閉店後の渋谷パルコにロンドンバス! 36種類の職業を表現した「ミントデザインズ」の無観客ショー

 勝井北斗と八木奈央によるファッションブランド「ミントデザインズ(MINTDESIGNS)」は、「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO 以下、RFWT)」の中止を受けて、ショーを開催予定だった3月21日の午後9時45分に無観客ショーの動画を配信した。会場は東京・渋谷パルコ1階の歩行者専用通路であるナカシブ通り。渋谷パルコにはかつて「ミントデザインズ」の1号店があり、現在も小規模な店舗が入るブランドのホームと言える場所。さらに2007年にも、同館にあったパルコブックセンター内でショーを行ったことがあるゆかりの地でもある。今回は貸し切りの真っ赤なロンドンバスを歩行者専用通路に停車させて、閉店後の通路をランウエイにモデルたちが歩いた。

コレクションの出発点は
ロンドンの多様な人々

 今季のテーマは「Route 88(88番線)」。勝井と八木は学生時代を過ごしたロンドンのバスに乗る多様な乗客を思い浮かべてデザインをしたという。2人は昨年、「ミントデザインズ」を着用したさまざまな職種の人々を撮影する10年越しのプロジェクト「ハッピー ピープル(happy people)」の制作をロンドンで行った。母校であるセント・マーチン美術大学の講師やギャラリスト、画家、バーテンダーなどさまざまな職業に就く人々と触れ合って撮影を行ったことが、今季のコレクションの出発点となったという。

36種類の職業に就く人を
全36ルックで表現

 ショーに登場した36ルックのそれぞれには、バスの運転手やバスガイド、庭師、花屋の店員、学芸員、ファッション学生など職業のイメージがつけられていた。その彼ら彼女たちが夜遊びをしに行くという設定でスタイリストの入江陽子がコーディネートを組んだという。ショー前に演出家から「それぞれの職業を意識したポーズをしてほしい」と告げられると、モデルたちの顔に笑顔が溢れて各自がその役になり切って演技するなど、にぎやかな雰囲気に包まれていた。

久しぶりの男性モデルが登場
“初めてメンズウエアとしてデザイン”

 今季は久しぶりに男性モデルを採用した。「以前もコレクションでメンズモデルにユニセックスのウエアを着せたことがあったが、今回はメンズウエアとしてデザインしたものを発表した」という。ジャケットやパーカなどはメンズウエアのサイズを用意し、女性も着用できるようにユニセックスで提案。また、インスタグラム上で行ったモデルの一般公募から選ばれた3人も登場した。ファッション学生風のルックを着用したモデルのRISEはプライベートでも現役のファッションの専門学生で、今回が初めてのランウエイデビューだったという。

渋谷パルコへ出発進行!
バスの乗客となったモデルたち

 ショーのバックステージは、会場の渋谷パルコではなく表参道にある青山スタジオだった。モデルたちは資生堂チームによるメイクを済ませて、着替えを終えるとロンドンバスに乗って表参道から渋谷パルコへと向かった。今季のウエアは、古いロンドンの地図やバスをモチーフにしたプリントやスカーフが特徴的。“MINTDESIGNS”のロゴが入ったロンドン地下鉄のマーク風のバッジなども合わせている。

渋谷パルコでのショーを続行した
デザイナー2人の思い

 もともと使用する予定だった渋谷パルコでのショーを敢行し、「無観客ということ以外は変更なし」というが、「映像では見えない部分も多いため、映画のようなストーリー仕立てにして強い印象を残せるように工夫した」と勝井デザイナー。モデルがバスに乗り込む姿や車内で過ごすシーンを撮影し、プロローグとして動画に記録した。

 八木デザイナーは「本当は生で見てほしかった」と明かし、「渋谷パルコに突然バスが入ってきてファッションショーが始まったら、一般の人にも楽しんでもらえたと思う。渋谷パルコはこんな社会状況でなければ、外国人観光客や幅広い年齢層の人が集まる場所。今回はメンズも含めて多種多様な方に向けた服を作ったので、観客を入れることがかなわなかったのは残念だった」と悔しさをにじませる。

 新型コロナウイルスの影響でイベントの自粛ムードが続く中、「RFWT」の中止でもさまざまなブランドが創意工夫とともに新たな表現方法を見出している。18年目の「ミントデザインズ」は、東京のデザイナーズブランドの中でもベテランで、今回が37回目のコレクションだった。デザイナーの2人は、バックステージやバス、会場間を移動するイレギュラーな段取りでも普段と変わらない様子で取材にも対応し、安定したコレクションを披露していた。無観客でも“今できること”を見極めて、明るく豪華なショーを東京で披露する姿は頼もしかった。

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戦略の時代に突入したインスタグラム 運用テクをインフルエンサーに直撃 金山大成編

 「WWDジャパン」の3月23日号では、インスタグラムを特集した。単なるSNSではなく、「モノを売る場」や「検索の場」となっているインスタグラムの攻略術を担当役員への取材やSNSのプロフェッショナルによる座談会、アパレル企業へのアンケート調査などから探った。本記事では特集内で行ったインフルエンサーたちへのアンケート調査の回答をピックアップ。認知度がほぼない状態から、インスタグラムを駆使してインフルエンサーとして活動するに至った人物たちに、普段使うアプリや投稿で意識しているテクニック、月々の企業案件数などを聞いた。第3弾は、金山大成さんだ。

WWD:現在の職業と、普段のインスタグラムの投稿内容を教えてください。

金山大成(以下、金山):ファッション領域で活動しており、ジュエリーブランド「ヒヤーズ(h’eres)」のディレクターなどもしています。インスタグラムではファッションを中心にライフスタイルや旅、ガジェットを投稿しています。

WWD:投稿頻度はどの程度でしょうか。

金山:1日2回投稿しています。

WWD:インスタグラムで戦略を立てる際に重要だと言われているインサイト(クリエイターやビジネスアカウントに切り替えることで見ることができる投稿分析機能)で重視している項目は?

金山:リーチ数、外部露出を意識しております。どのくらいの方にリーチされているかを確認します。外部からの流入が新規フォローに繋がるのでどれだけ外部に露出できるのかも気にしています。

WWD:投稿の際に画像加工などで使用するアプリはありますか?

金山:Adobe LightroomとVSCOです。

WWD:写真撮影時に使う機材などはありますか?

金山:カメラはソニー(SONY)のα7II、レンズはタムロン(TAMRON)の28-70を使用しています。

WWD:写真の画角やハッシュタグの付け方などで、投稿の際に意識している細かいテクニックはありますか?

金山:写真の画角はキャプションで見た時にスタイリングが全身残るように意識して撮影しているのと、4:5でカットしてすこし余白が残るようにしてます。とにかく見やすいということを意識しています。

WWD:これまでに最もバズった投稿はありますか?

金山:指輪を付ける場所に関する投稿です。こちらの投稿でフォロワー数が約3000増えました!インプレッションと保存数が桁違いです。

WWD:企業案件は1カ月にどの程度来ますか?また、月にどの程度受けていますか?

金山:1ヶ月に20件ほどですが、現在はほとんどお受けしていません。

WWD:企業案件の1投稿当たりの報酬について、これまでと現在で金額に変化はありますか?

金山:こちらは申し訳ございませんが、お答えできません。

WWD:インスタグラムに関して、外部支援(コンサルティングやセミナー登壇など)を行っていますか?

金山:はい。      

WWD:外部支援の依頼は、最近増えていますか?

金山:自身のインスタグラムアカウントを大幅に伸ばせていた実績もあるため増えております。

WWD:インフルエンサーとして、今後描いているキャリアプランはありますか?

金山:ファッション分野で活動しているので、今後さらにファッションの世界でしっかりと影響力がある人物だと知っていただけるように活動したいです。その分自分もまだまだ努力が必要だと感じています。

WWD:現在活用しているインスタグラムの機能を理由と共に教えてください。

金山:主にストーリーズ機能を活用しています。フィード投稿と違い、普段とは違った世界観を作れたり、フォロワーの方との距離感も近くなるのと、24時間で消えることもあるためラフにあげられます。

WWD:今後活用していきたいインスタグラムの機能があれば理由と共に教えてください。

金山:IGTV、ライブ機能をうまく活用していきたいです。今後は現在フォローしてくださっている方々とさらに交流を深めたいと考えています。

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ネガティブな意見も受けとめ前進 「シロ」の「世界で戦えるブランドに」という想いの源泉

 コスメティックブランドの「シロ(SHIRO)」は昨秋、ロゴの変更やパッケージのリニューアルを含むリブランディングに着手。後述の通り売り上げは伸び続けているが、ファンの一部はリニューアルに驚き、SNSでは当初ネガティブな投稿が相次いだ。それでもなお、「シロ」がリブランディングを貫いたのは、何故か?「WWD JAPAN.com」の村上要が、シロの今井浩恵社長に聞いた。

リニューアルの理由は単純
良い製品を世界で
使ってもらいたい

 
村上要「WWD JAPAN.com」編集長(以下、村上):改めて、昨年リニューアルに挑んだ理由は?
今井浩恵シロ社長(以下、今井社長):ものすごく単純で、「世界で戦えるブランド」になるためです。素晴らしい素材を使い、良い製品を作っている。だから、世界中の人に使ってもらいたいのです。「ラグジュアリーブランドになりたい」とか「海外ブランドのようになりたい」ではなく、「良い製品を作っている自信があるから、それを多くの人に使ってもらいたい」。ただそれだけ。でも去年までの「shiro」は、その魅力をごくごく一部のお客様にしか伝えられていないから、このままでは「世の中をしあわせにする」というブランドの想いが伝えきれない。そう思ったんです。

村上:Jビューティに注目が集まる中、「SHIRO」ならではの製品をさらに広く伝えたいという想いだったんですね。確かに以前の「shiro」のままでは、ナチュラルな生活を志向する女性にしか届かなかったかもしれません。強くなった「SHIRO」からは、モードな人、国際的な感覚の持ち主、男性など、より多くの消費者を魅了できるかもしれないという可能性を感じます。
今井社長:海外に店舗を構えたとき、ロゴを含むかつての「shiro」はどこか弱々しかった。正直、「世界では戦えないな」と感じました。「華奢で繊細」は、日本ではある程度のニーズがあるかもしれませんが、イメージの強い個性的なブランドがひしめく海外では戦えない。2016年、ロンドンに海外1号店を構えた時から「変わらなければいけないな」と感じ、「コスメのメインストリームに挑むとしたら、どのように製品をブラッシュアップし、どんな世界観を築いていくべきか?」と考え続けていたんです。

「お客様は聞き飽きたかも?」は
「全然伝えられていなかった」

村上:ということはリブランディングで変えたのは、ロゴやパッケージ、店舗デザインにとどまらない?
今井社長:もちろんです。製品では、素材にさらにこだわりました。例えばフレグランスシリーズでもスキンケア同様に自然由来の高品質な原料を、しかも顔を知っている生産者の、一番良いものを使うようになりました。祖母が農業を営んでいたので馴染みがあるのですが、農家の皆さんって、「家族のため、孫のための畑」を持っている方が多いんです。そこでは、他の畑以上に丹精込めて、作物を作っていらっしゃる方も(笑)。「シロ」のスキンケア、コスメ、フレグランスには、そんな素材の良さを最大限に感じてもらいたいという想いを込めて配合しています。素晴らしい材料を使わせていただいている私たちには、それを生かした製品をより多くの方に広める責任があると思っています。そこで国内にとどまらず、世界中で使っていただくための努力を始めたんです。

村上:確かに「信念」を発して「共感」してもらうビジネスは、日本のみならず世界で戦えるビジネスですね。ただ、そんな想いは伝わっていなかったのかもしれません。素材へのさらなるこだわりに伴い、一部製品の価格が上がったことも手伝ったのでしょう。リニューアルは当初、「#改悪」なんてハッシュタグが付されるほど、SNSではネガティブな意見もありました。
今井社長:「私たちの想いを、消費者の皆さんには伝えられていなかったんだ」と反省しました。製品に使っている素材や生産者さん、ブランド理念については10年も言い続けてきたから、「聞き飽きさせてしまったかな?」と心配するほど「伝わっている」と思い込んでいたんです。販売終了をお知らせしてガッカリさせてしまった製品については、「こんなに多くの方が愛用してくださっていたんだ」と痛感しました。「シロ」はこれまでずっと、「自分たちが欲しいもの」を作り続けてきました。自己中心的という意味ではありません。自分たちが心から欲しいと思えるものだけを作ることこそが、お客様にも環境にも真摯であり続けることと考えていたんです。お客様により喜んでいただき新しいものをご提案し続けたいと思い、常に前進してきました。でも、販売を終了した製品にも多くのファンがいてくださったことを再確認し、正直、驚きました。製品が、多くの皆さんの生活に根付いていることを気づかせてくださいました。

村上:たくさんの意見が、想像もしなかった気づきを与えてくれたのですね。その後は改めて、「ちゃんと伝える」ことに注力している?
今井社長:はい、お客様の気持ちに寄り添いながら、ブランドの想いを精一杯お伝えしたいと思っています。ですから、改めてお話させてください(笑)。例えば保湿・整肌の目的で配合するタマヌオイルは、海外産から沖縄産の素材に切り替えました。この沖縄の生産者がつくるタマヌオイルは、20工程くらいのプロセスを経て抽出されています。手間暇をかけると、エグみのないオイルが採れるんです。毎年最高の品質のタマヌオイルを手に入れるため、生産者の拠点や畑を台風から守れるよう、周辺には木を植えています。一時は自社農園を作り、自分たちで原料を育てることも考えましたが、やはり「餅は餅屋」。最高の原料は、その道のプロである生産者の手に委ねるべきだと気づきました。そこで今は生産者から定期的に原材料の供給を受け続けることで彼らの素材研究や継続可能な体制づくりをサポートする環境を整えています。こういった取り組みについては、お客様に伝えていなかったので、改めて「ちゃんと伝えよう」と思っています。

村上:素材を作る生産者と二人三脚で製品を生み出しているのですね。ネガティブな意見もたくさんありましたが、リニューアル後の売り上げは?
今井社長:リニューアルした昨年9月以降、毎月前年同月比170%前後で推移しています。リニューアル前より多くの方に気づいていただける存在になったのか、もしくはリニューアルでの話題を契機に「今まで知らなかったけれど、試しに製品を使ってみようか」と思ってくださった方が増えたのかな、と思います。ロゴやパッケージの変更にはたくさんのご意見をいただきましたが、一方で、ブランドに初めて触れていただいた方の中には、ロゴが大文字に変わったことを知らない、気づいていない方も多いように思います。かつてブランド名を「ローレル」から「shiro」に変えた時は、このようにたくさんの意見をいただくことはありませんでしたし、当時に比べて現在は、はるかにたくさんの方に注目していただいていると実感しています。

村上:「シロ」と言えばスキンケアやフレグランスが話題になることが多かったが、メイクアップアイテムもかなり増えて目にする機会も増えた。売れ筋に変化はあった?
今井社長:リニューアルのタイミングで、ブランド初のリップスティックを発売したこともあり、メイクアップアイテムの売り上げは伸長しました。カテゴリーで見ると、ブランド全体におけるメイクアップアイテムの売上構成比は2.5倍まで広がりました。

村上:業界人の反応は?
今井社長:百貨店バイヤーの皆様は、大勢がリニューアルに賛同してくださいました。今後も続くであろうインバウンド需要への期待感や、海外での認知度やロイヤリティーを高める日本ブランドの挑戦に対して、大きな声援をいただきました。大変ありがたく思っていると同時に、期待にしっかり応えなければと思っています。ありがたいことに売り上げも順調なので、継続して皆様に恩返しをしていきたいと思っています。

3つの“レス”が特徴の
ニューショップオープン

村上:逆境を乗り越えてリニューアルがひと段落した、次の戦略は?
今井社長:2020年3月、「人はいないけど、愛がある。」をコンセプトに、スマートフォンを駆使した新感覚デジタルストアの「シロ セルフ(SHIRO SELF)」をルミネエスト新宿店に併設しました。“接客レス”“パッケージレス”“ジェンダー&ランゲージレス”な新業態の店舗です。混雑や言語の問題から満足な接客を受けられなかった方や、外出するときはイヤホンをつけっぱなしで接客を望まないという方がいらっしゃいます。一方で環境問題への意識は総じて高く、すぐに捨ててしまうパッケージは不必要という声も多かった。そこで、紙箱なしの製品を購入いただくと本体価格から3%をお値引きさせていただく「エシカル割」を設けたんです。酒かすを筆頭に「シロ」の製品に活用している素材は、副産物であったり、見た目の問題で捨てられたりしていたもの。栄養があるのに、それを活かせないのはもったいないこと。かけがえのない自然の恵みを大切に使うという考え方は、今の時代の価値観にリンクしていると思うんです。

問い合わせ先
シロ
0120-275-606

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2020年春のデニムはどうはきこなす? “フレンチシック×1970年代”でお嬢様ヒッピーに

 2020年春夏シーズンは、お嬢様テイストの“フレンチシック”がトレンドに返り咲いています。一方、1970年代を思わせるデニムルックも復活。両者をミックスしたコーディネートも打ち出されています。名付けて“お嬢様ヒッピー”。「セリーヌ(CELINE)」は2020年春夏コレクションで、愛らしいブラウスに、裾が長めのブーツカットジーンズを組み合わせました。ウエストはきっちりベルトでマークし、ロマンティックと1970年代ムードを交差。今回はこうした“フレンチシック×70年代”風のストリートスナップを参考に、定番のデニムスタイルを今シーズン流に仕上げるコツをご紹介します。

◆肩掛けニットを
差し色アクセントに

 

 フレンチシックな気分でデニムパンツを着こなすには、きちんと感を帯びた羽織り物とのミックスが効果的です。ダメージドデニムにテーラードジャケットという、テイストずらしのお手本的なコーデ。写真1枚目は、ジャケットの上からオレンジのニットプルオーバーをストールのように肩掛け。トップスの裾をしっかりウエストインするのも、ルーズに見せないポイントです。

 写真2枚目は、パンツ裾をずるっと長くたるませて、イージーな見え具合に。70年代ヒッピー感が漂う着こなしです。さらに花柄のボウタイ・ブラウスは上品なムード。リボンはゆるく垂らして、ブルーのニットを斜めに肩掛けしてエフォートレスに。あえて正面からずらしてイレギュラーな印象を添えました。型にはまらない雰囲気を醸し出す小技のコンボが利いています。

◆シアー素材シャツで
透明感と涼やかさ

 白地のシャツで合わせれば、デニムパンツがぐっとフレンチシック寄りに決まります。素肌がうっすらと透けるシアー素材のシャツを選んで、春夏らしい透明感を演出。白インナーとの重ね着で正面のボタンを深く開けられるのは、涼やかに見せる小技。デニムパンツの裾を深めに折り返して、ボーイッシュな足元でハズして。

 同じシアー素材の白地シャツでも、着丈の長いシャツワンピースなら、優美な印象が加わります。花柄は70年代のフラワーチルドレンに通じるので、ノスタルジックな雰囲気も呼び込めそう。裾は正面だけウエストインして、残りは風に遊ばせるのが賢いアレンジ。シャツワンピの着丈が長い分、パンツはクロップド丈で合わせて。レディーライクな靴でフレンチシック感も添えています。

◆上品な腹見せで
フレッシュな着映え

 写真1枚目のコルセット風のジャケットは、装いに組み込むだけで、フレンチシックな着姿に仕上げやすい“即効ツール”です。クラシックなテイストが戻ってきている今のトレンドでも、キーピースに位置づけられています。古風な貴婦人ムードを帯びていますが、デニムパンツを引き合わせれば、現代モードにシフト。ストリート風に映りがちなお腹見せも、ジャケットの正統派感のおかげで、上品な見え具合になります。パンツ裾はブーツインして、クールにまとめました。

 写真2枚目のような、袖先に向かって急に細くなる“ジゴ袖”は、クラシック感の高いディテールです。濃いめのピンクで染め上げたブラウスは、程よくポップでガーリー。お腹見せもヘルシーさを印象づけます。色落ちウオッシュを利かせたダメージドデニムパンツも、発色のよい古典的ブラウスとのマリアージュだから、ストリート感が薄まりました。リッチテイストの肩掛けバッグも装いの格上げに一役買っています。

 70年代風のデニムパンツをレディーライクに見せるうえで、フレンチシックとの掛け合わせはメリットがいっぱい。今春夏の2大トレンドをいいとこ取りできるスタイリングあので、手持ちのデニムパンツに、新たな表情を与えるのに役立ててみませんか。新型コロナウイルスの話題で世界中が暗いムードの今こそ、装いによって、自分や周りに明るい気分を呼び込んでみて!

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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ダウンの回収プロジェクトを追う! 競合参加で地球にやさしい循環型へ

 ここ数年でよく見聞きする「○○を回収、下取りします」という言葉。サステナビリティへの意識が高まる前から、多くのブランドが実践してきました。例えば、靴やスーツなどを、下取りして、店頭で使えるクーポンを提供するなどで提供者に還元し、商品はリサイクルするという。地球環境を考え、循環を考えたプログラムです。しかし実際、回収し集めた後はどう流れて新しく生まれ変わっているのでしょうか?本当に生まれ変わっているの?という疑問もあり、ダウンの回収プログラムを行う、ユナイテッドアローズ(UA)に取材を申し込むと、ダウンのリサイクルを担う「グリーン ダウン プロジェクト(GREEN DOWN PROJECT以下、GDP)」にたどり着きました。GDPってどんなプロジェクトなんでしょうか?

羽毛は50%が炭素 1kg燃やすと1.8kgの二酸化炭素が発生

 中立的な機関としてリサイクルの仕組みを確立しているのが、「GDP」です。このプロジェクトの発起人は、ダウンジャケットや羽毛ふとんのダウン加工の最大手である三重県の河田フェザー社長、河田敏勝医学博士。「ダウンジャケットや羽毛ふとんでダウンの需要を広げてきたが、羽毛は約50%が炭素できており、1kg燃やすと約1.8kgの二酸化炭素が発生する。羽毛は本来、きちんとリサイクルすると100年は持続可能だ」と語り、深刻な環境問題を考え、「われわれの責任」として河田フェザーはダウンのリサイクルを2010年にスタートさせました。

 リサイクルを進めて行く上で河田社長は、「こういった問題は一社でやれるものではない」との結論に至り、「当社は一生産者の立場で参画し、松阪市社会福祉協議会にいた長井一浩氏に託した」と言います。15年に一般社団法人として「GDP」が設立され、長井氏が理事長に就任しました。長井理事長は「15年の設立を前に、14年に設立準備会議をスタートしました。UAさんをはじめ、アーバンリサーチさん、三陽商会さん、西川リビングさんなどが手を上げてくださっていて、みんなでどうしたらうまく循環するかを考えました」と語ります。“儲け”を第一に考えるではなく、地球環境を考えた“循環型”にすること、その後に“儲け”もあればと考えた取り組みです。

地球環境を考えた循環型を目指すGDP

 「GDP」の仕組みはこうです。現在、正会員約35社(ダウン生産者、製品生産管理者、製品販売者、羽毛製品回収販売者)と協力会員約80社などで構成され、正会員は年会費と入会金を払わなければ行けません。正会員には、羽毛洗浄企業として河田フェザーが、羽毛原料購入企業として豊島や東レインターナショナル、山一、ヤギ、伊藤忠商事などが、羽毛製品販売企業として三陽商会やアーバンリサーチ、UA、西川、アダストリアなどが参画しています。会費を払わない協力会員は羽毛の製品回収だけを行う企業で、イトーヨーカー堂や三越伊勢丹ホールディングス、ユニー、昭和西川などが参加しています。

 正会員は、毎年の回収量に合わせ、リサイクルしたダウンの割当量が決まり、それを買い取り製品化するという循環で、毎年、安定的にリサイクルダウンを受けることができます。UAがこのプロジェクトに参画した理由について、佐竹和志・第二事業本部生産物流部副部長は、「毎年ダウンを生産・販売する上で一番頭が痛かったのが、年によって値段が乱高下することだったんです。鳥インフルエンザが流行ったり、そんな噂が立ったりで、相場が大きく変わってしまう状況がありました。加えて、水鳥の生産量が減っているのに対して、中国などの新興国が豊かになってダウン製品の需要が高まり更に価格が上がったり、質の悪いダウンが出てきたりと……。そんな状況から、ある程度安定的に供給することと、コストも大きな変動なく見込めるようにすることが大事だと思ったから」と言います。

障がい者の雇用機会も組み入れ

 回収したダウンの解体は、河田フェザーの敷地内で、社会福祉法人明和町社会福祉協議会 就労継続支援B型事業所のありんこが担当しています。ここでは障がい者の就労機会を組み入れており、障がい者の自立、共生、共働を支える仕組みも確立しています。

 長く働いている方だと、まとまって運ばれてきた羽毛を見ただけで、高品質か低品質かどうかが分かるといいます。作業をしていた方に辛かったことはとお聞きすると、「昔、解体作業で使うカッターで手を切ってしまったこと。すごく痛かった」とおっしゃっていましたが、それも最初だけで慣れてくるとスピードも早くなるそうです。今では安全性と効率性が向上した設備でもくもくと作業をこなす姿を見ていると、こういった方々がいてこそ、循環システムが成り立っているんだろうな、と思いました。

 そこで仕分けされたダウンを、河田フェザーが洗浄、乾燥・選別します。リサイクルダウンにはどういったイメージを持っているでしょうか?「2次利用だし、あんまりきれいではないのでは……」と思う人も多いかもしれません。河田フェザーを訪れる前に、UAの佐竹副部長から、「河田フェザーさんが行なっているリサイクルダウンは、新毛よりもきれいであるとも言えるんですよ。実は」と語られていたんですが、実際行ってみてそれを実感しました。

新毛よりもきれいなリサイクルダウン

 そもそも新毛にはアカやホコリなどがたくさんついているのですが、それを除塵、洗浄、スチーム乾燥、冷却除塵、羽毛の選別の過程で不純物を取り除かれていきます。そもそも水が大きな特徴のひとつなんです。河田フェザーがある三重県明和町は、「純水に近い超軟水が湧き出ている。ミネラルを含まず、柔らかいため羽毛を傷つけずに、羽毛の隅々まで浸透してアカや脂肪分を取り除くことができる。また、乾いた風が一年を通して吹き下ろしていて、羽毛からホコリを除去するために乾燥して湿度の低い気候が理想だった」と河田代表。

 その地下からくみ上げた超軟水を使って羽毛を研ぎ洗いで洗浄。洗浄した水の清浄度を測定していますが、日本羽毛製品協同組合基準では500㎜(2019年時点)の透視度計で底が見える度合いを確認するとしますが、河田フェザーでは2000㎜が基準で、一部の羽毛では3000㎜の透視度計を使う場合もあるといいます。そこまできれいにしたダウンが、巡り巡って「GDP」に戻り、新毛時と同じ工程を掛けて不純物を取り除き、リサイクルでは、ダウン率80%以上は透視度2000㎜以上、ダウン率50%以上80%未満の場合は1000㎜以上を基準としていますが、顧客の要望や品質の状況によっては200㎜以上の場合もあります。

競合が参加できるプロジェクト

 このプロジェクトには、多くのアパレル、セレクトショップなど多くの競合他社が参画しているのが特徴です。差別化がカギとされるファッション業界でなぜ多くの企業が一緒にできるのでしょう?佐竹UA副部長は、「理解ある立ち上げメンバーに恵まれたということはもちろん、素材がダウンだったからうまくいったというのは正直あったと思います。ダウンは“詰め物”で、各社共通のモノを使ったとしても、デザインや素材などで独自色が出せます。そういった意味でダウンはリサイクル資源として優秀で、こういった取り組みに合っていると思います」。

 「GDP」が立ち上がってから、2014年で羽毛回収実績は約5000kg、15年で1万kg、19年には約6万kg(予想)になっており、グリーンダウン使用料は15年で約5800kg、19年で約3万kgとなっています。まだまだこれからと言え、今後の課題は循環型のネックとなる「回収」です。長井理事長は、「一概に参画企業が増えることがいいとも限らないんです。われわれのプロジェクトの大きな柱は、ダウンを安定的に供給することなんです。ダウンにはブームがあり、そういう時はたくさん使いたい、安いから使いたい、というのではないんです。きちんとリサイクルすれば100年は使えるというダウンを、きちんと循環させる。GDPを理解してもらい、共感してもらえるかどうか、だと思っています」と語ります。

 アパレルや寝具メーカーが集めるのに加えて、地域のごみ収集などでもダウンを集めるサイクルができればまた大きな可能性が広がるのでしょうか。そうなると、加工の方も強化しなくてはならなそうです。また洋服はダウンジャケットだけではありません。UAの佐竹副部長が、「衣料品のサステナブルで言えば、環境負荷の少ない生地を使っていくなどしていきたいと思います。今後、バイオマス技術の研究やポリエステル再生技術が進んだらやっていけることがたくさんあるのではないでしょうか」と言います。地球環境を考えたら待ったなしの状況の中で、このプロジェクトの役割は大きいと感じました。

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ダウンの回収プロジェクトを追う! 競合参加で地球にやさしい循環型へ

 ここ数年でよく見聞きする「○○を回収、下取りします」という言葉。サステナビリティへの意識が高まる前から、多くのブランドが実践してきました。例えば、靴やスーツなどを、下取りして、店頭で使えるクーポンを提供するなどで提供者に還元し、商品はリサイクルするという。地球環境を考え、循環を考えたプログラムです。しかし実際、回収し集めた後はどう流れて新しく生まれ変わっているのでしょうか?本当に生まれ変わっているの?という疑問もあり、ダウンの回収プログラムを行う、ユナイテッドアローズ(UA)に取材を申し込むと、ダウンのリサイクルを担う「グリーン ダウン プロジェクト(GREEN DOWN PROJECT以下、GDP)」にたどり着きました。GDPってどんなプロジェクトなんでしょうか?

羽毛は50%が炭素 1kg燃やすと1.8kgの二酸化炭素が発生

 中立的な機関としてリサイクルの仕組みを確立しているのが、「GDP」です。このプロジェクトの発起人は、ダウンジャケットや羽毛ふとんのダウン加工の最大手である三重県の河田フェザー社長、河田敏勝医学博士。「ダウンジャケットや羽毛ふとんでダウンの需要を広げてきたが、羽毛は約50%が炭素できており、1kg燃やすと約1.8kgの二酸化炭素が発生する。羽毛は本来、きちんとリサイクルすると100年は持続可能だ」と語り、深刻な環境問題を考え、「われわれの責任」として河田フェザーはダウンのリサイクルを2010年にスタートさせました。

 リサイクルを進めて行く上で河田社長は、「こういった問題は一社でやれるものではない」との結論に至り、「当社は一生産者の立場で参画し、松阪市社会福祉協議会にいた長井一浩氏に託した」と言います。15年に一般社団法人として「GDP」が設立され、長井氏が理事長に就任しました。長井理事長は「15年の設立を前に、14年に設立準備会議をスタートしました。UAさんをはじめ、アーバンリサーチさん、三陽商会さん、西川リビングさんなどが手を上げてくださっていて、みんなでどうしたらうまく循環するかを考えました」と語ります。“儲け”を第一に考えるではなく、地球環境を考えた“循環型”にすること、その後に“儲け”もあればと考えた取り組みです。

地球環境を考えた循環型を目指すGDP

 「GDP」の仕組みはこうです。現在、正会員約35社(ダウン生産者、製品生産管理者、製品販売者、羽毛製品回収販売者)と協力会員約80社などで構成され、正会員は年会費と入会金を払わなければ行けません。正会員には、羽毛洗浄企業として河田フェザーが、羽毛原料購入企業として豊島や東レインターナショナル、山一、ヤギ、伊藤忠商事などが、羽毛製品販売企業として三陽商会やアーバンリサーチ、UA、西川、アダストリアなどが参画しています。会費を払わない協力会員は羽毛の製品回収だけを行う企業で、イトーヨーカー堂や三越伊勢丹ホールディングス、ユニー、昭和西川などが参加しています。

 正会員は、毎年の回収量に合わせ、リサイクルしたダウンの割当量が決まり、それを買い取り製品化するという循環で、毎年、安定的にリサイクルダウンを受けることができます。UAがこのプロジェクトに参画した理由について、佐竹和志・第二事業本部生産物流部副部長は、「毎年ダウンを生産・販売する上で一番頭が痛かったのが、年によって値段が乱高下することだったんです。鳥インフルエンザが流行ったり、そんな噂が立ったりで、相場が大きく変わってしまう状況がありました。加えて、水鳥の生産量が減っているのに対して、中国などの新興国が豊かになってダウン製品の需要が高まり更に価格が上がったり、質の悪いダウンが出てきたりと……。そんな状況から、ある程度安定的に供給することと、コストも大きな変動なく見込めるようにすることが大事だと思ったから」と言います。

障がい者の雇用機会も組み入れ

 回収したダウンの解体は、河田フェザーの敷地内で、社会福祉法人明和町社会福祉協議会 就労継続支援B型事業所のありんこが担当しています。ここでは障がい者の就労機会を組み入れており、障がい者の自立、共生、共働を支える仕組みも確立しています。

 長く働いている方だと、まとまって運ばれてきた羽毛を見ただけで、高品質か低品質かどうかが分かるといいます。作業をしていた方に辛かったことはとお聞きすると、「昔、解体作業で使うカッターで手を切ってしまったこと。すごく痛かった」とおっしゃっていましたが、それも最初だけで慣れてくるとスピードも早くなるそうです。今では安全性と効率性が向上した設備でもくもくと作業をこなす姿を見ていると、こういった方々がいてこそ、循環システムが成り立っているんだろうな、と思いました。

 そこで仕分けされたダウンを、河田フェザーが洗浄、乾燥・選別します。リサイクルダウンにはどういったイメージを持っているでしょうか?「2次利用だし、あんまりきれいではないのでは……」と思う人も多いかもしれません。河田フェザーを訪れる前に、UAの佐竹副部長から、「河田フェザーさんが行なっているリサイクルダウンは、新毛よりもきれいであるとも言えるんですよ。実は」と語られていたんですが、実際行ってみてそれを実感しました。

新毛よりもきれいなリサイクルダウン

 そもそも新毛にはアカやホコリなどがたくさんついているのですが、それを除塵、洗浄、スチーム乾燥、冷却除塵、羽毛の選別の過程で不純物を取り除かれていきます。そもそも水が大きな特徴のひとつなんです。河田フェザーがある三重県明和町は、「純水に近い超軟水が湧き出ている。ミネラルを含まず、柔らかいため羽毛を傷つけずに、羽毛の隅々まで浸透してアカや脂肪分を取り除くことができる。また、乾いた風が一年を通して吹き下ろしていて、羽毛からホコリを除去するために乾燥して湿度の低い気候が理想だった」と河田代表。

 その地下からくみ上げた超軟水を使って羽毛を研ぎ洗いで洗浄。洗浄した水の清浄度を測定していますが、日本羽毛製品協同組合基準では500㎜(2019年時点)の透視度計で底が見える度合いを確認するとしますが、河田フェザーでは2000㎜が基準で、一部の羽毛では3000㎜の透視度計を使う場合もあるといいます。そこまできれいにしたダウンが、巡り巡って「GDP」に戻り、新毛時と同じ工程を掛けて不純物を取り除き、リサイクルでは、ダウン率80%以上は透視度2000㎜以上、ダウン率50%以上80%未満の場合は1000㎜以上を基準としていますが、顧客の要望や品質の状況によっては200㎜以上の場合もあります。

競合が参加できるプロジェクト

 このプロジェクトには、多くのアパレル、セレクトショップなど多くの競合他社が参画しているのが特徴です。差別化がカギとされるファッション業界でなぜ多くの企業が一緒にできるのでしょう?佐竹UA副部長は、「理解ある立ち上げメンバーに恵まれたということはもちろん、素材がダウンだったからうまくいったというのは正直あったと思います。ダウンは“詰め物”で、各社共通のモノを使ったとしても、デザインや素材などで独自色が出せます。そういった意味でダウンはリサイクル資源として優秀で、こういった取り組みに合っていると思います」。

 「GDP」が立ち上がってから、2014年で羽毛回収実績は約5000kg、15年で1万kg、19年には約6万kg(予想)になっており、グリーンダウン使用料は15年で約5800kg、19年で約3万kgとなっています。まだまだこれからと言え、今後の課題は循環型のネックとなる「回収」です。長井理事長は、「一概に参画企業が増えることがいいとも限らないんです。われわれのプロジェクトの大きな柱は、ダウンを安定的に供給することなんです。ダウンにはブームがあり、そういう時はたくさん使いたい、安いから使いたい、というのではないんです。きちんとリサイクルすれば100年は使えるというダウンを、きちんと循環させる。GDPを理解してもらい、共感してもらえるかどうか、だと思っています」と語ります。

 アパレルや寝具メーカーが集めるのに加えて、地域のごみ収集などでもダウンを集めるサイクルができればまた大きな可能性が広がるのでしょうか。そうなると、加工の方も強化しなくてはならなそうです。また洋服はダウンジャケットだけではありません。UAの佐竹副部長が、「衣料品のサステナブルで言えば、環境負荷の少ない生地を使っていくなどしていきたいと思います。今後、バイオマス技術の研究やポリエステル再生技術が進んだらやっていけることがたくさんあるのではないでしょうか」と言います。地球環境を考えたら待ったなしの状況の中で、このプロジェクトの役割は大きいと感じました。

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93年前の「ルイ・ヴィトン」初の香水から名前をとった新フレグランスが発売 世界三大調香師キャヴァリエに聞く創作の裏側

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は2月27日、新フレグランス「ウール・ダプサンス(Heures d' Absence)」を発売した。このフレグランスはウィメンズのフレグランスコレクション「レ・パルファン ルイ・ヴィトン」で11番目の香りとなるが、実はその名前は、「ルイ・ヴィトン」が1927年に発表したメゾン初の香水の名前からとったものだ。「ウール・ダプサンス」の意味は“余暇の時間”。ヴィトン家が20年代に仏セーヌ・エ・マルヌ地方に所有していた別荘にちなんでつけられたこの名前は、束縛からの自由や旅先でのゆっくりと流れる時間を想起させる。しかし、香りそのもののレシピは現存していなかったという。

 レシピは失われてしまったが、「ルイ・ヴィトン」のインハウス・マスター・パフューマーであるジャック・キャヴァリエ・ベルトリュード(Jacques Cavallier Belletrud)はこのフレグランスを現代によみがえらせた。そのインスピレーション源から製造の過程、メゾン初の香水の名前をとった理由、今後発表する香水の構想までを、ジャック・キャヴァリエにパリで行われたプレス発表会で聞いた。

WWD:2016年に70年ぶりの香水を発売してから11番目の新作となる。今回、93年前に発売したメゾン初の香水の名前を冠した理由は?

ジャック・キャヴァリエ・ベルトリュード(以下、キャヴァリエ):なぜなら私が「ウール・ダプサンス」という名前が大好きだから。とてもロマンチックで、魅力的。“自分を解放しよう”“憂鬱な気分を振り払おう”“今を生きよう”といったコンセプトも気に入り、このコンセプトをもとに全く新しいフレグランスを作った。

WWD:93年も前のものでレシピは残っていなかったそうだが、インスピレーション源となったのは?

キャヴァリエ:ロマンティシズムだ。だから香料には全て花だけを選んだ。キーとなるのは南仏の都市グラース産のミモザ、ジャスミン、ローズの3種の花。「ウール・ダプサンス」という名前は、時間が経っても色あせないものだ。われわれの周りのものは時を経て変化するものがほとんどだか、ロマンティシズムと愛の価値は永遠に変わらない。この永遠のロマンティシズムを3種の花で表現したかった。この香水には自由というコンセプトもあるが、93年前と今とでは選べる自由も女性らしさも変わってきている。この香水は現代の自由な女性のための香水だ。

WWD:開発にはどのくらいの時間を費やしたのか?

キャヴァリエ:開発には3年かけた。新しい香りを生み出すことだけなら1分しかかからないが、その後には、それぞれの花の香りの比率を調整して正しいバランスになるまで手直しするという作業が待っているからね。

WWD:開発にあたって、今の香水のマーケットやトレンドは意識したか?

キャヴァリエ:もちろん、今のマーケットやトレンドはきちんと調査していて、主要ブランドや重要な香水の香りを嗅ぎ、香水マーケットで何が起きているのかを把握している。香水が大好きだから、今何が起きているのかはすごく気になるんだ。しかしマーケットを見ると悲しくなることもある。香水は毎年約2000種類も発表されるが、クオリティーと創造性に欠けたものがあまりにも多いからだ。

WWD:今の香水のマーケットで気になるトレンドはあるか?

キャヴァリエ:トレンドとは言えないかもしれないが、上質な香水は常に好みだ。上質ならば、シック、フローラル、オリエンタルまであらゆる香水が気になる。逆に好きでないのは、質が低いものだ。香水作りは料理のようなもの。チョコレートや砂糖がよいものであれば、よい料理ができる。しかし安く、バランスが取れていないものは香りが過剰になる。

WWD:これまでの香水と今回の香水とでは製造方法にはどんな違いがあるか?

キャヴァリエ:今回は全て花を香料として使用したから、他の香水よりも製造に時間がかかった。それから自分が素晴らしい香水だと確信を持つまでに時間がかかったのも一因だ。素晴らしい香水だと確信できたのは、ある朝自宅で、私のもとに娘が「ウール・ダプサンス」をつけてやってきて、笑顔を見せてくれたときのことだ。このフレグランスを嗅ぐたびに笑顔を運んできてくれるだろうと確信し、完成したんだ。

WWD:これまでたくさんのブランドでそのブランドを代表するような香水を生み出しているが、「ルイ・ヴィトン」における仕事で意識していることはあるか?

キャヴァリエ:もちろんある。私の肩書きに“インハウス”とあるように、私はブランドの一部であり、その歴史の一部だと感じている。以前は、「ブルガリ(BVLGARI)」以外でそのように感じたことはなかった。“インハウス”として働くのは、ただの“サプライヤー”と違い、より自分に厳しくなる。「ルイ・ヴィトン」では、メゾンにとって新しいものは何かと常に探している。メゾンのファッション、レザーグッズ、バッグ部門などを常に意識して、つながりを持つようにしている。「ルイ・ヴィトン」の今のスタイルが何であるかを知ることがとても重要なんだ。「ルイ・ヴィトン」は私の家であり、とても居心地がいい。そして新しい香水を作るのに必要な全てがそろっている。これは私にとって、とてもラグジュアリーなことだ。厳しいマーケティングもなく、消費者テストもない。だからアーティスティックな表現をすることができる。本当に自分の好きなことができるんだ、ファッションなどメゾン内のほかのクリエイターたちと同じようにね。

WWD:12番目の香水の構想はもう決まっている?

キャヴァリエ:もちろんもう製作は始まっているよ。たくさんの要素を含んだ香水になるから、アイデアも多く出てくる。今言えるのはここまでだけだけどね。

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動画追加:「ザ・リラクス」が東コレ中止でショー動画を急きょ制作 妥協なき9分間にかけた裏側

 「ザ・リラクス(THE RERACS)」は、2020-21年秋冬コレクションの無観客ショーを東京・恵比寿のエビスガーデンホールで3月18日に行った。当初は「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」の公式スケジュールに参加する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて「RFWT」の中止が決定し、無観客ショーの動画撮影に切り替えた。ライブ配信は行わず、ショー動画をベストな状態で公開することに徹底的にこだわり、設営から撤収までは約12時間という大掛かりな撮影となった。完成した約9分間の動画は、展示会開催に合わせて24日から「RWFT」公式サイトなどで公開している。無観客ショーという特異な現場の取材を通じて、同ブランドの“優しさ”と“強さ”がより鮮明に浮かび上がった。

14:00 
そろえたモデルはなんと31人

 取材チームが会場入りしたのは、モデルのヘアメイク真っ最中の14時。無観客ショーながら、31人という大人数のモデルにまずは驚かされた。外国人モデルが東京でショーに出演する場合の平均的な出演料は、一般的に男性モデルで10万円前後、女性モデルが15万円前後といわれているため、31人のモデルを起用したあたりからもブランドの覚悟が感じられる。各モデルが2コーディネートを着用し、60ルック以上を発表するという。スケジュールを見ると、ショーの撮影は1コーディネート目、2コーディネート目、最後にフィナーレの3回に分けて撮影する段取りのようだ。控え室のモデルたちは談笑したり、ノートに絵を描いたり、ケータリングの軽食を口にしながらスマートフォンを触ったりと和やかだが、壁を挟んだ向こう側のホールでは設営スタッフが照明の微調整や演出の確認などで走り回っている。モデルがターンする位置を演出担当者が入念に確認したり、若手は白い床のランウエイを必死に磨き続けたりと、無観客といえどこれも30人を超える現場スタッフ一人一人の目は真剣そのもの。たとえば一発勝負のファッションショーで想定外の事態が起こっても、時にはそれがプラスに作用して観客の記憶に刻まれることもあるだろう。しかし無観客ショーという“映像作品”となると、イレギュラーはただの失敗になる可能性が高く、撮り直しが発生すると全体の負担になってしまう。スタッフの緊張感はいつも以上だったかもしれない。倉橋直実デザイナーは和やかな雰囲気の控え室と緊迫感のある現場を行き来しながら、全体を冷静に見守っていた。

17:00 
まずは“後半”の撮影開始

 リハーサルを終え、予定時刻よりもやや遅れ気味に撮影が開始された。1コーディネート目は、グレーやカーキ、ホワイトといったニュートラルカラーのワントーンが中心。フィッティングの関係上、ショーの動画では後半にあたるパートからの撮影となる。アウターの肩が落ちた丸みのあるフォームや遠目でもわかる上質な素材感が同ブランドの“優しい”一面を描く。実際に手に取ると、ウールの繊細な毛羽立ちやコットンの心地よい張り感などは触るエンターテインメントといっても大げさではなく、バリエーション豊富なマテリアルに次から次へと触れたくなる。しかしそれと同時に、上質な素材感を武器の一つにするブランドが、パソコンやスマートフォンの画面上でその強みを伝えられるのだろうかとも考えていた。

18:00 
“前半”は圧巻のブラック一色

 1コーディネート目の撮影は、正面と横からの計2回行われた。ムービーカメラは1台のみのため、正面から横の位置へとセッティングし直すだけで約10分を要した。その後モデルはショーの前半にあたる2コーディネート目に着替えて、再び正面と横からの撮影を繰り返す。着替え終わって登場したモデルたちは先ほどの雰囲気からは一転し、ブラック一色の“強さ”を備えたスタイルばかり。レザーやはっ水性に優れたボンディング素材など、身を守る機能を有するユーティリティーウエアが一段とそのムードを盛り上げる。2コーディネートの撮影を終えた時点でモデルたちはランウエイを4回歩いたことになるが、ダンスしながら帰ってきたり、ヘン顔をつくって取材者を笑わせにきたりするモデルもいたりと、和やかな雰囲気だったのは無観客ショーならではだろう。

19:00 
フィナーレは意外な演出

 残すはフィナーレのみとなり、長時間の撮影もいよいよ大詰め。フィナーレはモノトーンのモッズコートを羽織ったモデルが一斉に登場し、ユーティリティーウエアにこだわったシーズンの色をあらためて強く主張する。このパターンでも異なる角度からの撮影が3回行われたため、31人のモデルはランウエイを合計7回歩き、30人以上のスタッフも7パターンの撮影を行ったことになる。20時を過ぎたころにはさすがにスタッフやモデルの表情にも疲れが少し出ていたが、最後の撮影が終わると拍手と歓声が湧き起こった。しかし多くの人たちが安堵する中、倉橋デザイナーの表情はゆるむことはなかった。ブランドにとってはここからが勝負だからだ。

「ライブ配信よりも長く残る映像作品にこだわる方が私たちらしい」

 「RFWT」の中止によって会場構成や演出など全てに変更を余儀なくされ、悔しさもきっとあったはずである。しかしすぐに前を向き「動画だからこそできる表現を考えた」と倉橋デザイナー。「リアルタイムで見られるライブ配信も視聴者はドキドキ感があっていいかもしれない。でもその10分間のためにできることが制限されるよりは、たとえ時間がかかってもやりたいことを全て詰め込み、長く残る作品を作る方が『ザ・リラクス』らしいから」と続ける。そして動画前半のブラック一色は「原点回帰」で、後半のニュートラルカラーは「時代感の表現」と語る。「今の市場は落ち着いた色合いのルーズなシルエットが主流。トレンドは意識しつつも、私たちが得意とするブラックに立ち返って強さも表現したかった」。さらに“優しさ”と“強さ”はシルエットでも表現されている。「ショーでの発表を続けていると、前シーズンと変えなればという意識に捉われがちだ。でも私たちはそこに左右されず、袖を通してくれる人たちのために実用性のある服を提供し続けていきたい。全体的に迫力が出る量感を意識しながら、ジャストサイズに感じられるきれいなシルエットを目指した」。記者が取材しながら感じていた、上質な素材感を画面上でどう伝えるかという点については、映画やCM撮影も可能な高性能のムービーカメラを用意し、「ブランドの写真を8年間撮り続けてくれている理解者にも動画チームに加わってもらった」という徹底ぶりだ。

 ブランドの代名詞であるモッズコートを着用したモデルが一斉に登場する迫力あるフィナーレの演出も、産地に対する思いを表現したものだった。「フィナーレのモッズコートは、フードやカフスなどのパーツを好きな色で組み合わせられるシステムを使ったもの。このシステムを開発したきっかけは、縫製工場など川上の多くが人手不足で苦しんでおり、疲弊している姿を見たから。今後は量を売るビジネスは成立しないし、少数生産でもブランドと生産者に利益が出る持続可能なシステムを開発したかった」。オーダーメードの開始時期や方法は検討中とのことだが、このように9分間の動画には「ザ・リラクス」のさまざまな感情が込められている。

 同ブランドは華美な装飾を削ぎ落としたデザインを得意とし、倉橋デザイナーも常に冷静なタイプだ。ミニマルな世界観だからこそ、ブランドとデザイナーの根底にある関係者を思う“優しさ”と物作りに対しての意思をストイックに貫く“強さ”がコレクションを通じてにじみ出ているのだろう。ショーを続ける理由について、「ビジネス的な効果はもちろん、たくさんのモデルや制作チームと新しい挑戦を続けることがブランドの力になる」と語るように、ピンチをチャンスに変えた今回の動画制作は、ブランドの新たなターニングポイントとなるはずである。彼らの思いが動画を通じて受け手にどれぐらい伝わるかは、正直まだわからない。でもたとえ画面越しであっても、作り手の感情を届けられるのがクリエイションの力なのだとあらためて勇気をもらった。多くの人の思いを力に変えて、設立10年目を迎えた「ザ・リラクス」はまだまだ進化する。

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#敦子スメ「新月・満月」ノート 今回の新月(3月24日)は星占い的元旦・おひつじ座新月

星占いとの出合い

 オーガニックコスメとの出合いや、コスメキッチン在籍中に占い師・ジョニー楓さんのイベントを担当したのをきっかけに星占いに興味を持ち、独学しました。現代では、占いとしてこれはラッキー、アンラッキーという区別に使われることもありますが、良い悪いではなく自然の流れとしての月の動きに、地球上で生活しているわたしたちは知らずに影響を受けています。この連載では、月の動きの中で活用できるものを知り、うまく生かしていただくための付き合い方をお伝えしていきたいと思います。新月・満月の流れを最大限に引き出すためのサポートをしてくれるコスメやインナーケアアイテムも紹介していきます。第7回は3月24日の新月とおすすめコスメについてお伝えします。

 今回起こるおひつじ座での新月は、1年の中で最も新月らしい力が強まる、といわれているとき。というのも、おひつじ座は12星座のうちの1番最初にあたる星座で、全星座の中での役割はスタートを切ること。準備が完璧でなくてもいい、とりあえずやってみよう的精神で、他の皆が開拓していない場所に足を踏み入れてみようとするのがおひつじ座の特徴です。そこで、リフレッシュやスタートを示す新月が起こるということは、星占い的には元旦のようなパワフルな始まりの日、と考えられています。

 今年はちょっと例外ですが、ちょうどシーズン的にもいつもなら卒業式から入学式、または始業式へ、新しい暮らしへシフトするタイミング。日々の暮らしにも、星占いが微妙にリンクしているので面白いのです。前回の乙女座満月(3月10日)のタイミングでは、予定の変更や伝達ミス・情報の混乱を示す水星逆行の影響もあり、不安な気持ちで過ごされた方も多いかと思います。そのモヤモヤ感をリフレッシュして、気持ちをすっきりさせることにこの新月を使えたらいいなと思います。

 おひつじ座に関連した部位は体全体の一番上である「頭」なので、この日あたりに新しい髪型に挑戦したり、ヘッドスパに行ってみたりするなどもいいかも知れません。今回の新月コスメは、新型コロナウイルスの影響で外出がままならない今、自宅で取り入れられる頭皮ケアアイテムに注目です。

 「ザ・プロダクト(PRODUCT)」の「スキャルプリバイタライザー」は産後の薄毛・抜け毛に有効とされる月見草オイルがベースになったマルチなオイル。頭皮の汚れを浮かすため、シャンプー前にマッサージしながらつけたり、毛先のダメージケア用に、洗い流さないヘア美容液として使ったりすることも可能です。髪を頭皮から育てたい方には少量を気になる部分になじませるのも男女ともにおすすめ。

 「ラ・カスタ(LA CASTA)」の「アロマエステ スキャルプ リペア エッセンス」も、スースー系の頭皮用アイテムとして忘れられないアイテム。目がさめるような清涼感で滞りをスッキリさせて巡りの良い頭皮を育てることをサポートします。「アルジェラン(ARGELAN)」の「オーガニック アロマ スカルプ シャンプー&トリートメント」も、気軽に取り入れられるオーガニックアイテムとしておすすめ。シトラスハーバルの香りが疲れもリフレッシュさせてくれそう。

 シャンプー時には、「ウカ(UKA)」の「スカルプブラシ ケンザンソフト」も忘れずに。頭皮からしっかりと刺激でき、頭のコリをほぐしてくれる優秀ツール。今回紹介したものは、男性にもおすすめ。ぜひトライしてみてください。

福本敦子(ふくもと・あつこ)/フリーランスPR・美容コラムニスト:コスメキッチンに14年間勤務後、現在はフリーランスPRとして活動するかたわら、ビューティコラムニストとしてイベント、SNSなど多方面で活躍。オーガニックに精通した知識を武器に、ライフスタイルに寄り添った独自のオーガニック美容論が、著名人やエディターをはじめ各方面から大人気。「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と多くの反響を呼び、紹介した商品の欠品や完売も多数。2019年秋、初の書籍となる「今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by敦子スメ」を出版。発売前に増刷が決まるなど話題を呼んでいる。旅を愛し、占星術にも精通 instagram:@uoza_26

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戦略の時代に突入したインスタグラム 運用テクをインフルエンサーに直撃 高島涼編

 「WWDジャパン」の3月23日号では、インスタグラムを特集した。単なるSNSではなく、「モノを売る場」や「検索の場」となっているインスタグラムの攻略術を担当役員への取材やSNSのプロフェッショナルによる座談会、アパレル企業へのアンケート調査などから探った。本記事では特集内で行ったインフルエンサーたちへのアンケート調査の回答をピックアップ。認知度がほぼない状態から、インスタグラムを駆使してインフルエンサーとして活動するに至った人物たちに、普段使うアプリや投稿で意識しているテクニック、月々の企業案件数などを聞いた。第2弾は、高島涼さんだ。

WWD:現在の職業と、普段のインスタグラムの投稿内容を教えてください。

高島涼(以下、高島):自身のブランド「リョウ タカシマ(Ryo Takashima)」のブランドディレクター兼デザイナーやユーチューバー、メディアディレクターとして活動しています。インスタグラムでは、自身のスタイリングやブランド紹介などの投稿のほか、自身のブランドの新商品の告知などを行っています。

WWD:投稿頻度はどの程度でしょうか。

高島:毎日2回投稿しています。

WWD:インスタグラムで戦略を立てる際に重要だと言われているインサイト(クリエイターやビジネスアカウントに切り替えることで見ることができる投稿分析機能)で重視している項目は?

高島:リーチです。日々新規の流入を増やす為に、外部の露出がどの程度なのかを投稿ごとに確認しています。それに関連してハッシュタグや、保存数などフォロワーの方の反応を分析しながら日々の投稿の参考にしています。

WWD:投稿の際に画像加工などで使用するアプリはありますか?

高島:基本的にAdobe LightroomやCamera Rawなどを使ってパソコンで編集しています。アプリだとVSCOを利用しています。

WWD:写真撮影時に使う機材などはありますか?

高島:カメラはsony(ソニー)のα7IIIです。

WWD:写真の画角やハッシュタグの付け方などで、投稿の際に意識している細かいテクニックはありますか?

高島:最近の投稿では、写真の撮り方を意識しています。自然に歩いているポージングが服の見え方も綺麗なので継続してやっています。また、棒立ちにも飽きているので日々見せ方を考えています。

WWD:これまでに最もバズった投稿はありますか?

高島:「彼氏へのクリスマスギフトオススメ5選」の投稿です。インプレッション(投稿写真が閲覧されたのべ回数)が53万ほどで、フォロワーが500増えました。基本的なスタイリングの投稿と比べて10倍も反応が大きかったです。

WWD:企業案件は1カ月にどの程度来ますか?また、月にどの程度受けていますか?

高島:10~20件ほど依頼が来ますが、実際に受けるのは2、3件程度です。

WWD:企業案件の1投稿当たりの報酬について、これまでと現在で金額に変化はありますか?

高島:フォロワーが増えるに当たって金額も上がっています。相場はフォロワー×1円で、現在は1投稿あたり、10万~15万円程度です。

WWD:インスタグラムに関して、外部支援(コンサルティングやセミナー登壇など)を行っていますか?

高島:はい。      

WWD:外部支援の依頼は、最近増えていますか?

高島:知り合いを通じてご相談いただくことが増えました。

WWD:インフルエンサーとして、今後描いているキャリアプランはありますか?

高島:セレクトショップのディレクションや新規メディアの立ち上げなど、インスタグラムを通じて、発信力のあるファッションディレクターとしてアパレル業界を盛り上げていきたいです。

WWD:現在活用しているインスタグラムの機能を理由と共に教えてください。

高島:ショッピング機能です。インスタグラム上で買い物をすることがここ最近かなり増えました。さまざまなセレクトショップやブランドアカウントからシームレスに購入まで進めるのでかなり便利だと思っています。

WWD:今後活用していきたいインスタグラムの機能があれば理由と共に教えてください。

高島:具体的な機能ではありませんが、動画をもう少し絡めたコンテンツ作りをしていきたいと思っています。

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ベンベルグ裏地ミュージアム+で干場義雅が語る、服選びの流儀


 旭化成の「ベンベルグ」は、綿糸としては使用されないコットンの種の周りに生える産毛(コットンリンター)を独自の技術で精製・溶解し再生繊維として生まれ変わらせた、キュプラのブランドだ。日本では1931年に生産が開始され、世界的なファッションブランドの裏地素材に選ばれてきた。そんな「ベンベルグ」の歴史と機能性を体感できる「ベンベルグ裏地ミュージアム+(プラス)」をファッションディレクターの干場義雅氏が訪れた。「素材の理解がセンスや着こなしにつながる」——ファッションをこよなく愛する干場氏が「ベンベルグ」の魅力を探る。


 「ベンベルグ」の歴史は、化学繊維が開発されたばかりの19世紀後半のドイツにさかのぼる。旭化成はJ.P.ベンベルグ社が開発したその技術を1928年に導入し、日本で初めての生産に成功した。31年には宮崎県延岡市にベンベルグ工場を建設して操業を開始。心地よさとシルクのような上質さが愛され、60年代以降にはジャケットやコートなどの裏地として浸透した。70年代からはインドを中心にサリーなどの伝統衣装としても人気を博している。その後もアウターや表地、インナー、スポーツ、ホームテキスタイルの分野に展開をするなど、時代のニーズに柔軟に対応しながら進化を続けてきた。高い技術が必要な「ベンベルグ」を生産しているのは現在、世界中で旭化成のみ。国内ブランドだけでなく、高級スーツの代名詞的存在である「キートン(KITON)」などの一流ブランドやデザイナーからも厚く支持されている。

20年前に仕立てたスーツの裏地は
「ベンベルグ」だった!

 この日、干場氏が着ていたのは約20年前にオーダーし今も愛用するスーツ。その裏地には、「ベンベルグ」が使われていた。「しなやかで快適な着心地は歳月を経ても変わらないですね」と干場氏。森遥香アナウンサーと、ナビゲーターに前田舞子・旭化成繊維マーケティング室アソシエイトチーフコーディネーターを迎え、メンズファッションに精通する干場氏でさえも知らない裏地の世界に足を踏み入れた。

ベンベルグ裏地ミュージアム+に
潜入

 人間の体からは一日に600ccの汗が気体として放出されており、それがムレの原因とされている。ミュージアムでは、ポリエステル裏地と「ベンベルグ」裏地を密閉した容器に入れて、水蒸気を発生させる模型を見ることができる。水蒸気を発生させたそれぞれの容器を比べると、ポリエステルの裏地はしばらく経っても曇っていて湿気がこもっている印象。「ベンベルグ」はというと、すぐに蒸気が目には見えなくなっていた。「ベンベルグ」は、湿気を吸い取りはき出すことで、ムレやベタつきを抑える機能を持つ。次に二人はジャケットの試着を体験した。用意されていたのは、ポリエステル裏地がついたジャケットと「ベンベルグ」裏地がついたジャケット。見た目だけでは判断が難しい同型のジャケットも、腕を通すと「あれ?分かったかもしれない!」と声をそろえた。「ベンベルグ」は繊維の表面が滑らかなため摩擦が生じにくく、スムーズな体の動きをかなえる。

素材を知ることが
おしゃれを作る

 裏地という表からは見えない素材に、多くの機能と快適さが詰まっていたことを実感した干場氏。また、「ベンベルグ」が天然由来繊維であり、土に埋めると生分解されるサステナブルな繊維であることにも感嘆の声を上げていた。「素材が一番大事。素材の理解がセンスや着こなしにつながる。ぜひ『ベンベルグ』の着心地を体感してみてほしい」——と締めくくった。

ベンベルグ裏地ミュージアム+の見学は、アパレル・小売・流通などの業界関係者に向けて予約制にて公開しております。一般のお客様はご来場いただけませんのでご了承ください

MOVIE DIRECTON:NORICHIKA INOUE
MOVIE & PHOTOS:SHINJI YAGI
MOVIE PRODUCE:RYO MURAMATSU

問い合わせ先
旭化成パフォーマンスプロダクツ事業本部
ベンベルグ事業部ライニング営業部
03-6699-3805

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ファッションとテックを繋げる市川渚の「#これが私の美しさ」とは?

