「ラ ロッシュ ポゼ」の人気トーンアップUVに新色“ローズ”が登場 ピンクで魅せる素肌感

 紫外線対策への意識の高まりもあり一年を通して日やけ止めを使用する人が増えている。そんなニーズの高まりもあってか、日やけ止めは肌がきしむ、乾燥する、負担が大きいなどのイメージが強いが、技術の進歩とともにスキンケアのような快適なつけ心地の製品が増えている。その中で近年のトレンドが、紫外線対策に肌色を補正する効果をプラスしたトーンアップ※1UVだ。「ラ ロッシュ ポゼ」が2018年に発売したトーンアップ※1UV「UVイデア XL プロテクショントーンアップ」も自然なトーンアップ効果※1と快適な心地が支持され、美容誌や女性誌のベストコスメを多数受賞した。2020年3月2日に、この人気トーンアップシリーズの新色「UVイデア XL プロテクショントーンアップ ローズ」が登場する。肌なじみの良いピンクが素肌のような美しい肌をつくり上げる※1

ピンクのトーンアップUVでつくる
素肌のような透明感※1

 今回新たに登場するピンクのトーンアップUVは、素肌感や温かみのある肌を求める人向けのカラーだ。肌が本来持つ血色に近いピンクは肌なじみがよいだけでなく、くすみや色ムラを自然にカバーする※1効果がある。どんな肌色とも相性の良いピンクは、塗っていることを感じさせないナチュラルなカバー力と血色感※1を与え、まるで素肌がきれいになったかのような仕上がりに。また、光を拡散・反射する球状粉体と、光を乱反射することで色ムラを補正する板状粉体の2種を独自のバランスで配合することで実現した “トーンアップテクノロジー”により、自然なトーンアップ効果と上品な艶肌を演出する※1

肌に快適な使い心地
独自テクノロジーによる
プロテクト&ケア効果

 実は肌老化の8割は紫外線によるものだといわれている。紫外線量がピークを迎えるのは5~8月だが、紫外線は一年中降り注いでおり、季節にかかわらず対策を行うことが大切だ。さらに、室内にいても窓から紫外線は差し込むため油断は禁物。外出時だけでなく、日やけ止めはスキンケアの一部として習慣化することが望ましい。

 「UVイデア XL プロテクショントーンアップ ローズ」はSPF50+・PA++++の最高レベル※2の紫外線防御力を備え、メギゾリルSX※3、メギゾリルXL※4を配合した独自のUVフィルターシステムで、シミ、シワ、たるみを引き起こすといわれているロングUVAもしっかりと防御し、PM2.5を含む大気中微粒子などの外的要因からも肌を守る※5。さらに、スクワランやグリセリンなどの保湿スキンケア成分を配合することで肌の潤いを守り、「ラ ロッシュ ポゼ」の核であるフランスの天然湧水「ターマルウォーター」がバリア機能※6をサポートし、肌に快適な使い心地を実現した。

敏感肌に寄り添う
低刺激設計※7

 昨今、気候の変化や多忙な生活の中で肌の揺らぎを感じる人も多く、敏感肌ケアの需要が高まっている。「ラ ロッシュ ポゼ」は敏感肌※8のためのブランドとして誕生し、安全性・有用性・必要最低限の3つの理念のもとに製品開発を行っている。

※1 : メイクアップ効果による
※2 : 「ラ ロッシュ ポゼ」内において
※3 : テレフタリリデンジカンフルスルホン酸
※4 : ドロメトリゾールトリシロキサン
※5 : 物理的な肌の付着からの防御。すべての大気中物質をさすわけではありません
※6 : 角層
※7 : すべての人に皮膚刺激がおきないわけではありません
※8 : 全ての人に肌トラブルがおきないわけではありません

INFORMATION
2万人サンプリングキャンペーン

期間:2020年2月21日10時~4月20日10時
概要:抽選で2万人に「UVイデア XL プロテクショントーンアップ」と「UVイデア XL プロテクショントーンアップ ローズ」のサンプルをプレゼント。詳細はオフィシャルサイトにて掲載。

問い合わせ先
ラ ロッシュ ポゼ
03-6911-8572

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ポスト・フィービー市場を制したのは「ジル サンダー」 19-20年秋冬、百貨店で売れたもの 特選売り場 後編

 「WWDジャパン」2月24日号は、毎シーズン恒例の「百貨店ビジネスリポート」2019-20年秋冬版が別冊付録となっています。同別冊と連動し、有力百貨店の特選(ラグジュアリーブランド売り場)バイヤーの取材を担当した記者が、対談形式で取材のこぼれ話をお届けします。

対談参加者
三浦彰:「WWDジャパン」編集顧問
五十君花実:特選担当記者/ニュースデスク

五十君:対談の前編で、バッグやスモール・レザー・グッズ以外のアイテムが売れたブランドが好調だったという話をしましたが、「ジル サンダー(JIL SANDER)」もまさにそうでしたね。バッグの“タングル”やバレエシューズが売れているという話はここ数シーズン出ていましたが、19-20年秋冬は「アウターを中心にウエアも売れた」という声があがりました。松屋銀座本店と西武渋谷店では19年7~12月の売り上げが前年同期比40%増、伊勢丹新宿本店では同30%増だったといいます。

三浦:これまでは「アウターで50万円~と、ウエアは高額で販売が難しい」という話だったから流れが変わったね。新ラインの「ジル サンダー+(JIL SANDER+)」が19年秋にスタートしたことで20万円前後のアウターが増えて、ウエアを購入する若年客が増えたということだった。

五十君:ウエアが売れているブランドとしては、「ロエベ(LOEWE)」の名前もあがりました。「フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)時代の『セリーヌ(CELINE)』がそうだったように、今一番かっこいいお客さまを集めているのは『ロエベ』と『ジル サンダー』」だと、あるバイヤーが話していたのが印象的です。フィービーが「セリーヌ」を去って空白となった大人のリラックスエレガンス市場“ポスト・フィービー市場”は、「ジル サンダー」や「ロエベ」が獲得したと見ていいですね。

三浦:あとは、「ザ・ロウ(THE ROW)」も前年同期の2倍以上の売り上げと伊勢丹新宿本店のバイヤ―が言っていたよね。“ポスト・フィービー市場”に「ザ・ロウ」で臨もうと戦略を立てて売り場を拡大した効果も大きかったようけど、ブランド側が価格や商品の幅を広げたことも奏功しているね。半面、エディ・スリマン(Hedi Slimane)体制になって2シーズン目の「セリーヌ」は、フィービーのラストシーズンである前年同期が絶好調だった分、苦戦の声が強かった。打ち出していたキュロットパンツの初速はよかったという店もあったけど、結果的に「フィービー時代に出していたパンツの売り上げを超えることはなかった」とのことだった。ただ、これでエディ体制になって丸1年が経ったから、20年春夏からは調子も上がるんじゃないの?

五十君:クリエイティブ・ディレクターが交代して間もないブランドでは、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」も前年割れとの声がほとんどでした。「売り上げがついてくるのはまだこれから」「売れそうな気配はあるが、まだ爆発はしていない」そうです。編集者やインフルエンサーの間では評価がうなぎ上りなので、そのギャップにはやや驚きました。前年割れの要因は、「一般消費者の間ではブランドイメージが以前と変化していない」ことにあるようです。ブランドが刷新を進めていることの認知が広がれば、状況は大きく変わりそうですね。

三浦:「プラダ(PRADA)」は、店によって好・不調が二分されたね。たとえば、伊勢丹新宿本店や大丸松坂屋百貨店などは前年実績を超えたと話していた。好調という言葉ではなくて「底を打った」と表現していた店もあるけどね。ラフ・シモンズ(Raf Simons)の共同クリエイティブ・ディレクター就任が大きく話題になっているから、今後はそれがカンフル剤のように効いて、復調間違いなしだと思うけど。

ラグジュアリーもドミナント出店する時代?

五十君:ここ数年、驚異的な伸びで市場をリードしてきた「グッチ(GUCCI)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」の伸び率はぐっと下がって、安定期に移ったという印象です。ただ、例えば高島屋(全17店)の7~12月でいうと、「グッチ」が前年同期比15%増、「バレンシアガ」も同10%弱増だったといいいます。

三浦:それこそ外商組織がしっかりしている百貨店の強みなんだと思いますよ。ある店舗の店頭で売れなかったとしても、そのブランドの常設売り場がない他店舗で外商営業にまわせば売れるというケースもあるだろうし。そうなると、ブランドの流行期が去って勢いが以前より落ちてきたとしても、息長く売り続けることができる。それはブランドを守ることになりますね。ラグジュアリーブランドにとって、そこは百貨店と組むメリットだと思います。

五十君:確かにそうですね。ただ、ラグジュアリーブランドの出店先は今までは百貨店がほとんどでしたが、最近はそうした考え方がやや変わってきているように感じます。19年11月にオープンした渋谷パルコに、「グッチ」「ロエベ」が入って話題になりましたが、パルコの開発担当者に「これまで取り組みのなかったラグジュアリーブランドをどうやって口説いたのか?」と聞いたんです。「ラグジュアリーブランドはこれまでの百貨店との付き合いの中で、年齢の高い客層はしっかりつかんでいる。でも、これからの時代のラグジュアリーのあり方を考えたら、若い客が来る場所で、カルチャーなどさまざまな要素とともにブランドを発信するべきではないか?と伝えた」と言っていました。渋谷パルコだけでなく、百貨店外の商業施設にラグジュアリーブランドが出店するケースが最近は目立ちます。

三浦:今回の取材の中でも、渋谷・宮下公園の再開発で6月に開業する新施設に「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「グッチ」「バレンシアガ」「プラダ」が出店するという話が出たね。どのブランドも既に渋谷の百貨店や商業施設に店があるし、この4ブランド以外でも、例えば「ケンゾー(KENZO)」は西武渋谷店、渋谷パルコ、渋谷スクランブルスクエアと渋谷地区だけで3店を出しているよね。コンビニ並みのドミナント出店と言えるかもしれないけど、コンビニとは違ってそう簡単に効率化はしないと思うけどね。ただ、ラグジュアリーやデザイナーズのブランドが、将来のために出店先の業態やブランドの切り出し方を検証しているというのは強く感じる。みんな次の一手を模索しているんじゃないですか?

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パリコレ6日目のハイライト それぞれの独創性を追求する「コム デ ギャルソン」「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン」「ノワール ケイ ニノミヤ」

コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)

DESIGNER/川久保玲

 「コムデギャルソン(COMME DES GARCONS)」がまたひとつ新しいフェースに入ったようだ。今季、川久保玲が残した言葉は、「ネオ・フューチャー」。12月にウィーン国立歌劇場で発表した「オーランドー」の衣装デザインを通じてジェンダーとは?の問いを観る者に投げかけたが、川久保の視点はどうやら次の “まだ見たことないもの”へ向けられている。

 音楽は、1ルックごとに変わる。DJのようななめらかなつなぎはなく、モデルが消えるとブツリと切れて次のモデルが登場するとやや乱暴に別の曲が始まる。クラシックとポップミュージックが交互にかかり、1ルックごとに完結した世界を見せる。

 服も身頃と袖とスカートといった一般的な洋服のパターンはなく上と中と下や、右と左などで色も素材も形も違う。子供が積み木を自由に重ねるように、バラバラが重なりひとつのカタチを作る。色も、ネオンピンクや赤、白、黒、グリーン、ブルー、イエローとパーツごとにバラバラでそれぞれが強く主張をする。そこには“ちょうど良い”とか“バランスが取れている”といった予定調和な着地はない。展示会で発表されたコマーシャルアイテムもまた、袖と身頃の素材がまるで違っていた。強い個性のパーツがぶつかり合う服がショーピースだけではなくリアルクローズに必ず落とし込まれているのが「コム デ ギャルソン」の強さだ。

ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARCONS)

DESIGNER/渡辺淳弥

 音楽は無音が数ルック分続いた後に、大音量でのブロンディ。モデルの唇はセックスシンボルでもあったデボラ・ハリーばりに艶のある赤リップだ。キーカラーは黒と赤。黒いフェイクレザーはよくみるとバッグを解体し、服に仕立てられている。バッグの底は袖の膨らみとなり、ファスナー部分はフレアスカートのパーツとなって開くと中からチュールのスカートがのぞく。

 “バッグを解体し服にする”と言葉にするのは簡単だが、立体から立体に仕立て直すパターンはパズルのように複雑。バッグの存在感を残しつつ、あくまで
デボラ・バリー的セクシーに、そしてロックに着地させた探求心と技術が凄みにつながっている。ストラップやファスナーといったディテールもデザインに生かし、ハーネスもナイロンのストラップだ。

ノワール ケイ・ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)

DESIGNER/二宮啓

 二宮啓のクリエイションが凄みを増している。初の公式スケジュールでの発表となった今シーズンは、バラの花をいくつも象ったような真っ赤なチュールドレスからスタート。赤の持つエネルギーに着目し、黒へと移り変わるイメージをドラマチックに表現した。

 使用するのは一般的に服に使われる素材に加え、アクリルの人工毛やフィルム、メタルのワイヤー、安全ピンまで。これまでと同じく、金具で留めたり、つなぎ合わせたり、編み込んだりと、生地を縫う以外の技術を駆使してアイテムを仕上げている。足元はイギリスの老舗シューズブランド「チャーチ(CHURCH’S)」とのコラボシューズ。ヘアはフラワーアーティストの東信(あずままこと)と現代アーティストのショップリフター(Shoplifter)が手掛けた。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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グランドスタッフからアパレルへ 前職の「同僚もお客さま」が導くスーパー販売員への道 ラグナムーン仮屋麻衣

 15年以上ショップスタッフ取材をしていると色んな職歴の人に出会う。元歯科助手、元ホテルマン、元保育士などなど、キャリアの描き方は様々だ。今回インタビューしたマークスタイラーの「ラグナムーン(LAGUNAMOON)」エリアマネージャーリーダーを務める仮屋麻衣さんもその一人だ。空港のグランドスタッフからショップスタッフへ転身した。人々の安全輸送に関わる空港のグランドスタッフには、高いサービススキルが求められる。アパレルの販売職との共通項やスキルの伸ばし方、サービスの本質などについて聞いた。

―空港のグランドスタッフとして働きたいと思った理由は?

仮屋麻衣さん(以下、仮屋): 高校時代から飛行機そのものや、空港の雰囲気と空間が好きだったんです。

―空港の雰囲気というのは?

仮屋:いろんな人が、いろんな思いを持って過ごしている雰囲気が好きで、いつのころからか空港で働くことに憧れるようになりました。毎日いろんな方と触れあって、毎日が刺激的で新鮮だろうな、と。そういう変化が好きなんです。

―その点では今のファッション販売職と一緒ですね。

仮屋:そうなんです!扱っている商品が空港は“飛行機に乗ること”とそれに付随するサービス、ファッションは“洋服”やそれに付随するコーディネート提案をするというだけで、航空業界とアパレル業界は全く違うようでいて、お客さまが希望するものを提供するという一貫性は変わりません。それに高校時代にもう一つ考えていた職業がショップスタッフでした。好きなものが「飛行機」「空港」「ファッション」の3軸あり、その中からまずは航空業界を選びました。

―実際にファッション業界へ入ってみていかがでしたか?航空系の専門学校や前職の経験は生きましたか?

仮屋:はい。専門学校でトレーニングした表情や所作、言葉使い、会話など。中でもお客さまの表情を読み取って、機転を利かして行動するという点は、とても生かされています。

―いろんな方が訪れる場所だからこそ、学校でそんなトレーニングもするんですね。接客力があるショップスタッフに話をうかがうと「表情を読み取る」ことが大切とよく言います。ですが、それを後進に伝えるのが難しいと…。

仮屋:実際にスタッフ育成に携わっていると、確かにそれを感覚として伝えることは難しいと感じています。専門学校ではグループトレーニングで同じグループ内の人の変化に気づけるかといったトレーニングが日頃からありました。航空会社へ入社後、お金を払ってくださる人だけがお客さまではなく、社内のスタッフでも業務を通じて会社に貢献するお客さまである、という意識が浸透していたので、お客さまだけでなく一緒に働くスタッフに対しても表情を読み取って、相手の求めていることを汲み取って仕事していました。

お客さまの場合は接客のひと時だけ接することになりますが、スタッフは常に一緒にいる仲間。その仲間にして、表情を読み取り手助けできなければ、一瞬しか出会わないお客さまに対しても同じことはできない。今はスタッフたちにそう伝えています。

同じお店で働くスタッフに「大変そうだから手伝おうとか」、表情が曇っていれば「体調が悪いの?」と一声かける気づきがあってこそ、それがサービスにも直結していくと教えています。

―確かにいつも一緒に働くスタッフにも気づけないなら、一瞬しか接しないお客さまの表情の機微に気が付けるか?ということですね。やはり、表情を読み取るには日ごろの訓練が必要ですか?

仮屋:表情が読み取れないという場合は、チェックする視点が体得できていない可能性が大いにあります。ここを見ると良いという感覚を掴み、体感して覚えていくといいのですが、その感覚を教えるのが難しい。これはスタッフ自身に実感してもらうしかないです。

自分自身が気づく前に、誰かが先回りして動いてくれていると嬉しいですよね。反対に自分が気づいたら率先して手伝う。その積み重ねです。気づきのある環境で「次は私が!」というサイクルを作ることがトレーニングになると思います。

―話は変わりますが、グランドスタッフを続ける選択肢もあったと思いますが、なぜファッション業界へ?

仮屋:働き始めて2年半経ったころ、どの業界にもあるキャリアアップで、お客さまと接する現場から、事務所内でインカムを付けスタッフの業務をコントロールする業務に異動したことがきっかけでした。どちらかというとずっと現場の空気を味わっていたかったのですが、新人もどんどん入社してきますので席を譲らないと(笑)。そこで、もう一つやりたかったファッションの道に進むことにしました。この2つの業界は、絶対的に自分の人生で実現させたいと思っていたので。

―強い思いがあったのですね。仮屋さんの考える、アパレル販売員の良いところを教えてください。

仮屋:やはり、毎日違うお客さまと出会えることですね。よくスタッフに伝えているのは、「お客さまのスタイリストだと思って悩みを聞き、お客さまは誰のために服を着たいのかだったり、お客さまのライフスタイルに寄り添ったりして提案することが私たちの存在意義だよ」と。それができたときにお客さまが喜んでくれたり、お客さまから「自分では選ばなかった」と言ってくださるときに、ありきたりですがやりがいを感じます。あと、「ラグナムーン」で働き始めたころは店に商品が届くのが楽しみの一つでした。ですが、長く働くと売り上げや予算などビジネスライクなことも付きまとい、徐々にときめきが薄れるスタッフも見てきました。そもそもショップスタッフの仕事は接客をして、その結果として売り上げがついてくるものなのですが、結果ばかり気になってしまうスタッフも多いので、もっと売り上げにつながるプロセスを楽しんでもらえるようにしたいですね。

―確かに、接客が上手くいったからこそ、対価として売上が付いてくるというプロセスを忘れてしまいがちです。しかも、ネット通販も便利になり、「接客は必要ない」という意見もあります。

仮屋:今はECでお買い物ができますし、情報もいくらでも収集できます。だからこそ「人間だからできること」、例えば表情を読み取り、気づけることが大切になるし、対話を通してお客さまにワクワクする気持ちを感じていただくことが、これからリアル店舗に求められることだと思います。こんな時代だからこそ“人間味”が必要なんです。

―人にしかできないことがあるということですね。今は福岡を拠点としながらブランドリーダーとエリアマネージャーを兼務されているとのことですが…。

仮屋: 店頭にも立ちながら、「ラグナムーン」に在籍している販売スタッフの人事やエリアマネージャーの育成を主に担当しています。福岡在住で責任ある仕事を任せていただけることはレアケースだと思いますし、恵まれていると思います。この役職をやらせていただけている以上は、これからもがんばらなければと思っています。

―これからの目標は?

仮屋:結婚して妊娠、出産、子育てとライフステージが変わったとしても、働いていける姿をスタッフたちに見せていきたいですね。今は女性が輝いて働ける時代になったとはいえ、まだまだ結婚がゴールだと考えているショップスタッフもいます。結婚や子供を産むタイミングなど、自分の人生プランを考えながら暮らしていける時代になったからこそ、子育てしながらも現場に立って毎日、刺激的な日々を過ごすスーパー販売員になって、スタッフからも「これからもこの仕事を続けられる」と感じてもらえるようになりたいです。

苫米地香織:服が作れて、グラフィックデザインができて、写真が撮れるファッションビジネスライター。高校でインテリア、専門学校で服飾を学び、販売員として働き始める。その後、アパレル企画会社へ転職し、商品企画、デザイン、マーケティング、業界誌への執筆などに携わる。自他ともに認める“日本で一番アパレル販売員を取材しているライター”

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販売前のバズと後の顧客ケアが重要 ファッションフリークOL「WWDビューティ」につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、ファッション週刊紙「WWDビューティ」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.5『ブランドが発売前にデジタル・リアルで“バズ”起こし 消費者がコミュニティでコフレの比較検討』

読み解きポイント:「販売前のバズと販売後のコミュニケーションが大切」

ニュースのポイント

 毎年年末に発売されるコフレは、多くの女性を魅了する。「WWDビューティ」が5ブランドの売れ行き動向を調査したところ、各ブランド共に前年比数十%超えと好調に推移。どのブランドにも共通しているのが、販売前に“バズらせることだ。コフレの世界観を表現した動画を作成したり、店舗のないエリアや主要エリアでポップアップを開催したり、オンライン・オフラインともに施策を打っている。SNS上では販売前からファン同士がコミュニケーションをとりながら比較検討していた。

Azuはこう読む!

 化粧品のコフレについては以前「無闇矢鱈なバズらせはいかがなもの?」と書きましたが、今回取り上げられた「ポール&ジョー ボーテ(PAUL & JOE BEAUTE)」「フローラノーティス ジルスチュアート(FROLA NOTIS JILLSTUART)」「NARS」「ボビイ ブラウン(BOBBI BROWN)」「スック(SUQQU)」の5ブランドは、うまいバズらせによってファンもブランドもハッピーな結末を迎えました。中でも「ポール&ジョー ボーテ」の24品入りコスメアドベントカレンダーは、どこに乗せてもバズりそうな圧巻のインパクトと、「毎日開けるから毎日コンテンツになる」という投稿素材として最強のコスパの良さで、個人的には総合優勝です。

 化粧品を買うときは美容雑誌から有名人・一般人のSNSまでさまざまなコンテンツを参考にするのですが、常に「自分が、なぜそれを買うに至ったか」を買った後に考えるようにしています。最近だと「オルビス(ORBIS)」が昨年発売し「肌のトクホ」と話題になった「オルビス ディフェンセラ」を【SNS広告→ECランディング→初回キャンペーン認知→アプリDL→会員登録→購買】というデジタルマーケティングのお手本のような購買導線でちゃっかりゲット。さらにその後の購買体験や製品の良さ諸々に感動したので、アットコスメトーキョーのポップアップで新製品を購入するなど、優良新規顧客になっています(笑)。

 「オルビス」の例もそうですが「販売(購入)前」だけでなく「後」もいかに興味関心を継続させるかが重要です。1つの特大のバズではなく、販売前の適量バズと販売後の顧客ケア・コミュニケーションのバランスが大事。例えば、販売前のバズによって生まれたファン間のコミュニケーションを見ればどのブランドと比較検討されているのかわかるし、販売後もレビューを見ればコフレの中でも人気品番がわかります。もし私がブランド担当者だったらそれをみて、コフレの人気品番と既存品を合わせたメイクを提案してプラス買いに繋げたいかな〜などと思いました。そうすることで買った後の体験も設計できるのかなと。

 化粧品ブランドと消費者の関係性構築にはデジタル・リアルの双方が欠かせず、ますます複雑になっていますが、大切なのは消費者とコミュニケーションをしっかり取ることだと思います。当たり前だけど、上から目線にならずに。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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個人の関心と会社の業務、社会課題をつなげるには? 編集長、業界外の挑戦者に直撃

 インクルージョン(包摂・包括性)やダイバーシティー(多様性)、サステナビリティなど、ファッション&ビューティ業界は今、他業種同様に社会的課題と直面している。ゆえに課題解決のヒントは、ほかの業界でも発見できるのではないか?そう考えた「WWD JAPAN.com」編集長のムラカミは、ギョーカイ人の社会科見学をスタート。他の業界の先駆的挑戦者に挑む人物の話を聞きながら、ファッション&ビューティ業界が向き合う課題解決のヒントを考える。

 初回は、Illustrator(イラストレーター)やPhotoshop(フォトショップ)など、ファッション&ビューティ業界にも欠かせないコンピューター・ソフトウエアを提供するアドビシステムズの日本法人で、日本オフィス唯一のコミュニティーマネージャーを務める武井史織さん。「利益ばかりを追求してはダメ」と考え、企業と社会の接点を創出すべく、デザインの力で地域活性を考えるワークショップ「Design Jimoto」などを開催している。「社会に良いコト」をCSR(企業の社会的責任)と捉え、これをビジネスと繋げるのに苦労している印象のファッション&ビューティ業界を思いながら、大崎のオフィスに向かった。

ムラカミ:今日はよろしくお願いします。早速ですが、武井さんは一体、何者なのでしょうか(笑)?

武井史織アドビシステムズ クリエイティブ・クラウド・コミュニティー・マネージャー兼ソーシャル・デザイナー(以下:武井):分かりにくいですよね(笑)。コミュニティー・マネージャーというのは、アメリカには以前から存在したポジションなんです。私たちアドビシステムズは、アイデアを形にする人たちに使って欲しいツールを提供しています。「すべての人に作る力を」と考え、フォトショやイラレ、最近ではAR(拡張現実)にまつわるサービスを手がけています。私の仕事は、想像力を育むクリエイティブ・コミュニティを創出するコト。コミュニティーって、イヤイヤ加入したり、勧誘したりするものではないですよね?私たちは大事に思う哲学を掲げ、共感してくれる人を渦に巻き込むことでビジネスを広げています。その渦を作り、大きくするのが私の役目です。アドビシステムズに入社したのは、2015年。まさに今のポジションが必要に迫られていた時でした。「企業の顔の見える化」が必要で、「体温を感じられる企業か否か?」がビジネスの成否を分けるようになるタイミングだったんです。イラレやフォトショップは、サブスクリプションのようなビジネス。ゆえにユーザーとの関係性を構築することが大事で、会社全体でそれをプライオリティに据えるよう努力し始めた時でした。

ムラカミ:「体温が感じられる企業」って、どういう意味でしょうか?

武井:「エモーションが動く企業かどうか?」ということです。企業活動って、冷たくなろうと思えば、いくらでもなれるんです。特にデジタル業界は、そうかもしれませんね。この仕事に就いて最初に考えたのは、「困ったユーザーが、誰かに相談してみようと思える会社か否か?」ということでした。ツールの使い方だけでなく、「うまく言えないけれど、ココに困っているんだ」と打ち明けられる人がいるかどうか?それが私の場合、「体温」という感覚なんです。

ムラカミ:「体温が感じられる企業」を目指して、地域活性などのソーシャル・グッドに取り組んだ、ということですか?

武井:自分のやりたいことと、会社の人間としてすべきことの“重なり”を、個々人が自分で作って、大きくすることができたらと考え、私は地域活性を選んだんです。まずは会社で同僚たちに「“重なり”を大きくする作業に取り組んでいいんだ」と思ってもらうことが大事でした。会社って「こうじゃないといけない」というルールを作り、そこに“当てに行く”作業をしてしまいがちですから。

ムラカミ:ソーシャル・グッドと会社のビジネス、そして自分の興味・関心が一本の線の上にあるカンジですね。特にファッションかな?ソーシャル・グッドをCSRとしか考えられない企業がモノすごく多いんです。「責任」だから、アクションがやりたい事と違って、ゆえに義務感を抱いている。だから自分もシンドいし、周りも“自分ごと化”できないから協力してくれない。結果、社会的意義があっても行き詰まってしまう。そんな企業が多いんです。

武井:会社は、社会に足りないものを補うために存在しているハズだから、基本はグッド・インテンションに基づいているんですけれどね。でも、いつからか主たる事業で当初のグッド・インテンションと逆のことをするようになってしまったから「CSRで許してください」というムードが芽生え、常習化してしまった感がありますね。素晴らしいCSRはたくさんありますが、それが主たる事業で実現できれば、社会にとっても、会社にとっても、社員のハートにとってもプラスなんです。デザイン業界も、社会的課題に直面しているんですよ。今は「エシカルデザイン」が叫ばれ、デザインは人々にどんな影響を与えるかを倫理的に考えながら生み出す必要があります。ダイバーシティーやサステナビリティに直面しているファッションやビューティ業界と同じですよ。

素晴らしい作品が世に出ない。 それでは社会が損している

ムラカミ:ビジネスにつながるソーシャル・グッドに地域活性を選んだのは、どうして?

武井:最初はクリエイター向けのイベントを数多く開き、インスピレーションが得られる「場」を作ろうとしたんです。アドビが2013年に始め、今では世界130都市にまで広がった「クリエイティヴ・ジャム」というイベントを日本でも始めました。当日発表するテーマに沿った表現を競い合う、クリエイティブ・セッション・イベントです。でも、クリエイターだけが集まるイベントじゃダメでした。実はクリエイティブ業界は長年“ヒエラルキー問題”を抱えていて、例えば若手にはプレゼンの機会がなかったり、いつの間にか上にディレクターが据えられちゃったりが日常茶飯事なんです。作ったものを責任持ってプレゼンするところまでが勝負の「クリエイティヴ・ジャム」は、そんな問題点を意識しながら企画しましたが、それでもなお、デザインの世界から長時間労働やクレジット問題(作品には著名クリエイターの名前しか付かず、莫大な時間と労力を割いた現場はなかなか報われない問題)はなくならない。イベントでは素晴らしい作品が数多く生まれているのに、大きな社会はおろか、デザインの世界の問題さえ解決できない。これでは、社会は損してる。そう考えて「デザイン・デモクラタイゼーション」、デザインの民主化が必要という考えにたどり着きました。

ムラカミ:強固なヒエラルキー、例えばドメスティック・ブランドのバッグを持ってきた女性にはコンテンポラリー・ブランドへの憧れを醸成し、コンテンポラリー・ブランドのファンにはラグジュアリーの世界を夢見させるというヒエラルキーを築くことで「欲望」を駆り立ててきたファッション業界に身を置く人間としては、身につまされるお話です(笑)。

武井:社会問題を解決しなければ、デザインは広がらない。そう考えて地域活性を選んだのは、地元は、それぞれに必ずあるからです(笑)。皆さん、壮大な問題は思い浮かばないかもしれないけれど、地元の課題は想像できるでしょう?私の仕事は、「すべての人に作る力を」という会社の哲学を広めること。だからアプローチ可能というか、近づいてもらえるくらいのプログラムを考えなくちゃならないんです。そこで「地元の課題を、デザインの力で」という取り組みを始めるに至りました。地元の課題を洗い出す段階からデザイナーを集め、地方行政を巻き込みながら、課題解決に向けたデザインに取り組む。ワークショップ「Design Jimoto」は、そんな一連のプロセスの体験の場なんです。

ムラカミ:具体的には、どんなことを?

武井:まずは地元のコミュニティーとともに、1カ月以上じっくり時間をかて、課題を洗い出すんです。時間をかけるのは、自分たちの内側と向き合う時間を持てない限り、外の課題なんて解決できないから。このタイミングでは、私たちが敢えて問いを投げかけ、さらに考えてもらう作業も行います。こうして対話できる「場」を作るんです。「課題を洗い出す」って、ダメだったことを並べるだけじゃダメなんです。それでは何にも解決しなくて、時間ばかりが過ぎてしまう。「どうして、あんなコト言っちゃったんだろう?」みたいな場面にも遭遇します。だからこそ、私たちから問いを投げかけることが大事。それが、自分を整理するきっかけになるんです。こうして生まれる「場」は、実はプログラムよりも効果的。お互いがセラピストみたいな役割を果たしてくれますから。

ムラカミ:プログラムを手がける上で、意識するのは?

武井:肯定から始まるコミュニケーションをルール化しています。「Design Jimoto」は、多様性を受け入れるプログラム。間違っているアイデアは、存在しないんです。「正しいこと」とか「ルール」がありすぎる社会って、息苦しくないですか?「正しいこと」ではなく、哲学をベースに仲間づくりできたら、それが一番強いと思っています。

ムラカミ:そうやって、全国の公務員を対象に家族でフードロスを減らすアイデアを考えたり、群馬県前橋市の方々と地元のお土産について思いを巡らせたりしていますが、アドビは懐が深い会社ですね(笑)。御社のビジネスと直結している印象がありません。

武井:鋭いですね(笑)。私が、常に考えている問題です。おっしゃる通り、私が携わるコミュニティーの活動って、KPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)が決めづらいんです。私こそ「自分の活動の評価基準はなんなのか?」、日々模索しています。でも、それまでクリエイティブのプロに向けた企業というイメージが強かったアドビシステムズが、誰もが作る側に回ることができる過程を示すことができたのは、会社への貢献と自負しています。「Design Jimoto」を通じて、アドビシステムズが企業として、皆さんと関係性を構築できる可能性は無限に広がりました。課題でつながっている人たちにアドビの製品を使ってもらい、解決した時に寄り添えていたとしたら、とても嬉しいことです。

ムラカミ:ということは、「Design Jimoto」で、「じゃあ、実際デザインしてみよう!」という段階になったら、武井さんは、御社の営業を紹介するカンジですか?

武井:そうやっていきなり営業にバトンタッチされたら、どう思いますか?せっかく築いた関係性に違和感を生むことはしたくないんです。営業だって、オーガニックな関係性であるほど本質に近づけると思っていますから。

ムラカミ:となると、武井さんが営業しちゃう?

武井:幸い、「Design Jimoto」には同志が多いので、最初から弊社の営業もプログラムに参画してくれることが多いんです。

ムラカミ:今後の目標は?やっぱり「Design Jimoto」をもっともっと広げたい?

武井:そうですね。去年から、「Design Jimoto」のプロセスをガイドライン化しています。そうすると過去の「Degign Jimoto」で私たちの哲学に共感してくれたエヴァンジェリスタ(伝道師)の皆さんが、同じことを全国展開してくれるので、もっともっと広がると思います。最終的には、仕事にする・しないは自由だと思いますが、「作る」って楽しくて、社会課題を解決するデザインも楽しいと感じてもらえると嬉しいですね。そんな人が増えれば増えるほど、日本は優しくなるでしょうから。今はその夢に向かいながら、会社にとってプラスになることを考えつつ、健やかに生きることを意識しています。それが、クリエイティブの一番の秘訣だと思うので。

ムラカミ:とてもパワフルでいらっしゃいますが、秘密は?

武井:毎朝、詩を音読しています。好きな詩を選んで、自分の“ある姿”に向き合うんです。数行の文字には、計り知れないパワーがあります。絵本も、最強の“愛情の塊”ですよね。それを体内に入れようと思っているんです。
ーー連載では毎回最後に、取材相手からファッション&ビューティ業界はどう見えているかを聞いてみる。外からの客観的な意見は、ファッション&ビューティ業界が前に進むための糧になるだろう。

ムラカミ:武井さんには、ファッション&ビューティ業界はどう見えていますか?

武井:私たちの業界同様、クリエイターは哲学的に思考して商品を作っているような気がします。でも周囲はその商品を、「発信力のある人が使ってくれた」みたいな視点でプロモートしたり、その機会ばかりを探している印象です。商品は素晴らしい志のもとで誕生しているのに、その志は伝わらない。とてもツラそうに見えますね。

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「買うことを減らすのは不可能」 サステナビリティ推進のイタリア素材見本市会長が提案する「より良くする方法」とは?

 イタリアの素材見本市「ミラノ・ウニカ」会長のエルコレ・ボット・ポアーラ(Ercole Botto Poala)=レダ(REDA)社長は、2月に開催された21年春夏展で任期を終える。ポアーラ会長は、同見本市のコンセプトを2019年春夏向けから“サステナビリティの追求”にシフトチェンジし、9月の秋冬展の開催時期を7月に早めるなど市場ニーズに応えてきた。任期終了を発表した翌日の2月5日、レダのブースにポアーラ会長を訪ねた。

「サステナビリティは企業が生き延びるための必須項目」

WWD:会長職おつかれさまでした。会長職を振り返ると?

エルコレ・ボット・ポアーラ「ミラノ・ウニカ」会長(以下、ポアーラ):いやあ、肩の荷が下りたよ。その荷はお腹についちゃったけどね(笑)。

在任中に「ミラノ・ウニカ」がなくならなくてよかった。実は開催し続けることは当然のことではない――「ウニカ」はもともと3つの異なる素材見本市を一緒にしたものだったから。私が会長職に就いて行ったことはトレンド傾向やクリエイティビティへの投資、そしてサステナビリティにも注力した。今回もイノベーティブなスタートアップ企業にフォーカスしたエリアを新設したが、前進させることができたと思う。伝統的な生地の世界に新しさをもたらすことが必要だと感じた。

WWD:サステナビリティ推進に舵を切ったのは功績だったと思う。

ポアーラ:大変だったことは、美的感覚を備えたサステナブルな生地作り。生地は美しくなければならないからだ。今はいろんなタイプの生地が出てきてずいぶん簡単に作れるようになったが、当初は表現するのが難しかった。

WWD:来場者の変化は?

ポアーラ:昨年からサステナビリティへの興味が高まっているように感じる。それは、ミレニアルズとジェネレーションZの影響だろう。市場調査によると現在、売り上げの30%を占めるのが彼らの世代で、5年後には50%になるといわれている。彼らの世代、そしてさらに次の世代はサステナビリティに対する関心が高い。つまり、サステナビリティは企業が生き延びるための必須項目ということだ。

今、若い女性が世界に向かって叫んでいる。彼女の心配事に対して、私たちはその答えを出さなければいけない。叫ぶのは簡単だが彼女も年を重ねるし、そうすればさらに若い世代が続くので要求に応えなければならなくなるだろう。

WWD:叫ぶことも勇気がいるし、大変なことだと思う。業界を見渡してサステナビリティの進捗は?

ポアーラ:現在、オーガニックコットン、ノンミュールジング(ミュールジングとはうじ虫の寄生を防ぐため子羊の臀部の皮膚と肉を切り取ること)のウール、リサイクル糸などを用いた生地が多く提案されているが、でもそれはサステナビリティの一部分でしかない。生産工程におけるサステナビリティが需要なんだが、それをどう理解していいのかわからない人が業界内でも多い。また、マーケティングでサステナビリティを打ち出している企業が多く見られるが、実質的なことに取り組んでいる企業は少ない。本当の意味でサステナビリティ意識が足りない。

WWD:気候変動が危機的状況なのに、サステナビリティに実質的に取り組んでいる企業が少ないのはなぜだと思う?

ポアーラ:今世界中で起こっていることに対して、皆が意識しない理由がわからない。「ミラノ・ウニカ」は生地を提案する場で、1年後に店頭に出る商品のためのものであり、未来を見ているところでもある。未来を見つめなければいけない指名がある。もちろん、未来のことを語るのだから間違うこともあるが、個人的にはうまくいったといえるだろう。

レダの最新の取り組みは?

WWD:レダは原料のウールの動物福祉やトレーサビリティーを徹底し、さらに設備投資をして環境に配慮した生産態勢を整えている。さらに、若手社員育成にも積極的だ。サステナビリティマネジャーは20代半ばで、さらに大学にも通うチャンスを与えて授業料まで負担している。

ポアーラ:世界をよくしようと思ったら機械頼みというわけにはいかない。人があってのサステナビリティだからね。ヒューマンサステナビリティだ。

WWD:直近の業績は?

ポアーラ:2019年は増収で1億2300万ユーロ(約145億円)だった。でもこれにはトリックがあり、毛織物メーカー「コメロ(COMERO)」を買収したからだ。その分を除けば18年と同程度だ。20年の見通しはマイナスになる。1ケタ減が2ケタ減か――新型コロナウイルスの影響もあるから2ケタ減になるだろう。

「買うことを減らすのは不可能。よりよいものを意識的に買うことが重要」

WWD:2021年春夏シーズンは、旭化成のストレッチファイバー“ロイカV550”を用いた生地「レダ フレキソ(REDA FLEXO)」を前面に打ち出した。

ポアーラ:旭化成の “ロイカV550”は、有毒な化学物質を含まない原料を用いている。ネガティブなものを地球に戻さない認証であるC2C(クレイドル・トゥ・クレイドル)認証を取得していて、分解して自然に戻る糸だから環境に優しい。そうはいっても、私はそもそも100%サステナブルな商品はないと考えている。私たちがやらなければいけないのは、さらにサステナビリティを推進していくことだ。

WWD:ファッションはどんどん新しいものを作って売っていく産業だが、シーズンごとに商品を提案すること自体にも疑問が出てきている。どういう仕組みがいいと思うか。

ポアーラ:サステナビリティの一番の敵は、皆がよい状態でいようとすること。自分が必要としている以上のものを買うから捨てることになる。私たちが学ばなければいけないのは、前に買ったものよりも良いものを買うこと。人間は自分がいい状態になりたいと思うもので、それを否定できない。だから「少なく買いなさい」ということは幻想でしかない。

会社というのは、リサーチをして投資して、生き残っていかなければいけない。人間の習性として、石器時代からずっとよりよくなろうとやってきた。でもたくさん生産して皆がリッチになると地球はそれだけ苦しくなる。でもそれをやめるのは不可能だから、作るもの、買うものをよりよくしていくことしかできない。

食品も捨てないようにするとか。顔を洗ったり歯を磨いたりするときに水を垂れ流さないようにするとか。次に買う車はハイブリッドや電気のものにするとかね。洋服は商品に認証があるもので、前に買ったものよりも環境へのインパクトが少ないかどうかを考えること。

政治家にありがちだが、「2050年にはそういう問題が少なくなっている」という発言をするのではなく、毎日少しずつインパクトを少なくするためにできることを積み重ねること。50年にはその人たちは誰もいないからね(笑)。

WWD:私の周りでも毎日できることに取り組み始めた人は増えてきた。一方、何を選べば環境への負荷が低いのかというのが複雑で、わからないまま選べずにいる。

ポアーラ:ほかの産業でも議論されていることだが、政府がそのうち法律を作ってファッション業界もトレーサビリティーを明確に表示するようになっていくと思う。時間の問題だろう。

WWD:個人的なサステナブルアクションは何をしている?

ポアーラ:いっぱいお金を使うこと(笑)。「テスラ」の電気自動車を買った。ちょっと変な音がするんだけどね(笑)。歯を磨くときは水道を止める――これはずっと前からの習慣でもある。アフリカでの兵役のときには水がなかったからね。毎日、自分たちによる環境への負荷をなるべく少なくするように心がけているよ。会社では、認証を取って取り組んでいる。自分では測ることができないから、第三者機関に依頼して少しでも負荷を少なくすることに取り組んでいる。

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ファッション業界の栄枯盛衰のドラマ 黒木亮「アパレル興亡」

 作家・黒木亮の新刊「アパレル興亡」(岩波書店刊)は、80年以上にわたるファッション業界の栄枯盛衰のドラマである。

 主人公のモデルは名門婦人服メーカーとして知られた東京スタイルの中興の祖・高野義雄氏。約30年間も社長を務めた高野氏は2009年に死去しているが、02年に村上ファンドとの委任状争いで日本中の注目を集めたのを覚えている人もいるだろう。当時、黒木氏は東京スタイルの株主総会や村上ファンドの取材を通じて高野氏に関心を持ったという。百貨店を主戦場としたファッション企業の発展と、その凋落と軌を一にする高野氏の歩みを通じて戦後のアパレル産業史を描いた意欲作だ。

 経済小説であるため史実と創作が入り交じる。作中では、東京スタイルは「オリエント・レディ」、高野氏は「田谷毅一」。だが、村上ファンドの村上世彰氏、イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊氏(セブン&アイ・ホールディングス名誉会長)などは実名で出てくるし、レナウン、オンワード樫山、三陽商会、ワールド、三越、伊勢丹、東レ、帝人、ユニクロ、ZOZOなどの企業群も実名で登場して生々しいビジネスのやりとりが繰り広げられる。

 田谷は高校卒業後に同郷の知り合いのツテを頼って東京・神田の小さな婦人服メーカー、オリエント・レディに入社する。まだ終戦から10年足らずで既製服メーカーが“つぶし屋”と呼ばれてさげすまれていた時代。田谷は自転車の荷台にたくさんの商品を積み、東京中の小売店に営業をかける。持ち前の才覚と負けん気が認められ、北千住の洋品店、羊華堂(現イトーヨーカドー)の伊藤雅敏氏ら小売店幹部の寵愛を受ける。会社も高度経済成長と既製服の普及の波に乗り、日本を代表するアパレル企業へと駆け上がった。40代でトップに立った田谷はワンマン社長として君臨する。田谷が黒を白といえば白。田谷の顔色をうかがう社員ばかりになり、社内は物言えぬ空気に支配される。

 私は田谷のモデルになった高野氏を直接取材したことはない。だが、社員が高野氏を前に直立不動で受け答えする光景を何度か目撃した。恐怖政治だけで人心掌握はできない。こわもてだけど、人情家で面倒見がいいという評判もよく聞いた。ただファッション企業でありながら、上に絶対服従の軍隊のような社風はかなり異質だった。

 作中にもそんなエピソードがたくさん出てくる。たとえば昭和61(1986)年、田谷の経営ミスによって稼ぎ頭である「ラルフローレン」(婦人服)の国内製造・販売権を競合企業に奪われてしまう場面だ。

高級スーツ姿の田谷が、整列した三十人ほどの営業マンたちに呼びかけた。

次の瞬間、田谷の両目から涙がこぼれ落ちたので、営業マンたちは驚いた。

「誠に申し訳ない!ラルフローレンを、オンワード(樫山)に持っていかれた!」

そういってオールバックの頭を深々と下げた。

「えっ!?」

「うえーっ……!」

営業マンたちから悲鳴や呻(うめ)き声が上がった。

(中略)

田谷は、涙の筋も乾かぬ顔で、きっと歯を食いしばる。

「我々のライバルはオンワードだ。この借りはきっと返す。諸君らには一丸となって努力してもらいたい」

「はいっ!」

営業マンたちから一斉に声が上がった。

上司から命じられたときは、たとえわけが分からなくても、元気よく返事するのがオリエント・レディ流だ。

 モデルになった東京スタイルは村上ファンドとの委任状争いには勝利したものの、主販路である百貨店の客離れもあってその後の業績は低迷する。そして高野氏の死後の2011年に同じく大手アパレル企業のサンエー・インターナショナル(作中ではKANSAIクリエーション)と経営統合する。現在のTSIホールディングスである。

 ワールド、オンワードホールディングスに次ぐ規模のアパレルグループとして華々しくスタートを切ったTSIだったが、アパレル市場の構造不況の波に洗われて不採算ブランドの整理を繰り返す。TSIの事業会社となった東京スタイルのブランドも次々に廃止され、19年3月には展開するブランドは事実上ゼロとなり、東京スタイルは休眠会社になる。戦後のアパレル産業をリードした名門はあっけなく消えてしまった。

 この物語と現実を重ねると、ファッション業界の「諸行無常」を感じずにはいられない。一時代を築いた名門企業であっても組織が硬直して変化に対応できなければ、新しい企業にその座を明け渡すしかない。ファッション業界版「平家物語」の趣がある。

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「けんかを売るつもりはない」「ホール2の閉鎖を決めた」 パリ見本市責任者にバッティング問題を聴く

 現在パリで開かれているファッション素材見本市「プルミエール・ヴィジョン(PREMIERE VISION以下、PV)」の3大トピックスといえば、新型コロナウイルスの影響、見本市の開催時期のバッティング問題、そしてサステナビリティだ。

 新型コロナウイルスの影響について企業関係者は「人の移動に制限がかかっているばかりか物流も止まっているので、すでに納期が遅れている取引先との調整を急いでいる」「リスクを分散させるために欧州でのサプライチェーン構築を再検討している」などと対応を語る。見本市が生地を紹介する場から調整の場になっている企業もある。

 PVの開催時期の前倒しは、特にイタリア企業にとっては大きな問題になっている。このままでは21年は2月の春夏展も7月の秋冬展も「ミラノ・ウニカ(MILANO UNICA)」と会期が重なるからだ。両方の企業に出展する企業は「なんとか会期がずれることを祈っている。とにかく待ちましょう」「二手に分かれることは難しく、どちらかを選べといわれたら――『ミラノ・ウニカ』だろう」と考え方はさまざまだが皆が困惑している。

 サステナビリティは、素材メーカーにとってもはや必須事項になっているが、特にフランスに目を向けると、廃棄禁止の法律がこの1月に成立されるなど、政治の力もあって加速している。

 3大トピックスについて、PVの責任者であるジル・ラスボルド(Gilles Lasbordes)=ゼネラル・マネジャー(以下、ラスボルド)に直撃取材した。

WWD:新型コロナウイルスの影響は?

ジル・ラスボルド=ゼネラル・マネジャー(以下、ラスボルド):今回1755社の出展申し込みがあり、そのうち110社が中国企業だった。しかし45社が、コロナウイルスの影響で出展がキャンセルになった。中国以外の企業のキャンセルはない(編集部注:韓国のアクセサリーメーカーが出展する予定のブースは空だった)。

PVとしては開催直前ではあったが、中国の出展企業には中国にとどまり、できるだけ欧州のエージェンシーでカバーできないかと提案した。キャンセルになった45社の多くは縫製カテゴリーの企業で、欧州にエージェントがなかった。そのため52社が並ぶ予定だったホール2の「マニファクチャ― オーバーシーズ」を閉めることを決断した。

また出展社だけでなく、中国から来ることができなかったバイヤーは多いと思う。中国はファッション業界にとって重要な国。また、大企業が社員の渡航を控えさせていることもある。

われわれは新型コロナウイルスの被害を今体験しているわけだが、中国は国を閉めるほどになっている。そのせいで、「インターテキスタイル(INTERTEXTILE)」など中国で開催予定の見本市に加え、欧州でも大きなイベントがキャンセルになるなど大きな被害を目の当たりにしている。そんな中でわれわれはよく切り抜けていると思う。

WWD:来場者数は?

ラスボルド:3日後にまとめてプレス向けに発表する予定だが、来場者が減ることは予想している。

「われわれはけんかを売る気はない。善意を持って皆が満足する方法を模索している」

WWD:21年からPVの時期を2月初旬と7月上旬に前倒しすると発表したことで、現状ではイタリアのファッション素材見本市「ミラノ・ウニカ(MILANO UNICA、以下MU)」とバッティングすることになるが。

ラスボルド:日程に関してはフランスのモード研究所IFM(Institut Francais de la Mode)を通じて、バイヤーや出展社に大がかりな調査を行って意見を聞いた結果だ。日程を決めるにあたっては会場が取れるかどうかの問題が大きい。結果的に21年に関してはバッティングする日程になった。細かい話だが、7月の開催予定の前週には120万人規模の「マンガエクスポ(EXPO PARIS MANGA)」があるし、翌週の14日は(フランス共和国の成立を祝う)パリ祭がある。結果的にこの日程になった。

さらに詳しく言うと、7月に関しては21年はMUと同じ日程だが、22年と23年に関してはPVの後にMUが開催される予定で調整を進めている。あくまでも予定だが。一方、2月に関しては現在協議中だ。MUに加え、ドイツ・ミュンヘンの見本市「ファブリック スタート(FABRIC START、以下FS)」と重なっているためだ。

私たち見本市を運営する側は会場の制約がある。たとえば先週、MUとFSは同じ日程で開催されている。われわれは日程の変更や決定をするときに、通常1年ないし1年半前から他の見本市と透明性を大事にして話し合っている。日程のバッティングは誰の利益にもならないからだ。今後は日程がバッティングしないように決めていきたい。われわれはMUに対してもFSに対してもけんかを売る気はない。善意を持って皆が満足する方法を探さなければいけない。最も大事にしているのは市場とクライアントが何を求めているかだ。

WWD:いつから時期を前倒ししようと考えていたか。

ラスボルド:見本市を運営する者として開催時期は永遠の課題だ。常に考えているが、今回の件に関しては昨年の夏ごろから重要課題になっていた。

15年にも今回同様の調査を行っており、その結果プレ・コレクション用の「ブロッサムPV」を立ち上げた経緯がある。現状を更新するために調査したが、問題は非常に複雑で多岐にわたるため、全体を見て考えなければいけない。

「モード産業は時代の風の中にいないと生きていけない。生き延びるか、死ぬかだ」

WWD:仏政府はサステナビリティに力を入れている。1月末に開催されたサステナビリティサミット「チェンジ ナウ(CHANGE NOW)」でもサステナビリティ政策をリードするブリュヌ・ポワルソン=フランス環境連帯移行大臣付副大臣が登壇し、「廃棄禁止」の次は「洗濯フィルターの義務化」、そして「消費者に誰がどのように製造したかを見えるようにしたい」と話していた。トレーサビリティは素材の分野ではかなり重要だ。

ラスボルド:直接、彼女と話したことはないが、環境への責任に関してPVは積極的に考えて行動している。IFMの調査で分かったことは、欧州の2人に1人の消費者が環境に配慮した服を購入したことがあるとい結果が出たということ。

政府との話し合いは繊維連盟の仕事でPVの仕事ではない。政府の決定でこの1月から新品の廃棄を禁止する法律が施行されたが、この傾向はさらに強まるだろうし、それは消費者の期待に応えることでもある。だからモードもそれに応えなければいけない。

PVではそれを(サステナブルな素材や仕組みを提案する企業を集積したエリア)スマートクリエーションが担っている。われわれは各出展社が何に取り組んでいるのかが分かるように可視性を与えることを重視している。また、その方向に出展社を啓発し、さらにメーカーと消費者の双方に正しい情報を提供することが大事だと考えている。非常に複雑な問題なので、われわれの産業がどのように進むべきかを関係する皆と一緒に考えることが重要だと思っている。

フランスはモードのリーダーだし、リーダーの企業はいい例を示さなければいけないが、これは大変な仕事だ。モード産業は時代の風の中にいないと生きていけない。生き延びるか、死ぬかだ。

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ロンドン・コレクションを斜め読み!後編 「エムエム6」の裏話から「バーバリー」のティッシの郷愁まで

 2020-21年秋冬シーズンのロンドン・ファッション・ウイーク(以下、LFW)が閉幕して早2週間。遅ればせながらLFW後半戦の16〜18日に発表されたブランドとイベントをピックアップしてダイジェストでお届けします。

2月16日(日)

50周年の「マーガレット・ハウエル」ショーで鳥肌

 50周年を記念した「マーガレット・ハウエル(MARGARET HOWELL)」のショーのファーストルックは、白シャツ一枚。コットンシャツから始まったブランドの歴史を振り返ります。次々と登場するルックを見て鳥肌が立ってしまいました。何故なら、2日前に訪れたアーカイブ展で見た50年分のブランドのキーとなるブレザーやダッフルコートなど名品の数々が登場したからです。上品だけれど気取らない、カジュアルだけれど角のない、「マーガレット・ハウエル」の普遍的な美しさが上手く語られていたコレクションでした。6月にはデザイナーのマーガレットが来日して50周年記念のイベントを行うそうなので、直接マーガレットに話を聞いてみたいと思います。

ピュアでドラマチックな「シモーン ロシャ」

 ロンドンでは、お隣の国アイルランド出身のデザイナーも多く活動していますが、実はシモーン・ロシャ(Simone Rocha)もその一人です。今回はアイルランドのアラン諸島のアランニットや、マタニティードレス、洗礼式の純白のドレスから着想を得たそうです。「Birth, Life, Loss(誕生、人生、喪失)」という言葉をキーワードにピュアな白、ダークな黒、海の青のカラーパレットで、ドラマチックに生死をコレクションで表現しました。ランウエイには、モデルの美佳ちゃんとモトーラ世理奈ちゃんが登場!ショー後にモトーラちゃんにばったり会ったのですが、「ずっと憧れのブランドに出ることができて、とても緊張したけれど、本当にうれしかった」とホッとした様子でした。

「TFN」 × 「エムエム6」コラボについてデザイナーを直撃取材

 「エムエム6 メゾン マルジェラ(MM6 MAISON MARGIELA以下、エムエム6)」と米「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE 以下、TNF)」のコラボレーションをいち早く見て来ました。詳しいレポートはこちらをご覧いただけますが、こちらでは取材の裏側の話をさせていただきます。

 実はショー終了後には、そのバックステージで「エムエム6」のデザイナーから直接商品について説明してもらえる機会をいただきました。メゾン マルジェラは匿名性を大事にしているため、デザイナーの名前も顔も非公開です(クリエイティブ・ディレクターのジョン・ガリアーノは例外ですが)。そのデザイナーは「私たちは洋服をただジョーク(面白いもの)にはしたくない。デザインも機能性も優れたものにしたい。だから、『エムエム6』の強くアバンギャルドな印象を持たせながらも、『TNF』のそのままの素材を生かしたさっと着られるウエアラブルなウエアにして、両ブランドの良さをパーフェクトに表現した」と話していたのが印象的でした。メゾン マルジェラのスタッフはいつもショー会場でドクターズコート(白衣)を着ていますが、この日はスペシャルな「エムエム6」と「TNF」のロゴが入ったものを着用していました。

 ご存知の方も多いと思いますが、日本ではゴールドウインが「TNF」の独占販売権を持っているため、日本国内で購入できる「TFN」の商品は基本的に日本企画アイテムです。記憶に新しい「ハイク(HYKE)」や「ミナ ペルホンネン(MINA PERHONEN)」とのコラボもゴールドウインの企画による商品でした。なので、最初にこのアメリカ本国の「TNF」との「エムエム6」コラボの一報が出た時は、日本で発売されるのか心配する声も聞こえましたが、安心してください、ちゃんと販売されますよ!発売時は行列必至にはなると思いますが、お店もお客さんも皆盛り上がりそうで今から楽しみです。

豪華なモデルが続々出て来る「トミー ヒルフィガー」

 「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」は毎シーズンさまざまな都市でSEE NOW, BUY NOW(見てすぐ買える)コレクションを発表し続けていますが、今回はロンドンにカムバック。従来の“ヒルフィガー コレクション”に加えて、英国人F1レーサーのルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)との4度目のコラボコレクション“トミー × ルイス(Tommy X Lewis)”とアメリカ人歌手のH.E.R.も加わったカプセルコレクション“トミー × ルイス × H.E.R.(Tommy X Lewis X H.E.R.)”も発表しました。サステナビリティ、インクルージョン&ダイバーシティーなど今重視されるキーワードを盛り込んでいて、ショーに出た服は翌日から発売です。

 フロントローには剛力彩芽さん、Kemioさんの姿がありましたが、ランウエイモデルも凄かった!ファーストルックからナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)が出たと思いきや、英バンド、オアシスのリアム・ギャラガー(Liam Gallagher)の息子のレノン(Lennon Gallaghe)、ケイト・モス(Kate Moss)の妹のシャーロット・ロティ・モス(Charlotte "Lottie" Moss)、ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のミック・ジャガー(Mick Jagger)の娘のジョージア・メイ・ジャガー(Georgia May Jagger)、と息子ルーカス(Lucas Jagger)ら挙げたらきりがないほどセレブ&2世たちが次々と登場したんです。「トミー ヒルフィガー」は今年で35周年だそう。セレブとの強いコネクションや、常に新しいことにチャレンジして発信するブランドのパワーを感じます。

2月17日(月)

中流階級の写真家の美しさを磨く努力を表現した「アーデム」

 「アーデム(ERDEM)」の会場は、イギリスの歴史上の人物の肖像画が展示されているナショナル・ポートレート・ギャラリー。フロントローには夏木マリさんと、前日の「シモーン ロシャ」のランウエイを歩いたモトーラ世理奈さんが座っていました。

 ランウエイに銀のシートが敷かれていて、コレクションのテーマも“Age of Silver(銀の時代)”。これは同会場で開催された英国人写真家のセシル・ビートン(Cecil Beaton)の1920〜30年代の作品にフォーカスした写真展の題名と同じです。ビートンといえば、英国女王エリザベスII世らはじめとする王室写真から女優のオードリー・ヘップバーン(Audrey Hepburn)らを長年撮影してきた有名写真家です。中流階級の生まれだった彼が上流階級に受け入れられたのは、独創的な構図や演出、衣装が認められたからだったといいます。ビートンは若い頃から家族をモデルにしたり、自分自身も女性服を着てセルフポートレートを撮影し続けたりと、自分のスタイルを磨いていったそうです。今季の「アーデム」はその当時の写真からインスパイアされた贅沢なパールの装飾や、アールデコを意識した柄使いで高貴な印象になっています。

“潰れたビール缶”や“パンチバッグ”も昇華する「ジェイ ダブリュー アンダーソン」

 LFWのメインディッシュともいえる、「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」の時間がやってきました。今季も優美で新しいテクニックが満載です。セルロイドテープを使ったキラキラした袖や襟、ころんとしたボリュームのニットケープ付きのニットワンピなど、バックステージでジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)はこのコレクションを「ヌーヴォー・シック(新しい上品さ)」と表現していました。シックなスタイルでも、ちゃんとウィットも忘れないのがジョナサン。架空のビール缶を潰したようなデザインのドレス、ボクシングのパンチバッグをイメージした新作バッグもありました(笑)。アンクルストラップ付きのもこもこしたシューズもかわいいです。

ティッシが3カ国の郷愁にふける「バーバリー」

 お待ちかねの「バーバリー(BURBERRY)」。いつも豪華なセレブリティーが来場するため、注目してフロントローを見て回っていると、ウクライナ生まれでイギリスを拠点にする双子ユニット、ブルームツインズ(Bloom Twins)を発見。彼女たちのことをいろんなショー会場で見かけており、声をかけるといつも気さくに対応してくれていたんです。とても可愛く、「バーバリー」もかっこよくきこなしていて、気になる存在です。またLAからはローラも駆けつけていました。

 ランウエイには大きな舞台セット。デュオのピアニストのラベック姉妹による生演奏でショーが始まりました。「バーバリー」の仕事のためにロンドンに拠点を移したリカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)は、生まれ育ったイタリアや、学生時代を過ごしたロンドンでの記憶、その後移り住んだインドでの思い出に耽て、そこからコレクションを膨らませていったそう。

 柄の掛け合わせが特徴的で、代表的なハウスチェックからタータン、インド発のマドラスチェックなどもミックスしています。代名詞であるコートは定番のトレンチからダッフルコート、ケープコート、人工ファーを襟や袖に付けたオーバーサイズのコートなどがバリエーションが豊富。アイテムで注目したいのは変形シャツで、ドレスになったラガーシャツや、3つのチェックシャツを再構築したトップスなども面白いアイテムがそろっていました。個人的にはモデルのジジ・ハディッド(Gigi Hadid)も着用していたタートルネック風のリブのチョーカーも気になります。

2月18日(火)

実はサステナビリティに取り組み始めた「ダックス」

 私にとってのロンドンでのラストショーはロンドンの老舗ブランド「ダックス(DAKS)」でした。アイルランドの西海岸への旅からインスピレーションを得た今季は、ブランドとして始めてサステナビリティに取り組んだ“エコ コレクション”も一部発表しています。再生ウールを用いたニットウエアを始め、ペットボトルを原料にした人工ファーなど、いわれるまで気が付かない「え、そうなの?」というクオリティーの高さで驚きのあるいい事例だと思いました。

 昨今は時流に乗ってリサイクル、アップサイクルした素材を用いた商品が増えていますが、「ちょっと安っぽすぎませんか?」と思えてしまうブランドもあります。サステナビリティを意識した商品でもどうせ買うなら素敵なデザインで、値段に伴うクオリティーのものを購入したいのが本音ですよね。リサイクルに取り組みことに気を取られて、ベストな状態ではないものを生み出して、売れ残ってゴミになってしまうのは悲しいな、と思います。挑戦することももちろん大事ですが、クリエイションとビジネス、そしてサステナビリティを両立できるよう活動を再考することも重要だと、たくさんのブランドが“ポジティブ・ファッション”を推進するLFWで感じました。

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ヘアトリートメントを武器に“美髪ケア”で注目を集める 「ミンクス」の人気美容師の戦略とは?

