帰ってきたメンズコレドタバタ日記Vol.4 「トム フォード」で元気をチャージ&天敵出現で今季もイライラ

 さぁ、今日はミラノメンズ4日目の日記です。それでは早速、行ってみよう!

10:25 フェンディ

 ガンダムっぽい。これが、2020-21年秋冬「フェンディ(FENDI)」メンズの、特に序盤の率直な感想でした。多用した漆黒のレザーが光を跳ね返し未来的なムードを醸し出すコレクションは、ウールとベルベット、フランネル、それにレザーを複雑に切り返し。そのパターンが未来の戦闘服のように見えるんです。長靴のような超厚底のレザーブーツも、スタイルのユニホーム感を高めます。なんだか宇宙戦艦の乗組員みたいなのです。あとで振り返れば、この未来的なムードこそ「アンリアレイジ(ANREALAGE)」を迎えるためにシルヴィア・フェンディ(Silvia Fendi)が構築した世界観なのかしら?

 でもシルヴィアは、茶目っ気たっぷりのクリエイター。いつでもクスッと笑えるアイデアを忍ばせるのを忘れません。今シーズンは漆黒のユニホーム的フォーマルとコントラストを成す、イエローのアクセサリーがぜ~んぶユニーク。手仕事の温もりに溢れるローゲージのざっくりニットで作ったマフラーやバッグ、それにショッピングバッグを模したレザーアクセサリーが、見る者を笑顔にさせてくれます。ショルダーバッグは、買った長財布や革小物を入れてくれるボックスにストラップを取り付けたみたい。なんだか「未来の乗組員、休日『フェンディ』にショッピングへ!」みたいなムードなんです。

 そしてラスト4ルックは、この記事にある通り「アンリアレイジ」ならではの技術を使ったアウターウエア。テクノロジーとクラフツマンシップ、森永さんのマジメなモノ作りとシルヴィアのユーモア。今シーズンも「フェンディ」メンズは、クリエイターとのコラボレーションで多面的なコレクションにたどり着いたのでした。

11:35 マリアーノ

 さぁ、僕の“天敵”ブランドが現れました。強敵です。「マリアーノ(MAGLIANO)」です。

 前回は招待状がホテルに届かず、おかげで大混雑の入り口で30分近く待たされるという苦行を強いられ、しかも英語が喋れないスタッフが友達ばかりを会場に次々入れるから「チッ」って思うコト10回以上(笑)。イタリアンストリート束ねるスラムジャム系のブランドは、オペレーションが未熟なコトも少なくありませんが「『マリアーノ』さん、アナタ、ちょっとヒドいんじゃございませんか!?(デヴィ夫人風にどうぞ)」と思ってしまったブランドなのです。

 あれから半年が経ちました。ランウエイも、気づけば3回目です。「マリアーノ」さん、少しは成長したでしょうか?そう思いながら「フェンディ」から歩いて15分の会場に到着すると、スタート予定時刻なのに開場さえしていない(泣)。しかも入り口はめちゃくちゃ狭い(号泣)。そして、友達ばっかり優先入場させるアイツがいる(チッ)。グロテスクな招待状を持つ手が、早くも震え始めます(あ~、イライラ)。予断ですがこのインビテーション、なんてグロいんでしょう!

 とはいえ、今回は招待状を持っていたので、入場は比較的スムーズ。でも、そこからも混乱続きです。僕の席は、まさかのトリプルブッキング(笑)。想定通りのオペレーションの未熟さで、新興ブランドのクセに今期一番の大遅刻であります(苦笑)。

 しかも薄暗いビリヤードバーは、開演直前にスタッフが1列ずつライトを点灯する演出なのですが、コレまた作業が遅いのなんの。リハーサルやってないのかしら……⁉︎今回も「『マリアーノ』さん、もうチョット頑張りなさいよ」と思ってばかりです。

 とはいえ、肝心のコレクションは、良くなっている!!

 アイコニックなジャケットは、「マリアーノ」らしい上半身にボリュームを置くシルエットはそのままに、かなりクリーンに進化。完成度も上がりました。次回は、オペレーションも進化させてくださいね。

13:10 ディーゼル

 お次は「ディーゼル(DIESEL)」の記者会見。サステナブルを意識したコレクションの発表(どうやらミラノのウィメンズ・コレクション期間中にお披露目のようです)、カーボンオフセット(排出した二酸化炭素を相殺するソーシャルグッドな活動)への取り組みなどを決意表明です。

14:05 ステラ マッカートニー

 「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」は、バイヤーとプレスだけにコレクションを先行公開。ゆえに多くは語れませんが、新しいロゴデザインが誕生です。新ロゴは、今流行りのサンセリフ体。既存のロゴも使い続けるそうですが、Tシャツやスエットには、新ロゴがプリントされていました。

14:45 トム フォード

 控えめ・コンサバな提案が目立つ2020-21年秋冬シーズンでも、「トム フォード(TOM FORD)」は大胆不敵。相変わらず唯我独尊。トム様ワールド全開です。

 コレクションは、1プリーツ(ちなみにトム様、プリーツは必ず体の内側にヒダを作ります。外側はありえない。美しくないんだそうです)のフレアパンツを合わせるスーツ“アティカス”にフォーカス。ヘンリーネックのインナーを合わせるカジュアルな提案ですが、シャツとシルクタイ、アウターを筆頭にさまざまなネオン、パステル、ビビッドカラーが勢ぞろいします。

 コッパー(銅)色のクロコダイルの型押しブルゾンにシルクサテンのフレアパンツ、そしてレトロスニーカーの1カラースタイルなんて、シビれます。ジョギングパンツは、ウエストがゴムなのにカッコ良すぎです。サテンのボンバーズ、MA-1、ムートン、それにカラーレンズのアビエイターサングラスは、いずれも文句なしにクール!!色を見ると、やっぱり人間元気になるものですね(笑)。

15:45 プラダ

 昨日の「プラダ(PRADA)」の展示会へ。キーワードは「シュール・クラシック」。“反英雄的な男らしさ”を模索したコレクションと伺い、「さすがはミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)!」とほくそ笑んでしまいました。分かるようで分からない、でも口に出して言いたいくらいカッコいい。今シーズンもそんなキーワードをひねり出してきます。ちなみに20年春夏のウィメンズ、キーアイテムを絞り込んだコンパクトなコレクションについては「複雑さに対する解毒」と表現しています。シビれる~!トム・フォードが本能レベルで「カッコいい!!」と思わせるなら、ミウッチャは知的レベルで「カッコいい!!」と思わせてくれる。どちらも両雄と言えましょう。

 モデルが凛と見えたのは、タイトなストレッチニットやスキニーなパンツのおかげ。これだけだと「英雄的男らしさ」なのでしょうが、そこに手編みのニット、薄くパディングを貼り合わせたコート、スポーティーなライン“リネアロッサ”のナイロンアノラックなどを合わせると、確かに英雄感は控えめになって、現実味がアップ。使った原材料のうち90%がサステナブルというコレクションには、再生ナイロン「エコニーレ」のウエアが登場しました。

 昨年発売した「エコニーレ」のバックパックは、早々に完売したそう。お待ちかねの第2弾商品です。

16:15 C.P. カンパニー

 お次はミラノメンズのトップバッターを務めた「C.P. カンパニー(C.P. COMPANY)」の展示会へ。プレゼンでは触れなかった商品が、ここではいっぱい触れます(笑)。過酷な環境にも耐えられるスペックウエアと、ガーメントダイが信条のブランド。キレイなグラデーションを描くように洋服を並べると、壮観です!

17:20 ジョルジオ アルマーニ

 さぁ、本日もいよいよラスト目前。夕方は「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」です。

 コレクションは、なんとビックリなスキーにも使えるハイスペックウエアからスタート!この手のスペックウエアは、若々しい「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」の専売特許かと思っていましたが、今ドキの紳士はアクティブですものね。スキーやスノボくらいするでしょう。

 ところがハイスペックなスポーティーラインのパートが終わっても、今シーズンの「ジョルジオ アルマーニ」は若々しい。ラグランコートは今時のオーバーサイズ、ジャケットに合わせるのはニットポロ、そしてサイドゴアブーツにはジョギングパンツ。ミリタリーコートやブルゾンも多数です。大人の男性も着実に変化している。アルマーニさんはそれを見逃さず、トップラインを思い切って、かなり若々しい方向に振ってみた。そんな意欲が伺えました。

 とはいえカーキのミリタリーコートは、実はベルベット製とゴージャス&エレガント。化繊のブルゾンも、アストラカンという毛皮の一種の表面のように生地をつまんで複雑な柄を手に入れます。そこには常に最高の素材と、根気強いクリエイションが潜んでいるのです。

 ちなみに「ジョルジオ アルマーニ」には、素材の調達と改良に情熱を燃やすベルベット担当がいるらしいですよ(笑)。毎回展示会でナデナデすると、本当にその心地よさと柔らかさには驚かされます。今期は、それがミリタリーコートですからね。世界で一番気持ち良い、オトナのミリタリーコートに間違いありません!!

19:25 ア-コールド-ウォール

 今日の最後は、「ア-コールド-ウォール(A-COLD-WALL)」。インダストリアルなムードと、シンプルなアイテムほどこだわる独特のパターンで定評があります。が、今回はイマイチ冴えません。大人の街、ミラノに移ったせいでしょうか?なんだか大人しく見えてしまい、それぞれのアイテムから「ア-コールド-ウォール」である必然性が感じられません。残念。次回に期待です。

 ということで、本日はこれにて。明日は最終日。残るショーは3つです。今日は会食ナシ!!パッキングして、早めに寝ます(Zzz……)。

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ウィメンズ市場の最前線に元「キットソン」仕掛け人が帰ってきた! 好調「ノーク」宮井雅史が語るD2Cと既存アパレルの違い

 宮井雅史と聞いて、30代半ば以上のファッション業界人ならピンとくるだろう。2009年に日本に上陸し、大ブームとなった米西海岸発のセレクトショップ「キットソン(KITSON)」の仕掛け人であり、それ以前はオンワード樫山のレディースカジュアル事業本部本部長、レディース商品開発室室長を務めた人物だ。当時は飛ぶ鳥を落とす勢いで、「キットソン」を離れた後もいくつかのブランドのプロデュースに従事。しかし、「キットソン」以上の勢いとはならず、近年は裏方のイメージが強かった。その宮井がここにきて、D2C(EC専業ブランド)というウィメンズファッションの最前線に返り咲いている。トータルプロデュースを手掛けるクロスプラス初のD2Cで、30~40代向けの「ノーク(N.O.R.C)」は絶好調。20年春からは、古巣オンワード樫山が立ち上げたD2C「アンクレイヴ(UNCRAVE)」のプロデュースも務める。アパレルビジネスの酸いも甘いも知り尽くした宮井に、「ノーク」ヒットの理由や、D2Cと従来型アパレルビジネスとの違いを聞いた。

WWD:19年2月に立ち上げた「ノーク」の初年度売り上げは、当初目標1億5000万円に対し、4億円強の着地予想となった。女性ファッション誌への露出も非常に多い。何が支持された?

宮井雅史「ノーク」トータルプロデューサー(以下、宮井):高品質、ロープライスという“コスパ(コストパフォーマンス)の良さ”が最もお客さまに響いた。累計で3000枚売れている本格的なミリタリーディテールのトレンチコートは1万8500円だ。福田亜矢子、斉藤くみという2人のスタイリストを起用しているが、彼女たちのSNSフォロワーが元々多かったからデビュー時からヒットしたというわけではない。福田はインスタをやっていなかったし、斉藤もフォロワー数は5000人前後だった。

WWD:そもそも、どんな経緯でブランドを立ち上げることになったのか?

宮井:元々は、クロスプラスから自社ECの売り上げと会員数を増やしたいというご相談をいただいた。クロスプラスとしては、ECサイトの見え方や編集の仕方を変えたいと思っていたのだと思う。しかし、そもそもクロスプラスはミセス向けブランドや量販店向け商品が中心で、“王道のマス”を取り込めるブランドを持っていなかった。「ECの売り上げを高めたいのなら、マス層の新規客を取り込めるブランドを作った方が早い」と伝え、ブランド立ち上げに至った。ターゲットとしているのは、スマホで買い物をする、時間効率を求めている人たち。働く女性や子育て中のママたちだ。半歩先のファッションに興味があって、忙しい中でもSNSで情報収集をしている層を意識した。実際の中心購買客層は39~41歳。地方の女性も意識して始めたブランドだが、まずは都市圏から火がついた。客単価は1万円を切ったことはない。

WWD:ターゲット層の女性たちに支持されている“コスパの良い”ブランドとしては「ザラ(ZARA)」や「ユニクロ(UNIQLO)」も思い浮かぶ。それらとの違いは?

宮井:35歳の日本の女性の価値観に、本当に合致するブランドはあるのか?という問いから構想をスタートした。ターゲットは本物を知っている世代だから品質は妥協したくなかった。クロスプラスの生産背景があるからそれが可能だし、D2Cだから原価率も高く設定できる。(「ザラ」は)さまざまなシーンの中の1つとしてはいいが、日本の大人の日常着となるとトレンド要素が強過ぎるし、品質もあくまで大人にはギリギリ許せるというラインだ。一方、(「ユニクロ」が提案するような)ベーシックで全身をまとめるというのは実はすごく難しい。大人の女性には、ベーシックに加えて華やかなアイテムも部分的に必要だ。そんな考え方で、長い期間着るため少々値が張ってもいい定番品の“ノーク バイ ザ ライン”と、ベーシックの中にもシーズンのムードを取り入れたネオベーシックと位置付ける“ノーク”という、2ラインでブランドを構成している。売り上げに占める割合は前者が4割、後者が6割だ。「何を着るか」よりも「どう着るか」が重視される時代だからこそ、両ラインにそれぞれスタイリストを起用し、スタイリングからMDを組み立てている。「どれだけ着まわせるか」も“コスパの良さ”の一環だ。

ECは
「年間を通した売りつなぎが重要」

WWD:実店舗のないD2Cブランドだからこそ意識したことはあるか?

宮井:大きくは2つある。1つ目は「無駄なものを作らない」こと。実店舗運営が前提となると、売れないと分かっていても作らなければならないアイテムが出てくる。例えば、プリント柄の売れ筋がある1色に集中すると予想できても、VMDで他の商品を引き立てるために他の色が必要とされるケースがある。D2Cはそれがないため、プロが考えた本当に必要なアイテムだけを提案できる。2つ目は、D2Cは「いくらでも編集できる」という点だ。投入から時間が経った商品でも、ECサイトのサムネイル画像を編集することで鮮度を保つことができる。それゆえ、定番アイテムは半年間で売り切る必要がなく、年間通して販売ができる。逆にいえば、同じアイテムをいかに売りつなぐかという視点が重要だ。実店舗は鮮度を保つために店頭をコロコロ変える必要があるが、近年はトレンドがシーズンによって入れ替わることがなくなっている。同じ商品が売れ続けているというのがマーケットの実情であり、売りつなぐという考え方に合致している。

WWD:「無駄なものを作らない」「売りつなぐ」という考え方を、具体的にどう落とし込んでいるのか?

宮井:デビューシーズンの19年春夏は、「シーズンレスアイテムといえばスカートだ」という考え方のもと、スカートとワンピースだけで商品全体の5割を構成した。スカートやワンピースは、ニットと合わせたサムネイル画像にすれば秋冬も売りつなぐことができるからだが、実店舗を前提とするブランドなら、こんな商品構成はありえない。店頭の見えがかり上、パンツも作らなきゃダメとなる。一方で、実店舗ならそうやって(無理に)作った商品も偶然客の目に留まって売れる可能性があるが、ECは検索にひっかからないアイテムは売れない。例えば、19年春夏は“リネン混”というキーワードが商品名に入っているか否かで売り上げが大きく異なった。だからこそ商品名まで熟考する。サムネイル画像がものを言うので、全画像のスタイリングをスタイリストが手掛けており、ビジュアル撮影も雑誌の表紙を担当するようなカメラマンに依頼している。それが売り上げに直結するからだ。実店舗がない分、そういった部分には投資している。

WWD:“リネン混”のようなヒットキーワードやアイテムを見付けるために、ビッグデータ解析の導入などもアパレル業界内ではもてはやされている。どうやってそれらを見付けているのか?

宮井:2人のスタイリストから自然に出てくる。2人とも子どもを持つ40代の働く女性であり、ライフスタイルに共感できる。ターゲットと乖離しない2人だからこそ一緒に「ノーク」に取り組んでいる。正直、ヒットの芽を探すために海外コレクションなどは全くチェックしなくなった。もしも僕がコレクションのトレンド情報をもとに「このアイテムで行こう」などと言い出したら、2人からリアルに基づいたディレクションが入って、止められるだろう。

フラッシュセールサイト
の経験が糧に

WWD:サイズ展開にも力を入れている。大人の女性は体形が変化することを想定し、サイズバリエーションを充実しているのか?

宮井:サイズ展開と体形変化を直結させるのは旧来のアパレルの考え方だ(笑)。定番品のラインでは特にサイズ展開に注力しており、3~4サイズを展開している。これは既存のS、M、Lではなく、お客さま一人一人の「どう着こなしたいか」に寄り添うためだ。スカートなら、旬の気分を取り入れてマキシ丈ではきたいか、コンサバにひざ下丈ではきたいか、といった違い。もちろん、サムネイル画像もサイズ別に作成する。そうは言っても、立ち上げ当初は従来のアパレルビジネスの定石に僕も引きずられており、3サイズ展開だとしても真ん中のサイズを多めに発注していた。しかし、実際は両端のサイズが売れるというデータが出ている。19年10月に伊勢丹新宿本店と阪神梅田本店でそれぞれ1週間のポップアップストアを開いたが、その際も同様の傾向だった。サイズのバリエーションが重要な時代とはいっても、実店舗では同商品のサイズ違いばかりを並べたらそのラックは死に筋となる。だからといって、毎回販売員にストックルームにサイズ違いを取りに行かせるわけにもいかない。そのように、実店舗なら弊害になることを徹底的に実行しているのが「ノーク」だ。

WWD:そういった、D2Cならではの戦い方をどのように獲得したのか?

宮井:「キットソン」を離れた後、いくつかのブランドのプロデュースを経て、フラッシュセールサイトのファッションコンテンツ企画制作に携わった。フラッシュセールサイトは、提携ブランドで売れ残った商品を編集し直して売るビジネスモデルだ。どんな商品が売れ残っているのか確かめるために倉庫まで行ったこともあるが、「こんな商品では売れ残って当然だ」「この商品なら再編集すれば売れるのに。もったいない」など、いろいろと考える部分があった。同時に、僕も実店舗のビジネスを手掛けていた時は同じような売り方をしていたと反省もした。今、業界内に(大量廃棄の削減を目指した)サステナビリティの意識が広がっているが、そことつながる部分もあると思う。ECではブランド名よりもアイテム名が購入の入り口になる、それゆえサムネイル画像でどう見せるかが大事、といったこともフラッシュセールサイトでの経験を通して学んだことだ。

WWD:D2Cとしてスタートしたが、好調を受けてポップアップストアの誘いも増えている。

宮井:19年10月の伊勢丹新宿本店のポップアップは、台風直撃も重なったが1週間で約2000万円を売り上げ、阪神梅田本店も予算を超える好調ぶりだった。今春は、伊勢丹で2月19日からアウターに焦点を当てたポップアップを2週間行い、4月8日からの2週間で夏物のポップアップも行う。阪神でも4月8日から夏物のポップアップを1週間行う。ありがたいことに同様の誘いは増えており、ポップアップを行うとECの売り上げや会員数もアップするという相乗効果がある。ポップアップでは、先行発売品や原定色などをそろえ、ECと差別化し共存を図る。しかし、ポップアップを乱発したら実店舗ブランドと同じになってしまうし、D2Cを前提としてビジネスを組み立てているので、実店舗を何店も出していたらペイしなくなってしまう。ただ、商品を実際に見たいという声は強いので、ショールーミングのための場所を関東、関西で1店舗ずつ常設で持つことは考えている。

WWD:D2Cは、IT起業家やベンチャー投資家からも注目を集めている。彼らは、インターネットサービスを作るマインドセットでフィジカルな製品(服)を作るという考え方でD2Cを捉えており、そこが既存のアパレルがこれまで出してきたEC専業ブランドとの違いのように感じる。旧来のアパレルの手法もよく知る宮井さんにとって、D2Cの定義とは?

宮井:わざわざそんなふうに難しく考えたりはしない(笑)。ECは接客がない分、売れる、売れないの反応がダイレクトだ。それをくみ取って、お客さまに無駄な時間をかけさせず、求めている商品を提起するMDを組めるかどうかがD2Cでは肝要だ。もちろん、サムネイル画像の表現もそこに含まれる。そして、売れ行き動向が瞬時にデータとして出てくるので、商品を作り過ぎることもない。一般的に、旧来型のアパレルビジネスではプロパー消化率が60%を超えると収益化する仕組みだが、「ノーク」のプロパー消化率はそれよりも10ポイントは高い。だからこそ、原価率を高く設定することができる。

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デミ コスメティクスのヘアカラー剤「フュージョニスト」でつくる春の光に映える多彩なヘアカラー

 サロン向けヘアケアメーカーのデミ コスメティクスが6月に発売したヘアカラー剤「フュージョニスト」が、発色と色持ちのよさで人気を集めている。濃淡を自由自在に操ることができるこのヘアカラー剤は、軽やかで透け感が求められる春のヘアカラー提案にもぴったり。都内で活躍する人気美容師が来春のヘアカラーデザインを披露する。

ハイライトで軽さと個性を出し
人気のグレージュを
春仕様にアップデート

 「全体をアッシュベースの深みのある色に対して、ハイライトを顔まわりと前髪の内側に入れることで柔らかさと明るさを出して春らしく仕上げました。グレーを多めに用いることでちょうどよくくすませることができるので、あまり派手なヘアカラーにできない社会人にも、色を取り入れながら重く見えがちな暗髪に明度差をつくることでさりげないおしゃれを提案したいです。艶感と色持ちのよさはお客さまにも好評」(柴田英里佳「オブヘア(Of HAI R)銀座店」店長

Color Recipe:「トレニージョ パウダーブリーチ」(OX- 6.0)で顔まわりを中心にハイライトを入れ、6 -G/グレイをトナーでオン。さらに、「フュージョニスト」の6 -P/パープルでローライトを入れる。根元は6 -G/グレイ:6 -N/ネイビー=2:1(OX- 6.0)で、毛先は6 -G/グレイ:6 -N/ネイビー=2:1の割合に2剤をOX-3.0ACとOX- 6.0 =1:1に配合して塗布。

オレンジ×ピンクで
春の光に透ける
コットンのように柔らかいカラー

 「春色を意識しモデルに似合うように淡く仕上げました。来春はオーガニックな要素に注目しているので、色味の提案だけではなく暖色であっても寒色であってもヘルシーで柔らかさのある雰囲気づくりを提案していきたいです。最近のカラー剤は優秀になりすぎて、ブリーチなどで作った絶妙なベースメイクが壊されてしまうこともあります。その点「フュージョニスト」はこだわって作ったベースを壊さず絶妙な色出しができるところにカラーリストとして魅力を感じています」(赤岡翔太「トニー&ガイ ジャパン」広尾店テクニカルダイレクター/アートチームマネージャー)

Color Recipe:「トレニージョ パウダーブリーチ」(OX- 6.0)で、顔まわりと襟足にハイライトを、それ以外のオーバーセクションはバレイヤージュでベース作り。根元とバックセクションは「フュージョニスト」6 -O/オレンジ(OX-3.0AC)でオンカラー。顔まわりは中間を12-R/レッド:12-G/グレイ=1:2(OX-3.0AC)で、毛先を12-P/パープル:12-R/ローズ:クリア=1:1:1(OX-3.0AC)で塗布。トップの毛先は12-R/レッド:12-G/グレイ=1:2(OX-3.0AC)でのせる。

鮮やかな発色が長続きする
ヘアカラー剤
「フュージョニスト」

 浸透力の違う2種類の活性剤を配合する“ダブルレイヤー処方”を採用することで、これまでにない艶感を実現。さらに髪の内部と表面で異なる染まり方をさせることで、表面の染料によるパッキング効果が生まれて穏やかに褪色するのも特徴だ。また、独自の技術によってアルカリを多く使用しなくても十分なブリーチ効果が発揮されるので、髪にも優しく染め上げる。カラーは暖色から寒色まで9色相とライトナー、クリアで構成。インスタグラムアカウント@fusionistcolorでは同カラー剤を使用したスタイルやレシピを随時公開中。

問い合わせ先
デミ コスメティクス
0120-68-7968

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仕事が絶えないあの人の、“こうしてきたから、こうなった”サッカー元日本代表”鈴木啓太「オーブ」代表編

 転職はもちろん、本業を持ちながら第二のキャリアを築くパラレルキャリアや副業も一般化し始め、働き方も多様化しています。だからこそ働き方に関する悩みや課題は、就職を控える学生のみならず、社会人も人それぞれに持っているはず。

 そこでこの連載では、他業界から転身して活躍するファッション&ビューティ業界人にインタビュー。今に至るまでの道のりやエピソードの中に、これからの働き方へのヒントがある(?)かもしれません。

 連載第6回目に登場するのは、腸内フローラ(腸内細菌の生態系)解析事業を行うベンチャー企業「オーブ(AUB)」の鈴木啓太代表です。2000年に浦和レッズに入団し、サッカー日本代表としても活躍してきた鈴木氏は、引退直前の15年10月に「オーブ」を創業。これまでに、500人を超えるトップアスリートから便を集めてきました。その分析データからアスリート独自の特徴を発見し、製薬会社や食品メーカーとの共同研究や自社製品開発を行っています。オリンピック・パラリンピックを控えて関心が高まるスポーツ選手のセカンドキャリア。実業家として新たな道を歩む鈴木氏に、その転身と挑戦を聞きました。

WWD:選手時代から引退後のキャリアについて構想していたのでしょうか。

鈴木啓太(以下、鈴木):スポーツ選手というのは必ず引退がある職業で、サッカー選手はそれが比較的若い年齢でやってきます。ですから職業が変わるということはプロになってからずっと覚悟はしていましたね。とはいえ、具体的にビジネスを学ぶとかそういうことではなくて。経営者などのビジネスマンをはじめ、スポーツとは離れた仕事をしている方々や友人との時間を意識的に持つようにしていました。幼い頃からサッカー三昧でしたから、「こういう仕事もある」「こんな考え方もある」という、新鮮な気づきや学びを得ることができたと思います。

WWD:腸内細菌をビジネスに、というのは現役中の経験からきたものなのでしょうか?

鈴木:そうですね。アスリートは皆、大なり小なり体調管理に気を配っているかと思うのですが、アプローチの一つとして僕は“お腹”、すなわち腸内環境を整えることだったんです。調理師であった母親の影響が大きいですが、食事は温かい緑茶で終えること、海外遠征にも緑茶と梅干しを持っていく、お灸や腹巻をするなど、自分なりの調整法を編み出していました。

腸の大切さを痛感したのは、04年アテネ五輪アジア最終予選でのこと。代表選手23人中18人が下痢症状で、3〜4キロも体重が落ちているような状態でした。僕はというと、体調に問題なく試合ができた。これはお腹のコンディションを整えていたおかげなのかなと、「人間は腸が一番大事よ」と口をすっぱくして言っていた母親に感謝しましたね。

15年6月、知人を介して“便を研究している”という人に会い、話を聞いているうちに自分のこれまでの経験と科学的な知見がリンクしました。「アスリートの人の腸内細菌を調べたら面白いだろう」という僕からの提案で腸内フローラ研究に足を踏み入れることになりました。アスリートは一般の人よりも日頃からコンディションを整えているし、有益なデータベースになり得る特徴的な対象だと感じたんです。腸の環境を“見える化”すれば、きっとアスリートの体調とパフォーマンス向上に役に立つと、強く感じたわけです。

WWD:会社を設立された頃について教えていただけますか?

鈴木:経験もなければ知識も足りないわけで、特にファイナンスの部分は今も難しさを感じています。設立メンバーは、大学教授、ヘルスケアベンチャーの立ち上げをやられている方、スポーツトレーナーなどです。当時、すでに腸内細菌の研究によってその数や種類や身体への関与が解明され始めてはいたものの、ビジネスチャンスは見えにくかった。そんな中、設立メンバーの中の方向性の不一致で人の入れ替わりもありましたし、共同研究先を替えることもありました。結果的に、設立時の出資者から株式を買い取らなくてはならないことになり、ビジネスの厳しさを思い知らされましたね。

WWD:「スポーツ選手がビジネスなんて」といった後ろ向きの声もあったと聞きます。

鈴木:ありましたね。でも、そういう“外野”の声は関係ないんです。冷静に考えても、今後ヘルスケアベンチャーの分野は伸びるだろうし、こうした研究は必ず誰かがやると感じていました。でもこれ、僕がサッカー選手になるときと同じなんです。プロになる前もなった後も、周りを見れば僕より上手な人はたくさんいたし、プロになっても試合に出られるかなんて分からない。いくらベストを尽くしたとしても、負ければ批判を受けることもある。不安はいやでも付きまとうんです。人って、自分の経験で物事を考えて「これができそう」「これはできない」って考えがちなんですよね。あくまでその人の中の尺度であって、僕は僕ですから。もちろん、人の意見を聞く耳は持たなければならないけれど、決定するのは自分です。人生一度きりですし、やりたいことをやりたいですよね。これはサッカー選手を経験したからこそ強く感じている部分かもしれません。

腸内細菌研究の中でも、僕らはアスリートに特化しているという点で大きな強みだと確信しました。立ち上げ当時は世間的にもすでに腸内細菌への関心が高まっていましたから、“サプリメントを売りましょう”と簡単に言うこともできたかもしれません。けれど、研究を進めるためにはまず、もととなるデータがないと進まない。最初はとにかくアスリートの便の研究に集中しようと決めました。

トップアスリートのうんちを採取

WWD:検体第1号はどなたですか?

鈴木:ラグビー日本代表の松島幸太朗選手です。一緒にご飯を食べているときに、この研究の話をしまして、「うんちをちょうだい」と。「えっ?なんすか?(笑)」とうろたえていましたが、僕は「とりあえず持ってきて」と。松島君に関しては、拒否権はなかったですね(笑)。さまざまな選手やチームに依頼をさせていただく中では、「何に使われるか分からない」と怪訝な顔をされることもありましたが「アスリートのためになる」ということを丁寧に説明し、真面目に研究している姿勢を見せることで理解を得ることができました。当初からサプリメントを作っていたら、「金もうけのためだろ!」と言われたかもしれませんし、印象は全然違っていたと思いますね。アスリートって、自分を超えるために日々きつい練習を重ねてきているわけです。長い時間とエネルギーを費やして夢のためにやってきたことが、いつか周りや未来のアスリートのために役に立てることができたら、という思いに共感をしてもらえたんだと思います。

4年間で集めた便の数は、500人を超え1000検体以上になります。プロや実業団などトップアスリートばかりです。競技は、サッカーや野球、ラグビー、陸上など28種目になります。ありがたいことに選手やチーム側から「(便を)調べてほしい」と言われることも増えてきました。

WWD:検体を集めてみて驚いたのはどんなことでしたか?

鈴木:乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌と、大腸菌や黄色ブドウ球菌などの悪玉菌などの腸内環境のバランスが人の健康に大きな影響を与える、ということはすでに広く知られていると思います。そこから一歩踏み込んでアスリートの検体を解析してみると、一般の方に比べて腸内細菌がずっと多様だったんです。「アスリートは特徴的な腸内環境である」ことを最初の1年で解明し、18年3月に日本農芸化学会※1で発表しました。同じ年の10月には、「アスリートは酪酸菌が優位に多い特徴がある」ことを発表しました。酪酸菌とは、免疫機能を整えたり、腸の動きを活発にしたりする働きがある菌です。アスリートは一般の方の約2倍の酪酸菌を持っていることが分かりました。アスリートって、“筋肉量のアップ”“体重のコントール”など明確な課題を持っているので、腸内環境とのパフォーマンスの相関関係が非常に分かりやすいんです。

※1 国内最大級のバイオ系学会

WWD:順調に研究成果を出されている印象ですが、ピンチはありましたか?

鈴木:19年初夏の資金枯渇です。研究を続けていくことは、人的コストを含め非常にお金が掛かります。これまでに何かを販売しているわけではないので、キャッシュイン(収入)がなく出て行くばかり。自己資金の4000万円に加え、エンジェル投資家からの6400万円もあと2カ月で底をつく……。「倒産」の二文字が頭に浮かんで離れなくなりました。やっと研究成果も出始めているし、一般向けプロダクトの開発も進んでいた矢先のことでした。何よりも、これまで協力してくれた選手たちの数々の好意を考えるとつらかった。朝起きて吐き気が止まらない、そんな日々が続きましたね。

現役時代もプレッシャーに押しつぶされるような経験は数え切れないほどありましたが、「これはマジでやばいぞ」と。僕が代表ですから「なんとかなるか!」じゃなくて、「なんとかしなきゃ」ですよね。思いつく限りの策を全て講じて、文字通りギリギリのタイミングで複数の投資家からの出資が決まりました。ベンチャーの方に話を聞くと9割ぐらいの方が、一度はそういった経験をしているんですよね。(倒産危機は)「ベンチャーあるあるだよ!」と、あとになれば笑えるんですけどね(笑)。

WWD:今、一番苦労していることはありますか?

鈴木:苦労というより、気をつけようと意識しているのは客観性です。僕らの事業は研究がメインなので、自分たちがやりたいことや知りたいことを深掘りし過ぎて、周りが見えなくなりやすい(苦笑)。僕らがよいと思っても、「世の中のニーズに合っているのか?」「ビジネスの観点で言うとそれってどうなの?」という視点を忘れないようにと自分に言い聞かせています。

この冬、腸内環境を整えるサプリメント「オーブベース」を発売しました。これまでの研究の成果をやっとみなさんに提供できた!という感じです。今後も研究は続けていきますが、ビジネスを続けていくためにも、こうした製品をどのように認知してもらってニーズに応えられるかが課題ですね。

アスリートのキャリアにもリスペクトを

WWD:オリンピック・パラリンピックを控えスポーツが盛り上がりを見せる中で、アスリートのネクストキャリアにも注目が集まっています。アスリートのキャリアの課題や難しさについて見解を教えていただけますか?

鈴木:現役中は、「サッカーだけに集中しろ!」と言われてきました。ただ、そうした意見には正直なところ疑問を感じていました。「競技に集中したところで、一生食っていけるのかな」って。Jリーガーは、平均で28〜29歳で現役を引退します。現役を退いてからの人生の方が長いわけですよね。

最近は、現役中にビジネスや勉強をスタートさせる選手も増えてきています。人として成長したいという思いをアスリートも持っているということを、ファンの方々に知ってもらいたいし、一人の“人”としてリスペクトしてもらいたいなと感じます。そのためにも、まずはもっと多くの方々にスポーツを生で観てもらいたいですね。現役を辞めてから、サッカーの試合を観ると「よくこんなに走れるな」とか思いますもん(笑)。多くの人に認めてもらうためにも選手は努力しなくてはならないけれど、世の中が継続的にアスリートを応援する仕組みがあるといいですよね。オリ・パラもブームで終わらずにね。

WWD:鈴木さんにとって「仕事」とはなんでしょうか。

鈴木:自分を成長させてくれるものであることは間違いないですが、何よりも僕は人が喜んでいる顔が好きなんです。それを形にしたもの、ですかね。仕事って、「ありがとう」が最大の報酬だと思うんです。究極、死んだら何も残らないですからね(笑)。

もちろん、若い頃は「お金を稼ぎたい」「W杯で優勝したい」「きれいな女性と付き合いたい」とか、自分の夢ばかり追いかけていたときもありましたよ。でも年々、“誰かのために”という気持ちの比率が増えてきたように思います。それを強く感じたのは、14年の無観客試合※2です。6万人が入るスタジアムに、誰も観客がいない。普段の試合ではゴールが入ると、大歓声とともにスタジアムがドンと揺れるんです。それがこの日はゴールが入っても、シーン。僕らの声だけが悲しく響いていました。でも、試合の価値は一緒です。いい試合をして、サポーターやファンの方々と一緒になって感情の揺れ動きがあること——それが自分にとってのサッカーをする喜びなんだと実感しました。ですから恩返しじゃないけれど、アスリートの力で次世代の選手含め多くの人を応援する——。そんな存在になっていきたいですね。

※2 2014年3月23日に「埼玉スタジアム2002」で開催された浦和レッズ対清水エスパルス戦

WWD:今後の展望を教えてください。

鈴木:「オーブ」の事業を拡大することで、スポーツというキーワードを軸にアスリート、応援する人、選手の家族など支える人たちの橋渡しができたらと考えています。皆がアスリートになりましょう、ではなくて。パフォーマンスを上げていくという意味では、スポーツをしていてもしていなくても課題は同じだと思うんです。今後ますます少子高齢化が進みますし、健康に長生きしていきたいですよね。

WWD:最後に、キャリアチェンジを考えている人へ一言お願いします。

鈴木:チャレンジすることを忘れずにいてほしいです。やってみなきゃわからないですから。今の自分を見ると不安になることもあるかもしれないけれど、20〜30年後の自分が今の自分を見たらどう思うか?に目を向けて見ると、ヒントが見つかるかもしれません。何をチョイスしてもいいんです。“正解”は自分でつくっていくものですから。進んだ道が“不正解”に思えても「じゃあどうする?」と方向転換して、また進んだ先に成長があるかもしれません。
こんなに偉そうなこと言ってますけど、僕はプリンター出力さえできなかったんです。さっき教えてもらって。それでこう思うんです。「ほら、成長したなぁ」って(笑)。

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アイコンバッグ“ザ・ポーチ”の新モデルも 「ボッテガ・ヴェネタ」2020年春夏バッグ&シューズ

 今、最も注目されているブランドを挙げるならば、ダニエル・リー(Daniel Lee)による「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」だろう。「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「セリーヌ(CELINE)」で経験を積んだリーのクリエイティブ・ディレクター就任から、ブランドイメージを大胆に刷新して若返りに成功。ファッション業界の発展に貢献した人物やビジネスを称える「ザ ファッション アワード 2019」では、ブランド・オブ・ザ・イヤーやデザイナー・オブ・ザ・イヤーを含むの4つの賞を受賞したのも大きな話題になった。20年春夏コレクションではブランドを象徴する “イントレチャート” (編み込み技法)の再解釈を続けているほか、アイコンバッグのクラッチバッグ“ザ・ポーチ”のストラップ付きが増えてバリエーションを広げている。

 リーの就任以来“イントレチャート”を巨大化させたデザインが増えたが、今季もプロポーションを変化させてギミックを加えている。ハンドバッグの"ザ・アルコ”は大容量で斜め掛けが可能なほどストラップを長くして登場させた。アイコンバッグの“ザ・ポーチ”は肩掛けができるストラップやチェーンがついた新モデルも仲間入り。また留め金にウッドを用いた新作のクラッチバッグや、石そのものをイメージしたバッグなど自然を感じさせるデザインもユニークだ。

 シューズではハイヒールのサンダルやパンプスが豊作だ。立体的なコイル状ストラップ付きのサンダルはパンツの上からストラップを足に巻きつけるスタイリング提案が斬新。ぷにぷにした柔らかい“イントレチャート”のヒールサンダルや、肌にフィットするソックス風のレザーパンプスなど、ハイヒールでありながらも柔らかな素材を用いてリラックスした雰囲気が漂う。

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帰ってきたメンズコレドタバタ日記Vol.3 背筋が伸びる「プラダ」にイタリア版楳図かずおの「MSGM」

 さぁ、ミラノメンズも中盤戦。今日も晴天、張り切って街を駆けずり回りたいと思います。

11:25 サルヴァトーレ フェラガモ

 近頃「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」は、とても良きです。メンズは「ランバン(LANVIN)」出身で、僕が敬愛するルカ・オッセンドライバー(Lucas Ossendrijver)門下生のギョーム・メイアン(Guillaume Meilland)が、クリエイティブ・ディレクターのポール・アンドリュー(Paul Andrew)と作る体制。ポールが求める着心地と美しさの両立を、ギョームがツイストを効かせながら生み出すカンジがとても良いのです。「タイムレス」の価値が増している昨今の時代感にもマッチしています。

 取り立てて「ワォ!」と驚くアイテムはありません。中盤に1回だけ登場した、レザーのピタピタサロペットくらいでしょう(アレは一体、なんだったんだろうw?)。でもダブルのチェスターも、スキッパータイプのざっくりニットカーディガンも、スーツ地で作ったノースリーブのダウンベストも、程よいリラックスシルエットや機能性でちょうど良い。しかも長く着られそう。良い服とは装飾の多いモノではなく、細部まで工夫を凝らした洋服なんだと諭してくれます。

 これがもうちょっと店頭に並ぶようになると嬉しいなぁ。思いきってセレクトショップへの卸とか始めませんか?既存の顧客もしくは新たな消費者に、ウエアを中心とした新しい「フェラガモ」の世界が築けそうな気がします。

12:20 エトロ

 さぁ、お次はデザイナー業界随一の野生児(⁉︎)、本能に純粋。ゆえに誰よりも感受性が高く、それが共感の源となっている「エトロ(ETRO)」メンズです。

 ショー開始20分前のバックステージは、こんなカンジ。メンズのクリエイティブ・ディレクター、キーン・エトロ(Kean Etro)は、さすがの人気、そして余裕っぷりです。

 このキーンさん、「一体、どういう生き方をしたら、そうなるの⁉︎」というくらい素直で、大胆で、人間力の高い人。おそらく社内のスタッフは大変な場面も多いでしょうが(お察しますw)、外から見ると「なんて素敵!その通り‼︎共感しちゃう‼︎!」というオジサマです。今期のクリエイションも、そんな感じでした。バックステージで、「洋服選びは、宝探しみたいなもの。見つけたら嬉しくなっちゃって、だからこそ古くなっても愛し続けられる洋服が必要だ」と話したキーンさんの最新コレクションは、正統派のチェスターコート、艶っぽいシルクシャツ、パンツ、それに乗馬ブーツというクラシカルエレガンス。ストリート勢の一部が姿を消した、今期のメンズシーンと呼応します。

 そう、人間力の高いキーンさんは、多分トレンドなんてあんまり意識しないのに、結果、時流をキャッチするのです。彼の、そんな「大当たり〜!」な瞬間を何度か目の当たりにすると、「人間の本能って、スゴい!」と思わずにはいられません(笑)。

13:00 エルメネジルド ゼニア & Z ゼニア

 タクシーに乗って、「エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA)」の展示会へ。先シーズンにスタートした、自社で完全リサイクルする素材によるコレクションは、カシミヤからウール、化繊に至るまでのバリエーション。洋服を作る際に生まれる残布を糸に戻し、また生地にして洋服を生み出します。そんな洋服にのせたのは、なぜか今シーズン頻出のオプアート。「エルメネジルド ゼニア」の場合は、チェックやストライプなど、メンズにとって欠かせない柄を何階も重ねて、不思議な視覚効果を生み出します。柄を幾重にものせたのは、そもそもの洋服の生産はもちろんですが、リサイクルならなおさら、いろんな人の手、そして思いが重なり合っているから。ファクトリーから生まれたブランドゆえ重んじる生産の過程を柄にすると、こうなるワケです。

 「Z ゼニア(Z ZEGNA)」は、アレッサンドロ・サルトリ(Allessandro Sartori)らしい玄人っぽい色合い。こちらは、“目”が重なりシュールでした。

14:20 MSGM

 ファーストルックだけを見るとコンサバにシフトした「MSGM」ですが、 いやいや、ぶっ飛んだ一面も覗かせます。今シーズンは、デザイナーのマッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Giorgetti)が10代の頃夢中だったというホラー映画を生み出した、イタリアの奇才ダリオ・アルジェント(Dario Argento)監督にオマージュを捧げました。マッシモのメンズは、イタリアで生まれ育った自らの原体験を、若々しいスタイルで描くのが上手です。みなさん昔「リング」とか「貞子」を友達と、暗い部屋でポテトチップスを食べながらドキドキ見たりしませんでした?あのときの映画の世界観を、今ドキなワンサイズオーバーのフォーマルに落とし込んだと言えば、わかりやすい気がします。

 ということで描かれたモチーフは、黒猫(不気味)、毒キノコ(毒々しいカラーリング)、食虫植物(リアル)、そして楳図かずお的なキャラクター。最近立て続けだった「アタッカーYOU!」「キャプテン翼」に続く、「日本のマンガへのオマージュ3部作の完結編?」と思うくらいイラストは楳図です。コレ、欲しいなぁ。でもこんな洋服で電車に乗ったら、誰も両隣に座ってくれないでしょうか(笑)?

14:45 マルニ

 「マルニ(MARNI)」の展示会へ。昨日、一番のナゾとお話したショーを解明すべく伺いましたが、「答えはフランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)の頭の中」とのお言葉だけを賜り、あとははぐらかされました(笑)。「そんな!もうちょっとヒントを‼︎」とも思いますが、フランチェスコに言わせれば、きっと「正解なんてない」のです。コレクションは、各々が自由に解釈してくれて良し。今期は、いつも以上にそんなカンジなのだと言います。重要なのは、「proportion with no imposition」、日本語で言えば「強制なき提案」と言ったところでしょうか?解釈の自由を保証します。

 ということでアイテムは、相変わらずバラバラなサイズ感。コレ、一応全部「48」というサイズなんですけれどね(笑)。自由に解釈し、自由に選んで、自由に着る。それが今の「マルニ」なのです。

15:20 アスペジ

 若干タッチ&ゴーになりましたが、「アスペジ(ASPESI)」の展示会へ。来月末には東京・南青山に旗艦店がオープンします。これまでの「アスペジ」と言えば、シャカシャカナイロンの機能的ブルゾンのイメージ。ところがそれは「アスペジ」のごくごく一部で、本当はシャツからパンツ、ジャケット、コートまで揃うトータルブランドなのです。ワンピースなども提案するウィメンズは、さらに大きなコレクションを有しています。

16:25 プラダ

 「プラダ(PRADA)」は、ファーストルックからいつもと違います。「精悍」なのです。ピタピタのニットベストにノースリーブシャツ、折り返しの大きなプリーツパンツというスタイルで始まった2020-21年秋冬メンズは、スリムなシルエット、フォーマル中心の洋服よりむしろ、コンパクトなシルエットゆえ背筋をしゃんと伸ばしたモデルの凛とした佇まいが印象的でした。その姿はまるで、広場を模した会場に設けた彫刻、いや、実際は紙で作った模型のようなオブジェなのですが、とにかく凛々しい貴族のようです。

 ただ、単なる懐古主義、今季のミラノメンズに蔓延している伝染病のような病を跳ね返すのがミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)。次第にひざ下丈のアノラックやレインブーツなど、ストリートやワークウエアと融合し、かつての貴族服を現代の男性像に近づけます。バリエーションは前回のウィメンズ同様、従来に比べるとかなり控えめ。キーアイテムを絞ってムダなモノは作らない、ミウッチャ流の“断捨離ミニマリズム”でサステナブルの価値を説くかのようです。

17:10 セラピアン

 お次は「セラピアン(SERAPIAN)」。工房取材を兼ねて、「カスタムオーダーのバッグを作ってみませんか?」とのお誘いをいただき、体験させていただきました。今回は、無数の切り込みを入れたレザーパネルに色とりどりのレザーを通す“モザイク”というラインのカスタム体験。ブランドはリシュモングループに買収されたばかりですが、先祖代々ブランドを守ってきた3代目のジョバンニ・セラピアン(Giovanni Serapian)がお手伝いしてくれます。

 僕がオーダーしたのは、こんなバッグ。今ファッション業界のみならず世界にとって欠かせない価値観、ダイバーシティー(多様性)を象徴するレインボーを本体にドカンとあしらってみました。と言うより、虹をバッグにしてみたかった、そんなカンジです。オーダー体験のレポートは、3カ月後に完成するバッグとともに別途お届けします。もうすぐギンザ シックスでポップアップが始まりますよ!

18:10 トッズ

 さぁ、夜も遅くなってきたけれど、まだまだ続きます。「トッズ(TOD’S)」です。メンズは新クリエイティブ・ディレクター、ヴァルター・キアッポーニ(Walter Chiapponi)が就任。ウエアからバッグ、シューズに至るまで一新です。ウエアは、クラシックで洗練されたムードを残しながら、スポーティーに。“ゴンミーニ”には、ブーツタイプが登場しました。スニーカーは、レトロランのムードかな?ブラウン、カーキ、そしてネイビー。メンズに不可欠な色からのスタートです。

18:50 ミッソーニ

 フィナーレは、「ミッソーニ(MISSONI)」。カラフルなニットで心ウキウキ。今日も楽しい会食で1日が終了です。

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「独立して見たい景色を目指して」 Vol.5 洋服を買わない若い世代に、オサレ女子に、そして自分にワクワクを叫ぶ

 イロイロあってかなりタイムラグあるんですけど、気にせず、最近の「ワクワクしたんだな~~」をご紹介します!ホント私見なので文句は受け付けません(笑)。

 まずはアダストリアの「ハレ(HARE)」です。10月の楽天 ファッション・ウィーク 東京で2020年春夏コレクションを発表したアレです。日本人が古くから大事にする考え方の一つ“ハレ”のスタイル、和の文化を“ハレ”の舞台であっぱれです。ディレクターのミッシェルが友達だからとか関係ないから~。天才的なデザイナーがイチから作ったクリエイターズブランドとは異なる、大手アダストリアがセレクトショップのPB感覚で手掛けるブランドですよね?え、違うの??なんですか、この会社として「ちゃんとファッションをやりましょう!」って、ダイレクトに耳に放り込んできたセンセーションは!!

 ほんと「ハレ」の“ハレ”は天晴れよ!って。ブラックやホワイト、ベージュをベースに、レッドにパープル、パステルカラーを効かせて、和装のディテールをブルゾンやジャケット、ワイドパンツやサンダルなんかに、今っぽくお上手に落とし込んでて分かりやすいの。会場は満員だったし、周囲の評価もやっぱり上々な印象だった。 最近までメーカー社員だった私にはとっても良かった。センセーショナルだったんです。

 そして何より、「いいな~」「偉いな~~」のポイントはね、その現場をアダストリア社員が見ていること。なかなか出来ないことなんじゃないかな~~。この前向きな姿勢がサイコーです。お洋服をあまり買わなくなった若い世代に向けて言います。「こういうの見て、ファッションを買いなさい!!」。

 次、いきます(笑)。

 ハットブランドの「シノナグモ(SHINONAGUMO)」を知ってしまったのであります。南雲詩乃サマによる2019-20年秋冬シーズンスタートのね。

 「クラシック & ニューハーモニー」をコンセプトに、伝統的技法にこだわった帽子作りを行っているそう。ウィメンズ主体だけどユニセックスで使えるものも多数で、なんてったってね、まじで素敵ですから~~~!!!ハットからロマンティックに垂れるリボンのお上品さったらないわよ。アレンジ自在だし、垂らせばサスペンダーのように見せられる長さなの。きっかけはね、このブランドをPRしているのが、これまたステキ女子の尾花未来嬢だからなのであります(笑)。彼女が被ると破壊力抜群なのであります!!クラシカルで‶TIMELESS″な、ロマンティックでお上品なファッションピースってほんとドキドキするのよね。あー、好き。翌日に取り扱っているショップへ飛んでって買ったよね。どうやら、どこもほぼ完売のようですよ……。以前よりも帽子離れな女性が多くなりましたが、ぜひともコレ被って街を闊歩してほしいと想わされまして。オサレ女子に向かって叫んでおきま~すww 。「Don’t Miss It !!」。

なんてったって「マルニ (MARNI)」です!!

 私、ここ何年もず~っと大好きなんですよ。カラーリングといい、程よい丸さとラグジュアリーたるファブリックの心地よさ。それにね、バッグやSLG(革小物)なんかの持っててハッピーな愛くるしい小物たち!!大好きです。毎週のように表参道ヒルズのお店に通って、触っております(笑)。いい加減、ショップスタッフの皆様には「面倒くさいヤツ」になっているのは分かっております。分かってますよ、そんなのww。でも、好きだからいつも見に行くのよ。新作が次々に入ってくるタイミングですし。

 そして、ちゃんと買いますよ!!ちゃんと路面店で買いますよ~!というわけで、先日のギフトシーズンには、バッグを購入してカードケースを予約、さらにジレは悩み中とハッピーこの上ないショッピング。忘年会と重なって、また無一文で年越し決定……。サイコーよね。同じタイミングでね、2020-21年秋冬シーズンの展示会にも行ってきましたよ。買い付けで。お見せできないのが残念でならないけど、ニットが、、かわいくて、、愛しくて、、頭から離れません。。。もう来年の冬に買うもの、決まったよこりゃ。個人オーダーなんてしません。「マルニ 」は路面店で、ちゃんとシーズン来たら買います。だから自分に言い聞かせるの。いっつもコレの繰り返しなわけなんですよww 。 「お洋服は一期一会だから必ず買いなさいっっ!!」。

 ハイ。一旦、ファッションから離れてみます。

 いま流行りの「Tom & g」という名のフードトラックをご存じでしょうか??

 調べても、まだなかなか出てこないほどアップカミングなやつです。これね、ファッション業界の仲間たちがみんな食べに行ってるの。当然、私も食べに行きましたよ~。とあるブランドの関係者が新しく始めたやつなんだけどね、「バカウマですから~~っ!!!」。先に叫んでおきました~。Made in Los Angels food truck ということで、チーズステーキサンドウィッチにマッシュルームなんかも入ってる絶品モノでね、病みつき間違いナシ!!薄くスライスした柔らかステーキがね、サンドされてんのよ。ヨダレもんですよww。ハングリービーストなメンズからオサレ女子のハッピーランチ、イベントケータリングまで確実にイケるからね。

 ほら。気になってきたよね?リピート間違いなしだから、その中毒性には責任持ちません(笑)。しかもイケメンがやってますよ(笑)。味も見た目もヨダレもんというわけで、「Tom & g」 は、これからいろんなところに呼ばれると思いま~す!

 今回はこの辺でおしまいにして、続きはVol.6でね。

井上智和:1981年生まれ。東京生まれ東京育ちのCITY BOY。中央大学商学部を卒業後、三陽商会に入社し、店頭研修後に「バーバリー・ブラックレーベル」で販売トレーナー及びVMDを担当。3年目の終わりに「ラブレス」に異動しバイヤーに。国内外ブランドの開拓・買い付けをしながらセレクトショップの運営を学び、直近はバイヤーの他にプレス・販促・販売の長を兼務しながらリテール事業を経験。15年在籍の後に退社し、現在は「1H basix(ワンエイチ ベイシックス)」の名を冠して独立。ファッション・ライフスタイル領域のセレクトにて、アドバイジングやディレクション、買い付けを行なう傍ら、大人の本気遊びを体現し記事執筆を行う

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小さな香水を気に入ったらどんどん買い足したい ファッションフリークOL「WWDビューティ」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDビューティ」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.5『香水市場拡大のカギを握るミニサイズ』

読み解きポイント:「“ちょっと”をたくさん、欲しいんです!」

ニュースのポイント

 富士経済によると2019年のフレグランス国内市場は前年比4.8%増の431億円を見込むという。さらなる拡大に向け、エントリー層の需要拡大を狙って各社が打ち出しているのが小容量製品だ。「セミセルフストアではトライアルで気軽に購入できる商品がフィットすると考えた」「新客獲得が一番大きいメリットだが、愛用者も別の香りを試すきっかけになりブランドのファンづくりにつながる」など、ミニサイズを導入した理由は各社さまざま。「少しだけ試してみたい」という消費者のニーズを満たすミニサイズの香水は市場拡大のカギを握るだろう。

Azuはこう読む!

 香りは人の記憶と直結するとても大切なものだと考えているので、香水はファッションや気分、その日の大切なシーンに合わせて使い分けています。マニッシュなスタイルをするときにはスパイシーな香りをつけたり、あえて香りだけ甘くして見た目とのギャップをつけたり、纏う香りひとつで印象が変わってくるのが面白いんです。

 「イッセイミヤケ(ISSEY MIYAKE)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「ディオール(DIOR)」「ザ ダラス(THE DALLAS)」……今の主要メンバーはこんな感じ。「イッセイミヤケ」はほろ苦い恋の思い出、「メゾン マルジェラ」はなぜか歴代パートナーの香り(笑)、「ディオール」は楽しかった仕事の記憶、「ザ ダラス」は転機となった時期に紐付いているなど、それぞれ象徴的なストーリーがあります。毎日つけかえていますが、その香りを纏うたびに記憶が蘇ります。

 ひとつの香水に決めて「これが私の香り」と印象づけるのも良いですが、私は浮気性なので気に入ったらどんどん新しい記憶を足していきたい。ファッションと同じで、なりたい自分はいつだって更新されていくので纏う香りもひとつでは足りません。だからミニサイズの香水はかなり嬉しい!

 旅先でも使いたいし、夜だけつけたいときもあるので持ち歩いたりオフィスに置いておけたりするサイズ感はかなり重宝します。今までは試供品のミニボトルを携帯用にしていたのですが、さすがにあの量だとすぐに使い切ってしまうので10mL程度のサイズはベスト!