 「自分らしい美しさ」を提唱する「ボビイ ブラウン(BOBBI BROWN)」は今春、豊富なカラーバリエーションを揃えた人気の美容液ファンデーション“インテンシブ スキン セラム ファンデーション SPF 40 (PA++++)”発売5周年を記念したキャンペーンをスタート。「#これが私の美しさ」というハッシュタグとともに、女性が自分らしさを持って、個々の美しさを臆せず発信できる環境が広まることを願う。そこで「WWD JAPAN.com」は、自分らしい人生を歩み、輝く女性にインタビュー。自信を抱けるようになるまでの葛藤、確立したオリジナリティー、そして、「#これが私の美しさ」と言える自分らしさに迫った。2回目は、ファッションとテクノロジー業界を繋げるデジタル・ファッショニスタの市川渚。スマートなデジタルライフをナビゲートする存在として、さまざまなメディアに寄稿するほか、両業界のクリエイティブ・コンサルタントとしても活躍している。

WWD:ファッションとテックの橋渡し役として、独自のポジションを確立したように思えます。

市川渚(以下、市川):「確立した」とは思っていませんが、興味や好奇心を突き詰めた結果です。最初の仕事にはファッションを選びましたが、インターネットに興味を抱いた中学生の頃から、私の中ではファッションとテクノロジーという2つの道がずっと並走していたんです。ファッション業界で働いていた時のテクノロジーは一番の趣味みたいな存在だったのもあって、それなりに前提の知識があるし、常に学び続けていることもあって、テック側の方とお話しても「お、わかってるじゃん」と認めてくれる(笑)。それさえ面白いなぁと思いながら、2つの世界を行ったり来たりしています。

WWD:でも周りの人が「その双方を知っている存在に価値がある」と理解するには、時間を要したのでは?

市川:それは、ありましたね。でも段々と、例えば連載が100回を超えた「シュプール(SPUR)」などから「深く理解している人から、テックやデジタル分野の面白さや楽しさをファッションの読者に紹介して欲しい」というリクエストが増えてきたんです。ちょうど「ファッションの世界で、エッジーな人が減っている」と思っていた時でした。そこで「これからの日常にますます欠かせなくなるテックやデジタル分野をもっと身近に感じて欲しい」という想いで、そういった話をファッションの世界に届けるようになったんです。

WWD:市川さんのテックに関する記事は、ビジュアルが圧倒的にキレイ。ファッション&ビューティの人にも読みやすいんだと思います。

市川:ファッション業界で働いていた時は、ブランドの中で働いていた時も、外部として携わった時も、常に「モノを美しく見せること」を考えてビジュアルづくりをディレクションしていました。今も「どうやったら、何が、どう見えるか?」と考える意識が強いんです。これまでの全てが、今につながっています。ただ、ずっと今みたいに活動するのかは分かりません。「椅子取りゲームになったら、終わり」と思っているので。

WWD:どういうことでしょう(笑)?

市川:例えば、「テックをオシャレに紹介する」というポジションを椅子に例えると、そんなに遠くない将来、その椅子には他の誰か、一層デジタルネイティブな人たちが座っていくと思うんです。その時がきたら、その椅子には固執せず、次の世代にどんどん明け渡していきたい。自分はまた別の椅子を見つける旅に出て、もっといろんな椅子に座り、いろんな仕事をしたいと思う。「面白い」「楽しい」「好きだ」「いいなぁ」の気持ちでまい進するだけです。ただ、自分の気持ちで前に進むので、選択には責任を持ちます。他人のせい、もしくは時代のせいにはしない。選んだのは、常に自分。だから必死になれるんです。

WWD:最初から、そんな自信があった?

市川:若い頃は、「見せたい自分」と「そうじゃない自分」の乖離を意識して、着飾ったり、塗ったり、染めたり、外見で近づくことも考えました。でも30歳を過ぎた頃から、「歩んできたのは、自分の道。そして、これから歩むのも、自分の道」と思えるようになりました。昔はそばかすに悩んでいましたが、今は「前髪さえ揃っていればいいか」って思えるくらい(笑)。ありのままの自分を受け入れつつ、よりポジティブにしてくれる「ボビイ ブラウン」の理念は共感します。

WWD:“インテンシブ スキン セラム ファンデーション”を使っての感想は?

市川:薄づきで伸びがいいですね。少し色のついた乳液とか、ファンデーションと日焼け止めの間みたいな感覚です。悩むほどクリティカルなところはカバーしたいけれど、厚塗りにはしたくない。そんな時にぴったりですね。

WWD:最後に、市川さんの「#これが私の美しさ」とは?

市川:軸があって、己を貫いている人に魅力を感じます。自分自身を貫くって、そこに至るまでの過程などが魅力的で、結果、研ぎ澄まされている人が多いですから。だから私にとっての「#これが私の美しさ」は、「己を貫く」こと。洋服も、「アキラナカ(AKIRANAKA)」など、佇まいの強い洋服が好き。そういう洋服に袖を通すと、気合いが入ります。

 「ボビイ ブラウン」は今春、ベストセラーの「インテンシブ スキン セラム ファンデーション」発売5周年を記念し、アンバサダーを通して、すべての女性が自分の魅力に気づき、自信に満ちて輝いて欲しいと願う「#これが私の美しさ」キャンペーンに取り組む。それぞれが考える自分自身の美しさを、「#これが私の美しさ」のハッシュタグと共に ソーシャルメディア(Instagram、Twitter)に投稿すると(4月30日まで)、合計1000人以上にプレゼントが当たるキャンペーンだ。「インテンシブ スキン セラム ファンデーション」は、和漢生薬の「冬虫夏草(フユムシナツクサタケエキス(保湿成分))」と、海洋プランクトンの一種「アルテミアエキス(保湿成分)」で構成されるアクティブエナジーコンプレックスにより、ツヤに満ちる生き生きとした肌印象へ導く。3月にはシェードが4色追加になり、さらに幅広い全17色へ。同シリーズのコンシーラーも新しいフォーミュラになって登場した。

問い合わせ先
ボビイ ブラウン
0570-003-770

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小島健輔リポート ストライプ、楽天、青山商事…今こそ問われる企業の社会的責任

 ファッションビジネスのコンサルタントとして業界をリードする小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。今回は「企業の社会的責任」について。アパレル企業の経営者によるセクハラ報道、ECの送料に関する方針転換、専門店による価格表示の変更――それぞれ事例は異なるが、一つ対応を誤れば取り返しがつかない事態になってしまう。

 平時はサスティナビリティとかコンプライアンスとかが美しきトレンドとして企業の広報活動を彩るが、今のパンデミックに怯えるパニック的状況下においては建前でない本質が問われざるを得ない。

 企業の社会的責任は企業の中から外へ、(1)正規・非正規・外注を問わず業務の連帯者、(2)取引先などサプライチェーンの連帯者、(3)出資者や資金提供者などファイナンスの連帯者、(4)財やサービスを提供する消費の連帯者たる顧客、(5)そのすべてを注視し将来の連帯者となりうる広範な第三者――以上の5つに向けて問われる。その優先順位は状況で異なるにしても、連帯性の濃厚さはこの順序であることは否めず、ひとたび不祥事やすれ違いが起きれば企業の受けるダメージも大きい。

ストライプインターナショナルが失ったもの

 ストライプインターナショナルの創業オーナーである石川康晴氏が従業員に対するセクハラが表面化して3月6日に代表取締役の辞任に追い込まれ、19日にはECモール運営子会社のストライプデパートメントの社長も辞任し、2019年3月から務めていた内閣府男女共同参画会議の議員も辞退した。

 同社の場合、石川氏のセクハラ行為だけでなく、09年の女性社員過労死事件が労災認定され、13年のブラック企業大賞を受賞したことも忘れてはなるまい。そんなブラック企業イメージを払拭すべく、16年3月に旧クロスカンパニーからストライプインターナショナルに社名を変えた。加えて、低コストで調達した商品をタイムセールで値下げ販売する二重価格商法が度々指摘されていたし、納入業者に対する取引条件の切り下げなど下請法違反に問われかねない行為もうわさされていた。

 二重価格商法は消費者の「有利誤認」を誘導する景品表示法違反として消費者庁が摘発すべきだったし、下請法違反は公取委が摘発すべきだったが、石川氏の中央政界との親しい関係や経済紙誌ジャーナリストの抱き込みなどで回避されてきたと推察される。代表取締役が立花隆央氏に交代して、これらの悪習が一掃されるのかどうか、注視していく必要がある。

 ストライプインターナショナルは(1)業務の連帯者、(2)サプライチェーンの連帯者、(4)消費の連帯者たる顧客を裏切ってきたわけで、それが会社の将来を危ういものにして(3)ファイナンスの連帯者を脅かしたことがセクハラの表面化というクーデターを招いたと推察される。結果として全ての悪行が露呈し、(5)将来の連帯者となりうる広範な第三者に対する企業イメージも悪化した。

プラットフォーマーの盟主責任

 公正取引委員会(公取委)の介入事例としては、楽天の送料一律無料化(税込3980円以上の注文)に対して16年ぶりの緊急停止命令発動という伝家の宝刀まで抜いた事件が特筆される。結局は楽天側が一律導入を見送って導入店への支援を実施し、公取委も緊急停止命令を取り下げる形で決着したが、楽天の受けたダメージは大きかった。

 宅配料金の大幅値上げ後もプライム会員に対する無料配送や翌日到着でシェアを伸ばすアマゾン(19年の国内流通総額は前年比13.6%増の推計2兆8400億円)に対し、出店者の個別配送に依存する楽天(同13.4%増の3兆9000億円)は決定的な対抗策を欠いていた。自前のローカル宅配体制布陣を急いでいるが、モバイル事業への先行投資と米ライドシェア投資の巨額損失(1030億円)などで8年ぶりの最終赤字に転落した楽天にとって投資余力は限られ、10年かけて2000億円というスローペースの物流投資では出店者負担での送料一律無料化を先行せざるを得なかったと推察される。

 公取委の介入を受けて、結局は出店者側の選択よる送料込み価格表示に決着したが、それでは顧客へのインパクトは限られ、アマゾンへの対抗策とはなり得ない。自前のローカル物流体制への投資を加速してFBR(フルフィル・バイ・ラクテン)に乗る出店者を増やし、FBR利用商品の送料一律無料化を実現するのが本道だと思われる。

 それはともかく、楽天などECプラットフォーマーにとっての直接顧客は出店者であり、その協力と繁栄なくしてはプラットフォーマーの競争力は高まらない。プラットフォーマーにとっては(2)取引先などサプライチェーンの連帯者との共存共栄が第一義である。その利害を損なったり過度に収奪したりしてはサプライチェーン総体のコストを肥大させ競争力を損ない、結局はサプライチェーン全体の没落を招く。百貨店が1980年代以降、幾度も保身に走って納入アパレルを収奪し、商品が法外に割高になって顧客が離れ、業界全体の没落を招いたことを忘れてはなるまい。ZOZOも百貨店と似たような過ちを繰り返してサプライチェーンの連帯者が離反し、結局はZホールディングスの傘下に落ちた。

 公取委はデジタル・プラットフォーマーの優越的地位濫用にばかり目を光らせているが、それはアナログ・プラットフォーマーたる大手商業施設デベとて大差ない。もとより賃料設定の不合理な格差、必ずしも費用明細が明らかでない賃料外負担金の肥大、キャッシュレス決済手数料の上乗せ、根拠が曖昧な出店時の内装監理費や工事協力金など、優越的地位の濫用が疑われる慣習が少なくない。

 今や3.11に匹敵する未曾有の災難に直面して売り上げが激減する中、契約通り最低保証家賃を天引きされては資金繰りに行き詰まるテナントも出てくると危ぶまれるが、商業施設デベは最低保証家賃徴収の一時的停止に踏み切るのだろうか。「百姓は生かさず殺さず」といわれた幕藩体制下でも、飢饉時には年貢が減免されお救い米が支給された。契約通り最低保証家賃を取り立ててはテナントの破綻が続発して歯抜けが広がり、パニックが収束しても館の売り上げ回復は遅れてしまう。商業施設デベロッパーの対応次第では連帯関係に修復不能な溝が生じ、公取委が介入する契機となりかねない。

顧客との「社会契約」という地雷

 青山商事が20年3月期決算予想の売り上げを2355億円から2190億円に、営業損益を90億円の黒字から4億円の赤字に、最終損益を20億円の赤字から203億円の赤字に修正したが、その要因は会社側があげた3点だけでは説明がつかない。

 その3点とは(A)アメリカンイーグルの事業整理損84億円とミスターミニットを展開する子会社の減損40億円、(B)消費増税による売り上げの落ち込み、(C)新型コロナウイルスによる季節需要の落ち込みだが、(A)はともかく消費増税の10月以降の落ち込みはAOKIより目立って大きく、新型コロナによる売り上げ減少は2月後半からだがAOKIは2月も落としていない。

 青山商事のビジネスウエア事業とAOKIのファッション事業の既存店売り上げ前年比の推移を比較すると、4〜9月はAOKIの97.9%に対して青山は94.7%と3.2ポイント差だったのに、10月から青山商事がガクンと落ち込んで10〜2月はAOKIの91.6%に対して青山商事は81.3%と10.3ポイントも開いてしまった。消費税増税の駆け込みも反動も両者に大差はなかったはずなのに、これだけ差が開いてしまった要因は青山商事が10月1日から実施した「価格表示の適正化」で、米国の「ジョス・エー・バンク(JOS.A.BANK)」事件を想起させる。

 テイラーズ・ブランズ(TAILOR BRANDS)社は“米国の青山商事”ともいうべき米国最大の紳士服専門店チェーンで、19年1月期で32億2230万ドル(約3415億円)を売り上げて2億1200万ドル(約224億円)の営業利益を計上し、19年11月2日段階で「メンズウエアハウス(MENS WEARHOUSE)」716店、「ジョス・エー・バンク」475店など計1451店をロードサイドや商業施設内に展開している。青山商事と同様に2着セール(スーツ2着を買えば割引)どころか「Buy 1 Suit Get 7 Items(スーツを1着買えば、7アイテムを無料に)」まで駆使した価格訴求を行なっていたが、15年に「ジョス・エー・バンク」を正価販売に変えたところ売り上げが落ち込み、株価は85%も急落した。

 価格表示は販売方法の骨格であり、正しいか否かではなく顧客が買いやすいかどうかが問われる。顧客の購買慣習が定着しているなら、それを一方的に変更すれば混乱が避けられない。似たような事件は12年のJ.C.ペニー(J.C. PNNY)でも起こり、アップルストアを成功させたロン・ジョンソン(Ron Johnson)CEOが仕掛けた正価販売で売り上げが25%、株価は57%も急落した。12年の夏セールから三越伊勢丹とルミネが仕掛けた期末セール時期の後倒しも、かえって店頭やECでのプレセール前倒しに油を注いだことも忘れてはなるまい。

 購買慣習は店舗やサイトと顧客との“社会契約”であり、売り手都合で一方的にルールを変えれば顧客の離反を招く“地雷”となりかねない。それは取引関係とて同様で、バイヤーやプラットフォーマーが一方的にルールを変えれば信頼関係が崩れコストが肥大し、サプライチェーン総体の競争力も損なって顧客が離反する。

何を“継続”すべきか

 企業の社会的責任とは建前の美しい言葉遊びやメディア受けするスタンドプレイではなく、従業員や取引先、顧客や資金提供者など、広範なステークホルダーとの“社会契約”の遵守に他ならない。その本質を忘れ目先の保身や利益に走って“社会契約”を放棄すれば長年培った継続関係が崩れ、その修復に膨大な時間と費用を要することになる。サスティナビリティとは物質的リサイクルや環境保護以前に(それも大切だが)、まず第一に“社会契約”の遵守による広範なステークホルダーとの信頼関係“継続”だと理解すべきだ。

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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戦略の時代に突入したインスタグラム 運用テクをインフルエンサーに直撃 Karen Kageyama編

 「WWDジャパン」の3月23日号では、インスタグラムを特集した。単なるSNSではなく、「モノを売る場」や「検索の場」となっているインスタグラムの攻略術を担当役員への取材やSNSのプロフェッショナルによる座談会、アパレル企業へのアンケート調査などから探った。本記事では特集内で行ったインフルエンサーたちへのアンケート調査の回答をピックアップ。認知度がほぼない状態から、インスタグラムを駆使してインフルエンサーとして活動するに至った人物たちに、普段使うアプリや投稿で意識しているテクニック、月々の企業案件数などを聞いた。第一弾は、Karen Kageyamaさんだ。

WWD:現在の職業と、普段のインスタグラムの投稿内容を教えてください。

Karen Kageyama(以下、Kageyama):フリーランスでブランドプロモーションや広告クリエイティブに携わる仕事をしています。インスタグラムではプチプラミックスのファッションをメインに投稿しており、前職のウェブデザイン会社などで学んだデザインスキルを活用しながら製作しています。

WWD:投稿頻度はどの程度ですか?

Kageyama:週5程度です。

WWD:インスタグラムで戦略を立てる際に重要だと言われているインサイト(クリエイターやビジネスアカウントに切り替えることで見ることができる投稿分析機能)で重視している項目は?

Kageyama:保存数を一番に、次にインプレッションを重視しています。自分自身というよりは世界観やファッションを見てもらいたいと思っているので、自分の発信したものが見た人にどれだけ刺さったか、参考にしてもらえたかの反応をチェッックして次の投稿内容のプランニングに活かしてます。

WWD:投稿の際に画像加工などで使用するアプリはありますか?

Kageyama:投稿写真はadobe lightroomがメインで、簡易なものはVSCOのフィルターを使用しています。コラージュ写真もよく投稿しますがその際はPhotoshop、動画(IGTV含む)はPremier Proを使用しています。

WWD:写真撮影時に使う機材などはありますか?

Kageyama:日常的な投稿は基本的にIphone 11 proです。シーンや内容に合わせてキャノン(CANON)の KissMやゴープロ(GOPRO)を使うこともあります。

WWD:写真の画角やハッシュタグの付け方などで、投稿の際に意識している細かいテクニックはありますか?

Kageyama:年上の方も多く見ていただいているので、撮影の際は幅広い年齢の方が参考にしていただけるように服がメインに、あまり顔に目がいかない写し方を心がけています。

WWD:これまでに最もバズった投稿はありますか?

Kageyama:「ユニクロ(UNIQLO)」の新作ジーンズの投稿です。インプレッション数が50万を超え、インスタグラムはもちろん、別SNS、別メディアでも多く取り上げていただきました。(展示会での写真ですがPRでもなんでもなかった投稿です)

WWD:企業案件は1カ月にどの程度来ますか?また、月にどの程度受けていますか?

Kageyama:10~20件ほどご連絡はいただきますが、普段働いている身なので自分の得意な分野で興味もてたもののみお受けしており、3、4件ほどになります。また、よくしていただいているブランド様の商品を使ったコーディネートは個人的にプッシュして発信していますが依頼を受けたものではありません。

WWD:企業案件の1投稿当たりの報酬について、これまでと現在で金額に変化はありますか?

Kageyama:商品の価値やブランドによって選ばせていただいていて、昔からピンキリですが、3年前と比べると最低単価は上がったように思います。

WWD:インスタグラムに関して、外部支援(コンサルティングやセミナー登壇など)を行っていますか?

Kageyama:はい。      

WWD:外部支援の依頼は、最近増えていますか?

Kageyama:裏方のコンサルやPR関連のお仕事は本職ともつながりがあるため、インスタグラムを通してお声がけいただくことが最近はより増えてきました。セミナーやインスタライブ出演などの依頼も受けたことはないのですが、お声かけいただく機会は増えています。

WWD:インフルエンサーとして、今後描いているキャリアプランはありますか?

Kageyama:ファッションやデザイン関連で、より発信コンテンツの独自性とクオリティーアップを目指しつつ、活動の幅を広げられればと思います。最近はYoutubeもはじめ、動画を使った表現にも力を入れています。

WWD:現在活用しているインスタグラムの機能は?

Kageyama:保存機能です。参考にしている海外インフルエンサーやブランドの投稿をピンタレスト(PINTEREST)形式で分類しながらまとめています。

WWD:今後活用していきたいインスタグラムの機能はありますか?

Kageyama:IGTVです。動画に力を入れていきたいので、通常投稿と差別化した新しいコンテンツ発信をしていきたいです!

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「震災の経験が生きている」 「タエ アシダ」が東コレの発表をルック&動画撮影に切り替えた理由

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」が中止となり、参加予定だったブランドはさまざまな形式でコレクションを発表している。芦田多恵による「タエ アシダ(TAE ASHIDA)」も、毎シーズン3回に分けて1500人以上のゲストを動員する大規模なショーを開いているが、今季は中止を余儀なくされた。しかしすぐに切り替えて、ショー予定日だった3月18日に2020-21年秋冬のイメージビジュアルを発表。さらに5月上旬にはウィメンズとメンズを合わせた全53ルックを撮影したルックブックと動画をブランド公式ページで公開し、5月中に関係者向けの展示会と顧客向けの受注会の開催を予定している。

この機会をチャンスと捉えて
今までできなかった表現に挑戦

 同社の「ジュン アシダ(JUN ASHIDA)」と「ミス アシダ(MISS ASHIDA)」は、東日本大震災の影響で11年3月の東京ファッション・ウイークが中止されたため、同シーズンのコレクションを無観客ショーでウェブ配信した経験がある。今回の判断は「3.11の経験が生きている。来場者や関係者の安全性を第一に考えて、今回は2月中旬の早い段階でショーの開催中止を決めた」という芦田多恵デザイナー。「9年前はインターネットでのショー配信がまだ一般的ではなく、余震が続く不安な時期の中、それでも多くの方に届けたいという思いでバーチャルショーの発表を選んだ。今回はこの機会をチャンスと捉えて今までできなかった映像作品に挑戦し、ブランドの表現の方法を進化させたかった」と明かした。

ロック音楽を聴きながら制作
3シーズン目のメンズも

 芦田デザイナーがロック音楽を聴きながら制作したという今季のコレクションテーマは「二重振幅(Double Amplitude)」。デジタルアートや幾何学柄を合わせたジャカードや、スタッズ付きのツイードコートなど、異なる色や素材を掛け合わせで新しさを追求した。デニムとボアのボンディング素材を使ったライダースジャケットは、ロックの要素と相反する2面性を表現。3シーズン目になったメンズコレクションは、今季もウィメンズと共有素材を用いて12ルックを用意している。「メンズはウィメンズとは異なる感覚で楽しくデザインしている。店頭では顧客のご子息を中心に動いており、昨年の紅白ではメンズの衣装をMattさんと清塚信也さんに着用いただくなど、メディアでも好評をいただいた。今後も焦らずゆっくりと育てていきたい」と語る。

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「アンリアレイジ」森永邦彦が語る「LVMHプライズ」効果 「フェンディ」ともコラボ、ドバイ万博では制服デザイン

 「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の森永邦彦は、2019年度の「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(以下、LVMHプライズ)」ファイナリスト選出を経て、表現の場をいっそう広げている。20年1月にミラノで開かれた20-21年秋冬メンズ・ファッション・ウイークで、「フェンディ(FENDI)」とコラボレーションしたことは周知の通り。「『LVMHプライズ』以降、コラボなどの依頼は大幅に増えている」と森永。現在もいくつかのプロジェクトが進行中といい、「LVMHプライズ」とは直結しないものの、10月からアラブ首長国連邦で開催予定のドバイ万博日本館の制服デザインも手掛ける。森永に「LVMHプライズ」後の変化や、ビジネスの状況を聞いた。

WWD:まずはドバイ万博日本館の制服の話から。同万博は10月20日~21年4月10日に開催予定だが、制服はどのようなデザインか。

森永邦彦「アンリアレイジ」デザイナー(以下、森永):中東では初開催となる万博であり、異なる文化や価値観を境界を超えてつなぐことを掲げている。「アンリアレイジ」がこれまでやってきたことも、日常と非日常という対極を服の上でつないでいくこと。そうした考えから、昨春行われた公募に参加した。プレゼンではいくつかの軸を立てたが、1つ目の軸は「人と人をつなぐ」こと。普通、制服は男女で異なるものだが、男女を同一デザインにし、細かなサイズ分けもあえて設けず、性別や年齢を超えることを目指している。2つ目のテーマは、「和と洋をつなぐ」こと。サイズを設けず、服を体に合わせていくという考え方は非常に和服的でもある。ブレザーは、地球のような球体をボディにして作った。もちろん体にはフィットしないが、それゆえあらゆる体に合わせられるものだ。球体というモチーフは、万博が掲げる“地球交差点”というコンセプトにも合う。

WWD:球体のボディは、「アンリアレイジ」09年春夏の“〇△□”で取り上げたアイデア。色が白と黒のみというのも、15年春夏の“SHADOW”に通ずる。

森永:色については、中東には男性の民族衣装として白いカンドゥーラ、女性には黒いアバヤがある。その男女の別をなくし、一人のスタイリングの中に白と黒を取り入れるという考え方だ。ブレザーやバッグ、スニーカーには、16年春夏の“REFLECTION”で取り上げた再帰性反射の技術を採用している。同技術は事故防止用のリフレクターなどに使われているが、見る人の置かれた環境や光の入射角などで、見える色が変わるというもの。つまり、特定の色を持たない服だ。モチーフは丸や三角、四角を重ねた幾何学柄で、中東のアラベスク模様のようでもあり、同時に和柄のようにも見える。

WWD:スニーカーは「アシックス(ASICS)」、バッグは吉田カバンの「ポーター(PORTER)」という、「アンリアレイジ」でコラボレーションしている外部2社も巻き込んだ。

森永:説得して協力してもらった。男女で同じというのが制服のコンセプトなので、足元もパンプスではなくスニーカーを採用したのは大きなポイント。ベースになったスニーカーのモデルは“ゲルライト3”、バッグは「ポーター」の“ヘルメットバッグ”だ。どちらも大阪万博のころ(1970年代)に生まれたモデルということで、この2つをベースとして選んだ。制服をデザインするにあたって、実際に大阪の万博記念公園も訪ねた。太陽の塔などは半世紀を超えて残っていて、今見ても新しさがある。万博とは礎になるものだと思う。今回自分たちが作るものが、未来の中の記憶になっていくようにという思いで制服もデザインしている。素材は、協賛パートナーである東レの、再生ポリエステルなどサステナビリティに配慮した生地を使用している。

遠くに投げたアイデアを、
コラボで定着させる

WWD:「アンリアレイジ」では次々新しいことに挑戦し、今回のような外部の仕事やコラボでは、過去に挑戦したアイデアを編集し、ブラッシュアップするという形が定着してきた。

森永:「アンリアレイジ」で追いかけているのは非日常。それを追求し続ける中で、非日常がいつか日常になればいいなと思いながらやっている。制服は多くの人が実際に着るもの。今回ならば半年間着用することを通して、過去に取り上げてきたコンセプトや技術が、日常に定着していけばと思っている。それは、14年にスタートした「アンリアレイジ」のベーシックライン“アンシーズン(ANSEASON)”とも共通する考え方だ。僕は最初は(日常生活から)遠いところに球(アイデア)を投げる。(それゆえ、リアルじゃないなどと言われることもあるが)半年で消費されて終わるようなテーマではない。1月に発表した「フェンディ」とのコラボレーションも、アイデア自体は7年前の発表(13-14年秋冬の“COLOR”コレクション)を応用したものだ。

WWD:「LVMHプライズ」以降は、大御所ジャーナリストのスージー・メンケス(Suzy Menkes)がSNSに「アンリアレイジ」を投稿するなど、注目度が飛躍的に高まっている。ショー来場者も有力者が増えた。

森永:スージー(・メンケス)にとって「アンリアレイジ」は、“テクノロジーのブランド”というイメージが強かったようだが、今年1月に参加したピッティ・イマージネ・ウオモで、ブランドがテクノロジーとは別軸で立ち上げ時から追求しているパッチワークなどのアナログな要素も見てもらうことができた。それで、「テクノロジーとアナログ双方を追いかけている点が面白い」と言ってもらえた。「LVMHプライズ」のファイナリストに選ばれたことで、世界中から見られる存在になったと感じているし、コラボの話は増えている。今後も面白い話題を提供できそうなプロジェクトがいくつかある。

WWD:「LVMHプライズ」は、売り上げにはどのような影響をもたらしたか。

森永:03年の立ち上げ以来、売り上げは直近の1年間が最も伸びている。海外の卸先社数は15社前後から25社前後にまで増え、1店あたりの買い付け予算も伸びている。19年春夏、19-20年秋冬は東京でもショーを行ったことで、国内の卸先も改めて15社前後増えた。渋谷パルコに出店したことも大きい。

WWD:先日、パリで発表した20-21年秋冬は、“BLOCK”をテーマに、積み木のようにパーツを組み換えて楽しめる服を発表した。

森永:テクノロジーを打ち出すブランドというイメージがついているので、ブランドのベースにあるものは違う、テクノロジーはあくまで一つの要素だということを示していきたい。それで19-20年秋冬からは、日常見ている服を視点を変えて見てみる、というクリエイションを続けている。20-21年秋冬の“BLOCK”は、子どもが生まれた友人夫妻に、積み木を布でくるんだおもちゃをプレゼントしたことがきっかけ。「これが服になったらかわいいな」と漠然と思った。アウターは15型しか作っていないが、パーツを組み換えることによって50型近くのアウターを作ることができる。(それをサステナブルだと捉えてもらうこともできるが)着用者の側に着方を考える余地があるというのがいい。なるべく少ない型数で勝負ができるということは、品番を絞ることができて商売としても効率がいい。

WWD:新型コロナウイルスの影響が国内外に広がり、アパレル業界への打撃も大きい。

森永:東コレ時期に合わせて計画していたイベントなどは残念だが中止した。国内での展示会も、いつもよりは規模を縮小して行う予定だ。東日本大震災直後に東コレが中止となった時には、使用電力をなるべく抑えてショーを実施した。ショーを行うことで経済を回し、業界に還元することができたと思う。ウイルスの問題はそれとは状況が違うのでまた難しいが、自分たちができることを進めていきたい。

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編集長はパリコレで何した?Vol.9 「シャネル」「ミュウミュウ」「ルイ・ヴィトン」など最後日まで見届けて帰国

 「このパリコレ連載、まだ終わってなかったのね」という突っ込みを謙虚に受け止めつつ、はい、今回が最終回です。パリから帰国後の2週間は、引き続き朝晩に体温測定しつつ(平均36.0℃)、外出は控えて(弊社もリモート業務推奨です)、3月16日発行の週刊紙「WWDジャパン」パリコレ特集の制作に勤しんでいました。

 さて、新型コロナに怯えつつのパリコレでしたが、結局、最終日までほぼ予定通り進行しました。これがあと1週間後だったら途中で中止になっていたでしょう。

 この日、実家の父からメールが届き「コロナが目を覚ましたよ」とのこと。不謹慎にふざけているのではなく、我が家のペットである亀のコロナが冬眠から目覚めた、という意味です。亀は世の中がどんなに騒がしくても平均気温が上がるときっちり目を覚まします。そんな、生物の揺るぎない本能や自然の力に今は励まされます。皆さま、春本番は近いですよ!

3月3日(火)10:30
今の「シャネル」はリアル?
物足りない?

 ヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)による「シャネル(CHANEL)」を“物足りない”と思う人もいるようですが、私はよりリアルなスタイルへとシフトしている今の「シャネル」はよい、と思います。

 そのシーズンの「シャネル」のポイントはツイードをどう使うか、に表れます。今季はスリムなロングコートなど体に沿うようなシルエットが気になります。細身だけど柔らくジャケットに“着られる”ことなく、自分のスタイルに取り入れやすそう。「シャネル」であっても“ブランドロゴを着る”のではなく、“自分らしく着る”。そんな今の女性の心理をヴィルジニーは汲んでいるのではないでしょうか?

 ちなみに「シャネル」のホームページには「INSIDE CHANEL」というブランドの歴史やコアバリューを楽しく学べるコーナーがあるのですが(これは英語とファッション用語の勉強にも最適です)、その中のムービーにたびたび出てくる女性同士が楽し気に散歩をする光景がショーを見ていて思い出されました。

11:30
「マックイーン」の展示会で
故マックイーンを思う

 キルトがひとつのテーマと聞いて、「あ、故マックイーンが好きで、大英帝国勲章を受け取った時にも着ていたキルトですね」と反応してしまいましたが、違いました。今季のキルトは、ハギレを一枚布につなぎ合わせる方のキルトです。なんでもかんでも故マックイーンに結びつけて考えるのはいい加減止めないといけません。彼が亡くなってから今年で10年になり、後を継いだサラ・バートン(Sarah Burton)は「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」のDNAを継承し、チームを作り・育て、成長させていますから!

 サラが引き継いだことのひとつはジャケットやコートの端正なシルエットです。そして、人の手の温もりを感じるキルトや刺しゅうがその端正なテーラードを飾るところがサラらしい。“LOVE”を感じるハートの刺しゅうやロケットペンダントなどの使い方もそう。表現方法は全然違うけれど、人間味があり、愛情深いところもサラは引き継いでいるな、と思います。故マックイーンのショーはフェティッシュで時にサディスティックでしたが、同時にいつも深い人間愛をそこに見ていました。

 ところで生前に「リー」と呼んでいなかった私は、今だにこの呼称を使うことができません。“亡くなったからって急に親しく振舞う”みたいだから。そんな、簡単に馴れ馴れしくはできないちょっとした緊張感が今もこのブランドにはあると思います。

14:30
「ミュウミュウ」を見ながら
ラフ・シモンズを考える

 ラフ・シモンズ(Rad Shimons)が「プラダ(PRADA)」グループに参画、のニュースについて国内外の業界人に意見を求めると賛否両論が返ってきます。私は、「ミュウミュウ(MIU MIU)」×ラフはお兄さんが妹のワードローブに口を出すようで??だけど、ラフの「プラダ」は楽しみ。「プラダ」の魅力のひとつである“インダストリー感”や“クラシックを大切にする姿勢”“優等生っぽさ”がラフのクリエイションと共鳴し未来を見せてくれそうです。なんて思いながら見た「ミュウミュウ」はむむむ、マキシ丈が多くていつもより大人っぽいです。余談ですが、ラフはやぎ座です。

15:30
「ジュンコ シマダ」で
トレンドをおさらい

 最終日の今日は、今シーズンの傾向を整理しながらショーを見ています。それでは「ジュンコ シマダ(JUNKO SHIMADA)」で2020-21年秋冬トレンドをチェックしてみましょう。

16:30
「ラコステ」のバッグは
ゴルフのキャリーケース!

 好きです、ルイーズ・トロッター(Louise Trotter)の「ラコステ(LACOSTE)」。ジェンダーレスなのに、着る人の個性を引き出すあたりにデザイン力を見ます。そしてゴルフをする身としては、ゴルフウエアにもいいよね、という目線で見ています。

18:30
全てをさらった
「ルイ・ヴィトン」

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のショー会場は、いつものようにルーブル美術館の中庭に建てたテントです。演出は年々スケールアップし、もはや一日限りの劇場のような存在で、興行でも価値がある内容になっています。今回は、国と年代を超えた民族衣装を着た200人の合唱団をバックにショーが進みました。ウッドキッド(Woodkid)とブライス・デスナー(Bryce Dessner)が作曲した新解釈のクラシック音楽も素晴らしい。今季の全てをかっさらっていくような強烈なインパクトを残したショーでした。動画でぜひご覧ください。

番外3月12日(木)
「WWDジャパン」最新号
「パリコレ特集」を校了

 「WWDジャパン」3月16日号ではパリコレを特集しました。悩みに悩んで決めた表紙の写真とコピーは「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のこちらです。多くの人が不安を抱え、気持ちがふさぎがちな今、このタイトルは重いよね、と思いつつ、パリコレで受け取った一番のメッセージがこれだったので決めました。詳しくはぜひ、手に取ってお読みください。

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ヘアカラーで月間最高売り上げ450万円 コンテストでも活躍する「カキモトアームズ」のトップカラーリスト西野睦代

 数々のヘアコンテストに出場してグランプリを獲得するなど、ヘア業界ではトップクラスの技術力を持つ美容室「カキモトアームズ(kakimoto arms)」青山店に勤務する西野睦代トップカラーリスト。カットやパーマはせずに、ヘアカラーだけで月間最高売り上げ450万円を達成するなど、顧客も多く抱える。そんな彼女に売り上げの秘訣を聞いた。

WWD : 現在トップカラーリストとして活躍しているが、もともとカラーリスト志望だった?

西野睦代(以下、西野):最初はブライダルのヘアメイクに携わりたいと思っていたんですが、専門学校時代にバイトをしていた美容室で、ヘアカラーのモデルをやったことがきっかけでヘアカラーのおもしろさに気づきました。それで就職先はカラーリストが専属でいる「カキモトアームズ」を選びました。入社して約1年半でカラーリストとしてデビューしました。

WWD:月の最高売り上げは?

西野:最高は月450万円です。ハイライトを入れる私のお客さまの客単価は4万~5万円ほど。いかに満足してもらえるかをいつも意識しています。

WWD:ヘアカラーだけでその数字はすごい。カラーリストになってから売り上げは順調に伸びた?

西野:200万円くらいまでは比較的順調でした。よく作品撮りをしていて、その作品を見て指名してくれる人もいました。ただ、入社4年目でトップカラーリストになったんですが、それは先輩カラーリストが留学する際にお客さまを引き継いだ分の売り上げが大きくて、実際の自分の実力はまだそれに追いついていなかったのでつらい時期はありました。そこから1年くらいは伸び悩んだのですが、インスタグラムをきっかけに売り上げは伸びました。

WWD:インスタグラムはいつ頃からやっている?

西野:2018年8月から本格的にやり始めました。ただ最初は集客目的よりも、インスタグラムで見るヘアカラーのハイライトのデザインがキレイじゃないなと思ったのがきっかけです。それで“上質なハイライトのデザインを知ってほしい”という気持ちで始めました。それでやっていくうちにそれをきっかけに来てくれるお客さまが増えました。基本的には私がおすすめするデザインを掲載するので、それを見て来てくれるお客さまだとお互いのイメージも共有しやすく、満足度も高くなります。フォロワー数は多くないですが、それでも月10人ほど新規指名で来てくれています。私の客単価を考えるとそれでも多いと思います。

WWD:インスタグラムはどう使っている?

西野:毎日アップするように意識していて、今年に入ってからは1日3投稿を続けています。そして3回に1回は文字入りの投稿をするようにして、プロフィール画面で見た画面での見た目も意識するようにしています。最近は動画を投稿することが多いですね。ヘアスタイルをメインに投稿していますが、コンテストやプライベートなことは別のアカウントで投稿していて、使い分けるようにしています。

WWD:カラーリストの楽しい部分は?

西野:色を自在に扱えるところです。自分がイメージした色がしっかりと再現できるとすごく楽しいですね。私はヘアコンテストも大好きで、ロレアルプロフェッショナルが毎年行っている「カラートロフィー」の18年の日本大会でグランプリをとりました。それで19年に行われた世界大会に日本代表として出場し、そこではアバンギャルド賞を受賞しました。同じ19年には「JHCAヘアカラーライブコンテスト2019」の“オトナ・ステキアワード”に出場してグランプリに選ばれました。正直コンテストでグランプリを獲ったときはもう出場しなくてもいいかなという気持ちになるんですが、やっぱりすこし経つと出場したくなりますね(笑)。雑誌とか見ているとやりたいイメージがどんどん出てくる。コンテストって自分が自分でいられる場所だなと実感しています。そうやって美容を楽しんでいる私だからお客さまも応援してくれて、お店にも来てくれているんだと思います。

WWD:今後の目標は?

西野:売り上げはあまりこれ以上伸ばしたいとは思っていなくて、お客さまに信頼される美容師になりたい。それで好きなハイライトのデザインをできていれば幸せですね。

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プロサーファー高橋みなとが波乗りで得た精神力の強さ 「一度乗った波は二度と来ることがない。一瞬一瞬を大切にする」

 東京オリンピックで新たに競技として認定され、世間からの注目が高まるサーフィン。そんなサーフィン界で頭角を現すプロ選手の高橋みなとはサーファーの両親の元に生まれ、小学3年生のときにサーフィンをスタート。高校3年生のときにプロの資格を取得し、26歳の今も第一線で活躍している。そして今春、「ボビイ ブラウン(BOBBI BROWN)」の新たなアンバサダーに起用された。ベストセラーファンデーション「スキンインテンシブ スキン セラム ファンデーション」の発売5周年を記念するキャンペーンの一環で、ブランドとともに全ての女性が自身の魅力に気づき、自分ならではの美しさを讃えるメッセージを発信する。

サーフィンは自分のスキルや経験だけでなく、天候などさまざまな条件に自分の感覚を掛け合わせて戦うスポーツだ。見た目のかっこよさの裏には突き詰めた精神力があり、メンタルの強さも問われる。それはまさに、内面的な美しさを提唱する「ボビイ ブラウン」のフィロソフィーとも共通する。今回アンバサダーに選ばれた高橋選手に、女性アスリートとしての内面の強さや美の捉え方について聞いた。

WWD:サーフィンを始めたきっかけは?

高橋みなと選手(以下、高橋):父がサーファー、母がウイングサーファーだったので、幼少期から毎日海に行くのが当たり前でした。名前のみなとも地元の仙台新港からきているくらいです。小学校3年生のときにサーフィンを始め、高校三年生のときにプロの資格を取り、今も日本プロサーフィン連盟のプロサーファーとして活動しています。

WWD:オリンピックで公式種目に選ばれて以来、サーフィンへの注目も高まっている。

高橋:サーフィンって肌も髪も焼けるし、“チャラチャラ”したスポーツと思われがち。オリンピックの種目が決まったときも新聞の見出しは「まさかのサーフィンが公式種目に」という書かれ方でした。それまで認知度が低くてこういった一方的なイメージがついたのかと思いますが、その後取材を受けることも増え、少しずつ世間の見方も変わってきたと思います。最近は女性サーファーや大人になってからサーフィンを始める人も増えてうれしいです。

WWD:女性アスリートはメディアで「美しすぎる〜選手」など、見た目を重視して報じられることもしばしば。女性アスリートとしてこういうのはプレッシャーに感じる?

高橋:プレッシャーには思わないですね。でも本当は見た目ばかりでなく成績を見て欲しいです。今回「ボビイ ブラウン」のアンバサダーに選ばれたのも、普段はすっぴんで海に出ているので最初は驚きましたが、内面的な美しさを見てくださっているのがうれしかったですね。私はサーフィンしているときが一番楽しくて、サーフィンしているときが一番自分が輝く瞬間だと思っています。

WWD:メンタルはどう鍛えている?

高橋:厳しいトレーニングをひたすら積み重ねること。それが自信につながると信じています。ただサーフィンで難しいのは、自然が相手であることです。一度乗った波は二度と来ることはありません。そのときの風の向きや強さ、潮の引き加減、天候などすべての条件が合わさって一つの波になるんです。だから同じ条件で反復練習することができない。例えばスノーボードだったらリフトに乗って同じコースを反復できるけど、サーフィンはリフトに乗るまでも自分でやらなければならないし、同じコースなんて存在しません。天候や波はコントロールできないからこそ、精神力の強さが必要なんですよね。私は何度も波を乗り続けることであらゆるコンディションに合わせて準備しています。でもこれはサーフィンの魅力の一つでもあると考えています。同じ波が二度はないからこそ、一瞬一瞬を大切にします。よく波に乗った感覚について聞かれますが、本当に乗った人にしか分からない、特別な感覚なんです。

WWD:(サーフィンに対する)ネガティブな声もあったりする?

高橋:心配されることはあります。「その年になってまで日焼けしてお嫁に行けるの?」「ゴルフの方が儲かるよ」と言われたりも(笑)。でもそれは人それぞれの価値観であって、心配してくれるのはありがたいのですがあまり気にしていないですね。自分がやりたいことはサーフィン。一番喜びをくれるものを突き詰めれば良いんだと思います。

WWD:理想の女性像は?

高橋:これといったものはないですね。自分は周りに流されるタイプではないので。「私は私」と思える大人になりたいです。

WWD:「自分らしい」サーフィンは?

高橋:「女の子らしいサーフィンだね」と言われるのが嫌いです。逆に「男みたいにパワフルだね」と言われるのが好きで、波の乗り方も少し意識しています。

WWD:これからサーフィンを始めようと思う人にアドバイスをするとしたら?

高橋:いまこうやってサーフィンが注目され始めて、環境も少しずつ良くなっています。私が小さかった頃は、誰かに丁寧に教えてもらえるような環境はありませんでした。今大人に向けてサーフィンを教える仕事もしていますが、今後はガールズサーファーに教える仕事もしたいです。自分が小さかったことにできなかった体験を、未来のサーファーには与えたいですね。またサーフィンはハードなイメージがあるかもしれませんが、実は年齢や性別なく誰でも挑戦できると思います。サーフィンは自然が相手なのでいわゆるゴールもないですし、正解のスタイルもない。自分で新しい技を作るサーファーだってたくさんいます。プロサーファーとして、趣味として、ちょっとした運動として、携わり方もさまざまです。

WWD:今後アンバサダーとして発信したいメッセージは?

高橋:「ボビイ ブラウン」とのパートナーシップは、サーフィンの認知度がさらに上げられるチャンスだと思っています。また、内面の美しさは誰でも持っているもの。外見についてネガティブに考える女性は多いと思いますが、私はサーフィンを通してみんなが内面美に自信を持つきっかけづくりができたらうれしいと思います。

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初のBiSHに衝撃 アイドルに無知な記者が震えた「ネグレクト アダルト ペイシェンツ」無観客ライブ

 今年で38歳になる自分が「ネグレクト アダルト ペイシェンツ(NEGLECT ADULT PATiENTS以下、ネグレクト)」の3月20日の無観客ショーを取材してよいのだろうか——会場となった東京・豊洲のライブハウス豊洲ピットに向かう道中、そんな葛藤をしていました。だって、出演するのがBiSH(ビッシュ)、BiS(ビス)、豆柴の大群という人気アイドルばかりだったから。不安な気持ちを少しでも奮い立たせるため、道中はゴリゴリな米ロックバンドのレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)を聴きながら、同バンドのギタリストであるトム・モレロ(Tom Morello)の攻撃的リフで闘魂注入します。

 振り返れば2週間前、「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」の中止で公式会場が使用不可になったことをを受けて、「ネグレクト」が別会場を借りてライブ配信を予定しているというのを知り、これは行くしかない!とPRに勢いのまま取材を申し込みました。安全対策の徹底なども含めて交渉を進める中で、出演者がBiSH、BIS、豆柴の大群のオールメンバーというのを知り、「おお、まじっすか!」と驚くフリをしてみたものの、ぶっちゃけ、全然知らなかったんです。同ブランドの渡辺淳之介デザイナーがプロデュースしているのは薄く知っていましたが、実は電話を切ってからめちゃくちゃググりました。本当にすみません。

まずメイクが楽しすぎた

 現場に入ると、メンバーたちはヘアメイク中。いつもとは違った緊張感でメイク室に挨拶に行くと、目の前にはなんとX JAPANとKISS!……風のメイクをしたBiSHとBiSがいるではないですか。しかもリーダーYOSHIKIの伝説のヘアスタイル“ウニ頭”を忠実に再現しているあたりがツボ。でも6人のBiSHに対してX JAPANは5人なので、1人足りません。この日のメイクをリードした資生堂のメア&メーキャップアーティストの豊田健治さんに聞くと、「そう、足りないんです。だからハシヤスメ・アツコさんには英バンドのジグ・ジグ・スパトニックになってもらいました。顔にかぶせる網タイツも急きょ買いに行ったんですよ」とのこと。確かに顔に網タイツなんてX JAPANにはいなかったから、そういうことか。豆柴の大群のメイクについては「アイドルがテーマです」と直球のお答え。なんだか忙しそうだけどメイクスタッフも楽しそうだし、出演メンバーも互いのメイクを褒め合っていてワイワイ楽しそう。37歳の記者はますますどこに行っていいかわからず、肩身が狭くなるのでした。

 そんな時、通路の先に“Tシャツおじさん”こと丹野真人「タンタン(TANGTANG)」デザイナーを発見!この状況でおじさんがおじさんを発見した時の安心感は、もはや砂漠の中の湖、雪原の中のかまくら、海外コレクション取材中にトイレを発見した時のそれ。過去には「ネグレクト」とコラボもしていましたが、今回は「ただ見に来ただけ」という丹野デザイナーがめちゃくちゃ暇そうだったので、出演者のフィッティング中は話し相手になってもらいました。こんなご時勢じゃなければ「ありがとう」と握手したかった。20-21年秋冬にはBiSHのセントチヒロ・チッチさんとのコラボTシャツも発売するそうです。

最初のBiSからすでに圧倒される

 リハが終わり、ついにライブ配信開始の20時まであと5分。3000人以上を収容する大箱の豊洲ピットが、無観客のため余計に広く見えます。定刻となり、BiSがトップバッターとして“STUPiD”を披露しました。あれ?なんか思ってたのと違う。無知な僕はもっとキャピキャピしているイメージでしたが、超ロック。パテントのライダーズや複数のファスナーを斜めに走らせたチェスターコートなどの強い服も後押しして、超ロック。予想をいい意味で裏切られたパフォーマンスに、終演後は一人でつい拍手しそうになりました。誰かと共有したくて視線をふと横にやると、制作スタッフは真顔。当たり前ですが、真剣です。観客気分になり失礼しました。

クロちゃん、麺を食わされる

 二番手は豆柴の大群です。こちらも“りスタート”のパフォーマンスが結構激しく、おそろいの黒いスカートが左右に激しく揺れます。胸にコレクションテーマ“DOG”がプリントされたパーカや、明らかに猫やんけという下手ウマイラスト入りのスエット、“ADULT”という文字が刻まれた鮮やかなボアジャケットなど、オーバーサイズなウエアがダンスをさらに大胆に見せます。そして曲の途中でメンバーが舞台袖に消えたかと思うと、彼女たちに手を引かれて、グループのアドバイザーを務めるクロちゃん(安田大サーカス)がアイマスク姿でサプライズ登場!ライブ配信ではどれぐらい伝わったのかわかりませんが、「どこなの!」「ちょっと何これ!」的なことを上下ばっちり「ネグレクト」の服で叫び続けていました。そして、ついにその瞬間が訪れました。「ネグレクト」のショーといえば“何か麺を食う”謎の演出が一部で人気で、これまでカップ焼きそば、ナポリタン、流しソーメンと続けてきましたが、今回はいつもと違う無観客ライブ。実は裏で麺類がないかこっそり調査もしていて見当たらなかったので(さすがに『ネグレクト』も自粛だよね)と、諦めていたんです。でも舞台袖からクロちゃんのもとに突然駆け寄ってきた渡辺デザイナーの手には、出たーーカップ焼きそば!もはや小さくガッツポーズするほど感動しました。さすがに制作スタッフも笑っているだろうと視線を再び横にやると、やっぱり真顔。むしろさっきよりイカつい表情でモニターのクロちゃんをにらみつけるようにチェックしています。裏方さんたちの配信にかける思いが伝わってきました。

BiSHに胸が熱くなる

 トリを飾るのはX JAPAN風のBiSH。“楽器をもたないパンクバンド”を自称する通り、“GiANT KiLLERS”のパフォーマンスはマジで激しい。YOSHIKI風メイクのアイナ・ジ・エンドさんの“ウニ頭”が床に刺さるんじゃないかと思うぐらい圧倒されました。チェックの切り替え入りのシャカシャカブルゾンや、ダルメシアン柄のパンツがいい感じのヤンキー感。ジグ・ジグ風のハシヤスメさんのネップツイードのジャケットには上品な雰囲気があったり、PATA風メイクのリンリンさんはデニムの硬派なセットアップだったりと、日常の延長線上にある服で派手さはないんのですが、ごった煮のカオス状態。不思議なことに、パフォーマンスや服はキャッチーなのに、まるでレイジを聴いている時のように、トム・モレロのリフで体を揺らしている時のように、胸がじわじわと熱くなって震えます。ライブ配信が終わると、メンバーは「めっちゃ気持ちよかった」と口にし、3グループ全員が裏方のスタッフ一人一人に元気に挨拶をして舞台を降りていきました。完全にいちファンのおじさんと化していた丹野デザイナーが「観客が入ったライブは、こんなもんじゃないから」と目を輝かせます。今のアイドルってこんなにもすごい熱量なのか。

「東コレは中止でも、僕らの歩みまで止めたくなかった」

 ライブ配信を終えた渡辺デザイナーは、達成感のある表情でした。「東コレに参加することは特別なこと。でも中止になったからといって何も発表せず終わるのは、僕たちの歩みまで止めてしまうことになると思った。得意のライブという一発勝負にパッションを込めて、見てくれた人と雰囲気を共有したかったんです」。そして、ライブ配信だからこそできることを考えたといいます。「うちの事務所WACKに所属するグループがライブをすることで、『ネグレクト』を知らない人も楽しめるし、ブランドしか知らない人には音楽をやっていることをアピールできる。ファッションと音楽のつながりをライブ配信で表現し、ピンチをチャンスに変えたかったんです」。こんな時だからこそ楽しいことを!という思いがにじみ出ています。そして、クロちゃんが食べたカップ焼きそばについて聞かないわけにはいきません。「今回は配信でたくさんの方が見てくれると思ったので、原点回帰でカップ焼きそばにしました。いつも通り、特に意味はありません。でもなぜなんでしょう。僕も裏で見ていましたけど、何か麺を食うってだけで面白くないですか?」。はい、めちゃくちゃ面白いです。卸先のGR8にも「あの麺のブランド」といって買い物に来る人もいるのだとか。それにしても、カップ焼きそばに“原点回帰”という表現を使うことになるとは……。肝心のコレクションは、渡辺デザイナーが本当に着たいと思える服だけを作ったそう。テーマに掲げた“ドッグ コレクション”については「それも、意味はないんですよ」と恐縮気味。あの下手ウマな猫は“ドッグ”という名前らしく、もう意味がわかりません。でも考えるな、感じろ的な問答無用っぷりが「ネグレクト」の魅力なのです。こんな時だからこそ、刺さります。

 ロックとモードのことしか頭になかった20代前半までは「いや、俺アイドル興味ないんで」とカッコつけてしまったこともありました。でも、時代の変化とともにアイドルカルチャーも進化ていることを「ネグレクト」のライブ配信は教えてくれました。日本のカルチャーはまだまだ元気です。とりあえず「ファッションも最高だし、アイドルも最高だよね」と今後は胸を張って堂々と宣言することを誓い、帰り道にカップ焼きそばを買って家路に向かいました。

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17歳の素晴らしき才能・崎山蒼志 彼の音楽になぜ魅了されるのか

 2018年、インターネット番組「日村がゆく」(AbemaTV)での企画「高校生フォークソングGP」で第3回グランプリを獲得したシンガー・ソングライターの崎山蒼志(さきやま・そうし)。その動画がSNSで拡散され、くるりの岸田繁やゲスの極み乙女。の川谷絵音など、多くのミュージシャンから高い評価を得る。18年12月にファーストアルバム「いつかみた国」をリリース。19年10月にはセカンドアルバム「並む踊り(なむおどり)」を発売し、君島大空や諭吉佳作/ men、長谷川白紙とコラボを行った。今年5月には、地元浜北文化センターでのワンマンライブ「とおとうみの国」と、東京・大阪での「とおとうみの国から」を行う。現在浜松市在中の17歳。等身大の彼に迫る。

WWD:崎山さんのことは「日村がゆく」の動画が話題になったときに知って、正直、当時中学3年生で、あんなクオリティーが高い音楽を作れるのにびっくりした。

崎山蒼志(以下、崎山):番組のスタッフの方がユーチューブで中高生のシンガー・ソングライターを探していたみたいで、それで僕の動画を見てくれて、ツイッターのDMで連絡がきました。最初はだまされているんじゃないかって思いました(笑)。

WWD:出演後、反響も大きかったのでは?

崎山:当時、ツイッターのフォロワー数が300くらいだったのが1000くらいになって、すごく驚きました。同級生からも声をかけられるようになりました。ネットであの動画がすごくバズって、いろいろなミュージシャンの方が褒めてくれていて、「本当にこんなことあるんだ」って信じられない気持ちでした。それでも実生活は何も変わらなく、不思議な感覚でした。

WWD:あらためて音楽を始めたきっかけは?

崎山:もともと母親がBUCK-TICKなどのビジュアル系バンドが好きで、4歳のときにたまたま見ていたテレビでthe GazettE(ガゼット)が出ていて、それを見てギターをやりたいと思ったのがきっかけです。ちょうどおばあちゃんの家の近くのギター教室で生徒を募集していたので、習い始めました。最初はクラシックからだったんですが、7歳くらいからエレキギターに替えました。全然うまくならなくて、でも先生とは友だちみたいな関係だったので、その人に会いたくて通っていたら上達していきました。結局そのギター教室は中学1~2年くらいまで通っていました。

WWD:両親が音楽系の仕事をしていたとか?

崎山:違いますが、両親は2人とも音楽好きです。父親は昔バンドを組んでいて、ギターを少し弾けたみたいですが、父からギターを習ったことはないです。でも父がそのとき使っていた30年以上前のアンプやエフェクターは修理して、今でも使わせてもらっています。

WWD:両親も応援してくれている?

崎山:応援してくれています。小学生のころから僕が適当にギターを弾きながら歌っていたら、それを母親がすごく褒めてくれたんです。それですごく肯定感を感じられて、そういう経験があったから今でも音楽を続けられているんだと思います。ライブも観に来てくれています。

WWD:本格的に音楽活動を始めたのはいつごろから?

崎山:小学校6年生のときに同じギター教室に通っていた子とバンドを組んでからです。中学1年生(2015年)のときに10代限定の参加型オーディション「未確認フェスティバル」に出場して3次審査までいったんです。それで本格的に音楽でやっていきたいなと思うようになりました。

WWD:そのときのバンドが「KIDS A」。やはりレディオヘッド(Radiohead)のアルバム「KID A」を意識した?

崎山:恥ずかしながら、その当時はレディオヘッドのことは知らなくて、「子どもAグループ」みたいな意味でつけたんです。それで「未確認フェスティバル」に出たときに業界の人からレディオヘッドのことを教えていただいて、そこで初めて知りました。

WWD:今は弾き語りを中心に活動しているが?

崎山:バンドメンバーの部活がいそがしくなってスケジュールが合わなくなり、僕が1人でライブに出るようになりました。今は「KIDS A」は活動休止中なんですが、またバンドもやりたいなという思いはあります。

WWD:もともとビジュアル系が好きで音楽を始めた崎山さん。今の音楽の感じはだいぶ違っている印象だが?

崎山:小学4年生のときにSEKAI NO OWARIをテレビで見て、めちゃいいなと思って。そこからクリープハイプやきのこ帝国とか聴くようになりました。そこからさらにその人たちが好きだった音楽をたどっていって、NUMBER GIRLやゆらゆら帝国を知りました。その中でも影響を受けたのは、クリープハイプの尾崎世界観さん、NUMBER GIRL、凛として時雨など。それが今の僕の音楽につながっているのかなと思います。

「並む踊り」では話題の3人のアーティストとコラボ

WWD:セカンドアルバム「並む踊り」では君島大空さん、諭吉佳作/men(以下、諭吉)さん、長谷川白紙さんといった同時代のミュージシャンとコラボした。特に諭吉さんは同じ静岡在中の高校生ということにも驚いた。もともとこの3人とは親交はあった?

崎山:ありました。諭吉さんは2018年に静岡のK-mixというラジオ局が毎年やっているオーディションで初めて見て、すごい衝撃を受けました。諭吉さんとはそのときから知りあいで、他のお二人は最初にツイッターで知り合って、ライブを観に行かせていただいたり、同じイベントに出演することもありました。作品を一緒に作るなら今のタイミングだと思って、お願いしました。みなさんにはいそがしいのに申し訳ないって気持ちはありましたが、やれてよかったです。本当に感謝しかないです。

WWD:コラボした曲はどんな感じで作った?

崎山:君島さんとコラボした「潜水」は、もともとあった曲を君島さんが気に入ってくれて、それをアレンジしてもらいました。「むげん・」は、諭吉さんとLINEなどで連絡をしながらフレーズを送り合って、諭吉さんが作ったフレーズに僕が歌詞を書くとか、ごちゃまぜで作っていきました。諭吉さんとはスタジオにも入ったんですけど、お互い直面するとあまり進まなくて、LINEし合いながら歌詞を作ったりもしました(笑)。長谷川さんには最初はアレンジしてもらおうと思っていたんですが、「せっかくだから一緒に作ろう」と言っていただき、僕が好きなものを長谷川さんに送って、それで曲を作ってもらい、僕が歌詞をつけるといった流れでした。

WWD:普段はどんな感じで曲を作っている?

崎山:サビの部分はメロディーと一緒に歌詞が浮かぶことがあって、そこに合わせて歌詞を書いていくことが多いです。それにメロディーをつけて、修正してという感じで、完成度を高めています。でも最近はこれでいいのかなって考えてしまいますね。昔は即興で出てきたフレーズをまとめて曲にしていたんですが。

WWD:以前、「日村がゆく」に出演したときに持ち曲が300曲ほどあると言っていたが、今はどれくらい?

崎山:今は400曲くらいです。でもノートに書いてあるだけの曲もあって、実際に演奏できるのは300曲くらいだと思います。

WWD:音楽を通して伝えたいことはある?

