多機能洗顔デバイスでトータルケアを実現する時代へ

 ヤーマン(YA-MAN)は今春、米国発の美容洗顔器「ピーエムディー クリーン(PMD CLEAN)」シリーズを日本上陸させ、全国の取り扱いサロンで展開している。1台で洗顔もエイジングケア*2もかなえる多機能デバイスとして世界25カ国で大ヒットしており、日本でも発売して1カ月、すでに幅広い世代から支持を得ている。

音波の力で毛穴洗浄から
リフトケア*1まで

 中でも人気なのは、同シリーズの中で最上位モデルの「ピーエムディー クリーン プロ プラス」。毎分約7000回の音波振動で肌をスッキリ洗い上げるだけでなく、音波リフトモードを使えば心地よい振動で肌のリフトケア*1をサポートする。さらに、ヘッドの裏面はパワーストーンのローズクオーツからできたプレートとなっており、ボタンを押すと42 °Cまで温まって、同時にリフトケア*1もかなう。そのほかヘッドの裏面が金属パネルからなる「ピーエムディー クリーン プロ」 や、音波洗浄と音波リフトモードの機能のみを持たせた「ピーエム ディー クリーン」をそろえ、ニーズや価格から自由に選べるようになっている。

テクニック要らずで
ケアをかなえる

 毛穴洗浄、リフトケア*1、温熱ケアといった三つの機能は、ボタンを押すだけで簡単に行うことができ、難しいテクニックや手間も不要だ。また、従来の洗顔ブラシと異なりシリコーン製で手入れも簡単ということもポイント。コンパクトで持ち運びや収納にも便利なほか、長めの持ち手で背中やデコルテのケアが簡単にできるのもうれしい。

“美しいメイクには
土台となる肌のケアがカギ”

 メイクは全体を通してベースの土台が一番大切。印象を変える部分になるので、しっかり 洗顔をして基礎化粧品で整えてあげることが重要だ。最近はマスクをつけることが多く、 摩擦で乾燥しやすいので保湿ケアを念入りに行うことも欠かせないだろう。「ピーエムディー クリーン」シリーズは滑らかなタッチで肌への圧が少なく、洗い上がりは透明感のある印象に導く。また、音波振動でリフトケア*1できるのもうれしいポイントだ。肌は髪と一緒で手をかければその分きれいになるので、普段から少しの時間だけでもケアはしっかりしたい。

ニーズや好みで選べる
豊富な種類

 「ピーエムディー クリーン」シリーズは全3種、全5色のラインアップを展開する。最も手頃な「ピーエ ムディー クリーン」は音波洗浄と音波リフト機能を搭載し、2色をそろえる。「同プロ」はさらに金属のプレートをヘッドの裏に施し、温熱音波振動でリフトケア*1を実現。同様に2色をそろえる「同プロ プラス」 は金属のプレートの代わりにパワーストーンとして知られるローズクオーツを用いており、おしゃれな見た目も評判が高い。

注釈
*1 機器で肌を持ち上げること
*2 年齢に応じたケア
PHOTO : HIROKI WATANABE
VIDEO : MITSUNORI OHKUBO

問い合わせ先
ヤーマン
0120-776-282

The post 多機能洗顔デバイスでトータルケアを実現する時代へ appeared first on WWD JAPAN.com.

ランジェリー業界のゲームチェンジャー vol.4 下着専門家を育てるランジェリーカレッジの中根菜穂子

 下着業界はファッション業界に比べるとメディア露出が少なく、またサイズの展開が多いため、在庫管理が複雑、生産工程で使用する資材が多い、生産ロットが大きいなどの理由から新規参入が難しいといわれてきた。大手の下着メーカーおよびアパレルメーカーによる市場の寡占によって、なかなか新陳代謝が進まない印象だったが、ここ数年、D2Cブランドが増加している。また、異業職種からのデザイナー転身やSNSを通じたコミュニティーの活性化など、下着業界では30代の女性を中心に新たなムーブメントが起こっている。下着業界に新風を吹き込むゲームチェンジャーらにインタビューし、業界の今、そして今後の行方を探る。

 第4回に登場するのは、中根菜穂子ランジェリーカレッジ(LINGERIE COLLEGE)代表。ランジェリースタイリストとしてメディアやイベントで活躍する一方、ランジェリーを学び、楽しみ、仕事にするランジェリーカレッジを創設。販売員として6000人以上を接客した経験を生かして、メーカーの枠を超えてランジェリーの魅力と情報を発信し、“ランジェリーで女性の人生はもっと輝く”をモットーに活動の場を広げている。

――ランジェリーカレッジを設立した目的は?

中根菜穂子ランジェリーカレッジ代表(以下、中根):子どもの頃からランジェリーが大好きで、学生時代から下着関連で起業したいと思っていました。ただ、自分でブランドを立ち上げるにもショップを開くにも莫大なお金がかかるという現実がありました。それでも、自分の中にランジェリー以外の仕事をするという選択肢はなく、働きながら将来役立つことを学びたい、経験を積みたいと思い下着の販売職になりました。6年余り百貨店を中心に売り場に立って接客をしていましたが、その販売経験の中で分かったのは、自分の体や下着について悩んでいる女性が本当に多いということ。それまで自分に合った下着に出合わなかったことで、自分の体は人と違うと思い込んでいる人、自分の体を否定し責めている人もいました。その理由を考えると、情報の少なさが原因だということに気付きました。それを解決できる場をつくりたい、悩みに答え、幅広い情報を届けたい、それを一緒にできる仲間を増やしたいと、ランジェリーカレッジを2019年1月に設立しました。現在の私の仕事はランジェリーカレッジの運営が6割、ランジェリースタイリストとしてメディアで対応する仕事が4割というバランスです。

――ランジェリーカレッジの内容は?

中根:自分に合ったブラジャーを選ぶための講座「1DAYランジェリーレッスン」と、業界未経験者でもプロを目指せる「ランジェリースタイリスト養成講座」があります。「ランジェリースタイリスト養成講座」は5日間の「ジュニアスタイリストコース」と、10日間の「マスタースタイリストコース」があり、年2回の募集で5月から5期生の講座がスタートしました。受講者はランジェリースタイリストを目指す人や自分のブランドを立ち上げたりショップをオープンしたい人、ファッションや美容など現在の自分の仕事にランジェリーの知識を生かしたい人が主流です。これまで「ランジェリースタイリスト養成講座」を修了した卒業生が22人いますが、パーソナルスタイリストとして個人のランジェリーショッピングのアテンドを行ったり、一般向けに「1DAYランジェリーレッスン」を開講したり、地方ではメディアで活躍している人もいます。自身のブランドを立ち上げる準備をしている人は3人います。

顧客の中にある正解を見つける手伝いをするのがランジェリースタイリストの役割

――ランジェリースタイリストの定義とは?

中根:メーカーでも販売店でもない、第三の下着専門家で、消費者とランジェリーをつなげることが仕事。ランジェリーに関する知識や技術を習得するのはもちろんですが、講座ではカウンセリングに一番重きをおいています。これは私が約6年間販売職をした中で一番感じたことですが、下着や体について知識を得ても、それを接客で生かすことがとても難しかったんです。売り場でそれがうまくできて、顧客の満足度が上がると、客単価も上がりリピーターになってもらえます。決して自分の考えを顧客に押し付けるのではなく、カウンセリングを通じてときには、顧客自身が気付かない願望を引き出すこと、顧客の中にある正解を見つけるお手伝いをするのがランジェリースタイリストの役割だと思っています。メディアの対応やSNSの発信も同じで、自分の好きなことをただ述べるのではなく、各メーカーやブランドの特徴を理解した上で、プロとして商品提案ができることの重要性を講座では教えています。ファッションやビューティに比べるとランジェリーに関するトピックスのメディア露出はかなり少ないですから、とにかく接点を増やすこと、まずはメディアにランジェリーに興味を持ってもらえるように心掛けています。

――今後、チャレンジしたいことは?

中根:ランジェリーについて話をする場としてランジェリーカレッジのコミュニティーをつくっていきたいです。これまでショッピングアテンドのサービスも講座もリアルにこだわってきました。ただ、コロナ禍で講座もオンラインになりましたし、ランジェリーの選び方などをインスタライブで配信したところ、地方の人など今まで出会えなかった人とつながることができ、「毎週楽しみにしている」「お話を聞いて自分の体が好きになった」といったようなうれしい声も届いています。今後オンラインで、お互いにコミュニケーションできる環境を整えて情報を発信していこうと思います。もう一つは9月に「日本ランジェリースタイリスト協会」の設立を目指しています。卒業生の中にはそれぞれ活躍する人も増えましたし、組織化して、より広くランジェリーの魅力を伝えていきたいです。一般の人向けに、自分の体に意識を向けるきっかけとなる検定や、プロのランジェリースタイリストを目指す人のための検定も予定しています。一般の消費者の間でランジェリーの知識が広がって高まれば、その人の人生が豊かになるだけでなく、商品の価値が伝わり、その結果商品が売れて業界全体が発展すると私は信じています。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

The post ランジェリー業界のゲームチェンジャー vol.4 下着専門家を育てるランジェリーカレッジの中根菜穂子 appeared first on WWD JAPAN.com.

ストックホルムのジュエリー「オールブルース」が10周年 ビオトープとコラボも

 今年創業10周年を迎えるスウエーデン・ストックホルム発のジュエリーブランド「オールブルース(ALL BLUES)」。フレデリック・ナトホルスト(Fredrik Nathorst)とジェイコブ・スカラッゲ(Jacob Skragge)による同ブランドは、ジェンダーレスなミニマルデザインで、性別や年齢を問わずに幅広い層から人気だ。アイテムにはリサイクルされたスターリングシルバーやゴールドが用いられており、ストックホルムで3代にわたる鋳物工場が手作業で製作する。ECサイトのほか、世界11カ国のセレクトショップで販売されており、日本ではビオトープ(BIOTOP)、ドーバー ストリート マーケット(DOVER STREET MARKET)、ジャックポット(Jackpot)などで取り扱う。

 10周年を記念して、ビオトープ(BIOTOP)とのコラボコレクションが7月23日に全国のビオトープと公式ECサイトで発売される。創業者の一人、ジェイコブ・スカラッゲにこれまでの軌跡やコラボレーションへの思いを聞いた。

WWD:2人はどこで出会い、なぜジュエリーブランドを始めようと思ったのか?

ジェイコブ・スカラッゲ「オールブルース」創業者(以下、スカラッゲ):僕とフレデリックは高校で出会った。僕らはナイーブで好奇心旺盛なところが似ていて、音楽やファッションの趣味も共通していた。当時の僕らにとって、これだけたくさんのブランドが世の中に溢れているのに自分たちとつながりを感じるジュエリーブランドがないことが不思議だった。そこで僕らは自然とこの分野で何かできるかもしれないと考え始め、高校卒業後20歳のときに「オールブルース」を立ち上げた。

WWD:ジュエリーやビジネスに関する知識はどこで学んだ?

スカラッゲ:僕らは初め、専門的な知識が何もなかったんだ。しかし、知識がないままに進むのは非効率だったので僕はビジネスを、フレデリックはアートディレクションを学ぶためにあらためて学校に通い、学びながら実践していった。おかげでたくさん失敗もしたが、とにかく良い製品を作ろうとひたすら努力した。現在デザインは2人で考えているが、フレデリックは主にクリエイティブに関すること、僕はビジネスに関することを担当している。

WWD:ブランド名に込めた思いは?

スカラッゲ:マイルス・デイビス(Miles Davis)の曲からとった。10年前にフレデリックの家のキッチンで自分たちの商品を製作していたころ、僕たちはジャズとブルースばかり聴いていた。中でもこの曲は当時の僕たちが感じていた若さや興奮をよく表現している曲だったんだ。

WWD:10周年を迎えた気持ちは?

スカラッゲ:10年も続くなんて思ってもいなかったよ。もちろんうれしいけど、僕の性格上あまり過去を振り返るタイプではない。こんなに長く同じことを継続できるなんてエキサイティングだ。

WWD:女優のエマ・ワトソン(Emma Watson)が愛用者として知られている。彼女はどうやって「オールブルース」を見つけた?

スカラッゲ:ある日、彼女のスタイリストのレベッカ・コービン・マーレイ(Rebecca Corbin Murray)から連絡があった。彼女がエマに「オールブルース」を紹介してくれたんだけど、僕たちのブランド哲学や、ストックホルム国内で製作している背景などにも共感してくれたんだ。エマのような素晴らしい人が着用してくれたおかげで、信頼できるブランドだと人々に思ってもらえるきっかけになったと思う。

WWD:なぜストックホルムでの生産にこだわるのか?

スカラッゲ:まずは製品のクオリティーを保つためだ。この土地には素晴らしいクラフツマンシップがある。ほかで作ればコストを抑えられるかもしれないが、何世代も受け継がれてきた知識や技術を守ることの方が大切だと考えるからだ。実際に僕たちがお願いしている金細工職人の工場は、僕らのオフィスのすぐ近くにある。職人たちの近くで働くことで、知識のない僕たちは効率よく学ぶことができた。材料の輸送など交通に関わる環境コストを抑えられることもメリットだ。

WWD:デザインへのこだわりは?

スカラッゲ:日常使いができてリッラックスできるデザインにこだわっている。シンプルなものは一歩間違えればつまらなくなる。僕たちはシンプルなデザインの中にもスピリットやエナジーを感じられるように心掛けているんだ。

WWD:ジェンダーを意識させないデザインも特徴だ。

スカラッゲ:ユニセックスのブランドだが、特定の女性や男性をイメージして作るときもある。しかし女性だからこうあるべきだ、というようなラベルを貼ることはしない。僕らは従来のファッションマーケットが生み出してきた偏ったジェンダーイメージに違和感を覚えていて、「オールブルース」ではリアルな人々の個性を大切にしたいと思ったんだ。

WWD:この10年の間に顧客層に変化はあったか?

スカラッゲ:最初はメンズジュエリーブランドとして開始した。その後2015年にウィメンズ商品を発売し、女性客も増えた。今ではジェンダーレスなブランドとして、幅広い年齢層の顧客がいる。僕らの商品が多様な人に受け入れられていることはとてもうれしい。美しさの本質を理解していればどんな顧客ともつながることができるんだ。

WWD:広告ビジュアルにも多様性を取り入れている。

スカラッゲ:その通り。僕らにとって年齢は関係ない。どんな人でもナチュラルなメイクと光でその人の個性が出るビジュアルを意識している。そのナチュラルな雰囲気が「オールブルース」らしさだ。

WWD:ビオトープとのコラボについて教えて欲しい。なぜ今回コラボすることになったのか?

スカラッゲ:ビオトープは日本で初めて「オールブルース」を取り扱ってくれた店だ。そのビオトープが偶然にも僕たちと同じ年に10周年を迎えることを知り、何か特別なアイテムを一緒に作ろうという流れになった。思い入れの強いビオトープと一緒にコラボできてとてもうれしい。コレクションは僕らの共通点でもある数字の“10”をテーマにデザインした。どれもシンプルで、僕たちが何者であるかをよく表現できていると思う。

WWD:これから挑戦したいことは?

スカラッゲ:今年の挑戦として、夏に初の店舗をストックホルムに出す。また新しいECサイトも立ち上げる予定だ。いつか成し遂げたい夢は、大好きな日本に店舗を出すことだ。

The post ストックホルムのジュエリー「オールブルース」が10周年 ビオトープとコラボも appeared first on WWD JAPAN.com.

パリ老舗百貨店ル・ボン・マルシェに新たな“美のメッカ”誕生 メイクアップ中心の美容コーナー開設

 新型コロナウイルスによる経済への影響が続くフランスだが、パリの百貨店では新しい美容コーナーが続々と誕生し、活気を取り戻しつつある。

 パリ左岸の老舗百貨店ル・ボン・マルシェ(LE BON MARCHE)は、メイクアップを中心とした美容コーナー「ラトリエ・マキアージュ(L’Atelier Maquillage)」を6月上旬にオープンさせ話題を呼んでいる。売り場は本館2階にあるレディースファッションフロアの中央に300平方メートルの広さを誇り、壁一面を700個の顔料瓶で装飾されている。「ローラ メルシエ(LAURA MERCIER)」「ボビイ ブラウン(BOBBI BROWN)」「NARS」「バイテリー(BY TERRY)」が1階から移設されたほか、「ラ ブーシュ ルージュ(LA BOUCHE ROUGE)」「キュアバザー(KURE BAZAAR)」や、フランス初上陸の「スック(SUQQU)」とイギリスの眉毛ケア専門店「ブリンク・ブラウン・バー(BLINK BROWN BAR)」がエクスクルーシブで加わり、8つのメイクアップブランドを展開する。

 フランスに初上陸を果たした「スック」は、欧米人の肌にも対応する豊富なカラーバリエーションのファンデーションやアイシャドウ、リップなどのメイクアップとスキンケアラインがそろう。日本で人気の顔筋マッサージ専用クリーム「デザイニング マッサージ クリーム」88ユーロ(約1万600円)も取り扱う。売り場奥には施術ルームを完備し、顔筋フェイスケアが30分55ユーロ(約6600円)、顔筋フェイスケアにメイクアップがついたメニューが60分80ユーロ(約9600円)で受けられる。現在は直接肌に触れる施術が許可されていないが、再開後の予約リストは数カ月分がすでに埋まっているという。

 フランスで初登場となる「ブリンク・ブラウン・バー」は、イギリスでは百貨店のハーヴェイ・ニコルズ(HARVEY NICHOLS)やセルフリッジズ(SELFRIDGES)をはじめブロウバーを28店舗構える。古くから伝わるインドの毛髪除去技術をベースにした、糸を使用する眉毛カットが22ユーロ(約2600円)で受けられる。インド・スリランカ発祥の伝統医療であるアーユル・ヴェーダに基づいて目の周りをマッサージし、眉に栄養を与えるオイルを塗って、顔の形に合ったデザインに眉カットを施す。ブロウバーの店舗内では眉ケアやメイクアップ製品などを購入することもできる。

 そのほかにカラーのオーダーメイドが可能で詰め替え式のサステナブルな商品を展開する高級リップブランド「ラ ブーシュ ルージュ」や、USDA認証を得たオーガニック原料を使った詰め替え式ビーガンリップを発売した「キュアバザー」も取り扱う。さらに9月にエクスクルーシブで「シャーロットティルブリー」を導入する予定だ。

 美容部門ディレクターのアクセル・ロワイエール(Axelle Royele)は「2015年にオーガニックとニッチ美容をメインにしたコーナーをスタートして以来の新プロジェクトだ。メイクをする喜び、革新、色の専門家によるサービスを最大限に感じられる空間作りに挑んでいる。昨今のお客さまは商品を求めているのではなく、センスや体験を求めている。メイクをすることでポジティブなエネルギーを作ることが今の時代に必要」と語る。同百貨店の化粧品フロアは1階がメインでメイクアップ、スキンケア、フレグランスを展開している。15年にオーガニックとニッチ美容を集めたコーナーを2階にオープン。今回は2階のウィメンズファッション売り場の中に新たに美容コーナーを開設した。周囲はデザイナーズブランドやスポーツウェア、ランジェリーの売り場に囲まれている。

 さらにパリ右岸のギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)本店でも新たにクリーンビューティに特化したコーナーをスタートさせている。フェイスヨガをはやらせた、サプリメントとスキンケアのブランド「ホリデルミ(HOLIDERMIE)」、上質なオイルに特化したイギリスのブランド「ヴォタリー(VOTARY)」、アルプスの薬草をベースにしたスイスの「スーザン・カウフマン(SUSANNE KAUMANN)」など約20ブランドを取り扱う。

 当分は外国人観光客が訪れない環境下、百貨店ではコロナ疲れのフランス人の心をつかむ新たな取り組みが求められているようだ。

須山佳子/コンサルタント:2001年に渡仏しMBAを取得。ファッション業界で働き、09年に日本の美容ブランドを欧州市場へ売り込むコンサルティング会社設立。取引先は欧州の高級百貨店、美容ストア等。パリ市内でポップアップストア「Bijo;」主宰

The post パリ老舗百貨店ル・ボン・マルシェに新たな“美のメッカ”誕生 メイクアップ中心の美容コーナー開設 appeared first on WWD JAPAN.com.

オンワード保元社長が再びZOZOと組んだ理由 老舗は「デジタル流通企業」に変われるか

 オンワードホールディングス(HD)がZOZOとの協業を発表した。オンワードのオーダーメードブランド「カシヤマ(KASHIYAMA)」とZOZOがゾゾスーツで得た100万件以上の体形データを連携させた服を「ゾゾタウン」で8月から販売する。目指すのは、オンライン完結で簡単にオーダーメードできる事業の拡大だ。オンワードHDはZOZOが2018年末に導入した会員向けの割引サービス「ゾゾアリガト」に反発してゾゾタウンを退店した経緯がある。約1年半ぶりの“雪解け”は「メーカー機能を持ったデジタル流通企業」を掲げるオンワードHDの改革の一里塚でもある。保元道宣社長に狙いを聞いた。

WWD:一度は袂を分かったZOZOと協業に至った経緯は?

保元道宣社長(以下、保元):昨年9月、ZOZOの社長に澤田(宏太郎)さんが就任したことが発端だった。澤田さんとは個人的に10年以上のお付き合いがある。09年12月に当社が自社EC「オンワードクローゼット」を立ち上げた際、私がEC担当の執行役員、澤田さんはEC支援のスタートトゥデイコンサルティング(13年にZOZOに吸収合併)の社長として、一緒にプロジェクトを進めた。ZOZOの社長就任に際して祝電を送り、12月に会食した。当社の「カシヤマ」とZOZOのマルチサイズプラットフォームの話が出て、一緒に何かできないだろうかとなった。すぐに現場の担当者同士で具体的なシステム連携などを煮詰め、協業への道筋が決まった。スタートは8月だが、実際はコロナ前から進めていた案件だった。

オンライン完結型の可能性を探る

WWD:ゾゾタウンに約1年半ぶりの再出店だ。

保元:退店の理由だった「ゾゾアリガト」は終了しており、わだかまりはない。それに今回のカスタマイズは既製服と違い、ZOZOに在庫を預けて販売する形態ではない。「カシヤマ」は成長しているものの、顧客基盤は40代以上のお客さまが中心だ。ZOZOを利用する若い世代との接点を増やしたい。もう一つの狙いは、オンライン完結型の強化だ。

WWD:テーラードスーツを主力にする「カシヤマ」は、1着目は店舗で細かく採寸し、2着目以降はオンライン購入を促す手法だった。

保元:カスタマイズはリアル店舗で丁寧に採寸するのがベスト。店舗で採寸した体形データをパターン(型紙)に自動変換し、中国・大連の自社工場を動かして、最短1週間でお客さまの手元に届ける。この仕組みが「カシヤマ」の最大の強みだ。ただ、一方で来店せずにオンライン上だけでの注文を望むお客さまの声もある。オンライン完結型は自社サイトでもやっているが、ZOZOと組めばもっと多くの方々に利用してもらえる。日本の地方、あるいは海外市場を考えると採寸のためのリアル店舗を増やし続けるのも限界がる。ひとまず約50〜60店舗(7月現在33店舗)を目指しているが、オンライン完結で顧客満足を高める手法も磨く。ZOZOはその良い機会になる。

WWD:ZOZOでのカスタマイズ事業で5年後の売上高100億円を掲げている。

保元:もともと「カシヤマ」は自社のリアル店舗とECで250億円の売上高目標を掲げてきた。(集客力のある)ZOZOへの出店でそれくらいに成長させたい。メンズ・レディスのスーツだけでなく、カジュアルセットアップ、シャツ、靴などアイテムも広げるZOZOではカスタマイズの協業と同時に、既製服の「J.プレス(J.PRESS)」「ジョゼフ(JOSEPH)」など11ブランドも同時に出店する。

当社の場合、EC売上高のうち自社ECの割合が8割と高い。私は自社ECが7割、他社ECが3割くらいのバランスがちょうど良いと考えている。自社ECを中心にしつつ、ZOZOなどの他社ECで新しいお客さまとの接点を広げる。

リアル店舗を半分に減らす

WWD:中核会社のオンワード樫山などの百貨店を主力にした既存事業に大ナタをふるっている。昨年から今年にかけての構造改革でリアル店舗を約1400店舗も撤退させ、ほぼ半減させた。

保元:今後オンワードが目指すのは「メーカー機能を持ったデジタル流通企業」だ。コロナによって社内の意識改革がだいぶ進んだ。これまでずっと店頭第一でやってきた。もちろん店頭は大事だけれど、社会のデジタル化が進めば、店頭とウェブの境もなくなる。コロナは頭を切り替える機会になった。

WWD:半減させたリアル店舗はどう変わるのか。

保元:リアル店舗はまず集約を進めている最中で、具体的な変革は少し先になる。まだ仮説の段階だが、既存ブランドをいかにデジタルトランスフォーメーション(DX)して競争力を高めるかがカギになる。集約した売り場の販売効率を上げる。例えば一つの百貨店の中で複数のブランド単位で分散していた売り場をまとめて複合型店舗を作る。またリアル店舗の欠品を恐れて供給過多になる嫌いがあった。ECとの在庫連動でこういった非効率を減らす。仮に売り場に色やサイズの在庫がなくてもECから速やかにお客さまに届ける。今後は地方百貨店の撤退でリアル店舗での接点がなくなってしまう地域も残念ながら出てくる。ウェブに誘導するだけでなく、ポップアップショップなどを設けて、商品を手にとっていただく機会を作る。これらの仮説を2〜3年かけて落とし込むフェーズに入る。コロナが長期化する前提で、リアル店舗とウェブのシームレス化の戦略を考える。

新規ブランドはD2Cが中心になる

WWD:今春スタートした「アンクレイヴ(UNCRAVE)」などD2Cの新しいブランドの導入にも積極的だ。

保元:D2CブランドはEC拡大の切り札だ。今後、新しいブランドの開発はD2Cが中心になるだろう。16年に買収した婦人服のD2C「ティアクラッセ(TIACLASSE)」は、コロナ禍で売り上げが3倍になった。「アンクレイヴ」の滑り出しも好調だった。ウィズコロナの時代は、オンライン完結の需要が伸びる。出店しなくても全国からお客さんを呼べる。リアル店舗のブランドのように売上高が何百億円にならなくても、損益分岐点が低いので利益が出やすい。D2Cブランドは数十億円の規模でよい。規模よりもウェブ上で埋もれない際立った個性が大切だ。

リアル店舗を前提にしたブランドと、オンラインを前提にしたブランドは少し違う。リアル店舗のブランドは百貨店やショッピングセンターのMDの中でどう見えるかが大切だし、坪効率のためマスに広げざるを得ない。一方、オンラインは見え方がフラットになる。商品そのものにしっかりした主張がないと埋没する。アイテム軸だったり、サイズ軸だったり、マスブランドで十分に対応できていなかったMDが不可欠になる。

WWD:既存のリアル店舗のブランドをどう立て直すか。

保元:リアル店舗とECの境界線はなくなる。リアル店舗の顧客には「23区」と「組曲」の違いは伝わるだろうが、初めてオンラインで接するお客さまにちゃんと伝わるかが課題だ。ブランドのステートメントをもう一度明確にしないといけない。基幹ブランドである「23区」「組曲」「ICB」「自由区」は平成の初期にデビューして、おおむね30年くらい経つ。これらの棚卸しも必要だ。もう百貨店やSCの集客力に頼れる時代ではない。お客さまのライフスタイルに合わせて進化しなければ生き残れない。次の30年に向けて基幹ブランドを再定義する。

WWD:売上高に占めるECの割合(EC化率)を50%に高めると宣言した。

保元:緊急事態宣言による店舗休業の影響で第1四半期(20年3〜5月期)のEC化率は45%に達した。店舗が再開した6月も35%と高止まりしている。デジタル流通企業に進化するならEC化率50%が一つの目安だ。当初は時間がかかると考えていたが、コロナ禍に背中を押されて3〜5年で達成できるかもしれない。「デジタル流通企業」でなければ生き残れないと社員の多くも痛感したはずだ。

今はECの拡大など販売主軸のDXだが、今後は商品企画、生産、物流などサプライチェーンのDXに向かうことになる。さいわい「カシヤマ」のカスタマイズ事業で一つの形を作ることができた。これからは既製服でもDXを進めるし、さかのぼって川上(素材・染色など)でも可能性を探っていく。

The post オンワード保元社長が再びZOZOと組んだ理由 老舗は「デジタル流通企業」に変われるか appeared first on WWD JAPAN.com.

カニエ・ウェストのビューティブランドは成功するのか? カーダシアン家のビューティビジネスとともに編集部が勝手に妄想

 このたび、ビューティにまつわるニュースを編集部員が語り合う「WWDビューティポッドキャスト」がスタート!毎回「WWD JAPAN.com」や週刊紙「WWDビューティ」の中から編集部が気になるニュースやトピックスをピックアップし、語り合うコンテンツを解説とともにお届けします。

 記念すべき第1回は、カニエ・ウェスト(Kanye West)が自身のブランド「イージー(YEEZY)」に関してビューティアイテムの商標申請をしたニュースについて話しました。ファッションとビューティ業界のビジネスを20年近く取材し、両業界に精通している「WWD JAPAN.com」デジタルデスクの福崎明子と、帰国子女で米「WWD」のニュースの翻訳を担当する北坂映梨「WWDビューティ」記者がカニエのビューティビジネスの可能性について語りました。加えて妻であるキム・カーダシアン(Kim Kardashian)や義理の妹のカイリー・ジェンナー(Kylie Jenner)をはじめ、カーダシアン一家のビューティビジネスについても解説しました。なおこれらのニュースの詳細は下記の関連記事からアクセス可能です。

The post カニエ・ウェストのビューティブランドは成功するのか? カーダシアン家のビューティビジネスとともに編集部が勝手に妄想 appeared first on WWD JAPAN.com.

夏場も続くマスク着用、「日焼け止め」は使うべき?

 経済活動や人の移動が再開する一方で、新型コロナウイルスの流行は「収束」とは言いがたい状態が続いている。今しばらくは外出時、特に人が集まる環境下において、マスク着用は続きそうだ。本格的な夏を迎えるにあたり、個人的に気になるのは「マスクと紫外線」の関係である。「この夏はマスク焼けするかもね」と、冗談まじりで話していた時期もあったが、実際問題マスクの下にもUVケア(日焼け止め)は必要なのだろうか?資生堂グローバルイノベーションセンターの中西紘美研究員に話しを聞いた。

一般的な不織布マスクは、紫外線を通すのか?

 マスク着用時は、顔の半分をすっぽり覆われている状態にある。素朴な疑問として、マスクは紫外線を透過するのだろうか? 中西研究員は「意外に透過しているんだな、というのが実験をしていた時の正直な感想です」という。

 「肌に何もつけていない時の紫外線透過率を100%とすると、一般的な白い不織布マスクの場合、厚みや繊維の構造にもよりますが、私たちが実験したマスクの中では約14%~20%透過していました」。だとすると、8割も紫外線をカットしているわけで「UVケアは必要ないのでは」と思う方もいるだろう。しかし、透過する紫外線量と紫外線を浴びる時間を、SPF値の観点から数値化し、UVケアを塗布した場合と比較してみると「意外に透過している」という言葉の意味が理解できる。

 「肌に何もつけていない場合の紫外線透過率を100%とすると、SPF50+・PA++++の UV ケアを正しく塗布した場合、理論値で考えると紫外線の透過率は『2%以下』に抑えられると考えられます。しかし、実験で使用した不織布マスクのみの場合、『約14~20%』透過していました」。

 実に7倍以上の差があるわけで、紫外線を浴びる状態が続くほど、ダメージの蓄積にも差がつく可能性がある。目に見える日焼けはもちろん、肌内部に炎症を発生させたり、コラーゲン組織の破壊にも影響を及ぼし、光老化の原因となることも。「このことから、マスク着用時にもUVケアは必須であると資生堂は考えています」と、中西研究員。

色や素材によって、マスクの紫外線透過率は変わる

 現在ファッションブランドのオリジナルデザインや、ハンドメイドのマスクを含め、実に多種多様なマスクが存在している。素材、色、厚み、繊維の密度、そして形状もさまざまで、全てを一概に語ることは難しい。

 「あくまで一般論としてですが、白などの薄い色よりも黒など濃い色の方が、紫外線の透過を防ぐ働きがあります。また編み目が粗い繊維より、密に編み込まれた繊維のほうが、透過しにくいといえるでしょう。また顔にピタッとフィットする形状と、隙間が空く形状では、後者のほうが紫外線を浴びる可能性が高まります」。

 一方で、どんな色、素材、形状のマスクであっても、ランチの時など「生活の中でマスクを外すシーン」は、必ず存在すること。加えて仕事が外勤であったり、内勤の場合もオフィスの席が窓際にある方は、紫外線リスクも高い状態にあり、夏場はUVケアの使用を推奨したい。ちなみにマスクに覆われている……という、特殊な環境下において、選ぶべきUVケアとはどんなものだろう?

マスク着用時に選ぶべきUVケアの条件とは?

 「夏場は皮膚温が上昇し汗もかきますので、マスクの中は高温多湿で崩れやすい状態になります。まずは汗・水に強い、ウオータープルーフタイプが望ましいでしょう。また、マスクを着脱するシーンは生活の中に必ず存在しますので、こすれに強い機能も必要です。これまで、このようなタイプのUVケアはレジャーシーンでの使用を想定されていましたが、夏場のマスク着用時には合っていると思います」という。

 物理的にマスクで顔を覆う分、SPF値は日常紫外線をカットするSPF30程度あれば十分という。ただ、個人的な肌感覚としては「汗水に強く、こすれにも強いUVケアは、それこそ高SPF値のレジャー仕様では」と思わなくもないけれど……。

 「ひと昔前までは高SPF値のUVケアに、白浮きや伸びが悪い、肌に負担になりそうというイメージをお持ちの方も多かったと思います。近年ではテクスチャーが進化して、日常的に心地良くお使い頂けるものも増えています。フィット感が軽く、肌に負担を感じないものであれば、もちろん高SPF値のUVケアをお使い頂いて大丈夫です」と語る。

 その一方で、これだけ長期間に渡りマスク着用習慣が続くのは、これまで経験したことのない状況でもある。資生堂の研究でも、マスクによって肌の不調を感じている人が増えているという。「いつもと違う肌状態を感じたら、無理せずに低刺激設計のUVケアをお使い頂けたらと思います」と、中西研究員。

 以上をまとめると、1、汗・水に強いもの。2、こすれに強いもの。3、感触と塗布膜が軽やかなもの。4、(敏感に傾いた場合は)低刺激性のもの。5、SPF値は30以上、これらが夏のマスク着用下にふさわしいUVケアの条件といえそうだ。以下に、今シーズン登場したUVケアから、マスク着用時に最適なものを、いくつかピックアップしたい。

汗・水・熱で塗布膜を強化する、高機能UVケア 「アネッサ」

 紫外線防御効果と、崩れにくさに定評がある、資生堂の「アネッサ(ANESSA)」シリーズ。「パーフェクトUV スキンケアミルク a」はSPF50+・PA++++という国内最高基準の紫外線防御効果に加え、こすれにも強く、汗や水に触れることで塗布膜を強化する、独自の技術が採用されている。さらに今シーズンは、夏特有の「熱」を感知すると、塗布膜が強化される機能も追加に。高温多湿、こすれやすいマスク着用の環境に、あらゆる角度から対応する点が頼もしく、みずみずしい感触で肌を1日中守ってくれる。

空気のように軽やかな、ストレスフリーのつけ心地 「イヴ・サンローラン」

 現代女性特有の「過労肌」に注目した「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」のスキンケア、ピュアショットシリーズから誕生した「ピュアショット UV50」。従来品の8分の1という薄さのエアリーフィルム処方を採用し、空気のように軽やかなつけ心地を実現。薄膜で肌にフィットし、紫外線や大気汚染物質など外的環境からも肌を守りながら、シトラスピールとビタミンE・B3の力で、肌を明るく整える効果も。マスクで覆われた状態でもストレスを感じることなく、1日中いたわりたい。

「赤色光」を味方につける、新発想の日中用美容液 「ポーラ」

 太陽光に関する斬新な知見で「日中のスキンケア効果」を追求したのが、「ポーラ(POLA)」の「B.A ライト セレクター」だ。SPF50+・PA++++のプロテクト効果で、肌にダメージを与える紫外線と近赤外線はしっかりカット。同時に肌の土台となる構造を強化し、ハリ・弾力感を支える「赤色光」のみを選択的に透過するというスマートな設計だ。B.Aシリーズと共通のスキンケア成分を配合し、マスクの着用で機能が低下した肌をいたわる働きも。大人の肌のための日中用エイジングケアとして活躍させたい。

敏感に傾いた肌を守り、1品で薄化粧効果も 「アクセーヌ」

 まるでスキンケアクリームのように柔らかな保湿感で、敏感に傾いた肌をいたわる「アクセーヌ(ACSEINE)」の「スーパーサンシールド ブライトヴェール」。SPF50+・PA++++の紫外線防止効果と同時に、肌に負担を感じにくい低刺激設計にこだわった1品だ。今シーズンは角層のセラミド生成力を促す効果が加わり、肌自らのバリア機能をサポートする働きが向上。ほんのりピンク色で、肌を自然にトーンアップする効果も。1品で薄化粧効果もある多機能さが、デリケート肌の女性たちに支持されている。

マスク着用時は「ぬり方」にもひと工夫を

 崩れやすく、こすれやすい「夏のマスク着用時」のUVケアは、塗り方にもちょっとした工夫を取り入れたい。「まずは塗りムラができないことが重要です。顔全体に塗布する場合は、両頬・額・鼻筋・あご先の5点にUVケアを置き、そこからフェイスラインや顔の中央に向け、均一に伸ばしていきます」(中西研究員)。

 手のひらに取りそのまま塗布すると、塗り始めの部分にぼてっと厚くつきやすくなる。しかし、5点に置いてから伸ばすと、顔全体に均一に広がりやすいという。「マスクの着脱でこすれやすい肌との境目と内側は、特にしっかりカバーを。資生堂はこのエリアをチューリップゾーンと名づけ、重ねづけを推奨しています」。

 そして、「適量」を使うこともポイントとなる。使用量が少ないと塗りムラが発生しやすいことに加え、製品に表示されたSPF値の防御効果を発揮できない場合もあるからだ。使用量の目安を守り、顔はもちろんマスクから露出するフェイスラインもしっかりプロテクトしよう。

 改めて「真夏に長期マスクを着用する」という経験はこれまでになく、「多くの女性がマスク着用を経験するであろう」という意味で、今シーズンは極めて特別な夏といえそうだ。紫外線や蒸し暑さと折り合いをつけながら、光老化から肌を守るために、UVケアとも上手につき合いたい。

宇野ナミコ:美容ライター。1972年静岡生まれ。日本大学芸術学部卒業後、女性誌の美容班アシスタントを経て独立。雑誌、広告、ウェブなどで美容の記事を執筆。スキンケアを中心に、メイクアップ、ヘアケア、フレグランス、美容医療まで担当分野は幅広く、美容のトレンドを発信する一方で丹念な取材をもとにしたインタビュー記事も手掛ける

The post 夏場も続くマスク着用、「日焼け止め」は使うべき? appeared first on WWD JAPAN.com.

「セシルマクビーの時代の終わりはずっと前から感じていた」 社長が語る全店閉鎖の背景

 “ギャル”ブランドの代表格であり、1996~2000年代のセクシーカジュアルブームの中、渋谷109店で月商1億円を誇った「セシルマクビー(CECIL MCBEE以下、セシル)」(ジャパンイマジネーション、木村達央会長兼社長)が年内を目途に全43店を閉鎖する。87年にスタートした「セシル」は、90年代以降の日本のファッション産業そのものを象徴する存在の一つだったとも言える。木村会長兼社長に「セシル」閉店について聞いた(ジャパンイマジネーションが「セシル」閉店と併せて描くグループ事業再構築策や、「セシル」が克服できなかった課題については、「WWDジャパン」7月27日に詳報予定)。

WWD:基幹の「セシル」など計8ブランド(うち1ブランドは子会社による「ナイン(NINE)」)の店舗を閉店し、「アンクルージュ(ANK ROUGE)」「スタニングルアー(STUNNING LURE)」など4ブランドを存続させることになる。

木村達央会長兼社長(以下、木村):「清算」「解散」「廃業」など、世の中にはさまざまな言葉があるが、それらは当てはまらない。ましてや「倒産」でもない。日本語の「リストラ」ではなく、英語の「リストラクチャリング(事業再構築)」だ。ただ、コロナショックもあって、このままだとちょっと危ないというのは事実。だからこそ、そうならないうちに事業を再構築する。退却できる部分は退却し、成長できる部分を残そうと考えた。「(アパレルは)時代対応業」という言葉を昔からよく使ってきたのに、それを自社として体現できなかったことは反省している。

WWD:社員は現570人を、約70人(どちらも子会社含まず)に絞ることになる。

木村:今の時代はECもあるが、小売業は実店舗の販売員の力に支えられてきた。500人のうちの大部分は若い世代の販売員だが、できる限り手厚い再就職支援を行う。会社として人材紹介企業と契約し、必要に応じて相談に乗るようにしている。もちろん、最後まで給与の支払いもするし、退職金も条件通り出す。取引先への支払いも同様だ。社内にはかなり前から業績は包み隠さず話してきた。7月20日にメディアで事業再構築を公表したが、1カ月前から各地域をまわって店長には説明をし、その後は主要取引先や出店先も訪ね歩いた。関係者の方で、事業再構築についてメディアを通して初めて聞いて驚いたという人はいないはずだ。

WWD:ファストファッションの影響は大きかったが、やはりコロナショックがダメ押しとなった?

木村:きっかけがコロナであることは間違いない。ただ、「セシル」の時代が終わったということはもうずっと前から感じていた。ブランドには、旬な時代というものが僕はあると思う。「セシル」はブレークしてから26年経つが、ブレークからの10年は右肩上がり、その後の10年は1店あたりの売り上げは落としつつも余力でやっていた。ただ、この数年の売り上げは苦戦していた。アパレル一般の話として、9、10月は秋冬物の仕入れ時。店頭売り上げが回復しない中で、デベロッパーによっては家賃を平常に戻すという動きもある。そうなると、9、10月は資金的にかなり苦しいと感じる会社も増えるのではないか。本当に大変なのはこれから。当社のようにグループで92店を閉鎖という規模はさすがにあまりないだろうが、20~40店を閉めるという話は業界内でも聞こえてくる。

WWD:「セシル」は歴史も長くブランド認知度も高い。事業譲渡という形もあり得るのでは。

木村:現時点では決まっていることはない。今後もジャパンイマジネーションは「セシル」の商標権を持ち、サングラスや水着などのライセンスの管理は行う。ただ、「『マルキューのセシル』とは違う、『新しいセシル』をやらせてほしい」という声はある。「新しいセシル」を広げていくことは僕の力ではできないが、将来(事業譲渡などによって)その可能性はあると思っている。

WWD:日本のファッションビジネス史に大きく名前を刻んだブランドだったと思う。改めて、思い出を振り返ると。

木村:ピークの時代のお客さまからの圧倒的な支持は忘れられない。地方に「セシル」をオープンすればかなりの行列ができ、救急車が出動するような事態もあった。セールや福袋の販売時もビックリするくらいお客さまに来ていただいて、渋谷109の福袋の販売では宮益坂まで行列が続いたこともあった。時代はここで変わる。コロナを経たニューノーマルには、「セシル」が表現してきたようなモノとは全く異なるモノが求められる時代になるという予感が強くしている。ただ、渋谷109のブームの前には丸井がけん引した平成ブランドブームがあったし、その前は渋谷パルコなどによるDCブランドブームがあった。だから、次の時代には次の時代のヒーローやヒロインが必ず出てくる。そうデベロッパーにも伝えている。

The post 「セシルマクビーの時代の終わりはずっと前から感じていた」 社長が語る全店閉鎖の背景 appeared first on WWD JAPAN.com.

#敦子スメ「新月・満月」ノート 今回の新月(7月21日)は私たちの“ホーム”、海に意識を向けてみよう

 この連載では、新月・満月の流れを最大限に引き出すためのサポートをしてくれるコスメやインナーケアアイテムも紹介していきます。第15回は7月21日の新月とおすすめコスメについてお伝えします。

今回の新月(7月21日)はかに座

 7月21日の新月は、かに座で起こります。実はかに座での新月は前回に引き続き2回目。前回は“居心地のよい環境づくり”ということで家の中を快適に過ごすアイテムを提案しましたが、今回は少し意識を広げて、家の中だけでなく、自然環境そのものに目を向けてみたいと思います。かに座の特徴として“群れる”“仲間意識を持つ”“大切なものを守る”“感情でつながり、共感する”などが挙げられます。水の星座であり、ほっとするような安心感を共有したいといわれるかに座のキーワードは“基盤”。私たちの暮らしでいうと家庭そのものや自分のふるさとなど、地域に根ざしたものもイメージできますが、大きな視点からいえば自然環境も私たち人間の住む“家”と捉えることができるかもしれません。

今回の新月コスメ

 今回注目したいのは、家庭から出る排水とそれにつながっている海のこと。そもそもナチュラルコスメはそのパッケージも中身も環境に配慮されたものが多いのが特徴ですが、その中でも今回は家庭から出る排水にフォーカスした商品をピックアップ。私が初めて出合った環境系の洗剤で実際に使っているのは、石油系合成洗剤による水質汚染問題に心を痛めた科学者の思いから生まれたドイツブランド「ソネット(SONNET)」です。食器用・洗濯用洗剤の原料には天然成分である植物性および鉱物性のもののみを使用し、それだけでなく、水が自然のサイクルにより早く戻るための製法を採用しているそうです。

 商品を使うことで水を自然再生させ、活力を与えるという画期的なプロダクトを生み出しています。人気が高いのは食器用洗剤の「ナチュラルウォッシュアップリキッド」。レモングラスの爽やかな香りが特徴で、野菜や果物洗いにも使用できます。手肌にやさしく、洗い上がりもすっきりしています。

 もう一つのおすすめは多目的洗剤の「ナチュラルクリーナー」。濃縮タイプで、水回りや床などオールマイティーに使えます。身の回りをすっきりさせたい新月のお掃除にぜひ取り入れてほしいアイテムです。環境問題やサステナビリティと聞くとつい難しく考えがちですが、こんな身近なことからトライしてみませんか?

福本敦子(ふくもと・あつこ)/フリーランスPR・美容コラムニスト:コスメキッチンに14年間勤務後、現在はフリーランスPRとして活動するかたわら、ビューティコラムニストとしてイベント、SNSなど多方面で活躍。オーガニックに精通した知識を武器に、ライフスタイルに寄り添った独自のオーガニック美容論が、著名人やエディターをはじめ各方面から大人気。「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と多くの反響を呼び、紹介した商品の欠品や完売も多数。2019年秋、初の書籍となる「今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by敦子スメ」を出版。発売前に増刷が決まるなど話題を呼んでいる。旅を愛し、占星術にも精通 instagram:@uoza_26

The post #敦子スメ「新月・満月」ノート 今回の新月(7月21日)は私たちの“ホーム”、海に意識を向けてみよう appeared first on WWD JAPAN.com.

シリーズ最高峰 最先端テクノロジーを集結 「スムーズスキン ピュア」誕生

 光脱毛美容器のパイオニアであるイギリス発のサイデンは6月に、家庭用光脱毛美容器「スムーズスキン」シリーズから最先端技術を用いた新モデル「スムーズスキン ピュア」を発売した。同製品はシリーズ最大のパワーを誇り、高い脱毛効果を実現。肌への優しさや安全性を兼ね備え、自宅でサロンクオリティーの脱毛ケアをかなえる。

 サイデンはイギリスで初めて光脱毛美容器を家庭用に販売し、脱毛器に特化し開発してきた30年以上の歴史持つ。自宅で安全に脱毛ケアをかなえる高い技術力が支持され、「スムーズスキン」は現在30カ国で販売している。昨年9月に発売した「スムーズスキン ベア プラス」はコンパクトなボディーとシンプルな操作性で、自宅で手軽に脱毛ケアができるとして好評を博した。また、新型コロナウイルスの影響により自宅で過ごす時間が増えたことでセルフケアの需要が拡大し、自宅で簡単に脱毛ケアができる「スムーズスキン」は“おうち美容”としても注目を集めている。

最先端テクノロジーで
脱毛ケア

 「スムーズスキン ピュア」はサイデン独自の最先端テクノロジーを用いたスキントーンセンサーを搭載。センサーが感知した肌の色に応じて10段階からパワーを調整することで肌に最適なパワーでケアすることが可能となった。ケアしたい部分とデバイスが適切に接触しているときのみ照射可能にするスキンコンタクトセンサーが、正しく効果的なケアを可能にし、使用時の安全性にも配慮した。そして、持ちやすいデザインで細かい部位にも照射しやすくなった。さらにシリーズ最大のパワーとスピードで高い効果実感をかなえ、週1回、4週間の継続使用で変化を感じることができる。軽量でコンパクトなボディーは操作性に優れ、高速照射で全身のケアもスムーズに行える。

選べる3つのモード

 ケアする部位や用途に合わせて3つのモードから選ぶことができる。肌の色に応じた最大の照射を行う「パワーモード」はワキやビキニラインなど、体毛が濃いパーツのケアに最適だ。初めての使用や、ケアの際に痛みが気になる場合は照射力を抑えた「ジェントルモード」。最速0.46秒間隔で照射が可能な「スピードモード」は腕や脚など範囲が広い部位のケアにおすすめだ。

20人にモニターを実施
 高い脱毛効果を実感

 約1カ月間、20人に「スムーズスキン ピュア」のモニター調査を実施した。使用後のアンケートでは約95%が効果を実感したと回答。約84%がムダ毛ケアの頻度が減ったと回答し、「毛穴が目立ちにくくなった(約44%)」「肌が滑らかになった(約22%)」などの肌の変化を感じたと回答した(WWDジャパン調べ)。

ホームケアのエントリーには
「スムーズスキン ベア プラス」

 今回実施した調査では90%以上の人が脱毛サロンでのケアを経験していると回答した。サロンでの脱毛ケアが一通り完了している人には、自宅でのメンテナンスケアとして手軽に使える「スムーズスキン ベア プラス」もおすすめだ。また、シェービングなどによる毎日のムダ毛ケアで肌への負担を感じる人や、ワキやビキニラインなど毛が濃いパーツのホームケアにも最適だ。1分間に約100回のスピーディーな照射とシンプルな操作性で、気になるパーツを簡単にケアできる。

問い合わせ先
スムーズスキン カスタマーサポート
0120-791-355

The post シリーズ最高峰 最先端テクノロジーを集結 「スムーズスキン ピュア」誕生 appeared first on WWD JAPAN.com.

「教育」が断絶している エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月17日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「教育」が断絶している

 高いモノには理由がある。安いモノにはワケがある。

 実に当たり前ですが、多くの消費者は「ファッションも同じ」と認識してない気がします。対照的に、そんな「教育」が普及しているように映る業界があります。「食」です。

 高いモノは美味しい。高いモノは体にも地球にも良い。高いモノは、丹精込めて作られている。「食」では皆さん、そう思っていますよね。一方、ファッションはどうでしょうか?高いモノは素敵(多分)。高いモノは心地良く、自分にも地球にも優しい(おそらく)。高いモノは、丹精込めて作られている(コレは、だいたいそんなカンジ)と、全く同じです。でも「食」の分野では大勢が「今日は、無農薬野菜を買ってみようか?野菜の味が強くておいしいね」ってなるのに、ファッションの世界で「今日は、ラグジュアリー・ブランドで洋服を買ってみようか?やっぱりステキだね」って人はずっと少ない。なぜでしょう?「高い」と「安い」の価格差でしょうか?答えは、「教育」の有無、もしくは連動・連続性にあると思っています。

 「食」は、消費者への「教育」が首尾一貫していると思うのです。生産者は地球に優しい環境で作ったことを発信するし、八百屋さんとかもそれをアピールしますよね?料理人も同じだし、メディアだってそう取り上げます。でも、ファッションは?素材の生産者から料理人に相当するデザイナーやブランドに至るまでの多くが口下手なのは言うまでもありませんが、加えて生産者とブランドではアピールポイントが異なっているので、「教育」が一本化していない状態です。

 例えば「食」の世界は、生産者も料理人も「無農薬野菜は美味しい」と「教育」してくれますが、ファッションの世界はどうでしょう?素材の生産者は「オーガニック素材は地球に優しい」と訴えますが、多くのブランドは「ステキなデザイン」にフォーカスします。「教育」が断絶しているのです。そして、「高いモノが、なぜ高いか?」については、ブラックボックスがまだまだ。多くの消費者は、「ユニクロ(UNIQLO)」なら1枚1000円のTシャツが、どうして・どうなったら数万円になってしまうのか理解できていません。消費者が、「高いモノには理由がある」と認識しづらいのでは?と思うのです。

 「食」の世界で「教育」が一本化している理由はなんでしょうか?多くの料理人が、生産者の野菜に直接触れているからでしょう。一方ファッションの世界は……?ブランドでさえ、素材メーカーと直接やり取りするケースは多くない気がします。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post 「教育」が断絶している エディターズレターバックナンバー appeared first on WWD JAPAN.com.

まだ、あなたが知らないニューヨーク最新トレンド カニエ・ウエストはGAPを救えるか?KANYE SAVES GAP?

 ニューヨークのファッション業界で活躍するクリエイティブ・ディレクター、メイ(May)と、仕事仲間でファッションエディターのスティービー(Stevie)による連載第11回。新しいレストランの開拓はしばらくおあずけだが、ようやくニューヨーク市でもレストランが屋外のみとはいえオープン。屋内でランチしながら、会話ができるのはまだまだ先になりそう。“You’d Better Be Handsome”では、トレンドに敏感なレイチェル(Rachel)も加えて、ニューヨークのトレンドや新常識について毎回トーク。今回のテーマは、カニエ・ウェスト(Kanye West)のファッション界での出世のあれこれ。

スティービー:先週は実に4カ月ぶりの撮影だったね。

メイ:いつものメンバーとはいえ、セットデザインやらクライアントも入れると25人以上の規模だったから、直前になって不安がる人たちもいて気苦労が多かった。

レイチェル:マスクをちゃんと着用してくれるか心配だったけど、一度注意した程度で結構みんな着用してくれていた。

スティービー:ずっと家にこもっていた人がほとんどという印象だった。ファッションは、エッセンシャルワークではないと言えばそうだし。

メイ:フォトスタジオもこのロックダウンの間に空気清浄機を取り付けたり、入り口にチェックポイントを設けたり、投資した様子。今回は万が一感染しても責任は取れません、という合意書に全員にサインしてもらったほど。

スティービー:それにしても、ヨーロッパからの入国禁止が続くと、普段ニューヨークで活躍しているモデルやフォトグラファーたちは仕事ができなくて大変。

メイ:トップアスリートや芸能人は特別許可が下りるようになってきているらしいけど、モデルやフォトグラファーはこの枠じゃないからね。

「ギャップ」 x 「イージー」、新パートナーシップ

スティービー:ファッション界が静かにしているときに、爆弾のように発表されたカニエ・ウェストの「イージー(YEEZY)」と「ギャップ(GAP)」とのパートナーシップ。その名も、ストレートに「イージー ギャップ」。10年契約らしいから「ギャップ」はこれに全てをかけている?

メイ:2021年前半には発売する予定。いつの間にこの話が進んでいたのか分からないけど、数日前に聞いた話だと、カニエが持ち込んだらしい。

スティービー:その日はギャップの株価が一時40%上昇したくらいビッグニュースだった。ギャップの株価が上がるなんて、久々に聞いたかも?

レイチェル:ニュースを聞いて真っ先に思ったのは、じゃ、「テルファー(TELFAR)」と「ギャップ」のコラボはどうなったの?ってことだった。すでにかわいいロゴまであったのに。2005年にスタートしたノンジェンダーラインで、黒人デザイナーのブランドとしてニューヨーク・ファッション・ウイークにも参加してきた。バッグも人気でロゴも定着していた。

スティービー:今年の頭に発表された「テルファー」のデザイナー、テルファー・クレメンス(Telfar Clemens)と「ギャップ」のコラボレーションも話題になっていたのは確か。パリのメンズ・コレクションのときには「ギャップ」が主催するパーティーまであって、ケイト・モス(Kate Moss)やドラァグクイーンのヴァイオレット・チャチキ(Violet Chachki)ら、セレブも多く出席していたのが記憶に新しい。

レイチェル:パリの「ギャップ」ストアのウインドーは、「テルファー」のコレクション写真が飾られていたみたいだし――1月の話だけど。「テルファー」とのコレクションを楽しみにしていただけに、コラボがなくなってがっかりもしたし、乗り換えた「ギャップ」に対して非難があるのは仕方ないと思うけど。

メイ:すでに契約書にもサインしていたらしいから、ひどい裏切りに見えるけど。「ギャップ」側は、担当チームが違ったことを言い訳にしている。でも最終的にOKを出した経営陣は同じはず。あの注目の女性CEOかな。

スティービー:僕たちはニューヨークにいるから「テルファー」も分かるし応援したいけど、カニエ・ウェストとテルファー・クレメンツの知名度は全く違うというのも理解できる。今の「ギャップ」にはリスクを冒している余裕はないと思うよ。

メイ:「ギャップ」はもちろん、「バナナリパブリック(BANANA REPUBLIC)」や「オールドネイビー(OLD NAVY)」もずっといいニュースを聞かないからね。先月発表された第1四半期の純利益も、1年前の同期と比較して16憶ドル(約1700憶円)減だから。グループ全体の話だけど。

スティービー:コロナによるロックダウンで、北米の店舗スタッフ8万人が一時解雇されたみたいだし、約70億円分の賃金未払いで訴えられているし。5月頭には「J.クルー(J.CREW)」が、7月頭には1818年に創業した「ブルック スブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」が破産申告しているなかで、「ギャップ」は最後の決戦に出たという印象。

レイチェル:それにしても10年もどうやってバズをキープするのか?

スティービー:「ギャップ」は僕が子どもの頃は憧れのブランドだった。広告もミッシー・エリオット(Melissa Elliott)やダフト・パンク(Daft Punk)、マドンナ(Madonna)が出ていたし。撮影していたのも、アニー・リーボヴィッツ(Annie Leibovitz)、スティーヴン・マイゼル(Steven Meisel)と超一流だった。“シンプルでベーシックな服を個性で着こなす”というコンセプトがクールだった。

カニエ、「ギャップ」への道のり

レイチェル:そもそも、カニエは10代の頃、地元シカゴの「ギャップ」でバイトしていたらしい。

スティービー:そうか、だから今回シカゴ店の外壁に彼の手書きメッセージが大きく張り出されたんだね。”NISSAN”で通っていた、って書かれてたね。今は超高級車にしか乗っていないと思うけど。そんなところにも分かりやすいアメリカン・ドリームを垣間見れる。

メイ:カニエは数年前から、「ギャップ」の“ヘッドクリエイティブ・ディレクター”になりたい、ってこぼしていた。15年2月に「ニューヨークマガジン(NEW YORK MAGAZINE)」が掲載したインタビューでは、「ギャップのスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)になるのが夢。エディ・スリマン(Hedi Slimane)のようなクリエティブコントロールもほしい」と話していた。マスマーケット参入も夢だったらしい。

レイチェル:それは意外。「イージー」のスニーカーは1足3万円前後とかなり高級だけどね。

メイ:「イージー」のスニーカーの売り上げは、昨年13憶ドル(約1391億円)を超えたらしい。ちなみに「ナイキ(NIKE)」の“エア ジョーダン(Air Jordan)”の売り上げは31憶ドル(約3317憶円)だから、「イージー」もかなり頑張っている。

スティービー:そういえば「ビーントリル(BEEN TRILL)」というブランドもあったよね?ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)、ヘロン・プレストン(Heron Preston)、そして最近「ジバンシィ(GIVENCHY)」のクリエイティブ・ディレクターに就任したばかりのマシュー・ウィリアムズ(Matthew Williams)ほか、数人が参加していたストリートブランドがあったんだ。2013か14年くらいかな。今となっては、伝説のブランドってところ?

レイチェル:じゃ、マシューが「アリックス(ALYX)」をスタートする前かな?彼って当時レディー・ガガ(Lady Gaga)と付き合っていたらしいし。衣装も提供したり。

スティービー:「ビーントリル」も、カニエ・ウェストをはじめ、リアーナ(Rihanna)やエイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)といったスターたちが着たりして、話題が尽きなかった。彼らは自分がブランドみたいなスターたちだから、影響力も半端じゃない。

メイ:マシューの妻のジェニファーは、以前ニューヨークのショールーム、ニュース(NEWS)で働いていたこともあって、名前は聞いたことあったりしたけど、その前の彼女がガガだったとは!彼が「アリックス」を始めた頃、インタビューしたこともあるけれど、ファーストコレクションからアクセサリーまで充実していたし、すごくチャーミングな人だったという印象。まさか「ジバンシィ」のクリエイティブ・ディレクターになる日が来るとは!

スティービー:マシューにしてもヴァージルにしても、カニエを始めとするポップアイコンとつながっていたのが、ファッション界で成功している大きな鍵となっているのは確か。またモードがやってくると言われ続けて久しいけれど、ストリートファッションの影響力は強まる一方だね。

晴れてビリオネア

レイチェル:「イージー ギャップ」のデザイナーにカニエが抜擢したのは、ナイジェリア系英国人モワローラ・オグンレシ(Mowalola Ogunlesi)、25歳の女性デザイナー。

メイ:カニエは昔からファッションに関しては勉強家。「アレキサンダー ワン(ALEXANDER WANG)」のショーや、当時人気だった「バンド オブ アウトサイダーズ(BAND OF OUTSIDERS)」の展示会にも来ていた。プレスにうっとうしがられていた時期もあったけど、粘り強く吸収していったんだね。

スティービー:カニエのファッション史もまあまあ長い。2007年には実は「ア ベイシング エイプ(R)(A BATHING APE(R) 」とスニーカーのコラボをしている。「パステル(PASTELLE)」というブランドを08年頭に発売すると言っていたけれど、これは実現しなかったはず。「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」メンズアーティスティックディレクターのヴァージル・アブローや現「ディオール(DIOR)」メンズ アーティスティック・ディレクターのキム・ジョーンズ(Kim Jones)も参加している。11年にはパリコレで”カニエ・ウェスト・レディースコレクション“を発表している。故アズディン・アライア(Azzedine Alaia)まで見にきていた。13、14年には「A.P.C.」とのコラボを2シーズン発表した。09年に発表した「イージー」は靴から始まったけれど、15年に服のコレクションを、ニューヨーク・ファッション・ウイーク中に発表している。

レイチェル:暑い中ずっと立たされていたモデルが次々と倒れたときかな?

メイ:それはシーズン4じゃないかな?ちなみに3月にはパリコレでシーズン8を発表してる。

スティービー:そういえばその頃、カニエは米「ヴォーグ(VOGUE)」編集長のアナ・ウィンター(Anna Wintour)に、数年以内に「エルメス(HERMES)」のクリエイティブ・ディレクターになりたいとも言っていた!

レイチェル:野心の塊ってことか。夢は声に出して周りに伝えた方がかなうとはよく言うけど。

スティービー:「ギャップ」との発表と同じ日に、カニエは「ウエスト・デイ・エバー(WEST DAY EVER)」というブランド名を商標登録したことを発表した。100種類以上のアパレルカテゴリーをカバーしているとか。ビューティに進出するといううわさもあるし。

メイ:その直後に、カニエの妻のキム・カーダシアン(Kim Kardashian West)は、化粧品ブランド「KKWビューティ(KKW BEAUTY)」の株20%をコティに2億ドル(約214億円)で売却している。

レイチェル:キムのハーフシスター(義妹)のカイリー・ジェンナー(Kylie Jenner)の「カイリーコスメティックス(KYLIE COSMETICS)」を買ったのもコティだったよね?

スティービー:コティは、昔はデザイナーズブランドの権利やセレブリティーの香水を出していた気がするけど、すでに大成功を収めたブランドを買う傾向にあるよね。

レイチェル:カイリーは、今年1月にコティに株式51%を6憶ドル(約642億円)で売却して、一時は“世界でいちばん若い“セルフメイド・ビリオネア”と騒がれたけど。最近は、実はそうでもなかったと言われている。厳しい。

メイ:どちらにしても、カニエもキムもスーパービジネスパーソンってことよね。家でも、ずっとビジネスの話をしているのではないかと想像してしまう。

レイチェル:それにしても独立記念日の7月4日には突然、大統領選に出るとか、突然言ったわりには何の手続きもとっていなかったりとお騒がせ。

スティービー:18年には、トランプ大統領に会いにホワイトハウスに押し掛けていたし。トランプが困っていたのを見たのは後にも先にもあのときだけ。今回トランプには失望したとコメントしてたけど、同時期にアルバムやスニーカーを発表していたから、ただのPRかも?と思う。「ギャップ」側も大統領選に出馬なんて話は聞いていなくて驚いたという話。

メイ:そもそもカニエは政治のこと分かるのかな?中絶反対を掲げているというのは聞いたけど。ファッションにとどまっていてほしいけど、勉強熱心だから本気になったら政治家になってしまう可能性もなきにしもあらず。

スティービー:セントルイスにあるワシントン大学では、「ポリティクス・オブ・カニエ・ウエスト」というクラスもあったらしいから。政治、人種、セクシャリティー、文化を分析するクラスらしい。カニエも、クラスに講師としても出ていたみたい。いろいろと興味があるんだね。

レイチェル:16年には、フェイスブック(FACEBOOK)のマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEOに、「僕のアイデアに10億ドル(約1070億円)投資してほしい」とツイッターにポストしたりしているけど、実際にはどれくらいお金を持っているの?

スティービー:「イージー」のスニーカービジネスは、コロナ以前の昨年の時点で、33億ドル(約3500億円)の価値があると評価されているけど。

メイ:以前は、収入もあるけれど借金だらけとうわさに聞いていたカニエだけど、最近の「フォーブス(FORBES)」誌の調査で、晴れてビリオネアとして認定されている。正確には、13億ドル(約1400億円)の価値があるらしい。本人はもっと持っていると主張しているみたいだけど。

スティービー:読めない行動が多いカニエだけど、「ギャップ」とのパートナーシップは、途中でけんか別れとかにならずに最後までやり遂げてほしい。アメリカを代表するブランドがこれ以上なくなってほしくないからね。

メイ/クリエイティブディレクター : ファッションやビューティの広告キャンペーンやブランドコンサルティングを手掛ける。トップクリエイティブエージェンシーで経験を積んだ後、独立。自分のエージェンシーを経営する。仕事で海外、特にアジアに頻繁に足を運ぶ。オフィスから徒歩3分、トライベッカのロフトに暮らす

スティービー/ファッションエディター : アメリカを代表する某ファッション誌の有名編集長のもとでキャリアをスタート。ファッションおよびビューティエディトリアルのディレクションを行うほか、広告キャンペーンにも積極的に参加。10年前にチェルシーを引き上げ、現在はブルックリンのフォートグリーン在住

レイチェル/プロデューサー : PR会社およびキャスティングエージェンシーでの経験が買われ、プロデューサーとしてメイの運営するクリエイティブ・エージェンシーで働くようになって早3年。アーティストがこぞってスタジオを構えるヒップなブルックリンのブシュウィックに暮らし、最新のイベントに繰り出し、ファッション、ビューティ、モデル、セレブゴシップなどさまざまなトレンドを収集するのが日課

The post まだ、あなたが知らないニューヨーク最新トレンド カニエ・ウエストはGAPを救えるか?KANYE SAVES GAP? appeared first on WWD JAPAN.com.

イエナの2020-21年秋冬 気心地ゆったりでも“きちんと”見えるモノトーンスタイル

 イエナ(IENA)の2020-21年秋冬は、快適さや心地よさを意味する“コンフィ”からイメージを広げ、ゆったりとしたサイズ感のアイテム同士を合わせたコーディネートを提案する。特に8~9月の秋物商材投入時期には、身体を包み込むようなオーバーサイズのニットワンピースやワイドパンツ、肌ざわりのよいサテンスカートやカットソーなどをキーアイテムとして展開する。イタリアのテキスタイルメーカー、マンテコ(MANTECO)社のウールを使った上質な素材感と4万円台の価格で昨年大人気だったロングコートは、さらに色と素材のバリエーションを持って打ち出す。

 コーディネートのカラートーンは、イエナで定番のブラウンやベージュに加え、新たにトレンドカラーとしてそろえるグレーなどで統一。差し色や柄としてパープルやレオパードのバッグを合わせたり、「ローラ ロンバルディ(LAURA LOMBARDI)」のゴールドのアクセサリーを重ねたりすることで、単調になりがちな無地のコーディネートにアクセントを付ける。

 10月頃から投入予定の冬ものに関しては、“自宅で洗えるニット”や“鮮やかな色味”をキーワードにこれから商品をそろえていく予定だ。

 今シーズンのテーマに関して、望月恵ディレクターは「当初は“コンフィ”というキーワードにリッチ&クラシックのムードを加えた提案を予定していた」というが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、急きょアイテム編成やコーディネートを着る人自身が心地よく感じられるような内容に変更した。イエナでは、もともと定番商品の人気が根強く、全体の売り上げこそ「前年割れ」しているというが、コートやニットなど通期で販売している商品が多いことが“ベーシックに強い”イエナの売り上げを下支えしているという。在宅の時間が増えて「装う意味や役割が、社会的にも変化していく」として今後は、「定番アイテムを用いつつも、シーズン制のある新しい解釈を盛り込んだ提案で、ファッションの楽しさを届けていきたい」と語る。


村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

The post イエナの2020-21年秋冬 気心地ゆったりでも“きちんと”見えるモノトーンスタイル appeared first on WWD JAPAN.com.

ヴァージルの謝罪に思う エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月18日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

ヴァージルの謝罪に思う

 この数週間、BLM運動とそれに関連する記事を米「WWD」の中からピックアップして、翻訳をウェブや紙面に掲載していますが、今回のムーブメントは賛同を表明する白人が「(黒人の運動を)利用するな」と批判され、賛同する大企業が「全然行動が伴っていない」と実態を暴かれるなど、単純には語れないものになっています。

 メディアとしての姿勢も厳しく問われており、米「WWD」も暴動や略奪の報道への偏りを自ら省みる記事を出しています。正直、私も同じ轍を踏みました……。1番目の関連記事の冒頭部分は自分への戒めも込めています。

 そんな私がどうしようもなくモヤモヤしたのは、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)の謝罪のニュースでした(2番目の関連記事)。

 なぜ、ヴァージルは謝罪しなければならなかったのでしょうか?

 「私の店や友人の店がどんな略奪の被害を受けているかについて語ったが、それが不正に対して抗議する権利よりも、店の方が重要だと受け取られるような内容だったことを謝罪する」とのことでしたが、問題になったヴァージルのコメントは、友人が我が子のように育ててきたショップが壊されるのを見て、思わずあげた叫びだったのは明らかでした。

 「命と比べれば、物が壊されることなど、大したことではない」という考えや、「人種差別自体を批判するより、抗議の仕方を優先的に批判すべきではない」という意見など、黒人の長くつらい歴史を振り返れば、理解できます。

 BLM運動を牽引してしかるべきヴァージルが、略奪への非難かと失望した人もいたことでしょう。しかし、彼にとって友人が受けた被害に心を痛めたことは、自身が黒人であると同じくらい本質だったろうにと私は思いました。略奪をした人々が抗議デモとは関係ない人たちだったことも明るみに出ています。ジェリー・ロレンゾ(Jerry Lorenzo)がヴァージルにかけた言葉に救われました。3番目の関連記事に入っています。

 日本で生活する私たちができることは何か?それを考えるきっかけになればと「WWDジャパン」6月15日号では、公民権運動史研究で多くの業績がある日本女子大学の藤永康政教授に「今回の運動のこれまでとは違うところ」や「抗議の向かう先」「私たちができること」について聞いています。

 確かに差別や決めつけは日常の至るところにありますね……。問題意識を持って知ろうとし続けることが大事だと思うし、実践していきたいです。

VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post ヴァージルの謝罪に思う エディターズレターバックナンバー appeared first on WWD JAPAN.com.

「メゾン マルジェラ」が52分間の“アーティザナル”のドキュメンタリー映像を披露 アトリエやデザインプロセスを大公開

 「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」は7月16日(日本時間17日)、ユニセックスのオートクチュール“アーティザナル コーエド コレクション (ARTISANAL Co-ed Collection)”2020-21年秋冬の全編映像を公開した。“愛のキスをこめて(Sealed With A Loving Kiss)”を意味する「S.W.A.L.K」と題した動画は、52分間に及ぶコレクションができるまでのドキュメンタリーとインスタレーションで構成され、ニック・ナイト(Nick Knight)率いる「ショースタジオ(SHOWstudio)」がディレクションを担当した。

 映像ではクリエイティブ・ディレクターのジョン・ガリアーノ(John Galliano)やメゾンで働くスタッフらのアトリエでの制作風景や、ロックダウン(都市封鎖)中のパリで在宅で作業を行う姿などを公開。装着式の小型カメラGoProやドローンを使って撮影し、テレビ電話会議などのミーティング風景も録画された。現在の先行き不透明な時代に、メゾンのDNAである“匿名性”の対極にある“透明性”をキーワードにしてデザインプロセスを見せたという。

 登場人物は、ガリアーノらメゾンのスタッフやモデルをはじめ、映像を担当したニック・ナイトと妻でプロデューサーのシャーロット(Charlotte Knight)、音楽プロデューサーのジェレミー・ヒーリー(Jeremy Healy)、スタイリストのオリヴィエ・リッツォ(Olivier Rizzo)、メイクアップアーティストのパット・マクグラス(Pat McGrath)、ヘアスタイリストのユージーン・ソレイマン(Eugene Souleiman)らが出演している。

 コレクションは「Hope, heroism and hedonism(希望、勇敢さ、快楽主義)」がテーマだ。新古典主義の彫刻や装飾、「ブリッツ キッズ(The Blitz Kids)」などの1980年代のニューロマンティックのバンドのスタイルがヒントになっている。シフォンやオーガンジーを使ってドレープを出したドレスや、古着店で購入したジャケットを再構築した、メゾンのサステナビリティを示す “レチクラ(Recicla)”のウエアなどが登場。動画のラスト10分間は世界観を表現したモデルによるインスタレーションに切り替わり、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)の「ヤング・アメリカン(Young American)」が流れる中サーモグラフィーのような加工や、色彩を反転させた実験的なアプローチの映像で締めくくられた。

The post 「メゾン マルジェラ」が52分間の“アーティザナル”のドキュメンタリー映像を披露 アトリエやデザインプロセスを大公開 appeared first on WWD JAPAN.com.

デジタルメンズコレでドタバタ対談 「グッチ」が新時代に向けて閉幕、「ゼニア」「ミッソーニ」の歴史に感動したミラノ最終日

 パリ・メンズに続いてスタートしたミラノのデジタル・ファッション・ウイークも最終日を迎えました。ここでは主にメンズを担当している記者が「頑張ってリアルタイムで見てみました」取材を日替わりで担当。「アーカイブでも見られるのにオンラインで見る意味あるの?」という周囲の視線を感じながらも、「コレクションはライブ感!」と信じて完走を目指します。海外コレクション取材歴10年以上の村上要「WWD JAPAN.com」編集長と、入社2年目の大澤錬「WWD JAPAN.com」記者が日常業務と並行しながらリポートします。

17:00(ミラノ時間 10:00) 「イレブンティ」

大澤錬「WWD JAPAN.com」記者(以下、大澤):ミラノ・メンズ最終日。トップバッターは「イレブンティ(ELEVENTY)」。マルコ・バルダッサーリ(Marco Baldassari)オーナー兼デザイナーが登場し、アイテムについて説明です。アップと引きを使い分け、ディテールを細かく見せてくれました。白のデニムのセットアップやロールアップしたデニムパンツにTシャツ&半袖シャツのスタイルのほか、ブラウンのフォーマルスーツの足元にはローカットのスニーカーでカジュアルです。花柄や赤のボーダーのインナーでアクセントを加えたスタイルが印象的でした。

村上要「WWD JAPAN.com」編集長(以下、村上):「イレブンティ」は良い意味で「通販っぽい」ね。「おうち時間が長くなって、快適な洋服が求められている」って話から始まって、ジャージーのジャケットとドローコードのパンツにスニーカー。「長く着られる洋服を」と言いながら、ウオッシュの少ないインディゴデニムなど説得力抜群。コレでお手頃価格なら、電話しちゃいそう(笑)。イメージじゃなく売るために、商品をちゃんと伝える価値を教えてくれるムービーです。

18:00(ミラノ時間11:00) 「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス」

大澤:ミラノ・コレクション初参加の「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(CHILDREN OF THE DISCORDANCE)」は、東京の街並みを駆け回るスケーターたちをメーンに3曲の楽曲を使用。冒頭はヒップホップグループのNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDの「NITRO MICROPHONE UNDERGROUND」、中盤は、DJ Boringの「WINONA」、終盤はZacariの「Lone Wolf」。スケーターたちは、僕らが日常で見かけるのと同様に、歩道や車道、地下、階段関係なく滑り続けます。建物の敷地で滑っているのを警備員に注意されるシーンは、特にリアルで面白かったです(笑)。アイテムは、同ブランドのアイコンであるバンダナ柄のシャツや、鳥の刺しゅうを背面に施したロングコート、総柄のセットアップなど。

村上:43歳のオジサンにとっては、「『チルドレン オブ ザ ディスコーダンス』って、この世界のブランドなんだ」という驚きがあって面白かった。マスク姿で無表情に歩く人たちとスケボーキッズ、怒る警備員とスケボーキッズ(笑)。この世界をリアルに表現しているし、世界に発表するムービーだからと気負わず、Tシャツにチノパンとかも出しちゃうあたりもスキ。価値観がフラットな世代感をちゃんと表現している。

18:30(ミラノ時間11:30) 「ジエダ」

大澤:「ジエダ(JIEDA)」は、昭和の不良マンガのようなストーリーが個人的に好きでした!不良を演じるモデルたちはセリフこそないけれど、合間に“憂鬱”や“秘密”、“誘拐”とタイトルのようなものが入るので、すんなり理解することができました。ネイビーのベロアの半袖シャツや、ブラウンの“プリーツ”ジャケットとパンツのセットアップ、女性のピクチャーが全面にプリントされた黒の半袖シャツが好みでした。最後は“見てんじゃねえよ、クソ”と吐き捨てて終了。僕の地元では聞き慣れた言葉です(笑)。

村上:世代と地元の違いでしょうか?「ジエダ」、僕は共感できなかった(笑)。ラストも分からん。でも、大澤さん世代が共感するなら、「ジエダ」的には上出来でしょう(笑)。洋服は好きですよ。ちょっと背伸びしたセットアップとか、着慣れないし反骨精神示したいからのボリューム感とかは、日本版テッズスタイル。悪趣味ネクタイもキライじゃない(笑)。

19:00(ミラノ時間12:00) 「フェデリコ チーナ」

大澤:「フェデリコ チーナ(FEDERICO CINA)」は、16年に誕生した伊発の気鋭ブランド。デザイナーのフェデリコ チーナ(Federico Cina)は、学生時代に「ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」や「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」で、ブランドコンサルタントとして経験を積み、故郷である伊ロマーニャの伝統を主なインスピレーション源として活動しています。花柄のグリーンのジャケットをまとうおじいさんとレッドのセットアップを着用したおばあさんの社交ダンスにほっこり。最後の手を取り合うシーンでは、新型コロナによるロックダウンで改めて気付かされた「家族の大切さ」というメッセージを受け取りました。

村上:「フェデリコ チーナ」は、典型的なイタリアンブランドの価値観を有しているカンジだね。家族、地元、自然、郷愁みたいな。それを映像美で丁寧に、でも手短に表現したのはステキだけど、洋服が普通じゃないからちょっと興醒め。おじいさんとおばあさんの洋服はステキなのに、主人公のハイカラーシャツの赤いリボンとか、やたらモコモコのケーブルニットとかちょっと大げさ。中盤に登場したロング丈の白シャツとか、もっとシンプルなアイテムだと映像の世界に引き込みやすいのに。

19:30(ミラノ時間12:30) 「ゴール」

大澤:「ゴール(GALL)」は、少し怖さのある不気味なBGMでスタート。ロケ地に山を選択し、マウンテンパーカやフーデッドコート、ナイロンパンツなど、アウトドア向けのアイテムをブラックやホワイト、ベージュのカラーで提案しました。ロケ地とアイテムがマッチしているので、コンセプトが明確で分かりやすかったです。最後のモデルがこちら側を見つめるシーンには、BGMも含めて少しゾッとしました……。

村上:「ゴール」のようなハイスペックなアウター押しのブランドって、こういう壮大なストーリー好きだね。ミラノでも、「C.P. カンパニー(C.P. COMPANY)」のプレゼンとかは、アウター数着の展示のために豪華なセットを組んだりするのが当たり前(笑)。タフネスを訴えるには、やっぱり大自然と交わるのが良いんだろうね。不気味感も頻繁に登場するスパイスだよ(笑)。背後に壮大なストーリーがあることをニオわせるのにイイ感じなんだと思う。

20:00(ミラノ時間13:00) 「アンドレア ポンピリオ」

大澤:「アンドレア ポンピリオ(ANDREA POMPILIO)」は、“INVOCATION OF MY DIVINE BROTHER”というタイトルのもと、ムービーを4つのチャプターに分けてスタート。米ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)氏が白人の警察官に押さえつけられて死亡した事件を再現したり、香港のデモのニュース映像を流したりしました。新作コレクションの発表ではなく、過去の痛ましい事件を振り返るムービーでした。洋服は最後まで出てこず、コレクションとの結びつきはわかりませんでした……。

村上:「アンドレア ポンピリオ」は段々こじれている気がしていたけれど、ムービーで確信に変わってしまいました。昔は、「可愛ければ、理由なんてなくても使っていいでしょ?」って笑いながら、チンパンジーモチーフのシャツとかバッグを作っていたのに。最近は作ったコレクションを無理して着想源と結びつけている印象でした。このムービーも、そんなカンジ。あんまり伝えたいことはないものの、無理やり高尚にしようとしている気がする。もっと素直な方が、イタリアンブランドは生きると思うんだけどな。

21:00(ミラノ時間14:00) 「グッチ」

大澤:「グッチ(GUCCI)」は、全76ルックを紹介。モデルには、同ブランドに携わる人を起用していて、「こんな役職の人がいるんだ」「デザイナーってこんなにいるの?(笑)」と、新しい発見があるライブ配信でした。クリエイティブ・ディレクターを務めるアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)は、「本当に新しいコトやモノを発信してくれるデザイナーだな」と、改めて感動。またメンズのモデルがネイルしているのを見て、「ジェンダーレスな時代だし、僕もやろうかな(笑)」と、自分自身の新しい挑戦の後押しをしてくれるような存在にも感じます!今後のコレクションの発表方法についても、ミケーレが僕たちにどんな新しいものを見せてくれるのか待ち遠しいです。

村上:「グッチ」は、まるで謎解きでしたね(笑)。2月のウィメンズ・コレクションで始まった物語を締めくくる「エピローグ・コレクション」は、ぜーんぶひっくり返した印象です。まずモデルは、みんなミケーレのアトリエスタッフ。普段は裏方のスタッフを表舞台に引っ張ってきたのは、前回のウィメンズ・コレクション同様だけど、今回はついにモデルでした。ショーの当日、僕には「グッチ」からオーガニック野菜が届いて、「形は不完全だけど、地場の作物です」というメッセージが添えられていました。アトリエのスタッフは、まさにオーガニック野菜のよう。形は不ぞろいでモデルみたいにパーフェクトじゃないけれど、みんな正真正銘。つまり「グッチ」の地場のスタッフ。そんな人たちが、一番「グッチ」を自然に着こなしてくれる、って考えたんじゃないかな?LIVE配信は6時間前に始まったけれど、本編のムービーがスタートする前の方が、洋服を着たモデルたちが頻繁に登場します。本編のムービーは、そんなモデルがショーの前に撮影するスタイリングフォトを一枚ずつ見せるカンジ。そしてショーの後は、なぜかモデルのメイク映像。ファッションショーのバックステージを、時を遡りながら振り返っているような印象です。そして、そんなスタイリングフォトを紹介した場面の背景は、ランウエイらしき道がある宮殿や中庭。ここでも、ランウエイとバックステージが逆転しているようでした。全てが逆転したエピローグ・コレクションの、ミケーレのメッセージはなんだろう?ファッション・システムが肥大化してしまったことに警鐘を鳴らしているミケーレだから、それより前の健全な形に戻ろうというメッセージのようにも思えるし、次の新しい時代のため一度原点に立ち返ってリセットしようという意思のようにも思えるね。コレクションは、ウェブやフローラルモチーフ、“ジャッキー”バッグなど、往年のアーカイブに着想を得たアイテムから、ミケーレらしいスカーフ使いまで、総決算‼︎って感じでした。まさに1つの時代のエンディング。次は、全然違う世界になるのかなぁ?5年前にジェンダーの壁を壊す大革命を起こしたミケーレの、次なる挑戦が楽しみです!