 ということで、早速オープンしたばかりの「アットコスメ トーキョー」で「メゾン マルジェラ」の「レプリカ フラワーマーケット」を購入しました。これまでは100mLのサイズのみでしたが、「アットコスメ トーキョー」限定で小さな試験管のようなトラベルサイズが登場。「レプリカ」シリーズは香りがたくさんあって愛用している「ジャズクラブ」以外にも試したかったので、気軽に試せるミニサイズはまさに既存ファンを深掘りするにもぴったりです。しかも3500円とお手頃価格。

 「フラワーマーケット」は2012年に「レプリカ」シリーズが登場した最初の3つの香りのうちのひとつ。当時フランスに留学していた私は月一でパリに上京して色々なお店を巡っていたのですが、必ず訪れていたのがパレ・ロワイヤル横の「メゾン マルジェラ」でした。そこでもらったテスターのリボンを留学が終わるまで大切にとっておいたので、「フラワーマーケット」は私にとってフランスの香りのひとつなんです。

 自分にとっては転機となる一年のため、「ファッション業界で頑張りたい!」と思うきっかけになった土地の思い出の香りを身につけ、初心にもどって邁進していきます。そして今年もまた、記憶を共にする香りに出合えれば良いなと思います。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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2020年春の正解はパンツスーツとセットアップ “脱・カッチリ”コーデはこう着こなす

 2020年春トレンドではクリーンでエレガントな装いが主役になっていることもあって、スーツやセットアップが注目されています。スーツより堅苦しくないセットアップは、働く女性からの支持が広がってきました。単品でも使いやすく、プライベートシーンでも出番が見込めます。一方、スーツも従来のカッチリ型に代わって、角の取れたテイストにシフト。たとえば、“バリキャリ”の代名詞的存在だったパンツスーツにもこなれ志向の新発想スタイリングが試されています。

 「ジバンシィ(GIVENCHY)」が20年春夏コレクションで発表した、こちらのルックは、ハーフパンツのスーツ。タイトスカート風にも映る膝上丈で、スーツに軽快感を注ぎ込んでいます。足元はフラットサンダルで合わせ、“超抜け感”を印象づけました。休日使いにも生かせそうなアレンジです。このように従来は“きちんと感”を重視していたパンツスーツを、伸びやかに着こなす新提案が装いの鮮度を高めてくれそうです。今回ご紹介する、国内の人気セレクトショップやユニクロが提案する新ルックからも“脱・カッチリ”の方向感がうかがえるはずです。

◆ハンサムなパンツスーツを、
穏やかに気負わずまとう

 シャツやブラウスで合わせる“お約束”を緩めると、スーツを柔らかくまといやすくなります。「ドゥーズィエム クラス(DEUXEME CLASSE)」の20年春夏展示会では、ハンサムなパンツスーツのトップスに、タートルネックを迎えました。ニット特有の穏やかな表情が加わって、気負わないワントーンのコーデに仕上がっています。広襟のダブルブレストジャケットでも、マニッシュに見えすぎないのは、タートルニットのおかげ。クッションのようなクラッチバッグもソフトムードを添えています。

 スカーフを巻くだけでも、スーツの硬さがやわらぎます。2枚目の写真の「デミルクス ビームス(DEMI-LUXE BEAMS)」は、無造作にスカーフを巻いて、パンツスーツに気負わない雰囲気をもたらしました。スーツの生地自体もナチュラルな風合いで、自然体テイストを帯びています。サステナビリティが主題になる今季は、こうした質感がオントレンドの装いに導いてくれるはず。全体に1970年代ムードを漂わせているのも、今の気分にマッチ。オフの日はフラットトングサンダルで、足元ものどかに。

◆機能性をミックスして、
セットアップをもっと軽やかに

 ジャケット×ボトムスがセットアップの基本形ですが、今ではシャツやブルゾン、コートとの組み合わせも実現しています。要するに、セットアップはボトムスの相棒を選び放題なのです。「トゥモローランド(TOMORROWLAND)」からはワークウエアを思わせるブルゾン×パンツのセットアップが登場。ポケットもたくさん備わっていて、ユーティリティーなたたずまい。ボーダー柄のカットソーをストールのように巻くのも、オフの日向きの小技です。

 基本形のコンビネーションでも、ディテールを工夫すれば、別テイストを呼び込めます。2枚目の写真は「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ(BEAUTY & YOUTH UNITED ARROWS)」のセットアップ。「フィーニー(PHEENY)」と「ディッキーズ(DICKIES)」とのトリプルコラボレーションです。ジャケットは両胸のドローコード付きビッグポケットが機能性を感じさせます。襟からの建て付けも全体にワークウエアのよう。パンツは短め丈で、若々しくキュートな雰囲気。ダブルベルトもアクティブなディテールです。

◆ショートパンツはワントーンや
長短コーデで大人テイストに

 ショートパンツのセットアップは春夏はもちろん、秋まで着られる重宝アイテムです。ボーイッシュに見えがちでしたが、洗練が進んだ今季は上品にまとえるタイプが提案されています。「ジーユー(GU)」の2020年春夏コレクションでは、ベージュでまとめたジャケット×ショートパンツのセットアップがお目見え。ニットトップスとシャツも組み込んで、色味をずらした同系色でそろえる“トーン・オン・トーン”コーデに整えれば、このようなきれいめルックに仕上がります。ボリューム感のあるダッドスニーカーで足を華奢に見せて。

 シャツとショートパンツもセットアップとして組み立てられます。ジャケットレスだから、夏でも涼やか。おすすめはロング丈のシャツ。羽織り物代わりに活用すると、着丈が長い分、パンツとの丈違いが際立って縦長に映ります。写真2枚目は「ユニクロ(UNIQLO)」の20年春夏コレクションから。フェミニン感を帯びたパウダーピンクのロングシャツとショートパンツのセットアップです。長短の丈違いコーデが効くうえに、程よく足がカムフラージュされるので大人女性も安心感があります。足元はローファーできちんと感をプラスしました。

 一見、ミニマルなパンツスーツも、インナーや靴との合わせ方次第で、何通りもの着こなしが可能になります。ワークウエアからのインスパイア系や、ショートパンツとのコンビが現れ、選択肢が一段と広がってきました。きれいめにまとうイメージがあったスーツやセットアップを、自分好みのアレンジで着こなし、まだ試していない引き出しを開けてみるチャンス到来です。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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米中貿易摩擦からの、アフリカ! エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年9月4日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

米中貿易摩擦からの、アフリカ!

 もはや泥沼ですね……米中貿易摩擦。クリスマス商戦に影響のあるアイテムは適用が延期されましたが、中国からの多くのアパレルやシューズの輸入品に追加関税がかかり、米国企業は値上げか企業の利益を削って価格据え置きか、どちらか選択せざるを得ない状況に追い込まれています。15%の追加関税って、大概の利益を吹き飛ばしますし、もともとが薄利だったら値上げは必至……。政治的駆け引きの結果の値上げって、消費者だけでなく、小売りサイドのマインドも落ち込ませますよ……。

 二大市場が出口の見えない“我慢比べ”に入った今、明るい兆しを探そうとするとアフリカに行き着きそうです。

 高関税を避けるべく、米アパレル企業は調達先を中国から東南アジアの国々へ移していますが、大きなポテンシャルを秘めるのがアフリカです。アフリカは人口が増え続けており、2050年には世界の人口の4分の1を占める見通しです。しかも若年層の比率が高いので、「この先50年は好調が続く」といわれています。

 まだまだ額は少ないですが、対米アパレル輸出も大きく成長しており、「米中貿易摩擦や中国を含む世界各国での人件費の上昇を踏まえると、そうしたリスクが比較的低いアフリカが“世界のアパレル生産工場”となるチャンスは大いにある」というモロッコ投資輸出促進庁コンサルタントの弁には説得力があります。

 ストライプインターナショナルも来年からエチオピアでの生産を本格化するとか。そう遠くない将来、“Made in Etiopia”の文字を目にする機会が訪れるかもしれませんね。

 アフリカは昨今、生産地としてだけでなくクリエイションが生まれる地としても注目されています。ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)やカニエ・ウェスト(Kanye West)といったアフリカ系アメリカ人のブラックコミュニティーが、ファッションシーンにおいて影響力を増していることは言うまでもありませんが、今年のLVMHプライズには初めて2人のアフリカ出身デザイナーがファイナリストに選出されています。

 「ファッションにおける新しさは、もはやテクノロジーやイノベーションをもってしないと生まれないのかも」と私自身思うことがあるのですが、もしかしたらアフリカには私たちにとって新鮮な美の世界が広がっているかもしれない――そんな期待も抱かせます。

 パリ現地時間の9月4日夕方、LVMHプライズの受賞者発表が行われます。もちろん昨年の「ダブレット(DOUBLET)」井野将之さんに続いて、今年は「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の森永邦彦さんに優勝してもらいたいですが、ここでアフリカ出身デザイナーが受賞すると、さらにアフリカへの注目度が増すのは間違いないでしょう。なんとなくですが、今アフリカからの風が吹いているように感じます。

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「私は人々が差別される世界にはいたくない、自分とは違うことへの理解と尊重がある世界にいたいのだ」 by マルコ・ビッザーリ

Marco Bizzarri「GUCCI」社長兼最高経営責任者(CEO)

 私は人々が差別される世界にはいたくない、自分とは違うことへの理解と尊重がある世界にいたいのだ(「WWD JAPAN.com」2019年12月13日公開、“黒人差別”と物議を醸した「グッチ」 CEOが釈明、独占インタビューを公開から)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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ローファーアレンジと新作“バルーン バッグ”に注目 「ロエベ」2020年春夏バッグ&シューズ

 クラフツマンシップの探求を続けるジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)=クリエイティブ・ディレクターによる「ロエベ(LOEWE)」の2020年春夏コレクションは、ギュピールレースやシャンティイレースといったさまざまなレースを駆使している。シルエットや切り替えでひねりを効かせつつ、エレガントな仕上がりだ。

 その足元を飾ったのは、ローファーのデザインを取り入れた多彩なシューズ。ストレッチの効いたニーハイブーツをはじめ、甲深のハンサムなミュールや、バイカラーのチャンキーヒールパンプス、スクエアトゥのショートブーツなどをそろえる。そのほか、クロシェ編みのローヒールシューズや、バレエシューズと1970年代のトラックシューズのスタイルを掛け合わせたスニーカー“バレエ ランナー”の新色など、ノスタルジックなムードを感じるアイテムもラインアップする。

 一方、丸みのある形状のバッグが数多く登場したランウェイで一際目を引いたのは、新作 “バルーン バッグ”だ。トップにレザーのドローストリングを配した巾着型で、固さの異なる2種類のレザーや異素材の組み合わせが特徴。コントラストカラーのコバをアクセントにしたスムースレザータイプからバイカラー、ラフィアやキャンバスとレザーのコンビまでを提案する。S M Lの3サイズ展開で、MとLにはショルダーストラップだけでなくトップハンドルも備える。価格帯はSで23万8000〜26万8000円。また、ミラノサローネで発表した籠細工の作品から発展したレザーの紐を編み込んだバケットバッグをはじめ、多彩なバケットバッグも披露。立体的なフラワーモチーフやビーズの装飾、バンブーのハンドルがポイントになっている。

 さらに、既存モデルも豊富にアップデートしている。ノット(結び目)のディテールが特徴的な“フラメンコ”シリーズからはクラッチ(23万8000円)が新登場。取り外し可能なショルダーストラップ付きで、使い勝手も良さそう。アンダーソン就任以降のアイコンバッグとなっている“パズル バッグ”は象徴的なパネルデザインをステッチで再解釈した。クリーンなデザインにアレンジした。18年に登場して以来人気を集めているラフィアのカゴバッグも健在。より洗練されたデザインも登場し、バリエーションが広がっている。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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ローファーアレンジと新作“バルーン バッグ”に注目 「ロエベ」2020年春夏バッグ&シューズ

 クラフツマンシップの探求を続けるジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)=クリエイティブ・ディレクターによる「ロエベ(LOEWE)」の2020年春夏コレクションは、ギュピールレースやシャンティイレースといったさまざまなレースを駆使している。シルエットや切り替えでひねりを効かせつつ、エレガントな仕上がりだ。

 その足元を飾ったのは、ローファーのデザインを取り入れた多彩なシューズ。ストレッチの効いたニーハイブーツをはじめ、甲深のハンサムなミュールや、バイカラーのチャンキーヒールパンプス、スクエアトゥのショートブーツなどをそろえる。そのほか、クロシェ編みのローヒールシューズや、バレエシューズと1970年代のトラックシューズのスタイルを掛け合わせたスニーカー“バレエ ランナー”の新色など、ノスタルジックなムードを感じるアイテムもラインアップする。

 一方、丸みのある形状のバッグが数多く登場したランウェイで一際目を引いたのは、新作 “バルーン バッグ”だ。トップにレザーのドローストリングを配した巾着型で、固さの異なる2種類のレザーや異素材の組み合わせが特徴。コントラストカラーのコバをアクセントにしたスムースレザータイプからバイカラー、ラフィアやキャンバスとレザーのコンビまでを提案する。S M Lの3サイズ展開で、MとLにはショルダーストラップだけでなくトップハンドルも備える。価格帯はSで23万8000〜26万8000円。また、ミラノサローネで発表した籠細工の作品から発展したレザーの紐を編み込んだバケットバッグをはじめ、多彩なバケットバッグも披露。立体的なフラワーモチーフやビーズの装飾、バンブーのハンドルがポイントになっている。

 さらに、既存モデルも豊富にアップデートしている。ノット(結び目)のディテールが特徴的な“フラメンコ”シリーズからはクラッチ(23万8000円)が新登場。取り外し可能なショルダーストラップ付きで、使い勝手も良さそう。アンダーソン就任以降のアイコンバッグとなっている“パズル バッグ”は象徴的なパネルデザインをステッチで再解釈した。クリーンなデザインにアレンジした。18年に登場して以来人気を集めているラフィアのカゴバッグも健在。より洗練されたデザインも登場し、バリエーションが広がっている。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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村上隆さんへラブコール エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月16日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

村上隆さんへラブコール

 名刺ひとつで会いたい人に突撃できるのがこの仕事の魅力ですが、今インタビューをしたい一人がアーティストの村上隆さんです。という訳で先週、名刺を持って中野ブロードウェイにある「アニマンガ・ジンガロ」で開催されたビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)とのコラボイベントで村上さんにアタックしてまいりました。

 中野ブロードウェイと言えば、漫画、おもちゃ、時計(ここ重要)、食堂(カフェではない)など趣味と生活が混然一体としたショッピングビルですが、公式ホームページによるとここ数年は「ベンチャービジネスの起点として注目を浴びており、ビッドコインや3Dプリンターなどの店舗も増えている」そうです。横に長い構造からか、エスカレーターがうまく見つけられず階段で昇降しがちなこのビルはホント不思議な存在です。

 村上隆さん率いるカイカイキキはこの中野ブロードウェイに、ギャラリーやバーなどいくつかのスペースを構えており、国内外の村上ファンのメッカとなっています。昨年12月にお土産ショップ「トナリ ノ ジンガロ」をオープンした際には、フランスのラグジュアリーブランドのCEOがプライベートで訪れており、偶然会った私に「ところでここはどういう場所なのか?」と質問してきて答に窮しました。青山や銀座から車で来てこのビルに突然入ったらさぞかし不思議でしょう。「東京の中心から電車で20分、サブカルのシンボルです」と答えましたが、さて理解してもらえたかどうか。そのあと彼は、ご家族と一緒にブロードウェイ内の居酒屋へ向かったそうなのできっと体感で理解してくれたと思います。見るべきモノは自分の目で見るCEOのフットワークの軽さは見習いたいですね。

 このCEOの訪問が象徴するように、村上さんはファッション、特に欧米のラグジュアリーとも深くつながりを持っています。マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)時代の「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」にはじまり、カニエ・ウェスト(Kanye West)からつながるヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)との親交はよく知られているところです。「コンプレックスコン(ComplexCon)」でのアートディレクターとしての活躍や「ポーター(PORTER)」とのコラボも話題です。

 そんな村上さんから今のファッションやファッション業界がどう見えるのか、ぜひ聞いてみたい。現在は、日本のメディアのインタビューには応じていないそうで、そう聞くとさらに燃えます!「芸術起業論」や「芸術闘争論」(いずれも幻冬舎)を改めて読み、彼が繰り返し説いてきた「芸術には、世界基準の戦略が必要である」「文脈の重要性」などの意味を今一度考察しながら、アタックを続けたいと思います。

 なお、ビリー・アイリッシュとのコラボイベントの見どころは、ビリーの巨大スカルプチャーもですが、100枚以上の原画に村上隆さんが書き込んだ指示出しの言葉をじっくり読むのが個人的にはオススメ。アートってこうやってできあがってゆくのだ!と知ることができるのと同時に、「広島くん、どうしよう?」「広島くん、これもどうしよう?」など、スタッフ?の「広島さん」の名前が多出して信頼関係が垣間見えたりして、面白いです。

【追記】
こちらのコラムを執筆後に村上隆さんへのインタビューが実現しました。「WWDジャパン」2019年9月7日号の特集「村上隆、超ロングインタビュー なぜ世界のストリートが彼を求めるのか」をぜひお読みください。

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

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ピッティ名物のコスプレーヤー“ピッティくん”に直撃 素顔は八百屋や薬剤師だった

 イタリア・フィレンツェで1月7〜10日に開催されたメンズファッション最大の見本市、ピッティ ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMAGINE UOMO以下、ピッティ)に初参加しました。「WWD JAPAN.com」やメンズ誌でのピッティのスナップ記事を見ると、仕立てのいいスーツに身を包んだクラシコイタリアが溢れており、他都市とは違ったストリートスタイルが見られるのだろうと期待に胸を膨らませていました。すると、現地で合流した村上要「WWD JAPAN.com」編集長と大塚デスクに「ピッティくんのスナップ取材もお願いします!」と唐突に言われ、私の頭の中に「ピッティくん……?」とはてなマークが飛び交いました。昨年の記事を読み見返してみると、ピッティくんとは「コスプレーヤー」「サクラ」とも形容され、派手な出で立ちで会場内をたむろするピッティの風物詩的存在の人々のことを指すようです。ピッティ初心者の私にピッティくんと普通の来場者の見分けがつくだろうか——と不安に思っていたのですが、全く問題ありませんでした!だってピッティくんはファッションというより衣装をまとっている風貌でポージングを取る、なんとも不自然な様子だったから(笑)。そんなピッティくんの生態を再び探るべく、思い思いの服装で何時間も外でたむろする彼らに突撃取材をしてきました!

ヤンチャな髪型紳士=タクシードライバー

 まず声を掛けたのは、若そうな二人組の男性。地元フィレンツェで生まれ育った幼馴染みで、マティアくん(右)は、ピッティくん歴4年というカジーマくんに誘われて今回初参加なのだとか。この日のために洋服を新調し、ヘアスタイルを整えてバッチリ気合が入っています。マティアくんの普段の顔はなんと、タクシードライバー!「ファッションこそ僕が最も情熱を傾けていること。仕事の都合でピッティに参加できなかったから、今回は念願なんだ。雰囲気といい人々といいとても刺激的で、参加できてうれしい」とはしゃぎ気味。そんな彼の隣で4年目のカジーマくんは先輩風を吹かせるように、落ち着いています。彼は地元の大学で映画製作を学んでいる学生だそう。実は昨年の記事でもカジーマくんは登場しており、記事の写真を見せるとクールな彼が一変し「僕だ!」と興奮気味に驚いていました。高校生から大学生となり、服装も昨年に比べてかなり大人っぽく変化しており、なんだか若者の成長を見届ける親戚のおばさんのような気分になりました(笑)。

葉巻デカすぎ紳士=ファッションデザイナー

 わらが編み込まれた風変わりなジャケットの後ろ姿を見て、思わず駆け寄って声を掛けたのはアルマンドさん。ピッティに参加して約8年という彼は、パリ在住のフリーランスのファッションデザイナーだそうで、着用しているのは全て自身がデザインした洋服。ステッチのデザインが好きで、ある日、糸の代わりにわらをステッチに使用したらイメージにハマったため、それ以来わらを多用しているそうです。洗濯方法が気になったので聞いてみると「うーん……そこが難しいから商品化できないんだ」と正直に洗っていないことを告白。笑顔がチャーミングで愛くるしく、マスコット的存在として私や来場者を癒してくれました。そして手には巨大な葉巻を持っていて「これも含めて僕のスタイルさ」とカメラの前でポージングを披露します。会場では足を運んだ先々で声をかけられており、ピッティくんの中でもベテランのようです。

大きいバッグの旅人風紳士=南アフリカの薬剤師

 映画「オリエント急行殺人事件」に出てきそうな、洒落た旅人風のベニーさんは南アフリカからイタリアへ約16時間かけてピッティ に参加。職業はファッション関係でも旅関係でもなく、薬剤師というから驚きました!「ファッションへの情熱は祖父と父から受け継いだDNAなんだ。家族からスタイリングについてたくさん学んだ」と熱を帯びてファッション愛を語ってくれました。薬剤師という職業も、父に習って同じ道を進んだのだそう。ファッション関係の仕事を視野に入れなかったのかと聞くと「南アフリカにはファッションという仕事自体がないからね。この先可能性があればファッションを仕事にしてみたいとは思うけど」と言っていました。アフリカは今、ラグジュアリーファッション産業から熱視線を注がれる新興国なので、今後彼にも機会がめぐってくることがあるかもしれません。

ダンディー紳士=マーケティング・ディレクター

 お次はちょっと雰囲気を変えて、ダンディズムが香り立つ二人組に取材。インフルエンサーのヴィンチェさん(左)と「プラザ・ウオモ(PLAZA UOMO)」のマーケティング・ディレクター、ルドヴィさん。ここで3年前に出会い年2回会うピッティくん仲間だそう。ヴィンチェさんはピッティに参加する複数のブランドから衣装を提供してもらっており、朝から夕方まで会場内に滞在するのだとか。「エレガントに佇むこと——それが俺の仕事」とサラッと語れてしまうあたりは、“現代ピッティくん界の帝王”のようでした(笑)。一方ルドヴィさんは、マーケティング・ディレクターとして来場者の服装を見てリサーチするという超マジメな目的があるそうです。ピッティ参加歴は10年目ということで、どんな変化を感じているのか質問すると「とにかくスーツのクオリティーが上がっている。イタリアは素晴らしい遺産を持っているよ。同じ情熱を持った人々が集まるピッティは特別な空間で、ここで出会う仲間はみんなファミーリア(家族)さ」との返答でした。

富豪風カップル=八百屋夫婦

 仲間を「ファミーリア」と表現するのはイタリアらしいなと感じましたが、実際に家族でピッティに参加する人々にも出会いました。アベーレさん(右)とエマさんは、ボローニャ地方で八百屋を営むご夫婦。二人とも洋服作りが趣味で、着用しているのは全て二人でデザインした共同製作だそうです。「ピッティは僕らにとって非日常を味わえる、年2回のお楽しみであり舞台だよ」。一緒に八百屋を営み、共通の趣味を持ち、ピッティに情熱を注ぐとっても仲むつまじいご夫婦を見て「ソウルメイトってこういう事なのかな」と思いました。

映画スター風カップル=広報活動に勤しむ凸凹夫婦

 ご夫婦でも全然雰囲気が違っていたのがペアルックのコンビ。名前は二人ともアレクサンドルさんなので、夫婦で同姓同名という珍しい二人。互いにフリーランスのファッションデザイナーで、ピッティ参加2年目です。自身がデザインした洋服をペアルックで毎回着用し、プロモーション活動をしているのだそう。奥さんの方は写真に撮り慣れている感じでしたが、旦那さんは少しシャイな様子でツーショットを撮ろうとしても離れてしまい、なかなかキャッチできませんでした。なんだか二人の対照的な人柄が凸凹夫婦という雰囲気ですが、だからこそバランスが取れているように感じ「夫婦といってもさまざまな関係性があるな」と学びました。

 ピッティくんの取材は予想以上にとても楽しいものとなりました。なにより、彼らのファッションに対する情熱がすさまじく、圧倒されっぱなし。私もファッションが大好きでそれを生業にすることを選びましたが、着飾ることよりもファッションを取り巻く環境(人、文化、歴史、政治など)の方に関心が高いので、ファッションという同じ共通点はあっても方向性の違いを感じられたのが面白かったです。もしもファッションや洋服に情熱を傾け、着飾ることが大好きな方はピッティくんデビューしてみてはいかがでしょうか?遠く離れたイタリアで、ファッション仲間のファミーリアを作れるかも。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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パリコレで大活躍した電動キックボードは日本でも広がる? 新たな交通手段「ライム」を体験

 日本からパリに来た知人の多くが「電動キックボードがパリでこんなに流行っているなんて!」と驚いたように口にします。街中ではビジネスマンが通勤時の足として使用し、旅行者のカップルは観光名所周辺を走らせたり、10代の若者は風をなびかせ飛ばしていたりと、とにかく利用者が増えています。2019年9月のパリ・ファッション・ウィーク中には、会場から会場へと電動キックボードで移動する業界人の姿も多く見かけました。20年1月のパリ・メンズ・ファッション・ウィークやオートクチュール・ウイーク中は大規模な鉄道ストが予想されるため、移動手段として検討している人も多いのではないでしょうか。

 フランスで17年に導入された電動キックボードのシェアサービスは、パリジャンの交通手段を劇的に変えました。電動キックボードよりも先に普及していた自転車と電動自動車のシェアサービスは滑り出しこそ良かったものの、回収の手間やステーションの管理維持、代替えコストの高額さ(支出は自治体の税金)で批判を浴び、一気に低迷。そこに、電動キックボード事業を展開するアメリカのスタートアップ企業「ライム(LIME)」が登場し、利用者が飛躍的に拡大したのです。その「ライム」は日本市場への参入を2019年に明言し、9月には福岡県で実証実験を行いました。同年11月には自民党議員による電動キックボードの国内導入を話し合う議会が開かれるなど、国も前向きな姿勢を見せています。とはいえ、他国で普及しているからといって交通事情の異なる日本でも同じように広まるとは限りません。今回は筆者が、パリで電動キックボードの需要が高い理由を探るべく、実際に体験してみました。一輪車は得意なのに自転車は上手く乗りこなせない変なバランス感覚の持ち主ですが(笑)、すぐに乗りこなすことができ、パリの街をスイスイと周遊してきました!

渋谷〜新宿の距離を18分で移動

 スタート地点は6区サン・ジェルマン・デ・プレのサン・シュルピス教会。ノートルダム大聖堂に続くパリで2番目に大きな教会で、映画「ダ・ヴィンチ・コード」の舞台になったことでも有名です。ちなみに「ロエベ(LOEWE)」オフィスは教会の目の前にあるビルで、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)がオフィスから見えるサン・シュルピス教会の美しい眺めをインスタグラムによくアップしています。ここから目指すのは百貨店ギャラリー・ラファイエット(GALERIE LAFAYETTE)シャンゼリゼ通り店。グーグルマップで検索すると他の交通手段同様に電動キックボードのルート、所要時間などが表示されます。距離にして3.9km、時速10〜15kmで所要時間は18分でした。およそ渋谷のスクランブル交差点から伊勢丹新宿本店までの距離と同じくらい。かかった費用は4ユーロ(約480円)で、同じルートでタクシーを利用すると約15ユーロ(約1800円)、地下鉄はパリ市内が一律1.9ユーロ(約230円)です。地下鉄の方が料金は安いものの、一度乗り換えを挟んで所要時間約20分に加え、地下道の階段の登り降り(パリはエレベーター・エスカーレーターが東京よりも少ない)を考慮すると電動キックボードの方がかなり楽に感じられました。

 次の目的地は、クリスマスマーケットが出ているヴァンドーム広場。ギャラリー・ラファイエットのシャンゼリゼ通り店から2.3kmの距離を11分で3ユーロ(約360円)でした。東京だと恵比寿駅から表参道駅へと同等の距離で、電車を利用した場合はJR山手線と東京メトロを乗り継いで約10分、304円です。所要時間はほぼ変わりませんが、電動キックボードだと電車の混雑や乗り換えを避けられます。

交通が不安定な海外では活躍

 実際に体験してみて、筆者個人としてはメリットを大きく感じました。パリでは日本のように時間通りに電車はまず来ませんし、予告なく突然途中下車を強制されたりと、思いがけないことが結構あります。それがパリ生活の楽しみの一つだったりもしますが、予定通りに目的地へと行けずいら立つこともしばしば。電動キックボードだと自分のペースで移動できるうえに、たとえ通行止めの道路があってルートを外れたとしても電車ほどの大きな遅れにはなりにくいと思います。また、パリの街は一方通行の道がとても多く渋滞が日常的なので、立ち往生することなくスイスイと進められる電動キックボードの利便性は想像できますよね。ちょうど体験を行なった時期は、フランスの公共交通機関がストライキを起こしている期間だったため電車もバスも完全にストップしており、タクシーを利用すると通常の3〜4倍の価格でした。フランスのストライキ文化や交通、道路事情を考慮して、電動キックボードの需要が高まるのは納得ではないでしょうか。

多発する事故が最大の課題

 電動キックボードはいいことづくめのように見えますが、日常的に利用しているというヘビーユーザーの友人は、デメリットも教えてくれました。「アプリを使って『ライム』を見つけても、本体のバッテリー切れが多く、探し続けてかなり歩いて時間を無駄にしてしまうことが最大の欠点。他社と比べて利用者が多いためか、『ライム』は特にバッテリー切れが多発する」。また、利用後はアプリで本体のロックを掛けて終了を知らせるのですが、スマートフォンのバッテリーが切れた場合はロックが掛けられないため、料金が上がり続けてしまうといった事態も経験したそう。

 さらに、昨今フランスで問題になっているのは多発する事故です。パリで電動キックボードのシェアサービスが開始した当初は、法整備が整っていないため無法状態でした。車や歩行者との事故が多発し、昨年には80歳の老人が電動キックボードにひかれて死亡する事故まで発生しました。これを受けて9月には、歩道を走行した場合最高で135ユーロ(約1万6200円)、時速25km以上で走行すると1500ユーロ(約18万円)の罰金と新たな規制が敷かれたのです。基本は自転車レーンを走行することが義務化され、現在事故件数が減少したのか精査中といったところ。

 日本では原動機付自転車(いわゆる原付)に該当する電動キックボードに対して、前照灯や方向指示器の設置、ヘルメット着用などの法規制について議論がなされています。また、自転車レーンがまだまだ少ない日本では、走行するレーンが歩道か車道かで混乱を招きそうです。日本でのサービスがもしこの先開始されるならば、他国の事故事例を可能な限りたくさん参照して最大限の事故予防に務めてほしいものです。メリットとデメリットを踏まえて、みなさんは日本で電動キックボードを利用したいと思いますか?

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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フランスが職人の後継者不足問題に立ち上がる ラグジュアリー産業に年間1万人の雇用を目指すプロジェクトが始動

 日本では伝統工芸に携わる職人の後継者不足が長年問題視されているが、それはモードの国であるフランスも同じ。特にプレタ・ポルテが台頭してからの1980〜90年代には、衣料品や皮革産業で数千の職が消滅し、職人たちは仕事を失った。以降、社会的に不安定な職と認知されるようになり、専門技術職を奨励する親や教師は少なくなったために後継者不足に陥ったのである。

 そんな現状を改善すべく、フランス国家機関のラグジュアリー&モード産業戦略委員会(Le Comite Strategique de la Filiere de la Mode et du Luxe)が新たなプロジェクト「サヴォワール・プール・フェール(Savoir Pour Faire)」を2019年10月に立ち上げた。同プロジェクトは、フランス全土で専門技術職の訓練希望者と求職者を募集するプラットフォームだ。ラグジュアリー&モード産業戦略委員会に属する服飾や宝飾品、革製品、靴、時計製造、食器の分野のフランス企業が参加している。同委員会の委員長を務めるギョーム・ドゥ・セーヌ(Guillaume de Seynes)=エルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL) エグゼクティブ・バイス・プレジデントは、ラグジュアリー産業に年間1万人の雇用を創出することを任務として掲げる。

 フランスにおいて、ラグジュアリーファッション産業は国の経済を支える中核である。雇用経費を含めるとGDPの2.7%を占める高い割合で、現在100万人の雇用者が存在する。自動車製造業や航空産業よりも高い、年間1540億ユーロ(約18兆5000億円)の売上高を出しているにもかかわらず、中小企業と中堅企業の多くは人材不足の問題を抱えているのだ。その主な原因は、雇用形態と賃金にあると考えられる。卓越した技術を身につけた専門技術職は修行期間が長い割に職が少なく、給与は高くない。過去の例を見ると、職自体が無くなる可能性も考えられるため、非常に不安定な職業といえる。

雇用形態や給与にもこだわる

 同プロジュクトの指揮を取るセーヌ委員長とアパレル産業連合の会長マーク・プラダル(Marc Pradal)は、まず専門技術職の“不安定さ”を解消するために、採用時から無期限雇用(Contrat a Duree Indeterminee、通称CDI)の契約を積極的に進める取り組みを行った。実際に同プロジェクトの求人情報欄を見ると、無期限雇用での募集が多い。日本とは雇用形態が異なるフランスには、無期限雇用(日本の正社員に相当するが、中にはアルバイトも含まれる)と有期雇用(Contrat a Duree Determinee、通称CDD)があり、ファッション産業に限らず多くのフランス企業は有期雇用で契約して試用期間を設けるのが通例だ。期限は最長18カ月だが、大体は3〜6カ月間の契約期間が平均的で、更新は一回だけ可能。更新後も継続して雇用する場合は無期限雇用に切り替えなければならない。フランスは労働者の権利が守られているため福利厚生は日本より優れているが、その分企業側は無期限雇用に対して非常に慎重にならざるを得ないのが現状である。入社時から無期限雇用での契約は企業にとってリスクを伴うものの、求職者にとっては魅力的に映る。無期限雇用で採用する各企業に対して同委員会が何らかのサポートをするのだろうが、詳細は明らかにされていない。

 求職者にとって雇用形態と同じくらい重要なのが給与だ。現在のところ専門技術職の給与は、フランスが定める最低賃金の月額1521ユーロ(約18万2500円)からスタートするのがほとんどである。例外的に、フランス服飾連盟(Federation de la haute couture et de la mode)はオートクチュールのパタンナーに対して最低でも月額2225ユーロ(約26万7000円)を保障している。同プロジェクトは雇用形態の改善に取り組んではいるものの給与の改正には消極的で、セーヌ委員長はその理由を「賃金の上昇は企業の競争力を妨げる」と警告をした。

 世界的には、人工知能(AI)が熟練の職人の技術を継承する開発に取り組み、将来的に職が失われていくと危惧されるなかで、同プロジェクトはその流れと真っ向から対抗する。専門技術職の訓練希望者や求職者と企業が繋がる大規模なプラットフォームがこれまでなかったため、職人と企業をつなぐ架け橋として大きな価値を持ちそうだ。雇用形態や給与に関しては改善点はあるものの、少なくとも若年層に対しての専門技術職のイメージ向上には役立つのかもしれない。同委員会に所属する「シャネル(CHANEL)」は職人育成と雇用拡大のために、パリ北部の街ヴェルヌイユ・アン・アラットにある皮革製造工場の拡張を明言するなど、各企業積極的な姿勢を見せ始めている。メイド・イン・フランスの工芸を継承していくために国を挙げて職人を育成し、彼らの地位を守っていく動きは今後も強まりそうだ。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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美容師の新しい働き方を体現する宮永えいと 「今は週4美容師で週3動画制作」

 東京・原宿のヘアサロンで店長を務めた後、2018年に独立。フリーランス美容師として、個室シェアサロン「ゴウトゥデイシェアサロン(GO TODAY SHAiRE SALON)」でサロンワークをこなす宮永えいと。美容師をライフワークとしながらも、仕事としての動画制作や、メンズメイクに関する情報発信を行うなどマルチに活躍する彼に、美容師の新しい働き方について聞いた。

WWD:以前のヘアサロンで働いていたときと、シェアサロンで働くようになった今とでは、美容師としての働き方は変わった?

宮永えいと(以下、宮永):めちゃめちゃ変わりました。給料が3倍になり、技術の幅が広がったと思っています。サロンには独自のスキルの“うり”があって、以前はそのスキルのみを磨いていましたが、今はそれぞれ所属していたサロンが異なる美容師が集まっていて、お互いのスキルをシェアしているので、いろいろな知識や技術を習得できるようになりました。給料が3倍になったのをきっかけに、サロンでの勤務日を減らして、動画制作に割く割合を増やしています。

WWD:マルチに仕事をしている印象があるが、今はどういう働き方をしている?

宮永:“ライフワークは美容師”と考えているので、ベースはサロンワークです。週4日は「ゴウトゥデイシェアサロン」でサロンワークを行って、残りの3日は動画制作という週が多いですね。フリーランスになったのが1年前で、何をやろうと思ってフリーランスになったかというと、広告や動画やメディアがやりたかったからでした。母がもともとファッション誌の制作に関わっていたこともあり、編集や発信することに興味があって、独立して1番最初にやったのは動画の制作チームを作ることでした。以前に所属していたヘアサロンで美容師をやっていたときにできたコネクションを使ってメンバーを集めました。そのチームでプロモーションビデオや企業のウェブCM、インスタの広告動画などを請け負いで制作する一方で、自分で「ユーチューブ」の発信もやっています。

WWD:動画制作のノウハウはどうやって学んだ?

宮永:まず「自分にも動画制作ができる」と思ったきっかけが、前のサロンを辞める前にあったんです。お客さまの女の子が、来店するたびにヘアカラーに関する知識が増えていて、ある日僕でも知らない施術を彼女が知っていたんです。驚いて何で知っているのか聞いたら、「インスタグラムで毎日カラーについて調べまくっている」と。そのとき、SNSには専門的な知識が溢れていると、改めて知ったのと同時に、発想を変えれば僕にもできると思ったんです。インプットしまくれば、プロの知識を超えられる。その日から1年間くらいはずっと動画を見ていました。企画書の作り方とかもインターネットで学んで、今ではラフやストーリーとかも全部自分で考えて作っています。

WWD:メンズメイクに出合ったきっかけは?

宮永:「ファイブイズム バイ スリー(FIVEISM × THREE)」のバータイプのファンデーション「ネイキッドコンプレクションバー」が発売されるときに、公式サイトを見たのがきっかけですね。それまで僕のメンズメイクのイメージは、韓国好きな男の子や(当時の)りゅうちぇるが行っているメイクで、女の子と同じようにきれいさや華やかさを求めているものだったんです。でも「ファイブイズム」はデビッド・ボウイをフィーチャーするなどそれとは違ったので、何か違うなと引っかかりました。女の子らしいイメージとは違うメンズメイクに気付いて、メンズメイクの可能性を感じるようになりました。そして、「営業などにおいて自分の印象を上げるためのビジネスマンメイクが、これからくるんじゃないか」とひらめいたんです。そこで発信を始めるために、ビジネスマンメイクをインプットしまくってプロメイクを越えようと思い始めた矢先、そのインプットに使うコンテンツがなさ過ぎることに気付いたんです。それで、ないなら自分で動画を作ってしまおうと思いました。

WWD:メンズメイクの動画の大半が、ビジュアル系になるためのものでしたよね。

宮永:そうですね。僕が今発信しているのは、ビジネスマン向けの“身だしなみメイク”。男性の“あるある”で、20代は「キラキラしているね」と言われるのに、30代になると「覇気がないね」と言われてしまう。その原因の1つは、肌や自分に対してのあきらめだと思うんです。ひげが青くなるのは仕方がない、くすんでいるのもクマも仕方がない……。男性はそうなりがちだけれど、女性は年齢を重ねてもメイクでちゃんときれいにしている。男性もそういうところをアプローチしていけば、ずっとフレッシュな印象で、営業マンとして仕事に勤しむことができるのではないかと思っています。

WWD:「ユーチューブ」って短くて見やすいものの方が再生回数が多いイメージなのですが、宮永さんの動画は長いですよね。何か戦略があってのことですか?

宮永:そもそもユーチューバーになりたいわけではないので(笑)、再生回数はそれほど意識していないですね。それより今は、メンズメイクの知識を正しく、丁寧に発信していくことが大事で、メンズメイクの市場を作る期間だと思って「ユーチューブ」を活用している感じです。

WWD:これまでメンズメイクの情報を発信してきて気付いたことは?

宮永:「メンズメイクに一番近い領域の人ってどんな人だろう」と考えたときに、以前はファッションが好きな人だと思っていました。なので、ファッションの発信もすることでメンズメイクの入り口を広げようとしてきたんです。でも最近分かったことは、ファッション好きな人は服でお金が消えていってしまうので、真の消費者にはならないということでした。そこでどんな人がターゲットになるのか改めて考えたところ、ガジェット系や革製品など、男っぽいものにオタク気質がある人だと気付きました。そういう男性って、収集癖があってカスタムが好きな人が多く、そこがメンズメイクアイテムにリンクするんです。メンズメイクは、ブランドによって効果や効能、成分が違うので探求心をくすぐられるし、カスタムもできる。中学生の頃、ヘアワックスを組み合わせて効果を変えることにハマった男性は少なくないと思いますが、その感覚ですね。今はそういう人たちをユーザーだとイメージして動画配信しています。

WWD:配信するメイク動画のこだわりは?

宮永:僕がやっているのは、華やかにきれいにするメイクではなく、“修正”なんです。メイクはスキンケアの延長線上にあると思っていますね。“スキンケアを年中頑張ったけど、なくせない悩みをメイクで3秒で直そう”がコンセプトですね。それを分かってもらうために必死で、ファンデーションを「フェイススタイリング」と呼んでみるなど、使用する文言も試行錯誤しています。

WWD:宮永さんの動画って、自身が出演してメイクしていることが多いですが、自身でメイクしていて気付いたことは?

宮永:前のサロンにいたときは、大半のお客さまから「えいとさん疲れていますね」って言われていたんです。当時は僕もスキンケアなどはしていなかったのですが、今よりも働いている時間は少なかったですし、疲れの度合いでいえばそこまで今と変わらないのに……。でも最近は「疲れていますね」と言われなくなりました。多分、ファンデーションなどをぬっているからで、毛穴とかクマとかを隠すことによってトーンアップして、疲れが見えなくなるからなんです。人と関わるうえで、「疲れてますね」って相手に言わせてしまうのは、相手に気をつかわせてしまっていることだと感じています。今はそれがなくなって、フラットに接することができていると思います。

WWD:2020年は、メンズメイクはどうなると思う?

宮永:現状でいうと、メンズメイクアイテムで“攻めている”のは「ファイブイズム」しかないんです。でもいろいろなメーカーが、探り探りでBBクリームなどを展開し始めています。それが徐々にビジネスとして軌道に乗り、「成功するかも……」という流れが出る気がしますね。メンズBBクリームがある程度認められる世の中に、20年はなると思います。

WWD:自身の目標は?

宮永:20年は、「ユーチューブ」の登録者数を増やしたいですね。そして次のステップとして本を出版し、それからメンズメイクの商品を作りたいと思っています。それが当面の目標ですね。

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“自分のおっぱいに自信を持って” お笑い芸人バービーが「ピーチ・ジョン」とのコラボレーションに込めた思い

 「ピーチ・ジョン(PEACH JOHN)」は2020年2月1日に、お笑いコンビ「フォーリンラブ」のバービーとコラボしたランジェリーを発売する。今回のコラボレーションはバービー自身が企画を持ち込んだことで実現した。その背景には、バービー自身のブラジャーに対する悩みがあった。「シルエットを重視すると跡がつく、リラックス重視だとバストの形が崩れるというジレンマ、ブラジャーが合わないことで肌に黒ずみが残り、さまざまなものを試したけど自分の体にしっくりくるものに出合えなかった」とバービーは語る。

 バービーが体に残った痕の写真と共にこれらの思いを自身のインスタグラムに投稿したところ、同じ悩みを持つ女性から大きな反響を呼んだ。これを受けてバービーは「最初は自分の悩みが始まりでしたが、SNSに投稿したことで多くの人がブラジャーや胸に悩みがあり、それを誰にも話せない状況にあることをあらためて感じました。この状況を見て、コラボレーションをなんとしてでも成功させないといけないという責任感に変わりました」と、思いを強めたという。

 ブラジャーはEカップ以上のグラマーサイズは製品展開が少なく、選べるデザインの幅がぐっと狭くなる。今回のコラボレーション製品は、これまで「ピーチ・ジョン」では取り扱いのなかったアンダー90cmまで、C65〜G90をそろえる。脇の肉をしっかりと入れ込む脇高のサイドベルトで、体形をカバーしながらバストを美しく見せる構造にもこだわった。デザインは日常使いしやすいものや気分を高めてくれるようなセクシーなデザイン、ノンワイヤーブラトップの3種で、好みやシーンに合わせて選択できる。パンティーはブラジャーとセットで着用できるデザインをラインアップし、各タイプ5サイズをそろえる。

 コラボレーション製品のビジュアル撮影には、さまざまな体形のモデルを起用。それぞれが自身の体に自信を持って表現する姿が印象的だ。

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帰ってきたドタバタ日記Vol.2 「アルマーニ」も「ジミーチュウ」も「マルセロ」までピカピカ&チカチカ

 1月11日、土曜日。晴れ。最高気温は10度。さぁ、ミラノメンズは今日からが本番!そしていきなり、展示会だらけで一番忙しい1日の始まりです。今回の出張は、毎朝6時に起きて、カラダを1時間動かすのが日課。今日はバーベルを担ぎながらのスクワットで足腰を鍛えました。たくさん歩けそうな予感です(笑)。

10:15 「ヌメロ ヴェントゥーノ」

 最初は「ヌメロ ヴェントゥーノ(N 21)」。前回は男女合同ショーでしたが、今回はメンズだけを単独で。2020-21年秋冬は、「ヴェルサーチェ(VERSACE)」や「トム ブラウン(THOM BROWNE)」が男女合同ショーを開くためメンズのファッションウイークを離れましたが、一方で「ヌメロ ヴェントゥーノ」や「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」はメンズの単独ショーを再開。各ブランドが理想の発表方法を模索する動きは、まだしばらく続きそうです。

 コレクションは、アレッサンドロ・デラクア(Alessandro dell'Acqua)らしさがいっぱい。色はもちろん、背中が全開ゆえ2重の意味で「ヌード」なニット、レースのTシャツ、モヘアのニットにオーバーサイズのブルゾンやAラインのステンカラーコート。シャツの襟は、まるでブラウスのボウタイ(リボン)のよう。今期もジェンダーの狭間を揺れ動きます。拡大ロゴのトレンチコート、カワイイぞ!

11:25 エンポリオ アルマーニ

 「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」は、ランウエイも洋服もピカピカです。ランウエイはピカピカの鏡面(この手のランウエイは、モデルもゲストもミニスカートの時はご用心ですw)。洋服は、クリスタルスタッズを打ち込んだり、ベルベットにラメスプレーを吹きつけたり、メタルヤーンを混紡したり、ごくごく薄いラミネート加工を施したり。壁面のサイネージ、ワイヤーで吊るされた無人のカメラに囲まれた空間は、未来都市のようでもあります。でも、ただのフューチャリスティックじゃない。素材はヘリンボーンのツイードウールやモヘア、ベルベットなど、むしろクラシック。伝統的な素材を加工や装飾で未来に継承するかのようです。さすが、昔を知り、未来を見据える御大であります。

 終盤は、リサイクル素材で作る新ライン「R-EA」のお披露目でした。たしかに素材からはリサイクル感、ちょっとゴワついていそうだったり、発色が完璧じゃなかったりの弱点を感じますが、それを逆手にとってストリートテイストのカーゴパンツやブルゾン、オーバーサイズのコートを提案します。モードなサステイナブル、ストリートなサステイナブル。別にサステイナブルは、ナチュラルやエコテイストじゃなくても良いワケですからね。共感する人も多いのではないでしょうか?

11:50 ザネラート

 バッグの「ザネラート(ZANELLATO)は、異素材コンビの新作がズラリ。定番“ポスティーナ”にも、ナイロンの本体にレザーの外付けポケットです。コレはなかなかユニークで可愛らしい!カスタマイズ企画は今後、日本でも売り場を巡回するそう。いろんな色で、文字をバッグに圧着できます。

12:20 ジミー チュウ

 イースト・ミーツ・ウエストの「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」が思い描く理想の男性は、ブルース・リー(Bruce Lee)です。アチョー!ということで目玉は、シルクジャカードでエレガントなカンフーシューズ。靴底はしっかりキルティングで、歩きやすさも保証します。

 ドレスシューズには、スタースタッズやスターチェーンのみならず、いよいよジュエリー、タイガーアイまで付いちゃうくらいゴージャス!全面クリスタルのスニーカーは40万円くらいだけど、「案外売れちゃう」のだそうです。彦摩呂にぜひ、「靴業界の宝石箱や~」と叫んでいただきたい。良き目の保養になりました。

12:40 ジュゼッペ ザノッティ

 と思っていたら、「ジミー チュウ」に宣戦布告するかのように、負けず劣らずピッカピカのシューズブランドが!!「ジュゼッペ ザノッティ(GIUSEPPE ZANOTTI)」です。全面スワロフスキーやエナメル加工のイヴニングは、スクエアトー。そこにクリスタルを「これでもか!」というくらいのっけます。しかもゼブラ柄とかですからね(笑)。バッシュにインスピレーション得た“タロン”も七色に輝いておりました。

13:15 フィリップモデル

 「フィリップモデル(PHILIPPE MODEL)」も負けてません。すごいカラー、そして素材のブロッキング。同じスニーカーでも素材の使い方で4万~8万円台までバリエーションに富んでいるスニーカーブランド。ランニングスニーカーはコンテンポラリーに進化しています。

14:20 ドルチェ&ガッバーナ

 「ドルチェ&ガッバーナ (DOLCE&GABBANA)」はデジタル全盛期だからこそ、手仕事の温もりフォーカス。ショー会場では、ざっくりニットを手編みするマンマのような女性職人、時計やジュエリーの彫金師(このブランドは、自社で彫金師を抱えています)が、ご自慢の手仕事を披露。コレクションは、そんな職人技の集大成です。

 1つのキーアイテムは、超巨大なローゲージニット。マフラーからガウンコートまで、マンマ、多分総動員です(笑)。ゴートファーのコートから着古した下着のようにクタクタなインナーニットまで、1990年代の「ドルチェ&ガッバーナ」メンズを彷彿とさせる、ナツいスタイルが次から次へと現れます。昨日の「ディースクエアード」同様、90年代から21世紀初頭ごろファッションにどっぷり浸かったアラフォーには、楽しいシーズンがやって来そうです。

15:20 マルニ

 さぁ、本日一番の難問でした(笑)。「マルニ(MARNI)」です。オールスタンディング、全員立ち見のショーは、パフォーマーがモデル代わり。レーザー光線が降り注ぐ光の中で抱き合っていたかと思うと、徐々に体を揺らし、歩き出し、通り過ぎる人を睨みつけ、最後は高速ウォーキングでバックステージに戻ります。

 洋服は、水玉やストライプが踊る、レトロな原色のニットやシャツ、それにパンツ。相変わらずチグハグなサイズ感で、スーパーオーバーサイズとピタピタが同居します。そこにオプアート、水玉やストライプなどの単純な模様を連続させることで視覚を混乱させるアートのようなモチーフがどっさり。フランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)の「マルニ」らしさ全開です。

 にしてもアレ、なんだったのだろう(笑)?どこかで「リッソって、宇宙人みたい。地球人として地球を『中』から見ているんじゃなくて、宇宙人として『外』から見ているカンジ」と思っている僕には、「世紀末」とか「終わりの始まり」、反対に「新しい時代」なんてフレーズが頭に浮かんできました。さて、彼の心の内は?明日の展示会で聞いてみようと思います。

17:20 ニール バレット

 お次は、16時スタート予定の「ニール バレット(NEIL BARRETT)」と思ったら、17時スタートでした。なんたる凡ミス。これまでずっと初日の16時、「マルニ」の後だったから無意識にシャトルバスに乗ってしまいましたが、ミラノメンズを抜けた「ヴェルサーチェ」の時間にスライドしていたとは……。これで16~19時の「ラルフ ローレン パープル レーベル(RALPH LAUREN PURPLE LABEL)」は、難しいコトに(がっくり)。「ラルフ」は後輩オーツカに任せて、「ニール」の場所で原稿書きに勤しみます。

 肝心のコレクションは、漆黒のセットアップやバッファローレザーのライダースなどモードなイメージの「ニール バレット」が真逆のアウトドアテイストを加えたり、デニムパンツにはレザーをハイブリッドしたり。スタイルから商品に至るまで、真逆のテイストをガンガン組み合わせます。パンパンに膨らんだダウンブルゾンやノルディック柄のソックス、デザートブーツで“ほっこり”ムードさえ漂うモード。肩の力が程よく抜けたカンジ、良きです。

18:20 マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン

 さぁ、本日のラストショーは、「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン(MARCELO BURLON COUNTY OF MILAN)。会場には、中央に大きなボール。そして壁と床は一面、千鳥格子に似た「マルセロ」のモチーフです。

 コレクションは、このモチーフが、やっぱりオプアートのようにてんこ盛り。今日はピカピカだったり、チカチカだったり、目に刺激が走った一日だったなぁ。老眼の気配を感じるアラフォーには、正直ちょっと負担が大きめ。会食の後ホテルに戻ったら、蒸気が出るアイマスクで目を労わろうと思います(笑)。

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ボリュームアップから小顔効果まで 多方面にアプローチする「3Dプラス」とは

 髪の毛の悩みで必ず挙げられるのが、加齢によるボリュームの変化。男女を問わず、自分の髪の毛が将来なくなってしまうのではないかという不安を抱えている人は多い。最近ではクリニックでの治療やパーツウイッグの着用など、一昔前はちゅうちょされていたものにも一般的な認知が高まってきたが、どこか一線を越えてしまうような気持ちになり、気が進まないという意見も多く聞く。今通っているサロンで、ボリュームアップしておしゃれに、素敵なヘアスタイルを手に入れられたらどんなによいだろうと考えている人は多いはず。そんな悩みに寄り添うメニューを提案しているサロンが東京・外苑前にあるヘアサロン「エスパー(ESPER)」。今年の3月に、人工毛を地毛に結び付けることで、ボリュームアップをかなえる「3D プラス(plus)」というメニューを始めたところ多くの反響を集め、今ではリピート率80%を超えるメニューになっているという。年齢層の高いお客を得意とするサロンでの導入は珍しくないが、外苑前という立地でデザイン性の高いスタイルの提案に定評があるサロンでの導入は珍しい。その背景には“髪の毛を増やす”ためだけではなく、デザインを提供するためという想いがあった。ヘアサロン=髪を切りに行くところ、という認識を超えたメニューを提案する同サロンで「3Dプラス」の施術を担当する2人のスタイリストに話を聞いた。

WWD:「3D プラス」を導入した理由は。

笠井美咲木スタイリスト(以下、笠井):抜け毛や細毛を解消してボリュームアップをしたいとか、髪に変化を感じてうまくセットができないといった悩みは昔からあったものです。当サロンで「3D プラス」として施術しているような技術は以前からあったものですが、これまではためらわれる打ち出し方だったり、医療に近いものという印象が強く、積極的に勧めたいとは思えなかったんです。だからこれまではヘッドスパや頭皮環境を整えて育毛するように促してきました。けれどもヘアケアでは対応できず、どうしたらよいのか分からないというお客さまもいらっしゃいます。そういった方がたに手を差し伸べられると思い、素材やテクニックの差などをモニター検証したうえで導入しまた。

WWD:ヘアサロンで「3Dプラス」を施術するメリットは。

深見真帆スタイリスト(以下、深見):これまで通ってきたサロンでボリュームアップのための施術を受けられるので、気持ちが楽だという声をいただいています。またクリニックや大手のヘアウイッグメーカーは初期費用が膨大にかかることがありますが、当サロンには会員費や年会費は一切ないですし、カットやカラー、パーマを受けるのと同じ感覚で、その都度受けたい分だけやって精算することができます。(※初回400本~ シャンプーブロー代込み2万1000円~)

WWD:どのような施術ですか。

笠井: 当店では1本の地毛に2本、もしくは4本の人工のエクステを結び付ける形をとっています。結び方は地毛と絡ませてしっかり固定する方法と、地毛に結び目を作ってひっかける方法があります。前者は地毛が伸びるとともに結び目の位置がずれていきますが、後者の場合は根元につめるリペアができます。両方のメリットデメリットを説明して、お客さま自身に選んでいただきます。メンテナンスが必要な施術なので、1回で多額の料金をいただくのではなく、将来を見据えて継続が可能な範囲を話し合ってご提案することを心掛けています。

WWD:お客さまの来店頻度はどのくらいですか。

深見:地毛が伸びてくると結んだ根元が浮いてくるので、1カ月半~2カ月を推奨しています。根元のボリューム感や透け感を解消したいという目的であれば、浮いてきてしまったら結び足しを行い、伸びたものと根元に結び足したものとがバラバラになるように結び付けて自然と地毛になじみながらボリュームアップできるようにデザインします。例えば最初に600本結び付け、その状態をキープしたいのであればヘアサイクル上3分の1から4分の1程度が抜けていると想定して残っているのは400本ぐらい。抜けた分の200本とプラスアルファで300程度足せば同じようなスタイルが保てるとお伝えします。

WWD:リピート率や施術人数はどのぐらいですか。

笠井:1カ月25日の営業でだいたい20~30人程度ですが、リピート率は現在80%と上がってきています。施術者が2人しかいないことと、施術できるスペースも決まっているので、なるべく理想的なタイミングでメンテナンスができるよう、次回予約も取っていただくようにしています。

WWD:「3Dプラス」を使うことでどのようなスタイルが可能になりますか。

深見:ボリュームが足りなかった部分が立体的になり、今まであきらめていたヘアスタイルにもチャレンジできるようになります。お悩みは千差万別なのでどこに重点を置きたいかを丁寧にヒアリングするようにしています。例えば身長が低い人は前髪の割れよりも頭頂部の方が気になるとか。

WWD:意外と男性にも人気があるようですね。

笠井:お客さまは7対3で女性が多いのですが、女性の場合は20~70代までと幅が広いのに対して、男性だと20・30代に人気です。クリニックに行くことを躊躇される方も多いのと、奥さんに勧められたり、一緒に来店されることもあるんです。最初はちゅうちょしていても、仕上げをしたときにはすごく明るい表情になっています。回数を重ねるごとに変化するので、セットする際にハードスプレーを使わなくてよくなったという声も聞きます。

WWD:ボリュームの変化だけではなくいろいろな悩みに応用できる技術とか。

深見:生え癖で割れてしまう場合の矯正や、前髪や欲しい部分に厚みを出す際にも使えます。ハリのある人工毛を地毛に交ぜることで、厚みと立体感が生まれるので小顔効果もあるんです。エイジングケアも含めていろいろな可能性があります。細い癖毛の人に対してはハリのある人工毛が間に入ることで、湿気で出るうねりを軽減する効果も。男女を問わず提案できるので、ネガティブな話ではなく、デザイン性が上がるとオススメしています。

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帰ってきたドタバタ日記Vol.1 ミラノメンズゼロ日目は「ディースクエアード」が25周年の総決算

 皆さん、こんにちは。「WWD JAPAN.com」のムラカミです。今年も、やってきました!ファッションウイーク!!ミラノでは昨日、2020-21年秋冬メンズ・コレクションが開幕しました。ということでこれからパリメンズが終わる来週日曜日まで毎日(多分w)、好評(これも多分w)のドタバタ日記をお送りします。パリでは地下鉄がストライキ中。ファッションウイーク期間中まで続いたら、ドタバタはいつも以上になること間違いなし!乞うご期待です。

 さて、初日はメディア&バイヤーの皆さんがフィレンツェで開かれるメンズウエアの祭典ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMAGINE UOMO)から移動する日でもあるので、ショーやプレゼンテーションは夜から。18時スタートの「C.P. カンパニー(C.P. COMPANY)」がトップバッターです!!

