り組みも始めました。今後は各メディアでもログイン機能を導入し、カスタマージャーニーを細分化するなど、オリジナルの指標を作成して、データ活用における施策効果の可視化と最適化に挑戦していきたいです。

WWD:ビデオソリューションズは20年の発足から急成長している。要因は?

小林敬太マーケティング部 ビデオ ソリューションズ ジェネラル マネージャー(以下、小林):組織が発足した20年はちょうどコロナ禍で、ファッションにおいてもデジタル活用の動きが活発になり、クライアントとのライブ配信もすぐに取り組むことができました。SNSを軸に動画広告市場は年々活性化していて、動画制作とプランニングを行うデジタル領域の売上高も毎年2ケタ増の成長を遂げています。今年はすでに1000本を超える動画広告を制作しました。

WWD:最近特にニーズが高いのは?

小林:ショート動画が一番伸びており、あらゆるSNSに合わせたパターンを制作し、それぞれ異なる結果を分析することで、次のプランニングに生かしています。例えば、あるブランドのファッションチームの成功事例を同社のビューティチームが参考にすることで、同じ世界観を違う形で制作することも可能です。一方で、中長期的に提案するブランデッドムービーは、クリエイティブチームの創造性と作家性を強みに、出版社レベルを超えたクオリティーだと大変好評です。ブランドスータビリティ(広告とコンテンツの適合性)を意識することで、メディアの編集コンテンツ力との相乗効果となり、好感度がどれだけ増したかのブランドリフト調査にも大きく影響しています。

新たなチャレンジを蓄積し
財産に変えていく

WWD:組織として、他社にはない“ナンバーワン”の強みは?

小林:編集者の感性と、データが融合できる点です。編集者が思うトレンドなど、ユーザーのインサイトの目利きが制作側の“感性”にあたります。新たに取り組む場合は彼らのアイデアを基にチャレンジし、オリジナルの数値として可視化させます。そうした編集制作のさまざまな試みが徐々に蓄積し、ブランドとの継続的な関係性にも奏功しています。

WWD:デジタルの売上成長についてはどう分析している?

前西:前年比で20%伸びており、タイアップ案件の約4分の1はデータ活用したものになっています。もともとメディアブランドとして、ブランディングや広告の観点でのクリエイティブの高さをクライアントから評価いただいていました。そのユーザーのデータを活用することで特定のニーズにもアプローチでき、戦略的な広告を打ち出すことができています。

WWD:新たな領域を見いだす富裕層マーケティング活動「ビジネス トゥ ラグジュアリー(B2L)」とは何か。

山口:当社のメディアに存在する、感度の高い富裕層の女性に特化した消費動向のレポートです。男性の例はありますが、女性に特化したデータ保有は企業としては非常に珍しいと自負しています。リサーチから戦略策定まで提供するマーケティングサービスは、私たちのユニークな部分であり、強みとしているところ。「B2L」の調査レポート平均回答ユーザー数は3000人で、そこから女性の“消費スイッチ”が発動するポイントを分析することで、より精度の高い提案が可能となります。

WWD:今後の計画は。

山口:まずは、今後も当社メディアのユーザーインサイトをあらゆるデータから可視化すること、その精度を上げ続ける事が重要と考えます。そのデータを基に根拠ある提案と分析をクライアント企業に提供しプレミアムマーケティング領域のパートナーとなることを目指します。組織としての役割は増えますがチームをただ拡大するのではなく、既存メンバーから市場価値の高いマーケターを育てていく人材育成にも注力していきます。

TEXT : RIE KAMOI
PHOTO : HIDEAKI NAGATA

問い合わせ先
ハースト婦人画報社 広報
corporatepr@hearst.co.jp

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【ハースト婦人画報社「エスクァイア」】ジャーナリズムの視点を加え刷新、年4回発行と動画強化