大澤:要さん、ライブ配信番組「着点(きてん)」お疲れ様でした!コレクションの合間に拝見しておりました。三原さん、井野さん面白かったですね〜。井野さんには気づきましたが、まさか三原さんもムービーに出演していたとは(笑)。

村上:一番やる気だったらしいよ。番組前、展示会で聞いた話によると、パペットの演技指導も熱心だったらしい(笑)。

22:00(ミラノ時間15:00) 「エルメネジルド ゼニア」

大澤:1910年にテキスタイルメーカーとして創業した「エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA)」は、伊トリヴェロにある本社でコレクションを発表しました。画面越しでも伝わるファブリックの品質の良さ、テーラリング技術の高さ、パンツのタックの入り方は特に圧巻でした!そして本社の屋上でフィナーレを迎え、アレッサンドロ・サルトリ(Alessandro Sartori)がモデルを迎えて拍手、手を振るシーンには感動。最後はサルトリによるアイテムの解説で幕を閉じました。「いつも見ていたショーも当たり前ではなくなるのかな」と思うと、新しい時代の始まりを痛感すると共に、どこか寂しさも感じます(泣)。

村上:「ゼニア」のテーマは、「NATURE\MAN\MACHINE」。自然豊かな古里トリヴェロで、生地を作る織機に囲まれている同ブランドらしいテーマだね。こんな時代だから自然を賛美するブランドは多いけれど、ブランドにとって欠かせないテクノロジーに同等の価値を置いていることがわかります。今シーズンは、マニアックなカラーリングを脱却して、淡いグレーやベージュ、アイボリーがたくさん。軽やかな素材感が際立ちます。お気に入りはラグランスリーブのジャケット。ついにジャケットがラグランだよ!袖、セットインじゃないんだよ!おうち時間が長い今の時代にピッタリ。おうちで、カーディガン感覚で着られるジャケットの誕生です。

23:00(ミラノ時間16:00) 「ミッソーニ」

村上:ラストの「ミッソーニ(MISSONI)」は、現在のクリエイティブ・ディレクターのアンジェラ・ミッソーニ(Angela Missoni)のコメントを中心に、色や家族愛、ファミリービジネスであることなどのアイデンティティーを、昔の映像と一緒にアピール。今ほど「家族」の重みを感じる時はないから、今後脚光を浴びるブランドになるのかも。でもジャーナリストの解説はいらなかったかな?ミッソーニ一族の言葉だけで、色や家族の価値は十分に伝わった気がする。むしろ、ジャーナリストのマッチポンプ的コメントは、ジャマだったかもしれません。

大澤:「ミッソーニ」は、約1時間という長尺物で、ミッソーニ一族の家族愛がすごく伝わりました!ファミリービジネスの難しさやこれまで積み上げてきたことの重大さ、またラグジュアリーブランドの社内風景を見ることができて、とても良い機会になりました。特に創業者であるロジータ・ミッソーニ(Rosita Missoni)がブランドの歴史を振り返るシーン。彼女の笑顔にはジーンとくるものがありました。「こういう人たちがいてくれたからこそ、僕たち若手が今この業界で働けているんだ」と、改めて実感した21年春夏メンズ・コレクションのラストでした。

The post デジタルメンズコレでドタバタ対談 「グッチ」が新時代に向けて閉幕、「ゼニア」「ミッソーニ」の歴史に感動したミラノ最終日 appeared first on WWD JAPAN.com.

リアルさが共感を呼ぶラッパーdodo  “ノーマル”という名の新境地へ

 既存のラッパーという概念にとらわれず、あくまで自身のリアルさにこだわるdodo。そのスタイルが共感を呼び、多くのファンから支持を得ている。昨年ユーチューブにアップした「im(アイム)」のMVの再生回数は400万以上。「トーガ(TOGA)」やラッパーのKOHH(コー)を中心とした「ドッグス(Dogs)」とコラボTシャツを発売し、アイテムは即完売。雑誌「Ollie」の表紙にも起用されるなど、最も注目されるアーティストだ。7月17日には2ndアルバム「normal(ノーマル)」をリリース。ヒップホップという枠を超える新境地となった今作について話を聞いた。

WWD:これまで職業訓練校に通いながら音楽活動をしてきて、4月に就職する予定だった。その就職を取りやめてアーティスト活動に専念することを選んだ理由は?

dodo:本当にありがたいことに音楽である程度稼げるようになって、就職して働きながら音楽を続けるよりは専念した方がいいという理由からです。

WWD:音楽だけで生活できるようになって、「ようやく」という思いはある?

dodo:正直、まだまだで、ようやくという気持ちは全然ないです。日本語ラップシーンの人気もいつまで続くか分からない。だから「自分はどう生き残っていくか」を考えると不安もあるし、楽しみでもあります。

WWD:今回のアルバム「normal」はいつごろから制作を始めた?

dodo:もともと3月の終わりに自主イベント「ひんしの会」を開催するつもりで、それに向けて2月にアルバムを出す予定でした。それが新型コロナの影響で8月に延期になり、それで7月にリリースしました。制作に関しては去年の11月くらいからスタートしてたんですが、リリースが延期になったこともあって、途中でさぼってしまって(笑)。締め切り間近の5〜6月で制作したという感じです。ただ、まだコロナが心配なので8月のイベントも開催するか悩んでいます。

WWD:アルバムタイトルの「normal」にはどういったメッセージが込められている?

dodo:僕がラッパーとして活動するきっかけになった「高校生ラップ選手権」で、付けられたキャッチフレーズが“普通すぎるラッパー”だったんです。正直、あの場所では僕の方が異端な感じで全然普通ではなかったんですけど(笑)。その当時の気持ちを持って今もやっているという意味での“ノーマル”だし、それ以上にヒップホップリスナーだけでなく、J-POPリスナーにも聴いてもらいたいという思いも込めています。「im」という曲がヒットしたのも、ヒップホップリスナー以外にも届いたからこそだと思っています。

ヒップホップって評論の対象にされがちで、そこで評価が高ければ人気が出ると思っていました。だから前作はヒップホップのスキルにこだわって制作したんですが、今回はそういった評論の対象から抜け出したくて、多くのファンに求められているものを作ろうと思って制作しました。古くからのファンの人はそこじゃないって思うかもしれませんが。

WWD:dodoさんはよくファンを大切にすると語っている。

dodo:昔は全く意識していなかったんですが、ここ3年くらいはすごく意識するようになりました。やっぱり支えてくれるのはファンなので、その人たちのためにやっていきたいという気持ちは強いです。

WWD:曲作りで意識したことは?

dodo:音楽って何かしら役割を求めて聴くと思うのですが、今回のアルバムは全体的に“癒やし”になればいいなと思って作りました。

WWD:基本的には作詞・作曲、編曲、録音も全て一人で行っている。今回も全て自宅で行った?

dodo:そうですね。実家の自分の部屋で制作しました。いつもはトラックから作って、そこに言葉をのっけていくんですが、歌詞を考えるのが好きじゃないんです。歌詞はリアルさにこだわっていて、基本的には実体験がベースになっています。ただ言葉って責任が伴うし、場合によっては非難されることもある。逆に幸せにできたりもするので、いつも悩みます。だから時間もかかってしまうし、なかなかやる気にならないんです(笑)。

WWD:以前にリリースした「kill more it」 のアンサーソング「kill late it」や「nambu」など決意が感じられる曲もあった。特に「nambu」では「この町を出ていく」というリリックがあったが実際に川崎を出ることを考えている?

dodo:そうですね。実際、本気で移住は考えていて、今は三重県の伊勢市が気になっています。できれば毎日、伊勢神宮にお参りできる場所がいいなと考えています。あそこまで歴史があって神聖な場所だと、何かいいヒントになるんじゃないかなと思っています(笑)。

“ヒップホップ”とはいかにリアルであるか

WWD:前作「importance」から約1年5カ月。振り返ってみてどうだった?

dodo:ヒップホップシーンで会いたかったKOHHさんやOZROSAURUS(オジロザウルス)のMACCHOさんに会えたり、「im」のヒットがあったり、ワンマンイベントを開催したり、やりたかったことは全てできました。コロナの前まではすごく充実していました。

WWD:ユーチューブにアップした「im」のMVは400万回以上再生されるなど、すごくヒットした。

dodo:あのクオリティーのMVなのにありがたいことです(笑)。「im」はTikTokでも話題になって、そこからMVを見てくれる人が増えました。MVはいつも同級生と2人で撮影していて、基本は「GoPro」で一発撮り。ロケ地も限られていて、駐車場か公園かホテルかみたいな感じで(笑)。もともとパソコンのスペックが低かったので、編集できないっていうところからこのスタイルになりました。

WWD:他のアーティストが凝ったMVを作っている中で、このシンプルさがいい意味で個性になっている。昨年のアルバム発売以降は、7月から3〜4週間に1曲という早いペースでリリースして、そのたびにMVも制作していた。

dodo:そのときはまだ就職しようと思っていたので、今後は音楽活動に専念できなくなることを考えて、まずはユーチューブの登録者数を増やさないといけないなと。そのためには動画の本数が必要だったので、曲のリリースとMVをセットにしました。最初は100万回再生超えだったり、すごく調子よかったんですが、やっぱりペースが早すぎて(笑)。途中で視聴回数も減ってしまいましたね。ユーチューブは広告的な位置づけで、映像があるからこそ曲も聴いてもらえると思っています。登録者数は5万1000人ほどで、こまだまだ増やしたい。

WWD:MVといえば、「レッドブル」が企画したRASENではDaichi Yamamotoや釈迦坊主、Tohjiとの競演も話題だった。あのメンバーとは普段から会ったりする?

dodo:RASENで会ったきりですね。皆さんそれぞれキャラが立っていて、奇跡のコラボだったと思います。あのメンバーの中に僕も呼んでもらえてうれしかったです。

WWD:dodoさんはいわゆるラッパーという見た目ではないが、それは何かこだわりがある?

dodo:ラップを始めたころから“ヒップホップとは何か”っていうのをずっと考えていますが、けっこう早い段階からその答えはあって、それは“いかにリアルか”ということ。結局、それを貫き通すには、僕自身もカッコつけずにリアルなありのままの自分でいようと思って、今のスタイルになっています。

WWD:海外のラッパーに影響を受けて音楽を始めたが、服装などは影響を受けなかった?

dodo:洋服には興味がなくて、本当にファッションって全然分からないんです。だからそこには全く憧れなかったんです。少しでもファッションに興味があれば、見た目から入ったかもしれません。

WWD:そうは言っても、「トーガ」や「ドッグス」とコラボしてTシャツを販売するなど、ファッション業界からの注目度も高まっている。今日は「ラコステ(LACOSTE)」を着ているが?

dodo:Tシャツ、ズボン、靴までオール「ラコステ」です。「ラコステ」は以前、ラッパーのPUNPEE(パンピー)さんが着ていたのを見てカッコいいなと思っていて(笑)。ファッションに関しては今後は自分でもデザインしてみたいです。

「恋愛の曲はうまく作れるんです(笑)」

WWD:dodoさんは音楽大学に通っていたが、そこで作曲の基礎を学んだ?

dodo:音楽音響デザインコースで、録音、作品作りなどを勉強していました。「高校生ラップ選手権」に出ていたので、4年間音楽にかけてもいいのかなと思って。大学2年生のときからトラックは作り始めました。大学の相馬先生がJ-POPに詳しくて、その人に楽曲の作り方の基礎を学んだので、今の感じになったんだと思います。そう考えると先生の授業がなかったら今の形にはなっていなかったかもしれません。

WWD:ヒップホップ以外も聴く?

dodo:聴かないですね。でもMVを一緒に作ってくれるカメラマンは、J-POPしか聴かなくて、彼が聴いて「いい」と言ってくれたら一般の人にも受けますね。まさに“市場の耳”を持っていて、毎回MVの撮影をするときに彼の反応を見るのは楽しみです。

WWD:恋愛の曲も多い。あれも実体験がベース?

dodo:そうですね。リアルな気持ちを表現しています。自分で言うのもなんですが、恋愛の曲はうまく作れるなと思いますね(笑)。

WWD:去年は「フジロック」にも出演したが?

dodo:それまで一回もフェスに行ったことがなくて、初めてのフェスだったので緊張しました。他のアーティストを見る余裕も全然なくて、KOHHさんだけ見ました。ライブは深夜3時からで次の日も学校があって、終わってからすぐ帰ったので、めっちゃ疲れました(笑)。

WWD:コロナが落ち着いたらライブもやっていく?

dodo:そうですね。実はライブはそんなに好きじゃないんです(笑)。基本的に作品をリリースした時点で自分の中で一つ終わったという達成感があるんです。でも、ライブでお客さんと交流することで生まれる絆もあるので。責任を持ってやっていかないといけないですね。そのためにも早くコロナは収束してほしいです。

The post リアルさが共感を呼ぶラッパーdodo  “ノーマル”という名の新境地へ appeared first on WWD JAPAN.com.

リアルさが共感を呼ぶラッパーdodo  “ノーマル”という名の新境地へ

 既存のラッパーという概念にとらわれず、あくまで自身のリアルさにこだわるdodo。そのスタイルが共感を呼び、多くのファンから支持を得ている。昨年ユーチューブにアップした「im(アイム)」のMVの再生回数は400万以上。「トーガ(TOGA)」やラッパーのKOHH(コー)を中心とした「ドッグス(Dogs)」とコラボTシャツを発売し、アイテムは即完売。雑誌「Ollie」の表紙にも起用されるなど、最も注目されるアーティストだ。7月17日には2ndアルバム「normal(ノーマル)」をリリース。ヒップホップという枠を超える新境地となった今作について話を聞いた。

WWD:これまで職業訓練校に通いながら音楽活動をしてきて、4月に就職する予定だった。その就職を取りやめてアーティスト活動に専念することを選んだ理由は?

dodo:本当にありがたいことに音楽である程度稼げるようになって、就職して働きながら音楽を続けるよりは専念した方がいいという理由からです。

WWD:音楽だけで生活できるようになって、「ようやく」という思いはある?

dodo:正直、まだまだで、ようやくという気持ちは全然ないです。日本語ラップシーンの人気もいつまで続くか分からない。だから「自分はどう生き残っていくか」を考えると不安もあるし、楽しみでもあります。

WWD:今回のアルバム「normal」はいつごろから制作を始めた?

dodo:もともと3月の終わりに自主イベント「ひんしの会」を開催するつもりで、それに向けて2月にアルバムを出す予定でした。それが新型コロナの影響で8月に延期になり、それで7月にリリースしました。制作に関しては去年の11月くらいからスタートしてたんですが、リリースが延期になったこともあって、途中でさぼってしまって(笑)。締め切り間近の5〜6月で制作したという感じです。ただ、まだコロナが心配なので8月のイベントも開催するか悩んでいます。

WWD:アルバムタイトルの「normal」にはどういったメッセージが込められている?

dodo:僕がラッパーとして活動するきっかけになった「高校生ラップ選手権」で、付けられたキャッチフレーズが“普通すぎるラッパー”だったんです。正直、あの場所では僕の方が異端な感じで全然普通ではなかったんですけど(笑)。その当時の気持ちを持って今もやっているという意味での“ノーマル”だし、それ以上にヒップホップリスナーだけでなく、J-POPリスナーにも聴いてもらいたいという思いも込めています。「im」という曲がヒットしたのも、ヒップホップリスナー以外にも届いたからこそだと思っています。

ヒップホップって評論の対象にされがちで、そこで評価が高ければ人気が出ると思っていました。だから前作はヒップホップのスキルにこだわって制作したんですが、今回はそういった評論の対象から抜け出したくて、多くのファンに求められているものを作ろうと思って制作しました。古くからのファンの人はそこじゃないって思うかもしれませんが。

WWD:dodoさんはよくファンを大切にすると語っている。

dodo:昔は全く意識していなかったんですが、ここ3年くらいはすごく意識するようになりました。やっぱり支えてくれるのはファンなので、その人たちのためにやっていきたいという気持ちは強いです。

WWD:曲作りで意識したことは?

dodo:音楽って何かしら役割を求めて聴くと思うのですが、今回のアルバムは全体的に“癒やし”になればいいなと思って作りました。

WWD:基本的には作詞・作曲、編曲、録音も全て一人で行っている。今回も全て自宅で行った?

dodo:そうですね。実家の自分の部屋で制作しました。いつもはトラックから作って、そこに言葉をのっけていくんですが、歌詞を考えるのが好きじゃないんです。歌詞はリアルさにこだわっていて、基本的には実体験がベースになっています。ただ言葉って責任が伴うし、場合によっては非難されることもある。逆に幸せにできたりもするので、いつも悩みます。だから時間もかかってしまうし、なかなかやる気にならないんです(笑)。

WWD:以前にリリースした「kill more it」 のアンサーソング「kill late it」や「nambu」など決意が感じられる曲もあった。特に「nambu」では「この町を出ていく」というリリックがあったが実際に川崎を出ることを考えている?

dodo:そうですね。実際、本気で移住は考えていて、今は三重県の伊勢市が気になっています。できれば毎日、伊勢神宮にお参りできる場所がいいなと考えています。あそこまで歴史があって神聖な場所だと、何かいいヒントになるんじゃないかなと思っています(笑)。

“ヒップホップ”とはいかにリアルであるか

WWD:前作「importance」から約1年5カ月。振り返ってみてどうだった?

dodo:ヒップホップシーンで会いたかったKOHHさんやOZROSAURUS(オジロザウルス)のMACCHOさんに会えたり、「im」のヒットがあったり、ワンマンイベントを開催したり、やりたかったことは全てできました。コロナの前まではすごく充実していました。

WWD:ユーチューブにアップした「im」のMVは400万回以上再生されるなど、すごくヒットした。

dodo:あのクオリティーのMVなのにありがたいことです(笑)。「im」はTikTokでも話題になって、そこからMVを見てくれる人が増えました。MVはいつも同級生と2人で撮影していて、基本は「GoPro」で一発撮り。ロケ地も限られていて、駐車場か公園かホテルかみたいな感じで(笑)。もともとパソコンのスペックが低かったので、編集できないっていうところからこのスタイルになりました。

WWD:他のアーティストが凝ったMVを作っている中で、このシンプルさがいい意味で個性になっている。昨年のアルバム発売以降は、7月から3〜4週間に1曲という早いペースでリリースして、そのたびにMVも制作していた。

dodo:そのときはまだ就職しようと思っていたので、今後は音楽活動に専念できなくなることを考えて、まずはユーチューブの登録者数を増やさないといけないなと。そのためには動画の本数が必要だったので、曲のリリースとMVをセットにしました。最初は100万回再生超えだったり、すごく調子よかったんですが、やっぱりペースが早すぎて(笑)。途中で視聴回数も減ってしまいましたね。ユーチューブは広告的な位置づけで、映像があるからこそ曲も聴いてもらえると思っています。登録者数は5万1000人ほどで、こまだまだ増やしたい。

WWD:MVといえば、「レッドブル」が企画したRASENではDaichi Yamamotoや釈迦坊主、Tohjiとの競演も話題だった。あのメンバーとは普段から会ったりする?

dodo:RASENで会ったきりですね。皆さんそれぞれキャラが立っていて、奇跡のコラボだったと思います。あのメンバーの中に僕も呼んでもらえてうれしかったです。

WWD:dodoさんはいわゆるラッパーという見た目ではないが、それは何かこだわりがある?

dodo:ラップを始めたころから“ヒップホップとは何か”っていうのをずっと考えていますが、けっこう早い段階からその答えはあって、それは“いかにリアルか”ということ。結局、それを貫き通すには、僕自身もカッコつけずにリアルなありのままの自分でいようと思って、今のスタイルになっています。

WWD:海外のラッパーに影響を受けて音楽を始めたが、服装などは影響を受けなかった?

dodo:洋服には興味がなくて、本当にファッションって全然分からないんです。だからそこには全く憧れなかったんです。少しでもファッションに興味があれば、見た目から入ったかもしれません。

WWD:そうは言っても、「トーガ」や「ドッグス」とコラボしてTシャツを販売するなど、ファッション業界からの注目度も高まっている。今日は「ラコステ(LACOSTE)」を着ているが?

dodo:Tシャツ、ズボン、靴までオール「ラコステ」です。「ラコステ」は以前、ラッパーのPUNPEE(パンピー)さんが着ていたのを見てカッコいいなと思っていて(笑)。ファッションに関しては今後は自分でもデザインしてみたいです。

「恋愛の曲はうまく作れるんです(笑)」

WWD:dodoさんは音楽大学に通っていたが、そこで作曲の基礎を学んだ?

dodo:音楽音響デザインコースで、録音、作品作りなどを勉強していました。「高校生ラップ選手権」に出ていたので、4年間音楽にかけてもいいのかなと思って。大学2年生のときからトラックは作り始めました。大学の相馬先生がJ-POPに詳しくて、その人に楽曲の作り方の基礎を学んだので、今の感じになったんだと思います。そう考えると先生の授業がなかったら今の形にはなっていなかったかもしれません。

WWD:ヒップホップ以外も聴く?

dodo:聴かないですね。でもMVを一緒に作ってくれるカメラマンは、J-POPしか聴かなくて、彼が聴いて「いい」と言ってくれたら一般の人にも受けますね。まさに“市場の耳”を持っていて、毎回MVの撮影をするときに彼の反応を見るのは楽しみです。

WWD:恋愛の曲も多い。あれも実体験がベース?

dodo:そうですね。リアルな気持ちを表現しています。自分で言うのもなんですが、恋愛の曲はうまく作れるなと思いますね(笑)。

WWD:去年は「フジロック」にも出演したが?

dodo:それまで一回もフェスに行ったことがなくて、初めてのフェスだったので緊張しました。他のアーティストを見る余裕も全然なくて、KOHHさんだけ見ました。ライブは深夜3時からで次の日も学校があって、終わってからすぐ帰ったので、めっちゃ疲れました(笑)。

WWD:コロナが落ち着いたらライブもやっていく?

dodo:そうですね。実はライブはそんなに好きじゃないんです(笑)。基本的に作品をリリースした時点で自分の中で一つ終わったという達成感があるんです。でも、ライブでお客さんと交流することで生まれる絆もあるので。責任を持ってやっていかないといけないですね。そのためにも早くコロナは収束してほしいです。

The post リアルさが共感を呼ぶラッパーdodo  “ノーマル”という名の新境地へ appeared first on WWD JAPAN.com.

“地雷メイク”に続くのは何メイク? フォックスアイなど海外から押し寄せる3つのトレンド

 昨今、SNSやユーチューブなどを中心に話題になっている “量産型メイク” “地雷メイク”をご存知だろうか。インフルエンサーやユーチューバーがこれらのメイクを投稿したことで広まり、藤田ニコルやりゅうちぇるから、研ナオコまで多くの芸能人もユーチューブでメイク動画を投稿したりインスタグラムにアップするなどして注目が集まっている。

 まず“量産型メイク”とは男性アイドルのライブ会場などに居そうな同じ傾向のファッションとメイクをしているオタク女性=量産型オタクをイメージしたメイクの総称だ。垂れ目と涙袋を強調したアイメイクに透明感のある白い肌、ピンクのチークやリップでかわいらしく仕上げるのが特徴。一方で“地雷メイク”は、“量産型メイク”と似ているようで対照的な要素を持ち、“病みメイク”“メンヘラメイク”などともいわれている。その特徴は人形のような白さを追求したマットな肌に、赤いアイシャドウを使って泣きはらしたような目元に仕上げるアイメイク、リップは白い肌に映える赤、というのがテンプレートだ。

藤田ニコル

 “量産型メイク”や“地雷メイク”の流行はコンテンツ的に楽しんでいる傾向が強く、日本発信のトレンドだが、今、海外からの入ってきたメイクやヘアスタイルトレンドが、リアルで流行しはじめている。日々SNSをパトロールしている記者Aと記者Kが注目トレンドを3つピックアップする。

中国コスメに熱視線 日本上陸も

  中国のインフルエンサーなど、まるでサイボーグのように完璧な美しさを持つ中国美女を指す“チャイボーグ”(チャイナとサイボーグを掛け合わせた造語)が注目され、彼女たちをまねた“チャイボーグメイク”がSNSなどを中心に話題となったが、中国のコスメも流行の兆しを見せている。中国コスメが支持されている理由のひとつは、その煌きらびびやかなデザインだろう。コスメブランド「花西子」のアイシャドウパレットやリップスティックには表面に繊細な模様が施され、まるで美術品のようだ。そのほかにも、「人魚之水」などファンタジーなコンセプトが際立つものが多く、韓国コスメなどともまた違った魅力がある。

 中国コスメは、まだ日本ではほとんど販売されておらず通販サイトが主だが、ラメ入りのマスカラがSNSで“バズ”を巻き起こした「ズーシー(ZEESEA)」のマスカラが7月18日から全国のプラザ、ミニプラなどで販売される。今後中国コスメの日本上陸に期待が高まる。

キツネのようなセクシーな“フォックスアイ”が若い子に大人気

 海外では最近、“フォックスアイ(fox eye)”メイクアップがはやっている。フォックス(キツネ)のように少しつり上がった目元を特徴とし、ケンダル・ジェンナー(Kylie Jenner)やベラ・ハディッド(Bella Hadid)などがはやらせたとされている。目尻をアイライナーやアイシャドウで跳ね上げ、目頭にもアイライナーを入れ、さらに眉山をなくして平行山に仕上げることが多い。また、付けまつげも目のラインに沿ってではなくあえて少し角度をつけて施すことにより、より“吊り上がった”目元を演出できる。SNSでは“#foxeye”“#foxmakeup”“#foxeyechallenge”と付けた投稿が相次いでおり、ティックトック(TikTok)では“#foxeye”の投稿が5800万回以上再生され、インスタグラムでは“#foxeyes”の投稿が5.6万件投稿さ。そして多くのブランドやメイクアップアーティストがハウツー動画やコンテンツをアップしており、今最も話題のメイクアップルックと言っても過言ではない。一方で“アジア人のような目元”をまねしているのではという差別を懸念する声も上がっている。

@hayleybuix

Bronzy Model Look ???? ##makeuptutorial ##bronzymakeup ##modellook ##cateye ##foxeye ##powerofmakeup ##fyp

♬ Originalton - hayleybuix

@vitoriavaqueiro

TUTORIAL FOX EYE ##foxeye ##foxeyetutorial ##makeup ##fyp ##foryou

♬ original sound - foodies

@serotonin.21

##fight the ##foxeye ##fox ##foxeyechallenge ##foxeyetrend PLEASE. It’s ##racist and brings back a lot of bullying and is DOWNRIGHT IGNORANT. ##pocunity ##aa

♬ original sound - serotonin.21

ビヨンセやミランダ・カーが夢中 前髪ブリーチブーム到来か?

 “フォックスアイ”のほかにも最近目にするのは、前髪だけを明るくしているヘアスタイルだ。海外では“フェイスフレーミングハイライト(face framing highlights)”という呼び名ではやっており、多くのセレブが取り入れている。イギリス人歌手のデュア・リパ(Dua Lipa)は昨年あたりから髪の一部だけを明るくしており、今年3月に発売した新アルバム「フューチャー ノスタルジア」のジャケット写真にも“前髪ブリーチ”の姿で登場した。そのほかモデルのミランダ・カー(Miranda Kerr)や歌手のビヨンセ(Beyonce)、カイリー・ジェンナー(Kylie Jenner)も前髪だけを少し明るくした写真をSNSに投稿。K-POPグループのBLACKPINKのジェニー(Jennie)も6月26日に発売したシングル「ハウ ユー ライク ザット」のPVで“前髪ブリーチ”姿を披露し、大きな話題を呼んでいる。

The post “地雷メイク”に続くのは何メイク? フォックスアイなど海外から押し寄せる3つのトレンド appeared first on WWD JAPAN.com.

デジタルメンズコレでドタバタ対談 楽園気分に「ヴェルサーチェ」攻めのストリートが際立つミラノ3日目

 パリ・メンズに続いてスタートしたミラノのデジタル・ファッション・ウイークも残すところあと2日。ここでは主にメンズを担当している記者たちが「頑張ってリアルタイムで見てみました」取材を日替わりで担当します。「アーカイブでも見られるのにオンラインで見る意味あるの?」という周囲の視線を感じながらも、「コレクションはライブ感!」と信じて完走を目指します。今回は海外コレクション取材歴4年の大塚千践「WWDジャパン」デスクと海外コレクション初取材の美濃島匡「WWDジャパン」記者がリポートします。

17:00(ミラノ時間 10:00) 「シモーナ マルツィアーリ-MRZ」

美濃島:ミラノ3日目始まりました。たった今、校了で大忙しな大塚センパイから「ごめん、途中から参加します!」と連絡が来たので、序盤は一人でリポートしていきます。トップバッター「シモーナ マルツィアーリ-MRZ(SIMONA MARZIALI-MRZ)」のプレゼン映像は、イタリアらしいカラッとした空気の麦畑が舞台。「FRIDAY」「SUNDAY」と曜日違いでルックを公開しました。ピュアな真っ白のジャケット&ショーツからのぞく小麦色のニット、その後も多数見られたルーズな編みのトップスが可愛かったですね。なんだか他人の夏休みの思い出を垣間見ているようでした。白と黒の編み込みバングルは手軽に季節感が演出できるから人気が出そう。デザイナーのシモーナ マルツィアーリは「イタリアン ヴォーグ (ITARIAN VOGUE)」主催の「フー イズ ネクスト(WHE IS NEXT?)」に2018年に選出され、2019年からミラノでコレクションを発表しています。これまで注視していませんでしたが、好みのブランドでした。

18:30 (ミラノ時間11:30) 「サン アンダース ミラノ」

美濃島:「サン アンダース ミラノ(SAN ANDERS MILANO)は野原が舞台でした。全く同じ服装の男女が出会い、固定的な性差を超えたファッションの自由さを発信するストーリー。フリル付きのシャツやギンガムチェックのシャツ、パールのネックレス&イヤリングというフェミニンなコレクションでしたが、男性モデルも違和感なく着こなしていました。「あなたが誰なのかは重要じゃない、どんな人になりたいかが大事なんだ」というコピーもしっかりと伝わってきました。

18:00(ミラノ時間11:00) 「エルマンノ シェルヴィーノ」

美濃島:「エルマンノ シェルヴィーノ(ERMANNO SCERVINO)」はチュールドレスや花柄ワンピースなど、リゾート気分を全面に出したコレクション。都市から離れた農家でリゾート感を演出するのは、最初の「シモーナ マルツィアーリ-MRZ」と似ていますね。のどかでほっこりします。

大塚:お待たせしましたー!「エルマンノ シェルヴィーノ」に滑り込みセーフ。紙面の校了もカブってバタバタですわ。昨日はトガった系の映像ばかりで辛かったから目がまだ疲れているよ。パリではアングラなロケーションも結構見かけたけれど、イタリアは本当に田園や自然が舞台の作品が多いね。ウィメンズのみだったけど、目の保養になりました。郷土愛ですな。「シモーナ マルツィアーリ-MRZ」も後で見てみよーっと。

美濃島:大塚さん、思ったよりお早い登場ですね。うれしい!ドレスをベルトで縛ってカジュアルダウンさせたり、ニーハイブーツでエッジを効かせたりとスタイリングの妙が光りましたね。トラ模様を転写した総柄コートやドレスもありましたが、あれを着てパーティに行ったら会場の視線を独り占めできちゃいそうなくらいインパクト抜群でした。

19:00(ミラノ時間12:00) 「フィロソフィ ディ ロレンツォ セラフィニ」

美濃島:「フィロソフィ ディ ロレンツォ セラフィニ(PHILOSOPHY DI LORENZO SERAFINI)」はオランダ人モデルのルーナ・ビル(Luna Bijl)を起用したイメージムービーで勝負。真面目な撮影風景を収めたシーンから始まったと思いきや、途中から撮影を抜け出し、テニスを始めたり、散歩したり、最後にはプールに入っちゃうというフリーダムな内容。とびきりキュートな彼女の振る舞いも相まって、すごくハッピーな気分に浸りました。

大塚:また田園とかリゾート的な撮影現場でうれしい!いやーもう今日はこういう感じでいいよ。こじらせたアングラ系は無しということで。それとルーナ・ビルが最高だね。彼女のためのプロモーション映像みたいだけど、天真爛漫で豊かな表情を見ているうちにあっという間に3分が経ってました。

美濃島:コレクションは黒ベースにカラフルなドットを施し、片方の肩に大きなフリルをあしらったミニドレスや、シフォンをたっぷり用いたドレスなど、上品ながら楽しげなムード。映像の世界観とも合致していたし、「欲しい」と思った女性は多いんじゃないでしょうか。

19:30(ミラノ時間12:30) 「キートン」

美濃島:「キートン(KITON)」は新作を披露せず、1着のスーツが出来上がるまでのストーリーをイタリアの広大なスペクタクルとともに伝えました。糸づくりや生地の生産、テーラーによる仕立てまで、全行程をカバーするあたりに作り手のプライドを感じますね。

大塚:「キートン」はファクトリーや原料のシーンが中心で厳粛な雰囲気だったけど、物作りはめっちゃトガってて、展示会に行ったらビックリすると思うよ。下手したらケタが2つ違う異次元プライスなのだけど、服に触れるたびにため息を通り越して「はー!」という声をあげているもん(笑)。老舗だから、美濃島さんの言う通りプライドと自信はもちろんあるのだけれど、進化を恐れない姿勢はカッコいいよね。

美濃島:手にとってみたいと思わせるには十分でしたが、なにか新作に通ずる仕掛け、もしくは「新作を出さない」というステートメントなど、今後に繋がる要素を期待してしまいました。

20:00(ミラノ時間13:00) 「サルヴァトーレ フェラガモ」

大塚:「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」は、超意外な展開だったね。サスペンス映画のようなイントロから、全速力で長い歴史を振り返りつつステートメントを主張するという内容。新作は結局出てこなかったけど。てんこ盛りかつ駆け足すぎて、何が一番伝えたいのかちょっとわかりづらかったかな。テーマごとにチャプターで切り分ける手法は「プラダ(PRADA)」も同じだったけど、欲張りすぎたかもね。

美濃島:おっしゃる通り、詰め込みすぎた映像になっていましたね。さきほどの「キートン」もそうでしたが、ミラノの老舗ブランドは歴史的な街並みを写したり、スケールの大きな音楽で凄みをアピールしたりする傾向にありそうです(笑)。

大塚:まあでも創業1927年の「サルヴァトーレ フェラガモ」の動画で、コンクリートジャングルを背景に打ち込みの音楽が流れていてもイヤですけどね(笑)。靴は本当に美しいし、コレクションを率いるポール・アンドリュー(Paul Andrew)も魅力的な人物だから、どこかに焦点を絞った方がよかったのかも。

美濃島:たしかにデザイナーの個性にフォーカスすると、「これがDNAだ」と一方的に言われるよりも共感しやすいのかもしれません。

21:00(ミラノ時間14:00) 「トッズ」

美濃島:その一方で「トッズ(TOD’S)」は、2020-21秋冬シーズンからクリエイティブディレクターを務めているヴァルター・キアッポーニ(Walter Chiapponi)にフォーカスし、彼がブランドで描いているビジョンを伝えましたね。やはりデザイナー自身がクリエイションの姿勢を改めて話すと、力強さが滲みます。

大塚:歴史をスピーディーに詰め込んだ「サルヴァトーレ フェラガモ」に対し、「トッズ」は新しいクリエイティブ・ディレクターを紹介したいという意思か明確だったね。トーマス・マイヤー(Tomas Maier)とも働いた経験があるみたいで、本人もめちゃオシャレ。ちょっとロバート・ダウニー・ジュニア(Robert Downey Jr.)に見えたり見えなかったり。彼が“ゴンミーニ”やボートシューズをデザインするプロセスも見られるんだけど、ウエアもなんだかよさげに仕上がりそうな予感。個人のスタイルはクリエイションに間違いなく反映されるから、次のコレクションが早く見たいな。

美濃島:昨シーズンのメンズはコートやジェケットスタイルが増え、エレガントさが増していました。今季もどんなコレクションを仕上げているのか、今から楽しみですね。

22:00(ミラノ時間15:00) 「ディースクエアード」

美濃島:「ディースクエアード(DSQUARED2)」はテーラリングスタイルをモノクロのシックなムービーで、カジュアルスタイルを楽しげなカラームービーで切り取りました。BGMは同じだったのに、服と映像でこんなに違った雰囲気になるんだと驚きました。

大塚:「ディースクエアード」は今回プレだったね。だからいつも以上にカジュアル寄りだしスポーティー。しつこくて申し訳ないんだけど、昨日のアングラ映像の連打をまだ引きづり続けているから(笑)、こういう安定感のあるユーモア映像を見るとホッとするわ。

美濃島:テーラリングはカチッとしたタキシードやロックスターのようなスパンコールジャケットなどを用意。軽さはなく、少し暑そうでしたが、世界観は純粋にかっこよかったです。カジュアルスタイルではナイロンをはじめとするシャカシャカ系の軽いアウターにTシャツを合わせたスポーティーなムードでした。デザイナーの2人が和気あいあいと動画の流れを紹介するイントロダクションも素敵でしたね。

大塚:そうそう。ディーン・ケイティン(Dean Caten)とダン・ケイティン(Dan Caten)のツインズも元気そうで安心した。ニュー・ノーマルでは着心地とかタイムレスがキーワードなのは間違いないけれど、こういうヤンチャで心を揺さぶるクリエイションは変わらないでほしいな。ギラギラでイエー!みたいなパワーもファッションの側面だしね。

22:30(ミラノ時間15:30) 「ヴェルサーチェ」

美濃島:「ヴェルサーチェ(VERSACE)」は、ロンドン出身のMCであるエージェイ・トレイシー(AJ Tracey)が新作をまとって登場。ラックにかかったコレクションを手にとったり、撮影現場を見守ったりしたあと、そのままパフォーマンスを披露します。途中からはモデルも乱入。オリジナリティー溢れる映像でした。

大塚:いやぁ、ストリート全開のコレクションが振り切っていてよかった!エージェイ・トレイシーの歌もかっこよかったね。「ヴェルサーチェ」はここ最近、アニマル柄をはじめストリート色強めのクリエイションで存在感を発揮していました。でも業界にはフォーマル回帰のムードが漂っていて、「ヴェルサーチェ」がそこに寄せちゃうと官能的すぎるかもな……なんて勝手に心配していたんですが、杞憂でした。

美濃島:エージェイ・トレイシーが登場シーンに着ていた繊細なバンダナ柄のプリントシャツがすごくかっこよかった。僕も右にならえではなく、攻めの姿勢を貫くスタンスにもすごく共感しました。

23:00(ミラノ時間16:00)「ハン コペンハーゲン」

大塚:キタキタキタキター。「ハン コペンハーゲン(HAN KJOBENHAVN)」は予想通り、いや、むしろそれ以上のフルスロットルできて気持ちいいわー。パーツを誇張したジャケットとかチラ見せしていたけど、ほとんどアレしか映ってないし。

美濃島::ぶ、ぶっ飛んでましたね(汗)。地底に蠢く未成熟なエイリアンたちが、自分たちの母親(のような生き物)のエネルギーを奪って、服を身にまとい完成系に近くというストーリーだと強引に解釈しました。アングラを通り越し、人によっては嫌悪感さえ抱きかねませんが、攻めの姿勢はよかったです。2008年にスタートしていて、新進気鋭ってわけでもないことに一番ゾッとしました。大塚センパイは「案の定」といった感じですが、なぜこうなると予想できたんですか?

大塚:ちょっとコレを見てみてよ。

大塚:1月のミラノメンズのショーで撮影したんだけどさ、面白すぎるでしょ。まず、会場に着いたら日本人が全然いないの。だからこういうブランドが映像に手を付けたもんなら、こうなることは予想できるよね。初めて見る美濃島さんは言いたいことがいろいろあると思うけど(笑)、こういう感じに批判なんてするだけ無駄だよ無駄。こういう突然変異は、遠くから動向を温かく見守るのが正解。でも、服は意外と普通なんだよね(笑)。

美濃島:そう、普通なんですよ。映像の世界観も相まってSF映画の衣装のように見えますが、じっくり見てみると仕立てがよさそうなジャケットだったり、光沢があって近未来感のあるコートだったり、ちょっとクセはありますが、着てみたいと思うアイテムがチラホラあるんです。伝え方を変えたら、日本でも人気が出そうな予感もするんですが……。

23:30(ミラノ時間16:30) 「ヌメロ 00」

美濃島:「ヌメロ 00(NUMERO 00)」はバランスのよいストリートでしたね。透け感のあるブラックニットに長めのネックレスを合わせたグランジテイストや、企業ユニホームっぽい淡い水色の半袖シャツ&ショーツのセットアップ、お祭りで着るハッピのような和を感じる羽織りなど。さまざまなテイストを織り交ぜることで、ストリートと一口にくくれない幅広さがありました。継続的に提案しているテック感のあるアノラックパーカも、機能や気心地が優先されるポスト・コロナのムードにハマりそう。

大塚:お、「ヌメロ 00」気に入ったみたいじゃん。もともと削ぎ落とし系のストリートウエアが得意だけど、今シーズンはさらにミニマルに振ってきたね。あと、意外な映像で驚いたわ。こういうカルチャーを背景に感じさせるブランドって、意外性のあるアンダーグラウンドな場所で撮りたがるパターンが多いから、公園とか川辺で服をきれいに見せるっていう手はアリかもと思った。尺はちょっと長いかなーとも感じたけど、校了後でグデングデンのコンディションでも気持ちよく見られたよ。

美濃島:映像は8分と若干長めでしたが、リゾート感が押し出された今日のラインアップの中では際立っていましたね。

24:00(ミラノ時間17:00) 「デヴィッド カタラン」

大塚:さあ!いよいよわれわれの最後のドタバタ取材「デヴィッド カタラン(DAVID CATALAN)」だよ。終電がヤバいのではメトロに乗りながらスマホで見ました。服も悪くはないんだけど、映像のストーリーが超気になった。男性2人が出会いそうで出会わないじれったい展開に(あああー!)ってなりつつ、ラストでいよいよ対面して、月9のような展開くる!?ってとこで終わっちゃった(笑)。

美濃島:最高潮の場面で終了しましたね(笑)。植物園のような空間でサファリスタイルを披露しました。多く登場したマルチポケットのセットアップには、リゾート感のあるマドラスチェックやアースカラーのストライプで親しみやすさを加えます。地上絵のようなステッチが目をひくデニムのトップスや、深みのあるオレンジのジャケットなど、アイテムの幅も狭くなかったですね。何度か映ったベルトサンダルもかわいかったなあ。

大塚:プレコレクションだからルックは少なかったけれど、「ヌメロ 00」とは違って色とラテンっぽいムードをストリートウエアに落とし込んだ感じかな。地力はあるから、もうちょっとキャッチーさがあれば面白くなりそうだね。

美濃島:昨シーズンはアウトドアからフォーマル、スポーツまでカバーしていて、高いポテンシャルを感じていました。本番の春夏に期待が高まる内容でしたね。

デジタル・ファッション・ウイークを振り返って

大塚:自宅の最寄駅に着いたところで終わったー!ミラノ・メンズはあと1日あるけれど、僕と美濃島さんの対談は今日で終了。途中でリタイアしようかと思うぐらい辛かったけど(笑)、こんなときじゃないと見られないブランドを知れてよかった。デジタルコレクション元年だからまだ良し悪しを判断するときじゃないかもしれないけれど、いろいろな表現が増えて面白くなりそうだなと感じたな。あとは、消費者をいかに巻き込んでいくかが課題だと感じました。

美濃島:お疲れ様でした!本当にキツかったですね(笑)。ユーチューブで公開した映像でも、同時視聴者が数十人というブランドも少なくなかった。デジタルだと、街全体がお祭り気分に包まれる感じは出せないので、一般ユーザーにもっと広く認知されて「なんだか面白そうなことやってるな」と思ってもらえるかどうかが大事ですね。

大塚:そうそう。結局は僕らみたいな限られた人たちしか見ていない気もするので、もっと多くの人を巻き込んでいけるサービスや機能が開発されていけば、定着する可能性もあるかも。東京やほかの都市のファッション・ウイークが、ロンドンからミラノまでの一連の流れを見て、どう出てくるのか楽しみです。

美濃島:さまざまなブランドを取材し、メッセージを届けることの難しさも実感しました。ブランドだけでなく、メディアのあり方も問われる時代。僕たちも「どう伝えるのがもっとも伝わるのか?」を常に考えて発信していきたいですね。

The post デジタルメンズコレでドタバタ対談 楽園気分に「ヴェルサーチェ」攻めのストリートが際立つミラノ3日目 appeared first on WWD JAPAN.com.

“痛い靴を履いている女性はセクシーじゃない” スペイン発シューズブランド「マリサ レイ」の哲学

 スペイン・バルセロナ発の「マリサ レイ(MARISA REY)」は、27年続くシューズのファクトリーブランドだ。看板アイテムのエスパドリーユのサンダルやショートブーツは鮮やかな色使いと、安定感のある幅広ソールの履き心地に定評がある。2018年春夏シーズンからは伊藤忠商事と日本代理店契約を結び、日本の販路やコミュニケーションを強化している。日本ではロンハーマン(RON HERMAN)やトゥモローランド(TOMORROWLAND)、シップス(SHIPS)、ジャーナル スタンダード(JOURNAL STANDARD)など有名セレクトショップで扱われている。デザイナーであり、アーティストとしても活動するマリサ・レイにデザインのこだわりや日本でのビジネスについて聞いた。

WWD:ブランドの背景について教えてほしい。

マリサ・レイ(以下、マリサ):靴工場の4代目として生まれ、幼い頃から靴職人の父を見て育ちました。父は紳士靴の職人だったので、私は婦人靴を作りたいと思い、イタリア・フィレンツェに留学して靴作りを修業しました。26〜27歳の頃にスペインに帰国して婦人靴専用の工場を作り、「フェンディ(FENDI)」や「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」などのラグジュアリーブランドから仕事を請け負い、靴を生産していました。1990年代からは自分のブランド「マリサ レイ」を立ち上げて、今はそちらに専念しています。

美しく自由に歩き回れる靴が重要

WWD:どのようにシューズをデザインしているか?

マリサ:いつも頭の中にアイデアがあふれていて、色鉛筆でスケッチをしてデザインをしています。私自身、洋服は黒ばかり着ることが多いですが、靴には遊び心を加えたくて、形はシンプルにしながらも、スペインらしい鮮やかな色を加えるようにしています。私は働くことが大好きで、今もデザイン、パターン、素材選びまでの工程を1人で行いますし、工場での技術やデザインのチェックも頻繁にしていますね。ビジネスはもともと弁護士だった夫が社長として経営を担っていて、工場や物流以外のことはほぼ私と夫の2人で完結しています。

WWD:履き心地に定評があるが、こだわりは?

マリサ:美しい靴があっても、履き心地が悪かったら売れないし、次にまたそのブランドで購入したいと思わないですよね。セクシーに見えるハイヒールは美しいですが、痛そうな靴を履いている女性はセクシーではありません。「マリサ レイ」では、美しく自由に歩き回れる靴が最も重要だと思っています。靴擦れを起こしたり、履いていて苦しい思いをする靴は美しくないですから。

WWD:ブランドで最も売れている靴は?

マリサ:春夏はエスパドリーユのサンダル、秋冬はショートブーツです。柔らかい素材を使って履き心地にこだわったバレエシューズやモカシンも最近のヒットアイテムになっています。

WWD:イタリアとスペインで靴作りを経験しているが、イタリアとスペインの靴の違いは?

マリサ:イタリアの靴はクオリティーが高く素晴らしいですが、価格も高い。スペインでは、良質でありながら手頃な価格帯で作ることができます。昔のシューズ工場は納期遅れも起こりやすかったんですが、最近は真面目な移民の職人も増えているので、スペインのシューズ工場の質は総合的に改善されていると思いますよ(笑)。

日本人とカタルーニャ人は似ている

WWD:日本ではどのようにビジネスを広げてきたのか?

マリサ:日本のビジネスは25年前から細く長く続けてきました。今はブランドの30%の市場規模になっています。これまで三ツ星貿易や丸紅などの商社にお世話になりましたが、18年春夏シーズンからは伊藤忠商事との契約を結びました。他国にもセールスエージェントはいますが、独占輸入をしているのは日本だけです。

WWD:伊藤忠をパートナーに決めた理由は?

マリサ:いつも他国に進出するときは誰と一緒に組むかが重要だと思っています。その中でも真面目に誠実に向き合ってくれた伊藤忠に決めました。日本人と私たちカタルーニャ人(スペインのカタルーニャ州の人)は似ていて、よく働くし、真面目で、シエスタ(昼寝)も取らないんですよ(笑)。だから私は日本に惹かれていますし、マーケットがよく理解できていると思います。

WWD:日本での個人的な思い出はあるか?

マリサ:東京は何度も訪れていますが、仕事で短期間の滞在しかしてきませんでした。私は絵を描いていて、アーティストとしての活動もしていますが、日本の画材店で購入した絵の具がとても使いやすく気に入っています。最近は忙しくてなかなか絵に集中する時間は取れていないんですけどね……。もうすぐ70歳になりますが、ずっと働いていることが若さの秘けつかもしれません。

The post “痛い靴を履いている女性はセクシーじゃない” スペイン発シューズブランド「マリサ レイ」の哲学 appeared first on WWD JAPAN.com.

「コスメキッチン」が「リサとガスパール」とコラボで絵本発売 共感で広がるサステナビリティ推進への取り組み

 マッシュビューティーラボが展開するオーガニック化粧品のセレクトショップ「コスメキッチン」は、フランス生まれの人気キャラクター「リサとガスパール(Gaspard et Lisa)」とのコラボ商品を17日に数量限定で発売する。化粧品や雑貨など9アイテムのほか、描き下ろしによるオリジナル絵本「リサとガスパール ちきゅうを すくう」を全国の「コスメキッチン」約70店舗で販売する。同企画は「リサとガスパール」の作者であるアン・グットマン(Anne Gutman)とゲオルグ・ハンスレーベン(Georg Hallensleben)夫妻が、「コスメキッチン」の「サステナブルライフを日本中に届け、人々をハッピーにする」という理念に共感したことから実現した。今回のコラボレーションの狙いと、また多くのブランドとコラボする意味、さらにはサステナビリティ推進への思いを小木充副社長に聞いた。

WWD:「リサとガスパール」とのコラボまでに至る経緯は?

小木充マッシュビューティーラボ副社長(以下、小木):7年ほど前に「コスメキッチン」がまだ20店舗ぐらいだったころ、オーガニックコスメの現在のようなポジションが確立されていない中で、より多くの人に手に取ってもらうのにキャラクターとのコラボは面白いと思っていました。縁があって漫画「ピーナッツ」のキャラクター、スヌーピーとコラボできることになり、日焼けしたスヌーピーをパッケージにプリントした「コスメキッチン」オリジナルのUVクリームを作ったのがスタートです。それが瞬く間にヒット商品になりました。初めはキャラクターがかわいいからと入ったお客さまも、「コスメキッチン」っていうオーガニックコスメのショップが作っているらしい、使ってみると処方はナチュラルで肌にやさしい優れもの、「これは何だ?」となり興味を持ってもらえる層が広がりました。

WWD:キャラクターを使ったビジネスはそこからどのように広がったか?

小木:マッシュホールディングスのコーポレートスローガンが“ウェルネスデザイン”を掲げていることから、本国と直接契約で「ピーナッツ」のウェルネスラインを作ろうという話になり、化粧水やリップクリーム、ハンドクリーム、ファブリックスプレーなどのライフスタイルアイテムも作って販売しました。5年ぐらい前から、日本国内でマスターライセンスを持つソニー・クリエイティブプロダクツを経由する契約に切り替わり、「コスメキッチン」の中でも人気商品として「ピーナッツ」とのコラボ商品を展開してきました。そのソニー・クリエイティブプロダクツがライセンスを持っているキャラクターの中に「リサとガスパール」があったんです。

作者のパリのアトリエを訪れその場でコラボが実現

WWD:「リサとガスパール」とのコラボの狙いは?

小木:さまざまなキャラクターを考えましたが、作者が存命でパリに住んでおり、「コスメキッチン」は“パリの女の子の部屋”というコンセプトからスタートしているので縁がありましたし、作者に直接思いを伝えられることも魅力でした。絵本を描き下ろしてほしいと依頼したのが3年ぐらい前。そして去年の5月に直接会うことができました。自宅兼アトリエを訪問してプレゼンテーションの時間をいただき、マッシュビューティーラボがどういう会社でグループがどういう思想を持っているかを話しました。オーガニックコスメを取り扱う根底にはサステナブルやエコロジカルを重視する考え方があるという話をしたらすごく共感してくださって、創作意欲が湧くと言っていただきその場で話が進みました。ストーリーのテーマは「地球を救う」。一枚一枚描き下ろしによる絵本となりました。

WWD:モノ作りの姿勢や目的は一貫していて、今回のコラボもオーガニックライフを伝える方法の一つとして展開している。

小木:今の消費者は商品を検索するときにどんな会社が作っているのか、コーポレートスローガンは何か、ビジョンがある会社かまで調べて、その後購入することが増えてきています。ホールディングスの“ウェルネスデザイン”やマッシュビューティーラボの“オーガニックライフを世の中に広める”というビジョンと、プロダクトがイコールになっていることがブランディングとして大切なことです。“ウェルネスデザイン”とは本質的な健康を見極めながら「人々がより笑顔でいられる」ための商品・サービスを提供することをうたうスローガン。その基準に合わないモノ作りや販売サービスをしない真面目さが重要になります。「コスメキッチン」が16年目、マッシュビューティーラボが10周年となる節目の年に、思想や企業理念を体現するコラボ企画が実現しました。

WWD:コラボ商品はどのようなラインアップか?

小木:自社で作ったものと、われわれが得意としてきたセレクトショップとして取引のあるメーカーにも商品を作っていただきました。子どもと一緒に使えるという切り口で「メイドオブオーガニクス(MADE OF ORGANICS)」の喉スプレーや、「ママバター(MAMA BUTTER)」のハンドクリームを、今回のコラボために特別なフレーバーや香りで作っていただきました。また「コスメキッチン」で定番人気の「ナリン(NAHRIN)」のハーブオイルのほか、「ヴェレダ(WELEDA)」は本来キャラクターコラボがNGのところを、企画主旨に賛同してくださりバスミルクセットのコラボが実現しました。自社では、販売実績のあるマルチユースのバームスティックや、ファブリックスプレーを作りました。また絵本のストーリーがエコロジカルを意識した、ごみを出さない、容器の詰め替え、無駄にしないといったことをテーマにしているので、100%海洋プラスチックごみから作られた糸を使った“サスティナバッグ”、燃やしたときの二酸化炭素排出量が従来の半分以下に削減できるポーチも作りました。

環境を考えてアクションを起こすきっかけを作るのが使命

WWD:エコロジカルやオーガニックライフに対する共感の輪が、企業側にも消費者にも広がっている。「コスメキッチン」が目指すゴールは?

小木:欧米で先進的にオーガニックライフを実践する人に「サステナブルって何ですか?」と聞くと「そこにある空気や水のようなもの」と返ってきて、そのぐらい当たり前に浸透しています。それに比べると日本はまだまだ環境意識が低く、自分事としてとらえることが少し遅れていると感じます。ですが今後、7月1日から始まったレジ袋有料化でサステナブルな商品を選ぼうという意識は加速し、その商品がどのように作られて何でできているのかを知って選ぶことが、アイデンティティに関わるようになっていくと思います。ウィズコロナ、ニューノーマルというふうに生活が変わっていく中で、シンプルライフを求める人が増えるでしょう。外食が減った分、家庭でごみをどう減らすかにも意識が向いていくと思います。4月から「コスメキッチン」では空き容器回収プログラム「リサイクルキッチン」を始めたのですが、これがなくなるのが最終的なゴールだと思っています。容器をどこに捨てても土に還るぐらい容器の改善が進むことです。もう一つはショッパーを店頭に置かず、お客さまが持ってきたエコバッグに商品を入れられるようになること。欧米でもその水準になっているところはまだないので、ゴールまでの道のりは非常に遠いです。

WWD:今回のコラボのような形を通してサステナビリティの取り組みを広げていくのか。

小木:どこの企業も大量生産・大量消費に限界を感じ、環境問題に対して危機感を持って経営していると思います。どんなアクションがいいのかと突破口を探しているところも多い。そうした企業やサステナビリティに対する思いでつながる人たちとの取り組みがもっと増えたらいいと思っています。マッシュビューティーラボでは、ごみを減らすことを自分事として考えるきっかけをさまざまな形でお客さまに提供していきます。

The post 「コスメキッチン」が「リサとガスパール」とコラボで絵本発売 共感で広がるサステナビリティ推進への取り組み appeared first on WWD JAPAN.com.

これからの“売り方”で重要なOMOをどう実践するのか? 「アットコスメ」がやっていること

 ここ数年でネット発のブランドが増えたこともあり、OMO(Online Merges with Offline、ネットとリアルの融合)といった言葉をよく聞くようになった。とはいえ、実際の現場ではどのようなことを行えばいいのか––リアルで展開するコスメセレクトショップ「アットコスメストア(@COSME STORE)」の遠藤宗コスメネクスト代表に話を聞いた。

WWD:最近、OMOという言葉をよく聞くようになったが、「アットコスメストア」としてはどう捉えている?

遠藤宗コスメネクスト代表(以下、遠藤):OMOは簡単にいうと、「購入体験をよりよくしていこう」という考え方だと思っていて、リアルでもネットでも生活者は知りたい情報を知ることができて、体験ができ、満足できる購入ができるのが理想だ。僕らの場合だと1999年にネットメディアの「アットコスメ(@COSME)」を、2002年に化粧品EC「アットコスメショッピング(@COSME SHOPPING、当時はコスメ・コム)」をスタートさせた。そして07年にコスメのセレクトショップ「アットコスメストア」の1号店を新宿のルミネエストに出店した。その当時から「ネットとリアルの融合」というのは意識していて、ネットで感じられる世界観をリアルでも感じられるように店づくりを進めてきた。ネットの「アットコスメ」では、販売チャネルに関係なフラットにブランドが並び、ランキングなどで「どの化粧品が人気なのか」が分かるようになっていて、「アットコスメストア」でもそれが分かるようなディスプレーや品ぞろえを意識した。

WWD:当時の化粧品業界は販売チャネルごとにブランドも明確に分かれていた。一緒の売り場に並べるのも画期的だった。

遠藤:百貨店、化粧品専門店、バラエティーショップ、ドラッグストアの製品が同じように並んでいて、同じように試せる店はなかった。それがお客さまには受けたんだと思う。結果的にそれが支持されて、現在の新宿ルミネエスト店は年商15億円ほど。70坪でこの売り上げはなかなかない。

WWD:O2O(Online to Offline)とOMOは違う?

遠藤:O2Oはネットからリアルへ送客するという考え方だが、当初からそれは考えていなかった。あくまでネットでもリアルでも同じような購入体験ができるように意識した。

WWD:OMOという概念がなかった時代からそれを実践していた。OMOを実践する上で重要なことは?

遠藤:まずはネットとリアルでの顧客IDの統合で、「アットコスメ」「アットコスメショッピング」「アットコスメストア」は全て同一のIDで管理しているので購買履歴などを追えるのと、ネットとリアルのどちらで購入してもポイントを付与できる。ただ、現状だと同じ商品でもリアルでは買えるけどネットでは買えないなど、まだまだ品ぞろえが一致していないので、これが可能になると1回目はリアルで、2回目以降はECでという流れももっと増えてくると考えている。一般的にはOMOはオンラインのデータをいかにリアルで活用するかだが、「アットコスメ」は現状ではリアル店舗の方が規模が大きいので、来店した人がリアルでどんな商品を触ったのか、サンプルをもらったかなどの情報を、いかにオンラインのデータに反映させていくかがこれからの課題だと考えている。

購買に繋がらなかったデータが鍵

WWD:どんなサンプルをもらったかや、どんな製品を触ったかなどのデータが取れればどんなアプローチをするのか?

遠藤:サンプルをもらった人や製品に興味を持った人には、その後ネットで再度製品の使い方の動画を紹介するなど、アプローチできることが増えてくる。今までそうしたデータは取りにくかったが、スマホが普及したことで、できることが広がっている。

WWD:入店時にIDを読み取るとかも考えている?

遠藤:これからやっていくことになると思う。QRコードを読み取ると来店ポイントを付与するなどでそのデータは取れると思っていて、ただそれはまだ面倒なので、ブルートゥース経由でプッシュ通知ができないかなどを検討している。

WWD:いろいろなデータを取っていくことで、購入やサポートにつなげられると?

遠藤:現状だとリアル店舗に来店したお客さまの購入率は30%ほど。購入していない人の行動データがしっかりと取れるとECにとっての見込み客になる。そういった人たちにネットを通じて再アプローチがかけられるのはいい。

WWD:今後はリアルで買うとかネットで買うとかそういう観念がなくなっていく?

遠藤:僕らとしては購入の場がリアルでもネットでもいいという考え。ただOMOで同じような体験といっても、それぞれのよさはある。リアルでの楽しさ、ネットの便利さなどそれぞれによさがあって、お客さまの買いやすい方法で購入ができるのがいい。その結果として、リアルもネットも併用してくれるといい。現在、併用する人は全体で10%ほど。まだまだ拡大できる余地はある。オンラインカウンセリングなどをネットだけでなく、リアルで購入した人に向けたサポートとして活用するなども考えられる。

ECでのワクワク感はライブ配信の強化で創出する

WWD:バーチャル店舗はどう見ている?

遠藤:テクノロジー的にというよりは、お客さまが盛り上がるかどうかで判断するようにしている。ECは、情報が整理されていて分かりやすい方がストレスなく購入できると思うので、正直バーチャル店舗に関してはまだ積極的ではない。逆にリアルはどこに何があるか分からないという部分が楽しみにもつながっている。

WWD:確かにECでの買い物は便利だが、ワクワクしないといった声もある。そうしたワクワク感をECでどう創出するかも課題だと思うが。

遠藤:そういった意味では今後はライブコマースを強化していくつもりだ。「アットコスメストア」の強みは製品の特徴を伝えるのが上手な店頭スタッフがたくさんいること。人が伝えていくことの力はすごく大きい。最近は「スタッフスタート」と業務提携も開始。やはり信頼できる人がおすすめしてくれるかというのはネットでも重要になるので、現在ECの売り上げは全体30%ほどだが、今後はECもリアルも伸ばしつつ、ECの割合は40%ほどまで持っていき、ECだけで売り上げ100億円を目指す。

WWD:自社ECで販売するブランドも増えてきているが、それはどう見ている?

遠藤:ある程度の規模のメーカーだと自社だけでECをやりきるのは現実難しい。最近は一部のブランドとはデータ連携も行っていて、「アットコスメショッピング」で購入したポイントがブランドの方のポイントにもなるようにしている。今後はそうしたケースは増えてくるかもしれない。

WWD:コロナで消費者の物の買い方は変わるか?

遠藤:まずリアル店舗に関しては都心に人が減った。逆に大宮、溝ノ口、池袋などは夜間人口の多いエリアは売り上げが伸びていて、新宿や有楽町などは厳しい。一般的に狭商圏化すると言われているが、それが実際に起こっている。その分、ECが伸びており、新規購入者も増えている。5月は前年比3倍以上。結果としてネットで物を買うというハードルは下がったので、今後はよりECの可能性は広がっていくと考えている。ただ、原宿の「アットコスメトーキョー」は緊急事態宣言が解かれた後の店舗の混み具合はすごい。週末だとコロナ前の80%くらいまで戻ってきている。これまで化粧品業界はインバウンドに頼ってきたが、しばらくそれは全く見込めないという状況下では、まず小売りの本質に立ち返るべき。リアルな店舗は本当に行く価値がある店舗しか生き残れない。「リアルで感じられる価値とは」をしっかりと考えた店作りをしていかないと、「ネットで買った方が早い」ということになる。リアルだからこその価値はしっかりと見直していくべきだと思う。

The post これからの“売り方”で重要なOMOをどう実践するのか? 「アットコスメ」がやっていること appeared first on WWD JAPAN.com.

インターナショナルギャラリー ビームスの2020-21年秋冬 手仕事を感じるニットアイテムを強化

 インターナショナルギャラリー ビームス(INTERNATIONAL GALLERY BEAMS)の2020-21年秋冬は「足元からコーディネートを考える」シーズンとして、以前から取り扱いのあるハイブランドのバッグ&シューズのセレクトを強化した。1年ぶりに「マノロ ブラニク(MANOLO BLAHNIK)」のシューズのオーダーを再開し、小花柄のショートブーツなどを買い付けた。「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」ではバッグの品ぞろえを1型から3~4型に増やした。

 ウエアではここ数シーズン、ニットを強化品番に掲げて、丁寧なハンドメードの長く着られそうなブランドのアイテムを買い付けた。今秋冬は、「ロロピアーナ(LORO PIANA)」のカシミアを90%使用した「レタンヌ パリ(LETANNE PARIS)」の汎用性の高いロングガウンや、「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」のメインアシスタントだった女性が手掛ける「メリル ロッゲ(MERYLL ROGGE)」の幾何学柄のニットなどをセレクトした。

 インターナショナルギャラリー ビームスは、2018年に店舗が3フロアから2フロア構成になったのを機に、1ブランドあたりのSKUを減らし、見せたい商品をより明確にしたVMDを意識してきた。さらに片桐恵利佳ディレクターいわく、「ここ2年くらいお客さまの購買傾向を見ていると、先物買いではなく目的意識を持った実需のご購入が増えている」という。このことからブランド単体ではなく、着用シーンがより具体的にイメージできるブランドミックスのコーディネート提案をあらためて強化した。他社との差別化を図り、店頭に足を運ぶ意味を見出してもらうためにも「シーンに合わせて、靴やシューズまでご提案できた方がいいと感じた」ことが、今シーズンのテーマにもつながっている。

 さらに2020年春夏に買い付けた「ドゥ ボキー(DOU BOCHI)」や「レ バカンス ディリーナ(LES VACANCES D'IRINA」など、「小さいながらも環境問題に意識的に取り組んでいて、コレクションブランドに頼らずとも消化率のいいブランドが徐々に増えている」と説明する。これらの実績も踏まえて「ブランドのイメージはしっかりと表現しつつ、メゾンブランドも小さなブランドも境界線なくコーディネートすることで、インターナショナルギャラリー ビームス“らしい”ミックス感を打ち出していきたい」と語る。


村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

The post インターナショナルギャラリー ビームスの2020-21年秋冬 手仕事を感じるニットアイテムを強化 appeared first on WWD JAPAN.com.

デジタルメンズコレでドタバタ対談 「ドルチェ&ガッバーナ」と「エトロ」に救われた大ハズレのミラノ2日目

 デジタルでのパリ・メンズ・コレクションが終わり、舞台はミラノへ。7月14日からスタートしたミラノのデジタル・ファッション・ウイークは2日目に突入しました。ミラノでも主にメンズを担当している記者たちが「頑張ってリアルタイムで見てみました」取材を日替わりで担当します。「アーカイブでも見られるのにオンラインで見る意味あるの?」という周囲の視線を感じながらも、「コレクションはライブ感!」と信じて完走を目指します。今回は村上要「WWD JAPAN.com」編集長と、大塚千践「WWDジャパン」デスクというアラフォーコンビがリポートします。

大塚:ミラノ2日目がスタートしました!コレ、ドタバタ対談というタイトルなのですが、本当に関わる4人が毎日ドタバタしているのって伝わってますかね(笑)。

村上:やっぱりリアタイで見るって、企画にムリがあったね(笑)。言い出したのは、ワタシなんですが……。

17:00(ミラノ時間10:00) 「エトロ」

大塚:でも、リアタイで見ないとちょっと気持ち悪くなってきてる自分がイヤです……。さて、トップバッターの「エトロ(ETRO)」は今シーズンのデジタルコレクションで始めてフィジカルのショーのライブ配信でした。3分遅れぐらいで始まり、会場には約1m間隔で座ったマスク姿の観客の姿もあり、ファッションショーでは当たり前の光景が今や新鮮でした。「ファッション産業とミラノの街の支援のために前向きなメッセージを」という思いでフィジカルのショーを開催したようですね。

村上:「エトロ」は電車の中で見ました。ゲストのマスク率が低いのが気になりますが、良いショーでした。草花柄、そして、そんな草花モチーフを単純化して誕生したといわれているペイズリー、「エトロ」のシンボルのペガサスなど、命の強さや尊さを感じさせてくれました。色合いも前半は草木染めのように穏やかな色調で、後半も1トーンでクリーン。メンズは、ちょいダサなクロップドパンツが愛らしいね。ウィメンズはプレのせいか、ボヘミアンテイストも控えめで、おうち時間が長い今着たい(笑)。あと、一家はソーシャル・ディスタンシング関係ないから、一緒に投稿できていいね。最近ユーチューブ(You Tube)でよしみち兄弟動画を見てしまうのですが、人と関わりたい今はキーン(Kean)とヴェロニカ(Veronica)がそろって登場したスタートとフィナーレにホロリときました。

大塚:アースカラー中心でしたがやぼったくならないギリギリの絶妙な色合いでした。優しいけれど力強さも感じるスタイルでしたね。東京からはるか遠くのミラノの街でのショーでしたが、人が集うシーンを見ているだけでもなんだか安心します。

18:00(ミラノ時間11:00) 「レゾム」

大塚:さて、ここからが鬼門でございますよ(笑)。門番のごとく立ちはだかる「レゾム(LES HOMMES)」から、早速めちゃキツかったです。夜8時からの「着点(きてん)」の準備もあるし、あした校了の紙面の原稿もあるのに、動画が14分間もあって全く終わらないです。デンッデンデンデンという音楽が止まって暗転し(はー、やっと終わった)と安心したら……デンッデンデンデンって始まるんですよ。これを何回も繰り返すので地獄でした。でも実は、3分強の同じ映像がループしていたということに4回目ぐらいでようやく気づいたんです(笑)。服がよくいえばブレない、悪く言えばいつもと一緒のロックスタイルで引っかかる部分がなく、映像がループしても気づかなかったんです。貴重な10分間を無駄にしました。

村上:アレは何が目的で3分半の動画を何回も繰り返して15分にしちゃったんだろう(笑)。正直、「あー、15分もあるのかぁ。早送りしちゃおっかなぁ」って思ったんです(笑)。3分半とわかってたら、そんなよこしまなコト考えなかったのですが。洋服は、ホントいつもと変わんない。キレイなジャケットとシャツなのに、アクセサリーを合わせるとピンとこない。「工場選びって、大事なんだな」って思います。

18:30(ミラノ時間11:30) 「サントーニ」

村上:「サントーニ(SANTONI)」で、「あぁ、映像でもミラノメンズって、ミラノっぽいな」と思いました。郷土愛、強し!マルケ出身の「サントーニ」は、たぶん全編マルケで撮影していると思うんだけど、それが、地元を愛しているイタリアンブランドっぽい。冷静に考えたら、山の中腹にクロコダイルのコインローファーでたたずむとか、岩肌がゴツゴツした海岸線をゴルフシューズでお散歩とか「なんでやねん!」なんだけど、「地元愛です」と言われると「なるほど〜」とうなってしまう——そんなカンジです。

大塚:僕も同じポイントでツッコんでました。海沿いの岩肌をそんな靴で歩いたら落ちちゃうよ!と。ただ「レゾム」のループ地獄に心がやられていのたで、きれいなロケーションに純粋に癒されました。そして案外、ウンチクだらけの専業ブランドって近寄りがたいところも多いので、こういうムード重視の映像にチャレンジするのは風穴を開けるいいきっかけにもなるかも、とは思いました。

村上:それもしてもミラノメンズは、協会のホームページがめちゃくちゃ見づらいな(泣)。

大塚:本当にそれ思います。カーソルを動かすとページも動いちゃうんで酔いそう(笑)。変わったことをやろうとすると、イタリア系ってまあまあの確率で裏目に出ませんか?

19:00(ミラノ時間12:00) 「MTLスタジオ マッテオ ラマンディーニ」

村上:次の「MTLスタジオ マッテオ ラマンディーニ(MTLSTUDIO MATTEOLAMANDINI)」は、状況がよく理解できないのですが(笑)。男子3人、女子1人で、1台のキャンピングカーに乗ってキャンプっていう意味深なシチュエーション。女の子が海から出てきたら、なぜか草原で摘んだような花束。ナンダコレハ(笑)?洋服は、ワザと垂らしているスレッドが、「ほつれ糸、ついてますよ」って見えてしまう残念なカンジでした。

大塚:僕は、寝起きの設定なのにばっちりサングラス姿だったので飛び上がりました(笑)。デザイナーは、服作りが本職ではないんじゃないですかね。とりあえず穴開けてみましたみたいなニットやストリートカルチャー“風”なモチーフなど、素人っぽさが「んん〜」という感じで。ストーリーは意味不明でもモデルは言われた通り真剣に演技しているから、気の毒ですね。ちなみにデザイナーのインスタグラムのフォロワーが713(7月15日時点)でした。がんばれー。

20:00(ミラノ時間13:00) 「ファビオ クアランタ」

村上:「ファビオ クアランタ(FABIO QUARANTA)」は、映像の明滅と音割れがスゴすぎて疲れたよ。ナゼ、オジサン2人の回に出てきたのよ(笑)?昨日の若手2人なら目も疲れないだろうけれど、40代には厳しいわ……。洋服も、悪い意味でアラブ諸国を刺激しそうな気がするけど、大丈夫ですか?

大塚:ここの動画は「着点」終わりにアーカイブで見ましたが、もう冒頭の10秒だけでイヤな予感しかしませんでした。ここのデザイナーは、確かドレスやテーラードの方が得意なんですよ。明らかに世界観が違うんじゃないかと。「何か変わったことやってやろう」というのが透けて見えたし、さらに服どころか人も途中まで全然出てきません(泣)。ただ基本は意味不明なんですが、我慢して見ていると、隕石が地球に向かってきてるストーリーなんだとなんとなくわかってくるんです。そうすると、結末が気になってくるんですよ(笑)。そしていよいよ衝突!ってときにビッグバンに合わせてルックが超絶エフェクトとともに連発するという最悪の展開でした。

村上:そういえばコレが、「朝日新聞」のホームページと直接つながっているコトを思い出しました。「新聞を読むような世代の方に、この映像と音は大丈夫だろうか?」「新聞を読む社会派なみなさんに、ストールで頭をグルグル巻きしたスタイルは平気だろうか?」と。

大塚:そうなんですよ。僕は公式ページが使いづらいのでまさにその「朝日新聞」の特設サイトから見ていますが、そう考えるとドキドキしますね。

20:30(ミラノ時間13:30) 「APN73」

村上:「APN73」もワカンナイヨ。どうしよう、もはやファッションブランドのムービーなのかどうかもわからない(苦笑)。上海に住んでいる、いろんな人に自分自身についてインタビューした動画で終わっちゃったYO!登場人物の洋服が「APN73」だったのだろうか?最後のTシャツはそうだったみたいだけど、あとは全編白黒だしワカンナイヨ‼︎

大塚:「APN73」は“A PARSONAL NOTE”の頭文字をとったブランド名のようですね。ホームページもまだなく、動画も村上さんと同じく全く意味がわかりませんでした。協会の公式ページで服はかろうじて見えるので雰囲気は何となくつかめますが、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」とか好きなんだろうなあという感想のみ。服は最後のTシャツだけじゃないですかね。正直、今のミラノは若手の発掘がヘタすぎませんか?みんなそのコトにはとっくに気づいているので、有望な若手を探しに来るバイヤーってほとんどいないのではないでしょうか。そういう意味でデジタルはチャンスなのに、これではさらにバイヤーの足がミラノから遠のきますよ(泣)。

21:00(ミラノ時間14:00) 「M1992」

村上:悲哀さえ感じる時間はまだ続きます。先の2つに比べれば知名度は勝っている分、ちょっと期待した「M1992」も、よくわからん!ナルシストとか花恐怖症とか、いろんな強迫観念に苦しむ人を描いて、脳みそをプリントしたシャツとか着せてるけど、共感ポイントはドコ?このムービーを見て、「カッコいい!コレ着てみたい!!」って人、いる?ミラノメンズは、ブランド数をやみくもに増やすのやめたほうがいいね

大塚:動画テーマは“BRAIN WASH”。つまり、洗脳でしたね。普通の人が“ナルシシズム”や“ティックトック(TikTok)中毒”などいろいろなテーマで洗脳されていく設定なんだと理解した瞬間は、アレ?ちょっと面白いんじゃないか?と思ったんです。そんな淡い期待は一瞬で打ち砕かれましたが。モデルにハードルが高い演技をいきなりやらせてはダメですね。日常の延長線上ならいいけれど、モデルはオーディションに受かって喜んでいても「じゃあ君、ティックトック中毒者ね」なんていわれたら「!?」ですもん。何回かショーでも見てますけど、プリント系は早々に諦めて、別のポイントで勝負した方がよさげです。

村上:ちなみにティックトックも、アレじゃフォロワー増えないからね(笑)。クリエイターは、みんなメッチャ考えてやってるから。サラ・コールディさんとか、3万倍くらいスゴいから!