18:00 C.P. カンパニー

 オンタイムに開場した「C.P. カンパニー」のプレゼンテーションは、なんだか廃墟のようです。会場は寒いし、下には落ち葉と水たまり。原始?それとも未来?不思議な光景が広がります。

 そこには、数着のブルゾン。ものすご〜い広い空間なのに、ブルゾンは本当に数着。マジで6着くらい(苦笑)。しかも水たまりの上や空中にあったりするので、ほとんどが触れません!!Touch Itじゃなくて、Feel Itタイプ(ストリートブランドに多い)のプレゼンテーションですね。「C.P. カンパニー」と言えば、素材とガーメントダイだから、4着くらいは触らせて欲しかったのがホンネです。

 とは言え、触れた洋服(2着w)は、防弾チョッキの中身に使われる素材をガーメントダイすることで不思議な未来感を手に入れたブルゾン、メッシュと思いきやリップストップナイロンのような生地に覆われたアウターなど新しい。この会場は、ものすご〜くタフな環境を思わせますが、そんな世界でも生きていけそうな機能的アウターです。

19:25 ディースクエアード

 さぁ、ランウエイのトップバッターは、「ディースクエアード(DSQUARED2)」です。1995年に誕生したブランドは、今年でなんと25周年!やんちゃなカナディアンツインですが、実はもうベテランですね(笑)。

 ということで規模も拡大。エントランスもスペシャルでテンションが上がります。

 会場に入ると、まずは歴代の広告をスクリーンに投影。ハッキリ言って、ナツいです!スティーブン・クライン(Steven Klien)撮影のアンダーウエアの広告とか、「エロすぎるだろ!!」と突っ込んだのを覚えています。

 ショーも、そんな25周年を振り返るムービーからスタートしました。過去のコレクション、それを着たセレブのライブ、キメキメでランウエイを歩くモデル、マッチョなメンズ、セクシーなウィメンズ。25周年を足早に振り返ります。

 コレクションは、そんな25周年の再解釈です。僕の中の「ディースクエアード」と言えば、ダメージ入りのスキニーデニム、極端に大きなアウター、マイクロミニのスカートやホットパンツ、フリンジがジャラジャラ揺れるレザーウエア、グランジムードたっぷりのネルシャツ、そしてアウトドアですが、その全てがランウエイに!!懐かしの2人のイラストTシャツ(ありましたね〜、昔。ゲイの2人がベッドの上でお祈りをしていて、「Jesus Loves Even Me(神は、ゲイの僕さえ愛してくれる)」というメッセージを刻んだポロシャツとか、「絶対買わねば!」と決意して買ったのを覚えています)も発見しました。ここになかったのは、ブラックタキシードと、フリフリのドレスくらいだったんじゃないかな?フィナーレは、2人の幼少期のムービーとともに、ライブパフォーマンスで終了です。おめでとう!!ディーン(Dean)&ダン・ケイティン(Dan Katen)!!

21:00 エルメネジルド ゼニア

 本日のラストは、「エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA)」、トップ・オブ・メンズウエアの一翼です。

 このブランドは、アーティスティック・ディレクターを務めるアレッサンドロ・サルトリ(Alessandro Sartori )のセンスが炸裂。今回も彼が得意とするニュアンスカラー、ちょっとだけグレーを混ぜたオフ白やベージュ、キャメルなどの色が共演・競演します。正直に言えば玄人感が強く、これを着こなすには相当のセンスと財力が必要な気がしますが、ダブルでもシングルでもないハーフブレスト、片側だけ異素材を使ったノッチラペル、合わせるモックネックのニットなど、センスとお金が有れば絶対に楽しい!そんなブランドです。

 フィナーレは、「ゼニア」恒例の全員集合。モデルは、サルトリが挨拶の後バックステージに戻っても、しばらくそこに佇んでくれます。シャッターチャンス!コレ、きっとSNSでの拡散を狙ってますよね。最近はそんな演出もチラホラ。それぞれの戦略が伺えて面白いですよ。

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2020年の“最恐ヒロイン”三吉彩花はかなりの“メイク上級者”だった!

 2月7日に公開となる話題の最凶映画「犬鳴村」(配給:東映)。メガホンをとるのは「呪怨」シリーズを手掛け、日本人前人未到の全米初登場第1位を2度も獲得するという快挙を達成した、世界が認めるJホラーの第一人者、清水崇・監督だ。ヒロインを演じるのは、2020年に「犬鳴村」を含む主演映画が続々決定している映画界きっての大注目ミューズの三吉彩花。「映像作品ではメイクは自分でする」という“メイク上級者”の彼女は、ビューティ業界でも大注目ミューズとなりそうだ。

WWD:「犬鳴村」の主演のオファーが来たときはどう思いました?

三吉彩花(以下、三吉):清水監督は全世界にファンがいらっしゃる監督で、しかも日本に実在する都市伝説の話ですし、国内外から注目されるので、プレッシャーがすごかったですね。そんな主演が私でいいのかと思いました。

WWD:演技で求められたことは?

三吉:撮影中、監督には「僕たちはお化け屋敷のお化け役だから」と言われていました。映画館に観に来てくれる人をどうやって怖がらせるかを考えながら撮影するから、セリフに関しても自分がリアルに感じて発するタイミングではなく、「2テンポ遅らせて言って」と。例えば、後ろから口を塞がれて叫んだらお兄ちゃんだった、というシーンがあって、求められたタイミングで演じると間が長い。ですが編集して空気感とか音楽が加わると、それがベストタイミングだと思えるんです。ホラー映画は独特なんだなと思いました。

WWD:そもそもホラー映画は観る?

三吉:日本のホラー映画は家の中で襲われるとか、押し入れの中に何かいるとか、近い感じがして苦手ですね。お化け屋敷も絶対に入らない。海外作品で、悪魔祓いとかがテーマだと文化が離れている気がするし、ホラー映画なのに笑える部分もあるので見やすいですね。

WWD:映画におけるヘア&メイクのこだわりは?

三吉:時代物じゃない限り自分でメイクしますね。そもそも肌が荒れやすいのと、撮影中は長時間メイクしているので、自分の肌に合うスキンケアやファンデーションを使います。そこから役に合わせて眉の形やシャドウの感じ、質感を決めてメイクします。私がメイクしている間に、ヘアメイクさんに髪をスタイリングしてもらいます。

WWD:今回はホラー映画ということで、ほかの映画と変えたところは?

三吉:私は特殊メイクや血まみれもそんなにない役だったので、クマの出方や肌の質感に気を付けましたね。映画やドラマでは長時間強いライトに当たって顔がテカってくるので、パウダーで抑えたりしますが、今回は後半にいくにつれて逃げているようなシーンが多くなって心拍数も上がってくるので、あえてテカリを抑えないようにしてシャドウも自分で入れました。

WWD:食べ物やスキンケアで気をつかっていることは?

三吉:年に1回、アレルギーテストをしています。食べ物やハウスダスト、花粉症まで250項目くらいある中で、私は血液検査で遅延型のアレルギーを調べています。食べると湿疹が出たり、顔が赤くなったりする食べ物で、以前は平気だった食べ物がだめになるなど年々変わってくるので、年に1度調べています。

WWD:すごく気をつかっていますね。

三吉:学生時代から肌荒れで悩んでいて、仕事も学校も行きたくないくらい荒れていた時期が長かったんです。今も、荒れてしまうことがあります。年間通じて同じスキンケア製品を使えなくて、乾燥してきたら変えるとか、肌の状態に合わせています。製品にも合う合わないがすごくあるので、自分の体を知るためにもアレルギー検査は必要ですね。

WWD:映画はどんなところを見てほしい?

三吉:「犬鳴村」はただ怖いだけではなく、家族の話でもあるんです。自分の血筋や兄弟をたどっていく人間の物語が描かれているので、見終わった後に考えさせられる。情報量も多いので、あらすじを知ってから観に行っても楽しめますね。友だちや家族と一緒に観に行くと、観終わってから「ここはこうだったよね」とか話せるので、より楽しんでもらえると思います。ただ……、旧犬鳴トンネルは実在していますが、トンネルは塞がっているし、行かない方がいいですよ……(笑)。

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新CEOはコンデナストをどう蘇らせる? エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年8月21日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

新CEOはコンデナストをどう蘇らせる?

 いよいよ新生コンデナストが始動していますね。「ヴォーグ(VOGUE)」を擁する名門出版社、コンデナストの米国とインターナショナルの経営統合、そして黒字化という世紀の難題に挑む異業種からの新グローバルCEO、ロジャー・リンチ(Roger Lynch)氏の采配やいかに。

 どうやらリンチCEOはトップダウン型ではなく、コミュニケーション重視のボトムアップ型のようですね。旧コンデナストでは媒体ごとに会合があっても、全社で集まるということはほぼなかったそうで、従業員が一番気になっているリストラネタに触れつつ、質問を募って答える姿勢は信頼を集めたことでしょう。「問題があることを認識して話し合わない限り、それを解決することはできない」――おっしゃる通りです。

 とはいえ、売り上げの半分以上を占める米国が2年前に100億円以上赤字だったって、なかなか危機的数字です。再生の鍵を握るのはデジタル化と動画。衛星放送やテレビのストリーミングサービスで経営手腕を発揮してきたリンチCEOのもっとも期待されているところで、今回は「動画事業を10億ドル(約1060億円)規模に成長させたい」と明言しています。すでに「ヴォーグ」はセレブリティーやメイクのチュートリアル動画などを公式サイトに多数収めており、そこに広告も入れています。ユーチューブでも約600万の登録者を抱えており、このあたりを強化するのか、それとももっとドラスチックな戦略が控えているのか楽しみなところです。

 そもそも誰もがコンテンツを作れるようになり、さまざまなプラットフォームで発信できるこの時代、出版社の役割自体が問われています。出版社の既成概念にとらわれないリンチCEOが最強モード誌「ヴォーグ」やメンズ誌「GQ」をどう導くか。アジアに注力も明確なので、ジャパンの動きにも注目してまいりましょう!

 面白いのは、この会合の様子について米「WWD」はその録画を入手して記事を書いた模様。米「WWD」は1999〜2014年に米コンデナストの傘下でしたので、今後も子細なリポートが期待できそうです。

VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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カレーや水、アイス、ビールも! 2020年は“忍ばせプロテイン”に注目

 2019年のインナービューティ市場を席巻したプロテイン。これまでは粉末タイプやスナックバータイプが主流でしたが、20年は日常の食事や間食にプロテインを“忍ばせる”スタイルが流行しそうです。各企業はさまざまなプロテイン配合食品を開発しており、栄養価はもちろんのこと、風味や食べ終わった後の満足感にも着目した製品が続々と登場しています。

おいしくて満足のプロテインカレー

 19年8月から「プロテインカレー」(2種、各520円)を発売している日成共益は、もともと食品輸入などを手掛ける会社です。近年のプロテイン人気と自社の知見や調達網を生かし、消費者向けの自社ブランド「オリオノ」をスタート。その第1弾商品としてプロテインを各20g配合したレトルトカレーを作りました。「プロテインは味に独特のクセがあるので、スパイスを多用するカレーは向いていると考えた」と同社担当者は語ります。グリーンカレーにはカルシウムも豊富な乳たんぱくを、キーマカレーには豆の風味を生かしたエンドウたんぱくを配合しています。現在は取引先のウェブショップなどで取り扱っていますが、今後は認知度を高めるとともに販路拡大にも力を入れ、小売店やスポーツクラブなどでの取り扱いも目指しているそうです。

ゴクゴク飲めるプロテインウオーター

 日常で定期的に摂取する水とプロテインを掛け合わせるなど、スタートアップ企業の取り組みも活発です。キッカスアンドカンパニーは、欧米では定番のペットボトルタイププロテイン「ハイプロテインウォーター マーブ」を18年から公式サイトを中心に発売しています。女性向けに作った第1弾製品シリーズの「ピンクレモネード&ラズベリー」(330円)は発売から1週間で完売したほか、ナチュラルローソンでの取り扱いが始まるなど高い反響がありました。それを受けて、1月下旬から第2弾製品「マーブ・ラッシュ ソルトライチ&グレープフルーツ」(330円)を発売。女性向けの第1弾を男性も愛飲していたことから、男性をターゲットに開発しました。アスリートや専門家の声を反映し、スポーツドリンクのように飲める点が魅力です。

間食のスイーツにプロテインアイス

 マッシュビューティーラボが日本で展開するカリフォルニア発のオーガニックアイスクリームブランド「スリーツインズアイスクリーム」も、プロテインにこだわって作った「スリムツイン」を19年12月から直営店や明治屋などの小売店で発売しています。“低糖質、高プロテイン、トランスファットフリー”が特徴で、フレーバーはバニラ、チョコレート、カルダモン、レモンクッキーの4種。ホエイプロテインを配合していて、それぞれ22〜24gのタンパク質が摂取できます。

夜の1杯はプロテインビールで

 20年は“運動のあとのビールでもボディーメイク”が可能になるかもしれません。まだ日本では取り扱いのないプロテインビールの国内展開を目指しているのは、ボディーメイクフードを手掛けるマッスルデリ。19年11月にクラウドファンディングをスタートさせたところ、開始2日で目標の50万円を達成し、最終的には当初目標の2倍を超える123万円が集まりました。同社が注目した製品は1本で21gのプロテインが摂取できるドイツ発の「ジョイブロイ」。正しくはノンアルコールビールですが、柑橘系のフルーティーな味わいのあとにビールらしい苦みも感じられます。「プロテインビールを日本に輸入できるようになった際には、我慢ばかりのボディーメイクやつらい食事制限のあるダイエットの概念を払拭し、食事や飲み会も普段通り楽しみながら、体づくりを実現できる環境を実現したい」と同社。その日が来るのが楽しみです。

 マッスルデリによると、プロテインの市場規模は2013年以降毎年2ケタ増で拡大しており、19年は16.7%増の480億円。東京オリンピック・パラリンピックが開催される20年はスポーツ熱の高まりとともに急成長を遂げる可能性を秘めています。しかしどんなに体によいものでも、おいしく摂取できなければ続かないもの。日常に溶け込む“忍ばせプロテイン”は、プロテイン摂取定着のカギとなるかもしれません。

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#敦子スメの「新月・満月」ノート エネルギーが満ちてパワーが強くなる満月(1月11日)に、香りでセルフケアがおすすめ

星占いとの出合い

 オーガニックコスメとの出合いや、コスメキッチン在籍中に占い師・ジョニー楓さんのイベントを担当したのをきっかけに星占いに興味を持ち、独学しました。現代では占いとしてこれはラッキー、アンラッキーという区別に使われることもありますが、良い悪いではなく自然の流れとしての月の動きに、地球上で生活しているわたしたちは知らずに影響を受けています。この連載では、月の動きの中で活用できるものを知り、うまく生かしてもらえるための、おすすめな付き合い方をお伝えしていきたいと思います。新月・満月の流れを最大限に引き出すためのサポートをしてくれるコスメやインナーケアアイテムも紹介していきます。第2回は1月11日の満月とおすすめコスメについてお伝えします。

満月って何?

 前回の流れはこちらから。新月がスタートやゼロの状態になるのに対し、満月は太陽と月が地球を挟んで真反対になり、緊張状態をつくるタイミング。水がいっぱい注がれたコップの表面張力の状態をイメージしてもらうとわかりやすいかも知れません。新月から始まったひとつの流れが満月のタイミングで満ちる、ある種「達成」や「実り」といわれるタイミングです。

 満月の日にお酒を飲むことを禁じている国があったり、古くから伝わる伝統的なヨガの教えではケガを防ぐために満月の日はプラクティスを休むようすすめる風習があったりするなど、物事がフルパワーになりやすいこの日の前後は体調や気分などが不安定になるような感じのする人もいるかも知れません。でもこれもとても自然な流れで、雨が降れば傘をさす、雪が降れば家にこもって暖を取るなどと同じような感覚で、心身を落ち着かせたり、リラックスさせたりなどのシンプルなケアで穏やかに過ごすのがおすすめです。

満月のフルパワーを利用して
取り入れたいアイテムは?

 エネルギーが満ちて、パワーが強くなる満月の日は、「より響かせたいこと」「吸収したいこと」をあえて使うにもいい時。満月は「満ちる」という意味もあるので、部屋の中の香りを心地よいアロマの香りで満たしてセルフケアをするなどもいいかも知れません。

 「満たされている」幸せな気持ちを呼び覚ますには思考を超えて脳に働きかける香りのアプローチも有効です。今回おすすめしたいのは「ザ パブリック オーガニック(THE PUBLIC ORGANIC)」の「ホリスティック精油ディフューザー スーパーポジティブ」。母性を司る脳内ホルモン「オキシトシン」や、快感を司り不快感を和らげる多幸感ホルモンと呼ばれる「B-エンドルフィン」の分泌を促す効果がある、現代人に必要なホームケアアイテムです。フランキンセンスとイランイランをベースに、ふわっと広がりや高揚感を感じるような香りで「いるだけで満たされる部屋」をつくるのにとてもおすすめ。

 今回の満月は蟹座で起こりますが、蟹座は「ホーム、居心地、家族、仲間意識」と関連が深いともいわれています。仕事で疲れた自分を癒やすため、また家族や恋人など気のおけない人たちとの時間を充実したものにするためにも「スーパーポジティブ」の力がサポートしてくれるはず。

福本敦子(ふくもと・あつこ)/フリーランスPR・美容コラムニスト:「コスメキッチン」に14年間勤務後、現在はフリーランスPRのほか、ビューティコラムニストとしてイベント、SNSなど多方面で活躍。オーガニックに精通した知識を武器に、ライフスタイルに寄り添った独自のオーガニック美容論が、著名人やエディターをはじめ各方面から大人気。「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と多くの反響を呼び、欠品や完売商品も多数。2019年秋、初の書籍となる「今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by敦子スメ」(光文社)を出版。発売前に増刷が決まるなど話題を読んでいる。旅を愛し、占星術にも精通 instagram:@uoza_26

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週末お出かけスポット 漫画家・荒木飛呂彦らが手掛ける東京2020公式アートポスターの展覧会など5選

 週末にオシャレして出掛けたいスポットをお届け。今週は、漫画家・荒木飛呂彦らが手掛ける東京2020公式アートポスターの展覧会や「ニューヨークが生んだ伝説の写真家 永遠のソール・ライター」など5つをラインアップする。

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言葉から生まれた服のえもいわれぬ美しさ 日本の美意識に迫った「マトフ」の集大成

 現在、青山・スパイラル1階のスパイラルガーデンで、「マトフ(MATOHU)」による展覧会「matohu 日本の眼展」が開催されています。同展覧会では、「マトフ」が2010-11年秋冬から18-19年秋冬までの8年間17シーズンで発表してきた“日本の眼”シリーズのコレクションが、シーズンテーマを表現したインスタレーションとともに展示されています。

 「マトフ」の“日本の眼”は、“なごり”“ふきよせ”“素(しろ)”など言葉1つを取って、歴史の中で育まれ日本人の美意識にフォーカスして展開してきたシリーズです。その集大成として催された同展覧会では、“日本の眼”シリーズの長着がそれぞれ並びます。

言葉を服に落とし込む

 長着は「マトフ」が設立以来作り続けているブランドの代名詞ともいえる服です。和とも洋ともつかないデザインで、型紙は15年間変わっていないそう。毎シーズンごとのテーマを表現したオリジナルのテキスタイルだけが変わり続けている、曰く「形を変えないデザイン」、「定型の自由」(展示のキャプションを引用)です。

 織り、染め、加工で工夫された長着は、同じ型紙から生まれたとは思えないほどに生地によって表情を変えます。ジャカード織りで牡丹の花柄を表現した“かざり”の長着や夕暮れ時の浜辺をイメージに染め上げた“なごり”の長着など、職人の技術が存分に注ぎ込まれた生地は見物です。

 “いき”は竹“おぼろ”は月と、イメージコンセプトのモチーフもともに並びます。“ほのか”をテーマにしたコーナーでは、赤のグラデーションが印象的な長着が暗室の中薄明かりに照らされていました。テーマとする言葉を服に落とし込む表現力は、モチーフと並ぶことでより明確に浮かび上がって見えたように思えます。言葉から生まれた服にえもいわれぬ美しさを感じました。

 会場では、和菓子店HIGASHIYAとのコラボレーション和菓子「千鳥氷り」(1800円)や、作曲家の畑中正人による「マトフ」のコレクション音楽アルバム「matohu oto」(3000円)、和綴じ手製の書籍「日本の眼」(限定250部)などを販売しています。またイベント期間中は「マトフ」表参道本店で長着以外のコレクションアーカイブが並ぶなど連動イベントも開催中です。今秋には阪急うめだ本店9階でも同展覧会を開催予定。スパイラルガーデンでは1月22日まで開催しているので、足を運んでみてはいかがでしょうか。

込められた言葉を深く自分ごととして受け止める

 ここからは個人的なお話ですが、堀畑裕之「マトフ」デザイナーによるエッセイ集「言葉の服 おしゃれと気づきの哲学」(トランスビュー、2019)を読んで「マトフ」の服に対する思想に心をつかまれて以来、いつかは長着を手元に置きたいと考えていたのですが、正直経済的な余裕があるわけでもないため幾度となく機を見送ってきました……。

 しかし!同展覧会では過去17シーズンで発表されてきた長着のアーカイブの一部が実際に販売されているのです。ブランドの世界観が表現された空間の中で、今後滅多にお目にかかることができないであろう量のアーカイブから選んで購入できる機会なんて今後あるでしょうか?そうそうないですよね。もうおあつらえ極まりない環境です。2020年代1年目の年頭、これから先を強く生きるため、自分に発破をかけるつもりで購入を決意しました。
 
 どれも素晴らしいモノばかりで候補を絞りきれず、あれやこれやと何着も試着して1時間超悩み抜いたのですが(販売員の方には長い時間対応していただき、ご迷惑をおかけしました……ありがとうございます!)、最後はコレクションテーマの言葉で決めることにしました。

 購入したのは、“日本の眼”5シーズン目となる12-13年秋冬コレクションの長着(14万3000円)です。この時のテーマは“やつし”。“やつし”とは、高貴なものや気高さをあえて簡素で貧しく見せる日本古来の美意識の1つで、表層の向こう側に思いをはせる知性と感性が求められる逆説の美学のことを指します。自分の中で特別大切にしていた美徳そのもののような言葉で、自分にとってはこれ以上となく刺さるテーマでした。

 言葉やテーマから服を選んだのは初めてでしたが、込められた言葉を深く自分ごととして受け止めるというのもまた面白い経験です。写真には写らない美しさを見出すまなざし、それを感じ取れる心の豊かさは大切にしたいですし、なにより自分自身もひけらかす事なく奥底に大切なものを秘めるような心意気を持ちたいものです。この服に袖を通すということは“やつし”の美学をまとうこと。そう考えて、この服を丁寧に着続けようと思います。

 来月の請求に震えていますが、この服を着てこれからもファッションに身を“やつし”ていこうと思います。

■matohu 日本の眼展
日程:1月8日~1月22日
時間:11:00~20:00
場所:スパイラルガーデン
住所:東京都港区南青山 5-6-23 スパイラル1階
入場料:無料

・トークイベント「日本の眼とは何か?」
日程:1月11日
時間: 14:00~
登壇者:堀畑裕之、関口真希子
定員:30名
参加費:無料(先着予約制)

・デザイナーによるギャラリーツアー
日程:1月12、13日
時間: 14:00~
定員:15名
参加費:無料(先着予約制)

・畑中正人ライブコンサート「matohu oto」
日程:1月18日
時間: 15:00~
定員:30名
参加費:無料(先着予約制)

・matohu長着茶会
日程:1月19日
時間: 13:00~ / 14:30~ / 16:00~
定員:12名
参加費:4000円(先着予約制)

秋吉成紀(あきよしなるき):1994年生まれ。2018年1月から「WWDジャパン」でアルバイト中。

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「マーティン ローズ」が見せた集大成 新時代を見据えた「卒業アルバム」

 「マーティン ローズ(MARTINE ROSE)」は1月5日、2020-21年秋冬コレクションをロンドンで発表した。ショー会場となったのはデザイナーの娘が通うトリアーノ小学校(Torriano Primary School)。ローズは「小学校の雰囲気って最高だし、魔法のように楽しい空間。この感覚をみんなに味わって欲しかった」と、学校を会場に選んだ理由について語った。会場には彼女の娘の友人とその家族、教師ら地元のコミュニティーも招待されており、ほかの会場とは異なる顔ぶれが客席を埋めていた。

多彩なプリントはアーカイブを使用

 コレクションのキーになったのはラグからインスピレーションを得たプリントで、14年春夏から20年春夏シーズンまでのアーカイブを使用し、2020年という新時代に突入する前に一度過去を振り返りたかったという。「今季はアーカイブのプリントやアイテムを多用し、卒業アルバムのようにしたかった」とローズ。50分遅れでスタートしたショーは、グレース・アガッツ(Grethe Agatz)の「エッコレッグ(Ekkoleg)」をハウス風にアレンジした曲とともに幕を開け、きらめくルレックスやジャカード織のデニム、パイルフリースといった生地が、パーツが誇張されたややオーバーサイズシルエットでランウエイを飾った。フリルの装飾を加えたクラシックなシャツやラテックス加工を施したテーラードジャケット、シグネチャーの一つであるブレザーは丈を極端に長くしてドレス風に仕立て、女性に向けたスタイルも多く提案されたのが今季の特徴だ。

 足元を飾ったペニーローファーとニーハイブーツは「シックス ロンドン(SIX LONDON)」とのコラボレーション。彼女の叔父が昔着用していた記憶があるという「ファラー(FARAH)」とのコラボレーションによるジャンパーやトラウザーも登場した。70〜80年代に父親が着用していた洋服をクローゼットから引っ張り出してきて、自己流にスタイリングを楽しむ若者像が浮かび上がる。ファッションの世界において“変わらない”ことは否定されるが、「マーティン ローズ」はそれが許される希有な存在だ。ブランドのコミュニティーが“変わらない”ことを求めているのは、彼らの日常とデザイナーのクリエイションが強く結びついている証だろう。

 「着想源はいつも同じ、アウトサイダー(部外者)」。遊具が並ぶ校庭の入り口で、ローズはショー後のインタビューに対応した。「子供や若者、教育こそ私たちの未来であり、最も投資すべき対象だ。ほかのコミュティーをのぞくような感じで楽しんでもらいたかった」と満面の笑顔で語るローズ。インタビュー中、子供らがジャーナリストをかき分けてローズに駆け寄る姿は、なんとも微笑ましかった。筆者が会場を後にする頃にはすでに22時を超えていたが、チームはショーの余韻を楽しんでいるようだった。なにより、夜更かしを許されて夜の学校で遊ぶという特別な経験をした子供たちが、最も楽しそうな様子であった。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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アマゾンがラグジュアリー市場に本格参入か ブランドが出店する専用サイトを今年前半にも

 アマゾン(AMAZON)が、いよいよ本格的にラグジュアリー市場に参入するようだ。情報筋によれば、同社は現在12前後の大手ファッションブランドと交渉を進めており、2020年上期にも“ラグジュアリー専用サイト”を立ち上げるという。これは各ブランドがアマゾンのプラットフォームに出店する形式で運営され、参加ブランドは今後一つずつ発表していく。まずは米国のみとなるが、いずれグローバルに展開する予定だ。なおアマゾンの広報担当者は、「うわさや憶測の話にはコメントできない」としている。

 情報筋によれば、アマゾンはLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の傘下ブランドにも出店を打診したが、すげなく断られたという。LVMHが擁する「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」などのメガブランドはそれぞれ公式オンラインストアを運営しており、より小規模なブランドはLVMH傘下の仏老舗百貨店ル・ボン・マルシェ(LE BON MARCHE)が手掛けるECサイト「24セーブル(24 SEVRES)」で取り扱われていることを考えると、それも無理のない話だろう。

 このラグジュアリーブランド向けの新プラットフォームでは、出店したブランド側がそのバーチャルストアのデザインはもちろん、販売数量やセールのタイミングなども自由に設定できる上、アマゾンのカスタマーサービスや配送サービスを利用できる。ラグジュアリーブランドを取り扱っているECサイトには、「ファーフェッチ(FARFETCH)」「ネッタポルテ(NET-A-PORTER)」「マッチズファッション ドットコム(MATCHESFASHION.COM)」などがあるが、セール期間の早期化や長期化に不満を覚えるブランドが増加しているという。そうした中で、アマゾンが提供する自由度の高いプラットフォームはラグジュアリーECに大きな変革をもたらす可能性がある。同社はこの“ラグジュアリー専用サイト”の立ち上げに際して1億ドル(約109億円)規模のキャンペーンを実施する予定で、専用の物流倉庫をアリゾナ州に建設中だといわれている。

 出店するブランド側からすると、アマゾンが保有する膨大な顧客データを活用できることも大きな魅力だろう。百貨店やほかのECプラットフォームがこうした情報をブランド側に提供したがらないことを考えると、アマゾンが持っている顧客の購買履歴や住所、決済情報をはじめ、買い物の傾向から推察できる子どもの有無やその年齢などのさまざまなデータはラグジュアリーブランドにとって宝の山にも等しい。

 またアマゾンにとっても、アパレル分野の強化は長年の懸案事項だ。下着などの消耗品やベーシックな商品であればアマゾンで購入する消費者も多いため一定の売り上げを獲得しているが、よりファッション性の高いアパレルでは試行錯誤を繰り返している。例えば、靴を中心としたファッションECの「ザッポス(ZAPPOS)」を傘下に収めつつも独立したECサイトとして運営する一方で、アパレルのプライベートブランドを多数設立。また自宅で試着できるサービス“プライム・ワードローブ(Prime Wardrobe)”を提供し、華やかなファッションの祭典「メットガラ(MET GALA)」のスポンサーにもなっている。最近では、各国のインフルエンサーがデザインした限定アイテムを売り切り方式で販売する“ザ・ドロップ(The Drop)”を発表しているが、大成功しているとは言い難い。

 ファッションECの難しさの一つとして、“実際に見て触って、試着してから買いたい”という消費者の欲求があることは確かだが、アマゾンがアパレル分野で苦戦している理由はこれだけではないだろう。同サイトが非常に便利で実用的であることに異論はないが、ファッションに求められるある種のロマンティシズムやクールさ、特別感、希少性などに欠けているのではないだろうか。そして、これらは全てラグジュアリーブランドが重視する要素だ。

 しかし最近は百貨店の閉店が相次ぎ、ECの台頭などによって小売業界は大きく変化している。世界的な景気減速を反映するかのように長期化するセール期間に不満を抱くブランドが増えていることを踏まえると、アマゾンは今度こそアパレル分野で成功を収めるかもしれない。その場合、ラグジュアリーECのありようもまた変化していくだろう。

 なお、中国最大のeコマース企業のアリババ(ALIBABA)はECサイト「Tモール(TMALL)」に加えて高級品に特化したEC「ラグジュアリー・パビリオン(LUXURY PAVILION)」を運営しており、18年にはラグジュアリー・コングロマリット企業のコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)と提携している。中国第2位のEC企業JDドットコム(JD.COM)も、ラグジュアリーECサイト「トップライフ(TOPLIFE)」を展開している。

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「グランドセイコーブティック 大阪心斎橋」が女性向けに“ビスポークストラップフェア”を開催

 セイコーウオッチは大阪・心斎橋にオープンした「グランドセイコーブティック 大阪心斎橋」で、1月10日から3月31日まで“ビスポークストラップフェア”を行っている。対象はレディスウオッチのレザーストラップモデルの購入者で、あらためて女性にブランドをアピールする。

大阪・心斎橋にオープンした
世界最大規模の売り場

 2019年12月13日にオープンしたグランドセイコーブティック 大阪心斎橋は、西日本初の「グランドセイコー(GRAND SEIKO)」の路面店だ。売り場面積は約170平方メートルで世界最大規模。ブティックには明るく開放感にあふれるサロンスペースと2カ所の個室接客スペースを設け、専門スタッフが商品選びをアシストする。サロンスペースでは定期的にイベントを開催し、「グランドセイコー」の魅力を発信する場としても活用する。

レディスウオッチが充実!
オススメは18金モデル

 「グランドセイコー」と聞くとメンズのイメージが強いかもしれないが、レディスウオッチが全体の約3割を占め、心斎橋店でも約60点をそろえる。中でも注目は18金を使ったクラス感のある時計だ。18金とひと口に言ってもホワイトゴールド、ピンクゴールド、イエローゴールドと輝きはさまざまで、文字盤やベルトとの組み合わせで表情は大きく変わる。ここで紹介する6モデルはいずれもダイヤモンドを50石以上使っており、信頼の日本ブランドに華やかさを添える。

1月10日から“ビスポーク
ストラップフェア”を開催中

 グランドセイコーブティック 大阪心斎橋は、レディスウオッチのレザーストラップモデルの購入者にクロコダイル、パイソン、リザードの3種類18色の中から好きな素材を選んでもらい、オリジナルストラップを仕立てて1本プレゼントする“ビスポークストラップフェア”を3月31日まで行う。生田亜希子グランドセイコーブティック 大阪心斎橋 店長は、「女性は色に強いこだわりを持つ。きっと多くの方に受け入れられるはず」と予想する。

女性店長が語る
「グランドセイコー」の魅力

 「グランドセイコー」の魅力について生田店長は、「正確さ、美しさ、視認性の高さ。そして、それらを高い次元で維持できていること」と語る。とはいえ、男性イメージの強い高級時計を女性に薦めるときは気遣いも欠かさないそうで、「シンプルさも『グランドセイコー』の特徴。しかし、それだけで女性に興味を持ってもらうのは難しい。でも、来店してくださったお客さまは何かしら気になってはいるはずで、だからこそなるべく早くショーケースから時計を出して、実際に手に取ってもらうよう心掛けている。目の前にして初めて仕上げの美しさや緻密さに驚かれる方が多い」という。

問い合わせ先
グランドセイコーブティック
大阪心斎橋
06-6484-7731

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無人コンビニのブームは既に下火!? 上海の百貨店マンが語る中国ニューリテールの真実

 「上海の小売りを無料で案内しています。気軽にお問い合せください」。中国・上海出張を前に、同僚からツイッター上でこんな投稿をしている現地百貨店マンがいると教えられ、「それならば!」と本当に気軽に問い合わせてみた。ツイート主は洞本宗和・上海新世界大丸百貨マーケティング部部長。同店は大丸松坂屋百貨店と業務提携しており、洞本部長も大丸松坂屋百貨店の社員として2017年から上海に駐在している。17年といえば、中国EC大手のアリババがデジタルと既存小売りを組み合わせた“ニューリテール”を提唱した翌年。猛烈なスピードで日々進化する中国の小売りの現状を、日本の百貨店マンはどう駐在員の目線で語ってもらった。

WWDジャパン(以下、WWD):中国はキャッシュレスが完全に浸透し、人間の代わりにロボットが配膳するレストランや、無人コンビニなどもあります。リテール事情は日本より格段に進んでいる印象ですが、実感としてはどうですか?

洞本宗和・上海新世界大丸百貨マーケティング部部長(以下、洞本):“無人”って、先進的な中国小売りのキーワードの一つのように思われていますよね?“無人ブーム”は2年ほど前に巻き起こり、上海にも無人コンビニが何店舗かできましたが、実は今ではほとんどなくなっています。海外の投資家へアピールするかのように上海虹橋空港内には今もありますが、市中にあった無人コンビニはほとんどがなくなりました。無人コンビニにもいくつかタイプがあって、一番最初に登場したのは入り口に鍵がかかっているコンテナボックス型。話題にはなりましたが、段々「入店する際のスマホ認証が面倒」となってしまった。「アマゾン ゴー(AMAZON GO)」と同じタイプの、歩いてゲートを通るだけで会計ができる無人コンビニもできましたが、手に取っていない商品まで購入したことになってしまうなど、まだまだ不便が多かった。テクノロジー系のスタートアップ企業が手掛けているだけに、肝心の品ぞろえに魅力がなかったというケースも散見されました。それが無人コンビニが広がらなかった理由です。

WWD:無人ブームが既に過去のものとは衝撃です。日本では徐々にコンビニでもセルフレジの導入が増えてきたところですが……。

洞本:日本は人手不足解消を狙った無人化ですが、中国は一説によると流動的な労働人口が2億人くらいいるそうです。例えばフードデリバリーサービスが今こちらでは猛烈に増えていますが、配送費は1回あたり百数十円ほどと聞く。日本の「ウーバーイーツ(Uber Eats)」だと恐らく600円前後ですよね。中国の労働力の豊富さを表していると思います。中国市場に限りませんが、売り手側の人件費削減だけを目的にした無人化は失敗します。最初は話題になったとしても、客側にベネフィットがないとサービスとしてうまくいきません。

WWD:ブームは去ったのだとしても、何かしら無人ブームを乗り越えて残っているものはないんでしょうか?

洞本:ブームの中で生まれて、今も残っている技術ももちろんちゃんとありますよ。客が自身のスマホに入れたメッセージアプリ「ウィーチャット(WeChat)」上のミニプログラムで会計を行い、退店時にそのバーコードを店員に見せる方式がそれです。セルフレジ手法の一つですが、店側は専用のレジマシーンを設置する必要はありません。派手さはないですが、客は支払いのために行列しなくていいので着実に広がっています。スーパーの「カルフール(Carrefour)」やコンビニの「ファミリーマート」などもこれを採用しています。

WWD:次々とプレーヤーが登場し、生き残るサービスと淘汰されるサービスが決まっていく中国市場の速さを象徴するようなエピソードですね。

洞本:こちらに住んでみて感じるのは、中国の人や企業は、よくも悪くも完成や完璧を求めません。(ローンチしたサービスや商品に)ちょっとぐらい無理や問題があったとしても、「ああ、そう」というぐらい。日本は企業も国民も完璧をを求める傾向があるので、小さな落ち度であってもクレームが多数届いたり、サービス自体が終了になったりというケースがありますよね。そういった日本の手法にももちろんよさはありますが、中国市場の方がトライ&エラーはしやすい。こちらでは何か新しいサービスが登場すると雨後のタケノコのよう類似サービスができますが、その中で淘汰や改善が進んでいきます。それこそがイノベーションを生む土壌だと思う。ときどき、その怒とうの流れに呆気に取られてしまうようなこともありますよ。例えば17~18年にこちらで一世を風靡した自転車のシェアサービスですが、あまりにも参入プレーヤーが増えすぎたことと、そもそもどの会社も収益モデルがしっかり描けていなかったことで、徐々に勢いを失っていきました。それでも、「とりあえずやってみる」「スタートしてから考える」というこちらの進め方は、今の時代はメリットが大きいと感じます。

日本企業にももっとトライ&エラーが必要

WWD:日本も「〇〇ペイ」が乱立し、キャッシュレス化に向け進んでいますが、日本の小売りが、中国から学ぶべきことは何でしょうか?

洞本:先ほど紹介したような、「ウィーチャット」上でのセルフ決済は日本の小売りも導入しやすいと思います。あと、キャッシュレス化については、スマホ決済ばかりに焦点を当てるのではなく、従来のクレジットカードの仕組みでもやれることは多いのではないでしょうか。あと、こちらではレストランに入るとテーブルごとにQRコードが掲示してあって、そこからオーダーをする仕組みが広がっています。それも取り入れやすいと思います。大きな枠組みの話でいえば、日本企業ももっとトライ&エラーをしていかないとダメだと感じます。大企業であればあるほど、日本ではほんの一部からの反対を恐れてやめてしまうというケースが多い。試しにやってみて、本当にダメだったらその時考えればいいという中国の考え方とは対照的です。

WWD:ニューリテールの話でいえば、実店舗に店頭カメラを導入し、RFID(電子タグ)を全商品に付けて店頭での顧客データを集めるといった中国の手法は、このところ日本のファッション業界でもよく話題になっています。でも、上海でSCなどを周ってみると、意外とカメラなどを導入している企業はそんなに多くないのだと気付きました。

洞本:そうした手法でOMO(Online Merges with Offlineの略。オンラインとオフラインの融合)を進め、顧客体験を向上させることは小売りの進むべき形の一つを指し示したとは思います。ただ、中国でも大多数の小売り企業はそれに取り組んでいない、もしくは取り組めていません。今、上海では商業施設の飽和が日本以上に進んでいる状態といえますが、あらゆることが日本の数倍のスピードで進んでいく中で、淘汰される実店舗が決まっていくのも早いでしょう。現に、上海きっての繁華街で上海新世界大丸百貨もある南京東路(ナンジントンルー)地区であっても、SCの上層階は既にテナントが抜けてしまっています。こちらのアパレルEC化率は25%を超えているので、アパレルテナントだった場所がジムや本屋、子ども向け教育施設にどんどん変わっている。そんなふうにアパレルテナントの淘汰が進む中では、結果的に店頭にカメラを持ち込んでニューリテールやOMOを実践している店が残る、ということにはなるのかもしれません。

WWD:そうした中国の小売り事情を日本にも伝えるため、洞本さんはブログ発信やツイッターに投稿していた“上海無料案内”を行っているわけですが、それらをやろうと思ったきっかけは?

洞本:中国の小売りが急速に発展する時期にせっかく駐在することになったので、どうせならこちらの小売り情報を発信しようとブログを始めました。結構読んでもらえるようになったんですが、駐在歴も約3年となり、段々インプットが減っているなと感じていたんです。それで、アウトプットの機会を強制的に設ければインプットも増えるはずと考えて始めたのが“上海無料案内”です。無料案内は19年6月から募っていますが、月10件ほど問い合わせをいただく中から、平均してタイミングが合う5組ほどをご案内しています。視察の定番はニューリテールを提唱しているアリババのスーパー「盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)」。毎回、「ここが以前と違う」という気付きがあって、まさに強制的にインプットの機会を設けた意味があります。

WWD:やはり小売りの関係者が上海視察の案内を頼むというケースが多いんでしょうか?

洞本:案内を呼び掛ける前は小売り関係者からの問い合わせが多いだろうと考えていたんですが、実際はもっと幅広いです。小売り関係者の他、コンサルやベンチャーキャピタル、ウェブサービス関係の方などをご案内しました。訪日観光客を呼び込むにはどうしたらいいかという視点で、地方都市活性化を目指している方からも問い合わせをいただいたことがあります。

WWD:最後に、洞本さんは上海新世界大丸百貨ではどんなお仕事をしているんでしょうか?

洞本:現地スタッフに対し、店作り支援やコンサルティングを行っています。日系ブランドを誘致する際などは、日本の窓口から連絡した方がスムーズというケースも多いんです。

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堀田茜と夏菜がトライ! 「エスト」が提唱する“未来の肌体験”

 花王の最新技術“ファインファイバーテクノロジー”を応用した新商品「エスト バイオミメシス ヴェール」が12月4日に先行発売された。これを記念して、東京・銀座の「ソフィーナ ビューティ パワー ステーション」が“未来の肌体験”ができる直営店「ビューティ ベース バイ 花王(BEAUTY BASE BY KAO)」としてリニューアルオープンした。女優・モデルとして活躍する堀田茜と、女優・タレントとして活躍する夏菜という美容に関心が高い2人がポップアップストアを訪れて、新商品を体験。日頃のスキンケアのこだわりから、これからのスペシャルケアについて話を聞いた。

美肌の秘けつは“自分に
合っている”ということ

 ファッションモデルやタレントとして、雑誌やテレビで幅広く活躍する多忙な2人が、肌のコンディションを保つのは大変なはず。そんな2人に、女性が憧れる美肌をキープしている秘けつを聞いた。「年中乾燥対策を意識していて、スキンケアの新商品をたくさん試したり、メイクさんに聞いたりしていろいろ使います。これは間違いない!というアイテムを常に手元に置いておきたくて、特にクリーム、オイルなどの保湿アイテムは大切にしています。理想は元気に見える肌。白い肌にも憧れるけど、その人自身が健康的に見えることが一番大事だなと思います。そのためにスキンケア以外にも岩盤浴で汗をかいたり、肌にいいことをしようと心掛けています」(堀田茜)。「ちゅるん!という肌質、その人なりの透明感に憧れます。自分に合っている美しさに行きつきたいですね。私も保湿ケア、導入美容液に注目していて、とにかく多く使っています。美容系のインスタグラムを見るのも好きで日々研究していますね。どんな真冬で冷たい時でも、メイクを落とした後に30回冷水で顔を引き締めることをマイルールにしています」(夏菜)。

新感覚の未来型スキンケア

 今までは“与える”が基本だったスキンケアから、潜在的な美しさを引き出すことに着目した新たなナイトケアとして、「エスト バイオミメシス ヴェール」が登場。化粧品用のポリマー溶液を専用の機器で肌に噴射することで、肌表面に極細繊維による極薄膜を形成する技術が用いられる。これによって適度な水分環境をつくり出し、乾燥などの環境ダメージから肌を守る“湿潤環境ケア”を可能にする。スキンケアアイテムを偏愛する美容感度の高い2人が体験した。「ファイバーの出方がとても繊細でした。ベールは密着感があり肌への負担になる感覚が少ないですね。肌のことを考えた人が作ったんだな、という愛を感じました。しっとりと水分を含んで、トロっとしている新感覚の気持ちよさでした」(堀田茜)。「ベールを張る、それを張ったまま寝る、そして翌朝はがすというプロセスがいままでになく衝撃的でした。つけている時の伸縮性がすごいですね。フィットしているのに、はがした後はフワッとして、ぷるんと、もっちりした感触でした。さらにびっくりしたのが、なめらかで弾むようなバツグンに良くなった肌触り。デザインも近未来的で、見たことのない世界が見られるんじゃないかな、とわくわくさせてくれますね。将来の展開に期待しています!」(夏菜)。

2ステップからなるスペシャルケア
「エスト バイオミメシス ヴェール」

 「エスト バイオミメシス ヴェール」は夜のスキンケアの最後に加える、2ステップからなるスペシャルケア。普段のスキンケアの最後に美容液“ヴェールエフェクター”を塗布したのち、高性能小型機器“ヴェールディフューザー”を用いて極薄繊維を直接肌に吹き付けて1枚の薄いベールを形成する。就寝中に肌の湿潤環境を整え続けるという、新たなナイトケア提案だ。

新しい美しさに出合える、
「ビューティ ベース バイ 花王」

 東京・銀座にある「ソフィーナ ビューティ パワーステーション」をリニューアルし、「ビューティ ベース バイ 花王」として生まれ変わった。完全予約制で肌のお手入れレッスンや定期的なワークショップを実施するカウンセリングスペース「パーソナルレッスンスタジオ」と、”ファインファイバー技術(積層型極薄膜形成技術)”を実用化した先端技術体験と、商品を販売するポップアップスペース「”トライ&エンジョイ”スペース」の2つの空間で構成される。その場で見て試した「エスト(EST)」のスキンケアアイテムの購入も可能だ。

SHOP INFORMATION
■ビューティ ベース バイ 花王
(BEAUTY BASE BY KAO)

時間:11:00~20:00
定休日:不定休
住所:東京都中央区銀座3-4-12 文祥堂銀座ビル 1階

PHOTOS:YUTA KONO
STYLING:MASASHI NOMURA
HAIR & MAKEUP:ERIKO YAMAGUCHI[NATSUNA],YURI MIYAMOTO(LILA)[AKANE HOTTA]
[NATSUNA]トップス1万5000円/プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ(イッセイ ミヤケ03-5454-1705)、スカート2万8000円/マラミュート(ブランド ニュース03-3797-3673)、ベルト1万5000円/ガラアーベント(ガラアーベント トウキョウ03-6455-2065)、その他スタイリスト私物 [AKANE HOTTA]トップス6万円/ピンコ(ピンコ ジャパン03-5778-9881)、ピアス7119円、リング9546円/以上、アビステ(アビステ03-3401-7124)、その他スタイリスト私物

問い合わせ先
花王 商品PR 企画部
03-3660-7227

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「イッセイ ミヤケ ウオッチ」がデザイナー和田智とコラボした新作時計“ユー”を発売

 セイコーウオッチは、「イッセイ ミヤケ ウオッチ(ISSEY MIYAKE WATCH)」による“イッセイ ミヤケ ウオッチ プロジェクト”の19番目のシリーズとして、デザイナー和田智が手掛ける“ユー(U)”を1月11日に発売する。和田が同プロジェクトに参加するのは3回目となる。「イッセイ ミヤケ」ショップおよび「イッセイ ミヤケ ウオッチ」取扱店で販売し、価格は3万6000~4万2000円。

自動車のボディーを思わせる
美しい形状

 彫刻的感覚を取り入れたデザインを得意とする和田らしく、丁寧に切削加工したガラス風防の曲面と美しく絞り込んだ側面は自動車のボディーのようで、4カ所に配置したローマ数字は「パリのオルセー美術館の時計台をイメージした」という。ふくらんだ風防に対して文字盤はくぼみ、普遍的なデザインの中に神秘的なゆらぎを表現した。

「余白を生かした」
タイムレスなデザイン

 “ユー”は全4型からなり、ケース径はいずれも少し大きめの41.1mm。シンプルな3針仕様でカレンダーも排した。「余白を生かしたデザインが特徴」と和田は言う。レザーバンドはカーフ(ヌメ革)製で、ステンレススチール製ブレスレットはこまが小さくフィット感が高い。

「“美しい”は100年たっても
古くならない」

 和田は武蔵野美術大学を卒業し、1984年に日産自動車に入社。98年にアウディAG(AUDI AG)に移籍し、“世界でもっとも美しいクーペ”と評された“アウディA5”など主力車種のエクステリアデザインを担当した。2009年に独立し、自身のデザインスタジオ、SWデザイン(SW DESIGN)を設立した。「ハイテクやAIの時代だからこそ、“人間が感じる力”が重要だ。情緒的な感情を持っているのは人間だけ。“ユー”の側面を絞り込んだ形状は、製造過程において最も苦労した点だ。“美しい”という感覚は、100年たっても古くならないと信じている」と話す。

パッケージデザインも
和田が担当

 セイコーウオッチは01年に「イッセイ ミヤケ」とライセンス契約を結び、これまで吉岡徳仁やジャスパー・モリソン(Jasper Morrison)ら12人のデザイナーと“イッセイ ミヤケ ウオッチ プロジェクト”を手掛けてきた。デザイナーごとに大きく変わるコンセプトと意匠が人気で、パッケージやロゴも各デザイナーが手掛ける。一方で、そのポリシーである“日本製のアナログ時計であること”は19年間ぶれずに保持している。


問い合わせ先
セイコーウオッチお客様相談室
0120-181-671

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「イッセイ ミヤケ ウオッチ」がデザイナー和田智とコラボした新作時計“ユー”を発売

 セイコーウオッチは、「イッセイ ミヤケ ウオッチ(ISSEY MIYAKE WATCH)」による“イッセイ ミヤケ ウオッチ プロジェクト”の19番目のシリーズとして、デザイナー和田智が手掛ける“ユー(U)”を1月11日に発売する。和田が同プロジェクトに参加するのは3回目となる。「イッセイ ミヤケ」ショップおよび「イッセイ ミヤケ ウオッチ」取扱店で販売し、価格は3万6000~4万2000円。

自動車のボディーを思わせる
美しい形状

 彫刻的感覚を取り入れたデザインを得意とする和田らしく、丁寧に切削加工したガラス風防の曲面と美しく絞り込んだ側面は自動車のボディーのようで、4カ所に配置したローマ数字は「パリのオルセー美術館の時計台をイメージした」という。ふくらんだ風防に対して文字盤はくぼみ、普遍的なデザインの中に神秘的なゆらぎを表現した。

「余白を生かした」
タイムレスなデザイン

 “ユー”は全4型からなり、ケース径はいずれも少し大きめの41.1mm。シンプルな3針仕様でカレンダーも排した。「余白を生かしたデザインが特徴」と和田は言う。レザーバンドはカーフ(ヌメ革)製で、ステンレススチール製ブレスレットはこまが小さくフィット感が高い。

「“美しい”は100年たっても
古くならない」

 和田は武蔵野美術大学を卒業し、1984年に日産自動車に入社。98年にアウディAG(AUDI AG)に移籍し、“世界でもっとも美しいクーペ”と評された“アウディA5”など主力車種のエクステリアデザインを担当した。2009年に独立し、自身のデザインスタジオ、SWデザイン(SW DESIGN)を設立した。「ハイテクやAIの時代だからこそ、“人間が感じる力”が重要だ。情緒的な感情を持っているのは人間だけ。“ユー”の側面を絞り込んだ形状は、製造過程において最も苦労した点だ。“美しい”という感覚は、100年たっても古くならないと信じている」と話す。

パッケージデザインも
和田が担当

 セイコーウオッチは01年に「イッセイ ミヤケ」とライセンス契約を結び、これまで吉岡徳仁やジャスパー・モリソン(Jasper Morrison)ら12人のデザイナーと“イッセイ ミヤケ ウオッチ プロジェクト”を手掛けてきた。デザイナーごとに大きく変わるコンセプトと意匠が人気で、パッケージやロゴも各デザイナーが手掛ける。一方で、そのポリシーである“日本製のアナログ時計であること”は19年間ぶれずに保持している。


問い合わせ先
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0120-181-671

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読者が注目した今週の新作 「ナイキ」のスポーツブラなど(1月10〜16日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。「ファッション部門」では読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週は「ナイキ(NIKE)」の運動中の女性の悩みを解決するスポーツブラが最も注目された。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


【スニーカー部門】

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動画:WWDJAPAN ENGLISH Vol.3 待望のショップオープン 「おめでとう!!」以外のフレーズを言えるようになろう

 「WWDJAPAN ENGLISH」は、世界に羽ばたきたいファッション&ビューティ業界人に向けた英会話番組です。「WWD JAPAN.com」の記事をRIZAP ENGLISH(https://www.rizap-english.jp/)に英訳していただきながら、「こんなコトが英語で言えたら!!」「あの時、フレーズが浮かばなかった!!」という、業界人なら誰もが知りたいワンポイント英語を学びます。第3回は、誠品生活の日本上陸から学ぶ、ショップオープンの時、来日した経営者やデザイナー、本国スタッフに投げかけたい気の利いたフレーズ。「こだわりのポイントは?」「苦労した点は?」などの聞き方を勉強します。動画の下には、番組内で読み上げた英語を掲載しています。

誠品生活, operator of the large-scale shopping complex in Taiwan, has opened their first store in Nihonbashi, Japan. It is housed on the 2nd floor of Coredo Muromachi Terrace as part of mall operator Mitsui Fudosan’s new commercial facility comprised of offices, shops, and restaurants. The complex covers the entire floor and consists of four different zones: Bookstore, Stationery, Select Merchandise and Workshop, and Restaurant and Food Market.

According to Lucy Pan, the Manager of the Sales Department for Eslite Japan, through mixing Taiwanese and Japanese businesses, they hope that Eslite’s Nihonbashi branch can disseminate a wide range of cultural information and embody the concept of "A Cultural Wonderland for Living and Reading".