ハースト婦人画報社はメンズメディアの体制を刷新し、「エスクァイア(Esquire)」日本版の編集長は、佐藤俊紀「エスクァイア」「メンズクラブ(MEN'S CLUB)」「モダンリビング(MODERN LIVING)」グループ編集局長が兼任する。これに伴い、「エスクァイア・ザ・ビッグ・ブラック・ブック(Esquire The Big Black Book以下、BBB)」を終了し、「メンズクラブ」は不定期刊行に、「エスクァイア」は来年2月にリニューアル号を発行する。佐藤俊紀編集長は、新生「エスクァイア」のかじをどう切っていくのだろうか。

WWD:「エスクァイア」のリニューアルについて教えてほしい。

佐藤俊紀・編集長(以下、佐藤):「エスクァイア」はこれまで2018年にローンチしたデジタルメディア「エスクァイア・デジタル」を主軸に、年2回発行の雑誌「BBB」と連動しながら、コンテンツ作りをしていましたが、来年からはブランドとして一本化し、年4回発行、200ページ超えの定期誌とデジタルメディアにそれぞれ注力していきます。コアターゲットは35~45歳の探求心と好奇心旺盛な新富裕層。“Focusing on all creativity with a journalistic eye(創造の物語を、ジャーナリスティックな目線で)”をテーマに、21の国と地域で展開する「エスクァイア」のネットワークを用い、ファッションやライフスタイル、ジャーナリズムに焦点を当てたコンテンツを提供します。

WWD:リニューアルの目的とメンズメディア編成の背景にあったこととは。

佐藤:23年に、「BBB」の総編集長に十河ひろ美、編集長に柳川啓子「リシェス(Richesse)」副編集長、ファッション ディレクターに西川昌宏「メンズクラブ」編集長が就き、当社が得意とするファッションラグジュアリーの経験と知見を「エスクァイア」のフィルターで発信してきました。結果、新規ユーザーの獲得につながり、当社のラグジュアリーメディアのポートフォリオの一つとして「エスクァイア」の新たな形を見いだすことができました。

WWD:「エスクァイア」と同じくメンズメディアの一つである「メンズクラブ」が不定期刊行になる。

佐藤:10年後にも「メンズクラブ」の価値を残すために、コンテンツの魅力を凝縮した新しい形で提供することになりました。「メンズクラブ」が得意としてきた紳士服の豊富で確かな知識を「エスクァイア」でも発揮できると期待しています。

「なぜこの記事が必要か」
選定の精度を磨いていく

WWD:「エスクァイア」のコンテンツについて、具体的な方向性は。

佐藤:「エスクァイア」というブランドをシンプルでシームレスな体制にし、「BBB」のハイエンドで専門性の高い世界観を踏襲することで、カテゴリーの幅を広げられると考えています。例えば、海外のルポタージュ記事。イタリア版の巨大コンテナ船に潜入した記事では、わずかな乗組員のみで切り盛りされる知られざる運行事情のみならず、温暖化により北極海の氷が溶け出すことでもたらされる物流への影響など、環境問題に触れています。こうした世界で実際に起こっている物事の背景や裏側を書いたリアルな記事は、「エスクァイア」というブランドにおいて新境地になり得ると考えていますし、「エスクァイア」世代である新富裕層の関心も得られるでしょう。デジタルでは、海外版の多様な視点をより幅広く取り入れていく予定です。信頼性のある記事はラグジュアリーマーケティングを強化する上で必要不可欠だと考えています。

WWD:記事の信頼性や精度を高めるために力を入れることはあるか。

佐藤:なぜこの記事を取り上げるのか、なぜ必要かといった議論を大切にしたいと考えています。事実確認や法律の視点においてもどこよりも丁寧に取り組んでいくつもりですし、グリーンウォッシュ社内研修などを通じてナレッジのアップデートにも力を入れています。

WWD:デジタルで注力する点は?