大塚:モデルはティックトックの撮影方法をよくわかってないまま演技してますね(笑)。

21:30(ミラノ時間14:30) 「ユナイテッド スタンダード」

村上:お次の「ユナイテッド スタンダード(UNITED STANDARD)」は、悪い意味で「M1992」に通じるね。打ち込みのBGMを流しながら、三つ編みメガネのお兄さんが、何かに追われてるかのように爆走。洋服は背面だけ映って終了!

大塚:「ユナイテッド スタンダード」はスラムジャム(SLAM JAM)が関わってるので、ほかに比べるとそなりに見られるはずだったのですが、イマイチでした。ただ僕は音楽やテンポ感は好きでしたよ。決定的にダメだったのは、三つ編みメガネのお兄さんのもっさい走り方。疾走感があれば印象も変わるのに、普通に走っちゃってるもんだから全てを失速させています。「ダブレット(DOUBLET)」の井野ベアさんにコミカルな走り方を習った方がいいです。もう疲労で変なポイントにしか目がいかなくなってきました(笑)。それぐらい、服に印象がなかったということです。

村上:次の「スンネイ(SUNNEI)」でそろそろ安心したい。

22:00(ミラノ時間15:00) 「スンネイ」

村上:今日は不作ですね。「スンネイ」、ほかに比べればヨカッタけど、物足りなかった。冒頭1分30秒は、白い世界の彼方にいる5人がちょっとずつ近くだけ。で、残り2分でなぜか1993年のヒット曲「恋のマカレナ」が流れ始めて、フルCGのバーチャルモデル5人がダンス。途中で、洋服が次々変わる動画でした。カラフルなストライプシャツとか、スリットがいっぱい入ったボディコンニットドレスは、色が入ると「スンネイ」らしいストライプでカワイイ。もっとちゃんと見たかったよ(笑)。

大塚:「スンネイ」も三振かツーベースヒットかみたいなブランドなのでドキドキしていましたが、ほかが厳しい分、かろうじてシングルヒットという感じでしょうか。冒頭のCGで(やばい!)と思いましたが、「恋のマカレナ」ぐらいからはちょっと盛り返しました。「スンネイ」はアイテム単品で見るとかわいいし、スリッポン型のシューズやアクセサリーもセンスはあるんですけど、もう一段上に上に行くには引き出しをもうちょっと増やさないと。ストライプだけではそろそろマンネリかもしれません。

23:00(ミラノ時間16:00) 「セルダー」

村上:「セルダー(SERDAR)」は、英語を一生懸命話すデザイナーインタビューでスタート。好感は持てますが、「キーカラーはグリーンとブルー、ミント、ベージュ」と語るシーンさえモノクロで「おいっ!」っと突っ込みたくなりますね(笑)。後半カラーになったら、ミント色のルックは、ホントに全身ミント色だった(笑)。

大塚:あと、めっちゃ踊るんですよね。それこそ夜中に撮影が始まって明け方まで収録してるっぽいんですけど、服がほとんど変わらないんです。かといってストーリーも特になく、危うく寝そうになったので、途中でコンビニに出かけました(笑)。最後もデザイナーを交えて全員で踊って大団円なのですが、疲労感とほのかなヤケクソ感がにじんでるように見えたのは僕のコンディションのせいでしょうか……。頭に巻いたバンダナが世良公則のようでした。

24:30(ミラノ時間17:30) 「ドルチェ&ガッバーナ」

大塚:不毛のミラノ2日目ラストは、1998年以来の公式スケジュール復帰となった「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」です!もう、待ってました(笑)。最後ぐらいちゃんとしたのが見たい。「エトロ」と同じくフィジカルのショーのライブ配信でしたね。時間は日本時間0時30分過ぎ。いつもならばここから20分は普通に待たされるのでヒヤヒヤしましたが、オペラポップトリオのイル・ヴォーロ(Il Volo)が登場してスムーズにショーがスタートしました。それだけでもすでに感激!

村上:イル・ヴォーロが「帰れソレントへ」を歌い始めた瞬間、「あぁ、『ドルチェ&ガッバーナ』だ〜!!」と感動しましたね。「エトロ」同様のリアルなランウエイショー。でも、「エトロ」よりマスク着用率が高かったのは、なんでだろう(笑)?ドメニコ・ドルチェ(Domenico Dolce)とステファノ・ガッバーナ(Stefano Gabbana)は、もうカップルじゃないから2人ともマスク姿でしたね(笑)。

大塚:ここ3シーズンは、それまでのギラギラなストリート路線をリセットするかのように、サルトリアのスーツに原点回帰していましたが、今回から雰囲気がまたガラッと変わりましたね。

村上:キレイなブルーのタイルを敷き詰めたような幾何学模様のプリントで、オーバーサイズのノーカラーシャツや、ハイウエストパンツを彩った夏らしいコレクション。装飾が控えめだったのは、ロックダウンの影響か?それとも、シンプルを追求した結果なのか?とは言え、軽やかなコレクションは直感的に共感できました。スキッパータイプのニットポロから、ざっくりニット、ビキニのマッチョまで、「ドルチェ&ガッバーナ」らしいラインアップでした。

大塚:ガウンとかリゾートっぽいアイテムよりも、ストリートウエアに落とし込んだスタイルの方がリアリティーがあって好きでした。アジア人モデルが主に着ていたルックです。今回フォーマルは多くなかったですけれど、こういう両軸があるのがここの強みですね。フィナーレ後のスピーチが、夏場の全体朝礼なら3人ほど倒れそうなぐらい長かったですが(笑)。

村上:今日のミラノメンズは、映像に凝ろうとしたブランドが玉砕し、シンプルに見せたブランドが際立ったカンジですね。ミラノで、新しく、素晴らしい表現方法が見られるようになるのは、もうちょっと先かな?

The post デジタルメンズコレでドタバタ対談 「ドルチェ&ガッバーナ」と「エトロ」に救われた大ハズレのミラノ2日目 appeared first on WWD JAPAN.com.

「クリエイター達のお仕事変遷 仕事が絶えないあの人の、“こうしてきたから、こうなった“プラスサイズモデルNao編」

 転職はもちろん、本業を持ちながら第二のキャリアを築くパラレルキャリアや副業も一般化し始め、働き方も多様化しています。だからこそ働き方に関する悩みや課題は、就職を控える学生のみならず、社会人になっても人それぞれに持っているはず。

 そこでこの連載では、他業界から転身して活躍するファッション&ビューティ業界人にインタビュー。今に至るまでの道のりやエピソードの中に、これからの働き方へのヒントがある(?)かもしれません。

 連載第10回目に登場するのは、ファッション誌「ラ・ファーファ(la farfa)」専属モデルの吉野なおさん(モデル名:Nao)です。音楽関係会社での事務職などを経て、モデルに転身。ふくよかな体形を生かしたプラスサイズモデルとして誌面を飾る一方、摂食障害の経験や体形との向き合い方などをSNSや講演を通して発信しています。今年3月と4月に自身のツイッターにアップした、ビフォーアフターで見せるダイエット広告のパロディがトータル30万以上の“いいね”とともにバズったことでも注目されています。

 ランジェリーブランドの広告キャンペーンにもプラスサイズモデルを起用する動きがあるなど、体形や人種などを含む“多様性”や“ボディーポジティブ”という概念は国内外でも一つの大きな潮流となっています。体形への差別やSNSでの中傷を経験しながら、ユーモアを交えて発信を続ける彼女にモデルとしての仕事と心の内を聞きました。

WWD:モデルになる前のお仕事から教えていただけますか?

吉野なお氏(以下、吉野):はい、出版社でのアルバイトや音楽関係会社、ウェブサービス系の会社で事務の仕事をしていました。体形にコンプレックスがあり、摂食障害に苦しんだ私がモデルになれるなんて夢にも思いませんでした。

WWD:摂食障害を経験されたのですね。

吉野:4歳ぐらいの物心をついた頃から、男の子から「デブ!」と言われたり、体重を聞かれて答えると「うわー!」などとからかわれることは日常茶飯事でした。それからずっと、そうした言葉にどう反応していいか分からなかったんですよね。小学生のときの担任からも「痩せた方がいいよ、苦労するから」とお説教されましたし、見知らぬ学生に「相撲部か?」といきなり声をかけられることもありました。言い返すこともできず、「私が太っているから、そう言われちゃうんだ。仕方ないのかな?」と、自分を責めることしかできませんでした。さまざまなダイエットを試したけれど、どれもうまくいかなかった。高校生2年生の頃、好きな人に「痩せてほしい」と言われたときは、「いい加減ここで痩せないと!」と自分を追い込んだんです。それは食事制限が中心の無理なダイエットでした。30kg近く痩せたのですが、食べることや体重が増えることに対して極度の罪悪感を抱くようになり、今度は過食症に。それから10年近く摂食障害に悩んでいました。

太っていること受け入れてみた

WWD:どのように克服されたのでしょうか。

吉野:摂食障害が治った人の情報をインターネットや本で探してみても、私にはしっくりきませんでした。痩せたいと思えば思うほど過食症がひどくなっていたように思います。先が見えなくて「これ、本当に治るのかな?」と思っていた頃、アルバイトを通じて“痩せていなくちゃならない”という固定観念を壊せたことが大きかったんです。幼少期からずっと体形にも人間関係にも悩んでいた私には、ぽっちゃり=ダイエット広告の“ビフォー(Before)”の写真のイメージ。なんとなく暗くて、猫背で、幸せそうじゃない……って、私自身が決めつけていたように思います。アルバイトとして働いていたその会社では、全国の芸能人のプロフィールを集めてデータ化する仕事をしていたんです。膨大な数のプロフィール写真と身長、体重の数字を見ているうちに、「いろんな顔や体の人がいるんだな」と。プロフィール写真なので、基本的には笑顔。それを見ているうちに、自分のように身体的な特徴があっても「実は不幸じゃないんじゃないか?」と。すると「これまで嫌悪していた体を受け入れてみたら、私はどうなるんだろう?」という興味がむくむくと湧いてきたんです。

WWD :なるほど。行動にも変化が表れましたか?

吉野:「また着られるかも」と取っておいた一番痩せていた当時の服を全て処分しました。カロリーを見て決めていた食事も、「これが食べたい」というその時の気持ちを優先するようにしたんです。カロリーや栄養素などの“情報”より、“欲求”を受け入れる行為を積み重ねることで、自分の意思を肯定できるようになりました。すると過食が減り、だんだんと普通の食事で満足できるように。けれど症状としては回復しても、対人関係でつまずくことも多かったんです。あるときクリニックで、カウンセラーさんから言われたのは「自分が何かをしないと相手に愛されないと思っていませんか?」「なおさんは、何もしなくても愛される存在なんですよ」という言葉。「え?そうなの?」と目から鱗でしたね。大きな肩の荷が下りたというか、これでやっと心と体が健康になれたように思いました。同時に、私が経験したことを今悩んでいる人に伝えられることができたらと、考えるようになりました。

そんな時、友人から「『ラ・ファーファ』という雑誌が創刊されるみたい。読者モデルに応募してみたら?」と背中を押されました。書類を準備した日の夜、友人の手伝いとして行っていたイベントで「ラ・ファーファ」の編集者に偶然出会い、スカウトしてもらったんです。「こういう者なんですけど」と名刺を差し出され、「あ、私ちょうど(読者モデルに)応募しようとしてました」と(笑)。

WWD:運命的ですね。急に始まったモデルの仕事に戸惑いは?

吉野:プラスサイズのモデルになることは、素直にうれしかったです。自分の体形を私自身が受け入れられたあとだったので。表に出ることによって「デブがおしゃれなんかするなよ」という批判的な声もあるかな、と不安もありましたが「体形に悩む人を勇気づけたい」「偏見をなくしたい」という気持ちの方がずっと大きかったように思います。

最初の頃の撮影では、ポージングももちろんうまくできないし……。冬の撮影では、明らかに寒そうな顔をしていましたね(苦笑)。当初の予定では「ラ・ファーファ」は年2回発行だったこともあって気楽な気持ちで始めたものの、いざ発売されたら読者の方の反響やテレビ出演などもあり、ありがたいことにすぐに隔月発売に切り替わりました。撮影の回数を重ねることで、だんだんとモデルとしての自覚が芽生えてきたように思います。

WWD:ファッションやメイクを含めて心境は変わりましたか?

吉野:今まで憎んでいたものが自分を生かしてくれるなんて!と驚きました。ほんの少し前まで「太っている私におしゃれをする権利はない」と、自分で自分を制限していたのに。以前は、体形に合う服を探すのが大変だからと、メンズのスエットなどシルエットを隠すような服ばかりがクローゼットに並んでいました。スカートを履いても黒いレギンスを必ず履いていましたね。モデルの仕事をするようになってからは、撮影で色々なテイストの服を着る機会も増えて、明るい色の服や素足にスカートなど女性らしいファッションも好きになりました。メイク中にヘアメイクさんにお薦めのコスメを聞いて、撮影後に買いに行ったり、自宅でテクニックをまねすることもあります。

WWD :モデル歴7年目になります。モデルとしてやっていける!と早い段階で思えたのでしょうか。

吉野:ここ数年です、手応えを感じられるようになったのは。プラスサイズモデルという存在自体が、国内でようやく受け入れ始めたのかなという印象です。モデルを始めた頃は、倉庫やコールセンターで短期バイトをしていたこともありましたが、撮影が急に入ることもあるので他の仕事に比重を置くこともできないですしね。軌道に乗るまでは経済的にも苦しかったです。

中でもつらかったのは、どういう立ち位置でマスメディアに出たらいいのか分からなくなってしまったこと。「ラ・ファーファ」創刊時は、テレビのバラエティー番組にゲストとして呼んでいただいたこともあったんです。ディレクターの方から「ぽっちゃりしていることで得したことはある?」と聞かれることもありましたが、惨めな思い出ばかりが現実なわけです。でも番組としては「定食屋さんではご飯はもちろん大盛り」「体重のせいでトイレの便器が割れた」とか笑えるエピソードを求められるんですよね。あるスタッフさんからは「ぽっちゃりと言っても、テレビ的にはインパクトがないからもっと太ったほうがいい」と言われたこともありました。せっかくメディアに出してもらえるのに、こうしたステレオタイプな価値観を私が発信するのは嫌でしたし悲しかった。笑えるエピソードを必死にひねり出したところで、ぽっちゃり芸人さんよりも面白いことが言えるわけでもないですし。かといって、一般的な細身のモデルさんのように「こうすれば小顔になれる」的な美容テクニックを伝えられるわけでもない。私はいったい何をしているんだろう、プラスサイズモデルとしての自分の居場所はないんじゃないか——そう悩みながらも、SNSで少しずつ摂食障害の経験や意見を発信するようになっていました。

WWD:何か転機が訪れたのでしょうか。

Nao:2016年、摂食障害に関する私のツイッターの投稿がイギリスのBCCニュースのディレクターの目に留まりました。取材を受け、日本の痩身至上主義的な社会と摂食障害にフォーカスを当てたニュースに出演しました。それから日本国内の摂食障害に関するシンポジウムやワークショップで自分の経験を話す機会に恵まれるようになりました。体形や摂食障害に悩む方から、「気持ちが楽になりました」「自分の体形に対する捉え方が変わりました」といった声をいただけるのはうれしいですね。

人は変えられなくても
社会の風潮は変えられる

WWD :“多様性”という言葉が浸透してきたとはいえ、SNSでの誹謗中傷の問題も根深いように感じます。

Nao:「デブ!」とか言われることもありますけど……、もう動じなくなりました。そうしたことを言う人のアカウントを見てみると、自身もダイエットをしている人だったり、私以外の人にも同じような言葉の攻撃をしていたりするんですよね。「努力すればすぐ痩せられる」「痩せた方がきれいだよ」といった、一見悪意がなさそうで人を傷つける言葉もありますね。そうした発言をする人を私は、“デブ警察”って呼んでいます(笑)。ゆがんだ正義感によるものだと思いますが、それって他人に対して不寛容ですよね。「体のためにも痩せた方がいい」と言ってくる方もいますが、「健康を気遣ってくれるのなら、私が風邪をひいたら看病しに来てくれるんですか?」って、思いますもん(笑)。

けれど、こういうのは話し合っても理解できるものでもないかもしれないですね。最近特に感じるのは、人は変えられないけれど社会の風潮は変えられるということ。実際に、LGBTQや身体的な特徴などを持つ当事者が声を上げ続けてきたことで、社会全体の空気や制度にも変化が起こっていますもんね。

WWD:モデルとして大切にしている個性や思いはありますか?

吉野:「ラ・ファーファ」のほかのモデルさんを見て「目が大きくていいな」「ポージングが上手だな」と思うこともあります。ある程度周りと比較される立場であることも理解しています。だからこそ、自分にしかできないことをしようと心掛けています。私の場合は、ボディーポジティブな捉え方や多様性について発信をしていくこと。雑誌の写真の中ではキラキラと見える部分もあるかと思いますが、私個人で発信するSNSでは、「完璧な理想じゃなくても大丈夫!」というメッセージを伝えていきたいですね。

WWD:今後力を入れていきたいことや夢はありますか?

吉野:自分の着たい服を着たいように楽しめる、ダイバーシティーを体感できるようなパーティーを実現したいです。“ちょっとしたお呼ばれにぴったりな服”というキャプションを雑誌で見かけることがありますが、私にはピンと来ない。“ちょっとしたお呼ばれに合う服”ってなんだ?と(笑)。例えば、ふくよかな体形をしていると国内ではデザインの選択肢が少ないですし、ノースリーブや背中が開いているデザインやスリットの深いワンピースを着ると誰かに後ろ指をさされたり……。容姿に悩んできた人は、そういうネガティブな経験や想像を積み重ねていることも多いと感じるので、“ちょっとした”気分でファッションを楽しみに行く機会が少ないと思うんです。だからこそ、“着る自信がなかった服を着た自分”をお披露目できる場をつくりたい。参加者は誰も容姿やファッションに対して批判ややゆはしないというルールで。限定空間でもいいので、こうした経験は体形やコンプレックスを当人が受け入れるきっかけになると考えています。

WWD :最後に、“仕事”とは?

吉野:自分の役割を果たすこと、ですかね。それを見極めるためには経験が大切だと思うんです。だからこそまずはやってみること。私は摂食障害で悩んでいた数年の間、自分で諦めたことやできなかったことがたくさんあります。ずいぶん遠回りをしました(苦笑)。気になることがあるならフットワーク軽く飛び込んでみてはどうでしょう。そこで経験を積むことで、何が自分に向いているのか向いていないのか、何が好きで何が嫌いなのかということが見えてくると思います。

モデルというとプロダクションに応募するかスカウトから始まるというイメージでしたが、今はSNSがきっかけとなってデビューする人も多いですよね。“これまでの当たり前”は変わっていくと思います。10年前には“プラスサイズモデル”という仕事自体が日本にほとんどなかったですしね。今やりたいことが見つからない人も、自分に合った仕事がまだ社会に存在していないだけかもしれないですから。

The post 「クリエイター達のお仕事変遷 仕事が絶えないあの人の、“こうしてきたから、こうなった“プラスサイズモデルNao編」 appeared first on WWD JAPAN.com.

自分で広げてみたマスク・ファッション エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月15日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

自分で広げてみたマスク・ファッション

 以前、「広がるマスク・ファッションの可能性」という記事を書きましたが、いやぁ、広がりましたよ。コレw。自分をモデルに、手持ちの洋服で、マスクを起点に8ルックを考えてみましたが、どうですか(笑)?下のリンクをご覧になり、ジメジメして鬱屈とした月曜日にクスリと笑っていただければ幸いです。

 それにしても気づけばマスクの話をしている、そんな時代ですね。再開したジムに通えば、運動中でも半分くらいの方はマスク姿。となると、「ファッション誌で働いているらしい。あぁ、だからあの子は、あんなにハデなのね」程度に認識されている私は、「通気性がいいヤツ、知らない?」「『ユニクロ』のは、いつ出るの?」「ミントの精油でオススメ、ない?」など、質問責めに遭うことに(笑)。個人的に愛用している「ヨシオクボ」のジャージーマスクはすでにSOLD OUTしておりますので、マスクフェアの第二弾が決まったMIDWESTや、今週催事に取り組む伊勢丹新宿本店を紹介するなど、「ニュー・ノーマル」の時代も“地道すぎるファッション伝道師”として活躍できそうです。ちなみに、スポクラ界のトレッドミル軍団においては、やはり「ミズノ」のマスクが羨望の眼差しを浴びている印象でした。自慢するんだ、コレを身につけているオジさんが(笑)。

 Zoomではない飲み会(ちゃんと22:00までに終了ですw)に参加すれば、「ラグジュアリー・ブランドでマスクを作るのは、どこだ⁉︎」という話になります。皆の記憶の中に残っているのは、凛とした佇まいで「美しい」という声さえ漏れそうになったLVMHの防護服。「あの美しさをマスクにも求めるなら『ディオール』がいい!!」とか、「『シャネル』のマークが入っていれば、イチコロ。キルティングバックの素材も売れそう!でも、息苦しいね!!」とか、「『コム デ ギャルソン』が20万円のマスクを作って、19万円は寄付ってどうよ?」などなど。言いたい放題でありますw。

 でも、質問や自慢、冗談などのコミュニケーションが盛り上がるたびに、「マスクは、ファッションになるんだ」「ファッションは、マスクをアップデートできるんだ」と実感します。コレも以前のお手紙で訴えましたが、「ファッションは、コミュニケーションにまつわる全部」。そう考えると、今のマスクは、まさにファッションですよね。マスクコーデの企画を考えた時、「不謹慎かしら?」と自問自答もしました。今だって派手目な洋服姿の自分を晒していることも含め、「炎上するかも?」という不安がないワケではありません。でも、ファッションの力でマスクを着けることが少しでも楽しくなれば、それは、この業界がやっぱり必要だという1つの証ではなかろうか?我ながらくだらない企画ですが(笑)、実はアツい思いを込めています。このあと、これらのマスクはしっかりクリーニングして、弊社の福崎デスクの手に渡る予定です(「ヨシオクボ」のマスクだけは、キープしちゃうつもりw)。今度は彼女が、マスク起点のビューティ企画を実現してくれることでしょう。

 ちなみに、マスクコーデをイロイロ考えて実感したのは、マスクの、帽子やネックアクセサリーとの親和性の高さ。そして、サングラスとの相性の悪さです。私のセンスがまだまだなのでしょうか?サングラスだけは、ど~してもマスクコーデに上手く組み込むことができません。メガネなら大丈夫なんですけれどね。カラーレンズでさえイマイチでした。アイウエア業界のお知恵を拝借したいところです。

 苦しい今だからこそ、「エコシステム」という哲学が必要なのです。それは、ファッション&ビューティの「エコシステム」を破壊していないか?今われわれに求められる判断基準は、一義にコレなのでしょう。

 イベントなどが中止・延期となり、これに基づくタイアップが無くなるなど、私たちも悩んでいます。一方で、それでもビジネスを続けるため、業界全体を盛り上げるため、取引先に迷惑をかけないため、早急に代替手段を構築するブランドも現れました。そこと組むわれわれも、当初の予定を大きく変えたり、正直、通常とは異なる対応にトライしたりしています。今悩み、考えるなら、そういうことを悩み、考えたいのです。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post 自分で広げてみたマスク・ファッション エディターズレターバックナンバー appeared first on WWD JAPAN.com.

自分で広げてみたマスク・ファッション エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月15日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

自分で広げてみたマスク・ファッション

 以前、「広がるマスク・ファッションの可能性」という記事を書きましたが、いやぁ、広がりましたよ。コレw。自分をモデルに、手持ちの洋服で、マスクを起点に8ルックを考えてみましたが、どうですか(笑)?下のリンクをご覧になり、ジメジメして鬱屈とした月曜日にクスリと笑っていただければ幸いです。

 それにしても気づけばマスクの話をしている、そんな時代ですね。再開したジムに通えば、運動中でも半分くらいの方はマスク姿。となると、「ファッション誌で働いているらしい。あぁ、だからあの子は、あんなにハデなのね」程度に認識されている私は、「通気性がいいヤツ、知らない?」「『ユニクロ』のは、いつ出るの?」「ミントの精油でオススメ、ない?」など、質問責めに遭うことに(笑)。個人的に愛用している「ヨシオクボ」のジャージーマスクはすでにSOLD OUTしておりますので、マスクフェアの第二弾が決まったMIDWESTや、今週催事に取り組む伊勢丹新宿本店を紹介するなど、「ニュー・ノーマル」の時代も“地道すぎるファッション伝道師”として活躍できそうです。ちなみに、スポクラ界のトレッドミル軍団においては、やはり「ミズノ」のマスクが羨望の眼差しを浴びている印象でした。自慢するんだ、コレを身につけているオジさんが(笑)。

 Zoomではない飲み会(ちゃんと22:00までに終了ですw)に参加すれば、「ラグジュアリー・ブランドでマスクを作るのは、どこだ⁉︎」という話になります。皆の記憶の中に残っているのは、凛とした佇まいで「美しい」という声さえ漏れそうになったLVMHの防護服。「あの美しさをマスクにも求めるなら『ディオール』がいい!!」とか、「『シャネル』のマークが入っていれば、イチコロ。キルティングバックの素材も売れそう!でも、息苦しいね!!」とか、「『コム デ ギャルソン』が20万円のマスクを作って、19万円は寄付ってどうよ?」などなど。言いたい放題でありますw。

 でも、質問や自慢、冗談などのコミュニケーションが盛り上がるたびに、「マスクは、ファッションになるんだ」「ファッションは、マスクをアップデートできるんだ」と実感します。コレも以前のお手紙で訴えましたが、「ファッションは、コミュニケーションにまつわる全部」。そう考えると、今のマスクは、まさにファッションですよね。マスクコーデの企画を考えた時、「不謹慎かしら?」と自問自答もしました。今だって派手目な洋服姿の自分を晒していることも含め、「炎上するかも?」という不安がないワケではありません。でも、ファッションの力でマスクを着けることが少しでも楽しくなれば、それは、この業界がやっぱり必要だという1つの証ではなかろうか?我ながらくだらない企画ですが(笑)、実はアツい思いを込めています。このあと、これらのマスクはしっかりクリーニングして、弊社の福崎デスクの手に渡る予定です(「ヨシオクボ」のマスクだけは、キープしちゃうつもりw)。今度は彼女が、マスク起点のビューティ企画を実現してくれることでしょう。

 ちなみに、マスクコーデをイロイロ考えて実感したのは、マスクの、帽子やネックアクセサリーとの親和性の高さ。そして、サングラスとの相性の悪さです。私のセンスがまだまだなのでしょうか?サングラスだけは、ど~してもマスクコーデに上手く組み込むことができません。メガネなら大丈夫なんですけれどね。カラーレンズでさえイマイチでした。アイウエア業界のお知恵を拝借したいところです。

 苦しい今だからこそ、「エコシステム」という哲学が必要なのです。それは、ファッション&ビューティの「エコシステム」を破壊していないか?今われわれに求められる判断基準は、一義にコレなのでしょう。

 イベントなどが中止・延期となり、これに基づくタイアップが無くなるなど、私たちも悩んでいます。一方で、それでもビジネスを続けるため、業界全体を盛り上げるため、取引先に迷惑をかけないため、早急に代替手段を構築するブランドも現れました。そこと組むわれわれも、当初の予定を大きく変えたり、正直、通常とは異なる対応にトライしたりしています。今悩み、考えるなら、そういうことを悩み、考えたいのです。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post 自分で広げてみたマスク・ファッション エディターズレターバックナンバー appeared first on WWD JAPAN.com.

ジャーナルスタンダードの2020-21年秋冬 異なる要素を大胆にミックス

 ジャーナルスタンダード(JOURNAL STANDARD)の2020-21年秋冬は、グランジやミリタリーなど、異なる要素を大胆にミックスしたレイヤードスタイルを強く打ち出す。例えば、リブニットのトップスにジャカードパンツを合わせたり、ワンピースにMA-1を羽織ったりなど、テイストはさまざまだが「どれもブランドのベースにあるマニッシュさと、一枚でも着られるアイテムを軸にした」と池田彰ジャーナルスタンダード レディース商品統括部マネジャー。足元にはロングブーツやサイドゴアのシューズを合わせて、8月の残暑の時期からリアルに取り入れられる秋冬のトレンドアイテムを打ち出す。

 9月からは、レイヤードスタイルを継続しつつクラシックやレトロなムードを追加。チェック柄のジャケット&パンツのセットアップやレトロな花柄のワンピース、レザー風のロングスカートなど、素材や柄をハイブリッドに組み合わせて、コーディネートに新鮮さをプラスする。

 一方で、新型コロナウイルスの影響による外出自粛期間中に「自社ECでカットソー商品が例年の1.5倍ほど動いた」という傾向から、カットソー素材のトップスやボトムス、イージーケアできるニット、シャツなどのバリエーションを秋以降に充実させていく予定だという。すでに「シーズンレスの商品は全体の4割ほど」と他社に比べて多く、先物買いの商品に関しても「ECで先行予約を行い、オンシーズンにお客さまのもとに届くセール回避の流れをつくっていきたい」と池田マネジャーは語る。


 ジャーナルスタンダードでは、人気ブランドや著名人とのカプセルコレクションを続々と投入する。7月20日からモデルの青柳文子とコラボレーションしたウエア6型を販売し、8月下旬には「クラネ(CLANE)」との別注アイテムをポップアップイベントで展開予定だ。9月末をめどに、人気ビンテージショップ「キアリス ヴィンテージ&クローゼット(KIARIS VINTAGE & CLOSET)」とコラボレーションしたウエア6型の発売を予定する。

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

The post ジャーナルスタンダードの2020-21年秋冬 異なる要素を大胆にミックス appeared first on WWD JAPAN.com.

デジタルメンズコレでドタバタ対談 ミラノ初日は「プラダ」に胸躍り、老舗の無難な動画に困惑

 デジタルでのパリのメンズ・コレクションが終わり、次はミラノのメンズコレクションがスタートしました。7月14日から4日間にわたって、40近いブランドが新作をオンラインで発表します。そこで今回は、主にメンズを担当している記者が「頑張ってリアルタイムで見てみました」取材を日替わりで担当します。「アーカイブでも見られるのにオンラインで見る意味あるの?」という周囲の視線を感じながらも、「コレクションはライブ感!」と信じて完走を目指します。入社3年目・美濃島匡「WWDジャパン」記者と、2年目の大澤錬「WWD JAPAN.com」記者の若手コンビが日常業務と並行しながらリポートします。

19:00(パリ時間12:00) 「MSGM」

美濃島匡「WWDジャパン」記者(以下、美濃島):パリに続いて、ミラノ・メンズが開幕しました。ドタバタ対談、まだまだ続きますよ。本日もお付き合いよろしくお願いします。トップバッターの「MSGM」はクリーンなストリートスタイル。ブレないですね。総柄のオープンカラーシャツを羽織り、友人や恋人と楽しい時間を過ごす姿は、明るい未来への想像力を掻き立てられます。ダイバーシティーをごく自然に体現しているのも好印象でした。

大澤錬「WWD JAPAN.com」記者(以下、大澤):本日もよろしくお願いします!ポップな音楽に、友人たちと楽しそうに歩く姿、遊園地、ラブシーンなど、自分の学生時代を見ているかのようで懐かしく思えました。ポップなカラーリングや柄物のシャツ、タイダイ柄のパーカなど、若者に向けたアイテムが総じて多い印象。気持ちが明るくなるような演出になんだか元気をもらいました!

19:30(パリ時間12:30) 「マリアーノ」

美濃島:「マリアーノ(MAGLIANO)」は、子守唄のような優しいBGMに、回転ステージで見せるユニークな服とのギャップが面白かったです。いつも通りの少しイナタいコレクションがよりいっそう際立っていました。個人的にはグリーンのシャツとストライプパンツを着た元気いっぱいなおじいさんがツボ。裏地がペイズリー柄のノーカラージャケットも良さげでした。

大澤:同じくおじいさんがツボでした。他のモデルがキメキメでショットを撮る中、「一人だけコメディアンですか?」と問いたくなるような踊りを披露していましたね(笑)。子守唄のようなBGMは正直眠たくなりました。ドレッドヘアーのモデルが着用していたイエローのシャツにグリーンのプリントが施されたものがタイプでした。

20:00(パリ時間13:00) 「プラン C」

美濃島:「プラン C(PLAN C)」は、強みであるポジティブなカラーリングやパターンにフォーカス。発色のよいグリーンやオレンジ、パキっとしたコントラストが生えるストライプは、ピクニックに行きたくなるようなムードでしたね。360度回転できるのかと思いきや、画角は固定されていて少しがっかり。VR仕様にした方が気になったディテールをチェックできるし、面白かったと思います。映像はシリアスなSF映画のような世界観でしたが、もうちょっと明るいファンタジーに仕上げた方がブランドの良さが伝わるかも。

大澤:正直「プラン C」って、僕の中では特にイラストの印象が強すぎるイメージでした。けれど今回のコレクションを改めて見て、良い意味で裏切られました。洋服のバランス感やシルエット、カラーリングがとても綺麗。特に前身頃が分かれているグリーンのコートとハーフパンツのセットアップは可愛かったです。美濃島さんが言われたように、ブランドの世界観と動画がマッチしていなかったのが正直なところ。

20:30(パリ時間13:30) 「ヴァレクストラ」

美濃島:「ヴァレクストラ(VALEXTRA)」は、青と赤のアニメーションがテキスタイルに変わるオープニングに期待が高まったが、ブランドの歴史や世界観をアピールするだけの映像でした。「デジタル・ファッション・ショー」と題している以上、きちんとコレクションのフックになるものを準備して欲しいなと。コレクション発表が間に合わなかったり、コレクションとして発表するのをやめるんだったら、スケジュールをスキップした方が業界関係者、一般人共に共感できると思います。

大澤:正直、面白さに欠ける動画を見るのはキツいですよね。これではただのブランドのPR映像。「ヴァレクストラ」ファンからしたらたまらないかもしれませんが、新しい層に響くのかは疑問です。今回のコレクションを通して、老舗ブランドは「印象に残らないムービー」を配信する傾向にありますね。ブランドの歴史を振り返るなら、「バルマン オム(BALMAIN HOMME)」のような豪華な演出が見たかったです。

21:00(パリ時間14:00) 「プラダ」

美濃島:「プラダ(PRADA)」は5つのチャプターにわけてコレクションを披露。スーツ、ワーク、リアルクローズ、スポーツの違いをわかりやすく表現していました。フラワーモチーフのアイテムもありましたが、ナイロンを多用したミニマルなムードは、ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)単体のラストコレクションにふさわしかったと思います。彼女が最後に少し登場したのも愛らしかったなあ。

大澤:ミウッチャのこれまでの集大成というべきに相応しいコレクションでしたね。同じく「プラダ」の定番素材であるナイロンタフタを使用したアイテムが印象的。個人的にはチャプター4の映画館で撮影された激しめの音楽と演出がたまらなく好き!

美濃島:9月に発表される予定の21年春夏ウィメンズ・コレクションからは、ラフ・シモンズ(Raf Simons)が共同クリエイティブ・ディレクターに就任しますが、ラフ好きな大澤さんは今から楽しみなんじゃない?ちなみにチャプター1の映像はラフとも親交が深いベルギー出身のフォトグラファー、ウィリー・ヴァンダーピエール(Willy Vanderperre)が手掛けていましたね。

大澤:本当に楽しみです!「メゾンでラフの姿はもう二度と見ることができないかも」と、カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)のチーフ・クリエイティブ・オフィサーを退任した時に思っていました。ミウッチャとラフの時代の一歩先を行くクリエイションが合わさった時に、どんなハレーションが起こるのか、今からワクワクしています。

22:00(パリ時間15:00) 「アルベルタ フェレッティ」

美濃島:「アルベルタ フェレッティ(ALBERTA FERRETTI)」は合成した街並みをモデルがウオーキング。オレンジやピンク、ブルーを基調としたエネルギッシュなムードです。繊細なプリントを拡大してアピール見せたり、ワンピースは風を吹かせてなびき方を強調したりと、ディテールが把握しやすい演出もよかったです。若干カラオケのPVのようなチープさを感じましたが(笑)。工夫しすぎて分かりづらい映像よりはいいのかもしれません。

大澤:デザイナーのアルベルタ フェレッティは1968年に自身のセレクトショップ「JOLLY SHOP」を18歳という若さでオープン。その後74年に同ブランドを設立しました。やはりセレクトショップを経営していたという経歴から、服のディテールの見せ方に重きを置いたバイヤーやメディアにとって優しい動画構成に(笑)。動画自体はシンプルだが、一番重要なポイントを押さえている点は「さすが歴史あるブランドだな」と感じました。

23:00(パリ時間16:00) 「ヴィヴェッタ」

美濃島:続く「ヴィヴェッタ(VIVETTA)」が個人的にすごく好きでした。光がたっぷり降り注ぐ野原の上で、花柄ワンピースを着た美しいモデルたちが戯れます。これだけで今シーズンのムードを伝えるには十分ですが、薄暗い部屋でゴシックなセーラードレスも合間に登場し、深みをもたせます。優しいナレーションと鳥のさえずりも心地よかった。まあ完全にメンズの服ではないんですけどね(笑) 。

大澤:「ヴィヴェッタ」は09年に誕生した伊発のウィメンズブランドです。冒頭から少女マンガを見ているようでした。女の子らしさを存分にアピールし、今シーズンのテーマがすごくわかりやすく表現されていました。花柄のワンピースやシューズに、職人の手作業による花柄の刺しゅう、周りの花々も含めて花一色でした。

23:30(パリ時間16:30) 「エディスマルセル」

美濃島:「エディスマルセル(EDITHMARCEL)」も面白かったね。“WORKOUT”というタイトルコールにユーロビートが続き、女性インストラクターが文字通り“ワークアウト”を開始。新作を着たモデルたちも見よう見真似でそれを再現します。普通ならシュールな動画だけで終わりますが、服に用いた唇のモチーフや抽象的なイラストなどを差し込むことで、一つのプレゼンとして成立。映像のフックも効いていて、引き込まれました。

大澤:現在日本時間23時30分。明日の仕事への備えも始める中で、この動画は非常にありがたかったです。モデルが真顔でダンスしているのもツボ。思わず、コロナ太りのお腹をシェイプアップしようと僕も参加しようかと思いました(笑)。服のディテールも見えるのでバランスが良かったです!同ブランドがコレクションを本格的にスタートしたのは19年春夏。過去のコレクションを見ても、今回のような抽象的なイラストを中心にクリエイションをしているようです。

24:00(パリ時間17:00) 「モスキーノ」

美濃島:「モスキーノ(MOSCHINO)」はおもちゃ箱のようなコレクションでした。ゲームタイトルみたいなロゴ、三角形を複製して柄に見立てたセットアップ、淡い絵の具のようなトレンチコートなどキャッチーなアイテムが勢ぞろい。大きな積み木の美術も、コレクションの雰囲気にぴったりでした。「これを着てみたい!」と思う人はなかなかいないかもしれませんが、ジェレミースコット(Jeremy Scott)らしい勢いを感じられてうれしかったですね(笑)。

大澤:いつも通り、ジェレミー節全開のコレクションでしたね(笑)。過去にはベロが三重に重ねられた「アディダス(ADIDAS)」とのコラボスニーカーや、愛らしいクマのキャラクター、ポップなカラー使い、スパンコールを前面に使用したボンバージャケットなどを発表してきました。ですが今回のコレクションを見て、「一時代を築いてきた彼も転換期を迎えているのでは?」と、正直思いました。こんな状況だからこそ、「またあなたの力で業界を盛り上げてほしい」と願った日本時間24時(笑)。

1:30(パリ時間18:30) 「フィリップ プレイン」

大澤:本日最後の「フィリップ プレイン(PHILIPP PLEIN)」は、“FASHION IS DEAD”というタイトルのもと、コレクションをスタート。冒頭は過去のコレクションを振り返りながら、これまでの来場者の数を計算。その中で、今年は0人ということをアピールしたほか、昨年8月に経営破綻したバーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)のニュースを流し暗いムードを漂わせていました。後半ではフィリップ プレイン=デザイナー本人が自らモデルとして登場。アップテンポの曲に合わせて、ドクロをモチーフにしたカジュアルなアイテムや、ライダースジャケットに細身のホワイトのスエットパンツを合わせるなど、終始イタリアっぽい装いを披露していました。

美濃島:「このままシリアスな感じで終わるのか?」と思いきや、いつも通り、いやいつも以上にやんちゃなクリエイションをまざまざと見せつけられたね。でも、デザイナーが「俺の夢は誰にも止められない。たとえウイルスだとしても」とコメントして、そのまま自分がモデルになっちゃう感じはすごく勢いがあった。時代の空気に惑わされず、自由にファッションを楽しむ姿勢にエネルギーをもらいました。

The post デジタルメンズコレでドタバタ対談 ミラノ初日は「プラダ」に胸躍り、老舗の無難な動画に困惑 appeared first on WWD JAPAN.com.

新型コロナで芽生えたサステナビリティへの責任 「プランC」がデジタル版ミラノ・コレクションに初参加

 ミラノ発のファッションブランド「プラン C(PLAN C)」は7月14日、オンラインで初開催となったミラノ・ファッション・ウイークで動画のプレゼンテーションを発表した。“EVERYONE IS A LANDSCAPE(みんな景色)”と題したコレクションは、クリエイティブ・ディレクターのカロリーナ・カスティリオーニ(Carolina Castiglioni)が新型コロナウイルスによるロックダウン中に滞在したスイスのアルプスの大自然を写し出した洋服と映像として表現された。

 「プラン C」はこれまで展示会形式でコレクションを発表してきており、ミラノ・ファッション・ウイークは今回が初参加。また秋冬は9月のウィメンズ・コレクションの発表期間に合わせてきたが、今回はメンズブランドが中心に参加する6月開催でのお披露目となった。さらに、新型コロナの流行を契機に、サステナビリティへの取り組みも表明したカロリーナに、ミラノ・デジタル・ファッション・ウイークへの参加理由やコレクションに込めた思いを尋ねた。

WWD:今回、ミラノ・デジタル・ファッション・ウィークに参加した理由は?

カロリーナ・カスティリオーニ(以下、カロリーナ):私たちはブランド設立当初から、私たちのルールに沿ったビジネスを進めていきたいと思い、平和で持続可能な企業の在り方を模索しています。イタリア・ファッション協会からの誘いを受けて参加を決めました。普段から他ブランドがプレ・コレクションを発表するタイミングで、バイヤーに向けたメイン・コレクションの展示会を開いていたので自然な決断でした。

これまで以上に生産と消費について考え、サステナビリティに取り組むきっかけになった

WWD:しかも、初のデジタル・ファッション・ウイークでの初参加だ。発表方法はどのように考えたのか?

カロリーナ:ロックダウン中は、スイス・エンガディン地方のアルプスで家族と一緒に過ごしていました。このコレクションは滞在中に制作し、そこで見た真っ白なランドケープや、色鮮やかな自然の美しさから着想源を得て、冬から春に向かう景色の移り変わる姿をプリントに用いて反映させています。そこで、コレクションができるまでのショートフィルムを撮影し、今回の動画に取り入れました。とてもパーソナルなドキュメンタリーになったと思います。

WWD:新型コロナウイルスの流行はブランドにどのような影響を与えたか?

カロリーナ:他の企業と一緒で、私たちも影響を受けていますが、私たちは設立当初からコレクションの発表を年2回にしてきたことはよかったと思います。2シーズンにフォーカスしているため、今回の予期せぬ状況下にあっても、大きく生産を変更する必要はありませんでした。その一方で、これまで以上に生産と消費について考え、一層の責任を持ってサステナビリティにも取り組むきっかけになったと感じています。

WWD:今回初めてブランドとしてサステナビリティへの取り組みを発表した。その理由は?

カロリーナ:現状のファッション産業は持続可能であるとは言い難く、良質で地球に負担の少ない原料をリサーチし続けることが重要になってきます。私たちもサステナブルなビジョンを持って、使う素材や資源の使用量、働く人について考えていくための取り組みを始めました。例えば、今シーズン使ったシャツ生地は、イタリアの老舗シャツ生地メーカーのアルビニ(Albini)のサステナブルな生地を使用するなど、見直しを行いました。

WWD:ユニセックスに向けたデザインも始めていると聞いた。今後、メンズウエアを発表する可能性は?

カロリーナ:東京オリンピックに合わせて“Go Sporty”というカプセルコレクションを6月に発表する予定でした。五輪は来年へ延期となりましたが、ポジティブでプレイフルなメッセージを届けるべくこのコレクションを8月に発売します。ジャージー素材のアイテムなどユニセックスで着用できるものになっています。今後もメンズに特化したコレクションを始める予定はありませんが、誰でも着られるワードローブを作り続けて行きたいと思っています。

The post 新型コロナで芽生えたサステナビリティへの責任 「プランC」がデジタル版ミラノ・コレクションに初参加 appeared first on WWD JAPAN.com.

“欲しいタイミングで購入できる” サロンが出店する公式オンラインストアをミルボンがオープン

 美容室向けヘア化粧品メーカーのミルボンは6月から公式オンラインストア「milbon:iD」をオープンした。美容室が「milbon:iD」上にそれぞれオンラインストアを開設し、顧客は美容室が発行する専用のQRコードを使って必要情報を登録するといつでも欲しいタイミングで商品の購入が可能になる。ヘアサロン「ミンクス(MINX)」ではすべての来店客にインビテーションカードを配るなど力を入れて取り組み、早くも好評だ。

お客さまから好反応が集まる

オンラインで
購入できることが付加価値に

 「施術の色々なタイミングでミルボンの商品を使用し説明をしているので、「milbon:iD」のインビテーションカードをお客さま全員にお会計の際にレセプショニストが配っている。お客さまにとっては以前から「オージュア」などはネットで購入できないブランドという認識がついていたので、「EC でも購入できるようになったんですね」と良いリアクションをしてもらえている。お客さまの髪と頭皮のためにはサロン専売ブランドの商品を使ってもらいたいという思いもあり、そういった商品をオンラインで購入できることは付加価値を作ることにもつながると考えている。」(菅野久幸「ミンクス」銀座店トップデザイナー兼取締役)

「milbon:iD」を導入すべき
5つのメリット

 まず、サロンで対面カウンセリングを受けた顧客は来店とは異なる自由なタイミングで商品を購入することが可能になる。次に、身近に購入できる商品に浮気される心配がなくなり、サロンにとってはリピート購入の促進につながる。3つめのメリットは、サイト運営・受注・物流業務は全てミルボンが受託するため、サロンが手間のかかる作業やEC用の在庫管理をしなくても済むこと。また4つめのメリットとして特定の顧客向けにクーポンの発券やキャンペーンを行うこともできる。最後に5つめのメリットとして、購入後のフォローアップも充実している点。アイテムごとに使用方法のアドバイスや、使い切ったタイミングを予想して、再購入を促すメールなどを配信することが可能だ。

ミルボンを代表する
4つのブランドの販売が可能

 ミルボンではこれまでサロンの店舗内に限った販売のみを行ってきたが、今回ID付きリーフレットの配布やメールでの使用方法のアドバイスやアフターフォローを行うことでECでの販売を実現した。ヘアケアブランド「オージュア」、グローバルヘアケアブランド「ミルボン」、オーガニックヘアケアブランド「ヴィラロドラ」、スキンケアとコスメをそろえる化粧品ブランド「インプレア」の4ブランドが「mil bon:iD」を活用するとオンライン上で販売可能になる。契約サロンのみが取り扱える点は「milbon:iD」上でも変わらず、実店舗で取り扱いがあるブランドのみオンラインでの販売ができる。

顧客体験を4ステップで紹介
導入サロンが語る顧客の反応は?


問い合わせ先
ミルボンお客さま 窓口
0120-658-894

The post “欲しいタイミングで購入できる” サロンが出店する公式オンラインストアをミルボンがオープン appeared first on WWD JAPAN.com.

資生堂のメイクアップアカデミー「サブファ」校長に計良宏文氏が就任 “本物の力”を育みアフターコロナを生き残れ

 資生堂のメイクアップアカデミー&スタジオ「サブファ(SABFA)」は、東京・原宿駅前の複合施設のウィズ原宿内に6月18日に移転し、7月から資生堂トップヘアメイクアップアーティストの計良宏文氏が新たな校長に就任した。

 計良新校長は「尊敬する先輩方が歴代の校長を務めているのでプレッシャーはとても大きく正直迷いもあった。しかし、今までの学校を引き継ぐのではなく新たに変えてほしいという任命でもあったので、自分が次期校長として期待されているとも感じて引き受けた」と語る。

 これまでは美容師資格を持った人を対象とした「ビューティークリエイターコース」(1年間、前期週4回/後期週3回)と、「サロンメイクアップコース」(半年間、週1回)の2コースだったが、10月からカリキュラムを大きく刷新。「ベーシックメイクアップ」「ベーシックヘアメイクアップ」「アート&ディレクション ヘアメイクアップ」「アドバンスメイクアップ」「アドバンスヘア」の5コースを10月から順次開講する。「ベーシックメイクアップ」「アドバンスメイクアップ」に関しては美容師免許を持たない人でも受講することができる。

 「サブファ」には、メイクアップスキルを磨き、スキルを磨いてファッションや撮影現場での活躍を目指す美容師が全国各地から集まるのが特徴だ。しかし、これまでの「ビューティークリエイターコース」は通学回数が多く、サロンを離職してから挑戦する美容師も多かった。さらに、「半年間のコースは比較的通いやすいという意見も耳にしていた。1年間のコースは、卒業した人にとっては非常に勉強になったという意見を聞くものの受験者は減少傾向だった。少子化はもちろん、就職が不安定な時代に一度職を離れることに対する不安もある。そこで働きながら通えるコースを目指した」と話し、10月からは週1回のコースを増やした。

 「『サブファ』の卒業生にとっても、コースががらりと変わるので学び直すこともできる。また知らなかった人たちにとっては自分の夢をかなえる一つのステップとして捉えてもらえたら嬉しい。美容師免許を持たない人も受講できることになることで、化粧品の美容部員など新たなターゲットもできた。『サブファ』が、ヘアメイクを含めていろいろな角度から美を学べて活用できるような学校、そして人の集まりになったら」と新コースに対しての思いを語る。

生き残るために
必要なのは“本物の力”

 そうはいってもスタイリストとして働く多くの美容師にとって、サロンワークを続けながら新たに技術を学び、サロンの垣根を超えた活動を行うことはなかなか難しい。専門学校を卒業して美容師として働きながらも「サブファ」で学ぶ意義はなんだろうか。

 「学びの場として美容学校の先にあるのが『サブファ』だと考えている。現場に出ているプロだからこそ教えられることを伝えていきたい。美意識や感性を大人になってから学べる場所はとても少ない。中でもクリエイティブのようなものは経営者にとっても必要だといわれる時代だからこそ、『サブファ』のような学校は需要があるのではないか」と計良校長は話す。

 計良校長自身、コロナ禍によって対面での業務をオンラインに切り替えたり、撮影やコレクションの中止でメイクをする場がなくなったことで、「ヘアメイクアップアーティストは機械にはできない仕事であり、リアルかつ人がいて初めて成り立つと改めて実感した。だからこそ、環境が変化しても“本物の力”がないと生き残っていけない。あらゆる情報の中から見分ける審美眼、そして良いと思ったものをしっかりと身につけることが大切になる」と強調する。コロナ下の不安定な今こそ、技術や感性を磨く意義は大きい。

 また、多くのサロンはメイクアップをメニュー化できていないが、そんな中でも美容師がメイクの技術を高める必要性を語る。「トータルビューティの提案力は非常に大事。メイクのことを深く知ることでヘアに対しても違った視点を持つことができる。サロンではメイクアップのメニューがないところも多いが、ワンポイントアドバイスもできる。メイクアップは免許が要らないものだからすぐにでも取り入れられるし、提案が増えて非常に役立つはずだ」。

 髪型や髪色を変えたらそれに合うメイクを提案してみることは、些細なことかもしれないが顧客との会話のきっかけやそのサロン、スタイリストを選ぶ理由になるはずだ。サロンにとっても不安定な今だからこそ、顧客に選ばれるための武器はいくつも持っておくべきだろう。

The post 資生堂のメイクアップアカデミー「サブファ」校長に計良宏文氏が就任 “本物の力”を育みアフターコロナを生き残れ appeared first on WWD JAPAN.com.

国産の服は何%? エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月15日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

国産の服は何%?

 日本に流通する服のうち国産品の割合はどれくらいだと思いますか。

 5割? 3割? 1割? いえいえ、正解は2.0%です。

 日本繊維輸入組合が5月に発表した「日本のアパレル市場と輸入品概況」の2019年度の数値です。つまり家庭のタンスに100枚の服があるとすれば日本製はたった2枚。個人差はあるでしょうが、平均するとそうなる。1990年には5割が国産品でした。平成の約30年間で激減しているのです。

 もう少し数字を細かく追っていきましょう。日本に流通する衣料品は約39億枚で、うち8741万枚が国産です。かつて10億枚以上だった国産は09年に2億枚を割り込み、その後10年も経たないうちに半減しました。国産品は高価格帯の商品が多いため、金額ベースでは10%台のシェアがあると言われていますが、それもかつてに比べて40ポイント以上も低下しています。平成の時代は、中国などアジアに生産拠点が雪崩をうつように移転し、低コストで作られた低価格の服が市場に溢れかえりました。一方で国産品は風前の灯になってしまいました。

 5月のレナウンの経営破綻に続き、同社の子会社でスーツを製造するダーバン宮崎ソーイング(宮崎県日南市)が民事再生法を申請したと報道されました。全従業員150人が解雇されたそうです。“メード・イン・ジャパン”の代表的な工場として、けっこうメディアでも紹介されてきました。私も取材したことがあります。レナウンの親会社である中国の山東如意科技集団は、この工場をブランド化して中国で売り出そうと計画したこともあります。

 新型コロナウイルスによって製造業の国産回帰が注目されています。サプライチェーン(供給網)をグローバルに複雑に広げすぎたため、今回のように不測の事態が起こった際に調達できなくなる。2月から5月半ばまで店頭から消えてしまったマスクなどが典型です。

 しかしアパレルに関していえば、盛り返すのは極めて厳しいと言わざるをえません。そもそも店頭で服が売れなければ、工場の経営はひっ迫してしまう。コロナ禍で大手セレクトショップの突然のキャンセルによって工場が大量の在庫を抱えるトラブルもありました。長期の消費低迷が予測される中、アパレル各社は今後の生産量をぐっと絞り込むでしょう。

 2.0%のメード・イン・ジャパンを死守するための知恵が求められています。

MARKET VIEW:ファッション市場で日々発信されるホットなニュースを、「WWDジャパン」のビジネス担当記者がコンパクトに解説するメールマガジン。ニュースを読み解くヒントを提供します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post 国産の服は何%? エディターズレターバックナンバー appeared first on WWD JAPAN.com.

ドゥーズィエム クラスの2020-21年秋冬 人気ニット&コートをクローゼットにない新色で

 ドゥーズィエム クラス(DEUXEME CLASSE)の2020-21年秋冬は、“シンプルでいいもの”をキーワードに、定番人気のニットウエアやコートを淡いピンクやブルーなどの“手持ちにない”新鮮なカラーで打ち出していく。

 「フレンチテイストを感じるコーディネートを意識した」と工藤恵梨子ディレクターが語る今シーズンは、特にニットのバリエーションがシーズンを通して充実している。8~9月の秋冬立ち上がりは、薄手のニットトップスやボトムス、さらに超ハイゲージのニットパーツを職人が丁寧につなぎ合わせた“FF30”ゲージのカーディガンなどをセットアップとして提案。10月から11月にかけては「ローレン マヌージアン(LAUREN MANOOGIAN)」などのセレクトブランドやオリジナルを含めて、さらにミドルゲージのニットワンピースやロングガウンなどを追加する。

 ウエアがシンプルな分、アクセサリーは存在感のあるものを多く買い付けた。「ワンドラー(WANDLER)」のアイスブルーのバッグや「ザ ヴォロン(THE VOLON)」のエキゾチック柄のバッグ、「ペリンヌ タヴェルニーチ(PERRINE TAVERNITI)」の大ぶりなブレスレットやネックレスなどで、ベーシックなコーディネートに遊び心を加える。

 ドゥーズィエム クラスではもともと定番アイテムに定評があり、売り上げシェアは全体の35%前後だという。新型コロナウイルスの影響で「コートのバリエーションはやや減らしたが、ラインアップに大きな変わりはない」と工藤ディレクター。価格以上の品質や汎用性を感じる商品のラインアップにこだわることで、「袖を通すだけで気分が上がるような商材を、引き続きプロパーでお客さまに提案していきたい」と語る。

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

The post ドゥーズィエム クラスの2020-21年秋冬 人気ニット&コートをクローゼットにない新色で appeared first on WWD JAPAN.com.

変化を進化へ デジタル化する香港のミュージアム【高橋瑞木の香港アート&テキスタイル 連載vol.5】

 国家安全維持法の成立で揺れる香港だが、新型コロナの感染拡大は落ち着きを見せる中、テキスタイルとアートの分野ではイタリアやオランダと連携した新たな試みがスタートしている。水戸芸術館現代美術センターのキュレーターを経て、香港CHAT (Centre for Heritage, Arts and Textile) のエグゼクティブ・ディレクターを務める高橋瑞木氏による連載5回目をお送りする。連載は今回で最後になる。

 日本でも大きく報道されているだろうが、香港国家安全維持法が成立した。香港政府の逃亡犯条例改正案に反対する市民の抗議活動が激化し始めたのが、ちょうど去年の今ごろだった。抗議活動は皆の想像以上に長引き、CHATで企画された「須藤玲子:NUNOのテキスタイルができるまで」展は、抗議活動の様子を見ながら設営を行った。日本から本展を目当てに香港に来ようとしていたゲストの多くも、残念ながら混乱する香港への渡航を見合わせることになった。ただでさえ観光客が激減した香港に、新型コロナウイルスの感染拡大はさらにダメージを与えた。2003年に流行した感染症、SARSの記憶も新しい香港のリアクションはかなり迅速だったと思う。2月初旬の旧正月明けには多くの企業が自宅勤務態勢に突入し、3月からは多くのレストランが客の入店時に検温を始め、同月下旬からは客席を間引きながらの営業を開始した。CHATはNUNO展の会期を当初の予定よりも3週間延長し、その間多くの香港人が来場し、展示を楽しんだ。実はこのNUNO展は、海外巡回の話が水面下で進んでいる。詳細はまだ発表できないが、海を超えて日本のものづくりを支える職人の仕事やNUNOの作品を伝えることができることに、あらためて興奮している。

 香港がヨーロッパやアメリカに先駆けてコロナ対策をうっている間に感染は拡大し、今でも開館を見合わせている美術館は多い。しかしその間に美術館は自館の展覧会やコレクションをロックダウンで自宅にこもっている人々に届けようと、デジタルコンテンツの発信へと舵をきった。CHATも例外ではなく、4月以降20以上のコンテンツをローンチしているが、その目玉のひとつが「須藤玲子:NUNOのテキスタイルができるまで」展のデジタルカタログだった(図1)。

 実は展覧会のカタログの販売は、近年多くの美術館にとって悩みの種になっている。キュレーターのリサーチや研究に基づくエッセーや、美しい画像が掲載されている展覧会カタログは、今やネット上で無料で見ることができる画像や情報に押され、販売が伸び悩んでいる。スマートフォンで気軽に美しい画像を見れたりする習慣に慣れてしまうと、重い展覧会カタログを持ち帰るのもおっくうと感じるようだ。展覧会のカタログは、会期が終われば消えてしまう展覧会の記憶を喚起するもうひとつの展覧会のようなもので、デザインもコンセプチュアルだったり、凝ったものが多い。しかしながら、紙の節約、流通の簡易さ、そしてなによりも展覧会会場の音や動きを伝えることができるという点で、CHATはNUNO展のカタログを印刷ではなく、デジタルにすることに踏み切った。CHATのウェブサイトから、無料公開のPDFカタログに飛ぶと、キュレーターのテキストや、展示風景のスチールフォトはもちろん、17分弱の展覧会のドキュメンタリービデオを誰でも無料で見ることができる。アートセンターとして優先すべきことは、須藤玲子やNUNOの仕事について幅広い層に知ってもらうという結論が、最終的にカタログのデジタル化を後押しした。キュレーターにとっては展覧会の内容に合わせてカタログの仕様を考えたり、本の紙を選んだりするのは最も楽しい仕事の一つなので、デジタル化は悩ましい決断だった。しかし、ネット検索からのアクセスのしやすさや、国境を超えてより多くの人々が見ることができ、かつ資源の節約になるというメリットにはあがらい難かった。

 デジタルカタログ以外にも、CHATは4月からオンライン上で「Museum from Home」のキャンペーンを開催し、常設展示のバーチャルツアー(手話付き)や、アーティストへのインタビューといったコンテンツを続々とアップロードしている。(図2、3)テキスタイルはマテリアルに実際に触れて楽しんでもらうことも大事なので、CHATではワークショップも頻繁に開催していたが、これもZoomによるリモートワークショップに切り替えた。刺繍の枠と糸、布をパッケージにしたキットを参加者に郵送して、Zoomで刺繍を教えるオンライン通信教育的なワークショップは、参加者が自分の家から参加できる気軽さも手伝って、毎回大盛況だ。

 また、CHATはオランダのティルブルグにあるテキスタイル美術館(Textile Museum, Tilburg)、ポーランドのウッチにあるテキスタイル産業博物館(Central Museum of the Textile Industry)、そしてイタリアのプラートにできたテキスタイルに特化したクンストハレ(*編集部注:企画展専門の美術館のこと)のロットゼロ(LOTTOZERO)に声をかけ、オンラインでの共同企画のプラットフォームのイニシアティブをとっている。隔週で各国のキュレーターや広報の担当者が集まり、オンラインプログラムの計画を練っている。このヨーロッパの3つの美術館は、従来の伝統的なテキスタイル美術館のイメージを刷新しようと、アーティストやデザイナーの新しいクリエイションをサポートするラボを備えていたり、現代アーティストと積極的にコラボレーションを行ったりしている。私たちはこのネットワークを通して、新しいテキスタイルアートやデザイン、美術館や展覧会の潮流を伝えていこうとしている。今年の秋に最初のプログラムを発表する見通しだ。

 香港はソフトロックダウンで感染者拡大を抑えることができたため、今はほとんどの美術館が通常営業に戻りつつある。CHATは5月8日から「Unconstrained Textiles: Stitching Methods, Crossing Ideas(自由なテキスタイル:縫い合わす方法、交差する思考)」展を再オープンしたが、入場者制限をしているにもかかわらず、連日多くの家族連れや若者が訪れている。オンラインで展覧会やトークイベントなどのコンテンツをオーディエンスに届けることはできるが、やはり本物のアート作品を肉眼で見る経験は何にも勝るようだ。

 今や伝説にもなっている1969年にカリスマキュレーター、ハラルド・ゼーマン(Harald Szeemann)が1969年に企画し、今や伝説にもなっている現代アートのグループ展、「態度が形になるとき(Live in Your Head: When Attitudes Become Form)」にアジア圏出身で唯一招待されたフィリピン人アーティストのデヴィッド・メダラ(David Medalla)が、1968年から断続的に世界各地で制作している参加型作品「スティッチ・イン・タイム」が、本展でも展示されている。この作品は来場者が7色の糸を使って巨大な白いキャンバスに自分の所持品を縫い付けたり、刺繍できる作品だ。会期の最後には、このキャンバスが展示されていた特定の時間と場所の記録が縫い取られているアーカイブとなる。この作品は再オープン後、予想以上の数の来館者が参加している。香港の観客は思いもよらないクリエイティビティを発揮し、この白いキャンバスに刺繍をほどこしている(図4・5)。

 本来なら来館者が作品に直にステッチをするこの作品だが、新型コロナウイルス感染防止のための閉館期間中、メールやインスタグラムでこの作品にステッチしたい画像を送ってくれるように私たちは呼びかけた。新型コロナウイルスの画像や、ソフトロックダウン中に活けられた花束の写真や、中には若い頃のデヴィッドとのツーショット写真などが思いがけない場所から送られてきた。届いた画像はCHATのスタッフがキャンバスに縫い付けた。図らずも新型コロナウィルスのパンデミック、そして香港国家安全維持法の施行という歴史的なモーメントを体験しているこの作品には、会期の最後にはどのような記録が残されているだろうか。

 昨年の11月から始まったこの連載も、抗議活動に続くコロナ禍という予想もしなかった事態に翻弄され、不定期になってしまった。およそ半年の連載期間のうちに世界がこうも変化してしまったことに、今さらながら驚愕する。そんな変化の激しい日常で、淡々と制作活動を続けるアーティストの姿に元気をもらうことがある。CHATの開館展にも参加してもらったアーティスト青山悟は、ロックダウン中に「Everyday Art Market」というウェブサイトを立ち上げ、ロックダウン中の日常の中で即興的に制作した刺繍作品を発表している。(図6)また筆者の古巣、水戸芸術館現代美術センターのギャラリーの監視員と話し合いながらマスクに刺繍を施したり、ソーシャルディスタンスを測るためのメジャーなどを制作するというユニークなプロジェクトにも参画している(図7)。

 今回で連載は最終回となる。予想が立たない世界でどうやってアートセンターのプログラムを企画していくか悩みはつきないが、日々制作に向き合っているアーティストやデザイナーたち、そしてCHATのスタッフとともに、香港でクリエイティブの芽をどのように育んでいくか、挑戦はまだ始まったばかりだ。

高橋瑞木(たかはし・みずき)/CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)エグゼクティブ・ディレクター:ロンドン大学東洋アフリカ学学院MAを修了後、森美術館開設準備室、水戸芸術館現代美術センターで学芸員を務め、2016年4月CHAT開設のため香港に移住。17年3月末に共同ディレクターに就任、20年3月から現職。主な国内外の企画として「Beuys in Japan:ボイスがいた8日間」(2009)「新次元:マンガ表現の現在」(2010)「クワイエット・アテンションズ 彼女からの出発」(2011)「高嶺格のクールジャパン」(2012)、「拡張するファッション」(2013、以上は水戸芸術館)「Ariadne`s Thread」(2016)「(In)tangible Reminiscence」(2017、以上はCHAT)など

The post 変化を進化へ デジタル化する香港のミュージアム【高橋瑞木の香港アート&テキスタイル 連載vol.5】 appeared first on WWD JAPAN.com.

“職人”ミズノの逆襲 奇抜なデザインの裏に勝利への自信

 ミズノは7月1日、新たに開発したシューズ用高反発素材“ミズノ エナジー(MIZUNO ENERGY)”を発表した。同素材は「ミズノ史上最高」という柔らかさと反発性が特徴で、約2年をかけて開発されたもの。スタンダードタイプの“ミズノ エナジー”のほか、軽量タイプの“ミズノ エナジー ライト”と最も反発性が高い“ミズノ エナジー コア”の3タイプを用意する。接地時のエネルギーを無駄なく反発力へと変えることに長け、“コア”は従来のソール素材よりも反発性を約56%向上、柔らかさを約293%向上させている。この反発性の研究にはシューズの知識だけではなく、同社が1906年の創業以来研究し続けてきた野球のバットやゴルフのクラブなど、スポーツ用具の知見も生かされているという。現在、同社としては珍しい奇抜なデザインが話題となったコンセプトモデル“ザ ミズノ エナジー(THE MIZUNO ENERGY)”(2万5000円)が販売中(ECは完売)。より軽量化したスピードモデル“ウエーブ デュエル ネオ(WAVE DUEL NEO)”(2万3000円)と“ウエーブ デュエル ネオ ロー(WAVE DUEL NEO Low)”(1万9000円)は7月中旬から順次発売予定だ。

トレンドを追わない覚悟

 昨今の国内ランニング市場は、「ナイキ(NIKE)」の“ヴェイパーフライ(VAPER FLY)”をはじめ、大きな推進力を生み出すカーボンプレートを搭載した厚底シューズの話題で持ち切りだった。一方、“ミズノ エナジー”を搭載したシューズにはカーボンプレートは使わず、樹脂を用いた既存素材“ミズノ ウエーブ”を用いており、“ヴェイパーフライ”などと比べて厚みはない。「厚底ソールは地面との距離があるためシューズをコントロールしづらい、疲れやすいといったデメリットもある。選手もシューズに合わせた走り方にする必要があり、ランナーの安全を考えると厚底シューズが最適なアプローチでない場合もある」と語るのは、“ミズノ エナジー”の研究開発に携わったグローバル研究開発部デザイン・開発部技術開発課の森田彰氏だ。「われわれも当初はカーボンプレート内蔵モデルを考えた。しかし、試走時に『重すぎて20kmも走るといつも以上に疲れが出る』というフィードバックをもらった。市場のトレンドではないかもしれないが、文字通り“地に足をつけて”足元を支える方針に決めた」。

機能をデザインで表現

 機能性のみならず、デザイン性にも注目が集まっている。新素材発表と同時に数量限定で発売されたコンセプトモデル“ザ ミズノ エナジー(THE MIZUNO ENERGY)”は、ボールが詰め込まれたような、あまりにインパクトの強いソールデザインに賛否が巻き起こったものの、公式オンラインショップ分は発売当日に完売。デザインに関わったグローバルフットウエアプロダクト本部ランニング・トレーニング企画課の鷲見将成氏は、「新素材のコンセプトモデルのためソールに目がいくようなデザインを採用した。アッパーをはじめそのほかのあしらいは非常にシンプルで、機能を妨げるような無駄なデザインはない」と解説する。また水ぶくれなどの原因となる縫い目を少なくするため「パーツ数も限界まで削ぎ落とした」という。鷲見氏と同じくデザインに携わったランニング・トレーニング企画課の益子勇賢氏は「ミズノは常に実直なモノ作りでお客さまの支持を得てきた。これからもその期待に応えていく」と話す。

実は披露していた“謎の白”

 同素材は、今年1月の箱根駅伝で10区区間賞を獲得した創価大学の島津雄大選手が着用した“ウエーブ デュエル ネオ(WAVE DUEL NEO)”にも搭載されている。島津選手が着用したのは真っ白なプロトタイプで、他区では “ヴェイパーフライ”が圧倒していたこともあり、「あのシューズはどこのメーカー?」「カッコいい!」と観客からの注目を一気に浴びていた。

 ランニングシューズのプロモーションにおいて、着用選手のレース結果はシューズの人気を左右する重要項目だ。しかし“ミズノ エナジー”搭載シューズに関しては、「レース結果によるイメージ訴求に頼るつもりはない」とコンペティションスポーツ事業部第1事業企画販促部陸上・ランニング課 課長の河野光裕氏は語る。「履けばその良さがわかる。トップランナーの争いを気にするのではなく、風下に降り、お客さまと対面して一足一足を販売していく。もちろん島津選手の好成績がなければこれだけ話題となることはなかった。ただ今後は一時的な世間の注目度よりも、地道に獲得したファンの拡散力を重視していきたい」。

目指すは国内3番手

 国内のランニング市場が盛り上がりを見せる中、同社は2019年度の国内ランニング部門の売上高が前年同期を若干下回った。その理由の一つとして河野課長は、ある人気シリーズを挙げる。「当社の核となる“ウエーブ ライダー(WAVE RIDER)”シリーズは1997年の発売以来、初心者からフルマラソンを走るランナーまで幅広い層に支持を得てきた。その人気に頼ってしまった結果、新モデルの開発やプロモーションが十分に行えていなかった」。

 その一方、海外では再び存在感を示しつつある。同社は2019年度、アメリカのランニング部門の売上高は前年同期比10%増で、ヨーロッパでもほぼ同じ成果を収めた。「海外ではランニングが日常に根付いている。速く走れるか、安定しているか、軽いか、耐久性があるかなど多様な尺度でモデルが選ばれ、マーケットが細分化している。そのため安定性と機能性が売りのわれわれも一定の層からの支持を得ている。ところが国内はトレンドと安さの2つが購買の基準として強く、それ以外のモデルは見向きもされない」と分析する。

 では国内市場を成熟させるにはどうすればよいのか?河野課長は「このような市場にしたのはわれわれメーカー側の責任が大きい。発売時のプロモーションやレースの結果に頼るだけで、時間をかけてモデルを育てていこうとはしていない。このままではお客さまもついてこない。ユーザーのデータをもとにアップデートを続け、二人三脚で市場を成長させたい。“ミズノ エナジー”は、それを可能にする重要な素材だ」と自信を見せる。

 ミズノは現在、国内ランニングシューズでは5番手に位置している。「史上最高」の素材でスパートをかけ、ナイキとアシックスに次ぐ3番手への浮上を誓う。

The post “職人”ミズノの逆襲 奇抜なデザインの裏に勝利への自信 appeared first on WWD JAPAN.com.

TikTokが注目される理由とは?マーケティング活用の可能性に迫る

 「WWD JAPAN.com」は6月30日に、TikTok(ティックトック)のマーケティングの可能性を解説するオンラインセミナー「TikTokマーケティングセミナー supported by WWD JAPAN.com」を開催した。ショートムービープラットフォームのTikTokは、昨今のデジタルコンテンツのニーズ拡大でさらに存在感を強めている。さらに、トレンドの発信地として幅広い年代のユーザーから支持されており、新たなマーケティングの手法を生み出す可能性を持つプラットフォームとしてもさまざまな業界から熱い視線が注がれている。TikTokへの関心が高まる中で開催された同セミナーの受講者募集には定員の300人を大幅に超える応募があり、抽選で選ばれたファッション、ビューティ関連企業のPRやマーケティング担当者らがセミナーを受講した。
 
 セミナーはテーマ別に3部構成で行われ、「WWD JAPAN.com」編集長の村上要が各部のゲストと共に解説した。第1部はTikTokの特徴や急成長の背景、第2部はTikTokをマーケティングに活用している先行企業の担当者をゲストに招いて実例を紹介。第3部ではTikTokで活躍しているクリエイターが登場し、バズるコンテンツの作り方や企業とのタイアップについて話を聞いた。セミナーの最中には受講者からは随時質問やコメントが届き、TikTokへの注目の高さがうかがえた。

第1部

デジタルコンテンツの
ニーズ拡大に伴う
急成長の背景に迫る

 第1部は「TikTok For Business Japan」Creative Strategy Directorの廣谷亮氏をゲストに迎え、TikTokの特徴やユーザーの傾向、最近の急成長などについて解説した。TikTokのユーザーの傾向はZ世代と呼ばれる24歳までの世代だけでなく、この1年ほどで芸能人などを中心に一気に大人の世代が流入しており、それに伴って急速にコンテンツの多様化が進んでいる。アートやスポーツ、ニュースに関連する時事コンテンツのほか、ファッションやビューティのカテゴリーも顕著に伸びているという。さらに、2019年6月から20年6月の1年間で再生回数は262%増、平均視聴時間が42分から55分へと伸長しており、20年4月に世界でのダウンロード数は20億回を超えた(Sensor Tower調べ)。

 マルチタスクでさまざまなことに効率よく興味を持ち、多面的な思考や価値観を持つZ世代を“かじる世代”と称し、Z世代への訴求やマーケティングにおける活用のヒントなども紹介した。

第2部

ブランドはなぜTikTokを選び、
何をやったのか?

 第2部では、第2部では、TikTokをマーケティングに取り入れている先行企業の担当者と共に実例を紹介した。「TikTok For Business Japan」Head of Client Partnershipsの田村千秋氏によると、TikTokをビジネスに活用しているブランドや企業は増加傾向にあるという。今回はファッション、ビューティのカテゴリーとTikTokの親和性の高さに着目し、実際にTikTokを活用しているブランドの代表として「メイベリン ニューヨーク」の高瀬絵理氏・日本ロレアル コンシューマープロダクツ事業本部 メイベリン ニューヨーク事業部 ブランドビジネスリーダーと「ピーチ・ジョン」の浦上セリーヌ優氏・ピーチ・ジョン 広報宣伝課 PEACH JOHN/GIRLS by PEACH JOHN プレスが登壇し、実施したキャンペーンや公式アカウントの運用方法などを紹介した。また、「表参道NORA hair salon」トップデザイナーの YUMA ISHIKAWA氏が登壇し、集客やブランディングなど個人のビジネス活用についても解説した。

第3部

企業とクリエイターの
上手なTikTokでの付き合い方

 第3部はTikTokで活躍しているクリエイターの南部桃伽氏とサラ・コールディ氏が登壇し、動画制作の実演を通じて、今のトレンドやユーザーに効果的に訴求するためのポイントなどを解説した。廣谷氏によるとZ世代の特徴として、TVなどに出演している有名人よりもインフルエンサーが発信する情報のほうが親近感が湧く、信頼性があるという調査結果があり、インフルエンサーの影響力はますます大きくなっているという。そうした背景から、TikTokでもクリエイターと企業とのタイアップが増加している。TikTokの特性やユーザーの傾向を踏まえて、クリエイターやブランドの個性と流行を柔軟に掛け合わせることが、プロモーションにおいて重要であると解説した。

The post TikTokが注目される理由とは?マーケティング活用の可能性に迫る appeared first on WWD JAPAN.com.

デジタルメンズコレでドタバタ対談 「ディオール」が底力を見せ、“人間礼賛”ムードに覆われたパリ最終日

 デジタルでのオートクチュール・コレクションが終わり、次はパリのメンズ・コレクションがスタートしました。7月9日から5日間にわたって、70近いブランドが新作をオンラインで発表します。この連載では、主にメンズを担当している記者が「頑張ってリアルタイムで見てみました」取材を日替わりで担当。「アーカイブでも見られるのにオンラインで見る意味あるの?」という周囲の視線を感じながらも、「コレクションはライブ感!」と信じて完走を目指します。初日は海外コレクション取材歴10年以上のベテランである村上要「WWD JAPAN.com」編集長と、海外コレクション初取材の入社3年目・美濃島匡「WWDジャパン」記者が日常業務と並行しながらリポートします。

17:00(パリ時間10:00) 「ランバン(LANVIN)」

美濃島:パリ・メンズ最終日。本日もドタバタ対談スタートです!トップバッター「ランバン(LANVIN)」は古代遺跡をロケ地にしたショートフィルムを公開。涼しげなジャケットやドレスをベースにアフリカンモチーフでアップデートさせたリゾートスタイルを披露しました。19年からアーティスティック・ディレクターに就いているブルーノ・シアレッリ(Bruno Sialelli)はリゾート感のあるリラックススタイルを継続的に発信していますが、もう少しいろんなテイストを見せてもいいのかも。また映像ではプリントスカーフやバッグにもフォーカスしていて、かなりコマーシャルな印象です。展示会への導線としては機能しそうですが、ありきたりなキャンペーンムービーのようで新鮮味に欠けましたね。

村上:なんと!!相変わらず会社でドタバタしてますが、もうドタバタ対談もスタートですか!!1分10秒、よく言えば「すんなり見られた」、ちょっと厳しい言い方をすれば「盛り上がりに欠けた」ムービーでしたね。コレクション自体も、“ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)門下生”なカンジから抜け出せない印象です。ジョナサンがどんどん進化しているから、距離がつき始めてしまった感覚も否めませんね。メンズのジャケットは、素材感がネックでしょうか?なかなかクラシックなサマーウールを使っているから、今っぽいカンジが滲んでこないのかも。ウィメンズのカフタンドレスとかスカーフのように、軽やかな素材から生まれるジャケットも見てみたい!!

美濃島:ジャン・フィリップ・エケ(Jean-Philippe Hecquet)最高経営責任者(CEO)が今年3月に退任するなど混乱が続いており、その分ブルーノへの期待が高まりますが、彼のクリエイションが定着するにはまだ時間がかかりそうですね。

18:00(パリ時間11:00) 「ウェルダン(WE11DONE)」

美濃島:「ウェルダン(WE11DONE)」の映像はホテルを地上、モヤがかかった枯れ果てた大地を地底にみたてたのでしょうか?意図を汲み取ろうと頑張りましたが、解釈の余白がありすぎて何が言いたかったのかわかりませんでした(笑)。あと6分強の尺は少し長かったかな。個人的には電話が鳴る最初のシーンとモデルが一斉にウオーキングするハイライトは好きでした。

村上:「それを言っちゃ、オシマイよ」って思われちゃうかもしれないけれど、新興ブランドは、“ナゾ”な映像を作らない方がいいかもしれないね。「ウェルダン」の場合は、冒頭、携帯がいっぱいぶら下がった部屋で、みんなが床に耳をつけて何かを聴いている風なシーンがあったけれど、「コレは、何だろう?」って意味を考えすぎちゃうと洋服が頭に入ってこない(苦笑)。その点、週末にコレクションを発表した日本のブランドは、潔かったし、正々堂々としていた印象です。

美濃島:同ブランドは韓国のセレクトショップ・レア マーケット(RARE MARKET)のディレクターであるダミ・クォン(Dami Kwon)とジェシカ・チョン(Jessica Jung)が手掛けています。韓国らしいストリートテイスト溢れるアイテムに、シャギーな素材を用いたり、薄いピンクやグリーンなど優しげな色を使うことで今っぽいクリーンさを加えていました。ウィメンズでも引きずるほど長い袖やレザー使いなどでトレンドを上手く盛り込んでいました。でも、「おおっ!」と思わせる強さはなかったですね。

村上:美濃島さんが言う通り、コレクションはクリーンで万人ウケしそうなストリート。そのまま見せて尺を短くした方が、みんな共感できたかもなぁ、って思います。

18:30(パリ時間11:30) 「フィップス(PHIPPS)」

村上:その点、「フィップス(PHIPPS)」は非常にわかりやすい。パリでは「コスプレ!?」と思わざるを得なかったカウボーイスタイルが、実に自然に映りました(笑)。「あぁ、このブランドは、こんな世界の中で生きているんだね」と実感できるムービーでした。もちろん、デザイナーはアメリカ出身なんですよね?