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春のヘアカラー、“アッシュ”の次のトレンドは“くすまないグレージュ”

 ナプラのヘアブランド「エヌドット(N.)」から2020年春、ヘアカラー剤「エヌドットカラー」の新色2ラインが登場する。「モノグレージュ」と「オリーブグレージュ」の2色で、長く続いているアッシュブームの“NEXT”を提案するカラーだ。ヘアサロン「アビー(ABBEY)」の人気スタイリスト2人が、同カラーで仕上げた春のトレンドスタイルを提案する。

ムラのあるベースでも
単品で理想のグレージュにする

「モノグレージュ」

 2020年春に提案したいヘアカラーはグレージュ。ただグレージュはベースを考えて、オレンジや黄色みが強かったら青や緑を加える必要があり、加える割合によって色が沈んでしまったりするなど調整が難しい側面があった。「エヌドット」の「モノグレージュ」は、まさに「こんな色にしたい」と思っていた色。今回のモデルはブリーチを2回していてクセ毛、ムラがありハイライトも入っているというベースだが、10トーンの「モノグレージュ」単品でここまできれいに仕上がった。(久保梨沙「アビー」バイス ストア マネージャー)

 「モノグレージュ」は、“落ち着きのある深みや濃度”を出すグレーと“透け感と柔らかさ”のベージュという人気の2色を1つにまとめ、サロンカラーのニュースタンダードを提案する色。低明度ではオフィスでも浮かない自然な艶と抜け感のある重くならない暗髪にでき、高明度では黄みをしっかり抑えたシルバー感を出しやすい。

顔をくすませることなく
寒色の良さを表現できる

「オリーブグレージュ」

 アッシュの人気が長く続いているが、そろそろ飽きも感じ始めているし、20年春までアッシュ推しだとさすがに辛くなる。同じ寒色でもベージュ寄りで、グレーが足されている感じの「オリーブグレージュ」が求められてくるニュアンスだと考えている。アッシュだと顔がくすんで見えがちというデメリットがあるが、「オリーブグレージュ」だとほどよく配合された黄みのおかげで顔が明るいまま“アッシュ感が残った感じ”を表現できる。今回のモデルは8トーンの「オリーブグレージュ」単品で毛先まで仕上げて、細めのハイライトを入れた。(菊地佑太「アビー」ストア マネージャー)

 「オリーブグレージュ」は、赤みを抑えるマット系染料が含まれているため、肌なじみが良く透け感が出て、明るい春らしい印象を与えることができる。また、ストレートパーマなどをかけた髪は、アッシュ系で染めると極端に沈んでしまうケースもあるが、少しベージュに寄った「オリーブグレージュ」は「沈み過ぎず使いやすい」といった意見も多い。

STYLING : KAORI OKANO(TRON)
PHOTOS : TERUO HORIKOSHI(TRON)
MONO GREGE : ジャケット4万5000円、ニット2万6000円/ともにGreed International(Greed International Fukuoka Store 092-718-0377)、ネックレス1万6000円/NORTH WORKS、ピアス4万2000円/ReFaire(ともにUTS PR 03-6427-1030)
OLIVE GREGE : ドレス6万円/KLOSET(H3O ファッションビュロー 03-6712-6180)、タンクトップ(スタイリスト私物)

問い合わせ先
ナプラ
0120-189-720

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春のヘアカラー、“アッシュ”の次のトレンドは“くすまないグレージュ”

 ナプラのヘアブランド「エヌドット(N.)」から2020年春、ヘアカラー剤「エヌドットカラー」の新色2ラインが登場する。「モノグレージュ」と「オリーブグレージュ」の2色で、長く続いているアッシュブームの“NEXT”を提案するカラーだ。ヘアサロン「アビー(ABBEY)」の人気スタイリスト2人が、同カラーで仕上げた春のトレンドスタイルを提案する。

ムラのあるベースでも
単品で理想のグレージュにする

「モノグレージュ」

 2020年春に提案したいヘアカラーはグレージュ。ただグレージュはベースを考えて、オレンジや黄色みが強かったら青や緑を加える必要があり、加える割合によって色が沈んでしまったりするなど調整が難しい側面があった。「エヌドット」の「モノグレージュ」は、まさに「こんな色にしたい」と思っていた色。今回のモデルはブリーチを2回していてクセ毛、ムラがありハイライトも入っているというベースだが、10トーンの「モノグレージュ」単品でここまできれいに仕上がった。(久保梨沙「アビー」バイス ストア マネージャー)

 「モノグレージュ」は、“落ち着きのある深みや濃度”を出すグレーと“透け感と柔らかさ”のベージュという人気の2色を1つにまとめ、サロンカラーのニュースタンダードを提案する色。低明度ではオフィスでも浮かない自然な艶と抜け感のある重くならない暗髪にでき、高明度では黄みをしっかり抑えたシルバー感を出しやすい。

顔をくすませることなく
寒色の良さを表現できる

「オリーブグレージュ」

 アッシュの人気が長く続いているが、そろそろ飽きも感じ始めているし、20年春までアッシュ推しだとさすがに辛くなる。同じ寒色でもベージュ寄りで、グレーが足されている感じの「オリーブグレージュ」が求められてくるニュアンスだと考えている。アッシュだと顔がくすんで見えがちというデメリットがあるが、「オリーブグレージュ」だとほどよく配合された黄みのおかげで顔が明るいまま“アッシュ感が残った感じ”を表現できる。今回のモデルは8トーンの「オリーブグレージュ」単品で毛先まで仕上げて、細めのハイライトを入れた。(菊地佑太「アビー」ストア マネージャー)

 「オリーブグレージュ」は、赤みを抑えるマット系染料が含まれているため、肌なじみが良く透け感が出て、明るい春らしい印象を与えることができる。また、ストレートパーマなどをかけた髪は、アッシュ系で染めると極端に沈んでしまうケースもあるが、少しベージュに寄った「オリーブグレージュ」は「沈み過ぎず使いやすい」といった意見も多い。

STYLING : KAORI OKANO(TRON)
PHOTOS : TERUO HORIKOSHI(TRON)
MONO GREGE : ジャケット4万5000円、ニット2万6000円/ともにGreed International(Greed International Fukuoka Store 092-718-0377)、ネックレス1万6000円/NORTH WORKS、ピアス4万2000円/ReFaire(ともにUTS PR 03-6427-1030)
OLIVE GREGE : ドレス6万円/KLOSET(H3O ファッションビュロー 03-6712-6180)、タンクトップ(スタイリスト私物)

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ナプラ
0120-189-720

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「エヌドット」が起こした“小さな革命”を振り返る

 今やヘアサロン専売品を代表するブランドの1つとなった、プロフェッショナルメーカー・ナプラのヘアケアブランド「エヌドット(N.)」。2017年4月のスタイリングシリーズ発売以来、ヘアカラーやカラーシャンプー、メンズラインなどを次々とローンチし、そのつど話題を巻き起こしてきた。ここでは同ブランドの軌跡を振り返り、サロン業界で起こした“小さな革命”を紹介する。

「エヌドット」ヒストリーは
ヒットアイテムの歴史

 「エヌドット」は2017年4月にスタイリングシリーズを発売して以来、さまざまなジャンルのアイテムを発売しヒット商品へと育ててきた。同年の7月にヘアカラー剤を、11月にカラーシャンプー&トリートメントをローンチ。18年9月に「SHEAシャンプー」と「SHEAトリートメント」、カーリングローションを発売。19年3月にオムシリーズ、8月にパウダーブリーチ、9月に「SHEAドライシャンプー」を発売し、ヘアサロン市場のトレンドをけん引してきた。

NEW ITEMS : 2020年
春夏のトレンドカラー
「モノグレ」と「オリグレ」を発売

 「エヌドット」から2020年春、ヘアカラー剤「エヌドットカラー」の新色2ラインが登場する。“落ち着きのある深み”を出すグレーと“透け感と柔らかさ”のベージュを1つにまとめた「モノグレージュ」と、肌なじみが良く透け感が出せる「オリーブグレージュ」の2色で、長く続いているアッシュブームの“NEXT”を提案するカラーだ。

MODEL PHOTOS : TERUO HORIKOSHI(TRON)
STYLING : KAORI OKANO(TRON)
MONO GREGE : ジャケット4万5000円、ニット2万6000円/ともにGreed International(Greed International Fukuoka Store 092-718- 0377)、ネックレス1万6000円/NORTH WORKS、ピアス4万2000円/ReFaire(ともにUTS PR 03 - 6427-1030)
OLIVE GREGE : ドレス6万円/KLOSET(H3O ファッションビュロー 03-6712-6180)、タンクトップ(スタイリスト私物)

問い合わせ先
ナプラ
0120-189-720

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好きなブランドは、模倣品を買わないことで私たちが守ろう ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.7『「グッチ」が模倣品を売る闇サイト30社を提訴』

読み解きポイント:「真似た利益と真似るリスク、どちらが大きい?」

ニュースのポイント

 「グッチ(GUCCI)」はシューズ、アクセサリー、ウエアなどの模倣品を販売したとして30以上のウェブサイトに損害賠償を求めフロリダ州連邦裁判所に提訴した。複数の商標権侵害で被告らを訴えており、模倣品の販売中止なども要求している。「グッチ」は模倣品が販売されることで潜在顧客を奪っていると主張し、さらに対策に「多大な金銭的リソース」を割いているとして、実際に売れた模倣品1点につき200万ドル(約2億1800万円)の損害賠償を求めた。

Azuはこう読む!

 やってきました2020!2020年から始まるこの10年を20年代と数えるならば、90年代生まれの私は3つ前の世代です。ここに「もう」とつけるかどうかで、世代論だけでは語れない「意志」が見えてくるのではと思っています。私は、特定の言葉に対して「もう」も「なのに」も、使うのをやめました。20年代もずっとファッションを楽しめますように!

 さてさて、この話題、金額だけ見たら震え上がって絶対に模倣品の販売なんてしないぞ、と思いますよね。だって仮に「グッチ」側の主張が認められたら、実際に売れた模倣品1点につき約2億1800万円の損害賠償が請求されるんですよ……。もちろん数点しか売れてないなんてことはないでしょうから、仮に10点売れたとして、21億8000万円!?どう考えても模倣品を売って得た利益なんて吹っ飛ぶ額です。

 模倣品の問題はラグジュアリーブランドに限ったことではありません。おそらく街中へ買い物に出れば必ずどこかで出合っているでしょう。私が「アパレルの模倣品」に気がついたのは小学校高学年の時でした。当時大流行していたキッズブランドが大好きだった私は、カタログや雑誌、お店に並ぶ商品を穴があくほど見ていたので多くのアイテムのデザインが頭に入っていました(私が洋服・ファッションを好きになった原点です)。ある時地元のスーパーで遊んでいたら、子ども服売り場に見覚えのあるキャラクターが描かれたTシャツがマネキンに着せられていました。それが、大好きなブランドの模倣品だったのです。

 幼いながらも「これはいけないことだ」と気付き、タグを見て、家に帰ってカタログと見比べました。今思うとおそらく模倣品として訴えることができるかどうかギリギリなくらいの「編集アイテム」だったと思いますが、とはいえ大好きなブランドが真似されて売られていたことに衝撃を受けたことを覚えています。

 10年代はSNSが急速に普及し、誰もが発信者になれる時代になりました。そして誰もが摘発者になれる時代です。ファッションの模倣品摘発で有名なのはInstagramの「ダイエット プラダ(@diet_prada)」ですが、つい最近も一般の方による模倣品の摘発ツイートがプチバズを起こしていました。そして私も別件で、摘発しようという魂胆はなかったのに思いがけずプチバズってしまったのですが、それくらい模倣品に対する目が厳しくなっているということです。

 リツイート先を見ると、「本家を買おうと思っていたのにパクられたから買う気をなくした」という声が3、4つほどあり(この数を多いとみるか少ないとみるかはお任せしますが)、「グッチ」が言うように模倣品が「潜在顧客を奪っている」というのは事実。私がそれとなくツイートしてしまった件は「卸や大手セレクトショップとのコラボもしているし、ある程度そのブランドのデザインだとは認知されているが規模は大きくないブランド」が「超大手」に1/5の価格でほぼ全く同じデザインのアイテムを出されてしまった件です。大手メディアには「トレンド感満載のデザインで高見え!『ゾゾタウン(ZOZOTOWN)』でランキング上位なのに『ジーユー(GU)』で買えるなんて最高!」と書かれたり、友人からは「地方の友達がこぞって買ってインスタにあげてる」という報告も受けたり、規模と価格の勝利を感じてしまったのでした。

 私には法的判断はできないため模倣品かどうかはプロに委ねますが、模倣品の摘発が起こるたびにいつも気になるのは「消費者側のリテラシー」です。もちろん私も全ての「元ネタ」を把握しているわけではないので知らぬ間に模倣品を手にしているかもしれませんが、完全な模倣品だと知っていて手を出すのは如何なものかな、と思ってしまうのです。

 「別に安く買えればいいじゃん」「質が落ちてもいいから安い方が良い」という声がたくさん聞こえてくるけれど、それは「形のないものを盗んだ」という事実を遠くから肯定していることになります。デザインや言葉など、無形のものは軽んじて見られますが、それがカタチになるまでには膨大な思考・制作時間と、その思考そのものを生み出す努力があるのです。「トレンド」「ビジネスだから」という魔法の言葉で片付けられる問題ではないことを、消費者ももっと意識すべきだと思います。そうでないとどんどん模倣品が肯定されてしまう。

 「グッチ」は大きな企業なので対抗措置に出ることができますが、小さなブランドが巨大資本に飲み込まれたらひとたまりもありません。もちろん小さいからといって「バレないだろう」「みんなやってるから」とデザインを盗用するのはダメです。アパレルやコスメブランドを作りやすくなったこの時代だからこそ、色々な利害が絡むビジネスサイドではなく消費者側が声をあげて、自分が好きなブランドを守っていく必要がありそうです。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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最低1600万円からの超富裕層のための「サザビーズ ダイヤモンド」、驚きの実態をサザビーズのアジアトップに直撃

 オークションハウスのサザビーズ(SOTHEBY’S)から派生したジュエリーブランド「サザビーズ ダイヤモンド(SOTHEBY’S DIAMOND)」のパティ・ウォン(Patty Wong)=サザビーズ・アジア会長兼サザビーズ ダイヤモンド部門会長が年末、顧客イベントのために来日した。ジュエリーブランドを立ち上げたきっかけやブランドの特徴などについてウォン会長に話を聞いた。

WWD:サザビーズはオークションハウスだが、「サザビーズ ダイヤモンド」を立ち上げた理由と目的は?

パティ・ウォン=サザビーズ・アジア会長兼サザビーズ ダイヤモンド部門会長(以下、ウォン):年間のオークションスケジュールは、12のジュエリーオークションと数十のオンライン販売から構成されている。当初は、オークション以外でVIP顧客にダイヤモンドを提供していたが、多くの顧客から継続的なサービスをリクエストされて、これらの顧客は年間を通してジュエリーを必要としていると感じた。「サザビーズ ダイヤモンド」は、オークションが開催されないときにこれらの顧客のニーズに応えている。顧客はわれわれの専門性や素材調達を信頼してくれているので、世界的なダイヤモンドのトップサプライヤーである、ディアコア(DIACORE)とジョイントベンチャーでブランドを立ち上げた。「サザビーズ ダイヤモンド」は伝統的なジュエリーオークションのバイヤーやサザビーズを信頼してくれている他分野のコレクターの間でも関心が高い。

WWD:「サザビーズ ダイヤモンド」のブランド哲学は?他のジュエラーと違う点は?

ウォン:「サザビーズ ダイヤモンド」はダイヤモンドのブランドで、全体の約9割がダイヤモンドだが、顧客のために他の宝石も調達することがある。ディアコアからダイヤモンド一つ一つを調達してその石に合ったデザインをする。この点が、デザインを起点に宝石を探すブランドと違う。また、予算を決めていないため、最も調達が難しい分野の石も購入することができる。

WWD:ビスポーク、シグニチャー、コラボレーションと3つのラインがあるが、それぞれの売り上げの割合は?

ウォン:売り上げはライン別には出さない。顧客はこれら全てに使用されているダイヤモンドの質に満足しているので、シグニチャー、コラボレーションなど全てのラインから購入する。1石の裸石を購入してわれわれのゲストデザイナーにビスポークジュエリーをデザインしてもらう顧客もいる。

WWD:「サザビーズ ダイヤモンド」のエントリー価格と中心価格帯は?

ウォン:われわれのジュエリーは全て一点ものなので、エントリー価格は約15万ドル(約1635万円)。若い顧客向けに幅を広げて約5万ドル(約545万円からソリテール(1石)のジュエリーを提供している。

WWD:ターゲットは?実際の客層は?顧客獲得のためにしていることは?

ウォン:「サザビーズ ダイヤモンド」を立ち上げた当初は、オークションの顧客やジュエリーのバイヤー、それ以外のカテゴリーのコレクター向けに販売していた。現在はロンドンのボンドストリートにサロンがあるので、オークションハウスとしてのサザビーズやブランドを知らなかったバイヤーからも注目されるようになった。

WWD:ロンドン、香港、ニューヨークにサロンがあるようだが、どこの売り上げが大きいか?

ウォン:ニューヨーク、ロンドン、香港にある3つのサロンのほか、東京や大阪で開催したようなポップアップショップを行っている。顧客はとてもグローバルでそれら2カ所以上から購入する。ロンドンに旅行中に見たアイテムを自宅のあるニューヨークか別の場所で購入するといったケースもある。

WWD:オークション用に調達した石を使用することはあるか?

ウォン:ない。

WWD:コラボレーションするデザイナーはどのような基準で選ぶか?専属のデザイナーは何人いるか?

ウォン:デザイナー選びはとても慎重に行う。われわれのDNAを共有しつつも、ユニークな何かを表現できることが重要だ。同時に2~3人の若いデザイナーと協業することもある。

WWD:製造はどこで行っているか?平均的な納期は?

ウォン:生産はニューヨークのアトリエで優秀な職人によって行われる。「サザビーズ ダイヤモンド」のすべてのジュエリーは一点もので、白紙の状態からデザインするものばかりだ。デザインから完成まで6カ月、調達が困難な素材やカットが難しい石などの場合は1年かかることもある。

WWD:合成ダイヤモンドに対する見解は?

パティ:天然ダイヤモンドの市場がある限り、合成ダイヤモンドの市場はあるはずだ。ただ、合成が天然の代わりになるわけではなく、全く異なる市場になる。「デビアス(DE BEERS)」は合成ダイヤモンドを生産する技術を開発し、マスマーケット用に安価な合成ダイヤモンドを生産している。

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「もの作りやデザインの方向性を変えずショーピースを作り、『マメ』らしい表現を模索したい 」 by 黒河内真衣子

黒河内真衣子「MAME KUROGOUCHI」デザイナー

 これまでのお客さまをはじめ、お世話になっている工場の方々や「マメ」に携わるさまざまな方たちのことを思うと、もの作りやデザインの方向性が変わってはならない。大きくデザイン変更はせず、本当に『マメ』の表現として正しいのかを冷静に判断した上で、ショーピースのような服を作り、『マメ』らしい表現を模索したい。(「WWD JAPAN.com」2017年12月3日公開、「マメ」黒河内真衣子が語る パリコレ参加への思いから)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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“みんなが日常を愛せればいい” シンガーソングライター折坂悠太の根底

 シンガーソングライターの折坂悠太にとって2019年は大躍進の年だったと言える。セカンドアルバム「平成」は各方面で高評価を得て、フジテレビ系月9ドラマ「監察医 朝顔」の主題歌も手掛けた。

 また話題性や規模の大小を問わず、ファッションブランドとアーティストの結びつきがより強くなっている中、折坂はある意味理想的な関係を築いている。彼が愛用する「ニゲラ(NIGELLA)」のシャツは、目立つかたちではなくとも間違いなく彼の世界観をつくる一要素となっている。業界間の垣根が曖昧になった現在、より広い範囲での活躍が期待される存在だ。そんな彼は「思ってもいなかったことも舞い込んできて、盛りだくさんだった」と振り返る19年、どんなことを考えていたのか。ドラマの主題歌となった「朝顔」や、目標として掲げていたという京都と韓国での滞在、さらには頻繁に着用する衣装に隠された思いについて聞いた。

WWD:折坂さんが創作活動を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

折坂悠太(以下、折坂):落書き程度でしたが子どものときから絵を描くのが好きで、美術系の高校に進学しました。昔から頭の中のことを出したいという欲求はずっとあって、絵を描くことは最初のアウトプットだったと思います。

WWD:そこから音楽に移っていくんですね。

折坂:結局高校は辞めてしまったのですが、その後地元のフリースクールに通って演劇やバンドを始めました。僕はもともと目立ちたがり屋で、ステージに立つ自分をずっと妄想していました。絵に対する反応は緩やかですけど、音楽は表現したらその場ですぐ返ってきますし、それで味をしめてだんだん音楽に向かっていきました。

WWD:折坂さんの曲には民謡や口上のような和の要素がありますが、どのようなルーツがあるのでしょうか?

折坂:僕が住んでいる千葉の柏市では毎年ねぶた祭りがあって、10代のときからねぶたを作るのを手伝ったり練り歩いたりしている時期がありました。ねぶたの終着地点のホテルでは祭りに合わせてジャズのコンサートが開かれていたのですが、そこで祭りの太鼓の音とコンサートの音が混ざるんですよ。その瞬間がすごく好きで。祭りの音は自分のこととして懐かしいし、ジャズのスタンダードにもどこか懐かしさを感じる、そういう懐かしさから音楽を作りたいという気持ちはありますね。

※毎夏開催される「柏まつり」の一環で、柏市が旧青森県柏村(現在はつがる市)と交流があったため、1994年から数年を除いてほぼ毎回行われている

WWD:歌詞のための言葉のストックはしていますか?

折坂:全然していないですね。本はあまり読まないし、何かを積極的に吸収するタイプではないんです。もちろん無意識に何か入ってきていると思いますが、だからこそなんで自分の中にこの言葉があったんだろうということがあります。

フジテレビ系月9ドラマ「監察医 朝顔」主題歌の「朝顔」。第10話放映前には、主人公である万木朝顔の家のセットで折坂が弾き語りを披露した

WWD:「朝顔」はより多くの人に聴かれるきっかけになったのではないでしょうか?

折坂:親戚から連絡が来たり、母親の職場の人が聴いてくれていたりと、層が広がったかなと思います。音楽を掘って聴いている人はもちろん、そうじゃない人たちにも届けたい気持ちがずっとあるのですが、それが少しずつ実現できてきた感じがします。

WWD:オファーが来たときはどう思いましたか?

折坂:ドラマの脚本家を目指していた時期があったので、自信がありました。でも実際にやってみると大変でしたね(笑)。

WWD:最初から主題歌になることを前提に作った曲だったのでしょうか?

折坂:そうですね。ドラマの監督やプロデューサーとやりとりしながら進めていきました。ドラマに最適なものにしつつ、自分にしかない個性で作ろうと最初から決めていたのですが、その両方を突き詰めたら「自分が何を考えて何のために歌を作るか」という根本的な部分に向き合うことになりましたね。サビの「願う 願う」という歌詞も何回もやりとりした中で生まれたもので、自分の音楽に対する根底の部分が出ていると思います。

WWD:「朝顔」もそうですが、折坂さんの曲には“願い”や“祈り”という要素が多いと感じます。

折坂:「朝顔」では“朝”という言い方をしていますが、僕の歌は“みんなが日常を愛せればいい”という思いから発信しているものが多いです。ですが今は価値観が細分化して、家族でさえ話が通じないこともあると思います。それに仕事や子育てで生活が手一杯みたいな人の世界には「大変だよね、分かるよ」という共感では通用しない断絶があるし、人のことを分かろうとする余裕やエネルギーも生まれにくいと感じます。

それでも歌は、いつの時代も理屈や思想の違いを超えて届けられると思うんです。でも直接歌詞にしたところで響くわけがないし、優れた表現を追求していきたいです。

WWD:以前、ライブで「今日ステージに立っているのは僕ですが、次に立つのは皆さまの番です」という旨の発言をされていましたが、どのようなことを考えていたのでしょうか?

折坂:日本って、自分にはできないことをアーティストがやっていると考えてライブに来る人が多すぎるんですよ。フリースクールにも、自分は選ばれていないと感じている子がたくさんいました。でもそれは歌や絵というかたちじゃないだけで、仕事でも介護でもそれぞれの場所で表現できることがあると思うんです。

以前、マヒトさん(バンドGEZANのボーカル、マヒトゥ・ザ・ピーポー)と話したとき、自分に才能があるからではなく、選んだ覚悟だけで音楽をやっていると言っていたのですが、それは何においても言えると思います。才能や後ろ盾ではなく、何かを選ぶということだけに価値があって、選ぶことは誰にでもできることなのではないでしょうか。大きな枠組みで言えば、社会全体が「今ステージに上がっているのはあの人だけど、次は自分かもしれない」という風になれば面白いと思うんです。そんな気持ちを込めてとっさに言った言葉ですね。

WWD:音楽性は違いますが、折坂さんもマヒトさんも人に対しての優しさを感じます。

折坂:こんなのが共通点だって言ったら怒られるかもしれないですが、根底は人が好きなんでしょうね。出会うことのない人、価値観を共有できない人に対しても、幸せになって欲しいと思っているのかもしれません。

京都と異国の地で感じたこと

WWD:ライブは弾き語りだけではなく、バンド編成もやられています。バンドは東京が拠点のメンバーによる合奏だけでなく、京都が拠点のメンバーによる重奏もありますが、どのような意図があるのでしょうか?

折坂:京都でバンドをやることは、昨年の大きな目標の一つでした。一昨年はツアーで全国23カ所を回ったのですが、それぞれの土地に特有の音楽に対する感覚やコミュニティーがあると感じました。どんな音楽もそれが生まれた場所に行かないと本質は分からないと思うのですが、1カ所にとどまってそういうものを吸収したかったんです。京都は昔から音楽的な土壌に興味があったので、2週間ほど滞在しました。重奏はその中でできた編成です。

WWD:実際に滞在してみていかがでしたか?

折坂:京都には音楽の豊かな土壌がありますが、他の地域よりも閉じた部分もあって、そこが面白くもあり難しいとも感じていました。今の重奏メンバーも知り合い同士だったけれど一緒にやる機会はなかった人たちで、その中によそ者の僕が来て一緒にやりましょうと言っても嫌がられるかもと覚悟していました。でも意外と彼らが新鮮に感じてくれたらしく、結果的に関西圏の人たちに交流が生まれたのはうれしかったですね。本当はその後に滞在した韓国でもバンドをやりたかったのですが、結局そこまではできませんでした。

WWD:韓国はどんなところに興味を持ったのでしょうか?

折坂:韓国のシンガーソングライターのイ・ラン(Lee Lang)との出会いが大きかったです。日本のアニメやテレビの影響で、韓国には日本語をしゃべれる人が多いんですよ。日本語と韓国語は文法が近いので一見滞りなく日本語で会話できるけれど、韓国人と仲良くなったと同時に違いも感じたんですよね。そこに日本人には分からない感覚が隠れている気がしていて、興味がありました。

WWD:滞在したことでその答えは見つかったのでしょうか?

折坂:それを「分かった」と言った時点で絶対に違うと思っていますが、さっきの日本人同士でも言葉が通じない感覚に似たものを感じます。韓国人は朝鮮という国が分断されたことで、特にそういう状況に直面しているんじゃないでしょうか。彼らにしてみたら、もともと一つだった国がいつの間にか二つに分かれて、立場の違いから自分たちの言葉はなんなんだろうと分からなくなってしまった。それに、日本で生まれ育った韓国人にとっては日本語が母国語ではないけれど、韓国語もまた母国語ではないという曖昧さがある。

言葉とアイデンティティーが直結しているからこそ、そこに生きることの難しさを感じる人がいることは、日本にいるだけでは分からないと思うんです。もちろん韓国の状況と一緒にしてはいけないけれど、自分が作る歌は日本の中でも大きくなっている“言葉の壁”を少しでも越えられるものでありたいとより考えるようになりました。

作品に対する考え方の変化

WWD:セカンドアルバム「平成」発売から1年以上が経ちましたが、ご自身の作品に対する考え方に変化はありますか?

折坂:あるかもしれないですね。「平成」のときは自分の人生を物語的に捉えていて、タイトルも時代を冷静に俯瞰して記号的な意味で付けたものですが、今は時代の渦中にいる自分を表現できないかと考えるようになりました。

アルバム表題曲「平成」のMV

WWD:「平成」は時代をそのまま表すタイトルではありますが、改元も決まっていた中で「平成」と名付けることにプレッシャーはなかったのでしょうか?

折坂:それは今プレッシャーを感じています。「平成」と名付けたことはそのときの最大限の表現だったし今でもそう思っていますが、それこそ韓国に行ったときに“平成”という言葉が言えなかったんですよ。そこであらためて“平成”という言葉が持つ意味の重さを実感して、それからあの歌(アルバムの表題曲「平成」)が歌えなくなってしまいました。今も答えが出ていなんです。それは令和になったからではなく、先ほど言ったように時代の中にいる自分を意識するようになったのも関係していると思います。

WWD:アルバムジャケットも印象的でした。

折坂:赤バックとバストアップの写真は最初から決めていました。ただ、表情はずっとカメラ目線で撮っていときに、ふと力を抜いた瞬間をおさえたものです。その後も同じアングルで何回か試しましたが、あの感じが全然出ませんでした。そのときにしかない感覚が、“平成”というものにマッチしたのでよかったです。

WWD:「平成」もですが、アルバムジャケットやアーティスト写真ではシャツの着用率が高いと感じます。

折坂:今はもう少しなんでもいいやという気になっているのですが(笑)、「平成」を出した頃は、受け継がれつつ進化してきた中で作られたものを身につけたいと思い、シャツを着ることを意識しましたね。服も時代に応じて変化して、何気なく着ているシャツが今の形になったことにもおそらく理由があると思うんですよ。そういう、服がなぜこの形になったのかということに興味があったんです。

WWD:ミュージシャンが着用する服は、リスナーの曲の受け取り方にも影響すると思います。

折坂:そうですよね。僕も全部を知っているわけではないですが、音楽でも積み重なる歴史に目を向けて、またそれを発展させていくことが文化の循環であって、音楽と服は特にそれが表現しやすいと思います。シャツは「ニゲラ」の永冨(佳代子)さんにお願いしていますが、2〜3年前に初めて作ってもらったときにも同じような話をしました。

WWD:オーダーで作られているんですか?

折坂:そうですね。でも彼女の作る服はとても不思議で、誰にでもフィットする感じがあります。特別しっかり測らなくても体に合ってくれますね。

WWD:最後に、今年はどんな活動を予定していますか?

折坂:今年はアルバムを出したいと思っています。昨年培ったものや気づいたことを一つの作品にアウトプットして、各地へコンサートに行ってそれを丁寧に伝えていきたいです。

■折坂悠太 単独公演 2020
日程:3月23日
時間:19:00〜/開演 20:00〜
場所:梅田クラブクアトロ
住所:大阪府大阪市北区太融寺町8-17 プラザ梅田 10階
入場料:4200円

日程:3月27日
時間:18:30〜/開演 19:30〜
場所:TSUTAYA O-EAST
住所:東京都渋谷区道玄坂2-14-8
入場料:4200円

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トレンドの自然を感じさせるアイテムが豊作 「ディオール」2020年春夏バッグ&シューズ

 「ディオール(DIOR)」2020年春夏コレクションの着想源となったのは、ムッシュ・ディオールの妹であるカトリーヌ・ディオール(Catherine Dior)の写真だ。マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuli)=アーティスティック・ディレクターは、庭師でもあったカトリーヌが手入れをしていた庭園の植物やそこに生息する生物からイメージを膨らませた。また、会場セットも園地栽培に取り組むアーティスト集団のアトリエ コロコとの協業。テントの中に原産地が異なる木々を配し、森を再現した。そんな自然に溢れるムードはアクセサリーでも顕著で、草花モチーフや天然素材、優しい色使い、ガーデニングを想起させる要素が散りばめられた。

 バッグで目を引いたのは、繊細な草花の刺しゅうが施された“サドルバッグ”や“ブック トート”。ガーデニング用のツールバッグ風を思わせるビッグトートは、性別を問わず支持を集めそうだ。また、メゾンを象徴するデザインの再解釈として、キャンバス地に“カナージュ”パターンを取り入れたアイテムも新登場。“レディ ディオール”(予定価格48万円)と“ブック トート”(同28万5000円)で提案する。それだけでなく、“ブック トート”のバリエーションは、トワルドジュイやストライプ、千鳥格子、淡いカラーグラデーションといったウエアに呼応する柄のファブリックや単色のレザーなど今季も豊富。フロントを飾る「C」と「D」の大きな金具が特徴の“トロント モンテーニュ”ラインのバッグやレザー小物も、種類が増えつつある。

 シューズの中心となるのは、ジュート(黄麻)を用いたエスパドリーユやサンダルといったエフォートレスなアイテム。タッセル付きのロープのようなストラップを足首に巻くスタイルが印象的だ。その他のデザインでもフラットソールもしくはローヒールのアイテムが多く、ガーデニングやアウトドアのイメージにつながるラバーブーツやレースアップブーツもある。ブーツに施されたカットアウトは、20年クルーズ・コレクションのブーツに見られたフィッシュネットのデザインを発展させたものだ。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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業界に愛される弁護士界の異端児 目指すは「日本をファッションローのハブに」【ネクストリーダー2020】

 「WWDジャパン」は、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた企画「ネクストリーダー」を実施している。今回で3回目を迎えた同企画の対象者は、ファッションビジネスに関わるあらゆる分野の若きリーダーたち。情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進むネクストリーダー10組を紹介する。

 「弁護士」というと、“専門性が高く、とっつきにくい存在”だと感じる人も少なくない。その既成概念を打ち崩すのが、三村小松法律事務所の小松隼也・弁護士だ。彼はファッションローに明るい弁護士としてだけでなく、“リーガルディレクター”の顔も持ち、ファッション領域でのビジネスを法的観点からサポート。デザイナーズブランドを中心に、海外進出やM&A、協業の際の契約などさまざまなアドバイスを行っており、ブランドからの信望も厚い。法の力でファッションビジネスの可能性を広げてきた“弁護士界の異端児”はどのようにして今に至り、そして今後何を目指すのか。小松弁護士の過去、現在、そして未来を探る。

WWD:リーガルディレクターとは、どういった存在なのか?

小松隼也・三村小松法律事務所 弁護士兼リーガルディレクター(以下、小松):一言で言うと、ビジネスにおける戦略をクライアントと共に考えるパートナーだ。以前とある人に“アートディレクターの法律版”と言われたこともある。例えばショールームはどこと組むのがいいのかや、海外ブランドと協業する際の契約形態などを、法的な観点や事例をもとに一緒に考えている。

WWD:リーガルディレクターとして活動を始めた経緯は?

小松:15年にニューヨークに渡り、ファッションローについて2年間ほど学んだ経験が大きい。そもそも渡米したのは、弁護士の活動と並行して東京写真学園に進学した際に知り合った、モデルやデザイナーといった人々から、法律的な相談が増えていたからだ。海外活動におけるトラブルが多かったこともあり、最前線であるNYで学ぼうと考えた。現地のファッション系の学生たちとのディスカッションや、実際の事例などを見ていく中で実感したのは、NYのファッションローが非常に実務的だということ。デザイン保護の観点が強い日本とは異なり、NYでは投資を受ける際の契約や労働問題、起用モデルに対する支払いなど、多くの人がさまざまな観点から考えていた。さらには弁護士とデザイナーが一丸となり、デザイン保護のための法律を作ることもあった。そんなNYの企業では、内部にCLO(チーフ・リーガル・オフィサー)と呼ばれる人々がおり、投資対策や交渉、契約などを行っている。僕個人としては、外部としてCLO的な動き方ができればと思い立ち、日本に帰国してから徐々に活動を始めた。

WWD:日本へ帰国した当時はリーガルディレクターのような活動をしている人は少なかった?

小松:確かに少なかったし、それが今、自分が三村小松法律事務所を立ち上げた理由でもある。もし、リーガルディレクター的な活動をする人が100人いたら、日本はもっと面白くなると思っている。自分はファッションやアートが好きで、そういった分野での法的サポートを行っているが、バイオだったり、食品だったりとさまざまな分野で法的なサポートができるリーガルディレクターが生まれれば、競争力は増すはず。そのためには多数のリーガルディレクターを擁する事務所が必要だと考え、 当時所属していた長島・大野・常松法律事務所から独立し、今に至っている。

WWD:法律の観点から見て、ファッション業界で課題に感じることはあるか?

小松:実際にトラブルが起きてからでないと、なかなか相談に来てくれないことだ。トラブル発生後だと、契約書の解釈のみになってしまう。もちろんそういった仕事も重要だが、契約書を作る前段階から相談してくれれば、少なくとも10倍以上はできることがある。われわれとしても、案件が増えていることで、さまざまな事例において比較ができるようになっているし、海外へのシッピングの問題や、トラブルになった際の損害の回避といった部分的な話だけでなく、より包括的な相談に乗れるようになってきている。

WWD:クライアントはどういった企業が多い?

小松:国内のデザイナーズブランドのほか、ヴァーチャルインフルエンサーimmaをマネジメントしているアウ(Aww)など多岐にわたるが、実際のところ自分が担当している全案件のうちファッションを含めたクリエイティブ関連は半分程度、残りはガチガチの企業法務だ。これは若手の育成の際にも言っていることだが、ファッションだけに特化してしまうと、ファッション業界の感覚しか分からなくなってしまう。ビジネス性が強い企業での交渉の感覚を常に持つことで、弁護士的な感覚に偏りがないよう、バランスを取っている。

WWD:ファッション業界では、ある種の直感的思考が重要な場面も多々ある。そういった部分にはどのように対処している?

小松:契約書を作らなくても、せめてメールで文面を残すようにとアドバイスをするなど、業界特有のビジネスの手法は大切にしつつ、どう法律を落とし込むべきかは常に考えている。全てを「法律的にはこう」と決めつけてしまうとブランド側との関係値も崩れてしまうし、クリエイティブ性も失われてしまう。一方で、どこまでがオマージュで、どこからが侵害か?といったことについてブランドと一緒に考え、より良いコレクションを作っていけるのはとても楽しい。うれしいことに、「相談をしたことでやれることが増えた」とブランド側に言ってもらえることもある。

WWD:今後の目標は?

小松:今後5年で日本を世界のファッションローのハブにしたい。世界と比べても、日本ほど産業に寄り添って活動している弁護士は少なく、ファッションローの観点では日本は強い。ただ、海外には現地法があり、国内の弁護士では対応ができない。日本のファッション業界を知っていて、現地で対応ができる弁護士を生むために、現在はパリ弁護士会と提携し、現地の弁護士に研修として日本に来てもらうことなどを考えている。ゆくゆくはロンドンやニューヨークなど、ファッション業界にとって重要な国々との提携も行っていきたいと考えている。国内のブランドたちが世界レベルで勝負していくために、われわれの事務所がハブとなり、世界での法的なサポート体制を整えていくつもりだ。

【推薦理由】
国内大手法律事務所で弁護士として腕を磨き、“ファッションロー”の概念を生み出した教授を擁するフォーダムロースクールを卒業した世界を股にかける弁護士。特に訴訟に強いという定評がある。一方でほかの弁護士と一線を画すのは、ファッションやアートへの造詣の深さ。多くのアート作品を保有し、国内のデザイナーズブランドの作品を着こなす。このような点から、若いアーティストからの相談も多い。今年、独立し代表弁護士として新事務所を設立。さらなる活躍が期待され、法律業界からも注目が集まっている。

「ネクストリーダー」の特設サイトはこちら

NEXT LEADERS 2020
ファッション界の未来を担う「ネクストリーダー」10組

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「ウェールズ ボナー」が変わった 気難しさから解放された「最もパーソナルなコレクション」

 柔和でニュートラル。鋭利なトゲの先が丸みを帯び、着る者・見る者を温かく包み込む——「ウェールズ ボナー(WALES BONNER)」2020-21年秋冬コレクションのショーを見た直後に抱いた感想を、思わずメモ帳に記した。同ブランドからこのような優しい感情をかき立てられると想定していなかった分、忘れまいとメモ帳に、心に刻みたくなったのだ。

 2年ぶりの開催となるショーはロンドン・メンズ・コレクション2日目の1月5日、リンドリーホール(Lindley Hall)を会場に催された。デザイナーのグレース・ウェールズ・ボナー(Grace Wales Bonner)はショー前、リラックスした雰囲気で会場のライティング、音楽、モデルのウォーキングの最終確認を繰り返し行っていた。まるでキャリア20年以上のベテランデザイナーのような手際の良さと落ち着いたムードだが、実際はブランド創設5年目の弱冠29歳だ。150cm程の小柄で華奢な彼女は、堂々とした態度で存在感を放っている。過去の取材では淡々と質問に答える真面目な職人気質という印象を受けていたが、目の前にいる彼女は笑顔が多く、友好的で穏やかな一面が見え隠れする。それが気の知れたチームに囲まれているからなのか、彼女自身に変化があったのか、この時には分からなかった。

スタイルは柔らかく、
アイデンティティーは強く

 彼女が「最もパーソナルなコレクション」と表現する今季はイギリス人アーティスト、ジョン・ゴトー(John Goto)の写真集「Lover’s Rock」から着想を得た。同写真集は、70年代にロンドン西部ルイシャムに暮らすアフリカ系移民2世の若者のポートレートを集めた作品だ。「私の祖父は50年代にイギリスへ渡り、移民2世の父はルイシャル通りに仕事場を構えていた。ジョン・ゴトーによるポートレート写真は、ルイシャムにあるユース・クラブで最初に見かけた」とシンパシーを感じる不思議な巡り合わせについて語った。彼女は写真に写る若者のアフリカンなヒッピーさと英国のスマートさや粋を、楽しく混ぜ合わせるスタイルに魅了されたという。

 彼女はショー直前、モデルに一人ひとりに声を掛けていた。「ウオーキングは、胸を張ってアイデンティティーを表現するようなイメージで。肩の力を抜いてリラックスしながらも、勇ましい姿で歩いてほしい」。レゲエやソール、R&Bの音楽が流れる中、メンズとウィメンズのルックがランウエイを飾る。美しいテーラリングのスーツはインナーにミスマッチな鮮やかな色彩のタートルネック、デニムで仕立てられたオフィサーコート、クルタ(民族衣装)の上にオフホワイトのブレザーを着用するなど、予想外の組み合わせで国籍を問わないスタイルが目立つ。「アディダス(ADIDAS)」とコラボレーションしたシューズや「スティーブン ジョーンズ(STEPHEN JONES)」のハットといった小物も良いスパイスを加えていた。ショー後には会場でアフリカ料理のフィンガーフードとドリンクが振る舞われ、カジュアルなアフターパーティーが開かれた。

「今の私は“帆を広げる”ように
心を開くことができる」

 「これは完全なる帰郷のようなもの。数年間世界中を周っていたけれど、帰るべき居場所へ戻ってきた」と、彼女はリラックスした表情でショー後の取材に応じる。欧米を周ってアフリカの歴史を学ぶ旅に没頭し、家族や古い友人といった自身のコミュニティーに戻った。そこで自己認識をさらに深めることができ、アイデンティティーを表現するコレクションに臨めたというのだ。「過去5年間を振り返り、統合し、『ウェールズ ボナー』というブランドが何を意味するのか表現したかった。今季は私のコミュニティーや、私自身を反映させたコレクションだ。多くの人が、その中から自分自身を見つけ出せるようにしたかった」。そう語る様子は気難しささえ感じた過去の取材対応とは明らかに違い、緊張を解いて笑顔を交えながら朗らかだった。肩肘を張り、背伸びをしていた20代の経験は、彼女に穏やかさや優しさ、帰るべき居場所を与え、自分自身を解放したような印象である。その過程には、コミュニティーを離れて一人の時間も必要だったとという。「コレクションを制作するために、泡の中で一人になければならない時がある。それは結果的に、世代や国籍を超えて多くの人と繋がる瞬間をもたらしてくれた。今の私は、まるで“帆を広げる”ように心を開くことができる」。アイデンティティーを探る旅は一旦終着を迎え、次は帆を広げて海原へと繰り出していく。彼女の精神面での変化と呼応した今季のコレクションは、先行き明るい未来を表しているようである。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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メンズコレ裏街道記 ロンドンメンズ最終日は運営の環境問題に対する取り組みに感心

 1月6日。曇り。あっという間にロンドンメンズの最終日。曇ったり晴れたりで、一番肌寒い日でした。

9:00「ハンツマン」

 若手のショーばかり見てきたせいか、老舗テーラーの「ハンツマン(HUNTSMAN)」で行われた朝食会兼プレゼンテーションは、いろいろな意味で安心感。既製服の新たなコレクションと、ツイードのビスポークという画期的な試みを紹介してくれました。過去に「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」とコラボレーションしたコートなどの貴重なアーカイブも展示されていました。朝食はどれも美味しくて、つかの間の優雅な時間を過ごしました。

9:30「ルー ダルトン」

 お次は「ルー ダルトン(LOU DALTON)」の会場へ。男臭い英国クラシックを若々しく軽やかにするのが得意な印象ですが、今回はいつもより土っぽさが強くモデルの年齢層も高め。「グローバーオール(GLOVERALL)」や「ジョンスメドレー(JOHN SMEDLEY)」とのコラボも気になりました。スポーツウエア仕立ての新しい提案はあったものの、正統派すぎる気も。

10:00「フェン チェン ワン(FENG CHEN WANG)」

 英国クラシック2連発の後に、いきなりスターウォーズの世界。スモークがもっくもくな会場の床からは複数のライトセーバーが突き出ているようです。肝心の服はジェダイでもシスでもなく、ど真ん中のストリートウエアでした。ブルゾンとコートのハイブリッドやチェスター風のダウンなど、アウターが得意そうな印象でした。今後はオリジナリティーをいかに発揮できるかが楽しみです。

「フェン チェン ワン」2020-21年秋冬ロンドン・メンズ・コレクションから

11:00「スタジオ アルケ」

 ロンドンメンズのラストのショー「スタジオ アルケ(STUDIO ALCH)」の会場へ。リサイクル&オーガニック素材で、今っぽいストリートウエアを提案します。英国ナイキ(NIKE)のサポートを受け、公式のリメイクアイテムも登場しました。ちょっと気になったのは、秋冬シーズンのコレクションなのに、春夏のような薄着がたくさん出てくること。同ブランドだけではなく、ロンドンメンズでいくつかのブランドに見られた傾向です。シーズンレスの提案なのか、サステナブルへの意識が高いがゆえの材料不足なのか。いずれにせよビジネスにつなげないと意味がないので、メンズコレクションの期間中にもう少し考えてみたいと思います。

「スタジオ アルケ」2020-21年秋冬ロンドン・メンズ・コレクションから

番外編 ロンドンメンズはここが変わった

「紙のインビテーションが半減」

 ロンドンのホテルに到着してまず焦ったのが、部屋に招待状がほとんど届いていなかったこと。何かの手違いかとあたふたしましたが、実はほとんどのブランドがメールでのインビテーション制に切り替えたからだったのです。招待状の束を持ち歩くストレスが軽減された反面、メールは転送できてしまうために入り口で画面のチェックが必要となり、混乱気味の会場もいくつか見られました。課題は多いものの、試みには賛成です。

「脱プラスチックでペットボトルゼロ」

 1年前までは公式会場内に山のように並べられていた協賛会社のペットボトルの飲料が、今回はゼロ。代わりに、水が入った「スウェル(S’WELL)」ステンレス製ボトルが来場者に配布されます。水はいつでも補充可能。かわいいデザインのおかげか、会場内や周辺でゴミにされている気配はほとんどありませんでした。さすが環境問題への意識が高いロンドンです。こういったショー以外の取り組みは、この先続くピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)やミラノ、パリも続くのでしょうか。いろいろな面に目や耳を傾けながら、この先も取材を続けます!

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アシックスの低酸素ジムは、トップアスリートとの「交差点」だった

 編集部員さえ驚く(!?)ファッション・ヴィクティムで、ここ数年は、これまた呆(あき)れられるくらい(!!)ジムホリック(ジム中毒)な「WWD JAPAN.com」編集長ムラカミが、オシャレに変貌するエクササイズ業界に潜入!カラダを張って最新エクササイズを体験レポートし、長年の経験からオシャレ度をジャッジします。

 今回は、スポーツ担当の後輩オーツカに誘われ、クリスマスイブに豊洲にGO!!アシックスが11月にオープンした、ピッカピカの低酸素ジムに潜入しました。

 さぁ、全然盛り上がらない平日(12月23日が休日だったのは、クリスマスムードを盛り上げるという意味において大きかったですねw)のクリスマスイブ、しかも朝8時にやってきたのは豊洲!!アシックスの低酸素ジム「アシックス スポーツコンプレックス 東京ベイ」は、今年の東京オリンピック&パラリンピックで盛り上がりそうな臨海エリアのど真ん中、隣は豊洲の新市場という立地です。正直近くはないけれど、施設はもちろんピッカピカ。都心の一等地にあるジムなら、それだけで月会費2万円くらいかかりそうですが、ココは日本最大規模の低酸素ジムでありながら月会費2万円。「高い」と思う人と「安い」と思う人の双方がいらっしゃるとのことですが、ジムアディクトの僕からすれば、決して高くありません。タオル付きだしね(笑。コレ、マジでポイント高いです)。

本気で速く&長く走りたいなら価値ある3万円のスペシャルメニュー

評価★★★★

 で、本日はスペシャルメニュー。後輩オーツカは、出走予定の東京マラソンを見据えたトレーニング計画を立てるために(多分)、僕は普段のトレーニングがどのくらい体に効いているのかを確認するためになんとなく(苦笑)、1回3万円のスペシャルメニューに挑戦させていただきました。足の状態や体の姿勢、筋力はもちろん、心肺機能に至るまでの現状を分析し、今後より速く、もしくは(距離的にも、年齢的にも)もっと長くランを楽しむためのボディーチェックと表現すれば適切でしょうか?そのメニューは、①1分おきにペースを上げ、どこまで走れるかをチェック②ラグビーやアメフト選手のタックルさながら、メチャクチャ重たい地面を蹴り上げながら走って筋力や脚力をチェック③足のマシンエクササイズのような動作を繰り返して脚の伸展や屈曲のパワーをチェック④3Dで足の形状をチェックなどのメニューから構成されています。

 ものすご〜くハードなのは①と②ですが、肺活量や呼気中の二酸化炭素を測定するマスクを装着しながらのランニングは、アスリートのカラダを“解剖”する科学番組みたいでエンターテインメントでもあります(笑)。④は、ちょっと真剣にランニングを楽しみたい人に本当にオススメ!!足のサイズ、長さや幅、甲高くらいは、最近では「ジェイエム ウエストン(J.M. WESTON)」の靴を買う時などに計測してもらいましたが、足に対して足首がどのくらいの角度で伸びているか?足全体にどのくらい均等に体重が乗っているか?などは、新発見ばかり。今後の靴選びやトレーニングの参考になります。“3時間ミッチリ”のスペシャルメニューですから、3万円の価値はあります(断言)。

 そして導かれた目標タイムは、フルマラソンで驚愕の3時間30分台、ハーフでも1時間30分台でした(マジか!?我ながら、日常的にエクササイズしている甲斐があったなぁw)。科学的に導いた数値は単なる空想ではなく、頑張れば突破できる(ハズの)タイム。そこにいち早く到達するため、この低酸素ジムでカラダはもちろん、心肺機能も高めようというのが「クロッシング」なのですね。ちなみに後輩オーツカのフルマラソンの目標タイムは、3時間40分台でした。ムフフ。42歳ムラカミ、まだ頑張れそうです(笑)。

「低酸素=息苦しい」じゃない。でもカラダは疲れます(笑)

評価★★★★★

 さて、肝心の低酸素ジムは、大別すると5つ。①標高2000m級、空気中の酸素濃度が16%程度(ちなみに私たちは普段、酸素濃度が20.9%という空間で生きています)の広〜いジムエリア②標高3000m級、酸素濃度はさらに下がって15%程度のガチエリア③標高2000mに相当する酸素濃度のプールエリア④通常の酸素濃度のプールエリア⑤低酸素だったり常酸素だったりのスタジオに分かれます。まずは、①にGO!!正直入室したところで体感するものは何もなく、言われなければ「ここが低酸素」とは分かりません。ただ指に測定器をつけてトレッドミルで走ってみると、血液中の酸素濃度は通常を100とするとドンドン降下し、後輩オーツカは80台までダウン。僕も取材した初回こそ96でしたが、後日もう一回計測したら78まで下がり(さすがにペースダウンしましたw)、数字では「なるほど、酸素を取り込みづらい環境にいるんだな」と実感します。これにより心肺機能を高めたり、血液を中心に循環を促したりすることでカラダのパフォーマンスを高めるワケですね。ちなみに、常酸素状態では、どれだけ頑張ってもこの数字は90台から下がらないそうです。

 とは言えしばらく運動を続けると、はるか昔、体育の時間でプールに入った後の“フワフワ感”を覚えます。早起きしたし、ジム終わりに新市場で寿司を食べ糖質を一気に摂取した影響もあったかと思いますが、取材を終え会社に戻ったら爆睡でした(苦笑)。なるほど確かにカラダは、低酸素状態を敏感に察知して頑張ってくれたようです。後日パーソナルトレーナーに話を効いたら、水泳やバイクは、低酸素状態を感じやすいんだとか。こりゃ、次行くときは水着持参だな。

 施設はプロユース、もしくはガチ向けオンリーではありません。もちろん、そんな人も大満足ですが、一般の人も楽しめる。事実、フツーの方も大勢います。低酸素状態でカラダに負荷を効率的にかけ、結果運動時間を減らしたり、関節への負担を軽くしたりという意味においては、忙しいビジネスマンや、「ハードな運動はチョット」という方にも向いてい流のです。

テンション爆上げ!!トップアスリートとの「交差点」

評価★★★★★

 ただ日本最大級の低酸素ジムですから、隣にフツーにトップアスリートがいたりで驚くこともあります!!僕はまだ2回しか通っていませんが、2回ともド級のプロ野球選手と同じ時間にワークアウト!!ハッキリ言って、一番感動しました(笑)。カラダはすごいし、顔小ちゃいし、走るの早いし、ボールはもちろん弾丸のように飛んで行くし、世界最高峰ってやっぱりスゴい!!張り合えるハズもないのに、ついつい嫌いな筋トレまで頑張ってしまいます(笑)。聞けばこのジムは、「クロッシング」がコンセプト。プロとアマの交差点でありたいなどの願いを込め、コンセプトにしたそうです。

 最後にそのほかの施設は、ジムに送らない酸素を一気に放出するため酸素濃度が30%以上という高酸素状態でカラダの疲れを癒やすコンディショニングルーム、メチャクチャきれいなお風呂(シャンプーやコンディショナーはもちろん、スキンケアまで常備!!)、ピカピカのサウナルーム、コンセント有りのプロテインバー(笑)まで大充実です。

 いや〜、楽しい。改めて「コレで2万円は、高くないな」と思うワケなのであります。横浜市民の僕にはチョット遠いけれど、3回乗り換えれば自宅から75分で通えることも判明しました!!ありがとう、首都圏の鉄道ネットワーク!!会社のある六本木からだったら、大江戸線と「ゆりかもめ」で45分!!ムラカミ、マジでしばらく頑張ろうと思います。

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動画:「WWDジャパン」が考える「ネクストリーダー」を向編集長が解説

 ファッション界の次世代を担う人に光を当てた特集「ネクストリーダー」は今年で3回目を迎えた。対象はデザイナー、バイヤー、スタイリスト、インフルエンサー、経営者、デジタルに携わる人など、ファッションビジネスに関わるあらゆる分野の若きリーダーたちだ。推薦者はそれぞれに専門分野とネットワークを持つ「WWDジャパン」の記者たちで、選ぶ視点は次の8つ。指導者や先導者という意味のリーダーだけではなく、(1)業界をけん引できるか、(2)業界を盛り上げる存在であるか、(3)次の時代を担う才能であるか、(4)新しい市場・価値を創出できるか、(5)型破りであるか、(6)国際的な視野を持っているか、(7)次の世代に道をつなげる役割を果たすか、(8)さらなる成長を見込めるか。

 「WWDジャパン」が「ネクストリーダー」に取り組む意義を編集長の向(むこう)千鶴が語る。


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メンズコレ裏街道記 ロンドンメンズ2日目は小学校で爆音の「マーティン ローズ」や鳥肌ものの「ウェールズ ボナー」など

 1月5日。曇り。東京は初雪と聞きましたが、ロンドンは意外とまあまあ温かいんです。

11:00「8 on 8」

 中国版「GQ」の招へい枠で参加した中国人デザイナーによる「8オン8」は、ウェス・アンダーソン(Wes Anderson)監督の映画のような、ユニークな世界観。2017年設立というキャリアの浅さが露骨でしたが、スポーツメーカー「カッパ(KAPPA)」とのコラボレーションが印象的でした。お馴染みのロゴ“オミニ”がカラフルになり、シューティングゲームの敵キャラのようでかわいい。ラスト手前に巨体の個性派モデルが登場して大勢の観客がスマホを向ける中、そのすぐ後に登場したフィナーレのルックがかすんでしまってモデルが少し気の毒でした。

「8オン8」2020-21年秋冬ロンドン・メンズ・コレクションから

12:00「チャラヤン」

 一時代を築いたした御大フセイン・チャラヤン(Hussein Chalayan)もまだまだ現役です。メンズの普遍的なウエアにフューチャリスティックなディテールを加えて、ヨークやラペルなどの各パーツが身頃や周辺の部位と溶けて混ざり合うかのように一体化。トレンチコートがオールインワンになっちゃいました。クリエイションに大きな変化はありませんが、会場がいつも狭いのだけはどうにかならないでしょうか?