佐藤:グローバル視点の記事の質に加え、撮り下ろしビジュアルのクオリティーやSNSでの動画表現を強化します。動画においては、当社が注力するデータ分析とデジタルマーケティングを駆使し、クリエイティブ制作を積極的に行います。

WWD:「エスクァイア」は1933年にアメリカで誕生した歴史の長いメディアだが、日本上陸から11年。その概念など変わった点はあるか。

佐藤:実は変わっていません。リニューアルに合わせ、本国ディレクターらとも何度も話し合いを重ねてきましたが、“Man at His Best(最高の自分になる)” というコンセプト、そして、情報過多のSNS時代においても物事の本質を分かっていて、自分に合ったスタイルや考えを根幹に持っている層にアプローチしていくという考えはグローバルで一貫しています。そうした男性像を持つ若い世代にも寄り添えるメディアでもありたいと考えています。

WWD:これまでの経験から自身のどんな強みを生かせられると思うか。

佐藤:振り返れば、自動車専門誌にカルチャー&ライフスタイル誌、ウィメンズのモード誌といった一通りのジャンルのメディアを経験してきました。海外向けメディアのプロデュースやコンテンツの発掘など、海外から日本のコンテンツがどう見られているかなど、さまざまな視点で企画や編集を考えてきました。「エスクァイア」で生かせる知見も多いと考えています。

WWD:新生「エスクァイア」の収益モデルをどう設計するか。

佐藤:基本的にはメディアとして、読者を増やして、広告の収益化を図りますが、「エスクァイア」の新たな世界観のもと、将来的には親和性の高い小規模のコミュニティー向けイベントの実施などを構想しています。さらには、「エスクァイア」読者とクライアントのお客さまという、同じ共通項を持つ方々との第3のコラボレーションも実現したい。そのために、メンバーシップの構築や読者との接点作りは積極的に行っていこうと思っています。

WWD:今後の展望は?

佐藤:1年目はまず下地を整え、3年後にはより信頼性のある情報基盤として力をつけ、日本の男性が常に触れておきたいと思えるメディアとして確立したいです。


「エスクァイア」(ハースト婦人画報社) DATA
【MAGAZINE】創刊:2013年 発行部数:5万部
【WEB】月間UU:300万 月間総PV:非公表
【SNS】X:2万 IG:4万1000 FB:6万4000 LINE:21万 YT:7100

TEXT : RIE KAMOI
PHOTO : HIDEAKI NAGATA

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コーセーがタイ発ウェルネスブランド「パンピューリ」を買収 米発「タルト」に次ぐ10年ぶりのM&A

コーセーは12月10日、タイ発のウェルネスブランド「パンピューリ(PANPURI)」を展開するピューリの株式を約80%取得したことを発表した。取得価額は約120〜130億円。株式譲渡日は30日を予定しており、3〜5年を目処に残り全ての株式を取得する計画だ。同社の海外ブランドのM&Aは2014年の米発「タルト」以来10年ぶり。

コーセーは11月に発表した中長期ビジョン「Vison for Lifelong Beauty Partner-Milestone2030」で、好調な日本での盤石な事業基盤の構築と圧倒的な存在感の確立により、確実な成長リソースを生み出して持続的な成長にむけた投資につなげる意向を明確にした。今後の成長領域とするグローバル事業では、「脱・自前」による地域に最適化した成長を目指している。これには、現地起点のマーケティング・モノ作りへの転換と地域に根付いたブランドの新規獲得が必要としており、「今回の事案はその第1弾」(小林一俊社長)とした。

小林社長は「タイは日本と共通するおもてなしの文化が根付いており、美容大国でもある。さらに、首都のバンコクは世界で1、2を争う観光都市。グローバル戦略を加速させ、グローバルサウス市場での存在感を確立させていく一手としてふさわしいと考えた」とピューリを傘下とする狙いを話した。同社との親和性は、モノ作りに対するこだわりやブランド価値を大切にする姿勢のほか、「ウェルネス領域への広がりを進めるわれわれの今後の方向性と一致した」とコメントした。

ピューリとのシナジーに期待

想定するシナジーの一つが、売り上げのアップサイドだ。「パンピューリ」はタイ国内のウェルネスカテゴリーのプレステージ市場ではトップシェアを誇り、外国人観光客からの支持も厚い。コーセーはグローバルな販売ネットワークがあるため「パンピューリ」の事業拡大を見込めると考えた。