美濃島:デザイナーのスペンサー・フィリップス(Spencer Phipps)は米カリフォルニア出身。西部劇のトレーラーに見立てたショートムービーは、ブランドの世界観がビシビシ伝わってきました。クリエイションとルーツが一致していますね。ただ、どこまでが衣装でどこまでがコレクションなのかわかりませんでした(笑)。

村上:洋服はちゃんと見えなかったけれど、「どこかで、ちゃんと見ることができるのかな?」って思わせます。今のネットユーザーは、そう思ってくれれば、全部自分で見つけられるしね。

美濃島:彼はNYのパーソンズ美術大学出身で、卒業制作では手染めのオーガニックコットンと麻の布を使用。その後もサステナビリティーを掲げ、2019年にはLVMHプライズのファイナリストにも選出されています。今回の映像もそうですが、時代の空気を読み、適切な表現を行えるから、今後が期待されているのでしょうね。

19:00(パリ時間12:00) 「ジギー チェン(ZIGGY CHEN)」

村上:「ジギー チェン(ZIGGY CHEN)」は、パッチワークが盛りだくさんのコレクションだから、ムービーもパッチワークなのかな(笑)?洋服はキャロットシルエットのパンツを筆頭に愛らしいムードだけど、いかんせんムービーがシュールでホラーですね。特にBGMがコワい。普通のランウエイショーでも、こんなおどろおどろしい音楽は選ばないと思うのに、なぜチョイスしてしまったのか?夜、一人で見たら、後ろを振り向けそうにありません……。

美濃島:往年の名作ホラーに使われるような音楽でしたね。モデルの顔は古い絵画などのコラージュで表現していて、そういった演出がモノトーンベースのクラシカルな服のムードにぴったりハマってました。ただ古臭いだけでなく、チェックやストライプといった柄やフォトプリントなども巧みに用いてユニークさも忘れません。映像は人を選びそうですが(笑)、チャレンジングな姿勢は評価に値すると思いました!

村上:そろそろライブ配信企画「着点(きてん)」が始まるので、ここから数個は美濃島さんにお任せします!

美濃島:カナメさん、いってらっしゃい!取材の合間しか「着点」は見られませんが、画面越しから応援しています!

19:30(パリ時間12:30) 「パロモ スペイン(PALOMO SPAIN)」

美濃島:「パロモ スペイン(PALOMO SPAIN)」はギンガムチェックのセットアップやピンクのスカート、お尻がぱっくり空いたパンツ、黒いクリスタルのドレスなど、完全にジェンダーレスなコレクションを披露。相変わらずのクリエイションです。“THE REHEARSAL"と題した映像は、迫力ある音楽と演出はもちろん、同性婚を連想した花嫁のようなルックにフォーカスするなど、かなりメッセージ性が強かった。スポンサーとして「M・A・C」「スワロフスキー(SWAROVSKI)」を明記していたのも説得力がありましたね。

20:30(パリ時間13:30) 「ダンヒル」

美濃島:「ダンヒル(DUNHILL)」は過去の広告映像に直近のランウエイショーを紐付けてブランドアイデンティティーをアピール。音楽の違いも浮き彫りになったりと試みは面白かったのですが、最新コレクションが全く登場しないので何の参考にもなりませんでした(笑)。

21:00(パリ時間14:00)「サンクアンズ」

美濃島:中国の「サンクアンズ(SANKUANZ)」は、緑の線で表現されたサイバー空間でルックを披露。ストリート色が強く、近未来感のあるクリエイションにぴったりな世界観でした。中には肩をつまんだジャケットやボディコンシャスなミニドレスなどもあり、ドレスへの意気込みも感じました。ノイズミュージックも同ブランドらしくて◎。ただルックが遠くて確認しづらかったので、一つ一つにもっとフォーカスして欲しかったですね。

村上:今日のライブ配信も無事終了しました!帰りの電車の中で、「ダンヒル」と「サンクアンズ」を鑑賞。「ダンヒル」は、80年代から脈々とDNAを継承していることを伝えたかったんでしょうね(苦笑)。「サンクアンズ」は、ホントモデルが遠い(笑)。デジタル・ファッション・ウイークは、みんながフロントローでコレクションを堪能できるハズなのに、「サンクアンズ」はみんなスタンディングな感じだね(笑)。「見えね〜」って愚痴が聞こえそう。

21:30(パリ時間14:30) 「ディオール(DIOR)」

村上:そして、「ディオール(DIOR)」‼︎底力、見せましたね。美しかった。ポップでキャッチーな「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」とは全然違うエレガンス。「肖像画を書くとき、背景はシンプルに」というアフリカのアーティスト、アモアコ・ボアフォ(Amoako Boafo)はの思いを体現するような、着る人を美しく描くコレクションでした。主役は洋服じゃなくて、あくまで着る人なんだって教えてくれるようなコレクション。アフリカンな極彩色や、「ディオール」のドレスを思わせるボリュームたっぷりの布づかい、デジタルでも繊細なのが一目瞭然な刺しゅう。でも、主役はやっぱり服じゃない。その境地にたどり着いたのがスゴい。ポストコロナのラグジュアリーのあり方を学んだ気がします。

美濃島:インタビューをメインにルックをさらっと見せるだけの映像。それなのにこれほど深く刺さるのは、最高のクリエイションがあるからに違いありません。コラボ相手のアモアコは指で直接絵の具を塗る“フィンガーペインティング”を用いるアーティスト。この技法よる独特なタッチを刺繍で表現したり、赤、青、黒などアフリカらしいダイナミックな色合わせを用いたりして、キムのルーツとクリエイションを融合させていました。途中、アート作品とルックを交互に流してそれらの垣根を無くす演出に心を奪われました。ああ、美しかった。

村上:そうそう。あの、アモアコの肖像画とキムのルックが次々入れ替わる瞬間に、人間と肖像画、ファッションとアート違いがわかんなくなってきて、「あぁ、洋服って、人を彩るものなんだ」って改めて気づきました。センスあるなぁ。洋服の話をすれば、個人的なツボは、かなり膝上なショートパンツ(笑)。あとはニットなのかな?鮮やかなアフリカンカラーのカマーバンドも印象的だった。とはいえ、全体はいつもの「ディオール」よりちょっとカジュアル。お出かけが減ったり、テレワークが増えたりの状況を鑑みたのかな(笑)?

22:00(パリ時間15:00) 「トム ブラウン(THOM BROWNE)」

美濃島:「トム ブラウン(THOM BROWNE)」も力強かったですね。シンガーソングライターのモーゼス・サムニー(Moses Sumney)が新作ボトムを着用して歌声を披露するだけの3分間。でも、歌が上手すぎて普通に聞き入ってしまいます。彫刻のような彼の筋肉美もすごかった。服よりも人間にフォーカスする映像は、先ほどの「ディオール」に通ずるものがあります。いずれも人間の文化や営みが見直されているこのタイミングにこそ生まれもの。ルック1体に絞るアイデアは「ドリス」と同じですが、密度が全然違いました(笑)。

村上:もはや「最新コレクションは?」と思いながら見るのではなく、「人とは?」を考えながら堪能するカンジ。もともとランウエイショーでも、コンセプチュアルすぎる洋服ばっかりだったから、1ルックしか見られなくても不満に思うこともなかった(笑)。ちなみにラップスカート、総スパンコールだったね。めっちゃ気合い入ってる。このくらいの気合いで、僕も筋トレ頑張ります(笑)。胸が全然つかないんだよねぇ……。と、次の「ルドヴィック デ サン サーナン(LUDOVIC DE SAINT SERNIN)」につながりそうなネタを振ってみました。多分、裸体出てくるでしょ、このブランドのムービーも(笑)。

美濃島:“人間礼賛”なムードは今後数シーズンのトレンドになるかもしれませんね。「ルドヴィック デ サン サーナン」も相変わらず布少なめなクリエイションなのでしょうか?早速確認してみましょう(笑)

22:30(パリ時間15:30) 「ルドヴィック デ サン サーナン」

村上:予想以上に布少なかった(笑)。赤面(照)。白と黒の編み込みビキニの青年2人が、見つめ合って、触れ合って、海に飛び込んで……。ムービーの最後、水着が木に干してあったのは、「そういうコト」という理解でよろしいですね⁉︎

美濃島:「そういうコト」なのでしょうね(笑)。いきなり裸、そして“DO YOU LOVE ME?”というタイトルコール。直球ストレートな姿勢に好感が持てました。淡い恋心が実って何よりですが、「ビキニが全然お尻を覆えてないよ!」と心の中で突っ込んじゃいました(笑)。

村上:海が汚れてたのが、ちょっと残念だったね。海洋汚染に対するメッセージなのかな(笑)?いずれにせよ、コレも人間礼讃だね。

24:00(パリ時間17:00) 「フミト ガンリュウ」

村上:「フミト ガンリュウ(FUMITO GANRYU)」は、ナゾでした。時間もテッペンを回りまして、思考能力は低下。あれは、どう解釈したら良いのでしょうか?ダッフルコートを買った美濃島さんに聞いてみましょう、いかがでしたか?

美濃島:昨年の秋冬でダッフルを買い、今年の秋冬はセットアップを購入したほど大ファンな僕ですが、正直全く理解できませんでした(笑)。野焼きや本を整理するシーンなど、意味深な場面も多かったので身構えちゃいましたが、後からルックを見てみたら動画と同様のシチュエーションがチラホラ。ルック撮影の様子を切り取ってイメージムービーに仕上げたんでしょうね。定番で出しているパーカーのほか、ラインが入ったジャージやデニムのセットアップなど新たなアイテムも。これまでコンセプチュアルでしたが、グッと日常着に近づきましたね。実は後日、取材のチャンスをもらっているので、コレクションについて詳しく伺いたいと思います!

村上:ぜひ、「ほとんどルックがわからない、バイヤー泣かせの動画」の真意を聞いてくださいませ(笑)。

01:00(パリ時間18:00)「リース クーパー」

美濃島:「リース クーパー(REESE COOPER)」は森に流れる小川をランウエイに見立てて開催したショーの様子を公開。裸足で歩くモデルをみて「足は痛くないのかな?」と無駄な心配しちゃったし、周辺で遊んでいてそのまま呼び止められたであろう一般人たちがショーを見守る様子はなんともシュールでしたが(笑)、面白いアイデアでした

村上:ムービーのタイトルが「RIVER RUNS THROUGH」。コレは、映画「A River Runs Through It」へのオマージュなのかしら?と思ったり、思わなかったり。撮影の舞台となった川は、映画よりちょっと汚くて、特にコケ(藻?)に覆われた水面を歩くモデルを“自分ごと化”してしまい、ちょっと「ウゲッ」ってなりました。

美濃島:服はロケーションの通りのサファリ&アウトドア。より人間らしく生きよう、自然に帰ろうという気分を反映したのでしょうか。

村上:見せてくれたサファリとアウトドアは、取り立てて欠点もないけれど、だからと言って、このブランドで買う意味も感じ取ることができなかったのが、正直なところですね。もう少しオリジナリティが欲しかった。最近はSPAやアウトドアブランドのデザイン性が高いから、「覚悟」が欲しいな。

美濃島:最後の全モデルが集合し、デザイナーが走ってくるシーンも、ありきたりですがなんだかほっこりしました。ただ、15分はあまりに長すぎる!!途中から服が頭に入ってきませんでした。この取材では尺の重要性を痛感してばかりです。

01:30(パリ時間18:30) 「ピガール」

美濃島:「ピガール(PIGALLE)」は過去のコレクションムービーを編集したほか、アーカイブをモデルたちに着せたスペシャルムービーを披露。ブランドの歴史を振り返ることができますが、やっぱり印象的なのは“ウエディング”をテーマにした2017年春夏シーズンのショーでした。

村上:実際「ピガール」のコレクションを何度か見ている僕は、「あぁ、この時は死ぬほど待たされたな」とか、「あぁ、この時は入口が大混雑したんだっけ」とか、「あぁ、この時は次のショーに間に合わないから途中退席したんだ」などノスタルジックになったけれど(笑)、皆さんには、どうだったんでしょう?

美濃島:ブランドのこれからに胸が高鳴る素敵な映像でしたが、最新コレクションは登場せず。続報を待ちたいと思います。

村上:この場で最新コレクションを見せないブランドには、「どうして見せないのか?」「代わりに、どうやって見せるのか?」を取材しなくちゃですね。みんな秋の、リアルもあると言われているパリコレまで待つのかな?

02:30(パリ時間19:30) 「ルメール」

美濃島:パリ・メンズのラスト「ルメール(LEMAIRE)」も魅せ方をわかっていましたね。心地よいベース音から始まる音楽とともに、上質なリアルクローズを着たモデルたちが淡々と歩きます。ゆるめのフィッティング、絶妙な色味、確かなテーラリングは相変わらず素敵。今回はデニムアイテムも多く、奥行きのあるコレクションでしたね。その幅を表現したのかもしれませんが、やはり動画が長かった。もっとルックを絞ったほうが強く響きます。

村上:洋服同様、「奇をてらわず」。正々堂々としたシンプルなウォーキング映像は、ナゾなムービーも少なくなかったパリメンズの中で、むしろ潔く映りました。ゆとりあるシルエットと、タイムレスなスタイル、穏やかな1トーンのコーディネイトは、「ニュー・ノーマル」な時代ともリンクしている気がするね。本人もソレをなんとなくわかっていて、「シンプルに見せるのが、一番強いし、共感してくれるよ」って分かっている気がします。アジアを中心にビジネスを拡大する予定で、日本にもショップができるみたい。静かな場所に、ポツンと佇んでいたら、フラリと寄ってしまいそう。「ニュー・ノーマル」なファッションを想像させてくれるという意味では、ラストにふさわしいブランドだったかな、と思います。

美濃島:パリ・メンズこれにて終了です!お疲れ様でした。

村上:ゆったりおやすみモード、といきたいところですが、ノンストップでミラノが開幕しちゃったね(笑)。引き続き頑張っていきましょう!

The post デジタルメンズコレでドタバタ対談 「ディオール」が底力を見せ、“人間礼賛”ムードに覆われたパリ最終日 appeared first on WWD JAPAN.com.

ランジェリー業界のゲームチェンジャーvol.3 ラジオやブログでランジェリーの魅力を語りファンを増やすラ グット シュクレの太田まゆみ

 下着業界はファッション業界に比べるとメディア露出が少なく、またサイズの展開が多いため、在庫管理が複雑、生産工程で使用する資材が多い、生産ロットが大きいなどの理由から新規参入が難しいといわれてきた。大手の下着メーカーおよびアパレルメーカーによる市場の寡占によって、なかなか新陳代謝が進まない印象だったが、ここ数年、D2Cブランドが増加している。また、異業種からのデザイナー転身やSNSを通じたコミュニティーの活性化など、下着業界では30代の女性を中心に新たなムーブメントが起こっている。下着業界に新風を吹き込むゲームチェンジャーらにインタビューし、業界の今、そして今後の行方を探る。

 連載の第3回に登場するのは、太田まゆみ・ラ グット シュクレ(LA GOUTTE SUCREE)代表だ。ブログをきっかけにスタートさせたオンラインショップはファッション性を重視したブランドのセレクトに定評があり、商品の背景にあるストーリーと世界観を語り、消費者に夢を与えるランジェリーセレクトショップとしてファンを増やし続けている。オープン以来、インポートランジェリーを中心に展開していたが、昨今は日本のブランドの取り扱いにも力を入れている。

――ランジェリーのオンラインショップを始めようと思ったきっかけは?

太田まゆみラ グット シュクレ代表(以下、太田):フランス発「オーバドゥ(AUBADE)」を初めて着けたときの感動からです。確か2005年にパッドのない一枚レースのハーフカップとタンガ(Tバック)を着けたのですが、天地がひっくり返るような衝撃でした。コンプレックスだった自分の体がものすごく魅力的に見えたし、着け心地はまるで羽根のような軽さ。それからインポートランジェリーに魅了され、コレクターのように買い集めて眺めてはうっとりし、一人でファッションショーをして楽しんでいました(笑)。インポートランジェリーの魅力をオタク的にブログで語り始めたところ、それを読んでランジェリーに目覚めたという声があり、「この感動をもっとシェアしたい」という思いからオンラインショップを始めました。こんなにも美しく、それぞれにストーリーがあるのに、それを表現しているオンラインショップがない。これではランジェリーがかわいそうだと思ったのも理由の一つです。

――ラ グット シュクレのコンセプトは?

太田:おいしいスイーツのように、日常を特別にしてくれるランジェリーを紹介したいという思いを込めています。私も年齢を重ねたので、自分に寄り添い、心地よくきれいでいられるようなランジェリーをそろえています。立ち上げたときは全てインポートでしたが、最近はデザインや着け心地がインポートに引けを取らない日本ブランドが増えてきたので、約40ブランドのうち5ブランドは日本ブランドを取り扱っています。

ブランドの写真だけではストーリーを十分伝えられない

――他のオンラインショップとの違いは?

太田:エモーショナルな部分に訴えることを心掛けています。そのため、全ての商品を自分で撮影して、その商品に込められたストーリーを語るようにしています。「オーバドゥ」をはじめ、多くのインポートブランドはコレクションごとに名前があり、それに作り手の思いが込められています。それを丁寧に伝えることで真の魅力や価値が伝わります。必要に応じて、ワイヤーの形やカップの内側、脇のボーンの有無などを撮影して掲載することもあります。ブランドから提供された写真だけでは十分な魅力が伝わりません。細かいストーリーや情報を必要としない人は見ていただかなくてもOK。自分のペースで見られるのが、オンラインショップのよいところですから。

――顧客とのタッチポイントは?

太田:年に4回、顧客と直接触れ合う2日間のイベントをギャラリーなどで行っています。販売しているのは安い商品ではないので、やはり試着して決めたいという声も多く、2回のイベントは次のシーズンの受注会を兼ねています。ホームページやSNSなどで告知していますが、毎回、顧客や新規のお客さま合わせて約40人が来場されます。会場は、なるべく自然光が入る静かで落ち着ける場所を選び、花や植物をたくさん飾るようにしています。ランジェリーは夢を与えるものですから、それにふさわしい空間をつくりたいと思います。もう一つ心掛けているのは、気軽に試着できる雰囲気。素敵なランジェリーに興味を持つ女性はたくさんいるのですが、「店で試着したら、買わなきゃいけない」と思って店に行くのを尻込みしている人が少なくありません。その先入観を捨てていただいて、気軽に試着を楽しめる場にしたいと思っています。

――SNSでのコミュニケーションは?

太田:インスタライブなどに登場するのは苦手なので、18年10月から音声配信サービスのラジオトークを始めて新作紹介やコーディネート法、下着のお手入れなどについてお話ししています。通常、月2〜4本ペースで、外出自粛期間中は週2〜3本配信していました。私自身ラジオが好きで始めたのですが、視覚的な情報が少ない分、想像できるのが顧客には好評で、感想をメールでもらったり、紹介した商品の売り上げアップにつながったり、予想以上の反応があります。

――今後の夢は?

太田:日本のランジェリーブランドを世界に紹介したいと思っています。最近、個人で立ち上げたランジェリーブランドが増えています。インポートランジェリーをずっと扱ってきた私が見ても魅力的で、デザインも個性があり、作りもていねいで非常に優秀です。日本に優れたファッションブランドがあることは海外でも知られていると思いますが、日本のランジェリーブランドも素晴らしいということを国内外の人々にもっと知ってもらいたいです。方法としては越境ECがあると思いますが、今は、海外でも日本のECで直接買い物する環境が整っています。情報発信に関しては、多くの情報を整理・編集して、良質な提案をすることが大切なので熟考したいと思います。また、ふわっとしたイメージなのですが、ランジェリーを通じて生活が豊かになるようなコミュニティーをつくりたいと思います。ランジェリーと旅、香水、映画、アンティークなど違うジャンルとのコラボイベントを計画してみたいです。最近は女性の生き方や性別に関する感覚が大きく変化しているのを実感します。ランジェリーはその変化を如実に反映しているので面白いと思うし、興味が尽きません。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

The post ランジェリー業界のゲームチェンジャーvol.3 ラジオやブログでランジェリーの魅力を語りファンを増やすラ グット シュクレの太田まゆみ appeared first on WWD JAPAN.com.

それは「私の知らない、世界の半分」だから エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月12日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

それは「私の知らない、世界の半分」だから

 さすがに最近は“陰り”が顕著ですが、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の支持率が50%前後で安定していたのを見るにつけ、「私の知らない、地球の半分」の存在を痛感してきました。正直私は、彼に全く共感できない(笑)。でも、支持率が50%前後で安定していたということは、「少なくともアメリカ人は、約半数が彼に共感している」のです。多分。

 そう考えて「世の中って、広いなぁ」と思った時、「同じことは、いろんなことにも言えるよね」とも気づきました。例えば私は、「安い洋服を、1シーズンで使い捨てる」ことをほとんどしなくなりましたが、そこに価値観を置き続ける人だっているでしょう。SNSに溢れるネトウヨの意見は、私には「ギョッ」っとするものも少なくありませんが、案外ファボられていることも。そんな時も、「私の知らない、地球の半分」という存在を意識するのです。コロナ前、専門学校で壇上に立たせていただく時はサステナブルとかインクルージョン&ダイバーシティーの話を繰り返してきましたが、複数の生徒から「皆が、そこに価値観を置いているのでしょうか?」という質問をもらいました。鋭い。私の主張は、もしかすると「私が知っている、地球の半分」の価値観かもしれなくて、みんなが賛同するとは限りません。

 無論、「地球の半分」よりも多くの人と価値観が共有できたらサイコーです。メディアとしては、信じる価値観に共感してくれる人が現段階では50%だとしたら、それを60%、いや、まずは51%にする努力が必要だと思うし、こうした努力をしなければ前進なんてあり得ないでしょう。でも一方で、「私の知らない、地球の半分」が存在するならば、そんな人からの自分に向けての罵詈雑言なんて(おかげさまで最近は、そんな言葉を浴びる機会は減っていますがw)、ホントにクヨクヨしなくていいのかな?と思っています。その罵詈雑言が「私の知らない、地球の半分」から発せられたものであるならば、その言葉が飛び出た世界は、多分この後も「私の知らない、地球の半分」。だったら別に打ちのめされなくて良いんじゃない?って思うのです。

 勘違いしていただきたくないのは、排他的になったワケじゃないんです。「私の知らない、地球の半分」は今も興味深いと思っているし、「その世界の住人は、こんな風に考えるんだ」と学ぶこともあります。というか、学びが多いです。自分は共感できない意見も、いや、自分が共感できない意見だから面白い。でも、「私の知らない、地球の半分」の価値観だから、意見が合わなくても怒らないし、バッシングされても気にしない。そんな度胸が身についた、そんなカンジでしょうか?以前このメルマガでは、末尾にリンクを貼りました「好かれるか、嫌われるか。それでいいの」というお手紙を書きましたが、その思いはますます強くなっています。で、万が一嫌われた時、それが「私の知らない、地球の半分」の価値観っぽかったら、正直、そんなに気にしない。「そっかー、そんな意見もあるんだね。勉強になるね。でも、共感はしないね」くらい、冷静に受け止めるようになった。そんなカンジでしょうか?

 週末に、重たいトピックスをぶっこみました(笑)。お許しください。何が言いたかったのかと言えば、皆さんにも「私の知らない、地球の半分」はあるのだから、皆に好かれるなんて不可能だから追い求めなくて良いし、嫌われてもくじけなくて良いんじゃない?ということでした。下のリンクで紹介する紗江子さんも、「私の知らない、地球の半分」の存在をご存知なのかな~?そんな風に思ったのです。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post それは「私の知らない、世界の半分」だから エディターズレターバックナンバー appeared first on WWD JAPAN.com.

小島健輔リポート コロナ危機で痛感した「キャッシュフロー経営」

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。新型コロナウイルスによる臨時休業によってクローズアップされた「キャッシュフロー経営」の重要性とは?

 コロナ危機では都心店舗の大半が2カ月近く休業し、売り上げが激減し在庫が積み上がって資金繰りに窮するアパレルも少なくなかった。そんな窮状からアパレルの経営者は何を学んだのだろうか。その要点は(1)キャッシュフロー経営、(2)在庫換金の運用戦術、(3)在庫と損益の先送り、(4)ウィズコロナの防染対策、(5)アフターコロナのファッション意識の変容――だったのではないか。とりわけ資金繰りで苦しい思いをした経営者はキャッシュフロー経営を肝に銘じたはずだ。

つぶれたら終わりだからキャッシュフロー経営

 アパレルの経営はチャンスとリスクが背中合わせのギャンブルという側面もあって丼勘定になりがちで、シーズンを締めてみて粗利益と残品のバランスで損益が決まるし、残品を持ち越せば損益を先送りすることもできる。そんな経営感覚だから、よほど売り上げが激減しない限り、シーズン途中のキャッシュフローにはこれまで関心が薄かったかもしれない。

 ところがコロナ危機では想定以上に売り上げが激減し、資金繰りに窮するアパレルが続出した。日頃からキャッシュフロー経営を意識して必要運転資金を圧縮する努力をしていれば、売り上げが激減してもパニックに陥ることはなかったのではないか。

 運転資金回転日数は「(A)売上債権回転日数 +(B)棚資産回転日数 −(C)買掛債務回転日数」で決まり、それを365日で割って年間売り上げを掛けると必要運転資金が算出できる。運転資金回転日数が短いほど運転資金が少なくて済み、資金繰りも楽になる。それには(A)売上金をいかに早く回収するか、(B)在庫の消化回転をいかに速めるか、(C)仕入れ代金の支払いをいかに遅くするか――以上の3点が問われる。

売上金の回収を早めるには

売上金を早く回収するには、(1)売上金の直接収納比率を高める、(2)現金決済比率を高める、この2点が要だ。路面の独立店舗なら日銭が入るが、商業施設テナント店は月2回締めだから22.5日、百貨店は月締めだから45日、それぞれ入金が遅れる。キャッシュレス決済も一般には45日後の入金になるが、金利と手数料を支払えば早めることはできる。商業施設テナント店で22.5日+45日ではテナントが干上がるから、キャッシュレス決済分を立て替え払いするデベロッパーもある。

 キャッシュレス化政策にコロナ感染忌避も加わってキャッシュレス比率が上昇しているが、現金化が遅れるだけでなく手数料の負担も大きい。とりわけデベロッパーが包括加盟する商業施設テナント店では手数料率が上乗せされ、ハウスカードでは5%というケースも聞く。単価の高いブランドショップやセレクトショップではキャッシュレス決済比率が6〜8割にも達するから手数料の負担も重く、売上金の回収も遅くなる。

 店舗規模の大きい大手アパレルチェーンは路面の独立店舗も多く、商業施設テナント出店でも売上金を直接収納しているから回収が早く、キャッシュレス手数料率も直接契約だから2%前後に収まる。商業施設テナント出店中心のユナイテッドアローズは26.4日、TSIホールディングスは26.0日も決済が遅れるが、「ユニクロ(UNIQLO)」のファーストリテイリングは9.6日、H&Mも9.2日、「ザラ(ZARA)」のインディテックス(INDITEX)も10.1日と早い(いずれも前期決算)。何が違うかお判りだろう。

在庫の消化回転を速めるには

 在庫の消化回転とは在庫の換金速度だからいかに速めるかが問われるが、近年は過剰供給で在庫回転が低下している。インディテックスこそ72.9日と速いが、H&Mは125.0日、ユナイテッドアローズは124.8日、ファーストリテイリングは147.9日と遅い(全て前期決算)。さまざまな要素が絡んで消化回転を速めるのは難しいが、その鉄則は極めて明快だ。

(1)売り上げと在庫を月度に平準化する

 売り上げのピークを追わず在庫もピークを抑え、狭間月の売り上げを下支えして平準化すれば、売り上げは多少落ちても在庫回転が速まり、値引きと残品が減って粗利益額は逆に増え、収益もキャッシュフローも改善される。「ザラ」の月販売指数は「ユニクロ」と比べると驚くほど平準化しており、山は低く谷も浅い。それが両者の在庫回転日数の差をもたらしている。

(2)調達ロットを抑えリードタイムを最短化する

 調達にはロット調達とVMI(※)補給調達があるが、ロット調達では確実に売り切れる量に抑え、計画以上に売れた場合は同一品にこだわらず類似品を補充調達する(売れ筋をリレー継続する)。デザイン品は4週、ベーシック品は8週(それを超えるとVMI)とか販売期間を定め、消化進行が遅れれば編集運用や店間移動で消化を促進してから売価変更して計画通りの消化を図る。

 リスクはロットとリードタイムに比例するから、できるだけロットを抑えてリードタイムを短縮し、実売期に引き付けて投入するのが望ましい。アパレル業界では実需期の4〜8週前に投入する習慣があるが、いくら早く投入しても実需期は早まらず、商品が陳腐化し在庫回転が遅くなるだけだ。

※VMI(Vendor Managed Inventory)…あらかじめ定めた棚割に基づいてベンダーに補給と在庫管理を委任する取引形態

(3)定番商品はVMI補給調達する

 販売期間が長く売価を抑える定番商品は調達ロットが大きく、リードタイムも長くなるから消化リスクも高くなりがちで、生産ラインや補給物流をコントロールできるベンダーとVMIを組むのが正解だ。VMIは販売期間と陳列棚割を定めて補給・生産を委託するもので、期間終了時の残在庫ロス(多くは原材料)の分担も契約で定める。

 量販店のアパレル部門はSPA(製造小売り)型のロット調達でロスが大きく万年赤字だが、肌着・靴下・ナイティ部門は大半がVMIだからロスが限られ確実に利益を稼いでいる。ちなみにユニクロはSPA型の巨大ロット調達に見えるが、生産地在庫の管理・運用は大手商社に委託して(18年8月期上半期までは国内倉庫在庫も委託)部分的にVMIを活用しているし、ワークマンもワークウエアベンダーとのVMIで値引きロスを年間売り上げの1.2%に抑えている。

(4)編集運用と店間移動・SKU別値引きを駆使して最小ロスで売り切る

POS(販売時点情報管理)とAI(人工知能)に依存して販売消化が鈍い商品を値引き処理していては、いくら原価率を切り下げても利益は残らない。数字だけ見て機械的に値引きする前に、売れるグルーピングや配置、売れる陳列やコーディネートで消化を図るべきで、週サイクルで編集運用した上で店間移動してSKU(最小在庫単位)別に値引きすれば、値引きと残品のロスは半減し在庫回転も目に見えて加速する。

 RFIDタグ(電子無線タグ)を導入しているなら、ユニクロが全店に導入しているRFルーカスのSKU検索レーダーも使えるから、同一品番でも過剰在庫の色・サイズだけ容易にピックアップできる。

仕入れ代金の支払いをいかに遅くするか

 コロナ危機に際しては、キャンセルや引き取りの延期、支払いの引き伸ばしという緊急退避的な手を打ったアパレルが少なくなかったが、これらは取引先にしわ寄せがいく背信行為であって褒められたものではない。それで取引先が行き詰まったりすれば、寝覚めが悪いどころでは済まなくなる。

 仕入れ代金の支払いサイト(締め日から支払期日までの猶予期間)は長いほど資金繰りが楽になるが、取引先の資金力と合理性が伴ったウィンウィンでないと下請法違反に問われかねない。支払いサイトは一律に設定するものではなく、商品の性格や取引先の体制・体力に応じて設定すべきで、トータルで必要な長さが確保できればよい。

 短サイクル小ロットで調達するトレンド商品やデザイン性の強い商品は取引先の資金力もなく、短い支払いサイトが必要だが、低コスト大ロットで調達するベーシック商品は直貿にこだわらず、商社の資金力や物流体制を活用し、販売消化期間に見合うよう支払いサイトを長くする方が賢明だ。VMIで長期間補給するベーシック商品を生産管理力も資金力もある有力ベンダーと組めば、消化仕入れ的分納支払いが成り立つ。合理的な調達と支払いのミックスを仕組めば、無理なく必要な長さに着地できるはずだ。

 買掛債務回転日数はアパレルチェーンで30〜50日、アパレルメーカーでは100日を超えるケースが多いが、製品買い上げと工賃払い調達、直貿と商社活用のバランスで大きく変わる。ワールドやインディテックスは長く回転差資金(インディテックスの前期は26億ユーロ)が得られるほどだが、H&Mはほぼ26日と短く、運転資金の負担が重い。

 支払いサイトだけの課題ではなく、売上債権回転と棚資産回転との差し引きで運転資金回転が左右される。「無印良品」を運営する良品計画は売上債権回転が18.0日と大型店としては異例に長く、棚資産回転もほぼ160日と過剰在庫に陥っているのに、買掛債務回転は46.5日と短く、運転資金回転が131.4日と長く1600億円近い運転資金を要するから(20年2月期)、コロナ危機で3〜5月期の売り上げが前年同期から30%減少しただけで700億円近い借り入れを要している。

 自社の特性を見極め、コロナ危機を教訓として、万一の事態にも耐えられるキャッシュフロー経営の確立を急ぎたい。

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

The post 小島健輔リポート コロナ危機で痛感した「キャッシュフロー経営」 appeared first on WWD JAPAN.com.

デジタル版パリコレ オートクチュールの映像を勝手に採点 最高点は「ディオール」と「V&R」

 世界的な新型コロナウイルス流行の影響で、パリコレ史上初となるオンライン開催の2020-21年秋冬オートクチュール・コレクションが7月6~8日に開催されました。店頭に並ぶプレタポルテの洋服とは異なり、限られた人のために仕立てられるオートクチュールはファッション業界で働く人にとっても遠い存在に感じるものですが、今回はオンライン開催ということで、皆が平等に同じタイミングで発表を見ることができる初めての機会でした。「WWDジャパン」編集長の向も日記形式で動画をリポートしましたが、ここではオートクチュールを生で見たことがない取材班が感動した動画、イマイチだった動画を勝手に採点してみました。

■採点基準
・クリエイション……コレクションそのものの美しさ
・映像美……映像の美しさ、カメラワークなどのクオリティー
・ストーリーテリング……コレクションの内容がうまく伝わったか、物語の分かりやすさ
・尺……映像の長さ。発表内容に対して長すぎず、短すぎないか。飽きずに見られたか
・インスピレーション……時代性や面白さを感じたか
・拡散力……SNSでのPR施策。話題を作れたか、誰かにシェアしたくなったか

◎、○、△の3段階評価/星5点満点

【ドラマ・ストーリー性の強い動画部門】
ディオール(DIOR) ★★★★★
“群を抜くクオリティーの高さとファンタジーの世界観”


クリエイション◎/映像美◎/ストーリーテリング◎/尺◎ 14分42秒/インスピレーション○/拡散力○

記者のコメント:ミニチュアのクチュールドレスは職人たちの高度な技術の証しで、これまでもアトリエで制作されてきた。そんなメゾンの歴史とのつながりとファンタジーな世界観が融合されていて、ブランドらしさの表現における完成度の高さを感じる作品。セリフのないストーリーにもかかわらず約14分間飽きずに見られた(藪野)/この短期間で映画のようなクオリティーの映像を作り出すことができるのは本当にすごい。ミニチュアから本物のドレスになっていくというメゾンのモノ作りを裏テーマにしているのも共感できる。発表に合わせてインスタグラム上でARフィルターを提供、セレブリティーが感想を述べる動画をアップするなどSNS拡散力も強い。ただ、多様性が重要視されるこのご時世で、白人のみのキャスティングには違和感があった(大杉)/「ディオール」衣装提供という無音のショートムービーを鑑賞した感じ。群を抜くクオリティーの高さとファンタジーのある世界観は本当に美しくて、見応え十分でした(皆合)/絵本の中の世界を具現化したような繊細で神聖な映像に見入ってしまった。「ディオール」の最近のコレクション会場ではフェミニストの詩などを掲示したりと伝えたいメッセージが明快だったが、今回はダークファンタジーを得意とする映画監督の力量ももあって、美しくも絵画のように何重にも隠されたメッセージがあるかもしれないと思わせ、さらにそれを探り当てたいと冒険心がくすぐられた。発表の直前にインビテーションを模したVRフィルターを公開したのもプラスポイント。編集長には紙のインビテーションが届いたが、誰でも見られるコレクションだからこそ、皆が皆インビテーションを受け取れるわけではないからVRで提供しようという発想が新しい(丸山)

フランク ソルビエ(FRANCK SORBIER) ★★★★☆
“コロナを擬人化したダークファンタジー”


クリエイション○/映像美◎/ストーリーテリング◎/尺○ 11分39秒/インスピレーション◎/拡散力△

記者のコメント:3ルックしか出てこなかったが、映像がダークな雰囲気で、個人的に好みかつメタファーも多くて面白かった。"IL MEDICO DELLA PESTE"というタイトルは、ペストの医者という意味。動画では黒装束の女性が自由の女神像をぐるぐる巻きにしていることから、彼女は新型コロナウイルスを表現していて、人々から自由を奪っている存在。ストーリーは昔のイタリアの医者が着けていた仮面を着けた男が彼女と対峙し、最終的にコロナは馬になって女性を襲おうとしているという、かなりピンチなところで終わる。最後女性が屋内に逃げようとしているのも、コロナから逃れようと家に籠るこの状況と似ている。プレリュードはフランス語で前奏曲という意味だが、この話の続きの動画は9月に公開されるそうだ。(丸山)/コロナを擬人化したダークファンタジー。退廃的な映像が美しく、せりふなしのショートフィルムを見ているような感覚で見ることができる。しかし、スローモーションの11分間の映像は少し尺が長く感じてしまったのと、(ソルビエの作風ではあるが)ビクトリア朝風の衣装にコスプレ感が否めない(大杉)

【モノ作りドキュメンタリー+α部門】
ラルフ & ルッソ(RALPH & RUSSO) ★★★★☆
“手仕事と最新のデジタルを融合 アバターと世界遺産を巡るデジタルツアー”


クリエイション○/映像美◎/ストーリーテリング◎/尺◎ 6分23秒/インスピレーション◎ /拡散力△

記者のコメント:コロナ禍を経て、恋しくなった“旅行の楽しさ”を動画を通してうまく表現していた。前半はアトリエの丁寧な手仕事やデザインプロセスを紹介し、後半はアバターにドレスを着せて、中国の万里の長城やインドのタージ・マハル、ヨルダンの遺跡ペトラなどの世界遺産、観光地を巡るデジタルツアー。職人技を守りながらも、デジタルならではの挑戦に好感を持った(大杉)

ラウル ミシュラ(RAHUL MISHRA)★★★★☆
“作り込み過ぎない制作背景と自然の美しさの表現”


クリエイション○/映像美◎/ストーリーテリング○/尺◎ 7分31秒/インスピレーション◎/拡散力△

記者のコメント:コロナを機に生態系からインパイアされた自然の美しさを表現。刺しゅうなど繊細な職人の手仕事を見せつつも、途中で職人のスマホがちらっと映るなど、作り込み過ぎずリアルでよかった。ドレスと合わせたマスクを提案するなど時代性も感じられた(大杉)

グオ・ペイ(GUO PEI)★★★☆☆
“インスピレーションからシルエット、ディテールも十分に伝わる10分間”


クリエイション○/映像美◎/ストーリーテリング◎/尺○ 9分56秒/インスピレーション◎/拡散力△

記者のコメント:予想以上によかった。前半はデザイナーがインスピレーションや制作背景について語る映像で、後半は複数のモデルが実際の服を着て動く映像。後半の映像は、インスピレーション源のパリにある国立自然史博物館に並ぶ動物の標本のようにモデルが静止して並ぶところから始まり、いろんなカメラワークや回転台を生かして、服のシルエットやディテールも十分にわかる内容で飽きずに10分間見ることができた。やはり、パンデミックやロックダウンを経験して、自然や生態系に思いを馳せるブランドが全体的に多い(藪野)

ユイマ ナカザト(YUIMA NAKAZATO)★★★★☆
“世界中のクライアント一人一人とオンライン上での対話”


クリエイション◎/映像美○/ストーリーテリング◎/尺○ 4分12秒/インスピレーション◎ /拡散力○

記者のコメント:従来のクチュールコレクションとは一味異なる新プロジェクト「フェイス トゥ フェイス(Face to Face)」のお披露目。世界中のクライアント一人一人とオンライン上で対話をして、一枚の白シャツとその思い出をもとに特別な一着へと仕立てていく。とても贅沢な体験でありながらも、シャツというリアルなアイテムであることからとても身近で、日常で着用することができるデザインから大胆なアイデアまで、中里デザイナーの仕事の奥深さを感じられた。またインスタライブでは一緒に発表を視聴するデジタルパブリックビューイングを行い、中里デザイナーの思いを聞くことができるなど、参加していて楽しかった(大杉)

【パフォーマンス部門】
アザロ(AZZARO) ★★★☆☆
“まるでミュージックビデオ、クチュール映像だということを忘れてしまう”


クリエイション○/映像美◎/ストーリーテリング○/尺○ 4分49秒/インスピレーション○/拡散力○

記者のコメント:オリヴィエ・ティスケンス(Olivier Theyskens)による新生「アザロ」のデビューコレクション。ゴールドのスリットドレスを着たベルギー人歌手シルヴィ・クロイシュ(sylvie kreusch)が暗闇の中で風に吹かれながら歌い出す映像で、まるでミュージックビデオ。クチュール映像だということを忘れてしまう(笑)。曲もキャッチーで、クロイシュがとてもかわいい。ティスケンスはメゾンの歴史を研究して、メゾンの歌手や女優たちとの結びつきを現代風に表現しようとこの発表方法を選んだそう(大杉)

【無観客ショー部門】
ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)★★★★★
“激動の今の時代を表す愛のクチュール”


クリエイション◎/映像美◎/ストーリーテリング◎/尺◎ 5分20秒/インスピレーション◎/拡散力◎

記者のコメント:生配信で見た直後、感動して5回も再生してしまった。丁寧に一着一着のドレスの解説していた昔のクチュールショーを、現代流にアレンジしながらもユーモアが利いていて、見ている人たちを笑顔にする発表だった。“チェンジ(change)”をテーマに激動の今の時代を表す「悲しみと怒り(A feeling of sadness and anger)」「相反する感情(Signaling our conflicting emotions)」「愛の発散(Radiate Love)」の3つのグループで構成されたコレクションで、おウチ時間にラグジュアリーを感じさせるバスローブドレスや、最新トレンドのアクセサリーとしてマスクを登場させるなど、今の時代性を捉えている。絵文字を使ったドレスなど、過去のコレクションとの連動性も感じられるのもよかった。ナレーターが歌手のMIKAというのもサプライズ。最後には「人々は年齢、肌の色、性別、人種、宗教、セクシュアリティーに関係なく、愛される価値がある」というメッセージで締めくくられとても温かい気持ちになった(大杉)/これまでもくすりと笑わせてくれるユニークなクリエーションとストレートなメッセージでSNSユーザーの心をつかんできたが、今回もSNSウケしそうな予感。激動の2020年を生きるわれわれの変わりやすい感情をストレートに表現しつつ、最後は愛の大切さを説く。今回はSNSで注目を集めるようにきちんと仕掛けていて、動画の最初に出てきた「change」のタイトルをインスタグラム のVRフィルターで提供したほか、同コレクションを世界のインフルエンサーに送り、早速着用してもらっていたのも、より多くの人にコレクションを見てもらう機会になったようだ。最新コレクションを着用したのは歌手のリタ・オラ(Rita Ora)、ヴァーチャルインフルエンサーのnoonoouri、ドラァグクイーンのミス・フェイム(Miss Fame)で、リタ・オラはユニセフのアンバサダーであったり、noonoouriはバーチャルな存在ながらサステナビリティやBLMについて積極的に投稿している。さらにダイバーシティーを尊重するという意味でミス・フェイムという、世界にポジティブな"チェンジ"をもたらしそうな人選になっていた(丸山)

【イメージムービー部門】
シャネル(CHANEL) ★★★☆☆
“手の込んだクチュールピースをまとった豪華なモデルたちをゆっくり見たかった”


クリエイション◎/映像美○/ストーリーテリング△/尺△1分22秒 /インスピレーション◎/拡散力○

記者のコメント:「一瞬で終わってしまった」というのが第一印象。先月発表された2021年クルーズ・コレクションが7分間だったため、長編もあるのかと期待してしまった。撮影はスウェーデンの写真家ミカエル・ヤンソン(Mikael Jansson)、モデルは去年「ザ・ファッション・アワード」でモデル・オブ・ザ・イヤーを受賞したアダット・アケチ(Adut Akech)や、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)のミューズとして知られるフレジャ・ベハ・エリクセン(Freja Beha Erichsen)の現ガールフレンドであるリアン・ヴァン・ロンパエイ(Rianne Van Rompaey)、人気モデルのエディ・キャンベル(Edie Campbell)の3人の豪華な顔ぶれ。ヤンソンによるルック画像も美しいが、変形ツイードセットアップや手の込んだビジュードレスなどをもう少しゆっくり動く姿で見て見たかった。その一方で、アップルミュージックでこのコレクションのイメージを音でも楽しめるプレイリストを出していたのは嬉しいサプライズだった(大杉)

イリス ヴァン ヘルペン(IRIS VAN HERPEN) ★★★☆☆
“期待値が高く、想像の範囲を超えないものでガックリ”


クリエイション○/映像美○/ストーリーテリング△/尺△2分57秒 /インスピレーション○/拡散力○

記者のコメント:奇想天外なアイデアを、伝統的な職人技と最先端の技術を融合して表現するブランドなだけに、見る前から期待が高かった。石が動き出して花の形になっていくSF映画のような場面から始まり、その花のモチーフをあしらったドレスが登場。花の形のように立体的で美しい白いミニドレスなのだが、同じドレスを映し続ける映像は物足りなさがあった。公式サイトに上がったイリスのインタビューを見てみると、「次はVRを使ってリアルのショーを行いたい。私はいつも3Dで表現しているけれど、映像になると2Dになってしまうことが悩ましかった。VRを使えばもっと多くの人の感情をかき立てられるはず」と語っており、本人も葛藤があったように感じられた(大杉)/オートクチュール・ウイークの中で毎回楽しみにしているブランド。普段から3Dプリンターを使ったデザインを取り入れていたりと、クチュール参加ブランドの中でおそらく最も3DやCG技術に長けていると思われるからこそ今回のオンラインでどんな発表になるのか期待に胸を膨らませていた。しかし、映像は想像の範囲を超えないもので、期待していただけにガックリ。でもその後いろんなブランドの発表を見て、皆大変な状況の中「イリス」は頑張っていたと実感。ちなみにモデルは人気HBOドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)」で魔女役を演じたカリス・ファン・ハウテン(Carice van Houten)。ドラマの魔女のイメージが強かったのですぐに気付かなかったが、透明感のある映像と彼女の神秘的な雰囲気はぴったりだった(丸山)

【番外編:え、もう終わり!?ティザー部門(採点なし)】
メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)

記者のコメント:「メゾン マルジェラ」20年春夏のファッションショーで力強いウオーキングを見せて話題をさらったモデルのレオン・デイム(Leon Dame)らしき人物が登場。サーモグラフィーのような加工がかっこいいが、47秒で終了!!しかし、これはティーザー映像の一つということでご安心を。4日間に分けてコレクションを明らかにしていく仕掛けで、7月16日に全貌が明らかになる(大杉)

ヴァレンティノ(VALENTINO)

記者のコメント: 宙に浮いた布がゆらゆら、ドレスが風になびく映像が映し出されてわずか40秒でエンドロールに。こちらも7月21日に行われるライブパフォーマンスのティーザーだという。写真家で映像監督でもある巨匠ニック・ナイト(Nick Knight)とのコラボレーションとのことで期待が高まる(大杉)

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

The post デジタル版パリコレ オートクチュールの映像を勝手に採点 最高点は「ディオール」と「V&R」 appeared first on WWD JAPAN.com.

暖冬対策で薄手ワンピを充実 「ユニクロ」20-21年秋冬展示会から VOL.2

 「ユニクロ(UNIQLO)」2020-21年秋冬物の展示会で、前回のコラムで紹介した「アップデート」と共にキーワードになっていたのが「端境期」でした。「端境期」とはシーズンとシーズンの間の時期を意味し、ファッション業界ではよく使われる言葉です。ここ十数年ほど、暦上の春夏秋冬の区切りと体感としてのシーズンが年々大きくズレるようになってきており(本来は秋なのにまだまだ暑いため夏物でいい、暦上では冬なのにコートがいらない、など)、それにいかに対応するかはコロナ禍以前からのファッション業界の大きな課題となっていました。「ユニクロ」も一昨年、昨年の暖冬で冬物が売れず、「端境期」対応に苦慮していたという経緯があります。2年の苦しみを経た「ユニクロ」が考える「端境期」対応とは?

 クリストフ・ルメール(Christophe Lemaire)による「ユニクロ ユー(UNIQLO U)」では、まさに「『端境期』に着られるもの」「『端境期』を念頭に置いている」といった説明がありました。基本的に、厚手のアイテムをそれ1枚で着るというよりも、薄手のシャツやニットをレイヤードするという提案で、暖冬にも厳冬にも対応できるようにしていました。「ユニクロ ユー」ウィメンズの注目アイテムはワンピースです。これは最近ファッション業界でよく言われていることなのですが、薄手のワンピースって(あとは薄手のスカートも)、年中着られるオールシーズンアイテムなんですよね。ビスコース地やコットンサテン、ニットポロなど、薄手の素材感でさまざまなワンピースを企画していました。秋口のまだまだ暑い時期には1枚でサラリと着られて、気温が下がってきたらインナーにタートルニットを合わせれば、暖冬、厳冬どっちに転んでもしっかり売れる、という考え方でした。

 「ユニクロ ユー」メンズは薄手のアウター類が充実していました。たとえばウール混のオフィサージャケットは、シャツと本格的なジャケットの中間的な厚みです。去年、ウィメンズで“シャケット(シャツとジャケットの中間)”といった名称で売れたアイテムの延長ですね。あとはコーデュロイのアウターも豊富。コーデュロイも見た目には秋冬感がありつつ、実際のところはそこまで地厚ではなく、まさに「端境期」にピッタリの素材だと思います。

 薄手のアイテムをレイヤードしていくことで、暖冬にも厳冬にも対応するという考え方は、もちろん「ユニクロ」の通常ラインにも貫かれていました。そもそも、「ユニクロ」の冬の看板商品である“ウルトラライトダウン”や“ヒートテック”、フリースも、レイヤードによる温度調節を念頭に置いたアイテムですよね。あとは、通常ラインのメンズで薄手のハンティングジャケットを推していましたが、それも「日本の冬は、もうこれくらいの厚みのアウターで十分」といったメッセージのように感じました。

The post 暖冬対策で薄手ワンピを充実 「ユニクロ」20-21年秋冬展示会から VOL.2 appeared first on WWD JAPAN.com.

デジタルメンズコレでドタバタ対談 4日目は「ロエベ」の超絶技術と「カラー」の回転に目が点

 デジタルでのオートクチュール・コレクションが終わり、次はパリのメンズ・コレクションがスタートしました。7月9日から5日間にわたって、70近いブランドが新作をオンラインで発表します。そこで今回は、主にメンズを担当している記者が「頑張ってリアルタイムで見てみました」取材を日替わりで担当します。「アーカイブでも見られるのにオンラインで見る意味あるの?」という周囲の視線を感じながらも、「コレクションはライブ感!」と信じて完走を目指します。4日目は海外コレクション取材歴4年目の大塚千践「WWDジャパン」デスクと、海外コレクション初取材の大澤錬「WWD JAPAN.com」記者がリポートします。

7月12日(日)17:00(パリ時間10:00) 「オーラリー」

大澤錬「WWD JAPAN.com」記者(以下、大澤):さあさあ本日もドタバタ日記スタートしていきたいと思います。連日の登場になりますが、若手の“ファッションバカ”の大澤でございます(笑)。大塚さんよろしくお願いします!一発目は「オーラリー(AURALEE)」。冒頭は空や海などの自然の背景からスタートし、1ルック目は海に合わせたライトブルーカラーのコートに、グレーのスラックスで登場。アイテムは比較的使いやすいパープル、ホワイト、ブラック、グレーなどのカラーリングに、ステンカラーコートやセットアップ、シャツなど同ブランドらしいベーシックなものが引き続き多い印象です。後半に登場する自然を使用しての撮影は良かったんですが、中盤のモデルが集合したシーンも合わせたら良かったのに……とは思いました(笑)。「ニューバランス(NEW BALANCE)」のコラボスニーカーもルックで使用していましたね。やはり尺的にはこの動画のような約4分がベストなんですかね?大塚さん、いかがでしょう?

大塚千践「WWDジャパン」デスク(以下、大塚):「さあさあ」ってなんでうちの20代は八百屋みたいな感じなの(笑)。まあ元気がよくていいですけど。映像はちょうどよくて、なんだか服そのものというより、岩井良太デザイナーがこだわり続けている“空気感”とブランドの武器である“素材感”の2つを伝えたいのかなと思った。だから画質もびっくりするぐらい鮮明だったし、モデルの顔の寄りや風景とかも多用してムードを演出したんじゃないかな。集合カットでもモデルの表情にフォーカスしていたよね。「ニューバランス」コラボはおもいっきりアイテム推しだったけど(笑)。

大塚:実は昨日ブランドから連絡があって、今日自宅にエレメントを届けてくれたんですよ。それがさ「デカ!重っ!すごっ!」の3段階で驚くほど豪華で。中原崇志さんがデザインした木製の箱の中に、現代美術作家の玉山拓郎さんのアートピースや、コレクションで使った大量の生地見本、さらに糸やスタッフの写真まで入っていてビックリしたよ。自宅で上手く撮影できないから、急きょ家の外まで持ち出してロケ撮影しましたよ。「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」や「ロエベ(LOEWE)」も事前にエレメントを送ってくれたけれど、遜色ないどころか、それ以上だった。これぐらい本気のキットだったら、映像では世界観を伝えて、キットでそのイメージを手に取って想像させるという新しいコミュニケーションが可能かもっていう期待感を持ちました。ただキットがめちゃくちゃ費用がかかってそうなだけに、海外にも届いているのかが気になった。でも、「オーラリー」らしい素直な表現で僕は好きだったな。

大澤:わ!これはすごい!こういう細かい配慮が素晴らしいですね。僕も手元に欲しかった…。どのくらいの費用でどれだけの人に配っているのかも想像させられます。

7月12日(日)17:30(パリ時間10:30) 「アルトゥール アヴェラーノ」

大澤:次の「アルトゥール アヴェラーノ(ARTHUR AVELLANO)」は、知らないブランドですが、凄くエッチな感じ。洋服のデザインは背景の植物からインスピレーションを得ているのかな?正直、仕事をそっちのけてという訳ではないですけど、服に目が行かない(笑)。ドラマのラブシーンを見ているかのようでした。

大塚:“余白”のある映像表現だった「オーラリー」に対して、「アルトゥール アヴェラーノ」はドロドロ全開。24歳の大澤さんは知らないと思うけど、1990年代の不倫もののドラマのオープニング映像っぽかった(笑)。それに気づいてしまってから、中身が全く入ってこなくなっちゃった(笑)。アンダーウエアが多いのかなと思考がようやく取材モードになった途端にパンツ脱ぎだしたり、しまいには全裸になったり、ブランドを知らない人がこの映像見たら「こっち系か」というイメージが付いちゃうと思うんだけど。もう、笑点見ればよかった。

7月12日(日)18:00(パリ時間11:00) 「ナマチェコ」

大塚:気を取り直しまして、次の「ナマチェコ(NAMACHEKO)」は、アートの感覚を取り入れたブランドらしい映像だったね。モノクロということもあって、ロバート・メイプルソープ(Robert Mapplethorpe)の作品を想起させられた。好き嫌いは分かれそうだけど、これも服を主張するというより、ブランド自体の世界観を発信して視聴者とコミュニケーションしたいという意図を感じたな。「ナマチェコ」はそもそも映像からスタートしたブランドで、ムービー用の衣装を作ったらそれがバイヤーの目にとまってファッションブランドになった経緯があるから、こだわりは強そう。

大澤:映像からスタートしたブランドなんですね。それは知らなかったです。早速メモ(笑)。始まりはムービー用の衣装からというのが今っぽくて、ヴァージル・アブローの「パイレックス・ビジョン(PYREX VISION)」を思い出しました。モノクロで、アートを前面に出した「ナマチェコ」らしい映像が個人的に好きでした。モデルを黒人と白人にしているのもモノクロに合わせてなのかな。余談ですが、ロバート・メイプルソープといえば「ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)」のコレクションを思い出します。今回のパリ・コレクションには登場しないのが残念です(泣)。

7月12日(日)19:00(パリ時間12:00) 「ロエベ」

大塚:「ナマチェコ」のクリエイションにはどこか「ラフ・シモンズ」っぽさも感じるから、大澤さんが好きだと思った(笑)。次は「ロエベ(LOEWE)」です。先日編集部に巨大なキットが届いて盛り上がったんだけど、さらに今日は21年春夏コレクションに関するインタビューや音楽などのカルチャーコンテンツが1日限定で公式サイトやインスタグラムで順次公開するという発表方法。さすがに見逃すわけにはいかないからさ、われわれ泣かせ?ありがたい?発表方法だよ(笑)。サイトで発表された動画はクリエイティブ・ディレクターのジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)のインタビューだったね。

大澤:常に画面とニラメッコしておかなければいけませんね(笑)。4ルック目のバスケットは「どうやって着るんだろう?」「モデルが着ているのを見てみたかった」と、思いました。こういうメゾンならではのクリエイションもファッションの醍醐味ですね!インタビュー形式は今回初めて見ましたが、シンプルに豪華なキットを見ながら、ジョナサンのインタビューを聞くというのも良いですね。

大塚:バスケットはクラフト感がさく裂していてすごかったねー!動画だから、巻き戻して本気の二度見した。でも最近のジョナサンのクリエイション、すごく好き。全てにおいてバランスがいいんだよね。難解じゃないけど、簡単でもない感じというか。1日配信コンテンツにミュージシャンのカインドネス(Kindness)呼んじゃう辺りとかさ。服は正直リアルではなくアートに近いのだけど、かといって押し付けがましさもない。ちゃんと着られる作品になっていて、かつ意思も込められている。シンプルとは別軸のタイムレスなコレクションで、職人たちの技術をリスペクトしながら一点一点大切に作っているんだろうなと伝わってきたよ。20-21年秋冬のメンズワンピースもすごかったけど、今回もメンズとかウィメンズみたいな差は、彼の中ではさらになくなりつつあって、ネクストレベルに進んでいる雰囲気をあらためて感じたなあ。バスケットもいいけど(笑)、自分で身につけるならタイダイのトップスかスカートにもなりそうな巨大バッグかな。

大澤:僕も何回も一時停止と巻き戻しの繰り返しをして見入ってしまいました。カインドネスを呼んだんですね、すごい(笑)。新型コロナで業界が大打撃を受ける中、今後の在り方について、いちはやく声明を発表していた姿も尊敬します。動画内でアイテム一点一点を丁寧に説明している辺りは、「洋服に対しての思い入れが強いんだろうな」と、僕も感じました。あの巨大バッグですか!是非ともオーダーして、実物を見せてください(笑)。

7月12日(日)20:00(パリ時間13:00) 「ファセッタズム」

大塚:考えるのが楽しい「ロエベ」に対して、「ファセッタズム(FACETASM)」は単純明快。服もハイブリッドだし、映像もハイブリッド。いろいろなカルチャーがミックスする東京の街を体現するブランドの一つだから、その辺にこだわったんだろうね。服はストリートだけどロケ地はリゾートっぽい場所とか、きれいな映像がゆ〜っくり流れたと思ったらザラついたカットやナマっぽい写真がシャっと駆け抜けていく編集とか。あと全体的にスピード感がめちゃくちゃ速いんだけど、どのブランドもコラボとか推しアイテムはしっかり映すんだなというのが段々わかってきた(笑)。「ファセッタズム」の場合はスニーカー。落合さんの4歳の息子が描いたイラストにもほっこりしました。

大澤:都会のさまざまな場所を捉えた映像で楽しく拝見しました。プールに、ビルの屋上、森林生い茂る道、地下の駐車場。どれも「これ、どこだろう」と考えつつも、名古屋の田舎モンの僕は全然分からず、わかったのは東京タワーのみでした(笑)。アップテンポの曲調も、若手とベテランのモデルを起用しているのも素敵でした。あのイラストは落合さんの息子さんが描いていたんですね!個人的に他にないようなイラストが好きなので、白のデニムのセットアップ欲しいなあと思いながら見ていました。息子さんの絵とは、おったまげ(笑)。4歳にして、センスありすぎでしょ〜。

大塚:おったまげってさ、なんか古くね(笑)?最近の「ファセッタズム」のコレクションからは人への愛情を感じるし、新型コロナの影響で家族と一緒に過ごす時間が多くなって、その辺が視点が表現されているのかもね。

7月12日(日)21:00(パリ時間14:00) 「アレド マルティネス」

大塚:さあ、そんな和やかムードから一転して「アレド マルティネス(ALLED - MARTINEZ)」から面倒臭そうなムービーがきました(笑)。大澤さん、解説をどうぞ!

大澤:突然の振り(笑)。存じ上げないブランドですが、何やら長閑な場所で撮影していますね。ファーストルックは、シースルーのタンクトップにベージュの光沢感のあるパンツで登場。その後は、カジュアルなTシャツにウオッシュ加工のデニムパンツなどを紹介しています。が、突然!冒頭で着ていたタンクトップを脱いだり、パンツを脱いで白のブリーフ(今どき、これ履いている人は恐らくいないでしょう)姿になったり。え、どうしたんですか(笑)?何かのストーリーがあるのかと思うのですが、全く何も分からず。モデルでもこの絵面は結構しんどい。この手の動画は、今回のコレクションで何度も目にしてきましたが本日も登場しましたね。アイテムも普通すぎて尖りもない。これは問題作…(怒)。

大塚:悪い意味でロンドンっぽいよね。ただ、経歴を見たら超王道。デビューは1年前で、18年にはピーター・ドゥ(Peter Do)も優勝した「LVMH グラジュエーツ プライズ(LVMH Graduates Prize)」に選ばれているし、19年からは「ジバンシィ(GIVENCHY)」で働いているというLVMH期待の星みたい。きっとテーラリングが評価されているのかなと思うけど、ヨレヨレの白いブリーフしか印象に残りませんでした。スミマセン。

7月12日(日)22:00(パリ時間15:00) 「カラー」

大澤:えっ!そうなんですね。僕はてっきり、あの白いブリーフで、おじ様ブランドを想像していました(笑)。そんな物語の後は、日本のベテランブランドの「カラー(KOLOR)」です。7分ほどの動画ですが、正直すごく目が回りました。久々に小さい時に乗ったコーヒーカップを思い出しました(笑)。同ブランドらしいドッキングされたジャケットやブルゾン、コートをさらにアップデートしている印象を受けました。そのほか、「コカ・コーラ(COCA-COLA)」のロゴのオマージュで、 “CONCLEAT”とプリントされているTシャツや、さまざまな素材を切り貼りしたスニーカーのハイカットも目につきました。個人的には、レッドのブルゾンにクリアのナイロンをドッキングしたアウターと、光沢感のあるタマムシカラーのセットアップが良きでした!スマホとPCの両方で見たのですが、モデルが横を向いているので画角の部分は少し残念に感じました……。同じ絵面でも、ポップコーンや猫、スーパーボールを使用してのユーモアさを入れているあたりは良かったです。数年前までは、シックなものが多く若者の間で着ている人は少ない印象でしたが、ここ数年、本当に僕ら若者に刺さるクリエイションをしていて、毎回欲しい服がありすぎて困っています(笑)。

大塚:あれ“CONCLEAT”って描いていたんだ!コーヒーカップというより、「ゼロ・グラビティ」の高速回転思い出した(笑)。それにしても阿部潤一デザイナーのクリエイションの振り切り方は最近特にすごいよね。デザイナーズブランドの服ってデザイナー個人を投影するから、「カラー」みたいな一定の固定ファンを抱えていると普通は年齢とともに落ち着きそうなものだけど、阿部さんの場合はむしろギアを上げてぶっ飛ばしているところがかっこいい。感覚はユース感バリバリなのに、技術はめちゃくちゃ高いから、若手は普通に立ち向かっていっても敵わなそう。ブランドを取り巻く人やカルチャーも常に今っぽいよね。グルグル見ながら一番欲しかったのは、背中がニットになったグリーンのジャケット。でも展示会で試着したらほぼ買っちゃうから、本当に気をつけないと半年後にオーダーしすぎて泣くんですよ。

7月12日(日)22:30(パリ時間15:30) 「ヨシオ クボ」

大澤:阿部さん、さすがでございますね!「ご利用は計画的に」ですよ。計画できないから困るんですけど(笑)さあ日本のブランドが続いていくますよ〜次は「ヨシオ クボ(YOSHIO KUBO)」です。本日初めてのショー形式での発表でしたね。やっぱりショーはいいなあ〜と思いながら約6分の動画に見入ってしまいました。音楽、会場、クリエイションどれも「我らが、日本」。「『ヨシオクボ』ここにあり」。という感じで、統一感やコンセプトが明確に伝わり、とてもかっこよかったです!甚平や首から提げているお守り、足袋ソックス、笠など、国の伝統的なものを落とし込んでいるところから、新型コロナで苦しい状況が続いた中で、「日本の素晴らしさ・伝統を世界の人に改めて伝えよう」という久保さんの強いメッセージを勝手に受け取りました(笑)。

大塚:世界の舞台でショーを行ううちに、海外で戦うためには結局のところオリジナリティーが大事だ、という考えに行き着いて前シーズンから「和」の表現につながっているんだって。「和」をテーマにしたコレクションなんてそれこそ山ほどあるけれど、外国人の表現する押し付けがましいのが「めっちゃ嫌い」とも久保さんは言っていた(笑)。だから今シーズンはそのルーツをさらに掘り下げて、能楽堂を舞台にしてしまう潔さがよかった。柄やプリントを控えめにして、ジャケットの合わせ位置やカッティングでにじませる日本らしさがよかったね。ショールカラーとピークドラペルが合体した和タキシードを展示会で着てみよーっと。

7月12日(日)23:00(パリ時間16:00) 「ヘンリック・ヴィブスコフ」

大塚:「ヘンリック・ヴィブスコフ(HENRIK VIBSKOV)」はいつも奇抜な演出のショーだから、正直、動画だとさらに変なやつがくるんだろうと思っていた(笑)。でも、めっちゃマジメでした。そもそもこの人は本当に知的で「誰も僕に普通のコレクション求めてないでしょ?」ってインタビューしたときに言っていたぐらい自覚している、スマートな性格なんだよね。だから本人がショーの舞台に登場して丁寧に解説をする演出はより共感と理解を深めそうで成功だったんじゃないかと。でもこのマジメモードで終わるのかと思ったら、やっぱりそうじゃなかった(笑)複数の巨大ロッキングチェアを人力で揺らしている浮世離れした状況でも淡々と解説を続けていて、DVD特典の“監督による音声解説”みたいだった。

大澤:同ブランドは、名前を聞いたことがある程度でしたので、冒頭は真面目な方で「ロエベ」のようにインタビュー形式なのかなと思っていました。そしたら、あの巨大ロッキングチェアを人力で動かしているんですよ、本当にびっくりしました。思わずコメディー映画のエンディングシーンかと。あれだけ盛大にセットをそろえての撮影は、今回が初めてかもしれませんね。他ブランドと違い、メイクシーンを映しているのが印象的でした。黒い粉のようなものって何だったんだろう…。あのアップと、人柄からして普通のものではなさそう(笑)。もしかしたら、奇抜な演出のショーをする人ほど真面目なのかもしれませんね。ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク(Walter Van Beirendonck)しかり。

7月12日(日)24:00(パリ時間17:00) 「キッドスーパー ストゥディオス」

大塚:SNSで今回のデジタル・ファッション・ウイークを見ている人やファッション業界の人に話を聞いていると、やっぱり「服がちゃんと見えないと意味ないじゃん」っていう意見が圧倒的。その点、ちゃんと服を見せていたヘンリック先生とウォルター先生が好印象なのかも。後者はフィギュアだったけどね。で、全部人形でファッションをやっちゃったのが「キッドスーパー ストゥディオス(KISUPER STUDIOS)」。日曜の深夜に一体何を見ているんだって一瞬くじけそうになったけど、カメラワークが全部本物みたいで、さらに登場するモデルがレジェンドばかりだということに気づいたら段々面白くなってきた。ペレ(Pele)とモハメド・アリ(Muhammad Ali)の服がめちゃめちゃかわいかった。

大澤:これはまた奇抜なのが来ましたね。「キッドスーパー ストゥディオス(KISUPER STUDIOS)」。人形たちの大行進です(笑)。映像から推測して、かなり小さい人形だし、作るのめちゃくちゃ大変そう。とそこばかりが気になりました。最後のルックの花が集合したドレスとか特に。「実際の洋服で作ったらどんなのになっていたんだろう?」と想像が膨らみます。人をテーマにしたコレクションで、女性・男性の顔や、シルエット、パーツがトップス、アウター、パンツの至る所に散りばめられていました。そのほか、生地を切り貼りしたヴィンテージ調のセットアップ、ペインティングパンツなど総じて派手です。日本人が着こなすのは中々難しそうですね(笑)。

大塚:あの……いよいよ深夜帯に突入したので景気付けにコンビニでほろ酔いを買ってきたのですが、お酒弱いことを忘れて1缶でほろ酔いどころかマジ酔いしてしまいまして。「ガムト(GAMUT)」と「ルード(RHUDE)」は、お任してよいですか?「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」までちょっと横になってきます。

7月12日(日)24:30(パリ時間17:30) 「ガムト」

大澤:え、ペレとモハメド・アリいました⁉︎。全然気づかなかったです。世代ではないんですけど……。いや景気付けって、酒に負けていたら逆効果じゃないですか。「ホワイトマウンテニアリング」までと言いつつ、帰ってこない気が(笑)。いえ、大丈夫です。僕が責任を持ってリポートします!それでは気を取り直して「ガムト」行ってみましょう!存じ上げないブランドでしたが、19年春夏コレクションからパリで発表を続ける仏発の気鋭ブランド。公式インスタグラムのフォロワーは約3800人という未知数なブランドだが、独特なメイクと装いで独創的な世界観を表現しています。アイテムは、単体で見ると比較的日常で着やすそうなものが多数存在している印象。冒頭で男性(⁉︎)が女装した姿で、上半身を網タイツに包んだスーツスタイルでおっぱいに見立てた風船(⁉︎)を胸に付けて登場し、さまざまなポージングをお取りになっていました(笑)。でも若手でみなさんが知らないブランドにとって重要なのは、インパクトを残せるかどうかだと思うので、その点は尖っていて良かったです。“ファッションバカ”としては、人と被らないブランドを見つけて「それどこのブランド?」と聞かれるのも好物なので、今後注目していきたいと思います。

7月12日(日)1:00(パリ時間18:00) 「ルード」

大澤:おっと次の「ルード」は少しだけお金持ちになった気分になりました。同ブランドは13年に米・LAで誕生。フィリピン出身のルイージ・マーク・ビラセナー(RHUIGI MARK VILLASENOR)が手掛けるストリートブランドです。一戸建ての家の中や、その周りの広い庭、プール、生い茂る森林での撮影で、細身のスエットパンツやロゴパッチを使用したMA-1、Tシャツなどをいつも通りの提案。今回も変わらずじまいだったのが残念でした。「ルード」好きはいいかもしれないですが、この手のブランドはジェリー・ロレンゾ手掛ける「フィアー オブ ゴッド(FEAR OF GOD)」がチラつきます。ラグジュアリーストリートは今、まさに転換期を迎えていると思うので一捻り欲しかったのが正直なところ。あ、サングラスを推したいのはとても伝わりましたよ(笑)。

7月12日(日)2:00(パリ時間19:00) 「ホワイトマウンテニアリング」

大澤:現在日本時間2時。大塚さん!「ホワイトマウンテニアリング」始まりましたね。同ブランドは今回、メディアアート集団のライゾマティクス(RHIZOMATIKS)の真鍋大度さんによる演出でファッションとテクノロジーを融合して制作しました。漆黒の背景に、冒頭は全身ブラックのスポーティーなスーツスタイルで登場し、足元には夏らしい通気性の良い素足で履けるブラックとグレーのカラーリングのスニーカーを合わせたスタイルでスタート。そのほかは同ブランドらしいアウトドア向けのデザインを中心に、ジャケットやパーカ、スエット、リラックスパンツなどを提案。時折入る真鍋の同じルックを3体に増やし、違う方向から見せる演出などが他との差別化を図りSF映画を見ているようでした(笑)。

大塚:ガチ酔いからギリギリ帰ってきた!あぶねー。深夜2時にアラーム入れたわ。映像はヘッドホンを着けた方がいいよと表示されたからその通りにしたけど、音楽も含め硬派な感じでかっこよかったな。ブランドを知らない人が見ても機能服なんだなというのが伝わったと思うし、宙に散りばめられたパターンが合体してリアルな服になるっていうライゾマティクスらしいテクニカルな映像も相性バッチリだった。これまでを振り返ると、日本人デザイナーのほとんどが、映像の表現こそ違えど服をちゃんと見せようとしているよね。なんだかんだ言って、みんなマジメ。突拍子が無いものは出てこなくて安定感があるし、僕自身も服がしっかり見える映像だと安心する。でも、印象に残った映像は?と聞かれてパッと浮かぶのは海外ブランド。だから破天荒な表現に慣れた海外の人に日本人の硬派な映像がどう伝わってるんだろうと気になってきちゃった。調べよーっと。

7月12日(日)3:00(パリ時間20:00) 「エルメス」

大澤:本日最後でございます。正直、体力的に疲れました(笑)。「エルメス(HERMES)」は先日、一足先に公開されましたが大塚さんいかがでしたか?舞台はパリ北部にある同ブランドのアトリエで撮影され、僕は「これが『エルメス』のアトリエかあ」「こんなカッコ良いオフィスで仕事してみたいなあ」。な〜んて口をポカンと開けながら子どもみたいに視聴しました(笑)。やはりビッグメゾンは違うと感じたのが、高級で薄い生地感。ジャケットやシャツのシルエット、冒頭のライトブルーのストライプのスーツ(特にテーパードパンツのシルエットが綺麗すぎます)など、たまりませんねえ(泣)。凝ったデザインがタイプの僕でも、一度は袖を通してみたいものです……。

大塚:もう3時だよ。明日普通に仕事なんですけど(笑)。「エルメス」は先行して公開されていたから何回も見たけれど、全てにおいて完成度高すぎてまだまだ見れちゃう。これを初公開時は生中継していたって衝撃じゃない?それに24歳の大澤さん世代に「たまらない」と思わせたということは、ブランド的には大成功だったのではないかな。映像を人に見てもらうためには、エンタメ要素のユーモアって必要だなと感じた次第でございました。ちなみに今日イチって何だった?俺は「エルメス」だけど、もう何度も推しているから今日は「カラー」のパンクなグルグルに一票(笑)。

大澤:「カラー」めちゃめちゃ良かったですね〜今からお金の計算をしなきゃ(笑)。僕は「ファセッタズム」に一票。あのイラストを4歳の息子が描いていたという衝撃が頭から離れません!自粛期間で家族との生活が増えたというほっこりさも含めて。本日もお疲れ様でした〜!明日がパリ最終日ですね。どんな映像が届くのか楽しみです。

The post デジタルメンズコレでドタバタ対談 4日目は「ロエベ」の超絶技術と「カラー」の回転に目が点 appeared first on WWD JAPAN.com.

篠原ともえが初のギャラリー個展開催 余剰生地を活用した衣装デザイナーとしての挑戦

 女優やタレント、衣装デザイナーとして活動する篠原ともえは、初のギャラリー個展となる「SHIKAKU―シカクい生地と絵から生まれた服たち―」展を渋谷ヒカリエ8階のギャラリーCUBEで開催中だ。会期は7月20日まで。

 同展では“四角”をテーマに篠原自身が製作した衣装6点とドローイングが並ぶ。芸能界デビュー25周年を迎える篠原は今回の展覧会に向けて、これまでの自身の創作活動を振り返り「いま、自分は何を作るべきか」という問いに1年間かけて向き合ったという。篠原は「エンターテインメントの世界に長く身を置いてきたこともあり、たどり着いたのはやはり衣装でした。自分のクリエイションと丁寧に向き合った結果をぜひ皆さんに見ていただきたい」と語る。

 

 作品には廃棄される予定だった余剰生地を使用し、極力余りが出ないようなパターンにこだわった。「普段衣装製作の時に生地をお願いしているogawamineLabさんとの会話の中にヒントがありました。生地メーカーはロールのクセがついた生地などたくさんの余剰生地を抱えていて、年末にまとめて廃棄していたそうなんです。そこで私はそんないとしい布たちに命を吹き込むことができないかという発想に至ったんです。また、いただいた生地一つ一つと向き合って「あなたはどうなりたいの?」と聞くと、「切らないで」と言っている気がしたんです(笑)。もちろんシルエットに限界はありましたが、そこは衣装デザイナーとしての挑戦でした」。

 篠原は自身のコンサート衣装をはじめ、これまでに歌手の松任谷由実やアイドルグループの嵐の衣装なども手掛けた。衣装デザイナーとして活動する中で、大量の布やサンプルが廃棄される現場を目にしてきた。「最初は驚きましたが、衣装の世界においてクリエイションの高みを目指すためには避けて通れないことと理解していました。それでも残布の問題は気になっていたので、当時は趣味の範囲で余り布を使ったポーチやスカートなどを作っていました。そこからメディアを通してサステナビリティの課題に取り組む企業の存在を知り、私も自分なりの方法でこの課題に向き合いたいと思ったんです」。着想源は着物のお針子をしていたという篠原の祖母との思い出だ。布を余らせずに、世代を通して愛されるシルエットを作ることが自身の布との向き合い方の原点だったと振り返る。

 今年4月には夫でアートディレクターの池澤樹氏とクリエティブスタジオのSTUDEOを設立。「今後は企業の課題解決など、自分のアイディアで社会を盛り上げるお手伝いをしていきたいです。サステナブルなモノ作りも自分なりの方法で続けていくことが目標です」と展望を語った。

■「SHIKAKU―シカクい生地と絵から生まれた服たち―」
会期:7月1〜20日
時間:11:00〜20:00
場所:渋谷ヒカリエ8階 CUBE 1.2.3
住所: 東京都渋谷区渋谷2-21-1
入場料:無料

The post 篠原ともえが初のギャラリー個展開催 余剰生地を活用した衣装デザイナーとしての挑戦 appeared first on WWD JAPAN.com.