「チャラヤン」2020-21年秋冬ロンドン・メンズ・コレクションから

13:00「パー ギョーテソン」

 「パー ギョーテソン(PER GOTESSON)はランウエイ上に置かれた無数の便器に、早くも面倒くさそうなムード(笑)。コレクションもやはりアートタッチなアイテムが多く、難易度超高め。かといってその世界観を届ける力量には至っておらず、今後に期待です。序盤には着やすそうなデニムのセットアップもあったので、ちょうど中間ぐらいのアイテムが見たかった。

「パー ギョーテソン」2020-21年秋冬ロンドン・メンズ・コレクションから

14:00「ザンダー ゾウ」

 僕が初めてロンドンメンズを取材した3年前はキワモノのイメージだった「ザンダー ゾウ(XANDER ZHOU)」も現在は知名度をぐっと上げ、人気のショーの一つとなりました。ショー前には、メールでAIが書いた(!)という意味不明な日本語のリリースが届き、ザンダー劇場に誘われます。彼の武器は、ただ奇抜なだけでなく、街でちゃんと着られる服をイメージできるバランス感。今シーズンも、電気のようにジグザグにカットされたトップスのセンターラインや裾、モザイクがかかったビジュアルのコラージュやメイクなど、機械がエラーを起こした際のイメージを服に落とし込んでいるように見えました。未来のワークウエアをイメージしたフューチャリスティックなブルゾンもいい感じ。

「ザンダー ゾウ」2020-21年秋冬ロンドン・メンズ・コレクションから

15:00「ステファン クック」

 パールのようなスタッズやプリーツの腰巻き、ワンショルダーバッグやハンドバッグが多出。ウィメンズの定番をメンズっぽくというよりも、あくまでメンズとしてエレガントに馴染んでいたのが好感でした。星空のようにスタッズを打ちまくったウエアもきれい。キーホルダーリングがストラップとしてじゃらじゃら付いたハンドバッグはちょっと欲しいかも。

「ステファン クック」2020-21年秋冬ロンドン・メンズ・コレクションから

15:30「ヴィンティ アンドリューズ」

 1990年代のレイブカルチャーから着想を得たそうで、キャッチーな色使いも納得。DIYで頑張ってお洒落してる感じがちょっと懐かしくてほっこりしました。ロンTの袖にはカタカナのブランド名がプリントされており、不良っぽい書体のチョイスに「君、わかってる」と感心。

15:45「オマール アフリディ」

 若き日本人デザイナーによる英国ブランド「オマール アフリディ(OMAR AFRIDI)」の2回目となるプレゼンテーション。デザイナーの1人である市森天颯(はやて)さんは、会場スタッフとしても奮闘しておりました。会場には何やら巨大なオブジェが設置されています。20代中盤とは思えないマニアックな世界観が持ち味なので、今回は何が出てくるのかと期待が膨らみます。待つこと数分、中央のオブジェからワントーンカラーのマスクマン7人組が出てきました。聞くと、彫刻アーティストの制作のプロセスをプレゼンテーションで表現したそうです。いやー渋い(笑)。とはいえ服そのものはミニマルできれいなので、単品では着やすそう。ハードルの高さは承知の上で、このワントーンカラーに挑戦してみたいです。

16:00「カシミ」

「カシミ」2020-21年秋冬ロンドン・メンズ・コレクションから

 2019年7月に創業者のハリド・アル・カシミ(Khalid Al Qasimi)が39歳の若さで急逝し、同氏と双子のフール・アル・カシミ(Hoor Al Qasimi)がクリエイティブ・ディレクターに就いた新体制で初のランウエイショーです。ただ登場したのは創業者による最後のコレクションなので、大きな変化はなし。むしろ素材感やテーラリングといった安定感がさらに向上していただけに、やはり残念でなりません。フィナーレに登場した感無量のフール・ディレクターを観客はスタンディングオベーションで迎え、僕もうるっときてしまいました。生前のハリド氏への取材で「パリコレに復帰したい」と話していたので、今後は彼の遺志をどのように受け継いでいくのか、注目したいです。

17:00「アストリッド アンデルセン」

 お次は久しぶりにランウエイに帰ってきた「アストリッド アンデルセン(ASTRID ANDERSEN)」。「カシミ」のしめやかなムードから一転し、ごりっごりのストリートウエアです。ただし、巷に溢れるグラフィック頼みのものとはちょっと違い、素材使いが唯我独尊。カモフラはシルクのような光沢を放ち、リアルファーもぜいたくに使います。ラグジュアリーな要素をスポーツウエアに仕立て、どこか品の良さも感じさせるセンスが光りました。

18:00「ウェールズ ボナー」

 今回のロンドンメンズは「クレイグ グリーン(CRAIG GREEN)」もいなければ「キコ コスタディノフ(KIKO KOSTADINOV)」もいない。大丈夫?と心配しておられた皆さま、ご安心ください。1年半ぶりにロンドンメンズ に復帰した「ウェールズ ボナー(WALES BONNER)」がやってくれました。会場のシートは円卓でビーガンのケータリングも用意されていて大助かり!コレクションは、これまでブラックカルチャーへの強い思いが込められたテーラリングがストイックすぎてちょっととっつきづらかったのですが(それが魅力でもあるのですけれど)、今シーズンは肩の力が抜けて英国ベーシック色も濃くなり、だいぶ親しみやすくなりました。「アディダス(ADIDAS)」とのコラボレーションもブランドらしさがしっかりにじんでいてめちゃいい感じ。フィナーレの歓声は今季ナンバーワンクラスで、鳥肌ものでした。ちなみにショーのスタイリストは、デザイナーと親交が深い元モデルのトム・ギネス(Tom Guiness)。なんとあのギネスビールの御曹司なのです。モデル時代には日本の雑誌にもたびたび登場しており、撮影現場でよく一緒になることも多かったので、彼の仕事が見られてじーんときました。

「ウェールズ ボナー」2020-21年秋冬ロンドン・メンズ・コレクションから

19:00 「アートスクール」

 今のロンドンの異端枠といえば「アートスクール(ART SCHOOL)」でしょう。予測不可能なクリエイションや演出で、多方面で知名度を上げています。ただし奇想天外な演出にクオリティーが追いついておらず、今回もその印象は変わりませんでした。半裸のモデルの胸毛をよーく見るとブランド名になっているといった仕掛けは話題を呼ぶかもしれませんが、いつまでも小手先だけでは飽きられてしまいます。地元からの期待は大きいはずなので、頑張ってほしい。

20:00「マーティン ローズ」

 毎度会場が中心部からは遠いことでおなじみの「マーティン ローズ(MARTINE ROSE)」。今回も移動中は時差ボケによる睡眠不足でぐらつきながら車に揺られて30分、ようやくトリアーノ小学校に到着しました。実はここ、デザイナーの娘が実際に通う学校とのこと。学校なんて久しぶりに入りましたが、なんて不思議な空間なんでしょうか。子供たちの作品が壁の至る場所に飾られ、童心に返っていろいろ思い出していくうちに、移動時間のことなど忘れて楽しくなってきました。今回も一般客がたくさんいて、まるで授業参観のよう。そんなほっこり空間に、めちゃくちゃアップテンポなBGMが次々と鳴り響きます。ノスタルジックと狂気が入り乱れるカオスなムードが最高。コレクションは、得意の日常着をひねったり肩を張り出したりするシルエットのデフォルメは控えめ。とはいえ、いつも通りのちょっと変な日常着です。でも、「マーティン ローズ」はこれでいいんでしょう。メインストリームからは距離を置き、ファッションとともにコミュニティーを育んでいく。そんな服作りはこの先もずっと続いていくはず。ショー開始は50分も遅れたけど、楽しかったから今回は許しちゃいます。

「マーティン ローズ」2020-21年秋冬ロンドン・メンズ・コレクションから

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主要百貨店のコスメ福袋商戦 店頭販売数は減少傾向

 主要百貨店の2020年の福袋商戦は、ECへの移行、インバウンド需要の減少により前年並み、もしくは前年実績を下回る結果が目立った。伊勢丹新宿本店と東武百貨店池袋店、あべのハルカス近鉄本店の正月三が日の売れ筋動向を調査した。

 昨秋、大規模なリモデルにより化粧品フロアを1、2階に増床し、売り場面積が約1.5倍となった伊勢丹新宿本店では、福袋の取り扱いブランド数が前年の15ブランドから5ブランドと大幅に縮小し、今年は「アユーラ(AYURA)」とフレグランス4ブランドの福袋を販売した。同店では地下2階の、世界各地のオーガニック・ナチュラルコスメやフードを取り扱うビューティアポセカリーの福袋販売を、18年からECサイトに移行している。昨年2月には化粧品専門のECサイト「ミーコ(MEECO)」を開設しており、今年の福袋販売はビューティアポセカリーだけでなく多くの化粧品ブランドをECに移行した。EC強化は「新春の店頭混雑緩和と、来店が困難なお客さまを含めて利便性を向上させる目的」(岡部麻衣・三越伊勢丹 化粧品MD統括部 化粧品営業部 新宿化粧品マーチャンダイザー)で実施した。好調ブランドはフレグランスブランドの「フローリス(FLORIS)」や「パルファン・ロジーヌ パリ(LES PARFUMS DE ROSINE PARIS)」のほか、「ジバンシイ(GIVENCHY)」などの化粧品ブランドの初売り限定商品や初売り限定のセット販売なども好調に推移した。一方のECサイト「ミーコ」では、福袋の取り扱いブランド数は前年の50ブランドから62ブランドに増え、売り上げも前年同期比40%増と大きく伸長した。「例年同様、価値がストレートに感じられる、お買い得感が強いものへの関心が高かった」(松井朋隆・三越伊勢丹 化粧品MD統括部 meeco担当 スタッフマネージャー)。

 東武百貨店池袋店の店頭では16ブランドの福袋を販売し、売り上げは同20%減だった。その要因は「販売総数が昨年より約200個減ったことと、インバウンド需要が減退したブランドが複数見られたこと」(佐藤英美・東武百貨店 池袋店 婦人服飾雑貨・特選部 自主運営第一課 マネージャー)が挙げられる。そんな中でも好調だったのは、「ジバンシイ」の1万円の福袋21個が約30秒で完売したほか、「シュウ ウエムラ」は1万2000円の福袋を162個用意し、約20分で整理券の配布を終了するほどの盛況ぶりだった。好調ブランドの特徴は「スキンケアからメイクアップまで幅広いアイテムをそろえていた」点で、全体としては「訪日外国人に人気の一部のブランドを除き、並んでいるお客さまのほとんどが日本人だった」。

ブランド別では「シュウ ウエムラ」が人気

 大阪・阿倍野区にある近鉄百貨店の旗艦店、あべのハルカス近鉄本店も、昨年9月に化粧品売り場を約1.2倍に拡大してリニューアルオープンした。福袋は取り扱いブランド数が昨年の19ブランドから22ブランドに増えたことから、売り上げは同約30%増と伸長した。中でも「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」と「アユーラ」は、開店前の整理券配布開始から30分で配布終了となるなど人気が高かった。「福袋のお買い上げは国内のお客さまが中心」(柏原千尋・近鉄百貨店広報担当)だった。

 福袋は、中身を吟味して納得感がある商品を購入する傾向が年々強まっている。事前情報をつかんで目的買いする人が増えると同時に、初売り自体をイベントとして楽しみながら買い回りをする人が増えたといった声も聞かれる。新たな潮流としては、これまで中国人が圧倒的多数だった訪日外国人が、アラブ系やインドネシア、ベトナムなどからの来店客の割合が増えているという。多様化するニーズにどう対応していくかが今後の課題となりそうだ。

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敏腕ママ販売員の心構え「働き続けるために必要なこと」 ユナイテッドアローズ綾部由美

 多々ある業界の中でもファッションやコスメ業界は、女性が活躍している業界だ。特に販売職では多くの女性が活躍している。この10年くらいで、有力企業の多くは時短勤務や休日取得に関する福利厚生を充実させ、ママになっても働ける環境づくりを推進。取材者の感覚でも時短勤務のママ販売員が徐々にではあるが増えてきているように思う。

 今回、インタビューしたユナイテッドアローズ六本木ヒルズ店の綾部由美さんもその一人だ。現在は販売スタッフとして時短で働きつつ、「セールスマスター」と呼ばれる優れたパフォーマンスを発揮する販売のスペシャリストとして、後進の育成にも携わっている。そんな彼女にママ販売員としての心構えや働き方について話を聞いた。

【本日のコーディネート】

 ユナイテッドアローズのオリジナルブランドの中でも、六本木ヒルズ店だけで展開する “六本木ヒルズ店限定”アイテムから、20年春夏の新作ワンピースをチョイス。素材、パターンなどによりこだわった、女性らしいラインが出るワンピース。5万円(2色展開)

―時短勤務とのことですが、現在はどんな風にお仕事されていますか?

綾部さん(以下、綾部):今は時短の中でも最長時間で勤務し、18時まで店頭にいます。平日の六本木ヒルズ店は昼間に観光客や六本木に遊びに来た方などが、夕方からは会社帰りの方が来店する、ピークが2回あるお店です。私の勤務時間ですと、ギリギリ両方のお客さまと接することができます。

―販売経験は学生時代のアルバイトからですが、それからユナイテッドアローズに入社したきっかけは?

綾部:私が学生時代にアルバイトしていたのは長崎県内で35年続く老舗のセレクトショップで、その店でユナイテッドアローズのオリジナルも取り扱っていました。メーンのセレクトショップの他に、色んなブランドのFC店も経営しており、当時は「今日はあのブランドの店頭に行ってきて」という感じで、色んな店の店頭に立たせていただきました。

当時、県内にはユナイテッドアローズの店舗がなく、この店にお客さまが買い物にいらっしゃるのをみて、「支持されているブランドなんだな」と感じていました。それから店舗にも足を運び、そうすると益々興味が湧いて、就活の時には説明会にも行きました。アパレル志望でしたので、他のアパレル企業の説明会にも行きましたが、その中でもユナイテッドアローズの掲げる経営理念や説明している方たちの印象などを見て、一番自分が思う接客サービスに近い、ここで働いてみたいという気持ちが大きくなり、新卒入社しました。

―綾部さんが理想とする接客やUAのサービスってどういうものですか?

綾部:私くらいの世代が自分で服を買い始めるようになった頃は、どのお店も商品が全面に出過ぎていて、ショップスタッフも「これ素敵でしょ」とモノの説明ばかりを強調する接客が多かったんです。

―確かに「これカッコいいでしょ」「これ可愛いよね」というノリで接客されていましたね(笑)。

綾部:私もファッションが好きだったので、それでも買っていたのですが(苦笑)。その一方で、お客さま軸で商品を勧めてないな、とは感じていました。商品の良さはもちろん分かるのですが、それではお客さまが身に着ける、という重要なことが抜けていて、服の良さとお客さまの素敵な部分がつながっていない。そう思うようになってから、身につけたときの高揚感や実際に着た時にどうなるのかをどうしたら伝えられるか、考えながら接客していました。その後のUAの会社説明会で「店はお客様のためにある」という説明を聞きいたとき、とても共感したのです。

―UAの「店はお客様のためにある」とつながったのですね。入社してからは?

綾部:最初に配属されたのは有楽町店(現・ルミネ有楽町、当時は有楽町西武)でした。田舎から出てきたばかりで、あの人の多さにカルチャーショックだったのと、忙しい中でも顧客を大切にしたいと思いながら接客していたのを上司が見ていて、1年経たず、じっくり接客のできる二子玉川店に異動したものの、半年後にまた渋谷明治通り店に異動となり、トータル約4年間店頭に立った後、人事部に行きました。人事部と言っても、販売スタッフの人材開発だったので、社内ファシリテーターとして全国の店舗へ研修で回っていました。全国のショップスタッフと出会うことができ、色んな経験をさせていただきました。

私が主に担当していたのは入社時の研修で、経営理念を新人に伝える大役です。嬉しい半面、スタッフたちがその後どう育っていったのか追えないことは、とても心残りでした。そのジレンマから、研修後も関わっていけるような仕事がしたいと思うようになったのがきっかけで、次は「オデット エ オディール」に異動となりました。

―そこではどんなことを?

綾部:それまでの経験を生かして、採用から人材育成、出店と出店後のフォローアップという一連の仕事に携わることになりました。なんだかんだで、約10年いまして、その間には店長として店頭に立つこともあり、社員昇格試験に携わり全国行脚したことも…。

本当にあらゆることをしていたら、あっという間に30代半ばになっていました。

29歳で結婚したのですが、その頃、ふと「今のままフルパワーで働いていては…」と思い悩み始めました。人事部やオデット エ オディール事業部に配属されたときは、「内勤が性に合わなければ、いつでも店頭に戻れるし…」と思っていましたし、内勤といってもたびたび店頭に立つこともあったので、いつの間にか12年も本社勤務していました。

そこで、今までの経験を振り返り、一旦リセットして私の原点である店舗勤務にしてもらいました。ですが、その半年後には妊娠したのが分かり、産休に入りまして…。

―そんな申し訳なさそうに言わないでください!おそらく多くの働く女性は妊娠出産のタイミングで悩んでいると思います。そこで自分の人生を振り返ったことがいいタイミングになったのではありませんか?

綾部さん:そうですね。一緒に働いていたスタッフは「良かった!」と喜んでくれましたし、産休中も色々振り返ることができました。でも正直なところ、産休中は店頭にいた頃のように色んな会話ができないことに飽きてしまって、生後10カ月で保育園に預け、現場復帰しました。

―改善されつつありますが保活は苦労なくできたのですね。ちなみに現UAでは時短で働いている方はどれくらいいらっしゃるのですか?

綾部さん:全社員のうち、約10%程度だそうです。六本木ヒルズ店だけでも約50名のスタッフの中、時短勤務者は5名います。

―現在はママ販売員として活躍する姿を見せる、ロールモデルという感じでしょうか?

綾部:そうであれたらいいなと思っています。実際に現場復帰して時短で働いてみると、一緒に働くスタッフに協力してもらわないと成り立たない立場なんだだと感じています。常に、短い時間で自分の最大限のパフォーマンスを発揮するにはどうしたらいいのかを念頭に仕事をしています。時短とはいえ、一つ一つのことを社員として責任を持ってやっていかねばならないので。

―同じ会社で働いているからこそ“お互い様”という気持ちは大切ですね。

綾部:忙しい時には家庭や家族の都合をつけて、店舗に貢献する姿勢を見せることも。現在、六本木ヒルズ店には私よりも短い時間で働くスタッフがいるのですが、彼女の場合はお客さまと来店時間のアポイントをとり、来店に合わせて商品を用意して対応しています。店への貢献の仕方は色々あっていいと思います。

―店への貢献はシフト調整するだけではないということですね。他にもそういったママ販売員としての心構えはありますか?

綾部:生活感を出さないことです(笑)。

―「お子さんいるの?」と驚かれたい?

綾部:というよりも、お客さまそれぞれの立場に合わせて関係性を築いていきたい。子供の有無にかかわらず、お客さまのライフスタイルに寄り添った接客をしたいので、生活感を出さないように心がけています。

一緒に働いている若いスタッフたちにもいつまでもおしゃれを楽しんでほしいし、子育ても楽しんでいる姿を見て、感じてもらいたいところもあります。これから結婚出産を控えているスタッフたちが私を見て、「これからも販売員を続けていける」と思ってもらえたら嬉しいなと。

―これからの目標は?

綾部:自分が“ココにいてもいい”と思っていられるあいだは販売員でいたいです。おしゃれは若い人の特権ではないですし、土地柄なのか若いスタッフから勧められることを気にされるお客さまもいます。実際にスタッフのキャリアを重視するおきゃくさまもいらっしゃいます。年齢層が同じくらいのショップスタッフ、もしくは歳は若くても経験値があり納得できる接客ができるショップスタッフが求められていると肌で感じています。それでもキャリアや経験に甘んじず、鮮度もありながら、幅広い層のお客さまに寄り添える販売員としてこれからも精進していきたいと思っています。

苫米地香織:服が作れて、グラフィックデザインができて、写真が撮れるファッションビジネスライター。高校でインテリア、専門学校で服飾を学び、販売員として働き始める。その後、アパレル企画会社へ転職し、商品企画、デザイン、マーケティング、業界誌への執筆などに携わる。自他ともに認める“日本で一番アパレル販売員を取材しているライター”

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ホンマにイケてるナニワのセレクトショップ備忘録

 先日、プライベートで大阪・心斎橋に行ってきました。碁盤の目状の街にラグジュアリーブランドのブティックが並び、多くの外国人が行き交う様子は東京の銀座のよう。9月にリニューアルオープンした大丸心斎橋店本店も、弊紙の百貨店担当としてはずせない訪問スポット。店内は外国人客でごった返す活況で、弊紙連載「ミステリーショッパーが行く!」で年間1位に輝いた同店の今後に目が離せません。

 ただそれと同じくらい、いやそれ以上!?に魅力的だったのが、同エリアに点在するセレクトショップ。心斎橋はインバウンドだけではないのです。街の日本人のファッションも、派手なカラーやロゴがドン!なスエットなど、東京よりも主張が強くて新鮮。アメリカ村の匂いがするような、古着テイストが好きな人も多いようです。彼ら大阪民に愛される、「ホンマにイケてる」セレクトショップはどこなのか!?心斎橋界隈をディグりました。

11:00
「関西イチの高感度ショップ」
を自負
2つの世界観が同居する
「ホワイ アー ユー ヒアー?」

 1階はラグジュアリーストリート、2階ではデザイナーズブランドと、異なる世界観が同居する店構えが特徴の「ホワイ アー ユー ヒアー?(WHY ARE YOU HERE…?)」。創業から18年。高感度なアイテムを求めて全国から客が訪れるようになり、「ハイファッションを求めるなら当店に来ていただきたいです。関西で唯一無二のお店になれました」(秋山政英マネージャー)と自負する。「大阪はアメリカ村があるためか、ビンテージの匂いがするものが人気で、たとえば『ハイダーアッカーマン(HAIDER ACKERMANN)』『フィアー オブ ゴッド(FEAR OF GOD)』など。一方、東京のお客さまは洗練された物がお好きなので、2階にお招きして、『サカイ(SACAI)』『アンブッシュ(AMBUSH)』など洗練されたブランドをお薦めしています」。一日の来店客は平均で20~30人。「お客さまは、皆さん何かしら自分のスタイルがあり、目的意識があって来店くださる方が多い。ただ入りづらい店構えで入ってきてくれたのだから、買ってくださらなくても“何か”を持ち帰ってほしい」との思いで、来店客にはフレンドリーに、積極的に話し掛けている。

■Why are you here…?
住所:大阪市中央区南船場4-13-3
営業時間:11:00~20:00
電話:06-6282-8200

13:00
東京っぽい、けれど
温みを感じる「フリーダム
フロム コモンセンス」

「シュタイン(STEIN)」「ウル(ULU)」「ブラン ワイエム(BLANC YM)などドメスティックブランドが中心。「フリーダムフロム コモンセンス」は、ストリート系で色味が強かったり、ビンテージテイストのセレクトが中心の店が多かったりする大阪にあってか、「なんか東京っぽいな」と感じる洗練された雰囲気だ。

 7年前に現オーナーの青山利之さんが、古着のセレクトショップから独立して立ち上げた。青山さんにとってひときわ思い入れがあるのが「シー(THEE)」という開店当初から取り扱うブランド。「オープンしたばっかりの時は全然人が来なくて、毎日泣きながら帰ってましたね(笑)。それから徐々に、これが見たい!ってファンを呼んでくれたのが『シー』だったんです。勝手にですけど、一緒に成長してきたなって思ってます」。

 そのほかにも大阪ブランドの「アタ(ATHA)」や水藻や苔などを小さな水槽の中にアートとして閉じ込めたユニークな雑貨などを織り交ぜる。「うちは東京の路面とは違って、何かおもろいモノがないと来てもらえませんからね。でも逆に言えば、個性的な発信があれば、こんな雑居ビル2階でもやっていけるんです!」。

■FREEDAM FROM COMMONSENSE.
住所:大阪市中央区南船場4-6-3-2F
電話:06-6241-4570
営業時間:13:00~20:00(水曜定休)

15:00
東京もんが大阪に殴り込み!
4店合同ポップアップに立ち寄り

 ここでちょうど会期中だった、東京の4セレクトショップによる地方巡業ポップアップストア「トウキョウユニオン キャラバン」に立ち寄り。東京・北千住のアマノジャク(AMANOJAK.)、千歳船橋のライクル(LICLE)、渋谷のグッドルーザー(GOODLOSER)、ワガママトウキョウ(WAGAMAMA TOKYO)と、それぞれ個性の違う4店が合同出店。第1回目は大盛況とまでは行かなかったようだが、「東京と地方のファッショントレンドの時間差や温度差を学べた。SNSで周知するだけでなく、リアルの場で接客を受けてもらうことで、東京まで”わざわざ”来てくれるファンを作っていきたい」(大津寿成アマノジャク共同経営者)という頼もしいコメントが聞けた。

16:00
大阪ガールを魅了する
ヴィンテージアイテムの宝庫
「アウラ」へ

 大阪の街を歩いていると、古着を上手に着こなしている女性たちが多いことも気が付く。ここまでメンズに寄りすぎたので、ウィメンズのヨーロッパ古着・雑貨セレクトショップのアウラジャポン 心斎橋店を訪問。アクセサリーは数千円、コートで2万円以下とお買い得に手に入るわけは、シンプルにたくさん仕入れてたくさん売っているから。「お客さまにビンテージのよさを値ごろに、気軽に知ってもらいたいです」(同店スタッフ)。約50平方メートルの小さな店構えだが、「シャネル(CHANEL)」や「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「バーバリー(BURBERRY)」などのビンテージコートやバッグ、アクセサリーなどが所狭しと並び、まるで中世のヨーロッパにタイムスリップしたような感覚に。トレンドがストリートからクラシックに回帰していることもあり、「20代前半~30代くらいまでのお客さまが増えていて、お母さんと親子で買っていかれる方もいますね」。12月には京都に新店をオープンした。

■アウラジャポン 心斎橋店
住所:大阪市中央区西心斎橋2-8-17帝国ホテル1F
営業時間13:00~20:00(不定休)
電話:06-6210-2850

18:00
荘厳な館に入居する地方創生型ショップ「スタディーショールームストア」

 グーグルマップを頼りにたどり着いたのは、荘厳な雰囲気のアンティークビル「大阪農林会館」。建物の名前からしても、ファッションとはまったく関係なさそう……。中に入ると、天井からはアンティーク調のシャンデリアがぶら下がる。本当にここで合ってる?と勘ぐったけれど、実はたくさんのファッション・雑貨店などが入居する、大阪のファッショニスタにとっては名物的な館(「メゾン マルジェラ」のお店もありました!)らしい。4階に店を構える「スタディーショールームストア(STUDY SHOWROOM STORE)」は、セレクトショップ海外ブランドの輸入代理店も兼ねている、「モノ作りはいいのに発信ベタなところもあって。自らそこも担っていきたいなと考えた」(高萩光広マネージャー)。オリジナルブランドの「ユナイタス(UNITUS)」はアメリカントラッドをベースに、オイルドジャケットやミリタリーウエアもそろえる本格派で一見の価値あり。

■STUDY SHOWROOM STORE
住所:大阪市中央区南船場3-2-6-409
電話:06-4300-3140
営業時間:13:00~20:00(水曜定休)

19:30
地元民を愛し、愛される
ファッションの「ほら穴」

 「シュプリーム(SUPREME)」などが店を構えるファッションストリート、立花通り(通称:オレンジストリート)から外れた小道にある「ケイヴ(CAVE)」は創業17年目の老舗。“ほら穴”を意味する店名の通り、入り口は小さいけれど、奥が深~い(物理的な意味でも)隠れ家的ショップ。「ジル サンダー(JIL SANDER)」「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」「マルニ(MARNI)」といったラグジュアリー・コンテンポラリーブランドを抑えながら、韓国の「アーダーエラー(ADERERROR)」といった旬なブランドも取り扱うなど、懐も深~い。「阪急や大丸みたいな百貨店に置いてないようなブランドへの反応がいいです。大阪の人は目立ちたがりですから(笑)、他にないようなものが求められますね」(南貴浩マネージャー)。同店のある堀江地区は、心斎橋の中でも人口の伸び率が高いエリア。「最近は家族連れも増えています。東京へ転勤になって、また戻ってきてくれる方もいらっしゃいます。そんな方々に愛していただけるよう、いつ、誰がきても楽しい店作りを心掛けています」。

■CAVE
住所:大阪市中央区南船場4-6-3-2F
電話:06-6241-4570
営業時間:13:00~20:00(水曜定休)

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“映え”は続くよどこまでも 植野有砂に聞くインスタグラムの現在地

 インスタグラムは、さまざまなジャンルで活躍する5人のクリエイターをキュレーターに迎え、2019年の注目トピックスと20年の潮流を発表する企画「#LookBack2019 Instagram トレンドレポート」の特設サイトをオープン中だ。ファッションやフード、音楽、旅行、スポーツの5分野において、各キュレーターたちが19年に注目したハッシュタグやアカウント、そして20年に向けて気になっているトピックを紹介している。インスタグラムの現在地はどこにあり、これからどこに向かっていくのか。本企画に参加したキュレーターの1人であり、アパレルブランド「フィグ アンド ヴァイパー(FIG&VIPER)」クリエイティブディレクターやDJ、モデルとして活動する植野有砂に話を聞いた。

WWD:2019年のインスタグラム上での活動を振り返ると、どのような1年だった?

植野有砂(以下、植野):改めて写真を見返してみると、旅に関する投稿が本当に多かったです。今は日本と海外を行き来する生活をしているのですが、海外の方が日本よりも圧倒的にコンテンツがある。日本に2週間くらいいても、インスタに投稿するのは3回くらいだけど、海外に行くと毎日投稿していました。

WWD:なぜ、海外の方がコンテンツが多いと感じるのか?

植野:全てが真新しく感じるんです。普通の路上でもかわいく思えるし、観光地やフォトスポットに行くことも多いので、写真を撮る機会が多いのかなと感じています。海外でも、自宅があるLAだと写真は全然撮らないんです。自分の生活圏内だと、特別なことがない限り化粧をちゃんとしていないこともあると思います(笑)。

WWD:現状、インスタグラムをどのように使っている?

植野:ストーリー機能で日常的なことをアップし、フィード上ではもう少し作りこんだ写真を投稿することが多いです。新しいアカウントとかを探す際には、ファッションに特化した、見る専門用の裏アカ(公表していない別アカウントのこと)と本アカウント両方を使ってハッシュタグやタグ付け、ワーディングなどで検索しています。

WWD:旅に関する投稿は、インスタを始めた当初から行っていたのか?

植野:インスタを始めた当初はファッションの方が主軸でした。海外のフォロワーさんがとても多かったこともあり、ヘアメイクやファッションを中心に東京のカルチャーを発信していました。ただ、大学生のころから旅が好きだったので、アメブロとかに掲載はしていて、5、6年前くらいから発信の主軸をインスタにして以降、旅行系の投稿が増えていきました。

“映え”のための行動が
「楽しいインプット」に

WWD:植野さんの周囲の人々の間でも、旅行系の投稿が増えている?

植野:どうだろう……。私の周囲の私服を上げていた方たちがライフスタイル関連の投稿をするようになった印象は受けますね。インフルエンサーに限らず、一般の方でもインスタ用の写真を撮るために“映える”行動をするのが当たり前になっている。しかもそれって楽しいことなんですよね。旅行に関して言えば、“映えスポット”って観光名所であることも多くて、インスタ関係なしに行ってみたい所がけっこうある。あとはホテルの部屋を予約する際に、インスタに投稿するために、富士山が見える部屋にしようと考えることもあります。出費も増えるけれど、インスタが後押ししてくれた分、楽しい経験ができたというインプットもあると思います。

WWD:19年には“いいね”数が非表示になったが、何か影響はあった?

植野:私は普段、インスタの数字に関しては“いいね”数とフォロワー数を中心に見ているんですけど、全体的に“いいね”数が減った気がしますね。あとは個人的に「フィグ アンド ヴァイパー」のコラボレーション相手を探す時の指標の1つとして“いいね”数を見ていたので、それが見えなくなったことでユーザーへのリーチ数が推定しづらくなったなと感じています。ただ、私自身の投稿のモチベーションは変わっていません。

WWD:一部では若者を中心に“SNS疲れ”が起きているとも言われているが、その実感はある?

植野:私も含め、そんなに疲れていないような気がします。私たちの時代のプリクラのように、インスタは今の人たちにカルチャーとして根付いている。“インスタ映え”はまだまだ続くし、みんなもそれを楽しんでいると思います。「SNSに疲れた」と言っているのはトップインフルエンサーの方たちが中心で、彼ら・彼女らは今後、作りこまれた写真ではなくよりリアルな写真を投稿するようになっていくんじゃないかなと思います。

WWD:20年にはインスタグラムはどのようなトレンドが生まれそうか?

植野:いろいろありますが、動画のコンテンツはもっと増えていくでしょうね。実際に、世界のトップインフルエンサーの方々も、IGTVを活用するケースが増えてきています。私も今年はもっとIGTVを使っていきたいですね。ただ、YouTubeでの発信も既に行っているので、どういった使い分けをしようか考えています。動画の作り方も、カジュアルだけど洗練されているというような、YouTubeよりも少しオシャレなモノにしていきたいですね。

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宿泊もできる“サステナブルな複合施設”が京都に開業 コスメや食品の専門店を独自開発

 京阪電鉄などを運営する京阪ホールディングスとそのグループ会社のビオスタイルは12月9日、京都・四条河原町に複合施設「グッドネイチャーステーション」をオープンした。9層構造で、延べ床面積は約2万7000平方メートル。“循環型社会に寄与するライフスタイル「BIOSTYLE」の具現化”をコンセプトに掲げ、オーガニック食品や自然由来の成分のみを使用した化粧品などを販売、上層にはホテルも併設している。

 1階は、厳選したオーガニックの野菜や食材を並べるマーケット、テイスティングバー、レストラン、パティスリー。2階は、鹿児島の人気イタリアン「カイノヤ」の新業態など話題のレストランを集めた“プレミアムガストロノミーフロア”。3階は、ビューティーサロン「眠れる森の美女」、独自に開発した化粧品「ネモハモ(NEMOHAMO)」などを置くコスメストア、職人の工芸品をセレクトした雑貨店「カソケキ」が入り、4〜9階はホテル。隣接する高島屋京都店とは連絡通路で連結した。

 施設を手掛ける髙原英二ビオスタイル社長は「楽しみながら、健康的で信頼できるものを自分らしく取り入れられる“次世代のナチュラルスタイル”を提案する。全国の中でもSDGsに積極的で、環境への意識が高い外国人観光客が多い京都が最適な場所だった」と説明する。ホテルでは歯ブラシやカミソリ、ヘアブラシなど、使い捨てアメニティーは常備しない。物販でも可能な限り紙や木製の包材を使用。提供するフードメニューは皮や葉、根元まで使用することを心掛ける。

 「生ゴミは施設内で堆肥化し、近隣の畑に肥料として提供。そこで収穫した食材はレストランで使う。紙容器はコスト高だが、それでも新しいアクションを起こす価値の方が大事」と髙原社長。内装デザインにはグリーンウオールを各所に取り入れ、建物と敷地利用についての環境性能評価システムLEED(Leadership in Energy and Environmental Design)認証や、ホテルとしては世界で初めてとなる建物・室内環境評価システムWELL(WELL Building Standard)認証の取得も進めている。

コンセプトを貫くため自社開発・運営を重視。コスメは賞も獲得

 同施設はテナントを誘致せず、ホテルも商業店舗もビオスタイルが自社で開発・運営している。その中でも力を入れた目玉商品が、オリジナルブランドの化粧品「ネモハモ」と健康志向食品「シゼン ト オゼン(SHIZEN TO OZEN)」だ。「ネモハモ」は、ブランド名のとおり“根も葉も”植物をまるごと低温真空抽出法でエキス化して、植物の酵素やビタミン、ミネラルなどを生かしながらフレッシュなまま製品化。スキンケアラインとトイレタリーラインを揃え、ホテルではトイレタリーラインをアメニティーとしてそろえる。ソーシャルアクティビストチーム「マザー・アース」と日本環境協会エコマーク事務局が昨年末に発表した「サスティナブルコスメアワード」では、「ネモハモ」のブースターオイルが最優秀賞を受賞した。

 レストランも、同施設のみのオリジナル業態。1階のカジュアルダイニング「エルタン レストラン/バー」は、トランジットジェネラルオフィスがプロデュースし、運営している。イタリア・ミラノで日本人オーナーシェフとして初の一つ星を獲得した徳吉洋二シェフが監修する、野菜中心のメニューが特徴。素材本来の味を引き出すシンプルな調理法で、“食材も味も捨てない”徳吉シェフのスタンスが館のコンセプトと合致した。使う食材は、京都で採れる旬の野菜や有機野菜を中心に、施設内の生ゴミ堆肥を使用した循環こだわり農法の「近江たんぽぽ村」の米や、「宇治平飼いたまご」や「美山牛乳」など。野菜の皮や根、葉は、自家製の野菜ジャムにアレンジして提供している。まるでアフタヌーンティーのような3段のアンティパストスタンドと季節のパスタ、ドルチェ、ドリンクがセットになった「エルタンランチ」(税込2800円)は、すでに連日満席の人気メニューになっている。

 1階の「グッドネイチャーマーケット」は有機シイタケの原木を並べ、自分で“収穫”して購入できるエリアを設置。ほかにもワークショップスペースやギャラリーなど、「体験」をテーマにしたコンテンツが各階にそろう。「我々はオーガニックをテーマにしているわけではない。信頼できる生産者さんや作り手の真摯なモノ作りのストーリーを紹介し、体験という付加価値をプラスしている。価格に納得して購入してもらえたら嬉しい」と髙原社長。

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メンズコレ裏街道記 ロンドンメンズ初日は骨太「サリバン」と次世代スター候補にワクワク

 1月4日。晴れ。正月気分も抜けきれないまま、ロンドン・メンズ・コレクションから2020-21年秋冬シーズンのコレクションサーキットがスタートしました。他の都市に比べてメジャーブランドが少なく、というかほぼゼロに近い今のロンドンメンズ 。でも、王道ではない“裏街道”だからこそ見えるものもあるはずです。例えば新進気鋭のデザイナーだったり、ファッションウイークの新たな試みだったり。そんな期待を込めて、現地からリポートします!

12:00「ジョーダンルカ」

 新年早々航空機のトラブルに見舞われ、ロンドンのヒースロー空港に着いたのがファッションウイーク初日の午前9時。予定よりも14時間遅れといういきなりのピンチ。「ジョーダンルカ(JORDANLUCA)」のショーまでは3時間というギリギリ具合ですから、最悪トップバッターのショーをスキップするという選択肢も頭をよぎりました。でもそこは諦めずに急いで準備し、滑り込みでなんとか会場に到着。結論は、見てよかったです。カルチャー系ストリートのロック仕立てはやや二番煎じ感こそあるものの、素材の品質やディテールの作り込みが1年前に比べて各段に成長しており(え、こんなにいいブランドだったっけ?)と思わず過去のルックをチェックしてしまいました。おそらく量産体制はほぼ度外視に近いのでしょうが、そんな自由奔放さは面白くもあり、伸び代を感じさせてくれました。

13:00「イーストウッド ダンソー」

 続く「イーストウッド ダンソー(EASTWOOD DANSO)」は、黒人のための服。さまざまな思想やクリエイティビティーがあるのだとは思いますが、この完成度ではちょっとまだ厳しそう。クリエイションにかける思いを直球で伝えるのではなく、あえて難解複雑にして背景に何かある風を演出するのは、よっぽど実力がないとチープに見えてしまう危うさがあるなと改めて思いました。

14:00「エドワード クラッチリー」

「エドワード クラッチリー」2020-21年秋冬ロンドン・メンズ・コレクションから

 新人デザイナーがスケジュールを埋める中、着実にキャリアを重ねている「エドワード クラッチリー(EDWARD CRUTCHLEY)」は貫禄すら感じさせるショーでした。どんなブランドのファッションショーでも15〜20分遅れでスタートするのが当たり前なのですが、会場がパンパンなせいかきっちりオンタイムでスタート。グラムロックと、1980年代後半から90年代の“あぶない刑事”やバブルのファッションをごった煮したジャンルレスな無国籍スタイルのセンスはピカイチ。テキスタイルの達人でもある彼のこだわりは今シーズンも随所でさく裂。身幅たっぷりのブルゾンやダブダブ袖のコートにはミンクファーを使ったり、エリック・ジョーンズ(ERIK JONES)の際どすぎるイラストをシルク素材に全面プリントしたりと、ビジネスというよりもライフワークとしてのクリエイションという印象でした。

15:00「プロナウンス」

「プロナウンス」2020-21年秋冬ロンドン・メンズ・コレクションから

 中国人デュオによる「プロナウンス(PRONOUNCE)」は、前シーズンのピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)でのショーを経験したからか、堂々とした潔いコレクションでした。アクセサリーやディテールのキャッチーな演出はまだまだ不器用なものの、ハイウエストのパンツとロングコートのバランス感やいつにも増して高級感溢れる素材使いなど、インディーズからメジャーに駆け上がりたいという覚悟を感じました。「ディーゼル(DIESEL)」との協業も決まり、自信がついたのかな。

15:30「1X1 スタジオ」

 ニットを得意とするデザイナーの、リサイクル素材を用いたコレクション。会場は地下のクラブで、バッキバキのアングラムードです。さぞかし面倒くさい服が出てきそうだなと予感していたのですが、実際に見てみると、やっぱり面倒くさかったです(笑)。とはいえ中にはかわいいピースもありじっくり見てみたかったのですが、残念ながら時間がなく駆け抜けるように次の会場へ向かいました。

16:00「パリア / ファルザネ」

 1年半前に見た「パリア / ファルザネ(PARIA / FARZANEH)」のコレクションにココロ奪われ、それ以降も個人的に注目していましたが、翌シーズン以降は引き出しの少なさと難解さが目立ち、手探りが続いている印象でした。でも今回はようやく本領を発揮。イラン風の結婚式の演出からスタートし、ショーは和やかに幕を開けます。デザイナーのルーツであるイランの伝統的な柄使いはそのままに、“ゴアテックス インフィニアム プロダクト”などのハイテク素材をふんだんに使用してアウトドア要素をミックス。伝統と現在の文化をファッションを通して結びつける手法は一歩間違うとこじつけっぽくなりがちな危険がある中、違和感なく融合させたセンスが好きでした。

17:00「べサニー ウィリアムズ」

「べサニー ウィリアムズ」2020-21年秋冬ロンドン・メンズ・コレクションから

 「べサニー ウィリアムズ(BETHANY WILLIAMS)」のショーも1年半ぶり。当時はまばらだった観客も今回は大入りで、またもオンタイムでのショー開始です。よくまあここまで注目されるブランドになったなと驚きました。サステナブルな生産や社会的弱者へのエンパワーメント、犯罪者の社会復帰の支援といった慈善活動をファッションを通じて行う姿勢が多くの人の心を動かした証なのでしょう。今回は子供のホームレスを支援する団体とコレクションを制作したそうです。クリエイションの幅も広がってきたので、荒さが取れて洗練されてきた時がより楽しみ。

18:00「ジョン ローレンス サリバン」

「ジョン ローレンス サリバン」2020-21年秋冬ロンドン・メンズ・コレクションから

 もはやロンドンメンズの看板ブランドの一つといってもいい、俺たちの「ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)」です。今回も突き出した肩のチェスターコートやスーツ、ピタピタのレザーパンツなど、ロックをベースにした得意の骨太テーラリング。ウエストにゴムを配して絞ったことで、肩がより際立ちます。きっと似合わないだろうけど、着てみたい。モデルは目を見開いて視線はまっすぐに向き、早足でランウエイを駆け抜けるという迫力のある演出でした。

18:30「バンド オブ アウトサイダーズ」

 「バンド オブ アウトサイダーズ(BAND OF OUTSIDERS)」は創設者のスコット・スターンバーグ(Scott Sternberg)がブランドを去ってブランド一時休止以降日本ではすっかりご無沙汰な印象ですが、その後新体制で復活し、まだまだ頑張っております。でもちょっと普通すぎて個性が不足気味。僕も全盛期のころはオックスフォードのBDシャツを買いまくっていたファンなだけに、今後の奮闘に期待します。

19:30「ロビン リンチ」

 急ぎ足で向かったのは、2019年8月に日本で開かれたファッションコンペ「ビッグ デザイン アワード(big design award)」の大賞に選ばれた「ロビン リンチ(ROBYN LYNCH)」のプレゼンテーション。デザイナーの出身地であるアイルランド伝統のアランセーターをストリートウエア仕立てにし、カラフルスポーティーだった前シーズンよりもぐっと大人びた印象でした。個人的には前シーズンの快活さが好きでしたが、これはこれで好きな人はいそうですね。

21:00「チャールズ ジェフリー ラバーボーイ」

「チャールズ ジェフリー ラバーボーイ」2020-21年秋冬ロンドン・メンズ・コレクションから

 本日のトリは「チャールズ ジェフリー ラバーボーイ(CHARLES JEFFREY LOVERBOY)」。ロンドンメンズ最後の切り札ともいえるヘンタイです(もちろんいい意味で)。ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivian Westwood)やジョン・ガリアーノ(John Galliano)、川久保玲らからきっと影響を受けているであろう彼のコレクションは、はっきり言って解読不能。とはいえ、それでも許せてしまうパワーと力強さを秘めており、とにかく俺が俺がの我の強さに圧倒されます。シーズンごとに、(今シーズンはそろそろクオリティーも向上しているかな)と淡い期待を寄せてはみるものの、これがまた何も変わらんのです(笑)。ただその変わらなさが人間ぽくもあり、愛される理由なのかも。服の品質はさておき、世界観を構築する力は群を抜いており、今シーズンも唯我独尊。ステージ中央のミラーボールの下には不気味で意味深な木が配置され、モデルたちは祈りを捧げたり、手を掲げたりして、新興宗教の儀式のような演出で観客を引きつけます。伝統衣装からパンクまで、時代感も性差も関係なく大胆に融合させたラバーボーイスタイルを引き立てていました。クリエイションの背景に何かをにじませたいなら、ここまで徹底してないとダメですね。でもこの巨大セットを組む資金はどうしているんだろうか。近日中に彼に取材予定なので、聞いてみようかな。

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23歳の起業家が新サービスで提案する“考えなくてもいい服の消費”

 「ローブス(ROBES)」は月額7800円からで、毎日着る服を春、夏、秋、冬のシーズンごとに届けるメンズ向けのサービスだ。購買から日々の着回し、季節ごとの衣替えまで、衣服の消費体験を一気通貫でサポート。2019年の10月16日にローンチして以降、ユーザー数や取り扱いブランド数を着実に増やしている。同サービスを手掛けるのは23歳の起業家、藤原光汰ローブス代表取締役兼CEOだ。「ファッションにそこまで興味はない。でも何でもいいというわけでもない。そういった人のために立ち上げた」と語る藤原代表兼CEOへのインタビューから、同サービスの可能性を探る。

WWD:サービスの仕組みは?

藤原光汰ローブス代表取締役兼CEO(以下、藤原):まず、ユーザーの方に普段着る服のサイズを教えてもらい、それをもとにオフィスカジュアルやフォーマルなど、いくつかのシチュエーションに応じて弊社のスタイリストが考案したコーディネートセット(3~10日分)を提案します。後は提案されたコーデを選ぶだけでアイテムが届きます。その後は季節の変わり目に「ローブス」側からアナウンスをして、衣替えをしてもらう流れです。前シーズンのアイテムで気に入ったモノがあれば手数料をいただいて購入という形にし、それ以外のアイテムはそのまま当社に送り返してもらっています。シーズンを重ねるごとに、ユーザーさんの趣向などにパーソナライズをしていくつもりです。

WWD:どういったブランドのアイテムを取り扱っている?

藤原:ベイクルーズさんの「ベーセー ストック(B.C STOCK)」や「フリークス ストア(FREAK'S STORE)」、「ナノ・ユニバース(NANO UNIVERSE)」など、「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」のランキングでトップに入るようなブランドを中心に取り扱っています。現状、まだ取り扱い数は少ないですが次の春までには大手セレクト系のブランドが大体入っている状態にしたいですね。誰もが知っている、もしくは聞いたことがあるブランドを中心に取り扱うことでユーザーに安心感を提供したいと考えています。

WWD:メンズに特化している理由は?

藤原:メンズは流行に左右されづらいからです。企業側としては毎シーズン新しい商品を出さなければいけないけれど、流行に左右されづらいメンズ領域のユーザーとしては最新のモノか否かを重視していない人の方が圧倒的にマスだと考えています。要は需要と供給のバランスが崩れている。「ローブス」で取り扱っているブランドのアイテムも基本的にはキャリー品(シーズン、販売期間は過ぎたがまだ売り続ける商品)の中でも、シンプルで普遍的なアイテムが中心です。

WWD:そもそも、「ローブス」を立ち上げた経緯は?

藤原:まだ世の中にない新しいサービスを作り、人々の生活において当たり前になるくらいに成長させたいとずっと考えていて。「レキペオ」というAIレシピアプリを作ったり、BANKに入社したりしたのもそのためです。ただ、これまでに関わってきたサービスは、僕自身はターゲット層ではなく、ユーザーの悩みや課題に関して自分ゴト化しづらかった。だったら自分が感覚ベースでも判断できるような欲しいサービスを作り、世の中のニーズにも合致すれば一気に広がると考えました。

「ファッションに興味がない」からこそ生まれた

WWD:「ローブス」は自身のファッションに関するニーズから生まれたということか?

藤原:そうです。僕が今着ているウエアも全て「ローブス」で提供しているモノです。正直、僕はファッションに興味がないし、あまり購入もしない。ファッションの市場規模においても、ウィメンズが5.5兆~6兆円くらいある一方で、メンズが2.5兆円程度なことを見ると、世の中の男性の多くが僕と同じなのではないかと。でも、興味がないからといって、何でも良いというわけではない。ある種の“正解”のようなモノが欲しい。「ユニクロ(UNIQLO)」をみんなが着るのも、そういった背景があると思います。だから「ローブス」では「ユニクロ」よりはちょっと上で、ユーザー個人では想像できなかったことを何も考えずにできるようにしようと考えています。

WWD:「ローブス」は一見、メンズ服のレンタルサービスのようにも見えるが?

藤原:レンタルというよりは、“服の消費をとにかく簡単にする”というコンセプトで運営しています。服の購入からコーディネート、シーズンごとの衣替え、そして要らなくなったものの処分など、消費行動は多くのプロセスでできている。こういったプロセスを部分部分で解決するサービスは出てきていますが、「ローブス」は全てを一気通貫で完結できるようにしています。ユーザーから戻してもらった着用済みの服はBANKの「CASH」と同じスキームでいろいろな企業に売っており、当社が在庫を抱えないようにしています。

WWD:10月にローンチしてから2~3カ月が経ったが、現状の手応えは?

藤原:利用者はある程度増えてきていますが、もうちょっと増えて欲しいですね。個人的に面白かったのは、ユーザーが30代以降の方が多いこと。もともとは20代後半がボリュームゾーンだと考えていたので、ちょっと意外でした。実際にユーザーの方に実際に会ってヒアリングもしているのですが、仕事を頑張っていて、責任のある立場の人が多いです。社会人になってスーツが主軸になりバリバリ仕事をする中で服のことなんて忘れていて、仕事がふと落ち着き、服に興味を持とうとしたけれど、何を着たら良いのか分からなくなっていたという人もいました。ほかには社内の立場がある程度上がったことで周囲から見られることが増え、服に気を使わなければいけないといった声もありました。

WWD:今後新たに実装する、もしくは実装したい機能はあるか?

藤原:まずはサイズ感をより明確に、簡単に計測できる方法を確立したいですね。というのも、服を何点かまとめて送る「ローブス」は、すべてのアイテムのサイズが合っていなければならない。今のところはそこまで問題になっていないのですが、今後拡大する際に大きなダメージになる可能性があるので、早めに解決したいです。あとは、ユーザーの自宅にあるアイテムを把握して、コーディネートの幅を広げたり、ユーザーさんの手持ちのアイテムの処分の請け負いなども考えています。出資元の一つである「バイマ(BUYMA)」運営会社のエニグモさんとの連携の可能性も模索中です。ほかにもサイトのUI/UXの改善や、シューズをはじめとするアイテムバリエーションの拡充などいくつか考えているのですが、「ローブス」でユーザーの日々の消費体験をとにかく楽にしていきたいです。

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注目の仏人デザイナー、ロナン&エルワン・ブルレック兄弟が「ジンズ」と組んだ理由は?

 パリを拠点とするデザインユニット、ロナン&エルワン・ブルレック(Ronan&Erwan Bouroullec)兄弟のデザイン活動は、都市計画から家具、テーブルウエア、アクセサリーまで幅広く、「ヴィトラ(VITRA)」「カッシーナ(CASSINA)」など多くの有名ブランドにデザインを提供し、作品はパリのポンピドゥー・センターやニューヨーク近代美術館をはじめとする主要な美術館に収蔵されるなど、現代のフランスを代表するデザイナーだ。現在はフランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)=ケリング会長兼最高経営責任者による旧証券取引所の大改装事業に関連し、安藤忠雄建築の美術館の内装を手掛けて注目を集めている。

 このたび、アイウエアブランド「ジンズ(JINS)」が世界のトップデザイナーとコラボレートしたシリーズ「ジンズ デザインプロジェクト」の第5弾に参加し、初のアイウエアデザインに挑戦した。「ジンズ」と組んだ理由は何か、来日した2人に聞いた。

WWD:「ジンズ」とのコラボレートを引き受けた理由は?

ロナン&エルワン・ブルレック(以下、ブルレック):これまでも複数の企業からアイウエアデザインを依頼されたことがありますが、全て断りました。しかし、「ジンズ」は他にない画期的なコンセプトを持っています。さまざまな人に似合う多彩なデザインのラインアップはクオリティーが高く、しかも誰にでも手が届く価格で提供され、即日加工されて手に入るという革新性に共感して誘いを引き受けました。ヨーロッパでも人気が高い「ユニクロ(UNIQLO)」や「ムジ(MUJI)」と共通する独特なアプローチを感じます。このようなアイウエアブランドは、世界でも珍しいと思います。

WWD:「ジンズ」のことは、以前から知っていた?

ブルレック:これまで「ジンズ デザインプロジェクト」に参加したジャスパー・モリソン(Jasper Morrison)、コンスタンティン・グルチッチ(Konstantin Grcic)、ミケーレ・デ・ルッキ(Michele De Lucchi)、アルベルト・メダ(Alberto Meda)はみんな知人なので、評判は聞いていました。

WWD:さまざまなデザインを手掛けているが、アイウエアのデザインの難しさは感じた?インスピレーション源は?

ブルレック:プロジェクトごとに届けたいデザインの目的は異なりますから、デザインする対象を比較したことがありませんし、ヒエラルキーは感じていません。また、何をデザインするにしても、決まったインスピレーション源は持っていません。インスピレーションとは最初のきっかけであるかもしれませんが、いわば“土”のようなもので、デザインはさまざまなアイデアを“種”のようにまいて、それに改善や修正を加えながら成長させていくものです。

WWD:「ジンズ×ロナン&エルワン・ブルレック」のコンセプトは?

ブルレック:従来の「ジンズ」と同じく、まず老若男女のさまざまな人に似合うデザインであることです。好きなデザインが必ず見つかる、誰でも選べる、しかも似合う、万人のための眼鏡です。4型16種類のコレクションはグラデーションのように繊細にデザインと色を変化させ、誰にでも似合うスタイルが見つかるように商品群を組み立てています。重要なポイントは、その人の今のスタイルを壊すのではなく、引き立てるものであることです。

WWD:商品のテーマは、日本語の“SUGATA(姿)”だ。

ブルレック:いろんな顔立ちや体形の方々のなりたいスタイルに似合うアイウエアという思いを込めました。デザインの美しさだけでなく、その人の立ち居振る舞いや所作をエレガントに見せてくれるものです。フランス語で表現するなら“ALLURE(誘惑、魅惑)”がふさわしいかもしれません。

WWD:どんなスタイルに似合うデザイン?