また、コーセーグループに加入することで、商品の調達、開発、製造におけるコスト削減も期待できるとした。ウェルネス価値の高いスパトリートメントを持つ「パンピューリ」とコーセーが長年培った皮膚科学の研究成果を掛け合わせることで、新たな価値創出にもつなげていきたい意向だ。近い将来、日本でスパ体験を提供する旗艦店の開設を視野に入れ、コーセーが注力するウェルビーイング領域の拡充も図る。

今回の取引に関してピューリのウォーラウィト・シリパーク社長は「『パンピューリ』のマイルストーンの中でコーセーグループに入ったことは大きな節目となる。『パンピューリ』が届けたいウェルビーイングがより世界中に広がることを楽しみにしている」とコメントした。

「パンピューリ」とは

「パンピューリ」は2003年に誕生。ハーブやエッセンシャルオイルなどの植物を使用したフレグランス、バスボディ、スキンケア、ホームフレグランスをラインアップし、自社ウェルネスセンターとホテル3つでスパ事業も展開している。商品は2000〜2万円、スパは1万5000〜2万円の価格帯で提供する。

中国、欧州でも展開しており、24年度の売上高は前年比89%増の約48億円を見込む。年平均成長率は78%と高成長を維持している。売り上げ構成比はタイが74%、スパ事業が17%、海外(中国、欧州、日本など)が6%、その他が3%となる。日本は20年5月にコロナ禍による影響でジャパン社を精算したが20年7月に輸入代理店ルクステカが独占輸入販売権を取得。現在、阪急うめだ本店、伊勢丹新宿本店ビューティーアポセカリー、バーニーズニューヨーク全店、公式オンラインストアで取り扱っている。今後しばらくは引き続きルクステカが販売を担い、その後については未定としている。

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Z世代に流行ったものは? 「Z総研 2024年下半期トレンドランキング」発表

Z世代(1995年以降生まれの若年層)を対象としたシンクタンク組織「Z総研」は、自社メディア「Nom de plume(ノンデプルーム)」の読者で、Z総研独自のリアルZ世代コミュニティー所属のメンバーへ2024年下半期のトレンドの調査を実施し、「Z総研 2024年下半期トレンドランキング」を発表した。

調査期間は11月1〜10日で、調査は「Nom de plume」LINE@会員を対象に、インターネットで実施。有効回答数は477人(中学生96人、高校生189人、18〜22歳143人、23〜25歳31人、26〜28歳18人)で複数回答式。

「Z総研 2024年下半期トレンドランキング」は「言葉」「食べもの・飲みもの」「コスメ・美容グッズ」「コト・モノ」「YouTubeチャンネル」「TikToker」「俳優」「アイドル」「アーティスト」「曲」の10部門で発表する。

また、「Nom de plume」のZ世代フォロワー約12万人に聞き、編集部がセレクトした「2025年上半期ネクストトレンド予想」も同時に発表した。

各部門の結果は以下の通り。

流行った「俳優」

1位:「橋本環奈」
2位:「出口夏希」
3位:「高橋文哉」

流行った「アイドル」

1位:「FRUITS ZIPPER」
2位:「CUTIE STREET」
3位:「ME:I」

流行った「アーティスト」

1位:「Mrs. GREEN APPLE」
2位:「back number」
3位:「コレサワ」

流行った「食べもの・飲みもの」

1位:「アサイーボウル」
2位:「グリークヨーグルト」
3位:麻辣湯」

流行った「言葉」

1位:「うますぎやろがい」
2位:「風呂キャンセル界隈」
3位:「さつまいもタイム」

流行った「コト・モノ」

1位:「seju顔」
2位:「地面師」
3位:「BeReal.」

流行った「コスメ・・美容グッズ」

1位:「リファ ハートコームアイラ / リファ」
2位:「フィー3Dボリューミンググロス / フィー」
3位:「リップフォンデュ / ロート製薬」

流行った「曲」

1位:「かわいいだけじゃだめですか? / CUTIE STREET」
2位:「元彼女のみなさまへ / コレサワ」
3位:「ライラック / Mrs. GREEN APPLE」