この夏も“袖コンシャス”が手放せない! 涼しく華やか、小顔効果のおまけ付き

 袖にボリュームを持たせ、飾りを施す“袖コンシャス”の勢いが続いています。トレンドの長期化に伴い、さらにバリエーションが多彩に。2020年春夏コレクションでは海外のラグジュアリーブランドから、新しいフォルムやコーディネートが披露されました。たっぷりの袖から風が吹き抜ける涼しさや、ボリュームがもたらす華やかさに加え、小顔に見せてくれる効果まで期待できるので、“袖コンシャス”は夏ルックに取り入れなきゃもったいない!
この夏、参考にしたいのは、「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のような、ボリュームスリーブを気負わずに着こなすスタイリング。大胆な柄が印象的なワンピースは、きちんと感を醸し出す襟元と、たっぷりした袖のおかげで、1枚で着映えがしっかり。薄着になるせいもあって、さっぱりして見えがちな夏の装いに、立体感や動きを添えてくれます。

無地ワンピースを大胆袖がムードチェンジ

 無地でワントーンのワンピースは単調に見えがちですが、袖コンシャスを生かせば、ドラマティックな見え具合に様変わり。かえって控えめな色のほうが袖の量感を引き立ててくれます。

 「ジバンシィ(GIVENCHY)」が提案したのは、たっぷり膨らませた袖がひじから先で急に細くなる“ジゴ袖”ライクなワンピース。カフスの上が風船のように膨らんで、腕の細さを際立たせました。シンプルシルエットのロングワンピースは不動の人気を誇りますが、バルーンスリーブに変えるだけで、こんなにムードチェンジが効きます。クールな雰囲気とフェミニンなムードが同居。袖が膨らんでいるおかげで、ボディも引き締まって見えます。

ボリューム袖とスリムパンツで“細ロマンティック”

 ロマンティックなウエアは、袖コンシャスと相性が抜群。今はヴィクトリアン時代を思わせるクラシックなテイストが盛り上がっているので、その意味でもトレンドになじみます。

 パステルピンクの花柄ロングワンピースでノスタルジー気分を漂わせたのは「クロエ(CHLOE)」。1枚で着ても十分に着映えがしますが、このように細身パンツの上からローブ風に羽織る着方も楽しめます。ブラトップに重ねて、色香もほんのり。パステルピンクとボリューム袖がたおやかでリラックスしたムードを高めています。

マニッシュコーデに組み込んで、甘さを封じ込めて

 膨らんだ袖には、甘いイメージがありますが、スタイリッシュに決める提案も打ち出されています。たとえば、パンツルックに組み込むと、テイストがミックスされ、ムードが一新。こなれ感も加わります。

 「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」はアイスブルーのパフスリーブシャツで涼やかなサマースタイルを披露。マニッシュとフェミニンが融け合う、ジェンダーミックス仕立てのシャツが印象的です。ディープグリーンのハイウエストパンツが凜々しさをプラス。さらに、リボン風に巻いたベルトが優美な動きを演出。甘さを封じ込めて、洗練を印象づける、新手の袖コンシャスルックです。

袖コンシャスの進化系セットアップで小顔見せ

 ワイドパンツやマキシ丈スカートといった、量感の豊かなボトムスとバランスを取るうえでも、袖コンシャスは有効です。身頃がコンパクトなトップスに組み入れると、ファニーな“ずれ感”が生まれます。

 ショート丈トップスとハイウエストパンツを組み合わせて、ボリュームで遊んだのは「マイケル・コース コレクション(MICHAEL KORS COLLECTION)」。ウエストの位置が高く見えるパンツを、チラ腹見せのトップスと引き合わせました。朗らかに膨らんだ袖は小顔効果をアップ。スーツ風の堅苦しい見え具合を遠ざけた、このような進化系セットアップはエフォートレスな雰囲気を寄り添わせてくれます。

オーバーサイズシャツに盛り込んで、メリハリをきかせて

 アウターから広がったオーバーサイズの波はシャツにまで押し寄せてきました。袖のボリュームアップは華奢感を引き出す効果が絶大です。

 「レジーナ ピョウ(REJINA PYO)」が発表したオーバーサイズのシャツは巨大スリーブがアイキャッチー。たっぷりした量感があり、まるでアウターのように着こなせます。シャツのボタンはあえて留めずに、ベルトを巻いてウエストマーク。深いスリットを切り込ませたドレスの上から、無造作にレイヤード。袖とウエストとの対比が生まれて、メリハリが強まりました。力強さと柔らかさのダブルミーニングが装いの表情を深くしています。

 袖コンシャスのバリエーションは格段に広がってきています。風通しがよいだけでなく、楽観的な気分を印象づけてくれる点でも、袖コンシャスはファッションに前向きなムードを盛り込みたい今のおしゃれに向いています。ワンピースやシャツなどを1枚で着て過ごしたい場合にも表情を上乗せしてくれるので、暑い日に「何を着ようか」と迷う際にもおすすめのアイテムです。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

The post この夏も“袖コンシャス”が手放せない! 涼しく華やか、小顔効果のおまけ付き appeared first on WWD JAPAN.com.

浮き彫りになった美容業界の人種差別 日本も他人事にしてはいけない エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月11日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

浮き彫りになった美容業界の人種差別 日本も他人事にしてはいけない

 5月末に米国ミネソタ州で、黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)が白人の警察官に首を押さえつけられて死亡した事件を受けて全米で抗議運動が起き、その動きは今や全世界中に広まっています。

 ビューティ業界では、メイクアップブランド「ウオマ ビューティ(UOMA BEAUTY)」の創業者であるシャーロン・シューター(Sharon Chuter)が「#pulluporshutup」運動を始めました。ビューティブランドや企業に社員の人種構成を公表するように求めたもので、専用のアカウント@pullupforchangeでは参加したブランドや企業の投稿を集めています。これは自身も黒人であるシャーロンが「#BLM」や黒い背景の投稿をするビューティ企業を見て、ただトレンドに乗っかってこのような意思表明をするのではなく、きちんと自社の現状を公表することによって本気で向き合ってほしいという思いでスタートさせたものです。このアカウントで集められた投稿を見ると、有色人種の雇用率が極めて少ない企業が目立ち、これまで公表されることがなかったビューティ業界の現状が浮き彫りになりました。

 アメリカ合衆国国勢調査局によると、2019年時点の米国の人種構成は白人が約60.4%、ヒスパニックが約18.3%、黒人が約13.4%、アジア人が約5.9%だという。この数字を見ると、黒人の雇用率が白人より低くなることが絶対にあってはならないとまでは言い切れませんが、社内で差別があったことを告発する人が増えているのは事実です。また差別発言や行動がSNSで炎上し、退任・退職をする企業トップが相次いでいます。日本に比べてダイバーシティーへの取り組みは進んでいるように見えて、これまで“白人至上主義”であったビューティ業界は課題が多く残ると感じました。

 個人的な話をすると私も10年以上アメリカに住んでいた経験がありますが、今回の出来事を受け最初は「アジア人だって差別を受けるのに」と思ったりもしました。ちょっと前は、新型コロナウイルスの影響でアジア人が欧米でひどい差別に遭い、とても悲しい気持ちになりました。海外にいたのは幼少期だったこと、さらに住んでいた地域の関係もあると思いますが、暴力などは受けたことののないものの“外人扱い”をされたことはたくさんあります。でも、黒人はスーパーに行くと通りすがる人には(盗まれるかと思われて)カバンを急にしまわれたり、道で歩いているだけで“怖い人”と思われたり、警察に目をつけられたり。そんなことが日常茶飯事だそうです。そういう経験は、アジア人は(黒人に比べ)少ないのでは?今回のジョージさんの事件も、仮にアジア人だったら同様なことが起きたのか?と考えてしまいます。いずれにせよ、今回の出来事は多くが人種差別について考えるきっかけになったと思います。

 なので、もちろん米国と事情が異なるものの、日本でも今回の抗議活動を他人事にしてはいけないと思います。「WWDジャパン」と「WWDビューティ」が毎年恒例で発行している社長・CEO特集の表紙を見ると、掲載されている方のほとんどが男性で、私は違和感をいつも抱いていました。日本だって、課題はたくさんあります。SNSが発達した今は、海外で起きている抗議活動の当事者による投稿を日本の若い子も見ているはずです。ダイバーシティーは日本の企業も手探りながら取り組んでいると思います。でもそろそろ本気を出さないと、これからはますます通用しなくなるのではないでしょうか?少なくとも私の周りの友人や知人は、企業のそういった取り組みに注目しており、今回の騒動に対しても意思表明する人が多いです。

#MILLENIALMIND:ミレニアル世代の記者が、普段の取材や、日頃から気になっているファッション&ビューティのニュースやトピックスをピックアップします。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post 浮き彫りになった美容業界の人種差別 日本も他人事にしてはいけない エディターズレターバックナンバー appeared first on WWD JAPAN.com.

「スーツを着崩す」唯一無二のセンスでファンを集める ビームス齋藤龍治

 ここ最近のビームスは主軸のアパレル事業にとどまらず、社員たちの暮らしぶりやインテリアを紹介した書籍「BEAMS AT HOME」の制作や美術館の公式グッズの監修のほか、自治体と連携して地方創生などにも力を入れており、ファッション業界で培ったモノやコトを他の領域で生かしている。社員やショップスタッフもインスタグラムやユーチューブなどで積極的に発信し、個々に活躍の場を広げている。これまに取材してきた同社のショップスタッフを思い返すと、個性豊かな人が多く、「心底ファッションが好きなんだな」と思うことが多い。今回インタビューしたビームス六本木ヒルズの齋藤龍治さんもそんな一人だ。

―いきなり失礼な質問かもしれませんが、そのヒゲはどうされているんですか?

齋藤龍治さん(以下、齋藤):もう4~5年ほどこの状態をキープしています。はじめは伸ばす気はなかったんですが、奥さんが美容師でして、軽い気持ちで「ヒゲパーマ当てたら?」と言われて、お試しでやってみたら意外と評判がよくてそのまま続行しています。

―ヒゲにもパーマができるんですね!

齋藤:そうなんですよ(笑)。お客さまも始めは驚いていましたけど褒めてもらうことも多く、最近はこのヒゲで覚えてもらうことも多くなりした。

―インスタグラムを拝見していても、ファッションはもちろんのことヒゲのインパクトも強いなと思いました。ところで、ファッション業界で働こうと思ったきっかけは?

齋藤:学生の頃からストリート系ファッションが好きだったんです。とはいっても青森の高校生には服を買うにも店はほとんどなく、今ほどネット通販が気軽にできる環境でもなかったので大変でした。工業高校に通っていたので、卒業後は勧められるままに東京の会社に就職し、上京して、いろんな街を歩いてみて「やっぱり服は楽しい」と思うようになり、会社を辞めました。ファッションの専門学校で勉強して、最初に働いたのが新宿の「ビームス ジャパン」でした。

―もともとファッションが好きでこの業界に飛び込んだとのことですが、実際に入ってみてどうでしたか?

齋藤:実は希望していたのはカジュアルの販売だったのですが、枠がなくて「ドレスなら空いているけど……」と言われて、テイストは違いますが入りました。

―そうだったんですね(苦笑)。ストリートファッション好きがドレスの販売員に。それが今の齋藤さんの独特なドレススタイルにつながるわけですね。初めての接客業に知識もないドレスの販売だと、不安も大きかったのでは?

齋藤:正直、ドレスに興味も知識もなく入ったので、始めた頃は前途多難でした。まだ学生気分も抜けてないし、言葉使いも全くダメでした(苦笑)。それこそスーツは専門的な知識を持っていないと売れないので、先輩スタッフや自分の一回りも二回りも上のお客さまからいろんなことを教えてもらい、少しずつ覚えていきました。毎日毎日「その合わせは違う」「この着方は間違っている」と指摘されては、「ドレスだとこの着方がいいんだ」とか「この組み合わせ方がカッコいいんだな」とちょっとずつ覚えていきました。ドレスの場合は、着こなし方の基礎が分かってきてそこから崩していくのが楽しい、みたいなところがありますから。

―お客さまから教えてもらうことのほかに、商品知識を身につけるためにやったことは?

齋藤:とにかく買って着ていました。ビームスではクラシックなラインとトレンド的なモードなラインのスーツがあるのですが、自分が好きなモードっぽいものを選んで着ていました。先輩からダメ出しをもらいながら勉強していくと、徐々に売れるようになって、さらに深掘りしてみようと欲が出てきました。

―やはり、着てみるのが一番身につきますか?

齋藤:そうですね。今でも買って着ています。実際に着ているのと着ていないとでは説得力に違いが出てくると思います。特に高価格帯の商品は、実際に着て愛着が湧くことで伝え方も変わるので、おのずと説得力も増します。ドレスは基礎知識の幅が広く、特に合わせ方の基本、サイジングはしっかりとしたルールがあるので、その時のトレンドで外したり、外さなかったり。好みであえて意外性のある合わせ方をしたり、いろいろあるんですよ(笑)。言葉ではなかなか伝えられない感覚は、先輩やお客さまの見よう見まねで身につけてきたので、何が正しいのかを教わったわけではないんですよ。

―コーディネートに正しい・正しくないはないですよね。そのときの気分で着こなし方も変わるところがファッションの面白いところだと思います。インスタのスタイリングにもそれが表れています。

齋藤:コーディネートは「毎日、同じ格好をしない」と、インスタやるようになって考えるようになりました。ローテーションを考えるのも楽しくなりました。たぶん、同じようなスタイリングを毎日していたら仕事を辞めるかもしれません。朝、起きて、その日のコーディネートを組んで「きまった!」と思ったら、その日は一日中気分よく過ごせますしね。

―着る服で気分が変わりますよね。嫌なことも跳ね返せる感じがあります。では、接客で勉強したことは?

齋藤:強いて何かで勉強したということはなく、慣れてきたという感じでしょうか…。顧客がひとりできた頃から接客が楽しくなってきました。それから、毎日誰か顔見知りのお客さまが来てくれると思うと店にいるのが楽しくなって、1人、2人と顧客が増えると充実してくるんですよね。

―その方は今でも来られます?

齋藤:今でも買いに来てくれます。最初から僕によい接客を求めていた感じではなくて、お客さまも自分もラフな感じで接していました。新宿時代はそんな感じでしたね(笑)。6年半ほど在籍し、ビームスハウス丸の内に異動しました。丸の内はドレスの中でも一番いそがしい店で、1日にお客さまのアポイントが4~5件ということもある店なので、ここでも鍛えられました。

―齋藤さんにとって接客とは?

齋藤:新宿で販売を始めた頃は、売れば売れるほど数字として見えてくるので「まるでゲームみたいだな』と感じていました。丸の内に異動してからは、新宿よりさらに客数が多い中で、いかに顧客を呼べるかを考え始めました。これはお客さまから指摘されたのですが「あまりおすすめじゃないものだと、売りたくない顔しますよね」と言われました(笑)。最近も別のお客さまから同じことを言われて、自分が好きなもの、お客さまにはこれを着てほしいというものが売りたいんだなって気づきました。

―お客さまから指摘を受けるということは、顔に出てた?

齋藤:そうみたいですね。顔に出ているとは思ってなかったんですけど(笑)。顧客のワードローブは把握しているので、着てほしいものでないとなぜか力が入らない。というか、おすすめしないわけではないけど、つい「こっちの方がいいですよ」と言ってしまいます。そのへんをお客さまも理解して、納得してお買い上げしてもらえるのがうれしいですね。

―齋藤さんのセンスや接客にほれて買い物に来られる感じなんですね。

齋藤:いわゆる『スーツのプロ』と呼ばれるような正統派のスタッフが丸の内にいましたが、僕は彼らとは接客スタイルが違うので、それぞれにハマる人がハマってくれればいいと思っていました。オーセンティックな提案がほしいときはそちらに聞いてくださいというスタンスです。ときにはお客さまの嗜好を伺った上でビシッとスーツを着用しているスタッフをおすすめすることもあります。僕は変わった感じの格好が好きなので、見た目で僕には来ないお客さまも多いです。お客さまからはなかなか声をかけてこない(笑)。

―お客さまも心得ている感じですね。それって意識的にしている?

齋藤:自分の好きな格好の販売員がドレスの店舗にいなかったので、自然とこのキャラクターになった感じです。自分の顧客もビシッとしたビジネスマンというより、ジャケット、スーツを着こなすけど、自由に崩せるような方が多くて、自分の格好にハマる人が集まっています。

―スーツをビシッと着る人もいれば、そうでない着方をしたい人もいますよね。そこに個性派な齋藤さんが登場して、ファンがついてきている。服好きとしては感慨深いですね。では最後に、これからの目標を教えてください。

齋藤:接客は楽しいので、ずっと売り場にいたいと思っています。ようやくキャリアが長くなってきて、自分の声が社内に通るようになってきたので、商品企画やイベント企画はより積極的にやっていきたいですね。

苫米地香織:服が作れて、グラフィックデザインができて、写真が撮れるファッションビジネスライター。高校でインテリア、専門学校で服飾を学び、販売員として働き始める。その後、アパレル企画会社へ転職し、商品企画、デザイン、マーケティング、業界誌への執筆などに携わる。自他ともに認める“日本で一番アパレル販売員を取材しているライター”

The post 「スーツを着崩す」唯一無二のセンスでファンを集める ビームス齋藤龍治 appeared first on WWD JAPAN.com.

デジタルメンズコレでドタバタ対談 3日目は「ミハラ」「ダブレット」でハッピーに 退廃的ムービーの時代観を考える

 デジタルでのオートクチュール・コレクションが終わり、次はパリのメンズ・コレクションがスタートしました。7月9日から5日間にわたって、70近いブランドが新作をオンラインで発表します。そこで今回は、主にメンズを担当している記者が「頑張ってリアルタイムで見てみました」取材を日替わりで担当します。「アーカイブでも見られるのにオンラインで見る意味あるの?」という周囲の視線を感じながらも、「コレクションはライブ感!」と信じて完走を目指します。3日目は海外コレクション取材歴10年以上の村上要「WWD JAPAN.com」編集長と、海外コレクション初取材の大澤錬「WWD JAPAN.com」記者がリポートします。

7月11日(土)17:30(パリ時間10:30) 「ラゾシュミドル」

大澤錬「WWD JAPAN.com」記者(以下、大澤):本日もドタバタ日記スタートしたいと思います。不安ばかりですが、若手の“ファッションバカ”として頑張ります。要さんは、「ダブレット(DOUBLET)」からの参加らしく(笑)。わかりました。若さで頑張りたいと思います!本日のトップバッターは「ラゾシュミドル(LAZOSCHMIDL)」。存じ上げないブランドでしたが、イケメンたちが水着をまとい、プールではしゃいでいるじゃないですか。モデルのPR映像みたいです(笑)尺的には3分と手短かでしたが、初めて見た僕からしたら、ゲイの方に向けた水着ブランドにしか見えなく、調べたらそうでもなさそう。花柄やカラフルな色使いをメインにクリエイションしているのかなと思いつつ、結局、何が伝えたかったのか分からずじまいでした。

7月11日(土)17:30(パリ時間10:30) 「フランチェスコ スマルト」

大澤:次の「フランチェスコ スマルト(FRANCESCO SMALTO)」は、仏・パリ発のスーツブランド。テーラリングといえば英国を思い浮かべますが、そのカッテング技術と縫製を融合したものが同ブランドが打ち出すフランスのテーラリングだそうです。動画では、爽やかな男性と少し強面な男性ダンサーを起用して、宮殿のような場所で撮影。音楽に合わせながらステップを踏み、両モデルがお互いの体を引き寄せ絡め合うシーンは、「ドラマの感動的な1シーンかな?」と思いました(笑)。コレクションに使用した生地は背景に使ったほか、アップで映し出すシーンも。生地に自信を持っているんだなと感じました。パリの象徴、エッフェル塔で締めるのは如何にも。リアルな街並みを映すなど、もう1アクセント欲しかったのが正直なところです。自粛期間が続いた中で、消費者の興味マインドがリラックスアイテムに向かいつつあると言われる中、「ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」まで破綻する中、スーツスタイルはどうなるのだろうとも思います。って、そろそろ「ダブレット」始まりますよ〜要さ〜ん(笑)。

7月11日(土)18:30(パリ時間11:30) 「ダブレット」

村上要「WWD JAPAN.com」編集長(以下、村上):失礼しました!今週ちょっと運動不足で、横浜の自宅から自転車で豊洲まで行って、「アシックス(ASICS)」の低酸素ジムで筋トレして、なんて土曜日を過ごしてたら、乗り遅れました。とはいえ、アーカイブで「ラゾシュミドル」も「フランチェスコ スマルト」も見ましたよ。前者は、耽美なゲイの世界でしたね。でも股間にチョウのビキニを筆頭に、どの水着も若干卑猥(笑)。「スマルト」は、僕が思う、「もっともやっちゃいけないムービー」。軽やかな布の動きを表現したいんだろうけど、素肌の上にジャケットを羽織ったダンサーが踊るだけって、何百回も見てきた映像だしリアルじゃない(笑)。「ダブレット」ファンの大澤さんは、とってもハッピーなムービー、どう思いました?デザイナーの井野さんが、主人公のクロシェ編みのクマさんだったことは、始まって30秒でわかったよね(笑)?

大澤:あ、お疲れ様です。お先に配信をビクビクしながらも楽しんでおりました。要さんに来ていただけて、スーパー心強いです!もちろん、わかりました(笑)。デザイナー自身が動画の主人公として出演しちゃうあたり、さすがでございます。井野さんのコミカルな部分が前面に出た動画で、昭和感も健在でしたね。まさに令和の時代も“喜劇王”ですね(笑)。「ダブレット」ファンの僕は、「あ、やべっ、これ欲しい」「この裏返しのクマちゃんニットと、女性モデルが着ているグリーンのシャツと〜」と、消費者気分でも胸を高鳴らせて楽しんでおりました。

村上:僕のオーダーは、「スターバックス(STARBUCKS)」のベテランバリスタを真似たブラックエプロンと、フィナーレで新婦(⁉︎)、新郎(⁉︎)さんが着ていたチュールのフーディ&タンクトップのセット、あとは井野さんが着ていたクロシェ編みのフーディかな(笑)。ムービーは、こんな時だから余計に“ほっこり”しちゃうストーリーでしたね。誕生日でもないのに、みんなにプレゼントを贈るクマが、最後は友達に助けられるホロリとしちゃうストーリー。今の時代感、みんなが共感できる「繋がり」を、ユーモラスなコレクションで表現していたね。「マクドナルド(McDONALD‘S)のフライドポテト風の軍足とか(笑)。「ダブレット」って、ファッション界のTikTokみたい、って思った。大事なことを、小難しく語るんじゃなくて、クスリと笑わせながら教えてくれるカンジ。

大澤:井野さんが着ていたクロシェ編みのフーディとは、さすが要さんですね(笑)。先日、この動画の裏側を取材させていただきましたが、井野さんは「要さんはこれオーダーしてくれるかな〜」と言っていましたよ!僕はこの自粛期間でみなさんがお世話になったであろう、「ウーバーイーツ(UVER EATS)」の配達員さんが持っているバッグをオマージュしたショルダーバッグに一番ウケました。「マクドナルド」は、その「ウーバーイーツ」の代表格ですね。ある意味、最近のトレンドを取り入れています(笑)。ファッション界のTikTok、まさにですね。激しく共感します(笑)。

7月11日(土)19:00(パリ時間12:00) 「ジュン. J」

村上:お次の「ジュン. J(JUNN. J)」は、ちょっと意外なムービーでした。ショーはいつも、爆音クラスの重低音が響くBGMで、モデルは高速ウオーキング。でもムービーは、ゆったりしたペースで、音楽も優しかった。正直コレクションは、いつもどおりボリュームいっぱいのミリタリーやフォーマルで変わらないけれど、「モード全開」としか思えなかったイメージがちょっと変わったかも。「あ、日常に馴染むし、優しいカンジにも着られるかも」ってカンジかな?韓国の風景も良かったね。アイデンティティーをちゃんと伝えようって努力している。

大澤:音楽めちゃくちゃ優しかったですね。正直少し眠くなりました(笑)。僕は動画自体をモノクロで表現しているあたりも、モードを意識しての事なのかなと思いました。リアルな田舎感も詰まっていたほか、商店街で撮影するなど畏まっていない感じが個人的にも良きでした。街中でモデルがウオーキングして撮影するという、“シンプル・イズ・ザ・ベスト”を表現した動画で、日常感とリアルな着やすさが出ていて良かったなと思いました。カラーが一瞬しか見えないな〜とは思いましたが(笑)。

7月11日(土)20:30(パリ時間13:30) 「リーニン」

村上:さて、お次は韓国じゃなくて中国の「リーニン(LI-NING)」。冒頭は90年代、世界で活躍した体操選手のムービーで始まり、「表彰台からランウエイに」というフレーズとともに、2021年春夏コレクションがスタート。「スポーツの次は、ファッションだ!」と気合マンマンです。でも肝心の洋服は、ちょっと食傷気味なラグジュアリー ・ストリートから、未だ脱却できてないかな?一部のモチーフを除くと、案外まだ欧米の価値観で勝負している印象です。そこが、「ザンダー ゾウ(XANDER ZHOU)」には、まだ及ばない。

大澤:冒頭のムービーの体操選手って、創業者の李寧本人ですよね?良くも悪くもスポーツブランドが作る洋服だな、と思ったのが正直なところです。リラックスシルエットやロゴを全面に使ったアイテムなどは、少し時代に乗り遅れている感じが否めませんでした。スポーツブランドとしては歴史がありますが、ファッションの分野ではまだまだかな。

7月11日(土)21:00(パリ時間14:00) 「メゾン ミハラヤスヒロ」

村上:韓国、中国と来たら、やっぱり日本です!「メゾン ミハラヤスヒロ(MAISON MIHARA YASUHIRO)」で今シーズン初めて、ちゃんとしたランウエイショーを見ました(笑)。でも冒頭のパペットによるファッション・ウイークの雰囲気の再現が可愛かった。プレスはプレス専用の入り口に並んで、リストと照らし合わせて入場とか、ちゃんと実際通りだったし。ランウエイショーはちょっと長いかなぁ〜、とも思うけれど、「ミハラ」好きだし、シンプルな映像だから結構長く見られたね。いつもどおり、三原さんが自由奔放にいろんな洋服を切ったり、貼ったり、割いたりだけど、テーマの「More or Less」通り、てんこ盛りにするか引き算するかの抑揚があってよかった。バンダナ柄の厚底スニーカーは売れそう!そしてちょっと物悲しいフィナーレも印象的でした。「あんなに熱狂してたランウエイショーって、もしかしたら内輪で勝手に盛り上がっていただけなの?」っていうメッセージなのか、それとも、単純にランウエイショーを懐かしんでいるのか?来週ライブ配信番組で、ゲスト出演してくれる三原さんに聞いてみよう(笑)。映像のクレジットロールに、ショップスタッフまで入っていたのは、ちょっと嬉しかった。

大澤:確かにちゃんとしたランウエイショーは初めてですね(笑)。パペットの物語とショーのメリハリがきちんとあって、尺的には長かったけれど、楽しく見れました!リアルなショー会場の流れ、実際のショーでのSNS投稿を忠実に、それをパペットで表現しているのが若者の心もくすぐってくるなあと。僕は批判覚悟で言いますが、このサステナブルを強く打ち出している時代に敢えて、生地を貼ったり切ったり、それをドッキングしているのを見て、ファッションバカとしては、やっぱりこれが“ファッション”だよ!と思いました。それを三原さんが体現してくれた!と勝手に盛り上がっていました(笑)。最後のフィナーレでは、いつものように三原さんが登場して元気づけてくれるのかと思っていたら、すごく物悲しいフィナーレで見ているこっちも寂しい気持ちになりました(音楽も含めて)……(涙)。ショーへの思い入れが強いからこそなのか?やはり観客がいないと寂しいよ〜なのか?是非とも7月17日のライブ配信「着点(きてん)」で本人に聞いてみたいものです。

村上:是非聞いてみましょう。ついでに、フーディにプリーツスカートがドッキングしたワンピースと、バンダナ柄のスニーカーをオーダーします(笑)。

7月11日(土)21:30(パリ時間14:30) 「ダヴィ パリ」

村上:お次の「ダヴィ パリ(DAVI PARIS)」、知らないブランドだったし、映像はめっちゃフレンチで僕は共感しづらいけど、コレクションは好きですよ。暗礁に乗り上げちゃったかもしれない「アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMESTER)」が、明るく、今っぽくなったカンジ(笑)。繊細な花のモチーフづかいが、ナイーブな男子像を盛り上げます。映像は、フランス映画の1シーンみたいだったね。「空、、、海、、、愛」みたいな。だいたい僕は、「で⁉︎何⁉︎」ってなっちゃって、スカッとするハリウッド映画とか見ちゃう浅はかなタイプです(笑)。

大澤:想像して膨らませないタイプなんですね。僕は逆に想像してしまう方なんですけれど、この短い動画だと想像も難しいです(笑)。花柄のプリントは繊細で美しかったんですけれど、知らないブランドゆえにインパクトが薄いと記憶に残りづらいですね。クリエイションにしろ動画にしろ、何か目を引くものが欲しかった印象です。

7月11日(土)23:00(パリ時間16:00) 「サルバム」

村上:さぁ、そろそろ「マジでこのまま、リアルタイムにこだわらなきゃダメ?」って時間になってきました。現在23時。「サルバム(SULVAM)」を見たら、「あとは、明日でいいよ〜」なんて言っちゃいそうですが、頑張りましょう。アトリエの目の前という、首都高の下で撮影してるけれど、これは初台あたりですか(笑)?大きくカーブする首都高と直線的なビル、案外多い緑とアスファルト、通過する色とりどりの車。「藤田さんは、こんな風景を見て、本能の赴くままにクリエイションしてるんだぁ」って実感できるムービーでした。色も、素材も、強さも、全部バラバラなコレクション。でも、それが今っぽいと思う。本人の拙い英語も好印象でした。でも、肩の力がどんどん抜けて、気難しさがほとんどなくなってる。半身だけ布がバクハツしてるジャケットルックさえ自然に見えた。個人的には、ピンクのニットベストの色合いと編み目がスキ。

大澤:僕は、近所のコンビニでエナジードリンクを購入してチャージしてきました(笑)。眠気対策です。語り手の藤田さんの慣れていない英語に、僕は正直、親近感が湧きました(笑)。道路の脇で撮影していますが、車を運転している人たちは「何やってるのこの人たち⁉︎」「何で寝転がっているの?」と不自然に思ったでしょうね。想像すると、思わずクスッと笑ってしまいます(笑)。総柄のセットアップや、フォーマルなスーツスタイル、夏っぽい柄の開襟シャツなど、日常着として着やすそうなアイテムが多い印象を受けました。個人的にはシースルーのシャツと、要さんと被りますがピンクのニットベストがタイプでした。要さんとは恐縮ながら、ワードローブが何点か被っているんですよね(笑)。「ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)」とアディダス(ADIDAS)の“オズウィーゴ(OZWEEGO)”や、「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」の“TOKIスエット”とか。

村上:大変w。それ、カブると恥ずかしいヤツだから、俺が着てきた次の日に大澤さんは着てきてください(笑)。

大澤:そうですよね、気をつけます(笑)。

7月11日(土)23:30(パリ時間16:30) 「カサブランカ」

村上:「カサブランカ(CASABLANCA)」もいいわぁ。ブランド力、メキメキ上がってるね。トロピカルとテーラード、レトロとコンテンポラリー、エレガントとグルービー、フォーマルとストリート、いつも通りテニスのユニフォームをインスピレーション源にしたスタイルは、着る人次第でいかようにも変化しそう。正直、日本人には難しいアイテム多いけど、プリントシャツは、ティアドロップのサングラスをかけるだけで、「カサブランカ」にしか作り出せない世界に誘ってくれるね。「雨の後の虹」というテーマで、ピュアホワイトのテニススタイルに虹色を加えていくのもスキ。みんな頑張ってロックダウンを乗り越えたから、せめて気持ちくらいは虹色で、グルービーに生きたいよね!そんなメッセージを感じました。

大澤:「カサブランカ」いいですね!昨年、店頭で初めて見て、生地感、デザイン共に良いし、何よりこんなにリアルにプリントって表現できるの?って密かに注目していました。自粛期間が続いて、みんながナイーブになっている中、このバカンス感はたまらんですわあ。気分上がります。あとパール使いも美しいなあと感じました、ネックレスにブレスレット、イヤリング。大振りなパールもいやらしい印象がなく素敵でした。車好きな僕としては、往年の「ポルシェ」のレッドカラーを使っているあたりもセンスあるな〜と服だけでなく車にも見入ってしまいました(笑)。確かに日本人には難しそうな印象を受けますね、アイテム単体だったらいけるのかな?まだまだ国内の取り扱いは少ないけれど、個人的にさらに応援したくなりました。そういえば先日のライブ配信「着点(きてん)」で大塚さんが今後注目のブランド!と挙げていましたね。先輩さすがでございます(笑)。

7月11日(土)24:00(パリ時間17:00) 「アルド マリア カミッロ」

村上:と、テンションが盛り上がったところで、おそらく本日一番の問題作が来たよ(苦笑)。「アルド マリア カミッロ(ALDO MARIA CAMILLO)」。3分のムービーで、出てきたのは1ルック。真っ黒のセットアップ。でも、一回もピントが合わない(泣)。全然わかんない(怒)。世界観がステキならそれでもいいけど、お風呂場にハエがいる部屋で、寝転がるオトコ。。。退廃的にも程がある。新型コロナで1年苦しんだあとの21年春夏、この世界にどっぷり染まりたい人って、ほとんどいないんじゃないかしら?

大澤:これは問題作(笑)。何を伝えたいのかさっぱりですね。暗いし、服見えないし、何が何だか……。現在24時。むしろこの時間に合わせたホラー映画かな?と思いました。ギャー!!とお化けが出てきそうです。いや、出てきた方が印象に残ったかも?動物の鳴き声も不気味で怖い印象を受けました。自然と男とハエに1ルック。。言葉にも詰まります(泣)。尺が短いのが、せめてもの救いでした。

村上:パリはまだ夕方5時だからね(笑)。

7月11日(土)24:30(パリ時間17:30) 「イザベル マラン オム」

村上:「イザベル マラン オム(ISABEL MARANT HOMME)」は、もっと短い1分50秒。会場は、パリ郊外の縦に長〜いビルで、めちゃくちゃ階段があるところ。クネクネ曲がるけど長いランウエイが作れるから、最近はショー会場としても人気です。メンズを立ち上げて間もないブランドにとって、2分弱のムービーは、“知ってもらうきっかけ”としてちょうどいいかもね。得意のエスニックモチーフやボヘミアンは、メンズでも現在。そこにナイロンブルゾンやロゴニットなど、メンズはストリートのムードも色濃いかな?

大澤:とても見やすい印象を受けました。やっぱり尺って大事なのかな?ウィメンズのいいとこ取りをして、良い意味で尖ってない印象を受けました。みんな着れそう。着やすそう。取り入れやすそう。柄物のバケットハットや、ロゴニット、アウトドア色の強いブルゾンなど、最近の消費マインドをくみ取っているのは、さすがベテランブランドだなと感じました。ですがコレクション取材が浅い僕からしたら、アップテンポ過ぎて服のディテールを追うのに精一杯。思わず、一時停止を何回も押してルックをチェックしてしまいました(笑)。

村上:さぁ、オジさんはそろそろ仮眠しようかな(笑)。なぜか今から1時間ちょっと空くんだよね。午前2時の「ゲーエムベーハー(GMBH)」、2時半の「アンドレア クルーズ(ANDREA CREWS)」は、若手記者の登竜門ってコトで(笑)。3時半の「バルマン オム(BALMAIN HOMME)」まで寝ます。オヤスミ〜。

7月11日(土)2:00(パリ時間19:00) 「ゲーエムベーハー」

大澤:わかりました!オヤスミナサイマセ。ここからは若手の僕が頑張りたいと思います!では「ゲーエムベーハー」いってみましょう。冒頭の3分強は語りだけで、画面上はショー待ちの映像。画質がかなり粗い(笑)。敢えてとは分かっていてもこれは先行きが不安です。日本は現在、午前2時。「その声が眠くなるんです、、コレクション発表はまだでしょうか(泣)?」と思っていたら、やっと始まりました。でも案の定、画質が粗すぎ、ディテールが全くもってわかりません……。勘弁してください。スタートはホワイト、ブラック、グレーのスーツスタイルが3ルック。その後はボーダーや色物のTシャツに短パンというカジュアルな装いでまた3ルック。正直、オリジナリティー感もないし、何が良いのか分からない。そしてまた3分強の語りです(笑)。3ルックを提案→3分強の語り。これの繰り返し。いやルックを一気に流すか、語りの一辺倒にするか、どちらかにしてください(怒)。終わってみれば計20分の動画。ルックは計13体。3分で終われる動画なのに、無理矢理引き伸ばした感が満載。見ているこっちは退屈でした。

7月11日(土)2:30(パリ時間19:30) 「アンドレア クルーズ」

大澤:と、要さんに愚痴りたいところでしたが、オヤスミチュウでした。一人で完結しておきます(笑)。続いては「アンドレア クルーズ」。「イザベル マラン オム」の時に、今日一番短いかも。と言っていたらめちゃくちゃ短いのが来ました。53秒。逆にどんなものが見られるんだろうと心を踊らせて再生ボタンを開くと、あらこれまた酷い(泣)。ストリート感満載でユニークなデザインを売りにしているブランドなのに、出てくるのはメッセージが書かれたTシャツのみ。“WE ARE OUR CHOICES(人生は選択の積み重ね)”、“BRIGHTER THE LIGHT,DARKER THE SHADOW(光が当たると、影はますます暗くなる)”、“INTERNAL PEACE(内なる平和)”など全8メッセージを紹介。新型コロナウイルスの影響で、世界が暗い状況にある今を明るくするために!というメッセージ性は伝わるけど、うん、伝わったよ。という感じ(笑)。21年春夏コレクションは、謎に包まれたままです。

7月11日(土)3:30(パリ時間20:30) 「バルマン オム」

大澤:さあ、本日のラストを飾る「バルマン オム」行ってみたいと思います!さすがビッグメゾンというだけあって、冒頭からアーカイブ映像を用いて動画自体が格好良い。仏の若手アーティスト、イセルト(YSEULT)を起用したフェリーでの演出は見事でした。イセルトが歌う自身の曲、Corpsとの相性も抜群で、3分という尺も◎。ただ、正直どれが新作なのかさっぱりでした……。いつもの「バルマン オム」ですけど、要さんどうなんでしょうか(笑)?動画中盤からはデザイナーのオリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)が登場し、エンディングではソーシャルディスタンスを気にせず、イセルトと手を繫いで歩く姿を見て、なんだかほっこりしました。これが本来の姿なのかなと、過去の感動的なショーを思い出したラストコレクションでした(泣)。これにてパリコレ3日目終了です!お疲れ様でした〜!まだまだパリコレ続きますが、元気に楽しく頑張っていきたいと思います。

村上:起きました。おはよう(笑)。「バルマン」は、新作じゃなくて、これまでのアーカイブだったね。メゾン75周年を振り返る、と言いつつ、ほとんど今のクリエイティブ・ディレクターのオリヴィエ・ルスタンが主役だったね。彼は、人前に出ることに物怖じせず、むしろスキなんだろうね。TikTokもやってるし(笑)。最後のカメラ目線がバッチリで、「あ、ルスタンは元気だな」って確認できました。お疲れ様でした〜!

The post デジタルメンズコレでドタバタ対談 3日目は「ミハラ」「ダブレット」でハッピーに 退廃的ムービーの時代観を考える appeared first on WWD JAPAN.com.

「#BLM」に揺れ動く社内と心 エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月11日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「#BLM」に揺れ動く社内と心

 「#BLM(#BlackLivesMatter)」運動が盛り上がっています。先週以降、弊社もウェブ記事と、その記事の存在を告げるSNSの運用を皮切りに、「私たちが、すべきことは何か?」「私たちに、何ができるか?」「私たちは、何がしたいのか?」を考えながら、いつも以上の注意を払いつつ記事のアップ、SNSの運用、ひいてはメッセージの発信を心がけているつもりですが、考えが合わなかったり、お気に召さない方がいらっしゃったりするかもしれません。

 本件について最初にアップしたのは、下のリンクの2本目の記事でした。記事に対するリアクションはSNSを中心に、批判的なコメントも少なくありませんでした。米「WWD」の翻訳記事ですが、担当者は和訳だけでは不十分と感じ、「なお現地メディアによれば、こうした略奪行為を行っているのは必ずしもデモの参加者ではなく、混乱に乗じた関係のない武装市民であることも多いという」の一文をプラスしています。しかし、「白人警官による黒人男性殺害に対する抗議が激化 『グッチ(GUCCI)』などが破壊行為や略奪の被害に」というタイトルが誤解のきっかけ、でした。「デモ隊が、破壊行為をしたと言いたいの?」というご意見を頂戴したのです。担当者が追記した通り、全文を読めば、そう言いたいわけではないと理解していただけるハズです。でも今は、スマホの画面を高速スクロールして情報を消費し続ける時代。その意味で配慮が完璧だったとは言い切れません。

 批判に真っ先にさらされる、弊社のSNSチームは、揺れ動きました。程なく、「#BLM」に賛同する黒一色の画像をインスタグラムに投稿したい、との相談がありました。私は、「あなたが『やるべき』と考えているなら賛成、『やらないと、叩かれる』と恐れているのなら反対」と返信。返事は「両方です」でしたが(正直ですw)、よくよく聞くと「やるべき」が圧倒的比重を占めているように感じられたので賛成しました。

 正解は、わかりません。私の背中を押したのは常日頃「インスタグラムのアカウントも1つのメディア。雑誌やウェブサイト同様に人格があるから、フォロワーは惹かれる」と教えてくれる、インスタグラム・マーケティングの会社リデルの福田CEOの言葉でした。福田CEOがおっしゃる通り、もはやインスタグラムは、ウェブサイトや週刊紙と同等のメディアです。だとしたら、SNS担当者は、1つのメディアの“編集長”。“編集長”が「やりたい」と願うなら、やるべきだろうと思ったのです。私は今、同じく1つのメディアを預かる身として、「やりたい」ことをやれる環境に感謝していますから。無論、私は最終的に「バランス」を意識すべき立場ですが、現段階においては各々の裁量に委ね、ただ言葉の使い方を誤って各々の言いたいことが誤解されないように気をつけることに徹しても良いのかな?と思っています。

 このスタンスは、ニュースサイト「WWDJAPAN.com」の捉え方においても同様です。よくスタッフからは、「『WWDJAPAN.com』らしさとは、何ですか?」的な質問を受けるのですが、私は、社外では明言しますが、社内ではそれを避けています(笑)。理由は、私の答えは、ある種の「力」を有してしまうから。私が答えると、それ以外の解釈が出てこなくなる可能性がある。そう危惧しています。流石にベクトルが180度違うのは困りますが、60度くらいの違いなら許容できるし、むしろ盛り込みたい。だからサイトの捉え方さえ、各々に委ねているのです。私がすべきは、多様な記事のそれぞれに責任を持つことでしょう。たとえそれが、私とは違うサイトの捉え方のもとに誕生したとしても、です。

 言わない、なんて卑怯でしょうか?そうかもしれません。私らしくないのかも?とも思います。でも、私が「言わない」ことで、誰かが「言いやすくなる」のなら、それもまた正解なのでは?と考えています。それが、声を見過ごすことをやめることにつながると信じています。

SOCIAL & INFLUENTIAL:社会情勢によって変化するファッション&ビューティ業界を見つめます。インクルージョン(包摂性)&ダイバーシティー(多様性)な時代のファッション&ビューティから、社会に届けたい業界人のオピニオンまで。ジャーナリズムを重んじる「WWD JAPAN.com」ならではのメルマガです。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post 「#BLM」に揺れ動く社内と心 エディターズレターバックナンバー appeared first on WWD JAPAN.com.

デジタルメンズコレでドタバタ対談 2日目は「イッセイ」で半泣きし「ドリス」の“エアドラム”に困惑

 デジタルでのオートクチュール・コレクションに続き、パリのメンズ・コレクションがスタートしました。7月9日から5日間にわたって、70近いブランドが新作をオンラインで発表します。そこで今回は、主にメンズを担当している記者が「頑張ってリアルタイムで見てみました」取材を日替わりで担当します。「アーカイブでも見られるのにオンラインで見る意味あるの?」という周囲の視線を感じながらも、「コレクションはライブ感!」と信じて完走を目指します。2日目は海外コレクション取材歴4年目の大塚千践「WWDジャパン」デスクと海外コレクション初取材の美濃島匡「WWDジャパン」記者がリポートします。

7月10日(金)17:00(パリ時間10:00) 「システム」

大塚千践「WWDジャパン」デスク(以下、大塚):今日もドタバタ対談スタート。会議が長引き間に合わないかと思いましたが、2日目のトップバッター「システム(SYSTEM)」もギリギリ、リアルタイムでチェックできました。このブランドはSPAなんでしょうかね。ベーシックなウエアをベースに、トレンドのいいとこ取りをしてきたような服が多かったです。なんかインターネット用に作ったCMを3本連続でつなげたような編集に感じましたけど、ある意味賢いのかな。

美濃島:ドタバタ対談2日目始まりましたね。まだまだ慣れないことばかりですが、なんとか付いていきます!「システム」は韓国のブランドみたいですね。クリーンなジャケットやクロップドパンツといった普段着にちょうどよさそうなものから、シアー感のあるシャツなどちょっと気取って着られるものも。首元はゴツめのアクセでバランスをとっていました。映像はホテルや街中の風景を合成し、その中でモデルたちが行動する様子をとらえたものと、スタジオでウオーキングするものを用意していました。飽きずに見られましたが、それぞれ世界観が違いすぎて何が伝えたかったのかイマイチわかりませんでした……。

18:00(パリ時間11:00) 「アーネスト ダブル ベイカー」

大塚:次の「アーネスト ダブル ベイカー(ERNEST W. BAKER)」はまさかのおじいさんのホームビデオつなぎ。ええっ!と思ったけど音楽含めてめちゃくちゃ感動的で、自宅で見てたら泣いてた自信がある。こういうパーソナルなホームビデオにファッションを絡める表現が、いかにもインディーズっぽい試みで僕は好きでした。服も、良くも悪くもインディーズ感という印象です。

美濃島:同ブランドはリード・ベイカー(Redi Baker)とイネス・アモリム(Ines Amorim)のデザイナーデュオが手がけるブランド。ブランド名はリードのおじいさんの名前だそうですよ。悲しい音楽とともに転換するシーンもあり、4分弱見入ってしましました。服の細部はわかりづらかったですが、ノースリーブシャツにネクタイを合わせてピアノを弾く姿が純粋に格好よかったなあ。

18:30(パリ時間11:30) 「オム プリッセ イッセイ ミヤケ」

大塚:「オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE)」最高!ショーではいつも凝った演出で楽しませてくれるので楽しみにしていたんだけど、期待以上の出来栄えで感動しました。“Meet Your New Self”と題した、普通の人が服によってエネルギーを得て、最終的には分裂までして(笑)外に飛び出して行っちゃうストーリーが3人分。タイダイ柄やパッチワーク柄などのパターンもいつにも増して際立っていて、セットで着たくなったよ。バスケットボールのパートも出て来たけど、元バスケ少年としも興奮したんじゃない(笑)?

美濃島:バスケのハンドリングパフォーマンスもバッチリで、最高にテンション上がっちゃいました(笑)。毎シーズン体の動きにフォーカスしたサーカスのような演出で魅了しますが、映像でもやってくれましたね。最初は暗かったモデルたちの表情がどんどん明るくなっていき、複数のルックがシンクロして踊るフィナーレは圧巻。エンドロールで世界中の「イッセイ」好きたちの日常を流す演出にもほっこりしました。ショーツをはいて軽やかに踊る姿がとても格好良かったので、展示会で絶対にチェックします。

大塚:そう、エンドロールで半泣きですよ。世界中のスタッフなのかな?いろいろな都市でプリーツを着た人たちが楽しそうに普通の日常を送るシーンがさ……(泣)。ああーよかった。クリエイティブディレクターの小林祐介さんが監修しているみたいですね。

19:00(パリ時間12:00) 「クール TM」

美濃島:お次は2019年にスタートしたフランスのブランド「クール TM(COOL TM)」。スタジオ撮影の様子をバックステージ込みで見せる映像なのですが、グリーンバックが異次元のように歪んだり、突如巨大化したモデルを登場させたりと意味不明な演出が多かったですね。何か仕掛けがあったのかな?

大塚:これ、VR仕様だったんだよね。スマホなら動かすだけで360度見渡せるんだけど、パソコンだと全然上手く操作できなくて、真っ黒な画面から動かなくなってめっちゃ焦った(笑)。まあ巻き戻せばいいじゃんという話なんだけど、「頑張ってリアルタイムで見てみました」だから頑張っちゃったよね。なんか今日はバリエーションが豊かだわ。

美濃島:あ、本当だ!スマホで見返してみたらわけわからない演出の周りでモデルたちが踊ったり、機材を撤収していたり、スタンディングオベーションを送ったりしてる!タイトルにもVRだと明記してあるのに、なんたる失態……。服はジャケットスタイルがベースですが、パンキッシュでボヘミアン、そしてちょっぴりダサめ。ガレージロックのBGMと相まって、90年代ティーン映画の衣装のようです。

大塚:え、気づいてなかったの(笑)?仕事感覚で見てる人はパソコンの場合も多そうだから、同じようなケースもありそうだけどね。

19:30(パリ時間12:30) 「ユニフォーム」

大塚:続く「ユニフォーム(UNIFORME)」もなんか意味深でムードあったねえ。服は本当にユニホームみたいな感じで、シンプルなものばかり。だからこそストーリーが際立つんだけど、ちょっと長かったかな。

美濃島:「ユニフォーム」はユーグ・フォシャール(Hugues Fauchard)とレミ・バツ(Remi Bats)が2017年に設立したブランドです。2人とも幼少期から制服が大好きだったようで、ブランド名の通りユニホームのようなコンフォートな服を提案しています。モデルたちが森で綱引きしたり水に入ったりする映像は少しスピリチュアルでしたが、服自体はワイドショーツに半袖シャツをタックイン、左胸には紋章のようなニットが垂れ下がっているなど、ボーイスカウトに着想したリアルクローズが多かった。デザイナー2人が今シーズンのインスピレーションや仕事に対する姿勢を語ったインタビュー音声も加えられていて、ラストの「深く考え込まず、服そのものの良さを感じ取ってほしい。無垢な子供のようにね」というメッセージが沁みました。

大塚:そろそろライブ配信「着点(きてん)」が始まるので、しばらく留守にします。「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」で帰ってくるのでよろしくー。

美濃島:今日は「着点」の配信日でしたね、行ってらっしゃい!大塚センパイがいないと少し心細いですが、ここは僕にお任せください。

20:30(パリ時間13:30) 「シーン ソン」

美濃島:ということで、続いての「シーン ソン(SEAN SUEN)」は僕一人でリポートします。上半身裸の男性がもがき苦しむというなかなかハードな絵から始まり、その男性が水面で癒され、最後は感情を爆発させてダンスを披露するというクセのあるムービーでした。背中を紐で留めるトップスやノースリーブシャツ、レザーのホットパンツなどフェミニンなアイテムが目につきましたが、まっすぐなラインが美しいジャケットや首の詰まったディテールなどストイックな要素もありバランスがよかったです。肩周りの縫製をほどいたようなしつらいからは農村的な土臭さも感じ、クリエイションの幅広さを実感。デザイナーのシーン・ソンは中国人で、2012年にブランドを立ち上げ、16年春夏シーズンからパリでコレクションで発表しています。日本での取り扱いはまだ無さそうですが、ぜひ実物を手にとってみたいです。そろそろ「ルイ・ヴィトン」の開始時間だけど、大塚センパイ帰ってくるかな?

21:30(パリ時間14:30) 「ルイ・ヴィトン」

美濃島:さあさあ、お待ちかねの「ルイ・ヴィトン」が始まりました。青い作業着とマスクを身をつけたスタッフが同ブランドの新作をアトリエから持ち出すシーンからスタート。新作をトラックに載せようとしたその瞬間、アニメーションで描かれたモンスターたちが登場!彼(?)らはそのままトラックを運転し、セーヌ川からは船に乗り換え、そのまま新作を着用して一斉に街へと飛び出していきます!その後、思い思いのやり方で遊びを満喫すると、最後はみんなでダンスし、そして夜空には花火が。“楽しいひと時を「ルイ・ヴィトン」とともに”ーーそんなメッセージを受け取りました。

大塚:ちょっと、昭和の紙芝居みたいな呼び込みやめてもらっていいですか(笑)。「着点」の後に会食に行っちゃってますが、店からでもリアルタイムでちゃんと見てるよ!アニメーションからエンドクレジットのフォントまで、かわいいところだらけ。ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)のポップカルチャー愛が溢れる4分弱だったね。

美濃島:会食中でしたか、失礼しました(笑)。ファッションが不要不急といわれがちな世の中ですが、大判のブロックチェックが目立つセットアップやブルーグリーンのグラデーションが綺麗なシャツなど、キャッチーでパワフルなアイテムが提案されていましたね。斬新な映像も相まって「やっぱりファッションは自由で面白いな」と再確認する内容でした。

大塚:服はほとんど出てこなったけど、コレクションはシーズンレスになっていくみたい。21年春夏でもリサイクル・アップサイクル素材や過去のアーカイブを再利用するなど、サステナブルを盛り込んだ内容になるんだって。かなり大胆な動きだけど、激務で体調を崩してスローダウンを決意したヴァージル自身の生き方とリンクしているから、共感するし応援したい。今回の映像でチラ見せしかしなかったコレクションは東京で8月以降に予定しているランウエイショーで披露されるんでしょう。楽しみすぎる。

22:30(パリ時間15:30) 「アンガス ジャン」

美濃島:さてお次は台湾発の「アンガス ジャン(ANGUS CHIANG)」。2017年に「LVMHプライズ(LVMH Young Fashion Designers Prize)」(LVMHが主催する若手ファッションクリエーターの育成・支援を目的としたファッションコンテスト)のセミファイナルに選出されたデザイナーですね。楽しみだな……ってあれ?スタートしないぞ?……動画準備が間に合わなかったのかな、スキップされたみたいです。手探りのデジタル・ファッション・ウイークっぽいですね。気を取り直して、次に進みましょう。

23:00(パリ時間16:00) 「ウンガロ」

美濃島:時刻は23:00。大塚センパイは会食から帰ってきませんが、どんどん行きますよ。「ウンガロ(UNGARO)」はブランド名をプリントしたレタードTシャツやミリタリージャケットなど、超カジュアルなアイテムでスタート。老舗とは思えない軽さだなと思いきや、モデルたちが音楽スタジオに入って演奏し始めると一変!クラシカルなジャケパンスタイルに切り替わりました。それでもジャケットの中は柄の解禁シャツやクルーネックトップスなどでラフさを保持していましたが、最後は全員タキシードに身を包み、がっつりフォーマルで終了!奇抜な演出はなく、服自体も見慣れたアイテムが多かったですが、みるみるテイストが変わっていく様はとても面白かったです。

23:30(パリ時間16:30) 「アミリ」

美濃島:LA発の「アミリ(AMIRI)」はインタビューベースのドキュメンタリー映像でした。同ブランドはラグジュアリーにLAのテイストを持ち込むため、海をモチーフにしたプリントなどでサーフを、ベルボトム風のシルエットなどでヒッピーカルチャーを落とし込むといったクリエイションが特徴。映像でもその背景が語られています。しかし、コレクションの全貌は全くわからず(笑)。ルックの発表を待ちたいと思います。

24:30(パリ時間17:30) 「ヨウジヤマモト」

美濃島:テッペンを超え、時刻は24:30。そろそろまぶたが重くなってきましたが、「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」は見逃せません。モデルがランウエイを歩く様子をメインとしつつ、所々に商品説明の画像を差し込んだ映像でした。

大塚:会食から戻りましたー!「ヨウジヤマモト」は滑り込みセーフ。美濃島さん、よく頑張ってくれました!でもめちゃくちゃ眠いよ。大丈夫かな。無観客ショーに近い演出で歩いて服のなびき方を見せて、時折静止画を交えて品番と素材の詳細を添える丁寧な動画だったね。音楽は、いつも通り本人の歌声。これ聞くだけで何だかいつものパリのランウエイショーを見ているみたい。動画の尺も含めて、臨場感ありました。モデルとして俳優の東出昌大さんも起用していましたね。

美濃島:大塚センパイ、おかえりなさい!東出さんは過去にもランウエイに登場していましたよね。今回もキマってました。今シーズンは“目”のモチーフが多く、ボタンやプリントなど要所に用いられていました。また、日本語によるメッセージも引き続き多用しており、人類初の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリン(Yurii Gagarin)の名言「地球は青かった」のほか、「攻めるならパンクか数理哲学、寄せるならリベラルアーツ」といった聞いたことはないものの力強いメッセージも。調べたところ、ブログ「千夜千冊」で知られる編集者、松岡正剛さんの言葉みたいです。個人的に親交が深いのかもしれませんね。ちなみにリアルタイムで700人以上が視聴し、チャットも盛り上がっていました(笑)

大塚:熱狂的なファンが多いブランドだから、こういう動画を同じ瞬間に共有できて、かつ反応も見られるのってデジタルしかできない体験だよなあ。「アディダス オリジナルス(ADIDAS ORIGINALS)」とのコラボも狙ってる人多そう。

25:00(パリ時間18:00) 「リック・オウエンス」

美濃島:お次の「リック・オウエンス(RICK OWENS)」はモデルのフィッティングの様子をそのままイメージムービーに採用。リックは言葉少なめなイメージを勝手に持っていましたが、積極的にモデルに話しかけていたのが意外でした(笑)。裏側を見せるという意味では、「エルメス(HERMES)」の提案にも近かったのかな?。パンツは定番のサルエルシルエット。そこに肩を極端に誇張したり、特異なパーツを付けたりしたジャケットをメインに合わせます。ストライプやチェックなどの柄もいくつか採用され、比較的取り入れやすいコレクションだと思いました。しばしばカラー映像に変化する演出をアクセントにしていましたが、淡々と着せるだけの映像で10分超えは正直きつかったです。

大塚:「リック・オウエンス」は勝手にすごいのが来ると想像していたから、淡々としていたのはちょっと驚いたかも。服もディテールこそ激しいのだけれど、ランウエイショーではないだけあっていつもよりはリアルに感じたかな。ただ、好きじゃないと10分見るのがしんどいのはわかる。7月10日の「着点(きてん)」でゲストに来てくれたフィルムディレクターのYUKARIさんが「掴みが大事」だと言っていたけど、同じ感想でした。ちなみにデザイナーがiPhoneでモデルを撮る時の姿勢が、僕が村上要「WWD JAPAN.com」編集長のコーデを撮影するときに似ていてシンパシーを感じました(笑)

26:00(パリ時間19:00) 「ドリス ヴァン ノッテン」

大塚:僕、今日は「ルイ・ヴィトン」と同じぐらい「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」も楽しみにしてたんですよ。もうすでに深夜2時すぎててめちゃくちゃ眠たいけどさ、「ドリス ヴァン ノッテン」のためなら起きてられるって。いよいよ始まったら、モデルも大好きなヨナス・グロール(Jonas Gloer)だし「キタキター!」と思った途端、ヨナスがエアドラムしてて一瞬固まったよね。でもここから何が始まるんだろうなーと思ったらそのまま終わっちゃった(涙)。

美濃島:まさかでしたよねwサイケデリックな映像を投影する演出に「お、格好よさそう!」と胸を高鳴らせたのもつかの間、エアドラムし続けるモデルを見せられ「これはなんだったんだ?」と放心状態になりました(笑)。音楽もパーカッションが不規則に鳴るだけ。爆音のロックやパンクのほうが相性がよかったのではないでしょうか。もちろんルックは1体のみで、イエローのダブルのジャケットにスケスケのインナー、ゴツメのネックレスという上半身の組み合わせしかわかりませんでした……(涙)。

大塚:サイケデリックな背景に映るモチーフとか、かすかに伝わる素材感は確かに「ドリス」っぽかったのだけどね。ヨナスの汗をぬぐう小芝居の方に気を取られました。

美濃島:でも、次は本日の大トリ「ボッター(BOTTER)」ですよ!気分を切り替えて臨みましょう!

27:30(パリ時間20:30) 「ボッター」

美濃島:「ボッター」はレイシズムに屈しない力強いステートメントを表明したあと、コレクションを披露しました。登場モデルはすべて黒人。でも、もっともらしさは感じず、彼らのメッセージとして心に響いたのは、静かで心地よい音楽とあえて素人っぽくした映像のおかげでしょう。

大塚:あぶなー!ギリギリ起きてました。自分たちの肉声で、ステートメントを発信することは本当に素晴らしいこと。ただ映像として見ると、ちょっと長いなと思ってしまったのも事実。コンディションが万全じゃない自分のせいでもあるんだけどさ(笑)。でも世界中の視聴者がいろいろな場所やタイミングで映像を見ることを考えると、別の伝え方もあったのかもなと。

美濃島:服は半袖シャツやタンクトップ軽やかなアイテムには鮮やかな花がプリントされ、生命の強さや未来への希望を感じました。

大塚:得意のDIY感が控えめで大人になったのかなーなんて思ったけれど、ルックで見るとめちゃくちゃありました。美濃島さんの言う通り、映像が心地よい音楽が流れる落ち着いたムードだったから、そういうテンションのルックを選んだのかもね。ただ、全体的にストリート色は大分落ち着いて、ドレスを強化したい意思は感じました。何か心境の変化があったのかな?実はパリにいる彼らに直前取材をしているので、楽しみにしておいてください!

美濃島:同ブランドを手掛けるルシェミー・ボッター(Rushemy Botter)とリジー・ヘレブラー(Lisi Herrebrugh)は19-20年秋冬シーズンから「ニナ リッチ(NINA RICCI)」のアーティスティック・ディレクターも務めているので、その影響もあるかもしれませんね。

大塚:ああーやっと寝られるよ。まだ2日目だけど、実際のコレクション取材よりある意味キツいかも(笑)でも発見も多いから、頑張る!

美濃島:初の「ドタバタ対談」、かなりキツかったですが(笑)、それ以上に楽しかったです!明日からも頑張っていきましょう!

The post デジタルメンズコレでドタバタ対談 2日目は「イッセイ」で半泣きし「ドリス」の“エアドラム”に困惑 appeared first on WWD JAPAN.com.

かわいい“革靴”には旅をさせよ~京都“プレ磨き”編~

 “プレ磨き”という言葉を聞いたことがあるだろうか――新品の革靴を購入後、履く前にオイルを入れて革のポテンシャルを最大限に引き出し、履き心地をよくするステップのことだ。靴磨き職人やその周辺ビジネスを多く取材しているため、個人的には“当たり前”のことだったのだが、あらためてシューズメーカーに聞いてみても案外知らない人が多いことに驚いた。前述のような効果があり、高級紳士靴を買った際にはなるべく実践しているし、人にも勧めている。

 東京都で過去最多の新型コロナウイルス感染者が報告されたり、国と都の要請にかい離があったりして世の中の混乱は続いており、「WWDジャパン」を発行するINFASパブリケーションズもリモートワークを継続している。つまり、おニューの革靴を買ったとしても履いていく“場”がないのだ。とはいえ、僕をはじめとする革靴好きの衝動は抑えることはできず、また当社も8月の“通常運転”化に向けて週1~2日程度の出勤を実験的に再開するとあって、さらには10万円の特別定額給付金も入るとのことで、半ば強引に心のストッパーを外した。

 購入したのは、1879年創業の英国ブランド「クロケットアンドジョーンズ(CROCKETT & JONES)」のセミブローグモデル“コベントリー(COVENTRY)”(7万9000円)だ。パーフォーレーション(穴飾り)が特徴でカジュアル(ある意味、華やか)な印象のブローグ靴にはこれまで不思議と縁がなく、入門編として装飾が控えめなセミブローグを選択した。「クロケットアンドジョーンズ」というと日本では、チャッカーブーツの“チャートシー(CHERTSEY)”やタッセルローファーの“キャベンディッシュ(CAVENDISH)”が有名だが、正規代理店を務めるグリフィンインターナショナルの香取宗一郎・営業担当に「ジャケットを主役にしたきれいめスタイルはもちろん、夏にはホワイトジーンズにもマッチしますよ」と背中を押されて決めた。

 「クロケットアンドジョーンズ」は、靴の聖地である英国ノーザンプトンを代表するシューズメーカーで、僕も数年前にロンドンから約1時間電車に揺られて訪問したことがある。アポなしで訪れたら欧州はちょうどバケーションシーズンで、訪ねた工場には誰もおらず、結果としてほぼ何も取材できなかったというのは、今となっては笑い話だ(!?)。そんな中でも、「クロケットアンドジョーンズ」ではたまたま居合わせたスタッフが工場内を簡単に案内してくれて、本場の靴作りの端っこに触れることができた。数年の時を経て、あの工場で作られた靴が僕の足元にあるというのは、やはり感慨深い。

 さて、プレ磨きの話に戻ろう。ここまでくると、なかなかに変態的であることは自覚しつつ告白するのだが、“誰に磨いてもらうか?”も重要だ。さまざまな候補が浮かんだ中で、今回依頼したのは靴磨き職人の寺島直希さん(26)。三越銀座店が2019年に行った「靴磨き選手権大会」でチャンピオンに輝き、東京・渋谷の靴磨き店「ザ ウェイ シングス ゴー(THE WAY THINGS GO)×ユニオンワークス(UNION WORKS)」でストアマネジャーを務めたのちに独立し、地元京都でこの春の起業を目指していた。しかし、ここにも新型コロナの影が差し、開店は保留状態。そんな寺島さんが郵送による靴磨きサービスをスタートさせたと聞いて、応援の意味も込めてお願いした。

 靴磨きは全体を控えめ(上品)に光らせるやり方が主流となりつつあるが、白黒はっきりさせたい僕は「目いっぱいメリハリをつけて」と依頼した。果たして、完成したのがこちらだ。

 寺島さんは次のように説明する。「新品の革靴も出荷時に磨かれてはいるんです。ただ時間が経過しており、そもそも出荷時の磨きは栄養を与えるというより、美しい見た目を重視したものであることが多い。今回お預かりした“コベントリー”も、光沢はあるものの乾燥していました。そこでまずは“スッピン”にしてから、柔らかさを出して足なじみをよくするためのアプローチを行いました。具体的にはアッパーに表と裏からオイルを入れています。これはプレ磨きならではのステップと言えます」。寺島さんらがSNSで発信していることもあって、プレ磨きの認知は徐々に上がってきている。しかし、それでも革靴購入者のわずか数パーセントが行うのみだ。「今のような梅雨の時季には、なおさら事前の対策をしてほしいです」と言い、「ソールを何度も替えて、自分の足形に“育てる”グッドイヤーウェルト製法の靴の場合、出荷時の完成度は90%程度。それを100%に近づけるアシストをするのがプレ磨きであり、われわれ靴磨き職人なんです」と続けた。

 寺島さんの“リモート磨き”の料金は3000円~。SNSのDMで個別に交渉してから、元払いで靴を発送。寺島さんが診断の上、あらためてDMでプランを決定する。復路の送料を含めた料金を振り込み、もしくはクレジット払いすれば発注完了となる。納期は1週間ほど。現在は週に10足ほどを受け付けており、「予想以上の反響」だという。専門の職人と連携してリペアや、靴以外にバッグや財布など革製品のメンテナンスも行っている。京都市内の客には集配もする。肝心の靴磨き店のオープンは「年内を目指す」という。

 こうした状況下で京都に顔を見せに行くことはできないが、「かわいい子には旅をさせよ」よろしく、せめて愛靴にだけ古都の空気を吸わせた格好だ。「よい靴はよい場所へ連れていってくれる」とは欧州のことわざだが、ひと皮むけた“コベントリー”がアフターコロナで僕を素敵な場所に連れて行ってくれることを期待する。ちなみに特別定額給付金は1円も僕の財布には入らず娘の学業に使われると、本稿執筆中に妻から通告があった……。

The post かわいい“革靴”には旅をさせよ~京都“プレ磨き”編~ appeared first on WWD JAPAN.com.

インフルエンサー名鑑Vol.1 自分をさらけ出すモデル兼YouTuber「あみしぃ」に71の質問ノック

 インスタグラムを筆頭とするSNSの普及で、「憧れの人」「なりたい人」が細分化している。今は、誰もが、それぞれの「なりたい人」を持っている時代。ならば、そんな身の回りの人を改めて知るべきではないか?そこで「WWD JAPAN.com」は、インフルエンサーをはじめとするソーシャルリレーション マーケティング事業を手がけるリデルの協力を得て、身近な新世代インフルエンサー名鑑を作成する。

 今回は、モデルでYouTuberの石井亜美こと「あみしぃ」。なかなか売れなかった新人モデル時代、その頃苦しんだ過食体験なども臆さず語る「あみしぃ」にはインスタグラムのフォロワーから、ポジティブマインドをキープする秘訣など、生き方に関するアドバイスを求める質問が相次いだ。全71の質問と回答を一挙に公開する(2020年7月13日号の「WWDジャパン」には、彼女にSNS運用などを聞いたインタビュー記事を掲載します)。

モデルとYouTuberとしての仕事

Q.1:なぜモデルになりたいと思ったのですか?

石井亜美(以下、あみしぃ):ファッション誌を初めて見た小学生の時、「私も可愛いお洋服を着て、メイクして、こんな風に雑誌に出たい!」と思ってからの夢です。モデル以外の選択肢を考えたことがありません。

Q.2:モデルをしていなければ、どんな仕事をしたいですか?

あみしぃ:形は違えど、表現するお仕事はしていたい!

Q.3:モデルの下積み時代、どんな気持ち、生活だったか知りたいです。

あみしぃ:バイト2つ掛け持ち、毎日バイト三昧!苦しさもあったけれど、夢があるから頑張れたかなぁ?

Q.4:モデル人生で挫折したことはありますか?

あみしぃ:むしろ今まで挫折しかなく、今やっと少し這い上がってきただけです(笑)。

Q.5:YouTuberになろうと思ったきっかけを教えてください!

あみしぃ:元々ブログで発信することが大好きだったので、自然に文章から動画に移行しました!

Q.6:YouTubeで成功した秘訣が知りたいです。

あみしぃ:視聴者さんが私に何を求めているか、日々考えています。

Q.7:仕事の日の1日のスケジュールが知りたい!

あみしぃ:最近だと朝撮影に行って、お昼には終わって、家に帰ってからYouTubeを撮って、夜まで編集していました。

Q.8:お皿がどれもすごくオシャレなのですが、どこで買っていますか?

あみしぃ:波佐見焼の「永峰(EIHO)」が好きです。あとは築地のうりきり屋さん。

Q.9:小さい頃のあだ名はなんですか?

あみしぃ:あだ名のない人生だったので、自分で「あみしぃ」って付けました(笑)。

ポジティブシンキングの秘密

Q.10:あみしぃを語る上で欠かせないもの三つ。

あみしぃ:ポジティブ、信念、継続。

Q.11:ポジティブなのは、いつからですか?ポジティブでいられるようになったきっかけを知りたいです。

あみしぃ:小学3年生でクラシックバレエを習い始めてから。自分の好きなこと、夢中になれるものを見つけられたからなのかな。

Q.12:モチベーションのあげ方を知りたいです。

あみしぃ:服とコスメが好きなので、それに似合う自分になりたい!と日々思うこと!!

Q.13:暮らしのモチベーション、整った生活を続けられるコツは?

あみしぃ:整った生活を、自分のベーシックにする。

Q.14:引き寄せの法則をどのようにして習慣化させるか?詳しくお願いします。

あみしぃ:自分の思考は必ず実現する、という前提で毎日生きています。

Q.15:モデルをやったりYouTuberをしたりと行動力があって尊敬します!行動力の源はなんですか?

あみしぃ:「自分の夢を叶えたい!!」という、心の底から湧き上がる熱量。

Q.16:決断を迫られた時、あみしぃなら挑戦する方と確実な方、どちらを選びますか?

あみしぃ:挑戦する方を選んで、確実な準備をする(笑)!

Q.17:どんな時でも折れない心を作る方法を教えてください!

あみしぃ:「起こることすべてに意味がある」と思っているので、一見ネガティブなことがあっても、そこから気づけたことに感謝して、前に進む!

Q.18:毎日何を楽しみに生きていますか?

あみしぃ:「今日1日を自分でどうデザインしよう?」というワクワク感!

Q.19:あみしぃさんの座右の銘、ポリシーを知りたいです。

あみしぃ:座右の銘は映画「RENT」の”No Day, But Today”です。「今」を大事に生きること!

Q.20:いろんな情報がある中で自分らしさを見失わず追求する方法は?

あみしぃ:直感的に好き、ワクワクすることを選びます!

Q.21:憧れる女性像ってなんですか?

あみしぃ:精神が自立している女性。

Q.22:例えば誰かの相談に乗る時、気を付けていることはありますか?

あみしぃ:その人のことを思って、はっきり意見を言うこと!

Q.23:お金の使い方でマイルールはありますか?

あみしぃ:その体験をすることによって感性が磨かれるものには惜しまず出します。

Q.24:怒ることってありますか?怒った時は、何をして自分を落ち着かせますか?

あみしぃ:滅多にないけれど、そんな時はロックを大音量で聴く!

Q.25:一番大切にしている時間は?

あみしぃ:どんなに忙しくても瞑想する時間は作るようにしています!

Q.26:日常の小さな幸せは、どんなことですか?

あみしぃ:毎日空が綺麗なこと!

Q.27:溢れ出るハッピーオーラの秘訣が知りたいです!

あみしぃ:多分、私は笑うことがクセなんだと思います(笑)!!

Q.28:気分が落ち込むことはありますか?そんな時はどうしますか?

あみしぃ:ありますが、自分を奮い立たせてくれる音楽を聞けば5秒で立ち直ります!

Q.29:落ち込んだ時のリフレッシュ方法やストレス発散法!

あみしぃ:散歩、ヨガ、好きな音楽を聞いて躍り狂う(笑)。

Q.30:カラオケの十八番は?

あみしぃ:中森明菜さんのDESIRE。

Q.31:占いは気になるタイプですか?

あみしぃ:はい!目に見えるものより、目に見えない感覚の方を信じているので。

Q.32:長いステイホーム生活で思考や習慣の変化はありましたか?

あみしぃ:予定や仕事を詰め込みすぎず、生活に隙間を作ることを意識をするようになりました!

Q.33:好きな言葉はなんですか?

あみしぃ:気がつくとフランス語で「愛」「愛してる」って書いてあるTシャツばっかり買ってしまうので、愛なのかなぁ(笑)?

Q.34:小さい頃はどんな子どもでしたか?

あみしぃ:小学校の6年間は通信簿にほぼ毎回「明朗快活」って書かれていました。今よりはシャイでした。

Q.35:チャームポイントはなんですか?

あみしぃ:低くて野太い声(笑)。

Q.36:これだけは絶対曲げません!曲げられませんってことは何ですか?

あみしぃ:自分の「美しい」の価値観から逸れることはしない。立ち居振る舞いや言葉遣い、食事など。

ダイエットのお話

Q.37ダイエットを頑張っているのに体重が減らない時、気持ちをどう切り替えますか?

あみしぃ:そもそも見た目で体型を測っているので、体重で一喜一憂はしないかも。

Q.38:今まで作ってきたヘルシーフードの中で一番好きなもの!

あみしぃ:今はフムスにハマってます!!

Q.39:お母さんのご飯で一番好きなものは?

あみしぃ:学校は給食ではなくお弁当でした。その時の、のり弁(笑)!

Q.40:高校生時代の食生活!

あみしぃ:学校帰りに毎日「マック」に行っていたくらい、今思えばハチャメチャ(笑)!

Q.41:プロテインとか飲みますか?

あみしぃ:今は全く飲んでいません!どれを飲んだらいいのか、わからない……(笑)。

Q.42:「アイハーブ(iHerb.編集部注:世界150カ国以上で利用できる、自然・オーガニックの視点でセレクトしたサプリメントやコスメ、食品、日用雑貨などを取り扱うECサイト)」で一番リピ買いしているのは?

あみしぃ:「ボブズレッドミル(BOB’S RED MILL) のグルテンフリーグラノーラ!

Q.43:グルテンフリーの一週間の生活が知りたいです!

あみしぃ:週に2回くらいは、普通に小麦粉製品を食べています!!たまのご褒美だからこそ、幸せ!

Q.44:ゆるグルテンフリーをされていますが、ランチで外食される時は何を食べますか?

あみしぃ:一人の時はおにぎり屋さんか定食屋さんを探す!友人と一緒の時は気にしません!

Q.45:「体型維持のため、これだけは気を付けている」ものってありますか?

あみしぃ:甘いジュースだけは飲まない。

Q.46:ヴィーガンに興味はないんですか?

あみしぃ:元々プラントベースの食事が好きなので、日頃も意識して選んでいます!

Q.47:ダイエット期間中、筋トレは1日どれくらいしていましたか?

あみしぃ:筋トレは得意じゃないので、1日5分もしていません!ほぐす、伸ばす派です!

Q.48:いつもアミさんのストレッチ動画を見ています。継続するコツはありますか?

あみしぃ:楽しめる範囲までしか毎日頑張らない!

Q.49:ストレッチをサボってしまうことってありますか?

あみしぃ:ないです!しないと気持ちが悪いくらいの日課です。

Q.50:あみしぃの趣味が知りたいです。

あみしぃ:バレエ、日本舞踊、旅行、ライブ、フェス、舞台鑑賞。

ファッション&ビューティのこだわり

Q.51:服が選ぶ基準が知りたいです!

あみしぃ:一目惚れで買うことが多いです。抑えきれないトキメキを感じたら(笑)。

Q.52:服の配色の決め方が知りたいです。

あみしぃ:服のトーンを合わせてまとまりを意識!

Q.53:ネットで服を買うときに気をつけていることは?

あみしぃ:自分のスリーサイズと服のサイズを念入りにチェック!

Q.54:プチプラコスメを選ぶ時の基準を教えてください!

あみしぃ:色味が自分に似合うかどうか!

Q.55:お洋服やメイクは、パーソナルカラーを意識していますか?それとも好きなカラーで選んでいますか?

あみしぃ:完全に意識した上で、好きなカラーを選びます。

Q.56:自分の体の中で一番好きなところは?

あみしぃ:ひざ下の筋肉の付き方(笑)。

Q.57:おすすめの美容グッズありますか?

あみしぃ:持ち歩けるエッセンシャルオイルを垂らすストーン。

Q.58:好きな匂いは?

あみしぃ:ハーブがベースのナチュラルな精油の香り!あとは「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」の香水が大好き!

Q.59:マスク焼け対策は、どんなことをしていますか?

あみしぃ:「江原道」の日焼け止めを愛用しています。

Q.60:美容や食の最先端の情報はどう得ていますか?

あみしぃ:美意識が高い友達との何気ないおしゃべりから得ることが多いかも!

Q.61:どれだけ疲れていても絶対に欠かさないことはありますか?

あみしぃ:ストレッチ、マッサージ、瞑想。

Q.62:生理で気分が落ち込んでいる時の対処法は?

あみしぃ:好きなアーティストのライブ映像を隅から隅まで見る!

Q.63:あみさんにとって、バレエをする利点を教えてください!

あみしぃ:「美」を追求する芸術なので、美的感覚が養われること。

将来の話を語る

Q.64:「これから勉強してみたい!」って思うことはありますか?

あみしぃ:環境問題でしょうか?

Q.65:これから挑戦してみたい事は?

あみしぃ:妹と一緒に海外で洋服を買い付けて販売している「ミリアム ヴィンテージ(MIRIAM VINTAGE)」のオリジナルラインを作る!

Q.66:10年後どうなっていたい?

あみしぃ:未来の旦那さんと子どもとハワイを歩いていたい(笑)。

Q.67:1年以内にチャレンジしたいことはありますか?

あみしぃ:本を出す!

Q.68:あみしぃの目標や今後のプランを聞いてみたいです!

あみしぃ:まずは本を出し、ブランドを作ることですね!その夢を叶えたら、また次のプランを考えます。

Q.69:社会問題も取り上げて話される姿勢が大好きです!いつもどこで学んでらっしゃいますか?

あみしぃ:海外にいる友達から学ぶことが多く、それをきっかけに本を読むことが多いです。

Q.70:タイムマシンがあったら、いつに行ってみたいですか?過去?未来?

あみしぃ:未来の自分の結婚式。バージンロードを歩いている姿を牧師さん目線で見たい(笑)。

Q.71:どんな風に歳を取るのが理想ですか?人生プランもあれば教えてください。

あみしぃ:人生を楽しんでいる、かっこいいおばあちゃんになりたい!

The post インフルエンサー名鑑Vol.1 自分をさらけ出すモデル兼YouTuber「あみしぃ」に71の質問ノック appeared first on WWD JAPAN.com.

インフルエンサー名鑑Vol.1 自分をさらけ出すモデル兼YouTuber「あみしぃ」に71の質問ノック

 インスタグラムを筆頭とするSNSの普及で、「憧れの人」「なりたい人」が細分化している。今は、誰もが、それぞれの「なりたい人」を持っている時代。ならば、そんな身の回りの人を改めて知るべきではないか?そこで「WWD JAPAN.com」は、インフルエンサーをはじめとするソーシャルリレーション マーケティング事業を手がけるリデルの協力を得て、身近な新世代インフルエンサー名鑑を作成する。

 今回は、モデルでYouTuberの石井亜美こと「あみしぃ」。なかなか売れなかった新人モデル時代、その頃苦しんだ過食体験なども臆さず語る「あみしぃ」にはインスタグラムのフォロワーから、ポジティブマインドをキープする秘訣など、生き方に関するアドバイスを求める質問が相次いだ。全71の質問と回答を一挙に公開する(2020年7月13日号の「WWDジャパン」には、彼女にSNS運用などを聞いたインタビュー記事を掲載します)。

モデルとYouTuberとしての仕事

Q.1:なぜモデルになりたいと思ったのですか?

石井亜美(以下、あみしぃ):ファッション誌を初めて見た小学生の時、「私も可愛いお洋服を着て、メイクして、こんな風に雑誌に出たい!」と思ってからの夢です。モデル以外の選択肢を考えたことがありません。

Q.2:モデルをしていなければ、どんな仕事をしたいですか?