崎山:聴いてくれた人の励みになればうれしいです。

WWD:5月は9日に地元浜松、30日に大阪、31日に東京とワンマンライブを行う。意気込みは?

崎山:ライブは緊張感がある方がいいとは思っているんですが、地元だからリラックスしてしまう部分もあって、そこは引き締めてやっていきたいです。大阪は味園ユニバース、東京は新世紀と独特な場所なので楽しみ。何か普段できないこともやってみたいなとは思っています。

音楽以外にも演技や執筆など新たなことに挑戦

WWD:今年はドラマ「スイーツ食って何が悪い!」(TOKYO MX) の主演も務めた。初めての演技はどうだった?

崎山:正直、これまでドラマに出ようとは考えたこともなかったんですが、なかなかないチャンスだし、セリフが少ない役ということだったので挑戦しました。演技は楽しかったんですが、次もできるかっていうと分からないです(笑)。セリフが少なくてちょっと出る役とかだとやってみたいです。

WWD:音楽以外で影響を受けたものはある?

崎山:「五月雨」という曲を作ったが中学1年生のときだったんですが、そのときはアニメの「新世紀エヴァンゲリオン」にはまっていました。あとは、大友克洋さんの「アキラ」はすごく好きです。

WWD:4月から高校3年生になるが、高校卒業後は東京にこと来ることも考えている?

崎山:そうですね。今のところは東京に行く予定です。

WWD:今、会いたい人は?

崎山:僕は芸人さんが好きで、ハリウッドザコシショウさんや永野さん、狩野英孝さんに会ってみたいです。あとスピードワゴンの小沢(一敬)さんのユーチューブもよく見ています。

WWD:今後の目標は?

崎山:いつもアルバムを作るときには時間が足りないなと思っているので、少し時間をかけて緻密に完成度の高い曲を作っていきたいです。あとバンドもやってみたいです。音楽以外だと最近エッセーを書いたんですが、それが楽しくて、これからも機会があればやっていきたいです。

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カニエからチョク電がきてリアーナからDMが届く男 NY在住のジュエリーデザイナー奥田浩太にセレブが注目する理由

 新型コロナウイルスが世界各地に広がり、不安な状況が続いています。東コレを含め、イベントは軒並み中止か延期となっていますが、気持ちが沈みがちなこんな時こそ、ファッションやクリエイティブの持つポジティブなパワーが求められていると思います。というわけで、ここでは今から約1カ月前、新型コロナの影響がほとんどなかった2020-21年秋冬のニューヨーク・ファッション・ウイーク期間中に、NY在住のジュエリーデザイナー兼アーティスト、奥田浩太さんが行っていた展示をご紹介。パワフルでポップで、少しだけアイロニーも感じる展示はとても楽しく、元気をもらいました。そんなふうに奥田さんのクリエーションに魅了される人は後を絶たず、実は奥田さんのもとには、カニエ・ウェスト(Kanye West)やリアーナ(Rihanna)からも連絡がきているといいます。世界を引きつける奥田さんの表現の背景を探りました。

 「コウタ・オクダ(KOTA OKUDA)」の展示をしていたソーホー地区のギャラリーを訪ねると、飾られていたのは巨大な1ドル札を折り畳んだようなデザインのドレスや、1ドル札のモチーフをクリスタルストーンでデコレーションしたフーディーなど。実物の1セント硬貨の中央を、リンカーン(1セント硬貨に描かれているアメリカ史の重要人物)の顔の形にくり抜いたパーツを多数つなげたアメリカ国旗色のブラトップもありました。マネキンと一緒に飾ってあるビジュアルも、モデルがワシントン(1ドル紙幣の絵のモデルであり、アメリカの初代大統領)風のヘアスタルで非常にポップな仕上がりです。

※貨幣を損傷することは日本では法律で禁じられていますが、アメリカでは問題ありません。アメリカの観光地には1セント硬貨を記念メダルに加工する機械などが置いてあります。

 展示のテーマは「$17 16¢」。1716年はアメリカ建国の年ですが、こんなふうにドル($)やセント(¢)のマークが併記されると、まるで特売スーパーの値札シールのよう。一気に“コモディティー”(特定の意味や個性を失って、市場の中で同質化する、といった意味)感が増します。配られた資料にあったのは「僕は現代のコモディティー文化が持つ、無機質なユーモアに興味がある。コモディティー文化においては、価値とは何かが不透明だし歪められているのに、僕を含めてみんなそれを受け入れている」という文章。価値とは何かを解体する試みとして、価値の象徴であるお金に行きついたそうですが、展示タイトルである1716年については、「アメリカ建国の年であり、同時に資本主義が始まった年でもある」と続きます。

 受け取り手によっては皮肉とも感じてしまいそうなメッセージですが、展示の雰囲気にはそんな重苦しさはなく、とにかく明るい。明る過ぎて、時折軽薄な感じさえする。その二面性にドキリとします。大量生産・大量消費に根差したポップアートを生み出した国、アメリカでは、より親和性を持って受け入れられそうです。

 「(お金を含めて)“価値のロジック”みたいなものに興味があるんですよね」と、奥田さん。奥田さんはニューヨークに来る前は、ロンドンのセント・マーチン美術大学でジュエリーを学んでいました。「ジュエリーの世界では、金やダイヤモンドには資産としての価値があるけど、『おばあちゃんから引き継いだ指輪』などの物語性も価値を持つ。また、日本で2千円札や新500円硬貨が発表されたときには、お金としての機能面とは別に、デザインとして美しいと感じました。アメリカに来てみたら1ドル札やペニー(1セント硬貨)を簡単に道に捨てる人もいる。日本のお金に比べて単位が小さいので、オモチャのように捉えられているのかもしれません。そういったことが、単純に面白いなと思って」と話していました。

 奥田さんがこの“お金コレクション”を発表したのは今回が初めてではありません。セント・マーチン卒業後に学んだ、NYのパーソンズ美術大学大学院の18年秋の卒業ショーで、今回も展示していた巨大なマネークリップと1ドル札がモチーフになったドレスなどを披露したところ、SNSで瞬く間に拡散、それを目にした人も多いはず。「WWDジャパン」も18年11月12日号にマネークリップドレスを掲載しました。「卒業ショーの翌日には、(衣装として興味を持った)ラッパーのニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)にコレクションを見せた」といいます。それ以降も、同じくラッパーのカーディ・B(Cardi B)やシンガー兼女優のマイリー・サイラス(Miley Cyrus)に数回ドレスを貸し出し、冒頭で紹介した通り、カニエやリアーナからのコンタクトにもつながったんだとか。

 カニエから連絡があったのは19年に入ってから。「突然携帯に電話が掛かってきて、ロサンゼルスの彼のオフィスに呼ばれた。それで、『今後もし機会があれば何か一緒にやりたい』といったことを告げられた」と奥田さん。実際に形になるかはまだ分かりませんが、“メイクマネー”を皮肉なほど誇示するヒップホップの世界観に、確かに“お金コレクション”はハマりそう。そして、そういう電話をアシスタントではなくカニエ本人がかけてくるということに驚きました。なんとなく勝手に、こういうリサーチやお膳立ては全てアシスタントにやらせているものだと思っていましたが、カニエ本人がちゃんとやっているんですね……!

 ショービズやファッション界のそうそうたるメンバーからラブコールが絶えないにも関わらず、奥田さん本人はいたってセレブに疎い、という点も付け加えておきます。「リアーナのことも最初はよく知らなくて、『なんだかフォロワー数がすごい人にインスタグラムでフォローされたな、誰なんだろう』と思っていたら『それリアーナだよ!』って周りの人に教えてもらった」そう。そうこうしているうちにインスタのダイレクトメール(DM)が届き、リアーナとのやり取りが始まったといいます。カニエの電話もそうですが、こんなふうにいきなりアプローチが来たら思わずイタズラかと疑っちゃいますよね。しかし、それが実際に起こるのがニューヨーク。SNS投稿からNYコレでの発表につながり、今や「LVMHプライズ」ファイナリストとなった「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」も同様ですが、まさにアメリカンドリームですね。

 奥田さんは、ジュエリーデザイナーとしては「アーカー(AHKAH)」が渋谷パルコなどで販売しているジェンダーレスなカプセルコレクションを手掛けていたり、NY拠点のメンズブランド「ランドロード(LANDLORD)」「コウザブロウ(KOZABURO)」「テルファー(TELFAR)」などのジュエリーデザインを手掛けたりしています。以前は自身の名を冠したジュエリーブランドを伊勢丹新宿本店などでも販売していました。服をデザインしたのはパーソンズの卒業ショーのためでしたが、「これだけいろんな人からアプローチが来るなら、マネーのコレクションはアーティストとして今後も続けていく」とのこと。“お金コレクション”ではキーホルダーやバッグなど、お土産感覚の商品も企画しています。19年冬には、ラフォーレ原宿内の名物ショップ「GR8」でも、“お金コレクション”のポップアップストアを開催しました。ジュエリーデザイナーとしてもアーティストとしても、奥田さんがこれからどのようにアメリカンドリームを駆け上がっていくのか注目です。

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「着物という伝統に甘えない」 人気プチバッグを生んだ老舗呉服店の挑戦

 京都の老舗呉服店が、着物市場の衰退の中で新たな挑戦に乗り出している。創業1915年、伝統の「絞り染め」による着物作りを生業としてきた片山文三郎商店は近年、染めを生かしたファッション雑貨の製造・販売に軸足をシフト。17年には自社商品を「ブンザブロウ(BUNZABURO)」としてブランド化し、人気のプチバッグは昨年1年間で1万個を販売した。19年12月に東急プラザ渋谷に新店を開き、20年1月には「3.1 フィリップ リム(3.1 PHILLIP LIM)」ニューヨーク本店でポップアップストアを開催するなど、若年層や海外市場の開拓に挑む。

 記者が「ブンザブロウ」を知ったのも、ヒットアイテムのプチバッグがきっかけだ。出合いは、19年11月の三陽商会「ラブレス(LOVELESS)」20年春夏展示会。赤、青、黄……色とりどりの、握りこぶし大のトゲトゲとした物体。まるで採れたてのウニのように什器に積まれていたのが、「ブンザブロウ」のプチバッグだった。

 中に物を入れると、書類も入りそうなサイズまで伸びる。「かわいくて一目惚れしちゃいました」と嶺詩織「ラブレス」バイヤー。サテン調の微光沢のポリエステル生地は高級感もあり、ドレスやモード系ファッションと合わせても面白そう。価格も3800~5500円と値ごろ。「イソギンチャクみたい」(嶺バイヤー)という意見の相違はあったものの、「高感度な女性も欲しがりそう」と意気投合して盛り上がった。

渋谷でファッションに挑戦 仕掛け人は元パティシエ

 3月、東急プラザ渋谷の「ブンザブロウ」新店。片山文三郎商店創業家の片山一也氏は髪を結い、洗練された装いに身を包んで現れた。前職は洋菓子店のパティシエという異色の経歴で、いい意味で“老舗の跡継ぎらしくない”出で立ちだ。
 
 同店ではポリエステルを使ったバッグに加え、絞り染め柄のTシャツ(2万円)やレザースニーカー(4万5000円〜)、クラッチバッグ(1万8000〜2万8000円)などを初めて店頭に並べた。店内にはマネキンに「絞り染め」の生地を使ったオートクチュールのような服を着せたり、切れ端を使ったアートピースを並べたりと、ファッション感度の高い客にアピールする。

 片山文三郎商店は京都、銀座の路面店の他、三越銀座店、大丸神戸店など直営6店舗を構える。既存店舗はシニア顧客や観光客の土産需要が中心だが、「ここ(渋谷店)は全く違う見せ方をしたい」という一也氏。これまでの店舗の立地は高級な繁華街が中心だったため、渋谷の商業施設内への出店はブランディングにおいて「リスクだ」と反対する社長の父・一雄氏を押し切り、出店を決めた。

着物一本足から脱却 セレクトショップ販路開拓へ

 片山文三郎商店の絞り染めの着物は数百万〜数千万円という超高級品で、需要は富裕層のハレ着が中心。着物市場全体そのものも縮小傾向にあり、バブル期に2兆円あった市場規模は、現在では10分の1程度になった。

 そこで片山文三郎商店は、1992年に社長に就いた一也氏の父・一雄氏の代から、“着物一本足”からの脱却を進めてきた。伝統の「絞り染め」は、生地を縫い糸で何重にも括り、締め上げてから染めることで色の濃淡が生まれ、美しい鹿の子柄が浮き出る。一雄氏はこの「絞り染め」の途中で、糸で幾重にも括った生地の隆起をそのままデザインとして生かし、スカーフなどの小物類に落とし込んだ。

 一也氏が入社した13年には、すでに会社の売り上げの9割が雑貨だったが、「主要顧客層は50代以上で、ビジネスとしては先が不透明。伝統的なイメージや高級感が若いお客さまの敷居になっていた」。家業に新風を吹き込むべく新販路開拓に力を入れ、当時から若い客に人気だったポリエステルのプチバッグはセレクトショップ向けに卸売を始めた。日本の「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)」を皮切りにユナイテッドアローズ、ビームス、ベイクルーズの「ジャーナルスタンダード(JOURNAL STANDARD)」、三陽商会の「ラブレス」などに広げた。

伝統を武器に 海外で商機をつかむ

 卸売においては、現在は雑貨類が中心だが、今後はアパレルにも本腰を入れる。芸術的なイメージビジュアルの撮影にも挑戦し、感度高くアピールしている。「展示会でセレクトショップのバイヤーの意見などを聞くと、まだまだ改善点も多い。絞り染めや根強い顧客という強みに甘えて思考停止せずに、モノ作りへの意識をアップデートしなければ」。

 ゆくゆくは海外展開も視野に入れ、「(海外売り上げの構成比を)全体の20~30%程度まで引き上げたい」とする。20年1月に「3.1 フィリップ リム」ニューヨーク本店で開いたポップアップストアでは、バッグとともにアパレルも並べ、和と洋をミックスした新しいビジュアルプレゼンテーションで好感触を得た。卸売では、マツオインターナショナルが運営するセレクトショップ「ノリエム(NORIEM)」のミラノ、パリ、ロンドン、香港の店舗で取り扱いがある。

 雑貨やアパレルなどをフックに、「いずれは絞り染めの深い魅力に触れていただけるような橋渡しができたら」と考える。ブランド名をアルファベット書体の「BUNZABURO」としたのも、海外を意識してのこと。だが、ブランドロゴに用いているのは、創業当時から受け継がれている桜紋だ。「この紋章のように100年たっても色褪せない伝統がある。これを武器に、どんどん新しい挑戦をしていきたい」。

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読者が注目した今週の新作 「トーガ」 × 「ポーター」第2弾など(3月20日〜26日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ビューティ部門」「ファッション部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。「ファッション部門」「ビューティ部門」では読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ファッション部門」では「トーガ(TOGA)」×「ポーター(PORTER)」のコラボレーションバッグが、「ビューティ部門」ではNMB48の吉田朱里がプロデュースしたコスメブランド「ビー アイドル(B IDOL)」が最も注目された。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


【スニーカー部門】

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「ウジョー」パリ進出ショーの裏側 “日本のシンプルな服”へのフラストレーションから生まれた“不完全な形”の服

 西崎暢デザイナーによる「ウジョー(UJOH)」は、パリ・ファッション・ウイークのオフスケジュールで2020-21年秋冬のコレクションを発表した。16-17年秋冬シーズンからミラノでショー形式で発表をし、パリでは展示会をしていたが、今季満を持してパリでショーを行ったかたちだ。

 ショー当日のバックステージは、慣れない開催地であわただしいだろうと予想してしていたが、実際は非常に落ち着いた雰囲気。そこにいる人それぞれが、いつまでに何をするべきなのかを把握しているようだった。

 西崎デザイナーもリラックスした様子で、ショー前にもかかわらず丁寧にインタビューに応じてくれた。バックステージの落ち着いた雰囲気について言及すると「海外で発表するのは4度目になるから、するべきことは分かっている」と西崎デザイナー。パリで発表している「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」でパタンナーを長年務めていた西崎デザイナーにとって、「パリは見せる場としての目標の地だった」と語る。

 パリに来るに際してチームを増強したという「ウジョー」だが、中でも、スタイリストに水谷美香を迎えたことは大きかったと話す。「ほかの件で一緒に仕事をしたことがあり、今回も依頼したが、彼女はプロフェッショナルで、スタイリングはもちろん何もかもが変わった」と語る。

 今季のコレクションの出発点は、日本のシンプルな服へのフラストレーション。シンプルなパンツやシャツ、ニットに、“スケバン”の長い丈のプリーツスカートにインスパイアされたという巻きエプロンや、ライフジャケットを着想源にした片袖だけを通して脇で留めたジャケット、左右で分離できるブルゾンなど、不完全な形の服をアクセサリー感覚でレイヤードすることで、大胆さと新しい服の形を追求した。「作っている過程の“服”に惹かれるものがあり、これを自分たちのアプローチの一つとして、グッと凝縮したコレクションにしたかった。切りっぱなしや断ちっぱなしなどラフな作り方ではなくて、きちんと洋服として成り立つものだけれど不完全な形をしていることで大胆さにつなげたかった」と西崎デザイナー。

 ショーのヘアメイクを手掛けたのは、これまでもタッグを組んできたオダマユミ=メイクアップアーティストとチナツ=ヘアスタイリスト。メイクのテーマは“スキンユニフォーム”で、肌の一環としてのマスクを意識してあえて色や装飾を加えず、モデルそれぞれの肌になじむような色のファンデーションだけでメイクを作った。ヘアは、これまでよりもレイヤードが増えた服を加味して、主張が少ないリラックスしたローポニーテールで、強さとマニッシュ感はテクスチャーで表現した。

 モデルがヘアメイクを終えた後、ヘア&メイクアップアーティストにメイクをしてもらっている女性の姿があった。ショーのフィナーレで来場者に顔を見せるためにデザイナーが事前にバックステージでメイクをすることはあるが、誰だろうと疑問に思っていると、西崎デザイナーが「僕の相方です。今回から一緒にフィナーレに出ようと思って」と教えてくれた。そして、メイク中の妻の西崎亜湖(あこ)チーフパタンナーとヘア&メイクアップアーティストに、「僕には(ヘアメイクは)何もないの?」と冗談を飛ばして場の雰囲気を和ませる。亜湖チーフパタンナーは、ブランド設立時から暢デザイナーと共にデザインとパターンを手掛け、ブランドの成長を支えてきた存在だ。“妻”ではなく“相方”と呼ぶところに2人の関係を一瞬だが垣間見た気がした。

 ショーのフィナーレには西崎夫妻がそろって登場し、来場者からパリ進出の祝福を受けた。「ウジョー」は今後もパリでの発表を続けていきたいという。

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「本土との移動にも検疫、発注キャンセルも」現地のファッション業界人香港リポートVol.3

 新型コロナウイルスは、米国や欧州などいよいよ世界に飛び火し、世界中の株式市場でリーマン・ショックを超える猛威をふるい始めた。現地の大手メーカー兼MDによる、香港と中国本土の現地リポート第3弾をお届けする。

 2月末、欧州各国の顧客とのミーティング出張に行っていたデザインチームからメールにて「新型コロナウイルスを懸念し、ミーティング直前のキャンセルが相次いでいる」との連絡があった。デザインチームはそのとき、すでに香港を出てから14日以上を経過していたにもかかわらずのキャンセルに驚いたが、その後の欧州における急激なウイルス拡散には恐怖としか言いようがない。当初デザインチームは、3月末までミーティング目的の出張予定だったが、ほとんどがキャンセルとなったため、2週間早く予定を切り上げ帰国の途についたものの、今度は自宅かホテルでの2週間の強制検疫が待っている。今日に至っては、オーダーキャンセルが可能かと、進行中の企画についての見直し依頼の連絡が来始めた。新型コロナウイルスが世界各地に広がる前は、納期遅延の懸念だけだったが、この数週間ですっかり状況が変わってしまった。小売りの先行きが見えず、リスク回避のためにオーダーをキャンセルするクライアントも出てくると予測される。

香港では在宅勤務解除でマスク着用率6割以上

 香港では、3月に入り政府機関の在宅勤務が解除されたことに伴い、多くの一般企業も業務を再開し、朝夕の交通量に変化が見られた。人の流れが多くなることとで、香港に駐在している欧米人にもマスクの着用者が増えている。アジア人のマスク着用率は非常に高く、街中では9割を超えるほどだ。従来マスクを着用する習慣がない在香港欧米人には、マスク不足という状況もあるが、「着用したところで感染を防ぐことはできない」という欧米メディアの発表も影響してか、あまり浸透していなかった。ところが、欧米諸国における急激な感染拡大を受けて3月以降は着用者が増えた。「国民の6割がマスクを着用すれば、感染予防の機能が期待できる」というフランス国内の報道を耳にしたが、香港では確実に駐在欧米人を含む市民の6割以上が着用している。3月中旬、香港でも日々感染者は増加しているが、急激な変化は見られない。SARSの経験と中国ならびに香港政府への不審感からか、過度と言えるほどの住民の自己防衛本能が現状維持に貢献しているとさえ思える。世界各地で日用品の買占めが起きているが、前回リポートした2月中旬に香港で起こったことと全く同じ現象だ。香港でも、日本でも、実際には在庫は十分にあるというが、不安に駆られて列をなし、買占めと転売が発生する。SARSの際にはなかったSNSによるデマの伝播力にも恐怖を感じる。

14日間の強制検疫で分断される香港と中国

 中国工場の状況に関しては、広州に隣接する江西省南部の工場も稼動し始め、人員も9割程度を確保できている。また、契約を結んでいる日系の検品会社も稼動を開始したが、5割強の人員確保とのことだ。弊社では「4月中旬から検品の訪問を受け入れる」としている。これも弊社独自の現状の取り決めであるが、弊社工場への立ち入りについては湖北省と温州市からの人員(内部・外部問わず)に対して14日間の強制検疫を行っている。中国の工場にはトップマネジメント級の香港人スタッフが数名いるが、彼らは通常であれば週末は香港に戻り家族と過ごすが、今は全ての中国滞在者が香港に入国するには14日間の強制検疫があるため、帰れない状況だ。一方で、中国に一度入国すると香港に戻れなくなるため、現地で工場管理を余儀なくされている日本人やその他の外国人も大勢いる。

 大手銀行のPRによると、つい1週間前までは全てのイベントを中止または延期し、その処理に追われ多忙を極めていたが、このところは顧客離れを防ぐためZoomなどを使った″オンタイムで特別な体験を”や″パネリストとの意見交換が可能“といったバーチャルイベント等に企画を切り替え始めているという。外出できない、集えない、外食できない今、自宅にこもって参加し、共感できる何かが求められるのであろう。

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LA撮り下ろしの「BABY-G」最旬ビジュアルを「WWD JAPAN.com」が先行公開

 カシオ計算機の「BABY-G」は、ロサンゼルスで撮り下ろした2020年春夏シーズンのビジュアルを「WWD JAPAN.com」で先行公開する。“原点回帰”をテーマとして、ブランドの根幹であるタフネスはそのままに、「よりカラフルに、よりポップに生まれ変わった」(橘美薫カシオ計算機 時計プロモーション部 リーダー)新作が写る。

ビジュアルのテーマは
“忘れられないサマータイム”

 「BABY-G」は、インフルエンサーでもある3人の若手ダンサーのKANU、Miyu、nichikaを被写体とする。狙いについて橘リーダーは「モデルにはないリアリティーと親しみ感を重視した」と言い、撮影時の様子は彼女たちのSNSでロサンゼルスからリアルタイムに発信された。3人が腕に着ける時計は、ラウンド型ケースなどで「BABY-G」らしさを打ち出しながら、二体ベゼルを採用したり、混色成型技術などの新たな要素を取り入れた。

レトロかつスポーティーに
ラインアップ

 ほかにも、夕暮れに染まるビーチやパームツリーを描写したイラストレーターYoko Hondaのアートワークを文字板に採用した80年代風のレトロな時計や、スマホとリンクしてアクティビティーを記録できるスポーティーな時計などもラインアップする。

“G-MS”は
“自立した大人の夏休み”を
イメージ

 “G-MS(ジーミズ)”にはモデルの松島エミを起用して、“気ままな大人のひとり旅”をテーマにする。「“G-MS”はビジネスシーンにもフィットする時計として訴求しているが、リゾートファッションやビーチアクティビティーにも適している」という。

ビジュアルの公開に合わせて
ターゲットも再設定

 カシオ計算機は最新ビジュアルの公開に合わせて、ターゲットの再設定も行う。「BABY-G」は10代~20代前半をメインに、その上位ラインである“G-MS”は30代前半の働く女性に向ける。橘リーダーは「90年代のブームを知らない若年層には『BABY-G』は新しく映るだろうし、大人顔の“G-MS”をアピールすることで『BABY-G』卒業世代も取り込みたい」と話す。

問い合わせ先
カシオ計算機 お客様相談室
03-5334-4869

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LA撮り下ろしの「BABY-G」最旬ビジュアルを「WWD JAPAN.com」が先行公開

 カシオ計算機の「BABY-G」は、ロサンゼルスで撮り下ろした2020年春夏シーズンのビジュアルを「WWD JAPAN.com」で先行公開する。“原点回帰”をテーマとして、ブランドの根幹であるタフネスはそのままに、「よりカラフルに、よりポップに生まれ変わった」(橘美薫カシオ計算機 時計プロモーション部 リーダー)新作が写る。

ビジュアルのテーマは
“忘れられないサマータイム”

 「BABY-G」は、インフルエンサーでもある3人の若手ダンサーのKANU、Miyu、nichikaを被写体とする。狙いについて橘リーダーは「モデルにはないリアリティーと親しみ感を重視した」と言い、撮影時の様子は彼女たちのSNSでロサンゼルスからリアルタイムに発信された。3人が腕に着ける時計は、ラウンド型ケースなどで「BABY-G」らしさを打ち出しながら、二体ベゼルを採用したり、混色成型技術などの新たな要素を取り入れた。

レトロかつスポーティーに
ラインアップ

 ほかにも、夕暮れに染まるビーチやパームツリーを描写したイラストレーターYoko Hondaのアートワークを文字板に採用した80年代風のレトロな時計や、スマホとリンクしてアクティビティーを記録できるスポーティーな時計などもラインアップする。

“G-MS”は
“自立した大人の夏休み”を
イメージ

 “G-MS(ジーミズ)”にはモデルの松島エミを起用して、“気ままな大人のひとり旅”をテーマにする。「“G-MS”はビジネスシーンにもフィットする時計として訴求しているが、リゾートファッションやビーチアクティビティーにも適している」という。

ビジュアルの公開に合わせて
ターゲットも再設定

 カシオ計算機は最新ビジュアルの公開に合わせて、ターゲットの再設定も行う。「BABY-G」は10代~20代前半をメインに、その上位ラインである“G-MS”は30代前半の働く女性に向ける。橘リーダーは「90年代のブームを知らない若年層には『BABY-G』は新しく映るだろうし、大人顔の“G-MS”をアピールすることで『BABY-G』卒業世代も取り込みたい」と話す。

問い合わせ先
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03-5334-4869

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トップサロンに選ばれ続けるヘアケア「Re:>>>」の魅力とは?

 サロン専売化粧品メーカーのアジュバンコスメジャパンが展開するヘアケアブランド「リ(Re:>>>)」は、美容師の手荒れの悩みを解消したいという思いから配合成分とそのバランスにこだわり、2004年にサロン専売ブランドとして誕生した。現在はサロン帰りの美しい髪を持続させるためのホームケアアイテムとしても人気を博す。長年に渡りプロにも顧客にも愛されるその理由は何か。ヘア&メイクアップアーティストや導入サロンのヘアスタイリスト、同ブランドの研究員に語ってもらったところ、“髪や肌への優しさ”“機能性の高さ” “バリエーションの多さ”といったキーワードが浮かび上がってきた。

髪はまとまりよく仕上がり、
心はリラックスさせてくれる

松田未来/
ヘア&メイクアップアーティスト

 今から10年ほど前、まだヘアサロンでサロンワークをしていた頃に「リ」と出合った。その頃からずっと“美容師の手や髪に優しい自然派ヘアケア”といった印象を持っていた。
そして今改めて使ってみて、変わらない優しさに安心感を抱きつつ、機能別にラインアップが増えていることに驚いた。私はヘアカラーの影響からか髪が傷みぎみで、広がってしまうので、まず“まとまりやすさ”を基準にして使うヘアケア製品を選ぶ。あと、一日の終わりのバスタイムは心身ともにゆっくりくつろぎたいので、“いかにリラックスさせてくれるか”も重要な選択基準だ。
その点、「リ」はバッチリその基準を満たしていて、特に私が気に入った「リ:プラチナム」はダメージをケアしてまとまりよく仕上げる機能性の高さに驚いた。香りも「この香りが嫌いな人なんておそらくいない」と思えるくらい優しくてリラックスできる香りで、私のバスタイムを癒しの時間にしてくれた。“葉っぱ”が浮いているボトルデザインにも“肌にも髪にも地球にも優しく”といったメッセージが感じられ、使い続けたくなるブランドだ。

地肌の状態に合わせて選べるよう
成分や配合を調整した
5種のプロダクトを展開

 「リ」は、毎日のシャンプー&トリートメントによって優しくケアしながら、本来の健やかさを取り戻すことをコンセプトとしたヘアケアライン。そのコンセプトは「リ(Re:>>>)」という名前にも込められている。地肌の状態に合わせて選べるように成分や配合を調整した全5種のプロダクトを展開する。石油系の界面活性剤や防腐剤は使用せず、香りは植物から得られる天然香料によるもの。透明感のあるシンプルなボトルデザインも魅力で、中に浮かぶトルマリンが加工された葉のレプリカは見る人の目を楽しませ、ブランドのアイコンとなっている。

「Re:>>>」のラインアップ

長年使っている
人気美容師が感じる
「Re:>>>」の特徴とは?

問い合わせ先
アジュバンコスメジャパン
078-351-3100

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パタゴニアの“哲学者”が語る「企業が今やるべきこと」

 環境保護とビジネスを両立させるパタゴニア(PATAGONIA)には“フィロソファー”という役職がある。フィロソファーとは哲学者という意味だが、明確な企業理念(ミッション・ステートメント)を打ち出す同社ならではのポジションだろう。現在そのフィロソファーを務めるのがヴィンセント・スタンリー(Vincent Stanley)氏だ。彼は1973年の創業メンバー1人で、セールスやマーケティングの部長、副社長などの要職を務め、創業者のイヴォン・シェイナード(Yvon Chouinard)と「レスポンシブル・カンパニー」を共同執筆した人物だ。「WWDジャパン」3月9日号には掲載しきれなかった「持続可能なビジネスについて」のインタビューを掲載する。

WWDジャパン(以下、WWD):今、気候変動について世界中で語られるようになり、特に環境活動家グレタ・トゥーンベリ(Greta Thunberg)さんをはじめとする若い世代が声を上げて議論を呼んでいる。

ヴィンセント・スタンリー=パタゴニアフィロソファー(以下、スタンリー):非常にグレイトなことで、感謝もしている。彼女の発言は、私たち大人がとるべき行動につながっていると感じる。気候変動は喫緊の課題で、多くの科学者がこの10~15年の間にわれわれが行動を変えていかなければ地球を守れないと声高々に言っているし、実際にそういう状態だと思う。

WWD:海洋プラスチック問題や生物多様性の損失など環境問題はさまざまにあるが、まず取り組むべきことは気候変動対策?

スタンリー:緊急性という点では気候変動だ。ただ、それだけでは足りない。生物多様性の保護に関しても取り組まないと、最終的に惑星としての危機に瀕するだろう。いずれにしても気候変動と生物多様性の保護はリンクしているものだ。

「サプライチェーンを見直して制約を課したことがイノベーションにつながった」

WWD:ファッション企業は何から手を付けるべきか。

スタンリー:まずは自社のサプライチェーンを把握し、どのパートがどのくらい環境に影響を与えているかを知ること。次のアクションは、その中でも最もインパクトの大きい部分を改善すること。たとえばパタゴニアの場合は、生地の製造段階で約85%の負荷がかかっている。

WWD:パタゴニアは1994年に社内で環境アセスメント報告書を作成し、そこからサプライチェーンの見直しを始めている。

スタンリー:われわれは会社として自ら制約を課した。例えば、素材は環境への負荷が少ない生地を使うこと、工場は納得できる労働条件のみに絞るといったように。選別したことで使える素材は減ったけれど、一方で誰がどのように作っているかを深く知ることで、取引先との信頼関係は強くなっていったし、イノベーションにもつながった。今まで気にもされていなかった点に着目したことによってイノベーティブな素材や製品が生まれるきっかけになった。それは今のわれわれのビジネスモデルにつながっている。つまり、世の中のためになりたいという考えを前提にビジネスを行い、最終的に収益が生まれたということ。

WWD:具体的にどのような製品を提案してきたのか。

スタンリー:例えばウエットスーツ。多く用いられているネオプレンは原油から精製されるブタジエンを塩素処理して重合させた石油化学製品で、製造過程で大量のエネルギーを消費し環境に害を与えるものだと分かった。そこで、環境負荷を少なくするためにユーレックス社とパートナーシップを組み、再生可能な植物をベースにしたネオプレンの代替物の開発を始めた。10年を経て、耐久性が高く着脱しやすい天然ゴム製のウエットスーツが完成した。

*森林管理協議会FSC認定の素材を使用したもので、ネオプレンと性能も価格もほぼ同じ。伸縮性と柔軟性も実現した。さらに製造過程におけるCO2排出量を最大80%削減することに成功した

「大切なのは一人の人間として何に責任を持ち、
何に貢献しているかを自覚すること」

WWD:サプライチェーンは壮大で見直しも大変だし、具体的な行動を起こすとなると難しい。

スタンリー:複数の効果を得られるアクションを考えるといい。実はそれは工業的なアクションではなく、自然に委ねた自然の力で実現することも大いにある。例えば、街路樹を植えるとする。それによって気温が3℃下がり、公害物質を木が吸収し、汚染水も木が吸い上げる。それから、その木に囲まれることで人々が穏やかな気分になり幸せになる。そして非常に重要なことは、一人の人間として自分が何に責任を持ち、何に貢献しているかを自覚すること。それが満足感を生むし、生物として大事な部分なんじゃないかと思う。

WWD:パタゴニアは創業から一貫して環境問題に取り組んできている。1985年からは売り上げの1%を気候変動や環境に関する活動を行う団体に助成金として寄付している。その他のサステナビリティへの投資は何を行っている?

スタンリー:2013年に、事業を通して環境問題解決に取り組む新興企業の支援を行う内部投資部門、ティンシェッド・ベンチャーズ(TIN SHED VENTURES)を創設した。目標は、企業が設立当初から環境への責任を深く意識してそれを行動に移し、同時に事業を成功させることが可能であることを示すこと。

ティンシェッド・ベンチャーズを紹介する動画

ソーラーパネル開発のソーラーファンド(SOLAR FUNDS)や、スーパーマーケットの野菜の売れ残りを回収して有機肥料を作るカリフォルニア セーフ ソイル(CALIFORNIA SAFE SOIL)などに投資している。また、海上の漁網を回収して“NetPlus”素材を作るブレオ(BUREO)社にも投資しており、その素材で作った帽子などを販売している。

WWD:累計どのくらい投資しているのか?

スタンリー:立ち上げ当初は“2500万ドル(約26億5000万円)の変化”と名付けて始めたが今は規模も大きくなっており、私は正確な金額を把握していない。ファンドというものには見返りを期待する考え方もあるが、私たちは例えば5年でそれを回収するというようなことは考えておらず、辛抱強くやっている。

社会や環境に責任を持って取り組む会社に投資することで、われわれにも学ぶことがある。パタゴニア自体、食品関係のビジネスもしているが、そこで得た知見よって視野が大きく広がっている。

WWD:今、注目している技術は?

スタンリー:有用な技術はたくさんあるが、私たちは問題を解決するテクノロジーに注目している。アパレルという観点では、非常に解決が難しかったトレーサビリティー(原料から製品となるまでの工程が追跡可能なこと)を可能にするブロックチェーンの技術に注目している。

WWD:最後に、私たちが一個人としてできることは?

スタンリー:無駄をなくすこと。廃棄するモノを少なくすること。それによって相乗的に廃棄するモノが減る。それからオーガニック食材を選ぶこと。それが健全な土壌で育てられたものであることは分かるだろう。あとは堆肥化すること。これは日本ではまだ積極的に行われていないが、土壌の健全性にもつながるので熱心にやってみてはどうか。再生エネルギーを推進する電力会社を選ぶことも大切で、パタゴニアの日本支社はみんな電気に切り替えている。

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“服を着倒してきた大人”、萩原輝美が「テン」で実践するアップサイクル 「もう道楽の服作りとは言わせない!」

 「テン(TEN.)」は、「ギンザ・コマツ(GINZA KOMATSU)」のバイヤーや「デザインワークス(DESIGN WORKS)」のディレクターを務めてきた萩原輝美さんがプロデュースするウィメンズブランド。年齢を重ねる中で、自身が納得できる上質でエレガントな日常着がない、という思いから2018年春夏にスタートし、ギンザシックス内の編集売り場「シジェーム ギンザ(SIXIEME GINZA)」や地方の専門店などで同世代の女性をつかんでいる。20-21年秋冬物で意識したのは“アップサイクル”。サステナビリティの意識は今やファッションビジネスで欠かせない要素になっているが、小規模なブランドが取り組もうとするとどこから手をつけていいかが見えないもの。「テン」は小規模であることを逆手に取って、地方の織物工場などに眠っている上質素材を使い、限られた数のアイテムを売り切れ御免の形で販売する。

 「生地の在庫がなく、数枚しか作れないような商品はかつてはバイヤーに敬遠されたけど、オーダーメードのデザイナーだった叔母が遺した特別なレース生地で20年春夏に参考商品としてスカートを作ったら、地方の専門店バイヤーに『1着しかなくてもいいからぜひ買いたい』と言ってもらえた」と萩原さん。そこで今季はカシミヤ100%のダブルフェースを少量抱えていた工場に掛け合い、ガウンコート(28万円)を3着作成。それにも展示会ですぐにオーダーが入った。「限定数しか作れないということは、その店でしか買えないということ。今の時代は逆にそれがいいのかも。少量しか在庫がない生地は、ある程度以上の規模のブランドだと買うわけにはいかない。だから、倉庫に眠っている生地はこうでもしないと使い道がない」。そのように限定数量だけ作るアイテムは、タグも「テン クチュール(TEN COUTURE)」に変えた。

 デニムやツイードのジャケットに飾ったブレード(テープ飾り)も、工場の倉庫から探しだしたものだ。オリジナルのブレードを作ろうと素材展で出合った工場に掛け合ったところ、「オリジナルを作るなんて、数百メートル単位でしか請けられない」と断られた。そこで諦めず、栃木にある工場まで出掛けていって、倉庫に少量ずつ残っていた中からイメージに近いブレードを探し出したという。

 こういった、地方の工場からお宝生地を見つけ出すといった話は、今までも駆け出しの若手デザイナーなどからは聞いたことがある。「テン」もまだ3年目で駆け出しと言えば駆け出しだが、いつ会ってもエレガントな業界のご意見番、萩原さんがそれを実践しているということには驚く人も多いはず。服作りが本業ではないため、今までは「『道楽で服を作っているんでしょ』とからかわれることもあったけど、地方の工場に生地を探しにいくくらい、本気でやっているんです」と笑う。

 20年春夏から企画しているデニムのプリーツスカートも、そのように自身で九州の加工場を訪ねて思いを伝え、生産につなげたアイテム。コットン100%のデニムには通常プリーツ加工がかからないが、その工場は特殊技術によって加工ができるため、ラグジュアリーブランドの生産も行っているという。

 小さく始めたブランドだが、ビジネス的にも転機がやってきた。20-21年秋冬からは、インポーターのサン・フレールが営業代行を務めており、展示会を訪れるバイヤーの数が増えている。サン・フレールといえば、「レ・コパン(LES COPAINS)」など、マダム層に人気のブランドを中心に輸入代理している会社。国内ブランドを扱うのはこれが初めてだ。「当社のお客さまである専門店の客層は50~60代以上がメイン。大人の上質な日常着を求めているという点で『テン』と重なる」と加島勉サン・フレール社長は話す。

 21年春夏以降には、サン・フレールが輸入代理を務めているイタリアのニットブランド「カングラ(KANGRA)」で、「テン」のニットウエアを数型生産することも想定しているという。「そうなると、『テン』もいわゆるドメスティックブランド、という感じでだけはなくなって、より面白くなる」と加島社長。同社はイタリアブランドを中心に扱うが、イタリアは新型コロナウイルスの感染拡大で工場の操業停止なども続いており、ビジネスが読めない部分もある。「(新型コロナの問題に限らず)今後も市場の状況はどんどん変わっていくので、これまでやったことがない領域も含め、いろいろとチャレンジしてみることが大事」という考えから、「テン」との取り組みに至ったという。

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大企業も参入のカスタマイズ商品、もはや悩みも分からない ファッションフリークOL「WWDビューティ」につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDビューティ」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.4『カスタマイズシャンプー「ラックス ビューティーiD」誕生』

読み解きポイント:「自分の悩み、スパッと答えられる?」

ニュースのポイント

 ユニリーバ・ジャパンが展開する「ラックス(LUX)」が、3月23日に新シリーズ「ラックス ビューティー iD」を発売する。なりたい髪の仕上がりに合わせてシャンプー(1種)、トリートメント(3種)、エッセンス(3種)を選び、合計9通りから組み合わせることができる。消費者ニーズが多様化し情報が溢れる中、「その時々の悩みに応えるヘアケアをより簡単に手に入れたい」という声を受けて誕生した。

Azuはこう読む!

 最近何かとアツい「カスタマイズ」系アイテム。今年はじめに6億円の資金を調達し話題を呼んだほか先月渋谷ヒカリエにも出店して勢いが止まらないパーソナライズヘアケアブランド「メデュラ(MEDULLA)」や、日本初のカスタマイズサプリやフェイスマスクを販売する「フジミ(FUJIMI)」など、ビューティテックのスタートアップ企業を中心に盛り上がっています。

 みなさん、カスタマイズやパーソナライズ商品って使ったことありますか?わたしは上記のどちらもメディア提供でいただいたので使ったことがあるのですが、「わたしのために作ってくれる」という特別感はたまりません。オンライン診断が受けられるサイトはどちらもおしゃれで可愛く、設問もそこまで多くないので気疲れしません。届くパッケージも可愛いし、(残念ながら私の部屋はそうでは無いのですが……)おしゃれな部屋においても全く違和感のない洗練されたプロダクトは、写真映えも抜群。もちろん市販のシャンプーと比べれば値段こそ高いものの、一連の体験を考えるとサブスクリプションで継続しようと思うのも納得です。

 一方ニュースの通り、こうしたスタートアップだけではなくユニリーバといった大企業も「カスタマイズ」に参入し始めています。前者と違い何万通りから自分だけの商品が作れるわけではありませんが、今までのラインナップでありがちだった「さらさら」「しっとり」の2ラインだけではなく、縦横無尽にシャンプー、トリートメント、エッセンスを組み合わせて選べるのがポイント。オンライン診断のサポートもありますが、9通りくらいなら店頭でも自分でサクッと決められそうだし、何より実店舗で試せるのが強みだと思います。

 ただ、次第にカスタマイズ商品が増える中、悩むこともあります。それは「自分が何に悩んで困っているのか分からなくなってきた」と言うこと。“悩みのゲシュタルト崩壊(編集部注:文字や図形などを持続的に注視し続けることで全体的な形態の印象、認知が低下してしまう知覚現象)”とでも言うのでしょうか、ちょっと違うかな(笑)。髪だったらなりたい髪質が「しっとり」なのか「つやつや」なのか、悩んでいるのは「パサつき」なのか「まとまりのなさ」なのか、肌だったら求めるのは「透明感」なのか「白さ」なのか、悩みは「乾燥」なのか「脂性肌」なのか……もう言っちゃえば全部だ!となるんです。わがままですね(笑)。

 もはや自分の悩みを考えるのもだるいので、誰かに現状をズバッと指摘してもらってその通りに買った方が楽なのかもしれない。怠惰な人間になってしまった……と、書いてて思ったのですが、それって普通に店頭でプロの販売員さんにオススメしてもらいたいって話ですよね。思わぬところで原点回帰してしまった!

 余談ですが、パーソナライズ・カスタマイズの話になると必ず出てくる「組み合わせ」の話。数学で組み合わせの問題大好きだったなぁ、と思いながら「◯万通りのカスタムができる」という謳い文句に「一体どれだけ掛け算すればいいんだろう!」と胸を踊らせています(笑)。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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異色の日米合同のファッションテック、日本のブランドを世界へ発信

 アオイシップ(AOISHIP)は日本人と米国人が創業した、異色のスタートアップ企業だ。世界最大級のスタートアップの育成プログラムであるスタートアップ ブートキャンプ(STARTUPBOOTCAMP)の「ファッションテック」部門に選出された。世界中から約1200社の応募があり、アオイシップを含めた11社が選ばれ、1月からミラノでプラダ(PRADA)やアクセンチュア(ACCENTURE)をはじめとした約100社の有識者がアドバイザーを務めるプログラムに参加している。新型コロナウイルスの影響で、現在はオンラインに切り替わっている。最終のプレゼンテーションはメディアや投資家を招いて5月12日にミラノのプラダ財団で開催される予定だったが、現在は未定。ベンチャー企業の調査サイトのクランチベース(CRUNCHBASE)による資金調達額は1100万ドル(約11億6000万円)。創業者の伊藤和将代表兼最高執行責任者(COO)に話を聞いた。

 アオイシップはソーシャルメディアを活用して、日本ブランドの海外でのマーケティングや販売をサポートするECプラットフォームを提供する。現在、特許を出願中だというインフルエンサーマーケティングの仕組みがユニークだ。カスタマーとインフルエンサーが購入した商品のSNSポストを通じて“ブルーコイン(報酬ポイント)”を得られ、“ブルーコイン”は次回購入時に使用することができる。ポストからの購入数に応じてインフルエンサーがレベルアップしていくというゲーム感覚の仕組みも面白い。インフルエンサーはフォロワーが500~1万人のマイクロインフルエンサーを起用する。

 サイトはすでに始動しているが、すべてのサービスを含めた本格始動は5月を予定している。現在出展するのは三松が手掛ける“モードな着物”「キイロ(KIIRO)」や「ヒスイ(HISUI)」など24ブランドで、インフルエンサーは約100人。今後、中国のラグジュアリーEC「セクー(SECOO)」とも協業予定で、「セクー」のサイト内にアオイシップのコーナーを開設する。また、テストマーケティングの結果、強化するエリアは東南アジアで、現在シンガポールやタイのインフルエンサーにアプローチしているという。

 ブランド側は商品をアオイシップの倉庫に送り、アオイシップが物流をサポートする。委託販売手数料は30%。

 同社は2018年9月に伊藤COOとアメリカ出身のアダム・ブジダ(Adam Boujida)代表兼最高経営責任者(CEO)が創業した。2人ともエンジニアでファッション業界の経験はない。伊藤COOはソニーでプレイステーションのエンジニアとして働き、その後いくつかのスタートアップを立ち上げた。

 伊藤COOは立ち上げのきっかけを「もともとファッションが好きでいつかファッション分野に進出したいと考えていた。ゲームやアニメ、寿司やアートといった日本の文化は海外でも評価が高いが、ファッションは未開拓な部分が多いと感じている。また共同代表のアダムは、日本出張の際に知人から日本ブランドの服を買ってくるように頼まれることが多かった。加えて、僕自身もデザイナーから海外進出が難しいという相談を受けたことがあった。ブランド側のマーケティングや販路開拓のハードルをなくすサービスができればと考えた」と説明する。また、「世界のファッションECの市場規模は50兆円であるのに対して日本は1.7兆円。今後も世界的には年間11~13%の成長が見込まれている。日本ブランドは世界をターゲットにしていくべきだ」とも語った。

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今、音声コンテンツが熱い 美容師の内田聡一郎が「ボイシー」に挑戦する理由

 最近は音声メディア「ボイシー(VOICY)」や音声プラットフォーム「スタンド・エフエム(stand.fm)」などが登場したことで、音声コンテンツに注目が集まっている。これまでも「ポッドキャスト(PODCAST)」などはあったが、今なぜ音声コンテンツなのか。昨年12月から音声メディア「ボイシー(VOICY)」でコンンツの配信を続ける美容師の内田聡一郎「レコ(LECO)」代表に話を聞いた。

WWD:まず「ボイシー」を始めたきっかけは?

内田聡一郎(以下、内田):これまでもツイッター、フェイスブック、インスタグラム、ブログといろいろやってきて、常に何か新しい発信の方法を試してみたいと考えていました。その中で、ユーチューブという選択肢も思い浮かんだのですが、いろいろと研究しているうちに、ちょっと自分がやるのは違うなと感じたんです。そんなときに「ボイシー」を知って、もともとラジオが好きだったこともあっておもしろそうだなと思い、昨年の12月から始めました。「ボイシー」って誰でもできる訳ではなく、きちんとした審査があって、今は美容師でやっているのは僕だけです。

WWD「ボイシー」ではどんなことを発信している?

内田:日々の仕事などで感じたことを発信しています。「センスが良いってなんだ」や「好きな事を仕事にして稼ごう時代のジレンマ」「好きな事がなかなか見つからないへの回答」などは反響も大きかったです。

WWD:「ボイシー」をやってみていいと思うことは?

内田:ブログのように文章を書くという労力が要らないというのはあります。音声によるブログのようなイメージです。「ボイシー」は一発撮りでやっていて、ある意味荒削りな感じで出せるのが、生々しくていいですね。ブログだと温度感が伝わりにくく、音声の方が親近感を持ってもらえるので、エンゲージメント率も上がる。話し方でニュアンスも伝えられるので、文章だと少し過剰に伝わってしまうネタも話せるのがいいです。あと、音声コンテンツだと聴く方も“ながら聴き”ができるのがよくて、「通勤の合間に聴いています」などとよく言われます。

WWD:話す内容は事前に決めている?

内田:最初のころは細かく決めずにフリートークの感じで始めたんですが、それだと話が散漫になってしまうので、今は内容を決めて話すようにしています。基本的にはリスナーが聴いて好奇心を持てたり、学びがあったりするコンテンツを意識はしていて、「ボイシー」だと1コンテンツ10分以内と決まっているので、その中でいかにまとめるかを考えています。それがある意味で自分自身の思考トレーニングにもつながっているんです。今はだいたい週1~2回の頻度で配信しているんですが、「ボイシー」はタイトルの下書きができるので、あらかじめ何回分かのタイトルを書いて保存しておくと、日ごろからそのネタについて考えるようになって、話をまとめやすくなります。また配信用に普段からネタを探すようになりました。「これ話せそう」というネタがあったら常にスマホのメモに書き込むようにしています。

WWD:リスナーの反応はどう?

内田:リスナーの多くが美容師なんですが、僕にクリエイターのイメージを持っている人が多かったんですが、意外とロジカル的な面もあるんだなと、これまでと違う一面を知ってもらえているなと感じています。あと、これは想像していなかったんですが、美容師以外の人も聴いてくれていて、「ボイシー」を聴いてお店に来てくれる人もいますね。

WWD:フォロワーも順調に増えている?

内田:現在フォロワー数は4100人ほどです。スタートして3カ月半くらいでこの数字は順調かなと思います。ある意味で、この数字が僕のコアなファンなんだと分かったのもやってよかったです。インスタグラムのフォロワー数は9万1000ほどなんですが、「一応フォローしておこう」みたいな人も多くて、だから「ボイシー」でわざわざ僕をフォローするという一つのステップをつくることで、本当に自分に興味を持ってくれている人はどれくらいいるのかを知れてよかったです。

WWD:最近はインスタグラムでも鍵付きの裏アカウントを作ったりして、クローズドなコミュニティーへの意識も高まっているが?

内田:僕自身、昔はツイッターやインスタグラムも全部の情報を見ようとしていたんですが、最近はそこまで追わなくなったんです。それよりも有料で見られる情報やクローズドな情報の方がやはり有益なものが多い。あまり情報を入れすぎると消化しきれなくなるので、なるべく“良質な情報”に触れることが今は大事だなと思います。

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外部インフルエンサーじゃなく、自社の未来の逸材を発掘して ファッションフリークOL「WWDジャパン」につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、ファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.6『セレクトが発起 一丸となって人材確保』

読み解きポイント:「早い者勝ち!ファッション業界で働きたい「潜在層」を見逃すな!」

ニュースのポイント

 人材不足がアパレル企業の成長を阻む問題の一つになっている。この問題をうけ、本来ライバルであるはずの企業同士が協力し人材確保に取り組んでいる。狙うのは専門学生と比べてファッション業界が接点を持たない一般の四年制大学生。ファッション業界に特化した求人サービスを展開するレディー トゥ ファッションはファッション・アパレル企業の採用合同説明会「RTF オフライン」をベイクルーズ本社のプレスルームで開催。会場にはトルソーやおしゃれなケータリングが並び、学生からも「キラキラしている」と声が上がる空間だった。また、リファラル採用(=社員に人材を紹介してもらう方法)サービスを展開するマイリーファーはセレクトショップ3社と販売員のリファラルに特化したミートアップを開催した。

Azuはこう読む!

 私が就職活動したのは6年前。ファッションを仕事にと思い始めていましたが、四年制大学に通っていた私はファッション業界について全く知らず、思いつく職業といえば販売員やデザイナー、プレス、バイヤー、スタイリスト、ファッションエディター、モデルくらい(笑)。一応本やネットで調べたものの、MDや生産管理についてはイマイチピンとこず、もともとメディアに一番興味があったので出版社のインターンをしたのち、販売員からキャリアをスタートしました。

 下調べを真面目にしなかった自分の責任もありますが、それにしても一般大学生にとってファッション業界ってキラキラしたところばかりが目立って見える未知の世界なんです。OB、OGも他業界に比べて少ないので、リアルな情報がなかなか得られない。そしてなんとなく「販売員からスタート」が鉄則で、それが他の職種に比べて低賃金で辛いものというイメージもありました。(私は、販売員の経験はファッション業界でキャリアを積むにあたってとても重要なものだったと思っています。)

 2014年は今ほど他業界からのファッション業界への参入が多くなく、ファッション系の新規事業やそれを取り巻くベンチャーは少なかったので、就職に際しても選択肢がありませんでした。周りでは「ファッション業界に携わりたい」と思っていても、自分の経験やスキルを活かせる職種がわからず、泣く泣く断念する人も。正直、この状況は本当に勿体無いと学生時代から感じていて、もっとファッション業界について川上から川下まで、さらにはそれを取り巻く産業まで包括的に知れる環境があったらよかったなぁと。もし当時色々と知っていたら……それでも最初はメディアに携わりたいですが(笑)。

 実際にファッション業界で仕事をしてみると、服の知識があることは大前提ですが、その他の知識や興味関心が重要なことに気がつきました。SNS運用一つとっても、最も効果的な運用から目的設定などの戦略設計、時事ネタを絡めつつ炎上させない社会問題までを頭に入れる必要があり、要求されるのはファッションへの知識・感度だけではありません。

 ファッションが洋服だけを指す時代ではなくなり、発信・販売・生産方法が格段に増えたいまは、必要とされる能力・人材の幅が広がったということです。だから企業はファッション業界に興味がある大学生や社会人という「潜在層」にアプローチせずして、新しい時代を生き残れるのか?とすら思うのです。

 記事内で紹介されていたレディー トゥ ファッションのイベント写真には、マスク姿の学生が多く写っていました。開催は2月15日。新型コロナウイルスによるイベントの一斉自粛が始まる直前だったので開催できたのだと思いますが、それでも多少の不安がある中でこんなにも多くの学生がファッション業界を志し、行動に移したという事実は“重く”受け止めるべきです。

 状況はその直後に一変し、就活シーズンだというのに合同説明会は中止。学生たちの不安は計り知れないと思います。そんな中、レディー トゥ ファッションはウェブ説明会を配信するYouTubeチャンネルを即座に開設しました。希望企業には無料で取材・収録・配信を行うそう。いまの学生たちなら配信動画の閲覧なんてノンストレスでしょうから、ライブ配信でインタラクティブな仕組みにしたら、もしかしたら合同説明会より効果的かもしれませんね(笑)。

 これから他業界の参入や技術の発達、消費者の価値観の変化によって“ファッション業界”が広がっていく中、旧来の「優秀な人材」にとらわれない多彩な才能をいかに確保できるかが企業の鍵です。その瞬間の露出やバズを狙えるフォロワーの多い外部インフルエンサーを見つけて囲うことに躍起になるよりも、自社の未来となりうる逸材発掘に力を使った方が良いのかなぁ、なんて思っています。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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「フォーサムワン」が挑んだ無観客ショー デジタルでファッションは伝わるのか

 LDHアパレルの小川哲史社長が手掛けるブランド「フォーサムワン(FORSOMEONE)」は、2020-21年秋冬コレクションのランウエイショーを東京・品川の寺田倉庫で3月16日に行った。18年のブランド設立以来初のショーだったが、「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」の中止を受けて急きょ無観客での開催となった。ショーの模様はブランドの公式インスタグラムアカウントでライブ中継したほか、ムービーカメラで撮影したフル動画を「RFWT」公式サイトやLDHジャパンのユーチューブチャンネルで3月19日18時から公開する。

 会場となった寺田倉庫は、約1400平方メートルの広大なスペースを有する。東京ファッション・ウイークでも「N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)」や「ハイク(HYKE)」などの名だたるブランドが会場に選んできた場所だ。「フォーサムワン」も、観客こそいないもののスタッフや関係者、そして23人のモデルをそろえた万全の布陣で21時開始の本番に向けて着々と準備を進める。通常のショーは開場が近づくにつれて徐々に熱気が高まっていくのだが、今夜は本番が近づくにつれて静けさが増し、空気が張り詰めていった。小川社長もスタイリングの最終確認や、リハーサルで撮影したライブ動画のチェックを本番ぎりぎりまで入念に行う。2度のリハーサルを終えてスチールとムービーのカメラマンも位置につき、いよいよ21時まであと5分。静寂の中、「インスタライブ開始します」という声とともに会場は暗転した。

 しばらく続いた沈黙の後、白みがかったライトによって暗闇の中にランウエイが浮かび、ショーがいよいよスタートした。コレクションはテーラリングを軸にミリタリーやパンク、バイクといった男性の普遍的スタイルを大胆にアレンジして融合。ベーシックなスーツはハーネスやポインテッドトーのシューズでぐっとシャープになり、巨大なトレンチコートは流れるようなドレーピングでさらに迫力を増す。フライトジャケットは鎧のようなショルダーパーツが付き、無骨なバイカーズジャケットは超ショート丈にしてミニマルにするなど、振り切ったデザインを定番品に加えて強いスタイルを形成していく。これまでのストリートに軸足を置いたリアルクローズから大きく舵を切り、ハイファッションに向かう姿勢をにじませた。

 同ブランドのインスタグラムのフォロワーは約1万8000で、12分間のショーを配信したインスタライブの視聴者数は常時170〜200人。スマートフォンの画面越しでは実物のキモである素材感をはじめ、ディテールやモチーフはやはり伝わりにくいが、視聴者は“実況”感覚で複数の人とショーを共有できる楽しさがあり、ブランドは投稿されるコメントを通じて視聴者のタイプも見られる。そして中継はインスタライブのみにし、動画は数台のムービーカメラで撮影することに徹したのも今回は英断だった。同日には別ブランドが無観客ショーを一発勝負でライブ配信したものの、不安定なネットワークによって配信が途切れたり、時間が唐突に巻き戻されたりして集中できなかったからだ。さらにショーを配信する場合はBGMに著作権が発生するため、無音での配信となってしまったのももったいなかった。「フォーサムワン」のショーBGMはLDH所属のDJ DARUMAによるオリジナル楽曲だったため配信でも問題なく使用でき、後日公開されるフル動画も含めて、視聴者にコレクションの世界観やアイテムの魅力は届けることができそうだと感じた。

「できれば直接見てもらいたかったが、楽しかった」

 ショーが終わると、小川社長はスタッフや関係者の拍手に迎えられて、安堵した表情でそれぞれに感謝の言葉をかけた。しかし、どこか複雑な表情にも見えた。その理由を「やっぱり直接見てもらいたかった」と切り出すと、今回のショーにかけていた思いが溢れ出した。「自分たちのコミュニティー以外の人たちにも知ってもらいたかったので『RFWT』への参加を決めた。アイテムの型数もほぼ倍に増やして準備していたが、こういう状況で中止になってしまった。でも今後はショーの配信も増えて動画の時代になっていくはずだ。だから僕たちもプランを変更し、配信でも見やすい会場構成に急きょ変更して無観客ショーを実施することに決めた」。クリエイションで見せた変化については、「これまではアイテム単品の強さを意識してきたが、今回はその積み上げてきた物作りを一つのスタイルとして再構築し、トータルの世界観で提案することを意識した」と語る。さらに、見た目の派手さやキャッチーさの追求から解放されたことで「自分が好きな映画やパンクの要素を入れて、より等身大の物作りができた」と続けた。現在は直営店とオンラインストアのほか、国内は伊勢丹新宿本店メンズ館やヌビアンなど11アカウント、海外はセルフリッジ(SELFRIDGES)など7アカウントで卸も行う。今後は「販路は増やしたいが、世界がこの状況なので様子を見ながら」と慎重な姿勢を見せた。

 「RFWT」の中止を受け、さまざまなブランドが発表方法の変更を余儀なくされている。ショーを行うことだけが決して全て正しいわけではないし、デザイナーが100人いたら100通りの表現があってしかるべきである。しかし「フォーサムワン」が無観客ショーで新たな一歩を踏み出せたのは、自分たちのやり方を信じ、萎縮せずに真っ向勝負を挑んだからこそ。小川社長や現場スタッフの「できれば直接見てもらいたかったけど、楽しかった」という言葉が、現時点での全てを出し切ったことの何よりの証拠だろう。現場の静かな闘志に、会場にいた数少ない業界関係者の一人として心を動かされた。ファッションショーというフィジカルな場とデジタルの融合にはまだまだ可能性があるし、こんな状況だからこそメディアも含めてみんなでその可能性を探るチャンスでもある。暗いニュースが続く世の中で、ファッションを通じて道を切り拓こうとした「フォーサムワン」の姿勢には素直に拍手を送りたい。

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ヴィクトリアズ・シークレットは時代を作り、時代に追い越された 鈴木敏仁のUSリポート

 アメリカ在住30年の鈴木敏仁氏が、現地のファッション&ビューティの最新ニュースを詳しく解説する連載。今回は、このほど投資会社に売却されたヴィクトリアズ・シークレット。あれほどの輝きを放ったブランドはなぜ失速したのか。

 Lブランズ(L BRANDS)が傘下のランジェリー専門店チェーン、ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA'S SECRET)の株式55%を投資会社に売却すると発表したのは2月のことである。買収するのは投資会社シカモア・パートナーズ(SYCAMORE PARTNERS)で、買収額は5億2500万ドル(約556億円)だ。Lブランズの会長兼CEOのレスリー・ウェクスナー(Leslie Wexner)は退任して、取締役兼名誉会長に就任する。

 ヴィクトリアズ・シークレットの不調は5年ほど前からで、メディアもかなり書いており、周知の事実となっていた。デジタル戦略の遅れについてメディアに質問されたときに、ウェクスナー氏が「人はモールに来る、リアルで十分だ」と強弁していたのを覚えている。80歳を超えてそろそろこの人も老害の域に入ってきたなと感じたものだ。

 いまだ45%を所有しているとはいえ、筆頭株主として管掌することはできなくなったため、ヴィクトリアズ・シークレットの再建はシカモアの手に委ねられることになった。しかしウェクスナー氏がほんとうに手を引くのか、院政を敷くのでないかという見方も強く、いまだこの企業の未来は混沌としているのである。

 ヴィクトリアズ・シークレットの売上高のピークは2016年の77億8100万ドル、店舗数は15年の1131店舗である。Lブランズは決算資料で単位面積当たりの売上高を公開しているのだが、スクエアフィート当たり売上高のピークは15年の864ドルとなっている。実は11~13年前あたりをピークとしていったん数値が下り始めたことがある。06年にCEOとなったシャレン・ターニー(Sharen Turney )氏がこの成長の踊り場を乗り越えて再び成長軌道に乗せた。そんな経緯があったのだが、16年にターニー氏が辞任し、ここから同社の迷走が始まっている。

 ターニー氏の辞任は突然のことで、その理由については憶測の域を出ない。ウェクスナー氏と確執があったのか、トレンドの変化についていけなくなって自ら降りたのか分からないのだが、一般的にはターニー氏を失ったことがヴィクトリアズ・シークレットの終わりの始まりだったといわれている。

 同社の成長は80年代からスタートした。それまでベージュや白が主体だった当時のランジェリー市場で、ファッション性の高いデザインで登場し、いわば真空地帯を突き進むように一気に成長したのであった。

 潮目が変わったのが2010年を超えたあたりからで、よりナチュラルなスポーツブラやブラレットがはやり始めて、セクシーなプッシュアップブラが過去のものになってしまった。ちょうどこの時期に、モデルを使った広告でレタッチを駆使していることが喧伝されたりして、加工された美しさが批判され始めて、自然のままが美しいという美意識の変化が起きている。

 セクシーなランジェリーを着たモデルにランウエイを歩かせる、派手なファッションショーを毎年開催し注目を浴びるといった有名なマーケティング手法も、この新しいトレンドでは逆効果となってしまった。

参入障壁が下がってライバルが成長

 この時期に新興ブランドや企業が続々と生まれたが、トレンドそのものがシンプルなので、参入が容易で競合が一気に激しくなったのであった。例えば06年にアメリカン・イーグル・アウトフィッターズ(AMERICAN EAGLE OUTFITTERS)が開発したランジェリーブランド「エアリー(AERIE)」は、修正した派手な広告画像を使うのをやめ、さらにいろんな体形のモデルを採用することで急成長している。量販店のターゲット(TARGET)が昨年投入したのも新しいランジェリーのPB(プライベートブランド)ラインで、予測年商は10億ドルである。

 デジタルネイティブの企業もどんどん登場している。12年創業で急成長しているのが「アドア・ミー(ADORE ME)」で、16年にはマンハッタンに店舗をオープンしている。またヴィクトリアズ・シークレットに次ぐネット通販ランジェリー売上高を標榜しているベア・ネセシティーズ(BERE NECESSITIES)を昨年10月に買収したのがウォルマート(WALMART)で、さらにアマゾン(AMAZON)は「メイ(MAE)」と呼ぶPBラインを開発している。

 高価格帯にはサードラブ(THIRD LOVE)やライブリー(LIVELY)という企業が伸びている。

 低価格帯、高価格帯、ネットと四方に競合が生まれて囲まれてしまい、自らはトレンドの変化に対応できずにじり貧に陥ってしまった。これがヴィクトリアズ・シークレットの敗因なのである。

ファストファッションの原型をつくったウェクスナー氏

 レスリー・ウェクスナー氏はいまのアパレル専門店業界の礎を作った人だと言っても過言ではない。

 1963年にリミテッド(LIMITED)を創業、デパートメントストアが強く、女性の衣料も多様なカテゴリーを一つの店舗で売るのが常識だった時代に、ウェクスナー氏は品ぞろえをモデレートプライス(手頃な価格)のスポーツウエアに限定した。アメリカのスポーツウエアとは普段着のこと。ここにカラフルなファッションを取り入れたのであった。リミテッドという社名はこの”限定”から来ている。

 また卸会社を買収し、製造も手がけて自社ブランドを開発し、また商品の投入サイクルを早めて回転を上げるという仕組みを作り上げて成功した。専門店チェーンによるPB開発も、サイクルを短くするという取り組みも、当時は他にはなくてリミテッドがパイオニアだった。いまのファストファッションの原型を作ったのである。

 多角化にも積極的で、買収、またはゼロからの開発で多数の専門店を生み出していった。その中でヴィクトリアズ・シークレットとバス&ボディワークス(BATH & BODY WORKS)が大きく成長。この2つに軸足を徐々に移して他のブランドを次々に売却し、最後に残ったリミテッドを投資会社に売却したのが2007年のことである。

 次々とブランドを生み出し、または買収し、成長させて、乗り換えていく、という戦略こそがウェクスナー氏の真骨頂なのである。だとするならば、2010年の頃にシンプルさを主軸に据えた次のランジェリーブランドを開発または買収すべきだったのだが、そRができなかったのは彼の経営力がすでにピークを越えて下り坂にあったからなのだろう。

 リミテッドでアパレル業界に革新を起こし専門店を集積した一大帝国を築き上げたウェクスナー氏が、最後にバス&ボディワークスだけ残して消えてゆく姿に、時代の流れというものを感じて感慨深い。

鈴木敏仁(すずき・としひと):東京都北区生まれ、早大法学部卒、西武百貨店を経て渡米、在米年数は30年以上。業界メディアへの執筆、流通企業やメーカーによる米国視察の企画、セミナー講演が主要業務。年間のべ店舗訪問数は600店舗超、製配販にわたる幅広い業界知識と現場の事実に基づいた分析による情報提供がモットー

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美術史を学ぶアイドル和田彩花の「#これが私の美しさ」とは?