 人気美容師が集まるヘアサロン「ミンクス(MINX)」でトリートメントを武器に売り上げを伸ばしている山内ヨシヒロ=トップデザイナー。独自にトリートメントメニューを考案するなどこだわりも強い。月間最高売り上げは252万円。ヘアトリートメントに特化したインスタグラムのフォロワー数は1万超えと、「ミンクス」の中でも注目を集めている。今回、その戦略を聞いた。

WWD:山内さんはインスタグラムでヘアトリートメントの画像を多く投稿しているが、それを始めたきっかけは?

山内ヨシヒロ(以下、山内):最初はフェミニンなヘアスタイルを投稿していたんですが、「ミンクス」はベテランも新人もカット料金が一律(平日6300円、土・日・祝6500円)なんです。それで新人の僕が指名してもらうには差別化することがポイントだと思い、当時「ミンクス」内で打ち出している人がいなかったヘアトリートメントに特化するようにしました。トリートメントのビフォア、アフターなどは反応がよく、基本は分かりやすいようにロングのバックスタイルでビフォア、アフターを掲載します。インスタグラムを見て月20~40人ほど新規で来てくれています。今は“美髪ケア”をキーワードに、実際のお客さまを撮影させていただき、1日1~2点投稿しています。

WWD:月の最高売り上げは?

山内:252万円です。トリートメント比率は92%で、ほとんどのお客さまがトリートメントメニューを希望してくれるようになりました。カット&トリートメントが多いんですが、トリートメントだけで来てくれるお客さまもいらっしゃるので、来店周期も短くなります。またトリートメントメニューも高いものだと1万5000円ほどで単価アップにもつながります。

WWD:山内さんが考案したトリートメントが「ミンクス」で公式にメニュー化されたとか?

山内:そうです。「ミンクス」ではミルボンの「オージュアトリートメント」がメインだったのですが、他メーカーからもサンプルを取り寄せ、トリートメント効果が「飛躍的に長持ちする」独自のメニューを考案しました。最初は僕だけの限定メニューとして打ち出していたんですが、すごく好評で今では全店でメニュー化されています。

WWD:今はインスタグラムをメインに集客しているが、いつから始めた?

山内:スタイリストデビューの半年前から始めました。もともとアシスタント2年目からブログを書いていて、記事本数は月に35本と日課にしていました。毎日のサロンワークでお客さまの悩みや疑問などを聞いていたので、それをもとに記事を書いていました。1カ月で10万PVもいくこともあって、それがきっかけでドコモのCM出演やメディアのオファーなどにつながったので、よりダイレクトに集客ができるインスタグラムを始めました。ただ今後はインスタグラムも1つの軸だけでは限界がくると思うので、トリートメント以外にも別のアカウントを開設する予定です。

日本一の美容室で働きたくて
「ミンクス」を選んだ

WWD:もともと山内さんが「ミンクス」に入社しようと思ったきっかけは?

山内:せっかく美容師をやるなら日本一の美容室でやりたいと思い、美容専門学校の先生に「日本で一番の美容室はどこですか?」と聞いたら「ミンクス」だと言われて志望しました。

WWD:スタイリストデビューにはどれくらいかかった?

山内:丸5年かかりました。同期の中では2番目の早さでした。最近は教育カリキュラムも変わって、丸3年がスタイリストデビューの平均となっています。

WWD:「ミンクス」はスタイリストデビューするためにモデルカットの人数も多い印象だが。

山内:当時はモデルカット200人でした。最近はSNSでモデルハントする美容師もいますが、僕はリアルな方が実際にお客さまになってくれやすいと思い、街でモデルハントしていました。それもあって当時は「ミンクス」全店でデビュー初月指名売り上げ1位を達成できました。

WWD:今後の目標は?

山内:売り上げでいえば350万~400万円は目指したいです。一方で最近は週に1日、サロンワークをやらずにオフィスに出勤しています。そこで「ミンクス」の公式アカウントの運用なども任せてもらっていて、スタッフのSNSのサポートなども行っています。自分のことだけではなく、若手スタッフのサポートもしっかりとしていければと思っています。

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パリコレ5日目のハイライト 「セリーヌ」の男女合同ショー 「ロエベ」「ニナ リッチ」の速報も

セリーヌ(CELINE)

DESIGNER/エディ・スリマン(Hedi Slimane)

 「セリーヌ(CELINE)」は、メンズとウィメンズの合同ショーを行なった。“エディ”男子と“エディ”女子がカップルなら、2人のクローゼットはきっとひとつ。同じ趣味の服やバッグを共有していそうだ。

 これまでは女子が、ボーイフレンドに借りたようなオーバーサイズのジャケットを着ていたが、今はその逆もあり。男子もハイヒールブーツを履き、ショルダーバッグを肩にかけ、ボウタイブラウスを楽しんでいる。共通しているのは、1970年代調のブルジョワ・シックなスタイルだ。

 注目はジュエリー。フランスの彫刻家、現代美術家であるセザール・バルダッチーニ (Cesar Baldaccini)のジュエリーをレプリカとして発表した。

ロエベ(LOEWE)

DESIGNER/ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)

 “ファッションと遊ぶことを愉しむ”をテーマに、クラフト (工芸)との新しい関わり方を探求。ドラマチックなシルエットで見せた。その手法は、たっぷりと使った布にドレープやギャザーを効かせたり、襟や袖を誇張したり。素材もウールとブロケードやコットンとジャカードシルクなどで、質感のコントラストを描く。また、「ロエベ ファンデーション クラフト プライズ2018(LOEWE FOUNDATION CRAFT PRIZE 2018)」の特別賞に選ばれた陶芸家の桑田卓郎とコラボしたドレスやバッグ“フメラメンコ クラッチ”も登場。アンダーソンが追求するクラフトとファッションの融合は、ますます精度を高めている。

ニナ リッチ(NINA RICCI)

DESIGNER/ルシェミー・ボッター(Rushmey Botter)、リジー・ヘレブラー(Lisi Herrebrugh)

 テーマは“ネオロマンチック”。創業者ニナ・リッチ(Nina Ricci)が手掛けたシルエットからフォームの探求を続けているようだ。中心となるのは、メンズブランド「ボッター(BOTTER)」も手掛ける2人が得意とするテーラードの再解釈。今季はジャケットを大胆なクロップド丈にしたり、ウエストを絞ったジャケットやロングチェスターコートを仕立てたり。そこにエアリーなシャツや極太のパンツを合わせた。ドレスは、バルーンシェイプやマキシ丈のテントラインなど、ボリュームのあるシルエットを楽しむデザイン。ニュアンスにある色合いは、オランダ出身の画家キース・ヴァン・ドンゲン(Kees van Dongen)による作品から着想を得た。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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パリコレ5日目のハイライト 「セリーヌ」の男女合同ショー 「ロエベ」「ニナ リッチ」の速報も

セリーヌ(CELINE)

DESIGNER/エディ・スリマン(Hedi Slimane)

 「セリーヌ(CELINE)」は、メンズとウィメンズの合同ショーを行なった。“エディ”男子と“エディ”女子がカップルなら、2人のクローゼットはきっとひとつ。同じ趣味の服やバッグを共有していそうだ。

 これまでは女子が、ボーイフレンドに借りたようなオーバーサイズのジャケットを着ていたが、今はその逆もあり。男子もハイヒールブーツを履き、ショルダーバッグを肩にかけ、ボウタイブラウスを楽しんでいる。共通しているのは、1970年代調のブルジョワ・シックなスタイルだ。

 注目はジュエリー。フランスの彫刻家、現代美術家であるセザール・バルダッチーニ (Cesar Baldaccini)のジュエリーをレプリカとして発表した。

ロエベ(LOEWE)

DESIGNER/ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)

 “ファッションと遊ぶことを愉しむ”をテーマに、クラフト (工芸)との新しい関わり方を探求。ドラマチックなシルエットで見せた。その手法は、たっぷりと使った布にドレープやギャザーを効かせたり、襟や袖を誇張したり。素材もウールとブロケードやコットンとジャカードシルクなどで、質感のコントラストを描く。また、「ロエベ ファンデーション クラフト プライズ2018(LOEWE FOUNDATION CRAFT PRIZE 2018)」の特別賞に選ばれた陶芸家の桑田卓郎とコラボしたドレスやバッグ“フメラメンコ クラッチ”も登場。アンダーソンが追求するクラフトとファッションの融合は、ますます精度を高めている。

ニナ リッチ(NINA RICCI)

DESIGNER/ルシェミー・ボッター(Rushmey Botter)、リジー・ヘレブラー(Lisi Herrebrugh)

 テーマは“ネオロマンチック”。創業者ニナ・リッチ(Nina Ricci)が手掛けたシルエットからフォームの探求を続けているようだ。中心となるのは、メンズブランド「ボッター(BOTTER)」も手掛ける2人が得意とするテーラードの再解釈。今季はジャケットを大胆なクロップド丈にしたり、ウエストを絞ったジャケットやロングチェスターコートを仕立てたり。そこにエアリーなシャツや極太のパンツを合わせた。ドレスは、バルーンシェイプやマキシ丈のテントラインなど、ボリュームのあるシルエットを楽しむデザイン。ニュアンスにある色合いは、オランダ出身の画家キース・ヴァン・ドンゲン(Kees van Dongen)による作品から着想を得た。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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井浦新に聞くデニムの魅力「はき込んで“育てていく”感覚を若い人にも伝えたい」

 俳優の井浦新が広島のデニム生地メーカー、カイハラと共同で取り組む「カイハラ茶綿デニムプロジェクト(CHAMEN PROJECT以下、CMP)」は2月21日、フリークス ストアとのコラボによる茶綿を使ったデニムアイテムを発売した。茶綿とは綿の原種でもある茶色のコットンで、ビンテージデニムの多くに使われている。現在では深みのある色合いが出せる白綿を使うのが一般的だが、ムラのあるラフな風合いを出せる茶綿もまたデニム好きをうならせる。「CMP」ではその茶綿を現代的に解釈し、そのルーツを伝えていくことをさまざまな企業や団体、アーティストなどと組んで行っている。今回発売したアイテムは生地を「CMP」が、デザインをフリークス ストアが、加工を国内有数の加工工場サーブ(SAAB)が手掛けた。アイテムはブルゾン(2万2800~2万4800円)、ワイドパンツ(2万2800~2万4800円)、3Dステッチパンツ(1万7800~1万9800円)の3型で、フリークス ストア各店とオンラインストアで取り扱う。取り組みに参加する井浦にデニムの魅力について聞いた。

WWD:カイハラとの取り組みが始まった経緯、また「CMP」について教えてください。

井浦新(以下、井浦):2016年にデニム生地を帆船の帆にして瀬戸内海を1カ月間クルーズする「旅するジーンズ」というプロジェクトに初めて参加させてもらいました。デニムが潮風や日光を浴びることで自然な色落ちになり、生地自体もタフになる。その生地を使って、僕がやっているブランド「エルネスト・クリエイティブ・アクティヴィティ(ELNEST CREATIVE ACTIVITY)」と数型のアイテムを作りました。それがきっかけで「CMP」を立ち上げることになりました。「CMP」は茶綿を軸に、その素材の深さやよさを伝えていくプロジェクトです。さまざまな企業や団体、アーティストなどとコラボレーションしながら、洋服に限らず形を変えていく“未確認物体”のようなイメージで取り組んでいます。僕はただのデニム好きとして参加していますが、メンバーにはデニムに深い知見を持つスタイリストやエディターもいます。

WWD:井浦さんが知っているカイハラと他のデニム工場の違いは?

井浦:それぞれの工場でよさはあると思いますが、カイハラの一番の特徴は、綿花の生産から製造まで一気通貫で手掛けていること。何度も工場に足を運んでいますが、自然が豊かで水がきれいな場所にあり、藍染めの段階で出た工業排水も人が飲めるレベルまで浄化して自然に還元しています。とことん綿にこだわると行きつくところはそのルーツである茶綿になる――そういうこだわりがあるからこそ、「CMP」が生まれたんだと思います。

WWD:フリークス ストアとコラボしたアイテムにはどのようなリクエストを?

井浦:今回「CMP」のパートナーとして、自由に3型のデニムをデザインしてもらいました。オーバーサイズが今っぽいなと思いますが、ワイドパンツという考えが僕の中にはなくて新鮮でした。あとはワンウオッシュと加工を施したバリエーションに、僕が好きなヒッコリーストライプも加えてもらっています。「CMP」の素材のルーツを探るという探求心とデザインとしての流行の先端から生まれたコレクションです。

WWD:ちなみに井浦さんが初めて買ったデニムは?

井浦:確か中1のときで「リーバイス(LEVIS)」の“501”だったと思います。当時は全く知識がなく、“青いパンツ”ぐらいの感覚でした。お小遣いを握りしめて原宿に行ったんですが、種類が多すぎて何を買えばいいのか分からなくて……。それで色落ちの違いで2本選んだんですけど、ロールアップするという概念もなく丈詰めしてもらって、中2になった頃には丈が短くてはけなくなったり、気付いたら母親が洗濯機で洗ってどんどん色が落ちていったり……。その失敗をもとに、次に買ったのが“701XX”だったんですが、それはとにかく育てようと。洗わずにはき続けて、いざ洗わなきゃなっていうタイミングで、はいたままお風呂に入って色落ちさせるとか。乾いたデニムを見たときに色落ちに感動したのを覚えています。

WWD:デニムには“育てる”魅力もあります。

井浦:デニムってもともとそういうモノだったはずなんです。だけど今は洋服の価格がどんどん安くなって、今着ている服は次のシーズンに買い替えるのが当たり前になってしまいました。でも長く“育てれば”表情が変わって愛着もわく。「CMP」を通して、そういう感覚を若い人にも伝えていきたいと思っています。

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編集長はパリコレで何した?Vol.3 「ドリス」でマスクをもらい、「ルメール」で加瀬亮を見逃し、「パトゥ」にテンション上がる

 パリコレは開幕直後の穏やかな空気が少しずつ変わってきました。この原稿を書いている28日(金)の時点では、ほぼ予定通り続いています。ただ新型肺炎に関して、隣国イタリアの深刻な状況や、他の欧州への広がりが連日報道されており、ショーの始まりを待つ間はこの話で持ち切りです。パリコレは興行ではなくビジネスで、ショーがビジネスに有効だから開かれています。とは言え人が集まることが一番のリスクである現状で、それでもショーじゃないとダメなのか。その問いを反芻しながら一日10件以上を取材しています。

2月26日9:30
「ランバン」で冨永愛が
8年ぶりにパリコレ歩く

 ブルーノ・シアレッリ(Bruno Sialelli)による「ランバン(LANVIN)」は大人っぽい服が増えて実売につながりそうです。なんて思いながら見ていたら、愛ちゃん!モデルの冨永愛さんが歩いてきました。モデル、女優、アンバサダーなど各所でご活躍ですが、パリコレのランウエイで見るのは久しぶり。後で話を聞いてみようっと。

10:30
高田賢三さんに
新生「ケンゾー」の感想を聞く

 「ケンゾー」はフィリペ・オリヴェイラ・バティスタ(Felipe Oliveira Baptista)によるデビューでした。「ケンゾー」にとって大切なのは、“ユース=若さ”だと思う。なぜなら若き賢三さんがパリへ飛び込みファッション界をひっかき回したそのエネルギーが原点だから。という意味でフィリペの「ケンゾー」にはいわゆる“ユース”なキャッチーさはなく、正直言うとザワツキは物足りないかな。同時にスポーティーなデザインは時代に即しているとも思います。百貨店で言えば展開する売り場が大人なフロアへ替わりそうです。

12:30
ロマンチックだった
「メゾン マルジェラ」

 ジョン・ガリアーノ(John Galliano)による「ジョン・ガリアーノ(JOHN GALLIANO)」が大好きでした。そのイメージを「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」の中に探し続けて早数年。美を正面から見るロマンチックなガリアーノと、あえて裏から見ることで新しい美を見出そうとするマルジェラ。強烈な個性の2つの世界が今回のショーでは本当に違和感なくひとつになっていたと思います。表からだけでも、裏からだけもなく穴を開けた、という感じ。なんのこっちゃですよね。つまりは美しかった、ということです。これはもう、展示会では十分には伝わらない世界観。ショーが必要です。ぜひ動画をご覧ください。

14:00
「マルベリー」で
ブーツにロックオン

 「マルベリー(MULBERRY)」と言えばバッグ。だけど今季はこのブーツが気になります。ゴツいワークブーツは今季のトレンドですが、つま先がゴールドのブーツは初めて見ました。

15:00
「ドリス ヴァン ノッテン」では
マスクを配布

 「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」の会場入り口ではマスクが配られ、除菌ジェルが置かれていました。パリコレでこのシーンを見るのはこれが初めてです。さすが気遣いのドリス様!配るスタッフもマスクをしています。80年代のロンドンの華やかな夜の社交から着想を得たというコレクションは光沢ある素材や鮮やかな色で華やか。グランジムードも入っています。美しものは美しく、今のような状況でも自主規制したり覆ったりする必要はなし。そのメッセージを発信するショーの役割は大きいです。

16:30
「ウジョー」がパリコレデビュー

 日本のブランド「ウジョー(UJOH)」がミラノからパリへ場所を移してショーを行いました。場所はセーヌ川にかかるアレクサンドル3世橋の下。この橋はナポレオンが眠るアンヴァリッドとグラン・パレを結び、装飾がたっぷり施されています。とてもパリらしい、そして日常生活と密接した場所です。ピンストライプなどメンズにスーツ地を使ってプリーツスカートやワンピースなど女性の日常の服を作り出す「ウジョー」にも合っていました。発表する場所はファッションブランドの世界観と密接ですね。

17:30
「ロシャス」はデラクアによる
ラストショー

 「ロシャス(ROCHAS)」は契約満了となるアレッサンドロ・デラクア(Alessandro Dell'Acqua)によるラストショー。色がきれいで、ボリュームのあるクチュールライクなスタイルはラストショーでも変わらず、他のショーでもみかけるパルテル調の水色が印象的でした。後任はただいま選考中だそう。

18:00
「ルメール」で
加瀬亮さんを見逃す

 「ルメール(LEMAIRE)」はモデルのウォーキングがおもしろく、不規則にバラバラ出てきて、歩くスピードはまちまち。中には客席に向けてキョロキョロと視線を向けるモデルもいます。いつもは見る側なのに見られる側になるとドキッとします。“ストリート”という言葉から連想するのは、カジュアルなメンズ服ですが、「ルメール」もある意味“ストリート”。待ちゆく人たちの描写をショーを通じて見るようで面白いです。そしてその中に俳優の加瀬亮さんがいた、という情報を後で聞き、見逃していたことを知りました。写真を撮れず残念!ですが、ぜひルック写真で見てください。

18:30
ギョームが帰ってきた
「パトゥ」が最高

 「パトゥ(PATOU)」のプレゼンテーションはシテ島へ。「カルヴェン(CARVEN)」で名を馳せ、「ニナ リッチ(NINA RICCI)」も手掛けた、ギョーム・アンリ(Guillaume Henry)が就任し、2シーズン目。こりゃカワイイ!!「カルヴェン」の時よりは大人っぽく、「ニナリッチ」の時よりも可愛らしさがある。日本と相性がよさそうです。写真を撮り忘れましたが、ギョーム自身も終始笑顔でイキイキとしていました。LVMH傘下でサステナビリティへの取り組みなどビジネスの仕組み自体もしっかり考えているようで注目です。

20:00
「ショーメ」のヴァンドーム広場本店が
改装オープン

 ハイジュエリーの聖地、ヴァンドーム広場の中央に建つ「ショーメ(CHAUMET)」の本店がリニューアルオープンしました。音楽家のショパンが暮らした家としても知られる歴史ある建物です。「ショーメ」と言えばティアラ。その表現もジェンダーレスなモデルが着用するなどモダンなイメージを打ち出していて新鮮です。

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編集長はパリコレで何した?Vol.3 「ドリス」でマスクをもらい、「ルメール」で加瀬亮を見逃し、「パトゥ」にテンション上がる

 パリコレは開幕直後の穏やかな空気が少しずつ変わってきました。この原稿を書いている28日(金)の時点では、ほぼ予定通り続いています。ただ新型肺炎に関して、隣国イタリアの深刻な状況や、他の欧州への広がりが連日報道されており、ショーの始まりを待つ間はこの話で持ち切りです。パリコレは興行ではなくビジネスで、ショーがビジネスに有効だから開かれています。とは言え人が集まることが一番のリスクである現状で、それでもショーじゃないとダメなのか。その問いを反芻しながら一日10件以上を取材しています。

2月26日9:30
「ランバン」で冨永愛が
8年ぶりにパリコレ歩く

 ブルーノ・シアレッリ(Bruno Sialelli)による「ランバン(LANVIN)」は大人っぽい服が増えて実売につながりそうです。なんて思いながら見ていたら、愛ちゃん!モデルの冨永愛さんが歩いてきました。モデル、女優、アンバサダーなど各所でご活躍ですが、パリコレのランウエイで見るのは久しぶり。後で話を聞いてみようっと。

10:30
高田賢三さんに
新生「ケンゾー」の感想を聞く

 「ケンゾー」はフィリペ・オリヴェイラ・バティスタ(Felipe Oliveira Baptista)によるデビューでした。「ケンゾー」にとって大切なのは、“ユース=若さ”だと思う。なぜなら若き賢三さんがパリへ飛び込みファッション界をひっかき回したそのエネルギーが原点だから。という意味でフィリペの「ケンゾー」にはいわゆる“ユース”なキャッチーさはなく、正直言うとザワツキは物足りないかな。同時にスポーティーなデザインは時代に即しているとも思います。百貨店で言えば展開する売り場が大人なフロアへ替わりそうです。

12:30
ロマンチックだった
「メゾン マルジェラ」

 ジョン・ガリアーノ(John Galliano)による「ジョン・ガリアーノ(JOHN GALLIANO)」が大好きでした。そのイメージを「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」の中に探し続けて早数年。美を正面から見るロマンチックなガリアーノと、あえて裏から見ることで新しい美を見出そうとするマルジェラ。強烈な個性の2つの世界が今回のショーでは本当に違和感なくひとつになっていたと思います。表からだけでも、裏からだけもなく穴を開けた、という感じ。なんのこっちゃですよね。つまりは美しかった、ということです。これはもう、展示会では十分には伝わらない世界観。ショーが必要です。ぜひ動画をご覧ください。

14:00
「マルベリー」で
ブーツにロックオン

 「マルベリー(MULBERRY)」と言えばバッグ。だけど今季はこのブーツが気になります。ゴツいワークブーツは今季のトレンドですが、つま先がゴールドのブーツは初めて見ました。

15:00
「ドリス ヴァン ノッテン」では
マスクを配布

 「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」の会場入り口ではマスクが配られ、除菌ジェルが置かれていました。パリコレでこのシーンを見るのはこれが初めてです。さすが気遣いのドリス様!配るスタッフもマスクをしています。80年代のロンドンの華やかな夜の社交から着想を得たというコレクションは光沢ある素材や鮮やかな色で華やか。グランジムードも入っています。美しものは美しく、今のような状況でも自主規制したり覆ったりする必要はなし。そのメッセージを発信するショーの役割は大きいです。

16:30
「ウジョー」がパリコレデビュー

 日本のブランド「ウジョー(UJOH)」がミラノからパリへ場所を移してショーを行いました。場所はセーヌ川にかかるアレクサンドル3世橋の下。この橋はナポレオンが眠るアンヴァリッドとグラン・パレを結び、装飾がたっぷり施されています。とてもパリらしい、そして日常生活と密接した場所です。ピンストライプなどメンズにスーツ地を使ってプリーツスカートやワンピースなど女性の日常の服を作り出す「ウジョー」にも合っていました。発表する場所はファッションブランドの世界観と密接ですね。

17:30
「ロシャス」はデラクアによる
ラストショー

 「ロシャス(ROCHAS)」は契約満了となるアレッサンドロ・デラクア(Alessandro Dell'Acqua)によるラストショー。色がきれいで、ボリュームのあるクチュールライクなスタイルはラストショーでも変わらず、他のショーでもみかけるパルテル調の水色が印象的でした。後任はただいま選考中だそう。

18:00
「ルメール」で
加瀬亮さんを見逃す

 「ルメール(LEMAIRE)」はモデルのウォーキングがおもしろく、不規則にバラバラ出てきて、歩くスピードはまちまち。中には客席に向けてキョロキョロと視線を向けるモデルもいます。いつもは見る側なのに見られる側になるとドキッとします。“ストリート”という言葉から連想するのは、カジュアルなメンズ服ですが、「ルメール」もある意味“ストリート”。待ちゆく人たちの描写をショーを通じて見るようで面白いです。そしてその中に俳優の加瀬亮さんがいた、という情報を後で聞き、見逃していたことを知りました。写真を撮れず残念!ですが、ぜひルック写真で見てください。

18:30
ギョームが帰ってきた
「パトゥ」が最高

 「パトゥ(PATOU)」のプレゼンテーションはシテ島へ。「カルヴェン(CARVEN)」で名を馳せ、「ニナ リッチ(NINA RICCI)」も手掛けた、ギョーム・アンリ(Guillaume Henry)が就任し、2シーズン目。こりゃカワイイ!!「カルヴェン」の時よりは大人っぽく、「ニナリッチ」の時よりも可愛らしさがある。日本と相性がよさそうです。写真を撮り忘れましたが、ギョーム自身も終始笑顔でイキイキとしていました。LVMH傘下でサステナビリティへの取り組みなどビジネスの仕組み自体もしっかり考えているようで注目です。

20:00
「ショーメ」のヴァンドーム広場本店が
改装オープン

 ハイジュエリーの聖地、ヴァンドーム広場の中央に建つ「ショーメ(CHAUMET)」の本店がリニューアルオープンしました。音楽家のショパンが暮らした家としても知られる歴史ある建物です。「ショーメ」と言えばティアラ。その表現もジェンダーレスなモデルが着用するなどモダンなイメージを打ち出していて新鮮です。

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8万通り以上のパーソナルスキンケアの資生堂「オプチューン」を編集部が試してみた 振り返り編

 資生堂が同社初のサブスクリプションサービスとしてスキンケアのパーソナライゼーションを実現する「オプチューン(OPTUNE)」を本格スタートさせました。一人一人の肌環境に合わせたケアを専用マシンが提供するIoTスキンケアシステムで、8万通り以上のお手入れアルゴリズムから最適なスキンケアを提供するという、業界的にも画期的なこのサブスクサービス。月額1万円で利用できます。どんなものか体感したいということで、「WWDビューティ」編集部の20、30、40代を代表する記者3人が個人的に申し込み、3カ月間実際に試して肌の状態がどのように変化するかをリポートします。

男性記者K:メンズコスメや小売りなどの担当記者
女性記者N:国内メーカー担当記者
女性記者M:国内メーカー担当、「WWDビューティ」マネジングエディター

拝啓「オプチューン」 スキンケアの楽しさを教えてくれてありがとう(20代男性記者K)

「オプチューン」利用開始から3カ月を迎えました。この3カ月間の感想を一男性目線でお話したいと思います。まず、スキンケアに限らずズボラな僕にとって、オールインワンかつその時々の状況を診断してくれて、読んで字のごとく “肌に合う”処方をしてくれる機能は、本当に便利でした。今回は調査ということで3カ月で解約したのですが、自宅にあるスキンケア製品を片っ端から試したり、売り場を見て回って“肌に合う”製品を追い求める状況に陥ってます。この感覚を体感させてくれた「オプチューン」に感謝です。この3カ月間を振り返って、それまでスキンケアやコスメは“仕事”としていた僕が普通に興味を持つことが出来て、スキンケアの楽しさを気づかせてくれたことが「オプチューン」を利用して一番の利点だったと思います。これからも「オプチューン」で習慣づいたスキンケアを継続していきたいなと思います。第4回目の今回が最終回。3人の肌はどのなったでしょう。3カ月使った感想を含め振り返ります。
 
 ただ個人的に、便利な機能故の問題が一つあります。「オプチューン」の肌診断機能です。なぜなら僕の場合、肌状態が良好ではないと診断された日は、著しくテンションが下がるからです。これは僕自身に原因があるのですが、遊び過ぎた日や夜遅くまで働いた日の翌朝、鏡でむくみやクマなどが目立つひどい顔を見ると、ただでさえ身体的に体調がすぐれないのに、精神的にも具合が悪くなってきます(笑)そんな日は正直、誰にも会いたくないですし、外出すら億劫になります。そこに追い打ちをかけるように、肌の水分量やキメの悪さを的確に指摘されてしまうと、僕の場合「やっぱりそうか……」と余計に気分が落ちてしまうんです。肌状態もさることながらメンタルを一定にキープしてくれる機能があればと思った次第です。でも一方で状態が良いと出た時には少し自分に自信が持てるようになったんですけどね。今後はたとえ調子が悪い時でも「良くなってやるぞ」と思って1日を前向きにがんばります。

肌変化がないって悪いこと? 日々のアップデートに期待大(30代女性記者N)

 約3カ月続けた「オプチューン」ですが、結論を言うと、肌の調子は大きく変化しなかった……です。でもこれって、毎回送られてくるスキンケアが自分自身の肌にちゃんと合っていたという証拠なのではかと思うんです。なので、肌が悪化することも劇的に良くなることもなく、「オプチューン」が感じる私のベストな肌状態をキープしていてくれていたのかも、と。しかも「オプチューン」は利用者の肌データを蓄積しながら、まだまだ進化の途中。日々アップデートが行われています。現在は、「私の肌には合わなかった」という人がいたとしても、1年後、2年後には手放せない相棒になっていることも大いに考えられます。

 そんな未来への可能性を秘めた「オプチューン」とはいったんお別れですが、私にとってビューティとデジタルテクノロジーの距離がぐっと縮まった経験になったことは間違いありません。私事ですが、昨年にスマートスピーカー「アマゾン エコードット」を購入しまして。美容アドバイスを伝える音声サービス「資生堂スキル」があるので、「アレクサ、資生堂で毛穴をカバーするベースメイクを教えて!」なんて話しかけたりしています。引き続き、“テクノロジーはビューティの未来を変える!”を身をもって体験中です。だからまた「『オプチューン』再開しようかな」なんて考えていましたが、現在「オプチューン」は当初準備していた生産台数に達したため、新規申し込みを受け付けていないとのこと……。(再開時期は未定)残念です。

パーソナライズがコミュニケーションツールに(40代女性記者M)

 今年の冬は暖冬ですが、それでも季節の変わり目はやってきます。で、再び揺らぎ肌になりました……。よってオプチューンでのお手入れは期間を置いての日々が増えました。少し罪悪感があるためかアプリは立ち上げてみようと思うのです。アプリからは「そろそろ肌測定をしてみましょう」のおすすめが。「分かってはいるけど、今は使えないのです」と心の中で言い訳していました。そうこうしている間に当初から3カ月の期間限定と決めていた期限がやってきました。後半戦が思いの外使用できなかったのですが、最終的に感じたことは習慣化するまでが大変ということでした。私の場合は揺らぎ肌の時期に加え、疲れ果てて帰宅したときなどはついついサボりがちに。揺らぎ肌などにもたいおうしてもらえるようになると嬉しいです。しかし、アプリによって肌状態が可視化できるのは継続するモチベーションになります。楽しみながらスキンケアができるのも高ポイントでした。

 オプチューン生活を終えるにあたり、解約の連絡が必要になります。申し込みとセットに時間を要しただけにスムーズに手続きが完了するかドキドキでした。結論から言うと全く問題なく進めました。オペレーターの方に解約したい旨を伝えると、解約理由を聞かれます。それに答えると「今までご使用頂きありがとうございました」との言葉が。少しだけ申し訳ない感情があったのですが、気持ちが軽くなりました。

 長期間の使用体験は始めてでしたが、3人でできたこともあって期間中はオプチューンに関しての会話も多くなってました。コミュニケーションツールとしても活用できてよかったなと感じています。今後、パーソナライズ化は加速していく中で、こういった体験取材を続けられたらと思います。あくまでも一消費者として体験するので、多少の辛口コメントがあってもご容赦ください(笑)。

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渋谷で一番「ワガママ」な服屋 コダワリの別注商品に込める思い

 2月24日号の「WWDジャパン」は渋谷特集。100年に一度と言われる再開発で変貌する若者の街にフォーカスした。ただ、編集部員の総力特集といえど、紙面からこぼれてしまった話もあるはず。そこで記者は、勝手に渋谷特集の番外編を企画。代々木上原駅との間にある「奥渋」エリアで最近、にわかに話題となっているセレクトショップ「ワガママ トウキョウ(WAGAMAMA TOKYO)」をピックアップする。

 代々木公園駅にほど近い半地下に店を構える同店は、30平方メートルほどの空間に玄人好みのブランドがそろう。価格帯はコートで10万円前後はするし、シャツやニットでも3万~5万円程度と決して安くはない。ラインアップや店内の雰囲気は「ザ・服好きのためのショップ」という印象だが、それだけでは取り上げる理由にはならない。訪問した結論から言うと、名は体を表すというが、本当に「ワガママ」なショップなのだ。

ワガママその1 「別注ができないなら取り扱いたくない」

 店は「ハバーサック(HAVERSACK)」「ナイスネス(NICENESS)」「ザ・イノウエブラザーズ(THE INOUE BROTHERS)」など国内ブランドが中心のラインアップ。聞けば商品の大半が別注商品という。

 オーナーの中村勇貴氏によると、彼の中で別注企画のプロセスは2パターン。一つが、ブランドの展示会で「ここをもっとこうしてほしい」とこだわりが顔を出す場合。デザイナーの譲れない部分と中村氏の「ワガママ」のつば競り合いの末に生まれるのが、「こだわりのある人に響く(しか響かない)マイナーチェンジモデル」。一方で、「こんなものがほしい」と漠然と思い描いている服を、ブランドにイチから商品化を依頼することもある。たとえば、2020年春夏新作の「レインメーカー(RAINMAKER)」のシルク100%のキューバシャツ(4万8800円)はパターンからの完全オリジナルだ。最近、ブランドから取り引きを持ち掛けられた場合は、「別注をさせてくれることが前提になりますが」という注釈付きで承諾しているという。

ワガママその2 「いつまでも“お客さん”でいたい」

 どうして、こうも別注にこだわるのか。もはや、自分でブランドを立ち上げればいいのでは……?そう投げ掛けると、中村氏は「僕はデザイナーになりたいわけではない」と答える。「自分の力では着たいものは作れないし、いつまでもデザイナーのクリエイションを浴びていたい。100%お客さんのマインドで店をやっている」。

 EC販売をしないのも中村氏の主義だ。「パンツを買いに行ったのに高いコートを買ってしまった。そういうことは、実店舗でしか起こらない。満足感と罪悪感が入り混じるような気持ちで帰路につき、家に帰って鏡に映った自分にニヤニヤ。そんなセレンディピティー(思いがけない出合い)が買い物の中毒性だし、お客さまもそれを期待しているはずだ」。

ワガママその3 「お店のスペース、間借りさせてください」

 セールも一切しないのも、お客さま目線でのこと。中村氏は大学卒業後、大手セレクトショップ勤務を経験し、「利益をあげる上での方法論を叩き込まれた」という。一方、その経験は反面教師にもなっている。「売り上げ目標を達成するためのセールは、粗利を削ることになる。正価で買ってくださったお客さまへの裏切りでもある。独立してからは、業界が今までセールでムダにしてきたお金を、お客さまにどう還元するかを考えている」という。

 そこで「ワガママ トウキョウ」は、他店のセール時期(6~7月と1~2月)に地方出張をしている。これまで名古屋、大阪、福岡、広島に出向き、現地でつながりのあるショップを間借りして商品を並べた。「(出張により)現地のお店は新規のお客さんを呼び込めるし、われわれも東京にはいないお客さまとつながれる。お客さまにとっても、東京に足を運ぶお金や機会費用が必要ない。みんながハッピーになれる」。

 19年度は「具体的な金額は明かせない」ものの、数千万円の規模で売り上げた。「お金の掛け方にメリハリをつけ、きちんとお客さまに還元すれば、ファンついてきてくれるという手応えがある」。自分のほしい服ばかり仕入れて、売って――記者もそんな店ができたら楽しそうだと能天気に考えていたが、中村氏にはビジネスモデルをしっかり下支えする理論があったのだ。

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日本の百貨店もリセールをする時代がくる? EC化率30%のノードストロームに見る“百貨店の未来”

 2月上旬にニューヨークに出張した際、2019年10月にセントラルパーク南西に新規開業した百貨店、ノードストローム(NORDSTROM)のウィメンズ館を訪れました。同店は全米に100店舗以上ありますが、マンハッタン進出はこれが初(18年に先行オープンしていたメンズ館とそれ以前からあったオフプライス業態のノードストローム ラックは除く)。NYの百貨店でまず思い浮かぶのはサックス・フィフス・アベニューやバーグドルフ・グッドマンですが、ノードストロームはそれらの老舗高級百貨店とは毛色が違います。日本では百貨店というビジネスモデルの不調が叫ばれるようになって久しく、地方店の閉店も相次いでいます。そんな中で、ノードストロームには“百貨店の未来”像をビシバシ感じたのでご紹介します。

 ノードストロームが他の百貨店と違う点、その第一はECと実店舗のシームレスな設計です。「WWDジャパン」のこれまでの報道によると、同社のEC化率は30%。参考までに高島屋の19年2月期のEC化率を計算してみたところ、2.4%でした。国土が広く、あらゆる分野の小売りでEC化が進むアメリカ企業と日本の百貨店を比べるのはフェアではないかもしれませんが、数字で見るとその違いは歴然ですよね。

 EC化率の高さと直接関係あるかは分かりませんが、ノードストロームの創業地シアトルはアマゾンのお膝元でもあります。旧来型のファッションや小売りの世界でガリガリ邁進してきた老舗百貨店(日本の百貨店も含む)と、アマゾンの急成長を真横で見てきた百貨店とでは、そりゃあマインドセットも目指す方向も違ってくるよな、と妙に納得しました(8年ほど前にシアトルでノードストロームを見たときはよくある普通の百貨店だったので、この数年での変化が著しいんだと思います)。

 ノードストロームの店頭で、オンラインと実店舗のシームレスを象徴的に感じた事例が、ウィメンズ館地下に大きく設けられたEC購入商品のピックアップカウンターです。EC購入商品が詰められたショッパーやガーメントケースが並んでいて、あまり広くはないメンズ館にも地下に同様のスペースがありました。「ECなら、店頭でピックアップするより自宅まで届けてもらった方がラクでは?」と、日本人なら思います。でも、物流会社に日本の佐川急便やヤマト運輸みたいなきめ細かいサービスが望めないアメリカでは、店頭ピックアップの方が客にとって都合がいいんですね。もちろん自宅配送も可能ですし、追加料金を払えば当日配達も受け付けていました。

 クリック&コレクト(店頭受け取り)の整備と共に、ECでキモになるのが返品への対応です。返品の流れやオペレーションがスムーズでないと、消費者側は購入が面倒になるし、お店側も販売ロスが発生してしまう。ノードストロームのウィメンズ館には、1階雑貨売り場(催事売り場横の結構いい場所)に返品を受け付けるサービスカウンターがありました。売り場にすればもうかるであろうこの場所を、返品カウンターに割くなんて!と驚きです。さらに、カウンター横には返却ポストも有り。「カウンターに行列ができている時は、そこにあるQRコードにアクセスして、そこからサイト上で手続きして返品したい商品をポストに入れるだけ。便利でしょ?」とスタッフは言っていましたが、この発想、ネット業界の人があらゆる場面で使う“ユーザビリティー”という概念そのものだなーと感じちゃいます。

 実店舗でクリック&コレクトや返品ができるのは確かに便利ですが、そうは言ってもノードストロームがあるのはアップタウン。マンハッタンは縦に長いので、「店まで行くのは遠い」というお客さんも多いはずです。ノードストロームはそこにも先手を打っています。ノードストローム ローカルというサービスカウンターをマンハッタン内ではアッパーイーストとウエストビレッジに設けて、クリック&コレクトに対応しています(聞き忘れたけど多分返品も受け付けている)。ウエストビレッジのノードストローム ローカルをのぞいてみましたが、ソファのあるおしゃれなクリーニング店のような空間。物販はしていないし、言われなければ百貨店の関連施設だとも気付かないくらいです。購入商品の裾上げなどにもその場で対応していました。

 ノードストロームにはオフプライス業態のノードストローム ラックもあり、マンハッタンには2店があります。私は2年半前に初めてユニオンスクエアのノードストローム ラックを訪れた際、あまりにも大量の服や靴が並んでいるのを見て衝撃を受けました。「オスカー デ ラ レンタ(OSCAR DE LA RENTA)」や「ラグ&ボーン(RAG & BONE)」「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」などの同じ品番がラックにぎゅうぎゅうに掛かっていたんです。「服ってこんなに売れ残っているのか……!」「しかもこんな都心のど真ん中で安売りしてるのか……!!」と、驚いたんですが、今回の出張では34番街近くのノードストローム ラックを視察。大量に服や靴が詰まっている光景は以前と変わらずでしたが(今回は「ヴァレンティノ(VALENTINO)」の“ロックスタッズ”バッグを見付け、ザワつきました……)、ここで注目したいのはノードストローム ラック店頭でもクリック&コレクトや返品を受け付けていたこと。オフプライス店としてだけでなく、ノードストロームのオムニコマース推進のための出先機関という面もあるんですね。

驚愕!同じ商品をリセールでも新品でも販売

 さて、アップタウンのノードストローム ウィメンズ館に話を戻します。同館で私が驚いた点がもう一つありました。それはリセール(中古品販売)の売り場があったこと。中2階の「SEE YOU TOMORROW」という売り場がそれなんですが、スタッフさんいわく2月上旬にオープンしたばかりだそう。NY出張中、現地の小売りをいろいろとまわってみてリセール市場の活況が想像以上だと感じましたし、既存小売りもそのムーブメントをいかに取り入れるか模索しているという印象を強く受けていましたが、まさか百貨店までリセールに参入しているとは!と心底驚きました。

 日本では、百貨店がリセールに乗り出すなんて正直考えられないですよね。三越伊勢丹ホールディングスの杉江俊彦社長が、18年11月の会見で将来的な事業計画案の一つとしてリセールをあげてはいましたが、具体化している百貨店は日本には恐らくないと思います(リセールというのではなく、単なる“古着の催事”みたいことは以前伊勢丹新宿本店でやっていましたが)。

 ノードストロームのリセール売り場で実際に売られていたのは、「セルフ-ポートレート(SELF-PORTRAIT)」や「マイケル コース(MICHAEL KORS)」「ヴェルサーチェ(VERSACE)」など幅広いブランド群。プレミアムデニムのコーナーに、「マウジー ヴィンテージ(MOUSSY VINTAGE)」もありました。バッグや靴は「バーバリー(BURBERRY)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「バオバオ イッセイ ミヤケ(BAO BAO ISSEY MIYAKE)」など、名前を挙げだしたらきりがありません。お菓子やドリンクも売っていてソファもあり、商品を見つつ休憩もできるような雰囲気のよい空間でした。

 面白かったのは、全商品の下げ札にQRコードが付いていて、そこからノードストロームのEC上の「SEE YOU TOMORROW」のサイトに飛べること。そこではリセール価格と共に、かつて新品として売られていた時の価格も確認できます。たとえば、「バレンシアガ」のポインテッドトーのチェック柄ミュールは、新品時の価格は795ドル(約8万7450円)で、リセール価格では458ドル(5万380円)。数字がハッキリ分かるとお得感が高まりますよね。とは言え、私が見た中で一番高額だった「ジャンバティスタ ヴァリ(GIAMBATTISTA VALLI)」のドレスはリセール価格でも3325ドル(約36万5750円)と、高いものはリセールでも高いんですけどね(元値は4750ドル=52万2500円)。

 そして、ここが日本の百貨店がリセールに乗り出す上で一番の難しいポイントだと思うんですが、同じ館の中で新品とリセールの同じブランド・同じ商品を扱っているんです。たとえば、「カナダグース(CANADA GOOSE)」のダウンコートはリセール売り場でも新品フロアでも扱っていました。そうなると、価格の点から消費者はリセールの方を選んでしまいそうですよね。これが可能なのは、アメリカの百貨店は買い取り仕入れが主流だからなんだと思います。「われわれが買い取った商品をどう売ろうが、文句ないでしょ?」という発想です(そもそも、ノードストローム ラックというアウトレット業態を都心のど真ん中に出せるのも、買い取り仕入れだからこそとも言えます)。日本の百貨店は消化仕入れ(厳密に言うと違いますが、ほぼ委託仕入れのようなもの)が主流なので、これが難しい。新品とリセールとで店内に同じ商品が並ぶのを恐らくメーカー側が許さないし、百貨店側も買い取ってない以上、強く出れませんから。

 「SEE YOU TOMORROW」スタッフは、「いらなくなった服があれば電話で予約をして、IDカードと一緒に持ち込んでくれれば鑑定します。買い取り代金はノードストロームの店頭やECで使えるクーポンで払うよ」と言っていました。ちなみに、私が行った時は急成長中のデンマークブランド「ガニー(GANNI)」を売り場でプッシュ中で、コーナー展開していました。こういうふうに売り場を編集をしているともはやリセールショップというより普通のセレクト店みたいな感覚で、「ああ、こういう感じが今後は売り場の“普通”になっていくのかもな」という印象を受けました。

 長くなってしまいましたが、以上が私がノードストロームで感じた“百貨店の未来”でした。取り引き形態の違いもあって、日本の百貨店がすぐ取り入れられるような部分は少ないのかもしれません。でも、時代が変わっている以上、新しいことを模索しなければ取り残されるだけ。バーニーズ ニューヨークの破綻やメイシーズの125店閉店報道などで古い小売りの手法が通用しなくなっていることが改めて鮮明になった分、ノードストロームのチャレンジ精神が際立っていると感じたNY出張でした。

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ありそうでなかった“プライベート確保宿”が渋谷に ファッションフリークOL「WWDジャパン」につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、ファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.7『渋谷・宮下公園に次世代型ホテル』

読み解きポイント:「都心の“ちょっ泊まり”ホテルでプライベートを確保」

ニュースのポイント

 三井不動産は東京・渋谷の宮下公園に建設中のホテルを新ブランド「シークエンス(SEQUENCE)」の名称で運営すると発表した。6月11日に開業し、地上18 階のビルに240室の客室、レストラン、ルーフトップバーなどで構成。ホテルのコンセプト“スマート” “オープン” “カルチャー”に基づき、既存のホテルとは異なるサービスを提供する。デジタル技術を用いた宿泊体験や、宿泊者以外も自由に利用できるロビーラウンジカフェなど、オープンな交流の場にもなる予定だ。

Azuはこう読む!

 最近よく東京以外の土地に行くようにしています。仕事の場合も、旅行の場合も、行った先々で気になったホテルに泊まるのがちょっとした趣味に。今っぽいおしゃれホテルからクラシカルな老舗ホテルまで、アンテナが向く先はさまざまです。

 ただ共通して言えるのは、そこに「プライベート」がはっきりあること。「ホテルだから当たり前でしょ」と思うかもしれませんが、ただ部屋が仕切られているという意味での「プライベート」ではなく、旅の荷物も、日常生活で背負ってしまった心の荷物も、ゆっくりと解いて整理できる場所という意味です。

 これは、家ではできないことなんです。日常生活の荷物って、仕事だけではなくてさまざまな人間関係だったり、家の中にもあったりするから……(笑)。だから「ホテルに宿泊する」という非日常的な行為を通して、「プライベート」を確保したいのです。

 東京以外にはそうした「プライベート確保宿」がいくつかあるのですが、思えば東京にはまだありませんでした。渋谷にはホテルコエやトランクホテルなど、おしゃれホテルがいくつかあり、どこもカフェやラウンジが併設されていてコミュニティの場としても機能しています。ですが「ちょっと息抜きに」と、気軽に泊まれるお値段ではなかったり……(笑)。

 宮下公園に新たにできるホテル「シークエンス」。全貌はまだ明らかになっていませんが、商業施設オープンラッシュの渋谷に「あるようでなかった」スタイルのホテルになりそうです。公表されている価格帯だと1室3万円程度なので、これまた「気軽に」とは言えなさそうですが、注目すべきはチェックアウトは14時まで、モーニングは12時まで、というところ。旅行客にとってはもちろん、「ちょっ泊まり」をしたい都心のユーザーにとっても嬉しい設定です。

 仕事終わりに訪れて、渋谷が一望できる18階のルーフトップバーで一杯、いや、数杯。部屋ではスマホの電源を切り、心の荷物を解いたプライベートの時間を心ゆくまで楽しむ。昼前までたっぷり寝て、のんびり朝食をいただき、部屋に戻ってひとくつろぎしてからチェックアウト。想像しただけで最高じゃないですか?

 顔認証によるセルフチェックインやキャッシュレス決済など、デジタル面でも気になる施策が盛り沢山なので、開業したら上記の「ちょっ泊まり」プランを実行しつつどこかでレポートしたいな、と思ったのですが、仕事モードでいくと休まらないので、何も考えずにひっそりと行くことを誓いました。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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クリスチャン・ルブタンの大型展覧会がパリで開幕 ファンならずとも必見の展示

 シューズデザイナーのクリスチャン・ルブタン(Christian Louboutin)による大型展覧会「クリスチャン・ルブタン,レグジビション[ニステ](CHRISTIAN LOUBOUTIN, L'EXHIBITION [NISTE])」が、フランス・パリにある国立移民史博物館(Palais de la Porte Dorée)でスタートした(会期は7月26日まで)。パリ12区で生まれ育ったルブタンにとって身近にあった同館は、幼い頃から訪れていた思い入れのある場所。これまでアートや異文化から多大なインスピレーションを得てきた彼の作品にぴったりのロケーションだ。

 ルブタンの濃厚な世界へといざなうために計画された同展でフォーカスしてるのは、約30年にわたる多面的なクリエイションと多彩なインスピレーション。パリ装飾美術館のディレクターを務めるオリヴィエ・ギャべ(Olivier Gabet)によるキュレーションの下、未発表の作品を含む膨大な数のシューズとともに、メゾン・デュ・ヴィトライユ(Maison du Vitrail)が手掛けたステンドグラスのパネルやセビーリャ製の銀のかごといった職人技を称える歴史的な芸術作品を展示する。さらに、映画監督で写真家のデヴィッド・リンチ(David Lynch)やニュージーランド人マルチメディアアーティストのリサ・レイハナ(Lisa Reihana)、イギリス人デザイナーデュオのウィテカー・マレム(Whitaker Malem)、スペイン人振付師のブランカ・リー(Blanca Li)、パキスタン人アーティストのイムラン・クレシ(Imran Qureshi)といった、ルブタンにとって大切なアーティストとのコラボレーション作品も並べる。

 テーマごとに分けられた11の部屋は、どれもかなり趣向を凝らしたつくりになっている。例えば、「ジ・アトリエ(THE ATELIER)」では、1足の靴ができるまでに要する約100の工程から主要なものをルブタン自身が登場するコミカルな映像とともに紹介。ブータンの学生たちによって彫られた装飾的な柱が印象的な「ブータニーズ・シアター(BHUTANESE THEATER)」では、ダンサーやアーティストのために作られたシューズを並べるほか、 “バーレスクの女王”ディタ・フォンティース(Dita von Teese)とサッカーのフリースタイラーであるイーヤ・トラオレ(Iya Traoré)のホログラム映像を上映する。一方、「ザ・ポップ・コリドー(THE POP CORRIDOR)」ではセレブリティーのために制作した靴やポップカルチャーから影響を受けて制作した靴などを飾り、16歳未満は入場禁止の「フェティッシュ(FETISH)」では、2007年に取り組んだデヴィッド・リンチとのコラボ作品をディスプレー。バレリーナがルルヴェ(つま先立ち)をした時のシルエットを用いたバレエシューズやスパイクがインソールから飛び出たサンダルなど“履くことを想定しない”芸術的なシューズと、それらを履いたモデルを捉えたリンチのフェティッシュな写真を並べる。

 そして、同展のラストを飾るのは、ルブタンにとっての「想像上のミュージアム」。そこには自身が制作したシューズは一切なく、自身が所有するコレクションから美術館や博物館から貸し出された作品まで彼のインスピレーション源がズラリと並ぶ。そのラインアップは、絵画や彫刻、工芸品、写真、陶器、服、ロジェ・ヴィヴィエとピエール・アルディが手掛けた靴と実に幅広く、そこからデザインのイメージをふくらませるルブタンの豊かなクリエイティビティーを感じられる空間だ。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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5Gで渋谷はどう変わる? KDDIのキーマン2人に直撃

 「WWDジャパン」2月24日号では“100年に一度”といわれる再開発が進む街、渋谷を特集した。多くの大型商業施設が建設され、新しくできた高層ビルにはIT系の企業が続々と入居。かつての「若者の街」から「大人の街」へと様相が変化している。そんな渋谷の街を、第5世代移動通信システム(5G)を用いてアップデートしようと考えているのが、KDDIだ。同社は渋谷未来デザイン、渋谷区観光協会と共同で「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」を1月に発足。パルコやベイクルーズなど、30社以上の参画企業と共に5Gを活用し、渋谷の創造文化都市事業への貢献を目指している。KDDIは変わりゆく渋谷を5Gでどのようにアップデートするつもりなのか。「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」のキーマンである中馬和彦・経営戦略本部ビジネスインキュベーション推進部部長と繁田光平ビジネスアグリケーション本部アグリケーション推進部部長の2人に聞いた。

WWD:2人の役割は?

中馬和彦・経営戦略本部ビジネスインキュベーション推進部部長(以下、中馬):僕自身はオープンイノベーションを担当しており、ベンチャー企業への投資や、新規事業における外部との提携の窓口などをしています。プロジェクトの初期に入り、徐々にフェードアウトしていくようなイメージで「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」でも同様です。

繁田光平ビジネスアグリケーション本部アグリケーション推進部部長(以下、繁田):基本的には中馬が掘り起こしたものを僕が形にし、新規事業として進めていく流れですね。

WWD:渋谷をどのような街だと捉えている?

繁田:多様性の象徴であり、さまざまな方のビビッドな反応を見ることができる街ではないでしょうか。僕も中馬も、渋谷という街でいろいろな文化に触れ、肌で感じてきました。そういった中で、いかに渋谷を実験の場として新たなことにトライできる街にできるか、長谷部(健・渋谷区長)さんとも話しています。われわれが仕掛けたことに対して、白黒はっきりとした反応だったり、予期しない反応だったりが出てくると考えており、今回のプロジェクトを始めるに当たってもまさに渋谷でないとダメだ、という気持ちがありました。

中馬:個人的には、渋谷は国内で最も世界とつながっている街だと思っていて。現在、日本の産業は非常に厳しくなっているのが実情ですが、一方で文化の側面ではまだまだできることがたくさんある。僕らとしてはテクノロジーによって世の中が次の時間軸に進んでいくタイミングで、文化をコンテンツの軸にして世界と戦いたいと思っています。渋谷はレコード屋だったり、古着屋だったりが軒を連ね、さまざまなコミュニティーが溶け込んでいる集合体とも言える。そういった文化からコンテンツを育てていき、街の新たな側面を見せる場を作ることで世界に対するショーケースにしていくのがいいのではないかと考えています。

WWD:個人的に渋谷でなじみの深い文化はあるか?

中馬:DJをやっていたこともあり、レコードを買いに来る街でしたね。九州出身で、学生時代まで基本的には東京にいることは少なかったけれど、東京に行くとなればレコードを買いによく「マンハッタンレコード」に行き、クラブにも通っていました。

繁田:僕自身は埼玉っ子ではあるけれど、何かに興味を持って触れようとした時に絶対に行きつくのは渋谷という街でしたね。さまざまなサブカルチャーが生まれ、ドアの向こう側には新しい世界が広がっていた。人が集まりコンテンツが生まれ、それにめがけてさらに多くの人が集まる渋谷で、いろいろな刺激を受けてきました。企画屋として動いている今も、渋谷という街で時間を費やしてきたことがベースになっているなと感じています。

WWD:かつての渋谷と現在の渋谷で、変わったことは?

繁田:都市の均一化が起きているとはよく言われますよね。ただ、まだまだ可能性はある。今後、テックやベンチャー企業がたくさん入ってくることで、新たなコンテンツが生まれる素地が出来上がってきてはいると思います。

中馬:繁田の言うように、渋谷は均一化が進んできていいて、今は結構ピンチだなと感じています。商業を目的にした施設や高層ビルが立ち並ぶようになり、かつてのような“ビットバレー”もなくなってしまった。起業家やアーティストたちにとって、ある種の“巣穴”だった渋谷らしさが失われつつある。長谷部さんも気にしていることですが、街を近代建築で完全に染め上げてしまうと、無駄がなくなり、自由が作りづらくなる。今後はいろいろな人たちを集め、もう一度渋谷らしさを取り戻そうと話しています。

5Gは“掛け算方式”の
新・産業革命を引き起こす

WWD:渋谷らしさを取り戻すための一つの手段として、KDDIは5Gを活用しようとしている。改めて5Gの可能性とは?

中馬:今までの進化が高速化を主軸に、インターネット内で起きていたのに対して、5Gはリアルの世界全てがネットにつながるような感覚ですね。高速化に加え、大容量や低遅延、多接続などが特徴ですが、これは必然的で、例えば自動運転の場合、ネット上の遅延があると人をひいてしまうから低遅延が必要であり、大量のセンサーを配置する必要があるから多接続が必要となる。従来の産業革命は足し算方式で起きていましたが、今回は掛け算方式の新しい産業革命が起きる可能性がある。農業や水産業など、全ての産業に関係があり、大きなパラダイムシフトが起きるはずです。

WWD:「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」では、さまざまな可能性を持つ5Gをエンタメの部分で活用しようとしている。なぜ、エンタメを軸に据えたのか?

中馬:先ほども話したように、利便性や不満解消を追求したスマートシティ化は、結果的に都市の均一化につながってしまうためです。デジタル化は不可避だし、それによって人は学び、次世代へジャンプアップすることにはなりますが、一方で残すべきアナログな要素もある。何をアップデートし、何を残すのか、といった選択の妙が未来の渋谷を形作るのではないかと考えています。今のところは新しいものが出てきていて、とにかく試そうという段階ですが、ゆくゆくは周りも同じことをやり始める。そのため渋谷にしかないアセットやぬくもりは今から考えた方がいいと思っています。先日行った「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」の第一回のディスカッションでも同じことをみんなで話し始めたところです。

繁田:付け加えると、ディスカッションの際、“スマート化”といった話は出なかったんですよね。どのように楽しみの部分をアップデートできるのか、余白をどのように残すのかといった話がメインでした。やりたいことが明確にある人がテクノロジーと組むと新たな表現ができる。でも一方で、軸がないと色は全然出ていかない。

WWD:ゆくゆくはエンタメ外の領域に進出する可能性もある?