あみしぃ:形は違えど、表現するお仕事はしていたい!

Q.3:モデルの下積み時代、どんな気持ち、生活だったか知りたいです。

あみしぃ:バイト2つ掛け持ち、毎日バイト三昧!苦しさもあったけれど、夢があるから頑張れたかなぁ?

Q.4:モデル人生で挫折したことはありますか?

あみしぃ:むしろ今まで挫折しかなく、今やっと少し這い上がってきただけです(笑)。

Q.5:YouTuberになろうと思ったきっかけを教えてください!

あみしぃ:元々ブログで発信することが大好きだったので、自然に文章から動画に移行しました!

Q.6:YouTubeで成功した秘訣が知りたいです。

あみしぃ:視聴者さんが私に何を求めているか、日々考えています。

Q.7:仕事の日の1日のスケジュールが知りたい!

あみしぃ:最近だと朝撮影に行って、お昼には終わって、家に帰ってからYouTubeを撮って、夜まで編集していました。

Q.8:お皿がどれもすごくオシャレなのですが、どこで買っていますか?

あみしぃ:波佐見焼の「永峰(EIHO)」が好きです。あとは築地のうりきり屋さん。

Q.9:小さい頃のあだ名はなんですか?

あみしぃ:あだ名のない人生だったので、自分で「あみしぃ」って付けました(笑)。

ポジティブシンキングの秘密

Q.10:あみしぃを語る上で欠かせないもの三つ。

あみしぃ:ポジティブ、信念、継続。

Q.11:ポジティブなのは、いつからですか?ポジティブでいられるようになったきっかけを知りたいです。

あみしぃ:小学3年生でクラシックバレエを習い始めてから。自分の好きなこと、夢中になれるものを見つけられたからなのかな。

Q.12:モチベーションのあげ方を知りたいです。

あみしぃ:服とコスメが好きなので、それに似合う自分になりたい!と日々思うこと!!

Q.13:暮らしのモチベーション、整った生活を続けられるコツは?

あみしぃ:整った生活を、自分のベーシックにする。

Q.14:引き寄せの法則をどのようにして習慣化させるか?詳しくお願いします。

あみしぃ:自分の思考は必ず実現する、という前提で毎日生きています。

Q.15:モデルをやったりYouTuberをしたりと行動力があって尊敬します!行動力の源はなんですか?

あみしぃ:「自分の夢を叶えたい!!」という、心の底から湧き上がる熱量。

Q.16:決断を迫られた時、あみしぃなら挑戦する方と確実な方、どちらを選びますか?

あみしぃ:挑戦する方を選んで、確実な準備をする(笑)!

Q.17:どんな時でも折れない心を作る方法を教えてください!

あみしぃ:「起こることすべてに意味がある」と思っているので、一見ネガティブなことがあっても、そこから気づけたことに感謝して、前に進む!

Q.18:毎日何を楽しみに生きていますか?

あみしぃ:「今日1日を自分でどうデザインしよう?」というワクワク感!

Q.19:あみしぃさんの座右の銘、ポリシーを知りたいです。

あみしぃ:座右の銘は映画「RENT」の”No Day, But Today”です。「今」を大事に生きること!

Q.20:いろんな情報がある中で自分らしさを見失わず追求する方法は?

あみしぃ:直感的に好き、ワクワクすることを選びます!

Q.21:憧れる女性像ってなんですか?

あみしぃ:精神が自立している女性。

Q.22:例えば誰かの相談に乗る時、気を付けていることはありますか?

あみしぃ:その人のことを思って、はっきり意見を言うこと!

Q.23:お金の使い方でマイルールはありますか?

あみしぃ:その体験をすることによって感性が磨かれるものには惜しまず出します。

Q.24:怒ることってありますか?怒った時は、何をして自分を落ち着かせますか?

あみしぃ:滅多にないけれど、そんな時はロックを大音量で聴く!

Q.25:一番大切にしている時間は?

あみしぃ:どんなに忙しくても瞑想する時間は作るようにしています!

Q.26:日常の小さな幸せは、どんなことですか?

あみしぃ:毎日空が綺麗なこと!

Q.27:溢れ出るハッピーオーラの秘訣が知りたいです!

あみしぃ:多分、私は笑うことがクセなんだと思います(笑)!!

Q.28:気分が落ち込むことはありますか?そんな時はどうしますか?

あみしぃ:ありますが、自分を奮い立たせてくれる音楽を聞けば5秒で立ち直ります!

Q.29:落ち込んだ時のリフレッシュ方法やストレス発散法!

あみしぃ:散歩、ヨガ、好きな音楽を聞いて躍り狂う(笑)。

Q.30:カラオケの十八番は?

あみしぃ:中森明菜さんのDESIRE。

Q.31:占いは気になるタイプですか?

あみしぃ:はい!目に見えるものより、目に見えない感覚の方を信じているので。

Q.32:長いステイホーム生活で思考や習慣の変化はありましたか?

あみしぃ:予定や仕事を詰め込みすぎず、生活に隙間を作ることを意識をするようになりました!

Q.33:好きな言葉はなんですか?

あみしぃ:気がつくとフランス語で「愛」「愛してる」って書いてあるTシャツばっかり買ってしまうので、愛なのかなぁ(笑)?

Q.34:小さい頃はどんな子どもでしたか?

あみしぃ:小学校の6年間は通信簿にほぼ毎回「明朗快活」って書かれていました。今よりはシャイでした。

Q.35:チャームポイントはなんですか?

あみしぃ:低くて野太い声(笑)。

Q.36:これだけは絶対曲げません!曲げられませんってことは何ですか?

あみしぃ:自分の「美しい」の価値観から逸れることはしない。立ち居振る舞いや言葉遣い、食事など。

ダイエットのお話

Q.37ダイエットを頑張っているのに体重が減らない時、気持ちをどう切り替えますか?

あみしぃ:そもそも見た目で体型を測っているので、体重で一喜一憂はしないかも。

Q.38:今まで作ってきたヘルシーフードの中で一番好きなもの!

あみしぃ:今はフムスにハマってます!!

Q.39:お母さんのご飯で一番好きなものは?

あみしぃ:学校は給食ではなくお弁当でした。その時の、のり弁(笑)!

Q.40:高校生時代の食生活!

あみしぃ:学校帰りに毎日「マック」に行っていたくらい、今思えばハチャメチャ(笑)!

Q.41:プロテインとか飲みますか?

あみしぃ:今は全く飲んでいません!どれを飲んだらいいのか、わからない……(笑)。

Q.42:「アイハーブ(iHerb.編集部注:世界150カ国以上で利用できる、自然・オーガニックの視点でセレクトしたサプリメントやコスメ、食品、日用雑貨などを取り扱うECサイト)」で一番リピ買いしているのは?

あみしぃ:「ボブズレッドミル(BOB’S RED MILL) のグルテンフリーグラノーラ!

Q.43:グルテンフリーの一週間の生活が知りたいです!

あみしぃ:週に2回くらいは、普通に小麦粉製品を食べています!!たまのご褒美だからこそ、幸せ!

Q.44:ゆるグルテンフリーをされていますが、ランチで外食される時は何を食べますか?

あみしぃ:一人の時はおにぎり屋さんか定食屋さんを探す!友人と一緒の時は気にしません!

Q.45:「体型維持のため、これだけは気を付けている」ものってありますか?

あみしぃ:甘いジュースだけは飲まない。

Q.46:ヴィーガンに興味はないんですか?

あみしぃ:元々プラントベースの食事が好きなので、日頃も意識して選んでいます!

Q.47:ダイエット期間中、筋トレは1日どれくらいしていましたか?

あみしぃ:筋トレは得意じゃないので、1日5分もしていません!ほぐす、伸ばす派です!

Q.48:いつもアミさんのストレッチ動画を見ています。継続するコツはありますか?

あみしぃ:楽しめる範囲までしか毎日頑張らない!

Q.49:ストレッチをサボってしまうことってありますか?

あみしぃ:ないです!しないと気持ちが悪いくらいの日課です。

Q.50:あみしぃの趣味が知りたいです。

あみしぃ:バレエ、日本舞踊、旅行、ライブ、フェス、舞台鑑賞。

ファッション&ビューティのこだわり

Q.51:服が選ぶ基準が知りたいです!

あみしぃ:一目惚れで買うことが多いです。抑えきれないトキメキを感じたら(笑)。

Q.52:服の配色の決め方が知りたいです。

あみしぃ:服のトーンを合わせてまとまりを意識!

Q.53:ネットで服を買うときに気をつけていることは?

あみしぃ:自分のスリーサイズと服のサイズを念入りにチェック!

Q.54:プチプラコスメを選ぶ時の基準を教えてください!

あみしぃ:色味が自分に似合うかどうか!

Q.55:お洋服やメイクは、パーソナルカラーを意識していますか?それとも好きなカラーで選んでいますか?

あみしぃ:完全に意識した上で、好きなカラーを選びます。

Q.56:自分の体の中で一番好きなところは?

あみしぃ:ひざ下の筋肉の付き方(笑)。

Q.57:おすすめの美容グッズありますか?

あみしぃ:持ち歩けるエッセンシャルオイルを垂らすストーン。

Q.58:好きな匂いは?

あみしぃ:ハーブがベースのナチュラルな精油の香り!あとは「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」の香水が大好き!

Q.59:マスク焼け対策は、どんなことをしていますか?

あみしぃ:「江原道」の日焼け止めを愛用しています。

Q.60:美容や食の最先端の情報はどう得ていますか?

あみしぃ:美意識が高い友達との何気ないおしゃべりから得ることが多いかも!

Q.61:どれだけ疲れていても絶対に欠かさないことはありますか?

あみしぃ:ストレッチ、マッサージ、瞑想。

Q.62:生理で気分が落ち込んでいる時の対処法は?

あみしぃ:好きなアーティストのライブ映像を隅から隅まで見る!

Q.63:あみさんにとって、バレエをする利点を教えてください!

あみしぃ:「美」を追求する芸術なので、美的感覚が養われること。

将来の話を語る

Q.64:「これから勉強してみたい!」って思うことはありますか?

あみしぃ:環境問題でしょうか?

Q.65:これから挑戦してみたい事は?

あみしぃ:妹と一緒に海外で洋服を買い付けて販売している「ミリアム ヴィンテージ(MIRIAM VINTAGE)」のオリジナルラインを作る!

Q.66:10年後どうなっていたい?

あみしぃ:未来の旦那さんと子どもとハワイを歩いていたい(笑)。

Q.67:1年以内にチャレンジしたいことはありますか?

あみしぃ:本を出す!

Q.68:あみしぃの目標や今後のプランを聞いてみたいです!

あみしぃ:まずは本を出し、ブランドを作ることですね!その夢を叶えたら、また次のプランを考えます。

Q.69:社会問題も取り上げて話される姿勢が大好きです!いつもどこで学んでらっしゃいますか?

あみしぃ:海外にいる友達から学ぶことが多く、それをきっかけに本を読むことが多いです。

Q.70:タイムマシンがあったら、いつに行ってみたいですか?過去?未来?

あみしぃ:未来の自分の結婚式。バージンロードを歩いている姿を牧師さん目線で見たい(笑)。

Q.71:どんな風に歳を取るのが理想ですか?人生プランもあれば教えてください。

あみしぃ:人生を楽しんでいる、かっこいいおばあちゃんになりたい!

The post インフルエンサー名鑑Vol.1 自分をさらけ出すモデル兼YouTuber「あみしぃ」に71の質問ノック appeared first on WWD JAPAN.com.

私はデジタル・コレクションに興奮するのかしら? エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月12日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

私はデジタル・コレクションに興奮するのかしら?

 本日6月12日から3日間、ロンドン・ファッション・ウイークがオンラインで開催されます。オンラインですが、スケジュールがきっちり組まれ、ブランドやショップが10分刻みで次々と発表する予定です。詳細は1本目のリンクからどうぞ。

 7月6日からはパリ・オートクチュールもオンライン上で発表されるとのこと。時差があるのでオンタイムにとはいきませんが、見る気は満々です。特にオートクチュールは自分も担当するので、頑張って夜中にオンタイムでライブ配信を見ようかな〜、朝5時だったら寝ちゃってアーカイブを視聴となるかな……と思案中です。

 心構えとして決めていることは、先入観を持たずに見て自分自身が興奮するかどうかを素直に受け止めよう、ということです。20年近くリアルのショーを取材してきたので、デジタル・コレクションを見た後には過去の経験と比較したくなったり、逆に新しいこと故、「分からなきゃ」と必要以上に肩に力を入れてみたり(我ながら真面目)するかもしれません。でもそれはせず、あれこれ語る前に、自分の脳の(?)反応を記憶し、記録しようと思うのです。こんな瞬間に立ち会える機会はそうそうないですから!

 “興奮”を別の言葉で置き換えると、“あ〜素敵!起きていてよかった!”でしょうか。アドレナリンが出て目がさえたり、逆に非常に穏やかな気持ちになって眠たくなったりもしてみたい(笑)。でも、もし興奮しなかったら…そのこともまた素直に受け止めたい。

 ライブ配信は社内の色々な世代がチェックをする予定です。自分の脳は全く反応しなかったのに、若い世代が興奮していたら落ち込むかもしれないけど、そんな結果が出てくることもどこか期待しています。つまりデジタル・コレクションに大いに期待しています。

 とか言って、まずは寝ずに起きていること。そのためには夜のアルコールを控えなければ…。それは寂しいけれど!!

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post 私はデジタル・コレクションに興奮するのかしら? エディターズレターバックナンバー appeared first on WWD JAPAN.com.

藤原ヒロシが考える、フリマアプリとインターネット

 コロナ禍でさまざまなインターネットサービスが注目を集めている。フリマアプリの「メルカリ(mercari)」も例外ではない。そんな同サービスで5月末、藤原ヒロシが「アンダーカバー(UNDERCOVER)」のアイテムを購入したと自身のインスタグラムに投稿。その後実名のアカウントを作り、アイテムをいくつか出品したことが話題となっている。この一連の行動には、藤原のフリマアプリに対する独特の考えが背景にあるようだ。彼はフリマアプリ、ひいてはコロナ禍で起きたデジタル化の波についてどのように考えているのか。

WWD:「メルカリ」でモノを売ろうと考えた理由は?

藤原ヒロシ(以下、藤原):「メルカリ」の人と「『メルカリ』とはどういうモノか」について話をして、面白そうだなと思って。まずは“「メルカリ」でモノを売る”という行為そのものや、出品のシステムを知りたくて、いくつか出品してみました。

WWD:具体的にはどういった点が面白いと思ったのか?

藤原:モノを売るというよりも“物々交換”に近い感覚だな、と個人的に思ったんですよね。今って現物としてのお金が見えづらい世の中なんじゃないかなと感じていて。僕は現金を使うとしたら駐車料金くらいで、あとは基本的に電子決済なり、Suicaなりで支払っている。でも、モノには必ず価格がある。もちろん「メルカリ」でも価格があるわけだけど、売ったお金はアプリ内に貯まっていく。その貯まったお金で「メルカリ」内で欲しいモノがあれば買う。そういった部分が交換に近くて、すごくプリミティブな行為だし、久々に聞いたアナーキーっぽい話で面白いな、と。

WWD:実際に物々交換をしたことはあるか?

藤原:ありますね。若い頃ですが、ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)やマルコム・マクラーレン(Malcolm McLaren)のパンクな服が好きで、ロンドンに行く際に日本で「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」や「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」の服をセールで買って持っていき、交換してもらいました。当時のロンドンでは「ヨウジ」や「ギャルソン」が人気で、けっこう交換しましたね。

WWD:藤原さんの周囲の人たちで、フリマアプリを“交換”のような感覚で使っている人はいるか?

藤原:使っている人自体はいるし、話題に上ることもあるけど、“交換”という感覚がある人はそこまで多くないかもしれないです。やっぱり安く買いたい、高く売りたいという感覚の方が強いと思いますね。

WWD:自身が「メルカリ」で出品したアイテムには、何か思い入れなどはある?

藤原:特にないです。単に要らないモノや、いくつか持っているモノを出しただけなので、そんなに特別なことではないです。今後も何か「売ってみようかな」と思ったモノがあれば出品していこうかなとは思っています。

WWD:出品アイテムの値付けに関しては、どのように決めた?

藤原:値付けも適当ですが、変に安くも、高くも売りたくないとは思っています。要らないモノを欲しいモノと交換する感覚ですね。なので、「メルカリ」で出た売り上げ金は現金化せず、欲しいモノが見つかるまで「メルカリ」内に貯めておくつもりです。

WWD:インスタグラムでは、「アンダーカバー」のアイテムを「メルカリ」で買ったと投稿し、話題となっていた。これまでにも何度か「メルカリ」で購入したことはあったのか?

藤原:探していた軍モノのトレンチコートを買ったことがあります。それくらいかな。

WWD:「メルカリ」でも、藤原さんが手掛けたアイテムは高値で転売されていることも多い。そういったことについて何か感じることはあるか?

藤原:まあ仕方ないな、とは思います。僕自身、欲しいモノがあれば高くても買うので。ただ、転売とかを商売にして、自分が好きでもないモノを何個も買うとかは愛がないので嫌だなとは思います。「シュプリーム(SUPREME)」とかに並んで、せっかく並んだから、2個買えるなら買って、1個売ろうという考えは愛のある転売で、アリな気がするけれど。

WWD:「メルカリ」の利用増に始まり、コロナ禍でインターネットサービスが注目され、さまざまな面でデジタルシフトが起きている。この現象についてどう思う?

藤原:取材や打ち合わせに関して言うと、「Zoom」で十分だな、と思うこともあるし、やっぱり対面でないと伝わらないなと思うこともあります。個人的には、デジタルを使ってデジタルっぽいことをするよりも、世の中を便利にするようなテクノロジーで、プリミティブなことをする方がアンバランスで面白いなと思っています。そういった意味では、「メルカリ」はデジタルを使いつつ、“物々交換”という最もプリミティブな側面を持っているのが面白い。「Zoom」も同様で、新しいように見えるけど、みんなの部屋が見えるし、究極的には普通の取材だったり、打ち合わせだったりする。逆にバーチャル背景みたいなものは個人的には面白くないな、と思います。

WWD:藤原さんにとって、オンライン、オフラインそれぞれの良さとは?

藤原:必要なことを的確に伝える、という点でオンラインは良いと思います。だから仕事によってはオンラインで完結できるのかもしれない。でも、僕にとってはオフラインの良さはその100倍くらいある。例えば会話の際に「その靴いいですね、どこのですか?」といった会話はオフラインでしか生まれない。これが個人的にはすごく大切で、得るものも多い。だから必ずしも仕事じゃなくても、食事などで人と会うのは大切だと思います。大勢の人に会いたい、いろいろな所に行きたい、といった気持ちはないけど、仲の良い何人かに会えて、情報を得ることができれば良い。自粛期間中は外食もできず、あまり人と会えなかったけど、緊急事態宣言の解除後、久しぶりに人たちと食事をして「本当に面白いな」とオフラインの良さを改めて確認して。そういった再発見の感覚は、コロナ期間中は今後もあるんじゃないかと期待しています。

WWD:再発見から、新しいモノが生まれることもある?

藤原:何かが変わるだろうな、とは思います。それこそ「メルカリ」でも、オフラインをやってみてもいいなと。お金を一切使わずに、“物々交換”だけするイベントとか。後はお金の価値観とかも変わってくるような気がしています。この前友人と、お金が一切使えないエリアを作ってみるのも面白いよねと話していて。そのエリアに入る前にポイントを渡して、あとは物々交換なり、ポイントなりを使う。飲食店でも「無料だけど、食べたらインスタに上げてください」とかで成立できるし、意外とお金を使わない楽しみというのが今後出てくるんじゃないかな、と思っています。

The post 藤原ヒロシが考える、フリマアプリとインターネット appeared first on WWD JAPAN.com.

デジタルメンズコレでドタバタ対談 初日は「ベルルッティ」に感動し若手の“ロケ地カブり”に冷や汗

 デジタルでのオートクチュール・コレクションが終わり、次はパリのメンズ・コレクションがスタートしました。7月9日から5日間にわたって、70近いブランドが新作をオンラインで発表します。そこで今回は、主にメンズを担当している記者が「頑張ってリアルタイムで見てみました」取材を日替わりで担当します。「アーカイブでも見られるのにオンラインで見る意味あるの?」という周囲の視線を感じながらも、「コレクションはライブ感!」と信じて完走を目指します。初日は海外コレクション取材歴10年以上のベテランである村上要「WWD JAPAN.com」編集長と、取材歴4年目の大塚千践「WWDジャパン」デスクが日常業務と並行しながらリポートします。

7月9日(木)17:00(パリ時間10:00) 「エチュード」

大塚千践「WWDジャパン」デスク(以下、大塚):村上さーん、トップバッターの「エチュード」始まりますよー。パリメンズでいつも朝一番に始まる同ブランドから、いよいよメンズのデジコレ開幕です。ファッションデザインだけではなく、出版やクリエイティブ関連の仕事など多岐にわたって活動しているトリオのブランド。僕はパリの街でここのロゴTシャツを着ている人を結構見かけるんですよ。今回はそんなパリの街でのゲリラ撮影でしたね村上さん……って、まだ来ない!

村上要「WWD JAPAN.com」編集長(以下、村上):あら〜、いきなり。仕事でリアルには視聴できませんでした〜。コレクションスケジュール同様、スキマなくオンラインMTGを入れてしまったワタシ。この「頑張ってリアルタイムで見てみました」企画に参加していいのでしょうか(笑)?クリエイティブ集団って、リアルなランウエイはワクワクの理由になるけれど、デジタル・ファッション・ウイークではどうなんだろう?やたらアートな動画で、視聴後「今のは、いったい何だったんだ!?」みたいにはなってませんか(笑)?

大塚:僕も校了作業と並行しながら見ていて序盤からバタバタです。僕も実は「今のは、いったい何だったんだ!?」が来るんじゃないかと予想していたのですが、ただ街を歩く数人のモデルをワンカット風に追いかける、「エルメス(HERMES)」にもちょっと通じる、シンプルな動画でしたよ。ただ通行人とか風景とか情報が多すぎて、(パリは誰もマスクしていないんだな)とか余計なことまで気になってしまいました。

村上:「エルメス」はシンプルながら、メッセージは強かったよ。「パンツインもできるのね〜」というシャツジャケットの軽やかさ、それを「袖まくりしたら、予想以上にカジュアル」なスタイリングの妙、特別なレンズを使った透明感、そして音楽で、キーアイテムとタイムレスなアイテムの汎用性、メゾンのムードを上手に伝えてた。あ!とか言ってるうちに、ライブ配信「READ MORE」の時間が。「コモン スウェーデン(CMMN SWDN)」も、「エゴンラボ(EGONLAB.)」も、「ウー ヨン ミ(WOOYOUNGMI)」もリアルで見られないよ!今日はファッション週刊紙「WWDジャパン」の校了日だし(しかも、こんなときに限って連載3本持ってるし)、「頑張ってリアルタイムで見てみました」企画自体を早速見直したいかも(泣)。オーツカさん、まとめて全部、解説ヨロシク!!

17:30(10:30) 「コモン スウェーデン」

大塚:いきなり企画倒れの危機じゃないですか(笑)!ここは僕が死守せねば。お任せください――ということでしばらくは1人で「頑張ってリアルタイムで見てみました」を続けます!「コモン スウェーデン」は2年前から急にカルチャー色が濃くなり、柄もたくさん使ってサイケデリック感を強めていましたが、2021年春夏は以前のようなレトロなカラーリングやクラシックなムードが戻ってきました。個人的にはこちらの路線の方が親近感が湧くし、結果、ブランドらしさがより主張できているので好きです。映像もシンプルに無観客ショーの収録で、3分程度という長さ的にも、服だけを見たい人にはちょうどよいのかも。

18:30(11:30) 「エゴンラボ」

大塚:対して、「エゴンラボ」がすごかった。要素が多すぎる服やCGをバリバリ活用した映像から「何か変わったことしてやろう」という力みを感じました。マグマの中を歩き出したときは、パソコンの前でのけぞっちゃいました(笑)。初見がこの映像だと、どういうブランドなのかはちょっと分かりづらかったです。1982年公開のアメリカのドキュメンタリー映画「コヤニスカッツィ/平衡を失った世界(Koyaanisqatsi)」から着想したコレクションだそうです。

19:00(12:00) 「ウー ヨン ミ」

大塚:「ウー ヨン ミ」も趣向を凝らした演出が印象に残りました。服はリラックスムードのテーラードやミリタリー、デニムなど普遍的なものが中心でいつもとあまり変わりなく、シュールな舞台芸術のような映像が印象的でした。映像は4分ですけど複雑にカットが変わるので、相当時間かけているんだろうなあ。

19:30(12:30) 「ブルー マーブル」

大塚:そして「ブルー マーブル(BLUE MARBLE)」が街中を歩くストリートランウエイで「エチュード」とカブっちゃいました(笑)。もちろん撮り方や、服は「ブルー マーブル」の方がストリート寄りのキャッチーさがあって違うのですけど、ロケーションも似てるなあと思ったら、なんと思いっきり一緒でした!これは両ブランドとも「しまった」と思ってるに違いないし、さすがに気の毒。でも撮影中は長距離の移動も気軽にできない状態だったでしょうし、こういうことも起こるんですね。

村上:さすが、デジタルでそれだけ語れるなんて頼もしい後輩です。あ、今日はご依頼いただいたインスタライブが20時からだ!もうちょっと1人でお願いできますぅ(笑)?

20:00(13:00) 「ジェイ ダブリュー アンダーソン」

村上:あ、でも日本時間20:00スタートの「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」は、事前にIGTVで見てるから語れます(笑)。IGTVでジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が開封しているリリースキットが日本のPR会社から事前に届いたけど、プレスリリースのほか、コレクションで使った生地の見本や全部のルックが同封されていたよね。肝心のルック写真は、1枚に1カットだったり、1枚に4カットだったり、折りたたんだ大きな1枚に1カットだったり、大きさや掲載方法が不規則。「それぞれのペースでコレクションを楽しんでほしいから」というコメントが印象的でした。マッキントッシュ風の生地をパッチワークした、ジョナサンいわく「数十年は着られるコートでありケープ」とか、「僕のおばあちゃんから譲り受けたニットの色替えバージョン」など、ますますタイムレスなアイテムが印象的。「こんな時代だから、長く着られる服を」と語って、「時代を見据えてるなぁ」と思わせてくれました。

大塚:村上さんから返事ないなーと思ってインスタグラムを開いたら、インスタライブに思いっきり出演していてたまげました(笑)。僕も「ジェイ ダブリュー アンダーソン」の配信は事前にキットとともに見ていて(しかも律儀に同封されていたマスクを装着して)、デザイナーのファッションに対する丁寧な姿勢に和んだんです。でも、村上さんがインスタライブ出演中に流れた配信では別の映像が流れたんですよ!しかも30秒!どうやら最新コレクションに絡む写真集のティーザー映像だったようです。丁寧さと尖った部分を併せ持つジョナサンらしさをライブで実感しました。

村上:30秒!なんて潔いんでしょう!「1分を超える動画は、悪」と言い切る動画の世界で高評価を受けそう(笑)!

21:00(14:00) 「ルイ ガブリエル ヌイッチ」

村上:その次の「ルイス ガブリエル ヌイッチ(LOUIS GABRIEL NOUCHI)」は、存じ上げないブランドですが、こういう新興ブランドも公式スケジュールで発表できるのは、デジタルならではかもしれないね。ユーチューブで拝見しましたが、チャンネル登録者数は14人(7月9日現在)……。もうちょっと仲間に協力を依頼してせめて3ケタにはできなかったのでしょうか?ロックダウンの最中に、最新コレクションを着たモデルを1人ずつスタジオに呼んでの朗読だったね。正直、意味はわからなかった(笑)。洋服はパリの若手にありがちな、華のない日常着の印象でした。サテンのシャツ、背中に穴が開いてたけれど、アレはデザインですか?って、オーツカさんに聞いてもわかんないよね(笑)。

大塚:デザインだと信じたいです(笑)。デザイナーはラフ・シモンズでも働いた経験があるみたいです。確かに、ラフのクリエイションが好きそうだなあという点もチラホラありました。ブランドにある程度の知名度がないと、シュールな演出はちょっとしんどいですね。4分とはいえ途中で飽きました。14人はちゃんと見てくれたんでしょうかね。

21:30(14:30) 「Y/プロジェクト」

大塚:同じシュールでも次の「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」は、僕は10分間集中して見てしまいました。3分割の画面で終始生着替えするだけなのですが、いつもショーで(コレどうなってんの?)というスタイルが作られていく過程が見られて、一人で感心してました。万人ウケはしないと思いますけれど(笑)

村上:数日前から順次公開しているプレ・コレクションでも、「Y/プロジェクト」は、「洋服の着方」と題してマルチウエイなコレクションの着こなし方を紹介しているよね。秘密のベールを脱ぎたい時なのかな?にしても、2人がかりじゃないと着られないマルチウェイは、挑戦する人は少なそうだけれど(笑)。

22:00(15:00) 「オテイザ」

村上:次の「オテイザ(OTEYZA)」のムービーは2分30秒。構築的なジャケットに、袴みたいなリラックスパンツの連打で、スタイルは印象に残りました。帽子がジャマな印象があるけれど。「LOVE」で終わるムービーはちょっとクサいけれど、案外最後まで楽しめたな。

大塚:確かに、帽子が非現実的で全体が衣装チックに見えちゃいましたね。スペイン発のブランドのようです。映像のストーリーはよくわからなかったですが、短い尺なのにブランドの世界観は何となくつかめました。

22:30(15:30) 「ボラミー ビジュアー」

大塚:次の「ボラミー ビジュアー(BORAMY VIGUIER)」は今日初めての縦画角の動画で、ユーチューブではなくVimeoでの配信でした。ブランドが選べるそうなのですが、何か違うんですかね?動画の最初はスマホゲームのCMかと思いました(笑)。ゲームでアバターの衣装を選ぶように服がどんどん入れ替わっていくのは面白いんですけど、肝心の服がほとんどわからなかったです(笑)。才能ある若手の一人だと思うので、もうちょっと素直に見せてもよかったんじゃないかなーと。

村上:特に個別アイテムの写真がずーっとクルクル回転してるから、目がチカチカしたよ(笑)。リサイクルカーディガンもあるようで(映像ではよくわかんないw)、パッと見今っぽいから、ちゃんと見たかったね。右下にワイプで手話通訳者が映ってたけれど、何を発信してたんだろう?必要な情報は文字になってたようだけれど……。

大塚:手話にする音声もなかったですし、謎が多いですね……。そして夜10時を過ぎてからの目がチカチカ系はちょっとキツイ。デザイナーはルカ・オッセンドライバー(Lucas Ossendrijver)時代の「ランバン(LANVIN)」出身なので、途中から(ルカ様は今お元気なのだろうか)なんて考えちゃいました。

23:00(16:00) 「ウォルター ヴァン ベイレンドンク」

村上:「ウォルター ヴァン ベイレンドンク(WALTER VAN BEIRENDONCK)」は、さすが良きコレクションだったと思います。いろんなところに鏡をはめ込んだビッグボリュームのアウター、周りの人は嫌がるかもしれないけれど、着てみたい(笑)。「オバケが“ウルサくささやく”ミラーマン」っていうテーマなのかな?オバケ感は、スプレーペイントのカラーグラデーションで表現してましたね。それぞれのルックに名前を与えてパーソナリティーを醸し出してるアイデアも好きです。僕のイチオシは、「THE LEOPARD」です(笑)。マスイユウくんに、全身挑戦してほし!!でも、映像は長いね。特にイントロの「文字だけで1分以上」はダメ!動画クリエイターに言わせると、一番やっちゃいけないヤツです。理由は、みんな離脱しちゃうから。

大塚:僕も、イントロが長い動画は今日だけでもいくつかスキップしそうになりました。今回は「頑張って、リアルタイムで見てみました」なので意地でも全部見ましたけど(笑)。コレクションは全部フィギュアでしたよね?最初はどういうテンションで見ればいいのか戸惑いましたが、じわじわとかわいく見えてきて。僕は全身グリーンのモサモサ「THUNDERMAN」が好きでした。部屋に置いておきたいです。

24:00(17:00) 「ベルルッティ」

大塚:さあ、いよいよ初日のトリを飾る「ベルルッティ(BERLUTI)」です。今回はショーではなく、21年春夏で協業した陶芸家のブライアン・ロシュフォール(Brian Rochefort)との対談でしたね。何だかほっこりしました。

村上:めっちゃ良かった!ムービーの落ち着いた雰囲気も好きだし、コレクションも最高。クリス・ヴァン・アッシュ(Kris Van Assche)は、「メゾンに来て2年。最初はブランドのDNAを理解し、自分がやりたいことに挑戦したかったから、コラボレーションをする余地がなかった。でも、今は違う」と話していたけれど、まさにニューチャプター。ブライアンのカラフルな陶磁器を写真に撮ってシルクのシャツにプリントしたり、ニットで柄を再現したり、メゾンならではの染色技術の“パティーヌ”で描いたり――すっごく美しい。デジタルで興味を持ち、「早くリアルで見たい!」とモチベーションをかき立てられました。ブライアンが、「陶器を、伝統工芸ではなくアートのように見せる感覚がスキ」って話してたのも、「ベルルッティ」に通じるよね。クラフツマンシップを次世代に継承しようというクリスの思いと合致してる。とっても良いコラボレーションだなぁと思いました。

大塚:アーティストと協業する事例は最近特にメンズで増えてきましたが、これはとても知的で新鮮でした。メゾンの伝統をちゃんと継承しながら、一歩ずつ前に進んでいる姿勢に感動しました。ブライアンと協業したカラフルなシルクのシャツは早く着てみたいです。あと、ドタバタの最後にクリスの落ち着いたトーンの声を聞いて癒されました(笑)。これもデジタル・ファッション・ウイークならではの展開でしたね。いやーでもリアルで見るのは初日からなかなかキツかった……。明日からは20代の若手も対談に加わるので、彼らにも頑張ってもらいましょう!

The post デジタルメンズコレでドタバタ対談 初日は「ベルルッティ」に感動し若手の“ロケ地カブり”に冷や汗 appeared first on WWD JAPAN.com.

ビジョナリーHDが2カ月でメガネスーパーなど36店舗閉鎖の理由は?

 ビジョナリーホールディングス(HD)は、グループの中核企業である眼鏡店チェーンのメガネスーパーやシミズメガネの20店舗を5月に、16店舗を6月に閉店した。2カ月間で、大量閉店した理由は何か。星﨑尚彦ビジョナリーHD社長に聞いた。

WWD:売上高(既存店ベース)は5月度が前年同期比17.7%減、6月度は同0.5%減と回復している。

星﨑尚彦ビジョナリーHD社長(以下、星﨑):新型コロナウイルス禍の中でしたが、眼鏡、コンタクトレンズ、補聴器は生活必需品であるという考えから、一部を除き店舗営業を継続しました。そのため、休業していた他店のお客さまが流入し、当店の充実したアイケアサービスのよさを発見していただいたことが新規顧客の獲得につながったことが1つの要因のようです。

WWD:その中で大量閉店が続いた理由は?

星﨑:新型コロナの影響が直接的な理由ではなく、このようなスクラップ&ビルドはこれまでも行ってきたことであり、異例のことではないし、今後も毎年実施していくつもりです。新型コロナの影響によりさまざまな業種の退店が多くなる中で、テナントの家賃も変動しています。家賃と店舗の売り上げのバランスを厳しく精査し、出退店戦略を検討します。6月末の店舗数は336ですが、今後も300~400店舗の間で増減すると思います。

WWD:店舗戦略の方針は?

星﨑:以前のメガネスーパーは、“眼鏡の安売り店”という印象があり、私が社長に就任した当時の1店舗あたりの1カ月の売上高は多くが約200万円と低迷していました。今は不採算店の閉鎖や店舗の統合を重ね、各店の販売力が高まったことにより、1カ月の売り上げが400万円を下回る店舗はありません。今後は店舗数の多さの勝負ではなく、1店舗ごとの質を高めていくことが重要です。

WWD:自身が全国の店舗を回り、販売員とのコミュニケーションを重ねたことが、売り上げ向上につながっている?

星﨑:その通りだと思います。けれども、コロナの影響で地方の店舗を回れなくなり、販売員と会えなくなったので、彼らを応援する意味も込めて4月に社内限定で視聴できるユーチューブ“星ちゃんねる”を始めました。全国の販売員に要望や質問を募って、それに対して私が一つ一つ答えるというものです。延べ2000件が届いており、社内の反響は大きいです。1回の放送につき3件に答え、すでに60回以上を数えますが、まだ200件しか解決できていません。ユーチューブを通して、社員たちとのコミュニケーションを毎日続けていきたいと思います。

The post ビジョナリーHDが2カ月でメガネスーパーなど36店舗閉鎖の理由は? appeared first on WWD JAPAN.com.

フランス発の人気スニーカー「ヴェジャ」が透明性にこだわるワケ

 フランスのスニーカーブランド「ヴェジャ(VEJA)」は、そのデザイン性の高さから欧米を中心に支持を集めている。創業は2004年。05年にファーストコレクションを発表し、これまでに累計450万足を販売し、現在は英国の有力百貨店セルフリッジ(SELFREDIGES)で最も売れるスニーカーの一つだ。20年春夏には「リック オウエンス(RICK OWENS)」とコラボレートした。人気の理由はミニマルなデザインと気の利いた色遣い、そして環境や人に配慮した“透明”なビジネスでも注目を集めている。

 創業者のフランソワ・ギラン・モリィヨン(Francois Ghislain Morillion)とセバスチャン・コップ(Sebastien Kopp)にはファッション業界でのキャリアはなく、もともとITベンチャーの立ち上げを目指していたというが、なぜ、「ヴェジャ」を始めることになったのか。2人にメールインタビューを行った。

 きっかけは2003年。彼らが25歳のときだった。ファッションブランドの監査で訪れた中国の工場で目にしたものが、彼らの方向性を大きく変えることになる。

「工場は清潔に整えられているのに働く人の顔色は悪く、疲れた様子だった。工場長に居住スペースを見せてほしいと交渉して見せてもらうと、25平方メートルほどの部屋に5段ベッドが置かれ、一部屋に32人が折り重なるように寝泊まりしていた。部屋の中央には穴が一つ空いていて、そこが彼らのシャワーとトイレだった。グローバリゼーションが世界を悪い方向に向かわせているのではないか、何かがひどく間違っているのではないかないかと感じた。私たちが着ている多くは彼らが作った服……」。彼らが“ヴェジャストーリー”として語っている。生産者と消費者が公平な関係を保つ仕組みの中でモノ作りをしたいと考えるようになった。

 スニーカーを選んだのは「私たち世代の消耗品の象徴だったから」だ。“VEJA”とはポルトガル語で“見る”という意味だが、自分たちの課題を「透明性の限界を押し上げ、革新的な素材を見つけること」として、環境汚染を減らすためのモノ作りや生産者の労働環境に注意しながら日々取り組んでいるという。「私たちが伝えたいのはスニーカーを通じてその背景まで見ることだ」。

 「ヴェジャ」の生産拠点はブラジルにある。中国を訪れたのと同時期に訪れたブラジルの生産者の労働環境は守られていたし、同地には原料の天然ゴムやオーガニックコットンがあった。原料調達と物流は、就労困難な失業者の社会復帰を支援するNGOと共同で運営管理している。

「地球と人に敬意を表するスニーカー」

 「地球と人に敬意を表するスニーカーを作りたかった」。まずはスニーカーを分解して何が原料かを自問し、それを段階的に替えることから始めた。「ブラジルにはゴムの木と共存しながら生ゴムを作っている採取人がいて、隣国のペルーも含めてコットンの自然栽培に取り組む生産者がいた」。そうした生産者と直接取引を行い、原材料から店舗までのサプライチェーンを既存のものとは異なるものに変えていった。結果的に無駄な経費を削減して生産者たちへの支払い額も増やすことができた。

 ゼロベースだからこそシンプルでエシカルなサプライチェーンを築けたといえるかもしれないが、それでも人と環境に配慮したサプライチェーンを築くのは相当大変だったはずだ。「現場に行き、生産者や団体、NGOなどで一緒に働いている人と会うことが大切だ。そして製造のすべてを追跡できれば問題はない」。工場から数キロのところに従業員30人のオフィスがある。「彼らは農家を訪れてアドバイスするし、工場にも『ヴェジャ』のスタッフがいて毎日欠かすことなく労働状況を確認している。オフィスには素材開発を行うスタッフもいる。時間はかかるし大変だが、それだけの価値はある。現地に足を踏み入れることこそがわれわれの透明性と持続可能性を保つ秘訣だ」。

 18年からは公式サイト上に生産者との契約や化学テストの結果、その年に購入したオーガニックコットンの価格など多くの情報を開示している。
素材は天然ゴムや自然栽培のコットンに加え、再生ペットボトル(スニーカーのアッパーなど)、トウゴマ油(同ヒールサポートインサート)、バナナ油やサトウキビを配合したミッドソール、クロムフリーで水利用に配慮したレザーなどを用いている。100%配合のものからそうでないものまでさまざまだが、環境に配慮した素材とは何かを日々問いながら開発している。

 彼らは、サプライチェーンの透明化はもちろん、企業としての透明化にも取り組む。メインバンクを、脱税天国と呼ばれる国に支店を持たない銀行に変更し、電力は再生可能エネルギーを供給する会社を選択している。また、09年からは「(課題などの)会社のマイナスなこと」も公式サイトで公開し、透明性を追求する。

 「スニーカーは経済レベルでも最も興味深い製品の一つだ」という。その理由は「経費の大半が広告費だからね。大手メーカーでは7割が広告費で、3割が原材料と生産に費やされている。私たちはそうした広告やコミュニケーションの予算を削減することによって有機原料、生産、従業員、農家に投資する。私たちのスニーカーの価格は、(従来の常識に従えば)競合他社の5~7倍だが、広告活動を行っていないから大手ブランドと同等の価格で販売している。広告費用をなくすことで競合他社よりも小さいマージンで十分に収益性を高めている」。

 「ヴェジャ」は前述したように徹底して環境と人に配慮しながら“透明性”の高いビジネスをしているが、人気ブランドになった理由はそのデザイン性が大きい。「人々を教育するのではなく、自らが必要だと感じたら(私たちが公式サイトで公開しているプロジェクトなどの)情報を検索してもらいたいと思っている。私たちは人々や他のブランドを批判する立場にはない。私たちは“変われること”を示すために最善を尽くすのみだ」。

The post フランス発の人気スニーカー「ヴェジャ」が透明性にこだわるワケ appeared first on WWD JAPAN.com.

音声座談会「蓉子の部屋」 Vol.1建築家の田根剛(後編)「田根が実践する新しい生き方・働き方とは?」

 「蓉子の部屋」は、川島蓉子・伊藤忠ファッションシステム取締役/ifs 未来研究所所長が、毎回ゲストを招き“未来”について考える音声番組です。未曾有の状況の中、業界にはこれからの“未来”について考えなければならない現実が待ち受けています。そんな中、少しでも業界人に役立つヒントや、カケラを音声配信でお届けします。近所のスーパーに行く時や、通勤・通学時に気軽に聞いてください(笑)。田根剛・建築家に迫る後編(前編はこちら)では、スローライフやダイバーシティーなど、自身が実践する新しい生き方や働き方について語ります。

川島蓉子:1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役。ifs未来研究所所長。ジャーナリスト。日経ビジネスオンラインや読売新聞で連載を持つ。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)、『すいません、ほぼ日の経営。』などがある。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている。

田根剛:1979年東京生まれ。Atelier Tsuyoshi Tane Architects を設立し、仏・パリを拠点に活動。場所の記憶から建築をつくる「ARCHAEOlLOGY OF THE FUTURE」をコンセプトに、現在ヨーロッパと日本を中心に世界各地で多数のプロジェクトを行なっている。主な作品に『エストニア国立博物館』(2016)、『新国立競技場・古墳スタジアム(案)』(2012)、『とらやパリ店』(2015)、『Todoroki House in Valley』(2018)、『弘 前れんが倉庫美術館』(2020)などがある。これまで、フランス文化庁新進建築家賞、ミース・ファン・デル・ローエ欧州賞2017 ノミネート、第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞、アーキテクト・オブ・ザ・イヤー2019などを受賞している。

The post 音声座談会「蓉子の部屋」 Vol.1建築家の田根剛(後編)「田根が実践する新しい生き方・働き方とは?」 appeared first on WWD JAPAN.com.

革命家を取材ではなく、取材される革命家に エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月10日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

革命家を取材ではなく、取材される革命家に

 さて「この3年で、私の中では意味が大きく変わった言葉」連載も最終回(笑)。「デジタル・ファースト」「ONE WWD JAPAN」に次ぐ、第3の言葉は「ゲーム・チェンジ」であります。

 今更、元来の定義については説明不要でしょうか?「ビジネスの従来の仕組み・枠組みが崩壊すること」で、例えば旅行業におけるAirbnbや、運送業におけるUberなどは代表例ですね。そして、この仕組みや枠組みを変えた人、変えようと画策している人は、ゲーム・チェンジャー。下のリンクで紹介するハヤカワ五味ちゃんは、大手の寡占状態にある生理用品業界を変えようと画策しています。

 「WWDジャパン」は常々、彼女のように意欲あふれ、業界を進化させてくれそうなアップカミングな人を取り上げる媒体でありたいと思っています。ことウェブは、そんな若き人との親和性が高いメディアです。入社以来、「この業界を変えた人」「この業界を変えようと思っている人」「大きな企業に新たな風を送り込もうと画策している人」が大好きだし、業界が直接リンクしていなくても「巻き込めば、業界が変わるかもしれない人」も意識的に取材しています。

 で最近は、「そろそろ『WWDJAPAN.com』が、自分が、ゲーム・チェンジするべきだよね?」と思っています。記者はこれまで、「起こった出来事」を取材したり、「出来事を起こそうとしている人」をインタビューしたりして来ましたが、もう「自分が、何かを仕掛ける側に回るべきでは?」と思っています。簡単に言えば「ゲーム・チェンジャーを取材する」人であり続けるのはもちろんですが、「ゲーム・チェンジャーとして取材される」人を目指すくらいになろう!と思っているのです。

 その意味でまずは、別会社のメディアとの合作コンテンツをスタートしました。これまで弊社では「ご法度」としていた、相互リンクも厭いません。時計の分野ではハースト婦人画報社の「ホディンキー・ジャパン」と、アフターコロナの「ニュー・ノーマル」についてはアイスタイル傘下の「BeautyTech.jp」の編集長と結託です。合作じゃないと生まれないコンテンツを提供できたら、1つのコンテンツがそれぞれの視点で語られたら、そして、それがもっと大きな取り組みになれば、「WWDJAPAN.com」は変わりゆく業界を取材するメディアのみならず、自分たちで業界を変えられるメディアに成長できるでしょう。私は、それを目指したいのです。

 3本目のリンクでは、皆様からの質問も募集しています。ファッションとビューティ、リアルとデジタル、ビジネスとクリエイティブをまたぐ「ニュー・ノーマル」に関する質問がありましたら、ぜひお寄せいただければと思います。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post 革命家を取材ではなく、取材される革命家に エディターズレターバックナンバー appeared first on WWD JAPAN.com.

進化する幸せ産業(3)デザートビュッフェ編 さらなる華やぎと安全をもたらす抗コロナ対策

 コロナ禍で私が一番、恋しかったのはバーのカクテル、そしてビュッフェ形式の食事だった。なかでも趣向を凝らしたスイーツをあれこれ選ぶ、華やいだビュッフェは、今後難しくなるのだろう。あぁ、甘いものを前にはしゃぎたい。辛党・酒呑みを自認しているが、デザートは別腹。心は永遠に乙女なのだ。そんなとき届いたのが、「マリー・アントワネット スイーツ・オートクチュール」からの招待状。18世紀のヴェルサイユ宮殿でファッションリーダーとして君臨したフランス王妃マリー・アントワネットは、美食家でもあった。フランスの薔薇と呼ばれたアントワネット王妃にインスピレーションを得た「ヒルトン東京」がこの夏展開するロマンチックなデザートフェアの発表会だった。

 約30種類のスイーツを好きなだけいただけるほか、さらにはシェフが目の前で要望に合わせてデザートをカスタマイズしてくれる。今まで以上に高揚感があり、フォトジェニックなデザートビュッフェを、より安全に楽しむための新提案だという。そこで「ヒルトン東京」での「マリー・アントワネット スイーツ・オートクチュール」を実際に体験してきた。

フォトジェニックな鳥かごが別世界へ誘う

 1階の「マーブルラウンジ」に設置したのはロマンチックな鳥かごゲート。初夏のヴェルサイユ宮殿の庭園風の門をくぐるとそこは別世界だ。迎えるスタッフが手に振りかけてくれる消毒液も、豪奢な香水ボトルからだ。まず目に入るのがゴールドとパステルカラーのフォトスポット。レースのコルセットやハイヒール、香水瓶が並んだマリー・アントワネットのドレスルームのような空間に、提供されるケーキがディスプレーとして飾られている。マリー王妃よろしくガーリーなファッションでセルフィ―に挑むインフルエンサーや、ブライス人形を手にレンズをのぞく姿も見受けられ、撮影目的で訪れる人も多いだろう。スタッフのコスチュームとランチョンマットのアートワークは、ロリータファッションで定評がある「アトリエピエロ」が担当。ロマンチックで甘美な世界観を彩った。

 席に着くとテーブルには鳥かごアフタヌーンティスタンドが置かれており、中にはマカロンやタルト・オ・フリュイなどの色鮮やかなスイーツが並ぶ。紅茶は10種から選ぶポットサービス。ケーキビュッフェにありがちな、「まず並ばなくては」という焦りはなく、アミューズとしてのスイーツをつまみながら、カウンターに行くタイミングを計れる。またQRコードからドリンクやデザートメニューをチェックできるので、並ぶ前に席で何を選ぶか考える余裕も生まれる。通常よりも着席時間を増やすことで、他者との接触は減るだろう。配席も今までは208席だったところを160席にし、アングルも考えて距離を保っていた。

魅せ、交流しつつもリスクを減らすプレゼンテーションに

デザートはこの鳥かごスタンドに続き、以下の3つのスタイルで提供される。
1カウンター
2デザートワゴン
3シェフが目の前で仕上げる「ライブステーション」

 ではそのまま手に取れるシャンパン風ゼリー、小さなグラスなど、個別な容器で提供される。パスタやスープなど口直しのセイヴォリーは基本的にスタッフが盛り付ける。取り分け用のトングなど、ゲストがシルバーを共有することを避けた。

 のデザートワゴンは大まかなルートが決っており、あらかじめ何時くらいに回ってくるかを知らされる。前にくると飲茶のように好きなデザートを好きなだけ選べる仕組みだ。エリア内を優雅なワゴンが周回し、うやうやしくサーブされ、宮廷貴族気分を味わえる。

 はラグジュアリー系ホテルならではの高揚を感じる瞬間だろう。ミルフィーユや表面を焼きキャラメリゼにするピュイダムールなど、目の前で自分好みにカスタマイズできる。また薔薇の小さなケーキは花びらをあしらう最後の仕上げを目の前で見せる演出も。パティシエとの交流も楽しめ、非日常を味わえる。このライブステーションは着席時に大まかな利用時間を指定し、混雑が起きることを回避している。もちろん、列が少ない場合は指定以外の時間でも問題ないという。

 華やかなフランス宮廷の世界をスイーツで表現したのは、エグゼクティブペストリーシェフの播田修(はりたおさむ)氏。パリの5ツ星ホテルでミシュラン3ツ星シェフのもとでデザートを担当し、今回は「マリー・アントワネット スイーツ・オートクチュール」フェアでは王妃の帽子やバッグを模した目にも贅沢なケーキも発表した。「例えば王妃の帽子をイメージした『シャポーローズ』はブラッドオレンジの果肉をザクロのソースで煮詰めたジュレがビターオレンジのムースに隠されています。表面にはサクサクとした食感のメレンゲで飾りました。色、香り、テクスチャーを五感で比べて、記憶に残る時間にしていただけたら」と語る。

 「マーブルラウンジ」で14時30分から17時30分まで開催されるこのデザートビュッフェは、いわばスイーツのオートクチュール コレクションのようなもの。この2時間で得られるのは満腹感だけではなく、ライブを共有し、クリエーターの感性に酔う、心の贅沢だ。

 デザートビュッフェは1人3980円(土・日・祝は4300円)で9月30日まで毎日開催される。ディナーは同じく「マーブルラウンジ」でビーフ・ウェリトンやチーズワゴンもふるまわれる「マリー・アントワネットの晩餐会」として一人5500円(金・土・祝は6500円)で展開。ランチは「美しき妃たちの午餐会」となり2階中国料理「王朝」で楊貴妃に着想を得た華やかな料理で魅了する。点心とマリー・アントワネットのデザートはワゴンでサーブされ、同じく接触、混雑を避けたビュッフェスタイルだ。1人3500円(土・日・祝は3900円)。

 飛行機に搭乗せずとも、ヴェルサイユ宮殿に招かれたような、時空を超えた旅を体感できる。

 ショーのような演出など、工夫次第で、感染リスクを抑えながらも、今まで以上に高揚感のあるサービスを提供することは可能なのだ。正解が見えない今、私たちが別業界から学べる施策はまだあると気づかされた。

間庭典子(まにわ・のりこ)/フリーライター:婦人画報社(現ハースト婦人画報社)を退社後、ニューヨークへ渡る。現在は東京を拠点に各メディアに旅、グルメ、インテリア、ウエルネスなど幅広いテーマで執筆。著書に「ホントに美味しいNY10ドルグルメ」「走れば人生見えてくる」(共に講談社)など

The post 進化する幸せ産業(3)デザートビュッフェ編 さらなる華やぎと安全をもたらす抗コロナ対策 appeared first on WWD JAPAN.com.

進化する幸せ産業(3)デザートビュッフェ編 さらなる華やぎと安全をもたらす抗コロナ対策

 コロナ禍で私が一番、恋しかったのはバーのカクテル、そしてビュッフェ形式の食事だった。なかでも趣向を凝らしたスイーツをあれこれ選ぶ、華やいだビュッフェは、今後難しくなるのだろう。あぁ、甘いものを前にはしゃぎたい。辛党・酒呑みを自認しているが、デザートは別腹。心は永遠に乙女なのだ。そんなとき届いたのが、「マリー・アントワネット スイーツ・オートクチュール」からの招待状。18世紀のヴェルサイユ宮殿でファッションリーダーとして君臨したフランス王妃マリー・アントワネットは、美食家でもあった。フランスの薔薇と呼ばれたアントワネット王妃にインスピレーションを得た「ヒルトン東京」がこの夏展開するロマンチックなデザートフェアの発表会だった。

 約30種類のスイーツを好きなだけいただけるほか、さらにはシェフが目の前で要望に合わせてデザートをカスタマイズしてくれる。今まで以上に高揚感があり、フォトジェニックなデザートビュッフェを、より安全に楽しむための新提案だという。そこで「ヒルトン東京」での「マリー・アントワネット スイーツ・オートクチュール」を実際に体験してきた。

フォトジェニックな鳥かごが別世界へ誘う

 1階の「マーブルラウンジ」に設置したのはロマンチックな鳥かごゲート。初夏のヴェルサイユ宮殿の庭園風の門をくぐるとそこは別世界だ。迎えるスタッフが手に振りかけてくれる消毒液も、豪奢な香水ボトルからだ。まず目に入るのがゴールドとパステルカラーのフォトスポット。レースのコルセットやハイヒール、香水瓶が並んだマリー・アントワネットのドレスルームのような空間に、提供されるケーキがディスプレーとして飾られている。マリー王妃よろしくガーリーなファッションでセルフィ―に挑むインフルエンサーや、ブライス人形を手にレンズをのぞく姿も見受けられ、撮影目的で訪れる人も多いだろう。スタッフのコスチュームとランチョンマットのアートワークは、ロリータファッションで定評がある「アトリエピエロ」が担当。ロマンチックで甘美な世界観を彩った。

 席に着くとテーブルには鳥かごアフタヌーンティスタンドが置かれており、中にはマカロンやタルト・オ・フリュイなどの色鮮やかなスイーツが並ぶ。紅茶は10種から選ぶポットサービス。ケーキビュッフェにありがちな、「まず並ばなくては」という焦りはなく、アミューズとしてのスイーツをつまみながら、カウンターに行くタイミングを計れる。またQRコードからドリンクやデザートメニューをチェックできるので、並ぶ前に席で何を選ぶか考える余裕も生まれる。通常よりも着席時間を増やすことで、他者との接触は減るだろう。配席も今までは208席だったところを160席にし、アングルも考えて距離を保っていた。

魅せ、交流しつつもリスクを減らすプレゼンテーションに

デザートはこの鳥かごスタンドに続き、以下の3つのスタイルで提供される。
1カウンター
2デザートワゴン
3シェフが目の前で仕上げる「ライブステーション」

 ではそのまま手に取れるシャンパン風ゼリー、小さなグラスなど、個別な容器で提供される。パスタやスープなど口直しのセイヴォリーは基本的にスタッフが盛り付ける。取り分け用のトングなど、ゲストがシルバーを共有することを避けた。

 のデザートワゴンは大まかなルートが決っており、あらかじめ何時くらいに回ってくるかを知らされる。前にくると飲茶のように好きなデザートを好きなだけ選べる仕組みだ。エリア内を優雅なワゴンが周回し、うやうやしくサーブされ、宮廷貴族気分を味わえる。

 はラグジュアリー系ホテルならではの高揚を感じる瞬間だろう。ミルフィーユや表面を焼きキャラメリゼにするピュイダムールなど、目の前で自分好みにカスタマイズできる。また薔薇の小さなケーキは花びらをあしらう最後の仕上げを目の前で見せる演出も。パティシエとの交流も楽しめ、非日常を味わえる。このライブステーションは着席時に大まかな利用時間を指定し、混雑が起きることを回避している。もちろん、列が少ない場合は指定以外の時間でも問題ないという。

 華やかなフランス宮廷の世界をスイーツで表現したのは、エグゼクティブペストリーシェフの播田修(はりたおさむ)氏。パリの5ツ星ホテルでミシュラン3ツ星シェフのもとでデザートを担当し、今回は「マリー・アントワネット スイーツ・オートクチュール」フェアでは王妃の帽子やバッグを模した目にも贅沢なケーキも発表した。「例えば王妃の帽子をイメージした『シャポーローズ』はブラッドオレンジの果肉をザクロのソースで煮詰めたジュレがビターオレンジのムースに隠されています。表面にはサクサクとした食感のメレンゲで飾りました。色、香り、テクスチャーを五感で比べて、記憶に残る時間にしていただけたら」と語る。

 「マーブルラウンジ」で14時30分から17時30分まで開催されるこのデザートビュッフェは、いわばスイーツのオートクチュール コレクションのようなもの。この2時間で得られるのは満腹感だけではなく、ライブを共有し、クリエーターの感性に酔う、心の贅沢だ。

 デザートビュッフェは1人3980円(土・日・祝は4300円)で9月30日まで毎日開催される。ディナーは同じく「マーブルラウンジ」でビーフ・ウェリトンやチーズワゴンもふるまわれる「マリー・アントワネットの晩餐会」として一人5500円(金・土・祝は6500円)で展開。ランチは「美しき妃たちの午餐会」となり2階中国料理「王朝」で楊貴妃に着想を得た華やかな料理で魅了する。点心とマリー・アントワネットのデザートはワゴンでサーブされ、同じく接触、混雑を避けたビュッフェスタイルだ。1人3500円(土・日・祝は3900円)。

 飛行機に搭乗せずとも、ヴェルサイユ宮殿に招かれたような、時空を超えた旅を体感できる。

 ショーのような演出など、工夫次第で、感染リスクを抑えながらも、今まで以上に高揚感のあるサービスを提供することは可能なのだ。正解が見えない今、私たちが別業界から学べる施策はまだあると気づかされた。

間庭典子(まにわ・のりこ)/フリーライター:婦人画報社(現ハースト婦人画報社)を退社後、ニューヨークへ渡る。現在は東京を拠点に各メディアに旅、グルメ、インテリア、ウエルネスなど幅広いテーマで執筆。著書に「ホントに美味しいNY10ドルグルメ」「走れば人生見えてくる」(共に講談社)など

The post 進化する幸せ産業(3)デザートビュッフェ編 さらなる華やぎと安全をもたらす抗コロナ対策 appeared first on WWD JAPAN.com.

編集長はデジタルパリコレで何見た? 3日目は区役所の待合室で座して「マルジェラ」を見た

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向です。今週は夕方から真夜中までデジタル上で開かれた2020-21年秋冬オートクチュール・コレクションを極めて真面目に取材しました。取材といっても場所は編集部で、歩きながら、スタバで、駅のホームで、自宅のソファでといろいろで、見終わった後は日本とドイツにいるチームで感想をチャットしました。長いパリコレ取材経験の中でもこんな形は初めて。発見が多く楽しかったですが途中から「これは取材?プライベート?」とややあいまいになったのも事実です(笑)

7月8日(水)
10:00(日本時間17:00)
渋谷区役所で取材を終え
「マルジェラ」を見る

 この日、長谷部渋谷区長への取材を終えたのが16:45。急いで渋谷区役所1階の待合室へ下りてスマホでスタンバイしました。17時からの「メゾン マルジェラ “アーティザナル” デザインド バイ ジョン ガリアーノ(MAISON MARGIELA 'ARTISANAL' DESIGNED BY JOHN GALLIANO)」を見るためです。役所で「マルジェラ」を見る日が来るなんて……不思議です。開始の10分前からユーチューブに入り、コメント欄で盛り上がるファンたちの会話を眺めて気持ちを高めました。私は、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)がデザインした1996年の「ジバンシィ(GIVENCHY)」の写真を見たときから、ジョンの才能のファンなのです。

 と、開始前に盛り上がったこともあり、17時に始まったムービーには正直拍子抜け。モデルのレオン・デイム(Leon Dame)らしきシルエットが浮かび上がったかと思うと、あっけなく終了しました。その間、約40秒です。チーン……。今回は導入であり、4回にわけて全貌を明らかにしてゆくとは聞いてはいましたけどね。インスタグラムに投稿するティーザーなら40秒でもよいけどね。コレクションの正式スケジュールに載せるならもう少し楽しませてくれてもよかったのに(泣)。などとブツブツ言うのもファン心理のひとつ。残り3回を見届けたいと思います。

11:00(18:00)
コロナに扮した
黒装束の女と仮面の男

 今季のデジタルコレに“ドラマ仕立て部門賞”があるなら、「フランク ソルビエ(FRANCK SORBIER)」に送りたい。「ペストの医者」と題したドラマは、黒装束の女性が自由の女神を縛り上げ、それを仮面の男がじっと見ているシーンからスタート。長いくちばしの仮面は、かつてイタリアでペストの治療にあたった医者たちが身に着けていたものです。つまり、黒装束の女性は新型コロナウィルスを意味しているのでしょう。

 不気味で不穏な展開は、コロナにより自由を奪われてゆく私たちの姿を描いているようです。ドラマのインパクトが強くて服には目が行きませんが映像それ自体が印象を残りブランド名がインプットされたのも事実です。

11:30(18:30)
良し悪しの印象の分かれ目は
“字幕”だった

「グオ・ペイ(GUO PEI)」は取材チーム内で意見が分かれました。デザイナー自身が語りインスピレーションを明らかにしつつ、モデル着用で服をきちんと見せる構成が◎というスタッフの意見に対して、私は△。その違いは見ているデバイスの違いでした。

 デザイナーは中国語を話し、英語の字幕が出るのですが、歩きながらスマホで見ていた私の目には小さい字幕(しかも白抜き)がほぼ読めず。「良かった」というメンバーの感想を受けて、大きなPCであらためて見ると文字が読めてなるほどその良さがわかりました。映像で伝えるコレクションは言語も大切。字幕をつけるならできるだけ大きな文字でプリーズ!できればたとえ流暢でなくともデザイナー自身が英語で語った方が耳でキャッチできるのでより伝わります。ということを学びました。

13:30(20:30)
幸福なカップルが着る「ブシュラ
ジャラール」の仕立ての良い服

 「ブシュラ ジャラール(BOUCHRA JARRAR)」の映像の主人公は女性どうしのカップル(たぶん)。彼女たちは部屋で、そして森で見つめ・触れ合いとても幸せそうです。「ブシュラ」の服は仕立てが美しく、特にメンズライクなコートやジャケットといった重衣料と白シャツが魅力ですが、モデルがウオーキングするファッションショーではともすると厳格すぎる印象を受けました。ところが表現の舞台を部屋や森へ移し、感情溢れる表情のモデルが着ているのを見るとぐっと親近感が増して好感度アップ。ショーより服が素敵に見えた好例で。

16:00(23:00)
ドレスと絵文字のギャップが
カワイイ「ヴィクター&ロルフ」

 オンライン上で一緒に見ていた取材チームが全員一致で「カワイイ!」と声を上げたのが「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR & ROLF)」です。無観客ショー仕立てで、1ルックごとに渋い男性の声で解説が入ります。昔のオートクチュール風ですね。きれいなサテンのドレスには顔文字や天気絵文字、ハートなどSNSで見慣れた絵文字が散りばめられていてウイットが効いています。おもしろいことをクスリともせず大真面目な顔でやって見せるのがヴィクロルですよね。

18:00(1:00)
「ヴァレンティノ」を待てずに
ソファで寝落ち

 最後まで見届けようと思ったのに、ソファで寝落ちして起きたら「ヴァレンティノ(VALENTINO)」が終わっていました……。本番は、7月21日にイタリア・ローマからの生配信であり、今回はティーザーであると聞いていたので気が緩んでいたのも確か。実際、流れた映像は短いものでした。取材チームがスラックで盛り上がっているのを読んだのは3時も過ぎた頃。「ゴメン」と心でつぶやきそっとPCを閉じたのでした。

 3日間の取材を自宅で終えて思うのは、デジタルコレクションは見なければ見ないでなんとなく流れていってしまう。だけど本気で見ると得るものも多いということ。メディアが今後デジタルコレクションを本気で取材するなら時差との闘いが避けられないことも身をもって体験。明日からはゆっくり寝ようっと!

The post 編集長はデジタルパリコレで何見た? 3日目は区役所の待合室で座して「マルジェラ」を見た appeared first on WWD JAPAN.com.

伊勢丹新宿でワコールの3Dボディースキャナーを生かした無料スタイリングサービス 約50ブランドの約1万種類から洋服を提案

 伊勢丹新宿本店は7月15日に本館3階のイセタンパーソナルラボ(以下、パーソナルラボ)で、3D計測とパーソナルラボの約10人の販売員によるマッチングサービス“マッチパレット”をスタートさせる。同サービスは、ワコール(WACOAL)の3Dボディースキャナーを利用して全身のサイズを5秒で計測し、可視化された体形データから、販売員が消費者一人一人にマッチするスタイリングを無料で提供するというものだ。販売員は、ボディースキャンのデータに基づいて体形タイプを27種類に分類診断し、約50ブランドの約1万種類からおすすめ商品とスタイリングを提案。30分コースは3Dボディースキャン計測とワンポイントアドバイス、90分コースはボディースキャン計測とコンサルティングという内容だ。

 予約は、三越伊勢丹アプリでデジタルID会員登録をして希望の日時を選択後、アンケートフォームに好みのスタイリングやファッションについて記入する。サービス体験後は、“マッチパレット”の公式LINEアカウントからオンラインチャットサービスが受けられる。受け付けは24時間で、返信対応は10~20時。友だち登録をすると、いつでもパーソナルラボの販売員に質問や悩みの相談ができる。

 このサービスは、オンラインでもオフラインでも最高の顧客体験の提供を目指し、最新デジタル技術と百貨店の強みである“人の力”を融合したものだ。通常のショッピング時の“悩みの時間”や“買い回りの時間”を短縮し、消費者の都合に合わせたショッピング体験を提供することで変化するニーズに寄り添うとを目的にしている。

 ワコールが2019年末に発表した顧客とのコミュニケーションのスローガン“ミート・ユア・ジャスト”は“消費者のジャスト=ぴったり”を提供する“というものだ。下着は体に直接着けるもので、洋服以上にフィッティングや好みが問われる。それを解決するツールの一つとして開発されたのが3Dボディースキャナーだ。

 ワコールは19年に同スキャナーとAI接客を導入したデジタル店舗「ワコール 3D スマート & トライ(WACOAL 3D SMART & TRY)」を出店しており、ビューティアドバイザーによるコンサルティングも行っている。いち早くパーソナライズ化に注力してきたワコールのノウハウが、下着の売り場だけでなく洋服の売り場でも採用されるのは自然な流れといってもいいかもしれない。新型コロナウイルスの影響をはじめ、さまざまな課題を抱える百貨店にとってワコールのデジタル技術を採用した新サービスが、売り場活性化のツールになるかどうかが注目される。

The post 伊勢丹新宿でワコールの3Dボディースキャナーを生かした無料スタイリングサービス 約50ブランドの約1万種類から洋服を提案 appeared first on WWD JAPAN.com.

音声座談会「蓉子の部屋」 Vol.1建築家の田根剛(前編)「田根がこだわる“記憶”って何?」

 「蓉子の部屋」は、川島蓉子・伊藤忠ファッションシステム取締役/ifs 未来研究所所長が、毎回ゲストを招き“未来”について考える音声番組です。未曾有の状況の中、業界にはこれからの“未来”について考えなければならない現実が待ち受けています。そんな中、少しでも業界人に役立つヒントや、カケラを音声配信でお届けします。近所のスーパーに行く時や、通勤・通学時に気軽に聞いてください(笑)。第1回は田根剛・建築家に迫り、自身が大切にする“記憶”について語ります。

川島蓉子:1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役。ifs未来研究所所長。ジャーナリスト。日経ビジネスオンラインや読売新聞で連載を持つ。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)、『すいません、ほぼ日の経営。』などがある。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている。

田根剛:1979年東京生まれ。Atelier Tsuyoshi Tane Architects を設立し、仏・パリを拠点に活動。場所の記憶から建築をつくる「ARCHAEOlLOGY OF THE FUTURE」をコンセプトに、現在ヨーロッパと日本を中心に世界各地で多数のプロジェクトを行なっている。主な作品に『エストニア国立博物館』(2016)、『新国立競技場・古墳スタジアム(案)』(2012)、『とらやパリ店』(2015)、『Todoroki House in Valley』(2018)、『弘 前れんが倉庫美術館』(2020)などがある。これまで、フランス文化庁新進建築家賞、ミース・ファン・デル・ローエ欧州賞2017 ノミネート、第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞、アーキテクト・オブ・ザ・イヤー2019などを受賞している。

The post 音声座談会「蓉子の部屋」 Vol.1建築家の田根剛(前編)「田根がこだわる“記憶”って何?」 appeared first on WWD JAPAN.com.

夏の着こなしは背中で勝負! 360度おしゃれの“バックコンシャス”が人気

 左右が異なるアシンメトリーの人気が飛び火して、この夏に盛り上がってきたのは、前後の見え具合が大きく異なる“バックコンシャス”の装いです。周りと距離を保って生活する習慣が広がったこともあって、実は後ろ姿は結構、見られているものです。薄着になる夏場はどうしても着こなしが単調になりがちですが、バックコンシャスの服なら、すれ違いざまに思わず“二度見”してしまいそうなポジティブサプライズを仕掛けられます。

 今回は、マルチWAY(何通りにも着まわしが可能)なアイテムでも定評のある人気セレクトショップ「ガリャルダガランテ(GALLARDAGALANTE)」のトップスから、“背中美人”の着こなしをご紹介します。

◆後ろ姿にビッグリボン “二度見”を誘う意外感

 ボウタイブラウスのヒットが続き、リボン(ボウ)はトレンドディテールの座をキープ。人目に触れる機会が増えてきたと思ったら、リボンを背中に引っ越しさせてみましょう。後ろ姿にリボンを持ってくれば、正面はすっきりした仕上がりに。

 一方、背中側の見え具合はエレガントに様変わり。ゆるくノット(結び目)をこしらえて、余った端を長めに垂らすと、落ち感が出ます。腰の上あたりに、さりげなく入ったスリットもバックショットの好アクセントに。正面はシンプルな見え方だから、幅広いシーンで使えそう。前後でムードが大きく異なる“見返り美人”のコーデは、おしゃれ上手を印象づけられるスタイリングです。

◆背中側だけに大胆スリット のっぺり姿におさらば

 オーバーサイズのシャツを着こなす場合、前後の見え方を大きく変えると、全体がのっぺりとした印象にはなりづらくなります。背中側にサプライズを仕掛ける演出は、意外感が強く出る“技アリ”の演出。バックスタイルに大きなスリットが入っていると、正面の“きちんと感”を裏切る効果を引き出せます。

 適度なシアー(透け)感があるタイプなら、長袖でも涼しげでフェミニン。ゆったりパンツと合わせても重たくならずに好相性を発揮。前から見るとシンプルで、後ろに遊び心のあるデザインは、おしゃれに手を抜かないキャラクターまで印象づけてくれそうです。

◆素材感をずらして、エレガントな前後アシンメトリー

 「あんまり冒険したくない」と考えるコンサバ・エレガンス派も、前後で表情の異なる装いは楽しめます。ダイナミックな変化を好まないなら、前後で質感をずらす“異素材ミックス”がおすすめ。光沢のあり・なしや透ける・透けないなどの違いを生かせば、装い全体が趣深く映ります。

 背中側の裾の切り替えには、つややかなサテン生地が施されてフェミニン。シックな表情のブラウスでありながら、サテンならではの風合いが生きて、後ろ姿に格上感が漂います。ショート丈のジャケットを羽織って、ブラウス裾をちらりとのぞかせるようなレイヤードも組み立てられます。オフィスでも節度を保ちやすいデザインです。

◆白Tの常識をひっくり返す 背中に素肌の“窓”をオープン

 真夏の主役的なシンプルTシャツは、便利な分、着方がマンネリ気味になりがちです。最近は大胆に前後の変化を試したタイプが出現しています。中でもビッグシルエットのTシャツは、工夫を施す余地が大きいから、いろいろな仕掛けを盛り込めます。

 オーバーサイズは風通しがよいので、真夏のTシャツにうってつけ。背中側にスポット(窓)が開いたデザインは、涼しいうえにアイキャッチー。風が吹き込むおかげで、快適に過ごせます。“白T”は、シンプル感が売り物でしたが、前後で異なった印象を与えるデザインなら、シンプルコーデから一気に格上げできます。

 バックコンシャスのデザインを取り入れれば、背中にも適度な緊張感が生まれて、気持ちにもめりはりが加わりそう。ソーシャルディスタンシングが当たり前になった結果、周囲から見られる機会が増えた後ろ姿に、もっとおしゃれ感をプラスしてみませんか。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

The post 夏の着こなしは背中で勝負! 360度おしゃれの“バックコンシャス”が人気 appeared first on WWD JAPAN.com.

ランジェリー業界のゲームチェンジャー vol.2 IT起業家と連携してECビジネスを構築するリリートレーディングの九冨里絵

 下着業界はファッション業界に比べるとメディア露出が少なく、またサイズの展開が多いため、在庫管理が複雑、生産工程で使用する資材が多い、生産ロットが大きいなどの理由から新規参入が難しいといわれてきた。大手の下着メーカーおよびアパレルメーカーによる市場の寡占によって、なかなか新陳代謝が進まない印象だったが、ここ数年、D2Cブランドが増加している。また、異業職種からのデザイナー転身やSNSを通じたコミュニティーの活性化など、下着業界では30代の女性を中心に新たなムーブメントが起こっている。下着業界に新風を吹き込むゲームチェンジャーらにインタビューし、業界の今、そして今後の行方を探る。

 第2回に登場するのは、オンラインのランジェリーセレクトショップを運営する九冨里絵リリートレーディング(LILY TRADING)社長だ。東京・代官山のランジェリーセレクトショップや新進気鋭ブランドの輸入代理店、オリジナルブランドの立ち上げなどを次々と手掛け、現在は出資を受ける同世代のIT起業家などと連携して新たなECビジネスを構築中だ。

――ランジェリーに興味を持ったきっかけは?

九冨里絵リリートレーディング社長(以下、九冨):10代の頃から、若くて痩せている女性が美しいという価値観に違和感を感じていました。分厚いパッドが入ったブラジャーや派手な配色のランジェリーも同様で、日本には「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」のような既成概念にとらわれないファッションブランドがあるのに、どうしてそれに似合うランジェリーブランドが存在しないのかと思っていました。そんなときに出合ったのがニュージーランドの「ロンリー・ランジェリー(LONELYLINGERIE)」。幅広い年齢の女性をモデルに起用し、デザインも着け心地もナチュラルで、共感できる初めての下着ブランドでした。私のように違和感を感じている女性たちに向けて、2017年3月、東京・代官山に下着のセレクトショップ「タイガーリリートーキョー(TIGER LILY TOKYO)」をオープンしました。“現代を強く生きる美しい女性のためのクローゼット”がコンセプトで、洋服を選ぶように下着を選ぶことができるショップをつくりたかったのです。それは実店舗からオンラインショップになった今も変わりません。

――当時のブランドラインアップは?

九冨:新進気鋭のヨーロッパブランドを中心に10ブランドほどそろえていました。その中の「ドラ・ラーソン(DORA LARSEN)」や「ル・プティ・トゥルー(LE PETIT TROU)」などは日本における輸入代理店も務め、PR活動にも力を入れてきました。その結果ブランドの認知度も上がり、日本から各ブランドの自社ECへのオーダーが全体の2〜3割を占めるまでになり、弊社の役割はもう終わったと思って契約は19年秋冬で終了しました。個人輸入も当たり前となった今、ただインポートランジェリーを仕入れて卸したり販売したりすること以上の何かにチャレンジしたいと思うようになりました。

――今はオンラインショップが中心だが?

九冨:代官山の店舗は順調な滑り出しでしたが、実店舗ではフィッティングや試着が第一とする傾向が強く、本来やりたかったこととのギャップを感じるようになりました。現在応援してくれている投資家やベンチャーキャピルなどとの出合いもあり、オンラインで新しいことにチャレンジしたいと思って代官山の店舗は18年6月に閉めました。現在は、オンラインでノンワイヤーのブラジャーやショーツ、ルームウエアを展開するオリジナルブランド「モンべべリリー(MON BEBE LILY)」などを中心に販売しています。

オンラインでの新たなコミュニケーションに挑戦したい

――IT関連の起業家との連携はどのような経緯で生まれた?

九冨:友人である石田健マイナースタジオ社長と話したとき、出資を受けるという選択肢があることを聞き、IT企業家の方々と連携して次のステージへ進もうと決めました。現在、石田社長や廣澤太紀ザシードキャピタル代表などから出資を受けていますが、自分に足りない力を、雇用形式ではなく対等の立場でアドバイスしてもらえるのはとてもありがたいですね。石田社長にはオンライン市場での顧客獲得や販売について、適切な戦略を明確にすることを教えてもらっていますし、廣澤代表には、1995年以降生まれの若手起業家の紹介などを通じて柔軟で新しいアイデアを与えてもらっています。

――現在の会社組織は?

九冨:私のほかにマーケティングとSNS対応のスタッフが2人います。現在、ツイッターで2万6000人、インスタグラムで1万5000人のフォロワーがいて、オンラインショップにも多くの問い合わせがあるので、その対応を任せています。1人はベルギー・アントワープ、1人は中国・上海在住の日本人で、定期的にオンラインミーティングを行なっているのでコミュニケーションも問題ありません。

――新型コロナウイルスの影響で働き方などに変化は?

九冨:一番大きい変化は、オフィスをシェアしていたIT企業がコロナ感染拡大でリモートワークとなり、オフィスの必要性がないと判断して6月末に賃貸契約を解約することになったことです。IT業界ではよくある話ですし問題ありませんが、アパレル業界ではオフィスやショールームがあり、そこで商談するというスタイルが定着しているのでオフィスがない=信用できない、と思われがちです。そのため、小さなスペースにオフィスを移転することにしました。変わっていく世の中に対応していかないと、止まっている業界、置いていかれる業界になるのではと危惧しています。私は今妊娠中なのですが、コロナ感染拡大で出社せずミーティングもオンラインでできるため、感染リスクが減ってとてもよかったと思っています。オンラインの仕事なら、産休も育休もフレキシブルに対応できます。アントワープのスタッフが最近出産したのですが、タブレットがあればできる仕事ですし、本人の希望もあって産休は10日間程度でした。そういった経験からも、今回のリモートワークの浸透が女性の社会進出を加速させてほしいですし、働く女性が多い下着やアパレル業界もこのタイミングで大きく変わるべきだと思います。ここで変わらないと優秀な人材はどんどん他の業界に転職してしまい、業界全体が停滞するのではないかと思います。

――今後の目標は?