ブルレック:「ジンズ×ロナン&エルワン・ブルレック」を服に例えるなら、完璧な白のTシャツです。自然な気持ちで気軽に着て、使い勝手がよく、流行に関係なく長い期間愛用することができる。「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のスカーフとコーディネートしても似合う--。これこそ「ジンズ」が求めているスタイルだと思います。

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望月智之著 「2025年、人は『買い物』をしなくなる」 “デジタルシェルフ”という新たな戦い

 具体的に欲しい本があったわけではないのですが、先日、あるジャンルの本を探しに書店に行きました。ですが、普段あまり行かない書店だったので、私が読みたい分野の本がどこにあるのか分からず、しばしウロウロ。結局わずか5分ほどしてスマホから過去に自分が買った同じジャンルの本をアマゾンで検索し、アルゴリズムでおすすめされた中から欲しい本を見つけ、せっかく書店に来たのだからとスマホでポチっとせず、そのタイトルを書店の検索機でどの本棚にあるかを調べて見つけ出し、手に取ってレジに向かいました。われながら何だかややこしい手順だなと思い苦笑しました。

 そして別の日、軽いフライパンを探していたのですが、ネットで調べても商品がありすぎて何を基準にしてよいか分からず、書かれているレビューも最近はあまり信用できないし……、ということで料理好きの友人に聞き、料理家おすすめだというフライパンを教えてもらい、それを購入することにしました。

 コンサルティング会社としてデジタルマーケティング支援を提供している望月智之氏による「2025年、人は『買い物』をしなくなる」(クロスメディア・パブリッシング)を読むと、たくさんの中から選ぶのが面倒になってきた消費者心理の変化から「品ぞろえのよさ」に価値がなくなり、購入までのプロセスを次々に省略するようになったこと、加えて「選ぶ基準はかつてのような広告宣伝によるものではなくなり、仲の良い友人や自分の好きなインフルエンサーを信じて購入するようになった」と述べられており、先述の自分の体験はそれにぴったり当てはまっていました。なるほど自分でも知らないうちに、以前より一つ一つの選択にじっくり時間をかけなくなっているなと、はっとさせられました。そして今の消費者は「便利さ」には当たり前のように慣れているため、代わりに求めているものは「時間」であり、消費者の時間をつくる、つまり「時間ソリューション」が求められているそうです。

“デジタルシェルフ”とは何か?

 本書で語られているキーワード“デジタルシェルフ”とは、「ショッピングサイトの商品一覧のように、物理的な棚がデジタルに置き換わっていく」だけでなく、「世の中の電子化が進む中で、日常の身の回りにある、ありとあらゆるものがシェルフ(商品棚)になること」だと定義しています。

 つまり店に行く、現金を用意する、商品の現物を見る、自分で商品を選ぶといった商品購入のプロセスはどんどん省略され、5Gの時代が到来し、AI(人工知能)の進歩によって「買い物をしている」という感覚さえなくなっていくということ。お金を支払って何かを買うことがなくなるわけではないけれど、消費者の自覚のあるになしにかかわらず、買い物が組み込まれていき、実際の買い物の変化は「無意識の領域まで進んでいく」というのです。それが本書のタイトルにもつながっているのでしょう。

 「買い物は自分で探して選ぶのではなくなり、AIが勝手に探してきてくれる。あるいは人からすすめられたものだけ欲しくなる。あとはそれを決済するかどうか、その時間だけの問題になる」と望月氏は本書で述べています。「検索が自分で気づくマーケットだとしたら、口コミは自分では気づかないマーケットであり、その口コミ情報は友人やフォローしている人からやって来るため、広告よりも自分の好きなもの、自分に合っているものであることが高い」というのは、もはや自然な流れなのでしょう。

「質よりも共感できる
ストーリーで売れる」

 今後の主戦場になるプラットフォームは、ライブ配信とeコマ―スを掛け合わせた、売る側と買う側がリアルタイムでコミュニケーションできる「ライブコマース」だと指摘しています。デジタル化が進むと、人と人とのつながりはむしろ強くなり、「質よりも共感できるストーリー」で売れていき、そのストーリーが長ければ長いほど共感を集め、D2C(Direct to Consumere)でモノを売る個人も増えるというわけです。

 一方で「消費者にとっての棚はデジタル上に移ったのに、売る側はその棚を管理しきれていない」と望月氏は指摘します。それが今後の売る側の課題であり、将来のビジネスのヒントになりそうです。「技術の進歩の過程で新たに見直されるのは、人とのつながり。その価値を追い続ける企業が生き残り、それを大切にする個人が人生を謳歌する」というのです。

 そのように人とのつながりが見直される一方で、買う側としては、「買い物をしている」という感覚さえなくなっていくということは、ますます自分の個人情報を他者に提供することを意味すると同時に、数多くの細かな意思決定をしなくて済む=ある意味思考停止にも陥りやすいということです。

買い物の変化は
「無意識の領域まで進んでいく」

 例えば、定期的に同じものを購入する日用品などの消費財に時間や思考を使わず、なくなりそうなタイミングで自動注文してくれたり、ウェブサイトでの消費者の行動履歴や食事のパターンなどを読み取り、好みの献立、メニューを自動で推薦してくれたりするのはとても便利だと思いますが、それでできた「可処分時間」を自分の意思でどのように使うのかということを、さらに意識的に考えていかなければならないと思うのと同時に、一方で本書で述べられているように、人とのつながりが強くなっていくのであれば、楽しい買い物体験も増えていくのではないかという期待もあります。

 本書の終わりに望月氏は、「『人は買い物をしなくなる』というのは『逆説的に買い物が人々の生活に深く浸透すること』を意味し、『ショッピング体験が多様化する』ということでもある」と述べています。同書では中国やアメリカですでに進んでいる事例や、D2Cやサブスクリプションについて、そしてこれまでショッピングがどう発展してきたのかといったことなどが分かりやすく書かれているので、興味のある方はぜひ手に取ってみてください。

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「サカイ」のバックステージ撮影スタッフに一時退出命令! コレクション・バックステージ録

 2009年から「WWDジャパン」のバックステージ・フォトグラファーとして海外コレクションを撮影する景山郁が、現場で見た最新トレンドや業界ルール、珍事件などを紹介します。世界でも限られた媒体やフォトグラファーのみが入場を許されるファッションショーの舞台裏での出来事をお届け!

今回のテーマ:「サカイ」のバックステージで考えさせられたモデルの着替え中のプライバシー

 「サカイ(SACAI)」はここ最近、「ステラ マッカートニー(STELLA MCCARTNEY)」のショーの後に発表しています。また、売れっ子モデルを起用するので、「ステラ マッカートニー」のショーにも出演する人気モデルが10人前後そろいます。そのため、「ステラ」のショーが終わると大急ぎでモデルたちは「サカイ」のバックステージにやって来ます。

 今回もいつもと同じように、遅れて来るモデルたちを、スタッフとほかのモデルが待っていました。ヘアメイクを済ませたモデルは「サカイ」の美味しいと好評のケータリングを口にしながらおしゃべりをしたりと、遅れて来るモデルが来るまでバックステージはゆったりとした雰囲気に包まれていました。

 私はビューティの撮影とインタビューを終え、スタッフに指示されたスペースで残りのモデルを待っていました。ようやくモデルたちは着替えるように指示されると、モデルのキキ・ウィレムス(Kiki Willems)が進行スタッフに一言。「ここで着替えるとカメラを持った人の横でプライバシーがない、どうにかして」 。(気になるのはごもっとも)!

 そのスタッフは元々設置してあったパーテーションを少し移動させてフィッティング(着替え)スペースを隠そうとするものの、他のモデルが「着替え中はフォトグラファーを外に出してほしい」とコメントし、最終的に私たちはその部屋から出ることになりました。ちなみに(会場にもよりますが)、「サカイ」では基本的にフィッティングルームはヘアメイクの場所とは違う場所に設置されることが多く、モデルへの気遣いを感じます。

 今回は会場の都合上、パーテーションで撮影場所とフィッティングスペースを区切ってモデルのプライバシーを尊重していました。バックステージのスペースが狭いと、フィッティングスペースと撮影スペースが同じ場所だったり、隣り合わせになってしまうことはよくあることです。特にミラノコレクションは狭い会場が多いためか、その可能性が高いです。ニューヨークは結構前からフィッティングルームをヘアメイクルームとは別にしているブランドが大半だったのを覚えています。特定の取材パスがないとフィッティングルームには入れないほど、セキュリティーがしっかりしているブランドも多々あります。パリでコレクションを発表する「オフ-ホワイト c/o ヴァージル  アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」は着替え用のテントがあったりするくらいです。恐らくアメリカとヨーロッパの文化の違いも影響していると思います。

 何にせよ、大勢の人、しかもカメラやビデオカメラを持った人たちの前で着替えなければならないモデルたちの気持ちを想像すると、本当に痛々しいです。10年近く前のことでしょうか、私がまだバックステージで撮影を始めて間もないころは、ミラノとパリのバックステージで活躍する女性フォトグラファーは本当に少なかったです。モデルの着替え待ちをしている間、私は(モデルに気を遣って)モデルがいる部屋ではなく、フォトグラファーやビデオグラファーが立っている方向に視線を向けていました。そのときに気づいたことは、男性フォトグラファーが着替えているモデルを凝視してる数の多いこと!しまいにはこっそり着替え中を撮影したり録画する人までいました。完全にプライバシーの侵害ではありませんか!当時はそこまで大きな問題として扱われていませんでした。盗撮している人に直接話しかけたり、スタッフに通報したこともありますが、深刻に受け取られていなかったのを同じ女性の立場としても本当に残念に思ったのをはっきりと覚えています。

 今はフェミニズム運動や業界のセクハラ問題なども大きく取り扱われるようになり、そういった環境はかなり改善されてきています。そのため、着替え中の退出命令は増加傾向にあります。今後はどこのブランドのバックステージでも、モデルの着替え、そして彼女たちのプライバシーに関してはデリケートになってもらいたいものです。

景山郁:フリーランス・フォトグラファー。2003年からフォトグラファーとしてのキャリアをスタート。07年に渡米、09年より拠点をパリに移す。10年から「WWDジャパン」でパリ、ミラノなどの海外コレクションのバックステージと展示会などの撮影を担当。コレクション以外にもポートレート、旅やカルチャーなどエディトリアル、広告を手掛ける。プライベートでは動物と環境に配慮した生活をモットーにしている

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シェフになっていたかも!? 色石の魔術師タイヤックの飾らない素顔(後編)

 世界中の女性を魅了する「マリーエレーヌ ドゥ タイヤック(MARIE HELENE DU TAILLAC)」だが、その理由はカラフルで心躍るジュエリーだけではないだろう。タイヤックの飾らない人柄によるところも大きいはずだ。彼女はアレクサンドル・デュマの「三銃士」の着想源となった王室衛兵の直系の子孫であり、名前からも分かるように貴族だ。ところが、彼女の素顔には気取ったところが全くない。リッツォーリ(RIZZOLI)社から出版した書籍「ゴールドとジェムストーン マリー・エレーヌ・ドゥ・タイヤック」には、ジャーナリストのヴァネッサ・フリードマン(Vanessa Friedman)やイネス・ド・ラ・フレサンジュ(Ines de la Fressange)などが寄稿し、タイヤックのクリエイションや彼女の魅力について語っている。妹のヴィクトワールは総合美容ブランド「オフィシーヌ・ユニヴェルセル ビュリー(L’OFFICINE UNIVERSELLE BULY)」を夫と運営するなど、姉妹で起業家として活躍。インタビュー前編のクリエイションに続き、ここでは、彼女に幼少時代やライフスタイルについて聞いた。

WWD: どのような子ども時代を過ごしたか?

タイヤック:父の仕事の関係で、リビアで生まれてレバノンなど中東で育った。いろいろな場所にいたから旅慣れているし、各地で博物館によく行った。5人兄弟で、幸せな子ども時代だったわ。姉妹は4人で、とても仲が良くて、姉のソフィーがいろいろなことを企画するのが好きで、よく一緒に遊んだものよ。子どもながらにファッションショーをした時は祖母の洋服を着てドレスアップしたわ。

WWD:ジュエリーデザイナーになっていなかったら何になっていた?

タイヤック:シェフかしら?私が18歳の頃は女性シェフがあまりいなかった。今は女性のシェフもいるけど、ほとんどは男性。父親がフランス人シェフのアンドレ・ダガン(Andre Daguin)と友人で、シェフは女性には大変な仕事だと言っていた。だから諦めたの。仕事にするよりは、家族や友人のために楽しんで料理する方がいいわね。または、ガーデンデザイナーになりたい。田舎の家の庭で花の世話をすると、花が喜んでいるように見える。料理も庭仕事も、とてもやりがいを感じるわ。

WWD:自身のファッションスタイルは?

タイヤック:カラフルで肌ざわりのよいソフト素材の洋服が好き。基本的にスカートが多いわ。フィットにはこだわるから、既製服をお直しに出すこともよくある。母がとてもエレガントな人だったから、その影響でイブニングウエアは大好きよ。あまりカジュアルな恰好はしない。ジムに何を着て行くべきか迷うくらい。ドレスアップするのは大好きで、クリエイティブだし楽しい。服装によって、別人になった気分になれる。ネットフリックス(NETFLIX)のドラマ「クラウン(CROWN)」のエリザベス女王のワードローブを見るのも楽しい。狩りに行くときは「バブアー(BARBOUR)」のジャケットを着てブーツを履いたり、場面ごとにいろいろな衣装に着替えるから。私は特定のブランドにこだわらない。自分のムードに合うブランドを選ぶようにしている。「メゾン ラビ ケイルーズ(MAISON RABIH KAYROUZ)」のドレスはとても美しいと思う。「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」のユーモアのあるファッションも好きよ。

WWD:ライフスタイルにおけるこだわりは?

タイヤック:朝が大好きだから、ゆったりと時間を取るようにしている。ヨガをしたり瞑想したり、自分のために時間を使うようにしている。ジャイプールでは毎朝泳ぐわ。朝食の時間も大好き。ビジネスをしていると自分でコントロールできないことがあるから、できるだけ午前中は予定を入れないようにしている。

WWD:好きな週末やバカンスの過ごし方は?

タイヤック:常に世界を飛び回っているから、バカンスは飛行機に乗らなくてすむ2カ月間で、田舎の別荘で泳いだり、ゆっくりと過ごすわ。週末はパリにいるときは自宅で過ごすことが多い。できるだけ人混みを避けたいから週末に仕事をして、平日休むこともあるわ。

WWD:世界中で好きな場所は?

タイヤック:美しさからするとイタリアのベネチアね。自然に囲まれているし、光もとてもきれい。感情に訴える面がたくさんあるわ。ニューヨークやロンドン、東京など大都市も好きだけど……。

WWD:人生におけるモットーは?

タイヤック:草間彌生の“ラフ・フォーエバー(LAUGH FOREVER)”という言葉があるけど、私の場合は、それにラブを付けて“ラブ&ラフ・フォーエバー(LOVE & LAUGH FOREVER)”。愛も笑いも、人生においてとても大切なものだと思うから。

WWD:これから新たにチャレンジしたいことは?

タイヤック:変わらなければいけない時だと思う。私のビジネスにおいて、環境や人権などできるだけ考慮していきたい。完璧にサステナブルというのは無理だけど、環境負荷を減らす工夫をしたり、ゴールドをリサイクルしたりできることから始めたい。

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南米発、唯一無二のフレグランス「フエギア1833」  創業者が語る持続可能なモノ作りとは?

 2010年にアルゼンチン・ブエノスアイレスで誕生したフレグランスメゾン「フエギア1833(FUEGUIA 1833)」は、南米の豊かな自然と文化や歴史から着想したモノ作りでほかにはない存在感を放つ。創設者のジュリアン・べデル(Julian Bedel)調香師は建築家の父をはじめとする家族の中で芸術文化に囲まれて育ち、アーティスト、弦楽器製作家、デザイナーとしての顔も持つ。同ブランドは創設当時から持続可能性へのテーマを重視する。自身が立ち上げたNPO「ヘルプ アルゼンチン(Help Argentina)」を通した原料の栽培や収穫により雇用を生み、外箱には倒木を再利用する。またフレグランスの中身には生分解性がある植物性原料のみを使用しており、地域社会と環境への配慮に力を入れる。創業の地ブエノスアイレスのほか、ミラノ、ニューヨーク、ロンドンにショップを構え、日本ではこれまで東京「グランドハイアット東京」内のブティックでのみ販売していたが、10月から伊勢丹新宿本店での取り扱いがスタートした。べデル創設者のブランド立ち上げの経緯とモノ作りへの思いを聞いた。

WWD:自身のフレグランスブランドを立ち上げた経緯を教えてください。

ジュリアン・べデル創業者(以下、べデル):ブランドの根幹には3つの要素があります。1つは私の家族のほとんどが芸術に関わっていることで、幼いときから自宅で行われていたワークショップで毎日いろいろな人やモノに触れていろいろなことを身につけました。最初は彫刻、次は音楽で、実際に弦楽器製作も手掛けるようになりました。そうした時期に、2004年にノーベル生理学・医学賞を受賞したリンダ・バック(Linda B. Buck)博士の研究リポートを読む機会がありました。それは人体と香りに関する研究で、人間の体は気体化した化学分子によって香りを感じるという内容です。エキサイトしたり、リラックスしたり、人は香りによって血圧や脈拍が変化したり、記憶にも密接に関係したりします。そうした影響は全て化学分子のレベルで説明できるということに興味を持ち、新しいアイデアが次々に生まれ、自分の芸術的なクリエーションの表現方法として香りという選択肢ができたことが2つ目の要素です。3つ目の要素は自然です。父や母など家族がアルゼンチンに複数の土地を所有しており、子どもの頃から南北に長いアルゼンチンのさまざまな気候や植物に親しんでいました。植物を主体として香りを作るというのが私の芸術の基本で、芸術活動の原動力として香りがあります。決して香水メーカーをつくろうとか、香水ブランドをつくろうと思ってスタートしたわけではありません。

WWD:ビジネスとしての拡大は考えていなということか。

べデル:クリエーションをできるだけ広範囲に効率的に伝えて、商品の品質や背景を直接お客さまに話すために、自分自身で販売を手掛けたほうがいいと思ったので結果として店舗を持っています。もちろん、研究段階から生産に向けての植物の研究や、蒸留や精製のための先端テクノロジーにはコストが掛かるのでそれをカバーするために収入はなければならないということもあります。ですが1つの香りにつき400本の限定生産なので、世界中に出回ることはありません。このスタイルを維持できる範囲のビジネスと決めていますビジネスとしての拡大は追及せず、何を思ってスタートしたか、初期のアイデアに重きを置いて自分のスタイルを守っていきたいと思います。

WWD:原料はアルゼンチンの自社農園で栽培したものだけを使用しているのか?

べデル:全部が自社農園からというわけではありません。1300種類くらいの原材料を使っていますが、アルゼンチンには自生していないものもあればアルゼンチン固有種もあります。世界中から原料となる植物を探して、いい植物が見つかったらその土地に収益をもたらすように努めます。例えばそこで作られるオイルの純度が足りない場合もそのままの形で購入して、自社のラボで純度を上げるような処置をしています。

WWD:現在のフレグランス業界は持続可能性というのが大きな課題です。

べデル:「フエギア1833」ではお客さまに提供する素材には以前からプラスチックを使っていませんし、流通段階の素材にもプラスチックを使用しないように取り組んでいます。2019年7月から生産に必要なエネルギーも風力発電でまかなっています。生産の段階や研究開発においてもさまざまなチャレンジがあります。植物性原料をバイオケミストリーの技術で自然界に存在する酵素を使って発酵させることによって、動物性原料からしか得られない化学分子を取り出したりもしています。合成ムスクを使うのが業界では常識になっていますが、われわれは使っていません。

WWD:15年にブエノスアイレスからミラノに拠点を移したがその理由は?

べデル:ラボや製造の中心はミラノに移しましたが、今もウルグアイに植物研究所を兼ねた植物園があります。アルゼンチンは物理的にも世界から遠く経済的にも不安定で閉鎖的な国だったため海外とビジネスをするには支障がありました。イタリアのミラノを選んだのは地理的にヨーロッパの中心に近いのと、都市としての規模がちょうどいいサイズだったこと。職人が多い街でクラフツマンシップが根付いていることからです。もう一つの理由としては、イタリア政府からさまざまなサポートを受けられたこともあります。それはひとえに、われわれの会社がミッションとしている自然界と植物の可能性の追求に対して賛同してくれたためだと思っています。

WWD:15年に東京・六本木の「グランドハイアット東京」に出店した経緯は?なぜ東京だったのか?

べデル:友人で建築家のトニー・チー(Tony Chi)から誘いを受けました。彼は「グランドハイアット東京」や「グランドハイアット京都」に携わっていて、「君のためのスペースがあるよ」と言われ、「どこに?」と聞いたら「東京」と。それで「OK」と誘いを受けました。ミラノの基幹店では設計・デザインも自分でして、床も自分で塗りました。経済的なことも考えて努力しています。次に出店するなら京都にしたいですね。京都は常にインスピレーションを得られる場所です。

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涼しくても“きちんと”見えるセットアップこそ猛暑にオススメ!? 2020年春夏ウィメンズセレクト展示会こぼれネタ

 2020年春夏ウィメンズのセレクトショップ各社の展示会では、「透ける&肌見せ」や「夏の黒」をキーワードに、ノースリーブのワンピースやオーガンジーのシャツ、カットソー素材のブラックドレスなどの提案が新鮮に映った。が、この本命トレンドと同じくらい各社でよく目にしたのがセットアップの打ち出しだ。

 19-20年秋冬は“クラシック回帰”からジャケット&パンツのセットアップがトレンドだったが、今春夏はリラックスシルエットや薄手の光沢素材のトップス&ボトムスの提案に変化。シルク調のシャツ&ワイドパンツ、ノースリーブトップス&ロングスカートなど、一見カジュアルになりがちな春夏のコーディネートも、色柄やトーンをそろえることで、“涼しさ”はそのままに“きちんと”感を演出することができる。さらに派生として、素材を変えたワントーンのスタイリングも豊作。セットアップは難易度が高い、もしくはキメすぎていて恥ずかしい……なんて人には、後者が断然取り入れやすい。ここではセレクトショップ6業態のセットアップ&ワントーンのコーディネートの提案をこぼれネタ的に紹介する。

ユナイテッドアローズ3業態のセットアップの打ち出しは?

 ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)では、ネイビーをベースにしたシーズン立ち上がりのコーディネートの差し色に、チェック柄のシャツ&パンツを打ち出した。アロハなどに用いられる開襟エリのシャツも、柄のアレンジとセットアップで“キレイめ”に着ることができる。

 さらに同社では、他業態でもセットアップがそろった。ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ(BEAUTY & YOUTH UNITED ARROWS)では、モノトーンの花柄をプリントしたリラックスシルエットのシャツ&パンツ、変化球として同素材のジャケット&シャツをラインアップ。「セットアップでも単体でも着られて、様になるアイテムをそろえた」と小沼悠子ファッションディレクター。

 グリーンレーベル リラクシング(GREEN LABEL RELAXING)では、微光沢のベージュのシャツ&パンツや、「青い迷宮都市」と呼ばれるモロッコ・フェズの街をイメージしたブルーのリネンシャツ&スカートなどを提案。今季のコンセプトのひとつ、素材のコントラストを楽しむワントーンのスタイリングの一環として、特にセットアップが豊作だった。

コンサバな提案もワントーンでフレッシュに!

 ドゥーズィエム クラス(DEUXEME CLASSE)では、「コンサバが“一周回っておしゃれ”なのでは?」という考えから、フィット感のあるジャケット&パンツを並べた。セットアップの定番アイテムは、色のまとまりにこだわったというニュアンスカラーでインナーまで同色にすることで、春らしく洗練された印象になっている。

トーンをそろえたトップス&ボトムスで セットアップ風もたくさん!

 セットアップの派生として、今季は上下同じトーンのコーディネートも多かった。イエナ(IENA)では、“記憶に残らない色”をテーマにしたペールトーンのアウターを、カラーや素材豊富に提案。透明感のあるキレイな色味を、同じトーンで素材の異なるトップス&パンツのコーディネートが引き立てていた。

 ロンハーマン(RON HERMAN)では、キーアイテムの白いパンツを軸にしたオールホワイトや、ノースリーブのカットソーとロングスカートを合わせたオレンジ色のコーディネートが並んだ。特にシンプルになりがちなワントーンのスタイリングは、凝ったディテールや鮮やかな色味のシューズやネックレスでコントラストを付けるのが必須だ。

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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モデルしか入れない秘密の部屋とは? コレクション・バックステージ録

 2009年から「WWDジャパン」のバックステージ・フォトグラファーとして海外コレクションを撮影する景山郁が、現場で見た最新トレンドや業界ルール、珍事件などを紹介します。世界でも限られた媒体やフォトグラファーのみが入場を許されるファッションショーの舞台裏での出来事をお届け!

今回のテーマ:モデルしか入れない秘密のスペース「モデルラウンジ」とは?

 「ディオール(DIOR)」と「ロエベ(LOEWE)」のバックステージで「モデルラウンジ」というスペースを発見!以前「ジバンシィ(GIVENCHY)」のバックステージで「サイコロジールーム(心理相談所)」を見かけましたが、今回見つけた「モデルラウンジ」は長年バックステージの撮影をしている私にとっても今年初めて見た新しいスペースです。

 「モデルラウンジ」はヘアメイクを終えたモデルがフィッティング(着替え)するまでの間、スタッフやフォトグラファーから離れてリラックスできるような小さなスペースのようです。なので、モデル以外は入れません。「ディオール」「ジバンシィ」ともにショーのコールタイムが早朝で、かつ長時間拘束の仕事だったので、今回ラウンジが設置されたのかもしれません。

※コールタイム…モデルやスタッフの入り時間

 また、バックステージに雑誌やウェブのエディターやフォトグラファーが入ると、モデルたちは(任意ではありますが)ビューティショットのためのポーズをしたり、ビデオインタビューに答えたりしなければならなく、ショーが始まるまで忙しくなるモデルも多いです。少しでもショー前はリラックスしたいと思うモデルには、この「モデルラウンジ」はいいのかもしれませんね。仮眠も取れそうなスペースだったので、ファッション・ウイーク中の連日の仕事で寝不足なモデルにとってはうれしいことでしょう。こういったスペースの開設も、ショー進行スタッフのモデルへの気遣いですね!

景山郁:フリーランス・フォトグラファー。2003年からフォトグラファーとしてのキャリアをスタート。07年に渡米、09年より拠点をパリに移す。10年から「WWDジャパン」でパリ、ミラノなどの海外コレクションのバックステージと展示会などの撮影を担当。コレクション以外にもポートレート、旅やカルチャーなどエディトリアル、広告を手掛ける。プライベートでは動物と環境に配慮した生活をモットーにしている

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美容家の高城彩香「うそをつかない」 “リアル”な声が反響を呼ぶ

 あや猫の愛称で親しまれている美容家、ビューティクリエイターの高城彩香は、著書「好きすぎてぜんぶ試したからわかった 自分史上最高の顔になれる神コスメ」を出版するなど、コスメや美容に関する豊富な知識で人気を集めている。知識に裏付けされたレビューは幅広い年齢層の女性から支持を集め、インスタグラムは9万フォロワーを超える。また、自身が経験した美容医療施術についてもSNSやブログで公開しており、そのリアルな体験が同じ悩みを持つ人から大きな反響を呼んでいる。

 身近になってきたとはいえ、一般的な美容方法としてはハードルの高い美容医療の経験を発信するに至った経緯や、美容家、ビューティクリエイターとしてのこだわりについて聞いた。

WWD:美容医療の体験を公開しようと思ったきっかけは?

高城彩香(以下、高城):最近は美容医療や美容皮膚科での施術に興味を持っている人も増え、偏見もなくなってきていると感じています。美容医療に興味を持ったときは公開しようとは思っていなかったのですが、美容家として活動している自分が美容医療のことを発信することで、同じ悩みを持つ人たちの役に立つんじゃないかと思ったのがきっかけの一つ。これまでみんなが隠してきたことを私が発信することで、美容医療に対してみんながポジティブになれたらいいなと思ったんです。

WWD:実際どんな反響があった?

高城:キレイになるための方法として医療美容を選択することに抵抗はなくなっているように思います。むしろ隠しているほうがマイナスなイメージになるのかも。だったら発信しちゃおう、と。美容皮膚科での施術のほか、クマを目立たなくする手術と、フェイスラインをすっきりさせる手術をしたんですが、ネガティブなコメントや反応はありませんでした。「もっと詳しく聞きたい!」「自分もやってみたい」など、ポジティブな反応がとても多かったです。フォロワーじゃない人からも反響がありましたね。「別の施術をしてみようかな」ってストーリーで投稿したら、「何やるんですか?教えてください!」って反応があったくらい(笑)。美容医療に対して前向きな時代になったのがうれしいです。

まだまだ情報が少ないというのも反響が大きい理由かもしれません。検索すればクリニックの情報や施術については調べられますが、実際どうなの?ってところを体験した人から聞きたいんだと思います。私自身も手術を受けるときにそう思ったので。

WWD:ビューティクリエイター、美容家として大切にしていることは?

高城:全てにおいてうそをつかないこと。これはブログやSNSを始めた頃から大切にしていることです。例えばコスメも、なんでもかんでも「いい!おすすめ!」って言うのは違うと思うんです。私が実際に使ってどう思ったのかを正直に伝えるようにしています。ただ、私の肌には合わなかったとしても、こういう悩みを持っている人や違う肌質の人には合うかもなど、自分なりの視点を加えて伝えるようにしています。

WWD:今後どういった情報を発信していく?

高城:フォロワーの年齢層は大学生から30代前後が多いのですが、私が30歳になるので、発信する情報としては同世代や大人向けになっていくと思います。30歳前後って肌も変化してきて、スキンケアもエイジングを意識し始めるので、一緒に寄り添っていきたいですね。

WWD:2020年に注目しているビューティトレンドを教えてください。

高城:軽い質感の透けるようなマットリップが気になりますね。「スック(SUQQU)」の春の新作も軽やかなマットリップが登場しますよね。春らしいふんわりとした質感や発色に注目しています。

あと、来年発売の美白ケアの進歩がすごい!「ポーラ(POLA)」や「エスト(EST)」など最新技術を取り入れた製品が続々発表されていて驚かされます。美容医療の領域に近いケアが可能になってきているのかなって、すごく期待しています。

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徳島県が日本初の「百貨店ゼロ県」に 行き場失う上顧客

 2019年に相次いで発表された百貨店の閉店が、地方経済に与える打撃は小さくない。地方都市はどこも中心部の空洞化が悩みのタネだ。業績不振が理由とはいえ、大きな売り場を持つ百貨店が撤退すれば、近隣の商店街の人出にも影響を及ぼす。

 セブン&アイホールディングス傘下のそごう・西武は10月、全国で5店舗を閉めると発表した。20年8月に西武岡崎店(愛知県)、西武大津店(滋賀県)、そごう西神店(兵庫県)、そごう徳島店(徳島県)が、21年2月にはそごう川口店(埼玉県)が閉店する。加えて西武秋田店(秋田県)と西武福井店(福井県)では営業規模を縮小することが決まった。

 とりわけ地元に衝撃が走ったのが、そごう徳島店だった。百貨店はピーク時に比べて店舗は減ったものの、今のところ47都道府県の全てに店舗はある。だが、県内唯一の百貨店であるそごう徳島店が撤退を決めたことで、徳島県が初めて百貨店ゼロの県になってしまうのだ。

 そごう徳島店はJR徳島駅前に1983年に開業。ピーク時の93年2月期の売上高は444億円だったが、2019年2月期には128億円とほぼ7割も減った。98年に明石海峡大橋が開通したことで買い物客が関西に流出したり、市内や郊外に大型のショッピングセンター(SC)が開業したりしたことが痛手になった。

 低迷を続けたそごう徳島店は、外商などによる上顧客の売上高に占める比率が4割に達する。若い世代を中心とした一般客の百貨店離れの裏返しとして、相対的に上顧客の比率が高まった。百貨店でしか販売されていない衣食住の商品も少なくない。上質なアパレルやバッグ、シューズ、宝飾・時計、美術などの品ぞろえではSCよりも百貨店に分があるし、中元・歳暮やギフトは百貨店の包装紙がありがたがられる。富裕層や所得に余裕のある中高年やシニアたちの百貨店支持率は依然として高い。

 通常、百貨店が閉店した場合、同じ地域にある別の百貨店が上顧客の受け皿になるのだが、今回は全く前例のないケースになる。中高年やシニアを中心とした上顧客が県境を越えて高松三越や高知大丸に行ったり、明石海峡大橋を渡って関西に向かったり、ECに移行したりすることも考えにくい。

 他の地方でも徳島県と同じ状況になりかねない。今回のそごう・西武の発表で営業規模の縮小を打ち出した西武秋田店と西武福井店も県内唯一の百貨店である。その他にも百貨店が1店しかない県はいくつもある。その多くはジリジリと客離れが進みながらも「地域から百貨店の灯を消さない」という使命感で踏みとどまっている。

 そごう徳島店を契機にして「百貨店ゼロ県」がドミノ倒しのように他県にも広がってしまうのか。まさに正念場を迎えている。

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パリコレで見た“日本らしい光景” コレクション・バックステージ録

 2009年から「WWDジャパン」のバックステージ・フォトグラファーとして海外コレクションを撮影する景山郁が、現場で見た最新トレンドや業界ルール、珍事件などを紹介します。世界でも限られた媒体やフォトグラファーのみが入場を許されるファッションショーの舞台裏での出来事をお届け!

今回のテーマ:
小さな配慮がいき届く日本ブランド

 日本発ブランド「アンリアレイジ(ANREALAGE)」のパリコレのバックステージでの話。フィッティングスペースで、他ブランドでは見かけた事のない白いシートが足元に敷かれていました。これは恐らく、モデルが靴を脱いだり着替えたりする際に靴下が汚れたり、ボトムスの裾が汚れたりするのを避けるためだと思います。リハーサル後にはスタッフたちが一生懸命、そのシートについたほこりをテープで取っていました。そんな細かいところにも気を使う、とても日本らしい光景だと思いました。

 欧米では靴を履いたまま試着室や家に入る文化があり、人によっては靴を履いたままソファーやベッドに寝そべったりする人もいるので、この「アンリアレイジ」のシートの発想はなかなかないと思います。あるとしても床を拭くことくらいでしょうか。また「アンリアレジ」のバックステージには細かな指示が入ったルック写真や、モデルの動き方を示した図などが掲示してあり、あらゆる部分に細かい配慮がされています。こういう小さな事でも徹底することは大事だと思います。

 話は少し逸れますが、今季初めて「アンリアレジ」の撮影に入ったフォトグラファーがオンタイムにファッションショーがスタートしなかったことについて「おかしい、日本人なのに時間通りに始めないなんて」と一言。私は「それはブランド側の意向でなく、来場者が会場に時間通りに来ないから」と伝えました。忙しい来場者たちは、ほとんどのショーが時間通りに始まるとそもそも思っていないのです。「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」はオンタイムにショーを始めるポリシーを持っているのでそういった例外もありますが。

 しかし、特殊な演出を仕掛けたり、モデルが遅刻して来ない限りは、日本ブランドはオンタイムで開始出来るくらいの完璧なスケジューリングをしている場合が多いと感じます。

景山郁:フリーランス・フォトグラファー。2003年からフォトグラファーとしてのキャリアをスタート。07年に渡米、09年より拠点をパリに移す。10年から「WWDジャパン」でパリ、ミラノなどの海外コレクションのバックステージと展示会などの撮影を担当。コレクション以外にもポートレート、旅やカルチャーなどエディトリアル、広告を手掛ける。プライベートでは動物と環境に配慮した生活をモットーにしている

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米国で高感度ショップを中心に支持 ラグジュアリーリップコスメ「ヘンネオーガニック」こだわりとは?

 今秋、日本に初上陸を果たした米国発オーガニックリップケア専門ブランド「ヘンネオーガニック(HENNE ORGANICS)」は、2015年にラスベガスで誕生した。オールハンドメードの実直なモノ作りと、スカンジナビアのミニマリズムデザインから着想したモダンでクリーン、そしてミニマリズムをうたうブランド哲学が支持され、立ち上げから4年で米国内に約500店舗まで取り扱い店舗を増やすほど急成長している。販売店は百貨店のノードストロム(NORDSTROM)や、世界中からクリーンなアイテムを厳選するビューティセレクトショップ「クレド(CREDO)」、ナチュラルコスメを取り扱う「キャップ ビューティ(CAP BEAUTY)」、ファッションストア「アンソロポロジー(ANTHROPOLOGIE)」などで、とりわけ感度の高い顧客から人気で2年目には国外進出し、現在約20の国と地域で販売。日本ではマッシュビューティーラボが運営するナチュラルコスメのセレクトショップ「メイクアップキッチン」と公式オンラインショップで販売する。創設者のローラ・シャオCEOに、ブランド哲学やモノ作りに込めた思いを聞いた。

WWD:ブランド立ち上げには5年間の旅が大きく影響しているようですね。

ローラ・シャオ=ヘンネオーガニック創設者 兼 CEO(以下、シャオ):コンセプトである“Less is more”が、スウェーデン、デンマーク、ニュージーランド、オーストラリアを旅して回っていたころ、運べるものが4つのスーツケースだけという経験から生まれました。それまではミニマリズムとは反対の生活で、クローゼットは3つありましたし、なんでもたくさんのものを詰め込むタイプでした。ですが自分の人生にとって大事なものだけを選びとる生活を始めてみたら、モノをたくさん持つよりも自分が大切にしているもの、高品質なもの、ほかにないワン・アンド・オンリーのものを大切にするライフスタイルを心地よいと感じ始めました。アメリカに戻った後も、何かを買ったら必要なくなったものを寄付するようなサイクルの生活を続けています。

WWD:まずは何を作ろうと思ったのですか?

シャオ:旅をして回った国々では“グリーン・ビューティ・ブランド”の選択肢がアメリカより充実していて、体に有害なものを容易に避けることができました。一方でアメリカはそれらの国と比べて規制が緩いため、私たちは多くの有害物質を日々使う化粧品から吸収してしまっていることを知り、こうした状況を変える必要があると感じました。ただ、化粧品ブランドをつくろうと計画していたわけではなく、LAからラスベガスに移り住んだときに、砂漠の環境下で唇がすごく乾燥して荒れてしまったため必要に迫られてのことでした。自宅のキッチンで始めたものが、第1弾製品の「ラグジュアリーリップバーム」として発売に至りました。シアバターやカカオバター、ココナッツオイルなどの天然成分が優れた保湿力を発揮するものです。

WWD:化粧品製造の知識はどこから得たのですか?

シャオ:自分でケアするためのものを少しは作ったことがありましたが、化粧品学を勉強したわけではありません。「ヘンネオーガニック」を始めるときは、消費者から信頼を得るためにUSDAオーガニック認証を取得する必要があると考えていたので、自分たちで科学や植物学も勉強しました。

WWD:原料調達や製造工程についてはどうですか?

シャオ:世界中から集めている原料は、子どもや女性を不当に働かせていない、適正価格で取引されたフェアトレードによるものを使用しています。例えばリップティントに入っているパウダー原料の一つは、子どもや女性を奴隷的に働かせて調達している場合が多いでのすが、「ヘンネ」では使いません。化粧品の原料はどこかの工程で搾取が行われていることがあり、そうした点にも注意を払って選ぶようにしています。それはビジネスのためではなく、自分の中にある正直さやフェアな気持ちによるものです。

WWD:感度の高いセレクトショップなど、米国内で500近くまで取り扱い店舗を増やしています。短期間に急成長している要因は?

シャオ:最初はニューヨークにある「キャップビューティ」が取り扱ってくれました。意外とうまくいったのは、私にビューティのバックグラウンドがなかったためビューティ産業のことをよく知らず、恐怖心がない分、どこにでもアタックすることができたからでしょうか。断られても全然怖くないので(笑)。

WWD:人気の秘密は何だと思いますか?

シャオ:「ヘンネオーガニック」は、非ナチュラル・非オーガニックのコスメから切り替えても効果や満足感が得られることにこだわっている点が特徴です。パッケージデザインにもこだわっていて、スウェーデンにインスパイアされたミニマリズムとラグジュアリー感も表現しています。ナチュラルだからといって、ラグジュアリーを諦めなくていいように作っています。オーガニック認証を受けた成分を使用していることやフェアトレードに留意している点、パッケージデザインにもこだわって、ほかにない製品を作っているということが評価されていると思います。

WWD:リップケアに特化していますね。

シャオ:第1弾として発売したリップバームで得た信頼をより強固なものにするために一つのパーツケアをより深めて、リップケアの製品ばかりを拡充していきました。リップケアだけで5品10種、リップティントのようなメイクアイテムも作りました。

WWD:今後はカテゴリーを増やしますか?

シャオ:リップ以外の製品を年内に米国で発売したいと思っています。どんなアイテムかはまだ言えませんが。エイジングサインが現れやすい場所とかパーツケアに特化したアイテムが増やせたらいいですね。今は私を含めて開発者が2人、自社工場で働く人が4人という体制で作っていますが販路が広がっているので、来年末にはもう少し大きなところにファクトリーを移す予定です。

WWD:日本市場に進出した理由は?

シャオ:最初は米国市場しか見えていませんでしたが、今では20以上の国と地域で展開しています。そして、「ヘンネオーガニック」は日本市場に合っていると思います。なぜならスウェーデン文化は日本の文化と似ているところがあって、シンプルでミニマルなものに価値を見出すブランドの世界観が日本の消費者にも受け入れられると思うからです。

WWD:今度の展開について教えてください。

シャオ:今借りている場所の契約が終わります。来年末に移転する次の場所は3年間の予定ですが、その期間で可能な限り成長を続けたいです。ゼロから始まって、今は4年間の経験があります。経験を通してどういう店で売れる・売れないということを学んだので、ブランドにフィットする店にだけ販売していきます。店舗数というよりは、需要がある販売場所で展開を広げて、小売店にも貢献しながらブランドを大きくしていきたいですね。

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TGCが社会派宣言!「カワイイ」から「サステナビリティ」への脱皮

 「第30回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2020 SPRING/SUMMER」が2月19日に東京・国立代々木競技場で開かれる。

 現在はW TOKYO(東京、村上範義社長)が企画・制作している「東京ガールズコレクション」は2004年にスタートし、春夏と秋冬に分けて半年周期で開催してきた。節目にあたる次回は、前半と後半の冒頭の、野口強ら有名スタイリストがプロデュースしてきたスペシャルステージにメスを入れる。これまでは、「カジュアル」「きれいめ」など、そのシーズンテーマに合ったテイストのブランドを集めてステージを作ってきた。だが第30回では「サステナビリティ」をコンセプトに据え、テイストに関わらず、環境に配慮した取り組みや商品を打ち出しているブランドにフォーカスしたショーを作る。その狙いは何なのか。

 また、SNSの発達とともに若い女性の価値観、憧れの対象は多様化し、誰もがあこがれるモデルやアパレル販売員といった「カリスマ」不在の時代が到来している。若い女性たちの、ランウエイのカリスマたちへの憧れをビジネスの原動力にしてきた「東京ガールズコレクション」は、今後どのように変わるのか。W TOKYOの村上社長に聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):30回を節目に、メインステージを大きく変える。その理由は?

村上範義W TOKYO社長(以下、村上):これまでのショーでは、“かわいい”“モード”“かっこいい”といった、テイストによって女性像をセグメントし、それに合うブランドを見せるということをしてきた。だが、女性の価値観が多様化し、もはや一つのテイストではくくりきれなくなっているため、ショーを違う視点で見つめ直して一から再編集する必要性を感じた。(19年9月に開催した)第29回はサステナブルな素材を使った「スナイデル(SNIDEL)」のショーを取り入れるなどして布石を打った。次回のメインステージのコンテンツはこれから詰めていく段階だが、販路やテイストを問わず、サステナビリティに力を入れているブランドを集約し、人気モデルをフル活用する。ブランドのテイストもばらばらになるかもしれないし、これまでにないチャレンジになると思うが、これまで培ってきたノウハウの見せどころだ。

WWD:なぜ「サステナビリティ」にフォーカスする?

村上:これからのあらゆるビジネスにおいて、「サステナブルであること」が前提となる。われわれは一度に3万人以上の若い女性を集めることができるプラットフォーム。これからの消費を担う若い女性たちに、サステナビリティの大切さを伝える一つの重要な場になる使命がある。同時に、ショーに出演するアパレル企業側にも同じ価値観を共有できなければ、ガールズ市場のファッションビジネス自体がシュリンクし、われわれも一緒に沈んでしまうという危機感を感じている。今すぐにアクションを起こさなくてはならない。

WWD:これまでとは違うショーを見て、離れてしまう客もいるかもしれない。

村上:これまでのファンの皆さまを置き去りにするつもりはない。われわれはこれまでSDGsという概念を、観客の皆さまに分かりやすく伝える取り組みを地道に行ってきた。たとえば、15年には国連の友アジア・パシフィックと連携し、18年5月に国連本部でSDGsをテーマとしたファッションショーを実施した。日本におけるショーでも、ランウエイのモデルにSDGs憲章のパネルを持たせたり、SDGsの認知度・関心度のアンケートを実施したりしてきた。19年9月にさいたまスーパーアリーナで実施した19-20年秋冬のショーでは、VIP顧客にギフトとしてエコボトルを配ったり、出演者の食事にプラスチックは一切使わないようにしたりして、さらにそれらの取り組みを彼女たちにSNSで発信してもらった。「種まき」を地道に進めてきたからこそ、ショーが大胆に変わっても、お客さまが付いてきてくださるという自信がある。

WWD:一方でSNSの発達により、いつ、どこでもファッションショーが見られる時代になった。それにより、リアルの場で行うショーの価値も見直されつつある。

村上:5大コレクション(パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨーク、東京)と「東京ガールズコレクション」の違いについて話すと、われわれのショーにおいては、観衆である若い女性たちが主役で、次のトレンドを作り出す担い手であるということがある。かつて、日本のギャルたちのルーズソックスがジョン・ガリアーノ(John Galliano)のクリエイションに影響を与えたのは有名な話。同じように、今の時代においても、新しいスタイルや価値観が、ショーの熱狂の中から生まれてほしいと思っている。SNSの発達は、世界に点在する小さなコミュニティーから新しい流行の芽が育つ風土を作った。「東京ガールズコレクション」は若い女性たちのコミュニティーを育てる場。むしろ今こそ、価値が試されているのだと感じる。

「TGC」をブランドビジネスとしてハコの外へ

WWD:若い女性のファッションへの興味が薄れているといわれるが、「東京ガールズコレクション」の勢いは衰えていない?

村上:近年では、17年9月にさいたまスーパーアリーナで開催した17-18年秋冬コレクションがのべ約3万4600人を動員し、過去最高を記録した。「東京ガールズコレクション」が弊社のビジネスの大事な源泉であることは今後変わらないだろう。しかしこのビジネスを、東京の一つのハコの中でとどまらせるつもりもない。今後は「TGC」というブランドとして、さまざまな分野にも波及させたいと考えている。その好例として、「TGC」の公式ニュースメディア「ガールズウォーカー(GIRLSWALKER)」はすでに1000万PVを超えるまでに成長した。また、「TGC」の名を冠したショーを地方にも広げており、2015年に始めた「TGC北九州」を皮切りに、静岡、熊本、富山でも開催している。

WWD:地方開催の反響は?

村上:東京以上のスピードでチケットが売り切れることもあるほど、地方の若い女性の「TGC」に対する認知度、期待度は高くなっている。情報化が進んだ世の中で、首都圏と地方の情報格差は全くといっていいほどなくなった。しかしリアルな場で行うイベントは、東京にますます一極集中している。地方との「体験格差」は広がるばかりだ。その体験への “飢え”を満たすことが、大きなビジネスチャンスにつながると考えている。「TGC」の地方開催の第1弾は、あえて北九州を選んだ。イベントを九州でやるなら、集客が見込める博多でやるのが定石だ。しかし110万の人口を擁する福岡市は、すでにイベントなども多く行われている飽和市場。それに匹敵する95万人都市でありながら、エンタメの「不毛地帯」の北九州市にこそ、ビジネスチャンスがあると考えた。また、15年より以前にも、沖縄や名古屋でショーを開催したことはあったが、あくまで「東京のショーの縮小版」のような位置づけだった。「TGC」を冠するようになってからの地方のショーは、県・市など地方行政との共催により地方創生をコンセプトにしているのも特徴だ。

WWD:「TGC」が地方行政に期待されていることとは?

村上:人口流出が課題となっている地方では、それぞれの地域の魅力を再確認してもらえるような、課題解決型のショーが望まれている。その土地ならではのいいものがあるのに、それをうまく若い人に伝えられていないことが多くある。われわれは、そういった隠れた魅力を、若い女性に分かりやすく伝わる形にトランスフォームすることができるのが強みだ。たとえば18年から開催している「TGC しずおか」。次回(2020年1月)は成人式と同じ日にショーを開催し、特別な日を一層盛り上げ、地元への愛着へとつなげたいと考えている。他にも、コンテンツとして地場産品を紹介したり、地元の百貨店に入るブランドでショーを組んだりと、さまざまなチャレンジを試みる。

WWD:今後の「TGC」のブランドビジネスの方針は?

村上:“TGC×1000”をスローガンに、一層裾野を広げていきたい。たとえば、映像やショーコンテンツの作り方を外部に提供するなど、ショービジネスで培ってきたノウハウやリソースを生かしてさまざまなビジネスチャンスを掘り起こしていく。とはいえ、繰り返しになるが、「TGC」の価値の源泉となるのはリアルの場で行うショーだ。われわれのショーに対する考え方は、伊勢神宮にまつわる「常若(とこわか)」という思想に近い。伊勢神宮の社殿は木材で作らえるため、朽ちやすく定期的に立て直す必要がある。だが、せっかく美しく作りあげたものも、壊し、作り直し、それを繰り返すからこそ発展するという考え方だ。TGCのショーも、毎回ゼロからショーのコンセプトを組み立てている。弊社の約50人のスタッフで、それを半年ごとに繰り返すのだから、相当タフなはずだ。だが次回(第30回)のメインステージを皮切りに、より大胆にショーをアップデートできるようチャレンジしていく。

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葛飾北斎 × 日本の皮革職人のレザーグッズで東京オリパラを観戦!? “お堅い”業界の破天荒が面白い

 2020年はいよいよ、東京オリンピック&パラリンピック!!スポーツやウェルネスに対する意識は高まるばかりですが、そんな中でレザー、つまり皮革って、どう思うでしょうか?正直、「縁遠い」ですよね。汗をかくスポーツの世界はジャブジャブ丸洗いできる機能性素材がありがたいワケで、シミができそうなレザーはちょっと……。そう考えるのがフツーです。

 そんなツマらない考えに、異を唱える団体があります。日本皮革デザイン促進委員会。日本の大手バッグメーカー、クイーポの岡田國久・創業者が2015年に設立した団体で、乱暴に言えば、「日本のレザーブランドも、もっとオシャレにならなくちゃ!」という夢を掲げています。コンサバだった日本の皮革関連業者が集い「創悦」というブランドを手掛けていますが、この団体が、フツーを一蹴するユニークなコレクションを発表してくれました。“お堅い”方々が、こんなにユーモアたっぷりの商品を、クオリティーはそのままに提案するなんて!!10年前にはバッグ担当として「変わりたいけど、変われない」業界を見つめ、エールを送っていた僕にとっては感涙モノです。

 「創悦」は16年から江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎を題材とした商品を手掛けており、今回のスポーツ・コレクションにも彼のイラストが散りばめられています。例えば「庭球」、つまり「テニス」という文字を大胆にのせたトートバッグ(4万2000円)には、北斎によるテニスをしている男性2人のイラスト……!?無論、江戸時代にテニスなんてなかったワケで、よくよく目を凝らすと軍配を持っている男性2人のイラストを北斎の絵手本「北斎漫画」から正当な権利を得て拝借しているのですが、「庭球」の文字と組み合わせたせいか、もうテニスをしている2人にしか見えません(笑)。「野球」のトートバッグには、今まさにピッチャーから放たれたボールを打ち返そうとしている男性がいますが、手に持つのはバットじゃなくて木刀(笑)。「よく、こんな近似的イラストを見つけてくるモンだ」と感心します。

 アートピースは、さらに「はぁ〜(笑)」と感嘆することしきりです。ボクシングベルトをイメージしたボディバッグ、今すぐハンマー投げのように放り投げたくなる球体バッグ、極め付けは総レザーの水着!!何一つリアルではありませんが、コンサバな日本のメーカーが、頑固そうな職人と一緒に、こんな破天荒なアイテムを作っちゃった覚悟が素敵なのです。

 もちろん、クルリと巻いたらメガホンになるレザーパーツや、なんだか座席がショボいらしい新・国立競技場にぴったりのクッションなんて実用的なアイテムも。日本の職人が丹精込めて作ったレザーグッズで、日本でのオリンピック&パラリンピックを観戦という“粋”を味わいたいなぁと思わせます。

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ビューティ企業が大型路面店をオープンする理由とは? 銀座と原宿の一等地に

 2019年末から2020年にかけて、ビューティ企業の大型店舗戦略が活発だ。19年11月8日に、MTGが東京・銀座に美容複合施設(5層)をオープンしたのを皮切りに、12月17日には、コーセーが同じく銀座に同社初の自社ブランド集積型ショップ(2層)を開設した。年明けには、1月10日に「アットコスメ(@COSME)」を展開するアイスタイルが原宿に初の路面旗艦店(3層)を、4月には資生堂が銀座(3層)に大型店と、原宿にも3フロアを使った店舗をオープンする。なぜ今、ビューティ企業は大型店で、しかも路面店形式で勝負するのか−−。そこには時代を反映する、「EC」と「体験」が深く関わっている。

ファッションブランドの低迷も影響

 ご存知の人も多いと思うが、ビューティ業界は景気がいい。富士経済によると16年に約2兆5000億円だった化粧品市場は右肩上がりで推移し、20年には3兆を超えると予想される。19年1月に中国電子商取引法が施行されて以降、インバウンド需要には陰りが見え始めているが、それでも前年の売り上げを上回って推移している企業が多く、高級化粧品ブランドにとって主戦場である百貨店の化粧品売り場は、好調化粧品フロアの拡張に力を入れている。百貨店の売り場の拡張理由は、各ブランドの手狭感だ。多くの顧客で溢れるコーナーはごった返し、化粧品の“売り”である接客がままならない状況が続いていた。拡張部分は新ブランドの導入で新鮮な売り場を見せる一方で、既存ブランドの売り場面積の拡大は急務だった。また、化粧品が活況を呈している一方でファッションが低迷し、化粧品売り場がファッション売り場を侵食する形で広がっている。

 主戦場の売り場が広がっているのだから、わざわざ路面店を出さなくてもいいのでは?と安易な発想になりがちだが、まず資生堂やコーセーなど大手企業は前期も増収増益を記録し、投資できる体力があることは大きい。そして、先述した百貨店の場合と同様に、ファッションブランドの路面店からの撤退に伴い一等地に空きが出た。MTGの銀座店は「H&M」の、「アットコスメ」の原宿は「ギャップ(GAP)」の、資生堂の銀座はオンワードの跡地。「メゾン コーセー」の場所も、以前はファッションブランドだった。

 それを踏まえた上で、百貨店内の売り場が広がったといっても、どの百貨店もさほど変わらない見え方で、ブランドが見せたい世界観は出しづらい。その点、大型の直営路面店であればブランドの、さらには企業としての世界観が発信できる。例えば「メゾン コーセー」はコーセーが持つほぼ全てのブランドを、ブランド別ではなくアイテム別でブランドを横断して並べて発信するなど、企業側が思う空間が作れるのが直営店の魅力だ。また、直営店ならではとして、メイクアップアーティストだけでなく研究員までも呼び、直接顧客と触れ合うことができるワークショップやイベントなどを積極的に行うことで、ダイレクトに顧客の声を吸い上げ、商品に反映させるなどもできるというわけだ。

ECにつながる路面店展開

 また大型路面店戦略は、今の時代、ECを見据えているともいえる。日本ロレアルを筆頭に外資系企業が先んじて日本でのEC展開をスタートさせていたが、日本企業のEC展開は実はそこまで早くはなく、資生堂が自社EC「ワタシプラス」をスタートしたのが12年。その後他者が追随してECを始めて、ここ数年でその土壌が整った格好だ。それに伴い、ECは重要課題の一つとして力の入る事業だ。どの業種でもECの課題は、実店舗とのオムニチャネル戦略だろう。ECにおいていかに実店舗と同じサービスクオリティーを提供できるか、そしてECでも実店舗でも同じような満足を顧客に提供できるか、である。それをかなえるための大型路面店であり、共通項は世界観の発信の延長にある「体験」だ。

 MTGの複合施設「ビューティーコネクション銀座(Beauty Connection Ginza)」は、同社として初めて美容クリニックや飲食を導入した。コーセーが銀座にオープンした「メゾン コーセー」は、同社が展開する全ブランドをカテゴリーで配置してアイテム選びの場を提供したり、パナソニックとの協業で“セカンドスキン”となる極薄膜のカスタマイズシートを提供するサービスや、カシオ計算機と共同開発したネイルプリンターを設置したりしている。

 原宿にできる「アットコスメ トーキョー」は1階のガラス張りから見えるライブ配信スタジオや、ブランド発表会など多目的に利用できるイベントスペースなどを作る予定で、資生堂の銀座の店舗はグローバルブランド「SHISEIDO」の初の旗艦店で高い接客と最新テクノロジーを融合させたブランド体験を提供する。また原宿の店舗は原宿駅前再開発中の話題の複合施設「ウィズ」への出店で、物販ストアのほか、ヘアメイクアップアカデミー&スタジオ、レストランをそろえるという、ビューティに留まらない、同社のライフスタイル提案が集結する。

 実店舗でありながら、こういった“体験”を提供することで、今すぐの購買につながらなくとも、ECにつながる導線をつくっている。“体験”は全てのブランドの共通項。商品の同質化と言われて久しいが、だからこそ“体験”の差別化もこれからは必須で、さらにはECへの導線がどれだけスムーズであるかが大型店舗の成功のカギとなりそうだ。

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ジジ・ハディッドの人気の秘訣は礼儀正しさ!? コレクション・バックステージ録

 2009年から「WWDジャパン」のバックステージ・フォトグラファーとして海外コレクションを撮影する景山郁が、現場で見た最新トレンドや業界ルール、珍事件などを紹介します。世界でも限られた媒体やフォトグラファーのみが入場を許されるファッションショーの舞台裏での出来事をお届け!