中馬:いずれはそうなります。例えばドコモは既に5Gを活用した自動運転や遠隔医療に取り組んでいます。ただ、新しいものが始まるときは熱量やワクワク感のある非日常体験といった、ピークレベルの高いものから着手してシャワー効果で日常的なところに落とし込む方が良く、KDDIらしいと考えています。

繁田:中馬の言ったことは、社内でも最初から意識していたところです。auのブランドスローガンでも“おもしろいほうの未来へ。”と掲げているように、便利にするのではなく、面白くすることを重視しますね。例えば音楽ライブでも、通常、5Gを活用して遠隔やVRでライブを体感できるように、といった考え方をすることが多いのですが、僕らはライブ空間をどのようにアップデートできるのかを考えます。

WWD:KDDIらしさ、とは?

中馬:一言で言うと、新しいこと、エンタメをいち早く取り入れてきました。「リスモ」というサービスで着うたに真っ先に取り組んだり、映画の制作に取り組んだり。アミューズさんとの合弁でA-Sketchというレーベルも持っている。通信事業はもちろん真面目に取り組みつつも、僕らはアイデンティティーとして、エンタメに関する新しいことは一番先に取り組みたいと思っています。ドコモのNTTなどは大きい企業なので、結局は全てを手掛ける。一方で僕らはあくまで2番手で、全てをやってもしょうがない。だったら一部にフォーカスしようと。

WWD:5Gを活用したエンタメのアップデートは、今後渋谷以外の都市でも行うつもりか?

繁田:取り組みたいとは思っています。渋谷でトライ&エラーを重ねていく中で、いいものができれば地方に展開していくことも可能だし、他都市できたことが渋谷でも応用できるかもしれない。それぞれの街でフィットするものを見極めつつ、渋谷という街をフラッグシップにして、他都市でも勝負はできると考えています。

中馬:ただ、ピークポイントをとにかく上げたいと考えているので、横展開はあまり急ぎたくはないです。まずはとにかくこだわり抜いて、一カ所できちんと成功しなければいけない。今後もまずは渋谷でのプロジェクトにしっかりと付き合い、ポジションを築き上げたいです。

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5Gで渋谷はどう変わる? KDDIのキーマン2人に直撃

 「WWDジャパン」2月24日号では“100年に一度”といわれる再開発が進む街、渋谷を特集した。多くの大型商業施設が建設され、新しくできた高層ビルにはIT系の企業が続々と入居。かつての「若者の街」から「大人の街」へと様相が変化している。そんな渋谷の街を、第5世代移動通信システム(5G)を用いてアップデートしようと考えているのが、KDDIだ。同社は渋谷未来デザイン、渋谷区観光協会と共同で「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」を1月に発足。パルコやベイクルーズなど、30社以上の参画企業と共に5Gを活用し、渋谷の創造文化都市事業への貢献を目指している。KDDIは変わりゆく渋谷を5Gでどのようにアップデートするつもりなのか。「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」のキーマンである中馬和彦・経営戦略本部ビジネスインキュベーション推進部部長と繁田光平ビジネスアグリケーション本部アグリケーション推進部部長の2人に聞いた。

WWD:2人の役割は?

中馬和彦・経営戦略本部ビジネスインキュベーション推進部部長(以下、中馬):僕自身はオープンイノベーションを担当しており、ベンチャー企業への投資や、新規事業における外部との提携の窓口などをしています。プロジェクトの初期に入り、徐々にフェードアウトしていくようなイメージで「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」でも同様です。

繁田光平ビジネスアグリケーション本部アグリケーション推進部部長(以下、繁田):基本的には中馬が掘り起こしたものを僕が形にし、新規事業として進めていく流れですね。

WWD:渋谷をどのような街だと捉えている?

繁田:多様性の象徴であり、さまざまな方のビビッドな反応を見ることができる街ではないでしょうか。僕も中馬も、渋谷という街でいろいろな文化に触れ、肌で感じてきました。そういった中で、いかに渋谷を実験の場として新たなことにトライできる街にできるか、長谷部(健・渋谷区長)さんとも話しています。われわれが仕掛けたことに対して、白黒はっきりとした反応だったり、予期しない反応だったりが出てくると考えており、今回のプロジェクトを始めるに当たってもまさに渋谷でないとダメだ、という気持ちがありました。

中馬:個人的には、渋谷は国内で最も世界とつながっている街だと思っていて。現在、日本の産業は非常に厳しくなっているのが実情ですが、一方で文化の側面ではまだまだできることがたくさんある。僕らとしてはテクノロジーによって世の中が次の時間軸に進んでいくタイミングで、文化をコンテンツの軸にして世界と戦いたいと思っています。渋谷はレコード屋だったり、古着屋だったりが軒を連ね、さまざまなコミュニティーが溶け込んでいる集合体とも言える。そういった文化からコンテンツを育てていき、街の新たな側面を見せる場を作ることで世界に対するショーケースにしていくのがいいのではないかと考えています。

WWD:個人的に渋谷でなじみの深い文化はあるか?

中馬:DJをやっていたこともあり、レコードを買いに来る街でしたね。九州出身で、学生時代まで基本的には東京にいることは少なかったけれど、東京に行くとなればレコードを買いによく「マンハッタンレコード」に行き、クラブにも通っていました。

繁田:僕自身は埼玉っ子ではあるけれど、何かに興味を持って触れようとした時に絶対に行きつくのは渋谷という街でしたね。さまざまなサブカルチャーが生まれ、ドアの向こう側には新しい世界が広がっていた。人が集まりコンテンツが生まれ、それにめがけてさらに多くの人が集まる渋谷で、いろいろな刺激を受けてきました。企画屋として動いている今も、渋谷という街で時間を費やしてきたことがベースになっているなと感じています。

WWD:かつての渋谷と現在の渋谷で、変わったことは?

繁田:都市の均一化が起きているとはよく言われますよね。ただ、まだまだ可能性はある。今後、テックやベンチャー企業がたくさん入ってくることで、新たなコンテンツが生まれる素地が出来上がってきてはいると思います。

中馬:繁田の言うように、渋谷は均一化が進んできていいて、今は結構ピンチだなと感じています。商業を目的にした施設や高層ビルが立ち並ぶようになり、かつてのような“ビットバレー”もなくなってしまった。起業家やアーティストたちにとって、ある種の“巣穴”だった渋谷らしさが失われつつある。長谷部さんも気にしていることですが、街を近代建築で完全に染め上げてしまうと、無駄がなくなり、自由が作りづらくなる。今後はいろいろな人たちを集め、もう一度渋谷らしさを取り戻そうと話しています。

5Gは“掛け算方式”の
新・産業革命を引き起こす

WWD:渋谷らしさを取り戻すための一つの手段として、KDDIは5Gを活用しようとしている。改めて5Gの可能性とは?

中馬:今までの進化が高速化を主軸に、インターネット内で起きていたのに対して、5Gはリアルの世界全てがネットにつながるような感覚ですね。高速化に加え、大容量や低遅延、多接続などが特徴ですが、これは必然的で、例えば自動運転の場合、ネット上の遅延があると人をひいてしまうから低遅延が必要であり、大量のセンサーを配置する必要があるから多接続が必要となる。従来の産業革命は足し算方式で起きていましたが、今回は掛け算方式の新しい産業革命が起きる可能性がある。農業や水産業など、全ての産業に関係があり、大きなパラダイムシフトが起きるはずです。

WWD:「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」では、さまざまな可能性を持つ5Gをエンタメの部分で活用しようとしている。なぜ、エンタメを軸に据えたのか?

中馬:先ほども話したように、利便性や不満解消を追求したスマートシティ化は、結果的に都市の均一化につながってしまうためです。デジタル化は不可避だし、それによって人は学び、次世代へジャンプアップすることにはなりますが、一方で残すべきアナログな要素もある。何をアップデートし、何を残すのか、といった選択の妙が未来の渋谷を形作るのではないかと考えています。今のところは新しいものが出てきていて、とにかく試そうという段階ですが、ゆくゆくは周りも同じことをやり始める。そのため渋谷にしかないアセットやぬくもりは今から考えた方がいいと思っています。先日行った「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」の第一回のディスカッションでも同じことをみんなで話し始めたところです。

繁田:付け加えると、ディスカッションの際、“スマート化”といった話は出なかったんですよね。どのように楽しみの部分をアップデートできるのか、余白をどのように残すのかといった話がメインでした。やりたいことが明確にある人がテクノロジーと組むと新たな表現ができる。でも一方で、軸がないと色は全然出ていかない。

WWD:ゆくゆくはエンタメ外の領域に進出する可能性もある?

中馬:いずれはそうなります。例えばドコモは既に5Gを活用した自動運転や遠隔医療に取り組んでいます。ただ、新しいものが始まるときは熱量やワクワク感のある非日常体験といった、ピークレベルの高いものから着手してシャワー効果で日常的なところに落とし込む方が良く、KDDIらしいと考えています。

繁田:中馬の言ったことは、社内でも最初から意識していたところです。auのブランドスローガンでも“おもしろいほうの未来へ。”と掲げているように、便利にするのではなく、面白くすることを重視しますね。例えば音楽ライブでも、通常、5Gを活用して遠隔やVRでライブを体感できるように、といった考え方をすることが多いのですが、僕らはライブ空間をどのようにアップデートできるのかを考えます。

WWD:KDDIらしさ、とは?

中馬:一言で言うと、新しいこと、エンタメをいち早く取り入れてきました。「リスモ」というサービスで着うたに真っ先に取り組んだり、映画の制作に取り組んだり。アミューズさんとの合弁でA-Sketchというレーベルも持っている。通信事業はもちろん真面目に取り組みつつも、僕らはアイデンティティーとして、エンタメに関する新しいことは一番先に取り組みたいと思っています。ドコモのNTTなどは大きい企業なので、結局は全てを手掛ける。一方で僕らはあくまで2番手で、全てをやってもしょうがない。だったら一部にフォーカスしようと。

WWD:5Gを活用したエンタメのアップデートは、今後渋谷以外の都市でも行うつもりか?

繁田:取り組みたいとは思っています。渋谷でトライ&エラーを重ねていく中で、いいものができれば地方に展開していくことも可能だし、他都市できたことが渋谷でも応用できるかもしれない。それぞれの街でフィットするものを見極めつつ、渋谷という街をフラッグシップにして、他都市でも勝負はできると考えています。

中馬:ただ、ピークポイントをとにかく上げたいと考えているので、横展開はあまり急ぎたくはないです。まずはとにかくこだわり抜いて、一カ所できちんと成功しなければいけない。今後もまずは渋谷でのプロジェクトにしっかりと付き合い、ポジションを築き上げたいです。

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パリコレ4日目のハイライト 甘辛バランスを探求する「クロエ」 「パコ・ラバンヌ」と「リック・オウエンス」の速報も

パコ・ラバンヌ(PACO RABANNE)

DESIGNER/ジュリアン・ドッセーナ(Julien Dossena)

 会場は、かつては牢獄として使われ、マリー・アントワネット(Marie Antoinette)も投獄された歴史もあるコンシェルジュリー。騎士や聖職者など中世の装いを出発点に、シックで現代的な強い女性像を表現した。中心となるのは、首元の詰まった細長いシルエット。可憐な花の刺しゅうを加えたかっちりとしたテーラードコートやスーツ、クラシックな花柄やレースを取り入れたフェミニンなドレス、アンティークのラグやスカーフを想起させるフリンジドレスなどをそろえる。ブランドにとってのアイコニックな素材であるチェーンメイルを用いたなめらかなドレスは、長年培ってきた職人たちの技術の賜物。さながらクチュールの繊細さを感じる。

クロエ(CHLOE)

DESIGNER/ナターシャ・ラムゼイ・レヴィ(Natacha Ramsay-Levi)

 今季は、着やすい丈感が印象的だ。柔らかなロング丈のドレスやスカートをそろえる一方で、お父さんから借りてきたようなジャケットやタック入りのワイドパンツ、ダブルモンクストラップシューズやレースアップブーツも織り交ぜ、甘さと辛さのバランスを探求。ベルトマークとジャケットやニットにはあしらったピンズをスタイリングのアクセントにした。落ち着いたカラーに加え、服やバッグを彩るのはナターシャの友人であるリタ・アッカーマン(Rita Ackermann)の作品。ランウエイには、福島リラも登場した。

リック・オウエンス(RICK OWENS)

DESIGNER/リック・オウエンス(Rick Owens)

 “プロテクト”は今季のパリのキーワードだが、「リック オウエンス(RICK OWENSE)」はずっと前から一貫して“プロテクト”を服で形にしてきた。繊細なハートを包み込むようなフォーム、外敵から体を守るかのような巨大な肩パッドの服、野生を生き抜く昆虫の羽や触覚風のディテール。今季もこれらは変わらず、ラテックスのような半透明な素材使い、明るい水色や白の色使いからたくましく同時に軽やかだ。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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「WWDジャパン」らベストバイ、今冬活躍したアイテム

 今月も「WWDジャパン」「WWDビューティ」スタッフらのベストバイアイテムをご紹介。2020年のオリンピック・パラリンピックイヤーを迎え、あっという間に2カ月が経とうとしていますね。少しずつ暖かい日も出てきて春はもうそこまで来ている!の前に、この冬を振り返り、ライフスタイルを彩ってくれたアイテムからベストバイ。洋服やインテリアなど様々集まりました。

社内所有率No.1(?)のヘアブラシ

 今まで10個以上クシを買って全部ダメだったのですが、「WWDビューティ」編集部の人に聞いて購入したこのヘアブラシに落ち着きました!10回ほどブリーチして傷んだ髪も、お風呂上がりの濡れた髪も、スムーズにほぐれてくれて、さらさらでふわふわになります。“絶対に通せるクシ”と社内に広がり、弊社社員で購入する人が続出。ブラシカバー付きで持ち歩きが可能、丸洗いもできるなど機能性も抜群です。(デザイン部 伊藤佳奈)

美味しくて思い出にもなって、
インテリアにも◎
一石三鳥、魔法の瓶

 クラフトビールが好きで、国内外問わずにさまざまなビール専門店に立ち寄ることが休日の楽しみ。この冬は少し足を伸ばして、奥多摩にある「VERTERE」に行ってきました。親しみやすい味わいのビールとスタイリッシュなデザインが人気のブリュワリーです。今回、購入したのはこの“グロウラー”。その名の通り、お店以外の場所でビールを楽しむための容器で、購入すればその場で好きなビールを注いでくれます。中には、ボトリングせずに樽でしか販売しないものもあるので、ビール好きにはかなり嬉しいシステム。デザインもブリュワリーによって違うので、飲んだ後は花瓶などインテリアとして使用するのもおすすめです。美味しいビールを飲んで、お土産も買って……最高のプチ遠足でしたが、一緒に行った3人全員がインフルエンザに感染(現地集合だったのに!)。いろんな意味でいい思い出になりました。(編集制作部 原田結)

セカンドハンドで手に入れた
長靴代わりのコラボブーツ

 みなさんの“雨の日靴”はなんですか?僕はアメリカ生まれの「ダナー(DANNER)」の“ダナーライト”か、英国ブランド「ハンター(HUNTER)」のユニオンジャック柄の膝丈ラバーブーツをよく履きます。でも前者はちと重く、後者はインパクトが強いので年中履くのははばかられます。そこでもう1足!と購入したのが、ビームス プラス(BEAMS PLUS)が「エルエルビーン(L.L.BEAN)」に別注した“ビーンブーツ”です。2年ほど前に2万2000円で発売されたものですが、購入を迷っているうちに売り切れてしまいました……。今回、セカンドハンドながら3分の1程度の価格で手に入れることができました。状態も上々。“これで雪道もバッチリ!”と意気込みましたが、ご存知の通りの暖冬で、すでに春一番のニュースもちらほら……。めげずに、カーキの軍パンをブーツインして1990年代を気取りたいと思います(「WWDジャパン」編集部 三澤和也)

“自然の中で、コーヒーを入れたい”
を実現する小さめケトル

 キャンプに行った際に、「自然の中でコーヒーを入れたい」と思い立って購入したケトル。丸っこい愛らしいフォルムやかわいい赤の持ち手、バックパックに入れても邪魔にならない600mLという絶妙な大きさに引かれました。まずは自宅で使ってみようと、温かい飲み物やカップラーメンを作るときに大活躍。しかし、まだ本来の目的は達成できずにいます......。(デジタルマーケティング部 森川竜生)

毎日使うものだからこだわりたい
 植物由来のマウスウォッシュ

友人への贈り物を探しに「イソップ」へと訪れた際に出合いました。成分はアルコールフリーで、使用後の口内のピリピリ感がなく低刺激。口内炎のできやすい僕でも気にせず使えてポイントが高いです。口内が乾燥しやすい冬でもすっきりとした清涼感で、気分もリフレッシュできるので毎日使用しています。付属のコップは目盛りが付いたビーカー型で、化学の授業を思い出すようなデザインが可愛いです。多忙な毎日だからこそ生活を少しづつ豊かにしようと決めた2020年。日用品の質にこだわると暮らしの満足度が上がりそうです。(「WWDビューティ」編集部 川井康平)

寒い冬は室内で遊ぼう!

 寒さが苦手な私は、冬は外に出るのが億劫で、室内遊びの研究に夢中に......。スマホを使ったゲーム、テレビゲーム、ボードゲームなどを経てたどり着いたのが、このカードゲームです。正義側と悪役側に分かれて行うチーム戦の、いわゆる「人狼ゲーム」に似たルールが特徴です。悪役側はお互い誰が味方なのか知っていますが、正義側は特殊な役職の人以外は誰が味方なのかわかりません。ゲームを進めながらヒントを得て、悪役側は相手をだましつつ、正義側はクエストを成功していく、という流れになります。やってみないとわかりませんよね。5〜10人で始められるから、友達が友達を連れてきてもOK!初対面の人とも仲良くなれて、おすすめです。気づいたら朝になるほど、ハマっています。(編集制作部 福本沙耶)

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「ヴァイナル アーカイブ」の大北幸平が紡ぐリーボックとの未来

 2009年の設立から都会的な空気感と抜けのある雰囲気で人気を博す、大北幸平が手掛ける実力派ブランド「ヴァイナル アーカイブ(VAINL ARCHIVE)」。ここ数年はさまざまなブランドと積極的に協業し、さらにその存在感を増しているが、18年に発表された「リーボック クラシック(REEBOK CLASSIC)」とのコラボレーションが印象に残っている人も多いだろう。

 このコラボはリーボックの日本企画によるものだったが、“ありそうでなかった”デザイン性から世界中で話題に。これを受けて20年春夏、リーボックが大北デザイナーを招へいしたグローバルライン「リーボック エイティーワン(REEBOK EIGHTYONE)」が誕生した。ブランド名は日本の国番号である「+81」に由来し、コンセプトは“世界から俯瞰して見た東京を世界に発信する”。日本が世界から注目を浴びる今、大北デザイナーとリーボックが東京から仕掛ける「リーボック エイティーワン」について話を聞いた。

WWD:2018年から続くリーボックとの協業の契機は?

大北:普段からお世話になっている方にご紹介いただいたのですが、そのときは漠然と「スニーカーをやりたい」というイメージでした。

WWD:過去2度のコラボで、“クラブC(CLUB C)”と“デイトナ DMX VA(DAYTONA DMX VA)”を選んだ理由は?また、スニーカーでどう“自分らしさ”や“ブランドらしさ"を表現した?

大北:スニーカーは2モデルともリーボックからの提案です。自分らしさは“自分の普段着っぽく・意外とハマる”を念頭に、ブランドらしさは“いつもと同じ感覚で色を選ぶ”で表現しています。どちらもリーボックのインラインや他ブランドとのコラボモデルと類似していないかどうかが難しかったですね。

WWD:「リーボック エイティーワン」をスタートさせることになったきっかけは?

大北:「ヴァイナル アーカイブ」として2度リーボックコラボさせてもらい、その中で「もっと奥行きのあるデザインをしてみるのはどうですか?」とお話をいただいたんです。自分自身としても興味があり、信頼できる担当の方からのお声掛けだったので引き受けることにしました。

WWD:なぜ、日本の国番号「+81」をブランド名に?

大北:なんででしょう……パッと思いついたんです。今年はオリンピックイヤーというものあってか、“海外から見た日本”と“日本から見た海外”を分け隔てなく見せたいと思い、日本の国番号である「81」という数字が浮かびました。

WWD:ウエアの色味やスニーカーのベースモデルに“ジグ キネティカ(ZIG KINETICA)”や“インスタポンプ フューリー(INSTAPUMP FURY)”(4月発売予定)を選んだ意図は?

大北:ウエアはリーボックらしい色味を意識しながら、反骨精神を少しプラスしたダークトーンにしています。自分のブランドを10年やってきているので、色の癖はどうしても出てきます。素直に作りたいと思ったので、深く考え過ぎずに色付けしました。

スニーカーは「ヴァイナル アーカイブ」のときと同様にリーボックからの提案だったんですが、“インスタポンプ フューリー”はこれまで展開されてきた数が多いモデルなので、そこをかいくぐってカラー提案するのは楽しかったです。

WWD:大北デザイナーが思う、東京とは?そして、リーボックとは?

大北:東京にはさまざまなカルチャーがあり、それぞれが自分なりに掘ってエディットして表現しているーーそういったリミックス感みたいなものかなと思っています。リーボックは、勝手に思っているのですが“try and error”です。

WWD:今後、リーボックと見据えるビジョンは?

大北:「リーボック エイティーワン」が発売していろいろな方に届いたとき、また見えてくると思います。その瞬間が楽しみです。

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編集長はパリコレで何した?Vol.2 「ディオール」も「サンローラン」も通常規模でショー開催 「アンリアレイジ」に手ごたえ

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向千鶴です。パリコレは粛々と進んでいます。新型コロナウイルスを理由とした差別を受けることはショー会場でも街中でもなく、ウーバーの乗車拒否も経験していません。パリは至って通常運行です。万が一フランス国内で感染が広がったら状況は一変するのかも知れませんが、それを心配しても仕方なし。体調管理を万全にしつつ、今日も張り切って取材したいと思います。

2月25日(火)10:30
「マリーン セル」の警笛が響く

 ショーを観たい人が多くてプラチナチケットになりつつある「マリーン セル(MARINE SERRE)」。悪化する地球環境から身を守るような表現を、マリーンはこれまで繰り返し見せてきました。大気汚染から守るように顔覆うマスクやフードはむしろ定番。だけど、特に最初の数ルックを前に会場の空気は凍りつきました。彼女が描いてきた世界が空想ではなく現実となりつつあるから。ショーの最後にはいつものように柔らかくて優しいデザインを投入することで“救い”も添えています。フィナーレは拍手喝さい。恐るべし20代です。

11:30
「コペルニ」の会場に村上隆像

 若いデュオによる「コペルニ(COPERNI)」はスタートアップ企業が集まるスペースでショーを行いました。館内の人が自由に見れちゃう開放的な感じが◎。会場を出ようとしたら人だかりがあり、のぞいたら村上隆像!リアル!お元気ですか?村上さん、と心でつぶやきつつ移動開始。

14:30
「ディオール」のテントの中には
ニュースがいっぱい

 いったいこのテントの中にいくつのニュースがあることか!「ディオール(DIOR)」はショーの場を目いっぱい生かして新しい服だけではなく、企業として“どう社会に貢献するか”についてクリアにメッセージを放ちます。つまりショー会場がメディアなのです。第一に、場所に必ず意味があります。今回テントを建てたのはパリ中心部にあるチュイルリー公園内です。なぜなら最近、チュイルリー公園の修復に参加することを発表したから。プレタポルテはしばらくこの場所でショーを行うそうです。そのほかのポイントは動画と写真でどうぞ。コレクションのレポートはこちらから

15:30
「テベ・マググ」を通じて
南アフリカを見る

 2019年度「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」のグランプリを勝ち取った「テベ・マググ(THEBE MAGUGU)」のプレゼンに20分滞在したら行ったことがない南アフリカのことのことが1ミリだけ分かった気になりました。ファッションを通じて山ほどある知らない国を旅できるのって楽しい。

16:30
「アンリアレイジ」の会場の
空気が変わった

 人の集団が作り出す空気ってあります。「アンリアレイジ(ANREALAGE)」がLVMHプライズのファイナリストという称号を手に入れた後から、ショー会場の空気が変わりました。なんというか、場の熱度が高く真剣度が違う。これだからリアルなショーは面白いです。

17:30
「コーシェ」に間に合わないという失態

 「アンリアレイジ」から「コーシェ(KOCHE)」へ。セーヌ川沿いを爆走するも途中大渋滞で間に合わず。あと5分で到着というところでショーが始まってしまいました。ごめんなさい。すかさずライブ配信でチェック。助かる~。

20:00
「サンローラン」でパリを堪能

 今一番、パリらしいブランドは?と聞かれたら「サンローラン(SAINT LAURENT)」と答えます。それはエッフェル塔の近くでショーを開くからという理由だけではなく、官能やフェティッシュ、スノッブといったパリを形容する言葉が一番似合うのが「サンローラン」だから。今季はラテックスのピタピタのパンツにダブルのジャケットという新しいシルエットが登場したのですがこの3つの形容詞がぴったりでした。

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“フェムテック”は女性だけのものじゃない ファッションフリークOL「WWDジャパン」につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます

今日のニュース:P.8『性に寄り添う“フェムテック”が新たな市場を作る!』

読み解きポイント:「女性だけの話ではなく、社会を生きる私たちの話」

ニュースのポイント

 “フェムテック”はフィメール・テクノロジーの略で「女性が抱える健康問題をテクノロジー(技術)で解決するサービスやモノ」を指す言葉。欧米を起点に、体調管理アプリから経血吸収型のサニタリーショーツなどの新たな商品までがここ数年で登場している。1996年から女性向けセックストイや生理用品を扱う「ラブピースクラブ」や、ベイクルーズが2017年にスタートした女性の生理周期に寄り添ったブランド「エミリーウィーク(EMILY WEEK)」、19年にオープンしたフェムテック集積ゾーンの大丸梅田店「ミチカケ」など、日本でもプレイヤーが登場している。現在は“フェム”テックと称されているものの、男性を対象にした商品も出てきており、今後も人間の心と体の悩みに寄り添うソリューションとなる商品が期待されている。

Azuはこう読む!

 この一年でグッと存在感を増した“フェムテック”ですが、この言葉を聞いて何を想起しますか?一番分りやすいし話題になるのが「生理」だと思うので、多くの人はなんとなく「生理のことを扱う分野」と認識しているのではないでしょうか。

 もちろん、それも正解です。“ナプキンいらず”の「経血吸収型サニタリーショーツ」や、膣内に入れることで経血を受け止め繰り返し使える「月経カップ」、一番馴染み深いものだと生理周期の予測・記録アプリなど、生理にまつわるさまざまな商品やサービスが登場しています。ですが、「生理」以外にも妊娠前中や産後のケア、更年期のための膣トレデバイス、セックストイやサポートアイテムといったセクシャルヘルス領域など、さまざまなジャンルで女性の生活を支えるアイデアが生まれているんです。

 なんだかこう聞くと、“フェムテック”は女性のものと思うかもしれませんが、私はそうは思っていません。例えば「生理」は子どもを身ごもる人体の機能の一つとして存在しているわけだし、パートナーがいて将来子どもを作りたい思いがあるなら、それは決して女性だけの話ではないのです。妊娠に関する問題にしても、女性側の身体的負担や制約が多いからなのか、主に女性に問題があるような認識がありますが、実際のところ不妊の原因の半数は男性も関係しています。

 日本だと精子セルフチェックサービスの「Seem」、海外だと精子の検査・保存サービスの「Legacy」など、最近“男性の妊活”も注目を集めており、“フェムテック”が盛り上がる一方で、もう少し解釈を広げて、夫婦や恋人、家族のテーマとしてお互いの心と体の健康を考えることがもっと身近になれば良いな、と思っています。実際私にも婦人科系の病気の疑いがあり、家系的なこともあったのでかなり心配していたのですが、パートナーには「大丈夫!死にはしないよ!」という扱いをされて「いや、死ぬ可能性だってゼロじゃないから泣いているんだが?」と、ちょっとイラっとした経験があります(笑)。

 本紙10、11ページ有識者4人による国内フェムテックの座談会では、有識者の一人として男性も登場。男性は「生理」や「妊娠」の当事者ではないかもしれませんが、パートナーとして、あるいは社会のひとりとして、決して他人ではないので、“フェムテック”の領域にこうして男性がいるのは心強いなと思いました。ということで、興味関心がある人(男性も!)は各地でイベントやセミナーが開催されているので、ぜひ行ってみたり、メディアの記事などを見て調べたりしてくださいね。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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バレエ発想のアクティブウエア“チャコット・バランス”で人生も美しく


チャコットが2019年春夏にスタートした“チャコット・バランス”は、同社が培ってきたダンスの専門性を生かしたアクティブウエアラインだ。ダンサーをいかに美しく見せ、高いパフォーマンスを引き出すかに向き合ってきた同社の作るアパレルは、他にないノウハウと知見で高いデザイン性と機能性を両立。日常とアクテイブシーンの垣根を超え、調和の取れた毎日をサポートする。

本物志向の機能性や
繊細なディテール

 「チャコット」はトゥシューズの販売をルーツに、バレエ、ダンスウエア、フィギュアスケート、レッスン教室運営までダンスに関わる商品・サービスを幅広く提案している。展開する5つのラインの中でも、「ダンスになじみのない女性の普段使いにも最適」(同社広報担当者)と薦めるのが“チャコット・バランス”だ。「アクティブウエアに求められるのは、快適さや動きやすさなどを担保する機能性と、女性らしさを引き立てるデザインの両立。プロのダンサーと向き合ってきた当社なら他には負けない」。素材選びやデザインも、バレエウエアを着想源にしたりしているものが多い。たとえばレオタードに使われる素材で作る定番のレギンス(1万1900円)は一般女性にも人気が高い。バレリーナの動きをサポートする強く柔軟な素材と、踊る姿を美しく見せるレースのディテールが支持されている。

スタジオの行き来から
アスレジャーまで

 2020年春夏の新作では、軽い素材感のフード付きジャケット(1万9000円)がシグネチャーアイテムだ。微光沢で上品さのある柔らかな色合い、緩やかにフレアするシルエットが女性らしさを引き出す。タンクトップとレギンスの上に羽織れば、スタジオとの行き帰りにも重宝する。UVカット加工が施されているので、春のアスレジャーシーンにも最適だ。長丈のチュールスカート(1万4900円)は同ラインの中でも一番の売れ筋アイテム。チュールはバレエでも定番の素材で、美しいドレープ感を出すためのこだわりが詰まっている。その他にもバックパックやキャップ、スニーカーなどアクティブな女性の必携アイテムがそろう。


問い合わせ先
チャコット
0120-919-031

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「ブルックス」から“より早く、より長く走る”ための新作 100年を超える歴史から新たな未来を探る

「ブルックス」は1914年の創業以降、数々の革新的技術を搭載したランニングシューズで、ビギナーからトップアスリートまで、数多くのランナーたちをサポートしてきた。そんな同ブランドから2月29日、新モデル“ハイペリオン エリート”と“ハイペリオン テンポ”がリリースされる。「ブルックス」はこれまでにどのような道を歩み、そしてどこへ向かっていくのか。100年を超える歴史と2つの新モデルから「ブルックス」の過去から未来までを探る。

革新に挑み続けた100年を
振り返る

 2020年に創業106年を迎え、現在も進化を続ける「ブルックス」。ランニングシューズ界では今でこそ当たり前となったEVA搭載シューズを1975年に開発し、シューズ界の“スタンダード”を確立。2011年にはアメリカのランニング専門店でナンバーワンのシェアと獲得し、現在に至るまでその座を守り続けている。さらには19年にミッドソールに組み込むことで、足だけでなく全身の自然な動きをサポートする新機能「Guide Rails2.0」を発表するなど、数多くのランナーのために今もなお革新性に挑み続けている同ブランドの歴史を振り返る。

世界のトップランナーに寄り添う
新作2モデル

 100年を超える歴史に裏打ちされた技術を持つ「ブルックス」から新作モデル“ハイペリオン エリート(HYPERION ELITE)”(2万7000円)と“ハイペリオン テンポ(HYPERION TEMPO)”(1万8000円)がリリースされる。ブルックス社がサポートするトップアスリートたちと共に、「より早く、より長く走る」ことを追求して開発された同モデルは2月29日、220足限定で世界同時発売。日本では小田急ハルク店などでの販売を予定している。(店舗詳細は「ブルックス」公式サイトを参照)3月6日の18時30分~22時には、トランクホテルでローンチイベントも開催。当日はブルックスのパートナーゲストたちによるトークショーやランイベントが行われるほか、“ハイペリオン”の世界観を体感できる空間も設置される(イベントはドリンクチケット制)。

問い合わせ先
アキレスお客さま相談室
0120‐89‐4192(フリーコール)

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美と健康をサポートする高島屋新宿店「ウェルビーフィールド」のさらなる進化

 高島屋新宿店8階のヨガ&フィットネスフロア「ウェルビーフィールド」は2020年、コンテンツを拡充し、美と健康をサポートするハブとしてさらなる進化を遂げる。東京でのスポーツの祭典が目前に迫り、人々の体を動かすことへの欲求、健康への機運はますます高まっている。同フロアでは新たに、自分にぴったりのランニング・フィットネスギアが見つかるシューズラボや、トレーニングの効果を引き出すメニューを提供するカフェを新設。ヨガ・フィットネススタジオでは新たなアプローチのトレーニングも導入する。

ランニングを疑似体験
自分に本当に合う一足を探す

 ランニングシューズ選びでは、フィット感や機能性はもちろん、実際に走ってみたときのイメージを描くことができるかも大切だ。19年9月に新設したシューズ売り場「スポーツマリオ ラン&フィットネス」のコーナーはランニングマシーンを備える。スクリーンに投影されるアメリカやイタリアなど世界の絶景に没入しながら試走が楽しめる。商品ラインアップも充実しており、「ナイキ(NIKE)」「デサント(DESCENTE)」といったメジャーブランドから、スイス生まれの新鋭ブランド「オン(ON)」や「ホカオネオネ(HOKA ONE ONE)」などコアなブランドまで、最新モデルがそろう。また、同フロアでは4月15日から、「オーディエンスコード」と題してスポーツ観戦を意識したウエア提案を充実させる。UVカットや吸水速乾機能を備えたカットソーなどのトップス、立ち座りがラクなストレッチ性の高いレギンスなら、炎天下の屋外観戦でも快適な時間を約束する。帽子やパッカブルのアウターなどもそろえれば、暑さ対策は万全だ。

美しい体を外側と内側の
両面でサポート

 女性専用スタジオ「メローフロー・ウーマンズシェイプジム」の新エクササイズメニューが「ヤムナボディローリング」だ。ボールを使ったストレッチで、骨や筋肉をあるべき場所に戻し、美しいボディーラインを取り戻す。体の負担も少なく、海外ではアスリートからも注目されるメソッドだ。トレーニング後には適切な栄養補給も大切。2月22日に出店する「ザ サンライズ シャック(THE SUNRISE SHACK)」は、ハワイ発の「アップグレードドリンク」専門店。メインのブレットコーヒーは、オーガニックコーヒーにスーパーフードとMCTオイルをミックス、一杯で十分なエネルギーを摂取することができ、エクササイズのお供に最適なドリンクだ。カフェに寄る時間がない人には、「メローフロー・ウーマンズシェイプジム」で販売されている女性向けのプロテインバーを。タンパク質はもちろん鉄分や葉酸、ビタミンなど美しい体作りに必要な栄養素を手軽に摂取できる。

問い合わせ先
高島屋新宿店8階ウェルビーフィールド
03-5361-1111

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アディダス新ブランドキャンペーンに迫る 「速さは、ひとつじゃない。」

 アディダス ジャパンは2月20日からランニング製品の新キャンペーン「速さは、ひとつじゃない。」をスタートした。「Faster than imagine.(自分の想像よりも速く)」「Faster than last year.(去年の自分よりも速く)」など、“走る”ことにおいて、ランナーが目指す速さはそれぞれ異なっている。「アディダス(ADIDAS)」は、タイプの異なるそれぞれのランナーに向け、“ウルトラブースト 20(ULTRABOOST 20)”をはじめとするさまざまなランニングシューズを提案する。

 「アディダス」のランニングシューズを代表するモデルが“ウルトラブースト 20(ULTRABOOST 20)”だ。同モデルは、昨年11月にパートナーシップを締結した国際宇宙ステーション(ISS)米国国立研究所の協力を得て開発された。シューズの構造はスペースシャトルからインスパイアされ、アッパーには繊維をミリ単位で配置するテーラードファイバープレースメント(TFP)技術を活用したプライムニットアッパーを新たに採用する。1枚のニットでも場所によって編み方が異なり、アキレス腱を守るヒールケージと相まって、ミッドソールには従来のウルトラブーストより20%増量されたオプティマイズドブーストフォームを搭載し、足に密着するようなフィット感と反発力を追求したという。ブーストフォームは、必要な部分に厚みを持たせ、重心移動がスムーズに行えるように設計されている。環境気温に左右されず、ランニングで約500km(フルマラソンで10回以上)走れる耐久性を持つ。ソールには車のタイヤにも使用されるコンチネンタル製ラバーを採用するなど、雨の路面でも滑らないグリップ力を備えている。

シトウレイが
ウルトラブースト 20を選ぶ理由

 「速さは、ひとつじゃない。」のキャンペーンは、“走る人”だけに向けたものではない。ランニングシューズを履くシーンは多様化しており、ファッションとしてライフスタイルやワークスタイルに取り入れる人も多い。世界各地のファッションウイークで、ストリートスナップを撮り続けるフォトグラファー兼ジャーナリストのシトウレイもその一人。シトウにとっての「速さ」とは?

WWDジャパン(以下、WWD):ファッションにおいて、「速さ」を感じるときや意識するときはどんなとき?
シトウレイ(以下、シトウ):年に2回のファッションセミナーを始めて5年になりますが、ここ1~2年は半年ごとのアップデートが速いなと感じています。以前に増して消費に対するスピードが速まっていて、特にモードファッションの中のアイテムの廃れ方。「これが来るよ」と言われた半年後に「まだやっているの?」という感覚になる。それにはいい面もあり、だからこそ自分が更新できていくし、新しいファッションを身に着けたり、見つけたりする楽しさでもあります。ただ、速ければ速いほどサステナビリティには反しているから、何を買うべきかは、ちゃんと考えなければいけないと思っています。

WWD:普段の生活の中で「速さ」を意識して取り組んでいることは?
シトウ:仕事でいうとメールのレスポンスです。その速さは相手に対しての尊敬だとも思うので、マネージャーが返すものは違ってしまうけれど、自分で返せるものは“即レス”で返すことを心掛けています。自分がされると嬉しいことだし、コミュニケーションをスムーズに進めるにも速さが必要だと思います。

WWD:「速さ」を意識したからこそ得られたものは?
シトウ:判断力です。ストリートスナップもそう。ストリートスナップで一番大事にしなければいけないことは時間をかけないということ。通常の撮影だと時間をかければかけるほどいいものが作れるかも知れないけれど、ストリートスナップは知らない人に声を掛けてその人の時間をもらうわけだからもらう時間をなるべく少なくする。早めにジャッジするから、「どうしよう」という迷いがない。なぜ、この人を撮るかっていう自分の理由付けみたいなことも早くなりました。例えばカチューシャを付けているからとか、このパンツをはいているからとか、オリジナリティーがあるからとか、レイヤードが好きだったからとか。判断力の速さを意識したことで身に付いたんだと思います。

WWD:“ウルトラブースト 20”を履いた感想は?
シトウ:すごく楽でした。このウニッと感(屈曲性)が半端なかった。履き心地が固くないから履いていて気持ちがいいです。普段の靴をジャケットだとしたらこれはニット。それぐらいの違いがあります。

WWD:海外でスナップを撮る際は1日に2万歩を歩くとか。改めてシトウさんが“ウルトラブースト 20”を選ぶ理由は?
シトウ:自分のパフォーマンスを上げるためです。“走るため”だけではなく、仕事のモチベーションを上げたり、長い時間続けるためだったり。仕事も遊びも、足が痛くなったらテンションが下がってしまいますよね。足が痛いからとか疲れたからとか。そういったストレスを減らしてくれるのがこういったシューズです。私は、運動の時はジャストサイズを履くけど、ファッションとしては大きめを履きます。しっかりファッションとしても成立するから、妥協しなくていいというのも魅力だと思います。

問い合わせ先
アディダスグループお客様窓口
0570-033-033

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パリコレ3日目のハイライト ダークな世界観漂う「ドリス ヴァン ノッテン」 「マルタン マルジェラ」「ロシャス」の速報も

ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)

DESIGNER/ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries van Noten)

 インスピレーションは、“叙情的な夜の魅力”や“セルジュ・ルスタンのメイクアップが生み出す官能性”。1980年代のロンドンやニューヨークのナイトクラブなどからイメージをふくらませた。パンクやロカビリー、ディスコの要素を取り入れたスタイルは、ダークな世界観が漂う。シルエットはエレガントなオーバーサイズから縦の線を強調するスリムまでをミックス。しっかりとしたレザーやフェイクムートン、クラシックなベルベットやビロード、半透明のラテックスといった多様な素材に、タータンチェックやサイケデリックなカラーをアクセントしたハワイアンプリント、パイソン柄などを合わせた。足下のキンキーブーツやプラットフォームブーツは、グラムロックのイメージにつながる。

メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)

DESIGNER/ジョン・ガリアーノ(John Galliano)

 “会社員っぽい”など、職業や社会的立場を連想させる服やスタイルがある。ジョン・ガリアーノはそういった社会が共有する“らしさ”=“ドレスコード”を再解釈してみせた。とは言っても職業を特定するわけではなく、再解釈の対象は “ブルジョワ”と呼ぶ一般の人たち。スーツを再構築したり、製造過程を見せたりすることで私たちが無意識に共有する“らしさ”の価値観を一度露呈させた上でガリアーノのエッセンスを加えて見せる。仕上がりはジェンダーレスでロマンチックだ。1月に“アーティザナル”で発表したアイコンシューズ“タビ”と「リーボック」のコラボレーションシューズも登場した。

ロシャス(ROCHAS)

DESIGNER/アレッサンドロ・デラクア(Alessandro Dell’Acqua)

 6年間クリエイティブ・ディレクターを務めたデラクアによるラストコレクション。ひざ丈やミッドカーフ丈のドレスやコートを軸に、「ロシャス」での集大成を見せた。中心となるのは、淡いピンクや宝石のようなパープル、オレンジなどの綺麗な色で描くワントーンのゆったりとしたエレガントなスタイル。そこにクレープデシンやパテント、カシミア、ファーなど質感のコントラストと、ビジューやフリンジ、ラッフルで表情を加える。終盤は、黒一色のシリーズでシックにまとめた。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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ナイキCEOの突然の退任発表について エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年10月30日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

ナイキCEOの突然の退任発表について

 ナイキ(NIKE)のCEO交代ニュースには驚きました。マーク・パーカー(Mark Parker)会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)が、2020年1月13日付でCEO職を退任してエグゼクティブ・チェアマンに、米IT企業サービスナウのジョン・ジョセフ・ドナホー2世(John Joseph Donahoe II)社長兼CEOが新社長兼CEOに就きます。

 これはもう明らかにナイキがデジタル化をさらに推進するという表明なのですが、なぜこのタイミングの交代なのでしょう?ナイキの19年5月期決算は増収増益。確かにセクハラやマッチョな企業カルチャーが問題視されたりもしましたが、コリン・キャパニック(Colin Kaepernick)選手のキャンペーンでは炎上に屈しない強いメッセージを発信したことで多くの支持を得るといった華麗な逆転劇もありました。これは経営者に強い信念がないとなかなかできない決断だな、鮮やか!と感心しましたし、店舗とデジタルの融合においても先進企業として常に攻めて、革新しており、スポーツと縁遠い私から見ても、やはりナイキはカッコよく好調な巨大企業なのです。

 しかも、パーカーCEOはナイキの前身ブルーリボン社でのシューズデザイナーからのたたき上げで、カリスマ創業者フィル・ナイト(Phil Knight)の後を継いで、世界ナンバーワンスポーツ企業ナイキを13年にわたって率いてきました。つまり、まさに4兆円超規模のナイキ帝国を作り上げた立役者です。

 確かに、今月に入って「ナイキ・オレゴンプロジェクト(NIKE OREGON PROJECT)」を率いていた元ランナーがドーピング違反で資格停止になり、プロジェクトが閉鎖されるといったスキャンダルもありました。異業種からのCEO起用は、企業文化の見直しやこうしたネガティブなイメージを払拭するのに有効かもしれません。しかし、少なくとも米「WWD」の記事やその他の報道からもパーカーCEOが株主や取締役会から退任を迫られたような気配はありませんし、実際にこの発表以降株価が落ちたままなので、株主や投資家もこの交代を歓迎していないようです。ですから、これはもうパーカーCEOが本気でデジタル分野の強化および「コンシューマー・ダイレクト・オフェンス(Consumer Direct Offence)」戦略を推進するために決断したと考えるのが妥当という気がいたします。

 前にも書いていますが、後継者にスムーズにバトンを渡せてこそ、本当に優秀な経営者だと思います。

 というわけで新旧CEOの協業でナイキがさらにパワーアップするかどうか――ますます目が離せません。

VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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小島健輔リポート ぼろ儲けか、真摯なブランディングか 二大ラグジュアリー帝国の決算から見た実像

 ファッションビジネスのコンサルタントとして業界をリードする小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。ラグジュアリーブランドのコングロマリットを形成するLVMHとケリング。その2019年12月期業績から何が見えるのか。

 LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)とケリング(KERING)、二大ラグジュアリー帝国の2019年決算が出そろったが、まだパンデミックの予兆もなかった時期だけに増収増益の勢いに陰りは見られない。LVMHは536億7000万ユーロ(約6兆4404億円)を売り上げて115億400万ユーロ(約1兆3804億円)の営業利益を、ケリングは158億8400万ユーロ(約1兆9060億円)を売り上げて47億7800万ユーロ(約5733億円)の営業利益を稼ぎ出している。二大帝国の頭抜けた高収益はバブリーなぼろ儲けか、はたまたモノ作りから販売まで真摯なブランディングを積み重ねた当然の果実なのか、その実像を探ってみたい。

高収益に陰りがない神聖LVMH帝国

 LVMHは6兆円を超える規模にして15.0%も売り上げを伸ばして21.0%の営業利益率を、ケリングも2兆円に迫る規模で16.2%も売り上げを伸ばして30.0%の営業利益率を謳歌しているから、はた目にはぼろ儲けに見えるが、あれほど嗜好性の強い高級ブランドをイメージを損なうことなく世界各国にローカル対応して舵取っていくのは容易な業ではない。わが国の大手ファッション企業が欧米の高級ブランドを買収してもうまく成長させた試しがないことを見ても、洗練された経営と創造力、グローバルなマネジメントとローカルなマーケティングを両立させる神業に近いと推察される。

 LVMHは「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」「フェンディ(FENDI)」「セリーヌ(CELINE)」など多数のスーパーブランドを抱えるファッション&レザーグッズ部門が売り上げの41.4%、営業利益の63.8%を占めるが、売り上げではコスメのセレクトストア「セフォラ(SEPHORA)」や免税店の「DFS」などからなるセレクティブリテーリング部門が27.6%を占めて続き、営業利益では「ドン ペリニヨン(DOM PERIGNON)」や「モエ・エ・シャンドン(MOET & CHANDON)」「ヘネシー(HENNESSY)」など華やかな著名リカーブランドをそろえるワイン&スピリッツ部門が15.0%を占めて続く。「ゲラン(GUERLAN)」や「ディオール」など人気ブランドをそろえるパフューム&コスメティクス部門が売り上げの12.7%、営業利益の5.9%、「ブルガリ(BVLGARI)」や「ショーメ(CHAUMET)」「ウブロ(HUBLOT)」など高級宝飾・時計ブランドを抱えるウオッチ&ジュエリー部門が売り上げの8.2%、営業利益の6.2%を占める。

 19年1月期で44億4200万ドルを売り上げていたティファニー(TIFFANY&CO.)が加わればウオッチ&ジュエリー部門の売り上げは40億ユーロ(約4800億円)以上押し上げられるから、売り上げはファッション&レザー部門、セレクティブリテーリング部門に続き、営業利益はセレクティブリテーリング部門を抜いてワイン&スピリッツ部門に迫るのではないか。

 利益率が一番高いのはファッション&レザーグッズ部門の33.0%だが、他社の同カテゴリーブランドが盛衰が激しく不安定なことと比較すれば、希有なマネジメントとブランディングが推察される。続いて高いのがワイン&スピリッツ部門の31.0%だが、仕込みから販売まで年単位10年単位のスロービジネスだから、それぐらい利幅がないと割に合わない。ウオッチ&ジュエリー部門の16.7%、パプューム&コスメティック部門の10.0%と続き、セレクティブリテーリング部門の9.4%が最も低いが、ブランド品仕入れの小売りチェーンにしては高収益だ。

 原材料から仕込んで自社工場生産する比率が高く、年2回(ワイン&スピリッツは1回)のコレクション受注に基づく計画生産が大半のため、在庫回転は17年が1.38回転、18年が1.34回転、19年が1.38回転とスローながら極めて安定している。セレクティブリテーリング部門は3回転前後しているとしても、ワイン&スピリッツ部門など数年で1回転するかどうかだし、コレクション受注生産のファッション&レザーグッズ部門も2回転に届かない。逆にいえば2回転しないスローな自社工場計画生産だからこそ妥協のないモノ作りができるのであり、人気が不安定な他社の高級ブランドでは外部工場への生産委託はもちろん、時計や雑貨ではあからさまなOEM(相手先ブランドの生産)調達さえ見られる。

 「ルイ・ヴィトン」は1970年代に比べれば何倍も高価になったが品質も相応に高まっており、素材・部材からの自社工場生産に徹している。2002年に進出した腕時計でも初期から自社工場生産にこだわり、ムーブメントも09年には自社工場生産に切り替えている。11年に買収したブルガリ(BVLGARI)にしても、ダイヤモンド鉱山を買収して原石加工から自社生産に徹しており、LVMHはモノ作りの原点から本物にこだわる「神聖ラグジュアリー帝国」と信頼していいだろう。

「グッチ」への依存度が高まるケリング帝国

 18年にプーマ(PUMA)の株式の70%を手放してラグジュアリーに集中したケリングは「グッチ(GUCCI)」や「サンローラン(SAINT LAURENT)」がけん引して拡大しており、19年は売り上げを16.2%、営業利益を21.2%も伸ばしている。不採算ブランドを整理し好調ブランドに集中して、毎年、経営効率を向上させており、営業利益率は17年の24.9%から18年は28.9%、そして19年は30.0%とLVMH(21.4%)を引き離しているが、利益率の低いセレクティブリテーリング部門の売り上げが27.6%を占めるLVMHと同列に比較すべきではあるまい。

 ケリングの売り上げの96.8%、営業利益の105.5%(他部門は赤字)はラグジュアリーブランドのLUXURY HOUSES事業が占め、その中のグッチ部門が全社売り上げの60.6%、営業利益の82.6%を占める。サンローラン部門まで合わせると売り上げの73.5%、営業利益の94.4%を占めるから、事実上この2ブランドがけん引している。グッチ部門の営業利益率は41.0%に達して売り上げは16.2%も伸びているし、サンローラン部門も営業利益率が27.4%に達して売り上げも17.5%伸びているが、ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)部門はいっとき急成長したものの顧客を継続的に増やす商品開発力が追いつかず、売り上げは5.3%増、営業利益率も18.4%と足踏みしている。

 企画や品質の向上が顕著で客層の幅も広く販売接客の品質にも注力している「グッチ」はともかく、モードトレンドが色濃い「サンローラン」はアジア圏での伸びが鈍り日本では売り上げを落としているから、「ボッテガ・ヴェネタ」がアジアでも日本でも勢いを失った今となっては「グッチ」依存がますます高まりかねない。

 LVMHに比べれば熟成とバランスを欠くケリングだが、ECはLVMHに大きく水をあけている。LVMHが初期の「e-Luxury」で挫折し、17年に傘下の仏百貨店ボン・マルシェ(LE BON MARCHE)のECとして立ち上げた「24 Sevres」も期待ほど伸びず、DX(デジタルトランスフォーメーション)にもやや距離を置いて決算報告でもEC売り上げに触れないでいるのに対し、7年積み上げたYNAP(ユークス ネッタポルテグループ)とのパートナーシップを解消※1してサードパーティのプラットフォームによる自社管理ECへの移行(今年上期の完了を予定)を急ぐケリングは積極的で、19年のEC売り上げは7億8700万ユーロ(約944億4000万円)、EC比率も5.1%(LUXURY HOUSES事業売上対比)と決算書で公表している。

※1.YNAPとのパートナーシップ解消はYNAPが18年5月にリシュモン傘下となったことが契機

ラグジュアリービジネスは儲けすぎか

 21.4%(ファッション&レザーグッズ部門は33.0%)というLVMHの営業利益率、30.0%(グッチ部門は41.0%)というケリングの営業利益率は儲けすぎではないか、華やかなプロモーションに巨費を投じて付加価値をあおりすぎているのではないか、と指摘したくなるのはコストと在庫に苦しむファッション業界人のねたみかもしれないが、冷静に見ればどうだろうか。

 LVMHの粗利益率は66.2%だから計算上の売上原価率は33.8%と意外に高いが、原価率の高い仕入れ商品が大半のセレクティブリテーリング部門が売り上げの27.6%を占めるから、同部門を除く売上原価率は27.6%程度と推計される。高級ブランドビジネスが96.8%を占めるケリングの売上原価率が25.9%(粗利益率は74.1%)だから大きくは違わない。

 売上原価率は値引きや廃棄処分による減損が乗った分、生産原価率より高くなる。期末のシークレットセールやファミリーセールに限定する人気高級ブランドとて10ポイント程度はあるはずで、ならばLVMHの生産原価率は17.6%、ケリングの生産原価率は15.9%とざっくり推計できる。

 これが高いか低いかだが、まず「生産原価率」であって「仕入れ原価率」ではないことに留意すべきだ。大衆価格ブランドの多くは商社やOEM業者に外注し、仕上がり製品の倉庫在庫管理や物流まで依存して「製品仕入れ」しているが、両社の高級ブランドの多くは原材料から仕込んで自社工場で生産しているから、原価率の概念が根本から違う。「製品仕入れ」と比較するなら5ポイントは乗せて見るべきだろう。ならばLVMHの生産原価率は22.6%、ケリングは同20.9%になるが、これは今日、20%を切ったといわれるわが国百貨店ブランドの原価率を上回る。法外なぼったくりという指摘は、むしろ百貨店ブランドに向けられるべきではないか。

 さらに、ワイン&スピリッツ部門では畑の土壌作りから始まって苗木が品質に見合う実をつけるまで育つのに5年、10年かかるし、果実を仕込んで熟成させるのに何年も要し、熟成保管している在庫が1回転するのにも数年を要する。LVMHのワイン&スピリッツ部門は売り上げ55億7600万ユーロに対して期末在庫(製品在庫および仕掛り在庫)を58億1800万ユーロも抱えており、生産原価率を17.6%と見るなら6年で1回転しているという気の遠くなる話だ。ファッション&レザーグッズ部門とて、同様に計算すると1.36回転しかしていない。ケリングの在庫回転が19年で1.53回、18年は1.36回だったから、大きくは違っていないだろう。

 在庫回転がこんなにスローな以上、薄利ではキャッシュが回らないし、商品資本生産性(交差比率)も低位にとどまる。品質の神話と創造性を両立させるモノ作りにこだわる限り、仕掛り在庫回転を速めるのは難しく(製品在庫回転は高められる)、この程度の利幅は法外とは言えないだろう。

課題が残るグローバル流通

 前項で仕掛り在庫回転は速められないが製品在庫回転は速められると締めくくったが、高級ファッションブランドのグローバル流通には解決すべき課題が山積している。

 90年代以降、ライセンシングや代理店流通を廃して直営店流通や直卸流通が志向され、古くは仏ディオールがカネボウを、独アディダス(ADIDAS)がデサントを、近くは英バーバリー(BURBERRY)が三陽商会を切り捨てたが、もとよりローカルな各国のファッション市場に一律な対応は難しい。ライセンシングがローカル対応して広げたマーケットを回復させるには長い時間を要するし、直営店網を作る投資と運営コスト、全て抱えることになる在庫負担も重い。その打開策がD2CやC2M※2なのだろうが、DX(デジタルトランスフォーメーション)で多少は打開できるにしても、原材料から仕込んで丁寧に自社工場生産する高級ブランドには限界がある。まずは製品流通の仕組みを改革するのが先ではなかろうか。

 スーパーブランドとて世界統一の直販体制を徹底できているわけでなく、各国市場の大小特性によっては代理店流通やライセンシングを残してローカル対応するケースも見られるし、直販流通に徹しているLVMHやケリングのスーパーブランドとて各国販社のコレクション発注によって計画生産しているのが実態で、オンデマンドな短納期追加生産や期中の各国販社間在庫融通が機能しているわけでもない。コレクション発注に基づく計画生産品の一方通行デリバリーが需要に一致するわけもなく、各国販社間で在庫の偏在と需給ギャップが頻発していると思われる。

 リージョナル(アジア圏など近接する類似広域市場)をカバーする自社運営ECとC&C、ローカルテザリング(各国販社内および近接類似市場販社間)を組み合わせ、各国販社の際を超えた需給対応が急がれるのではないか。

※2.C2M(Customer to Manufactory)…ネットやショールームで受注してからデジタル生産や3Dプリンタで素早く生産して“個客”に届けるパーソナル対応の無在庫販売手法

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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【動画】WWDJAPAN ENGLISH Vol.9 限定品を求めて来店した外国人客には英語でこう対応しよう

 「WWDJAPAN ENGLISH」は、世界に羽ばたきたい業界人に向けた英会話番組です。「WWD JAPAN.com」にアップした記事をRIZAP ENGLISH(https://www.rizap-english.jp/) 全面協力のもと、「こんなコトが英語で言えたら!!」「あの時、フレーズが浮かばなかった!!」という、業界人なら誰もが知りたいワンポイント英語を学びます。9回目は、日本語メインの初級編。

 ストリート界隈を中心にコラボレーションが多発する中、「プラダ(PRADA)」と「アディダス(ADIDAS)」、「ディオール(DIOR)」と「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」などのラグジュアリーブランドとスポーツメーカーの協業は新鮮な驚きを与えてくれました。当然、争奪戦は必至のはず。そこで今回は、限定品目当てなどで来店した外国人客に対応する接客用語を英語で学んでいきます。

 動画の下には、番組中に読み上げた英語を掲載します。

プラダとアディダス、長期的な協業を発表 第1弾は12月発売

Prada and Adidas announce a long-term partnership first installment launched December 2019

プラダとアディダスは、長期的に協業することを正式に発表した。

Prada and Adidas have officially announced a long-term collaborative strategy.

第1弾として、“プラダ フォー アディダス”の限定モデルを2モデル発売する。その1つめはメンズとウィメンズの両展開で、プラダがイタリアで生産する。全世界で12月に発売される予定だ。

The first installment of the project features two limited-edition Prada for adidas styles. Launched around the world in December, the products are produced in Italy.

プラダとアディダスは、「限定モデルは双方の豊かなアーカイブを着想源とした、タイムレスでクラシックなものに対するトリビュートとなる。スポーツからストリート、そしてラグジュアリーへという潮流の中で、それぞれのブランドで育まれてきたクラシックな定番を再解釈し、新しい目で見直したものになる」と共同声明で発表した。長期的な協業のその他の内容についてはまだ明らかにされていないが、プラダが所有するヨットチーム、ルナロッサ向けの新たなセーリング用フットウエアを2020年に発表するという。

In their joint announcement, the two companies stated: “Originating in the realm of sport, transposed to street style and now translated to luxury, classics from each are here re-contextualized, visited anew.” Further details on the long-term collaboration are yet to be announced, but new footwear, geared toward sailing and designed for Prada’s yachting team Luna Rossa, will be released in 2020.