流行った「YouTubeチャンネル」

1位:「みなみチャンネル」
2位:「むくえなちっく。」
3位:「コノリリ」

流行った「TikToker」

1位:桜
2位:米澤りあ」
3位:MINAMI

Z世代12万人に聞いた2025年上半期ネクストトレンド予想

ファッション・メイク:「Y3K」
ファッション:「ノームコア」
メイク:「ダーリッチ顔」
インフルエンサー:「アレン様」
食べもの:「ヨアジョン」
食べもの:「チャンククッキー」

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菜々緒が出合う真のイタリアン・ラグジュアリー 「マセラティ」“グレカーレ モデナ”

イタリア、そして世界を代表する自動車メーカー「マセラティ(MASERATI)」が今年、創業110年を迎えた。常に最新のテクノロジーと革新的なパフォーマンス、ラグジュアリーなデザインを駆使しながら、レーシングカーからスポーツカー、ハイブリッドへと変革を遂げ、世界中のドライバーを魅了してきた。今回は俳優の菜々緒が、ブランドのオリジナルカラー“ブルー・インテンソ”の“グレカーレ モデナ”との格別な時間を体験。業界の最前線を走る両者による、美しい競演に迫る。

伝統と革新、そして日常を調和させた
トップクラスのハイブリッドSUV

マセラティ,MASERATI,菜々緒

「マセラティ」の本拠地・モデナの名を冠した“グレカーレ モデナ”は、スポーティーかつラグジュアリーな装備が特徴的だ。そして“グレカーレ”のコンセプトである“The Everyday Exceptional.(毎日が格別)”を、エレガントかつ都会的なモデルとして象徴している。一瞬で引きつけられるスタイリッシュな佇まいには、メード・イン・イタリーの繊細な美学と先鋭的なデザインが光る。見る角度によって濃淡が艶めくブルーは、古都・モデナのイメージカラーであり、イタリアを囲う地中海や晴れた空、王家への敬意を表すナショナルカラーに着想。“ブルー・インテンソ”と名付けられたこの色は、国産にこだわる「マセラティ」のアイデンティティーを示す欠かせない要素だ。

インテリアには天然皮革をぜいたくに使ったシートや高級オーディオメーカー「ソナス・ファベール」のスピーカーに加え、使い勝手の良いタッチ式の大型ディスプレーやフルデジタルのメーターを搭載した。またスポーティーでパワフルなエンジン・マイルドハイブリッドシステムは、燃費効率に加え機敏な走りをサポート。信号の多い街乗りや低速運転に適し、電力モーターの出力を発進時に活用することで、滑らかで力強い加速をアシストする。

1958年にF1で史上初の女性ドライバーを起用した「マセラティ」らしく、自らの可能性に挑戦し続ける現代女性に寄り添ったデザインや仕様で、スポーツカーの魅力をより身近に楽しめることを実現。子どもの送迎や毎日の通勤、週末の長距離ドライブなど日常使いにも最適で、子育てと仕事を両立する女性にも高く支持されている。快適さとスポーツカーらしいパワフルさを兼ね備えたトップクラスのSUVだ。

「テクノロジーと安心感、
上質さを兼ね備えた憧れの車」
by 菜々緒

マセラティ,MASERATI,菜々緒

「ラグジュアリーブランドらしい大人の艶感と、高級感あふれる鮮やかなブルーがとても印象的でした」と“グレカーレ モデナ” のファーストインプレッションを語った菜々緒。また、気持ちを整えるための空間づくりにこだわる彼女にとって、車内での体験は格別だったと振り返る。「イタリアの芸術的で卓越した職人技は、日本の技術にも通ずるところがあるのではと思います。実際にこの車を見て、ディテールへのこだわりと技術の高さ、デザイン力を随所に感じました。ハイテクで近未来的な装備がそろいながらも、ふかふかとしたシートには心地よさを感じ、安心感を与えてくれます」。