「自分らしい美しさ」を提唱する「ボビイ ブラウン(BOBBI BROWN)」は今春、豊富なカラーバリエーションを揃えた人気の美容液ファンデーション“インテンシブ スキン セラム ファンデーション SPF 40(PA++++)”発売5周年を記念したキャンペーンをスタート。「#これが私の美しさ」というハッシュタグとともに、女性が自分らしさを持って、個々の美しさを臆せず発信できる環境が広まることを願う。そこで「WWD JAPAN.com」は、自分らしい人生を歩み、輝く女性にインタビュー。自信を抱けるようになるまでの葛藤、確立したオリジナリティー、そして、「#これが私の美しさ」と言える自分らしさに迫った。初回は、ハロー!プロジェクトの「アンジュルム」の元メンバーで、アイドルとして活動しながら、もうすぐ大学院で美術史を修了予定という和田彩花。一風変わったアイドル、そして、研究したエドゥアール・マネ(Edouard Manet)の作品から学んだオリジナリティーの重要性などを聞いた。

WWD:もうすぐ大学院を修了予定ですが、改めてナゼ、そこまで美術の勉強を?

和田彩花(以下、和田):「そんなに勉強してスゴイね」と言われるんですが、私にとってはスゴく単純で「スキを押さえきれなかった」だけなんです。片足を突っ込む形で研究を始めたら、心が豊かになるだけでなく、さまざまな世界を知ることができて、ますます面白くなったんです。特にマネは、今では“癒やし”以上の存在ですね(笑)。

WWD:エドゥアール・マネを知らない私たちに、その魅力を教えてください(笑)。

和田:マネは、伝統的な約束事に縛られず、近代絵画の世界を開拓した画家なんです。それまでの画家は、歴史や物語をテーマに、大胆なポーズを用いながら、大画面に描くことで評価されてきました。けれどマネは、レアリスム(写実主義)の視点を大切にした。歴史的なテーマは初期に見られる程度で、以降は身近な人物を数多く描いています。修行時代には、モデルに自然な仕草をリクエストしたという逸話もあり、日常の一場面を切り取ろうとしました。それが、近代化して劇場やカフェが誕生したパリの時代とマッチしたんです。それまでの絵画は筆跡を残さないのが当たり前でしたが、マネ以降の近代画では、タッチや画材さえ個性と捉えられるようになりました。

WWD:美術の世界で個性を模索した先駆者を学んでからは、アイドルとしての生き方も変わった?

和田:大きく変わったと思います。例えば以前は、韓国コスメのブームも手伝い、私も美白に憧れたんです。でも、全身に塗る美白クリームを数多く見るようになった時、違和感を抱いたんです。保湿より美白な製品は私にとって、本来の自分を置き去りにしてしまう感覚を抱かせるんです。同時に美術を通して、いろんな人が包み隠さず自分らしさを突き詰めてきた歴史を知り、「自分らしいメイク、自分らしいスタイル」を大切にするようになりました。私はウォーム系の肌色なので、今はオレンジ系のリップをよく使っています。

WWD:そんな和田さんには、素肌感を大切にする“インテンシブ スキン セラム ファンデーション”がピッタリな気がします。

和田:つけた瞬間の心地良さがスゴいですね。とても軽くて、保湿の延長線上にあるベースメイクだと思います。私は血管が浮き出やすくて、目の下のクマも気になるんです。隠そうと思ってファンデーションを塗ると、マネのタッチとは全然違う、凹凸のない肌に仕上がってしまう(笑)。「ボビイ ブラウン」は、そんな悩みを解消してくれそうです。

WWD:もうすぐ大学院を修了しますが、今後は?

和田:絵画に興味がない人に魅力を伝えたいですね。一方で私も、表現者としての道を歩みたいとも思います。「アイドルはファンに“キュンキュン”してもらうためだけに歌っているワケじゃない」と思っていて、自分の考えや気持ちを伝えるため作詞もするようになりました。私自身は水着になることも拒否します。アイドルにも、水着を着る・着ないの自由があるべくだと思っています。昔のアイドル像と比べたら「何言ってるの!?」って言われるかもしれません。その反応は、ある意味仕方のないこと。でも私は、私自身と相手自身、両者に選択肢があって良いと思うんです。大事なのは、ファンの皆さんと私、どちらかが優位に立つのではなく、一方が他方の期待に応え続ける歪んだ関係性にならないこと。それが、「#これが私の美しさ」と思える、私らしい姿だと思っています。

「ボビイ ブラウン」は今春、ベストセラーの「インテンシブ スキン セラム ファンデーション」発売5周年を記念し、アンバサダーを通して、すべての女性が自分の魅力に気づき、自信に満ちて輝いて欲しいと願う「#これが私の美しさ」キャンペーンに取り組む。それぞれが考える自分自身の美しさを、「#これが私の美しさ」のハッシュタグと共に ソーシャルメディア(Instagram、Twitter)に投稿すると(4月30日まで)、合計1000人以上にプレゼントが当たるキャンペーンだ。「インテンシブ スキン セラム ファンデーション」は、和漢生薬の「冬虫夏草(フユムシナツクサタケエキス(保湿成分))」と、海洋プランクトンの一種「アルテミアエキス(保湿成分)」で構成されるアクティブエナジーコンプレックスにより、ツヤに満ちる生き生きとした肌印象へ導く。同シリーズのコンシーラーも3月には新しいフォーミュラとなって登場した。

問い合わせ先
ボビイ ブラウン
0570-003-770

 

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まだ、あなたが知らないニューヨーク最新トレンド Open Secrets of Red Carpet Business:レッドカーペットビジネスの裏表

 ニューヨークで活躍する名物クリエイティブ・ディレクター、メイ(May)と、仕事仲間でファッションエディターのスティービー(Stevie)による連載第6回。仕事とは別に、月に1、2度は新しいレストランを開拓しながら情報交換する2人。“You’d Better Be Handsome”は、2人がときにゲストを交えて、ニューヨークのトレンドや新常識について雑談する 。今回は、メイのクリエイティブ・エージェンシーでプロデューサーを務めるレイチェル(Rachel)もランチに初参加。ちょっと前に一息ついた今年の映画祭アワードシーズンについて3人で振り返る。レッドカーペットは、ファッション界では広告としての意味を持つ実に大きなビジネス。その表と裏の事情を分析する。

 本日のランチは、現在マンハッタンに3店舗を構えるビーガンフードカフェ兼 有機ワインバー「ル・ボタニスト(LE BOTANISTE)」。ベルギー発の「ル・パン・コティディアン(LE PAIN QUOTIDIEN)」のシェフ兼創業者であるアラン・クモン(Alain Coumont)が考案した新しいプラントベースのオーガニックフードを提供する。昔の薬局をイメージした店内の薬品棚にはアランが所有するぶどう園で造られた天然有機ワインが並ぶ。ソーホー店は127 Grand Street, New York NY 10013 Ph. 646 870 7770

スティービー:ここでのランチは、やっぱりチリシンカルネのボウルかな。肉が入ってないから、スペイン語で“抜き”を意味するシンカルネ=肉抜きってこと。

メイ:ここが「ル・パン・コティディアン(LE PAIN QUOTIDIEN)」の系列、と聞いて納得!

スティービー:レイチェルとは、 「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」のショー以来だね。

メイ:映画祭の話には、セレブ“裏”ネタに詳しいレイチェルが必要だから。

レイチェル: 映画祭アワードシーズンのフィナーレ、第92回アカデミー賞が2月9日に終わって、余韻に浸る暇もないうちにコレクションシーズンに突入してしまうなんて、ファッション業界は一息つく暇がまったくない。

メイ:ところでロスはどうだった?「ヴァニティ・フェア(VANITY FAIR)」誌のアフターパーティーに出席したんでしょ?

スティービー:「ヴァニティ・フェア」誌のアフターパーティーって、オスカーに出席した後、みんな一度着替えて出席するんだよね?

レイチェル:そう。でも今回はサステナビリティを意識した選択肢が目立っていた。いちばんは「マリッジ・ストーリー」で助演女優賞を獲得したローラ・ダーン(Laura Dern)が、1995年と2014年に公の場で着たことがある「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」のドレスに「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」のピンクのプレザーを合わせて登場したことかしら。

スティービー:モデルのリリー・アルドリッジ(Lily Aldridge)も、トム・フォード(Tom Ford)がデザインしていた2004年秋冬コレクションの「グッチ(GUCCI)」を着ていてかっこよかった。

メイ:それにしても、レッドカーペットビジネスって年々大きくなってる?

スティービー:それに並行してブランド間の競争も激化している気がする。レッドカーペットがブランドの勢いを証明する場みたいなものだから。

レイチェル:「アカデミー賞」の時期になると、ヘアスタイリストもメイクアップアーティストもみんなロスに呼ばれて、ニューヨークでは撮影が成り立たなくなるという状況に陥る。ロスのホテルも、普段なら300ドル(約3万1200円)で泊まれる部屋が1500ドル(約15万6000円)くらいに跳ね上がるし。この時期に用事がない人は、ロスに近寄るべからず。

メイ:そもそもレッドカーペットって、どれくらいの長さ?

レイチェル:「アカデミー賞」のレッドカーペットは、500フィート(約152メートル)と決まっているらしい。ジョージア州で作られていて、総面積にすると約4646平方メートルだとか。

スティービー:カメラ陣が構えているレッドカーペットを通って会場に入っていくわけで、そこで誰がどのブランドを着ているか、一瞬で勝ち負けが見えるわけ。勢力図も毎年着実に変わっていくし。

メイ:その500フィートのために、すごい時間とお金がかかっているってことね。

華麗なレッドカーペットの裏で
熾烈なブランド争奪戦争

スティービー:やはり「シャネル(CHANEL)」「ディオール(DIOR)」「グッチ」「ジバンシィ(GIVENCHY)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「ジョルジオ アルマーニ」「ステラ・マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」「ヴェルサーチェ(VERSACE)」といったヨーロッパ勢が圧倒的に多いし強い。「オスカー デ ラ レンタ(OSCAR DE LA RENTA)」「トム フォード」「ヴェラ・ワン(VERA WANG)」などアメリカ勢も地味に続くという構図。

レイチェル:例えば今回いろんな映画祭でノミネートされていたマーゴット・ロビー(Margot Robbie)は「シャネル」とフレグランス契約を交わしている。だから「シャネル」が当たり前のように旬なドレスを提供してくれるというわけ。もしかしたら契約に、映画祭では必ず「シャネル」を着用することと書かれている可能性も大。そうでなくても、分かりやすいプレッシャーがあるはず。

メイ:同様に今回よく登場したシャーリズ・セロン(Charlize Theron)だけど、彼女は長年「ディオール」のフレグランス「ジャドール(J'ADORE)」のミューズ。だから結局オスカーも、ゴールデングローブも、「英国アカデミー賞(BAFTA)」もドレスは全て「ディオール」だった。

スティービー:そういう意味では、女優と契約をたくさん結んでいるメゾンが圧倒的に有利になるよね。例えば「シャネル」だとマーゴット・ロビーのほかにクリスティン・スチュワート(Kristen Stewart)、ペネロペ・クルス(Penelope Cruz)、そして最近マリオン・コティアール(Marion Cotillard)が「シャネルNo.5」のモデルとして発表されたばかり。彼女は長い間、「ディオール」のミューズだったから、数年の期間を置いて。そのあたりはちゃんと配慮している感じ。

レイチェル:以前「シャネルNo.5」の顔だったジゼル・ブンチェン(Gisele Bündchen)は、今は「ディオール」ビューティの広告に出ているし。野球のトレードに似てるかも?もしかして直接メゾン同士が話し合ってたりして?

メイ:「ディオール」はジェニファー・ローレンス(Jennifer Lawrence)、ナタリー・ポートマン(Natalie Portman)、今を輝くベラ・ハディッド(Bella Hadid)も抱えているし。

スティービー:オスカーって、他の映画祭と大きく異なるのは、世界225カ国地域で生中継されていること。そんな規模の映画祭、というか、イベントはほかにはないよね?考えられるのはオリンピックくらい。

レイチェル:どんなテレビ広告も、雑誌広告もビルボードも、足元にも及ばない。

メイ:しかもノミネートされたり受賞したりの話題の女優が着てくれるわけだから、メゾンも真剣になるわけ。オスカー前のハリウッドって、各ブランドがショールームを設置して営業しているけど、それくらいの価値は十分にあるわね。

スタイリストの政治力によっても
女優の仕事が左右される?

スティービー:女優たちとの契約ももちろん大事だけど、裏で働くスタイリストたちの活躍も大きい。

メイ:私たちも何度も仕事をしているケイト・ヤング(Kate Young)は、マーゴット・ロビー、ミッシェル・ウィリアムス(Michelle Williams)、シエナ・ミラー(Sienna Miller)、ダコタ・ジョンソン(Dakota Johnson)、ナタリー・ポートマンを抱えている大物。彼女は気さくな性格でエージェントにも好かれているから、一人のセレブを持つと、次々に同じエージェンシーが抱えるセレブのスタイリングを頼まれるみたい。

雑誌のクレジットなどでは見かけないけど、大物セレブスタイリストのレスリー・フレマー(Leslie Fremar)もシャーリーズ・セロン、ジュリアン・ムーア(Julianne Moore)、ジェニファー・コネリー(Jennifer Connelly)、レア・セドゥ(Lea Seydoux)を手掛けている。特にシャーリーズ・セロンは、レスリーと11年も継続しているらしい。

ほかにもロンドン在住のエリザベス・サルツマン(Elizabeth Saltzman)は、レッドカーペットだけではなく広告の仕事でもグウィネス・パルトロウ(Gwyneth Paltrow)が長年信頼を寄せているスタイリスト。最近は若手のシアーシャ・ローナン(Saoirse Ronan)もエリザベスをご指名らしい。彼女たちは実際のところ、センスはもちろん、仕事もきっちりするし、人間関係もきちんと築ける一流のスタイリストたち。

レイチェル:そのあたりがセレブスタイリストの大御所。このほかにも、セレブが信頼を寄せる若手スタイリストも多い。

スティービー:レッドカーペットの一瞬にどれだけ好印象が残せるかで「ディオール」のキャンペーンが継続するかどうかも決まるかもしれないし、次の映画の話が来るかもしれないわけだから、自分を最高に輝かせてくれるスタイリストにはいくらでもお金を払うわけだよね。

メイ:というか、実際どれくらい払っているかな?

スティービー:まちまちだとは思うけど、1日のフィーで約1万ドル(約104万円)くらい払っているのでは?しかも1日で終わる仕事じゃないから、準備で3日、フィッティングで2日、当日1日と考えると、1つの映画祭につき1人の女優で500万円くらいということになる。例えばブランドが「シャネル」と決まっていても「シャネル」から何着も借りてくるわけで。彼女たちがロンドンやニューヨークから移動するためのビジネスクラスの渡航費、一流ホテル代、車代、アシスタント代などなど、経費も相当のはず。

メイ:ってことは、ノミネートされている女優を数人抱えていたら、1シーズンでけっこう稼げるってことだね。でもこのニッチなエリアに新規参入するのは難しそう。

レイチェル:スタイリストの間でも、どのドレスを借りられるかは力の見せどころ。

スティービー:忘れてはいけないのは、雑誌やウェブマガジンで取り上げられるレッドカーペットの写真は、今回ノミネートされている俳優中心になるけど、ステージに上がらない後ろの方に座っているセレブリティーも結構いて、この人たちのスタイリングも必要となる。そう考えると本当にすごい量の服がこの時期ハリウッドに集中すると。

メイ:オートクチュールの直後で、ニューヨーク・コレクションの最中という過酷なスケジュールで、服の運び屋としてロスとパリを往復するアシスタントの話を聞いたことがある。

レッドカーペットにも
サステナブルの波

スティービー:今年のアワードのもう一つの話題は、サステナビリティを意識したチョイスが目立ったこと。「アカデミー賞」で主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックス(Joaquin Phoenix)は、ステラ・マッカートニーに作ってもらった タキシード一着を全イベントで着用したことが話題になった。

レイチェル:それが話題になるって、やっぱりセレブの世界では同じドレスは2度着てはいけないという暗黙のルールが存在したってことよね?

メイ:ほかにもビンテージを選択することで、アップサイクルしていることをアピールしている女優さんもちらほら。マーゴット・ロビーも、「シャネル」の1994年春夏クチュールコレクションのビンテージを着ていた。キム・カーダシアン・ウエスト(Kim Kardashian West)も、2003年春夏の「アレキサンダー・マックイーン」のドレスを着て、アフターパーティーに出席していたわね。センスの見せどころよね。

スティービー:でも新しい服を買ってもらえないと、メゾン側はこんなに投資している意味がないわけで。その微妙なバランスを毎回チェックしながら進めている。間違っても今どきリアルファーはあり得ないし。

METガラは東海岸のオスカー

メイ:映画祭ではないけれど、レッドカーペットと言えば、ニューヨークで毎年5月の第一月曜日に開催される「メット・ガラ(MET GALA)」も外せない。映画関係者だけでなく、リアーナ(Rihanna)やキム・カーダシアン・ウエストのように音楽界やリアルテレビ界からも招待されるから、映画祭よりもっと派手。

レイチェル:メトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art)にあるコスチュームインスティチュートの新しい展示会開催に合わせて開かれるガラ。同美術館が今年開館150周年ということもあって、2020年のテーマはフランスの哲学者アンリ・ベルクソン(Henri Bergson)の概念“持続”らしい。1年前の“キャンプ”よりもさらに哲学的。このテーマに合わせてドレスを選ぶのって、なんだか難しそう。

スティービー:今年の協賛は「ルイ・ヴィトン」。ニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)のミューズたちが勢ぞろいする。

メイ:「メット・ガラ」は、米「ヴォーグ(VOGUE)」のアナ・ウィンター(Anna Wintour)の独裁ショーみたいなものだから、「ヴォーグ」に広告を出しているブランドはもちろん、彼女が応援する若手デザイナーたちにもそれぞれミューズがあてがわれ、世間に自分をアピールする機会となるわけ。

レイチェル:みんなクールにレッドカーペットを歩いているけど、すごい努力の結果なのね。

審査員に女性やマイノリティーが増加

スティービー:今回の「アカデミー賞」は、韓国のボン・ジュノ(Bong Joon-Ho)監督の「パラサイト 半地下の家族」が作品賞を含む4つの賞を受賞してみんな本当に驚いた。

メイ:「カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)」でも最高賞をもらっていたから、十分に可能性はあるとは思っていたけどまさかの4つ。

レイチェル:「アカデミー賞」、通称オスカーは、“アカデミー”と呼ばれる映画のプロフェッショナルから構成されていて、2020年の「アカデミー賞」に新たに招待された審査員842人のうち50%が女性、そして29%がマイノリティーだったことも今回の結果に影響している。「LAタイムス(Los Angeles Times)」によると、全体の構成を見ると12年の時点で77%が男性、94%が白人だった。女性やマイノリティーが多く参加したとは言っても、現在も68%が男性、84%が白人と、やはり白人男性がまだまだ強い影響力があると言われているけれど、今後変わっていくのでは?

スティービー:その件については、すごく叩かれたからね。今年もノミネートされていた俳優陣がほとんど白人というので、“#oscarissowhite”というハッシュタグが出回ったほど。

メイ:ボン・ジュノ監督の快挙は、突然起きた出来事ではなく、彼はハリウッドでも作品作りをしてきたし、「パラサイト」の製作をした韓国の大手CJグループはドリームワークスに最初から投資するなど、時間とお金をかけてきた。ブランドビジネスも同じで、トレンドよりも、自分の中から湧き出てくる本質的なところで勝負することが大事。時間をかけてオーディエンスを育て、人種も文化もライフスタイルも超える圧倒的な存在感をアピールしていくことが世界で勝つためには必要ってこと。

スティービー: CJは僕もよく仕事をしているけど、一人の力じゃ大きくは咲けない、チームワークの大切をオスカーはいつも教えてくれる。

メイ/クリエイティブディレクター : ファッションやビューティの広告キャンペーンやブランドコンサルティングを手掛ける。トップクリエイティブエージェンシーで経験を積んだ後、独立。自分のエージェンシーを経営する。仕事で海外、特にアジアに頻繁に足を運ぶ。オフィスから徒歩3分、トライベッカのロフトに暮らす

スティービー/ファッションエディター : アメリカを代表する某ファッション誌の有名編集長のもとでキャリアをスタート。ファッションおよびビューティエディトリアルのディレクションを行うほか、広告キャンペーンにも積極的に参加。10年前にチェルシーを引き上げ、現在はブルックリンのフォートグリーン在住

レイチェル/プロデューサー : PR会社およびキャスティングエージェンシーでの経験が買われ、プロデューサーとしてメイの運営するクリエイティブ・エージェンシーで働くようになって早3年。アーティストがこぞってスタジオを構えるヒップなブルックリンのブシュウィックに暮らし、最新のイベントに繰り出し、ファッション、ビューティ、モデル、セレブゴシップなどさまざまなトレンドを収集するのが日課

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10年ぶりにパリコレに復帰した冨永愛 モデルと「美の法則」について語る

 17歳でモデルデビューし、今年38歳を迎える冨永愛。3月に行われた2020-21年秋冬パリ・ファッション・ウイークではランウエイを歩き、10年ぶりにパリコレ復帰を果たし話題になった。現在はモデルのみならず、女優、執筆、テレビ、ラジオ、イベントでのパーソナリティーなど活躍の場を広げている。その冨永の初となるビューティブック「冨永愛 美の法則」(ダイヤモンド社)が3月12日に出版された。長年トップモデルでいるための肌や体のケアから生き方、パリコレ復帰について語った。

WWD:「冨永愛 美の法則」を発刊することになったきっかけは?

冨永愛(以下、冨永):自ら企画して1年くらいあたためてきたものです。最終的に美容本としてまとまっていますが、自分の生き方や考え方も盛り込まれているのでライフスタイル本でもあります。美に関しては食事、トレーニング、肌や体のケアなど、これまでの積み重ねで現在に至り今の答えに行きついたからこそこの本を出すタイミングになったのだと思います。

WWD:これまでの積み重ねの集大成だと。

冨永:今の冨永愛が成り立つ要素の全てがここに書いてあります。10代、20代ってそんなに美については考えてこなかったと思うのですが、30代になり年齢的な変化を迎えて自分と向き合い、答えに至るまでの月日が流れて“時が満ちた”という感じですね。

WWD:具体的な日々のスキンケアについてのこだわりは?

冨永:保湿に関しては若い頃からずっと大事にしていて、コスメは合う合わないがあるから実感できるものや効果で選んでいます。私はもともと乾燥肌だったのですが、外からの保湿だけでなく、いいオイルを摂取したり、じんわり汗をかくような運動をしたりするなど、肌の血流がよくなることによって、内側からも巡りをよくするように心掛けています。それによって乾燥が改善されましたね。食べるものから細胞は作られるし、どういう生活を送っているのかが関係してくるので。

WWD:トレーニングはどのくらいのペースで行っている?

冨永:ジムやヨガに通っているのですが、だいたい週3回くらいは運動しています。3月にパリコレに行っていたときは週1回くらい。時間が許す範囲です。運動は20代に出産してから始めたかな。運動ってメンタルにすごく影響していて、身体を動かすとネガティブに考えにくくなったりもするし。そして運動することでよい睡眠がとれるからメンタルにもよく、いろんな作用があると思います。

WWD:食事で気を付けていることは?

冨永:体調管理として自分で作れるときは毎日作ります。ドラマの撮影だとケータリングも多くなりがちで、そうなったときに体調で「あれっ」と思うときがあったので、家で作って持って行ったりしていました。肉や野菜はバランスを考えています。お肉は食べる時間や量を気にしていますね。今のところお昼に食べるのがベストかな。身体にあまり負担にならないような食べ方を意識しています。

WWD:ストレス発散や切り替え方法は?

冨永:寝ることです。夜12時くらいまでにはなるべく寝るようにして7時くらいに起きています。睡眠時間は最低7時間確保したい。美容面においても十分な睡眠は大事ですし、7時間以下だと、どうしてもパフォーマンスが落ちてストレスもたまってしまうので。

普段から基礎をつくっていると
大変な時に乗り切れる

WWD:スキンケア、食事、運動、睡眠といったトータルとしてのライフスタイルが大切だと。

冨永:そうですね。結局全てつながっているんだと思います。どれもおろそかにできない。もちろん仕事の関係でおろそかになってしまうときもあるから、そうなってしまうときのために普段からしっかりし基礎をつくっておくと、忙しい時も乗り切れるんだと思います。

WWD:本の中でとくに思い入れの強い章やエピソードは?

冨永:全部かな(笑)。一つを選ぶのは難しいですね。チームのスタッフみんなで考えて作り上げたものなので。

WWD:本の売り上げの一部をジョイセフ(JOICFP)に寄付するとのことだが、あらためてジョイセフではどんな活動をしている?

冨永:ジョイセフとは、女性の健康といのちを守る団体です。主に途上国の妊産婦の女性を支援しています。東日本大震災をきっかけに国内でも活動をしていて、今は途上国に限らず活動しています。医療面での現地のスタッフの育成や妊娠、出産、中絶に関わる医療施設の建設、マタニティーハウスの建設、この3つに関わるものの支援です。

WWD:その活動を通じで学んだこと、感じたことは?

冨永:学んだことはとても大きかったですね。10年ほどアンバサダーをしているのですが、世界で起きていることを知る前と知った後だと、自分がいかに恵まれた環境で生きているのかを感じますし、同じ女性として平等であるべきと思います。出産することは人生のギフトであるにも関わらず、生と死のギリギリのところに立たされてしまう。自分が生きているこの時間、同じ時間でそのような人たちも生きている。「これまでと何が違うのか」と聞かれると説明が難しいのですが、知る前と知る後では全然違う。自分の視野を広げることになったと思います。

WWD:それによって価値観や生き方にも影響を受けたと?

冨永:自分が恵まれているのではあれば、支援をするのは当たりまえだと思っています。東日本大震災の時もそうでしたが、皆さん「募金するだけで私たちは何もできない」とおっしゃったりしますが、でも募金することが素晴らしい一歩であって、活動を知る一歩でもあると思うんです。私たちはその基金で活動できているので、とても大きな力なんですよね。寄付することに関してそう考える日本人の奥ゆかしさを感じます。その寄付がすごく大きなことなのですから。

パリコレの復帰で思うこと

WWD:10年ぶりにパリコレのランウエイに立って、モデルとして何か変化はあったか?

冨永:すごく変わりましたね。自分の年齢で歩けるということも時代の変化だと思うし、多様性と言われる時代だからこそ、10代のモデルや私のような30代のモデル、サイズ違いのモデルとか、国の違いも超えてランウエイに立てるようになったのかなと。そういった時代の流れがなければ、もしかしたら歩けていないかもしれない。それはすごく感じました。

WWD:さまざまタイプのモデルが登場してきていることに関してはどう思う?

冨永:これまでは若くて背が高いことがいいモデルの条件で、しかもそれは一握りでしたがそれ自体も多様化しており、さらに最近ではインスタグラマーやインフルエンサーなど、本業がモデルじゃない人にも門戸が開かれていますよね。誰でも歩けるというわけではないけれど、間口が広い分、激戦になり、モデルとしてはある意味難しくなっています。じゃあ何が必要かといったら「個性」になってくるのではないでしょうか。でも10年ぶり歩いて純粋に「帰ってきたな」という感じはしました。楽しかったし。デザイナーやスタイリストさんと、より関わりを持つようになったかな。以前は時間もなかったですし、現場に行って歩いて終わりだったんですが、「より理解しよう」とか「どうしてなんだとう」と思うようになったり。年齢だとも思いますが、いろんな意味で余裕が出てきたんでしょうね。

WWD:現場でとくに感じたことは?

冨永:モデルの待遇がすごくよくなったということですね。2017年にモデルの痩せすぎ問題や労働環境についていろんな人たちが声を上げてくれるようになったので、それはすごく変わっていました。水と食料はどこのブランドでもいつでもありましたし、モデルに対してのリスペクトを感じました。きちんと人間扱いをしているというか。それはうれしかったです。

WWD:パリのランウエイを久しぶりに歩いて、また来シーズンもチャレンジする?

冨永:何かよっぽどのことがない限り、多分トライすると思います(笑)。今、モデル以外にもしていることが多岐にわたっているので、一つ一つを丁寧にやっていきたいと思っています。もちろんモデルは自分の軸としてちゃんとやっていきたいですし、女優や執筆にしても軽くできないし、リスペクトして向き合いたいと思っているので、できる限りチャレンジしたいですね。

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東コレのショー中止で105ルックをウェブで公開 ピンチをチャンスに変える「ノントーキョー」の挑戦

 市毛綾乃による「ノントーキョー(NON TOKYO)」は、2020-21年秋冬コレクションをオンライン上で発表した。本来は3月17日に「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」内でファッションショーを開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響から中止が決まったことで発表形式をルックブック撮影に変更。ファッションショーでは約30ルックを発表予定だったものの、中止に伴い展示会や店舗へ足を運べない顧客へ配慮して、約50型の商品から105ルックのコーディネートを組む形にパワーアップさせた。スタイリングは「ノントーキョー」のディレクションを手掛ける中川瞬が担当した。

 20-21年秋冬コレクションは「アクティブ レジャー」がテーマ。市毛デザイナーがプライベートでレジャーを楽しむ時に感じた必要なファッション性から着想を得て、キャンプやヨガなどのスポーツやアウトドアの要素を取り入れた。今季からメンズウエアも本格的にスタートし、初めてメンズモデルを起用。これまでフリーサイズでの提案が多かったが、今季は2サイズに増やして、女性も男性も着用可能な商品幅を広げた。

手描きのグラフィックで
“地球の危機”を訴える

 「ノントーキョー」は前シーズンから再生繊維を積極的に採用するなど、サステナビリティを意識した取り組みも始めている。「地球と共存していくために、毎シーズン私たちにできることを考えている」と話す市毛デザイナーは今季、ペットボトルからできた再生ポリエステルを利用したコートを発表した。撥水素材でリバーシブルで着用でき、コンパクトに収納可能なパッカブル仕様になっている。さらに、グラフィックデザインでも環境問題を意識。地球を溶けたアイスクリーム見立てた絵や、スイカ割りのように地球を割っている絵、大量のゴミ袋をプレジデントデスク(大統領の机)に載せたものなど、シュールに地球の危機を訴えた。全てのグラフィックは市毛デザイナーの手描きによるもの。

 3月17日からビジネス関係者に向けた展示会を開催する。3月末には一般客に向けた受注販売を「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」と「シーナウトウキョウ(SEENOWTOKYO)」のオンライン上で開始する。

 「ノントーキョー」は上海ファッション・ウイークでの展示会も予定していたが、新型コロナウイルスの影響でのウイーク中止に伴い、渡航をキャンセル。日本国内の地方セレクトショップのバイヤーが出張を控える動きも出ており、展示会に来場できないバイヤーへはルックやディテール画像、商品詳細を送って対応するという。

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神戸のウィメンズ靴「マミアン」のベージュにこだわったシリーズが10周年 「ファンデーションのように肌を美しく見せる」で人気

 ウィメンズシューズブランド「マミアン(MAMIAN)」の、“履くコスメ”のようなシリーズ“アイコン2 ファンデーションズ(ICON2 FOUNDATIONS)”が、誕生から10周年を迎えた。「まるでファンデーションを選ぶように自分にぴったりのカラーのパンプスを見つけてほしい」とベージュにこだわったシリーズで、毎年さまざまなベージュカラーを生み出し人気を集めている。“アイコン2 ファンデーションズ”を作るのは、西の靴の産地である神戸市で長年OEM・ODM生産を行なってきたマミアンだ。マミアンが自社ブランドでこだわることとは。

WWD:自社ブランド「マミアン」を立ち上げた理由は?

マミアン商品企画担当者(以下、企画担当者):「マミアン」を立ち上げたのは2006年です。それまで30年近く製造・卸を行ってきましたが、せっかく自分たちで靴を作れる環境があるのに、取引先に依存するOEM・ODM生産や卸しか行わないのはおかしいという思いがありました。また当時は靴の製造の依頼を工場や仕入先を日本(神戸)から、中国に変更していった時代で、メーカーとして卸すというメインの事業が縮小していくことが目に見えていました。ネット通販だったら、無名の靴メーカーでも比較的低リスク、低コストで自社ブランドを販売できるのではないかと立ち上げました。

WWD :ほかのブランドにはない強みは?

企画担当者:まず、自社ブランドを製造するラインを、既存ラインとは別で作るなど、車内環境、EC事業の環境を作ることに苦労しました。ただ、靴業界全体をみても、自社工場で自社ブランドを製造、販売しているブランドは少ないと感じています。納期や需要への素早い対応ができるのはほかにはない強みです。

WWD:現在の販路と売り上げはどうでしょうか?

企画担当者:現在、自社ECに加え、神戸に直営店を1店舗展開しています。売り上げは、2019年は前年比40%増と好調で、毎年30〜40%増で推移しています。

WWD:誕生から10周年を迎えた“アイコン2 ファンデーションズ”は、「マミアン」の看板商品の一つになっています。立ち上げた理由は?

企画担当者:「マミアン」の中の“アイコン”シリーズは、機能性パンプスとして打ち出しています。“アイコン”のブラックパンプスは好調でしたが、もっとデイリーに履ける素材を提案してみたいと感じ、一般的なカラーであるスムース素材のベージュを差し込んでみたんですが、あまり売れず……。ですがヌードベージュ、ヌードカラーなどの需要が高まっており、お客さまからエナメルのベージュがほしいという声が多くあったんです。加えて、ベージュの靴に対して、お客さまの声に「私の足の色には合わない」「もっと赤みのあるベージュが好き」「もっと明るいベージュがほしい」などがあり、ベージュといっても幅が広いことがわかりました。

実際、ベージュのパンプスを履いている女性を街中で見たときに、足と近い色味であればあるほど、足が長くきれいに見えることも感じたんです。そこから、「足の肌の色に合わせてベージュの靴を選べたら嬉しいのでは?」という発想から、肌と関連つけた提案、「まるでファンデーションを選ぶように、自分のカラーが見つかります」という思いから、ネーミングも考えました。足が痛くなりにくい全面クッションや、外反母趾でも指周りが痛くなりにくいアッパー裏メッシュ加工、雨でも滑りにくいグリップ加工底を採用しているので、もちろん美しさだけでなく、快適さも備えています。

WWD:“アイコン2 ファンデーションズ”10周年で、“グレージュ”8色(スムース3色、エナメル3色、スエード2色、各8900円)を提案しています。それにより、テーマも“肌を美しく見せる”に変更した理由は?

企画担当者:定番アイテムでも新しい要素をプラスしていきたいと考えています。“肌の色とマッチする”を基本テーマとしていましたが、最近はヌーディーすぎるのも好まれない傾向にあります。またきれいすぎるモノ、女性すぎるモノが時代に合わないかもしれません。“肌を美しく見せる”をテーマに広げることで、グレージュを提案することができました。

WWD:10周年で行うことは?

企画担当者:3月17日まで公式ECで期間限定キャンペーンを行なっています。7000円以上購入で1500円のクーポンを配布、1万円以上で送料無料です。“アイコン2 ファンデーションズ”はもちろん、20年春夏の新作も対象です。4月からの新生活に向けて、足元を彩る1足を自粛ムードで自宅で過ごす時間の中でわくわくしながら選んでほしいと思っています。また17日まで阪急神戸店でポップアップストアも開いています。

WWD:今後の目標は?

企画担当者:ブランドの認知度はまだ低いブランドですが、それでも街中で「マミアン」を履いている人を見かけると嬉しく達成感を感じています。今はまだ工場サイドの意向が大きく、商品企画においてもそれが反映されているのが現状です。今後は、売り場の声を全面に取り入れ、お客さまの声やトレンドを反映した商品づくりを行なっていきたい。加えて、「マイアン」と検索してくださっており、実際に手に取り感じたいという人がいらっしゃることからも、ポップアップの機会なども増やしたいと思います。

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コロナショックで就活説明会が中止に RTFが始めたウェブ説明会に人気集まる

 ファッション業界に特化した求人サービスを展開するレディー トゥー ファッション(READY TO FASHION以下、RTF)は、新型コロナウイルスの影響で新卒学生向け合同企業説明会が次々と中止になっている状況を鑑み、「ウェブ採用説明会チャンネル」を開設した。ユーチューブのライブストリーミング機能を使って説明会を生配信し、その後はチャンネル内にアーカイブしていく。撮影にかかる費用などは全て無料で対応中だ。

 ウェブ配信が決まるとRTFの求人サービスの登録者から2021年卒の学生を対象にアナウンスする。RTFの高野聡司社長は「企業と学生の採用の接点が少なくなることで、人員確保に影響を及ぼす可能性があり、企業から困っているという声があがっている」と、今回のウェブ配信を始めたという。不特定多数が閲覧できるライブ配信というリスクはあるが、1時間で数百~数千人にリーチできるメリットは大きい。

 初回は3月2日にベイクルーズが配信し、常時200人ほどが閲覧。質疑応答の時間も儲けられ、チャットでの視聴者からの質問には担当者が答えた。配信後の動画は現在までに、3000回以上視聴されている。ベイクルーズ新卒採用担当の早野彰二氏は「企業説明会が次々と延期になり、学生が不安になっている。学生は意外にもホームページや企業概要では分からない、人事の“顔”を見ることも重要視している。何か方法は無いかと高野さんに相談し、実現した」。配信後は動画の概要欄に記載した採用応募リンクから応募することもできるが、配信後は新規で100件ほどの応募があったという。「ファッション業界ではこれまでウェブ説明会を行っている企業がなかった。今回の結果次第では採用活動が見直され、ウェブ説明会を取り入れる会社が増えるのではないか」と高野社長。

 ベイクルーズのほかにエス・グループやタキヒョー、エレメントルール、サンエー・ビーディー、ユナイテッドアローズ、ミサワが配信済みで、今後もノーリーズ、アバハウス インターナショナル、デイトナ・インターナショナル、ワールドストアパートナーズ、QVC ジャパン、シップス、キャロウェイゴルフなどの配信が決まっている。3月中の配信枠は既に埋まっているが、4月以降も継続してサービスを行っていく予定だ。

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上質インナー「アロマティック」から “コットンストレッチ”が登場 まるで何も着けていないような肌に溶け込む心地よさ

 上質インナーウエア「アロマティック(AROMATIQUE)」から、新シリーズ“コットン ストレッチ”が登場した。同ブランド独自の上質素材を使用し、機能性と洗練された美しさを持つモードなデザインが特徴だ。私自身、インナーウエアの担当ということもあり、さまざまな商品を試す機会が多い。世界最高級といわれるフィルスコツィアのコットンをはじめ素材にこだわる「アロマティック」のインナー同様、この新シリーズも期待を裏切らない仕上がりだ。ここ数年、快適ブームでノンワイヤーのブラジャーの市場シェアが伸びている一方で、「バストの形が変わった」「将来、自分のバストは大丈夫か?」といった不安の声もある。とはいえ、快適さに慣れてしまった今、締め付け感や窮屈さを感じるブラジャーには簡単には戻れないという人も多いだろう。“コットン ストレッチ”は、そのような女性のニーズに応える快適さと機能性を兼備している。

 素材は伸縮性のあるコットンポリウレタン。3点とも程よいホールド感があり、肌に溶け込むようなフィット感を実現した。“まるで何も着けていないような着け心地”とはこういうことだったのかと思うほど気にならない。“フィット ブラ”はワイヤレスで、約5年をかけて開発したオリジナルのカップ構造を採用しており、左右のカップが別々に動くアンダークロス仕様で、体の動きに合わせて胸を優しくホールドし、ズレを防ぐ。カッティングが美しいだけでなく、アジャスターが見えずストラップもフラットと、ディテールにもこだわっている。“フィット ショーツ”は、ウエストや足口のテープがなく肌に優しくフィットし、締め付けを軽減するだけでなく、2重のフロントパーツがさりげなく腹部をシェイプしてくれる。シェイプといっても、ガードルのような窮屈さは全くない。“フィット ブラ タンクトップ”は“フィット ブラ”と同じくアンダークロス仕様で、デコルテを美しく見せるネックラインが特徴。1枚でも着用できるのでファッションアイテムとしても重宝しそうだ。

 3点とも、高級感ある素材感とミニマルなデザイン、快適で程よいシェイプ機能を持つため、ヨガをはじめとするアスレジャーウエアとしても最適。また、飛行機などによる長時間の移動や週末などのオフタイム、インナーの締め付けと汗の不快感から解放されたい夏の季節などにも活躍しそうだ。

 カラーはブラック、ミストグレー、パンジーの3色。“フィット ブラ“が9000円、“フィット ショーツ”が“3500円、“フィット ブラ タンクトップ”が1万1000円だ。

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ファッション通信簿Vol.49 自信を持つのが何よりも大事!?米「WWD」がセレブのファッションを辛口ジャッジ!

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第49回は、ベラ・ハディッド(Bella Hadid)、ブリー・ラーソン(Brie Larson)、リアーナ(Rihanna)、シンシア・エリボ(Cynthia Erivo)、スティーヴ・アオキ(Steve Aoki)、エル・ファニング(Elle Fanning)、ディタ・フォン・ティース(Dita Von Teese)、ジジ・ハディッド(Gigi Hadid)が登場。自身に満ち溢れたドレス姿を称賛する一方で、今回も容赦なくFAIL判定を下した米「WWD」による評価はいかに?

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コアな服好きから支持を得るユーチューバー“ロン毛”の魅力

 ゲーム実況や“やってみた系”に並び、ファッションがユーチューブのジャンルとして確かな地位を築いた。販売員やモデルなど多くのファッション関係者がチャンネルを開設しており、19年4月にスタートしたチャンネル「ロン毛と坊主とYouTube」もその一つだ。名前の通り“ロン毛”と“坊主”の2人が運営する同チャンネルは、アルチザンやデザイナーズというニッチな分野をメインとし、一年間で登録者数1万人と着実に支持を拡大する。視聴者を引きつけるのは、2人の豊富な知識量と圧倒的な個性だ。

 “ロン毛”こと下里航は18年まで米ニューヨークで生活し、フォトグラファーとして「リック オウエンス(RICK OWENS)」「アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」といった名だたるブランドの広告ビジュアルを担当。またモデルとして「ユニクロ(UNIQLO)」「ディーゼル(DIESEL)」などのカタログやニューヨーク・ファッション・ウイークのショーに出演したほか、16年には友人とともにジュエリーブランドを立ち上げてディレクターとして携わるなど、多岐にわたって活動している。“坊主”はNYソーホーの「ワイスリー(Y-3)」直営店でセールスマネジャーを務めていた販売のプロだ。

 今回は“ロン毛”にインタビューを実施し、様々な分野で活動する中で新たな表現としてユーチューブを始めた理由や今後の展望などをたずねた。

WWD:ユーチューブを始めたきっかけは?

“ロン毛”こと下里航(以下、ロン毛):18年までニューヨークに住んでいて、ルームメイトと一緒に「ロン毛と坊主とニューヨーク」というブログをやっていました。でも2人とも日本に帰ることになり、ブログが成り立たなくなってしまうことから、思い切ってユーチューブをスタートしました。

WWD:なぜユーチューブに手を出した?

ロン毛:プラットフォームはなんでもよかったんですが、どうせなら自分たちにとっても新しく、面白い事に挑戦したかったんです。ユーチューブは音楽を聴くときくらいしか利用していなかったので、ユーチューバーと呼ばれる人がどんな動画をあげているのかさえ知りませんでした(笑)。自分たちでやろうと決めてから編集の仕方やエフェクトの入れ方を見よう見真似で実践し、独学で動画を作り始めました。最初はiPhoneのインカメレベルの画質だったし、編集も素人くさくて今見たらひどいものです(笑)。

WWD:動画ではアルチザンやモードブランドというニッチな情報を扱っているが、およそ1年で登録者数1万人に達した。

ロン毛:他のファッションジャンルと比べたらすごくスピシフィック(限定的)で母数は少ないんですけど、楽しみにしている人はいるんだなと実感しています。モードやアルチザンを着る人って「マスとかぶりたくない」という思いが強いから、ユーチューブで扱うことを快く思わない人が多いんじゃないかと最初はビビてってたんですが、実際には批判的なコメントはほとんど来ないし、肯定的な意見ばかり。NY時代からアルチザンばかり着ていましたし、その分野の知り合いも多いことから、僕たちの情報を信頼してくれているのかもしれません。

WWD:ブログやほかのSNSと比べて手応えは?

ロン毛:19年4月に始めて、20年に入って一気に伸びました。この勢いはほかのSNSにはないですね。インスグラムでは、どのくらいのペースで更新すればどのくらいフォロワーが増えるかを肌感覚として分かっていますが、ユーチューブは全然予想できません(笑)。週1くらいしか更新していないのに1日何百人もフォロワーが増えるのって、他のSNSではありえないですよ。

WWD:ユーチューブはなぜそれが可能なのか?

ロン毛:ストック型のSNSというのが主な理由だと思います。例えばツイッターは、一つのツイートがバズってもタイムラインでどんどん流されていって、投稿主自身は認知されづらい。一方ユーチューブは、面白い動画を見つけたらホーム画面までいってどんな動画をあげているかチェックするユーザーが多いから、クオリティーの高い動画を一定数ストックしていたらファンになってもらいやすいんです。

WWD:南青山のセレクトショップ「アテリエ ヒストリック インストゥルメンツ(Atelier Historic Instruments)」の石崎孝之オーナーとのセッション動画などもコアなファンの間で話題となった。

ロン毛:僕と友人が壁際に座って話しているだけじゃ面白くないと思って企画しました。石崎さん以外にも、「いいね、ユーチューブ面白そう」と賛同いただいた人には動画に登場してもらっています。動画で話す内容はいつものおしゃべりの延長で、特段身構えてはいませんが、そもそもメディアに出ることが少ない人たちなので視聴者さんは面白がってくれるんです。

WWD:ユーチューバーのほかモデルやフォトグラファーとしても活動している。

ロン毛:高校卒業後NYに留学し、学生のかたわらフォトグラファーとして活動し始めました。ストリートスナップを撮って自分のサイトやインスタグラムで発信するライフワークに近い形でやっていたのですが、ブランドのビジュアルや現地の雑誌のエディトリアルに参加させてもらうこともありました。アジア人で長髪というインパクトのあるルックスのおかげで(笑)、スナップでつながったファッション関係者から「モデルをやってよ」と声をかけてもらうことも多く、そこからモデルも始めました。NYではフリーモデルとして活動していましたが、今はモデル事務所に入っています。

WWD:ジュエリーブランド「ケイ シゲナガ(KEI SHIGENAGA)」を立ち上げた経緯は?

ロン毛:NYにいたころ、現地でジュエリー作りを学んでいたデザイナーの重永彗に出会い、2016年に彼と共同でブランドを始めました。僕自身はジュエリーにそれほど興味はなかったのですが、彼にシンプルなリングを作ってもらったとき、「生身の人間が加工して、こんな素敵なジュエリーを作れちゃうんだ」と感動し、彼が日本に帰る直前に「一緒にブランドをやろうよ」と声をかけました。

WWD:どんな役割を担っている?

ロン毛:ディレクターという肩書きですが、作品を作ること以外のすべてをやっています。お店とのやりとりからウェブサイト作成、ウェブ用のビジュアル撮影、展示会の管理まで本当になんでもやります。昨年からラグジュアリーECモール「エッセンス(SSENSE)」でも扱われはじめたほか、いくかの海外サイトから新たに声をかけてもらっていて、ビジネスは順調に拡大しています。

WWD:ブランド運営の面白さは?

ロン毛:自分が格好いいと思うものを発信できることですね。一方で、若いブランドが生き残ることの難しさも強く実感しています。資金を集めるのも大変だし、春夏と秋冬の短いサイクルでバンバン商品を作るのも難しいから在庫も積めない。似たようなことで悩むクリエイターはたくさんいるんですよね。そんな若いブランドの魅力を伝える場ができたらいいなと思ってスタートしたのが、合同展示会「ラウンジ サイ」です。これまで計3回ポップアップ形式でやってみましたが、県外から来ていただく人も多くて自分にとってもブランドにとってもすごく有意義な経験になっています。格好いいものを作る格好いい人たちがきちんと食べていける一助になることを目指し、今後も精力的に開催していきます。

WWD:今後の展望は?

ロン毛:ユーチューブを継続していき、より楽しんでもらえるコンテンツを作りたいですね。僕は友人とブログを始める前から個人ブログをやっていて、身の回りの情報を発信することが昔から好きでした。写真もモデルもブランドもユーチューブも、全部その延長で手を出した感じなので、若い人にも表現を限定せずいろんなことに挑戦してほしいです。僕の生き方が参考になるかはわかりませんけどね(笑)。

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韓国人気ナンバーワンの整形口コミアプリ「カンナムオンニ 」が日本上陸 美容医療の“情報不均一問題”解決を目指す

 韓国でダウンロード数ナンバーワンの整形口コミアプリ「カンナムオンニ」が日本上陸を果たした。アプリの累積ダウンロード回数は180万回、月間のアクティブユーザー30万人を誇る同アプリは韓国内の1500以上のクリニックの情報を掲載し、15万件のレビューが寄せられている。他アプリとの大きな違いは、ユーザーが一方的にレビューを投稿するだけでなく、チャットでクリニックのカウンセリングを受けられること、医師ごとにレビューが見られること、医師とユーザーが自由に会話できる掲示板があることなど、クリニック側も参画していることだろう。自動翻訳機能も備え、日本人を含め、韓国語が理解できない外国人でも現地の韓国人のレビューを読むことができるのも特徴だ。

 そんな「カンナムオンニ」は国家公認医師資格を取得し、医療業界とITをつなげて誰もがより良い医療サービスを受けられるような社会の実現を目指してきたホン・スンイルとパク・キボムが2015年にローンチした。以来、ユーザーと提携クリニックの件数を伸ばし続け、これまでユーザーとクリニックのカウンセリングを60万件以上アシストしてきた。

 日本でも「メイリー」や「トリビュー」など整形アプリが台頭し、美容医療に興味を持つ若者が増えている。また、渡韓して施術を受ける日本人が増える中で、「カンナムオンニ」は昨年11月に日本語版をローンチすることによって日本人とクリニックを結びつける手助けをしている。そんな「カンナムオンニ」の創業者2人に、アプリ立ち上げの経緯や成功の要因などについて聞いた。

WWD:「カンナムオンニ」を立ち上げた理由は?

ホン・スンイル共同創設者(以下、ホン):12年ごろ、ちょうど延世大学で医者になるための勉強をしていたときに、(韓国の)医療業界はIT化が遅れていることが気になっていた。そこで一生ケアをし続けなければならない糖尿病患者が日々の体調管理をできたり、ほかの患者と情報共有できるアプリを開発した。だが収益化が難しく、そのサービスは終了せざるを得なかった。次に注目したのは、韓国でも市場が大きい美容医療。タブーなところもあり、正確な情報を入手するのが難しい。命に関わるような大きな手術もあるからこそ、信頼度の高い情報が必要とされていることを痛感し、アプリを立ち上げることにした。

パク・キボム共同創設者(以下、パク):最初は見積もりサービスとしてスタートさせた。自分の写真を3枚アップロードすると、医師がその写真を見て施術のアドバイスや見積もりをするというもの。そこから“プチ整形”を含む美容医療全般の基礎について学べるコミュニティー機能を追加し、総合メディアとして広げていった。私は2年くらい医師として実際に働いていたので、その経験を生かしてアプリに投稿される質問にも答えたりしていた。

WWD:ユーチューブチャンネルも開設している。

ホン:そこでパクさんが活躍している。

パク:チャンネルでは整形にまつわる質問に答えるAtoZを採用したり、美容医療に関する最新の論文を解説したり、フォロワーからいただく質問に答えたりしている。ありがたいことに今は韓国内で美容医療のユーチューブチャンネルにおいてフォロワー数ナンバーワンになっている。そのうち日本の皆さんに向けて日本語で動画を作れるように勉強もしています!

WWD:日本でも整形口コミアプリが台頭しているが、ほかのアプリとどこが違う?

ホン:情報が錯乱している中で、とにかく信頼度が高い情報を届けることが全てだと思っている。それを実現するためにも、多角的に情報を提供している。ユーザーはほかのユーザーのレビューが見られるのはもちろん、そこにプロフェッショナルである医者がコメントしたり、彼らと会話ができるようにしたりしている。また、韓国語を話せない日本人にとっては、渡韓して施術を受けた日本人のレビューを読むことしかできなかった。自動翻訳機能をつけることにより、現地の韓国人のレビューや医者との会話ができるようになった。さらに韓国では施術をするときに、クリニックよりも医師で選ぶことが多い。医師によって仕上がりや技術が全く異なるので、医師ごとにレビューや施術の内容が見られるようになっている。

パク:また、ユーザーの2割ほどが男性。男性だけのレビューを見られるタブも作っている。

WWD:どのような施術が人気?

ホン:二重と鼻は男女ともに人気。また輪郭整形をはじめ、骨を切るような大がかりの整形は仕上がりだけでなくダウンタイムなどの体験談を参考にしたいと思う人が多い。

パク:最近はプチ整形も人気で、19年の頭はレビュー・投稿・問い合わせの件数がメスを使う整形とプチ整形が9:1ほどだったのに対し、年末には7:3になった。中でもボトックスやフィラーが人気。

WWD:アプリの収益化はどのように図っているのか?

ホン:ユーザーを送客してお金をもらうのは違法なので、バナー広告を含む広告費が大きい。

WWD:今後、どのようにアプリを成長・膨らませていきたい?