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「コーシェ」による「エミリオ・プッチ」がミラノでお披露目 アーカイブを再解釈

 イタリアブランド「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」はミラノ・ファッション・ウイーク中の2月20日、「コーシェ(KOCHE)」を手掛けるクリステル・コーシェ(Christelle Kocher)をゲストデザイナーとして迎えた2020-21年秋冬コレクションを披露した。

 色鮮やかなプリントで知られる「エミリオ・プッチ」のアーカイブの柄を用いたスポーティーで洗練させたウエアをユニセックスで提案した。コーシェは創業デザイナーのエミリオ本人が1956年にデザインした”パリオ(PAILO)”コレクションから、“ルパ(LUPA)”や“セルヴァ(SELVA)”などの柄をセレクト。ライラックやフクシア、エレクトリックブルーなどの「エミリオ・プッチ」の馴染みのある色合いでまとめた。両ブランドの頭文字のEとKを組み合わせた新エンブレムも登場し、所々にあしらわれた。

 アイテムは、ドレスやコート、ポロシャツ、トラックスーツなど、エレガンスとスポーツと掛け合わせたスタイル。素材は「エミリオ・プッチ」が長年取り入れてきたジャージーを始め、デニムなどカジュアルなものを取り入れながらも、繊細なレースを装飾に用いたり、フェザーの上にプリントを施すなど、「コーシェ」の得意とするクチュールテクニックを合わせている。

「エミリオ・プッチ」と「コーシェ」の共通点は
”洗練されたスポーツウエアの要素”

 コーシェは「創業者のエミリオ・プッチはユニークな色柄だけでなく、ジャージー素材を使ったデザインでもよく知られて、女性服を美しく快適に変化させていたったデザイナーの一人。だから、そのアーカイブの色や柄を用いながら、新しい快適性と斬新さを備えたコレクションをユニセックスで打ち出したいと思った。そのプッチ氏がスポーツウエアをエレガントに取り入れているアプローチは、私が『コーシェ』でやっていることとの共通点を感じた」と語った。

 クリステル・コーシェは自身の「コーシェ」のデザインを手掛ける傍、シャネル(CHANEL)傘下のクチュールアトリエのルマリエ(LEMARIE)でアーティスティック・ディレクターを務め、「シャネル」の繊細な羽細工やカメリアなどのコサージュなどをディレクションするなど、マルチに活動するデザイナーだ。19年6月にはフランスの若手デザイナーの登竜門「ANDAMファッション・アワード(ANDAM Fashion Award)」のグランプリを獲得。同年に「コーシェ」はOTB傘下で生産・販売を手掛けるスタッフインターナショナルとライセンス契約を結び、20-21年秋冬からスタッフインターナショナルが生産と販売を行うことが決まっている。これまでに「ナイキ(NIKE)」などともコラボレーションを行ってきた。

 来シーズンの「エミリオ・プッチ」と「コーシェ」の協業の継続は未定で、今後はまた新たなデザイナーが迎えられるようだ。

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泉里香、憧れの体を維持する秘訣は「無理をせず、楽しむこと」

 「WWDジャパン」2月24日号の付録は、“命みじかし動けよ乙女!”と題してスポーツを楽しむ女性にフォーカスした「ラン&フィットネス特集」だ。表紙を飾ったのは人気モデル・女優の泉里香。彼女はSNSに体を鍛える様子を投稿するなど“トレーニング女子”として知られ、CMで披露したあの驚きのくびれをはじめとするパーフェクトボディーも、日々のトレーニングの賜物だ。

 そんな泉里香のボディーの“つくりかた”をテーマとしたボディーメイクブック(タイトル未定)と、トレーニング結果の“できあがり”を収めた写真集「マデイラ(Madeira)」の同時発売を4月7日に控える彼女に、トレーニングに目覚めたきっかけや長続きの秘訣、これからスポーツやトレーニングを始めようと思っている女性へのアドバイスなどを聞いた。

WWD:今回のようなスポーツ系の撮影の経験は?

泉:ヨガやフィットネスなど、体を使った美容誌の企画で肌を見せたウエアを着て撮影をしたことはありますけど、今回のようにお洋服を着た状態での撮影というのは今までほとんどありませんでした。新鮮で楽しかったです!

WWD:現在は日々トレーニングに励んでいるが、学生時代は?

泉:10代のころの体作りにかんしては、スポーツは苦手でしたがダイエットには興味があったので、ウォーキングやランニングをする程度でした。情報が欲しくて、いろいろな美容雑誌もたくさん読んでいましたね。

WWD:その中で、いつごろからトレーニングに目覚めた?

泉:20歳のころから意識し始めて、本格的にやるようになったのは23~24歳ごろです。周りの友達がジム通いを始めたんですが、当時はあまり筋トレの知識もなく、とりあえずかじってみてはやめたりを繰り返していましたね。

WWD:自主的に通うようになった理由は?

泉:モデルの仕事をするうえで、本気で自分の体と向き合って体形づくりに取り掛かるようになったからですね。今では体を動かすと気持ちがいいし、健康も維持できるから大好きになり、“好き”を伸ばし続けた結果、今があります。

WWD:頻度は?

泉:週1目標で、どんなにいそがしくても10日に1回は通うようにしています。ただ、不規則な仕事なので通えない時期もあり、そういうときは軽くランニングしたり、部屋で筋トレをしたりしています。

WWD:トレーニング中にツラいと思うことは?

泉:今では習慣になっているので慣れましたけど、今でもツラいなぁと思うことはよくあります。それこそランニングは苦手なほうで。なので自分の好き嫌いを把握して、好きなものを伸ばそうとしています。得意じゃないランニングも必要だと思うときは取り入れていますが、無理はしない程度にしています。

WWD:ツラいと思いながらも取り組み、長続きできる秘訣は?

泉:仕事で何か大きな目標があるときはがんばれますね。例えば、CMで水着を着たり写真集を出すときなどは、ストイックにすんなりと乗り越えることができるんです。「インディード(indeed)」さんのCM撮影前は、人生で一番腹筋をしました(笑)。ジムでは前から横から後ろからと、全方向から腹筋を鍛えるメニューをやりつつ、全体のバランスも考えてベンチプレスやスクワットなどいろいろなメニューもかなりやりこみましたね。あとは食事制限を取り入れて体作りを頑張りましたね。

問題は、明確な目標がない普段のときですね。休むことも大切なんですが、私の場合は自分に鞭を打ち、ジムに行くだけ行くことにしています。その環境に身を置けば「せっかく来たんだし何かやろう」とがんばれて、やっていると自然と火が付き、最後の方は自分から「あともう1セット!」って気持ちになっています。

WWD:トレーニングや食生活で気を付けていることは?

泉:食事、睡眠、運動です。普通のことのように思えるんですけど、健康な体を維持するために“ちゃんとした生活”を実践するように心掛けています。食事でいうと、減量するときは食べ物の種類を替えることや、摂取する時間に気を付けて調整しています。

WWD:最後に、これからスポーツやトレーニングを始めようと思っている女性にアドバイスがあれば。

泉:無理をせず、楽しむことがいいかなと思います。私はトレーニングを通じて自信が生まれ、メンタル的にも前向きになることができました。「筋肉は裏切らない」とよく聞きますが、まさにその通り。やればやるだけ目に見えて結果が付いてくるし、達成感も得られます。もしトレーニングをしていなければ、今回こうしてお声を掛けていただけていなかっただろうし、また今と違った仕事をしていたのかなと思います。簡単な言葉にはなってしまいますが、人生を変えることができましたね。

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新生「ケンゾー」がデビュー 放浪の旅を思い描いた“身を守る”服

 「ケンゾー(KENZO)」は2月26日、フェリペ・オリヴェイラ・バティスタ(Felipe Oliveira Baptista)=新クリエイティブ・ディレクターによるデビューシーズンとなる2020-21年秋冬メンズ&ウィメンズ・コレクションのランウェイショーを開催した。会場は、パリ5区にある国立のろう学校の庭園。そこに設置した透明なビニールの入り組んだトンネル状のテントで、朝の自然光が差し込む中、“放浪者の遊牧精神”を軸にしたコレクションを披露した。

 今季の出発点となったのは、メゾンのアーカイブ。昨年7月に就任したバティスタは、実際に高田賢三とも会って話し、彼が手掛けたアーカイブの研究をする中で理解を深めていった。ショー後のバックステージで「『ケンゾー』はアイコニックなブランドあり、賢三さんはコンサバだったパリのファッションに革命を起こした重要人物。そのデザインはタイムレスで、今の時代にもつながりを感じるものであり続けている」とショー後のバックステージで話す。そんな異国の地で成功を収めた高田とポルトガル出身である自身のパーソナルな思い出を掛け合わせ、アイデアをパッチワークするようにコレクションを作り上げたという。

 ファーストルックは、ゆったりとしたダブルブレストのチェスターコートと背中にマントのように布が垂れるハットを合わせたオールブラックのスタイル。その後もブラウンやグレー、カーキ、ベージュなど自然界から着想を得た色を中心にワントーンやバイカラーのスタイルを打ち出す。シルエットは全体的にオーバーサイズで、男女を問わないチュニックやリブニット、アノラック、パーカ、ポンチョなどロング丈のアイテムをラインアップ。キルティングやリップストップナイロン、キャンバスといった素材使いや、シルバーのスナップボタン、シルエットに変化をつけるファスナーのディテールが、ユーティリティーなイメージ演出する。そして、多くのルックがハイネックだったり、帽子や大きなフードで頭を覆ったりで、現在の世界の状況を考えると“プロテクション(身を守る)”というイメージが頭に浮かぶが、「放浪の旅の中で、自分を守ることをイメージしたものだ」とバティスタは明かす。

 そんなコレクションにアクセントを加えるのは、エレクトリックブルーや赤などの鮮やかな色と、カラフルなアートモチーフ。同ブランドのアイコンとなっているトラのモチーフは、ポルトガル出身の画家フリオ・ポマール(Júlio Pomar)の作品から着想を得て絵画風のプリントやニットで表現したり、刷新したトラの顔をウエアの隅に同色であしらったり。アーカイブを参考にした、無数の馬を描いた柄やバラをミックスした迷彩柄もある。

 ただ、8年にわたりウンベルト・レオン(Humberto Leon)とキャロル・リム(Carol Lim)が描いてきたキャッチーな「ケンゾー」からは大きくシフトした。これがビジネスにどう影響するかは気になるところだが、「若々しさとは、若者をターゲットに向けたものを作るだけではなく、心理的なものでもある」とバティスタは語る。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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読者が注目した今週の新作 「エルメス」のリップスティックなど(2月28日〜3月5日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。「ビューティ部門」では読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週は「エルメス(HERMES)」のメイクアップライン第1弾「ルージュ・エルメス(ROUGE HERMES)」が最も注目された。

【ビューティ部門】


【ファッション部門】


【スニーカー部門】

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RFIDタグのコストダウンで更なる買い物体験に期待 ファッションフリークOL「WWDジャパン」につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、ファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.5『東レが価格5分の1のRFIDタグを開発』

読み解きポイント:「デジタルだからこそ、実店舗の体験に欠かせない存在」

ニュースのポイント

 東レはアパレルの在庫管理などに使用するRFIDタグ(電子タグ)を従来の5分の1以下のコストで製造できる技術を開発した。RFIDタグはICチップをブランドタグや値札の中に挟み込んで製造していたが、東レは直接プリントによるRFIDインレイの開発にこぎつけた。一枚5〜10円と言われている価格を1〜2円まで引き下げる。来年3月までにサンプルを出荷し、アパレル企業との実証実験をスタート。早ければ2023年3月までに事業化へと進めたい考え。

Azuはこう読む!

 「RFIDタグってよく聞くけど、実際なんなの?」という方も多いはず。ものすごくざっくり言えば、バーコードに代わるサインとなるもの。決定的な違いはリーダーで一つ一つ「ピッ」としなくて良いことです。アパレルでも物流や店頭の在庫管理に活用されていますが、おそらくもっとも分かりやすいのは「ユニクロ(UNIQLO)」の事例ではないでしょうか。

 バーコードはバーとコードの配置によって情報を記録しますが、RFIDタグは電子信号によって情報をやりとりします。なので一つ一つ読み取る必要はなく、一度に複数の情報を取得できるのが特徴。たとえばダンボールに10着の服が入っていたとしたら、開封せず、ダンボールに入れたまま一括で10着の情報を読み取ることができます。

 それを応用しているのが「ユニクロ」のセルフレジです。レジのくぼみに服をポンと入れるだけでRFIDタグが読み取られ、購入金額が一瞬で確定するというもの。私は「ユニクロ」ではなく、”アジア版ZARA”と言われる「アーバンリヴィヴォー(URBAN REVIVO)」の上海のデジタル実験店舗で1年半ほど前に体験しました。あっという間に決済まで進めるので(しかも支払いもWeChatPayなので超簡単)本当に「ファストファッション」でありました。

 コンビニやスーパーなどではセルフレジの導入が進んでいますが、アパレルはまだまだ。個人的にはレジで畳んで透明の袋や不織布に入れてもらう瞬間って「買ったぞ〜!」感があって好きなのですが(笑)、ファストファッションなら情緒的な体験より利便性が優先されても良いかなと思います。

 そんな便利な体験をかなえてくれるRFIDタグの導入コストがぐんと下がることで、これから更に重要になってくる実店舗での買い物体験やオペレーションの幅が広がることを期待しています。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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東京五輪公式スキンケアブランド「SK-Ⅱ」が「#NOCOMPETITION 美は #競争ではない」に込めた想いは? ダイバーシティーあふれるトップに直撃

 東京2020オリンピックの公式スキンケアブランド「SK-Ⅱ」は、6組の世界的アスリートと新キャンペーン「#NOCOMPETITION 美は #競争ではない」をスタートした。キャンペーンには、体操のシモーン・バイルス(Simone Biles)選手、水泳のリウ・シアン(Liu Xiang)選手、卓球の石川佳純選手、バトミントンの髙橋礼華&松友美佐紀ペア、サーフィンの前田マヒナ選手、そして女子日本代表のバレーボールチーム「火の鳥 NIPPON」の一団が参加。競争の世界に身を置く彼女たちは、それぞれのSNSに望まない競争を乗り越えた実体験を投稿。ここから「SK-Ⅱ」は、女性が身近な人と話し合いながら、自分と他者との比較などの“望まない美の競争”から解放されることを願う。


 「SK-Ⅱ」が「#NOCOMPETITION 美は #競争ではない」に込めた想いとは何か?また競争の舞台、しかも最高峰の舞台であるオリンピックで「#NOCOMPETITION」を謳う「SK-Ⅱ」を、オリンピック側はどう感じるのか?キャンペーンのキックオフを発表したロサンゼルスで、「SK-Ⅱ」のサンディープ・セス(Sandeep Seth)グローバル「SK-Ⅱ」最高経営責任者(CEO)と、日本市場を統括するチャン・ヨージン(Chang Yoegin)「SK-Ⅱ」ブランドディレクター、それにIOC(国際オリンピック委員会)メンバーのアニータ・デフランツ(Anita Defrantz)らに話を聞いた。

アスリートをモデルに、
女性の可能性を広げたい

 サンディープ・セスCEO(以下、セスCEO)は、「日本生まれのグローバルブランドとして、東京で開かれる世界的イベントで“声”を届けたかった」と語り出した。ただ「単に商品を見せるようなことはしたくない」と続ける。「SK-Ⅱ」と言えば、天然酵母に由来する独自の美容成分「ピテラ*」。製品に絶対的な自信を持つブランドとして、「スキンケアについて話を聞こうとすると、女性は、それ以上のライフスタイルや生き方、夢まで語り出す(笑)。」と話す。「それを学んで以降のコミュニケーションについては、学術的なデータを示すのではなく、例えば『運命を変える』という表現を用いるなど、女性が『SK-Ⅱ』のスキンケアを通じて感じてくれたパワーを彼女たちのストーリーとして伝えるよう心がけている。振り返れば、それが『#NOCOMPETITION美は #競争ではない』という、今回のプロジェクトのきっかけだったのかもしれない」。そこで「社会は、夢について語り合うことを欲している」と考え、オリンピックに向けてアスリートの声を集め、それを機に女性が会話を始め、新たな価値観が生まれたり当たり前の考えを臆せず声に出したりできる環境を育んで「皆さんをセレブレートしたかった」という。

 女性を祝福するために選んだのは、ダイバーシティー(多様性)という価値観だ。渡辺直美をアンバサダーに任命するなど、これまでも多様性を重んじてきたブランドは、女性が固定概念や他者、周囲の期待などと比較しながら考える“美しさ”から解放されることを願い、一人ひとりの美しさに自信を持って欲しいと考えた。チャン・ヨージン=ブランドディレクターは、「美しい女性でさえ、いつかの写真と今を比べ、シワなどに悩んでしまう。女性を、そんなプレッシャーから解放したい」。

 そこで、「SK-Ⅱ」は、「競争というプレッシャーを跳ね除けるアスリートをロールモデルに、女性の可能性を押し広げることができたら」(セスCEO)と考え、日本を中心に、年齢も、人種も、競技フィールドもさまざまなアスリートに声をかけた。私たちは何気なく発してしまうが、例えば「金メダル、取ってね」や「モデルみたいな体型ね」などの言葉は、アスリートに周囲の期待との競争を強いる。彼女たちこそ、競争に打ち勝ってきたミューズなのだ。

理想像と競争し、
“お疲れモード”な日本女性は
少なくない

 日本の女性を見つめるヨージン・ブランドディレクターは、「ピースフルな日本の女性でさえ理想像と競争し、“お疲れモード”な人は少なくない」と続ける。例えば彼女の知り合いは、「毎朝4時に起きて、子どものために完璧なお弁当を作っている。手が抜けないのは、“不完全”なお弁当を持っていくと子どもが悲しむし、周りに驚かれると思い込んでいるから。そのあとは、メイク。子どもを幼稚園に送るとき、やっぱり完璧なお母さんを演じなくてはというプレッシャーと戦っている」と分析。そんな女性を理想像との競争から解放するため、石川佳純選手ら日本のアスリートにもキャンペーンへの参画を依頼した。

 そもそもSNS投稿というアクションにさえ慣れていないアスリートも多かったが、「皆さん、すぐに私たちの想いに共鳴してくれた」と振り返る。「例えばサーフィンの前田マヒナ選手は、ご自身がいわゆる日本の“カワイイ”とはちょっと違うことを自覚されているから、周囲の期待との競争というプレッシャーを体験されていて、ご自身の体験を強く発信する意思を示してくださった。でも、その時も周囲の方が『もうちょっとオブラートに包んだほうが良いよ』と助言していること。それもまた彼女たちが、周囲の期待との競争を強いられているエピソードなのかもしれないと思った」そうだ。

アスリートが競争の
プレッシャーを語るのは、
意義深い

 強い意志を抱きながら「#NOCOMPETITION 美は #競争ではない」というキャンペーンをローンチした「SK-Ⅱ」に対して、IOCアニータ・デフランツ委員は、1970〜80年代にボートの選手として活躍した当時と今を比較しながら、「あの頃は2割程度だった女性も、東京2020オリンピックでは半数に上り、オリンピックは本当の意味で人類の大会となった。アスリートは競争するのが大好きな人たちだけれど(笑)、同時にライバルを認め合える人たちでもあって、世界を転戦しているから異なる国、異なる人種、異なる競技の人は、異なる考えを持っていることを体感している。そんな彼女たちが競争のプレッシャーを語りながら、真に自分らしくあることの価値を説くのは意義深い」と話す。東京には、オリンピックだけで約7000人の女性アスリートが来日予定。「『SK-Ⅱ』のプロジェクトは、アスリートの身体能力や技だけでなく、これまでの生き方、苦しみ、未来への抱負さえ語るもの。アスリートの新たな一面を知る契機だし、知れば、オリンピックがもっと楽しく、感動しながら観戦できるかもしれない」と続けた。

 「共感」しなければ、女性はもちろん、消費者は反応しない時代。ブランドが人々の共感をつかむ術は、この複雑な社会を、製品やサービスを通じてどう改善したいのかという大義を主張することだ。人間は千差万別だから、大義のように強い意志は、否定的なリアクションに繋がるかもしれない。けれど、勇気を持って意志を示さなければ、消費者は無関心・無反応なままだ。競争の舞台で、「#NOCOMPETITION美は #競争ではない」という意志を示した「SK-Ⅱ」、それに賛同したアスリートのリアルボイスが女性にどう届くのか、注目したい。

※ ピテラ: ガラクトミセス培養液 (整肌保湿成分)。The Procter & Gamble Company の登録済み商標
PHOTO : Yuri Hasegawa

問い合わせ先
SK2

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#モードって何? エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年9月11日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

#モードって何?

 このレターを初めて2カ月近くなりますが、今日はこれまでで一番「IN FASHION」っぽいタイトルだな、と我ながら思います。このレターを受け取る皆さまの大部分はファッションが好きだったり、ファッションに関心があったりすると思います。そんな皆さまにお伺いしたいです。モードって何でしょう?皆さんなら何と定義しますか?

 始まりは、2019年4月に発行した特集「業界基礎知識AtoZ」の制作過程でのことでした。SNSを通じてユーザーから「WWDジャパン」への質問を募ったところ、「つまるところ、モードって何ですか?」とか「モードってどういう意味ですか?」という質問が届きました。

 いざ回答を書こうとPCに向かうと、これが結構な難題で……。「モード」はフランス語であり、英訳したら「ファッション」になるけど、「ファッション」のニュアンスだけでは説明は不十分。ファッションの歴史をひも解きつつ、時代背景を反映して、むにゃむにゃむにゃ。悩ましいです。

 分からないことはその道の人に聞きに行け、が記者業の鉄則。という訳で9月16日号ではズバリ「モードって何?」をテーマに特集を組み、30人超の方たちへこの問いを投げかけています。デザイナーや経営者、クリエイターにこの質問を毎日ぶつけるうちに、ボンヤリとしていた輪郭が少しずつクリアになってきて、校了まであと2日の今、何かしらの結論にたどり着けそうなところまで来ました。若干、悟りの心境です。

 そんな中、本日力説させていただきたいのは、ファッション研究者や学者と言われる人たちの存在の大切さです。「研究者?ファッションビジネスを実際にしていない人が机上で何言ってやんでい」と思う方は少なくないと思います。それこそメディアは服を売らない仕事ですが、そんなメディアを生業にする私ですら、そう思う節はありましたから。でも、私が間違っていました。今回の取材を通じて学者たちの言葉からもらうキズキはとても多かったです。

 ビジネスに追われるとどうしても近視眼的になりがち。せいぜい半年先のことしか考えられないなんてフツウだと思います。私なんて来週号のことで頭がいっぱい!研究者たちは事象を鳥の目で俯瞰し、過去と現在の検証の先に未来を描いています。そしてそれを言葉にします。彼らと話すことで行き詰った思考に風穴が開く瞬間がある、そんな経験を何度もしました。だから、これらはぜひ読んで欲しいのです。きっと皆さまにも何か発見を得てもらえると思います。

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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#モードって何? エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年9月11日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

#モードって何?

 このレターを初めて2カ月近くなりますが、今日はこれまでで一番「IN FASHION」っぽいタイトルだな、と我ながら思います。このレターを受け取る皆さまの大部分はファッションが好きだったり、ファッションに関心があったりすると思います。そんな皆さまにお伺いしたいです。モードって何でしょう?皆さんなら何と定義しますか?

 始まりは、2019年4月に発行した特集「業界基礎知識AtoZ」の制作過程でのことでした。SNSを通じてユーザーから「WWDジャパン」への質問を募ったところ、「つまるところ、モードって何ですか?」とか「モードってどういう意味ですか?」という質問が届きました。

 いざ回答を書こうとPCに向かうと、これが結構な難題で……。「モード」はフランス語であり、英訳したら「ファッション」になるけど、「ファッション」のニュアンスだけでは説明は不十分。ファッションの歴史をひも解きつつ、時代背景を反映して、むにゃむにゃむにゃ。悩ましいです。

 分からないことはその道の人に聞きに行け、が記者業の鉄則。という訳で9月16日号ではズバリ「モードって何?」をテーマに特集を組み、30人超の方たちへこの問いを投げかけています。デザイナーや経営者、クリエイターにこの質問を毎日ぶつけるうちに、ボンヤリとしていた輪郭が少しずつクリアになってきて、校了まであと2日の今、何かしらの結論にたどり着けそうなところまで来ました。若干、悟りの心境です。

 そんな中、本日力説させていただきたいのは、ファッション研究者や学者と言われる人たちの存在の大切さです。「研究者?ファッションビジネスを実際にしていない人が机上で何言ってやんでい」と思う方は少なくないと思います。それこそメディアは服を売らない仕事ですが、そんなメディアを生業にする私ですら、そう思う節はありましたから。でも、私が間違っていました。今回の取材を通じて学者たちの言葉からもらうキズキはとても多かったです。

 ビジネスに追われるとどうしても近視眼的になりがち。せいぜい半年先のことしか考えられないなんてフツウだと思います。私なんて来週号のことで頭がいっぱい!研究者たちは事象を鳥の目で俯瞰し、過去と現在の検証の先に未来を描いています。そしてそれを言葉にします。彼らと話すことで行き詰った思考に風穴が開く瞬間がある、そんな経験を何度もしました。だから、これらはぜひ読んで欲しいのです。きっと皆さまにも何か発見を得てもらえると思います。

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スイス発高級インナーウエア「ハンロ」CEOが語る「高級下着のグローバル化」

 スイス発「ハンロ(HANRO)」は、上質な天然素材を使ったインナーウエアとラウンジウエアの高級ブランドとして知られている。1884年に創業した老舗ブランドを世界50ヵ国で販売するグローバルブランドへと成長させたのは、2006年9月から同社を率いるステファン・ホーマン(Stephan Hohmann)最高経営責任者(CEO)だ。就任以降19年までの13年間で同ブランドの売り上げは2倍になり、現在も年々売上高を伸ばしている。その成長の背景について、オーストリア・フォアアールベルク州のハンロ本社で話を聞いた。

 「ハンロ」は、1884年にスイス・バーゼルの南約17kmのリースタルで創業以来、上質な天然素材を用いたタイムレスなインナーウエアを提案してきた。1991年にオーストリアのフーバー ホールディングス(HUBER HOLDINGS)の傘下になり、現在は本社をスイスとの国境に近いオーストリアのフォアアールベルク州ゲツィスに構えている。国別の売上高は米国が最も多く全体の約30%、次にスイス、ドイツ、英国、フランス、オーストリア、日本と続く。

 製品に使われる生地のほとんどは本社に隣接する工場で編み上げられ、ポルトガルの自社工場で縫製されている。糸やレースもヨーロッパ内で生産されたものを使用。製品のほぼ全てがメード・イン・ヨーロッパで、全製品が繊維の安全性と信頼性を証明するエコテックス100認証を取得している。16年には、「パリ国際ランジェリー展(SALON INTERNATIONAL DE LA LINGERIE)」でデザイナー・オブ・ザ・イヤー(DESIGNER OF THE YEAR)を受賞し、品質のよさだけでなくファッション性の高さも評価されている。

ブランドの顔となる商品を確立し技術革新と
ファッション性を備えたブランドとしてアピール

 ホーマンCEOは就任後売り上げを2倍にできた理由について、「チームと商品の再構築に尽きる」と語る。チームの再構築については「人材が鍵だ。就任当時デザインは外注だったが、社内にデザイナーを置いてクリエイティブの質を上げた。グローバルブランドとして成長するためにセールスチームもエリア別に責任者を置き、細やかな対応ができる体制を整えた。それによりフランスは売り上げが5倍となり、百貨店のボン・マルシェ(LE BONMARCHE)では常にブランド別売り上げ2位をキープしている」と続ける。商品については「06年に、新しいベーシックラインとして当時はまだ珍しかった50ゲージのコットンを使用した“コットンセンセーション”シリーズを発表し、10年には日本でも人気の“コットンシームレス”シリーズを、生地と加工を変えて発売した。それにより高品質なだけでなく、技術革新とファッション性を備えたブランドであることをアピールできた」と言う。現在の売り上げの30%以上を占めるラウンジウエアを充実させたことも、売り上げ伸長につながっている。イメージビジュアルも含めてラウンジウエアのファッション化はシーズンごとに進んでいるが、「『ハンロ』は下着売り場から出ることはない。より多くの人に『ハンロ』を知ってもらい、下着売り場で一番のブランドになる事を目指す」と目標を語った。

見て、触れて、感じられる実店舗に注力

 成長の理由は売り場にもある。ホーマンCEOは「ロンドンのハロッズ(HARRODS)、パリのボン・マルシェ、ニューヨークのサックス・フィフス・アベニュー(SAKS FIFTH AVENUE)など、世界の主要都市にミリオンストア(年間約1億2000万円以上売る店)が10店舗ほどある。世界中どこでも一環したイメージの店舗であることが重要だ」と話す。1年前にブレランドで統一した什器とVMDを導入したニューヨークのブルーミングデールズ(BLOOMINGDALE’S)は売り上げが約20%増になるなど、コンセプトを統一した売り場にすることで売り上げがアップするケースも多いようだ。今後、eコマースも進める予定だが、「まずは実店舗。『ハンロ』を見て、触れて、感じられる店舗が大切で、ふさわしい場所に出店していく。消費者に直接触れてブランドのメッセージを伝えていきたい」と、あらためて実店舗の重要性を述べた。

 ホーマンCEOの「直接メッセージを伝えたい」という思いは、消費者だけでなく各国の販売スタッフとの関係にも及ぶ。同社は日本を含む各国の百貨店バイヤーや専門店オーナー、販売スタッフなどを積極的に本社に招き、ホーマン社長自ら先頭に立って工場見学で説明を行ったり、商品について学ぶワークショップを開催したりしている。その方が、派手な広告を出すより「ハンロ」のブランド哲学と商品の価値を理解してもらうのにふさわしいという判断からだ。人と人とのつながりを大切にし、真摯なモノ作りと控えめな表現で真のラグジュアリーを提案する“ハンロイズム”ともいえるその精神は、本社で働くスタッフ全員に浸透していた。それがブランディング成功の礎であることを実感した。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

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鈴木敏仁USリポート ビューティ専門店「セフォラ」の出店拡大の背景

 アメリカ在住30年の鈴木敏仁氏が、現地のファッション&ビューティの最新ニュースを詳しく解説する連載。今回はビューティ専門店チェーンであるセフォラ(SEPHORA)の成長とその戦略をリポートする。

 ビューティ専門店チェーンのセフォラが今年の新店計画を発表した。昨年の新店数のおよそ2倍となる100店舗を北米にオープンするという。同社はフランス企業のLVMH傘下で、コングロマリットのLVMHは事業ごとの詳細な数値を公表しておらず、セフォラもご多分にもれず正確な数値は不明なのだが、2018年度の店舗数はグローバルで約1900店舗と記載されていて、これに加えて百貨店のJ.C.ペニー(J.C. PNNY)内にインストアショップとして660店舗を有しているので総数は2500店舗前後となる。

 アメリカ国内の店舗数も未公表なのだが、ある資料によると昨年半ばの時点で単独店舗が約500店舗、そして昨年の新店予定数は35店舗となっている。今年の新店計画の100店舗にはJ.C.ペニー内のインストアショップを含んでいないようなので、35から100へと新店数を急増させたことになり、絶好調なのだろうという推測が成立する。

 アメリカ国内には競合するビューティ専門店チェーンとしてもう1社、アルタビューティ(ULTA BEAUTY)がある。こちらも好調で、一昨年度の売上高は67億1661万ドル(約7388億円)で前年比14.1%増、既存店成長率は同8.1%増、店舗数は1174店舗で新店数は107店舗だった。ネット販売がリアル小売業界をディスラプト(崩壊や粉砕)しているという論調で語る人が少なくないが、そういうわけでもないということが分かる。

 ちなみにセフォラの年商は私の推計で100億ドル(約1兆1000億円)を超えている。ビューティを専門店として売るだけで1兆円を超えるのだ。日本にはビューティ売り場を持つ企業が多いが、専門店フォーマットとしてここまで大きな企業は存在せずイメージしづらいかもしれない。世界にはそういう小売企業が存在するのである。

セフォラの出店が新しいステージへ

 今年のセフォラの新店計画で目を引くのは、店舗数の急増だけではなくて、出店する立地も今までとは異なっている点である。今までの店舗のほとんどはモール内だったのだが今年からはモール外に積極的に出していくとしている。またニューヨークやロサンゼルスといった人口の多い大都市に集中させてきたのだが、今年から中規模都市にも進出していくという。

 セフォラの創業は1969年のことで、イギリスのブーツと香水チェーンによる共同事業から始まっている。93年にドミニク・マンドノー(Dominique Mandonnaud)氏が買収して自身の香水チェーンと統合したが、このマンドノー氏がカウンター越しに対面で売る従来の売り方からセルフ環境で売る手法へと変え、これが今の成功へとつながっている。

 ビューティは高価格帯で対面要件がつくプレステージと、低価格帯でセルフで売ることができるマスとに、大きく2つに分類することができるのだが、これをコントロールしているのはブランドメーカーである。商品を置く店舗を厳選し、自社が雇う美容部員を配して他人には売らせないのがプレステージである。ところがお客の中には誰かを介さないと買えない対面販売が面倒だと感じる人もいるし、買わされてしまうという心配から敬遠する人もいる。また、対面販売が成立する要件は販売する側と買う側に情報の非対称が存在することなのだが、メディアの普及で十分な情報を持つ消費者が増えて対面ニーズが薄れ始めた。

 こういった消費者の変化をセフォラは捉えて、セルフでプレステージを売る売り場環境を作り、いわば売り方の革新を起こしたのだ。実はアルタビューティも類似するフォーマットを展開しているのだが創業は90年なので、どちらがオリジナルなのかは今となっては分からない。ヨーロッパとアメリカでほぼ同時期に同じような特徴を持つフォーマットが生まれたのである。

 アルタビューティは他にもユニークな特徴を持っているのだが、詳しい話は別の機会に譲るとして、両社の最大の相違点は立地にある。セフォラはモール内、アルタビューティはモール外なのだ。アルタビューティは主に中商圏規模のコミュニティー型ショッピングセンターに出店する。

 プレステージブランドは百貨店による独占販売に近い存在で、これを同じモール内に立地するセフォラが徐々に崩していった。消費者の買い方の変化と、百貨店自体の集客力の低下の2つが追い風となったのだが、ブランドメーカーも売り上げが伸びない百貨店の外に販路を求め始めていて、そこにセフォラとアルタビューティの新しいフォーマットがマッチしたのだと考えられる。

百貨店にとっては驚異

 セフォラがモール外にこれから店舗を増やしていくのは、モール内でのビジネスがそろそろ飽和し始めたからだろう。そしてこれで影響をこうむるのは直接競合するアルタビューティと、近隣で買えるようになることで消費者の足がさらに遠のく百貨店ということになる。今後のモール外の新店の面積は既存の5500スクエアフィート(510平方メートル)から4000スクエアフィート(372平方メートル)に縮小すると言っているので、小商圏出店も想定しているのだろう。

 ある調査会社によると、アメリカのビューティ市場は2009年から10年間で52%伸びたという。これは市場全体の成長率なので年平均5%という伸びは高く、さらに今後もしばらく続くだろうとみられている。アメリカでは新興のデジタルブランドが続々と誕生しているのだが、一つには市場全体の大きな伸びがある。セフォラの積極的なリアル店舗の拡大戦略も市場の成長が背景にあるといってよい。

鈴木敏仁(すずき・としひと):東京都北区生まれ、早大法学部卒、西武百貨店を経て渡米、在米年数は30年以上。業界メディアへの執筆、流通企業やメーカーによる米国視察の企画、セミナー講演が主要業務。年間のべ店舗訪問数は600店舗超、製配販にわたる幅広い業界知識と現場の事実に基づいた分析による情報提供がモットー

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「スターバックス リザーブ ロースタリー 東京」が1周年 コーヒーへのこだわりあふれる特別メニューを用意

 中目黒駅から目黒川沿いに歩いて約15分。「スターバックス コーヒー」の日本初の焙煎所内設型大型店「スターバックス リザーブ ロースタリー 東京」が28日で1周年を迎える。普段から利用する人も多い「スターバックス」とは、ひと味もふた味も違う上質なコーヒーやカクテルが楽しめ、連日朝から晩まで賑わいを見せる同店。ここでは1周年を記念して登場するスペシャルメニューをリポートする。

 19日、メディア向けの1周年記念メニューの試飲会が同店で行われた。「私たちが常に中心に捉えているのは『コーヒーへの情熱』であり、お客さまに革新性あるサービスを体験いただくことを心掛けている」と水口貴文・スターバックス コーヒー ジャパンCEO。同店では、ウイスキー樽で香り付けをしたこだわりのコーヒーや、さまざまなリキュールとのマリアージュを楽しむコーヒーカクテルなど、他では味わえない1杯を用意。また、バー型の飲食スペースや開放感のある屋外テラスなど、豊かな時間を楽しめる環境設計も特徴で、「この1年、『スターバックス リザーブ ロースタリー東京』において、日本および世界中から訪れるお客さまとパートナー(従業員)が、特別な瞬間を分かち合う場所として、育ちつつあることを実感している」と力を込める。1周年記念商品も、そんな同店のこだわりと特別感が凝縮されたドリンクがそろっており、中でも特におすすめの4商品を紹介する。

“バレルエイジド ハイボール”(900円)

 バーボンウイスキーの樽で熟成させたコーヒー豆をコールドブリューで抽出したビバレッジ、バレルエイジド シリーズに、ハイボールタイプが登場。価格も値ごろに、気軽に楽しめるよう開発されたというハイボールは、水出しコーヒーに2種類のシロップを加え、炭酸水で割ったもの。グラスの縁に飾られたレモンピールが嗅覚を心地よく刺激し、微炭酸とともに爽快感を与えてくれる。氷が溶けても味のバランスが保たれるよう計算されているため、テイクアウトもOK。新たなコーヒー体験となること間違いなしの一品だ。

“ティバーナ クリーム ソーダ さくら”(900円)

 折り紙をモチーフにした天井や茶室をイメージした空間作りなど、随所に和の要素が盛り込まれた2階「ティバーナ」では、福岡産八女茶とチェリー、ハイビスカス、バラ、マンゴーをブレンドした「さくら アリュール」を使った6品を周年メニューとして再販。中でも特におすすめなのが、ピンクのグラデーションが美しい「ティバーナ クリーム ソーダ さくら」。甘酸っぱい味わいのさくらアリュールにアイスを少しずつ溶かしながら、ミルク感をプラスして楽しみたい。

“スターバックスリザーブ エスプレッソ マティーニ”(2000円)

 昼夜問わずに賑わいを見せる本格的なバー、3階「アリビアーモ」からも、1周年を記念した商品が登場。その一つは、世界のカクテルシーンで注目を集めているエスプレッソ マティーニのスターバックス版として考えられた「スターバックスリザーブ エスプレッソ マティーニ」。ウォッカとバニラビーンシロップ、エスプレッソを合わせたカクテルは、シンプルな構成ゆえ上質なエスプレッソとバーテンダーの腕が美味しさの要に。なめらかな質感のフォームの上には中目黒「グリーン ビーン トゥ バー チョコレート」のチョコレートを削ったものが加えられ、ビターなカクテルに心地よいアクセントとなっている。

“スプリングシャワー”(2000円)

 シェリー酒をベースに、日本の蒸留酒2種とハニーシロップを合わせ、仕上げに少量の水出しコーヒーを表面に浮かせた「スプリングシャワー」は、華やかな味わいのカクテル。表面に浮かぶ桜の花びらが優美で、贅沢なひと時を演出。桜の季節にベストマッチのカクテルだ。

■スターバックス リザーブ ロースタリー 東京
住所: 東京都目黒区青葉台2-19-23
営業時間:7:00~23:00

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ベイクルーズの「プラージュ」に26歳の2人がつくる20代のための新しいライン

 ベイクルーズグループのフレームワークスが運営する“女性らしさ”と“リラックス感”がキーワードのウィメンズブランド「プラージュ(PLAGE)」の2店舗目が2月22日、東京・青山にオープンした。場所は港区南青山5-4-41で、1階には同グループのシティショップ(CITYSHOP)が入る。新店舗のオープンに伴い、新ライン“ヴォン エ プラージュ(VENT ET PLAGE、以下ヴォン)”もスタートした。“ヴォン”はこれまで「プラージュ」に関わっていた森次まりなプレスと眞壁ヌールエ幸波デザイナーの26歳の2人が手掛ける。30代後半~40代をターゲットにする「プラージュ」とは異なり、世界観はそのままに2人と同じ20代をターゲットにしたラインだ。どのようなものになるのか、オープン前日のレセプションパーティーで2人に尋ねた。

WWD:“ヴォン”はどんなライン?

森次まりなプレス(以下、森次):「プラージュ」はTPOに合わせた服装で、“コレにコレを合わせる”みたいな正解があるのですが、“ヴォン”には正解がなく、自由なファッションを楽しんでもらうということを一番大事にしています。ブランド名の“プラージュ”はフランス語で浜辺を、“ヴォン”は風を意味します。決まった形がなく何にでもなれるという意味を込めてつけました。毎シーズン打ち出すアイテムも変わっていき、デビューシーズンは「リゾートワンピ」を提案します。

WWD:「プラージュ」との違いは?

森次:「ヴォン」では“ヘルシー”をキーワードにしました。だから肌の露出が少ない「プラージュ」に比べて大胆な肌見せもあります。あとは、「プラージュ」のブランドカラーであるベージュはあえて使っていません。線引きは難しいのですが、差別化も兼ねて、“女性らしさ”よりもヘルシーさをもっと出したいと思ったからです。

眞壁ヌールエ幸波デザイナー(以下、眞壁):一番大事にしているのは、私たちが欲しいかどうか。ワンピースのサンプルを上げて、実際に着るかどうか。そこからもっと色展開が欲しいと思ったら広げていくという流れで進めました。「プラージュ」のお客さまのデータを取ると身長150cm台の方が多く、そういった方に合わせて作っているので、私たち(森次が167cm、眞壁が161cm)が着るとスカートやワンピースの丈が短いことも多かった。だけど“ヴォン”は丈のレンジを広めにとっているので、一番大きいサイズだと私たちが着てもすれすれになるくらいの思い切った丈感にしています。

WWD:「プラージュ」と価格帯は異なる?

森次:違いはあまりありません。もう少し安くした方が若い子も手に取りやすいかなと思ったのですが、そうすると生地にこだわれなくなる。生地のランクを下げると「プラージュ」ではなくなります。ワンピースで2万6000~3万4000円、キャミワンピだと2万円台前半のイメージ。ちょっと背伸びしてでも買いたいと思ってもらえるブランドにしたいです。

WWD:一つの店の中に異なるターゲットの洋服が混在することになる。青山店の商品構成は?

森次:“ヴォン”自体は大量に作るというブランドではなく、青山店とオンラインでしか販売しない希少価値のあるブランドにしたいと思っています。店内にも2ラックだけ。毎月6型を入れ替えていく予定です。

眞壁:大人のアイテムが得意なブランドなので、これまでのお客さまにも理解してもらえるように商品構成やバランスも大切だと思っています。

WWD:ベイクルーズは「オリエンス ジャーナルスタンダード(ORIENS JOURNAL STANDARD、以下オリエンス)」など、若者の取り込みに積極的だ。

森次:セレクトショップはどうしてもお客さまの年齢層が高くなりがちなところがあって、多くのブランドのメインターゲットが30代中盤になっています。ただ実際に働いていて、若い人にもブランドのファンになってほしいという思いはあるので、“ヴォン”をフックに20代のお客さまにもブランドのことを知ってほしいです。

WWD:認知度を広げていくために取り組んでいくことは?

森次:ベイクルーズ全体で見れば後輩が手掛ける「オリエンス」などの若いブランドもあって、お客さまの年齢層も幅広いので、ECの購入者にカタログを同梱させてもらったり、ベイクルーズのインスタのアカウントを使って告知させてもらったり。徐々に認知度を上げていきたいです。

WWD:そもそも、同年代のスタッフが手掛ける「オリエンス」は自分たちの作るものより若いと思う?

眞壁:ジャンルの違いというのもあるけれど、20代は1~2歳違うだけで急に感覚が変わります。20代は年齢で好きなモノが変わると思うので、その波をどうつかまえられるかが肝心です。

WWD:今後の目標は?

眞壁:同年代への浸透です。私たちの世代だとアパレルで働いていない子たちは、服に興味がなかったりします。多くの人に知ってもらって、買ってもらえるブランドを目指したいです。

森次:“ヴォン”を通して、その上にある「プラージュ」の認知度が上がったらいいなと思っています。私たちもあと4年で30歳になりますし、“ヴォン”を好きになってくれた人たちがそのまま年を重ねながら「プラージュ」も好きになってくれたら一番うれしいですね。

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パリコレ2日目のハイライト マスク姿に戦慄「マリーンセル」「ディオール」「アンリアレイジ」「サンローラン」の速報も

マリーン セル(MARINE SERRE)

DESIGNER/マリーン・セル(Marine Serre)

 根底にあるテーマは変わらず、温暖化が進む地球とそこで生き延びようとする人間たち。登場するルックも既視感あるものが多いが、マスクやフードで身を守る姿は新型コロナウィルスにおびえる現代人を投影しているようで迫りくる。会場は現代アートを扱うアートスペース。19世紀から長く葬儀場として使われたと聞けば一層おどろおどろしい。そんな演出をのぞけば、サバイバルに適した服とはつまりは機能的で動きやすい服。ボディースーツとジャージーといったヨガウエアのような服や日よけつきの帽子とつなぎ、ハンズフリーになるボディーバッグなど。最後はおそろいのフリルのドレスを着た幼い姉妹が手をつないで登場し明るい未来をのぞかせる。

ディオール(DIOR)

DESIGNER/マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)

 出発点は、マリア・グラツィア(Maria Grazia)がまだ10代だった頃の日記。その中の写真からイメージをふくらませ、1970年代ムードにスポーティーな要素を掛け合わせた。キーモチーフは、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)が愛したチェックとドット。チェックは、マルク・ボアン(Marc Bohan)時代のバイアス使いのスタイルをスカートのシルエットの着想源にしたほか、さまざまな色とデザインでコートやジャケット、ドレスに落とし込んだ。一方、ドットは黒のネクタイで引き締めたシャツや柔らかなドレスに採用した。デザインで印象的なのは、フリンジ。アウターやスカートの裾のディテールや糸状の細い長いもので仕立てたドレスが、躍動的なイメージを生み出す。また今季は、ファーストルックのスーツスタイルを筆頭に、ニットでの表現も豊富だ。

アンリアレイジ(ANREALAGE)

DESIGNER/森永邦彦

 「アンリアレイジ」はもう5年以上パリコレで発表しているが、昨年の「LVMHプライズ」でファイナリストに選ばれた経験は、森永邦彦の自分らしいクリエイションへの自信につながっただけでなく、周りからの見る目も変えた。それは、ショーの空気感からも感じられる。

テーマは“ブロック”。「つくってはこわし。こわしてはつくる。」をキーワードに、半円柱や直方体、三角柱といった積み木のような形をした複数のパーツをつなぎ合わせて作る構築的なウエアを披露した。縫うのではなくブラインドホックを使うことで、自由に組み合わせたり、取り外したりできる構造になっているのがポイント。裾や袖の長さも、パーツの付け外しで調節可能だ。ベースとなるアイテムは、トレンチコートやMA-1、ジャケット、アランニット、ダウンコート、ダッフルコートといったワードローブの定番が中心。終盤には、さまざまなアイテムのパーツをハイパーミックスしたスタイルで、子どもがおもちゃで遊ぶように無邪気に楽しめるファッションを提案した。

サンローラン(SAINT LAURENT)

DESIGNER/アンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vaccarello)

 エッフェル塔前の広場に今季は巨大なテントを建て、これまた巨大な「YSL」のロゴを前にワンウエイショーを行った。ムッシュ・サンローラン時代のアーカイブから着想を得た生地を使い、1990年代調に落とし込む。曲線美を見せつけるスタイルは変わらずだが、真冬のホットパンツは封印し代わりにカラフルなレギンスを選んだ。主役は何と言ってもバリエーション豊富なジャケットで、素材や色を変えて“これでもか!”と言わんばかりにメンズライクなテーラードを打ち出した。大きなラペルの中に合わせるのはボウタイブラウスかハイネックのニットと、こちらも潔い。情報過多な時代、強烈な演出と徹底的にひとつのアイテムに絞り込む見せ方はうまい戦略だ。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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キーマンに聞く なぜジーンズのカイタックは福岡に商業施設を作るのか?

 ジーンズブランドの「ヤヌーク(YANUK)」などを扱うカイタックインターナショナルをはじめ、繊維総合商社のカイタックトレーディング、総合アパレルメーカーのカイタックファミリーなどからなるカイタックホールディングス(岡山県、貝畑雅二代表取締役会長兼社長)は4月28日、福岡市にエリア最大規模となる4階建ての複合施設「カイタック スクエア ガーデン(CAITAC SQUARE GARDEN)」(福岡県福岡市中央区警固1丁目)を開業する。敷地面積は約8000平方メートルで、19のテナントが入る。福岡で陣頭指揮を執る、カイタックホールディングスの中原伸広アキアゴーラカンパニー社長に話を聞いた。

WWD:「ヤヌーク」などのブランドビジネスを主とするカイタックホールディングスは本来店子(たなこ)だが、それが大家となる。博打(ばくち)とも言えるのでは?

中原伸広アキアゴーラカンパニー社長(以下、中原):英断と言ってほしい(笑)。ひとえに貝畑(雅二カイタックホールディングス代表取締役会長兼社長)の英断によるものだ。

WWD:九州の商圏をよく知る中原社長がいたからこそできたのでは?

中原:私のことはともかく、商圏として活気の残る“福岡だからできた”ことは事実だ。ただし福岡の地代は年々上がっており、今や東京や大阪と変わらない。

WWD:つまり、それなりの投資になった?

中原:数十億円規模のビジネスだ。カイタックホールディングスの売り上げは700億円超なので指摘の通り、それなりの投資となる。

WWD:そもそも、なぜ大家になろうとしたのか?

中原:私が社長を務めるアキアゴーラカンパニーは、九州(を中心に西日本エリア)におけるカイタックホールディングスの小売り部門を担当している。東京や大阪と比べて、九州では郊外のショッピングセンターに店子が集まりづらい実状がある。そこでわれわれが出店する際には、同業他社に声を掛けていた。つまり皆、顔見知りであり、これまでの方法をもとに、たまたまカイタックホールディングスが“親”となったのが今回のケースだ。

WWD:アキアゴーラカンパニーは、2019年4月にオープンしたビオトープ(BIOTOP)福岡やロンハーマン(RON HERMAN)福岡店の出店にも尽力したと聞いた。

中原:土地と建物の準備は当社が行った。“セミ・デベロッパー”的立ち位置だ。

WWD:そういったノウハウが「カイタック スクエア ガーデン」にも生きた?

中原:そう言えるだろう。ほかにもアキアゴーラカンパニーは、フランフラン(FRANCFRANC)などと協業して“アキアゴーラペヂードグランチ”の屋号で九州でファッション&雑貨店4店舗を運営している。ここで培った経験も役立った。

WWD:19のテナントの決定はスムーズだった?

中原:とんでもない(笑)!これも東京や大阪と異なり、九州では販売員の確保も難しい。だから「カイタック スクエア ガーデン」では、テナントに「店休日はバラバラでよい」と伝えている。営業時間も11~19時半が主で、これだとワンシフトで回り、現場・運営ともに負荷が少ない。

WWD:リーシングは中原社長自らが担当した?

中原:そうだ。「カイタック スクエア ガーデン」の建つ警固は“これから”のエリアであり、博多や天神・大名とは異なる。店子としては恐さもあるだろう。だから丁寧にプレゼンした。結果として、福岡在住の若手経営者たちが賛同してくれた。彼らのコミュニティーをもとに、「カイタック スクエア ガーデン」が新たな“場”となることを期待している。

WWD:「カイタック スクエア ガーデン」のオープンにより、カイタックホールディングスが得られるものとは?

中原:長期ビジネスのノウハウだ。MDを変えつつ、地域に寄り添っていきたい。われわれにはブランドの開発力、卸の実績、小売りの経験がある。それらは全て「カイタック スクエア ガーデン」の運営に役立つ。

WWD:「カイタック スクエア ガーデン」の、既存の複合施設にはない特別性とは?

中原:パートナーシップを結ぶ、イベント制作会社「セブンセンス」の存在だろう。吉田拓巳社長は15歳で起業し、現在24歳。オフィスが別棟に入り、彼らが運営する九州最大規模のイベントスペース「ワスク」が本館2階にオープンする。ワスクは若い出店者のコミュニティースペースともなるだろうし、セブンセンスには「カイタック スクエア ガーデン」のスーパーバイザーでいてほしい。

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またまたミラノ日記番外編 新型コロナで無観客ショーの「ジョルジオ アルマーニ」が12人の中国人モデルと中国に祈り捧げる

 終盤、突如蔓延し始めた新型コロナウイルスに揺れた2020-21年秋冬ミラノ・コレクションが終わりました。この原稿は今、経由地のパリに向かう飛行機の搭乗前、ミラノのマルペンサ空港で書いています。25日朝(イタリア時間)の段階で、イタリア国内の感染者数は270人以上。死者は7人です。昨日からは学校も閉鎖され、後輩記者は27日予定だった帰国を25日に前倒しました。イタリア政府の対応が迅速ゆえ、万が一ミラノで患者が見つかり増えた場合、街から出られなくなる恐れがあると判断しました。

 政府の迅速な対応、そして、ブランドの勇気ある決断により、今シーズンは3つのブランドがいつものショーを開催できなくなりました。「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」と「アツシ ナカシマ(ATSUSHI NAKASHIMA)」、それに「アレクサンドラ ムーラ(ALEXANDRA MOURA)」です。「アルマーニ」は無観客でショーを開催し、その様子を「Armani.com」などのオウンドメディアで公開。「アツシ」と「アレクサンドラ ムーラ」は、イベントそのものを中止せざるを得ませんでした。同じ日本人として「アツシ」は本当にかわいそうに思いますが、ブランドは今日、ミラノでルックブックを撮影しています。その写真は、間もなく「WWD JAPAN.com」でも紹介できるでしょう。

 「アルマーニ」のショーは当日23日の深夜、ホテルでサイトにアクセスし、鑑賞しました。いつもは数百人で賑わっている会場は、本当に無人。ショー会場の「アルマーニ/テアトロ」には10年以上通っていますが、こんなに寂しい空間は見たことがありません。そこに、モデルが現れました。ホームページによると、今シーズンのテーマは「ベルベットの風合い」。その名の通り、主役はブラックのベルベット。メンズウエアのようなジャケットやコートから、ドレス、ガウチョパンツ、そしてボウタイに至るまで、全85ルックのほとんどにブラックベルベットが登場。その美しさは、スマホからも明らかです。整った毛足は輝きを放ち、ビロードのように滑らか。漆黒ゆえ厳格ですが、柔らかそうで優しくもあります。リボンのように結ぶことができるくらいですから、相当柔らかいのでしょう。

 ブランドのPRからは、「アルマーニには、ベルベット担当がいるんです。だから『ジョルジオ アルマーニ』のベルベットは、別格。『エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)』のベルベットも素敵ですが、『ジョルジオ』は全然違います」と聞いたことがあります。アンコンジャケットの創始者にとって、ベルベットは特に重要な素材。そんな素材を贅沢に使った、渾身のコレクションを直接大勢に見せられなかったアルマーニさんの無念は、計り知れません。しかも彼は、現在85歳。どんなに元気でも、残されたランウエイショーは、100回に満たないハズです(彼はオートクチュールからメンズに至るまで、年間10のランウエイを開催しています)。その1回を、このような形で終えざるを得なかったことも、僕のエモーションを掻き立てます。

 そんなコトを思いながらショーを見ていたら、15分がすぎたところで12人の中国人モデルが現れました。彼女たちが身にまとうのは、20-21年秋冬ではありません。09~19年までのオートクチュール「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ(GIORGIO ARMANI PRIVE)」の中から厳選した、中国にインスピレーションを得たコレクションです。真紅のドレスにシノワズリのムード。12人が勢ぞろいするとアルマーニさんが現れ、客席に向かって手を合わせ、一礼し、微笑みました。誰も、いないのにです。

 誰もいない会場に向かっての一礼。それが僕には、中国で今なお猛威を振るう、新型コロナウイルスの沈静化を願う、祈りのように見えました。壁面のデジタルサイネージには雪が降り、中央には蓮の葉が浮かぶ池を模した空間。そして、12人の中国人モデルとアルマーニさん。新型コロナウイルスを広めてしまった中国を責めるでもなく、無観客のショーに落胆するでもないアルマーニさんを、ただただ素直に尊敬します。

 ショーの中止は終盤だけでしたが、ミラノ・ファッション・ウイークには序盤から中国人メディアとバイヤーの姿がありませんでした。これを受け主催者は、デジタルキャンペーン「China, we are with you.(中国よ、私たちは貴方とともに)」をスタート。中国版ツイッターのウェイボー(微博、WEIBO)の協力を得て、会期が終了するまでに18のショーをデジタル配信。主催者側の発表によれば、延べ1600万のアクセスがあったと言います。主催者は現在も各ショーのアップロードに取り組んでおり、間もなく公式スケジュールの全てのショーが中国でも楽しめるようになるそうです。

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販売数35万本の時計「ノット」 遠藤弘満社長に聞く成功術と未来

 平均価格約2万円の日本製時計で2万通り以上に組み合わせられる――それが「ノット(KNOT)」だ。クラウドファンディングにより資金を得た遠藤弘満社長が2014年にスタートさせた。口コミでファンを増やし、これまでに35万本を販売。その「ノット」が昨年末にテレビCMを放映し、5月には6カ国目となる海外店舗をフィリピン・マニラにオープンする。次なるフェーズに入った真意と狙いについて遠藤社長に聞いた。

WWD:今やカスタマイゼーション(パーソナライゼーション)はファッションビジネスに欠かせないキーワードの一つとなったが、「ノット」は時計分野でそれを先導した。トップランナーが感じる現在地点とは?課題についても聞きたい。

遠藤弘満KNOT社長(以下、遠藤):多くのメーカーが追随し、時計業界でもカスタムは一つのカテゴリーになった。しかし僕は、カスタムブランドを作ろうとしたわけではない。“カスタムだから売れる”わけでもない。これを見誤っているブランドが多い。“「ノット」が2万通り以上なら3万通り以上にしよう”“「ノット」がイージーオーダーならフルカスタムにしよう”では結果は出ない。同時に僕は、時計が“時を知る道具でいい”とも思わない。それならスマホで十分だし、このままでは“左手に何かが乗る当たり前”がなくなってしまうと感じ、新たな価値を創出するべく「ノット」に取り組んだ。

WWD:それは付加価値ということか?

遠藤:もっと平たく言えば“ファッション”だ。眼鏡が昇華されたように、僕は“時を知るための道具”にファッションをプラスした。ファッションとはコーディネートであり、コーディネートできない時計を売っていて何がファッションだ!が起点だった。

WWD:そんな「ノット」の客層について知りたい。

遠藤:決定率で言うと男女比は5.5:4.5だ。ブランド創設当初は9:1か、それ以上だった。現在は30代のカップルが多く、就学前の子どもがいるケースが多い。

WWD:「ノット」の強みとは?

遠藤:“体験可能な場”として店舗を持っていること。“ギャラリーショップ”と呼ぶ直営店を11、“コンセプトショップ”と呼ぶサービスなどについて特別な研修を行った卸先を5つ持つ。ギャラリーショップの中には19年12月、1号店である吉祥寺店の地下にオープンした“プレミアムサロン”も含まれる。機械式時計に特化したショップだ。これらとは別に、売り上げベースでは1割弱だが、純粋な卸先もある。

WWD:直近のオープン予定は?

遠藤:3月末~4月頭の予定で京都店が、また5月30日には「ニュウマン横浜(NEWoMan YOKOHAMA)」内に新店ができる。その先は、まず日本全国のエリアにギャラリーショップをオープンしたい。そのために、あと20店舗は必要だ。そのうえで25年までに約30店舗を開店したい。プレミアムサロンも増やしたい。

WWD:EC化率は?

遠藤:「ノット」はクラウドファンディングからスタートしたブランドなので、当初EC化率は100%だった。それが落ち着いて今は25%ほど。理想的な数字だと思う。まずは店舗で体験してほしいからだ。ECは、あくまで実店舗を補完する役割。

WWD:台湾、シンガポール、タイ、ベトナム、韓国と海外にも5店舗を持つ。海外戦略の今後は?

遠藤:5月にフィリピン・マニアに6店舗目ができる。アジア進出に障壁は感じない。しかし、同時に結果も出にくい。“アジア”とひと口に言っても多様で、数字で計りにくい部分がある。例えば日本なら平均収入の“山”となる部分が日本人像を形作るが、アジアの場合、上と下に振り切れた層がおり実像がつかみづらい。

WWD:欧米はどうか?

遠藤:現状、認知度はないに等しいが日本の店舗を訪れた客からは、「日本製の時計をこの価格で買えるのはすごい!」「すぐに私の国に出店すべきだ」と言ってもらえている。

WWD:ブームだった北欧系ミニマルデザインウオッチは失速した。そのユーザーを組み込めているか?

遠藤:取り込んでいるとも取り込んでいないとも言えない。「ノット」が独自路線をいくからだ。われわれは“サービスを売っている”と考えている。

WWD:フルオーダーに疲れた層に向けたイージーオーダーの選択はさすがだと感じた。今後、カスタムウオッチの分野はどうなると予想する?

遠藤:重要なのは、メーカーが“楽しさ”を提供できているかどうか。同時に、面倒くさい部分をメーカーがしっかり請け負っているかだと思う。

WWD:昨年末にテレビCMを放映したり、“ノット・スタイルブック”と名付けたライフスタイル誌のようなSPツールを製作するなど、“きちんとPRして大きく前進しよう!”というフェーズに入ったと推察する。それに至った経緯と、今後の具体策について聞きたい。

遠藤:おっしゃる通り、次のフェーズに進もうとしている。腕時計の裾野をいっそう広げたい。「ノット」の累計販売数は35万本で、20万人のメンバー(登録者)がいる。“100万ユーザーをつくろう!”が当面の課題だ。先日、外部の業者に依頼して全国の老若男女約2万人にアンケートを行った。その中で東京でのブランド認知度は23%だった。一方、沖縄では0%!われわれは19年6月に「サンエー浦添西海岸パルコシティ(PARCO CITY)」に出店したが、“売れないわけだ”と納得した(笑)。テレビCMはある種の所信表明とも言えるが、今後はオウンドメディアを核にしたい。それを支える存在としてSNSも強化する。

WWD:メード・イン・ジャパンを貫くための開発、それに伴う提携・買収についても聞きたい。

遠藤:無策な内製化は不要。アウトソーシングにも、しっかり投資をする。それが工場にとって保証や安心になるからだ。KNOTは創業から3年間、ラインの確保など工場との関係性づくりに終始した。

WWD:売上高や伸長率など、現在の好調さを示す数字を何か開示してほしい。

遠藤:具体的な数字はオープンできないが、今は“踊り場”にいる。

WWD:それは“上位置でキープできている”ということか?