九冨:オンライン上の新たなコミュニケーション方法に挑戦したいと思っています。しばらくは体に触れる密な接客はできないと予想されるため、間接的でも心地よく買い物できる方法をはじめ、商品やサービス環境を整えたいと思っています。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

The post ランジェリー業界のゲームチェンジャー vol.2 IT起業家と連携してECビジネスを構築するリリートレーディングの九冨里絵 appeared first on WWD JAPAN.com.

編集長はデジタルパリコレで何見た? 2日目はロックな「シャネル」が“秒”で終了!

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向です。6日から始まったパリコレ史上初となるデジタルでのコレクション、2020-21年秋冬オートクチュール・コレクションを取材しています。オンタイム5分前には取材チーム5人がチームスでつながりながら編集部や自宅のPC前でスタンバイ。時差ボケはないけど終了が真夜中だから寝不足気味。後から録画で見てもよいのですが、それだと「なんとなく気分が盛り上がらない」からオンタイムで見ています。

7月7日(火)
12:00(日本時間19時)
え!?あっという間に「シャネル」が終了

 2日目の最初のショーは「シャネル(CHANEL)」です。気合を入れて急いで帰宅。オンタイム前後のチームでの会話はこんな感じでした。

 私「あれ、始まらない」、記者A「『シャネル』のオフィシャルインスタが更新されていますよ」、記者B「それティザーじゃない?」、記者C「本番みたいです」、記者D「え、私電波が悪くて動画が動かない!」記者B「サンディカのホームページから見た方がよさそう」、記者C「シャネルのオフィシャルサイトからがよさそう」、私「あ、終わっちゃった!!」。

 その間、賞味1分30秒。え~ん。短すぎませんか~、ライブ感味わえません(泣)。デジタルコレクション取材はデジタル環境の良し悪しで決まると言っても過言ではありません。バッキバキのポージングがカッコいい撮影を担当したのはラグジュアリーのファッションシューティングと言えばこの人、スウェーデン出身の写真家ミカエル・ヤンソン(Mikael Jansson)。シューティングのカット数で考えれば十分な枚数ではあります。が、正直物足りないです。もっと堪能したかった。

 気を取り直して中身を見ると、今季はココ・シャネル(Coco Chanel)というよりも、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)の「シャネル」へのオマージュとのこと。1月に発表した2020年春夏オートクチュールはココ・シャネルが幼少時代を過ごした修道院をインスピレーションに無垢な少女のイメージでしたが、今回はグイっと成長してパンクな女性像。印象はだいぶ変わりました。ロココ調を好んだカールのスタイルも随所に。

 私が印象に残ったのは服以上にジュエリーの数々。毎年この時期のパリではオートクチュールと同時にハイジュエリーも発表してきましたが、今回はその2つを同時に発表した模様。数千万、数億円の価格がつくハイジュエリーはさすがに存在感が違います。

13:30(20:30)
これまでのショーをデジタルで
再現する発想は捨てるべし

 今回、デジタルコレクションをたくさん見て思うのは「これまでのショーをデジタル上で再現しようという発想は捨てた方がいい」ということ。ピンクの部屋でモデルのウォーキングを見せた「アレクシ・マビーユ(ALEXIS MABILLE)」は残念ながら成功例とは言えません。確かにリアルで見たショーに近しいモデルであり、ヘアメイクであり、カメラワークですが、それがリアルの魅力を超えることはあるはずもなく、“寂しい”印象が残ります。タッグを組むクリエイターも従来の延長線上で選ぶのではなく、デジタルならではの表現ができるチームがあるのではないでしょうか?

15:00(22:00)
つながるって楽しい
「ユイマ ナカザト」

 「ユイマ ナカザト(YUIMA NAKAZATO)」は面白い試みでした。「フェイス トゥ フェイス」と題したプロジェクトは、ロックダウンで移動できない制約があったからこそ生まれたアイデアです。世界中から25人が参加し、白いシャツを東京のアトリエに郵送。それを見ながら中里さん自身が参加者とオンライン上で対話しインスピレーションを得て、デザインを加えて送り返したそうです。「一番大切な質問は、このシャツにはどんな思い出がありますか?でした。パーソナルな記憶がそこに宿っていると、元の価格は関係なく一着しかない価値ある服になるから」と中里さん。配信と同時に行ったインスタライブで語っていました。

 このインスタライブがよかったのです。映像を見ながら浮かんだ質問を投げかけたら採用されたりして、ショーに参加している感アリ。リアルなショーでは見終わった後は次のショー会場へと急ぐため、デザイナー自身と話す時間が限られています。こうやってデザイナーの話をしっかり聞けるのは取材者としては助かるしブランドのファンもうれしいはず。

15:30 
ザ・ファッションデザイナーの姿

 「ジュリアン フルニエ(JULIEN FOURNIE)」の映像は、テレビドラマが描く典型的なファッションデザイナーそのもの。完璧な演出、完璧なライティング、完璧な構図がお見事です。しかも、ジュリアン自身による「オートクチュールとは、自分の服作りとは」の語りが自信に満ちていて最後まで聞いてしまいます。自分の仕事に誇りを持ち、自分の仕事が誰かを幸せにしていることを心から信じている人の言葉は説得力があります。

17:00(0:00)
パフォーマンスアートが
ファッションとますます近づく

 パフォーマンスアートは、リアルのショーでも度々採用されてきましたが、デジタルコレクションになり一層増えています。会場演出がない分、身体表現を通じてデザイナーのメッセージを伝えようという試みです。イタリアでロックダウンを経験した「アエリス(AELIS)」のデザイナーは「ビューティとアートからのインスピレーション、そしてコレクションを通じたポジティブなメッセージを伝えることが大切だった」と語ります。静かな効果音の中、布を捧げ持つように走る裸の男性。それをまとい揺れる女性。映像の構成が上手で飽きさせません。今後デジタルコレクションが広がる中で、ファッションとパフォーマンスアートとの関係性はより強いものになりそうです。

17:30(0:30)
インドから届ける
蝶々刺しゅうのマスク

 インドを拠点にしている「ラウル ミシュラ(RAHUL MISHRA)」は、ハンドワークのインド刺繍を生かしたドレスをデリのアトリエ周辺と思われる風景とともに発表しました。刺しゅうのモチーフは自由の象徴としての蝶々や鶴。屋外での撮影ではモデルは刺繍のマスクを着用しています。背景に流れるのは、パンデミックの中でなぜこのようなデザインに至ったのかについてを語るデザイナー自身の声でした。インドの職人たちへの尊敬の念や彼らと生み出すオートクチュールの意義、自由の象徴としての蝶々モチーフについてなど説得力があります。デリに行ってみたい、コレクション映像を通じてそんな感情を掻き立てられる時点で成功なのではないでしょうか。

18:00(1:00)
「ロナルド・ファン・デル・ケンプ(RONALD VAN DER KEMP)」

 本日最後のコレクションは、オランダ発の「ロナルド・ファン・デル・ケンプ(RONALD VAN DER KEMP)」。眠い!けど見てよかったです。

 ショーを通じて社会的なメッセージを発信しました。ルックと重なって見えるのは、おそらく公害や大量のゴミ、洪水や火災といった自然災害といった全世界共通の問題。人物と背景をオーバーラップさせる映像テクニックが秀逸です。映像でのコレクション発表は概ね8分。最後まで見てもらうためには特に前半にしっかりと情報を盛り込みメッセージを伝えることが重要なんだね、と気付かされます。後、画面の割付って超重要。1枚の絵の中に数カット取り込んでくれると見ている側は「情報量豊か」と思います。

The post 編集長はデジタルパリコレで何見た? 2日目はロックな「シャネル」が“秒”で終了! appeared first on WWD JAPAN.com.

フリースやヒートテックのアップデートポイントは? 「ユニクロ」20-21年秋冬展示会からvol.1

 「ユニクロ(UNIQLO)」2020-21年秋冬展示会に行ってきました。同ブランドのコンセプトといえば、生活に寄り添う究極の普段着といった意味の“LifeWear”ですが、コロナショックによる景況感の冷え込みや近年のサステナブル意識の広がりで、「適切に作られた適切な質・価格の商品をなるべく長く着る」といった考え方はいっそう拡大し、まさに時代は“LifeWear”の方向に流れていると感じます。そんな「ユニクロ」秋冬展示会で、個人的に重要なキーワードだと感じたのが「アップデート」でした。というわけで、今回は「アップデート」を軸に秋冬物を紹介します。

 具体的な商品紹介に入る前に、なぜ「アップデート」という言葉に注目したかを説明させてください。ファッション業界、特にウィメンズファッション分野ではこれまで、「最新トレンド」や「何がNEWか」といったことが重視されてきました。半年ごとに全く新しい商品を作るとされてきた業界ゆえですが、そこに対してウェブサービスなどに使われてきた「アップデート」という言葉は、全部をガラリとは変えず一部を改善する、といったニュアンスです。もはやトレンドが出尽くしている&消費者も全く新しいものは求めてはいない今の時代には、全部をNEWにするのではなく、「アップデート」の方が理にかなっていると感じるのです。

 さて、「ユニクロ」20-21年秋冬物はアウトドア、ワーク&クラフト、アート&デザインの3軸で商品を構成していましたが、そもそもこの3軸構成の見せ方自体が、19-20年秋冬からの継続です。つまり今季で3シーズン目。毎回見せ方が異なるのが常なファッションの展示会としては珍しく感じます。資料には「心地よい生活を送るために不可欠な3要素をアップデートした」とまさに書いてありました。

 アウトドアのカテゴリーで打ち出していたのはフリースやダウンアウター、“ヒートテック”などの商品群です。言わずと知れた、シーズンや年を超える「ユニクロ」の看板アイテムで、「ユニクロ」に行けば毎年これらの商品が買えることに絶対的な安心感があります。でも、実は細かい部分が「アップデート」されていて、毎年同じようで同じではないというのがポイント。売れ続ける定番は、「アップデート」しているからこそ売れ続けるのですね。

 たとえば防風仕様のフリースブルゾン。昨年の商品は「防風フィルムをフリースに挟んでいることで、シャカシャカ感があった」(広報担当者)といいます。でも、今年の商品はフリースのふんわりタッチしか感じず、シャカシャカ感は皆無。防風フィルムを0.08ミリと薄くすることで、ソフトさを追求したそうです。また、フリースではペットボトルをリサイクルしたリサイクルポリエステルを30%混ぜ込んだブルゾンもメンズで1型出していました。リサイクルしている分コストが余計にかかっていますが、価格は他のフリースブルゾン同様1990円に据え置き。サステナビリティ活動の一環ですが、これも「アップデート」の一例ですね。

 “ヒートテック”では、「超極暖」タイプのプルオーバーで長袖(10分袖)を出していました。こちら、去年までは袖が9分丈のタイプしかなかったそう。“ヒートテック”は元々インナーとして開発されているので、セーターやアウターからはみ出さないように袖を短めにしていたわけですが、カスタマーセンターやECサイトのレビューなどに、「部屋着としてこれ1枚で着ているから10分袖があったらいいのに」というお客さまの声が届いたことで開発に至ったそうです。「ユニクロ」ではこのように、「お客さまの声を起点にした服作り」をボイス・オブ・カスタマー(以下、VOC)と呼んで、強化しています。「われわれは情報製造小売業という新しい産業になる」と柳井正ファーストリテイリング会長兼社長は常々おっしゃっていますが、その肝になるのがこのVOCです。

 ワーク&クラフトのカテゴリーの重要アイテムは、ロサンゼルスのイノベーションセンターで開発しているジーンズ。タテヨコに伸縮する“ウルトラストレッチジーンズ”は伸縮性がさらにアップしていました。コットン100%のオーセンティックなジーンズのような表情でありながら、はき心地は快適となるよう「劇的にアップデート」(資料より)したそうです。シルエットとしてはこれまでのテーパードに代えて、ズドンと落ちるストレートを打ち出していたのが新鮮です。昨年発売して人気だったスフレヤーンニット(繊維を極細にすることでチクチクした肌触りを抑えたニット)は、ニットコートやフード付きチュニックなど、バリエーションが広がっていました。

 アート&デザインのカテゴリーは、よりきれいめでエレガントな雰囲気。このカテゴリーでの注目はメンズ、ウィメンズで出しているアンクル丈の“スマートパンツ”でした。「ユニクロ」の“感動パンツ”や“EZYアンクルパンツ”をはいたことがある人は多いと思いますが、あれ、スラックスのようでいてはき心地がよく、本当によくできた商品ですよね。今回の“スマートパンツ”もそうした「ラクしてきれいにはけるボトムス」(資料より)の流れですが、ツイード調に見える素材なのにしっかりタテヨコにストレッチがきいていたり、センタープリーツがピシッと入っているけどシワにはなりにくかったりと、多くの「アップデート」が盛り込まれていました。あとは島精機の「ホールガーメント」編み機を使った“3Dニット”も今や看板商品の一つですが、こちらはプレミアムラムウールを使って編み立てたタイプなど、素材バリエーションが拡大。そして、現在「ユニクロ」店頭で売れに売れているプリーツボトムの「アップデート」版も充実していました。ウール地風のアコーディオンプリーツのスカートも、もちろん家で洗濯が可能だそうです。

銘品「マスターピース」を紹介するコーナーも

 20-21年秋冬展示会には、「マスターピース」とカテゴライズされた空間も設けられていました。こちら、長く愛される定番品、いわば「ユニクロ」の銘品(=マスターピース)を紹介するコーナーだったのですが、「マスターピース」こそ、素材や細部の仕様を何度も「アップデート」して生み出されたアイテム群です。紹介されていたのは、カシミヤニット、メリノウールのセーター、ジーンズ、チェスターフィールドコート、傘(風を受け流す構造の折り畳み傘、“コンパクトアンブレラ”が実は「ユニクロ」の隠れたヒット商品だとご存知でしたか?)、ルームシューズ、消臭機能付きの50色ソックスの7つ。それらが「マスターピース」となる過程でどのように「アップデート」が重ねられてきたのかがしっかり語られていました。20年春夏から、「マスターピース」は公式サイト上にも紹介コーナーが組まれています。

 さて、ここまで「アップデート」「アップデート」と連呼してきましたが、実は「ユニクロ」にはその名も「ユニクロ アップデート」という、お客さまの声で商品を進化させていく取り組みがあるんです。まさにこれが前述のVOCの体現ですが、「マスターピース」と同様、「ユニクロ アップデート」も公式サイト上にコーナーが設けられています。たとえば20年春夏物でいえば、メンズのチノショーツやウィメンズのブラキャミソールが紹介されており、カスタマーセンターなどに寄せられたお客さまの要望・不満の声と、それをもとにしてどう商品を改善したかというストーリーが一緒に載っています。ここでもまた「去年と同じに見える商品が売れ続けるのは、背景に細かいアップデートがあってこそ」と気付かされます。

 コロナショックの自主休業で今春夏の在庫が滞留しているブランドやショップは多いですが、それを20年秋に、もしくは21年春夏に持ち越すという動きが業界内には広がっています。今後、シーズンを超えて定番的な商品を売っていく動きはファッションビジネスの新スタンダードの一つになる予感がしますが、そうなった時に大切なのが「アップデート」の考え方。「ユニクロ」の「アップデート」をキーにした商品の作り方や展示会の見せ方、消費者への伝え方の手法は、他社にとっても参考になる部分が非常に多いと感じました。

The post フリースやヒートテックのアップデートポイントは? 「ユニクロ」20-21年秋冬展示会からvol.1 appeared first on WWD JAPAN.com.

伊藤貞文や横浜流星、菅原小春も審査に参加! 「NARS」が日本限定コレクション発売記念でインスタキャンペーン

 人が本来持つ美しさや個性を最大限に引き出したいという想いから「美しさにルールはない」というフランソワ・ナーズの哲学を貫いてきた「NARS」は、ブランド初の日本限定コレクション「ZEN COLLECTION」を7月8日に発売した。同コレクションには、「禅」の精神、すなわち自分の置かれた環境や自分自身と向き合い、自分らしい調和をもって内なる輝きを楽しく表現してほしいという願いが込められている。発売を記念してメイクアップを通じて自己表現をする楽しさをより多くの人に体験してもらうために「ZEN MAKEUP CONTEST」を開催する。

キービジュアルに登場した
横浜流星と菅原小春も審査に参加

 「NARS ZEN MAKEUP CONTEST」は、ブランド公式インスタグラムアカウント(@narsissit)をフォローして、「ZEN COLLECTION」のアイテムを1品以上使用したメイクルックを撮影し、ハッシュタグ「#NARSメイクコンテスト」「#ゼンコレクション」を付けて投稿するというもの。審査は「NARS」に加えて、伊藤貞文グローバルアーティストリーディレクターやキービジュアルに起用した俳優の横浜流星、ダンサーの菅原小春も行う。最優秀賞(1名)には5万円相当の賞品詰め合わせを、メイクアップ賞(1名)には伊藤貞文氏のオンラインマンツーマンセッションを、優秀賞(1名)には横浜流星・菅原小春のサイン入りのアイシャドーパレットを、入賞(10名)には1万円相当の商品詰め合わせをプレゼントする。

ファッション・ビューティ業界の
注目アイコンも続々と参加

 ファッショナブルで洗練された「NARS」はファッション・ビューティ業界にもファンが多い。すでに「ZEN COLLECTION」を使用したルックをインスタグラムにアップしている業界人をピックアップして紹介する。


日本人のために
シェードをセレクトした
アイシャドウとリップ

 「ZEN COLLECTION」はブランド初の白いパッケージを採用し、日本人のためにセレクトしたシェードが特徴だ。「リップスティック」(各3300円)は既存色の中から3色をピックアップしたほか、4色をセットにしたアイシャドウパレット「クワッドアイシャドウ」(各5800円)は、オレンジ系カラーの“KYOTO”とパープル系カラーの“TOKYO”をそろえる。

問い合わせ先
NARS JAPAN
0120-356-686

The post 伊藤貞文や横浜流星、菅原小春も審査に参加! 「NARS」が日本限定コレクション発売記念でインスタキャンペーン appeared first on WWD JAPAN.com.

ONE WWD JAPANってナンですか? エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月8日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

ONE WWD JAPANってナンですか?

 さて、勝手にスタートしております「3年で意味が変わった言葉」連載の2回目は、「ONE WWD JAPAN」です。

 まず、「そもそも、『ONE WWD JAPAN』ってなんだよ!?」から説明しなくちゃ、ですよね。これは、今から6、7年前になるでしょうか?当時の弊社幹部が一緒になって、「ディオール(DIOR)」のファッションとビューティを担当するPRの皆さんにご挨拶に行った時まで遡ります。多分私たちが、「ファッションもビューティも、一丸となって、頑張ります!!」みたいな話をしたのでしょう。それを聞いた先方が「私たちも『ONE DIOR』として、ブランドを盛り上げたいと思っています」とおっしゃったのを聞いて、「素敵!!マネしよう!!」と思って以来の言葉です。

 TVCMでは、ちょうど「One MIZUHO」なんて言葉も流れていたんですよね。今思えば、「One MIZUHO」ってなんなんだろう?HPで調べてみますと、銀行と信託、そして証券が一体となって、「お客さまから今まで以上に必要とされ頼りにされる、より強力で強靭な金融グループ」に進化するための言葉だそうです。「ONE DIOR」と一緒ですね。以来私は、「ファッションとビューティは、切っても切り離せない関係。なのに今まで近いようで遠かった2つの業界を融合できるのは、全く同じ『WWDジャパン』という名前で(ちなみに『WWDビューティ』の正式名称は『WWDジャパン ビューティ』なんですw)、ファッションとビューティを語っている私たちの使命だ!!」という決意を、この「ONE WWD JAPAN」という格言の中に詰め込んでおります。代表的なコンテンツは、一本目のリンクですね。以前もこのメルマガで紹介させていただきましたが、「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)」の2020年春夏のテーマを伺い、「ベアミネラル(BAREMINERALS)」と「ダブDaB)」に、「バーニーズ」のテーマを体現するビューティを作っていただきました。「バーニーズ ニューヨーク」の皆様にビューティの楽しさを、「ベアミネラル」と「ダブ」にファッションの楽しさを体感していただけたら、双方は、より近づくのでは?と願った企画です。正直、完成まではいつもの4倍くらいの手間暇がかかっています(笑)。

 「ONE WWD JAPAN」は今も引き続き、「ファッション=ビューティ(ファッション>ビューティではないし、ファッション<ビューティでもありません!!)」という意味でも使っていますが、加えて「週刊紙=ウェブ」、もっと言えば「週刊紙=ウェブ=SNS=セミナーやイベント、ライブ配信」を表現するときにも使っています。特にこの3年、私たちはさまざまな「WWDジャパン」を生み出してきました。インスタグラム、LINE、YouTube……and more!!後から生まれたけれど、それらは全てオリジンである週刊紙同様に大事だし、デジタルの広告売り上げが紙媒体を超えてもなお紙媒体は大事です。全ての「WWDジャパン」に優劣は存在しない。そして、さまざまなサービスが全て1つになって「WWDジャパン」なのです。

 あ、ここまで書いて気づきましたが、多分「ONE DIOR」や「One MIZUHO」には、すでにこの意味が含まれているのか(笑)。私の理解が表層的だったのかもしれません(笑)。O2OとかOMOという概念にも、ヒエラルキーなんて存在していないことを願っています。そこにヒエラルキーが存在したら、組織は一丸となっていませんからね。「ONE」は名乗って欲しくありません。

 そして、全部の「WWDジャパン」に親しんでくれたら嬉しいけれど、幾つかだけを愛してくれても、まぁまぁハッピー!!全部を愛してくれたら、とってもハッピー!!そんな風にも考えています。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post ONE WWD JAPANってナンですか? エディターズレターバックナンバー appeared first on WWD JAPAN.com.

中国で黒人モデルの需要に変化?

 アメリカで始まったBLM(Black Lives Matter=黒人の命は大切)運動は世界各地へと広がりを見せ、ファッション業界を含む社会全体に急速な変化をもたらしている。そんな中、中国では包括性をDNAの一部と考えるデザイナーズブランドの台頭や、中国とアフリカの友好関係を歓迎する社会の風潮によって黒人モデルに光が当てられている。

 2010年代は中国を活動拠点とする黒人モデルも少なく、中国版「ヴォーグ(VOGUE)」や「エル(ELLE)」「ハーパーズ バザー(Harper's BAZAAR)」などの有名メディアでもあまり見かけなかった。しかし「エルメス(HERMES)」などの海外ブランドが国内のショーで多様なモデルを招へいするようになったことから、黒人モデルがメディアで起用される機会が増えた。中国のファッション雑誌などで10年以上撮影を行い、アジャ・デン(Ajak Deng)とともに中国メディアで初の黒人モデルを表紙に起用したフォトグラファーのジョン・ポール・ピートラス(John-Paul Pietrus)も2012年当時に比べて、中国国内における黒人モデルの需要の高まりを肌で感じているという。

 しかし当時と変わらず、中国国内で起用できる黒人モデルの数は多くはなく、モデルを探すことも難しいようだ。上海を拠点とするブランド「フィックスステュディオス(FFIXXED STUDIOS)」のフィオナ・ロー(Fiona Lau)=クリエイティブ・ディレクターは、「正直に言うと、中国でショーやルックのために起用できる黒人モデルの選択肢は、パリでのショーに比べて格段に少ない」と述べ、多様なキャスティングをするには限られた予算で時間をかけて探す必要があるという。そのため、19年からはモデルを自身の交流範囲の中からスカウトするようになり、「従来のエージェンシーを通じて紹介されるモデルが多様でない場合、私たちは自分から積極的にモデルを探していかないといけない」と語った。

 ローが自身の友人の中からモデルとして起用したのは、中国語を話すアフリカ系ファッション・ブロガーのダニエル・マグニェ(Daniel Magunje)だ。14年に留学生として中国に来たマグニェは、買い物中にスカウトされて以来、中国とアフリカ市場をつなげる自身のビジネスを持つかたわら、モデルとして常に3つ以上の仕事を抱えている。彼は一度も自分から仕事を探したことはなく、全て口コミによる紹介で働いている。こうした経験を通して、アジア人や白人の顔立ちを好む代理店には見向きもされなかった黒人モデルの隠れた需要を感じたという。

 上海の大学を卒業したハイチ系アメリカ人のクリスティーナ・ラトー(Christina Rateau)は、上海ファッション・ウイークの常連で参加するなど、モデルとしてのキャリアを積んできた。上海でも数少ない黒人モデルである彼女はこの気運の高まりに関して、人種の多様性を打ち出そうとするハイファッションブランドの流れをそのままくむ中国のクライアントが多いことから納得がいくと考える。しかし同時に、包括性をめぐる複雑な側面に対して「中国において私たちはこの国の美の概念に当てはまらないというだけの話でもある。何千年と続く中国の美の価値観に対して変化を求めるのもおかしな話」と言及し、「それでも、どんな形のどんな種類の美でもそれを認めることは大切だと思う」と語った。

 上海でファッション企業のクライアントを持つイベントエージェンシー「ケーツー(K2)」のティナ・スチール(Tina Steele)=コミュニケーション・ディレクターは、「徐々にではあるが、ビッグブランドが中国で多様なモデルをキャスティングする傾向が見られているのは確かだ。起用率はだいたいアジア人モデルが50〜70%、白人モデルが30〜50%を占める。多様性は第一優先ではない。もちろん誰も直接は言わないけれど、中国ではいまだにクライアントが黒人モデルの起用を望むことも受け入れることも、極めてレアなケース」と話す。

The post 中国で黒人モデルの需要に変化? appeared first on WWD JAPAN.com.

コロナ禍で好調「でも、非常に焦ってます」 D2Cブランド「フーフー」が見据える今後

 コロナ禍でECをはじめとするデジタル化の波が押し寄せている。大手から中小まで、さまざまな企業・ブランドがデジタル施策に注力している中で、もともとインターネットを主戦場としてきたブランドたちはいま、どのような状況にあり、何を考えているのか。インスタグラムを中心に人気を博すアパレルD2Cブランド「フーフー(FOUFOU)」を手掛けるマール・コウサカ氏に話を聞いた。

WWD:新型コロナウイルスの影響を受けて、始めた施策はあるか?

マール・コウサカ(以下、コウサカ):「フーフー」としては、店舗の休業などで仕事を休んでいる販売員さんたちに新作を送り、生地やサイズ感のレビューをしてもらう“リモートレビュアー”を始めました。レビュアーの方にリモートで写真を撮影してもらい、身長別のコンテンツを作りたいと考えたからです。あとは試着会などのリアルイベントを当分行わないと決めたことで時間ができたので、インスタグラム上でのライブ配信やウェブ展示会といったウェブコンテンツを増やしています。「コロナの中でも良いことがあったね」といった出来事が一つでも作れたらな、とは思っています。

WWD:それらの施策の反響は?

コウサカ:“リモートレビュアー”に関して言うと、最終的には約10名の方にお願いしましたが、実際には550件くらいの応募があり、びっくりしました。また、ライブ配信も視聴者数が明らかに増えています。先日は、初めて同誌接続数が1000を超えました。配信中の様子を見ても、あまりコロナの話題にならず、世の中の鬱々とした雰囲気は感じない。まるで違う世界の人と話しているかのようで、みんなが楽しそうですね。

WWD:楽しそうな雰囲気を出すために、「フーフー」としては何か取り組んでいることがあるのか?

コウサカ:お客さんとの距離感は大切にしています。「フーフー」はお客さんにとって、友達でもなく、家族でもなく、はたまた面倒くさい上司でもない。インターネットのお店を介して、人間関係の中でも一歩離れたところにいるんです。その“心地よい距離感”が、コロナで社会も生活も変わってしまった中での「楽しい場所」になっているのかもしれないです。少なくとも発信する側の僕たちはそう思っています。

WWD:ライブ配信の視聴者数が増えているとのことだが、売り上げも増えている?

コウサカ:売り上げにも勢いが出ています。あくまで印象ですが、お客さんの数の増加以上に伸びているような気がしています。もちろん、お客さんの中には「今は服を買うのを控えよう」と言った人もいるとは思いますが。

WWD:コロナ禍の中で始めた施策は、今後も続けていくつもりか?

コウサカ:そうですね。“リモートレビュアー”をはじめ、引き続き行っていくつもりです。ウェブ展示会に関しても、先行予約の数を見て在庫を調整できるし、最近はお客さんが増えたことで発売直後に完売といったことが多かったので、それが落ち着く仕組みなるかなと考えています。

WWD:「フーフー」としては、コロナ禍の中でも、ポジティブな影響が多かったのか?

コウサカ:一見するとそうかもしれませんが、実は個人的にとても焦っていることがあって。それは、レガシーなメーカーやコレクションブランドなどのオンライン化が急速に早まったこと。要は、僕らがいる場所に、大御所的な人たちが入り込んできた。ユーチューブに、芸能人の方が参入してきた感覚に近いかもしれません。ライブ配信などに関しても、「フーフー」は早い段階から始めたので先行者利益を得られているかもしれませんが、既に渋滞が起きている。今までずっとインターネットの中で勝負してきましたが「いつまでこの地にいられるのか?」を考え、準備はしています。

WWD:「準備」とは、具体的にどのようなことか?

コウサカ:もともと、いずれ来るであろうオンライン化の波に備えて、オフラインを重視していこうとは考えていました。その1つが、試着会の同時開催です。コロナでなくなってしまいましたが、もともと5月から3ヶ月に一回程度のペースで、東京と大阪で試着会を同時開催するつもりでした。既にスタッフさんのコミュニティーがあり、1年くらい一緒に試着会をやってきたリーダー的存在の人もいるので、そういった人たちと仕組みを作り、同時開催という“リアルだけどインターネットっぽいこと”ができたらいいなと考えていました。今はコロナで一旦ストップしていますが、イベント始まりだしたら、いつでもスタートできるように準備はしています。いずれ東京、大阪だけでなく現在試着会を行なっている他の街も同時開催できるようにし、もっと短いスパンでそれぞれの街で試着会が行えるようにしたいです。

WWD:コロナ禍の中で、ファッションは今後、どのように変わって行くと思うか?

コウサカ:仮想現実上で人と会うことが、今後は増えて行くと思います。ゲームの「あつまれ どうぶつの森」にいろいろなブランドが参加していたのが象徴的ですが、バーチャル上で着るものもファッションの1つになるかもしれない。バーチャル用の服のデータのサブスクとかが出て来るかもしれません。一方で、そうなると外に出ることが非日常的になり、外で着るファッションの価値がさらに高まっていくでのはないか、とも思います。実際に自粛期間中は、スーパーに行くだけでも楽しい気持ちでいたい、といった人も多かった。僕らとしてはスタンスは変わらず、お客さんが着た時に高揚感が感じられる服を作っていきたいですし、作っていけるなとも思っています。

The post コロナ禍で好調「でも、非常に焦ってます」 D2Cブランド「フーフー」が見据える今後 appeared first on WWD JAPAN.com.

おしゃれなあの人のビューティライフを拝見! ヘアメイクアップアーティスト・佐川理佳編

 世界的な新型コロナウイルスの流行によって私たちの生活は一変し、今までにない習慣や行動を余儀なくされている。緊急事態宣言が解除され、終わりの見えない出口にやっと一筋の光が差してきたが、日々刻々と変わる状況の中でこれまでとは異なる“新たな日常”を理解し、共に過ごしていかなければならないはずだ。そんなガラリと変化した暮らしの中でも、ポジティブに自分らしい生活を心がけているファッション業界人のビューティ事情、ライフスタイルにフォーカス。

 今回は、人気ファッション誌やブランドルックなどで活躍するヘアメイクアップアーティストの佐川理佳さん。ナチュラルながらも女性らしさを引き立てる絶妙なメイクが魅力で、モデルやタレントからも常にひっぱりだこだ。そんな今を時めくヘアメイクアップアーティストが自ら愛用するコスメとは?

【SKINCARE】

朝と夜で成分の異なる
美容液を使い分けて

【GOODS】

愛犬との散歩にも使える
ファッションアイテム

 美容と健康のためにビタミンBとC、鉄分のサプリメント、そして冷え対策や免疫力アップのためにハーブティーはよく飲むように心掛けています。この状況下で新たな生活スタイルになり、さまざまなことに対して意識が変わりました。まず、愛犬との散歩がますます楽しみになって、今までは“動きやすくて汚れてもいい服装”だったのが、お気に入りのものを身につけたいと思うように。紫外線対策にもなる「セリーヌ(CELINE)」のサングラスと「ジル サンダー(JIL SANDER)」の帽子は散歩中のヘビロテアイテムです。また、以前から気になっていたデンマークのブランド「アイテム(AYTM)」のフラワーベースをオンラインサイトで見つけ即オーダー。お花が家にないときでもオブジェとして活躍してくれます。

【BODY&SLEEP】

お気に入りの香りを選んで
心身ともにリラックス

【MAKEUP&NAIL】

今だからこそミニマルな
メイクを楽しんで

「WWDビューティ」編集部からのコメント

実力派と評判のさまざまなブランドをうまく組み合わせていて、肌のこと、化粧品のことを熟知しているメイクアップアーティストならではのというラインアップ!朝はビタミンC、夜はビタミンAと、シートマスクの成分を使い分けているのも技アリのテクニックですね。「アスレティア」は「RMK」や「スック」を擁するエキップが17年ぶりに立ち上げた新ブランドで、今年2月にスタートしたばかり。天然精油の香りとワンプッシュで潤いが届く手軽さで、注文が殺到している人気製品です。(N・T)

The post おしゃれなあの人のビューティライフを拝見! ヘアメイクアップアーティスト・佐川理佳編 appeared first on WWD JAPAN.com.

編集長はデジタルパリコレで何見た? 初日は「ディオール」のファンタジーに没入

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向です。6日、パリコレ史上初となるデジタルでのコレクション発表がスタートしました。私ももちろんパリには行かず、職場や自宅のPC前や、帰宅途中の電車でスマホを通じて取材しました。現地でパリコレを見てきた自分はデジタルでパリコレを見て何を思うのか?自分自身を観察するような気持ちで初日がスタートです。

7月3日(金)「ディオール」からインビテーションが届く

 「ディオール(DIOR)」から立派なインビテーションがオフィスに届きました。真っ白な箱を開くとカーテンに見立てた白い紙のプリーツの奥に真っ白なトルソーが鎮座しています。金文字で2020-21年秋冬オートクチュールのスタート時間が記されています。ウェブを通じて誰もが見られるデジタルコレクションですが、こうやって招待状を受け取るとやはりうれしいものです。

7月5日(日)21:00 「エルメス」のメンズコレクションで幕開け

 この日、「エルメス(HERMES)」の2020-21年秋冬メンズ・コレクションがデジタルで発表されました。パリメンズ(もちろんデジタル)の開幕は来週だから一足お先に、といったところ。自分にとって日曜日の夜にキッチンでワイン片手に料理をする時間は、1週間で一番くつろげる好きな時間。いつもはフランスのラジオ局TSFジャズを流していますが、この日はiPadで「エルメス」のショーを見ました。途中から目が離せなくなり料理の手が止まりましたが(笑)。バックステージのようなシーンから始まる8分間はあっという間。デジタルコレクションはノート片手にPCの前で見るより、こんな感じでリラックスして見るのがよいかも!でもこれは仕事?プライベート?曖昧ですね(笑)。

7月6日(月)2020-21年秋冬オートクチュールが開幕

 さあ!2020-21年秋冬オートクチュールの開幕です!と、自分を鼓舞して意識的に時間を確保しないとうっかり見るのを忘れそう。サンディカから発表されたスケジュールは、これまでのオートクチュールと変わらない1時間刻みですが、時差があるため日本時間は17時から夜中の2〜3時までとなります。サイボウズには、アポイントメントや会議と同じように「クチュール取材」の予定を入れました。何かヘンな感じ!

12:00(19:00)「イリス」にがっかり

 パリコレ取材チームはチームスでつながりつつ、一緒に配信を見ることにしました。1本目は「イリス ヴァン ヘルペン(IRIS VAN HERPEN)」。リアルのショーでもテクノロジーを生かした演出で近未来なショーを見せてきた「イリス」なので、デジタルコレクションに大いに期待しましたが、正直がっかり。“トランスモーション”というテーマの下、1ルックを解体しつつ見せてゆく手法は何かしら意味があるのでしょうが、理解は及ばず。

13:30(20:30) 電車の中でショーを見る

 オフィスを出て帰宅途中の地下鉄の中で「マウリツィオ・ガランテ(MAURIZIO GALANTE)」を視聴。パリの建物内によく見られるらせん階段をモデルが一人ずつゆっくり降りてくる8分間。クチュールブランドにふさわしく、美しい映像を作ろうとしていると思いますが、「映像美だったら映画で見る」と思ってしまう自分がいます。

10:00(21:00)

 順番は前後しますが、「スキャパレリ(SCHIAPARELLI)」のインスピレーション公開を視聴。面白かったです。デザイナーが部屋でマスクを着用するシーンに始まり、店が軒並みクローズしている街を抜けて公園へ。ベンチに座り、デッサンをする姿がリアルで共感しました。私も時々外にPCを持ち出して原稿を書きますが、自粛が続く毎日の中では緑の下の空気に癒されますよね。そして日常の風景の中だけど、スケッチブックの上には新しいデッサンが色鉛筆でどんどん描かれてゆく。どんな服が完成するのか見てみたい、と期待しちゃった時点でこの映像は大成功ですね。

14:30(21:30)群を抜く「ディオール」のファンタジー

 「ディオール」は落ち着いて見たいので帰宅後、身の回りの片づけを終えてからPC前に10分前からスタンバイ。同時にインスタグラムでARフィルターなどの情報も得ながら(結局使いこなせなかったけど)、始まりを待ちます。同時視聴している5人でチームスを通じて会話をしながら待つワクワク感は、座席に座ってショーの始まりを待つ感じと同じです。

 見せたのは森を舞台にした完璧なるファンタジーでした。物語の案内役は、トランクを担いだ2人のポーターです。彼らは森の中で妖精に出会うと、中から小さなトルソーを取り出しプレゼントしてゆきます。トルソーが着ているのは、サイズこそ小さいものの完璧に作られたオートクチュールドレス。受け取った妖精たちは喜び、そして……。どうぞ後は映像で見てください!

 パリで見てきた「ディオール」のオートクチュールのショーは、それこそファンタジーの世界でした。ロダン美術館の会場に到着し(時にはレースの仮面を着用したりしながら)、席に着き、ショーを見て会場を出る。その一連の時間は、子どものころに絵本を読んでその世界に没入した時間に似ていました。「ディオール」のオートクチュールは大人のファンタジーなのです。イタリア人映画監督マッテオ・ガローネ(Matteo Garrone)による映像美の世界は、自宅にいながら「ディオール」ファンタジーに没入できるという意味でショーに代わる役割を立派に果たしたと思います。

 それができるのは、小さな人形用の服を仕立てるアトリエの技があるからなのですが。今回のコレクションの起点は第2次世界大戦中にフランスで行われた、人形に服を着せた展覧会からヒントを得たそうです。戦時中という困難な中でも人々に夢を提供しようとしたその試みに、自分たちのオートクチュールの仕事を重ねるマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)の姿勢に共感します。

 ただ、見ていて途中から気になったのが、妖精役のモデルが全員白人であるという点。ダイバーシティーを重んじる「ディオール」のショーにはいつもさまざまな人種のモデルが登場しますが、今回は違いました。神話の世界をモチーフにしており、忠実に表現しているのでしょうし、当然メゾン内での議論を経ての選択でしょうが、無意識に見ていても「違和感」に覚えるのが今の時代です。

16:00(23:00) 最後はモデルがセルフィーで〆る展開

 「メゾン ラビ カイルー(MAISON RABIH KAYROUZ)」はすごーくベタ(ドラマで見る外科医の手術妄想練習みたいに、糸と針を持たない手の動きでスタート)で、その後も一着の服を手で作り上げてゆく様子が展開されます。この服をすてきだとは思わないけど、少なくともブランドの特徴や面白さは伝わってきた。資金力がないブランドはムードな映像には手を出さず、こうやってリアルを見せた方がファンを得られそう。

17:00(0:00)アバターが世界遺産を行く

 「ラルフ & ルッソ(RALPH & RUSSO)」はデザイナー自身がインスピレーションなどをしっかり解説。これはいいですよね。ただ映像を見るよりブランドのポリシーがしっかり伝わります。そして最後には黒人のアバターモデルが登場し、万里の長城やピラミッドといった世界遺産のグラフィック前でポージング。日本はなかったけど、自分の国が登場したらファンはうれしい。

17:30(0:30)ティスケンスが「アザロ」デビュー

 「アザロ(AZZARO)」は、オリヴィエ・ティスケンス(Olivier Theyskens)がアーティスティック・ディレクターに就任して初めてのコレクションが期待大なので、寝落ちしそうになりながらもオンタイムで見ました。「ロシャス(ROCHAS)」「ニナ リッチ(NINA RICCI)」「セオリー(THEORY)」などを経て、何を見せてくれるのでしょう!?彼へインタビューしたときに聞いた、「僕、小鳥になりたいの」の言葉が私の脳に強烈にインプットされております。今回もきっとどこかに小鳥が出てくるはず!との予測は大外れ。マイクを持った歌手が歌い踊るムービーでした。カメラアングルもライブ中のミュジーシャンを舞台下から撮るタッチです。音楽×ファッションのコラボレーションはいいですよね。できるなら新曲披露をライブで行うなど、ライブ感があればこの時間に見に行きたいと思う人も増えるかも。ティスケンスがデザインする服は細身でモデルのウォーキングを見ると「きれいだけどキツそう」という感想が出てしまうのですが、激しく歌い踊る姿を見ると、着心地の良さも計算されているのだとわかります。「アザロ」は歴史あるブランドだけど、多くの人にとってブランドイメージは希薄。これからティスケンスがそれを作り上げてゆくことを期待します。

18:00(1:00)

 「アントニオ グリマルディ(ANTONIO GRIMALDI)」は、日本時間深夜1時にスタートのため眠かったのですが予想外の展開に目が覚めました。全編ドラマ仕立てで、母娘と思われる2人の女性の愛憎劇。娘が母を刺殺する衝撃のシーンを含みますが、キャストは全員カラフルなドレスを着ていてなんともシュールです。「牡丹と薔薇」といった昼ドラを連想します。ドロドロした人間模様になんだかんだ引き付けられるのは世界共通なのでしょうね。

18:30(1:30) コンセプト先行で感動得られず

 「スーアン(XUAN)」は1ルックごとを360度から映し、複雑な服の構造をじっくり見せる方式。公式インスタグラムによると、火、水、空気、大地という4つの生命の要素を表現したそう。「そうなのですね」以上の感想は持てず。つまり感じ入る何かを見つけられませんでした。このブランドのファンはこのブランドのファンに会って話を聞いてみたい。

19:30(2:30) 朝目覚めて「ジャンバ」を見入る

 素晴らしい!「ジャンバティスタ ヴァリ(GIAMBATTISTA VALLI)」のショー開始は日本時間夜中の2時半だったので見たのは起きてからなのですが、ベッドの中でIPhone片手にうっとりしました。エッフェル塔など景色と対比させながらドレスを一着ずつ見せてゆく方式で、ドレスの存在感を伝えるカメラワークやモデルの表現も素晴らしい。パリでリアルのショーを見たときとほぼ同じ印象を受け取りました。このブランドのすごさは、デザイナーの美意識はもちろんですが、アトリエスタッフのセンスにあります。布を切って縫い合わせるという工程は同じなのになぜ他より抜きん出て美しいのだろう、とため息。アトリエスタッフの皆さんは何気ない風景の中にも美を見出せる感覚を持っているのだろうな、と想像します。顧客になりえる財力があり、着てゆく場所があるならば着てみたいと思う、オートクチュールなりの“リアル”な欲求をかき立てられます。多くの人にぜひ見てほしい。

20:30(3:30)レバノン発大ベテランの無観客ショー

 「ジョルジュ オベイカ(GEORGES HOBEIKA)」はレバノン出身の大ベテランで、長年ファッションショーを行ってきたデザイナーです。本日唯一の無観客ショー方式での発表でした。夜の公園?と思われる広大なスペースを使い、モデルが一人ずつ歩いてくる方式です。モデルが歩いてくる、ただそれだけですが、ただ立っているよりも感情を掻き立てられ、ファッション業界が長年採用してきたウオーキングという表現方法にはそれなりの理由があるのだと気づかされます。他のオートクチュールデザイナー同様、ウエディングドレスがメインのビジネスと思われますが、今回もラストルックはウェディオング。ウェディングはリピーターがいるビジネスではないから、こうやって継続してアウトプットし続けることでいざウェディングドレスを探し始めた顧客のアンテナに引っかかることが重要ですよね。

The post 編集長はデジタルパリコレで何見た? 初日は「ディオール」のファンタジーに没入 appeared first on WWD JAPAN.com.

3年で意味が変わった言葉 その1 エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月5日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

3年で意味が変わった言葉 その1

 テレワークが普及した今はなおさら、社内でさえ、隣の島が何をしているのか分かりづらくなっています。「WWDJAPAN.com」編集部で、いろんなコトがメッチャ進行している雰囲気を察知したのでしょう。先日、ファッション週刊紙「WWDジャパン」編集長の向から、「今『.com』編集部が何をやっていて、何をやりたいのか教えて」というリクエストを賜り、社内の大勢に対してプレゼンをさせていただきました。振り返れば、その時のプレゼンは名言が多く(自画自賛w)、きっと皆さんの参考にもなるのでは?と考え、今日から3回に渡って、その言葉を紹介できればと思っています。今更ながら、自己紹介にもなるから「ちょうど良き」です。

 プレゼンは、「WWDJAPAN.com」の編集長に就任した3年前からの回想で始めました。(もっと少ないと思っていたのですがw、)当時のサイトPVは月間900万を行ったり来たり。UUなんて100万足らずです。朝9時から22時まで「1時間に1本は記事を!!」と思っていましたが、油断すると途切れてしまうほど青息吐息な毎日でした。それが気付けば今は、月間PVは2500万を大きく超え、UUは440万(余談ですが、ウチはこの数字、誠実に算出しております)。私の目標も、「『WWDJAPAN.com』を軌道に乗せる」から「週刊紙の『WWDジャパン』と対等な存在にまで押し上げる」「『WWDJAPAN.com』の可能性を広げる(簡単に言えば動画などです)」、そして今は、「拡張する、ブランドとしての『WWDジャパン』のハブになる」と進化しています。アイデンティティーを発信する週刊紙、ユーザーの裾野を広げるSNS、その絆を強めるイベント&セミナーなど、さまざまな「WWDジャパン」(ここには、ビューティ週刊紙の「WWDビューティ」も含まれています)が存在する中、「WWDJAPAN.com」はいずれとも直接つながっています。ゆえに「WWDJAPAN.com」は、さまざまなユーザーが、いろんな「WWDジャパン」を行ったり来たりする時、必ず通過する“駅”のような存在になれば、と思っているのです。

 と、「WWDJAPAN.com」に対する考えは目まぐるしく変化していますが、編集長に就任した時から、いや正直に言えばずっと前から、心掛ける3つのコアバリューは不変です。「デジタル・ファースト」と「ONE WWDジャパン」、そして「ゲームチェンジ」です。3回にわたって紹介したいと思うのは、この3つの言葉。奇しくも3年前は一元的な解釈でしたが、今はいずれも多元的に捉えています。

 長くなりましたが、今日は「デジタル・ファースト」のお話です。今、どこも声高に叫んでいますよね。

 3年前の私にとっての「デジタル・ファースト」は、とにかく、ニュースはウェブで先出し!!でした。ウェブはすぐにアップできるけれど、週刊紙は最長1週間待たなくちゃならないんだから、当然ですよね。記事の定期的アップに頭を悩ませていた当時の自分にとっての「デジタル・ファースト」は、量を担保するにおいても達成したい悲願でした。

 それが、今の僕にとっての「デジタル・ファースト」は、「デジタルで、最初に実験してみよう」に変わっています。デジタルコンテンツの1つ1つは、良くも悪くも、小さな点。だから「間違ってもいいじゃん」「失敗しても大丈夫!!」というマインドで、「とにかく、デジタルでやってみよう!」という意味の「デジタル・ファースト」になっています。下のリンクで紹介する気鋭のデザイナー、イリス・ヴァン・ヘルペン(Iris Van Herpen)の気持ち、すっごく理解できます。で、成功したら、積み上げたり、磨いたりして紙面に。すると紙面は、もっともっと骨太で、コアなファンにとって欠かせない媒体へと進化を遂げるでしょう。

 週明けは、「ONE WWDジャパン」について、お話したいと思います。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post 3年で意味が変わった言葉 その1 エディターズレターバックナンバー appeared first on WWD JAPAN.com.

小島健輔リポート アパレル過剰供給「3つの深淵」 狂気はなぜ止められないのか

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。新型コロナウイルスを機に、アパレルの過剰供給を見直す機運が高まっている。そもそも、なぜ作り過ぎてしまうのか。

 過半が売れ残るアパレルの過剰供給もコロナ危機を契機に多少は抑制されると思われるが、それを招いた業界体質が解消されない限り、根本的な解決には至らない。過剰供給と原価率切り下げの悪循環を検証し、それを招いた3つの業界体質を指摘したい。

過半が売れ残る過剰供給が常態化

 アパレル製品は需要に倍する過剰供給が止まらず、1999年以降は業界供給量の半分前後が売れ残る異常事態が常態化している。直近2019年は28億4600万点を供給しても13億7300万点しか売れず、14億7300万点(51.8%)が売れ残った。供給量の過半が売れ残っても、川下(小売業やアパレルメーカーなど流通段階)と川中(商社やOEM業者など製品化段階)でロスと在庫を分担して翌年に持ち越すから、実態はつかみ難い。

 衣料消費が回復局面にあった18年当時で、平均的な消化歩留まり率(全て正価で売れた場合を100とする)は小売りチェーンで65〜75%、直販型のアパレルメーカーで60〜70%だった。正価で半分売れて半分を50%オフで売り切った時の歩留まり率が75%だから最良でもそんなもので、近年は過剰供給が深刻化して正価販売率が落ち、店舗やECで値引き販売を繰り返しても小売りチェーンで10%弱、直販型のアパレルメーカーで15%前後、紳士既製服では30%前後も残る。

 川下の平均的残品率を20%と見ても、過半が売れ残る計算とは乖離があり、川中が少なからず抱えて翌年に販売したり、二次流通業者に放出して処分していると推察される。

販売コスト増を調達原価率に転嫁

 商品を販売するには商業施設の家賃、あるいは百貨店やECモールの販売手数料がかかるが、アパレル事業者は商業施設で売り上げの16.6〜17.5%、百貨店やECモールで25〜35%を負担している。これに商業施設店舗では内装投資の償却やキャッシュレス売り上げの決済手数料(最近はこの負担が重い)、販売スタッフの人件費などが加わり、売り上げの36〜38%に達する。百貨店ではキャッシュレス決済の手数料負担はないが(百貨店側が負担する)、派遣店員の人件費などを加えると売り上げの48〜50%にもなるから、駅ビルやSC(ショッピングセンター)に比べると倍近い価格を付けないと採算が取れない。

 90年代初期に比べれば、百貨店の販売コストは10〜12ポイント、商業施設の販売コストも5〜6ポイント上昇しており、その分、アパレル商品の調達原価率が切り下げられた。

 歩留まり率(換金率とも言う)は投入正価総額に対する実現売上率だから、実現売り上げに対する販売経費率を投入正価総額対比に換算(歩留まり率を掛ける)して差し引くと、商業施設に出店している小売りチェーンで投入正価総額対比43〜45%、百貨店に出店しているアパレルメーカーでは同32〜34%しか残らない。本部経費を考えれば、正価に対する調達原価率はSPA型の小売りチェーンで31〜33%、百貨店アパレルでは20%前後に抑えないと利益が残らない。

 90年代初期は小売りチェーンのSPA型調達で38〜40%、百貨店ブランドでは32〜33%だったと記憶しているから、ずいぶんと切り下げられたものだ。その分、お値打ち感が損なわれて消化歩留まりが下がり、それを埋めようとしてさらに原価率が切り下げられ、それがまた消化歩留まりを下げるという悪循環に陥って久しい。

悪循環を招いた3つの狂気

 こんな悪循環を招いた背景には3つの業界体質があったのではないか。

(1)コスト優先で過大ロット調達

 アパレルの調達コストはロットを増やすほど、工場の閑散期に合わせるほど下がるが、それに連れてリスクも増大する。ロットを増やし工場の閑散期に合わせると発注から販売までのリードタイムが長くなり、半年あるいは1年にも及ぶ。その間にトレンドは変わるし、ライバルが類似品を生産して過剰供給になるやもしれない。実際、大量に残るのは確実と見込んで大量生産した商品だ。

 アパレルのリスクはロットとリードタイムに比例して大きくなるから、コストを切り下げた以上に値引きや残品のロスがかさむことも少なくない。販売力以上のロットで作れば、当然に売れ残る確率は高くなる。

 一般に国内生産のロットは数十〜数百点、中国沿海部生産のロットは数百〜数千点、ベトナムやバングラデシュなど東南・南アジア生産のロットは数万〜数十万点とケタ違いに大きくなりコストも格段に下がるが、リードタイムも1〜2週間、4〜8週間、16〜32週間と倍々どころではなく長くなる。駅ビルなどに2〜4ダース(24〜48)の店舗を展開するアパレルチェーンの適正ロットは数百点、売れ筋になっても3000〜4000点だが、そんなアパレルさえ安く作るため無理して万に近いロットで発注することもある。近年はそんなギャンブルが珍しくなくなっていた。

 逆に数百〜数千店を擁していても、速やかな販売消化を期して発注ロットを小さく抑え、短サイクル生産に徹するアパレルチェーンもある。インディテックス(INDITEX)の「ザラ(ZARA)」は20年4月末で2138店舗も展開しているが、その1型あたり生産ロットはデザイン商品1万点/ベーシック商品3万〜4万点と小さく、4492店舗(19年11月末)を展開する「H&M」の10分の1程度と推計される。

 ロットを無理に増やしても調達コストを落とすのか、ロットを抑えた短サイクル調達で消化歩留まりを高めるのか、顧客の価格信頼感という点でもサステナビリティという視点からも後者が正解だと思うが、近年のアパレル業界は逆方向に突っ走っていた。

(2)売り上げ確保にロスと残品を予約

 過剰供給の起点はコスト切り下げでも、値引きや残品を抑制できず、調達量が増えてしまうのは業界の悪習にも起因している。翌年の予算を組み立てるとき、前年の売り上げ、値引き、残品の結果から数字を積み上げ、前年同様の値引きと残品を“予約”してしまうのだ。

 例えば、1億円の売り上げを稼ぐのに2000万円の値引きと1000万円の残品が発生したとすれば正価で1億3000万円の商品が投入されたわけで(それでも消化歩留まり率77%の好調事例)、翌年も同じように1億円を売ろうとすれば1億3000万円の商品を調達する予算になってしまう。これが繰り返される限り過剰供給を解消することは不可能で、値引きと残品を減らすには売上予算も調達予算も抑制して新たなバランスで出直す必要がある。

 値引きも残品も半分にすることを前提に、1億1500万円(1500万円減)しか調達しない予算を組んでも、売り上げは調達予算を落とした半分も下がらず、粗利益額はかえって増える(原価率30%なら1000万円以上)。売り上げが多少減っても儲けは増え、値引き販売が抑制されるから顧客の価格信頼感も回復し、継続するともとの売り上げを超える可能性が高い。

 調達量を抑制しても売り上げの減少を最小限に抑えるには、シーズンバランスを組み直して売上予算の山谷を抑え、実需期に引きつけて短サイクルに投入し、売上月指数の平準化を図るのが鉄則だ。ピークを抑えて売り上げを平準化すれば値引きや残品のロスが激減して粗利益率が上向き、2月や8月など谷月で最低保証売り上げを割り込んで法外な家賃負担に絶句することも避けられるから、収益の改善効果は粗利益以上に大きい。

 小学生の算数レベルの話だが、売り上げ至上の組織では視野狭窄に陥り、利益を削る過剰調達を繰り返してしまうのだ。

(3)POSを過信して値引きに依存

 バーコードかRFID(無線電子タグ)かはともかく、近年のアパレル販売はPOS(販売時点情報管理)をベースにアルゴリズムやAI(人工知能)で販売消化を予測する仕組みが定着しており、本部のコントローラーやディストリビューター(在庫運用担当)が売り場を見ないで値引きや移動を指示している。

 それはそれで合理的だが、商品が売れる勢いは売り場内やECサイト内の位置、陳列表現やささげ(撮影・採寸・説明原稿)表現によって大きく異なる。売れない商品も目立つ位置に目を引く陳列やPOP表示、インパクトあるささげ表現でSNS誘導すれば、息を吹き返して動き出すことが多い。

 POSが定着する以前の前世紀には、店舗の販売責任者が消化進行を見ながらグルーピングや陳列配置、陳列形状や色組み、コーディネートを替えて消化促進を図る編集運用スキルが存在したが、POSによる消化予測が普及するにつれ店舗から失われて行った。今やECサイトのささげ表現やSNS誘導の方が人海戦術で機動的に運用されており、店舗スタッフの編集運用スキルは退化する一途だ。

 とはいえ、今や米国では百貨店を抜いて売り上げが伸び続けるオフプライスストア業界首位のTJXは800坪の店舗を4529店(20年1月期末)も展開しているが、運営の要となるスキルは週サイクルの編集運用と店間移動だ。IT最先端の米国で人海戦術の在庫編集スキルが巨大チェーンの売り上げと利益を左右しているという現実を知ってほしい。

 消化が進まない商品は、抱えた在庫の量(消化に何週かかるか)にもよるが、一度は編集運用で消化に努めた上で値引きを決断すべきだ。編集運用を週サイクルで駆使すれば、私のクライアント平均では消化歩留まりが5ポイント以上、それに店間移動によるSKU(商品の最小管理単位)別値引き(消化不振の色・サイズだけ店間移動して値引きする)を組み合わせると10ポイント以上も改善された。

 それだけ消化歩留まりが上向けば原価率を切り上げられるから顧客にお値打ちな商品を提供でき、消化歩留まりの低下と原価率の切り下げという悪循環も断ち切れる。在庫編集運用は経験を積んだ人的スキルに頼る面は否めないが、組織的な実習とマニュアルを積み上げれば販売消化力を確実にかさ上げできる。デジタル一辺倒の時流だが、商品をひとつひとつ大切に売り切って値引きと廃棄を最小化するという編集陳列スキルは、機械的に値引き処理するITより遥かにサステナブルなのではないか。

      ◇

 テクノロジーの進化は必ずしも企業や業界の進化に直結するわけではない。むしろ、AIやシステムに依存して人的スキルが退化してしまう弊害も指摘される。規制緩和などの制度改革も同様で、新陳代謝を加速し仮需を拡大する効果はあっても、かえって流通のロスとコストを肥大させ、顧客の離反を招くことがある。進化がホントに進化なのか、かえって退化や過剰な廃棄や淘汰を引き起こしたりしないか、鳥瞰して冷静に見極めるべきだろう。

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

The post 小島健輔リポート アパレル過剰供給「3つの深淵」 狂気はなぜ止められないのか appeared first on WWD JAPAN.com.

コロナ禍でパリ在住13年のデザイナーが感じた「生き残る術はD2Cしかあり得えません」

 パリでラグジュアリーランニングウエアブランド「サティスファイ(SATISFY)」のチーフ・テクニカル・オフィサーとして活動する塩見孝太郎さんは、新型コロナウイルス感染拡大でファッション業界にも影響が広がる中、自身のブランドの大きな方向転換を決断した。コロナとどう向き合い、危機をどう乗り越えようとしたのか。パリでのブランディングに加え、グローバルに働くことの意義と醍醐味、そのリアルな実情を聞いた。「WWDジャパン」7月6日号の海外で奮闘するファッション業界の日本人特集で掲載しきれなかったインタビューを紹介する。

WWD:現在の仕事は?

塩見孝太郎「サティスファイ」チーフ・テクニカル・オフィサー(以下、塩見):デザイナーとパタンナーを足して二で割ったような内容です。加えて、100%ヨーロッパ生産の管理も担当しています。売り上げの40%はアメリカ、30%が中国を中心に日本を含むアジアです。以前、パリの百貨店ギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)のメンズ館に出店していたことがあり、現在はアメリカ・ロサンゼルスのセレクトショップ、フレッド シーガル(FRED SEGAL)にショップインショップがあります。

WWD:「クロエ(CHLOE)」に勤務した経験があるそうだが。

塩見:モデリストとして勤務しましたが、大きなブランドの中の服作りにおける数多くのプロセスの一部分を担う歯車でしかなかったことに物足りなさを感じました。もっといろんなことをやってみたいと思った私は、「サティスファイ」のブランド立ち上げに参画しました。

WWD:コロナは、今の仕事にどんな影響を与えた?

塩見:困難とは感じませんでしたが、変化せざるを得ない状況に一気に陥って、弊社はめちゃくちゃ早く対応しました。世界中のトップ・セレクトショップとのビジネスに重点を置いていましたが、それをカットしてD2Cブランドへと大きくかじを切ったのです。それまで卸の売り上げが80%でしたが、その比率を自社のオンラインショップに逆転させるべく力を入れて移行しています。もちろんオンラインショップの売り上げがすぐに跳ね上がるわけではないのですが、今まで他の部分に費やしていたエネルギーと資本を一気に注力しています。ビジネスのモデルチェンジを決定した3月中旬から現在に至るまで、売り上げはいい感じです。

WWD:どんな心境の変化があった?

塩見:コロナ禍で一番感じたことは、何かに固執していては淘汰されるということ。柔軟に対応し、変化し続けることの必要性と重要性です。恐らくコロナショックでパリにアトリエを構えている多くの小規模ブランドは、経営危機に陥る(陥っている)と思います。自転車操業をしている会社ばかりですので、残念ながらつぶれる会社は多いと予想しています。コロナ以前のビジネスモデルは、もはや通用しません。パリ・ファッション・ウイークが開催できなくなり、世界中のバイヤーが来れないわけですから、単純に商品を売る相手がいません。そもそも、世界の状況を見ると、パリやイタリアのハイファッションどころではありません。そんなことに世界は今関心がないのです。今、ブランドが生き残る術は、D2Cしかあり得えません。断言できます。もう一度言いますが、以前のビジネスモデルに固執していては淘汰されます。実店舗に客が来なくなり、ビジネスパートナーであるセレクトショップもガタガタ。となると、生き残る道は実にシンプルに一つだけです。

WWD:今後の目標は?

塩見:シンプルに“ファンを作って増やす”です。今は、オンラインショップで常に新しい風を吹かせて充実させるために、新しいプロダクトの製作や他ブランドとのコラボレーション企画が一気に進み始めています。実は、パリのロックダウン以前よりも今が格段に忙しいです。

WWD:もともと海外勤務を選んだ理由は?

塩見:上田安子服飾専門学校を卒業後、すぐにパリに留学し、インターンを経て、そのままこちらで仕事を始めました。日本で就職しなかった理由は、もっと広い世界を見て勉強したかったからです。

WWD:パリで働く意義は?

塩見:ファッション・ウイーク中をはじめ、世界中からファッション関係者が大勢集まるので、人脈作りに大きな可能性を秘めています。日本で働いた経験がないので比較できませんが、パリでは残業も休日出勤もなく、バカンスがあり、働く環境は優れていると思います。そして、フランス社会におけるファッションの地位が高いこと。ファッションは文化であり、その職に就いている人は尊敬されており、年収はフランス国民の平均以上ではないでしょうか。今の日本は、若い人がファッションに対して夢を抱けないでいますが、フランスでは人気の職種です。

The post コロナ禍でパリ在住13年のデザイナーが感じた「生き残る術はD2Cしかあり得えません」 appeared first on WWD JAPAN.com.

まるで現代によみがえるジャンヌ・ダルク 「パコ ラバンヌ」が描いた強い女性たちのコミュニティー

 新型コロナウイルスがヨーロッパでも広がる最中の2月末にパリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)で披露された「パコ ラバンヌ(PACO RABANNE)」の2020-21年秋冬コレクションは、個人的に今シーズン最も印象に残ったブランドの一つだった。というのも、パリコレ全体に見られた“強さ”や“プロテクト(身を守る)”というキーワードが非常に洗練された形で表現されていたからだ。そして会場選びから音楽や空間演出まで、ランウエイショーで見せることの意義を考えさせられるコレクションでもあった。

会場はマリー・アントワネットも最期を過ごした元牢獄

 会場は、10世紀から14世紀まで王宮として使われた後に牢獄となり、マリー・アントワネット(Marie Antoinette)も処刑される前の2カ月を過ごしたというコンシェルジュリー。その中でショーに用いられた衛兵の間は、尖頭アーチ型の高い天井と太い柱が特徴的なゴシック建築の重厚な空間だ。ショーが始まると、そこにパイプオルガンの音色と聖歌隊のような女性たちの歌声が響き渡り、スポットライトが歩くモデルを照らし出す。

 そんな厳かな雰囲気の中で発表されたコレクションの出発点は、中世の装い。「表現したかったのは“強い女性”。それは『パコ ラバンヌ』の歴史にもつながるもので、同じくブランドを象徴する神秘的かつ歴史的な美的感覚も取り入れた。神秘主義の中世の社会で主導権を握っていた男性の装いからヒントを得て、女性に力を与える服を作りたかったんだ。このコレクションは、異なる強さを秘めた女性たちのコミュニティーのようなもの。そこには騎士や役人もいれば、教皇や司祭もいる」とジュリアン・ドッセーナ(Julien Dossena)=クリエイティブ・ディレクターは穏やかな口調で話す。その言葉通り、ショーを見る中で頭に浮かんだのは、祭服やローブ、甲冑など。首元の詰まったテーラードコートやジャケットからアイコニックなメタルのアイテム、クラシックな花柄とレースを合わせたロマンチックなドレス、アンティークのラグやスカーフを想起させるフリンジドレスまで、さまざまなスタイルがそろう。それらを身にまとうモデルの姿は、現代によみがえるジャンヌ・ダルクのようだ。ただ、そこに古くささはなく、洗練されたシルエットとコンバットブーツやプラットホームブーツ、大ぶりなメタルのアクセサリーなどでモダンなルックへと昇華されている。

 そして今季は、あらためてクラフトの力にもフォーカスした。それを象徴するのは、代表的な素材であるメタルメッシュとメタルなどのパーツをつなぎ合わせるアッサンブラージュの技術。これまでもブランドの象徴としてコレクションに常に取り入れられてきたが、特に今季のボディーラインに沿うドレスはうっとりするような美しさが際立っていた。「この素材や技術をどれだけ卓越した方法で表現できるかは、まさに自分たちの使命。ベースは伝統的なバイアスカットのアイテムだけど、軽さとシルエットを両立させるために長い時間をかけて仕上げた。クチュールのようなものであり、これが私たちにとってのクラフトだ」とドッセーナ。強さとしなやかさを併せ持つ素材はシーズンテーマとの相性も抜群で、コレクションの魅力を高めていた。また、現在は軽量化のためにメタルメッシュにブラスだけでなくアルミニウムも用いたり、アッサンブラージュのパーツのバリエーションを広げたりと、メゾンの伝統を時代に合わせて進化させている。

今季のショーはウィメンズにフォーカス
でもメンズも世界観やアプローチは同じ

 先シーズンは新たにスタートしたメンズウエアも一緒に披露したが、今季のショーに登場したのはウィメンズのみ。“強い女性”というイメージをより明確に表現するために、メンズと混ぜたくなかったのだという。一方、先にルックブックで20年プレ・フォールとともに発表されたメンズは、ウィメンズとのつながりを感じさせるものだった。これについては、「もちろん体形に違いはあるけれど、性別はあまり気にしていない。一つの世界観の中で男女の境界線が曖昧になればいいと考えているので、同じアプローチでデザインしている」とコメント。今後もファッション・ウイークで何を見せるかは、シーズンのテーマやメッセージに合わせて変えていくようだ。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

The post まるで現代によみがえるジャンヌ・ダルク 「パコ ラバンヌ」が描いた強い女性たちのコミュニティー appeared first on WWD JAPAN.com.

子どもをならって「学べる」動画もがんばります! エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月4日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

子どもをならって「学べる」動画もがんばります!

 緊急事態宣言が全国で解除となり、6月1日から子どもたちは毎日学校が始まりました。子どもたちにとって約3カ月間の学校のお休みは良くも悪くもさまざまな変化をもたらしたと思います。一番は、あくまでうちの場合ですが、兄妹喧嘩が増えたということでしょうか。これまでまあまあ仲の良い兄妹と思っていたのですが、ずっと一緒にいるからか、まあ喧嘩が絶えませんでした。4つも離れているのに、なぜ兄は妹にちょっかいを出すのか。そして妹はいちいち反応して「ムカつく」とクッションを叩くのか……。ちょっと理解できません(笑)。

 喧嘩の一番の原因は、iPadの奪い合いです。リモート学習を前に、塾に入った兄には塾のサイトを通して、英語の発音などの課題が出されるため、パソコンが必要でした。家にあるパソコンは旦那の仕事用でもあり、なのでiPadを購入したのです。それがコロナの影響で、塾やピアノなど習い事が全てオンライン上で行われることになり、iPadの出番は増えました。それに、やっぱり子どもたちの興味は、ユーチューブなので、空いた時間にどっちが使うかで揉めるんですよね、これが。

 サッカー少年でピアノ男子の兄は、マンチェスターユナイテッドAG (6月2日時点チャンネル登録者数4.22万人)や、街にあるピアノを弾く動画をアップしている、よみぃ(同97.8万人)などをフォロー。外出自粛前は断然、マンUでしたが、自粛中はずっとよみぃ。例えば都庁にあるピアノを弾きに行くのに、自分できちんと演出して物語風にしていたり。その腕前に観客は集まり聞き入っています。彼の影響で、4歳からピアノを習っている(ピアノを弾ける男子は格好いいはずと習わせた私)息子は、それまで大して練習しなかったのに、毎日ピアノざんまい。ご飯食べてはピアノ。ユーチューブ見てはピアノ、勉強(あんまりしてないけど……)してはピアノ。しまいには、ピアノのユーチューブも始めてしまったんですよ〜。実際、ただ弾いてる姿をアップしているだけかと思ったら、編集してるやん、文字入れたりしてすごいやん。どこで覚えたの?と聞くと、ユーチューブで調べた、と。これは完全にジェネレーションギャップ、時代だなあと痛感。時代を生き抜くとはこういうことなのだなあと。不測の事態に新しい何かを見つけ、前を向く。息子はそこまで考えていないだろうけど、大人になった時、こういう力は重要かもと思ったんです。

 娘のお気に入りは、ボンボンTV(同208万人)や、えっちゃんねる(同75万人)。何が面白いの?と娘に聞くと、「いたずらとかが面白かったりするけど、えっちゃんは漫画の書き方とか真似てるの」と。娘の将来の夢は漫画家か絵本作家。その“先生”がえっちゃんみたい。えっちゃんは、フォロワーから送られてきた漫画をリメイクするというのをアップしていたりするのだけど、それを真似て漫画を描いている娘。なるほどなあと。

 今、「WWD JAPAN.com」では、動画、ライブ配信に力を入れています。コロナの前から動画は注力してきたのですが、ここへきて動画に加えライブも加速し、毎週月曜と木曜には、「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の最新号紹介を行う、ライブ配信「Reed More」を実施しています。ユーチューバーさんの、子どもをも引きつける構成力から、学べることはたくさんありそうです。息子はサッカーもピアノも、娘は漫画をユーチューバーさんから学んでいます。そう、動画って「学べること」がキーワード。「学べる」配信も心掛けますので、ぜひともチャンネル登録お願いしますw。そして紙の特集も時代の流れをキャッチした、こういったことを取り入れていくべきと思ってます。

HER OPINION:ママ、女性に関連するファッション&ビューティ業界の話題をお届けします。今、働くママを含めた社会進出が進む女性に関わる情報が増えてきました。彼女らにまつわるニュースをピックアップすることで、彼女らを支える彼らにも役立つニュースを紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post 子どもをならって「学べる」動画もがんばります! エディターズレターバックナンバー appeared first on WWD JAPAN.com.

「エースホテル京都」宿泊レポート 屋上で味わうピザとアナログレコードに癒される

 米シアトル発のライフスタイル型ホテル「エースホテル(ACE HOTEL)」が日本上陸を果たした。1号店は京都・烏丸御池に建て替えオープンした複合施設「新風館」内に6月11日、ソフトオープン。エースホテルはアーティストやクリエーターからの評価が高く、地域コミュニティとの交流や地域性を取り入れた内装デザインなど独自のスタイルで世界中のファンを魅了してきた。そのビジネスの真髄に触れるため、早速、宿泊を体験してきた。

ノマドワーカーにもうれしい開放されたロビーフロア

 京都市営地下鉄烏丸御池駅を下りてすぐ。駅改札に直結した新風館の地下2階から地上1階のホテルロビーに入ると、骨太の杉の木組みに細いスチールパイプの照明デザインが組み合わされた大きな吹き抜け空間が広がっている。建築家・隈研吾氏が監修したダイナミックな建築デザインと、エースホテルではおなじみの米コミューンデザインによる洗練された内装デザインを間近で見られるのも醍醐味のひとつだ。

 正面玄関を入ったところには、銅を叩いて仕上げた円形のレセプションカウンターと、オリジナルグッズのショップ。反対側にはラウンジがあり、木製のロングテーブルとチェア、座り心地の良いソファーが配置されている。その奥には米ポートランド発コーヒーショップ「スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ(STUMPTOWN COFFEE ROASTERS )」の日本1号店がある。店内にもイートインスペースはあるが、ホテルラウンジのテーブルやソファーで飲んでいる人の方が多い。ノートパソコンで仕事をする人、数人で会話を楽しむ人、仕事の打ち合わせらしきグループ――。エースホテルのロビーには多種多様な人が集い、堅苦しいルールに縛られることなく自由に過ごしている。

 エースホテル京都の飯田雄介上席総支配人は「必要なければコーヒーを購入しなくてもいいし、時間制限もない。電源も完備されているので自由に使ってほしい。どんなお客さまもロビーから排除しないのがエースホテルの考えです」と話す。なぜなら「ロビーはホテルとゲスト、地域コミュニティーをつなぐ交流拠点」に位置付けているから。週末には音楽ライブやアートイベントも開催する。ロビーフロアこそが、エースホテルの理念を体現する場であり、他のホテルとの違いを最も感じられる場なのだ。

 ただ、午前や夕方、夜間はほとんど人がいない。24時間開放していることが認知されていないためで、PR担当者は「近隣の方も含めていつでも自由に利用してほしい」と話している。

リーズナブルプライスでラグジュアリーホテル並みの客室

 コロナ禍の対策で透明シールドが設けられたレセプションカウンターでチェックインした後、新築棟5階の客室に入る。予約したのはスタンダードキングタイプで、通常料金は1泊あたり3万円(サービス料・税金除く、時期によって価格は変動)。ちなみに米本国のエースホテルは、古い建築をリノベーションしているため、2人宿泊可能な169ドルのシングルルームや160ドルで4人までシェアできるスタンダードダブルなど手頃な価格の客室もある。京都の客室は全213室。旧京都中央電話局を保存・改修した保存棟に26室、新築棟に187室の客室が用意されている。大正時代の窓枠や外壁が残る保存棟に宿泊するならヒストリックツインかヒストリックキングがおすすめだ。

 私が宿泊したスタンダードキングは一番狭いタイプだが、それでも30平方メートルと広さは十分だった。ワークデスクも大きめで出張のビジネスマンにも使い勝手がいい。ベッドは米国の「スイートスリープ(SWEET SLEEP)」社製。同社のホームページを見ると、エースホテルオリジナルマットレスとして一般販売もされている。実際に一晩使用したが、包み込まれるような感覚があり、朝までぐっすり眠ることができた。

 エースホテルのファンがその魅力を語るとき開口一番にあげるのが、デザイン性の高さだ。ロビーなどパブリックスペースはもちろん、客室やレストランでもそのデザイン力を体感することができる。内装はデザインスタジオの「コミューンデザイン(COMMUNE DESIGN)」が担当。京都は「イースト ミーツ ウエスト」をコンセプトに日米のアーティストと職人技を結集した和洋折衷のデザインが印象的だ。

 例えば、スタンダードキングには90代の現役染色家・柚木沙弥郎氏による染めアートが壁面に飾られている。カーテンと照明には「ミナ ペルホネン」(MINA PERHONEN)のテキスタイル、ベッドのブランケットは米「ペンドルトン(PENDLETON)」を採用。スイートルームには、テキスタイル作家の清原遙氏によるアート照明、イサムノグチのランプシェード、フィンランドの「アルテック(ARTEK)」のルームライト、ニューヨークのカーペットメーカー「エドワード・フィールズ(EDWARD FIELDS)」のラグなどセンスのいい家具と現代アートがさりげなく配置されている。客室に備え付けのティーカップは、笠間焼の陶芸家・額賀章夫氏の作品で、1階のギフトショップでも購入可能だ。

 インテリアの一部としてギターとレコードプレーヤーがあるのも、音楽とアートを愛するエースホテルならでは。オーディオマニアにはうれしい「チボリ(TIVOLI)」のラジオと「ティアック(TEAC)」のターンテーブル、「エピフォン(EPIPHONE)」のギターといった世界の名機を体験できるのはマニアでなくとも楽しい。部屋にはLPレコードが5枚用意されていたが、フロントに電話をしてユーミンと松田聖子に変えてもらった。レコードに触れるのは数十年ぶりで、その感触と針がずれたときのぷつぷつというノイズにすっかり癒されてしまう。最近は、レコードを知らない若者世代にアナログレコードが人気だとか。デジタル機器に囲まれた生活の中で体験するアナログ機器のスローで温もりのある感覚とわずかなノイズの心地よさが新鮮に映るのだろう。もちろんオーディオはブルーツゥース対応機種なので、iPhoneからお気に入りの音楽を聴くことも可能だ。

 アメニティには、日本のサロン発ホームケアブランド「ウカストア(UKA STORE)」と、米ポートランド発の高級ソープブランド「パールプラス」を採用。歯ブラシは、プラスチックゴミの削減に考慮して竹製のおしゃれなものが用意されていた。また、バスローブはカナダのメンズウェアブランド「ウイングス・アンド・ホーンズ(WINGS +HORMS)」の別注品。オーガニックコットンを使用した裏毛のジャージー素材が柔らかで肌触りがいいので、部屋にいるときはずっと着用していた。

ウイズコロナを前提に感染防止対策も徹底する

 夕食と朝食は、3階のアメリカ風イタリアン料理店「ミスターモーリスズ イタリアン(MR.MAURICES ITALIAN)」で食べた。2階にあるバー&タコスラウンジ「ピオピコ(PIO PIKO)」と迷ったが、薪窯で焼くピザが絶品と聞き、イタリアンに決めた。店内には、京都の金網つじが手掛けたランプシェードが吊るされ、金網から広がるランプの光が幻想的な雰囲気を漂わせていた。タイル床とパネルにはカリフォルニアのアーティスト、アレクサンダー・コリ・ジラード氏の幾何学デザインが生かされている。気候のいい季節には、中庭を望めるルーフトップバーでの食事がおすすめだ。

 夕食に選んだのは、イタリアのベルガモ地方の定番ピザ「ベルガモ」。3日間かけて作ったというピザはややもっちりした食感なのにクリスピー感もある。塩のきいたイタリアの生ソーセージ、サルシッチャと半熟卵、モッツァレラチーズの組み合わせが絶妙でクセになる味だった。朝食はインスタ映えを狙って、アボカドトーストにポーチドエッグを載せたブレックファーストセット「カリフォルニア」を注文。こちらも非の打ち所がない感動的な味わいで、朝食だけでも利用する価値あり。ちなみにいまのところ、レストランは地元客を中心に連日にぎわっているため、日程が決まっているならぜひ予約しておきたい。

 ラグジュアリーホテル並みの客室と絶品の料理、デザイン性の高い空間に加えてエースホテルの魅力といえるのが、ホテルスタッフのフレンドリーな応対だ。レストランやレセプションでは「そのマスクお似合いですね」と褒められ、「今日も楽しい1日をお過ごしください」「他にお手伝いできることはありませんか?」と、優しく笑顔で返してくれた。エースホテルではメイクもユニフォームの着こなしも自由だそうで、笑顔をたやさず、楽しそうに働く姿が印象的だった。

 気になる新型コロナ感染防止対策は、エントランスから客室、レストランまでホテルの隅々で徹底されていた。ガーディアンズという専門チームを立ち上げたほか、レセプションカウンターには飛沫感染防止用の透明シールドを設置。ロビーやエレベーターには、ソーシャルディスタンスを徹底するため、数字の2を強調したアートなサイネージが貼られていた。客室はチェックアウト後、除菌、乾燥、清掃を行い、最低24時間は密閉状態にしているという。レストランは通常の席数の半分に制限し、メニューはQRコードで読み取るか使い捨てのものが用意されている。

 新型コロナ禍で想定外の厳しい幕開けとなったが、「安心安全対策を徹底したうえでエースホテルらしく空間を楽しんでもらうことが、コロナ禍との戦い方」と飯田氏。ウイズコロナ時代には安心安全が最優先されることから、ホテルのあり方や選択するときの基準も大きく変わってくるだろう。そのうえでいかに快適な空間とサービス、ユニークで感動的な体験を提供できるかでホテルの評価が決まってくる。これまでデザイン力や地域との関わり方で注目されてきたエースホテルだが、今後はゲストとスタッフの健康やサステナブルにも配慮したホテルとして、日本でも人気を集めることだろう。そのことを確信した2日間だった。

The post 「エースホテル京都」宿泊レポート 屋上で味わうピザとアナログレコードに癒される appeared first on WWD JAPAN.com.