今回のテーマ:売れっ子モデルの秘密はマナーにあり

 今日は売れっ子モデルのジジ・ハディッド(Gigi Hadid)についての裏話です。ジジは以前、お騒がせリポーターのヴィタリ・セディウク(Vitalii Sediuk)に出待ちされ、いきなり抱きかかえられるという事件が起きて以来、全てのショーに個人用SP(ボディーガード)が同行しています。妹のベラ(Bella Hadid)も同様です。

※ヴィタリ・セディウク…ウクライナ人のセレブリティーリポーターでいたずらの常習犯。被害者はマドンナ、ウィル・スミス、アデルらまでに及び、ブラッド・ピットを襲ったことによる逮捕歴もあり

 バックステージへの入場は厳密なパスのチェックがあるので、私の経験上では変質者が潜り込んでいることを目撃したことはありません。私はカメラマンとして入場しているため、モデルを撮影することが仕事なのですが、ハディッド姉妹の撮影は制限されています。ヘアやメイク中も基本的にNG(広告モデルなどを務めている化粧品ブランドなどがある商業的なニューヨーク・コレクションは例外)。一度、ヘアメイクを記録するためにジジの後頭部を撮影しようと近づいたら、ジジのSPが近づいてきて「おい、写真はだめだ!」と注意された経験もあります。私は「顔は写さないよ?後頭部だけでもダメ?」と聞くと「ダメだ。近づくな!」の一点張りでした。

 今季「プラダ」のバックステージへファッションジャーナリストの藪野淳さんと取材に入りました。注目モデルのインタビューため、どのモデルに話しかけるか相談していたところにジジを発見!藪野さんはジジの隣の男性スタッフを気にされたのですが、私はその方がSPではないことを確認するなり、話しかけることを提案しました。

 藪野さんが恐る恐るジジに話しかけると、「ハロー!私はバックステージではインタビューには答えないの。ごめんね。良い一日を過ごしてね!」と笑顔で返答。インタビューはできませんでしたが、ジジの丁寧な対応に「何て丁寧な断り方。やはり育ちが違うね」と私たちは感動したのでした。

 他にも育ちの良さを感じさせるモデルがいます。往年のスーパーモデル、パット・クリーブランド(Pat Cleveland)の娘、アナ・クリーブランド(Anna Cleveland)です。アートのような美しい表現力を持っているのですが、撮影後には自らお礼の言葉をくれる丁寧な対応も素晴らしいのです。私も藪野さんも彼女のファンです。ジジとアナに共通しているのは、母娘の二世代モデルというところ。彼女たちの身につけているマナーは、きっとお母さまたちのアドバイスによるものかもしれませんね。スタッフ受けがいいというのも、売れっ子の秘訣なのかもしれません。

景山郁:フリーランス・フォトグラファー。2003年からフォトグラファーとしてのキャリアをスタート。07年に渡米、09年より拠点をパリに移す。10年から「WWDジャパン」でパリ、ミラノなどの海外コレクションのバックステージと展示会などの撮影を担当。コレクション以外にもポートレート、旅やカルチャーなどエディトリアル、広告を手掛ける。プライベートでは動物と環境に配慮した生活をモットーにしている

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“ユーチューブでメンズ集客を狙う” チャンネル登録者64万超えの「オーシャントーキョー」もるさんの戦略

 2012年から美容系メンズユーチューバーとして活動し、今やチャンネル登録者は64万超えと人気の“もるさん”。人気ヘアサロン「オーシャントーキョー(OCEAN TOKYO)」本店ではトップスタイリストとして勤務し、月の最高売り上げは350万円。メンズヘアのみを担当し、「ユーチューブを軸に集客している」と語るもるさんにその戦略を聞いた。

WWD :昨年8月にスタイリストデビューしてから売り上げは順調に伸びている?

もるさん: デビュー初月は予約枠の関係でそれほどは予約を取れなかったんですが、予約枠をフルで開放できるようになってからはおかげさまで順調です。デビューして11カ月でトップスタイリストになれたのですが、これは「オーシャントーキョー」の中でも早い方でした。

WWD:これまでの月最高売り上げは?

もるさん:月間最高売り上げは350万円です。今は専属のアシスタント1人で1日16~17人を担当していて、予約は最大限に入っている状態です。これ以上増やすにはアシスタントの人数を増やさないと難しいかなと思っています。

WWD:現在、ユーチューブのチャンネル登録者数は64万超え。やはりユーチューブがきっかけで来る人が多い?

もるさん:そうですね。8~9割ほどはユーチューブを見て来てくれています。僕は基本メンズカットしかやっていなくて、21~22歳くらいの大学生のお客さまが多いです。ありがたいことに地方から来てくれる人もいます。たまに女性でも「メンズカットの感じが好きなのでやってください」というお客さまもいます。

WWD:ユーチューブはどれくらいのペースでアップしている?

もるさん:動画は週に1本か2週に1本くらいのペースでアップしています。今後はアップ本数を増やしていくつもりです。ただ1本の動画を作るのに2~3時間は掛かるので、なかなか数を増やすのが難しい。美容だと実際にやりながら話もしてという感じで、何分で終わるとか決まっていないのと、話すことも多いので編集にも時間がかかってしまいます。営業後に撮影して、休日にまとめて編集をするといった流れです。今は投稿内容よりも投稿頻度の方がチャンネル登録者数や視聴者数を増やすには大事になってきていて、何曜日の何時にアップすると決めてやる方がいいんです。ただ僕は美容師で、「オーシャントーキョー」という名前も出しているので、クオリティーには妥協できない。撮影も1回で終わるわけではなく、何回か撮り直すこともありますし、撮ってもボツにするものも多いです。10本撮っても、そのうち使えるのは3本くらいなんてこともあります。

WWD:もるさんみたいに長年やっていても、まだそういうことがある?

もるさん:まだ全然あります。ヘアのセットも毎回同じようなクオリティーで作れるわけではないので。まぁ一般の人が見たら気にならないかもしれませんが、自分なりのこだわりです。

WWD:最近ヒットした動画は?

もるさん:最近はストレートアイロンの初心者に向けてアイロンの選び方から実際の使い方までを、これを見れば全部分かるといった内容の動画が人気でした。16分ほどで少し長いんですが、視聴者数は多かったです。やっぱり動画がヒットするとそれを見て来てくれるお客さまも多いので、動画はなるべくアップしていきたいなと考えています。

WWD:動画は基本的にはヘアセットがメイン?

もるさん:そうですね。セルフヘアスタイリングやヘアアイテムの紹介、あとは見た目がキャッチーな毛穴の汚れを取るパックの紹介もやっています。キャッチ―だと見てくれる人も多いんですが、やり過ぎたら「サムネ詐欺」って言われてしまうんで注意しています。あとはお客さまもやっぱりスタイリングの方法を教えてほしいという人が多いです。あとユーチューバー同士でもコラボして、お互いのチャンネルで投稿したりもしています。

WWD:ユーチューブ以外にSNSはやっている?

もるさん:ツイッター、インスタグラム、あと最近はTikTokもやっています。ツイッターはインスタグラム、ユーチューブ、TikTokと連動させていて、主にインフォメーション的なことを拡散することが多いです。インスタグラムはお客さまとの画像やプライベートなことをアップしています。今はユーチューブが集客のメインですが、インスタグラムではまだまだ伸ばせる可能性はあるなと感じています。

WWD:今後の目標は?

もるさん:美容師としては売り上げをもっと伸ばしていきたいし、ユーチューバーとしても登録者数100万は目指したいです。

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ジュエリー業界のイノベーター、マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックが語る「クリエイション論」(前編)

 ジュエリーデザイナーのマリーエレーヌ・ドゥ・タイヤック(Marie・Helene de Taillac)がリッツォーリ(RIZZOLI)社から出版した書籍「ゴールドとジェムストーン マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックのジュエリー(GOLD AND GEMS MARIE-HELENE DE TAILLAC)」のサイン会のため来日した。カラフルな半貴石を使用した「マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤック」のジュエリーは世界中の女性から高い支持を得ている。彼女が自身のブランドをスタートさせてから20年以上が経過した。来日したタイヤックにクリエイションについて聞いた。

WWD:ジュエリーデザイナーになろうと思ったきっかけは?

マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤック(以下、タイヤック):ジュエリーは子どもの頃から大好きだった。1996年に最初のコレクションをデザインしたとき、ファッションはグランジ全盛期で「ジル・サンダー(JIL SANDER)」などミニマルなブランドの人気が高かった。私はカラフルなファッションが好きで、それに合うジュエリーが市場にはなかった。「ティファニー(TIFFANY & CO.)」のエルサ・ペレッティ(Elsa Peretti)のデザインは素敵だと思っていたけど、ゴールドが中心のジュエリーだった。ファッションに合うジュエリーが欲しいと思ったから96年に自分でデザインし、翌年に販売がスタートした。

WWD:自身の本を出版した感想は?

タイヤック:とてもエキサイティングよ。私のジュエリーは一点モノが多いから、書籍は、過去のさまざまな作品を記録する意味でも重要。ブランドを初めて20年以上が経過し、ジェリーも変化した。20年前を知らない若い顧客にもそれを見てもらいたい。私のシンプルなデザインはクラシックだったジュエリーの市場に影響を与えたと思っている。私自身もジュエリー関連の書籍のコレクターで、「カルティエ(CARTIER)」の1920年代の作品を集めたものや、古代ギリシャのジュエリー、20世紀の革新的なジュエリーデザイナーだったスザンヌ・ベルペロン(Suzanne Belperron)の書籍など、ありとあらゆるものを持っている。

WWD:クリエイションの過程で一番楽しいのは?

タイヤック:私のクリエイションの中心は宝石。何百万年もかけて地中で自然に形成された宝石に魅了される。フランス・パリには多くの宝石のディーラーがいるから彼らから石を調達し、インド・ジャイプールのアトリエでカットすることもあれば、マダガスカルなど採掘される場所でカットされたものを調達することもある。一番楽しいのは、石の形やカットをデザインするときね。カットされた石をテーブルに並べて頭の中でビジョンを描くの。クリエイションで絶対妥協しないのはカラーよ。ダイヤモンドばかり扱う人と色石ばかり扱う人では瞳の構造が違うみたい。私はより多くのカラーニュアンスを見分けることができる。

WWD:ブランドフィロソフィーは?

タイヤック:愛情を込めたブランドであるということ。石は感情を映し出したりエネルギーやムードを変えるものだから、自分が悲しいときは石に触らないようにしている。顧客には私のジュエリーを着けることでハッピーになってほしいから。職場環境にも気を使ってスタッフ全員が気持ちよく仕事できるようにしている。私一人で立ち上げた小さいブランドだけど、自分に正直に物作りができるし独立して自由に好きなことができるのは、ものすごくぜいたくなことだと思う。例えばブティックのサロンのテーブルに4万6000カラットものアクアマリンを敷き詰めたりと、クレイジーなこともできる。

WWD:他のジュエリーブランドと違う点は?

タイヤック:ステータスシンボルではなく、自分が楽しむための個人的なジュエリーであること。書籍のサイン会でいろいろな都市に行くけど、私と同じ感覚を持っている人たちが集まってくる。私は美しい石を使ってジュエリーを制作することに喜びを感じるし、顧客はそれを着けてハッピーだと感じてくれる。お互いにハッピーになれるのが私がデザインするジュエリーよ。クラシックなジュエラーは威圧的で入りにくいけど、私のブティックはリビングルームのようにリラックスしてもらえるような造りにしている。また、誰もがいろいろ試せるようなジュエリーを用意している。

WWD:カラフルな石がシグニチャーだが、一番好きな石は?石の組み合わせはどのようにする?

タイヤック:一番好きなのはパライバトルマリン。私はピンクが大好きだから、ルベライトも好き。レッドポピー色のスピネルの光沢感のある赤はすばらしい。たくさんのカラーバリエーションがあって布のような輝きを持つサファイヤも大好き。これらの石は私に話かけてくるようよ。石の組み合わせは、絵を描くようなもの。テーブルに石を置いて、互いにその美しさを引き立てるような組み合わせを見つけるの。瞑想的な仕事ね。

WWD:多くのジュエラーが18金を使うのに対して22金にこだわる理由は?

タイヤック:22金はアンティークゴールドのような色が美しく、時を忘れるかのよう。18金は人工的で私にとってはゴールドではない。

WWD:自分にとってジュエリーとは?毎日必ず着けるジュエリーは?

タイヤック:いつも喜びの源で、お守りでもある。宝石は地中の星。それらを見るとほほ笑まずにいられない。ムードによりけりだけど、毎日イヤリングとブレスレットは着けるわ。着けないとまるで裸のような気持ちになる。口紅と同じね。

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渋谷・原宿エリアの開業ラッシュ続く 2020年オープンの新スポット

 東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年。昨年開業ラッシュを迎えた東京・渋谷原宿エリアでは今年も新商業施設が開業を控えている。また大規模都市開発でにぎわう都心エリアだけでなく、郊外型ショッピングモールも次々オープンする予定だ。この記事では注目ブランドの旗艦店や日本初上陸店舗など、20年にオープン予定の商業施設をまとめて紹介する。

(現時点での予定。オープン時期は変更になる可能性があります。)

1月

「オールバーズ(ALLBIRDS)」原宿店(東京・原宿)

 サンフランシスコ発サステナブルシューズブランドによる国内初のコンセプトショップ。ウィメンズ、メンズの全アイテムを取り扱う。

2月

「アーバン・ファミマ!!」虎ノ門ヒルズビジネスタワー店(東京・虎ノ門)

 アーバンリサーチ(URBAN RESEARCH)とファミリーマート(FAMILY MART)がフランチャイズ契約を締結してオープンするコラボレーション店舗。コンセプトは、“次世代のコンビニエンスストア”。“サステナビリティ”をキーワードに両社が持つノウハウを融合させて、新たなライフスタイルを提案する。

3月

宮下公園(東京・渋谷)

 17年から進められていた整備を終えて都市型公園としてリニューアル。敷地面積は約1万800平方メートルで、3階建ての商業施設に加えホテルや駐車場などを併設する。屋上エリアには多目的コートなどを設け、さまざまなアクティビティーを楽しめる公園になる予定。

4月

「ウィズ原宿」(東京・原宿)

 地下2階~地上3階および8階の商業施設。約1万平方メートルに、8年ぶりに原宿に出店する「ユニクロ(UNIQLO)」の大型店や資生堂による体験型ストア「ビューティ・スクエア(BEAUTY SQUARE)」などが入る。

「スノーピークランドステーション白馬」(長野・白馬村)

 約1万平方メートルの敷地面積を有し、国内最大級の「スノーピーク(SNOW PEAK)」直営店や「スターバックス(STARBUCKS)」などのほか、白馬の観光情報の提供や施設の予約をサポートするインフォメーションカウンターも設ける。

「ユニクロ トーキョー(UNIQLO TOKYO)」(東京・銀座)

 マロニエゲート銀座2にオープン。現在同施設7階の1フロアで運営する店舗を1~4階までの計4フロア・売り場面積4455平方メートルに移転・増床して総合的な品ぞろえにする。「ユニクロ」は銀座6丁目にグローバル旗艦店も運営しており、銀座は大型店の2店舗体制になる。

「サタデーズ ニューヨーク シティ(SATURDAYS NYC)」新業態店舗(東京・表参道)

 カフェ単独の新業態店舗。カフェ併設店舗はこれまでも運営してきたが、単独店舗はこれが初めて。敷地面積約188平方メートルで、2フロア構成で全50~60席を設ける。

「SHISEIDO」旗艦店(東京・銀座)

 資生堂のグローバルブランド「SHISEIDO」初の旗艦店。ビルの地下1階~地上2階の3フロアを使用し、「SHISEIDO」が展開する路面店として世界最大規模の店舗面積となる。美容カウンセリングや体験型の有料サービスなどを提供する予定。

「スノーピーク京都嵐山」(京都・嵐山)

 古民家をリノベーションした体験型複合施設。京都への出店は「スノーピーク京都藤井大丸」に続いて2店舗目となる。敷地面積は1166平方メートル。ストアやカフェ、宿泊施設をそろえ、庭園ではキャンプイベントなどを開催する。

7月

「ウォーターズ竹芝(WATERS TAKESHIBA)」(東京・竹芝)

 2万3000平方メートルの敷地に、高級ホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション(MESM TOKYO, AUTOGRAPH COLLECTION)」と劇団四季のフラッグシップ劇場、アトレ竹芝、オフィスが入る複合ビル。

「りんくうプレミアム・アウトレット」(大阪・佐野)

 アウトドアアクティビティーが楽しめる約2万平方メートルのグリーンパークやフードホールなどを増設する。

「ららぽーと愛知東郷町(仮)」(愛知・東郷町)

 東海3県では、18年9月にオープンした「ららぽーと名古屋みなとアクルス」に次ぐ2店舗目。延べ床面積は約19万200平方メートルで、4フロアに約230店舗が出店予定。

秋吉成紀(あきよしなるき):1994年生まれ。2018年1月から「WWDジャパン」でアルバイト中。

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“本物”のオーガニック・ナチュラルコスメが選びやすい売り場に 認定マークが目印

 オーガニック・ナチュラルコスメに対する消費者の関心が高まっているにもかかわらず、市場が拡大しきれていない――。その一因が、一般化粧品と混在している売り場にあるのではないかととらえ、本物(リアル)のオーガニック・ナチュラルな製品を明確化するための“リアルオーガニック・ナチュラル”マークの導入が今秋から売り場で始まった。

 日本独自のオーガニック認証はないものの、欧米が定めたオーガニック認証を取得した製品やそれと同等の製品を取り扱うメーカーが増えている。しかし、市場拡大が思うように進まないのは、売り場で消費者に分かりやすい提案ができていないと分析したのが、小松和子=オーガニック・ナチュラルコスメプロデューサー兼ナチュラルコスメメイクアップアーティスト。そこで、「本物を身近に、楽しく、わかりやすく『リアルオーガニック・ナチュラルコスメ』を!」を掲げ、今年6月にナチュラルライフ&ビューティーアソシエーションを設立し、理事に就任。“リアルオーガニック・ナチュラル”マークの普及を始めた。

 バラエティーショップなどの売り場担当者からも売り上げの伸び悩みを相談されることが増え、あらためて売り場を分析すると「売り場がごちゃごちゃしている」「一般化粧品と混在している」「商品の背景が分かりづらい」といった問題点があった。それを解消するためにも“リアルオーガニック・ナチュラル”マークの必要性を強く感じたという。現在は、小松理事が小売店と連携を取り、売り場改革を進めるのを基本としている。
 
 同組織が定めるリアルオーガニック・ナチュラルコスメとは、自然の原料を主とする化粧品で、一定の基準(表参照)を満たしたオーガニック認証コスメとそれと同等レベルのナチュラルコスメのこと。基準を満たしたブランドにはマークを付与する。(ただし、認証ではないので商品にはマークはつけない)。マークへの基準は小売店用とメーカー用を用意する。

刷新した店舗は売上高40%増

 小売店のモデルケースとなったのが東急ハンズ銀座店。7月に“リアルオーガニック・ナチュラル”マークのブランドを中央部分に、該当しないブランドを外側に陳列するという売り場にリニューアルした。一つ一つのブランドの世界観を伝わりやすくしたこともあり、来店客の滞留時間も伸び、リニューアル後の売り上げは前年の40%増と好調に推移する。中央部分へ該当ブランドを置くことで、“本物”が伝わりやすくなるが、該当外のブランドを排除するのではなく、製品を購入する際の選択肢を明確にするのが狙いだ。

 「セルフの売り場ではカウンセリングがなくても売れるテクニックが必要。そのためには、売り場を手掛けるスタッフの知識も必須」であることから、同店では18年9月から勉強会を定期的に実施している。今回のリニューアルに際しては「店舗で扱う商品を一つずつ“リアルオーガニック・ナチュラル”マークに該当するか選別しなくてはならない。地道な作業が続くが結果はついてくる」と小松理事は語る。東急ハンズは20年に他店舗でもリニューアルする計画だ。また、ナチュラルハウスは全店で導入する。

 一方、マークを付与されたブランドは「トリロジー」「ドクターハウシュカ」「クオン」「瑠泊」など約30。マークはブランドごとに付与するため、「商品の中に基準に満たないものが数点あるケースも。その場合は、その商品を販売休止したり、リニューアルしたりと、メーカーもわれわれの取り組みに応えてくれているので、お互いに成長できている」(小松理事)と全体の底上げにもつながっている。

 マークに対する期待は高く、店舗での導入の引き合いも多い。しかし、スタッフの教育から売り場改革まで時間と知識が必要である。ナチュラルライフ&ビューティーアソシエーションでは「伝える側の人的な問題もあるため来年にはスタッフを増員する予定」という。また、有機JAS認定よりも厳しい基準を持つ日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会のサポートを受け、勉強会なども増やしていく予定だ。マークが契機になり、オーガニック・ナチュラルコスメ市場拡大につながるかもしれない――。そんな期待もかかっている。

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6セレクトショップが打ち出す2020年春夏トレンド 涼し気な“透け感”で猛暑対策

 12月上旬まで行われたセレクトショップの2020年春夏展示会は、春らしいペールトーンやシャーベットカラーに、ブラックやネイビー、ベージュなどでコントラストをつけたスタイリングがそろった。アイテムはセットアップ、シャツジャケット、ワンピースなど、19-20年秋冬のトレンドが継続するものから夏の定番までバリエーション豊富だ。

 特に目立ったのは、夏の猛暑に向けて“涼しさ”を感じる新鮮なスタイリングやアイテム提案に各業態が工夫を凝らしていたこと。6月の梅雨明けまで寒暖差のある気温が続き、次に襲ってくるのは長く厳しい蒸し暑さ。昨年売れたライトなアウターやノースリーブのワンピースなどの軽衣料が、今季はさらに進化して展示会に並んだ。ここでは6つのセレクトショップから、2020年春夏のトレンドを総括する。

ロンハーマンは、軽やかな素材で新鮮な“夏のモノトーン”

 ロンハーマン(RON HERMAN)は、“夏のモノトーン”を楽しむアイテムやスタイリングをそろえた。シアーな白いニットの下からカジュアルなTシャツが透けたり、ブラックドレスは透け感のある素材と組み合わせたりなどして、見た目の重さを軽減。春夏らしい色柄物も多くそろえ、少し色あせたようなブルーのグラデーションやストライプを用いたウエアや雑貨を打ち出した。

ユナイテッドアローズは、暑さを我慢しない!上品な“肌見せ”スタイル

 ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)は都心のバカンスをイメージし、ベースになる“トラッド”を着崩すようなシャツやワンピース、カットソーをバリエーション豊富にそろえた。特に夏場は、スペインのリゾート地を連想させるような鮮やかなカラーのワンピースや、羽織りものとして使えるシースルーのシャツなどを提案。暑さを我慢せず、上品に“肌見せ”ができるウエアを集めた。

エストネーションは、サマードレスをカットソー素材で新提案

 エストネーション(ESTNATION)は、シーズンの立ち上がりはジャケットやスプリングコート、それに合わせるボウタイやブラウスなどを打ち出す。「急に気温が変わることが多く、通年でライトなアウターが必要になってきた」と藤井かんなウィメンズ・ディレクター。夏に向けては、“フォークロア”や“マラケシュ”をキーワードに、カットソーやメッシュ素材のサマードレス、シアー感のあるシャーリングブラウスなどをそろえる。

インターナショナルギャラリー ビームスは、素材の良さが光るクチュールライクなウエアがずらり

 インターナショナルギャラリー ビームス(INTERNATIONAL GALLERY BEAMS)は、暑い時期を快適に過ごせる天然素材のウエアにフォーカスした。「クチュールの要素や、素材や仕立ての良さを感じるアイテムを買い付けた」と片桐恵利佳ディレクター。アメリカの画家ジョージア・オキーフ(Georgia O'Keeffe)などが着ていた服からイメージを膨らませた、リネンのドレスやカゴバッグなどを買い付けた。

イエナは、“卵色”アイテム×春コートで透明感のある上品スタイル

 ベイクルーズグループのイエナ(IENA)は、“記憶に残らない色”をキーワードに、淡いクリームカラーを“卵色”として、ブラウスやタートルネックのウエアなどに採用した。また春のアウターはセール前の買い控えの時期に合わせて、12月末から予約販売を含めて強化。明るい色味の“鮮度のあるアウター”を、冬から着られるウールやリネンなどのさまざまな素材で早めに打ち出すことで、春夏の立ち上がりの“買い”につなげる。

トゥモローランドは、「マラケシュピンク」で砂漠の乾きとリゾート感を表現

 トゥモローランド(TOMORROWLAND)は、アフリカ・モロッコのマラケシュに想いを馳せたコレクションを提案した。「マラケシュピンク」とも呼ばれるマラケシュの美しい街並みを連想させるローズピンクをキーカラーに、アフリカの砂漠をイメージするような乾いたパステルカラーを随所に散りばめた。全体的なシルエットは決してオーバーサイズではないものの、大人の女性が好むリラックスシルエットのワンピースやブラウスなどをそろえた。

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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「ソニア リキエル」が清算ですって エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年8月9日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「ソニア リキエル」が清算ですって

 こんなにあっけなくていいのでしょうか?「ソニア リキエル(SONIA RYKIEL)」の最後。米「WWD」も長年追い続けていたブランドなのに、惜しむ声すら集めずにあっさりした記事で終了とは。2016年にソニア・リキエルが亡くなった時の方がよほど大騒ぎでしたし、エモーショナルでした。

 「創業者の死と共にブランドが終わっていた」と言われれば決してそうではなく、18年は創立50周年ということで、3月のショーにはバナナラマが登場したし、クチュール期間中にも記念ショーをしたし、10月にはパリの小道が「ソニア・リキエル」と命名されたりと、だいぶ盛り上がっていました。

 そんなアニバーサリーイヤーの翌年に清算って……。

 でもさすがに売上高が11年の半分以下になっていて、赤字は15倍以上に膨れ上がっていたというのですから仕方がないですよね。12年にブランドを買収したファースト ヘリテージ ブランズ(FIRST HERITAGE BRANDS)は一体何をしていたのでしょう?香港の大手商社リー&フォン(LI & FUNG)傘下の投資会社で、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「セリーヌ(CELINE)」で要職を務めたジャン・マルク・ルビエ(Jean-Marc Loubier)氏が社長を務めるという、アジア資本と欧州ラグジュアリービジネスのベテランの強力タッグでしたが、どうやらおよそ2億ドル(約242億円)を「ソニア リキエル」につぎ込んでいたみたいです。それで赤字が膨らんで清算って……。

 私は09年にH&Mが「ソニア リキエル」とコラボした際にパリのイベントを取材したのですが、H&Mの狙いは明らかにフランス市場でした。数少ないパリジェンヌによるパリブランドとして「ソニア リキエル」がフランス人に深く愛されていると実感したことを思い出します。

 「え、なんで?」と思うようなブランドに買い手がつくこともあるのに、あれだけの創業デザイナーレジェンドがあって、ニットというアイコンもあり、パリ左岸サンジェルマン通りの歴史的旗艦店もあったのに、本当にもったいない。「ジャン・パトゥ(JEAN PATOU)」とか「スキャパレリ(SCHIAPARELLI)」のようにいつか復活する日が来るのでしょうか? なんとも残念な結末です。

VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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「私は感情を揺さぶるようなものを作りたい」 by ラフ・シモンズ

RAF SIMONS

 商業主義に染まってしまい、とがった部分がなくなるようなブランドにはしたくない。私は感情を揺さぶるようなものを作りたい。(「WWD JAPAN.com」2019年11月26日公開、ラフ・シモンズが語る、ファッション業界の裏話とアントワープ愛 「私はただ服が作りたかっただけ」から)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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2020年のトレンドカラーをいち早く取り入れたセレブをチェック

 米パントン社(PANTONE)は12月4日、2020年のトレンドカラーとなる「カラー・オブ・ザ・イヤー2020」を“クラシック・ブルー”に決定した。しかし、多くのセレブリティーたちは発表を待たずしてこの色の服を着用し始めていた。

 パントン・カラー・インスティテュート(Pantone Color Institute)のリアトリス・アイズマン(Leatrice Eiseman)=エグゼクティブ・ディレクターは、「“クラシック・ブルー”は自然と密接に関わる色。薄暗いミッドナイトブルーは一日が終わる夕暮れ時を思わせる、隠れ家や静けさを探し求めるような色だ」と語っている。

 クラシックブルーはすでに英国王室でもお気に入りの色となっているようで、ケンブリッジ公爵夫人キャサリン(Kate, Duchess of Cambridge)とサセックス公爵夫人メーガン(Meghan, Duchess of Sussex)は、11月7日に別の場所でそれぞれこの色の洋服を着用している。

 クラシックブルーはレッドカーペットでも着用されている。直近では英国ファッション協議会(The British Fashion Council)が12月2日に開催した「ザ ファッション アワード(The Fashion Awards) 2019」の授賞式で、シェイリーン・ウッドリー(Shailene Woodley)が「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」の“1 モンクレール ピエールパオロ・ピッチョーリ”コレクションのダウンのロングドレスを着用。女優のローレン・ハットン(Lauren Hutton)が着用していた「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」の花柄の刺しゅう入りベルベットスーツも記憶に新しい。

 ここで、2020年のトレンドカラー“クラシック・ブルー”を着こなすセレブリティー13人に注目したい。

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カメラマンの大喧嘩にベラ・ハディッドが喝! コレクション・バックステージ録

 2009年から「WWDジャパン」のバックステージ・フォトグラファーとして海外コレクションを撮影する景山郁が、現場で見た最新トレンドや業界ルール、珍事件などを紹介します。世界でも限られた媒体やフォトグラファーのみが入場を許されるファッションショーの舞台裏での出来事をお届け!

今回のテーマ:場所取り合戦!カメラマンの大喧嘩の一部始終

 事件は9月、ミラノ・コレクションの「フェンディ(FENDI)」のバックステージで起きました。ショー開始直前のコレクションルックを着たモデルたちを撮影する “ファーストルック”は、世界中から集まるフォトグラファーたちにとって重要な仕事。しかし、フォトグラファーエリアは非常に狭く、テープの括りなどで居場所が限られています。さらに制限区域から出ないように、セキュリティーが厳重に監視していて、場所取り合戦が発生することもしばしばです。皆、いい写真を撮るために必死なのです。

※“ファーストルック”撮影…ファッションショーのバックステージ撮影には種類があり、ヘアメイクアップ中の撮影を“バックステージ”、モデルたちが衣装チェンジをした本番前の撮影を“ファーストルック”と呼ぶ。

 今回の「フェンディ」では、50代後半〜60代半ばくらいの大柄なイギリス人の男性カメラマン2人が私の左右に移動してきました。彼らのアグレッシブさは業界でも有名。彼らを避けるカメラマンもいるほどです。撮影中には押されたり、持ち場を取られたり、故意にカメラで頭を殴られたりすることも珍しくありません。

 撮影が始まってしばらくすると、私を挟んで左右にいた2人が口喧嘩を始めました。仕事を忘れ、ありとあらゆる汚い言葉でお互いをののしり合います。その口喧嘩は徐々にヒートアップしていき、ついにはド突合いに発展しました!大きな2人の間に挟まれた小さな私は、2人のおじさんたちの汗臭い胸元でぎゅーぎゅー押され、自分の仕事にも支障が出るくらいの被害になってきました。

 その喧嘩を目にしたモデルのベラ・ハディッド(Bella Hadid)が2人を止めようとしましたが、2人は聞く耳を持ちません。終いには一人が胸元を強くド突き始めたので、私は急きょセキュリティーにヘルプを出しました(囲いからはみ出ないように見ているだけでなく、ののしり合っている時点で彼らをどうにかしてよ!という話ですが……)。

 セキュリティに「追い出すぞ!」と脅された後、ようやく喧嘩をやめた2人。一部始終を見ていたベラは「私は全部見ていたわよ。あんたたちの幼稚な行動、忘れないからね」と言い放ちました。いい年のおじさんたちが、まだ若い20代の美女にあきれられていた姿は本当にかっこ悪かったですし、同業者としても見ていて非常に恥ずかしかったです。

 実はその片方のカメラマンとは毎度会うたびにハグして挨拶する仲ではあるので後日会った際には謝罪とともに私に喧嘩の理由を説明してきました。怒る気持ちは理解できましたが、欧米の人の感情の爆発は本当にすごいものです。仕事中でも場所もわきまえない喧嘩を目の当たりにし、パリのシャンゼリゼ通りで起きた暴力的な黄色いベスト運動を思い起こしました。何事においても、暴力的な言葉や行動ではなく、お互いを尊重し合って仕事をしたいものです。

※黄色いベスト運動…フランスで18年11月17日から発生している政府への抗議運動。これまでに28万人以上が参加し、黄色い反射チョッキを着てデモ活動を行っている。過激な破壊を伴い、これまでに2800人以上の負傷者を出している。

景山郁:フリーランス・フォトグラファー。2003年からフォトグラファーとしてのキャリアをスタート。07年に渡米、09年より拠点をパリに移す。10年から「WWDジャパン」でパリ、ミラノなどの海外コレクションのバックステージと展示会などの撮影を担当。コレクション以外にもポートレート、旅やカルチャーなどエディトリアル、広告を手掛ける。プライベートでは動物と環境に配慮した生活をモットーにしている

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ノームコアからアスレジャー、ストリートまで 2010年代のファッショントレンドを振り返る

 2010年代のファッショントレンドは、ノームコアからストリートウエアに至るまで、世界中に広まった様々なサブカルチャーに影響を受けたものが多い。一方で、かつてファッションアイコンとして絶大な人気を誇ったダイアナ妃の時代を経て、現在はキャサリン妃やメーガン妃が英国王室の新たなファッションアイコンとして注目を集めるようになり、その人気によるフォーマルなトレンドも存在する。

 また、包括性や多様性など社会における重要な問題に関しても変化に向けて拍車がかかるなど、ファッション業界のカルチャーはこの10年間で大きくシフトしてきた。

 2010年代の終わりを迎えつつある今、この10年間を象徴するファッショントレンドを4つのカテゴリーに分けて振り返りたい。

1. フォーマルからアスレジャーへ

 2010年代はカジュアルなファッションが目立った。ブティック型フィットネスの人気が高まると同時に、よりファッショナブルなトレーニングウエアの需要も高まりを見せ、高品質な生地を用いた鮮やかな柄のヨガパンツやスポーツブラなど、スタイリッシュなワークアウトスタイルが巷に溢れた。

 「ルルレモン(LULULEMON)」「アスレタ(ATHLETA)」「バンディエール(BANDIER)」など、以前からあるブランドが勢いを見せる中で、2014年に設立された「アウトドアヴォイシズ(OUTDOOR VOICES)」などの新ブランドも登場するなど、アスレジャーファッションの市場はこの10年間で安定した成長を見せている。

2. 英国王室人気

 2010年代は、ケンブリッジ公爵夫人ケイト・ミドルトン(Duchess of Cambridge, Kate Middleton)やサセックス公爵夫人メーガン・マークル(Duchess of Sussex, Meghan Markle)が英国王室に加わった。ふたりの写真がインターネット上に出回ればその洋服が瞬く間に売り切れてしまうなど、その影響は絶大だ。

 また、ケンブリッジ公爵夫人が婚礼の際に着用した「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」のレースの長袖のドレスや、サセックス公爵夫人が着用した「ジバンシィ(GIVENCHY)」のオフタートルのドレスも大きな注目を集め、複製品が数多く出回る事態となった。

3. サブカルチャーが主流に

 ひょっとしたら、2010年代に最も広まったトレンドは「トレンドに逆らうこと」だったのかもしれない。ファッションのサブカルチャーは、時にランウエイから発信される主流のトレンドを超える人気を博することがある。その代表的なものがノームコアやストリートウエアといったものではないだろうか。

・ ノームコア

 ノームコアは、型にはまったようなランウエイのスタイルや過度に飾り立てたデザイナー製品に対する対応策のようなものだった。このような主流のトレンドを横目に、“ファッショナブルでありながらも平凡でカジュアルな洋服を選ぶ”というノームコアが誕生した。

 ノームコアでは、ホワイト、ベージュ、グレー、ブラックなどの落ち着いた色合いで、ロゴや柄のない服が好まれる。代表的なスタイルは、スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)が着用していた「イッセイミヤケ(ISSEY MIYAKE)」の黒いタートルネックに「リーバイス(LEVI’S)」のジーンズ、そしてグレーの「ニューバランス(NEW BALANCE)」を履いたシンプルなコーディネートだろう。

・ ストリートウエア

 ストリートウエアは2010年代に限ると真新しいトレンドとは言えない。元をたどると1970年代後半から80年代初頭にかけてロサンゼルスやニューヨークで広まったサーファー、スケーター、ヒップホップのカルチャーが原点だと言える。

 しかし、2010年代になって「ステューシー(STUSSY)」「シュプリーム(SUPREME)」「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」などのブランドがストリートのスタイルに勢いを加えたことで熱狂的なファンが増加した。「シャネル(CHNEL)」などのラグジュアリーブランドもランウエイでスニーカーなどのストリートウエアを取り入れる動きが見られるなど、この10年間でストリートウエアの人気が確立されたことがうかがえる。

4.包括性と多様性がより一層注目を集めるように

 2010年代のファッション業界を語る上で包括性や多様性に対する大きな動きを無視することはできないだろう。この10年間でブランドやデザイナーたちはすべての人種、性別、体形、年齢の人びとに開かれたファッションビジネスを目指してきた。

 中でも「クロマット(CHROMAT)」は、ブランドの創設以来、プラスサイズ、トランスジェンダー、妊婦、肢体の切断手術を受けたモデルたちを積極的に起用し、包括性や多様性を重視した活動を展開してきた。

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イソップから初の本 創業から携わるチーフ カスタマー オフィサーが33年の歴史を振り返る

 「イソップ(AESOP)」はこのほど、ブランドの33年の歴史を記録した本を発売した。初の書籍は総336ページにおよびイソップの理念や企業努力、製品開発における苦難などさまざまなエピソードを振り返る。文芸作品やフォトエッセイを盛り込み、写真は日本人写真家の山本豊が撮り下ろした。ブランド立ち上げから携わるスザーン・サントス(Suzanne Santos)=チーフ カスタマー オフィサーに、これまでの33年について聞いた。

WWD:本を出版した理由は?

スザーン・サントス=イソップ チーフ カスタマー オフィサー(以下、サントス):以前にも出版のオファーはあったのだが、ずっと断ってきたの。イソップでは店頭に並ぶ製品を3つずつ並べるなど「3」の数字を大切にしているのだけど、今年はブランド創立33周年というタイミングもあり、創業者のデニス・パフィティス(Dennis Paphitis)がOKを出した。

WWD:どのような内容になっているのか。

サントス:本の中身、1ページ1ページがイソップの世界そのもので、とてもプライベートなこともたくさん刻まれている。われわれの独特な世界観についてもっと知りたい、と思う人が世界中で多くいたし、今もいるはず。この本は、ある意味イソップの世界に入れる“鍵”のようなものだと思うわ。私は創業当時から携わっているので、自分にとっては人生の一部でもあるわね。一つの製品にここまでの時間と努力、感情を注いでいることを知らない人は多いと思うわ。それを知れる素敵な本になっているのよ。

WWD:ここまで世界中で愛されるまでに成長したのはなぜ?

サントス:まずは美容に対する全く新しいアプローチをとったこと。処方はもちろん、パッケージから店舗デザイン、そして美容にまつわる会話までを変えたかった。でもそれはあくまでも私たちの思惑で、お客さまに支持を得たのは、結局は製品力の高さだと思っている。製品においてはもちろん中身にもこだわっているが、使うだけで感情を掻き立てるような"エモーショナル"なものに仕上げているのも誇りにしていること。効果を実感した時の満足感だけでなく、それぞれのテクスチャーや香りを手にした時に、何らかのリアクションを引き起こす。それが大切。

WWD:店舗でも似たような体験をする。

サントス:もちろんよ。製品以外にも昔からこだわっていて、そういえば創業当初の面白いエピソードがあるわ。デニスのこだわりとして、昔はお客さまへのお釣りは必ず新札にしていたの。しかもその新札をローズオイルと一緒に冷蔵庫の中に保管することにより、お釣りを受け取ったお客さまはひんやりした感触とローズの香りを感じるでしょう?本当に小さなことだと思うけど、このように細部にこだわり続けたのよ。毎日銀行に行って新札をもらっていたから、銀行のスタッフには嫌われたけどね(笑)。あとは会社として食卓を囲ってみんなで食事をとることを推奨している。そこで大切なコミュニケーションが生まれるからね。今はデジタルですぐに連絡をとることができるけど、やっぱり対面で話し、食事をシェアするのは全く違うわ。だからニューヨークやロンドンのオフィスでは、早朝から出社して同僚と一緒に朝食をとっている社員が多いの。

WWD:「イソップ」は全店舗内装が異なり、リアル店舗にかなりの力を入れてきた。デジタルが発達している今、店舗にここまで投資する理由は?

サントス:デジタルだけで賄えないものがあるからよ。D2Cブランドが続々とリアル店舗を出しているのを見ればわかるでしょう?市場に多数のブランドや製品が溢れている今は、どれを選んだらいいのかわからない消費者も多い。ネットですぐに情報を手に入れられるけれど、実は製品を触ってみたり、プロのアドバイスを求めていたりするはずよ。もちろん、デジタルにも投資をしているけどね。これからの「イソップ」の成長は主にデジタルから生まれるものだと思うわ。

WWD:デザイン性の高さも人気の理由の一つ。

サントス:デザインはデニスにとって大切なこだわりの一つ。パッケージや店舗は、われわれが全てを賭けて作った大切な製品を包み込むものだから、中身同様に重要でしょう?そして他者と同じことはしたくない。常に業界をリードする存在として、ほかにはないデザインにもこだわっている。

WWD:今は体や肌につけるものにこだわり、ナチュラルな製品を求める人も増えている。“クリーンビューティ”というワードも浮上してきたが、イソップも創業当初から植物由来の原材料とテクノロジーを融合してきた。

サントス:その通りよ。イソップのスタンスは、フットプリント(環境への影響)はなるべく少なくありながら、きちんと満足できる効果を届けること。今はいろいろなワードがマーケティングのために使われており、残念ながらそれに影響されてしまっている消費者もいる。そのように操られている消費者のことを思うと悲しくて仕方ないわ。われわれは創業当初から植物の力を生かし、処方に無駄なものも入れていない。そしてリサイクル可能なプラスチックを用いたり、遮光性のガラスの瓶を使うことによって防腐剤の配合をなるべく少なくしたり、金属製のチューブにこだわったりしている。そして“ループ(循環)”する製品づくりを心掛けているわ。まだ完璧ではないけど、今後も続けるわ。

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クラシックブーム到来 この冬取り入れたいトレンドアイテム8選

 2019-20年秋冬シーズンは、ストリートブームが終焉を迎えたと言われ、代わりにレディーライクなアイテムが浮上し、クラシックブームが到来しました。そこで、この冬に欠かせない8つのトレンドアイテムをコーディネートも踏まえながら総括します。

ボウタイブラウス

 スタイリングのアイコン的存在になりそうなのがボウタイブラウス。ボウ(リボン)を首元に飾ったブラウスのことです。クラシックな淑女ムードを漂わせるのが一般的なボウタイブラウスの着こなしですが、それだとややありきたり。レディーな雰囲気に寄せすぎない着こなしが重要です。

ロングスカート

 クラシックでレディーライクな装い、このトレンドにマッチするボトムスといえば、ロングスカート。秋冬コーディネートの軸にと、海外有力ブランドの多くが発表済み。ロングスカートはロマンティックでガーリーなイメージもありますが、今季は大人っぽくシックに着こなすのが新しい作法。

カフェオレ色

 ベージュやブラウンなど“カフェオレ”系の色は、ここ数シーズン人気が続いています。クリーンで穏やかな雰囲気を醸し出せるのが人気の理由。さまざまなシーンに着て行きやすいことに加え、エフォートレスやミリタリーといったテイストとも好相性。この冬は程よく主張を強めていくのがトレンドです。

攻め柄

 2019-20年秋冬向け展示会では、あちこちでアニマル柄が提案されていました。3大モチーフはレオパード(ヒョウ)、パイソン、ゼブラという“攻め柄”トリオ。服だけではなく、バッグや靴にも登場しています。アニマル柄はそれ自体に存在感があるので、たった1点取り入れるだけで、装いに弾みがつきます。

カチューシャ

 ロンドン・ファッション・ウイーク(19年9月開催)のショー会場に現れたファッショニスタたち。毎シーズンのトレンドを先取りして会場に現れる彼女たちの装いは、そのまま“的中率高めのファッション流行予報”。特に目を引いた小物が、髪飾りの“カチューシャ”です。

ロングブーツ

 久しぶりにロングブーツが冬シューズの主役に返り咲きそうです。ブームが続いたスニーカーから、ロングブーツに履き替えるだけで、スタイリッシュなムードに様変わり。レディーライク、“強い女”風、ロック系など、思い通りの着こなしが割と簡単に決まるから、わがままアレンジの試し甲斐があります。

♦︎ストリートムードの強いアイテムもエレガントに着こなすことが重要

ダウンアウター

 真冬に欠かせないのが、軽くて暖かいダウンや中綿入りのアウターです。近頃はボリュームたっぷりのパフィタイプや、カラフルな色・柄など、デザインも豊富に。従来の防寒・カジュアルイメージを裏切る新顔が登場。コーディネートの選択肢も広がってきました。

ネオンカラーのハイネックトップス

 沈んだ色になりがちな冬ルックに、ネオンカラーが軽やかさを注入します。独特なトーンを生かしやすいのがハイネックトップス。顔周りを明るく華やかにしてくれます。高発色が装いに意外感もプラス。いつもの普段着に1点投入するだけで、冬のコーディネートがホットに。スポーティーさも加わります。

2019-20年秋冬トレンドをもっと見る

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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2020年はどうなる!? 美容シーンのトレンド予測

 今年も残すところあとわずか。2020年の美容シーンは、いったいどうなるのか? 個人的な視点でトレンドを予測してみたい。

注目色は「イエロー」。
メイクはキレイ色の流行が続く

 まず年明け早々登場する「2020年・春夏のメイクコレクション」から、流行の傾向を。19年はネオンカラーや赤のワントーンメイクなど「鮮やかな色と発色」のメイクが流行したけれど、このトレンドは春夏も続きそうだ。

 注目カラーは、断然「イエロー」。これまでイエローはポップな発色が目立ったが(肌なじみの点で取り入れるのが難しい面も)、20年のイエローは大人の女性にこそ挑戦して欲しい秀逸なカラーがそろっている。リップのベースや、アイシャドウの粉体が進化したことで実現した質感だ。

 その代表ともいえるのが、20年1月10日発売の「スック(SUQQU)」の「デザイニング カラー アイズ 15」。シルキーな粉体が、まぶたに溶け込むようになじむ4色で、右上のイエローは目元全体に温かみをプラス。左下のオレンジや右下のパープルと組み合わせることで、イキイキとした「楽しげな表情」「ポジティブな表情」を演出する。

 数年前までメイクのキーワードは「モテ」であったけれど、今後は自分自身が楽しそうであること……他者の視線より「自己肯定感を抱ける表情」が注目されるように思う。

 20年1月3日にRMKから登場するのは、人気のシングルカラーアイシャドウ「RMK カラールックアイズ 02」。大粒のパールを散りばめたイエローゴールドだ。きめ細かな粉体でまぶたにしっとりなじみ、角度が変わるごとに揺らめく輝きが美しい。オリンピックメダルを彷彿とさせるデザインでもあり、20年という一年の幕開けにふさわしいアイテムといえるだろう。

 アディクション(ADDICTION)からは、20年1月3日にクリエイティブディレクターKANAKO初のコレクションが登場する。ハッとするような原色の中で、ひときわ目を引くのが「カラーコントロールリップバーム L 004」だ。一見鮮烈なイエローだが、実際塗ってみると透け感が秀逸。バーム状のスティックが唇の上でとろけ、唇の赤を透かしてほんのりオレンジのニュアンスに仕上がる。ブラウン系やレッド系リップの重ね色としても活躍し、何より見た目の鮮やかなイエローが、前向きな気分へと誘ってくれそうだ。

 ベースや粉体の進化によって、肌なじみが優秀なイエロー。メイクのワンポイントに取り入れることで、20年らしい表情を手に入れたい。

スキンケアのキーワードは
「サステナブル」と「効果」の両立

 本サイトでも度々取り上げている「サステナブル」(直訳は「持続可能な」。地球環境を破壊することなく維持できるという意味で使われる)は、美容の領域でも重要なキーワードだ。これまではオーガニック&ナチュラルブランドがけん引してきたが、現在は大手メーカーにも広く浸透中。特にスキンケアの分野において、20年は「サステナブル」と「肌への効果」を両立した製品が充実しそうだ。

 その代表例が、エキップから2020年2月19日に登場する「アスレティア(ATHLETIA)」。共通成分であるアシタバとシソは循環型の農園で栽培し、「コアバランス トーニングローション」に用いた容器は、リサイクルガラスを採用している(リサイクルガラス使用率90%を実現したのは、業界でも最高水準という)環境への配慮に加え、「アスレティア」の特徴の1つは、背景にカネボウ化粧品が長年培ったスキンケア技術が存在することだ。コメ発酵エキスに独自のバイオ技術を用いて肌への働きを向上させ、感性研究に基づいて、テクスチャーのクッション性や浸透感にこだわっている。

 以下は私見だが、20年以降も大手メーカーの関連会社から、このようなサステナブルと肌への効果を両立した、新たなスキンケアブランドが登場することに期待したい。

 一方、オーガニックコスメのパイオニアであるジュリーク(JURLIQUE)は、1985年の創業当時から持続可能な製品の実現に力を注いできた。オーストラリアの自社農園において、バイオダイナミック農法を実践し、同地の倉庫や工場にソーラーパネルを設置して自家発電に取り組んでいる。お家芸ともいえるサステナブルな物づくりに加え、ポーラ・オルビスグループの一員となってからは、オーガニック植物由来成分の科学的な分析や、独自成分の開発に注力している印象だ。

 20年1月25日に誕生する「ニュートリディファイン コレクション」は、植物の恵みとサイエンスの力を結集したエイジングケア。中心製品の「ニュートリディファイン セラム S」には、Ⅶ型コラーゲンの産生効果が確認されたスピランティス花エキスを配合。植物由来のマイクロリポソームや、植物成分を駆使した乳化技術を採用し、感触や浸透感も非常に洗練されたシリーズとなっている。

 今回はオーガニック&ナチュラル系のブランドを取り上げたが、2020年以降、デパートやドラッグストアで展開するごく一般的なスキンケアにおいても、「サステナブル」な取り組みと「効果実感」の両立は進んでいくように思う。

ベースメイクは、
もはやスキンケアの領域へ

 そして個人的に最も注目し、その進化に感動せずにはいられないのが、「ベースメイク」の領域だ。20年春は「これはもはや『肌色のクリーム』と呼んで差し支えないのでは!?」と思える、スキンケア効果に優れたアイテムが充実している。

 ヘレナ ルビンンスタイン(HELENA RUBINSTEIN)から20年2月7日に登場する「プロディジー CELグロウ エッセンス ファンデーション」は、処方の約9割をスキンケア成分が占めている。3種の方法で抽出したエーデルワイス由来成分と、肌の上でほわっととろけるやわらかなテクスチャーによって、引き出されるのはまるで湯上がりのように自然な艶感。未だにファンデーションは「肌に負担を与えそう」というイメージが根強いが、つけている間中トリートメント効果が期待できる1品だ。

 コスメデコルテ(DECORTE)から20年3月16日に誕生するのは、ノンケミカルで保湿力に優れた「AQ エクストラ プロテクション」。乳液そのもののように滑らかなテクスチャーには、ビタミンE誘導体、エクトインなどの保湿成分を配合し、肌をしっとり包み込む。AQシリーズは「肌の感性」に注目しており、肌と心をリラックス状態に導くような感触や、月下美人をアクセントにした香りを採用している。ちなみにこの「肌と心の関係」に注目したコスメも、20年のトレンドとなりそうだ。

 メイクアップ、スキンケア、ベースメイク、それぞれに進化を遂げる20年春。製品そのものはもちろんのこと、「自己肯定感」「サステナブル」「肌と心の関係性」など注目のキーワードが、女性たちにどんな風に受け入れられるのかに注目したい。

宇野ナミコ:美容ライター。1972年静岡生まれ。日本大学芸術学部卒業後、女性誌の美容班アシスタントを経て独立。雑誌、広告、ウェブなどで美容の記事を執筆。スキンケアを中心に、メイクアップ、ヘアケア、フレグランス、美容医療まで担当分野は幅広く、美容のトレンドを発信する一方で丹念な取材をもとにしたインタビュー記事も手掛ける

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“永遠に愛されるデザイン”を追求したバッグとジュエリー 「ヴァレクストラ」と照明デザイナーがタッグ

 イタリアの老舗レザーブランド「ヴァレクストラ(VALEXTRA)」は2020年春夏、ロンドンを拠点にする照明デザイナーのマイケル・アナスタシアデス(Michael Anastassiades)とコラボレーションし、 “フルート(FLUTE)”コレクションを発表した。

 バッグとブランド初となるジュエリー、照明で構成される同コレクションは、真ちゅうのチューブ(管)を用いたミニマルでタイムレスなデザインが特徴的。ラインアップは、1960年代にデビューしたレザーバッグ“セリエ エス(SerieS)”に形状記憶のハンドルと真ちゅうのチューブをあしらったハンドバッグやユニセックスで使用できる大きいサイズのトラベルバッグなど。ジュエリーは18金のネックレス、イヤリング、リング2型、バングル2型をそろえる。価格帯はバッグが42万9000円〜、ジュエリーは33万円〜。

「ヴァレクストラ」とアナスタシアデスに共通する“永遠に愛される”デザイン

 アナスタシアデスはインテリア業界でラブコールが絶えない人気照明デザイナーで、イタリアの照明ブランド「フロス(FLOS)」やデンマークの音響機器「バング & オルフセン(BANG & OLUFUSEN)」とのコラボレーションも話題になった。「ヴァレクストラ」との取り組みは今回が初めてだったが「ずっと私の哲学と共通するものを感じていた」とアナスタシアデスは話す。「『ヴァレクスト』は建築やデザインとの深い歴史があり、従来のファッションブランドとは一線を画する存在感がある。私はいつも“永遠に愛されるもの”を作ろうとデザインを続けてきた。それはタイムレスな美しさを持ち、機能性を備えていること。照明とファッションアイテムのデザインアプローチは異なるが、哲学は一緒だ」と説明する。

 ヴァレクストラのサラ・フェレロ(Sara Ferrero)CEOは、アナスタシアデスとのコラボレーションを「まさに『ヴァレクストラ』の美学を物語るコレクションになった。建築とバッグの関係性を美しく表現し、シンプルに見えるが、細部に気を使い計算し尽くされている」と評価する。

“これ以上にない出来栄え”の古典主義の風格を持つジュエリー

 「ヴァレクストラ」初のジュエリーは、ニューヨークのメトロポリタン美術館にも所蔵されている紀元前1100〜1600年の古代キプロスのオブジェ“ゴールド スパイラル(Golden Spiral)”が着想源になっている。「古典主義のイメージだ。リングやバングルはスライドさせて2つに分かれ、付け方を変えられたりと見た目の美しさだけでない遊び心も加えた。これまで友人のためにジュエリーをデザインしてきたが、販売するのは初めてだった」とアナスタシアデス。

 フェレロCEOは「ジュエリーは女性にとって重要なアイテムであり、ラグジュアリーブランドとして、“『ヴァレクストラ』がジュエリーを提案するならば”ということを考えてきた。マイケルのデザインは繊細な18金を扱いながらも品があり、これ以上にない出来栄えになったと思う。すでに多方面から高評価を受けている」と語った。ジュエリーコレクションは今シーズン限定ではなく今後も「ヴァレクストラ」の定番商品として販売を続ける予定だ。

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イノベーティブという魔法の言葉 エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月9日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

イノベーティブという魔法の言葉

 この春、久しぶりにニューヨーク5番街を歩き、ファッションビジネスの趨勢が凝縮される通りなんだとあらためて認識しました。今年に入り、「ヘンリ ベンデル(HENRI BENDEL)」(1月)や「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」(3月)など閉店のニュースが続いたことから寂しくなっているのかと思いきやそれほどでもなく、特にセントラル・パークからブライアント・パークまでの17通り分(徒歩約15分の距離)は、今もつわものたちがしのぎを削るブランドビジネスの関ケ原です。

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「ティファニー(TIFFANY & CO.)」「ブルガリ(BVLGARI)」「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS」が角を取っている5番街と57丁目の交差点をセンター・オブ・センターだとすると、その数ブロック内にじりじりと攻め込んでいるのが「ユニクロ(UNIQLO)」と「ザラ(ZARA)」、そして「ナイキ(NIKE)」「アディダス(ADIDAS)」といったファストファッションやスポーツの企業であり、まさに時代を映しています。

 その中でもとても印象的だったのが、650番地に昨年11月にオープンした「ナイキ」でした。「ナイキ ハウス オブ イノベーション000(NIKE House of Innovation 000)」という名前のこの新業態は、上海に続いて2店舗目で、デジタルとリアルの体験をその場で受け取れるのが売りです。平日の昼間、閑散としている店も多い中で、近未来感と開放感とがあるこの店には老若男女がそれこそ吸い込まれるように入っていきます。6層の上階を目指して買い物客が上がっていく様子は、なんだか宇宙船に吸い込まれる地球人みたいでした。

 今の地球人を惹きつける魔法の言葉が店の入口に描かれていました。“WELCOME TO HOUSE OF INNOVATION”です。私もこの言葉に引き寄せられて入店しました。足を踏み入れたときの自分の心理を分析すると、「イノベーティブなモノ、コトに関わっている自分ってなんだか誇らしいしワクワクする」です。軽いですね(笑)。「ナイキ」のスニーカーを履いたところで、走る速度が超人的に速くなるわけでないことはわかっていますが、スニーカーを手に取り眺めているだけでイノベーティブな新しい自分になった気分(笑)です。店内に掲げられた“SEE IT, SCAN IT, TRY IT ON”の文字にも心をつかまれました。

どう褒められたらうれしいかは時代の価値を映す鏡だと思いますが、“イノベーティブである”は今や、“カッコイイ”とか“強い”、“カワイイ”“スマート”などと並列な褒め言葉なのだと思います。閉塞的になりがちな時代に風穴をあけるヒーローの姿と重なるからです。

 だから「グッチ(GUCCI)」が、米国のビジネス誌「ファーストカンパニー(Fast Company)」がイタリアのミラノとフィレンツェで今日7月9日から3日間開催する第1回「ヨーロピアン・イノベーション・フェスティバル(European Innovation Festival)」のスポンサーを務めると聞いて、目のつけ所がさすがと思いました。どんな内容かはどうぞこちらをお読みください。「グッチ」というブランドがなぜ今強いのかがよくわかります。きっとそこには次の時代を引っ張るヒーローたちがいる、そんな予感がします。

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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知る人ぞ知る「タコマフジレコード」 新作Tシャツは即完するほどの人気

 「タコマフジレコード(TACOMA FUJI RECORDS)」は架空のレコードレーベルをコンセプトとしたTシャツブランドで、公式サイトで新作が発売されると即完売するアイテムも多く、音楽好きを中心に知る人ぞ知るブランドとして人気となっている。近年はスエットやパーカ、ロンTなど、アイテムラインアップも拡充。2019年は「ネペンテス(NEPENTHES)」と組んで、大阪や博多、札幌、ニューヨーク、ロンドンなどでもポップアップショップを開くなど、ウェブだけではなくリアルでも精力的に活動を行う。今回「タコマフジレコード」代表の渡辺友郎氏に話を聞いた。

WWD:渡辺さんが「タコマフジレコード」を始めたきっかけを教えてください。

渡辺友郎(以下、渡辺):もともとビクターというレコード会社に10年ほどいて、ビジュアル・プランナーとしてCDジャケットやアーティストグッズなどの制作業務を担当していました。そこでは僕が実際にデザインをするわけではなく、アートディレクターやフォトグラファーといった外部スタッフのブッキングなど、制作進行的な業務がメインでした仕事をやっている中で、例えばデザイン案などはアートディレクターと相談して、こちらがやりたいA案、向こうの要望通りのB案、折衷案のC案といったように、3案くらい提案するんですね。そうするとたいていC案になり、そのクオリティーをどう高めていくかという話になります。僕としてはA案がおすすめなのにというもどかしい思いがあって、クリエイターが自由に好きなものをつくれるようなプラットフォームがあればいいなと考えていました。それでレコード会社を辞めたタイミングで、ミュージシャンのTシャツなどグッズを制作するクリエイティブ・プロダクション「ロッジ・アラスカ」を2007年に設立し、それと並行して、ずっとTシャツが好きだったので翌年の08年にTシャツブランド「タコマフジレコード」を始めました。

WWD:レコード会社を辞めたときからTシャツブランドを始めようと思っていたんですか?