多くの女性が憧れる、凛とした強さを持つ彼女と「マセラティ」が創造してきた女性像には、いくつもの共通点がある。「このブランドが描く“自立した女性像”に深く共感しました。私自身も助手席に乗るのではなく、ハンドルを握り自分で運転したいと思うタイプです。運転は気分転換にもなるので、R&Bを聴きながらドライブする時間は日常の大切なひととき。これまでにさまざまなSUVを見てきましたが、私にとっての一番の憧れは『マセラティ』。“グレカーレ モデナ”のような上質な車を乗りこなす女性になれるよう、しなやかに前進し続けたいと思います」。

「マセラティ」創業110年の軌跡

時代をリードする
新生「マセラティ」ファミリー

ジャケット90万2000円、パンツ27万3900円、シューズ18万7000円、
ピアス18万5900円、イヤカフ5万5000円、リング7万3700円/
以上、ジバンシィ(ジバンシィ ジャパン0120-218-025)、
その他 スタイリスト私物

ジャケット90万2000円、パンツ27万3900円、シューズ18万7000円、ピアス18万5900円、イヤカフ5万5000円、リング7万3700円/以上、ジバンシィ(ジバンシィ ジャパン0120-218-025)、その他 スタイリスト私物
PHOTOS : TOKI
STYLING : KAZUHIRO SHIBATA(DRAGONFRUIT)
HAIR & MAKEUP : MAKI YOSHIDA(KURARASYSTEM)
TEXT : RIE KAMOI
問い合わせ先
マセラティ ジャパン

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菜々緒が出合う真のイタリアン・ラグジュアリー 「マセラティ」“グレカーレ モデナ”

イタリア、そして世界を代表する自動車メーカー「マセラティ(MASERATI)」が今年、創業110年を迎えた。常に最新のテクノロジーと革新的なパフォーマンス、ラグジュアリーなデザインを駆使しながら、レーシングカーからスポーツカー、ハイブリッドへと変革を遂げ、世界中のドライバーを魅了してきた。今回は俳優の菜々緒が、ブランドのオリジナルカラー“ブルー・インテンソ”の“グレカーレ モデナ”との格別な時間を体験。業界の最前線を走る両者による、美しい競演に迫る。

伝統と革新、そして日常を調和させた
トップクラスのハイブリッドSUV

マセラティ,MASERATI,菜々緒

「マセラティ」の本拠地・モデナの名を冠した“グレカーレ モデナ”は、スポーティーかつラグジュアリーな装備が特徴的だ。そして“グレカーレ”のコンセプトである“The Everyday Exceptional.(毎日が格別)”を、エレガントかつ都会的なモデルとして象徴している。一瞬で引きつけられるスタイリッシュな佇まいには、メード・イン・イタリーの繊細な美学と先鋭的なデザインが光る。見る角度によって濃淡が艶めくブルーは、古都・モデナのイメージカラーであり、イタリアを囲う地中海や晴れた空、王家への敬意を表すナショナルカラーに着想。“ブルー・インテンソ”と名付けられたこの色は、国産にこだわる「マセラティ」のアイデンティティーを示す欠かせない要素だ。

インテリアには天然皮革をぜいたくに使ったシートや高級オーディオメーカー「ソナス・ファベール」のスピーカーに加え、使い勝手の良いタッチ式の大型ディスプレーやフルデジタルのメーターを搭載した。またスポーティーでパワフルなエンジン・マイルドハイブリッドシステムは、燃費効率に加え機敏な走りをサポート。信号の多い街乗りや低速運転に適し、電力モーターの出力を発進時に活用することで、滑らかで力強い加速をアシストする。

1958年にF1で史上初の女性ドライバーを起用した「マセラティ」らしく、自らの可能性に挑戦し続ける現代女性に寄り添ったデザインや仕様で、スポーツカーの魅力をより身近に楽しめることを実現。子どもの送迎や毎日の通勤、週末の長距離ドライブなど日常使いにも最適で、子育てと仕事を両立する女性にも高く支持されている。快適さとスポーツカーらしいパワフルさを兼ね備えたトップクラスのSUVだ。