ホン:KPIなどは設定していない。“情報不均一問題”と呼んでいるが、整形に関する情報は整備されておらず、どの情報が的確かが分かりづらい。整形自体が難しい話でもあるのに、さらに情報のクオリティーがさまざまな今の状況は混乱を招きかねない。特に日本人は今まで日本語対応の一部のクリニックしかアクセスできなかった。本当は素晴らしいクリニックが多数あるのに、言語の壁で互いが出合うことができていない。そんな狭い世界で情報を得るのも大変だし、もったいない。そういう意味でも誰もが簡単に、正確な情報を入手できるようなアプリに成長させていくことが一番の目標。

パク:課題はアプリ立ち上げ当時と変わらない。一般の人にとって専門的な医療の知識を身につけるのは難しい。深い内容の情報をなるべく分かりやすく、簡単にアクセスできるようにすることが私たちの使命だ。

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バリア機能を高める効果も 希少なサボテン由来オイルに注目集まる

 今、化粧品ブランドからウチワサボテン種子オイル(オプンチアフィクスインジカ種子油)とムーンライトカクタスオイルといったサボテンから抽出されるボタニカル成分の使用が多くなっている。バリア機能効果を高めるなどとして人気が集まっている。

 ウチワサボテンは、強烈な紫外線と乾燥した気候の中で育つことで知られている。特に、ウチワサボテン種子オイルは年に1回しか収穫できないうえに、1Lを抽出するのに8tもの種を必要とする。ただ希少性が高いだけではない。アルガンオイルと比較すると、抗酸化作用のあるビタミンEは約1.6倍、乾燥にアプローチするリノール酸は約1.8倍、そして角質への浸透力は約11倍といわれていて美容効果も期待できる。ウチワサボテン種子オイルを使ったオススメのアイテムは2つだ。

ブースター、ボディーオイル、
頭皮クレンジングとマルチユース

 化粧品・健康食品の製造および輸出輸入を行うジェイイージャパンは、注目度が高まるウチワサボテン種子オイルをオリジナルコスメブランド「カシーポ(CASEEPO)」からウチワサボテン種子オイルを99.9%凝縮した「SPオイル」(5000円)のパッケージをリニューアルした。新パッケージにはモロッコ産の希少なオイルを使用していることが明記されている。同オイルは、マルチユースなのも魅力。シャンプー前の頭皮クレンジング、化粧水前のブースターとしてはもちろん、シワ対策オイル、肌のハリ対策オイル、ボディーオイル、ハンドケアオイルとマルチと多様に使える。成分はウチワサボテン種子オイルと、酸化防止剤のトコフェロールのみというのもポイントだ。

USDA、エコサートを
ダブル取得したレアオイルを配合

 アイライナーやアイブロウマスカラ、フラワーティーを除く全ての製品にモロッコ産ウチワサボテン種子オイルを使っているのが、マッシュビューティーラボが展開する2018年2月デビューの「トーン(TO/ONE)」。同ブランドのウチワサボテン種子オイルは、オーガニック認証のUSDA、エコサートをダブルで取得した非常に希少価値の高いオイルだ。「エンリッチ オイル」(4950円)は、ウチワサボテン種子オイルをベースに4種のオイルを組み合わせたさらさらのオイル。化粧水のような軽いテクスチャーで、しっとりした潤いある肌へと導いてくれる。

肌細胞を修復する効果も。
“ムーンライトカクタスオイル”

 また、「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」も、独自成分“ムーンライトカクタスオイル”を処方した美容液を発売した。同ブランドは、“過労肌”対策のエイジングケアライン「ピュアショット」を1月4日から販売。化粧水、夜用セラム、セラム3種類、クリームの全6品をラインアップしている。中でも注目したいのが、モロッコ原産ムーンライトカクタスのオイルを処方している2層式の夜用美容液「ピュアショット ナイトセラム」(1万500円)だ。同オイルは1年に1晩、わずか6時間だけ開花するタイミングで収穫され、コールド&スロー抽出プロセスで採取される。開花直前のムーンライトカクタスオイルは、本来はサボテンが媒介者を引き付けるために生成するもので、肌細胞を修復する効果や肌を保護する効果が期待できる。ライン使いすることで、紫外線、ストレス、電磁波といった都市生活で疲れた“過労肌”をみずみずしく生き生きとした肌へと導いてくれる。

 サボテン由来オイルは、“過労肌”にアプローチするものからマルチユースのものまでバリエーションも豊富。いそがしい日々でも生き生きと過ごしたい――そんな女性たちのニーズをかなえるスキンケア成分として定着していきそうだ。

小竹美沙:1984年生まれ。女性誌やウェブマガジンで、ナチュラル&オーガニック&サステナブルなコト、モノ、人びとについて取材&発信中。2009年から恵比寿のファッションスクールのオフィシャルライターとして広報資料のライティングにも携わる

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自分の美しさは自分で決める 世界のトップアスリートたちが怪獣を打ち負かす6編のアニメーション予告が公開!

 世界のトップ女性アスリートたちがアニメの主人公となり、美しさを比べる不毛な競争をやめてルックスに対する批判や他人と比べられることに対するプレッシャー、押し付けられたイメージといった“Kaiju(怪獣)”をやっつけるーーそんな、美しさのあり方を問うキャンペーン動画が、「SK-II」スタジオのアニメーション シリーズ「VS」だ。「SK-II」は東京2020オリンピックの公式スキンケアブランドとして、キャンペーン「#NOCOMPETITION 美は #競争ではない」を2月にスタートさせた。女性たちがさらされている「美しさに対する競争」を取り払い、競争からのプレッシャーで自分の持つ可能性を狭めることなく、美しさは自分で決めようというポジティブなメッセージを発している。動画シリーズ「VS」では、美の競争について「トロール」「プレッシャー」「イメージの強迫観念」「ルールによる束縛」「自分の限界」「機械のような完璧さ」という6つの異なる側面からこの問題を切り出し、“Kaiju(怪獣)”の姿となったそれらと対峙する6組のアスリートの姿が描かれる。キャンペーン動画本編は4月に世界同時公開予定だが、それに先駆けて米ニューヨークでティザー動画が披露された。

バイルス選手が“怪獣”として襲いかかる
ネット上の批判に立ち向かう

 3月3日夜(現地時間)、ニューヨークのタイムズスクエアで41の大型デジタルビルボードを用い、「#NOCOMPETITION 美は #競争ではない」の予告動画が上映された。会場には、アニメ動画の主人公の一人でもある、体操選手のシモーン・バイルス(Simone Biles)が登場。リオ五輪の体操競技で金メダル4冠に輝く、不世出のジムナストとして名高い選手だ。彼女は、「私は競技で争うことは好きです。けれども美で争うことは嫌いです」と語る。「この動画は、私の人生最大の闘いでもある美しさに対するネット上での批判について描いています。自分のストーリーを多くの人と共有できたことは、大きな意味がありました。私と同じように美の批判を受けたことがある若い女性に、他人が決める美の基準と闘っているのは自分だけではないということを知ってほしいです。美しさは自分自身で定義するもの。私たち自身の美しさを他人が決めるべきではないのです」。アニメの中でバイルス選手のアバターは、彼女のルックスや態度についてオンラインに投稿された批判ツイートやネガティブなコメントに攻撃される。それが大きな“Kaiju怪獣”となって襲いかかるが、自分らしさを取り戻してそれを倒していくストーリーになっている。

 「VS」にはバイルス選手のほかに、水泳選手のリウ・シアン、卓球のオリンピックメダリストの石川佳純、同じく金メダリストのバドミントンペア、髙橋礼華と松友美佐紀、公式種目に初採用されたサーフィン選手の前田マヒナ、そしてバレーボール女子日本代表チーム「火の鳥NIPPON 」の選手が登場する。それぞれアニメの主人公となって、不必要な美の競争に対して6つの異なる側面から闘う。動画制作では、アカデミー賞を受賞したパッション ピクチャーズ(PASSION PICTURES)やプラティーグ(PLATIGUE)、イマジナリー フォーセズ(IMAGINARY FORCES)をはじめ、シモーン・バイルス選手のストーリーの音楽はジョン・レジェンド(John Legend)とコラボするなど、トップレベルのクリエーターが制作に関わっているのも特徴だ。

綾瀬はるかとシモーン・バイルス、
自身の美についてパネル登壇

 そして4日(現地時間)には、「SK-II」が掲げる「#NOCOMPETITION」のパネルインタビューがソーホーのホテルで行われた。はじめに登壇したケイシー・メイ・オライリー(Kaisy Mae O’Reilly)「SK-Ⅱ」ブランドディレクターは、「『SK-II』は、自らの意志で運命は変えることができると、女性が勇気を持って動き出せると信じています。そんな女性を応援しており、16年からこの信念を『運命を、変えよう。〜#changedestiny〜』というブランドテーマのもと、さまざまなキャンペーンを展開してきました」と説明。

 ニュースキャスターでジャーナリストのケイティ・クーリック(Katie Couric)が司会し、バイルス選手にパネルインタビューを行った。キャンペーンについてバイルス選手は「美しさは他人が決めることではない。女性も男性も、少年も少女も同様に、私たちをむしばむ美の競争から抜け出せるように、美しさとは自分の内面にあることを伝えたくて賛同しました」と発言。ネットでの心ない書き込みに傷ついたという過去の体験をシェアして、「筋肉がつきすぎているとか、ふくらはぎが太いとか、腕が太いといった批判コメントがありました。泣いたこともあります。そこから抜け出すのには、しばらくかかりました」と述べた。「たしかに私は一般的な女性に比べたら、筋肉がついています。けれども、それは私が競技を勝ちぬくために必要なもの。この体が勝利に導いてくれるのです」。そしてまた体験をシェアすることが自分にとって大事だったと語った。

 本キャンペーンに強く共感し、サポーターを務める「SK-Ⅱ」のブランドアンバサダーの綾瀬はるかもタイムズスクエアイベントに参加するためにNYを訪れ、本パネルに登壇。女優という職業として闘ってきた「 #NOCOMPETITION」について、クーリックのインタビューを受けた。綾瀬は「演技の世界でも同じです。正解がない世界なので、常にさまざまな意見にさらされやすいのですが、その中でも自分らしくあることが、一番大事だと思います」と話した。「あなたにとって美しさとは?」という問いには、「自分らしくあること、そして周りに惑わされずに自分が信じる方向に進んでいくことが美しさにとって大事なことだと思います」と答えた。
 
 女性でも男性でも、ルックスについてのコンプレックスや他者からのプレッシャーを感じたり、あるいはネットで他者の悪口に傷ついたりすることが頻繁に起きる時代だが、美しさは競争ではなく、みずからが決めるものだというメッセージは、美のあり方についてもポジティブに考え直す機会を提供してくれるだろう。近日中に公開される6種類の「SK-IIスタジオアニメーションシリーズ “VS”」本編にいっそうの期待が高まる。

PHOTO:TAKAKO IDA
TEXT : ERI KUROBE

問い合わせ先
SK-II

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「バレンシアガ」の広告で注目を集める日本人のタロウって何者? 多才な23歳の素顔

 パリの観光名所の一つで、多くの観光客でにぎわうオペラ座周辺に「バレンシアガ(BALENCIAGA)」の大きな広告が飾られている。そのモデルの中の一人が日本人のタロウ・イマイ(Taro Imai)だ。23歳のタロウは同ブランドの2019-20年秋冬パリ・コレクションでランウエイデビューを飾ってから3シーズン連続で起用され、今季はいよいよ広告にも登場。現在は東京を拠点にモデルとして活動しているほか、DJや新宿のセレクトショップ「ジャックポット(Jackpot)」のスタッフとしての顔も持つ。筆者はパリのショールームで偶然知り合った彼に対して(今どきのミレニアルズなのかな)と少々身構えていたが、実際に話すと腰が低くて愛想もよく、固定概念を見事に打ち砕かれた。「バレンシアガ」のモデルとしてスカウトされた経緯や東京での日常、今後の目標についてをショーを終えた後のパリで聞いた。

−「バレンシアガ」のモデルにスカウトされた経緯は?

タロウ・イマイ(以下、タロウ):19-20年秋冬のショー本番から約3カ月前に、インスタグラムのダイレクトメッセージで連絡が届きました。後で分かったのですが、キャスティング・ディレクターのドラ(・ディアマント、Dora Diamant)が、僕が東京でDJしている姿を見てくれたのがきっかけのようです。最初のメッセージはとても定型文っぽい感じでしたね。メッセージを受け取ったときは初めてのヨーロッパ旅行でロンドンとパリに偶然1カ月滞在していたタイミングで、「パリにいるからショールームに行ける」と伝えたんですが「いやいや、まだ来なくていいから」と返事がきました(笑)。

−その後、正式な決定までの流れは?

タロウ:最終的に決定してもらったのはショー2日前のリハーサルの連絡でした。パリに入るまでに洋服のサイズや健康診断書を送るなどを何度もやりとりしました。僕が初めてランウエイモデルに起用される前シーズンにプラズマさんがショーに登場していたので、「WWD JAPAN.com」の彼の取材記事を読んで、決定までの流れが同じように進んでいることがうれしかったです。先方から返事が届くたびに「まだ落とされていないんだ」とワクワクしっぱなし。英語もろくに話せませんが、質問事項や回答を必死で訳して連絡をとっていました。

−それから3シーズン続けてランウエイを歩いてますが、まだ緊張する?

タロウ:緊張しないって言うと嘘になりますけど、それよりもうれしかったり楽しかったりする気持ちの方が大きいです。「バレンシアガ」という一流メゾンやパリという世界の舞台よりも、過去に経験した東京ファッション・ウイークや文化服装学院の文化祭でモデルを務めた時の方がもっと緊張しました。

−パリコレより日本の方が緊張するのはなぜ?

タロウ:文化服装学院の文化祭は約2万人も観客が入るため、単純に人が多いというのも理由の一つです。演劇型のショーなので笑顔だったり、顔を引き締めたりといった演出も加わりますし、放課後にウオーキングの指導を3~4カ月受けたので、時間を重ねた分緊張感も高まりました。洋服を作る学生も先生方も一生懸命取り組んでいることを知っていたので、その分失敗できないという思いもありましたから。

−東京のファッション・ウイークではどのブランドのショーを歩いた?

タロウ:「サルバム(SULVAM)」でスタイリストを務める猪塚慶太さんからインスタグラムを通じて連絡をいただきました。今から3年前で、ちょうど卒業間近。僕は目立ちたがり屋だし好奇心も強いので、二つ返事で承諾しました。18~20歳まで文化服装学院の文化祭でモデルを経験しましたが、学校以外のショーへの出演や、お金をいただいて仕事として請け負ったのは「サルバム」が初めて。大きなターニングポイントだったと思います。

−モデルの道に本格的に進んだのは「サルバム」のショーがきっかけ?

タロウ:そうですね。もともとはバイヤー志望で文化服装学院に入学したのですが、学べば学ぶほど自分には違うなと感じていました。モデルの仕事は可能性に限界がなくて、自由度が高いと思い方向転換したんです。何事もやってみないと分からないじゃないですか。京都で生まれ育って上京する前は、パリにモデルとして来るなんて想像もつきませんでしたから。目の前に来たチャンスを逃さずに、行動に移してみると何かしら得られるものがあります。頭で考えていても何も始まらないし、一番後悔しない道を選ぶことが大切だと学びましたね。

−学校卒業後はどのような生活を送っていたのですか?

タロウ:午前中にモデルの仕事をこなし、日中はショップスタッフとして店頭に立ち、夜はDJとして活動する日々でした。事務所には所属せず、人の紹介などで仕事が入りました。ルックブックや雑誌の撮影、「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」がミレニアルズ向けの日本限定コレクションの発売を記念して開催されたファッションショーに出ました。「ヴァレンティノ(VALENTINO)」の広告の撮影は、ほかの仕事と流れが違ってとても思い出深いです。

−これまでとはどのような点が違った?

タロウ:私服に「ヴァレンティノ」のジャケットを羽織ってバッグを持つだけの撮影だったんです。確かTシャツは「ユニクロ(UNIQLO)」で、「ディッキーズ(DICKIES)」のボトムスと「カンゴール(KANGOL)」のハットという私服でキャスティングに行くと、「パーフェクト!」と言われそのまま撮影に移りました。ズラッと並ぶ「ヴァレンティノ」の洋服の中から「好きに着てみて」と言われ選んだのがレザージャケットで、そのまま採用されました。

先輩たちのように
“かっこいい大人”になりたい

−モデルのほかに現在はDJやショップスタッフとしても働いているそうだが?

タロウ:中学からヒップホップが好きで、DJとして活動し始めたのは専門学校を卒業してモデルの活動をスタートしたのと同時ぐらいです。クラブでのDJや、ファッション関係のレセプションパーティーなど知人を通して声が掛かったら引き受けています。「ジャックポット」での仕事は、オーナーに「働いてみないか」と誘ってもらったのがきっかけです。

−生計はどのようにして立てている?

タロウ:DJの仕事は現金で貰えますが、モデルのギャランティーは2~3カ月後に振り込まれるので時差があり、収入はアップダウンするのが現状です。でも頑張ったら頑張った分入ってくるし、さぼったらその分苦しくなる、そうやって分かりやすく成果が出る方が自分には合っています。

−今後は何を目指していく?

タロウ:まずはもっと自立して、社会的に大人になりたい。いろいろな経験を通して内面は成長していると感じてますが、かっこいい先輩たちを見ると自分はまだまだです。今の環境は恵まれていて、幸運がたまたま重なって努力以上の結果を得られているだけ。時代の流れは速いし、ずっとこの状況が続かないと分かっているから、漠然とした焦りもあります。

−大人の定義とは?

タロウ:年齢ではなく、周りを巻き込んで仕事をできる人です。先輩たちを見ていると、それぞれがその人にしかできない職を持っていて、個々の強みを生かしながらかっこいい人同士がつながり、仕事をしています。だから彼らが僕にしてくれたように、才能があると思った人にチャンスを与えて一緒に何かを作る仕事がしたい。あとは単純ですけど、後輩をご飯に連れて行った時にご馳走してあげられる大人になりたいです(笑)。

−デジタルでのコミュニケーションが当たり前なミレニアル世代には珍しく、人と直接関わることを大切にしている印象だが?

タロウ:“ミレニアル世代だから”という固定概念に違和感を覚えることは多々あります。少なくとも僕は、時代がどんなに移り変わっても、人と人との直接的なつながりは大切でありものだと考えています。年齢や国籍を問わず個性に対するリスペクトは重要で、言葉を超えて分かり合える瞬間って絶対にある。海外に来る機会が増えて、英語には敬語があまりないけれど、目と目を合わせて話せばリスペクトは伝わると学びました。インスタグラムでスカウトされるなどSNSは名刺代わりの役割を果たしますが、それが全てではない。センスだったり人間性だったり、スマホの画面越しからは見えない“人物”を捉えられるのも僕にとっての大人の概念の一つです。そのためにも「自分にはコレだ」と自信を持って言える一つの道を極めたい。

−モデルの道を極めるつもりは?

タロウ:まだ決めていません。興味のあることに次々と挑戦しながら、自分にしか作れない道を作っていくのが理想です。良くも悪くも予定調和では進まない時代を生きていて、意外なところで素敵な人や仕事と出合うことがあることを学びました。だって初めてのヨーロッパ旅行中に「いつかモデルの仕事でここに戻ってきたい」と思っていたら、数日後に「バレンシアガ」からスカウトのメッセージが届き、数カ月後にはランウエイを歩いていたんですから。たとえ失敗をおかしても、自分で出した決断に対して後悔するタイプではないので、とにかく行動に移して経験を積むことが今は大事ですね。最近は「ブラックアイパッチ(BLACKEYEPATCH)」のルックブックで初めてディレクションにも挑戦しました。デザイナーが僕にチャンスをくれて、モデルの仕事とはまた全然違うやりがいを感じました。そういった仕事や、今こうして取材を受けているのも、全ては知人からの紹介でつながっている。縁って本当に大事だなと思います。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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「フランフラン」の “壁ジェニック術”とは? テレワークで見直す自宅のインテリア

 新型コロナウイルスの影響でテレワークが広がっている。自宅で過ごす時間が長いため、あらためて自宅のインテリアを見直す人もいるだろう。人気の高い北欧のインテリアは、冬が長く家の中で過ごす時間が長いため、どれだけ快適に過ごせるかという視点からデザインされている。通常、長時間オフィスで過ごす私たちも在宅勤務がしばらく続くと、いやおうなしに住空間に目が行く。気分転換に模様替えでもしようかなという気分になる人もいるだろう。とはいえ、家具の買い替えはお金もかかるし、使えるものはできるだけ長く使うのがサステナブルだ。このような状況に「フランフラン(FRANCFRANC)」は、気軽に部屋をデコレーションできる“壁ジェニック術”を提案している。新作の“アートボードセット”や“アクリルネオンオブジェ”“リムーバブルウオールペーパー”を使えば、簡単に壁をコーディネートできるというものだ。

初心者におすすめの“アートボードセット”

 壁にはポスターもなく、掛かっているのはカレンダーくらい……というような初心者にぴったりなのが、5枚1組になったコーディネートいらずの“アートボードセット”だ。モノクロを基調にしたデザインなので、さまざまなテイストの部屋にも合うし、何気なく組み合わせて誰もが簡単にデコレーションを楽しめる。価格もセットで2800円(税込み)とお得感たっぷりだ。

SNS映え空間を目指すなら

 アメリカのドラマに出てくるような空間づくりには新作のネオンライトを使った“アクリルオブジェ”がぴったり。ハイヒールや口紅などポップでキャッチーなモチーフなので、まるでおしゃれなカフェのようなSNS映えする雰囲気が楽しめる。価格は6800円(税込み)。

部屋のアクセントに季節感を取り入れて

 日本には壁紙の文化がないため、多くの住宅の壁は無地だ。殺風景な部屋に季節感を手軽に加えたいならシーズンごとに新色や新柄が登場する“リムーバブルウオールペーパー”がおすすめだ。春夏の新作はビビッドカラーやボタニカル柄など、部屋を明るく演出してくれるものがそろう。リムーバブルなので簡単に貼ってはがせるというのも安心だし、幅が45cm、長さが250cmと言うサイズは部屋のアクセントとして使える。価格は無地が2500円(税込み)、柄が2800円(税込み)。

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旭化成第45代キャンペーンモデルに橘遥菜 美の秘訣は「毎日3リットルの水を飲むこと」

 旭化成は、2020年のグループキャンペーンモデルに橘遥菜を起用すると発表した。橘は神奈川県出身の大学3年生で、ホリプログループ モデルエージェンシーのブースに所属している。旭化成は1976年から毎年キャンペーンモデルを起用しており、初代のアグネス・ラム(Agnes Nalani Lum)をはじめ、これまで松嶋菜々子、片瀬那奈、久慈暁子などを輩出し、橘は45代目となる。記者会見の主なやりとりは以下の通り。

WWD:旭化成に対して持っているイメージは?

橘遥菜(以下、橘):「サランラップ」の会社という印象が強いです。そして、繊維の「ベンベルグ(BEMBERG)」(旭化成が世界で唯一生産する再生セルロース繊維・キュプラのブランド)は知っています。ビジュアルで着用しているチェック柄のワンピースは「ベンベルグ」を使用していますが、肌触りがよく快適な着心地です。

WWD:自身のチャームポイントは?

橘:高い身長と脚です。脚が露出する服をよく着ています。

WWD:美しさを保つ秘訣は?

橘:毎日3リットルの水を飲みこと。そしてバランスのよい食事をとることを心掛けています。

WWD:好きなファッションブランドは?

橘:「ザラ(ZARA)」や「スナイデル(SNIDEL)」など。体のラインが美しく見えるタイトなデザインが好きです。ルミネやららぽーとなど、たくさんのお店が集まっているショッピングセンターに友人とよく買い物に行きます。

WWD:目指しているモデルやタレントは?

橘:菜々緒さんや森星さんなど。旭化成の歴代キャンペーンモデルの中では、松嶋菜々子さんに幼少のころから憧れていました。私も同じ旭化成のキャンペーンモデルを務めていることが夢のようです。

WWD:最近ハマっていることは?

橘:佐藤健主演のTVドラマ「恋はつづくよどこまでも」(TBS系)を見ています。リアルな恋愛ドラマを見てキュンキュンするのが好きです。

WWD:将来の夢は?

橘:最初にモデルになりたいと思ったのは高校2年生のころ。モデルになるためのレッスンを受けましたが事務所に入れず、モデルの世界は厳しいなぁと思っていったんあきらめたのですが、大学生になって将来のことを考えたとき、自分のやりたい仕事はモデルだと思って再挑戦しました。将来はファッションショーや雑誌、バラエティーなど幅広く活躍できるモデルになりたいと思います。

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極寒を知る道産子が作る最強のメイド・イン・北海道のダウンジャケット 道内で6次産業化も視野に

 凍てつくような寒さを経験している北海道出身者たちが立ち上げた「ホッカイドウ ダウン プロジェクト(HOKKAIDO DOWN PROJECT)」は、ダウンアイテムを軸に道内での6次産業化を目指して結成されたプロジェクトだ。6次産業化とは生産(1次産業)から加工(2次産業)、販売(3次産業)までを取り込み、経営の多角化を図る考え方で、6次とはそれらの数字を合計した呼び名で、地域複合を目指すローカルを中心に広がっている。同プロジェクトのダウンブランド「レタール ヌイ(RETAR NUY)」はクラウドファンディングサイト「キャンプファイヤー(CAMPFIRE)」を介しての受注生産を行っていて、2日間で目標金額に到達した。記録的な暖冬の影響でアウターの売り上げ不振に悩む企業も多く、かつ群雄割拠のダウン業界にあえて挑む理由は何なのか——? 同プロジェクトの責任者で「レタール ヌイ」のディレクターを務める大崎信哉に話を聞いた。

WWD:「ホッカイドウ ダウン プロジェクト」を発足させた経緯は?

大崎信哉(以下、大崎):私が札幌で「ベセル(BetheL)」というショップを立ち上げてちょうど10年経つのですが、地方からファッションを発信する難しさを常に感じていました。そんな中、2年前に札幌パルコの新店オープンを控えた前日に、北海道胆振東部地震が起こったんです。その後3日以上も停電が続き、生活必需品以外の購買に対して自粛ムードも高まり、館内はガラガラ。そのときに、北海道から全国へファッションを通じて自分たちのメッセージを発信できないかと強く思うようになりました。何が自分たちの強みなのかをあらためて考えるきっかけでした。

WWD:具体的に強みとは何でしょうか?

大崎:あれこれと考えて導き出した結果が“寒さへの対策”でした。極寒の冬の生活を知っている自分たちならではの視点でモノ作りをしようと。暖かいウエアを作ることを検討した結果がダウンアイテムでした。安易な発想かもしれませんが、単純なプロダクトアウトではなく、その背景ごとブランディングにつなげようと。それがダウンを軸にした北海道内で完結する6次産業化というアイデアであり、プロジェクト全体の方針です。また、北海道在住者が作るダウンアイテムと聞くと“暖かそう”というイメージは持てても、“ファッション”のイメージは湧きにくい。その中で都会的なデザインで、発信の仕方もブランドからの一方的なコミュニケーションではないアプローチをすることで、洗練されたイメージを持ってもらえると考えています。

WWD:6次産業化を確立するためのアイデアとは?

大崎:北海道の一部は北緯45〜55度にまたがる良質なダウンが採れるダウンベルトにかかっているんです。ですが、日本国内で羽毛の採取を目的とした農場は存在しない。全てが食肉を目的としており、その副産物としてダウンアイテムや布団などに利用されています。であれば、国内初の産業を北海道から生み出せるのではないかと考えたのと同時に使命感も生まれました。1次産業は羽毛の採取を目的とした農場「北海道ダウンファーム」の開拓、2次産業は縫製工場「北海道ダウンフェザー」、3次産業として実際にアイテムを販売するブランド「レタール ヌイ」です。

WWD:ダウンアイテムだけの収益ではなく産業化することでビジネスしていくと?

大崎:ダウンアイテムを作ることがプロジェクトの出発点ですが、その過程で新しい発見もあり、モノ作りのストーリーが固まっていきました。まずは、羽毛の生産に関して、渡り鳥の経由地としても知られる大沼という街に知人がいたので聞いてみると、鳥インフルエンザが蔓延する懸念を理由に断られました。現状は生産農家を探している状況です。鳥インフルエンザで殺処分された鳥を埋却する土地は広大なため、開発コストが膨大ですので、産官学連携で羽毛の生産を目的とした農場の開発を進めていきたいと考えています。一方で食肉を目的としたダックを生産している農場は北海道にもありますので、そのような農場との連携も検討しています。

北海道の生活がモノ作りの基盤

WWD:ダウンブランド「レタール ヌイ」の特徴は?

大崎:ブランド名のレタールはアイヌ語で“白い”、ヌイは“炎”という意味です。白を雪に見立てて、寒い冬を暖かくするというメッセージを込めました。テーマは“街着”。ラグジュアリーとも本格的なアウトドアブランドとも土俵は違うと思っています。当初は北海道という地名から連想する技術力の高さをアピールする方がしっくりくると考えていましたが、巨大ブランドというライバルには太刀打ちできないですし、いずれ自分たちのやりたかった道内での産業開拓ができなくなると感じたんです。そのときにアウトドアという言葉の持つ意味を考えました。私たちにとって一番アウトドアな時間は通勤だったり、買い物だったり、何気ない日常なんです。そうするとプロユース向けのアイテムは完全にオーバースペック。街で着られるダウンの最高峰を作ろうと思い、機能や型数を絞ってその分を素材やクオリティーに投資しました。

WWD:ファーストモデルのポイントは?

大崎:ファーストモデルはオーセンティックなモデル1型に絞りました。時代や流行に左右されずに長く着られるデザインとパターンです。そこに道産子ならではのアイデアをプラスしました。フロントファスナーが曲線を描いた作りになっているのは、首回りにゆとりとボリュームを持たせることで閉じたときにネックウオーマーのように暖かさを確保し、ファスナーを開けた場合でも立ち襟がキープされ、だらしなく見えないようデザインしています。

WWD:北海道での生活がモノ作りの基盤になっている。

大崎:そうですね。北海道の吹雪は強烈です。当然フードをかぶって一番上までファスナーを締める。そのときに感じた顎から首回りにかけての窮屈さを軽減するために何度もパターンを引き直しました。腕回りのフィット感も重要です。袖を通したときに腕が柔らかいダウンに包まれるような感覚を感じてもらえるはずです。これまでラグジュアリー、本格的なアウトドアブランドを問わず、たくさんのダウンジャケットを着てきましたが、ボリュームがあればあるほど、腕や胸周りが窮屈に感じる場合も少なくありませんでした。その圧迫感を軽減することも徹底しました。ほかには、止水ファスナーや丸洗いが可能な点、そして軽さですね。ポーランド産のスーペリアホワイトグースダウン800FPを使用していて、重さはメンズのMサイズで約900gほどです。

WWD:北海道の生活は車社会でもあり、ダウン離れの声も聞きます。

大崎:ここ数年のダウンブームが異常だったのだと感じています。10万円以上するブランドのダウンを着ている人が札幌でも増えましたが、昨年くらいからその傾向も落ち着いてきた印象です。

WWD:では、なぜダウンのプロジェクトを?

大崎:ニッチな客層に向けているからです。事業に共感してくれて、それに見合う製品を開発すれば北海道に限らず顧客はいるはずだと信じています。それに毎回ダウンジャケットだけを作っていくわけでもないですし、サステイナブルな取り組みになるよう進めているところです。狙っているのはリサイクルダウンや、自社で1次産業をプロデュースすることで採れたダウンの副産物を他業種に利用することも徹底させたいと考えています。

WWD:ニッチな客層に向けたアプローチとは?

大崎:「レタール ヌイ」は他のブランドよりも顧客に寄り添いたいと考えています。例えば定期的に顧客との話し合いの場を設け、そこでの意見やアイデアを次シーズンに反映させられるような、濃密なコミュニケーションから新商品が生まれるという考え方です。ファーストモデルを購入してくれた顧客とデザイン会議を設けてもいいでしょうし、実際にSNSで非公開のグループをつくっているので、ファーストサンプルを試着していただいた顧客と意見交換できる仕組みもあります。徐々にそれが価値になって、 “一人ひとりに向けたブランド”というメッセージにつながっていくことが理想です。

WWD:新進ブランドにしては1型のみで8万5000円(税込)という価格設定も攻めていますね。

大崎:生産数の問題もありますが、10万円前後のダウンを作っているブランドと比較しても、素材やクオリティーも劣っていないですし、1シーズン着ていただけたらその理由もわかっていただけると思っています。

WWD:第2弾、第3弾の想定は?

大崎:顧客の声を徹底的に吸い上げたモノ作りをします。試着会では、男性からはスーツの着用を想定したモデルの希望や、女性であればヒップが隠れる丈でもっとタイトなシルエットが欲しい、もう少しボリュームを抑えたアイテムも欲しいといった声がありました。そのような要望に応えられるよう、丈の長いモデルのほか、日本各地の冬の平均気温を考えてエリアごとに最適なボリュームのモデルを作ろうとも考えています。大きなブランドではできないサービスこそ自分たちの強みですから。そのために、卸しや大々的な販路の拡大ではなく、「ベセル」のECと実店舗での販売を検討しています。その考え方にいかに共感を得られるかがこれからの勝負です。

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王者「ボッテガ・ヴェネタ」に挑む「ロエベ」「ディオール」 ロンドンのバッグトレンド最前線

 前シーズンのロンドン・ファッション・ウィークでは、ダニエル・リー(Daniel Lee)=クリエイティブ・ディレクターによる「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」のバッグ愛用者がダントツで多かったが、2月開催の20-21年のオフランウエイではさまざまな対抗馬も登場。次なるトレンドバッグの座をめぐり、あらゆるブランドが来場者を飾った。ロンドンで人気が高かったバッグをご紹介。

とはいえ「ボッテガ ヴェネタ」

 ロンドンでは一時期に比べて勢いが落ち着いたとはいえ、「ボッテガ ヴェネタ」の人気はやっぱり高い。“ザ・ポーチ”の人気は高く、ほかにも“カセット”や新型の“ジョディー”も見られた。クラシックやエレガンスなスタイルにも合うバッグとして、人気はしばらく続きそう。

次期王者を狙う「ロエベ」

 実用性とデザイン性を兼ね備えたバッグとして人気な「ロエベ(LOEWE)」は、今季のロンドンで多く見かけた。特に、会期の数週間前に発売となった新型“バルーン”を早くも取り入れるロンドン女子が多数。「ロエベ」のアイコニックなバッグとして今後注目を集めそうだ。

大穴は「ディオール」や
英国ブランドか

 アクセサリー感覚で持つデコラティブなミニサイズのバッグが一時ブームとなったが、クラシックなスタイルが台頭した影響もあってか、装飾は少なめの実用的なミドルサイズが復活しているようだ。特徴としては、ジオメタリックで構築的なフォームである点。「ディオール(DIOR)」「セリーヌ(CELINE)」といったラグジュアリーブランドのほかに、英国発「ワドラー(WADDLER)」やLA発「スタウド(STAUD)」なども見られた。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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どんな気候でも売れる“シーズンレス商品”って結局何なの? 大事なのは「同じアイテムをいかに売りつなぐか」の視点

 異常気象の傾向が強まり、春夏秋冬に根差したこれまでのアパレルMD戦略が過去の遺物となりつつあります。直近では2年連続で暖冬を経験し、「どんな気象条件下でも売り続けられる定番品をいかに持つか」という考え方が、ファッション関連各社の間で急速に広がっています。最近では、“ステイプル(STAPLE=季節や流行に関係ない基本的で主要なアイテム、などの意)”とも呼ばれるようになってきたこうした定番品ですが、「じゃあ具体的にどんなアイテムが日本のマーケットでは“ステイプル”なの?」と疑問に思っている人も多いはず。そんなことを考えていたら、先日お邪魔した展示会でまさにドンピシャなアイテムに出合ったのでご紹介します。

 訪問先はアダストリアの子会社、エレメントルールが運営するセレクト業態「カオス(CHAOS)」の2020年夏展でした(もちろん、消毒やマスク着用など、新型コロナウイルス対策は万全にして展示会をされていました)。夏展なので4~6月投入商品がメインだったのですが、MDさんと話していると、テーマは自然と「長過ぎる夏商戦をどう乗り切るのか」という業界の共通課題に。旧来のアパレルカレンダーでは7月以降はもう秋ですが、近年は9月も10月もまだまだ暑くてアウターやニットを買うなんてありえない。初夏物のボリュームたっぷりのチュニック風ブラウスを見せながら、「去年はこういうブラウスが実は11月まで売れ続けたんですよ」と話されていたのが印象的でした。

 そう聞くとそのブラウスも“ステイプル”と呼んでよさそうですが、「カオス」では実際に、年間通して同じ型、同じ素材で売り続けている実績商品が他にあるんだとか。冒頭に写真を載せた、深いV開きのカフタン風ロングドレス(6万1000円)がそれで、売り切れては作るというサイクルを絶えず繰り返しているそう。素材はコットンがメインで、粗野なタッチを出すために少しだけアルパカなども混ざっていますが、暑苦しさはなし。夏に着れば風が抜けて涼しそうです。一枚で着た時にインナーのストラップがはみ出さないよう、肩にはストラップ留めもしっかり付いていました。「私は秋冬はインナーにタートルネックを合わせています」とMDさん。上からざっくりしたセーターを着てもよさそうです。

 それ以外にも、ダブル前のジャケットと側章付きパンツのセットアップなどを年間通して販売しているアイテムとして紹介いただきました。それもステキでしたが、こちらは「結婚式二次会など、華やかなシーンを想定したオケージョンアイテムを常にそろえておく」といった考え方に近いかも。海外ブランドでも、エレガントなスーツやジャケットを“ステイプル”として打ち出す動きは多いですが、日本の大多数の女性にとっては、前述のドレスの方がスタイリングや着用シーンが想定しやすくて、“ステイプル”と言われた時の納得感が大きい気がします。

「EC専業ブランドは
商品を半年間で売り切る必要がない」

 “ステイプル”という言葉を私が初めて目にしたのは、19年10月14日号の「WWDジャパン」内の20年春夏ミラノ・コレクション特集でした。「プラダ(PRADA)」がぐっとシンプルになり、型数自体も減らしたことなどを“ステイプル”と紹介していましたが、それを読んだ当時の印象は「長く着られる、エッセンシャルな定番品に回帰しているんだな~」といった感じ。正直、ファッション業界の定番回帰は定期的に訪れるものなので、そこまで注目していなかったんですよね。ちなみに、定番回帰の流れは不景気になるとやってくるというのが私見です。前回は08年のリーマンショック後、フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)の「セリーヌ(CELINE)」がけん引する形で本質回帰やミニマル回帰がうたわれ、それがより広いマーケットに伝わってノームコアファッションブームになったと記憶しています(そして今また、新型コロナウイルスショックの中で定番回帰の流れがあるというのは、今後の更なる景況悪化を暗示するようでもあってなんとも意味深です)。

 そんなふうに、最初はそこまで注目していなかった“ステイプル”という概念ですが、自分ごと化して考えられるようになったのはある人のインタビューがきっかけ。それは、今年の年明けに行った宮井雅史さんのインタビューです。宮井さんは19年春のデビュー以来、30~40代のウィメンズ市場で一気に知名度を獲得したクロスプラスのEC専業ブランド「ノーク(N.O.R.C)」のトータルプロデューサーなどを務めています。「どうして『ノーク』はこんなに快進撃なんですか?」といったことを聞きに行った取材だったのですが、宮井さんは元々オンワード樫山歴が長く、商品開発室室長なども務めていた人物だけに、旧来型のアパレルメーカーとEC専業ブランドの戦い方の違いを熟知していました。そして、「EC専業ブランドはこうすれば売れる」「こうしないと売れない」ということを、ものすごくロジカルに語ってくださいました(そのインタビューはこちら)。

 宮井さんの話の中でも特に新鮮だったのが、「店頭の鮮度アップを常に考えねばならない実店舗のビジネスとは違って、EC専業ブランドはECのサムネイル画像さえ変えれば、投入から時間が経ったアイテムでも再度新鮮に見せることができる。それゆえ、半年間で商品を売り切る必要がなく、年間通して販売ができる。逆にいえば、同じアイテムをいかに売りつなぐかという視点が重要になる」というものでした。これってまさに、“ステイプル”の発想ですよね。

 そんな考えのもと、デビューシーズンの19年春夏の「ノーク」は「スカートとワンピースで商品の約5割を構成した」そうです。なぜなら、「シーズンレスアイテムといえばスカート(やワンピース)」と考えたから。スカートやワンピースなら、ニットとコーディネートすれば冬でも売れるからシーズンレス、という発想です。これ、先ほどの「カオス」のサックドレスの提案の仕方にまさに重なるものです。

 もちろん、ドレスやスカートだけが“ステイプル”なわけではありません。ブランドの特性によって何が“ステイプル”なのかは違ってきます。たとえば、「ユニクロ(UNIQLO)」の店頭を見ていて感心するのは、冬でも“エアリズム”を売っていること。なんとなく、冬は“ヒートテック”で“エアリズム”は夏、という勝手なイメージを抱いておりましたが、車移動が多い地方都市だと、「車に乗ってアウターを着ていると暑いからインナーは“エアリズム”がいい」っていうニーズも多そうですもんね(地下鉄移動が多い都市圏でも、ダウンアウターを着て地下鉄に乗ると暑いですし)。ゆえに「ユニクロ」は“エアリズム”を年間通して打ち出している。つまり「ユニクロ」にとって、“エアリズム”は“ステイプル”なんだと思います。「ユニクロ」だと、ブラトップとか靴下も同様ですね。

 とはいえ、下着や靴下を扱っているのは「ユニクロ」だから。ファッションブランドは、おしゃれ着としての自社の“ステイプル”を追求しなければいけませんよね(もちろん「ユニクロ」もおしゃれ着分野でも模索していますが)。それってブランドのアイデンティティーや得意な分野をあらためて問うことになります。カジュアルブランド、たとえば「ジーユー(GU)」が、いくら“ステイプル”だろうからってガチのスーツ出しても「スーツは別で買おうかな……」となってしまいそうですし。というわけで、「あのブランドでコレが売れているからうちも作ろう!」「今シーズンはこれがトレンドらしいからうちもとりあえず企画しよう!!」(だけ)では、ますますダメな世の中になっているなとあらためて感じます。

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「100%土に還る服」に元東コレデザイナーが挑戦するワケ

 サステナビリティへの関心の高まりで、国内外でいわゆるサステナブランドが次々と誕生している。オーガニックコットンやリサイクルといったエコロジーな素材使い、フェアトレードなどのエシカルへの配慮など、様々なコンセプトや取り組みを打ち出している。背景にあるのは、従来のトレンドを起点にした大量生産型の産業モデルへの反発や疑問だろう。かつて学生時代に東コレブランド「ナオシサワヤナギ(NAOSHI SAWAYANAGI)」を立ち上げた澤柳直志「シンクスドットデザイン(SYNCS.DESIGN)」クリエイティブ・ディレクターも、その1人だ。3月中旬からクラウドファンディングの「マクアケ(MAKUAKE)」で100%和紙糸を使ったカットソー“ペーパー”を発表する。今なぜサステナブルなのか、「100%土に還る服」は、ファッションの何を変えるのか。澤柳氏に聞いた。

WWD:今なぜサステナブルな新プロジェクトを?

澤柳直志(以下、澤柳):「ナオシサワヤナギ」は2013年からコレクション発表を行っておらず実質的には休止状態。その後もいくつかのブランドを立ち上げたが、現在は16年に設立したシンクスドットデザインでスタートしたOEM・ODM事業が、大手商社などからの受注などで軌道に乗った。そこで一昨年あたりからもう一度オリジナルブランドを立ち上げたいと考えた。当初は、かつての自分の名を冠したデザイナーブランドを考えた。アパレルの大量廃棄などが社会的な問題になる中で、ふと自らのこれまでのプロジェクトを見直してみると、それは単なる自分のエゴを満足させるだけで、「単に新たな廃棄物を生み出すだけでは?」という疑問が頭から離れなくなった。

そうした中で行き着いたのが、「100%土に還る」というコンセプトだった。学生時代にブランドをスタートし、10数年間業界に身をおいてきたが、ファッションを楽しむこと自体が悪いとはどうしても思えなかった。だったら、環境への負荷をできるだけ減らせばいい。無駄なものは作らず、かつ廃棄しても環境負荷をかけずに土に還って、また土から生まれる素材。そこで出合ったのが、和紙繊維メーカーのキュアテックス社(CURETEX、本社:東京都世田谷区)だった。

WWD:和紙糸は、コットンやウールといった天然素材と何が違うのか。

澤柳:「キュアテックス ヤーン」が「エコテックス スタンダード100」などの認証を得ているなどもあるが、最大のポイントは服の後に農業資材としてリサイクルできることが大きい。キュアテックス社は福井県にある自社工場で紙を細くスリット(切り目を入れること)するところから、撚って糸にして、天日干しして仕上げるまでの一貫工程を持ち、同社はすでに農業資材で商業化しており、全国の農家などとネットワークもある。それに和紙糸は単に環境負荷が低いだけでなく、アパレル分野も含め、すでに商業化されており、しかも吸水速乾や抗菌性、防臭性、軽量性などの機能を兼ね備え、素材としてのスペックも高い。キュアテックス社とは今回はカットソーを作るため、何度も一緒に試作品を作って完成にこぎつけた。現在上梓されている和紙糸商品に比べても、糸の細さや強度などの面でどこよりも高いクオリティに仕上がったと自負している。

WWD:セールスポイントはサステナブルであること?

澤柳:サステナブルであることはもちろん全面に打ち出して訴求するが、ファッション性の高いストリートウエアとしての完成度も追求した。身頃の表側には織物を、裏面と袖は丸編みにすることでデザイン性を高くした。ワンポイントで“ペーパー”という刺繍もいれるが、こちらも100%和紙糸を使うなど、「100%土に還る」ことにこだわっている。価格は1万円。あえて明かさないが、クラウドファンディングという受注生産だからこそできる高い原価率だ。まずはカットソーからだが、シャツやデニムなどにも今後はアイテムを広げていく。

WWD:今後はこの和紙糸を独占的に使用しながら、ビジネスを広げていく?

澤柳:そういった考え方は本当にナンセンスだと思う。そもそもキュアテックス社が前向きに協力してくれたのは、彼らがこの“ペーパー”をきっかけに和紙糸を衣料品分野で広げるため。もちろんこの糸を作るため僕らも大きな貢献をした自負はあるが、彼らの販路を制限していい理由にはならない。16年にシンクスドットデザインを設立し、OEMを通じて国内外の大手商社やニッター、繊維機械メーカーとのビジネスのつながりを通じ、海外、特に中国のスピード感やスケール感を体感してきた。振り返ってみて小規模でインディペンデントであることにはいい面も悪い面もあるが、今はすごく狭い世界のことだな、と思う。人材系という異業種のナンバーズ社に合流して、契約書もろくにかわさない旧来型のアパレル業界のやり方がいかに特殊かも実感した。きれいごとを言うつもりはないが、冒頭にも言ったとおり、このプロジェクトのゴールはアパレル産業が循環型に転換する一助になること。変なエゴを通すことは産業としての魅力や可能性を削ぐことになる。

WWD:今後は?

澤柳:目指すは、“環境へのネガティブインパクトがゼロ”になるビジネスにシフトすること。本業のOEMが一時的に減ってもしょうがないと思っている。この“ペーパー”でこだわったのも、単に糸だけでなく、製品トータルで環境負荷がゼロ、あるいは極限までゼロに近いこと。土に還ることを考えたら、化学染料を使った染色加工もできない。今回「マクアケ」で発表する“ペーパー”は、そういったこともあって染色や加工は施していない。今後の商品では環境負荷の低い染色や加工方法も同時並行で開発していく。回収スキームも水面下ではほぼ確立しており、すでに長野のりんご果樹園や牡蠣の養殖家などと提携し、回収した服を資材として再利用する準備も整っている。

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ロンドンの最旬シューズ3選 悪天候でも「オシャレは足元から」

 2月に開催されたロンドン・ファッション・ウィーク中は、暴風雨に連日見舞われた。傘をさしても横なぐりに降る雨に打たれ、道路には水たまりが数日間残ったままで足元が悪く、シューズの選択肢は限られてくる。そのためか、スニーカーの着用率は低かった。雨風と寒さをしのぎながらスタイリッシュでいられる、ロンドン女子が選んだ最旬のシューズ3タイプを紹介。

ロングブーツでブルジョワに

 今季のロンドンでは、トレンド大本命のロングブーツ着用率が最も高かった。ひと昔前のコンサバ風なロングブーツと異なるのは、ストレッチの効いていない筒状ブーツをクシュっとシワを寄せてボリュームを持たせる履き方だ。ミドル丈のスカートと合わせて肌を見せないコーディネートは、「セリーヌ(CELINE)」が打ち出したブルジョワジーなスタイルとリンクする。

バイカーブーツでかっこよく

 ブルジョワジーとは対照的に、マスキュリン派に支持されたのはバイカーブーツ。「ボッテガ ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」の甲の部分にキルティングが入ったバイカーブーツの着用者を連日見かけた。丸みのある大きなトーと量感のあるソールは安定感があり、悪天候にも適したシューズだろう。

ホワイトシューズがアクセント

 足元はホワイト系カラーのパンプスやミュールなどの来場者も多かった。明るく軽やかな印象のホワイト系シューズは、コーディネートにほどよい抜け感を与える役割を果たしているようだ。服が暗いトーンになりがちな冬場は、シューズにホワイトや淡いベージュカラーを取り入れることで一気に華やぐ。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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「5歳の子どものようにデザイン」 ヴィクトワールが語る「ディオール ファイン ジュエリー」20年の軌跡

 「ディオール ファイン ジュエリー(DIOR JOAILLERIE)」が登場したのは今から約20年前の1998年だ。そのアーティスティック・ディレクターに抜擢されたのは「シャネル(CHANEL)」でコスチュームジュエリーを手掛けていたヴィクトワール・ドゥ・カステラ―ヌ(Victoire de Castellane)。フランスの名門一族カステラ―ヌ家に生まれ、服装に合わせてジュエリーを着け替えた祖母のシルヴィア・ヘネシー(Sylvia Hennesy)に影響を受けたヴィクトワールのクリエイションは、ジュエリー業界の既成概念を覆す大胆で他に類を見ないデザインばかりだ。当時宝石といえば、ダイヤモンド、ルビー、エメラルド、サファイアが一般的だったが、オパールをはじめアクアマリン、シトリンなどを用いたジュエリーをデザイン。インスピレーション源はクリスチャン・ディオール(Christian Dior)の庭から食虫花、吸血鬼、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン(Pirates of the Caribbean)」までさまざまで、破天荒ともいえるクリエイションを生み出してきた。ジャーナリスト、ロイック・プリジャン(Loic Prigent)がその20年間の軌跡をたどるムービーを制作し、その中でヴィクトワールが世界中のコレクターから集められた作品についてユーモアたっぷりに解説している。

 ヴィクトワールのジュエリーは使用する素材からモチーフまでユニークだ。彼女が愛してやまないオパールを使用したハイジュエリーコレクション“ル ベスティエール ファンタスティック”(2004年)のモチーフに採用したのは、クラゲやタツノオトシゴ。さまざまな色が混ざったミステリアスな印象のオパールと、神秘的ともいえる海中生物をミックスしたクリエイションはキッチュで超ゴージャス。玄人のコレクター受けする作品だと言える。一方で、ムッシュ・ディオールが愛した庭に咲くヒナギクやアイリスなどをモチーフにした“ディオレット”(06年)は誰が見てもかわいいと思う可憐なシリーズだ。「ラッカーを使用して本物のジュエリーを偽物風に見せているのよ」とヴィクトワール。食虫花をモチーフにした“ベラドンナ”(07年)は、ジュエリーの枠を超える度肝を抜くクリエイションだ。食虫花のリングはなんと開閉式。毒々しさを表現する素材のミックスから開閉のからくりまで究極のモノ作りがここにはある。“レヌ ゼロワ”(09年)はスカルがモチーフ。ハイジュエリーにスカルモチーフを採用するところも、ヴィクトワールらしい。

 各ジュエリーコレクションが全て完成したらベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者(CEO)に見せるという。「アルノー会長兼CEOは、小指にリングをはめて試すのよ。ジュエリーを着ける男性って素敵だと思うわ」。

子どものような自由で遊び心溢れる感性

 “ディオールに宛てた手紙”を意味する“ディア ディオール”(13年)は、ムッシュ・ディオールの感性をヴィクトワールの感覚で表現したものだ。彼女は、「テクニカラーに魅せられた子どものような気分だった。これらは全て本物の色。私にとって完璧なジュエリーとは人形ためのジュエリーのようなもの。まるで5歳の子どもがシール遊びをするみたいにデザインした」と述べている。“ウイ(OUI)”(05年)はプロポーズの際の「イエス」を意味するフランス語でヴィクトワール自身による手描きの文字がモチーフになっている。「ウイと言うと自然と笑顔になるから素敵でしょ。プチプライスなのも魅力よ」とちゃめっ気たっぷりだ。2020年の新作は、初めてパールを使用したジュエリーになるという。「パールが語り出すようなデザインよ。まぶしいからサングラスを用意してね」。

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この春夏も引き続き人気のスニーカー 注目株は「マイケル・コース」に決まり


 ファッション業界でも街でも、引き続き人気のスニーカースタイル。中でもこの春、注目したいのは、ニューヨーク生まれの「マイケル・コース」だ。どんな街のスタイルにもフィットするスニーカーは、ファッショナブルなコーディネートからカジュアルスタイルまで対応する幅広いラインアップが魅力。ボリュームソールがインパクト抜群の“オリンピア”をはじめリピーターを生み出すスニーカーの魅力を、ファッションのプロのコメントとともにお届け。

 オートミール色をベースに黄緑やネオンオレンジ、ブルーグレーを配した遊び心あふれる春らしいカラーリング。レザー、メッシュ、スエードなど異素材をぜいたくにミックスした。

 着脱やサイズ調整が手軽なマジックテープタイプの一足は、硬めのソールで安定感のある履き心地。春を感じるスモーキーなピンクをソールのブラックが引き締めて甘すぎない印象に。

今すぐ出かけたくなる
スニーカーが続々と登場!