渡辺:Tシャツはすごく好きで自分でもかなりの枚数をコレクションしていたんですが、辞めたときはそこまで考えていなかったです。いつかできたらいいなくらいだったんですが、独立して1年くらいたってからやってみようという感じで始めました。なので今もですが、ファッション的な基礎知識は恥ずかしいくらい持ち合わせていないです。

WWD:Tシャツのデザインはクリエイターが行っていますが、どんな人にお願いしているんですか?

渡辺:もともとビクターにいたときからお仕事していた人が多く、画家の五木田智央さん、アートディレクター兼イラストレーターのジェリー鵜飼さん、グラフィックデザイナーの井口弘史さん、同じくグラフィックデザイナーの峯崎ノリテルさんなどです。独立後に初めてお仕事した方々で言うと、アーティストの加賀美健さん、アートディレクターの鈴木聖さんなどです。

WWD:「タコマフジレコード」は“架空の音楽レーベル”というコンセプトがありますが、それは最初から決めていたんですか?

渡辺:はい。もともと音楽レーベルにいたことと、明確なコンセプトがあった方がクリエイターもデザインしやすい、受け取り手も理解しやすいと思ったので、“架空の音楽レーベル”というコンセプトを掲げました。コンセプトが制約になるのは避けたいので今はそこまで意識していなくて、クリエイターの方にお任せすることが多いです。ただ、テーマが必要な人には「コンセプトにちなんだ感じで」とお願いすることがあります。

WWD:プレロスなどをモチーフにすることも多いですね。

渡辺:1980~90年代のプロレスが大好きで、ほかにも90年代前半くらいまでのスラッシュメタルとか、最近はDUBやフォークロックも好きです。でも全般的に、学生の頃に好きだったものが大人になっても変わらず好きですね。お酒も大好きで、ビールをテーマにしたものも多いです。格好つけても格好よくなりようがないので、愛着のあるものへの愛情だけは隠さないようにしています。

WWD:作家に「こういうテーマで作ってほしい」とお願いすることもあるんですか?

渡辺:それはほとんどなくて、9割がお任せで、好きに作っていただいています。ただ「自分でも着たいと思えるものにしてください」とだけはお願いしています。それでいただいたデザインに対して、その作品がよくみえるように考えながら、Tシャツのボディーカラーやプリントのサイジングは僕が決めています。

WWD:新しいクリエイターにお願いすることもありますか?

渡辺:あります。人の紹介だったり、洋書やギャラリーなどでの展示、インスタグラムで出会ったり。最近は海外のアーティストにお願いすることも増えました。あと、面白い人には「いい人いませんか」と聞いて、そういう場面で名前が挙がった人はチェックしています。

WWD:Tシャツやパーカなどはこれまでも販売していましたが、今年はロンTも発売しました。

渡辺:前から作ってほしいという要望はあったんですが、僕自身がロンTを着ないので、興味がなかったんです。それが昨年「架空のミュージアムショップ」として活動しているENTERTAINMENTの数見くんのロンTを着る機会があって、それがすごく具合がよくて。それで自分でも作ってみようと思って今年から作り始めました。僕だけかもしれないけど、TシャツとロンTでは作るときのデザインに対する考え方が全然違うんですよ。だから作っていて本当に楽しいですね。

WWD:Tシャツのボディーはオリジナルですか?

渡辺:2020年からは全てオリジナルに移行しますが、それまでは半分オリジナルで半分は既製品を加工しています。オリジナルの方がどうしても製作日数がかかってしまい、「今作りたい!」という衝動や状況に対応するのが難しかったので、そこはスケジュールなどを考慮して選んでいました。

WWD:今後のリリース予定は?
渡辺:来年春に新作をリリース予定なのですが、ほかは何も決まっていないです。だって年末なのにまだ来春のTシャツのサンプル作ってるんですよ!(笑)。

流行ってすぐ廃れるのではなく
長続きできるブランドを目指す

WWD:「タコマフジレコード」は最初から順調でしたか?

渡辺:全然でした(笑)。スタートした当初に五木田智央さんに今も使っているロゴを製作していただいて。自分でもとても気に入って「これは売れるだろう」と思っていたんです。でも、都内のセレクトショップに持っていっても全然相手にしてもらえなくて。当時はそういう店にどう卸せばいいのかとかまったく知らなかったですし、向こうからしてみたら「どこの誰だ君は?このTシャツはなんだ?」っていうのもあったと思います。そんな中で「ビームスT」では最初から面白がって取り扱ってくれて、今でも僕のことをよく理解してくださっています。地方とかだと卸しもやっているんですが、基本的にはウェブでの販売がメインでした。

WWD:五木田さんが制作したロゴがすごく印象的です。

渡辺:ありがとうございます。僕としては、ロゴは育てるものだと思っていて、毎年ロゴを使用したTシャツを制作しています。スタンダードとしてずっと使い続けることでロゴ自体の強度が増し、そこに愛着を持ってくれる方が増えてくれると信じています。

WWD:10年以上続けてきて、“軌道にのった”と感じたのはいつごろからですか?

渡辺:今もその実感はあんまりないのですが、生活できるなと思ったのは、始めて5~6年たったころの2013年くらいですかね。そのころから代官山の蔦屋書店などでも取り扱ってもらえるようになって、それで認知度も高まっていったと思います。

WWD:売り上げは順調に伸びていますか?

渡辺:「タコマフジレコード」はスタッフゼロ、僕1人で楽しく好きでやっているので、そこまで劇的には伸ばすことは考えていないですね。もちろん生活の糧にはしているし、貧乏でいるよりは豊かでいたいですよ。ただ、それ以上に長く続けたいという気持ちが強いです。流行ってすぐ廃れるとかは嫌なんですよ。流行ってしまうと翌年には「ああ、これね……」みたいな扱いになったりする。僕は好きな作家やアーティストと好きなTシャツを作りたいだけなんです。なので僕も「タコマフジレコード」もなるべくコソコソしていたいです(笑)。

WWD:ただ、ウェブで新作を発売したら即完売することも増えてきています。

渡辺:ありがたいです。僕はクリエイターの作品を「タコマフジレコード」というフィルターを通してリリースしているだけで、「タコマフジレコード」のブランド力をそれほどとは認識していません。Tシャツが好評なのはとてもうれしいですが、「売れる、人気がある」プロダクトよりも「自分がグッとくる、5年、10年先でも印象があせない」ものを作りたいです。そしてそれが結果として好評だったらうれしいです。

WWD:19年は積極的にポップアップを行っていましたが。

渡辺:「ネペンテス」に声をかけてもらって、博多、大阪、札幌のほか、ニューヨーク、ロンドンでもポップアップをさせてもらいました。もともとニューヨークの「ネペンテス」の方から声をかけてもらったんです。それで昨年末くらいにやることが決まって、ニューヨークでするなら国内でもということになって、国内の「ネペンテス」各店舗でもやることになりました。あと、代官山蔦屋書店や渋谷パルコ内の「Meets by NADiff」などでもポップアップをさせていただきました。

WWD:“朝霧ジャム”のような音楽フェスにも出店していますね。

渡辺:音楽フェスは僕自身が好きで出店しています。“架空の音楽レーベル”がコンセプトなので、音楽との親和性が高い層との接触の多い音楽フェスはいい出店場所だと考えています。唯一の難点はほとんどの場合が1人出店なので体力的にもうそろそろキツいことですね(笑)

WWD:直営店は考えていますか?

渡辺:やりたいという気持ちはゼロではないです。ただ今は僕1人でやっていて、それで一生懸命にやっているくらいがちょうどいい規模感なのではと思っています。スタッフが何人かいて、直営店があってという規模になると、今僕が仕事をしながら感じる軽やかさが目減りしてしまうような気がして。でもいつか今のフォーマットの自然な発展形として直営店ができたらいいですね。

WWD:最後に今後の目標は?

渡辺:自分で着たいと思えるTシャツを作り続けることです。それ以外だったら、僕と嫁と愛犬が健康で、仲のいい周りの人たちもほどほどに幸せで、絶えずその日の夜に1杯飲みに行ける程度のお金がポケットに入っているような生活が長く続けられたら十分です。

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「WWD JAPAN.com」読者が注目した2019年スニーカーベスト30

 「WWD JAPAN.com」読者のアクセス数が多かった2019年のスニーカーをランキング形式でお届け。昨年のランキングでは「ナイキ(NIKE)」が圧倒的勝利を収めたが、今年はその牙城を崩すべく「プラダ(PRADA)」と「アディダス(ADIDAS)」の“スーパースター”が第1位に輝いた。しかし、総合結果ではやはり「ナイキ」がダントツで、まだまだその勢いは止まらないようだ。そのほか「ナイキ」と「サカイ(SACAI)」のコラボや、「オーラリー(AURALEE)」と「ニューバランス(NEW BALANCE)」をはじめとしたコラボスニーカーがランキングの大半を占めた。今年の上位30位にランクインしたスニーカーはこれだ!

【1〜10位】

【11〜20位】

【21〜30位】

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バーニーズには恩がある エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月10日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

バーニーズには恩がある

 少しセンチメンタルなコラムになりますが20年前、「WWDジャパン」編集部に入った私が最初に連載を担当させていただいたのが、伊勢丹を退社したばかりの故・藤巻幸大氏でした。右も左も分からぬ小娘が6年間、毎月原稿を“取り立て”させていただいた過去にただただ恐縮するばかりですが、元祖カリスマバイヤーたる藤巻氏がカリスマバイヤーとして活躍できた所以は、伊勢丹からバーニーズ ジャパンに出向していたとき、本国のバーニーズチームと協業する中でファッションビジネスの真髄を体得した経験があるからに間違いありません。

 その藤巻氏と同じタイミング、バーニーズ ジャパン立ち上げ時に伊勢丹から出向して社長を務めたのが、元グッチ ジャパン社長でマイケル・コース ジャパンの社長も務めた田代俊明氏ですし、有賀昌男エルメスジャポン社長や小田切賢太郎バーバリー・ジャパン社長も当時のメンバーです。このほかにも現在ファーストリテイリングでデザイナーとの協業を取り仕切る勝田幸宏グループ執行役員もバーニーズ ジャパン出身者です。1号店である新宿店のストアデザインはピーター・マリノ(Peter Marino)でした!

 本国バーニーズのメンバーは本気で日本のメンバーを“教育”していたと思いますし、日本のメンバーもそれを受け止め、自らの糧にするだけの若く柔軟な強者ぞろいでした。 上に挙げたのは私が知る限りでもごく一部であり、まだまだ直接的/間接的にバーニーズの恩恵を受けたと感じている人はこの業界内に多数といるはずです。

 藤巻氏が伊勢丹に戻って立ち上げた自主編集売り場「リ・スタイル」をはじめ、今はなくなっていますが、新人デザイナーのインキュベーション企画「解放区」やオリジナルブランド「BPQC」も“ファッションの伊勢丹”をイメージ付けるのに一役買っただけでなく、優秀な人材が輩出するのに大いに貢献しました。また、「(日本またはアメリカの)バーニーズが最初に買い付けてくれた」ことで世に出ることができたブランドも世界中に多々あることでしょう。それだけ影響力が大きかったのです、バーニーズ ニューヨーク。

 かく言う私も藤巻氏とその後田代氏の連載を担当し、さまざまなエピソードをうかがったことでファッションビジネスの奥深さを知ることができたと思っています。

 その源泉たる米バーニーズ ニューヨークが存続の危機というのは、たとえジャパン社に直接影響がないにしてもやはりなんとも言えず残念です。本当に。

 時代を超えて輝き続けるのは至難の業。しかもすでに1度破たんしているし。それでもやはりバーニーズの再起を願わずにはいられません。

VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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自然とのつながりや伝統的な手仕事を感じる 「ステラ マッカートニー」2020年春夏バッグ&シューズ

 ブランド史上最高にサステナブルなコレクションになったという「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」の2020年春夏コレクションは、「循環性」という意味合いもある「サーキュラー(Circular)」がキーワード。それにちなみ、円形モチーフをウエアだけでなく、バッグやシューズにも多く取り入れた。

 バッグは、太鼓のような形や半円型、植木鉢型など、丸みを生かしたデザインが印象的。ストラップには、ロゴや柄を織り込んだ太いテープベルトのようなパーツを合わせた。また、新作のクロシェ編みのバッグなど編みを駆使したアイテムは、昔ながらの手仕事を生かした工芸的なディテールがカギとなった春夏トレンドにもマッチしている。素材は、黒や茶、オフホワイト、オレンジ、柔らかなピンク、ニュアンスのあるブルーといった色合いの人工レザーに加え、これまではクオリティーを担保するのが困難なため生産が難しかったというラフィアを積極的に採用。新型モデルに用いたほか、アイコンの“ファラベラ”も大胆にフリンジを配した編み込みデザインでアップデートした。ラフィアのバッグは、マダガスカルの女性職人たちが現地で調達された素材を使い製作している。

 シューズは、フラットソールやローヒール、もしくは厚底で提案。中でも目を引くのは、丸いアイレットとロープのような太いシューレースを配したローヒールの編み上げブーツサンダルだ。スポーティーなサンダルやエスパドリーユサンダルは、バッグのストラップ同様のロゴ入りテープがポイントに。スニーカーは、スケルトンのアッパーやボリュームのあるソールなどを用いたモデルから、クラシックなバスケットボールシューズまでをラインアップ。ウエアにも見られたステラ自身が撮影したという花畑の写真プリントは、スニーカーやサンダルにも落とし込んだ。さらに、木製のミッドソールとシャークソールを合わせた定番の厚底シューズ“エリス”には、アッパーにラフィアの編み込みを生かしたスタイルが登場した。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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時代を映し出す口紅、2019年は多様性に合わせバリエーション豊かなカラー

 2019年もまもなく終わります。春には「シャネル(CHANEL)」が、秋には「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」や「ジバンシイ(GIVENCHY)」から新作の口紅が登場し、「ナーズ(NARS)と「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」は既存アイテムが進化するなど、今年もメイクアップの主役は口紅で、多くの注目を集めました。カラーは、赤茶色、バーガンディーが中心ながらもバラエティー豊かなカラーバリエーションが特徴でした。多様性が取り上げられる時代の潮流をも感じる、今年の口紅。各ブランドが今年発売した口紅の人気カラーとともに今年を振り返ります。

「シャネル」はブランドの
アイコン、口紅にCOCOを冠した
新作

 今年は2つの新ルージュを発表した「シャネル」。とりわけ印象深いのは、春のパワフルなビジュアルとともにデビューした「ルージュ ココ フラッシュ」。「自由に色遊びを楽しむことができ、私に似合う!と思えるカラーを絶対に見つけて頂けるよう、カラーバリエーション豊富なラインアップとなっています」と関菜美子シャネル デジタルPR & ソーシャルメディア コーディネーターが述べる通り、ヌード、オレンジ、ローズウッド、ピンク、インテンス ピンク、レッド、プラム、ダークトーンなど魅力溢れるカラーがそろった。「ルージュはブランドにとってのアイコンです。アイコニックなケース、全ての女性のニーズを満たす豊富なテクスチャーとシェード。女性一人一人の個性と魅力を最大限に引き出します」という。

「ジバンシイ」からメークアップのキーと考える口紅に、
3つの“絶対口紅”が誕生

 唇のpHによって変化する口紅など、これまで革新的なアイテムを発表し続ける「ジバンシイ」。今年8月発売の“ルージュ·ジバンシイ”シリーズは、“絶対口紅”をうたい文句に絶対的な美を宿す力を口紅に担わせ、「ルージュ·ジバンシイ」「ルージュ·ジバンシイ·ベルベット」「ルージュ·ジバンシイ·ノワール」の3種、それぞれ6色を展開した。「服を着替えて自分のイメージを変えるように、口紅の仕上がり、ケースにも、バリエーションをそろえました。また、色についてはむやみに多く展開せず、ブランドにリンクする色――3種類のリップから厳選した各6色をラインアップしました」と佐藤香恵パルファム·ジバンシイ PRマネージャー。加えて、「永遠のテーマ、エレガンス・強さ・大胆・官能。そのDNAを継承しながら現代的に昇華させたメイクアップためのキーとなるのが口紅です」と語った。

「イヴ・サンローラン」は
ソフトでシアー、
12色のシースルーマットがかなえるモード唇

 「イヴ・サンローラン(以下、YSL)」は、9月に新ルージュを発表した。12のカラーバリエーションについて、トム・ぺシュー(Tom Pecheux)=イヴ・サンローラン・ボーテ グローバルビューティ ディレクターは、「僕はあらゆる⼥性、お客さまが満⾜できるようなカラーレンジにしたかった。いつもとはちょっと違う⾊を試したくなったり、似合う⾊との新しい出合いのきっかけになったりするようにね」と述べ、つけやすいヌードカラーも加えられています。マットフィニッシュの概念を刷新する未体験の“シースルーマット”が誕生した背景には「洗練されたマットリップをメイクアップに取り入れたい、という声がありました」と話す、井上愛イヴ· サンローラン·ボーテPRコーディネーター。滑らかで軽いつけ心地の新作は、ソフトな“シースルー”で透けるように発色するのが最大の特徴。これまでも口紅のトレンドを力強く支えてきた「YSL」は来春について「シックなムードで、グリッターがワンストロークできらめき、トレンド顔に仕立てるカカオブラウン系の色である、2020年2月に発売する新ルージュに期待してください」。

発色と心地よさを追求した
新テクスチャーで
バリエーション豊かに展開する
「シュウ ウエムラ」

 アーティストブランドとして個性美の創造と感動を伝えたい。その思いを具現化する、2つの“ルージュ アンリミテッド シリーズ”を9月に発表。シリーズで155色をラインアップしました。田村未央ロレアル リュクス事業部 シュウ ウエムラ事業部 シニア プロダクトマネージャーは、「アジア人の肌になじみ美しく魅せることを追求した結果、6タイプの異なるテクスチャーの全155色です。特に、ブランドのDNAカラーである赤は、鮮やかさから深み、ウオームからクール、タイムレスからエッジの効いたものまでさまざまな色調をそろえる。33色もの赤を生み出していて、心地よく自分に似合うカラーに出合っていただけるのはもちろん、遊び心のあるカラーなどリップメイクの無限の可能性を楽しめます」と話す。来シーズンのトレンド、レッド系やオレンジ系については、「赤は情熱的なイメージで、感情や行動力をポジティブに促すような高揚感を誘うカラー。オレンジは、明るくフレッシュなイメージで期待を感じることができます。変化が激しい時代のなかで自分らしく大胆に一歩踏み出すエネルギーを表したカラーと思うのです」。

ブランド創設25周年の原点回帰、
シグネチャーのリップスティックを刷新

 クリエイティブディレクターの重責を担うフランソワ・ナーズにとってリップカラーとは、タイムレスなアイテム。NARS誕生25周年を迎えた今年、デビューを支えたアイテムでもある口紅が刷新されました。福島まどかNARS JAPAN PRマネージャーは「赤、ヌード、ソフトピンク、ペールピンクなど、どんなときも女性は魅力的な色を愛していると信じています。それは、ファッションと同様にリップスティックはその日の気分に合わせて選ぶ楽しく気軽なもの、そして気分を高揚させるものでもあるからです」といいます。今秋発表されたリップスティックは、中でも絶妙な光沢感を放つ赤茶色に人気が集まったそう。来年は「限りなくシアーでライトな仕上がりのリップ。2020年は“シアー”がムードになる予感で、唇だけでなく肌もシアーで透明感あふれるみずみずしさが目立つことが予想されます」

渡部玲:女性誌編集部と美容専門の編集プロダクションに勤めた後、独立。2004年よりフリーランスの編集者・ライターとして雑誌やウェブなどの媒体を中心に活動。目下、朝晩のシートマスクを美容習慣にして肌状態の改善を目指している

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よく観られたパリコレ動画 Part2  ロエベ、ステラ、ドリス、サンローラン

 2020年春夏パリコレ中に自分で撮影・掲載した55本の動画の中からアクセス数が良かった14本を2回に分けて発表します。Part2は王道パリブランドが並びます。最近、ランウェイ取材でノートとボールペンはほぼ使いません。iPhoneにメモをとり、写真を撮りつつ気になるシーンが来たら動画へスイッチ。音楽にピンと来たらShazam。デバイスを複数持っていても使えるのは結局何かひとつなので「その時、iPhoneをどこに向けるのか」を瞬時に判断するのが短いショーから多くの情報を得る秘訣です。

「ロエベ」が
“オールド「セリーヌ」”の
ポジションへ

 「ロエベ(LOEWE)」がじんわりよいショーを見せてくれました。「ロエベ」のショーはいつもじんわりよいのですが、今回はじんわり~~~とより滋味深い。ミラノサローネなどで発表したクラフトワークからデザインを発展させるのが、最近のジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)のストーリーの作り方。レザー使いはもちろんのこと、売れているカゴバッグも原点は、工芸品としてのカゴでした。今回は布のクラフトであるレースにフォーカス。スイスなどのレースから広げモダナイズしています。服の向こうに世界中の名もなき人たちの知恵と生活が透けて見えるようで素敵です。オートクチュールを持たないラグジュアリーメゾンの生きる道を切り開いていますね。

ちょっとエッチな
「ステラ マッカートニー」

 「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」は、“これまでで一番サステイナブルなコレクション”だそう。であれば素材手配・開発の背景などには多くの研究、議論、投資などがあるはずですが、ショーからはストイックさや生真面目さは微塵も感じさせず。サークルモチーフのカラフルなドレスは単純にカワイイ。それこそが「ステラ」ですね。

 で、さらにそこを盛り上げたのが、ウィットの効いた演出です。350年の歴史を持つオペラ座の壁一面に交尾をする動物たちの動画を投影しました。私の席の前ではアルマジロの雄が雌が……、来場していたヴィヴィアン・ウエストウッド(Dame Vivienne Westwood)の背後ではクマやシマウマが……。自宅で飼っているカメの雄と雌も夏になるといつもこうだったな、と思い出したりして。そう、これは自然界でごく普通の風景。動物愛護や自然保護を訴えるステラ流のウィットの効いた演出にニヤニヤしてしまいます。ぜひ上の動画で見てください。

「ドリス ヴァン ノッテン」の
コラボ相手は……

 ランウェイの作り方にもトレンドがあり、最近はフラット&自然光が主流です。だから「ドリス ヴァン ノッテン」が今回採用した、客席からモデルを仰ぎ見る高いランウェイは、ザ・ファッションショー&90年代的であり、久しぶりです。

 そしてドリスが協業のために迎えたのはなんと、クリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)でした。フィナーレに2人が登場した時には、意外な組み合わせに思わず「え!」と声を上げましたが、10秒後には「なるほど!」と納得。プリントや刺しゅうを得意とするドリスの感性に、同じく色彩使いが巧みなラクロワの感性が重なるという、いわば職人と職人の協業は、見事なハーモニーを奏でていまいた。いわば、井上陽水と玉置浩二の「夏の終わりのハーモニー」的な?デヴィッド・ボウイ(David Bowie)とビング・クロスビー(Bing Crosby)のクリスマスソング的な?というのは冗談ですが、王道なファッションショーを通じて美しい服をきちんと見せようというドリスの意思が伝わってきます。ジャカードやプリントで色柄を大胆に合わせた美しい服をぜひ動画でどうぞ。

エッフェル塔と「サンローラン」は
2つでひとつ

 「サンローラン(SAINT LAURENT)」にとってエッフェル塔は、いなくてはならないパートナーみたいなものではないでしょうか。エッフェル塔は毎時0分になるとダイヤモンドのごとくキラキラと光るのですが、最近の「サンローラン」は20時のキラキラとともにショーをスタートします。加えて今回は約400個の照明が夜空に向かって光を放ち、その間をモデルがウォーキングする豪快な演出で、マラケシュとLAの2つのカルチャーを感じるコレクションを盛り上げました。会場は、オープンな作りのため、観光客が周囲に集まりフェス的な様相に。。

「アンリアレイジ」が世界共通の
知的な(笑)を引き出す

 「アンリアレイジ(ANREALAGE)」は、先シーズンに引き続き今季も“言葉での説明はほぼ不要”な、わかりやすい演出のショーを行いました。3人が同時に歩いてくるモデルの服は、同じアイテムだけど、微妙に形が違います。そこから“最近は写真の影響力が大きいよね、でも写真に納まる服ってカメラのアングルによって形の見え方異なるよね(笑)”というデザイナーの視点を伝えています。そして観客はショーを見て“確かに(笑)”と思います。ポイントは最後の(笑)の存在であり、風刺が効いているから、その場にいるいろいろな国から来た人たちに共通の(笑)が生まれています。

「ノワール」で魂がプルプル震える

 「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」の二宮啓さんは底知れない。会えばひょうひょうとしているけれど、作り出す服はこれですよ!穏やかな人柄と作り出す服のコントラストが鮮やかすぎて底知れない。テーマとかストーリーとか戦略とか、そんなものは〇〇くらえ。手を動かし、美しいと思う形を作り出すだけ。なんて、本人は言わないけれど、そこを歩いているモノが二宮さんのソウルであることはわかります。東信さんによるヘッドピースに今回は苔を使っていることは、バックステージで確認しました。

女性デザイナーらしいリアルな
「シャネル」

 「シャネル(CHANEL)」は、ヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)による初のレディ・トゥ・ウエアのコレクションでした。大掛かりなセットはカンボン通りの「シャネル」のアトリエから見える屋根の上の風景だそう。ヴィルジニーになり、路線ががらりと変わった訳ではなく「シャネル」はどこまでも「シャネル」ですが、これまでより少しリラックスしていてリアル。だからか、モデル自身の個性が見えてきます。ポケットに手を突っ込んで歩くウォーキングが象徴的です。

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よく観られたパリコレ動画 Part2  ロエベ、ステラ、ドリス、サンローラン

 2020年春夏パリコレ中に自分で撮影・掲載した55本の動画の中からアクセス数が良かった14本を2回に分けて発表します。Part2は王道パリブランドが並びます。最近、ランウェイ取材でノートとボールペンはほぼ使いません。iPhoneにメモをとり、写真を撮りつつ気になるシーンが来たら動画へスイッチ。音楽にピンと来たらShazam。デバイスを複数持っていても使えるのは結局何かひとつなので「その時、iPhoneをどこに向けるのか」を瞬時に判断するのが短いショーから多くの情報を得る秘訣です。

「ロエベ」が
“オールド「セリーヌ」”の
ポジションへ

 「ロエベ(LOEWE)」がじんわりよいショーを見せてくれました。「ロエベ」のショーはいつもじんわりよいのですが、今回はじんわり~~~とより滋味深い。ミラノサローネなどで発表したクラフトワークからデザインを発展させるのが、最近のジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)のストーリーの作り方。レザー使いはもちろんのこと、売れているカゴバッグも原点は、工芸品としてのカゴでした。今回は布のクラフトであるレースにフォーカス。スイスなどのレースから広げモダナイズしています。服の向こうに世界中の名もなき人たちの知恵と生活が透けて見えるようで素敵です。オートクチュールを持たないラグジュアリーメゾンの生きる道を切り開いていますね。

ちょっとエッチな
「ステラ マッカートニー」

 「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」は、“これまでで一番サステイナブルなコレクション”だそう。であれば素材手配・開発の背景などには多くの研究、議論、投資などがあるはずですが、ショーからはストイックさや生真面目さは微塵も感じさせず。サークルモチーフのカラフルなドレスは単純にカワイイ。それこそが「ステラ」ですね。

 で、さらにそこを盛り上げたのが、ウィットの効いた演出です。350年の歴史を持つオペラ座の壁一面に交尾をする動物たちの動画を投影しました。私の席の前ではアルマジロの雄が雌が……、来場していたヴィヴィアン・ウエストウッド(Dame Vivienne Westwood)の背後ではクマやシマウマが……。自宅で飼っているカメの雄と雌も夏になるといつもこうだったな、と思い出したりして。そう、これは自然界でごく普通の風景。動物愛護や自然保護を訴えるステラ流のウィットの効いた演出にニヤニヤしてしまいます。ぜひ上の動画で見てください。

「ドリス ヴァン ノッテン」の
コラボ相手は……

 ランウェイの作り方にもトレンドがあり、最近はフラット&自然光が主流です。だから「ドリス ヴァン ノッテン」が今回採用した、客席からモデルを仰ぎ見る高いランウェイは、ザ・ファッションショー&90年代的であり、久しぶりです。

 そしてドリスが協業のために迎えたのはなんと、クリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)でした。フィナーレに2人が登場した時には、意外な組み合わせに思わず「え!」と声を上げましたが、10秒後には「なるほど!」と納得。プリントや刺しゅうを得意とするドリスの感性に、同じく色彩使いが巧みなラクロワの感性が重なるという、いわば職人と職人の協業は、見事なハーモニーを奏でていまいた。いわば、井上陽水と玉置浩二の「夏の終わりのハーモニー」的な?デヴィッド・ボウイ(David Bowie)とビング・クロスビー(Bing Crosby)のクリスマスソング的な?というのは冗談ですが、王道なファッションショーを通じて美しい服をきちんと見せようというドリスの意思が伝わってきます。ジャカードやプリントで色柄を大胆に合わせた美しい服をぜひ動画でどうぞ。

エッフェル塔と「サンローラン」は
2つでひとつ

 「サンローラン(SAINT LAURENT)」にとってエッフェル塔は、いなくてはならないパートナーみたいなものではないでしょうか。エッフェル塔は毎時0分になるとダイヤモンドのごとくキラキラと光るのですが、最近の「サンローラン」は20時のキラキラとともにショーをスタートします。加えて今回は約400個の照明が夜空に向かって光を放ち、その間をモデルがウォーキングする豪快な演出で、マラケシュとLAの2つのカルチャーを感じるコレクションを盛り上げました。会場は、オープンな作りのため、観光客が周囲に集まりフェス的な様相に。。

「アンリアレイジ」が世界共通の
知的な(笑)を引き出す

 「アンリアレイジ(ANREALAGE)」は、先シーズンに引き続き今季も“言葉での説明はほぼ不要”な、わかりやすい演出のショーを行いました。3人が同時に歩いてくるモデルの服は、同じアイテムだけど、微妙に形が違います。そこから“最近は写真の影響力が大きいよね、でも写真に納まる服ってカメラのアングルによって形の見え方異なるよね(笑)”というデザイナーの視点を伝えています。そして観客はショーを見て“確かに(笑)”と思います。ポイントは最後の(笑)の存在であり、風刺が効いているから、その場にいるいろいろな国から来た人たちに共通の(笑)が生まれています。

「ノワール」で魂がプルプル震える

 「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」の二宮啓さんは底知れない。会えばひょうひょうとしているけれど、作り出す服はこれですよ!穏やかな人柄と作り出す服のコントラストが鮮やかすぎて底知れない。テーマとかストーリーとか戦略とか、そんなものは〇〇くらえ。手を動かし、美しいと思う形を作り出すだけ。なんて、本人は言わないけれど、そこを歩いているモノが二宮さんのソウルであることはわかります。東信さんによるヘッドピースに今回は苔を使っていることは、バックステージで確認しました。

女性デザイナーらしいリアルな
「シャネル」

 「シャネル(CHANEL)」は、ヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)による初のレディ・トゥ・ウエアのコレクションでした。大掛かりなセットはカンボン通りの「シャネル」のアトリエから見える屋根の上の風景だそう。ヴィルジニーになり、路線ががらりと変わった訳ではなく「シャネル」はどこまでも「シャネル」ですが、これまでより少しリラックスしていてリアル。だからか、モデル自身の個性が見えてきます。ポケットに手を突っ込んで歩くウォーキングが象徴的です。

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アイシャドウ男子、始めました エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年8月19日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

アイシャドウ男子、始めました

 この夏、アイシャドウ始めました(笑)。日常のスキンケアから、時々ネイルを。昨年デビューした「ファイブイズム バイ スリー(FIVEISM × THREE)」でベースメイクとコントゥアリングを覚え、社内ビューティチームには「カーダシアン・カナメと呼んでちょうだい!」と豪語してから1年。ついにメンズ界、そしてコスメ界における高い壁を極めてパーソナルなレベルではありますが突破しました。

 きっかけは、ドラッグストアでたまたま見かけた「コフレドール(COFFRET D’OR)」の、マルチユースな「プレイフルアイカラー」でした。「あぁ、コレが最近話題の、どこに塗ってもいいヤツか。やっぱスフレっぽいテクスチャーなのかな?」とゴールドの製品に手を出したら、その色は「カミナリ」という名前でした。

 「カッコえ~」。

 マジでそう思いました。「カミナリ」ですよ、皆さん。素直に「コレ、男子も使えるな」と思い、その場で「スイカ(赤)」「ヒマワリ(黄)」そして「ビキニ(ピンクラメ)」を含む計4色を大人買いです(笑)。さすがに「ビキニ」は着ないけれど、「スイカ」と「ヒマワリ」は男子的にも良き名前です。

 で「カミナリ」を塗ったら、なんだか楽しくなりました。そのまま出社したら、もともと派手なせいか、アイシャドウ男子はフツーに受け入れられ(多分w)、今はブランドとカラバリが増えています。最近のスマッシュヒットは「RMK」。硬質的でミニマルなパッケージゆえ男子が持っていてもおかしくない、「ストーンブロッサム グロージェル」の「プラチナ」カラーを愛用しています。質感バッチリ、ラメも細かい。それを「コフレドール」と、あんまり気にせず重ねちゃうのが男子っぽいと思っています。「シャネル(CHANEL)」の白黒コスメもカッコいいですね。銀座三越の先行販売、人が多すぎて覗き見できませんでしたが、無くなる前に買ってしまう気がするのです。

 そう考えると、男子が持っていてもおかしくないコスメって、案外たくさんありますね。「ジルスチュアート(JILLSTUART)」は女子の特権だと思うので譲りますが(笑)、「アナ スイ(ANNA SUI)」とかさえ、「別にヘンじゃないぞ」と思うワケです。再上陸の「スティラ(STILA)」も、昔と違って男子もイケそうです(笑)。

 とは言え、赤リップはまだまだ遠い存在ですし、アイシャドウだって(僕の場合)グリーンやブルー、アースカラーになると一気に「メイク男子」感が強くなるので「難しいなぁ」と思っており、現在はラメとイエロー&ゴールド中心とする一部カラーにとどまっていますが、世界はまだ広がりそうです。次は、マスカラかアイライナーに挑戦しようと思っています。やっぱり黄色とかオレンジでしょうが、ここにグリーンはアリですか(笑)?ドラッグストアに行くたび、「ウズ(UZU)」のパッケージで立ち止まってしまう今日この頃です。あのパッケージも男子的に「良き」です。

 と、右手はイエロー、左手はグレーのネイルを塗った手で連打したスマートフォンからお届けしました。

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ファッション好きに愛用される香水ブランド「バイレード」 最初の香りは“父親”をイメージ 

 スウェーデン・ストックホルム発のフレグランスブランド「バイレード(BYREDO)」はミニマリスティックなパッケージとシンプルながらもユニークな香りが人気で、ファッショニスタの愛用者も多い。創業者のベン・ゴーラム(Ben Gorham)はもともとプロのバスケットボール選手で、27歳のときに著名調香師のピエール・ウルフ(Pierre Wulff)と出会ったことをきっかけに香水の道に進む。全く調香の経験がなかったゴーラム創業者はウルフにアドバイスをもらいながら、2006年に「バイレード」を設立した。

 香りと記憶の関係に関心があったという彼は自身の人生や経験にまつわるエピソードを香りに落とし込み、「ジプシー ウォーター」「モハヴェ ゴースト」「ブランシュ」など数々のヒット作を生み出してきた。ファッションブランドとのコラボも積極的に行い、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」や「オリバー ピープルズ(OLIVER PEOPLES)」などとも協業している。日本ではエストネーション(ESTNATION)やビオトープ(BIOTOP)などのセレクトショップで取り扱われ、11月にリニューアルオープンした伊勢丹新宿本店には日本初の旗艦店をオープンした。
 
 そんなゴーラム創業者に、一つの香りを作るまでのプロセスや、新しいプロジェクトなどについて聞いた。

WWD:香水を作ろうと思ったきっかけは?

ベン・ゴーラム「バイレード」創業者(以下、ゴーラム):美術学校に通っていたとき、自分のメモリー(思い出)を香りにしてほしいとある調香師に頼んだことが始まり。そのとき、パーソナルな思い出だったこともあって感動したんだ。目に見えないもの(=香り)がここまで感情をかき立てることができるのかと。それがきっかけで香りを作ろうと思った。特に、自分はそれまで美術を学びとても視覚的な世界にいたから、見えないものにここまでのパワーがあることに感心したんだと思う。

WWD:一番最初に作った香りは?

ゴーラム:今まで25種類ほどの香水を手掛けてきたが、一番最初は(記憶の中の)父親の香りをイメージした。とてもパーソナルな香りだけど、父親(もしくは父親像)の香りって誰もが共感できるものだろう?香りを作るとき、そういったパーソナルな記憶や人をイメージして作ることが多い。記憶と香りはとても密接なつながりがあるから。そしてそれを香ることによって人が共感しあい、つながってほしい。

WWD:香りはどのように作っているのか。

ゴーラム:まず、どの香りでも一つのストーリーを描くようにしている。それがパッと思い浮かぶときもあれば、そうでないときもある。でも13年も香水を作っていると自然に鼻が敏感になるから、考えなくとも毎日の生活の中にある香り全てが刺激になる。例えば先ほど(ホテルで)シャワーを使ったときに、アメニティーの小さな石鹸が強い印象として残った。新しい土地を訪れる際、普通は景色(視覚)や気温(触覚)などが記憶になると思うけど、私はそれらと同じくらい香り(嗅覚)が記憶になっている。印象的な香りはノートに書きためて、ノートを見返したときに何度も似た香りが出てきたり、思いが強かったりすると、そこからその思いを調香師に伝えるためにアイデアソースを集める。それは詩だったり、写真だったり、オブジェクトだったり……。そこから調香師と会って、実際の香料の製作作業に入るんだ。香水作りにはだいぶ慣れたが、いまだに難しいと思うのは、誰もが共感できるような”客観的”な香りを生み出すこと。でもその難しさが楽しいんだよね。チャレンジングだからこそクリエイティブなものが生まれるだろうね。

WWD:今まで一番作るのが難しかった香りは?

ゴーラム:エムエムパリス(M/M PARIS)とコラボした「M/MINK」という香りはチャレンジングだったかな。特殊なカリグラフィー(書道)のインクをイメージした香りなのだが、インクの香りを表現するのって意外と難しくて。インセンスやアンバー、パチュリリーフ、ハニーなどをブレンドして作ったけど、かなりの自信作だよ。

WWD:元プロバスケットボール選手と全く異なる業界からの転職となったが、それは香水作りに生かされている?

ゴーラム:香水を作る経験も知識もなかったし、最初はほぼ独学で香りを作っていたので大変なこともあったけど、かえってユニークなものを作れていると思う。トレーニングや学校などで「これが正解」というようなことを教えられていないので、自由に香りを作ることができるし、真にユニークでパーソナルなものばかりを生み出していると思うよ。

WWD:「バイレード」といえばシンプルなパッケージが魅力だ。
ゴーラム:もともとは香りに集中してもらいたいという思いがあり、香りが主役でパッケージはある意味脇役と考えていた。つまり、外見よりも中身に注目してほしかったんだ。でもそんなパッケージも時間をかけてデザインをしているし、ディテールにもこだわっている。ガラスの工場にも足を運んで、シンプルながら高いクオリティーのパッケージを作っているよ。

WWD:なぜ世界中でヒットするまでに成長したのか?

ゴーラム:いい質問だね。タイミングかな?ちょうど「バイレード」がデビューしたとき、ニッチなパフュームメゾンの市場が伸び始めていたから、それは大きい。特に若い世代は香りで自己表現をする人が増えているし、ユニークな香りにもどんどん挑戦している。あとは幅広い層に支持を得ているから。18歳の顧客もいれば、85歳の愛用者だっている。それはシンプルな香りだからなのか、センスなのか、どちらか言い難いけど。

WWD:ファッション好きにも愛用者が多い印象だ。伊勢丹やセレクトショップに出店しているのもそういう狙いがあるから?

ゴーラム:もちろん百貨店でも売っているけれど、アート畑出身の私はファッションも好き。ファッションやアートを意識して香りを作っているから、ファッション感度が高い人が買い物するような場所に置くことも大事だと思った。そういう人たちが一番共感してくれると思ったからね。

WWD:多くのファッションブランドとコラボしている。

ゴーラム:「オフ-ホワイト ヴァージル c/oアブロー」のヴァージル ・アブロー(Virgil Abloh)とは昔からの友人。前から「いつかは一緒に何か作りたいね」と話していたから、自然にコラボレーションが生まれた。ファッション業界に友人がたくさんいるから、自然とコネクションもできやすい。でもこういった異業種のコラボレーションは新たな視点から香りを見つめるきっかけになるし、面白いよね。

WWD:今は香水だけでなくサングラスやバッグ、レザーグッズも手掛けるようになった。そのきっかけは?

ゴーラム:もともとアートを学んでいたので、視覚的なものにももちろん興味があったんだ。香りは見えないがアーティスティックな表現ができるものとしてずっと作ってきたけど、久しぶりに見られる・触れるものを作りたいと思ったのがきっかけかな。ファッションショーに招待されることも多いし、ファッションデザイナーの友人も多くいるから、インスピレーション源は常に周りにあるしね。中でもレザーグッズはタイムレスだし、ブランドを上手に表現をできるものだと思って選んだ。

WWD:他に挑戦してみたいものは?

ゴーラム:実は20年春夏にメイクアイテムを出す予定なんだ。まだ詳細は言えないが、カラーコスメをスタートするから期待していてほしい。

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石一つ一つの個性を大切にするジュエリー「クニエリカ」の魅力

 カラフルな色石を用いたジュエリー「クニエリカ(KUNIERIKA)」が11月末に東京・表参道で展示会を開催し、メダルをモチーフにしたジュエリーやイエローダイヤモンドのリングなどの新作が登場した。同ブランドの魅力は、石の個性を大切に顧客一人一人に合わせた丁寧な物作りだ。石留めの仕方などディテールにもこだわったデザインは職人泣かせだという。「クニエリカ」の廣村晋江デザイナーに新作やクリエイションについて話を聞いた。

WWD:新作にメダルのモチーフを使用したのは?

廣村晋江(以下、廣村):仕事や家事などいそがしい毎日を送る女性に、誰もメダルをくれない。そんな頑張る女性にメダルを贈りたいと思った。石を選んでもらってのオーダーも可能で、パールのネックレスは80cmのオペラだが、着ける人の身長に合うようにアレンジする。1カ月半~2カ月程度と納期も比較的短い。

WWD:サファイヤやガーネットなどの色石のほかにイエローダイヤモンドが加わったのは?

廣村:大学時代の友人が、香港にあるベルギーのダイヤモンド商のところで働き始めた。そこの4代目オーナーに私の制作活動を伝えたところ、イエローダイヤモンドを出してきて、好きな石を選んでいいと言われた。ダイヤモンドというと格付けを気にする人が多いが、カラーダイヤモンドはそれだけでない。だから相性がいいもの6石を選んで購入したのがきっかけだ。

WWD:イエローダイヤモンドというと通常かなり高額だが?

廣村:これは「クニエリカ」だから出せる価格帯。ファンシービビッドイエローの脇石にはブルートパーズを使用した。通常このような組み合わせはしないが、黄色と水色が引立て合うと思ったから。好きな石を好きなように選んでデザインしてみた。

WWD:今後どのようなものをデザインする予定か?

廣村:カラーダイヤモンドにはとても興味がある。業者のところで眠っているデッドストックの石を使って一点モノを作りたい。石自体はとてもきれいなのに、1石しか残っていないなどの理由で通常の流通にのらないものがある。

WWD:リフォームなどのサービスも行っているようだが?

廣村:祖母や母親が持っていたジュエリーをそのまま眠らせておくのはもったいないので、積極的に顧客にはリフォームを勧めている。顧客一人一人と話しをしながら、どのようにリフォームするかを話すのが楽しい。古いケースに入れて持ち込まれるので、リフォームが仕上がったらオリジナルのケースに入れ替えて手渡すようにしている。

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時計担当がついに高級時計を買うってさ

 「えっ、時計担当なのに時計買わないんですか?」――時計担当になって1年半、だれということもないんですが、だれかから“確実に”そう言われているような気がしていました……。ファッションニュースを伝える身として、新たなブランドや技術、サービスに飛びつく好奇心は常に持ち合わせていますが、大きな買い物とあっては内なる声に従わざるを得ません。そして、オールドルーキーな僕でもアドバンテージを取れる分野が好ましい。そこで選んだのがビンテージです。

 前職の「セカンド(2nd)」編集部(えい出版社)では、アメリカントラッドに魅了されました。そして「セカンド」的に、身に着けるべき時計は2つだけでいいと断言しました。それが「ロレックス(ROLEX)」の“バブルバック”と「カルティエ(CARTIER)」の“タンク”です。“バブルバック”は1930〜50年代に生産された「ロレックス」の自動巻き時計の総称で、完全防水を実現するために大きくなったムーブメントなどを収めるために、ケースバックが泡のようにふくらんでいることから名付けられました。文豪アーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Hemingway)が愛した逸品として有名です。一方の“タンク”の誕生は17年で、100年以上の歴史を持ちます。そのデザインソースは意外にも戦車(タンク)。第1次世界大戦を終結に導いた平和の象徴、また不戦の誓いとして表現されたとか。同時にアールデコの代表作でもあります。そして“タンク”は同じく小説家のトルーマン・カポーティ(Truman Capote)が愛用しました。

 どちらもいつかは手に入れたいと思っていましたが、ちょっとでも上品かつ知的に見えたら……という下心もあり、僕は“タンク”を選びました。

 相談したのは東京・吉祥寺の「江口時計店」です。2016年のオープンで、店舗はガラス張りのリペア工房を入れて約66平方メートル。修理技師が3人在籍しています。古着ディーラーを16年間務めた江口大介さんがオーナーのため、店内には時計以外に「バーバリー(BURBERRY)」のビンテージコートや「エルメス(HERMES)」のビンテージシャツなども並びます。

 肝心の時計はというと目当ての「カルティエ」を筆頭に、「ロレックス」「オメガ(OMEGA)」など1950~70年代のアイテムを中心にラインアップされています。江口オーナーは、「60年以前の時計には個性的な“顔”が多いんです。その後は量産の時代となり、この転換期のデザインがおもしろいんですよね」と話します。時計は月に1度、香港などで主に欧米のディーラーから買い付けるそう。

 来店客の男女比は6:4で、30~60代と世代は幅広いです。平均販売価格帯は30万~40万円台。「女性客は“タンク”指名の方が多いです。20~30代の比率が増えていますね。だから当店では常時100本はストックするよう努めています。ただ最近は、状態のよいものが出にくくなっています。男性客の人気は『ロレックス』『オメガ』ですね。ただしスポーツタイプではない、シンプルなものをセレクトするようにしています。それが当店らしさです」。

 江口時計店では、修理も買い取りも受け付けています。そのためリピーターが多いの特徴。「高級時計って、一生のうちに1本買うかどうかだと思います。だから当店でじっくり悩んでほしいんです」と江口オーナー。店内にはアンティークの椅子やテーブルが備えられ、平均滞在時間は2時間ほど。ブランドやアイテムの説明からケアの仕方まで、江口時計店では接客を通じて時計の魅力を伝えています。最近は、結婚指輪の代わりにビンテージ時計を贈り合う20代のカップルも多いのだとか。僕も2時間しっかり悩ませてもらい、1本を選びました。

 80年代製の手巻きの“マストタンク”で、文字盤はアイボリー&黒のローマ数字の組み合わせ。同モデルはダイヤルデザインが豊富ですが、「アイボリーが一番人気」なのだとか。ケース径は“LM”と呼ばれる24×31mmで、いわゆるメンズサイズ。りゅうずに付いた青の合成スピネルがアクセントになっています。デッドストックに近い状態で、価格は27万8000円。高級時計デビューとしては、ちょうどよいのではないかと。“アメトラマン”らしく、紺ブレ&オックスフォードB.D.シャツの手首にさりげなくプラスしたいと思います。

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韓国顧客満足度ナンバーワンの美容整形外科「バノバギ」院長が語る韓国美容医療トレンド

 韓国で圧倒的な知名度と人気を誇る美容整形外科医院「バノバギ(BANOBAGI)」クリニック。江南(カンナム)地域に整形外科医院と美容皮膚科医院を抱え、最近は日本の来院者も増えている。また、日本では銀座のビアンカクリニックと提携しているほか、オリジナルブランドのスキンケアはサイバーエージェント(CYBERAGENT)が展開するアベマTV(ABEMA TV)の韓国コスメ通販番組、「カンコスホリック」で取り扱っている。

 「バノバギ」クリニックの皮膚科医院を率いるバン・ジェヨン院長に最近の韓国の美容医療トレンドや、オリジナルブランドのこだわりを聞いた。

WWD:美容医療先進国の韓国で人気ナンバーワンの実績だが、そこまで支持を得ている理由は。

バン院長(以下、バン):「バノバギ」は美容皮膚科と整形外科が一緒になっているクリニックの中では、韓国でナンバーワンの売り上げと知名度を誇る。整形外科は1日250〜300人ほど、皮膚科は50〜100人ほどが来院している。先生の腕はもちろん、「バノバギ」の哲学に共感してくれる人が多いことが人気につながっているのだと思う。テレビに出ているような芸能人に憧れる人が多いので、昔はそういった「理想の顔」に合わせて整形手術をしていたが、それだとみんな同じ顔になってしまう。韓国で“江南美人”という言葉があるが、それはみんなが同じような顔を目指して整形をしたからだろう(江南地区には多くの美容整形外科が存在することに由来する)。でも「バノバギ」では、一人一人の個性を生かしながら美しくすることをポリシーに掲げている。

WWD:最近人気の治療は?

バン:皮膚科の施術だとエイジングケア系の治療が一番有名。中でも最も件数が多いのはサマジーとウルセラというレーザー。2つのレーザーは10年以上の歴史があるので、非常に安定していて効果も高い。ウルセラは顔に少し脂肪がついている方向け、サマジーは脂肪がなくともリフトアップしたい人向け。そのほかピコレーザーも人気だ。最初は入れ墨を除去する目的で使われたが、毛穴の開きや肌表面のテクスチャーの改善、色素治療についても効果があったので、いろいろな研究で使い道を広げているところ。整形だと輪郭手術とあご削り。どちらも「バノバギ」の得意分野でもあり、日本人のお客さまからも信頼されている。

WWD:韓国がここまで美容医療界のリーダーになったのは?

バン:まずは手術の件数が多く、クリニックも多いので競争が激しい。そうすると自然と技術も上がってくる。また韓国人の国民性もあると思うが、医者の研究心と好奇心が強い。アメリカ人と日本人は研究の安全性を一番に求め、ある意味慎重だという。それに対し、韓国は効果を求める。だからこそ新しい施術や技術が次々と生まれる。そして韓国人は新しいものに挑戦することを好むので、韓国でしか受けられない施術も多い。例えば水光注射やシンデレラ注射も韓国から生まれたものだ。

WWD:韓国人の肌悩みやニーズの傾向は。

バン:日本も一緒だと思うが、20〜30代女性は敏感肌で悩んでいる人が多い。生まれつきの人もいれば、外的刺激などで後天的になった人もいる。さまざまなタイプや症状があるので、治療は必ずしもレーザー治療とは限らない。間違った化粧品の使い方で肌のバリア機能を崩している人も多いので、まずは化粧品の使い方についての指導をし、その後にその人にあった化粧品をアドバイス。その次に飲み薬や塗り薬を処方し、もっと効果的な治療があればレーザーなどクリニックでの施術を案内している。いずれにせよ炎症を起こし敏感になってしまった肌はきちんと管理しないと悪化していく一方なので、丁寧に診る必要がある。

WWD;日本では若い人がプチ整形することが増えていおり、整形の口コミアプリも人気。韓国ではどうか?

バン:韓国でも同じ。プチ整形への抵抗が弱くなっているので、手を出す人が多い。韓国では大学受験が終わると整形をする人も多い。中でも二重形成や鼻の手術が人気。ほか涙袋形成や唇をふっくらさせるものの需要が高い。

WWD:オリジナルコスメを作った理由は。

バン:韓国では現在、ドクターズコスメが増えている。例えばいま人気の「ドクタージャルト(DR .JART)」は、実は兄のバン・ジェサン院長(整形外科の医院長)の先輩が作ったブランド。われわれは市場を長年見てきて、さらに皮膚治療にも携わってきたから、プロが提案するスキンケアの需要があることは知っていた。また、韓国では“ケミカルフォビア”という言葉ができるくらい、悪い成分に対しての偏見がある。実は以前、加湿器から肺に悪い成分が出るという事件があり、それ以来肌に悪い成分に対しての警戒心が日本より高い。だから成分を調べるアプリも人気だと思う。「ファへ」はアプリの人気ラインキングで1位を取ったほど。われわれは成分についても詳しいので、敏感肌の人でも使うことができつつも高い効果を誇るものを作っている。敏感肌向けに開発した「ミルクシスル」ラインは、メチルパラベン、エチルパラベン、ベンジルアルコールといった一般的なフェイスマスクに含まれる化学成分を使用しておらず、「ファへ」でも高い評価を得ている。生産はもちろん全て韓国で行っている。

WWD:今後の目標は?

バン:2019年は日韓関係でいろいろあったので、日本市場には目を向けていたものの、政治的な影響でプロジェクトをストップせざるを得なかった。20年からは、日本での認知度をさらに高めたい。よりグローバルな展開をするために、さまざまな広告を展開する。また現在「バノバギ」は30代のお客さまが多いので、今後は若い人向けのコスメも開発していきたい。

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