「テクノロジーと安心感、
上質さを兼ね備えた憧れの車」
by 菜々緒

マセラティ,MASERATI,菜々緒

「ラグジュアリーブランドらしい大人の艶感と、高級感あふれる鮮やかなブルーがとても印象的でした」と“グレカーレ モデナ” のファーストインプレッションを語った菜々緒。また、気持ちを整えるための空間づくりにこだわる彼女にとって、車内での体験は格別だったと振り返る。「イタリアの芸術的で卓越した職人技は、日本の技術にも通ずるところがあるのではと思います。実際にこの車を見て、ディテールへのこだわりと技術の高さ、デザイン力を随所に感じました。ハイテクで近未来的な装備がそろいながらも、ふかふかとしたシートには心地よさを感じ、安心感を与えてくれます」。

多くの女性が憧れる、凛とした強さを持つ彼女と「マセラティ」が創造してきた女性像には、いくつもの共通点がある。「このブランドが描く“自立した女性像”に深く共感しました。私自身も助手席に乗るのではなく、ハンドルを握り自分で運転したいと思うタイプです。運転は気分転換にもなるので、R&Bを聴きながらドライブする時間は日常の大切なひととき。これまでにさまざまなSUVを見てきましたが、私にとっての一番の憧れは『マセラティ』。“グレカーレ モデナ”のような上質な車を乗りこなす女性になれるよう、しなやかに前進し続けたいと思います」。

「マセラティ」創業110年の軌跡

時代をリードする
新生「マセラティ」ファミリー

ジャケット90万2000円、パンツ27万3900円、シューズ18万7000円、
ピアス18万5900円、イヤカフ5万5000円、リング7万3700円/
以上、ジバンシィ(ジバンシィ ジャパン0120-218-025)、
その他 スタイリスト私物

ジャケット90万2000円、パンツ27万3900円、シューズ18万7000円、ピアス18万5900円、イヤカフ5万5000円、リング7万3700円/以上、ジバンシィ(ジバンシィ ジャパン0120-218-025)、その他 スタイリスト私物
PHOTOS : TOKI
STYLING : KAZUHIRO SHIBATA(DRAGONFRUIT)
HAIR & MAKEUP : MAKI YOSHIDA(KURARASYSTEM)
TEXT : RIE KAMOI
問い合わせ先
マセラティ ジャパン

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2024年ファッション業界 重大ニュース:記者談話室vol.156

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

第156回のテーマは「2024年ファッション業界 重大ニュース」です。ファッションのトレンドからビジネスの再編まで、さまざまな出来事があった2024年ですが、最も印象に残ったニュースはなんでしょうか。3人の独断と偏見でファッション業界の主なニュースを振り返ります。

この配信は以下のアプリでもご利用いただけます。
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日本初の上場企業の女性役員 高島屋の元常務・石原一子さんが100歳で死去 

高島屋の元常務取締役の石原一子(いしはら・いちこ)さんが虚血性心不全のため12月1日に死去した。100歳だった。石原さんは1979年に日本で初めて上場企業の女性役員に就任した(同族経営は除く)。当時は女性活躍の先進事例として大きな話題となり、小説「女重役」(清水一行著)のモデルにもなった。

石原さんは1924年、中国・大連生まれ。東京女子大学卒業後に、一橋大学に初の女子学生として入学した。卒業後は高島屋に就職。2人の子供を育てながら仕事を続け、婦人服やベビー用品などの担当を経て、75年東京店(現日本橋店)の次長(現副店長)に就いた。79年には取締役本社広報室長に抜擢され、上場企業初の女性役員になった。常務取締役などを経て87年に退社した。その手腕を買われて経済同友会にも初の女性会員として迎えられた。大蔵省、経済企画庁、建設省の諮問委員など公職も歴任した。

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