遠藤:その理解でいい。機械式時計の売り上げは、前年比で10%増となっている。ただし数字をがむしゃらに追い求めるのではなく、“豊かに成長したい”と思っている。

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編集長はパリコレで何をした?Vol.1 新型コロナの不安を抱えた初日 「マメ」とアフリカ勢、「ルブタン」から元気をもらう

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向千鶴です。今週から2020-21年秋冬パリコレ取材に来ています。日記に入る前にちょっと長い前置きになりますが、聞いてください。

 新型コロナウイルスに関しては、イタリアで感染者が急増したことでヨーロッパでも緊張感が高まっています。パリコレに来ている関係者の数はいつもの1/4くらいでしょうか。ブランドのプレス担当者からは「行くのを止めました」と連日電話やメールをもらいます。皆さんプロなので冷静ですが、行間からはやるせない感情が伝わってきます。“個人的には行きたいけれど会社の指示で断念”とか“感染や人種差別が怖くて海外には行きたくない”、“仕事相手のことを考えて辞退”など本当にいろいろで複雑。出張に限らず、刻々と変わる状況を前にして、方針や正論ではかたずけられないいくつもの感情の間で揺れ動き、その中で何かを決断している人は多いのではないでしょうか。

 われわれも悩みましたが話し合い、細心の注意を払いながら取材をする選択をしました。正論はニュース媒体だから。それではかたずけられない個人的な感情は、こういう時だからこそそこで何が起きているのか、ファッションはどう動くのかを自分の目で見て伝えたいから、です。エゴかな。

 私以外の取材メンバーは、ドイツ在住で「WWDジャパン」のヨーロッパ通信員の薮野淳(長らくコレクション取材を担当しており歩くファッション辞典みたいな知識量。特にバッグや若手デザイナーへの愛情が半端ないです)と、ソーシャルエディターの丸山瑠璃(デジタルにめっぽう強く“歩くデバイス”みたいな24歳。今回はダニエル・リー(Daniel Lee)の「ボッテガ ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」のブーツをはいて走り回っています)。前置きが長くなりましたが、これから約1週間、それぞれの視点でのパリコレレポートにご期待ください!

1月23日(日)17:00
パリ到着と同時に「ピカール」へ

 パリに到着してすぐにスーパーと冷凍食品専門店「ピカール」(PICARD)に行って食材を大量に買い込みました。定宿はキッチン付きなので、今シーズンは外食をなるべく控えて自炊します。冷蔵庫が冷凍庫付きでホントよかった!もちろんお米とみそ汁は持ってきましたよ。移動は車を基本とし、窓を開けて、除菌アルコールを車に常備。車にお茶を常備するためポットも買っちゃいました。ほぼロケバス(笑)。ちゃんと寝てちゃんと食べて、薄着をしない。毎朝体温を測り万が一熱が出たらその日から取材を止めて部屋から出ない、が取材チームで決めたルールです。

1月24日(月)17:00
トップバッターは「マメ」

 さて、「マメ(MAME KUROGOUCHI)」が今季もトップバッターです。「マメ」が持つ日本らしさって着物など分かりやすいモノだけではなく、日常の習慣や所作といった目には見えない感覚だと思います。前回に続いてキーワードとなっている“包む”もそう。この言葉から自分が連想するのは、袱紗で祝儀や香典を包む行為とそれをするときの“そっと”した感情です。“包む”から広がった籠のイメージやテクニックがたくさん登場しましたが、それも床に座り籠を編む人の集中力や静かな動きが目に浮かびます。海外で発表している以上、肝心なことは海外の人にも伝わるかですが、会場で「マメ」を着ている人を見ると伝わっているな、と思います。

18:00
メランコリックな
韓国ルーツの「キムヘキム」

 移動中も気になるのは、日本から届く新型コロナ情報。韓国も感染者が急増している今、韓国にルーツを持つ「キムヘキム(KIMHEKIM)」の人の入りにも響く?なんてことが頭をよぎりましたが愚問でした。注目若手デザイナーは多くの人を集めていました。ロマンチックでパンキッシュ。音楽が最高で永遠のユース感。ファッションのある意味王道を行くスタイル、好きです。

19:00
アフリカ勢のハッピーオーラに
癒された「ケネス イズ」

 昨年度の「LVMHプライズ」のファイナリストのひとり、ナイジェリアの「ケネス イズ(KENNETH IZE)」の会場はアフリカ勢の応援団が集まり高テンション。これからアフリカが来るな~、を実感します。アフリカの伝統的な織物を使った服を男女や国籍問わず着て歩くショーはハッピーオーラ満載。客席も同様で、色々な国・肌の色の人が時間を共有しているからか、会場を後にする時は“パリコレで人種差別にあったらどうしよう”なんて危惧がすっかり薄らいでいました。

20:00
テンションマックス!な
「クリスチャン ルブタン」展覧会

 夜は12区の国立移民史博物館で開催される「クリスチャン ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)」のオープニングパーティーへ。ってなにこれすごい!巨大な建物が真っ赤に染まりルブタナイズされております。中はもう、めくるめくルブタンの世界で最高に楽しいです。詳細は追って(薮野が)リポートしますが、まずは写真をチラ見してください。ホテルを時に抱えていた不穏な感覚はすっかり消えていました。これがファッションのパワーですね。展覧会は5カ月開かれるそうで、必見です。

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「エルメス」好調を支えるバッグ以外のアイテムとは? 19-20年秋冬、百貨店で売れたもの VOL.1

 「WWDジャパン」2月24日号は、2019-20年秋冬版の「百貨店ビジネスリポート」が別冊付録となっています。同別冊は定期購読者向けサービスとしてスタートしましたが、19年春夏からは単独での販売も開始。全国約50の百貨店にアンケートを送付し、カテゴリー別の売り上げ進捗を掲載しています。別冊と連動する本紙企画では有力百貨店の特選(ラグジュアリーブランド売り場)バイヤーに、19年7~12月の商況を個別取材しました。特選は化粧品と共に、近年の百貨店の最重要分野の一つです。新型コロナウイルスの感染拡大で20年1月以降は状況が一変しましたが、19年秋冬も、消費増税や免税売り上げ減など、さまざまな要素が特選売り上げに影響を与えました。担当記者による座談会形式で、取材のこぼれ話をお届けします。

座談会参加者
三浦彰:「WWDジャパン」編集顧問
五十君花実:特選担当記者/ニュースデスク

五十君:ここ数年、百貨店各社は特選や宝飾、高級時計などの売り場を拡大し、その分婦人服や紳士服売り場を縮小するという動きを進めてきました。その甲斐もあって、都心店を中心とした19年7~12月の特選売り上げは、前年実績を超えたという声が多かったですね。

三浦:確かに特選の売り上げは前年を上回ってはいたけど、10月からの消費増税がボディーブローのように効いた感じがするよね。当初、特選では「増税前の駆け込み購入はそれほど起こらない」という見方が大勢だった。それが蓋を開けてみたら、9月末の短期間で予想以上に駆け込み購入があったと話していたバイヤーは多かったですね。

五十君:一方で、外商顧客のような富裕層の売り上げは、増税後もほとんど影響がなかった。庶民は増税前の駆け込みで長期間使える定番アイテムを購入したということですが、富裕層にとっては消費税率が8%から10%に上がろうと大した違いではないんですね。消費の二極化がいっそう進んでいるように感じます。

三浦:特選売り上げは富裕層に底支えされているけれど、一般市場の景況感は特選に輪をかける形で悪いよね。それは新型コロナがここまで拡大する前から感じていました。消費税率は10%に上がったけど、ここが終わりではない。日本も欧米並みの税率15~20%といった社会に今後なっていくんじゃないかと考えると、そりゃあ財布のひもは固くなりますよ。

五十君:増税に加えて、免税売り上げの減速という要素も19年7~12月の特選売り上げを語る上では欠かせません。円高人民元安がショッピングを楽しむ訪日外国人(インバウンド)客に水を差しました。インバウンドのおう盛な消費を享受し、この間2ケタ伸長を続けてきた新宿や銀座の百貨店で免税売り上げにブレーキがかかっていましたね。一方で、渋谷の街全体の再開発が起爆剤となり、西武渋谷店特選の免税売り上げは前年同期比12%増とのことでした。

三浦:新型コロナの感染収束はまだ先になりそうだし、免税売上高は19年7~12月が天井で、これ以上伸ばすことはもう難しいんじゃないですか? 15年に中国人客による“爆買い”が話題になって、16年にそれが一気に消えて百貨店各社は大幅な売り上げ減に苦しんだ。でも、特選カテゴリーはそこからずっと伸ばしていたんだよね。百貨店がラグジュアリーブランドと組んで富裕層の掘り起こしに精を出してきた成果なわけだけど、それもいよいよ厳しくなりそう。東京五輪が控えているとはいえ、楽観はできない。よりいっそうの消費深耕策が必要になるね。

「王道ブランドの定番アイテムに消費が集中」

五十君:全国の百貨店への特選アンケートで伸長率上位となったブランドは、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「エルメス(HERMES)」「ロエベ(LOEWE)」「ディオール(DIOR)」の順でした。「グッチ(GUCCI)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」は急成長期を終え、安定期に移ったという感触です。

三浦:前シーズンから続く傾向ではあるけど、「ルイ・ヴィトン」「エルメス」「ディオール」と並ぶと、マーケティングに大規模投資ができるメガブランドに消費が収れんしているんじゃないかと感じるよね。

五十君:阪急うめだ本店などが、「王道ブランドの定番的なアイテムを買い求める動きが広がっている」といったことを話していたんですが、それもメガブランドの活況を後押ししているようです。アイテム別で声を集めると、「ディオール」のトートバッグ“ブックトート”をヒットアイテムとしてあげる声がかなり強かったですね。

三浦:“ブックトート”をきっかけに「ディオール」が浮上したというのはニュースでした。阪急うめだ本店や高島屋(全17店)の7~12月の「ディオール」売り上げは、同60%増以上と絶好調だった。あとはやはり「ルイ・ヴィトン」の底堅さが印象的だったよね。百貨店と組んで、ホテルでの外商催事などのイベントをかなり強化してきた成果なんだと思います。

五十君:引き続き、大丸松坂屋百貨店などで、「『ルイ・ヴィトン』がクロコダイル革などのエキゾチックレザーのバッグを増やしているし、売れている」という話が出ました。

三浦:エキゾチックレザーって、販売力があるブランドでないと売れない商品ですよ。一見客にクロコダイルなんて売れませんから。「ルイ・ヴィトン」は国別売り上げを公表していないけど、日本では恐らく00年代前半にピークがあって、08年のリーマンショックなどでガクンと落ち込んでいたはず。百貨店の声を総合すると、そこから今はまた大きく回復しているような感触がありますね。「ルイ・ヴィトン」でバッグやスモール・レザー・グッズ(財布など)が売れたといわれても当然ですけど、「ウエアの構成比率が高まっている」という声が何人かのバイヤーからあがったのは印象的でした。

五十君:バッグ以外が売れて好調という話は「エルメス(HERMES)」にも通じます。「バッグに加えてウィメンズシューズも前年同期比50%増と好調」(藤崎)、「シューサロン設置も含め、トータルコーディネート提案を強化したことが奏功」(岩田屋本店)、「ジュエリー売り上げも好調」(大丸札幌店)といった声がアンケートで見られました。伊勢丹新宿本店でも、19年7~8月に、1階の「エルメス」ブティックではなく2階の靴売り場内で靴のポップアップストアを開いていましたよね。

三浦:今はシューズとジュエリーが“ファーストエルメス”として人気になっているそうだからね。バッグの“ケリー”や“バーキン”だと100万円はくだらないけど、シューズだとヒールサンダルやスニーカーで10万円前後。若い男性客にも人気のシルバーチェーンブレスレット“シェーヌ ダンクル”も20万円前後という感じでしょう?ラグジュアリーブランド全体の話として、バッグやレザーグッズは散々売ってきたわけだから、それ以外のアイテムを強化するというのは自然の流れだよね。

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小島健輔リポート 在庫問題を解決する決定打 DBからデジタルVMIへ

 ファッションビジネスのコンサルタントとして業界をリードする小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。今回はアパレル業界を悩ます在庫問題について。デジタル化の進展は、この永遠の課題に光明を与えるのだろうか。

 企画から投入までのリードタイムも販売消化に要する期間も長いアパレルビジネスでは在庫のコントロールが難しく、在庫が不足すれば機会ロスが生じる一方、過剰になれば値引き処分のロスと資金負担が経営を圧迫する。究極の解決策は受注先行のC2M※1無在庫販売だが、それには受注から生産まで一貫したデジタル化が必要で、生産ラインを直接管理する工賃払いのアパレルメーカーはともかく、製品仕入れのSPA事業者やアパレル小売業者にとってはハードルが高い。多くのSPA(製造小売り)事業者やアパレル小売業者にとって現実的な解決策を考えてみたい。

※1.C2M(Customer to Manufactory)…ネットやショールームで受注してからデジタル生産や3Dプリンタで素早く生産して“個客”に届けるパーソナル対応の無在庫販売手法

在庫は全ての源泉であり
元凶でもある

 在庫がないと売り上げが取れないから、ECではいまだ在庫を取り合っているし、ECに在庫が偏ると店舗在庫が薄くなって、てきめんに売り上げが落ちる。その相克を解決するのが、店舗在庫をEC受注に引き当て店舗で渡したり、店舗から出荷するC&C(クリック&コレクト)であることは言うまでもない。もとより販売と物流を分離するのがメリットのECが在庫を抱えたがるのも矛盾しており、店舗在庫も含めて最適(最速かつ最低コスト)な配分と引き当てが求められる。

 在庫は売り上げの源泉だが、需給のバランスが崩れると機会ロスや過剰在庫を招く。需要予測の精度とQR調達(追加とSKU※2バランス補正)の機動性が問われるが、生産地が遠隔化しロットが大きくなりリードタイムが長くなるほど難しい。需給ギャップはリードタイムに比例して大きくなるから、生産地を近づけロットを分割してリードタイムを短くするのが先決で、調達コストの上昇よりロスの圧縮効果が勝る場合が多い。

 適時適量か否かを問わず、在庫は全てのコストの元凶でもある。店舗や倉庫の賃料は在庫量に比例するし、店舗や倉庫の人件費も棚入れやピッキングなどマテハン作業量(在庫量に相関する)が左右する。倉庫や店舗間のB2B物流費やECのB2C物流費も販売量(在庫量にほぼ等しい)に比例する。ゆえにショールーミングストアやネット販売特化のD2C、受注先行のC2Mなど、最小在庫で最大売り上げを稼ぐ方法、販売と在庫を分離して費用発生を最小化する方法が模索されてきた。

 在庫はロスやコストの元凶である一方で売り上げの源泉でもあるから過度な圧縮もできず、需要予測・調達・DB※3・物流・販売を連係させコントロール精度を上げていくしかないから、ステップを追って解説したい。

※2.SKU(Stock Keeping Unit)…バーコード単品管理の最小単位だが、ICタグでは個品管理まで可能になる
※3.DB(Distribution)…配分・補給の在庫運用業務で、それを担う職種をDB(Distributor)という

適時適量のDBコントロール

 在庫コントロールが問われるとき、まず追求されるのがDB精度だ。調達の総量は同じでも各店舗への配分・補給を最適化し、在庫の偏在による需給ギャップの最小化を図る。AI(人工知能)によるDB精度向上も模索されているが、その前提となるアルゴリズムは直近の販売消化で変動するし、店舗布陣と配分・補給方式のロジックが確立されていないと実用化は難しい。まずは自社のMD展開と店舗布陣に見合ったロジックを確立するのが先決ではないか。

 DBは初期配分と補給配分、店間移動からなり、配分手法には「カセット方式」と「傾斜配分方式」がある。初期配分では陳列フェイスの統一を図る必要があるから「カセット方式」が基本で、補給配分では販売消化ペースに対応すべく「傾斜配分方式」が採られる。

 「カセット方式」は棚割りを組んで見えがかりを統一しながら、店舗規模によって標準型/ダブル型/ハーフ型などを設定し、販売効率によってフェイシング量を変える。それだけでは販売消化の格差を埋められないから、高効率店には補給頻度で対応し、DC※4在庫が枯渇すれば低効率店の未消化在庫を高効率店に移動する。

 「傾斜配分方式」は直近の販売消化速度にスライドして配分するものだが、店舗間の販売消化速度の差は10倍では収まらないから、計算通りに傾斜配分すると高効率店では陳列フェイスに入りきらず、低効率店ではスカスカになってしまい、販売消化の格差を一段と広げてしまう。ゆえに初期配分では配分量に上限と下限を設け、高効率店には補給頻度で、低効率店には店間移動で対応する。補給配分は販売消化による欠品を防止するのが第一義だから、計算通りの数量をストレートに傾斜配分すればよい。

 補給配分の精度を上げるには補給頻度を上げて物流時差を圧縮するのも有効で、高効率店に対しては消費地デポや近隣店舗からのルート便による短サイクル補給(テザリング※5)も活用される。

※4.DC(Distribution Center)…棚入れ保管してピッキング出荷する物流倉庫で、仕分けてスルー出荷するTC(Transfer Center)とは区別して使う
※5.テザリング…ITではデバイス間のネット接続をいうが、流通の世界で店舗間の商品供給をいう

値引きロスを
最小化する店間移動体制

 販売消化の店舗間格差を解消するには配分精度だけでなく、売価変更や店間移動も必要だ。店間移動は期末に限って同一店内の売価変更(キックオフや値下げ)で消化を図る方法と、投入後一定期間が過ぎたらエリア内で店間移動して消化を図る方法に分かれる。

 前者の場合、ピッキングの手間や店間移動の物流費は抑制できるが、売り場の鮮度を維持できず値引きロスが嵩んでしまう。後者の場合、移動してから売価変更するのが定石で(全店不振商品はこの限りでない)、SKU別値引きと連係すれば(売れ残りそうなSKUの売れ残りそうな数量だけ店間移動する)値引きロスを半減できるし、売り場の鮮度を保つ効果も大きい。

 店間移動には期中のエリア内移動と期末のエリア間移動がある。エリア間移動はDCに集めて仕分けてから移動先店舗に出荷するという二重の手間を要するから、期中のエリア内店間移動(店舗間直行)で消化を進めておくべきだ。エリア内店間移動もテザリングも、ルート便を使ってルーチン化すれば低コストで機動的に運用できる。

 エリア内店間移動やテザリングを効果的に運用するには店舗布陣が問われる。販売力ある旗艦店(高家賃大型店)、衛星店舗、期末消化力のある量販店、テザリングの基点となる母店(低家賃大型店)を計画的に配置し、効率的な補給と移動消化を図る。C&Cを軸としたOMO※6戦略をこの店舗布陣と連携すれば、EC注文品の店渡しや店出荷による速くて低コストなローカル宅配はもちろん、衛星店舗のショールーミングストア化も可能になる。

 売価変更に頼っていては値引きロスがかさんで利益が残らないばかりか、顧客が値下げを待つようになって「ギャップ(GAP)」みたいに正価販売が成り立たなくなってしまう。正価でもう一押しする再編集運用に加え、エリア内店間移動とテザリングのルート便体制を確立すれば、消化回転も歩留まり率も格段に高まるはずだ。

※6.OMO(Online Merges with Offline)…ネットと店舗の垣根を超えた融合を意味し、モバイルフォンをキーツールとしてウェブルーミングとショールーミングを駆使するニューリテール戦略

ダム型サプライから
脱却しないと解決しない

 店舗へのDB精度をいくら高めても根本的な解決には遠い。短サイクルにトレンド商品を回すファストなアパレルチェーンはともかく、大ロットで調達して売り減らすアパレルチェーンは自社の帳簿に計上しているか商社や物流業者に抱えさせているかは別として、国内の倉庫や生産地の倉庫に店舗を上回る在庫を積み上げているからだ。

 店舗在庫と倉庫在庫の割合は、スルー物流で100%前進配備(EC向けを除けば全て店舗在庫)という「ザラ(ZARA)」のようなケースは極めてまれだ。かつては店舗在庫と倉庫在庫の比率はトレンドを追うタイプで75対25、定番比率の高いタイプでも60対40ほどだったが、近年は調達ロットの拡大にECの拡大が加わって倉庫在庫比率が高まっている。

 EC比率が高まった分、倉庫在庫比率が高まるわけで、EC比率が5%から15%になれば、倉庫在庫が10積み上がって店舗在庫は10減る。もとより倉庫備蓄比率が高かったユニクロなどは、EC比率が10%に迫った直近では倉庫在庫が60まで肥大している。それを放置しては店舗在庫が薄くなって機会ロスで店舗売り上げが減少するから、「ザラ」が店舗在庫を引き当てるC&Cに踏み切る引き金になった。

 店舗在庫と倉庫在庫の比率を公表している「無印良品」の良品計画(国内直営事業)でも、店舗在庫比率は15年2月期の49.4%から年々落ちて直近の19年2月期では37.0%まで減少しているが、国内直営事業におけるEC比率は9.05%から9.39%とほとんど変わっておらず、坪当たり店舗在庫も増えていないから、在庫の店舗分散を避ける後退配備政策、あるいは滞貨在庫の積み上がりと推察される。

 その良品計画の連結決算では単体決算に比べて在庫が2.18倍に増えるが、これはソーシング子会社が抱える在庫(多くは生産地在庫と思われる)で、海外向けを差し引いても良品計画の店舗在庫率は25%ほどになる。ユニクロとて商社が抱える生産地在庫を同率とみれば、国内ユニクロの店舗在庫率は27%ほどと推計される。

 製品仕入れでオリジナル調達するアパレルチェーンは「直貿」をうたっても生産地在庫の管理と国内倉庫までの物流は大なり小なり商社に依存しており、定番型の継続補給商品が多いと似たような在庫率になる。短サイクル生産トレンド商品中心のアパレルチェーンだと生産地在庫はほとんどないから、EC比率が15%になっても店舗在庫率は60%近くを占め、発注数量と店舗向けDBの精度を高めれば在庫の圧迫は避けられるが、大ロットで調達して売り減らすアパレルチェーンは商社依存のブラックボックスをこじ開けてダム型サプライを脱却しない限り、在庫問題は解決しない。

デジタル生産と
VMIコントラクター

 ブラックボックスを開けてサプライチェーンを自分でコントロールするには、品質管理のみならず商社に任せていた素材・付属の調達や生産プロセス管理を自ら行う必要があるが、リードタイムを短縮してオンデマンドに短サイクル分割生産するには一貫したデジタル化が不可欠だ。それにはデジタル企画と3Dモデリングに始まってパターンメイキング、グレーディング、マーキング、裁断、縫製、仕上げを一貫するCAD/CAM投資が前提になるが、やり遂げれば初期生産のリードタイムは半分以下になり、追加生産は週サイクルも可能になる。

 アパレルのアナログなモノ作り感覚は一気にデジタル化され、スピード感覚は倍速どころか4倍速になるから、生産地の仕上がり在庫も消費地倉庫の補給在庫も半分以下に圧縮できる。ダム型サプライの売り減らし型SPAもトータル在庫が半分になって店舗在庫率は50%前後に跳ね上がり、2〜3回転にとどまっていた在庫回転も倍に加速するはずだ。

 アイテム特化のデジタル化という突破口もあるが、そこまで踏み込めないアパレルチェーンにはVMI※7という選択もある。デジタル化して短サイクル分割生産でオンデマンド供給できるベンダーとリアルオンライン連係し、サプライを委任するというものだ。ストッキングや肌着などパッケージ・ガーメントでは珍しくない取り組みだが、アパレルでもデジタル化によって一般化すると期待される。おそらくは数年のうちに下請け分断のアナログな商社流通に代わり、オンデマンド・サプライを受託するデジタルVMIコントラクターがアパレル流通の寵児に躍り出るのではないか。

※7.VMI(Vendor Managed Inventory)…あらかじめ定めた棚割に基づいてベンダーに補給と在庫管理を委任する取引形態

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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人工クモの糸は、日本を救う「蜘蛛の糸」になるか エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年9月20日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

人工クモの糸は、日本を救う「蜘蛛の糸」になるか

 2017年10月、山形県鶴岡市にある人工クモの糸で知られるスパイバーの本社に初めて訪れました。「WWDジャパン」の2000号記念特集の一つ、次世代リーダーにフォーカスする「ネクストリーダー」企画で、関山和秀取締役代表執行役(以下、社長)にインタビューするためです。

 人工クモの糸は米国軍事研究機関の一つDARPA(アメリカ国防高等研究計画局)などが2000年代に巨額の予算を投じたプロジェクトを発表するなど、以前から一部の研究者や繊維関連の企業からは注目されていました。軍事用途として開発された背景は、石油を使わず自然界に豊富なタンパク質を原料とすること、それまで再現不可能といわれた、よく伸びて強靭なクモの糸を再現できるためでした。石油は貴重なエネルギー源であると同時に、重要な素材の原料でもあります。人工クモの糸の開発に成功すれば、戦時中にはある種の貴重なエネルギー源の節約につながる——そう考えられたのです。

 ただ実際には、高いスペックを出せなかったり、遺伝子工学から分子工学、バイオインフォマティクス(生命情報科学)、高分子化学、繊維工学など他分野にまたがる研究領域をうまく統合できかったりと、思うような成果をあげられず、それほど話題にも上らなくなっていました。そこに彗星のように現れたのが日本発のスパイバーです。15年10月の会見では、ずっと夢の繊維と言われていた人工クモの糸で作ったゴールドに輝く“ムーン・パーカ(MOON PARKA)”を携えていました。それを見れば量産化とまでは至らないもののすでにラボレベルを脱して、ある程度の生産レベルにまで到達していたのは明らかでした。

 人工クモの糸の本質はある種のエネルギー革命と言えます。1年間に生産される繊維素材は約9000万トン。そのうちの7割を占めるのが石油を原料とする合成繊維です。中でも合成繊維の大半を占めるポリエステル(PET)は、単に繊維の中の王様というだけでなく、プラスチック素材の中でも最大の生産シェアを維持しています。人工クモの糸がこうした合繊素材を代替できれば、石油の消費量を劇的に削減できる。また、その製造法は熱をそれほど使わないため、石油から合繊素材を作るときに比べても大幅にエネルギー消費を削減できるとも言われています。

 ただそのスパイバーも、当初2016年としていた発売日がずれ込み、関山社長もメディアの前にしばらく姿を現さなくなっていました。17年10月に取材したのは、そんな時期でした。インタビューでは発売日がずれ込んだ理由を明言しなかったものの、周辺取材などを総合すると糸にした後の工程に問題があったようでした。人工クモの糸は、見た目は普通の合繊とそれほど変わりません。ただ、中身は全く違うもの。糸は衣服になるまでに長い工程があります。撚りをかけ織って、その後には染色し、最後に薬剤や熱で仕上げを行います。そうした工程は同じ合繊のポリエステルやナイロンでも違いますし、コットンやウールなどの天然繊維になるとさらに違います。スパイバーが“ムーンパーカ”の製品化に時間がかかったのは、こうした長い工程をクリアする必要があったからです。

 世界的にも高い技術水準にあると言われる日本のテキスタイルの製造業者ですが、これほど根本的に新しい繊維素材はこの数十年、出合ったことはありませんでした。ある繊維メーカーの開発担当者は「糸や生地を加工するための温度や薬剤、染料などの細かいデータやノウハウはほぼゼロ。数年前に糸を分析した瞬間に、これは大変なことになると思った」と振り返ります。そのスパイバーとゴールドウインの“ムーン・パーカ”の発売がいよいよ近づいてきました。人工クモの糸は、1953年に工業化され、現在は全繊維の半分以上を占めるポリエステルに匹敵する画期的な新素材です。米国でもシリコンバレーに拠点を置き同様にタンパク質からスパイダーシルクを生産するボルトスレッズが、ステラ・マッカートニー(STELLA McCARTNEY)と組んで新しいコレクションを発表していますが、あくまでウィメンズのドレスが中心で、本来期待されている強靭なスペックの糸や、複雑な加工やノウハウが必要な高機能ウエアではありません。

 この2年間スパイバーとゴールドウインは糸を進化させると同時に、日本の産地企業群と試行錯誤を繰り返しながら、完成に近づけてきました。この試行錯誤の中には、画期的な新素材の加工ノウハウがぎゅっとつまっており、それらはそのまま今後の繊維産業の強靭な武器になるはずです。繊維産業は、この数十年にわたって下り坂が続いてきました。スパイバーの人工クモの糸はまさに目の前にもたらされた、細いけれども強靭な「蜘蛛の糸」になりそうです。

TECH INSIGHTS:移りゆくファッション産業の今を、テクノロジーの視点から読み解きます。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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ZOZOは「リーバイス」コラボにもっと自分色を出してよい!

 ジーンズのオリジンたる「リーバイス(LEVI’S)」とファッションEC大手の「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」が協業――これに合わせてパスカル・センコフ(Pascal Senkoff)=リーバイ・ストラウス ジャパン社長と伊藤正裕ZOZO取締役兼最高執行責任者(COO)に単独インタビューができると聞いて、「WWDジャパン」のEC担当と一緒に原宿のリーバイ・ストラウス ジャパン本社を訪問した。

 ウエストとレングスの組み合わせからなるジーンズの販売には、とかく在庫問題がつきまとう。これをZOZOの持つ100万人以上のリアルなデータで解決しようというのが、今回の協業の目玉だ。そのあたりの詳細はEC担当の記事に譲るが、ひとしきり両首脳の話を聞いたあとで商品を見せてもらう段となり、驚いたことがある。ZOZOスタッフ(伊藤取締役と同席した2人のプレス担当者)の謙遜ぶりだ。

 今回の協業ではメンズでスリムテーパードの“512”、ウィメンズで“ダッドジーン”の2アイテムを販売するが、「ZOZOが行ったのはデータの提供だけ」(伊藤取締役)で、レザーパッチやタグに“ZOZO”の文字はない。それについて、「“ZOZO”なんて入れたら売れない」と言下におっしゃったのだ。

 少なくとも僕は、ZOZOおよび「ゾゾタウン」にネガティブなイメージはない。それどころか、古着の人気ジャンルの一つである“企業モノ”の一環として、ぜひデザイン面にもZOZOらしさを組み込んでほしいと考えていた。豊富な取引実績から紡ぎ出されたZOZOの“答え”にも興味津々だった。そもそもデザインに正解や間違いなどない。165年以上の歴史を持つ「リーバイス」だって小売店からスタートした。それが全くの黒子に徹するというのだ。「かんぬき(補強用ステッチ)に“Z”のロゴを入れては?」などと提案したが、「とんでもない!」との返答だった。

 今回の協業のキモとなるものは“マルチサイズ”であり、それによって「裾をカット(裾上げ)する必要がなくなる」(伊藤取締役)。裾上げすると本来のシルエットが変わってしまうし、昨今の加工ジーンズの場合、せっかく味を出した裾のダメージ部分を捨てることになってしまう。だが、かつて(30~40年前)のジーンズショップは棚いっぱいに「リーバイス」を積み上げ、どんな体形の人が来店しても対応できるようウエストとレングスの組み合わせを取りそろえていた。現在も、日本のジーンズブランド「リゾルト(RESOLUTE)」は87サイズを用意する

※今回の「リーバイス」×ZOZOの協業では、メンズ36サイズ・ウィメンズ28サイズの計64サイズを展開するが、「ビッグデータに基づくため的中率が違う」という

 いずれにしても、「デニムが売れない」といわれて久しい時代に、主要プレーヤーがジャンルを超越してタッグを組む姿勢にはスタンディングオベーションを送りたい。「リーバイス」は男性客に強く、「ゾゾタウン」は女性客に支持されている。またZOZOは“ゾゾジーンズ”を約21万7000本販売した実績を持ち、一方で「リーバイス」は「ECの弱さを自認している」(パスカル・センコフ社長)。つまり相互補完によりウィンウィンの関係となるはずだ。

 半年後をめどに、売れ行きについてぜひまた両首脳にインタビューしたいと思う。

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20年春夏は「アンブッシュ」や空山基、少女漫画誌「りぼん」ともコラボ 「UT」仕掛け人が語る「Tシャツから始まるコミュニケーション」

 ユニクロのグラフィックTシャツブランド「UT」は、2020年春夏商品を一同に集めたプレゼンテーションを国内外のプレス向けに開催した。今季の「UT」は、「アンブッシュ(AMBUSH)」のYOONが手掛ける「DISNEY LOVE MINNIE MOUSE COLLECTION by AMBUSH」や、渋谷のアートギャラリー「ナンヅカ」に所属する田名網敬一や空山基といったアーティストと組んだ「NEO-MIYAGE」、創刊65周年の少女漫画誌「りぼん」との協業などが既に話題となっている。また、コラボレーション相手のデザイナーやアーティストを掘り下げた「UT2020 magazine」を作成し、2月28日から全国の「ユニクロ(UNIQLO)」で無料配布するなど、これまで以上に力が入っている。07年の立ち上げ時から「UT」事業をけん引してきた松沼礼UT事業部長に、改めて「UT」の狙いを聞いた。

――近年は「ユニクロ」の展示会の中で「UT」も発表していた。「UT」だけでプレゼンテーションを行うのは数年振りだ。単独プレゼンの開催意図は?

松沼礼UT事業部長(以下、松沼):東京五輪も開催予定で、今年は日本が世界中から注目を集める年。「UT」としても、これから公開するコラボレーションなども含め、多数のコンテンツを仕込んでいる。「ユニクロ」が掲げる“LifeWear”のステートメントに、「服に個性があるのではなく、着る人に個性がある」という一文があるが、Tシャツはまさに自己を表現するためのツールで、人となりや人の個性を際立たせるもの。Tシャツという、世界中の誰もが買えるものをきっかけにカルチャーを知る。アーティストのことは最初は知らなくても、Tシャツからコミュニケーションが生まれて文化として根付いていく。「UT」はそんな形を目指してきた。

――アジアの「ユニクロ」店舗では「UT」が稼ぎ頭になっているとも聞く。

松沼:アジア、特にASEAN諸国で人気となっている。グレーターチャイナ(中国本土に台湾などを加えた中華圏)やASEANでは、「ユニクロ」の成長率以上に「UT」が伸びている。19年秋に「ユニクロ」が初進出したベトナムでも驚くほどの売れ行きだ。若年人口が増加中で、これからどんどん発展していくような国や地域で、「UT」は面白いと思ってもらえている。プリントTシャツをきっかけにして、その背景にある文化を知るような動きは、日本では“裏原”ファッションの時代に広がったが、それが今アジアにも広がっている。さまざまなジャンルのカルチャーについて情報収集しながら編集していくという手法は、とても日本的だ。たとえば、20年春夏の「UT」でも、単にディズニーと協業してTシャツを作るではなく、「アンブッシュ」のYOONさんとミニーマウスを掛け合わせて、「DISNEY LOVE MINNIE MOUE COLLECTION by AMBUSH」という形に落とし込んでいる。「ナンヅカ」のアーティストと組むにしても、そこに“日本”を掛け合わせて、「NEO-MIYAGE」という編集にした。

――今季取り上げているアーティストのうち、たとえばYOONや空山基は「ディオール(DIOR)」、ピーター・サヴィル(Peter Saville)は「バーバリー(BURBERRY)」などとの仕事でも知られている。それらラグジュアリーブランドと「UT」のゴールはどう違う?

松沼:(「UT」と組んだことがある)アーティストのカウズ(KAWS)に以前言われて嬉しかったのは、「『UT』と組むことで、今までは全くリーチすることができなかったターゲットにもアートの価値を伝えることができる」ということ。コラボ相手のアーティストたちは、そこに魅力を感じてくれているのだろう。アーティストがラグジュアリーブランドとも、世の中のインフラのような「UT」とも組むという価値観はまさに“スーパーフラット”だが、自分のことを知らない人たちが自分の作品をまとっているというのは、彼らにとってはアーティスト冥利に尽きるんだと思う。「UT」では、990円でキース・へリング(Keith Haring)のTシャツを売っている。アートは庶民にとっては敷居の高いもの。しかし、繰り返しになるが、誰もが買える価格のTシャツでこれをやるということが、カルチャーリテラシーを上げることになる。

――今回、「UT2020 magazine」を作成した理由は?元「ポパイ(POPEYE)」編集長の木下孝浩ファーストリテイリング グループ上席執行役員が編集している?

松沼:これまでもカタログは作ってきたが、それぞれのTシャツがどういう思いで作られているのかといったことをよく知ってもらうためには、協業したアーティストのインタビューをしっかり届けるのがいいと思った。ファッションシューティングも盛り込んでいる。紙の雑誌として1冊にまとめると、デジタルな情報から受け取るものとはまた印象が違ってくる。(木下上席執行役員が編集の指揮を執るのではなく)「UT」のチームで作っている。

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キーマン2人に直撃、「リーバイス」が「ゾゾタウン」で64サイズのジーンズを販売するワケ

 リーバイスジャパンは21日から、「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」から64サイズを揃えたジーンズの販売を開始する。ZOZOが体型計測スーツ“ZOZOスーツ”で蓄積したビッグデータを活用し、顧客は自分の身長と体重を入力するだけで、自分にぴったりのジーンズをマッチングできる。ジーンズはメンズが“512 スリム・テーパーフィット(SLIM TAPER FIT)”、ウイメンズが“ダッドジーン(DAD JEAN)”の2型で、価格はいずれも7150円(税込み)。今後も型番を増やしていく考え。

 ZOZOはZOZOスーツで蓄積した約100万人分のビッグデータをテナントであるアパレルやSPAブランドに提供し、「ゾゾタウン」で従来のSMLサイズではなく、20〜50サイズ展開をするマルチサイズ事業を強化している。ジーンズはPBで最も販売が好調だったアイテムの一つだ。「リーバイス」とのコラボレーションは、どんな意義があるのか。キーマンであるリーバイス・ストラウス ジャパンのパスカル・センコフ社長とZOZOの伊藤正裕取締役COO(最高執行責任者)に直撃した。

WWD:いつから準備を?

伊藤正裕(以下、伊藤):1年前に、前澤(友作ZOZO創業者)さんと一緒にリーバイスジャパンを訪れ、話をしてきた。PB「ZOZO」は、PB事業の、というより「ゾゾタウン」でも史上最高にヒットしたアイテムの一つ。PB撤退を決めたタイミングで、こちらから「リーバイス」に持ちかけた形だ。「リーバイス」とのパートナーシップはそれ以上のヒットになることはわかっていた。

WWD:PBからは全面的に撤退する?

伊藤:その通りだ。現在販売しているアイテムの追加生産はすでに止めている。

パスカル・センコフ(以下、センコフ):1年かかってしまったのは、商品開発のリードタイムのため。最初に聞いたときから、非常に面白い話だと思った。「リーバイス」にはジーンズ開発で165年もの歴史がある。一方でZOZOは日本市場のジオグラフィック(地政学的な)とデモグラフィックを融合したデータを持っている。これはいわば、全く新しいファッションとサイエンスの融合なのだ、と。

伊藤:身長と体重を入れるだけで、丈やパターンも含めてぴったりサイズの商品を提案できる。この出発点は、圧倒的なアドバンテージのあるリアル店舗での接客に追いつくための、オンラインならではの新しい接客でもある。「ゾゾタウン」も含め、オンライン通販は便利さばかりを追求してしまい、そのことが結果的に価格競争に陥るきっかけにもなっていた。従来のSMLに比べて、根拠のあるデータから導き出したサイズ展開を提案できるこのMSP事業は、“ぴったり”というバリューを追求する、ZOZOならではの新しいビジネスモデルの挑戦だ。

WWD:ZOZOはデータを提供し、膨大なサイズを揃えるため、「リーバイス」側の在庫リスクが大きいのでは?

センコフ:在庫リスクに関してはほとんど心配していない。ZOZOからはそうした部分も含めたデータの提供を受けているからだ。われわれはこのプロジェクトの立ち上がりは、ある種の日本市場とこれまで弱かったオンライン通販へのスタディのようにも考えており、むしろ不安は購入者側の期待値が大きすぎてしまうことだ。

WWD:一方でZOZOも、マスカスタマイズ分野ではジーンズも含め、かなりのノウハウをPB生産で蓄積してきた。完全に撤退するのか?

伊藤:このプロジェクトは、MSP事業としては最大のもの。かなりのヒットだったジーンズのPBだが、それはあくまで“ぴったり”にそれだけのバリューがあったに過ぎない。「リーバイス」との取り組みを通して、モノ作りはやはりメーカー側、ブランド側が圧倒的に強い、それが今さらのように痛感した。「リーバイス」との取り組みも、「512」「DAD」はあくまで始まりに過ぎず、新たな製品での準備も進めている。

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「パリ国際ランジェリー展」でもサステナやフェムテック旋風

 1月18〜20日の3日間、フランス・パリのポルト・ド・ベルサイユ見本市会場で開催された下着と水着の見本市「パリ国際ランジェリー展(SALON INTERNATIONAL DE LA LINGERIE)」の内容と新たな流れを紹介する。

 同展では、世界中の出展ブランドの中から、今の下着市場を象徴するブランドに「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」が贈られており、今年はランジェリー、ラウンジウェア、水着を展開する米国マイアミ発ブランド「エバージェイ(EBERJEY)」が受賞した。授賞の理由として、1996年の設立時から一貫して女性が快適に過ごせる製品を作り続けていることや、米国の非営利団体「ワン・ツリー・プランテッド(ONE TREE PLANTED)と提携して売り上げの一部を森林再生に寄付していることなどが挙げられた。新製品にはオーガニックコットンやリサイクルポリエステル、リサイクルレースが多く使われており、時代を象徴するブランドと言える。

リアルサイズモデルの起用は定着、生理用ショーツにも期待

 同展では13のエシカルブランドを集めたエリア「オーガニック(O.R.G.A.N.I.C.)」が新設された。このエリアで紹介されているのは「グローバル・オーガニック・テキスタイル・スタンダード(GLOBAL ORGANIC TEXTILE STANDARD以下、GOTS)」や「エコテックス・スタンダード100(EKO-TEX STANDARD100以下、エコテックス)」の認証を取得し、フランスで製造されているブランド。「エコテックス」の認証がサステナブルなブランドであることの基準であるという考え方が広がっているようで、パリの百貨店ギャラリーラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)では、この認証を取得しているトリンプ・インターナショナル(TRIUMPH INTERNATIONAL)の「スロギー(SLOGGI)」や、日本ではワコールが輸入販売している「ハンロ(HANRO)」などが同認証を取得しているというPOPが掲示されていた。 

 また、2018年ごろからいわれている“ボディーポジティブ”という言葉はすっかり定着したようだ。ファッションショーに登場するモデルの肌の色や体形、年齢の多様性に配慮されているだけでなく、多くのブランドがリアルサイズのモデルをイメージビジュアルに起用するようになっている。もはや痩身のモデルがプッシュアップブラを着けて谷間を強調する姿は、遠い過去のものだ。

 また、フェムテック市場の広がりは下着業界にも及び、ヨーロッパではなじみのない生理用ショーツが注目された。経血を吸収するシートを内蔵している「シンクス(THINX)」のショーツが米国を中心に定着しつつあることから、同様の機能を持つ生理用ショーツとコーディネートできるブラジャーなどが「ピリオド・ランジェリー(PERIOD LINGERIE)」として、新たなカテゴリーになりつつある。

墨絵画家とコラボを発表し独創性を追求した「オーバドゥ」

 サステブルやボディーポジティブの流れが加速するものの、デザイン的には数年前のブラレットブームのように新しいスタイルやトレンドカラーがないのが現状だ。その中で、下着の美しさを表現するレースは、絵画を写したかのような凝った刺しゅうや歴史的建造物を精巧に表現したモチーフなど、より独創性を増している。中でも『オーバドゥ(AUBADE)』は中国人水墨画アーティストの ホン・ワイ(Hong Wai)とのコラボレーションを発表し話題となった。ワイはまだ男性中心の伝統美術の世界で、17歳で初個展を開きグローバルに活躍している。伝統的な手法を用いて官能的なランジェリーやハイヒールを描くホン・ワイの作品は“アートとモードの融合”として『オーバドゥ』の目に留まり、今回のコラボが実現した。彼女の描いた柄がレースで忠実に表現されたデザインになっている。

 消費者のマインドは確実に変化している。取ってつけたようなサステナビリティの発信や展開サイズを少し増やしただけのボディーポジティブは消費者に響くとは思えない。歴史あるヨーロッパブランドの代表やデザイナーが声をそろえて「長く愛してもらえる物を作り続けることが、一番のサステナビリティだ」という言葉が印象に残った。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

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ファーフェッチ日本進出の立役者が「ライブ配信」に見出す可能性

 3月に本格導入が予定されている第5世代移動通信システム(以下、5G)により、さらなる拡大が予想されるライブ配信市場。台湾発のライブ配信サービス「イチナナライブ(17 live以下、イチナナ)」も例外ではない。同サービスは2017年6月に日本法人イチナナメディアジャパンを設立し、9月に日本でローンチ。ライバーと呼ばれるライブ配信者たちに対して、視聴者はサービス内でバーチャルギフト(以下、ギフト)を購入し、プレゼントする“投げ銭モデル”を主な収益源としている。同社の調査によると、その売り上げ規模は日本のライブ配信業界のNO.1であり、63%のシェアを占めているという。「イチナナ」は日本におけるライブ配信の可能性と未来をどのように見ているのか。小野裕史イチナナメディアジャパン代表とインフルエンサーで「イチナナ」のライバーとしても活動するマリナさんに話を聞いた。

 小野代表は投資家、そしてシリアルアントレプレナーとしての顔も持つ人物だ。08年にベンチャーキャピタル、インフィニティ・ベンチャーズを設立。日本と中華圏で投資を行いながら、起業家として複数企業の創業を担ってきた。ファッション業界では、ラグジュアリーECファーフェッチ(FARFETCH)に出資した後、共同代表として日本法人を設立している。そんな彼は、ライブ配信のどこに可能性を見出したのか。「ライブ配信先進国の1つである中国では既にマーケットが拡大しており、上場企業も複数社ある。中には月間で100億円以上売り上げているところもいる。まだ黎明期である日本でも、中国と同じような現象が起こる可能性は大いにある。例えばユーチューブは、10年ほどかかってようやくユーチューバーが職業候補としても考えられるほど経済的、文化的に認知されるようになった。スマホ一つあれば誰でもどこでも始められるライブ配信は、ユーチューブと同等か、それ以上のムーブメントを起こすことができると考えている」と説明する。

 現在「イチナナ」は台湾や日本以外の各国にも進出しており、ユーザー数は合計4200万人。国別のユーザー数は公表していないが、日本での市場規模が一番大きく、トークや音楽、そしてヴァーチャルライバーなどさまざまなジャンルで月間数万のライバーが生まれているという。「TikTok」で約75万フォロワーを抱えるマリナさんもその一人で、19年の9月に「イチナナ」でライバーとしての活動をスタートした。「『イチナナ』は知人の紹介で始め、現在はファンの方と交流するためのトークをメインに配信している。ほかの方のライブ配信を見てどのようにファンと接しているのか勉強することもある」とマリナさん。これまでもインスタグラムのライブ機能などを使用してきたそうだが、「『イチナナ』でライブ配信を始める5分前に告知を兼ねてインスタライブをするなどして使い分けている」という。

 「イチナナ」のライバーは、ユーザーから受け取ったギフトの現金化などを通じてマネタイズを行うことが可能だ。それによりライブ配信を生業とするプロライバーも出てきており、「イチナナ」の日本でのプロライバーは累計で1万7000人。マリナさんもマネタイズを実現している。成功しているプロライバーの特徴について小野代表は「定期的な配信を継続している人がやはり強い。芸能界などでも同じだが、ライブ配信では配信中しかコンテンツが発信しないこともあり、継続性が特に重要だ」と分析する。

 プロライバーを始め、ユーザー数を着実に増やすことで成長している「イチナナ」は、来たる5G導入後の未来をどのように捉えているのか。「今後は5Gの導入により、動画の解像度や音質が向上し、視聴者とのコミュニケーションにおける遅延も少なくなる。われわれのほかにも、ライブ配信メディアが数多く立ち上がっていくだろう。ただ、われわれも含めライブ配信及びライバーの日本での認知はまだまだ低い。トレンドと現状のギャップをいかに埋めるかがカギとなる。私の知る限りで圧倒的に事業投資を行っている『イチナナ』としても、そのギャップを埋めるために真剣に取り組み、新領域を開拓していくつもりだ」。

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カメラマンが打ち明ける 新型コロナの影響で “アジア人差別”が見られたミラノ・コレクション

 私にとってのミラノ・ファッション・ウイーク(以下、MFW)の最後の取材は、「ボス(BOSS)」のバックステージでした。人気モデルがそろう舞台裏で大活躍しているモデルのコウヘイ(Kohei)さんを見つけ、今回のMFW は普段に比べて変化があったかどうか、お尋ねしました。コウヘイさんは「仕事中ではそこまでの違いはありませんが、モデルによってはどこから来たのか聞いてくる人もいました。残念ながら電車やレストランなどの街中では、(アジア人であることに対しての)差別を感じることがありました」とのこと。

 韓国人モデルのチェ・ソラ(Sora Choi)に「調子はどう?」と尋ねると、疲れているようで、顔をしかめてジェスチャーでイマイチと表現。アジア系モデルも若干いつもとの違いを感じているようでした。またロンドン在住のメイクアップアーティストのマナブさんは「バックステージの仕事はいつもと変わらなくお仕事ができています。しかし、ミラノの街中では『ウーファン(武漢)から来たのか?』と一度聞かれました。ミラノに来る前までのロンドンの街中は全然差別は感じませんでした」と話していました。

 同日の夜、ミラノの空港のチェックインカウンターで3人の新人モデルを見かけたので、今回のコレクションの感想を聞きました。その中の一人は中国人モデルで上海から来たそうですが、今回のコレクションでは酷い差別を受けたと、とても悲しそうにしていました。

 前回のコラムは、新型コロナウイルスの状況が悪化する前でしたが、2月23日からはイタリア政府が外出を控えるように勧告し、計画的にミラノの交通機関の量も減らしたそうなのです。その影響もあり、日曜日は休日にもかかわらず、明らかにいつもよりも街中には人は居ませんでした。駅やホーム、トラムでは私以外は誰も居ない状態で、こんなミラノを体験したのは初めてで、状況の深刻さを体感すると共に政府の敏速な対応を目の当たりにしました。これ以上、状況が悪化しないことを心から祈りながらミラノを発ちました。

 ミラノからパリに到着し空港で荷物を待っていると、モデルのジジ(Gigi Hadid)とベラ(Bella Hadid)のハディッド姉妹とお母さまのヨランダ(Yolanda Hadid)に遭遇しました。妹のベラは私に気づくと笑顔で近づいて来て「ハイ〜、また会ったね、元気にしてるの?」とハグまでしてくれました。彼女の優しさに感動したことを表現すると「当たり前じゃない!」と言ってくれました。ミラノで体験した私の悲しい気持ちは、ベラの愛で吹き飛んでいったのでした。

景山郁:フリーランス・フォトグラファー。2003年からフォトグラファーとしてのキャリアをスタート。07年に渡米、09年より拠点をパリに移す。10年から「WWDジャパン」でパリ、ミラノなどの海外コレクションのバックステージと展示会などの撮影を担当。コレクション以外にもポートレート、旅やカルチャーなどエディトリアル、広告を手掛ける。プライベートでは動物と環境に配慮した生活をモットーにしている

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またまたミラノ日記Vol.5 新型コロナの影響色濃く 「ドルチェ&ガッバーナ」のマンマニットでフィナーレ

 ミラノでは、新型コロナウイルスが突如蔓延し始めました。23日(現地時間)には、昨日まで70人台だった感染者数が130人越えとほぼ倍増。24日からはミラノ市内の学校も閉鎖されるなど、政府は蔓延阻止に必死です。その影響を受けて、「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」は、ショーにゲストを招かないことを決定。翌日の「アツシ ナカシマ(ATSUSHI NAKASHIMA)」は、ショーそのものを中止せざるを得ませんでした。ということでミラノは実質、今日が最終日。最後の日記をお送りします。

9:50 ポーツ 1961

 本日のトップバッターは、「ポーツ 1961(PORTS 1961)」。トップスタイリストのカール・テンプラー(Karl Templer)が就任して2シーズン目。彼は、「サカイ(SACAI)」のパリコレクションのスタイリングなどを手掛けています。

 だから、でしょうか?なんか「サカイ」っぽいなぁ(苦笑)。「サカイ」のシルエットに「アルベルタ フェレッティ(ALBERTA FERRETTI)」的なイタリアンテイストをのせてみた、そんな感じです。つまりはビミョーってこと。「サカイ」っぽさは序盤から顕著で、オーバーサイズのコート、左右非対称にプリントした水玉模様のワンピース、そこに加えたモコモコのボアコートまで既視感アリ。次回に期待!!です。

11:55 ボス

 お次は「ボス(BOSS)」。会場は、ライラックカラー。楕円の舞台に現れた管弦楽団のBGMで、「ボス」らしい、ドイツブランドらしい厳かなショーが始まります。

 「ボス」と言えばシャープなテーラリング、相反するリラックスシルエットのコートと、流れるような生地づかいのドレス、そして、バウハウスに着想を得るがゆえのミニマリズム。それらの全てが、今シーズンもいかんなく発揮されています。ドレスコードに頑ななあたりも、真面目な“ドイツ人っぽい”カンジですね(笑)。だからこそ、日本人との相性も良いのかな?そして今季は、「ボス」もフリンジ!!今年の秋冬は、もうユラユラ揺らすしかありません。

12:40 アルマーニ/シーロス

 「ジョルジオ アルマーニ」のショーには入れないと言うのに、未練がましく会場までやって来てしまいました。と言うのではなく、一昨日の「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」のショー終わりに開幕した、ピーター・リンドバーグ(Peter Lindbergh)の写真展を拝見すべく、ショー会場の向かいにあるアルマーニさんの美術館「アルマーニ/シーロス(ARMANI / SILOS)」までやって来たのです。

 ともに普遍性を愛するクリエイターとして親交が厚かったという2人。リンドバーグが亡くなったのは昨年の9月でしたから、きっと、愛ゆえの突貫工事での写真展開催なのだと思います。モノクロの写真を眺めながら、ファッションではなく、女性のパーソナリティーを切り取ることでファッション・フォトグラファーとしての地位を確立した彼を思います。

 と、思っていたら!!ラフ・シモンズ(Raf Simons)がプラダ(PRADA)の共同クリエイティブ・ディレクターに就任というビッグニュース!!大急ぎで対応すべく、シーロス内のカフェに飛び込み、「アルマーニ コーヒー」とクロワッサンを食べながら作業です。多分、メディアとして日本で一番早かったと思われ、一安心。余談ですが「アルマーニ コーヒー」、5ユーロ(600円)ですがオイシイです!!オススメ。

13:30 フィラ

 お次は、韓国資本「フィラ(FILA)」のプレゼンテーションへ。なんだか「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」みたいなプレゼン&スタイルです。カワイイし、K-POPスターとかが着ればバズる洋服だと思うのですが、「『ジーニアス』っぽくして、それより安くすれば売れるんじゃない?」という魂胆が透けて見えるようでなんだかイヤです。

14:15 ドルチェ&ガッバーナ

 ミラノ・コレクションの実質フィナーレとなってしまった「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」は、前回のメンズ同様、今回もエントランスにスーツ職人、ニットを編むマンマ、そしてお抱えの彫金師を呼び寄せました。コレクションも、メンズと同じ。デジタルな時代だからこそ、こうした職人のクラフツマンシップと、彼らが生み出すオーセンティシティ(本質)に迫ります。

 マンマの手編みニットは、相変わらずスーパーボリューム。ブランドがスター街道を驀進した90年代を思わせます。メンズとの違いは、ニットをちょっと甘く編んだり、ラメを絡めたり、ボディコンシャスなドレスを作っちゃったりなど、センシュアル(官能的)でさえあること。伝統的なマンマのニット、なのにセクシー!!おもしろい矛盾の同居を見た気がします。TikTokerにクラフツマンシップ全開のコレクションを見せたメンズ同様の、アンビバレンツですね。

 トレンドのフリンジは「ドルチェ&ガッバーナ」の場合、シャンデリアのようなビジュー付きで実にゴージャス!!彫金師によるゴールドのイヤリングも、歩くたびにユラユラ揺れます。スティレット(ピンヒール)、パフスリーブ、連なるスカラップドヘムのブラックドレスなどの官能的スタイルと、ふと畝のコーデュロイやざっくりニット、コンバットブーツで作る野暮ったいスタイルの融合。トレンドど真ん中であり、どちらも「ドルチェ&ガッバーナ」らしくもあり、最高です!

15:00 ボッテガ・ヴェネタ

 昨日の「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」の展示会へ。PRの方に、「ドレスも増えたので、次からレッドカーペットも楽しみなんです。本物のダイヤモンドを使ったハイジュエリー・コレクションも始まったし!!」と聞いて、「そうか!!」と思いました。ダニエル・リー(Daniel Lee)体制は始まったばかりですが、世界はあっという間に広がっていますね。今回の“フリンジモリモリドレス”は、スタイル抜群の女優にさぞ映えることでしょう!!来年の今頃、レッドカーペットのシーズンが楽しみです。

 シューズは、柔らかなレザー製。履くと足の形が透けてしまうほどですが、ダニエルは「それがセクシー」と言うそうです。前回は、「鎖骨は、老若男女誰でも美しい」という名言を放ったし、ダニエル、人体マニアなのかもしれない(笑)。でも、「どんな人でも美しい」って断言してくれると、ちょっと自信が持てますね。

15:45 マルニ

 最後は「マルニ(MARNI)」の展示会。ちょうど居合わせたフランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)にご挨拶。フィナーレではウサギのマスク姿だった彼は、ゲストの足を踏んでしまったそうで、非常に心苦しく思っているそうです(笑)。コレクションは、やっぱり「不思議の国のアリス」の世界。不思議な物語から、「何が正解で、何が不正解かなんて分からない」と考え、いかようにも解釈できる洋服を生み出しました。

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主役交代!? 30代からの大人肌に合うベースメイクはファンデじゃなく「ピンクの下地」

 仕事やプライベートな場面で「今オススメの化粧品」を聞かれることがある。流行のリップだったりシワ対策美容液だったり、内容はさまざまだけど、年代に関係なく(10代から70代まで)最も頻繁に聞かれることは何かというと……? 「オススメのファンデーションは何?」という質問だ。特に30代半ば以降、人と接する機会も多い働く女性たちは、ベースメイクに対して真剣度が高いように思う。

 2020年春、この質問をされたら、回答はもう決まっている。「新しいファンデーションを1品購入するより、まずは『下地』を取り入れてみては?」と。

 今シーズンも続々ベースアイテムが登場する中で、質感や機能の進化に驚かされるのが「下地」のカテゴリーだ。個人的に注目しているのが、薄化粧効果のある「トーンアップ下地」である。近年トーンアップ下地は若い世代を中心にすでに広く浸透中。これまでの流行色はラベンダー色だった。肌の透明感を高め、まるで「スマホの美肌アプリ」で修正したような肌が手に入ることが、若い世代に支持された理由でもある。では、30代以降の大人の女性が選ぶとしたら、どのような下地が良いのだろう?