ファッションのプロが語る
「マイケル・コース」のスニーカー

PHOTOS : SHO UEDA

問い合わせ先
マイケル・コース カスタマーサービス
03-5772-4611

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メンズスーツのD2C「ファブリック トウキョウ」が女性や性的少数者向けオーダーイベント “売らない店”だからこそできること

 メンズスーツのD2Cブランド「ファブリック トウキョウ(FABRIC TOKYO)」は3月8日から5月10日まで、東京・南青山のコンセプトストアで、女性や性的少数者(LGBTQ)などを想定したオーダーイベント「FABRIC TOKYO think inclusive fashion」を開催している。期間中は男性客に加え、通常は採寸を受け付けていない女性やあらゆる客からの採寸を受け付ける。昨年8月下旬に同様のイベントを1週間実施したところ、「想定していた採寸枠が予約開始後3日で埋まり、急きょ枠を増やして全70枠に対応した」(同プロジェクトを手掛ける森本萌乃マーケティング担当)ほど盛況だった。今回は期間を2カ月間に伸ばし、さらに気合いが入っている。

 イベント初日となった3月8日は国際女性デー。女性に限らず、あらゆる人が自分らしく生きる“インクルーシブ(inclusive)”の考え方を意識する日としても近年は盛り上がりを見せている。それに合わせて期間を設定したが、春先は入卒やフレッシャーズ需要などもあり、スーツ販売の書き入れ時でもある。社内でも「なぜこのタイミングで行うのか?」といった声はあったが、前回のイベントでの手応えをもとに説得した。「社員みながこのイベントの意義に納得し、愛を持っている」と自信を持つ。

 同時に、これは同社がD2Cモデルであるからこそできることとも言える。スーツ量販店などにとって、店頭はあくまで“売る場”。繁忙期ならなおさら数字を作らなければならない。一方、同ブランドにとって店頭とは、顧客体験というサービスを提供する場だ。「店頭には基本的に売り上げ目標を課していない」からこそ、こうした判断ができる。

 昨年8月にイベントを実施して見えた客層は、性的少数者(LGBTQ)と、メンズスーツのフィットを好む女性ビジネスパーソンの2軸。特に前者については、前回のイベントから多くの気付きや学びがあった。「トランスジェンダーで、普段はバストにさらしを巻いているというお客さまに『こういうイベントがあってよかった』と言っていただけた。店頭で『私は実はレズビアンです』といったお話をしてくださったお客さまもいる。本来はそんなふうに、店頭で個人的なことをわざわざ話させるようなこと自体ない方がいい。性別を聞かないお店を目指していきたい」。そんな考えが芽生え、前回のイベント後には改めてインクルーシブデザインについても勉強したという。

 新型コロナウイルスの感染拡大などを受け、来店客数の目標はやや手堅く設定してはいるものの、イベント開催告知からの2週間で既に予約枠の3割が埋まったという。男性客の方が採寸から購入につながる率は高いが、「女性客はいざ買うとなったら単価が高い」というのも前回見えたポイント。同社のスーツの裾値は3万8000円だが、女性客は上質な素材を選んで9万円前後になることも少なくなかったという。

 今回のイベントは、あくまでメンズパターンのスーツを女性を含むあらゆる客に提案するというもの。これをきっかけに女性向けのパターンをそろえ、女性市場に乗り出すというものではない。メンズの一般的なパターンでは対応しづらい体形や好みの女性客にははっきりとそう伝える。ファッション好きな女性などにはメンズ仕立てのジャケットをあえて好む層もいるが、「(大手スーツ量販店などの)吊るしの既製スーツの競合となるオーダースーツ市場では、女性にメンズスーツを提案するという考え方がそもそもない」のだという。

 メンズスーツを求める、女性や性的少数者といったマーケットの規模感がどれくらいなのかはまだまだ手探りだ。ただ、「イベントを実施すると普段は会えないお客さまに会えて、一人一人の声は個別のものであってもそれをたどると社会課題につながることもある。性別を聞かない店になることで、(見た目の性と心が一致しないなどの理由で店頭ではほしい商品が買えなかったという客にも)買い物は楽しいということを伝えたい」。

 当初は表参道店のみで開催を考えていたが、「関西でもやってほしいとの声が社内からあがった」ため、京都のラクエ四条烏丸でも実施する。

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パステルピンクで桜の気分 春コーデで沈みがちな気持ちを盛り上げて

 新型コロナウイルスの感染拡大で不安が広がっていますが、こんな時こそ、ファッションの持つポジティブなパワーを感じたいですよね。今回は、春らしい色使いとして人気が高い“桜ピンク”の装いに注目しました。少しトーンを抑えたスモーキーピンクやパウダーピンクは幅広い世代に支持されるようになっています。「マックスマーラ(MAX MARA)」の2020年春夏コレクションでは、パウダーピンクで上から下までトーンをそろえたルックが登場。こういったシンプル寄りのスタイリングなら、大人もワントーンで着られます。今回は国内ブランドの今季新作から、パステルピンクを生かした、飾り立てないコーディネートを紹介します。

カッティングやディテールでこだわりを見せて

 

 「ディウカ(DIVKA)」のワンピースは、アシンメトリーの裾がアイキャッチー。渋めのピンクを選べば、肌色になじみ、落ち着いた印象に。ドレープを施しつつ、ウエストシェイプが利いているので、めりはりボディに。くすみピンクをまとうなら、このようなカッティングに凝ったデザインを選ぶと、スタイリングに動きが加わります。

 「テン(TEN.)」はワンピース風にも見えるセットアップで、くすみピンクを品良く生かしました。前身頃はプレーンな見え具合ですが、両袖に工夫を施しています。ひじから先が急に細くなる、クラシックな“ジゴ袖”という、こだわりのディテールを採用。くすみピンクと技ありディテールの好バランスが控えめな華やぎを生んでいます。

パンツに生かして、ピンク特有の甘さをオフ

 

 ボトムスだけにピンクを迎えれば、顔周りから離れるので、スイート感を抑えやすくなります。「クラネ(CLANE)」はパジャマのようなゆったりパンツを、パウダー系ピンクで染め上げました。落ち感のあるロングシャツと合わせて、ロング×ロングのコーデに。ドレーピーでのどかなムードも甘さを遠ざけています。

 マニッシュなスラックスも、ほんのりピンクをあしらえば、優しい印象に様変わり。着ていけるシーンも広がります。「コトナ(KOTONA)」はアイシーピンクのパンツに、雰囲気が近いベージュのトップスを引き合わせました。全体が穏やかなムードでまとまり、春らしい着映えに。ヌーディーな靴を添えて、さらに伸びやかな気分にまとめています。

シャツの羽織り使いでリラックスな春気分

 

 ピンクのシャツは顔周りを明るく見せてくれるマジックツール。「エレンディーク(ELENDEEK)」は、桜ピンクのロングシャツをコート風に演出。白のワンピースに重ねました。シャツの上から細ベルトでウエストマーク。ピンクと白が響き合って、初々しい印象が生まれました。春気分とフェミニン感が融け合うコーデです。

 前を開けて着れば、ピンクシャツを羽織り物風に使えます。「ミューラル(MURRAL)」はシャツをワンピースの上からカーディガン風に重ねて、軽やかな春レイヤードに仕上げました。ピンクが顔周りに温かみを乗せて、チークのような効果も生んでいます。シャツと羽織り物に使い分ければ、出番を増やせそう。

 パステルピンクをまとえば、お花見や桜の気分を呼び込めます。穏やかな印象も与えられます。世の中全般にやや停滞ムードがある中でも、ピンクの効果で気持ちのリフレッシュが図れそう。装いを通して気持ちを盛り上げるという、ファッションの効果で日常楽しんでみてはいかが。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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小島健輔リポート 最新決算にみる米国百貨店とオフプライスストアの明暗

 ファッションビジネスのコンサルタントとして業界をリードする小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。米国ではブランドの余剰在庫を大幅値引きで販売するオフプライスストアが、定価販売を主体とする大手百貨店の業績を凌駕するようになった。これは日本の近い未来でもあるのか。

 米国の大手百貨店、オフプライスストア(OPS)の2019年決算(20年1月期)が出そろった。百貨店がそろって減収減益だったのに対してOPSは増収増益と好調を継続し、ブランド消費のオフプライス・シフトが鮮明になった。

フルプライスからオフプライスへ

 米国の百貨店業界はニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)、サックス・フィフス・アベニュー(SAKS FIFTH AVENUE)、ノードストローム(NORDSTROM)などグローバルブランドやデザイナーズブランド主体の高級百貨店、メイシーズ(MACY’S)、ディラーズ(DILLARD'S)などナショナルブランド(NB)主体の中級百貨店、コールズ(KOHL'S)、J.C.ペニー(J.C. PNNY)などプロモーショナルNB主体の大衆百貨店の3層から構成される。所得が上位に集中して中産階級が疲弊していく中、中層・下層の百貨店は限界まで追い詰められて閉店が加速しており、最上層の高級百貨店さえ業績が年々悪化している。

 19年決算では中級百貨店のメイシーズやディラーズはもちろん、大衆百貨店のコールズや高級百貨店のノードストロームまでそろって減収減益となる一方、OPS大手のTJX、ロス・ストアーズ(ROSS STORES)、バーリントン・ストアーズ(BURLINGTON STORES)はそろって増収増益で、両者の明暗が際立った。

 メイシーズは0.9%減収の245.60億ドル/44.2%減益の9.70億ドル(営業利益率3.95%)、ディラーズは2.4%減収の62.04億ドル/35.6%減益の1.34億ドル(同2.16%)、コールズは1.5%減収の188.85億ドル/19.3%減益の0.99億ドル(同0.52%)、ノードストロムさえ2.2%減収の151.32億ドル/6.3%減益の7.84億ドル(同5.18%)となったが、これらはクレジットカード手数料など商品販売外の収入を加えたもの。それらを除けばメイシーズの営業利益は1.99億ドルと80.2%減益で売り上げ対比0.81%、コールズは0.10億ドルと96.6%の減益で同0.05%、ノードストロームさえ3.92億ドルと14.2%の減益で同2.59%でしかなく、ディラーズは1050万ドルの営業赤字になってしまう。

 メイシーズは25%(61.4億ドル)、ノードストロームは33%(49.9億ドル)までEC売り上げを伸ばしてもこんなに低収益だから、メイシーズの店舗販売は10億ドル前後、ノードストロームの店舗販売も6億ドル前後の営業赤字と推計される。

 19年決算のフルプライス大手4社合計売り上げ596億ドル(ノードストロームはフルプライスのみ)に対してオフプライス大手4社合計売り上げ(ノードストローム・ラックを含む)は702億ドルと17.8%も凌駕しており、その差は年々開いている。フルプライス店のセールやアウトレットまで含めると米国市場のオフプライス購入は8割に迫り、顧客カード割引まで含めるとブランド品のフルプライス購入は数%にすぎないと推計される。フルプライスからオフプライスへのシフトはとっくに臨界点を超えており、雪崩を打つようにオフプライスシフトが加速している。

オフプラスストアの成長が加速

 OPSの19年決算は、最大手のTJXが7.0%増収の417.17億ドルを売り上げて5.6%増益の44.06億ドル(営業利益、以下同)を稼ぎ、二番手のロス・ストアーズも7.0%増収の160.39億ドルを売り上げて5.5%増益の21.64億ドルを稼ぎ、三番手のバーリントン・ストアーズは9.3%増収の72.61億ドルを売り上げて14.4%増益の5.81億ドルを稼いでいる。売り上げでは四番手のノードストローム・ラックは大手3社に比べれば勢いを欠き、0.2%増収の51.89億ドルにとどまったが、同社フルプライス店舗の3.5%減に比べればまだましだ。

 TJXは平均面積2419平方メートルで944.4万ドルを売り上げる店舗を4529店(223店増)展開し、米国内のTJマックス(TJ MAXX)とマーシャルズ(MARSHALLS)に限れば平均面積2602平方メートルで1063万ドルを売り上げている。ロス・ストアーズは平均面積1964平方メートルで910.8万ドルを売り上げる店舗を1805店(88店増)展開している。ウエアハウス型(倉庫型)のバーリントンは店舗面積が大きく、平均6437平方メートルで1035.8万ドルを売り上げる店舗を727店(52店増)展開。ノードストローム・ラックは平均面積3336平方メートルで2144.2万ドルを売り上げる店舗を242店(4店増、他にクリアランス2店)展開している。

 販売効率が最も高いのが同社フルプライス百貨店の売れ残りブランド品が過半を占めるノードストローム・ラックで、年間坪あたり2万1210ドルを売り上げており、これは同社フルプライス店舗の1万6226ドルを30.7%も上回る。トレンド感を訴求するロス・ストアーズが1万5304ドル、オンシーズンのタイアップ商品に強いTJX(米国内T.J.マックス、マーシャルズ)が1万3486ドルで続く。それに対してメイシーズの全社平均(全面積の99.5%を百貨店が占める)は7300ドルとノードストローム・ラックの34.4%に過ぎないし、コールズは6760ドル(推計)、ディラーズは4553ドルとさらに低い。

 在庫回転もTJXが6.32回転、ロス・ストアーズが6.09回転、重在庫ウエアハウス型のバーリントン・ストアーズさえ4.88回転しているのに、メイシーズは2.90回転、ディラーズは2.83回転、コールズも3.46回転しかしていない。ノードストロームは5.04回転と百貨店としては例外的に高いが、売り上げの34.3%を占めるOPSのノードストローム・ラックが売れ残り品を消化してくれるゆえの高回転と推察される。メイシーズがバックステージ(BACKSTAGE)の多店化(221店/うちメイシーズ内が215店)急ぐのも必然なのだ。

巨大ショールームかハイブリッドか

 売り上げ伸び率を見ても販売効率を見ても収益性を見ても在庫回転を見ても、もはやフルプライスの百貨店はオフプライスストアの敵ではなく、掃討されていく敗軍でしかない。フルプライス品を実品展示するショールームと化しつつある。ノードストロームのようにOPSを多店化したり、同社を含む多くの百貨店がECを拡大して顧客利便に応えて、売り上げと収益を下支えしているが、もはやフルプライス店舗部門の巨額赤字を支えきれなくなっている。

 このままでは米国の百貨店は巨大「ネイバーフッド・グッズ」(手数料型D2Cショールーム)と化すか、わが国の百貨店のようにハイブリッド化(テナント構成商業施設)に生き残りを見いだすしかなくなってしまう。

 米国の百貨店は自社物件や定期借地権物件が多く売り上げ対比の賃料負担は極めて低いから(その分、減価償却費がかさむが)、ハイブリッド化で収益を稼ぐのはわが国の百貨店より容易で、意外と突破口になるかも知れない。ちなみにノードストロームの賃料負担は売り上げの0.67%に過ぎず、減価償却費を加えても5.10%に収まる。わが国小売業でこの構造に最も近いのがPPIH(旧ドンキホーテホールディングス)で、売り場のサブリース(コンセッショナリー)は同社の利益に少なからず貢献している。

 米国の百貨店で最初にハイブリッド化に踏み切ったのはJ.C.ペニーで、メインストリート戦略(インショップ構成)を打ち上げて化粧品セレクトストアの「セフォラ(SEPHORA)」やカナダのSPA「ジョーフレッシュ(JOE FRESH)」などをインショップで導入したが、必ずしも自社の品ぞろえや客層とかみ合わず、成功しているとは言い難い。メイシーズも買収したビューティストアの「ブルーマーキュリー(BLUE MECURY)」をインショップで導入しているが、どちらも不動産戦略というより魅力あるコンテンツをバイイングでなくインショップで取り込むもので、わが国の百貨店のハイブリッド戦略とは目的が根底から異なる。逆にいえば、賃料負担が軽い米国百貨店が日本的ハイブリッド戦略に目覚めれば、収益性を少なからず改善できるかもしれない。

百貨店に未来はあるのか

 米国の百貨店はセントラルバイイングと自前のDB(在庫配分・補給・移動運用)体制を確立し、エクスクルーシブバイイング(品番買い切り)で売価変更と店間移動を自在に行って買取商品の消化を図ってきたが、SPAと同じく消化歩留まりの悪化は止められず、オフプライス購入が広がるとともにセール依存が高まり、成長性も収益性も失って壁に当たっている。

 買取商品ゆえ「さ・さ・げ(採寸・撮影・原稿作成)」し単品登録して自前のECを拡大し、コールズなどベンダー在庫までドロップシッピングでEC受注し(ウォルマートのマーケットプレイスも同じ)、店受け取りや店出荷などC&C(クリック&コレクト)も駆使してOMO戦略を推し進めている。EC比率はメイシーズが25%、ノードストロームが33%、ニーマン・マーカスは36%(17.6億ドル)まで達したが、その高収益でもフルプライス店舗の損失を埋められなくなり、OPSの多店化に成功したノードストロームを除けばコンマ以下の低収益か営業赤字に転落している。

 ちなみに19年1月期で8.59億ドル(EC比率26.1%)を売り上げたルルレモン・アスレティカ(LULULEMON ATHLETICA)のEC部門営業利益率は32.5%と店舗部門の18.2%より14.3ポイントも高い。ならばその何倍も売り上げる大手百貨店EC部門は応分に収益を稼いでいるはずで、店舗部門の赤字がそれを食い潰しているのだ。

 もはやECを50%に伸ばしても不採算店舗を全て切り捨てない限り、米国百貨店の採算性は回復しない。その比率は2割や3割ではすまないだろう。フルサイズのフルプライス店は好採算店に絞り込み、小型のショールーミングストア(C&Cサービスのローカルサロンも併設)を再布陣して、OMOビジネスモデルに転換するしかない。その過程でクレジット事業を内製化しないと、ECプラットフォーマーのフィンテック部門に決済手数料を奪われ(顧客データも奪われる)、収益が伴わなくなる。

 その一方で自社フルプライス百貨店の売れ残り商品を核としたOPSを多店化すれば、フルプライス百貨店の在庫消化も進み、マーチャンダイジングにも前向きに取り組める。ノードストローム・ラックの販売効率が自社フルプライス百貨店より30.7%、ロス・ストアーズより38.6%、TJXより57.3%も高いのは、それだけ魅力的なブランド商品(フルプライス百貨店の売れ残り)がそろっているということだ。

 セントラルバイイング&DB体制を確立し、ECも大きく広げC&Cサービスも実現してOMO戦略を推し進める米国の大手百貨店とて苦境を抜け出せないのに、そのどれも実現に遠いわが国の百貨店は一体どうなるのだろうか。インバウンドも束の間の夢と消え、ハイブリッド化のランティエとして縮小延命を図るしかないとしたら無策に過ぎるのではないか。

※OMO(Online Merges with Offline)…ネットと店舗の垣根を超えた融合を意味し、モバイルフォンをキーツールとしてウェブルーミングとショールーミングを駆使するニューリテール戦略。

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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「フィンク」の新代表CEO・南野充則氏に聞く“代表就任とヘルステックの未来”

 今年1月、約50億円の資金調達とともに、代表CEOの交代が発表され、大きな話題となったフィンクテクノロジーズ(FINC TECHNOLOGIES)。同社が運営するヘルスケア・フィットネスアプリ「フィンク(FINC)」は850万ダウンロードを達成するなど、20~30代の女性を中心に人気となっている。南野充則氏に代表CEO就任の経緯と「フィンク」が見据える未来像を聞いた。

WWD:1月に南野さんの代表CEO就任と創業者である溝口(勇児)さんの退任が発表され、非常に驚いた。どういった経緯だったのか?

南野充則(以下、南野):2018年10月にフィンクテクノロジーズという社名に変わり、その時に代表取締役CTOに就任した。以降、テクノロジー要素を強めて、アプリを中心に会社を強くしていこうというのが前提としてあって、昨年末の取締役会で、「南野が代表をやった方がテクノロジーを存分に発揮できる。長期的に見てそのほうがいい」という意思決定がなされ、代表CEO就任となった。

WWD:突然決まった印象だが?

南野:昨年の10月くらいから取締役会で議題には上がっていて、12月にそれでいこうと決まった。

WWD:就任して1カ月ほど経つが、変わったことは?

南野:これまではずっと社内でアプリを開発していて、技術をどうするか、プロダクトをどうするか、KPIをずっと見てきたが、CEOになって1カ月は外の仕事が多かった。CEOとしての発言・指針が会社にとっては大事なので、自分の行動の精度をより高くしないといけないと意識している。

WWD:以前は溝口さん、南野さん、小泉(泰郎)さんの3代表制だったが、今回の人事で代表は1人になった。3代表制では意思疎通や意思決定の難しさがあったのか?

南野:3人代表がいることの難しさは感じなかった。逆に3人いたので、それぞれの役割分担もできていた。ただ、株主からは「意思決定のスピードをあげていくために代表は3人から1人にしたらいいのでは」というアドバイスをもらうなど、外部から見たときに代表が3人いることのメリットが分かりにくい部分はあったと思う。

WWD:創業者の溝口さんはどうやって関わっていく?

南野:溝口はファウンダー、非常勤取締役として残ってもらっている。これまでフィンクテクノロジーズの顔であり、創業者でもあるので、今もサポートはしてもらっているし、お互いいい関係でやっている。大事な取引先のところに行くときは一緒に行ったりもしている。

WWD:1月に資金調達した50億円はどんなことに活用していくのか?

南野:主にアプリの開発に投資していくつもりで、今のアプリの世界観を変えずに今後はより機能を充実させ、ユーザーの満足感を高めていきたいと考えている。

WWD;ユーザー数は?

南野:現在「フィンク」のアプリは850万ダウンロードでその約8割が女性という構成だ。これは戦略的にダイエット向けというのを強く訴求して、あえて20~30代女性をメインとしてきたことが大きい。今はある程度のユーザー数まできたので、今後は40代以上や男性など、もっと幅を広げていきたい。デザインも男女に関係なく使えるようなものにしていくつもりだ。ダウンロード数に関しては、今年中には1000万を超えると思う。

WWD:今後「フィンク」をどう成長させていく?

南野:ダイエット目的だけでなく、健康になるきっかけを与えることと、健康を支えるために使ってもらいたいと考えている。そのためには「フィンク」の強みである“記録”をベースにしていく。今は歩数や体重、食事の管理がメインだが、もっと他のデータと連係させれば、多角的なアドバイスが可能となる。例えば健康診断や病院、調剤薬局などと連携して、自分の健康情報は「フィンク」を見れば分かるというところまでもっていきたい。「フィンク」を使えば、自分に最適な食事や運動のアドバイスが届けられるようにしたい。

WWD:「フィンク」ではAIや深層学習(ディープラーニング)もかなり積極的に活用している。

南野:「フィンク」では300カテゴリーほどでAIによる食事の画像診断ができ、写真を撮るだけで、カロリーを計算できる。そうすると実際に毎日の食事を入力する手間が省けるので、続きやすくなる。今後はIoTにも注力していくつもりで、体重計に乗るだけで自動で記録でき、それに対してのアドバイスも受けられるといったサービスも可能になる。そのためには他社との協業も考えており、実際にいくつか進行中だ。昨年11月にはNECと共同で、インソールとアプリを連動させて“歩容(歩行の質)”を計測できるものを開発した。5月末くらいまでには製品化できるように動いている。

WWD:実際、テクノロジーはかなり進化している?

南野:画像の認識や異常の検知、レコメンデーションの精度といったものはディープラーニングの登場によってすごく進歩した。加えてIoTも進化していて、今まで取れなかったデータがどんどん取れるようになってきている。そのデータを分析してユーザーに届ける手段が増えたのは、ヘルスケアとっては大きい。

WWD:日本のヘルステック市場はどのくらいの規模だととらえている?

南野:今だと全体で1000億円ほどだと考えている。一般向けだと「フィンク」が一番ダウンロードされていると思うが、法人向けだとまだまだで、今後はそちらのサービスも充実させていく。

WWD:南野さん自身はもともと健康に興味があった?

南野:テクノロジー分野の出身なので、どちらかというとAIやアプリを作る方からスタートしている。「フィンク」をやる前は個人としてヘルスケアの事業に関わっていたこともあり、大学時代から起業してきた。医療分野は多いが、予防の部分はまだあまりやっている人が少なく、誰かがやらないといけないと思っていた。またヘルスケアはテクノロジーと相性がいいので、いいアプリを作ればユーザーに使ってもらえると確信していた。それで「フィンク」の創業メンバーとして参加した。

WWD:将来的には上場を目指している?

南野:そこがゴールではないが、考えている。あくまでも一つの通過点であり、資金調達の手法として、「フィンク」がより大きく成長するためのものだと思っている。

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編集長はパリコレで何した?Vol.8 「ステラ マッカートニー」のユーモアに救われ、「サカイ」で気分が上がり、夜更けに「イージー」で粘る

 3月第1週に入るとフランスでも薬局からマスクと除菌ジェルが消えました。先にお伝えしたように、この頃にアメリカの業界関係者が一斉に帰国しショー会場には空席が目立つように。頭の片隅に常にアイツがいるのは誰でも同じです。挨拶のキスは互いに自粛し、“エアキス”が浸透。キスの代わりに楽しんごちゃん風に、両手でハートを作って返したらウケました(笑)。

3月2日(月)10:00
「ステラ マッカートニー」の
高度なメッセージ発信

 言葉は不要でしょう。どうぞ「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」のフィナーレ動画を見てください。多くの人が「カワイイ!!」と声をあげたくなるはず。そして動物たちが持つバッグを見ると言葉を失うはず。環境問題に熱心に取り組むステラですが今季はブランドの原点でもある動物愛護のメッセージをより強く打ち出しました。真剣で同時にユーモアやウィットも忘れないステラのメッセージの発信方法はとても参考になります。

11:00
「サカイ」は
どこまで行くのでしょう?

 「サカイ(SACAI)」という会社は日本全国の腕のある職人さんをまとめあげる言わばオートクチュールのアトリエみたいな存在だと思っています。上へ上へと理想を追い求める阿部千登勢デザイナーだけではなく、そのアイデアをなんとか形にしようとする人のアイデアと技も進化しているから服も進化しています。

 「4次元」と阿部さんが表現した今季のクチュールライクな服もそう。メンズのパンツ?と思ったらドレスだった!みたいな驚きが随所にありますが、これってアイデア倒れに終わらず「きれい」に着地するのは大変なことです。これからジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)のオートクチュールのアトリエに迎えられる阿部さんが何を見てどんな進化を遂げるのか楽しみです。

15:30
「アクリス」の心地良さ

 光がたくさん入る、天井の高い美術館。そう聞くだけで気分が少し良くなりませんか?「アクリス(AKRIS)」がショーを行った現代アート美術館はそんな場所です。もうひとつ、触り心地の良い上質素材ときれいな色を使った仕立ての良い服。これも気分が良くなる響きですね。「アクリス」とはそういうブランドです。

16:30
大好評「パコ・ラバンヌ」の
展示会へ

 今季、大変評判が良い「パコ・ラバンヌ(PACO RABANNE)」の展示会へ。スタイリストさんのスタイリング魂に火をつけるようなアイテムがそろっていました。

20:00
サラの優しく強い「マックイーン」

 「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」は、サラ・バートン(Sarah Burton)を中心にチーム力が高まっている感じ。超シャイと言われるサラは決して前面には出てこないけれど彼女の下で若手が育ち、求心力がモノづくりや店頭やプロモーションなど各所に発揮されている感が伝わってきます。あれから10年。もうリー(Lee)と比べる必要はないですね。

21:30
「イージー」で大騒ぎ

 夜も更けましたが、隠れカニエファンとしては、もう一頑張り。「イージー(YEEZY)」のショーへ向かいました。会場周辺に集合するカニエ・ウェスト(Kanye West)のファンが車のクラクションを鳴らしたり、バス停の屋根に登ったりと大騒ぎする近くに駐車をし、「どうせ1時間押しでしょ」とひと眠りしようとしたらどっこい!30分遅れで“きちんと”始まりました。その顛末についてはこちらの記事に詳しいのでぜひご覧ください。

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「グッチ」が“グッチ 1955 ホースビット”の新作バッグを発売 日本限定モデルも登場

 「グッチ(GUCCI)」は、2020年春夏コレクションで披露した“グッチ 1955 ホースビット (GUCCI 1955 HORSEBIT)”の新作を発売した。ホースビットはブランドを象徴するディテールの一つ。世代を超えて愛されてきたオーセンティックな形状はそのままに、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)=クリエイティブ・ディレクターが現代的な解釈を加え、さまざまなシーンで活躍するイットバッグに蘇らせた。4月には、日本限定モデルもリリース。ここでは、20年春夏の広告キャンペーンとともにこのバッグの魅力を紹介する。キャンペーンのカギを握るのは、もちろんホース(馬)。「自由のシンボル」ともいわれる馬と一緒に、ファッションを謳歌する姿を印象的にとらえている。

馬と日常をともにする
シュールレアリスティックな世界

 今シーズンのキャンペーンを手掛けたのは、映画「ロブスター(THE LOBSTER)」などで知られる映画監督のヨルゴス・ランティモス(Yorgos Lanthimos)。モデルたちはまるでそれが当たり前のように馬と一緒にドライブしたり、食事をともにしたりと寄り添って生活している。彼らはペットなのか、家族なのか、それとも……?観る人に解釈を委ねる、ユニークなストーリーだ。モデルが携えているのは、今シーズン新たに登場したトートバッグのシリーズ。現代を生きる女性たちのライフスタイルに寄り添うデイリーユースに最適なサイズが魅力だ。

控えめながらも存在感が光る
“ホースビット”の魅力

 “グッチ 1955 ホースビット”は、2020年クルーズ・コレクションでデビュー。モチーフのダブルリングとバーは華奢にモディファイされて洗練度を高めており、その存在感は抜群。デビュー作のフラップ型ショルダーバッグは、ストラップを調節すればクロスボディーバッグとしても使える2ウエイのデザインで、すでに人気を呼んでいる。そして20年春夏のランウェイでは、ドーム型のトップハンドルバッグやトラベルバッグなど、バリエーションをさらに拡充した。ワードローブに取り入れやすいシンプルなデザインに加え、持ち物を整理しやすい気の利いたコンパートメントも備え、モードと実用性を両立させている。


 馬具の「くつわ」に着想したホースビットは、乗馬の世界と深いつながりを持つ「グッチ」にとって欠かせない普遍的なモチーフ。60年以上経っても色あせることなく、知的でタイムレスな魅力を放っている。バッグではフロントに印象的にあしらい、クラシカルな雰囲気を維持しつつも色や柄で遊び心をプラス。人気の“GGスプリーム キャンバス”に、レッドで “BOUTIQUE”プリントを利かせたキャッチーなデザインも見逃せない。

2020年春夏は
トートタイプをチェック

 中でも今シーズンの注目はトートバッグ。柔らかくしなやかなカーフレザーを贅沢に使用した、A4サイズが収まる使い勝手のよい大きさ。見た目以上に軽く、ワークシーンに限らずマルチに活躍しそうだ。オリジナルの“GGキャンバス”とブラック、ブラウンの3型を2月20日に発売。商品価格は18万から21万円。4月上旬には、キャンバス素材にネイビーのレザートリミングをあしらった日本限定モデル(価格19万5000円)も登場する。ソフトな質感と持ち運びのしやすさが特徴で、日本人女性のライフスタイルにぴったりのデザイン。伝統に自由の風が吹き込まれ、新たな可能性を押し広げたアイコニックなバッグは、ますます注目を集めそうだ。

TEXT:CHIKAKO ICHINOI
PRODUCED BY WWD JAPAN.com FOR GUCCI

問い合わせ先
グッチ ジャパン クライアントサービス
0120-99-2177

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「グッチ」が“グッチ 1955 ホースビット”の新作バッグを発売 日本限定モデルも登場

 「グッチ(GUCCI)」は、2020年春夏コレクションで披露した“グッチ 1955 ホースビット (GUCCI 1955 HORSEBIT)”の新作を発売した。ホースビットはブランドを象徴するディテールの一つ。世代を超えて愛されてきたオーセンティックな形状はそのままに、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)=クリエイティブ・ディレクターが現代的な解釈を加え、さまざまなシーンで活躍するイットバッグに蘇らせた。4月には、日本限定モデルもリリース。ここでは、20年春夏の広告キャンペーンとともにこのバッグの魅力を紹介する。キャンペーンのカギを握るのは、もちろんホース(馬)。「自由のシンボル」ともいわれる馬と一緒に、ファッションを謳歌する姿を印象的にとらえている。

馬と日常をともにする
シュールレアリスティックな世界

 今シーズンのキャンペーンを手掛けたのは、映画「ロブスター(THE LOBSTER)」などで知られる映画監督のヨルゴス・ランティモス(Yorgos Lanthimos)。モデルたちはまるでそれが当たり前のように馬と一緒にドライブしたり、食事をともにしたりと寄り添って生活している。彼らはペットなのか、家族なのか、それとも……?観る人に解釈を委ねる、ユニークなストーリーだ。モデルが携えているのは、今シーズン新たに登場したトートバッグのシリーズ。現代を生きる女性たちのライフスタイルに寄り添うデイリーユースに最適なサイズが魅力だ。

控えめながらも存在感が光る
“ホースビット”の魅力

 “グッチ 1955 ホースビット”は、2020年クルーズ・コレクションでデビュー。モチーフのダブルリングとバーは華奢にモディファイされて洗練度を高めており、その存在感は抜群。デビュー作のフラップ型ショルダーバッグは、ストラップを調節すればクロスボディーバッグとしても使える2ウエイのデザインで、すでに人気を呼んでいる。そして20年春夏のランウェイでは、ドーム型のトップハンドルバッグやトラベルバッグなど、バリエーションをさらに拡充した。ワードローブに取り入れやすいシンプルなデザインに加え、持ち物を整理しやすい気の利いたコンパートメントも備え、モードと実用性を両立させている。


 馬具の「くつわ」に着想したホースビットは、乗馬の世界と深いつながりを持つ「グッチ」にとって欠かせない普遍的なモチーフ。60年以上経っても色あせることなく、知的でタイムレスな魅力を放っている。バッグではフロントに印象的にあしらい、クラシカルな雰囲気を維持しつつも色や柄で遊び心をプラス。人気の“GGスプリーム キャンバス”に、レッドで “BOUTIQUE”プリントを利かせたキャッチーなデザインも見逃せない。

2020年春夏は
トートタイプをチェック

 中でも今シーズンの注目はトートバッグ。柔らかくしなやかなカーフレザーを贅沢に使用した、A4サイズが収まる使い勝手のよい大きさ。見た目以上に軽く、ワークシーンに限らずマルチに活躍しそうだ。オリジナルの“GGキャンバス”とブラック、ブラウンの3型を2月20日に発売。商品価格は18万から21万円。4月上旬には、キャンバス素材にネイビーのレザートリミングをあしらった日本限定モデル(価格19万5000円)も登場する。ソフトな質感と持ち運びのしやすさが特徴で、日本人女性のライフスタイルにぴったりのデザイン。伝統に自由の風が吹き込まれ、新たな可能性を押し広げたアイコニックなバッグは、ますます注目を集めそうだ。

TEXT:CHIKAKO ICHINOI
PRODUCED BY WWD JAPAN.com FOR GUCCI

問い合わせ先
グッチ ジャパン クライアントサービス
0120-99-2177

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マスク不可欠、子どもたちは休校!? 春のどんより疲れ顔の救世主アイテムを探して 働くママのざっくばらん“本音”トークVol.4 ビューティ編

 世は新型コロナウイルス騒動でもちきり、学校は突如休校で早すぎる春休みにバタバタな私たち。マスクのときの便利アイテム、家族で飲める健康ドリンク、夕方のどんより疲れ顔カバーなど。春の嵐のようなこの時期を乗り切る「使ってみてよかった」を、7年ぶりに第3子を出産し現在2歳児育児中ママと、働きながらハイテンションな5歳男児を育てるママが語ります。

マスクが手放せない
この時期、買ってよかったもの

髙田翔子(以下しょうこ):学校も突如休校になって、幼稚園、小学生ママからの悲鳴が聞こえてくる今日このごろ。

野島一美(以下ひとみ):三児の母の私もいつも以上にてんてこまい(泣)。時節柄ウイルス対策も気になるよね。

しょうこ:今、持ち歩いているのは「生活の木」の「ハンドスプレー」。手が洗えないときや食事の前に使うとすっきりするんだけど、これマスクスプレーとしても使えるの。花粉症もあってマスク必須なのでシュッとして気分だけでもリフレッシュしたい。消炎効果が見込めるというユーカリの香り。

ひとみ:「生活の木」といえば、マヌカハニー入りの「ハーブコーディアル」を秋冬の体調管理のために家族で飲んでたのだけど、この前一緒に行った「ヴェレダ(WEREDA)」の発表会で出た健康補助飲料「エリキシール」も良かったよね。今はこの2つを交互に飲んでる。

しょうこ:すっきり味の「白樺エリキシール」は二日酔いのときに愛飲している人もいるとか。私はビタミン豊富な「ヒッポファン エリキシール」が気に入ってる。フルーティーな風味なので5歳の息子も「おいしい」って飲んでくれるの。体調に気を付けてこの時期を乗り切りたいよね。

メイク直しの時間がない!
 私たちの愛用アイテム

しょうこ:娘さんはプレスクールに通い始めたんだよね?上のお兄ちゃんたちの習い事の送迎もあって忙しいでしょう?

ひとみ:部活の朝練や学校役員の仕事もあってハード!疲れた顔は見せたくないけど……。朝から晩までバタバタなの。でも、送迎のときもちゃんとメイクしているきれいなママが多くて刺激を受けているよ。

しょうこ:昔は気にならなかったけど、今や口紅を塗らないと顔色が悪く見えるんだよね……。私は自宅で仕事する日はほぼすっぴんということもあるけど、そういう日に限って知り合いに会ったりする。口紅は何使ってるの? 今日の、似合ってる!

ひとみ:「カネボウ(KANEBO)」の「リクイドニュアンスルージュ」のEX03。赤だけど派手じゃなくて使いやすいの。

しょうこ:色々試したけどやっぱり優秀だなあと思うのは「オペラ(OPERA)」の「リップティントN05」。周囲でも使ってる人が多くてよくかぶるけど、鏡なしのメイク直しにもリップ感覚でさっと塗れて顔色がきれいに見えるからポケットに入れっぱなしになってる。同じく1000円台で選ぶなら「アテニア(ATENIR)」の「プライムルージュ」も薄づきながら疲れた顔が明るくみえるから好き。

ひとみ:あるある。ポケットの中から子どもの使いかけのティッシュと一緒に出てくるリップ(笑)。夜は寝かしつけまでが戦場!だから早めに娘とお風呂に入りたいのだけど、兄弟の夜の習い事や塾の送迎もあるから洗い髪にすっぴんで外出するのはちょっとね……。スケジュール管理が大変。この時期乾燥も気になるな。あっ、この前誕生日に父がプレゼントしてくれた「コーダリー(CAUDALIE)」のリップコンディショナー、よかったよ。保湿力が高くてリップクリームとしても口紅下地にも使ってる。パパやるなって(笑)。

しょうこ:お父さまがセレクトしてくれるとは! かっこいい。私は肌にも髪の毛のワックスがわりにも使える「ローズドマラケシュ(ROSE DE MARRAKECH)」の「ジェルドアルガンローズ」をリップとしても愛用してる。これひとつで指先からかかとまで全身どこにでも使えるから洗面台に出しっぱなしにしてるの。

ひとみ:偶然!娘と私は「ローズドマラケシュ」のクレイシャンプーとリンスを使ってるの。上の2人とは違って肌が弱い子で、普段ずぼらな私も肌に優しいものを探すようになって。直接肌に触れるものには安心したいから、ナチュラル系のコスメブランドが気になるように。

しょうこ:親子で兼用できるアイテムは便利だし、使い心地が穏やかで優しいのもいいよね。

デパコス、ドラコスで
使ってよかったもの

しょうこ:そのほか百貨店(デパート)コスメ、ドラッグストアコスメで使ってよかったモノってある?私は「シュウウエムラ(SHU UEMURA)」の新作ファンデ「アンリミテッドファンデーションスティック」はよかったね。私は濃いめの色を選んでシェーディングに使ってるんだけど、これ一つあるだけで全然違う!丸顔のっぺりな私は手放せないわー。パウダータイプのシェーディングにありがちな、いかにも入れました感がなくて、自然に骨格ができるみたいな仕上がり。

ひとみ:「アンリミテッド」シリーズの「メイクアップフィニッシュミスト」も重宝してる。子どもと一緒のときはゆっくりメイク直しなんてできないけど、朝、仕上げにこれをシュッとしておくと持ちがすごくよくなるの。

しょうこ:この前ドラッグストアが改装セールしていて、普段は買わないアイテムも色々手に取ってみたよ。ドラコス系でよかったのは、もしかしたら私たちの母親世代向け?の化粧品。「50の恵」とか「プリオール(PRIOR)」とか。30~40代の私たちにはちょっと早いかなあと思っていたけど、あれ意外としっくり。お手頃なのもうれしい。「50の恵」の顔色が明るくみえる「桃色つや肌クリーム」と、「プリオール」の筆ペンタイプの眉墨が気に入っちゃった。

ひとみ:慌ただしい毎日だけど、春だし! メイクで気分は明るく過ごしたいね。

髙田翔子(たかだしょうこ):1982年東京都東村山市生まれ。大学卒業後、ビジネス・実用書出版社勤務を経てフリーライターに。主に女性誌、書籍、WEBでインタビュー、読み物記事などを執筆。肌年齢だけは20代の診断。旅と読書とお酒が好き。電車好き1男の母

野島一美(のじまひとみ):1976年東京都杉並区生まれ。幼少期を香港、NYで過ごす。大学卒業後はテレビ制作会社で報道映像資料編集等に携わった後、東京大学生産技術研究所で教授秘書に。結婚後はフリーのライターとして雑誌VERY(光文社)で育児・早期教育について等執筆。和太鼓にはまる2男1女の母

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阪急うめだで1週間に2950万円を販売 正中雅子が手掛けるEC専業「マチャット」が関西で知名度抜群な理由

 世界中の情報が瞬時に手に入るようになり、ファッションの“地域差”や“地域特性”といったものは今やほとんどなくなった。そんな中で、東京や他の都市に比べて関西圏での知名度が抜群に高いというブランドがある。正中雅子が手掛けるウィメンズブランド、「マチャット(MACHATT)」がそれだ。2011年に神戸でEC専業としてスタートした同ブランドは、19年10月に阪急うめだ本店(以下、阪急)で行った1週間のポップアップストアで、2950万円を売るまでに成長。噂を聞きつけ、東京の百貨店からも「うちでもぜひポップアップを」との声が何度かかかっている。でも、答えはノー。その理由を聞きに、神戸・三ノ宮を訪ねてみた。

 「マチャット」の名前を初めて聞いたのは、今年の1月末に阪急3階シスターズクローゼットのバイヤーを取材した際。同売り場は19年2月からプロモーションスペースを拡大しており、D2Cブランドを含め、話題のブランドのポップアップを多数仕掛けている。19年春夏期間のポップアップで売り上げ好調だったブランドとして名前が上がったのは、1位が「テラスハウス」に出演していた山中美智子による「アリシアスタン(ALEXIA STAM)」、2位が元AKB48の小嶋陽菜による「ハーリップトゥ(HER LIP TO)」。それらに次ぐ3位が「マチャット」だった。

 1位、2位のブランドの好調は想定内。一方で、3位の「マチャット」はブランド公式インスタグラムのフォロワー数も、正中のフォロワー数も、1位、2位に比べると小粒だ。それでも、阪急で19年5月に行った1週間のポップアップの売り上げは1900万円、続く10月のポップアップストアでは、前述の通り2950万円を売り上げた。正中いわく、好調の秘けつはずばり「接客力」。EC専業ブランドらしからぬ答えだ。

 「阪急のポップアップでは、電話対応一つとっても、気持ちを込めて接客できるスタッフをそろえている。EC全盛時代に昔ながらの考え方だとは思うけど、そうしたおもてなしを一番重視している」と正中。自身も学生時代からアルバイトで販売員をし、社会人になってからは店長も長く務めた。だからこそ接客には一家言ある。「今の時代の女性はみな忙しいし、ママだと外出するのも大変。そんな中で来店してくれたお客さまには、絶対にいい気分で帰ってもらいたい」。

 ポップアップで店頭に立つのは、正中を含む社員6人と正中の友人ら合計15人ほど。大手メーカーが地方で催事をする際は販売員の採用は派遣会社などに頼ることも多いが、「元々販売員の知り合いが多いので、ママになって仕事を辞めた店長経験者の友人などが手伝ってくれている」。中には、インフルエンサーと呼べるほどのフォロワー数を持つ友人もいるという。ポップアップは毎回ほぼ同じメンバーで販売しているので、「それぞれにファンも付いてきた」。販売員の質の高さについては、阪急の担当バイヤーからもお墨つきだ。

 阪急でのポップアップは、ここ数年5月と10月の年2回開催。回を増すごとに規模は拡大してきた。「最初はラック3本のような小さなスペースだったが、面積も広くなり、集客も好調で今では入場制限をするほど。昨年10月のポップアップは30分ごとに20人前後の入れ替え制で、1人あたり3~4点購入するのが当たり前という状況だった。阪急で完売した商品はその後ECで予約販売を行い、その売り上げも非常に好調だった」という。ポップアップを行うことでECの売り上げも伸びるという好循環が生まれており、20年4月期は売上高3億円前後で着地する見込みだ。

 ECを含め、購入客の中心は正中と同世代である30代半ばから40代にかけて。ただし、阪急ではその母親世代である50~60代客も少なくないという。「2世代で買い物にくるお客さまが多いのは関西特有かもしれない。ラグジュアリーブランドを着ている母親世代のお客さまから、『あなたよく頑張っているみたいだから買ってあげるわ』と声を掛けられることもあった。そういう方は娘さんに教えられてインスタも見ていることも少なくない」。そんなふうに聞くと、2000年代前半に“神戸エレガンス”が一大旋風を巻き起こした時の“母娘消費”が、関西の地では脈々と続いているんだなと妙に納得してしまう。

「万一出資したいという話がきても絶対断る」

 そもそも、正中は神戸発のコンサバ系ファッション“神戸エレガンス”が大人気だったころに、読者モデルとして雑誌「JJ」などによく登場していた。社会人になって店長を務めていたのも、そうした“神戸系”のブランドだ。「東京の店舗で店長を務めていたが、神戸に帰ることになった。それで何をしようかといろいろ考えて、自分で資金を出して今も一緒に働いている友人と『マチャット』をスタートした」というのがブランド立ち上げのストーリー。以来、ECのみでコンパクトに商売をしてきたが、風向きが変わったのはここ3年ほど。「自分もスタッフも30代半ばを迎えて、服作りの考え方が変化してきた」ことがその理由だ。

 「以前はショートパンツも抵抗なくはいていたし、水着なら選ぶのはブラジリアンビキニだった。でも、体形も変化してきて、ママになったことでシーンも変わった。夜遊びに出掛けることはなくなったし、“入卒”といったママ特有のオケージョンが自分ごととして理解できるようになった」ことが、デザインに反映されるようになった。だからといって、体形カバーを意識したコンサバな服ばかりを作っているのではない。「ママでも派手な服が着たいときはある。視点が変わったというより、これまでより広がった感じ」。そのリアルさが、同世代以上にうけている。強みのアイテムはシャツやブラウスで、中心価格は1万2000~1万5000円。ベーシックに少しだけひねりを加えたデザインを、比較的買いやすい価格で提供している。

 EC専業ということで、はやりのD2Cブランド群の一つと分類できなくもない。でも、「私たちは立ち上げ時にECしか販路がなくて、この手法を選んだだけ。業界の潮流とは全然違うところにいる。戦略的にSNSを設計しているといったことも全くない」とあっけらかん。ECも初めは手探りだった。ECではじかに接客ができないため、立ち上げ時から手書きのお礼状を発送の際に同封。そこには、購入アイテムごとのコーディネート提案なども記入してきた。アナログな手法ではあるが、一周まわって今もう一度新鮮に映る部分もある。

 ブランドとして今まさに流れがきているといえるが、阪急以外でのポップアップを固辞しているのは、「関西以外でポップアップをするとなったら出張しなきゃいけない。それは小さな子どもがいる私には難しいし、一緒にやっているメンバーも状況は同じ。ブランドのことは大事だけど、あくまで子どもが優先。(他都市でのポップアップや常設店を)やるとなったらベストで臨みたいので、今は考えられない」といった理由から。1週間の短期集中型での販売も性に合っているという。

 ブランドは今年で9年目。読者モデル出身者のブランドが乱立した時代もあったが、今も続いているものはその中のほんの一部だ。「立ち上げ当時、こんなに続くとは自分でも思いもしなかったけど、ここまできた。会社をどんどん大きくしたいとは思わないから、万一出資したいといった話が来ても絶対断る。こんなに一生懸命やってきたのに、(出資を受けてコントロールが利かなくなるようなことがあったら)絶対嫌やわ」。“神戸エレガンス”世代は、1つ上の“カリスマ販売員”世代に比べるとこのところ消息を耳にする機会が減っているが、自身や客のライフステージの変化に寄り添いつつ、引き続きしっかり消費をつかんでいる。

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本場の達人に学ぶ“英国クラシック” 定番服で差がつくサイジングテク

 2月14〜18日にロンドン・ファッション・ウィークが開催された。2月月初に欧州連合離脱(通称ブレグジット)が実現して移行期間へと入り、ハリー王子とメーガン妃の王室離脱(通称メグジット)の騒動が冷めやらぬイギリスで、ロンドンの女性は自国の誇りを示すかのように英国クラシックのスタイルへと回帰する動きが見られた。ストリートから脱却した新たなクラシックスタイルは、サイジングが大切。ファッション・ウイーク来場者のスタイルから、リアルな着こなしを紹介する。

一周回って王道トレンチ

 世界的な潮流として、長く着られるタイムレスなアイテムに重きを置かれる傾向にある中、ロンドンではイギリスの代名詞であるトレンチコートが人気。今季の来場者のアウター着用率はナンバーワンだった。レザー素材や変形型なども見られたが、コットン素材でベージュ系カラーの最も定番なデザインが一番多かった。

ヨユウな大人ジャケット

 昨シーズンに続き、ジャケットスタイルはロンドン女子のお気に入り。肩幅がゆったり目な落ち着いたカラーのジャケットを、インナーとトーンを合わせてシックに大人っぽく着こなすスタイリングが台頭した。「ジル サンダー(JIL SANDER)」2020年春夏コレクションのような、インナーにシフォンやシルクなどの柔らかい素材のロングドレスを合わせるスタイルを、春を先取りして取り入れている来場者もいた。

ピリッときれいめスーツ

 ジャケットを使った最もクラシックなスタイルといえばスーツだろう。パンツは太めのゆったりとしたシルエットで、丈は長めのタイプを選んでかっちりとしたスーツにややカジュアルな印象をプラス。昨年までは足元にスニーカーを合わせるコーディネートが多かったが、今季の来場者は雨風が強くても見た目をピリッと引き締めるヒールがダントツだった。インナーにカラフルな柄物を合わせてアクセントを加えると、モードな印象がさらに強まった。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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競争を続ける女性トップアスリートと「SK-Ⅱ」の「美は #競争ではない」のメッセージに賛同集まる

 東京2020オリンピックの公式スキンケアブランド「SK-Ⅱ」が、6組の世界的アスリートとタッグを組んだ新キャンペーン「#NOCOMPETITION(美は #競争ではない)」に、ポジティブな反応が多数寄せられている。これは、男女を通じて史上最多のメダルを獲得した体操のシモーン・バイルス(Simone Biles)選手のほか、日本からは卓球のオリンピックメダリストの石川佳純選手、バトミントンで金メダルを獲得した髙橋礼華&松友美佐紀ペアらが参加。アスリートはインスタグラムに、“望まない競争”を乗り越えた経験や、美と人生における“競争”について、身近な人と話し合う契機を提起。共鳴するコメントが相次いでいる。「SK-Ⅱ」は、女性が身近な人と話し合いながら美しさを定義し、そこに向かって一歩を踏み出すアクションを応援する。

 体操のシモーン・バイルス選手はキャンペーンが始まるとすぐに、「望まない競争に晒されそうになる機会は、日々訪れます。私だけではないでしょう。(中略)周りの人たちは、彼ら・彼女たちの基準に沿って、あなたの美を定めようとする。私には、その気持ちがわかりません。(中略)今日、私は画一的な美の基準、そして、期待通りに立ち居振舞わなかった人に対してネガティブにアクションする有毒なカルチャーとの戦いを宣言します。私も含めて誰も、あなたに『美しさとは』なんて語る権利はないんです。 美は #競争ではないから」との趣旨のメッセージを、377万人のフォロワーを抱えるインスタグラムにポスト。普段とは異なる、彼女の写真も動画も存在しない投稿だったが、普段同様の15万8000以上の「いいね」(3月9日現在)と、普段以上の3175件のコメントが集まった。

 コメントの多くは、勇気を出して「美は #競争ではない」と発信した彼女に共鳴するものだ。「ポジティブなお手本になってくれて、ありがとう」「あなたを抱きしめられたらいいのに!」「あなたは美しいし、素晴らしい身体の持ち主。皆、羨ましいと思うかもしれない。でも、それさえ既成概念なのね。『アナタはアナタ』と言えるようになるわ」などのコメントが相次いだ。

 また、彼女は3月3日の夜、ニューヨークのタイムズ・スクエアで41の大型デジタルビルボードが真っ赤に染まったイベントの様子も投稿している。

 また公益財団法人日本バレーボール協会(JVA)のインスタグラムを通じてバレーボールの女子日本代表、火の鳥NIPPONは、「理想像と比較され、『足りない』と言われるものを追い求めることが、我々の中での『戦い』となってきた。しかし、周りが求める理想像を追いかけることが、私たちの真の戦いではない」とのコメントを投稿。こちらにも、「メダルや順位ではなく、ただ単純にバレーボールの楽しさを伝えてください」「自分の幸せの為に頑張ってください。それを観て、元気をもらいます!!」などのコメントが相次いだ。

 サーフィンの前田マヒナ選手は、「競争。それは、あらゆる面において、わたしたちの最高の力を引き出してくれるものです。(中略)でも、東京2020オリンピックという人生最大の競争に向かう中で、望んでいないけれど自分の中にあって、決して勝つことがない一つの競争があることに気づきました。それは『美しさに対する競争』です。その競争では、他のサーファーやアスリート、女性と比べて、見た目がどうかとか、どう振る舞うべきと批判されるのです。なぜ、そんな美のルールに従わないといけないのでしょう?私の競争は世界最高のアスリートになるためのもので、どんな見た目であるべきではないんです。私は私らしく生きていると、誇りを持って言えます。 #NOCOMPETITION #競争ではない」と投稿。「So True(その通り)」などのリアクションが寄せられている。

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#敦子スメ「新月・満月」ノート 今回の満月(3月10日)は花粉や感情など目に見えない力が強まる!?

星占いとの出合い

 オーガニックコスメとの出合いや、コスメキッチン在籍中に占い師・ジョニー楓さんのイベントを担当したのをきっかけに星占いに興味を持ち、独学しました。現代では、占いとしてこれはラッキー、アンラッキーという区別に使われることもありますが、良い悪いではなく自然の流れとしての月の動きに、地球上で生活しているわたしたちは知らずに影響を受けています。この連載では、月の動きの中で活用できるものを知り、うまく生かしていただくための付き合い方をお伝えしていきたいと思います。新月・満月の流れを最大限に引き出すためのサポートをしてくれるコスメやインナーケアアイテムも紹介していきます。第6回は3月10日の満月とおすすめコスメについてお伝えします。

 今回の満月は乙女座で、前回新月で紹介した水星逆行の最後の日に起こります。

 毎年毎年気をつけなくてはと思いながらも、この時期には必ず手を焼いている、花粉症。

 花粉そのものも自然界に属するものなので、満月にはその力がより強まるかも知れません。

 今回の満月コスメは、花粉症にうれしいスースー系アイテム。ペパーミントやユーカリなど、この時期に外せないアロマを使ったアイテムをご紹介します。外回りの仕事の人にとって花粉症は本当に大変ですよね。そんなときに便利な持ち運べる2アイテムをセレクトしました。「ザ・プロダクト(PRODUCT)」の「ドライシャンプー」は、これからの時期に大活躍。頭皮用のリフレッシュウオーターとして使えますが、マスクにひと吹きして、ペパーミントの香りを楽しむこともできます。服に着いた花粉が気になるときは、ルームスプレーとして空間にまくのもおすすめ。スポーツをする人のボディースプレーとしても人気のアイテムです。「ソープトピア(SOAPTOPIA)」の「ボディバター マイ・ソルベーション ブレスインWE」も、風邪予防や花粉のムズムズに人気のアイテム。喉のイガイガには肌に直接塗ることができ、こめかみやおでこにも塗るとスースー感を楽しめます。おやすみ前に胸元に塗ると深呼吸に導いてくれるのでおすすめです。

 3月半ば過ぎまでは、星占いでは魚座のシーズンです。魚座のキーワードは「目に見えないもの」。魚座にはアーティストやミュージシャンが多いといわれていますが、目に見えないけれど人の気持ちに働きかけたり、自然と広がるものを示したりするといわれています。音楽や芸術同様、満月の日は花粉や感情など、目に見えないもののパワーも強まるかも?ナチュラルケアアイテムをうまく取り入れて、どうぞご自愛ください。

福本敦子(ふくもと・あつこ)/フリーランスPR・美容コラムニスト:コスメキッチンに14年間勤務後、現在はフリーランスPRとして活動するかたわら、ビューティコラムニストとしてイベント、SNSなど多方面で活躍。オーガニックに精通した知識を武器に、ライフスタイルに寄り添った独自のオーガニック美容論が、著名人やエディターをはじめ各方面から大人気。「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と多くの反響を呼び、紹介した商品の欠品や完売も多数。2019年秋、初の書籍となる「今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by敦子スメ」を出版。発売前に増刷が決まるなど話題を読んでいる。旅を愛し、占星術にも精通 instagram:@uoza_26

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バッグ&シューズのワンダーランド“五感”がテーマの「ロジェヴィヴィエ」新作プレゼンテーション

 「ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」は、ファンタジーの世界へと来場者を誘うプレゼンテーション“ホテル ヴィヴィエ(HOTEL VIVIER)”を開き、2020-21年秋冬コレクションを発表した。ユニークな世界観を作り上げるゲラルド・フェローニ(Gherardo Felloni)=クリエイティブ・ディレクターが今季着目したのは、感覚を研ぎ澄まして体験する「センソラマ(SENSORAMA)」。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚からなる“五感”を表現した部屋を用意し、その中で象徴的なモデルのアレンジを軸にした新作を見せた。そんなプレゼンテーションの模様をリポートする。

1:嗅覚の部屋

 「嗅覚の部屋」では、ガラスのフレグランスドームの中にカラフルな“アイラブ ヴィヴィエ”のスリングバッグパンプスを展示した。その一つひとつには「ピンクローズ」や「イエローシトロン」などに香りを想起させる名前が付けられていて、「嗅いでみる?」と部屋にいる女性に促されるが、実際の靴に香りはない。その他、“アイラブ ヴィヴィエ”から新作としてミュールが登場した。

2:触覚の部屋

 ピンクのフワフワした素材で至るところを覆った「触覚の部屋」では、“ベルサイユ宮殿の高級娼婦”という設定の華やかなドレスを着た猫たちがお出迎え。ベルベットやスエード、サテンを用いたデコラティブなミニバッグやクラッチ、筒型のボトルバッグ、ホワイトスニーカーに加え、コスチュームジュエリーも並べた。また、甲にビジューがあしらわれたスクエア型フレームを配した新作のパンプスも披露。

3:視覚の部屋

 「視覚の部屋」では、暗闇の中で2人の女性が蛍光塗料を使ったペインティングを楽しんでいる。その横でスポットライトに照らされるのは、「ロジェ ヴィヴィエ」のアイコニックなアイテムの一つであるサイハイブーツ“クイサード”をアレンジした新作“ベルヴィヴィエ クイサード”。スクエアトーの“ベルヴィヴィエ”のラストを用い、ネオンカラーやシルバーのモデルにフリンジの装飾を施しているのが印象的だ。合わせて、ブーツのデザインにマッチする“RV ミニ バッグ”も展示した。

4:聴覚の部屋

 「聴覚の部屋」では、メイド風の怪しげな女性がASMRサウンドのレコーディング中。来場者に「あなたは何の音が好き?教えて……」とささやきながら、紙をちぎったり、気泡緩衝剤(いわゆる“プチプチ”)を潰したり。そんな部屋に並べられたのは、パテントのチャンキーヒールブーツや誇張されたポインテッドトーのキトゥンヒールショートブーツといった強めのスタイル。そのほか、ホテルのスリッパから着想を得た新型モデルも披露した。

5:味覚の部屋

 「味覚の部屋」では、希少性にフォーカス。バースデーケーキ型のセットの上に座ったグラマラスなシンガーがギターの弾き語りを披露する中、手作業でパールやビジュー、フェザーの装飾を施した1点もののハンドバッグ“ヴィヴ カヴァ”をバリエーション豊富に並べた。

6:第六感の部屋

 そして最後には、秘密の部屋として「第六感の部屋」を用意。ミステリアスな占い師が待つ空間では、自分自身の感覚を研ぎ澄ました人には本来見えないゴーストやファントムの姿が見えてくるという。そこに並ぶのは、「視覚の部屋」にも展示された“ベルヴィヴィエ クイサード”にたっぷりとフェザーやパールの装飾を施したクチュールピース。中には、100時間をかけて製作されたものもあるという。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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編集長はパリコレで何した?Vol.7 強烈だった「バレンシアガ」、優しくつながる「イッセイ ミヤケ」、「トム ブラウン」の動物の深い意味

 手を洗っては消毒し、しっかり食べて寝ておきたら体温測定という、今だかつてなく健康的なパリコレ取材を終えました。毎晩遅くまで飲み歩くパーティー生活が“不健康だけどおしゃれ”なんてイメージはパリコレでも完全消滅。ただし、パーティーで騒いだりはしないけどこの状況下だからこそ連帯しファッションの、そしてクリエーションの灯は消すまい!という思いは逆に強まりました。残り数回、パリコレ日記を更新しますのでお付き合いください。

3月1日(日)10:00
人種も世代も超えてつながる
「イッセイ ミヤケ」

 近藤悟史デザイナーによる2シーズン目の「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」です。デビューショーもそうでしたがモデルがジグザグに歩いたり、パフォーマンスをしたりと、いわゆるキャットウォークではなくインスタレーションのような演出です。先月訪れたNYの現代美術館MoMAでは、その場に居ないと見られない“刹那なパフォーマンス”がアートとして認知され盛り上がっているのを肌で感じましたが、「イッセイ ミヤケ」のショーもそこと通じるものがあります。

 メッセージも頭で理解するというより、直感で受け取る感じ。フィナーレの“つながる”ホールガーメントニット演出は、今季を象徴するものとなりました。2つ目の動画はフィナーレでの観客の反応を収めました。賞賛の拍手をご覧ください。

11:30
「バレンシアガ」の
強烈なメッセージ

 「バレンシアガ(BALENCIAGA)」はパリ郊外にある広~~~~いスタジオにひな壇型の客席を作り、天井一面にビジュアルを投影するという大掛かりな演出を見せました。始まりを待つ間は真っ暗。ショーが始まって初めて気が付きました。なんと床は水浸しで客席の最前列は水の中に沈んでいます。

 そして始まったのが、気候変動により荒れ狂う自然の映像です。森林火災を連想する炎の映像、洪水を連想する海の映像。実際に経験をした人にはキツイだろうなぁと思うくらいリアルで迫力があります。体を守るような服を着て、水を着散らして歩くモデルたち。

 地球がこんなになっているのにファッショショーをするのか、そして見るのかと自虐的な気持ちにもなります。説明不要かと思いますので写真にキャプションはつけません。どうぞご覧ください。

13:00
「ノワール ケイ ニノミヤ」
×「チャーチ」

 「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」の展示会で「チャーチ(CHURCH’S)」とのコラボシューズを発見。素敵。二宮さんの歴史あるブランドやアイテムへのリスペクトをそこに見ました。

14:00
「トム ブラウン」のノアの箱舟

 朝一の「バレンシアガ」とは対極のほのぼのムードですが、「トム ブラウン(THOM BROWNE)」のメッセージもまた地球温暖化への警鐘でした。メンズとウィメンズが全く同じ格好で登場するという新しいタイプの合同ショーで、手には動物のバッグを持っています。実にいろんな種類の動物の登場し、そこには“ノアの箱舟”という意味が込められていたようです。

 シリアスなストーリーですが、カワイイ。これもファッションの力ですね。フィナーレにはペアが入れ替わり、同性同士のカップルになって登場するというインクルーシブなメッセージも素敵です。動画はショーの幕開けのシーンです。微笑まずにはいられません。写真の中から好きな動物を見つけてください。

16:00
「ビューティフルピープル」が
ベストコレクション

 「ビューティフルピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」はパリコレ進出後のベストコレクションとなりました。新しい服の形の模索を続けながら、これまでは時に難解だったりトゥーマッチだったりしましたが、今季はすっきりとわかりやすく、ちょっと面白く、何より「着たい」と思わせる力があります。これぞ、「ビューティフルピープル」ですね。

17:00
「ヴァレンティノ」と
ビリー・アイリッシュ

 「ヴァレンティノ(VALENTINO)」の音楽にはいつも注目しており、今季は流行りのビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)の「All the good girls go to hell」。しかも管弦楽の生演奏とのセッションです。ビリー・アイリッシュを使うショーは多いですが、彼女の曲は大きな会場で大音響で聴くのが合わないな~と思っていました。ひとりでイヤホンを通じて暗~く聴くのが合っています。でもこれは良かった。着る人を主役として、平等性や包括性を表現したというショーに合っていました。

18:30
「タトラス」のカラフルなダウン

 「タトラス(TATRAS)」がパリコレでショーを発表しているのをご存じですか?情熱的なピアノの生演奏をバッグに見せたのは、ヴィンテージライクなダウンコートというありそうでなかったアプローチ。デニムやコーデュロイなどの素材使いもユニークです。

20:00
強くてリアルな「ジバンシィ」の
女性像

 今季のベストコレクションのひとつが「ジバンシィ(GIVENCHY)」。黒と赤をキーカラーとした迷いのない強い女性像で圧倒されますが、よく見るとコーディネートがリアルで着てみたくなる。そんな2つの顔を持っています。

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パリメンズのイケメンモデル50連発 超美形から癒し系まで妄想膨らみっぱなし

 1月19日に閉幕したパリ・メンズ・ファッション・ウイーク。今季もばっちり、バックステージでイケメンをハントしてきました!「売れっ子モデルの周期ってなんて早いんだろう」と感じずにはいられないほど、今季は前季と顔ぶれに変化が見られました。

 例えば、前季に最旬メンズモデルとして取り上げたアルトン・メイソン(Alton Mason)はパリコレに参加せず撮影のためアメリカに滞在していたようで、一度も会うことがありませんでした。ただし、それはむしろ彼のキャリアが上がっている証し。ランウエイモデルとして起用されるのはモデルにとって顔を知ってもらうための宣伝効果で、エディトリアルやルックブック、願わくは広告に起用されるのが最も高いステータス=高額なギャランティーなワケです。前季のファッション・ウィーク以降、「エトロ(ETRO)」「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」などの広告や、オーストラリア版「GQ」の表紙を飾るなど、アルトンの活躍ぶりを至る所で見かけました。

 前シーズン注目したジーヌ・マハデヴァン(Jeenu Mahadevan)もアルトン同様の活躍ぶり!「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」の広告やイギリスの新聞紙「ガーディアン(The Guradian)」のエディトリアルなどで見かけました。今季のバックステージではロンドンの「ウェールズ ボナー(WALES BONNER)」とパリの「ボーディ(BODE)」で再会しました。スリランカ系の血を持つ彼のような、南アジア諸国出身者のメンズモデルは確実に増えています。

 そして今季はアフリカ系のメンズモデルの躍進が大きかったです。「モデルズ・ドット・コム(Models.com)」によると、ランウエイを最も多く歩いたのはセネガル出身のマリック・ボディアン(Malick Bodian)。「ルイ ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「ディオール(DIOR)」「エルメス(HERMES)」など、合計23ブランドのショーに登場したそうです。

 さらに、私が各都市のバックステージ取材で数回見かけて注目したのはロメーヌ・ディクソン(Romaine Dixon)です。フェイスブックにアップした写真をきっかけにスカウトされ、昨年6月にモデルデビューを果たしたジャマイカ出身の20歳。190cmの長身に細身&小顔といった、洋服を最高にかっこよく見せる理想的な体型の持ち主です。男性らしさはありますが、クリクリとした大きな目元は女性のようで、カッコ可愛い系。すでに「フェンディ(FENDI)」「ディオール」の広告に起用されており、スターモデル街道をますます駆け上がっていきそうな勢いです!

RHUDE
妄想で女装させたくなる美形ぞろい

 そんなロメーヌがランウェイを歩いた「ルード(RHUDE)」は、甘いマスクのイケメンぞろいでした。ファーストルックを飾ったアナトーリはかなり甘めの顔立ちで、女装したらとっても可愛くなりそうで勝てる気がしません(笑)。切れ長の目元が印象的なセンヤは、女装したらカーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevigne)にそっくりになりそう。マチューとアントワーヌのようなアイルランド系赤毛のメンズモデルってあまり目にすることはありませんが、ウィメンズの「シモーネ ロシャ(SIMONE ROCHA)」のロマンティックなドレスが似合いそう。と、勝手にメンズモデルを頭の中で女装させて、妄想を膨らましておりました。

BOTTER
アジア系モデルの注目株を発見

 「ルード」で会った中国出身のメンは「ボッター(BOTTER)」にも起用されていました。そのほか「ロシャス(ROCHAS)」「バルマン(BALMAIN)」でもランウエイを歩き、「ランバン(LANVIN)」の広告も務めるアジア系の注目株です。「ボッター」ではアジア系モデルの割合が高かったのですが日本人はおらず、全員が中国出身者でした。同ブランドのデザイナー、ルシェミー・ボッター(Rushemy Botter)がカリブにルーツを持つためか、カリビアン系の黒人モデルも目立ちました。ファーストルックのケルヴィンやイブラヒマは昨年デビューした若手。ちなみに同ブランドのメイクアップアーティストは、ショーが始まる直前にモデルに目薬をさして目の下を少し濡らすといった細かな演出を加えていました。目がキラキラ、ウルウルして見えるのはメイクの効果です。

BODE
エキゾチックな神秘系男子たち

 ジーヌが歩いた「ボーディ」は、南アジア系のエキゾチックなメンズモデルが最も多かったように思います。カングカンはインド出身、ソルはイギリス、アラミッシュはスウェーデン、ナジンはフランスと出身国はヨーロッパですがルーツに南アジア諸国が混じっていそうな人種です。「ボーディ」の生地はインドの伝統的な織物や刺しゅう、古布を多用していることもあって、あえて南アジア系のモデルを選んでいるのでしょう。短髪のクルクルヘアーのモデルが多かったのも特徴でした。ジーヌもさることながら、ラトビア出身のクリステルスも売れっ子モデルの一人。彼はなんと23歳にして5歳の息子のパパなんです!バックステージで会う度軽く挨拶を交わすと、「ハロー」と言いながらウィンクしてくれます。ウィンクされるのはあまり好きではないですが、彼は例外的に受け入れちゃいます(笑)。

TAAKK
個人的好みではナンバーワンの人選

 バックステージ取材が仕事とゆえど、ジャーナリストである前に私も一人の女性です。やっぱり好みの男性にはついつい目を奪われてしまうもので、個人的には「ターク(TAAKK)」のモデルに一番目移りしてしまいました。決して仕事そっちのけでヘラヘラしていたわけではありません(笑)。ほかのショーでは見かけない新人か、大きい事務所ではない素人風のモデルが多かったように思います。特に誰か特定のタイプの男性がいたわけではなく、全体としてカッコイイ雰囲気がムンムンしていたのは、「ターク」の衣服が引き出した魅力かもしれません。

DOUBLET
“井野新喜劇”に集うフレンドたち

 “キャスティングナイスで賞”を贈呈するとしたら、間違いなく「ダブレット(DOUBLET)」でしょう。起用したほとんどがキャスティング・ディレクターの知人だそうで、モデルではない一般人が多かったようです。ショーでは笑いながら歩いたり喋ったりする演出で、まるで喜劇を見ているように平和的でポジティブなムードに包まれていたのは、「ダブレット」の衣服とヘアメイクにも負けない強い個性を持ったモデルらのおかげも大きかったはず。井野将之デザイナーの世界観を十分に発揮するキャスティング力に拍手を送りたいと思います!