ONE WWD JAPANの決意

 ファッションが、大好きです。大学卒業後、地元の新聞社で社会部の事件記者となって自ら企画して作った記事は、「カフェごはん」や「王様コート」「メンズビューティ」などなど。その記事は当時の会社、および上司の理解を得られず、組織とのミスマッチを痛感しました。(この記事はWWDジャパン2020年7月6日号からの抜粋です)

 だから現状には、心から感謝しています。無論、涙を流したこともあります。私が入社して最初に下した、文字通り“涙ながらの決断”は、今から13年前のこと。産声をあげようとしていたビューティ週刊紙「WWDビューティ」編集部への異動を迫られた時でした。

 「ビューティでやっていけるのか?」。心配は杞憂でした。今は異動して良かったと心の底から感じているし、必要性を諭してくれた当時の上司に感謝しています。例えば莫大な研究・開発費を投じるがゆえにファッションの数十倍も愚直に泥臭く製品を売ろうとする姿勢とビジネス戦略には今なお感銘を受けるし、ちょうど十数年前からオーガニックやナチュラルコスメが台頭し始めるなどソーシャル・グッドへの取り組みもファッションより先行しています。一方ビューティに移って、ファッションの魅力も再認識できるようになりました。テクノロジーやテクニックでもあるビューティは、感情に訴えるエモーショナルなアプローチや激変するダイナミズムなど、ファッションから多くを学べると思っています。以来「ファッションとビューティは、どうやったら融合できるのか?」「それを融合できるのは、ファッションにもビューティにも『WWDジャパン』という名前でアプローチしているオピニオン・メディアの私たちだけではないのか?」と考え続けています。けれど正直、2つの世界は、まだまだ遠いです。

 誤解を恐れず、申し上げます。ファッションの皆さん、ビューティをナメていませんか?「洋服と違って、体のごくごく一部だけを彩るもの」とか「バッグ&シューズに比べ、はるかに単価の安いもの」と思っているでしょう?一方でビューティの皆さん、そんな風にナメられているように感じるから、ファッションを必要以上に敬遠していませんか?お互い相手が隣にいるのはわかっているのに、歩み寄ればもっと面白くなることも想像できるのに、アプローチしない理由はなんですか?2つの業界を覗き見している私には、双方の、不思議な感情が透けて見えます。消費者は誰も意識していない、余計な感情です。

 そこで「WWDジャパン」は、「ONE WWD JAPAN」というスローガンを掲げ、いよいよファッションとビューティは等しきもの、ともに消費者の気持ちと毎日を豊かにしてくれるものと訴え続ける姿勢を鮮明にします。「ONE WWD JAPAN」の「ONE」には、1.「ファッションとビューティを1つにすること」、2.ソーシャルからウェブ、週刊紙、後述する月刊誌、そしてイベントまで、あらゆる「WWDジャパン」もファッションとビューティ同様に等価値で、ゆえに「一体となってメッセージを発信すること」という2つの意味を込めています。

 まず「WWDビューティ」編集部は「WWD JAPAN.com」編集部に統合し、デジタルと紙メディアの垣根を取り払います。拡充する「WWD JAPAN.com」編集部はデジタル・ファーストを貫きながら、ビューティ・コンテンツをファッションの週刊紙だった「WWDジャパン」にもアウトプット。週刊紙の「WWDジャパン」には、ファッション業界人にも届けたいビューティ・コンテンツを詰め込む予定です。一方、ビューティ週刊紙だった「WWDビューティ」は、判型を改めることでデジタルデバイスでの利便性を高めながら月刊化。雑誌の形態とすることによる保存性の向上を踏まえ、データと提言に満ちた、これまで以上にプロフェッショナルなオピニオン・メディアを目指します。このプリントメディアを作るのも、デジタル・ファーストな「WWD JAPAN.com」編集部です。「WWD JAPAN.com」編集部は、ファッションもビューティも、デジタルもプリントも、さらにはオン&オフラインのイベントやセミナーに至るまでのコンテンツまでを生み出す部隊へと進化し、呼応するように進化する「WWDジャパン」編集部とますます緊密に繋がります。

 ビューティ週刊紙の「WWDビューティ」やウェブサイト「WWD JAPAN.com」が、ファッション週刊紙「WWDジャパン」から生まれた経緯があるせいか、弊社においてもデジタルよりプリント、ビューティよりファッションというヒエラルキーが存在したのは否めません。デジタルが盛り上がる今は、今度は私がプリントメディアの中核メンバーを置き去りにしているのかもと反省しています。あらゆるクロスオーバーを前提とする今回の改変で、私たちは脱皮します。ファッションとビューティ、デジタルとプリントを行き来する今後の私たちは、必ずや刺激的な業界の未来像を体現すると信じています。

The post ONE WWD JAPANの決意 appeared first on WWD JAPAN.com.

フィリップ ・リムに聞くサステナブルな洋服づくりVol.3  おすすめの本やスポットは?

 デザイナーのフィリップ・リム(Phillip Lim)にショーのスキップやサステナビリティについてインタビューしてきた本シリーズ。これまでビジネスを中心に聞いてきたが、最終回のVol.3は、フィリップ自身がサステナビリティについて学ぶために読んだ本や、ニューヨークでおすすめのスポットについて教えてもらった。

WWD:フィリップさんがサステナビリティに“目覚めた”きっかけはあったのか?

リム:特にきっかけとなる出来事はなく、昔からずっと意識していたことだったかな。5年前のブランド設立10周年のショーのときには、“STOP AND SMELL THE FLOWERS(立ち止まって花を香って)”というメッセージを打ち出し、ランウエイには600トンのコンポスト(堆肥)を使った。ショー後にはその堆肥をニューヨーク中の公園や花に返し、サステナブルなセットデザインになっていた。当時はまだサステナビリティに本腰を入れるブランドも少なく、興味を持つ人も今ほどいなかったけど、私にとって自然を愛すること、そして自然を敬うことは当たり前だったね。小さい頃から自然が大好きで、実はリムという名前も森を意味するんだ。ちなみに英語でLIMは“Less is more”の略称にもなるんだよ!

WWD:個人的にどのようにサステナブルな取り組みをしているのか?

リム:意識して「サステナブルな取り組みをしなきゃ!」と思わず、自分が好きなことを、どのようにサステナブルにできるかを考えればいいと思う。私自身は植物を育てたり、読書をしたり、自然の中で時間を過ごしたりするのが好き。料理も大好きだね。料理は心にも良いと思っているよ。私はとてもプライベートな人なので、友人や家族と過ごす時間も大切にしている。テクノロジーは人々をつなげた一方で、直接会わなくてもよくなったから、距離を生み出したとも思う。だからこそ愛する人やコミュニティーを大切にすることは、心のサステナビリティのためにもなるね。

WWD:おすすめの本は?

リム:サステナビリティやこれからの社会について学びたいならデイナ・トーマス(Dana Thomas)の「ファッショノポリス:ザ プライス オブ ファスト ファッション アンド ザ フューチャー オブ クローズ(Fashionopolis: The Price of Fashion Fashion and the Future of Clothes)」やアンドリュー・ヤング(Andrew Young)の「ザ ウォー オン ノーマル ピープル(The War on Normal People)」。誰にもお勧めできるのはスコット・ベルスキー(Scott Belsky)の「ザ メッシー ミドル(The Messy Middle)」や

ユヴァル・ノア・ハラリ(Yuval Noah Harari)の「21世紀のための21つの教訓(21 Lessons For The 21st Century)」、オーシャン・ヴオン(Ocean Vuong)の「オン アース ウィア ブリーフリー ゴージャス(On Earth We Are Briefly Gorgeous)」。直接サステナビリティについての内容でなくとも、精神やビジネス、考え方、哲学についての見方を変えてくれた素晴らしい本だよ。

WWD:フィリップさんは日本にも何度も来ているが、アメリカに住むご自身からして、日本とサステナビリティについてどう思うか?

リム:日本の素晴らしいことの一つは、あらゆる物・事に対して持つ感謝の気持ち。それは他国にはない素晴らしいフィロソフィーだと思う。例えば過度な包装などはよく問題視されているけれど、美しく包んだ贈り物の背景にある感謝や尊敬の意は大切にすべきだと思う。それはモノを大切に使うというサステナブルなマインドセットと通じるし。一方で現代に必要な、伝統的な考えやあり方をドラスティックに変えることは難しいかもね。協調性を重視する文化でもあると思うけれど、協調性は必ずしも進歩・前進を促すわけではないよね。それはアメリカでも同じ。

WWD:サステナビリティに関連する、ニューヨークでおすすめのスポットは?

リム:図書館!図書館に言って本をたくさん読んで。美しいボタニカルガーデンもあるよ。自転車に乗ってウェストサイドを探検するのもいいし、家族経営の小さなレストランで“母親の味”を堪能するのもオススメ。本当に欲しいもの・必要とするものがない限りは無駄なショッピングをお勧めできないから、ショッピング街や観光スポットだけでなくこういう地元民が楽しめるところに行くのがいいね。それはニューヨークに限らずだけどね!

WWD:最後にメッセージがあればお願いします。

リム:小さなビジネスなら、小さなステップから始めればいい。そして会社やビジネスにあった方法でサステナビリティを探ればいいと思う。無理すると持続可能ではなくなり、本末転倒となるでしょう?そして会社やビジネスを作るのは人なのだから、社員を大切にすることね。みんなが疲弊しているなら、うまくビジネスを回しながら休息できる環境を作るなど、何かしらできることはあるはず。外ばっかりに目を向けるのではなく、まずは社内の小さなチェンジからスタートすればいいと思う。

The post フィリップ ・リムに聞くサステナブルな洋服づくりVol.3  おすすめの本やスポットは? appeared first on WWD JAPAN.com.

コレットのサラと話して考えた 旅するストアの面白さ エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月5日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

コレットのサラと話して考えた 旅するストアの面白さ

 今週、渋谷パルコの再開業を祝したトークイベントで司会を担当しました。登壇者は、パリからコレット(COLETTE)のサラ、ベルリンから「ハイスノバイエティ(HIGHSNOBIETY)」のファウンダーであるデヴィッド、そして東京からは「2G(ツージー)」のファッション・ディレクターである小木“POGGY”基史さん。登壇といってももちろんオンラインです。

 コレットとはパリに店を構えていたコンセプトストアで、2017年11月に閉店するまでの約20年間、ファッションとカルチャーの情報発信地でした。特に2000年代に入ってからはファション関係者で、パリに行ってコレットを訪れなかった人はいなかったでしょう。訪れたとしても、大混雑で入ることができなかったということはあり得ますが。サラのフラットな視点により選ばれた情報がギュッと集められており、行けば何かしら新しいものや面白いものに触れられる場所でした。

 今回のイベントの話題の中心は、そのコレットの閉店までを追ったドキュメンタリー映画について。この映画は今ポップアップストアを併設しながら世界を回っており、秋には渋谷パルコにやってきます。

 つまり、コレットという店はパリにはもうないけれど、コレットという存在は世界を転々と移動しながら続いているのです。ロンドンはセルフリッジズ、ニューヨークはキス、パリはメゾン キツネというように、相性のよいストアの一部を間借りして期間限定のストアを開き、映画も近くで上映します。共感する人が集まり、その土地の感覚を吸収することで少し変容しながら、モノとコトがシェアされ続けているわけです。その話を聞いて思いました。なんて幸せな仕事だろう!画面の向こうのサラが永遠の旅人、スナフキンに見えてきましたよ(冗談です)。

 こういうことが実現するのは、サラという、そしてコレットという強烈な個性があるから。しかもそのブランディングの核をなすのが「サラのアンテナに引っかかるその時々の新しいことやモノやコト」という、時と場を問わないフラットな価値だからなんですけどね。

 世界を旅する神出鬼没のポップアップストア。自分が今からファッションを志すならこれがいいな、と思います。コレットがオープンした1989年にはインターネットがまだ普及しておらず、コレット自体がファッション&カルチャー好きの人にとっていわばインターネット的存在でした。 “今面白いもの”の検索結果が店内に溢れているとでも言いましょうか。今はその役割をSNSが担っているから、店は1カ所にとどまっている必要はないのかもしれませんね。

 好きなアーティストの舞台を心待ちにするような感覚で、コレットが映画とともに秋に日本にやって来るのを楽しみに待ちたいと思います。

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post コレットのサラと話して考えた 旅するストアの面白さ エディターズレターバックナンバー appeared first on WWD JAPAN.com.

ドラマ「M 愛すべき人がいて」の主演・安斉かれんとは何者か? “令和ギャル”と呼ばれる彼女の魅力

 放送作家の鈴木おさむが脚本を担当し、その振り切った演出で話題のドラマ「M 愛すべき人がいて」。歌手の浜崎あゆみとエイベックスの松浦勝人会長との出会いから別れまでを描いた同名小説をもとにドラマ化したもので、その主役を演じたのがドラマ初出演となる歌手の安斉かれんだ。これまで動画メディアに登場することが少なかった彼女だが、ドラマを通して新たな一面を見せた。今回そんな彼女に、ドラマの感想から歌手になったきっかけ、ファッションやメイクのこだわり、これからの活動について語ってもらった。

WWD:まずはドラマ「M 愛すべき人がいて」(以下、「M」)に出演してみての感想は?

安斉かれん(以下、安斉):音楽だといかに自分を出すかを意識していたのですが、演技の仕事だと自分とは違う誰かを演じるので、表現方法が全く異なるという、その難しさはありました。

WWD:もともと演技の仕事には興味があったんですか?

安斉:まさか自分が演技の仕事をするとは思っていなかったです。それで半年ほど前に「M」の主演が決まってから急いでレッスンに通いました。

WWD:撮影中での思い出のエピソードは?

安斉:いっぱいあり過ぎて選べない(笑)。ドラマの撮影は初めてで、どんな感じで撮影するのか、共演者もどんな人たちなんだろうかってすごく不安でした。それで実際にお会いするとみなさん優しくて安心しました(笑)。現場も和気あいあいとした雰囲気で、毎日撮影が楽しみでした。

WWD:撮影では新型コロナの影響はありましたか?

安斉:あと少し撮影したら終了というくらいのときに、2カ月ほど撮影が中断しました。それで再開して役の感じを取り戻せるかどうか心配だったので、本番前に事前のリハーサルをして撮影に臨みました。中断は不安だったのですが、実際に再開したらみなさん気合いが入っていて、すごくいい感じに終えることができました。

WWD:ドラマの評判とか見たりしていましたか?

安斉:毎回ツイッターのトレンドにも入っていて、そのコメントがおもいしろいなと思って見ていましたね。

WWD:安斉さんはこれまであまり動画での露出が少なく謎めいた感じでしたが、今回の演技を通して、新たな一面が見られましたね。

安斉:そうですね。これまでほとんど動画での出演もなかったのですが、今回のドラマでは笑っていたり、怒っていたり、これまでにない表情が見せられたと思います。

WWD:演技の仕事は今後もやっていきたい?

安斉:演技がすごく楽しかったので、機会があればぜひやりたいです。ただその前にまずは音楽活動に集中して、しっかりとやっていかないといけないと思っています。

好きなことをやっていたら“ギャル”と呼ばれるようになった

WWD:安斉さんが歌手を目指したきっかけは?

安斉:中学生のときに父親にザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のライブに連れて行ってもらい、そのときに見たサックス奏者の演奏が超かっこよくて、それからアルトサックスを始めたんです。そして吹奏楽部に入りました。そのうちに歌うことにも興味が出てきて、高校1年生のときからスクールに通い出し、それがだんだん楽しくなって本格的に歌手を目指すようになりました。そこからレッスンを重ねて2019年5月にデビューしました。

WWD:曲は全て安斉さんが作詞を担当していますが?

安斉:高校1年のときに歌を始めてから日記をつけていて、作曲家の人に曲をもらったら、そこから言葉を選ぶことが多いです。

WWD:曲を通してどんなことを伝えたいとか意識しますか。

安斉:そういうのはあまり意識していなくて、等身大の自分の気持ちを伝えられればと考えています。だから以前考えた歌詞は今だと絶対に作れないと思いますし、曲を聴けば、私の成長も分かると思います。あまり飾らずに素直な気持ちを伝えたいです。

WWD:7月22日には5作目となる「僕らは強くなれる。」がデジタル配信されます。これにはどんな気持ちが詰まっているんですか?

安斉:これは高校生のときに書いた詞がベースで、学校生活や吹奏楽部の活動のことについて書いていたら自然と応援歌みたいになりました。曲名も「僕」ではなく、「僕ら」にしたのは、“みんなで強くなろう”という気持ちを表現したかったからです。

WWD:この曲のミュージックビデオではブラスバンドの名門校、京都橘高校の生徒100人が出演していて、圧巻でした。

安斉:このミュージックビデオは昨年の夏に撮影したもので、今だったらこんな感じには撮影できなかったですね。私も吹奏楽部だったので懐かしく、楽しかったですね。

WWD:「M・A・C」の広告にも起用されるなど、ファッションやメイクといった点でも注目されていますが、こだわりはありますか?

安斉:前までは「アイラインは長めに引く」とか、「こうじゃないと“かれん”じゃない!」というこだわりがかなり強かったんですが、最近は少し幅を広げていこうといろいろなファッションやメイクに挑戦するようになりました。今はメイクよりもスキンケアの方が興味があって、まずは肌をしっかりケアしようという気持ちが強くなりました。

WWD:ハイトーンヘアも印象的ですね。

安斉:若干飽きてきましたけど(笑)。でもこの髪ってブリーチはしていなくて、それがこだわりっていえばこだわりかも。色はピンク好きで、昔はピンクヘアにもしていました。今回の撮影のように衣装やメイク、ネイルでもピンクを選ぶことは多いです。

WWD:“令和ギャル”みたいな呼ばれ方もしますが、どう感じていますか?

安斉:ギャルになりたいとは思ったことはなくて、当時好きなモデルさんのまねをしてカラコンつけたり、つけまつけたり、好きなことをやっていたらギャルって言われるようになったんです。でも「ギャル」と呼ばれることには抵抗はなくて、昔私がモデルさんに憧れていたように私に憧れてくれる人がいるとうれしいです。

WWD:最後に今後の目標は?

安斉:今は王道のJ-POPの曲が多いのですが、その幅を広げていき、今後はRいろいろとやっていきたし、勉強して作曲もしていきたい。もう少し落ち着いたらライブもやりたいです。

The post ドラマ「M 愛すべき人がいて」の主演・安斉かれんとは何者か? “令和ギャル”と呼ばれる彼女の魅力 appeared first on WWD JAPAN.com.

ドラマ「M 愛すべき人がいて」の主演・安斉かれんとは何者か? “令和ギャル”と呼ばれる彼女の魅力

 放送作家の鈴木おさむが脚本を担当し、その振り切った演出で話題のドラマ「M 愛すべき人がいて」。歌手の浜崎あゆみとエイベックスの松浦勝人会長との出会いから別れまでを描いた同名小説をもとにドラマ化したもので、その主役を演じたのがドラマ初出演となる歌手の安斉かれんだ。これまで動画メディアに登場することが少なかった彼女だが、ドラマを通して新たな一面を見せた。今回そんな彼女に、ドラマの感想から歌手になったきっかけ、ファッションやメイクのこだわり、これからの活動について語ってもらった。

WWD:まずはドラマ「M 愛すべき人がいて」(以下、「M」)に出演してみての感想は?

安斉かれん(以下、安斉):音楽だといかに自分を出すかを意識していたのですが、演技の仕事だと自分とは違う誰かを演じるので、表現方法が全く異なるという、その難しさはありました。

WWD:もともと演技の仕事には興味があったんですか?

安斉:まさか自分が演技の仕事をするとは思っていなかったです。それで半年ほど前に「M」の主演が決まってから急いでレッスンに通いました。

WWD:撮影中での思い出のエピソードは?

安斉:いっぱいあり過ぎて選べない(笑)。ドラマの撮影は初めてで、どんな感じで撮影するのか、共演者もどんな人たちなんだろうかってすごく不安でした。それで実際にお会いするとみなさん優しくて安心しました(笑)。現場も和気あいあいとした雰囲気で、毎日撮影が楽しみでした。

WWD:撮影では新型コロナの影響はありましたか?

安斉:あと少し撮影したら終了というくらいのときに、2カ月ほど撮影が中断しました。それで再開して役の感じを取り戻せるかどうか心配だったので、本番前に事前のリハーサルをして撮影に臨みました。中断は不安だったのですが、実際に再開したらみなさん気合いが入っていて、すごくいい感じに終えることができました。

WWD:ドラマの評判とか見たりしていましたか?

安斉:毎回ツイッターのトレンドにも入っていて、そのコメントがおもいしろいなと思って見ていましたね。

WWD:安斉さんはこれまであまり動画での露出が少なく謎めいた感じでしたが、今回の演技を通して、新たな一面が見られましたね。

安斉:そうですね。これまでほとんど動画での出演もなかったのですが、今回のドラマでは笑っていたり、怒っていたり、これまでにない表情が見せられたと思います。

WWD:演技の仕事は今後もやっていきたい?

安斉:演技がすごく楽しかったので、機会があればぜひやりたいです。ただその前にまずは音楽活動に集中して、しっかりとやっていかないといけないと思っています。

好きなことをやっていたら“ギャル”と呼ばれるようになった

WWD:安斉さんが歌手を目指したきっかけは?

安斉:中学生のときに父親にザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のライブに連れて行ってもらい、そのときに見たサックス奏者の演奏が超かっこよくて、それからアルトサックスを始めたんです。そして吹奏楽部に入りました。そのうちに歌うことにも興味が出てきて、高校1年生のときからスクールに通い出し、それがだんだん楽しくなって本格的に歌手を目指すようになりました。そこからレッスンを重ねて2019年5月にデビューしました。

WWD:曲は全て安斉さんが作詞を担当していますが?

安斉:高校1年のときに歌を始めてから日記をつけていて、作曲家の人に曲をもらったら、そこから言葉を選ぶことが多いです。

WWD:曲を通してどんなことを伝えたいとか意識しますか。

安斉:そういうのはあまり意識していなくて、等身大の自分の気持ちを伝えられればと考えています。だから以前考えた歌詞は今だと絶対に作れないと思いますし、曲を聴けば、私の成長も分かると思います。あまり飾らずに素直な気持ちを伝えたいです。

WWD:7月22日には5作目となる「僕らは強くなれる。」がデジタル配信されます。これにはどんな気持ちが詰まっているんですか?

安斉:これは高校生のときに書いた詞がベースで、学校生活や吹奏楽部の活動のことについて書いていたら自然と応援歌みたいになりました。曲名も「僕」ではなく、「僕ら」にしたのは、“みんなで強くなろう”という気持ちを表現したかったからです。

WWD:この曲のミュージックビデオではブラスバンドの名門校、京都橘高校の生徒100人が出演していて、圧巻でした。

安斉:このミュージックビデオは昨年の夏に撮影したもので、今だったらこんな感じには撮影できなかったですね。私も吹奏楽部だったので懐かしく、楽しかったですね。

WWD:「M・A・C」の広告にも起用されるなど、ファッションやメイクといった点でも注目されていますが、こだわりはありますか?

安斉:前までは「アイラインは長めに引く」とか、「こうじゃないと“かれん”じゃない!」というこだわりがかなり強かったんですが、最近は少し幅を広げていこうといろいろなファッションやメイクに挑戦するようになりました。今はメイクよりもスキンケアの方が興味があって、まずは肌をしっかりケアしようという気持ちが強くなりました。

WWD:ハイトーンヘアも印象的ですね。

安斉:若干飽きてきましたけど(笑)。でもこの髪ってブリーチはしていなくて、それがこだわりっていえばこだわりかも。色はピンク好きで、昔はピンクヘアにもしていました。今回の撮影のように衣装やメイク、ネイルでもピンクを選ぶことは多いです。

WWD:“令和ギャル”みたいな呼ばれ方もしますが、どう感じていますか?

安斉:ギャルになりたいとは思ったことはなくて、当時好きなモデルさんのまねをしてカラコンつけたり、つけまつけたり、好きなことをやっていたらギャルって言われるようになったんです。でも「ギャル」と呼ばれることには抵抗はなくて、昔私がモデルさんに憧れていたように私に憧れてくれる人がいるとうれしいです。

WWD:最後に今後の目標は?

安斉:今は王道のJ-POPの曲が多いのですが、その幅を広げていき、今後はRいろいろとやっていきたし、勉強して作曲もしていきたい。もう少し落ち着いたらライブもやりたいです。

The post ドラマ「M 愛すべき人がいて」の主演・安斉かれんとは何者か? “令和ギャル”と呼ばれる彼女の魅力 appeared first on WWD JAPAN.com.

広がるマスク・ファッションの可能性 エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月3日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

広がるマスク・ファッションの可能性

 今週月曜日が「笑い」のメルマガだったので、いきなり「快」から「不快」に転じてしまい恐縮なのですが、マスク装着時のニオイが本当にイヤなんです(苦笑)。

 体臭、口臭、加齢臭はキツい方じゃないと信じているのですが(笑)、マスクを装着して十数分もすると、早くもニオイが気になり始めます。最初は「口臭?」と思い、マスクの装着前には歯磨きとマウスウオッシュを徹底。それでも二十数分もすればやっぱり不快に思い始め、最近は「胃の中まで洗うべき?」と「噛むブレスケア」を積極摂取中です。でも、やっぱり1時間もすれば、「イヤ。なんかイヤ」って思い始めます。「口でダメなら、鼻かしら?」と思い、今度は「ハナノア」で鼻うがい。小林製薬の思うツボです(笑)。ここまでやっても会議などで話し始めると、やっぱり不快に思うのです。あ~、どうしたら良いの!?気づけば「マスクのニオイ」問題に囚われているのです。ラジオで安住紳一郎さんが「本日は、マスク着用でお送りします」なんて話をすれば、「安住さんは口臭、気にならないのだろうか?2時間の生放送だよ……」と不要な老婆心を抱いてしまうほどです。

 友人に聞いたら、「え!?そんなに気にならないよ」と言います。マジですか!?そこで「WWDビューティ」編集部に救いの手を求めたら、「『ザ・プロダクト(THE PRODUCTS)』のドライシャンプーが、マスクにも使えます!!」というお言葉。早速吹きかけると、「なんということでしょう(ビフォーアフター風にどうぞw)!!」。香りは強すぎず、弱すぎず。花粉症でも頑なにマスクを拒んできた私の悩みは、一瞬で解決しました。ひと吹きすれば、口呼吸をしても数時間はヨユーです。以来、「ザ・プロダクト」のドライシャンプーは、常に携帯しています。

 と私が悩んでいるくらいですから、世の中には、もっと深い悩みに苦しんでいる方も多いでしょう。最近は、「ヒモでかぶれる」「跡が残る」「唇が荒れる」「蒸れる、暑い」など、さまざまな問題が浮上中。夏には、「日焼け跡が困る」なんて悩みも切実になりそうです。

 そしてそろそろ、「この顔には、どんなマスクが?」とか「このファッションには、どのマスクを?」なんて悩みも浮上しそうな気がしています。「こんな時に、何言ってるの!?」と言われてしまうかもしれませんが、それでも「自分らしさ」を求めるのがファッション&ビューティです。私はこれまで、いわゆる白い使い捨てマスクしか着用してこなかったのですが、プリーツは細かければ細かいほど、自分には似合っている気がします。もっと言えば、プリーツ(生地をず~っと折り込んでいるヒダ)の間にタック(縫い合わせの箇所だけ生地を折り込んでいるヒダ)が入っているとベター(笑)。そしてウレタン製のオールブラックや、カモフラ柄のファブリック、繊細な刺しゅう入りのマスクなどを試して開眼!!今では「ウレタン製のブラックマスクには、鉄条網デザインのネックレスかしら?」と、コーディネイトを楽しむまでにレベルアップしました。次は、アイメイクですね。余談ですが明日の紙面紹介Live配信プログラム「Read More」は、マスク時代のアイメイクについてのお話です。さぁ、アイシャドウ男子としては、腕の振るいどころであります。

 アップした記事を解析してくれる社内スペシャリストに話を聞きますと、マスクの記事は、今なお高パフォーマンス。ユーザーニーズは「一体、どこでマスクが買えるの?」から、「どんなマスクがあるの?」「どう着けたらいいの?」に移行していると思われますが、皆、「新しい生活様式」を意識して、マスクとともに生きることを模索し始めています。ここにファッションとビューティは、もっともっと寄り添うことができそうですよね?

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post 広がるマスク・ファッションの可能性 エディターズレターバックナンバー appeared first on WWD JAPAN.com.

「バング & オルフセン」から究極のワイヤレスイヤフォン アスリートやランニング愛好家の声を反映

 デンマーク発音響機器ブランドの「バング & オルフセン(BANG & OLUFSEN以下、B&O)」は6月30日、ワイヤレスイヤフォン“ベオプレイE8 スポーツ(BEOPLAY E8 SPORTS以下、E8 スポーツ)”を発売した。“E8 スポーツ”は、充実したカスタマイズ機能による快適で安定したフィット感を実現し、アウトドアやトレーニングなどスポーツ時にも対応しており、汗や雨にも強い優れた防塵防滴性を備えている。左右のイヤピースには2つの高性能マイクが搭載されており、イヤピースを装着したまま、タップ操作で周囲の音を鮮明に聞くことができる。「B&O」のハイエンドスピーカー同様に妥協のないチューニングを重ねた音響を楽しめるオールラウンドモデルだ。

 「B&O」はこのイヤフォンの発売を記念して、発売前日にデンマーク大使公邸でイベントを開催。“E8 スポーツ”を着用したダンサー兼振付師の小尻健太がDJのLicaxxxによるオリジナルサウンドに合わせてパフォーマンスを行い、激しい動きに対応するフィット感をアピールした。

 パフォーマンス後には、小尻、Licaxxx、ランニングアドバイザーの真鍋未央、ナイキ(NIKE)のランニングチームであるAFEのメンバーやDJを務めるLono3がトークショーで“E8 スポーツ“の特徴について語った。小尻は、「バレエやダンスにとって、音楽は欠かせない。パフォーマンスのリハーサルを4回した際、“E8 スポーツ”のフィット感を実感した。外の音が即座に聞けるワンタッチ機能もとても便利」とコメント。Licaxxxは、「新型コロナウイルスの流行による外出自粛などで、新しい音楽に出合う時間が増えたと思う。スポーツと音楽には密接な関係がある。フィギュアスケートなどがその典型で、ヨガやランニングなどスポーツによって聴きたい音楽が変わる」と話した。コロナ感染拡大でランニング人口が増えたことに関して真鍋は、「ランニングはもやもやした気持ちがすっきりするのでメンタル面でもメリットがある。音楽はマラソンやランニングのパフォーマンスを高める効果を持っている。“E8 スポーツ”は雨の日に走ったり、汗をかいたりしても気持ちよく洗えるのがすばらしい」と強調。以前から「B&O」のワイヤレスイヤフォンに馴染みのあるLono3は、「音のクオリティーはもちろんのこと、以前のモデルより軽量になっているので、イヤフォンを着けていることを気にせずに使える」と話した。

 カラーはブラックとオキシジェン ブルーの2色で、価格は3万9000円。オキシジェン ブルーの発売は7月初旬~中旬を予定している。

The post 「バング & オルフセン」から究極のワイヤレスイヤフォン アスリートやランニング愛好家の声を反映 appeared first on WWD JAPAN.com.

クチコミ&1万人調査が示す、ウィズコロナ時代の「女性の美容意識」

 新型コロナウイルスの流行により、誰もが生活の変化を余儀なくされたこの3カ月。当然、美容を取り巻く環境にも大きな変化があった。働き方やライフスタイルの変化、外出時のマスク着用、百貨店の営業自粛など、イレギュラーな状態を経て、女性たちの「美容に対する意識」はどのように変化したのか? アットコスメのクチコミを分析する、アイスタイルの原田彩子リサーチプランナーに話を聞いた。

コロナ渦中に出現した「納得」&「意外」な検索ワード

 まずは長期に渡る外出自粛の期間中の、女性の美容意識について伺ってみた。「この期間、アットコスメ内の検索ワードで新たに出現したのが『マスクにつかない』というキーワードでした。具体的には『マスクにつかない、ファンデーション』『マスクにつかない、リップ』などですね。コロナ流行環境下のニーズを表すワードといえるでしょう」(原田彩子・アイスタイルリサーチ担当)。

【コロナ禍中アットコスメ内で増加した検索ワード】
・「マスクにつかない~」
・「ダイエット」
・「ナイトブラ」
・「脱毛、脱毛器」
・「洗顔、朝洗顔」
・「美白・シミ」
・「ニキビ」
・「毛穴」

 この時期増加した少々意外な検索ワードが『脱毛器』だ。「クリニックやサロンが休業していたことに加え、おこもり生活でじっくりお手入れをする時間が生じたことも関係しています」と、原田リサーチ担当。同じ流れでPV上位にランクインしたのが「ヘアカラーアイテム」である。美容院に通えない人が増加し、4月のアットコスメの月間PVの1位はなんと花王「リーゼ(LIESE)」の「泡カラー」だった。泡タイプで根元から簡単に染まりやすい点が支持されたという。「ヘアカラーが1位になることは非常に珍しく、外出自粛期間中の特殊事情を反映しています」。

 はからずも「毛」に関する事柄が、上位を占めたことは興味深い(毛髪や体毛に関しては通常プロの手を借りる方が多く、それがかなわないと悩みも切実だったということだろうか)。これらの検索ワードは、外出自粛に伴うニーズを反映した、一時的な傾向ともいえる。ではその裏側で、女性たちはそもそも美容に対して「何を思って」いたのか。

クチコミ投稿数はメイクもスキンケアも、あらゆるカテゴリーで増加

女性たちの美容意識を知るもう1つの手がかりが「クチコミ」の投稿件数だ。「2020年4月の購入者のクチコミ投稿数は、前年比42%増、5月は前年比58%増の伸長率でした。コロナ禍においても、女性たちの美容への関心は衰えず、むしろ時間があるからこそ『過去に試して良かった製品を投稿する』方が増えた印象です」(原田リサーチ担当)。

 この時期、店頭やECにおいては、リップなどメイクアップ製品の販売数が減り、変わりにスキンケアや入浴関連のアイテムが売り上げを伸ばしたというニュースがあった。一方でクチコミの内訳を見てみると、「特定カテゴリーへの偏りはなく、スキンケア、メイクアップともに、等しく増加しています」と、原田リサーチ担当。「マスクでメイクできないという事情がありつつも、メイクへの興味が薄れたわけではありません。別のアンケート調査で『新型コロナウイルスの流行により、メイクアップへの関心に変化があるか』をたずねたところ、変わらないが42%。増えた・とても増えたという回答を合わせると、32%にのぼりました」。

 クチコミの投稿数や記事の閲覧数において、コロナ禍以前より下がったカテゴリーは特になく、全体を俯瞰で見ると「相対的にスキンケアの注目度が高まった」というのが実情のようだ。クチコミ投稿数の増加の理由としては「イレギュラーな状況下の不安感も関係しているのでは」と、原田リサーチ担当は分析する。同僚や友人と気軽に会えない中で「誰かとつながりたい」という思い。そして店頭で直接製品に触れることができず「本当にこの商品が良いのか知りたい」という欲求の現れである。 「そもそもアットコスメユーザーは美容に関心がある方たちではありますが、マスク着用や外出できないストレスの中で、『だからこそ、何か新しいものが欲しい』『効果のあるもので、ケアしたい』という意識が高まったように感じました」

激変したベストコスメ 「根本ケア」への熱量が高まる

 コロナ禍以前の16年頃から、アットコスメのクチコミの中において「スキンケア」というワードの出現率が増加していたという。「20年度は実に5年前の1.2倍に増加しています。これは『根本的に美しい肌を育みたい』という意識の現れであり、コロナ禍は『根本ケア』へのニーズを一気に押し上げました」(原田リサーチ担当)。

 その象徴ともいえるのが、6月11日に発表された「@cosme ベストコスメアワード2020 上半期新作ベストコスメ」の結果だ。集計期間は2019年11月~2020年4月まで。コロナ禍とかぶった時期は少ないが、明らかに例年と違う傾向が現れた。「総合部門の1~4位までをスキンケア製品が占めました。これだけ上位にスキンケアが並ぶのは過去にない結果です。根本ケアへのニーズが高まる中で、コロナ禍により『物理的にスキンケアの時間が増えたこと』。さらにさまざまなストレスや環境の変化を経験し『健康であること』『免疫を上げること』など、根本的に自身をケアしたいという意識を押し上げたのではないかと考えます」(原田リサーチ担当)

【@cosmeベストコスメアワード2020 上半期新作ベストコスメ 総合】
1位 ランコム「クラリフィック デュアル エッセンス ローション」
2位 アテニア「スキンクリア クレンズ オイル アロマタイプ」
3位 資生堂「エリクシール シュペリエル つや玉ミスト」
4位 花王「SOFINA iP ベースケア セラム<土台美容液>」
5位 パルファン・クリスチャン・ディオール「ディオール アディクト リップ グロウ オイル」

 原田リサーチ担当は、コロナ禍による女性のライフスタイルの変化にも着目する。「独身の働く世代は、外出自粛やリモートワークなどにより、自宅で自身をケアする時間が増加傾向にありました。一方、専業主婦や子育て世代からは、自分の時間が減少したという声が目立ちます。ベストコスメで支持されたアイテムは『どちらの女性にも刺さる要素』がありました」(原田リサーチ担当)。

 

 例えば、総合部門の1位に輝いた「ランコム(LANCOME)」の「クラリフィック デュアル  エッセンス ローション」が代表例だ。酵素に注目し、ブナの芽エキスを配合した水層と、グレープシードオイルの油層から成る高機能化粧水。手入れに時間をかけられる人には「振って混ぜる感触の変化」「実感のあるテクスチャー」が、逆に時間のない人には「美容液のような機能を備え、化粧水だけでも美しい肌が手に入る」という点が支持された。どのようなライフスタイルの女性にも「根本からキレイになれる」期待感を抱ける製品といえる。

ウィズコロナ時代、女性たちが求める化粧品とは?

 ランコムのローションのように、今後ウィズコロナの時代において、支持される化粧品とはどのようなものだろう?

 「まず『マスクにつかない』というキーワードは、今後も続くと思います」と、原田リサーチ担当は予想する。経済活動が再開し外出の機会が増えること。そして今後は暑さが本格化する季節でもある。「化粧崩れへの対策は、春先より切実になるでしょう。また今後複数年に渡って、マスク着用の習慣が続く可能性を考えると、ラスティング系のアイテムは注目されるように思います」(原田リサーチ担当)。もう1つ、最近アットコスメの中で注目度が高まっているのが「肌を守る」アイテムだ。スキンケアだけでなく、ベースメイク分野も含め、幅広いカテゴリーで注目されるキーワードであるという。「スキンケアの代表例は、資生堂薬品の『イハダ(IHADA)アレルスクリーン EX』です。もともと花粉やPM2.5などの大気汚染物質、そしてウィルスの肌への付着を防ぐアイテムですが、コロナ禍を経てまさにこれらの『肌を守る』機能が注目されました」と、原田リサーチ担当。同じ理由で、今後も「敏感肌用コスメ」のニーズが高まるのではないかと予想する。

 
 ベースメイク分野においても、同様の動きが見てとれる。代表例は、上半期のベスト化粧下地部門で1位に輝いた「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」の「UVイデア XL プロテクショントーンアップ ローズ」だ。敏感肌用のブランドであること、紫外線や大気汚染から肌を守ること。スキンケア作用を持ちながら同時に肌をトーンアップし、マスクにもつきにくいという多機能な点が支持された。

 ベストパウダー部門の1位に輝いた「イプサ(IPSA)」の「スキンケアパウダー」は、本来スキンケアカテゴリーに属する製品である。肌荒れ防止、保湿、美白作用が期待できる医薬部外品だ。「肌そのものを根本からケアする効果、そしてこのアイテムも薄化粧効果が期待できるため、おこもり期間の自宅メイクをきっかけに注目されました」(原田リサーチ担当)。

 確かに、前述の製品たちには共通項が存在する。「マスクにつかない」「肌を根本からケアする」「肌を守る」「1品で多機能」など、これらのキーワードは、今後の化粧品トレンドを占う上で重要な位置を占めるように思う。なぜなら(「マスクにつかない」を除けば)いずれも数年前から徐々に注目され、コロナ禍をきっかけに重要度を増したキーワードであるからだ。

 今回の取材を通じて最も印象的だったのは、コロナ禍を経験しても女性たちの美容への関心は衰えず、むしろこういう時だからこそ「美容の力を求める」ことだった。しばらく環境の変化やストレスが続きそうな今、美容が色々な生活の場面で、女性を支える存在であってほしいと願っている。

宇野ナミコ:美容ライター。1972年静岡生まれ。日本大学芸術学部卒業後、女性誌の美容班アシスタントを経て独立。雑誌、広告、ウェブなどで美容の記事を執筆。スキンケアを中心に、メイクアップ、ヘアケア、フレグランス、美容医療まで担当分野は幅広く、美容のトレンドを発信する一方で丹念な取材をもとにしたインタビュー記事も手掛ける

The post クチコミ&1万人調査が示す、ウィズコロナ時代の「女性の美容意識」 appeared first on WWD JAPAN.com.

「キース トウキョウ」オープン直前徹底解剖 写真200枚超で見る店内とほぼ全アイテム

 ベイクルーズ グループが運営するニューヨーク発のスニーカーショップ「キース(KITH)」は、7月4日にオープンする東京・渋谷の「キース トウキョウ(KITH TOKYO)」を公開した。ミヤシタパーク(MIYASHITA PARK)の明治通り沿い1階と2階に位置し、総面積は744平方メートル。店内は1階がシューズコーナーとメンズ・ウィメンズのアパレル、雑貨コーナー、2階がキッズストアとシリアルバーの「キース トリーツ(KITH TREATS)」となる。

 内装は現代アーティストのダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)率いるクリエイティブチーム、スナーキテクチャー(SNARKITECTURE)が手掛けた。アーチを描いたエントランスの天井は“ナイキ エア フォース1(NIKE AIR FORCE 1以下、AF1)”の石こう像で装飾される。“AF1”は左右が交互に並べられ、まるで天井を歩いているようだ。

オープン限定の“エア フォース1”も

 エントランスに向かって左の部屋がシューズコーナーだ。中央にはこれまで「キース」が手掛けたコラボスニーカー約200足を展示し、ウインドーをカラフルな“AF1”の石こう像で装飾する。オープン記念として発売する日の丸をモチーフに使った“AF1”や、「キース」別注の「バンズ(VANS)」などを並べるほか、「ナイキ」をはじめ「アディダス(ADIDAS)」「ニューバランス(NEW BALANCE)」「コンバース(CONVERSE)」「ホカ オネオネ(HOKA ONE ONE)」など約300種をそろえる。

 右の部屋がオリジナルアパレルとアクセサリー・雑貨コーナーで、メンズ約150、ウィメンズ約50アイテムをラインアップする。オリジナルのペイズリー柄やタイダイ染めのアイテムなどのほか、東京タワーのプリントTシャツや“トモダチ”の刺しゅう入りTシャツなどを同店限定で販売する。また、ウィメンズのスイムウエアなどもそろえる。

2階はキッズと「キース トリーツ」

 2階へ向かう階段にはアーシャムによる“KITH KIDS”と“KITH TREATS”の手書きの文字。キッズの対象年齢は3歳~(約100cm~)で、Tシャツやジャケット、パンツなどのウエアとスイムウエア、シューズなどを取り扱う。

 シリアルバー「キース トリーツ」には東京限定のメニューを用意し、「キース」オーナーのロニー・ファイグ(Ronnie Fieg)や東京店の俣野純也ディレクター、ファイグの友人である小木“POGGY”基文らが考案したメニューも提供する。また、「キース トリーツ」の歴代Tシャツも展示する。

 なお新型コロナウイルスの影響で、当面はオンライン上での抽選入店を実施する。すでに4日のオープンから数日は入店受け付けを終了しているが、その後は状況により抽選を再開する予定だ。

The post 「キース トウキョウ」オープン直前徹底解剖 写真200枚超で見る店内とほぼ全アイテム appeared first on WWD JAPAN.com.

#敦子スメ「新月・満月」ノート 今回の満月(7月5日)は日本の伝統や歴史を見つめ直す機会に

 この連載では、新月・満月の流れを最大限に引き出すためのサポートをしてくれるコスメやインナーケアアイテムも紹介していきます。第14回は7月5日の満月とおすすめコスメについてお伝えします。

今回の満月(7月5日)はやぎ座

 今回の満月はやぎ座で起こります。過去を振り返る水星逆行の最中で起こるため、あらためて日本の伝統や歴史を理解するのもいいかもしれません。今年はまだまだ旅行も普段通りにはできないかも知れませんが、オーガニックコスメの原料の産地で日本の伝統を見つめ直してみるなんていうアクションはいかがでしょうか。やぎ座と聞いて思い出すのが、古風で趣がある場所やアイテム。

今回の満月コスメ

 京都生まれの「コトシナ(KOTOSHINA)」は古都の品格や品物など、やぎ座感満載のキーワードから生まれたスキンケアブランドです。心身が揺れやすい満月の夜に、抹茶の渋みでカームダウン……なんて過ごし方もいいかも。夏バテ対策にも日本のスーパーフード、抹茶は一役買ってくれるはず。

 そしてもう一つ、満月のときに取り入れたいのはオイル美容。ものごとのエネルギーが大きく膨らむ満月のケアは、もっちり肌をつくるオイル美容での栄養補給がおすすめ。とはいえ暑い夏にベタベタするのは嫌……という人に、「チャントアチャーム(CHANT A CHARM)」の2層式導入美容オイル「ディープ モイスト オイル」がおすすめ。フレッシュな香りとともに軽い使い心地で取り入れられるので、ベタつきが気になる夏のオイル美容として優秀です。紫外線の肌疲れが気になるタイミングで取り入れてみては。

 最後は、「ザ・プロダクト(PRODUCT)」の「スキャルプリヴァイタライザー」。月見草オイルという満月にぴったりな名前のオイルが主成分で入っていて、肌や髪の保湿、頭皮のクレンジングオイルとしてなどマルチに使用できます。月は女性の体調とも縁深いといわれていますが、月見草のオイルは女性ホルモンに働きかける作用も。満ちた月のパワーの流れに乗って、ビューティケアもいつもよりパワフルに浸透するかも?

福本敦子(ふくもと・あつこ)/フリーランスPR・美容コラムニスト:コスメキッチンに14年間勤務後、現在はフリーランスPRとして活動するかたわら、ビューティコラムニストとしてイベント、SNSなど多方面で活躍。オーガニックに精通した知識を武器に、ライフスタイルに寄り添った独自のオーガニック美容論が、著名人やエディターをはじめ各方面から大人気。「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と多くの反響を呼び、紹介した商品の欠品や完売も多数。2019年秋、初の書籍となる「今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by敦子スメ」を出版。発売前に増刷が決まるなど話題を呼んでいる。旅を愛し、占星術にも精通 instagram:@uoza_26

The post #敦子スメ「新月・満月」ノート 今回の満月(7月5日)は日本の伝統や歴史を見つめ直す機会に appeared first on WWD JAPAN.com.

フィリップ ・リムに聞くサステナブルな洋服づくりVol.2  商品だけでなく、働き方もサステナブルである必要性

 デザイナーのフィリップ・リム(Phillip Lim)はブランド立ち上げ当時から“ワードローブ・ステープル(定番アイテム)”をモットーに、あらゆるシーンでも着られる、上質で美しい洋服を手掛けてきた。また2020〜21年秋冬コレクションはファッションショーをスキップし、2月に店舗に業界内外の人を呼び、イベント形式でコレクションを発表した。フィリップに、ファッションショーのスキップを決断した理由について聞いた。

WWD:20〜21年秋冬コレクションはなぜショーをスキップしたのか?

フィリップ・リム(以下、リム):ときには大胆な決断も必要でしょう?ファッションショーを開催するには多くの時間やコスト、労力が掛かるし、とにかく忙になる。そもそもファッションシステムが見直されている中、ここまで負担が掛かるものをやる必要があるのかと思ったのと、正直心身ともに疲弊していた。私にとってファッションショーでコレクションを発表することは当たり前になっていたが、無理に頑張ってショーにこだわる必要もないと思ったんだよ。忙しくて時間が一瞬で過ぎていく毎日で、一度立ち止まりたかったんだ。今思い返すと、新型コロナウイルスで渡航に制限が掛かり始めていたから、正解だったと思うよ。

WWD:イベントには業界人はもちろん、友人や子どもなど多くの人が駆けつけていて、そんな大勢の人に囲まれるフィリップさんはとても幸せそうな表情でした。

リム:1日掛かりのイベントだから疲れたけどね(笑)!最後はヘトヘトだったけど、正しい選択だったと今は自信を持って言えるよ。みんながSNSなどでイベントを告知してくれたおかげもあり、業界関係者から他業界の人、インフルエンサー、学生、子ども、隣人まで、あらゆるバックグラウンドの人が何百人も来てくれた。本当にインクルーシブなイベントだったよ。みんな楽しそうで、店内に流れたエネルギーそのものがとてもポジティブなものだった。今の時代には必要なエネルギーだったね。

WWD:フィリップさんのようなベテランがショーをスキップしたことは、大々的なショーを開くほどの資金力がない若手デザイナーにとっても、良い刺激になったのでは?

リム:そうだね。直接話はしていないけれど、リテーラーやバイヤーからはとても良い評判を頂いたし、新たなアイデアのきっかけになったらうれしい。私自身も学んだことは多々あったよ。例えば当日の来場者から分かったのは、「3.1 フィリップ・リム(3.1 PHILLIP LIM)」というブランドが年齢やジェンダー関係なくあらゆる人に支持いただいていること。普通ブランドはターゲット層を決めることが多いけれど、いい意味では私のブランドは“定義づけ”するのが難しいと思った。どのようなシーンでも、トレンドに左右されずに何年も着られる服、そして機能的な服を作っているから、そうなるのは自然だと思うけど。若い子もたくさん来てくれて、サステナビリティについても色々聞いてくれたよ。

WWD:イベントに切り替えて、少しは休めることができたのか?

リム:全員2〜3週間の休みをとることができた。シーズン前にここまで長期的な休みを取るのは初めてだったよ。チーム全員にとっていい息抜きになったし、充電期間となったね。以前のようなペースで駆け抜けていたら、確実にいつかパンクするところだった。ビジネスの健康的な存続には、持続可能な働き方がいかに大切かを痛感したよ。

WWD:フィリップさんはこのように社員のケアをすることこそサステナブルと以前言っていた。

リム:サステナビリティは決して簡単なことではなく、いろいろな人にとって悩ませることもあるだろう。社員をケアするというのは無理な働き方を強要しない、というだけでなく、一人一人が発言力・行動力を持てるようにすること。サステナビリティには一つの“正解”がないからこそいろいろな意見があってもいいし、多様な意見が言いやすい環境にするべきでしょう?みんな平等に扱わないと、サステナブルなビジネスは作れないよ。商品はもちろん、働き方もサステナブルであることは同じくらい大切だと思う。

—Vol.3に続くーー

The post フィリップ ・リムに聞くサステナブルな洋服づくりVol.2  商品だけでなく、働き方もサステナブルである必要性 appeared first on WWD JAPAN.com.

第2の「バルクオム」は誕生するか 「ロジック」や「ムルク」など新規参入で盛り上がるD2Cメンズコスメ

 最近D2Cメンズコスメが盛り上がっている。その代表として挙げられる「バルクオム(BULK HOMME)」は、昨年サッカーのキリアン・エムバペ(Kylian Mbappe)選手をグローバルアンバサダーに起用し話題となったが、さらに今春には俳優の木村拓哉を起用したテレビCMを放送するなど、その勢いは増すばかりだ。そうした「バルクオム」の影響もあってか、D2Cメンズコスメ市場に新規参入する企業が増えている。昨年11月には、店頭プロモーションの企画・運営を行うパルディアが俳優の大森南朋をアンバサダーに起用した「イッキ(IKKI)」が、この2月にはユーザーが使ってから値段を決める“あと値決め”決済を導入した「イーヴォ(IYVO)」がスタートした。

 そして今春、新たに「ロジック(LOGIC)」と「ムルク(MULC)」が登場した。「ロジック」は企業のブランディングやプロモーションなどを行うクリエイティブ・エージェンシーのパークが手掛けたメンズスキンケアブランドで、「昨今の男性の美容意識の高まりや価値観の多様化に対して、それに応える選択肢が少ないと痛感し、自らメンズブランドをつくることにした」とパークの佐々木智也コスメ事業責任者はコメントする。ブランド名については、「ハードワーカーに向けて“合理性”を追求したスキンケアであること、そして仕事のパフォーマンスを向上させるための『戦略』のひとつになること――そのようなニュアンスを感覚的に携える言葉として“ロジック”と名付けた」。現在製品は泡洗顔とミストタイプの化粧水を展開。“ワークツールとしてのスキンケア”をコンセプトに、仕事を楽しむハードワーカーに向けて60秒で完結するミニマルなケアを提供する。

 一方の「ムルク」は、恋活・婚活のプロフィール写真に特化した撮影サービスを展開してきたセプテーニ・ベンチャーズが展開するメンズメイクブランドだ。「マッチングアプリ専門のプロフィール写真撮影サービスを展開してきたが、その中で『青ひげやクマやニキビ跡などをナチュラルにカバーするメイク施術付きプラン』を試験的に提供したところ予想以上の反響をいただき、メンズメイクの力に可能性を感じた。私自身の関心と市場の盛り上がりがタイミングよく重なったことで、自分で化粧品を作ってみようと決心した。ブランド名の『MULC』は“メイクであなたをかっこよく見せる”という意味を込め、“Make You(U) Look Cool”の頭文字を取った」と香美惇「ムルク」プロデューサーは語る。BBクリームとアイブロウペンシルを展開し、徹底的に男性が使用することにこだわった。ブランドコンセプトは“なりたい自分を勝ち取る剣”。

 またメンズコスメではないが、矢野亜也那コティスエルト代表が始めたジェンダーレスコスメ「アイロ(ILLO)」も6月にスタートした。「ある時期から、コスメの表現やメッセージが女性に向けたものばかりに違和感を覚えるようになった。周りにはメイクを楽しむ男性や、身だしなみにコスメを取り入れる男性が増えている中で、メイクは女性のものだけではないはず。多様性や個が認められる時代だからこそ、好きなものは好きと自分自身で選べるニュートラルなコスメブランドとして、社会の枠や性別にとらわれずにメイクを楽しむことを発信できるブランドをつくった」とその思いを語る。男性女性関係なく使えるものを意識し、商品のカラーにはニュートラルなカラーを中心に使って、肌なじみのよさを意識したファンデーション、ペンシルブロウ、セミマットリップをそろえる。

 こうして続々と参入するD2Cメンズコスメの特徴は、クラウドファンディングからスタートすることだ。最近はD2Cコスメを始めるときにテストマーケティングとしてクラウドファンディングを活用するケースが多く、それによってD2Cで重要な早期のファン獲得ができるほか、またユーザーのフィードバックをもとに製品のアップデートにつなげられる。「ロジック」は7月2日時点で、300万円以上の支援金を獲得。「ムルク」は344人から169万2100円の支援金を集めてクラウドファンディングを終了。「アイロ」はまだスタートしたばかりだが同様に20万円以上の支援金を集めている。こういったクラウドファンディングの活用から成長へ。「バルクオム」の次のD2Cメンズブランドの台頭に期待が掛かる。

The post 第2の「バルクオム」は誕生するか 「ロジック」や「ムルク」など新規参入で盛り上がるD2Cメンズコスメ appeared first on WWD JAPAN.com.

ランジェリー業界のゲームチェンジャー vol.1 ファッションとしてのランジェリーを発信する「イルフェリーノ」の北菜月

 下着業界はファッション業界に比べるとメディア露出が少なく、またサイズの展開が多いため、在庫管理が複雑、生産工程で使用する資材が多い、生産ロットが大きいなどの理由から新規参入が難しいといわれてきた。大手の下着メーカーおよびアパレルメーカーによる市場の寡占によって、なかなか新陳代謝が進まない印象だったが、ここ数年D2Cブランドが増加している。また、異業職種からのデザイナー転身やSNSを通じたコミュニティーの活性化など、下着業界では30代の女性を中心に新たなムーブメントが起こっている。下着業界に新風を吹き込むゲームチェンジャーらにインタビューし、業界の今、そして今後の行方を探る。

 連載の第1回に登場するのは北菜月「イルフェリーノ(IL FELINO.)」ジェネラルマネジャー(GM)だ。ランジェリーのセレクトショップを運営する一方で、自身がモデルとなってSNSで情報を発信しながら、新たなランジェリーカルチャーをリードする存在になっている。ランジェリーをファッションとして捉えるセレクトやスタイリングは同世代の女性を中心に共感を呼び、機能性重視のアプローチに満足できなかった層の取り込みに成功している。

――:ランジェリー業界に携わるようになったきっかけは?

北菜月「イルフェリーノ」ジェネラルマネジャー(以下、北): 文化服装学院を卒業してアパレルブランドで販売員として約3年勤務しました。ただ、そこで新しいことができないと思い、子どもの頃から憧れていたランジェリーと物作りに携わる仕事をするために、オリジナルの下着を製作している下着専門店を探して転職しました。約3年後の16年に下着専門店の同僚と共に「イルフェリーノ」を設立し、原宿に店舗をオープンして、19年11月にキャットストリート裏に移転しました。今は同店舗のGMとして、買い付けや海外ブランドとの渉外、SNSを通じた情報発信などをしています。

――:なぜランジェリーに興味を持つようになったのか?

北:子どものころからマンガや人形、グラビアアイドルのボディーの曲線にすごく興味があり、自分の体はいつそのようになるのだろうと思っていたのですが、なかなかならなくて(笑)。でも初めてブラジャーを着けたときに「自分は女だ」と実感したのを鮮明に覚えています。それから、ベビードールをコーディネートに取り入れたりして、少年のような体形でセクシーな着こなしを楽しむのが好きでした。高校生のときに初めてタンガ(Tバック)をはいて学校に行ったときのドキドキ感は新しい服を買って着たときのようで、その感覚は今も同じ。私にとって、ランジェリーとファッションの境界線はありません。

――:自身がモデルとなってSNSで発信するようになったのはいつ頃から?

北:14年ごろから自分のインスタグラムで発信するようになりました。それまで下着の情報は機能性に関わることばかりで、インポートランジェリーなどのおしゃれを楽しむのはお金持ちのマダムという印象を持っていました。モデルもスタイル抜群の外国人ばかり。それでは自分ごとにならないと思い、販売員だった私が自ら着てその魅力を伝えたいと思ったのがきっかけです。当時は“下着姿=エロい”という観念が強くてモデル探しも苦労しましたが、女性目線の表現に賛同してくれる仲間がだんだん増え、今「イルフェリーノ」のSNSではさまざまな体形のお客さまやスタッフがモデルとして登場してくれています。

――:その仲間たちと「同人誌」も制作しているが?

北:アートディレクターでランジェリーブランド「ジェミニテール(GEMINITALE)」のデザイナーである恩田綾さんと私を中心に、アーティストやデザイナーなどを巻き込んでランジェリーカルチャーを発信していくユニットの「チームランジェリー(TEAM LANJERI-)」で制作しました。1号は16年5月に発刊したのですが、それをきっかけに「チームランジェリー」がランジェリーブランドのキュレーションをし、伊勢丹新宿本店や三越銀座店、名古屋のSCラシックなどでポップアップストアを開催しました。現在大きな活動はしていませんが、今後イベントなどを計画しています。

コロナ禍の休業を経て、
実店舗からECへ移行する決断

――:「イルフェリーノ」は新たなステージに移行するそうだが?

北:現在の実店舗は3月末で休業し、6月以降は期間限定予約制で開けることにしました。今後はECを中心に運営し、お客様さまとの接点はポップアップストアで継続していきます。4~5月は新型コロナウイルス感染予防のため休業したのですが、皆さんECを活用してくださり、5月はECだけで実店舗の売り上げをカバーし、前年比10%増となりました。ECはインスタライブや新製品への反応も非常に早いです。これまで、コンセプトを変えて多店舗展開することを目標にしていましたが、4~5月の経験を経て、オンラインでコミュニケーションする環境を整え、信頼を築いていくことに注力したいと考えるようになりました。11月にはアパレル会社の傘下になる予定で、その戦略もしっかり組んでいけるようになるでしょう。

――:今後の目標は?

北:ブラジャーでバストメイクすることだけが下着の役割ではないし、どんな体形の人でもランジェリーのおしゃれは楽しめます。私は、商品もランジェリーの捉え方ももっと多様化してほしいと思うし、そうなるようなカルチャーを発信していきたいと思います。そして、ランジェリーはセクシーさと切り離せないと思っているので、アダルトコンテンツとも関わっていきたいです。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

The post ランジェリー業界のゲームチェンジャー vol.1 ファッションとしてのランジェリーを発信する「イルフェリーノ」の北菜月 appeared first on WWD JAPAN.com.

「目指すのは世の中から“捨てる”という考えをなくすこと」 世界で拡大する容器再利用プラットフォーム「ループ」とは

 米国で2001年に創業し、ごみ削減に向けて先進的な取り組みを進めるスタートアップのテラサイクル(TERRACYCLE)。創業者のトム・ザッキー(Tom Szaky)最高経営責任者(CEO)が掲げる“世の中から捨てるという考えをなくす”という理念のもと、再利用できないと思われてきたモノを再利用するべく、現在21カ国で事業を展開している。大手企業やブランドと協働でペットボトルから化粧品容器、食品トレー、アルミ缶、ガラス、さらにはチューインガム、たばこのフィルター、使用済み紙おむつ、菓子袋といった、使用済み製品やパッケージなど、あらゆる廃棄物を回収し、原料や製品としてマテリアルリサイクル(再資源化)事業を展開している。10月には、日本で新たに容器再利用事業「ループ(LOOP)」を始動する。「ループ」の“中身”とは――。テラサイクルジャパンの冨田大介マーケティング&コミュニケーションズ ディレクターに聞いた。

WWD:本国アメリカでは設立から約20年が経つ。日本での展開はいつからか。

冨田大介テラサイクルジャパン マーケティング&コミュニケーションズ ディレクター(以下、冨田):テラサイクルジャパンは2014年に設立し、サンタフェナチュラルタバコ ジャパン(現:トゥルースピリットタバコカンパニー/TRUE SPIRIT TOBACCO COMPANY)をファウンディングパートナーにたばこの吸い殻のリサイクル事業からスタートしました。化粧品業界との取り組みも早期から始まっていて、同年に日本ロレアルの「キールズ(KIEHL’S SINCE 1851)」との空き容器回収プログラムを、翌年からライオンと歯ブラシ回収プログラムを行っています。

WWD:日本での提携先はどのぐらい広がっているか。

冨田:マテリアルリサイクルを行うテラサイクル事業では現在までに約20社と取引があり、ビューティ企業はELCジャパンの「アヴェダ(AVEDA)」やロクシタンジャポン(L’OCCITANE JAPON)、ネイチャーズウェイ、マッシュビューティーラボなどで、全体の4分の1を占めます。17年末に中国が廃プラスチック類の輸入を禁止して以降、日本国内での問い合わせも増えました。

WWD:自社でリサイクル工場を持っているのか?

冨田:テラサイクルは本国も合わせて自社工場を所有しておらず、協力工場にリサイクルを委託しています。その方が多岐にわたるリサイクル素材の加工が可能になりますし、日々進化するリサイクル技術を活用することもできます。さらには既存のリサイクル業者を支援することにもつながります。ただし、本国では自社でR&D部門を設けており、そこで循環する社会の実現に向けてリサイクル技術の研究を進めています。

WWD:化粧品企業との取り組みの事例は?

冨田:店舗などの拠点に空き容器の回収ボックスを設置し、集まった容器をテラサイクルへ送ってもらいます。「キールズ」とのケースでは、店頭に持ってきてもらった空き容器から再資源化したプラスチックがスパチュラに生まれ変わり、それを顧客に配りました。化粧品は店頭回収の場合が多いので、リサイクルプログラムを通して再来店につなげることで、ロイヤルティー向上にも活用してもらえるのではないでしょうか。

WWD:リサイクルにかかるコストはどのように決まるか?

冨田:リサイクルする素材の種類や量によって料金は変わりますが、ある程度の量がないと再資源化のコストが、高く経済的合理性は低くなります。量が多い方が全体の費用を抑えられる設計になっているので、ある程度リサイクルする素材をためてから送っていただきます。現在は石油を使ったバージンプラスチックと比べてリサイクルプラスチックにかかるコストは高いですが、今後技術が進化すれば費用対効果が上がっていく可能性はあります。化粧品の容器でいえば、凝ったデザインになると多様な素材が使われていることが多くリサイクルしにくく、シンプルな素材でできている方がリサイクルしやすくなります。

本国アメリカでは再利用容器のデザイン性の高さが高評価

WWD:日本で10月に開始予定の新事業、循環型プラットフォーム「ループ」は、本国などで昨年先行してスタートしているが、立ち上げられた背景は?

冨田:CEOのトム・ザッキーが、テラサイクル事業だけでは、世の中からごみをなくすという企業ミッションの達成は難しいと感じたことから、“容器の所有権を消費者から企業に戻す”というコンセプトのもとアメリカとフランスで試験的に導入しました。「ループ」では日常的に使う消費財の容器をメーカーとテラサイクルで共同開発します。消費者が専用のウェブサイトから商品を注文すると商品が自宅に配達され、使用後に空き容器専用のバッグに入れて返送します。再び商品を購入すると、洗浄して再充てんされた商品が届きます。商品購入の際に商品の金額に加えてデポジット(預り金)を支払い、容器を返却するとデポジットが返金されるという仕組みです。牛乳の宅配サービスをイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。

WWD:「ループ」に参加する企業は?

冨田:現状ではキッコーマンや味の素、プロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER & GAMBLE以下、P&G)など食品や洗剤が多いですが、化粧品では資生堂や「ボタニスト(BOTANIST)」のアイエヌイー(I-NE)が参加する予定で日本での提携先は約20社程度でスタートします。オンラインサービスは5000世帯を対象に試験的に開始し、同時に大手スーパーのイオンの東京を中心とする17店舗でも展開します。イオンの店頭には「ループ」の商品を集めた売り場が作られ、空き容器の回収ボックスが設置されます。メーカーにとってはステンレスやガラスなど耐久性のある容器の開発に初期投資が必要となりますが、長期的にはコストダウンにつながり、多くの人に利用してもらえるほど初期投資の回収期間は短くなっていきます。

WWD:消費者にとってのメリットは?

冨田:本国で行った消費者の意識調査では、「『ループ』を利用する理由」という質問に対する回答が、「環境によいことをしている」よりも「利便性」が上位になりました。これまで空き容器を自宅で集めてごみ捨て場などに持って行かなければいけなかったものが、「ループ」では自宅まで配達し、回収もしてくれます。その次に「パッケージデザインのかっこよさ」が挙がりました。使い捨て容器ではないため、企業側もある程度のコストをかけて工夫します。そのデザイン性の高さや機能性・使いやすさが評価されたようです。その次点として「家のごみが減った」という環境意識に関わる回答が挙がりました。「環境にいい」だけでは誰も買いません。「ループ」を根付かせるには、こうしたデザイン性や利便性が重要になります。最終的なゴールはごみを出さない社会をいかに成り立たせるかです。経済をまわしながら一方通行の資源利用をやめて輪をつくるのが目指すビジョンです。

The post 「目指すのは世の中から“捨てる”という考えをなくすこと」 世界で拡大する容器再利用プラットフォーム「ループ」とは appeared first on WWD JAPAN.com.

出動!!「発売・販売刑事」 エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月1日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

出動!!「発売・販売刑事」

 「ブルータス(BRUTUS)」の西田善太編集長は、別名「アボカド刑事」でいらっしゃいます。「アボカド刑事」の活躍でだいぶ浸透してきましたが、あの果物、「アボカド」ですからね。「アボガド」じゃありません。「アボカド刑事」は、時々SNSなどをパトロールされて、「アボカド」を「アボガド」と表記する“事件”が発生すると出動!!取り締まっていらっしゃいます。なんて頼もしいんでしょう(笑)。

 西田さんが「アボカド刑事」なら、私は「発売・販売刑事」を名乗りたいと思います。ファッション&ビューティの皆さんにとって、大事な言葉ですよね。これには、「なぜムラカミは、あんなにこだわっているんだろう?」と首を傾げている同僚が多い気がしますが(苦笑)、私は、メッチャこだわっています。今日は、「発売・販売刑事」からのお願いです(笑)。

 そもそも、この2つは、違う言葉です。簡単にいえば、「販売」は「売っている」コト。「発売」は「売り始める」コトであります。つまり「販売を開始する」コトが「発売」なワケです。難しく言えば(言わなくて良いのかw?)、「販売」は「売っている」という現在進行形にも似たニュアンスを持っており、一方の「発売」は売り始めた時の一点をさしているので進行形的なニュアンスがありません。だから「販売中」はOKだけど、「発売中」は基本NG。基本、としたのは、「発売」には「大いに売る」という意味があるので、「大いに売ってま~す」という状況を表現するなら「発売中」もOKです。「発売・販売刑事」も、そのくらいは目をつぶりましょう。ゆえに雑誌やウェブメディアのキャプション(写真に付す、説明文のことです)にある「発売中」っていう言葉には、ものスゴい違和感……。「発売・販売刑事」としては、「その『発売中』という言葉には、『大いに販売中』という意思があるのですね?」と編集者やライターの皆さんに事情聴取したいくらいです(笑)。私の事情聴取は、厳しいですよ~。なにせ、事件記者出身ですからね(笑)。

 ゆえに、「発売を開始した」は、「頭痛が痛い」みたいでヘン。「●日から発売している」も、「から」という助詞が、起点からある程度の長い時間軸を表現しているので違和感。この場合は、「●日から販売している」もしくは「●日に発売した」という表現の方が腑に落ちます。「発売・販売刑事」は、自分が校正する原稿については、これを逐一直し、若手には一度だけ「オジさんのお小言」として違いを伝えている次第です。

 と、月替わりの月曜日は、一笑に付していただければ十分なメルマガから始めてみました。実はだいぶ昔、「文章は、逆三角形」というメルマガをお送りした時、多くの皆さんから「もっと教えて!」というお返事をいただいたんです。というワケで、ネタが尽きそうな時・ドタバタでネタをじっくり考えられない時は以降、こんなメールでお茶を濁してみようかな、と思っています(笑)。

 というのは冗談で、今会社では、「1回15~30分くらいのオンラインセミナーとかやったら、業界の皆さんに役立つかもね」と構想しています。立ち上げましたら、「発売・販売刑事」の文章講座もラインアップに加えてみようかしら?賛否両論ありますが、私の文章を気に入ってくださる方は少なからず存在しておりまして、“お小遣い”くらい稼げる気がします。YouTubeで配信したら、投げ銭してくださいね(笑)。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post 出動!!「発売・販売刑事」 エディターズレターバックナンバー appeared first on WWD JAPAN.com.

梅雨の登園も快適に!「ノース」「ワークマン」スマートな雨具を求めて 働くママのざっくばらん“本音”トークVol.7 ファッション編

 気象庁が、関東地方の梅雨入りを発表した。髪のうねりや通勤問題など、もともと憂鬱なシーズンだが、保育園の送迎が加わるとその負担は倍増。それぞれの子どもが保育園2年目&今年入園の元「WWDジャパン」記者のママ2人が、雨の季節の登園・降園ファッションについて語ります。

悪天候で本領発揮!アウトドア&作業着アイテム

村上杏理(以下、あんり):いよいよ梅雨入りが発表されたね。今年入園した娘は6月からやっと通常保育がスタートしたのに雨の日が多くて、自転車での送迎に早速挫折しそうだよ。

一井智香子(以下、ちかこ):車での送迎の日も、車を降りた後、子どもと手をつなぎながら傘を持つのは難しいから、レイングッズは一式そろえたよ。
あんり:大人の“雨ガッパ”って野暮ったいのが多いよね。何がおすすめ?

ちかこ:「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE以下、TNF)」マタニティウエア第2弾のレインコートを買ってみた。ママ連載第一回の取材ですっかり魅了されちゃったからね(笑)。かなりゆとりのある身幅だから安心。膝が隠れる着丈は、車の座席に子供を乗せている間も足元が雨に濡れなくて済むからすごくありがたい。ショート丈だとお尻から足元までびしょびしょになるから注意!

あんり:コートの前身ごろに、取り外しができるベビーポンチョが合体した画期的なアイテムだよね。しかも「TNF」のマタニティやキッズ商品の売れ行きは好調。ゴールドウイン20年3月期の決算は過去最高益を記録したとか。人気を物語っている。

ちかこ:軽いし薄いしパッカブルだし、すごく便利でシルエットもキレイ。今はたまに使っている程度だけれど、このコートが本領を発揮するのは、第二子を抱っこしながら、息子を送迎するようになるときかも。今は「ワークマンプラス(WORKMAN PLUS)」で購入したライトスリッポンが、リアルに役立ってるよ。

あんり:どんな靴?

ちかこ:防水ではないけどはっ水機能があって、何より軽い。車の運転に最適で、お迎えに行くだけなら十分な機能性。しかも1500円という値ごろ感!あとは「TNF」と「ハイク(HYKE)」のコラボスキージャケットが、雨風対策&海遊びまで万能。風を全然通さないから、肌寒かった春先まで自転車でのお迎え時には本当にお世話になったな。

スマートな「子ども席用のレインカバー」を求めて

あんり:雨の日のためだけに選んだアイテムより、オールマイティーな天候に対応したものの方が、結局“長く使う説”はあるよね。私は雨の日用に、自転車のチャイルドシート用のレインカバーを買ってみた。

ちかこ:これ電動自転車に付けてるママよくいるよね。

あんり:私も存在は知っていたけど、いざ購入するとなると、どれもなかなかのゴミ袋感がある(笑)。だから晴れの日は絶対付けない前提で、「ノロッカ(NOROKKA)」というブランドのアイテムを1万円くらいで購入した。

ちかこ:スボラなうちらは、着脱が面倒だと100%付けっぱなしになるからね。

あんり:その通り。この商品は、ポップアップ式テントのように1分もかからず付けられる。いろいろなメーカーのもの購入前に検索したけど、数千円のものから1万円代後半のものまで、どれもおおよそ見た目は同じ。すごく便利なんだけど、子どもを雨風から守る機能性を考慮すると、必然的にこの大がかりなデザインになっちゃうのかな。もっとスマートなものがあってもいいのに。

ちかこ:後ろからみると“カオナシ”のように見えるよね(笑)。

晴れの日にも便利!登園用“3種の神器”

あんり:ところで、雨の日は無論、娘が保育園に通いはじめて、晴れの日もママである私自身の服装が劇的に変わった。

ちかこ:どんな風に?

あんり:保育園まで片道約3キロ。初めはデニムパンツを履いて自転車に乗っていたけど、地味に動きにくい。それで「ユニクロ(UNIQLO)」のジョガーパンツを買ってみたら、足の可動域に感動!!どうせなら、もっとスマートなのがほしくて、その日のうちに「パタゴニア(PATAGONIA)」のさらに高機能なメンズのジョガーパンツをECでポチった。

ちかこ:「マメ」のマーメイドスカートがトレードマークだったあんりちゃんがジョガーパンツ……。「WWDジャパン」時代を知っている人からすると衝撃だね。

あんり:ロングスカートが鉄板だったからね。私、中高も筋金入りの帰宅部で、アウトドア&スポーツブランドとは無縁の人生だった。30歳を過ぎてその機能性に感動を覚えているよ。さらに普段は「グラミチ(GRAMICCI)」のアノラックを着て、キャップか麦わら帽子をかぶっている。気づけば“アウトドアブランド好きおばちゃん”という出で立ち(笑)。

ちかこ:ママになると“軽量”と“機能性”の優先順位がグッと上がるよね。でも私たちは一度帰宅してから仕事に行けるけど、そのまま通勤する必要があるママはもっと大変だろうな。しかも今はマスクも必須だから、子どもの送迎だけで化粧がドロドロになる。

あんり:UVカットのフェイスシールドが発売されたら、サンバイザーのように雨・紫外線・ウイルスまでも避けられそうなのにね。

ちかこ:それ良いね。ドクター中松先生が新モデルとして発売してくれないかな(笑)。

一井智香子/(いちのい・ちかこ)1986年神奈川・逗子生まれ。慶應義塾大学商学部を卒業後、三越伊勢丹に入社。伊勢丹新宿本店メンズ館1階の紳士雑貨でアシスタントバイヤーを務めた後、2011年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、主にメンズファッションを担当。ピッティ、ミラノ、パリメンズコレクション取材を始め、セレクトショップや百貨店、ファッションビルのビジネス動向を取材。現在はフリーランスとして、ファッションやライフスタイル系の記事執筆を手がける。1男児の母

村上杏理/(むらかみ・あんり):1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

The post 梅雨の登園も快適に!「ノース」「ワークマン」スマートな雨具を求めて 働くママのざっくばらん“本音”トークVol.7 ファッション編 appeared first on WWD JAPAN.com.

VIPからの指名が絶えない伊勢丹外商担当 “お節介”がモットーの接客に注目

 伊勢丹新宿本店、外商部の嶋崎信也さんは、誰もが知る大企業の社長やプロスポーツチームの監督などの名だたるVIP客からの指名を受けるストアアテンダントだ。「WWDジャパン」6月29日号の販売員特集で掲載しきれなかった彼の接客術を紹介する。

 世界中の上質な商品やサービスを知るVIP客の心をどうやってつかむか。嶋崎さんが出した答えの一つはスピードである。VIP客はとにかく多忙で、何よりも時間を大切にする。嶋崎さんのもとにはLINEを通じて直接、顧客のリクエストが届く。クッションが欲しい、シャンパンが欲しい、等々。時には自ら車を運転して顧客の家に配達をすることもある。アマゾンプライム顔負けのサービスが、買い物の選択肢が多いVIPたちに選んでもらえる秘訣なのだ。

 1992年に伊勢丹(当時)に入社してから30年近く、変わらず 新宿本店の店頭に立ち続けている嶋崎さん。大手百貨店のような大組織は異動がつきもので、ずっと同じ店で販売を担当する事例は珍しい。それだけの実績を上げてきた証拠だろう。誰にも負けない売り上げを維持してきた嶋崎さんだが、「がむしゃらに数字を取る時代は終わった」と語る。業界のEC化が進みリアル店舗の存在感が薄れている今、上質なサービスをさらに極めることが百貨店に求められているからだ。

 彼のこだわりはスピードだけにとどまらない。嶋崎さんは「販売は演出」と表現する。新宿本店の車寄せで顧客の乗った車のドアを開けるその瞬間から“ショー”の始まりを意識している。何度も店を訪れてくれている客を驚かせることも重要と考え、「今日は何で驚かせよう」と事前に計画をするという。もちろん買い物や食事のルートも入念に練る。ある顧客の夫人の誕生日会を店内のラウンジで開催した際には、ハワイ好きであるとの情報をもとにサプライズでフラダンサーを手配した。顧客の大切な人を幸せな気分にすることが、信頼を深めることにもつながるという。

 嶋崎さんは“気の利いたお節介”をサービスのモットーにしている。VIPの顧客のみならず、店内で困っていそうなお客さんには必ず話しかける。あまり詳しくない売り場について質問されることもある。嶋崎さんは「終電で寝ている人を見かけたとき、起こしてあげるようなお節介」と例え、少し恥をかいてもその人のためになる優しさが必要だと話す。自分が解決できなくとも同店には80人のストアアテンダントが在籍しており、コミュニケーションで互いをサポートする体制が整っている。ストアアテンダント全員が参加するアプリ上でのグループチャットを駆使し、それぞれの専門性を持つ80人が協力して一人の客をもてなしているのだ。「得意不得意もあるので、私一人でお客さまの多様な要望に応えることは難しい。でも当店には80人のスペシャリストがいる。こんなおもてなしは百貨店以外ではできないと思う」。

 ECの進展の普及 に加え、新型コロナウイルスで新しい生活様式が叫ばれる中、多くの小売業は曲がり角にさしかかっている。だが、30年近く伊勢丹新宿本店で顧客と対話してきた嶋崎さんの絶妙な“お節介”は、多くの人を惹きつける普遍性を持っている。

The post VIPからの指名が絶えない伊勢丹外商担当 “お節介”がモットーの接客に注目 appeared first on WWD JAPAN.com.