ピンク下地が自然な血色感で大人特有のくすみ解消

 同じトーンアップ下地でも、大人の女性に推奨したいのは、断然「ピンク色」。肌の均一感を高め、明るく整える効果に加え、自然な血色感を添え大人特有のくすみ解消が期待できる。もうひとつ、大人の女性がトーンアップ下地を使う利点は、ファンデーションの使用量が少なくて済むことだ。下地で肌の均一感を高めておくことで、ファンデーションは頬や目の下など色ムラが気になる部分のみに使えば良い。こうすると仕上がりの化粧膜が薄くなり、結果として崩れにくくなる。ファンデーション1品で色ムラを隠そうとすると、どうしても厚塗りの、のっぺりした印象になりがちだ。

 上記のような理由で、大人の女性にこそオススメしたい「トーンアップ下地」。折しも2020年春は、大人の肌に最適なピンク色の「当たり年」でもある。紫外線防止効果に優れたUVケアから、肌に自然な艶感を添えるハイライト。スキンケア効果を備えたプライマーまで、価格帯も含めて幅広いアイテムが充実している。実際試したなかで、以下にオススメの5品をご紹介したい。

大人肌の救世主、ピンクのベースアイテム5選

スキンケアと共通のローズ由来成分配合「ディオール」

 スキンケア効果と素肌っぽい仕上がりの美しさを両立するなら、「ディオール(DIOR)」の「プレステージ ホワイト ル プロテクター UV シアーグロー」をぜひ。あらゆる可視光線から肌を守り、スキンケアシリーズと共通のローズ由来成分が、肌本来の抗酸化力をサポート。環境ダメージに立ち向かい、ほんのりツヤを宿した明るい質感へと導いてくれる。

低刺激で保湿作用に優れた「ラロッシュポゼ」

 これから春先にかけて、肌が不安定に揺らぎやすいシーズンに、味方につけるべきは「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」の「UVイデア XL プロテクショントーンアップ ローズ」。低刺激かつ保湿作用に優れ、塗布した感触はまるでスキンケアクリームのよう。敏感な肌にそっと寄り添い、ナチュラルなローズカラーで、均一感と血色感を高める効果が期待できる。

元の肌がパッと明るくなる「エレガンス」

 まるで元々の肌がパッと明るく、均一であるかのような「メイク効果」で選ぶなら「エレガンス(ELEGANCE)」の「モデリング カラーアップ ベース UV PK110」をぜひ。25年も前から肌色補正効果に注目したコントロールカラーシリーズで、最新作のPK110は透明感と血色感のバランスが絶妙! 大人の肌にクリアな質感を呼び覚ましてくれるだろう。

機能性とコスパ重視の「アリィー」

 機能性やコストパフォーマンスを重視したい方には、ドラッグストアで手に入る「アリィー(ALLIE)」の「ニュアンスチェンジUV ジェル RS」がオススメだ。紫外線防止効果に加え、こすっても落ちにくいなど機能性に優れたUVケア。この春仲間に加わったRSは、どんな肌トーンとも相性が良いナチュラルピンク。ピンク下地の入門編としても活躍させたい。

湯上りのような血色感を再現する「シャネル」

 人肌特有のほのかな艶感、湯上がりのような血色感を再現したいなら、「シャネル(CHANEL)」のハイライター「ル ブラン ロージー ドロップス」に注目を。水分を豊富に含んだみずみずしいテクスチャーと上品なパール感が秀逸だ。頬の高い位置にぼかしたり、手持ちのファンデーションにブレンドしてなじませると、ツヤが息づく自然な肌が手に入る。

 上記はほんの一部で、ラグジュアリーブランドから手頃な価格帯の多機能UVケアまで、まさにこの春は「ピンクのベースアイテムの当たり年」。なりたい肌やライフスタイルに合わせ、最適なものを見つけやすいシーズンでもある。

 ごく身近な狭い範囲の経験ではあるが、これまで同世代(40代)の友人に「トーンアップ下地」をすすめてみると、あまり反応が良くない(「下地ではなく、ファンデーションを知りたいんだけど」的な)傾向があった。しかし、艶感や血色感が低下しがちな肌にこそ、本来は絶大な威力を発揮するピンクのベースメイク。今シーズンの個人的「推し」であり、大人の女性こそぜひ試して頂けたらと思う。

宇野ナミコ:美容ライター。1972年静岡生まれ。日本大学芸術学部卒業後、女性誌の美容班アシスタントを経て独立。雑誌、広告、ウェブなどで美容の記事を執筆。スキンケアを中心に、メイクアップ、ヘアケア、フレグランス、美容医療まで担当分野は幅広く、美容のトレンドを発信する一方で丹念な取材をもとにしたインタビュー記事も手掛ける

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ファッション通信簿Vol.48 スーツの着こなし対決で勝利したのは誰?セレブたちのファッションを米「WWD」がめった切り

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第48回は、ケンダル・ジェンナー(Kendall Jenner)、ウィニー・ハーロウ(Winnie Harlow)、ビリー・ポーター(Billy Porter)、ジョン・ハム(Jon Hamm)、ハンター・シェーファー(Hunter Schafer)、ハー(H.E.R.)、パトリック・シュワルツェネッガー(Patrick Schwarzenegger)、マット・ボマー(Matt Bomer)が登場。スーツを完璧に着こなして褒められたセレブがいる一方で、同じようにスーツを着ても「ストリップクラブに向かうブリキ男」と評されたセレブも――今回はいったい誰にどのような評価が下されたのか?

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またまたミラノ日記Vol.4 34歳ダニエル・リーの「ボッテガ・ヴェネタ」のセンスに脱帽 細くなったシルエットの理由は?

 現地報道によると、新型コロナウイルスはイタリアでも広がり、23日朝(ミラノ時間)の段階で国内の感染者数は79人に増加。国内では最大5万人を対象に自宅待機などの隔離対策が始まりました。ミラノでも、22日からはアジア人に対する人々の反応が変わってきたように思います。「ジョルジオ アルマーニ(GIRGIO ARMANI)」は感染拡大を懸念して23日夕方、2回に分けて行う予定だったショーを、無観客で開催すると決定。思うことはさまざまありますが、今は、できることをやるだけです。というコトで、ミラノ・ファッション・ウイーク4日目も張り切って参りましょう!!

9:50 サルヴァトーレ フェラガモ

 本日の朝イチは「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」。タイムレスとロマンチック、そしてセンシュアル(官能的)が絶妙にいりまじります。いつでも、どこでも、誰でも着られるようなチェスターコートにジャケット、デニムシャツ、ガウチョパンツ、シャツは、落ち葉のようなカラーパレット。やはりココでも、多くのスタイルは細いチェーンや共布のベルトでウエストマーク。肩から垂れ下がる布地が揺れる中で、シルエットにメリハリを与えます。今季は、ブラトップが透けるほどシアーなニットやチュールのドレスが登場し、コンサバなブランドイメージを棄却。落ち葉モチーフのシャツも、背面は、その落ち葉を組み合わせたレースのような布地で切り替え、背中を露わにします。少しドキッとするくらいです。

10:30 ボルサリーノ

 「ボルサリーノ(BORSALINO)」の展示会へ。帽子のリボンやチェーンは、取り外せばヘアアクセサリーやネックレスとしても使える優れモノ。ブランドの担当者は、「チェーンを肩にかければ、バッグみたいに持ち歩けるのよ!」と見せてくれましたが、まぁ、それはやらないかな(笑)。エントランスでは、最新の帽子を被った姿を切り絵にしてくれます。良きお土産です!!

11:50 MSGM

 「MSGM」は、1月のメンズ・コレクションに続き、イタリアのホラー映画にインスピレーションを得ました。メンズはほとんど楳図かずおでしたが(詳細は、コチラへ)、ウィメンズは黒猫や怪しげに光る蝶々など、ダークエレガンスなモチーフをプリント。マッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Giorgetti)が得意とするフリフリのガーリーテイストとハイパーミックスです。今季は大きめのジャケット、プリーツのミニスカート、カッターシャツなど、ムードはスクールガール。そこに、黒猫を思わせるモコモコのビッグストールを肩から流し、怪しげな妙齢の女性のムードも漂わせます。

 終盤は、メタリックファブリックのトレンチコートや、スパンコールのドレスなどピッカピカ。ビビッドカラーとインパクト絶大のモチーフを怯まずハイパーミックスするスタイルはイタリアの中で唯一無二ではありますが、フリルやメタリックカラー、スクールガールテイストなど、実はトレンドも盛り沢山。というか、トレンドセッターくらいの印象であります。

 フィナーレ後のランウエイには、ヒールがコロリと転がっていました。これまたホラー!!誰かのハイヒールが、片足もげちゃったのです(笑)。よく最後まで歩けたなぁ。モデルのプロ魂を見ました(笑)!!

12:50 アニオナ

 お次は「アニオナ(AGNONA)」。サイモン・ホロウェイ(Simon Holloway)が20年ぶりに復活させたメンズも楽しみです。

 今季は、ニットが良いですね!!編み上げたニットをバイアスに使うことで、ボディコンシャスというよりは、肌を撫でるように落ちていくニットドレスは、素人でも一目で「あぁ、良い素材を使った、センスの良い洋服ですね」と思わずにはいられないエレガンス。裾にぺプラムをあしらい、ジャケットの袖口、裾からチラリと覗かせれば、近寄りがたいくらい厳かなセットアップに“気安さ”と”着やすさ”が生まれます。中盤は、カシミヤを脱色・染色せずに用いたサステナブルなパート。ここは、やっぱり1トーンコーディネイトが正解です。

 メンズは、まだブラッシュアップの余地がありますかね~。特にパンツがイマイチ。お尻周りのボリュームに対して急速にテーパードするクロップド丈は、自然体のウィメンズに対して、ちょっぴり“頑張っちゃってる”感があります。

13:45 エルマンノ シェルヴィーノ

 「エルマンノ シェルヴィーノ(ERMANNO SCERVINO)」、格段に良くなりました!!どうした?急に?前までは正直、1980年代くらいの黄金期から抜け出せてない感が強く、“出遅れた古豪組”の印象が強かったのですが、今季は力強さと繊細さのミックス加減が絶妙。モノトーンのカラーパレットに徹したのも奏功しました。お気に入りは、カッチリしたピークドラペルのチェスターコートに、プリーツを施したハイネックドレスのコーディネイト!!メチャクチャ高そうではありますが、刺しゅうで値段を釣り上げる(イタリアの古豪ブランドにありがちで、「エルマンノ シェルヴィーノ」もハマりがちでした)スタンスよりずっと好印象です。ブラックレザーのドレスにレースのハンカチーフのように複雑なカットアウトなど、1着の中で強さと儚さを同居させたアイテムもGOODです!!

 前回、こんなコラムを書きましたが、極薄ハイゲージのタートルネックを素肌にまとったルックでは、ちゃんとニプレスを付けていました。思いが通じたでしょうか(笑)?

14:10 本日も怒涛の展示会ラッシュ始まる

 ここからは、昨日同様、怒涛の展示会めぐりです。

 「ヴァレクストラ(VALEXTRA)」は、「プラン C(PLAN C)」や「スンネイ(SUNNEI)」など5つのブランドとコラボレーション。「ヴァレクストラ」自身を第6のブランドと位置付け、今年1年で6ブランドによる商品を順次ドロップする「エクストラ ミラノ」というプロジェクトを発表しました。「プラン C」は、デザイナーのカロリーナ・カスティリオーニ(Carolina Castiglioni)の娘が描いたキーアイコンを、「ヴァレクストラ」のバッグにそのままオン!!「スンネイ」は、こちらもブランドにとってアイコニックなストライク柄を異素材でバッグに描きます。気に入ったのは、「ヴァレクストラ」とミラノの中小ブランドとのコラボレーション、という図式ではなく、彼ら同様「ヴァレクストラ」自身も1ブランドとして参画するスタンス。サラ・フェレロ(Sara Ferrero)最高経営責任者は、「とってもミラノなプロジェクトだけど、卓越した(Extraoridinary)なブランドが集結したから『エクストラ ミラノ』って名付けたの」と語ります。僕のお気に入りは、「スンネイ」です。バッグ、30万円くらいかしら(笑)。貯金しようっと。

 「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」は、「エレガンスは、長い歴史、さまざまな人々、多様な文化が融合することで完成する」と考えました。シノワズリを思わせるアジアンモチーフに、西洋的なビジューを盛り込んだパンプスなどは、まさにその代表例。アジアで長年愛されてきたシノワズリ、そしてヨーロッパの人々が長らく好んでやまない装飾の融合で、「ジミー チュウ」のエレガントなパンプスが誕生する、というワケです。「『ジミー チュウ』は、一日で成らず」ですな。今季は、パールの装飾がたくさん。トレンドでもありますが、「真珠は、貝が時間をかけて育むものだから」という理由で採用しています。

 「55DSL」、復活です!!アップサイクルな商品を、「55DSL」の名前で販売するプロジェクトがスタートしました。ドゥオモにほど近い「ディーゼル」の旗艦店に行くと、そこには、「ディーゼル」の洋服をリメイクするオバちゃんがズラリ。目の前でミシンをサクサク操り、デニムブルゾンやスエット、Tシャツなどを生み出していきます。価格は、スエットで190ユーロ(2万2800円)、デニムブルゾンで450ユーロ(5万4000円)だから、「ディーゼル」としては驚くホドじゃありません。「売れ残りを、プロパーで再販するなんて」と考える人もいるかもしれませんが、一手間加えて、新たな付加価値を生み出しながらムダを削減すんですから大賛成です!!

 お次は、キラキラパンプス「レネ カオヴィラ(RENE CAOVILLA)」の展示会へ。ここでもパールのパンプス発見!!にしても、「余白があったら、とにかくビジューで埋めちゃおう!!」くらいの“覚悟”を持ったブランドですね(笑)。ご挨拶した最高経営責任者は、実にダンディでした。

16:30 チヴィディーニ

 次は、ニットブランド「チヴィディーニ(CIVIDINI)」。序盤、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」のイントレチャートを思わせるドレス&バッグが登場したときは「ムムムッ」と思いましたが、その後は、グラデーションするモヘアのメランジュニット、手描き風のチェックを敷き詰めたベルベットのセットアップ、ハケで絵の具を塗りたくったような柄のハイゲージニットなど、「チヴィディーニ」らしく、色と柄が絶妙に混じり合う様を柔らかく表現します。ネックウォーマー的なアイテムは、ウエストに巻けばコルセット、帽子に巻けばアクセサリーに変わる優れモノです。

17:30 ボッテガ・ヴェネタ

 さぁ、その「ボッテガ・ヴェネタ」の順番がやって参りました。会場に用いた布、紙などはすべてサステナブル素材。紙をムダにしないように、と招待状はデジタル。プレスリリースもメール送信です。そういえば、今シーズンは紙のプレスリリースを受け取る回数が極端に減っています。時代ですね。そして会場には、「ボッテガ・ヴェネタ」ルックでやってきた関係者が多いこと!!“餃子クラッチ(正式には、パウチバッグですw)”、会場で20回は目撃したように思います。関係者の偏愛は、将来の人気のバロメーターでもあります。「ボッテガ・ヴェネタ」、もっともっと大きくなりそうな予感です。

 コレクションは、前回までのオーバーサイズやボックスシルエットから一変!!驚くほどリーン(細長く)、そしてシンプルです。フリンジを除けば装飾的要素は皆無に等しく、ジャケットスタイルはVゾーンからライムグリーンやフューシャピンクのインナー、それに小さなネックレスが覗くくらいです。今シーズンは、美しいシルエットの直球勝負!!コートやジャケットは、背中のレザーバンドでウエストをさらに絞り、パンツは裾にファスナーを。開ければフレア、閉じればスキニーに変身します。それにしても34歳のダニエル・リー(Daniel Lee)、この若さで、ここまで削ぎ落とした美しさを確立できるなんて!!才能はもちろんですが、どういう人生を経たら、ストリート世代がここまでエレガンスを極められるのでしょうか?

 と思い、早速バックステージへ。ダニエルは、「ネット社会の今は、全てが複雑。いつしかファッションも、大きな洋服を複雑にレイヤードするようになってしまった」と話し始めます。そこで、今回のリーンなシルエット。ダニエルはこれを「Elongate(縦に引き伸ばした)」シルエットと話し、「細長くて体にまとわりつくけれど、ストレッチが効いていてコンフォート。洋服の存在を常に感じさせつつも着る人に寄り添う姿勢は、『ボッテガ・ヴェネタ』らしい」と続けます。感動、であります。

19:30 ミッソーニ

 お次は、「ミッソーニ(MISSONI)」。カラフルニットの男女合同ショーですが、今回は、新しさを見出しづらかった印象です。いつも以上にさまざまな色と柄、それを複雑にパッチワークした洋服が登場しましたが、直前に時代を見つめた上でシルエットを大変革した「ボッテガ・ヴェネタ」を見てしまったせいか、デジタルサイネージの演出以上の“2020年らしさ”を見出すことができませんでした。

 ミラノのパワーブランドです。会場には、老若男女さまざまな「ミッソーニ」ファンが駆けつけます。中には、フーディにマルチカラーのストールを合わせた男の子、ニットパンツにスニーカーのボーイズ、ワンピースにニットで作ったガウンコートの女の子など、「ミッソーニ」のニットを自由奔放にスタイリングする人がたくさん。彼らから学べることは、多そうです。

20:40 GCDS

 本日のラストは、「GCDS」。率直に、「進化のないストリートは食傷気味だな」と自分自身の心境が数年前と大きく変わっていることに驚きました。

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シワ改善商品は、茶色の紙袋に入れるもの? エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年12月26日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

シワ改善商品は、茶色の紙袋に入れるもの?

 一人目を妊娠中、右の頬にシミが、二人目を妊娠中、左の頬にシミが……。気をつけていましたが、がーん。妊娠中はホルモンバランスの変化でシミができやすいかもとは聞いてはいたものの、子どもの世話に追われたりでしっかり日焼け止めを塗らなかったのがいけなかった。反省しております。

 シミにも効果が期待できる美容液を使って毎日ケアしていますが、できてしまったシミは薄くはなっても消えはしません。今後、シミが増えないことに加えて、年齢とともに気になるシワには早くから(早くもないけど……)アプローチするのがいいよね、ってことで、シワ改善クリームを使うことにしました。

 2017年にポーラが認証を取得してから、各社から続々と誕生しているシワ対策商品。私が使っているのは、コーセー「ワン バイ コーセー(ONE BY KOSE)」の「ザ リンクレス」。近くのドラッグストアで売っているのが決め手でしたが、使っているうちにやっぱりシワが改善してきました。すごい!もう何本も使っていて、先日も新しいのを買いに行きました。

 で、お会計のときのこと。若いアルバイトの女性がレジで対応してくれたのですが……。レジの下のあたりでごそごそ。ビニールのショッパーを出してくるのかと思いきや、茶色の紙袋を出して入れようとするんです。そうです、生理用品を入れてくれる、あの茶色の……。「えーーー、シワクリームって隠さなきゃいけないの?恥ずかしいの??」(心の声)。思わず、「い、いれなくて大丈夫です!」とお断りしました。若い人と“おばさん”では、シワ改善クリーム一つとっても、認識が違うんですね。あーびっくり。思ったのが、これって仕事でもそうかもしれないってこと。自分の価値観は柔軟にしとかないと、若い読者にも響く記事は書けない、さらには自分の子どもの教育においても必要なんだろうなと感じました。

 しかし茶色の紙袋。今、生理用品を隠すこと自体についても賛否のあるこの袋。私自身は、ゴミにもなるし、そこまで隠さなくてもと思っていて、隠した方が逆にバレちゃうんじゃないかなって。みなさんは必要だと思いますか?必要ないと思いますか?

HER OPINION:ママ、女性に関連するファッション&ビューティ業界の話題をお届けします。今、働くママを含めた社会進出が進む女性に関わる情報が増えてきました。彼女らにまつわるニュースをピックアップすることで、彼女らを支える彼らにも役立つニュースを紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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カメラマンが打ち明ける 新型コロナで肩身が狭いミラノ・コレクションのバックステージ

 新型コロナウイルス騒動で世界が揺れる中、ミラノ・ファッション・ウイークが続いています。「イタリア人は、予想以上に優しい」と話す日本人が大半ですが、それでもさすがに今回は、アジア人に対する街の人々やバックステージの反応は、いつものミラノと違うように思います。今季は、毎回バックステージのパスが出ていたブランドからも取材許可が下りなかったり、撮影がNGになったりしています。

 「フェンディ(FENDI)」のバックステージでは、全てのバックステージ・フォトグラファーは外で待つよう指示され、ビューティの撮影はできないことを現場で言い渡されました。現地のスタッフと話していた知り合いのフォトグラファーが私に向かって、「コロナウイルスのチェックをするって。グッドラック!」。外で待つこと約50分、ようやく中に入ると、ミラノの空港のように衛生保健員の方々が体温計を手に待機しています(現在イタリアでは、ほとんどの空港で体温チェックがおこなわれています)。一人一人の額にレーザーを当てて体温をチェック。バックステージには別の衛生保健員が2人、具合が悪くなった人をケアできるよう待機していました。慎重な体制は最悪の事態に対する備えです。開催者としての、責任ある姿勢を感じました。3日目を終えた段階では、こんなブランドは他にはありませんし、知り合いからも耳にしていません。

 残念なことにバックステージでは、私を含めたアジア人をジロジロ見ながらコソコソ話す人、露骨に避ける人も結構います。「あのモデルは、中国人かな?」という会話が聞こえてきたり、汚いものを見るかのように扱われたりもないわけではありません。某有名ブランドでは、現地のフィッティングスタッフが私を物色した後に面と向かって「チナ(中国)」と言ってきます。「私は日本人です」と返すと、「日本も危険」と言われました。そこで「パリに住んでいます」と答えると「オッケー」だそうです。

 フォトグラファー同士でも、くしゃみをした仲間に「あ、お前ウイルス持ってるんじゃない?」と笑えないジョークを飛ばす人が。言われた本人も「中国に行ってないのに、おかしいな。昨晩、中国発祥のマッサージに行ったけど、そのせいかな?」と、これまた笑えないジョークで返す。そして、私をちらっと見る。私がくしゃみをしたら、きっとこれ以上の差別を受けることでしょう。もちろん全ての人が差別しているわけではなく、「もうアジア人だけの問題じゃないんだから、アジア人を避けたり差別したりするのはバカみたいだし、間違っている」とコメントしてくれる人もいます。

 このように、今回のバックステージの取材はいつもにも増して人種差別が酷く、肩身が狭い時もあります。また、電車やトラムなどの公共機関でもお年寄りを中心に同じような態度を取られることがあります。ただ私自身、あるバックステージで具合が良くないアジア系モデルがゴミ箱に嘔吐している姿も見かけた時、今はなおさら、ちょっぴり神経質になってしまったのが正直なところ。過敏になるのは仕方なくもあります。

 今回のミラノ・ファッション・ウイークのリアルでした。

景山郁:フリーランス・フォトグラファー。2003年からフォトグラファーとしてのキャリアをスタート。07年に渡米、09年より拠点をパリに移す。10年から「WWDジャパン」でパリ、ミラノなどの海外コレクションのバックステージと展示会などの撮影を担当。コレクション以外にもポートレート、旅やカルチャーなどエディトリアル、広告を手掛ける。プライベートでは動物と環境に配慮した生活をモットーにしている

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【動画】2020年春夏ミラノ・パリコレバックステージを振り返り 「グッチ」「ディオール」のメイクを動画で

撮影 : IKU KAGEYAMA

 現在2020-21年秋冬ウィメンズ・コレクションが発表されているが、市場での20年春夏メイクの立ち上がりに、同シーズンのバックステージを振り返って紹介!ここではミラノコレクションから「グッチ(GUCCI)」「フェンディ(FENDI)」「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」、パリから「ディオール(DIOR)」のヘアメイクをピックアップ。

 「グッチ」は個性美を表現するためにつけまつげを目の上下に貼り付けた個性的なルックを披露し、「フェンディ」は“フェスで遊んだ2日後”のメイク、つまり崩れてしまったメイクを作った。目のインライン(粘膜)に入れたアイライナーをスマッジさせ、さらにシルバーのグリッターを目の下から頬にかけてまぶした。ヘアも完璧すぎない、あえて自分でモデルが自分たちで作ったかのようなシンプルなルック。「サルヴァトーレ フェラガモ」はビビッドなフェイスペイントを目元にカラーブロッキングしてのせ、アーティスティックな目元に仕上げた。「ディオール」はピーター・フィリップス(Peter Phillips)のチームで働く日本人メイクアップアーティストにメイクルックを解説してもらった。植物を転写したドレスなど、自然からインスピレーションを受けた今季は、肌はナチュラルに、目元にアイライナーを入れてシンプルの中に強さを表現したメイクだった。

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またまたミラノ日記Vol.3 同僚ダウンで14カ所をタッチ&ゴー 「マルニ」について考え抜く

 ミラノ3日目は、後輩記者マミーノが、体調不良で戦線離脱!!昨日は3人だった「WWDジャパン」チームが、一夜明けたら1人になってしまいました(泣)。ということで、本日はいつも以上の高速バージョン。数多のブランドの皆様、タッチ&ゴーで駆け抜けてしまい、本当にごめんなさいでした。

9:55 トッズ

 本日一発目の「トッズ(TOD’S)」は、新クリエイティブ・ディレクターのヴァルター・キアッポーニ(Walter Chiapponi)によるファースト・コレクションです。ヴァルターは、「ヴァレンティノ(VALENTINO)」「グッチ(GUCCI)」「ミュウミュウ(MIU MIU)」そして「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」で経験を積んだ、イタリアン・ファッションをよく知る人物。詳しくはコチラの記事をご覧ください。

 コレクション、良いですね!!チェスターコートは、今シーズンらしいウエストシェイプ。一方のジャケットは、ボーイフレンドシルエット。ウールやツイード、コーデュロイをたっぷり使ってシルエットに抑揚を効かせながら、基本はイタリアンな大人っぽいカラーパレットですが、時折強いレッドなどのフレッシュカラーを加えます。今、若いミラネーゼがお父さんやお母さん、ボーイフレンド、それに自分の洋服を自由奔放にコーディネイトしたら、こんなカンジってカンジ(笑)。アクセサリーの根幹を担うバッグ&シューズは、ラウンドシェイプのホーボーバッグにレトロスニーカー、キルティングレザーのワンハンドル、サイドゴアブーツ、パンプス、ポインテッドトーのフラットシューズ、それに「トッズ」と言えばなドライビングシューズの“ゴンミーニ”とバリエーション豊か。一押しのバッグは、大きさ的にちょっと売りづらそうですが、他のアイテムは格段にフレッシュになりました。好発進です。

10:45 ジェオックス

 お次は、「ジェオックス(GEOX)」。なんという大渋滞!!車が全く動かず、思ったよりかなり遅れての到着です。日本ではどうしても機能面がフォーカスされ、スニーカー、もしくは疲れないパンプスというイメージが先行してしまいますが、ちゃんとエレガントもございます。防水や通気性に優れたブランドのブーツ、案外イケるかもしれません。

11:50 エンポリオ アルマーニ

 ほぼ「トッズ」の場所に逆戻りして、「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」へ。ショーは、1月のメンズ・コレクションでも発表したサステナブルな「R-EA」コレクションからスタートです。リサイクルウールやポリエステルから作ったアイテム、メンズはストリート仕様でしたが、ウィメンズはコンパクト丈のジャケットやチェスターコート、キュロットなど、完全に「アルマーニ」ワールドなアイテムです。アルマーニファンの女性に、選べる選択肢をプレゼント、っていう感じでしょうか?

 コレクションは、ブラック&ホワイトの世界で始まりました。「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARANI)」が普遍性をテーマに柔らかな色使いを模索する昨今、「エンポリオ アルマーニ」はモードのテイストを強めています。序盤は、ひたすらにパンツスーツ&ベルベットのネクタイ。クロップド丈のジャケットに、リラックスシルエットのパンツ、それに大きなベルベットタイのコーディネートの連打に、アルマーニさんの、アンコンジャケットの先駆者の、ストリートスタイルからの回帰という想いを感じざるにはいられません。中盤は、そこにリボンが加わってラブリー度がアップ。


 そして終盤は、今季は推しましたね~。エメラルドとミッドナイトブルー。ベロアのセットアップからベアトップのミニドレス、フリルたっぷりのワンピースに至るまで、エメラルドとミッドナイトブルーのペアをランウエイに送り出しました。大きなコサージュにフリル&ラッフル、そしてリボン、大人っぽい色合いにキュートなディテールも素敵です。


12:50 スポーツマックス

今年で50周年の「スポーツマックス(SPORTMAX)」は、装飾は最小限に、シルエットにこだわりました。いずれのルックも、ウエストマーク。ダーツでウエストが大きくくびれたPジャケット、パターン状のレザーやベルベットをコルセットのように配置したジャケット、時にはハーネスのようなパーツも使ったベルトマーク……。今季、多くのブランドが工夫するウエストマーク1本勝負!!という感じです。終盤は、ベルベットに七色に光るクリスタルを散りばめたジャケットやドレス。ドレスにもルレックス(金属糸)を折り込み、ピカピカです。今季のトレンドが、目白押しや~。


13:15~ 怒涛の展示会周りスタート!!

 さぁ、ここからは一気に行きます。それぞれ、滞在時間は全て10分以内です。ホント、ブランドの方には申し訳ない。もう一回謝ります。ごめんなさい。

 「コリーニ(COLLINI)」は、いきなり魔法陣の中で呪文を唱える魔女みたいなスタイルが出迎えてくれました。アクセサリーは、おぅ、目玉(笑)。「普段着」と紹介いただいたスエットも、ナカナカのモンです。「無難は何にも生み出さない」。会場で首脳に聞いた言葉を聞いて、納得であります(笑)。

 「ジャンヴィト ロッシ(Gianvito Rossi)は、往年の名女優を思わせるコレクション。艶っぽいレザー、曲線のヒール、メリージェーンストラップが、そんなムードをかきたてますね。フラットなバレエシューズはベルベット、マウンテンブーツはメタリックレザーなど、イヴニングなムードを備えたカジュアルアイテムもユニークです。

 「ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)」は、アクセサリーがめちゃくちゃ可愛くなってます。カメラバッグがカシミヤ製だったり、AirPodsケースにクロコダイルタイプも用意したり、値段はカワイくなさそうですが(苦笑)、大ぶりチェックのトートバッグ含め、コレは新たなガールズ&ボーイズが注目しそう!ウエアも、どうしてもポンチョとかざっくりニットのイメージが強いのですが、パステルカラーのチェスターコートやボディコンシャスなニットドレスなど、コンテンポラリーのムードは増すばかりです。良き!!

 「ポメラート(POMELLATO)」は、新作“ファンティーナ”コレクションを発表。馬術の世界にインスピレーションを得た、曲線なのにパワフルなリング、ネックレス、イヤリング、ブレスレットなどが揃います。聞けば「ポメラート」という名前、イタリア語で“まだら模様の馬”という意味だそう。「へぇ」であります。

 「プラン C(PLAN C)」のプレゼン会場は、光と影。ちなみに、影を作っているおもちゃは、デザイナーのカロリーナ・カスティリオーニ(Carolina Castiglioni)の私物オモチャです(笑)。力強いコートにロングドレス、クリーンなシャツにガウチョパンツとスポーティブルゾンなど、相反するテイストを融合したコレクションと、光と陰のプレゼンテーションがマッチです。

14:35 エトロ

 「エトロ(ETRO)」と言えばノマド(遊牧民)なワケで、今シーズンもテンガロンハット&カウボーイブーツや、アフガンストール、ペイズリー&ナバホ柄、ゴブラン織りのコートなどなど、あらゆるアイテムをエクレクティック(折衷主義)に取り入れます。でも今シーズンは、ロンドンとかパリなど、「エトロ」レディは都会も旅したみたいです。そりゃ、毎回砂漠とか荒野だけじゃ飽きますよね(笑)。

というワケでブリティッシュチェックのジャケット、シルクのボウタイブラウス、ヴィクトリアン調のドレスなどなど、今季はドレスアップのムードが強め。ニットカーデにもショルダーパッドが入ったり、やっぱり時代は今、ちょっと心構えがいるけれど、だからこそ袖を通せば“アガる”服を求めていますね。

15:40 マルニ

 さぁ、コレは一体、何でしょう(笑)。奇才フランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)の「マルニ(MARNI)」は、ボロボロのレザー、ニット、ヴィクトリアンなカーペットなどをハイパーパッチワーク。そこにレスリングシューズを合わせました。フィナーレのリッソは、なぜかウサギ姿(「FR2」を思い出したのは、私だけかもしれませんw)です。

 正直ビジネスは、このアイデアをかなり希釈したコマーシャルラインと、もはや別軸にあるようにさえ感じられるプレ・コレクション、加えて日本においては「ポーター(PORTER)」とのコラボレーションや「マルニ マーケット」があるので大きな問題はなく、その意味においても「コレは、誰が着るの!?」という疑問は、こと最近の「マルニ」のランウエイを語るにおいては愚問です。ここは、「そんなビジネスのプレッシャーから解放された(解放されていいのかどうか、はまた別問題ですがw)リッソは今、何を考えているのか、一緒に考えよう」と解釈することが大事でしょう。

 フィナーレのウサギ、そしてインビテーションとして送られてきた動画から考えると、今季は、「不思議の国のアリス」ですよねぇ。結局、まどろんでいただけのアリスの物語は、原作を読むと「?」な場面が多数存在し、ゆえに解釈は今なお無数に存在します。今季の「マルニ」は、そんな無数に存在する解釈までひっくるめての「不思議の国のアリス」な感じ。アリスの時代感のビンテージ、「不思議」の由縁にもなっている「?」な場面を思わせるヘンテコスタイリング、そして、渦巻くあらゆる解釈までもが「不思議の国のアリス」という物語の魅力となっている状況、リッソは、その全てをボロボロの材料、「誰が着るの!?」というアイテムやヘンテコスタイリング、そして、渦巻く意見を思わせるパッチワークやムラだらけのカラーパレットで表現したのではないか?と。ちょっと優しく解釈しすぎでしょうか(笑)?

 「一笑に付す」のは、正直簡単です。でも、ビジネスマンのレンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)OTB会長が、わずか32歳で「マルニ」のトップに大抜擢した人物ですから、“勘ぐって”良いハズ。今季は、そう思い、こう勘ぐってみました。いかがでしょう(笑)?

16:30 プラダ

 昨晩の「プラダ(PRADA)」の展示会へ。透ける素材、フリンジ、そしてウエストマークなどで女性らしさを賛美したコレクションのアクセサリーなどをパシャリ。今季のキーディテールのフリンジは、バッグにもてんこ盛り。「何を入れるの!?」とも思いますが、女性の神秘を象徴するバニティケースは、ベルト、ネックレス、ブレスレットなど、あらゆるアイテムに取り入れられています。

17:30 セルジオ ロッシ

 先ほどの「ジャンヴィト ロッシ」同様、「セルジオ ロッシ(SERGIO ROSSI)」も砂時計のようなフォームのヒール。パンプスは、一気にセンシュアル(官能的)になりました。どうやら今季は、「女性であることの喜び」を素直に表現するのが、ミラノの根底に流れる価値観のようです。

 にしても驚きなのが、「セルジオ ロッシ」のヒールが「さぁ、頑張って履くぞ!!」というプレッシャーを感じさせないシルエットに仕上がっていること。今季は、9cmと6cmのヒールの2本勝負なのですが、いずれも7.5cmと4.5cmくらいに見えるのは、「セルジオ ロッシ」マジックでしょうか?会場全体がグリーンなのは、ブランドがずっとサステナブルに取り組んでいるから。自社の太陽光発電と、ドイツのクリーン企業からの買い取りにより、本社と工場、イタリア国内の店舗はアウトレットを含めて全てサステナブルな電力で賄っており、加えて工場の職人は、夏休みが4週間になったそう。労災も大きく減少しました。

19:30 ヴェルサーチェ

 さぁ、本日ラストは「ヴェルサーチェ(VERSACE)」。今回は、男女合同ショーです。会場は、こんなカンジ。目の前には大きなスクリーン。座ると、目の前には自分(笑)。強いエフェクトがかかっていて、ユラユラ揺れています。一人で遊んでいると、あっという間にショーが始まりました。

ドナテラの顔から始まったときはビックリしましたが(笑)、ショーは、このスクリーンを上手に使って疾走感たっぷり。序盤のウエストをシェイプしたブラックドレスから、レッド×ブラックのブリティシュチェックで作るトラッド、そこからストリート、グレーを基調としたイタリアンフォーマル、十八番のシルクスクリーン、そしてレザーとデニムのパッチワークと次々展開。見るものを飽きさせません。重低音の打ち込みと、スクリーンのエフェクト、終盤は歪んだゼブラなどのモチーフに覆われたセットアップやファーコートで迫力満点のランウエイショーは、まさにコレぞ「ヴェルサーチェ」!!素晴らしきランウエイに1日14カ所を回った疲れも吹っ飛びました~!

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勢いに乗ったきっかけはSNS!? 2020年「LVMHプライズ」のセミファイナリストたちが語る

 2月14日、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が開催する2020年度「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE以下、LVMHプライズ)」のセミファイナリスト20組が発表された。

 今回のセミファイナリストは、「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」「チョポヴァ ロウェナ(CHOPOVA LOWENA)」「レイブ レビュー(RAVE REVIEW)」「ピーター ドゥ(PETER DO)」「ヘルムシュテット(HELMSTEDT)」など、インスタグラムをはじめとしたSNS上ですでに高い知名度を持つデザイナーが多いことが特徴だ。

TOMO KOIZUMI

 セミファイナリストの中でSNSの影響を最も実感しているデザイナーを挙げるとしたら、それは「トモ コイズミ」を手掛ける小泉智貴ではないだろうか。2018年10月。伊「ヴォーグ(VOGUE)」のサラ・マイノ(Sara Maino)が、ラッフルを幾重にも重ねたカラフルでボリュームのある小泉のデザインを自身のインスタグラムに投稿したことがきっかけで事態は急展開を迎えた。

 小泉のデザインはジャイルズ・ディーコン(Giles Deacon)やグウェンドリン・クリスティー(Gwendoline Christie)を通じて、人気スタイリストのケイティ・グランド(Katie Grand)の知るところとなり、ケイティが小泉にメッセージを送ってから1カ月も経たずして18年2月にはニューヨークの「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」のショップで小泉にとって初のランウエイショーが実現した。ショーにはベラ・ハディッド(Bella Hadid)、カレン・エルソン(Karen Elson)、ローワン・ブランチャード(Rowan Blanchard)ら有名モデルが参加し、「トモ コイズミ」のショーは一夜にして世界中のSNSを駆け巡った。

 コスチュームデザインのみを手掛ける小泉は、これまでに歌手のマイリー・サイラス(Miley Cyrus)や英女優のソフィー・ターナー(Sophie Turner)の衣装を手掛け、ニューヨークのメトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art)で開催された「キャンプ:ファッションについてのノート(Camp: Notes on Fashion)」展でも2着が展示された。

 小泉は、LVMHプライズを受賞した場合はコマーシャル・コレクションの立ち上げを計画しているという。

CHOPOVA LOWENA

 インフルエンサーのスージー・ロウ(Susie Lau)も愛用している「チョポヴァ ロウェナ」は、ビンテージのエプロン、ピローケース、タペストリーやテーブルクロスといったブルガリア産のリサイクルのフォークロア生地を使ったキルトスカートなどを展開している。ブランドとしては今季で3シーズン目を迎えるが、すでにセレクトショップのマッチズファッション ドットコム(MATCHESFASHION.COM)やドーバー ストリート マーケット(DOVER STREET MARKET)、ブラウンズ(BROWNS)など30カ所で販売されている。

 同ブランドのデザイナーのエマ・チョポヴ(Emma Chopova)とローラ・ロウェナ(Laura Lowena)は共にセント・マーチン美術大学(Central Saint Martins)を卒業。二人はファッションショーではなく、フォトグラファーのシャーロット・ウェールズ(Charlotte Wales)とともにブックを制作しており、チョポヴは「私たちは何か違うことがしたい。古くて退屈な方法より新しいアプローチ法に興味があるの」とコメントした。

 彼女たちのインフルエンサーとの関係性もそこから生まれた。「ソーシャルメディアを活用するというよりは、人に会って商品をプレゼントすることで自然に成長したという方がしっくりくる。人を好きになってつながることで、欲しいと思ってもらうことが重要だった」と語っている。

RAVE REVIEW

 スウェーデン発のブランド「レイブ レビュー」を手掛けるジョセフィーヌ・ベリークヴィスト(Josephine Bergqvist)とリヴィア・シュック(Livia Schuck)は、ブランドとして2年目となる18-19年秋冬のコレクションで、チェックのビンテージのウール素材を継ぎ合わせて制作した同ブランドの代表的なブランケットコートを発表。それがインフルエンサーのヤンカ・ポリアーニ(Janka Polliani)、エルザ・ホスク(Elsa Hosk)、ヴェロニカ・ハイルブルンナー(Veronika Heilbrunner)らの目に留まったことから一躍注目を浴びるようになった。

 シュックは、「ブランドを世界展開していく上で、それはただの始まりに過ぎなかった。ソーシャルメディア、特にインスタグラムは私たちのブランドの成長に大きく関わっている。とても本質的な方法だと思う」と語っている。また、今季のコペンハーゲン・ファッション・ウイークで初めてのショーを行ったところ、ほとんどのバイヤーがSNSを通じてアプローチしてきたという。

 「レイブ レビュー」はマッチズファッション ドットコム、LN-CC、トトカエロ(TOTOKAELO)などで販売している。

PETER DO

 14年の「LVMH グラジュエーツ プライズ(LVMH Graduates Prize)」で優勝したピーター・ドゥ(Peter Do)はインフルエンサーとの関わりはないが、「アメリカでのブランド展開においてインターネットが極めて重要だった。僕たちはミレニアルブランドだ。チームのメンバー12人とは全員ブログサイトのタンブラーやフェイスブック、インスタグラムといったSNSを通じて知り合った。僕たちのブランドはインターネット上で立ち上がったようなものだよ」と語っている。

 ドゥは「セリーヌ(CELINE)」のフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)の下で経験を積んだ後に活動の場をニューヨークに戻し、次の秋冬シーズンはネッタポルテ(NET-A-PORTER)、バーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)、ジョイス(JOYCE)など40カ所で自身のブランドを展開する。

 ドゥはインスタグラムで18万5000のフォロワーを抱えており、コレクションの制作からチームの日常に至るまでを公開している。「みんな明らかにインスタグラムを楽しんでいる。だからブランドが発足したとき、すべてを隠さずみんなに見せたいと思った。イケア(IKEA)に家具を買いに行ったら自分で組み立てるし、コストコ(COSTCO)にランチを買いにも行く。フォロワーはそれに反応するし、インスタグラムはそうして成長してきた。僕たちはファンシーなパーティーやきらきらした部分ではない日常を見せている。重い生地を運んだりしているところとか、他の人が見せていない部分を公開している」とコメントした。同ブランドは、そうした透明性が支持の高さにつながってきた。

HELMSTEDT

 エミリー・ヘルムシュテット(Emilie Helmstedt)は逆に、明るい色で手描き風のプリントを施した独自のデザインで表現する自身の美的世界観をクリエイトする場としてSNSを活用している。コペンハーゲンをベースに活動する「ヘルムシュテット(HELMSTEDT)」は、デンマークのコンセプトストアのホリー・ゴライトリー(HOLLY GOLIGHTLY)や仏プランタン(PRIMTEMPS)、伊リナシェンテ(RINASCENTE)、ラグジュアリーECサイトのモーダ・オペランディ(MODA OPERANDI)、ブラウンズなど20の小売店で取り扱いがある。

 「27歳の私はコンピューターと共に育ち、若い頃からiPhoneを使っている。だからSNS上でコミュニケーションを取ることは私たちにとってすごく自然なこと。誰もがインターネットとつながっている時代に私のブランドが誕生してよかった。20年前だと今のようにみんなに知ってもらうのは難しいと思う。私はブランドのクリエイティブ・ディレクターだから、インスタグラムに情熱を注いでいるわけではない。でもSNSは無視することのできない存在よ。コレクションの創作活動の源を生み出すためにこのプラットフォームに多くの時間を費やしているの」とコメントしている。

 実際のところヘルムシュテットは、ソーシャルメディアがないとファッションのイメージが湧きにくいという。「本当にすべての業界がインスタグラムと関わりがあると思う。ちょっとおかしくて少し恐ろしくもあるけど。だってインスタグラムがなくなったらブランドをどうすればいいの?」と、物思いにふける様子で語った。

 セミファイナリストは、パリ・ファッション・ウイーク期間中の2月27〜28日にパリのLVMH本社でコレクションを披露し、68人の審査員によってファイナリスト8組が選出される。審査員にはインフルエンサーのスージー・ロウも加わっており、グランプリは6月5日に発表される。

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靴ほど時代を反映するアイテムはない エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年9月3日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

靴ほど時代を反映するアイテムはない

 表題の通りですが、特に女性の靴は女性たちの価値観を反映しますよね。

 ハイヒールは、洋服で言うところのコルセットのような存在だと思います。必要ではないし快適でもないが、“美しく見える”という一点で大きな存在価値があるパーツ。コルセットから女性が解放されてもう100年が経ち、美の基準は刻々と変わってきたのに、ハイヒールは生き残り続けまだまだ重要な存在であり、むしろ多くの女性から愛され求められているすごく貴重な存在だと思います。ラクをしたいのにね……。履きたいのよね……。

 ファッションの殿堂、伊勢丹新宿本店本館2階の靴売り場はそんなゆれ動く女心と社会を反映しているから定期チェックしており、先週開かれた売り場改装のプレビューもお邪魔しました。前回の大きな改装は忘れもしない、2012年のこと。東日本大震災後ということもあり、歩きやすい靴、コンフォートな靴が売り場に一気に増えて驚きました。

 以下の話は時々しているので聞かされるのが2度目の方、ごめんなさい。

 2012年の取材で同行した当時の編集長、山室一幸さんはコンフォートな靴が増えた売り場を見て愕然とし、「伊勢丹がこれではダメだ~、ハイヒールは大切だ~、美しくあれ~」と悲しみ、憤っていました。それに対して私は「山室さんは女の気持ちをわかってない。地震の後に歩いて帰宅した恐怖がまだ身体に残っているんですよ!」と言い返しました。山室さんの女性に対する溢れんばかりの愛情と理想を受け止めきれない自分がそこにはいました。大人2人が伊勢丹新宿店2階の靴売り場の中央(「クリスチャン ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)」あたり)で言い争いをしたことが昨日のことのように思い出されます。

 あれから7年。東日本大震災だけが理由ではないですが、あきらかにあの時を起点に私たちの価値観は大きく変わり、よりコンフォートで、より快適なものをファッションに求める傾向は続いていると思います。今回の改装は、そんな女性たちの靴に対する価値観の変化を救い上げるような施策がいろいろ。この記事でも「1.ラグジュアリーシューズの比較購買がしやすくなった」と「2.パンプスをアプリでマッチング!足を計測してから選ぶ」の2つのタイトルは特に、今の時代を表していると思います。

 極論すればもはやオケージョン対応、とも言われるハイヒールやパンプスを、デジタルと接客の力でポジティブに提案する可能性をそこに見ました。もしかしたらコルセットも、当時デジタルが発達していたら残っていたのかも!?(正直、真夏にコルセットを想像するだけで息苦しいけど)。デジタルの力が美の基準をも左右するんだな~と思いつつ計測器を写真に収めました。

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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「ジョーダン ブランド」のイベントにヴァージルとキム・ジョーンズが登場 学生に送ったメッセージとは

 「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」による若者の育成プログラム「ウィングス(Wings)」が米シカゴで開催したイベント「ファッション ディコンストラクテッド(Fashion Deconstructed)」に、「ディオール(DIOR)」のキム・ジョーンズ(Kim Jones)メンズ・アーティスティック・ディレクターやヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)が参加した。

 ヴァージルは、自分自身が「さぼりの常習者だった」と「ウィングス」の学生たちの前で語った。「修士課程の論文を書いていたころ、成果物を貼り付けることで教授に私があたかもそこにいると錯覚させて、私はさぼって10ブロックくらい先でやっていたカニエ(ウエスト、Kanye West)の『College Dropout』のサイン会に行ったことを覚えています」。

 同イベントはヴァージルの地元シカゴで開催された。「自宅から車で来たし、ここから10分くらいのところにあるイリノイ工科大学に通っていた。シカゴは私たちの多くにとって故郷であると同時に、バスケットボールやカルチャー、そしてファッションの世界に貢献している都市でもある」とヴァージルは語る。

 ヴァージルとキムのほか、米プロバスケットボールNBAで活躍する八村塁選手らが参加したパネルディスカッションでは、ファッションとバスケットボールの関係について語られた。ヴァージルは、「ファッションだけの影響を受けているわけではなく、スニーカーカルチャーだけの影響を受けているわけでもない。2つの異なるものを混ぜ合わせることができなくてはいけない」と学生に解説した。

 続けてキムは、「興味や関心のあることを取り込むべきだ。そしてそれらをごちゃ混ぜにして新しいものを作る。その際には自分らしさを出すことが重要だ」とアドバイス。「他人がやるようなことはやるべきではないし、リスクを恐れず挑戦すべきだ。また、他人にどう思われるかなんて気にせず混ぜ合わせて掛け合わせなさい。自分が何を信じるかがしっかりしていれば、他人はついてくるものだ」と語った。

 ヴァージルも「君たちのような若者にとって、またキャリアをスタートさせるタイミングとして現代ほど時代はない。君たちのポジションは、私たちが今いるポジションよりもずっと重要だ。デザインすることを通して世界で何が重要かを語るべきだ。サステナビリティ、平等、多様性、これらは大きなブランドが常に語ることだが、すでに遅れている。なぜなら今は君たちの世代が主役であり、この世界は君たちが受け継いでいくものだからだ。決定権は君たちにある。だから私たちの様子をうかがうのではなく、君たち自身が行動を起こしたなら、目の前の箱に入ったツールを使って世界の問題を解決することができるだろう」とエールを送った。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中

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渋谷ファッションの現在地 “渋谷発”不在はいつまで続く?

 渋カジ、コギャル、シティボーイなどさまざまなトレンドを生み出してきた、渋谷。1980年からこの街のファッションを追ってきた高野公三子「アクロス」編集長に40年にわたる渋谷ファッションを振り返ってもらった。そして、“渋谷発”といわれるトレンドが不在となって久しい昨今についても聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):振り返るとさまざまなファッションが渋谷から生まれていますね。

高野公三子「アクロス」編集長(以下、高野):ファッションは時代と社会、若者文化を映す鏡です。1980年から渋谷や原宿などで若者のストリートファッションを観察して取材する「定点観測」を実施していますが、2020年現在までに大きく4世代から5世代の若者たちがいろいろなスタイルを生み出しており、そこからインサイトの変化を読み解くことができます。

1980年代前半の渋谷ファッションを一言でまとめると“タコツボ化”。ジャパニーズプレッピーや女子大生ファッションなど、小さなトレンドが同時に存在していました。消費社会が本格化したのもこのころで、ファッションは自己表現の重要な手段のひとつになりました。

82年にはDC ブランドが台頭。84年にはモノからコトへと、ファッションが服だけでなくアートや建築、食などライフスタイルにも派生してファッション化社会が進んでいきました。80年代後半はアメカジをベースに、「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」と「リーバイス(LEVI'S)」501のデニムを上品にアレンジした “渋カジ”の誕生につながっていきます。始まりは比較的裕福な家庭に育った私立大学付属の高校生たち──団塊ジュニア世代による和製WASPの登場と考察しています。“何を着るか”から“どう着るか”という価値に変化していきました。

WWD:大きなブームが起こると細分化していくのが世の流れですが、渋カジも同じ流れをたどっていきますね。

高野:はい。90年代のファッションはカルチャーとのクロスオーバーが特徴で、91年はイタリアンエレガンスやアウトドアテイストが混じった渋カジワイルダーなどへと細分化していきます。さらにヒップホップとアメリカンカルチャーが結び付き、女子には雑誌「JJ」が提唱した“毎日がパラダイス!今が楽しい!”というパラギャルが登場します。ポスト団塊ジュニア世代で、コギャルの始まりです。ブームの背景はLAカルチャーです。

カジュアルウエアの分脈でいうと、93年のJリーグ開幕でスポーツカジュアルが流行する一方、同年、フレンチカジュアルも台頭しました。チープシックなフランス人の日常着がテーマで、代表的なブランドは「アニエスベー(AGNES B.)」「ナイスクラップ(NICE CLAUP)」「クーカイ(KOOKAI)」「シップス(SHIPS)」。モノトーンがベースで、ボーダーにベレー帽、革ひもを首に巻くスタイルなどが流行しました。雑誌でいうと「キューティ」ですね。

次に台頭したのは、グランジファッション。マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)が発表したのが1993年で、変化して日本に入ってきました。90年代半ばからDJカルチャーが大流行します。DJがアンダーグラウンドで海外とつながっていったのもこの時期。オランダやドイツなどで開催されていたテクノ系イベントが日本に上陸し、第1次フェスブームに。あと若手写真家やアーティストが多数登場し、レコードショップやクラブ、ミニシアターなどもオープン。インディペンデントなメディアも多数創刊されるなど、インディーズブームだったといえるでしょう。クラブを会場に学生がファッションショーを開催したり、美容師ナイトなども大人気でした。

WWD:そして、90年代半ばにはガールパワーがどんどん強大に。

高野:ガールカルチャーと女子高生ブームの2大巨頭。実はインサイトは似ているんですが、ファッションの表現が体を強調するベクトルと隠すベクトルで違っていた。雑誌における“青文字”と“赤文字”の始まりです。ガールカルチャーでいうと、「エックスガール」「ミルクフェド」「アクアガール」「ビバユー」などが代表的なブランド。アップリンクやシネクイントなど単館映画館はこのトライブの子たちに人気でした。

WWD:ここから渋谷の全盛期が始まるわけですね。

高野:95年に渋谷109がコギャルをターゲットに大リニューアル。どんどんギャル度が過激になっていきます。森本容子さんを筆頭にカリスマ店員が次々登場。店長からディレクター、ブランドプロデューサーとサクセスストーリーを歩んでいく。その裏にはプロデューサーのギャル男あり(笑)。

WWD:その後、ギャル文化は渋谷から地方へ広がっていくわけですが。

高野:99年ごろの渋谷、特にセンター街は過激なメディア空間と化していきました。毎日TVで報道されたギャルカルチャーがガングロへと進化。全国各地に伝わり、地方のヤンキーカルチャーと結び付いて拡散していきました。一方、ギャルじゃない子やギャルから降りた子たちは裏原系女子、雑誌「ミニ」へとつながっていきました。

WWD:ギャルブーム後は、渋谷の街は落ち着きを見せていく?

高野:そうですね。2000年前後は神南エリアにセレクトショップが次々とオープン。「ユニクロ(UNIQLO)」が原宿にショップを設けるなど、渋谷〜原宿の街が大きく変化しました。古着の概念も大きく変わり、質屋やリサイクルショップ、フリーマーケットが一般化、セレクトショップへと進化していったのもこのころからです。00年前半は代官山が大人気。ギャルカルチャーの震源地となった渋谷センター街から神南〜原宿、代官山〜中目黒へと“渋谷カルチャー”が拡張されていったと「SHIBUYA2000調査」で考察しています。

WWD:ただ00年ごろからセレクトショップが誕生する一方、07年にはまたギャルブームが戻ってきますが、これはどういった流れで?

高野:00年代に入ると、1980年代生まれの“ウチら”世代が、2000年代半ば以降は1990年代生まれが“若者”として街に台頭していきます。“アーカイブ消費”と呼んでいるのですが、過去のいろいろな時代のスタイルをメディアで見てフラットに取り入れるのが特徴です。

インターネットの浸透で、情報量が急激に増えたことは大きいでしょう。ファッション、音楽、アートなど、各分野の情報量がタテに多過ぎて、ヨコ連動がなくなったのかもしれません。一方で30代になった団塊ジュニア世代が大人になって独特のスタイルを見せてくれたり、新人類世代の母が80年代生まれの娘と一緒に買い物をするなど、ファッショントレンドの受容者がエイジレス、ジェンダーレスになっていったのも2000年代の特徴です。渋谷の街は年齢層が広がり、若者だけの街ではなくなっていきました。百貨店離れが進んだのもこのあたりからです。

WWD:10年代前半からシティボーイが台頭してきますね。

高野:初期のシティボーイは現行の商品、今店頭で販売されている服が面白くないから、古着屋で掘り出し物を見つけ、例えば、トレンドのルーツである昔のロンドンメードの「バーバリー(BURBERRY)」を着る。町の中華料理店や昔ながらの喫茶店を再評価したり、ホンモノのカルチャーや価値を見直すという考え方をする、“情報偏差値”の高いトライブが台頭。12年にリニューアルした雑誌「ポパイ」の大ヒットはその流れです。それを底上げしたのが、大学卒業後就職したセレクトショップから数年して独立し、古着屋を始めた1980年代生まれの人たちでした。

WWD:シティボーイ以降、主だった渋谷発のファッションがないように感じられますが、それについては?

高野:2010年代最大の革命はSNSの浸透。アフターインターネットの時代になり、情報の発信者と受け手、つながり方が大きく変わり、場所性にあまり意味がなくなりました。オンライン上でのコミュニケーションが主になり、いつでもつながりっぱなし。ファストファッションをはじめとするグローバリゼーションの浸透もあって、わざわざ渋谷や原宿で会ったり消費する必要がなくなってしまった。

しかし「定点観測」では、数年前から感度の高い人を中心に、サイバー上から路上に戻ってきていると実感しています。また、過去のファッションを自由に新しい解釈でミックスしちゃうトライブが台頭していて、例えば「ジャパノロジスト」と呼んでいるのですが、日本のファッションやカルチャーに関心がある高学歴な外国籍の人たちもそのひとつ。彼・彼女らは、時代や青文字、赤文字などの日本的なカルチャーやファッションを自由にミックスしていて、新しい価値観が表徴されました。そういうルールチェンジや変化を見ることができる場所はやっぱり渋谷。オモテが大きく変わりつつある渋谷の街ですが、そもそも街は使う人たちのもの。渋谷は今路上に新しい人の流れが生まれているので、これから新しい何かが生まれる分岐点にあるのではないでしょうか。

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またまたミラノ日記Vol.2 「プラダ」に来るBLACKPINKのLISA追跡司令下る 「フェンディ」は優しきパンク

9:45 マックスマーラ

 さて2日目の朝は「マックスマーラ(MAX MARA)」。最近、いいカンジであります。一緒に取材している後輩記者マミーノ(イタリア仕様)によりますと、若い世代の女の子が「一生モノ」としてキャメルのベーシックコートを買うこともあるそう。僕は、今季も登場したテディベアコート、いつか手に入れたいモノです(笑)。

 ショーは、オトナっぽいムードと、そんな若い世代がウキウキするラブリーなテイストが上手に融合しています。キーディテールは、フリル。いくつも連ねスカートの裾、ジャケットの肩口、コートの袖などに加えます。でも素材は、メンズウエアにも使うフランネルやウール、それにデニム。色もネイビーとキャメル、グレーなどベーシックなので、“子どもっぽい”とも違います。良きバランスです。

 ヘア&メイクも、そんなバランスを模索しているようでした。大人っぽいスモーキーアイなのに、髪の毛の一部は編み込んでミサンガみたいにアレンジです。

11:00 ニューガーズ グループ

 「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン(MARCELO BURLON COUNTY OF MILAN)」や「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」を手掛け、最近は「アンブッシュ(AMBUSH)」や「オープニングセレモニー(OPENING CEREMONY)」を取り込んだニューガーズ グループ(NEW GUARDS GROUP)」のダヴィデ・ドゥ・ジーリオ(Davide De Giglio)最高経営責任者を取材。面白いエピソードたくさんだし、非常に勉強になりました!詳細は、「WWDジャパン」のミラの特集号と、「WWD JAPAN.com」で!

12:30 グッチ

 昨日、夢いっぱいのコレクションを見せてくれた「グッチ(GUCCI)」の展示会へ。幼き頃に戻ったかのようなコレクションには、レトロで、持ったり飾ったりするだけで昔夢中になったお人形遊びのお人形さんになれるようなアクセサリーがいっぱい。洋服は、とにかく首元や袖口にレースをあしらい、テクニックも盛り沢山だったことを再確認です。洋服は引き続き、装飾が少なめのリアル。明るい色使いは希望に溢れ、パフやフリル、ラッフルが「グッチ」らしさも醸し出しています。

 今、店頭にはミッキー・マウスがキーモチーフのコレクションが並んでいますが、来年は、デイジー・ダックだ!!

13:50 アンテプリマ

 さぁ、お次は荻野いづみサンの「アンテプリマ(ANTEPRIMA)」。ご覧ください、この動画。流れるようなシルエット、柔らかな素材使い、そこに、自然由来の優しい色と柄。こんなに穏やかな気持ちになれる、オトナなコレクションありますでしょうか?「アンテプリマ」のコレクションを見ると、リブニットと同じ素材のスカートルックだったら「オイルヒーターでポカポカの部屋で微睡みたいね」とか、薄くパッドを入れたコートだったら「落ち葉がいっぱいの公園を歩きたいね」と、勝手に心地よいシーンを思い浮かべてしまうのはなぜでしょう(笑)?

 名物ワイヤーバッグは、ワイヤーの幅が3mmから2mmに改良され(マニアックな情報ですw)、ハンドルが長く柔らかくなったり、異素材も編み込めるようになったりと進化を遂げています。バックステージでは、そんな鉄板バッグ改良の理由を、いづみサンにインタビューさせていただきました。詳細は、こちらも「WWDジャパン」のミラノ特集号で!!

14:45 ベネトン

 歩いて「ベネトン(UNITED COLORS OF BENETTON)」のプレゼンテーションへ。会場がだいぶ暗いのは残念ですが、レインボーなヒョウ柄やカモフラ、カレッジストライプ、それにキース・ヘリング(Keith Haring)モチーフのビッグTにダボダボパンツのストリートルックです。バンビコラボもあるみたい。にしても、もうちょっと明るくできなかったかしら(笑)?

15:20 モンクレール

 さぁ「グッチ」同様、昨日は楽しませていただきました「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」の展示会へ。昨日と同じ場所で、ディスプレイを変えて10以上の最新コレクションを全部見せ!!です。

 それぞれのラインの詳細は、コチラにお任せ。昨日は、「まるでダウンのテーマパークだ!!」と思いましたが、今日はほとんどお買い物気分♪。23日には、会場を一般解放。昨年は1万人が来場したそうです(驚)。

16:30 プラダ

 モンクレールの展示会から、「プラダ(PRADA)」へ!!超絶焦りながら、会場に向かいます。その理由は、「WWDジャパン」のソーシャルエディターがBLACKPINKのLISAの来場情報をキャッチしたから!!しかも「黒髪に変わって、今期最大のバズな予感」と彼女。当日も日本から、「この服装なハズです」「ELLE Koreaの表紙にもなっています」などなど、続々情報が寄せられます。こ、これは、死ぬ気で撮らなアカンやつや……。「プラダ」に向かう「WWDジャパン」トリオ、気が引き締まります。ぶっちゃければ、スナップは“若いモン”に任せたいのですが、後輩記者マミーノは「フルラ(FURLA)」の展示会からの道中が渋滞で到着できず(泣)!!こうなったら、42歳のオジサンも頑張るしかありません。

 会場には、モノすごい数のファン!!早くもハッシュタグ「#LISAxPRADA」が誕生したようで、タグをプリントした紙を握りしめたファンが大勢です。急いで会場入りしようとすると、「LISA~」の声が聞こえる!!ヤバイ!!もう入っちゃった!?慌てて、中に入ります。

 が、まだLISAらしき人はいない!「あれ~、ドウナッテルノ??」と慌てていたら、もう一人の同僚、ヨーロッパ通信員のヤブちゃんが華麗にカメラに納めてくれました!!神様、LISAサマ、YABUNOさま!!コレで、ソーシャルエディターに怒られずにすみます(笑)。遅れて会場入りしたマミーノは、最後の最後までLISAの周りで粘り、結果、この素敵なインスタ投稿が誕生しております

 さて、話をコレクションに戻しましょう。ショーは、2020-21年秋冬メンズとおんなじ作り。前回はパリを思わせる騎士像でしたが、今回はニューヨークのロッカフェラーセンターを彷彿とさせるアトラス像の周りを、モデルが縦横無尽に歩きます。

 アトラス像ということは、ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)の心の旅先は、ニューヨーク?