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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レディー・ガガのネイルを担当したネイリストAya Fukuda NQ.が自身初のネイルサロンをオープン

 2008年に単身渡米しニューヨークを拠点に活躍したネイリストAya Fukuda NQ.がネイルサロン「アヤ ネイルズ(AYA NAILZ.)」を東京・たまプラーザに4月8日にオープンする。かつてはレディー・ガガ(Lady Gaga)やキム・カーダシアン(Kim Kardashian)をはじめとする海外セレブを顧客に持ち、ニューヨーク・ファッション・ウイークやハーパーズ バザー(HARPER’S BAZAAR)、ヴォーグ(VOGUE)といったハイファッションの舞台でも活躍してきた。11年には東京・代官山にネイルチップショップ「THE NAIL SHOP」をオープンするも14年に幕を下ろし、今回は自身初のネイルサロンを開業する。世界の舞台で活躍してきた彼女が初めてサロンを開く理由をインタビューした。

WWD:これまでの経歴を教えてください。

Aya Fukuda NQ(以下、Aya):渡米するまではヘアメイクとしてテレビ業界で働いていました。08年に渡米し、美容室でネイリストとして勤務しました。その時にお客さまとしてレディー・ガガさんに出会い、一緒に仕事をしたり、ファッション・ウイークのバックステージやヴォーグ、バザーの表紙のネイルを手掛けたりしてきました。最初はメイクアップアーティストとして渡米したのですが、ガガさんのネイルを担当するようになって、彼女が求めるデザインに仕上げるにはネイルの素材がたくさん必要でとにかく荷物が多くなってしまうこともあり、次第にネイリストとして活動するようになりました。ネイル用の素材ではなく布やメタルパーツなど洋服用の素材を取り入れてネイルの枠を超えてデザインを作ったことが気に入ってもらえたんだと思います。NYと日本を行き来していた時期もあり、11年にはネイルチップショップを代官山にオープンしたんです。当時、日本はジェルネイルがブームになっていた時で、アメリカでもガガさんにしかしていなかったチップという提案は一般のお客さまの感覚とは違っていたようで……、14年にそのお店は閉店しました。その後、結婚出産を機に15年に拠点を日本へ移しました。

WWD:日本に帰国してからの活動を教えてください。

Aya:帰国後は事務所に所属し、フリーランスネイリストとして、タレントや歌手のネイルを担当しました。ですが日本のファッション業界や雑誌の現状はバジェットが少なく、メイクアップアーティストがネイルも施すなどネイリストが活躍するには厳しい状況です。さらに自分はサロンを持っていないために交通費や駐車場代などの出張費がかかることも、他のネイリストに比べて不利になってしまうことがありました。加えて子育ての忙しさも相まって、現在もNYの事務所に所属はしているのですが、渡米して仕事をするのは未だ難しい状況です。

WWD:東京ではネイリストの活躍の現場が限られているんですね。

Aya:そういった背景もあって昨年の9月ごろから自分でネイルサロンを作って独立することを考え始めました。自分がオーナーになれば時間の融通も効きますし、サロンという基盤を作ればそこで撮影の際のモデルを施術することもできます。さらに長い目で見ればスタッフに自分の技術をレクチャーし育ててチームを作ることもできます。今のネイリストさんはシフト制で出勤して、決められたデザインを言われたとおりに施すことも多く、クリエイティブな仕事であることをもっと知ってもらいたいし、そういう活動をしたいという若いネイリストが活躍できる場を作れたらいいとも思います。

WWD:それで今回のサロンオープンに結びついていったんですね。場所はどんなところですか。

Aya:自分が子育てをしていることもあって生活の基盤にも近い、田園都市線沿線のたまプラーザ駅から徒歩4分のところにお店を構えます。渋谷からも電車で20分ほどなので意外と便利ですし、本当に来たい人が来てくれるサロンになる立地だと思います。そしてサロンを経営しながら、ファッションの仕事も続けていきたいと考えているので、タレントさんや歌手、著名人の方々にも気軽に来店していただけるようなサロン作っていけたら。またこれまでのファッションの現場経験を生かして、撮影前日にモデルさんの特別施術もサロンで対応させていただこうと思っています。

WWD:サロンのターゲット層やお店のイメージは。

Aya:30~40歳の子育てをしている女性を考えています。キッズスペースを併設したり、同時に施術できるアイラッシュスペースも作ったりします。デザインは生活に支障なくネイルを楽しむことができるショートネイルを打ち出していきます。メニューはシンプルなベーシックコースのほかに9800円と12500円のアートコースを用意し、私が監修したデザインをベースにお客さまの要望に合わせて色やパーツ、ラメの変更に応えます。さらに撮影やウエディングなどデザインを一から一緒に決めていくアーティストコース(3万円~)も用意しています。サロンは内装にもこだわっていて、いわゆるネイルサロンの雰囲気ではなく施術はダイニングテーブルで行います。NYで活動していたときはセレブに呼ばれる出張ネイルが多く、彼女たちの自宅のダイニングテーブルで施術を行うことがほとんどでした。そこでNYでのセレブリティネイリストを再現して取り入れました。また個室の設置など日本のネイルサロンには多いですが、みんなが一緒に施術される空間を作ります。モデルと一緒にしてもらえるってちょっとうれしくないですか。新しいネイルサロンのスタイルを作っていってもいいんじゃないかなって。

WWD:今後はどのような体制でサロンを運営していくのでしょうか。

Aya: 1店舗目はネイル3席とアイラッシュ2席を用意しているので、それに合わせてスタッフも増やしていく予定です。10時オープンで20時クローズです。私もサロンに立ちますが、スタッフで運営できるようになれば、アーティストコースや撮影、ファッションの仕事にも力を入れていきたいと考えています。ある程度長い目で見て教育もしていきたいので2店舗目は3年後に、将来的には3店舗まで拡大したいと考えています。サロンのほかにファッションや雑誌の仕事を専門にできる “チーム AYA”のようなものを作れたらいいですね。

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「ヴァレクストラ」が“ミラノブランド”を集めたコラボプロジェクト 「プラン C」「スンネイ」など5組と協業

 イタリアの老舗レザーブランド「ヴァレクストラ(VALEXTRA)」は2020-21年秋冬ミラノ・ファッション・ウイーク期間中に、ミラノブランドとのコラボレーションプロジェクト“エクストラ ミラノ(EXTRA MILANO)”を発表した。

 ミラノを拠点にしながらも、国籍や年齢、ジェンダーの異なる「ラ・ダブルジェイ(LA DOUBLE J.)」「スンネイ(SUNNEI)」「プラン C(PLAN C)」「アーサー アルベッセ(ARTHUR ARBESSER)」「マッシモ アルバ(MASSIMO ALBA)」の5つのブランドとタッグを組んだ。5~7月、9~11月の6カ月の各月で6つの“エクストラ ミラノ”のコレクションが「ヴァレクストラ」店舗に登場し、各店舗につき各バッグ10個限定で販売する。

 「ヴァレクストラ」のコレクションを含む6つのコレクションを、デザイナーのコメントとともに紹介する。

5月発売の「ラ・ダブルジェイ」
レトロでポップな
ビンテージプリントから着想

 ミラノ在住のアメリカ人デザイナー、J.J マーティン(J.J Martin)による「ラ・ダブルジェイ」はビンテージプリントの洋服やホームコレクションに定評があるブランドだ。「ヴァレクストラ」のミニバッグ“トリックトラック(TRIC TRAC)”に、1970年代のビンテージプリントのドット模様を取り入れた。

 デザイナーのJ.J マーティンは「『ラ・ダブルジェイ』の衣類やインテリア商品は歴史あるイタリアメーカーとの取り組みで作られている。老舗レザーブランドの『ヴァレクストラ』との協業ができると決まって、最高のバッグが作れる自信があったわ。今回は象徴的なビンテージ柄をプリントするのではなく、レザーをはめ込んだ象がんのテクニックで職人技の伝わる上品なバッグになった。今回のインスタレーションのために作ったガラスボールも、普段から私たちのグラスコレクションを作っているミラノのメーカーによるものなのよ」と語った。5月に発売する。

6月発売の「スンネイ」
5年目のコラボデビュー作は
ユニセックス

 ロリス・メッシーナ(Loris Messina)とシモーネ・リッツォ(Simone Rizzo)のデュオによるイタリア発のファッションブランド「スンネイ(SUNNEI)」は、15年にスタートしたメンズウエアが主力のブランドだ。6月発売するコラボ商品は、「ヴァレクストラ」のハンドバッグ“パスパトート(PASSEPARTOUT)”の形を元にしたバッグ5型とウォレット1型をラインアップする。マトリョーシカのように全てのアイテムを重ねて収納したユニークな展示方法で発表した。

 メッシーナは「実は僕たちは別のブランドとのコラボ経験がなく、今回がコラボデビュー作。他社とのコラボは“まずは自分たちのアイデンティティーを固めてから”と考えていて、最初がイタリアの老舗『ヴァレクストラ』と決まってとても光栄に思っている」と話した。リッツォは「『ヴァレクストラ』はトレンドを追っていなくて普遍的な価値観を持っている。他のブランドとは異なる時間軸のあるブランドだから、コラボをするべきだと思ったんだ。『スンネイ』はメンズウエアが主力なので、男性も持てるバッグが作りたかったから『ヴァレクストラ』の中でもジェンダーレスな“パスパトート”の形を選んだんだ」と教えてくれた。

7月発売の「ヴァレクストラ」
“エクストラ ミラノ”

 コラボ商品ではない「ヴァレクストラ」20-21年秋冬の新作を“エクストラ ミラノ”として発表している。7月に発売する。ブランドのアイコンバッグの“イジィデ(ISIDE)”や“セリエ エス(SERIE S)”に、ミラノの建築の大理石の床やタイルからヒントを得た直線の象がんを施しているのがポイントだ。

 サラ・フェレロ(Sara Ferrero)=ヴァレクストラ最高経営責任者は“エクストラ ミラノ”について、「今回のプロジェクトで集まったはデザイナーはミラノの業界仲間で、つながりのある友人たち。ミラノは小さい街だけど、多くの外国人がビジネスをスタートさせる国際的でクリエイティブな街で、その多様性を表現したいと思った。それぞれの強い世界観を『ヴァレクストラ』のクラフツマンシップで表現して、それぞれのパーソナリティーが伝わるコレクションが完成した。プロジェクト名のエクストラは“Extraoridinary”(卓越した、格別の意)という意味を込めているわ」と語った。

9月発売の「プラン C」
娘のイラストを使った
ショルダーバッグ

 「プラン C」は「マルニ(MARNI)」の創業デザイナー、コンスエロ・カスティリオーニ(Consuelo Castiglioni)の娘で、デザイナーのカロリーナ・カスティリオーニ(Carolina Castiglioni)によるウィメンズブランド。「ヴァレクストラ」の“イジィデ クロスボディ”にカロリーナの娘のマルガリータちゃんが4歳の時に描いた友人のビアンカの絵を象がんで取り入れた。

 カロリーナは「娘の描いた“ビアンカ”は『プランC』のDNA。“ビアンカ”を用いて、プレイフルで気軽なバッグを目指し、『ヴァレクストラ』による最高級のクオリティーで表現することができた。両手があくショルダーバッグを選んだのは母親ならではのアイデアね」と話した。

10月発売の「アーサー アルベッセ」
モザイクの象がんを施した
ハンドバッグ

 「アーサー アルベッセ」はオーストリア・ウィーン出身のアーサー・アルベッセによるミラノを拠点にするウィメンズブランド。建築やコンテンポラリーアートをインスピレーション源にした色柄使いや異素材ミックスを得意とする。「ヴァレクストラ」のハンドバッグ“ブレラ(BRERA)”をもとにモザイクの象がんを施したデザインを発表した。

 アーサーは「協業を決めたのは、『ヴァレクストラ』はずっと敬愛してきたブランドだったから。ミラノブランドならではのクオリティーの高さと上品な表現力を持っていて、ミラノの女性の優雅さを象徴していると思う。ミラノの女性たちの美しさをダイレクトに表現したいとデザインした」とコメントしている。

11月発売の「マッシモ アルバ」
遊び心溢れる
“コマ付き”ハンドバッグ

 ラストを飾るのは、「マーロ(MALO)」や「アニオナ(AGNONA)」などさまざまなイタリアブランドでクリエイティブ・ディレクターを歴任し、20年以上のキャリアを持つマッシモ・アルバ。自身の名を冠した「マッシモ・アルバ」は06年にスタートさせた。「ヴァレクストラ」の“セリエ エス(SERIE S)”を、「マッシモ アルバ」のウールのコート生地を用いてアップデートさせた。

 アルバは「ウール地で一見クラシックに見えるけれど、僕の遊び心をたっぷりと反映させている。おまけとして、おもちゃのコマのチャームと、その日の気分で付け替えてられる6つメッセージタグもセットになっている。バッグの内側をよく見るとスケートボードに乗った子どもや花の刺しゅうも入っている」と明かした。

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編集長はパリコレで何した?Vol.6 加茂さんを思い走った一日 “ギャルソン”ファミリーは今季も強かった

 この日、加茂克也さんの訃報を聞きました。ご家族や近くで仕事をしてきた人たちの思いには到底及びませんが、やはりショックは大きく、午前中のジュンヤさんのショーの後は涙が止まりませんでした。自分にとってはコレクション取材を始めた1990年代後半の「アンダーカバー」の東コレやパリコレデビューに始まり、心に残るショーの多くに加茂さんが関わっていらっしゃいました。バックステージでの取材に対しては言葉少なで、若かりし日の自分には近寄りがたい存在でしたが、それでも話を聞きたいと駆り立てられる強いクリエーションを持つ方でした。加茂さんが日本のファッション界にもたらした功績の大きさは計り知れません。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

2月29日(土)9:30
“ジュンヤ”流セクシー

 「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARCONS)」はぜひ動画を2つ続けて見てください。1つ目はショー開始後の数ルックの様子で赤い照明の中で音楽はナシ。モデルの足音とカメラのシャッター音だけが響きます。2つ目はその後、突如大音量でロックが流れた後のシーンです。曲は1980年代に一世を風靡したブロンディ(Blondie)。赤い唇はずばり、ボーカルのデボラ・ハリー(Deborah Harry)ですね。服はマニアックなまでに新しい形を突き詰める中で、フェティッシュに“ジュンヤ”流セクシーを探求しております。バッグを解体して仕立て直したような服は、ハーネスも実はバッグのショルダーです。

10:30
「ハイダー アッカーマン」に見る
ヤンキーの色気

 無音のフィナーレ、カッコいいですね。シャープでアンドロジナス。いわゆる“男らしい”“女らしい”の表現ではないのに、色っぽい。色っぽさって、自分に嘘をつかずに生きている人、スタイルがある人から立ち昇るものですよね。と「ハイダー アッカーマン(HAIDER ACKERMANN)」を見ると思います。という意味で、フィナーレの最後を飾ったメンズの背中にご注目ください。ヤンキーがなぜ色っぽい(もちろん全員ではない)のかがちょっとわかります。

12:00
本当に強い
「ノワール ケイ・ニノミヤ」

 強い、本当に強い。「ノワール ケイ・ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」の二宮啓さんは本当に強いクリエーションを持つ人です。朗らかで頭の良い方ですが、それ以上に内なる情熱に真摯で怖いくらいです。これを着ることができるかできないか、など関係ないです。二宮さんという一人の人が内側から湧き上がる何かを“人が着る”形にしている訳ですが、見る人はその情熱に引き付けられて、自分も近づきたいと思って服を手にする。デザイナーズブランドの変わらぬ生き方です。今の時代それを成し遂げているから凄い。ヘアはフラワーアーティストの東信×アーティストのショップリフターが手掛けたそうです。

13:00
「ロエベ」の展示会で
カワイイを連呼

 昨日のショーが素晴らしかったので近くで見たくて「ロエベ(LOEWE)」のショールームへ。展示会でカワイイを連呼する自分を戒めたいと思いつつ、思わず連呼。日本語のカワイイはもはや感嘆詞ですね。“可愛らしい”という意味に止まらず、愛おしい、美しい、身につけたい、などさまざまなニュアンスを含みます。

13:30
「デルヴォー」は
マグリッド第2弾

 「デルヴォー(DELVAUX)」の今季は夜のイメージ。加えてルネ・マグリット(René Magritte)シリーズ第2弾の登場です。3枚目の写真の他、ゴールドのリンゴが取っ手の横に堂々と載っていたり。日本とも相性がよさそうです。

14:30
79歳のヴィヴィアン・ウエスト、
来場する

 「アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド(ANDREAS KRONTHALER FOR VIVIENNE WESTWOOD)」には個性的なファッションをした人が大勢集まりますが、それでも一番のインフルエンサーはヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)本人です。ヴィヴィアンはいつも早めに会場に入って席に座り、来場者とのスナップに応えています。新型コロナウイルスがパリにも広がる中、高齢のヴィヴィアンはどうするのかな?控えた方がよいのでは?と思っていたのですが、今回も来場しました。さすがにショーが始まる直前に入場しましたが、十分な存在感です。

15:00
移動中に薬局に立ち寄る

 移動中に薬局に「マスクあります」の張り紙を発見。そう、街中ではほぼ誰もマスクをしていないパリでもマスクが不足し始めています。試しに購入しようとしたら、なんと!1枚約1300円。英語で話しかけたので外国人と見て値段をあげた模様。足元を見て高すぎです。買いませんでした。

16:00
注目の「ロク」は花のランウエイ

 日本のバイヤーやジャーナリストからも注目されている若手の「ロク(ROKH)」。ランウエイに鉢植えの花を敷き詰めてランウエイを作りました。透ける素材のレイヤードなどトほどよくトレンドを取り入れ、個性的。

17:00
動画見てほしい
「コム デ ギャルソン」

 「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」はぜひ動画で見てください。こちら、いくつかのルックをつなぎ合わせたものです。見ていただくとわかるように、ルックごとに音楽がブツリブツリと変わります(この動画は実際のショーのルックの並び順ではありません。いくつかを選んで編集しています。実際にはクラシックとポップが交互に使われていました)。ひとつのショーなのに、それぞれが独立している印象で、新しいルックが出てくるたびに見ている側の意識が更新されます。服もパーツごとに色や素材がぱっきりと変わります。さらなる新しいカタチの追求、と私は見ました。

18:30
「カイダン・エディションズ」の
シャツ

 「カイダン・エディションズ(KWAIDAN EDITIONS)」と言えばシャープで丈が長めのシャツとパンツが私のイメージです。今シーズンも同じ型のシャツが登場しつつ、素材はラテックス(に見えた)などトレンドもしっかり入っていました。

20:00
「エルメス」の馬への情熱を見る

 以前、「エルメス(HERMES)」が主催する障害馬術大会“ソー・エルメス”を取材したことがあり、その時に「エルメス」の馬への並々ならぬ思いを知りました。単にアイコンとして“使用”しているのではなく、馬の強さ、知性、美しさそのものをリスペクトしクリエーションのインスピレーション源としています。今回はその障害馬術で使用するバーがインスピレーション。服にはそのカラーリングが取り入れられています。そして会場にはバーでできた森が作られていました。

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「マメ」が世田谷のアトリエそばに初の直営店をオープン 目指すのは“地産地消”のような店

 黒河内真衣子がデザインする「マメ(MAME KUROGOUCHI)」は3月6日、ブランドとして初の直営店を東京・世田谷の新代田にオープンした。店があるのは羽根木のアトリエからすぐの場所。ブランドが普段、どんな環境の中でモノ作りをしているのかを感じられる空間だ。オープン初日から、全身「マメ」姿の熱心なファンが詰めかけている。

 店は京王井の頭線の新代田駅から徒歩1分。味のある喫茶店などが入る、古い木造家屋の1階部分だ。建築家の柳原照弘が手掛けた内装は、ガラスの大きな扉とコンクリートを組み合わせたモダンでクリーンな作り。ガラス扉からは光が差し込み、時間と共に光と影が変化していくのも内装の一要素となっている。もともとは40年近く続いた焼き鳥屋だったと聞くとちょっと意外だが、時間の経過を受け入れて尊重していこうとするところはなんだか「マメ」らしい。

 1号店の出店先として、もちろん青山や表参道、渋谷などの立地も考えていたという。ただ、「これだけモノがあふれる時代に自分たちが服を作り続ける理由や、その責任をブランドとしては常に考えている。アトリエがある場所の空気を感じてもらえて、“地産地消”のように服を売っていく店なら、ブランドのクリエーションがより伝わるんじゃないかと思った」と広報担当者。そうした考えから、店を作る上で意識したのは「街に根差して溶け込むような」空間だ。試着室のカーテンを開けると、店の奥のガラス越しに街の風景が見渡せるようになっている。BGMの代わりには、往来の音や京王線の通過音が聞こえてくる。

 売り場面積は約17平方メートルとコンパクトな作りで、ラックは1本のみ。「毎週、その時出すのに合った商品を黒河内やMD担当者が相談して並べる」のだという。販売員は、長らく「マメ」のフィッティングモデルを務めているという女性。「『マメ』のことをよく理解していて、『あのシーズンのあの商品』といった話が誰よりも分かる人」だ。

 開業時間は、毎週金、土曜の12~19時。近隣には「08サーカス(08SIRCUS)」の森下公則が手掛けるギャラリーショップ「08ブック(08book)」などもあり、新代田から羽根木にかけてのエリアは、コアなショッピングスポットとして今後盛り上がっていきそうだ。

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伊勢丹新宿 “東日本一の時計売り場”の好調維持のための施策

 「WWDジャパン」と「WWDビューティ」は年に2回、全国の百貨店約50店舗にアンケートを行い化粧品、特選、婦人服、紳士服、バッグ、シューズ、時計、ジュエリー、ファッションジュエリーの9カテゴリーについて、各店の商況を「ビジネスリポート」という冊子にまとめて伝えている。「他店で何が売れたのか知りたい」「保存性の高い資料として欲しい」との声が高まり、2019年春夏からは単独販売も始めた。19-20年秋冬版で、時計において東日本一の伸長率(前年同期比約40%増)を記録したのは伊勢丹新宿本店本館だ。土屋友洋 三越伊勢丹 特選MD統括部 時計マーチャンダイザーに、好調の理由と維持するための施策について聞いた。

WWD:好調は昨年6月のリニューアルが最大の要因か?

土屋友洋 三越伊勢丹 特選MD統括部 時計マーチャンダイザー(以下、土屋):その通りだ。時計は売り場を4階から5階に移し、売り場面積も約2倍にした。さらにリニューアルに合わせて「ブレゲ(BREGUET)」「ウブロ(HUBLOT)」「オフィチーネ パネライ(OFFICINE PANERAI)」「ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)」を、百貨店としては国内で初めて直営ブティック化した。

WWD:6月の時点では、リニューアル後の初年度売り上げ目標を前年比30%増としていたが、それを上回る結果となった。

土屋:6月から9月の増税前まで、高額品を中心に売り上げが伸びた。これまでブランドの旗艦店でしか購入できなかった、直営ブティック先行販売品や限定品を導入でき、これらが確実に数字をつくった。これまで伊勢丹新宿を訪れなかった新客も獲得できた。

WWD:新客を顧客化するための施策は?

土屋:おもてなし接客を徹底し、そのうえでカード会員化を図る。リニューアルに伴い、売り場では接客を対面から側面に切り替えた。また接客スペースを増やすなど、環境の改善にも努めた。

WWD:2014年4月の5%から8%への増税時、時計は爆発的に売れた。そのときにある程度行き渡ったとの見方から、昨年の増税時にはそれほどの影響はないのでは?というのが時計関係者の意見の大半だった。しかし、実際には駆け込みが多かった。

土屋:9月中旬以降に、雪崩のように押し寄せた。おかげで9月は時計の過去最高売り上げを更新した。

WWD:歴史ある伊勢丹新宿で過去最高というのはすごい!

土屋:増税後の10、11月は価格にシビアな女性客の購入が微減となったが、男性客は前年並みをキープした。これは前回の増税時も同じ。しかし12月にはギフト需要が高まり復調した。また、12月にはリニューアルの仕上げとして平均単価が2000万円を超える超高級ブランド「リシャール・ミル(RICHARD MILLE)」を導入し、これも売り上げ増の大きな後押しとなった。

WWD:「リシャール・ミル」も直営ブティック?

土屋:いや、ホールセール(卸)だ。

WWD:「リシャール・ミル」は“全店舗完全直営店化”を掲げている。卸での出店はこの動きに反する。それだけのラブコールを送ったということか?

土屋:「銀座のブランド旗艦店にはない新客を紹介できる」と真摯に粘り強く交渉した。

WWD:好調をキープするための今後の具体策について聞きたい。

土屋:大きくは3つ。1つ目は、1階の“ザ・ステージ”の活用だ。時計は例年2回“ザ・ステージ”を使っているが、これを4回にしたい。2つ目は、年に一度の時計の催事「ウォッチコレクターズ ウイーク」でしっかり結果を出すこと。3つ目は、外商客から一般客まで幅広い時計ファンを売り場以外に招いてイベントを行うこと。

WWD:“ザ・ステージ”にはどのブランドが出店する?

土屋:詳しいことはまだ言えないが、「フランク ミュラー(FRANCK MULLER)」は13年来出店しており、昨年6月の売り場リニューアルに合わせてイベントを行った「ウブロ」はブランド自身の“ザ・ステージ”での最高売り上げを更新した。このあたりをヒントにしてほしい。

WWD:2週間の「ウォッチコレクターズ ウイーク」の売り上げは、「WWDジャパン」推定で約8億円だが、今年の目標は10億円突破か?

土屋:想像におまかせしたい(笑)。いずれにしても今年は7月8~21日の会期で行う予定だ。

WWD:時計ファンを招いたイベントとは先行予約会のようなものか?

土屋:その通りだ。ブランドと百貨店の双方からリストを出して盛り上げたい。これら3つの施策で、20年春夏は前年同期比2ケタ増を目標とする。

WWD:売り場への新型コロナウイルスの影響は?

土屋:客数は肌感で半減の印象だ。しかし購入意思の強い客が来店しているため1、2月とも前年同月をクリアしている。やはり欲しいものは欲しいし、高額の予約商品がこのタイミングで納品されたという事情もある。

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日本発サニタリーランジェリーブランド「K+1%」が“フェムサイコロジー”を提案する理由

 1月に開催された「パリ国際ランジェリー展(SALON INTERNATIONAL DE LA LINGERIE))では“ピリオド・ランジェリー”として生理用ショーツがフィーチャーされ、その中で日本から初出展したイーヨが展開する「ケープラスワンパーセント(以下、K+1%)」は、ファッション性に優れたサニタリーショーツ&ブラジャーとして注目された。同ブランドはその後、ロンドンやニューヨークの見本市にも出展。各国バイヤーは「K+1%」、そして生理用ショーツについてどう反応したのか、スドーキョーコ=・ディレクターに聞いた。

 日本人にとっては意外かもしれないが、日本ではポピュラーなクロッチやヒップにかけて防水布を使用したサニタリーショーツはそもそも欧米ではほとんど存在せず、生理用品を使用する際にサニタリーショーツをはく習慣がない。そのため、スドーキョーコ・ディレクターは「パリ国際ランジェリー展」で、自社商品のコンセプトや特徴を紹介する前に、生理用品と併用する「サニタリーショーツとは何か」から説明する必要があった。

 そんな中、画期的なフェムテック製品として注目を集めたのが、2011年に米国で誕生した経血吸収型ショーツ「シンクス(THINX)」だ。「パリ国際ランジェリー展」で発表されたピリオド ランジェリーは、「K+1%」以外の全てこの経血吸収型ショーツだった。ただ、スド・キョ・コ・ディレクターによると、同展では「シンクス」の存在さえ知らないバイヤーが半数以上だったという。

経血吸収型ショーツに満足
できない層がその実用性に共感

 「シンクス」の登場により、米国では経血吸収型ショーツが一気に広まった一方、ニューヨークで開催された下着と水着の見本市「カーヴ ニューヨーク(Curve New York)」での商談では、経血吸収型ショーツに対し「蒸れる、クロッチ部分が分厚い、不快感がある、おしゃれじゃない、などの声が多く聞かれた」そうだ。生理用品と併用する「K+1%」のサニタリーショーツを紹介すると「実用的」と共感を得られたという。中にはすぐに気に入って持参した在庫をその場で全て購入する下着専門店のバイヤーもいたそうだ。「経血吸収型ショーツに不満を持つ人が、生理用品とサリタリーショーツの併用に移行するか、普通のショーツに戻るかはまだ分からない」としながらも、パリと違い、ニューヨークでは確かな実績を得られたようだ。

生理の時も諦めることなく
下着のおしゃれを楽しんでほしい

 「K+1%」が共感されたのは実用性だけでなく、マインドにフォーカスしたコンセプトとファッション性を兼ね備えている事が大きい。「月に一度、女性に訪れる生理の時も諦めることなく下着のおしゃれを楽しんでほしい」「『生理がきたからこれが着られる!』と思える下着がほしいと思ってほしい」「生理を前向きに捉え楽しく過ごしてほしい」と18年にブランドを立ち上げ、ブランド名には「あなたのKireiとKawaiiに+1%する存在でありたい」との思いが込められている。

 「ピュア ロンドン(PURE LONDON)」の英国人バイヤーは生理用ショーツにほとんど関心を示さないなど、欧米の中でも反応に温度差はあったものの「バイヤー達が初めて目にするサニタリーランジェリーブランドとしてK+1%が接点を持てた事は大きな意味があり手応えを感じた」と振り返る。また、若い世代ほど反応が良かったことも収穫だ。

感情・心理から女性を
サポートする”フェムサイコロジー”

 「K+1%」は現在、サニタリーショーツと生理用品を入れるバッグがセットになった”ファーストサニタリーギフト”を考案中だ。初潮というのは誰でも恥ずかしかったり、不安だったり、複雑な心境になるもの。「そんな時に、母親から素敵なサニタリーセットを貰ったら、大人の女性として一歩踏み出したことに誇りが持てるし、その後の生理との向き合い方、生き方にも変化があるのでは」と期待を寄せる。「テクノロジーを活用した女性のための製品を”フェムテック”と呼ぶのなら、K+1%は感情・心理から女性のライフスタイルをサポートする”フェムサイコロジー”」とスド・キョ・コディレクター。今後も海外見本市へ出展すると同時に、国内では積極的にポップアップストアを開くなど、消費者との接点を設け、認知度アップを図る。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

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「スノーピークの存在意義は、体験をお客さまに提供すること」 by 山井梨沙

山井梨沙スノーピーク代表取締役副社長CDO

 スノーピークの存在意義は、体験をお客さまに提供すること。(「WWDジャパン」Vol.2112 2019年11月18日号掲載)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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読者が注目した今週の新作 「ディオール」の“星が輝く”新リップなど(3月6日〜12日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ビューティ部門」「ファッション部門」別にまとめてお届け。「ビューティ部門」では読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週は「ディオール(DIOR)」のリップスティック「ディオール アディクト ステラー ハロ シャイン」が最も注目された。

【ビューティ部門】


【ファッション部門】

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「エルメス」が初のリップでこだわった3つのこと 銀座では発売を記念したライトアップも

 メゾン初のメイクアップアイテムとして注目を集めていたエルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL以下、エルメス)の「ルージュ・エルメス(ROUGE HERMES)」コレクションが3月4日、世界同時発売され、日本でもブティック前に開店前から行列ができたほか、公式サイトにもアクセスが殺到した。「開発に5年掛かった」という同コレクションには、エルメスらしいこだわりが詰め込まれている。

7万5000以上の色見本から選ばれた24色

 「ルージュ・エルメス」コレクションは、定番バッグの「ケリー」の質感を再現したサテン14色と、イブニングバッグの質感にインスパイアされたマット10色の全24色で展開。この“24”はフランス・パリにある本店の番地にちなんだものだという。シェードはブランド誕生の1925年から積み上げてきた7万5000以上の色見本をもとに決定。レザー製品のカラーでおなじみの「ルージュH」「ルージュ・カザック」やボックスのオレンジをモチーフにした「オランジュ・ボワット」など、ブランドの核となる色の製品をキーカラーに据えている。

 そのほか、デビューコレクションの限定色としてサテン2色、マット1色を展開。限定カラーは春と秋の2シーズンで発表する予定だ。サステナブルの観点から詰め替え可能な容器を取り入れている点も特徴で、レフィル(4400円)は6月の発売を予定している。

デザインで使う人の“仕草”をも美しく

 塗りやすさや持ちやすさ、バッグから取り出したりキャップを開けたりする際の“仕草”なども考慮したデザインも特徴だ。リップスティックの形状も、マットタイプは口紅の先端を尖らせて細いラインを引きやすくしているほか、サテンタイプは唇全体に塗布しやすいよう丸みを帯びた先端に仕上げた。ブランドの刻印がデザインされているキャップの上部は指先がフィットするようわずかにくぼんでいる。

 長く使えるよう耐久性に考慮して作られたケースはメタル素材で、マットタイプは艶感を出し、サテンタイプは艶を消すなど変化をつけた。開閉部はマグネット式になっていて、 “カチッ”という音と共に、吸い込まれるようにキャップが閉まる。このキャップが閉まる時の音も、12種類の音から“最も心地よく感じるサウンド”を探して決定したものだという。

心が上がるアクセサリーにはブランドの核であるレザー製品も

 そのほか、リップバーム(7200円)やリップグロス(7200円)、さらにはリップペンシル(4100円)、リップブラシ(8500円)などの小物類もそろえた。リップブラシは200年の歴史を持つ工房が手作業で作っているという。また、エルメスらしいレザーのアクセサリーもラインアップ。リップケースやペンダントタイプのミラー(6万3000円〜24万1000円)なども用意している。

 なお、同製品の発売を記念して銀座メゾンエルメスの建物をルージュカラーに染め上げるライトアップがスタート。同企画の実施時間は20〜0時で、13日まで行われる。

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研究と実験に基づくワコールが作る下着業界の新潮流“バストケア”とは

 ワコールは2月21日に重力に負けない“バストケアブラ”を発売した。同商品は“重力によるバストの皮ふの伸びを抑え“バストケアができる”というもので、ボディーケアという新しい領域にアプローチしたブラジャーだ。“重力に負けないブラジャー”と聞くと、下からがっちり支える構造かと思ったが、実際に着用してみると、軽やかでバストを優しく包むイメージ。カップの内側に少し浮いたように付けられた新開発のバストケアシートが機能のカギで、ぴたっと密着する感触がバストが動かない心地よさを生む。“動かないけれど、圧迫感はない”点がこのブラジャーの一番の魅力だろう。

 “重力”という、大人の女性に響くキーワードで打ち出された新製品に説得力を持たせたのが、1964年から女性の人体測定を行い、データ収集と分析を行ってきたワコール人間科学研究所(以下、人科研)の実験結果だ。今回の新製品を開発するにあたり、飛行機の急上昇後に急降下することで約20秒間の無重力状態をつくり、その間にバスト計測をするという無重力実験を行っている。その実験により、無重力状態がバストへの負担が少ないことがわかり、無重力状態に近い丸胸に整える製品として“バストケア ブラ”が開発された。

 本来、女性のバストは100人いれば100の形があり、自らのバストに対する意識も加齢によるバストの変化にも個人差がある。着け心地や肌触り、着用後の体の変化などは下着としては重要であるが、その基準は非常にあいまいだ。それゆえ、下着のセールスコピーには不安をあおる言葉や定義のない言葉が一人歩きし、間違った認識が広まることも少なくない。人科研では、形、動き、感覚、生理などにフォーカスして研究や実験を繰り返すことで結果を導き出し、そのあいまいさを可視化している。その結果に基づいたモノ作りこそが、世界に誇るワコールの革新性と優位性だ。

 「CW-X」のスポーツブラや就寝時用“ナイトアップブラ”も、人科研の研究から生まれた製品だが、ワコールは今春、これらをスポーツ時や就寝時にかかる重力からバストを守り、バストケアするブラジャーとしてユーザーに訴求していく。バストの形やブラジャーの在り方にも多様性が求められる今、バストを美しい形に整える“バストメイク”の先を見据えた、“バストケア”や“ボディーケア”のアプローチがユーザーに気付きを与え、下着業界の新たな潮流になることを期待したい。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

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編集長はパリコレで何した?Vol.5 「ロエベ」で感動、「ヨウジ」に背筋を伸ばし、「セリーヌ」でハイヒール男子を観察

 この原稿を書いていた3月2日(月)に行われたショーでは空席が目立ちました。米国が渡航制限の対象国・エリアの拡大を検討しているとの報道を受け、同国の業界関係者が帰国を早めたからです。その中で今日も大部分のショーが粛々と開かれ、素晴らしいコレクションにたくさん出合っています。「WWDジャパン」チームの車を運転しているフランス人ドライバーに「私たちと仕事するの怖くない?」と聞くと「全然」との答え。なぜ?と聞けば「セラヴィ(これが人生さ)」と達観顔。こうやって多くの人に支えられて取材ができています。

2月28日(金)9:30
「ロエベ」は日本の陶芸家とコラボ

 ファッションとクラフトの融合を進めてきた「ロエベ(LOEWE)」ですが、今回のショーである到達点に達した、そんな印象を受ける素晴らしいコレクションでした。動画で服を前から横から後ろからじっくり見てほしいのですが、そのシルエットは柔らかい彫刻みたいで美しい。オートクチュールのメゾンではないのに、アトリエを持っているかのような複雑で繊細なパターンに驚かされます。これらの技術がなければ天才肌であるジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)のビジョンを具現化することはできないでしょう。

 バッグなどについている陶器は日本の陶芸家、桑田拓郎さんによるものです。ショーの後会場で話を聞くと「ジョナサンと何度もやりとりを重ねるなかで作り上げた」と桑田さん。このコラボレーションがコレクションの完成度を高めていました。

11:30
「バルマン」の
“チャーリーズ・エンジェル”歩き

 もしも「グッチ(GUCCI)」が、今とは別のベクトル、たとえばトム・フォード(Tom Ford)的強さの方向でブランドを継承・リブランディングしたならば、デザイナーは現「バルマン(BALMAIN)」のクリエイティブ・ディレクターであるオリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)しかいない、とずっと思っています。それくらいルスタンの仕事は華やかで力強い。でも古臭くはない。映画「チャーリーズ・エンジェル」みたいな集団ウォークーキングにほれぼれします。今季はミリタリースタイルがポイントです。

13:30
「クリスチャン ワイナンツ」の
バリエーション豊かなニット

 新型コロナウイルス騒動で一番打撃を受けるのは「クリスチャン ワイナンツ(CHRISTIAN WIJNANTS)」のように卸を中心とするブランドだと思います。バイヤーは自分の目で見て、素材を触り、試着をしてオーダーをしたいはず。それができないバイヤーはせめて写真だけではなく動画で動く服を確認したいのではないでしょうか?という訳でこの後の日記はなるべく動画をあげたいと思います。今季はチャンキーからハイゲージまでニットが充実。ニットを布帛のように扱い、バリエーション豊かに用意していました。

14:30
「ニナ リッチ」の幸福感にひたる

 見ればあったかい気持ちになれる「ニナ リッチ(NINA RICCI)」のフィナーレです。少し斜めセットした鏡に映るフィナーレは、どこか浮遊感がありロマンチック。と思ったらテーマは“ニュー・ロマンチック”でした。昨年、ルシェミー・ボッター(Rushmey Botter)とリジー・ヘレブラー(Lisi Herrebrugh)が来日した際には結構な時間、一緒に過ごしたのですが、印象的だったのは2人の仲睦まじさと互いを思いやる謙虚さ。そういった人間性ってデザインに絶対出ます。

16:00
「オリヴィエ ティスケンス」の
カッティングをじっくり

 「オリヴィエ ティスケンス(OLIVIER THEYSKENS)」も前から後ろから見てほしいブランドのひとつ。妥協のないカッティングはスーツやドレスで力を発揮します。それをしっかり見せるためにショーは小さなサイズで、モデルはその息使いが聞こえるくらい近い距離を歩きます。

19:00
「ヨウジヤマモト」は
余韻をデザインする

 ショーを開かずとも写真でも分かる。そんな意見も聞こえてくる今シーズン。確かにそういうブランドもあります。でも「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」は無理、ではないかもしれないけど伝えたいことの表現方法としてショーが一番合っている。なぜなら耀司さんは服を着る人が歩いた後の余韻という、目に見えない時間を含めてデザインをしているから。余韻を大切にするような生き方をデザインしているとも言います。ウォーキングはとてもゆっくり。リアルなショーはそれを早回ししたりスキップすることができないから正直じれったく思えた時期もあったけど、忙しい今の時代はこのゆっくりとしたウォーキングを見るとむしろ背筋が伸びます。

20:30
ハイヒールブーツでかっ歩する
「セリーヌ」男子

 「セリーヌ(CELINE)」のニュースは何と言ってもハイヒールブーツとショルダーバッグとボウタイブラウスを着た“エディ”ボーイでしょう!!これまでは“エディ”ガールがボーイフレンドにジャケットや革ジャンを借りる、という提案でしたが今や立場が逆転!?いや、対等!?ボーイとガールのクローゼットはひとつで同じアイテムをシェアしているようです。いつものようにストリートハントしてきたと思われるメンズモデルの色っぽさにグッときます。

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やっぱりカオスだったカニエの「イージー」シーズン8 “毒蛇の卵”入り招待状から娘ノースのラップデビューまでをレポ

 パリ・ファッション・ウイークの取材のためにパリに来ています。新型コロナウイルス感染拡大を受け、ショーをキャンセルするなどの決断をする企業やブランドが出始めた2月29日の夕方、そんな現状もどこ吹く風なニュースが舞い込んできました。なんと、あのカニエ・ウェスト(Kanye West)が「イージー(YEEZY)」のシーズン8をパリで披露するというのです。「イージー」の新シーズンが発表されるのは2018年以来とのこと。これは行くしかない!と思うと同時に、「イージー」が過去にニューヨークでショーを行った際は炎天下の中、何時間も待たされモデルが具合が悪くなり座り込むなどなかなかのカオスっぷりだったことも頭をよぎります。今回のショーのスタートは21時30分。スタートは23時になってもおかしくないかもしれないと覚悟して行ったショーを、米「WWD」がカニエからとったコメントと合わせてリポートします。

 ショーの前座となったのは、前日の日曜朝にブッフ・デュ・ノード劇場(Bouffes du Nord theater)で行われた「サンデーサービス(Sunday Service)」。日曜礼拝を意味する「サンデーサービス」ですが、カニエは自身の楽曲をゴスペル風にアレンジして披露するコンサートをそう銘打っています。こちらは限られた人数だけを招待したようで、残念ながら行けずじまいでしたが、行った米「WWD」によれば、「90分間の幸福体験」だったそう。

 ショー開催の3月2日は、アメリカからの来場者の多くが帰国を早めたようで、スタンディングのはずだったのに席に座れたり、人気なはずの「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」でも空席がみられ、私が座った席の前の席にはスタッフ3人が座るなど、ファッション・ウイークに来ている人の数が減ったように感じます。特にカニエが支持を集めるアメリカ勢が帰ってしまったので、いくらカニエ様でも人が集まるのか?なんてことを考えます。しかし、同日午後に行われた「エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA)」と「フィアー オブ ゴッド(FEAR OF GOD)」のコラボお披露目パーティーでは、ショー会場ではあまり見かけなかったストリート勢の姿も見られ、ここにいる人たちがそのまま「イージー」に流れるのだろうと予感しました。

 ショーの会場は建築家のオスカー・ニーマイヤー(Oscar Niemeyer)が手掛けたフランス共産党本部。庭園の中心には光る大きな球体、背後の波打つようなファサードの建物も、カニエっぽいです。どこから会場の場所を聞きつけたのか、会場の周りにはストリートキッズやカニエのファンが詰め掛け、エントランスの場所が見つけられないほど。人だかりと会場回りに停車した車で道路がブロックされ、クラクションが鳴り響きます。

 やっとのことでエントランスを見つけ会場入り。時刻は9時半とショーが始まるはずの時間ですが、全く始まる気配がありません。しかも屋外のショーなので結構寒い。カニエのことだし、最悪あと数時間待ちそう(笑)と思い、一旦車に戻ります。他の来場者も同じことを考えたのかぽつぽつと会場を離れる車も見られました。隣に停車していた車は「ビジネス オブ ファッション(BUSINESS OF FASHION、BoF)」のチームの車だったようで、大御所ファッションジャーナリストのティム・ブランクス(Tim Blanks)が足早に車に戻り、ささっとシートベルトをつけて本を読み始めたところを目撃。って帰る気満々です。

 会場付近に鳴り響く車のクラクションの音がさらに大きくなり、見ればバス停の上に登ってショーを見ようとする人も。で、よくよく目を凝らせばもうモデルが会場の球体の周りを歩いているじゃないですか!カニエのことだから爆音BGMかと思い込んでいましたが、まさかの無音ショー!?いや、このクラクションを鳴らしているのはサクラで、クラクションの音がBGMという演出!?なんてことを考えながらダッシュで会場に戻ります。会場付近にはさらに人が増え、カオスな状態に。しかし、建物にショーの様子が映し出されているので会場外に集まった人も皆ショーを見れます。

 またまた人混みを掻き分け会場入りすると、BGMが流れ、かわいいラップが聞こえてきました。カニエの娘、ノース(North)です(動画18秒から)。「子どもを使うのはずるくない(笑)?しかも良い子は寝る時間では?」と思いつつキュートな歌声と、娘の活躍を優しい笑顔で見守るカニエに、こちらまで癒されて笑顔に。なお、ノースは公の場で初めてラップを披露。5歳のアーティスト、ザザ(Zaza)による「What I do?」をリミックスしました。

 ラストはキム・カーダシアン(Kim kardasian)やコートニー・カーダシアン(Kortney Kardasian)ら一家が勢ぞろいし記念撮影。背後には会場に詰めかけたファンがずらりという写真が撮れましたが、実は会場がなだらかな坂になっていて、坂の上の方から一家を撮ると自然と後ろの人だかりまで写真に入ってくるのです。こんなフェイムを極めた写真を撮らせるためにこの場所で撮影させたなら、カニエは相当な策略家です。写真撮影の後一家は、アフターパーティーをするらしい建物の中に、群衆を引き連れて吸い込まれていきました。

 肝心のコレクションは、ベージュやグレートーンで、パーカーやクロップドトップス、レギンス、ムーンブーツ、スリッパなどあらゆるアイテムにパファーを使い、着やすさを追求しながらもフューチャリスティックな雰囲気を醸し出します。鍵となる素材は、キャラコ(綿モスリン)とローウール。カニエは、米ワイオミング州に約700頭の羊がいる27平方キロメートルの牧場を購入しましたが、ウールはこの牧場で作られたものなのかと米「WWD」が参加したプレスプレビューで聞かれると、「まだだが、将来的には使いたい」と明かします。

 さらに今回のコレクションについて「ファッションを始めたばかりのころは、Tシャツは作らないという努力をした。だがふたを開けてみたら、Tシャツしか作っていなかった。だから(コマーシャルな商品の開発は)やめて、新しいシェイプを作ることに集中した。ここにあるもの一つ一つが発明で、また開発段階のものもある」と説明。「このシェイプは他のデザイナーにも影響していくと思う」と自信をのぞかせました。

 ショーから帰ってホテルに着くと、今更「イージー」のインビテーションが届いていました。ウール素材の何も書かれていない袋ですが、この布の感じ、完全にカニエだと確信。開けるとショーにも登場したふわふわのパファーに包まれた干し草、住所などが書かれた紙、「Rattlesnake eggs CAUTION:Keep in cool place to prevent hatching...(ガラガラヘビの卵 危険:孵化しないように冷たい場所に保管してください)」と書かれた封筒が出てきました。

 いやいやさすがにカニエも毒ヘビの卵なんて送らないでしょうと思いつつ、心のどこかでカニエならやりかねないと思ってしまいます。念のため封筒と十分な距離を置きながらそっと開きます。すると封筒がガサッと動き、普通に悲鳴をあげて封筒を落としてしまいました。1分くらい遠巻きに見て封筒から何も出てこないことを確認し、思いきって封筒をひっくり返すと出てきたのはコレ。しょーもな(笑)。でも普通に悲鳴をあげてしまった自分が恥ずかし悔しい!最後の最後までカニエの手に踊らされた1日でした。

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「コントワー・デ・コトニエ」にスタイリスト出身の新ディレクター 「トレンドよりもスタイル」な時代の最強ワードローブを提案

 ファーストリテイリング傘下の仏「コントワー・デ・コトニエ(COMPTOIR DES COTONNIERS以下、コトニエ)」が2020年春夏シーズンからブランドを大刷新している。クリエイティブ・ディレクターに抜擢したのは、「マリ・クレール(MARIE CLAIRE)」、仏「ヴォーグ(VOGUE)」、「テクニカルト・マドモアゼル(TECHNIKART MADEMOISELLE)」などの編集者やスタイリストを長く務めてきたナタリー・マーシャル(Nathalie Marchal)だ。ベリーショートのマニッシュな姿からは完璧主義を、話してみると知性や秘めたやさしさを感じさせるナタリーに、東京ミッドタウンのグループオフィスで、新生「コトニエ」のビジョンを聞いた。

―エスモード出身で、編集者やスタイリストとして長くキャリアを重ねてきたが、どんな仕事をしてきたのか?

ナタリー・マーシャル(以下、ナタリー):ファッションのエディトリアルやスタイリストとして、いろいろな服を合わせて「シルエットを作ること」に努めてきました。「コトニエ」にもたらせるものがあるとすれば、スタイルやシルエットを作ることで、これはものすごく大事なことだと思っています。多くの仕事をしてきた中で一つだけ紹介するとしたら、仏「ヴォーグ」の音楽特集でスーパーモデルのジェリー・ホール(Jelly Hall)のページを担当し、(当時の夫だった)ミック・ジャガー(Mick Jagger)にドレスを着せたことですかね。ミックから提案があったものを具現化しましたが、とてもサプライジングでインパクトがありました。有名人と仕事をする機会もありましたし人脈もできましたが、どちらかというと日常の女性を演出して写真や映像の中で見せていくことをメインに手掛けてきました。

―「コトニエ」のクリエイティブ・ディレクターに就任する決め手となったことは?

ナタリー:写真や映像の枠を超えて、多様な女性に日常に根差した服そのものを提供したいという気持ちがありました。今までの経験を生かして、独自のアリュール(魅力)とシルエットを提案できると思ったからです。今まで仕事をした雑誌ではエクスクルーシブなものが多くて。それも面白かったのですが、「コトニエ」ではあらゆる女性に語りかけることができるという点に大きなやりがいを感じました。

―もともと「コトニエ」に抱いていたイメージは?

ナタリー:他のフランス人と同じだと思いますが、とても素晴らしいブランドだし、フランスでは有名で、文化の一部担っているブランドです。“母と娘”というテーマもよく知られていて愛情も感じていましたし、質の良い服を手ごろな価格で提案するイメージや、“相性”とか“親密な関係”というイメージを持っていました。

―ライフスタイルや価値観が変わる中で、現代の女性に向けてどのようにブランドを刷新しようとしているのか?

ナタリー:変えてはいけないのは、クオリティーの高い服を提供すること。一方で、これまで以上に多くの女性に扉を開いていきたいと考えています。母と娘だけでなく、子どものいない女性にも友人同士にも、成熟した女性にも若い女性にも開かれたものとして幅広い女性に語りかけていきます。このブランドでやりたいのは、「理想のワードローブを女性に提供すること」。シンプルな中にもフェミニニティーがあるニットやマスキュリンなパンツやブラウスなど、みんなが夢見るような理想のワードローブを作るためのエッセンシャルな(欠かせない)アイテムを提供していきます。実は多くの人々が好きなものは共通していますし、自分の好きなスタイルはそう変わるものではありません。皆が着られるアイテムを、良い素材でディテールも作り込んで、きちんと作る。そうすることで長い間着られるタイムレスでエッセンシャルなものとして選んでいただきたいんです。「前に買った服が流行遅れになったから別のものを買う」のではなく、「そのアイテムが大好きだからと色違いを買いに来た」という風になってもらいたいですね。そして、どんな組み合わせでも着こなせて、同じ1枚の服でも自分の好きなスタイルで着られる、制約から解放されるようなブランドにしたいと思っています。スタイリストの経験から、ほとんどのアイテムをいくつもの着方ができるようにしたのも新生「コトニエ」の大きなポイントです。まさに今は“トレンドよりもスタイルが重要”な時代ですから。

―洗練された現代のベーシックウエア&ワークウエアという印象を持ったが、コンセプトに掲げる“アリュール”や、“フェミニニティー”とブランドの中でどう表現していくのか?

ナタリー:“アリュール”とは魅力的なという意味ですが、服を着た時に自信が持てて、飾らずに自然体でいられることや、自分自身の人間性にフィットしていると思えることなどが大事なことだと思っています。全体的にクリーンなライン、シンプルなラインを重視しており、デザインのためのデザインはしないようにしました。そして、着心地の良さとシルエットの良さを両立させることを重視しているんです。女性が窮屈さを感じることは避け、きっちりしたラインのものでありながら、歩いたり、走ったり、日常的な動きができるようなものをと心がけています。フェミニニティーについてはいろいろな表現の形がありますし、とくに最近は型にはまった女性らしさを求められることはなくなっています。これみよがしなデザインではなく、布帛系のアイテムの絶妙なラインなどで語っていきたいと思っています。

―服作りは初めての経験?ディレクションするときの流れや、インスピレーション源は?

ナタリー:はい、初めてですね。私がディレクションして、デザイン室のチームがデザインして、私がスタイルブックを作る、というような流れです。まずは仕事をしたり、子どもがいたり、忙しい女性にとってワードローブに何が必要なのか、とくに「こういうものが欲しいけれどもなかなか良いものがない」というもの、「どんな風に組み合わせても着られるもの、長く着られるもの、女性たちが楽になるもの」を考えました。メンバーは体形も個性もいろいろなので、みんなに似合うか、それぞれがどう着こなすのかを見るのがとても楽しくて興味深かったですね。ちなみにインスピレーション源は“女性たち”です。とくにイメージするのはフランスのアイコン的な女性が多いですね。60年代の女優も大好きで、写真もたくさん残しています。当時のカトリーヌ・ドヌーブ(Catherine Deneuve)のシンプルなボーダーにキャスケットを合わせたような、シックでナチュラルなスタイルや、小説家のフランソワーズ・サガン(Francoise Sagan)のマスキュリンなスタイルが好きなんです。

―以前に比べて天然素材を多く使用しているように見受けられるが。

ナタリー:ブランドとしてできるだけ自然を尊重したモノづくりを考えました。天然素材を使うことでフランスのブランドという原点に立ち返り、歴史や文化やノウハウ、モードなどの要素を改めて生かしました。とくに、リネンやコットンはフランスが伝統的に得意にすると素材です。クリーンな感じが好きなので、コットンポプリン(綿ブロード)で作ったシャツやマスキュリンなボトムスも気に入っていますし、リネンの落ち感や洗練されたシルクの織物なども好きで取り入れています。良い素材を使い、ディテールまで計算しつくされた、クオリティーの高いものを作り上げました。また、サステナビリティは優先課題として意識しています。長く着られる服を提供することがサステナビリティの第一の柱です。どうやったらベストな形にできるか模索しているところです。

究極の目標は「どれを選んでも間違いない」というぐらい信頼してもらうこと

―ファーストリテイリングのグループ企業であることのメリットとデメリットは?

ナタリー:メリットはたくさんあります。大きなグループのサポートを得られることで、とても心地よく仕事ができます。服飾産業としてのノウハウを持っており、常にクオリティーが高く、しっかりと考えられた商品を提供できるのも重要な点です。今のところデメリットは感じていません。あ、今まさにそうなんですが、出張によるジェットラグぐらいですね(笑)。

―ちなみに、前職時代、「ユニクロ」についてはどのような印象を持っていた?

ナタリー:もちろんよく知っていましたし、私のベーシックアイテムの中にはユニクロの服もありました。シンプルできちんと考えられてきちんと作られた技術性の高いものが、手ごろな価格で提供されているという、しっかりした価値を感じていました。私が「コトニエ」の価値観でも共感したのは、「誰もが手に取ることができること」でした。10年間モードの勉強をした人でなくてもわかる、デザインのためのデザインではない、シンプルで機能的な良い服を提供できることが楽しみなんです。ちなみに、「ユニクロ」はコラボ相手のチョイスにもいい意味で意外性があり、多様性があるという印象を受けました。それは、いろいろなものにトライをして仕事をするというファーストリテイリング、「ユニクロ」の持つ精神的な開放性、オープンさの証明だと感じていました。実はそういう企業やブランドはめずらしい存在でした。

―「コトニエ」ではお客さまとのコミュニケションはどう構築していく?

ナタリー:そこにも私は関わっていますが、かつての仕事の経験からも、イメージ発信はとても大切なものだと思っています。新キャンペーンでは、同じ商品を若い人から成熟した人までいろいろなタイプの女性に着てもらいました。このコレクションをいろいろな解釈で多様に表現することが重要だと考えたからなんです。「一つ」「私」ではなく「複数」「私たち」だということを表現するために、英語の「ウィー(WE)」に当たる「ヌー(NOUS)」をコミュニケーションワードとして使用したりもしています。

―昨年、パリのボン・マルシェ(Le Bon Marche)の向かいに新たにセーブルバビロン店をオープンしたが、どのような店に仕上げたのか?また、今年はブランド設立25周年でもある。何か特別な仕掛けは?

ナタリー:セーブルバビロン店では、商品の刷新に先駆けて、内装で新しいスピリットを表現しました。蚤の市で見つけてきた古い家具や本などをミックスしてブランドの世界観を表現し、全体としてパーソナルな雰囲気を作ったのが特徴です。実は今、新たにパリに旗艦店をオープンする新プロジェクトを推進中です。ユニークでオリジナリティーの高いものになると思います。

―次の秋冬、そして来年に向けて、継続すること、変えていくことは?

ナタリー:すでに方向性は定まってきたので、アイコン的なアイテムを、素材を替えたりディテールを変えて提供していこうと考えています。今は私も周りの女性も、自分の好みはあまり変わらず、スタイルに一貫性があり、服も同じようなものを買いますよね。逆に、気に入ったもの、好きなものを買いに行って「ない!」ということになるとフラストレーションを感じてしまいます。もちろん、気分も変わるしモードも変わるので、時代の空気を取り入れた新しいものや、新しい解釈を入れたものも提供していきますが、アイコン的な商品を大切にし、継続して発売していきたいと思っています。

―クリエイティブ・ディレクターとしてのゴールは何か?

ナタリー:「シンプルだけど特別な服」を多くの女性に提案し、共感してもらうことです。きちんとした質があり、女性が日常にリアルに着られる服で、大げさでもないし、物足りなくもない、「必ずぴったりのものが見つかる場所」として、多くの女性のワードローブの役割を果たしたいと思っています。究極の目標は、「どれを選んでも間違いない」というぐらい信頼してもらえるブランドになることです。

―趣味や、気分転換方法、休日の過ごし方は?

ナタリー:一番の趣味は読書ですね。仕事の密度が濃いので、プライベートは静かな過ごし方をしています。どちらかというと女性作家の、フランソワーズ・サガンやヴィルジニー・デパント(Virginie Despentes)などを愛読しています。フランス文学が好きなのですが、古典も含めて読んでいないものもたくさんありますし。レジャーで図書館に行くのが楽しいですね。市営図書館にも素晴らしいところがあり、新しい作家にも出会うことができます。アーティスティックなものは常に自分に良いものをもたらしてくれます。展覧会も気分が上がります。バカンスも大切ですし、都市を離れて少し静かな、時間のペースがゆるやかな場所に行くのがいいですね。年齢を重ねるごとに自然と触れ合うことがますます重要になってきます。他にもときどきする料理でもリラックスできます。バスチーユの市場や、もっと下町風のアリーグルのマルシェも多種多様なものを売っていて楽しいですよ。

―日本でインスピレーショントリップをしたことは?