 そう言われると、序盤は“ザ・ワーキングウーマン”なパワフルなジャケット姿。ノートパソコンもガシガシ入れられちゃう大きなバッグに、フリンジや布地を縦に切り裂いたスカートのルックが続きます。ソルト&ペッパーのコートやジャケットには、パステルカラーのネクタイやフリンジスカート。

 フェイクファーのコートも加わってだんだん優しくなってくると、今度はシアーなチュールのパート。プリーツを寄せたビブ、NYの地下鉄では当たり前になった「ルルレモン(LULULEMON)」ガールを思わせるスパッツ&ブラトップと、あんなに力強かったフォーマルスタイルは、いつの間にか優しいスポーティに移り変わっているのでした。その後は、メンズ・コレクションとリンクする再生ナイロン“エコニル”を使ったアウター、ボアにラミネートのコート、パステルカラーで構成する「プラダ」の90年代ミニマリズムと、コレクションは目まぐるしく変化。とはいえ、今季はちゃんとしたジャケットとスカート推しと、相変わらずMDの断捨離傾向は顕著でした。

17:30 ファビアナ・フィリッピ

 ファビアナ・フィリッピ(FABIANA FILIPPI))は、自分たちらしさに原点回帰。正直、ちょっとデザイン性が高くなっていましたが、今回は控えめ。カラーパレットも落ち着いた1トーン主義に戻し、優しいニット、ストレスフリーのコートなどの提案に立ち返ります。

18:00 トラサルディ

 「ベネトン」以上にくらい会場です(苦笑)。思い出されるのは、大御所ジャーナリストのスージー・メンケス(Suzy Menkes)が、暗すぎてスマホの撮影に閉口していたことばかり。洋服も、「トラサルディ(TRUSSARDI)」のアイコンやコアバリューってなんだっけ?と再定義し切れていない印象で、正直、共感を誘ったり、あまたあるブランドからココを選ぶ決め手に欠けていたりの印象が否めません。

19:30 フェンディ

 シルヴィア・フェンディ(Silvia Fendi)の優しきパンクです!!「フェンディ」、大勝負!!シルエットのほとんど全てを、袖をもぎ取り、2サイズオーバーくらいの別の袖を取り付けたようなシルエットに改め、ニュー・プロポーションを提案です。プラスサイズモデルも登場するし、カレン・エルソン(Karen Elson)やリヤ・ケベデ(Liya Kebede)ら、40歳オーバーのスーパーモデルも登場して、明らかに何かから解放されようというムードが満載です。

 コートはおろか、ニットドレスにもコルセットやブラが内蔵された精緻なパターンが目白押しですが、少しふくよかになったカレン・エルソンさえ着こなせることを考えると、このコルセットは「画一的な体に導く」ためのアイデアではなく、ふくよかでもやっぱり美しい女性の曲線的な体を強調するためのアイデアのように思えます。出てくるのは、ノースリーブ、パワーショルダー、もしくは、ドロップスリーブのアイテムばかり。いずれも、二の腕が太くなってもなお着こなせそうなものばかりです。後半は、メッシュやレース、チュールなどの肌見せ素材も登場しますが、やっぱり、プラスサイズモデルも同じ素材のドレス姿。今季は「フェンディ」の誰でも着られる洋服、インクルーシブ・デザインなコレクションです。

19:50 ヘルノ

 お隣の(助かる!!)、「ヘルノ(HERNO)」へ。先月拝見したメンズ・コレクション同様、5年で土に還るナイロン、ベジタブルタンニン、リサイクルナイロン「エコニル」やリサイクルウールなど、いろんな方法でサステナブルの可能性を模索した商品が並びます。

 サステナブルについては、いろんな意見があり、現段階ではその全てに対応する素材や商品なんてありません。だからこそ「ヘルノ」は、あまたの選択肢を用意して、選んでもらうことに決めた。2020年の今時点においては、最も正しい選択だと思います。

21:05 モスキーノ

 さぁ、時差ボケで朝4時に起き、ランチなしで駆け抜た1日。もう限界であります。「モスキーノ(MOSCHINO)」さんよ、早く始まっておくれ。帰って、ジャンクなチーズバーガーが食べたいんだ(笑)。そう思っていた僕に、ジェレミー・スコット(Jeremy Scott)からケーキのプレゼントです。

 甘~い甘いケーキの世界。カラフルな色使いに、絞り口から出てくるフリフリのクリーム。それが、ドレスになっちゃいました!!正直彼のコレクションは、「よ~やるわ(苦笑)」って思うこともあるのですが、今回は、ステキ!!ラブいし、やっぱりケーキって、夢を見せてくれる!!ケーキの力を借りて、「モスキーノ」は今季、今の世界に必要な夢を届けてくれました。ありがとう、ジェレミー‼︎でもホテルに戻ったら、チーズバーガーも食べます(笑)。

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身体採寸技術「ボディグラム」がオーダースーツの世界を変える? 日本有数のテーラーが実際に使ってみた

 「ボディグラム(BODYGRAM)」は、独自AIを活用した身体採寸テクノロジーだ。同技術の最大の特徴は、その簡便性及びデータの正確性にある。計測の際はスマートフォンで正面と側面からの全身写真を撮影し、いくつかの必要数値を入力するだけ。服を着替えたり、撮影の際の背景に気を使ったりする必要がない。2019年には「ユニクロ(UNIQLO)」やファッションECの「ショップリスト(SHOPLIST)」などへ導入されたほか、フィットネス領域への参入も発表した。しかし、実際の計測精度はどの程度正確なのか?“採寸の専門家”とも言えるテーラー(スーツの仕立て職人)が実際に「ボディグラム」を使用し、ジン・コー=ボディグラム・ジャパンCEOの身体データを計測。自身の採寸結果と比較することでその精度を探った。

日本有数のテーラー
「ペコラ銀座」の
オーナー、佐藤英明氏が計測

 計測するのは日本有数のテーラーとも言われ、今年開業20周年を迎えた「ペコラ銀座」のオーナー、佐藤英明氏だ。まずは「ボディグラム」の専用アプリをスマートフォンで立ち上げ、ジンCEOの全身写真を正面と側面の2パターンで撮影。撮影後は数十秒の待機時間の後、計測結果が出る。「使用感はスーツを着て撮影しなければいけない“ゾゾスーツ(ZOZOSUIT)”などと比べても非常に簡単だった」と佐藤氏。その後は普段通りの手作業での採寸を実施。今回は佐藤氏がスーツを仕立てる際に採寸する箇所のほか、「ボディグラム」で現状計測できる体の部位を測ってもらった。

気になる採寸の結果は?

 結果は図表の通り。「ボディグラム」の計測位置に合わせた採寸ではあるものの、誤差は最大でも腰周りにおける1.3センチ差と、非常に小さい。この結果は同技術のAIによるもの。さまざまな人物の体型データを「ボディグラム」のAIに学習させ、計測の精度を上げているという。今後は大柄な人物や手足が長い人物など、学習データのバリエーションをより増やすことで、さらに精度を上げていく計画だ。

テーラー、佐藤氏が語る
「ボディグラム」が実現する
新たな世界

 佐藤英明「ペコラ銀座」オーナー : 「ボディグラム」を実際に使用してみたが、非常に簡単なUI/UXだった上、計測の誤差はかなり小さかった。僕自身は採寸を行って仮縫いし、最後にもう一度採寸して洋服を作っているが、現在は地方や海外のお客さまからのオーダーも入るようになり、商圏がどんどん広がってきている。そういった中で「ボディグラム」があれば、遠方のお客さまから前もって写真などのデータをいただき、事前に型紙を作ることができる。お客さまも店舗に何度も来ていただく必要がなくなるかもしれない。お客さま側から見ても「ボディグラム」というアプリがある、と分かっていれば行ったことがない店舗でも安心してデータを送れるだろう。ただ、テーラーによっては採寸する箇所が微妙に異なることもある。「ボディグラム」が店舗ごとに採寸位置をカスタマイズできるようになれば、テーラーの世界で新たな道を切り開くことができるかもしれない。

ジン・コーCEOが見据える
「ボディグラム」の次なるステージ

 ジン・コー=ボディグラム・ジャパンCEO : 「ボディグラム」は昨年、「ユニクロ」への導入を皮切りに既製服の世界に参入し、さらにはフィットネスやヘルス領域への参入を発表し、ヒューマンセントリック(人間中心の意)なサービスとしての普及も行っている。いずれもボディグラム社が重視している使いやすさと精度、そして信頼という3つのテーマのいずれかに合致しているものだ。ゆくゆくは需要と注目度が上がっているカスタマイズの世界にも進出したいと考えており、オーダースーツの領域ももちろん視野に入れている。今回は計測を“される”側ではなく“する”側の人物である「ペコラ銀座」の佐藤さんに使っていただいたことは非常にエキサイティングなことだったし、個々の計測者ごとに計測箇所の調整が必要だと認識した。今後も計測する側、される側双方のユーザビリティーを上げるために、投資を行っていくつもりだ。

PHOTO : KAZUO YOSHIDA

問い合わせ先
ボディグラム・ジャパン
pr@bodygram.com

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新型コロナと有力アーティストを魅了する糸と布 【高橋瑞木の香港アート&テキスタイル 連載vol.3】

 新型コロナウイルスは香港のアート事情にも大きな影響を与えている。水戸芸術館現代美術センターのキュレーターを経て、現在は香港のCHAT (Centre for Heritage, Arts and Textile)で共同ディレクターを務める高橋瑞木氏による連載3回目は新型コロナウイルスが与えた香港アート界への影響について。

 1月下旬の旧正月直前、香港と周辺諸国のテキスタイルとアートについての執筆を進めていた矢先に、新型コロナウイルスの感染が中国で判明し、あれよあれよという間に香港も感染防止のための非常態勢に突入した。私は旧正月の休暇で、1月24日から成田空港経由でメキシコへと渡航したのだが、成田空港内のドラッグストアはすでにマスクを購入する客の長蛇の列。2月5日の復路で成田空港に再び到着したときは、すでにマスクが販売されていた棚は空っぽだった。

 2003年にSARSの流行を経験している香港は、感染防止には不特定多数が集まる場所になるべく行かないことが一番と、政府は公立の文化施設の臨時休館や大掛かりなイベントのキャンセルを宣言(それでも中国との国境や中国からの人の流入の制限を早期に実施しなかったことで批判を受けている)。街中を行き交う人たちは、ほぼ全員がマスクを着用している。この原稿を書いている2月中旬現在では、学校や企業も自宅待機やネットによる授業や業務へと切り替えているところが多い。CHATもこうした決定を受けて、旧正月以来閉館をしている。渾身の展覧会、「須藤玲子の仕事-NUNOのテキスタイルができるまで(Sudo Reiko : Making NUNO Textile)」は、香港のオーディエンスからも大好評で、中国からの団体客の訪問なども予定されていただけに、この臨時休館は苦渋の決定だった。その代わり会期を1週間延長して、2月の最終週に再度開館する予定になっている。ちなみに、こんな非常事態にも関わらず須藤氏のテキスタイル作りに関わっている滋賀のなかにし染工の中西一平氏と、福井で和紙を製作している滝製紙所から滝英晃氏が、NUNOの展覧会を見に弾丸で香港を訪れてくれた。貸し切り状態の展覧会会場で、ゆっくりと時間をかけながら展覧会を満喫した両氏のフットワークの軽さと好奇心に、日本のもの作りの未来に光明を見る思いがした。

 香港の観光産業やホスピタリティービジネスは、昨年からの抗議活動に続いての新型コロナウィルス騒動で大打撃を受けている。アートに関して言えば、毎年3月に開催される世界最大規模のアートフェア「アートバーゼル香港(ART BASEL HONGKONG)」が中止になったため、世界各国からアート関係者やアートラヴァーが香港に訪れる賑やかな機会が流れてしまった。

 そんな状況でも、すでに香港をベースに活動するアート関係者たちは事態が収束を迎える頃合いを見計らいながら、粛々と企画やイベントの準備を進めている。CHATも春の展示のオープンを予定より1週間延期して、3月20日から開催することになっている。「Unconstrained Textiles: Stitching Methods, Crossing Ideas(自由なテキスタイル:縫い合す方法、交差する思考)」というタイトルの現代アートのグループ展は、香港、タイ、中国、韓国、アメリカ、フィリピン、日本にルーツを持つアーティストの作品を紹介する展示だ。香港からは各国のビエンナーレやトリエンナーレから引っ張りだこの楊嘉輝(サムソン・ヤン)、タイと中国からは注目のアーティストのカウィータ・ヴァタナジャンクール(Kawita Vatanajyankur)、ビ・ロンロン(毕蓉蓉、Bi Rongrong)、韓国からは北朝鮮の刺繍職人とのコラボレーションした作品で「ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)」にも大きく取り上げられたハム・キョンア(Ham Kyungha)、優れたミッドキャリアの画家に送られるロバート・デ・ニーロJrプライズを先日受賞した韓国系アメリカ人のバイロン・キム(Byron Kim)、伝説的キュレーターのハロルド・ゼーマン(Harald Szeemann)が1969年にスイスで企画した有名な展覧会「態度が形になるとき(Live in Your Head: When Attitudes Become Form)」に、唯一東南アジア系のアーティストとして三回したロンドン在住のフィリピン人アーティストのデヴィッド・メダラ(David Medalla)、日本からは去年の原美術館での個展も記憶に新しい加藤泉が参加することになっている。この7人のアーティストたちが、作品のコンセプトや理想とする形、テクスチャーや色を実現するため、どのような方法でテキスタイルの素材や技法を用いているのかを紹介する「テキスタイルの視点から現代美術を鑑賞してみる」展覧会となる。

 実はテキスタイルが盛り上がっているのは、香港とCHATだけではない。香港の現代アートの老舗オルタナティブスペース「パラサイト(Para Site)」でも、実は昨年冬からトンガの伝統的なテキスタイルの展覧会が開催された。布には、繊維を織り上げるだけでなく木の皮をたたいてできるものがあるが、トンガの伝統的なテキスタイルは後者で、抽象的なパターンが描かれたテキスタイルをショッキングピンクに塗られたギャラリーに陳列した展覧会は、展示物と空間のデザインの間にユニークなシナジーを生み出し、それらを作り上げる女性たちの優れた技術と古びることのない美しさを伝える興味深いものだった。

 また、旧正月前にはマレーシアのコタキナバル(KOTA KINABALU)をベースに活躍するアーティストのイー・イ・ラーン(Yee I-Lann)の個展が東南アジアを代表する、フィリピンの現代アートギャラリー「シルバーレンズ・ギャラリー(SILVERLENS GALLERY)」で開催中だったので、弾丸トリップでマニラを訪れた。イ・ラーンは近年サバでパンダナスという植物の葉を使って織物を作っている職人たちとコラボレーションしながら作品を制作しており、シンガポールのナショナルギャラリーに委託された大型の作品が去年お披露目されたばかりだ。個展では色とりどりの織物が壁を覆っており、その織物のひとつひとつにテーブルや机が織り込まれている。聞くところによれば、大航海時代にポルトガルの植民地になってテーブルや机が生活にもたらされる以前は、現地の人々はこのマットの上で食事をし、物を書いたりしていたという。イー・ランと職人たちによる織物は、机とテーブルを「マットに戻した」作品だということだ。植民地化による現地の人々の伝統や生活習慣の変化について言及している作品だが、同時に現在でも残るマット織りの職人たちの見事な高い技術と色彩感覚が強く印象に残った。

 アートからパンデミックまで、盛りだくさん過ぎたこの2カ月。来月には少し状況が好転していることを望まずにいられない。

高橋瑞木(たかはし・みずき)/CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)共同ディレクター:ロンドン大学東洋アフリカ学学院MAを修了後、森美術館開設準備室、水戸芸術館現代美術センターで学芸員を務め、2016年4月CHAT開設のため香港に移住。17年3月末から現職。主な国内外の企画として「Beuys in Japan:ボイスがいた8日間」(2009)「新次元:マンガ表現の現在」(2010)「クワイエット・アテンションズ 彼女からの出発」(2011)「高嶺格のクールジャパン」(2012)、「拡張するファッション」(2013、以上は水戸芸術館)「Ariadne`s Thread」(2016)「(In)tangible Reminiscence」(2017、以上はCHAT)など

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美容室で話題のUVスプレー「ミーファ」 “選べる香り”が人気で最新作は“爽やかな月曜の朝”

 ヘアメーカーのナプラは2月21日、「ミーファ フレグランスUVスプレー」から新しい香り「フレッシュマンデーモーニング」を発売した。SPF50+・PA++++と高いUVカット力を持ち、髪にも肌にも全身マルチに使えるスプレータイプの日焼け止めだ。さらには花粉やPM2.5などの汚染物質も防ぐアイテムもある。選べる香りも人気の秘訣で、ブランドのローンチから7年目となる今年、新作「フレッシュマンデーモーニング」の登場で、香りのラインアップは全7種となった。

新作は男女でシェアして楽しめる
ウッディーな香り

 2月21日に登場した新作は「ミーファ フレグランスUVスプレー フレッシュマンデーモーニング」。レモンやライムなどの柑橘系の香りに、ジャスミンやアンバーなどをブレンドした朝陽のようなすがすがしい香りで、一日のスタートを軽やかに彩る。フレッシュで爽やかな香りから、甘く女性らしい香りまでそろう「ミーファ フレグランスUVスプレー」の中で、男女でシェアして楽しむことにも適したアイテムになっている。服を着替えるように、日々の気分や出掛けるシーンによって選べるラインアップに、魅力的な香りが加わった。

アイテムごとにこだわりの
天然由来保湿成分も配合

 「ミーファ フレグランスUVスプレー」は、UVや香りだけでなく“保湿効果”も魅力の1つだ。共通保湿成分として、セイヨウノコギリソウエキスやカニナバラ果実エキスなど6種のオーガニックハーブエキスを配合している。また「テンダーリリィ」には肌にも髪にも潤いを与えるイチジク樹皮エキス、「オリエンタルジャスミン」にはベタつきにくくさらっと使い心地のよいヘーゼルナッツ油など、アイテムごとに独自の保湿成分が入っている。

「ミーファ」のラインアップ

新製品
「フレッシュマンデーモーニング」

問い合わせ先
ナプラ
0120-189-720

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「優しい空間は人の脳をダメにする」 設計事務所があらゆる場所を“占拠”する新プロジェクトを始めた理由

 昨年12月、東京・原宿に真っ青な見た目の建築が現れた。デザイン・設計事務所のDAIKEI MILLS(ダイケイ・ミルズ)がオープンした多目的建築「スクワット(SKWAT)」だ。

 「スクワット」は、英国の売れないアーティストが空きマンションなどを不法占拠してアトリエとして活用するムーブメント“スクワッティング(SQUATTING)”に着想を得たプロジェクトで、同物件は元クリーニング店の古家を“占拠”。青をテーマカラーとして外観を塗りたくり、画像を大きくプリントして糊付けしただけの壁面や、プロジェクトロゴを貼っただけのブロックなど、あえて簡易な内装でコンセプトを表現している。

 オープニング企画として、期間限定のアートブックストア「サウザンドブックス(Thousandbooks)」を2月22日まで開いている。アートブックのディストリビューションを行うtwelvebooks(トゥエルブブックス)と組み、1000冊近いタイトルを1000円均一で販売中だ。企画は不定期で入れ替え、常に新鮮なコンテンツを提供する。

 プロジェクトの発起人である中村圭佑ダイケイ・ミルズ代表は、南青山のエイベックス本社やライフスタイルショップ「シボネ青山」、原宿の「ロク ビューティアンドユース ユナイテッドアローズ シンジュク」などを手掛ける人気設計家だ。そんな中村代表が、反社会的な意味もはらんだ「スクワット」をスタートさせた理由とはーープロジェクトのボートメンバーで「サウザンドブックス」の仕掛け人でもある濱中敦史twelvebooks代表とともに、「スクワット」への思いを語ってもらった。

WWD:“スクワッティング”という反社会的なムーブメントをテーマにした理由は?

中村圭佑DAIKEI MILLS代表(以下、中村):今は「誰もが楽しめる場所こそ至高」という考えが浸透していますが、実はもっとパンクな場所を求める人も存在するんじゃないかと思って“スクワッティング”をテーマにしました。

濱中敦史twelvebooks代表(以下、濱中):道を歩いていて「なんかやばいのあるじゃん!」って思ってもらえたらうれしいよね(笑)。今の世の中には、どんな人でも安心して利用できる“優しい空間”が多すぎて、全然面白くない。店に入るときに胸がざわつく感覚はネットでは生み出せないので、入るのに少し勇気がいる空間や、外から見ても全貌がわならない空間の方がリアルでは価値があると思います。

中村:みんな頭が良いから最大公約数的なデザインとサービスがあふれてしまっているんですよね。もちろんビジネスとしては正解かもしれないけど、それでは人の心は動かせない。それ以上の価値を生み出さないと実店舗をやる意味はなくて、僕は雑多的で排他的な要素にその可能性を見出しています。

濱中:でも、「スクワット」と同じことを建築や設計を理解していない人が真似しても、ただの味気ない空間で終わってしまうんですよね。

中村:敷地の本質を読み解いて、そこから最適なアプローチを見出さないといけないからね。「スクワット」は分かりやすいコンセプトですが、実はかなり考え込んで作り上げています。今後はこの物件以外にもプロジェクト拠点を増やし、敷地ごとの特性を踏まえたさまざまなコンテンツを提供していく予定です。

WWD:いつからプロジェクトを構想していた?

中村:1年ほど前から考えていました。僕は設計事務所としてたくさんのクライアントと仕事をしていますが、いずれの案件もBtoBです。もちろん楽しい仕事ですが、納品して終わりではなく、継続的に関われる空間づくりや一般人と関わりが持てるデザインにずっと関心があったんです。

濱中:中村が大枠のアイデアを持っていて、それを聞いた僕たちが「面白いね」と共感して参加しました。僕のほかに2〜3人がウェブ周りなどで携わっています。コンセプトを固め、実現に向けて動き出したのは昨年の11月くらいですね。

WWD:ふたりは昔からつながりがあった?

濱中:もともとバカントという会社で一緒に働いていました。その職場はビジネスと遊びのバランスが絶妙だったし、コアメンバーの主張も全然違ったから予定調和ではない面白いアプローチができていました。今はメンバーそれぞれが独立してやりたいビジネスをやっていますが、「あの頃の空気感で何か作りたいよね」という話はずっとしていました。

WWD:原宿の「スクワット」は内装がかなり簡易的ですね。

中村:なるべくお金をかけないようにして、“不法占拠”というコンセプトを体現しました。内装については、仮に「明日出て行け」と言われても出ていけるくらいにライトに仕上げています(笑)。現代社会には完成度の高いサービスやコンテンツがたくさんあるから、それらをうまく活用すれば面白い空間を作れる。お金をかければいくらでも豪華にできますが、それだけじゃつまらないですからね。

WWD:階段が非常に急でびっくりしました(笑)

中村:すみません(笑)。お金をかけないメリットの1つが、親しみやすさを残せることです。急な階段や今っぽくない照明はトレンドでないですが、おばあちゃんの家みたいな安心感が保てるんです。

濱中:あと、遊びに来た人の会話のネタになります。階段については、もしかすると「不親切な店だな」と思われるかもしれないですが、今のところは肯定的な反応しかありません。

中村:深く考えなくても利用できる親切すぎる空間って、人の脳みそをダメにするんですよね。一つ一つの行為に責任を持たないし、記憶にも残らない。でも、アートと対峙するときって、何か特別なことを考えたり、そこから派生して深いことを考えたりするんです。だから体験自体にドキドキ感や特別感があるし、記憶にも残る。僕たちはそれがやりたいから、「スクワット」も“アートプロジェクト”として位置付けています。

WWD:「スクワット」のオープニング企画として「サウザンドブックス」を構想した理由は?

中村:「スクワット」のボートメンバーたちとオープニング企画について話し合っていたときに、「本が置いてある場所ってふらっと立ち寄りやすいよね」という意見に行き着いて本を扱うことに決めました。

濱中:販売しているのはtwelvebooksの不良在庫やB級品がメインです。言ってしまえば在庫処分やセールと同じなんですけど、「サウザンドブックス」は「スクワット」という専用の空間で一冊一冊丁寧に提案しているから、書店の隅っこで雑に積み上げたり、道端で段ボールに入れて販売するのとは全く違います。売り方が違うから、同じセール品でも買い手のテンションは違って、ポジティブに買ってもらえます。本を扱うプロとして、セールの新しいあり方を提案できたのは嬉しいですね。

中村:「スクワット」というムーブメント自体、空きマンションなどの資源を有効活用しようというサステナブルな考えを含んでいるので、不良在庫をなくすという目的も親和性が高かったんです。

濱中:基本は1000円均一ですが、タイトルによっては3000円のものもあります(笑)。そのいい加減な感じも楽しんでもらいたいですね。

WWD:メディア露出が少ないですが、大々的にPRをしない理由は?

濱中:草の根的な広がり方のほうが健全だと考えているからです。ネット社会では、意図的なバズよりも一般人の口コミが一番ピュアで価値がある。今回も記者さんの純粋な好奇心から声をかけてもらえましたし、そういう人を大切にしたいんです。

中村:本当に興味のある人は自分で情報を掴んで来店してくれるんですよね。

濱中:インスタグラムのDMで「年明けはいつからオープンしますか?」とわざわざ連絡をくれた人もいたよね。その人は空っぽのリュックを背負って、自転車で駆けつけてくれました。そんな熱量のある人にアプローチできているのは本当に嬉しいです。

WWD:「スクワット」はみなさんの本業に良い影響をあたえていますか?

中村:設計事務所としての新プロジェクトに派生しています。「スクワット」を見て、「数カ月間使わないスペースがあるから何かやらない?」と声をかけてくれる人がいて、実際に動き始めました。

濱中:「スクワット」は僕たちのポートフォリオでもあるんだよね。BtoBではできないことを「スクワット」で実現して、その姿勢に共感してくれた人が新たなビジネスを持ちかけてくれるんです。

中村:本業に還元されることはプロジェクトの狙いでもありました。どこかで利益を生まないと、遊びの延長といっても長続きしませんからね。ある意味、営業活動です(笑)。

WWD:今後の展望は?

中村:東京のいろんな物件をスクワットしていきます。それぞれにテーマカラーを定めて、マップとして見たときにあらゆる箇所が占拠されていたら面白いと思います。最新情報はインスタグラムを通して発信していくので、気になる人はチェックしてみてください。

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感情を解き放つエモーショナルな「スタディオファイブ」独創性で魅せる心揺さぶるランジェリー

 鮮烈な色彩と大胆なデザイン、他にはない独創性で、多くのファンを魅了するワコールのプレステージブランド「スタディオファイブ」。同ブランドはデビュー時から一貫して東京でデザインを行い、高い品質と常識にとらわれない新しい感覚のランジェリーを発信し続けている。その独自の世界観はデザインをはじめ、ドラマチックなイメージビジュアルでも表現されている。見て、触れて、まとって感じる、心を揺さぶられるランジェリーの魅力をお伝えしよう。

“理性的な人生はつまらない。
感情的な女であれ。”

 「スタディオファイブ」は、従来のワコールのランジェリーの常識を超えた新しい感覚を打ち出すブランドとして1982 年にデビューした。フェミニンでエレガントなスタイルが多いランジェリー市場において、下着にこだわる大人の女性をターゲットに都会的で個性のあるラインアップを展開し、ファッション感度の高い女性を魅了し続けている。ひときわ目を引くカラーコンビネーション、個性溢れるモチーフのオリジナルレース、細部まで計算されたフォーム、全てが唯一無二の存在感を放つ。長年続くその人気を支えているのは、ワコールのプレステージブランドにふさわしい妥協を許さないモノ作りだ。「スタディオファイブ」の独創性は、デザインはもちろんのこと、最高級の素材使いと、熟練した職人による丁寧なモノ作りに支えられている。

2020年春夏コレクションは
パリのナイトクラブから着想

 2020年春夏コレクションは池谷由利子「スタディオファイブ」チーフデザイナー自身が魅せられた、フランス・パリのナイトクラブで繰り広げられるレビューショーがテーマだ。見る人を魅了する官能的なステージ、大人の社交場としての洗練された雰囲気を独自の世界観で表現。老舗ナイトクラブのフレンチカンカンの衣装、妖艶なライト、アールデコのインテリアなどがイメージソースだ。彼女は「セクシーなランジェリーを、まずは自分のためにまとってほしい。美しいランジェリーを着けることで気持ちが上がる、その感覚を楽しんでもらえるとうれしい」と語る。それが他にはない唯一無二のデザインに込められた思いだ。


問い合わせ先
ワコールお客様センター
0120-307-056

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#敦子スメ「新月・満月」ノート 今回の新月(2月24日)は行き違いが起こりやすい時期

星占いとの出合い

 オーガニックコスメとの出合いや、コスメキッチン在籍中に占い師・ジョニー楓さんのイベントを担当したのをきっかけに星占いに興味を持ち、独学しました。現代では、占いとしてこれはラッキー、アンラッキーという区別に使われることもありますが、良い悪いではなく自然の流れとしての月の動きに、地球上で生活しているわたしたちは知らずに影響を受けています。この連載では、月の動きの中で活用できるものを知り、うまく生かしていただくための付き合い方をお伝えしていきたいと思います。新月・満月の流れを最大限に引き出すためのサポートをしてくれるコスメやインナーケアアイテムも紹介していきます。第5回は、2月24日の新月とおすすめコスメについてお伝えします。

 今回の新月は“振り返り”に注目です。本来であれば“始まり”の新月ですが、今回は過去に気持ちが向く水星逆行期。この期間は次の満月の3月10日まで続きます。見直し、メールの誤送信、予定の変更などコミュニケーションや連絡の面で行き違いが起こりやすい時期です。ビジネスシーンでもそれを感じる人も多いかも。待ち合わせ場所や日程、データのバックアップ、電車の乗り違えなどには要注意。ぜひ、身近なところで感じる逆行感に注意してみてください。

 今回の新月コスメは、過去を振り返る水星逆行にちなんで、昔から日本にある老舗ブランドや、ブランド内で最初に作られた古株アイテムに注目です。新月というと“新たに見つける、始める”イメージですが、今回は過去を振り返って再発見するような、そんなアイテムを紹介します。

 私は、ビューティ業界に身を置いて15年ほど経ちますが、やっぱり本気なアイテム作りのブランドは皆に愛され、自然と息が長くなるのだなあと思います。オーガニックコスメの魅力を深く伝えているイタリア生まれの「アルジタル(ARGITAL)」の歯磨き粉「グリーンクレイ歯みがき(セージ)」は、ブランドにとっても初めて作った産声アイテムなんだそうです。シチリア産のグリーンクレイが含まれ、歯や歯茎の汚れをピタッと吸着して、セージのエキスが口内に清涼感をもたらします。男性にもおすすめな一品です。もう1つの「Dr.ハウシュカ(DR. HAUSCHKA)」も、昔から日本で売っているドイツ生まれの老舗ブランド。誕生は1967年です。硬めのオートミールのようなペースト状のテクスチュアが独特の「クレンズクリーム」は、ペタペタと顔にタッチするように使用する昔ながらのアイテム。春先に気になる角質を落とす洗顔料として長年親しまれるロングセラーです。両方とも、オーガニックコスメの良さを体感しやすい古株アイテムです。ぜひお試しを。

福本敦子(ふくもと・あつこ)/フリーランスPR・美容コラムニスト:コスメキッチンに14年間勤務後、現在はフリーランスPRとして活動するかたわら、ビューティコラムニストとしてイベント、SNSなど多方面で活躍。オーガニックに精通した知識を武器に、ライフスタイルに寄り添った独自のオーガニック美容論が、著名人やエディターをはじめ各方面から大人気。「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と多くの反響を呼び、紹介した商品の欠品や完売も多数。2019年秋、初の書籍となる「今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by敦子スメ」を出版。発売前に増刷が決まるなど話題を読んでいる。旅を愛し、占星術にも精通 instagram:@uoza_26

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「買うことを減らすのは不可能」 サステナビリティ推進のイタリア素材見本市会長が提案する「より良くする方法」とは?

 イタリアの素材見本市「ミラノ・ウニカ」会長のエルコレ・ボット・ポアーラ(Ercole Botto Poala)=レダ(REDA)社長は、2月に開催された21年春夏展で任期を終える。ポアーラ会長は、同見本市のコンセプトを2019年春夏向けから“サステナビリティの追求”にシフトチェンジし、9月の秋冬展の開催時期を7月に早めるなど市場ニーズに応えてきた。任期終了を発表した翌日の2月5日、レダのブースにポアーラ会長を訪ねた。

「サステナビリティは企業が生き延びるための必須項目」

WWD:会長職おつかれさまでした。会長職を振り返ると?

エルコレ・ボット・ポアーラ「ミラノ・ウニカ」会長(以下、ポアーラ):いやあ、肩の荷が下りたよ。その荷はお腹についちゃったけどね(笑)。

在任中に「ミラノ・ウニカ」がなくならなくてよかった。実は開催し続けることは当然のことではない――「ウニカ」はもともと3つの異なる素材見本市を一緒にしたものだったから。私が会長職に就いて行ったことはトレンド傾向やクリエイティビティへの投資、そしてサステナビリティにも注力した。今回もイノベーティブなスタートアップ企業にフォーカスしたエリアを新設したが、前進させることができたと思う。伝統的な生地の世界に新しさをもたらすことが必要だと感じた。

WWD:サステナビリティ推進に舵を切ったのは功績だったと思う。

ポアーラ:大変だったことは、美的感覚を備えたサステナブルな生地作り。生地は美しくなければならないからだ。今はいろんなタイプの生地が出てきてずいぶん簡単に作れるようになったが、当初は表現するのが難しかった。

WWD:来場者の変化は?

ポアーラ:昨年からサステナビリティへの興味が高まっているように感じる。それは、ミレニアルズとジェネレーションZの影響だろう。市場調査によると現在、売り上げの30%を占めるのが彼らの世代で、5年後には50%になるといわれている。彼らの世代、そしてさらに次の世代はサステナビリティに対する関心が高い。つまり、サステナビリティは企業が生き延びるための必須項目ということだ。

今、若い女性が世界に向かって叫んでいる。彼女の心配事に対して、私たちはその答えを出さなければいけない。叫ぶのは簡単だが彼女も年を重ねるし、そうすればさらに若い世代が続くので要求に応えなければならなくなるだろう。

WWD:叫ぶことも勇気がいるし、大変なことだと思う。業界を見渡してサステナビリティの進捗は?

ポアーラ:現在、オーガニックコットン、ノンミュールジング(ミュールジングとはうじ虫の寄生を防ぐため子羊の臀部の皮膚と肉を切り取ること)のウール、リサイクル糸などを用いた生地が多く提案されているが、でもそれはサステナビリティの一部分でしかない。生産工程におけるサステナビリティが需要なんだが、それをどう理解していいのかわからない人が業界内でも多い。また、マーケティングでサステナビリティを打ち出している企業が多く見られるが、実質的なことに取り組んでいる企業は少ない。本当の意味でサステナビリティ意識が足りない。

WWD:気候変動が危機的状況なのに、サステナビリティに実質的に取り組んでいる企業が少ないのはなぜだと思う?

ポアーラ:今世界中で起こっていることに対して、皆が意識しない理由がわからない。「ミラノ・ウニカ」は生地を提案する場で、1年後に店頭に出る商品のためのものであり、未来を見ているところでもある。未来を見つめなければいけない指名がある。もちろん、未来のことを語るのだから間違うこともあるが、個人的にはうまくいったといえるだろう。

レダの最新の取り組みは?

WWD:レダは原料のウールの動物福祉やトレーサビリティーを徹底し、さらに設備投資をして環境に配慮した生産態勢を整えている。さらに、若手社員育成にも積極的だ。サステナビリティマネジャーは20代半ばで、さらに大学にも通うチャンスを与えて授業料まで負担している。

ポアーラ:世界をよくしようと思ったら機械頼みというわけにはいかない。人があってのサステナビリティだからね。ヒューマンサステナビリティだ。

WWD:直近の業績は?

ポアーラ:2019年は増収で1億2300万ユーロ(約145億円)だった。でもこれにはトリックがあり、毛織物メーカー「コメロ(COMERO)」を買収したからだ。その分を除けば18年と同程度だ。20年の見通しはマイナスになる。1ケタ減が2ケタ減か――新型コロナウイルスの影響もあるから2ケタ減になるだろう。

「買うことを減らすのは不可能。よりよいものを意識的に買うことが重要」

WWD:2021年春夏シーズンは、旭化成のストレッチファイバー“ロイカV550”を用いた生地「レダ フレキソ(REDA FLEXO)」を前面に打ち出した。

ポアーラ:旭化成の “ロイカV550”は、有毒な化学物質を含まない原料を用いている。ネガティブなものを地球に戻さない認証であるC2C(クレイドル・トゥ・クレイドル)認証を取得していて、分解して自然に戻る糸だから環境に優しい。そうはいっても、私はそもそも100%サステナブルな商品はないと考えている。私たちがやらなければいけないのは、さらにサステナビリティを推進していくことだ。

WWD:ファッションはどんどん新しいものを作って売っていく産業だが、シーズンごとに商品を提案すること自体にも疑問が出てきている。どういう仕組みがいいと思うか。

ポアーラ:サステナビリティの一番の敵は、皆がよい状態でいようとすること。自分が必要としている以上のものを買うから捨てることになる。私たちが学ばなければいけないのは、前に買ったものよりも良いものを買うこと。人間は自分がいい状態になりたいと思うもので、それを否定できない。だから「少なく買いなさい」ということは幻想でしかない。

会社というのは、リサーチをして投資して、生き残っていかなければいけない。人間の習性として、石器時代からずっとよりよくなろうとやってきた。でもたくさん生産して皆がリッチになると地球はそれだけ苦しくなる。でもそれをやめるのは不可能だから、作るもの、買うものをよりよくしていくことしかできない。

食品も捨てないようにするとか。顔を洗ったり歯を磨いたりするときに水を垂れ流さないようにするとか。次に買う車はハイブリッドや電気のものにするとかね。洋服は商品に認証があるもので、前に買ったものよりも環境へのインパクトが少ないかどうかを考えること。

政治家にありがちだが、「2050年にはそういう問題が少なくなっている」という発言をするのではなく、毎日少しずつインパクトを少なくするためにできることを積み重ねること。50年にはその人たちは誰もいないからね(笑)。

WWD:私の周りでも毎日できることに取り組み始めた人は増えてきた。一方、何を選べば環境への負荷が低いのかというのが複雑で、わからないまま選べずにいる。

ポアーラ:ほかの産業でも議論されていることだが、政府がそのうち法律を作ってファッション業界もトレーサビリティーを明確に表示するようになっていくと思う。時間の問題だろう。

WWD:個人的なサステナブルアクションは何をしている?

ポアーラ:いっぱいお金を使うこと(笑)。「テスラ」の電気自動車を買った。ちょっと変な音がするんだけどね(笑)。歯を磨くときは水道を止める――これはずっと前からの習慣でもある。アフリカでの兵役のときには水がなかったからね。毎日、自分たちによる環境への負荷をなるべく少なくするように心がけているよ。会社では、認証を取って取り組んでいる。自分では測ることができないから、第三者機関に依頼して少しでも負荷を少なくすることに取り組んでいる。

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ラグジュアリーもリセールに本腰? エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年10月16日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

ラグジュアリーもリセールに本腰?

 「バーバリー(BURBERRY)」が米ラグジュアリー・リセールの「ザ・リアルリアル(THE REALREAL)」と提携しました。何をするかというと、買った商品を売りたいと考える顧客に「ザ・リアルリアル」を紹介したり、「ザ・リアルリアル」の顧客に「バーバリー」について知らせていくそうです。

 つまり、すでに「バーバリー」でクローゼットが満杯の顧客には、服を販売してクローゼットに空きを作ってもらい、「ザ・リアルリアル」で「バーバリー」の中古品を買う人には「バーバリー」直営店での新作のショッピングに招待するということです。

 そうです、リセールで「バーバリー」を買う人は、「バーバリー」というブランドのファンである可能性が高く、今後顧客になりうる人かもしれません。

 “循環型”はサステイナビリティーへのアプローチにおける重要なキーワードの1つで、消費活動においては、つまり“捨てずに再利用”です。ひたすら新商品を作っては売り、売ったら売りっぱなし、売れなければ廃棄、というファッション業界のこれまでのルーティーンはサステイナブルではないと見なされています。そしてその解決法の1つとして、リセールが注目されてきているのです。

 売りっぱなしにせず、その後も顧客に寄り添いながら新たな経済活動を生み出す――ファッション業界の新しいスタンダードになりそうな予感です。

 でもこれ、自社で全部できたら最高じゃないですか?

 H&Mは4月に地元スウェーデンのリセールプラットフォームのセルピーと提携し、傘下の「アンド アザー ストーリーズ(& OTHER STORIES)」のコーナーを作って中古品販売に乗り出していましたが、そのセルピーを今月買収しました。セルピーはさまざまなブランドを扱っていますが、今後H&M傘下のブランドの扱いが増えていくのは間違いないでしょう。

 もちろん真贋問題などもあるので、単にプラットフォームを買収すればいいという話ではありません。しかしリセールを自らがすることで得られるネットワークと情報もだいぶ魅力的でしょう。

 サステイナビリティーの先駆者、ステラ・マッカートニーはすでに2017年から「ザ・リアルリアル」と取り組みを始めていました。さて、次はどこがどこと組むのでしょうか?大いに注目です。

VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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まだ、あなたが知らないニューヨーク最新トレンド ファッション性が求められるライフスタイルブランド全盛期

 ニューヨークで活躍する名物クリエイティブ・ディレクター、メイ(May)と、仕事仲間でファッションエディターのスティービー(Stevie)による連載第5回。仕事とは別に、月に1度は新しいレストランを開拓しながら情報交換する2人。“You’d Better Be Handsome”は、2人がときにゲストを交え、ニューヨークのトレンドや新常識について雑談するコラム 。今回は、ますます増えていくおしゃれアーリーステージ系ブランドについて。サブスクリプション制はどこまで増えていくのか?歯ブラシから空気清浄機まで、ハイセンス戦争が繰り広げられる市場トレンドについてトーク。

 本日のランチは、昨年末に「ソーホーグランドホテル(SOHO GRAND HOTEL)」の1階にオープンしたカジュアルなダイナー「ソーホーダイナー」(320 West Broadway, New York NY 10012 Ph. 212 965 3011)にて。ややレトロな内装で、昔からあるダイナーよりは数倍おいしく、ヘルシーな選択肢もあるのが嬉しい。暖かくなったら屋外にもテーブルが用意されるらしい。

スティービー:ちょっとおしゃれな普通のダイナーに見えるけど、24時間オープンて、ありそうで実は珍しい。

メイ:昔からチェルシーにあるレストラン、その名も「カフェテリア(CAFETERIA)」とかテレビドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ(SEX AND THE CITY)」に登場する店があるけど、あそこも確か24時間だったよ。

スティービー:懐かしい!

メイ:ファッション・ウイーク中はすごく混んでいたよね。

スティービー:ショーそのものは数も減って、特に今シーズンは静かだけど。ネットでほぼ同時にショーが見られるようになってから、ショーにがんばって行く人たちも減っているのでは?

メイ:そうね、インビテーションをリクエストして、ちゃんとくるかどうか確認して、混んでいる会場で人をかき分けて自分のシートを探してようやく座ったら頭しか見えなかった、なんてことになるなら、最初からスマホで見た方がいいと思う人が増えても仕方がない。

スティービー:バイヤーやエディターはそもそもショールームにしか顔を出さない人もたくさんいるし。実際に手にとってみるのって大事だし。

メイ:というか、ファッションに対しての憧れの気持ちが以前のようにはないというのもある。ファッションのプラットフォームが大きく変わっている今、ショーの形態も変化していくはず。

スティービー:数年前に話題になった“シーナウ・バイナウ(SEE NOW, BUY NOW)”も、もはや死語。ショーで発表された直後に、半年待たずに消費者が購入できるということで大きなブランドが取り入れていたよね。

メイ:アイデアとしては画期的だったけど、私が一回も利用しないでいるうちに誰も口にしなくなってしまった。

スティービー:ファッションだけじゃなく、いまはテレビ番組や映画も、自分の都合に合わせて楽しむという時代。

メイ:今年のアカデミー賞でも ネットフリックス(NETFLIX)で制作された「マリッジストーリー(MARRIAGE STORY)」や「アイリッシュマン(IRISHMAN)」がノミネートされていた。

スティービー:まずは映画館でちょろっと上映し、そのあとは好きなときに家にいて観られるネットフリックスでというシステム。以前だったらテレビで観られるような作品は、そもそもオスカーに選考されてなかったけど、そんなこと誰ももう言わない。映画=映画館の時代はとっくに終わっている。

メイ:結局ファッションもネットショッピングが主流になっているし。

商品の背景にあるストーリーで共感を

スティービー:だけど、今シーズンの商品をただ並べるだけだと全く響かない。それぞれが持つストーリー性が求められている。

メイ: 最近はどこの会社でも、文章が上手に書けるというよりは、物語を生み出せる作家的な人材を起用することが成功の鍵というのが常識。私が大学を出た頃は、文学部の人たちは就職先がなくて大変だったのに!

スティービー:「ネッタポルテ(NET-A-PORTER)」や「エッセンス(SSENSE)」みたいなECサイトも編集記事に力を入れているのは、そこが大事だと分かっているから。作家性が求められているのは、物語を生み出し、共感を持ってもらわないとものが売れない時代だから。

メイ:「ネッタポルテ」は、「ポーター(PORTER)」という雑誌を前から出しているよね。トップモデルがいつもカバーを飾っている。私の日本のスタイリストやエディターの友人らも、いろんなショップからトークショーによく呼ばれている。商品をただ置いても売れないから、ストーリー性を与えているところが同じ。

スティービー:リテールの未来は暗いけど、一方で勢いがあるのはライフスタイル系ブランド、しかもアーリーステージの。

メイ:そうね、地下鉄や駅貼りの広告も、ネットフリックスやアマゾン(AMAZON)、それに映画ポスターかライフスタイル系のブランドばかり。

スティービー:なんでもないプロダクトにファッションのエッセンスを盛り込み、シンプルでひねりの利いたグラフィックというのが共通している。

メイ:私のクリエイティブエージェンシーでも最近ライフスタイル系の依頼も多い。

スティービー:クリエイティブ・ディレクターが最初からがっつり入って、ストーリーを文字とビジュアルで作り上げていけるかどうかが成功の鍵だからね。

ライフスタイルブランドを中心にアーリーステージのビジネスが活況

メイ:アーリーステージ系で分かりやすいところといえば、やっぱり「キャスパー(CASPER)」かな?

スティービー:シンプルなベッドマットレスにどんどんストーリーを与えて、今度ベッドマットレスを買うときはトライしてみようかなという気持ちにさせる。

メイ:ベッドのマットレスといえば、ちょっと前まではブルーミングデールズのインテリアフロアか、街のあちこちにあるチェーン店とかでトライして買うしかなかった。長い間使うものなのに、ちゃんと寝て試すこともできないままに。

スティービー:眼鏡の「ワービーパーカー(WARBY PARKER)」もいい例。眼鏡店は街中にあるけれど、どこで買ったらいいか分からない、システムがいまいちクリアじゃなかったところに目をつけて、ウェブで注文し、似合わなかったらすぐに返品できるというシステムと、豊富な種類、買いやすい値段で爆発的な人気になった。

メイ:5つ選んで家で試せる。フレームだけだと、100ドル(約1万900円)以下のものも充実している。眼鏡って高いし失敗できないから。

スティービー:ネットで安定した人気が出てから出店するパターンも、ここから出てきたのかも。

メイ:ファッションのベーシックだけを売る「エバーレーン(EVERLANE)」も、卸をしないことで、作り手にも買い手にもお得感があるシステムが受け入れられた。企業の信念みたいなものが最初からクリアだったから。

スティービー:どこでも買えるのに、どこで買ったらいいか分からないようなビタミン、シェーバー、スーツケース、下着、シーツ、歯ブラシ―そういったカテゴリーが一気におしゃれになったのは、これらのスターター系のおかげ。

多機能よりもコンセプトが洗練されているかの“ハイセンス戦争”

メイ:私も「クイップ(QUIP)」の電動歯ブラシを使っている。前から電動歯ブラシが欲しかったけど、洗面所が狭くなりそうなデザインばかりで買いたくなかった。「クイップ」は普通の歯ブラシとサイズ的にも大差がないし、なによりデザインがシンプルなのがいい。

スティービー:テクノロジーで言うと、大手家電メーカーのモノの方が数段いいかもしれないけど、そもそもたくさんの機能が付いていても使わないし、パッケージが大昔のままで逆に驚かされることも多い。

メイ:サブスクリプションについてはどう思う?私は歯磨き粉とブラシの替えが定期的に届くから忘れなくていい一方で、歯磨き粉は3つくらいたまってる。

スティービー:僕は、家で空気清浄機の「モレキュール(MOLECULE)」を使っている。デザインがすっきりしていて邪魔にならないし、フィルターのリフィルが定期的に届くから助かる。

メイ:女性用シェーバーの「フラミンゴ(FLAMINGO)」、ウェルネスやサプリの「ヒムス(HIMS)」や「ハース(HERS)」のほかにも、私が最近サプスクリプションしてるのは環境に優しい洗濯洗剤「ドロップス(DROPPS)」とか。

スティービー:買い物に出掛けなくても、クレジットカードにどんどんチャージされるわけだね。

メイ:そういえばスティービーは最近、「アウェイ(AWAY)」のスーツケースをいくつか買ってたよね?

スティービー:パントンとの限定コラボカラーがかわいかったから。でも「アウェイ」のスーツケースはシンプルなデザインだけど色展開も豊富だし、スマホ用バッテリーが付いているタイプもある。なんでもないデザインだけれど、追加料金でパーソナライズもしてくれる。定番スタイルが225~295ドル(約2万5000〜3万2000円)と買いやすい値段。

メイ:修理をすぐしてくれると聞いた。スーツケースってアフターケアが実は大事だから。

スティービー:これまではテクノロジーを優先にモノ作りをしてきたブランドが多いけど、デザインがいいのは当たり前で、コンセプトが洗練されているか、“人の心を動かす見せかけでない物語”がしっかりあって、それがちゃんと伝わっていくか、そしてそれをトータルでどう見せていくかが問われる。

メイ:女性の下着のブランドも、気になっているのがいくつかある。「サードラブ(THIRD LOVE)」や「ネガティブアンダーウエア(NEGATIVE UNDERWEAR)」。まず着る人のことを考えて作っているデザイン。それとネットで買って、家で試着して、気に入らなければすぐに返品できるってラク。

スティービー:すぐに返品できるからこそ、買ってみようかなという気になる。返せないかもと思ったらネットショッピングは難しい。アメリカだけかもしれないけれど、知識のない店員と無駄なおしゃべりするのも面倒だし。

メイ:日本にはまだまだ知識と意欲のあるスタッフがいる感じだけど、ささっと買いたいときにはあの丁寧さが正直めんどくさいなーと感じることも……。

スティービー:アーリーステージ系のブランドの特徴は、広告に積極的なことだといえる?

メイ:もちろん!アーリーステージブランド全盛期とはいえ、似たようなブランドが毎日次々と現れては消えていっているのも事実。彼らは、電車の中吊り広告や、地下鉄の駅を全部1ブランドで埋め尽くすステーションドミネーション、ビルボード、バス停広告など、メッセージ性のあるビジュアルキャンペーンにもすごく積極的だし面白い。今のニューヨークの街をいちばん輝かせているのは、こういうブランドなのかもね。

メイ/クリエイティブディレクター:ファッションやビューティの広告キャンペーンやブランドコンサルティングを手掛ける。トップクリエイティブエージェンシーで経験を積んだ後、独立。自分のエージェンシーを経営する。仕事で海外、特にアジアに頻繁に足を運ぶ。オフィスから徒歩3分、トライベッカのロフトに暮らす

スティービー/ファッションエディター:アメリカを代表する某ファッション誌の有名編集長のもとでキャリアをスタート。ファッションおよびビューティエディトリアルのディレクションを行うほか、広告キャンペーンにも積極的に参加。10年前にチェルシーを引き上げ、現在はブルックリンのフォートグリーン在住

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「モンクレール ジーニアス」3度目の秋冬を一挙公開 「JW アンダーソン」や「リモワ」も新たに参加

 「モンクレール(MONCLER)」はミラノ・ファッション・ウイーク期間中の2月19日、「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS 以下、ジーニアス)」2020-21年秋冬コレクションのプレゼンテーションを開催した。会場となったのは、もともとは市場だったという広さ1000平方メートルの巨大な建物。その中に、参加した9人の個性豊かなクリエイターがそれぞれの趣向を凝らしたブースを設け、新作を披露した。今回で3回目の秋冬シーズンを迎えた同プロジェクトのモットーは、 “1つのメゾン、異なるボイス(ONE HOUSE, DIFFERENT VOICE)”。協業を通してブランドの多様な可能性の探求し、進化を続けている。

 今季の「ジーニアス」の目玉は、なんと言っても新たにメンバーに加わったジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)によるコレクションだろう。アンダーソンは、自身のブランド「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」のコレクションで過去に発表したデザインを出発点に、ダウン素材を生かしたアイテムを提案。メンズとウィメンズで共通するスタイルも多く、彼らしいジェンダーの垣根を超えたコレクションに仕上げた。

 さらに新たな取り組みとして、ファッションだけでなくプロダクトの分野にもプロジェクトを拡大。ドイツのラゲージブランド「リモワ(RIMOWA)」との協業によるトラベラーの考えを映し出すLEDスクリーンを搭載したラゲージコレクション「モンクレール リモワ “リフレクション”」を発表したほか、デンマーク発の「メイト バイク(MATE.BIKE)」と共に制作した山道や雪道にも対応する折り畳み電動自転車もお披露目した。また、ドッグウエアブランド「ポルド ドッグ クチュール(PORDO DOG COUTURE)」とも引き続きコラボしている。

 その他の「ジーニアス」メンバーは、前回からの続投。「フラグメント デザイン(FRAGMENT DESIGN)」の藤原ヒロシや「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」のマシュー・ウィリアムズ(Matthew Williams)、シモーン・ロシャ(Simone Rocha)、クレイグ・グリーン(Craig Green)、リチャード・クイン(Richard Quinn)らが名を連ねる。ここからは、各コレクションをリポートする。

1 MONCLER JW ANDERSON

 テーマは、“ノンバイナリー・エレガンス”。「男性にも女性にも分類されない性別認識」を指す「ノンバイナリー(Non-binary)」を掲げたコレクションは、まさにアンダーソンが自身のブランド「ジェイ ダブリュー アンダーソン」で早くから打ち出してきたジェンダーの固定観念を覆したデザインが着想源だ。ドットやスパイクのデザインをダウンで表現したジャケットと裾にラッフルを配したショートパンツのカラフルなルックや、質感の異なるマットとシャイニーな素材のコントラストを生かしたレイヤードルックで、カントリースタイルと都会的な装いを融合した。

2 MONCLER 1952 WOMAN

 ヴェロニカ・レオーニ(Veronica Leoni)が手掛ける「モンクレール 1952」のウィメンズは、赤い砂が盛られた空間でショーを開催。“洗練されたフェミニニティー”をテーマに「モンクレール」のアウターウエアとアウトドアの要素を再解釈し、フェミニンでエレガントなコレクションを披露した。素材は、テーラリングに用いられるウールやデヴォレ・ベルベット、ナイロンツイル、ダイヤモンドキルティング、ニットを多用。テクスチャーのレイヤードやミックスで、立体感のあるスタイルを生み出している。

2 MONCLER 1952 MAN

 “ロサンゼルスとのコラボレーション”がテーマにしたセルジオ・ザンボン(Sergio Zambon)による「モンクレール 1952」のメンズは、現地を拠点にするアーティストとの協業による巨大なオブジェやパネルを並べた空間を用意。LAのユースカルチャーを着想源に、グラフィカルなプリントやポップカラーと、1970年代を象徴するプレッピーやヒッピー、パンクなどの要素を掛け合わせ、若々しくリラックス感のあるスタイルを提案した。特にコーデュロイのダウンジャケットやダウンベストが印象的だ。

3 MONCLER GRENOBLE – SANDRO MANDRINO

 サンドロ・マンドリーノ(Sandro Mandrino)は、今季もユニークな演出でコレクションを発表した。それは、天井から横向きにワイヤーで吊るされたモデルたちが壁を歩き、その様子が鏡張りになった床に映し出されるというもの。モデルが着るスキーウエアのようなジャケットやパンツは真っ白でシンプルに見えるが、照明が消えると光る仕様になっている。ただ今季のコレクション全体のテーマは、“多種多彩なカラー”。手描き風のカラフルなプリントと鮮やかな色を駆使したスキースタイルを取りそろえる。

4 MONCLER SIMONE ROCHA

 “モダンロマンティシズムの躍動”をテーマにしたシモーン・ロシャは、イタリア人映画監督のフェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini)の描く世界から着想。赤いベルベットで覆われた映画館のようなスペースを用意し、ショートムービーを通してコレクションを見せた。コレクションのキーワードは、「ダンスとドレスのファンタジー」。フレアシルエットやパフスリーブを取り入れた彼女らしいロマンチックでガーリーなシェイプを、アクティブなルックへと昇華した。装飾はパンジー、デイジー、ローズといった花々をモチーフにした刺しゅうやエンボス、プリント、そして、この上なく軽やかなチュールを用いたフリルがポイント。

5 MONCLER CRAIG GREEN

 クレイグ・グリーンが掲げたテーマは、“トランスペアレンシー(透明性)とプロテクション(保護)”。プレゼンテーションでは2つの部屋を用意し、その一つではところどころにスリットが入ったキルティングシートのようなアイテムをモデルが着用。もう一方では、中に空気を入れて膨らんだマイクロリップストップナイロンのカラフルなシート状のアイテムがモデルの体を包む。今季もかなりコンセプチュアルだが、どのように実際のアイテムに落とし込まれるか気になるところ。

6 MONCLER 1017 ALYX 9SM

 “マウンテンの都会的な探索”をテーマに、マシュー・ウィリアムズはガーメントダイを探求した。色は、くすみのある白やサンドベージュ、ネイビーと黒が中心。リサイクル・ナイロンラケなどサステナブルなテクニカルファブリックを用いたアウターウエアを軸にしたスタイルを展開する。デザインのアクセントとなるのは、アイコニックなバックルなどの金具をはじめ、ラバーのトリムや止水ファスナーといったインドストリアルなディテール。インパクト満点のスワロフスキーを全面にあしらったジャケットもある。会場では、垂直に印刷できるインクジェットプリンタを使い、巨大なパネルにルックビジュアルを描いた。

7 MONCLER FRAGMENT HIROSHI FUJIWARA

 テーマは“継続的な文化のプログレス(発展)”。歪んだ鏡で囲まれた空間の中で、ビンテージやミリタリーなどの要素を藤原ヒロシらしい視点で取り入れたストリートスタイルを提案した。今季のトピックスは、豊富なコラボレーション。ポケモンとの合同プロジェクト「サンダーボルト プロジェクト(THUNDERBOLT PROJECT)」との取り組みを継続している他、新たに「コンバース(CONVERSE)」「ルイスレザー(LEWIS LEATHERS)」「ラミダス(RAMIDUS)」と協業。アメリカのファンクバンド、クール・アンド・ザ・ギャングが1975年に発表したアルバム「Spirit of the Boogie」のグラフィックなど、アウターの背面に施されたデザインも目を引く。

8 MONCLER RICHARD QUINN

 “リュクスの拡大”をテーマにしたリチャード・クインは、今シーズンも自身のクリエイションを象徴するカラフルで大胆なプリントを活用。そこに刺しゅうやビジュー装飾を施すことで、華やかなコレクションを作り上げた。宇宙ステーションのような雰囲気の空間に登場したモデルは、60年代をほうふつとさせるミニドレスが印象的。加えて、ウエアからアクセサリーまで全身をプリントで覆ったインパクトのあるルックやクチュールライクなイブニングガウンまでを打ち出した。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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読者が注目した今週の新作 「ユニクロ ユー」2020年春夏コレクションなど(2月21〜27日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」別にまとめてお届け。読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ファッション部門」では「ユニクロ(UNIQLO)」2020年春夏コレクション、「ビューティ部門」では「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」の「アンリミテッド ファンデーション スティック」が最も注目された。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】

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またまたミラノ日記 Vol.1 「グッチ」!「ジル サンダー」!!「モンクレール」!!!初日からメインディッシュ連発でお腹いっぱい!!

 ボンジョルノ~。やって来ました、ミラノ。2020-21年秋冬シーズンは新型コロナウイルスの影響で、日本からの来場者はメディアも、バイヤーも、商社やブランド担当者も少なくてちょっぴり寂しいのが本音ですが、ミラノ・コレクションが始まりました。というワケで今回も、ランウエイに次ぐランウエイ、プレゼンに次ぐプレゼン、イベントに次ぐイベントてんこ盛りなミラノから、日記をしたためたいと思います。

 新型コロナの影響は、決して少なくありません。お話した通り、日本からは「ヴォーグ ジャパン(VOGUE JAPAN)」や「シュプール(SPUR)」「ギンザ(GINZA)」などがエディターの出張を取り止め。百貨店も三越伊勢丹や髙島屋は、バイヤーの派遣を見送り、現地の駐在員に任せています。商社では、伊藤忠商事もミラノ初日の19日以降、出張を見合わせるとの話。ブランドのジャパン社も、出張を見送ったり、最小人数を派遣したりの対応に追われています。アジアンメディアのインタビューリクエストが直前になって却下されるケースも相次いでいます。しかし、いずれの対応も止むなし。私たちだって不安なのだから、イタリア人だって不安に違いありません。でも街やショー会場では、特に差別的な扱いを受けることもなく、初日は無事終了しました。

11:00 ディースクエアード

 あさイチは、とあるブランドのCEOと秘密の会食(笑)。そのあとは、先月のメンズ・コレクション期間中に25周年のアニーバーサリー・ランウエイを開催した「ディースクエアード(DSQUARED2)」の展示会です。

 この日記に記した洋服が、勢ぞろい!!ボリューム満点のフェイクファーに覆われたアウトドアテイストのコート、懐かしきディーン&ダン・ケイティン(Dean & Dan Catin)のイラストスエット、ボヘミアンなフリンジいっぱいアクセサリーなどを撮影です。僕にとってのウィメンズの「ディースクエアード」と言えば、マイクロミニのホットパンツ。ランウエイに登場した“ホッパン”、改めて見ると、短いですねぇ(笑)。

11:45 ブルネロ クチネリ

 お次は、「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」。サステナブルが叫ばれる時代の最新コレクションは、ムダにならない洋服。つまりはいつでも、どこでも、誰でも着られるミニマルなスタイルです。クチネリさんの場合は、もっともエターナル(永続的)かつミニマルな洋服として、メンズのようなジャケットをチョイス。ムダにならない洋服としてのシンプルなジャケットという提案は、さまざまなブランドに広がりそうです。

 ジャケットルックをセンシュアル(官能的)に見せるのは、ガウチョパンツなどで提案する“肌見せ”や、ボウタイブラウス、そしてバッグ&シューズでも複数提案したメタリックカラー。カシミヤで作ったリラックスニットの上下に、将軍のようなミリタリーコートという提案のカッコよさ!「クチネリ」らしさ!豪華なランチをいただきながら、日本からやって来た新聞系メディアの皆さんと情報交換(ウソ、ただのおしゃべり)も楽しみました。

13:40 アーサー アルベッセ

 お次は、「アーサー アルベッセ(ARTHUR ARBESSER)」。心の中で「ごめんなさい!」と思いつつ、「14:15までにショーが始まらなかったら、退場する」と決めた上での会場入りです。その理由は、お次の「グッチ(GUCCI)」が14:40までに会場入りしないと、ドアを閉めてしまうらしいから!!「なんと!!」とも思いますが、一方で「だったら『アーサー アルベッセ』も、すぐにショーを始めるでしょう?」と都合良く考えていたんです。

 予定時刻の20分前に会場入りしたら、「だ、誰もいない……」。しかも、バックステージへの道はガラ空き。スタイリングをまとめたボードが、会場から見える位置に堂々と掲げられています。バックステージには、フツーに入れる(笑)。「『グッチ』に行っちゃうゲストのための、事前開放かしら?」と思いながらバックステージをウロウロして、14:15には絶対に始まらないカンジであることを確信し、本当に「ごめんなさい」ですが会場を後にしました。

14:20 グッチ

 初日に“いきなりメインディッシュ感”満載ですが、「グッチ(GUCCI)」です。

 さぁ、今回も長文にお付き合いください(笑)。今回は「再現することのできない儀式」をキーワードに、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)が「魔法のイベント」と話す、ランウエイショーの魅力に迫りました。ということで、まずゲストが通されたのは、バックステージ。「魔法のイベント」を、その舞台裏まで見せてしまおうという舞台設計です。

 通された空間は、本当にバックステージです(笑)。モデルはヘア&メイクの真っ最中だし、ミケーレもフツーに仕上がりをチェックしています。「わ~、楽しい」と思いながらパシャパシャ写真を撮っていると、「今回、フィナーレは一番最後を歩くんです!」と教えてくれた山田大地クンを発見。1月のメンズ・コレクションに続く登場で、“グッチ ボーイ”になる日も近いかもしれません。

 ショーは、バックステージでヘア&メイクを終えたモデルが、次のバックステージ、会場の中央に設けられたフィッティングルームに入場するところから始まりました。スモークが焚かれ、だんだんと中が見えるようになって、フィッティングに大忙しの“現場”がつまびらかになります。モデルが着るのは、“夢いっぱい”な、子どものように天真爛漫でピュアな洋服。このあたりは、「男性らしさ」という既成概念を否定すべく、「男の子なんだから」と言われ続けた幼年時代まで遡ることの価値を説いた1月のメンズ・コレクションに通じます。洋服の多くはパステルカラー、ミニ丈のワンピースを筆頭にシルエットは幼稚園に通うガールズ&ボーイズのよう。キーアクセサリーは、ヘンテコな帽子と十字架のネックレス、それにスクールソックスです。一方、ロングドレスは生地を何重にも重ね、お人形さんのよう。随所にフリルやラッフルを取り入れ、ガーリームードを高めました。ミケーレの幼年時代、70年代のレトロムードが漂います。

 これは別途ロングインタビューをアップしようと思いますが、フィナーレの後、ミケーレは、「ファッションはパワフル。終わることを知らない。特にファッションショーは、マジックだ。数多のプロがモデルを変え、夢の世界に誘う。生まれ変わったモデルは、皆パワフルだ。そして、ゲストを含めて私たちは、同じ場所で、同じ時間を過ごすという極めて親密度の高い状態になる。コレクションが好きか、嫌いかなんて関係ない。とにかく同じ空間で、私たちが一生懸命作ったものを、真剣に見てくれる。この関係性もまた、美しいものだ。でも、ショーはあっという間に終わる。終わらなければならない、儚さも宿している。それもまた、ファッションショーの神秘性を高めているし、終わるから次が始められる。パワフルに循環する、大きなシステム。これがファッションなんだ」と語ります。その言葉は、サステナブルが叫ばれて業界人の多くが既存のファッションシステムに疑問を感じるばかりでなく、その中で生きてきた自分に“後ろめたさ”を抱きかねない今、正直、「ファッションショーなんて古臭い」とか「何度も見ているから」といつの間にか当初の感動を忘れルーティーンとしてしまっている状況に対する、ミケーレのメッセージのように聞こえました。

16:30 アルベルタ フェレッティ

 ミケーレの熱弁に聞き入り、そして、一緒にカンファレンスに参加した皆さんと「良かったねぇ」とか「それにしてもミラノ、あったかいねぇ。地球は大丈夫かな?」なんて話をしていたら、「アルベルタ フェレッティ(ALBERTA FERRETTI)」に遅刻です(苦笑)。はるか後方で、なんとなく拝見させていただきました。

17:30 ヌメロ ヴェントゥーノ

 「ヌメロ ヴェントゥーノ(N21)」は、10周年のアニバーサリー・コレクション。序盤は、安全ピンを装飾に用いてチェスターコートやニットでパンクなムード。まだまだイケイケ。攻めの姿勢が続きそうです。端正なチェスターコート、一部をえぐるなどしてレイヤードするためのパーツのように変換したニット、そして、女性はドレスのように着こなすブルーのストライプシャツなど、アレッサンドロ・デラクア(Alessandro dell'Acqua)らしさ全開。ゴールドのチェーンや総スパンコールのドレスなど、いつも以上にゴージャスなドレス群で10周年を祝いました。

18:40 ジル サンダー

 「グッチ」で「“メインディッシュ感”満載」と書きましたが、今日はもう2皿、メインディッシュが出てきました(笑)」最初の“もう一品”は、「ジル サンダー(JIL SANDER)」です。

 ルーク&ルーシー・メイヤー(Luke & Lucie Meier)の「ジル サンダー」は、ミニマルというよりピュア、もしくは、ノイズの少ない洋服と言えるでしょう。彼らは、洋服の本質以外を削ぎ落とすというより、それ以外には心惑わされず本質を追い続けるスタンス。ゆえに今どき、インフルエンサーも、彼らへのギフティングも皆無です。

 バリエーションは、徐々に広がっています。当初から続くルークっぽい構築的なジャケットとざっくりニットのスタイルは変わらず、徐々にルーシーを思わせるドレスが加わり、ミニマルからピュアという印象にシフトしている印象です。シルクのフリンジが躍動的に揺れるIラインのノースリーブドレス、反対に肉厚の生地をウエストマークすることで極端な砂時計のシルエットを作ったケープ&スカート、プリーツを刻んだAラインのスカートなど、ピュアでありながら、素材とシルエットのバランスは一気に拡充。渾身の全54ルックです。

 欲を言えば、次はミディ丈のスタイルが見たいかな。飾り立てずにドラマティックなスタイルを描くブランドゆえ、どうしてもロングやマキシ丈になってしまうのは分かるのですが……。後、1つにまとめたツヤツヤヘアに真紅のリップというヘア&メイクも、そろそろバリエーションを見てみたい!!以上、毎回楽しみだからこそ、ついつい欲張ってしまうムラカミのワガママなお願いでした。

19:40 モンクレール ジーニアス

 さぁ、ラストは「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」。会場は、郊外の巨大な箱。この中に、いくつもの小さな箱があって、その中で「ジーニアス」の各ラインが、最新コレクションを独自の方法で発表しています。まるで、ダウンのテーマパーク(笑)。「次は、どこ行く?」みたいなカンジで、10近いブースを順に巡るイメージです。

 もう、ダウンならなんでもあります。藤原ヒロシさんの「7 モンクレール フラングメント ヒロシ・フジワラ」は、今回もポケモン(POKEMON)」とコラボ。ってコトでストリート&アニメがありまして、お隣の空間に行けば「1 モンクレール JW アンダーソン」のジェンダーフリュイド。さらに奥の「3 モンクレール グルノーブル」は純白の高機能ダウンなどなど、本格派からタウンユース、ストリートからモード、ダークからカラフル。そのどれもが楽しくて、優劣なんてつけられない。まさに「ジーニアス」が目指す、多様性とはコレなんだ!と体感できる空間でした。

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【動画】WWDJAPAN ENGLISH Vol.8 今さら聞けない!販路についての初歩的英語

 「WWDJAPAN ENGLISH」は、世界に羽ばたきたい業界人に向けた英会話番組です。「WWD JAPAN.com」にアップした記事をRIZAP ENGLISH(https://www.rizap-english.jp/) 全面協力のもと、「こんなコトが英語で言えたら!!」「あの時、フレーズが浮かばなかった!!」という、業界人なら誰もが知りたいワンポイント英語を学びます。8回目は、日本語メインの初級編。

 国内外のビューティ業界で次なるトレンドとして注目されている“クリーンビューティ”に関するニュースから、百貨店やセレクトショップ、通販や訪問販売など、販路についてを改めて英語で学んでいきます。

 動画の下には、番組中に読み上げた英語を掲載します。

ビューティ業界では最近、国内外で“クリーンビューティ”という言葉を耳にすることが増えています。

Over the last several years, we often hear mention of clean beauty in the beauty industry in Japan and overseas.

特に海外では次なるトレンドとして大きな話題になっており、クリーンビューティとうたうブランドが次々と登場しています。

In other countries in particular, clean beauty is a much-talked-about upcoming trend.

直近では資生堂傘下の「ベアミネラル(BAREMINERALS)」が今年“クリーンビューティ” ブランドとしてリブランディングしました。

Very recently, Bareminerals, a company under the umbrella of Shiseido, launched its revamped branding strategy to incorporate the idea of clean beauty.

大手化粧品専門店の「セフォラ(SEPHORA)」も昨年からクリーンビューティブランドを積極的に取り扱うようになりました。

The giant cosmetics specialty store Sephora has also been working aggressively to carry clean beauty products since last year.

では、いったい“クリーンビューティ”とはいったいどのようなものなのでしょうか?ざっくり言うと(1)体に害となるような成分を含んでいない、(2)自然・天然の原料を用いている、(3)環境に配慮している。これらを満たしている化粧品のことを指します。

So what exactly is “clean beauty”? To put it simply, it means: 1) it contains nothing harmful to the body; 2) it is made of natural materials: and 3) it puts no added stress on the environment.

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【動画】WWDJAPAN ENGLISH Vol.8 今さら聞けない!販路についての初歩的英語

 「WWDJAPAN ENGLISH」は、世界に羽ばたきたい業界人に向けた英会話番組です。「WWD JAPAN.com」にアップした記事をRIZAP ENGLISH(https://www.rizap-english.jp/) 全面協力のもと、「こんなコトが英語で言えたら!!」「あの時、フレーズが浮かばなかった!!」という、業界人なら誰もが知りたいワンポイント英語を学びます。8回目は、日本語メインの初級編。

 国内外のビューティ業界で次なるトレンドとして注目されている“クリーンビューティ”に関するニュースから、百貨店やセレクトショップ、通販や訪問販売など、販路についてを改めて英語で学んでいきます。

 動画の下には、番組中に読み上げた英語を掲載します。

ビューティ業界では最近、国内外で“クリーンビューティ”という言葉を耳にすることが増えています。

Over the last several years, we often hear mention of clean beauty in the beauty industry in Japan and overseas.

特に海外では次なるトレンドとして大きな話題になっており、クリーンビューティとうたうブランドが次々と登場しています。

In other countries in particular, clean beauty is a much-talked-about upcoming trend.

直近では資生堂傘下の「ベアミネラル(BAREMINERALS)」が今年“クリーンビューティ” ブランドとしてリブランディングしました。

Very recently, Bareminerals, a company under the umbrella of Shiseido, launched its revamped branding strategy to incorporate the idea of clean beauty.

大手化粧品専門店の「セフォラ(SEPHORA)」も昨年からクリーンビューティブランドを積極的に取り扱うようになりました。

The giant cosmetics specialty store Sephora has also been working aggressively to carry clean beauty products since last year.

では、いったい“クリーンビューティ”とはいったいどのようなものなのでしょうか?ざっくり言うと(1)体に害となるような成分を含んでいない、(2)自然・天然の原料を用いている、(3)環境に配慮している。これらを満たしている化粧品のことを指します。

So what exactly is “clean beauty”? To put it simply, it means: 1) it contains nothing harmful to the body; 2) it is made of natural materials: and 3) it puts no added stress on the environment.

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村上隆が語る審査の裏側 若手デザイナーの登竜門「2020 ウールマーク・プライズ」で「リチャード マローン」「ボーディ」が受賞

 ザ・ウールマーク・カンパニーは2月17日、若手デザイナーの登竜門「2020 インターナショナル・ウールマークプライズ(2020 INTERNATIONAL WOOLMARK PRIZE 以下、IWP)」の決勝戦を開催した。

 大賞にアイルランド出身で、今回唯一のウィメンズブランドとしてファイナリストに選出されたリチャード・マローン(Richard Malone)の「リチャード マローン」が選ばれ、今回新設された「カール・ラガーフェルド賞」にはニューヨークを拠点にするエミリー・アダムス・ボーディ(Emily Adams Bode)のメンズブランド「ボーディ(BODE)」が選ばれた。優勝したマローンは20万豪ドル(約1500万円)、「カール・ラガーフェルド賞」のボーディは10万豪ドル(約750万円)をそれぞれ獲得した。

 決勝戦に進出したファイナリストは、LVMHプライズやアンダム賞などの有名コンペのファイナリストに選ばれた実績のある実力派の若手10組で、「ニナ リッチ(NINA RICCI)」のアーティスティック・ディレクターを務めるデザイナーデュオによる「ボッター(BOTTER)」、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」で経験を積んだサミュエル・ロス(Samuel Ross)による「ア コールド ウォール(A-COLD-WALL)」なども優勝を有力視されていた。

IWP優勝の決め手は”透明性”

 今回の審査は、サステナビリティーへの取り組みが重視され、素材の調達から商品の製造工程までを知らせるプラットホーム「プロヴェナンス(Provenance)」が取り入れられるなど、透明性がカギになった。優勝した「リチャード マローン」は天然素材や天然染料、再生繊維にこだわりながら、ウールやコットンなどの素材の原料を育てられた農場からトレース可能にしたほか、南インドの手織りの職人や、ロンドンで働くパタンナーやテーラーとの公平な取り引きを示すために一部工賃も公開。ファイナリストの中で最も先進的だったトレーサビリティーへの取り組みと、独自のアバンギャルドなブランドの世界観を両立させていたことが評価された。「ボーディ」は、19〜20世紀のアンティークのキルトやシルク、デッドストックのワッペンなどを使用したウエアを披露。20-21年秋冬コレクションを対象に審査され、全ブランドがメリノウールを使った新作も取り入れた。

 審査員は「ディオール(DIOR)」のメンズ・アーティスティック・ディレクターのキム・ジョーンズ(Kim Jones)やアーティストの村上隆、名物ジャーナリストで「ビジネス・オブ・ファッション(The Business of Fashion)」エディター・アット・ラージのティム・ブランクス(Tim Blanks)、英「ヴォーグ」編集⻑のエドワード・エニンフル(Edward Enninful)ら9人が審査を行った。

村上隆が語る審査の裏側

 初めてIWPの審査員を務めた村上隆は「私はアーティストの立場からファッションの傍観者として見ているが、今回はエッジが切れたデザインやセンスを選ぶのではなく、サステナビリティーをいかに深く考えているかが審査の根幹となり、時代の大きな変化を感じた。それは私が見てきたカニエ・ウェスト(Kanye West)やヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)の気楽で、エンジョイフルなストリートファッションとは大きく異なるもの。中にはトレンドとしてのサステナビリティーを追っていたデザイナーもいたが、優勝した『リチャード マローン』は、業者から生地を選ぶのではなく、素材の元である土からプレゼンテーションを行っていた。地道なことを真面目にやりながらも、アバンギャルドな作風があってその振り幅にも可能性を感じた」と評価した。

 日本からIWPのアンバサダーとして決勝戦に出席した冨永愛は「どのデザイナーもパワフルなコレクションを発表していたが、今まで以上にサステナビリティーがファッションで重視されていることを目の当たりにし、大きな時代の移り変わりを感じた。素材のルーツを知ること、生産の透明性や職人の手仕事が再評価されていくことはとてもいい動きだと思う。私は今『エシカルライフスタイルSDGsアンバサダー』としても活動しているが、ファッション業界の中でのポジティブなサステナビリティーへの流れを今後も多くの人に発信していきたい」と語った。

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メンズのパールはむしろバランス良くて真似したい! ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.14.15『メンズアクセサリーのトレンド予報』

読み解きポイント:「メンズのパール、大いにアリです」

ニュースのポイント

 ここ数シーズンに比べて少しおとなしめだった2020-21年秋冬シーズンのメンズコレクション。一方で、各ブランドからのアクセサリー提案はキャッチーに。服全体ではストリートウエアの潮流が完全に沈静化し、「ちゃんとした服」に合う「ちゃんとしたアクセサリー」が台頭している。

Azuはこう読む!

 普段メンズコレクションは「かわいいアイテムやスタイリングのヒントがないかしら〜」と流し見程度なのですが、ストリートの波が落ち着いた今、俄然メンズ気分になってきました。もともとストリートのテイストやカルチャーがあまりピンとこない生き方をしてきたので、ここ数年の波に乗り切れずにいたのもあります。

 ですが今季は女性として「隣に並びたい!」と思うし、「着たい!」とも思うようなスタイルが多く、ついついウィメンズコレクションを見るのと同じ熱量でルックを見漁っていました。「ディオール(DIOR)」なんかもう、最高です。端正なロングコートの裾から見えるのはワンピースにもなりそうな長さのシャツ。そしてまくった袖からはペールトーンのロンググローブが覗きます。それがフェミニンなのかと言われれば全くそうではなく、もはや圧倒的な美しさを前にしたら「男らしさ」や「女らしさ」なんて、エッセンスでしかないのかな、と思うほど。

 というか、私はそう思っています。時代的に「男は男らしく」なんて言ったら炎上しそうですが(笑)、ファッションにおいては自分がなりたい美しさに必要な「らしさ」をその時々で表現すれば良いと思うんです。その美しさを、軽やかに柔軟に行き来しながら表現できるのがファッションの強みだと思っているので、「男が男らしく」も「女が男らしく」もその逆も、色々も、なんでもありなんじゃないかなと。とはいえその「男らしさ」「女らしさ」を決めつけてきたのもファッションなので、いきなり無責任なこと言うなよ、と自分でも書いてて思うのですが(笑)。

 さて、話をコレクションに戻します。特集でもピックアップされていますが、「らしさ」の固定概念を取っ払う象徴となったのが「メンズのパールアクセサリー」なのかなと思います。「ミキモト(MIKIMOTO)」×「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」のコラボアクセサリーが出た時はちょっと衝撃だったし、「ギャルソンだからアリなのかな?」とも思ってしまったのですが、他ブランドの提案を見ても違和感はありません。むしろ女性がつけるとエレガント要素が強くなってしまうパールも、メンズがつけることでバランスよくつけられるというか。

 個人的にパールってつけ方が難しくて、なかなか取り入れられないアイテムだったのですが、逆にメンズの着こなしを参考にすることで気負いなくパールを身につけられそうです。女性陣もメンズコレクションからエッセンスをいただいて真似するのは大いにアリだし、シンプルにメンズのパールって艶感があってセクシーだな、と思ったのでぜひ大人の男性につけていただきたいです。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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コーセーが共創した女子高校生社長は何者か? 18歳とは思えない責任感と行動力

 昨年12月、コーセーが主催するオープンイノベーションの考えを基にした共創事業「アクセラレータープログラム」に現役女子高校生の伊藤瑛加サンシャインディライト社長が選出された。世界各国で環境問題が重視されている中、「太陽の下で安心して暮らせる環境を」をテーマに、コーセー社員と共に保育園や幼稚園に通う子どものUV対策に着目した日焼け止めの開発を目指す。応募数86社の中で「『日焼け止めの習慣化を世の中に浸透させたい』という彼女の強い気持ちが伝わり満場一致の選出だった」(コーセー広報)という。コーセーは伊藤社長との取り組みを“新市場開拓の起爆剤”として大きな期待を寄せる。弱冠18歳にしてコーセーとの共創を勝ち取った彼女に応募した理由から今後のビジネスプランまでを聞いた。

WWD:コーセーの「アクセラレータープログラム」に応募しようと思ったきっかけは?

伊藤瑛加サンシャインディライト社長(以下、伊藤):昨年5月にJA(全国農業共同組合連合会)グループが主催する「JAアクセラレータープログラム」で特別賞を受賞した後に、本格的に事業を始めようと思いサンシャインディライトを設立しました。その後、OEM工場と商品化に向けてスケジュールまで決めていたのに突然音信不通に。社会の厳しさを痛感しました……(笑)。気をとり直し日焼け止めを販売する化粧品会社もアクセラレータープログラムをやっているのではないかと調べ、コーセーの“新規領域”に関するテーマの募集を発見し、小林正典コーセー常務取締役の「感動ある社会に貢献できるイノベーションを起こしたい」というメッセージに共感して応募しました。

WWD:選ばれる自信はあった?

伊藤:自信はありました。小林常務のメッセージを見た後、紫外線問題を解決する上で会社を設立したのはベストなタイミングだったと思いましたね。ファッションでもエシカルファッションが流行している風潮があり、他の生産形態でも環境に配慮した製品が評価される形になっていることも踏まえて必要な取り組みだと改めて感じました。

WWD:大容量 × 子ども向け × 環境に優しいの3点に着目した日焼け止めを展開するというが、具体的にどういう商品になるのか?

伊藤:まずは、ターゲットとする保育園や幼稚園でなぜ紫外線問題が軽視されているのかに着目したところ、容量が少なく価格を気にせずに使用できない点がネックになっていることがわかりました。既製品の日焼け止めは30〜250mLのモノが主流です。それを1リットルで3000円以下で販売できるようにできたらと思っていました。ただ今、リセットしている状態で、日焼け止めの習慣と社会に浸透させるのに適した価格帯を考えています。習慣化に関しては、この紫外線問題を解決するには自分で紫外線から守る習慣を身につけないといけない。しかし、既製品の日焼け止めだと子どもにはボトルを開けにくかったりして難しいわけです。そこでどのようなパッケージだと子どもにも使用できるのかをヒアリングしました。すると、手洗いやうがいの習慣が付いているボトルのポンプ式なら使用できることが分かりました。そして、大容量かつポンプ式を用いることで、子どもに日焼け止めの習慣化を促すことができるのではないかと考えました。また、大容量にすることによりプラスチックの使用量自体を削減でき環境に優しい製品にもなります。成分では日焼け止めに使われている吸収剤は肌が敏感な子だとかぶれてしまうので不使用とし、そのことが環境への配慮にもつながります。

WWD:現在の課題点は?

伊藤:みなさん日焼け止めを塗ることの重要性は分かっているが、なぜ重要なのかを認識していない人が多いことですね。私自身も事業を始めるまでは、世界保健機関が子どものUV対策の必要性を世界規模で発信していることも、環境省が紫外線に関するガイドブックなどを出しているのも知りませんでした。私のように知らない人はたくさんいると思いますし、日焼け止めを塗る必要性や世界の国々がどのような発信をしているのかを伝えていきたいです。

現場からの声が一番の財産

WWD:そのなかで保育園や幼稚園の子どもから広めていくことが重要か?

伊藤:トライアルとして、昨年11月に開催されたイベント「第10回 ファーマーズ&キッズフェスタ2019」で日焼け止め体験ブースを出展しました。保護者からの「これだとまだ読めない」「この年齢だとできない」などリアルな意見を聞くことができ、それらを改善することができれば日焼け止めを浸透させることも可能なのではないかと感じることができました。また現場の声から、4歳以上であれば自分で日焼け止めを塗ることができるという新しい発見も。2、3歳は成長過程に大きな差が広がる時期なので、成長度合いによって分かれるということがわかりました。今後、紫外線対策を実施していく上では、幼少期からの習慣化が重要だと考えています。幼少期からの徹底により、その子ども達が大人になった時に当たり前のように紫外線対策を行っている社会にしていきたいです。

WWD:その社会を実現するための施策は?

伊藤:ヒアリングを通して、子どもたちに手洗いうがいを身につけさせる手段として、これまで動画と歌を使用してきたことが分かりました。歌と手洗いを同時に行うことにより習慣化が図れたという事例をもとに、現在当たり前になっている事柄の教育手法を参考にしながら日焼け止めの教育教材も販売していく予定です。

WWD:実証実験はいつからスタートするのか。

伊藤:今年中にスタートさせたいと考えています。実証実験期間中は4、5歳を対象にすると思います。2、3歳の子どもの成長度合いがどのくらい分かれるのかも認知したいので、並行して検証していきたいと考えています。紫外線問題の啓もう活動と事業をスタートさせた上でのフィードバックを得ることに注力し、既存の製品を用いた大容量の日焼け止めを販売する予定です。

WWD:それぞれの年齢層に分けて製品を製作する予定?

伊藤:日焼け止めは1モデルで販売していきます。年齢層に分けて製作するとパッケージ代金などがかさばり、理想としているものから離れてしまう。現場の「低価格でないと導入する際にネックになる」という意見があるので、可能な限り低価格かつ大容量で販売できるような形をとっていく方針です。教材に関しては考慮していきたいと考えています。

全ての経験が人生の糧に

WWD:コーセーの共創チームとのコミュニケーションが活発と聞くが。

伊藤:最低でも週に1回は対面でのミーティングを行い、メール上でも常に連絡を取り合っています。また現場の声を大切にしていきたいと思っているので、保育関係者の人ともコミュニケーションを取り、自分の母校も訪問してヒアリングも行っています。また、家族の知り合いで協力してくれる人や日焼け止め事業の助けになってくれる人を探したほか、自分が気に入った保育に関する本の著者に連絡をしてアドバイザーになってもらいました(笑)。

WWD:コーセーと共創したことで良かった点や変化をもたらした点は?

伊藤:コーセーのさまざまな部署の人とコミュニケーションをとる機会が多くあり、それぞれが培ってきたノウハウを共有していただけることは非常にありがたいです。また共創する前は、保育園や幼稚園の保護者の人から「サンシャインディライトってどこ?」という安全性を心配する声が多々ありましたが、共創後は素直に受け入れてくれる人が増えました。

WWD:大きなテーマとして「太陽の下で安心して暮らせる環境を」とあるが、日焼け止め以外で考えている取り組みはあるのか。

伊藤:近年は、気候変動による熱の問題で砂漠化が進むなど太陽のネガティブな部分が目立ち始めており、今後さらに加速すると思います。ですが私たちは太陽がなければ生きていけないし、太陽のおかげでポジティブになれる時もあります。みなさんがポジティブな気持ちをずっと持ち続けられるような環境づくりを行なっていきたいです。また日焼け止めは、既製品があるのにもかかわらず消費者に浸透していないことが問題。その浸透を促せるような事業を展開するために啓もう活動や発信する場はすごく大切だと考えています。

WWD:多忙な毎日を過ごしているように感じるが、高校生活は充実している?

伊藤:学校生活自体がすごく楽しいです。校則のない自由な環境で毎日を過ごしているので、今回のビジネスにも興味を持つことができたと思います。もし校則が厳しい学校だったら毎日遊んでいたと思うのですが、個々を尊重してくれる良い学校に巡り会えて幸せです。改めて良い学校に入ったなと思います。学生生活の中で、この事業を始めた当初にOEM工場との連絡が途絶えたのは、今後につながる良い経験としてプラスに捉えました。その経験を生かすために契約上の問題を学びたいと考え(笑)、中央大学の法学部に行くことに決めましたので。また会社としては「太陽の下で安心して暮らせる環境を」という大きなテーマのもと、太陽の諸問題について今後も活動していきたいので、今回の取り組みで資金を確保できるようにして会社を成長させていきたいと考えています。

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ウィゴー × お笑いコンビEXITでブランド始動 「渋谷系ファッション」は年齢と国境を越えるか

 ウィゴーは、「ネオ渋谷系チャラ男漫才」で人気のお笑いコンビ、EXIT(りんたろー。&兼近大樹)がプロデューサーを務める新ブランド「イグジー(EXIEEE)」を2020年春夏からスタートした。18日に都内で記者会見を開き、ECでの販売を開始した。

 記者会見ではファッションショーを披露。「渋谷系」を自称する2人らしく、グラフィックプリントやレタリング、迷彩柄やバッファローチェックなどストリートテイストを前面に打ち出した。ギャル・ギャル男だけでなく、ティーンモデルやお年寄りモデルもステージに登場。“業界初のアンチエイジングブランド”をコンセプトに、全年代から愛されるブランドを目指す。ジャケット8000円前後、Tシャツ5000円前後、ボトムス4000円前後と比較的安価だが、「意外としっかりしている」(兼近)と自信を見せる。2サイズ展開で、Mサイズは女性、Lサイズは男性の着用に対応する。

 ファッションブランドへの情熱は「幼いころからの夢」(りんたろー。)「全く興味ないっす」(兼近)とまちまちだが、見据える先は「世界進出」で一致。「ファッション業界の常識をぶっ壊すブランドにする」と2人が意気込む「イグジー」で思い描く未来を聞いた。

WWD:記者会見を終えた感想は?

兼近大樹(以下、兼近):信じられないくらいの数のマスコミの方がいらっしゃって、正直ビビりました。

りんたろー。:チャラチャラしてたけど、今は真剣にやらないとまずいなと反省しています。

WWD:なぜファッションブランドを立ち上げた?

りんたろー。:もともとファッションプロデューサーになるのは夢だったんです。幼い頃にパリコレを見て、ブランドを立ち上げようとずっと思ってきました。そのためにお笑い芸人になったし、それが結果的に夢への近道でしたね。

兼近:え、そうだったの?

WWD:好きなパリコレブランドは?

りんたろー。:ショーは流し見してるだけなので、思い浮かびません。

兼近:「ゴディバ(GODIVA)」。僕はファンの方からいただいた服しか着ない「アバター」(着せかえ人形)なので、ブランドにはこだわらない。

WWD:お笑い芸人になることがブランドプロデューサーへの近道だったというが、つまりどういうこと?

りんたろー。:服の勉強をしてブランドを立ち上げるのって難しそうだし、それが売れるまではもっと険しい道じゃないですか。だったらお笑い芸人で有名になってから、ファッションで仕掛ければ楽なんじゃないかと。お笑いは売れるの簡単なんですよ。ブランドは、ウチらが芸人でやっているときのスタンスで広めていきます。まずキャッチーなキャラ(デザイン)から入って、そこからじわじわ中身の素晴らしさを知ってもらうっていう具合ですね。

兼近:漫才も、言葉をおしゃれに彩ることだから本質は同じ。ウチらはそういう意味で、そもそもセンスがあったわけです。

WWD:ウィゴーとの協業のきっかけは?

りんたろー。:僕たちのファンはティーンが中心です。彼らに人気でいいものを提供している服屋っていったら、ウィゴーしかないなと。そこで、なんやかんやでお偉い方々と飲み会をセッティングできました。僕らはお笑いの人間だし、しかもチャラチャラしてるし、「君たち芸人だよね?芸を突き詰めるのがいいんじゃないの?」ってやっぱり詰められました。でも、「僕らは日本を盛り上げるためにチャラ男をやっているだけで、お笑い界の次はファッション界に貢献したいんです!」と熱弁したら、お通しが出てくる前に(ブランド立ち上げの)話は決まってましたね。

兼近:ウィゴーは若者の情熱に打たれ弱いからねー。

WWD:「イグジー」はどんな人に着てほしい?

りんたろー。:まずは若者が購買層の中心になると思います。でもゆくゆくは、「ゆりかごから墓場まで」年齢にとらわれず色々な人に着てもらえるブランドになりたいです。

兼近:「イグジー」は、僕たちが着ている衣装と同じテイストを意識しています。僕が今着ているのは迷彩柄のTシャツ。本来は周りに溶け込むためにあるデザインなのに、それにフーディを重ねて意味なくしちゃってます。りんたろー。が着ているTシャツは、「鉄拳」(1990年代の人気格闘ゲーム)のロゴを軽く参考にしてます。こんなチャラい服を皆が着たら、きっと日本は明るくなるはずです。

りんたろー。:たとえば今、この服をおじいちゃんが着たらめっちゃ面白くないですか?でも皆がチャラい服を着るようになれば、誰も笑わない。おれたちのおかげでチャラ男が市民権を得ましたから、次はチャラファッションが当たり前の時代を作りたい。ファッション業界の常識をぶち壊したいですね。

WWD:売り上げも常識破りを目指す?

りんたろー。:いや、激安ブランドなのでどうかな……。

兼近:とりあえずあらゆる人に着てほしいので、信じられないくらい価格を抑えています。でも安物だとバカにされたら「ペラペラじゃねーぞ」って言ってやる。打倒「ファッションセンターしまむら」です。

WWD:服が売れない時代と言われているが、勝算はある?

兼近:えっ!ファッション業界、サゲリシャス(注:「盛り下がっている」の意)なんですか?でも、僕らがそんな状況にメスを入れますよ。そんで、「売り上げ、いと上がりけり」って言ってやります。

りんたろー。:ファッション業界の花形はパリコレでしょうけど、チャラチャラした連中には、トレンドの2周遅れくらいの服がウケるんです。僕らは「イグジー」でそこを狙っていく。てか、パリコレ観ていても正直意味が分からないし(笑)、もう「TGC」(東京ガールズコレクション)に出られたから満足です。

WWD:世界を見据えているというが、どんな青写真を描く?

りんたろー。:僕ら今は「渋谷系」なんてふうに言われていますけど、最近はいろいろな仕事をさせてもらえるようになりました。それで「あっ、日本に留まる器じゃねえんだ」と思い始めました。芸でもファッションでも、新しいトレンドを作って、渋谷から世界へ出ていきたいですね。世界には貧しくて学校のない国もあります。おれたちがそこにクラブを作って、皆に「イグジー」の服を着せて、楽しくしてあげたい。

兼近:いや「世界から渋谷へ」でしょ?渋谷が一番デカい場所なんだから!

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「アグ」が世界のスニーカーショップと12カ月連続ドロップ トップバッターの「アトモス」本明社長に聞く

 アメリカ・カリフォルニア発祥のシューズブランド「アグ(UGG)」は今年、世界の著名スニーカーショップとコラボレーションして、ユニークなスニーカーを毎月ドロップするプロジェクト「12 × 12」に取り組んでいる。日本から参画するのは、アトモス(ATOMOS)。本明秀文・社長は早速、「12 × 12」のキックオフを祝うスニーカーとして、シューズ全体をフェイクファーで覆い、チーズを模したレースキーパーをあしらったインパクト絶大のスニーカーをドロップ。今年の干支を模した商品は、瞬く間に完売した。本明社長に、「アグ」のシープスキンのブーツではなく、スニーカーの魅力を聞いた。

WWD:そもそもなぜ、「アグ」と協業することになったのか?

本明秀文テクストトレーディングカンパニー社長(以下、本明社長):「アグ」の日本市場担当者と長年の知り合いだった。シープスキンのブーツは「アトモス」でも販売していたんだけれど、一時「アグ」は販路を百貨店にシフトして「Fxxx You!」って思っていた(笑)。でも、もう昔の話だし、本国のアンドレア・オドネル(Andrea O’Donnel)社長は“変わり者”だから大好き(笑)。そこで去年、アトモス限定でダルメシアン柄の「アグ」のスニーカーを発売したら、あっという間に完売した。

WWD:今回の“ネズミ”も、相当のインパクトだ(笑)。

本明社長:モコモコであったかいのは、とっても「アグ」っぽい。「12 × 12」は“自然”がキーワードで、この後もセコイヤの森(アメリカ西部のヨセミテ国立公園に広がる大自然)にインスピレーションを得たコルク製のスニーカーなんかが登場するんだけれど、ネズミだって動物だし「“自然”だなぁ」って思って。そもそも今は、面白いコトをやらないと。面白くなければ自分も「履きたい」って思わないし、同業他社の人間なんて注目させることさえできない。ネズミのスニーカーは、同業他社も「買いたい」って言ってくれた珍しい商品。コレは、スニーカーブランドの展示会には絶対に並ばない。スニーカーブランドだったら、アッパーの素材の段階で「NG」が出ちゃって、決して生まれなかった。「アグ」のようなファッションブランドだから誕生したスニーカーだ。パリで履いていたら、警察官に「それ、何?」って聞かれたくらい(笑)。バクダンに見えたのかな?

WWD:「アグ」のスニーカーの魅力は?

本明社長:グループに「ホカ オネオネ(HOKA ONEONE)」もあるし、やっぱりモノが良くて履きやすい。組織にも自由なムードが漂っていて、アメリカっぽい。和気あいあいとして、「大丈夫?」って思うくらい皆ニコニコしていて、アメリカを象徴するブランドなんだなって思う。スニーカーにおいては、今の段階では「型がない」のも魅力。だから、なんでもできる。エネルギッシュ&クレイジーに、男性、特にアジアに住む若い世代にリーチできたら、化けそう。

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スイス発「アクリス」がエグゼクティブ女性に支持される理由 女性活躍推進の時代にファッションブランドができることは?

 スイス発の「アクリス(AKRIS)」は、“Independent Women with Purpose”(目的を持ち自立した女性)のためのラグジュアリーブランド。ロゴやキャッチーなモチーフを排したエレガントなスタイルは“ディスクリート(控えめな)ラグジュアリー”と呼ばれ、ジャケットスタイルを中心に、管理職や士業などの女性に根強いファンを持つ。同社のメリッサ・べステ(Melissa Beste)グローバル最高経営責任者(CEO)もまた、ファッションや小売りの世界で要職を歴任してきたエグゼクティブ女性であり、ブランドイメージを体現する存在だ。来日したべステCEOに、ブランドが目指す方向性を聞いた。

WWD:“Independent Women with Purpose”という言葉に込めた意図は?

メリッサ・べステCEO(以下、べステ):言葉自体は最近使い始めたものですが、これは突然生まれたアイデアなどではなく、「アクリス」がもともと追求してきた女性像を示すものです。メゾンの歴史をたどれば、現クリエイティブ・ディレクターのアルベルト・クリームラー(Albert Kriemler)の祖母であり、創業者のアリス・クリームラー=ショッホ(Alice Kriemler-Schoch)がそもそも、“Independent Women with Purpose”でした。彼女は1922年に「アクリス」を創業しましたが、子育てをしながら働き、地元の女性たちのために洋服を作っていた。さらにビジネスを拡大させて、彼女たちに仕事を提供したのです。アリスはまさに、女性をエンパワーする(力を与える)女性でした。

WWD:「現代女性が持つカリスマ性を輝かせる」というコンセプトを掲げている。「現代女性のカリスマ性」とは一体どういう意味?

べステ:カリスマ性を持つのは一部の女性ではなく、全ての女性が、それぞれのカリスマ性を持っていると私たちは考えています。われわれが目指しているのは、そうした一人一人の女性に光を当てること。アルベルト(クリエイティブ・ディレクター)がデザインする上でいつも意識しているのは、女性たちの日々の生活です。どんな服ならば、彼女たちが心地よく日々を過ごすことができるか。それゆえ、機能性や着心地は非常に重視しています。女性たちのライフスタイルをグローバルな規模でイメージして、理解するよう努めています。

WWD:“Independent Women with Purpose”という考え方を、今後ブランドの発信の中にどう生かしていく?

べステ:我々が“Independent Women with Purpose”を特に体現する存在だと思う方たちを、2020年秋以降にフォーカスしてキャンペーンなどを行っていこうと考えています。有名なセレブリティーなどに限らず、目的を持って何かを成し遂げてきた人と対話をし、一緒に組んでいきたい。毎シーズンのショーでも、単に人気のあるモデルを起用するというのではなく、われわれが目指す女性像に合致するモデルをキャスティングしていますし、ブランドを運営していく中でのあらゆる選択においても、“Independent Women with Purpose”のためのブランド、という軸を通していきます。

WWD:日本でも女性活躍推進がますます叫ばれるようになっている。しかし、女性が仕事も私生活もどちらもバランスをとり、自己実現していくというのはまだまだ難しい。

べステ:女性が女性をセレブレート(賞賛する、ほめる)ことが大切だと思うし、「アクリス」としてもその背中を押していきたい。目的を探し、見つけ、それに向かって頑張っている人を女性自身が讃えるべきだと思います。安定した環境にいると、なかなか新しい目標に向かって挑戦しようとは思わないかもしれません。でも、挑戦をすることで自分に自信が生まれます。変化が自信への道を開くものだから、やはり常に「次の目標は何?」と考えていたいと私は思う。「アクリス」の服を着ることで、女性たちには「自分らしくいられる」と感じてほしい。スーツであれワンピースであれ、「『アクリス』を一着持っていれば何でもできる」という自信を女性たちに与えるようなブランドでありたいと思っています。 “Independent Women with Purpose”という女性像は、住んでいる国や地域、年齢を問わず、女性たちの誰もが欲しているあり方だと考えています。

WWD:ビジネスにおいて近年強化していることは?

べステ:19年の1年間をかけて、ECを全面リニューアルしました。ブランドや商品のストーリーを伝えることが不足していたので、リニューアルに際しそれを強化しています。また、20年からは実店舗の内装に新コンセプトを導入します。コレクションと同様、モダン建築に着想を得た内装です。まずは6月に米ワシントンD.C.に出店する新店舗から導入します。22年には創業100年を迎え、アルベルトがクリエイティブ・ディレクターに就いた1980年からは40年、シグネチャーバッグ“アイ”の誕生からは10年が経ちました。業界全体としてはサステナビリティにますます光が当たっていますが、われわれは工場まで垂直で管理しており、素材を含めてどこでどのように作られているかといったことに対して高い管理基準を持っています。「アクリス」はトレンドから外れているわけではないですが、トレンドを追いかけまわすようなモノ作りはしていないので、過去のシーズンの商品も着続けることができる。タイムレスでモダンというのがわれわれが昔から根幹に据える考え方であり、それは非常にサステナブルだと思っています。

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「“とりあえず”で誰でも服を作れて良いの?」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.7『アパレルテックのシタテルが新事業』

読み解きポイント:「簡単に服が作れて、嬉しいのは誰?」

ニュースのポイント

 シタテルは、取引やワークフローの円滑化を目指す「シタテル クラウド」のβ版やユニホームのカスタムサービスである「シタテル カスタム」、D2Cブランドの業務をサポートする「シタテル スペック」の3機能のスタートを発表した。「シタテル スペック」はβ版から19年12月にアップデートし、初期費用不要で受注生産と販売を一体化。導入事業者が考案した衣服企画のサンプル生産から商品撮影、EC上での受注販売まで行う。

Azuはこう読む!

 「シタテル」はパターン作成から縫製工場の選定、検品から納品まで、衣服生産の全行程をサポートするサービスとして2015年にスタートしました。ちょうど15年は日本でも「ファッションテック」という言葉が使われ始めた頃で、デジタルを活用したサービスや製品を手がけるベンチャー企業が続々誕生した年です。

 そして今回発表された生産一体型コマース「シタテル スペック」のベータ版がスタートしたのは18年。「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」や「ナノ・ユニバース(NANO・UNIVERSE)」などの大手アパレルブランドによる試験導入やクールジャパン機構による大型出資を経て、無事20年2月に正式スタートしたという流れです。

 プレスリリースによると、ターゲットとするユーザー層は「デジタルネイティブのDNB向け」ということですが、みなさん「DNB」ってピンと来ますか?「D2C」(Direct to Consumer)は聞き慣れた言葉だと思いますが、「DNB」も同じような感じです。すごくざっくりいうと(笑)、Digital Native Brandの略で、その名の通りデジタルネイティブ=データに基づいて商品開発をしたり事業を進めたりしていくブランドのこと。

 また新しい言葉が出てきましたね。これ以上無理です、覚えられません!という方もご安心ください。何をやっているのかを把握できていたら言葉の定義なんて関係ないので、「D2C」と「DNB」の違いとか、「既存の通販ビジネス」と「D2C」の違いとか、正直「スパッツとレギンスの言い換えと同じかな……」くらいに思っているので、深く考えるのはやめました。だってDirect to Consumerって言っているのに、資金調達した瞬間に「卸やります!」って宣言しているブランドもあったから、もう何も誰も信じられなくなったんだもの……。

 さて、話が逸れましたが今回考えたいのは「アパレルへの参入障壁がどんどん低くなっていくのは良いこと?悪いこと?」です。生産・販売におけるデジタル技術の応用やSNSのおかげで「誰でも洋服が作れて売れる時代」になったのは確か。ですが、昨年からよく耳にする「サステナブル」の面で考えると、果たして洋服が増え続ける環境は「良し」といえるのか?とも思ってしまうのです。もちろん善悪の二元論で語れるものではないし、決してこのサービスを批判しているわけではありませんが、誰でも服が作れる必要ってあるのかな?と。

 今は「D2C」という言葉だけが一人歩きして、「とりあえずファンビジネスやブランドビジネスをやるなら参入障壁が低いアパレルだ!」という感じすらしています。「とりあえず」で始めたブランドが1年続くなんて思えないし、現に「インフルエンサーブランド」なるものは瞬間的に生まれては消えていく運命に……。「顧客との接点を増やしエンゲージメントを向上させること」を目的に衣服を作っているのだとしたら、環境に負荷をかけまくる「服の生産」ではなく他の方法にした方がよっぽど地球に優しいよなぁ、と思います。

 アパレルへの参入障壁が低くなっていくのは良いことか、悪いことか。みなさんどうお考えですか?

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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仏政府が“売れ残り品廃棄禁止”法施行 旗振り役の37歳ポワルソン環境連帯移行副大臣とはどんな人?

 フランスで2月10日、在庫や売れ残り品の廃棄を禁止する新たな法律が施行された。この旗振り役を務めるのがブリュヌ・ポワルソン(Brune Poirson)=フランス環境連帯移行大臣付副大臣だ。彼女はケリング(KERING)と組み、環境保護のための「ファッション協定」も推進する。ポワルソン副大臣は1982年生まれの37歳。日本の女性誌でもその着こなしが特集されるなど、ファッションも注目を集めている。

 1月30日~2月1日にパリ・グランパレで開かれたサステナビリティサミット「チェンジ ナウ(CHANGE NOW)」に登壇したポワルソン副大臣は、「“廃棄禁止”は第一ステップにすぎない」とし、さらなるサステナビリティ加速を説いた。そのスピーチのダイジェストは以下の通りだ。

「ファッションは人に夢を見せる産業だからこそ、サステナビリティに本気で取り組むべき」

 私は今、希望に満ちています。希望はさまざまな可能性があることを感じさせてくれ、希望があれば、それはいつかかなう可能性があるのです。私たちはそろそろサステナブルなファッションについての対話を始めるべきだと思っています――ファッション業界は世界で2番目に環境を汚染しているにもかかわらず、数年前まで、環境問題やサステナビリティについて話すブランドやメーカーはほとんどありませんでした。そこで私は、この問題に本気で取り組もうと思ったのです。ファッションは人々に夢を見せる産業なのだから、なおさらその必要があると思いました。

 ダボス会議(1月21~24日にスイス・ダボスで行われた世界経営フォーラム年次総会)に参加した際、多くの人がサステナブルなファッションについて話していて、「ファッション協定」はもはや話の前提の一つになっていました。これは35~40社ほどの企業、150以上のブランドが署名している環境保護に関する協定です。気候変動、生物多様性、海洋の3分野における実践的な目標を、協力して達成するために設けられました。こうした取り組みが大事だということは自明ですが、多くの企業にとっては難しいことです。ビジネスモデルや、製品をどうデザインするのかを変えなくてはなりませんから。

「持続可能なファッションの先進国である以上、言い訳は許されません」

 そもそも「ファッション協定」は、マクロン(Emmanuel Jean-Michel Frederic Macron)大統領がG7サミット(19年8月24~26日に開催)に先立ち、ケリングの会長兼最高経営責任者(CEO)であるフランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)氏に、ファッション業界が協力し合って取り組めないかと声をかけたことから始まっています。そうして協定が策定され、多くの企業が署名した結果、今や一大ムーブメントとなりました。企業やブランドの垣根を超えて、気候、生物多様性、海洋の3分野で協力し合おうと団結したのです。

 そして今度はそれをさらに拡大しようとしています。そのためには、新しいソリューションが必要なのです。「ファッション協定」の枠組みの中で目指すべき目標を設定する必要がありますし、ここフランスでそれらを実践していかなければなりません。持続可能なファッションの先進国である以上、言い訳は許されないのです。

“廃棄禁止”の背景にあるものとは?

 持続可能なファッションの推進のため、フランスは在庫や売れ残り品の廃棄を禁止する法案を成立させました。正確には、まさに今日(1月30日)の午後その法案が成立します。ファストファッションの問題に法律が斬り込むのは、これが初めてです。

 フランスでは年間10億ユーロ(約1180億円)相当の商品が廃棄されています。新品で、当然まだ使える物なのに、です。5000万ユーロ(約590億円)相当の衣料がただ廃棄されていて、多くの場合は埋め立て地に捨てられています。私たちの願いは、こうした衣料が地元のNGOや、アップサイクル用として地元の企業に寄付されることです。そうすれば、何か新しい製品に生まれ変わり、地元の雇用にもつながります。一番望ましいことはNGOに寄付されて、必要としている人たちの手に届くことだと思います。フランスには貧しくて服が買えず、「外に着ていけるような服がない、恥ずかしいから家から出たくない」という人が300万人もいるのです。この法律は、こうした問題への取り組みにもつながります。

「“廃棄禁止”の次は“洗濯用フィルターの義務化”」

 皆さんご存じかと思いますが、ファッション業界は海洋プラスチックごみの3分の1に責任があります。3分の1も、です。これをどうするか――まず、プラスチックごみが出ないようにすることが重要なので、洗濯機にフィルターを付ければいいのです。分かりやすい解決策ですよね。とにかく、マイクロプラスチックごみが川に、そして海に直接流れ込むのを食い止めたい。このため、洗濯機にフィルターを付けることを義務付けます。フランスでは、年間250万台の洗濯機が販売されています。もちろん、業務用の洗濯機にもフィルターを付けることを義務付けます。これが2つ目のステップです。

 そして、3つ目のステップ。最近の消費者は、自分が着ている服がどこでどのように作られたのかを知りたいと思っています。誰がデザインしたのか、誰がどのように製造したのかを知りたいのです。ですから、その情報を消費者に提供するタグを衣服に付けます。

 フランスで販売される全ての衣料に、環境や社会的な問題への影響に関する情報が含まれているタグを付けるよう、現在急ピッチで開発を進めています。これは、まだほんの始まりです。本当に基本的なことですから。世界中の全ての国が、少なくともヨーロッパの国は、私たちと同じことを実行してほしいと思います。

「フランスをイノベーション・ラボにしたい」

 そして、私たちはさらにその先へと進みたいと思っています。そのために必要となる先進的なソリューションを、この会場にいる皆さんは開発しているのです。私はフランスを“イノベーション・ラボ”にしたいと考えています。「チェンジ ナウ」は、フランスにおける、そしてヨーロッパにおけるテキスタイルやファッション業界でのイノベーションを先導してきました。私たちは、トレンドよりも先んじていなければなりません。

 「チェンジ ナウ」は希望の源です。人々に訴えかける力があるし、テキスタイル業界には変えるべきところがたくさんあります。会場にいる皆さんには本当に期待しています。ファッション分野におけるサステナブルなソリューションを見つけるべく、私たちに力を貸してくださるようお願いします。

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19年2ケタ成長の「ラ・プレリー」の次なる戦略は、富裕層に向けアートの世界観を発信

 ファッションブランドと同様にラグジュアリー化粧品ブランドは、好調化粧品業界においても確実に売り上げを伸ばしています。スイス発「ラ・プレリー(LA PRAIRIE)」もその一つで、2019年は前年比10%増の成長を遂げたと言います。今年もその成長を続けるため、ほかの化粧品ブランドとは一線を画した戦略で富裕層を含めた顧客の囲い込みを図る狙いがあるようです。その戦略とはアートを軸にした取り組みです。

 「ラ・プレリー」は2月21日に目元用クリーム「イルミネーティング アイ エクストラ オーディネア」(20mL、6万900円税込)を発売します。アイクリームでこの価格には驚きましたが、これは「ラ・プレリー」が15年もの歳月を掛け、5万もの分子の中からたどり着いた新成分(整肌成分)のルミドースと、肌を引き締めるゴールデンキャビアエキスを配合した贅を極めたアイクリームということからも納得です。「光」の原則に着想を得て、滑らかな使い心地で肌をみずみずしく潤いで満たしながら、目元の肌にハリをもたらしてくれます。富裕層には響くアイテムに違いありません。

 このほど行われた発表会では、「光をまとい、輝きの際立つ目元へ」というところから、“サイエンスとアート”にフォーカスしたプレゼンテーションが東京・六本木の国立新美術館で行われました。登壇したメディアアートを中心とするキュレーターの四方幸子氏は、「光なくしてアートは存在しない」と述べますし、その光について、「ラ・プレリー」イノベーション・ディレクターのダニエル・スタングル博士は、「光は美を浮き上がらせる」と、その関係性について語ります。そもそも「ラ・プレリー」のグローバルでは、17年から香港、マイアミで開催されている「アート・バーゼル(Art Basel)」に協賛しており、またグローバルのインスタグラムでのアートに導く発信は、結びつかないと思っていたビューティとアートが深いつながりがあると感じます。

 竹澤隆史社長は、日本でのアートの取り組みについて「ここ国立美術館で発表会を行ったことが第一歩」と言います。昨年までの好調は「インバウンド需要が大きく、シェアも3割を超えた。ただ新型コロナウイルスによる影響は否めない」と述べましたが、今年はラグジュアリー化粧品ブランドとして「外商やハイエンドジュエリーブランドとの協業も視野に、日本人富裕層を中心にアートの世界観を発信していく」と語ってくれました。

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編集長は先週何した? NYで1日限りの“エルメス大学” アップルの立役者ジョニー・アイヴも登場

 皆さん、こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向千鶴です。最近はウイルスそれ自体と同じくらい、周囲とのコミュニケーションに気を使いますね。文化や受け取っている情報の内容や量が違う海外では一層のことです。マスクをするのかしないのか、握手やハグはアリかナシかなど逐一相手の様子を伺いながら距離感を手探りしてしまう毎日。全員がストレスにさらされている今こそポジティブな姿勢と思いやりを忘れずに過ごしたいところです。

2月13日(木)
NYで「エルメス」のテーマ発表会に参加

 エルメス(HERMES)は年に1度、“テーマ発表会”を開きます。これはコレクションとは別で、文字通りその年のテーマを世界中のメディアやスタッフと共有するイベントです。スポーツがテーマの年は運動会が開かれ、自然がテーマの年は山の中で過ごしたりと体験型のイベントで、受け身ではなく各々に考える時間が設けられるのが特徴です。

 今年のテーマは“INOVATION IN THE MAKING(モノづくりにおける革新)”で、ニューヨークで開かれました。まるで大学!?な環境で、授業を受けるのですが先生が豪華!フランスの哲学者フランソワ・ジュリアン(Francois Jullien)、NASAのチーフ宇宙飛行士ペギー・ウィットソン(Peggy Whitson)、アメリカ自然史博物館のキューレターでもある古人類学のイアン・タッタソール(Ian Tattersall)、パフォーマーのオクイ・オクポカシリ(Okwui Okpokwasili)、そしてジョニー・アイヴ(Jony Ive)。彼は昨年までアップルの最高デザイン責任者でiMac、MacBook、iPhoneなど主要製品を手掛けてきました。

 どの授業も刺さる言葉の連続で刺激的。正直、特に哲学はかなり難解だったけど、後から反芻しているとジワジワ心に響いてきます。1日の様子を写真に撮ってきたのでご覧ください。

2月13日(木)
「エルメス」のパーティーは知的なおもてなし

 夜は2022年にマディソン・アベニューにオープン予定で現在リノベーション中の建物でパーティーが開かれました。今回の裏テーマが「手を使う」で、実際に自分の手を使って遊ぶ仕掛けがたくさん。そして、あちらこちらで聞いたのが「Heureka(エウレカ)」という言葉です。ギリシャ語に由来する感嘆詞で何かを発見・発明したことを喜ぶときに使われるそう。知恵を身につけ、手を動かした先に「エウレカ!」と叫びたくなるイノベーションが待っているということかな!?今年中に一回は使ってみたいです。エウレカ!動画はパイナップルなどを叩いて曲を奏でるライブパフォーマンスです。不思議。

2月14日(金)
リニューアル後のMoMAを初訪問

 ニューヨーク最終日はアート巡りへ繰り出しました。同行している方が「カーサ ブルータス(CASA BRUTUS)」の現編集長と元編集長、そしてNY事情に詳しい「Tマガジン(T MAGAZINE)」編集長というぜいたくな環境で、移動中の会話がおもしろすぎました。昨年増床リニューアルしたMoMAは今後6カ月ごとに展示方法を変えるそう。10万点以上の所蔵作品を時系列に並べるだけではなく、時代を超えて関係性を伝えるなど、より編集がなされているから雑誌のページをめくるような面白さがあります。

2月15日(土)
TWAで60年代の古き良きアメリカにトリップ!

 帰国日はJFK空港に向かう途中に昨年オープンした「TWAホテル」へ立ち寄りました。かつてフライトセンターとして使われていた建物をリノベーションしたもので、ロビー部分にカフェやお土産ショップが入り観光スポットになっています。1962年代のアメリカと言えば、ケネディ大統領が活躍しアポロ宇宙計画に沸いていた夢の時代。ジェット機時代の到来を象徴する建物には当時の夢が詰まっていてめちゃくちゃフォトジェニックです。

2月16日(日)
最新号「フェムテック」特集の確認と本日のおやつ

 帰国後、最新号「フェムテック」特集を手に取り確認しました。「性に寄り添う“フェムテック”は新たなビジネスを生むのか?」をテーマにした新しい切り口をぜひ!手に取ってご覧ください。今日のおやつはNYコレクション出張組がくれた自由の女神チョコレートです。ちなみに私のお土産はドラッグストアで購入した除菌アルコールです……

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「過去のデータに頼るAIやRFID(を活用したMD)に疑問を持っている」 by 竹田光広

竹田光広ユナイテッドアローズ社長執行役員

 過去のデータに頼るAIやRFID(を活用したMD)に疑問を持っている。(「WWDジャパン」vol.2096 2019年8月19日号掲載)AI(人工知能)やRFID(無線電子タグ)を需要予想に採用するアパレルが増えている。ユナイテッドアローズも同様の取り組みを行ってきたが、売り場での反応を鑑み、方針を転換した。現状では同質化につながり、セレクトショップらしい独自性が失われると見る。「お客さまじゃ人間の体感値による商品企画の方に鮮度を感じて下さっている」。一方でRFIDによる物流や棚卸しの効率化は着々と成果を挙げており、導入済みの業態の店舗では棚卸しに要する人員が52%、作業時間が88%も削減されたという。2019年4〜6月期の決算会見でRFIDの活用に問われていわく。

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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