ナタリー:まだないんです。今回も六本木と有明が中心で時間が取れなかったのですが、ぜひやりたいですね。日本は大好きなのでもっと知りたいですし。川端康成や小津安二郎の映画も大好きなものがあります。ぼんやりイメージがあるので、照らし合わせながら、日本の文化の理解をもっと深めてもっと語れるようにできれば。次はバカンスで来たいですね。

EDITOR’S CHECK:「コトニエ」の設立は1995年。フェミニンさと素朴な雰囲気を宿したフレンチカジュアルブランドは短期間で急成長し、10年間で「アニエスベー(AGNES B.)」「ザディグ・エ・ヴォルテール(ZADIG & VOLTAIRE)」「マージュ(MAJE)」と並び、主要な百貨店やショッピングエリアには必ずといっていいほどラインアップされるブランドに成長した。2005年にファーストリテイリングの傘下入り。柳井正社長は「真にグローバル化できる企業」であり「グループとしてのシナジー効果を出していきたい」と語り、日本での展開なども始まった。200店舗・160億円程度だった売上高が、2年で1.5倍に成長した。けれども、欧州の消費低迷やファストファッションとラグジュアリーブランドに押される形で伸び悩み、16年8月期から赤字が続いている。13~14年にはザディグ・エ・ヴォルテール」の共同創設者で「ケンゾー(KENZO)」のデザイナーも務めたアメリ・ジリエ(Amelie Gillier)を、15~16年にはアン・バレリー・アッシュ(Anne-Valerie Hash)をクリエイティブ・ディレクターに起用。その後、「ユニクロ(UNIQLO)」のデザイン・ディレクターだった元イッセイミヤケ(ISSEI MIYAKE)の滝沢直己を起用したりもしたが、かじ取りは難航を極めた。直近の店舗数は290店舗余り。いまここで再生できるか、ナタリーの肩には大きな期待がかかっている。

松下久美:ファッション週刊紙「WWDジャパン」のデスク、シニアエディター、「日本繊維新聞」の小売り・流通記者として、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)

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最重要キーマンが語る「ZOZO流ファッションテックのこれから」

 ZOZOは3月4日、「ゾゾタウン」内に靴の専門モール「ゾゾシューズ(ZOZOSHOES)」をオープンした。無料配布する“ゾゾマット(ZOZOMAT)”で正確な足の3Dデータを計測、そのデータを基にAIがユーザーに似合うサイズのシューズをリコメンドする。現時点ではごく一部のアイテムにしか対応していないが、いずれは「ゾゾタウン」で扱う全シューズアイテムに広げる考えだ。また「ゾゾシューズ」はシンプルさとみやすさが売りの「ゾゾタウン」とは一線を画し、UI/UXを変え、スタイリングや商品ストーリーなどのコンテンツなどを組み込んだ“ストーリー型モール”になっている。その狙いは何か。「ゾゾシューズ」の担当役員で、PB「ZOZO」などの開発を手がけてきた伊藤正裕取締役COOに直撃した。

WWDジャパン(以下、WWD):「ゾゾシューズ」オープンの狙いは?

伊藤正裕取締役COO(以下、伊藤):ゾゾタウンで1年間(1〜12月)に販売しているシューズの売上高は約400億円。日本のシューズの市場規模は1兆4000億円なのでまだまだ伸びしろがある。シューズに限った話ではないが、ネット通販で最大のネックが試着ができないこと。これを解消すれば大きな商機になる。

WWD:昨年6月の「ゾゾマット」発表時には、ローンチは19年秋頃と語っていたがずれ込んだ。その理由は?

伊藤:足の計測のための「ゾゾマット」技術自体は早い段階から完成していた。課題はシューズの内寸をどう計測し、ユーザーにぴったりサイズのシューズをマッチングできるようにするかだった。6月の段階では実際に内寸を測ることも考えていたが、最終的にはAI(人工知能)を使ってマッチングさせるやり方になった。AI(のプログラム)自体も自社開発で、かなり技術的には難易度が高い。そのシステム開発に時間がかかった。PB「ZOZO」では体型測定の「ゾゾスーツ」で配布遅延と作り直しを余儀なくされ、実際のアイテムでも一部で不良品を作ってしまった。ゾゾマットでは信頼を失うことだけは避けたかった。技術検証は6万回、時間にして延べ5000時間と、時間も手間もかなりかけたことも遅れた原因だ。

「ゾゾマット」はすでに71万件の予約を受けており、2月27日から順次配送し、今朝の時点で8万4000件以上の計測数を得ている。かなり上々の滑り出しだ。6月の時点では無料ダウンロードなども考えたが、3Dデータの計測の精度が落ちる可能性を考慮して無料配布に切り替えた。データを出力するだけなので製作コストは低いし、難しいものではない。順次配送しているが現在予約を受けている分は3月下旬ごろには配布できそうだ。

WWD:「ゾゾシューズ」の取り扱いアイテムは100点。ちょっと少ないようにも感じるが。

伊藤:対象アイテムは今後、可能な限り早いスピードで増やしていく。技術的な詳細は非公開だが、仕組みとしては3Dデータをいったんバラバラに分解し、シューズの内寸とAIで突き合わせてぴったりサイズを導き出す。先ほども言ったがシューズの内寸は実際には計測しておらず、そのシューズの過去の購入者データなどと照らし合わせている。そのため、「ゾゾマット」のユーザーの利用者と「ゾゾタウン」でのシューズの購入者が増えれば増えるほど、AIの精度も高まるし、取り扱いアイテムも加速度的に拡大できる。

WWD:このタイミングでなぜシューズを?

伊藤:シューズカテゴリーの強化は、ずっと課題だった。実際には「ゾゾスーツ」より前に足の計測のための「ゾゾソックス」を開発し、同様のプロジェクトは考えていた。この数年間はPBなどいろんなことにリソースが割かれていたが、経営体制も変わり、技術的なブレイクスルーもあった。実は「ゾゾタウン」には年間購入者が800万人もいるが、その半数以上がシューズを買っていない。それほど伸びしろがある。

WWD:2019年10〜12月の業績低迷は一部のアナリストから手厳しい評価を受けた。21年3月期はどう盛り返す?

伊藤:新体制になって、もう一度“ファッション”という原点に立ち返った上で、戦略を見直している最中で、それらは改めて思いっきりアクセルを踏み込むための準備。21年3月期からは再び成長軌道に戻す。「ゾゾマット」に続く大型プロジェクトも水面下で進めているし、「ゾゾタウン」を進化させる準備も整ってきた。

WWD:ゾゾタウンの進化とは?

伊藤:「ゾゾタウン」は決して売り上げの良い月とは言えない2月でも1日で340万人が訪れる。これをリアルに落とし込むと、圧倒的世界トップの乗降客数を誇る新宿駅とほぼ同じ数になる。その膨大なトラフィックを、ようやく統計学的な分析データとして活用できるような準備が整ってきた。社内では新商品がどのくらいで売り切れるかだったり、このユーザーがラグジュアリーブランドを購入する確率などを当てるプログラムなどを開発している。それとは別に数年前から継ぎ足してきたようなシステムを根本から見直し、いわゆる“マイクロサービス”化するプロジェクトも進めており、ようやくそれを実行に移す段階にも来ている。

WWD:というと?

伊藤:これまでの「ゾゾタウン」はチラシのようなものだった。人気ブランドのランキングや売れ筋は統一的な指標に基づいており、そうなると自然に価格や規模が優先されがちになる。これからは購買履歴などをベースにしたユーザー一人ひとりに向き合ったパーソナライズが可能になり、ようやく本当にお客さまの利便性を向上できるようになる。

WWD:プライベートブランド「ゾゾ」事業は実質終了に向かっている。これまで蓄積してきたアパレルの設計と生産に関わる技術はどう生かす?

伊藤:実際には現在もパターンもグレーディングの研究も続けているし、アップデートもしている。テナントであるブランドと共同で膨大なサイズを展開するMSP(マルチサイズプラットフォーム)のアイテムは、一部を除き、PB事業で使っていた工場やシステムを、ブランドや商社に提供している。実際にそうでないと短期間で膨大なサイズを生産することは難しい。これまであえて公表はしてこなかったが、実は一瞬で寸法を計測できる超高性能の検寸機などを自社開発して使っている。これはごく一例に過ぎない。アパレル生産に関わるこうした自社開発のプラットフォームや技術は、実際にはZOZOの非常に大きな強みになっている。MSP事業も来期にはかなりアップデートした展開を考えている。

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パリコレ最終日のハイライト 圧巻の演出でトリを飾った「ルイ・ヴィトン」 「シャネル」「ラコステ」の速報も

シャネル(CHANEL)

DESIGNER/ヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)

 ヴィルジニーは、現代女性に寄り添ったリアリティーのあるスタイルで新たな「シャネル」を築こうとしているようだ。今季は、明るいピンクや淡い黄緑を差し色に加えた白黒中心のデイウエアをそろえる。

 キーアイテムは、サイドを開くメタルボタンが配されたワイドパンツ。ジャケットやコート、ニットにも見られるメタルボタンのディテールは、スナップ式になっているものも多い。また、スカートには中央のファスナー開閉でスリットを調整できるデザインもあり、カジュアルなムードを醸し出す。ルックを完成させるのは、ビジューやパールがあしらわれた大ぶりのクラシックなコスチュームジュエリー。足元は、履き口を折り返したデザインのミドル丈ブーツで統一した。

ラコステ(LACOSTE)

DESIGNER/ルイーズ・トロッター(Louise Trotter)

 出発点は、プロテニス選手として活躍した創業者のルネ・ラコステと、ゴルフチャンピオンでもあった彼の妻シモーヌ。2つのスポーツから見出した調和を描いた。

 ファーストルックは、ブランドを象徴する青みのあるグリーンを用いたセットアップ。その後も、テニスコートのようなブラウンに鮮やかな色味やパステルカラーを合わせるとともに、チェック、ボーダー、アーガイルといった柄をミックスすることで、若々しくスポーティーなスタイルを作り上げる。提案するのは、さまざまな素材のベストやポロ、テクニカルジャージーのスーツ、トラックパンツ、そして、ハリのあるトレンチやダッフルコートなど。ウィメンズにはひざ下丈のプリーツスカートも多く用いるが、全体的に男女でシェアするスタイルが多い。

 アクセサリーは、キャディバッグを縮小したようなハンドバッグに注目。グローブやキルト付きのシューズも、ゴルファーのイメージにつながる。

ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)

DEIGNER/ニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)

 圧巻とはこのことだ。ステージの幕が開くとそこに200人の合唱団が現れた。彼らが着ているのは、15世紀から1950年代までの世界中の民族の服。一夜限りの民族衣装博物館の登場である。衣装をデザインしたのは、「時計仕掛けのオレンジ」などスタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick)映画の衣装デザイナー、ミレーナ・カノーネロ(Milena Canonero)で、着物の女性であればパールのネックレスを合わせるなど単純に民族衣装を再現しているのではない。音楽は、ウッドキッド(Woodkid)とブライス・デスナー(Bryce Dessner)が作曲した新解釈のクラシック音楽。荘厳な音楽がルーブル美術館の中庭に響き渡った。

 200人のキャストはランウエイを歩くことなく、ショーの間そこにとどまり歌やジェスチャーのパフォーマンスを行う。コレクションのテーマは「タイムクラッシュ」。ランウエイに登場したモデルたちが着ている服も、まさに時間と国境と性差を超えたスタイルで〇〇風など一言では言い表せない。強いて言えばベースにあるのは、スポーティーとスーパーフェミニンという相反する2つの要素で、そこに70年代調レトロや80年代調の強さなどさまざまな要素が加わる。まさにタイムトラベラーの様相だ。

 新型コロナウイルスの影響で特に後半は不穏な空気に包まれた2020-21年秋冬パリ・コレクションだったがオオトリの「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のパフォーマンスにより“世界はひとつ”というポジティブなムードに転換され幕を閉じた。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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海外が絶賛した「アンダーカバー」「ソロイスト」 パリメンズで日本人デザイナーが手にしたかけがえのない“成功”

 海外生活約10年目を迎える筆者だが、愛国心はさほど強くない。日本人として生まれたことは偶然であり努力をして得たものではないため、高いプライドは持っていない。しかし、2020-21年秋冬コレクションのパリ・メンズ・ファッション・ウイークに臨んだ日本人デザイナーは、そんな筆者の愛国心を刺激してくれる素晴らしい出来だった。「彼らと同じ日本人だ」と声を大にして言いたい——それほど今季の日本人デザイナーは完成度の高いコレクションを世界の舞台で見せてくれた。そう感じたのは筆者だけでないようで、海外メディアの多くも称賛している。

UNDERCOVER
「影響力を持つ最後の“映画監督”」

 フィナーレでスタンディングオベーションとともに鳴り止まない歓声と熱狂に包まれたのが「アンダーカバー(UNDERCOVER)」だ。19世紀に創業したサーカス劇場を会場に、西洋のコンテンポラリーダンスと日本の演劇を組み合わせたようなパフォーマンスでショーが演出された。ウェブメディア「ハイスノバイエティ(HIGHSNOBIETY)」の編集者クリストファー・モレンシー(Christopher Morency)は「膨大なルック数のコレクションは、高橋デザイナーが日本の伝統的衣服を参考にし、時代感と生地を衝突させた感動的な内容」だと評価した。同記事にはライター兼コンサルタントのユージーン・ラブキン(Eugene Rabkin)のコメントも掲載されていた。「高橋デザイナーは文化的影響を探求し続け、妥協のない展望を独自のレンズを通して解釈し、ファッションをほかの文化と対話させている。自身のドラムのビートに合わせて行進する、真の影響力を持つ最後の“映画監督”」。時代の潮流ではなく“自身のドラムのビート”に合わせている点が、独立した存在であり続ける高橋デザイナーのすごみであると筆者も思う。騒音に惑わされ、自身のビートもドラムスティックさえも見失ってしまうデザイナーは少なくないからだ。さらに、オンラインメディア「ハイプビースト(HYPEBEAST)」の編集者ニコラス・リー(Nicolaus Li)もコレクションを絶賛。「表情豊かなニットやミスマッチなボタン留め、繊細でありながら巧妙なディテール、遊び心のあるアクセサリー、おなじみの濃い色彩——多種多様なアイテムは同ブランドの往年のファンを再び振り向かせるだろう」。また両者の記事冒頭では、「アンダーカバー」の劇場型のショーが毎季期待するブランドの一つであり、多くの来場者を呼び込んでいることが記されている。同ブランドがパリ・メンズで独自の立ち位置を示し、存在感が増していることを実感する。「ヴォーグ ランウェイ(VOGUE RUNWAY)」のジャーナリスト、ルーク・リーチ(Luke Leich)はパフォーマンスとコレクションの詳細を長々と熱を込めて説明し、最後を次のように締めくくった。「ここには魂がみなぎっていた。コレクションは、着用可能にした思考と文化と感情の産物。その後の『ラフ シモンズ(RAF SIMONS)』のショー会場が遠いことや、すでに大幅に遅れていることなんて誰も気にしていなかった。それぐらいショーが本当に素晴らしかったから」。

TAKAHIROMIYASHITATHESOLOIST.
「全世界の男性を身震いさせる」

 ルーク・リーチは決して日本びいきのジャーナリストではない。しかし「タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATHESOLOIST.)」も大絶賛している。「宮下デザイナーが話す英語は完璧ではないが、そんなことは何の問題にもならない。なぜならショーを通して、意思の疎通が美しくできるから」という文章で記事が始まる。筆者の印象では、宮下デザイナーは日本語でもコレクションの内容や思いについて雄弁に語ることのない人物である。だが、彼の場合はきっとそのままでいいのだろう。言葉にならないものを衣服に注ぎ込み、見る者の感情を喚起することができる数少ないデザイナーだからだ。「今夜のショーは、男性の非常に長い憂鬱なため息のようであった。それは宮下デザイナーにとって非常に個人的なものだが、全世界の男性の哀れみに寄り添い、身震いさせる力を持っていた。(中略)コレクションは、痛々しいほど“本心”を詩的に語る、終わることのないセラピーコースのようであった」とリーチも感情的につづっていた。

 今季のコレクションとリーチの言葉の意図を深く読み解くには、宮下デザイナーがショー数日前に取材に応じた「ビジネス オブ ファッション(BUSINESS OF FASHION)」の記事が助けとなるだろう。同記事ではまず、カルト的人気を誇った「ナンバーナイン(NUMBER (N)INE)」が、彼の手に負えないほどビジネスが成長するとともに、出資者の意思によってクリエイションに妥協しなければならなかったと休止の理由が書かれている。「自分を見失い、もはや衣服を通して自己表現ができると感じられなくなっていた」と宮下デザイナーはコメントしている。精神面の健康を損なっていた彼は治療に1年間専念した後、2010年に「タカヒロミヤシタザソロイスト.」を立ち上げた。絶望さえ感じたモード界に復帰したのは、生粋のデザイナーである彼にとって必然だったようだ。「顧客とつながることはもちろん重要だが、私を最も駆り立てるのは、自分自身に対する不満という絶え間ない感覚だ。私にとってデザインすることはセラピーのようで、ネガティブな感情に対処する最善の方法」という宮下デザイナーの言葉で記事は締めくくられる。彼がコレクションを生み出すのは自分のためのようにも聞こえるが、結局は顧客に求められるからこそ「タカヒロミヤシタザソロイスト.」はブランドとして成長を続けているのだろう。傷を持たずに生きていける人はいない。彼のクリエイションによってともに傷を癒したり、あえて塩を塗って痛みを強さへ変えたりと、顧客は深い親和性を感じコミュニティーが築かれているのではないだろうか。人の心は痛みと痛み、脆さと脆さ、傷と傷によって深く結び付き、つながりを強化する。少なくとも、数年前に軽度のうつ病を患った筆者はそう思っている。

チームとの絆がいずれ“成功”へとつながる

 ほかにもハッピーなムードに満ち溢れた「ファセッタズム(FACETASM)」、自然のたくましさを服で表現した「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」、パリで古来の和を打ち出した「ヨシオ クボ(YOSHIO KUBO)」、反骨精神むき出しの「キディル(KIDILL)」、多様性を訴える「ミハラ ヤスヒロ(MIHARA YASUHIRO)」と、そのショーの前に突然行われた山岸慎平デザイナーの「ベッドフォード(BED J.W. FORD)」のサプライズショーがつなぐ先輩と後輩の思い。日本人というフィルターを超越する世界的デザイナーの「サカイ(SACAI)」や、言わずもがなの「コム デ ギャルソン・オム プリュス(COMME DES GARCONS HOMME PLUS)」「コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン(COMME DES GARCONS JUNYA WATANABE MAN)」「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」「オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE)」の存在感の強さも改めて感じた。パリだけではなく、ミラノでも「フェンディ(FENDI)」とコラボレーションで注目を浴びた「アンリアレイジ(ANREALAGE)」や初参加の「ジエダ(JIEDA)」、そしてロンドンで安定感を見せる「ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)」など、多くの日本ブランドが世界の舞台に挑んだ今季だった。

 筆者がバックステージ取材を行った、今季パリコレ初挑戦の「ダブレット(DOUBLET)」と「ターク(TAAKK)」にはとても心温まる瞬間を与えてもらった。コレクションの内容もさることながら、バックステージや会場内で各デザイナーとスタッフが一丸となって本番を迎える過程で垣間見えた、チームの絆の強さである。日本人デザイナーではないが、会期中に単独取材を行った「ジル サンダー(JIL SANDER)」のメイヤー夫妻、バックステージ取材を行った「ボッター(BOTTER)」のデザイナーデュオからも、パートナーとしての絆の強さが話し方や空気感からひしひしと伝わってきた。

 身を粉にして創り上げたコレクションに対して、筆者も含めて世間は好き勝手に批評するもので、結果は売り上げの数字として表れる。大絶賛されたとしても、半年後のコレクションでは手のひらを返して酷評されるなど、ファッション業界の流れはとても早く移ろいやすい。ブランドをビジネスとして立ち上げた以上は、コレクションやショーの内容、売り上げといった“結果”は重要である。しかし感情だけで語るとしたら、長い目で見たときにやはり“過程”の方が大切だと思ってしまう。なぜなら、たとえいつか名声が薄れてビジネスが苦しくなったとしても、“過程”を通じて築き上げた仲間とのかけがえのない関係は最後まで手元に残るからだ。必ずしも要領よく勝ち進むことだけが全てではない。限界まで力を尽くしても思うような結果を残せなかった時、一緒に笑い飛ばしてくれる仲間がいることこそ幸せであり、本当の“成功”ではないだろうか。今季、筆者の愛国心を刺激してくれた日本人デザイナーには、それぞれの理想に向かって仲間とともにステップアップしていってほしい。筆者は“結果”に対して感情抜きで批評するのが仕事だが、“過程”や背景にも目を向け、真の“成功”を手にする姿も見守っていきたい。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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パリコレ8日目のハイライト また一歩進んだ「サカイ」 「アレキサンダー・マックイーン」「ステラ マッカートニー」「アクリス」の速報も

サカイ(SACAI)

DESIGNER/阿部千登勢

 「サカイ(SACAI)」がまたひとつ次のステージへ進んだ。“ハイブリッド”をキーワードに新しい服の形を模索し続けているが、今季の“ハイブリッド”は従来のレイヤードやパッチワークとは考え方が異なる。阿部千登勢デザイナーによるとそれは、「視覚的な3次元のフォームを超えた4次元のシルエットの探求」だ。

 立ち止まっているとメンズのスラックスのように見えるアイテムは、モデルが歩きだすとボリュームあるドレスであることがわかる。ここで言う「4次元」とは、動いた時の意外性ある布の軌跡や残像も含めたデザインと解釈して良さそうだ。それは服と人の体の間の感情をもデザインしたオートクチュールのデザイナー、クリストバル・バレンシアガ(Cristóbal Balenciaga)の仕事に通じるものがある。

 質感の異なる生地をつないでフラットに扱う手法も印象的だ。大量の情報をギュッとプレスして2次元に落とし込むかのようでおもしろい。そして平面だからボリュームあるシルエットでも軽やかで現代的になる。

 4次元の象徴として扱う宇宙のプリントは、NASAが所蔵する宇宙の写真からおこしたもの。アルファベットが並ぶプリントは、ミッドセンチュリーを代表するデザイナー、アレキサンダー・ギラルド(Alexander Girard)のアーカイブプリントを「サカイ」のために特別なカラーリングに変更したもの。

アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)

DESIGNER/サラ・バートン(Sarah Burton)

 ハートのモチーフが随所に見られるのはデザイナーのサラ・バートン(Sarah Burton)が今季、「家族やチームへの愛のメッセージを込めたから」。情熱的な赤の使い方もまた、サラの溢れんばかりの愛情表現から来ている。

 もうひとつのポイントはスコットランドのキルト。故リー・アレキサンダー・マックイーン(Lee Alexander McQueen)が好んで着用していたように、キルトはブランドにとって大切な存在だ。動物柄のドレスは赤ちゃんをくるむキルトから、ベビーピンク色のドレスは女性の肌着からそれぞれヒントを得ている。シルバーのドレスのフリンジはよく見るとラッキーチャームであるスプーン。民族の物語をさりげなく、随所の取り入れている。

ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)

DESIGNER/ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)

 会場となったオペラ座の入り口を入ると、ウサギやウシなどコミカルな着ぐるみの動物たちがお出迎え。「家で植えてね」と来場者に苗木を配り、サステナブルな活動への参加を促す。海外からのゲストも多い中、全ての人が取り組めるかということはさておき、今季もステラはシリアスになりがちな話題に明るくアプローチしている。コレクションでは、動物を傷つけないビーガンレザーやシアリングのようなパイル地をキー素材に据えた。

 口元まで覆うように襟を立てたオフィサーコートやゆったりしたスーツ、なめらかなシルエットのドレスやセットアップで描くのは、“自由な精神を持ちつつ地に足のついた意思の強い女性”。ファッションデザイナーやイラストレーターとして活躍したエルテ(Erté)のアーカイブプリントや大柄のチェック、垂れるベルト状の共布がデザインのポイントになっている。また、ウィメンズと世界観を共有するメンズ・コレクションも同時に披露した。

アクリス(AKRIS)

DESIGNER/アルベルト・クリームラー(Albert Kriemler)

 陽光が注ぐ現代アート美術館の館内で展示されている絵画の前でショーを行った。今季のインスピレーションは、1920年代から30年代にかけて活躍したフランスの建築家ロベール・マレ(Robert Mallet)。マレの建築に着想を得たグラフィックをベルベットやカシミヤといった上質素材にのせる。ジャケットとパンツのセットアップ、ブラック&ホワイトのシルクのブラウス、プラム色のラップコートなど実用的で上質なアイテムを着ることで同時にアートをまとう提案だ。それは「アクリス(AKRIS)」の変わらぬスタンスだが、ファッション全体がエレガンス回帰にある今、富裕層のリアルクローズとしてますますそのポジションが明確になっている。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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kemioが語る「ディオール オム」フレグランスの魅力 新作発売を記念したディナーに参加

 「ディオール(DIOR)」は1月31日に、新作フレグランス「ディオール オム オードゥ トワレ」を発売し、2020-21年秋冬NYコレクションショー開催中の米・NYでローンチ記念のディナーパーティーを開催した。ゲストにはクリエイティブディレクター、ブランドコンサルタントとしても活躍するジャマイカ出身のスタイリスト、ロックス・ブラウン(Rox Brown)やインフルエンサーカップルのアリス・バルビエ (Alice Barbier)、JS・ロック(JS Roques)を招待したほか、日本からは現在NY在住のユーチューバーkemioが参加。一夜限りの「ディオール」パーティーで各国のゲストが交流を満喫した。

 「ディオール オム オードゥ トワレ」は、シダーウッドを中心としたウッドノートにレザーやアーシーなベチバー、スモーキーなパチョリなどを織り交ぜて男らしくも繊細な男性像を香りで表現した。普段から同製品を愛用してるというkemioにフレグランスの魅力や香りにまつわるストーリーを聞いた。

WWD:普段から香水を使用している? また香りはどのように選んでいるのか?

Kemio:はい、よく使っています。香りは、“どんな風に気分を変えてくれるか”、というところで選んでいます。香りにはそういったパワーがあると思います。

WWD:Kemioさんにとって「ディオール」の香水とはどんな存在か?

Kemio:周囲の人は皆知っていることなんですが、僕は「ディオール ソヴァージュ」のファンで、もう何年も愛用しています。でも最近は、「ディオール オム」も着けているかも。だって忘れられないようなタイムレスな香りだから。

WWD:いつ頃から香水に興味を持ち始めたか? 自身のフレグランスにまつわるストーリーは?

Kemio:物心ついたころからずっとフレグランスは大好きです。香りは自分のルックを仕上げてくれるものだし、特別な時間をさらに思い出深いものにしてくれます。出会いのシーンでも、その人の香りを覚えているものですよね。

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現地買い付け歴20年の古着バイヤーが語る最前線パキスタンのリアル

 メルカリの普及に比例して、古着への抵抗は減少してきた。今や誰もが古着を手軽に購入して着る時代だ。中古・リユースビジネスに関する総合ニュースサイト「リサイクル通信」は、2020年のリユース市場の規模を2兆6000億円と予測する。それでは大量の古着はどこから来るのか?リユース業界最大手のゲオホールディングス(中古売上高約1066億円)の遠藤結蔵社長は「当社の商品は全て一般ユーザーからの買い取り品で、専門業者やオークションなどは利用していない」と話すが、一般的にスエットやジーンズなどのアメカジ古着は海外からもたらされる。そして、その古着の一大集積地となっているのがパキスタンだという。国連統計部の貿易データによると、パキスタンの18年の古着輸入量は約110万tで世界1位だ。古着店「デザートスノー(DESERT SNOW)」を東京・町田、下北沢、福島県郡山市で運営し、20年来パキスタンで買い付けを行う鈴木道雄デザートスノー社長に話を聞いた。

WWD:パキスタンで20年来買い付けを行う古着バイヤーは鈴木社長以外に存在する?

鈴木道雄デザートスノー社長(以下、鈴木):いない。いや、“いなくなった”という表現の方が正しい。政情不安などの理由から皆、撤退した。現在、パキスタンで継続的にバイイングを行うのは7~8社ほどで、うち特区に入れるのは2社だ。

WWD:特区とは?

鈴木:パキスタン最大の都市カラチの港湾地区に12~13年前にできたタックスフリー(無税)ゾーンを指す。そこを目指して欧米を中心に世界中から古着が集まる。古着はファッション業界にありながら、“製造費のかからない唯一のジャンル”といわれる。われわれは仕分け前の古着を“原料”、仕分け後を“製品”と呼んでいる。

WWD:“原料”がカラチに行きつくまでの流れを教えてほしい。

鈴木:欧米の古着は、寄付や廃品回収によるものが主だ。回収されたそれらはスリフトショップに品出しされ、そこに“ボロ屋(選別工場)”のバイヤーが入る。ボロ屋が買い付けたものを従来はアメリカ国内で仕分けていたが、人件費が高騰してカラチにやってきた。輸入関税が掛からないことに加えて、アメリカのボロ屋スタッフの時給が14~15ドル(約1500~1600円/8時間労働で約116ドル=約1万2400円)なのに対して、パキスタンだと多めに見積もっても日給5ドル(約530円)ですむ。古着の仕分けには何百人もの人手が必要なので、コンテナを船で運んでもカラチで作業した方が安くなる。

WWD:仕分けされた“製品”はその後どうなる?

鈴木:意外に思われるかもしれないが、Aグレード(状態の良いきれいなもの、つまり高価なもの)はアフリカに輸出される。そしてBグレードの古着はパキスタン(特区からパキスタン国内に古着を持ち込む際には税金が掛かる)や隣接するアフガニスタンやイランに輸出される。本当のボロはウエス(使い捨て雑巾)にされる。

WWD:カラチに持ち込まれた“原料”の中から、ビンテージと呼ばれるアメカジ古着が出る確率は?

鈴木:1%に満たない。かつては傷やダメージがあるものは一律に不良品と判断され、はじかれたものの中に希少価値の高いビンテージがあったが、“川上”でその価値に気付く者が現れ始めた。「WWD JAPAN.com」でも以前紹介していたが、パキスタン人ビンテージウエアコレクターのサリーム・ガンチ(Saleem Ghanchi)らが先駆者であり、特区誕生前夜の話だ。

WWD:なぜデザートスノーは特区に入れる?

鈴木:ひとえに“パキスタン人とのコミュニケーション”といえる。それを20年間続けてきた結果だ。現在もカラチにスタッフを交代で常駐させている。

WWD:これからの新規参入は難しい?

鈴木:特区内には40~50のボロ屋があるが、パキスタン政府は彼らにライセンスを与えており、これ以上増やすつもりはないと聞いている。

WWD:パキスタン政府は、なぜカラチに古着の選別工場を誘致した?

鈴木:雇用創出のためだ。しかし当初、特区では車のパーツを生産していた。それが汚水問題で閉鎖された。ボロ屋はそれを引き継いだ格好で、現在1工場で数百人が働いている。

WWD:人件費が安い国はほかにもある。なぜパキスタンが古着の一大集積地になったのか?

鈴木:衣料の関税も低かったことからパキスタンに古着が集まった。また世界には古着の輸入を認めない国も多い。中国ではウイルスの蔓延、ナイジェリアでは自国のアパレル産業が育たないという理由などで見送られている。

WWD:パキスタン以外に古着の集積地はない?

鈴木:フィリピン、マレーシア、タイ、インドにも同様の特区があるが、規模がまるで違う。悲しい話だが、かつてパキスタンは“世界のゴミ捨て場”と呼ばれた。しかし、今ではそれを立派に産業としている。これからも良質の古着を日本に届けるために、パキスタンでビジネスを続けるつもりだ。

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「テクノロジーで多くの人においしいコーヒーを提供したい」 D2Cコーヒーサブスク「ポストコーヒー」の挑戦 

 2019年3月にβ版を始めたスペシャリティーコーヒーのサブスク「ポストコーヒー(POSTCOFFEE)」は、今年2月10日に東京・目黒に体験型店舗をオープンし、ウェブサイトをリニューアルした。AIによるコーヒー診断機能を追加するなど、アップデートを行った。「“コーヒー×テクノロジー”で、自宅でおいしいコーヒーを手軽に楽しめることを目指す」という下村領、祐太朗兄弟の挑戦に迫る。

WWD:「ポストコーヒー」を始めたきっかけは?

下村領(以下、下村):もともとデザインとシステム開発を行う会社を経営していたんですが、それと並行して3年ほど趣味で小さなコーヒー屋をしていました。そこで気づいた課題をデザインとITで解決できればと思い、2019年3月に「ポストコーヒー」のβ版を始めました。

WWD:具体的にはどういったことが課題だったのか?

下村:コーヒー屋をやっていたときには商圏が限られていたので、多くの人がおいしいコーヒーを簡単に買いに行けないということが課題だと考えていました。それを解決するためにECでのコーヒーサブスクを始めたんですが、「おいしいコーヒーが手軽に飲めるようになった」という声をいただきました。ユーザー登録数は全体で約5000人。継続率は96%ほどでした。一方でβ版を運営していて他の課題が見つかったんです。それは「そもそもおいしいコーヒーが何かが分からない」というものでした。そのためには「まずはおいしいコーヒー」を体験してもらうことが重要だと考え、この2月10日に東京・目黒に体験型店舗をオープンしました。この店舗ではバリスタと相談しながら、自分に合ったコーヒーを見つけることができます。今後もポップアップなどは積極的にやっていきたいと考えています。

また「豆の選び方が分からない」「選ぶのが面倒くさい」という声もあり、同じく2月10日にウェブサイトをリニューアルして、10の質問に答えると自分に合ったコーヒーが見つかるコーヒー診断サービスも開始しました。

WWD:確かによほどコーヒーにこだわりがある人でないと、大手のチェーン店で満足している。そもそも“おいしいコーヒー”とは?

下村:僕らが考えるのは“おいしいコーヒー”とはスペシャリティーコーヒー(生産国における栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正に行われ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆)のことで、現在その割合は8%ほどだと言われています。なので、まだまだ多くの人が本当においしいコーヒーを飲んだことがないと考えています。ただ僕らの競合相手は「スターバックス(STARBUCKS)」や「タリーズ(TULLY’S)」「ドトール(DOUTOR)」などではなく、「UCC」や「キーコーヒー(KEYCOFFEE)」「AGF」など家庭用だと思っていて、今後はオフィスへの供給もしていければと考えています。

WWD:価格は?

下村:スタンダードなのは、3種類(各3杯分)が1セットになったプランで月1480円です。それ以外にも、何種類かその人のライフスタイルに合わせたプランも用意しています。豆は現在15カ国、32種類を扱っていて、15万通りからその人に合った組み合わせを提供しています。おしいしいコーヒーを一度飲むとなかなか一般のコーヒーでは満足できなくなる。「ポストコーヒー」では毎月最適化されたコーヒーが届くので、コーヒージャーニーを楽しめます。全て送料無料。ポスト投函なので、不在がちを気にすることもありません。追加注文も可能で、場所にもよりますが、最短で翌日にはポスト投函することもできます。

WWD:送ってもらう豆は変更可能か?

下村:もちろん可能です。毎月のフィードバックをもとにAIによって最適化していきます。ただまだまだデータがたまっていないので、当面はフィードバックをもとに、社内のバリスタがセレクトしていくつもりです。またLINEを使って、バリスタと相談することも可能です。

WWD:兄弟で経営をしているが、役割分担は?

下村:僕がシステムやプロダクト開発を行っていて、弟の祐太朗はクリエイティブや店舗開発を担当しています。

WWD:昨年10月には5000万円の資金調達を行ったが、どう使っていく?

下村:2月10日にオープンした店舗費用と、焙煎機の購入などに使いました。初めての資金調達で、投資家などにもコネクションがなかったんですが、「資金調達したい」と周りの人に言っていたら、声を掛けられたのがきっかけです。今年中にはもう1回資金調達を考えていて、マーケティングに資金を使っていきたいと考えています。コーヒー好きの投資家の人がいたらぜひ声をかけてほしいです(笑)。

WWD:気になっているサービスは?

下村:お菓子のサブスク「スナックミー(Snaq.me)」です。実際に僕も購入しているんですが、毎回届くのが楽しみです。「ポストコーヒー」もそういった存在になれればと思っていますし、機会があればコラボとかもしてみたいですね。

WWD:今後の目標は?

下村:近い目標だと3年後には会員数2万~3万人、年商では6億~8億円を目指しています。

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「ファッションにおける私の関心は、いかにシステムを進化させることができるか」 by ヴァージル・アブロー

Virgil Abloh

 世界は進化している一方で、業界は(既存のトレンドや基準はもう出尽くしたと)思考停止してしまい、変化のない状態だったと思う。だからファッションにおける私の関心は、いかにこのシステムを進化させることができるかだった。(「WWDジャパン」vol.2064 2019年1月14日号掲載)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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レッドカーペットは“おしゃれ見本帳” セレブの着こなしからリアルトレンドが見えてくる

 ファッションの祭典でもあるレッドカーペットに、少しずつ変化が起きています。リアルなトレンドを落とし込んだ着こなしが増えてきたのも、以前との違い。つまり、レッドカーペットはリアルコーディネートのお手本に使えるようになってきたわけです。そこで今回は、今春開催されたアカデミー賞とゴールデングローブ賞のレッドカーペットから、リアルなコーディネートに生かしやすい女優ルックをピックアップしました。

 オートクチュールのタフタ仕立てドレスがかつてのレッドカーペットの“お約束”でした。でも、今ではプレタポルテ風の派手すぎない装いが好まれるようになっています。たとえば、今回のアカデミー賞に、歌手のビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)はオーバーサイズのセットアップというトレンドルックで出演。「シャネル(CHANEL)」のロゴを散らし、白のワントーンでまとめた、ツイード素材のパンツ・セットアップは、今春夏の注目テイストを凝縮したかのようです。

クラシックなマント類で、全身を品格で包む

 “クラシック”がトレンドとして浮上している今シーズンだけに、象徴的なマント類は取り入れてみたいアイテムの筆頭格です。レッドカーペットでもトップ女優が相次いでマントやローブ、ガウンを取り入れました。ジェンダーレスやフェミニズムの盛り上がりを背景に、肌を見せずに、女性らしさを漂わせる着方に関心が高まっていて、その意味からも注目を集めています。

 ナタリー・ポートマン(Natalie Portman)は「ディオール(DIOR)」でゴールドとブラックのコンビネーションを組み立て、晴れ舞台にふさわしい装いに。彼女は女性映画人の権利を主張する、ハリウッドでのキーパーソン的立場になっていることもあって、ジェンダーニュートラルな意識がうかがえます。ゆったりしたアウターはボディーラインを完全に覆い隠しています。

 ブリー・ラーソン(Brie Larson)はシャンパンピンクがあでやかな、羽織り物付きの「セリーヌ(CELINE)」のドレスで来場。床に届く程のロング丈が縦落ち感を強めています。しんなりと体に沿っているのは、生地が薄手だから。肌を隠しつつも、全体をエレガントにまとめやすいのが、ソフト仕立てマント類の魅力。隙間からチラリと腕がのぞく様子もさりげない色香を感じさせ、大人女性にぴったりです。

“グリーン”をまとって、サステナへの共感示す

 サステナビリティやエコは今のファッションで最重要視されるテーマに位置づけられています。ネイチャー気分のグリーンがトレンドカラーに浮上したのも、こういった自然派志向の流れから。もともとエコ意識の高いハリウッドでは、装いにグリーンを生かす動きも広がってきました。

 シャーリーズ・セロン(Charlize Theron)はランジェリー風ビスチェの上から、ワンショルダーのグリーンドレスを重ね着して官能美とナチュラル意識を響き合わせました。「ディオール」の装いです。過剰に飾り立てない、流れ落ちるような自然体のシルエットにも、エコマインドが漂います。

 ジョディ・カマー(Jodie Comer)はボトルネックとパフスリーブという、旬のディテールを盛り込んだ「メアリー カトランズ(MARY KATRANTZOU)」のドレスで登場。高い位置に施したディテールの効果で、視線が上に引き寄せられる仕掛け。ウエスト位置が高く見え、スタイルアップ効果も発揮。グリーンの深みを、ドレープで引き出す演出も冴えています。

ふんわりスリーブでレトロかわいい淑女ムードに

 ヴィクトリアン風のパフスリーブは、“袖コンシャス”ブームから引き続き、人気が衰えていません。大人女性が取り入れる場合のコツは、甘さをそぎ落とすところ。シックなボトムスと組み合わせたり、渋めの色を生かしたりといった着こなしが効果的です。

 ルーシー・ボイントン(Lucy Boynton)の「シャネル」のドレスは、パフスリーブと細い袖を組み合わせて、すっきりした袖まわりにまとめました。ひじから先がギュッと細くなる“ジゴ袖”のショートバージョン風で、腕が引き締まって見えます。レトロな襟元もキュート。ボトムスは黒のロングスカートで合わせ、ガーリーとゴシックを上品にミックスしました。

 ダコタ・ファニング(Dakota Fanning)が選んだのは、ふんわりとふくらんだバルーンスリーブの「ディオール」のドレス。色がスモーキーピンクだから、甘く見えにくくなりました。透けるチュール系素材がファンタジー感を醸し出しています。重層的な透け生地使いで、気品も漂わせました。

大ぶりの“リボン&ラッフル”でタイムレスな装いに

 リボン(ボウ)やラッフルなど、普遍的なディテールは“クラシック”のムードを強めてくれます。本来は控えめな存在のディテールを、あえて大きめにあしらって、フェミニンな主張を強めるのが今季のトレンドです。

 ジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)が着用した「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のグリーンドレスは、ゴールドがまばゆい巨大リボンがアートモチーフのように添えられています。ミニマル志向が強まった今季は、服のシルエットをシンプルに抑えながら、ディテールで“盛る”という組み立てが広がっています。

 フローレンス・ピュー(Florence Pugh)は、ティアードとラッフルの合わせ技が華やかさを生み出した「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のドレス。上半身はストラップですっきり仕上げているので、スイート感がトゥーマッチになっていません。たくさんのラッフルが着痩せ効果も引き出しました。

 浮き世離れした“おしゃれ博覧会”と思われがちなレッドカーペットの装いですが、実は直近のリアルトレンドとも地続きです。ゴージャス感をトーンダウンすれば、普段の着こなしにも参考になる工夫がいっぱい。ランウエイよりもじっくり眺めやすく、アレンジも多彩なレッドカーペットは最新の“おしゃれ見本帳”としても見応えがありますよ。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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パリコレ7日目のハイライト 「バレンシアガ」の異常気象を生き抜くギア 「ヴァレンティノ」「イッセイ ミヤケ」の速報も

バレンシアガ(BALENCIAGA)

DESIGNER/デムナ・ヴァザリア (Demna Gvasalia)

 写真のモデルの足元を見ると水しぶきが飛んでいることがわかるだろう。これは、ランウエイに水が張られているから。スタジアム式の客席は前から3列目までが水に沈み、天井一面に張り巡らされたモニターには押し寄せる波の映像が映し出された。異常気象により世界各地で多発している洪水を連想し、恐怖を覚える。

 「バレンシアガ(BALENCIAGA)」の服は、そんな異常気象の中で生き抜くギアのようだ。手にスマフォを握り、耳にAirPodsを突っ込んだモデルは水を蹴散らし、裾が濡れることなどお構いなしにガツガツ歩く。誇張された肩は鎧のように体を守り、ネオプレーンを使ったスーツは実際に濡れても問題ない。イヴニングドレスも肌に吸い付くような生地で仕立てられ、着飾るというよりも体を守るもう一枚の皮膚のような存在となっている。靴はビブラム社(Vibram)とのコラボでこれも機能的だ。

ヴァレンティノ(VALENTINO)

DESIGNER/ピエールパオロ・ピッチョーリ

 今季表現したのは、平等性や包括性。さまざまな人種に加え、異なる年齢、体型、性別のモデルを起用し、それぞれの持つ人間性を描き出した。ベースとなるのは、“個性を消すもの”と捉えられることの多いユニフォーム。黒やグレー、ネイビーのチェスターコートやジャケット、オフィサーコート、腰履きした太いパンツといったテーラリングに加え、センシュアルなシルエットやクリーンなカットのドレスなどで作るワントーン中心のシンプルなルックをそろえる。アクセントを加えるのは、メゾンを象徴するや赤やピンクベージュ、そして、1月のメンズ・コレクションにも用いられたイネス&ヴィノード(Inez and Vinoodh)による花の写真。メンズと同デザインのコートをまとう女性モデルもいて、インクルーシブなスタイルを体現している。

 足元は、今季のランウエイで多く見られ、来秋冬のITアイテムになりそうなゴツいブーツ。一方、バッグには大きなボウ(リボン)や花びらのような装飾をあしらい、ルックに甘さを加える。ショーの音楽はビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)の「All the good girls go to hell」。弦楽器の生演奏と合わさり、エモーショナルに心を揺さぶる。

イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)

DESIGNER/近藤悟史

 出発点は、擬態語や擬音語を表す“オノマトペ”。子どもが無邪気に工作をしたり、絵を描いたりするように、モノづくりの楽しさを服に落とし込んだ。最初に披露したのは、マジックのような太い線で布に描いた服を“スパッ”と切り取ったようなデザイン。そこには、一本の糸から一体成形で服を生み出す象徴的な技術「A-POC」が生かされている。その後も、“ジュワッ”と広がることをイメージをしたインナーとアウターがシームレスにつながっているアイテムや、色とりどりの粘土を”コネコネ”するように異なる色や質感を組み合わせたニットなど、多様なアイデアを打ち出した。
 
 終盤には、何着もつながったホールガーメントニットを着た、身長も人種もさまざまな男女が登場。フィナーレには全員が連なって楽しそうに歩く演出で、未来への希望を表現。そんなポジティブなメッセージは、近藤悟史デザイナーによる「イッセイ ミヤケ」のカギになっている。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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新型コロナで2週間の事業停止、小松マテーレの中山会長兼社長の一問一答

 新型コロナウイルスに3人の感染者が出ている小松マテーレは3月2日、金沢市内で記者会見を行ない、は3月15日まで2週間にわたる営業と生産活動の停止を発表した。2月24日に一人目の感染者が確認されて以来、同社は地元メディアからの問い合わせに対して認める形で社名の公表してきた。同社は2月10〜15日にパリの素材見本市に出展するため、本社と東京、大阪のオフィスに勤務する14人が出張しており、その中から発症者の2名と検査で陽性反応の出た1名、合計3人の感染者を出している。中山賢一会長兼社長と今回の対応にあたった高木泰治管理本部長の会見での一問一答は下記の通り。

―なぜ会見を?

中山賢一会長兼社長(以下、中山会長兼社長):2月24日に石川県が当社では一人目となる発症者を発表以来、報道機関からの問い合わせを認める形で感染者の存在を公表してきた。今日の記者会見で、当社の新型コロナへの感染に対するすべての情報を公開したいと考えた。

―現状は?

高木泰治管理本部長(以下、高木管理本部長):感染者はすべて2月10〜15日にパリに渡航した出張者だ。出張者は14名で、そのうち2人が発症しており、1人は2月28日に発症はしていないが、検査で陽性反応が出た。濃厚接触者は、感染者の家族を除き、全部で33人で、すべて自社の社員だ。

-取引先に濃厚接触者はいないということか?

高木管理本部長:濃厚接触への疑いに関しては、感染者と接触のあった社員や取引先をすべて洗い出した上で、石川県や保健所と相談し、指導を受けた上で濃厚接触者を特定した。その意味で社外に濃厚接触者はいなかった。陽性反応が出ている3人の社員の家族はすべて陰性になっており、現時点では当社からの2次感染はないものと考えている。

-感染経路は?

高木管理本部長:特定できていないが、私個人の考えとしてはパリ出張中の可能性が高いと考えている。

―影響は?

中山会長兼社長:現時点では業績への影響は精査しきれていないが、2020年3月期の業績にはかなりの影響が出るはずだ。ただ、2020-21年秋冬物の生産のピークは超えている。説明を行った取引先からは概ね、ご理解をいただいている。WHOによれば潜伏期間は最大で12.5日とされており、未感染者は14日間の健康状態の観察が推奨されている。そのため安全性を最大限に担保するため、2週間に渡って事業を停止を決断した。業績とサプライチェーンへの影響は大きいが、それ以上に地域や取引先、社員への安心と安全の保証の方が重要だと考えた。公表以来、風評被害のようなこともあったが、この措置でそうしたことも払拭できるはずだ。生産と営業の停止期間中は、テレワークで社内の情報共有などは行い、全社員に朝夕の体温チェックなどの体調管理の徹底と記録を指示している。

-関係する社員は?

中山会長兼社長:関係者会社も含めると全部で約1300人。ただ、今回の事業停止には中国子会社は含まれておらず、中国子会社は2月17日に稼働を再開している。

-1人目の社員の発症が確認されたのは2月24日。会見など、もう少し早く対応できたのでは?

中山会長兼社長:正直に申し上げて、一人目の感染者が出るまでは、ここまで急速に感染が拡大すると予測できなかった。(出張者が)まさか感染しているとは夢にも思わなかった。その点は非常に反省している。1人目の感染が確認されてからは、社名をあえて報道機関からの問い合わせに答える形で公表することで、今後の対応をどうすべきか、国や石川県、医療機関などから幅広く知見を得ようと考えた。現在も含め、(新型コロナウイルスは)分かっていないことが多すぎる。できるだけ真摯に対応してきたつもりだ。

-事業への影響を考えれば、あえて公表しないという判断もあったのでは?

中山会長兼社長:一人目の感染が判明してから、ずっと「転ばぬ先の杖」を原則として考えてきた。公表したという経営判断に後悔はまったくない。

-風評被害とはどういったものか?

中山会長兼社長:すべてを把握しているわけではないが、東京の営業所の入っているビル全体が感染リスクがあるといった問い合わせも受けたことがある。出荷するテキスタイルに関しても、保健所などからは絶対に安全だと言われても、信じてもらえないこともあった。2週間の事業停止で、そうした不安はすべて払拭できると考えている。

-事業停止という経営判断に至るプロセスは?

中山:2月24日に感染者が確認されて、各部門のトップからなるリスク管理委員会を発足した。委員長には高木管理本部長が就任し、私もオブザーバーとして参加した。事業停止は2月29日に開催したリスク管理委員会に私が提案し、リスク管理委員会での議論を経て、私が最終的に決定した。社員には翌日の日曜日(3月1日)の午前中に通知し、取引先にも午後から、本格的には本日の午前中から通知していった。本社と大阪、東京のオフィスはすべて閉めているので、主にメールや電話などで行った。

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韓国の次は中国メイク! 人気ユーチューバー鹿の間の穂乃香が語る“チャイボーグ”メイクとは

 韓国メイクはここ数年日本でも大きな旋風を巻き起こし定着したが、最近中国メイク・中華メイクにも注目が集まっている。その背景には中国独自のSNSの発展があり、そこで活躍するインフルエンサーが増える中で、彼女たちのメイクにも注目が集まっているということが挙げられる。日本では非現実的で整形をしたかのように完璧に見える彼女たちを“チャイボーグ”(チャイナとサイボーグを掛け合わせた造語)と表現する人が現れ、それを目指した“チャイボーグ”メイクもはやり始めている。女子中高生向けのマーケティング支援などを手掛けるAMFが発表した女子中学生・高校生の20年トレンド予測では、中華メイクがモノ部門で選出され、中華メイクを発信するユーチューバー鹿の間の穂乃香がヒト部門でランクインした。@wwd_jpのインスタグラムで「注目が高まるチャイナビューティ。女子中高生の間で話題の“チャイボーグメイク”知ってる?」と質問をしてみたところ、YESという回答は28%にとどまったものの、「メイクで参考にするのはどちら?」では韓国メイクが50%中国メイクが50%と同率となり、注目度の高さがうかがえた。そんな中国メイク・中華メイクについて、鹿の間の穂乃香に動画を出したきっかけや、メイクのポイントを聞いた。

WWD:もともと美容が好きでユーチューバーになったのですか?

鹿の間の穂乃香(以下、鹿の間):私は好きなことや趣味がいっぱいあって、服飾系の学校を卒業しているので、いつか洋服のブランドも立ち上げたいし、コスメ情報も発信したい。どうしたら夢をかなえられるんだろうと考えたときに何か新しいことを始めようと思い、ユーチューブを始めました。当時の私は加工した自分の写真にしか自信を持てなくて、加工なしでも自信を持てるように、自分を客観視するためというのも理由です。

WWD:中国メイクの動画を出したきっかけは?

鹿の間:もともと韓国アイドルが好きで、韓国アイドルグループの中にいる中国人メンバーの写真をSNSで見たことがきっかけで中国メイクを研究しました。日本にはない華やかなメイクで、紹介しようと投稿したのが、最初のメイク動画でした。

WWD:中国メイクの関連で“チャイボーグ”メイクも発信していましたね。“チャイボーグメイク”ってどんなメイク?

鹿の間:元々ツイッター(Twitter)である方が作った造語で、整形したような顔立ちの中国美女を指すんですが、私もツイッター経由でその言葉を知って。

WWD:普段から中国メイクの情報はツイッターで得ている?

鹿の間:インスタグラムなどにも中国のインフルエンサーがいますが、最新の情報を収集するために私は中国のアプリを使います。最初はウェイボー(微博、Weibo)を見ていましたが、最近はRED(小紅書、Xiaohongshu)を見ることが多いです。あとは中国版ティックトック(TikTok)と言われている「抖音(ドウイン)」をダウンロードしました。アプリストアを中国版にしないとダウンロードできないんですが、頑張りました。中国の知人からトレンドを聞くこともありますが、だいたいはREDに情報が集まっています。

WWD:鹿の間さんが考える中国メイクのポイントは?

鹿の間:肌は艶っぽい質感からマットまで幅広く、眉毛は欧米風で眉山をしっかりつくり眉尻を長めに下げます。チークは人それぞれですが、鼻先にも塗ったりするんです。シェーディングはかなりきつめに、「塗ってるな」と分かるくらいガッツリ入れる人が多いです。ハイライトもガッツリ。リップの質感はバラバラですが、どんな色でも派手な色味が多く、パキッとした塗り方をします。あとは、キラキラしたアイテムが好きですね。

WWD:中国は韓国でも日本でもなく、独自のメイクなんですね

鹿の間:それが現地の人に聞いたら、日本のメイクを参考にする人が多いそうです、不思議ですよね。日本のメイクは自ナチュラルメイクがブームで、濃くするとギャルっぽくなってしまう。中国は日本をそのまままねるのではなくて、韓国や欧米の影響も受けていて、中華風にしています。カッコよくてクールな印象です。そういう中国の新しい発想や工夫、努力が好きなんです。

WWD:派手なメイクアップだと思いますが、どんな反応が来ますか?

鹿の間:中国のメイクを日本風にして紹介することはなくて、そのまままねることで紹介しています。半数は「試してみます」「やってみました!」と言ってくださいますが、「これはまねできない」という方もいます。実際にやってみたら、日常使いできるメイクだとは思うのですが。

WWD:中国内のメイクトレンドなどもリサーチしているのですか?

鹿の間:「RED」ではやっているものはキャッチしています。両目の涙袋にほくろを描くのがはやっていて、黒目の真下に入れるんです。それと、今日私がしているのは中国で人気のキクちゃん(元SNH48のジュー・ジンイー)が撮影でしていたメイクで、鼻先を赤っぽくして、アイライナーで目尻に下まつげを描くのがトレンドです。このキクちゃんの写真は中国のSNSでも出回って、まねっこメイクもトレンドになりました。

WWD:メイク方法だけでなく、中国コスメも紹介していますね

鹿の間:「RED」で知った「花西子(Florasis)」(中国のドメスティックブランド)をユーチューブで発信しました。けれど多くの中国コスメは日本からは購入できないので、中国に行く友人がいたら頼んで買ってきてもらったりします。フォロワーの方にも、「タオバオ(TAOBAO)」などでは売っているけれど、サイトでは中国語しかないですよと紹介しています。中国メイクをしていますが、手に入れやすい日本や韓国のコスメを使うことが多いです。

WWD:先程、中国メイクは工夫や努力があって好きとおっしゃっていましたが、なぜここまで惹かれるのでしょう?

鹿の間:中国の方は良い意味で周りを気にしていなくて、自信があって、芯があるように見えます。昔からマイリー・サイラス(Miley Cyrus)みたいな自信のある子が好きでした。韓国アイドルだとMAMAMOOみたいなカッコよくて女性らしいグループも好きです。中国や韓国以外ではリアーナ(Rihanna)のメイクやコスメにも注目しています。

WWD:視聴者、フォロワーの方には今後どんなことを発信したいですか?

鹿の間:やっぱり映画が好きなので、映画と美容とかを掛け合わせられたら面白いと思います。映画ではありませんが、最近はKーPOPのミュージックビデオの世界観メイクの反響があります。自由に、好きに生きてほしいというメッセージを発信したいと思っていて、実際に「鹿の間ちゃんみたいに自由になりたい」と言ってくれる方も。ブレずに、個性を出したいですね。

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編集長はパリコレで何した?Vol.4 高まる不安も「リック・オウエンス」にいやされ、「オフ-ホワイト」から「イザベル マラン」へモデルと瞬間移動

 フランスでも日に日に新型コロナウイルスへの脅威が高まっています。この原稿を書いている3月1日(日)には、フランス内の感染者が100人を超え、政府から“5000人以上規模のイベントは開催中止”のお達しが出てスポーツイベントなどは中止になっています。パリコレもショー開催を自主的に取りやめるブランドがあったり、買い付けを中断し帰国を早めるバイヤーがいたりと開幕直後ののんびりムードから一転。「WWDジャパン」の取材陣は引き続き毎朝体温を測り、“熱があったら必ず休む”を約束し、いつも以上にちゃんと寝てちゃんと食べるを実践しつつ取材を続けています。

9:15
「サンローラン」展示会
あのスパッツはラテックスでした

 日本だったらまずあり得ないですがパリコレ中の展示会は9時オープンも普通です。「サンローラン(SAINT LAURENT)」のショーで見たあの脚線美を強調するツヤツヤ&ピタピタなスパッツの素材がラテックスだったことが分かりました。こういったことが分かるので展示会は重要。ラテックスはトレンチコートやスカートなどいろいろなアイテムに使われていました。

10:00
「クロエ」に見る
ウィメンズパワー 福島リラも登場

 毎シーズン言っていますが、ナターシャ・ラムゼイ・レヴィ(Natacha Ramsay-Levi)の「クロエ(CHLOE)」が個人的に好きです。“カワイイ”だけじゃない、女性の逞しさや朗らかさをそこに見るからです。

 今回は3人の女性とのコラボレーションでショーが構成されています。フロントローの中央にどんと飾られたオブジェはアーティストのマリオン・ヴァーブーム(Marion Verboom)によるもの。最初のBGMは女優のマリアンヌ・フェイスフル(Marianne Faithfull)による詩の朗読。服に取り入れた少女のイラストは、アーティストのリタ・アッカーマン(Rita Ackerman)による作品だそう。

 その中で女優の福島リラさんがモデルとして歩いてきてびっくり!飛行機で見て感動した映画「蜂蜜と遠雷」の中で、リラさんは流ちょうな英語でピアニスト役を演じていました。ハリウッドで頑張っている彼女の強さもまたショーのパワーにつながっていました。きっと、私が分からないだけで他にもリラさんのようにモデル以外の顔も持つ人が歩いていたのかもしれませんね。

11:00
「アトライン」でショーを開く
意味を考える

 日本の公立小中学が休校へ、のニュースを読みながら「アトライン(ATLEIN)」へ入場。大画面で大空や海の映像を見て少し気持ちが晴れるも、服はう〜ん。着心地が良さそうなドレスがそろうけどショーでないと伝わらないかと言えばノーかな。大勢の人を移動させたり集めたりするのに相当な引力や理由が必要な今、ショーを開く側にもはっきりしたモチベーションが必要です。

12:30
女優の舞台挨拶にオススメしたい「アン ドゥムルメステール」

 エレガンス回帰ムードの今、「アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」みたいにちゃんとしたテーラーリングやドレスが得意なブランドが軽く崩して見せるとグッときます。この黄色のドレスは、日本の女優さんが舞台挨拶できたら素敵なんじゃない?と思ったら、斜め前に秋元梢さんを発見。黒が多い会場でピンクを選んでいるからフロントローでも目立っていました。

14:00
「ルイ・ヴィトン」の新しい
ファインジュエリー

 ヴァンドーム広場の「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の上階へとどんどん上がり、広場を見渡す部屋でファインジュエリーを取材。昨年、ウォッチ&ジュエリーのアーティスティックディレクターに就任したフランチェスカ・アムフィテアトロフ(Francesca Amfitheatrof)が手掛ける新作です。写真はNGなのでお見せできないのが残念。なかなかパンチが効いています。カワイイというよりカッコいい。ニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)によるウィメンズと相性抜群です。

15:00
LVMHプライズで世界の若手の間を駆け抜ける

 「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE以下、LVMHプライズ)」は、セミファイナリストと審査員とメディアが一同に会する恒例のカクテルパーティーが中止になりました。ただし、展示会は実施。「予防のために人が集まるイベントは最小限とし、必要なことは実行」の判断、賛成です。「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」はじめ国際色豊かなセミファイナリスト10組の間を10分で駆け抜けました。

17:30
「リック・オウエンス」の水色

 パリコレでは“ プロテクト”というキーワードが浮上しています。体を心を守るようなデザインは今まさに心に響きますが「リック・オウエンス(RICK OWENS)」に限ってはもうず~っと前から一貫して“プロテクト”を服で表現してきました。繭や戦闘服のような形は心を守る鎧のようです。色については今季はきれいな水色が気になります。それはこんな色です。動画でどうぞ。

19:00
「オフ-ホワイト」でも
水色が気になる

 「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」でも水色が気になります。こちらも動画でどうぞ。

20:00
「イザベル マラン」にモデルが
瞬間移動

 なぜだから毎シーズン、「オフ-ホワイト」から「イザベル マラン(ISABEL MARANT)」の会場へ全力疾走しており、今季もまた夜のパリを走りました。このスケジュールなんとかならのかい!と息をあげつついつも思うのは両ブランドとも旬なモデルをずらりとそろえるので同じモデルが多数登場するのですが、一体彼女たちはどうやったらこんなに素早く移動して瞬間ヘアメイクを施せるのか!?という疑問。バイクで移動とは言え、ミラクルすぎる。
(話はそれますが、東コレのコールタイムは早すぎです!!)

 「イザベル マラン」は今季もパワーショルダーにハイウエストパンツ、そしてボヘミアンテイスト。大きく変わらず、変わらないけど人を集め続ける。それも強さです。

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